いつも通りの日常に青薔薇の彩りを (にっしんぬ)
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幼馴染み×青薔薇×いつも通り

そりゃ読んでたら書きたくなるわ


少年は歌うことが好きだった

きっかけは隣に住んでいたピアノを弾く

黒い長い髪が印象的な少女

部屋も近かったこともあり

少女がピアノを弾き、それに合わせ少年が歌う

そんな日常があった

 

 

 

少年は周りの期待とプレッシャーが怖かった

隣の少女がいなければ

歌うことを辞めていたのかもしれない

それでもコンクールでは上位入賞

しかしある日を境に上位に入賞することが出来なくなった

最初は偶然だと思われていた

期待に応えるように練習し続けた

それでも駄目だった

いつしか大人たちは掌を返すように離れていった

「期待していたのに」「何が駄目だったのかしら」

「将来安泰だと思ったのに」

理不尽な言葉に打ちのめされ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人前で歌声が出なくなった

歌うことが出来なくなってしまった

しばらくして隣の家の少女のピアノの音が

聞こえなくなってしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少年には5人の幼馴染みがいた

歌えなくなった後も変わらず接してくれていた

後にAfterglowというガールズバンドを結成

みんなと過ごす≪いつも通り≫の日常の為に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ!かーくん!聞いてる!?」

「聞いてる聞いてる、俺は豚骨派だよ」

「あたしはやっぱり醤油かなー。

って!ラーメンの話じゃなくて!」

「はいはい、来週末のスタジオの予約の話でしょ?

14時から取っておいたよ、あとひまり、

大きい声出すと周りのお客さんに迷惑な」

「むー!誰のせいよ!」

「…?誰のせいだと思う、つぐ?」

「え!そこで私に振るの!?」

 

 

 

羽沢珈琲店、そこで俺、彼方奏は幼馴染みである

上原ひまり、つぐこと羽沢つぐみと

好きなラーメンの話…ではなく

来週のバンド練習の話をしていた

 

 

 

Afterglow、幼馴染5人で結成されたガールズバンド

リーダーでベースの上原ひまり

ピアノ経験もあるキーボードの羽沢つぐみ

地元の祭りでは有名人、ドラムの宇田川巴

1日3食、いつどこでもパン、ギターの青葉モカ

最後にリーダーよりリーダーっぽい

ボーカル&ギターの美竹蘭。

 

 

俺、彼方奏はAfterglowのマネージャー的な

お手伝いというか、そんな感じなのを

ひまりに連行され長く手伝っていた。

ちなみに楽器はなにも出来ない

 

 

 

「かーくん、またボーッとして!」

「いや、聞いてるよ。カレーは中辛かな」

「あたしはやっぱ甘口かな、ってカレーの話じゃなくて!」

「お子ちゃま…」

「うるさい!次の曲の話!蘭から連絡来てる?」

「…いや、来てない。」

「そっかー」

「そんなに急かしちゃダメだよ、ひまりちゃん」

「だってー!早く新しい曲弾きたいー!」

 

 

 

楽器はなにも出来ないが、作詞は少し

手伝ったりしてる。本を読むことが好きなので

言葉選びとかそういうところを手伝ったりしてる

 

 

 

「じゃあ、話も終わったし帰るわ

つぐ、コーヒーごちそうさま」

「あ、うん、気を付けてね!」

「えー!もう帰るの!?」

「帰るわ…。ほら、送ってやっから支度しろ」

「かーくんが優しい」

「こんな夜に女子高生1人で帰らせる

甲斐性なしに見えるかよ」

「ほら、普段あたしには冷たいし」

「よし、じゃあ俺だけで帰るわ」

「あー!待って!つぐ!また明日ね!」

「うん、2人とも気を付けてね!」

 

 

あとで蘭にはカレーの話、ではなく

次の曲の話は連絡しておくとして

ひまりを送って帰る

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

「(さて、帰ったら飯食ってNFOにログインして

消化してないクエスト消化するか。)」

 

などと帰宅してから何をするか考えながら

帰っていたとき…

 

 

 

「あっ……」

「あ…」

 

 

 

長い黒髪と大人しい口調が特徴である

俺のもう1人の幼馴染、白金燐子が目の前に

立っていた。

 

 

 

「あ……彼方くん……今…帰り?」

「燐子さん…。うん」

 

 

 

 

幼馴染なのによそよそしいと突っ込まれそうな

会話だがちゃんと理由がある

名字で呼ばれてるのは幼い頃、燐子さんが

名字を名前と勘違いしてずっと呼んで以来

それが定着している。

そして、なぜさん付けで呼んでいるかというと

幼い頃は気づかなかったが中学生の頃だろうか

1つ年上だと知ったこと、そして中学生あるある

なのかは分からないが女の子と話すのが

恥ずかしく思ってしまい、さん付けで

呼び続けて今に至る。

 

 

 

 

「あ、そうだご飯食べたらクエストの消化手伝って欲しい」

「うん……わかった……。じゃあ……

私もご飯食べたら………ログインするね。

たぶん……あこちゃんも……来ると思うから…」

「りょーかい」

 

 

 

そう言い、お互いの家に入っていく

よくある、家が隣同士で仲がいいということである

 

 

 

◇◆

 

 

 

「(久しぶりに……話した気がする……)」

 

 

 

彼方くんとは、家が隣同士ということもあり

小さい頃からよくお話ししてました。

私はピアノを弾いていて、彼は歌うことが好きでした

私のピアノに合わせて、よく歌ってくれました。

でもいつしか彼は歌わなくなり

私もピアノを弾かなくなりました

徐々に話をする機会も減り

こうやってたまに会うか、NFO、オンラインゲームの

チャットでしか話すことはないです

 

 

 

 

『りんりん?りーんりーん!』

『あ、あこちゃんごめんね(;>_<;)』

『りんりん大丈夫?チャット越しでも

元気ないの分かるよ?』

『ううん、大丈夫』

『お待たせー』

『あ、彼方さん!遅いですよー!』

『悪い悪い』

『じゃあ行こっか』

『はーい!』

『うん(°▽°)』

 

 

 

 

 

このNFOだけが今の唯一のつながり

もし私がピアノをもう一度引けたら

もし彼がもう一度歌うことができたら

この関係も変わるのでしょうか




ラブライブ!サンシャイン!!のほうも
連載してるんですが、息抜きにバンドリの方読んでたら
書きたくなるって言う至極単純な思考
主人公の自己紹介は、次回があれば次回の前書きにでも


補足:NFOでのチャットの会話は『』で表します
なのでチャット内での会話には顔文字も使用します


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いつも通りの晴れ舞台

りんりんイベお疲れさまでした
リリース当初からやってるのにも関わらず
初の10000位以内でした
(なお、燐子さんは引けてないが有咲は来ました)
約束された彼方奏くんのプロフィールは後書きに


「ほい、じゃあ今日の練習はここまでかな

ひまり、次いつだっけ?」

「次は確か土曜日だよ!」

「OK、じゃあみんなが片付けてる間に

スタジオ代立て替えておくのと次の予約してくるから」

「いってらっしゃーい!」

「いつもありがとうな、奏」

「いいよ、巴。<いつも通り>だろ?」

「ははっ、そうだな!<いつも通り>よろしく!」

「おう」

 

 

 

いつも通りのAfterglowの練習を終え

スタジオの代金と次の予約をしに

受付へ向かっていた

モカが「100円だっけー?」とか言ってたから

割増でぶんどってやろうかとか

色々考えていた。

 

 

 

 

「じゃあ次の日程はここで」

「はい、了解。あ、そういえば彼方くん。」

「なんでしょう」

「実は…」

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

「はい、みんな集合。大事なお知らせがあります」

「どーしたのー?」

「もしかして、次の予約いっぱいだった?」

 

先に片付けを終えていたつぐとモカが駆け寄ってくる

 

「お待たせ、どうしたの?」

「どうした?もしかしてライブの依頼か!?」

「ライブの依頼!?わー!だとしたら

あたしたち一躍有名人!?」

 

 

あとから片付けを終えた巴、ひまりも駆け寄ってくる

ライブの依頼かもという期待だけで盛り上がってる

 

「あれ、蘭は?」

「蘭なら電話だってー」

「そうか、なら先に話進めるか…」

「ごめん、お待たせ」

 

 

電話をしていたはずの蘭が早々に戻ってくる

 

 

「蘭、電話はいいのか?」

「うん、大丈夫」

「…そうか、ならいいや。はい、という訳でライブです」

 

 

<ライブ>という言葉に5人のテンションは急上昇

しかし今回案内されたライブはいつもとは規模が違う

 

 

 

 

【ガールズバンドジャム】通称ガルジャム

全国各地からガールズバンドグループが集められるイベント

集められるグループの中には全国的に有名なバンドや

メジャーデビュー間近と言われているバンドまでいる

その中で、いままで学生バンドのイベント中心で

活動していたAfterglowに声がかかった

受付の人が「Afterglowの実力なら大丈夫!

参加したいのなら推薦しておくよ!」とのことである

 

 

 

 

「ということで参加が確定できるわけではないが

意志があるなら推薦してくれるってよ、どうする?」

「…アタシ達がいままで出てきたイベントは

学生バンド中心の規模が小さいやつだ。

ガルジャムはそれとは規模も、熱量も全然違う…

客として何回か行ったけど、なかなかアツいイベントだったよ」

「巴の言うとおりだ。今までとは違う。

そして、スタッフの人が推薦してくれたとしても

実際にライブをやるのはみんなだ」

 

 

 

巴と俺の言葉に沈黙が走る

沈黙を破ったのは意外な人物だった

 

 

 

 

「……出ようよっ!!」

「つぐ!?」

 

 

つぐだった。

そういえば最初にバンドやろうと言い出したのも

つぐだったっけ

 

 

 

「前の練習で、みんなライブに出たいって言ってたし

チャ、チャレンジだと思って出てみようよっ!」

 

 

つぐの前向きな発言に一同が驚いた顔を見せる

 

 

「あ、あれっ!?私、変なこと言っちゃったかな?」

「変なことなんて言ってないよ。俺は

つぐの意見に賛成かな。」

「つぐ、かっこいい~」

「えっ、ちょっとやめようよぉ……」

「はいはい、つぐをからかうのは止めて

みんなはどうするよ?」

 

 

ここでもし出演が決定していいライブをすれば

今後また大きなライブに出演が出来るかもしれない

 

 

「つぐの言うとおりだな!」

「いいんじゃない?モカは?」

「蘭が出るなら、あたしも出る~」

 

それはすなわち蘭が出なければ出なかったのか

まぁ蘭がこういうイベント、参加しないわけがないのだが

 

 

「最後はひまりだけどどうする?」

「え、私!?うん!出よう!」

「よし、じゃあ決定だな。帰りついでに

スタッフさんには話しておくよ」

「ありがもう!そうと決まれば、練習頑張らなきゃ!

んーー!なんかやる気出てきたっ!」

 

 

みんなの意志が決まり次の練習にも気合いが入る

 

 

「みんな、頑張ろうね!

せーのっ、えい、えい、おー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「………」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日最大の沈黙である

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……って、みんな言ってよぉ!もぉー!」

「さすがにえいえいおーはないでしょ」

「ええっ!?」

「うん、ないな」

「かーくんまで!?」

「さすがに恥ずかしいかな…」

「巴も!?ひどいよー!」

 

 

 

 

スベった(失礼)ひまりをいじり笑いが生まれる

 

 

「さて、ひまりいじりはその辺にしといて

みんなの晴れ舞台だ、派手にかますためにも

もっと本気で練習しないとな。

俺もできる限りのことはサポートするよ」

 

 

 

せっかくの晴れ舞台のチャンスである

みんなが100%のライブが出来るように

しっかりとサポートしなければいけない

 

 

「モカ、次の練習で今日引っ掛かったフレーズ合わせたい」

「おっけー」

 

 

1番火がついたのは蘭とモカのふたりなのだろう

もう次の練習の話をしている

 

 

 

「はい、練習の話をするのはいいけど

もうでる時間だから帰るぞー」

 

 

「「「「「はーい!」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

「蘭、なにかあったのかな」

「蘭ちゃん?どうして?」

 

 

つぐとは帰る方向が一緒なのでついでに

彼女の家でもある羽沢珈琲店に寄り

コーヒーとケーキをいただいていた

 

 

 

「いや、俺がみんなを集めたとき蘭だけ

電話してたって遅れて来たとき、

表情がおかしかったからさ」

「うーん、蘭ちゃんのお父さんだと思うよ

たぶん、華道の稽古が高校生に入ったら

本格的に始まるって近所の人から聞いたんだけど

蘭ちゃん、全く行ってないらしくて。」

「あー、それでか」

 

 

美竹家は代々から華道で有名な家系で

蘭は将来的には引き継ぐことになってるわけだが

 

 

 

 

「蘭がなにも言ってこない以上、待つしかないし

家のことはいくら幼馴染でも深くは入り込めないな」

「ガルジャム、大丈夫かな?」

「練習終わりに出よう!って言った時とは大違いだな」

「それは、そのー…」

 

 

 

 

やはり恥ずかしかったのか顔を少し赤らめ目を背ける

 

 

 

 

「あまりにも続くようであればなんとかするさ」

「やっぱり…」

「ん?」

「奏くんってみんなのことよく見てるよね」

「…そうか?」

「うん、なんかみんなのことを大事にしてる!って感じ」

「…そりゃ、大事さ。()()()()()()()

いまだ変わらず接してくれてるんだから。

Afterglowがなければ1人で閉じ籠ってたよ。」

 

 

 

 

()()()以来閉じ籠ることが多く

学校に行かないこともあった。ネットゲームに

籠ることもあった。

しかしAfterglowの5人は閉じ籠ってた自分を

何度も何度も、諦めずに家に通ってくれて

寄り添ってくれた。声をかけてくれた。

隣の家のピアノが聞こえなくなってからも

 

 

 

 

「感謝してるんだよ。だから、次みんなに何かあったら

俺が助ける番、恩返しはちゃんとしないとな」

「すごいね、奏くんは」

「そうでもないよ」

「そういえば、その隣の家のピアノを弾いていた子も

奏くんの幼馴染なんでしょ?」

「そうだけど?」

「ほら、私たち会ったことないなって思って」

「あー…何度か会わせようとは思ったけど」

「けど?」

「あの人、人見知りなんだ。」

 

 

 

 

 

幼い頃、5人と遊ぶってなった際

人数が多いほうがいいと思って

燐子さんを誘おうとしたのだが

「知らない人……怖い……」で突っぱねられた

思い出がある。

 

 

 

 

 

「その人とはまだ仲がいいの?」

「んー、話す機会は減ったけど仲はいいと思うよ

一緒にネトゲやってるし」

「そうなんだ!あ、奏くん時間…」

 

 

 

気付けば日も暮れ外はすっかり暗くなっていた

 

 

「もうこんな時間か。とりあえず蘭のことは

一旦待とう。なにかあったらまたみんなで解決しよう」

「うん、そうだね!なんだか私もすっきりした」

「ガルジャムに向けて頑張るぞ、俺も

出来る限りのサポートはする」

「うん、そうだね。頑張ろっ!」

 

 

 

そう言い帰路につく

本当になにもなければいいのだが




~プロフィール~
名前:彼方 奏(カナタ カナデ)
NFOプレイヤー名:KANA☆kana
誕生日:3月14日
身長:165cm
好きな食べ物:うどん・羽沢珈琲店のケーキ
嫌いな食べ物:辛いもの
趣味:ひまりいじり・カフェ巡り・ネトゲ(NFO)・動画投稿
悩み:巴に身長が負けていること
NFOの名前と動画の兼ね合いでめっちゃオフ会に誘われる(行かない)


備考
カフェ巡りは基本1人だがたまにつぐみとも行く
巡り巡って羽沢珈琲店に落ち着く


NFO界隈では有名人、きまぐれで攻略動画を
投稿した際の反響がすさまじくそれ以来
攻略動画をあげ続けている
バイトはしていないが動画の広告収入で稼いでいる
金額はざっと1ヶ月で一般社会人の3ヶ月分


昔は歌うことが好きだったが周りの期待に押し潰され
歌うことができなくなってしまった


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いつも通りの熊?のお守り

バルバトス狩りが忙しい


「(全然身が入らないし、曲のアイディアも

浮かんでこない…どうすれば。)」

「よっ」

「奏?なんでここに?」

「蘭と練習するから来てーって、モカが。」

「聞いてない」

「そっか。で?」

「で?」

「何に悩んでるんだ?」

 

 

 

 

蘭が驚きの顔を見せる。誰にも言ってないのに

というような顔をしながら

 

 

 

「全然身が入らないし、曲のアイディアも

浮かんでこない。どうすれば?って顔してたからな」

「よく表情だけでそこまで…」

「何年幼馴染みやってると思うんだ。

俺だけじゃなくて、モカもつぐもひまりも巴も

蘭が悩んでることくらいは分かる。」

 

 

 

実際問題、帰り道や練習の休憩中など

蘭を心配する声は多かった。

 

 

 

「奏には、関係ない」

「うん、そうだな。関係ないかもしれない」

「だったら…!」

「だから待つ」

「え?」

「蘭から言ってくれるまで俺は待つ。

人の悩みにずかずか入り込むほど無神経ではないし

かといって悩んでる幼馴染を放っておくほど

性格は腐ってない。だから…」

「だから?」

「おーす。あれー、これはお邪魔でしたかなー?」

 

 

 

続きを言いかけたタイミングで

モカがスタジオに入ってくる

 

 

「モカ、遅い」

「人を引っ張り出しといて遅刻とはいい度胸だな」

「いやー、まだ見ぬ美味しいパンがモカちゃんを

待っておりましてー。」

 

 

 

まだ見ぬパンって、山吹ベーカリーのパンしか

食べてなかった気がするが…

 

 

 

 

「練習、するんだろ?いるだけはいてやるから」

「おっ、かーくんかっこいいー」

「モカ、帰るときは1人で帰れよ」

「えー、それはないですよー。」

 

 

 

なんて軽口を叩きあう。

そんな時に携帯に着信がはいる

 

 

 

「俺じゃなさそうだな、モカか?」

「いいやー。蘭じゃないー?」

「……」

「出なくていいのか?」

「いい、父さんからだから」

「そう」

「(やっぱり悩んでるのは家のことか。

容易に深入りは出来ないな、どうしたものか)」

 

 

 

などと思いつつ練習は進んでいく

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

帰り道、日も暮れ、空も暗くなっていたので

蘭とモカを途中まで送って帰っていた

 

 

 

「おっ、ひーちゃんとつぐじゃん?いま帰り?」

「蘭ちゃん、モカちゃん。それに奏くんも」

「3人で何してたの?」

「そりゃもう蘭とかーくんと色々と」

「えっ!ちょっと!色々って!」

 

 

 

紛らわしい言い方をするんじゃない

つぐが顔を赤くしている

 

 

 

「モカと蘭はスタジオで練習してたんだよ。

で、俺はモカに呼び出されて、それの付き添い

それ以外なにが起きるのかわからんが

なにもないから、安心しろ、つぐ」

「そういうこと」

「ちょっとかーくん、つまんなーいー」

「で、ふたりは何してたの?」

 

 

 

つまらなさそうにしてるモカは

放っておいて話を進める。

 

 

「私は生徒会で、ひまりちゃんは

テニス部があって、いま帰りなんだ。」

「あれ?みんなしてどうしたんだ?こんなところで」

 

 

 

5人で話をしていると巴がやってきた

 

 

「とーもーえーーー」

「はいはい、お疲れ。ひまりは部活帰りで

つぐは生徒会の帰りってところか。

蘭とモカはスタジオ帰りで…奏は何してたんだ?」

 

 

 

まぁそりゃそうなるわな

 

 

 

「奏は私たちに付き合ってくれた」

「半ばモカに連行されたようなもんだけどな」

「まぁまぁかーくん、楽しかったからいいじゃーん」

 

 

まぁモカやひまりから連行されるのは

いつも通りのことなので気にしてはいない

 

 

「そっか、よかった。

蘭、昨日ずいぶん疲れてたみたいだから心配してたんだ。

今日も練習できたなら大丈夫だな」

「そんな心配しなくても、大丈夫だから」

 

 

身が入らない、曲のアイディアが浮かばないとか

思ってたというのは心のどこかに適当に閉まっておく

 

 

 

「トモちんも楽器持ってるけど、どーしたの?」

「今日は楽器のメンテナンスに行ってたんだ

せっかくのガルジャムなんだし、いい音で演奏したくて」

「3人とも練習にメンテナンスに、すごいなぁ…」

 

 

 

ひまりは部活、つぐは生徒会があったから

仕方ないと言えば仕方ないのだが

みんな、ガルジャムに向けて気合いは入ってるようである

 

 

 

「かーくん、スタッフの人には

出たいって話したんだっけ?」

「もちろん。数日すれば出演者案内が

届くだろうから、また連絡するよ。

じゃあ、気を付けて帰れよ。」

「えー、かーくんみんな送ってくれないのー?」

「方向バラバラだろ…」

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

「おはよう奏、ご飯出来てるから」

「おはよう母さん。ありがとう」

「あっそういえば奏宛に封筒が届いてたわよ」

「えっ、どこ!?」

 

 

 

母親から指示された場所に行くと

一通の封筒が置かれていた

封筒を開けると一通の手紙が入っていた

 

 

 

 

 

~ガールズバンドジャム vol.12 出演者案内~

 

 

 

 

 

「(よっし!今日は練習ないから明日みんなに話そう)」

「あら、なにか嬉しいことでも書いてあったの?」

「Afterglow、蘭たちのバンドが大きいイベントに

参加することになったんだよ。」

「あら、そうなの!チケット取れたら頂戴ね」

「はいはい、取れたらね…」

 

 

 

うちの母親は結構こういうのが好きだったりする

子役時代から応援してる白鷺…なんとかから

アイドル研修生の丸…なんとかだったりも

幅広く好きだ!っていって応援している

肝心の息子はそういうのは、疎い。

最近はモデルの若宮イヴちゃんがブームらしい

なんで知ってるかって?彼女、羽沢珈琲店で

働いていて顔見知りだからである

知ったら卒倒するだろうから秘密にしてある

 

 

 

 

「じゃ、いってきます」

「いってらっしゃい、蘭ちゃんたちによろしくね」

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

「はい、というわけで決まったぞ」

「かーくんってほんとしれっと言うよね」

 

 

 

練習終わり、羽沢珈琲店にて

先日、家に届いた封筒を取り出す

しれっと発表しようがばばんっと発表しようが

結果は変わらないのだからどうしようもない

ちなみに以前、司会者っぽく発表したら

蘭と巴にからかわれた

 

 

 

「…こりゃあマジモンだね」

「うん…」

「……」

 

 

 

出演が決まったのが信じられないのか

みんな口数が少ないように思える

それもそのはず、普段出てる学生メインの

イベントとは違い大きな舞台なのだ

自分でも正直、まだ夢でも見てるのか

と思ってしまうくらいである。

 

 

 

「えっ、えっ!?そういう感じ!?もっとこう、

がんばるぞー!とかないの?

