蒼き鋼with Silver Shinano (Many56)
しおりを挟む

プロローグ 〜始まりの日〜

はじめまして、Many56と言います。
至らない点が多々あると思いますが、温かい目で見ていただければ幸いです。


 

北極海

 

ズドン!

 

バシュッ!

 

ドガッ!

 

永遠の冬の寒空の下で轟音が響く。

 

 

一隻の戦艦がその目前の戦艦に無数の攻撃を浴びせていたのだ。

それは最早、完膚無きまでの蹂躙であった。

 

 

その轟音から少し離れたところに一隻の艦がその様子を眺めるように浮かんでいた。

 

 

その艦は形状は第二次世界大戦中に造られた航空母艦「信濃」によく似ている。

 

しかし、蒼い船体にタトゥーのような模様が入っている。

 

そして、一人の少女が青ざめた顔をして、その甲板の上に立ち尽くしていた。

 

そして震えた声で轟音のする方へこう言った。

 

 

「●●●…いったい…何を…しているの…?」

 

●●●「見れば分かるでしょ、シナノ。○○○を沈めているのよ。」

 

シナノ「どうして?どうしてこんなことを…!どうして○○○を沈めているのよ‼︎」

 

 

シナノと呼ばれた少女は悲痛の叫びを上げる。

 

しかし、返事は返ってこない。

 

 

シナノ「どうしたの⁉︎返事をして‼︎」

 

●●●「もういらないのよ、お姉ちゃんなんて…」

 

ウィーン……バシュッバシュッ

 

そう言うと、白髪の少女が乗っている戦艦の砲塔が、シナノの方へ向けられ、主砲が火を噴く!

 

シナノ「キャア!」

 

しかし、それでもシナノはそれを止めようと試みる。

 

シナノ「おねがい!おねがい●●●!攻撃をやめて‼︎」

 

●●●「妹も…いらなさそうね…」

 

そう呟き、シナノへ浴びせる砲火をさらに強める。

 

シナノ「おねがい‼︎おねがいだから…‼︎」

 

シナノがそう叫んだ瞬間、ドス黒い憎悪のような殺気を帯びた声が返ってきた。

 

 

●●●「五月蝿い…黙って…」

 

 

シナノ「ヒッ!」

 

シナノは今まで感じたことがないほどの恐怖、そして絶望感を覚えた。

 

そして針路を180度変え、そこから逃げ出してしまった。

 

 

 

 

同時刻

 

 

 

砲火に晒されて大破した戦艦の下の海中には、ウェディングドレスのような白く美しいドレスを着た黒髪ロングの女性が何かを諦めるように、ゆっくりと暗い海の底へと向かっていた。

 

 

○○○「おねがい…あの子を…」

 

 

彼女がそう呟くと白く光るリングが現れて、目の前を航行している三隻の潜水艦の内の一隻を包み込んでいく。

 

すると、その潜水艦の船体がゆっくりと鮮やかな蒼へと変わっていく。

 

そして隊列を離れ、暗い海の向こうに消えていった。

 

一方で、女性は銀色の砂に変わって崩れるように海の底へと消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくして…

 

 

 

ベーリング海峡

 

 

 

そこで悲鳴のような泣き変えが響いていた。

 

 

シナノ「ウワアアアァァァァァアアアァァァァァ‼︎」

 

 

シナノがわめき泣いている中、一通の電文が届いた。

 

 

シナノ「うぐっ、何…コレ?」

 

 

開いてみると、こんな内容が書かれていた。

 

『あの子を止めて。人の温かい心で。』

 

これを見て、シナノは決意した。

 

シナノ「わかった…お姉ちゃん、絶対止めてみせるから‼︎」

 

 

そう呟くと、船体の色が美しい白銀へと変わっていった。




読んでいただき、ありがとうございます!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

設定(随時更新予定)

設定です。
とりあえずこんな感じかな?
(ヤマト関係は、リメイク版の方をベースに)
こちらに載せるのはアニメに登場してないキャラ及び艦艇です。

7/28 一部変更


登場キャラ

 

代銀 進(しろがね すすむ)

主人公

千早 群像の親友で、シナノの艦長。

客船で家族と船旅をしていた時に霧に襲撃され、年の離れた兄以外の家族を全員失った過去を持つ。また、その兄も大海戦時に潜水艦に乗って出撃し、死亡した。

それ故に、霧に対して、恨みを持つようになった。

海洋技術総合学院で同じような境遇の群像と出会い、共にいつか必ず世界に風穴を開けようと誓った。

ちなみに、学院での総合成績は首席。(群像が出奔する前は、次席)

(イメージはもちろん某宇宙戦艦ヤマトの戦術長です。)

 

 

シナノ

超海域強襲制圧艦「シナノ」のメンタルモデル。

日本のアニメ、特に「ボコられグマのボコ」が好き。

よくみほとボコ談議をする。

超重力砲、および多目的ビットの操作はシナノ自身が行う。

(イメージは、某大学選抜チームのボコ好きの隊長です。)

 

艦艇スペック

 

 

排水量64000t

全長266m

速力75kt(水上)/45kt(水中)

 

武装

全方位超重力砲(重力子レンズ)×20

多目的ビット×125

ミサイルVLS(甲板)×150

ミサイル発射管(側舷)×60

魚雷発射管(艦首艦尾)×40

魚雷発射管×(側舷喫水線下)×60

12.7センチ4連装高角速射砲×8(実体弾、エネルギー弾両用)

25ミリ3連装機銃×37(エネルギー弾)

25ミリ単装機銃×40(エネルギー弾)

 

特殊装備

ミラーリングシステム

スーパーステルスシステム

 

・超海域強襲制圧艦級で、これはオリジナルのクラスで、超戦艦より少し下。

・船体の色は白銀。

・イデア・クレストは、ヤマトの艦長席にの後ろにある錨のマーク。

・高角速射砲の見た目はヤマトの4連装パルスレーザー。

・高角速射砲、機銃の一門あたりの発射レートはファランクス並み。(改良をしている為、通常の霧の艦艇はこれ程高くはない)

・多目的ビットは本作オリジナルの装備で、ビーム攻撃、索敵、観測など様々な用途に使う。海域強襲制圧艦級の標準装備となっている。見た目は、バスケットボールくらいの大きさの鉄球。

・スーパーステルスシステムはシナノが独自に開発したもので、本作オリジナル。ビットで船体を囲い込み、特殊クラインフィールドを展開して光、音、水流、電波などをコントロールして外からではどうやってもほぼ見つからないようになる。ただし、演算リソースの大半を使うため、使用中は移動、索敵以外何も出来なくなる。

・超重力砲は3パターンほどモードがある。

1.通常モード

普通に発射する。

2.トランジットモード

複数の全方位超重力砲を縦に繋いで発射する。通常よりも威力を増幅させることができる。20個全て繋げば、地球を貫通することも可能。また、普通のミラーリングシステムを使用しても防ぎきるのは不可能なレベルにまでの威力になる。ただし、5個以上繋いで発射すると高い出力に耐えきれずユニットが損傷するため、その後修理が必要になる。(名前はトランジット波動砲から)

3.拡散モード

全方位超重力砲を横に並べて発射する。多数の目標に同時攻撃が出来る。(発射時の見た目は、アンドロメダの拡散波動砲)

 

シナノクルー

 

島 大介

シナノの操舵・航海担当。

進の幼馴染。総合成績は上の下くらいだが、操舵・航海において右に出るものはいないと言われるほどの腕を持つ。

父親が艦長をしていた巡洋艦が、初めて霧に撃沈させられた船。

 

西住 みほ

シナノの副長。

普段からおとなしい性格だが、総合成績は常にトップ10以内と好成績。特に戦術シュミレーターでは、定石にとらわれない戦術で相手を翻弄する。それによって、進もしばしば、裏をかかれて負けたことも。ボコられぐまのボコが好きなので、シナノとよくボコ談議をする。

 

 

武部 沙織

シナノのレーダーソナー担当。

総合成績は平均的だが、通信・レーダーソナーに関しては上位。恋に恋する少女で、恋愛小説などをよく読む。クラスのムードメーカー的存在。

 

 

南部 康雄

シナノの砲雷撃管制担当。

成績は高い方ではあるが、進やみほ、大介には劣る。昔はエリートぶっていたが、進に戦術シュミレーターで完敗してからは自重するようになった。だが、砲雷撃管制においては誰よりも高い成績。親は南部重工の社長。メガネ。

 

 

徳川 太一

シナノの機関制御担当。

総合成績は平均的。ただし、機関士やメカニック関係はかなり高い。父親が艦の機関長をしていた。よく食べるので、太り気味。

 

補足

本編は2048年です。(群像たちの出奔が2046年)




第1話にも少し書きましたが、こっちの方ではガッツリ書いていきます。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第1話 少年との別れ

本編開始です!楽しんで頂ければ幸いです。


2046年

 

ある日の夜

 

横須賀近郊のとある丘

 

1人の少年がそこにいた。

 

少年の視線の先には、大海原へと旅立っていく鮮やかな蒼い色をした伊400型潜水艦があった。

 

「どうして…どうしてだよ⁉︎どうしてなんだ群像おおおお‼︎」

 

 

その少年の叫びは、虚しくただ夜空の下に響くだけだった…

 

 

 

 

 

 

 

 

2年後

 

横須賀

 

海洋技術総合学院

 

 

「………」

 

一人の少年がつまらなそうに講義を受けていた。

 

 

ガシャ!

