たとえばこんな短編集 (捻れ骨子)
しおりを挟む

たとえばこんなぐだおさん

 

 

 

人理継続保障機関フィニス・カルデア。未だ存在していた魔術と科学の粋を結集し、人類の営みを永遠に存在させるため秘密裏に設立されたその機関にて、「2016年を最後に、人類は絶滅する」という研究結果が『証明』された。

 それを覆すべく行われた霊子転移(レイシフト)――擬似的な時間移動を用い、過去で歴史が狂うとされた異常時間域――特異点に介入し歴史を修正しようと言う試みが実行される。

 しかし初のレイシフトの直前、『爆発事故』が発生しシステムが致命的な損害を受けてしまう。これにより被験者(マスター)たちは一人を残して全滅。唯一残った予備のマスター、【藤丸 立香】は偶然発動したレイシフトに巻き込まれ、特異点である2004年の日本、冬木という都市に降り立つこととなった。

 そして……。

 

「先輩! 所長! ここは私が!」

 

 どがん! と身の丈を越える巨大な盾を地面に突き立てた軽装鎧姿の少女――【マシュ・キリエライト】は背後に向かって言う。

 先の事故にて瀕死の重傷を負った彼女であるが、なぜか立香とともにレイシフトに巻き込まれた際、爆発でマスターを失ったサーヴァントと融合し、【デミ・サーヴァント】となってしまった。

 わけも分からないまま意識を取り戻した立香と契約し、襲いくる骸骨とかなんやかんやを蹴散らしていくうちに、同様にレイシフトに巻き込まれたらしいカルデア所長【オルガマリー・アニムスフィア】と合流。生き残っていたカルデアの医師【ロマニ・アーキマン】と連絡を取ることに成功し、彼女らは現状を打開するため特異点発生の原因の探索を開始した……のだが。

 

「サーヴァント! ダメよマシュ、今の貴女じゃそいつには勝てない!」

 

 オルガマリーが悲鳴のような声を上げる。マシュの前に立ちはだかるのは暗き影を纏った存在。ゴーストライナーたるサーヴァントのさらに影。不完全な英霊、【シャドウサーヴァント】。不完全なれどもその基本能力は本物と同等。覚醒したばかりのマシュでは太刀打ちできないとオルガマリーは訴える。しかし現状で対抗できるのは自分しかいないとマシュは覚悟を決め――ぽん、と叩かれた肩に気をそがれる。

 

「女の子前に立たせてその影で震えてるってのは、どうにも性に合わないね」

「え?…… 先輩!?」

 

 それを成したのは立香。彼は煤けてぼろぼろになった様相ながらも、皮肉めいた笑みを浮かべてマシュの前に出る。

 

「止めなさい藤丸! あんたごときでどうにか出来るはずがないじゃない!」

「そうです先輩! 今までの骸骨兵とは訳が違うんですよ!?」

 

 オルガマリーとマシュが訴えるが、立香は意にも返さない。そう、これまで立香は彼女らと『同等にエネミーを蹴散らしてきた』が、さすがにサーヴァントは桁が違う敵だ。魔術のまの字も知らない人間が挑むのは、蟻が象に立ち向かうのと同意である。それが分かっているのかいないのか、立香は――

 

「まったく……あのじいさん、絶対こうなることが分かってて『これ』押しつけただろ」

 

 ぶつくさい言いながら、懐から何かを取り出す。

 それは両手の平を会わせたくらいの大きさの、何らかの機械。そのことが合図になったかのように、シャドウサーヴァントが襲いくる。

 疾風のような攻撃をかろうじてかわし、立香は背面に抜け出て、手に持った機械を己の下腹部に押し当てる。さすれば機械の両側から金属の帯が延びて、腰に巻き付く。

 それは『ベルト』であった。飄々としながらも威風堂々。そんな立香の姿を見て、オルガマリーは思わず問いただす。

 

「なんなのよ……あんたなんなのよ!」

 

 その問いに――

 

 

 

(ここで推奨BGM 「ARMOUR ZONE 」)

 

 

 

 

「運命の破壊者(デストロイヤー・オブ・フェイト)、らしいですよ」

 

