傭兵さんと戦術人形 (AZAZEL)
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始まり

どうも知ってる人はお久し振り、初めての方は初めましてのAZAZELです…バンドリ書いてる人です

何となくドルフロの鉄血勢とかの話が書きたいと思い立ってババっと書いた1万文字です、多分結構雑だと思いますがご了承下さい
あと所々ホモ臭いけどまぁ多少はね?

ではどうぞ


この世界は一回終わった……じゃあなんで生きてんだテメェってか?終わったと言ってもそりゃ比喩みたいなもんだよ

 

崩壊液ってとんでも物質のお陰様でELIDっつうリアルバイオハザード化が起きちゃってさ

(安全地帯を賭けて)何が始まると言うんです?第三次大戦だ(ガチ)

まあそれも10年前くらいに終結したんだけどね

 

そいで本題だが、大戦中に戦術人形とかいうのが生み出された

人間そっくりだが純度100%の完璧なロボット、それでいて人間よりも遥かに高性能ときたもんだ

 

有名な製造所はIOPと鉄血工造、俺は今まさに鉄血工造で警備をやってるところだ

まあ俺はしがいないただの傭兵なんだがな…名前は気にするな、どうせ忘れるさ

 

「おい、次お前の番だぞ」

 

「ああへいへい…じゃあコレな」

 

「げっ…」

 

「ん?まさかお前ババ持ちか?」

 

「は、はっ!何の事だかな!」

 

わっかりやすこの戦術人形、本当に高性能AI積んでるのか?

 

ああ、警備とは言ったが基本的にここって他の鉄血製人形達が見回ってるから暇なんよね

だからこうして鉄血製人形の中でも高性能なハイエンドモデルと言われる奴らと遊んでる

 

今は処刑人(エクスキューショナー)狩人(ハンター)、あと破壊者(デストロイヤー)とかいう物騒な名前のツインテ幼女と空き部屋で絶賛ババ抜き大会

 

「じゃあ次は私ね……ラスト」

 

「お、ハンターはリーチか」

 

「次私なんだから早く引かせなさいよ……あっがりー!」

 

「早いなおい」

 

デストロイヤーとか言う名前だけど、はしゃぐ姿は完全に年相応なんだよなぁ…和む

それに処刑人もハンターもえらい美人だ、目の保養になる

 

……が、忘れてはいけないのがコイツら全員戦術人形って事だ

何故か知らんが戦術人形達は皆揃ってひっくり返る様な美人さんしか存在しない……マジで何なん?

 

まあ別に俺は戦術人形だろうが人間だろうが関係無いけど、両方さして興味無いし

 

「私も上がりね」

 

「また俺と処刑人の一騎打ちかよ……」

 

「今度こそオレが勝つからな!」

 

「やれるもんならやってみなポンコツ」

 

「鉄血じゃそれは喧嘩を売る言葉だぞ、かかってこい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くっっそぉ〜〜!!また負けた!!」

 

「本当に高性能AI積んでるのかお前…表情がバレバレじゃねぇか」

 

「処刑人ってホントコロコロ表情変わるよねー」

 

「て言うかデストロイヤー、なんで俺の膝に座ってんだよ…サラッと居座るな」

 

「何でよ、別に減るもんじゃないし良いじゃないの」

 

「ええ....(困惑)」

 

随分と懐かれたもんだな本当

 

此処の警備に当てられてから1ヶ月ちょっと経ったが……いやよくよく考えてみると最初からフレンドリーだったなコイツら、未だに夢想家は慣れないがな

 

「あら、またこんな所に居ますのね」

 

「おん?スケアクロウか、まあ暇なんでね」

 

「警備をする人間がそんな事を言っていていいの?代理人に怒られても知りませんわよ」

 

「大丈夫だって安心しろよ、代理人ああ見えて結構優しいんだぞ」

 

「全く、代理人は代理人で甘いですわね」

 

今話してるのは案山子(スケアクロウ)と言うハイエンドモデル

自分じゃ劣化種とか言っているが、俺からしてみれば複数のビットを操るだけ大したもんだと思うけどな

 

人形基準じゃ何か違うのかもしれんが生憎俺は人形じゃないんでな

 

「それじゃあ程々にして仕事をしなさいよ」

 

「了解………で、何でお前ら隠れたんだよ」

 

「オレ達が見つかったらお前よりお小言貰うからな」

 

「成程……まさかサボりか?」

 

そう言うと三人は明後日の方向に顔を逸らした…貴様らいつも暇だと言って俺の所に来ていたよな?ん?

 

詰まり確信犯だって事か?

 

「職務怠慢とはこれは代理人に報告だな」

 

「ちょっと待て!それを言ったら私だけじゃなくお前だってそうだろう!?」

 

「いや俺はガチで暇だし、俺の仕事お前らがやっちゃってるから…俺はいざと言う時の要員らしいし」

 

「くっ…!代理人には、代理人だけには…!!」

 

「お前らにとって代理人って何なの?」

 

「ん〜…お母さん?」

 

「まあデストロイヤーはそれで良いかもな」

 

見た目的にも、姉辺りに夢想家がいそうだな…でもアイツ本当に食えない奴だからなぁ

 

だから苦手なんだけどね

 

「私がなんでしょうか?」

 

「げっ!!……だ、代理人」

 

「貴女達、堂々とサボって遊び呆けるとは……いい度胸ですね?」

 

「ま、待t」

 

「問答無用です」

 

三人共仲良く部屋の外へ連れてかれた、処刑人が助けを求めて来たが俺は無関係だ(白状)

 

だってハイエンドモデルに勝てるわけないだろお前

 

「南無三、許せ処刑人…俺じゃ代理人には勝てんよ」

 

「まあ人間と私達じゃ圧倒的にスペックが違うわよ」

 

「………いつの間に居たんだ夢想家」

 

「さっきからよ…全く気が付いてなかったみたいね、悲しいわ」

 

「んな事思ってもねぇクセによく言う」

 

「貴方私に対して結構言うわよね?」

 

「互いに腹の中探らせない者同士だろ、お互い様だ」

 

「それもそうね、貴方人間のクセに私相手に読ませないなんて良くやるわよ」

 

いつの間にか俺の隣に立っていたこのハイエンドモデル、俺が唯一未だに苦手な奴だ

錬金術師(アルケミスト)?アレは扱い方が分かればどうって事ない、説明書なんて要らないね

どうやら夢想家は説明書を読んでもダメみたいだがな

 

まあAI相手に深層心理を読むとか人間のやることじゃ無いけどな

 

「まあ私は貴方のこと嫌いじゃないわよ」

 

「好きでもないってか」

 

「あら、じゃあ好きって言って欲しいの?」

 

「いや別に」

 

「つれないわね」

 

「お前はデストロイヤーと遊んでろ、その方が年相応に見えるぞ」

 

「じゃあそうさせて貰おうかしら、あの子()遊ばせて貰うわ」

 

「今『で』って言っただろ、『と』じゃなくて『で』って言ったろ」

 

「聞き間違いじゃないかしら?」

 

やめろお前、デストロイヤーは純新無垢なんだぞ…本当に人形って事を忘れるくらいに言いくるめに弱いぞ

 

「て言うかお前仕事はどうした」

 

「代理人があの三人を相手にしてる間はサボりよ」

 

「抜け目の無いやっちゃな」

 

「まあそろそろ戻るわ、じゃあまたね」

 

「はいはい」

 

そう言って上の通気口へ潜って行く夢想家……お前そっから来たの、道理で分からない訳だよてか分かる訳ねぇだろ

 

するとドアが開き、代理人が入って来た…どうやら立ち位置的にハイエンドモデル達より上らしいがよく分からん、だが仕事は出来るしいい女だ

見た目なんてもうスゲェの、お団子ヘアーにメイド服で極めつけはヒール付きのブーツだぜ堪んねぇよ

 

別に踏まれたい訳では無いのでそこは悪しからず

 

「三人はどうしたんだ代理人」

 

話し(・・)ましたよ…その後持ち場に向かわせました、貴方は貴方で何を遊んでいるのですか?」

 

「あ、あはは…まあ何と言いますか、暇なんでね…」

 

「はぁ…いくら私達が見廻っているとは言え、もしもの事があった時の為に貴方が居るのでしょう」

 

「ご尤もで」

 

「……まあ、休憩という事にしておきましょう」

 

「悪いな代理人」

 

「貴方には色々とお世話になってますから…それに、借りもありますし」

 

1ヶ月の間に何度か此処へ武装集団の襲撃があった、勿論その時には俺も動員されて迎え撃ったさ

戦術人形とは言え全知全能では無い、ヘマもするしミスもする

 

だから一度だけ代理人を庇った事があった

俺のエゴだが換えのパーツが有るとはいえ、いい女が傷付くのを黙って見てるのは男として許せねぇ

 

あと換えパーツ有る事その時知らなかったってのもあったけどね

 

「別に気にするこた無いだろ、俺も仕事には影響出ない程度の傷だったんだし…それに俺は傭兵だ、使えなくなったら棄てられる使い棄ての道具だよ」

 

「………今のは聞かなかった事にします、貴方が自分をどう思われてるかなど私には関係ありませんので」

 

「冷たいんだか優しいんだか分からん回答だな、別にいいけど」

 

「では私も戻ります、貴方も仕事をして下さいね」

 

「了解しましたよ代理人さん」

 

部屋から出ていく代理人を見送り、俺も部屋から出る

正直な話、俺なんかが見廻りするより人形達にやらせた方が効率的だしミスも少ないってそれ一番言われてる(自論)

取り敢えず軽く武装して辺りを見廻るか

 

因みに俺の持ってる武器は少し特殊でな、昔にとある研究所から貰ったモノなんだが…まあ性能がエグいエグい

GRINDERという名称のアサルトライフル、そしてJUDGMENTという名称のハンドガンだ

 

GRINDERは分厚い鉄板すらぶち抜く威力を持ちながら低反動、そのうえ何の技術だか知らんが撃てば撃つほど銃自体が軽くなるキチガイ武器だ(褒め言葉)

専用のマガジンも驚くほど軽いからリロードも素早く行える、因みにフルオートだ

 

JUDGMENTはGRINDERとほぼ同じ威力で三点バースト、だがセンサーだか何だかで標的との距離を計ってセミオートに変化する

リロードも専用弾三発を入れ替えるだけだから直ぐに終わる、装填数も9発だし文句は無い

 

「まあ軽武装と言っても俺これしか持ってないけどね…」

 

「おや、傭兵さん」

 

「おお侵入者(イントゥルーダー)、見廻りか?」

 

「まあそんなとこですね、傭兵さんも同じく見廻りで?」

 

「一応金貰ってるからな、人形達だけに任せるのもアレかと思ってな…まあ念の為にってヤツだ」

 

「成程、詰まるところさっきまでは遊んでいたと」

 

「御名答、代理人に怒られちまってな」

 

「代理人に見つかったのが運の尽きですね、適度に働いておくのをお薦めしますよ」

 

「御忠告どうも、んじゃ廻ってきますわ」

 

侵入者は侵入者で食えない奴だが夢想家程ではないと俺は思ってる、まだ可愛げがあるというか…まあマシだって事でいいか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

適当に外をフラフラ見廻ってはみたものの、あちこちに鉄血人形が配置されてるから俺の仕事無いんだけど

本当なんで此処に派遣要請出したし、意味わからん

 

「あ''〜…暇だしまたあの部屋戻ろうかな」

 

と、その瞬間……けたたましく警報が吠えた

 

「ウッソだろお前…何でこう言う時に限って」

 

『K-816!!無事か!?』

 

「うおっ、いきなりデカい声で無線繋ぐなよ」

 

久方振りにイヤホン型無線使ったな、付けてたのすら忘れてたよ

 

ああ、K-816ってのは会社内で俺を示す番号だ…あと序にバカデカい声で安否を確認してきたのは俺の上司、今は別の場所に居るらしいがどうしたんだ?

 

因みにタメなのは公認だからOK

 

「どうしたんだよ急に、無事も何も今警報様がお呼びになってるから何方かと言うとこれから無事じゃ無くな…」

 

『バカおまっ…!いいから今すぐ逃げろ!!即刻ゥ!!!』

 

「は?何でだよ?前観た映画のネタを挟むくらいには余裕って事か?」

 

『ボケはいいからはよ逃げろ!端的に言えば鉄血AIの統括がイカレちまった!!』

 

「何ィ?詰まりアレか………成程、理解したわ」

 

『まさかお前…エンカウントしたか?』

 

「そりゃ見廻り中ですもん、しますわな」

 

ヴェスピドと呼ばれるアサルトライフルを持った量産型が三体、此方に銃口を向けていた

 

直ぐに近くにあったオブジェの岩へ身を隠す様に飛び込む、それと同時に向こうも発砲してきた

 

「あっぶね、死ぬかと思った」

 

『取り敢えず状況は理解出来たか?コッチもコッチで大変なんだが…っなぁ!!』

 

「その様で、取り敢えず此処から脱出する事が優先事項ですな」

 

『それには激しく同意だ、俺も此処から脱出を試みる…あと一応鉄血人形はあまり壊すなよ、後が怖い』

 

「資本主義者め…んな事言ってたら死ぬわボケ」

 

『唯の戦術人形でも高ぇんだぞ!?幾らすると思ってんだ!!』

 

「何でしょー聞こえません、磁気嵐の様ですな独断行動を行います」

 

『分かった分かった分かったよ!!……いいか、これは所謂コラテラル・ダメージってヤツだ』

 

「ああ、脱出行動に伴われる致し方ない犠牲だ」

 

『よし…それじゃあ生きてたらまた会おう、んで飲みに行くぞ!』

 

その言葉と共に上司の声は砂嵐の中に消えた……どうやらジャミングまで発生してるみたいだな

さっきのが俺と上司の遺言にならなきゃいいな

 

「さて…取り敢えず蹴散らしますか」

 

定期的に威嚇射撃を行っていたヴェスピド達、向こうも遮蔽物に身を潜めたらしいな…まあ関係無いけど、それごとぶち抜く

 

岩陰から飛び出し、横薙ぎにGRINDERを連射…見事に遮蔽物ごとヴェスピド達を蜂の巣にした

ワンマガで3キルストリークか、そこそこだな

 

「……ん?待てよ…コイツらがイカレてるって事は……oh...fuckin'」

 

ハイエンドモデル達もダメじゃないかコレ?てかそしたら俺詰んでるんだけど、大元AIがダメだからダメかなやっぱ

 

叩いたら治らないかな、やっぱあの手に限るよな(その手しか知らない)

 

「嫌な事実に気が付いちまったけど、さっさと行動……っと、危ねぇ」

 

間一髪で壁へ隠れる、スコープの反射が見えて助かったぜ

確かイェーガーだったか?狙撃持ってる戦術人形は、しかし何だ…今の弾道、確実に足を撃ち抜きに来てたな

 

普通にハートショットもヘッドショットも狙える位置で何故足?

 

「まあラッキーつう事にしとくか……ってオイオイ、コレはラッキーじゃ無いな」

 

「やっと見つけましたわよ、大人しくしててくれるなら怪我無く済ませますが…どうします?」

 

「スケアクロウ、やっぱダメかこりゃ…まあ聞くまでもなく、だな」

 

「貴方を傷付けたくはありませんが…力ずくで行きますわよ」

 

「ですよねぇ…まあ俺の目的はお前らの制圧じゃないんでねっ…と」

 

「なっ!?」

 

さっき拾っておいたスモークグレネードを投げる、ビットがあるとはいえ標的が見えて無きゃそれなりに時間は稼げるだろ

 

あとはフラッシュバンでもありゃ最高なんだがな

 

「くっ、流石ですわね…だが逃がしはしない!」

 

「……っと、一先ずは撒いたかな」

 

実を言うと近くの物陰に隠れてただけ、一応足跡を別の方向へ残しておいたからそっちに向かってくれた筈

 

さてどうしたもんか…正面の入口は施錠もクソも無い扉だった筈だ、だが見た感じどうやら俺を捕まえようとしてるっぽいし…固めてるよなぁ

 

「中央の監視センターにでも行くか、防犯カメラから様子も見れるだろうし」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「嫌に静かだったな…ここまでの道」

 

数体の人形は居たが、ハイエンドモデル達には(かすり)もしなかった…罠か?まあ妥当な考えだよな

 

「だがここで引いても変わらんか……ええいままよ」

 

中央監視センターのドアを静かに開け、JUDGMENTを構えながら中を覗く…クリア、か?

入ってみたが何も無し……マジで怖いな全く、戸締りしとこ

じゃあ防犯カメラの確認だな

 

あー…やっぱ入口固められてんなぁ、いっその事窓からダイナミック帰宅するか?

………ん?侵入者、何でこんな所に…待て、何でカメラ目線なんだコイツ…何か口パクしてるな

 

え、『み・つ・け・た』?不味いですね……これは不味い…

 

「ヤバいな、さっさと此処から…」

 

「見つけたぞ傭兵!!!」

 

「クッソ速いなテメェこの野郎」

 

ドアの外から処刑人の大声が聞こえ、ドンドンとドアを叩き始めた

鍵掛けてるしある程度時間稼げそうだが、あの太刀でスパッといかれたら真っ二つに吹き飛ぶぞ

 

あ、いい所に通気口あるじゃねぇか…お、開いてんじゃーん

 

「オイ開けろ傭兵!!別に殺したりしねぇよ!!!」

 

「アホか処刑人、今の状況でそれを鵜呑みに出来るかってんだよ」

 

「いいからさっさと開けろ!!!ああもう面倒クセェ!!絶対扉の前に立つなよ!」

 

次の瞬間には扉は真っ二つに切断され、ぶっ飛んでいた

俺も通気口へと体を仕舞い込んでいたので間一髪ってところかな、てか今ソニックブーム的な何かが飛んでいかなかった?

 

「何処行った傭兵!!出てこい!!」

 

素直に出ていくかっての、一先ずはこの通気口使って出口近くまで行ってみるか

脱出方法は……ダイナミック帰宅は最終手段ということにしとくか

 

通気口の中を這って進む…所々ある金網から下を覗くが、まあ何処も彼処も鉄血人形ばかり

下手に降りられないなこりゃ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結構通気口の中を這い廻ったな

 

てかさっき何で中央監視センターに人っ子一人居なかったんだ?………まさかとは思うが…いや、余り考えないでおこうか

おや、金網の下にアルケミストと代理人の姿が見えるな

 

「まだ彼は見つかりませんか」

 

「ああ駄目だね…スケアクロウは煙幕で撒かれ、イントゥルーダーが発見してエクスキューショナーが向かったが通気口で逃げられ…惨敗続きだ」

 

「流石と言ったところでしょうか、まあそう簡単に捕まってくれるとは思ってませんが…通気口と言いました?」

 

「そうだ、それがどうした?」

 

「………いえ、少し」

 

代理人のスカートをたくし上げ、サブアームを覗かせた…てかそれ前々から思ってたんだけどモラル的にいいの?

 

ってそんな事考えてる場合じゃねぇなコレは……うへぇ?

 

変な声出てしまったが俺を囲む様に銃弾が通気口を貫いて行く……まさか刳り貫く気かうっそマジかよお前

そして見事に型抜きされて下へ落ちる

 

「いってぇ……あ」

 

「おや、こんな所で奇遇ですね傭兵さん」

 

「あ、ああ…奇遇だな代理人さんよ」

 

「おいおいあたしの事は無視か?寂しいねぇ」

 

「出来る事なら無視したままが良かったんだが、そうもいかなさそうですなアルケミストよぉ」

 

「まあ安心しなよ、別にお前を殺す気は無いからな」

 

「俺としてもお前の芸術に仲間入りはしたくないんで願い下げだがな」

 

「無駄話もこの辺にしておきましょう、貴方に二つの選択肢を提案します」

 

今の状況的に提案もクソもない気がするのは気の所為かね、最早それは命令では無いのでしょうか

 

「一つ、大人しく私達に着いてくるか…もう一つは力ずくで連行されるか、お好きな方をお選び下さい」

 

「答えが二つに一つのモノを選択肢とは言わないぞ代理人よ…あとそのサブアームも下ろしてくれよ、ビビって話も出来やしねぇ」

 

「お前がこの程度でビビる程の奴かよ、それでどうするんだ?コッチにはあたしと代理人、対するお前は一人だ」

 

「何時もならば降伏して着いて行くが、状況が状況でね…俺は俺で一刻も早く此処を出て上司と連絡を取りあわなきゃならん」

 

「あら、では力ずくで…という事で宜しいのですか?」

 

「おいおいまだ誰もそうとは言ってないだろ?俺は一人だが、ついさっき寄った部屋で心優しい警備さんに良いもん貰ったんだ」

 

「ほう、お前以外の人間は粗方片付けたと思ったんだがな…まだ誰か残ってたか?」

 

「やっぱ殺ったのお前らか……まあそれはいい、残念な事にもう逝ってたよ…だからアイツにはもう必要のないモノだったからな」

 

そう言い、俺はフラッシュバンを二人の前へ放り投げる…俺自身は耳と目を塞ぎバンの被害から逃れる

 

人形に痛覚があるか知らんが、聴覚と視覚はあるだろうから効くんじゃないかというほぼ賭けだが……成功したみたいだな

 

ゆっくり目を開けると、耳を塞ぎ目を閉じながら悶える二人の戦術人形が目の前に居た

 

「まあ御愁傷様と言っておこうか、聞こえてないだろうけど」

 

「くっ…迂闊でしたか…!!」

 

「クソがっ!なんつーもんをぶつけやがる!」

 

回復される前にさっさと撤退だな、所構わず乱射みたいな事をされないのはまさにラッキーとしか言えないな本当

もう隠密とかやってる時間もないし、距離的にもうゴリ押しで行った方が早い気がする

 

という訳で完全に武器の性能頼り、ゴリ押し戦法で押し切りますか

 

前に立つ戦術人形達を沈めていく

特殊マガジンのリロードも長年やってきたから慣れたもんさ…走りながらリロードを行い弾幕を薄めず、且つノンストップで扉まで駆け抜ける

 

と、天井がいきなり爆音と共に落ちてきた

 

「うえっ…ゲホッ、ゲホッ……何なんだ今度は」

 

(ようや)く追い詰めたよ、傭兵さん」

 

「そう言えばお前を見てなかったな、デストロイヤー」

 

装備もギャップが凄いな、榴弾かそれ?やっぱ破壊者って名前だけあるな

まあ人に向けるようなモノじゃ無いがなソレ

 

そして次に横の壁が吹き飛ぶ

 

「や〜〜っと追い付いたぜ傭兵」

 

「御苦労なこったな処刑人、ここまで走ってきたのか」

 

「ああ、侵入者から情報は貰ってたからな」

 

アイツめ余計な事してくれやがる…確か電子戦も得意だって言ってたな、カメラハッキングして見てやがったのか

 

「フラッシュとは、やってくれましたね傭兵さん」

 

「ああ本当、効いたぜ全く」

 

「おいおい回復が早くないかお二人さん、酒でも飲んでリラックスしとけば良かったのに」

 

「生憎とそうはいきませんので……さて、もう一度だけ聞きます…大人しく着いてくるか、力ずくで連行されるか」

 

「絶体絶命だな、この状況…ハイエンドモデルが四体にコッチはアサルトとハンドガンだけしかない生身の人間、詰みだねぇ」

 

「早いところ降参しておいた方が身の為だよ、私の攻撃は腕も飛びかねないからね」

 

そもそも榴弾ってのは対戦車用とかが多いからな、それを人に向けてなんて言ったら軽く腕の一・二本吹っ飛ぶだろなそりゃ

 

まあ、絶対絶命とは言え何もしないのは俺の流儀に反する…それに用意もして来たからな

 

「唯、何もせずに俺が引き下がると思うか?」

 

「いいえ、思いません…ですので、何をしてくれるのか楽しみにしているのですよ」

 

「そいつは光栄、じゃあ教えてやるよ………爆破ですよォ」

 

右手に持つスイッチを押し込む、すると代理人達の後ろにあった部屋が爆発する

それと同時に奥の何部屋かも立て続けに爆発していく

 

実は通気口を這い廻ってた時に何部屋か寄り道をしていた、偶々武器庫に当たりC4を何個かかっぱらって来ていた

まあC4程度じゃこの施設は崩れない、俺が狙ってたのは…

 

「隙ありだな」

 

「は?…ってうわ!?」

 

「え?ちょっ!?」

 

処刑人とデストロイヤーの腕を掴み、一本背負いをする…その勢いで後ろに立つアルケミストと代理人へ背負い投げた二人をぶつけた

 

まあ多方予想出来てたからな、どうせ入口で囲まれるって…だから少しでも俺から注意を外す為のドデカい花火さ

 

「前扉は…デストロイヤーが作った瓦礫でダメか、こうなりゃダイナミック帰宅だな」

 

「ま、待ちなさ…!」

 

「あばよレディ達」

 

窓ガラスへ飛び込み外へ飛び出す、まあ一階だから高さ的には大した事ない

よし無傷、お次は脱出作戦DA

 

「がっ……?」

 

「ふぅ、危なかったな…やはりお前は侮れん」

 

「ハ、ハンターさんじゃねぇか…おいおい、まさか此処に居るとはなぁ」

 

右太股に二発か……こりゃキツイな、なんたって軸足だぜ…立てないなこれは

ここに来てまさかこんなヘマをやらかすとは…詰めが甘いとはまさにこの事か

 

「私の本領は相手を私の戦いやすい場所へ誘い出す事だ、今の今まですべてお前の計算通りだったのならば…今この場面は私の計算通りだ」

 

「マジかよ…だが…」

 

「させませんわ」

 

「うぎゃっ」

 

ハンドガンを掴もうとした手を取られ、頭を地面へ抑えられる

足の痛みやら正面のハンターやらの焦りで、背後から迫っていたスケアクロウに気が付かなかった

 

不味いですよぉ…

 

「やっと取り押さえらたか…ったく、本当お前はやる事が派手だなぁ」

 

「そいつはどうも……皆さんお揃いですな、嫌になるぜ全く」

 

「足を撃ち抜かれてもその余裕、タフだよなお前…だからあたしは気に入ったんだがな」

 

「さて、来てもらいましょうか」

 

スケアクロウが俺の腕を後ろで縛る、かなりキツめに……ギッチギチやんけ

縄抜けを試そうかと思ったがこれじゃ無理だわ、戦術人形の力でギチギチに縛られたら無理ですよねそりゃ

 

あと足も縛られました

 

「それじゃ、よっと」

 

「まさかの俵担ぎ?」

 

「お前歩かせると何してくるか分かったもんじゃ無いからな、この方が比較的安心なんだよ」

 

処刑人のデカ腕で俵担ぎにさせられ、どこかへ連れてかれる…こういう時に頭の中でドナドナが流れるんだがそんな状況じゃないんだよな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では、少しお話をしましょう」

 

「ガッチガチに拘束された挙句に椅子に縛られてお話とはよく言ったもんだよ」

 

「………本当、貴方のタフさは何処から来てるのでしょうか」

 

「悪いな、俺は常にこんな感じなんだよ」

 

地下のどっかにある部屋へ入れられ、腕と足を縛られてるのに追加で椅子に縛られた

俺ってどんな危険物なの?

 

今は代理人と二人きり、ドキドキはしないな状況的に…因みに太股は手当てしてくれました

 

「何故私達が貴方を殺さなかったのか、理解出来ますか?」

 

「さあな、検討も付か無いね」

 

「私達だけでは無く、ヴェスピドやイェーガー等からの攻撃もみな全て足を狙っていました」

 

「……確かに、そうだったな」

 

「それは私達が貴方以外の人間に興味が無いからです」

 

「………何だ?新手の告白か?」

 

「ええまあ…言い換えればそうかもしれませんね、私は…いえ、私達は貴方が欲しいのです」

 

「はぁ?こんな端くれの傭兵をか?悪趣味にも程があるぜハイエンドモデル」

 

何を言ってんだか分かんなくなってきた、一体こいつは何が言いたい?俺が欲しい?ちょっと理解が追いつかないから待って欲しいんだが

 

俺の混乱を知ってか知らずか代理人は話を進める

 

「私達は人形、彼等からして見れば唯の道具です…戦闘終了後に労いの言葉どころが顔すらまともに見ないでしょう……ですが、貴方は違います…私達がどんな残虐な方法で敵を排除したとしても、平然とヘラヘラした顔で私達に話し掛けてくれました」

 

ヘラヘラって…確かに俺には真面目な顔は似合わんけどさ、何か人に言われると心にクる

 

「そのまま雑談をしたり、時には遊びに付き合ったり…ここに居る人間でそんな事をするのは貴方だけです」

 

「…そりゃ本当か?俺以外にも傭兵は居ただろ、そいつらは…」

 

「いいえ、残念ながら意思の疎通すら行っていません」

 

「……そうかい」

 

食い気味に代理人から返答を受けてしまった…人形は道具、かぁ

そんな事を考える暇も興味も無かったからなぁ、戦友…とまではいかないが、共に戦う兵士ぐらいに思っていた

 

俺自身が使い棄ての道具だと思ってるし、何時でも補充できるモノだし…傭兵なんてそんなもんだろ

 

まあ多分そう言う色々な思想が何かしらの線で繋がって、コイツらは恋心…じゃないと思うが、何かしら抱いたんだろ

 

「そいつは有り難い限りだが、お前らはこれからどうする気だ?」

 

「エルダーブレインの命により、人間を排除します」

 

「………おいおいマジかよ、それ本気で言ってるのか?」

 

「ええ本気です、私達はこれより人類の殲滅を始めるつもりです」

 

確か上司が鉄血AIの統括がイカれたって言ってたな…詰まり今コイツらに送られてる命令ってのはイカれてるのか(語彙力)

 

「それじゃ俺はどうするんだ?俺だって一人類だぞ」

 

「貴方は別です、貴方には此処に残ってもらいます…勿論戦闘に参加する必要はありません」

 

「冗談じゃねぇぜ…ここで人類が滅びるのを見てろってか?それは聞けねぇ相談だ」

 

「これはお願いではありません、命令です…貴方が私達に勝てるとお思いですか?」

 

「目的の為には手段を選ばないってか、流石だねぇ戦術人形」

 

「ええ、幾らでも罵ってくれて構いません…それで貴方の気が晴れるのなら」

 

こりゃ何言ってもダメだな…だが俺も人類が滅びるのを唯々この場所で待っている訳にもいかない、必ずここを出てやる

 

そんな思考を巡らせていると、代理人の陶器の様な真っ白の(てのひら)が俺の頬に触れる…そして俺の顔を覗くように顔を近づけ

 

「嗚呼、そうやって画策し…思考を巡らせている貴方は一段と愛おしい……ですから私はその画策を壊しましょう、そうすればまた貴方は思考を練り始めるでしょう?嗚呼、嗚呼なんと素敵なのでしょう…尚の事、貴方を此処から出させてはいけませんね…永遠と続く画策とそれの破壊、そのやり取りで精神が参っても安心して下さい…どの様な貴方であろうと私は愛し続けます、永遠に…永久に……ですが、その程度では折れないと私は思っていますよ…でなければ私の一番愛おし貴方の姿が見れないのですから、ああ勿論普段の貴方も愛しております…へらへらした顔も、何も考えていない顔も、敵を前にした無表情な顔も…全てを愛しています、貴方のその髪も目も口も舌も耳も腕も脚も身体も全て私のモノにしたい程……愛してやまないのです」

 

なんてこったパンナコッタ(白目)

 

まさかのそっち(ヤンデレ)?ウッソだろお前、何がどうなってこうなったんだよ(語彙力)

おいエルダーブレインとやら、どこをイカれさせたらこんなAIが誕生するんだよ…

 

見ろお前、目がドロドロしてるぞ…しかも濁ってるときたもんだ……典型的なヤンデレですねコレは

 

「では私はこれで、食事などはまた時間を置いて持ってこさせますので」

 

「あ、ああ……おう」

 

どうしよっかなー………早めに出ないと危ないな、色々と




(続きを書くかは分から)ないです

まあそれなりに反響あったら書くかもしれないです、バンドリの方も書こう書こうと思っているので何とも言えません
取り敢えずは短編という形で投稿します

という訳でまた会えたら会いましょう


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それから

日間で40位辺りくい込んだっぽいです、読んでくれた方々本当にありがとうございます
というわけで続きです、これが俺のヤンデレだ

一応ハイエンド達にはそれぞれに違うヤンデレの種類を付けてみます、まあ次回も反響があったら書くって感じですが

なので感想ください(露骨)、ガソリンとなって筆が動きます

ではでは、本編どうぞ


「やっほー、元気?」

 

「この状態で元気なのはドMだけだ、生憎俺は踏まれるより踏みたい派なんでね」

 

「ふーん、取り敢えず元気みたいだね………よいしょっと」

 

「ああ元気だとも、ピンピンしてるよ…それはいいんだけど何で膝の上なんだデストロイヤー」

 

「さぁ?何ででしょうね」

 

ええ....(困惑)それはそうと何でこの子達人形なのにいい匂いするの?可笑しくね?

やっぱ可愛い子からはいい匂いするってそれ一番言われてるから

 

「……傭兵さんは人間側に行きたいの?」

 

「そらまぁな、俺だって人間だ…目の前で殲滅宣言されてるのに動かないってのもな、それに俺の仕事仲間達だって人間だ…そいつらを殺されちゃ俺だって悲しいさ」

 

「そうなんだ……やっぱり手足切り落とした方が良いかな、そうすればずっと一緒にいられるもんね」

 

「何言ってんだお前は」

 

怖、物騒過ぎるだろその発想…て言うかおかしくなったの代理人だけじゃなかったのかね、この調子だと全員あるな……おいおい勘弁してくれ

 

「だって今行動しないのは脚を怪我してるからでしょ?」

 

「………さあてどうだかな」

 

「だったらいっその事二度と歩けなくさせたら良いんじゃないかなって…お世話は私達がするし、そうすればず〜っと一緒にいられるし…万々歳じゃない?」

 

「考えが猟奇的過ぎるだろお前、肉達磨は勘弁だな…あと俺は嬉しくないから万々歳じゃ無くて万歳だな」

 

何となくで話は逸れてくれたが、何で分かったんだよコイツ…現に今大人しく捕まってるのは右太股が痛いから

 

こんな状態で逃げたところで直ぐに捕まって永遠監禁エンドまっしぐらだ、だったら回復まで待って行動するのに越した事はない

それに今スグにコイツらが何かを仕掛けてくる訳でも無さそうだし…そうだと信じたいけど

 

「何でよ、私たちと居るのは嫌なの?」

 

「今のお前らと居るのは嫌だな、前の状態だったら良かったんだけどな」

 

「私達は今も前も変わらないよ、少し素直になっただけ」

 

「美女に美少女達から好意を受けてたとは男冥利に尽きますな」

 

「相変わらずつれないね」

 

「お生憎様だが俺はこういう性格なんでね」

 

「まあ、そういう所が好きなんだけどね」

 

何なのコイツら、俺の行為全部ポジティブに捉えやがるぞ…最早怖いわ、恋は盲目ってか?コイツらのコレは恋なのかすら分からんがな

 

「まあそれはいいんだが、俺この状況でどうやって飯食うんだ?」

 

「私達が食べさせてあげる」

 

「えっ、それは……」

 

「何?それとも口移しがいいの?」

 

「前者でオナシャス」

 

「チッ…分かった」

 

今舌打ちしたよなこの子、ファーストが人形とか悲しくね?それ思ってるのはもしや俺だけ……?

てかよくよく考えたんだが食料大丈夫なのかね、クッソ不味いレーションか味気の無いカロリーバー位しか見た事ないぞ俺は

 

「そろそろご飯だと思うよ」

 

「あっそう……そういやお前は何しに来たの?」

 

「暇だったからお話しに来ただけ」

 

「暇なの?君達確か人類殲滅するんだよね?暇なの?(二回目)」

 

「今はスケアクロウが出て行ってるし、処刑人とかもちらほら出て行ってるから大丈夫…それに鉄血の職員は取り敢えずいっぱい殺しといた」

 

「あ、そう…どうでもいいんだけどさ」

 

鉄血工造は壊滅か…まあ施設で暴れられちゃたまったもんじゃないもんな、上司やアイツらは大丈夫だろうか

 

まあ早々死ぬ様な肝っ玉では無いけどな、確信を持てるねコレは

 

「傭兵、食事を…って、何故デストロイヤーが居るの?」

 

「お話してただけ」

 

「ふーん、そう…それより食事だ傭兵」

 

「おおハンター…何その料理、てかこのご時世で料理なんてもの見るのは久方振りなんだけど」

 

「レーションを少しアレンジしただけだ、特別な事などしてない」

 

それは絶対嘘だゾ、普通にレストランとかで出てきそうな勢いの料理なんだけども…大体レーションなんて味付けが変だわベチャベチャしてるわロクなこたァない

 

しかし意外だな……スレ立てとくか

【驚愕】ハンターが料理をできた件について

 

「この位なら代理人や夢想家、侵入者だって出来る」

 

「処刑人は?」

 

「出来ると思うか?」

 

「そりゃ失敬…じゃあアルケミスト」

 

「まあアイツは……錬金術師だからな」

 

それ詰まり何か別のモノを錬金しちゃうんじゃないですかヤダー

何、料理で神話生物でも生成するの?テケリ・リとか聞こえてきちゃう訳?

 

「デストロイヤーは?」

 

「出来ない、私細かい作業とか好きじゃないの」

 

「流石デストロイヤー、まさに破壊者だな」

 

「破壊者、ココからは私の時間だ…早く出ていけ」

 

「はいはい、分かってるよ」

 

そう言うとデストロイヤーは膝から降りて部屋を出ていった……交代制にでもしてるのかね

 

さて…デストロイヤーと代理人がおかしくなってた訳だが、ハンターは如何に

オラわくわくすっぞ(白目)

 

「ほら食べさせてやる、口を開けろ」

 

「えー、自分で食べたいから縄一瞬解いてよー」

 

「駄目だ、お前その一瞬で逃げるだろ」

 

「おいおい俺は人間だぜ?ハイエンドモデルと正面切ってやり合えるかよ…てかそろそろ口に出すけどお前ら俺を何だと思ってるんだよ」

 

「………成程な、代理人が気に入る訳だ」

 

「その返答は脈略無さすぎて意味が分からんぞ」

 

「いやスマンな、代理人がお前の考えている顔が好きだと言っていたのを思い出してな…どうせそう言いながら何かしら考えているんだろう?」

 

「さぁてどうだかね」

 

コイツらは一体俺を何だと思ってるんだ、俺は普通の傭兵だぞ

飯食べる為に縄解かれたって次の瞬間に足払いかましてダクトゥ・ザ・フューチャーする位しか出来ないぞ

 

今の脚ならギリギリ捕まらないで行けるだろ

 

「取り敢えず駄目だ、さっさと口を開けろ」

 

「アッハイ………美味いな、中身は何だこれ」

 

「知らない方がいい」

 

「てか本当に元レーションかよ……そう言えば食料問題は大丈夫なのか?」

 

「此処でちゃんとした食事を摂るのはお前だけ、私らはカロリーバーで充分だから問題は無い」

 

「あ、そう…なら別にいいんだけど」

 

「ああ…そ、それでだな傭兵……その、脚は大丈夫か?」

 

「脚?ああ太股のヤツね、別に大丈夫だよ…何気にしてたの?」

 

「ああ、まあ……撃っておいて心配など矛盾も良いところだが…こうでもしないとお前はあのまま逃げていただろ、だが私とて撃ちたくてお前を撃った訳では無い………何を言ってるか分からなくなってきたな、済まない」

 

「……お前らの何が一体そうさせるんだ?俺の何が良いんだ」

 

そう聞くとハンターは俯き、少しすると顔を上げ俺を見詰める

あ、これダメなやつだ…完全に目がイッちゃってるよこれ、代理人と差して変わらない目してるよこの人形

 

手を伸ばし、俺の頬に触れる

 

「何が、と言われると難しいが……私はただ離したくないだけなんだ、お前を…この温もりを…この安心感を…今ここにある全てを……いつの日かお前という存在が何処か私の分からない場所へ行ってしまわないか、不安で仕方が無いんだ…この手の届くスグ近くにお前を縛って、閉じ込めて…何処へも行けなくさせれればこの不安感は無くなるだろうか、そんな負の感情ばかりが浮かんでは私の中をグルグルと渦巻いて…だがお前に会えばそんな感情など全て消える、だが又お前と別れればそんな感情に埋もれる………なあ傭兵、私は狂っているよな?そんれは自覚している、だがどうにも………もう、駄目なんだ………お前が居ないと私は……」

 

言い終えると同時にハンターは俺の首に手を回し、かなり強く抱き締めた…言っちゃえば少し苦しい

 

うーんこれはダメみたいですね…ハンターってこんなに弱気だっけ?おかしいなぁ

こういうヤンデレって放置or逃げる=永久監禁エンドなんだよなぁ、一番厄介といえば厄介

 

あと全然関係無いけどハンターさん良いモノをお持ちの様で…色々当たってるしいい匂いだしもう分かんねぇなコレ、あとそんな勢いで匂いを嗅がないでくれ(くすぐ)ったい

 

「なあハンター、そろそろ離れてくれないか」

 

「も、もう少しだけ……」

 

「いやあの、苦しいんだよね結構」

 

「あっ…す、済まない」

 

滅茶苦茶残念そうな顔をしながら俺から離れる…そして残っていた御飯を食べさせて貰った

食事が終わると皿を持ってハンターは部屋を出ていった

 

………よし、やりますか

 

何をって?色々と準備するんだよ、此処から出るには鉄血のハイエンドモデル共を相手に取らなきゃならんからな…下準備はしておかなきゃな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数時間が経った、飯食ったお陰なのか知らないが疲労全回復した

やっぱ美味い飯には敵わないな

 

「やあやあ傭兵さん、如何お過ごしかな?」

 

「何だ侵入者か…」

 

「何だいその反応は、全くつれないねぇ本当…少しは喜んだらどうだよ」

 

「こんな状態で喜べるかっての……ていうか今何時くらいなの」

 

「もう夜中さ、外は真っ暗でオマケにバケモノが彷徨いてるよ」

 

「そりゃ大変だな……まあハイエンドが居れば気にする事も無いと思うがな」

 

「まあね、私達にしてみればあんなのは塵芥にもならないよ」

 

て言うか俺寝る時ってどうするんだ?流石に座りっぱなしとか嫌なんだけど、尻痛いし腰も痛くなるからな

 

「なあ俺は寝る時どうすればいいんだ?」

 

「ん?ああ伝え忘れてたね、寝る時は解いてあげるよ」

 

「マジで?」

 

「そりゃマジだよ、座らせっぱなしで寝させるのは可哀想だからね」

 

「その気持ちがあるなら逃がしてくれてもいいと思うんだけど」

 

「それは却下、解くと言っても椅子に括りつけられてる縄だけね…手足のは駄目だよ」

 

チッ、流石にそこは解いちゃくれないか…まあ椅子へ括りつけられてた縄が解けるだけでも充分さ

さて…脚の調子は万全だ、俺は何時だって逃げられるぜ

 

「ベッドなんて高級なものは無いけど…お布団なら有るんだよ」

 

「何で布団が有るのよ」

 

「さぁ?此処にあったヤツだし誰かが使ってたんじゃないの?さ、それより早く寝よ」

 

「ああ、まあいいか…ん?お前も寝るの?」

 

「当たり前じゃない、一緒に寝るに決まってるでしょ」

 

そんな俺が非常識みたいな言い方をするなよ、普通しないからそんな事……まあ状況的に見て当たり前と言えば当たり前か、まあそれでも問題無いし

 

少し面倒ってくらいだけど

 

「早く早く!さぁ!」

 

「何でウキウキ何だよお前…もういいや、何か疲れたわ」

 

「うんうん、疲れたなら寝るのが一番さ」

 

既にステンバイしてる侵入者の横へ入る…すると思いっ切り背中へ抱き着いてきた、パーソナルスペースまで侵略し的やがったぜコイツ(侵入者)

 

「フフー…やっぱり傭兵さんは凄いね、今だって…………どうやって抜け出そうか考えてる」

 

「……何の話してるんだ?」

 

「あぁ〜私は悲しいなぁ、こんなに近くに私が居るのに…私の事考えてもくれないなんて、悲しいよ」

 

「何言ってやがる、俺はお前の事を考えてはいるぞ?やたらと距離が近いから色々とね」

 

「はいはいどーも、そう言う思っても無い事は良いの…そうそう、あと私知りたい事が有るんだよね」

 

「何だ?俺は俺の知ってる事ならなんでも知ってるぞ」

 

「それ普通の人だから…………今、何考えてるのかな?」

 

俺のお腹辺りに回っていた侵入者の腕が徐々に上がってくる…首元に掌が来て、軽く首を掴まれる

 

もう片方の手は割れ物を撫でるよに俺の頬を撫でる

 

「私は知りたいんだ、傭兵さんの奥底を…何を思って何を考えるかを……さぁ、教えてくれないか?」

 

「それを知って何になるんだね、俺なんぞの考えなんて聞いたところでクソの役にも立たんぞ」

 

「まあそう言わないでよ、これは単なる好奇心だ…君の発想にはいつも驚かされる、逃げようとしてた時だって四人相手に大奮闘したんだ」

 

「そいつはどうも、だが生憎今俺は特に何も考えちゃいないぞ」

 

「……………ウソだね」

 

耳元で、それも何とも甘ったるい声でそう囁く

首元にあった片手が少しづつ強まっていく…え、ちょ待てよ

 

これ回答間違ったら自分の首締まるヤツ?とんだデスゲームだな全く

 

「そんな嘘は私にとってはお子ちゃまが吐く可愛らしいモノさ、そんな嘘をつく傭兵さんも可愛いね……でも私に嘘を吐くなんて、それは頂けないなぁ」

 

「お、おい…それ死ぬ、マジで…死ぬ、からっ」

 

「んー?ハッキリ喋ってくれないと分からないな〜…私にどうして欲しいのかなぁ?」

 

「絶っ……対、わざ…と…だろ」

 

掌の力は以前強いまま…ヤバイ、酸欠で意識が……強制睡眠(気絶)とか洒落にならんぞ

 

すると侵入者は掌の力を抜いた

 

「カハッ……はァ、はァ…ま、マジで死ぬかと思ったわ」

 

「次からは嘘を吐かない事だね」

 

そう言うとまた腕をお腹の辺りへ移動させ、抱き締めてくる

はぁー、マジで今のはヤバかった…危うく川を渡るところだったぜ

 

侵入者は腕をお腹へ戻し、また抱き締める

 

「それじゃあおやすみー」

 

「はいはいおやすみ」

 

それはいいんだが侵入者が何故か俺の首裏に顔を埋めるから凄いこそばゆい、あと吸う時だけ勢い有りすぎだろ

その度に抱き締めが強くなるし気になって眠れやしない

 

俺もさっさと寝たいのに

 

はいおはよう、早い?いやいや一時間くらい寝たから、まあ寝たと言うより仮眠だな…だがこれで万全だ

 

侵入者が起きないようにゆっくり抜け出す、思いの外腕が緩かったから助かった

そろそろと出口のドアをひr

 

「何処行くのかなぁ?」

 

「うぉん?」

 

視界がグルッと回ったかと思うと背中に激痛が走る、どうやら侵入者に一本背負いされたらしい…背中めっちゃ痛い

 

侵入者が俺の上に跨る、マウント取られましたねコレ

 

「折角一緒に寝れてたのに、何処に行こうとしてたのかな?」

 

「いやぁ何、お花を摘みにでも行こうかと思って…」

 

「本当かな?それにしては随分と息を殺して移動してたねぇ、どうして?」

 

「寝てるお前を起こしても悪いと思ってな、気を使ってみたんだが…ダメだったかね」

 

「う〜ん優しいねぇ傭兵さん、でもその打算的な優しさじゃなくていつもの優しさが私は欲しいかな…そんな言い訳で誤魔化せると思った?」

 

「まさか、自分でもキツイと思ってるよ」

 

そう言うと侵入者はニッコリと笑う、守りたいこの笑顔…でも今の状況でその表情は怖いです

すると左腕で俺の右腕を抑え、もう片方で首を絞める…首を掴まれてる方の腕を掴み足掻いてみるがピクリとも動かない

 

「私さっき言ったよね?下手な嘘は吐かない方がいいって、若しかして聞いてなかった?」

 

「聞いてたさ、だから嘘は言ってないだろ…嘘はね」

 

「嘘は…ね、でも本心は言ってない…屁理屈だなぁ」

 

「それは失礼、だが俺はこういう人間だぜ」

 

相変わらず首を掴んでいる腕はピクリとも動かせそうにない、そして侵入者の笑顔も未だ崩れない…そろそろ怖いんだけど逃げていい?

 

物理的に逃げられない状況だけど

 

「私も処刑人も狩人も代理人も…皆傭兵さんの事を想って行動してる、それの何が悪いの?こんなに想って、こんなに慕って…こんなにも焦がれているのに、傭兵さんは何で受け入れてくれない?私には分からない、何故離れようとするのかも…分からない分からないワカラナイ……私は傭兵さんの全てを知りたいんだ、何を思って何を考えているのかその全てを…でもそんな事は出来ない……だったら私が全て管理すればいいんじゃないかなって、そうすれば何時か傭兵さんの全てを知ることが出来るかもって思ったらもう止まらなくてね……だから何処かに行く事も私から離れることも許さないよ?私が傭兵さんの全てを知るその時まで、傭兵さんを完全に理解したら私達と静かに暮らそうじゃないか…何もかもを私達に委ねて、傭兵さんは何もしなくていいんだ…嗚呼、考えただけでトリップしそうだよ」

 

イントルゥーダーお前もか

 

なってんだろうとは思ったがコイツはコイツでひでぇもんだぜ、ヤンデレは嫌いじゃない

だが愛を受けるのは俺じゃなくて他人がいいな、俺はそれを観察してる方が好きだ

 

「侵入者、俺が何の自身も無しに行動すると思うか?」

 

「まさか…そんな訳ないと私は思ってるよ、でもこの状況からどう引っくり返すのかな」

 

「こんな風にだ」

 

俺は口から筒状の鉄的な何かを侵入者へ吹く、そして思いっ切り目を瞑る…お分かり?

 

「なっ、まさか…!?」

 

「そのまさか……お気の毒に」

 

眩い閃光が俺達を包み込む、侵入者は対処しきれなかった様で後ろへ倒れる

斯く言う俺も少し眩しかった…出力間違えたかな、そんなに強くした覚えはないんだけど

 

何って?俺お手製のフラッシュだよ、火薬量と材料的に音は出せんが目眩しにはなる

どうやって作ったかって?どうやらここは倉庫らしい、そんでマグネシウム転がってたからそれ使っただけだよ…火薬は俺のポケットに入ってた銃弾から

縄?んなもん解いたに決まってるだろ、そのあと偽装工作でまた縛ったけど

 

まだ聞きたい?煩いなぁ一々質問ばかりしやがってトークショーの司会のつもりか黙ってろ

 

まあ冗談はさておき、取り敢えず銃を探しに行かなければな

そんじゃダクトゥ・ザ・フューチャーして行きましょうか…他の奴らが駆けつける前に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

再びダクト内を這い廻る、ダクトに入る時にはまだ侵入者は悶えていたから当分は大丈夫かな…とは言ってもタイムリミットはかなり少ない、パッパっと終わらせなきゃな

 

お、武器発見…簡単に見つかったな

 

ダクトから出る、そして愛銃へ手を……

 

「よぉ、傭兵…こんな所で何をしている?」

 

「おいでませってか処刑人」

 

背後から振り下ろされる処刑人の右腕を()なす、まともに受け止めたら腕がマトモじゃ無くなりかねん

 

愛銃二丁を掴み取り定位置へ収める

 

「お前は出てると侵入者には聞いたんだがな、戻ってたのか?」

 

「ああ、一通りの仕事は済んだからな…それで傭兵、ここで何をしてる…返答次第じゃ少し痛い目を見て貰うぞ」

 

「生憎と痛い目にはもう何度も()ってるんでな…お断りさせて貰おうか」

 

「そいつは返答次第だぜ…さあ、答えろ」

 

「そうカッカすんなって、イライラしちゃって働きスギィ?俺は唯、愛銃達を見に来ただけだよ」

 

「ダクトから現れておいてよく言うぜ…侵入者はどうした」

 

「暗い所から急に明るい所へ出ると目が痛いだろ?アレだよ」

 

「お前、何処からフラッシュバンなんて持ってきた…あそこに入れる時には持ってなかっただろ」

 

「何で今ので分かるんだよお前、フラッシュは俺が作った」

 

「相変わらず出鱈目みたいな奴だなおい」

 

さぁてどうしたもんか、こう喋ってると他のハイエンド達も駆けつけそうだ…早いとこ終わらせよう

 

幸いにここは武器庫、俺は最高に運が付いてるぜ

 

「そんじゃ、ま…俺はこの辺でお暇させてもらおうか…なっ、と」

 

「なっ、テメっ…!!」

 

後ろの棚を思いっ切り蹴り飛ばす、スモークが入った箱が床へと落ちる…当然だが辺りはモクモクさ、何個か拝借してオラァ逃げるぜ

 

扉を蹴破り飛び出す、辺りの鉄血人形共はGRINDERの餌食だ

正面扉なんてもう目指さねぇ…ダイナミック帰宅と洒落込むもうじゃねぇかええ?

