伝説の戦士と片翼の天使 (イタチ丸)
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オリジナル設定紹介

物語をより分かりやすくするためにこれまでのお話込みでオリ設定等々を載せておきます。
随時更新予定です。


 

 

【オリキャラ紹介】

 

・ヘーメラー=ギリシアン・エミヤ

物語の主人公。愛称はヘメラ

名前の元ネタはギリシャ神話より、天空神アイテールの妹ヘーメラー。

プリンセスの力を取り戻すために宇宙星空連合としてララやプルンス、フワと旅をしている。

魔力を使って物体を複製する魔術『投影(トレース)』の使い手で、現在投影できるのは干将・莫耶と黄金の剣(カリバーン)のみ。

宝具:鶴翼三連、勝利すべき黄金の剣(カリバーン)

 

 

 

・???

 

 

 

・聖騎士

episode4より乙姫と同盟を結んだとされる人物

 

 

 

・???

 

 

 

 

・乙姫

episode4より登場

海底都市王の異名を持つ王妃。キャラのモチーフは神撃のバハムートより海底都市王・乙姫

プリンセススターカラーペンといったキラキラピカピカしたものは全部自分の物だという中々のジャイアニズムの持ち主。

普段は家来にも笑顔を絶やすことはないが、ぶちギレると……

 

 

 

・乙姫親衛隊

episode4より登場

その名の通り乙姫LOVEであり、身長が姫よりも低い者が集う軍隊。

キャラのモチーフは神撃のバハムートより乙姫お守り隊

 

 

 

・???

 

 

 

・???

 

 

 

・???

 

 

 

・???

 

 

 

・???

 

 

 

・???

 

 

 

・ラウラ

prorogueより登場

簡潔に言うとオラオラ系の俺っ娘である。しかも敵を皆殺しにしたがっていたり、何か自分の癪に触った感情を持つと殺意を見せるというかなり荒々しい性格の持ち主。

ベルゼブブに仕えていることによりシルヴィと同盟を結んで星杯戦争へと足を運んでいる。

キャラのモチーフは神撃のバハムートよりグランドレイジコマンダー・ラウラ

 

 

 

・シルヴィ

prorogueより登場

仮面を付けた感情の読めない謎多き人物。ベルゼブブに仕えていることによりラウラと同盟を結んでいる。

自身の属する暗殺教団の創設者ハサン・ザッバーフのスキル『気配遮断』で音も無く殺すことがメインの戦い方。

自分自身が求めていることが分からず、何故未熟な自分が星杯に名を呼ばれたのか分からないでいる。

キャラのモチーフはfate/より百貌のハサン

宝具:妄想幻想(ザバーニーヤ)

 

 

・ベルゼブブ

prorogueより登場

地獄の君主の異名を持つ、星杯戦争においての審判役。

自身に星杯を捧げるようラウラとシルヴィに命じているのだが、星杯に何を求めているのかは現在では不明である。

シルヴィに対しては特別な感情を抱いているのだろうか。何かを求めているような素振りを見せた。

キャラのモチーフは神撃のバハムートよりベルゼブブ

 

 

 

 

 




7/9 オリキャラのみ更新
オリキャラというかクロスオーバー作品から持ってきたキャラも何名かいますが…w
性格上で何とかオリジナルに設定しております…!


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本編
prologue


〜二年前 とある惑星にて〜

 

「星杯戦争…奇跡の願望器を巡る争い。それに、私が…」

 

星杯戦争

 

異物が入り込んだ、曰く万能の願望器とも言い難い杯を求めて争う、宇宙を賭けた闘争。

遥か彼方に存在する星空界の中心部にある聖域「スターパレス」にて、全宇宙の均衡を保っていた《12星座のスタープリンセス》がある時何者かに襲われ、《12本のプリンセススターカラーペン》になって宇宙に散らばってしまったことが原因で起こった戦争である。

勝利した星は1人1人の人間の願いを叶えることが出来るが、敗北した星は即消滅してしまうという何とも恐ろしいものだ。

 

その闘いに星の代表格として選ばれた黒のフードに仮面を身につけた人物、シルヴィの驚きは素顔が見えなくても声のトーンで分かるほどだった。

 

「普通は各星々で名を挙げた奴が星の代表になるはずなんだが、まさかお前のような特に名も挙げてない奴がなるなんてよ」

 

謎の多きシルヴィの眼前で、ゴスロリチックな服に身を包んだ女、ラウラが片手にワインの入ったグラスを携えて断言する。

 

「…んだよ、信じられねえのか?自分が選ばれたことに」

 

ラウラの素朴な疑問に、シルヴィは歯切れ悪く応える訳でもなく頷いた。

 

「まあ、当然だろう……ラウラ、そろそろ話してやれ」

 

「仕方ねえ。シルヴィ、お前を呼んだのは他でもない」

 

「シルヴィ、今回話したいのは星杯戦争のことだけではない。こうしてお前とラウラを引き合わせた理由は他にある」

 

そう嘯いたのは戦争の審判役となる君主・ベルゼブブ。シルヴィが最も尊敬する人物である。

彼女の表情は、何処か遠くを見ているような鋭い表情だった。

 

「戦いに勝利すると与えられる星杯。だが、その杯は願いを叶えるための強大な力を手にしている。それが輩の手に渡ってしまえば、邪な願望を叶えられるかも知れぬ」

 

「……成る程。ならば、私はラウラ殿を勝利させる目的で参加すれば良いと?」

 

「そうだ。ベルゼブブの願望の為に、オレとお前で手を組んで敵を駆逐し、殲滅する」

 

ラウラの言葉に困惑するシルヴィ。

ベルゼブブの方へと目をやると、彼女は何も発することなくただ頷くだけ。

感嘆を通り越して呆れを覚えるものの、シルヴィは大方は理解した。

 

「その任務、承りました。ですが、一つだけ……星の代表を選抜をする星杯の意思というのは、一体どういうものなのですか?」

 

「星杯はより真摯にそれを必要とする者から優先的に選ばれるのだが……嗚呼、そうか。以前も星杯を求めない者がイレギュラーとして参加していたな」

 

「あーもうゴタゴタうるせえな。シルヴィ、お前はまだ何で自分が選ばれたのか分かんねえんだろ?」

 

ベルゼブブの言葉を遮るようにラウラが荒く問い掛ける。

 

「自分には願望がないーとか言ってるけど、内面だとどっかに強い願望がある。もうそれでいいんじゃねえの?」

 

「強い…願望…」

 

訳が分からない。

今の私には願望も夢も希望も、ましてややりたいことなんてあるはずがないのに。

 

シルヴィはこの問答で求められる回答以上が出ないと諦め、ラウラの言葉通りに結論付けた。

無論、内心で出た落胆の念は隠している。

 

「もう交渉はついただろ?用事あるから先帰るぞ…?二年後の星杯戦争、楽しみにしてるぜ……」

 

用事があると言いながら怠そうな表情を見せるラウラはそう言葉を残すと、背を向けこちらに手を振りながらこの場を去っていった。

 

二年後に行われる星杯戦争。その戦いで、もしかしたら自分が真に求めているものの答えが見つかるのではないだろうか…。

 

「シルヴィ、お前にはもう一つ話をしなければならない」

 

「話、ですか……?」

 

………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

聖域スターパレスで異変が発生した事から宇宙の危機を知らされた僕は宇宙星空連合として、宇宙を救う「伝説の戦士プリキュア」を探し出すため、宇宙妖精のスペガサッス・プララン・モフーピット・プリンセウィンクやプルンス、同じ連合の一員のララとともに宇宙の旅を続けていた。

のだが……

 

「オヨ〜…!」

 

「め、めっちゃ追いかけてくるでプルンス!どうにかして追い払えないでプルンスか!?」

 

「あんな数追い払える訳ないでしょうが!」

 

その旅の途中で突然、僕達は見覚えのない組織に襲われ、必死に逃げ回っていた。どうやら狙いはスペガサッス・プララン・モフーピット・プリンセウィンクらしい。

スペガサッス・プララン・モフーピット・プリンセウィンクという正直無駄に長い名前の生き物は、見た目は可愛らしいのだが、これでも聖域スターパレスに住まう12星座のスタープリンセス達が、星々の輝きを守る「最後の希望」として生み出した存在なんだそうだ。

奴らはそんなスペガサッスを捕らえようと厄介事を企んでいるのだろう。

次の星杯戦争(・・・・・・)がいつ起こるか分からないというのに、変な組織が現れるとなると荷が重くなるんだけど…。

 

そういうことで僕らは何とか撒こうと逃げ回っているのだが、ここで思いもしない最悪な出来事が起こった。

 

スペガサッスが何処かに消えてしまったのだ。

先程まで「フワ〜!」とか言いながら室内を飛び回っていたのだが、ふと目を離した隙にいなくなってしまった。

ララが行方を捜しているものの、後ろから襲ってくる奴らのことも気にかけなければならない為にパニック状態だ。

 

今日はもう踏んだり蹴ったりだ!そんな虚言を吐きそうになったその時に異変は起こった。

 

僕らの乗っていたロケットが右往左往に激しく揺れ始めた。

被爆したのか…とか思ったが、途端に景色が真っ赤に染まるとロケットがゆっくりと着陸した。

 

「な、何とか助かった……の?」

 

奴らの気配はしない……何処かにワープされたようだ。

だが、ここはどこなのだろうか?ロケットに内蔵されてあるAIに尋ねてみると、ここは地球という遠い惑星らしい。

 

「オヨ〜……オエッ」

 

「え、ララ大丈夫?」

 

突然、乗り物酔いだろうか、ララが嘔吐する5秒前のサインを出していた。

まあ、あれだけ激しく揺れたら気分も悪くなるよ。実際僕も上手く立ち上がれないし。

とりあえずララがもう吐きそうなのと少し外の空気を吸いたいので、外の景色に顔を出すことにした。

ていうか、地球の空ってこんなに赤いの…?それとも時間によって色変わるのかな?

