仮面ライダージオウ〜フューチャータイム〜 (子瓜)
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2025 曇りのち雨、そして快晴
1


「普通の高校生だった常盤ソウゴ、彼には魔王にして時の王者、オーマジオウになる未来が待っていた。

 

敵対していたゲイツ君と仲直りした我が魔王は自分がオーマジオウにならない新たな未来を創り出すことを決意する。

 

そんな中、我々の知らない未知のライダーが姿をあらわす。

_____________________________________________________________

 

「ハァ!!ソリャッ!!」

「グガァァァァ!!」

 

おじさんに頼まれて俺とゲイツとツクヨミ、そしてウォズの4人で買い物に来ていた。その道中、街の人を襲っていたアナザーライダーと出会い、俺たちは変身して戦っていた。

 

「ガァァァァ!!」

「ウグッ!!」

 

アナザーライダーの攻撃で距離を離される。その瞬間、アナザーライダーが手から光を出し、それを空に向かって放つ。すると、先ほどまで晴れていたのに黒い雲が現れて雨が急に降り出した。

 

「なんなのこれ!?」

「おい黒ウォズ!!コイツはなんのライダーなんだ!!」

「ゲイツ君、既に白い私はいないんだ。だからその白とか黒とかで呼び分けるのはやめてくれたまえ」

「そういうのはいいから早く教えて!!」

「私にもわからないのだよ我が魔王」

「「使えない!!」」

「君たち、私に対する扱いが酷くないかね・・・・っ!?危ない!!」

「え?ウォズ?」

 

いきなり俺はウォズに突き飛ばされた。いったい何が・・・・・。

 

ゴロゴロゴロ・・・・ピシャァァァァァン!!!!

 

「ぐわぁぁぁぁ!!!!!」

「「ウォズ!!」」

 

いきなり雨雲から雷が落ちてきた。あのアナザーライダー、いったいなんなんだ。

 

「なにをしているの!!危ないから逃げなさい!!」

 

ツクヨミの叫びが聞こえてくる。振り向くと、そこにはこちらに向かってくる男がいた。

 

「・・・・・ゲイツ、俺、このパターンどこかで見た気がする」

「奇遇だな。俺もだ」

 

尚もこちらに向かってくる男、距離がある程度近付き、そして確かにその言葉を発した。

 

「本日の天気は晴れ後雨、ところにより雷が落ちますが落ち着いて曇りに変わるでしょう」

 

・・・・・・いったい、なにを言っているんだあの人。

 

「おい、貴様、何者だ!!」

「へぇー、ダチスト以外にも俺にそんなことを聞いてくるやつがいるんだ。ま、別にいいか」

 

そう言って男は足を止める。

 

「俺の名前は“雨雲 快晴(あまくも かいせい)”。そして、またの名を『仮面ライダー クラウド』」

 

男はどこからか上にボタンが3つ付いた黒と赤の2色のドライバーを取り出して腰に着ける。そして、真ん中のボタンを1回押す。

 

『ホーンジツーノテーンキーワー?』

 

そんな音声が流れる。そして男は手をグーにして頭の上まで持ち上げる。そしてその言葉を口にする。

 

「変身!!」

 

男がグーにした手を勢いよく下ろしてドライバーの真ん中のボタンを叩くように押す。すると、ドライバーから煙が発生して男を包む。

 

『ヤッホウ♪ホウホウ。天気予報♪

クラウド・クラウディア!!』

 

煙が晴れると、そこには灰色のライダーがそこにいた。

 

「今日の天気は俺の気分、仮面ライダー クラウド!!」

 

・・・・・またしてもクセが強そうなライダーだなぁ。




用語

仮面ライダークラウド

2025年で天気のチカラを使って戦うライダー。ベルトには3つのボタンがあり、左から順に雨、曇り、晴れのチカラを持っている。左と右は“天晶”を付け替えることで変えることができる。

天晶

天候のチカラが込められた小さな水晶。付け替えることで様々な戦闘を可能にする。

気象ドライバー

形状的にはジクウドライバーの左右に丸い穴が空き、左右にボタンが付いたもの。左右の穴に天晶を嵌め込むことができる。

雨雲 快晴(男)24歳

天気の予報的中率が75%を誇る天気予報士。夜風に当たることで明日の天気を予知する特殊なチカラを持っている。

ダチスト

空気中のダストを吸収して強くなる怪物。殺した人間をちりにして吸収することで効率的な強化をするために地球にやって来た。


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2

仮面ライダークラウドと名乗った男はライダーに変身するとアナザーライダーに向かって行く。その瞬間、快晴の前に雷が落ちる。

 

「おっと・・・へぇ、これはオレのチカラか。だったら対処は簡単だな」

 

そう言うと快晴はベルトの右の方のボタンを押す。

 

『曇り、のち、晴れ!!

クラウド・サン』

 

ドライバーから音声が流れると、灰色だったライダーの色が赤色に変わる。

 

「天気は晴れ、と。さて、どっちのチカラが強いかな、と」

 

快晴が手を上にかざすと、先ほどまで黒い雲が広がっていたのが嘘だったように無くなっていく。そこには戦う前の晴れた空が広がっていた。

 

「ま、こうなるか、それじゃあ・・・・・行くか」

 

快晴が太陽に向かって手を伸ばす。すると、太陽のある方向からなにかが快晴に向かって飛んできてそれを掴む。それは剣だった。

 

「オラ!!」

「ガァァ!!」

 

快晴がアナザーライダーに斬りかかる。アナザーライダーはその攻撃を受けると後ろに仰け反る。どうやらかなり聞いているらしい。

 

「どうやら、奴の正体は“アナザークラウド”であることには間違いないようだね、我が魔王」

「ウォズ!?」

「なんで雷に撃たれて立っていられるんだよ・・・・」

 

アナザークラウド、つまり、アイツを倒すにはクラウドウォッチがいるのか・・・・・。ん?ちょっと待てよ?

 

「ねぇ、ウォズ。このまま快晴がアナザークラウドを倒したらどうなるの?」

「わからない。同じライダーのチカラで戦っているから倒せるだろうし、倒せなくてもジオウIIとゲイツリバイヴ、もしくはジオウトリニティならウォッチが無くても倒せるだろう」

 

僕たちはそこまで甘くないよ?

 

そんな声が聞こえると同時に時間が止まった。そして、どこからか青い服装をした少年が現れる。その手にはジオウIIウォッチとゲイツリバイヴウォッチ、そしてジオウトリニティウォッチがあった。

 

「ウール‼︎」

「貴様、俺たちのウォッチを返せ‼︎」

「僕たちだって馬鹿じゃない。だから、厄介なジオウIIウォッチとゲイツリバイヴウォッチ、ジオウトリニティウォッチ、そして」

 

止まった時間の中でウールは快晴に近寄る。

 

「コイツのチカラを奪ってしまえばそれまでだよね」

 

ブランクウォッチを押し付けようとする。が

 

「坊主、オイタはそこまでだ」

 

そのウールの手を快晴は掴んだ。

 

「なっ!?止まった時間の中で動けるのか」

「当たり前だろ。俺は、本来止まった時間の中で戦うんだぞ?ダチストどもは時間を止めて一方的に虐殺しているんだからな。晴れない空は無い。ってな」

 

もう、無茶苦茶だ。

 

「チッ‼︎・・・・・まあいいよ。ジオウIIウォッチとゲイツリバイヴウォッチは手に入れたんだ。他に手段がない君たちに何ができるんだろうね」

「オイオイ、盗みもいけないだろう」

「知るかバーカ。じゃあね」

「ちょっとまっ、グハッ‼︎」

 

止まっていた時間が動き出す。そして、ウールを追いかけようとした快晴はアナザークラウドの攻撃を受ける。

 

「ったく、いってぇな。まずオマエから終わらせるか」

 

そう言って右の方のボタンを長押しする。

 

『ウゥゥゥゥ、カン!!』

 

そしてボタンをさらに連打する。

 

『カン、カン、カンカンカンカン照りぃ‼︎』

「ハァァァァァァ‼︎」

 

ボタンを叩きつけるようにして押す。すると、快晴の持っていた剣が赤く発光しだす。

 

『晴れ‼︎今日は一日、晴れで、show‼︎』

「デリャァァァァァァ‼︎」

 

発光した剣でアナザークラウドに斬る。そしてアナザークラウドは爆発した。だが、爆煙が晴れると、そこには快晴と剣を交差させる別のライダーがいた。

 

「あれ?あのベルト・・・・・快晴のに似てない?」

「なんだあのライダーは」

 

黄色と緑の2色のライダーがアナザークラウドに話しかけた。

 

「行け」

「ガァァァァ」

 

アナザークラウドが去って行く。そこには快晴と新しいライダーが残った。

 

「テンペスト、なんのつもりだ」

「なんのつもりだと?見た通りだよ」

 

そう言って2人は距離を取り、そしてお互いに変身を解除する。そこには快晴と緑の髪の男がいた。

 

「テンペスト、おまえ、何があった」

「・・・・・・・・」

「何もなくてオマエが裏切るわけがないだろ」

「・・・・・オマエには、関係ないことだ」

「あ、おい、テンペスト‼︎」

 

緑の髪の男が去って行く。その場には快晴と状況にまったくついて行けてない俺たちが残った。

 

「なんか、ダメな気がする」

「オマエに言われるとは、アイツらも災難だな」



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3

あの後、快晴を連れて俺たちはクジゴジ堂に戻る。そして、叔父さんとばったり会う。

 

「あ、おかえりソウゴくん。おつかい行ってきてくれ・・・・どうしたの?びしょ濡れだねぇ」

「あ、うん。急に雨が降り出しちゃって」

「そうかぁ。でもまあ無事ならよかったよ。それで・・・・後ろにいる子はお友達かなぁ」

「あ、うん。この人は」

「どうも始めまして、俺は雨雲 快晴っていいます。気軽に快晴って呼んでください」

「あ、うん。わかったよ。それじゃ、コーヒー入れてくるね。あ、みんなタオル渡すから頭拭いてね」

 

叔父さんが奥の方に歩いていく。俺たちは言われた通りタオルで頭を拭く。・・・・またアナザーライダーが現れるかもしれないと思ったからだ。

 

「それで、キミはいつの時代のライダーなんだい?」

「あれ?まさかまたウォズの知らないライダーなの?」

「また未来の仮面ライダーだというんじゃないだろうな」

「まあ、いまが2025年より前だというならそうなんだろうな」

 

・・・・・また未来の仮面ライダー。ゲイツのゲイツリバイヴウォッチはできたっていうのに、なんでまた現れたんだろう?

 

「ねぇウォズ。どういうことなの?」

「私にもわからない。白い私といいジオウトリニティといい、この本に載っていないことばかりが起こっている」

「ふーん。そっか。ツクヨミは?」

「私もなにがなんだか・・・・・・」

「ゲイツは?」

「俺が知るわけないだろ」

「それもそうか」

 

うーん。いったい何がどうなっているんだろうか。

____________________________________________________________

 

「ただいま戻りました」

「ご苦労だ。ウール」

 

あるビルの屋上に青い服の少年と緑色の服の少年、ピンクの服の少女、そして赤色の服の青年がいた。

 

「・・・約束だよ。ローラとスウォルツを解放して」

「まあ・・・・・いいだろう」

「そうですね。これで目的のウォッチが手に入ったわけですし」

「それじゃあ」

「ああ・・・・・・・・・用無しだ」

 

赤色の服の青年が手をかざした瞬間、ウールの足下に暗い穴が出現する。

 

「え?ちょっとまってよ、約束が違うじゃん」

「約束?・・・・守っているじゃないか。なあメイ」

「ハイです。私たちは『あの2人に会わしてあげる』って言いました。約束は守りますよ?」

「お前ら、ふざけるな!!」

 

その言葉を最後に、ウールは穴の中に落ちていった。

 

「さて、ジオウII、ゲイツリバイヴ、そして、ジオウトリニティのウォッチは手に入った。あと必要なものはただ一つ」

「ハイ。“ゲートウォッチ”、もしくは仮面ライダーディケイド。それだけですわ」

「まあ、いまのところオイラのアナザークラウドくんが暴れてくれてるッス。暴れまくり、世界を破滅させる一歩手前まで追い込めば、あの守護者と破壊者のことッス。確実にアナザークラウドを倒しに来ると思うッスよ」

「ハイです。ただぁ、その前にジオウ達にやられなければ、の話ですけどね」

「メイ・・・・オイラ、オマエのそういうとこ、嫌いッス」

「落ち着けカイ。いいものをやるから、な」

「え?いいもの?アマツ、何をくれるんス!?」

「これだ」

 

アマツと呼ばれた赤色の服の青年がカイと呼ばれた緑色の服の少年に手に持ったそれを渡す。それは緑色のジクウドライバーだった。

 

「ジクウドライバー・・・・ではないッスね。なんスかこれ?」

「それはアナザードライバー。アナザーウォッチを使って変身するドライバーだ」

「なんでこれをオイラに?」

「なに、制作が遅れてただけだ。俺とメイはすでに持っている。専用のアナザーウォッチもな」

「ハイですわ」

 

そう言って2人はドライバーとウォッチを見せる。

 

「なるほど。メイの後というのは気にくわないッスけど、確かにこれはありがたいッス。それじゃ、行ってくるっす」

 

そう言ってカイはその場から姿を消す。その手に自分のウォッチを手にして。

____________________________________________________________

 

「それで、快晴はなんでこの時代に来たの?」

 

まず気になったことを聞く。一応タカウォッチロイドにアナザーライダーの探索をさせつつ、俺たちは快晴に気になったことを質問する。

 

「俺は、あるヤツに頼まれてこの時代にやって来た」

「あるヤツ?」

「ああ、なんでもそいつはこの時代であるヤツを倒すように言われてるんだ」

「あるヤツ?」

「まさか、ジオウのことか!?」

「なに?それは見逃せないね」

 

ゲイツとウォズが身構える。だが

 

「落ち着いてよ2人とも。まだそうと決まったわけじゃないし」

「そうよ。それに、もしソウゴを倒すのが目的ならさっきの戦いで助けに入る必要はなかった」

「その通り、だよ」

「「「うぉ!?」」」

「なんだい?キミは」

「どこから入って来たの?」

 

いつのまにか俺の背後に知らない男がいた。誰だ?なんか顔に見覚えがあるんだけど・・・・・・。

 

「なんだアンタか。ビックリさせるなよ」

「知り合い?」

「ああ、コイツが俺をこの時代に連れてきたヤツだ。名前は知らないけどな」

「名前も知らないのに頼みを聞いたの!?」

「ああ、そういう気分だったからな」

「コイツ・・・・もしかしたらジオウよりも面倒くさいヤツかもしれん」

 

失礼な。

 

「それで、なんで快晴をこの時代に?」

「いま、この星が消滅させられようとしている」

 

なんかいきなり語り出した!!

 

「それを避けるために彼らをこの時代に呼びよせた」

「やっぱり、ジオウが狙いか」

「違う。別にそいつがオーマジオウになろうがなるまいがどっちでもいい。最後に地球が寿命を迎える前に生き残っていればそれで」

「なら、なにを倒せというのかな?」

「この時代において、いま最優先撃破対象になっているもの、それは」

「それは?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ネオタイムジャッカー、ヤツらはそう名乗っていた」




ネオタイムジャッカー
説明は次回で。


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4

「ネオタイムジャッカー?タイムジャッカーとは違うの?」

「そういえば前にスーパータイムジャッカーとかいうのがいたな。そういう感じなのか?」

「いや、むしろもっと手がつけられないヤツらだ」

「どういうこと?」

「ヤツらはオーマジオウ、つまりキミが王にならないようにすることを目的にしている」

 

・・・・・・。え?

 

「それならタイムジャッカーと変わらないじゃん」

 

だってアイツらの目的はそれなんだから。そう思って口にしたけど、男は首を横に振って

 

「いや、違う」

 

そう断言した。

 

「タイムジャッカーは自分たちが作ったアナザーライダーを王にして自分たちの望む未来に改変しようとすることが目的だ。その過程でキミが邪魔になる。それだけだ」

「そうね。私たちもオーマジオウのいない未来を作るためにこの時代に来たわけだし」

「だけど、ネオタイムジャッカーは違う。アイツらは自分達が王になろうとしている。それだけなら手は出さなかったんだけどね」

 

まあ、過程がどうであれ過程はタイムジャッカーと一緒だろうしね。

 

「だが、アイツらは一線を超えた。アイツらは自分達が王にならないとこの地球そのものを消そうとしている」

「なんだと」

「ほう、それはなんと言うべきか」

「ところで、ネオタイムジャッカー達が王になる条件ってなんなの?」

「そのうち1つはクリアされてしまった・・・・。ジオウⅡウォッチを手に入れることだ。ジオウⅡウォッチに対抗できるゲイツリバイヴウォッチとジオウトリニティウォッチも奪われてしまったからクリアされた」

「え?奪ったのはウールだよ?」

「ネオタイムジャッカー達がタイムジャッカーの他の2人を人質にしてそのウールに持って来させたんだ。その後、ウールは時空の穴に閉じ込められてしまったけどね」

 

タイムジャッカーがそんなにアッサリと・・・・。

 

「ネオタイムジャッカーが王になる条件はあと2つ。1つは“ゲートウォッチ”を手に入れることだ」

「ゲートウォッチ?ってなに?」

「仮面ライダーゲートのチカラが入っているウォッチだ。そのチカラがあればすべての時代、すべての平行世界に行くことができるようになる。これがあればタイムマジーン無しで時間移動ができるようになる」

「もう1つは?」

「仮面ライダーディケイドの撃破だよ。彼を倒せばもう邪魔できる者がいなくなるからね」

 

ディケイド・・・・・正直倒されるところが思い浮かばないんだけど?