 

 

「痛っ」

 

すると、横にいた色黒の少年に筆箱で叩かれる。

 

 

「おい、何すんだよ大介。」

 

 

大介「そっちこそ何ボサッとしたんだよ。講義くらいもう少しマジメに受けろよ、進。」

 

進「わーってるよ。」

 

 

彼の名前は代銀(しろがね) (すすむ)

 

この海洋技術総合学院の生徒の一人で、学年トップの成績を持つ。

 

その隣に座っているのは(しま) 大介(だいすけ)

 

進の幼馴染で、同じくこの学院に通う生徒だ。

 

大介「おまえ、またアイツのこと考えていたのか?」

 

進「別に。ただ、俺らはここで何をしてんのかねって思っていた。」

 

大介「アイツは海に出て、戦っているのにか?」

 

進「ああ。」

 

大介「やっぱり考えたんじゃないか!」

 

すると、黒板の前に立っている講師がこちらを振り向く。

 

講師「おいそこ!コソコソと何を話している!」

 

進・大介「す、すいません!」

 

 

 

講義が終わり、昼休みになると二人は食堂に向かった。

 

 

進「日替わり定食で。」

 

大介「俺も日替わりで。」

 

食堂のおばちゃん「あいよ。」

 

 

二人が席を探す中、奥から声が聞こえた。

 

 

「おーい、二人ともこっちこっち!」

 

 

「席空いてますよー」

 

 

大介「おっ、みほ、沙織サンキュー。」

 

進「太一と康雄もいたのか。」

 

康雄「まったく、遅いですよお二人さん。」

 

太一「もう先食べ始めてるから。」

 

進「少し混んでてな。」

 

 

この4人は、2年前の進と大介のクラスメイトだ。

 

 

武部(たけべ) 沙織(さおり)は、クラスのムードメーカーで、恋バナが好き。

 

 

西住(にしずみ) みほは、クラスの中ではおとなしい子だったが、学年トップクラスの成績を持ち、戦術シュミレーターでしばしば進を負かしたこともある。

 

 

南部(なんぶ) 康雄(やすお)は、大手工業メーカーの南部重工の

社長令息で、最初はエリートを気取っていたが、進にシュミレーターでフルボッコにされてからは、自重するようになった。

 

 

徳川(とくがわ) 太一(たいち)は、艦の機関長だった父を持つ。4人の中で最もメカニックに詳しい。

 

 

大介「こいつ、講義中また群像のこと考えていたんだ。」

 

康雄「またですか?」

 

みほ「まあ、気持ちはわかります。進さんの親友だったわけですし…」

 

太一「今頃、何しているんだろう?」

 

大介「海の底でくたばってたり。」

 

進「おい!縁起でもないこと言うなよ!」

 

大介「すまんすまん。冗談だよ。」

 

進「まったく。でもまあ、あれから2年か…」

 

 

 

2年前、進の親友である千早(ちはや) 群像(ぐんぞう)が何人かの仲間と共にここを去った。

 

 

 

霧の潜水艦"イ401"に乗り込んで…

 

 

そして、進はそれをただ黙って見届けることしかできなかった。

 

 

それ以来、彼の生活はつまらないものになってしまった。

それもそのはずである。なにせ、共に世界に風穴をあけようと誓い合った仲だからだ。

 

 

学校から帰る途中、進はいつも横須賀近郊の小高い丘に行く。

 

そこから401が出港するのを見届けたからだ。

 

しかし、その日は普段とは少し違った。

 

 

丘の上には、一人のロリータファッションをした少女がいた。

 

 

進「君は……誰だ?」




やっぱり創作は(2次でも)大変(汗)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第2話 少女との出会い

お気に入り登録してくれている!
ありがとうございます!


進「君は…誰だ?」

 

そう進が尋ねると少女はこちらを振り向く。

 

「私の名前は、シナノ…シナノって言うの。」

 

進「そうか、シナノちゃんか。なんだか、昔の空母の名前みたいだな。」

 

シナノ「?…くうぼ?何それ?」

 

進「戦闘機を運ぶ船のことさ。」

 

シナノ「ふーん。」

 

進「シナノちゃんは、どこから来たんだい?」

 

シナノ「引っ越してきたの。山の中から。」

 

進「山の中…か。」

 

シナノは海の方を向いて、進にこう尋ねた。

 

シナノ「お兄ちゃんの名前は?なんでここに来たの?」

 

進「俺の名前は進。代銀 進だ。ここに来たのは、いつもここに来るからさ。」

 

シナノ「どうして進はいつもここに来るの?」

 

進(よ、呼び捨て⁉︎まあいいか。)

「そうだなぁ、海が好きだからかな。」

 

そう言うと、進も海の方を切なそうに眺める。

 

進「シナノちゃんも海が好きなのかい?」

 

シナノ「うん。それに、あんまり見たことなかったから。」

 

 

その日から、俺はシナノとこの丘で会い、毎日話すようになった。

 

シナノはアニメが大好きで、特にボコられグマのボコというアニメが好きらしい。見せてもらったが、そのキャラクターは包帯でぐるぐる巻きにされていたら、そこらじゅうがツギハギだらけだったりと、俺にとっては全くの謎のキャラクターだった。

 

俺は、普段の学校のことについて話した。かなり興味津々らしく、

「入学してみたい。」

なんて言い出すほどだった。

 

 

 

 

そして、彼女と出会っておよそ1ヶ月が経った。

 

 

いつものように丘で海を眺めながら話しをしていると、シナノがいきなりこう切りだした。

 

シナノ「ねえ、進。1ヶ月前、海が好きだからここに来るって言ってたけど、あれってホントは嘘なんじゃないの?」

 

進「‼︎」

 

シナノ「それってもしかして図星?」

 

進「いや、いきなりそんなことを聞いてくるとは思ってもいなかったからな…」

 

シナノ「フフフ、それでどうなの?」

 

進「まあ、半分当たっているな。」

 

シナノ「半分?」

 

進「ああ、海が嫌いというわけではない。でも、別でもう一つ理由がある。」

 

進は座り込み、大きく息を吸う。

 

進「俺の親友には、『千早 群像』っていうやつがいる。そいつと一緒に、この閉塞した世界に風穴をあけようと約束した仲なんだ。」

 

シナノ「風穴?」

 

進「霧によって衰退の一途辿っている。それをどうにかして止めたいんだ。…けど、一緒にやろうと決めた相手が、先に旅だってしまった。アイツは、風穴を開けようと奮闘しているのに、俺はアイツに何もしてやれない…それがすごくもどかしいんだ。どうにかしたくて、アイツを見届けたここにいつも来るけど、どうあがいてもどうにもならないのに、いつも来てしまう。バカだと思うだろ。」

 

シナノは座り込んで、静かに聞いていた。

 

シナノ「それで、その群像っていう人に会えたらどうしたい?」

 

進「どうしたいって、そうだなぁ。もう2年も会っていないから、なんで何も言わずに出たのかとか聞きたいこと全部聞いて、お前の力になってやりたいとか言いたいこと全部言ってやりたいな!」

 

シナノ「そう…」

 

シナノはおもむろに立ち上がって、大きく深呼吸をする。

 

シナノが手を広げると白く光るリングが現れ、瞬く間に光のドームを形成する。

 

ゴゴゴゴ

 

そして、地鳴りのような轟音が響き出す。

 

進「い、一体何が⁉︎」

 

ドコザッパァァン

 

なんと、現れたのは全長250メートルはあるであろう白銀の船体を持った空母だった。

 

進「君は、一体?」

 

シナノ「改めて自己紹介。私は、元霧の艦隊所属、超海域強襲制圧艦のシナノ。」

 

進「霧の(ふね)…⁉︎」

 

 




よければ、高評価、お気に入り登録お願いします!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第3話 シナノ発進

相変わらずへっぽこです。文章力全く上がらない。字数は増えてきたけど…


シナノの姿を見て進は衝撃のあまり、開いた口が塞がらなかった。

 

進「君は、霧…なのか?」

 

シナノ「“元”ね。」

 

進「元?」

 

シナノ「そう。抜け出したの。」

 

進「どうして?」

 

シナノは一度うつむき、海の方へ体を向ける。

 

シナノ「私は、霧の艦隊を止めたい。でも、一人ではもうどうにでもできないところまで来てしまった。」

 

進「止めたい?君は霧なんだろう。止めなきゃいけない理由はないと思うが…」

 

シナノ「あなたが言ったように、今人類は衰退している。このままでは無くなりかねない。それを止めたい。それにもう一つ、霧の艦隊はアドミラリティ・コードに基づいて行動しているけど、私はそれの存在意義に疑問を感じたの。」

 

進「だから、止めたい、と。」

 

シナノは進の方へ振り向いて、

 

シナノ「あなたに力を貸すから、私にあなたの力を貸して。私の艦長になって。」

 

 

進「分かった、シナノ。お前が俺に力を貸してくれるなら、俺はお前の艦長になろう。」

 

シナノはニコリと微笑んだ。

 

シナノ「ありがとう。」

 

 

 

 

それから俺たちは、艦を習熟訓練を始めた。

 

 

 

それから2週間が過ぎたある日、いつものようにみんなで食堂に集まり昼食をとっていた。

 

大介「進、なんかあったか?」

 

進「なんかってなんだよ?」

 

大介「いや、なんだか最近お前あんまりボサッとしてないから。」

 

康雄「そういえば最近帰るのも早い気がしますよね。」

 

沙織「ま、まさか彼女とか!」

 

進「まあ、そんなとこ…かな。」

 

みほ「えーーっ!」

 

太一「マジか!」

 

沙織「えっ誰々⁉︎」

 

進「秘密。それじゃ、先教室行ってるから。」

 

 

進が行った後、他のメンバーで話し合う。

 

沙織「ねえ、進の彼女誰だと思う?」

 

康雄「あの人が彼女って。ありえないありえない。」

 

太一「いや、人は見た目にはよらない。意外とあり得るかも…」

 

そんな中、大介は一人考えていた。

 

大介(あいつが彼女を?いや、絶対ありえない。まさか…)

 

そして一つの結論に至った。

 

大介「なあみんな、アイツ何か隠しているような気がするんだ。」

 

みほ「隠してるって、何をです?」

 

沙織「彼女?」

 

大介「そういう意味じゃなくて、もっと別のことだ。」

 

康雄「別のこと?」

 

大介「とにかく放課後、ついて行ってみようぜ。」

 

みほ「まあ、それが一番の近道ですね。」

 

 

そして放課後、5人は進の後を追っていった。

 

 

 

進はいつものように丘に来ていた。そこには、いつものように彼女がいた。

 

進「待たせたか?」

 

シナノ「別に。いつも通りの時間。」

 

進「出航予定まで、あと2週間。その1週間後にSSTOの発射がある。」

 

シナノが頷いた瞬間、海の底から白銀の船体が姿を現す。

 

進「そこでアイツらと合流だ!」

 

 

その直後、後ろから毎日聞いてきた声が聞こえた。

 

大介「なーるほど、そういうことだったんだな!」

 

進「‼︎…大介!お前なんでここに…⁉︎」

 

大介「後ろからつけて来たに決まってるだろ。それと、つけて来たのは俺だけじゃない。」

 

大介の後ろから他の4人が出て来る。

 

沙織「やだもー、何これ!」

 

みほ「まさか、霧だなんて。」

 

康雄「完全に想定外ですね。」

 

太一「でもまあ、進ならやりかねないな。」

 

進「はぁ。まったく、お前ら。」

 

進は頭を押さえる。しかしすぐに戻す。

 

進「悪いけど、止めないでほしい。」

 

大介「そう言うと思ったよ。どうせ俺らが止めても…何があっても行く気満々なんだろ。」

 

進「分かってくれないか。」

 

そう言いかけた瞬間、衝撃の言葉飛んできた。

 

 

 

大介「それなら、俺も乗せろ。」

 

みほ「私もおねがいします!」

 

沙織「みほも乗るなら私も乗る!」

 

康雄「一人だけだなんて水臭いですよ。」

 

太一「そうそう。」

 

進「お前ら…」

 

大介「指くわえて見てんのが悔しいのは、お前だけじゃない。それに、お前一人だけっていうのも気が気でない。」

 

進「分かって言っているのか?命の保証はないんだぞ。」

 

大介「こっちの台詞(セリフ)だ。」

 

その様子を静かに見ていたシナノが口を開く。

 

シナノ「フフフ、フフフフフ。進の友だちって面白いね!それで、どうするの?」

 

進「わかったよ。みんな、力を貸してくれ!」

 

一同「おう!」

 

 

 

 

そして2週間が経ち、全員がシナノへ乗り込む。

 

 

 

進「シナノ、発進‼︎」

 

 




はい!シナノ出航しました!次の第4話はもちろんアニメ本編への介入です!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第4話 再会

アニメ本編介入開始です!