 こう答え、ポケットから『何か』を取り出す。それは『呼符』と称されるカードに似ていた。その表面には立香の持つ『令呪』と呼ばれるものと同じ紋章が刻まれている。

 それをくるりと指先で翻し、立香はこう言葉を放った。

 

「変身」

 

 言い放ってカードをがしゃりと機械――バックルにはめ込む。

 

〈master rid! D,D,D,D,D,D・Fate!〉

 

 機械音声が放たれ、途端に彼を中心に熱風が巻き起こった。

 少年の姿が変わる。ベルトを中心に、何かが体を覆っていく。それはライダースーツと甲冑を組み合わせたかのような赤銅の全身装甲。頭部全体を覆うマスクの額には、立香の令呪を意匠化したようなエンブレムが輝く。

 

「D・Fate……【ディフェイト】ですって!? そんな、あれは……」

『【マスクド・マスターシステム】!? 馬鹿な、あの計画は凍結されたはずだ!』

 

 オルガマリーと状況をモニターしていたロマニが悲鳴のような声を上げる中、立香――ディフェイトは構えを取り、両眼をぶうんと光らせる。

 

「それじゃあ、いっちょやってみますか、ねっ!」

 

 言うが早いか、戦士はシャドウサーヴァントに向かって疾風のように駆けだした。

 対するシャドウサーヴァントも、ディフェイトを脅威と見たか真っ正面から迎え撃つ。瞬時に交錯。嵐のようなシャドウサーヴァントの攻撃を、ディフェイトは難なくかわし、捌き、時折反撃すらしてみせる。その様子を半ば唖然としてマシュは見守っていた。

 

「すごい……サーヴァントと互角に戦ってる。先輩は、一体……?」

 

 その問いに、ロマニが応える。

 

『あれは多分、マスクド・マスターシステム。予想されるレイシフト先の過酷な環境からマスターを護るための特殊礼装……のはずなんだけど、あんな戦闘能力は設定されていないぞ!? 何より企画段階で凍結されてるから現物は存在しないのに!』

 

 どうなっているのだと皆が混乱している間にも戦況は移り変わる。激しく鎬を削っていた二人だが、不意にサーヴァントが攻撃を止め、後ろに下がり距離を取る。その高まっていく魔力を見て取ったオルガマリーは警告の声を上げた。

 

「逃げなさい藤丸! 相手は【宝具】を使う気よ!」

 

 宝具。サーヴァントがもつ固有武器の能力を解放して放たれる、所謂必殺技である。ただ威力があるだけでなく魔術的な攻撃力、いや場合によっては概念すら覆す威力を持ったそれをまともに喰らえば、マスクド・マスターシステムといえど防げるものではない。

 しかしディフェイトは慌ても騒ぎもしなかった。

 

「なに、こっちにもあるさ!」

 

 そう言って彼は、左腰に備えていたカードフォルダーらしきものから新たに一枚カードを取り出し、バックルにはめ込む。

 

〈Phantasm rid! D,D,D,D,D,D・Fate!〉

 

 再び機械音声が響き、ディフェイトの全身から魔力が立ち上り――

 『その姿がかき消えた』。

 轟音、そして衝撃。焼け落ちた建物をなぎ倒し、吹っ飛んでいくシャドウサーヴァント。

 ディフェイトが行ったのは何のことはない、魔力を纏った跳び蹴りである。ただし『サーヴァントすらも反応できない速度の』。

 本来のサーヴァントであれば何らかの防御あるいは回避の手段などいくらでもあったであろうが、ほとんど思考が損失しているシャドウサーヴァントでは対応できない。そしてその耐久力も本物には及ばない。

 砂の像が溶け崩れるかのように消えていこうとするシャドウサーヴァント。それに向かってディフェイトは新たに取り出したカードを投げつける。

 小気味よく空を切って飛ぶカードは、消えゆく影に刺さる。そこから『なにか』を吸い取り、影が完全に消えると同時に再び空を切ってディフェイトの元に戻っていく。

 つかみ取ったカードには新たに何かの紋章が刻まれていた。それを見つつディフェイトはバックルを操作する。

 