 

「そこで、キミ達にも依頼したい」

「まさか、私達にもネオタイムジャッカーの相手をしろというのかい?」

「その通りだ。なんでか知らないけど、アイツらは僕が声を掛けてこの時代に来てもらったライダー達のアナザーライドウォッチを持ってた。つまり、こちらの戦力は知られているんだよ」

「ライダー“たち”?つまり他にもまだいるのか?」

「うん。全員で3人いる。1人は仮面ライダークラウド、つまり快晴だ。他の2人にも近いうちに会うと思うよ」

「わかった。協力するよ」

「おいジオウ!!」

「ソウゴ!!」

「我が魔王。なにか考えでもあるのかい?」

「うん。どのみちアナザーライダーもネオタイムジャッカーも倒さなくちゃいけないんだ。だったら、いまはこの話に乗った方がいい気がするんだ」

「なるほど、要するに考えなしということだね。我が魔王。だが、一理あると私は思うが、どうかね?ゲイツくん。ツクヨミくん」

 

ウォズに問いかけられて2人は一瞬考えると口を開いた。

 

「わかった。ソウゴの決めた通りにする」

「そうだな。俺たちとしてもそんなヤツを王にするくらいならオーマジオウを魔王にした方がまだマシだ」

「ありがとう。よろしく頼んだよ・・・・・常盤ソウゴ」

 

そう言って男はその場から消えた。

 

『探しタカ〜タカ〜♪』

 

どうやらアナザークラウドを見つけたらしい。

 

「それじゃあ行こう。ゲイツ、ウォズ、ツクヨミ!!」

「ああ」

「行こうか」

「ええ」

「俺も行くぞ。先に頼まれたのは俺だからな」

「わかった。行くよ快晴!!」

「おう!!」

 

そうして俺たちはアナザークラウドのいる場所に向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おまたせ〜。コーヒー持ってき、誰もいない」



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5話

タカウォッチロイドの案内に従って移動する。だが、その途中で変なヤツと会った。

 

「おっと。ここから先は立ち入り禁止ッスよ」

「そこをどいてよ。じゃないと」

「アナザークラウドが街をめちゃくちゃにするからッスか?」

「「「「!?」」」」

「・・・・オマエら、気を付けろ。アイツはネオタイムジャッカーの1人、カイだ」

 

ネオタイムジャッカー。もう会うことになるとは思わなかったよ。

 

「アッハッハ。ダメッスよ。ディケイドとゲートを呼び寄せるためにアイツは必要なんスから。それでも通るって言うなら・・・・・・・こっちにも、考えがあるッスよ?」

 

そう言ってカイは懐からなにかを取り出す・・・・アレは!!

 

「ジクウドライバー!?」

「残念。アナザードライバーッス。と言っても使い方は一緒なんスけどね」

 

『アナザードライバー』

 

アナザードライバーをカイが腰に着ける。そしてポケットからウォッチを取り出した。

 

『ジィフォォ』『リュゥウガ』

 

ダッダッダーダダダン、ダッダッダーダダダン

 

アナザーライドウォッチをドライバーに差し込むと、なにやら不気味な音声が流れ出す。そして

 

「変身ッス!!」

 

カイがドライバーを一回転させると不気味な音声が流れ始める。

 

『フュゥジョォンタァイム!!アナザァ、ライダァ、フュゥジョォン。ジィフォ、ウィズ、リュゥウガ』

 

そんな音声が流れると、そこには両肩ににミサイルを、左腕に龍の顔が付いたアナザーライダーがいた。なにアレ?

 

「オォォォォォ!!チカラが、チカラが溢れてくるッスゥゥゥゥ!!!!!!」

「え?え?え?なにあれ!?」

「まさか、アナザーライドウォッチで変身したのか!?」

「どうやら、そのようだ。だが仕組みは我々のものと同じようだ。右側にベースとなるアナザーライドウォッチを付け、そして左側にアーマーとするアナザーライドウォッチを付けることで変身しているようだ。現に、全体的な比率を見る限り仮面ライダーG4の比率が多いように感じる」

「G4か。言われてみれば、確かにこの前見たG3に似てるけど少し違う気がする」

 

なんというか、顔がG3に見えてG3じゃない。そんな気がする。

 

「フォォォォ!!ここから先は行かせないッス「邪魔だ」ゴペッ!!」

 

突然変身したカイが飛ばされた。先ほどまでカイがいたところに、最近見ない人がいた。

 

「門矢、士」

「よぉ、面白いことになっているじゃないか・・・・・俺も混ぜろ」

 

そう言って門矢士はドライバーを腰に付けてカードを1枚取り出す。

 

「変身」

 

『KAMENRIDE、DECADE!!』

 

門矢士がディケイドに変身してカイに向かって行く。

 

「来たッスねディケイド!!オイラがテメェをぶっ殺すッス!!」

「やってみろ。それと、オマエ達は早く行け」

「な!?」

 

あの、門矢士が、なんで?

 

「俺はまだこの世界を壊すか決めていない。それまで壊れてもらったら困るんだよ。だから、早く行け」

「・・・・・ありがとう」

「行くぞ、ジオウ」

 

そう言って俺たちはアナザークラウドの下へと向かって行った。

_____________________________________________________

 

「っ!?行かせるか!!」

 

目の前の真っ黒な奴がジオウ達を追おうとする。まぁ、無理なんだがな。

 

「行かせてやれよ」

「うぐっ!!」

 

俺が一撃拳を入れるとまた少し飛んで行った。やれやれ、飛ぶのが好きな奴だ。

 

「こんの、行かせてたま・・・・・っていいのか」

「ん?なにがだ?」

「アンタがオイラの前に来たからッスよ。アンタを殺せばオイラはアイツらより強いことを認めさせられるッス!!」

「そうか」

 

まあ、せいぜい頑張れ。

 

「行くっすよ!!オラ!!」

 

黒いヤツがミサイルを発射させる。毎回思うんだが、なんで見た目のミサイルの数と撃ったミサイルの数が合わないヤツがいるんだろうな。

 

「まぁ、どうでもいいか」

 

『KAMEN RIDE、BLADE!!』

『ATTACK RIDE、METAL』

 

ミサイルが俺に直撃した。だが

 

「効かんな、こんなものか」

「な!?なんで無傷なんスか!!」

 

ふん。付き合ってられん。

 

「一気に決めてやろう」

 

『KAMEN RIDE、RYUKI!!』

『ATTACK RIDE、SWORD BENT!!』

 

「また、変わった」

「フン」

「グハッ!!」

 

なんだ、アナザーリュウガのチカラを持っているみたいだから攻撃を反射してくるのかと思えば、そうでもないのか。尚更つまらん。

 

「飽きた。終わらせる」

「ぐ、この、オイラ、まだなにもできていない、のに」

 

あっそ。

 

『FINAL ATTACK RIDE、RYUKI!!』

 

「ハァァァァァァ、ハッ!!」

 

空中に跳び、どこかから現れたドラグレッダーのブレスと共にキックをくらわせる。

 

「グワァァァァ!!!!」

 

キックを受けると黒いヤツの変身が解除した。そして、リュウガのウォッチが砕け散った。

 

「・・・・んん?1つだけか」

「ハァ、ハァ、まさか、ディケイドがここまで強いとは思わなかったッス」

「オマエが弱いだけだろ」

「っ!!覚えてろッスれ

 

そんな捨て台詞を吐いて黒かったヤツはどこかに消えた。だいたいこういうヤツは自暴自棄になる。さて、どうなることやら。

 

「さて、後は高みの見物とするか」

 

そう言って俺はジオウ達の下に移動した。

_____________________________________________________

 

「クソッ!!クソッ!!なんなんだよ、なんなんだよアイツは!!アソコは普通オイラが一方的にぶっ潰すところだろうが!!なに一方的に潰したんだよ!!オマケに入手しにくいリュウガの方のウォッチを壊しやがって、クソが!!」

 

・・・・・ああ、もういいや。もう、オイラは作戦なんてどうでもいいッス。オイラのしたいようにならないこんな世界なんて、ぶっ壊してやるッス。

 

「覚えてるッスよ、ディケイド!!!!!!」

 

まずは、ジオウ達を血祭りにしてやるッス。あのアナザーライダーはもう用済みッスよ。だから

 

 

 

「そのウォッチは、オイラが使ってやるッス」



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6

クラウド編もいよいよ大詰め。さぁ、どうなる!!


・・・・・それにしても、前回はディケイドに物語の展開を邪魔されてしまった。おのれディケイド!!また世界を破壊するのか。


「ウゥゥゥゥ」

 

タカウォッチロイドの向かう方向に行くと、そこにアナザークラウドがいた。以前と違い仮面ライダーテンペストがすでに近くにいた。

 

「やっと見つけたぞ。もう逃がさん。行くぞ!!」

「待ってゲイツ」

「なんだ!!」

 

仮面ライダーテンペスト。彼はなんの理由もなくネオタイムジャッカーに協力しているのか。おそらく俺たちでは書き出さないと思う。もし可能性があるとするなら

 

「俺たちはアナザークラウドと戦って注意を引きつけておく。だから快晴、快晴は仮面ライダーテンペストと戦ってくれないか」

「ジオウ、なにを言っているんだ。アナザークラウドを倒すには仮面ライダークラウドのチカラが必要なんだぞ。わかっているだろ!!」

「その通りだ我が魔王。今回はゲイツくんの言う通りだ。なんの考えがあるのか知らないが、いまはアナザークラウドを倒すことが先決だ」

 

たしかにその通りだ。被害を最小限に止めるならテンペストの事情を無視してアナザークラウドを倒すのが一番いい。でも、それだと快晴とテンペストの2人は仲違いしてしまう。何度もゲイツとぶつかった俺だからわかる。これは、いまのうちにどうにかしないといけないんだ。

 

「・・・・・頼む」

「「「・・・・・・・・」」」

 

俺の本気を悟ったのか、ゲイツとツクヨミ、そしてウォズが口を閉じる。そして

 

「長くは持たんぞ」

「我が魔王の命とあれば仕方がない」

「私達にはクラウドのライドウォッチはない。だから無限に戦うことになるわよ」

「・・・・・ありがとう、みんな」

 

感謝の言葉を口にして快晴の方を向く。

 

「そういうことで、頼んだよ」

「・・・・ハハ。なるほどな。こりゃあゲートのやつが気にいるわけだ」

 

そして、俺たちはアナザークラウドと仮面ライダーテンペストに向かって歩き出す。

 

「何度来ても同じことだ。このアナザーライダーは俺が守る。なぜなら・・・・クラウドの足止めは俺がするからな」

「それは都合がいい。俺たちはもともとそのつもりだったからね」

「ハッ、ほざいてろ」

 

テンペストが快晴のに似たドライバーを取り出し腰に巻き、左右のボタンを叩く。

 

『グルグルグルグル、ゴロゴロピッシャーン』

 

そんな待機音を鳴らせながらボタンを叩いた左手を胸に当てる。そして

 

「変身」

 

左手で真ん中のボタンを叩く。するとクラウドと同じように煙に包まれる。

 

『あれあれ?なにあれ?大荒れ!!

テンペスト・ウェザーマジシャン』

 

煙が晴れると、そこにはあの緑と黄色の2色のライダーがいた。

 

「荒々しくも猛々しい。仮面ライダーテンペスト」

 

一足遅れて俺たちもドライバーを着ける。

 

「まったく、魔王の気まぐれはよく起こるな」

『ゲイツ』

「その意見に同意させてもらうよ」

『ウォズ、アクション!!』

「まったく、最高だな!!」

ダンッ!!『ホーンジツーノテーンキーワー?』

「そう言わないでよ。これが、俺が思う最善なんだから」

『ジオウ』

 

待機音を鳴らしながらそれぞれポーズを取る。その間、なぜかテンペストはアナザークラウドがこちらに近づかせないようにしていた。

 

「「「「変身」」」」

 

『ライダータイム。カメーンライダー、ジオウ』

『ライダータイム。カメンライダーゲイツ』

『投影!!フューチャータイム。スゴイ!ジダイ!ミライ!!カメンライダーウォズ、ウォズ!!』

『ヤッホウ♪ホウホウ。天気予報♪

クラウド・クラウディア』

 

全員変身を終えると、俺とゲイツ、ウォズはアナザークラウドに、快晴は仮面ライダーテンペストに向かって行く。

 

『ジカンギレード、剣!!』

『ジカーンザックス、ユーミー』

『ジカンデスピアー!!ヤリスギ!!』

 

俺とウォズがアナザークラウドに接近し、ゲイツが遠距離から援護する。すると、アナザークラウドが雲を発生させる。その雲は電気を纏っていた。

 

「来るぞ!!」

「毎回同じ手が通用すると思わないことだ」

 

『キカイ』

 

ウォズがキカイミライドウォッチを起動させ付け替える。

 

『投影!!フューチャータイム。デカイ!ハカイ!ゴーカイ!!フューチャーリングキカイ、キカイ!!』

 

ウォズがフューチャーリングキカイになる。そして距離を取ってジカンデスピアーを地面に突き刺してアーマーからロボットアームを上に出す。それと同時に雷が放たれ、俺に向かって来たが、途中で方向を変えてウォズに向かって行く。そして雷がロボットアームに当たるが、地面に突き刺したジカンデスピアーを通して電気は地面に逃げて行った。

 

「グギャッ!?」

「なにを驚いている?その攻撃があくまでも雷というのであれば避雷針を用意すればいいだけだ。こうして電気を流すアースもあるわけだしね」

 

ウォズの言ったことが伝わっていないのか、尚も雷を撃ち出してくる。しかし、その全てはウォズに向かって行き、そして地面に流される。

 

「ゲイツ!!」

「わかっている」

 

『ウィザード』

 

ゲイツがウィザードライドウォッチを起動させドライバーに付け、そして回した。

 

『ライダータイム、カメンライダーゲイツ。アーマータイム、プリーズ、ウィ・ザード!!』

 

ゲイツがウィザードアーマーを身につけ、そして手をアナザークラウドに向けて「ハァ!!」と声を出す。するとアナザークラウドの下に魔法陣が現れて鎖でガランじめにする。だが、抵抗が強いのか、鎖がカチャカチャと音を鳴らす。

 

「くらえ!!」

『フィニッシュタイム!!ライダー、ターイムブレイク!!』

 

アナザークラウドの周りをピンク色の“キック”の文字が囲み、それが一箇所に集まり1つになってアナザークラウドにぶつかる。そして、“キック”の文字が飛んだ先で飛び蹴りをしていた俺の足の裏にくっ付いた。そのまま叫びながらキックを当てる。すると、アナザークラウドが爆発した。爆発が晴れるとそこには・・・・・・・

_____________________________________________________

 

「ハァ!!」

「フン」

 

ジオウ達が化け物と戦っているのを傍目に、俺はテンペストと戦っていた。テンペストの振るう短剣を躱しながら攻撃を撃ち込む。

 

「こうやって戦うのはいつぶりだろうな」

「知らん」

「あのときもこうしてダチストを倒すのを邪魔していたよな」

「興味ない」

 

・・・・・相変わらず会話にならない奴め。仕方がない

 

『曇り、のち、晴れ!!

クラウド・サン』

「オラ!!」

 

剣を持つ天候/晴れに姿を変えて斬りかかる。それをテンペストは危なげなく回避する。

 

「まったく、進歩のない奴め」

『ウェザーマジック!!突風!!』

 

突風を弾丸のように撃ち出してくる。それを避けたり剣で弾いたりしながら近付き、剣と短剣をぶつけ合う。

 

「なんでアイツらの味方をしているんだ!!答えろ!!」

「・・・・京香ちゃんを人質に取られた。協力をしないと殺すと言われてな・・・・仕方がないだろ!!」

「京香ちゃん?言われてみれば確かにいないな」

「・・・気付いていなかったのか」

 

仕方がないだろ。いつもオマエの近くにいるんだからどこかに隠れていると思ったんだから。

 

「酷なことを言うが、1人とそれ以外なら、1人を見捨てるのが正しいだろうが!!」

「そうかも知れん。だが、俺はそれでも1人を選ぶ!!」

「この分からず屋が!!」

『ウゥゥゥゥ、カン!!』

「それでも構わない」

『ウゥゥゥゥ、タチ!!』

 

『カン、カン、カンカンカンカン照りぃ!!』

『タチ、タチ、タチタチタチタチ風ぇ!!』

 

「ハァァァァァァ!!」

『晴れ!!今日は1日、晴れで、show!!』

『強風!!今日は1日、強風で、show!!』

 

炎を纏わせた剣と刃状の風で長さを補わせた短剣がぶつかり合う。衝突した威力に俺たちは同時に吹き飛ばされた。

 

「ぐっ!!この」

「オマエに、あの化け物は倒させない!!」

 

お互いに立ち上がって次の一手を打とうと先程と反対側のボタンに手を伸ばす。その瞬間

 

『フィニッシュタイム!!ライダー、ターイムブレイク!!』

 

その音が聞こえると同時に爆発音が聞こえた。ジオウ達の方を見てみると、爆発した中心に誰かが倒れていた。って、まさか

 

「京香ちゃん!?」

 

人質にされていたという京香ちゃんがそこにいた。




(久しぶりの)用語集

仮面ライダー テンペスト
クラウドと同じく2025年でダチストと戦う仮面ライダー。
クラウドとは異なり、気象ドライバーの左右に付けた天晶のチカラをフォルムチェンジせずに魔法のように使用できる。初めはクラウドの敵として現れていたが、京香との出会いをきっかけとしてクラウドと共に戦うようになる。

テンペスト
?歳
見た目は20〜3歳くらいの青年だが、その正体はダチスト。クラウドを倒すために気象ドライバーを本来変身するはずだった男から強奪し、テンペストに変身する。だが、彼が仮面ライダー テンペストになったことで後々の悲劇を回避できた。

本来のテンペストの変身者
28歳
普通のサラリーマンだったが、ライダーシステムの適性があったことから気象庁からスカウトされ、気象ドライバーと天晶を渡された。そこをテンペストが強襲して殺害され、気象ドライバーと天晶を奪われる。