 

「ワープされた上にこんな宇宙の端っこの地球にくるなんて……」

 

「まあ地球人に見られなかっただけマs(((」

 

見られなかっただけマシじゃない?僕がそう言おうとして顔を上げると、目の前にはスペガサッスと一緒にいる赤髪の地球人の少女の姿が……めっちゃこっち見てる。

 

「まずい、地球人に見られたでプルンス〜!」

 




如何でしたでしょうか?
めっっっちゃ中途半端に終わらせてしまった……。
冒頭のシーン明らかにいらないだろと思った方もいるかもしれませんが、一応元ネタはFate/zeroの冒頭の遠坂時臣と言峰綺礼のシーンで現状で入れたい描写がここにしかなかったもので……(笑)
キュアスターの登場シーンまで入れておきたかったのですが、次回にお預けということで。

不定期更新なので次回いつになるか分かりませんが気長にお待ち下さい…


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episode1 闇の組織・ノットレイダー

「ワープされた上にこんな宇宙の端っこの地球にくるなんて……」

 

「まあ地球人に見られなかっただけマs(((」

 

見られなかっただけマシじゃない?僕がそう言おうとして顔を上げると、目の前にはスペガサッスと一緒にいる赤髪の地球人の少女の姿が……めっちゃこっち見てる。

 

「まずい、地球人に見られたでプルンス〜!」

 

「……あ、スペガサッス!心配したんだぞ?今まで何してたの……ってか、何で地球人と一緒にいるのさ」

 

「フワ〜」

 

僕は即座にスペガサッスを抱えた。

ったく、死ぬ気で捜してたのに無邪気な顔しやがって。

それはそうと、肝心の地球人の少女に関してだが……目をキラキラ輝かせていた。

 

「キラやば〜☆本物の宇宙人だよね?ね!?ていうか、それって触角?可愛い〜!」

 

「ル、ルン…」

 

少女の猛攻に後ずさりするララ。

この地球人、何で宇宙人に興味津々なんだ?もしかして、地球人ってそういう生き物だったりするの…?

 

「あ、あのさ「こっちは本物の天使だ!あれ、でも何で翼が片方しかないんだろう?色々謎が多くて面白〜い!」……ねえ、凄くぐいぐい来るんだけど」

 

「この地球人、宇宙人とか怖くないでプルンスか!?」

 

「私、星と星座、宇宙人とか大好きなの!後、UMAにオカルトも!」

 

…成る程、彼女の言葉的に地球人は皆こういう性格という訳ではなさそうだ。

 

因みに、少女の言った通り僕には片方しか翼の生えていない….つまり、僕は片翼の天使なのである。

その理由や経緯に関してなのだが、お生憎様、翼を失くすまでの直前の記憶がない。

だから、翼の件で問いかけても「気がついたら失くなってた」としか言いようがないのだ。

 

「それより、みんなはフワの知り合いなの?何か探してたみたいだけど」

 

…フワ?

地球人の言葉に一同が疑問を浮かべる。

 

「あの、もしかしてフワって…」

 

「この子の名前だよ♪」

 

「勝手に名付けんな!」ちゃんとした名前があるでプルンス!スペガサッス・プララン・モフーピット・プリンセウィンクって名前が!」

 

「うげ、なっが…良いよフワで」

 

『フワ!』

 

「うん、僕も同感かな。そもそもあんな長ったらしい名前、こいつに似合わないし」

 

「えぇぇぇ!!?」

 

いやそんな驚くことかな。

フワの方が呼びやすいし親近感湧くと思うんだけど…。

 

「…あはは!」

 

僕達のそんな何気ないやりとりが面白かったのか、ララが楽しそうに笑っていた。

 

「そういや自己紹介まだだったね。私、星奈ひかる!ほ、し、な、ひ、か、る」

 

「…ララ」

 

「僕はヘーメラー=ギリシアン・エミヤ。ヘメラって呼んでね」

 

「プルンスでプルンス」

 

「それ名前だったんだ!?」

 

まあ誰でも驚くよな。

何か名前捻るかと思ったらそのままなんだもん。

因みに初めて会った時は裏切られた気分だったよ。

 

「それで、皆んなはどうしてここに?」

 

「…実は、プルンス達は伝説の戦士、プリキュアを探す為に宇宙を旅してたんでプルンスが、その途中でフワがいなくなってしまったんでプルンス」

 

「プリキュア?」

 

ひかるが疑問を浮かべていると、突然空からワープゲートが開き、複数のUFOがこちらに近づいてくる。

 

「UFO!アダムスキー型!」

 

アダ……何だって?

というか、あのUFOって僕達が追いかけられてたやつだよね?

そう思ってララを見ると、彼女はそのUFOを睨んでいた。

 

「地球語か…随分プリミティブな惑星に来たものだ」

 

そのUFOの中から現れたのは、何人かの戦闘員(?)と河童のような宇宙人だった。

 

「このカッパードから逃れられると思ったのかね?」

 

「かっちょ良いー!」

 

『フワ…!』

 

「フワ?」

 

恐怖を察知したようにひかるの背へと隠れるフワ。

やっぱりさっきので奴らが恐い者だって認識しちゃったっぽいな。

 

「そいつが必要なのだ。我々ノットレイダーが、全宇宙を我が物にする為に」

 

「フワは絶対に渡さないルン!」

 

そう言って、ララがフワを庇うように前に出る。

 

「譲る気なし、か。まあいい、それならば奪い取るまでだ」

 

「ララ、フワを連れて逃げて。ロケットにテレポート出来るようマーキングしといたから、後で追いつく」

 

「……うん、分かったルン!」

 

少し間があったが、ララは理解したと返事をする。

その後、プルンスとララはフワを連れてロケットの中へと戻っていった。

 

「…ふん、そんなんで逃げ切れるとでも?」

 

「一度逃げ切られた奴らが何を言うか…次は力づくで止める!

 

投影、開始(トレース・オン)

僕は、自身の持ち武器である双剣『干将・莫耶』を構える。

 

「子供風情が、私を倒せるとでも思っているのか?まあいい…追え!ノットレイ!こいつは私が始末する」

 

対して、カッパードは双刃のレーザーブレードを構えて戦闘態勢を整える。

成る程、一騎打ちか。大人数で袋叩きと来ない限りは、敵にグイグイ攻めることが出来る。

だが、二手に分かれるとララ達が心配だ。早急に片付けないとな。

 

「はぁぁっ!」

 

声を上げながら真正面から攻撃を仕掛ける敵side

そんな攻撃を見切りながら、華麗に避けていく。

動きが見え見えなのだが、相手の武器のリーチが長く、隙が狙いづらいというのが本音。

 

だったら、遠距離で攻撃して隙を作るしかないか。

そう思って、僕は今度は双剣の右手、莫耶をブーメランのように飛ばした。

 

「距離を取っての攻撃か、だがそんなもの効かぬ!」

 

それを、当然のように斬撃で防ぐカッパード。

防がれれば弧を描いて戻ってくるはず、だがそれは軌道を変えて再度敵の背後へと飛んでいく。

 

「ちょこまかと…ええい、鬱陶しい!」

 

イラついてきたのか、声を荒げながら自身に飛んでくるブーメランを叩きつける。莫耶はグサッと地面に突き刺さった。

敵が間合いを詰めてきた。今じゃ短剣1つしかない僕の武器では相手には圧倒的に不利。そう思っているのだろう…

 

「…はい、引っかかった」

 

「なっ、いつの間に…!?」

 

その時には、僕の姿は敵の背後へと変わっていた。

 

干将と莫耶は雄雌一対の双剣、いわば夫婦剣である。

その性質は磁石のように互いを引き寄せる。

つまり、僕の手に干将が握られている限り、莫耶が手元に戻ってきたり、干将が持ち主を莫耶へと連れて行ったりする。

 

「山を抜き、水を割り、なお墜ちることなきその両翼…『鶴翼三連!』

 

「ぐわぁああ!」

 

隙を逃すことなく、その無防備な背中へと干将で斬りつけた。

次に莫耶で二連、三連と必中不可避のコンビネーションを繰り出す。

これが、僕の必殺技『鶴翼三連』

まあ、実を言うと僕のはまだ未完成体なんだよね…早くマスターしたいよ。

 

「…僕の勝ちでいいかな?」

 

「ぐぅっ…いいだろう、だがラッキーは二度は続かんぞ!」

 

カッパードは最後にそう言葉を残し、どこかに消えていった。

 

ノットレイダー、奴らは全宇宙を我が物にすると言ってたけど…やはり今後も警戒しておかないと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドゴーーーン!!!!!