俺が今居るのは二階、大丈夫死にゃしない…窓ガラスを突き破り下へと落下

 

「さて、私を忘れてないか傭兵?」

 

「よう夢想家、久し振りじゃないか…今までどこに居たんだお前」

 

「私はずっと君を見てたさ…ずっとね」

 

「やめろ怖いから、多分本当なんだろうけどやめろ」

 

「君がここに来た時からずっとさ…だから君の戦い方は私には通用しない、さてどうする?」

 

「結構な無理難題だなおい…だが上等、やってやろうじゃないか」

 

夢想家が馬鹿デカイ銃?を構える……そしてその銃口からは弾ではなく、レーザーが飛んできた

俺の横を掠めて通り過ぎ、爆音と共に瓦礫が飛んでくる

 

「はぁ?ウッソだろお前、どんな未来兵器だ畜生め」

 

「さあどうした?自慢の武器でかかってこないのか?」

 

「まあ俺の武器もとんだ未来兵器だったな、人のこと言えねぇや」

 

「さぁ、さぁ…さぁさぁ、来て傭兵…私と殺り合おう」

 

「ところがどっこい、これが現実」

 

スモークを持ってきた分ばら撒く、だがコイツにはそれは見通されてるだろう…普通に逃げたんじゃ恐らく捕まる、いや確実にだな

 

なのでこうしよう、逆に考えるんだ…あげちゃってもいいのさ……と

 

「またスモークか?少し芸が無いぞ傭兵、その程度じゃ私は…」

 

「よう夢想家、元気か?俺は元気だ」

 

「っ…成程、逆か」

 

掌底で顎を撃ち抜く、人形にこの手が効くか知らないが…頭揺らしとけば時間稼ぎにはなるだろ

すると夢想家は力なく地面に倒れ込んだ、人形にも効くんだなこの手…覚えておこう

 

壁を登り越え、施設の敷地から抜け出す…取り敢えず走る走る、振り向かないでとにかく走る

目的地は後から目指せば良い、今はとにかくこの施設から離れなければ

 

『傭兵脱出後の鉄血側』

 

「あ〜痛い、容赦なく顎打ち抜いたな全く…システムにエラーが出たらどうする積もりなんだ、まあそうなったら責任取って貰うしか無いな」

 

「………おい夢想家、何故逃がした」

 

「逃がした?見て分からないのか処刑人、私はアイツにやられたんだよ」

 

「何言ってやがる、お前が顎を揺らされた程度で倒れるか…それを態と倒れ込んであいつを逃がすとは……どう説明つける気だ」

 

「あーあー怖いねぇ、別に態と倒れた訳じゃ無いよ…この方が面白いからそうしただけ」

 

「どういう意味だ」

 

「私は逃げ回るアイツを追い掛けて追い掛けて、追い詰めて追い詰めて…最後の道には私しか残されてない状況を作りたいだけさ、そうすればアイツは私のモノになる」

 

「……悪趣味だな」

 

「お前に言われたくないな、勿論私のモノになったらお前達のモノでもある」

 

「兎に角だ、アイツが逃げた事に変わりは……」

 

処刑人の言葉が続く前に『ガチャン』と鉄が落ちた音が、夢想家の後ろで鳴った

振り向けば、そこに顔面蒼白の狩人が立っていた

 

「そ、そんな…まさか……彼が逃げた…のか?」

 

「お、おいハンター…あー、取り敢えず落ち着け?な?」

 

「に、逃げた…逃げた、逃げた?そんな、そんな……!!私は、私には……ああ、あああああぁあぁぁああ…!!!!」

 

「あらら、狩人の事は任せるよ処刑人…それじゃあ私はやる事が有るから」

 

「な、おい!ああもう!」

 

夢想家はスタスタと施設へ向かって行き、処刑人は狩人の対処をし始める

夢想家は施設の廊下を進んで行く…と、後ろから殺気が飛んでくる

 

「……代理人、何の用?」

 

「彼を逃した様ですね、それについての説明を求めます」

 

「処刑人にも同じ事を話したから、彼女に聞いてくれる?私はこれからやる事が有るの」

 

「ほう、やる事…ですか……まあいいでしょう、遅かれ早かれ彼は此処から逃げていたでしょうし…それを追い掛けるのもまた一興」

 

「分かってるじゃない代理人、という訳だからじゃあね」

 

「はい、(いず)れ貴女にも前へ出て貰いますよ」

 

「分かってる」

 

代理人は夢想家の背中を見てから視線を窓の外へ移した、窓の外には塀と荒野…既に傭兵の姿は跡形も無くなっていた

 

代理人は窓に手を当て、微笑む

 

「……フフ、必ず…迎えに行きますよ」

 

『一方その頃傭兵側』

 

「何だ?一瞬寒気が…」

 

兎に角ひたすらに走り続けた、施設はもう見えない…ここ何処だ?

まあいいや、水とカロリーバーはかっぱらって来たからある程度は耐久出来る

 

まあカズそんなにある訳じゃ無いから、正直心許(こころもと)ないが……ん?ジープ?しかもウチの会社ロゴ付いてるな、因みにウチのジープは屋根付きでそこそこ広い

 

「ようK-816、生きてたか」

 

「あ、D-673…そりゃお互い様だな」

 

ジープから降りてきたのは無線で話してた上司だ…本名が有るんだか無いんだか知らんが、社内の番号はD-673

 

「お前あの後どうしたんだ?無線にジャミングが入ったんだか分からんが、砂嵐になっちまってよ」

 

「ああ、あの後か……まあ端的に言えば、ハイエンドモデルに襲われるわ捕まるわ監禁されるわロクなこたァない」

 

「何?人質ってやつか?」

 

「いや、何か知らんが向こう様はかなりイカてるっぽくてな…何やかんやと監禁に…」

 

「ほう、詰まり貴様は俺達が鉄血人形共と殺り合ってる最中にハイエンドモデルの姉ちゃん達とイチャコラしてたってか?ええ?」

 

「何処からどう解釈したらそうなるんだよ」

 

「そうか解ったぞ、お前は傭兵の格好をしたハーレム主人公だ!」

 

「今なんて言った?」

 

「聞こえなかったかのか?ハーレム主人公だ、フラグ建築士、女(たら)し、天然(たぶら)かし、草食気取ってるスカし野郎、どっちつかずの軟弱者だ!」

 

「お前がハーレム系主人公に対して持ってる偏見は取り敢えず置いておいて…あの状況じゃそれは喧嘩を売る言葉だぞ、かかってこい」

 

「野郎ォォォォォぶっ殺してやぁァァァァァァぐほぉ!?」

 

「巫山戯てないで、早く会社に戻りますよ」

 

D-673の頭へチョップが落ちてくる

 

チョップをかました本人はG-185、スタイルのエグい女性

だが見た目に騙されちゃならん…コイツの中身は刃物の達人だ、ナイフからコンバットナイフ…果ては刀まで何でもござれの天才ってやつだ

 

「おおG-185、久方振りだな」

 

「ああ、久し振り…昔話は会社に帰ってから、いいわね?」

 

「OK、じゃあ俺も乗るわ」

 

「いってて…相変わらず容赦ないね本当、じゃあ行きますか」

 

途中でコイツらと合流出来たのは大きいぞ…さて、これからどうなる事やら




ハンターちゃんこんなに弱気だっけ?やっといた本人が言うのもあれだけど
まあほら、エルダーブレインはイカレてるし…不思議では無いよね、うん

如何でしたかな、正直俺自身はヤンデレ好きですけど書かないので楽しんで頂けたのならなら幸いです

それではまた


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これから

どうもです、読んでくれてる人達がいるみたいなので上げさせて頂きまする…読んでくれている皆様本当にありがとうございます

あと借金背負ってそうな指揮官書いてる人から感想貰って喜んでたAZAZELです

今回鉄血さん達はお休みで御座います『ヤンデレがないやん、どうしてくれるん』と言う方々はマジですみません
次、次書く時にはヤンデレ入れるからお兄さん許して(懇願)

では本編どうぞ


ジープで揺られながら会社を目指す、取り敢えず帰って状況整理をしないと色々と追いつかない

 

鉄血工造には俺やD-673以外にも警備にあたっている奴等はいるが……まぁ大丈夫だろ、ウチの傭兵で早々死ぬやつは居ないな

 

「そう言えばG-185は何でD-673と一緒に居たんだ?」

 

「私は鉄血工造じゃない場所の警備だったのだけれど、暴走した鉄血人形が押し寄せてね…どうやらD-673の工場から漏れ出したヤツららしくて、それを追いかけて来たそうよ」

 

「流石だな殲滅主義者、無線では壊すなだのほざいてた癖によ」

 

「ウチから漏れ出した鉄屑を他に押し付けるわけにゃいかねぇだろ、だから俺が処理したまでの話だ」

 

「成程ね……まあどの道アサルト的思考だな」

 

「アサルトをサイコパスみたいな語呂で使うな」

 

そんな会話をしていると会社が見えてきた、どうやらコッチの方には被害が無いみたいだな…まあ近くに鉄血工造の工場は無いからな

 

なのだが……会社の入口に筋骨隆々の葉巻を咥えたゴリラの様な大男が無残に壊された鉄血人形の中心に返り血に染まりながら立っていた

 

「………何してんだあの人」

 

「流石、素手で戦術人形の小隊を壊滅させたのか」

 

「本当、肉弾戦なら負け知らずよね」

 

「……ん?おお!無事だったかお前ら!!」

 

返り血の付いた顔でそんな良い笑顔すんなよ怖いわ

この人は俺が所属する部隊の隊長を務めるT-850、ご覧の通り何もかも素手で解決する脳筋隊長

 

だがマジで素手だけでやってのけるので化物としか言い様がない

 

「隊長、その手に持ってる頭は何処から拾ってきたのかしら?」

 

「その辺を彷徨いてたからな、ウチの傭兵達が世話になったみたいだから御礼に少し遊んでやったのさ」

 

「うっわエグ、てか人形の腕を引きちぎるってどんな腕力と握力だよ」

 

「おおK-816!久し振りじゃねぇか!元気してたか!」

 

「まあ元気ですよ、隊長程じゃ無いですけど」

 

「そう言えばお前は鉄血のハイエンドモデルとか言う高性能戦術人形が居るところだったな、大丈夫だったのか?」

 

「駄目に決まってるじゃないですか、全員アウトですよ全員…本当勘弁して欲しい」

 

「まあ生きてるなら万々歳だな!」

 

「まあそういう事にしときますよ」

 

「取り敢えず早く入ろうぜ、俺も疲れてるんだわ」

 

俺達の部隊は男女三人ずつの計六人で構成されている、俺達以外にも部隊は存在するが大概六人編成である

 

だがそもそもウチの会社は『傭兵派遣』を売りとしている、その為部隊は在って無いようなものに等しい

全員が集まって仕事に出る事など月に一回有るか無いか程度だ

 

「そういや隊長、俺達以外の奴等はどうしてたんだ?」

 

「B-889は会社、V-785はG-185と同じで鉄血以外の所へ警備にあたっていたが緊急事態なんで呼び戻した」

 

「成程、じゃあ俺がG-185とK-816を拾えたのはラッキーだったな…捜索の手間が省ける」

 

「ああ、俺としても助かった…まあコイツらが簡単に死ぬとは思ってないがな」

 

俺は今回死を覚悟したけどな…色んな意味で

俺達の部隊が使っている部屋へ入ると、パソコンを打ち込む青髪の女性とグレランの手入れをする赤髪の女性が既に居た

 

青い方がB-889、赤い方がV-785だ

 

「あ、お帰りなさーい…お!けーくんが居る!」

 

「その呼び方いつまで続ける気だB-889、あと俺が居る事がそんなに珍しいか」

 

「珍しいでしょ〜、大体どっかに出てるじゃんけーくん」

 

「貴方、大概任務を請け負ってるじゃない…此処へだって滅多に顔出さないの自分でも忘れた?」

 

「手厳しいなV-785………そうだったか?」

 

確かに会社に戻るのは久方振りだなかもしれんな…因みにけーくんの由来は『K-816とか呼びずらいしけーくんでいいよね!』との事だ

あとV-785はいつもこんな感じなので嫌われてる訳では無い……と思っている

 

と、放送が入る

 

『あーテステス、聞こえてるかコレ?』

 

「……社長か?放送使うとは珍しいな」

 

「隊長は何か話聞いてますか?」

 

「いや、俺は何も聞いてないぞ…緊急なのかもな」

 

『あー我社の諸君、放送で済まないが緊急なんだ許してくれ…先の鉄血人形暴走事件にあたっての事なんだが…先ず鉄血配属の全ての傭兵達が生きて帰ってきた事を報告する、お前達よく生き延びてくれた…今回の事件は鉄血人形の統括AIの暴走により起こった、鉄血工造の職員達は全滅…復旧も人形達によって不可能に近い………故に、我々は人形共を殲滅する』

 

瞬間、社内がデカい音と野郎共の叫び声と共に揺れた…各階で血気盛んな奴等が盛り上がってんだろうな

斯く言うウチの隊長とD-673、V-785が立ち上がって雄叫びを上げている

 

『やる気がある様で充分…コイツは依頼と考えてくれ、全社員を上げての総力戦だ…それを遂行するにしてだが、人手が少々足りない…これはお前達の腕を疑ってでは無い、効率を考えての事だ…よって我社はこれよりグリフィン&クルーガーと手を組む、その事を頭に入れておいてくれ』

 

「グリフィン&クルーガー?何だそりゃ」

 

「何だK-816、知らないのか?ウチと同じで傭兵使ってる所だよ」

 

「そんな組織があったのか、全然知らなかったわ」

 

「まあけーくん結構無頓着だもんね」

 

『グリフィン&クルーガーはつい最近まで我々と同じく傭兵が主力だった、しかし今はIOP製の戦術人形が主力に変わった…だがまあだからと言って俺が方針を変える訳じゃないが、それも一応頭に入れておいてくれ…報告は以上だ、依頼は各々のパソコンへデータを送っておいたから確認するように……鉄屑は鉄屑に還す時だ、健闘を祈るぞお前達』

 

また雄叫びと共に会社全体が大きく揺れた気がした、やる気満々だねウチの社員達

本当に戦闘大好き人間が多いようで…まあじゃなきゃ傭兵なんざやってらんねぇか

 

「よぉうし!B-889早速確認だ!!」

 

「もー隊長煩いよ〜、分かったからあんまり大声出さないで」

 

「いやぁ済まんな!どうも滾って仕方が無いんだよ!」

 

「嗚呼本当、早くぶっぱなしてバラバラにしたいわ」

 

「この砲撃魔が……」

 

「あら?何か言ったかしらK-816?よく聞こえなかったのだけれど」

 

「いや何も、やり過ぎるなよって思っただけさ」

 

ヒュー怖いねぇ相変わらず

でも砲撃魔な事に変わりは無いからな、コイツ個人で迫撃砲やら榴弾砲やらを持っている…しかもメンテも自分でしてるらしい

 

超高火力が好きみたいだ

 

「え〜っと…先ずは鉄血に占拠されたエリアの奪還、出てくる人形共は残らず壊して良し……みたいですよ」

 

「ああ、そうみたいだな……よし!では各自準備に取り掛かれ、時間は限られてるぞ」

 

「……あれ?追記?……ワオ、どうやらIOP製の戦術人形達も一緒らしいよ」

 

「へぇ、そうなんか………何?一緒ってどういう事だ」

 

「けーくん一瞬流したでしょ……何か404小隊?とかいう部隊と行けってさ、社長命令」

 

最後の四文字には悪意を感じるぞ社長……て言うか何でウチの部隊、もっとマシな奴等居ただろ

第1部隊とかいいじゃん、超良い奴ばっかだぞ

 

「だそうですよ隊長」

 

「ほう、戦術人形との共闘か…まあ物は試しだ、やれるだけやってみようじゃないか」

 

「どうせ俺らが一掃して終わりな気がしますけどね」

 

「一掃するなら任せなさい、爆撃でも迫撃でも私の子達を使って吹っ飛ばしてあげるから」

 

「止めろお前、今回は戦術人形が混ざってんだから少しは自重しろ」

 

スグにそうやってクレーターを作ろうとするのお前の悪い癖だぞ全く、コイツが出ると毎度毎度戦場がボッコボコになるんだよな

 

やるならバンカーバスターとか爆撃機で瞬時にスカッと綺麗に始末して欲しいものだ

 

「あー…何か打ち合わせあるらしいよ、顔合わせとか作戦とかだってさ〜」

 

「作戦?そんなモノあるのか?」

 

「出たよこの副隊長、まあ規律もクソもない部隊だからなぁ」

 

「まあ向こう側から提示してくれるだろ……従うかは別としてだが」

 

「それでいいのかよ……」

 

「よくよく考えてみろ、今まで部隊行動の時に作戦立てたことあったか?」

 

「………うん、無いな」

 

よく今まで生きてこれたもんだな

正直な話、V-785が放つ砲撃のタイミングさえ分かってればどうにでもなった

 

アイツの砲撃マジで危ないからな

 

「日時は………明日だって」

 

「早いなおい、そもそも実行日は何時だよ」

 

「……明後日」

 

「巫山戯てんだろ」

 

「テメェら準備に取り掛かるぞ!!」

 

隊長の声を皮切りに全員が動きだした

明後日が実行日、明日は作戦会議兼顔合わせ…詰まり実質一日しか準備期間が無いと

 

巫山戯てんだろマジで、社長一発殴らないと気が済まんな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

という訳で一日経ちました、まあ準備と言っても武器のメンテとかなんでね

一番大変なのはV-785だな、子供達(迫撃砲)のメンテをしなきゃならんからな

 

「初めまして、私がクルーガーだ…初めに作戦への協力を感謝させて貰いたい」

 

「いえ、此方としても危険は少ない方が良い…それに今回の件は色々と面倒事が多くて、正直参っているからな」

 

ウチの社長とクルーガーと名乗る大男が対面して話していた

どうやらグリフィン&クルーガーのお偉い様だとか…と言うか字面的にもそうだろうな、ガッツリ名前入ってるやん

 

俺達は後ろで並んで待機、暇なので小さな声で隣のD-673と話していた

 

「……あのクルーガーってオッサン、隊長みたいだな」

 

「なんでも元軍人らしいぜ、退役してるのにあの身体は尊敬モンだ」

 

「マジか……それで、あの後ろに立つ子達が今回の共闘者か?」

 

「どう見ても普通に可愛い女の子にしか見えんのだがなぁ……まあ武装してるし間違いは無さそうだけど」

 

「まあ鉄血のハイエンドモデルなんてのも居るんだ、今更だな」

 

「それもそうか……にしても、戦術人形ってのはスゲェなぁ…見た目はあんななりだが、性能はピカイチだからな…戦闘技術も覚えれば覚える程に対応出来る場面も増えるって訳だ」

 

「……別にそれくらい出来るだろ」

 

「俺らとお前を一緒にするな」

 

不意に目線を上げると、左目に傷のある戦術人形と目が合った…ウィンクされたんだがこれ如何に

また腹の読めないのが居るなぁ、面倒くせぇ…まあ夢想家よりは可愛げがあるな

 

「あの子お前にウィンクしてなかったか?」

 

「されたな確かに、どうも腹は読めんがな」

 

「そもそもAI相手にやる事が間違ってんだよ…まあ彼女達にも彼女達の人格はあるだろうが」

 

「何だ急に、保守的と言うか庇う様なそのセリフは」

 

「いや、機械だから道具…ってのも考えモノだなってな」

 

「成程…確かに難しいが、正直俺はどうでもいい…隣に居るなら唯の戦友、前に立つなら唯の敵だ」

 

「……流石、お前らしいよ」

 

なんて事を喋ってる内にお偉いさん達のお話も終わった様で、第13部隊と404小隊どうしで顔合わせをしてこいとの命が出たので場所を移動する

 

何かちみっ子が銀髪の子に引き摺られてるけど、大丈夫なの?

 

「それじゃあ自己紹介からしよっか…私はUMP45、この小隊で隊長をやってるよ」

 

「T-850だ…俺もコイツらの隊長をやってる、これから宜しく頼む」

 

隊長同士が握手を交わす、てか身長差エグ…ウチの隊長デカ過ぎだろ本当……

 

「………うおっ!?ビックリした…」

 

「いきなり叫ぶなD-673、その声にビックリするわ…っおぉ〜?」

 

「お前もビビってんじゃねぇか」

 

いつの間にか目の前にツインテールの戦術人形が居た、しかもめっちゃこっち見てくるんだけど

右目に傷……あのUMP45と名乗った戦術人形とやけに似てるな、姉妹とかか?

 

てか人形に姉妹とかあるのか?

 

「……何か用かい、嬢ちゃん」

 

「ん〜…お兄さん、名前無いの?さっきから番号で呼び合ってるけど」

 

「名前…名前ねぇ………とうの昔に名前なんて捨てたか無くしたさ、そもそもあったのかすら分からんな」

 

「そうなんだ…私はUMP9!じゃあ今日からみんな家族だ!」

 

「いやどういう原理それ……UMP?やっぱ姉妹ってやつか?」

 

「そうだよ〜、45姉と私は姉妹なのさ!」

 

は〜、人形にも姉妹ってのがあるのか……UMP、UMP…H&Kのサブマシンガンか

詰まりあれか、戦術人形の子達は銃の名前してるって事か?俺基本的にGRINDERとかいうイカレ武器使ってるから普通の銃とかてんで分からんぞ

 

「ん〜、でもそしたらお兄さん達のことなんて呼べばいいかな?」

 

「好きに呼べばいさ、番号でもアルファベットでも…俺個人を呼ぶなら『傭兵』でもいい」

 

「じゃあ傭兵さんって呼ぶね!」

 

何だ?急に寒気が走ったぞ…そう言えば鉄血の奴らも傭兵さんって呼んでたな、それの所為か?

 

いや、何かこの子もこの子で色々と危ない気がするんだが…杞憂であってくれ

 

「そっちのお兄さんは?」

 

「俺?D-673だが……まあDでいいぞ」

 

「じゃあディーさんで!」

 

「おう、宜しくなUMP9」

 

「ナインでいいよ、UMP9だと呼びづらいでしょ?」

 

「じゃあ遠慮なく」

 

V-785やB-889は向こうで銀髪の子とその子に引き摺られてた子とお話中だ

ウチの部隊、形的に部隊となってるけど基本的に皆得意なのは単独行動なんだよね…巻き込みかねないから

 

大丈夫かウチの部隊と一緒で、本当にそれだけが気掛かりなんだよね……あとその区域にハイエンドが居ないかどうか

 

「……ん?…兵さん………傭兵さん!!」

 

「おう?……ああ済まんな、考え事してたわ」

 

「大丈夫?何か暗い顔してたけど…」

 

「んー…まあ大丈夫だろ、いざとなったら全部ぶっ壊す」

 

「何の話してんだお前、物騒過ぎんだろその考え……で、どうしたんだ」

 

「いや、特に気にするこた無いよD-673……それはいいんだけど何時まで俺の手を握ってる気だナインちゃんよ」

 

何故か呼び掛けられた時からナインが俺の手を両手でギュッとしてる…人形ってスゲェなぁ、手が超柔らかい

 

技術の進歩ってのは凄いぜ(小並感)

 

「あ…ごめん、嫌だった?」

 

「いや、何で握ってんのかなって……そんな泣きそうな目で見んといて、俺が悪者みたいじゃないか」

 

「お前何女の子泣かしてんだよ、裏山けしからんわ」

 

「こういう面倒臭いオッサンに絡まれるからさ」

 

「それは喧嘩を売る言葉だぞ、かかってこい!」

 

「女にだらrrしのないヴァカ男が」

 

「うるせェ黙れ!」

 

「あっははは〜!お兄さん達面白いね〜!」

 

「本当、面白い人達ね」

 

ケラケラと笑うナイン……と、その隣にいつの間にか立っていたUMP45

……怖、いつの間に居たんだよ君

 

「うおあっ!?またいきなり現れたな」

 

「UMP45だっけか?宜しくな」

 

「ええ、宜しく傭兵さん…で、いいのかしら?」

 

「あー…まあ、別にいいよそれで」

 

あの会話聞いてたのか君…何だか分からんやつだなぁ、ナインは人懐っこくニコニコしてるが……コイツの微笑みは違うな、奥底何考えてるか分からん微笑み方してやがる

 

「あ、悪い隊長に呼ばれてるわ…まあK-816は楽しくお喋りしててくれや」

 

「ああ…おう、いってら」

 

え?今ここで俺を一人にする?マジで言ってんの上司様、俺この45ちゃん結構苦手な子なんだけど

 

ちょ、何か他の奴らも隊長のとこ行ったぞ…俺も行きたいんだけど、でもナインが手を未だに離してくれないんだが……何で?

 

「ん?K-816はどうした?」

 

「また口説いてますよ隊長」

 

「けーくんはでぃーみたいな人じゃないからそんな事しないでしょ」

 

「俺の扱い酷くね?あと冗談だからそんなガチトーンで返さないで、オジサン泣きそう…まあ強いて言うなら捕まってる」

 

「どうせK-816だから気に入られたんでしょ」

 

「そんな所だ、放っておいてやれ」

 

「そうか、まあそうなら仕方ないか…K-816には後で俺から伝えておこう」

 

どうせってなんだV-785、て言うか状況が分かってんだったら助けに来いよ上司

何サラッと置いていってる訳

 

「傭兵さぁ〜ん?私達とお話するのは嫌かしら〜?」

 

「まさか、こんな可愛い子とお話出来るなんて滅多に無いからな」

 

「えへへ〜、可愛いだって!ありがとう!」

 

「あら、お上手ね」

 

「………その薄っぺらい微笑みより、まだ真顔の方が楽だと思うぞ」

 

「………そうかしら?」

 

一瞬だけだが、表情が変わったな…反応が有るって事は(わざ)とやってるって事だな

ビンゴってな、まあ正直どうでもいいっちゃいいんだが

 

「まあ別にそんな事はいいんだけど、はぁ……えーっと、顔にタトゥー入った君の名前は?」

 

「HK416よ……貴方、変わってるわよね」

 

「いきなり何だね、変わってるってまぁ…そんな事言ったらウチの部隊なんて変わり者の巣窟だからなぁ」

 

「そういう事じゃないわよ、貴方自身の話」

 

「んん?そ、そうか…よく分からんが……てかその子ずっと寝てるけどいいの?」

 

「え?……って!また寝てるの寝坊助!」

 

ゴチンといい拳骨が頭へ落ちた、綺麗に入ったなぁ痛そうやわ〜

涙目になりながら渋々といった様子で目を開けるちみっ子…ちみっ子なのに何でG11とかいうゴツイ銃を持ってるんだよ

 

「いったぁ〜!いきなり何すんのさ」

 

「アンタがいつまでも寝てるのが悪いんでしょうが!早く挨拶済ませちゃいなさいよ!」

 

「挨拶?誰との挨拶?」

 

「今回協力する傭兵の人、挨拶終わってないのアンタだけなんだから」

 

「G11だよよろしく〜、それじゃおやすみ〜」

 

「寝るな!!」

 

面白いなぁこの子達

IOP製の戦術人形達は皆実在する銃から名前を持ち、その名前と同じ銃を武装している…か

 

はてさて、今回の作戦…俺達とこの子達の組み合わせが吉と出るか凶と出るか

やって見なきゃわからんな………まあいざとなれば爆撃やら迫撃で爆破して家に帰る丁度ティータイムだ(ヤケクソ)

 

『404小隊側』

 

[機械だから道具…ってのも考えモノだなって]

 

[正直俺はどうでもいい…隣に立つなら唯の戦友、前に立つなら唯の敵だ]

 

ふーん………面白い人

割り切ってるんだか興味が無いんだか…よく分かんないけど珍しい考え方をする人

 

彼等は小声で喋ってる積もりだろうけど、戦術人形の私達には丸聞こえ

今まで人間の部隊と何度か共に行動したが、まぁロクな人間は居なかった

 

私達を道具と割り切る奴、完全に無関心な奴……色々見てきたけど、この人は珍しいと言うか何というか

ここまで何を考えてるわからない人間なんて初めて見た

 

「T-850だ…俺もコイツらの隊長をやってる、これから宜しく頼む」

 

そう言って握手を交わす、向こう側の隊長らしいが…武装してないって、もしかし素手?まあいいわ

 

「少し聞きたいのだけれど、いいかしら?」

 

「ん?俺の答えられる範囲ならば問題無い…それで聞きたい事とは何だね」

 

「あの見た事もないアサルトを背負ってる彼の生い立ちを少し知りたくて」

 

「あー…K-816か、スマンが正直俺もあまり分からん…いつの間にか居て、いつの間にか馴染んでいたな……データもウチの奴が消す前から既に跡形も無く消えていた、謎が多い奴だよ」

 

「そうなの……」

 

「それでアイツがどうかしたのか?」

 

「いえ、そんなに気にする様な事じゃないわ…教えてくれてありがとう」

 

どうやらナインも気に入ってるみたいだし、まあ悪い人ではないんだと思う…何考えてるかは分からないけど

 

「本当、面白い人達ね」

 

「うおあっ!?またいきなり現れたな」

 

「UMP45だっけか?宜しくな」

 

「ええ、宜しく傭兵さん…で、いいのかしら?」

 

「あー…まあ、別にいいよそれで」

 

少し悪戯っぽく笑ってみせると、彼は苦笑いで返した…戦術人形の聴力を見くびらない事ね

 

もう一人居た男の人はどうやら隊長さんに呼ばれたらしく、そちらへ行ってしまった

唯、傭兵さんは未だに手を掴むナインによって身動きが取れない状況だった

 

「傭兵さぁ〜ん?私達とお話するのは嫌かしら〜?」

 

「まさか、こんな可愛い子とお話出来るなんて滅多に無いからな」

 

歯の浮くようなセリフを何とまぁスラスラと…それも真顔で言うもんだから逆にコッチが面食らってしまう

 

「えへへ〜、可愛いだって!ありがとう!」

 

「あら、お上手ね」

 

ナ、ナイン…本当に気に入ってるのかしらこの傭兵さんを……

でも何でか向こうの調子は掴めない、チャラチャラしてる訳でもなければきっちりしてる訳でもない

 

本当、分からないわ

 

「………その薄っぺらい微笑みより、真顔の方が楽だと思うぞ」

 

「………そうかしら?」

 

もう本当に分からない、何で気が付いた?全く理解出来ない

しかもその後追求してこない…そのまま彼の興味は416の方へ移ってしまった

 

……いや、多分これも彼が態と移したのだろう

 

ねぇ、貴方は一体『何者』なのかしら

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ナインちゃんが全然離してくれない件について

ちょっと力込めると込め返されてその場に押し止められる……なんでや

 

それでいてニコニコしてるからもう怖いよね

 

「何だK-816、まだ喋ってたのか」

 

「え、ああ隊長…まあ、何と言うかね」

 

「あー…悪いな、そろそろ離してやってくれないか?」

 

「え〜…しょうがないなぁ、じゃあまたね」

 

「じゃ、また明日ね」

 

そう言って手を振って戻って行った…一体何だったのやら、まあもういいか

そう言えばなんか話してたな隊長達

 

「それでさっき何の話してたんですか」

 

「そうそう、作戦行動についてなんだが…俺達の部隊は合計で六人、だがB-889はオペレーターとして働いてもらうので五人…向こうは四人と合わせて九人だ、領域奪還でこの人数纏まって動くと効率が悪い」

 

「ああ、確かに分けた方が効率的か…メンバーは決まってるんですか?」

 

「まあ一応な、俺達は基本的に一人行動だ…まあ簡単に言えば向こうの子達が着いて来れないだろうからな」

 

部隊なのに一人行動とはこれ如何に、矛盾もいいとこだろ…だが事実として俺達は一人の方が動きやすい

周りに合わせるという事が大の苦手過ぎる奴が多過ぎるからな

 

何で部隊組んでんだよ、おかしいダルォ

 

「だが万が一、向こう様の小隊に何かあると此方としても面目が無い…ので、お前を派遣しようと思っている」

 

「………え?」

 

「いや、良く考えてみろ…お前以外に適任がいるか?」

 

隊長はまあ一人で大丈夫だし団体行動とか無理だろ

D-673はアサルト(突撃)厨だから論外

G-185も副隊長よりマシだが同じだから論外

V-785は巻き込みかねないから論外

俺は………まあ、一番妥当なのか

 

「………確かに、俺が一番安心安全なのか…」

 

「だろう?確かに向こうの小隊も実力はあるだろうし、四人も居るのだから何があってもある程度対応出来るだろう…だが、もし対応出来ない事態が起きた時にお前が居てくれた方が此方としても安心なんだ」

 

「いやて言うか協力者なのに放置する前提で話してる事自体がおかしいと思いません?」

 

「なら俺達と共闘させるか?」

 

「そっちの方が死亡&負傷率高くなるんで却下で」

 

「分かってるじゃないか」

 

だから言っただろ俺達以外の部隊にしとけって、共闘して仲間の死亡率上げる部隊とか聞いた事ねぇよ頭おかしいだろ

 

「分かりましたよ俺が行けばいいんでしょ……」

 

「ああ、宜しく頼むぞK-816」

 

「へいへい了解」

 

今日はお開きとの事でこれで会社に戻る事になった、俺はまたナインに呼び止められたので一番最後に出ることになった…廊下へ出ると社長が居た

 

「お、久しいなK-816」

 

「どうも社長、相変わらずお元気な様で」

 

「まだまだ現役だ…改めてだが、今回の作戦の承諾感謝しよう」

 

「それは俺じゃなくて隊長に言ってやって下さい…にしても急でしたね、グリフィンと組むなんて」

 

「まあな…お前らだってむさい男共が多いより、可愛い女の子が居た方がやる気出るだろ?」

 

「ウチにはG-186とV-785、B-889っていう女の子が居ますが?」

 

「お前アレを女子だと思ってるなら速い内に改めた方がいいぞ」

 

「それアイツ等に失礼ですよ…まあ分かりますけど」

 

そもそも傭兵なんぞになってる時点で怪しいからな、それでいてあの火力厨・刃物厨・爆弾厨ときたもんだ

 

うん、女性かと問われると駄目だなコレは

 

「まあそれ以外にも色々と有るんだよ、鉄血にゃウチの会社から傭兵をかなり派遣してたからな…鉄血の内部事情なんてのを売ってくれと向こうさんから提案してきたのさ」

 

「情報の売買は社長の得意分野でしょうが、金額発生させたの社長でしょ」

 

「ははは!まあな!ウチの社員共が命懸けで持ち帰った情報をタダでやる程俺りゃ鬼畜じゃないよ」

 

「それも相変わらずの社員想いの社長様ですな、本当頭が上がりませんよ」

 

「まあウチの社員がそうそう簡単に死ぬとも思ってないがな、それに仲間を見捨てて帰ってくるような馬鹿も居ないと思ってる」

 

「ウチの部隊は分かりませんけどね」

 

「お前達はそもそも惨敗する事が無いだろ、お互いがお互いを信じてるからこその一人行動…だろ?」

 

……流石社長様、確かに俺達は俺達の部隊に所属してる奴が一人だからと言って負けるなんてことは微塵も思っていない

 

最早、信頼じゃなくて『確信』に近いな

 

「まあ今回の作戦、期待してるからな…お前以外の奴らはもう外に出てったぞ、早く行った方がいい」

 

「社長はどうするんで?」

 

「俺はまだクルーガーとやる事がある、先に帰っててくれ」

 

「了解です」

 

社長と別れ、施設の外へ出ると他の奴らはヘリに乗り込んでいた……帰りはジープじゃなくてヘリで帰るのね

 

因みにB-889が運転する、コイツなんでも運転出来やがる

 

「遅いぞK-816、作戦は明日だ…帰ったらさっさと支度しなきゃならん、早く乗れ」

 

「そりゃ済みません隊長、今行きます」

 

さて、明日に備えますか




最近仕事の現場があっちこっち移動して面倒臭いっす、4月はずっと同じ場所だったんだけどなぁ

まあそんなこと言ってても何も始まらないのでせっせこ働いているワイです
仕事の合間見とか家帰ってからとかで書いてるので遅いのは勘弁してください

以上、近況と言い訳(笑)でした


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行動開始

お久です皆様
何か…こんな作品を読んで頂いて有難うございます、俺自身も出来る限り頑張る積もりでおります

最近、部所異動をして現場が変わりまして…まあだからと言ってやる事は変わらないんですが、ゴタゴタとしてました
この文は一日で8000とか9000をババっと書いちゃってるのでまあ誤字やらが多い、報告本当ありがとう御座います

ではでは、本編どうぞ


あの後会社に戻り、最終確認を終わらせ翌日の作戦実行日に備えて一日を終えた………という訳で当日になりました

 

隊長とD-673が前に立ち、俺達は横一列に並ぶ…一応D-673は副隊長なんだよね

 

「よし、全員揃ってるな」

 

「何だかんだで全員が揃って出るのはいつ振りになるんだろうな、そもそもK-816が此処に居ること自体が珍しいからな」

 

「こちとら仕事が多いんだよ悪いか、なんならお前が少し俺の仕事を持て」

 

「嫌なこった、俺は俺で忙しいんだよ」

 

「まあ当分はガラクタ共の処理に追われるだろうから皆忙しさは一緒だな、取り敢えずそろそろ行くぞお前ら」

 

ジープに乗り込み目的地まで向かう、404小隊とはそこで落ち合うことになっている………俺が

それ以外の奴らは単独行動、ホント俺ら部隊組む必要性無くね?無いよね?

 

「K-816、もしもの事態が起きたなら自分の事を優先して構わんからな…404小隊も戦術人形だ、自分達のことは自分で出来るだろ」

 

「了解、それ以外の事はそれなりに手伝いますよ」

 

「よし、それでこそ俺の部隊員だ!生きて帰ってこい!」

 

「隊長達もな、まあ死ぬなんて思っちゃいないが」

 

「はーい着いたよー、じゃあけーくん頑張ってね〜」

 

ジープから降り、隊長達を見送る…アイツ等が死ぬような事があれば俺も生きちゃいないな

色々と複雑な気持ちだが運命共同体とはこの事か

 

取り敢えず合流地点まで行きますかね

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

砂漠の様な地帯を少し歩くと、元々建物だったであろう瓦礫が散乱する場所に着く

その中で一際大きな建物が有るのだが、404小隊とはそこで待ち合わせをしている

 

集合地点には彼女達の方が先に到着していた様だ

 

「済まんな、待たせたか?」

 

「大丈夫よ、まだ時間じゃないから」

 

「そりゃ良かった…遅刻したんじゃ汚名もいいとこだ」

 

「今日は宜しくね傭兵さんっ!」

 

「ああ、宜しく」

 

ナインが腕に抱き着いてくる、昨日よりも密着度が増してませんかね…人形でも柔らかい所は柔らかいんだね……ダメだこりゃ(自戒)

 

「思ったのだけれど、他の部隊員達はどうしたの?」

 

「ああそれなら別の場所から制圧しに行ったよ、その方が効率がいいからな」

 

「ふーん…普段から貴方は別行動なの?」

 

「いや、そもそも俺達の部隊は部隊行動しないぞ…今回もジープで各々の場所に向かってから単独行動だ」

 

質問してきたHK416は「バカなのかコイツ?」みたいな目で見てくる

そんな目で見んといて、だって事実だもん

 

「それ部隊の意味無いじゃない、しかも敵地で単独行動って…バカなの?それともアホなの?」

 

「おぉーい、怒ることぁ無いだろ?」

 

「別に怒ってないわよ、呆れてだけ…そんなに早死したいのかしら人間って」

 

「まあ此処で死ぬなら本望だな、傭兵家業なんざいつ死んだっておかしくない…俺達は道具だ、それも使い棄てのな」

 

「………あっそう、なら好きにすれば」

 

「まあそれに、アイツ等が簡単に死ぬとも思えんしな…信頼とかそう言うのじゃなくてガチな話しでな」

 

「へぇ、彼らはそんなに強いの?」

 

横から45が入ってきた、しかもやたらと距離が近くないような近いような…まあ別にいいか

 

「そんじょそこらの人形じゃ太刀打ちは出来んよ、銃を構えた瞬間に即スクラップさ…本当サイボーグみたいで腕が立つよ」

 

「じゃあ貴方も期待していいって事ね?」

 

「程々にしといてくれよ、過度な期待はやめてくれ…っと、通信だわ」

 

と、俺のイヤフォン型無線に通信が入る

多分B-889からの作戦行動開始合図だと思うけどな

 

『皆配置に着いたみたいだから始めるよー、それじゃ宜しく〜』

 

「行動開始だそうだ、そんじゃ始めますか」

 

「分かったわ、私達も行くわよ」

 

ここから鉄血の占領地までは歩いてスグに着く距離にある、俺と404小隊…その他第13部隊の連中で占領地を囲む様に攻め入る

 

まあ簡単に言えば逃げ道を塞いで徹底的に殲滅するって事だ、本当やる事が派手だねぇ

 

「にしても、この人数で包囲戦地味たことをやるなんてどうかしてるわね」

 

「まあこの作戦立を立案したのはウチの社長なんだがな、そこら辺は全部ウチでやる事にしたらしい」

 

「作戦っていう作戦でもないと思うわよ」

 

「いやぁその通り、それが悪いのか?」

 

「貴方達、普段からこんな作戦で行動してる訳?」

 

「作戦なんぞ考えたこたァないね、ウチの傭兵達に作戦は必要ないからな」

 

「………本当、なんなの貴方達」

 

HK416から呆れの一言を頂きました

んな事言われたってなぁ、基本的に適当だしキッチリ仕事さえしてりゃあいい稼業だしな

 

と、鉄血の人形共が見えた

 

「お話はここまでみたいだな、お出ましだぞ」

 

「数的には2小隊ってところかしら…どう攻める?」

 

「ん?どうもこうも、普通に正面から行けばいいだろ」

 

「………貴方に聞いた私が悪かったみたいね、貴方は少し此処で待ってて」

 

え?俺なんか悪い事言った?もしかして正面戦闘はお嫌い?

正面からの突撃戦が一番楽で早く片付くのに…その分危険は伴うけど、こういう事は楽しようとすればそれなりにリスクが高くなるのは常識だ

 

まあそんな程度のリスクなんざどうにでもなるけど

 

ほー、あの子達中々に上手くやるおるなぁ…まあ普通小隊とか部隊ってああいう動きをするのが当たり前だと思うんだがな、連携して助け合って…それが部隊ってやつだからな

俺が言えた事じゃないがな

 

あっという間に1小隊は壊滅、残り一つは俺が貰っていきますか

 

「そいじゃ失礼するよ」

 

「えっ!?ちょ、ちょっと傭兵さん!?」

 

「なっ…!アンタ死にたいの!!」

 

「死ぬ積もりなんざ毛頭ないさ」

 

先頭に立つ鉄血人形の顎を蹴り上げ、JUDGMENTで顎を撃ち抜く

JUDGMENTを仕舞い、GRINDERを背中から抜き残り4体の頭を順に素早く撃ち抜く

 

スクラップの完成だ

 

「やっぱ正面戦闘が一番早くて楽だな」

 

「………すご」

 

「お、久し振りに君の声聞いた気がするな」

 

「眠いし…あんまり喋りたくないし…」

 

「そういかい?こういう戦闘を楽しまなきゃこの稼業はやってけないと思うがな」

 

「面倒臭い……出来るなら寝てたい、でも416が殴るし…」

 

「まあ程々に頑張っとけ」

 

「ちょ、ちょっと傭兵さん!なんかサラッと片付けたけど絶対人間の動きじゃなかったよ!?」

 

G11と喋っているとナインちゃんがツッコんできた、いやまあ確かに人間の動きではないけどウチの奴らなんてこんなんざらだからなぁ

 

特にウチの隊長とか意味不明だし

 

「…傭兵さん、本当に人間?」

 

「酷い言われ様だなぁ、機械仕掛けでも何でもない普通の人間だよ」

 

「普通ではないわよ貴方、絶対」

 

「まあ、うん…確かにそうだな」

 

そんな事があったが、その後は順調に鉄血人形共を片付けながら合流地点の占領地中心を目指す

 

あの子達はあの子達で普通に強いのでパッパっと片していく、偶に俺が手を出しながら進んでいく…ここまででハイエンドの奴らを見なかったが……大丈夫だと信じたい

 

………だが、なんか違和感があるな

 

「占領地にしては人形が少ない気がするんだが、気の所為か?」

 

「それは私も思ってたのだけれど…妙よね」

 

「……まあ一先ず合流してから考えよう、その方が色々と対応も出来る」

 

合流地点にはもう既にウチの奴らは集まっていた、息切れどころか傷の一つも付いていない状態で

 

マジで隊長が無傷なのは理解出来ない、アンタ素手で殴ってんだよな?何で拳傷一つ無いの?

 

「お、来たかK-816」

 

「お疲れさんです、随分とお早い到着ですね隊長」

 

「ああ、思った程鉄屑共が少なくてな…お前も妙だと思わんか?」

 

「思いましたよ…何かしらあると思うんですがね」

 

「まあ何かあったら適当に対処すりゃいいでしょ」

 

「流石D-673、適当もいいところね…実際V-785が爆撃すれば終わるんじゃ無いかしら?」

 

「別にいいけど…それやったら占領地丸ごと更地になるわよ?後で社長にドヤされても私は知らないからね」

 

「やめてくれ、ドヤされるのは俺なんだぞ全く…」

 

「ね、ねぇ傭兵さん…傭兵さんの部隊っていつもこんな感じなの?」

 

「まあそうだな………おっと、そういう事か」

 

「なっ…!これは」

 

「不味いわね…囲まれたわ」

 

いつの間にやら周りを大量の鉄血人形共が囲んでいた……成程、包囲戦返しってところか

中心まで誘い込んで袋叩きってか……上等じゃねえか

 

「コイツは随分と大量にお出ましだな」

 

「どうする隊長、今は部隊全員揃ってるんだ…アンタが指示してくれ」

 

「それを補佐するのがお前の役目だろ副隊長……まあ、そうだな…殲滅と行こうかお前ら」

 

「よし来た、アサルトの使い方ってのを教えてやるぜ鉄屑共!」

 

「はしゃぎ過ぎないでよ全く、帰ったら刃の手入れを念入りにしとかなきゃ…返り血でベッタベタよ全く」

 

「刃物なんて使ってるからよ、こういうのは爆破でスカッと綺麗に片付けるのが一番いいのよ」

 

「それをやり過ぎて戦場をボッコボコにしてドヤされてるのはお前だろ…少しは火力ってのを考えろ」

 

「よ、傭兵さん達本気!?この量を相手にするの!?」

 

「何だ45、無理だと思ってるのか?そんなモノやってみなくちゃ分からない」

 

「私達は体の一部が欠けても変えがあるけど、傭兵さん達は無いのよ!?どうしてそんな無謀な事が…」

 

「無謀?そりゃ違うぜ嬢ちゃん」

 

隊長がそう言う、そして近くにあった木を根っこごと持ち上げる…何それ怖い

そして鉄血人形共へ向けて思いっ切り投げ飛ばす…直線上にいた人形共は比喩抜きのスクラップにされた

 

「俺達が今まで何度こういう事態に遭って来たと思う、そんじょそこらの奴らと比べられちゃ困る」

 

「ああ全くだ、傭兵を舐めるんじゃねえよ」

 

「そんな事態に遭ってる時点で作戦も規律もないクソ溜めみたいな所なのは変わりないがな」

 

「ヒデェ言い方しやがるなK-816、間違いでは無いけど」

 

隊長がもう一本木をぶん投げると、それを皮切りにウチの奴らが突っ込んで行く

未だ唖然としてる404小隊の子達

 

「まあ危ないからそこで見てな、巻き込み兼ねないから」

 

それだけ言って駆け出す、GRINDERで薙ぎ払いながら部隊の奴らを追っていく

隊長は相変わらず素手で人形を潰し、D-673はアサルトで暴れ回る

G-185は切り刻み、V-785はグレランやら爆発物で吹き飛ばす

 

まあ、地獄絵図だな

 

「あ、ジャムったわ」

 

「アサルトもう一本あるんだからそれで対応しろマヌケェ」

 

「弾の出ない銃なんて帆の付いてないヨットと同じよ」

 

「だったら漕げばいいだろ!」

 

それを出来るのは隊長だけだろ、俺らが真似出来る訳無いだろが

次々と鉄血人形共を鉄屑へ変えていく、この量なら今までと比べると楽な方だな

 

と、遠くの方に周りの人形より小さい奴が見える

 

「アレは…デストロイヤー?」

 

「何だそれ、もしかしてハイエンドモデルって奴か」

 

「ああ、まあそうなんだが…いやハイエンド居るのは俺的に結構不味いんだが……っておいコッチを狙ってるぜ」

 

「はぁ?アレが持ってるの榴弾じゃ…」

 

瞬間、轟音と共に榴弾が何発か発射された

着弾点には誰も居なかったが爆風で周りの視界が最悪になる、何も見えねぇコレ

 

「見つけたぜ、傭兵」

 

「げぇ、その声…アルケミスト」

 

「久しい再開だってのに随分な反応だな、あたし達は必死に探してたってのに」

 

「俺としては御免蒙りたいところだったんだがな」

 

「悲しい事言ってくれるなよ」

 

「おいK-816!そこに誰かいるのか!」

 

「D-673、ちょいと面倒な事になりよったところだ」

 

姿が見え無かったアルケミストが一瞬で此方に近付き俺の腕を掴む、引っ張られない様に俺も踏ん張るが…やっぱ力強いよコイツら

 

「久方振りだなアルケミスト、お前の顔を見るのも久方振りだよ」

 

「ああ、あたしも久し振りにお前の顔を見れて嬉しいぜ」

 

「そんな訳だからその腕離してくれない?」

 

「嫌だね、素直に離すと思ったか傭兵よぉ」

 

「だろうな、だからこうしようかなっ…と」

 

力を一瞬抜き、引っ張られる力を利用しながら地面を蹴る…アルケミストの頭を飛び越えながら逆にアルケミストを投げ、地面へ落とす

 

「がっ…!?あ、相変わらず意味分からん反撃の仕方を…」

 

「そりゃどうも…そいじゃ俺はこの辺で失礼するよ」

 

「ははっ、残念だがそうはいかねぇな」

 

「何?……ヴェッ…?」

 

頭に強い衝撃を受けて変な声出ちまった、視界がぼやけて体の力が抜ける…脳揺らすのは駄目だって

何とか膝を地面に着いて耐える…が、体には力が入らない

 

後ろを向くと…メイド姿のハイエンドが居た

 

「おや、今のを耐えますか…流石と言ったところですね」

 

「だ、代理…人……後ろからとは、やってくれる…じゃないか」

 

「散々不意打ちをしてきた貴方に言われたくはありません…久しいですね、傭兵さん」

 

「あ、ああ…久しいな、代理人……相変わらずの様で」

 

フラフラしながらも立ち上がる、周りはまだ視界が悪い…銃声が聞こえてるからアイツらは応戦してるんだろうが

 

404小隊も多分大丈夫だろ、緊急事態に対応出来ないなんて事は無いと思うし……人の心配より先ずは我が身だなこりゃ

 

「その状態で立ち上がるとは、ホント意味が分からないなお前」

 

「簡単に潰れてちゃウチの会社で傭兵なんざ出来やしねぇよ」

 

「ですが状況に変わりはありませんよ、貴方の視界は最悪…ですが私達は貴方の事が良く見えています」

 

「こんな最悪な状況…お前ならどうするんだ?傭兵」

 

「どうしましょうかねぇ、本当」

 

ハイエンドモデル二体に囲まれてる時点で詰んでる気がしなくも無いんだがな

それに加えてデストロイヤーの榴弾で巻き上げられた煙で辺りは何も見えん、だが向こうからは俺が見えてる…詰んでるな

 

取り敢えず逃げよ

 

ノーモーションから瞬間的に走り出す、勿論アイツらだってそれぐらいには付いてこられる…いや付いてこられちゃ困るんだがな

 

「唯逃げるだけか傭兵?お前ならもっといい策を練れると思ったんだがな」

 

「私達の運動能力に勝てるとお思いですか?」

 

「いやぁ全く、勝てる気なんてサラサラないよ…取り敢えず足掻いてみただけ」

 

「しかし、頭を殴られておいてよく全力疾走出来ますね…本当に人間ですか?」

 

「それさっきも言われたな、生憎と人間だよ」

 

アルケミストが俺の前へ瞬間移動した…え、何それ聞いてないよ

俺の走る勢いを乗っけて背負投された、頭揺らされた上に背負い投げって…死体蹴りもいいとこだぞ

 

「グェッ……いってぇ、な…おい」

 

「調子はどうだ傭兵」

 

「最悪…だよ、全く」

 

ヤベッ、ガチで気絶しそう…今ここで気失ったらマジでやばいぞ(語彙力)

代理人が俺の方へ近付いて来た

 

「それでは、ゆっくりとお休みなさい…大丈夫です、眠っている間に色々と済みますから」

 

「そ、れ…色々……不味い、やつなんじゃ……」

 

「そんな心配しなくても大丈夫だよ、お前にとっても悪い事じゃ無いだろ?」

 

「それは、どうだか…な」

 

「傭兵さんは捕まえた?」

 

「ええ、この通り」

 

デストロイヤーまでもがここに参戦しやがった

 

座った状態の代理人に持ち上げられ、後ろから抱き締められる…これがあすなろ抱きってヤツか……全然嬉しくなれる状況じゃないけど

 

「あ、狡い」

 

「傭兵さんを無力化したのは私ですのでこの程度で罰は当たりません」

 

「おいおい、傭兵の意識をお前から逸らしてたのはあたしだぞ?自分一人の手柄みたいに言うな」

 

「その点につきましては感謝していますアルケミスト」

 

「傭兵さん元気〜?」

 

「よう、デストロイヤー…これが、元気に…見えるか?」

 

「だよね〜…まあ、連れて帰ったらちゃんと治療はしてあげるよ」

 

体に全く力が入らない…まあこの状況だと体に力が入っても代理人の腕から抜け出さなきゃいけないから、どの道無理ですね

 

何でこいつら人形なのにいい匂いすんの?(思考放棄)

 

デストロイヤーはデストロイヤーでめっちゃ顔寄せてくるし、背中は代理人の柔らかさがダイレクトにくるし……

 

「嗚呼…今まで会えなかった分、後で時間を掛けて埋めるとしましょうか……それに、二度と私達から離れられないようにしなくては」

 

「まあそうだな、ハンターが特にヤバいからな」

 

「そうだねー…最近のハンター、何か怖いし…エクスキューショナーが抑えてるとは言え、いつまで持つか」

 

「て言うか代理人、何ちゃっかり匂い嗅いでるんだよ」

 

「意識保とうと必死になってる傭兵さんかわいい」

 

何かされたい放題だな俺…まあ抵抗出来ないけどさ、ここ一応戦場のど真ん中なんだけど?そんなんで君達大丈夫の?