かーくんがしれっと発表するからだよー!」

「俺のせいにするな…。俺だっていまだに

信じられないからな…」

「あぁいや、嬉しいんだ。嬉しいんだけど…

いざこういう書類を見るとホントなんだなって」

 

 

 

みんな思ってることはだいたい一緒だと思う

そんななか一人だけ喋ってない人がいる

 

 

 

「つぐ、どうした?大丈夫か?」

「…つぐ、泣いてる?」

「えっ!?ごめん!涙が、勝手に…」

 

 

 

出よう!と言い出したのはつぐ本人である

1番、嬉しいのもきっとつぐのはず

出演が決まって安心したのだろう

泣きたくもなる気持ちは、分からないわけではない

 

 

 

「あははっ、もう、つぐはすぐ泣くんだからー!」

「…ひまり」

「どうしたの、かーくん?」

「ひまりも泣いて良いんだぞ」

「泣かないよ!」

 

 

ちょっとだけ目が潤んでるように見えるのは

気にしないでおく

 

 

 

「出演も決まったことだしいままで以上に

ガッツリ練習しないとな。それじゃ、早速…」

「むふふー!みんな、練習の前に

ちょっと見てほしいものがあるの!」

 

 

練習頑張るぞ!って言う流れをひまりが止める

自撮りの写真なら間に合ってるが…

 

 

「ひまり、いくらなんでもこの流れで

自撮りの写真を見せるのはよくないぞ…」

「そうそう昨日お風呂上がりにね…ってちがーう!!」

「ひーちゃん、さすがにそれは…」

「モカまで!そうじゃなくて!実はね、

みんなにお守り作ってきたの!」

 

 

 

 

そういってひまりが鞄から取り出したのは

お守り…のイメージとはほど遠い

熊…熊なのか、これ?

隣にいるつぐと巴が「なんだこれ…」って

顔してるが、いや、なんだこれ

 

 

「実はこっそり作ってたのがやっと完成したんだー!

みんな、好きなところにつけてねー!」

「……マジ?」

 

 

 

ひまりを除く全員が思ったであろう言葉を代弁する。

いや、ほんとにマジで?という顔をしている

 

 

 

「えーっ!そんなひどいよー!寝ないで作ったのにー…」

「ひまりちゃん、それで最近寝不足ぎみだったんだね」

「奏、せっかく作ったくれたひまりに対して

それはかわいそうだろ」

 

 

うっそだろ、ちょっと待って巴さん

あなたついさっきまで同じような顔してたじゃん

「なんだこれ…」って顔してたじゃん

 

 

「とーもーえー! かーくんのばーか!」

「てめぇ、こら…」

「ただちょっと、形がイビツ、かな?」

「ガーンっ」

 

 

ほれ見たことか、というか効果音を口に出す人

ひまりぐらいじゃないのか

 

 

「ひまりちゃん、落ち込まないで!

わあー、このお守り可愛いね!特に…その…」

「つぐ、無理にフォローしなくて良いからな」

「えっ、えー?」

 

 

 

無理なフォローはかえって傷つく

巴はスネアケース、つぐはキーボードケース

モカはギターケース、蘭は…後でつけるらしい

 

 

 

「俺は…机の上にでも飾っとこうかな」

「お守りの意味!かーくんもちゃんと

どこかに付けてよね!」

「はいはい、後でつけておくよ」

 

 

ひまりと言い合ってるうちに蘭は

モカと同じギターケースに付けることになったらしい

 

 

 

「ライブがうまくいきますよーに!」

「それ、意味あるのか…」

「いや、むしろ魔術に使われそうな形してるから

叶うかもしれないよ」

「丑三つ時に釘打てば呪えるかもな」

「藁人形と同格!?ひーどーい!」

 

 

 

 

今度、ネットで魔術について調べてみるか

 

 

 

「ほらほら、そろそろ帰るぞ。

ガルジャム…派手にキメてやろうぜ!」

 

 

 

 

 

巴の言葉に一同うなずく

あれ、リーダーって巴だっけ?

いやまぁ何はともあれ、ガルジャムに向けて

精一杯、マネージャーとして動かないと…!!




パスパレ出す予定なのでタグに追加しておきます
バンドリ2期のパスパレ回を見て
ゆら・ゆら Ring-Dong-Danceが好きになりました
でもパスパレ曲の1番は天下トーイツ A to Z
次点できゅ~まい*flower
丸山彩の声にはリラクゼーション効果でもあるのだろうか


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看板娘とアクティブな休日

セブンに売ってる令和記念?の1000円くらいで売ってる
チョコのやつ、一人で食べきるのに4日かかりました
下のチョコがめっちゃ甘い、甘すぎる


事の発端は巴からの相談だった

つぐが最近、無理してるのではないかと

練習を1日オフにして息抜きするのに

一緒にいてあげてほしいとのことであった。

なら全員でと思ったのだが、

全員で、となると結局練習になりかねない、らしい

俺に用事があることを考えなかったのかと問うと

返ってきた答えは「どーせ1人だろ?」だった

いや、間違ってはないがな…

 

 

 

 

 

「ていうか俺の予定に合わせちゃってよかったのか?」

「う、うん!ほんとは1人でも練習しようと

思ってたんだけど、巴ちゃんが練習禁止って言うし

それに奏くんとのカフェ巡りは楽しいから」

 

 

 

 

休日、なにもない日のカフェ巡りが趣味である

なんだかんだで最後は羽沢珈琲店に落ち着くのだが

店によってコーヒーの味やケーキの味が違ったり

特徴が出てて面白いのである。

本当は1人で行った後、Afterglowの

みんなと行くのが恒例だったのだが…

ちなみに、きっかけは中3の受験勉強の時期、

集中できるところを探してあちこち転々と

していたら、いつのまにか…という感じである

 

 

 

 

「今日はどこまで行くんだっけ?」

「2つ隣の駅までかな。そこの駅前のカフェで

新作のケーキが出てさ。食べたい。」

「ふふっ、奏くん本当に甘いもの好きだよね」

 

 

 

 

何を隠そう、いや隠してるつもりもないが

甘いものが大好きなのである。

家の冷蔵庫には甘味が常備されてるくらい

 

 

 

 

「あ、そういえばつぐご飯食べた?」

「あっ、そういえば食べてないや…」

「じゃあ先にご飯にするか、なにか希望は?」

「えっ!急に聞かれても困るなぁ…」

 

 

 

時間はもう正午を回ってる。

迷ってても仕方ないので手頃なファミレスに

入って昼ごはんを済ませる

 

 

 

 

 

「そういえば、新作って言うぐらいだから

早く行かないと売り切れちゃったりしないのかな?」

「んー、いつも新作出てたときもそこまで

並んでなかったはずだから大丈夫だと思う」

 

 

 

 

 

電車に揺られ、目的地のカフェへと向かう

今回向かうところは駅前に構えているものの

混雑するかといえばそうではなく

ゆったり出来る空間が特徴のカフェである

新作が出ても、普段は混まないはずなのであるが…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「嘘だろ…」

「えーっと…いっぱい、並んでるね」

 

 

 

 

 

何故か今日に限って長蛇の列。

最後尾の看板には1時間待ちとの表記が

 

 

 

「奏くん、どうする?結構待つけど…」

「並ぶ…」

「えっ!?」

「並ぶ、絶対新作食べてやる…!!!」

 

 

 

こうなれば意地である。ここの新作にハズレはない。

並んで、意地でも食べてやる。でないと

ここまで来た意味が…ない!!

 

 

 

 

「奏くんの後ろになんだか炎が見えるよ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…」

「か、奏くん!落ち込まないで!

きっとまた食べられるよ!!」

 

 

 

30分ほど並んだところでまさかの品切れのお知らせ

ここまで並んで今さら帰るのも…というのと

つぐが他のものを食べてみたいという希望から

店内に入って今に至る

 

 

 

「つぐ、ごめん…」

「あ、謝らないで!ほら、フルーツタルト、

おいしいよ!一口どうぞ!」

 

 

 

つぐから差し出されたフルーツタルトの皿

そういえばフルーツタルトは

食べたことないと思い、一口分フォークで掬う

 

 

 

「あ、うまい」

「ふふっ、よかった」

「じゃあお返しに…ほいっ」

「えっ!?」

 

 

 

お返しに自分の食べていたチョコケーキを

一口分、フォークで掬いつぐに差し出すが

困った顔をしている

 

 

 

 

「あれ?チョコレートだめだったっけ?」

「あっ、いやダメじゃないんだけど、その…」

「??…あっ。」

 

 

 

周りからの冷たい視線が刺さりようやく気づく

掬った分を自分で食べ、代わりにケーキが乗ってる

皿をつぐのほうに差し出す。

 

 

 

「ごめん…」

「あっ、いや謝らなくても大丈夫だよ!」

 

 

 

いやもうほんとごめんなさい…

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

巴ちゃんから「オフにしよう!練習禁止!」

って言われたときはちょっと戸惑ってしまいました。

ガルジャムに向けてみんな頑張って練習してるのに

私だけ遅れてるのに…こそっと隠れて

練習しようか家のお手伝いをしようかと思ってたけど

奏くんの一言でオフの予定は決まりました

 

 

 

 

 

「つぐ、ちょっと付き合ってくんね?」

 

 

 

内容は2駅隣の駅前のカフェで新作のケーキが

出たから一緒に付き合ってほしいとのことでした

奏くんとはたまに一緒にカフェ巡りをします

でも、奏くんは「最終的には羽沢珈琲店に落ち着く」

だそうです。お手伝いしてる身としては

ちょっと嬉しいかな。

 

 

結局、新作のケーキは並んでる間に品切れになって

奏くんはすごく落ち込んでたけど

私が頼んだフルーツタルトを分けてあげたら

元気になってくれました。

ひまりちゃんが聞いたら、「デートだよ!」なんて

言い出すのかな?奏くんと出掛けるのは

すごく楽しいけど、幼馴染み同士で出掛けるのは

デートなんて呼ぶのかな?なんて。

チョコケーキをフォークで救って「ほいっ」なんて

差し出されたのはちょっと戸惑っちゃったけど

 

 

 

 

「この後どうする?」

 

 

 

なんて聞かれたからもう少し欲張っちゃおうかな

普段はAfterglowのみんなでいることが多いし…

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

「ほんとにショッピングモールでいいのか?」

「う、うん!見たい映画があって

いつ行こうかなって思ってたんだけど」

 

 

 

そう言ってつぐに差し出されたのは

先週公開された恋愛映画のパンフレット

やっぱり年頃の女の子はこういうのを見たがるのか

年頃の男にはよく分からない

 

 

 

「奏くんってこういうのあまり見ないよね」

「まぁ年頃の男の子はSFだったりバトル物のほうが

好き好んで見るからなぁ。」

 

 

 

いっそのことNFOを題材に映画でも作ってくれ

とか思ってたりする。

 

 

 

 

「えっと、じゃあ止めとく?」

「いや、問題ないよ。付き合わせちゃったし

今度はつぐのしたいことに付き合うよ」

 

 

 

 

 

そう言ってつぐと見た恋愛映画は内容としては

まぁ本当にありきたりでよくあるような内容だった

一般男子高校生が「ふーん」と思うようなものだが

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぅ…ぐすん…」

 

 

 

 

 

一般女子高生にとっては違ったみたいだ

映画が終わってかれこれ10分ぐらいあの調子である

 

 

 

「ほら、いつまで泣いてるんだ…ひまりじゃないんだから」

「うぅ…だってぇ。奏くんはなんとも思わなかったの?」

「なんとも思わなかった訳じゃないが

号泣するほどではない…」

 

 

 

ひまりなら「かーくんの人でなし!」とか

言い出すのだろうか

男子高校生には女子高生の感性はわからん

 

 

 

 

「んっんー、さてそろそろいい時間だし帰るか?」

「うん、ありがとう。映画付き合ってくれて」

 

 

 

時間も時間なので帰ることにする

空はもう薄暗く、他のお客さんも帰り始めてるところだ

 

 

 

「あっ、一番星!」

「おっ、どこどこ?」

「ほら、向こう!」

 

 

 

 

つぐの得意技、一番星探し

Afterglowの中では1番見つけるのが早いと思う

どの星を見てもだいたい同じように見えてしまうから

そういう感性?というのがすごく羨ましい

ベタな恋愛映画で泣く感性は、いらないが。

 

 

 

 

「明日からまた練習、頑張らなくちゃっ!」

「頑張るのもいいけど、無理しない程度にな」

「うんっ、ありがとう!」

 

 

 

 

と言ってもつぐは頑張り屋さんだから

きっと頑張りすぎるんだろうなと思いつつ

明日からの練習も、自分に出来ることは少ないけど

出来る限りのことをしてみんなを支えよう

なんて、思い直した休日。




るんっときたから書いた


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無理を通したいつも通り

TwitterのTLがバンドリ履歴書のRTで埋め尽くされてる
配布のりんりんがめちゃくちゃえっr



「(ガルジャムまで残り2週間。

みんな上手くなってきてる…けど、私は。)」

「つぐ、みんな帰ってるぞ、帰ろう?」

「(やっぱり、もっと練習しなきゃ…!!)」

 

 

 

あれ?聞こえてないのかな?

 

 

 

「つーぐみさーーん…」

「ひゃっ!!!」

 

 

 

耳元で囁くように名前を呼び掛ける

呼び掛けられた本人は耳まで真っ赤にしてる

セクハラだって?そこは、ほら

幼馴染パワーということで、な?

 

 

 

 

「ど、どうしたの、奏くん!?」

「どうしたのって言われても、帰る時間だぞ

みんな帰ってるのにつぐだけ帰らないからさ」

「あっ、えっと!残って練習しようと思って!」

 

 

 

またこの頑張り屋さんは…

この間、無理しない程度にって言ったはずだし

巴に頼まれて一緒に出掛けたのも

息抜きの為だったのに、まったく…

頑張り屋さんはつぐの長所だが

長所は短所になりうる、って学校の先生が

言ってたような気がするな…

 

 

 

「わかった、スタジオの延長はしておくから」

「えっ?奏くんは帰って大丈夫だよ!

夜通しって訳じゃないし、おさらいしていくだけだから」

 

 

 

いやまぁ赤の他人とかだったら置いていくけど

さすがに幼馴染みの女の子を夜に

1人で帰らせるわけにはいかない。

 

 

 

「いいのいいの。女の子1人で帰らせるのは危ないから

じゃっ、延長してくるから。」

「えっ、ちょっと奏くん!」

 

 

 

つぐからの呼び掛けに聞こえない振りをして

受付へと向かう。その途中でメッセージアプリで

巴に連絡をいれておく

 

 

 

『つぐが残って練習するってさ

たぶん相当無理しそうだから、学校で

ちゃんと見ててあげて』

 

 

 

そう送ると既読はすぐに付き、返事が来る

 

 

 

『了解!スタジオでは頼む!』

 

 

 

「ほいほい、任されましたよっと」

 

 

 

差し入れに何か飲み物でも買っていってあげるか

なんて思いつつ、受付で延長を済ませてスタジオに戻る。

 

 

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

 

 

「いいのいいの。女の子1人で帰らせるのは危ないから

じゃっ、延長してくるから。」

 

 

 

何て言われて、私の声に振り返らず

奏くんは受付に行ってしまいました。

心配してくれるのは嬉しい、けど

きっと私だけじゃなくて、ひまりちゃん

巴ちゃん、蘭ちゃん、モカちゃん。誰かが

1人で残ってっても同じ事をするんだろうなぁって

奏くんは優しいから。周りをしっかり見てて

一人一人もしっかり見てて。

ショッピングモールで「無理しない程度に」って

言われたときは、見透かされてるようで

ちょっとドキッとしちゃいました。

 

 

 

「迷惑かけちゃってるかなぁ…」

「好きでやってるんだから迷惑なわけないだろ」

「ひゃっ!!!」

 

 

 

ほっぺたになにやら冷たいものが触れるのと同時に

後ろから急に声をかけられる

差し出されたのはスポーツドリンクでした

 

 

 

「頑張ってるつぐにちょっとした差し入れ」

「あっ、えっと…ありがとう」

「おう、気にするな。」

 

 

 

迷惑なわけない、か…

もっと上手くなって、奏くんを安心させないと…

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

少し練習しすぎちゃったのか授業中も

頭がぼーっとしちゃってて

授業どころではありませんでした

巴ちゃんにも「顔色悪いぞ?大丈夫か?」なんて

言われちゃって、思わず大丈夫と返事を

してしまったけれど…。フラッとしてしまって

説得力がない、かな?

でも遅れてる分、たくさん練習しないと

ごめんね、巴ちゃん

 

 

 

「そうだ、私ちょっと寄るところがあるから

先に行くね、遅れちゃったらごめんね」

「おい、つぐ…!」

 

 

 

寄るところがあるなんて嘘です

早くスタジオに入って練習して皆に追い付かなきゃ

 

 

 

 

 

「あ、奏…くん。今からスタジオ?」

「あ、つぐ。…の予定だったけど予定変更」

「え?」

 

 

 

スタジオに向かう途中、同じくスタジオに向かう

奏くんに会いました。今日も一緒に残ってもらおうと

思ってたけど、予定変更ってなにかあったかな?

なんて疑問は奏くんの言葉で一蹴されました

 

 

 

「つぐ、()()()

 

 

 

え?今から練習…だよね。

帰るって私も?

 

 

 

「巴から連絡が来た。つぐを見かけたら

無理矢理にでも帰らせてくれって。

やっぱ無理してるだろ。マネージャーとして

そんな体調のつぐを練習させられない」

 

 

 

待って。ガルジャムまであと約2週間なんだよ

私だけ遅れてるのに、練習しなきゃなのに

だから今日も早く向かおうと…あれ?