 

「あ、ロケット落ちた」




如何でしたでしょうか?
スター登場させようと思ったんだけど、ついカッパードとの一騎打ちが頭に思い浮かんだのでつい。次回こそはミルキー付きで必ず…!


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episode2 初めてのこと

「大丈夫…!?」

 

僕は無残にも落ちていくロケットの方角へと駆け出していた。

辿り着いて中に入ると、室内に目立った外傷はなく、多分飛べなくなったことにげんなりするララと何か面白いことがあったのかはしゃいでいる……え、何でひかるいるの?

 

「私達は大丈夫だけど、ロケットの損傷率92%……最悪ルン」

 

「でも悪い話だけじゃないでプルンス!伝説の戦士プリキュアがついに見つかったでプルンス!」

 

プリキュアって、あの宇宙の伝説の!?

いやでも、そんな簡単に見つかる筈が…。

 

「…え、あの、プリキュアってどちらに?」

 

「はーい、ここにいまーす!何かね、フワの力で光に包まれた途端、何でか歌いながら変身してたんだよ!?それに必殺技で敵をドーン!って倒して、もう凄かった!!」

 

「へ、へえ……」

 

歌いながらーとか敵をドーン!とかはまあ置いといて、まさかプリキュアに変身したのがひかるだとは予想だにしてなかった。

ララも前々からプリキュアになりたいーとか言ってたから、ついになったのかと思ったんだけど…それも込みで元気ないのかな。

 

「ねむねむフワ〜……」

 

いっぱい動いたせいか、疲れて果てて眠くなったフワはひかるが持っているトゥインクルブックの中に入っていく。

フワは眠くなったり疲れたりして休む際は大体このブックの中で休んでいる。自分の部屋みたいなものだ。

そりゃロケットワープさせたり、ひかるをプリキュアにしたりなんてしたら疲れるよ。よく頑張ったな。

 

「はい、これは預かるでプルンス」

 

「え?」

 

「トゥインクルブックは宇宙の危機を救う大事なもの。宇宙の宝でプルンスから」

 

そう言って、即座にトゥインクルブックを回収するプルンス。

対して、ひかるは何故か頬を膨らませて不機嫌そうにしていた。

 

「宇宙の宝物って……ダメ!宇宙の前に、私の宝物だもん!」

 

そして強引に取り返す。

自分が折角見つけたのに取られたのが嫌だったのか…?何か言い分が子供みたいだな…。

 

「なっ!宇宙の宝と自分の宝、どっちが大事でプルンス!?」

 

「どっちも大事に決まってるじゃん!」

 

「プルンスには、フワを守る役目があるでプルンス〜!」

 

「じゃあどっちも守る!それがプリキュアでしょ?」

 

「た、確かに…」

 

うわー、プルンス弱〜い…。

確かに今のひかるの言葉には圧倒されたけど、もうちょっと意地張ってくれよ…と心の中で無理難題を押し付ける。

 

「なら、フワを匿える安全な場所を紹介するでプルンス」

 

「なら、私の家へ行こ?」

 

ひかるの家か……てか地球人ってどんな家に住んでるんだろう?

 

「行くのは構わないんだけど、裏から入らせてくれない?」

 

「え、何で?」

 

「地球人に存在がバレたらまずいルン。宇宙法の決まりルン」

 

宇宙法

宇宙星空連合が定めている宇宙の法律。

その1つに『他の星と交流がない星では異星人の存在を秘密にしなければならない』というのがある。

そして、宇宙法を破ったら『宇宙の旅が100年間禁止』という厳しい罰が下されるのだ。

 

「じゃあ、ララちゃんやヘメラくんをみんなに紹介出来ないの?」

 

「残念だけど、そういうことだよ」

 

「ちぇー、つまんないのー」

 

僕だって、ひかるの家族がどんな人なのか気になる。

でも連合に入った分、法律は守らないといけないから…。

 

少しして、僕たちはひかるの部屋へと入っていく。

大量の書物に本棚、更には宇宙人の模型もある。これ全部ひかるの趣味なのかな…。

一冊手に取ってみたが…うん、読めない。しかも、この本に書いてある文字、字数多いし凄いカクカクしてるし…。

ララも一冊取ってみるが、そもそも惑星サマーンはAI頼りだから本なんて読む機会はない。読み方すらも分かっておらず困惑していた。

 

「これで知識を得るルン…?ヘメラの星といい、情報がアナログルン」

 

「うっさいな、アナログで何が悪いのさ」

 

「でもね、本って面白いんだよ?本を開くと、頭の中が楽しい想像でいっぱいになるの。私ね、宇宙に何十回も何百回も行ったことがあるの!」

 

想像…ねえ。

地球人はそういう想像するのが好きなのだろうか。

趣味が豊富なこと、少し羨ましいな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ひかるが夕食を済ませる為に部屋を離れてしまったので、僕とララは戻ってロケットの修理に徹底することにした。

全体的に損傷しているので、直すのに少なくとも数日はかかるだろう。

一刻も早く直して、12本のプリンセスカラーペンを集めないと…。

 

「ねえ、私がプリキュアになれる確率はどの位ルン?」

 

突然、ララがそんな疑問をAIに投げかける。

 

『ララ様がプリキュアになれる確率は…0.000000012%です』

 

何その確率、そこまで細かく計測されると0%でええわって気持ちになるな。

 

「じゃあ、星奈ひかるの確率は?」

 

『…0.000000012%です』

 

あれ、ララと一緒なんだ。

ってことは、ひかるはその0.000000012%の壁を破ってプリキュアになったってことだよな?

うーん、凄いことなんだけど、もしかしたら確率関係ないんじゃないか?

 

「ララちゃーん!ヘメラくーん!」

 

付近で聞き慣れた声が僕達を呼ぶ。

勿論、その声の主はひかるである。彼女の両手には大きな箱を持っていた。

 

「何しに来たルン?」

 

「差し入れのおにぎりだよ。お腹空いたかなーって」

 

箱の中にはおにぎりと呼ばれる三角状の白い物体が敷き詰められていた。

これが地球の食べ物、なのかな?なんか石みたいなんだけど。

 

「まあ形はあんまり良くないんだけど、美味しいよ?」

 

「うぅ…だ、大丈夫ルン!宇宙食のコスモグミがあるk「何これめっちゃ美味しい!」ちょっ、ヘメラ!?何食べてるルン!?」

 

「いやでもこれ、結構美味しいよ?塩味が効きすぎるかなって思うけど、普通に美味しい」

 

僕がこのおにぎりを美味しいと高評価するが、やはりララは地球の食べ物を警戒している。

 

「何事も経験が大事だよ。騙されたと思って食べてみなよ」

 

「ル、ルン……」

 

未だに怯えてるが、恐る恐るおにぎりを手に取ろうとするララ。

あまりにも食べるまでが遅いのでイライラしそうになるけど、仕方ない。これも経験なんだし。

 

「…オヨ!?美味しいルン!」

 

案の定、嫌がってた表情が嘘のように明るくなり、一口一口味わっている。

食べてすらいないのに物を嫌うのは良くないということがよく分かった。

 

「喜んでくれて良かった〜。でも2人って凄いよね、ロケット操縦したり、修理まで出来ちゃうんだもん」

 

「もう立派な大人ルン、これくらい当然ルン」

 

一応、僕とララの年齢は地球の年齢だと13歳らしい。

星空界では13歳で大人である。

勿論、大人になるとロケットやUFOの操縦が出来たり、宇宙の旅もすることが出来る。

だから、一刻も早くロケットを修理して、フワ達を連れて行く。そういう大人の責任が課せられている。

星杯戦争においてもそうだ。どんな願いも叶えられる願望器など凶悪でしかない。

星杯を消滅させる為にも、また全宇宙の均衛の為にも早く12本のプリンセススターカラーペンを集めないと……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜ノットレイダー 本拠地〜

 

「先程カッパード殿から伝説の戦士プリキュアが現れたとの連絡がありました」

 

「あ?伝説の戦士プリキュア?何だそれ、正義のヒーロー気取り?下らねえ」

 