「アサシン、ってやつか。……ま、初戦にしちゃ上々でしょ」

 

 その姿が、少年へと戻る。立香はカードをフォルダーにしまいながら、マシュたちを見てにっと笑みを浮かべた。

 

「と、こんな感じで片づきましたけど、いいすか?」

「『よかあないよ』わよ!!」

 

 オルガマリーとロマニが揃って声を張り上げる。額に青筋を浮かべたオルガマリーは、びしすと立香を指して言いつのった。

 

「一体全体どういう事なのか説明しなさい! 下らない誤魔化しや言い逃れは許さないわよ!」

「勿論ちゃんと説明しますって。長くなるから適当にはしょりますけど、そこは勘弁して下さいよ?」

 

 まーまーとオルガマリーを宥める立香。その姿を見ながら、マシュは心の中で疑問を浮かべる。

 

(先輩……あなたは……?)

 

 

 

 

 

 こうして、藤丸 立香ことディフェイトの、長きに渡る戦いが幕を開けた。

 その力をもって、彼は運命に従い破壊するのか。それとも運命を破壊するのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 たとえば仮面ライダーっぽかったりするぐだおさん。

 

 続くわけがない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 おまけ

 

 

「なにあれ。なにあれ。つーか俺の出番」

 

 ↑様子を伺ってて出番が奪われたキャスニキ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




始めての人は初めまして。知ってる人は毎度。捻れ骨子というけちな物書きでございます。

普段はガンダムの鉄血ものなんぞを書いているのですが、GWの最中になんか降りてきてこのようなものが出来上がりました。ぐだおさんが仮面ライダーっぽくなる、よくありそうな話です。
で、ものはディケイドっぽい名前だけど多分システムはブレイド寄り。敵サーヴァントの力を取り込んで強くなっていく系。きっとパワーアップしてくと色が変わっていくんだぜ。
なおBGMがARMOUR ZONE なのは、ぐだおさんに「……倒れたくないからだよ」をやらせたいがため。いや思いつきなんで続きませんけれど。

……鉄血ものも思いつきから始まったことには目を逸らしつつ、このあたりでお暇させて頂きます。でわでわ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

たとえばこんなぐだおさんバージョン2

年明けにいきなり俺は何をやっているんだろう……


 

 あ、ども。よく目が死んでいるとちまたで噂のぐだおです。

 実は自分よくある転生者的なアレでして、なんか神様っぽいアレから「世界の救済よろ~」とアレなノリでアレされて、現在人理救済を経て異聞帯に殴り込みをかけてる真っ最中なわけですよ。

 いやぼかあ何したら良いかよく分からなかったんですけどね? 何しろ自分の名前が藤丸 立花じゃないときてる。FGOだって気づいたのは献血の後で強引にスカウトという名の拉致されたときでしたよ。

 その上で。

 

「ねえ、もうなんか阿鼻叫喚の地獄絵図になれすぎて感覚麻痺してるんだけど」

 

 俺の隣でやはり死んだ目してる、オレンジに近い髪の色をした女の子。

 うん藤丸 立花『ちゃん』いるんだ。彼女の存在を確認したとき、「あ、俺死ぬわ」と思ってたんだけど、なぜか揃って生き残っちゃったりしたわけですわ。

 この時いわゆるオリ主的立場に自分がいると理解して、やることやらねば明日はないと開き直り人理の修復へと赴いた……まではよかったんだ。

  俺、『7騎しかサーヴァント召喚できなかった』んだよね。いや、それはいい。後は何回召喚を試みても麻婆とかしかでなかったけど食料問題がある程度解決したからよしとする。

 問題は。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おめえつええのか? オラわくわくすっぞ!」

 

 特徴的な髪型をした、武闘家っぽいバーサーカー。

 

 

 

 

 

「ちょっとOHANASHIしようか……」

 

 魔王じみたオーラを纏い、構えた杖(?)からごんぶとビームをブッパするアーチャー。

 

 

 

 

 

「今のはメラゾーマではない。メラだ」

 

 こっちはマジの魔王でございとばかりに呪文を連打するキャスター。

 