京香
7歳
本来のテンペストの変身者の娘。母は事故ですでに亡くなっており、頼れる親戚もいなかったため孤独になった。自分の父親を殺したテンペストのことを「寂しそう」と思い憎しみよりも悲しみを覚え、テンペストと行動をともにするようになる。


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7

アナザークラウドに必殺技を撃ち込んで撃破する。だけど、やっぱりクラウドのライドウォッチが無いからかアナザークラウドのウォッチが破壊された形跡はなかった。いや、それよりも

 

「・・・・・・嘘だろ?」

「なんだと?」

「これは、流石に予想していなかったよ」

 

アナザークラウドが爆発した場所に倒れた7歳くらいの女の子がいた。これって、そういうことなんだよね。

 

「京香ちゃん!!」

 

快晴達が戦っている方から声がする。快晴じゃないってことは、テンペストの方か。その声からは動揺が見られる。

 

「なんで、なんで京香ちゃんが化け物に?」

「あらら、バレちゃったスか?」

 

突然この場にいなかったヤツの声が聞こえた。いつのまにか女の子の近くにカイがいた。よく見ると所々がボロボロだった。

 

「キサマ、どういうことだ!!京香ちゃんは無事だと言っていたじゃないか!!」

「あれ?あれあれ?まさか信じてたんスか?バカッスねぇ。人の言うことは疑わないと」

「なぜ、なぜ京香ちゃんを化け物にした!?」

「やりやすかったからッスよ。いやぁ信用されてますねぇ。アンタがこれを使うように言っていたといえば後は簡単でしたよ。幼女バンザイッス!!」

「キサマァ」

「待て。それもあるが、なんでオマエがここにいるんだ。ディケイドはどうした」

 

!?そうだ。アイツがいるってことは門矢士は

 

「ふんっ。心配しなくてもきっちりやられてきたッスよ。よりにもよって気に入っていたリュウガの方のウォッチを壊しやがって。絶対に許さねぇ!!・・・・・と、いうわけでクラウドのアナザーウォッチを貰いに来たッス」

「なんだと!!」

「勝手すぎないかオマエ」

「オイラのしたいようにする。それがオイラなポリシーッス」

 

そう言うと、カイは女の子に手を伸ばす。それを見た快晴達は走り出した。

 

「この、これ以上好きにさせるか!!」

「ハァァァァァァ!!」

「・・・・馬鹿ッスか?間に合うわけないでしょ」

 

そう言ってカイは女の子からクラウドのアナザーウォッチを抜き取った。そして後ろに跳ぶとアナザードライバーを付けた。

 

『ジィフォォ』『クラァウド』

 

2つのアナザーウォッチをドライバーに付け真ん中のボタンを押す。するとあの気味が悪い待機音が流れる。

 

「変身ッス!!」

 

『フュゥジョォンタァイム!!アナザァ、ライダァ、フュゥジョォン。ジィフォォ、ウィズ、クラァウド』

 

ドライバーを回して変身する。さっき見たときと違って両腕に小型のミサイルが付き、肩にレーダーとパイプが付いたG4に似た顔をしたアナザーライダーが現れ、そのまま近付いてきたテンペストに女の子を投げつけ、快晴を殴りつけた。

 

「京香ちゃん!!」

「ガハッ!!」

 

テンペストは女の子をしっかりと抱きしめ、快晴は俺たちがいるところまで飛んできた。

 

「これで、終わりッス!!」

 

『フィニッシュタァイム。クラァウド、ショォウ、タァイムブラスト』

 

その音声が流れると両腕のミサイルを上に発射して爆発させる。その煙にレーダーから発射されたレーザーが命中し、そして雲を生成する。そしてその雲からミサイルが降り注ぐ。って、俺たちもヤバイじゃん!!

 

「ど、ど、ど、どうしよう!!」

「どうするもなにも、どうにか避けるしかないだろう!!」

「これは、どうしようもないね。ツクヨミくん、これらを止めれないかい?」

「まだあのチカラをコントロールしきれていないからこの範囲は無理!!」

 

やーばい。どうしよう。

 

「あーもう、世話がやける!!」

『晴れ、のち、雨!!

クラウド・レイン』

 

その音声が聞こえると同時に快晴の身体が青色に変化し、武器も剣から銃に変わった。

 

『ウゥゥゥゥ、ド!!ド、ド、ドドドド砂降り!!』

「ハァァァァァァ!!」

『雨!!今日は1日、雨で、show!!』

 

銃口に水の球ができ、それを俺たちの上に向けるとトリガーを引く。すると、水の球が撃ち出されると同時に分裂し、ミサイルを爆発させる。そのままの勢いで全て爆発させひとまず安心する。

 

「やったね快晴」

「・・・・・・カハッ」

 

快晴の方を見て声を掛ける。だが、その快晴は血を吐いて倒れていた。いったいなにが。

 

「まったく、自分の武器なんだからちゃんと知っておいて欲しいッス」

 

カイがそう言った。その手には放電している黒い雲があった。

 

「まさか、雷を撃ってくるとは、思わなかったぜ」

「でしょうね。ああそれと、テンペストの方はさっきのミサイルでダウンしたッスよ。幼女を守って死んだのなら本望でしょうね。あのロリコン」

 

テンペストの方を慌てて見るとそこには爆発の跡の中心地に変身を解いたテンペストがいた。

 

「嘘だろ、快晴達が、あんな一瞬で」

「ざぁんねん。本当のことッスよ。まあ、殺すのは後でもできるから先にアンタらを戦闘不能にするッスけどね」

 

そう言いながらカイがこちらに手を向ける。その腕にはミサイルがあった。くっ、ここまでなのか。

 

「まだ、手はある、ぞ」

「快晴?」

 

右腕から血を流した快晴がゆっくりとこちらに近寄ってくる。そして、ウォズの持っているブランクウォッチを1つ奪い、そしてボタンを押す。すると、快晴の変身が解除され、代わりにブランクウォッチの姿が変わった。

 

『クラウド』

「これは、新しいミライドウォッチ」

 

そういう、ことか。

 

「ウォズ、そのウォッチを使って!!」

「その通りだ。俺はこの通りまともに戦闘できない。だから、お前に託す。あとソウゴ!!ゲートからの情報で、アイツらのアナザーライダーのウォッチは対応する時代のライドウォッチでも破壊できるらしい。ウォズに聞いて使え!!」

「わかった。・・・・それでウォズ。アイツに対応するのって、やっぱりこれ?」

「その通りだ我が魔王。そのウォッチを手に入れていないときに襲われなくて良かったね」

「だね」

「いいから早くしろ!!」

 

ゲイツがカイを遠距離で惹きつけている間に俺たちはウォッチを起動させる。

 

『アギト』

『クラウド、アクション!!』

 

俺とウォズはそれぞれウォッチをドライバーに付け、そして起動する。

 

『ライダータイム。カメーンライダー、ジオーウ。アーマーターイム!!(アギトの変身待機音)アギトォ!!』

『フューチャータイム。ヤッホウ!ホウホウ!天気予報!!フューチャーリングクラウド!クラウド!!』

 

俺たちの姿が変わる。俺はアギトに似たアーマーをつけ、顔に『アギト』の文字を現した姿になり、ウォズは左肩に雨のマーク、右肩に晴れのマーク、そして中心に曇りのマークが現れ、顔に『クラウド』という文字が現れた。 さぁ、反撃開始だ!!




次週、テンペスト編最終話・・・・の予定です。


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8

今回でクラウド編、最終回です。あと、途中に残酷な表現があります。


・・・・カイに対抗するために変身したけど、このウォッチって使うの初めてなんだよなぁ。ということはさぁ。

 

「祝え!」

 

やっぱり・・・・。

 

「全ライダーの力を受け継ぎ、時空を超え、過去と未来をしらしめす時の王者、とその従者の新しき姿。その名も仮面ライダージオウ・アギトアーマーと仮面ライダーウォズ・フューチャーリングクラウド。覚醒する戦士の力を継承せし魔王と天候を操つる力を手にした従者がともに立った瞬間である!!」

「2人同時だと、そうなるんだね」

「・・・・」

 

『ジカンデスピアー!!ツエスギ!!』

 

「 あ、誤魔化した」

「なんのことかわからないな我が魔王。私はなにも、誤魔化してなどいないのだがね。そもそも」

「あーうん。わかった。わかったから。ウォズはなにも誤魔化していないよ」

「わかってくれて嬉しいよ。我が魔王」

 

うんうん。わかってるよ。わかっているから。

 

「おいらを無視すんなぁぁぁぁ!!」

 

そう言いながらカイがミサイルを発射する。ゲイツがそれを狙撃したお陰で爆風を受けるだけで済んだ。

 

「ボサッとするな!!早く決着をつけろ」

「わかってるよ。少し油断しただけだから、さ!!」

 

俺はカイとの距離を一気に詰める。だが、カイはそれに気付きアンテナから放ったレーザーを雲に当てる。するとそこは黒い雲に変わった。

 

「くらえッス!!」

 

そしてカイが雷を俺に向けて落とす。さっきまでの俺たちならウォズの避雷針で回避していた。だが、いまは対処法はそれだけではなくなった。

 

「ハァッ!!」

 

ウォズが杖モードのジカンデスピアーを振る。すると雷は向きを変えてカイに向かっていく。

 

「なに、グハァァァァァァァァ!!」

 

カイに雷が直撃する。それからすぐに俺も追いついた。

 

「ハァァァ、ハッ!!」

 

俺は拳に力を込めて思いっきり殴る。そしてもし怪人相手でなければただのリンチかと思われるほど殴る蹴るを繰り返す。そして、ある程度ダメージを与えると最後に思いっきり殴って距離を開ける。

 

「こ、この。マジでキレたッス!!」

 

『フィニッシュタァイム。クラァウド、ショォウ、タァイムブラスト』

 

「させるか!!ジオウ!!フォーゼのライドウォッチを貸せ!!」

「わかった!!」

 

ゲイツにフォーゼのライドウォッチを投げて渡す。ゲイツはそれを受け取るとジカンザックスに取り付ける。

 

『フォーゼ、ギワギワシュート!!』

 

「「ハァッ!!」」

 

カイの両腕とゲイツのジカンザックスからミサイルが発射される。カイが放ったミサイルは俺たちに向けて飛んでくるが、ゲイツが放ったミサイルがカイの放ったミサイルを迎撃し、最終的にカイの必殺技を無効にした。

 

「なに!!」

「我が魔王。彼に引導を渡してやろう」

「うん。わかった」

 

『ビヨンドザタイム!!』『ウェザーマジック!!』

 

ウォズがビヨンドライバーで必殺技を放つ。すると、ウォズの周りに雲が発生していく。それを見ながら俺も必殺技に入る。

 

『フィニッシュタイム!!』『不可思議マジック!!』

『フィニッシュタイム!!アギト!!グランド、タイムブレイク!!』

 

俺とウォズが同時に必殺技を起動させる。すると、俺の足元になにかの紋章が現れ、ウォズの周りにあった雲がカイの周りを回転する。ウォズがジカンデスピアーを振ると豪雨の音と雷の音、そしてカイの悲鳴が聞こえてくる。

 

「ギャァァァァァァ!!!!!」

 

ウォズはカイの様子を見ながらジカンデスピアーをゆっくりと振り上げる。そして、真上まで振り上げると

 

「終わりだ」

 

そう言って振り下ろした。その瞬間、太陽の光が凝縮したような光線がカイを襲う。

 

「グハァァァァァァァ!!!!」

 

それを気にしながらも俺は浮かび上がった紋章のようなものが気になっていた。うーん。真下に浮かび上がる紋章かぁ。うーん・・・・・・・・真下?

 

「そっか」

 

俺は距離を取って真下に紋章みたいなものを浮かばせ続けながら走る。ある程度助走をつけると俺は思いっきりジャンプする。すると、真下にある紋章みたいなものも浮かび上がり、ボードのように俺を乗せて前に進む。ウォズの放った光線が消えた瞬間に俺はカイにそのまま突っ込んだ。

 

「オラァァァァァァァァァ!!」

 

カイにぶつかる寸前に紋章みたいなものから飛び降り、紋章みたいなものをカイにぶつけた。するとカイが悲鳴を上げながら爆発に呑まれた。

 

「ギャァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パリィン。パリィン。

 

2つのアナザーライドウォッチが壊れる音がした。

____________________________________________________________

 

爆発が晴れた。そこに人間に戻ったカイと、カイの持つ2つのアナザーライドウォッチが壊れているのを確認した。

 

「ふぅ。まずは1人、だね」

「ああ。今回は意外と楽だったな」

「そうだね。これならまだスウォルツたちタイムジャッカーの方がまだ厄介だと言える」

「でも、まだ油断しちゃダメよ」

「わかってるよ・・・・・。あ、そうそう。快晴!!」

 

忘れるところだったよ。

 

「なんだ?」

「はい」

 

快晴にクラウドのミライドウォッチを渡す。やっぱり本人が持っていた方がいいからね。

 

「ああ、それか・・・・・それならもう必要ない」

「え?なんで?」

「俺はダチスト達を倒すために仮面ライダーになった。だから、俺のチカラが消えることでアイツらも消えるってんなら願ったり叶ったりだ」

「でも」

「確かに俺はオマエ達に協力してこの時代を守ろうと思った。だが、やっぱり俺は俺が生きた時代が大事なんだよ。だから・・・・・それはオマエ達が持っていてくれ。俺は、それでいい」

「そう・・・・・」

「そういうことだ。じゃあな。・・・・またな」

 

そう言って快晴はその場を去った。京香ちゃんという女の子を背負ったテンペストもそれに着いて行く。

 

「さて、俺達も帰ろうか」

「ああ」

「ええ」

「そうしよう」

 

そして、俺たちはカイを置いてその場を去った。

 

・・・・・・・・・・・この選択を後に後悔することを知らないで。

_______________________________________________________________

 

「おいクラウド」

「なんだ、テンペスト」

 

突然テンペストが足を止めて俺に話しかける。俺はたぶんこれからテンペストが話すであろう話の内容が読めている。

 

「京香ちゃんを頼む」

「・・・・・やっぱりか」

 

テンペストも元はダチストだ。ダチストが居なくなるということは、そういうことなんだろう。

 

「俺が消えるということは、おそらく京香ちゃんの父親は生きている筈だ。だから、京香ちゃんを引き渡して欲しい」

「・・・・・・・・」

 

行くな。その一言を言うのは簡単だ。俺もそう言ってしまいたい。だが、それを言ってしまうと、こいつの、テンペストの決意を無駄にすることになる。だから、俺は

 

「わかった」

 

その一言だけ言って京香ちゃんを預かる。一瞬だけ京香ちゃんに視線を向けてまたテンペストの方を向く。だが、そこにはもうテンペストの姿は無かった。それを確認したと同時に、ゲートがやって来る。

 

「・・・・・ゴメンね。こんな結果になってしまって」

「大丈夫だ。俺は、1人より多数を取る人間だからな」

「そしてキミはその怒りを自分1人で向けさせる。なかなかできることじゃないよ」

 

やっぱり、バレてるのか。憎しみの連鎖は1人に向けさせ、その1人が死ぬことで完結できる。だからこそこの方法を取っていた。俺1人を切り捨てて他の全てを救うために。

 

「・・・・・せっかく来てもらって悪いと思うんだけど」

「わかってる。この戦いにはライダーのチカラが必要だ。それを失った俺がこの時代にいても意味はない」

「・・・・・ゴメンね。安全に帰還できることは保証するよ」

 

そう言うとゲートは門の形をした板を取り出すと、それを小さな箱に差し込む。

 

『ライダーゲート、クラウド♪』

 

目の前に大きな門が現れる。俺はその門を潜る。

 

来たときと違い、消え去った戦士がその存在を捨ててまで救った少女を背負って。

 

・・・・・・・なんだろうな。少女自身は軽いのに、別の意味で重く感じる。

_______________________________________________________________

 

快晴が門を潜る少し前

 

ビキビキ、バリーン!!