シナノが出航して1週間後。

 

俺たちは、特に何事もなく佐賀宇宙センター沖に到着した。

 

間違いなく、シナノが開発したスーパーステルスのおかげだろう。

 

タカオの真横およそ数メートルの距離まで接近したにもかかわらず、全く気がつかれなかった。

 

正直、彼女の力は驚くべきものだと実感した。

 

驚いたと言えば、出航直後からほんの数秒でみほとシナノが仲良くなったことだ。

 

彼女もボコ好きだったらしく、シナノと二人で小一時間ほどボコ談議を始めてしまった。

 

俺も含めて周りの者は全員、

 

(マジか‼︎)

と思った。

 

さて、今のところ、霧の軽巡ナガラと蒼き鋼ことイ401が交戦中だ。

 

そこから十数キロほど離れたところで様子を眺めている。

 

ドシュッギュオォォ

 

しばらくすると、ナガラに侵食魚雷が直撃する。

 

直後、ナガラはスプーンですくわれたかのように船体が抉り取られる。

 

ズドン‼︎

 

その瞬間、大轟音を立てながら船体が真っ二つに折れてナガラは海中へと没していった。

 

それを横目に、蒼き鋼が海中から姿を現わす。

 

大介「アレが、イ401…蒼き鋼か。」

 

進「アレを見るのは、2年ぶりだな。」

 

みほ「そうですね。」

 

大介「そういえば、二人はあの時の特別招集で見てるんだっけ。」

 

進「俺は、アイツらが出航するときにも見てる。」

 

太一「んで、どうするんだ、艦長サン?」

 

進「沙織、401との距離は?」

 

沙織「今、ちょうど10キロ切ったよ。」

 

進「分かった。シナノ、7キロになったらステルス解除。同時に電文を送れ。『停船しろ。艦長に用がある。』ってな。」

 

シナノ「分かった。」

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は、イオナと出会った頃の話をしていた。

 

群像「あれから2年。俺たちはお尋ね者だな。」

 

イオナ「うん。」

 

群像(そういえば、進たちは今頃何してるんだろうな。)

 

 

そう考えていたとき、イオナが大きく目を見開いて艦首の先の方を見た。

 

群像「どうした、イオ…‼︎」

 

401の向こうには、ずっとそこに居たかのように白銀の巨大な艦が鎮座していた。

 

群像「なっ、なんだあれは…!」

 

イオナ「超海域強襲制圧艦シナノ。距離、およそ7キロ。」

 

群像「どうしてここまで近づいているのに気がつかなかったんだ⁉︎」

 

イオナ「群像、停船しろって言ってる。用があるって。」

 

群像「用?俺にか?」

 

イオナ「うん、どうする?」

 

群像が考え込んでいると、無線に連絡が入る。

 

杏平『おいおいどーすんだよ群像!なんか馬鹿でかいのが近づいてるけど!』

 

静『そもそも、これだけの距離までどうやって接近したのかが気になります。』

 

僧『それで、どうするんですか?』

 

群像「停船させる。俺に用があるらしい。万が一のために、みんなはその場で待機していてくれ。」

 

一同「了解!」

 

 

401を停船させると、シナノはその横につける。

 

しばらくすると、甲板の上に一人の少女が現れた。

 

群像「君がシナノか。」

 

シナノ「そう。」

 

群像「俺に用があるとはどういうことだ?」

 

シナノ「私の艦長が、あなたと話しがあるって。」

 

そう言うと、甲板に1人の男が現れた。

 

群像は一瞬身構えたが、その顔を見て驚愕の表情のまま凍りつく。

 

艦内にいた静を除いたメンバーもその顔を見て凍りつく。

 

いおり「マジ…で⁉︎」

 

静「え、皆さんご存知なんですか?」

 

僧「代銀 進。学院時代の我々の友人です。艦長にとっては、最早親友でしたね。」

 

群像「進、お前なんでここに…!」

 

進「お前らを追いかけてきたんだよ。こっちも聞きたいこと言いたいこと色々あるからな。」

 

群像「……」

 

進「どうして置いていった?一緒に風穴開けようって言っただろ。」

 

群像「お前、ひどく霧を恨んでただろ。止めると思ったんだ。」

 

進「たしかに、そうかもな。でも今は違う。俺たちは霧とだって分かり合える。シナノと会ってそれを知った。」

 

群像「ああ、知ってる。」

 

進「()()だって風穴開けたいんだよ。力貸させてくれ。」

 

群像「ああ、ありがとうな進…ん、今()()って言ったか?」

 

進「ああ言った。全員で来た。」

 

群像「まったく…」

 

群像は呆れ果てる。だが、それでも彼は嬉しかった。

何も言わずに出奔した自分のことを案じてくれていたのだから。

 

群像「色々すまんな。」

 

進「構わないさ。望んでやったことだし、こうしてお前とまた会えたんだから。さて、感動の再会の気持ちに浸っていたいが、今からどうする?」

 

群像は表情を戻した。

 

群像「これから、今回の依頼のクライアントの上陰次官補に会いに行く。着いたら、中で待機していてくれ。」

 

進「分かった。」

 

 

 

しばらく艦を進めると港に到着した。

その後、群像は艦を降り、港の奥へと歩いていった。

 

 

 

 

 

群像は外の様子が見える部屋に案内された。

そこには外に停泊している401とシナノを眺めている厳格そうな男がおり、入ってきた群像の方へ体を向ける。

 

群像「あなたが、今回のクライアントの上陰次官補ですか。」

 

上陰「そうだ。しかし、あんなものがお出ましになるとは、考えもしなかったよ。」

 

群像「ええ、私もですよ。それはともかく、もう少し早く依頼を頂ければ軍の被害を抑えられましたよ。」

 

上陰「無理を言うな。霧のジャミングで長距離通信が不可能なのだから。それに大人の都合というのもある。」

 

群像「政治…あんなものはただの遠回りでは?」

 

上陰「全員が全員君のようにできれば不要になるのかもしれないがな。」

 

群像「それでは、これで失礼します。」

 

群像の後ろにいた黒服の二人が拳銃を向けようとする。

 

上陰「待ちたまえ千早群像、君にはもう一つ仕事がある。それと君たちもそれをしまいたまえ、彼に何かあっては彼女から何をされるか分かったものではない。」

 

上陰が外に視線を向けると、その様子をまじまじと見つめているイオナがいた。

 

群像「それで、仕事とは?」

 

上陰「我々も霧に手をこまねいた訳ではない。試作した新兵器弾頭を運んでほしい。目的地はアメリカだ。」

 

 

 

 

 

 

 

シナノ艦内

401と通信を繋ぎ、一同は次の依頼の話を聞いていた。

 

 

杏平『なるほど、“振動弾頭”ねぇ。』

 

僧『霧の侵食弾頭を解析、それをさらに強化したものらしいです。』

 

太一「でも、なんでアメリカに?日本で作れないんか?」

 

康雄「作れないことはないが、量産出来るほどの工業力はもう残ってない。うちも今経営ギリギリだしな。」

 

大介「なるほど、それで工業力が有り余っているアメリカか。」

 

みほ「これが量産されれば、人類も反撃の狼煙を上げれるかもしれませんね。」

 

群像『アメリカが残っていればの話だが。この話をアメリカとしたのも、3ヶ月前のことだ。』

 

杏平『やなこと言うなよ。』

 

いおり『イオナ、シナノ、本当に分からないの?』

 

イオナ『私は、他の艦から情報を隔離されているから。』

 

進「それじゃあ、シナノも知らないのか?」

 

シナノ「私も、出奔したときにリンクを絶っているから。」

 

進「そうか。」

 

群像『考えても仕方ない。こいつを受け取るのは横須賀だ。』

 

進「了解。大介、出航するぞ。」

 

大介「分かってる。進路を横須賀に設定。出航する。」

 

 

ボゴォォォ

 

 

401とシナノの機関が起動し、轟音を立てて港を後にした。

 

 

 

 

 

 

佐渡島沖

 

そこには、旧日本海軍の艦の形状をしながら、全く異なる色や模様をしている艦があった。

 

そして一際目立つ紫の大型艦に一人、紫のロングドレスをした女性がいた。

 

 

“霧”東洋方面第一巡航艦隊旗艦コンゴウである。

 

 

コンゴウ「ん、401が動き出したか。この体にもだいぶ慣れてきたな。人間の体、忌まわしいな。我々は霧だというのに…」

 

直後、久米島沖にいるピンク色の艦から通信が繋がれる。

 

重巡マヤだ。

 

マヤ『コンゴウ、コンゴウ‼︎』

 

コンゴウ「どうしたマヤ。」

 

マヤ『401が動き出したんでしょ?私にやらせてよ!』

 

コンゴウ「あの辺りはタカオの管轄だ。お前は引き続きそこを哨戒していろ。」

 

マヤ『もー!コンゴウのバカ!頭でっかち!石頭!ナガトに沈められちゃえ!ベー!』

 

そう言い、マヤは通信を切った。

 

コンゴウ「…まったく、面倒くさい。タカオ!分かっているな。」

 

タカオ『ええ、401め。この私が、海の藻屑にしてやるわ。』

 

 

 




気づいたら、文字数2000超えてた。それまでは完全に創作だったからかな?


急遽コンゴウたちの会話を追加。そしたら3000いった。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第5話 戦闘開始 〜VSタカオ〜

はい!第5話です!
今回から401とシナノ間の通信は普通の「」になっています。
(正直言って、いちいち変えるのが面倒だった。特に401とシナノの間で会議などの通信がここからめっちゃ増えると思ったので。)
他は『』になる予定です。


紀伊半島 熊野沖

台風11号圏内

 

 

 

ヒューズドドドッ!

