もしガールズバンドのあの子がお酒を飲んだらどうなるの? (早宵)
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ポテト大好きクール系な彼女

おはこんばんにちは。初めまして早宵と申します。
初投稿なので優しく見守ってください…


飲酒……それは犯罪など悪い側面ばかりが目立ってしまうが、それだけでもないと思う。

日頃溜まった鬱憤をお酒の力を借りる事によって吐き出す事が出来たり、普段思っていても伝えられない事を伝える事も出来たりする。だが、飲みすぎると言う事は良くない。自分がお酒に呑まれてしまうからな。

 

すなわち何が言いたいかって?

 

 

「日菜ばっかり才能があってじゅるいれす!なんで私には無いんでしゅか!」

 

飲み過ぎると、こういう風に出来上がる。飲み過ぎはダメって事だ。

多少嗜む程度なら大丈夫だと俺は思ってる。

 

このタチの悪い酔っ払いみたいな事をひたすら話しているのは氷川紗夜(ひかわさよ)。俺と同じ大学に通っており恋人である。恋人である。(大事な事なので2回言いました)

 

彼女がどんな人間か簡単に説明すると、

風紀委員、真面目、努力家。バンドマン。これでわかるだろう。バンドマンって言う異物も混じってるが気にしないでくれ。正しくはバンドウーマンなのかな?まあいいや。じゃあそんな普段の姿とかけ離れた彼女がどのような過程でこうなったのか。それを回想しようかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_____________________________________________

 

「紗夜、来月20歳の誕生日だったよな?」

「ええ、そうですね。」

「OK、わかった、じゃあ来月予定空けといてくれないか?」

「わかりました。何処で集まりますか?」

「あー、じゃあ俺の家でいいか?」

「いいですよ。貴方のお家で集合ですね。来週楽しみに待ってますね。」

 

 

とまあこんな感じで俺の家で紗夜の20歳の誕生日を祝うパーティーを開く事となった。

 

 

 

 

 

さて、用意する物だが、

紗夜はポテトが好きだから様々な種類のポテトを作っておこう。

あいつこの前◯ックのLサイズを二個、俺がハンバーガーを食べ終わる前に食べ終わってたな…

それと、せっかく20歳になったんだから乾杯できる物も準備しなきゃな。食べる物ばっかじゃねえか、俺もあいつみたく染まっちまったなぁ…

 

あと、サプライズ。これは絶対やる予定だ。

これをやったら紗夜は驚くかな?反応が楽しみだ。

 

段々、俺まで浮かれてきている気もする…けどまあいいか。

あいつにとって20歳っていう人生でも一種の区切り目なんだからしっかりとした物を催してやらなきゃな。

 

 

そうこうしている内に紗夜の誕生日が来た。

 

 

 

予定していた時間丁度にコンコンと扉を叩く音が聞こえた。

 

「こんばんは、来ましたよ。」

「おう。こういう所はやっぱり紗夜らしいな」

「どう言う事ですか?あっ、この匂いはフライドポテトですか?」

「それもあるかもな?まあとりあえず入れよ。」

 

 

律儀にお邪魔しますと言い、靴を並べている。こういう所が紗夜らしくいい所だと思う。

 

 

「こんな豪華な料理だけでなくてわざわざ飾り付けまで…こんな事してもらって本当に嬉しいです。ありがとうございます!」

「いやいや、20歳って言うのは特別な歳だと思ってるからさ、俺なんかがお祝いするのが烏滸がましいくらいだよ。」

「そんな事ないです!とても今嬉しいですよ?」

「紗夜がそう言って喜んでくれるなら俺も大分嬉しいよ。」

 

 

その時の俺は多分、紗夜の滅多に見せない満面の笑みを見て嬉しそうに言った事だろうな。

 

「料理が冷めてしまうから早く食べちゃいませんか?」

 

紗夜が余程興奮したのか普段の口調とは異なる感じで話しかけてきた。可愛いな。

 

 

「わかったよ。じゃあいただきます。」

「いただきます!」

 

 

 

それから、紗夜は一心不乱に料理(主にポテト)を食べ続けていた。どのくらいかと言うと、普段は絶対の絶対にやらないであろう漫画で有るような、頰に食べ物をくっつけると言うドジっ子みたいな事までやった。可愛い(2回目)

そして、机に置いてあった缶のドリンクに手を伸ばして、プルタブを引き、飲み始めた。

 

 

「んんっ!?これってお酒ですか!?」

「いや、見てわかるだろお前…」

 

 

いや、パッケージのデザイン見て分らないくらいポテト食べてたんか。どんだけ好きなんだよ…

 

 

「紗夜は今日で20歳になってお酒はもう飲めるようになったんだからな。こういう時に経験しといた方がいいんじゃないか?それとも酔うのが怖いのかな?」

「そ、そんな事一言も言ってません!じ、じゃあ、お酒頂きますね?」

「おー、酔い潰れてもここは俺の家なんだから好きなだけ飲んでいいからな。」

 

 

まぁ正直たかが○結如きじゃあ酔わないだろうな。

って内心思いながらも適当に冗談めかして言ってみた。そうして少し経った頃…

 

「紗夜?急に喋らなくなったけどどうかしたか?」

「…るいれす」

「何か言ったか?」

「日菜ばっかり才能があってじゅるいれす!なんで私には無いんれすか!」

 

とまぁこんな感じで冷静な彼女は呑まれた。

高校時代、風紀委員に所属しており、鋼鉄のお姫様と呼ばれていたその姿はもう面影すら残っていない、ここに居るのはただの酔っ払いだった…

それからは正にカオスとしか言えない状況になってしまって…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大体、湊さんはいつも走りがちなんれすよ!もうちょっと周りを見て周りと合わせるような事もしたらどうなんでしゅか!!」

「お、おうそうだよなー…」

 

 

「今井さんはクッキーが何であんなに美味しく作れんれすか!!私もあれくらいの物を作って、ひ、日菜とシェアしたいのに!!」

「それがいいよねー、うん。」

 

 

「白金さんはもっと自信を持ってほしいんでふよ!!最近物凄く努力してるんですよ!!

白金さんがもっと主張できたらバンドとしても成長できるんれすよ!」

「りんりん頑張ってー…」

 

 

「宇田川さんも走りすぎなんでしゅ!もっと自信を持ってリードする感じでどっしり構えておけばいいんですよぉお!」

「だよね、ジッサイ。」

 

 

「あと日菜!こんな私が姉でごめんなさいね!もっと仲良くしたいのに…仲良くしたいんれすぅ!」

「あーうん、やっぱそーだよねー。」

 

 

「そして、貴方も!」

「え?俺?」

うわぁ絡まれたぁ…面倒くせえ…

そしてさらに、酔っ払いは大きく息を吸い込んで一言、

 

 

 

 

「私の事をもっと愛してくだしゃい!!!」

「は?」

タグにキャラ崩壊入れないとな…

 

 

「貴方はいつも白金さんの胸を目で追ってます!あと、今井さんと話す時の方が楽しそうれす!」

 

 

「私は、確かに今井さんや白金さんより魅力が劣っています…けど、もうダメなんですか…私じゃダメですか…?」

捨てられた子犬の様な顔をして、両目に沢山の涙を溜め、嗚咽を漏らし、悲嘆にくれながらそう言った

 

 

そうか、俺は紗夜にそんな事を思わせてしまっていたのか…

まさかお酒を飲む事によって紗夜の本音が聞けるとは思わなかったが、俺の安易で軽率な行動によって、彼女を傷つけてしまったんだな。そう考えると本当に胸が締め付けられる。だけど、誤解がある。

俺は誰よりも、超がつくほどシスコンの彼女の妹よりも、何よりも氷川紗夜を愛している。それを早く伝えなくてはいけないなぁ…

 

 

すぅ、ふぅ。深呼吸を一つ。そして、ぐいっとお酒を一口だけ呷った。よし、覚悟は決まった。

 

 

「もう私じゃダメでs「それは違う、紗夜!」

「へ??」

「確かに俺は白金の胸を見てたし、今井とのおしゃべりを楽しんでた、正直に白状するよ。でもな、俺はお前の事が全部好きなんだよ、氷川紗夜!」

 

 

「高校の時に遅刻して、どうしようもない喧嘩した時のお節介さだったり、問題がわからなくてその時に助けてくれた優しさだったりRoseliaのギターであり、風紀委員であり続ける凛々しさや格好良さだったりさ、お前の好きなところなら幾らでも挙げれるよ。」

 

 

「もう一回言うけど氷川紗夜の全てが俺は好きだよ!」

 

 

「これはサプライズで良い雰囲気にして渡そうと思ったけどさ、はい、開けてみて?」

俺は片膝をついて黒い箱を差し出す。

 

「んんっ?何ですかこれ…」

「これは…指輪!?」

 

 

「そうだよ。これが俺の気持ちです。

受け取ってもらえませんか?」

 

 

「私、愛されていないんだと思っていました…!