右目に眼帯を付けた女、ラウラは部下であるシルヴィの近況報告を聞いて呆れた声を漏らす。

 

「ですが、同盟を結んでいるノットレイダーの幹部でも簡単に仕留められないとなると中々に厄介な人物かと。共闘に向かいましょうか?」

 

「お前が行く必要はないだろ。奴らに適当に任せときゃいいんだよ。そんなことより俺が知りたいのは星杯戦争のことだ」

 

きっとこの方は星杯戦争が早く始まって欲しくてうずうずしている。

あの時から人間を潰すことに快感を覚えてしまっているのだろう、そう思ったシルヴィは淡々と続けて報告する。

 

「今回の星杯戦争はルールが変わっておりまして、星の数やその代表の数を問わず、多数の猛者と戦うバトルロワイヤル形式となっております。つまり、1つの星の代表が1人でも生き残れば勝者となるそうで」

 

「へぇ、バトルロワイヤルねぇ…。ヒヒッ、あの野郎はなんて俺得なルールに変えてくれやがったんだ。おい、もう戦争始まってんだろ?早くどっか潰しに行かねえか?」

 

「そのことについてなのですが、私はノットレイダーと行動を共にしようかと検討中でありまして」

 

「は?どういうことだそりゃ」

 

「先程仰いました伝説の戦士プリキュア。奴とその仲間はプリンセススターカラーペンを集めて、星杯を破壊しようとしています。それを阻止する為にも、自慢の暗殺能力を持つ私が行動した方が適しているかと思い、そのような考えに至りました。ですがラウラ殿は自身のお望み通り、自由に戦っていただきたい」

 

シルヴィの提案を聞いて、しばらく鋭い眼を見せつけるラウラ。

片目だけでも物凄い殺気が伝わってくる。もし眼帯を外されたら敵は必ず怯むだろう。

 

「…そういうの決めるのは、本来俺の役目だぞ。だがまあ、俺に好き勝手やらせてくれるんだったらそれでいい。勝手にやってろ」

 

「…有難きお言葉」

 

機嫌を損なわせてしまっただろうか、自身に背を向けスタスタと歩いて去っていくラウラの姿を、シルヴィはただただ見送った。

 

 




如何でしたでしょうか?
はい、私特有の出す出す詐欺が出ましたね。だって無駄に長くなっちゃうんだもん。

次回こそはミルキー出します!3話の内容も少し入れようか検討中です。
それではまた次回!


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episode3 キラキラ星とミルキーウェイ

〜翌日〜

 

「ララー?どこ行ったのー?」

 

先程までひかる達と談笑していたのだが、目を離した隙にララが急にいなくなってしまった。

多分、プリキュアのこと話してたから拗ねちゃったんでしょ。大人とはいえ、こういう所はまだまだ子供だなあ。

そんなことを思いながら探し回っていると、自然の中にぽつんと建っている天文台?みたいな場所の近くにあるベンチに一人で座っている、見慣れた少女の姿がそこにはあった。

 

「何であの子がプリキュアルン…」

 

ララだった。

何かぶつぶつ言ってんですけど。やっぱり拗ねてたのか。

 

「っ!?……何だヘメラか、驚かさないでルン」

 

姿を気付かれただけで急に驚かれ、そして急にキレられる僕。

何か僕が悪いみたいになってるけど、自分で勝手に驚いたんじゃん。

そんな気持ちで溜め息を1つつきながら、ララの隣に座る。

 

「…そんなに気に入らない?ひかるがプリキュアになったこと」

 

「そ、そういう訳じゃないルン。ただ疑問に思っただけ」

 

まあ、0.00…いくつか忘れたけど、ララもひかるも同じ超低い確率なのにひかるだけプリキュアになって自分だけならないってことが気に入らないってのは、分からなくもない。

 

「いい眺めでしょ?」

 

「「ルン!?」」

 

やばい、誰かに僕らの姿見られた…!?

ていうか、今ララの語尾移ったの結構恥ずかしい…聞かれてないよね。

 

「おや、お二人は外国人かな?」

 

「えっ、そ、そうですね。良い景色です」

 

早めにララを見つけられて良かったな。

この子1人だったら絶対パニクってどっか逃げ出してたと思う。

 

「あっ、遼じい」

 

「おや、ひかる。この子達はひかるの知り合いかね?」

 

「うん、宇宙から「おい」えっ、あー違う違う。全然宇宙人じゃなくって、私の友達」

 

「そうかそうか。それじゃごゆっくり」

 

危ない、バレる所だった…。

口滑るんじゃないかって薄々感じてたら本当に言いかけたよ。

 

「……ハァ、何であなたがプリキュアルン」

 

「えっ?」

 

「データを分析しても分からないルン。フワと一緒にいた時間なら私のほうが長いのに……」

 

「ねぇ、ララちゃんもプリキュアになりたいの?」

 

「なりたいからってなれるものじゃないルン」

 

「なりたいならさ、なればいいんだよ。プリキュアに」

 

なりたいならなればいい。

それはデータで物事を決めるララとは真逆の考えだった。

 

「データの示した確率は絶望的ルン」

 

「データって?」

 

「過去の出来事から出す統計ルン。データは絶対ルン」

 

「そうかな?過去と比べてもこれから何が起こるかなんて、わからないし。私は私だし、ララちゃんはララちゃんだよ」

 

やってもないのに、決めつけるのは良くない。

おにぎりの時もそうだったな。美味しくないと決めつけてたけど、いざ食べてみたら美味しかった。

つまり、試さなければ本当になれるか否かなんて分からない。ララはそれに気付かれるかどうか…。

 

「…っ!下がって…!」

 

「今度こそ、そいつを渡してもらうぞ」

 

「誰!?」

 

何か気配を感じ、咄嗟に干将と莫耶を投影する。

付近から先日も聞いたような声が聞こえ、辺りを見回すと、空から見覚えのある人物がこちらに向かって飛んでくる。それを僕は受け止める。

 

「水も滴るいい男、カッパード参上!!」

 

「また斬られに来たのかなあ?何度来ようが同じだよ!」

 

「ラッキーは二度は続かんと言ったはずだ!昨日のようには行かんぞ!」

 

「私も一緒に戦うよ!」

 

スターカラーペンダント!カラーチャージ!

 

そう唱えながらペンダントにペンを差し込むひかる。

そして、歌いながら自分の容姿や風格を変えていった。

本当に「スタートゥインク〜ル〜♪」とか言って歌ってるよ。しかも意外と上手いし。

 

「宇宙に輝くキラキラ星!キュアスター!」

 

「…めっちゃ楽しそうに歌ってたね」

 

「こ、これでも結構恥ずかしいの!」

 

マジか、恥じらいあったんだ。

それはそうと、流石に前回と同じって訳にはいかないだろう、相手も学習しているはずだ。

 

「お前達は同時に仕留めてやる…やれ!」

 

カッパードの指示により、ノットレイは応え戦闘態勢に入った。

キュアスターの攻撃で一掃しているが、中々にしぶとい奴等だと推測する。

スターの攻撃範囲は広いから、僕はカッパードを足止めすれば良いか。

 

「取り敢えず、ララはフワ達をお願い」

 

「ル、ルン!」

 

ララは即座に僕達から離れて逃げようとする、が

 

「逃がさん!」

 

僕達がノットレイに集中している隙に回り込まれてしまった。

 

「渡さないって言ってるでしょうが!」

 

レーザーブレードを振りかざすと同時に僕は莫耶をブーメランのように投げ、干将の磁力で瞬間移動し食い止める。

だが、その瞬間に事態は起こった。

 

「うわぁ!」

 

僕が瞬間移動した際の翼の風圧によって足を滑らせて、そのまま滑り落ちていってしまったのだ。

カッパードもそれに続いて追いかけようとするも、僕とスターが必死に食い止める。

ここで、スターがあることを口にした。

 

「ララちゃん、プリキュアに……なって!」

 

「えっ……無理ルン。データ的に見ても」

 

「またデータデータって……プリキュアになりたいんでしょ!?だったら、思い描いて!なりたい自分をさ!」

 

「ララちゃん、できないなんて決めつけはなしだよ!」

 

僕達の言葉によって、ララは身体を震わせていた。

データに囚われながらも、今は必死に思い描こうとしているのだろう。

 

「私は……フワを、守りたい!」

 

「フワ……」

 

「私の力で…プリキュアになるルン!!」

 

ララが願った瞬間、まばゆい光と共にペンとペンダントが現れた。

 

「スターカラーペンダント!カラーチャージ!」

 

ララはペンダントにペンを差し込み、スターと同じように歌いながら、ついにプリキュアに変身することが出来た。

 

「天にあまねくミルキーウェイ!キュアミルキー!」

 

…変身する時って歌わなきゃダメなの?それとも気付かない間に歌ってたってやつ?