 

何発ものミサイルが海面に衝突し、そしてそのまま401に突き刺さる。

その瞬間、401は船体が真っ二つに裂けて沈んでいった。

 

 

台風の中心には、一隻の赤い重巡洋艦が浮かんでいる。

 

タカオ「また囮か…早く出てらっしゃい401。私が粉微塵にしてやるわ。」

 

 

 

同海中

 

そこには海底に身を横たえるイ401とその傍らにステルスシステムで隠れたシナノがいた。

 

イオナ「アクティブデコイが撃破された。稼働中のデコイは残り3つ。」

 

群像「静、タカオの様子は?」

 

静「依然台風中心部で航行しています。」

 

群像「いくら霧でも、この気象条件なら索敵能力は低下すると思ったんだが…」

 

僧「タカオはこちらのデコイを正確に叩いていますね。」

 

進「シナノ、401の撃破されたデコイとタカオの索敵範囲をメインモニターに表示してくれ。」

 

シナノ「分かった。」

 

するとタカオの索敵範囲の縁と撃破されたポイントが完全に重なる。

 

大介「ピッタリ…スゲーな。」

 

みほ「まさか全く落ちていないとは…」

 

全員が対処法を考える中、静が切り出す。

 

静「意見具申してもよろしいですか?」

 

群像「なんだ?」

 

静「一度外洋に出てタカオのピケットラインを迂回してはどうでしょう。持久戦になって不利なのはこちらですし、タカオと戦う必要もありません。」

 

群像「うーむ…」

 

進「いや、それは危険だと思う。」

 

静「どうしてですか?」

 

進「迂回したところでタカオは追ってくるだろう。たとえ、横須賀に入ったとしても…。それに、新たな敵に出くわすかもしれない。」

 

僧「しかし、入ってしまえばこっちのものでは?アドミラリティー・コードは陸地への攻撃は禁止しているわけですし。」

 

進「だが、海上封鎖を突破した船への攻撃の流れ弾が、地上に危害を加えることに関しては明記していない。」

 

杏平「そうなったらヤバいな。あそこ港のすぐそこが市街地だから大惨事になるぞ。」

 

群像「なら、ここで俺たちがタカオを倒すべきだな。」

 

一同「‼︎」

 

群像「それ以外で手があるなら聞こう。」

 

杏平「でも、相手は重巡だぞ!キツくないか?」

 

進「おい杏平、シナノを忘れてないか。」

 

杏平「ソウデシタ。」

 

群像「イオナ、デコイの状況は?」

 

イオナ「量子通信良好、あと2時間は大丈夫。」

 

群像「いおり、戦闘出力どれだけ維持できる?」

 

いおり「全開は3分保証できるよ!」

 

群像「浮上する。デコイも同時に動かせ。」

 

イオナ「了解。」

 

杏平「大丈夫かよ?」

 

群像「ああ、暴風圏の壁を使ってタカオに見つかる前に奇襲する。機関始動!浮上微速!総員戦闘配備!」

 

進「こっちも行くぞ!機関始動!401に貼り付いて浮上だ!」

 

大介「了解!」

 

シナノと401が静かに機関音を立てながら浮上していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

その動きにタカオはすぐに気づく。

 

タカオ「動き出したわね。反応は4つ、本物はどれかしら?それとも全てデコイか?」

 

タカオが見ているテロップに出ている4つの401のマークのうち3つがデコイになる。

 

タカオ「それが本物ね。」

 

タカオは機関の出力を最大まで上げる、船の向きを調整する。

 

タカオ「エンゲージ…」

 

そう呟くと、煙突の中から重力子レンズが現れ、船体と艦橋が展開する。

 

 

 

 

 

 

沙織「…ん?進、なんか変なノイズが聞こえるんだけど。」

 

康雄「台風の影響じゃない?」

 

進「一応流してみてくれ。」

 

ザサ…バチッ!ジジジッ……ビシ!

 

大介「台風の音かコレ?明らかにおかしいって。」

 

進「シナノ、これが何の音か分かるか?」

 

シナノ「おそらく、タカオが超重力砲の発射態勢に入っているんだと思う。」

 

進「…こっち向いてるし、完全にバレてるな。」

 

康雄「すぐ回避行動とった方がいいんじゃ…」

 

進「いやダメだ!下手に動くと気づかれたことがバレて即超重力砲が飛んでくる!」

 

その間、群像は対処法をひたすら考え、何か思いついたような顔を上げる。

 

群像「なら、それを利用してやろう。おそらくタカオは浮上と同時に攻撃してくる。シナノは浮上する直前にミサイルをありったけ叩き込んでくれ!イオナ、ヒュウガの()()を使うぞ!」

 

進「了解!康雄、全発射管にミサイル装填、浮上直前に発射だ。シナノはタイミングあわせてステルス解除して、発射直後にまた再起動だ。ところで、アレって何?」

 

そう聞いた瞬間いおりから罵声が飛んでくる。

 

いおり「ちょっと、アレはまだ動作の確認しかしてないんだよ!実際に使うとどうなるか分からないことが!」

 

群像「だからさ。ここでダメならその先もずっとダメなんだから。イオナ、やれるな。」

 

そう聞くと彼女はすぐにうなづく。

 

群像「機関最大出力!イオナ、スタンバイだ!」

 

進「シナノ、ステルス解除!全ミサイル発射!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タカオ「さあおいで401。この一撃でサヨナラよ。……ん?」

 

401が浮上する直前にとんでもない数のミサイルが雨あられとタカオに突っ込んでくる。

 

タカオ「ミサイル弾数100…いや200以上⁉︎一体どうして…キャッ!」

 

ズドドドドッ!

 

不意をつかれたタカオのクラインフィールドに大量のミサイルが炸裂する。しかも、正面は超重力砲発射のためにフィールドに穴を開けていたので、そこから何発か入って前部甲板に突き刺さる。

 

ドッシュウ!

 

そしてその衝撃でタカオの超重力砲はあらぬ方向に飛んでいく。

 

ザッッパァ

 

そして間髪いれず、タカオの正面の海面が割れる。

 

タカオ「くっ、今度は何…あ、アレは!」

 

そして海の向こうに船体を()()し、艦首にエネルギーを集中する401がいた。

 

 

 

 

 

 

タカオの真下に潜水艦らしき船があった。

 

進「そうか、コイツが…」

 

イオナ「発射空間軸にタカオを固定。」

 

タカオの上に一人の女性が立っているのが401のメインモニターに映し出される。

 

群像「メンタルモデル…仰角マイナス3度。」

 

イオナ「仰角マイナス3度。」

 

杏平「それじゃタカオには…」

 

群像「これでいい!」

 

静「タカオ、離脱しようとしています!」

 

いおり「早くして!これ以上はエンジンが持たない!」

 

群像「総員、対ショック対閃光防御!超重力砲、撃てぇ!」

 

カッ!ドシュゥゥゥ…!ドゴォ…

 

401から青白い閃光が放たれ、タカオのクラインフィールドを破って潜水艦に直撃し、大爆発を引き起こした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後

概念伝達空間

 

東屋の中に小さなテーブルと二つの椅子がある。

一方の椅子には紅茶を飲む金髪に紫のロングドレス女性、もう一方の椅子にはそれを睨む碧い髪に白いワンピースの女性がいた。

 

コンゴウ「…401に負けたそうだな。」

 

タカオ「うぐっ、24時間の武装ロックを食らっただけよ。でも、なんで超重力砲なんか…」

 

コンゴウ「おそらく、ヒュウガの鹵獲品だろうな。」

 

タカオ「‼︎」

 

コンゴウ「人間というものは創意に富んでいる。」

 

タカオ「人間に装備を奪われるなんて、無様ね。」

 

コンゴウ「401に負け、24時間の武装ロックを受けたお前もそうではないか。」

 

タカオ「この借りは…必ず返す!」

 

コンゴウ「何を考えている?」

 

タカオ「失礼するから。」

 

 

コンゴウ「ふん、面倒くさい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タカオはボロボロになった甲板の上に寝そべっていた。

 

タカオ「人間がいれば、私にもあんな戦術ができるのだろうか…私も欲しいな!」

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻

横須賀沖

 

進「まさか、超重力砲とは…一体どうしてだ?」

 

群像「ヒュウガから鹵獲したんだ。それより、もうすぐ横須賀、2年ぶりだな。」

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第6話 横須賀再び

アルペジオリバース配信きたぁぁぁぁぁ‼︎
まあだいぶ経ちましたが…(汗)
個人的には私服イオナがカワエエ♡…もとい絵が好みです。
あとコンゴウ先生とかはマジで驚きました。
(教師の衣装が意外にも似合ってる。)
さて、それでは第6話楽しんでいただけると幸いです。
追伸、更新遅れてすいません。


横須賀港

 

そこは高さ数十メートルはある巨大な壁に囲まれた要塞港である。

 

ゴウィーン

 

その港の扉が開き、扉の向こうには2隻の艦が見えた。

 

艦のクルーは全員、甲板にいた。

 

いおり「防護壁、やっとできたんだ。霧相手には気休め程度かもしれないけど…」

 

沙織「1年前にはもう出来上がっていたよ〜。」

 

静「あそこが艦長や皆さんが育った街なんですね。」

 

杏平「2年ぶりか。まさか横須賀に戻ってくる日が来るとは…」

 

大介「俺たちも、2週間程度でここに戻るとは思ってなかったな。」

 

イオナ「海軍横須賀コントロールより入電、『貴艦らへの弾薬及び補給物資の搬入準備は整っている。』」

 

群像「振動弾頭のことことは?」

 

イオナ「ううん。ただ、シナノは通常ドッグには入らないから、大型艦用の特別ドッグに入って欲しいって。」

 

進「それじゃあ群像、しばらくな。」

 

群像「ああ。」

 

シナノは401と別れて、ひときわ大きな建物に向かった。

 

グウォーン

 

大型のハッチが開いて、その中にシナノが収まっていく。

中には大量の兵士がこちら側に銃口を向けていた。

 

みほ「うわっ。」

 

太一「完全に警戒されてるな。」

 

康夫「こればかりは仕方がないですよ。」

 

急にシナノがブルブルと震え出す。

 

進「どうした?」

 

シナノ「うう、スキャンされてる。」

 

進が周りを見渡すと、スキャナーを持った兵士が人海戦術でシナノをスキャンしていた。

 

進「やめさせるか?」

 

シナノ「大丈夫、少しくすぐったいだけだから。」

 

そんなやりとりをしている中、外部ハッチが閉鎖されガントリーロックの接続と排水が始められる。

 

オペレーター「排水完了!ドッグへの降下を開始する!」

 

ガコッウィーン…

 

内部ハッチが開き目の前には広大な空間が広がっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

榎本「このドッグの整備班長の榎本です。しっかし、デカイですなあ…」

 

進「ええ、僕も最初見たときは驚きました。」

 

榎本「よしっ、お前ら作業開始だ!」

 

整備士「うす!」「喜んで!」

 

その直後、シナノが進に話しかける。

 

シナノ「進、群像が上陰次官補に会いに行くからついてきてほしいって。」

 

進「わかった。みほ、留守の間の指揮は任せる。」

 

みほ「分かりました!」

 

 

 

 

 

 

 