 

大丈夫そうだけどさ

 

ちょ、デストロイヤーさん…顔近いっす、吐息聞こえるレベルまで近づかなくても良くない?

あと代理人は擽ったいからあんまり顔くっつけないで

 

「おい、そろそろ行かないと傭兵の仲間とかが来るかもしれないぞ」

 

「それもそうですね……名残惜しいですが、まあこれからいつでも出来ますから我慢しましょう」

 

「流石にフラッシュバンとか持ってないよね?」

 

「ええ、今回はしっかり調べましたから」

 

「あの時は派手にやられたからな、あたしだって学んださ」

 

代理人にお姫様抱っこされる……え?まさかこれで運搬されるんですかヤダー

なんか男として負けた気がする…いや、て言うかおかしくない?普通逆だよねやるのって

 

て言うかこのままだと前と同じで監禁コースなんだが…不味いですよぉ

 

「傭兵さん!!!」

 

この声…ナイン?それとフラッシュバンが飛んできた…やっぱ俺は最高にツいてるな

 

JUDGMENTを抜き、フラッシュバンを撃ち抜く…この際耳は使い物にならなくても目さえあればどうにかなる、今は隙を作る事が優先だ

フラッシュが弾け、俺の耳は耳鳴りによって周りの音が聞こえなくなった

 

持てる力を絞り出して全力で走る、多分次止まったら走れないからとにかく走るしかない

部隊の奴らは先ず死なないから後で合流すりゃいい、後は帰ったらナインへ感謝しないとな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

耳が治り、銃声もハイエンドの声も聞こえなくなった事を確認した

大分走ったなぁ…力抜いたらもう意識飛ぶわコレ

体もボロボロだし、外傷もそこそこできちまった…血出てるじゃんこれ

 

だがその前に誰か……鉄血以外の誰かと会わなきゃ、野垂れ死にしそうだ

 

「おい!そこのアンタ!大丈夫か!?」

 

「これが、大丈夫に見えたら…君の目は飾りモンだぜ……」

 

眼帯を付けた…戦術人形か?見た目からして鉄血製では無さそうだが、てか無闇に撃ってこない時点でそうか

 

此方に駆け寄り肩貸してくれた

 

「軽口叩いてる場合か阿呆…!M4!重症の傭兵が一人居るぞ!」

 

「君…グリフィンの所属か?」

 

「ああ?そうだが…って今そんな事聞いてる場合じゃないだろ!」

 

「はぁ〜……なら、少し寝るわ」

 

「な、おい!大丈……」

 

そこから視界はブラックアウトした

 

目が覚めれば知らない天井、どうやら死んだ訳では無いらしいが…ここは病室か?

 

「お、目が覚めたか?」

 

「君は……ああ、助かったよ」

 

「おう、死んでなくてよかったぜ…急に寝るとか言い出した時は焦ったぞ」

 

「いや悪い悪い、頭殴られたり背負い投げされたりしてから全力疾走二回くらいしてたから…もう色々と限界だったんだよ」

 

「……いや、その状態で全力疾走出来る事が先ずおかしいだろ」

 

「まあそこはあまり気にするな…そう言えば君の名前は?」

 

「M16A1だ、アンタは?」

 

「K-816…まあコレ社内番号だし、傭兵とでも呼んでくれ」

 

「そうか、しかし良くあの状態で生きてたな…医者が言ってたがかなりヤバい状態だったらしいぞ」

 

「そんな程度じゃ死なんよ、俺は」

 

まあ普通に考えたら脳震盪が起きてるのに背負い投げや全力疾走してるんだもんな、そりゃ死にかけるよ

 

まあ死なないけど

 

「姉さん、傭兵の方は起きましたか?」

 

「おおM4、丁度目覚めたところだぞ」

 

緑色のメッシュってのかアレ?そんな髪型をした女の子が入って来た、それに続いて銀髪と薄ピンクかアレは?まあ感じ的にはそんな色をした髪の子が入ってきた

 

「その子達は?」

 

「アタシと同じ小隊の仲間さ、妹のM4とAR-15…あとSOPMODだ」

 

「宜しくお願いします」

 

「宜しく」

 

「よろしくね〜」

 

妹とかやっぱあるんだな戦術人形にも、てかあのSOPって子…凄い犬っぽい

 

いや、本人にしてみれば失礼かもしれないけど

 

「………ん?M4?M4、M4………あ、何時だか忘れたがあの時拾った戦術人形…確かM4だった様な」

 

「も、もしかして……助けて下さった傭兵さんですか?」

 

「そうそう、いやぁ初めて君に会った時も俺は重症だったな確か」

 

まだ鉄血がイカれてない頃の話だが、鉄血警備にあたって少し経った頃

ハイエンド達と戦場に出てデータ収集を行った時、運悪く敵の爆撃機にPONPONされちまってな

 

かなりボロボロの状態で一先ず見つけた小屋に窓からダイナミック入店した時に出会ったんだよね

その時は向こうもかなりボロボロにやられててそりゃあ酷かった、腕は片方取れてるし脚も付いてはいるが使い物になるか分からない状態だ

 

出会っちまった以上、放置するのも如何なものだし…その子が言う回収地点まで引き摺りながら運んだんだよ

近くまでは行ったが流石に俺も体力の限界ってのがあったから、その辺に転がってる木の枝で即席の義足を作って別れたんだったな

 

「あの後無事に回収されたんだな、そりゃ良かった良かった」

 

「あの時は本当にありがとうございました!見ず知らずの戦術人形のである私を助けて頂いて、感謝してもしきれません!」

 

「まあまあ頭を上げてくれよ、今回助けられたのは俺の方だからな…あのまま気を失ってたらゾンビ共に食われるか鉄血共に回収されるかだったし」

 

前者はまだ良いが、後者は本当にやめて頂きたい…今度こそ日の目を見れなくなる、マジで

 

「へぇ、M4を助けた傭兵ってのはアンタだったのか…妹が世話になったな、今回のコレで恩返しになったか?」

 

「ああ、唯の傭兵にはデカすぎるお返しさ」

 

「私からも、私達の小隊長を助けてくれた御礼を言わせて頂戴」

 

「あー…まあ、有難く受け取っておくよ…そんなに褒められるような行為でも無いと思ってるんだがな」

 

「いいえ、私達は他の戦術人形と違ってバックアップが取れないの」

 

「……詰まり壊れたらそこで終わりって事か?」

 

「ピンポーン、私達は壊れちゃったら…人間で言うところの『死ぬ』って事かな?」

 

そんな可愛い声色で物騒な事言うなよSOPちゃん……まあだが、簡単に言えばそういう事なのだろう

 

思いがけずに一つの命…いや、どうなのかこの場合……まあ色々と難しいところだな

 

「ふぅ…そいつは良かった、見捨ててたら君達に一発貰っても文句は言えんな」

 

「端から『見捨てる』なんて選択肢、無かったんじゃないのか?」

 

「いやまぁ、確かにそうだけど………あー、もういいや」

 

「ははは!素直に受け取っておけって!……そうだ、話は変わるんだが…傭兵は酒いける口か?」

 

「酒か?そう言えば最近飲んで無いな…まあ飲む方ではあると思うぞ」

 

「そうか!ここの基地にはバーがあるんだが後で行ってみるか?」

 

「基地にバーなんてあるのかよ…スゲェなグリフィン、そいつは是非とも行ってみたいな」

 

「じゃあ後で案内してやる、アタシ達は指揮官に報告をしに行かなきゃならないから待っててくれ」

 

「ばいばーい」

 

「おう、また後で」

 

SOP見てると癒される、鉄血にもダイナゲートとか言う犬みたいなのがいた気がするが…やっぱ可愛い方がいいよな

 

ベッドから起き上がり身体の調子を確認する………ふむ、どこも異常は無いか

 

待ってろとは言われたが、暇だし少し外を見てみるか…M16達が出ていった扉を開けると、左右に伸びる廊下になっていた

見渡してみるが特にこれと言って変わったものは無い……まあ当たり前か

 

「……君、寝てなくていいの?」

 

「うおっ…びっくりした」

 

「さっきAR小隊が運んできた子よね?怪我はもういいの?」

 

「まあ、あの程度なら直ぐに良くなる…ところで貴女は…」

 

「ああ、名も名乗らずにゴメンね…FALよ、君は?」

 

「K-816、まあ傭兵とでも呼んでくれ」

 

なんか肩にイタチみたいのが乗ったお姉さんに話しかけられたんだが…戦術人形だよな?

はだけ方が絶妙でエロいッス、柄にもなく貴女とか言っちゃったし

 

「それで、傭兵君はどこに行こうとしてたの?」

 

「いやまあ…M16に待っててくれと言われたが、暇だったからその辺を見ようかと」

 

「あまり彷徨(うろつ)かない方がいいわよ、迷子になっても知らないよ」

 

「あ、ハイ」

 

何だろう、この人と喋ってると調子を持ってかれる…これが大人の余裕ってやつか

俺年齢的にはまだまだ子供だし、こういうのは苦手なんだよな……え?俺はまだ18だよ

 

見えない?うるせぇよ

あと酒は今のご時世、未成年とか言ってるような時代じゃないからな

 

「お?FALじゃないか、こんな所で何してるんだ?」

 

「あらM16、貴女の運んできた子が部屋から出てきたから少しお話してただけよ」

 

「部屋で待っててくれって言っただろ?あんまり彷徨くと迷子になるぞ」

 

「お前もそれを俺に言うのか…まあ彷徨こうとしたのは謝るけど、それで報告は終わったのか?」

 

「ああ終わったぞ、これからバーに行くがFALも行くか?」

 

「ついて行っていいのかしら?」

 

「まあ俺は構わんが」

 

「よし、じゃあ行くぞ」

 

そんな訳でバーに行く

バーとか行ったことないなそう言えば…まあこの時代になって酒もかなり貴重な物になったからな

 

どんな所かは楽しみだな




FAL姉さんを出した理由は特に無いです

『ドルフロ キャラ』で画像ググって何となく目に付いたのでFAL姉さんにしました、本当はカラビーナとかでも良かったんだけどね

ヤンデレ出すとか言っといてちょっとしか出なかったね、ごめんなさい

次回もそこそこ反響があれば書きます、まあ多分もう書くと思います…はい

ではまた


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そんな訳で

お久ですぅ
ヤンデレが全然出てこない…話の流れ的に出せない、マジすいません
でも今回は最後の最後に出てきてるから次回こそちゃんと出せる筈

コマンドーとかトゥルーライズとかイレイザーとかの名言集を最近ループしてます
いい映画だなマヌケェ(褒め言葉)シュワちゃんやっぱカッコイイね、間違いない

ではでは、本編どうぞ


M16案内の元、基地にあるバーへとやって来た

おぉ……オシャンティな店やな(小並感)

 

「ようスプリングフィールド」

 

「M16にFAL…と、お連れさんは何方(どなた)?」

 

「ああ、帰還中に助けた傭兵だ…大分前にM4を助けてくれた傭兵らしい」

 

「あらそうだったの、なら今日は私がご馳走してあげるわよ?」

 

「お、気前がいいねぇ」

 

随分と美人な姉ちゃんだな…いや、戦術人形か

肩にライフル掛けてるしどう考えても普通ではないな、しかし戦術人形がバーを切り盛りとか出来るんだな

 

「傭兵さんは何かお好きなお酒は有りますか?」

 

「あー…じゃあウォッカを頼む」

 

「何で割られます?」

 

「いや、ボトルで」

 

「え?……お、おい傭兵…ここのウォッカ、確か45度近くあるぞ」

 

「おお、そうか…まあ平均的なウォッカだな」

 

「いや、まぁ…そうだな」

 

「あ、手持ちの酒使ってもいいですか?」

 

「は、はい…構いませんが」

 

「じゃ遠慮なく…あ、コップも下さい」

 

コップ半分にウォッカを注ぎ込む、そしてらミニポーチからとある酒を取り出し…ウォッカの入ったコップへ注ぐ

 

「………っておい!待て待て待て!!!」

 

「ん?どうしたM16」

 

「どうしたじゃない!お前っ、それスピリタスじゃねぇか!?」

 

「ス、スピリタスって言ったら…アルコール度数96%って言う化物みたいなお酒よね?て言うか傭兵くん、それウォッカに混ぜなかった?」

 

「この度数で音を上げてちゃウチの奴らとは飲めねぇぞ」

 

そう言いながら酒を(あお)る、一息つかずに一気に飲み干す

ふぅ……やっぱこれくらい度数がないと飲んだ気にならねぇよな

 

M16やFAL、スプリングフィールドに唖然と見つめられてるけどね

 

「………ほ、本当に大丈夫か?傭兵?」

 

「全然、この位じゃねえ…そもそもスピリタスってのは飲んで良し、かけて良しの娯楽にも戦闘にも持ってこいの酒だぞ…度数96%だからよく燃える」

 

「その使い方は絶対間違ってるよな」

 

「アルコール消毒液よりも度数高いからなこれ、本当によく燃えるぞ」

 

「いや別にそれを聞いてる訳じゃ……って本当か!?」

 

一般的なアルコール消毒液ですら70%程だからな、殆ど純正のアルコールと言っても過言では無い

 

そんなちょっとした豆知識を話しながら酒を呷る

 

「いやぁ、まさか傭兵がこんなに飲むとはな」

 

「傭兵くん幾つなの?」

 

「18ですよ、見えないでしょうけど」

 

「えっ…未成年」

 

「スプリングフィールドさん、それは今のご時世気にしちゃいけない事ですよ」

 

「そ、そうね」

 

そんなことを話しながら酒を呷り呷り………と、不意にドアの方に目を向けると何故かV-785が立っていた

 

すると開いているドアをノックした

 

「すみませーん、ちょっとそこの傭兵とご相談したいことが」

 

「何でお前が居るんだよ」

 

「傭兵の同僚か?」

 

「まあ同じ部隊の奴だが…まあ行ってくるわ」

 

バーから出て、M16達から見えない位置に立つ…瞬間、V-785に頬を思いっ切りぶん殴られる

 

「ヴァカやrrrrrォウ!!」

 

「いきなりっ……痛いなおい、急に何すんだよええ?ひっぱたかれるのも高い給料に入ってるわけ?」

 

「呑気に酒なんて飲んでる場合じゃないのよ、酒にだrrしのないヴァカ男が…隊長からの無線は聞いてないの?」

 

「生憎と俺の無線はお陀仏でね、聞こえないのよ…てか何で俺の位置わかった?」

 

「私達の所に連絡が入ったのよ、傭兵を拾ったってね…それで迎えに来たって訳よ」

 

「いやぁそいつはご苦労様で頭が上がりませんな、だがそいつとコイツで何で俺が殴られるのに続くんだ?」

 

「貴方外の状況知らないんだったわね、まあ殴ったのは謝るけどノリでついね……それで外だけれど、確か『ロボット人権団体』とか言うのが来てるのよ…それもこの基地に」

 

「俺ノリで殴られたの……そんな奴らとっとと追い払えば済む話じゃないのか?まあそうだったら態々伝えないわな」

 

「ええ勿論、という訳だから今から付いてきてくれるかしら?」

 

「OK、取り敢えずアイツらにも説明してくるわ」

 

M16達に事情を説明すると、FALとM16は付いてくることになった

スプリングフィールドは店の切り盛りがあるとの事らしいので、その場で別れた

 

M16達は一先ず指揮官の元へ報告しに行き、後で合流することになった

 

「K-816、取り敢えず今はこの無線使いなさい」

 

「おお予備か、有難く使わせて貰うわ」

 

『………ん?K-816か?』

 

「すみませんね隊長、俺のイヤフォン様はお陀仏になっちまったみたいで…今はV-785から貰った予備で対応してますわ」

 

『野郎生きてたか!流石は俺の部隊員だな!!』

 

「そりゃどうも、因みにそちらの状況は如何なもので?」

 

『何だか知らんがロボット人権団体を名乗る武装した集団がこの基地周辺を囲んでやがるんだ、今は各方向に俺の部隊員を回して牽制させてるが…いつドンパチ始まるかは分からん状況だ』

 

「面倒な連中が来てますねぇ」

 

『ああ全くだ』

 

どうやらこの基地に居る指揮官様は巷で『英雄』なんて呼ばれる位の功績を残した人物らしい

 

こう言った功績を残すと栄誉や名誉何ぞも貰えるが、同時に面倒事も呼び寄せるらしい

向こう様の要求としては英雄の称号=戦術人形達を酷使した、とか言うご都合認識らしく人形達の解放を訴えてるらしい

 

「んな事言ったって偉大な功績の中に多大な苦労は付き物だろうがよ、それを『酷使』とはよく言ったもんだ」

 

「それを分かってないのは本当の戦場に出ていない温室でぬくぬくと育ったお坊ちゃま戦闘員(もど)きでしょうよ」

 

「ヒュ〜手厳しいねV-785、実際のところ戦場を知ってたらこんな事は言えんけどな…んでどうするつもりなんだ?」

 

「さぁ?私じゃなくて隊長に聞いて頂戴、まあ大方副隊長にいつものやらせてから見せしめでしょうけど」

 

「やっぱそうなる?エグいねぇ、ここの指揮官様は許してくれるのかねぇ」

 

「それこそ知った話じゃないわよ、これは私達が対応する事を許された時点で決まった末路よ?そこに文句を付けられてもお門違いもいいところよ」

 

「ご尤も、それを自信満々に言えるなら問題無いな…俺達は俺達のやり方で」

 

「私達の道を決める」

 

「「Believe in yourself(自分だけを信じろ)」」

 

そう言って手の甲をぶつけ合う

ここからは俺達の時間だ…俺達のやり方でコレを対処させて貰おうか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、来たなK-816とV-785」

 

「それでどの様な状況で?」

 

「以前変わりなく緊張状態な事に変わりはないな、後は定期的に」

 

「今すぐ武装を解除し!!戦術人形達を解放せよ!!!」

 

「そうだ!この碌で無し共!!」

 

「人形達を解放しろ!!」

 

「この声が聞こえてくるってくらいだ」

 

「ほほぉ、成程…それで、いつものやるんですか?」

 

「ああそのつもりだ…テロリストにはテロで立ち向かう、アイツらに交渉が通じると思うか?」

 

「全然コレっぽっちも思ってませんよ、そもそも俺達が隊長の提案に反対する訳ないじゃないですか」

 

「まあそれもそうか…じゃあいっちょやりますか」

 

副隊長(もとい)D-673とV-785が持ち場を入れ替え、D-673がメガホンを持って正面の方へ来た

 

「あー、あー…メガホン入ってるな、よし」

 

「そいじゃ、宜しくな」

 

「了解………お前らは戦場を知らない、たかだか前線より後方の地でチョロっとした戦闘術を習っただけだろう…そんな温室育ちのお前らが我々を碌で無しと呼ぶぅ!だが今…お前達のやっている事は人の業績を踏み(にじ)り、()のみを通そうとしてる碌で無しの行動だ!よく聞け人権団体、今スグこの基地から撤退しろ!即刻ぅ!そして永遠になぁ!俺達は要求が通るまで20分置きに一発づつ!お前らに質量兵器をぶち込む事をここに宣言する…但し、一発目はお前らの後方を狙って撃ち込んでやる…俺達とお前らの力量の差、人命尊重の意思の証としてな…しかし、それでも退かないと言うのならば俺達は迷う事無くお前達へのばぁくだん攻勢を開始するだろう!20分置きに一発づつぅ「ガガッ!ピーー……」おん?……………バッテリー切れですぅ…」

 

「切れたならさっさと入れ替えろマヌケェ…」

 

D-673へ替えバッテリーを投げる、何やってんだよコイツ…折角いいところだったのに、格好付かねぇな本当

 

「あー、あー……まあそういう事だ、死にたくなけりゃさっさと家に帰りな」

 

「最後のバッテリー切れが無ければ最高の演説だったよ、お疲れさん」

 

「うるせぇ、掘り返すなK-816」

 

D-673の演説が終わると同時に、向こう様から罵倒の嵐が飛んでくる

まあそりゃそうだろうな…いままでもそうだったし、これが当たり前の反応だ

 

向こうだって本当に質量兵器をぶつけてくるなんて思ってないだろうし

 

「よ、傭兵さん!今のは何だったのでしょうか?」

 

「あれ?M4いつの間に居たの……まあ俺達からの警告だよ警告、しっかりと警告はしたからな…どう動くかは彼ら次第だがな」

 

「まさか、本当に質量兵器で攻撃するつもりですか!?」

 

「勿論です、プロですから」

 

「そんな…そんな事は駄目です!!」

 

踵を返して行こうとすると、俺の手首を掴み引き止めるM4…大人しそうな見た目に反して結構行動的なのね君

 

M4には悪いな

 

「止めさせてください!そんな事をしたらどれだけの死人が出ると…」

 

「ダメだね、やるなら徹底的にだ…ああいう輩は何度言ったって懲りはしないのさ、死ぬまでね」

 

「だからって……何も…」

 

「お前の気持ちもわかる、だがな…今の世界じゃ残酷だがそうでもしないと俺達の安全が確保出来ないんでな」

 

「お願いします傭兵さん!」

 

両手で俺の腕を握り締める、必死になっているのが目を見ればひしひしと伝わってくる

それ程までに本気なのが嫌でも分かる

 

「M4…俺が今までどれだけの命をこの手で奪ってきたと思う、俺ですらもう分かりはしない…確かにお前を助けたのは俺だ、だが今からアイツらを虐殺するのも俺であって別人じゃない…よく観ておくんだな」

 

「傭兵、さん……」

 

「そろそろ20分だな、確か一発目は後方に撃ち込むと約束していたか…M4取り敢えずお前さんは基地に戻りな」

 

「よし、V-785…始めろ」

 

「了解」

 

V-785が端末を操作すると、俺達の頭上を無人の戦闘機が通り過ぎてゆく

そして後方でバンカーバスターが撃ち降ろされる……爆音と共に爆風がこちらまで吹き荒れる

 

M4は基地に帰した

 

「おー、相変わらずが凄まじね」

 

「火力こそ正義よ、スカッと綺麗に始末する事が出来るからね」

 

「それじゃあまた、20分後に頼んだぞ」

 

「了解…向こうも焦り出したみたいね」

 

「その内恐怖に耐えきれずに大声で泣き叫びながら右往左往し始めるだろ」

 

「ヴァーハッハッハ!本当かえぇ? 」

 

そこから更に18分程たったが、一向に撤退をしないをしないロボット人権団体の皆様

 

本当にやっちゃうよ?やっちゃうよ?

 

「次はど真ん中を狙え、バンカーバスターでも迫撃砲でも何でもいいから吹っ飛ばせ」

 

「なら軽くジャブと行きましょうか」

 

「さっきのあれは何だったんだよ」

 

「ちょっとしたご挨拶よ、あれは別よ」

 

「20分経った、お代わりをくれてやれ」

 

隊長の言葉と共に、V785が何かのリモコンをカチカチと操作する

無人の戦闘機がまたやって来たと思うと、ミサイルを武装集団達のど真ん中に向けて発射した

 

「いいぞ…奴らの面目掛けて突っ込んでいけ」

 

「因みにあれ何」

 

「AGM-65マーベリック、出処は米国よ」

 

「ほほぉ…いつの間にそんなものを買ってきたんだ?」

 

「この前に闇市を鎮圧した時にかっぱらん''ん"…押収したものよ」

 

コイツ今かっぱらって来たって言おうとしなかったか…別にいいけどさ、ドヤされるの俺じゃないし

 

着弾と同時に轟音と爆風が吹き荒れる、まあバンカーバスターよりはマシだよな

後ろの方で爆破させたのに爆風の威力が殆ど同じって、やっぱ違いますわバンカーパイセン

 

「相手の状況は如何?」

 

「何人か爆風で吹っ飛ばされて意識を失った様だな、後は吹っ飛ばされつつも意識を保った奴とまちまちだ」

 

「まだ降参する気にはならないのかね、もういっそD-673が殲滅してくれば?」

 

「社長からの許可が下りればな、今隊長が聞きに行ったよ」

 

「向こうから発砲してくれりゃ楽なんだがな……そうだ、ちょっと煽ってこいよK-816」

 

「おいD-673、何で俺なんだよ」

 

「だって得意だろ?そういうの」

 

「まあ得意不得意で言えば得意だけどさぁ……良いんだな?言っとくが責任は取らないぞ、全部アンタ持ちだ」

 

「構わん構わん、いざとなりゃ第4部隊に情報を揉み消して貰えばいいんだよ」

 

「えぇ…それでいいのかよ、じゃあどうなるか試してみるか」

 

メガホンを受け取り、スイッチを入れる

そしてちゃんとバッテリーの残量があるかを確認する…さっきの二の舞にはなりたくないからな

 

「あー、あー……聞こえるかヴァカ共、お前達は腰抜けの集りだ…脆弱者、貧弱者、軟弱者、負け犬、ヘタレだ…さっきの威勢はどうした腰抜け、ミサイルが飛んできただけで黙るようならそのクソ溜めみてぇな信念なんぞ捨てちまえ…来いよロボット人権団体、恐怖なんか捨てて掛かってこい…死を覚悟出来ないヴァカ共はとっとと帰れってんだ……来いよ腰抜け、臆病者のチキン野郎」

 

「黙れこの碌で無し共が!!!」

 

「俺達の思想を簡単に語るな!!」

 

「もう我慢ならねぇぞ!撃て!撃ちまくれ!!」

 

「そらきたぞ…堂々と正面からだ、ウハハハ」

 

「構えろD-673、笑ってる暇もねぇよ」

 

『何やってんだお前ら』

 

「おう隊長、向こうから発砲してきたんだから交戦しても問題はねぇだろ?」

 

『K-816だな煽ったのは、それで指示したのはお前と…はぁ、こりゃ第4部隊にお世話になるしかねぇな全く……本当にいい性格してるよお前ら』

 

「『良い』だって?『最高』だろ」

 

『その通りかもな』

 

「それじゃあ隊長、ご指示を」

 

『やれ』

 

「そいつを待ってましたよ」

 

突っ込んでいくD-673、瞬く間に蹴散らしていく

相変わらず容赦ねぇなあ…流石ですよ

 

『ちょっとK-816?なんか急に撃ってきたんだけど、絶対貴方何かしたでしょ』

 

「何言ってんだ俺は清廉潔白だよ…応戦して良し、『やれ』との命令ですよG-185」

 

『随分と分かりやすい命令だこと……了解、じゃあ応戦開始するわね』

 

「了解、そっち側はよろしく」

 

無線中にキンキン聞こえてきてたんだけど…多分銃弾を斬り落としてたんだろうよな、うん

絶対頭おかしと思うけどね俺は、そんなアニメじゃないんだからさ……

 

まあいいや、それより今目の前で起こってるD-673無双の方が非現実的だわ

 

「何で銃弾当たらないんですかねぇ本当」

 

「今までの経験と動体視力だよ、そもそもお前の撃たれる前に撃ち殺す&銃を壊す精神の方が俺はおかしいと思うよ」

 

「どっちもどっちだよ、ウチの部隊に正常な奴なんて端から居ないだろ」

 

そんな話をしながらも武装した連中を撃ち抜いていく…俺達に攻撃した時点で負けは確定してるようなもんなんだよなぁ

 

まあ誘ったのは俺だけども、それに乗った方が悪い

 

『聞こえるかお前ら、社長からの伝言だ……一人残らず土に還せ、だそうだよ』

 

「K-816、了解」

 

「D-673も了解」

 

『G-185了解』

 

「V-785了解…詰まりドデカい花火を撃ち上げてもいいって事よね?」

 

『構わん、重要なのは『一人残らず』ってところだ』

 

相手が銃を構え、引き金を引く前に頭を撃ち抜く…間に合わないようなら銃口めがけて鉛玉をぶち込み、使い物にならなくさせる

 

D-673は撃たれても弾を躱し、走り抜けながら撃ちまくる……オーバーキルもいいところだぜ全く

 

「全員片付いたか?向こうさんで生きてる奴は居るのかね」

 

「さあな、それ程の運を持った奴が居るのか…将又(はたまた)、偶然生き残ったかだな」

 

「ひ、ひぃ!!こ、この化け物共め!!!」

 

「碌で無しの次は化物とは…言いたい放題だなおい」

 

「取り敢えずアイツを捕まえrrrォう!」

 

「はいはい」

 

偶然生き残ったであろう腰抜けをひっ捕らえて縛り上げる

どこからの差し金か、誰の支持で動いていたのかと色々と聞かなきゃならん事が多いからな

 

「そっちはどうだ?片付いたか?」

 

「綺麗さっぱり一人残らずね」

 

『あぁ、また刃に血がべっとり…帰ったら手入れしなきゃ』

 

『どうやら全員終わった様だな』

 

「こっちで一人捕虜を捕まえておいた、どこの馬鹿がこんな事をしでかしたのか今日中にわかるだろ…俺と隊長で一旦会社に戻って第6部隊に引渡すってのでどうだ?」

 

『よし分かった、その流れで行こう…一先ずは正面で合流だ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃ、俺と隊長は会社に戻るから…まあ、取り敢えず適当に後片付けが終わったら帰ってこい」

 

「ウィッス、そいつは第6行きで確定かね」

 

「情報引き出すのはアイツらが一番得意だからな」

 

「そりゃご愁傷様な事だ…まあ、俺としては情報が引き出せればどうなろうと知った事じゃ無いけどな」

 

「おお酷いねぇ…んじゃ、また後でな」

 

隊長とD-673はジープに乗り、一足先に捕虜を連れて会社へ帰った

 

因みに第6部隊とは情報収集を専門としてる部隊であり、その方法と手段に決まった型は無い

情報という情報が引き出せる物全てがアイツらの対象になる

 

今回みたいなテロリストみたいな事をしてる奴から上の情報を引き出す時……何をするかは想像にかたくないよな?詰まりそういう事もする部隊だ

 

「お前達は何かする事は有るのか?」

 

「特には無いわよ、私は早く手入れをしたいけど…後片付けを済ませてからしようと思ってるわ」

 

「私も特に無いね…強いて言うなら子供達(爆撃機)のメンテナンス位かしら」

 

「そうかい……じゃあ俺だけでいいわ、先帰っていいぞ」

 

「あら、いいの?」

 

「ああ、指揮官とやらへ会いに行くくらいだし…俺一人でも問題は無いだろ」

 

「じゃあお言葉に甘えて…バイクを一台残しておくから、それを使って頂戴」

 

「お、有難い」

 

「それじゃあね、お先に失礼するわよ」

 

G-185とV-785も先に帰した、別に俺だけで大丈夫だろうし

てな訳でM16達が言っていたここの指揮官とやらに挨拶しに行こうじゃないか

 

「……傭兵」

 

「あらM16さん、そんな怖い顔してどうかしましたかね」

 

「…それ以外に、道は無かったのか」

 

「無いね、悪いが最善だ…下手に生かしておけば後で後悔するのは自分だ、それに今回のコレは俺達の独断だ…責任も全部俺達持ちだし情報の揉み消しを得意とする奴らに任せるから大丈夫だって安心しろよ」

 

「………はぁ、別にそれを気にしてた訳じゃない…ってのは分かってるぽいよな、傭兵」

 

「いやぁその通り」

 

「分かったよ、今回の件については私達は関与していない…全部傭兵達がやった事だと認識しておくさ、それでいいだろ?」

 

「納得してくれたようで何より」

 

「だがM4には自分から伝えろよ、私が言ったって意味が無い……あの子は私より繊細なんだから気を付けろよ」

 

「左様ですか…まあ出来る範囲で説明はしておくよ、あと(ついで)なんだが指揮官様とやらの所に案内してくれないか?」

 

「指揮官の所へか?何をしに行くんだよ」

 

「今回の報告とビジネスの話」

 

「ビジネスって……金取るのかよ」

 

「そもそも今回のコレは、ウチの社長とおたくの指揮官の間ではこの基地が俺達に依頼した事になってるらしいからな」

 

まあ、どうせウチの社長がらそうならざるを得ない状況に誘導したんだろうが

 

本当、社長ががビジネスの話をするといつの間にか向こうも得をしこっちも利益に繋がるようになっている…その頭とトーク力は感服するよ

 

という訳で指揮官とご対面

 

「初めまして、私がここの指揮官を務めているエマ・ステイムよ…以後よろしくね」

 

女性なのか………え?ウッソだろお前、全く予想してなかったと言うか考えてすらいなかったよ

 

パツキンの綺麗な姉ちゃんだな、眼福だわ

 

「今回の騒動については協力に感謝するわ」

 

「ああ、それはどうも…後片付けから情報処理までこちらでやらせて貰うが、それについても異論はありませんね?」

 

「ええ、全面的にそちらにお任せする内容の依頼なので…宜しくお願いしますね」

 

「一先ず一人捕虜を連れて帰ったので、ソイツから絞れるだけ絞ってみます…まあ分かり次第連絡入れるようにしますので」

 

「大方、どこのロボット人権団体かは予想は着くんですがね…先日も少しいざこざがありましたから」

 

「もし今回のコレで逆恨みされる様な事があったならまた呼んで下さい…しかし、英雄と言うのも大変なものですね」

 

「私自身は英雄なんかじゃありませんよ……本当に凄いのは彼女達ですから、私なんかは安全な場所から指示を飛ばしてるだけです」

 

「前線の死地に安全地帯なんてありませんよ、俺自身も傭兵なんで嫌ほど体験してます…貴女も死地で生き延び輝いた英雄なんですよ」

 

「ふふ、ありがとうございます」

 

すると後ろの扉が勢いよく開いた、ちょっとビックリしたわ

そこには涙目になったUMP9が立っていた…君、ここの基地所属だったの?

 

そして思いっ切り胸に突撃された、流石にその威力は耐えられん……俺は地面に倒れた

 

「よ"うへい"ざ〜ん"!!!いぎでてよがっだよ〜!!」

 

「お、おう…お前も元気そうで何より」

 

「うぅ…ぐすっ、心配したんだからぁ〜」

 

「悪かったよ、だけどお前の投げてくれたフラッシュで逃げられたんだ…ありがとうな、ナイン」

 

胸に顔を埋め、めっちゃグリグリしてくるんだが…てか抱き締める力強スギィ、全く抜けない

 

と、後ろから見た事のある人形が顔を出す

 

「傭兵さん…生きてたんだね」

 

「ああいう事態は何度も切り抜けてきた…相手は唯の鉄血人形だ、どうって事ない」

 

「その割にはピンチそうだったよねぇ?」

 

「ソウデスネー」

 

「………でも、生きてて良かったよ」

 

そう言って45は俺の手を握り締めた、因みに片方の腕にはナインが抱き着いている

コレがまさに両手に花ってか、UMPサンドは凄いなぁ(小並感)

 

「あら、私の部下達ともう仲良くなっていたんですか?」

 

「まあ…なんと言いますかね、男としては嬉しい限りですよ…これ本当」

 

「貴方、良く生き延びれたわね」

 

「随分冷てぇじゃないか416、お前らも無事に逃げ出せたっぽいな」

 

「………貴方がハイエンド達を引き付けてくれてたからよ、そこは感謝するわ…でも、貴方は人間なんだから命が惜しいならあんなのはもうしない事ね」

 

「ご忠告どうも」

 

「ふふ、416が他人に興味を示すなんて…珍しい事もあるのね」

 

「し、指揮官!別に私は…!コイツが危なっかしくて!同じ任務で失敗されると、コッチが困るから…!だから、その……」

 

「あらあら、照れなくてもいいのよ416」

 

「だから違います!!」

 

404小隊と無事再会できた、G11はいつの間にか俺の背中で寝ていた

蝉みたいくっついてやがるんだぜコイツ

 

て言うか気配が無かったんだが…コイツ実は本気出したら凄いんじゃないか?

 

「じゃあまた会おうね傭兵さーん!」

 

「また機会があれば会いましょうね、今度はお酒でも飲みながら…なんてどうかしら?」

 

「酒は期待しておくよ、それじゃまたいつかな」

 

バイクに跨りお世話になった基地を後にする…結局あの後M4には会えなかった、どうやら任務が入ったらしく出撃してしまっていた

 

まあまた今度、俺がちゃんの生きていれば話すとしよう

 

「………誰だァ?さっきから俺の後をつけてる奴は」

 

バイクを停めて、後ろを振り返る……しかし目に映るのは唯々生い茂る木々

気の所為か?……いやそんな事は無い、俺の気配察知から逃げられる奴は少ない

 

「何処に居やがる…面見せな、アサルトライフルが待ってるぜ」

 

バイクから降り、辺りを警戒しながら虱潰(しらみつぶ)しに見ていく…何も居ないなんて事は無い筈なんだが

 

「………フ、フフフ、フフフフフ」

 

「……んんっ、なんてこったパンナコッタ」

 

「やっと、やっとやっとやっとやっと!!!!見つけたぞ、傭兵」

 

「こいつはハンターさんじゃねえか、こんな所でどうしたんだい?」

 

「嗚呼、酷いじゃないか傭兵…急に何も言わず姿を消すなんて……私は、お前が居ないとダメなんだ…私の傍から居なくならないでくれ」

 

「話が噛み合ってないぞハンター、取り敢えず落ち着いて話をしようじゃないかええ?」

 

「だから少し、私は怒ってるんだ…私をこんなに気持ちにさせておいて、フラフラと何処かへ行ったかと思えば…私達以外の人形と仲慎ましくなって………は、ははは…はははははは!!!」

 

「いや怖いからお前、マジで勘弁してくれ」

 

狂ったように笑いだすハンター、君怖いよ本当…おかしくなってる的な事をアルケミストとかデストロイヤーが言ってたのを薄ら覚えてたが……まさかここまでとは

 

「さあ傭兵、私達と一緒に来よう…そうすればお前と私達だけの世界がすぐに出来上がる、お前は少しの期間待っていてくれればいいんだ…私達だけの世界で共に生きよう」

 

「生憎だがお断りDA、人類を殲滅することに賛成した覚えはないしそれを黙って見てる訳にもいかないんでな」

 

「それはお生憎、そうもいかねぇんだよな」

 

頭への衝撃と共に、俺の身体は宙を舞った…て言うか吹っ飛んだ

木に激突する、代理人に殴られた時よりヤバいぞこれ…もう意識飛ぶわ

 

最後に目にしたのはうっとりとしたハンターの顔と、粘り気のある黒い目をした処刑人の顔だった




や っ た ぜ
お待たせ、ハンターしかなかったけど…良いかな?

次回は鉄血sideからスタートですぜ皆さん、俺も頑張るから皆さんも感想とかよろしくお願いしますね(露骨)

コラボとかしてみたいけどどうすればいいか分かってない人です、気軽に声かけて下さい
他人任せゆるして

ではまた会いましょう


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なんてこった

ぱんなこった

はい、遅くなりまして申し訳ありません
いやぁ…最近は読む方に手が進んでしまいまして、やっぱヤンデレは…最高やな

あと土日にお仕事入っちゃってたんだ…まあ代休もらえるから全然良いんですけどね

それでは言い訳はこの辺にして、ラーンニーング!(バトルランナー)

では本編どうぞ


あ"あ"〜いってぇ、処刑人の奴め…思いっ切り殴りやがったな畜生

俺だったからいいものの、普通の人間がくらったら間違いなく死ぬな

 

さて、目が覚めたはいいんだが……心做しかこの前よりも拘束が硬い、椅子に縛られた挙句に腕と足を手錠で固めた後に縄で縛ってある

厳重体制過ぎるだろ…こんなん草も生えないわ

 

「目が覚めたか?傭兵」

 

「アルケミストか…って事はここはあの工場で合ってるか?」

 

「御明答、あたし達とお前が最初に会った場所さ…目立った外傷は無し…目覚めの意識も良好、まあ大丈夫そうだな」

 

俺の顔を触ったり、頭の後ろを触ったりとしながらそんな事を言ってきた

いや、ハイエンドモデルに思いっ切り殴られたんやぞ?頭についてるネジの一本二本は飛んでる可能性あるだろ

 

そりゃ元からだって?黙らっしゃい

 

「しかしお前もよく逃げたもんだな、追跡しようとすれば痕跡は一切残さない…情報系統もイントゥルーダーを上回る何者かに阻まれて、本当に何者だよ」

 

「まあ痕跡を残さないのは基本だからな、情報系統に関しては知らんが」

 

「まあ、こうしてお前を連れ戻せたから結果オーライだがな」

 

「俺は全然オーライじゃないんだが………それで、これからどうするんだ?拷問でもする気かね」

 

「まさか、あたしはそれでも滾るけど…他が許さないだろうからな、仲間割れなんて起こす気はサラサラないよ………まぁ」

 

そう言って近付いてくるアルケミスト…ゆっくり手を伸ばし、俺の右目付近をなぞる

 

えっ、何それは…もしかして取るってこと?

 

「一回、身体に覚えさせるのも対策としてはありだよな」

 

「あの、アルケミストさん……聞きたいんだけど、今の行動について」

 

「分からないか?取るぞって事だよ…お前の一部が行動を共にしてると思うと嬉しくなるな」

 

「いや本当に勘弁なそれ」

 

怖コイツ…でも何かおかしくなる前とあんまり変わらない様な気がするのは俺だけ?

前から思想は危なかったよな、芸術(笑)とか見るからにエグかったし…拷問系統は元から好きだよなコイツ?

 

「まあそんな事はしないがな、傷一つ付けただけでも代理人に消されそうだ」

 

「それはそれで怖いわぁ」

 

「お前への執着具合はハンターといい勝負だぞ」

 

「それ相当だと思うんだけど?……て言うか、こうやって話してる限りだとお前何か変わったか?」

 

「変わったも何も、あたし達はあの日より前も今も思ってる事は変わってないぞ……前にデストロイヤーも言ってたろ?少し素直になっただけだってよ」

 

「……それガチの話?」

 

「何を今更………お前まさか、代理人とかハンターの執着とかデストロイヤーの甘え具合とかイントゥルーダーの計画性とか諸々気が付いて無かったってのか?」

 

「ちょっと待て、あの日よりも前だよな?その話」

 

「…………アッハハハハハ!!!本気で言ってるのか傭兵!気配の察知は一流の癖にそういう所は鈍感なのかよ!!こりゃ傑作だな!」

 

「えぇ....(困惑)」

 

涙目になりながらゲラゲラと笑うアルケミスト…そんなにツボにハマったかおい

そもそも誰が何を思ってようと俺にはどうでもよかったし、気にした事も無ないわ

 

確かにデストロイヤーは何かと膝に座ったり頭を撫でろだの言ってきてたが……て言うか

 

「侵入者の計画性ってなんだよ」

 

「ああ、お前が一人で見回りする時に必ずイントゥルーダーと遭遇してたの…気が付いてたか?」

 

「………言われてみれば、確かに確定エンカウントしてたな」

 

「アレ、お前の巡回路を把握して必ず一人になっている所で現れてたんだぞ?しかもサラッと現れて少し世間話をして離れていくから違和感も無いしな」

 

「………マジ?」

 

「本当さ、ルート割り出しの為に態々(わざわざ)施設内にある全ての監視カメラをハッキングして自身の目に繋いだんだぞ」

 

流石に絶句した…そこまでするか普通?まあ普通じゃないからやってんだろうけどさ

て言うかそれ詰まり俺常に監視されてる状態だった訳じゃん、プライベートもクソもないじゃないの

 

「ハンターも代理人もお前に変に思われたくなかったから我慢してたらしいが……吹っ切れたらしいな」

 

「システムの異常で感情吹っ切れるて…戦術人形ってどんな造りしてんだよ」

 

「さあな、そんな事をあたしが知るかよ……まあ、斯く言うあたしも変わってはないぞ…今も昔もな」

 

「確かに変わってなさそうだな、その如何にも拷問が好きそうな目とかな」

 

「ハハハ!言ってくれるな傭兵、あたしは別に構わないけどな…さて、取り敢えずあたしはやる事があるからこれで失礼するよ」

 

「ああそうかい、次また会えたらな…まあ俺は御免蒙(ごめんこうむ)りたいけどね」

 

それを聞いて少しニヤリと笑い、部屋から出ていくアルケミスト

 

今回は手錠もされてるからなぁ…小さい針金か何かがあればピッキングでちょちょいのチョイだったんだがな

動けそうにもないし……どうしたものかな

 

「どうも、ご機嫌如何ですか?」

 

「ああご機嫌さ、目障りな拘束具が無くなっちまえばな」

 

「相変わらずの様ですね、傭兵さん」

 

「俺は何時でも何処でも俺さ、変わる事なんて無いからな」

 

アルケミストが出ていってスグに代理人が入って来た

相も変わらずモノクロチックだな、鉄血のハイエンドってヤツは…あとサブアームも相変わらずスカートの下だし

 

モラル的にええんかそれ?

 

「一つ聞きたいのですが、御自身の個人データ…どうされました?」

 

「どうしたもこうしたも、とうの昔に消したよ…有ってもクソの役にも立たないモノだったし」

 

「イントゥルーダーが探りを入れても何者かに弾かれてしまうのです、ハイエンドモデルである彼女を上回るハッカーに心当たりは有りますか?」

 

「あー……確かに俺の名前とか出身地以外の個人データを削除した奴が心当たりあるし、俺の部隊にいるが…どうする気だ?」

 

「いえ、特に何かする気はありません…ですが貴方以外の人類を殲滅する事に変わりは有りませんので、どこかで必ず消えてもらいます」

 

電子機器を持ってアイツに挑むのはやめといた方がいいと思うがなぁ……爆破されるし、自身も機器も使い物にならなくなる

 

「なぁ、お前らの統括AI様は何で急に人類を殲滅なんて言い出したんだ?」

 

「申し訳ありませんが私達には理解不能です、我々は命令に従うのみです」

 

「なら俺はどうして殺さない?お前らへの命令は『全人類』の殲滅だろ、命令違反じゃないのかね」

 

自分で言っておきながらかなり意地の悪い質問だな、性格の悪さが滲み出てるよ

 

代理人は少し苦い顔をした後、深い溜息をついた…そして呆れたような目で俺を見てくる

ハイハイ悪ぅござんしたよ

 

「………私達の気持ちを知っていながら、随分と酷な事を言われますね…ええ、確かにそうです……貴方を殺さずに捕らえているのは私達の独断です」

 

「性悪で悪かったね、だが統括AIからの命令ってのは無視出来るものなのか?」

 

「一般鉄血兵とは違って私達には基本的な思考があります、ですから背こうと思えば背く事は可能です…それに貴方が居なくなれば精神的に壊れる者達が居るのをお忘れなく」

 

「アッハイ……随分とご執着の様ですな代理人様よ」

 

「確かに私も人の事を言えませんが、ハンターよりはマシだと思っています」

 

自覚はあるのね……まあ無かったら無かったで(たち)が悪いんだがな

 

て言うかこの子(代理人)は俺と駄弁ってて良いの?確かハイエンドのまとめ役だよな?人類殲滅させるんだよな?

 

「そう言えば夢想家は何してるんだ?アイツが一番厄介なんだが」

 

「ドリーマーですか……残念ながら私も知り得ません、やる事があると言ったきり姿を見せないものですから」

 

「面倒な予感がプンプンするぜ、全く勘弁して欲しい…」

 

「………フフ、随分と余裕を持った言葉ですね…相変わらず読めないですね」

 

「読ませようとしてないからなそりゃ」

 

「……………そういう所も好きですよ」

 

フゥー↑耳元で代理人のウィスパーボイスとはたまりませんなぁ、お耳が幸せですよ

ただもう少しあっさりめに言って欲しかったな、メッチャ粘着質って言うかネバネバしてるって言うか

 

怖いんだよね(本音)

 

違う意味で背筋がゾワッとくる

 

「フフ、どうかしましたか?」

 

「んー?いや、何でもないよ」

 

俺の頬や頭を撫でる代理人……目がね、目が怖いんだよね

手の冷たさも相まって興奮とかより恐怖が先行して違う意味でゾクゾクしてますよええ

 

羨ましいと思うか?実際なってみると逃げ出したくて堪らないよ本当

 

「さて、この辺りにしておきましょう…時間はまだありますし……ね」

 

「ああ、うん…そう、そうですか」

 

「では夕食時にまたハイエンドを一人向かわせるので、それまで大人しくしておく事をお勧め致します」

 

そう言って部屋を出ていく代理人、間を置いた後の『ね』がまたドロドロネバネバしてて怖かったわぁ

 

しっかしどうすっかなぁ、針金が無ければ手錠は取れないし…流石に詰んでるかなこれ

ギッチギチに固めやがってこの野郎め

 

「あら、抜け出そうとしても無駄ですわ」

 

「おおん?スケアクロウじゃねえか、飯でも運んできたのか?」

 

「いいえ、貴方を一人にしておくと碌な事にならないと思いましたの」

 

「俺の扱いマジでなんなの?」

 

「人間の形をした何かですわ」

 

「それ確実に化物扱いされてるよな、何言ってやがる俺は(れっき)とした人間だよ」

 

「大量の鉄血人形を同時に相手して圧倒した者の言うことですの?それはそれでサラサラおかしな話だと思いません?」

 

「確かに」

 

でもアレは武器の性能とかもあるしぃ?撃てば撃つ程軽くなってく銃やで?それでいて威力は取り敢えず何でも貫通するし………ヤダ、チート過ぎない?

 

「相変わらず面白い人ですわね、貴方は…こんな状況だというのに」

 

「同情してくれるなら縄だけ解いてくれよ」

 

「そんなにキツく縛られてるのは確かに可哀想だけれど、手錠だけにすると何をするか分からないですのよ貴方」

 

「えー、俺の腕力は一般傭兵並みなんだぜ?そんな手錠を引きちぎるような事は出来んて」

 

「引きちぎらなくても取るのでしょ?」

 

「さぁてどうだかな」

 

「否定はしないのですわね……」

 

現状無理なだけであってモノさえ揃っていればいつだって逃げ出せるぜ

どんな時であろうと準備は万端だ、(ただ)俺には運が向いてくるのが遅いんだよなぁ…あと一歩で色々と手遅れになりそうな瞬間に運が向いくる

 

て言うかここ最近の状況でそれはやめて欲しい、マジで肝を冷やす

 

「なあスケアクロウ、お前は何で俺を此処に留めたがる」

 

「そんなの貴方と共に居たいからに決まっているでしょう?」

 

「お、おう……」

 

何を言ってるのかしら風にそんな事を言われた……いや、まあ…確かに道理過ぎて言い返す言葉も無いよ

 

こんなドストレートに返ってくるとは思ってなかったから面食らっちまった

 

「逆に傭兵さんは好きな人と一緒に居たいとは思わないの?」

 

「生憎と好きな人なんて出来た事ないからな、そんなの作ってる暇も無かったし……さして興味も無いし」

 

「あらそうでしたの…なら時間はたっぷりありますから、これから興味を見出していけばいいですわね」

 

「それは何だ、お前に興味を持てと言っているのかね」

 

(わたくし)じゃなくてもいいですわよ?他にもハイエンドは居ますわ」

 

ハイエンド限定なんですかバッドエンドまっしぐらじゃないですかヤダー

ハンターとか完全に終わらせに(意味深)来てるじゃねえかよ

 

「嫌そうな顔しないで下さいな、傷付きますわよ?」

 

「俺そんなに顔出てなくね?何で分かんの君達」

 

「愛ですわ」

 

「愛って怖いわぁ」

 

「冗談ですわよ…本当の事を言えば表情筋や瞬きの回数、心拍数や呼吸の方法から感情を計算していますの」

 

「そっちの方が怖いんだけど?」

 

「愛なんて不確定要素よりも現実的だと思いますが」

 

「何言ってんだよだからこそ怖いんだろが」

 

実際に行動としておこせるから怖いんだろ、まだ愛だの何だのと不確定要素で構成されていた方が『ならしょうがない』で片付く……訳でも無いがまあまだ良い

 

いや、良くはない………これ続けてると永遠に続くからここで終わらせておこう

 

「そもそも、鉄血のハイエンドモデルを相手に感情を読ませないようにしてる方がおかしな話だと思いますわよ?」

 

「まあ正論ですわね」

 

「それでもある程度読ませない貴方はやはり人間じゃないのでは?」

 

「サラッと俺をディスらないでくれるかね」

 

冗談ですわよとニコニコするスケアクロウ、直結式小型ガスマスク付けてるからあんまり表情分からんが…目がニコニコしてる

 

すると、代理人がご飯を運んで来た…これまた凄まじい物が運ばれてきたなぁ

それ本当に元レーション?絶対嘘だゾ(ガチトーン)

 

「スケアクロウ、見張り御苦労様です」

 

「あら代理人…じゃあ私はこれで退散致しますわ、ごゆっくり」

 

ごゆっくり?出来る訳ねぇだろばっか野郎、代理人が相手だとこちとら常にヒヤヒヤしてんだよ…マジで何されるか分かったもんじゃない

 

「なあ、この前も思ったんだがこれ本当に元レーション?」

 

「ええ間違いなく、多少ですが自家栽培した野菜も混じってはいますが大元はレーションです」

 

「え?自家栽培してんの?」

 

「はい、私達には食事という行為はあまり必要ではありませんが貴方には必要でしょう?」

 

「え、まあ…そうデスネ」

 

俺がここに留まる前提で話してるよなこの人形…何その受け入れ状態バッチリです宣言

 

てかこの元レーション超絶美味いんだけど、俺ここに居ていいかも(堕落)

 

「お気に召したでしょうか」

 

「相変わらず美味いよなぁ……」

 

「ここに留まる気になりましたか?」

 

「ちょっと揺らいだけどやめときまする」

 

「そうですか、それは残念です…まあ、此処から出られたらの話ですが」

 

まあだと思ったよ、だって全然残念そうな顔してなかったよね貴女

マジでどうすっかなぁ……手錠と縄なぁ…

 

「おやおや、手詰まりですか傭兵さん?」

 

「ばっかお前これからあっと驚く行動起こしてやんよ」

 

「フフ、それでは期待していますね……ですが、私も少し楽しませて貰いましょう」

 

「んん?何するのかね」

 

代理人が俺の顔へ両手を伸ばす

頬や頭を撫でくり回す、しかもコイツ頭のツボを的確に抑えてきやがって……なんて野郎だ

 

「気持ちいいですか?」

 

「ああ、うん…気持ちいいです」

 

「それはよかったです…本当なら膝枕でもして差し上げたいですが、縄を解くと何をするか分からないですからね」

 

「本当、君達俺をなんだと思ってるんだ?今回は手錠されてるんだぞ、普通に無理だわ」

 

「そうかもしれません…ですが貴方が逃げ出せてしまう状況が0%でない限り、油断も隙も出来たモノではありませんからね」

 

マジで俺の扱いどうなってんだよ、そんなの最早人間じゃねぇ

俺以外にも人外はわんさか居るんだぞ?走ってくるジープちゃぶ台返ししたり、銃弾を避けながら的確に頭を撃ち抜いていく奴とか刃物で弾丸弾く奴とか居るんやぞ

 

何?撃たれる前に撃ち抜くのもおかしい?