なんだか頭が働かない…

スタジオに向かう足が動かない。

どうしちゃったんだろう…

 

 

 

「あ…れ?」

 

 

 

そのまま奏くんに身を預け、奏くんがなにか

叫んでた気がするけど、何も聞こえませんでした

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

巴から『つぐを見かけたら無理矢理にでも帰らせてくれ』

なんて連絡が来るもんだから学校の友人たちには

申し訳ないがいつもより早く学校を出て

つぐを探しながらスタジオに向かうことにした

学校でも顔色が悪く、足取りも悪かったらしい

 

さらに悪いことに、「寄るところがあるから」と

つぐも早めに学校を出たらしい

頑張り屋さんのつぐのことだから、

十中八九、早く練習するためについた嘘である

 

 

 

「(ていうか、相当な運ゲーだぞ…

会えないままスタジオについたらどうするんだ)」

 

 

 

考えてても仕方ないので頭動かすより

足を動かす。運が良ければ通り道で

会えるかもしれない。

なんてことを焦りながら思っていた矢先

 

 

 

「あ、奏…くん。今からスタジオ?」

 

 

 

噂をすればなんとやらというほどではないが

探し人である羽沢つぐみ本人に出くわした

夕焼けで少しわかりづらいが、巴の言うとおり

顔色が悪い。視点もなんだか定まってない感じがする

これではさすがに練習させるわけにはいかない

予定は変更である。

 

 

 

「つぐ、帰るぞ」

 

 

 

最善の選択、当の本人は驚いた顔をしているが

本当にそんな体調で練習しようと思ってたのか…

 

 

 

「巴から連絡が来た。つぐを見かけたら

無理矢理にでも帰らせてくれって。

やっぱ無理してるだろ。マネージャーとして

そんな体調のつぐを練習させられない」

 

 

 

何かを言いたげにしながら身体を

自分の方へと傾けてくる。

帰ろう、と手を引こうとした矢先

 

 

 

「つぐ?…つぐっ!!!!」

 

 

 

つぐは自分の身体からずり落ち

そのまま倒れてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「つぐっ!」」

「巴、ひまり、静かに。今寝てるから。」

「悪い…。つぐは大丈夫なのか?」

「急に倒れたって聞いたけど…」

「過労だってさ」

 

 

 

連日の練習やら生徒会やらで無理が祟ったのだろう

つぐは過労で倒れた。特に心配することもなく

すぐ目を覚ますだろうし、様子を鑑みて

2日から3日ほどで退院は出来るとのこと

 

 

 

「悪い、ちゃんと見てやれなかった」

 

 

 

最初から気付ければよかった。

無理矢理にでも残って練習させるのを

止めさせればよかった。もっとちゃんと

一人一人のことを見れていれば…

 

 

 

「奏だけが悪い訳じゃない。

アタシたちだって周りを見れてなかった

学校で、無理矢理にでも止めれればよかった」

 

 

 

そう言って巴は俺の頭を軽く叩く

女の子から頭を軽く叩かれるなんて

男のプライドが…なんてものはなくて

ただただその言葉が少し、嬉しかった。

 

 

 

「かーくんも結構1人で考え込んじゃうタイプだからね

幼馴染なんだからもっともっと頼ってもいいのに」

「そうだなっ!」

「…ありがとう」

「つぐみっ!!」

 

 

 

遅れて、蘭とモカが病室に入ってくる

 

 

 

「蘭、つぐ寝てるから」

「なんで!奏がいながら、つぐみがこんなことに!」

「おい、蘭!?止めろ!!」

 

 

 

一直線に俺に向かってきて胸ぐらを捕まれる

すぐに巴に引き剥がされたが蘭は怒り心頭の様子だ

こうなることはだいたい予測は付いていた

大事なAfterglowのメンバーが、大事な幼馴染が

倒れただなんて。しかもマネージャーとして

俺がいたにも関わらず

 

 

 

「悪い…」

 

 

 

それしか言えなかった。

 

 

 

「悪いって、あんたっ…」

「やめろ、蘭!病室だぞ!」

「…っ!!」

 

 

 

耐えきれなくなったのか、病室から

駆け足で出ていく。何も言えなかった。

いや、今の蘭の状態で何を言っても

言い訳にしか聞こえないだろう。

俺からはなにもしないのが最善だ

 

 

 

「モカ、蘭のこと頼めるか?

たぶん、家のこともあって頭がパンクしてるんだと思う」

「あいあいさー。今度パンねー」

「…はいよっ」

 

 

 

現金なやつめ…。でも今の蘭に寄り添えるのは

きっとモカしかいないのだから




燐子さんだせって?
慌てない慌てない。


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孤高の歌姫と幼馴染の邂逅

ほんとは昨日出来てた


つぐの件もあり、練習はしばらく中止

練習以外特になにもやることがなく家に

帰るだけだった

 

 

 

『──さん!』

 

 

 

蘭とはあれから連絡もとってない

言っても1日2日程度であるが…

モカたちがいるから大丈夫だとは思う

 

 

 

『──たさん!』

 

 

 

練習がなくても、会うには会うのだが

お互いがお互いに察して、会わないようにしている

帰って、こうやってNFOにログインして

クエストを回って…ってさっきからチャットの通知が

 

 

 

『彼方さん!!』

「うぉあ!!!」

 

 

 

画面を見るとあこちゃんからのチャットの通知と

敵がわんさかいて、囲まれていた

いつの間にかかなりのダメージを受けていて

ひたすらあこちゃんが回復薬で

回復してくれてたらしい

 

 

 

『ごめん、ぼーっとしてた(-_-;)』

『もぉーっ!あこの回復薬が無くなりそう…』

『彼方君、大丈夫(-ω- ?)』

 

 

 

大丈夫か大丈夫じゃないかと言われれば

きっと大丈夫ではないと思う。

それほど事態は深刻…なんだと思う

でなければこんなに考えることもなかったと思う

自分の不甲斐なさに腹が立っているのだろうか

 

 

 

『おねーちゃんも元気無さそうでしたけど

大丈夫ですか?』

『んー、大丈夫だとは思うけど…

今日はこの辺にしておこうかな(*´・ω・)』

『そうだね( ・д⊂ヽ゛』

 

 

 

じゃあまた明日と言ってログアウトする

直後にメッセージアプリから通知が来た

燐子さんからのメッセージだった

 

 

 

 

『窓』

 

 

 

……え?窓?あれ?開いてたっけ?

いや、閉まってるよな、うん閉まってる

閉まってることを確認したら

また燐子さんからメッセージが届いた

 

 

 

『間違えました(-_-)

少し、お話ししませんか?昔みたいに窓越しで』

 

 

 

昔みたいに…か

特に断る理由もないので了承の返事をし

窓を開ける。向かい側にはすでに

燐子さんが立っていた。

 

 

 

「久しぶり……だね」

「そう…ですね」

 

 

 

昔は、俺も歌って、燐子さんもピアノを引いていた時は

頻繁に窓越しで話をして、燐子さんがピアノを引いて

俺が歌ってというのを繰り返していた

歌わなくなって、ピアノを弾かなくなってからは

こうやって話す機会が無くなったから…

かれこれ2年ぶりぐらいではないだろうか

 

 

 

「何を話そっか…」

「えっと……大丈夫かな……って

ゲームしてる最中に……考え事…今までなかったから」

 

 

 

心配してくれてるんだと思った

それだけ外から見たら、落ち込んでるように

見えていたのだろうか。

なんだかんだで1人で考えることが多いから

今回もなんとかしようと思っていたのだが

病室でのひまりの言葉を思い出す

 

 

 

 

 

「かーくんも結構1人で考え込んじゃうタイプだからね

幼馴染なんだからもっともっと頼ってもいいのに」

 

 

 

 

その()()()はこの人も入れていいのだろうか

ひまりが聞けば「なんで私たちじゃないのー!?」と

言われそうな気もするが…

 

 

 

「少しだけ、聞いてくれますか?」

「うん……大丈夫」

 

 

 

Afterglowのこと、ガルジャムのこと、マネージャーのこと

メンバーの1人が頑張りすぎて倒れたこと

1人1人にきちんと目を向けてやれなかったこと

それが原因で少しの間練習を休止していることなど

今まで話せてなかった分、までとは言わないが

話せる限りのことは話した。

燐子さんは話し終わるまで黙って頷いてくれた

 

 

 

「こんなところ、かな。」

「そっか……やっぱり…彼方君は……優しいね」

「そんなこと、ないです。」

 

 

 

思わず燐子さんの口から出てきた言葉に

否定してしまう。

 

 

 

「そうやって……誰かのために……動けることは

とっても……すごいことだと……思うよ」

「そっ…か。」

 

 

 

何気ない言葉に勇気付けられることが

多くなった気がする。まだ高校1年生なんだけど…

そしてやっぱり燐子さんは年上、大人なんだな

とつくづく感じさせられる

 

 

 

「あ……バンドといえば……ちょっと待ってね」

 

 

 

と言われメッセージアプリから通知が届く

ライブのお知らせのURLだった

 

 

 

「これって?」

「あこちゃんに……誘われて。友希那さん?ていう

ボーカルの人が……出るんだけど

彼方君も……一緒に……どうかな?」

 

 

 

ライブ、か。ここ最近思い詰めてるところも

あっただろうから気晴らしに行くのも

ありなのかもしれない。もしかしたら何か

感じることが出来るかもしれない

 

 

 

「分かった、行く」

「うん……あこちゃんには連絡……しておくね」

「ありがとう。」

 

 

 

ライブといえば、知らない人が多く人混みが

すごいがそこは大丈夫なのか聞いたら

……頑張る。らしい。頑張れるんだ…

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

「かーなったさーん!こっちでーす!」

 

 

 

ライブ当日、学校帰りにそのままライブハウスに向かい

先に来ていた、あこちゃんと燐子さんと合流した

…したのだが

 

 

 

「やっぱり……無理……。わたし……帰る……」

 

 

 

だから言ったのに…。

 

 

 

「人は多いけど、ドリンクカウンターの近くなら

空いてるし、平気だよ!」

 

 

 

あこちゃん、それ意外とフォローになってないから

 

 

 

「その人の出番だけ見ていく、ってのもありじゃないか

せっかく来たんだし、それなら行けるんじゃないかな?」

「彼方さんの言う通りだよ、りんりん!

その人だけ!ね、お願い!」

 

 

 

そう言って、あこちゃんが燐子さんの手を引っ張っていく

人混みが苦手で引っ込み思案な彼女には

あこちゃんのような子がきっと必要だったのだろう

俺が出来ないことをさらりとやってのける

 

 

 

「えっと……」

「心配いらないよ。あこが、彼方さんがついてるからっ

それに、りんりんはいつもあこを助けてくれるから

いつかちゃんと、恩返ししたいって思ってたの」

「……あこちゃん」

「よし、時間だから入ろうか」

 

 

 

時間も時間なのでライブハウスに入る

ドリンクカウンター近くに移動して始まるのを待つ

すごい熱気であり、時間が押しているのにも関わらず

誰も騒がない、友希那って人の歌を待っているかのように

そして、いくら人が比較的少ない場所を選んだとしても

人が多いのは確かである。ふと、横にいた燐子さん見ると

 

 

 

「……うち……に……わたし……帰……」

 

 

顔面蒼白という言葉が本当に似合うくらい

顔が真っ青になっていた。

これだけの人数、仕方ないといえば仕方ないのだが…

 

 

 

「わわわわわわー!り、りんりんの顔が青いー!」

「あこちゃん、落ち着いて。燐子さん、大丈夫?」

「友希那を観るまで死んじゃだめだよぉーーっ!」

 

 

 

顔面蒼白な燐子さんをよそにライブが始まる

これが、噂の友希那の歌声。

あこちゃんが、そしてさっきまで顔面蒼白だった

燐子さんまでがその歌声に魅了され、聴き入る

 

 

 

「(歌声1つでここまで…。会場が歌声に包まれる感じ

確かにすごい、噂されるほどではある。けど…)」

 

 

 

確かに歌声はすごい。100人中100人がプロレベルだと

思うであろう。しかし…

 

 

 

「(何かが足らない気がする…)」

 

 

 

その歌声に違和感を覚える

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

「あこちゃん……本当に……やるの?」

「うん!ここで待ってたら会える気がするんだ!」

 

 

 

出待ちで会える、なんて都市伝説だと思ってるが

もし会えたら会えたで気になることもあるし

少し話してみたい気もする

()()()()()()()()()()()()

なんて思ってたら、噂の友希那ともう1人

水色の長髪をした女性が一緒に出てきた

 

 

 

「あこちゃん、たぶん出てきたよ」

「えーっ!ゆ、ゆ、友希那だ…、友希那だよ!

りんりん!彼方さん!ど、どうしよう、ここで待ってたら

会えるかもって言ったら、本当に…、会え…っ」

 

 

 

本当に会えるんだ…。母さんにでも言っておこうか

出待ちは会えると。いや、すでにやってそうな気がする

 

 

 

噂の友希那と水色の長髪をした女性が話していたのは

バンドを結成するという話で、水色の人は

ギターを担当するらしい。

ベースとドラム、そしてキーボードはこれから

探すみたいだが…

 

 

 

「あこちゃん、サインもらうなら…」

「…バンド!!あ、あこっ、ずっと友希那…さんのファンで

だ、だから、お願い、あこも入れてっ!」

 

 

 

あれ?サインが欲しいから出待ちしたんじゃないの?

同じくバンドを組んでる巴と同じことをしたかったのか

 

 

 

「あこ、世界で2番目に上手いドラマーです!

1番はもちろんおねーちゃんなんですけど…

だから一緒に組めたら、その…!」

 

 

 

たぶん、あこちゃんの熱意は本物だ

それは横で聞いててもしっかり伝わってくる

しかしそれは一蹴されてしまった

 

 

 

「遊びはよそでやって。私は2番であることを

自慢するような人間とは組まない。行くわよ、紗夜」

「ええ」

「あっ…」

 

 

 

そう言って2人は去っていく

遊び、ねぇ。聴いてもいないのにか

 

 

 

「あこちゃん、燐子さん、先に帰ってて」

「え、彼方さん、どうしたんですか?」

「ちょっとあの2人と話してくる」

「えっ、えー!?」

 

 

 

ごめん、どうしても気になることがあるから

そう思いながら先に帰っていった2人に追い付くために

小走りで駆け出していく




必要かどうか分かりませんが奏くんのイメージを
カスタムキャストで作ってました
ポーズのところを女の子のポーズにさせて
腹抱えて笑ってました
しかし載せ方が分かりません

Afterglow解決しながらRoselia結成させます
さすがにPastel*Palletesはその後
詰め込みすぎるとごっちゃになるし


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一触即発のいつも通りといつも通りの仲直り

分けた


小走りで駆け出す。

別れてからそこまで時間が経ってないから

すぐに追い付けるはず…

 

 

 

「(見つけたっ…)あのっ!」

 

 

 

わりとすぐに追い付いた。

呼び掛けに噂の友希那とギターケースを持った

水色の長髪をした女性が振り替える

 

 

 

「あなたは、さっきの…」

「何か用ですか?私たちには時間がないのですが」

 

 

 

 

えーっ…水色の人、口調きつくないですか…

まぁいいや気にしちゃ駄目だ

 

 

 

「あの、友希那さんとお話ししたくて」

「さっきのドラムの子の説得ならお断りよ」

「あ、違います。」

「…じゃあ、なに?」

「あなたの歌についてです」

 

 

 

<歌>という単語が出た瞬間、ただでさえ

無表情だった顔が更に険しくなる。

なにか、地雷でも踏んでしまったか

 

 

 

「…いいわ、聞かせてちょうだい」

「…!?湊さん?」

「ありがとうございます。いくつか質問させてください」

「えぇ、どうぞ」

「あなた()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

まず1つ、技術はプロにも勝るとも劣らない

ならなぜこんな小さなライブハウスで

バンドメンバーを探すのか。

ライブハウスで歌うことにこだわる必要はない

自分の技術に自信があるのであれば

直接大きなところに売り込めばいいはず

 

 

 

「FUTURE WORLD FES.に出て頂点を取る。

ただそれだけよ。」

 

 

 

FUTURE WORLD FES.日本最高峰の音楽フェス

名前だけは聞いたことはある

詳しいことは分からないが数多くのバンドが

目指しているらしい。母さんが詳しかったはず

 

 

 

「…もういいかしら?」

 

 

 

あ、やばい。ただでさえ無表情が

だんだんしかめっ面になっていく

なぜここでメンバーを集めてるのかとか

もっと色々聞きたいこともあるが、

時間が許してくれないらしい。

 

 

 

「最後に1つだけ聞かせてください」

「…なにかしら?」

()()()()()()()()()()()

「…っ!!」

 

 

 

あ、これ地雷踏んだわ。

 

 

 

「…答える義理はないわ。行きましょう、紗夜」

「分かりました。では、失礼します。」

「あっ、ちょっと!」

 

 

 

踵を返し、2人は帰っていくが

湊友希那さんだけがまたこちらを振り返る

 

 

 

「あなた、名前は?」

「彼方…奏です」

「そう、覚えておくわ」

 

 

 

覚えておくわ、って…

目をつけられた感じか?いや、いったい何だ。

なんだか、【孤高の歌姫】だなんて

呼ばれる理由が何となく分かった気がする

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

「ていう話があったわけよ」

「ふふっ、なんだか奏くんらしいね」

「そうか?」

 

 

 

孤高の歌姫、湊友希那のライブから数日後

つぐのお見舞いに来ていた

明日には退院できるとのことらしい

 

 

 

 

「まぁいいや、次の練習からは

絶対に無理させないからな」

 

 

 

 

()()のワードを出したとたんつぐの

顔が少し沈んだ顔になる

あれ、何か地雷踏んだ?なんでこうも

地雷踏んでいくんだ俺は。

 

 

 

 

「その…練習のことなんだけどね。

巴ちゃんとひまりちゃんと話して、バンド自体を

一度お休みしないかって話をしてるんだ」

「理由、聞いていいか?」

 

 

 

幼馴染がいつも通りで居たいが故に結成したAfterglow

ちょっとやそっとじゃそんなこと起こらないとは

思ってたが、いったい何をもって…

 

 

 

「それはアタシたちから説明するよ」

「やっほー、かーくん」

「巴、ひまり」

 

 

 

丁度いいタイミングで、巴とひまりがやってくる

話を聞くと言い出したのはつぐだった

最後に俺と蘭が別れたあと、蘭は学校には来てたものの

授業には出ず、屋上にずっといたらしい

家のことと、バンドのことの板挟みで蘭は傷ついている

誰かを傷つけるためにバンドを始めた訳じゃないから

誰かが傷つくぐらいなら、蘭のためにも

バンドを一旦お休みにした方が

いいのではないかと言う結論であった。

 

 

 

「蘭はこのことは?」

「今日、言うつもり」

「そっか…」

「つぐー来たよー」

「モカちゃん、それに蘭ちゃんも!」

 

 

 

ちょうどいい、といえばいいのか蘭とモカがやってくる

なんだか蘭と巴が気まずそうにしているが…

 

 

 

「なんかあったのか?」

「2人、ちょっとね」

「ひまり、この空気なんとかしてくれ」

「えーっ!私!?」

 

 

 

無理だったみたいだ

 

 

 

「うんうん、とりあえず蘭とトモちんの

仲直りが先かなぁー」

 

 

 

こういうときに、モカがいて助かると思ってる

いい意味で空気が読めないというか

モカの言葉で先に巴が次に蘭が謝る

これで仲直り…というわけにはいかなさそうだが

続けて巴は先ほど蘭たちが来る前に話してたことを話す

 

 

 

「いや…だっ!辞めたくない!」

 

 

 

蘭はそう叫び、病室から去ろうとする

それを止めたのは意外な人物だった

 

 

 

「蘭…!!」

「離して!!」

「…離さない」

「モカ?」

 

 

 

去ろうとする蘭の腕をつかんだのは意外にも

モカであった。そして少し考えたような顔をすると

 

 

 

「…蘭の、腰抜け」

「…は?」

 

 

いやまぁそうなるわ。腕捕まれたと思ったら

言われた言葉が悪口って…

でも、モカの言うことにも一理ある

言いたいことがあるなら言えばいいそれもせずに

逃げ出すのはモカの言う通り、腰抜けなのかもしれない

 

 

 

「うるさい…!放っておいてよ!」

「うるさくないでーす。トモちんとも、あたしたちとも

向き合えないようなやつがお父さんと

向き合えるわけないよね。蘭のヘタレ、腰抜け」

 

 

 

いつも適当な感じなのにたまに的を射た発言をする

さすが、天才を自称するだけはある

 

 

 

「あと。えーっと…ばーか」

 

 

 

前言撤回、言葉選びが下手か

 

 

 

「はぁ…!?サイテー、モカのバカ。」

「もう見てられない…2人ともやめなよー!」

「…何?」

「ひーちゃん、喧嘩の仲裁、

向いてないんだからやめときなよ」

「おい、ちょっと待てよ。ひまりはお前らのこと…」

「巴、いい加減そうやってカッコつけるのやめたら?」

 

 

 

ひまりの仲裁をきっかけにつぐと俺を除いた

Afterglowのメンバーが一触即発の空気になる

え、これどうしたらいいの?

つぐの言葉も全く聞こえてないみたい

俺?俺も喧嘩の仲裁は向いてないから、無理

 

 

 

「奏も、黙ってないでなんか言ったら?」

「は?」

「そうやって遠目から見て、関係ないみたいな顔をして

そうやってカッコつけてるの似合わないよ」

「蘭、てめぇ。喧嘩売ってるんなら買うぞ」

「え、ちょっと奏くん!?」

 

 

つぐごめん、さすがに我慢の限界だわ

病室とか関係ない、一発…

 

 

 

「あなたたちうるさいわよ!!!