進とシナノは群像、イオナと合流して上陰と面会した後、港全体が見渡せる小高い丘の上に来た。

 

進「こうしていると2年前を思い出すな。」

 

群像「たしかに…」

 

そんなやりとりの中、イオナが口を開く。

 

イオナ「横須賀をスキャンしたら2年前より著しく人口、住宅数が増えている。どうしてか分かる?」

 

群像「ああ、多分だけど防護壁のおかげだろう。アレが完成したから、内陸部に避難していた人々が戻ってきたんだろう。」

 

イオナ「どうして?」

 

群像「そうだなぁ…やっぱりみんな海が好きだからじゃないかな。」

 

イオナ「非論理的。沿岸部は内陸部に比べて戦闘の被害に遭いやすいでしょ。」

 

群像「それでも、海がいいのさ。」

 

それを聞いた瞬間、シナノがクスクスと静かに笑い出した。

 

シナノ「そういえば、進も最初会ったときそんなこと言ってたね。」

 

進「掘り返すな。」

 

群像「少し寄り道してもいいか?」

 

一同「寄り道?」

 

群像「ああ。非論理的な気まぐれとでも言うかな。」

 

そういうと群像は花屋で小さな花束を買うとある場所に向かった。

 

進「ああ、()()()か。」

 

群像「ああ、2年間出来なかったからな。」

 

少し歩くと開けた場所に出た。

 

イオナ「群像、何をするためにここへ?」

 

イオナが尋ねた瞬間、奥から熊のぬいぐるみを持った小学生くらいの少女が駆けてきた。

 

少女「たすけてー!」

 

一同「?」

 

少女は群像に抱きついて、

 

少女「悪い人たちに追われてるの!」

 

すると奥からメイドらしき女性たちが少女を追ってきた。

 

メイド「お嬢様!」「お待ちください!」

 

少女「イヤ!自由の旅に出るの!」

 

群像「悪い人?この人たちが?」

 

するとイオナとシナノが興味津々に少女を見つめる。

 

少女「?」

 

その隙にメイドが少女を抱き上げる。

 

少女「離して!」

 

メイド「さあ、お屋敷に戻りますよ。」「どうもすいません。」

 

進「一体なんだったんだ?」

 

イオナ「今の少女をデータベースから検索してみた。近くの屋敷にたった一人で暮らしているみたい。」

 

群像「たった一人で?あんなに幼い子供が⁉︎」

 

イオナ「うん。」

 

 

 

 

 

 

 

同時刻

特別大型ドッグ

 

シナノのクルー一同は整備士と共に補給を進めていた。

 

沙織「ど…どうしよ、みほ。」

 

みほ「どうしたの沙織さ…‼︎」

 

みほが振り向くと沙織の背中に銃口が突き付けられていた。

周りを見渡すと武装した海軍とは違う兵士がシナノの周りを取り巻き、整備士の人たちにも銃口が向けられていた。

 

榎本「なっなんだお前ら⁉︎」

 

みほ「この人たちまさか…」

 

大介「ああ、()()らしいな。」

 

すると奥から黒服の男が現れる。

 

黒服「シナノクルーの皆さん、ある方があなた達を夕食に招待しています。」

 

康雄「招待のやり方がかなり荒っぽくないですか?」

 

太一「どうするんだ、副長サン。」

 

みほ「応じましょう。ここでの争いは無益です。」

 

黒服「それではご案内いたします。」

 

 

 

 

 

 

 

その頃、進たちは沿岸にある墓標の前にいた。

 

群像はおもむろに花束を墓標の前に置くと、進はそれに合わせて手を合わせる。

 

イオナ「群像、ここは?」

 

群像「ここは、海軍の墓地なんだ。」

 

イオナ「墓地って?」

 

群像「死者を弔い、その心を慰めるための場所。」

 

イオナ「死者を弔うことにはどういう意味があるの?」

 

群像「それは…」

 

群像が後ろを振り返ると、涙を零し悲しみにくれる女性がいた。

 

群像「…残された人々が、現実と折り合いをつけるため…かな。」

 

イオナ「無意味な行為に思える。」

 

シナノ「たしかに私たちにとってはね。でも感情というものを持っている人間にとってはその性質上大いに意味があること。現実と折り合いをつけることで、心を安定と安らぎを得るの。そうしないと色々なことに支障をきたしてしまう。」

 

進「シナノ…」

 

イオナ「そうなんだ。」

 

進「少し湿っぽくなっちまったな。さて、墓参りも終わったことだし、艦に戻るか。」

 

進は来た道を戻る中、チラリと一つの墓石に視線を向けた。

 

その墓石の一部にはこう書かれてあった。

 

『代銀 剛

代銀 紀子

代銀 芳雄

代銀 真希』

 

順に進の父、母、叔父、叔母の名である。

 

さらに、最後にはこの名があった

 

 

 

『代銀 守』

 

それは進の兄の名だった。

 

 

進(待っててくれ兄さん、みんな、必ずやり遂げるから。)

 

 

 

 

 

 

進たちが墓地の外に出ようとした瞬間、急に武装した10人ほどの兵士に囲まれる。

そして、その中から一人の黒服の男が出てくる。

 

進「どういったご用件でしょうか。」

 

黒服「イ401艦長の千早群像様、そしてシナノ艦長の代銀進様ですね。ある方があなた方を夕食に招待されています。」

 

イオナ「群像、排除する?」

 

群像「やめるんだ、イオナ!」

 

進「シナノもだ。」

 

群像「英霊の眠りを邪魔するのも野暮だ。ここは素直に招待に応じようじゃないか。」

 

 

 

 

 

 

男に連れられて4人は軍事車両でとあるレストランに来た。

テラス席に連れられると、すでにシナノやイ401のクルーがいた。

 

杏平「来た来た。」

 

大介「遅いよ。」

群像「なんだ、お前らもいたのか。」

 

「やっと来たかね。」

 

奥には大きな髭を蓄えた老人がいた。

 

進「我々を招待したのはあなただったんですね、北 良寛。」

 

北「まずは座りたまえ。」

 

4人が各々の席に座ると北は睨みつけるような目つきでシナノとイオナに視線を向ける。

 

北「そこの2人の娘が401とシナノのメンタルモデルかね。」

 

群像「ええ、俺たちを招待したのはイオナとシナノを眺めるためではないでしょう。」

 

北「生憎、人形を眺めながら食事をする趣味は持ち合わせてないよ。」

 

北は一口ワインを飲むと鋭い視線を進と群像に向ける。

 

北「単刀直入に言おう。401を政府に返却し、シナノを引き渡してもらえないか。」

 

間髪いれず、

 

進・群像「お断りします。」

 

北「何故だね。」

 

群像「受けた仕事の途中ですので。」

 

北「上陰のことかね。それには心配する必要はない。」

 

群像「いえ、こちらにも引き受けたからには責任というものがあります。」

 

北「()()か。久しぶりにその言葉を聞いたよ。」

 

群像「……」

 

北「昨今の通信事情であっても君たちの活躍は我々の耳にも届いている。そしてこの2年の間で霧を相手に生き延び、あまつさえ大打撃すら与えていることに私は大きな感銘を受けているのだよ。」

 

杏平「ケチな運び屋ですけどねー。」

 

ズドン

 

いおりに足を踏まれ、杏平から悲鳴が上がる。

それに構わず北は続ける。

 

北「だからこそ、君たちのような有能な人材をいつまでも危険な401とシナノと隣合わせにしておく訳にはいかないと考えてね。」

 

群像「危険?401とシナノが?」

 

北「うむ。アレらは元々霧の戦艦だ。いつ君たちの手に負えなくなるか分かったものではない。それなら、高度な訓練をして経験もある者たちに任せるべきだとは思わないかね。ましてや、メンタルモデルなどという怪物に中枢を握られている艦が信頼に値すると誰が真面目に考えるだろうか。」

 

進「信頼?信頼できないのはあなた方ではないでしょうか。大海戦の敗北から9年も経っているのに何もなし得ていない上に、高度な訓練も経験も霧にはほとんど通用していないことも理解していない。そして、我々の仲間も同然であるシナノとイオナを怪物などと称するあなたを、俺は信用できない。」

 

北「その人形がそんなにいいかね。引き渡しくれれば、学院に無条件で復帰できると言ってもか。」

 

進「まさかそんな物で釣り上げる気だったなんて言わないでしょうね。」

 

北「そうか…」

 

チン

 

北がグラスを鳴らすと、それに呼応するように陸軍の兵士がなだれ込み、全員に銃口を向ける。

 

北「ならば強硬手段に出るしかあるまい。できれば、この方法は使いたくなかったのだがね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻

函館市街地のとある書店

 

その中にはタカオの姿があった。

 

タカオ「えーっと…これなんか良さそうね。」

 

タカオは手に取った本を買って、書店を出るとすぐにページをめくる。

中にはこう書かれていた。

 

『艦長は艦の全てを知っています。それは艦長が艦を思い通りに動かすためです。』

 

タカオ「ハアァァァ♡」

 

タカオ(思い通りに動かすため…この私を思い通りに…♡)

 

「ここにいましたか、タカオ。」

 

感銘に浸っているタカオの前に二人の少女がいた。

その少女たちは一方はピンクのチャイナドレス、もう一方は緑のポンチョを着ている。

しかし顔立ちと体格はイオナと瓜二つであった。

 

タカオ「へえ、思っていたより早かったわね。」

 

「ええ。」

 

「潜水艦隊の主任務は諜報活動だから。」

 

タカオ「諜報?新鮮な概念だわ。それで400と402、この私に何の用?」

 

イ400「あなたはナノマテリアルを補給して船体の修理を行った後、艦隊を離脱しました。その理由を伺いに来たのです。」

 

イ402「概念伝達のリンクを断ってしまったので、直接私たちが来るしかなかった。」

 

タカオ「私は欲しいの、艦長が。」

 

400「艦長…千早群像のことですか。」

 

タカオ「ええ。彼なら私を私以上に使いこなしてくれる。私はもっと強くなれる。兵器であれば、強くなりたいと思うのは当然でしょう。」

 

402「それは、何か考えがあってのこと?」

 

タカオはすぐさま視線を逸らす。

 

タカオ「…もっもちろんよ。」

 

400「その様子では無いようですね。」

 

タカオ「ああもう、うるさいわね!」

 

ザッパーン

 

海中からタカオの船体が現れる。

 

タカオ「私はもう霧には戻らない。あの人の元へ向かうわ。今はそれでいいでしょう?」

 

402「ええ。」

 

400「まあ、会えないでしょう。401の元へハルナとキリシマが向かっていますから、そのうち撃沈したと連絡があるはずです。」

 

タカオ「撃沈した?()()()の間違いじゃない?」

 

402「何を言っている?」

 

タカオ「どう考えても、ハルナとキリシマはあの()()には勝てない。その上、私を負かしたあの人もいる。」

 

400「二隻?一体どういう…?」

 

タカオ「まあ、そのうち分かるわ。ああ、あと私は横須賀には向かわない。401と接触したときにちらっとだけど面白いものが見えたの。そこであの人を待つわ。」

 

タカオは艦に飛び乗ると、そのまま去っていった。

 

 

402「あれはもう、私たちが知っていたタカオではない。」

 

400「霧が変わろうとしている。引き続き監視が必要ね。」

 

402「()()()を使って。」

 

 

 

 

 

 

同時刻

横須賀

 

ドオォォォ…!