とにかく、ララがキュアミルキーとして変身出来たという1つの件は万事解決した。

 

「私、プリキュアに……」

 

「馬鹿な…ノットレイ、まずはキュアミルキーから始末しろ!」

 

ノットレイがミルキーに襲いかかるが、ミルキーはセンサーから電撃を放ち、ノットレイを痺れさせる。

あの触角、戦闘用だったんだ…。しかも電撃とか恐ろしいな。

 

「私、凄いルン」

 

「ありえん!奇跡が二度も起こるなんて」

 

「二度じゃないルン。昨日は星奈ひかるとヘメラの奇跡。今日の奇跡は私の奇跡ルン」

 

「ならば終わらせてやる!カッパード・ストライク!」

 

頭の皿から強力な水を放ち、それをレーザーブレードに纏わせ攻撃する技だろう。

だが、ミルキーは攻撃を避け

 

「プリキュア・ミルキーショック!」

 

電気エネルギーを星形センサーに溜め、強力な電撃を放つ。カッパードは既の所で避けるが、ダメージを喰らったのだろうか、肩を抑えていた。

 

「濡れた体に電撃は堪える」

 

カッパードはそう言って、ノットレイ毎姿を消した。今回も僕らの勝ちってことだよね?

 

「良かった〜、ララちゃんならプリキュアになれると思ってたよ!」

 

「私は私と言ったけど、違うルン。星奈ひかる、貴女がなれたから私もなれる気がしたルン」

 

ララから悩みが消えたおかげで、笑顔を取り戻せたみたいだ。

仲間の悩みを解決するのって、こっちまで清々しい気分になるものなんだな。僕も今は気分が良い。

 

そんなこんなでロケットへと戻る時、

 

「えっ、何これ!?」

 

ひかるの持つスターカラーペンダントから音が鳴り響いていた。

しかし、その音はほんの一瞬だけですぐに消えてしまった…

 

 

 




如何でしたでしょうか?
そういえば気がつけばGWも残り半分になったのかな?長いようで短いですよね…。
何かの番組で歳を重ねる度に1年が早く感じてしまうとか言っていたんですが、年配の方だと光の速さの感覚なんでしょうね、年取りたくない…。

さて、次回は喧嘩回の予定です。この回で初めてララちゃんが可愛いと感じました…!
それではまた次回!令和になってもよろしくお願いします!


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episode4 些細なこと

シルヴィside

 

「ぐああっ…!」

 

「これで全部か……他愛もないな」

 

宇宙に散らばった12本のプリンセススターカラーペン。

それらを集めるために、ノットレイダーからの任務を任されている。

自分が持っている羅針盤が示す場所へと向かったのだが、そこは同時に星杯を勝ち取ろうとする奴らの溜まり場でもあった。

とはいえ、剣や槍を無造作に振り回すような奴らだった故に、私の暗殺能力に比べれば大したことはなかった。

何せ10何人はいただろうか、1分足らずで息の根を止めるほどだったのだから。

だが小さな星であったために、無人だろうと思い込んでいたので、私のスキル『気配遮断』を使っていなかった。

気配遮断は私の属する暗殺教団の創設者であるハサン・ザッバーフが会得していたスキルである。彼はいわば暗殺者の語源とも言える人物だろう。因みに、私はこれを数日かけて伝授した。

暗殺者たるもの、油断は禁物であったのだが…無駄な体力を使ってしまったな。私は気配を殺して、羅針盤が指す方向へと歩み始める。

 

私が滞在している星は、隣の星によって太陽を遮断されているので日中暗闇に包まれている。

辺りが真っ暗というのは視界が見えづらいので探すのが困難かもしれない。だが、この場合は好材料だ。

プリンセススターカラーペンはその名の通り光り輝くペンである。この暗闇の中では、あのように「私はここにいますよ」と言われているようなものだ。

早急に見つけてしまったのだが…特に人影は見当たらんな。

まずは一本、今のところ計算通りに事が進んでいる。

 

「…っ!?」

 

そう思ったのも束の間、私は何かに持ち上げられる。

馬鹿な、今の私は気配を消しているのだぞ…!

 

「あーはっはっはっは!!見ろ、餌に引っかかった魚のように釣り上がっておるぞ!!」

 

何処か高いところから幼き少女が高笑いするかのような声が響き渡る。

(トラップ)か。

恐らく、触れた瞬間に罠が作動し、網状のものに引っかけられているのだろう。

確かに、今の私は漁獲された鰯のようだな。

そして、その周りには重装備で槍を構えながら警戒している者らが私を取り囲んでいた。先程の小娘の部下か何かだろうか。

 

「…クク」

 

暗殺者がこんな初歩的な罠に引っかかっるとは…呆れを通り越して自分が滑稽であるかのように吹き出してしまう。

 

「…海底都市王・乙姫。1つ答えてもらおう。お前は何故私の気配を感じ取れたのか」

 

「ほう、妾の名を存じていると…良いだろう、答えてやる。とは言っても、妾は別にお主の気配など感じてはおらぬ。さっきお主が殺した奴らを利用したのじゃ。こんなちっぽけな星に来る目的なんぞ、このペンを手にすること以外無かろう」

 

「成る程、あいつらを見張らせながら待ち伏せしていたというのか。王たる者が中々に汚い手を使うとは。それならば、この兵士共に見張らせればあの場で仕留めれたのでは?」

 

「だって同盟結んでってうるさかったし…妾と組んで良いのは聖騎士だけじゃ。それに、この者共は妾の大切な部下である故に雑に扱うなどはせんぞ」

 

「乙姫様ぁ……」

 

そんな乙姫と呼ばれた少女の言葉に涙ぐむ部下達。

 

「さてと、談笑はそこまでだ。貴様はその無様な姿で我が部下に蜂の巣にされるが良いわ!」

 

蜂の巣、か…四方八方から槍で刺されれば、私はどうなってしまうのだろうな……。

 

 

 

 

 

 

「『妄想幻像 (ザバーニーヤ)』」

 

 

 

 

 

 

「っ!?何だお前達は…!」

 

そう唱えた瞬間、部下達の背後からゾンビのように迫ってくる多くの人間の姿が。

皆、私と同じように仮面だけが目立っていて、他の容姿はほとんど暗闇で確認出来ない。

こいつらは私の魔術によって召喚された操り人形のような物である。

あまりこういう場では使いたくなかったのだが…自分の身の為にはやむを得ん。

 

相手が人形共に苦戦している隙に、自分の所持しているナイフで網を解き、その場から撤退する。同時に人形共が影の中へと消えていく。

…罠にかかったとはいえ、任務は達成しているからな。もうここに来ることはないだろう。

 

「あれ、消えた…てかいなくなってる!?」

 

「逃げたか…まあ良い。何せ妾の宝の強奪は免れたのじゃからな!」

 

「いえ、それが……」

 

逃げた相手を嘲笑うかのように強気に言い放つ乙姫に対し、俯きながらプルプルと身体を震わせる部下達。

 

「うん?どうしたお主ら、何故そこまで顔色悪くしておるのじゃ?」

 

「あの、乙姫様…怒らないって約束してくれますか?」

 

「何故怒る必要があるのj「ペン盗られちゃいました…」……は?」

 

この後、この星中に乙姫の怒号がしばらく響き渡ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「プリンセスの力~どこだどこだ~?」

 

「ちょっと待つルン!星奈ひかる!ちゃんとペンダントを分析しなきゃダメルン!」

 

昨日鳴り響いたスターカラーペンダント。

ほぼ半日かけて、AIによってその謎を分析していたのだが、その結果『発現状況の分析の結果、プリキュアの使命と関わりがある確率は98.98%』だそうだ。

プリキュアの使命というのはスタープリンセスの力を見つけることらしい。つまり、スタープリンセスの力がある場所、プリンセススターカラーペンの在り処を教えてくれているらしい。

それを聞いたひかるは「よーし、そうと決まったら、プリンセスの力を探しに行こう!」と言って飛び出してしまい、現在は僕とララ達で呼び止めているという所だ。

 

「何か分かったルン?」

 

『はい、データによると……』

 

「え~っ?AIさんとお話できるの?キラや「聞こえないルン!」うぅ…」

 

『分析中なので正確ではありませんがレーダー機能が備わっている確率は…』

 

「ねえ、分析ってどれくらいかかるの?」

 

「分からないルン。明日か明後日か一ヶ月後になるか……」

 

「そんなに!?待ってられないよ〜!」

 

「もう少し静かにするルン」

 

何か…ギスギスしてない?お互いにストレス溜まってる感じだし…。

 

\ピカリン/

 

「えっ?今……音鳴ったよね?ララちゃん、ねえ聞いて聞いて聞いてララちゃんララちゃん!」

 

「もううるさいルン!」

 

僕もなんか聞こえたけど…。

ひかるに便乗しようとしたが、空気が再びギスギスし出したせいで言いづらくなってしまう。

 