ここは病室なんだから、静かに!!!」

「「「「「……すみません」」」」」

 

 

やっぱ関係あったわ。ここ病室だ

それに婦長さんの注意で一色触発の空気もなくなった

緊張の糸も切れ、みんなで笑いあう

 

 

 

「で、アタシらなんの話してたんだっけ?」

「さぁなんだったっけ?」

「忘れちゃったねえー?でもめっちゃスッキリしたー」

「いや、俺は胃がキリキリしてんだけど……」

「かーくんは意外とメンタル弱いからねぇ…」

「モカ、売るなら買うぞ」

 

 

 

この空気で胃がキリキリしないほうがおかしいと思う

 

 

 

「あたし、決めた。バンドが続けられるように

父さんと話してみる。」

「素直でよろしいー」

「モカ…からかうな」

「私たち、お互いのことが大事すぎて

今まで言いたいことが言えなかったのかもね」

 

 

 

お互いが大事だからこそしっかりと言い合えることが

大事なのかもしれない。言わないことに言われないことに

甘えてたら、それは友達、親友、幼馴染ではなく

ただの表面上の馴れ合いにしかならないのだから

 

 

 

「なんか、喧嘩しちゃったらお腹すいちゃったー

帰り、パン屋さんよってこーよー。」

「相変わらず、モカはマイペースだな」

「はは、でも見てると安心するよ。

それじゃ、行くか。今日からまた<いつも通り>だ」

 

 

 

よかった。これでまた<いつも通り>

みんなで過ごせる

 

 

 




色々詰め込んだら6000字越えそうだったので
分けました。まぁ話も変わるのでちょうどよかったです。
たぶん、翌日の同じ時間に投稿されるかと

そうそう自分のTwitterアカウントでPeing?質問箱作りました
マイページにも載ってますが
nisshi_kraynrmがTwitterアカウントになります


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孤高の歌姫と小さなまおうの大きな熱意

分けたやつ


「なんとか、なった…」

 

 

 

病室での蘭とモカの一色触発の空気から

Afterglow全体が一触即発の空気になって…

バンドを休むっていう話もなくなって

つぐが退院してからガルジャムに向けて

頑張るぞ!という雰囲気になっていた

 

 

 

「(あんな風になったのも結構久しぶりだし

まぁ仲直りできたんなら結局はいつも通りかな)」

 

 

 

「お願いします!」

「何度来たって無駄よ」

 

 

 

ちなみにパン屋に寄った後、1人で病室寄って

つぐにパンを買っていった帰りである。

病院から帰宅するとき、羽丘の前を通るのだが

そこにはあこちゃんと、噂の湊友希那さんと

この間は会ってない、茶髪のポニーテールの

女の子が一緒にいた。というか、噂の湊友希那さん

高校生だったのね…

 

 

 

 

「あこちゃん、頑張るね」

「あっ!彼方さん!彼方さんからもお願いしますぅー!」

「えっ、俺?」

 

 

 

予想外のあこちゃんからのお願いにふと

湊友希那さんの顔を見ると

無表情だが無表情に見えない

なんとも言えない顔をしていた

 

 

 

「(やばい、下手なこと言ったら、やられる…)」

 

 

 

いや、そんな顔…と思われるかもしれないが

本当にそんな顔をしている

しかし、そんな恐怖は近くにいた

茶髪のポニーテールの女の子の声でかき消された

 

 

 

「あれ?あこの友達?」

「え?あ、まぁ…」

「私、今井リサ。そこの友希那と幼馴染なんだ!

よろしくね!」

「彼方、奏です…」

 

 

 

いきなりのコミュ力の高さに驚きながら

 

 

 

「(この人、ギャルだ…)」

 

 

 

なんて口に出そうものならきっとこの空気を

ぶち壊すことになってしまうのだろう

髪をくるっと巻いて、化粧して、ピアスして

これをギャルと言わずなんと言う

 

 

 

「あなたからもなんとか言ってくれないかしら

何度も断ってるのに…」

「断られてるのか…」

「はい!でも、どうしたらあこの本気が

伝わるかなって考えて、友希那さんの歌う曲

いっぱい練習して、全部叩けるようになってきました!」

 

 

 

ふと見えたあこちゃんの手に持ってる、スコア?

だったっけか、を見るとやけにボロボロになってる

それだけたくさん練習して認めてほしかったのだろう

秘めた大きな熱意を。

 

 

 

「お願いです!1回だけ!

1回だけでいいから一緒に演奏させてください!

それでダメだったら、もう諦めるから…」

「何度も言ってるけど遊びじゃないから…」

 

 

 

あこちゃんの精一杯の熱意も遊びじゃないの一言で

一蹴されてしまう。遊びじゃない…か。

 

 

 

「遊びかどうかは、演奏を聞いてから決めたら

いいんじゃないですか?聞いてもいないのに

一方的に決めつけるのはよくないかと」

「そうそう!奏の言う通りだよ!1回くらい、さ?

あこのことは同じ部活だし知ってるけど

やるときはやる子だよ?」

「はぁ…リサがそういうなら。一曲セッションするだけよ」

 

 

 

今井さんがノリが良くて助かった

というか、初対面でいきなり下の名前で呼ばれたことに

びっくりした。こういうのって名字から徐々に

でないのか、そうか、これがコミュ力お化けか。

 

 

 

話を終え、演奏するためにスタジオに向かう

 

 

 

「今井さん、ありがとうございます」

「んー?いえいえー。友希那ってほら、

言葉足らずなところがあるからフォローしてあげないと」

 

 

 

足らないところは表情で補ってる気がする

というのは思ってても言わないことにする

 

 

 

「あっ、そうだせっかくなんだから名前で読んでよ!

なんだか今日だけって訳でもなさそうだし!」

 

 

 

何をさらっと言い出すのかこのコミュ力お化け

と思っていたが口に出さないことにする

 

 

 

「善処します…」

「それ善処しないやつだよね?」

 

 

 

…バレバレである

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

「あなたはこの間の…」

「あー、はい…えーっと、水髪さん」

「誰ですかそれは。氷川紗夜です」

「氷川さんね、彼方奏です」

 

 

すっかり忘れていた、この水色の髪の人

そういえば一緒にいた。

とりあえずパッとつく特徴で呼んだなんて

知られたらまためんどくさいので

黙っておくことにする

 

 

 

「この状況を作ったの、俺ですから

最後まで見届ける責任はあるかと思いまして」

「そうですか、意外と真面目なのですね」

「第一印象どんなんですか…」

「そうですね、チャラついていて失礼な人かと」

 

 

 

酷い言われようである

 

 

 

「おまたせー」

「あれ、今井さんベース弾けるんですか」

「まぁ昔ね…」

 

 

 

今井さんが中学1年生?辺りまでは

湊友希那さんと組んでいたらしいが

なぜ、途中でやめたのかは謎である

 

 

 

「じゃあ始めるわよ」

 

 

 

湊友希那さんの合図でセッションが始まる

そこで奏でられた音は、あのときライブハウスで

聞いていたものよりも力強く、美しく

 

 

 

「(なんだこれ、なんか、Afterglowのみんなとは

似ているんだけど、違うような。うーん、なんだ?)」

 

 

 

セッションが終わると、スタジオにいた全員が

驚いた顔をしていた。セッションはお互いに

初めてだというのにあれだけの音を

奏でられたというのだ。湊友希那さんが

なにやら難しいが楽器にそこまで詳しくなくても分かる

 

 

 

「すげぇ…」

「彼方さん!ちゃんと聞いてました!?」

「あぁ、あこちゃん。聞いてたよ、すごかった!」

「えへへー!あっ!バンドに

入れてくれることになりました!」

 

 

 

感嘆してる間にあこちゃんのバンド入りが決まったらしい

あこちゃんの熱意が伝わってよかった

あ、あと今井さんも入ることになったらしい

 

 

 

「練習は今日から始めるけど、最初は私抜きで練習してて」

「どうしたの、友希那?」

「えぇ、聞きたいこともあったし、丁度よかったわ」

 

 

 

ここにいた全員がハテナマークを浮かべる

なんだ、湊友希那さん。残りはキーボードだけど

行き道とかでいいキーボード奏者を見つけたのか

なんてバカらしいことを考えてたら

彼女の口から発せられたのは衝撃的な一言だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「彼方奏、あなたも私たちのバンドにはいるのよ」

「……………は?」

「聞こえなかったかしら?あなたも…」

「いやそうじゃなくて」

 

 

 

なんで俺スカウトされてるの?キーボード引けないよ?

弾ける人は心当たりあるけど、やらなさそうだな…

 

 

 

()()()()()()調()()()()()()()()()()

「…ちょっと外で話そうか」

 

 

 

スタジオをでて近くのカフェテリアに腰を掛ける

彼女が携帯の画面を見せてきたと同時に言葉を発する

見せてきたのは昔のとある記事だ

 

 

 

「彼方奏、今から約10年前から約3年間。

幼いながらも歌で、声で数々の賞を受賞した天才」

「……っ」

 

 

 

よくもまぁここまで調べたなと

というよりもまだ残ってたのか

同姓同名の違う人ですと言ってもいいのだが

それもそれで面倒である

 

 

「しかしあるとき突然姿を消した」

「まぁ合ってますよ。」

「ということは私があなたを

スカウトした理由分かるわよね?」

 

 

 

おそらく、バンドの特に歌の技術的指導

あとは付属してあこちゃんの面倒を見る、か

この人のやることは間違ってないし間違ってる

上を目指すには技術が高い人に教えを請うのが1番

そこは間違ってはいが、間違ってるのは

この人が()()()()()ではなく()()()()()

見ていることである。

 

 

 

「で、どうかしら?」

「丁重にお断り申し上げます」

「急に余計にかしこまられると困るわね…

理由を聞いてもいいかしら?」

「あなたの言葉を借りるなら、…答える義理はないです」

「…そう」

 

 

 

今はAfterglowのマネージャーだとか

理由は色々あるが会って間もない人に

話す義理もない。

 

 

 

「それじゃ、あこちゃんのことお願いしますね」

「……えぇ」

 

 

 

さぁ帰ろう、1日で色々あったように思えるぐらい

疲れがどっと来てるけど、またいつも通りの日常だ




LBを朝起きて消化して、昼に消化して
帰宅してから消化して、寝る前に消化して
というサイクルの間でるるるんっときて書いてます
そろそろラブライブ!サンシャインの方も書かなきゃなぁ(白目)


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華道少女と本当の気持ち

あこイベ、5000位以内でした
ハロハピはまったり全報酬ぐらいでやります


「蘭、緊張してないか?」

「して……ない」

 

 

 

嘘が下手である

蘭は嘘をつくときと照れるときは口がつまる

そこがまぁあれなのだが

 

 

 

「あと、えっと…」

「ん?」

「その、ごめん」

 

 

 

…なんかされたっけいまいち覚えてないんだけど

 

 

 

 

「蘭、俺になんかしたっけ?」

「え?いや、その病院であんなこと言ったのに

巴たちには謝ったのに、奏には謝れてなくて」

 

 

 

 

あぁ、そのことか。

そういえばなにか言われた気もするが

 

 

 

「別に気にしてないよ」

「え?」

「ひまりの言ったとおり、俺たちは仲が良すぎるんだよ」

 

 

 

かれこれ約10年の付き合いの幼馴染で

バンドも組んで、ずっと一緒にいて

この関係が崩れないように、知らず知らず

お互いが遠慮しあって傷つかないように接してた

 

 

 

「だから、蘭に言われたことは間違ってないんだ

言いたいことも言わずに、関係ないって思い込んで

みんなが、自分が傷つくのが怖かった」

 

 

 

だからこそああいった場は必要だったんだと続ける

そりゃ小さい喧嘩こそ何度かあったものの

あれだけ大きな喧嘩をしたのは片手で数えられるくらいだ

それこそバンド活動を休むまでいったのは

初めてかもしれない

 

 

 

 

「だからこれからは言いたいことはちゃんと言う

それがAfterglowのためになると思うよ」

「そう…。でも奏はメンタル弱いからほどほどにしとく」

「蘭、やっぱ喧嘩売ってんだろ…」

「別に…」

 

 

 

 

あの場で喧嘩したからこそ蘭は家と向き合うことにした

Afterglowがより団結した。だからこそ…

 

 

 

 

「俺も向き合わなきゃな…」

「なんか言った?」

「いいや、なんでも。で、話はこんだけか?

わざわざ蘭の家まで寄って、2人で学校行くって

そうそうなかったぞ?」

「終わり」

「は?」

「謝りたかった、ただそれだけだから」

 

 

 

謝りたかったって、別に練習の時とか

なんなら電話とかメッセージでもよかったのに

 

 

 

「意外と律儀だな」

「うるさい…。ほら、みんないるよ」

「ごまかすなよ、ったく…」

 

 

 

蘭との会話に夢中になってるといつもの

集合場所に着いていた。

まぁ、ここから俺は別れるのだが

 

 

 

「おはよう、みんな。つぐ、体調はもう大丈夫か?」

「おはよう奏くん。うん!ばっちり!」

「だからと言って無理はさせないからな」

「うっ…、ほどほどにします…」

 

 

 

笑い声が朝の空に響く。これがいつも通りの日常

 

 

 

「あ、そうだ、蘭」

「どうしたの?」

()()()()()

「…うん」

 

 

 

今日、蘭は親父さんとしっかり話すらしい

遊びでバンドをやってる訳じゃないこと

華道ともしっかり向き合うこと、両立させること

 

 

 

「蘭なら大丈夫。俺も、みんなついてるから」

「…ありがと」

「じゃっ、また放課後な」

 

 

 

またねとみんなが返事する

頑張れ、蘭

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

放課後、美竹家玄関前

うまくいけばこのまま練習を始める予定である

 

 

 

「ここからは1人で大丈夫」

「本当か?泣きながら飛び出してこないか?」

「しない…!!」

 

 

 

わりと心配なんだけどなぁ…

いや、心配しすぎか

 

 

 

「蘭ー…ほんとに1人で大丈夫?ついて行こうか?」

「大丈夫だってば!」

「蘭が本当に泣きながら飛び出してこないか心配だよー」

「…モカ、奏、嫌い」

「じょーだんー」

「俺もかよ!?」

 

 

 

みんながそれぞれ蘭に声援を送る

向き合うと決めた、蘭を信じるしかない

 

 

 

─────────

 

 

 

あれから1時間は経ったのだろうか

まだ蘭は玄関から出てくる気配はない

 

 

 

「蘭ちゃん、どうなったかなあ…」

「蘭が話し合いにいってからどれくらい経ったかなぁ?

もしかしてうまくいってないのかなぁ?」

「あれから1時間くらいかな。うまくいってるにしろ

いってないしろ、そろそろ出てきてもいいと思うけどな」

 

 

 

うまくいってなかったら泣いて飛び出してくるだろうし

うまくいったら泣いて飛び出してくるだろうし

あれ?どっちも変わんなくないか

 

 

 

「話し合いがうまくいったのが嬉しくて泣いてるんだよー

目の腫れがひいてから出てくるんじゃないー?」

「泣いて飛び出してくるにチョココロネ」

「またモカとかーくんはすぐそういうこと…」

「あっ、蘭!」

 

 

 

あーだこーだ言い合ってるうちに

玄関から出てきた蘭を最初に見つけたのは巴だった

ふと顔を見ると、深刻そうな顔をしているが

いままでとは違ってなにやら

スッキリしてそうな顔である

 

 

 

「その顔は、うまくいったみたいだな」

「…うん。父さんガルジャム見に来てくれるって

ライブで納得させる」

 

 

 

 

よかった…。ガルジャムまで時間がない

納得させる演奏をしないといけない

 

 

 

「ほら、早くスタジオいこう。

納得させる演奏をしてみせるんだから」

「「「「「…………」」」」」

 

 

 

蘭があまりにもツンツンしてるので

さすがに一同驚愕である

 

 

 

「素直じゃねーの。な、巴?」

「確かにな。ったく…」

「やっっったぁーー!!よかったぁーー!!

もう!本当心配してたんだからねー!」

 

 

 

まぁかくいう俺も心配はすごいしてたのだが

ひまりのように表に出すことではない…

ていうか出したら確実にモカにいじられる

 

 

 

「…蘭ー、目赤いよ?

もしかしてさっきまで安心して泣いてたー?」

「…っ!泣いてない」

 

 

 

いまにも泣きそうな声で言われても

説得力がないが。

 

 

 

「またまたー。モカちゃんの目にはごまかせないぞー?」

「もちろん、俺の目にもなー?」

「……泣いて、ない……っ!」

 

 

 

あ、やっぱこれ泣いてるやつだ

よほど嬉しかったのだろう。気を張りつめていたのだろう

それがほどけたんだ。泣くのも無理はない

 

 

 

「あー!モカとかーくんが泣かせたー!」

「あたしじゃないよぉー。かーくんだよぉー。」

「ちょっと待てモカ、最初はモカだろ!?」

 

 

 

なぜ罪を擦り付けられるのか

 

 

 

「……っ!奏の……バカ……っ!」

「え、やっぱ俺だけ!?」

「…蘭、よく言ったな」

 

 

 

俺のつっこみを置いといて

巴が泣いてる蘭を抱き寄せる

 

 

 

「…うんっ。うん……!

…あたしだって、不安だったんだから…!」

「ほんと、よく頑張ったよ。」

「ありが…と…!」

 

 

 

またこうやってみんなで集まってバンドができる

それだけでなんと喜ばしいことか

 

 

 

「みんな、その……

いつも助けてくれて、ありがと」

 

 

 

改めて言われるとむず痒い気もする

みんながいつも通りいられるように

頑張っただけなのだから

 

 

 

「誰か1人かけたらもうAfterglowじゃないんだ

だからお礼はまぁありがたく受け取っとくよ」

「よーっし、それじゃあスタジオ行こっか!」

「うんっ!…わぁ、見て!すごい綺麗な夕焼けだよ!」

 

 

 

つぐが指を指した方向を見ると

それはもう美しくオレンジ色に輝く夕焼けだった

 

 

 

「おー、ホントだ。まぶしいねぇ。

まるであたし達の青春みたいだねー」

 

 

 

Afterglow、夕焼けという意味をもつ言葉

本当にぴったりだ

 

 

 

「みんな、この夕日に誓おう!

ライブ。ぜーーーったいに成功させよう!」

 

 

 

あ、これいつものやつだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えい、えい、おー!」

「「「「「………」」」」」

 

 

 

これも()()()()()、かな

 

 

 

「ひまり、空気読もうぜ」

「えーっ!やっぱり誰も言わないのー!?」

「おー」

「蘭、だいじょぶ?」

「泣きつかれて頭おかしくなったか?」

「なっ…!」

 

 

 

ぼそっとつぶやいた蘭の「おー」

なぜかいった本人は顔を真っ赤にしている

 

 

 

 

これでまたいつも通りの日常に戻れる

Afterglowの日常に




次でAfterglowの1章の部分が終わります、たぶん
その次はRoseliaとPastel*Palletesの出番です


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夕焼けといつも通りの音色

暑い日に飲むコーラはうまい


「新曲?ガルジャムまで日にちないけど…」

「うん、分かってる。でも成功させたい」

 

 

 

その日のスタジオで蘭から持ちかけられた話は

ガルジャムでセトリに新曲を入れることだった

オリジナルの‘That is How I Roll!’を最初に

カバーである‘Don'say lazy’,‘Butter-Fly’と

持っていこうと考えていたのだが

ラストに新曲を持っていきたいということだ

 

 

 

「とりあえず、聴かせてくれるか?」

「……うん。聴いて」

 

 

 

蘭が作ってきた新曲が流れる

曲が終わると、自分も含めてみんな驚いた顔をしていた

 

 

 

「ダメ、だった…?」

「そ、そんなことないよ!

すごく、すごくよかったよ!!」

「なんか、蘭っぽくない歌詞だよねぇ」

「確かに今までの蘭の書く歌詞とはちょっと

雰囲気が違うな。こう、素直っていうか…」

 

 

 

モカと巴の言うとおり、こんな素直な歌詞は初めてだ

That is How I Roll!にしろ、反骨精神の塊

みたいな歌詞を書くのが蘭だったはずだ

 

 

 

「奏、今失礼なこと考えなかった?」

「き、気のせいだと思うよ…」

 

 

 

ばれそうだった、危ない

 

 

 

「この曲を、ライブでやりたいと思ってる。

急かもしれないけど、どうかな?」

「俺は賛成かな」

「とはいえ、ライブまで残り1週間切ってる。

今からアレンジして仕上げまで考えると…

結構ギリギリだな。」

 

 

 

既存曲のおさらいも含めると

巴の言うとおり、1週間足らずでアレンジと仕上げを

やるには生半可な練習じゃ間に合わない

ほとんどのバンドはそんな無茶なことはしないだろう

 

 

 

「……難しいことだっていうのは分かってる。

でも、それでもあたしはこの曲をやりたい

この曲であたしの…ううん、あたし達の

本気を見せたいの!」

 

 

 

蘭の気持ちは本物だろう。言葉通り

難しいのも承知のはずである

 

 

 

「あたしは今までいろんなことから逃げてきた

父さんからも…それからみんなからも。」

 

 

 

蘭の言葉は続く。

下らない口喧嘩だったけど逃げずに

ぶつかって向き合って、怖かったけど

みんなもぶつかり合って

その存在がいかに大事だったか

 

 

 

「だからこそ……この6人で、この曲で父さんに

その思いをぶつけたいの……わがままな自覚は、ある」

「今の蘭の気持ちはワガママなんかじゃないよ

ワガママだとしても、蘭のワガママは

今に始まったことじゃないし……」

「かーくん!それはシーッ!だよ!」

「……」

 

 

 

ひまりがさらにえぐっていく

俺は知ーらない

 

 

 

「あっ…な、なんでもなーい!」

「ひまり、それはないぞ…」

「言い初めはかーくんじゃん!!」

「と、とにかく…!ライブに向けて

この曲も練習始めようよ!」

 

 

 

つぐの声で我にかえる

話をそらしてる場合ではなかった

 

 

 

「んーーー!!燃えてきた!