 

 

 

 

「ふむ、我が槍を振るうにはちと役者不足ではあるが……来たまえ。卿らの力を見せてみよ」

 

 肩に引っかけた軍用コートをはためかせ、やたらとオーラが半端ないランサー。

 

 

 

 

 

「…………」

 

 どこからともなくやってきて、勝手に敵戦力を溶かしていくロボ忍者もといアサシン。

 

 

 

 

 

「人は私を星壊し(スターブラスト)セイバーと呼ぶ!」

 

 確かにセイバーだけど確実に何か違うセイバー。

 

 

 

 

 

「おのれクリプター!ゆ”る”さ”ん”!」

 

 もうアンタだけで良いんじゃないかなライダー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……そうクロスオーバーだよ! なんか喚んじゃったら来ちゃったよ!

 はっきり言って戦力過剰というか少年野球にプロ選手をぶち込むような所業だった。大体蹴散らしながら一直線に進んでボス秒で消し炭だもん。そりゃ目が死ぬよ。俺たちは何のために存在しているのか、ってね。

 あのゲーティアが人理焼却式吹っ飛ばされて(かめはめ波で)呆然としてたもんなあ。その後ライダーにリボルケイン喰らってしめやかに爆散したけど。うんマジすまんかった。敵だけど同情した。

 で、なんとか人理元通りにしたら今度は漂白だよ! でもって喚んでもないのに来たよあの人ら! 主にそのとき不思議なこと起こして!

 おかげさまでドクターもダ・ヴィンチちゃん(大)も無事だよ? けどこう、無力感とか虚無感とか半端ない。立花ちゃんのレムレムレイシフトとか鯖限定状態とかぐだぐだとか、軽く無視して介入するからなぁあの人ら。主にそのとき不思議なこと起こして。キアラさんとかBBちゃんとかマジ泣きしてたぞ。

 一応マシュとか立花ちゃんの喚んだサーヴァントとかもいるけどさあ、大体地元の人が道案内するくらいで、ほとんどがカルディアでゴロゴロしてる状態だ。で、僕らと同じように目が死んでる。そりゃ自分らが全身全霊で放つレベルの宝具クラスの攻撃をチャージなしで軽く連打されたらふて寝したくもなるわ。ノッブとか一部の人らは面白がってるけど。

 ……っと、なんだかんだやってるうちにそろそろクライマックスか。

 

「な、イヴァン雷帝が、一撃で……」

 

 セイバーにずんばらりんされた巨体が雪原に沈む。色々と同情するべきところはあるけれど、むしろ同情しかないけど。悪いがこっちも止まっている場合じゃない。

 

「と言うわけでカドックさんよ。大人しく降伏してくんない? でないとリボルケインが比喩抜きで火を噴くことになるけど」

 

 俺らと敵対している勢力、【クリプター】の一人【カドック・ゼムルプス】が、自身のサーヴァントと共に睨み付けてくる。

 

「くっ、これが人理を救済したマスターの実力か……」

「いや俺何もしてないから。ホントあの人らが勝手にやったことだから」

 

 魔力供給すらしてないんだよこっちは。どういうわけかそろいもそろって単独行動EXだから。令呪すら使ったことねえよ効くかどうかも怪しいけどな。

 

「一応まあ、この異聞帯が存続出来るかも知れないプランがないでもない……んだけど、信用できないよね」

「……ここまで来ると信用しても良いというかしないと消し炭になりそうだが、あいにく僕にも意地がある。ここを通すわけにはいかない」

 

 背後の巨大な構造物――異聞帯を構成する要【空想樹】を護るように立つカドック。そしてその背後に控えたサーヴァントとともに、戦う意思を見せる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「行くぞエ●サ!」

「ええ!」

 

(BGM れっといっとごー)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「別の意味で来ちゃいけない人来てたあああああああ!!」

 

俺は全力でツッコんだ。ツッコミ入れるしかなかった。

 どうやら異聞帯攻略。まともにはいかなさそうだ。

 ……俺が思っとったんのとだいぶ違うんやけど。

 

 

 

 

 