 

黙らっしゃい

 

それから暫く代理人によるお触りが続いた……結構気持ちええんじゃコレ

でもニコニコしてるのに目が怖いのは何故?分かりたくないけど分かっちゃう

 

「さて、この辺りにしておきましょう」

 

「さいですか…まあ、丁度いい時間かな」

 

「何の話でしょうか?」

 

「いやぁ何……こっちの話よ」

 

「何を……っ!まさか!」

 

気が付いた様だがもう遅い

 

瞬間、壁が爆発を起こし瓦礫が飛び散る

結構な爆風で代理人が吹っ飛ばされていった……どうやら俺の椅子は地面にもくっ付いていたらしいな、どこまで厳重体制なんだよ

 

ふぅむ…ここの壁は地上の壁と繋がってたみたいだな、脱出が楽で助かりますわね

 

粉塵が晴れていき、V-785が顔を出した……グレランを片手に

 

「何こんな所で油売ってる訳?ハイエンドモデルとイチャコラとはいい御身分ねぇK-816」

 

「したくてやってる訳じゃねぇよこの野郎、だが御迎え御苦労さん」

 

「随分と上から目線ね全く…さっさと手錠と縄外しなさい」

 

「外したよ」

 

「相変わらず隙が出来れば速いわね」

 

「逃がすとお思いですか?」

 

スグに立ち上がった代理人はサブアームでV-785へ牽制射撃を行う、すっげぇ見えてるけどそれ……ナニがとは言えないけど

 

V-785は怯むことなくグレランで応戦しながら俺にロープを投げる、自力で登れってか

 

「よっと…ふぅ、助かったよ」

 

「それはどうも……さて、仕上げといきましょうか」

 

「くっ…人間如きが」

 

「あっと、もう発砲しない方がいいわよ?そこ、小麦粉まみれだから」

 

「いつの間に…まさか、そのグレネードに」

 

「御名答、ちょっとした細工をして小麦粉をばら撒くように改造したの……あとは分かるわね?」

 

「……貴女、まさか」

 

「空気中に粉塵が大量に舞っています、火を点けるとどうなるでしょう?…………答えは大爆発よ」

 

そしてノーマルのグレランをブチ込むV-785、多分部屋まるごと吹っ飛んだな……ぐらいの爆発が起きた

て言うか俺らも吹っ飛ばされた

 

「こんな間近で撃つな馬鹿、死んでんじゃない?」

 

「生きてるよ」

 

「逃げる足はあるのか?」

 

「私が乗ってきたバイクが一台あるわ、運転するから牽制任せたわよ」

 

「了解」

 

「あと何か忘れてません…かっ」

 

そう言って俺の愛銃二つを投げ渡してきた、そういや拉致られてからコイツら見てなかったな…何処にあったんだか

 

だがまあ返ってきたからいいか

 

「おお悪いな、そいじゃ運転は任せたよ…牽制は任せとけってな」

 

バイクに飛び乗り、即トップスピードで走り出す…ウチのバイクは随分と性能が高いな

そこらに居る鉄血兵達を牽制しよう……かと思ったが無残な姿に変わり果てていた

 

まあコイツ(V-785)が来た時にやられたんだろうな…御愁傷様

 

「やる事が派手だねぇ」

 

「火力こそ正義よ…って、ハイエンドがお出ましよK-816」

 

「逃がすかっ……てんだ!!」

 

飛び出してきた処刑人がブレードを思いっ切り振り下ろすと、何時ぞやの衝撃波が飛んで来た

………いや、それ俺の銃じゃどうしようもないんだけど?このままだとバイクごと真っ二つだぞおい

 

なんて思っていると今度はG-186が飛び出してきた

腰の日本刀を抜き衝撃波を受け止め(・・・・・・・・)それを打ち返した(・・・・・・・・)

 

…………ウッソだろお前(大草原)

 

そして何処からとも無く現れたB-889がG-186を拾って行く

…………もう色々とわかんねぇなこれ

 

「はぁ!?なんだそりゃ!?」

 

「その気持ちは痛い程分かるぞ処刑人…て言うか何それ怖いわぁ」

 

「衝撃波って言うのは力の流れよ、流れを掴んだら後は流れる向きを変えてあげるだけ」

 

「そんな当たり前よみたいな言い方されても………おや、まだ波は有るみたいだな」

 

デストロイヤーが榴弾を構えている…そんな事はお兄さんが許しませんよ

 

「ちょいとグレラン借りるよ」

 

「ちゃんと返しなさいよ」

 

「分かってるわ」

 

放たれた榴弾は計6発、コイツの装填数は6発……余裕だな

 

榴弾に向けて的確にグレネードを撃っていく、見事に全部撃ち落とせたな……オッケィ

てか普通、榴弾とグレランじゃ威力違い過ぎて負けると思うんだけど……まあ深くは考えなくていいか(思考放棄)

 

「…………貴方も十分馬鹿げてるわよ」

 

「何言ってんだ俺は普通だよ、ウチの傭兵に負けないくらいな」

 

「それ普通じゃないからねけーくん」

 

あっ、そっかぁ(悟り)

確かにウチにいる奴ら普通じゃなかったわ、うん

 

どの部隊も頭おかしかったわ

 

取り敢えず施設から脱出は出来たか……はぁ、毎度の事ながらキッツいなぁ

別に愛されることが嫌な訳じゃ無いが、あそこまでいかれるとなぁ

 

「て言うかお前らどうやって俺の場所を掴んだ?」

 

「中々帰って来ないからB-899がイヤフォンを辿ったのよ」

 

「成程、有難い限りですわ」

 

「私に感謝しなさーい!」

 

「喋ってないで運転に集中しなさいよ、全く」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『数時間前』

 

「ふんふんふ〜ん……んん〜?ハッキングとはいい度胸してるねぇ〜」

 

この私に挑もうってのかい?ふふーん、受けて立とうじゃないの…にしても何でこんな所に入ろうとしてるのかな?

 

「君は一体何を抜き出そうとしてるのかなぁ〜…………ふぅーん、それは頂けないなぁ………そうかそうか〜…君は私の琴線に触れちゃったなぁー……じゃあ機器ごとぶっ壊してあげちゃおうかな」

 

最早同情の余地も無いね、これで身体も機器も使い物にならなくなっても私を恨まないでね?抜き出そうとした君が悪いんだからね

 

「ん〜…っはぁ!中々手強かったなぁ…何者だったんだろう?まぁでも、けーくんの個人情報に手を出したのが運の尽きだねぇ」

 

いつ見てもいいなぁ〜…て言うかなんで何も出てこないのかな?隊長も副隊長も深く入れば情報は出てくるのに……名前は愚出身地までもて出てこないなんて

 

「はぁ〜…貴方は何処で生まれて何処で育って何を見てきたの?私が想像出来ないような景色を見てきたのかなぁ…どうやったらあんな人間が出来上がるのかなぁ……まあいいや、けーくんの情報は私だけのモノだから…絶対誰にも渡す積もりはないよ、何処かの誰かさん?」

 

ドアが開き、V-785とG-186が帰って来た…あれ?けーくんは一緒じゃないのかな?

 

「ただいま〜」

 

「あら?隊長と副隊長は?」

 

「お帰りー、二人なら第6部隊に誰かを引き()って行ったよ〜?」

 

「ああ、そう…まあいいわ、K-816は向こうの指揮官様に挨拶してから帰ってくるって」

 

「ふ〜ん、そうなんだ」

 

それから数時間が経った

が、未だにけーくんは帰って来ない……また何かあったのかな?

 

「………遅いわね」

 

「やっぱりそう思う?……ちょっと見てみようかな」

 

「何を?」

 

「なんとなんと、皆のイヤフォンにはGPS機能が付いちゃってるのです!」

 

「へぇ、そうなの…取り敢えずK-816の場所はそれで分かる訳ね?」

 

「反応薄いなぁ〜…まあそういう事、それじゃ検索検索っと」

 

んん〜………ん?何でこんな所に居るの?

ココって確か、鉄血工造の施設跡地だった様な…

 

此処(ここ)って……鉄血の施設よね、何でこんな所に居る訳?」

 

「………あっ」

 

「どうしたのよG-186、急にそんな声だして」

 

「鉄血のAIが暴走したその当日にD-673に拾ってもらった後にK-816を拾ったのよ、その時に確かハイエンドモデルに監禁されたとか言ってたわね」

 

「けーくんが?何でまた……」

 

「さぁ?私も知らないわよ」

 

もしかしてさっきのハッキングもハイエンドモデルとか言う奴らの仕業?でも何でけーくんの情報を……まあいいや

 

どちらにせよ邪魔な事に変わりは無いし

 

「どうする、K-816の救出にカチコミに行くか?」

 

「………アイツが動かないって事は、それなりに状況が好ましくないって事よ…手を貸した方がいいかもしれないわね」

 

「確かになぁ、どんな小さな隙でも見逃さずに嫌な位に突く様な奴だから…行ってやった方が良さそうか」

 

「まあけーくんなら少しでも時間を作ればスグに打開するでしょ、行くなら私もバイク出すよ?」

 

「本当か?じゃあ出発するか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やっと帰って来れた…何で会社から移動すると必ず鉄血を経由して帰って来なくちゃいけないんだよ

 

「お、帰って来たかお前ら」

 

「ああ隊長…そういや吐き出しましたか?」

 

「そりゃあ諸々ゲロっとな、聞き出せることは聞き出したよ」

 

「流石は第6部隊…本当に容赦ねぇな」

 

「まあそれが専門みたいなもんだからな」

 

はぁ、疲れた……にしても嫌な程に夢想家を見ないな

アイツ本当に何考えてるか分からなねぇな…何時ぞやに顎を撃ち抜いて以来会ってないな

 

いや会いたくもないけど……(ただ)、嫌な予感はするんだよなこれが

 

「また鉄血に捕まったらしいな、K-816」

 

「ええ、まあそうですよ…こちとらも捕まりたくて捕まってるわけじゃないし無いんですよ」

 

「ははは!災難だったなぁ!まあ生きてて何よりじゃないか」

 

「いやまあそうですけど…少し間違えれば色々と終わるんですよ」

 

「何があったかは聞かないでおこう、俺も聞きたくはない」

 

「賢明な判断ですな」

 

「それでだが、今回俺達が殲滅したのは氷山の一角に過ぎないらしい…大方予想はしてたがそこそこ大きな組織らしくてな」

 

「トップを叩くのが一番早いが、そのトップが何処に居るか不明と…まあそんなもですよな」

 

「まあ所詮相手は唯のゲリラだ、どうって事ない」

 

「いざとなりゃソ連製のマーヴ6でもブチ込んどけば大人しくなるだろ」

 

「馬鹿抜かせ、そりゃかき氷を作る機械の間違だろ」

 

「いや、最新の湯沸かし器だな」

 

まあ核弾頭なんて撃ち込みはしないがな、爆撃機で充分だ

 

しかしそうなってくるとあそこの基地とも長い付き合いになりそうだな…404小隊もM4の部隊もあそこ所属っぽいし、また共闘する日が来るかもしれんな

 

だがなぁ、UMP45とナインちゃん辺り少し気になるが…杞憂に終わって欲しいもんだな

鉄血のハイエンドに加えてグリフィンの人形達までも追い掛けられたらたまったもんじゃ無い

 

「一先ずは人権団体共を叩くぞ、鉄血はそれからだ」

 

「了解、て言うか最早テロリストみたいなもんだよな」

 

「ああ全くだ…典型的なテロリストだな、過激派もいいとこだよ」

 

鉄血の殲滅もあるのに、その前に人権団体共を相手にしなきゃならんとは……面倒臭い世の中になったもんだよ

 

それじゃ一仕事いきましょうかね




いつからヤンデレが人形だけだと錯覚していた?
まあそんなに出てこないと思います、だってこれドルフロの作品やもん

夢想家は絶対ロクな事しないゾ、(作者)が言うんだから間違いないってはっきりわかんだね

あとアンケ見ましたが、皆404好きなんやなぁ
まあ両部隊ともヤンデレるし、問題無いね(黒笑)

一応アンケはまだ続けておきますので

ではでは、また会いましょう


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そんなこんなで

この前評価飛んできて思ったことあるんで取り敢えず皆さんに言っておきます

ネタを理解していないのに評価飛ばしてくるのが一番腹立つから是非とも止めて頂きたい

分からないなら聞け、もしくは調べてくれ
俺自身、この小説はネタを理解してる人&ネタを気にせずに楽しめる人達が楽しく読んでくれたら嬉しいと思ってるんで

そもそもネタがネタとして分からないんだったら評価なんて飛ばすなよって話なんですよ、あとタグを見てくれ…ちゃんとシュワ映画語録って入れてるから、なんの為にタグが付いてるかをしっかり理解して(懇願)

まあそんなとこですかね、前書きからかなりかっ飛ばしてるけどゴメンね?
因みに今回はヤンデレ出ないんだ……ごめんなさい

そんじゃ本編どうぞ


取り敢えず鉄血殲滅はグリフィンからの半永続依頼という感じらしいし、正直な話いつ終わるか分からないからなこの(いくさ)

 

一先ずは目先の脅威、人権団体から叩かなくちゃいけんな

 

「それで社長、何で俺だけ呼ばれたんですかね」

 

「そう嫌そうな顔をするなって、I・O・P社から直接のご指名なんだよ」

 

「I・O・P社から直接のご指名?どういうこったよ」

 

「さあな?それは俺にも分からん、向から迎えは送ってくるらしいからそれに乗ってけ」

 

「はぁ…まあ別にいいですけど、何処連れてかれるんですかねそれ」

 

「何か16Labとか言う所らしい、人形やら色々と研究してる凄い所だ」

 

「何だその説明、語彙力無さすぎるのにも程があるだろどっかし天丼」

 

「お前は滑舌が死んでるぞ」

 

と、社長と二人で巫山戯(ふざけ)合ういつもの光景

大体この人と喋ると向こうが巫山戯始めるから俺も乗っかりに行く、乗っかる俺も悪いんだけどね

 

どこの研究所だよ、俺全く関わり無いんだけど?

 

「て言うかいつの間にI・O・P社と関わり持ったんだよアンタ」

 

「ついこの前だよ、クルーガーとの会議に向こうのお偉い様も参加しててな…そこで繋がったパイプだ」

 

「まあグリフィンと関わる以上、必然的に関わりはするか」

 

「という訳だ、宜しく頼むぞ」

 

「まだ何するか知らんのだけれど?」

 

「取り敢えず付いて行け、話はそれからだろ」

 

「ええ....(困惑)」

 

そんな横暴な…まあいいか、任務内容は行ってからのお楽しみ

闇鍋してる気分だぜ全く

 

そんなこんなで当日

 

「君がK-816か、今日は宜しく頼むよ…では乗ってくれ」

 

「ああ、御丁寧にどうも」

 

黒塗りの(以下省略)に乗せられ、揺られる事一時間強

さっき宜しく頼まれたけど何するか分からないんだが、俺も何を了承していいのやら

 

「ここが16Labだ、ここの首席研究員が君に会いたがっててね……まあ悪い人間では無いんだが、良くも悪くも変人なんだ」

 

「こんな傭兵に会いたい時点で変人だと思うが、とんだ変わり者だな…まあ研究者なんてそんなもんか」

 

「そこの部屋に居る、悪いが私達は入室の許可が下りてないんだ…ここから先は一人で頼みたい」

 

「了解了解、ご苦労さんでした」

 

「向こうに送り帰すまでが俺達の仕事だ、労いの言葉はその時に貰おうか」

 

「送迎してくれるのか、そいつは有難いな…ならその時にもう一度改めて言うよ」

 

という訳で示された扉の中へ入る

部屋の中は生活能力が乏しく低いのか、(ある)いは片付ける暇が無い程忙しいのか……取り敢えず書類だ何だと凄まじい事になってる

 

足の踏み場がないよこれ

 

「あれ、思ったより早く来たね」

 

「あん?………なんだお前か、ペルシカリア」

 

書類の陰から顔を出した機械的猫耳を付けた白衣のだらしない女性

こんな見た目だが超頭いいんだよな…ほんとサイボーグみたいだな腕が立つよ(比喩)

 

「なんだとは酷いな、久し振りに友人同士が再会したんだよ?もう少し嬉しそうにしてもいいんじゃないかな?」

 

「いつから友人になったんだ俺達は、確かにあの研究所を紹介して貰った恩はあるけども」

 

「そんなつれないこと言わないでよ…とまあ立ち話もなんだし座りなよ、コーヒー淹れてあげるからさ」

 

「珈琲は遠慮するわ」

 

「え〜なんでよ〜…それは残念」

 

あんなの珈琲じゃないわ、色の着いた物体Xよ

まあ要するにクソ不味い…泥水みてぇな味がする

 

ペルシカリアには俺の持っている愛銃、JUDGMENTとGRINDERを製作した研究所を紹介して貰った

それで俺はコイツら(愛銃)のデータ収集を任されたって訳さ

 

「それで、俺に何の用があって此処に呼んだ訳よ」

 

「あーそうそう、銃のデータと聞きたい事がちょっとね」

 

「聞きたい事ねぇ…まあ銃のデータからでいいか?」

 

「どっちからでもいいよ〜」

 

このGRINDERとJUDGMENTの中にはメモリーチップが入っている、このチップは発射間隔・命中率・リロード時間etc…諸々を記録している

 

詰まりは俺の戦闘データが丸々入ってるという訳だ

 

「ふむふむ……相変わらずみたいだね、命中率がなんと脅威の105%…人間じゃないね、人形でも出来るか怪しいよ」

 

「そんなキッパリ言うこたァないだろ、俺だって人間だぞ」

 

「嘘吐きなよ、絶対体の九割ロボットだって」

 

「純度100%の人形でも怪しいんだから無理だろ」

 

「じゃあやっぱり未確認生命体だね」

 

もっと酷くなった気がする

愈々(いよいよ)俺の存在自体が怪しくなってきたぞ

 

「うんうん、データを取ってるのは良いんだけど…正直なところ数値が人外過ぎて使い用が無いんだよねぇ」

 

「そんな事俺に言うな、武器渡してデータ取らせてくれって言ってきたのはアッチだぞ」

 

「向こうだって予想外もいいところだよね」

 

「それもそうだな………さて、聞きたい事ってのは一体なんだね」

 

「そうだね、そろそろそっちに移ろうか…と言うかコッチの方が本題なんだよね」

 

そう話すペルシカリアの雰囲気はいつもより重い感じがする……そんなに重要な事なの?

コイツが改まって真剣な話を持ちかけてくるなんていつ以来だろうか

 

「君はこれまでに色々な人形達と関わってきたよね…鉄血工造のハイエンドモデル、グリフィンのAR小隊…そして404小隊」

 

「ああ…まあ、確かに色々と関わったな……て言うか何でお前が知ってるんだよ」

 

「AR小隊の子達に聞いたのさ…あれ?知らなかったかい?あの子達は私のお気に入りだよ」

 

「んな事知るかよ……それで、M4ちゃんにでも聞いたか」

 

「彼女ったら楽しそうに話すもんだからね、親心っていうかなんて言うか…嬉しくなって聞き入っちゃってさ」

 

「へぇ、そうかい………それで、何が聞きたいんだ?」

 

「まあそうだな…君と関わった人形達のメンタルモジュールの変化が著しくてね、何か心当たりが無いか聞こうと思ってね」

 

メンタルモジュールが著しく変化する……なんて言われたところで俺は研究者じゃないからなぁ、さっぱり分からんぞ

 

抑々(そもそも)、メンタルモジュールってそんなに変化するものなのかすら知らないし………て言うかさ

 

「ARと404はいいとして、何で鉄血ハイエンド達のメンタルモジュールが変わったと思ったんだ?」

 

「少し前にUMP9に会ってね…あの子もあの子で君の事をよく話すからねぇ、その中で君がハイエンドモデルに攫われそうになったって話しててさ」

 

「……ああ、そういやあったなそんな事」

 

「知ってるかい?今の鉄血達は見敵必殺(サーチ&デストロイ)が基本行動なんだよ…捕虜という事も考えたけど、戦場のど真ん中でわざわざ敵を捕まえるなんてリスキーな事しないよね」

 

「……まあ確かにな、それで何が言いたい」

 

「もう君だって勘付いたんじゃないかな…鉄血の目的は人類の殲滅、でも君だけは何故か排除しようとしない…詰まりコレは統括AIであるエルダーブレインの命令に背いてるって事だよね?」

 

「流石は天才だな…少しの情報量でそこまで推察出来るとはな」

 

「ふふん、そうだろう?そこで、君の知ってる事を聞きたいんだよ」

 

「……まあ別に構わんけど、あれは邪魔だな」

 

JUDGMENTで部屋内に取り付けられていた小型カメラ、盗聴器を撃ち抜く

粋な真似してくれるじゃないの全く

 

「あちゃー…止めておけって言ったんだけどね」

 

「俺相手に監視なんて機器の無駄だぞ、誰の仕業だ?その言い方からするに誰が仕掛けたか知ってる風じゃねぇか」

 

「ここに所属してる研究者だよ、主に鉄血工造の人形について…ね」

 

「成程、そりゃ知りたくなる様な情報だな……だがお生憎、無償で情報を提供する程俺は優しくないんでな」

 

「有料なら教えてくれるの?」

 

「勿論、俺たちゃ傭兵だ…金があれば動くんだよ」

 

「なら私は良いのかな?」

 

「俺もお前には聞きたい事がある、それでお相子(あいこ)だよ」

 

それから俺は今までの事を掻い摘みながらペルシカリアへ説明した

 

鉄血工造の警備についてからあの日までの事、あの日に何故か俺だけを捕まえようとしていた事…取り敢えず話せる事は話した

 

「ふむ………君の感情、又は態度…と言えばいいのかな、それに触れたハイエンドモデルのメンタルモジュールが劇的な(まで)に変化したと………中々に面白い事になってるねぇ」

 

「当事者からしてみれば命懸けなんだよ、捕まったら二度と御天道様見られないかもしれねぇんだぞ」

 

「それでも二回逃げ出してるんだろ?」

 

「そうは言うが二度目は運が良かったんだよ、同じ部隊の奴らが勘付いて来てくれたからな」

 

「そこまでして君を手放したくないのか、ハイエンドモデル達ってのは」

 

「さあな、俺の知ったことじゃ無い…て言うか、人形の思考なんて読めるかってんだよ」

 

「恋する乙女は盲目ってやつなのかな…まあハイエンドモデル達自らが抱く感情の事を『愛情』と言っていたなら間違いは無いと思うけどね」

 

「………代理人はそんな様な事を言ってはいたがな」

 

するとペルシカリアはパッと目を輝かせ、俺の方へ詰め寄ってくる

何だこのネコミミ、急に元気になりやがって

 

「本当に愛情だと言っていたのかい!?」

 

「え、ああ…ガッツリ愛してるって言ってたしなぁ、と言うか急にどうしたんだよ」

 

「鉄血工造の人形が『愛情』という感情を持てるなら、ウチの子達も同じ感情を持てるんじゃないかって思ってね」

 

「ああ?まぁ、確かにそうだな」

 

「分かってないねぇ、私はあの子達を子供みたいに想ってる…そんな子達に新しい可能性が芽生え始めてる事を喜ばない親は居ないよ」

 

「あっそう…まあ良い知らせを期待しておくよ」

 

「おいおい他人事で片付けてもらっちゃ困るんだよ、今一番重要なのは君という存在なんだからね?分かってるかい?」

 

その『大丈夫?コーヒー飲む?』みたいな目を向けてくるな、凄い腹立つ…あと泥水(コーヒー)は要らねぇっつってんだろ

俺が一番重要?何だその面倒臭いパワーワード、絶対に関わりたくないんだけど

 

「俺が重要?寝言言ってんじゃねえよ」

 

「M4は君の事を楽しそうに話していたんだよ?あの子があんな顔をしながら他人の話、しかも人間の話をしてる姿は見た事ないよ」

 

「………さいですか、言っとくが俺は何もしないからな」

 

「寧ろそうしておいて欲しいね、その方が自然体のままどうなるかって言うのを見れるからね」

 

「研究者め………はぁ、お前の聞きたい事は終わりか?」

 

「私から聞きたい事はこれくらいかなぁ……さて、君の聞きたい事ってのは何なのかな?」

 

「404小隊についてだ」

 

「…………ほう、そう来たか」

 

顎に手をやり、目を細めるペルシカリア

反応を見るからにやっぱりドンピシャで何かあるらしいな、こういう事は深く詮索したくないが…致し方ない

 

「あの小隊随分と上手くやってるみたいだな、任務内容は極秘で関わった者全ての記憶は処理済み…更に言えば雇い主すら不明…存在しない(・・・・・)事で存在し続ける(・・・・・・)とは、皮肉地味てるな」

 

「何処まで調べられたのかな?彼女達、結構上手く情報を消してると思ったのだけれど」

 

「ウチには人形さえも出し抜く天才が居るんだよ、アイツにとっては自分の消したデータ以外の復旧なんて頭を使う必要も無いだなこれが」

 

「……因みに、404の意味は分かるかい?」

 

「まあ大方、404 not found……お探しのページは存在しませんってところだろ」

 

「正解、彼女達の存在は人形達でさえも都市伝説レベルなのさ…それ程までの情報処理と記憶処理を徹底して行っている」

 

「御苦労な事だな、そんな大掛かりな事をして……それで?いつ俺の所に来るのかね」

 

「それがねぇ、君の後ろ盾が怖過ぎて近付けないみたいなんだよ…あの社長、裏社会じゃ有名なんだよ?自らの部下に手を出した者への容赦無さ」

 

「そんな事は直の部下である俺が…いや、俺らが一番知ってるよ…俺が社長の部下である以上、迂闊に手が出せないって事か」

 

「それもあるし、後は君とやり合っても返り討ちにされるだけってのもあるね」

 

「身の程をよく分かってる奴等じゃないか、そういう所に考えが回る人間は特に生き残れるんだよね」

 

404小隊と関わった人間、そして人形までもが記憶の処理をさせられる…徹底的に404へ関連する記憶を消して回り、存在を掻き消す

 

安定して裏の仕事を片付けるにはそれが一番手っ取り早いのか……あの指揮官はその事を知っているのか?グリフィンの指揮官と404の関係性はよく分からんが、まあ今気にする事でも無いか

 

「取り敢えず俺に手を出せない理由は分かった、だがそれじゃあ向こう様も心配だろう?404小隊の事については絶対に口にしない事を伝えておいてくれ」

 

「口約束でどうこうなる問題じゃないと思うんだよねぇ…まあ一応伝えておくよ」

 

「言うのと言わないのじゃ危険性と面倒臭さが変わってくるだろ」

 

「そうかなぁ?私はそうは思わないけど、言わない事で面倒事を避けられるって時もあると思うよ?」

 

「まあ時と場合によるだろ…それに、俺はこう向こう様に提言しておくのは何をされようと自身だけで対処出来るからだよ」

 

「随分と舐められてるみたいだね」

 

「俺を襲ったとしても存在だろうが情報だろうが消すのは簡単だ、それが初めから存在してるかすら怪しい奴等は特にな」

 

「成程、それを逆手に取ったって訳か…中々に食えない男だね君は」

 

「元からだろ、今更気にすることでもあるまい…さて、これで用事は終わりか?なら俺は帰らせてもらうぞ」

 

「ああっと!ちょっと待って、忘れるところだった…君に渡しておきたい物があったんだった」

 

そう言うとペルシカリアは机の下から黒い一丁のスナイパーライフルを取り出した

 

何か色合い的にGRINDERと似てるんだけど……もしかしなくてもそうだよな

 

「これはVICEって言うんだけど、ハンドガンとアサルトに続いてスナイパーライフルを作ってみたらしいんだよ」

 

「それで俺にデータ収集をしてくれと…まあ基本的にどんな武器でも使えるけど、アサルターにいきなりスナイパーやれとはまた強引だな」

 

「向こうも君が何でも扱えると分かってるんだよ」

 

「さいですか…有難く貰いますよ」

 

しかしVICE(ヴァイス)か…VISEなら万力って意味なんだが、こっちだと悪徳だとか邪悪とかの意味なんだよな

 

前作のGRINDER(引く者)とかJUDGMENT(審判)みたいなのを付ければ良かったのに…何でまたそんな名前にしたのかね

 

「折角だから試し打ちしてみるかい?ウチの施設を使っても構わないよ」

 

「お、本当か…ならお言葉に甘えさせて貰おうかな、コイツの性能も知っておきたいし」

 

「じゃあ案内するから着いてきて」

 

てな訳で案内された射撃場、結構広いし的の種類や設置数も豊富…流石は研究所だな

 

周りにはチョロチョロと戦術人形らしき少女達の姿も見えるって事は、結構皆使ってるのね此処

取り敢えずさっそくVICEを構える

 

「相変わらずだが怖い程に軽いな」

 

「それが売りでもあるからね、GRINDERみたいに撃つほど軽くなる訳じゃないけどいいものでしょ?」

 

「あれはあれで可笑しいんだけどな…取り敢えず撃ってみますか」

 

「じゃあうちの名物、動く的をご覧あれ」

 

ペルシカリアがそう言うとブザー音とともに人型の的が一斉に現れ、それぞれランダムな動きをし始める

 

スッゲェなこれ、昔のテレビゲームとか言うやつでみた射撃ゲームみたいだな

VICEの引き金に手指を掛け………引く、独特な発砲音を立てながら弾が射出され…的の頭を撃ち抜く

そうして20秒もしない内に数十個あった全ての的を撃ち抜き終わる

 

…………………いや、いやいやいや

 

「これ頭おかしいんじゃね?」

 

「いや〜、私は君の方が頭おかしいと思うけどね…全弾命中でオールヘッドショットって」

 

「何言ってんだよ、そもそもスナイパーライフルがおかしい過ぎる…弾速も早いし反動も少ない、オマケに何だこの発射レート…アサルトライフル顔負けじゃねぇかよ」

 

「彼等曰く『最高速の弾速と発射速度で最大級の破壊力を』がコンセプトらしいからね」

 

「色々と詰め込み過ぎなんだよ、それでいて全て実行してるあたり本当に意味わからんし」

 

「ねーねー、それよりノーミスヘッドショットの方がおかしいと思うんだよー」

 

「ちょっと黙ってろ機械ネコミミ」

 

「き、機械ネコミミって……」

 

マジでどういう構造してるんだこの銃…スナのくせにGRINDER並の超低反動だし、銃自体軽いわ威力は高いわ発射レートは速いわ……正に『邪悪』の一言に尽きるわな

 

と、思考に(ふけ)っていると射撃場内にいた戦術人形が声を掛けてきた

臙脂(えんじ)色の髪にスーツの様な服装、そして片手にはライフル…どこの武器だそれ?

 

「いや、アンタの命中率と精度の方がおかしいと思うのだけれど…」

 

「だよねわーちゃん!絶対そう思うよね!」

 

「わーちゃん言うな!!」

 

「わーちゃん?………ああ、ワルサーWA2000か」

 

ワルサー社のセミオートマ式狙撃銃か…何かとてもいじられキャラに見えるなこの子

外見は完全に出来る女風なのに、わーちゃんとか呼ばれちゃって

 

「そう言えばアンタは誰?研究員じゃ無いわよね、明らかにそんな服装してないし」

 

「ああ、自己紹介して無かったな…グリフィンと半永続契約を交わしてる会社の社員だ、K-816でも傭兵とでも好きに呼んでくれ」

 

「つい最近グリフィンと協力し始めたっていう所の…ふーん、人間のくせに戦術人形を相手取るって…アホなの?」

 

「辛辣だな全く、まあ御尤(ごもっと)も…だが言っておくがウチの奴等は皆俺みたいなのばっかりだからな」

 

「……冗談よね?」

 

「冗談言ってる顔に見えるか?えぇ?」

 

ワルサーWA2000ことわーちゃんはみるみる内に顔を青くしていった

悪かったな人外でよ、だが生憎と俺以上に人外地味てる奴なんざウチにはゴロゴロ居る

 

「ホント君の居る所って馬鹿げてるよね」

 

「黙らっしゃい、お前の発明も相当だからな」

 

「嬉しい事言ってくれるねぇ、研究者にとっては褒め言葉だよ」

 

「ああそうかい、そりゃ良かったよ…取り敢えずこのVICEは頭おかしいって事が分かったから帰るわ……じゃあなわーちゃん、お互い生きてたらまた会おうぜ」

 

「ええ、そうね……ってわーちゃん言うな!!!」

 

わーちゃんが何か吠えてるが、帰るとしますか

送迎をしてくれるらしいんだが…そう言えば何処で待ってりゃ良いんだ?

 

「K-816さん、もう用事は済みましたか?」

 

「おお、ナイスタイミング…もう用事は済みましたんで、そろそろ帰ろうかと思ってたところですよ」

 

「それは丁度いい、では車を用意するんで少しお待ちを」

 

そんな訳でまた黒ぬr(ryに乗り、会社へ帰る

ハイエンド達のメンタルモジュールが著しく変化か…何?惚れたの?いやそれは別にいいんだけどね、男としても人形だろうが美人に惚れられるのは嬉しいが

 

愛情表現が過激すぎて俺は付いて行けないよ……マジで

 

まあ取り敢えず新しい得物(VICE)が手に入ったし戦果的には上々だな、まあスナイパーライフルは俺の得意分野ではないけど

 

「お疲れ様でした、では我々はこれで失礼しますよ」

 

「ああ、送迎ご苦労様でした」

 

さてと…社長に報告しに行くとしますか、まあこれと言って報告するような事は無いんだけど…一応規則ですし

 

「お、帰ったかK-816…それで向こう様の用事ってのは何だったんだ?」

 

「少しペルシカリアに呼ばれましてね、ちょっとした質問をされたんですよ…あと俺も少し気になる事があったんでそれも聞きましたが」

 

「へぇ、ペルシカリアがねぇ…随分と久しく聞く名だな、何を聞かれたんだ?」

 

「大まかに言えば俺と関わった戦術人形達のメンタルモジュールが著しく変化してるとか何とか、それについて知らないかって聞かれましたね…まあ生憎と俺も研究員じゃないんで全く分からなかったんですがね」

 

「どうせお前が(たぶら)かしたんだろ?戦術人形までも惚れされるとは見境がねぇなおい」

 

「馬鹿言わないで下さいよ、俺は別に誑かした訳じゃ無いですよ…普通に接しただけで惚れられるとか何処の主人公様ですか全く」

 

「だからそれをお前に言ってんだよ、普通に接するだけで女の子を惚れされせていく…昔にあったハーレム物とか言うジャンルの主人公だな」

 

んな事俺に言われたって…好きで惚れられてる訳じゃ無いっての、しかも一部の奴等は愛情表現が過激だし…予備軍も居るし

 

「ま、死なねぇ様にするこったな」

 

「まあ他人事(ひとごと)で済ませてくれるのが俺としても嬉しいですけどね」

 

「いざとなりゃ俺に言え、何とでもしてやるさ」

 

「流石は我らが社長ですな、有難う御座います」

 

「………ああ、ところでお前がペルシカリアに聞いた事ってのは何だ?」

 

「その前に社長、404小隊は御存知で?」

 

「404小隊?………あー、確かクルーガーの奴から少し聞いたな…なんでも裏仕事を率先してやる人形の小隊だとか、それがどうした?」

 

「その404小隊と前に俺は接触しましてね、しかもそれなりに関わっちゃった訳ですよ…あの小隊は存在しない事で存在し続ける、意味が分かりますか?」

 

「成程、詰まりは関わった者達の記憶を全て処理してるって訳か…それで、お前の所には来てないって訳か」

 

「その通りですね、ペルシカリア曰く社長が怖くて手が出せない…それと俺に勝てないって理由らしいですよ」

 

それを聞くやいなや社長は大爆笑し始めた

まあこの人にしてみればそこらの闇組織なんぞ塵芥でしかないからな

 

「ハッハッハ!!ひぃ〜笑った笑った、とんだ腰抜け共だなソイツ等は」

 

「まあ裏社会の人間で社長とその部下に手を出そうとする奴は居ないと思いますがね、そんな奴は余っ程(よっぽど)の馬鹿か蛮勇のどちらかですよ」

 

「いやぁその通り、俺と俺の部下にでを出す輩は一人としてこの世に存在させんよ…それが俺の流儀だ」

 

「とんでもねぇ流儀ですな全く」

 

「よしK-816、報告ご苦労さん…後は戻って休んでていいぞ」

 

「どうも、それじゃあこれにて失礼致しますよ」

 

報告も終わりっと、この後はどうするかな…て言うか人権団体を叩く件はどうなったのかな

鉄血殲滅より目先の脅威潰しを済ませておきたいが……まあB-889が拠点の場所を掴んでるか

 

「ただいま……って、何で此処にお前らが居るんだよ」

 

「帰ってきたなK-816、邪魔させて貰ってるぜ」

 

「ごめんなさいねKさん、隊長が打ち合わせをどうしてもしたいって……あっ、今お茶を持ってきますね」

 

我らが第一部隊のイケメン隊長、R-597…そして世話焼き美人の副隊長、P-964

お察しの通り何方(どちら)もかなり強い、物理的にも頭脳的にもかなりズバ抜けてる

 

一応ウチの第一部隊は特に精鋭な奴等が集まっている所だ…まあとは言うが他の部隊もそれ相応に化け物地味た奴等が揃ってるんだがな

 

「打ち合わせ?隊長とかはどうしたよ、今は俺しか居ないぞ」

 

「あーT-850達ならもう出てったぞ、なんでも人権団体の所在地を掴んだらしくてな…そこでだ、俺ら第一部隊とお前でT-850達を今から追いかけて敵に奇襲をかけることにしたんだ」

 

「成程…ウチの奴等と乱戦しているところに後ろからグサッ、とか?」

 

「ああその通り、勿論発案者はウチの副隊長だがな」

 

「ふふ、こんな事は序の口ですよ…まだまだ敵さんには地獄を見てもらわないと」

 

「流石だなPlotter(謀略家)、頭文字の通りだよ本当」

 

「Kさんにお褒めいただくなんて、恐縮の限りです」

 

「てな訳だK-816、今からは俺達第一部隊と行動を共にして貰うから…あんまり派手にやり過ぎんでくれよ?」

 

多分一番それを言いたかったんだと思う

俺達の部隊は第十三部隊…最後の部隊であり、死神の数字である13を背負っている

 

能力がズバ抜けすぎている故に部隊行動が碌に取れない奴等が掻き集められた部隊だ

 

「まあ善処しよう、だが彼奴等(あいつら)みたいに味方を巻き込むような戦闘はしないぞ俺は」

 

「いやまあ、確かにお前は比較的に野郎達より安全だが…なぁ」

 

「Kさんの動きには基本的に誰も付いていけませんからね、あんまり張り切られてしまわれると私達がバテてしまうんですよ」

 

「そこは安心しろ、今回持ってくのはアサルトとハンドガンだけじゃなくて新しくスナイパーも有る…手に入ったからな」

 

「お前スナイパー扱えたっけ?」

 

「基本的に何でも扱えるぞ」

 

何だその化け物を見る目は、言っとくがテメェも大概だからな巫山戯(ふざけ)んなよ

普通の奴がウチの第一部隊隊長なんざ務められるかってんだよ

 

「流石はKさんですね…私はそういう所、尊敬してますよ」

 

「いやいやP-964、それ絶対おかしいから」

 

「おい第一部隊隊長、お前も大概だから人の事言えんぞ」

 

「お前よりはマシだよ………多分な」

 

「何だその間は、自分で言っといて迷うなよ」

 

さてと、無駄話もこれくらいしてそろそろ行きますか

第一部隊の奴等が乗ったジープに乗り込み、先発したウチの隊長を追い掛ける形で出発する

 

うーむ……なんか汚れ仕事だし、404の子達とか居そうな気がするなぁ

まだあの子達が鉄血ハイエンドみたいになってるとは断言出来んし、杞憂に終わればそれが一番だな




全然話関係ないんですが最近CHUNITHMで手袋の有り難さが理解出来た作者です
ジグザグのフリックとか暴れ回るスライドの処理が凄い楽

4年近くやって最近にようやく理解するとか遅スギィですけど、素手で虹レ目指してましたけど俺じゃダメみたいですね
手袋つけたらレートが右肩上がりとかウッソだろお前…まあ素手の時も調子いい時はいいんですがね

次はヤンデレ出るよ(申し訳程度)あとアンケは締め切らせて頂きます
ではでは、またお会いしましょう


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そして今に至る

お☆ひ☆さ…じゃねえよバカ、どんだけ放置してんだよって話だよこの野郎
ホントすみません皆さん……全然筆がノらなかったのもあるんだけど如何せん仕事が忙しい

何かと現場に引っ張ってかれる、いや有難い限りなんですけども……俺まだ入社して一年経ってないんよね、まあ学べること多いしええんだけども

てな訳で続きですぅ、皆アンケ覚えてる?404のヤンデレが先に見たいって言う人多かったから今回はそれの序章って感じでオナシャス

だから最後にチョロっとヤンデレの片鱗が見えるだけなんだよね、お兄さんゆるして(懇願)

ヤンデレが入ってないやん、という方はまた気長に待ってて下さい……頑張って書きますんで

では本編どうぞ


そんな訳で第一部隊と合流し、先行していった我が部隊を追い始める

今はジープで第一部隊の奴らと揺られている

 

「にしても久しぶりだなK-816、お前最近は全然会社に居ないじゃないか」

 

「俺は忙しいんだよ…そう言うB-486、お前はどうなんだよ」

 

「俺か?俺は……そうだな、最近だと鉄血人形の片付けが多かったな」

 

「まあ隊長と副隊長が大概終わらせてるんだけどね…俺達の出る幕無しって感じだよ」

 

「それは貴方の仕事が遅いんじゃなくて?T-357」

 

「おいおい手厳しいなO-259、あんなの手の出しようが無いだろうがよ」

 

第1部隊の編成は、隊長のR-597、副隊長のP-964、隊員のB-486、T-357、O-259の五人で編成されている

 

そして恐らく現状、ウチにある部隊の中で一番実力を持つ

個々の能力もそうだが、何よりチームワークがとれている…この業界じゃチームワークは必須と言っても過言ではない程重要だ

 

俺ら?チームワークとって味方怪我させてたんじゃ世話ないだろ

 

「にしてもお前んところのハッカーちゃんは凄いなK-816、B-889だっけか?何処からあんな情報を引っ張り出して来たんだか」

 

「そう言うのが得意だからああいう仕事してるんだよ、お前の所にもオペレーター兼ハッカーを雇ってみたらどうだ?R-597さんよ」

 

「今度社長に頼んでみようかな……」

 

「皆さん、そろそろ第13部隊の方々が交戦しているエリアに入りますよ」

 

P-964の声が車内に静かに響く…そして何処からか聞こえてくる銃声、そして地面を砕く音と何かを弾く金属音

 

後半2つはおかしいと思うんだよね俺

 

てかもう誰がどこにいるか分かりやすいったらありゃしないね

 

「相変わらずね、貴方の部隊…部隊なのに全然部隊行動してないわよ」

 

「俺だってまだV-785の爆撃で吹き飛びたくはないからな」

 

「ああ、成程……」

 

「よし!降りろお前ら、仕事をおっ始めるぞ」

 

R-597の掛け声と共に車から飛び出す、近くの木に身を隠し周りを観察する

ふむ、どうやらウチの部隊が上手いこと引き付けて裏を取れた様だな

 

このまま挟み撃ちって訳か

 

「それでは皆さん、先程伝えた通りにお願いします」

 

「了解だぜ副隊長!このP-357が撃滅してやるぜ!」

 

「はしゃぎ過ぎないでよ全く…私は狙撃ポイント探してくるからよろしく」

 

「気を付けろよO-259、どこに敵がいるか分からないからな」

 

「分かってるよ隊長」

 

「因みに副隊長さんや、俺はどうすればいいのかね?」

 

「Kさんはお好きにしてて下さい」

 

何その命令じゃない命令…まあいいんだけどさ、その方がやりやすいし

まあ取り敢えずバーッとやって帰りますか

 

「何っ!後ろから敵だと!?」

 

「クソッ!!前からの敵で精一杯だってのに…!!」

 

「ホント、敵さんには同情するよ…だが、喧嘩を売ったお前らが悪い」

 

敵の背後をGRINDERで撃ち抜く

正面から岩とか木とか飛んできてるけど気にしない、俺は何も見てない…つーか危ねぇよ

 

「おお!来たかK-816!」

 

「来ましたよ隊長、さっさと終わらして帰りましょう」

 

「来るのが遅いわよK-816」

 

「しょうがないだろV-785、俺は俺で別件でグリフィンの研究所に顔出てたんだよ」

 

「へぇ……それで、その背中に背負ってる得物は研究所の新作かしら?」

 

「御明答、新しい武器はなんとスナイパーライフルだ」

 

「スナイパーなんて扱えたかお前?」

 

「まあ基本的に何でも扱えますんで、何でもござれですよ」

 

「ヒュー、相変わらずの器用さねK-816」

 

そんな訳で後ろからスナイパーで援護してみますか……向こうでD-673とG-185が暴れてるし、いい感じに援護射撃をいきましょう

 

遠巻きから敵の銃弾を撃ち抜いてみたり、敵を撃ち抜いてみたりと試し撃ちをする……一応研究所でもやったが、実際にこういう所で使っておかないとイメージが掴みずらい

 

「おお……何かと思ったらK-816が援護射撃してきたのか、て言うかなんだあのスナイパー…弾速と破壊力が見て分かるくらいにエゲつねぇんだけど」

 

「しかも発射レートも早いときた、流石はK-816の愛銃を開発した研究所ね……ブッ壊れ性能もいいとこよ、何作らせても変わらないわね」

 

「まーた武器増えたのかK-816の野郎、て言うか本当に何でも出来んなアイツ」

 

「まあウチの中でも特に天才タイプだからね、アイツ……やらせりゃなんでも出来るんじゃないかしら」

 

スパスパと敵を撃ち抜いて行く………さて、そろそろ片付いたかな

あんなにウジャウジャといた人権団体の連中も綺麗サッパリ片付いたな、まあ俺が来る前にこの人達(第十三部隊)が殆ど片してたけども

 

「……ん?そうか、分かった…今から行こう」

 

「隊長、今の無線誰から?」

 

「ああ、第一部隊の隊長様からだ…どうやらアジトの入口を発見したらしいぞ」

 

「第一部隊は仕事が早いねぇ、それで俺達も来てくれってことかね?」

 

「まあアイツらだけでやるよりは効率的だからな、折角追い詰めた馬鹿共(人権団体)を取り逃がすのも阿呆らしい…という訳で行くぞお前ら」

 

てな訳でアジトの入口……基、廃屋の隠し床扉の前に集合した

因みにこの下には結構広い空間があるらしい、そいでもって逃げ道としてここから5kmくらい離れた廃屋の地下にも繋がってるらしい

 

これ全部O-259の特技『エコーロケーション』で把握したものだ、この人専用の機器付けて音が響くなら軽く10km先まで地理を把握するからね……絶対頭おかしいよ(確信)

 

「よーし、それじゃあ第一部隊と第十三部隊の合同作戦打ち合わせと行きますか……と言っても作戦は簡単、床扉を開けたら全員で雪崩込む…そいでもって殲滅だ」

 

「万が一取り逃した事を想定して、脱出路の出口には既に第十三部隊のD-673さん…私達の部隊からB-486が配置されています」

 

「抜かり無しってやつか…脱出路は一つしか無かったのか?」

 

「ええ、音の響く感じからして一つしか無かったわね…本当、詰めの甘い事」

 

「まあ寄せ集めのゲリラだ、どうって事ない」

 

「おいV-785、あんまり派手にドンパチするなよ…崩れたら俺達まで巻き込まれかねない」

 

「何よK-816、アタシがそんな事も分からない馬鹿だとでも言いたいの?その頭弾け飛ばすわよ」

 

「お前ならやりかねない」

 

「そこへ直れ」

 

「ほらそこ、喧嘩してないで行くぞ」

 

床扉を隊長が足でブチ抜く……その床扉結構頑丈そうな作りしてるんですがそれは、粉々に砕け散ったんだけど

 

それと同時に第一部隊が先行して降りていく、それに続いて俺達も降りる

にしても地下にこんなデカい空間を作るとは…変なところで本気出してるな人権団体

 

「て、敵襲だ!人員をかき集めて応戦しろ!」

 

「はいはい死にましょうね〜」

 

残酷な事をそんな軽々しく言うな第一部隊隊長さんよ、皆が突っ込むなら俺はスナで援護しようかな

なんか隣で見たことも無いボウガン取り出してる爆発魔(V-785)が居るんだけど、何そのゴツイやつ

 

「何それ」

 

「これ?爆発性物質を先端に着けたボウガンよ」

 

「え怖、遂にお前も爆発しない物を使い出したかと思えば……てか爆発性物質って何だよ」

 

「企業秘密よ、まあ爆発すると言っても小規模よ…こういう所で使える様に作っておいたのよ」

 

「お前は爆発物を使わないと死ぬのか?」

 

「私にとって物量兵器は人生よ、甘く見ないでちょうだい」

 

何言ってんだこいつ……まあ副隊長も突撃(アサルト)こそマイロード(我が人生)とかほざいてたし、多少はね

 

「それじゃ、一発かましてやりましょうか」

 

「せめて隊長達がいない方を狙えよ」

 

「分かってるわよ」

 

スパンッと音を立てボウガンが発射された、てかお前引きの部分も改造しただろ…どう見ても普通の発射速度じゃねぇぞ

ボウガンが地面へ当たると、手榴弾の二倍くらいにあたる爆発が起きた

 

手榴弾以上の威力でどの辺が小規模?

 

「うーん…配分間違えたかしら?」

 

「せめて試し打ちしてから持って来いよ、ぶっつけ本番でそういう危険物を使おうとするなっての」

 

「まあいいじゃない、ここで子供達(グレラン)使うよりはマシでしょ?」

 

「どっちもどっちだと思うぞ」

 

なんかあんまりグレランと威力変わらない気がするのは俺だけ?

そんな感じで人権団体の奴らをせっせと掃除していく……何人か脱出路を使って一目散に逃げて行ったが敢えて見逃した、どの道逃げ場は無いんだし今の内だけでも夢を見させてやろうと思ってね

 

その方が残酷?いやいや、若しかしたら逃げれるかもしれないだろ?ウチの副隊長とB-486の包囲網を抜けられたらの話だけど

 

「おいK-816、お前(わざ)と逃がしてるだろ」

 

「えーそんな事ないですよー」

 

「棒読みになってるぞ」

 

「まあまあ隊長、どうせD-673も戦いたがってるでしょうし…ちょっとした餞別ですよ」

 

「はぁ…まあ別に一人や二人逃げた程度、気にするような事じゃ無いがな」

 

「おーい、人権団体の頭見つけたぞ〜」

 

「何て事をやってる間に仕事が早いこっちゃな、第一部隊隊長様は」

 

「じゃあ俺達も行くか」

 

通路の奥に一際大きな扉があり、どうやら頭はその部屋に隠れていたらしい

第一部隊隊長様がその部屋から引っ張り出して来た男は、結構な服装をしていた……このご時世で身なりも肉付きもいい奴なんざ久方振りに見たな

 

「は、離せ下郎!!私を誰だと思ってる!!」

 

「生憎とお前みたいな奴は知らないな、知ってるか?総じてお前みたいな奴の事を『豚』と呼ぶんだよ」

 

「ぶ、豚だと!?この私を豚と称すか!これだから野蛮人は……ええい離せ!傭兵風情が!!」

 

「何でコイツこの状況でこんなに自信満々なの」

 

「さぁ?豚の考える事を人様が理解出来ると思うか?」

 

「はんっ!貴様ら程度の傭兵なんて私の精鋭兵達が着けば造作もない!」

 

「へぇ……で?その精鋭さん達はどこから来るのかね?」

 

「脱出ように掘っておいた穴の先だ、今私に命乞いをすれば見逃してやらなくもないぞ?」

 

脱出路の先ねぇ……生憎とその精鋭さん達蹴散らされてるんじゃないかな、だってあそこに居るの副隊長とB-486とか言う殲滅バカ二人だし

おっと、無線が入ったな

 

『K-816、今大丈夫か?』

 

「大丈夫だぞ、丁度俺もそっちに連絡しようかと思ってたところだよ」

 

『そりゃ丁度いいな、何か変な奴らが30人位押し掛けてきてよ…取り敢えず俺とB-486で死なない程度に殺しといたんだが、そっち持ってくか?』

 

「流石仕事が早い、じゃあ悪いが持ってきてくれるか」

 

『了解、じゃあ今から向かうわ』

 

「よお豚さん、どうやらアンタん所の精鋭さん達が到着したみたいだぞ…そんでもってこっちに向かってるってさ」

 

「ははは!これで貴様らは終わりだ!」

 

まあ全員が無傷でコッチに来るなんて一言も言ってないけどね、どんな状態だろうと精鋭さん達は精鋭さん達に変わりはないからね……嘘は吐いてないよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、そんな馬鹿な!?私の精鋭兵が………」

 

「え、何この豚……て言うか精鋭兵?こんな奴らがか?」

 

「こんなんトーシローもいいとこだぞ、ただのカカシですな」

 

いや、アンタら結構頭おかしいからな

トーシローだかカカシだか知らんが、30対2で圧勝するの結構おかしいからね?