ずっとずっと不安でしょうがなかったです、本当に私で良かったのかって…でも、貴方の気持ちが伝わりました…!とても嬉しいです、最高の誕生日です!」

 

 

「こちらこそ、よろしくお願いします…!」

また紗夜は両目に涙を溜め、嗚咽を漏らす。 今回は悲嘆ではなく歓喜に震えている。ついさっきと同じ行為をしているはずなのにここまで印象が変わって来るのだろうか。

 

 

そして、紗夜は差し出された指輪を左薬指にはめ、赤く染まった顔をこちらに向けてこう言った。

「不束者ですが、これからもよろしくお願いしますね!」

「こちらこそ、これからずっとよろしくお願いします!」

そう言い合い、2人は同時に「「ふふっ」」と小さく笑った。

 

 

その後は残った物(ポテトはもう既に無い)を食べながら2人で今後の人生について一晩語り合ったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

 

 

「う、ううん?ここはどこでしょうか?確か昨日彼の家に行ったはずだった気が…?」

「とりあえず顔を洗いましょうか。」

 

 

と洗面所に行って顔を水で洗う。そして鏡を見る。すると、左薬指に指輪があるのに気づいた。

 

 

「あれ?何故ここに指輪?んっ?あっ…」

その瞬間に全てを思い出した。というか思い出してしまった。自分の痴態も。

 

<<貴方はいつも白金さんの胸を目で追ってます!>>

 

 

「あぁあっ…私、なんて言う事をぉ…」

 

 

その日、紗夜は布団にうずくまって出てこなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自分が本当に伝えたい事もお酒の力を借りれば伝わるかもな。

今伝えたい事がある人は試してみては如何だろうか?嗜む程度なら、いいのではないだろうか?

まぁ、飲み過ぎて酔っ払いみたいに成るのは勘弁してほしいが……。




如何でしたでしょうか?
前書きに書いた通り、これが初投稿です。
文章力ある作家さんってすげえや…って事でやりました。
もし読者の皆様の目に止まったのならば幸いです。
感想や評価をいつでも受け付けています。


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微笑みの鉄仮面系な彼女

続いた…


「ふぁー、やっと大学おわったわぁ」

俺は伸びをしながらそう言う。

 

ここで漫画とかならば超展開があるが、残念ながら俺には超人的な能力や才能があるわけではない。

だから普通に普通の人生のレールを歩んでいる。

よって俺は普通の大学生という事になる。

大学に入って思った事は時間が過ぎるのがゆっくりに感じる。だからその分疲れが溜まった気がする。

 

だから早く帰ってゴロゴロしよう。もう何もせずにぐだぐだするんだと覚悟を決め、教室を出ようとするといきなり後ろから肩を叩かれた。大体誰か分かるんだけどな、はぁ…面倒くさ…

 

「何だよ?」

「今日、飲みに行かないかしら?」

 

 

 

 

この何回目かもわからない同じ会話を持ち出してきたのは、白鷺千聖(しらさぎちさと)。こいつは元天才子役、女優、流行しているガールズバンドのPastel*Palettes(パステルパレット)のベース担当と言う、海の向こうで二刀流と呼ばれ活躍するメジャーリーガーもびっくりするような、まるで漫画のヒロインの様な肩書きを持つのである。

 

だが、この世界は漫画と違って中々大変だ。まぁ、これだけだと輝かしい栄光だけを掴んできたと思われてしまうが、実際は違うと思う。

 

アイドルバンドがデビューで大失敗して解散しかけたり、自分という存在の意義を見失ったり、幼い頃から芸能界と言う普通では無い世界に入り込んだ事でより現実的、現金的な思考になり感情より理屈で動いてしまう事に葛藤したり、折角、大役を貰ってもスランプが来て役に入り込めなかったりと彼女も彼女なりに人一倍苦悩してきたんだと解釈している。だから俺は一般人の立場から白鷺の助けに成れればいいなとは思ってる。が、しかし、

 

 

「残念ながら今日はバイトの予定だから無理だ。あ〜本当に残念だなぁ〜」

 

こいつと飲みに行く事はどうしても苦手なんだよ…

 

「嘘ね」

「はぁっ?何でそう言いきれるんだ?」

「あなたは嘘をつく時、目線が右上に浮くもの。わかりやすいわよ?」

 

この癖そんな出ないはずなのによく気づいたな、多分うちの親ですら気づいてないぞ。

 

「さすが元天才子役様ってだけあるな」

「何か言ったかしら?」

「いえ、何でもございません」

 

どうやったらこんな威圧的な笑顔が出来るんだよ…子供とか泣くぞ…

 

「お前なぁ…その威圧的な笑顔仕舞った方がいいと思うぞ…俺は普通に笑ってた方が可愛くて好きなんだけど?」

「か、かわ//って…じゃあ今日はあなたの家で飲むって事でいいわよね?」

「いやいや待て待て待て、何で俺の家なのさ、そこらにあるバーとかじゃ駄目なのか?」

「酔っ払ってお店の迷惑になるかもしれないじゃない。あなたが。」

「いやお前「文句があるのかしら?」…わかった、わかったからもう俺の家でいいよ。でも今、俺金欠で、もやしと塩辛しかねえから要るものあったら持参してくれよ」

「あなたって本当に塩辛大好きね…わかったわ、今晩行くから楽しみにしてなさい。」

 

心なしかいつもより楽しそうだな。楽しそうだからまぁいいや…

 

「楽しみに待っとくよ。じゃあまた後でな。」

「ええ。ふふっ誘えたわっ…(小声)」

「なんか言ったか?」

「何も?じゃあまた後でね。」

「おう。」

 

そう言えば何で今をときめく女優と飲みに行くのを渋るのかって?羨ましいなって?そうでもないぞ。それはな…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほんっとあの番組のプロデューサーは何もわかってないわ!何でワンテイク目よりツーテイク目の方が良いと言うのかしらね。目の機能を失っているのかしら?」

「あっちの番組はそもそも何でこんな企画を考え出したかが謎でしょうがないのよ。だって…………」

 

こんな感じで愚痴大会が始まるからな。最初の方は助けになってやろうと思って親身になって聞いていたが、もういいかなって思えて来た。

急に長いしえげつない事言い出すからね。

もし週刊誌の奴らがいたら一発でアウトな内容だから、いつか引っかかるんじゃないかと、というか大女優様がこんな酒癖悪くてに大丈夫なのかと本気で俺は心配している。普通にやばいよチサトサン。

 

まぁでも今回は外じゃ無いし情報が出回る事はないから若干安心もある。

 

どうこう言ってももう決まった事だし変わらないからとりあえず部屋の掃除からやっとこうか。

あ、ちなみにエロ本が出てくるとか言うテンプレは無いからな。

 

掃除がすぐ終わり、塩辛を適当に出して迎え入れる体制が整ってすぐにインターホンが鳴った。

 

 

 

「来てあげたわよ、開けなさい」

「なんで上から目線なんだよ…まぁいいけどさ」

「お邪魔するわね」

「はいよ、そこらへんで適当に寛いどいて」

「わかったわ。」

 

そして料理(って言っても塩辛やもやしを軽く炒めた物)を出して酒を準備する。

 

「お酒なさそうだから持って来てあげたわよ。あとおつまみもね。」

「サンキュー…ってこれ凄い高そうなんだが

貰っても良いのか?」

「一人で食べたり飲んだりする量じゃ無いもの。あと、別にこれくらいの物ならいつもお世話になってるって言う意味でも大丈夫よ。」

「白鷺……お前もう飲んだのか?」

「失礼ね」

「痛ったぁい!足がぁ!」

 

あ…ありのまま今何が起こったか説明するぜ…

足を思いっきり踏まれたんだ…何を言ってるかわからねーと思うがまるで象が乗ったかのような重みだったんだ…あと変な扉を開きかけたんだ…

 

「さぁ飲みましょう?」

「お前いつか絶対にやり返すから見とけよ」

「乾杯」

「くっ、乾杯」

 

そう言ってグラスを軽く当て、飲み始める。

 

「ああ、生き返るわね」

 

良い歳こいたリーマンみたいなこと言ってんなあ。と思ったが学習したから口には出さない

 

「今日の講義も疲れたなぁ…」

「そうね。あの教授達の言いたい事は何一つ分からないもの、疲れるのも当然ね」

「本当そうだよなぁ…少しで良いからこちらを思って分かりやすくやって欲しいところだよな」

 

何となく愚痴からスタートしてしまった。

俺も人の事は言えないな。

 

「あなたは経済学を取ってないでしょう?あれも中々悲惨よ。大半は寝てるか携帯を触っているかだもの」

「それは大変だな。でもそんな中でも真面目に受ける白鷺様は凄いと思うぞ」

「もっと褒めても良いのよ?」

「すごーいえらーいがんばったねー……

グラスが空のようなので注いで差し上げます。」

「あら、珍しく気が効くじゃない、その調子で頑張りなさい」

 