 ※なおこのあと、さくっとカドックたちはボコられ、ロシア異聞帯は不思議なことが起こって何とかなりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 おまけ

 ぐだおさんのサーヴァント

 

 バーサーカー

 ドラゴンでボールなところの彼。少年期でやっと普通のサーヴァントくらいじゃなかろか。

 

 アーチャー

 白い魔王様。能力的に一番サーヴァント的だが、精神性がぐだーずなみのタフさ。

 

 キャスター

 大魔王様。2臨で青年モードあたりじゃなかろか。もちろん最終はアレ。

 

 ランサー

 黄金の獣殿。かなりヤバイ系の能力持ちだが、この後に比べればまだマシ。

 

 アサシン

 ご存じ経験値泥棒のランカスレイヤー。味方になったら能力下がるのやめろよマジで。

 

 セイバー

 ブラックホールに叩き込まれても這い上がって来ると評判の御仁。戦果絶大。被害は甚大。

 

 ライダー

 てつを。主にそのとき不思議なこと要員。この人いれば大体解決する。

 

 

 

 

 

 カドックのサーヴァント

 

 キャスター

 雪の女王。でずにーからの刺客。実際わりとしゃれにならんスペックだと思うが、さすがにぐだおさんとこにはかなわないと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 おまけの2

 さらに目が死んでるぐだおさんの場合。

 

 オリュンポス。カオス出現時。

 

「先生方~、よろしくお願いします~」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴様にも味合わせてやる! ゲッターの恐ろしさをな!」

「じいちゃんのカイザーは無敵だ!」

「俺を誰だと思っていやがる!」

「ククク……縮退砲の威力をご覧に入れましょう」

「これも次元連結システムのちょっとした応用だ」

(BGM JAMなヤツ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっ? あの、えっ?」(←戸惑うカオス)

「ちょっと立花ちゃん私の見せ場は!?」(←半泣きで立花に訴える武蔵ちゃん)

「もう何もかも諦めないとこの先やってけないよ?」(←悟りきった目の立花ちゃん)

「……私あれ相手にしなきゃいけないの?」(←すでに泣きそうなキリシュタリア)

「神霊とかナマ言ってすんませんでしたと土下座したら許してくれるかな……」(←心折れかけてるカイニス)

 

 

 

 

 

※もちろんこの後無茶苦茶蹂躙した。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




新年明けましておめでとうございます。捻れ骨子です。

ええうんなんか思いついちゃったんですよ。で即興で書き上げてみました。なんだコレ。
どうしてこうなったかは筆者にも分かりません。年末年始で浮かれたからでしょうか。

ぐだおさんところのサーヴァントの出展が全部分かった人には……特に何もありません。筆者が喜ぶだけです。まあてつをか子安いれば大体何とかなる編成です。え?ロボの方は数足りない? システム的にフレ鯖抜いて5騎までだから。(思いつかなかった)

それでは新年早々こんなんからスタートですが、今年もよろしくお願いします。 





PS
年明けにいきなり村正が2枚来たので、筆者今年の運勢使い果たしたものと思われ。幸先良すぎて怖いわ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

例えばこんな無惨様


 流行ってるうちに書かなきゃ。



 

 

 

 

 歴史の闇に潜み、人間を文字通り食い物にしてきた怪異がある。

 【鬼】。人を喰らい、己の血を触媒とした【血鬼術】なる技を振るう化け物。その頂点に立つのが【鬼舞辻  無惨】という、平安時代から生き残っている鬼だ。

 時は大正。著しい文化の発展を遂げる日本。その裏側で、無惨を中心とした鬼の一派は、密やかに、しかし確かな脅威として存在している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 無惨の配下。その中でも幹部格の精鋭が【十二鬼月】と呼ばれる者たちである。

 彼らは最側近たる【上弦】と、【下弦】に分けられ、それぞれ壱から陸までの順位が与えられている。そして今現在、下弦の鬼たちは強制的に集結させられていた。

 

「こ、ここは……俺たちはいつの間に……」

 