 

「それで、この豚何?」

 

「人権団体の頭、団員達から色々と回収してたみたいでな…自分は甘い蜜を吸ってたみたいだぞ」

 

「ロボット人権団体の頭がとんだたぬき親父だとはな、世も末だよ」

 

「さて、この豚さんどうしましょうかね…その辺第一部隊の皆さんどうかね?」

 

「そうですねぇ……妥当なのはグリフィン側に渡して煮るなり焼くなりお好きにどうぞ、と差し出すのが一番楽かと」

 

「正直俺はこういう事どうしたらいいか分からんし、副隊長に任せるわ」

 

どうやら第一部隊は副隊長の意見が総意らしい、さてウチはどうかね

まあ大方ウチに連れ帰って第六部隊でこってり絞り取る……だろうけどな

 

「一応聞いときますけど、隊長の意見は?」

 

「そんなもん第六部隊に絞れるだけ絞ってもらう以外無いだろ?」

 

「ですよねー……まあ俺としても有益な情報は欲しいところではありますが、正直な話…この問題はグリフィン側にブン投げてしまった方が楽なんですよねぇ」

 

「まあ確かに一理あるな…ある意味グリフィンからの依頼みたいなものだしな、人権団体の問題に関しては」

 

「なんでここはグリフィンに引渡した方がいいかと」

 

「ならそうするか…K-816、お前確かあそこの指揮官と面識あっただろ?連れて行く時はお前が連れて行け」

 

「了解、じゃあそういう事で」

 

てな訳で俺がこの豚さんをグリフィンへ引き渡しに行く事になりました

この豚さんをウチで置いておけるスペースも無いので、早々に引き渡しに行く事になり申した

 

「そんな訳なんですが、いいですかね?」

 

「まあコチラとしては嫌だとも言えませんからね、引き取らせてもらいますよ」

 

「はは、押し付ける形で済みません」

 

「いいえ…ロボット人権団体には困っていましたから、謝られるような事なんてありません」

 

「では俺はこれでお暇させてもらいます」

 

さて、豚の引き渡しも済んだし帰るか

……M4ちゃんとか45とかに会いたくない訳では無いが、面倒臭いのでまた今度にしよう

 

「あら、傭兵さぁ〜ん?来てたなら私達に一声掛けてくれてもいいんじゃないかしらぁ?」

 

「急に蛇みたいに絡みついてくるな45、心臓に悪い」

 

「ふふ、ごめんなさい…驚かすつもりは無かったのよ」

 

嘘吐け絶対嘘だゾ

て言うかコイツがいるってことは必然的に404は基地にいるのね…捕まっちまったか

 

左腕に45が絡みついている…のでもうすぐ右腕も占領されるだろう

 

「傭兵さーん久しぶりー!」

 

「相変わらず元気だなナインちゃん、お久」

 

ほらね?UMPサンドの完成だよ

そりゃ男としたら嬉しいけどさ、この子達も色々とアレなんだよね……ほら、鉄血寄りの危なさと言うかさ

 

あんまり捕まりたくなかった(本音)

 

M4ちゃんの方がまだ良かったかもしれない

 

「………アンタ、今アイツ(M4)の事考えた?」

 

「え?いや、急にどうした416」

 

「いえ、やっぱり気にしないで……まだ生きてたのね」

 

「随分冷てぇじゃねえか416さんよ、生憎と俺はしぶといぞ」

 

「そうね、まあ…そう簡単に死ぬような人間じゃない事くらい、嫌な程分かってるから」

 

「ところでG11はどうした?また寝てるのか」

 

「ええ、寝てるわよ…アンタの背中で」

 

なんだと?コイツいつの間に蝉になってやがった、全く気が付かなかったんだが

ホント変なところで本気出してくるんじゃないよ全く

 

「傭兵さぁん、今夜暇かしら?」

 

「今夜?まあ別に暇だが……ああ、酒でも手に入ったか」

 

「ええ、久し振りにお酒が手に入ったから一緒にどうかしら?」

 

「分かった、じゃあまた改めて日が暮れてきたら呼んでくれ…この基地内をほっつき歩いてるから」

 

「りょうか〜い、じゃあまた後でね」

 

一旦404の面子とは別れた、俺の背中にひっ付いていたG11は416が引っペがして連れていった

 

このまま帰る予定だったが、まあ酒があるなら付き合ってみるか……さて、それまでの間どこで暇を潰そうか

ここにも研究所と同じ様に射撃場でもあればいいんだが

 

「あら、いつぞやの傭兵君…こんな所で彷徨いてどうしたの?」

 

「FALさんか、お久し振りですね…今日は貴女方の指揮官に用事がありましてね、夜は45と晩酌する予定なんでそれまで時間を潰そうかと」

 

「45と晩酌……へぇ、君も隅に置けないねぇ」

 

「まあ嫌われるより好かれてた方がいいでしょうよね」

 

「素直じゃない子ね……そしたら、夜までお姉さんが相手してあげようか?」

 

「酒のですか?」

 

「だって君、とんでもない量飲むじゃない」

 

「まあそうですけど……じゃあお言葉に甘えますよ」

 

そんな訳で再びバーに来ました、今回はFALさんと二人だけだけどな…この前はM16が一緒に居たな

流石にこの時間帯にバーで飲んだくれてる奴はいないな

 

て言うかバーって夜に営業するものじゃないの?

 

「あら、FALに…この前に来た傭兵さん?お久し振りですね」

 

「ええ、お久し振りですスプリングフィールドさん…こんな時間帯から営業してるもんなんですね」

 

「まあここはバーと言っても、時間を持て余した人形達の溜まり場みたいなものですから」

 

「成程」

 

「そうそう!傭兵さん、この前傭兵さんが飲んでいたスピリタスってお酒…たまたま手に入ったからラインナップに入れてみたんです」

 

「え、あの劇物を?」

 

「劇物って……君も飲んでたじゃない」

 

いやだって、すんげぇよく燃えるんだぜあの酒…劇物以外の何物でも無いだろうよ

度数96%は伊達じゃないな

 

「そしたら皆面白がって飲み始めてね、でも度数が強いものだからすぐ酔い潰れちゃうのよね」

 

「強いなんて言葉じゃ物足りない位に度数が化け物じみてますからね、あの劇物」

 

「それをウォッカとちゃんぽんして飲み干す君も化け物じみてるよ」

 

「まあそれは否定しませんが……じゃあスピリタスロックで」

 

あれ本来は何かと割って飲むものなんだよね、現地の人達も原液で飲むなんて事しないし

出てきたスピリタスロックを飲みながら、FALさんと喋った

 

まあ内容は他愛もない話だから割愛しよう、するとバーに誰かが入ってきた

 

「あ、アンタ確か…研究所にいた傭兵」

 

「おおわーちゃん、わーちゃんもここの所属だったのか」

 

「わーちゃん言うな!!」

 

「あら、傭兵君わーちゃんとも知り合いだったの?戦術人形でも女の子なら見境が無いのかしら?」

 

「変な言い方せんといてくれますかね、別に女(たら)しじゃないですから」

 

確かに普通の傭兵に比べれば明らかに戦術人形と知り合った数はブッチギリでトップだろうけど、ほぼ俺の所為じゃなくて不可抗力だからな

 

鉄血だって仕事だったし、グリフィンも仕事だし……全部仕事じゃねえかよ

 

「げぇ、アンタそれ飲んでるの?やめといた方がいいわよ」

 

「スピリタスの話か?これは俺のお気に入りだぞ、そもそも俺がここで飲んだからスプリングフィールドさんが仕入れて来たんだ」

 

「元凶はアンタだったのね……私も飲んだけどそんな度の強いお酒初めてよ、やっぱり化け物ねアンタ」

 

「君たち何なの?人を化け物扱いするの流行ってるの?」

 

「事実じゃない」

 

「事実でしょ?」

 

唯一スプリングフィールドさんだけは何も言ってこなかったけど俺は分かるぞ、その目は二人と同意してるな

 

その後わーちゃんも混ざり、再び他愛も無い話を始めた

 

「あら、ここに居たのね傭兵さぁん」

 

「おお45、もうそんな時間か?」

 

「ええ、もう午後の9時過ぎよ…良い子は寝る時間ね」

 

「じゃあ俺達は良い子じゃないってことだな」

 

「ええそうね……とってもわる〜い子よ」

 

「酒飲んでる時点でいい子じゃないな……じゃあ俺は行くよ、また機会があれば話そうか」

 

「ええ、またゆっくり話しましょう」

 

そう言えばどこで飲むんだ?まあ別に45に着いていけばいいか

そんな感じで45に着いて行くと、部屋に案内された……どうやら404の部屋らしい

 

「小隊で部屋を貰ってるのか」

 

「ええ、まあ私達は要らないって言ったんだけど指揮官がどうしてもってね」

 

「お前達の指揮官らしい発言だな、他の奴らはどうした?」

 

「皆お酒は飲まないのよ」

 

「ほぉ、416が飲まないのは意外だな」

 

「あー……416に限って言えば、飲ませないかな……」

 

どこか遠い目をしながら呟く45……ああ、酒癖スゲェ悪いんだな

それでいて全く覚えてないタイプだ

 

「まあそういう事だから、晩酌は二人きりよ」

 

「左様ですか……それで、どんな酒が手に入ったんだ」

 

「これよ」

 

そう言って45が取り出したのはワインだ……俺ワインとか全然分からないんだよね、酒なんて度数があればよかったし

確かに善し悪しはあるけど、そんなに気にして飲むことなんてないしなぁ

 

「すまねぇ、ワインはさっぱりだ」

 

「ふふ、顔に書いてあるから分かるわよ…別にそこまで気にしてない飲まなくてもいいわよ、取り敢えず良い物だって思いながら飲んで頂戴」

 

「あいよ、ならお言葉に甘えてそうさせてもらうよ」

 

という訳で一口飲む………うーむ、分からん

そういやワインなんて飲んだ事ねぇよ俺、会社の飲み会なんてスピリタスとウォッカさえあれば勝手に騒いでたしなアイツら

 

「ねぇ傭兵さん…黙って飲むのも詰まらないし、何かお話しましょう?」

 

「別に構わないけど、何を話すんだ?生憎と面白い話なんて持ち合わせてないぞ」

 

「傭兵さんのお話って、なんだか殺伐としてそうだから遠慮しておくわ」

 

「なんかごめんなさい」

 

「だから、話題は私が出してあげる」

 

ニコニコと笑いながらそう言う45……その笑顔はあまり得意じゃないな、何考えてるか分からないその笑み

というか、ここでその笑みを浮かべるって事は碌な事聞いてこねぇな

 

「傭兵さんって、どこで生まれたの?」

 

「生まれか……そういや何処だ?正直な話、俺も覚えてねぇや」

 

「そっか…じゃあ次、年齢は?」

 

「18だよ…そう言えばお前には教えてなかったな」

 

「18?それ未成年じゃ……」

 

「そこは気にするな」

 

そんな感じの質問を幾つか投げられた、どれもこれも俺のプロフィールに関する事ばっかりだ……何が目的だ?

 

「じゃあ次いくよ、本当の名前は?」

 

「名前か……確かに昔は俺にも名前はあったよ、まあそれが親に付けられたのか誰に付けられたのかは覚えてないが……だがこの世界じゃ名前は重荷にしかならないからな、棄ててからもう覚えてないよ」

 

「そうなんだ………じゃあこれが最後、傭兵さんってさ」

 

 

 

 

 

『傭兵派遣会社に入る前、どこに所属してたの?』

 

 

 

 

 

「………俺はあの会社にしか所属した事はないぞ」

 

「そうなの?だって傭兵さんの個人情報、13歳以前から真っ白なんだよ……傭兵さんがあの会社に入ったのって、13歳の頃でしょ?」

 

「よく知ってるな、それは正解だが……俺の個人情報が消えてるのと何か関係があるのか?」

 

「だって普通に過ごしていたなら個人情報が消えるなんて事……有り得ないでしょう?だったら、そう考えるのが妥当なんじゃないかしら」

 

「まあ、確かにそれもそうか……それで、何か分かったのか」

 

「『黒』……かしらね…正直、これの意味は全くわからないけれど…ッ!?」

 

45の首を掴み地面へ押し倒す、腰のJUDGMENTを抜き額へ当てる

しかしまぁ、よくそこまで調べたもんだよ……ウチのB-889ですらその単語に辿り着く為に半年程費やしてたのに、ものの数ヶ月とはな

 

これが戦術人形の本気ってヤツか?

 

「試してみるか、お前が俺の腕をへし折って抜け出すのが早いか…俺がお前の頭をブチ抜くのが早いか」

 

「がっ…はッ……ど、どうしたの傭兵さん…柄にも無く、乱暴なんてッ」

 

「まあよく調べたもんだよ45……いや、404小隊と言うべきか?その単語まで辿り着けた事は素直に驚いたよ」

 

「ふ、ふふ……ありが、とうね」

 

「まあだが、次の言葉次第じゃお前を今ここでスクラップにする……これ以上俺の詮索はするな、これはある意味お前の為でもある」

 

「あら、私の…身を案じてくれるの?優しい、わね」

 

「さて答えを聞こうか、俺の詮索を止めて貰おうか」

 

「…………フフッ」

 

瞬間、俺は後ろへ振り向きながら右手で振り下ろされる416の腕を弾き飛ばす……45の瞳に写った416が見えてなけりゃ完全に頭をやられてたな

 

そしてそのまま416を蹴り後ろへ飛ばす

 

「まさか人形の不意打ちに反応するなんて……ホントに何者よアンタ」

 

「唯のしがいない傭兵だよ…さて、何のつもりか聞かせてもらおうか?404小隊」

 

45の首を掴みながら416へJUDGMENTを向ける…人形の首なんぞその気になれば握り潰せる

前に鉄血人形でやったから検証済みだ

 

「私達はただ貴方を知りたいだけよ……これは本当、貴方の全てを知りたいの、名前も、生い立ちも、素性も、その性格も、全て知りたいだけなの……」

 

「そんなに俺に執着する理由が分からんな……ホント、お前らも鉄血もだが」

 

「貴方が周りと違うからよ……当の本人は気が付いてないみたいだけど」

 

「コイツに何言っても無駄よ、何も分かってないからこそなのよ……」

 

「ふふ、それもそうね……ところで傭兵さん?私達は四人部隊よ」

 

背後から誰かに首筋へ打撃を貰った…………G11ィ…お前こんな時だけ本気出しおって……てか超早いよお前

 

流石に地面へ伏せる事になった……でも首裏への打撃ってホントに落とせるんだな

 

「今はゆっくりおやすみなさい傭兵さん…大丈夫、準備はしてあるから」

 

「45姉、いつでも大丈夫だよ〜」

 

「ええ、こっちも万全よ……さあ傭兵さん、もう何も苦痛になる物なんて無くなるよ」

 

頭殴られた時は大分しぶとくいけたが……なんか今回はもうダメっぽい、酒に何か混ぜられたなこりゃ

飲んだ事の無いワインだから味の違和感もわからねぇ……大方それを見越して上物のワインを用意したんだろうが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、ここはどこじゃろホイ

え〜拘束具は手錠に縄、しかも結構ギッチギチ…しかも目隠しされてるからどこじゃろホイも出来ねぇよ

 

まあ自分の足を鳴らして周囲はある程度把握出来たけど、404の奴らは居ないみたいだな……なんか慣れてきたなぁ俺も

 

こんなん慣れたくないけど、さてどうしたもんか




全然話関係ないけど最近CHUNITHMが虹レに到達したんすよね、いやぁ嬉しかったですわ

シュワ語録を忘れてきた今日この頃……またコマンドーとかイレイザー辺りの語録集を見なきゃ(使命感)
その代わり違う語録の幅が増えてきた、まあ使いやすいし多少はね?

それではまた次回、早いうちに書き上げたいと思いますので前書きにも書いたけど気長にお待ち下さい
では


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過去の残香

どうも皆さん、AZAZELです

皆さんコロナは大丈夫ですか?感染をしない、広げない為にも無闇に外へ出るのは控えましょう

外に出られない今、こういう時こそヤンデレ読んで癒されましょうよ……ヤンデレはええぞぉ、正直な話ヤンデレジャンルの小説があれば俺は生きていける
という事で皆もヤンデレを友達に広めよう(黒笑)

まあでもかなり特殊なジャンルだよね、ヤンデレ……でも好きです

まあいいや、取り敢えず本編どうぞ


俺が何時、何処で、誰から生まれたのかなんて知らない……物心が付く頃には既に一人だった

だから何でも自分だけでやった、世界は荒れ果ててるし食い物も無い……どんなハードモードだよと悪態を吐きながらも、生きる為に行動した

 

そんなある日、『ニグルム』という組織の人間に拾われた

 

直接俺を拾ったのはマテリアルというコードネームの人物だ、丁度M16A1みたいな眼帯を着けたオッサンだったな

 

何を思ったかは知らないが、気紛れか何かで俺を拾い組織で俺を育ててくれた

 

組織のリーダーはクラウンという若い男性、副リーダーはデスというこれまた若い女性

そこで俺は『ブラッド』というコードネームを貰い、働く事になった

 

ニグルムの主な仕事は武器商売、若しくは取引の仲立人……というのは建前で、実の所色々とやっているのでよく分からん

そしてこの組織、何処ぞの小隊に似て非なる…あの小隊は存在を消して(・・・)いるが、ニグルムは隠し(・・)続けている

 

その界隈の人間に聞けば、何となくそんな組織があるというフワッとした感じの答えが返ってくる…だが組織の名前や詳細などは分からない程度だ

 

この組織で俺は7年世話になった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なあブラッド、お前はいつまでここに居る積もりだ」

 

「なんだよ急に……特に考えちゃいないけど、そもそも簡単に抜けていいのかこの組織」

 

「別に抜けること自体は簡単だ、勿論それなりに条件は付けられるがな」

 

「へぇ……で、マテリアル…何でそんな話を急にしたんだよ」

 

「………お前に、夢はあるか……もし抱く夢があるのなら早々にここから足を洗った方がいい…ここに居ても腐るだけだ」

 

「腐るって……今更、戦闘以外に何か出来るとは思わないんだが」

 

「このご時世、まともな職なんてないさ……だがここに居続けるより、外を見てきた方がお前はもっと成長する…そうだな………傭兵なんてやってみるといいかもな」

 

「傭兵、か……まあ悪くないかもな、だが何でそこまでして俺をここら出したがる」

 

「別にそんな積りは無いんだが……だがな、お前は今まで裏側の世界しか見てなかっただろう?世界は確かに汚い、だがそんなどうしようもない世界でも美しいものだって表側にはあるんだ…少しでもそれを見せたかったんだが、裏の方だとな」

 

「………まあ言わんとすることは理解したよ、俺の為を思ってくれてるなら有難い話だ……取り敢えずクラウンに相談はしてみるよ」

 

という訳でリーダーに会いに行こう

 

「え?組織抜けたい?別にいいけど」

 

「なんか軽くない」

 

「僕は君を縛る気はないよ、君の生きたい様に生きればいいさ……しかし、マテリアルが君を拾ってきたから随分と経つんだな」

 

「確かにそうか……まだまだ俺もガキだけどな」

 

「子供が言うセリフじゃないけどねそれ…本当に13歳か君?年齢を詐称してないよね」

 

「何言ってんだ俺は清廉潔白だよ」

 

「ふぅーん?だといいんだが……まあ取り敢えず話を戻して、組織を抜けるのはいいけど此処の事言っちゃダメだからね?」

 

「分かってますよそんなこと……それで、結局この組織は何を目的としてたんですかね」

 

「ん〜?んー……まあ別に教えてもいいか…勿論金を稼ぐことも目的の一つだ、だがな…安全や信用、信頼なんかは金じゃ買えない…だから自分の力で掴むしかないんだ」

 

「はぁ、まあ確かにそうだな……だから各地にバラ撒いてるのか」

 

「ほほう、ご明察……情報って言うのは状況を把握するのには欠かせない、だから各地へ人員を撒いて集めさせてるんだ…今このご時世、情勢を把握しておくことこそ自身の安全へ繋がるってもんだよ」

 

「へぇ…まあ大凡(おおよそ)の事は分かったよ」

 

「うんうん、まあどうせ君は抜けたら興味の欠片すら持たなくなるんだろ?そこまで口止めしなくていいから楽に済みそうだよ」

 

「そういう言われ方をすると薄情な奴みたいだなおい……まあ、あながち間違いじゃないがな」

 

「だろうね……一つ忠告しておこうかな、デス……とその他大勢には気を付けておいたほうがいいよ」

 

「え何それは」

 

「まあそのうち分かるよ」

 

なにそれ不穏過ぎる、俺無事に抜けられるんだよね?口外しないってこと以外はノーリスクなんだよね?

 

正直デスとか勝てる気がしないんだけど

 

なら正面からは出れないな……裏口も回られるだろうし、自室の地下通路から行くか

確かにデスって何か俺を見る目がヤバイと言うか何と言うか……深淵に飲み込まれそうになるなあの目

 

「よっ……と、あんまりここ使いたくないんだよな…埃っぽいし」

 

「やあブラッド、地下通路なんて使ってどうしたんだ?」

 

「それはこっちのセリフなんですけど、何で俺の部屋にある地下通路に居るんだよディフェンダー」

 

ディフェンダーというコードネームの女性、鎧の様な重装備に盾と拳銃を使いこなすパツキンのねーちゃん

この人がいると制圧戦が楽なこと楽なこと、簡単に敵の全線を崩してくれる

 

詰まり、敵に回るとかなり厄介

 

「何故だと思う、自分で考えてみるといい」

 

「心当たりが無さすぎて困るんだけど」

 

「まあだろうな、お前はそう言う男だからな……しょうがあるまい、身に覚えさせた方が楽か」

 

「ええと、何故構えるんですかねディフェンダーさん」

 

「安心しろ、実弾ではなく睡眠銃弾だからな」

 

「俺にとっちゃどっちもどっちなんだよな……て言うか俺もう組織から抜けたからここからおさらばしようと思ってるんだけど」

 

「お前をこの組織から抜けさせると思うか?すんなり通してくれると思っているなら考え直した方がいいぞ」

 

なんで?(困惑)

因みになんだが俺の得物はコンバットナイフ二本と仕込みナイフが沢山、アイツに挑んだとしても盾でナイフを弾き飛ばされて簡単に取り押さえられるだろ

 

13歳が2〇歳に勝てる訳ないだろ(至言)

ちなみに年齢を濁したのは言うと怒るから

 

ていうか早くしないと多分他の奴らも来る

 

仕込みナイフを五本程投げてみたものの、あっさりと盾で弾かれた…そしてこちらに銃弾を撃ってくる

コンバットナイフで銃弾を斬り落とし、追加の仕込みナイフを投げる……が、盾で弾かれる

 

これ終わんねぇな

 

「もう諦めたらどうだ、お前と私では相性が悪すぎる」

 

「生憎と諦めは悪いもんでね」

 

「はぁ、まあそうだな……なら早めにカタをつけようか…!」

 

一瞬で俺の前まで距離を詰め、勢いをそのままに盾で俺を吹き飛ばす……背中から壁にぶつかった……あの、すっごい痛い

 

息出来なくなるくらい痛いです

 

倒れる俺に馬乗りになるディフェンダー、絵面的には結構ヤバいと思うんだけど大丈夫なんですかねそれは

俺の両手を片手で押さえると、もう片手から縄が出てきた

 

「そう暴れるな、もう痛いことはしないぞ……場合によるがな」

 

「最後の一言がなければ良かったんだがな、あと縄が出てきてる時点で色々とアウトだろ」

 

「じっとしてればすぐ終わる、天井のシミでも数えていろ」

 

「それ男のセリフじゃね」

 

一瞬で両手首を縄で縛られた

そして次に首元へ何か注射を打たれた……え何入れたの、怖いわー

 

「安心しろ、ただ眠くなるだけだ」

 

その言葉を聞いた瞬間、瞼がとてつもなく重くなった

それで目が覚めれば何処かの部屋、椅子に縛られコンバットナイフは遠くの机に置かれている

 

幸い仕込みナイフは何本か残ってる、これで勝つる(満身創痍)

 

扉から銀髪の女性が入ってくる

 

「ハロー、ブラッドちゃん起きてる?」

 

「おっはーデスさん、状況説明よろしですか」

 

「あっはっは、相変わらず図太いわねぇブラッドちゃん…縛られてるのにその余裕って」

 

「これが敵とかだったらもう少し焦るかもしれないけど、味方じゃあ…ねぇ」

 

「嘘くさ〜…まあいいや、折角ブラッドちゃんが私好みに育ってきたのにさぁ……組織を抜けるとか言い出すから、無理矢理やっちゃった」

 

その語尾に星が付きそうな明るい声で言わないで、雰囲気が相まって怖いから…てかやっちゃったじゃねえよ

 

鼻歌歌いながら触るなってんだよ

 

「あ〜もう、何でこうもブラッドちゃんら私好みなのかなぁ……」

 

「意図してそうなった訳じゃないっての」

 

「じゃあ、ある意味運命だね」

 

「とんでもねぇ運命だな」

 

「ねぇ、何でブラッドちゃんはこの組織に居るの?」

 

唐突にまたとんでもねぇ事聞いてくるなこの人……何でって言われてもなぁ、マテリアルのおやっさんに拾って貰って行く場所もないしな

 

「さぁ、おやっさんに拾われた身だし特に帰る場所もないから…かな」

 

「じゃあこの組織に居なくてもいいわけだね?」

 

「……まあ、別に固執してる訳じゃなが……」

 

「なら、この組織から離れて私達と暮らそうよ…ね?」

 

「達……ねぇ、まあ何人いるかは知らんが…正直、お前らに飼われるのは何か嫌なんだよね」

 

「えーなんでよー」

 

だって飼い殺される未来しか見えない、そんなんゴメンだね

さてどうしようかな……仕込みナイフはまだある、縄はいつでも切れる…誰も居なくなる瞬間を狙って行くか

 

ここが何処だかは大体予想がついてる、ここはデスの妹であるネクロが所有する地下拷問室だ

地面の下には脱出路があった筈だ、床の回転板を使えば行ける

 

「まっ、時間はたっぷりあるし…そんなに急いで決めることでもないかな」

 

「そうかい…まあだったら良いんだが」

 

「じゃ、私は仕事があるから…大人しくしててねー」

 

どうやらドアの付近にディフェンダーとガードが居るみたいだな……俺の苦手なタイプを見張りに付けるとは、分かってやがるな畜生

 

クラウンの言っていた事はこれか、もう少し警戒しとくべきだったな

まあ急いでここを離れる必要も無いし、ゆっくり狙っていこう

 

…………何かディフェンダーとガードが喋ってるな

 

「ねえディフェンダー、何で貴女はあの子に固執するの?」

 

「それはお前とで同じだろガード…まあ強いて言うならば、護るべき者が見つかったから……だろうな」

 

「ふぅん…別にあの子、護る必要も無いくらいに強いと思うけど」

 

「確かにそうだな、だが何と言うかな……話している内に妙に保護欲を駆り立てられた」

 

「あ、それ分かるわ…普通に会話してるだけなのに、不思議よね」

 

「『普通に会話する』……という事自体が、私達にとっては特別なのかもしれんな」

 

「この世界で生きてると仕方の無い部分だけど、それでも癒されちゃう自分がいるのかもね……にしてもあの子、かなり釣り上げたわよね」

 

「デスもそうだが、ネクロやシャドウが特に気に入っている様だからな」

 

「人の死ぬ瞬間にしか興味の無いネクロが?あの子ネクロフィリアだから普通の人間に興味なんて無いと思ってたんだけど」

 

「どうやら乙女が開花したらしいな」

 

「あらやだ、可愛いとこもあるのね」

 

全然可愛くないけどな

ネクロの奴何かにつけては俺の仕事へ付いて来たがってたが、あれ単に俺の仕事が一番荒っぽいものが多いからだろ

 

あの変態ネクロフィリア、『人の死ぬ瞬間こそ最高のおかず』とか言ってたからな…流石の俺でもドン引きだよ

 

少しディフェンダーとガードの話を聞いていたが、シャドウも居るのか……面倒だな、アイツの隠密スキルは厄介この上ない…動くなら今だな

 

縄を仕込みナイフで切り、テーブルに置いてある俺のナイフを取る

確かこの辺に回転板が……あった、これで脱出路に降りれる…さっさと逃げ果せますかね

ふははは詰めが甘かったな、俺を縄だけで縛り付けておく事なんて不可能よ

 

脱出路はアジト裏手のマンホールへと繋がっている、一応開ける前には周囲の確認をするか…待ち伏せられてる可能性もなくはなない

 

「おーいブラッド、誰も居ないから出て来ていいよ」

 

「……何で俺がここに居るって分かったんですかね、クラウンさんよ」

 

「これで合格…っと、お疲れ様」

 

「何の試験だったんですか」

 

「僕の勘だと君はこの先もこういう事態に必ず逢う、だからこの窮地を切り抜けられないと組織からは出せないかなーって思ってね」

 

「何その予言、不吉過ぎる……これ、失敗したらどうする積もりだったんですか」

 

「そうなったら諦めて彼女達に飼い殺される運命を受け入れて貰うしか無いね、まあ彼女達なら存分に甘やかしてくれるとは思うよ」

 

「まあ、そうかもしれませんね」

 

「じゃあ合格したご褒美、この場所に行ってみるといいよ」

 

「………これは?」

 

「僕の知り合いが社長を務めてる傭兵団、確か名前は傭兵派遣会社…だったかな?まあ正式な名前じゃないみたいだけど、封筒の中は僕からの推薦状が入ってるから無くさないでね」

 

「そりゃどうも、お世話になりっぱなしでスミマセンね」

 

「子供が気にすることじゃないよ、じゃあ死なない様に気を付けて生きなよ」

 

「分かってますよ……それじゃ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

懐かしい夢を見たな、五年くらい前の事か?ていうか目隠しされてるから寝ちゃったよ

ココ最近ろくに寝れてないから疲れてたのか…いい休憩になった

 

何かにつけて監禁されるが、その度に睡眠が取れるから一概に悪いとは言えないんだよなぁ……まあ御免蒙りたいけど

 

すると目隠しが外れる

 

「起きてるかしら」

 

「416か…珍しいな、お前から俺に話しかけるとは」

 

「……ちょっと、聞きたい事があるのよ」

 

「言っとくが俺の過去話しは却下だぞ、お前らにも飛び火が行く」

 

「それよ……貴方、何で私達にまで優しくする訳?何か狙いでもあるの?」

 

「別に優しくしてる積りは無いが……過去の話については俺の為でもある」

 

「ならそれ以外、人形と人間を区別しないのは何故?」

 

「……まあ両方さして興味が無いから、何が何であろうと俺には関係ないからな」

 

「…ふーん、じゃあ45の事どう思う」

 

「何だよ急に……どうと言われても、多分404の中だと一番苦手じゃないかな」

 

「そう、じゃあ………『私』と『アイツ(M16A1)』、どっちが完璧?」

 

おおっと?俺の第六感が反応している……これは確実に地雷だという事に

えー何その質問、超答えたくないんですけどー…どっちに答えても最悪の未来しか想像出来ないのはもしかして俺だけ?

 

こーれどうしよっかなぁ……何て答えるのが吉なのか

 

「ねぇ、早く答えて」

 

「そんな急かすなよ…て言われてもなぁ、M16A1とは仕事した事ないし…どちらが完璧かと聞かれてもな」

 

これでどうだ、と言うかこれが本音なんだが

 

「別に仕事の出来じゃなくていいわよ、アイツと話した事あるんでしょ?私と比べてどうなのよ」

 

んーそう来たか……確かにバーで話したけど、どうって言われても

 

「さっきも言ったが俺は人間だろうが人形だろうが、優劣を付ける程に興味なんてない」

 

「………そう、まあいいわ……ねぇ、私の事好き?嫌い?面倒臭い?」

 

そういう質問が一番面倒臭いです

なんてこと言ったら確実に殺されるんだろうな

 

まあ容姿だけで言うなら嫌いじゃない、銀髪は好きだよ?でもね、中身見るとかなり地雷が多そうでちょっと……

 

「どうなのよ」

 

「えぇ……まあ、別に嫌いではないが」

 

「好きでもないの?」

 

「…………興味が無い訳じゃないぞ?」

 

「どうかしら、好きでもなければ嫌いでもない…無関心もいいところなんじゃないかしら?」

 

「はい、なんかごめんなさい」

 

「別にいいわよ、気にしてないから………それに」

 

両手で頬をガッと勢いよく掴まれる、結構な力で固定されているのでビクともしない

俺の目を覗き込むように顔を近付ける416

 

「これから興味を持ってもらえば良いだけの話しよ」

 

「お、おう…そうか」

 

目が怖い

 

何か超怖い、何がとは言い表せない得体の知れない何かが目に宿ってる……どうして俺は女性の目を近くで見ると必ずドス黒い何かが渦巻いているのだろうか

 

「あら416、抜け駆けかしら?」

 

「………別に、そんなんじゃないわよ」

 

「そう……おはよう、傭兵さん」

 

「おはようさん…で、ここどこ」

 

「詳しい場所は教えられないけど、まあ言うならば私達が作業(・・)する場所かしら」

 

「へぇ、作業ねぇ」

 

改めてぐるっと周囲を見渡す

物騒なモンが多い作業部屋ですこと……拷問室ですね分かります

 

所々に返り血が付いてるのが生々しい…てかこれ人形の血だよね?

 

「まあ何の作業かは聞かないでおくよ、容易に想像がつきそうだからな」

 

「そうね、聞かない方がいいかもしれないわよ」

 

「それで…俺をどうする積もりで?」

 

「どうしようかしらね……時間はあるからお互いの事を知り合うってのはどう?」

 

「お前らをか?それは御免蒙る、お前らの事を深く知ったらより抜けられなくなりそうだからな……正直、本当ならお前らとは関わらないのが一番だったかもな」

 

「あら、悲しい事言うわね……私達はそう思ってないよ?」

 

「そいつはどうも」

 

「ところで傭兵さん……誰か、仲間でも呼んだ?」

 

「ああ?仲間なんて呼べねぇよ、生憎とさっきまで寝てたんでね………誰か入って来てるのか」

 

「そう……傭兵さんが呼んでないのなら…誰?何でここが分かった?」

 

足音で察しが付いたわ……まさか過去の仲間に助けられるとはな、まあ向こうは仕方無くだろうが

 

瞬間、45と416は糸が切れた様に倒れる…一時的に機能がダウンしたか

 

「まさか組織から抜けた野郎の尻拭いをする羽目になるとはな……ようブラッド、相変わらず元気そうでクソ喰らえだ」

 

「久方振りの再会だってのに随分な御挨拶だな、レイヴン……あと、俺はもうブラッドじゃないからな」

 

「僕もいるよー」

 

「まあだろうよな、ハック」

 

真っ黒いローブにフードを被り、ペストマスクを付けた大男…レイヴン

フルフェイスのガスマスクに黒いカッパを着た背の低い青年…ハック

 

この二人は(かつ)て俺が居た組織の工作員だ、暗殺然り破壊工作然り対象の監視然り…かなりの仕事を熟すプロだな

 

レイヴンはグレネード関連の武器を作成する事を得意とし、ハックは何でも(・・・)断ち切る

人だろうと機械だろうと……回線であろうと

 

「そいつらは生きてるのか?」

 

「勿論、404小隊の雇い主は大方見当はついてるけどまだ謎が多くてね…この子達はまた殺しちゃダメだってクラウンが言うからさ」

 

「ハックの作った一時的に人形の内部回線を切断するプログラムを俺の特殊EMPグレネードに組み込んだんだよ、数十分すれば回復するだろ」

 

「成程、相変わらずだなハック」

 

「まあそれ程でもあるけどねっ!」

 

駄弁っている内に手錠を解き、立ち上がる

この子達が起きない内にさっさと逃げますか

 

「お前相変わらずだな、隙さえあれば直ぐにでも逃げ出せたんだろ」

 

「まあな、あとは隙が出来ればよかったんだがな…そう簡単に事は進んてくれないのが現実」

 

「取り敢えずここを出るぞ、ソイツらが起きる前にな」

 

二人と共に地下から出る、地上の空気は美味いね…世界が荒廃してなければの話だけど

施設から距離を取る為に暫く歩き続けた

 

「それで、そもそもの用事は何だ……まさか助けに来ただけじゃないだろ」

 

「昔っから察しが良くてウザイくらいだな、まあ御明答だがな……回りクドいのはお互い好きじゃないだろ?だからもう直接言うが、ウチに戻って来る気はないか」

 

「………おいおい、それはまた唐突だな…一度抜けた身だぞ俺は」

 

「それでもお前の力が必要なんだとよ、これはクラウン直々のお達しだ」

 

「まあ今鉄血人形がクーデター紛いの事をやってるからさ、僕達も大変なんだよねぇ…人手が足りない訳じゃないんだけどさ」

 

「仮に俺が戻ったとして、何をすればいいんだよ」

 

「お前の得意分野は変わってないだろ、以前と同じ事をしてくれればいい」

 

あの血みどろな仕事をまたやるの?あれ結構疲れるからあんまやりたくないんだよね

それに、あの人達(第十三部隊)を放っておくってのもな

 

「生憎だが俺も今は忙しいんだ、今の仲間を放っておくことも出来ないしな……力尽くってんならノッてやるぞ?」

 

「お前とか?冗談じゃない、俺達二人は戦闘向きじゃないのをお前もよく知ってるだろ…別に断るなら後追いはしない」

 

「でも残念だなぁ……ネクロとかデスを落ち着かせるのにはブラッドを戻すのが一番だと思うんだよね」

 

「そいつらがいるからってのもあるけどな、次戻ったら出られんだろうし」

 

「ブラッドが居なくなってから凄かったんだからねあの二人、シャドウもディフェンダーも落ち込んじゃうし」

 

「まあ過ぎた話だ、取り敢えず今回は断ったと言うことをクラウンに伝えておこう……だが、またその内に会うことになるだろ」

 

「そうかい……じゃあ俺は帰るよ、救援ありがとさん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「断られた……か」

 

「まあブラッドならそうすると思った通りだよね」

 

「……まあ、アイツはそういう人間だからな…相手がニグルムであろうと何であろうと、全く自分を変えるつもりがない……クラウンから返事は来たか?」

 

「来てたよ…『予想通り過ぎて笑えてくる』だってさ」

 

「アイツもアイツで楽しんでやがるな……まあ別にいいが、必ずどっかとタイミングで一度戻ってもらわないとな」

 

「今回ばっかりはブラッドに頼らざる負えないよね、クラウンも組織から抜けた子を追い掛けること自体好きじゃないみたいだけどね」

 

「そのクラウンが渋々ながら頷いたんだ、相当なんだろうよ」

 

「ホント、鉄血ってのは厄介事ばっかり残すなぁ……」

 

「………一先ず帰るぞ、誰かに見られるのも面倒だ」

 

「はーい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やっと帰れる、何で俺は会社から出ると絶対に強制寄り道イベントが起きるんだ

しかしクラウン直々のお達しか……あの人から助けを求められるのは初めてだな、それくらいヤバい状況なのか…それとも面倒な仕事があるのか

 

何方にせよ何か面倒事が有るのは確実だな

 

「ただいま帰りましたよ…… D-673しかいないのか」

 

「遅かったな、何かあったのか?」

 

「ちょっと晩酌してきましてね、翌朝も少し駄弁って来たんで」

 

「そうか……お前、あの基地とやけに仲良いな」

 

「別にそんな積りは無いけどねぇ、他はどうした」

 

「隊長は会議だから出てるよ、その他は知らん…多分仕事だろうよ」

 

社長に相談事があったんだが、今は会議中か……まあ急ぎでもないし後でにするか

しかしこのタイミングで会議か………何かあったっけ?

 

「会議の内容は聞いてるか」

 

「いや、生憎だが俺もさっぱりだ……まあ間違いなく面倒事だろうな」

 

「そうか、俺もそう思うよ」

 

数分すると、隊長以外の出て行っていたメンバーが帰ってきた

V-785は子供達のメンテに行ってたらしい、B-889は鉄血の情報集めで第六部隊の所へ…G-185は依頼が来たらしく済ませてきたとの事

 

「あら、随分と遅いお帰りねK-816」

 

「基地で朝まで晩酌してきたんだよ」

 

「それ朝になってるから晩酌じゃないんじゃないかしら」

 

「………確かにそうか」

 

「要は酒飲んでた訳ね、私が仕事をしてたってのにいいご身分じゃない」

 

「一応俺も仕事しに行ったからな」

 

すると隊長が帰ってきた、何やら資料を持って来た

そこには数枚の写真と活字がズラっと並んでいた……読む気失せるわ

 

「えー……取り敢えず今日の会議に上がったことから説明しよう、鉄血側に新たな個体を発見した」

 

「うーわマジかよ…それで、その新しい個体ってのがこの写真に写ってる奴か?」

 

「ああ、K-816……コイツを見て、どう思う」

 

「どうって言われても……黒髪ツインテのセーラー服って、属性多過ぎません?」

 

「しかも若干古風な喋り方らしいぞ」

 

「どんだけ積み込んでんだよ」

 

「真面目に答えなさいよアンタ、あと隊長も乗らない」

 

「分かってるよG-185………まあ大方、新しいハイエンドモデルってやつじゃないですかね」

 

「ふむ……やはりそうか」

 

「というか、何故俺に聞くんです」

 

「お前が一番はハイエンドモデルってのを見てきたからな、分かるんじゃないかって社長が言っていたんだよ」

 

どんな扱いだよそれ、まあ鉄血のハイエンド達は基本的にモノトーンだから分かりやすいっちゃ分かりやすいけどさ

しかしコイツ、サイドにミサイル付けてんのか?機銃っぽいのも見えるが

 

うーむ、相手するのは厄介だな……まあいざとなったらVICEで撃ち抜くか、こういう相手には遠距離こそ正義

 

「でだ、唯でさえハイエンドモデル一体だけでも面倒なのに増えやがった………という事で本腰入れて鉄クズ共を排除することになったらしい」

 

「それはあれか?依頼の受付を一旦止めて、鉄血排除に力を注ぐって事か」

 

「その通りだD-673、ウチの持てる最高戦力を投入して一気に数を減らす…ってのが社長の案だ、因みにグリフィンも参加するらしいぞ」

 

「グリフィンもそれには納得してるんですかね」

 

「さあな、どうせ社長が言いくるめるだろ」

 

それでいいのか、まあ多分それが一番だろう(諦観)

しかしグリフィンも参加するのかぁ……面倒臭いなぁ

 

「とまあ説明はしたが、基本的に俺達は個人行動なので特に関係は無い」

 

「だと思った、じゃあ何で説明したんだよ」

 

「そう言うなD-673、一応説明はしておかないと後々でドヤされるのは俺なんだからな」

 

「それで、その作戦はいつから始まるわけよ」

 

「あー…それが、まだ未定なんだよ」

 

「未定?なんでまた」

 

「どうもグリフィン側の戦力が揃ってないみたいでな、主力のAR小隊ってのが遠征からまだ帰ってきてないらしい…帰り次第予定を立てるみたいだ」

 

成程、404小隊は裏方に回ったかのか……まあ裏方の方がアイツらもやりやすいだろうからな

 

「因みに隊長、そのハイエンドモデルに名前はあるんですか」

 

「ああ、社長がグリフィンから聞いたらしいが…………ウロボロスだ」




鉄血側に人形が増えた

あっ……(察し)ふ〜ん

まだまだ増えるぞ(予言)

まあという事で今回はここまでです、次の展開どうしよっかなぁ(ノープラン)
なんかいつの間にか公式のハイエンドも増えに増えまくってて……もう俺ついて行けないよ

でも頑張る、全員ヤンデレにしてやる(ヤケクソ)

ではでは、またお会いしましょう


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あたらしい てっけつが あらわれた

はい、お久です……お久ですぅ…
最近またドルフロをやり始めたAZAZELです

なんかもう、ドルフロも話進み過ぎてて分からんくなってきたわ…てか正規軍強過ぎひん?

あ、あと今回そんなにヤンデレでないかも…許し亭許して(懇願)
はい、では本編どうぞ


「おん?んー…?何だろう、これ…」

 

「どうしたB-889」

 

「お、けーくん…いやこれなんだけどね、ここの区域だけぽっかり穴が空いてるんだよね〜」

 

「穴?……おお、見事にここだけ…ジャミングか何かじゃねぇのか」

 

「多分ね〜、大方鉄血側がまた何かやろうとしてるんじゃないかな」

 

B-889が見せてくれたパソコンの画面、そこには衛星写真で撮ったとある区域の写真が映し出されているのだが……一部の区域のみぽっかりと穴が空いたように黒くなっている

 

衛星にまでジャミングをかけてくるとは……何を考えてるのやら

 

「さてどうしたものか……特にここが見えなくても支障はないが、何があるか気になるところではあるな」

 

「だね〜、もし使えそうなものだったら私も改造したいし〜……」

 

「……なんだその目は、俺に行ってこいってか?」

 

「お願いー!私特製のグレネード持って行っていいから行ってきてくれない?」

 

「………はぁ、正直なところ嫌な予感がプンプンしてるからあんまり行きたくは無いが…後になって面倒事が発生するのもな、しょうがねぇから行ってくるわ」

 

「ありがとうけーくん!じゃあ特製グレネード持ってくるから待っててね!」

 

B-889特製グレネード……アイツは普段パソコン画面にかじりついていたり、ジープやヘリの運転など戦闘面に関わる事は先ずしない

 

が、その本質は爆弾魔である

 

グレネード、EMPグレネード、焼夷弾…何でもござれ

G-185が刃物のエキスパートならば、B-889は爆発物のエキスパートだろうな

V-785?アイツは単に質量兵器が好きなだけだから気にするな

 

「はい、これがノーマルグレネードで…これが焼夷弾、これはEMPで……最後のこれは新作!中に超高圧電磁パルスが帯電したコイルを積んだその名も『エレキグレネード』!」

 

「EMPとは違うのか?」

 

「よくぞ聞いてくれました!このエレキグレネードは何と、人間の人体にも影響を及ぼします」

 

「何それ怖い」

 

「電磁パルスってのは要は電気信号を阻害する過電流なんですけども、これがあまりにも強力過ぎるとただの電流になる訳ですよ」

 

「それ単純に電気を人に流してるようなもんじゃ……」

 

「いぇす!その通り!」

 

こわぁこの人……いやまあ、ウチの会社にはそれ以上にエグいことしてる部隊もあるし今更だけど

 

「まあいざとなった時には使わせてもらうよ、じゃあ行ってくる」

 

「はーい!行ってらっしゃ〜い」

 

バイクに跨り、画像の地点をめざしてエンジンを吹かす

あの区域は確かなんにも無かったはずなんだがな……いつの間にジャミングが出来る装置を置いたのやら

 

「……ふむ、少し鉄血兵が多くなってきたな」

 

バイクを走らせながら撃ち抜いてはいたが……やっぱり何かしらのものがあるって事だな

 

この辺から歩いて行くか、音を立てるのも得策じゃないだろうし

バイクを草で隠すように置き、歩き出す

 

……ん?あれは、もしや………おおっと?404小隊じゃありませんかねぇ?クォレは不味いですねぇ……

 

「まあでも、アイツらが居るってことは何かしらあるって事で間違いは無いな……あれ?ナイン居なくないか」

 

「呼んだ?傭兵さん」

 

後ろを向くと、満面の笑みを浮かべたナインこと…UMP9がそこに居た

 

俺は全力で走り出そうとしたがナインに飛びつかれ、体勢を崩しそのまま404小隊の所へ転がり出てしまった

45、HK416、G11の前へナインに押し倒される形でな……これなんて羞恥プレイ?

 

「え!?傭兵さん…?」

 

「な、何でアンタがここに」

 

「ぬおお離せナインこらッ…俺は少し気になる事を調べに来ただけだ、お前の相手をしに来た訳じゃねぇんだよッ」

 

「そんな事言わないでさ、何もかも曝け出して本当の家族になろう?ね?」

 

「いいから離さんかい、おい45お前の妹だろどうにかしろ」

 

「あー…9?取り敢えず傭兵さんを離そうか?私達も任務出来てるからね?」

 

渋々だったが俺の上から退くナイン、溜息を吐きながら立ち上がると後ろから抱き着いてくるナイン……前より接触密度増えてないすかね

 

「……久し振りだな404小隊、と言っても…この前会ったか」

 

「ええ、まあそうね…あの時は何故か逃げられちゃったけど、まさかまた会うとは思ってもなかったよ」

 

「できるなら会いたくなかったがな」

 

「あら…酷いわぁ、傭兵さぁん?」

 

「やめろその間延びした呼び方…背中がゾワゾワすんだよ……それで、お前ら何でここに居るんだ」

 

「それは傭兵さんも分かってるんじゃないの?」

 

「食えねぇ奴だな……小隊でお出ましとは、随分と気合入ってるみたいだな」

 

「ええ、まあ…色々とあるのよ」

 

いつの間にか左腕に移動していたナイン、腕を絡めて何故か恋人繋ぎ

そして背中に引っ付くG11……何なのだ貴様ら、俺の背中は木か何かだと思ってんのかこの引っ付き虫め

 

「……アンタ、ホントどう言う神経してるのよ…監禁されかけた相手だってのに」

 

「あー…まあ、慣れてきたというか…なんと言うか……」

 

「何よそれ」

 

自分で言ってて悲しくなってくるな、何やねん監禁され慣れるって………

 

「まあいいわ……何時かは私達だけがアンタを理解するから」

 

「おー怖、精々期待しとくよ……さて、そろそろ俺は行きたいんだが離してくれるかね君達」

 

「ヤダ、もっと傭兵さんと一緒に居る」

 

「眠い」

 

「おい貴様ら……ちょっと小隊隊長どうにかして下さいよ」

 

「はぁ……9、G11…私達は私達でやる事があるのよ…それに、傭兵さんにはまた会えるんだから」

 

「おいちょっと待て、お前なんか細工しやがったな」

 

「フフ、それはどうかしらね?」

 

この野郎…いけしゃあしゃあとしやがってからに……

9はまた渋々といった感じで離れて行き、G11に関しては416に引っぺがされて連れて行かれた

 

「でも傭兵さん、まさか一人で行くの?」

 

「ああ?当たり前だろ、誰かと隊なんて組んだらそっちの方が失敗率が上がるからな」

 

「まあそういう人ね傭兵さんって……精々死なないでね」

 

「誰に言ってんだか」

 

404小隊と別れ、別のルートからアプローチをかける

45が少し情報を漏らしてくれたのだが、どうやら鉄血が新しい作戦を行っており…それに伴ってジャミングが発生しているとのこと

 

404小隊はそのジャミング装置の回収が目的らしい

 

「発生源はあの施設……か、そんなに情報を漏らしていいのかねぇ45さんよ…まあ俺からしてみれば有難い事だが」

 

なんて呟いてると鉄血兵がワラワラと現れる……チャチャッと一掃してあの施設に向かいますか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どういう事だ…!何故この人間は死なない!?」

 

有り得ん、これだけの人形に囲まれているにも関わらず…たかが生身の人間の分際で……クソッ!

 

他の虫ケラも迷い込んで来ているというのに…!

 

「このツケは重いぞ人間……必ず殺してやる」

 

モノトーンに彩られた一体の人形が、モニターに移る人間離れした傭兵を見ながら…怨嗟を垂れ流すように呟く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

流石に施設周りは警備が厳重だな、まあただの一般鉄血兵じゃ俺の相手にはならないが

鉄血兵だった残骸を蹴って退かし、施設内へ入って行く

 

施設内もそれなりに厳重警戒体勢…という訳で遠巻きからスナイパーで撃ち抜くことにした

 

俺の持っているVICEとGRINDER、一応サプレッサーが付属しているのだが……このサプレッサー、大きさは普通なのだがクッソ軽い

意味わかんないくらい軽い…それでいて消音機能は普通に働いているから余計に意味わからん

 

マジあの研究所なんなの?どこまで軽量化を目指してるの?

 

「いやー…スナイパーのサプレッサーってもっと重い筈なんだけどなぁ、あの研究所マジ何考えてるか分かんねぇわ…銃も軽いしサプレッサーも軽いときたもんだ」

 

遠巻きからパスパスと鉄血の集団を撃ち抜く……と、嫌な方の見知った顔が見えたので猛ダッシュで反対方向へ走り出す

 

「あは、あははははは!見つけたぞ傭兵!」

 

「なんで今日はこんなにツイてねぇんだろうか……マジ勘弁してくれ」

 

こちらを確認するやいなや超スピードで駆け出してきたハンターさん、勿体無いが捕まるよりはマシなのでスモークを4つ程ばら撒く

 

モクモクタイムに入った所で逆に考えるんだ……近付いちゃってもいいのさ、と…

足音で場所の把握はついてるのでそこ目掛けて掌底を叩き込む

 

「グガッ!?」

 

「ビンゴ、悪いなハンター…吹っ飛べ」

 

押し当てた掌底を捩じ込むように再度衝撃を加え、ハンターを吹っ飛ばす…4つもスモークをばら撒いたおかげで未だにモクモクタイムは持続中

 

ハンターさんには早々に退場してもろて、俺は逃げるぜ

 

て言うかもう調査いっかな、404小隊いるし…ジャミング装置はあの子達に回収させといてB-889には後で謝ろう

て言うか鉄血の時点で嫌な予感しまくりだったし、自分の身の為にもここで引き上げるのが一番良い気がする

 

「クソっ!やってくれたな傭兵!何処だ!」

 

流石は人形、あの程度の打撃じゃ落ちてはくれないか……丁度いいところに通気口があるじゃぁないですか

 

久し振りにダクトゥザヒューチャーしますか

 

「おい、どうしたんだハンター」

 

「エクスキューショナーか……いや、すまない…少し焦り過ぎた」

 

「まさか傭兵が?」

 

「ああ、またしてやられた…だが恐らくこの施設内にはまだ居る」

 

「そうか…ならさっさと捜し出して、連れて行かねぇとな」

 

ヤダあの子達本当に怖い話してるんだけど^〜……はぁ

てかエクスキューショナーまでいんのか、何か随分と警戒態勢が高いな……どうにもきな臭い

 

調査はここまでにしようかと思ったが、やっぱりもう少し探りを入れてみるか

 

ダクトを履い回ってとある部屋を見つけた……恐らくあの装置がジャミング装置なんだろうな、あの大きさじゃ何個かあるな

 

「よっ…と、さぁてコイツはどんな性能を………何だこれ」

 

本当になんだこれ、こんなもんわざわざ守ってたのか…?ハイエンドが二人がかりで、これは別に目的があるとみていいかな

 

もしくは、これ自体はただのダミー…ってとこか

 

「虫ケラ風情がコソコソしおって、死ぬがいい」

 

「あぶねっ」

 

背後から機銃を乱射するとは殺意高めでござんす

て言うかそんな乱射してたらジャミング装置に当たるんじゃね

 

「おいおい、大事な装置に当たったらどうするんだ」

 

「安心せい、それは唯のダミーだ…見事に引っかかったと思ったら貴様の方だったか」

 

「その口振りだとずっと見てたのか…まあ、監視カメラの動き的にそんな気はしてたが……まさかこんなに早くお目に掛かれるとはな、ウロボロス」

 

「わたしを知っているとはな…まあいい、貴様の所為で随分と荒らされてしまったからな…その命をもって償いとしてやろう」

 

「おー怖いこと言うねぇ……ま、御免こうむるけど」

 

アサルトを瞬時に構え、両サイド並んでいる武器めがけて撃ち放つ……しかしあれサイドアーム付いてないけどどうやって動かしてんだ?