「ねぇ、探しながら分析すればいいじゃん!」

 

「それだと効率が悪いルン!」

 

「ま、まあまあ…」

 

プルンスが宥めるも、口論はヒートアップするばかり

 

「効率悪いって何で分かるの!?」

 

「…AI!分析しながら探すのと分析し終わってから探すのと、どっちが早いルン!?」

 

「えーもうまたデータ?分析?ララちゃん、もういいから!」

 

「前から言おうと思っていたルン。その『ちゃん』付止めるルン!私は大人ルン!!」

 

「そっちこそフルネームで呼ばないでよ、堅苦しい!もういいよ、私は私のやり方で探すから!」

 

ひかるは怒って、何処かへ行こうとしていた。

もうどうすれば良いのこれ…何か言ったら怒られそうだし、言わなかったら言わなかったでずっとこんな空気だし……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

取り敢えずは仕方なくひかるについて行くしか方法はないと思ったので実行してみたけど…。

 

「あの、凄い人だけど大丈夫?僕らの存在がバレたら面倒なことになるって「大丈夫だよ!」……はぁ」

 

ほら怒られたよ。

大丈夫って言われてもなぁ…僕に至ってはこの翼を何とかしないと。

 

「もうどうすれば良いルン…あの子は何も考えてないルン」

 

そんな愚痴を呟きながら、とりあえず商店街に入った僕ら。

正体を隠すには、僕が翼を強引に背中に密着させ、風船に化けたプルンスを持った状態で入るしか方法がなかった。

僕が幼い子供になりきって行動してるから、結構恥ずかしい。

 

「その風船、どこでもらえるの?」

 

周囲を気にしながら歩いていると、子供が三人、プルンスを指さして尋ねてきた。

 

「えっ……あ……あの……あっち」

 

少し戸惑いながらも、商店街の外を指差す。

子供達はすんなりその方向へと走っていった。何とか誤魔化すことは出来たけど…胃が爆発しそうだ。

 

先に事が進んでいたようで、ララは噴水の近くのベンチに座ってひかるを待っているようだった。

 

「ねえ、多分ロケットの存在バレてるかもしれないルン」

 

「…はい?」

 

唐突に衝撃告白をするララ。

 

「さっき星奈ひかると誰かが話してた時に話題にしてたルン。場所までは知らないと思うけど…」

 

何それ超バッドタイミングじゃん。

ロケットは故障してるし、自分達の身だけでも何とかして守らなきゃな…。

 

「聞いて聞いて!湖の近くに巨大ホタルを見た人がいるって、しかも夜じゃなくって昼間に!これ絶対に怪しくない?」

 

「一体何をしたいルン?」

 

「何って……決まってるじゃん!プリンセスのちか「しー、星奈ひかる!声が大きいルン」って、フルネームで呼ばないでって言ったじゃん!」

 

「そっちこそ、ちゃんづけはやめるルン!」

 

「いいじゃん、ちゃん可愛いじゃん!」

 

「私は嫌ルン!」

 

「ちょっと、ここで喧嘩は止めてよ。周りの目が……」

 

こんな商店街のど真ん中で言い争ってたら注目の的になっちゃうでしょうが。

何とか2人を落ち着かせるが、中々治らない。

 

「2人共、何揉めてるの?」

 

そんな時に救いの手が。

金髪の女性がちょっと待ったというように2人を宥めた。ひかるの知り合いかな?

 

「天宮えれな……さん!?」

 

「知り合いルン?」

 

「学校の先輩だよ」

 

「それで、何があったの?」

 

何があったのって聞かれると、凄い些細なことで喧嘩してるから何て言えばいいのか分からないんだよなあ。

 

「あー、えっと、ほんの些細なことだから気にしなくても大丈夫、だよ」

 

「ふーん、うちの弟と妹もよく喧嘩してさ。ほんとまいっちゃうんだよね。でもその時、いつも言ってるの。『まず相手の話を聞いてあげな』って。何て、私が言うことじゃないか」

 

いやもうホントその通りだよ。

分析しながら探す派、分析し終わってから探す派で自分のことばかり言い争ってるからこういう口喧嘩になっちゃった訳で。

……うん、その通りなんだよね。

 

「とにかく、仲良く笑顔で!チャオ~」

 

そう言ってえれなさん?はお店の方へと戻っていった。

花屋の接客とかしてるの…かな。

一方、こちらは

 

「「ふん!!」」

 

やっぱりしばらく治りそうにありません。

 

 




如何でしたでしょうか?
GWもあと2日……自分は結局特にこれと行ったことはしませんでした。強いて言えばコナンの映画観に行ったぐらい(笑)
あとはもうこれ書いたりスマブラやったり適当に引きこもってました!

さて、次回は牡牛座のプリンセス登場になると思います!オリキャラも多くなってきたし、一覧とか書きましょうかね。
それではまた次回!


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episode5 仲直り

長らくお待たせしました…!それではどうぞ!


しばらくして、何故かペンダント探しから巨大ホタル探しへと路線変更した訳だが、2人の仲は未だ良くならず、というか更に悪化していた。

 

「何でこんな山奥まで来て、ホタルっていうの探さないといけないルン…?遊んでる場合じゃないルン!」

 

「遊んでないし!ていうか、一緒に来てって頼んでないじゃん!」

 

「ペンダントのデータを集めたいルン、だから一緒に来てるだけルン!」

 

「ちょっと待ってって言ってんじゃん…!」

 

口喧嘩するにつれて、2人の歩く速度が早歩きしなければ追いつかないほどに速くなっていく。

次第に、僕のイライラした感情も抑えきれなくなってきている。

 

「ララちゃんの分からず屋!」

 

「星奈ひかる、自分勝手過ぎるルン!」

 

……もう止めて。

 

「…地球人の考えてることは、分からないルン」

 

……止めろ。

 

「…もういいよ。ララちゃんなんか、大嫌「ひかる!!!」っ!?」

 

「次その言葉言ったら許さないから!!」

 

大嫌い。

それは宇宙で、世の中で最も相手に傷を負わせる言葉。

そんな言葉を使おうとする奴は許したくない。だから、今のひかるは許せないでいた。

 

「ララも分析分析って、ひかるの話も聞かないで自分勝手に行動しないでよ!えれなさんも言ってたよね、まずは相手の話を聞くって!プルンスもフワも困ってんじゃん!周りの気持もちゃんと考えて「怒っちゃダメフワ〜!」……フワ?」

 

「喧嘩しちゃダメフワ…仲良くフワ〜…!」

 

…ああ、そうか。

僕はただ喧嘩を止めようとした。だが、結局自分の感情を抑えきれずにいつの間にか周りの空気をさらに悪くしようとしていたらしい。

フワが止めていなければ喧嘩を更に悪化していた。周りを巻き込むようなことをしていた。

 

取り敢えず、ベンチに座ってゆっくり話し合うことにする。

 

「実はね、向きを変えたりしてたらペンダントから音がしたんだ」

 

「えっ?どうしてそれを先に言わなかったルン?」

 

「言おうとしたけど…」

 

分析に夢中で聞いてなかった。

そうと分かったララは、申し訳なさそうに俯く。

 

「何で音が出るか分からないし、なんかヒントがないかなって。商店街のスタードーナツに行ったの、色んな噂が集まるお店だから。そしたら、巨大ホタルの話が出たから、何か手掛かりになるかなって思って…」

 

ひかるはちゃんと考えて行動してたんだな。

ただ趣味のために寄り道をしたと思っていた自分が馬鹿馬鹿しい。

 

「プリンセスの力ってのは、蛍みたいに光るペンで出来てて、そのペンダントは向きを変えてペンを探すレーダーってことだね。一回かざしてみたら、また何か起こるかも」

 

それを聞いてひかるは、ペンダントを水平に持ってかざしてみる。

 

\ピカリン/

 

「早っ!もう見つかったの!?」

 

僅か数秒で音が鳴り響いた。

ペンダントを指す方向へと視線を送ると、光に包まれた何かが視界に入った。

恐らく、あれが例の光るペンだろう。僕達は反応を示した場所へと駆け出していく。

それにしても、こんなあっさり取れるなんてね。

宇宙のそこら中に散らばったってことだから、もっと時間かかると思ってたけど…。

そんなこんなで目的地へと辿り着けば、ひかるが即座に拾いに行く。

が、瞬間誰かに奪い取られてしまう。

 

「ノットレイ!?(ルン!?)」

 

奪った人物は案の定、ノットレイだった。

奴はペンを持って、すぐに逃げ出したので僕らは追いかけていく。

すると、いつの間にか大量のノットレイと天狗みたいな敵幹部に囲まれていた。

 

「やはり来たわね、プリキュア。そしてその隣の子がカッパードのライバル候補…って何よ、あいつあんな子供にやられた訳?」

 

…あの、また子供扱いされたんだけど、僕ってそんなに馬鹿にされる人物なの?