本番まで忙しくなるぞー!」

「つぐはあんまりツグりすぎちゃダメだからねー?」

 

 

 

なんだツグるって、つぐは動詞になったのか?

言われた本人、困惑してるじゃないか

蘭だけが分かってる感じがする

 

 

 

「まぁいつもの2人って感じだな」

 

 

 

ライブに向けてさらにみんなが

1つになったような気がする

ライブ本番まで俺もしっかり支えてかないと…

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

ガルジャム当日、会場前

 

 

 

「ここがガルジャムの会場…」

「ううっ、緊張してきちゃった…」

「まだ外だぞ、緊張するには早い早い」

 

 

 

まだステージどころか楽屋にすら入ってない

緊張するにはまだ早い

 

 

 

「奏くんは緊張してないっぽいね」

「ん?そりゃそうだろ。俺が演奏するわけじゃなし」

「うわっ、かーくんひどいっ!」

「うるさいぞ、ひまり。

それに俺が緊張してたら意味ないだろ?メンバーみんなの

精神的なところもケアするのが俺の仕事なんだから。

あとはまぁみんななら大丈夫だって信じてるし」

 

 

 

この日のためにたくさん練習してきたんだ

今までやってきたいつも通りの演奏が出来れば

怖いものなんてないと思ってる

 

 

 

「奏が珍しくいいこと言ってる」

「ここに来てまで喧嘩売ってるか、蘭?」

「別に…」

「ほらほら、奏に蘭も、早く入るぞ」

 

 

 

巴に急かされて楽屋へと向かう

これで緊張がほぐれてるといいけど

 

 

 

─────────

 

 

 

「なに、これ……」

「『美竹 蘭様 祝・ご出演』…?この花ってもしかして……」

「楽屋花、か?」

 

 

 

よく有名アーティストのライブイベントだったりで

個人や団体で、出演する演者さんたちに花を贈る

企画がある、というのをSNSで見たことがある

フラワースタンド?とかと同じ類のやつか…?

というか、Afterglowに贈る人なんてもはや

1人に絞られてくるのだが…

 

 

 

「蘭のお父さんから…だよね」

「立派な花だな。蘭、頑張れよ」

「ライブ、ますます頑張らないとね、蘭ちゃん!」

 

 

 

そう、蘭のお父さんである

 

 

 

「ね、蘭ちゃん!」

「……マジ、サイアク」

「やっぱ嬉しいんだろ、娘の晴れ舞台と言うやつは」

 

 

 

あれだけバンド活動を反対していたのに

しれっと花を贈るあたり、やっぱり親子だなぁと

 

 

 

「奏、何か言った?」

「いいえ、なーにもー」

「あ、あははは…」

「…つぐ、大丈夫か?」

 

 

 

急に声が聞こえなくなったつぐの方を見てみると

怯えきった子犬のような顔、と表現が似合うような

そんな顔をしていた。

 

 

 

「つぐ、そんなに緊張しなくても…」

「奏くんー…。だって緊張するよぉ……」

「つぐが頑張ってるのは俺が一番見てきた。

だからつぐなら大丈夫だって信じてる。

俺が信じてるんだから、大丈夫だよ」

「……うん、ありがとう。頑張るね!」

「ひゅーひゅー」

 

 

 

モカはなにを言ってるかわからないが

そんなこんなで話してるうちに

スタッフさんがやってきた

 

 

 

「すみませーん!イベントの段取りについて

打ち合わせしたいので各バンドの

代表の方、お願いしまーす!」

「だってよ、ひまり」

「……だって、ひーちゃん」

「え!?私?かーくんじゃなくて?」

 

 

 

バンドの代表、と言ってたからここは

リーダーがいくところだろう

Afterglowのリーダーは、ひまりだ。

なんか変なテンションでひまりが出て行った

 

 

 

「……てか、リーダーってひまりだよね?」

「蘭か巴かって思われてるんじゃないか?」

「いや、うちのバンドのリーダーはひまりだよ」

 

 

リーダー=ボーカルっていうイメージがあるから

蘭だと思われてもおかしくはない

そんなことを思ってたらまたスタッフさんが

声をかけてきた

 

 

 

「あのー…美竹蘭さんはいらっしゃいますか?

差し入れに、と中年の男性の方が先ほどこれを…」

 

 

 

とスタッフさんから差し出されたのは

有名なドーナツ屋さんのドーナツである

 

 

 

「おいしそー。あたしコレとっぴーねー」

「じゃあ俺これ貰おっと」

「マジ…恥ずかしすぎ……!」

 

 

 

これも蘭のお父さんからであろう

よくここまでやるよな…

 

 

 

「いいお父さんだな。」

「あっははは、そうだな!」

 

 

 

なんていいつつドーナツの取り合いをしていたら

ひまりが戻ってきた。ちなみにひまりのドーナツは

モカの胃袋の中に消えた

 

 

 

「みんなー、ちょっとセッティングのこと話したいから

ステージの方に来てー!」

「モカ、口にドーナツついてる」

「おしゃれでつけてるのー」

 

 

 

口にドーナツつけるおしゃれなんてあってたまるか

 

 

 

 

 

 

─────────

 

 

 

 

「いよいよ次が私たちの出番かあ……」

「会場の熱気は十分だな」

 

 

 

とうとうAfterglowの出番だ

 

 

 

「つぐ、いいこと教えてあげよっか。お客さんはねー

全部パンだと思えばいいんだよー」

「そこは野菜とかじゃないのかよ」

 

 

 

いつもおいしそうなパンが並んでると思いながら

やってるとかいつか飛び込みそうで心配だ

 

 

 

「ふふーん。ひーちゃんの顔も丸くて

パンみたいだなー」

「ひまり、モカに食べられても知らないぞ」

「モカもかーくんもひどいー!!」

 

 

 

そんなこんなで演奏が終わる

とうとう本当にAfterglowだ

 

 

 

「じゃあ、俺は観客席から見てるから、頑張れよ。」

「……みんな。『いつも通り』…最高の演奏、しよう」

 

 

みんながステージへと向かうなかつぐだけが戻ってきた

 

 

 

「どうした、つぐ?」

「あっ、えっと、手借りてもいいかな?」

 

 

 

何がしたいのかわからないがとりあえず手を差し出す

そうするとつぐは手を握って……

 

 

 

「……よしっ、ありがとう!」

「おう?頑張れ!」

 

 

 

 

観客席に向かうと会場はすでにすごい熱気であった

このなかでAfterglowが演奏を。

 

 

 

「……今、この瞬間から、会場の熱をすべてあたし達の

モノにする。見逃さないでついてきて!いくよ!」

 

 

 

蘭の掛け声とともに曲が始まる

1曲目は『That is How I Roll!』

 

 

 

「(蘭のやつ、絶好調だな。完全に吹っ切れて

思いっきり火がついたみたいだな)」

 

 

 

2曲目『Don't say "lazy"』

 

 

 

会場の盛り上がりは更に増す

曲が終わるころにはAfterglowを賞賛する声が

ちらほらと周りから聞こえてきた

 

 

 

「……次で最後です。」

 

 

 

これで最後、あの日蘭が提案してみんなで頑張って

作り上げた新曲

 

 

 

「あたしが、道に迷った時……そばにはいつも

メンバー達がいてくれた。今ここに立っていられるのも

ここにいる4人、そして観客席にいるもう1人の

メンバーの5人のおかげだって思ってる

……みんな。あたしはもう迷わない。

どんなに迷っても、もう逃げたりしない」

 

 

 

 

改めて言われると、こうなんだ照れるな

なにかしてあげられたのか正直不安なところであったが

こう言われると、うん、最早泣けてくる

 

 

 

3曲目『True Color』

 

 

 

あの日があったからこそできた曲

大事なのは見守るのではなく本気でぶつかること

それぐらいじゃ本物の絆は変わらない、壊れない

 

 

 

 

─────────

 

 

 

「この状態でみんなに会うのか。モカやひまりに

なんて言われるか…」

 

 

 

会場は大盛況、会場の空気をAfterglowが持って行った

だからこそ…

 

 

 

「リハでも聞いてたのにまさか泣くなんて…」

 

 

 

泣きすぎてもはや目が赤いレベルだ

なんとか隠さないと、絶対いじられる

 

 

 

「みんな、お疲れ」

「奏くん!ありがとう!目赤いけど大丈夫」

 

 

 

まさかのつぐに突っ込まれる事態

なんとか逃げなければ

 

 

 

「ほら、ひまり泣くな。ライブの度に泣いてるんだから」

「うっ…かーくんだってぇ、泣いてたでしょー!」

「いや、俺は…泣いてない!」

「2人とも面白いなー。あ、写真撮っとこ」

 

 

 

 

と、ライブの余韻に浸ってると楽屋に

蘭のお父さんがやってきた

 

 

 

「…父さん」

「お久しぶり、ですかね」

「こんにちは奏くん。みなさんも…いつも

蘭がお世話になってます」

 

 

 

それはもうめちゃくちゃお世話してますなんて

言うと空気が壊れるからと思ったらモカが案の定

その言葉を放り込んだ。

 

ちゃんと会場には来ていたらしい

高校生が趣味でやってるバンドはたかが知れてる

と思ってたらしいが、どうやらこのライブで

考えが変わったらしい

蘭の思いが、伝わってよかった

 

 

 

「…お前は、いい仲間に恵まれたな」

「…っ!ありがとう、ございます…!」

 

 

蘭のバンド活動を認めてくれた

本当に、よかった…

 

 

 

「やばい、泣きそう」

「うっ、うっ…よかったぁっ!」

「それではこれで失礼するよ」

 

 

 

そういうと蘭のお父さんは楽屋から出て行った。

 

 

 

「さっ、早く片付けて帰るぞ…」

「奏くん、泣いてる?」

「そういうつぐこそ」

 

 

 

あんなライブ見せられて、蘭の思いが伝わって

泣かないわけ、ないだろう…

 

 

 

 

 

─────────

 

 

 

 

帰り道、小さい頃よく遊んだ公園に寄ることになった

 

 

 

「あの頃のままだな」

「ほんとだね!なんかこうして変わらないまま

あるのって嬉しいなあ」

 

 

 

時が経てば変わるものもあるし変わらないものある

昔遊んだ公園もその一つ

でも変えなきゃいけないものもある

Afterglowのように。あの喧嘩があったから

変われた、新しいAfterglowに

どんなことがあってもAfterglowは変わらない

でも何かを変えることができる

 

 

 

「せっかくだから目標とか考えるか?」

「目標、かー。新曲作るぞー!とか?」

 

 

 

それは目標というかただの予定な気が

 

 

 

「あ、あのっ!」

「お、なんか思いついたか?」

「目指せ、武道館!とかどうかな?」

 

 

 

 

武道館…そりゃバンドといえば武道館

みたいなイメージはあるが…

 

 

 

「急にスケールが大きいな!でも、いいと思うよ」

「ふふっ、こういう言い出しっぺって

だいたいつぐみだよね」

 

 

 

そう、バンド組もうという話も、ガルジャム出ようと

後押ししたのも目指せ武道館も、何かの始まりには

いつもつぐがいた。

つぐがいるからこそどんどん前に進んでいける

 

 

 

「んーー!なんか私Afterglowに無限の可能性を

感じてきた!!やるぞーー!」

 

 

 

いつものひまりのやる気満々キャラである

 

 

 

「…これは、くるよ」

「あぁ、来るな」

「だよねー」

 

 

 

そう、これがいつも通りの日常

変わらないものもたしかにある

 

 

 

 

「よーっし!頑張るぞー!えい、えい、おー!」

「「「「「……」」」」」

「ええっ!?さすがに今回は

全員言うと思ったのにー!?」

 

 

 

うん、いつも通りだ

こうやってこの日常は変わらずにみんなで

過ごしていけるといい、かな




ここはひとつにまとめたかったので5000字超えちゃいました
キリよく10話(途中Roselia入りましたが)
UA5000超えお気に入り70件本当にありがとうございます
拙い文章だと思いますがこれからも読んでいただけると嬉しいです
ツイッターやってます。私のページに飛んでもらえると
IDが載ってるのでぜひよろしくお願いいたします
ではまた次回。


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幼馴染と引きこもりたかった休日

短め


「よし、編集完了っと」

 

 

 

ガルジャムが明けた休日

どこかに出かけることもなく撮影してた動画の

編集作業をしていた。

最初はNFOだけの動画だったけどほかの携帯アプリ

などの動画もあげている。

広告収入がつけられるくらいは再生数があり

割と、稼いでると思う。

ちなみに知っているのは母さんと燐子さん

それにあこちゃんぐらいである。

Afterglowのみんなに知られると、

めんどそう(主にモカとひまり)なので言ってない

 

 

 

 

「特にやることもないし、何本か撮り溜めでも

してやろうかなー…」

 

 

 

───ピンポーン

 

 

 

なんて思ってた矢先の来客である

母さんは仕事…何か頼んだ覚えもないし誰だ?

 

 

 

「やっほー、かーくん。出かけるよ!」

「あ、すみません。販売なら間に合ってます」

 

 

バタン、ガチャッ

 

 

うん、なにもなかった。

今日は─ピンポーン─引きこもるって─ピンポーン─

決めてるんだ─ピーンポーン─

 

 

 

「うるせぇぞ!ひまり!」

「いきなり閉めるのはひどいよ!かーくん!」

「そうだぞ、奏」

「ありえない」

「蘭、巴。どうしたんだよ」

 

 

 

急な来客の後ろには蘭と巴もいた

聞くところによるとつぐとモカはバイトらしい

後で顔出しに行くか

 

 

 

「で、今日の俺は引きこもる予定なんだけど」

「そういうのいいから早く準備して」

「俺の予定は無視ですか…」

「どうせ暇だろ?」

「巴まで…」

 

 

 

動画のことを言っても後でめんどくさくなるだけなので

諦めて出かける準備をする

 

 

 

 

─────────

 

 

「で、結局羽沢珈琲店かよ」

 

 

結局連れてこられたのは羽沢珈琲店である

どうせまた何かひまりが思いついたのであろうと入店する

 

 

 

「イラッシャイマセー!何を握りやしょー!」

「じゃあ、マグロでお願いしようかな」

「イヴちゃん、だからここお寿司屋さんじゃないから

奏君も乗っからないでよぉ…」

「悪い、つぐ。いつものノリで」

 

 

 

店に入って出迎えてくれたのは若宮イヴちゃん

フィンランドと日本のハーフでスタイルも良く

現役モデルで活躍中である

日本の文化を学ぶために日本に来て

モデルをやりながら羽沢珈琲店でバイトしてるらしい

好きな言葉は“武士道”らしい

 

 

 

 

「で、ここに集まって話すことってなんだ?」

「ほら!もうすぐゴールデンウィークじゃん!

Afterglowのみんなでどっか遊びに行きたいなって!」

「それグルチャでよくないか…」

「そうするとどっかの誰かさんが返事しないからって

こうして集められたんだよ…」

 

 

 

たぶんこれ蘭と巴も連れまわされたパターンか

苦労するな…。他人事じゃないけど。

ちなみに返事をしないのは俺だけである

用件があるときにしか使わないから、ライブなどの話には

参加するけれども…

まぁNFOに熱中しすぎて返事しないというのもある

 

 

 

「で、どこか行くあては?」

「遊園地!」

「却下」

「なんでよー!」

 

 

 

休日の遊園地なんて滞在時間のほとんどを

並ぶことに費やされる。

ましてや大型連休となると人の数は

とんでもないことになるだろう

 

 

 

「ゴールデンウィークは練習以外は引きこもるって

決めてるんだ俺は。」

 

 

 

色々撮影もしたいしGWにもNFOには

イベントがあるので時間のあるときは

そっちにつぎ込みたい

 

 

 

「かーくんの引きこもり!ニート!」

「俺はまだ健全な高校生だぞ…」

「私は奏君と出かけるのが好きだから、1日だけでも

空けてくれると嬉しい、かな…」

 

 

 

つぐまでひまりの味方か…

 

 

 

「蘭と巴は?」

「あたしは遊園地は微妙だけど、みんなと

どこかに出かけるのは賛成」

「アタシは遊園地でもどこでもいいけどな!」

 

 

 

あぁこれ俗に言う四面楚歌ってやつか

1対4ではさすがに敵わない

 

 

 

「はぁ、わかったよ。1日だけな」

「やった!ねぇ、つぐ!?」

「え、あぁ、うん!」

 

 

 

つぐ、大丈夫か?ひまりに言わされてないか?

ていうかモカ抜きで話してて大丈夫なのか?

 

 

 

「あ、ちなみにモカにはもう言ってあるから

大丈夫だよ!OKだって!」

「そうですかい…」

 

 

 

初めから勝ち目のない戦いだったらしい

 

 

 

 

─────────

 

 

 

『ということがあってさ(´・ω・`)』

『いいないいなー!あこも遊園地行きたいー!』

『あこちゃんは練習でしょ( ^∀^)』

『うぅー、りんりんー!』

 

 

 

いつも通りにチャットであこちゃん、燐子さんとで

会話をしていた。

 

 

 

『バンドのメンバーとは行かないんだ?』

『うぅー、聞いてよ、りんりんー!

リサ姉と一緒に誘ったんだけど、友希那さんも

紗夜さんも「そんな暇はありません」って…』

『あははは…』

 

 

 

まぁ確かにあの2人には無縁の場所っぽいな

 

 

 

『今回はAfterglowだけって話だしあこちゃんは

また今度行こうな?』

『やったー!約束ですよ!あこと、彼方さんと

りんりんの3人で行きましょう!』

『あこちゃん、私も?((((;゚Д゚)))))))』

『うん!』

 

 

 

頑張れ、燐子さん…

 

 

 

『さて、この辺でおひらきにしますかね』

『うん、そうだね』

『はーい!明日も練習だから頑張らなくちゃ!』

 

 

 

ふぅ…と一息ついてからリビングへと向かう

母さんが仕事から帰ってきてた

なにやらポスターを片手に

 

 

 

「おかえり、母さん。そのポスターは?」

「ただいま。あのね職場の人からもらってね!

あの白鷺千聖ちゃんと丸山彩ちゃんと若宮イヴちゃんが

アイドルバンドをやるんだって!

せっかくだからポスター貰って来ちゃった!」

「へ、へぇ…」

 

 

 

相変わらずの熱心ぶりで…

そのポスターを見せてもらうと

バンド名はPastel❇︎Palletes

母さんがよく応援してる白鷺千聖、丸山彩、

イヴちゃんの他にドラムは見たことない人で

ギターは……ん?

 

 

 

「氷川、さん?」

「あぁ氷川日菜ちゃん?最近オーディションで

受かった子なんだって!ドラムの子も可愛いし

ほんっと楽しみだわぁ」

 

 

 

あぁ別人か、顔が瓜二つだからてっきり

アイドルも掛け持ちするのかと思った

いや、ありえないか。あの堅物がアイドルなんて

天地がひっくり返ってもありえないだろう

 

 

 

「今月末ライブあるから、行くでしょ、奏?」

「え、今月末!?早くないか?」

「あら?蘭ちゃんたちと予定でもあった?」

「いや、それはゴールデンウィークの5月だから

問題ないんだけどさ」

 

 

結成間もないはずなのにもうデビューさせるのか

イヴちゃんがキーボード出来るなんて話

一度も聞いたことないし…

 

 

 

「気になるから行く」

「あら、めずらしいわね」

「色々あるんだよ」

 

 

 

氷川さんに似てる人も気になるし

とりあえず行ってみるしかないかな




ガルスタ祭1日目ふらっといるので
行かれる方は楽しみましょう
2日目はAqours 5th loveliveにいます


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鍵盤少女と秘めた決意

なんでRoseliaになると文字数が多くなるのかと考えてたら
確実にりんりんの会話の「……」だった
まぁ公式だから!(白目)


「なんで俺呼ばれたんですかね…、今井さん」

「まぁまぁそう言わずに、さっ?」

 

 

 

正確に言うと今井さんからではなく

あこちゃんから

「彼方さん!今からスタジオに来てください!」と

詳細な用件がないままメッセージが届いて

それで来たのだが、面子が面子だけに

嫌な予感しかしない。

ガルジャムから数日、休む暇はなさそうである…

 

 

 

「で、またバンドにはいれと言うんですか湊さん」

 

 

目の前には以前バンドにスカウトしてきた湊さん

 

 

「私は反対です、こんなチャラそうな人」

 

 

いつになったらそれ払拭してくれるんですかね、氷川さん

 

 

「まぁまぁ紗夜落ち着いて。いるくらいは、さっ?」

 

 

大変そうですね、今井さん

 

 

「あっ!彼方さんポテト美味しいですよ!食べます?」

「うん、食べる。ありがとう」

 

 

呼んだ張本人は君だよ、あこちゃん?

ていうかどこで買ってきたんだい?