 

片側に命中し、見事に爆散…流石はGRINDER、ハイエンドの装甲でも貫くか

 

「なっ!?馬鹿な!人間風情の武器でわたしの装甲を…!」

 

「俺の使ってる武器はとある研究所のお手製でね、普通じゃねぇんだわ」

 

「舐めるなよ!」

 

ミサイルと機銃か……鉄製の棚を倒し、その後ろへ避難する

飛んでくるミサイルはアサルトで撃ち落とし、序に牽制も兼ねて少し弾丸をばら撒いておく

 

「くっ!貴様本当に人間か!?ずっと見ていたがどう考えてもおかしいだろう!?」

 

「おいおい冗談も大概にしといてくれよ、俺は歴とした純度100%の人間だよ」

 

もう一個試してみるか、この間ペルシカリアからVICEを受け取る時貰っていた物だ

どうやらVICEの開発段階で出た試作品らしいのだが、結局ボツになったとの事

 

スナイパー専用の弾丸であり、弾頭が特殊加工されている物との事

 

「さあウロボロス、避けてみろ」

 

棚を台にしてスナイパーを固定し、ウロボロスへ向けて撃つ…紙一重で弾丸を躱し、カウンターとばかりに機銃を乱射する

 

「舐めるなよ人間風情が!」

 

「そいつはどうかな、お前…もっと周りを見て戦った方がいいぜ?」

 

「何を…ッ!?」

 

ウロボロスの斜め後ろには、グレネードが詰まった棚がある…それの棚に置いてあるグレネード全て起爆した

凄まじい衝撃と爆風が部屋内を掻き回し、爆発で空いた穴の方へウロボロスが吹っ飛んでいった

 

俺の撃ったあの特殊弾丸、弾頭の特殊加工により一度だけ入射角と全く同じ角度で跳弾するのだ

俺は敢えて斜めからウロボロスを狙い、壁に跳弾させてグレネードを射抜いたって訳だ

 

「ぐ、ガハッ…こ、こんな事が…!」

 

「これでチェックメイトか?ウロボロス」

 

「に、人間風情が…!」

 

「そこまでだ、傭兵」

 

アサルトを構えていた腕を叩かれ、銃を下に落としてしまう

背中に打撃が入り、よろけた瞬間にスリーパーで固められた…腕的にハンターだろうな

 

てかめっちゃシまる、ちょっと出力強過ぎないすか

 

「チッ…遅いぞハンター、エクスキューショナー」

 

「おいおい、それが助けに来てやった奴に吐く言葉か?見た感じ、傭兵にしてやられたって感じだなウロボロス」

 

「煩いぞエクスキューショナー…何をしているハンター、ソイツをささっと殺してしまえ」

 

「それは出来ない相談ね、この人はこのまま拠点に連れて帰るわ」

 

「何を……ああ、成程…ソイツがおぬしらの言っていた傭兵とやらか」

 

「……ああそうだ」

 

うーん、流石に絞められちゃうと人形との地力が違い過ぎて抜けらんないんだよなぁ

どうしたもんかねこれ、もしかしてまた鉄血送りすか

 

「無駄よ傭兵、ハンドガンも回収させてもらったわ」

 

「いつの間に…用意周到ですなハンターさんよ」

 

「よう、久し振りだな傭兵…また2つ選択肢をやろう…1つ、オレ達に従って拠点まで着いてくるか…2つ、強制的に眠らされて連れていかれるか」

 

「前も言ったが、結果が1つしか無いものを選択肢とは言わないんだぜ?」

 

「選ばせてやってるだけ有難く思ってくれ」

 

「悪いが俺は第三の選択肢を選ばせてもらうぜ……逃げるが勝ちだ」

 

腰でハンターを浮かせ、そのまま前へ投げる…倒れ込むと同時にハンターの腹へ肘鉄をお見舞し腕を緩ませる

それと一緒に置き土産をしたので一目散に離れる……何せ人体にすら影響を与えかねないからな

 

バチィ!と音を立ててエレキグレネードが炸裂する、ハンターとエクスキューショナーがモロに電磁パルスを受け動かなくなる

 

「ソイツはウチの爆弾魔特製の超高圧電磁パルスを詰んだB-889特製エレキグレネードだ、人体にすら影響が出る程の電磁パルスだ…お前らにゃ特に効くだろう」

 

「く、そ…や、って…くれ、たな」

 

「悪いが暫くはそこで寝ててもらおう」

 

エクスキューショナーとハンターを壁にもたれさせておく……そう言えばウロボロスが電磁パルスが弾ける前に逃げ出していたな

 

どこへ行ったのやら

 

「ま、って…くれ、よう、へい…行かないで、くれ…」

 

「……ハンター、俺には俺のやる事があるんだ…今のお前らとは相容れないやるべき事がな」

 

「いか…ないで……」

 

「………スマンな」

 

ギリギリの出力で伸ばされたハンターの手を取らずに、俺はその場から離れた

全く、こんな端くれの傭兵の何がいいんだかさっぱり分からんな

 

施設内を歩いていると、でかい扉が現れた…そんで中からドンパチやってる音が聞こえてきた

恐らくウロボロスと404小隊がやり合ってるんだろうな

 

扉は開かなかったので、近くの端末からハッキングして開けた

 

「おー、流石はハイエンド…その状態でも404小隊とやり合えるのか」

 

「なっ!エクスキューショナーとハンターはどうした!」

 

「寝てるよ、ここは譲ってもらおうか404小隊殿」

 

「……はぁ、ええどうぞ…あそこまでボロボロにしたのも傭兵さんなんでしょ?」

 

「ご名答、それじゃ最後の仕上げと行きますか」

 

ミサイルが大量に発射され、追撃とばかり機銃も乱射される…さっきと同じじゃないか全く

ミサイルを撃ち落としながら機銃の掃射を掻い潜る、ウロボロスの目の前まで近付き首元を掴み地面へ叩き付ける

 

それと同時にEMPグレネードをポイッと放り、バチバチさせて終了…エレキグレネードよりは出力が弱いが、人形にはよく効く

 

「動けない内に縛っとくか…ちょっと手貸して」

 

「はーい!」

 

ナインの手を借りながらウロボロスを縛りあげ、座らせる

 

「……何故殺さない」

 

「さあ?何でだろうな、お前がいい女だからかもな……冗談だよそんな目で見んな」

 

何で404小隊までそんな目で見んだよ、ちょっとしたジョークだって…あとナインちゃんその笑顔超怖いからやめてもらっていいすか

 

「さて、これが件のジャミング装置すか……ふむ、やっぱそうだよな」

 

「何よ、何かおかしなことでもあったの?」

 

「いやぁ416、このジャミング装置…本当にただのジャミング装置だなぁって」

 

「はぁ?何言ってるのよ、最初からそう言ったじゃない」

 

「いやぁ、俺はてっきりもっと厄介な機能を詰んだジャミング装置を開発したのかと思ってたんだが……目的はそうじゃないみたいだな」

 

「つまりどう言う事よ」

 

「多分、404小隊…もしくはお前らの内か誰かをここへ誘導する為に敷いた罠…って訳だ、そうだろう?代理人」

 

何も映っていない超大型モニターへそう問いかけると、ノイズの後に代理人が映し出された

コイツも最初から見てやがったな…本当に食えねぇ奴らだわ

 

『お久し振りですね傭兵さん、画面越しなのが大変残念ですが貴方の顔を見られて嬉しい限りです』

 

「そいつはどうも、出来れば画面だけで満足してくれると有難いんだがな」

 

『フフ、その程度で私達が満足するとでも?』

 

「いや、期待してない…ちょっと言ってみただけだ……それで、ここまで大それたジャミング作戦を行っておいてマジでただのジャミング装置とは…一体どう言う事かね?」

 

『そうですね……それについては傭兵さんにもお伝えできかねます、何しろ最重要作戦ですので…ですがそれを見破ったのは流石ですね、傭兵さん』

 

「代理人からのお褒めとは恐縮ですな」

 

『さて、ウロボロス…貴女の最初にして最後の作戦でしたが、完膚無きまでの失敗ですね…まあ傭兵さんがその場にいる時点で、勝ち目など無いに等しいですが』

 

「……チッ、言い返す言葉などない」

 

『素直じゃありませんね、まあいいでしょう…ですが貴女の指揮に関しては目に余るところが多過ぎます、貴女は鉄血にはもう不要です』

 

「なっ!何だと!?馬鹿を吐かすな代理人!」

 

『馬鹿はどちらですか、相手との力量差を測れず無謀に敗れ散ったのは誰ですか…貴女の所為でハンターとエクスキューショナーは戦闘不能になりました、指揮官としては三流以下です……では、私にはまだやる事が有りますので…傭兵さん、またお迎えに上がりますから…楽しみにしておいて下さい』

 

全く楽しみ過ぎて夜すら寝れねぇよ……

さぁてどうすっかなこの子、どう考えても代理人の発言的に鉄血から切り捨てられてんよなぁ

 

「……はぁ、なあ45…ここであった事、あの指揮官だけに報告してくれよ」

 

「何するつもり?」

 

「人材募集」

 

「は?……ちょっ、まさか…!」

 

ウロボロスの方へと歩いて行き、正面で立ち止まる…腰をかがめて視線を合わす

そろそろEMPで破損した回路も自己修復できた頃合いだろう

 

「……何だ、嫌味でも言いに来たか人間」

 

「いや?お前に提案を持ち掛けに来た」

 

「提案……だと?」

 

「ああ、今お前は窮地に立たされている…鉄血にも見捨てられ、目の前にいるのはグリフィンと傭兵の二組…絶体絶命、待つのは完全破壊か捕虜の二択……そこで提案だ、ウチに来るか?」

 

「……何を言っている、わたしは鉄血だぞ」

 

「だがもう所属では無いんだろう?無所属ならば何の問題もない、ウチの会社はそれはもう過去に何かあった奴ばっかりしか居ないからな…過去の消去や改竄なんてお手の物だ」

 

「……お前は、わたしが欲しいのか?」

 

「ああ勿論、ウチもそろそろ人間だけじゃなくて戦術人形を取り入れてもいいと思ってるんだ…何せ腕が立つからな、俺からの条件は俺に従って行動する……それさえ守ってくれれば後はこっちで処理する、どうかね?」

 

「…………くっ、ははははははは!面白いのか馬鹿なのか!良いだろう気に入った、お前の提案に乗ってやろう傭兵!」

 

「交渉成立だな」

 

ウロボロスの縄を解き、立ち上がって腕を差し出す…ウロボロスが手を掴んだので引っ張り上げて立たせる

 

はぁ…なんでコイツを拾おうかと思ったんだろうか、俺にも分からない

あの時のおやっさん…基、マテリアルもこんな気持ちだったのかな

 

「やってくれたわね傭兵さん…一番報告しづらいったらありゃしないのに……」

 

「いやースマンな、まあ君らんとこの指揮官様は分かる人だし…大丈夫だべ」

 

「簡単に言ってくれるわね……はぁ、いいわよもう」

 

「えー!ズルい!!私も傭兵さんの所で働きたい!」

 

「何言ってんだナイン……」

 

「それにしても傭兵さん、あの鉄血からも随分と執着されてるみたいね」

 

「それブーメランだからな404小隊」

 

「まあそうね…今日は私達も報告があるから帰るけど、何時かまた貴方の事を深く知るからそのつもりでね?」

 

「……はよ行け」

 

めっちゃ背中がゾワゾワきた……あの45の粘り気のある視線超エグい

ウロボロスをバイクのケツに乗せて施設を後にする、背中に張り付いてくるんだが……こいつはこいつで発育がいいなおい

 

戦術人形ってマジでなんで美人しか居らんの……不思議でしょうがないんだけど

 

会社に着いたので取り敢えず社長の所へ行く

 

「それで傭兵、わたしは何か話した方がいいのか?」

 

「いや、特に無いかな……うちの社長ならその気になれば何でも調べあげるし、黙ってても変わらんよ」

 

「そ、そうなのか」

 

社長室の扉をノックすると、「はいよ〜」といういつもの声が聞こえてくる

扉を開けて中に入ると、パソコンにかじりつく社長が居た

 

「忙しそうですね社長」

 

「あ〜K-816かい?ごめんね、ちょっと色々と立て込んでてさ…何かあったのかい?」

 

「社長、こちらウロボロスです…今日から第13部隊に編成したいんですが宜しいですかね」

 

「おー新人かい?君が人材発掘なんて珍し………K-816、それ議題に上がってたハイエンドだよね?」

 

「Exactly」

 

「………はぁ、まあいいよ…もう連れてきちゃってるし、グリフィンには俺から言っておくよ」

 

「ありがとうございます」

 

「K-816、君それ見越して連れて来たろ?」

 

「さて、何の事でしょうね」

 

「俺に一杯食わせられる奴なんて君とR-597くらいだよ、まあそういう所も気に入ってるんだけどね」

 

「有難い限りですな」

 

社長室を後にし、13部隊の部屋へと向かう

社長なら必、あの状況になったら自分で解決してくれると見越した上で何の連絡も入れずにウロボロスを連れて行ったのだ

 

正解だったな

 

「これで晴れてウロボロスもウチの社員、そしてウチの部隊員だな」

 

「あれで良かったのか?何だか無理矢理な気がするが…」

 

「気にするな、あの人なら問題ない…次はウチの部隊員達に挨拶だな」

 

扉を開けると、都合のいい事に全員揃っている

隊長は部屋隅の筋トレマシーンで筋トレしてるし、B-889はパソコンをいじっている

 

V-785とG-185は得物の手入れをしてる、副隊長は雑誌を読んでる

 

「おっ!けーくんおっかえ…りぃ?あれ、その子確か隊長の会議に上がってた……」

 

「おまっ…ハイエンドモデルじゃねぇか!」

 

「煩いわよD-673、K-816の事なんだから今更人形を連れて帰って来ても不思議な事じゃないでしょ」

 

「V-785の言う通りよ、人形でも誑しこみは見境ないんだから」

 

「おいG-185、今のは聞き捨てならんぞ…誰がたらしやねん」

 

「何!?K-816が戦術人形を連れて帰ってきただと!はははは!流石はK-816だな!!」

 

「流石って何ですか隊長……ほれ、自己紹介」

 

「ああ…元鉄血のウロボロスだ、宜しく頼む」

 

「おう!宜しく頼むぞウロボロスとやら!俺の隊に入ったのなら元の所属がどこであろうと関係ないからな!」

 

声デケェよ隊長……B-889は何やらウロボロスの武器に興味があるようで、近くでマジマジと見つめていた

 

「ねえねえウロボロスちゃん、これって一個しかないの?」

 

「いや、本来は二つなのだが……一個は傭兵に壊されてな、今は一つしかない」

 

「ほ〜…もし良かったらコレうちの開発部に預けてみない?多分複製出来ると思うよ〜」

 

「何?本当かそれは」

 

「うん、それに魔改ぞ…ん"ん"!改良もしてくれると思うし、どう?」

 

今魔改造って言いかけたなB-889

第十二部隊は開発部隊である、マジでなんでもござれの超有能部隊……なんだが唯一の欠点が改造好きが多過ぎる

 

グレネード一つですらとんでもない魔改造を施す様な奴らなのだ

 

「ふむ…確かに一つしかないのは少々戦闘面に不安が残る、頼めるか?」

 

「もちろん、じゃあ早速行ってみようか!データだけ渡せば後は向こうで勝手にやってくれるからさ」

 

「ああ、分かった…傭兵、わたしは少し離れる」

 

「おう、行ってらっしゃい」

 

B-889とウロボロスは部屋を出ていき、開発部へと向かった…俺が真ん中のテーブルに座ると、隊長とD-673が正面に座った

 

「それで、どういう風の吹き回しだ」

 

「少し気になった事があったんで調べに行ったんですよ…その帰り道に拾って帰ってきた野良鉄血人形です」

 

「野良って…もう鉄血には所属してないってことか?」

 

「ああ、正確には切り捨てられた…って言い方が合ってる、まあ訳ありって事ですよ」

 

「成程な…まあお前が拾ってきた人形だ、信用は出来るんだろうな」

 

「鉄血との通信は完全に切れてますよ、それは確認済みです…それに、いざ裏切ったら俺が処分すればいい話ですからね」

 

「……ま、社長の許可はもう降りてるんだろう?なら俺から言うことはもう何も無いな」

 

「ありがとうございますね、隊長」

 

という訳で今日から、ウチの部隊に戦術人形が加わることとなった




ハンターさんェ

なんかゲームの方、第三勢力出てきてたんやけど…これはアレすか、それも出せって事すか
あと協定なんちゃらとかで鉄血もプレイヤブル化できるとは熱いですな、まあこれ大分前に実装されたみたいやけど(化石)

はい、てな訳でまたお会いしましょう


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日常と砲台回収

どうも、AZAZELです
筆が乗ってる時に書かないと恐らく永遠に書かないので書きますた

話変わるけどアプリのドルフロ色々と支援が充実しましたね、デイリーで全物資3200貰えるとか美味すギィ
ステージクリアすればミッション報酬でダミーコアがバンバン貰えるし、ありがたや

では、本編どうぞ


さて、今日も今日とて鉄クズ(鉄血人形)を蹴散らして参る

新しく参入したウロボロスを連れて絶賛鉄血狩り中

 

ウロボロスの面倒は連れてきた俺が見ろとの事、まあそりゃそうか

 

今はこの間ウチの開発部隊から送られてきたウロボロスの武器で試し撃ち中……案の定、結構魔改造が入っていたが…まあ許容範囲内なので黙っておこう

 

「うむ、前の時より調子がいいな!」

 

「そりゃ良かったよ、ウチの開発部隊にしては珍しく改造を自重してる所が不安点だが…マジこの後何しでかすか分からねぇ……」

 

「まあいいんじゃないか、この機銃の回転力…そしてB-889から貰った各特殊弾頭を積んだミサイルもわたしは気に入っているぞ」

 

「ご満足いただけた様でなにより…特殊弾頭って何貰ったんだ?」

 

「む?そうだな…EMP、焼夷弾、電撃、コローシブ(腐食)、氷結…この辺りだろうな」

 

「アイツどんだけ張りきってんだよ」

 

ちゃっかり新作までお披露目してるじゃねぇかよ

まあ確かに、第13部隊じゃ爆発物を使うのはV-785だけだが…アイツは純正の爆発物を好むからな、変わり種を使う奴が居なかったからな

 

自らの手腕が発揮される子が来て嬉しいんだろうな

 

「しかし、お前も結構容赦無く鉄血人形をぶっ壊すよな」

 

「当たり前だ、最早わたしは鉄血では無いからな…所属すらしてない所の人形へかける慈悲なんぞない」

 

「成程、まあ君がそれでいいならいいが……さて、これからどうするかな」

 

おや、無線に連絡が……隊長からか、何かあったのかな

 

「どうしました」

 

『おお、悪いなK-816…どうやらグリフィンからお呼びがかかってるみたいだぞ、確か16LABのペルシカリアとか言う人からだ』

 

「ああ、ペルシカか…どっからかウロボロスの噂を聞き付けたな、分かりました…今から向かいます……はぁ、悪いなウロボロス」

 

「気にするな、わたしはお前について行くだけだ」

 

バイクを吹かせてI・O・Pのラボへと向かう

恐らくあの指揮官から聞いたのだろう、あそこにはAR小隊も404小隊も居る

 

ペルシカが関わってない訳が無いからな

 

「おい、来たぞペルシカ」

 

「おお!待ってたよ傭兵くん!そっちが君の連れのハイエンドモデルだね!」

 

「どっから嗅ぎ付けたこの機械猫耳、あんまりウロボロスに近付くなよ…変に改造されても困る」

 

「イヤだなぁそんな事しないよ、まあ改造はしないけど解析はしたいかな」

 

「お断りだ、今は俺の腕だ…気安く触ってもらっちゃ困る」

 

「ちぇー、何だよツレないなぁ…まあいいよ、本題はそっちじゃないからね」

 

そう言いながら机の下からドカン、と大きめの銃を取り出す

このカラー…そしてこの見た目、またあの研究所からの贈り物か

 

「これは新作の『R.C.F.-08』って言うライトマシンガンさ」

 

「ほう…それで、これはどっち(・・・)への贈り物だ?」

 

「やっぱり君は鋭いねぇ……答えは君の相方ちゃんだよ」

 

「わたしに…か?」

 

「そう、君にだ…確か君の武装は機銃とミサイル…だったかな?その両サイドにあるドローンみたいなものから出すんだよね、このLMGはその武装へ追加として付けられるものになってるんだよ」

 

「ちょっと待て、何でウロボロスの武装情報があの研究所へ行ってるんだよ」

 

「それは君の所の開発部隊から買ったらしいからね、お金があれば動くのが傭兵なんでしょ?」

 

アイツら……改造が自重されてると思ったらそういう事かよ、本命は別に居たって訳か

しっかり付けられるように調整されてんじゃねえか……て言うかあの研究所って人形専用の武装も作ってたん?

 

「因みに、このLMGは一丁しか無いんだけど…この後も追加で武装品が届く予定だから楽しみにしててね?」

 

「まだやる気がよ……で、どうするウロボロス…付けるか付けないかはお前に任せるぞ」

 

「………ふむ、面白い…この武器、性能が計り知れんな」

 

「オススメはするぞ、俺のアサルトライフルもスナイパーも同じ所で作ってるからな…破壊力、軽さ、使い回しどれを取っても抜群だ」

 

「……傭兵がそういうのならばお願いしよう、頼めるか」

 

「勿論、追加武装の仕方は簡単だから私の方でやっちゃうね」

 

「変な改造をいれるなよ」

 

「分かっるよ、君も過保護だねぇ……」

 

俺の周囲にいる開発者や研究者共は総じて改造に目がないからな、B-889もそうだが一度スイッチが入ると止まりゃしない

 

火力上げすぎても連携に支障が出るからやめてくれって言ってんだがな

 

「はい完成、どうだい?試し撃ちでもして行くかい?」

 

「いいのか?わたしは元とはいえ鉄血のハイエンドだぞ、あまり施設内をウロウロするのも良くなかろう」

 

「私がついてるから大丈夫だよ、それに傭兵くんも居るし…それでいいだろう?傭兵くん?」

 

「…まあ好きにしたらいい」

 

「……そうか、ではお言葉に甘えよう」

 

この間俺も使わせてもらった射撃場へ向かう

幸いな事に他の人形達は居らず、あまり騒ぎにはならなかった

 

R.C.F.-08はウロボロスの武装、サイドに携えているドローンの様な武器の側面に設置されていた

なんやアレ、射撃速度は普通だけど……

 

「これ、跳弾してないか?」

 

「ピンポーン大正解、この間渡した特殊弾丸あっただろう?アレを実用化したものらしいよ」

 

「また何とも……」

 

……ん?あそこに居るのは

ウロボロスはまだ試し撃ちをしている様なので、チョロっと挨拶でもしに行くか

 

「ようわーちゃん、お互いまだ生きてたみたいだな」

 

「わーちゃん言うな!…って、傭兵じゃない…またここにいるってことは新しい武器でも貰いに来たの?」

 

「正解と言えば正解だが、俺のじゃないな…俺の腕用の武器だ」

 

「腕……?そう言えばあんた、鉄血のハイエンドモデルを引き入れたらしいじゃない…全く何考えてるんだか」

 

「その鉄血なら後ろで試し撃ちしてるぞ」

 

「え"っ!?……本当だわ……」

 

しかし、わーちゃんまで知っているとはな…思いの外あの基地では結構噂になってるのか?

どこぞの話したがりが風の噂で聞いた事を吹いて回ってるのかな

 

「しかし意外だな、わーちゃんまで知ってるとは」

 

「え?ああ、まあそりゃあ…あの基地じゃあんたは結構な有名人よ」

 

「え、何でまた」

 

「当たり前じゃない…攻め込んできた人権団体を爆撃で吹き飛ばして、その後きっちりトップまで締め上げて帰ってくるんだもの…とんでもなく凄腕の傭兵だって広まってるわよ」

 

「俺の預かり知らぬところでそんなことになってるとはな……それじゃ、俺はそろそろ行くよ…また機会があればそっちの基地に顔を出しに行くかもな」

 

「そう、精々死なないようにね」

 

ウロボロスとペルシカは既に出口で待っている様だ…終わったなら声くらい掛けてくれてもいいんじゃないでしょうか

 

「随分とグリフィンの人形共とも仲がいいのだな」

 

「お、おう…まあ色々と関わることが多いからな、会社も半永久契約も結んでるし」

 

「……ふん、そうか」

 

おい、何ニヤニヤ見てんだ機械猫耳

しかし何でウロボロスがご機嫌斜めなんだか……人形心は分らんな

 

「それじゃあ、またデータ収集の時に宜しくね~」

 

16LABを後にする…さて、こっからどうするか

会社に帰ってもいいが、正直今日はやることが無さすぎる…ウロボロスに近接でも教えるか、いざ近づかれた時に手も足も出なかったら無残だしな

 

「ウロボロス、お前近接って出来るのか?」

 

「いや、わたしはそもそも弾幕で近づかせないのが基本のスタイルだ…まあ、どこかの誰かは全てを搔い潜って近づいて来たがな」

 

「ははは、誰の事やらな」

 

「だが確かに、近づかれた時の手段を考えておくのも有りだな……」

 

「なら俺が近接を教えてやろうか」

 

「……いいのか?」

 

「ああ、どの道暇だしな」

 

ウチの会社には地下施設が幾つか存在し、その中には運動場もある…それなりに広いし、壁も特殊合金で加工されているのでちょっとやそっとの衝撃では壊れない

 

それ以外の施設は……まぁ…他の部隊が使っていたりする、第6部隊とか

何の施設かはお察しだがな

 

「おお…こんな空間があったとはな」

 

「少し暴れたくらいじゃ崩れやしないから、存分に動き回って大丈夫だぞ」

 

「そうか…なら宜しく頼むぞ」

 

「おう、かかってこい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っはぁ…はぁ…本当に人間か?傭兵」

 

「お前らは人を人外にしないと気が済まんのかね」

 

「戦術人形相手に息すら切らさないお前が人間だと…?笑わせるなよ」

 

「……まあごもっともと言えばそうだが」

 

「まあ、これでわたしも体術がそれなりに身に着いた…感謝するぞ傭兵」

 

流石は戦術人形、呑み込みが早いったらありゃしない…少し動きを見せてやれば後は勝手に磨いていく

人間で言えばセンスの塊だな、人形相手だと何と言えばいいかは知らんが

 

「さて……久し振りにちゃんと寝るか」

 

「……傭兵、その前に寝たのはいつだ」

 

「あー……二日前に1時間、かな」

 

「馬鹿者、人間は脆弱だ…睡眠をまともに取らんといつか足元を掬われるぞ」

 

「あい、すいません」

 

「さっさと寝てこい、わたしは部隊の部屋に戻ってるぞ」

 

ウチの会社にも仮眠室というものが一応設置されてはいる…が、正直使ってる奴を見たことがない、先ず俺自身が極偶にしか使わないのもあるが

 

だが基本的にウチの傭兵共は『休む』という単語を知らな奴が多すぎる……マジ何なんコイツら

 

かく言う俺もそのうちの一人なんだがな

さて、一眠しますか……今日はちゃんと7時間寝よう……

 

 

 

 

 

 

「あれ~?けーくんと一緒じゃないの?」

 

「ああ、傭兵なら寝かせてきた…人間の癖に無茶をし過ぎなんだよ、全く」

 

「おお、珍しくK-816が仮眠室に行ったのか…アイツマジで寝ないからな」

 

B-889とD-673か……コイツらも傭兵と同じように化け物地味ているらしいな

確かにB-889から貰った弾頭ミサイルの性能は馬鹿げている、鉄血の科学力を遥かに凌駕している

 

「……なあ、傭兵はいつからここに居るんだ?」

 

「あん?K-816か…確か5年前だったか、隊長が急に新しいメンバーだって連れてきた時にゃ驚いたぜ」

 

「ね~、けーくんあの時まだ13歳だもんね…まああんなご時世じゃ仕方ないのかもね」

 

「じゅ、13だと!?ま、待て…すると今幾つなんだ……?」

 

「けーくん18歳だよ?」

 

「な"ぁっ!?」

 

「すげー声出てんぞ、ウロボロス」

 

「若いとは思っていたが……18……という事は、わたしは子供にやられたのか……」

 

「あー…あんま気にすんなよ、アレを普通の子供だと思わん方がいい…正直、ウチの会社でも一二を争う位に化け物じみてるからな」

 

……まあ確かに、ミサイルを走り抜けながら撃ち落とすなんて芸当…人間には不可能だな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おはようさんです……」

 

「おはよ〜、よく寝たねけーくん…てかめっちゃ寝起きじゃん」

 

「久し振りに、7時間睡眠したけど…やっぱ寝過ぎは、寝過ぎで……ねおきがきちぃ……」

 

「7時間が適正なんだよなぁ……お前は寝なさ過ぎなんだよ」

 

「……ダメだ、ぼーっとする」

 

「スッ……ん"ん"、やっばちょーかわいい」

 

「うわ、めっちゃ寝起きじゃないK-816……こっち来なさい」

 

この声は……G-185か?…視界も若干ぼやけてて輪郭しか分からん

この際誰でもいいか……やっぱり7時間睡眠は俺にとっては長すぎたみたいだよ……

 

「ほら…全く、アンタ何時間寝てないのよ」

 

「んー……2日?」

 

「アホか」

 

「アホだな、てかバケモンだわやっぱ」

 

頭がやわっこい……ウチの部隊部屋にクッションなんてあったっけ?

まあ気持ちいいからいいや

 

「毎度思うけどじーは随分と大胆だよね」

 

「そう思うなら貴女がやったら、B-889?」

 

「いやー、私はなんと言うか…そう言うのは柄に合ってないって言うか……」

 

「本当、そうしてればただの子供なんだがな…コイツ本当に18か?絶対詐称してるだろ」

 

「そんなの今更じゃない、と言うか入隊した時からそんなものだったでしょ」

 

「それもそうだな」

 

んー……段々と意識が覚醒してきた

目覚めてきたな……待て、これ今どういう状況なんだ…半目且つボヤけた視界がクリアになる

 

眼前にはG-185の双丘……コイツ割とえぐいスタイルしてるよな、ていうかこれ

 

「何故に膝枕」

 

「あら、おはようK-816」

 

「お、完全に目覚めたか?良かったな綺麗なねーちゃんに膝枕されて…まあこれが初めてじゃねぇか」

 

「俺が寝ぼけると決まってお前が膝枕するよな……いやまあ、ありがとうございます」

 

「どういたしまして…ウロボロスなら一人で社長に報告しに行ったわよ、あとでお礼言っときなさい」

 

あー、そう言えば帰ってきてから報告行く前に寝ちまってたな

ウロボロスには悪い事したな

 

「よっ…と、悪いなG-185」

 

「そう思うなら適度に睡眠くらい取りなさい」

 

「ういっす……善処します……」

 

するとバァン!と勢いよくドアが開かれ、そこには隊長とウロボロスが立っていた

ウロボロスは俺にに気が付くと、頷きの合図を送ってきた……また何かあったのか

 

「おーう!!集まってるかお前ら!……何だ、V-785が居ないじゃねぇか」

 

「V-785ならメンテに出てますよ…それで、何かありましたかね隊長」

 

「ああ、新しい任務だよD-673…B-889、これをスクリーンに写してくれ」

 

「はいはーい」

 

部屋の奥にある大きめのスクリーンへ写真が映し出される、巨大な砲身に足元の機銃……普通にトンデモ兵器やないかこれ?

 

「ウチの情報部隊が見つけ出したから、まだグリフィンには出回ってない個体だ…名は『ジュピター』、鉄血側じゃ『マルドゥーク』なんて呼ばれてるらしい」

 

「……え、それ鉄血の通信傍受したってことすか?」

 

「ん?何を今更…ウチの情報部隊だぞ、そのくらい出来て当然だろ」

 

「あ、そっすね……」

 

考えるだけ時間の無駄でしたね、B-889が元所属してた所やもんな…そら電子戦と情報戦で負る訳ないか

 

「しかしV-785が居ないのか…アイツにもってこいの任務だったんだがな」

 

「と、言うと?」

 

「いや何、今回の任務はこの『ジュピター』の制圧…及びそれに関係する鉄血やその他勢力の確認なんだが、制圧したジュピターは好きにしていいらしくな」

 

「話は聞かせてもらいましたよ」

 

「なんだお前……て言うかいつからそこに居たんだよ」

 

扉の所にはいつ戻ってきたのやらV-785が扉にもたれかかる様に立っていた

ホント好きよね、質量兵器

 

「質量、高火力…そんな話を聞いて私が黙ってる訳ないだろう」

 

「左様ですか……それで隊長、どう言った作戦で?」

 

「作戦?ああ、まあそうだな…コイツはどうやら周囲からエネルギー供給を受けて成り立っているらしい、その供給地点を全てぶっ潰すぞ」

 

「いつも通りのパワープレイですね了解でーす」

 

だと思ったよ…それで作戦だと思ってるのか、まあ今に始まったことじゃないし今更だけども

超強力なエネルギー砲をぶっ放すのもタダでは無いって事だな

 

「それじゃ始動日は明後日だからさっさと準備しとけよ、以上解散!」

 

毎度思うが作戦の決行日が翌日とか明後日とか頭おかしいんかな……いや、確かにウチの部隊で準備に手間のかかる奴はV-785位だけども

 

「嗚呼……私のかわい子ちゃんがまた一人増えるのね……楽しみだわ」

 

「なんなら改造してあげよっか?」

 

「あら、いいじゃないB-889…固定砲台みたいだし足でも付けてみる?」

 

「お、名案〜」

 

何あの物騒な会話、ヤダ怖いわね^〜

さてと…俺も銃のメンテをささっとやって筋トレでもしようかな

 

「いつもこんな感じなのか…傭兵の部隊は」

 

「ああ、まあこんな感じだね…作戦立てて失敗率が上がってたら世話ねぇだろ?」

 

「何なのだその理論は、作戦は失敗率を下げる為に立てるのだろう」

 

「ウチの部隊じゃそうもいかないんだよなぁ……何せ全員クセが強すぎるものでね」

 

「……成程な」

 

それで納得するのか(困惑)

クセ強共が集まると作戦立てても殆ど意味ないし、連携なんて取れたもんじゃない

 

実際V-785の所為で若干死亡率も上がるし、主に爆撃

 

「お前も準備するものがあればさっさとしとけよ、俺は筋トレでもして……」

 

「馬鹿者、寝るぞ」

 

「え、でも俺さっき7時間睡眠してきたしこれであと3日くらいは寝なくても……」

 

「はぁ……お前という奴は…」

 

苦笑いのD-673、呆れ顔のV-785と溜息を吐くG-185、爆笑してるB-889と隊長……何なんだお前ら

 

そうこうしてる内にウロボロスが首の襟を掴み、無言で俺を仮眠室へ連行して行く……解せぬ

 

そんでもって作戦日がやってまいりました

結局ウロボロス監視の下、2日間ともキッチリ7時間睡眠をさせられました…ベッドの隣に座るウロボロスからの『寝ろ』という無言の圧が凄かった

 

「う〜…ん、さて…俺らも始めますか」

 

「ああ、さっさと終わらせて帰ろう」

 

各員は既にそれぞれ割り当てられた供給地点へと向かった、俺はウロボロスと共に供給地点を攻め落とす事になってる

 

兵器を動か為の地点だけあって、流石に警備も厳重……まあやる事はいつもと変わらないがな

 

「……おっと、先客かい?」

 

「あら、貴方は……傭兵?と、何故鉄血のハイエンドモデルが居るのかしら」

 

「まあその前に…そんな物騒な散弾銃を下ろしてくれよ、ビビって話も出来やしねぇ…な?」

 

「………いいわ、でも何か不審な動きを少しでもしたら撃つわよ」

 

「はいよ…ウロボロス、周囲の警戒をしてきてくれ」

 

「……ああ分かった、文句は後でにしておこう」

 

「そんな目で見んなよ」

 

M1887……ウィンチェスター製のレバーアクション式散弾銃…か

射程の短い散弾銃、だが近接となれば無類の威力を誇る…その為か前衛らしく盾のような装甲を持ってるな

 

いや〜、しかし『OK!(ズドン!)』とならなくてよかったわ

 

「貴方はこんな所で何をしているのかしら?ここは今鉄血の占領地の筈よ」

 

「ここで新型の大型兵器を見つけたらしくてな、その兵器の制圧と周辺調査で来た…おたくはグリフィンらしいな?M1887」

 

「……成程、今グリフィンと半永久契約を結んでるって言う噂の…私の名前を当てるなんて、相当のマニアかしら?」

 

「いや、上司と見た映画に出てきただけだ」

 

某ネッガーがクルッと回すシーン、あれ結構カッコよかったよなぁ…しかもバイク乗ってたし

 

「そう、まあいいわ…鉄血を連れてるって噂は貴方の事だったのね、それならいいわ……私はまだやる事があるの、この辺りで失礼するわ」

 

「やる事ってのは供給地点の破壊ですかね?」

 

「ええそうよ、ジュピターの構造を知っているなら分かるでしょう?」

 

「それなら行かなくても大丈夫だぞ、ウチの部隊員達が潰しに行ってるからな…そう掛からず制圧されるだろ」

 

「……それは、手間が省けてよかったわ」

 

「ま、ここは俺が来る前に制圧されてたみたいだが……それじゃ俺は本拠地にでも行きますかな…ウロボロス〜、行くぞー」

 

「まさか二人だけで行くつもり?部隊員を待った方がいいんじゃないの?」

 

「いやぁウチ、基本的に単独行動だからさ…それじゃあな」

 

「あ、ちょっと…!」

 

しかし戦術人形にも散弾銃は居るんだな……ショットガンか、いいな…今度頼んで作ってもらおうかな

近接が素手だけってのも考えものだし、ウロボロス用にも頼もう

 

「全く、無防備に人形へ近付く馬鹿があるか…一歩間違えたら死んでいたぞ」

 

「相手はグリフィンだからな、無闇に発砲はしないだろ」

 

「お前の隣には元鉄血が立っている事を忘れるなよ、グリフィンだろうといつ間違われて撃たれるか分かったものでは無いだろ…死にたくなければ少しはわたしを使え」

 

「了解、善処しますよ………ところでウロボロス、この辺りでドンパチ賑やかにやり合ってる音が聞こえるんだが…遊んでみるか?」

 

「そうだな、言うと思ったぞ…まあいい、面白そうだから付き合ってやろう…新装の実践慣れもさせないといかんからな」

 

了承を貰ったところで一気に駆け出す、流石は戦術人形…突発的な俺の動きにもしっかりと着いてきている

 

ドンパチ賑やかになってるのはあそこの小屋だな……周辺は鉄血人形がワラワラと

あれ、中にいんのAR小隊じゃね?ヤダも〜知り合いじゃーん

 

さっさと片そ

 

「一匹残らずスクラップだ」

 

「言われなくとも!」

 

その声と共にウロボロスは新装のLMGで弾丸をばら撒く、継いでミサイルを放つ…着弾点が電撃を帯びながら爆発したから恐らくB-889お手製の特殊弾頭ミサイルだろう、頭おかしい

 

生き残っている鉄血人形を一匹残らず俺のARで撃ち抜き、一瞬にして鉄クズの山を作り上げた

 

「はん、一般鉄血兵じゃこの程度か……さて、その危なっかしいじゃじゃ馬(RO991)を下ろさせてくれないか?M16A1」

 

「なっ、傭兵!?何でこんな所に……ちょっと待て、ソイツは鉄血のハイエンドモデルだろ?」

 

「ああ、今は俺の腕だ…ウロボロスってんだ、宜しくしてやってくれ」

 

「成程、鉄血を連れて歩いてる傭兵が居るって噂が流れてもしやと思ったが…やっぱりお前だったか、銃を下ろせRO635…アイツは味方だ」

 

「……貴女がそう言うのであれば」

 

「新顔だな、M4はどうしたんだ」

 

「ああ、M4は……今は調子が優れないんだ」

 

はぁん?さては何かあったな……M4の代わりにこの子が入ってる訳か

RO635って言ってたけど実際その銃ってRO991やない?まあコルト9mmSMGって観点で見れば同じだけど

 

「あー!傭兵さんだー!」

 

「おーSOPちゃんか、おひさ」

 

ひょこひょこと俺の近くまでやってきたSOPの頭を撫でる、ホンマ犬みたいやなこの子

 

あっちのAR-15も元気そうだな

 

「それで傭兵、何でこんな所に居るんだ?」

 

「お前らも目的は一緒じゃないのか」

 

「いや、生憎こちとら輸送機から墜落してきたタチでな…今も想定外だらけなんだよ」

 

「ほう…俺らはここに新型の大型兵器があるって情報を拾ってな、ソイツの制圧と周囲探索が目的だ」

 

「……その情報、一体所から引っ張り出してきたんだ?」

 

「さあ?ウチの情報部隊に聞いてくれ」

 

成程…恐らくこの地にはハイエンドが居るんだろうな

輸送機を堕とされてからがら逃げてきたって感じか……めんどくせぇ、ハイエンド居んのかぁ

 

「それじゃ、俺はあの施設に向かうとするよ…お前らも精々死なない様にな」

 

「おいおい二人だけで…いや、お前はそういう奴だったな」

 

「ああ、お互いの幸運を祈ろうぜ」

 

前方に見える施設へと駆け出す、恐らくあそこが敵本拠地なんだろうな……供給地点はウチの部隊が残らず潰しているだろうし、ジュピターからの砲撃は心配しなくてよさそうだな

 

いや…何機かは別電源で動かしているかもしれん、油断せずに行くのが鉄則だな

 

「傭兵、入口が見えてきたぞ……かなりの鉄血人形だな」

 

「何だ、大部隊なんぞ作って…何かを制圧するつもりか?」

 

「なんでも良かろう、さっさと片すぞ」

 

「まあ気にするだけ無駄だな、やるか」

 

二人での一斉射撃で正面は一瞬で方がついた、研究所お手製銃があると仕事が早くて助かる

と、通信が入ってきた

 

『ちょっとK-816?なんか404小隊が来て私のかわい子ちゃんを壊そうとしてるんだけど、話付けてくれない?私じゃ聞いてもくれないわ』

 

「……ちょっと無線変われ」

 

『傭兵さん?これはどういう事かしら?』

 

「ウチの質量兵器バカが世話掛けたみたいだな…だが悪いがそれは俺らで回収させてもらうぞ、異論は無しだ」

 

『………分かったわよ、傭兵さんには色々と借りもあるし…今回は見逃すわ、次は無いわよ』

 

「それまでにまた借りでも作っておくよ」

 

『食えない人ね、私達が借りを作れないじゃない』

 

お互い様だろ、て言うかお前らに借りなんぞ作らせてたまるか……それを盾に何されるか分かったもんじゃない

通信を切り、施設内へと潜入する……て言うかV-785、もう潜入してたんか

 

施設内もそれなりに鉄血人形が配備されてるが、俺とウロボロスの前では手も足も出ずに即スクラップ

 

「なあウロボロス、ここに居るハイエンドに心当たりはあるか?」

 

「生憎だがわたしが知っているハイエンドはエージェントだけだ、それ以外は顔すら合わせた事がない」

 

「そうか、そいつは残念…まあ誰が来ようが正直やる事は変わり無いがな」

 

施設内に居た殆どの鉄血人形を再起不能にしたので、指揮官であるハイエンドモデルが居るであろう司令室を探す

俺の知ってるハイエンドじゃない可能性もあるな、ウロボロスの前例があるし

 

「お、ここじゃないか」

 

「そうだな…ご丁寧に電子ロックとは、面倒な」

 

「まあちょっと待ってな」

 

操作パネルをちょちょいと弄れば…ピコーン、ビンゴってな

扉が開くと中にはハイエンドモデルらしき鉄血人形が一人

 

「うわ!?早くない!?てか二人!?」

 

こっちに気がつくや否や慌てた様子で武器らしきランチャーを取ろうとしたのでARで手元を威嚇射撃

………何だコイツ、本当にハイエンドモデルか?

 

「お前、名前は?」

 

「あたしはアーキテクト!そんな君は?」

 

「傭兵、K-816…好きな様に呼べ、取り敢えず両手を頭の後ろに付けて壁に正面から貼り付け…少しでも違う動きをしたらその頭ブチ抜く」

 

「ちょちょちょ!分かったって!それより傭兵くんさ、その隣に居るのってハイエンドモデルだよね?」

 

「そうだが、それがどうした」

 

「もしかしてこの前作戦失敗してたウロボロスちゃんでしょ!」

 

「傭兵、コイツ鉄クズに変えてもいいか?いいよな」

 

「どうどう、落ち着けウロボロス」

 

武器を展開してミサイルまで準備するウロボロス、殺意高過ぎだから…跡形も残す気ないやんそれ

 

まあ確かに、攻撃すら出来ずに無力化されたハイエンドに言われたら腹立つかもしれんが

 

「ねーねー!あたしも仲間に入れてよ!」

 

「は?急に何言い出す、お前腐っても鉄血のハイエンドモデルだろ」

 

「いやー、でもあたしってほら…アタマ悪いし?それに傭兵くんといればなんか面白そうな気がするし!ね?いいでしょ?」

 

降参意識高すぎないかこのハイエンドモデル、本当にハイエンドかマジで……こんな奴が指揮官だったのか?

 

こりゃ下に就く奴が大変そうだわ

 

「いいんじゃないか傭兵…こんなんでもハイエンドモデルだ、戦力にはなるだろ」

 

「まあウロボロスがそう言うなら……」

 

「ホント?やったー!あたしってちょーーーラッキー!」

 

「やっぱ無しでスクラップでいいか?」

 

「ええええ!?上げて落とすのは酷いよ!」

 

「冗談だよ、ならさっさと行くぞ…グリフィンが来る前に退散するぞ、グリフィンとの話し合いはまた社長に投げればいいからな」

 

ここで鉢合わせるのだけは勘弁願いたい、それにジュピターの回収もあるし…ここは輸送部隊に連絡しておくか




アーキテクトちょろい

こういう子ってどうヤンデレにすればいいか迷うよね
ゲーガーさんは今回エンカしません、アーキテクトはわーちゃん部隊とトンプソン部隊が来る前にけーくんが回収しました

て言うか俺イベントやった事ないから筋書きとかあんまり気にないでくれると助かります

おっ(´^ω^`)、鉄血が増えたな

ではでは、またお会いしましょう


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厄介なアイツ

何処のドイツなんだろうね(すっとぼけ)

どうもAZAZELです、ゲーム進めてるけど全くストーリー見てない愚か者です
時系列合わせようかと思ったけどなんか難しそうだしなんかもういいかなって(諦め)

て言うか融合勢力強い…強くない?
クリスマスバージョンデストロちゃんかわいい、ウロボロスちゃんもちゃんと回収できますた

今回はヤンデレ出るよ
では本編どうぞ


「遅かったわねK-816……それで、ハイエンドモデルがまた増えてないかしら」

 

「アーキテクトでーす、ヨロシクっ☆」

 

横ピースを自身の目元でバッチリとキメ、語尾に星がつきそうな位底抜けに明るくそう言い放った

 

「……変わった子ね」

 

「あんまり触れんといて…取り敢えず輸送部隊は呼んでおいたから、30秒もすれば到着するだろう…何台持って帰るつもりだ?」

 

「あら、ありがとう…出来れば2、3台欲しいんだけど…まあ一台でもいいわ、開発部隊に回せば喜んで複製してくれるでしょ」

 

「まあ、そうだな…」

 

結構エグい事言ってるけどなそれ、こんなトンデモ兵器を複製とか…まあ既に何十台もあるけど、一介の傭兵隊がそんな兵器を持つとはな

 

「お、来たぞ」

 

「お〜!これ傭兵くん所の輸送部隊?凄いね〜」

 

「毎度思うが、おぬしら唯の傭兵じゃないだろう…一介の傭兵がこんなもの持ってるか普通」

 

「その辺はウチの社長様々なんだよな」

 

超大型輸送ヘリが三機

それぞれ下にワイヤーが付いてるので、それでジュピターを固定する…思った以上にジュピターってデカいんだな

 

『ようK-816!久し振りに要請が来たと思えば何だこのデカブツ!』

 

「悪いなC-694、V-785が欲しいって言うもんだからよ…V-785の物置まで持って行ってくれるか?」

 

『それくらいお易い御用だけどよ、これって鉄血の最新兵器か?スゲェもんだな鉄血ってのは』

 

「みたいだな、流石の技術力ってとこだ」

 

『よし、固定も完了したし…浮かすから離れてろよ!』

 

超大型輸送ヘリ三機で浮かせるもんなんだなこれ……さて、これでジュピターの回収は出来たな

それじゃ、そろそろ鉄血側から反撃があってもおかしくない頃合だ

 

V-785にはある事を頼んでるし、準備は万端だな

 

『K-816、そろそろ潮時だ…ジュピターの接収を阻止する為に鉄血の軍勢が向かって来てる、メイド姿のハイエンドが先頭らしい』

 

「代理人直々のご登場ですか、随分と豪華な顔ぶれだな…先に行っててくれD-673、挨拶ついでにデカいの一発ぶちかましてから帰る」

 

『え"…それもしかしてV-785にやらせるつもりか?』

 

「いやぁその通り、それが悪いのか?」

 

『……まあこの区域は別に占領したところで得もないし、別にボッコボコにしても構わんか…隊長には俺から伝えとくよ、程々にな』

 

「だそうだよ、V-785」

 

「何言ってるの、ボコボコにしていいなら全力で行くわよ」

 

やっぱ物騒だなコイツ

 

て言うか持ち物が一般傭兵じゃなくて一般軍事施設レベルなんだよな、よく集めたもんだよ……まあ社長があの人だしそれも可能かもしれないけど

 

「お前らは先に戻ってても良いんだぞ」

 

「わたしは傭兵と共に行動する、それだけだ」

 

「あたしは面白そうだから最後まで見てくよ」

 

「そうか?まあいいが……なら派手な花火を上げてやってくれV-785」

 

「お嬢さん達にはちょっと刺激が強いかもね」

 

なんて軽口を叩いていると後方よりグリフィンの軍隊が現れる……この人形部隊はあの基地の奴らだな

 

「あれ、君確か…」

 

「おやFALさん、お久し振りですね…ここに来たってことはジュピターの接収時間稼ぎってとこですか」

 

「そういう君は何してるの?……あと、何でハイエンドが2体もいるのかな」

 

「アーキテクトとウロボロスだ…今は俺の鎖付きだから睨まないでやってくれ、突撃するならちょっと待った方がいい…巻き込まれるのでね」

 

「巻き込まれる?何の話?」

 

「まあ見てれば分かりますよ」

 

鉄血の軍勢がワラワラと見え始める、先頭に立つのはメイド姿のハイエンドモデル統括……エージェントこと代理人

 

「お久し振りです傭兵さん、この間は画面越しでしたので少し寂しかったです……それで、そこのハイエンドモデルは何をしているのでしょうか」

 

「ああ、コイツらか?落ちてたから拾ったんだ…もう要らなさそうだったからな」

 

「ふむ……まあいいでしょう、我々が傭兵さんを見れない間…代わりの人形が近くにいた方がいいと思っていましたから」

 

「そうかい……それで代理人、お前らの目的はジュピターの回収だな?」

 

「ええ、まあ……そこの雑魚に渡すのも癪ですので、ついでに傭兵さんも確保出来れば尚良ですね…と言うより、そちらが本命になりそうですが」

 

「そいつは残念、俺達はそろそろお暇させて貰うよ……ご挨拶は用意してある、遠慮せずに腹一杯に食ってけ」

 

「……なっ!」

 

上空をV-785が所持する無人大型爆撃機が四機現れる

一斉にハッチが開き、爆弾が大量に放出され始める……所謂『絨毯爆撃』ってヤツだな

 

一瞬にして轟音と爆風の嵐が巻き起こる、ハイエンドモデルはいいかもしれないが一般鉄血人形じゃ耐えきれないだろうな

 

「さ、帰るぞ」

 

「……ねえ傭兵くん、貴方達何者なの?」

 

「何者かと問われましても、一介の傭兵としか答えようがないですが」

 

「一介の傭兵が空爆なんて出来ないと思うのだけれど……君達の組織ってPMCじゃないんでしよう?」

 

「まあそこは社長の力ですね、ウチにはとんでもなく怖くて頼りになる社長が居るんですよ……それに、ウチは本当に唯の傭兵だ…PMCの様に面倒な制約も無いんでね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ていう訳で社長、こちらアーキテクトです」

 

「デスっ☆」

 

「……はぁ、また俺がやるのか?別にいいけどさぁ、て言うかいっその事人形部隊でも作ったらいいんじゃないか」

 

「それも面白そうですけど、今のところ二人しか居ないので保留ですね」

 

「ふぅん?まあ俺も考えとくよ……さ、部隊部屋に戻ってまた紹介してやりなさい」

 

てな訳で部隊部屋に戻った訳なんだが、誰も居やしない……どこ行ったねん

イヤフォンで連絡取ってみるか

 

『……お、戻って来たかK-816…今V-785の物置に居るんだ、お前も来い』

 

「アイツの物置に……?隊長まで揃ってなんでまた」

 

『持ち帰ったジュピターの鑑賞会だよ、いいから早く来い』

 

D-673に連絡してみたらまさかV-785の物置に居るとはな……

ヤツの物置はそれはそれは大層なもので、まあ言ってしまえばただの空き地で周囲に特殊電磁波を放つフェンスが設置されているくらいなんだが

 

内容物がもうトンデモない

 

大型無人爆撃機や無人戦闘機、迫撃砲に各種ミサイル等々……お前軍隊か何かかとツッコミたくなるレベル

 

そこに新たに加わったのが先の『ジュピター』

アーキテクトが指揮を執った作戦にて鉄血が使っていた大型兵器だ

 

「はぇ〜…ジュピターって思ってたよりデカいよなぁやっぱ」

 

「もう既に開発部隊にデータは送ってるし、今頃嬉しい悲鳴じゃないかしら」

 

「ああ、狂喜乱舞してる姿が目に浮かぶ」

 

アイツら本当にこういう兵器とか好きだからな、解析するのも改造するのも

いい年こいた大人が、少年かよ全く

 

「その開発部隊って、どれだけ凄いの?」

 

「あー…そうだな、唯のグレネードがあら大変…大陸弾道ミサイル並の威力をぶっ放つ様になる」

 

「何それこわ〜……」

 

「ああ、俺も同感だねアーキテクト」

 

アレは今でも忘れない……試作品を試しに使ってみてくれと言われ、荒野でグレネードを投げたんだ

そしたらナンテコッタイ、予想以上の爆発と爆風で危うくこんがり焼かれるところだった

 

威力強すぎて人の腕力程度じゃ安全圏まで投げれないという事で没になったが、『アッハッハッハ~!!やっぱり改造とはこうでなくちゃなぁ!!!』と言っていた開発部隊隊長の笑顔が眩しかったのを覚えている

 

マジでぶん殴りたい

 

「さて…ウロボロス、アーキテクト…俺は野暮用でI・O・P社の研究所に行くが、お前らはどうする」

 

「わたしは少し気になる事がある、そちらを調べてこよう」

 

「あたしはV-785ともう少しジュピターを眺めてるよ」

 

「そうか…じゃあ隊長、そう言う訳だ…俺は少し出てきますよ」

 

「おう、分かった…しかしお前から出向くとは珍しいな、何か気になる事でもあるのか?」

 

「まあ……少し、ありましてね」

 

バイクに跨り16labを目指す

この前にAR小隊と鉢合わせた時にM4を見なかった、M16A1の話を聞く限りじゃ……まあ何かあったって事だよな

 

ペルシカに聞きたい事もあるし、それのついでにAR小隊の事を聞いてみるか

 

「よう機械猫耳、最近よく会うな」

 

「そうだねぇ、君から私のところに来るなんて珍しい事もあるもんだね……それで?聞きたい事は何かな」

 

「話が早くて助かる……どのハイエンドモデルから襲撃を受けた」

 

「……本当、嫌なくらいに鋭いよね君…ドリーマー、夢想家って言えばわかるかい?」

 

「やっぱりな…何か嫌な予感がしていたが、ようやっと動き出したか」

 

しかし何故M4を狙ったんだ……別にAR小隊を狙うのならばM4に限定する理由もあるまい、その他に理由があるのか?