 

ソウゴ達が去った後、そのような辺りに音が響き渡る。その音に目を覚ましたカイは周りを見渡す。

 

「アイツら、よくも・・・・あ!!オイラのアナザードライバーが!!もう、本気で怒ったッス!!」

 

カイが叫ぶ。だが、それはすぐに疑問に変わった。なぜなら、壊れたアナザードライバーからなにか黒い、スライムのようなものが出てきたのが見えたのだ。そのスライムのようなものはカイに向かって来る。それを見たカイは時間を止めるが、スライムは動きを止めず、そのままカイの足にまとわりつく。

 

「こら、離れるッス!!」

 

カイが黒いスライムを引き離そうとする。だが、黒いスライムは霧状になり、カイの身体を覆うとそのままカイの中に吸い込まれるように消えた。

 

「なんだったんスかあれは・・・・・・ヒィッ!!」

 

黒いスライムが居なくなったことでカイは安堵する。だが、そのすぐ後に異変が起こる。カイの身体が黒く変色し始め、変色した場所からボロボロと崩れていったからだ。

 

「い、嫌だぁぁぁ!!オイラは、オイラは、まだ死にたくないッス!!オイラは、王になって、オイラの時代を救うんだぁぁぁぁ!!」

 

カイの絶叫を嘲笑うかのようにカイの身体はだんだんと原型を無くしていく。そして、最後には人としての原型を無くし、ただの土塊になった。そこへ2つの影が近づいてくる。

 

「あらあら。カイったら、食べられちゃったのね」

「そのようだな」

「アマツ、あなたちゃんと説明しましたの?」

「なぜする必要があるんだ?ただの駒に」

 

そう。この2人はネオタイムジャッカーのアマツとメイ。土塊へと姿を変えたカイの仲間である。

 

「まあ、お酷いこと」

「なに、収穫はあったよ。アイツらの、ジオウ達の陣営にゲートがいる。そして、ディケイドは俺たちの計画を知りながらも邪魔をしない」

「カイは邪魔されましたわよ?」

「アレはただ戦いたかっただけだ。俺たちの計画に首は挟まない筈だ」

「まあ、いいですわ。それに、もう1つ収穫もあったですわね」

「ああ、どうやらアナザードライバーには必殺技を2発同時に受け切るほどの耐久性はないということだな」

 

そう。2人はカイをもともと捨て駒として行動させていた。そのため、失敗することが前提の今回の作戦において好き勝手させていたのだ・・・・・・人間として最後の自由を満喫させるために。

 

「では、お次は私が行かせていただきますわ」

「大丈夫なのか?オマエまで失うと流石に計画に乱れが発生するぞ」

「大丈夫ですわよ。私はヘマしませんから」

「・・・・・・わかった。ではウォッチを渡そう。受け取れ」

 

メイは新たなアナザーライドウォッチを受け取ると、その顔は喜びに満ちた。

 

「はい!!精一杯遊ばせていただきますわ!!」

 

そう言ってメイはその場を去る。その場にはアマツだけが残った。そのアマツはゆっくりとしゃがみ込むとカイだった土塊に手を入れる。そして、そこから緑色の玉を取り出した。

 

「馬鹿ばっかりだな。ジオウⅡのライドウォッチ?そんなのいるわけがないだろ。あんなのオーマジオウのチカラなんだから俺の望む未来にはもう必要ないものなんだよ。本当に必要なのは、こいつなんだよ」

 

アマツは緑色の玉をポケットから取り出した小さな袋に壊れ物を扱うように入れるとその場を去った。

 

自分しか知らない計画の成功を見つめながら。

 

________________________________________________________________________

 

「物語は必ずいい方向にばかり進むとは限らない。ときに英雄は悲劇を乗り越えて成長する。だが、英雄ではなく王となる我が魔王はこれらの悲劇を知る必要はないだろう。さて、次はと・・・・・おや?どうやら、また知らないライダーが現れるようです」

 

 

テーブルに置かれたカードに近寄る黒いローブを身に纏う人の影、その人物がカードを捲る。そこには死神の絵が描かれたカードがあった。




次回!!仮面ライダージオウ〜フューチャータイム〜

「ウォズがいない?」

ネオタイムジャッカー メイに誘拐されたウォズ。

「アナタがいなければ、他はたいしたことはありませんわ」

そして現れるアナザーライダー。

アナザーライダーの前に現れる新たな仮面ライダー。

「未来を占い、創生する」

6/16 日曜朝9時!! (に更新します)


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2031 運命、錯綜
1


タロット編、スタート。


この本によれば、普通の高校生だった常盤ソウゴ。彼には未来の時の王者、オーマジオウになる未来が待っていた。私達の前に謎の仮面ライダー、仮面ライダークラウドが現れ突如現れたネオタイムジャッカー、そしてアナザークラウドと戦うことになる。アナザードライバーという摩訶不思議なものを使って異種のアナザーライダーになったネオタイムジャッカーカイを我が魔王と私の活躍により撃ち倒した。だが、敵はまだ2人いる。その片方が動き出し、また新たな仮面ライダーが姿を現わす。

 

おっと、読み過ぎてしまいました。

 

「いったい、なにを言っていますの?」

「うん?誰だ」

 

ドガッ!!

______________________________________________________________

 

「ふぁぁぁぁ。おはよう」

 

今日は新しいライドウォッチが見つかるかなぁ。タイムジャッカーがいないいま集めておきたいんだけど・・・・なにせ情報が無いから集められないんだよなぁ。

 

「やあソウゴくん。おはよう。それにしてもいい天気だねぇ。テレビでも言ってたけどさ。今日は洗濯物がよく乾きそうだよ」

「天気、か」

 

仮面ライダークラウドこと雨雲快晴、天候を操る仮面ライダーだった彼は俺たちと一緒にネオタイムジャッカーと戦ってくれた。その結果、快晴のライダーのチカラをウォズに託しチカラを失ったという代償を支払いネオタイムジャッカーの1人であるカイを撃ち倒した。でも、アイツはアレで終わらないと思う。きっとまたなにか仕掛けて来るに違いない。

 

「あ、ソウゴくん。ウォズくん知らない?ゲイツくんもツクヨミちゃんも知らないって言うんだよ」

「ウォズが?」

 

そういえば、たしかに今日はまだ見てないな。うーん、なんか嫌な予感がする。

 

「俺、ちょっと探してみるよ」

「そう?気をつけてね」

「うん。行ってくる」

「あ、ソウゴくん。できたら帰りに」

カランカラン

「あ、もう行ったのね」

「なんの騒ぎだ」

「どうかしたんですか?」

「あ、ゲイツくんにツクヨミちゃん。いやぁ、実はね」

______________________________________________________________

 

「ウォズー!!ウォズー!!いないのー!!」

 

ウォズを探しに街に行く。いつもなら俺が呼べばすぐに来てくれるのに来ない。これって、やっぱりなにかあったんじゃないか?

 

「そこの人」

「うん?」

 

突然声を掛けられ足を止める。そこには黒いローブを着て顔が見えない人がいた。『占います』っていう看板があるからたぶん占い師っていうやつだ。・・・・・本当にこんな格好するんだ。性別は、声からして女性かな?

 

「アナタ、人を探しておられるのですか?」

「え?なんでそれを?」

 

まさかこの人、人の心を。

 

「あれだけ大きな声を出していれば聞こえるに決まっているでしょう」

「あ、うん。そうだね」

 

なんか恥ずかしい。

 

「それで、どうなのですか?」

「あ、うん。ウォズっていう人を探しているんだけど、どこにあるかわかる?」

「わかりました。では見つけ出してみましょう。お代は結構です」

「え?」

 

そう言うと、突然占い師が持っていたカードをシャッフルし、並べ始める。そのカードを表にすると、なにかを念じ、そして顔を上げる。

 

「どうやらそのウォズという人は現在どこか人が少ないところにいらっしゃるようです」

「え?なんで?」

 

って、聞いてもわからないか。

 

「近くに女性の方がおり、なにかを話しておられますね」

「へー。ウォズもデートをするんだね」

「いえ、縛られているのでこれは誘拐ですね」

「へー。ウォズも誘拐されるんだね」

 

・・・・・・・。

 

「誘拐!?」

「はい。どうやらそのようです」

 

え!?ウォズが誘拐!?なんでそんなことが?

 

「あ、いま話すのをやめて動かなくなりました。なんでしょうかこれは。まるで時間が止められたような」

「時間を止める?」

 

まさか。

 

「ありがとう!!またね」

 

急いでゲイツとツクヨミにも伝えないと。

 

「ええ。また」

 

占い師のお姉さんがなにか言っていた気がするけど、俺の耳には聞こえてこなかった。

_____________________________________________________________

 

『ウォズが誘拐されただと?どういうことだ』

「わからない。でも、たぶん犯人はネオタイムジャッカーだ」

 

占い師のお姉さんと別れてすぐにゲイツとツクヨミに連絡を取った。どうやら叔父さんにウォズがいないことを聞いていたらしく、すでに探し始めていたらしい。

 

『その根拠はなんだ』

「占い師のお姉さんにそう聞いたからだよ」

『・・・・・』

「ゲイツ?」

 

ゲイツが突然黙った。かと思ったら呆れたような声で言ってくる。

 

『オマエ、その占いに信憑性があると思うのか?』

「わからないよ。でも、なにもないよりはましだと思う」

『そうか・・・・わかった。とりあえず俺達も合流する。場所を』

 

ゲイツがそう言った瞬間に爆発音が叫び声が聞こえてきた。電話越しじゃない。ということは、俺の方だ!!そう思い辺りを見渡すと、近くの広場から悲鳴を上げながら逃がる人達が見えた。その先には、アナザーライダーがいた。

 

『ジオウ。聞いているのか?』

『待ってゲイツ。ねぇソウゴ。いまそっちから悲鳴が聞こえてきたけど。何かあったの?』

「アナザーライダーが現れた」

『なに?』

「場所は前にアナザーアギトを倒した広場だ。急いで来て」

『わかった。俺たちが来るまでやられるなよ」

 

そう言ってゲイツ達が電話を切る。俺はジクウドライバーをつけてライドウォッチの準備をする。

 

『ジオウ』

「変身!!」

『ライダータイム。カメーンライダー、ジオウ』

 

アナザーライダーに向かって行く。それに対してアナザーライダーはその場から動こうとしない。なにを考えているんだ?

 

「ハア!!」

 

アナザーライダーに攻撃する。俺の攻撃は躱されるかとなくすべて命中した。だが、それらの攻撃はまったく効いている様子はなかった。

 

「なら」

 

1度後ろに下がり、いま持っているウォッチの中で1番強いウォッチを取り出す。

 

『ディディディケイド』

「ハッ!!」

『ライダーターイム。カメーンライダー、ジオウ。アーマータイム。カメンライド (WAO)ディケイド、ディケイド、ディーケーイードー』

「一気に決める!!」

 

ライドヘイセイバーで攻撃を仕掛ける。そのとき、アナザーライダーが移動した・・・・・・・。俺の目の前に

 

「え?」

 

気付けばいつのまにか殴られていた。いったい、なにが起こった?

 

「グルルルル」

「この!!」

「ガァァァァァ!!!」

 

1度攻撃を当てると再び距離を詰め攻撃を仕掛ける。連続で殴られて、かなり痛い!!

 

「ちょ、待って、待って!!」

「・・・・・」

 

俺が「待って」というとアナザーライダーが攻撃を止める。攻撃が止まったことにホッとする。が、

 

「ガァァァァァ!!」

「ですよねー!!」

 

一瞬だけ姿がぶれたかと思うと突然回し蹴りが放たれる。これ、かなり痛い!!

 

「いっててて。うん?アレは」

 

アナザーライダーの全身が燃えている。その炎は体の中心に集まっていく。

 

「これ、なんかマズイ気がする」

「グルアァァァァァ!!」

「うわぁぁぁぁぁぁ!!」

 

『ゲイツ、ギワギワシュート!!』

 

「え?」

 

炎が集まっていた部位に突然黄色い矢が撃ち込まれ、その衝撃で炎が散る。アレって。

 

「ジオウ、なにをボサッとしている。油断するな!!」

「ゲイツ。・・・・・あれ、ツクヨミは?」

「ツクヨミなら後で来る。俺はバイクで先に行けと言われて先に来ただけだ。それで、こんなときにウォズはどこにいる」

「そんなこと、俺に言われてもわからないよ」

 

ほんと、ウォズはどこに行ったんだ。こんなとき、ジオウトリニティがあれば早いのに。

 

「驚いた。まさかアナタも仮面ライダーだなんて」

「え?」

 

突然声をかけられる。その声の主は先程の占い師のお姉さんだった。なんでこんなところに・・・・

 

「って、“も”?」

「別に怨みはないけど、私が望む未来のためにアナタは倒す」

 

そう言うと占い師のお姉さんが袖からなにか取り出し、それを腰の前に持ってくる。あれ?アレってまさか。そう思った瞬間、そのナニカが腰に巻きついて音楽が流れる。

 

「ねぇゲイツ。アレってまさか」

「そのまさかだろうな」

 

占い師のお姉さんが反対の袖からカードを取り出し、それを腰につけたナニカに差し込む。

 

『運命の輪、正位置』

「変身」

 

そう言ってお姉さんがナニカ・・・・ライダーのベルトについているボタンを押した。するとお姉さんを透明な膜が覆い、それが段々と形を変えて色がついていく。

 

『ロット、ゲット、カードセット。タロット』

 

水晶でできたアーマー、天使の羽を模した顔、やっぱりアレは。

 

「仮面、ライダー」

「未来を見通し、創造する。仮面ライダータロット」

 

また、新しい仮面ライダーが現れた。アレがタロットの言っていたこの世界に呼んだ3人のライダーの1人なのかな。それにしては、なんか俺に殺気を向けている気がするんだけど。気のせいなのかな?




もう2話、続けて投稿します。


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2

「えっと、俺になにか?」

「ハッ!!」

 

そう声をかけると、唐突に俺に攻撃を仕掛けてくる。

 

「え、ちょ、待って!!いきなりなに!?」

「オマエは、私が倒す!!」

 

なんかめっちゃ攻撃されるんだけど!?って、アナザーライダーが逃げ始めてる。

 

「ゲイツ!!そのアナザーライダーを追って!!俺は追えそうにないから!!」

「ったく、次から次へと厄介ごとを。わかった、あのアナザーライダーはどうにかする。できればあのアナザーライダーの変身者は確かめておく」

「頼んだ」

 

そう言ってゲイツがアナザーライダーを追う。さてと、こっちも早くどうにかしないと。

 

「ハッ!!」

「よっと」

 

お姉さんの攻撃を防いで話しかける。

 

「なんで俺に攻撃するの。お姉さん、ゲートがこの時代に連れて来たっていう助っ人じゃないの?」

「助っ人?なにを言っているの。私は、オマエを倒すためにこの時代に来た。ゲートは利用したに過ぎない」

「えぇぇぇ・・・・」

 

なんで俺、こんなに恨まれてるの?というかこの展開、なんかデジャヴを感じる。ゲイツとかゲイツとかゲイツとか・・・・あ、この時代に来たばかりのゲイツだ。

 

「なんでネオタイムジャッカーの味方をするの?まさかお姉さんも誰か人質に取られているの?」

「人質?それはオマエの十八番だろ!!」

 

そう叫びながらお姉さんが俺から距離を取る。すると、また別のカードを取り出し、ドライバーに差し込む。

 

『死神、正位置』

 

ドライバーが音声を発すると、お姉さんの右手に膜が現れて鎌が現れる。それを俺に向けて振り回してくる。

 

「ハァッ!!」

「ちょっ!!」

 

なんとかライドヘイセイバーで受け止める。なんかめっちゃ衝撃を感じる。この人、俺を確実に殺そうとしてる。

 

「なんでこう俺を殺そうとするの。お姉さんになにかした?」

「なにもしていないわ」

「でしょ!!」

「いまのオマエはね。でも、アナタは近い将来私のお父さんを殺す。ライドウォッチとかいうものを手に入れるために、私のお母さんと姉を人質にしてライドウォッチを手に入れたら全員殺す。アナタはそういう人なのよ!!」

 

え?俺が、人を殺す?ライドウォッチを手に入れるために?なんで?

 

「そうなる前に私はアナタを殺す。ネオタイムジャッカーはその後に倒す。ネオタイムジャッカーを倒せばゲートとの約束は守ることになる。私は未来を創れても過去に行く手段はない。だから、ゲートを利用してこの世界に来た。オーマジオウ。アナタを亡き者にするために!!」

 

そう言うと、お姉さんが後ろに跳びながらドライバーに手を掛けて180度回転させる。

 

『リバーサリーフォーチュン。死神、逆位置』

 

その音声と共に天使の羽を模したバイザーが形を変えて悪魔の羽を模したバイザーになり、お姉さんの持つ鎌が黒い光を発する。そして、地面に足がついた瞬間、俺に向かって跳躍する。アレは、マズイ!!そう思った俺はライドヘイセイバーの時計の針を回す。

 

『ヘイ!!ビルド、ヘイ!!エグゼイド、ヘイ!!ゴースト、ヘイ!!ドライブ、ヘイ!!鎧武』

 

鎧武を選択してトリガーを押す。

 

『鎧武、デュアルタイムブレイク!!』

 

「せやぁぁぁ!!」

「ハァァァァァァ!!」

 

果汁のようなエフェクトのついたライドヘイセイバーと黒い光を放つ鎌が激突する。するとお互いに吹き飛ばされ地面に叩きつけられる。

 

「かはっ」

「うぅぅ!!」

 

お互いすぐに起き上がる。お姉さんは別のカードを取り出しドライバーをまた180度回転させて付け替える。あれ?さっきと違って金色?

 

『太陽、正位置。チェンジ』

 

お姉さんの全身の膜が姿を変える。背中に輪っかが現れアーマーの形が炎を模したものに変わり色が水色からオレンジ色に変わる。手にはオレンジ色の銃が現れる。

 

「え、変わった?」

「・・・・・」

 

静かに銃を上げ俺に銃口を向けトリガーを引く。って、いきなり攻撃!?

 

「あーもー、しつこい!!」

『フィニッシュタイム!!』

 

銃弾を可能な範囲で回避しながらディケイドウォッチをライドヘイセイバーに取り付け針を3周させる。

 

『ヘイ!仮面ライダーズ!ヘイ!セイ!ヘイ!セイ!ヘイ!セイ!ヘイ!セイ!へへヘイ!セイ!ヘイ!セイ!ヘイ!セイ!』

 

そして、トリガーを引く!!

 

『ディディディディケイド!平成ライダーズ、アルティメットタイムブレイク!!』

 

「オラァァァ!!」

 

お姉さんに必殺技を撃ち込む。だが、お姉さんは銃にまた新しいカードを差し込む。

 

『塔、正位置』

 

銃口を下に向けて放つ。すると下から地面がせり上がり上に跳ぶ。そしてベルトに差し込んだ金色のカードを取り出すと銃に差し込む。

 

『リバーサリーフォーチュン。太陽、逆位置』

 

お姉さんの全身が炎に包まれ、その炎が身体の中心に集まり球体になる。その炎の球体の前に銃口を向け銃に吸収させ俺に向けて撃つ。銃に吸収された炎が黒色に変わったからか禍々しさが増した。その攻撃を俺は最後の縦切りで迎え撃つ。だが、今度は俺だけが飛ばされた。

 

「うわぁぁぁぁぉ!!!!!」

 

体が宙を舞い壁に激突する。それと同時に変身が解除させられた。そして、お姉さんは俺に銃を向けながら歩いて来る。ヤバイ。これは死んだかも。

 

「終わりだ!!」

 

その叫び声を上げた瞬間、突然お姉さんの動きが止まった。それと同時に俺を呼ぶ声がする。

 

「ソウゴ!!」

「ツクヨミ?いったい何が」

「話は後、いまは逃げるわよ」

 

そう言ってツクヨミは俺に肩を貸すとその場から逃げて行く。それにしても、お姉さんの最後の炎を集める動き、アレってアナザーライダーと同じだった気がする。・・・だとしたら、今回はウォッチが手に入らないのでは?あ、これってもしかして詰んでる?