 己のいた場所からいきなり一カ所に集められ、戸惑う鬼たち。そこは日本家屋の様相を思わせながらも、複雑怪奇な構造をした建造物であった。【無限城】。無惨の拠点である。

 そのことに気づくより先に、べん、と琵琶の音が鳴り響いた。

 同時に現れる気配。はっと見上げれば、そう離れていない位置にある張り出しの上、妖艶な着物姿の女が自分たちを見下ろしている。

 何者、と誰何するより先に、その女が口を開く。

 

「跪いて、頭を垂れよ」

 

 叩き伏せられたかのような勢いで、即座に土下座する鬼たち。姿では分からなかった。気配でも分からなかった。だがその声、それに込められた威圧感。その人物は間違いなく――

 

(((((む、無惨様だ……っ!)))))

 

 己の主。鬼の頂点。なぜ姿形が変わっているのか分からないが、それが現れたことに戦慄と恐怖を隠せない。

 

「も、申し訳ございません! いつもとお姿も気配も違っていた物で……」

「ほう?」

 

 鬼の1人が言い訳じみた言葉を放つが、たった一言の重圧に押し黙る。

 

「この無限城の中で、お前たちに気配も感じさせずに現れるのが何者なのか。十二鬼月ともなればそれぐらいは即座に理解してもらいたい物だ」

 

 平伏する配下を見下ろし、女――無惨は言葉を紡ぐ。

 

「昨日、下弦の伍が鬼狩りに討たれた」

 

 その言葉に鬼たちはびくりと身を震わせる。自分たちと同格の鬼が討たれたという情報。それを知った無惨が何を言い出すのか。それがとてつもなく恐ろしい。

 

「この百年あまり、上弦は顔ぶれも変わらず鬼狩りたちを葬ってきた。……しかしお前たちは、何度入れ替わったかな?」

(そ、そんなこと、俺たちに言われても……)

 

 無惨の言葉を受け、しかし面と向かって言う勇気も無く、下弦の陸、末席に位置する鬼【釜鵺】は内心で思う。だが――

 

「そんなことを俺たちに言われても、か」

 

 心の中を言い当てられて、ぞわりと総毛立つ釜鵺。

 

(俺の考えを呼んだ!? ま、拙い……)

「何が拙いのだ? 私はお前たちの『親』ぞ。考えを読むことなど造作もない」

 

 そこで無惨は表情を変えた。

 

 ()()()()()

 

「危機感が足りぬなあ釜鵺。お前たちの同格が討たれると言うことは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()と言うことだ。知らぬ存ぜぬでは済まされぬ話ぞ」

 

 くつくつと嗤いながら笑えぬことを言う無惨。釜鵺は生きた心地もしない。

 震える五人。その心境など知ったことではないと言わんばかりに、無惨は「そういえば」と話を続ける。

 

「下弦の肆、【零余子】よ。お前は鬼狩りと遭遇したとき、いつも真っ先に逃げることを考えているな?」

 

 ひぃ、と小さく悲鳴が上がる。名指しされた者、少女の姿をした鬼零余子は、がばりと身を起こして弁明を試みる。

 

「そ、そんなことはございません! 私はあなた様のために……」

「言ったはずだ。私に嘘は通じぬ」

 

 いつの間にか、無惨が目の前に立っていた。恐怖のあまり言葉を失い、涙を流しながら呻くことしか出来なくなった零余子の顎を、無惨はつい、と人差し指でなぞる。

 

「そう怯えるな。思わずなぶり殺しにしたくなってしまうではないか」

 

 愛い奴よとくつくつ嗤う無惨の姿にはおぞましさと恐怖しか感じられない。蛇に睨まれた蛙よりも確かな危機感を零余子は感じ、意識を飛ばしかけている。そんな彼女に対して無惨は――

 

「私はお前を()()()()()のだよ。その臆病さ、その生き汚さ。ただ力に溺れ考えなしに人を食い散らかす輩よりは、よほどいい」

 

 意外な言葉を投げかけられ、零余子は呆けたように目を丸くする。その様子に再び嗤い、無惨は平伏する配下をぐるりと見回した。

 