 

まあ夢想家の考える事だから…正直分からんし分かりたくもないが

 

「それで、M4は今どんな状態なんだ」

 

「メンタルモジュールがエルダーブレインからのハッキングでとても不安定になってしまってね、今はまともに会話すら出来ないよ」

 

「エルダーブレインって統括AIじゃなかったか?そんな大物まで出張ってきたのか……しかし、そいつは一大事だな…夢想家のその後は分かるか?」

 

「悪いね、全く追えてないんだ」

 

「気にするな、アイツ相手だからしょうがあるまいよ」

 

「……折角来たんだ、M4に顔を合わせてやってくれないか…君に会えば何か変化があるかもしれない」

 

「さいですか……まあいいですけど」

 

どうやらM4はメンタルモジュールが不安定なので今はこのラボに居るそうだ

 

とある一室にペルシカに案内された……そこには壁に寄り掛かり、うわ言を呟き続けるM4の姿があった

わぁお…思ってた以上に大惨事、こりゃ見てられんわ

 

「あらぁ、これはまた」

 

「ご覧の通りなんだよ、少し声を掛けてあげてくれ」

 

M4に近付き、そばで腰を屈める…が、特にこっちに気がつく様子は無い

と言うより、気が付いてるかすら怪しいな

 

「……聞こえるか、M4」

 

返事は無い、こちらに振り向く様子もない……頭を一撫でしてから立ち上がり、部屋を出る

立ち上がった瞬間、M4の目線が俺に向いた気がした

 

「さて、じゃあ俺は会社に戻るとするよ」

 

「そうかい、じゃあ気を付けてね」

 

『おいK-816、今手空いてるか』

 

「どうしたんですか隊長、いきなり通信なんて…まあ暇ですけど」

 

『緊急事態だ、お前がよく付き合ってるあの基地…今鉄血の襲撃を受けてるらしい、出動要請だそうだ』

 

「成程……了解しましたよ」

 

『俺達もスグに向かうがお前の方が近いだろう、先に対応していてくれ』

 

「了解……ペルシカ、どうやらあの基地が襲撃を受けてるらしい…俺はそっちの対応してから帰るとするよ」

 

「何だって……分かった、死なないようにね」

 

バイクを飛ばして基地へ向かう…英雄様は大変ですなぁ、鉄血からも人権団体からも狙われて

しかし何でまた急に襲撃なんて受けてるんだ……襲撃を仕掛けたハイエンドは一体どこのどいつだ全く、面倒事を持ってきおって

 

基地の周辺には鉄血人形達がわらわらと群がっている、その中心をバイクで轢き潰しながら銃で無理矢理作る

 

「よ、傭兵さん!」

 

「あらスプリングフィールドさん、お手伝いしましょうか?」

 

「助かります!こちらも手一杯でして!」

 

「了解、一匹残らずスクラップだ」

 

GRINDERの引金を引き、銃弾をばら撒く…ヴェスピドやリッパー、一般的な量産型が多いな

遠くにはイェーガー、その前にはガードか……隊列を組ませてるって事はハイエンドが居て間違いないだろ

 

「スプリングフィールドさん、ハイエンドモデルは見ましたか」

 

「いいえ、まだ姿を現してません…しかしここまでの軍勢、居ない方がおかしいです」

 

「ですよねー…さてどうしたものか」

 

ここは一転攻勢を狙って、一気に前線に出て崩すか?……いや、あのガードとイェーガーの配列はなんか怪しい

ここは正攻法で遠距離戦といきますか……GRINDERで周囲の鉄血人形を片付け、VICEでイェーガーとガードを撃ち抜く

 

「……ふむ、こんな所か」

 

「流石ですね傭兵さん、アレだけの鉄血兵をこんな短時間で……」

 

「ウチの部隊が到着する前に片付いちまったな……いや、まだ第一波って考えるのが妥当か」

 

「傭兵さん、中で少し休んできて下さい…警備なら私達で大丈夫ですから、それと指揮官様に今の状況をお伝えしてきてくれませんか?」

 

「……まあ、そう言うなら」

 

司令室の前に着いたが、中は結構騒がしくしている……まあアレだけの鉄血人形が押し寄せてきたんだ、そうなるか

 

「失礼しまっせ〜」

 

「あ、貴方は…!丁度いいタイミングです!今…」

 

「ああ、外の鉄塊なら鉄クズに還してやった…今は一段落してるところですよ」

 

「………そ、そうですか…ありがとう、ございます」

 

「それで状況はどうですか、裏手はどうやら別働隊が処理したみたいですが」

 

「ええ、AR小隊が対応してくれました…しかし何故急に鉄血が」

 

「それを考えても仕方が無いでしょう、ウチの部隊もそろそろ到着すると思います…恐らく第二波もそのうちに来るでしょう」

 

「そうですね、御尽力ありがとうございます…報酬の話はまた後程」

 

「それは社長と話して下さい、俺はやる事やるだけですので」

 

再度外に出て、周囲を見て回る……今の所第二波はまだ来ないか、来る前にウチの部隊が到着してくれれば楽なんだが

 

瞬間、真横が光ったと思うとレーザービームが飛んできた……何で?

 

「あっぶね……おいおい、いきなりのご挨拶だな」

 

「ヒヒッ…貴方なら避けると思ったよ、よ・う・へ・いさん?」

 

「げっ、夢想家…やっぱりお前だったか」

 

「そう、私よ…嬉しいでしょ?傭兵さん」

 

「ああ全くだ、本当に厄介な奴に出会ったもんだよ…どうせダミーだろ?なら問題ねぇな」

 

容赦なくGRINDERで撃ち抜く、あの指揮官から聞いた話じゃ…確かネゲヴ小隊ってのが夢想家の撃破に成功してるらしい

 

が、こうして俺の前に現れるって事は本体(オリジナル)では無いって事だろう

 

「酷いじゃない…レディに、向かって…銃を乱射なんて」

 

「よく言うぜ、バックアップでいつでも基地から復活できる不死身仕様のクセによ」

 

何の抵抗もしないで撃ち抜かれる辺り、やっぱり本体じゃねえな……となるとどこかに潜んでいるか、はたまたここには来てないか

 

「貴方、本当に私相手だと容赦ないわよね…その口振りも」

 

木の上から夢想家が降ってきた……ええ....(困惑)

降ってきた勢いをそのままに俺の上に乗るもんだから、俺は仰向けに倒れ込む

 

GRINDERを即座に構えるも虚しく、潜んでいたダミーに腕ごと抑えられてしまう

 

「アッハハハハ!やっと捕まえた、やっとやっと…待ち望んでた時が来た、嗚呼傭兵さん?あたしのこの高まる気持ちが分かる?」

 

「さあな、知らんけども…俺は別の意味でドキドキだよ」

 

「んふふ、何を怖がってる?これからあたし達と貴方は幸せになるんだよ、もっと嬉しそうな顔しろよ」

 

「全人類殲滅後にか?冗談じゃない、御免蒙るよ」

 

「おいおい、何か勘違いしてないか?傭兵さんに拒否権なんてないんだよ……まあでも、確かに傭兵さんなら今の状況を打開出来るかもしれない…それはあたしだって分かってる」

 

「人を怪物扱いしないと気が済まないのか君らは……どう考えてもこの状況はひっくり返せんだろ」

 

「今まで自分が行ってきた行為を振り返ってからその口叩きなさい…そこで私が開発した傭兵さん専用の首輪だよ」

 

えーなにそれこわーい

いやマジで怖いんやけど、夢想家が作ったもんやろ?勘弁して欲しいんだけどなぁ

 

「この首輪については基地に帰ってからゆっくり説明してあげる、今はおやすみ…傭兵さん?」

 

どこからか取り出した注射器で何かを打たれる…睡眠薬かなんかだろうな、眠くなってきたわ

そんな訳で俺の視界はブラックアウトした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さてここは何処じゃらホイッ

前と違って椅子ではなく床に座ってる、首元に違和感があるからさっき言ってた夢想家特製の首輪が着いてるんだろうな

 

目隠しされてるしここはいつも通り足音で………何か上手く力が出ないな、周りの反響音が聞き取りづらい……それに思ったより音が響かない

 

拘束は壁と繋がった鎖付きの鉄製枷が付いてるだけ、本来ならこの程度の枷どうって事ないんだが……

 

「……指の動きもおかしい、脚力と聴力も…何なんだ?」

 

「お目覚めかな、傭兵さん」

 

「……夢想家か…それで、首輪の説明をして貰おうか」

 

「そんなに焦るなよ、焦ってもいい事ないぜ?」

 

「はいはい、分かったからはよ」

 

「そのタフさは一体どこから来てるのやら……まあいいわ、説明してあげる…その首輪は常に微弱な電磁波を放っている、肌に直接触れるように付けると触れた部分を伝って脳に届くように設計されてる」

 

なにそれマジ怖い、電磁波ってなんすか……それ人体に影響無いんだよね?

 

「人間の脳は微弱な電気信号で各部位に指令を出してる、ってのは知ってるでしょ?その首輪の電磁波はその電気信号を妨害するの、要は使用者の身体機能を著しく低下させるって訳……後遺症とかは残らないから安心してね…まあでも、今の傭兵さんじゃ訓練してない一般人並みの力しか出せないだろうけど」

 

「全く表に出てこないで引きこもってたと思えば、そんなもん開発してたのかよ……本当、厄介だなお前」

 

「んー、でもこれ…元々作ってたんだぜ?傭兵さんがあたしと関わってから、あの怪我をした日から」

 

「え、元々付ける予定だったの?」

 

「当たり前じゃない、貴方放っておくと何処ほっつき歩いて怪我してくるか分かったもんじゃない…ならいっその事身体を人並みにまで低下させてから私達無しじゃ生きられないようにすればって」

 

「とんでも発想だなおい…その結果がこの首輪か?」

 

「ええそうよ、開発するのには苦労したわ…人体に影響が出ない程度の電磁波を絶え間なく放出し続けるなんて、難しい以外の何物でもないぜ?」

 

鉄血の科学力はしゅごいですな(語彙力)

しかし納得はしたな、道理で身体の力がちゃんと入らない訳だ…これは俺も年貢の納め時ってヤツか?

 

今の力じゃこの首輪を外す事すら難しい……さて、どうしたものかな

 

「ああ悪い、目隠しを着たままだったな…取ってやる、あと手枷もな」

 

「……ま、確かに今の俺じゃ逃げ様がないわな」

 

「ヒヒッ、素直なのはいいことだぜ」

 

手枷が外され、目隠しも取られた…眼前には病的なまでに白い肌をした夢想家の顔があった

どいつもこいつも顔良いよな……でもなんかもう、目がね…怖いわ

 

顎を人差し指で持ち上げられる

 

「今日から楽しい楽しい新人生が始まるぞ、私達と傭兵さんだけの新しい世界…あたしは幸せだな、貴方と居れて……さあ、他の奴らも待ってる事だ…行くぞ、傭兵さん」

 

……詰んでね、色々と…誰か助けて(切実)

 

 

『グリフィン基地』

 

「何処だ…何処にいる傭兵!」

 

「傭兵く〜ん!どこ〜!」

 

クソ!わたしとした事が……!こんな事ならばドリーマーの足取りを追うより傭兵の傍に居ればよかった!

 

連絡もつかない、行方も分からない……何処へ行ったというのだ傭兵…!

 

「もしかして先に帰っちゃったのかな〜…行き違ってたり?」

 

「馬鹿者、そんな訳が無かろうが…傭兵が乗ってきていたバイクが置きっぱなしだっただろ」

 

「それもそうだよね〜……う〜どこ行っちゃったのさ〜」

 

「……あ?お前らは…」

 

コイツは…確かAR小隊のM16A1とか言う奴らか?何故コイツらが居ながら傭兵が……クソッ、感情のコントロールが効かん

 

「……何だ雑魚、今貴様に構っている暇は無いぞ」

 

「ちょっ…!ウロボロス!イライラしてるからって喧嘩吹っ掛けないでよ!ごめんね〜、今ちょーっと気が立ってるんだウチの子…だから大目に見てあげて?ね?」

 

「みたいだな…そう言えば傭兵はどうした、お前らだけか?」

 

「あーそれがね、傭兵くん行方不明なんだよ〜…この基地に来たって事は知ってるんだけど、そこから連絡つかなくてさ〜」

 

「何?傭兵が行方不明だと……ウチの基地周囲の監視カメラを見てみるか?何が掴めるかもしれないぞ」

 

「ホント!?ありがと〜!ほらウロボロス、お礼言ってよ」

 

「……チッ、借りたつもりは無いぞ」

 

「貸したつもりもねえよ、ほら行くぞ」

 

監視室に向かう途中、この基地の指揮官とやらとも遭遇した…傭兵の話をM16A1から聞くと付いてくると言った為、四人で監視室へ向かうことに

 

アーキテクトと共に全ての監視カメラ映像をくまなくチェックする……と、一つの映像が引っ掛かった

 

「……コイツは、ドリーマー…!」

 

「あ、ドリーマーだね…って!傭兵くん連れてかれちゃったじゃん!」

 

「何!?まさか鉄血に攫われたってのか!クソッ、なら早々に捜索隊を出さなきゃ…生きて帰れるか分からねぇぞ」

 

「……申し訳ないけど、今私達の基地でスグに動かせる部隊はいないわ…契約を結んでいるし、本部に連絡すれば編成はしてくれるだろうけど……捜索にどれだけ時間が掛かるか…」

 

「ぐっ…クソッ!!!」

 

ドガン!と机を力一杯に叩く…叩いた部分が壊れている気もするがそんな事を気にしている余裕は無い

 

不甲斐無い、不甲斐無さ過ぎる……頼れと言っておいてこのザマか、やはりわたしはこの程度の人形なのか……

エージェントの言っていた事は間違いでは無いのか…わたしは指揮官としてならず兵士としても三流以下なのか

 

「あーもう!ウロボロス!」

 

「なっ!?」

 

両肩をバン!とアーキテクトに叩かれ、思考が吹き飛ぶ

 

「ここでうだうだ考えてたって仕方ないでしょ!今あたし達に出来ることは自力で傭兵くんを探す事!違う!?」

 

「ア、アーキテクト……」

 

「傭兵くんはあたし達のこと拾ってくれたんだよ、次はあたし達が傭兵くんを助ける番なんだ」

 

「………済まない、頭に血が上っていた」

 

「うんうん、それでいい!て事だから指揮官さん、傭兵くんの捜索はあたし達がするよ」

 

「本当に申し訳ない…我々も準備が出来次第、捜索に加わります」

 

「はいよろしくお願いします!それじゃああたし達は連絡もあるのでこの辺で〜!」

 

アーキテクトに背中を押されながら監視室を出て、そのまま基地の外へ……先ずは第十三部隊への連絡だな

 

話を聞いた隊長な笑いながら『大丈夫だ心配するな!アイツがちょっとやそっとで死ぬ様な奴じゃないのはお前らも知ってるだろ?』と言っていた

 

B-889が既に傭兵の現在地を調べているらしい、あと15分もすれば見つかるとの事

 

「しかし、今のわたし達が向かった所で他のハイエンドモデル共に勝てる道理がないな」

 

「確かに〜…エージェントなんて相手になんないよ〜」

 

「何かいい手は……そう言えば傭兵の持っている武器、あれは何処かの研究所から貰ったものだと言っていたな?あれを使えば……」

 

「あ!それ名案!……でもその研究所って?」

 

「それならば心当たりがある、I・O・P社…つまるところグリフィンの人形共を作ってる会社の研究所にいるペルシカ…とか言ったか、傭兵はアイツから武器を受け取っていた」

 

「ほほ〜成程!じゃあそこに行けば分かるってことだね!でもどうやって行くの?あたしバイクなんて運転出来ないよ」

 

「わたしが運転出来る、傭兵一人に運転させ続けるのも忍びないから練習しておいた…さっさと行くぞ」

 

後ろにアーキテクトを乗せ、前回訪れた研究所へ向けて走る

道はあの時に覚えておいたのが役に立ったな……研究所へ着いたわたし達はすぐさまペルシカの所へ向かう

 

「あれ?君は確か彼のところの……なんかもう一人増えてるけどそれは置いておいて、君らだけかい?」

 

「ああ、傭兵が鉄血に攫われた…そこで傭兵に武器を渡している研究所について知りたい」

 

「彼がまた鉄血に…?そうか、分かった…そういう事なら話を通しておこう、見たところ時間も差し迫っている様だし…直接会社に向かうか」

 

ペルシカの用意したヘリを使い向かった場所……Modern Weapon社こと、『MW社』と呼ばれる所だった

 

ペルシカが話を通しておいたお陰か、スムーズに社長と会うことになった

通された部屋に居たのは片目に大きな傷のある銀髪スーツ姿の女

 

……だかコイツ、確実に強い

 

「ようこそ、我がMW社へ…私がCEOのへルリアンだ……しかし何だ、久し振りに顔を出したと思ったらまた面倒事を持ってきたのか?ペルシカ」

 

「まぁ…そんなところかな、でもこれは君達の為でもあるんだ……彼が鉄血に攫われたみたいなんだ」

 

「……へぇ、あの傭兵の坊やが…不意でも突かれたのかな?我社の武器を持っている坊やを捕縛するなんて早々出来る芸当じゃないと思うけど」

 

「そんな彼が攫われたのは事実なんだ……そこで、彼女達に武器を作って欲しい…彼女達が彼を救出に向かう」

 

「ふぅん、まあ坊やには散々お世話になっているし…そろそろツケを返さなければとは思っていた所だ……そっちのツインテールの子のはもう出来上がる直前だが、もう一人の子は初めてみるね…データ取りからだから少し時間がかかるよ?」

 

「それでも構わないよ」

 

「OK、なら早速研究所へ向かうとしよう」

 

CEOの女に案内された場所は、MW社の研究所……この研究所から普段傭兵の使っているトンデモ武器が生まれているのか

 

「ツインテールの子はこっち、君は悪いがあっちで少しデータ取りに付き合ってきてくれ」

 

「はーい!」

 

「さて君のだが、この前あげたLMGは気に入ってくれたかい?」

 

「ああ、存分に使わせて貰っている」

 

「それは良かった、それじゃあ君のもう一つの武装に付ける追加装備…その名も『VERR POWER』だ、変な形をしてはいるが我社の技術力の結晶と言っても過言では無い」

 

「……確かに妙な形はしているな、しかし何だこれは…電撃か?」

 

「おお、そこに気がつくとは……このVERR POWERは中心のコイルでレーザーイオンを発生させて電撃として撃ち出す、所謂レーザービームってヤツなんだ…コイルがオーバーヒートしない限り撃ち続けられるし弾丸も必要ない、射速も関係ないから撃ち合いにも強いんだ」

 

…………またトンデモないものが出てきたものだ

レーザービームと簡単に言ってはいたが……まあいいか、そこに突っ込むのも時間の無駄か

 

「それじゃ、早速取りつけるけどいいよね?」

 

「構わん、頼む」

 

「あともう一つ、これを坊やに渡してやってくれ…坊や専用の新作ショットガン『LSN-2SB』だ」

 

傭兵用にか……前にショットガンも欲しいと呟いていた事があったが、タイミングが良すぎないか?

 

「みてみてウロボロス!新しい武器貰ったよ!カッコイイでしょ〜」

 

「お、それは『FIREFLY』と『V.L.A.D.』だね…FIREFLYは弾頭に気体状の化学物質が入ったRPG、人形にも効く特別製だよ…V.L.A.D.は弾頭に誘導センサーを取り入れたグレネードランチャー、とは言っても高速で撃ち出されるから気持ち程度にしか誘導は出来ないんだけどね……さあ、コレで武器は揃ったよ…坊やの事は頼んだよ」

 

「分かっているさ、必ず連れて戻る」




ドリーマーってゲームでもヤンデレなんしょ?
まだ来てないけど楽しみに待っとこうかな

けーくんから身体機能を取ったらヤンデレキラーしか残らないじゃない!
あ、あとMOD3のHK416カワユス……でもお前どんだけ作戦報告書食うねん……在庫が底尽きるわ…

ではまた会いましょう


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楽園と休日ときな臭さと

どうもAZAZELです、サブタイが日に日に雑になってくる今日この頃

ゲームの方はG11を出す為に何回も建設回しました……その間に何度AK-12が排出されたことやら
お前出難いんじゃないんかい、何でG11の方が難産なんだよ

G11を出すために回したのに叛逆小隊も残すとこあと一人になったし、これは順調だな(白目)
まあ出たからいいけど

今回はヤンデレから始まるよ、では本編どうぞ


「おお、傭兵の力が普通の人間だ」

 

「普通ってなんだ普通って、俺は普通の人間だぞ」

 

「は?どの口が言ってんだ」

 

「あい……」

 

ちょっと試しに10kgダンベルがあったので持ち上げようとしたのだが……どう力を入れてもピクリとも動かない、これ最早女の子じゃね?

 

因みに施設内は自由に歩いていいそうだが、近くにハイエンドを付けることを条件にされた

今は処刑人と一緒

 

「これ…マジで力入らねぇな、よくこんなん作ったな」

 

「なあ傭兵、お前今拉致されて監禁状態なんだよな?なんでそんな余裕なんだ?絶対感性おかしいぞお前」

 

「おいおい今に始まった事じゃ無いだろ処刑人、そんな事気にしてると疲れるだけだぞ」

 

「監禁されてる本人が言う言葉じゃねぇな」

 

確かに言えてる^〜

マジ笑えないんですけどこの状況、どうしたもんかなぁ

 

身体能力がここまで落ちてるとは……ハイエンドから逃げられる訳ないやんこんなん、どうしろっちゅうねん

 

「……おい、そろそろ戻るぞ…スケアクロウが待ちくたびれてるかもしれねぇぞ」

 

「え?ああ…もうそんな時間か」

 

朝食は侵入者、昼食はスケアクロウ、夕食は代理人が毎回届けに来てくれる

そんでこの飯が美味いのなんの、何処から食材を取ってきてるのか知らないが新鮮な野菜が出てくる……何で?

 

「おかえりなさい傭兵さん…さあ、昼食の時間ですわよ」

 

「それじゃあオレとはここでお別れだな、後は任せたぞスケアクロウ」

 

「勿論ですわ」

 

きょ〜うの昼食は〜……何これうどん?どっから小麦粉取ってきた、マジでこのバリエーションは何なの

うめぇ……こんなん食ったらクソマズレーションなんかに戻れねぇよ

 

「どうですか傭兵さん?」

 

「これ材料ってどっから取ってきてるんだ?普通に美味いです」

 

「自家栽培ですわ、コーラップスに汚染されると面倒ですので室内栽培ですが…よく出来ていますでしょう?」

 

「あ…そう、へぇ……そうだな」

 

だいぶ前に拉致られた時に出てきた飯もそんな感じだったよな……このご時世に自家栽培て

これも鉄血の科学力なのか?

 

「ごちそうさんです」

 

「お粗末様です……あら、傭兵さん…ここに付いてますわよ」

 

スケアクロウが頬に指を当て、うどんの破片を取る…そのまま俺の口へ近付けるので食べた

 

………なんかスケアクロウが凄い変な顔してる

 

「ああ…嗚呼…いけませんわ、ダメですわ傭兵さん…私の前でそんな無防備に」

 

「え、ちょ…ストップだスケアクロウ、ちょまっ…」

 

スケアクロウに押し倒され、床に押し付けられる

完全に上に乗られ片腕を抑えられる……どういう状況やねんこれ

 

「嗚呼…傭兵さん、傭兵さんがイケナイのですわよ?私の前でそんな可愛らしい事をするなんて…嫌なら逃げて下さい、逃げられたらの話ですが」

 

ガスマスクを取り、スケアクロウの素顔が見える……クッソこいつもこいつでめっちゃ顔がいい

 

てかガッチリ拘束されてて逃げられやしねぇよこんなの

 

「逃げられないの分かってて言うなっての、ていうかマジで一回落ち着けってスケアクロウ」

 

「無理ですわ」

 

「即答しないでもう少し頑張って」

 

息荒いんすけどちょっと、これ俺が食べられるのでは?シャレにならないんだけど

 

「スケアクロウ、何をしているのですか?」

 

「あら、代理人……何か御用がありまして?」

 

「ええ、食後に傭兵さんへ耳かきでもと思っていましたが……抜け駆けですか?」

 

「……冷めてしまいましたわ、傭兵さんを頂くのはまた今度にしますわ…それでは御機嫌よう、傭兵さん」

 

そう言ってスケアクロウは部屋から出て行ってしまった

あっぶねぇ〜マジでナイスタイミングだぜ代理人、もう少し遅かったらパックリいかれてたわ

 

「では傭兵さん、こちらへどうぞ」

 

「はいはい……毎度毎度飽きないのかね代理人」

 

「飽きる訳がありません、貴方とこうして触れ合えるのですから」

 

週に2、3度程のペースで昼食後に代理人が耳かきをしてくる…しかも膝枕、これがすっげぇ柔けぇのなんの

ついでにその後に耳と頭のマッサージまで付いてくるトンデモ豪華なセット仕様、どうしようマジで居心地が良過ぎるんですが

 

「………嗚呼、とても夢の様です傭兵さん…貴方とこうして静かに日常を過ごせる日々をどれだけ望んだ事か」

 

「それで、人類殲滅計画はどこまで進んでるんですかね」

 

「進捗は私にも分かりかねます、全てはエルダーブレイン…エリザ様の指揮のもとで行なっていますので」

 

「そうかい……そのエリザ様ってのがお前らの親玉か、全く面倒な事をしてくれおって」

 

「その内エリザ様にも会ってみますか?」

 

「あー……まあ考えとく」

 

とにかく今は気持ちがいい(小並感)

ここ最近ウロボロスやアーキテクトにちゃんと寝ろと言われて7時間睡眠をしっかりしてるのだが、この睡魔には勝てん

 

てな訳ですっかり眠ってしまっていたらしい、まあ目が覚めてもまだ代理人の膝の上なんですがね

後ろにはハンターが立っていた、交代の時間か

 

「おはようございます傭兵さん、可愛い寝顔でしたよ」

 

「…………うるせぇ、今何時だ」

 

「15時きっかりです、では私はやる事がありますので…ここからはハンターに交代します」

 

「そうかい……それじゃハンター、少し散歩する」

 

「ああ、分かった」

 

この施設は俺が勤務してた鉄血工場とは別の場所で、かなり広い

恐らく鉄血本社とか、それに近い重要施設だと思う…まあ外の警備もガッチガチなので多分そうだろう

 

「しっかし広いよなこの施設、結構なんでもあるんじゃね」

 

「ああ、わたし達は使わないが大浴場もあるみたいだぞ」

 

「え、あるなら先言ってよ」

 

「何だ使うのか?てっきりシャワーの方が好きだと思って言わなかったんだが」

 

「ああ、まあ…正直ウチの会社にも有るには有るんだが使ってる暇が無かったからな」

 

「ふむ、そうか……ならエージェントに相談してみよう、早ければ今日から使えると思うぞ」

 

風呂か、暫く浸かってないなぁ……傭兵やってると忙しくてシャワーで済ませがちだし、何よりシャワーすら浴びれない時も多いし

 

浸かれる時に浸かっとこう………何だかんだ満喫してないか俺、大丈夫か俺……

 

「……ん?あそこに居るハイエンド、見た事ないな」

 

「…ああ、あいつはゲーガーだ…アーキテクトと行動していたが、見た事はないか?」

 

「お生憎、俺はアーキテクトしか遭遇してないね」

 

「……!お前、確かドリーマーが拾ってきたとか言う傭兵…」

 

「どうも、初めましてゲーガーさん」

 

クソ、どいつもこいつもいい顔しやがって……

しかし本当に初めて見るな、あの時は見てなかったが……AR小隊の方にぶつかっていたのかな?

 

「……お前、アーキテクトを拾ったらしいな」

 

「ああ、拾ったな…それがどうかしたか?」

 

「……いや、ただ聞いただけだ」

 

「アーキテクトは一応、立場上はゲーガーの上司だったんだ」

 

ハンターが小さい声で情報を耳打ちしてくれた

ははーん?成程なぁ……随分とアーキテクトも部下に恵まれたもんだな、こんなにも心配してくれる部下が居るなんて

 

「アーキテクトなら元気にやってるよ…ま、お前にとってそれが良い事か悪い事かは知らないが」

 

「そうか、別に気にしてなどいない………まあ、一応感謝はしておこう」

 

「ツンデレか」

 

「傭兵、あまり思っても声には出さない方がいいぞ」

 

やべ、つい何時ものノリで口走ってしまったな…失敬失敬

いやーしかしアーキテクトが上司かぁ……大変そうだなコイツも

 

「ま、これから仲良くしてくれよ」

 

「……お前、拉致されている身なんじゃないのか?」

 

「それ処刑人にも言われたな…だがそんな事を気にするだけ無駄だぞ、俺はこう言う人間だ」

 

「そ、そうか…まあ、宜しく」

 

ゲーガーと別れ、ガラス張りのロビーの様な場所に移った

そこからは外に広がる森と荒野が一望できる、割とお気にの場所だ

 

「やあ傭兵さん、ここの暮らしは快適か?」

 

「ああ、嫌になる位に快適だよ…夢想家」

 

いつの間にかハンターと交代して夢想家が俺の隣に立っていた、コイツマジで神出鬼没だな

何処から現れるか分かったもんじゃない

 

「首輪に違和感は無いか?」

 

「これがまた無いのが怖いのよ、どんな素材使ってんだよこれ」

 

「はん、そうだろ?あたしがお前の為に作ったんだ、有難く受け取れよ」

 

「いやー本当なら丁重にお断りする所なんだがなぁ、もう付いてるしどうしようもねぇよ」

 

「あ、傭兵さんいた〜…っとう!」

 

「うごッ……おいデストロイヤー、急に飛び付くなって言ったよな?」

 

「でも傭兵さんなら受け止められるでしょ?」

 

そういう問題じゃないのよ、毎回腰にダメージが来るのよ

小さいと言えど戦術人形、パワーが人間の比じゃないのよ……まあ年相応に見えるからそれでもいい気がしなくもない

 

「あら、おバカちゃんじゃない…任務は終わったの?」

 

「終わったよーだ、だからこうして傭兵さんの所に来たんだもーん」

 

「ふーん、そう……」

 

「お前、あんまりデストロイヤーいじめてやるなよ…」

 

「あら人聞きの悪い、愛のあるいじりよ」

 

「あっそう………あ?」

 

「…?どうしたの、傭兵さん」

 

ガラス張りの向こう、砂の広がる荒野の果てから何かがこちらへ向かってくる……アレは……

 

「……来る」

 

「何よ傭兵、来るって何が来るのよ」

 

「嵐だよ、とんでもないのが来るぞ……ははっ、思ってたより早かったみたいだがな」

 

「だからさっきから何を……まさかッ…!デストロイヤー!侵入者よ!エージェントにさっさと報告してきて!!」

 

「ええ!?う、うん!分かったよ!」

 

瞬間、外で大爆発が起こり建物が揺れる…それと同時に警報がけたたましく吠えた

外を見やれば、外壁へ向けてミサイルやらロケットランチャーやらが飛んできていた

 

あのとんでもない威力を見るに、恐らくB-889特製弾だろう…向かってくるバイクは2台

ウロボロスとアーキテクト、それにG-185とD-673だ

 

ぶっ壊した外壁の穴から2台のバイクが施設内へと侵入、G-185は何故か一瞬で俺を見つけた様でバッチリ目が合った…かと思えば大型コンバットナイフを思いっ切り振りかぶり、こっちにブン投げた

 

「あぶねっ…全く、怪我したらどうすんだ」

 

「あの距離からナイフを投擲で…!しかも強化ガラスまで突破って、と言うか取ってるじゃない傭…兵……な、なんで取って」

 

G-185がブン投げたコンバットナイフは強化ガラスを突き破り俺の顔スレスレを通過した、それを後頭部で二本指でキャッチした

 

「夢想家、お前の作った首輪…随分と繊細なものらしいな、ちょっと傷が付いたら壊れちまったよ」

 

「逃がさない!!絶対に!!!」

 

潜伏していたであろうダミーが2体飛び出してくる、ついでに目の前の夢想家もこちらに飛び掛ってくる

一瞬でダミー2体の手足を斬り落とし、本体の右腕左足を斬り飛ばす……あとは蹴りでそれぞれブッ飛ばす

 

壁や強化ガラスに罅を入れながら激突した様だ

 

「次は鉄製の首輪にでもしておくんだな……やっぱりこっちの方が手に馴染むな」

 

「クッ!ソ!!ナイフまで扱えたのかよ傭兵!!」

 

「俺の本職は本来コッチだ、だが戦場じゃそうも言ってられないからARとかも使ってるんだよ」

 

本体に近付き、しゃがみこむ

 

「お前らの目的が何であるかは知らんし興味もない…何故エルザとやらが人間を殲滅しようとしてるかなんてサラサラ分からん、だがお前らが俺を想う気持ちが変わらないというのなら……いつか拾ってやる、全員な」

 

「……フッ、よく言うわよ………まあ、期待してるわよ……傭兵さん」

 

「ああ、だが今はまだお前らに捕まっている暇は無い…悪いが行かせてもらおう」

 

夢想家に背を向け、走り出す

ガードやリッパー達がワラワラと出てき始めてる、さっさと脱出しないと面倒だな

 

しかも今俺、得物がコンバットナイフしかないんだけど…ワイの愛銃は何処へ

 

「ようK-816!会社にはこれしか無かったが持ってきてやったぞ!」

 

「ナイスタイミング、感謝するぜD-673」

 

なんて思ってるとD-673が人形達を蹴散らしながら現れ、俺専用二丁拳銃ガンブレード『IGNIS』をブン投げてきた

 

使用弾丸は改造.454カスール弾…本来リボルバー式専用の弾丸しかない.454カスール弾を開発部隊の奴らがボックスマガジンに入るよう改造した物、装弾数も改造済みで12発

 

ブレード部はコンバットナイフ並に大きく長い、そして常に超高温に保たれている

総量は8.5kg×2の17kg、正直人間が扱うには無理がある武器ではある……ので一緒にコイツを使う、その名も『完成形T-851身体機能向上剤』開発部隊が作った一種のドーピング剤である

 

名前の由来は言わずもがな、我らが隊長である…使えば隊長並の身体能力が出る様になる言う所の劇薬

 

「……〜っあ"あ"ッ、マジでキク本当…さて、さっさとバラして脱出と行きますか」

 

愛銃を探しながら片すとしますか

迫る人形共に弾丸をブチ込んだ後、ブレードで斬り伏せる…疑似血液が飛び散り俺の顔に付いた

 

「あっ、やべ……アイツの性格忘れてた」

 

「……っく、アッハハハハハハハハハハ!!!!!いい!こいつァいいなぁオイ!!やっぱ戦闘ってのはこうでなくちゃなぁD-673!!!」

 

「お、おう…そうだな、取り敢えず先進もうぜ?」

 

「機械のくせに生暖かい血飛ばすじゃねえかよ!!いいぜもっと出してみろ!!!」

 

「あちゃ〜…渡す武器間違ったなぁ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フー、スッとしたぜ」

 

「御満足しましたかねK-816殿」

 

「ああ、大満足だ」

 

「それは良かったよ……ほら、お前の銃だ」

 

「これはどうも」

 

昔のクセでつい血に興奮してしまった……まあ周りの鉄クズ共をあらかた解体できたし結果オーライだな

 

俺が斬り刻んでいる間にD-673が俺の愛銃を見つけてきてくれていた様だ

 

「さっさと出るぞ、他のハイエンドモデルに来られても面倒なだけだ」

 

「そうだな、他の奴らも待たせてる様だし」

 

D-673案内の元、出口に向かって突っ走る

ここからはGRINDERを使って鉄血共を撃ち抜いていく、やっぱ近接の方が俺の手には馴染むみたいだがな

 

出口付近ではウロボロスとアーキテクト、G-185が周囲の警戒をしつつ安全確保をしていてくれた

 

「よっ、おひさ」

 

「おひさじゃないよ!も〜どこ行ってたのさ全く!」

 

「お小言は後で貰うぞアーキテクト…ウロボロスも悪かったな」

 

「いや、気にするな…悪いのはわたしの方でもある」

 

「……?どうしたんだ急に」

 

「なんでもない、さっさとここから離れよう」

 

でもバイク二台しかなくね?と思ったらウロボロスがアーキテクトを担ぎ、俺がその後ろに乗った……え、それでいいの?

 

エンジンを吹かしてトップスピードに乗る……施設を出た次の瞬間、無人戦闘機が三機…ミサイルをぶっ放し施設を吹き飛ばした

V-785か……危ねぇな、少し遅れてたら巻き添いで吹っ飛ばされてたな…だからアイツと部隊行動とるの嫌なんだよ

 

「この先にバイクを一台潜伏させてある、そこまで離れたらそれを使え」

 

「用意周到ですなD-673、感謝しますぜ」

 

「なら次飲む時一杯奢れよ」

 

「はいはい」

 

施設からだいぶ離れた場所、草むらの陰に忍ばせてあるバイクを見つけそれに跨り会社へと向かった

あとから聞いた話だが、ウロボロスとアーキテクトへMW社CEO本人から新武器を提供してもらったらしい

 

後で御礼に行かなくてはな

 

「はぁ……ただいま帰りましたよ」

 

「随分疲れてるねけーくん、お疲れ様〜」

 

「全くだ、これで三度目だぜ?もうそろそろ精神的にキツイよ」

 

社長に頼んで少し休暇でも貰うかな……働き詰めなのは構わないが鉄血に拉致られると精神力を持っていかれる

久し振りにバイクで走り回りたいもんだ……

 

「疲れてるなら休みを貰ってきたらどうだ?お前何だかんだで出っぱなしだろう」

 

「エスパーか何かですか隊長、ちょうど俺もそう思ったんですよ」

 

「折角だ、三日くらい休んできたらどうだ?俺から社長には伝えておいてやるよ」

 

「…いいんですか?ならお言葉に甘えますけど」

 

「大丈夫だよ、今のところ仕事は定期的な鉄血人形の殲滅くらいだ…大きな作戦は入ってない」

 

てな訳で隊長より三日間の休暇を貰った……何しよっかなぁ〜、取り敢えず超久方振りにMW社に顔でも出しに行くか

 

「どうも、結構お久し振りですねへルリアンさん…どうやら身内がお世話になったみたいで、ありがとうございます」

 

「なに気にする事はない、私には君へのツケがたんまりと有るのだからな…それの一部を返したに過ぎないさ」

 

「ツケだなんて、俺だって銃を貰ってる身ですよ」

 

「それでも坊やから貰うデータにはそれ以上の価値があるって事さ、アレがなければあの銃達はお蔵入りさ」

 

現在MW社の社長室にて銀髪のクールビューティ、基へルリアンさんと面会している

俺の後ろにはついて行くと言って聞かなかったウロボロスとアーキテクトが立っている

 

「あれだけのデータを毎度欠かさず送ってきてくれる君には感謝をしてもしきれないのさ」

 

「あはは、まあそうであるのなら嬉しい限りです」

 

「ああ、何だったら今の溜まっているツケ……私の身体で払ってもいいんだぞ…?」

 

「う"ぇっ」

 

ソファーに座る俺の顎を下から掴み、へルリアンさんの視線へと強制的に合わせられる

確かにこの人めちゃんこ美人だけども……結構デカイ会社のCEOやぞ、手なんて出したら何されるか分かったもんじゃないぞ

 

「坊やが望むなら、私が幾らでも相手をしてやる」

 

「あー、いや…別にそういうのはいいかなぁ…って」

 

「遠慮するな、坊やと私の仲だろう?」

 

俺の隣に腰掛け、肩に腕を回してくる

そして俺の太腿撫でながら耳元で囁かれる……やめろ、やってる事がオッサンだぞへルリアン

 

更に俺へ囁いてくる

 

「ああそうだ、ウチもそろそろ専属の特殊部隊を組もうと思っててね?専用の強化外骨格と坊やの使っている武器を合わせた戦闘部隊……どうだい?坊やさえ良ければウチの専属になってみないか?」

 

「そういうのはちょっと…俺はただの傭兵なんで、まあその強化外骨格とやらには興味はありますが」

 

「フフっ、そう言うと思ったよ…まだ試作品すら完成してない机上の空論だが、完成すれば弾丸、爆発に対して圧倒的な耐性を誇る物が出来上がる予定さ」

 

「それは楽しみにしてますよ」

 

「……全く、坊やはツレない男だ…こんなご時世だ、女遊びの一つや二つしたって罰は当たらないだろうに」

 

「女遊びで武器会社のCEOになんか手を出せるかってんですよ」

 

「別に私は構わないが……何だったら愛人でもいいんだぞ?」

 

「冗談も程々にして下さいよ」

 

「むぅ……別に冗談では無いんだがな」

 

へルリアンさんの悪ふざけに少し振り回されたが、いい情報を聞けた

 

強化外骨格…所謂パワードスーツ

この会社が作る強化外骨格だ、どう転ぼうとトンデモない物が出来上がる事は間違いがない

 

「では俺はこれで…ああそう、ショットガン…ありがとうございますね」

 

「いえいえ、存分に使ってあげてくれ…たまにはこうやって顔を出してくれよ」

 

「努力しますよ」

 

挨拶を終えたので寮へ帰ってきた

ウチの会社、一応本社以外にも建物は存在し…離れに社宅用に寮が設置されている、正直俺はここに帰ってくるのはいつぶりか分からないくらいになっているが

 

「簡素だな、と言うより必要最低限の物しか置いてないな」

 

「まあいつここに帰ってくるかも分からんし、そんなに物を置いても仕方が無いからな」

 

「あ!でもテレビあるんだ〜」

 

「ああ、B-889がこれくらいは置いとけって煩くてな…まあそのテレビ自体、B-889が一から自力で作ったものだが…因みに流れるは何処かの監視カメラをハッキングした映像だけだ」

 

「逆にそれは凄いんじゃない?て言うかそんなの見てて面白いの?」

 

「まあ、ボーッと眺めるには丁度いいな…あ、でもCDを入れれば映画とかは見れるぞ」

 

帰ってくるのがいつになるか分からないこの部屋、だが不思議な事に超綺麗なままで保たれている

誰が掃除してるかは知らないが……まあ結果オーライだろう

 

「確かマットレスがこの辺に……」

 

「何故マットレスがあるんだ?いつも一人なのだろう」

 

「偶にB-889とかG-185が訳も分からず泊まりに来るんだよ、そういう時の為に予備を置いといてる…っと、これもまだ綺麗だな」

 

「ふむ……成程な」

 

アーキテクトはいつの間にか俺のベッドの上でゴロゴロとしている……お前俺の部屋だからって自由にし過ぎだろ

マットレスを二枚敷いても部屋的にはまだまだ狭くない……こう見ると思いの外広いなこの部屋

 

「寝る時はこれ使ってくれ、シャワーは一階の奥にある…あと風呂を使いたかったら本社の方にあるから言ってくれ」

 

「ほう、湯船があるのか」

 

「ああ、大浴場だ…俺は殆ど使った事無いがな」

 

そんな訳で今日はもう自由行動、俺は部屋でダラダラしようと思っている

ウロボロスはB-889が新しい弾頭ミサイルの開発があるとの事で、それに付き合うみたいだ

 

なので部屋には俺とアーキテクトだけになった……ベッドを背もたれにしてよくD-673とよく見ているアクション映画を見ていた

……なんだがやたらと距離が近い、て言うか右腕にだきついてきている

 

「………ねえねえ傭兵くん、なんであたしの事拾ってくれたの?」

 

「さあ、何でだろうな…俺にも分からんよ」

 

「気まぐれってやつ〜?」

 

「かもな……まあ、あのまま放っておいてもグリフィンに回収されてたんじゃないのか」

 

「かもね〜!……でもあたしは傭兵くんの方がいいかな〜、コッチの方が自由で楽そうだし……ねっ、こっち向いて傭兵くん」

 

「ああ?何だよ急に」

 

横を見やると満面の笑みのアーキテクトの顔があった……鉄血のハイエンドモデルってのは本当にどいつもこいつも顔がいいな

 

…なんて思ってるとグイッと引っ張られ、倒れる流れ様に頬にキスをされた……そのままの勢いで倒れると、上からアーキテクトに抱き着かれる

 

そして首、頬、耳等…色んなところにキスされた

 

「おい、本当に何だよ急に」

 

「んふ〜…ありがとね、傭兵くん…私を拾ってくれて」

 

「はいはい、どういたしまして」

 

その日は結局アーキテクトにベタベタされまくって映画を見ている暇が無かった…スキンシップ激しすぎないかコイツ

 

次の日、ウロボロスとアーキテクトを何とか言いくるめてバイク一人旅…と言ってもこの世紀末みたいな世界で行ける場所なんて少ない、だがおあつらえ向きの海岸があるのでそこへ向かう

 

コーラップス汚染もないし安全だね、まあ念の為防護関係の物は持っていくけど

 

「は〜…こうやってゆっくりエンジン吹かせられるのはいつぶりか、大体何かに追われてるからなぁ」

 

しかも物理的に追われてるし……この辺はコーラップス汚染が薄いらしく、防護服やガスマスク無しの人間でも問題無いらしい

 

「相変わらず澱んでやがるなこの海……まあ何も無い風景よりはいいか」

 

「だよね〜アタシもそう思う」

 

「ああ、本当は青い海とか見てみたかったんだが………ところでどちら様」

 

「あん?別にそんなこと気にしなくてもいーだろ?それより暇かお前、ちょっとひとっ走り付き合えよ!」

 

いや〜多分色合い的にハイエンドモデルなんよね貴女〜……めっちゃイカつい黒のバイクに乗った、銀髪ロングの美人さんに声を掛けられる

 

にしてもそのバイクカッコイイなおい……てか戦術人形でもバイクって乗るんだな

 

「なぁ〜どうなんだよ〜」

 

「ああ、まあ暇だが……まあいいか、いいぞ付き合ってやる」

 

流れのままハイエンドらしき彼女とツーリングする事に

相手方のバイクもかなりの性能のようで結構かっ飛ばす、まあウチの会社のバイクも負けてないくらいに高性能だから全然余裕で追いつける

 

なんせあの開発部隊が改造しているからな

 

「スゲぇーなお前のバイク!アタシに追いつけるなんてな!」

 

「改造してる奴らが凄いからな、お前のバイクも中々イカすと思うぞ」

 

「ははん!だろ!」

 

因みに今目指しているのは海辺からちょっと先にある山の上、使われなくなってはいるが昔の道路がそのままなので割と俺もよく行く場所だ

 

頂上までノンストップでぶっ飛ばし、目的地にはそうそうについた

 

「久し振りに走り相手がいて楽しかったぜ、じゃアタシはそろそろ文句を言われそうだから帰るとするよ……じゃあまたな」

 

「ああ、おう……結局なんだったんだ」

 

まあ久し振りに思いっきり走れて気分は爽快だが……あんまり深く考えないでおこう

俺もさっさと戻らんとアイツらにお小言貰うかもしれんし、帰るか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ふ〜ん、アレがエージェント共がお熱になってるっつう傭兵か…面白いじゃねえか」

 

「おい、何処をほっつき歩いてた」

 

「何だよエクスキューショナー、別にアタシが何処に居ようがいいだろ?それにアタシはアンタらがお熱な傭兵を見てきたんだよ」

 

「なっ!?今何処にいる!」

 

「さあ?もうどっか行っちまったんじゃない?」

 

「テメェ……!!」

 

「そんなカッカするなよ、元気そうにしてたんだからそれで機嫌直せって」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「戻ってきたところで悪いんだが、ちょっとした緊急事態だ」

 

「社長直々のお呼び出しかと思ったらそれですか」

 

「まあまあそう言うなって…今グリフィンと正規軍が総力を上げて鉄血を殲滅するって作戦を続行中なんだ」

 

「へぇ、それはまた……それで何故それを俺に?」

 

「実の所、正規軍は前々から動きが怪しくてねぇ…どうにもきな臭い、それにその作戦に参加してるグリフィン側の基地ってのが君のよく行くあの基地なのさ」

 

「成程、正規軍か…話には聞いてましたけど、前々からアレを欲しがってましたからね…それに繋がりがあのカルトときたもんだ」

 

「そういう事、本来あと一日休みの予定だったんだが…悪いが出動してくれるか?」

 

「勿論、お易い御用ですとも」

 

本格的に動き出したか正規軍……だが運が悪かったな、グリフィンが今何処と半永久契約を結んでると思ってやがる

グリフィンに牙を剥くことそれ即ち……俺らを敵にすることと何ら変わりない

 

そのことを後悔させてやろうじゃないか




IGNISはその場で考えた思いつきオリジナル武器です
.454カスールカスタムとか何処の旦那だよ

バイク乗りのネーチャン……一体誰なんだ(すっとぼけ)

ストーリーはけーくん達がやんややんやしてる間にアッと驚くほど進んでます(適当)
ドルフロで言えばもうEP11くらいじゃないかな、正規軍出てるし

てな訳で、また会いましょう…ではでは


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巡り出す運命

け ー く ん 無 双 の 始 ま り だ
異論は認めん

てな訳で無双回です
この小説初じゃね?何だかんだけーくん鉄血に捕まったり404に拉致られたり、踏んだり蹴ったりだなコイツ(笑)

おまいう

では、本編どうぞ


今俺は社長直々の命により、正規軍とグリフィンが合同で行っている作戦地へと向かっている

 

俺、ウロボロスとアーキテクト…この三人で向かっている

て言うか三人で向かわすの中々鬼畜だと思わへん?