用語集

仮面ライダータロット
タロットカードのチカラで戦う2031年の仮面ライダー。未来を選択するチカラを持っている。攻撃や防御に使う銀色のカードと変身やフォームチェンジに使う金色のカードを駆使して戦う。必殺技は自身がピンチであればあるほど効力を増す『リバーサリーフォーチュン』。

占い師のお姉さん
本名は 星見 廻(ほしみ めぐる)。もともとは星を見て未来を予知する超能力を持っているが精度が高すぎるため好んで使用せず、代わりにタロットカードで占うことをしていた。星占いより劣るものの的中率が高いことから有名になる。父親が仮面ライダーのライドウォッチを所持していたことからソウゴに家族を殺されたというが・・・・。

フューチャードライバー
形状はジクウドライバーにストッパーが付いて180度しか回転できなくなり、中心にカードを差し込むスキャナーが取り付けられたもの。差し込み口が右側にあるときは『正位置』、左側にあるときは『逆位置』と音声を発する。

ギアネスト
2031年でタロットが戦う怪人。人の運命を改竄して破滅させることを目的にしている。人間のDNAデータを取り込むことでその人間に変身できる。


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3

今回から3話ごとに次回予告を作ることにしました。(この章は9話で終了予定)


「グルルル」

「待て!」

 

ジオウが突然ライダーに襲われたことで俺がアナザーライダーを追う。対応するウォッチは持っていないため、今回の目的はアナザーライダーの変身者を知ることだ。変身を解除させればネオタイムジャッカーも現れるはずだしな。

 

『ジカーンザックス。オーノー!!』

 

ジカンザックスを斧モードにして攻撃を仕掛ける。その攻撃によりアナザーライダーは動きを止める。畳み掛けるように攻撃するが、いつのまにか背後に移動して攻撃される。

 

「うぐっ!」

 

いったいこのアナザーライダーはなんなんだ。そもそもどういうチカラを使っているんだ。そこがわからないとどうしようもないぞ。

 

「オラ!」

 

ジカンザックスで攻撃する。それは確かに当たったが岩を叩いたように硬く、斬った感触はなかった。

 

「だったら内部から破壊するだけだ」

 

『ファイズ』

 

起動させたファイズウォッチをジクウドライバーに取り付け回す。速攻でケリをつけてやる。

 

『アーマータイム。コンプリート!ファイズ!』

『ジカーンザックス。ユーミー』

 

「ハァッ!!」

 

タイムバーストを確実に決めるために距離を保ってジカンザックスの弓モードで攻撃する。ダメージは与えられる気はしないが、なにもしないよりはマシだ。

 

「グルルァァァ!!」

 

うん、効いている?なぜかは知らないがこの隙は逃さん!!

 

『フィニッシュタイム。ファイズ。エクシード、タイムバースト!!』

 

足に付いたポインターをアナザーライダーにマーカー向けて放つ。付いたマーカーに向かって助走をつけて跳び蹴りし、アナザーライダーの背後に出現する。するとアナザーライダーは“φ”の文字が浮かび上がると叫び声を上げながら爆発する。対応するウォッチは持っていないが仕方がない。あとはウォッチを再起動させるために現れるネオタイムジャッカーを待つだけだ。そう思っていると爆発により現れた煙が晴れていく。爆発の中心地に誰かが倒れていた。・・・・・ん?あれは

 

「まさか」

 

流石にそれはないと思いながらアナザーライダーの変身者に近づく。そこにいたのはあり得ないと思ったそいつだった。

 

「ウォズ、なのか?」

「・・・・うん?その声は、ゲイツくんか」

 

やはりそうなのか。

 

「ウォズ、なぜオマエがアナザーライダーになっているんだ」

「すまない、ゲイツくん。ネオタイムジャッカーに一杯食わされたよ。油断していたところに一撃入れられて捕まってしまった。そしてネオタイムジャッカーにウォッチを入れられてこうなってしまったというわけだ」

「・・・そうか」

 

油断していたとはいえウォズに一撃入れるだと?アイツらにそのような技量もあるというのか。

 

「奴らはなぜオマエを攫った」

「どうやら奴らは私という存在がちょうどよかったらしい。我が魔王をアナザーライダーにしても意味はなく、ゲイツくんをアナザーライダーにしたら我が魔王にしか攻撃しない。だが戦力は減らしたいということで私を狙ったらしい」

「そう、か」

 

なるほど。今回の敵の目的は俺たちの戦力の低下、あわよくば俺たちを倒させるということか。

 

「それで、今回はなんのウォッチがいるんだ」

「それはだね」

「そこまで、ですわよ」

 

いつのまにかウォズの背後にピンク色の服を着た少女がいた。まさか、コイツは。

 

「どうも始めまして。私はネオタイムジャッカーのメイと申しますの。以後よろしくお願い致しますわ」

 

やはり、ネオタイムジャッカーか!!

 

「ああ、勘違いしないでくださいませ。私は別に貴方と戦いに来たわけではありませんので」

「ゲイツくん」

 

そう言うとネオタイムジャッカーはその手を上に上げる。その瞬間、ウォズが俺になにか押し付ける。反射的にそれらを背後に隠すように持った瞬間に時間が止められる。くそ、やはりこうなるのか。

 

「では、再起動しなさいませ」

 

そう言いながらウォズの胸元に手を突っ込むとウォッチを取り出し起動させる。

 

『タロット』

 

起動させたウォッチを再びウォズに入れると再びウォズの時間だけ動かした。するとウォズが叫び声を上げながらアナザーライダーに変身する。どうやら自我は無いようだ。

 

「さあ、今回は退きますわよ。今回、こちらにとって有益なことがわかりましたし、ね」

 

そう言って踵を返すとアナザーライダーを連れてその場を去っていく。完全に姿が見えなくなるとやっと動けるようになった。そしてウォズが俺に渡した物を見る。そこにはビヨンドライバーがあった。




次回、仮面ライダージオウ〜フューチャータイム〜

「よお、暇だから遊びに来たぞ」

突如ジオウ達に襲いかかるネオタイムジャッカー。アマツ

「ゲイツのベルトが!!」

壊されるゲイツのジクウドライバー。

「それ以上はさせないよ」

ついにゲートが変身する。

「この世の果てが僕の果て、仮面ライダー ゲート」

6/23 日曜朝9時(に3話ほど投稿する予定)


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4

「まさか、ウォズが・・・・・」

「ライドウォッチを手に入れるどころか協力もなしだと?」

 

それぞれ戦闘を終えてクジゴジ堂に戻った俺たちはそれぞれの情報を交換する。そこで俺は今回のアナザーライダーはアナザータロットだけど本物のタロットは俺を恨んでいるから協力もウォッチの生成も難しいということを、ゲイツから今回のアナザーライダーの変身者はウォズであるということをお互い話した。・・・・・今回ばかりはいける気がしない。

 

「ウォズもいない。ウォッチもない。それどころかライダーも味方しないなんて・・・・いったいどうすればいいの」

「僕が手を貸そうか?」

「「「うわっ!?」」」

 

ツクヨミが不安を漏らした瞬間、ツクヨミの背後に突然仮面ライダー ゲートが現れた。本当に突然だなぁ。

 

「手を貸すって、いいのか?」

「仕方がないじゃないか。僕のミスでこんな複雑なことになっちゃったんだから。本来ならネオタイムジャッカーとアナザーライダーにだけ気をつけていればよかったけど、僕の選択ミスでキミ達と敵対する仮面ライダーを連れてきてしまった。ネオタイムジャッカーは倒すというから一方的に返すわけにもいかないわけだしね」

 

「不本意だ」と言いたげに話す。なんかこの話し方聞いたことがあるんだけどな。気のせいかな?

 

「手を貸してくれるのはありがたいけど、相手はアナザータロットなのよ?仮面ライダータロットのチカラ無しで倒すなんてできるの?」

「できるよ。ディケイドと僕ならね。ゲイツは見たことあるでしょ?ディケイドがキミの持ってたゴーストウォッチを壊すところをさ」

「・・・・そういえばあったな」

 

そうだった。あのときはタケルからウォッチを貰えたから倒せたけど、壊されていなかったらもう少し簡単に倒せたんだった。

 

「あれと同じことがオマエにもできると?」

「できるさ。仮面ライダー ゲートのチカラは扉を開くチカラ。ライダーのチカラをそっくりそのまま使えるのさ。もちろんタロットのチカラも使えるよ」

「なるほどな。つまりオマエがタロットのチカラを使ってアナザータロットを倒すということか」

「そういうこと」

 

なるほど、たしかにそれならアナザータロットは倒せる。でも、これでいいのか?あくまでも直接手を貸せないはずのゲートが手を貸す。それはつまり、奴らの前にゲートを連れて行くことになるんじゃ・・・・。

 

「よし、そうと決まれば」

「ダメだ!!」

 

気がつけば俺は叫んでいた。思ったよりも大きな声が出ていたらしく、ゲイツたちが急に静かになった。それと同時に、ゲートはにやにやとこちらを見ていた。

 

「なにがダメだというんだ。あのアナザーライダーを倒すにはこれしかないだろ」

「そうよ。残念だけど、これしか方法はないの」

「それは、ネオタイムジャッカーの前にゲートを連れて行くことになる。それはつまり、奴らにゲートウォッチを作られる危険性があるんだ。だから、それはダメだ」

「「っ!!」」

「でも、これしか方法がないよね。それともなに?タロットを仲間にする方法でもあるの?」

「それは・・・」

 

ない。それでも、やっぱり諦めたくない。ゲートをアイツらの前に連れて行くのはしたくないし、でもタロットのお姉さんを仲間にする方法もない。それでも、やっぱり俺は

 

「もう1回お姉さんと話をしてくる。そして仲間に」

「できるわけないよなぁ」

「「「!?」」」

 

突然黒い衣装の青年が現れた。いったいどこから。

 

「・・・・・ネオタイムジャッカー」

「よう。オマエがゲートだな。遊びに来たよ」

 

!?コイツが、3人目のネオタイムジャッカー。なんでこの場所を

 

「安心しろ。この場合はネオタイムジャッカーの中だと俺しか知らん。それに、今回はゲートウォッチを作る気はない。専用のブランクウォッチができていないからな」

「専用の?」

「そうだ。ゲートのチカラは絶大。それ故に専用のブランクウォッチが必要になる。ディケイドウォッチみたいなもんだ」

「そういえば」

 

たしかに、ディケイドウォッチは他のウォッチとは形状が違う。でも、だったらなんでここに?

 

「目的はなんだ」

「なーに、簡単な話だ。・・・・・やっぱりさぁ、計画を邪魔する奴を潰すのは普通だよなぁ」

「「「!?」」」

 

目の前のネオタイムジャッカーがアナザードライバーを巻きつけウォッチを取り出し起動する。

 

『邪武』『ハッタァリ』

「変身」

 

2つのウォッチをアナザードライバーに付けて回す。

 

『フュゥジョォンタァイム!!アナザァ、ライダァ、フュゥジョォン。邪武、ウィズ、ハッタァリ』

 

ネオタイムジャッカーが黒い鎧を身に纏い両肩に卍型の手裏剣の模様が描かれているアナザーライダーに変身する。くそ、ウォズがいないからどの時代のライダーなのかわからない。

 

「ジオウ!!なにをボサッとしている。ハッタリの方は知らんが邪武は名前からして鎧武だろうが」

「あ、そっか」

「俺はこれを使わせてもらう」

 

『ゲイツ』『ブレイド』

 

「あ、それって・・・。ま、いっか」

 

『ジオウ』『鎧武』

 

「「変身」」

 

『『ライダータイム』』

『カメンライダーゲイツ。アーマータイム。ターンアップ。ブレイド』

『カメーンライダー、ジオウ。アーマータイム。ソイヤッ!!ガ・イ・ム』

 

「花道で、オンパレードだ〜」

「・・・オマエ、いちいちそれを言わないといけないのか?」

「え?気分」

「そうか・・・・・。くるぞ!!」

 

2回目のネオタイムジャッカーとの戦いが始まる。



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5

「「ハァァァァァァ!!」」

 

俺とゲイツの2人がかりでネオタイムジャッカーに攻撃を仕掛ける。でも、2人がかりで攻撃を仕掛けているのにネオタイムジャッカーに攻撃が全く当たらない。くそ!!

 

「なんだ?この程度なのか。遊びにもならないな」

 

そう言ってネオタイムジャッカーがなにかの印を結び俺たちに手を向ける。するとその手から唐突に吹雪が放たれる。

 

「うわぁ!!」

「どけ!!」

 

ゲイツが俺を蹴り飛ばして攻撃を避ける。起き上がりながら吹雪が当たった場所を見ると、そこは凍っていた。

 

「うそぉ」

「おいおい、なにボサッとしてるんだよ。戦いはこれからだろうが」

 

ネオタイムジャッカーが剣を持った状態でこちらに走ってきて剣を俺に振り下ろす。俺は両肩の剣でその攻撃をなんとか防ぐ。これ、一振りがかなり重いんだけど。

 

「なんだこの程度か。期待外れだ、な!!」

「うぐっ」

 

ネオタイムジャッカーが連続で剣を振り下ろしてくる。ちょ、これ、まずいんだけど。

 

「俺を忘れるな!!」

「おっと」

 

あと少しで斬られると思ったところにゲイツが助けに来てくれた。ネオタイムジャッカーはゲイツのその攻撃を避けながら距離を取る。

 

「さっきの吹雪の対応といい、いまの攻撃の鋭さといい、やっぱりこっちの方が厄介だな。・・・減らすライダーはこっちにするか」

「なにを言っている。倒されるのはオマエの方だ!!」

『フィニッシュタイム。ブレイド、ライトニング、タイムバースト!!』

 

かなりの高速で全身が雷で覆われたゲイツがネオタイムジャッカーに走る。そしてそのままタックルして体勢を崩させる。その後ある程度の距離を開けたゲイツはまたネオタイムジャッカーに走り出し、今度はジャンプして跳び蹴りをする。そのキックが当たるとネオタイムジャッカーのいた場所に爆発が起こる。やったのか?

 

「なにをしている。早くオマエも技を打て。おそらくコイツのウォッチはブレイドに対応していないから壊すことはできない!!」

 

あ、そうだった。爆発した場所に近づきながら必殺技の準備を・・・・!

 

「ゲイツ、後ろだ!!」

「なに?なっ!?」

 

ゲイツのタイムバーストが直撃したはずのネオタイムジャッカーがゲイツに剣を振る。それを受けたゲイツは一瞬だが怯んでしまった。

 

「やっぱコイツは強いんだよなぁ。・・・潰すか」

『フィニッシュタァイム。ハッタァリ、ファンタスティック、タァイムブラスト』

 

ネオタイムジャッカーがゲイツに向かって手を向けて先ほどの吹雪を放つ。一瞬だけでも怯んでしまったゲイツは対応に遅れてその吹雪で凍らされる。そしてネオタイムジャッカーの持つ剣を黒いエネルギーが包み込む。

俺は急いでゲイツの下に向かう。走りながら必殺技を起動させゲイツに攻撃が決まる前に攻撃を当てようとする。だが、それよりも早くゲイツに剣が振り下ろされる。

 

「グオォォォォ!!」

「「ゲイツ!!」」

 

ツクヨミと俺がゲイツを呼ぶ。その瞬間、ゲイツを中心にして爆発が起きる。そのとき俺の目の前になにかが飛んできた。それは、さっきまでゲイツが使っていたブレイドのライドウォッチだった。よく見るとそれにジクウドライバーのライドウォッチをつける部品がついたままだった。

そして、爆炎が晴れるとその中心には剣を持ち上げるネオタイムジャッカーと倒れるゲイツの姿があった。

 

「そんな、ゲイツ!!」

「安心しろ。殺してはいない。まあ、それよりもほらよ」

 

そう言いながらネオタイムジャッカーが俺に何かを投げてきた。それには断面が浮き彫りになったジクウドライバーがあった。

 

「そんな、ゲイツのジクウドライバーが」

「俺は別に殺しにきたんじゃない。ライダーを減らしにきただけだよ。邪魔だからな」

「このっ!!」

「よっ」

 

俺が振った剣をネオタイムジャッカーは危なげなく避ける。そして、その剣を今度は俺に向ける。

 

「今回は減らすライダーは1人でよかったんだけどなぁ。戦いを吹っかけられたんじゃあしょうがない。うん。しょうがないよな」

 

そういうと今度は俺に向けて向かってくる。クソ。ここまでなのか。

 

「いい加減にしなよ」

 

俺の後ろから声が聞こえた。振り返るとそこにはゲートがいた。

 

「へー。オマエがゲートなんだな。うん?なんかどっかで見たことがある気がするんだが、気のせいか?」

「さあね、どうでもいいよ。それよりも、流石にこの状況は看過できないんだよね。いま手を引くなら僕はなにもしない。どうする?」

「オマエが相手になるのか?だったらちょうどいい。ゲートのチカラはまだ奪えないが、どれだけのチカラか試してやるか」

「・・・ふーん。随分と舐められたものだね」

 

『ドライバー、セット♪』

 

ゲートの腰に突然金色のドライバーが現れる。そのドライバーにポケットから板状の物を取り出すとそれを溝にセットする。

 

『ライダーゲート、ゲート♪』

「先に言っておく。僕のチカラはディケイドやジオウ達と同じ系統だ」

「なんでそれをいま言うんだ?別に言わなくてもいいだろうに」

「なに、先に言っておかないと一方的に蹂躙してしまうからだよ」

 

