進撃の男 (貧弱戦士)
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プロローグ

20XX年 ○月 △日

 

真夜中の散歩を楽しむために、雰囲気が良い近所の公園を選んだ

 

しかし、それは間違いであった

俺は公園のど真ん中の子供の人気ある滑り台で、この歳となって恥ずかしいが

めちゃくちゃ楽しんで滑っていた時

 

おもむろに、背後から異様な気配を感じた

 

異様……とここで書いておくが、そんな言葉で収まるような体感ではなかった

怖い、恐れ、気味が悪い、胃から逆流しそう、頭が真っ白になる

奇妙で滑稽な話であろうと感じるだろうが、それはまさにそうだった

 

振り向いても

 

 

 

 

誰も居なかったのだから

 

 

 

 

 

 

 

と、口から安息を出すと

 

 

 

 

左耳から、悪魔の囁きを聴いた

 

 

 

『ウケイレロ、オレサマヲ』

 

 

 

♂月♀日

 

毎晩俺の夢は奇怪な出来事が多い。奇妙でもある、恐怖とも思う

 

まるで、何かに憑りつかれたようだった

親にも友にも相談したが、誰もが信じようともしなかった

いや、言葉の慰めだけだ

 

誰も俺を助けてくれなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

違う、俺はそんな事思わってない。考えてもない。感じたりしない

 

なんだ? これは………

 

先ほどのは、まるで筆が勝手に動いたようだった

 

助けてくれ、俺はこのままでは人が嫌いになりそうだ

 

 

 

 

 

 

誰もオレを見ない

 

オレは醜い化け物だから

 

 

 

 

 

 

◆月☆日

 

目の前の光景を見て、俺は魂が抜けたように倒れた。意識はある

勿論、考察も残ってる

 

しかし、これはなんだ

 

どうなってる

 

俺はなんで、意識あるんだ

 

 

 

もう一度顔を上げて、この場を確認する

 

そこは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

教室の俺以外の人という人が、血を巻き散らかしながら倒れていた

 

もっと酷いのが、顔の半分がなかったり

 

ましてや、上半身と下半身が離れていたりというのも

 

口の中は苦いという味が、充満しそうだ

手が動かない、指先まで、頭の先までが動かない

いや、正確に言うと

 

 

 

左が動きそうで動けない

 

 

 

 

 

右は全く何も感じない

 

 

 

 

 

 

 

『ヨォ、ヤットリカイシテクレタカ』

 

 

 

左耳に、まるで此間の悪魔の囁きのような声が聞こえた

 

だが、何も気配というのは感じなかった

 

 

 

『オレサマハ、ココダ。オマエノハンシンダゼ』

 

 

実は、俺は気づいていた

理解して、感じていた。俺は変だと、思い込みであったが思い込みではなかった

 

左目の視線を右に写した

 

これはかなりの勇気が必要だ。しかし、俺はやり遂げた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

獣が俺の右を乗っ取っていた

 

 

 

 

『ヨロシク、アイボウ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁあああああああああああああああ!!」

 

 

 

悲鳴とともに、咄嗟に上半身を起こした。まるで嫌な夢を見ていた、違う嫌な夢だ

肩で息をしていて、俺は冷静を失っている

 

 

 

「ハァハァ……。ハァ~~……最悪だ」

 

 

 

一言でいうなら、最悪だ

何故なら、寝て最悪

起きて最悪なのだから

 

 

 

「どこだよ、ここは」

 

 

 

地面はふかふかベットではない、草だ。部屋ではない、森の中だ。天井ではない、空だ

 

 

 

「どこだよここ!!? なんで俺はこんなところで寝てるの!? いつの間に外にでたの!? 拉致か!? 誘拐か!? 監禁なら自由過ぎるだろーー!!」

 

 

 

とりあえず、ありったけのツッコミを入れてみたが誰もが無反応だった

声が森を通り抜けるように感じた。解放感が一気に体に染み込みだした

 

 

 

「ハァ~、最悪だ。仕方ない、歩こう。んで我が家に帰ろう」

 

 

 

肩を落としながら、通常の人の歩行速度より半分の速さで森を抜けようと頑張る

 

ハァ~、なんだよ今日は。俺はなんでこうも最悪に感じて最悪な日になるんだよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んで、森を抜けようと頑張ったが目の前に家があるぞ」

 

 

 

歩いて一時間、俺はある山小屋のような家とであった。どうみても、人が住んでいる

何故そう思ったかは、畑があり井戸があり綺麗でもあり

最大の理由が、窓から人が見えたから

 

 

 

「地元の山にこんなの建てちゃって、羨ましいな」

 

 

 

窓から見えるのは、黒髪の女性に外人らしき男性。きっとリア充だ

その結晶と言える女性に似ている、女の子がいる

 

くそっ、羨ましい

 

俺は素通りするように、遠ざけながら進みだした

 

 

 

 

「おい、とりあえず俺がドアを開けさせるからその間に―――」

 

「わかった」

 

「いいぜ、金のためなら」

 

 

 

その途中で、山小屋に向かっている三人組とすれ違った。中年らしき三人組だな、ホームレスか

上から目線で思いながら、俺は何ともない顔で前を向いた

 

しっかし

 

 

 

 

すげぇ、嫌な臭いしたな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すいません」

 

「はい、なんでしょう―――」

 

『ヒュン』

 

 

 

三人の仲が良い親子に、三人の男が迫りだした。父親に刃物が迫るときに、母と子は何かを確信した

人間は反応は遅くない。ただ、理解しないという考えがあるのだ

 

しかし、この場合解っていたのだ

 

この三人は殺そうとしていると

 

 

 

 

 

 

 

 

『ガシッ』

 

「なっ!? は、はなせ!!! この餓鬼」

 

「俺だって、テメェみたいなムサイのとくっ付く趣味はねぇ……よっと!!」

 

 

 

斬りつけようとした男を、背後から抑え込みそのまま後ろの二人に向けて投げだした

 

今度は父親を合わせて、三人の親子は理解してくれた

 

この少女より年上で、父親や母親より年下な青年は―――

 

 

 

「体が勝手に動いたってのは、都市伝説かと思ったがあんがい違うもんなんだな」

 

「テメェ、よくも邪魔を」

 

「邪魔? 邪魔って言葉が似合うのは、テメェらみたいな底辺の奴らの事を言うんだよバーカ」

 

 

 

前髪を思い切り上げ、余裕の態度を見せる

 

 

 

「ハァ~、最悪だ。けど、テメェらも最悪だろ? なら――――」

 

 

 

青年は――――

 

 

 

「どっちが今日最悪か、勝負しようじゃねぇか」

 

 

 

私たちを助けてくれる、優しい人だと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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