まぁ正直どうだっていいけど、取り敢えず下っぱの数が今までの比じゃないな。かなり警戒されているというところか。

 

「プリンセスの力は返してもらうよ!」

 

「「スターカラーペンダント!カラーチャージ!」」

 

いつも通りに歌いながらプリキュアに変身する2人。

自然なのかは知らないが、とても笑顔で変身してるから楽しいのかなと毎度僅かだがそう感じてしまう。

 

「宇宙に輝くキラキラ星!キュアスター!」

 

「天にあまねくミルキーウェイ!キュアミルキー!」

 

「――――投影、開始」

 

同時に僕も武器を投影する。

いつもの干将・莫耶では敵の数的にキリがないと思い、今回投影したのは黄金に輝く太刀。

あまり使い慣れない武器なので、上手くいくかどうかは分からない。

まあ、やってみれば何とかなるでしょ。

 

「ほしいなら奪ってみたら?陣形!天狗の団扇!」

 

天狗がそう言うと、ノットレイ達が団扇のような形に広がる。

成る程、大将である自らを守るように固めたのか。

確かに真正面から向かっていけば袋叩きにされるし、上空から襲いかかろうともそう上手くいかないというのは間違いないだろう…だが、僕にとってこの陣形は好都合である。

 

「…何やってるルン?」

 

その場で膝をつき、剣の矛先を天に掲げるという僕の行動に疑問を浮かべるミルキー。

 

「こいつの力を発揮するには少し時間がかかる。その間、奴らの足止めをしてくれる?」

 

「足止めって言われても、これじゃあ近づけないルン……」

 

「なら上から!!」

 

「ちょ、それはまずいルン!」

 

強行突破の勢いで、上空へ跳んで天狗女のところまで迫ろうと行ってしまったスター。

 

「飛んで火にいるなんとやらね…今よ!」

 

「うわぁぁ!」

 

だが、案の定ノットレイ達にレーザーで集中攻撃されてしまう。

やはりそう簡単には行かない。だが未だに陣形は整ったままだ。

 

「スター、大丈夫ルン?」

 

「…ごめんね」

 

「「えっ…?」」

 

突然、スターは僕達にそう告げて謝罪し始めた。

 

「私、ララちゃんやヘメラくん達の気持ちも考えないで自分勝手なことだったり酷いこと言ったりして困らせてた…本当にごめん!」

 

「…私も悪かったルン。私もひかるの話も聞かないで勝手なことばかりやってたルン」

 

「僕も、フワが止めなかったら喧嘩を悪化させてたかもしれない。ごめんなさい」

 

「それに、ララで良いルン。そのほうが効率的ルン」

 

「僕もヘメラで良いよ。何かそっちの方が良いし、具体的には分からないけど」

 

「二人共……うん、これからもよろしくね!」

 

一人一人、それぞれ自分の悪かったことを挙げていく。

どんなに些細なことであろうとも、仲直りをするというのは成長するための第一歩なのかもしれない。

 

「…よし、準備出来た。良い作戦があってさ、僕が指揮を執ってもいいかな?」

 

ーーーーー

 

「二人共、準備OK?」

 

「「うん!!」」

 

…突撃!

 

僕がそう合図を出すと、二人は真正面へと突進していく。

勿論、ただ真正面に突き進む訳ではない。自分達の展開を考慮しての作戦だ。

 

「何度やっても同じよ!やっておしまい!」

 

再び、ノットレイ達による集中砲火…だが、二度も喰らうわけにはいかない。

敵のレーザービームが放たれた瞬間、ミルキーはハート型のバリアをスターと共に身に纏う。

 

「「今だよ!!(ルン!!)」」

 

「選定の剣よ、力を。 邪悪を断て…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

勝利すべき黄金の剣(カリバーン) !」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう叫びながら選定の剣を敵に向けて突き出すと、切っ先から細長く小さな閃光が放たれ、敵陣に着弾する。

そして、その刹那…

 

「ノットレイ〜!!!」

 

「何!?」

 

無数の光の爆発が敵陣を包み込む。

それは、多数のノットレイを吹き飛ばすと同時に土煙で天狗女の視界を狭めるという効果も齎した。

その隙に、ミルキーがペンを取り返すことに成功。スターの方へと投げつけた。

 

「三人寄れば文殊の知恵、なんだから!『プリキュア!牡牛座、スターパンチ!』」

 

見た目は普通のスターパンチなのだが、威力はやはり流石はスタープリンセスの力。放った直後に爆煙が起こる程の凄まじい威力だった。

だが、敵はそう簡単にやられる訳にはいかないそうだ。

直前に天狗女は瞬間移動ですぐ様姿を消してしまっていた。あともう少しだったのだが、仕方ない。

 

『フワに力を……』

 

とにかくペンを1つ取り返せて一安心。

そんな思いで余韻に浸っていると、突然ペンから何かを告げる声がして、浮かび上がっていく。

 

『牡牛座フワ!フ~ワ~!』

 

フワの叫び声と共に、僕達は何処かへワープされていく。

気がつけば、闇に染まった空が辺りを包む邪悪な場所へと転移していた。

此処が闇に飲まれた星『スターパレス』なのだろうか。

 

「牡牛座のプリンセスがスターパレスに戻ったでプルンス~!!」

 

「スタープリンセスの力を取り戻して戴き感謝します。ですが、予断は許しません。残る十一星座のプリンセスの力を取り戻さねば、星杯の力によって全宇宙全ての星々がいずれ消え行きます」

 

「そんな…」

 

「…ねえ、星杯って何ルン?」

 

「星杯とは、いわば何でも願いを叶えられる宇宙の凶悪な願望器のことです。星杯を手にすることが出来るのは、星杯戦争という全宇宙の星々との争いで勝ち残った者のみです。皆に伝えていなかったのですか、ヘメラ?」

 

スタープリンセスの問いに、僕は首を縦に振る。

いずれ話さなければならなかったのだろうが、今までは話さなかったのではなく、話せなかったのだ。

 

「はい…ですが、プリキュアの使命は十二星座のスタープリンセスの力を取り戻すことであって、星杯戦争に参戦することではない。次の星杯戦争が訪れる前に、一刻も早く封印しなければ…」

 

僕の言葉を聞いた途端、スタープリンセスは一変して表情を暗くする。

 

「…残念ながら、第二次星杯戦争は始まっています」

 

「えっ…!?」

 

「戦争は星杯の気まぐれで行われるものです。原因は恐らく伝説の戦士プリキュアが誕生したからかと。星杯はプリキュアの力を欲しがっているのでしょう」

 

「…でも、僕は二人を戦争に巻き込みたくはない。関係のない異星人を殺し合いに加えることは、例え星杯が許せても僕が許さない…!」

 

「殺し合い……」

 

その言葉を聞いた途端、ひかるの身体は小刻みに震え出す。

宇宙を守るということはその分、己自身を捨てる覚悟で立ち向かわなければならない。伝説の戦士となるまでは普通の地球人だったのだから、怖がるのは当たり前だ。

だから、彼女を物騒な場所へ連れて行きたくはないのだ。

 

「お気持ちは十分に分かります……とにかく、貴方達が果たすべきことはプリンセスの力を取り戻すこと。どうか頼みます…」

 

 




如何でしたでしょうか?
超多忙なスケジュールがひと段落したのですが、これからも低浮上となってしまう可能性があります…どうか気長にお待ち下さい…!



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episode6 異星人の訪問

更新してないうちに、追加戦士やら物語やらが急激に進んでいるという。モチベを上げなければ……!
それではどうぞ!


「大円卓の騎士団の一人…ってそれ本当でプルンス!?」

 

「オヨ……!」

 

「…まあ簡単には信じないとは思ったけど」

 

僕はララ達に、ヘーメラーという人物が何者であるかを話した。

 

大円卓の騎士団。

惑星キャメロットを拠点として宇宙上の様々な騎士団を寄せ集めた、この世の全ての悪を打ち払うことを目的とする最強の騎士団である。僕はその団体の一人であり、僕の家族もまた同じだ。

 

「まあ、実際のところ最強の騎士団なのかと聞かれると全く違うんだよね」

 

「それってどういうこと…?」

 

「確かに大円卓は剣術とか武術とかの実力が優れてる猛者揃いが多かった。でも、それぞれの騎士道精神がみんな違っていた。そんな理由で他の星の騎士と関係が合わなかったり、酷い時には裏切りもあったりした。そしてそのせいで、大切な何かを失ったりもしたんだよ…」

 

あの戦いがなければ、僕達は少しだけ変われたのかもしれない…

だがもうそれは過去のことだ。これから善い方向に変わっていけばいいのだから。

 

「とにかく今はプリンセスの力を集めることに専念しよう。そうすればあの邪悪な願望器を壊せるはずかもしれない」

 

「「…うん!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの一件から一先ず気持ちが落ち着いた翌日。

本日も僕とララは早起きしてロケットの修理へと取り組む。

 

「おはようララ、ヘメラ!」

 

「ん、おはよ〜」

 

「おはようルン、ひかる!」

 

皆で挨拶を交わし、ひかるは僕とララにおにぎり弁当を手渡した。

袋越しでも分かるくらいめちゃくちゃ美味しそうなおにぎりが数個詰まっている。今すぐにでも食べたいのだが、少し気になることが一つ。

 

「ひかる、出掛けるの?」

 

「うん、学校だよ!」

 

「「学校??」」

 

学び舎みたいな所かな…?