そう言いながらゲートはドライバーの右についた持ち手を握り右に引っ張る。するとゲートの目の前に光でできた門が現れる。その門は少しずつ開かれていき、最後まで開ききった。

 

「変身」

 

ゲートのその一言で開かれた門は崩れさり、その破片がゲートを包み込み、そして砕け散る。砕け散った門の破片が飛び散ると、その中から胸部に門を連想させるようなアーマー。目も鼻も口も付いていない顔、そして左腕に奇妙な形の手甲をつけた顔以外が金色のライダーがいた。

 

『行ったり来たり時渡り〜。ゲート♪』

「この世の果てが僕の果て。仮面ライダーゲート」

 

そのライダーからは逆らってはいけないと思ってしまうほどのプレッシャーを感じた。




用語集

ゲートドライバー

ゲートが仮面ライダーゲートに変身するのに使用。使用方法はゴーストドライバーと同様にレバーを引くことで変身する。

ライドキー

他のライダーのいる世界と繋ぐことのできるカードキー。ゲートドライバーにセットする事でそのライダーのチカラと戦闘経験の両方を得ることができる。

ゲート

仮面ライダーゲートに変身する見た目は15歳くらいの謎の少年。だが、その顔はどこかで見たことが・・・・・。

仮面ライダーゲート

時空の均衡の崩れた2041年で始めて観測されたライダー。人のためではなく時空の乱れを正すために戦っている。


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6

「安心しなよ、僕はキミを殺さない。でもね、勝手にライダーを減らしたことには怒っているんだよ?わかるよね」

「知らないな。俺は俺のチカラで戦っただけだ。誰にも文句は言わせるつもりはない」

「そうか・・・。どうせ僕ではキミを倒さないとか考えているんだろうけど、それはただの驕りだよ」

「言ってろ」

 

ネオタイムジャッカーがゲートに向かって斬撃を放つ。それを避けたゲートは右手を前に伸ばして散らばった破片を集める。集まった破片は形を変えてハルバートになった。

 

「へー。面白いじゃん」

「うるさいなぁ。耳障りだよ」

 

ゲートはハルバートを持った状態でネオタイムジャッカーに向かって走る。それに対してネオタイムジャッカーも剣を持った状態で走り出す。2人の距離が近づくと同時にそれぞれの武器を振り下ろし、そのまま2人は攻防に入った。

 

ゲートがハルバートを振り下ろしたり突いたりしたかと思えばネオタイムジャッカーが吹雪を放ち、それを避けたことでネオタイムジャッカーが攻撃に入る。それもゲートが攻撃を弾いたことでまた攻守が入れ替わる。そして何度も繰り返していると急にゲートが距離を取った。

 

「さてと、遊びはここまでだよ」

「なにを言っているんだ?楽しいのはここからだろ」

「いいや、ここからはただの虐殺だ」

 

そう言うとゲートは左手の手甲に手を当てる。その手甲が一瞬だけ光るとその手には紫色の板があった。

 

「いまキミが使っているウォッチはアナザー邪武とアナザーハッタリ。つまり仮面ライダー邪武と仮面ライダーハッタリのアナザーライダーだ。邪武は鎧武の時代の仮面ライダー。そしてハッタリは」

 

ドライバーの持ち手を戻してまた板を溝にセットする。

 

『ライダーゲート。シノビ♪』

 

そのような音声が流れる。そしてまたドライバーを右に引く。

 

「解錠」

『手裏剣しゅぱっとニンニンニン〜シノビ♪』

 

そのような音声が流れると、ゲートの顔がシノビのそれになり、胸部の門が開き両肩に移動する。そして胸部のアーマーにシノビのライダークレストが現れる。その瞬間、一瞬だけだがネオタイムジャッカーの左側のウォッチがブレた気がする。

 

「なるほどな、確かにディケイドとジオウを合わせたチカラだ。ディケイドと同じようにライダーのチカラを自由に使え、ジオウと同じでチカラを奪えるということか」

「少し違うな。確かにディケイドと同じでライダーのチカラを自由に使えるけど、ジオウの方はそのライダーが経験したことすべてを変身している間は僕がした経験として上書きできるっていうだけだよ。もちろんその間そのライダーは存在しないことにはなるけどね」

 

へー、そうなんだ・・・・あれ?結局のところ、その2つって何が違うの?

 

「多分だけど、そのライダーのチカラを使っている間は本来の変身者そのものになれるっていうことだと思う」

「ツクヨミ」

 

ゲートがネオタイムジャッカーを引き付けている間にツクヨミがゲイツを連れて来た。かすかにだけど呼吸している。たしかに死んではいないようだ。

 

「それってどういうこと?」

「さっきあの姿になるときに『解錠』って言ったでしょ。そのときにそのライダーがいた時代に繋げて自分自身に変身者の経験を瞬間的に植え付けているんだと思う」

「そうなの?」

 

よくわからないけど、なんかすごいことが起きてる気がする!!

 

「まあ、だからなんだって話だが、な」

「それもそうだね」

『ストロング忍法』

 

ネオタイムジャッカーが吹雪を、ゲートが炎を放つ。しばらくの間均衡していたけど、しばらくすると炎が押し勝ち、ネオタイムジャッカーを燃やす。

 

「ちぃ!!」

「終わりだね」

 

そう言うとゲートはドライバーから板を取り出すとハルバートに付け直しハルバートに付いているボタンを押した。

 

『関門突破!!シノビ、フィニッシュ』

 

その音声が流れるとゲートはハルバートを振り回しながら分身する。そして分身したゲートはそのままネオタイムジャッカーに向かいハルバートで一撃ずつ斬り込む。そして最後の1人が斬り込み終わると一斉にネオタイムジャッカーに飛び込みハルバートを振り下ろす。するとネオタイムジャッカーが悲鳴を上げながら爆発を起こす。そしてウォッチが砕ける音が聞こえた。爆煙が晴れると、アーマーが無くなったネオタイムジャッカーがいた。

 

「う、ぐ、がはっ」

「これ以上はやめてあげるよ。あくまでもキミ達をたおすのはジオウ達でないといけないからね」

「ふざ、けるな。俺はまだ、やれ、る」

 

そう言うとネオタイムジャッカーは倒れた。すると一瞬だけ時間が止まった感覚がすると倒れたネオタイムジャッカーの姿が無くなった。

 

「逃げたの?」

「まあ、そうだね」

 

ゲートが変身を解除し、元の姿に戻る。それにしてもどうしよう。ネオタイムジャッカーにゲイツのジクウドライバー壊されたし、ウォズもアナザーライダーにされちゃったし、タロットのチカラも借りられなければウォッチも生成できない。これはもう、完全に詰んでない?

 

「・・・・・・・タロットの方は、俺に行かせろ」

「ゲイツ!!」

 

ゲイツがゆっくりとだが立ち上がる。

 

「そんなボロボロの体で説得なんて行かせられないよ。ここは俺が行かないと」

「その間にアナザーライダーが現れたらどうする気だ。いまここにいる中でライダーになれるのはジオウ、オマエだけだ。ゲートは基本非干渉らしいからな」

「でも」

「どのみち、俺が行くのが適任だろ。話を聞いた限りオマエの話を聞く気はないだろ。ツクヨミには危険すぎるから残った俺が行くしかないだろ」

「それは、そうかもしれないけど」

 

『探しタカー、タカー!!』

 

ゲイツと話しているときに偵察に出していたタカウォッチロイドが帰ってくる。どうやらアナザータロットを見つけたみたいだ。

 

「迷っている暇はない。オマエはアナザータロットをどうにかしろ。俺はタロットを連れて来る。わかったな」

「・・・・・うん」

 

納得しないままタカウォッチロイドの案内でツクヨミと一緒にアナザータロットの方に向かう。・・・待っててねウォズ。必ず助けるから。

______________________________________________________________________________

 

・・・・・・行ったか。

 

ジオウとツクヨミを見送った後、俺は後ろに振り向き口を開く。

 

「仮面ライダータロット。いるんだろ」

 

するとなにも無かった場所からタロットが現れる。

 

「どういう仕組みだ」

「・・・『愚者』は誰からも見向きされない」

「そうか」

 

要するにライダーのチカラで隠れていたということか。

 

「それでだ。唐突で悪いがオマエにはアナザータロットの撃破に協力してもらう」

「そんなもの、ジオウを殺してからでも遅くはない」

「ダメだ。アイツは殺させない」

「魔王を見逃すというの?」

「アイツは魔王にはならない」

「いいえ、なる」

「仮にそうだとしても、俺がアイツを倒す」

「魔王になってからでは遅い」

「いいや倒す。たとえ俺が死ぬことになってもだ」

「私より弱いアナタが?さっきの戦いで変身できなくなったんでしょ?」

「ああ、アイツらにはそう言ったな。だが、それは嘘だ」

 

そう言いながら俺はウォズから受け取ったビヨンドライバーを取り出す。

 

「なにをする気?」

「フン、決まっているだろ。こうするんだよ」

 

俺は、ビヨンドライバーを腰に付ける。そしてゲイツウォッチを取り出す。

 

「なにをやっているの?アナタはそのドライバーは使えない。歴史がそう記した」

「だったらその歴史を変えればいい。俺たちは何度だってそうしてきた」

 

そしてウォッチを起動する。そのとき、ウォッチが光を発すると形を変える。そう、ライドウォッチからミライドウォッチにだ。

 

『ゲイツフューチュー』

 

ジオウは最低最悪の魔王にならない。させない。もしなったとしてもそのときは俺が倒す。そうならないために、俺は何度だって歴史を変えてやる。




次回、仮面ライダージオウ〜フューチャータイム〜

ビヨンドライバーで変身してタロットと戦うゲイツ

「私は、ジオウのいない未来を創造する!!」
「ジオウをお前に倒させるわけにはいかない」

ジオウとアナザータロットの戦い

「絶対に取り戻す!!」

現れる新たなアナザーライダー

「嘘でしょ・・・」

6/30 日曜日、午前9:00


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7

すみません。今日は1話だけ投稿します。


「見つけた!!」

 

俺とツクヨミは人を襲っていたアナザータロットーーウォズを見つけた。その声に反応したのかアナザータロットは俺の方に顔を向けゆっくりと歩いて来る。

 

「ウォズは絶対に取り戻す!」

『ジオウ』『ビルド』

「変身!」

『ライダータイム。カメーンライダー、ジオウ。アーマータイム。ベストマッチ、ビールドー』

 

さっそくビルドアーマーになってアナザータロットに向かう。距離が0になったその瞬間、右手に持っているドリルで殴りかかる。

 

「オラァァァ!!」

______________________________________________________________________

 

「・・・なによ、それ」

「どうやらオマエはこれを知らないみたいだな。と言っても俺もこれについては知らないが」

 

俺がいま持っているウォッチ。これは俺が知っている歴史では生まれなかったものだ。だから未来のライダーであるタロットが知らないのは無理もない。そう思った。だがそれは

 

「なんで、なんでよ」

 

すぐに勘違いであることを知った。

 

「なんでアンタがそのウォッチを手にしているの!!」

「・・・なんだと?」

 

なぜタロットが俺の知らないウォッチを知っている。いや、俺だけじゃない。このウォッチのことは白ウォズも知らなかったはずだ。もし知っていたならゲイツリバイヴを入手させるのではなく真っ先にビヨンドライバーを渡したはずだ。そうすればわざわざ未来の仮面ライダージオウからチカラを奪うより早く、簡単にジオウを倒させることができたはずだ。

 

・・・まあ、このことは後で考える。いまは目の前のことに集中しよう。そう思いながらウォッチを起動させる。

 

『ゲイツフューチャー』

 

そのウォッチをドライバーにセットする。その瞬間、緑色だったドライバーが赤色に変わる。

 

『アクション!』

 

その音声と共にウォズが変身するときと同じサウンドが鳴り響く。俺はゆっくりと左手をウォッチをつけた裏側に当てる。そして右斜め前に素早く動かす。

 

「変身」

『投影!!フューチャータイム。比較!扞格!改革!!仮面ライダーゲイツ!フューチャー!!』

 

その音声が鳴り響くと俺の姿が変わる。ウォズと比較すると白い部分が赤くなり、緑色の部分が黄色くなっていた。肩を見てみると、そこには『かめん』という文字が書かれていた。

 

手を前に伸ばすとそこに武器が現れた。

 

『ジカンザッパー!!オノラシ!!』

 

その音と共に歪な形の小型の斧が現れる。その斧は持ち手の少し上にウォズのジカンデスピアーと同じようなアイコンが4つ付いており、その上に『おの』という文字が表示されている場所があり、そのすぐ上に小さなネジが付いていた。そのネジを左に回すと文字の部分が回転して『かたな』という文字が現れた。

 

『カタナラシ!!』

 

その音声と共に斧の刃の部分が引っ込み小刀に変化した。なるほど、このネジを回すことで形状を変えられるのか。そのようにゲイツフューチャーの能力を確かめていると、突然前から殺気を感じた。それと同時に目の前にタロットの拳が迫っていた。後ろにジャンプする形でダメージを軽減させてタロットを見る。その姿は見るからに正気ではなかった。

 

「・・・なんで、なんで、なんで、なんでなんでなんでなんでなんでなんで!!なんでそのウォッチが存在するのよ!!まだ魔王は覚醒していないはずなのに、なんで!!」

「おい、なんの話だ」

「うるさい!!そのウォッチは私が貰う。ハァ!!」

 

そう叫ぶと俺に攻撃を仕掛けてくる。その攻撃を避けながら蹴りつける。

 

「ウグッ」

 

そんな呻き声を出した。すると金色のカードをベルトにセットした。

 

『太陽、正位置。チェンジ』

 

その音声と共にタロットの姿が変わる。アーマーの形がオレンジ色の炎を模した形状に変わり、手にはオレンジ色の銃が現れた。これがジオウの言っていた形態か。だが、変化はそれだけで終わらなかった。その手には白色のカードを持ち、それを銃にセットする。

 

「ジオウを殺すために、私はアナタを倒す」

『プリースト。Say 位置。正!!』

 

先ほどまでと違う音声が流れる。するとタロットにまた変化が現れる。色がオレンジに白を混ぜたかのように薄くなり、銃が二丁に、後ろの輪も分かれて翼のようになった。

 

「仮面ライダータロット、ソルプリースト。私は、絶対にアナタを倒す!!」

そう言って銃口を俺に向けるタロット。

 

「やってみろ。だが、俺も負けるつもりはない」

『シノビ!!』

そう言いながらシノビのミライドウォッチを取り出す俺。

 

どちらもしばらくの間そのまま動かない。が、次の瞬間タロットがトリガーを引いた。それを避けながら俺はウォッチを入れ替える。

 

『アクション!!投影!!フューチャータイム。ダレジャ!オレジャ!ニンジャ!!フューチャーリングシノビ!シノビ!!』

 

フューチャーリングシノビになるとそのまま走る。シノビのスピードで弾を避けながら接近する。そしてついに距離をゼロにして斬りかかる。

 

「させない」

 

そう言って背中の翼で飛ぶ。その際に俺に弾を撃った。俺はそれをわざと受ける。そして、飛んだタロットの背後に出現した。

 

「なんでいきなり背後に・・・まさか。シノビの」

「空蝉の術だ。ハッ!!」

「ウグッ」

 

そのままタロットを背後から斬り裂く。そのままの状態でジカンザッパーのアイコンにタッチして擦る。

 

『カタナラシ!!フィニッシュタイム!!両断成敗!!』

「ハァァァァァァ!!!オラッ!!」

「キャァァァァァ!!」

 

超高速の居合いで仮面ライダータロットを斬る。するとタロットがいた場所は爆発し空中から落下した。そして地面に激突する。だが、すでに限界以上のダメージを受けているはずなのにそれでも立ち上がろうともがいていた。

 

俺はそのままタロットの下へ落下していった。



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8

すみません。リアルが忙しくなってきたため週に1話投稿させていただきます。


勢いを殺しながら着地してタロットの下へと歩み寄り話しかける。無駄なことを続けるタロットに向けて。

 

「諦めろ。オマエは俺に負けた。それだけだ」

「まだよ!!やっと、やっとこのときが来たのよ。私でもまだ殺すことのできる魔王がこの時代にいるのよ。まだ終わるわけにはいかないのよ!!」

「いいや終わりだ。そのダメージだ。もう立ち上がれないだろ」

「そんなはずない!!なんで、なんで立たないのよ私!!いましか、ないのよ。いましか、この時代でしかオーマジオウを殺さないのよ。いま倒さないといけないの!!だから立ってよ。立ってよ!!それが終わったらどうなってもいいから」

 

この女、ジオウから聞いていたイメージと違うな。まさか。ふと一つの考えが思い浮かぶとそれを確認する為に質問をする。

 

「オマエ、ジオウを殺すためにライダーになったのか」

「そうよ!!他の奴らなんてどうでもいい。ジオウを殺せる未来が来るその日まで世界は侵略されたら困る。だから仮面ライダーになった。だから戦った。だったらこのくらいの我儘くらい許してくれてもいいでしょ!!」

「・・・そうか」

 

そのまま俺はタロットのベルトを外す。するとタロットの変身が解除された。その瞬間、変身していた女は俺を見て驚いていた。やっぱりか。

 

「オマエはなんで仮面ライダーになったんだ?」

「?そんなの、誰も傷つかない未来を作るために決まっているでしょ?タロットの力ならそれができるはず・・・違うの?」

「さあな」

 

これではっきりした。この女は解離性同一性障害、つまり二重人格者だ。目の前で家族を殺されたことで本来の人格がストレスで壊れてしまうところで2つめの人格が作られたのだろう。

 

この女の場合は仮面ライダータロットのときの方が本来の人格なのだろう。表に出てきてる人格は戦いに向いていないから変身したら本来の人格が現れるということか。

 

「ところで・・・ここはどこですか?たしかオーマジオウの前で変身したところまでは覚えているのですが」

「話は後だ。タロットでオマエの意思のまま変身できる形態はあるか?」

「いいえ、ありません」

「そうか・・・なら仕方がない。もう一回変身しろ」

「え?なんでですか」

「いいから、早くしろ」

「は、はぁ」

 

女がタロットに変身する。アナザータロットを倒すには、この人格のやつを説得するしかない。幸い先ほどまでのダメージはまだ残っているのか動かないみたいだしな。

 

「協力はしない。アナザーライダーとかいうのは、私1人で倒す。それでも問題はないはずよ」

「だがすぐではないのだろう」

「当たり前よ、オーマジオウをこの時代で倒すのが先、優先事項なのよ」

「アイツは魔王にはならない」

「言葉だけならなんとでも言えるわよ。なんとでもね」

「なったとしても俺が倒す」

「この問答ならさっきもしたでしょ?不可能よ」

「どんな形であれ、オマエがいないとアナザータロットは倒せないんだ」

「うる、さい!!」

「うおっ!?」

 

油断していたせいかタロットに押されて倒される。その衝撃でウォッチが1つタロットの目の前に転がった。

 

「なに?このウォッチは」

 

タロットは自分の前に転がったウォッチを見ている。確認するとどうやらそれはドライブウォッチらしい。ウォッチを見ていたかと思うと急に笑い始める。

 

「ふふ。アハハハハハ!!」

「どうした」

 

気でも狂ったのか?