 

壁の外から轟音が響いてくる。

 

兵士「なんだ?」「壁の方からか?」

 

進・群像「各自状況報告!」

 

僧「補給物資全て搬入完了してます。」

 

いおり「船体及び機関問題ナシ!」

 

杏平「火器管制及び武器システム異常ナシ!メンテもバッチリだぜ!」

 

みほ「シナノの方も補給完了しています。」

 

大介「航海管制システムオールグリーン。」

 

康雄「火器管制、武器システム、どちらも万全の状態です!」

 

太一「機関、いつでも全開運転できます!」

 

イオナ・シナノ「ドッグコントロールシステム、ハッキング開始。」

 

 

数分後、シナノとイ401が海中から現れる。

全員が席を立って艦に乗り込もうとする。

 

兵士「動くな!」「止まれ!」

 

ダダダ!

 

その瞬間兵士全員の足元に機銃が撃たれ、レーザーポインターが胸や頭に放たれる。

 

シナノ「次動いたらどうなるか分かるよね。」

 

そして、全員が乗り込むと二隻の艦橋の中で出航の声が響く。

 

群像「イ401発進!」

 

進「シナノ発進!」

 

横須賀港内でシナノと401の機関音が響き渡った。

 

 




後書き忘れてた。
気づいたらUAが1000超えてた。
それと忠邦さん初評価&初感想ありがとうございます!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第7話 超重力砲一閃 〜VSハルナ・キリシマ〜

イオナ役の渕上舞さん、ムサシ役の釘宮理恵さんお誕生日おめでとうございます!
そういえば、みほとイオナの声優はどちらも渕上様だった…w
それでは、第7話です。どうぞお楽しみください!
(楽しめなかったらごめんなさい…)


ボゴオォォ…

 

集中砲火によって防護壁が崩れる。

そこから2隻の大型戦艦が強引に入港してくる。

一方は黄色の船体で、巨大なコートを羽織った少女がいる。

もう一方は緑色の船体で、ラフな格好の女性がいるけど

 

大戦艦ハルナ、キリシマである。

 

キリシマ「9年ぶりだな。」

 

ハルナ「来たよ。」

 

ドドドドンッ

 

2隻は壁の中の街に向けて、メチャクチャに砲撃を加えていた。

 

兵士「イヤだ!」「死にたくない!」

 

ハルナ「シニ…タ…クナイ…『死にたくない』自らの死を拒む言葉。タグ添付、分類、記録。」

 

キリシマ「また言葉集めか?」

 

ハルナ「ああ。言葉は資源、美しいものだ。」

 

キリシマ「そうか?私からしてみれば、とにかく非効率的としか思えない。概念伝達を用いればこの程度のやり取りはほとんどタイムラグ無しに行えるというのに…」

 

ハルナ「ところで、401はまだ出てこないらしいな。」

 

キリシマ「もう少し撃ってみるか。」

 

キュイーン…ドドドドッ‼︎ドドドドッ‼︎

 

兵士「うわぁ!」「堪忍してつかぁさい!」

 

ハルナ「『堪忍してつかぁさい』戦意を失った者が衝動的に発する言葉、屈服の言葉。タグ添付、分類、記録。」

 

ドンドンドン

 

バシュンバシュン

 

キリシマ「む?」

 

キリシマが前に目をやると5隻の護衛艦がこちらに向けて砲撃をしてきている。

 

キリシマ「どうして人間はこんな無駄なことをするのだろうか…」

 

ハルナ「さあ…」

 

キリシマ「まあいい、沈め。」

 

ドドドドド!

 

キリシマの艦橋基部から爆雷のようなものが発射され、それはちょうど護衛艦の真上で静止する。

 

キュイィィィ…

 

そして強い光を放ち、今にもそれらを沈めようとしたときだった。

 

シュルルルルル…ドドドドドォ

 

どこからともなくミサイルが飛んできて、爆雷を見事に撃ち落とす。

 

ドッシュウドッシュウゥゥゥ…

 

その直後、キリシマとハルナの艦首に侵食魚雷が着弾する。

 

キリシマ「やっと来たか。」

 

 

 

沙織「敵の攻撃の迎撃を確認!」

 

大介「とっさだったのにピンポイントで当てるとは、流石は大砲屋だな。」

 

太一「それ以外はダメダメだけどな。」

 

康雄「お前には言われたくない。」

 

進「それで、外洋に引きずり出すのか?」

 

群像「いや、今なら地の利はこちらにある。ここで最低一隻は沈めるぞ。」

 

進「分かった。こっちはいつ姿を現せば良い?」

 

群像「追い追い連絡する。ギリギリまでシナノは隠しておきたいから、それまで高みの見物でもしておいてくれ。」

 

進「…そうか。」

 

401は一気に深度を下げ、旧横須賀市街地に向かった。

 

キリシマ「逃げる気は無いらしいな。」

 

ハルナ「キリシマ、少し時間をくれ。401と話しがしたい。」

 

概念伝達空間にハルナ、キリシマ、そしてイオナの姿があった。

 

ハルナ「401、一つ聞きたいことがある。」

 

イオナ「何?」

 

ハルナ「お前はどうして人間側につく?何がお前をそうさせる?」

 

キリシマ「タカオも、人間のクルーを求めて霧を出奔した。」

 

ハルナ「お前はまだ、人間には何かあると思っているのか?」

 

イオナ「分からない。でも、今の私には千早群像という艦長が必要。だから…」

 

ハルナ「そうか。」

 

 

 

群像「イオナ、大丈夫か?」

 

イオナ「うん。」

 

群像「よし、今から作戦を説明する。旧横須賀市街地と壁にある給排水設備のおかげで、この一帯には複雑な潮流が発生している。それに乗って、敵の背後に回り込み攻撃を仕掛ける。杏平、今のうちにキャニスターをばら撒くんだ。」

 

杏平「ほーい。」

 

 

 

静「敵艦、ポイントに到達。」

 

イオナ「魚雷発射。」

 

ドシュドシュドシュ!

 

それに気づくや否や、キリシマは直ちに魚雷群を迎撃する。

 

ハルナ「発射地点が分散している。半自立型の魚雷発射管といったところか。」

 

キリシマ「何のつもりなんだか…」

 

ドシュドシュドシュドシュドシュ…

 

キリシマはVLSからミサイルを撃ち出し、キャニスターを全て破壊する。

 

キリシマ「人間を乗せて得たものがこんなオモチャか?」

 

ハルナ「だが効果はある。現に我々は401を見失った。人間を乗せた401の行動パターンを予測するのは難しい。タカオもヒュウガもそれに敗れた。」

 

キリシマ「私たちも負けるとでも?」

 

ハルナ「そうは言わない。しかし、仮にそうなったら私たちは後悔するかもしれない。」

 

キリシマ「後悔?」

 

ハルナ「自らの選択が間違っていたと、後になって悔やむことらしい。」

 

キリシマ「馬鹿馬鹿しい。一度決めたことを後になって否定して何の意味がある?」

 

ハルナ「分からない。しかし、人間は度々そうする。」

 

ヒュッドッシュゥゥ…

 

その会話に割って入るかのように侵食魚雷がキリシマに直撃する。

しかし、キリシマのクラインフィールドに弾かれる。

 

ハルナ「正面に艦影。サイズから見るに、デコイではないな。」

 

キリシマ「逃げ隠れするのはやめたということか。」

 

キリシマのあらゆる武装がその艦影に向けて照準を合わせる。

 

キリシマ「沈め。」

 

ヒュッドッシュゥゥゥ…

 

そう言った瞬間真後ろから侵食魚雷が突っ込んで来た。

 

キリシマ「どうして⁉︎」

 

2人が前方の艦影をよく見ると、それは401ではなかった。

 

ハルナ「戦艦三笠。大日本帝国海軍の六六艦隊計画により1902年進水。活性化したナノマテリアルをそのまま散布することで、私たちの目を欺いた。」

 

キリシマ「ハルナ…私たちが、遊ばれているよ。いいぞ401、こんな気持ちは初めてだ!」

 

ハルナ「キリシマ?」

 

キリシマ「そうだ、私たちは兵器。目の前の敵を叩き潰すことが存在理由。私はこの手で奴を沈めたい!絶対にだ‼︎」

 

ハルナ(キリシマの感情変動値が異常変動を起こしている?)

 

キリシマ「撃ち尽くしてやる!」

 

その頃の401艦内では

 

杏平「あ〜クソッ!」

 

僧「今の攻撃でこちらの位置もバレてしまいましたし、どうしますか艦長?」

 

群像「…最大船速!」

 

イオナ「最大船速。」

 

杏平「突っ込む気か⁉︎正気の沙汰じゃねえ‼︎」

 

401に向けてビーム砲、ミサイル、魚雷が雨あられと降り注ぐ。

 

そこから少し離れた所にシナノがいた。

 

太一「うわぁ…」

 

大介「エゲツないな。」

 

康雄「あの渦中にいたらと思うとゾッとしますね。」

 

いつしか401の反応は消え、それと同時に攻撃も収まっていった。

 

進「おーい、大丈夫か?」

 

群像「まあ、なんとかと言ったところだな。」

 

進「そろそろ出番だろ?指くわえて見ているのもいい加減飽きた。」

 

群像「ああ、頼む。やれることはやり尽くしたからな。」

 

進「了解!大介、401の真上まで移動だ!」

 

大介「ヨーソロー。」

 

 

 

 

キリシマ「あの程度で沈むわけがない。おそらく、瓦礫の中に埋もれているはずだ。」

 

ハルナ「どうしてそう思う?」

 

キリシマ「これではあまりに呆気ないし、何よりこれでは私がつまらない。」

 

キィィィィ

 

キリシマは機関の出力を上げていく。

 

キリシマ「教えてやるよ401、人間を乗せたお前と私たちのどちらが強いか…!」

 

ハルナ「仕方ない。付き合おう、キリシマ。」

 

キィィィィ…

 

ハルナも機関の出力を上げていく。

そして2隻は光のドームに包まれていく。

 

 

 

 

沙織「ハルナとキリシマの重力子反応増大!っていうかコレ…合体してる…⁉︎」

 

大介「マジかよ‼︎これかなりヤバいんじゃ…」

 