「鬼狩りたちは力を増してきている。生き残るには創意工夫も必要となろう。零余子のように逃げの一手というのも一つ。己の特技が生かせる領域に引きずり込むのも一つ。ただ力を振るうのが能ではないぞ?」

 

 私は無駄な消耗を好かぬと、無惨は言う。それは配下に何らかの情を持っているからではなく、己の『道具』が減らされるのを嫌う。そのようなものなのだろう。下弦の鬼たちはそう感じている。

 

「さて、説教はこのくらいにしておこう。……お前たちを集めたのは他でもない。この鬼舞辻  無惨、お前たちに頼みがある」

 

 下弦の鬼たちは戦いた。無惨は下弦の鬼に直接命令を下すことは少ない。だが『頼み』という体で命令を下されるとき、それは大概()()()()をされるときだ。

 何を命じられるのか。戦々恐々としている鬼たちに向かって、無惨は言う。

 

「最近、鬼狩りの中に『日輪の耳飾り』をつけた者がいるという。そやつを私の元に連れてこい。……ただし五体満足でな。多少傷つけても構わんが、口のきけない状態や、まして鬼にすることなどは許さぬ」

 

 やはり無茶ぶりであった。生き延びるために創意工夫しろといった口で、鬼狩りの剣士を、しかも五体満足で連れてこいなどとは。困難にもほどがあると考える……それすら見透かされると分かっているが。

 その内心の不満ですらも、無惨には愉快に見えるらしい。

 

「罠を張って追い込む。人質を取る。鬼狩りどもを出し抜く手段はいくらでもあろう。自身が下弦の伍――【累】とは違うと思っているのであれば、それを証明してみせるが良い」

 

 死した下弦の一角を引き合いにして言う。そうはいっても腰が引けているのは目に見えている。だから無惨は()()()()()()()

 

「とは言っても何の報いもなければやる気も起こらんだろう。……そうだな。無事私の元に耳飾りの剣士を連れてきた者には、()()()()()()()()()()

 

 伏せたまま、鬼たちがざわめいた。基本無惨配下の鬼は、無惨に血を分けられることによって増え、そしてその血が多ければ多いほど強くなる。だが同時に無惨の血は猛毒であり、それに耐えて適合したものでなければ鬼にはなれないし強化も出来ない。と言うか適合しなければ死ぬ。例え十二鬼月であろうともそれは変わりなく、これは強くなる機会であるが命がけと言うことでもあった。

 しかし、無惨が一度血を与えた者に再び与えることはまれだ。より強い力を手に入れる機会であることは間違いない。

 鬼になった者は本能的に力を求める。これは賭けであるが、一度血を受け入れ適合し、十二鬼月まで至った自分たちであればあるいは……鬼たちの中に野心がむくむくと鎌首をもたげ始めた。

 

「ま、まことに、まことにございますか!?」

 

 恐る恐るといった感じで下弦の弐、【轆轤】が問う。多少のことでは命は取られぬと見たのだろう。それは正解であったようで、無惨は咎めるでもなく答える。

 

「私は嘘は言わん。この無惨の言葉が信じられんか?」

「そ、そのような事はございません! ですが二度も血を与えるなど、滅多に無かったことでございますので」

「それほど重要なこと、そう思え。そしてそれを任せるからには……分かっておろう?」

 

 語外に期待しているようなことを匂わせる。今度こそ鬼たちは色めきだった。

 それを見て取った無惨は、口元を三日月の形に歪める。

 

「やる気になったようで何よりだ。……では吉報を待つ。力と知恵を尽くすが良い」

 

 べん、べんと琵琶がかき鳴らされ、下弦の鬼たちの姿が次々と消える。

 無限城の中に残されたのはたたずむ無惨。そして、いつの間にやらその傍らには琵琶を構え座した女の姿がある。

 よろしいので、と琵琶の女が問うた。無惨はふふんと鼻を鳴らしながら言う。

 

「血のことか? 私は嘘は言わぬと言った。耳飾りの剣士を連れてきたらば、ちゃんと与えてやるとも」

 

 ただし、とその言葉は続いた。

 

「与えた血に耐えられるかどうかは奴ら次第だろうがな。……それ以前に、()()()()()()()()