 

「はぁ〜面白かった。気が変わったわ」

「は?」

「だから、協力してあげるって言ったのよ」

 

よくわからんが、協力するというのならいいか。

 

「だったら早く行くぞ。すでにジオウがアナザータロットと戦っているからな」

「わかったわよ。その前に、立たせてくれないかしら?」

 

タロットが俺に手を伸ばす。まあこの状態にしたのは俺だから仕方がないか。そう思いながら手を伸ばす。が

 

「えい」

 

タロットは俺の手ではなく腕につけていたブランクウォッチに手を伸ばした。するとタロットのチカラがウォッチに流れ出した。

 

「これは、どういうことだ」

「たとえ私が思った通りだとしてもやっぱりオーマジオウなんかに協力はできない。だからこうしたのよ。あ、これ返すわね」

 

もう片方の手でドライブウォッチを返してきた。

 

「私はタロットのチカラと一緒に消える。タロットに変身して私の自我が戻っただけだから」

「オマエ・・・・」

「さて、私は消えるけど残った私に伝えてくれる?『その身体はアナタのもの』って。私みたいな人格は表に出てはいけなかったのよ」

「・・・・・・・・・・」

「ああ、最後に一つ。これはアナタへの言葉よ」

「・・・言ってみろ」

「アイツがオーマジオウになったらアナタは勝てる。いや、勝ちなさい。私が消えることに思うことがあるのならね」

「言われるまでもない」

「そう・・・・・・じゃあね」

「ああ」

 

『タロット』

 

タロットのウォッチが生成されたと同時にタロットに変身していた女が倒れた。それを見てから立ち上がる。

 

アナザータロットを倒すために。

__________________________________________

 

『ファイナルアタック、タイムブレイク!!』

「オラァァ!!」

 

ディケイドウォッチでビルドウォッチを強化して倒す。これで、やっと3回目だ。硬すぎるよ。倒してもすぐに時間を止められて復活するし、ゲイツまだ!?

 

「グルルルル」

「ああもう!!本当にキリがない」

 

そう言いながらもアナザータロットに攻撃を仕掛ける。あんまりダメージが入らない。というか硬い。硬すぎる。ディケイドアーマーになってダメージが入り始めたのはいいけど、カウンターでダメージが入るんだよな。そんなことを考えていると背後から足音が聞こえた。ゲイツだ!!

 

「もー遅いよゲイ、ツ?」

 

ゲイツだと思い振り返ると、そこにはまた新しいアナザーライダーがいた。

 

「嘘でしょ・・・・・」



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9

タロット編ラスト。・・・・・・少しモヤっとするかもしれません。


そのアナザーライダーは剣士だった。腰の鞘に収められていたであろう白い刀、全身を覆う青白い鎧、そしてなによりこちらを見つめる黒い穴。・・・・・骸骨武者かな。っていうか

 

「ウォズだけでも大変なのにもう1体追加って・・・嘘でしょ?」

 

2体のアナザーライダーが俺に向かってくる。ああもう、ウォズも倒せていないのにもう1体追加ってもう無理ゲーじゃん!!・・・やばい。2体同時に攻撃してきた。かわせ・・・

 

「ジオウ!!」

「!?でや!!」

 

その言葉を耳にしたとき、ダメージ覚悟で2体目のアナザーライダーに体当たりする。ウォズの方からダメージは受けたけど、斬られるよりはマシだ。それよりも

 

「ゲイ・・・・ツ?」

 

聞こえてきた声はたしかにゲイツだった。でもそこには知らないライダーがいた。見た目はウォズに似てるけど、色は赤いし顔には『らいだー』じゃなくて『げいつ』って書いて、ある、し・・・・・・・・。

 

「まさか、ゲイツ?」

「それ以外に誰がいる。寝ぼけてるのか?」

「この流れるような皮肉・・・ゲイツだ!!」

「喧嘩売ってるのか!?」

 

まあそれはともかく。ゲイツだけがここにいるってことはおそらく・・・・。

 

「オマエが思っている通りだ。タロットはライダーのチカラを俺に渡して消えた。これでアナザータロットを倒して終わり・・・のはずだったんだが、なんでアナザーライダーが2体いる。分裂したのか?」

「違う。どこからかもう1体現れたの。それでいまソウゴが戦っていたところなの」

「そうか・・・・・まあいい。いまはアナザータロットを倒してウォズを取り戻すぞ。あのアナザーライダーは後にするぞ」

「わかった。新しい方は俺が足止めするからゲイツは」

「わかってる。早く行け」

「はいはい」

 

いつも通り軽口を叩きながらそれぞれ別のアナザーライダーと対峙する。ゲイツがウォッチを手にして起動させようとしたその瞬間だった。

 

「それは困りますわね」

「「「!?」」」

 

そんな言葉が聞こえると、ピンクのドレスのような衣装を身に纏う女の人がいた。

 

「そちらのお二方には初めまして、そちらの赤い方はお久しぶり。私はネオタイムジャッカーのメイという者です。以後お見知り置きを」

 

こいつが、カイとアマツの仲間の最後の1人なのか。クソ、最悪じゃないか。

 

「ああ、安心なさいませ。今回は戦いに来たのではありません。回収に来ただけですので」

「回収だと?いったい何をだ」

「そんなの、これに決まっているじゃありませんの」

 

そう言いながらメイはウォズ・・・・・・アナザータロットに手をかざす。すると体内からアナザータロットのウォッチが出てきた。と同時にウォズが人間の姿に戻り、気絶した。

 

「ウォズ!!」

「私が行く。ソウゴとゲイツはそのまま警戒してて」

 

ツクヨミが倒れたウォズの下に向かう。というかネオタイムジャッカーがウォッチを手にするって、これカイと同じ流れじゃん。

 

「というか、アマツじゃないんだ。てっきり今回はアマツが来るのかと思っていたんだけど」

「アマツ?それならそこにいるじゃありませんの」

 

そう言ってメイは俺の後ろを指差す。そこには新しいアナザーライダーがいた。

 

「・・・・え?」

「まさか」

「嘘でしょ」

 

こいつ、仲間をアナザーライダーに?

 

「当然ですわよね。独断で行動しただけでなくウォッチを1つ無駄に破壊された。罰を与えるのに十分な理由ですわよね?」

「だからって、こんな」

「あら?別にいいじゃありませんの。敵が1人減って嬉しくありませんの?」

「それは・・・・・」

 

たしかに、そうだけど。でもこんなやり方は。

 

「それじゃ、私は退場させていただきますわ。このウォッチまで壊されるわけにはいきませんので」

「待て!!」

 

ゲイツがメイを追いかけようとするが、その目の前にアナザーライダーが立ち塞がる。

 

「私たちの方が有利な状況ではありますが、今回は退いてあげますわ。・・・・・・・・私の望む、未来のために」

 

そう言うと時間が止まり、メイとアナザーライダーがその場を去って行った。そのまま姿が完全に見えなくなるとやっと動けるようになった。

 

そのとき、俺たちは完全に理解した。俺たちは、勝ちを譲られた。言い直せば・・・・・・・・・負けたんだ。

_____________________________________________________________________

 

ソウゴが初めて仮面ライダータロットと出会った場所。そこに2つの人影があった。

 

「よかったの?あんなにもジオウを殺すことを望んでいたのに」

「なんのこと?」

「あ、そうか。いまのキミはわからないことか」

「?」

「いや、こっちの話さ。・・・さて、こっちからお願いしておいて悪いんだけど」

「わかってる。元の時代に戻すんでしょ」

「・・・・・なんでキミたちはそんなに聞き分けがいいの?まあ、助かるからいいけど」

 

そう言いながらゲートは小さな箱にタロットのライドキーを差し込む。

 

『ライダーゲート、タロット♪』

 

その音声と共に門が現れ開かれた。

 

「その門の先はキミのいた場所だよ。ライダーのチカラは無くなったけど、化け物もいなくなってるから平和なことは断言するよ」

「そう、ありがとう」

 

ゲートにお礼を言うとタロット・・・・・いや、星見 巡は門に向かって歩いていく。が、途中で足を止める。

 

「この時代の仮面ライダーへの伝言を頼んでもいい?」

「別にいいけど・・・・・・なんだい?」

「まあ伝言って言っても、私のタロットカードの1枚に書かれていた落書きなんだけどね。無関係じゃないと思うの」

「わかった。伝えるよ」

「それじゃ、お願い」

 

そう言ってゲートに1枚のタロットカードを渡すと、今度は振り返ることなく門を潜っていった。ゲートは門が無くなるのを見届けると渡されたタロットカードに目を移す。

 

「それで、いったいどんな・・・・・」

 

渡されたカードを見てゲートは首をかしげる。だが、なんらかのメッセージなのだろうと思いソウゴ達に届けることにする。

 

そのカードにはこう書かれてあった。

 

『これをジオウ達に渡せ』

 

それだけだった。

____________________________________________________________________

 

「まったく、アマツにも困りましたわ。いきなり『アナザーライダーにしろ』って言ってくるのですもの。驚かないわけがありませんわ」

 

まあ、それならそれでいいですわ。つまり、このまま計画通りにいけばアマツの計画を乗っ取って私1人だけが唯一の王になれるのですから。ふふ。楽しみですわ。あとはジオウを倒せばそれで終わりますもの。うふふふふ。

 

「・・・・・・」

 

「!?な、なんですの?」

 

視線を感じて後ろを振り向いてみても、そこにはただのアナザーライダーになったアマツだけ。なんですの。気のせいですか。

 

私は後に後悔することになる。なにせ、この先にカイのように捨て駒にされることに気がつかなかったのだから・・・・・・・。

____________________________________________________________________

 

「なんたる失敗!!まさかこの私が我が魔王の敵になろうとは・・・・・・。この失態、早々に償われねばならない!!・・・・・・・では、話を戻しましょう。まだ新たな話ではございませんが、どうやら新たなアナザーライダーが現れてしまいました。そして、それにつられるように新たな未知のライダーが現れるようです」

 

暗闇の中にある藁人形。その近くに人影があった。

 

その人影は透明な刃を振りかぶり、振り下ろした。すると藁人形は真っ二つに斬り裂かれた。その切り口は凍っていた。




次回、仮面ライダージオウ〜フューチャータイム〜

「いったいなんなのこれ?」

タロットから渡された謎のメッセージ

「さて、最後の決戦ですわ」

新たなアナザーライダーを連れるメイ

そして、決戦の前に現れた新たなライダー

「刻さえも凍らせる」

7/21(日) 午前9:00(に更新予定)


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2054 断、氷、消
1


遂に令和の1号ライダー、ゼロワンが発表されましたね。まあ、設定的にこの物語はまだ平成なんですけどね。


「この本によれば、普通の高校生だった常盤ソウゴ。彼には未来の時の王者、オーマジオウになる未来が待っていた。私の失態から始まった前回のアナザータロットによる騒動。その騒動に乗じて我が魔王とゲイツくん、そしてツクヨミくんがネオタイムジャッカー アマツに襲撃されゲイツくんのジクウドライバーを破壊されてしまう。

彼は私が渡したビヨンドライバーを使ってゲイツ・フューチャーに変身し、仮面ライダータロットと戦いそのチカラを受け取りアナザータロットの元へと向かった。

だが、ネオタイムジャッカーは新たなアナザーライダーを出現させたことで状況は複雑になった。

そんなとき、ゲートがタロットからのメッセージを届けに来た」

____________________________________________________________________

 

「本当に、申し訳ございませんでした!!」

 

そう叫びながら俺に頭を下げるウォズ。アナザーライダーとメイに見逃される形で事なきを得た俺たちはクジゴジ堂に戻った。それからしばらくして気絶していたウォズが目覚め、それからずっとこの状況が続いていた。見るに耐えなくなったのか、ゲイツとツクヨミが口パクやジェスチャーなどで「止めろ」と言ってくる。・・・言われなくてもそうするよ。

 

「なにとぞ、なにとぞ私に罰をお与えください!!」

「ウォーズ、もう終わったことなんだから気にしないの。それよりもあのアナザーライダーをどうにかしないといけないんだから」

「寛大な処置、感謝いたします!!」

 

いや、なんかもう、めんどくさいからだけど。

 

「それで、これってなんなの?」

「さあ?タロットから渡しておいてって言われただけだし」

 

ゲートが持って帰ってきたタロットカード。そこに『これをジオウ達に渡せ』と書いてあるだけでわけがわからない。

 

「おそらくだが、そのカード自体がメッセージなのではないだろうか」

「それはわかってるよ」

 

うーん。なんだろう。

 

「あ、この中で占いできる人いる?」

 

・・・。

 

「まあ、いないよね」

「我が魔王!!必要であればこのウォズが身につけて」

「いま知らないなら意味ないよ」

「・・・・・」

 

こら、ゲイツとツクヨミ、笑わないの。隠してるつもりかも知れないけど、隠れてないからね。

 

「あれ?ソウゴくん達、おかえり。これってなんの集まりなの?」

「あ、おじさん」

「ん?これって」

 

おじさんが俺が持っているタロットカードに興味を示した。

 

「なに?ソウゴくん達、タロット占いに興味があるの?」

「おじさん、これがわかるの?」

「わかるよ〜。おじさんの昔の知り合いにねタロット占いをしていたのがいてさ、よく占われていたよ」

「タロットカードの意味とかってわかる?」

「まあ、僕もそのときよくわからなかったからネットで探したりしていたねぇ」

 

もしかしたら

 

「じゃあさじゃあさ、これの意味ってわかる?」

 

おじさんにタロットカードを見せる。

 

「ん?・・・・あぁ、これは『女教皇』のカードだね。このじおう?というのはわからないけど、確か正位置の意味は秘密と神秘と、あと明らかにされない未来っていうのがあったね」

 

明らかにされない未来?もしかしてそれなのかな。

 

「ありがとうおじさん」

「ううん。なんのことかわからないけど役に立ったんならそれで。あ、コーヒー入れるよ。ホットなコーヒーでホッと一息。なーんつって。ふふ」

 

そう言っておじさんはコーヒーを淹れに行った。

 

「我が魔王、これはもしや」

「何かわかったの?」

 

俺はまったくわからないのに。

 

「おそらくだが、仮面ライダー タロットが我が魔王を認めたということなのではなかろうか‼︎」

 

・・・。

 

(ポンッ)「ウォズ、いま考えているところだから黙ってよう?ね?」

「・・・・・・・」

「「「ブフッ」」」

 

あ、ゲイツとツクヨミだけじゃなくてゲートも笑った。そんなことを考えたそのとき、店の中に男の人が入ってきた。

 

「よう、邪魔するぞ」

 

・・・なんだろう。別に悪いってわけじゃないけど、オールバックにした髪に黒い革ジャン、パンツ、ブーツ、それとサングラスとなんか昭和の匂いがするんだよね。

 

「えっと・・・・・どちら様で?」

「ああ、来たのか。よかったよ。ここに来ないで1人で攻め込むのかと思っていたから」

 

ん?ゲートが知ってる・・・・・・え?まさか。

 

「紹介しておくよ。彼は 谷倉 将也(たにくら まさや)。またの名を仮面ライダー フロストだ」

「おう、よろしくな」

 

・・・なんか、クセが強そうな人だなぁ。



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2

今回も戦闘シーンはありません。


「仮面ライダー フロスト・・・やはり知らないライダーだ」

「それで、将也はなにしに来たの?」

「いきなり距離感近いな。さすが未来の王様」

 

お、この人話がわかる。

 

「で、なにしに来たかだったな。まあ、言わなくてもわかるだろう?」

「ネオタイムジャッカーを倒すためでしょ」

「それ以外にここに来る理由はないだろ」

「むしろそれ以外にあるとは思えないな」

「もしかして、俺の家来に」

「「「それはない」」」

 

ですよねー。

 

「キミたちと合流するために決まっているでしょ。ねぇ」

「いや、違うが?」

「・・・は?」

 

あ、ゲートが固まった。・・・って違うの?