この女いつか泣かす、絶対泣かす。

 

「ていうかもう一杯目が終わるって早くないか?俺まだ半分も飲んでないぞ」

「あなたが遅いんじゃないの?」

「そうか?まあいいか」

 

良くない。絶対その内また酔い出すよこの人は…

というか毎回飲むペース早いけど今日は特に早いような?それは気の所為か。

 

「てか白鷺が持って来てくれたおつまみ美味しいな。そこらの安物とは味が全然違う」

「そう言ってくれるのならわざわざ貰って来た甲斐があるわ」

「え?わざわざ貰って来てくれたのか?なんか申し訳ないからお金払おうか?」

「え!?いや違うのよこれは彩ちゃんがわざわざ貰って来た物を貰ったという意味で私が貰ったんじゃなくてパスパレのみんなで分けてそのまま彩ちゃんの物を若干貰っただけであって別にあなたの為にわざわざ貰って来たわけではないのよ!」

「…ちょっと何言ってるかわかんないけどまあ食わせて貰ってるから取り敢えず感謝はするよ。ありがとな」

「べ、別にいいって言ってるでしょ…」

「そう言うんならいいんだけどな」

 

ちょっと酔い始めたのかな…?顔も赤いし…

 

「あなたも空じゃないの、注いであげるからもっと飲みなさいよ」

「すまんねー…ってなんだこれ!えげつない濃度してんぞ!ちょま、飲めねえって、俺そんな強くないんだって!」

「あら、私から、白鷺千聖から注いでもらったのに飲めないのかしら?」

「もうわかったって…飲むからさ…さっきから何でそんな期待を込めたような目線でこっちみてんの?」

「見てないわよ」

「そうですかい、あ、すっごい強いけど美味いなぁこれ。やっぱ高くなればいいって物ではないけど高い方がいいなぁ〜」

「そうよね!やっぱり美味しいと思うわよね!」

「お、おうそう思うぞ」

 

あー酔ってるサインが出始めたなぁ…

いつもは鉄仮面を被ってるかの様に感情の揺れ動きがよくわからないが、酔うと年相応の普通の女の子みたいになる。これが酔ってるサインだ。普段とのギャップでやられそうにもなるが何とか耐えるしかない。

 

それと、俺もそんな強くないからもうそろそろやばいかも知れない…

 

「このお酒はね、あの番組のプロデューサーから貰ったんだけど、あっ、あのプロデューサーは女優を見る目がイヤらしくてほんと参ってるのよ。もげてしまえばいいのにね」

 

あっ、変な所からスイッチ入って始まったよ…

 

「あっちの番組はスタッフの段取りが悪すぎて、ずっとイライラしてたわ。怒りたくても怒れない、まるで*****で初めて****をするカップルみたいなもどかしさがずっとあったわ。」

「ちょま、お前、そんな言葉使うな!コンプラ引っかかるって!」

 

白鷺千聖半端ないって!こんなんできひんて普通!だめだ、ボケが出来ないくらいえげつないよぉ…

さらに加えて今回はコンプラワードまで出すか…

某ダンジョンのコンプラ祭りだった時みたいになってるやん…

 

この酔っ払いどう鎮めればいいんだろうな…

 

これもうわっかn「ちょっと聞いてるの?」

「聞いてます。はい。」

「むぅ〜今、聞いてなかったでしょ!?私の話を聞いてってば!!」

 

そしてこれが酔った時限定のギャップ萌えである。リスみたいに頬を膨らませている。普段と全く違って可愛い。一回撮って弱味握ろうとしたけども、今の白鷺の純粋な目には勝てなかったよ…

 

「それで、あの俳優なんだけどね…ってあなたグラス空じゃない、夜は長いんだし、もっと私と飲みましょう?」

「いやこれ以上は本当にきついから本当に勘弁して下さいお願いします」

「私のお酒いらないの……?」

 

そんな目で見つめてくんな!あぁもうここからは未知の領域だ!どうやっても知らねえ!

 

「いらなくねえよ!貰うぞ!」

「うんっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこから先は記憶がない……

 

 

 

 

次の記憶が始まったのは翌朝、白鷺が横でスヤスヤと眠っている布団の中だった。

 

ここで読者の皆様に問いたい。酒に酔って、途中の記憶が全く無く、翌日自分では予想もつかない所や全く知らない所から活動が始まるという恐怖を感じた事はありますか?そうなったらやる事は…

 

「えぁぁあ!?何この状況!?何この状況!?は?全く覚えてないんだけど!何したんだ昨日の俺!」

 

向かいのマンションまでこの声は響いたという…

 

「煩いわね。頭痛いんだから静かにできないのかしら?」

「白鷺、俺お前に何かしたか?全く覚えてないんだけど何かしたか?」

「あれだけ情熱的な夜を過ごしたのに、覚えてないの?」

「はっ…?」

「あれだけお互いを貪りあったのに覚えてないの?」

「へぁ…」

 

もう声にならない声しか出てこない。冗談だと言ってくれ誰か…

 

「冗談よ」

「あぁあ良かった…本当良かったわ…」

「(良かったって言うのは本当は私の台詞なんだけどね)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの日のその後何があったか、確かこんな感じのはずだったわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「千聖ぉ」

「な、何よ?」

私はそこで酔いが醒めた。彼の顔を見てみるが、目はトロンとしており顔も赤く染まっており明らかに酔っている事がわかる。

 

彼、あまり酔わないから酔ったらどうなるのか楽しみであったりもするわ。そのために今日色々な手を使ったもの。

そして次の一言を受け止めようとしたその瞬間、彼が立ち上がって、後ろから抱きついてきた。

 

所謂、あすなろ抱きという物かしら?

 

冷静に語っているのだけれど、その時の気持ちは嬉しさと恥ずかしさで爆発しそうだったわ。だって、密かに想いを寄せている彼から急に抱きつかれるのだもの。ときめくのも仕方がないと思うわ。

そして、彼はこう言ったの、

 

 

「千聖はいつも頑張っているよなぁ〜。

みんなの見えない所で努力して、その跡を隠している所めっちゃ好きだよ。」

「え/// な、急にどうしたの!?」

 

「芸能界入って長いかりゃ色々アドバイスをしたり、メンバーを引っ張っていくパスパレの精神的な土台として支えている千聖の強さも俺は良いと思うよ。いつも頑張ってるね」

「ふぇ///ありがと…」

 

「いつも機敏に動き過ぎてるからさ、時々はこうやってガス抜いていこうよ。千聖のためにいつでも手伝うからね?いつもお疲れ様」

「そ、そうね/// あぁあああ…///」

 

もうここで私のキャパシティはオーバーしたわ///

私ももうこれ以上の事は覚えてないの…

気づいたら布団で寝かされていたわ。

そして今に至るってわけよ。

 

まさか彼が酔うとこうなるなんてね…

でもこれで私の気持ちを再確認出来たかもしれないわね…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わかりました。はい。気をつけます。それじゃまた」

「誰と電話してたの?」

「ナイショよ」

「そうですか…」

 

ま、誰でも良いんだけどな

 

「それにしても頭痛いなぁ…」

「ならコンビニにお水と朝ごはんを買いに行かないかしら?」

「まぁいいよ、ちょっと着替えるから外で待っといて」

「ええわかったわ。」

 

 

ー5分後ー

 

「おまたせ、行こうか」

「ええ、行きましょう」

「なんか良い事でもあったか?」

「ふふふっ、まぁね」

 

やけに笑顔だなぁ…なんか裏ありそうだなぁ…

 

「折角だから手を繋がないかしら?」

「は?まぁいいけど」ギュー

 

「行きますかぁー」

 

 

片手で扉を回しながら、もう片手で千聖の手を握っている。なんかすっごい面倒くさいんだけど…

 

 

そして扉を開けた。するとそこには、カメラを構えたおっさんが数人いた。そして撮られた。

 

「……………」

 

ははっ。人間って極限まで追い込まれると冷静に物事を考えられるんだな。そう言う事だったんだな。だからあんな笑ってたんだな。

 

 

 

「そう言う事な」

「そう言う事よ」

 

 

 

謎の緊張が走る。

 

 

 

 

 

「退路は断ったわ。今から言う言葉は女優だけじゃなくて、大学生として、貴方に惚れたとしての白鷺千聖の言葉よ。」

 

 

 

 

 

「どうか私と付き合って頂けませんか?」

 

 

 

 

白鷺が俺に惚れているのは正直意外だったけどさ、

こんな極限の状況まで作り上げて、自分の気持ちに正直になって、賭けに出たんだ。

 

 

 

だったら今から俺が言う言葉は、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「千聖、こんな俺で良ければ、喜んで」

 

 

次の瞬間、俺たちは抱き合った。お互い満面の笑みで。

 

 

千聖が微笑みの鉄仮面という称号を返上する日も近いかもな。




お酒というよりラブコメ要素が強くなってしまいました…
とても文章力が欲しい(切実)
あとお酒の知識とか壊滅的なので間違った所とかあったら教えて頂ければ幸いです。

あと前回の話で評価をくださった
仮面ライダーウルム(ツイのルード)さんありがとうございます!