 

 くつくつと再び笑い声がこぼれる。

 

「鬼狩りども……今は【鬼殺隊】と言ったか。人知れず闇に潜む存在でありながら、力を付けていることには違いない。一度その力を測らねばならぬと思っていたところだ」

 

 長きにわたって無惨一党と戦い続けている鬼狩り。時代を経て形を変え、今は鬼殺隊と名乗り活動を続けている。その戦力は幹部たる下弦の鬼を討つまでに研ぎ澄まされ、結果下弦の鬼たちが入れ替わる速度は徐々に速まってきている。

 そして、日輪の耳飾り――かつて己を死の寸前にまで追い込んだ剣士と同じ物を付けた存在が鬼殺隊に加わったと知り、無惨は彼らの脅威を今一度図る必要性を感じていた。

 己の血という餌に釣られた下弦の鬼たちは、試行錯誤しながら彼らに挑むだろう。それにどう対応するのか。あるいは状況が大きく変化するかも知れない。

 いやはや全くもって――

 

「実に()()()()()()()()()()()

 

 嗤う。無惨は嗤う。

 彼らは鬼殺隊を、己に死の恐怖を与えた者を祖とする組織を、()()()()()()()()()()()()

 下弦の鬼『程度』で押しつぶされるようであれば所詮それまで。だが乗り越えるようであれば。

 

 くつくつくつくつくつ。

 

 地獄の釜が茹で上がるような嗤い声が響く。不快で愉快。相反する思いを同時に抱きながら、無惨はおぞましい笑みを浮かべている。

 

「さあ鬼殺隊よ、お前たちは私をどう苛立たせて(楽しませて)くれる?」

 

 長き時を生きた鬼。闇に生きてきたその存在は、己の愉悦がためだけに動き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 おまけ

 

 

 うちの無惨様。

 

 何をとち狂ったかラスボスらしくなった無惨様。きれいになるのはあるけどラスボスらしさがますのは無いんじゃね? と言う思いつきでこうなった。

 原作に比べマイルドになったように見えるが、結局無茶ぶりする。下弦の鬼を道具としか見ていないのは一緒だが、道具と書いておもちゃと呼ぶ類い。そしておもちゃは十二分に遊び尽くす質。

 人間が大嫌いで大好き。もちろん好きはおもちゃに出来るという意味……なのかどうか。下手をすると「やはり人間は素晴らしい」とか言い出しかねない。

 慢心さが小物風味で無く、どちらかと言えば某英雄王風味。命の危機すら苛立ちながらも楽しむ系ではなかろうか。

 ある意味原作よりも弱く、そして原作よりも強い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 おまけの2

 

 

「あ、あの、それでなぜ女の姿なのでしょうか……?」(←恐る恐る聞く轆轤)

「ん? いやなに興が乗って女装してみたら、妙に似合っていたのでな。ちょっと見せびらかしに来た」(←フンスとドヤ顔の無惨様)

「は、はあ……」(←ものすごい反応に困る轆轤)

「なんだもう少し面白い反応をせぬか。欲情するとか嘔吐するとか」

(((((無茶言うなし)))))

 

 愉快だけど無茶ぶりはする無惨様。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 おまけの3

 

 

「お許しください、お許しください無惨様ぁ!」

「ふふふ……そう言いながら、お前のここはこうなっているではないか」

「ああっ、いけませぬ。そのようなことはいけませぬぅ!」

「お前は私の命に従っていれば良いのだ。……そうら、私の手で果てるが良い」

「無惨様ぁ! んあああああああ!」

 

 パワハラじゃなくてセクハラする無惨様。(なおバイ)

 色々と滾るな!  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 はい流行りの鬼滅でなんか思いつきました。 旬のうちが美味しいと海原雄山も言ってます多分。

 こんな無惨もアリじゃね、と個人的には思うのですがいかがだったでしょうか。こんなん相手だと鬼殺隊は大苦戦……と思いきや、なんかあっちも強化されているような予感が。でも続きはないと思います。おまけ? もっと一発ネタだよ。

 それでは今回はこの辺で。


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 ~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。