 

 

 

「ここに呼んだのは他でもないわ」

「丁重にお断り申し上げます」

「まだなにも言ってないわよ」

 

 

 

いや、どうせまた湊さんのことだから

バンド入れとかでしょう。

お断りしたじゃないですか…

 

 

 

「あなたに私たちのバンドに入れるのは

諦めたわけじゃないけど別で優先することがあるわ」

「そうですか…」

 

 

 

何となく察した。このバンドに足りないもの

ボーカル、ギター、ベース、ドラムときたら

圧倒的に足らないものが1つある

 

 

 

「DJですか」

「何をいってるのかしら」

 

 

 

その顔怖いんでやめてもらっていいですかね…

無表情にはとても思えない

いやまぁDJは冗談で言ったのだが…

 

 

 

「まぁDJは冗談だとして…キーボードですか」

「えぇそうよ。知り合いにキーボード、ピアノでもいいわ

弾ける人がいたら紹介してほしいのよ」

 

 

 

バンドメンバーを集めることが優先事項

心当たりはいるといえばいる…のだが

 

 

 

「いたとしても紹介は出来ないですね」

 

 

 

ピアノは弾けるけどブランクがある

人見知りで奥手で…。紹介はとても出来ない

 

 

 

「そう、もし思い出したとかだったら

紹介してちょうだい」

「…善処します」

 

 

 

たぶん、しない

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

『ほんと最近のあこちゃんの話しは

バンドのことばっかりだね。楽しそうでなにより』

『そうだね。本当に、楽しそう』

 

 

 

数日後NFO終わりのいつものチャット

最近はあこちゃんのバンドの話でもちきりである

楽しそうに話すあこちゃんは本当に羨ましい

 

 

 

『では特別に、我が同朋、りんりんと彼方さんにだけ

演奏中のバンドを見せてしんぜよう』

 

 

 

とそこに一本の動画が送られてきた

練習風景も、上を目指してるって感じでカッコいい

 

 

 

 

『なんか、最初聴いた時よりうまくなってないか?』

『全員でひとつの音楽を作り上げてるって感じがする』

『…………』

 

 

 

 

さっきまで元気に話してたあこちゃんからの

応答がない、しばらくすると画面には

応答なしの文字が

 

 

 

『ありゃ、寝ちゃったかな』

『そうみたいだね』

『時間も時間だし俺も寝るかな』

『うん、おやすみなさい』

 

 

 

そう言ってチャットを閉じ寝る準備に取り掛かる

ガルジャムが終わったからと言って

練習がなくなるわけではない。

明日からまたAfterglowは練習だ

また頑張ろうっと思って布団に潜り込もうとすると

 

 

 

〜〜♪

 

 

 

「えっ…?」

 

 

 

突如として聞こえてきたのはピアノの音

音の出所はすぐ近く、隣の家

 

 

 

「燐子さん!!」

「えっ……!彼方くん……聞いてたの……?」

 

 

 

燐子さんの部屋からであった

窓を勢いよく開けたのにびっくりしたのか

演奏が止まる。

 

 

 

「あっ、えっと聞いてたというか、聞こえたというか」

「ふふっ……。あこちゃんから……送られてきた

動画を見てたらね……。この演奏に……

あこちゃんのドラムに……私のピアノを入れたら

どうなるんだろう……って思ったら、指が動いてたの」

 

 

 

昔から聞いていたからわかる

燐子さんのピアノは本当に上手い。

ブランクはあるけど、おそらくあこちゃんのバンドに

入っても、上手にやっていけると思う。

 

 

 

「燐子さんは、また弾きたい?」

「えっ……?」

「この間、湊さんと会ってさ。キーボードできる人を

探しているんだって。だから…」

「そんな……私には……バンドなんて……」

 

 

 

それもそうだ。

燐子さんは人の前に立つようなことは好まない

湊さんを見に行った時も顔面蒼白になってたぐらい

人が苦手なのだ。

 

 

 

「そっか…でも、考えといてよ。

燐子さんのピアノ、今でも好きだから。」

「……ありがとう。もう……遅いから

寝るね……おやすみ。 」

「うん、おやすみ」

 

 

 

あのバンドの演奏に燐子さんの演奏が混ざったら

果たしてどうなるのだろう。

今の自分では何も後押しできないのが

すごくもどかしい。なにかあれば…

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

「(やっぱり何度弾いても、あこちゃん達の演奏と

合わせるの、楽しい……不思議な感覚……)」

 

 

 

あれから……あこちゃんから送られてきた

動画を見ては演奏に合わせてピアノを弾くことが

日課になってました

 

 

 

「(また弾くようになったら……バンドに入ったら

彼方くんは……応援してくれるのかな)」

 

 

 

なんて考えていたらもう夜も遅い時間になってました

熱中しすぎて時間も忘れるくらいに

するとあこちゃんから突然電話がかかってきました

 

 

 

「もしもし……あこちゃん……?」

「りんりーん!助けてーーっ!

キーボードが見つからないんだよーっ。

ライブが決まったのに!りんりんの知り合いでいない?

キーボード弾ける人!ピアノでもいいんだ!

でも、上手い人じゃないとバンドに入れなくて…」

 

 

 

「……!そう……だよね……」

 

 

 

ピアノなら、私が弾ける。

でも、真剣にやってる友希那さんのバンドに

部屋で1人で弾いてたわたしが入っても迷惑を

 

 

 

「えっ、りんりん?そうだよねってことは

誰か知ってるの……!?」

「えっ……わ、わたし……わたしは……」

 

 

 

でも、わたしのピアノを、演奏を好きだと

言ってくれる人がいる。わたしの演奏を

あこちゃんたちのバンドの演奏に

実際に合わせたらどうなるのか気になる

 

 

 

───燐子さんのピアノ今でも好きだからさ

 

 

 

また弾けたら、昔みたいに笑ってくれるかな

歌って……くれるかな。

 

 

 

「…って、そんなうまい話ないよね。

あのね、もし、めちゃくちゃ上手な人がいたら

あこに教えて……」

 

 

 

……わたしが……変わらなきゃ……

 

 

 

「……ける……」

「りんりん?」

「ひ、弾ける……!わたし……弾けるの!」

「ええっ!」

 

 

 

そういえばあこちゃんには…言ってなかったっけ

 

 

 

 

─────────────────

 

 

 

「あ、彼方さん!こっちこっち!」

「今度はなんだい、あこちゃん。それに燐子さん」

 

 

 

あこちゃんからまた「スタジオに来てください!」

なんてメッセージが届いたから行ってみると

例のバンドのメンバーと、燐子さんがいた

 

 

 

「りんりんがピアノ弾けたなんて驚きだよっ!

何年も付き合ってるのに全然知らなかったぁ

彼方さんは知ってましたー?」

「うん、付き合いならあこちゃんより長いし

なんなら、家隣だしね」

「えーっ!それも知らなかった!!」

 

 

 

 

まぁ言う機会がなかったからな…

 

 

 

「おっこの子が燐子ちゃん?あこの友達っていうから

なんてゆーか、似たよーなタイプの子想像してたけど」

「りんりんはすっごいんだよっ!

ネトゲでは無敵なんだから!」

 

 

 

あこちゃん、キーボードとネトゲは関係ないからね…

 

 

 

「てゆーか、奏。あこの時といい今日といい

なんだかんだでうちにいるね?

友希那の誘いノっちゃえば?」

「それはお断り申し上げます。さっき言ったように

燐子さんとは長い付き合いなだけなので」

 

 

 

湊さんといい今井さんといい何故諦めてくれないんだ

 

 

 

「それより、音楽の話が聞きたいわ。

燐子さんといったかしら?課題曲は

あなたのレベルに合ってた?」

 

 

 

友希那さんに話しかけられて完全に緊張してしまってる

こういう場に来ることも珍しいし

氷川さんと同じクラスで今初めて話すのか…

 

 

 

「宇田川さん。本当に大丈夫なんでしょうね?」

「りんりんはあこの戦友で大大大親友ですっ!

だから、あこは絶対大丈夫って信じてます!」

「俺からも。燐子さんの演奏は信じていいです。

昔、ずっと隣で聞いてましたから。」

「……っ!あこちゃん、彼方くん……」

 

 

 

「あなたが言うのなら信じてもよさそうね

オーディションは1曲だけよ。わたしたちの

技術に見合わなければ、帰ってもらう」

「はい……がん……ばり……ます」

 

 

 

 

話が終わってスタジオに入り準備が始まる

ここまで来たら上手くいくことを祈るしかない

 

 

 

「いきますよ。白金さん、いいですか」

「は……はい……」

 

 

 

氷川さんの言葉に合わせて演奏が始まる

その演奏はまるであこちゃんのオーディションの

ときと同じ感じでそのバンドにしか出せない音

驚きの表情と笑顔。あの常時無表情の友希那さんでさえ

笑顔で歌っている。キーボードを弾いてる燐子さんも

楽しそうに弾いている。

 

 

 

 

「なんか、すごかった。4人より」

「こんなこと、何度も、おかしいわ」

 

 

おかしいと言いつつやはり合格なのである

あこちゃんから送られてきた動画で

何度も練習してたらしい。

 

 

 

「いいわ、あこ、燐子さん、……リサ

あなた達も含めて、一度この5人でライブに出る」

「ラ、ライブ……!?うそ……」

 

 

あ、これなにも聞いてないやつか…

 

 

「やったねー!じゃあ燐子ちゃん、いや、燐子。

これからよろしく……って燐子?どうしたの慌てて

なんか顔色悪いよ?あこ、ちゃんと説明した?」

 

 

 

()()()というワードを聞いて

顔面蒼白になる燐子さん。今回誘ったのは

あこちゃんらしいが……

 

 

 

「したよーっ!バンドしよって!

スタジオであこ達と一緒にキーボードを弾きに来てって!」

 

 

 

うん、間違いなく説明不足である

まぁバンド活動という以上、一定のライブなどは

考慮してたはず……

 

 

 

「わたし……そこまで…考えて……」

 

 

 

はなかった…

一体なにが燐子さんをここまで突き動かしたのだろう

 

 

 

「なら、帰って。どんなに力があっても

やる気のない人間に割く時間はない

他のキーボードを探すだけよ」

 

 

言い方には棘があるが実際は正しい

だからこそ、以前のスタジオで紹介できなかった

っていうのもあるのだが…

 

 

「燐子さん、無理はしないほうが…

燐子さんの演奏は、聴きたいけど。無理してまでは…」

「……っ……わ、わたし、弾きたい!」

 

 

 

燐子さんの大きな声、ひさびさに聞いた気がする

人見知りでおどおどしてるように見えるが

芯はしっかり持っており、一度決めたことはやり通す

心の強さを、持っている。

 

 

 

「わ、わたし……みなさんと……弾きたいです…っ

が、がんばります……お、おねがい……します…っ!!」

「燐子さん……」

 

 

 

また、燐子さんの演奏が弾けると考えると

ワクワクしてきた、してきたのだが

 

 

「(理由はどうにしろ、燐子さんも前に進んでる

蘭もAfterglowのみんなも前に進んでる。

なのに、置いていかれる…俺だけ進めないまま

いつまでも、昔のトラウマを引きずったまま…)」

 

 

 

そんな思いを余所に時は過ぎていく。




時期的にはここまでまだ1ヶ月経ってないです
前話のパスパレのライブの話の大体1週間ぐらい前だと
思ってもらえれば


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天才少女と双子の苦悩

ガルスタ祭で限界オタクに成り果ててました


「Roselia、青薔薇。不可能を成し遂げる、か」

 

 

 

燐子さんも無事にバンドに加入した数日後

湊さんのバンドはRoseliaという名前になり

すでにライブをおこなったそうだ

燐子さんになぜ教えてくれなかったのか聞いたら

「もっと大きな舞台で聞いてほしい」だそうで

 

 

 

 

はぁ…とため息をついた横目には以前母さんが

持ってきたPastel❇︎Palletesのポスターが貼られていた

 

 

 

「そういえば今週末か、ライブ」

 

 

 

そう、今週末はPastel❇︎Palletesのライブである

つくづく思うのだが、いろんなバンドが

ライブしすぎじゃないか…。いやまぁライブしないと

バンドやってる意味がないのだが

 

 

 

「おっと、すみません。大丈夫ですか?」

「………」

 

 

 

色々考えながら帰ろうとすると人とぶつかってしまう

ぶつかってきたことに怒ってるのか水色の

ショートカットの女の子は黙り込んでしまう

……あれ?どっかで見たことあるような

 

 

 

「あの、大丈夫ですか?」

「……るんってきた!」

「はぁ!?」

 

 

 

る、るん?なんだこの人、モカと同じタイプか?

 

 

 

「ねぇねぇ!()()()()()のポスター見てたでしょ!」

「あたしたち…??」

 

 

 

その子とポスターを見比べてみると…

 

 

 

「あぁ…氷川、日菜?」

「あっ!あたしの名前知ってるんだ!」

「まぁ、はい…」

「まぁいいや!来て!」

「えっ、ちょっ!」

 

 

 

そう言われ腕を掴まれ強引に引っ張られる

モカと同じなんて前言撤回

モカよりタチが悪い!

 

 

 

 

─────────

 

 

 

「……日菜ちゃん、説明してくれるかしら」

「るんっ!てしたから連れてきちゃった!」

「あのね…」

 

 

 

なんと連れてこられたところはアイドル事務所

目の前にはあの白鷺千聖がいる

 

 

 

「うちのメンバーが迷惑をかけました」

「いえ、自分も止められれば良かったんですが…」

 

 

 

正直テンパっててそれどころじゃなかった

まさかこんなに強引にこられるとは思わなかった

長居は無用だし帰ろうとすると

 

 

 

「タノモー!」

「イ、イヴちゃん、だからここ道場じゃないから…」

 

 

 

あ、嫌な予感がする

 

 

 

「あっ!カナデさん!なぜここに?まさかカナデさん

ドージョーヤブリですか?」

「やぁイヴちゃん、道場を建てた覚えはないし

そこのピンクの人が言ったようにここは道場じゃないから」

「イヴちゃん、知り合いかしら?」

 

 

 

おいこれ収集つくのか…

 

 

 

「チサトさん!オハヨウゴザイマス!カナデさんは

ワタシがアルバイトしてるお店のジョーレンさんです!

いつも仲良くさせてもらってます!フーフです!」

 

 

 

いきなりとんでもない爆弾を投下しやがった

白鷺さんのほうを向くと、そう例えるなら

般若のような形相でこちらを見ていた

 

 

 

「奏さんと言ったかしら?どういうことか

説明していただけるかしら?」

「うーん、どっちの誤解から解こうかな!?」

 

 

 

 

──────────────────

 

 

 

「そう…失礼したわ」

「納得してもらったようでなによりです…」

「イヴさんらしいっすね!」

 

 

 

説明すること約10分、なんとか誤解は解いてもらえた

大和さんの言う通り、イヴちゃんらしいのだが…

 

 

 

「ヒマリさんがカナデさんとワタシのカケアイは

まるでフーフのようだと…」

「うん、夫婦漫才のことだね。ひまりの言うことは

あんまり鵜呑みにしないほうがいいよ」

 

 

 

後でひまりには言っておくか…

 

 

 

「じゃあ、長居しても仕方ないし帰ります」

「えーっ!せっかくるんっ!ってきたのに…」

 

 

 

だからなんだるんって…

 

 

 

「えぇ、そうね。マネージャーさんに見つかったら

余計に面倒なことになりかねないわ」

 

 

 

白鷺さんが常識人で助かった…

 

 

 

「あ、白鷺さん、丸山さん。うちの母親が

ずっと応援してて、ライブも行くっていってるんで

楽しみにしてますよ、ライブ」

「…っ、そう。ありがとう…」

 

 

 

なにやらライブの話をしたらメンバー全員の顔が

急に暗くなってしまった

また、地雷を踏んでしまったのか?

 

 

 

 

「あ、ありがとう!頑張るね!」

「はい。じゃあこの辺で…」

 

 

 

丸山さんが暗い空気を払拭するように笑顔で話す。

うまくいってないのだろうか?

 

 

 

 

──────────────────

 

 

 

ここ数日、明らかに密度の濃い日々を

過ごしてるような気がするが、気のせいだろうか

燐子さんがバンドに加入し、Pastel❇︎Palletesの

メンバーに会い…。

数こそ少ないものの内容が濃すぎる。

なんだよ、特にアイドルに会うって…

 

 

 

「あれ?氷川さん?」

「彼方さん、ですか。帰りですか?」

「えぇ、まぁ。それよりそのポスター…」

「…っ!」

 

 

 

Pastel❇︎Palletesのポスターの前に立っていた氷川さん

ポスターの話をすると顔が強張る。

 

 

 

「そういえばさっきそのポスターの水色の髪の子に

連れ回されましたよ。今はその帰りです」

「そう…ですか。妹がご迷惑を」

「…はい?」

「…?ですから妹がご迷惑をおかけしました」

 

 

 

 

今なんて言った?妹?いや、苗字は同じだし

顔はよく似てるけれども…

 

 

 

「…?紹介されなかったのですか?その水色の髪の子

氷川日菜は、私の双子の妹です」

 

 

 

 

本日2度目の爆弾投下、双子の妹だって?

 

 

 

「え、まじですか」

「えぇ、まじです」

 

 

 

双子でこんな性格が真反対ってあるのか…

 

 

 

「それより彼方さん。」

「なんでしょう?」

 

 

 

ここでまさかの氷川さんの口から

思いもよらない言葉が

 

 

 

「少しお時間ありますか?

お話を聞いていただきたいのですが」

 

 

 

 

 

──────────────────

 

 

 

 

「氷川さん、それ1人で食べるんですか…?」

「お店の人に……勧められたので」

 

 

 

氷川さんと来たのは近くのファストフード店

彼女の持つトレイにはポテトが山のように盛られていた

店員との会話を聞いていたが勧められた様子はなかった

そんなにポテトが好きなのか…

 

 

 

「ところでお話とは?妹さんのことですか?」

「察しが良くて助かります。本当に意外ですね」

 

 

 

相変わらずチャラついてるイメージは

払拭してくれないようである。

 

 

 

「あの子こと、どう思いましたか?」

「どうって…?」

「あの子と会ってどう感じましたか?」

 

 

 

なんかいつもより表情が怖い気がする

その表情のままポテトを食べてるのがまた面白い

 

 

 

「んー、なんと言うかうちのバンド、Afterglowにも

似たようなやつがいるんですけど、なんというか

独特?って言うんですかね。未だに氷川さんの

双子の妹だなんて信じられないですよ」

 

 

 

そう、まるで雰囲気がモカのようなのである

るんってきたってだけで連れまわされたし

 

 

 

「そうですか」

「あぁ後、付け加えるなら…」

「……?」

 

 

 

そう、モカと雰囲気が似てるのである

 

 

 

「あーいう子はきっと天才肌なんでしょうね」

「…っ!」

 

 

 

ひまり曰く、モカは授業中に寝てても

勉強は出来るらしいし、ギターだって蘭よりも

早く出来るようになってた。

自分でも天才、だなんて言うだけはある。

 

 

 

「あなたの言う通り、日菜は天才です。

私とは違い、なんでも出来てしまう」

 

 

 

氷川さん曰く妹さんは天才。

昔から姉である氷川さん…ややこしい。紗夜さんの

真似をしてきてわずかな時間で追い抜いてしまうほど

だからこそ日菜さんがまだやってないギターに

没頭していたのだがそれも真似されて…

そういえばポスターで持ってた楽器、ギターだったな

 

 

 

「んー、なるほど。ところで氷川さん。」

「なんでしょう?」

「あなたは俺にどうしてほしいんですか?