ララが無償にも学校に行きたそうだったので、ついて行ってみることにした。

 

前回は突発的に人通りの多い所へと来てしまったので、今回は遠征用のリュックを背負って翼を隠すように対策してきた僕。

翼があること以外は容姿は変わらない(と思う)ので異星人だとバレることはないと思うけど…気を抜かずに行動しなければ。

 

「ルン!これが学校?凄いルン……」

 

ひかると同じ制服を着て互いに挨拶を交わすたくさんの人々。

僕の通っていた学び舎よりも何十倍も大きい建物。

 

「私の星ではAIが何でも答えてくれるから、学校もないルン」

 

ララもこういった光景が新鮮に映るようだ。

確かに、あそこで色んな人と一緒に勉強するのを想像すると、凄く楽しそうだなと思う。

 

「おはよー!」

 

誰かがその言葉を発した途端、周りの視線がその主へと一斉に送り出す。有名人でもいるのかな?

 

「あ~っ!観星中の太陽、天宮えれな先輩……!」

 

えれな先輩…って、昨日商店街でひかるとララの喧嘩に止めに入ってくれた人じゃん。

 

「でも、どうして太陽って呼ばれてるルン?」

 

「それはね。太陽みたいに明るくて、笑顔がとっても素敵だから!そうだ!先輩にお礼言いに行こう!!」

 

ひかるはララの手を取ってえれなの方へと向かう。

お礼しに行くのは良いと思うんだけど、ここって一応敷地内でしょ?ララの姿を周囲に晒しても大丈夫なのだろうか…。

 

「おはようございます!」

 

「今日は先輩みたいにいいお天気ですね!」

 

「想いをポエムにしたためました!」

 

「「「先輩!!」」」

 

周囲からの人気が高すぎて中々近づけない僕達。

まあ太陽とか異名を持ってる人だから、そりゃ簡単には近づけられないよな。

 

……星のように遠い存在ってことか(上手くない)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

午前が終わろうとしているこの時間、僕達は未だ学校に滞在している。

本当はすぐ様ロケットの修理へと戻ろうと思っていたのだが、

 

「学校でひかるが何してるか見てみたいルン!」

 

そう1人の少女に言われたことで、地球人にバレないように見学しているのだ。

始めは色々と危険だからやめとけと否定したのだが…あれだけ狭まれちゃ止めるのも気の毒だなと思い、僕は屋根から顔を出して覗くララとプルンスを下で見張っていた。

 

「あ、ひかるでプルンス」

 

「文字を書いてるルン」

 

「アナログでプルンスなぁ」

 

…毎度思うんだけど惑星サマーンが近未来的過ぎなだけなんじゃないのかな。

 

「次の人!」

 

「は~い!」

 

ララ達のいる建物とは違う所から賑やかな声が聞こえてくる。

中を覗けるような小窓があったので見てみると

 

「あれって……太陽じゃん」

 

先程話しかけ損ねた観星中の太陽、えれなの姿が。ひかる達とは違って身軽そうな制服を着て準備運動を行っていた。

そして、先生の合図と共に彼女は走り出した。

 

「よっと…!」

 

直前に逆立ちをし、跳び箱に手を突き跳ね上がると華麗に身体を捻らせる。

その時のえれなの姿はとても眩しく見えた。

 

「おー……」

 

余韻に浸る間もなく、歓声が館内を飛び交っていく。

言葉じゃ言い表せないくらいの素晴らしい運動能力だった。

あそこまで高く跳べるのはラビッタ星人くらいだと思ってたけど、地球人もあまり舐めちゃいけないな。

…あの人がプリキュアだったら凄く頼もしくなるかも((

 

「あの……」

 

「……え?」

 

今、めっちゃ至近距離で声を掛けられた気がする。

いやまさか、こんな小さい窓から覗いてることに気がつく人なんていな((

 

「どうかなさいましたか…?」

 

…紫髪の少女が僕を不思議そうな、キョトンとした目で見つめていた。

どうかなさいましたかと言われても、僕はただえれなが跳ぶ所を見てただけで特に怪しい者では……

 

「もしかして、道に迷われたとか…きゃっ!?」

 

いよいよ身の危険を感じた僕は、翼の力でララ達の方へと高く跳び上がった。

風圧によって相手方に迷惑かけてしまったと思うが…流石にそこまで考える暇もなかった。

油断したと後悔しながら脳内パニクらせている僕に、ララとプルンスは苦笑いであった。

 

「まどか、どうしたの?」

 

「あ、いえ、特に何でもありません(一体何だったのでしょうか…)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラウラside

 

宇宙の果て。

闇に覆われたノットレイダーの本拠地。

 

「伝説の戦士プリキュアによってスタープリンセスが復活した」

 

「なんと…!」

 

どうやらこの河童野郎とあの天狗女共がもたもたしてたせいでスタープリンセスとやらが復活しただとか。

プリキュアは別にどうだって良いと思っていたが、スタープリンセスが絡んでいるんじゃあ話は別だ。あいつらは願望器である星杯を破壊するという訳の分からないことを企んでやがるからな。

こうなったら直接会ってぶっ殺してやろうと思ってたが、どうやらスタープリンセスのいるスターパレスは結界やら何やらで簡単には近づけないらしい。つまんねえの。

 

「プリンセススターカラーペンを探し出せ。あの御方が目覚めた時、強大な力が手に入る……」

 

あの御方…。

もしかしてこいつがスタープリンセスをぶっ飛ばした元凶か…?

んで、それが原因で星杯とかいう謎の(ぶつ)が生まれたと見た。俺の考察が正しければ、ノットレイダーって戦争に勝つのに意外と使えそう? 同盟組んで良かった感じ?

 

「ケヒャハハハハハ!そうそう、大事なのはプリンセススターカラーペンだっつーの!」

 

「アイワーン!」

 

そんなことを考えていると、何処からか耳がキーンとなりそうな程にうるさく甲高い笑い声が聞こえた。

あの1つ目の小さい奴、ノットレイダーの科学者みたいな立ち位置らしい。ただのうるせえガキかと思ったが、中々に達者な物を開発するんだとさ。

 

スッ、とその従者みたいな立ち位置のバケニャーンがお盆に置かれたおもちゃ……機械を俺達に差し出してきた。

 

「最新式のヒットレーダー。これがあればペンなんかすぐ見つかっちゃうっつーの!ケヒャハハハハハ!!」

 

「…いらね」

 

ポイッ、とレーダーを投げ捨てる。

 

「は!?何するっつーの!?」

 

「こんなおもちゃよりシルヴィのスキルの方が何倍、何十倍も頼りになるし。つーか、ガキの作ったおもちゃとか信用できる訳ねえだろうが」

 

「お前、あんまりアタイを侮辱すると痛い目見るっつーの」

 

そう言ってアイワーンはその単眼で俺に殺気を込めて睨みつける。

 

「おー怖い怖い。そんな顔してると子供の時点で皺出来るぜ?」

 

「あーもう堪忍袋の緒がはち切れたっつーの!よし決めた、ここでお前をギタギタのボッコボコにしてやるっつーの!!」

 

「上等だかかってこいや!後で泣きながらくたばっても知らねえから「やめろお前ら!!」」

 

そう言ってカッパードは既の所で俺の腕をがっしりと掴んだ。

対して、バケニャーンも高く突き上がったアイワーンの腕を取り、宥めようとする。

 

「今はそんなことをやっている場合ではないだろう!あの御方の復活の為にも、一刻も早く貢献するべきだ!」

 

…別に俺はあの御方とやらが復活しようがしまいがどうだっていいんだが。

まあ、確かにガキ相手にカッとなり過ぎたな。俺は大人しく拳の力を抜いた。

 

俺が安静になったことを察したカッパードは何も言わずに手を離すと、先程スタープリンセスについて伝えていたガルオウガへと向き合った。

 

「ガルオウガ様、お任せを…」

 

サッと決めポーズを取り始めた。

毎回思うんだがそのポーズ、超ダサいしキモいからやめろ。

 

「このカッパード。テンジョウやシルヴィとは一味も違う活躍をお見せしましょう」

 

「あ、ちなみに天狗女がまた探しに行ったから今日もお前の出番ねえぞ?」

 

「何っ!?」

 

ギャグキャラかお前は。

 

 



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