評価、感想、誤字報告いつでも受け付けてます。


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赤メッシュカッコいい系な彼女

やっとです…


人間にとって最高の休日とは何だろう。

 

 

普通の人は旅行へ行く事やデパートなどでウィンドウショッピングをする事などを挙げるだろうな。

だが、普通の大学生ならこう答えるだろう。

 

 

「引きこもり最高!!」

 

 

は?って思う人もいるかもしれないが、こちとらレポートやサークル、資格の勉強などやる事がごまんとある。クッソキツいぞ。

 

 

だから偶には家でゆっくりするのも悪くないと思う。見たかったドラマやアニメをよこになりながら、お菓子を食べながら見る。

時間もある事だし眠たくなれば眠ればいい。最高じゃないか?この休日。ニートとか言うなよ。

これ以上ないぜって言う事なので、今までそれをやっていた。楽しいけど後で虚しくなるんだよなぁ…

 

あっ、お菓子無くなったからお菓子取ってこよ。

 

そう思い立ち上がり部屋を出る。

そうすると途中で声を掛けられた。

 

 

 

「何してんの?」

「部屋で○猿見て泣いてたんだよ。お前にわかるか?俺の中でぐぅわぁ〜って込み上げてくるこの感情が」

「知らないけど…私も見ていい?」

「見たいんならいいよ」

「ありがと」

 

 

ん?ここって俺の家だよな?そうだよな…

あれれ〜?おっかしいぞー?何で一人暮らしの部屋に二人目の人間がいるのかな〜?

 

 

「色々と言いたい事があるが、まず一言だけ言わせてもらうぞ」

「何?」

 

 

「美竹、お前どうやって家に入った!?」

「鍵空いてたから普通に入っただけなんだけど?」

 

 

鍵空いてたからって入んな。それは不法侵入って言う犯罪なんだよ。間違いなく今警察呼んだらお前の人生終わらせる事が出来るぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

唐突すぎる他己紹介なんだが、この不法侵入系ガールの名前は美竹蘭(みたけらん)って言う。

 

不法侵入かますくらいだから余程礼儀とかなってないのかって思うかも知れないが、こいつは華道の家元の家系に生まれている。

ので礼儀作法の立ち振る舞いが常人よりも素晴らしいのである。それを俺にやってくれ。

 

華道の家元と言う物は中々大変なようで、自分の流派を残す為に子供に華道を強制し、簡単に悪く言って仕舞うのならば、

"その子の未来を確定させてしまう"

と言う中々残酷な運命にあるのでもある。

 

美竹はAfterglow(アフターグロウ)と言う夕焼けを意味する名前を冠したバンドを幼馴染達とやっていたが、例に漏れず、彼女にも華道の家元に生まれて来てしまった宿命が襲いかかった。

 

それに美竹は反発するのだが、自分一人で抱え込み塞ぎ込んで、一時期バンドメンバーとも仲違いをしてしまう。が、本音で語り合ってメンバーと復縁をしてさらに、父親に自分の伝えたい事を、Afterglowという彼女のバンドなりに奏でて音で伝えたのであった。そして見事父とも話し合う事が出来、華道と両立する事を条件にバンド活動を認めてもらう事に成功したのであった。

 

 

何でこんな詳しいんかって?前に俺の家来た時に、色々語り合ってたら急に嬉しそうに過去を語りだしたからな。

 

 

色々言ったが、簡単に美竹を表すと

 

 

赤メッシュ入ってて素直じゃないけど一本筋が通ってて悪くない子。

 

 

こんな感じである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

でもな散々説明してたけど今一番大事なのは、俺、蘭ちゃんを不法侵入をするように育てた覚えはありませんよ!?

「アンタに育ててもらってないけどね」

 

…普通にサラッと心の声を読むな。怖いわ。

 

 

「て言うか何で俺の家にいるの?」

「○INE送ったじゃん」

 

 

まじか、全く気づかなかった。何々…

 

「暇」14:10

「暇」16:10

「暇だからアンタの家行っていい?」20:20

「今から向かうね」20:23

 

 

いや、暇だからって俺の家来んなよ。

てか許可取ってないのに来んなよ。

こんな時間に外出て親は何も言わないのか?

 

 

「親は泊まりの旅行行ってて居ないから」

 

 

だからサラッと心を読まないでよ…メンタリストにでもなるつもりなのか?

まぁいいんだけどな…

 

 

「暇だったから俺の家に来たのか?」

「そうだけど?」

 

 

なるほどな。じゃあ…

 

 

「広い屋敷で一人って寂しいもんな。よしよし今日はいっぱい構ってあげるからね〜」

「さ、寂しくなんかないし!」

「そんなこと言うんなら屋敷にいたら?」

「それは…やだ」

 

 

顔真っ赤で俯いて可愛いなぁ!!写真撮って美竹の幼馴染の青葉モカに流したいぃ!!

 

 

「わかった、わかったよってか美竹夕飯食ったか?」

「うん食べたよ。でも少し食べたいかな」

「じゃ、冷蔵庫にビールとかあるからそれとおつまみみたいなのでいいか?」

「大丈夫」

「わかった。すぐ終わらせるから適当にそこら辺にある気に入ったやつ見てていいぞ」

「いや手伝うよ、押し掛けたのは私だからさ」

「あーじゃあ頼むわ」

 

こうして飯を作る事になった。てか男女が共同作業って…

 

「まるで夫婦みたいだな」

「ふ、夫婦!?」ゲホッゴホッ

「大丈夫か?風邪?」

「い、いや!大丈夫だから!」

「ならいいんだけど…」

 

 

 

 

その後は何もなく普通だった。普通に出来た。というか美竹が手伝ってくれたおかげかいつもより早く出来上がった。

 

そして出来上がった物と酒を並べ、席に着く。

 

「何で塩辛だけは常備してあるの…」

「美味いじゃん、なんだよ塩辛に対する文句は言わせないぞ」

「まぁいいけど。いただきます」

「いただきまーす」

 

丁寧に手をしっかり合わせて小さくお辞儀までしてた。さすが家元の娘。

 

 

 

 

 

 

 

「んっ、割と美味しいかも…」

「割とはいらねえよ。好きに飲み食いしていいからなー」

「ありがと」

「おう、確か美竹ってアルコール飲めたよな?」

「うん、嗜む程度には」

「じゃあほれ、缶ビールだけどこれでいいか?」

「大丈夫」

「じゃあ乾杯ー」

「乾杯」

 

そう言って乾杯する。缶でな。

 

「ふぃ〜身体に染み渡るぅ〜」

「おっさんみたいだね」

「うるせ、どっからどう見てもピチピチの二十歳にしか見えないだろ俺」

「どこを見るの…」

「この若々しい身体だよ」

「なんかキモい」

「ごめんなさい」

 

 

相変わらずこの赤メッシュは毒舌気味だなぁ…

 

 

「そういや最近バンドはどんな感じなん?またお前がやらかしてないか?」

「やらかすわけないじゃん、でも最近色々あったよ」

「解散の危機か?大丈夫なの?」

「いやそこまでじゃないけど、つぐみがまた頑張りすぎちゃって体調を崩しちゃってさ、みんなでどうやってつぐみをつぐらせないか考えてるの」

「何て言うか、Afterglowらしいな…ほぼいつも通りじゃないの?」

「体調を崩すのがいつも通りだったら困るよ…でもそうだね、これがいつも通りなのかもね」

 

そう話した美竹の顔は嬉しそうだ。

 

 

「いい親友を持ったな。美竹は」

 

 

心の底からそう思って言葉にする。

そして美竹は若干顔を赤く染めて笑って言う。美術館に飾れるくらいのいい笑顔で。

 

 

「うん。最高の親友だよ」

 

 

普段美竹はこう言う感謝の気持ちとかは照れくさがって口に出せないタイプだけど、素直に口に出しているって言う事は若干酔って来たのかな?なんか目がトロンってなってる様な…

 

 

「私の親友はね、最高なんだよ。

モカはマイペースで鬱陶しい時もあるけどまわりをしっかり見ててね、私が変な方に行きかけたら止めてくれたりしてくれたんだよ」

 

 

完全に酔ってますね…

でもこういう話は嫌いじゃない。

 

 

「ひまりはAfterglowのリーダーとして不発だったり空回りで終わる事が多いけど、それでもポジティブに居てくれる。こっちはとても嬉しいよ」

 

 

その言葉ひまりさんに聞かせてあげたら泣いて喜ぶぞ。

「ら"ん"!ありがどぉおぉ!」っていう感じなのが目に浮かぶわ。

 

 

「巴はいつも熱くて時々ぶつかる時もあるんだけど、それくらいAfterglowを考えてくれてて感謝してる」

 