話を聞いてほしいのか、それとも()()()()()()()()

「…っ!!」

 

 

 

妹が姉の真似をするのは普通のことだと思ってた

現に、あこちゃんがドラムを始めたのは巴がきっかけだ

しかし話を聞いていると、どうも

妹に負けている私を慰めてくださいと言われてる気がする

弟や妹がいたことないから、気がするってだけなのだが

 

 

 

「ていうか妹さんとは話しただけで

ギターの演奏は聞いてないですし氷川さんのギターも

2回しか聞いてないので。正直どっちがうまいかなんて

そんなの分かりませんよ」

「そう…ですか」

「まぁ今週末、母親にライブ連れてってもらうんで

その時聞いてきますよ。どっちがうまいのか」

 

 

 

そう言って立ち上がる

兄弟姉妹ってもっとこう宇田川姉妹みたいに

仲がいいと思ってたのだが…

うん、なんだか難しいな

 




イヴちゃん爆弾投下させるの楽しかった


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夕焼けと遊園地、看板娘の気付いた気持ち

富士急のコラボ第2弾ですね


Pastel❇︎Palletesのお披露目ライブ

結果としては散々なものだった。

かろうじてドラムはちゃんと演奏していたが

機材トラブルがなければ周りはなにも

気づいてなかったのかもしれない。

 

 

 

「『新生アイドルバンド、Pastel❇︎Palletes

お披露目ライブで口パク、アテフリがバレる』か」

「奏が新聞読むなんて珍しいね」

「まぁちょっと気になる見出しがあったからさ」

 

 

 

Pastel❇︎Palletesのライブから数日後

世間はゴールデンウィーク、Afterglowのみんなと

遊園地に出かける日で、電車に揺られていた

 

 

 

「(白鷺さんがあの時、表情が曇ってたのは

これがすでに決まってたことだったから、なのか?)」

「かーくん、どーしたのー?そんな難しい顔をしてー?」

「なんでもないよ。ほらちゃんと座れ、モカ」

「はーい」

 

 

 

ちなみに席は目の前に蘭、その隣にモカ

俺の隣にはつぐ。別のボックス席に巴と

ひまりが座っている

 

 

「暇だねー。かーくんなにか面白い話ー。」

「俺に振るのか…。だったら、こういうのとか」

「心理テスト?奏、そんなの読むんだ」

「新聞見つけたついでに買ったんだよ。

普段からこんなの読むわけじゃない」

 

 

 

鞄から取り出したのは『簡単!心理テスト!』

というタイトルの本。電車の中での

暇つぶしになればと思い、新聞を

買ったついでに買っておいた。

 

 

 

 

「ほい、じゃあ1問目いくぞ」

 

 

 

──旅先で寝るとき、必ず必要なものは?──

A:普段着ているパジャマ

B:スマホのアラーム

C:アイマスク

D:アロマオイル

 

 

 

「あたしはA」

「んー、Aかなー?」

「私はBかな!」

 

 

蘭、モカはA、つぐはBっと…

 

 

 

 

 

「はい、Aを選んだあなた。

───変化を好まない───

旅先に普段着ているパジャマを持っていくあなた。

たいていの旅館やホテルには備え付けの

ガウンや浴衣があります。それを着るのが嫌なあなたは、

日常の変化を好まない人です。旅先でぐっすり眠るためには、

いつものパジャマでないとダメ。そんな頑なさや

不器用さがある人なのでしょう。」

 

 

 

「Bを選んだあなた。

───変化に対応しようと努力する───

いつもと違う場所で眠ると、予定通り

起きられないかもしれません。スマホのアラームを

きちんとセットするあなたは、真面目で几帳面なタイプ。

変化があるとちょっとビビりますが、

冷静に対処法を考えて、着実に実行していくタイプです。

きちんと変化に対応しようと、努力し克服する人でしょう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────────────

 

 

 

「着いたっ!」

「かーくん、なにその謎のポーズ」

「着いたポーズだよ」

 

 

 

長い移動距離を心理テスト、トランプで時間を潰し

ようやく目的地へとたどり着く

 

 

 

「最初一番乗り気じゃなかった奏が一番ノリノリだよな」

「まぁ来た以上は楽しまないとな。さて、どれから乗るよ?」

 

 

 

パンフレットの地図を広げる

もちろん最初に乗るのは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、やってきましたコーヒーカップ。腕が鳴るぜ」

「「「「「嫌な予感しかしない…」」」」」

 

 

 

どうしたみんなそんな、やべぇぞこいつ…みたいな。

コーヒーカップってどのカップが1番

回転数出したか競うやつじゃないの?え、違う?

 

 

 

「じ、じゃあアタシたち5人で乗るから奏は1人な!」

「なんでそんなつれないこと言うかな、巴さん!」

 

 

 

じゃんけんの結果、つぐ、巴、モカの3人

負けた蘭、ひまり、そして俺の3人で別れた。

負けたほうってそんな罰ゲームみたいな…

 

 

 

「奏、顔が怖い…」

「か、かーくん。お手柔らかに、ね?」

「加減は、しない!」

 

 

 

 

この日、一番の叫び声が響いたらしい(周辺の人談)

 

 

 

 

 

──────────────────

 

 

 

「おえっ…」

「自業…自得、だって…」

「首が……飛ぶかと…思ったぁ…」

「3人ともお水飲む?」

 

 

 

つぐが水を買ってきてくれた

うん、調子乗りすぎた。こんなに回せるなんて

思わないじゃん。つい、楽しくなっちゃった。

 

 

 

「ありがとう、つぐ。ちょっと休憩」

「この調子で大丈夫なのかなぁ…」

「かーくんの、ばかぁ…」

「絶対、奏とはコーヒーカップに乗らない…」

 

 

 

ちなみにつぐたちのカップはめちゃくちゃ平和だった

 

 

 

「で、次なに乗るよ」

「平和なやつがいい」

 

 

 

平和なやつ…遊園地で平和なやつといえば…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱ……やめない?」

「いや、蘭の希望だぜ?平和なやつ」

「だからって、ほかに…」

 

 

 

そう、平和にくるくる回る回転木馬

メリーゴーランドである。平和じゃん?

 

 

 

「巴!あの椅子座ろっ!」

「おっ、いいな!行こうぜ!」

 

 

ひまりと巴は馬車みたいな椅子に座り

 

 

「蘭ー、諦めなってー。ほらー、行くよー」

「ちょっ、モカ引っ張らないで…」

 

 

モカは蘭を引き連れ、別々の木馬に乗る

 

 

「さて、つぐ。」

「うん、どうしよっか」

 

 

もちろん、他のお客さんもいるのだが

なんと残った木馬は2人乗り用なのである…

 

 

「俺たちだけ止めておくか?」

「い、いや、乗ろう!」

 

 

 

つぐみさーん!?本当に言ってる!?

え、ちょ、引っ張らないで!

 

 

 

 

 

 

──────────────────

 

 

 

 

 

「かーくん。だいじょーぶー?」

「ニヤニヤしながら言っても説得力ないぞ、モカ」

 

 

 

結論、俺の心が平和じゃなかった

いくら幼馴染であっても、このお年頃には

少々メンタルにくるものがあった

正直、ひまりじゃなくてよかった。

 

 

 

「見て見てー、この写真。かーくんが

本当の王子様に見えるよー?」

「は、写真?」

 

 

 

後ろからカシャカシャ聞こえてたのはそれか

 

 

 

「消せ」

「えー、どうしよっかなー?あっ…」

 

 

モカの声と同時に携帯のバイブが震える

画面には─Mocaが写真を送信しました─の文字が

 

 

「手が滑ってしまいましたー」

「わざとだろ、こら…」

 

 

そう、Afterglowのグループチャットに

先ほどの写真が載っけられたのである。

もうどうしようも出来ない。

 

 

 

 

 

──────────────────

 

 

 

 

 

その後もいろいろ絶叫系だったり乗り

お化け屋敷も入ろうと思ったのだが整理券が

事前に必要らしく、すでに受付は終了していた

特にひまりと蘭が安堵していたのはここだけの話

 

 

 

「遊園地の締めといえばこれでしょっ!」

 

 

 

時間はすでに夕方、ひまりに連れてかれたのは

そう、観覧車である。

 

 

「ひとつ4人乗りだけどどうやって分けるんだ?」

「わたしと巴と蘭とモカの4人でいいんじゃない?」

「雑かよ!?」

 

 

 

コーヒーカップはじゃんけんしてたくせに…

と思いながら、すでに4人は乗り込んでいた

 

 

 

 

「はぁ…」

「あっ、えっとごめんね!」

「あ、いや、つぐと乗るのが嫌なんじゃなくて

今日、楽しかったけど疲れたなぁって」

「ふふっ、そうだね。」

 

 

 

一発目のコーヒーカップから全力だったからな…

絶叫系でも叫ぶ叫ぶ。そりゃ疲れる。

まるでPastel❇︎Palletesのライブを忘れるかのように

全く見ず知らずの人のライブなら、まぁそんなもんか

と、割り切れるのだが、イヴちゃん含め

全員、曲がりなりにも顔見知りなのである

 

 

 

「イヴちゃんのこと、心配?」

「…っ!なんで…?」

「新聞読んでから、乗り物に乗ってる時は

そうでもなかったけど、それ以外はなんだか

上の空、だったから…」

「…そりゃ、心配だよ」

 

 

 

あの現場を直に見たこと。

ライブの前、日菜さんに連れまわされPastel❇︎Palletesの

メンバーと顔合わせしたこと、全部話した。

 

 

 

「日菜先輩がああいうのはいつも通りだとして…」

 

 

 

どうやら日菜さんはつぐたちと同じ羽丘らしい

 

 

 

「やっぱり、奏くんは優しいね」

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

「イヴちゃんのこと、心配?」

 

 

 

朝、電車の中で奏くんが読んでいた新聞の見出しには

イヴちゃんが所属しているバンドの内容でした。

なんだか無理をして楽しんでるような

並んでる時は上の空だったから、きっと

イヴちゃんことを考えてたのかなって

 

 

 

「やっぱり、奏くんは優しいね」

「…そんなことないよ」

 

 

 

そうやって否定するけど、奏くんは

誰かのために何かを迷わずできる人なんだと思う

たまに迷っちゃうときもあるけど

きっと日菜先輩に連れまわされなくても

ライブに行ってなくても、遅かれ早かれ

手を差し伸べてたんだと思う。

 

いつも周りを見ていて、困ってる人がいたら

手を差し伸べて、まるでヒーローみたい。

昔からそう。奏くんは私たちには恩返しだっていうけど

きっと昔からそういう人なんだ。だからこそ…

 

 

 

「好き…なんだよ?」

「ん?なんか言ったか?」

「ううん、なんでもない!あっ、夕日!綺麗だよ!」

「おー、これはまたすごいな!」

 

 

 

聞こえるか聞こえないかの大きさで伝える気持ち

きっと昔から感じてたけれど、やっと気づいた

この気持ちの名前

私のこと、そんな風に見てないかもしれないから

まだ。この気持ちは閉まっておいて…

 

 

 

「私、頑張るからっ!」

「…?おう!また明日から練習だからな!

また倒れないように、ほどほどにな!」

「もーっ!それはなし!」




心理テストの引用はこちらから
https://matome.naver.jp/m/odai/2137377592327939601?page=2

C Dの回答は…まぁページに飛んでもらえれば

着いた!の謎のポーズはわかる人はわかります


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レール少女と努力の形

一章いつ終わるかなぁ…


日曜午前10時、羽沢珈琲店

人が少なく暇を持て余す時間。

ひまりが蘭の愚痴をこぼしに来店する時間であり…

 

 

 

「やっぱ羽沢珈琲店のコーヒーが1番落ち着くなぁ」

「かーくん、また行ってきたんだ」

「始発で3駅隣まで行って、新しく

開店したところに行ってきた。」

 

 

 

GWも最終日の日曜日、いつも通りのカフェ巡りで

早朝から並んでコーヒーとケーキを頂いてきた

 

 

 

「でも、やっぱりうちのコーヒーなんだね」

「まぁ飲み慣れた味だしケーキも

美味しいし何より近いし」

「かーくん、べた褒めだね」

 

 

 

身内贔屓無しにしても羽沢珈琲店のコーヒーは

ものすごくうまい。なんなら毎日飲みたいぐらい

なんて、コーヒーを味わいつつゆっくりしていると

カランコロンと入口のベルが鳴る

 

 

 

「いらっしゃいませ!…あっ、日菜先輩!」

「つぐちゃん、やっほー!あっ!いたっ!」

「日菜さん、忙しそうですね…ってちょっと!」

「つぐちゃん!かなくん借りてくね!」

 

 

 

まるで嵐のように。腕を引っ張られる

なんか、前にもあった気が…。ってかなくんって俺?

 

 

 

「つぐ!帰りまた寄るから!」

「あっ、うん。大丈夫だよ!いってらっしゃい!」

 

 

 

 

──────────────────

 

 

 

 

「で、なんで俺はまたここに連れてこられたんですかね」

「ご、ごめんね!私が日菜ちゃんに頼んだの!」

 

 

 

日菜さんに連れてこられたのはまたしてもあの

Pastel❇︎Palletesの所属する事務所の練習スタジオである

 

 

 

「一体、何の用ですか…丸山さん?」

「えっと、ライブ来てくれてたんだよね?」

「えぇ、まぁ」

「どう、思ったかな。って」

 

 

 

"どうだった?"と"どう思った?"は似ているようで

聞いている内容が違う。前者はライブについての感想

後者は、今回でいうならあのニュースのことだろう

それも踏まえて、述べる

 

 

 

「機材トラブルがなければ、最後まで

騙し切れてたんじゃないですか?素人から見ても

ちゃんと演奏して歌ってるようには見えましたよ。」

「そう…」

「それと、この一環の出来事があなたたちの意思じゃない

ことも、分かってるつもりではあります」

「えっ…?」

 

 

 

"人一倍の努力家"というのが丸山彩というアイドルを

表す言葉、と母さんが言っていた。

本番では噛み噛みでとちるけど絶対に諦めない

夢が叶うように一生懸命努力する。

そういうアイドルだからこそ応援してる。

だからあのライブはきっとメンバーたちが

望んでやったことじゃないと、そう言っていた。

 

 

 

 

「ありが…とう…」

 

 

そう、お礼を言う丸山さんの目には涙が

大したこと言ったつもりはないんだけどなぁ…

 

 

 

「そういえば丸山さん」

「…??」

 

 

 

このスタジオには今、話していた丸山さん

そして、俺を連れてきた張本人日菜さん

会話に入ってこなかったが大和さんにイヴちゃん

…しかいないのである。

 

 

 

「白鷺さんはどこへ?」

「あっ、えっと…千聖ちゃんは…」

 

 

 

白鷺さんがいないのである。

あのライブ以降、ほとんど練習に

顔を出さなくなったらしい。

 

 

 

「まぁいいや。応援、してますから」

「うわーん!ありがとう!」

「って、うおっ…」

 

 

 

まさかの抱きつかれると言う事態

あの、アイドルなんですよね、丸山さん?

 

 

 

「カナデさん、アヤさん!ハグですか!?

でしたらワタシも!ハグハグゥ!」

「え?なになに?るんってきた!あたしも!」

「ちょっ…や、大和さん、止めてっ…!」

 

 

 

この中で唯一、飛び込んで来ない大和さんに

助けてを求める。なんだこの状況…

 

 

 

「彩さん、イヴさん、日菜さん。奏さんが困ってるんで

早く離れて練習しますよー!」

 

 

大和さんが3人を引き剥がそうとするその時

練習スタジオのドアがガチャリと開く

 

 

 

「遅くなりました、白鷺入りま……す」

 

 

 

あ、これ詰んだかもしれない

 

 

 

「もしもし、警察ですか」

「先に誤解を解かしてくださいー!!」

 

 

 

 

 

──────────────────

 

 

「そう、失礼したわ」

「この状況、前にも見たんですけど気のせいですかね」

「気のせいよ、きっと」

 

 

 

説明すること数十分、なんとか誤解は解けた

危ない、下手すれば社会的に抹殺されるところだった

 

 

 

「じゃあ誤解も解けたところで帰ります…」

「あら、そう。アイドルと同じ空間にいれることなんて

そうないんだからもっとゆっくりしていけばいいのに」

 

 

 

何言ってるんだこの人は…

はやく羽沢珈琲店に戻ってコーヒー飲みたい

 

 

 

「あ、丸山さん。これ、渡しておきます」

「へっ?あっ、これ…」

「日菜さん経由だと俺の身がもたないのと

予定が狂わされるんで、なにかあったら、そこに」

 

 

 

紙とペンを借り、丸山さんに渡したのは

電話番号とチャットアプリのID

今日みたいに日菜さん経由で連れまわされるのは疲れる

 

 

 

「あっ、うん!ありがとう!」

「あら、帰るのね」

「帰ります、疲れたので…」

 

 

 

羽沢珈琲店に戻ってコーヒー飲んでケーキ食べるんだ

と言う予定は、また白鷺さんの一言で潰される

 

 

 

「この後時間あるかしら?少しお茶しない?」

 

 

疲れたって言ってるし

だから、さっきから何言ってるんだこの人は…

 

 

 

 

 

 

──────────────────

 

 

「奏くん…おかえりなさい。」

「うん、つぐ、ただいま…」

 

 

 

Pastel❇︎Palletesの練習はすぐに終わり

白鷺さんに連れてこられたのはなんと羽沢珈琲店

なんとまさかの白鷺さんも常連らしい

世間って狭いな…

 

 

 

「あら、知り合いだったのね」

「知り合いもなにも、幼馴染ですし…」

「そうだったのね」

 

 

 

イヴちゃんからはなにも聞いてなかったのだろうか

 

 

 

「で、わざわざ呼びつけて何の用ですかね」

「そうね、私もあまり時間があるわけではないし」

 

 

 

コーヒーを一口すする。うん、やっぱりうまい。

 

 

 

「まず、1つ目。彼方奏、聞いたことある名前だと

思ったら、()()()()()聞いたことあるわ」

「そうですか…。もう昔の話ですけど」

「もう歌わないのかしら?」

「……どうでしょうね」

 

 

 

白鷺さんは俺のトラウマのことは知らない

歌わないのではなく、歌えないことを

 

 

 

「そう、まぁいいわ。じゃあ2つ目…」

「一体いくつあるんですか…」

「これで終わりよ。昔、歌の天才と

称されたあなたに聞くわ」

 

 

 

うっわー、懐かしい響き。

当時は嬉しかったけど今になって聞くと

ただの黒歴史だよな、これ

 

 

 

「俺に答えられることならなんでも」

「そう、じゃあ聞くけど…()()()()()()()()()()()

「急に深い話になりますね」

 

 

 

Pastel❇︎Palletesの練習を少しだけ見せてもらった

丸山さんはちゃんと歌って踊れてたし

イヴちゃんは多少のミスもあったものの

ほとんど完璧に弾けてた。

大和さんはさすがプロって言ったところ。巴や

あこちゃんと比べるても抜群にうまい、と思う

日菜さんは、さすが天才といったところか

本当に初めて楽器を触ったのか怪しいレベル

量の違いはあれども"努力"の賜物だろう

 

 

 

()()()()()は実ります()()()()()()

実らない。これに尽きると思いますよ。

前者のいい例が丸山さん、後者のいい例は、そうですね…

白鷺さん、あなたですかね」

「……っ!どうして?」

 

 

 

白鷺さんには他の4人にから感じていたものが

なにも感じられなかった。

"ここまで出来ればいいだろう"と自分の限界を

決めている、そんな感じ。それ以上を求めない

頑張ることを、しない。

 

 

 

「それは自分が一番分かってるんじゃないですか?」

「……そう、参考にさせてもらうわ」

「そりゃどーもです」

 

 

 

そう言って白鷺さんは立ち上がってテーブルに

お札を2枚置いて店を出ようとする。

 

 

 

「お金、多いですよ」

「いいわよ、付き合ってくれたお礼だから」

「そうですか…」

 

 

 

そう言って白鷺さんは店から出て行く

 

 

 

「奏くんにしてはめずらしいね」

「そうか?」

「うん、いつもなら真っ先に助けそうな気もするのに」

「まぁ白鷺さんがどんな人かまだわかってないから

下手に口出しできないって感じかなぁ」

 

 

 

長い付き合いのAfterglowのみんなや燐子さん

あこちゃんなら付き合いも長いので

喜んで手助けするのだが…Pastel❇︎Palletesは

他のRoseliaのメンバーは会って日も浅いので

下手に手を出すと悪化しかねない、故に

あまり踏み込まない、いや踏み込めない

と言った方が正しいか。

 

 

 

「まぁなるようにはなると思うよ。

…コーヒーのおかわりいただいても?」

 

 

 

すっかり冷めたコーヒーを飲み干し

新しくおかわりを求める。ほんと

何杯でも飲んでいられる

 

 

 

「奏くん、流石に朝から飲みすぎだからダメだよ?」

「ダメか…」

 

 

 

コーヒーはまた明日かな…




Afterglowではボケとツッコミの両方
Roseliaではボケ担当
Pastel❇︎Palletesではツッコミ担当

パスパレメンバーに(特にイヴちゃん)ボケさせて
突っ込まさせるのが考えてて楽しい
Roseliaでボケさせて友希那さんと紗夜さんに
突っ込ませるのが考えてて楽しい


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幼馴染達の今できること

続き書かなきゃってなって
文章雑かも(雑なのはいつも通り)


「ねぇ本当に入る気はないの?」

「ないです。何回言わせるんですか、湊さん」

 

 

 

燐子さんの演奏を聴くため、だけに

Roseliaの練習を見にきてる。

Afterglowの練習があるときはもちろんそちらが優先。

ないときにだけ、となってるが。

まぁ今回は他にも用事があるのだが…

 

 

 

「彼方さん」

「どうしました?紗夜さん?」

「しらばっくれないでください。日菜のことです」

 

 

 

そうPastel❇︎Palletesのライブ、および

日菜さんの演奏について。

聴いたら、どうだったかを言う約束なのである

 

 

 

「ニュース、見ましたよね?どうだったか

って言われても、聴いてないものを比べられません」

「そう…ですか」

「あっれー?紗夜のことは名前で呼んでるんだー?」

「成り行きです」

 

 

 

シリアスブレイカー兼コミュ力おばけこと

今井リサさん。未だに名前では呼ばない。

苗字で呼ぶと、日菜さんと紛らわしいので

名前で呼ぶことにした、ってだけである

とはいえ、本当は聴いたのだが

さすがにPastel❇︎Palletesの練習見学しました!