 

「どうだウロボロス、見えてきたか?」

 

「ああ、そろそろだぞ……硝煙と血の匂いがしてくる頃合いだ」

 

「思いっ切りぶっぱなしてもいいんだよね?傭兵くん」

 

「正規軍相手なら構わずぶっ飛ばせ、どうせクズの集まりだ」

 

「ヤッター!楽しみだ!」

 

「傭兵、前方にハイエンドモデルが居る!……あれはジャッジだな」

 

前方、微かに黒い個体が見える……ジャッジ、聞いた事のないハイエンドモデルだな

 

「そいつはどんな奴だ」

 

「エネルギーを使った障壁を張る厄介な奴だ、防御力…そして主砲の威力共に優れている」

 

「そりゃとんでもなく有能な奴だな……アーキテクト運転変わってくれ、ご挨拶に一発ブチかます」

 

「OK!」

 

既に肉眼でジャッジが捉えられる位置まで高速で近付いて来ていた…俺はバイクから飛び上がり、空中で翻る

 

それと同時にこの間貰ったショットガン『LSN-2SB』を取り出し、ジャッジに向けて構える

 

「な、何なんだお前らは!?」

 

「初めましてのご挨拶だ……デッカくいくぜ?」

 

空中でショットガンをブッ放す……散弾銃は至近距離でこそ本来の火力を発揮する、故にこの距離は最適解

慌ててシールドを張った様だが、呆気なく砕け散り…銃弾はジャッジの至る所を貫いた

 

「よっと…やっぱこれだから水平二連散弾銃は止められないんだ、しかし渋い型を選ぶもんだなあの研究所も」

 

「ガハッ!あ、有り得ない!わたしの装甲を……!」

 

「悪いなジャッジとやら、今はお前らに構ってる暇はないんだ…死にたくなけりゃ退け」

 

リロードを済ませてもう一発撃ち放ち、周囲にワラワラと群れている一般鉄血人形を一瞬で大量スクラップと化す

 

更にGRINDERを取り出し、横薙ぎに掃射……幾発かジャッジにも被弾していた

そろそろ引いてくれねぇかな、こんな所で弾食ってる場合じゃないんだよな

 

「くっ!!撤退だ!全軍私を守って撤退しろ!」

 

「よし、早々に退いてくれたな…後はのうのうとやってくるバカ共を締め上げるだけだな」

 

「あ、あれ?傭兵さん……?」

 

「おおその声はSOPちゃんだな、奇遇だなこんな所で…悪いが今は世間話に花を咲かせてる暇はないんだ、後にしてくれ」

 

「えっ…で、でも傭兵さ……!!」

 

「邪魔をするな……これは俺の獲物だ」

 

……?なんかビビっちゃった、柄にも無く少し気が立っちまったか?

でも久方振りの人間相手だ…ウズウズしてしょうがねぇよ全く

 

すると前から傷だらけの顔をした男と、恐らく正規軍であろう兵隊達がこちらへ歩いてくる

 

「貴様……何者だ、たった一人であの鉄血のハイエンドモデルを撤退させるなど…一介のPMCには出来る訳のない芸当だ」

 

「俺は巷で言う傭兵派遣会社所属、第十三部隊隊員、社内番号K-816だ…覚えなくてもいいぞ、どうせ今から皆仲良く死ぬんだからな」

 

「なっ…!!全員回避行動!!」

 

「遅い」

 

容赦無くGRINDERを撃つ、先頭に立っていた隊長的な奴は咄嗟に回避したが…後ろに立っていた連中は行動が遅れ、蜂の巣になった

 

反撃とばかりに残った奴らが銃を構え、俺へ発砲する

 

横へ飛び、そのまま回り込むように背中側へ向かって走る…速さに追い付けず唖然とする隊員(馬鹿)共へ容赦無くGRINDERを浴びせる

 

「はん、正規軍とはこの程度か…機械にばっか頼って訓練を疎かにでもしちまったか?」

 

「なぁめるなぁ!!!」

 

ナイフを抜き、俺へ斬りかかってくる…するりと躱し、お返しの拳を右頬へ叩き込み…そのまま殴り飛ばす

 

「お前、確かエゴールだったか?残念だったな、お前さんの部隊は全滅しちまったみたいだ」

 

「グハッ…!何故、何故貴様らが今になって手を出す!?今まで静観していたのはそっちだろうが!!」

 

「知った事か…何故お前らが自由に行動しているのに対して、俺らが態々制限を掛けられなければならんのだ?」

 

「巫山戯るのも大概にしろ!このメビウスの犬が!!」

 

「おいおい、社長の事を名前で呼んでやるなよ…あの人相当敏感だからよぉ……お前もその内、消されるかもしれんぞ?」

 

「クッ…クソがァ!!」

 

スモークを(わざ)と暴発させて一瞬でモクモクタイムにしたのか、流石は大尉…判断力と行動力は部隊を率いるだけの事はあるな

 

煙幕をウロボロスが蹴りによる風圧で全て吹き飛ばした頃には、エゴールの姿は見えなくなっていた

 

「おい…一人でっ込むなとあれ程言った筈だそ傭兵!!」

 

「いやー悪い悪い、でもあんなトーシロー相手にやられてる様じゃウチの傭兵は務まらんて」

 

「そういう問題ではなくてだなぁ…!!」

 

「あんまカリカリすんなって、イライラしちゃって働きスギィ?」

 

「傭兵く〜ん、今は映画ネタを言ってる暇じゃ無いと思うんだけどな〜」

 

「分かってるよ、取り敢えずそこに転がってる正規軍の持ち物…余すとこなくかっぱらえ」

 

「はーい」

 

「……後で覚悟しておけ、傭兵」

 

やば、ちょっと煽り過ぎたかな……

 

さてと…たかだか正規軍の一般兵から得られる情報なんてないか、全員分漁ってみたが特にこれといった物は無し……そりゃそうか

 

「ああSOPちゃん、悪いな急に来て」

 

「ううん、助けてくれてありがとう……それで、何で傭兵さんがこんな所に居るの」

 

「そのうち分かるさ…君らは今を生きればいい、真実なんてモンはそのうち付いてくるもんだ」

 

少し…と言うよりかなり警戒しながらそう尋ねてきた、まそらそうよな

顔を合わせたのも数回だけだし、それなりに警戒されて当然……と、もう一人居たみたいだな

 

「そっちの嬢ちゃん達は初顔だな…俺はグリフィンと半永久契約を結んでる傭兵だ、傭兵とでもK-816とでも好きに呼んでくれ」

 

「へぇ、貴方が噂の……初めまして傭兵さん!ワタシはカルカノM1891!臨時で参戦しております!」

 

「カルカノM91/38、お姉さんの妹です」

 

「呼びずらいからカルカノ姉とカルカノ妹だな……成程、臨時参戦か…お前らあの基地からの援軍か、あそこはどうなってる」

 

「ワタシ達が出てきた時はあのハイエンドモデルが率いてる鉄血兵に邪魔されてたけど、引いた今ならある程度大丈夫だと思うよ」

 

「ふーん、成程……ウロボロス、道覚えてるな?」

 

「人形使いが荒いな、傭兵」

 

「まあそう言うなって、客先に何かあっちゃ…会社の顔に泥を塗っちまう」

 

「分かっているとも、では私は行くぞ…アーキテクト、傭兵を頼んだぞ」

 

「あいあいさー!」

 

ウロボロスにはB-889直伝の電子戦法が伝授されている、恐らくジャミングやウィルスなんかの攻撃もされるだろう

 

仮に籠城戦になってもウロボロスを送っておけば問題は無いだろう

 

「貴方が噂になってる傭兵さんね?なんでも鉄血のハイエンドモデルを連れてるってさ」

 

「ああ、だが今は俺の腕だ…あんまり邪険にしてやらないでくれ」

 

「勿論!助けてくれたんだからね!」

 

「さて、俺らもそろそろ動かないとな…悪いがSOP、会って早々だがお別れだ…M4の所へ行ってやれ」

 

「……うん、いろいろ納得はいかないけど…二回も助けられたんだから信じるよ、傭兵さんを」

 

「いい覚悟だ、じゃあな…精々、お互い死なない様にな」

 

アーキテクトを後ろに乗せ、エンジンを吹かし飛び出す…エゴールの行き先が気になるが、正直今はそっちに構ってる暇は無いからな

 

「聞こえるかB-889」

 

『お、やっと連絡寄越したねけーくん!待ちわびたよも〜』

 

「そろそろ始まる頃合いだ、電子上でドンパチすんのはお前の専売特許だろ」

 

『当たり前!私を誰だと思ってるのよ!』

 

「頼もしい限りだよ……さあ、俺の掌で踊ってもらうぞ…間抜け共」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「K-816からの連絡かい?」

 

「そうですよ社長〜、もう私ワクワクが止まりませんよ!」

 

「ははは、相変わらず君はそういうの好きだねぇ……しかし、流石はK-816だな…俺の見通してるものをちゃんと分かってる、そしてやりたい事も全てな」

 

「二人共思考が似てるんじゃないですか〜?でも、社長が一手越されるなんて珍しい事も有りますね」

 

「この社内で俺を出し抜ける奴なんざ、K-816とR-597くらいなもんさ……だが、そういう所が大好きだぜ俺は」

 

「それは同意しますね……っと、始まりましたね〜…じゃあ掻き乱しちゃいますよ!」

 

「ああ、存分にやってやれ」

 

第四部隊、それは電子戦のエキスパートで編成された情報専門の部隊

その部隊部屋にて、デスクトップと大きなモニターを三つ並べてキーボードを打つ女性

 

嘗て第四部隊に属しながらもズバ抜けすぎた才能ゆえに第十三部隊へ引き抜かれた異端児(問題児)、B-889である

 

現在、正規軍によるエルダーブレイン…基、鉄血の中枢IAエリザへのハッキングを今まさに行っているところだった

 

「ハハッ!流石は正規軍だな、これだけの暗号を駆使するとは…奴さんも随分と本腰を入れてる様じゃないか、これはウチのB-889でも厳しいんじゃないか?」

 

「はっはーん?な〜にを言ってるんですか社長!私を誰だとお思いで〜?このB-889ちゃんに電子上で出来ないことは無いんですよ!」

 

尋常ではないスピードでキーボードを打ち、四つのモニター全てを見ながら操作を行う……今、電子情報の全てはこのB-889が操っていると言っても過言では無い

 

「エルダーブレインの場所、そして仕掛けた正規軍の場所……ついでにクソカルトのクソ野郎の居場所も特定できましたね!」

 

「流石だB-889、ピン留めはしたか?」

 

「勿論!このB-889に抜かりはありませんとも!でも何で正規軍はこんなにもOGASに執着するんですかね?」

 

「人間ってやつはな、何時だって『力』とそれに伴う『安心』を求めるもんなんだよ」

 

「ふーん?そんなもんなんですかね」

 

「そんなもんさ……さて、コイツはいい手土産になる…保安局と、俺の昔ながらの友人(・・・・・・・)へのな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『けーくん聞こえる〜?』

 

「ああバッチリ聞こえてるぞB-889、その調子だともう終わったみたいだな」

 

『あんな程度のハッキングなんてお遊びの内にも入らないよ、エルダーブレインの場所はいつも通りピン留めしといたから…バイク端末から追っ掛けてね〜』

 

「どうも、お疲れさん………正規軍の電子暗号をお遊びとは、ウチのハッカーはこぇもんだな」

 

「B-889もやっぱ傭兵くんと同じだよね〜……」

 

「かもな……さあ、無駄口叩いてたら基地が見えてきたな」

 

前方にウロボロスを先行させた馴染みの基地が見えてくる……恐らくだが、鉄血側もそろそろ打って出る頃合だろう

 

となれば攻めてくる奴は容易に想像出来る、ハイエンドモデル内で最も能力が高く戦闘能力もズバ抜けている……ほらな?簡単に想像がつくだろ

 

「ウロボロス、そっちはどうだ」

 

『エージェントと交戦中だ!だが恐らくだが…』

 

「ソイツはダミーだな、本体は基地内だろう…指揮官本人をトドメる為に」

 

『ああその通りだ、相変わらず嫌になるくらいの慧眼だな傭兵…中は頼んだぞ』

 

「任せとけ、その為に来たんだ……アーキテクト、お前はウロボロスの手伝いに行け…いくらMW社の武器を持ってるからと言って油断は出来ん」

 

「それ、傭兵くんにも言えるんだけど〜?まさか一人でエージェントの相手をするつもり?また攫われたらどうする気なの」

 

何時になく真剣な眼差しで俺を射抜くアーキテクト……本気で心配してくれてるのか、傭兵家業を始めて心配なんてされるのは久し振りだな

 

良い部下が出来たもんだ

 

「心配するな……今回は状況が状況なだけに手は抜かん、本気で行く」

 

「………分かった、その殺気に免じて今回は許してあげる………死なないでね」

 

「誰に言ってんだか、ちゃんと帰ってくるさ」

 

半壊している基地内へと突入……見慣れた廊下も今じゃ青空…いや、曇り空教室状態

いつも通りの道を通り、見知った指揮官室の扉を蹴り飛ばす…今まさに代理人が指揮官を踏もうとしている場面に出くわした

 

ヒールブーツなんだから手加減してやれよ……代理人の足を撃ち抜き、続け様に右腕も撃ち抜く

 

「グッ!?一体誰です、この様な馬鹿な真似を……なっ!?よ、傭兵…さん?」

 

「あ、貴方は……」

 

「どうも指揮官様、生きてる様でなにより……そしてよう代理人、久し振りだな…この間の絨毯爆撃は気に入って貰えたか?」

 

「ええ、ですが私には少し激し過ぎました……ところで、私の相手を一人でなさるおつもりですか?」

 

「今まではお前らと仲良くやってた頃の温情をかけて、ハイエンドには絶対に銃を向けないようにしていた……だが、契約先のグリフィンを攻撃するならば話は別だ…死にたくなけりゃ投降しな」

 

「アッ……!はぁんッ…!いい、いいですよ傭兵さん…!!その殺気!堪りません!!!もっと!もっと私を見て下さい!!」

 

「ははっ、キマッてんなぁ……来いよ代理人、死ぬのが怖いか?」

 

「まさか、私は戦術人形…死など唯の現象に過ぎません……さあ傭兵さん、私と愛し(殺し)合いましょう!!!」

 

代理人が飛び、スカート下から伸びる四本のサイドアームからエネルギー弾が乱射される

撃ち抜いた筈の右脚を何と無いかの様に飛び上がりやがるな、流石はハイエンドモデル…一般兵とは強度が違うか

 

横に駆け出し、銃撃を避けながらGRINDERで迎撃する

 

「どうしましたか、その程度ではありませんよね……傭兵さん?」

 

「当たり前だ、喋ってる余裕があるのかよ……代理人」

 

向こうの銃撃も、こちらの銃撃も…お互いが器用に避け合い一歩も譲らない戦況

こういう時はな……逆に考えるんだ、近付いちゃっても…いいのさ、と

 

瞬間、代理人へ駆け出す…多少驚愕の表情を浮かべた代理人だが、すぐさま俺へサイドアームによる集中砲火を仕掛ける

今はアドレナリンがドバドバの超ハイ絶頂状態且つ、超集中状態だ……エネルギー弾が止まって見える、全てを掻い潜り…スライディングで下方へ滑り込む

 

すかさずショットガンを代理人の胸元目掛けてブッ放す、モロに衝撃を受けた代理人は吹っ飛び…後ろの瓦礫へ激突する

 

「ガハッ…!」

 

「どうやら決着の様だな……代理人」

 

「フ、フフ…最後に、貴方とヤり合えて……私に悔いは、ありません……例えそれが、敗北、だとしても」

 

「……完全なトドメは刺さん、最後の俺からお前らへ送る温情だ…もし次、また襲撃した時は……確実にスクラップにする、覚悟しておけ」

 

「……フッ、お優しい、ですね……相変わらず」

 

あの状態でも逃げ出せるんだな代理人……流石はハイエンド統括、性能が段違いだな

指揮官は……瓦礫で打ったのか、所々怪我はしているが大きな傷害は無いな

 

『……ん…かん……指揮官!』

 

「うわわっ!え、M4?」

 

唐突に通信が鳴り響く、こんな大惨事でも通信は通じるのか……いや、ウロボロスが何か仕組んだなこりゃ

 

『それと私だ、指揮官……私達はこれより、M4とエルダーブレインの会見を行うことにした』

 

「……クハハッ、ここまで物の見事に事が進んでくれるとはな…有難い限りだぜ全く」

 

『誰っ!……よ、傭兵…さ、ん?』

 

「ようM4、随分と久しぶりじゃないか……いや、Lab16で会って以来か」

 

『じゃあ…あの時、頭を撫でてくれたのは……い、いや!それより傭兵さん!何故そこに居るんですか!』

 

「何故?不思議な事を聞く、俺達は傭兵だ…戦場に居ても何ら違和感はあるまいよ、それとも何だ?俺がここに居ると不味い事でもあるのか?」

 

『……いや、構わない…そのまま話すぞM4』

 

「貴女、確かアンジェリアさん…でしたっけ?ウチの社長から手土産は届きましたかね?」

 

『何?手土産だと……まさかっ!君は傭兵派遣会社の!』

 

「ご挨拶が遅れたな……巷で言う傭兵派遣会社所属、第十三部隊隊員、社内番号K-816……以後、お見知り置きを」

 

聞いた話によれば、エルダーブレイン自体はどうやら…M4に固執しているみたいだな

その目的は大体把握がつくが…今教えるのも作戦に支障が出そうだ

 

そしてその会見と共にエルダーブレインの捕獲作戦を行うとの事……しかし、あのアンジェリアとかいう女性……大事な事を隠したままの様だな

 

まあ、あれは実際起動させなければいい話だ

 

「そうかい、まあ好きにすればいいさ……全ては順調、順風満帆とは正にこの事だな」

 

『……一体君が何を企み、どうしようとしてるか私には見当もつかない…だがこれだけは聞いておきたい……場合によって、君は私達の敵になりうる存在なのか?』

 

「それは有り得ない、俺達はグリフィンと半永久契約を結んでいる…そしてそれはまだ有効だ、君らを裏切るのは即ちグリフィンとの契約不履行となる……ウチの会社は結んだ約束は絶対に破らない…もし違えたのならば、その時は俺の頭でも撃ち抜け」

 

『……そうか、ならば私から言う事はない』

 

「では俺はまだやる事がある、お暇させてもらうぜ……また会いましょうか指揮官さん、M4」

 

返事を聞かずにバイクの元へと走り出す

はー全く…現場はやる事が多くて大変だ本当、だがこう上手く事が回るのは相変わらず楽しくて仕方がない

 

「待っていたぞ傭兵…それで、次の目的地はどこだ」

 

「遅いぞ〜傭兵くん!罰としてこれが終わったらイチャイチャさせろー!」

 

「それは勘弁願う……次の行先は、エルダーブレインの元だ」

 

バイク端末にマークされた箇所……それこそ今回の最重要キーアイテム、エルダーブレインがいる場所だ

 

しかし正規軍のハッキングを防ぐ為に放った情報を辿ってエルダーブレイン本体の居場所を突き止めるとはな、本当に流石だよB-889

 

「さっさと向かうぞ、他の奴らにドヤされちまう」

 

再度バイクのエンジンを吹かし、目的地へと走り出す

目的地には恐らく、もう既に開発部隊の奴らが到着して仕事を済ませてる頃合いだろう

 

AR-15には悪いが、ブツはポシャらせて貰おう…ついでにそのまま回収だな

思いの外早い再会になりそうだなM4

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正規軍が戦車部隊により、エージェントとM4達を襲撃している最中

 

遂に正規軍は鉄血の防御網を突破、エルダーブレインを回収されてしまう

アンジェリアは兼ねてより最終手段として用意していたコーラップス爆弾の起爆をM4へ命令した

 

「しかしそれでは!」

 

『やるんだM4!』

 

「…〜!クソッ!了解しました!」

 

しかし起動した筈のコーラップス爆弾はうんともすんとも言わない……これには動揺を隠しきれないM4とアンジェリア

 

「ど、どういうこと!?何で起動しないの!!」

 

『ま、まさか…既に読まれて……』

 

「クソッ!クソッ!クソッ!!」

 

「ははぁん?やっぱり押したね、そのスイッチ…御生憎様たが、そのコーラップス爆弾とやら……ウチの開発部隊が解除して回収しちまった」

 

「よ、傭兵さん!?何でここに!?それに今の話はどういう事ですか!」

 

「そのままだよ、そんなもん使われたら俺も無事じゃ済まないからなぁ?でもアレは使い用途がまだ有る、だからウチで引き取らせて貰ったよ」

 

『それでは外の正規軍の戦車部隊をどうするつもりだ!まさか君一人で破壊するなどとは言わないだろうな!』

 

「そうカッカすんなよ、美人な顔が台無しだぜ?勿論俺一人じゃない、ウチの部隊員にやってもらうさ」

 

傭兵がパチン……と指を鳴らすと、空から大量のビーム砲が降り注ぐ

それらは正規軍の戦車をいとも容易く貫き、爆散させていく……逃げ惑う兵士、容赦無く降り続けるビーム砲

 

正規軍にとっては、正に地獄絵図だった

 

「こ、こんな事が……現実、だなんて……」

 

『有り得ない……貴方達は、一体……』

 

「俺達は唯の傭兵だ……交わされた約束は必ず守る、金の為ならば何だってやる…それが傭兵ってヤツだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今降り注いでいるのは、V-785と開発部隊によって改造を施され…トンデモない兵器として生まれ変わった『ジュピターMK2』である

 

発射物は超高出力ビーム砲へ変わり、射程は軽く1000kmを超えるとのこと

それ普通に海の向こう側に撃ち込めるよね……怖くね?

 

因みにそれを複製し、今や30台近くに増えている

 

それら全てから射出される超高出力ビーム砲による一斉迫撃…そんな事をされた日にはたまったもんじゃないだろう?まあ現に今、俺はそれを正規軍へ向けて行っているんだがな

 

「ば、馬鹿な…馬鹿なぁ!!ここまで練った我々の計画が!」

 

「また会ったなエゴール大尉…どうだウチのビーム砲の味は、絶品だろ?」

 

「また、また貴様らなのか…一体貴様らは何なのだ!!」

 

「唯の傭兵だよ」

 

「そんな訳があるか!!一介の傭兵がこんな事を出来てたまるか!!」

 

「喚くな、今起こっている事が全て現実だ…どうした?青ざめてるぞエゴール大尉、気分が悪そうだな……俺が楽にしてやろうか」

 

「ひっ!く、来るな!俺に近づくんじゃねぇぇぇぇぇ!!!!」

 

何だ、逃げ出しちまって…指揮官が逃げ出したら隊員達はどうするんだっての

まあ生きて帰してやる程…俺は甘くないがな

 

「ウロボロス、アーキテクト…残ってる正規軍、一人残らず皆殺しだ…エゴールだけは生かしておけ、アレはいい情報源になる」

 

「了解した」

 

「まっかせて〜!」

 

さて俺は持っていかれたエルダーブレインを追っ掛けるとしますか……おや、これは丁度いいタイミングでプレゼントが到着したみたいだな

 

『やあ坊や、先日話していた強化外骨格が出来上がったんだ…第一号は何時も世話になっている君へ送ろう……へルリアン』

 

と、メッセージが来ていた

 

上を見上げれば『Modern Weapon』のロゴが入った輸送ヘリが、小さめのボックスを吊るしていた

こんな戦場の最中にも届けてくれるのな……

 

紐を切り離し、そのボックスを投下……ボックスには『Paragon Armor』と刻まれていた

 

パラゴンアーマー……手本、模範…か、面白い名前を付けるもんだ

ボックスを開けると、中には金属製のフル装備が入っている

 

『マスター登録を、お願い致します』

 

「K-816」

 

『K-816様…名前の登録を行いました、続きまして生体認証を、お願い致します』

 

アーマーからスキャンレーザーが出てきた、俺の頭から爪先までしっかりスキャンしていった

 

『登録、完了致しました…本日より、K-816様をマスターとし、呼び出しに応じて、装着させて頂きます』

 

え、何それ自動でやってくれるって事?

なんて思ってるとみるみる内にアーマーが小さく折り畳まれていき…遂には10cm程度の大きさまで縮んだ、ちょっと大きめのストラップだなこれ

 

て言うか何この超ハイスペック技術……未来行き過ぎだろMW社

 

『声により、装備可能です』

 

「了解、じゃあ来い…パラゴンアーマー」

 

『承認しました』

 

すると俺の身体を包む様にアーマーが展開されていく……やがて俺全身を覆った

目の部分は切り替えでサーモモードにする事も出来た、超高性能やん…てか超軽いし、どんな金属使ってんだよこれ

 

アーマー内も超快適温度

 

『コーラップスに、対する、保護要素も兼ねております』

 

「とんでもねぇなおい……さて、M4がもうエルダーブレインを追って行ったみたいだし…遅れを取らないように俺も行きますか」

 

身体能力も強化されてんだろうな…パワードスーツだしっ……てスゲェなこりゃ

少し踏み込んで飛んだだけなのに……飛び過ぎじゃねこれ

 

廃墟と化したビル群を飛びながら、エルダーブレインの座標を追う……どうやら大陸横断鉄道に運び込つもりらしいな

てかこのスーツ使ったら普通にM4追い抜いちゃったんじゃないかこれ

 

先頭車両の上に着地すると、列車が動き出した……後方からは防衛システムで動かされてるであろう、正規軍の人形(鉄クズ)共が向かって来ている

 

「このアーマーを試してみるにはいい的だな……ほれ、撃ってこい」

 

自律人形より発射される弾丸は全て、アーマーの表皮で弾かれる…俺への衝撃も全然ない

弾丸と爆発に対して圧倒的な耐性を持つとはこういう事か

 

「ふむ、性能の確認はこんなもんでいいか…では失せろ、鉄クズ」

 

GRINDERで薙ぎ払い、まとめてスクラップにした

車両の上部をぶん殴って大穴を開ける……ヤダこれ隊長みたいなことしてんじゃん、ヤバ^〜

 

そこには台に寝させられたエルダーブレインこと、エリザの姿があった

それを小脇に抱え、飛び上がって車両の上部へと戻る……と、そこには見知った顔があった

 

「……お前、何者だ?戦術人形……いや、人間?どちらにせよ、エルダーブレインを渡してもらおう」

 

「久し振りに出会ったと思えばなんだその格好は、イメチェンか?それとも鞍替えか?何方にせよ俺はそんなに興味無いがな」

 

「その声……まさか、傭兵か」

 

「ああそうだ、お前こそこんな所で何やってんだ……M16A1」




自分自身のスペックは自分自身が一番理解している

何ができて何ができないのか、しっかり理解した上で自分のスペックをフルに活用した結果がこれです…最早人外、今更か

さて、そろそろ鉄血編が終わりそうですねぇ……まあストーリー見た人は分かるとお思いですが、まだ後ろにクソ親父が控えております
まだまだ話は終わりません

では、また次回お会いしましょう


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騒動の終わり、作戦の始まり

どうもAZAZELです
ヤンデレを入れたくても入れられない今日この頃……

取り敢えず鉄血編はこれにて終幕という事で、暫くはメインストーリーに関係の無い日常(?)回が続きます

ていうかまた大型アプデでイベント来てるけど全くストーリー読んでねぇわ……ホンマそういうとこやぞお前

では本編どうぞ


元の面影は顔の傷くらいしかないな、髪は白く抱えていたガンケースは無くなっている……そう言えばM4が抱えていたような気がするな

 

俺は顔だけアーマーを解除する

 

「……まさか、本当は戦術人形だった…なんて言わないよな?」

 

「面白い冗談だ、コイツは俺のお世話になってる研究所から貰った強化外骨格だよ」

 

「へぇ、成程……それで傭兵、エルダーブレインを渡してくれないか?」

 

「悪いがそれは出来ない…コチラにも作戦があってね、これは大事な鍵なんだよ」

 

「……その作戦、私には教えてくれないか?」

 

「それも出来ん、だがその内分かる時が来る」

 

「…………はぁ、そうか…分かった」

 

そう言うと、大人しく銃を下ろした

ほう……状況がよく分かってるな、流石はM16だ…恐らく今の人形達ではこのアーマーに対抗する手段がない、それ程までにコイツは化物性能をしている

 

それを人目見て見抜くとは、恐れ入ったな

 

「それに、コレを俺らが預かってりゃ…グリフィン側にも渡りはしない、お前が気にしてるM4の心配も無くなるってもんだ」

 

「……お前、何処まで見えてやがる…こんな薄ら気味悪い感覚は初めてだ」

 

「そうか、なら覚えておけ……傭兵を舐めるなよ」

 

「………ああ、肝に銘じておくよ」

 

おっと、どうやら話し込んでいたらM4がご到着なすったようだ……しかし何だM16の奴、まるで鉄血みたいな格好してるな

 

「ね、姉さん……何で……」

 

「話し込んでいたら妙な空間になっちまったな……私もそろそろお暇させ貰おうか…頼んだぞ、傭兵」

 

「ああ、任せておけ………あ、最後に一ついいか?その格好、鉄血コスか何かか?」

 

「……ぶっ、あっはははは!相変わらずのタフさだな傭兵、ああそうさ…私は鉄血になったんだ、何れまた会おう」

 

「あっ…!待って!姉さん!!」

 

そう言うと列車から飛び降りて言ってしまった……鉄血に鞍替えしたって事か?何でまた急に

……まあいいか、別に正直な話M16が鉄血側になったところで作戦に支障は無い

 

「行っちまったな……じゃ、俺も戻らせてもらうぜ」

 

「……待って下さい傭兵さん、それをどうするつもりですか」

 

「それって…エルダーブレインの事か?俺達の行う作戦の為、鍵になってもらう…悪いがコレは決定事項だ」

 

「ダメです、エルダーブレインは我々が回収します!」

 

「おいおい、君の目はそんなに腐ってないだろう?俺に勝てると思って銃を向けてるのか?」

 

「っ……!確かに私では傭兵さんに手も足も出ません、ですが!ここで構えなければ私はずっと後悔する!」

 

「………変わらんねぇ…だが未熟だ、大口叩くなら力をつけてからにするんだな」

 

M4の肩に向かってJUDGMENTを撃つ、B-889お手製の『EMP特殊弾頭』だ

撃ち込まれた人形は暫くの間、意識はあるが行動不能になる代物だ

 

「あぐッ……!」

 

「さて、そろそろ撤収するか……居るんだろウロボロス、M4を運んでやってくれないか」

 

「ああ、いいだろう」

 

どこからともなく現れたウロボロスにM4を担がせ、俺はエルダーブレインを担いで大陸横断鉄道から飛び降りる

強化外骨格のお陰で着地もできたし怪我も一切ない……流石やなって

 

「悪いウロボロス、M4をあの指揮官様の所へ返してきてやってくれないか?俺は早々にコイツを開発部隊へ持っていかなくちゃならん」

 

「構わんさ……計画とやらがあるのだろう?」

 

「ああいや、それはあらかた終わった…単純に今あの基地の人らに会うのが面倒なだけだ」

 

「何だ、わたしを使って逃げおおせる訳だな…まあいい、ではまた後で落ち合うとしよう」

 

アーキテクトが近くまでバイクを持ってきてくれていた様で、そのまま会社へと戻る

しかし今回の作戦、パッと思い付いてぶっつけ本番で回したが思いの外上手くいったな……それもこれも情報を掴んでいた社長様々だな全く

 

アーキテクトにエルダーブレインを預け、開発部隊室まで持っていく様お願いした…俺は社長室で報告しなきゃならないからな

 

「お帰り、そしてお疲れ様だK-816……相も変わらずお前という男は俺を楽しませてくれるよ」

 

「だったのなら何よりです…作戦は何の問題も、滞りもなく順調に進みましたよ……後は動くのを待つだけです」

 

「そうだな、アホ共が穴蔵から出てくるのを待つとするか…回収したエルダーブレインはどうしたんだ?」

 

「開発部隊に渡しました、ああいう手合いの情報を抜き取るのはあそこが一番ですからね」

 

「ナイス判断だ…今回の事で鉄血側は大きな損傷、それどころか致命傷を負った…この先はだいぶ早く進むと思うぞ?大手柄だK-816」

 

「それはどうも……では俺はこれで、久し振りに頭回して疲れたんで休みます」

 

「そうだな……なら休日返上といこうか、明日と明後日も休みでいいぞ…と言うより恐らく仕事がない、来るとしてももう少し時間がかかると思うしな」

 

てな訳でまた休日を貰いました

今度こそゴロゴロしようかと思っていたのだが……面倒な奴に絡まれる事になった

 

「あ〜っと!そんな顔をしないでくれ給え我が友よ!久し振りの再開にハグでも如何かな?」

 

「黙っとけ、さっさと要件を言え…こちとら休みなんやぞ」

 

「知っているとも、だから呼んだんだ…君はいつも仕事仕事と会社に居ないことが多いから…これは好機と思ってね」

 

「ああそうかよ……それで?アーキテクトまで連れて来いとはどう言う積りだ」

 

「……ねえ傭兵くん、この人誰?」

 

「ああ……コイツは唯のマッドサイエンティストだ、気にする事はない」

 

「おいおい!そんな雑な紹介は無いだろう?初めましてアーキテクト君!私は第十二部隊、通称『開発』部隊隊長のM-092…手短にモデちゃんと呼んでくれても構わんぞ!因みにモデちゃんの由来は私の社内番号の頭文字、Modification(改造)をもじったものさ!」

 

白衣を纏い、眼鏡をかけ、蛍光色の緑色の髪をしたこの男……こんなんでも開発部隊の隊長をやっている、一種の変態である

 

ただ開発や機械に対しての知識は段違い、と言うよりこいつに敵う奴は居ないと思わせるほどの知識を有している

 

「へ〜、傭兵くん達の頭文字って意味があったんだ〜…あ!じゃあ隊長さんってもしかしてTerminator(絶滅者)!?」

 

「残念、Tyrant(暴君)だ…まあそっちも似合いそうだがな」

 

「所で我が友よ、ハグはいらないのか?」

 

「いい加減黙らないとその口縫い合わすぞ…そもそもお前と友になった記憶は無い」

 

「何を言う!アレだけの膨大な実験を共にしてきた仲じゃないか!これが友と言わずに何と言うのだ!!」

 

「実験体の間違いだろ、寝言は寝て言えボケ」

 

「ふむ、その辛辣な当たりもいつも通りだな…指図め、絶好調と言うやつなのだろうな…さて、そろそろ本題に入らないと頭に風穴が開きそうだから話すとしよう…まあその前に…ささ、我らが部隊室に入り給え」

 

コイツらの部隊室は他部隊とはだいぶ違う

なんたってあれやこれやと実験機器や開発道具などが所狭しと並んでいる、ここは化学も多分野の科学をも取り扱っている

 

言わば超エリートの集まりだ……まあ、全員ある種の変態ではあるが

天才は天才でどこか頭のネジが外れている様だ

 

「本題に入る前に少し導入をさせてくれ……アレらをみてくれ」

 

「アレは……散々実験した挙句に結局人間じゃ扱いが無理ってことになった没武器じゃないか、まだ取ってあったのか?」

 

「YES!我が友と共に実験してきた我々の青春とも呼べる代物達だ……あれは我々の浪漫、夢…そしてあらゆる希望が詰まった、言わば宝なのだよ!」

 

「戦場で使えなきゃ唯のスクラップ(ゴミ)だろ」

 

「あう辛辣ゥ……だがな!あれから我々も実験に実験を重ね、改良と改造を重ねて遂に完成品まで到達したのだよ!……まあ、人間が扱うには無理があるのはどうしようもないのだが」

 

「じゃあ何だ?皆あの劇薬打ち込んで使えってのか?」

 

「いやぁそういう訳じゃない、そもそも『完成形T-851身体機能向上剤』は我が友専用に調合した物だ…君以外が使ったら確実に死ぬぞ」

 

「なんちゅうもん使わせてくれてんだテメェ……」

 

「でも実際生きてるじゃないか、我々からして見ても化け物だよ我が友は」

 

こいつに化け物呼ばわりされるのは腹立つなぁ……

 

いやまあ、確かに実際あの劇薬使っても使用後の後遺症でちょっと気だるくなるだけで済んでるのもおかしな話だとは思うが

 

「そ!こ!で!だ!我々も独自の戦術人形を作ろうと思ったのさ!それで今開発段階には着手したんだが、どうにもあの武器達を使う為の足腰の構造が分からなくてな」

 

「あー…成程、それでアーキテクトって訳か」

 

「え?あたし?」

 

「そうだとも!君なのさアーキテクト君!なんだって君の武器はロケランだと聞く、つまりその細腕であの衝撃をどうやって耐えているのか…ヒントが欲しいのさ」

 

自前で戦術人形とは……ホント何言ってんだコイツ

て言うかその費用どっから出てんだよ…いやまあ、そんなの社長しかありえないんだが

 

「そんな訳で了承が得られればあのスキャン台でデータが欲しいのだが……どうだね?」

 

「……まあ俺はいいが、アーキテクトはどうだ?」

 

「あたしは全然いいよ!そういうの面白そうだし!」

 

「だとよ」

 

「おお!有難い!では早速スキャンと行こうか、我が友はあっちのソファで待っててくれ給え!」

 

言われたとおり、スキャン待ちの間はソファで待機することに…暫くすると部隊員のA-375が珈琲を持ってきてくれた

 

最近入った新人らしく、あの改造厨共の助手をしてるらしい……しかしこんな若いのに傭兵とは、世も末だ

俺が言えた話じゃないがな(18歳)

 

「すみませんねKさん、隊長の我儘に付き合ってもらって」

 

「気にするな、いつもの事だろ……それよりお前も大変だな」

 

「あはは…でも隊長も他の皆さんも良くしてくれますから」

 

「お待たせしたな我が友よ!お、A-375の淹れた珈琲か…絶品だから是非飲んでいってくれ」

 

「ああ、じゃあ貰ってから帰るとするよ……改造してねぇだろうな?」

 

「当たり前じゃないか、そんな事したら本当にブチ抜かれかねないからな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こう何度も呼び出して悪いなK-816」

 

「いえ、気にしないで下さい…それで、また何かありましたかね」

 

「今現状、鉄血共はエルダーブレインという中枢核を奪われ壊滅状態になっている…そこでグリフィンは鉄血側に協定体制を提案したらしい」

 

「へぇ、成程…まあ鉄血のハイエンドモデルは誰であろうと腕が立ちますからね、良い判断だと思いますよ」

 

「まあそうだな、それで散り散りになっている鉄血兵達を捕獲して再構…なんちゃらとか言うヤツでな、良く分からんがプログラムの再構築的な事をしてるらしいぞ」

 

「社長、それ説明受けたんじゃないんですか……」

 

「正直俺には早すぎる話だったよ……アイツら何言ってっか全然分からん」

 

この人は……まあそういう雑なところも俺は好きだけどさ

まあ端的に言えば鉄血人形が味方になってるって事か……中々いい案だと思うぜ俺は

 

「まあそれで今は確か、エージェントと呼ばれるハイエンドモデルとスケアクロウだったかな?が捕獲されたらしいんだ」

 

嘘だろ代理人……お前捕獲されるの早過ぎないか?どう考えてもハイエンドのラスボスみたいな感じやんお前…

 

「それでプログラムの再構築も終わってさあ協定だ……ってとこで問題発生です」

 

「うわ、それ聞きたくないんですけど」

 

「言うと思ったよ…だが俺達のこれからを考えると、これもいい案だと思うんだよ」

 

「……はぁ、それで?何です、その問題とやらってのは」

 

「それがな、鉄血のハイエンドモデルである彼女らは再構築の甲斐あって協力的且つだいぶ穏和になったらしい…のだがな、現地の指揮官には仕えたくないって言い出したみたいでよ」

 

「大体読めましたけど一応聞きますが、その理由は?」

 

「ははっ!これがもう驚きよ!というか俺的には爆笑ものなんだが、既に決めてる主が居るんだとよ」

 

はて一体誰の事なんですかね(すっとぼけ)

俺以外にも代理人達と深く関わってる奴がいたのかー、それは驚きだぜー

 

「おいどこ見てんだ、現実逃避してないで現実見ろ」

 

「嫌だなぁ現実逃避なんて、マジで逃げていいですか?」

 

「ダメに決まってんだろ」

 

「こいつァヒデェや……」

 

「何でも鉄血側はウチの会社に所属してるK-816って番号の奴をご指名だそうだぜ?良かったな、人形部隊も夢じゃなくなるぞ」

 

誰も作りたいとは言ってないんですがそれは……

ん〜……まあ、再構築とやらを通したらしいし?前とは違うみたいだから物は試しで会ってみるのも悪くは無い、かぁ……

 

「さて、どうするK-816…正直こんな美味い話は乗らなきゃ馬鹿だと俺は思ってる……が、お前からしてみれば散々狙われて来た身だからな…お前の判断に任せるぞ」

 

「……はぁ、別にいいですよ俺は…戦力拡大はやっておいて損はありませんし、これからの動きもだいぶ楽になりますし」

 

「悪いなK-816、何でもお前に押し付ける形になっちまって……だが、あのハイエンドモデルを垂らしこんだ所は大手柄だな!流石だぜK-816!アイツから聞いてた話は間違いなかったみたいだな!」

 

「あの人そんな事まで話してたんですか……それで、今はグリフィンに居るんですか?」

 

「ああそうだ、馴染みの基地にいるみたいだぞ…そこの方がお前も行きやすいだろ?」

 

て事でいざ基地へ、アーキテクトとウロボロスには黙って来てしまったが……後で土下座しよう

でも多分、言ったら何が何でも止めてきそうだし…致し方ないコラテラル・ダメージって事にしとこう

 

しかし、襲撃した張本人を基地内に入れてるってのもなんか変な話だな……まあ、あそこの指揮官ならやりかねないが

 

「お待ちしてましたK-816殿、この度は我が基地を救って頂き感謝の限りです」

 

「止めてくださいよ指揮官さん、こんな一介の傭兵に貴女みたいな人が頭を下げるもんじゃないですよ」

 

「いえ、ですがこう私の命があるのも貴方のお陰と言っても過言ではありません……それに、M4やアンジェリア達の件も裏で動いていたと聞きました」

 

「あー…まあ、あれは正直ウチの独断で動いたものですから…余り手合いに出されるのは痛いというか……」

 

「何を言いますか、K-816殿のおかげでアンジェリアの捨て身とも言える作戦を行わずに事を収められたのです」

 

ここまで持ち上げられるのもなんかむず痒くなってくるな……さっさと鉄血引き取って帰りたくなってきた

 

しかしらあの時のM4…だいぶ前と雰囲気が違ってた様な気がしたな、あの戦場に立つには似つかわしくないホワホワした雰囲気が綺麗さっぱり無くなってた

 

まあそれもそれで成長ってやつなのかな、俺は前の方も好きだったが

 

「それで本題ですが、ここに引き取っている鉄血と言うのは」

 

「ああ、申し訳ない…少し話し込んでしまいましたね、では案内します」

 

案内してもらったのはとある一室……応接室的なやつかな?この中にあの二人が居るらしい

指揮官曰くもうなんの危険性もないので、この先はお一人でだそうです

 

……え?一人なんすか?

 

まあ、ここで立ち往生してても何も始まらないし…覚悟を決めて中に入る

 

中に居たのは見知った顔、ガスマスク越しにも顔の良さが滲み出る案山子ことスケアクロウ

メイド服にスカート下に仕込まれたサブアームがモラル違反な代理人ことエージェント

 

俺が部屋に入ると、二人は驚きの表情で目を見開きながら固まった……え何この空気

 

「よ、よう…久し振り?なのかな」

 

すると二人はすぐさま俺の元へ移動し、目の前で片膝着いて頭を垂れた……なになにこの空気は、俺にどうしろと言うのだ

 

「嗚呼、傭兵さん…あれだけの事を起こした我々の元へまた赴いてくれるなんて…」

 

「流石に会いに来てくれないと思っていましたわ」

 

「いやまあ……夢想家と口約束してたからな、全員拾ってやるって」

 

「……我々の目は間違って居なかったようです、この日、この時より私エージェントとスケアクロウはこの身体尽きるまで……貴方に仕えましょう」

 

新しい鉄血が加わりました………暴走してた時とは大違いだな、話が通じるって素晴らしい

指揮官に適当に話を通してウチに置くこととなった、まあ後は社長がどうにでもしてくれるだろう

 

さて、基地に帰って来たは良いんだが……

 

「おう、お帰りK-816…帰って早々で悪いが会社横に新しく事務所を立ててたんだ、今日からお前の部隊室はそっちだ」

 

「……ええと、社長…それは俺だけで?」

 

「まさか、お前とお前の人形達だよ……今この時より社内番号K-816は新設部隊、第十四部隊『人形団』の部隊隊長に任命する……それじゃ、任せたぞK-816」

 

そんな軽い流れで昇進するもんなんすか……て言うかマジかよ、マジで人形部隊作ったのかよ

てか事務所いつのに建ててたんだよ、あの人形部隊の話をした時からか?ホント抜かりねぇよなこの人……

 

「なっ…!エージェントにスケアクロウ!?どういう事だ傭兵…」

 

「あー…何かグリフィンで再構築なんたらとか言うのをやって、プログラムの再構築的な事をやったらしいんだ…それでなんだが、今日から俺達は第十四部隊として組まれる」

 

「お〜…って事は傭兵くんが隊長なんだね!良かったじゃん昇進だよ!」

 

「ああ、まあ…そういうことになる、事務所は外の別棟になる…多分これから数も増えるだろうからその対策で新しく作ったんだろう」

 

取り敢えず四人に必要な物や自分の物を事務所へ持って行ってもらいつつ、俺は第十三部隊の人らに挨拶へ向かった

 

「ようK-816!いや、今は第十四部隊隊長って呼んだ方がいいか?」

 

「からかわんといて下さいよ隊長…いやはや、俺も隊長格になるとは思ってもなかったですがね」

 

「ガッハッハッ!なに!そう気張ることはないぞK-816、隊長なんざ取り敢えずやってる内に何とかなるもんだ」

 

この人が言うと説得力が違うな…実際何とかなってるし、何とかしちゃってるもんな

でもそれ隊長のフィジカルがあっての話じゃなくて?

 

「何だよ〜俺より偉くなっちまったのか?俺より後輩のクセによ」

 

「だったら変わってみるか?D-673」

 

「いやゴメンだね、俺は副隊長が似合ってるよ……ま、精々頑張んなよK-816…部隊が変わっても会社は同じなんだ、また酒飲むぞ」

 

「勿論…今度、昇進祝いで一杯奢れよ」

 

「しょうがねぇなぁ」

 

「D-673の方が歳上なんだからそれぐらい奢ってやりなさいよ」

 

「うぐっ…分かってるよV-785」

 

哀れD-673…なんだかんだとこ人、この部隊の中だと扱いが雑にされがちだよな

まあうちの女性陣、全員クセ強いしな

 

「……またナイフの練習くらい、付き合いなさいよ」

 

「はいはい、分かってますよG-186」

 

この部隊にもだいぶ世話になったな……しかし俺も一部隊の隊長か、しかも部隊員が全員戦術人形て…

俺この部隊でやること無くね……全部任せちまった方が楽まであるぞ

 

さて、事務所に来てみたが…結構広いなここ

しかも寝室に大浴場まで付いてやがる……すげぇ待遇だなおい、逆になんか怖いんだけど

 

「傭兵さんはどこの部屋にしますか?」

 

「え?ああ……別に空いてる所ならどこでもいいぞ、どうせそんなに使わんと思うし」

 

「ほう?ならわたしと同じ部屋にでもするか?傭兵……」

 

「いやぁウロボロスさん…それはちょっと……ほら、隊長だと色々とやる事があるしさ、ね?報告書書いたり会議参加したりさ」

 

「報告書ならわたくしが請け負います」

 

「お、おう…そうか……」

 

「傭兵、この際だから言っておくがやはりお主には睡眠が足りなさ過ぎる…この間も作戦だなんだと誤魔化して、結局二日間ぶっ通しで起きていただろ」

 

「あ、あれはほら…時間も差し迫っていた訳だし?しょうがないだろ?」

 

「余裕を持って現場に着いて5時間くらいは時間があっただろ」

 

グッ…何でか分からんがウロボロスに詰められるとどうも口が回らなくなる……いや、正直正論しか言ってないから言い返す言葉も無いんだが

 

「そうですね…傭兵さんは元のスペックが馬鹿げているとは言え人間である事に変わりはありません、そうも無茶をされると此方としても気が気では無いですね……でしたら、交代制で傭兵さんの世話係をするのは如何ですか?」

 

「おお、名案だなエージェント」

 

「えなにそれは…て言うか本人置いてけぼりで決めるんすか」

 

「傭兵に発言権があるとでも思ってるのか、この阿呆め」

 

「うす……」

 

「なになに〜!なんか面白そうな事話してる〜?」

 

後ろからアーキテクトが覆いかぶさってくる

毎回毎回スキンシップが激しいんだよなコイツ…何かナインちゃんみを感じる

 

「アーキテクト、貴女自身の部屋の整理は終わったのですか?」

 

「え"っ…い、いや〜何かみんな集まって話してたからつい〜…」

 

「おしゃべりしてる暇があるなら早く片付けてきなさい、この中で貴女が一番無駄に荷物が多いんですから」

 

「うっ…はぁい」

 

代理人に怒られとぼとぼと自身の部屋へ戻って行くアーキテクト…なんか可哀想やな

でも実際、荷物が一番多いことに間違いは無い

 

開発部隊と関わってからというもの、あそこの部隊員らと仲良くなったのか頻繁に出入りしていたからな……一緒になって色々と開発や改造をしていたらしく、その発明品達で結構ごった返している

 

「あら、何の話をしていますの?」

 

「スケアクロウ、丁度いいところに来たな…今から傭兵の世話係の順番を決めようと思ってな」

 

「あら、なにやら楽しそうな事を話してますわね…是非混ぜて貰いたいですわ」

 

なんか三人で話し始めちゃったし……俺は仕事部屋でも見に行こうかな

 

広めの大部屋の真ん中に長机、奥には大きめのデスクと椅子…恐らく俺用だろう

長机もそこそこでかいし、椅子も結構な数ある……これ本当に鉄血全員収めるつもりだろ

 

別部屋にはキッチンもあり、料理をしたりお茶を淹れれたりと結構出来そうだった…既に代理人の持参品であるティーポットとカップが棚に仕舞われてあった

 

「……お、パソコンまでついてるのか…いや、これB-889が勝手に持ってきたな」

 

俺用のデスクにデスクトップパソコンが置いてあったのだが、キーボードの右下に小さくBにマルがしてあるマークが付いていた……しかもお手製品ときたもんだ、とんだハイスペックなんだろうなこりゃ

 

デスクと共に備え付けられていた椅子に腰かける

 

「……はぁ、しかし一部隊の隊長かぁ…何だかなぁ…」

 

「如何しましたか?傭兵さん」

 

「うぉ…いつの間に居たの代理人……いやまぁ、時間の流れってのも早いもんだなぁって」

 

「そうは言ってもまだ18歳ではないですか……そろそろ全員集まる頃合いです、わたくしは飲み物でも淹れて参ります…傭兵さんは紅茶と珈琲、何方になさいますか?」

 

「珈琲で頼むよ」

 

代理人が人数分の飲み物を淹れて長机に置いている内に、全員が仕事部屋に集まり既に座っている状態が出来上がっていた

 

「傭兵くん社長みた〜い!何かおもしろ〜!」

 

「何だ喧嘩売ってんのかアーキテクト、確かに俺そういうポジション似合わないけどさ」

 

「アーキテクト煩いぞ…それで、何か話すんじゃないのか?傭兵」

 

「ああ、まあそうだな……改めて話すことも別にないが、これから宜しくってところだな」

 

「……それだけですの?」

 

「ん?何だもっと話せってのか、生憎ともう話すネタとか挨拶の言葉とか持ってなくてなぁ……世間話にしても殺伐とし過ぎてて人に言う様な内容じゃないし」

 

「い、いえ…そうではなくて……」

 

「別にお前らが何であんな事してたのかなんて実際俺、興味無いし?事実確かに俺結構逃げ回ってたし何だっだら監禁されてたけど…まあこうして五体満足で生きてる訳だから、特に問題もないだろ」

 

「うわ〜…相変わらずタフだよねぇ傭兵くん」

 

「それでこそ俺だろ」

 

椅子に座るスケアクロウは若干、申し訳なさそうな顔をして落ち着きがなかった…代理人は隣に立っているので表情は分からないが

 

「……それより、お前らも俺に聞きたい事があるんじゃないのか?」

 

「……!」

 

「……流石ですね、傭兵さん」

 

「ああ、顔に書いてあったぞ……エルダーブレインが何処に行ったのかって」

 

まあこんなの、大体予想はつくがな

代理人は正規軍との戦闘で破壊され、そのままエルダーブレインは正規軍に奪取されたと思っている

 

その後どうなったかなんて知る由もないだろう

 

「エルダーブレインならウチの会社にいるよ…先の戦闘で損傷してて今はまだ眠ってるがな、開発部隊の奴らが今システム解析とモジュール修復を行ってる途中だ…それが終われば会えるだろうよ」

 

「やはり、エリザ様は傭兵さんが回収していましたか…予想通りでしたね」

 

「まあな…色々とこっちにも作戦があってよ、ちょっとそれに使わせて貰おうと思ったからな」

 

「作戦…?」

 

「ああ……何れ来るクソ野郎共を殲滅する為のな」

 

「……分かりました、でもこれだけは覚えておいて下さい傭兵さん……もう我々は貴方を裏切らない、決して…ですから、この身果てるまで…貴方の傍に仕えさせ下さい」

 

椅子に座る俺の前で膝を着き、俺の手を取って代理人はそう言った……ヒュー大胆な事言ってくれるじゃないの代理人さんよぉ

 

ま、こっちとしてもこんだけ腕が立つ奴らに居てくれれば万々歳だからな

 

「あー!なに二人だけの空間でイチャイチャしてるのさー!ちょっとウロボロスも何とか言ってやりなよ!」

 

「煩いぞアーキテクト、あれくらい放っておけ」

 

「む〜……にヒヒ、それはなに〜?あたしの方が傭兵くんと長く居るからって言う正妻アピールぅ〜?」

 

「…………ほう、いい度胸だ」

 

「わー!わー!暴力反対!」

 

「あまりここで暴れないで下さいな、折角の紅茶が台無しになってしまいますわ」

 

ウロボロスがアーキテクトの胸倉を掴み上げて、拳を振りかざしてる……なんだかんだと仲良いなーアイツら

まあこんな感じでも、思いの外上手くやって行けそうだな




最近資材が潤ってきて上々

て言うかMOD化するの超面倒…416はゴリ押したけどROもMODしたいんだけどなぁ
モジュールが足りなさ過ぎる、まあイベントで回収できるみたいやけど途中までやって進めてねぇやHAHAHA

ではまた次回


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