 

あの人は大黒柱っていうかどっしりバンドを支えてるよな。ドラム担当だけにな。姉御って感じだな。

 

 

「つぐみは頑張りすぎてるから、私達でもっと肩代わりしてあげないとね。でもAfterglowを作ったのはつぐみだし、その頑張りが今の私達を繋いでくれてるって思うとありがとうとしか言えないよ」

 

 

つぐみさんは努力の人で、いつも何かしら働いてる気がする…休んで欲しいとは思うけど必死で努力するその姿はとても綺麗だと思うなぁ。

 

 

そんな美竹も美竹でここまで周りを褒めれるくらい親友達をしっかり見てて、引っ張って行ってる。そんなお前も充分すごいと思うけどな。まぁ、俺も口には出さないけどな。

 

 

ていうか美竹酔うと変わるなぁ…

いつものクールでなんでも噛み付く反抗的赤メッシュは鳴りを潜めて、普段恥ずかしがって言えない感謝を伝えるbotになってますやん…

 

 

 

「それで、湊さんも…」

「美竹、一個いい?」

「なぁに?」

「時間見てみ」

「ん?」

「もうそろそろ帰れよ」

 

 

そう、もうすぐ日付けが変わるところまで来ている。正直、美竹の親は居ないんだから、俺の家に泊めるって事も出来たけど、このままだと過ちを犯しそうだからなんかダメだ。

 

 

「流石に美竹の親が家にいないとは言え、男の家に泊まったらどうなるかわからんぞ、ほら家まで送ってやるからそれ飲み切ったら支度しろよ」

「ヤダ」

「は?だから…「帰りたくない!」

「帰りたくないって…俺だって男だぞ?」

「わかってるよ、でももうちょっと一緒に居たいよぉ…」

「ええ…」

 

 

酒飲んで酔うとこんな性格変わるのか…

普段と違いすぎてギャップで死にそうなんだけど…

 

 

 

「大学でいつも浮きそうな私を気にかけてくれてありがとね」

「い、いや別に普通だからな?」

 

「入学したての時に仲良くしてくれて本当にありがとう。あの時にアンタが居なかったらまた授業一人で受ける事になってたよ」

「大丈夫だってそんな事…」

 

「うぅっ…今日は一緒に居たいよぉ…」

「ああわかったわかったから!そんな目すんなよ家泊まってけばいいから!」

「やった!」

 

 

 

俺ってちょろいな…いやこんな目されたらしょうがないよね!

 

 

 

 

「てか美竹お前酔い過ぎだって。水持ってくるから待っとけ」

「やだ」

「へ?」

「隣座ってよ、お話しよ」

 

ソファーをポンポンと叩いて俺を誘う

 

 

「いや水取りに行くだけだからちょっと待ってろ。帰って来たら何でもやってやるから」

「今何でもするって言ったよね?」

「あーはいはい何でも何でも」

 

 

そう言って俺は立って水を汲んで帰ってくると案の定ソファーを俺の分空けてしかめっ面をしていた。

 

 

「ここ、座って」

「はいはい」

 

 

何されるんだ…怖いんだけど…

 

 

「ギュー」

「え!?お前何やってんの!?」

「たまにはいいでしょ?」

「良くねえよ!」

「私の事嫌いなの…?」

「いや、嫌いじゃないけど…」

「ならいいじゃん!」

「良くねえって!そもそもな、一つ屋根の下で男女がくっつき合うってどう見てもアウトだよ!」

 

 

俺がどれほどの理性を持ってるか思い知って欲しいわ…

 

 

「初めはアンタの事を変な奴だと思ったけど、だんだん仲良くなって来て一緒に居るとすごい楽しくて居心地が良くなって来ちゃった」

「だから今日は、いや今日だけじゃなくてこれからずっと一緒に居ようね」

「はいはいわかったよ。これからもよろしくな」

「ありがと、そう言う所好きだよ」

「好きとか言うなよ照れるだろ…」

「ふふっ、可愛い」

「あっそ、お前も可愛いよ」

 

 

こう言った瞬間美竹の元々赤かった顔がさらに赤くなった。なんかこう言う反応見るの好き(語彙力)

 

 

「か、可愛い///私が?」

「お前しかいないでしょ」

「そ、そう///ありがと」

「どういたしまして」

 

 

ここで、謎に美竹が喋らなくなった。

寝たかな?

 

 

「美竹?あれ、寝たか?」

「起きてる、あのさ」

「ん、何?」

 

 

急にどうした。大事な話がある感がすごいんだけど…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アンタの事、好き。付き合ってよ」

 

 

…酔ってるんだよな?

 

 

「お前酔ってるからだよな?普通そんな事言わないよな?え、本当に俺の事好きなの!?」

「そう。アンタの全部が好き。付き合ってください」

 

以前顔は赤いけどこっちを捉えてそう言う。

はぁ、急すぎるって…でも言う事は決まってるけどな。あとは勇気を持つだけかな。

 

 

 

 

「こっちこそ、よろしくお願いします」

 

 

 

 

っはぁ〜言っちゃったなぁ

これで美竹は親友から彼女なのかぁ…悪くないね。と思ったが…

 

 

 

「あれ?聞こえてない?こっちこそよろしくお願いしますね…って寝てんじゃねえか!」

 

 

そう、爆睡している。殴りたくなるほどいい笑顔で。

 

 

って事は俺の勇気は無駄だったの!?てかそもそも酔ってただけじゃねえのか…はぁ、考えても馬鹿らしくなるから布団かけてやって俺も寝よ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー翌日ー

 

 

「おはよう起きて、もう昼だよ?」

「んぅ〜まじかぁ…起きる…」

 

 

美竹にゆさゆさと揺らされて起床する。と同時に昨日の告白された記憶が蘇る。まぁ多分酔ってただけなんだろう。それ以外ないよな…でも一応気になるから聞いてみるか。

 

 

「美竹さ、昨日何言ったか覚えてる?」

「ん?いや覚えてないけど?」

「デスヨネー」

「え、私何か言ったの?」

「俺に告白して来たんだけど…」

「うぇっっ!?」

「覚えてないか、ってかやっぱ酔ってただけかぁ」

「…う」

「う?」

 

 

「私はアンタの事、好きだよ」

 

 

 

うぇえぇっっ!?マジで言ってんの!?あれ本当の気持ちだったのか!?

 

 

「今は酔ってないよ。本気でアンタの事が好きなの」

「マジかぁ…」

「マジよ」

 

 

マジかぁ…

答え出さないといけないけど、もう既に昨日勇気を振り絞ったからすんなり次の言葉は出てきそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺も美竹が好きです。勿論、酔ってないよ」

 

 

 

 

 

ありがとう、お酒の力。




ここまで読んでいただきありがとうございます。

更新が遅れてしまって申し訳ないです…
本当は日曜に書いて月曜に出そうと思ったんですけど、野球観戦してました(言い訳)。これからリアルが忙しくなるので若干投稿頻度は落ちるかもです…きっと書きますけどね。

そしてこの場を借りて評価を下さった、ゆっくり妹紅さん、みらもんさん、steelwoolさん、カプ・テテフさん、テントウムシ!!!さん、鋼のムーンサルトさん、T田さん、ぼるてるさん、ケチャップの伝道師さんありがとうございます!今後の励みになります!

あと沢山のお気に入りありがとうございます!とても嬉しいです!

評価、感想、お気に入り、誤字報告、リクエストなどいつでも受け付けています。


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家庭的でギャル系な彼女



遅くなりました。



「以上で講義を終わります」

 

 

やっと今日一日終わった…土日の30倍は疲れるな(当社比)

今日はサークルもバイトも無いしゆっくりしよ…

 

「おーい待ってー!」

 

あれ、この光景どっかで見たような気がする様な?まあいいや。てか知り合いの声に似てるけどまあ気の所為だよな?俺を呼んで無いよな?よし、帰ろう()

 

「待ってって言ってるじゃん!」

「はぁ、俺かよ…」

 

俺でした。

 

「君に決まってるじゃん♪」

「まぁいいけど、何か用でもあるの?」

「あー、今日一緒に飲みに行かないかなって」

「急だな…湊とか来るの?」

「多分君とアタシの二人だよ!」

 

何となく今日は休みたいならパスしようかな

何か申し訳ないけど。

 

「ふーん、まぁ行かないけど」

「何で?」

「バイト「バイトのシフトなら入ってなかったよね?」

 

もっとマシな嘘あったやろ…今井と同じバイトやってたの忘れてたよ…

もうこうなったらしょうがないわ。さようなら、俺のリラックスタイム。

 