なんて言えるはずもなく…

 

 

 

「まぁいいわ、練習始めるわよ」

 

 

 

湊さんの掛け声で演奏が始まる

………なんかおかしい、なんというか

全体的に音がぎこちない?いつもと違う気がする

 

 

 

 

「あこちゃん、調子悪い?」

「へっ?いや、えっと…その…」

 

 

練習が始まった時からあこちゃんの様子が

おかしいのである。なんかこう、心ここに在らずみたいな

 

 

 

「宇田川さん、やる気がないのなら帰って!」

「紗夜さん、落ち着いてください。

あこちゃん、何かあった?」

「あっ、あの…」

 

 

紗夜さんをなだめて落ち着かせる

このままじゃ聞きたいことも聞けない

なにか、大事なことのような気がする

 

 

「あこちゃん…」

「ごめん、りんりん。あこ、見ちゃったの…」

「何を?」

 

 

 

あこちゃんによると、友希那さんがホテルで

スーツの女の人と話をしていたらしい

紗夜さんはプライベートだと言うが…

肝心の湊さんの顔は驚いている様子

 

 

 

「あこちゃん……今は練習を……」

「待って燐子さん、聞こう」

「彼方くん……。う、うん……」

 

 

 

話を止めようとする燐子さんを止める

あこちゃんの口から出てきたのは衝撃の言葉だった

 

 

 

「だから…コンテストに出られないなんて

ぜったいイヤなんだもん!!」

 

 

 

湊さんとホテルで会った人との話はシンプルにすると

Roseliaを抜けてFWFで歌わないかという誘い

さらにコンテストの出場なしで歌うことができ

バンドのメンバーは事務所がプロのミュージシャンを

用意するということ

あこちゃん曰く、まだ保留らしいが…

 

 

 

「……宇田川さん達の言い分はわかったわ。

湊さん、認識に相違はないんですか?」

 

 

 

紗夜さんの言葉に黙り込む湊さん

 

 

 

「私たちと、コンテストなんか出場せずに

自分1人本番のステージに立てればいい、

そういうことですか?」

「…っ、私は…」

「否定、しないんですね」

 

 

 

湊さんが何か言いたそうな顔をしていたが

構わずつづける

今井さんの言葉にも口を閉じたままである

 

 

 

「フェスに出られれば、なんでも、誰でも良かった。

そういうことじゃないですか!!」

 

 

まだそうとは確実に言ってないが

今回のスカウトの件に関しての湊さんの対応は

そう捉えられても仕方ない話である

 

 

 

「あこ達の技術を認めてくれたのも、Roseliaに

全部かけるって話も、みんな…うそだったの!?

「あこちゃん…。待って……どこに……」

「あこちゃん!燐子さん!」

 

 

 

耐えられなかったのか、あこちゃんが勢いよく

スタジオから出て行き、それを追いかけるように

燐子さんが出て行く。あこちゃんは燐子さんに

任せた方がよさそうだ

 

 

 

「私はまた時間を無駄にしたことで、少し

苛立ってるの。申し訳ないけれど、失礼するわ。」

「紗夜さん…」

「彼方さん、あなたもこんなところで時間を無駄にせず

Afterglowのところへ戻っては?」

「……それは自分で考えます」

「そうですか…」

 

 

 

Roseliaが解散になって、燐子さんの演奏が

聴けなくなるのならここにいても仕方ないのかもしれない

だがその前にはっきりさせないといけないことがある

 

 

 

「湊さん、今の話は本当なんですか?」

「あなたには…関係ないことよ!」

「ちょっ…友希那!」

「湊さん、どこへ?」

「フェスに向けた、準備をするだけよ」

 

 

そういうと足早にスタジオから出て行く

 

 

 

「奏……」

「もし、湊さんが既にスカウトを受けていたら

紗夜さんと同じで湊さんに失望してたかもしれません」

「……えっ?」

 

 

 

既にスカウトを受けていたのなら

おそらくあのような態度は取らないだろう

保留にしてるのであればまだ間に合うかもしれない

 

 

 

「今井さん、湊さんを任せましたよ。

あこちゃんと燐子さんは任せてください」

「う、うん。でも、そうしたら紗夜は?」

「紗夜さんはあこちゃんと燐子さんに任せます

そう、説得してきます」

 

 

 

湊さんは幼馴染で付き合いの長い今井さんに

任せた方がよさそう。

あこちゃんと燐子さんは比較的付き合いの長い俺が

紗夜さんは…一番可能性のあるあこちゃんと燐子さんに

託すしかない。

 

 

 

「……っ。後輩に頼るってのもあれだけど……

お願いね?Roseliaがなくなるの、イヤだからさ」

「困ったときはお互い様です。Roseliaがなくなって

燐子さんの演奏が聴けなくなるのは嫌なので」

「そっか、アリガト」

 

 

 

 

──────────────────

 

 

 

 

先に出て行った燐子さんたちと連絡を取り

合流する。まだ解散してなくて良かった。

 

 

 

「彼方さん…」

「どうした?あこちゃんらしくないぞ?」

「あこ、どうしたらいいかな……」

 

 

 

元気が取り柄のあこちゃんがこうも落ち込んでいる

相当ショックだったんだろう。

 

 

 

「あこちゃん……、友希那さんがそう言ったとは

限らないから……だから……」

「でも!……でも!友希那さんは何も言わなかった!」

「…あこちゃん、Roseliaは好き?」

「…っ!好き!」

「そっか…」

 

 

 

じゃあ取り戻そう。そう続ける。

あくまでも感じた事だが友希那さんの気持ちを

きっと本音はRoseliaでいたいという思いを伝える

 

 

 

「世界一カッコいいドラマーになるんだろ?

諦めずに頑張ろう!」

「う、うん!…あっ、でもどうしたら…」

「そこは3人で考えよう。それとお願いがある」

 

 

 

紗夜さんのことをお願いする。

Roseliaとして一緒にいた期間ならあこちゃんや

燐子さんたちのほうが長い、だからこその可能性

 

 

 

「彼方くん……」

「燐子さん?」

「ありが……とう」

「お礼なら解決してから受け付けるよ」

 

 

──────────────────

 

 

 

『友希那とは話できたよ♪」

『大丈夫そうですか?』

『分かんないけど…なんとかしてみる!』

 

 

 

今井さんは今井さんで話が出来たみたい

家が隣で部屋が目の前のため、ベランダから

湊さんの部屋に飛び込んだらしいが…

なにやってるんだ…

 

 

 

「(さて、明日からまたできることを探していこう)」

 

 

 

そう思い寝床につこうとしたとき

メッセージアプリから通知が飛んでくる

燐子さんから窓の絵文字のみのメッセージ

 

 

 

「……ごめん……ね?寝るところ……だった?」

「いや、大丈夫…」

 

 

 

Afterglowの一件以来、2人の間で決めた約束事

何かあったらこうやって話そうという合図

 

 

 

「あこちゃんと……考えてたけど……なかなか

思いつかなくて……。その……彼方くんが

Afterglowでも……同じようなことが……あったとき

どうしてたのかな……って」

「うーん…」

 

 

 

しばらく考える。Afterglowの件は"幼馴染"だからこそ

素直に自分たちの気持ちを直接伝えるという方法が

うまく行ったのかもしれない。

それがRoseliaでうまく行くかどうかは見当もつかない

 

 

 

「Afterglowの件は"Afterglow"だからこそ

うまいこと丸まったって感じだから、Roseliaで

うまく行くかどうかはわからない、かな」

「そっか…」

「でも根本は同じだと思うから、Roseliaに合った

方法を探していくしかないと思う。

言葉だけじゃ難しいかもしれないし」

「ありが……とう……」

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

「「「うーん……」」」

 

 

 

学校終わり、ライブハウス近くのカフェで

燐子さん、あこちゃん、そして俺は頭を抱えていた。

 

 

 

「今日……ほんとは……練習の日だね……」

「そうだったのか」

「家にいても……落ち着かなくて……

あっ、あこちゃんと彼方くんは、ついでって意味じゃ……」

 

 

 

そう、本当はRoseliaの練習の日らしいのだが

湊さんから連絡があってなしになったらしい

家にいても落ち着かないから、と

燐子さんから誘われた。

 

 

 

「…………ねぇ、りんりん、彼方さん。あこ、みんなに

余計なこと言っちゃったのかな?」

「それは違うよ。……友希那さんが、本当に

Roseliaを辞めるなら、いつかわかってたことだと思う」

「燐子さんの言う通り、かな」

「じゃあ……このままRoselia、なくなっちゃうの?」

 

 

 

燐子さんの言う通り、遅かれ早かれ辞めるのであれば

湊さんの口から出ていたことだろう。

あこちゃんは自分自身のことを責めているが

あこちゃんは、悪くない。

 

 

 

「あこちゃん……。これ……」

 

 

 

そう言って燐子さんが見てた動画は

Roseliaの練習風景。以前の燐子さんがいない

4人ではなく、燐子さんが加入してから撮った新しい動画

湊さんも紗夜さんも含めてみんな楽しそうにしている

 

 

 

「うん……。あこ、あの日はカッとなって

飛び出しちゃったけど、また、こうやって集まりたい。

だから、なにかしなきゃ!そーだよね?」

「お、その意気だ。」

「わたしは、わたしを変えてくれたこの人たちと

もっと、もっと……もっと音楽がしたい」

「燐子さん…」

「…!!りんりん……」

 

 

 

燐子さん自身の言う通り、変わったって感じがする

こう、自分自身のことを出して、大人びたって感じ?

 

 

 

「だから……わたしたちでも、できることを

一緒に……考えて欲しい……」

「まぁそのために来たようなもんだしね」

「うーん……何がいいんだろう……」

 

 

 

Afterglowの時はみんなが思い思いの言葉をぶつけ合って

ガルジャムで蘭のお父さんを音で納得させて……

 

 

 

「あっ……!」

「彼方くん?」

「彼方さん?何かいいの思いつきました!?」

 

 

 

これならもしかしたらいけるかもしれない

 

 

 

「動画!あこちゃんが撮ってくれてた動画だよ!

言葉じゃどうしようもないなら、音で伝える!」

「うまく……いくのかな……?」

「動画、よく見たらさ。あの湊さんも紗夜さんも

びっくりするぐらい笑顔で練習してるんだ。

きっとみんな、Roseliaはなくなってほしくない

それをこれで伝えるんだよ!」

 

 

 

今までの練習が嘘だったなんて

Roseliaとしての時間が嘘なんかじゃなかったって

この動画が証明している。

 

 

 

「全員に送ったよ!」

「よし、あとは待とう。思いつく限りの出来ることは

やったはずだからさ」

 

 

 

あとは湊さんがどうでるか……

かすかな望みを賭けて、時間が過ぎていく




そういえば、単体ヒロインの恋愛もの書いたら
需要あるかな?


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孤高の歌姫は青薔薇とともに頂点へ

夜にほろ酔いのサイダーサワー片手に
芋けんぴ食べながらRAS聴いて書き上げました


「やっぱ呼ばれるんですね、俺」

「実質Roseliaの一員だからねっ」

「冗談はギャルだけにしてください」

「え、もしかしてけなされたっ!?」

「彼方さん、今井さん、静かに!」

「「はーい……」」

 

 

 

今井さん経由で、湊さんから来てほしいと

 

 

「まず……この前は悪かったわ

1バンドメンバーとして、不適切な態度だった」

 

 

Roselia間での関係性、湊さん自身の気持ちを

理解しきれていなかった。

そのことに対しての謝罪らしい

……ということは

 

 

 

「スカウトは断った、ってことでいいんですか?」

「えぇ、その通りよ。断ったわ」

 

 

 

よかった。これでまたRoseliaの演奏が聴ける

 

 

 

 

「そうだったとしても、私たちを『バンドメンバー』

ではなく『コンテスト要員』として集めた事実は

変わらないのよね?」

「紗夜、なにもそんな……」

「今井さん、ストップ」

「奏…」

 

 

 

なにもそんな言い方はないだろうと言わんばかりだが

事実そうなのである。

厳しいようだが言われて当然。

今井さんが自分自身にも責任があるというが

これは当事者だけの問題である。

初めからスカウトのことを知っていたら

話は別だっただろうけど。

 

 

 

 

「湊さんの意思がわからないわ」

 

 

 

紗夜さんの言う通りで、FWFに出場するために

ただそれだけのために湊さんは音楽をやってきた

だからこそスカウトを断った意味が分かりかねる

しかし湊さんの目標はあくまでも出場

その先のビジョンが何もないということになる

 

 

 

「えっ、じゃあそれって……」

「きついこと言うと、使い捨てだよ。あこちゃん」

「奏、あんた…」

「それは違うわ!!」

 

 

俺の言葉に反論するように湊さんが声を荒げる

 

 

 

「メンバーを探していた時はそうだった!

でも、紗夜を見つけてみんなが集まって……

いつのまにか、私…お父さんのことより…」

 

 

「……お父さん?」

 

 

紗夜さんが疑問を持つのも仕方ない

ここに来て初めてのワードなのだから

今井さんは何か知ってるようだけど

 

 

 

「本当の私はただ、私情のために

音楽を利用してきた人間よ」

 

 

 

語られるのは1人のバンドマンの話

インディーズ時代に活躍しその時代のものは

名盤とまで言われていた。たがプロに移りしばらくして

活動休止、解散。FWFにも出る腕前だったらしい

それが……

 

 

「湊さんのお父さんですか。」

「えぇ。私はRoseliaを立ち上げ私情を隠し

自分たちの音楽を極めると偽って

自分のためだけに、あなたたちを騙した。」

 

 

 

だからこそ偽物の信念を持つ自分は抜けるべき

頂点を目指すRoseliaには偽物の信念はいらない

そう続ける。

 

 

 

「でも!!こんなに自分勝手で理想を信念も

元を正せばただの私情だけど!

この5人で、Roseliaを続けたい!」

「……ちゃんと自分の気持ち言えるじゃないですか」

「えっ?」

 

 

 

尊敬する姉のようになりたかったから

内気な自分を変えたかったから

大切な幼なじみのそばにいたかったから

なにかを始める動機なんて人それぞれである

 

 

 

「何か始めるときも続けるときも私情しか

ないと思いますけどね」

「でも…」

「俺が歌い始めたきっかけは燐子さんのピアノですから」

「彼方くん……それは……」

 

 

 

燐子さんを除いたRoselia全員が驚いた表情をしている

 

 

 

「彼方さんもボーカルを?」

「いや、バンドとかではないです。まぁその辺は

機会があったら話しますよ。」

 

 

 

少なくとも今話すことではない

 

 

 

「まぁ俺も私情で歌ってましたし、

どうしても手放せないのならそのまま進むしか

ないんじゃないですか?それもそれで

本物の信念だと思いますよ。」

「奏……」

「それに私もまだ、この5人で音楽をしたい」

 

 

 

今日はやけに素直な人が多い

まぁ素直な気持ちをぶつけあえるのは大事である

 

 

 

「ん?これはもしや、Roselia再結成フラグ!?」

「「解散してない」」

 

 

ハモる2人に和む空気

あこちゃん、いつRoseliaは解散したんだい……

まずはRoseliaとしてFWF出場のための

コンテストに参加。

Roseliaとしての絆はより一層深まった

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

書類と音源審査はあっさりクリアし

迎えたコンテスト当日

 

 

 

「ああっ、やばっ!!メンテ用の……」

「はい、どうぞ」

「あっ、ありがとう……」

「まったく、落ち着きがないですね……」

 

 

 

慌てる今井さんにメンテ用のスプレーを渡す

紗夜さん、すこし丸くなった気がする

 

 

「りんりん大丈夫?ステージすごく大きいよっ

真っ青になっちゃわない?」

「うん……大丈夫……。

最近気づいたの……。キーボードといると

守られてる気がして……」

「わかるわかるっ!あこもドラム叩いてる時は無敵!

よーしっ、練習の成果見せてやろうね!」

 

 

 

近くの2人の会話は和む。

キーボードとドラムには守護神的なものが……

 

 

 

「いや、なんで俺しれっと楽屋に入ってんの!?」

「奏、ほかの応募者もいるんだから。

あまり騒がないで」

「え、おかしいって思ってるの俺だけですか!?」

「なーに言ってんの、奏でもRoseliaの一員でしょっ?」

「いつそんな話になったんですか!?」

 

 

 

本人いないところで勝手に決められても困る……

と騒いでるとほかの出演者からぼそぼそと

拍子抜け、だとか。仲がいいの羨ましいとか

……Pastel❇︎Palletes、またライブするのか

あの騒ぎ起こした後なのに大丈夫なのか?

 

 

 

「……って湊さんは?」

「あれっ?ちょっと探してくる!」

 

 

 

 

 

しばらくして今井さんと湊さんが戻ってきて

準備も終わり5分前

 

 

 

「それじゃあ、俺は特等席で見てますんで

大丈夫そうですか?」

「問題ないわ、いつでもいける。……リサ?」

 

 

急な湊さんからの呼びかけに動揺する今井さん

そんな今井さんをいじってるとスタッフさんからの

呼びかけが入る

みんなで前を向いて湊さんと紗夜さん以外は

掛け声をして…ステージへ向かう、と思ったら

燐子さんだけ戻ってきた

 

 

 

「燐子さん?緊張してる?」

「う……うん。その……よかったら……

手……貸して欲しいな……」

「ん?はいどうぞ」

 

 

Afterglowの時もつぐがこんなことしてた気がする

俺の手には緊張を和らげる成分でもあるのか?

 

 

 

「……ありがとう。」

「頑張って……」

「うん……!」

 

 

手を握って一呼吸置いて手を離して

みんなに追いつくように駆け出していく

 

 

 

 

 

 

──────────────────

 

 

 

Roseliaとしての現時点での最高のパフォーマンスが

見れたんじゃないかって思うライブだった。けど……

 

 

 

 

「「…………」」

「ちょっと2人ともー……相変わらずクールだなぁーっ」

「いや、これクールじゃないですよ……」

「冷めてたらこんなところに来ません」

「そうよ」

 

 

 

元々の表情を相まって、むしろ怖い

 

 

 

「紗夜さんも友希那さんも、

Wハンバーグ&エビフライ&チキンソテーのプレート

ご飯大盛りデザート付きでいいですかっ?」

 

 

 

いや、あこちゃんなにそのがっつり

スポーツマン向けのメニュー、食べれるの?

 

 

 

「よし、じゃあ6人ともそれでっ!

燐子よろっ♪」

「はい。……スーパーやけ食いセット……

6人前ですね……」

 

 

 

え、待って俺も食べるの?ていうかなんで

ファミレスにまで呼ばれてるの俺?

え?燐子さんも食べるの?

ていうかただのやけ食いセットなの?

そんなメニューあったっけ?

ツッコミが追いつかない!!

 

 

 

「まぁ落選したけど認めてもらえたのは

間違いないんですし、そこまで落ち込むことは

ないんじゃないですか?」

 

 

 

話は本題に戻るがRoseliaの結果は落選

演奏は本大会で限りなくトップに近いレベルだった

だからこそ運営は『入賞』ではなく『優勝』で

メインステージに立って欲しい。

トップに近いではなくトップで

伸び代があるのも認めてもらえた、演奏も認めてもらえた

現時点でのRoseliaとしては及第点である

 

 

 

「お待たせしましたー!

Wハンバーグ&エビフライ&チキンソテーのプレート

ご飯大盛りデザートのセットですー」

 

 

 

……でかっ

 

 

 

「私は認めないわ……むぐ」

「そうよ、このジャンルを育てていきたいのなら

私たちを優勝させて、もっと大きな活動を……もぐ」

 

 

認められないのはわかるし

湊さんそれはもはや八百長です……

……食べながら話されても説得力がなぁ

 

 

 

「でも、楽しかったですよね?」

 

 

 

観客席から見た5人はいまだにないぐらい

楽しそうに演奏していた

それはやっぱりステージに立ってた5人も

思っていた様子

 

 

 

「私は……どんなに認められても

お父さんの立たなかったステージで歌うまでは

自分で自分を認められない」

 

 

 

思うところはみんな違うけど

来年もコンテストには出て、次こそ優勝する

その気持ちは同じようである

 

 

 

「Roseliaに馴れ合いはいらない

友達ごっこがしたい人は、今すぐ抜けてもらうわよ」

 

 

以前言ってたのと同じ言葉なんだろうけど

表情が丸くなった分、柔らかく聞こえる

 

 

「そして奏、あなたの力も必要よ」

「そ、そうですか……」

「これは以前みんなにも聞いたのだけれど……」

「……???」

 

 

 

みんなにも聞いた?一体なにを?

 

 

 

 

 

 

「Roseliaに全てを賭ける覚悟はある?」

 

 

 

 

 

……………………

 

 

 

 

 

 

「いや、ないですよ!?」

 

 

 

 

これ以上面倒ごと増えてたまるか……

いつになったら諦めてくれるんだろうか…

 

ちなみに通称やけ食いセットはみんな完食してた

うっそだろ……




海色EXよりもねばーぎぶあっぷSPのほうが
簡単に思えるという難易度詐欺

Roselia一章終わりです。
あとPastel❇︎Palletesですがさくっと終わらせます
たぶん2話ぐらいで


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