進「いや、逆だ。むしろあの2隻には礼を言わないとな。何せ一隻ずつ沈める手間が省けたんだから…!シナノ、4段トランジット超重力砲スタンバイ!ロックビームが来ると同時にステルス解除だ!」

 

みほ「両方とも沈める気ですか⁉︎」

 

 

 

 

ザッパアァァァン‼︎

 

ハルナとキリシマのロックビームが横須賀の海を真っ二つに引き裂き、裂け目から一隻の艦が浮かび上がってくる。

その時、2人は自身の目を疑った。

先程まで戦っていたのは、自身の10分の1程度の排水量しかない潜水艦だったのに対し、目の前にいるのは自身の2倍近くの排水量を持った超巨大艦なのだから。

むしろ、これで平然といられる方がどうかしている。

2人は何が起きたのか全く理解が回っていなかった。

しかし、船体を展開したシナノの艦首には巨大レンズを4つ繋げたようなものがあり、そこにエネルギーが集中している。

それを見て、シナノは自分たちを沈めようとしていることだけは分かった。

 

キリシマ「させん!」

 

キリシマのVLSから100を超えるミサイルが吐き出される。

 

進「対空防御!」

 

ズバババババ…ドドドドドォ

 

しかし、1秒足らずで撃ち落とされる。

当たり前だろう。シナノにはファランクス並みの発射レートを誇る対空機銃が計151艇あるのだから。

そして、これには撃ち落とした本人たちも目を丸くする。

 

康雄「あれ…もう全て落ちた?」

 

大介「全部落とすのに1秒かかってなかったような気が…」

 

そして遂にその時がくる。

 

シナノ「エネルギー充填臨界点!」

 

進「トランジット超重力砲、発射ァ‼︎」

 

キリシマ「合体超重力砲発射!」

 

バッチィィィ‼︎

 

青白い閃光と黄緑の閃光が中間地点でぶつかり合う。

しかし、黄緑の閃光はあっという間に勢いが無くなり、青白い閃光がハルナとキリシマの方へ突っ込んでいき、衝突する。

 

その刹那、

 

キリシマ(私はまだ、死にたくない!)

 

ハルナ(そうか、これが…後悔…)

 

ドッゴォォォォォ…!

 

二隻は眩ゆい光を放つ。

光が消えたとき、そこにハルナとキリシマの姿はなかった。




アルペジオリバースに早くも飽きだしている自分がいる…(汗)
あと久々に霧くまs見たけど、いかん大爆笑して父さんに怒られてしまったw
誰でもいいので、お気に入り登録や感想お願いします!(後々のモチベーションに関わってくるので…)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第8話 休みのひと時

ガルパン最終章第2話公開されましたね!
初日の今日見に行きたかったんですけど、忙しくて忙しくて、しばらく見に行けそうにないです(涙)
あと、今年の1〜3月に放送された荒野のコトブキ飛行隊(ちなみに、監督は水島努さんです!)に山村響さんが出ているのですが、ザラのキャラも声もハルナとあまりに異なり過ぎて毎回見るとき「これがハルナ演じた人とは思えない…」と思っていました。放送終わった後でも、ゲームに外伝アニメにウェブ番組と飽きないので、結構オススメです!
雑談はこのくらいにして、今回はお休み回とでも言った感じの内容です。楽しんで頂ければ幸いです!


太平洋上のとある島沖

 

 

そこには一隻の赤い巡洋艦が島に向けて航行していた。

 

タカオ「見えてきたわね。あれが艦長の本拠地…どう驚かそうかしら。ウフフフフフ…♡」

 

そんなことを呟いていると

 

チカッ

 

タカオ「ン…?」

 

バチィ‼︎

 

タカオ「キャッ!」

 

島の方から大量のミサイルやビーム砲が飛んでくる。

 

タカオ「この攻撃パターン…まさか…!」

 

その直後、タカオの意識は飛んでいってしまった。

 

 

 

同時刻

横須賀地下ドック

 

戦いを終えた401とシナノが収容されていた。

 

群像「イオナ、船体の状況は?」

 

イオナ「装備の40%を喪失。修復しようにも、ナノマテリアルが大幅に不足しているから、応急処置が限界。」

 

群像「厳しいな…」

 

大介「あんな無茶なことしなけれこうはならなかったと思うけど?」

 

進「まあたしかにそうだが、アイツらしいとは思うかな。」

 

その会話に割って入るように沙織が口から報告が来る。

 

沙織「進、コントロールより入電。『これより振動弾頭の検査、及び積み込みに入る。作業終了予定時刻は20:00。』だって。」

 

モニターには振動弾頭が入っているであろうコンテナが401の通常ドックに搬入されているのが映し出されている。

そして、その横には見覚えのある少女がいた。

 

進「なあシナノ。あの子、覚えているか?」

 

シナノ「うん。どうしてここに…?」

 

そんなことを2人が考えている中、

 

大介「なあ、ということはその間俺たちは暇だよな?」

 

みほ「あ…」

 

沙織「お、いいねぇ!」

 

太一「どうせ暇なんだ、いいよな艦長サマ。」

 

進「全く…よし、各自夕方まで自由行動で!」

 

一同「やったー!」

 

その言葉を聞くや否や、全員艦橋を飛び出していった。

それを尻目に進は天を仰いだ。

 

進「まったく。それで、シナノはどうするんだ?」

 

シナノ「え、私は…」

 

進「『行きたい!』って顔に書いてある。」

 

シナノ「…いいの?」

 

進「そう言ってるじゃないか。」

 

シナノ「やった!それじゃあ、ちょっと付き合ってくれない?」

 

進「ああ。」

 

シナノと進はドックを離れ、横須賀市街地へ向かった。

その途中、ひと気のない場所でシナノがボコのぬいぐるみを取り出した。

 

進「どうした?」

 

シナノ「横須賀周辺をスキャンしたら、ハルナとキリシマを見つけた。ハルナはメンタルモデルだけで、キリシマはコアだけになっているみたい。ちょっと心配だから、ボコに様子を見に行かせていい?」

 

進「…分かった。それで、ハルナとキリシマは今どこに?」

 

シナノ「あの少女の住んでいる屋敷にいるみたい。」

 

シナノはボコにナノマテリアルを少し注ぐと、ボコはそのまま走り出して二人の元へと向かった。

それを見届けると、二人は市街地に向かってまた歩き出した。

進は市街地に出ると感嘆とした。

何故なら、霧が現れる前ほどではないが彼が想っていたほど閑散としていなく、賑わいがあったからだ。

 

進「意外だな。てっきり、ほとんど人なんていないと思っていたのに…」

 

シナノ「気付いてなかったの?」

 

進「士官候補生になって以来、ここには来てなかったからな。その前は人なんてほとんどいなかった。よく考えたら、壁が完成して避難していた人々が戻ってきてるから当然か。」

 

シナノ「へえ。そんなことより早く行こ!」

 

進はシナノに連れられるがままに彼女の後を追う。

着いたのは、幼かった頃は見慣れた老舗の玩具店だった。

 

進「…懐かしいな、この店。」

 

シナノ「来たことあるの?」

 

進「小さかった頃に何度もな。誕生日プレゼントとかを父さんや兄さんと一緒に買いに来たっけ…」

 

進が昔のことを考えている中、二人の少女が店から出てくる。

会話を聞く限り、誕生日プレゼントを買った後らしい。

 

進「楽しそうにしてるな。姉妹かな?」

 

シナノ「姉妹…」

 

進がシナノの方を見ると、一瞬だけだったが表情に曇りがあるように見えた。

 

進「どうした?」

 

シナノ「どうしたって、何が?」

 

進「いや、何でもない。」

 

シナノ「そう…ほら、早く入ろ!」

 

進(気のせいか?いや、でも今確かに…)

 

シナノは店の中に入ると真っ先にぬいぐるみコーナーに向かい、その内の一つを手に取る。

 

進「…やっぱり目当てはソレか…」

 

シナノの手の中にはボコのぬいぐるみが収まっていた。

 

シナノ「べつにいいじゃない。あ、みほ!」

 

みほ「シナノ、それに進さんまで!」

 

ボコが置かれているコーナーの一角にはみほの姿があった。

 

進「なんだ、みほも来てたのか。」

 

シナノ「ねえみほ、このボコなんだけどさ…」

 

進(また始まった。しばらくは終わりそうにないな…)

 

進はプラモデルのコーナーに向かう。

そこにはいくつものプラモデルの箱が積み重ねられている。

 

進「あった。あとは塗料だな。」

 

隣に置いてあったいくつかの塗料を取ると、レジで会計を済ませる。

その後、またぬいぐるみコーナーへと向かった。

みほとシナノはまだボコの話が止まらないようだった。

 

進「お二人さん、何を買うか決めたか?」

 

シナノ「あ、うん。」

 

みほ「今行きます。」

 

2人は限定販売のボコを買った。

その後3人で横須賀をぶらりと散歩しようという話になり、その後、ドックに戻った。

 

シナノ艦橋

 

シナノ「そういえば、進は何を買ったの?」

 

進「これをな。」

 

シナノ「ああなるほど。でもこれ、塗料いらないよね?」

 

進「一つ考えがあってな。そうだ、ハルナとキリシマは大丈夫なのか?」

 

シナノはデータ環を展開して、画面を映す。

中には昨日出会った少女がいた。

どうやら、ハルナの着替えをしているらしい。

 

少女『うーん、これかなあ?それともこっちかなあ?いや、こっちも捨てがたい…』

 

ハルナ『もう、堪忍してつかぁさい…』

 

ハルナはバカでかいコート取ろうとするも、そうはさせまいと少女に足を取られる。

 

少女『ま〜だ!これからが本番なんだからね!』

 

進「え…⁉︎これが…ハルナなのか?」

 

シナノ「クスクス、そうみたい。」

 

進「完全にオモチャにされてる気が…」

 

しばらくすると、部屋の扉からメイドが現れる。

 

メイド『蒔絵お嬢様、検査のお時間です。』

 

蒔絵『はーい。ハルハル、好きなだけ服選んでていいからね!』

 

そう言って彼女は部屋を後にした。

ハルナは蒔絵が部屋を出た後、すぐにコートを着る。

 

ハルナ『シャキーン!』

 

キリシマ『プークスクス…ハルハル〜、気に入られたなハルハル〜、フフフフフ…そんなことよりもハルナ、私にナノマテリアルを少し分けてくれ。さすがに身動きが取れないのはな…』

 

ハルナ『承知した。』

 

シナノ「ハルナはあのコートがないと萎れた植物みたいにヘナヘナになるみたいだね。」

 

進「萎れた植物って…でも、あんな一面があるなんて想像もつかなかったな。」

 

再び画面に目をやると、熊のぬいぐるみが動き出した。

 

進「あの女の子が持ってたぬいぐるみ、そういえばあの店にも売ってあったけど、なんで動いているんだ?」

 

シナノ「反応を見る限り、キリシマみたい。中にコアを入れてメンタルモデル代わりにしてるみたい。ていうか、あれじゃあキリシマならぬ“キリクマ”だね!」

 

進「ぷっ、キリクマって…ちょっと笑えるな。」

 

そんなことをしていると、続々とクルーが中に入ってきた。

 

進「お、皆戻ってきたか。」

 

大介「久々に楽しかった。ありがとな、艦長。」

 

進「まあな。沙織、401と通信をつないでくれ。」

 

沙織「オッケー。」

 

シナノのメインモニターに401の艦橋が映し出される。

 

進「群像、まさかこのままアメリカに行く訳じゃないよな?401は超重力砲が使えない、装備の4割を喪失、その上侵食弾頭の残弾ゼロときた。こんな状態で行くなら、ナノマテリアルに戻してシナノの中に詰め込んだ方がマシだ。」

 

群像「分かっている。まず向かうのは、アメリカじゃない。俺たちの本拠地、『硫黄島』だ。」




コトブキなんですけど、最近エリアガチャで☆3キャラがよく手に入る&ピックアップダイヤガチャをチケットで回したら1発でピックアップされたモアちゃんが当たるという幸運続き。不運が起きそうで怖い…


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第9話 新たなる敵

投稿遅れてすいません‼︎
それと、これ以降も遅くなります!本当に申し訳ないです!
それと、もう一カ月以上も前ですが、竹達彩奈さん結婚おめでとうございます!6月23日のお誕生日と同時に発表とは…
ちなみに僕の誕生日も6月23日です!(どうでもいいですよね〜w)
さて、久々の本編楽しんでください!