「やっぱり今井と飲みに行きたいわー」

「良かった☆じゃあ19時に家行くね?」

「は?何で俺の家なの?」

「もし何かあっても安心じゃん」

「何か起こす気は無いから。他のとこにしてくれよ」

「ええ〜いいじゃ〜ん」

「良くないからな…男と女が一つ屋根の下とか危なすぎるだろ?俺が何するかわかんないよ?」

「別に何してもいいんだよ〜?」

「そんな事ばっか言ってるといつか襲われるぞお前」

「(こんな事言うのは君だけだよ…)ボソッ」

「ん?なんか言った?」

「何も〜。じゃあもし宅飲みを許可してくれなかったら紗夜にある事ない事言っちゃうよ?」

「いやホントそれだけは勘弁して」

 

あの人に引っかかったら軽く2時間は説教だからな。正座で。

 

「ならどうするのかな〜?」

 

とんでもなく凄い良い笑顔しますね。

 

「わかったよ、じゃあ俺の家な?」

「やった〜!じゃあ19時に行くから楽しみにしててね!」

 

そう言って今井はパタパタと荷物をまとめて帰っていく。

 

さようなら、俺のリラックスタイム(2回目)

面倒くさいなぁ…まぁ飲み会自体は楽しいんだけどな。

 

 

 

 

 

 

 

そう言えば紹介してなかったけど、今俺と喋ってたのは今井リサって言う。

 

彼女はRoselia(ロゼリア)いう今流行りのガールズバンドのベースを担当している。

ガールズバンドだからと侮る事無かれ、Roseliaはプロのバンドと比べても遜色無いほど上手い。彼女はそのバンドの中でも纏め役というか縁の下の力持ちというかであり、ボーカルの湊友希那(みなとゆきな)が表のリーダーだとすると、今井は精神的にバンドを支える裏のリーダーみたいな物だ。

 

 

そんな彼女と何故出逢ったかと言うと、俺は高校時代にバンドをやっており、ボーカルを担当していた。学園祭で歌う機会があり歌ったのだが、それが何故か湊のアンテナに引っかかってしまい彼女の前で1曲歌った後に、

 

「貴方、Roseliaに全てを賭ける覚悟はある?」

「ある訳無いだろ。てか、お前ら誰だよ」

 

それ以降Roseliaとは良く接する事となった。

その度にRoseliaのサポーターを依頼されるが、そんな事やってる暇はない。割と大学生って忙しいからね!

 

ていうか今くらいのなんかあったら駆けつけて感想を言い合うくらいの関係が一番良いと思う。あれ、これってサポーターなんじゃ…まぁいいや。

 

 

そういうわけで高校時代に今井と出会ってたまたま進学した大学が一緒になり、今に至ると事になる。

 

でも最初の方は明らかにギャルっぽい服装にピアスという格好にビビって全く会話が弾まなかったが、話してみると中身は家庭的で献身的であると分かり良い人なんだなとか思った。

 

こんなギャルギャルしいのに筑前煮が大好物って考えられないよね、ギャップだな…

 

 

 

 

 

まぁそんな回想はどうでも良いとして、問題はあと数時間後には今井が家に来るという事だ。

 

急に決まったせいで何も準備が出来てないって言うのもあるが、今井は超が3個くらいつくほど女子力高い系ギャルなのだ。

 

だから何も準備して無くても作ってくれるとは思うが、それでは何か男として負けた感があるよな?わかるよなこの気持ち?

 

だから今から全力で食卓を準備してあっと言わせてやろうかな

 

 

 

 

 

 

 

 

別に男だが美味しい飯を作ってしまっても構わんのだろう?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー数時間後ー

 

 

 

「お待たせ〜待った?」

「だいぶ待ったわ」

「そこは待ってないって言うところでしょ…」

 

お前な、20分くらい遅刻してるからな…

 

「ん、入っていいよ」

「お邪魔するね〜」

 

「うわっ!?何これ!この料理って君が全部作ったんだよね!?」

「そうだけど何か?」

「すっごい豪華じゃん!アタシのために作ってくれたのかな〜?」

「そんなんじゃ無いわ、偶々だよ偶々」

「素直じゃ無いな〜でもありがとね!」

「お、おうどう致しまして」

 

こんな素直に褒め言葉が返ってくると思わなかったからちょっと照れるなぁ

 

「冷める前に食べようぜ」

「いいね〜、あっお酒はアタシ持ってきたよ!」

「言えば家にあったからわざわざ持ってこなくても別に大丈夫だったのに何か申し訳ないな」

「いいって!こんな豪勢な料理のお返しだと思って!」

「ありがとな、貰うわ」

「それじゃとりあえず乾杯しよっか!」

「そーだな」

「かんぱ〜い!」

「乾杯」

 

 

こうして楽しい楽しい飲み会が始まった。

 

 

「ん〜美味しい!ほっぺたが落ちそうだよ〜!」

「まじ?そう言ってくれると作った甲斐があるわ」

「本当だよ!この料理とかお酒にも合うし、んん〜ひゃいほう!」

「喋るか食べるかにしような…」

 

こんだけべた褒めされるとめっちゃ嬉しいなぁ。

普通にあいつが帰った後ガッツポーズしながら布団の上で飛び跳ねるくらいな。

 

「君ももっと食べたり飲んだりしなよ?別に気とか遣わなくてもいいんだよ?」

「いや充分食べてるし飲んでるから心配しなくても大丈夫だけどさ、お前がハイペース過ぎて怖いわ」

「え?そう?」

「おう、だって筑前煮と酒の減りが凄いぞ?もっとゆっくり飲まないと酔うぞ?」

「大丈夫だって〜心配性だなぁ!」

 

ならいいんだけどな?なんかもう酔ってそうで怖いなぁ…

 

「てか最近湊見てないけどあいつどうかしたの?」

「友希那?友希那は今風邪引いちゃってるから布団から出れないんだよ」

「ご愁傷様だな」

「そう言えば友希那なんだけどさ、この前ね、珍しく集中出来てなくてさぁ〜」

「ほー、あいつでもそういう時はあるんだな」

「それで気になってバレないように付いてったんだけど」

「いやそれ危ない人やん…」

 

今井さん、それはストーカーですよ。

 

「何と!男の子と仲良く歩いてたんだよ!」

「あいつもやるなぁ…」

「その後近くのオシャレなバーに二人で入って行ったんだよ!」

「へー、付き合ってるんじゃ無いの?」

「わかんないけど、友希那にもとうとうこういう時が来たのかなぁって思っちゃった」

「いやお前は湊の親かよ…」

「アタシより先に大人になるなんて思わなかったよ誰か私を貰ってくれないかな〜?」チラッ

 

何でこっちに視線を送るの…

 

「今井が本気で探せば一ヶ月で出来ると思うけどな、てか何で俺をそんな凝視するんだよ…」

「別にぃ〜何でもないよ」

「なら良いけど、っておいちょっと飲み過ぎじゃないか?」

「そうかなぁ〜?」

 

だって目とかやばいよ?もうとろ〜んとしか表現出来ない目してるよ?

 

「ちょっとお化粧直ししてくるね」

「ん?ああわかった。ってフラフラじゃねえか、肩貸してやるよ」

「う、うんありがと//」

 

もうフラフラで完全に酔ったとしか思えない様になってるからね?この後変に酔わないよね?こわいよ俺。

 

そう考えてたらトイレの扉が開いた

また肩を貸そうと思って今井に近づくといきなり腕に抱きついて来た。抱きついてきた!?

 

「ちょ、お前何してんの?」

「ふふふ、よいではないか☆」

「お前何言ってんの?何やってんの?」

 

酔うと甘えるの!?この前の時はそうでもなかった気もするけど本格的に酔うとこうなるんかな…

 

「とりあえず離れない?」

「嫌、いつもさ、皆から頼られてばっかじゃん?だから偶には私が甘えてもいいかなって」

「もっと他の方法無かったんか…」

「それとも女の子が困ってるのに助けてくれないの?」

「はぁ…しょうがねえな。今日だけ可能な範囲なら甘えてもいいよ」

「やった〜!じゃあちょっとお邪魔するね♪」

 

そう言って俺の肩に頭を預けてきた

 

「んふふ〜いい匂いがする〜」

「…そうか?汗臭くない?」

「いい匂いだよ」

「なんで食い気味なの…」

 

やっべえ、横からめっちゃいい匂いするんだけど…俺も理性飛びそうになって来た…

 

「そう言えば料理そんなに食べてないよね?」

「えっ、そうか?」

「私が食べさせてあげるよ!」

「はっ?いやもうお腹いっぱいだからいいって」

「はいあーんするよ〜」

 

やばい(直球)助けて(懇願)ドキドキしすぎて心臓の音がキングエンジンみたいになってるんだけど…

 

「あ、あーん?」

「なんちゃって!やっぱあげな〜い!」

 

ホッとしたって言うのとなんか残念って言うのとムカつくって言うのと可愛いって言うのが1:1:1:7くらいでごちゃ混ぜになってます。もうこうなったら俺も酔った方がいい気がする(錯乱)

 

「ていうかお酒も飲んでないよね?もっと飲まなきゃ!」

「じゃあもうちょい飲むわ」

 

そう言って半分くらいを一気に飲む。

 

「いい飲みっぷりじゃん!もっと飲もう!」

「わかったわかった」

 

今度は並々に注がれた酒を一気に飲み干す。

なんか楽しくなって来た気がする…!