 

「いや、そうだろ。普通に考えてネオタイムジャッカーを倒そうと思ったら1人で探し回るに決まっているだろうが」

「・・・じゃあなにしに来たのさ」

 

たしかに。1人で攻める気ならわざわざここに来る必要なんてないよね。

 

「そりゃあ、もちろん」

「「「「もちろん?」」」」

 

将也の次の発言に集中する。そして将也は口を開いて言った。

 

「観光だよ」

「「「「・・・・は?」」」」

 

その瞬間、俺たちの心が1つになった気がした。

____________________________________________________________________

 

「ほー。これがスマホか。結構薄いんだな」

 

携帯ショップでスマホを見る将也。街を歩いているときに携帯ショップの前にあったポスターに描かれていたスマホに興味を持ったことで中に入っていった。って、スマホなら未来にもあるでしょ。

 

「ねぇ、未来にもスマホはあるんだよね?」

「しるか。俺たちはオーマジオウのせいでそれどころではなかったんだからな」

「僕も知らないな。僕は普段は空間の狭間にいるからね」

 

それもそうか。・・・あ、将也が出てきた。

 

「いやーすげぇな。こんな薄い板で電話もメールもできるってんだからな」

「将也の時代にはないの?」

「さぁな・・・怪人との戦いが忙しかったからそれどころじゃなかったな」

「そう・・・・・」

 

ま、いいか。まだ見せたいところはあるわけだし。

____________________________________________________________________

 

まったく、気楽なものだな。いつネオタイムジャッカーが現れるかわからないというのに。・・・そういえば忘れていたな。

 

「おい、ウォズ」

「なんだい?」

「これを返しておく」

 

そう言いながらビヨンドライバーをウォズに渡す。これはもとはこいつのものだ。それに、こいつの方がこれを使いこなせるだろう。そう思っていたのだが

 

「いや、いまはゲイツくんが持っていてくれ」

「なぜだ?」

 

これは俺よりウォズの方が使いこなせるだろうに。

 

「理由は2つある。1つはまだ新しいジクウドライバーを調達できていないということだ。正直キミはこれから先は生身の肉体だと戦力にならないからね」

 

その通りかもしれんが、なんかイラつくな。

 

「もう1つは、これだ」

 

そう言ってウォズは俺になにかを見せてきた。って、それは!!

 

「なぜビヨンドライバーが2つあるんだ」

 

ビヨンドライバーは俺がいま持っているこれ1つだけのはずだ。なのになぜ2つ目が存在している。

 

「なぜかわからないがゲートがくれたのだよ。まあ、この戦いが終わったら回収されるみたいだがね」

 

ゲートが?なんでアイツがビヨンドライバーを持っている。

 

「だから安心してキミがそのドライバーを使ってくれ。それに、タロットのウォッチはゲイツくんが手に入れたものだ。キミが使って問題はないだろう」

「なるほどな・・・・・なら、これは返しておく」

 

ウォズにクラウドとシノビのウォッチを渡す。

 

「ほう、どんな風の吹き回しだい?」

「クラウドは過程がどうであれお前が手に入れたウォッチだ。ならオマエが持つべきだ。だがクラウドだけだと攻め手が欠ける。だからある程度応用が効くシノビはオマエが持っていろ」

「そういうことか・・・・・わかった。なら今回はその言葉に甘えさせてもらおう。正直ウォズのウォッチだけだと厳しいと思っていたからね」

 

そう言ってウォズは2つのウォッチを受け取る。・・・さて、これであとの問題は・・・・

 

「お、駄菓子屋があるじゃねぇか。寄ってこうぜ!!」

「あ、待ってよ」

 

・・・・・あのお気楽な2人だな。




次回、フロストが変身する予定です。あと、用語集は次次回に付ける予定です。


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3

先週は申し訳ございませんでした。


あの後、将也は駄菓子屋でいろいろと買っていた。なんでか知らないけど昔のお金を持っていたからここに来る途中で両替したお金があるからと自分で買っていた。なんで昔のお金は持っていたんだ?

 

「かー、駄菓子は変わらずうまいな」

「そうなの?こんなものだと思うけど」

 

それにしても、将也はなんで観光なんてしているんだ?まあ、この時代が珍しいからかな。

 

「さて、食い終わったし、次のところに行くか」

 

将也がゴミを捨ててからそう言った瞬間、近くから悲鳴が聞こえてきた。急いで外に出ると、そこにはあのアナザーライダーがいた。

 

「このっ」

 

ジクウドライバーとウォッチを手にして変身しようとする。だけど、俺の前に将也が立ち、変身しようとした俺を制した。

 

「なにを」

「ちょうどいいからオマエらに俺の実力を教えてやるよ。見てな」

 

そう言って将也は革ジャンの前を開く。そこには既に巻かれたドライバーがあった。将也はポケットから長細いなにかと小さな四角いパネルのようなものを取り出した。

 

「そんじゃ、やろうや」

『フロスト』

 

長細いなにかを起動させると、そのような音声が聞こえた。アレはなに?ウォズはなんか驚いているみたいだけど。

 

将也は長細いものをドライバーの右にある大きめな穴に、パネルのようなものを左の小さめな穴に嵌る。そして、ドライバーの右上についているボタンを押した。

 

『メモリ、フロスト

チップ、ヤイバ

コンバート、氷刃!!』

 

その音声が流れると、ドライバーから氷のマークと刀のマークが現れて将也の目の前で重なった。重なったマークは粉々に砕けて将也の周囲を覆う。そして、最後に将也は右上のボタンをもう一度押した。

 

「変身」

『認証。吹雪、粉雪、花吹雪。

フロスト。いざ、尋常に』

 

砕けたマークの破片が将也の身体に貼りつき、アーマーを形成する。そして、戦国時代の武士のような白いアーマーをしたライダーがそこに現れた。

 

「刻さえも凍らせる。仮面ライダー フロスト」

 

アレが、仮面ライダー フロスト。将也がライダーになった姿。どことなくあのアナザーライダーに似てる気がする。

 

「抜刀」

 

将也が抜刀する構えを取ると、そこに氷でできた刀とそれを収める鞘が現れた。そこから言葉通り刀を抜くと鞘を捨てた。鞘は地面にぶつかるとその衝撃で砕け散った。

 

「せやっ!!」

 

将也がアナザーライダーに斬りかかる。アナザーライダーはその攻撃をことごとく受け流すが、肩に当たるなどして少しずつ凍りついていく。

 

「ありえない」

「どうしたの?ウォズ」

 

ふと隣からウォズの戸惑った声が聞こえてきた。ウォズがこんな声を出すなんて珍しいな。

 

「先程、彼が使った棒状のもの。アレはガイアメモリだ」

「ガイアメモリ?なにそれ」

 

ウォズはいつもの本を開きながら説明する。

 

ガイアメモリ

 

仮面ライダーWが打ち倒した『ミュージアム』が地球の記憶から作り出したもの。それを『コネクター』を通して使用することで超能力を手に入れることができるが、その副作用で使用中は怪物の姿に変わる者もいるらしい。

 

「だが、仮面ライダー Wの手によって『ミュージアム』は崩壊し、メモリは製造されなくなった。それだけでなく、Wのライドウォッチは我が魔王が手にしている。だからガイアメモリも消失しているはずだ。彼が持っているのはおかしい」

「じゃあ、アレはガイアメモリじゃないってことじゃないの?」

「だが、アレは確かにガイアメモリだった。どういうことだ?」

 

俺とウォズがそんな話をしていると、ゲイツが前に出る。

 

「ジオウ、俺たちもやるぞ」

「え?でも将也は手を出すなって」

「なぜ律儀にアイツの言葉に従わなければならないんだ」

「いや、そうだけど。ゲイツ、ドライバーは?」

 

たしかウォズのを使っているはずだけど。

 

「ちゃんと持っている。ウォズはゲートから新しいドライバーを受け取ったらしいからな」

「そうなんだ。ならほらウォズも」

「仕方がないな」

 

『ジオウ、ディディディケイド!』

『ゲイツフューチャー、アクション!!』

『ウォズ、アクション!!』

 

なんか1人だけジクウドライバーだから違和感を感じる。ま、いっか。

 

「「「変身」」」

 

『ライダータイム。カメーンライダー、ジオウ。アーマータイム。カメンライド(WAO)ディケイドディケイド、ディーケーイードー』

『投影!!フューチャータイム。比較!扞格!改革!!仮面ライダーゲイツ!フューチャー!!』

『投影!!フューチャータイム。スゴイ!ジダイ!ミライ!!仮面ライダーウォズ!ウォズ!!』

 

「それじゃ、いくよ!!」

 

俺たちもアナザーライダーに向かっていく。さあ、勝負だ!!




次回、仮面ライダージオウ〜フューチャータイム〜

「俺は、存在してはいけないんだ」

唐突に語られる将也の過去。

「ウワ"ァァァァ!!」

襲いかかるネオタイムジャッカーのメイ。

「さあ、いこうじゃないか。我が救世主」

ゲイツと白ウォズの一度限りのタッグ。

8/18(日) 朝9:00


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4

「セヤッ!!」

「ハァ!!」

「ハッ!!」

 

将也が攻撃する合間を縫って攻撃する。将也がアナザーライダーに何度も斬りかかっているので攻撃しづらい。

 

「あ、おいテメェら。俺がやるって言っただろうが」

「俺たちがそれを聞いてやる理由はない」

「ざけんな。テメェら若者は手を出すんじゃねぇよ」

「そんなものは知らん」

『クイズ、アクション!!』

「では、私も」

『クラウド、アクション!!』

『ファッション!パッション!クエッション!!フューチャーリングクイズ!クイズ!!』

『ヤッホウ!ホウホウ!テンキヨホウ!!フューチャーリングクラウド!クラウド!!』

 

ゲイツとウォズがフューチャーリングクイズとフューチャーリングクラウドになった。そして武器を「ツエ」と「鉈」に切り替えた。

 

「「ハアッ!!」」

「グギャア!!」

 

2人の攻撃でアナザーライダーが後退する。

 

「いくぞ、トドメだ!!」

「させませんわ」

 

一気に勝負を決めようとゲイツが走り寄るが、ゲイツとアナザーライダーの間にネオタイムジャッカーが割り込んできた。その腰にはアナザードライバーがあった。

 

『タロット』『フゥウマ』

「変身」

『フュゥジョォンタァイム!アナザァ、ライダァ、フュゥジョォン。タロット、ウィズ、フゥウマ』

 

アレは・・・前に回収されたタロットのアナザーウォッチ。それと、あのウォッチはなんだ?タロットに無かった忍者みたいな姿が加わっているからシノビなのかな?

 

「ゲイツ、ウォズと一緒にメイを倒して。俺はあのアナザーライダーを」

「ああ」

「任せてもらおう」

 

そう言ってゲイツとウォズがメイに向かって行った。・・・気のせいか、ウォズがいつも以上に気合が入っている気がする。やっぱりアナザーライダーにされたのを根に持っているのかなぁ。

 

「よし、じゃあ俺も」

「オラッ!!」

「うわっ!!」

 

俺の目の前をアナザーライダーが飛んできた。ビックリした。

 

「トドメだ」

 

将也はドライバーに付いているボタンを押す。

 

『認証。アタックコマンド『氷刃乱舞』起動』

 

その音声が聞こえてくると将也は氷で鞘を作り出すとそれに刀を収めて構えをとる。そして右足を前に出すとその足元から氷が生み出された。その氷はそのままアナザーライダーに向かって行き足元を凍らせる。それを確認した将也はもがくアナザーライダーに向か走り寄り居合斬りをした。斬られたアナザーライダーは切り傷から凍っていき爆発する。

 

「うっそー」

「・・・・・」

 

あっさりとアナザーライダーを倒した将也に驚いたけど、その将也はなぜか不満げな顔をしていた。その理由はすぐにわかった。

 

「グルァァァ!!」

「え?うわっ!?」

 

さっき爆発したはずのアナザーライダーが俺に攻撃してきた。爆煙が晴れた爆発の中心には氷の破片が散らばっていた。まさか

 

「このアナザーライダー、分身できるの!?」

「ちっ、そういうことか」

 

アナザーライダーが分身できることを知った俺は背後から殺気を感じた。とっさに横に避けるとそこにはアナザーライダーがいた。辺りを見渡すと周りにアナザーライダーの大群がいた。

 

「これ、詰んでない?」

「片っ端から斬ればいいだけの話だろ」

 

そう言いながら将也は片っ端からアナザーライダーを斬りつける。が、その刃が当たることはなかった。

 

「うわっ!!」

「うぐっ」

 

ゲイツとウォズがこちらに飛ばされてきた。その先にはメイがいた。アイツ、こんなに強いのか。あと、アナザーライダーの分身に囲まれていてさらにメイまでいるかの状況って

 

「なんか、不味い気がする」

 

勝ち目が、見えない。




用語集

仮面ライダーフロスト

読み取ったデータの力を使って戦う2054年の仮面ライダー。その素性は不明なところが多い。

データドライバー

メモリとウェポンチップのデータを読み取るドライバー。メモリとチップを使い分けて戦う。

メモリ

仮面ライダーWが倒したはずのミュージアムのメモリ。なぜ存在するのかは不明。

ウェポンチップ

武器のデータが入っているチップ。メモリを抑制して怪物にならないように制御する。

谷倉 将也(たにくら まさや)

素性が不明な点は多いが、なぜか平成の知識が無い男。その素性は次回以降で明らかになる。

ロストエッジ

平成の時代で暴れていた怪人を蘇生させて強化させられた生命体。データ上の存在のためデータの力を持つ攻撃以外通用しない。


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5

なかなか予告した内容が終わらない・・・。


アナザーライダーがいつ仕掛けてくるのかわからない。一度退こうにも背中を向けた瞬間に襲ってくる可能性があるためそれもできない。くっ、どうすればいいんだ。

 

「全部斬ればいいだけだ」

「なに言ってんの!?」

 

こんな数と同時に戦闘なんてしたら身がもたないよ。疲れた瞬間にトドメを刺される。完全に詰んでいるいまの状況をどうにかしようと考える。だが、なにをしても無意味では無いかと思ってしまう。タイムマジーンを呼ぼうにも相手がそれを待ってくれるはずがない。いったいどうすれば・・・・・

 

「おい」

「え?」

 

背後から声がしたから振り向く。そこにはアナザーライダーの大群しかいなかったが、同時にこちらに迫ってくる透明な壁が見えた。その壁に取り込まれたかと思うといつのまにかクジゴジ堂の中にいた。それに気付いたからおじさんに見つからないうちに変身を解除した。

 

「いまのは、いったい・・・」

「よう」

「門矢 司!?」

 

声をかけられて後ろを振り向くと、そこには門矢 司がいた。でも、なんでここにいるんだろう。

 

「門矢 司。この一件には手を出さないんじゃなかったのか?」

「まあな。だが、お前たちがあまりにも不甲斐なかったからつい手を出してしまった」

「なんだと?」

「ゲイツ、いまは堪えて。理由はなんであれ助けてくれたんだから」

 

正直、あのまま戦っても勝てる気はしなかった。どういうわけか、あのアナザーライダーは氷の分身を作れるみたいだからどれだけ戦ってもキリがない。

 

「そうだな。いまはそんなことよりも、そこのライダーに聞きたいことがあるんじゃないのか?」

「その通りだ。キミはなぜガイアメモリを所持しているんだ?それは仮面ライダーWが破壊したはずなのだが」

「そうだった・・・なんで将也はガイアメモリを持ってるの?」

 

仮面ライダーWが歴史を俺が受け継いだからガイアメモリは存在しないはずなのに。

 

「・・・・・W?まあいいか」

 

・・・気のせいか、将也は一瞬だけ眉をひそめた気がした。まあ気のせいだよね。

 

「これは、俺が昔もらったものだ。まあ改造して改悪はしたんだがな」

「改悪?」

「ああ、バケモノの姿にならないようにしてリミッターを外した」

 

なにしてんの・・・・・。

 

「ま、おかげでたった1回の使用でハイドープとかいうのになったみたいだがな」

 

うわ、またなんか新しい単語が出てきたよ。

 

「ハイドープってなに?」

「ガイアメモリ使用者の中でごく一部の人間がなることができるものだ。ハイドープとは人間の状態で超能力を使えるようになった人間のことさ」

「その通りだ。俺のハイドープ能力は『体時間の凍結』。このおかげで俺はいまも生きているんだ」

 

・・・どういうこと?

 

「ねぇ、ツクヨミはわかる?」

「ようするに、自分の体の成長を止めて老いなくして寿命では死なないようになったっていうことでしょ」

「なるほど・・・ところでツクヨミはなにを調べてるの?」

 

話しかける前から何か調べてるみたいだったけど、なにを調べているんだろう。

 

「今回は特別に力を貸してやる。あと、時間がないから1人だけだが援軍も連れてきてやる。感謝しろ」

「誰がするか」

 

援軍かぁ。誰が来るんだろう。

 

「だが1つ条件がある。・・・そこのライダー。オマエは自分の力を魔王に渡せ」

 

門矢 司は将也に指を指してそう言った。え?なんで?

 

「おいおい、なに言ってんだよ。俺はまだ戦え「オマエもわかっているんだろ?」・・・・」

 

え?なにこの空気。そんなことを考えていると隣に座っていたツクヨミが突然席から立ち上がった。

 

「あった!!」

「うわ!!ビックリした」

「どうかしたのかツクヨミ」

「何かわかったのかな」

「これを見て」

 

そう言いながらツクヨミは俺たちにパッドの画面を見せてきた。そこには目を疑う内容があった。

 

「『山間部で爆発。その近くで男性の免許証が見つかる。その免許証の持ち主は“谷倉 将也”という20代の男性であり、この爆発になんらかの形で関与した疑いが・・・』え?これって、将也の名前じゃ」

「1977年・・・この本にはライダーが存在しなかった時期だと記載されている」

 

あれ?もしこれが将也本人なら将也は過去の人?でもゲートが未来から連れてきたって言ったわけだし・・・あ、そっか。

 

「どういうことだ。この写真は1977年のものだ。だが、この時代にはガイアメモリは生まれていない。どういうことだ?」

「時を超えたんだよ。きっとね」

「ジオウ。なにをバカなことを言って」

「・・・そうだ」

「そうなのか!?」

 

ゲイツうるさい。

 

「・・・話してやるよ。俺が何者で、なんでこんな複雑な状況になっているのかをな」

 

そう言って将也は語りだした。



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