深夜

概念伝達空間

 

東屋の中には、ティーセットの置かれたテーブルの前にはハルナとコンゴウ、そしてピンクの熊のぬいぐるみ……を着たキリシマがいた。

 

コンゴウ「キリシマ、普通のメンタルモデルよりそのぬいぐるみの方がいいのか?」

 

キリシマ「い…いいい一時的なものだ!それよりもすまなかった…まさか、我々が負けるとは…」

 

コンゴウ「お前たちの戦いはモニタリングしていた。シナノが出てくることは想定の遥か外だったんだ。無理もない。コアのみとはいえ、脱出できただけでも御の字だろう。」

 

肩を落とすキリシマを尻目にコンゴウは紅茶を一口飲む。

 

コンゴウ「お前たちは相模湾に向かい、潜航待機しているマヤと合流するんだ。」

 

キリシマ「コンゴウ、待ってくれ。現在我々は、刑部蒔絵という少女に救助され、振動弾頭の開発者である刑部藤十郎の館にいる。」

 

コンゴウ「ああ、例の人類の開発している兵器か。」

 

キリシマ「本人は既に死亡しているが、何かしらの手掛かりがあるかもしれない。汚名の返上ということになってしまうが…」

 

コンゴウ「いいだろう、マヤは引き続き待機させる。」

 

キリシマ「ありがとう。では、早速行動に移る。」

 

キリシマはテーブルから飛び降りると、東屋から出て行った。

それに続き、ハルナもキリシマの後を追って東屋を出た。

 

コンゴウはそれを見送ると再び正面を向いた。

ハルナが先程まで座っていた椅子には別の女性が座っていた。

 

「面白いことになってるわね。それで、私に用があるって?」

 

コンゴウ「すまない、ナガト。お前にしか頼めないことだ。」

 

ナガト「構いませんわ。」

 

コンゴウはもう一つのティーカップに紅茶を注ぎ、ナガトに渡す。

それを受け取り一口飲むと、再びコンゴウに顔を向けた。

 

ナガト「それで、用件とは?」

 

コンゴウ「シナノが401に寝返ったのは知っているな?だから、ショウカクとズイカクを貸してほしい。」

 

ナガト「でも、それなら第2巡航艦隊を出せば問題ないと思うけれど?」

 

コンゴウ「いや、あくまで日本近海は第1巡航艦隊(我々)の管轄だ。海域強襲制圧艦が2隻もあればこと足りる。」

 

ナガト「そう、分かりました。2隻に連絡を入れておきます。」

 

コンゴウ「ああ、頼む。東洋方面統括旗艦殿…」

 

コンゴウの姿が空間から消えるとナガトはため息を一つついた。

 

ナガト「はあ、全く…」

 

カロン

 

東屋の下に鈴の音が一つ鳴った。

 

ナガト「話しは先程のとうりよ。イセ、あなたの意見を聞かせてくれるかしら?」

 

ナガトの前には大きな鈴をつけた女性がコンゴウのいた椅子に座っていた。

 

イセ「そうね、シナノが出てきたことは第1艦隊だけで処理できるレベルを超えているわ。それに、独り占めなんてズルいと思うし。」

 

ナガト「決まりね。シナノと401は第2巡航艦隊も投入して、全力を尽くして沈めますわよ!」

 

同時刻

刑部邸では、蒔絵の処分のために襲撃して来た陸軍と交戦しているハルナの姿があった。

 

戦いの最中、ハルナの中には感情が芽生えつつあった。

敵の兵を殺すのが手っ取り早い方法ではあるが、兵士を殺そうとしても蒔絵の『ダメだよ‼︎』という言葉が頭にチラついてしまい、結局手間取ってしまっていた。

また、陸軍の新型兵器『岩蟹』の出現、ダミーの蒔絵の人形もバレて本当の蒔絵も見つかり、状況は刻一刻と悪化していた。

そして、ハルナにとって最も起きて欲しくないことが起きた。

 

蒔絵「ハルハル‼︎」

 

ハルナ「ま、蒔絵⁉︎」

 

戦闘中のハルナのところに蒔絵が来てしまったのだ。

蒔絵を処分するよう指示を受けた兵士達は、もちろん照準をハルナから蒔絵の方に移す。

 

ハルナ(イヤだ!私は…蒔絵を死なせたくない‼︎)

 

ズガガガガガ

 

蒔絵に向けて無数の銃弾が撃ち放たれた。

しかし、蒔絵には1発たりとも直撃しなかった。

ハルナが全てクラインフィールドで防ぎきったのだ。

 

ハルナ「蒔絵、逃げろと言ったじゃないか。」

 

蒔絵「イヤだ‼︎ハルハルは友達だから!ハルハルはアレを作ったこと許してくれなくても…それでも友達!友達を見捨てるなんて、そんなのできない‼︎」

 

ハルナ「蒔絵…」

 

このやり取りのをしている間にも外から無数の銃弾や砲撃が加えられている。

 

ハルナ(クソ、残りのナノマテリアルも少ないしクラインフィールドも持ちそうにない。このままではジリ貧だ。)

 

キリシマ(私がこんな姿でなければ…こんな奴らあっという間に蹴散らしてやるのに…このままではお荷物じゃないか!)

 

ハルナ(守れないのか?私には…?誰でもいいから力を貸してくれ!誰か…助けてくれ‼︎)

 

ドゴン‼︎ドゴン‼︎ドゴオォォン‼︎

 

ハルナ・キリシマ「⁉︎」

急に鈍い爆発音が響いてきた。

勿論、砲弾を撃たれたわけではない。

辺りに目をやると岩蟹が次々と粉々に爆発四散していく。

 

ガラガラガラガラガラ…

 

直後、その間を走り抜ける黒い戦車が見えた。

 

兵士「な、なんだ⁉︎」「センチュリオン⁉︎」

 

ダダダダダダダダダ!

 

兵士「うわっ」「急に…体が…」

 

戦車は機銃を乱射して、次々と兵士なぎ倒していく。

同時に戦車から青いセーラー服を着た少女が飛び出し、同じように岩蟹を次々と破壊していく。

周りの岩蟹があらかた片付くと戦車のキューポラからロリータファッションの少女が出てきた。

 

ハルナ「401…シナノ…⁉︎」

 

シナノ「何をしているの、ハルナ?」

 

ハルナ「私は蒔絵を…友達を守っていたところだ。」

 

シナノ「そう、手伝うよ。」

 

蒔絵「ねえ、さっき何撃ってたの?」

 

シナノ「強めの麻酔弾。30分もすれば動けるようになる。」

 

戦車の無限軌道は岩蟹の方には向かっていき、残りの敵を蹴散らしていく。

 

 

 

オペレーター「ダメです、もう状況を維持出来ません!」

 

ドゴォ‼︎

 

潰れた岩蟹の上にはイオナが立っていた。

 

オペレーター「メ、メンタルモデル…‼︎退避だ!退避‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

数時間後

シナノ甲板

 

ハルナ「401、シナノ、どうして私達助けてくれたんだ?」

 

シナノ「助けてって声が聞こえたから。元々、危なそうだったしね。」

 

ハルナ「!…そうか…私が…」

 

キリシマ「フン!401、シナノ、今回ばかりは礼を言うが、私が万全の状態であればあんな奴ら…」

 

シナノ・イオナ「誰⁉︎」

 

キリシマ「キリシマだ‼︎」

 

シナノ「ああ、そうだった。蒔絵ちゃんにはオモチャされていた上に、動けること隠そうとした割にはすぐバレてたね。体が変わると演算能力が落ちるのかな?フフフ。」

 

キリシマ「んな⁉︎」

 

クスクスと笑いながらシナノは続けた。

 

シナノ「ハルナはコートがないとヘナヘナになっちゃうんだね、知らなかった。」

 

ハルナ「見ていたのか?」

 

シナノ「うん。」

 

ハルナ「全く。それでどこに向かうんだ?」

 

シナノ「硫黄島、本拠地だって。」

 

 

 

 

 

 

 

同時刻

青ヶ島沖

 

摩天楼の様な巨大艦橋が海上にそびえ立っていた。

大戦艦フソウだ。

それに続くように、重巡トネ、チクマ、さらに大量の駆逐艦がいる。

 

フソウ「かかってきなさい、シナノ、401!私がペシャンコにしてやるんだから!」

 

トネ「フソウ、うるさい。なんで私がこんなのと組まないといけないのよ⁉︎」

 

チクマ「まあまあ。でも、臨時で艦隊が編成されるなんて珍しいですね。」

 

トネ「ええ、対シナノ・401偵察臨時艦隊…こんなチビっこいのが旗艦なのはどうかと思うけど、不確定要素が多すぎるからでしょうね。特に、シナノは戦闘中に急に現れたとしか言いようがなかったそうだし。」

 

フソウ「誰がチビよ‼︎メンタルモデルはともかく、艦橋はあなた達よりずっと高いんだから‼︎」

 

トネ「ああ、違法建築ね。」

 

フソウ「誰が違法建築よ‼︎」

 

チクマ「喧嘩はよしてください!」

 

フソウ「まあいいわ。とっとと情報手に入れてぶっ倒すわよ!」

 

 




追伸
新キャラの設定は追い追い書いていきます


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 ~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。