 

「さぁ、夜は長いんだからもっと盛り上がっていくよ〜!」

「おー!」

 

 

 

 

 

 

「叶えたい夢 勝ち取れ今すぐに…」

「「SHOUT!!」」

 

 

「頂点へ?」 「狂い咲け!」

 

こんな感じでカラオケ大会をやったり、

 

 

「あっははは!それどんな顔してんの!」

「普通に変顔しただけだって、てかにらめっこ弱いな今井」

「むーじゃあもう一回!」

 

こんな感じで謎ににらめっこだとかをして一通り楽しんだ。

 

 

「あ〜楽しかったね〜」

「色々な物を失った気がするけど結構楽しかったな」

「やっぱり好きな人とお酒飲むと楽しいね!」

「そーやな、ん?好きな人?」

「そうそう。君の事が好きなんだよね〜、あっ…」

「えっ…冗談、だよね?あれ?」

「冗談じゃないよ!」

「高校の時、Roseliaの事で悩んでたアタシにアドバイスをくれた時からずっと好きなの!もう言っちゃったから言うけどさ、」

 

 

 

 

一呼吸だけ置いて

 

 

 

 

 

「私と付き合って下さい」

 

 

 

 

 

一呼吸だけさらに置いて

 

 

 

 

「これからもずっとよろしくお願いします」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー翌日ー

 

「んぁ、汗やば…」

自分の汗で起きた俺は働かない頭を総動員して昨日の事を思い出そうとしていた。そして思い出せてしまった。え?これってマジの記憶なの!?本当かこの記憶…

 

とか色々考えてたら台所の方から声をかけられた

 

「あ、やっと起きたね。朝食勝手に作ってるけどアレルギーとか無かったよね?」

「多分無いよ」

「そっか、なら良かった!」

 

朝からリサの笑顔が眩しい…あなたは女神ですか?

 

「頭痛え…」

「お水ここに置いとくね!」

「ありがとう」

 

 

「こうやってエプロン着て料理してくれるってまるで夫婦になったみたいだよな」

 

何気なくまとまらない思考回路で話す

 

「えぇっ//夫婦!?アタシは子供が二人欲しいって思うけど共働きになっちゃうよね…そしたら二人っきりの時間が減っちゃうからどうしよう…ってまだアタシ達には早いよ!」

 

「えっ?何言ってんの?」

「な、何でもないよ!」

 

あっ、昨日の記憶って本物やったんだな…

ちょっといたずらでもしてみようかな

 

「昨日の記憶無いんだけど何かあった?」

「え"っ?」

 

あっ、血の気引いていってるなぁ

 

「アタシが何言ったか覚えてないかな?」

「うーん…」クビカシゲー

「あははー、覚えてないかー」

「ごめんなリサ」

 

なんか本当にごめんね。

 

「大丈夫だよ。あれ?初めてリサって呼んでくれたね?」

「そりゃあ、リサは恋人だからな」

「恋人だよね。恋人!?」

「ははは、俺と驚き方が似てるな」

「えっ、じゃあ覚えてるの?」

「まぁね、そもそも覚えてないとは言ってないけどな」

「え?嘘?」

「本当本当、リサが明らかに動揺してたり酔ったりしてる所も可愛かったよ」

「うぅ…もうお嫁に行けない…」

 

なんなら今の顔を赤らめてる姿も可愛いと思うけどな

 

「俺が貰うから安心して」

「約束だからね?」

「わかった、あ、じゃあ小指出して」

「何するの?」

「指切りげんまん嘘ついたら針千本飲ーます。指切った!」

「あ〜懐かしいねそれ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー数年後ー

 

「明日、とうとう結婚式だね…」

「緊張してるか?」

「ちょっと昔の事思い出しててさ」

「昔?」

「指切りげんまん覚えてる?」

「あーあったな。針千本飲まなくて良かったよ」

「あはは、そうだね」

「明日からもよろしくね、リサ」

「こっちこそ!よろしくね!」

 




ここまで読んでいただきありがとうございます。
とてつもなくリアルが忙しいので次回もこのくらいになるかもです。お酒っていうかラブコメ風味が強くなって来ましたね、妄想力が欲しいです。

あとこの場を借りて評価を下さった、zhkさん、閻魔刀さん、ksgさん、ラクウスさん、カエル帽子さん、豚の丸焼き600円さん、伊咲濤さん、青りんご1357さん、ジャングル追い詰め太郎さん、アドレさん、ありがとうございます。布団の中で狂喜乱舞するくらい嬉しかったです!

あと沢山のお気に入りとしおりもありがとうございました!
いつでも評価、感想、お気に入り、誤字報告、リクエストなど受け付けております。是非よろしくお願いします。


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るんってしちゃう系な彼女

レポート、レポート、レポート、レポート。更新が遅れたのはこいつらのせいです。(言い訳)


 一般的に大学生の印象と言えば、高校などと比べると楽そうとか授業楽しそうとか思うだろう。

 が、その印象はおかしいと言い切りたい。何故なら、今レポートに追われて図書館で缶詰めしてるからな! いや普通に授業は楽しく無いし課題の量だけ異常に多いし、全く楽とか言えるないんだよね。死ぬぅ…

 と言うわけで今、無音に包まれた図書館にいる。俺と同じく課題に追われて死にそうな顔した人間もいて大学の壮絶さを物語ってるなと思いました(小並感)

 

 

 

 

 

 ー数時間後ー

 

 やっと終わったよ。そもそも一週間で2000字とか頭おかしいよな? はぁ疲れた…帰って寝よう。そう思って荷物を纏めていたら………………

 

「やっぱりここにいたー! 探したよー!」

 

 そこには天才(天災)がいた。いや多分後で説明するけど災害だからね? 天才だからね? 

 

「あのなぁ、色々言いたいけどまずここ図書館だからもうちょいボリューム下げような」

「わかった!」

「わかってねえだろ……とりあえず外出るぞ」

 

 まだ勉強したりレポート書いたりパソコン使ったりしている人がいるから一旦は外に出た。

 

 

「そういやさっき探してたとか言ってたけど何か用でもあるの?」

「んーとね〜、あっ、今日君の家に行きたいなって!」

「はぁ!? 流石にそれは無理だって……」

「ぶーーーっ」

「ダメなものはダメなの」

 

 なんか子供が駄々捏ねた時に諭す母親みたいなことを言っている気がする。お母さん、今貴方の気持ちがわかりましたよ。

 

「あっわかった!」

「何が?」

「エッチな本とかが散らかってるんでしょ!」

「何でそうなる…そんな物は無いから」

「それじゃあ何か見られたら困る物でもあるのー?」

「いや無いけど」

「ならいいじゃん!」

「良くねえわ、そもそも女が家に来るって時点でもアウトなの。てか氷川はアイドルだからもっとやばいんじゃないの?」

「ん〜多分大丈夫だよ!」

「嘘つけ…」

 

 大丈夫じゃないでしょ……こんなんでアイドルとしてやっていけるのか心配になるからね、心配になりすぎて毎日胃薬が必要になるわ。

 

「うー、じゃあじゃあ! もし良いって言ってくれたら彩ちゃんのサインあげるよ?」

「うっ……それでもダメなものはダメだ」

「今ならツーショットも付けてあげるよ?」

「いつでも家に来ていいよむしろ待ってる」

「やったーー! じゃあ毎日行くね!」

「おう、待ってるぞ」

 

 流石にチョロすぎるって? 考えてみ、俺の一番推してる彩ちゃんとツーショット撮れるんやぞ? 最高やん。明らかにフェアじゃない取引でも大丈夫だ。幸せだからOKです! 

 

「本当に毎日通ってもいいのー?」

「彩ちゃんとツーショット撮れるなら別にいいよ」

「むーーなんか複雑だけどまいっか♪ それじゃレッツゴー!」

「おー」

 

 こうして現役アイドルが普通の大学生の家に押しかける事になりました。まぁいいよ…

 

 

 

 そう言えば紹介してなかったけど、さっきまで話していたのが氷川日菜、現役バリバリのアイドルをやっていたりする。

 アイドルと言っても彼女の場合はPastel *Palettes(パステルパレット)と言うアイドルバンドを組んでいるのだけどな。

 

 アイドルバンドとは言ったものの、それにかける熱量は他のメジャーなバンドにも引けを取らなかったり楽曲もアイドルらしさを出しながらも人の背中を押したり、心情を表したりと割と本格的だと思う。

 

 一見順風満帆のアイドル生活を送っているように見えるが、ここまで来るのにとてつもない挫折があったらしい。

 

 デビューという大事な舞台で当て振りがバレて最悪の評価から始まったり、メンバーの全員このバンドだけではなく、女優業やモデルなどもう一束のわらじを履いているためスケジュールが合わず段々とメンバー間でズレが生じていったりとアイドル業界でも類を見ないくらいの困難と挫折にぶつかって来たのだ。だが、その度に彼女らは強くなりその壁を乗り越えて今に至るって言う訳だ。

 あいつも大変なんだな…「でさ! あそこで彩ちゃんがね、あれ? もしもーし?」

 でも最近はテレビ番組とかでもよく見るし、本当成長したんだなって誰目線なのか知らんけど思っちゃったりするわけだね。「おーい? あれれ?」

 

 このまま日本一のアイドルになってほしいって一ファン目線でそう思うn…「ふーーっ」

 

「うっわぁあぁひゃあ!? 何すんの!?」

「あっはははは! その反応るんってくるね!」

「何でこんな事したのかな?」

「だってだって! 話しかけても返してくれなかったじゃん!」

「あーごめん考え事してたわ」

「もーーー! 人の話はちゃんと聞くんだよ!」

 

お 前 だ け に だ け は 言 わ れ た く な い

 

「んで、何の話してたっけ?」

「彩ちゃんがこないだの小テストでドジやった話だよ!」

「それ以上いじってやるなよ…そういうお前はまた満点だったのか?」

「うん! 楽勝だったよ♪」

「いや俺全然楽勝じゃないから…」

「どこ間違えたの?」

「あー、確か最後の問題だったはず」

「あれか〜あれはね式をシュバってやってズバッってやったらピカーン! ってなるよ!」

「お前本当に日本人なの…?」

 

 この一連の会話でわかったと思うが、この氷川日菜は俗に言う天才なのである。

 授業を一回受ければ問題は完璧に解ける様になる。

 楽器もある程度触ればプロ並みの演奏が出来る。

 などなど、まさしく本物の天才なのである。だが、その才能が仇となって彼女の姉の紗夜とは上手くいっていなかったらしい。

 

 残念な事に俺も才能は持ち合わせていないから、どれだけ何をやっても妹に追いつかれて追い抜かれて自暴自棄になる気持ちもわからなくもない。

 だが最近その姉の方から妹に少しずつながら歩み寄って関係が修復していっているらしい。

 これは大きな一歩だろうな「あれ? どうしたの?」

 このまま上手くいってほしいn「ふーーーー」

 

「おぇぇぇえい!? 何!?」

「ぶーーーー」

「ごめんごめん、ぼーっとしてたわ」

「えっとさ、もしかして具合が悪いの?」

「ん? いやぼーっとしてただけだって、ごめんな」

「ちゃんと聞かないとダメだよー? まぁでもやっぱりるんってするからいいや!」

「あーありがとな氷川」

「いいよー! そう言えばね、最近出来たパンケーキ屋さんなんだけど……」

 

 それからたわいもない様な話をぐだくだ喋っていた。氷川はアイドルで大学生らしく最近のトレンドの物をしっかりリサーチしていたのでそういった物で会話がすごく盛り上がった。

 

 そうこうしているうちに俺の家に着いた。俺の家は学校から近いのだが、今日はいつもより何倍も早く着いた気がする。

 

 

Now Loading………

 

 

 

「ほら、入っていいぞ」

「お邪魔しまーす!」

 

 本当にお邪魔されるよ…

 

「何か食べてくか?」

「食べる食べるー!」

「じゃあ適当に作るからそこらで寛いどいて」

「私も作るよ!」

「ありがと、じゃあ適当に野菜炒めといて」

「りょうかーい!」

 

 一人暮らししているだけあって食材は割と揃っているし、お酒もあるからそれっぽく作るか…

 一人暮らしをしていると最初の方は全く料理とか出来ない物だと思うし、実際出来なかったけども数年経つとある程度は作れるようになっててなんか感慨深いなぁ。そう考えてたら氷川から声がかかった。

 

「出来たよー!」

「早くね? 普段料理とかするの?」

「しないよ? ジューってやってシャッってやったら普通に出来たよ!」

「ちょっと怖いから味見するぞ」

 

 まぁ天才って言っても? こっちはずっと一人暮らしでご飯作ってきたし? 流石にね? 

 氷川が作った野菜炒めを一口食べる。美味! 何これ!? 初めて食べるわこんな美味い野菜炒め。

 数年の努力が一瞬の思いつきに負けるって何か、うん。紗夜さんの気持ちもわかる気がする…

 

「どーだった?」

「参りました…大変美味でした…」

「やったー!」

 

 こんな感じで氷川の才能がすごい事を実感しながら適当に二人で料理を作った。氷川が手伝ってくれたおかげかいつもより何倍も早くて、美味しい物が出来た気がする。やっぱ才能ほしい(願望)

 まぁそんなこんなやってたらいつの間にか出来ていたから、今から食事の時間だ。

 

「料理も出来たし、食べるかぁー」

「そーしよー!」

「氷川ってお酒大丈夫だっけ?」

「ん〜飲んだ事無いけど多分大丈夫だよ!」

「本当かよ…一応お酒も出しとくな」

「えへへ、なんかこうやって一対一で飲むの楽しみだったんだ!」

「なんかわかるわ〜それ」

「何か大人って感じでるんって来るよね!」

「ごめんやっぱりわかんないわ」

 

 まぁ、何となくはわかるけどな。

 

「それじゃ頂きます」

「いただきまーす!」

「多分味大丈夫だと思うけどどう?」

「ん〜おいひい!」

「落ち着けよ…」

 

 何とも美味しそうに食べてくれるから安心したわ。

 

「お酒も飲んでいいからな?」

「ありがとね! へ〜お酒ってこんな感じなんだね、なんか不思議!」

「あーその感覚はわかるわ」

「なんか楽しくなってきたよ〜!」

「飲むのはいいけど程々にな」

「なんで?」

「酔っぱらって変な事しかねないからな」

「まさか〜! しないよそんな事!」

 

 そう言っていつも以上に楽しそうに腹抱えて笑っている。いつもテンションがおかしいけどそれより高いんだけど? もう絶対酔ってるよこの天災…

 

「そういえば紗夜さんとは最近どうなの?」

「おねーちゃん? あ! 最近一緒に弦を買いに行ったりマ○クに行ったりしたんだけどね、やっぱりおねーちゃんはるんって来るんだよ!」

「いい感じじゃん」

「後昨日ね、おねーちゃんとセッションしたよ! もうるんらるんって来たよ〜!」

 

 え、信じられないくらいめちゃくちゃいい感じだなぁ……

 あんなにギスギスしてたのにここまで仲良くなっててなんか泣きそう……

 

「でもよく紗夜さんがセッションしてくれたな」

「だって昨日はおねーちゃんもあたしも予定無い事は知ってたし、3日前から頼み込んだからね」

「用意周到すぎんか…てか紗夜さんの予定とか何で知ってんの?」

「リサちーとか千聖ちゃんに色々聞いておねーちゃんの予定を想像してるんだー!」

「ええ、ガチ勢すぎんか?ええ……」

 

 才能をこんな事に使うなよ。あとプライベートを暴かれる紗夜さん涙目だぞ、やめてやれよ…

 

「他にもね〜先週の予定とか今何の曲を練習してるかとかも知ってるよー!」

「あのな、そこまで行くとストーカーか変質者と同じだよ……」

「あっははは! それは冗談だよ!」

 

 本当かよ…目笑ってないぞ。後それはって怖すぎん? それはって事は他にもあるの? あれ、氷川そんな奴だっけ? 

 

「あ、お酒無くなっちゃった」

「早っ、もう飲んだのか……」

「大将ー! もう一杯!」

「誰が大将だよ。てかまだ飲むのか?」

「飲む飲むー!」

「お前絶対酔ってるよな……ほらここ置いとくぞ」

「ありがと! ぷっはぁ〜、なんかグググってなってきたぁ〜!」

 

これやらかしたわ。完全に酔っ払いやん。その後は…

 

 

 

 

 

「彩ちゃんがあそこでね! プフッ! アッハハハハ!!」

「いや本当にね、アッハハハハ!!」

笑い上戸と化したり……

 

「ファイファイファイオー! ファイファイファイ! ねばーぎぶあっぷ!」

「しゅわしゅわ! どりどり〜みん「「yeah!」」

 こんな感じで歌ったりした。正直楽しかった。めちゃくちゃ楽しかった。そしてその後もこのテンションは続いて……

 

「何かしようよ!」

 

 まだ酔いが覚めてないのか元々の高いテンションなのか分からないがこう言ってきた。

 

「何かって…じゃあ○ひげ危機一髪やるか」

 

 何で有るのかって? たまたま前泊まった友達が置いてったからな。ナイスだな。今度こいつにはジュースを奢ってやろう。

 

「面白そ〜!」

「負けた方は罰ゲームな」

「わかった!」

 

 ここで俺は忘れていた。氷川日菜は天才だという事を……

 

「はぁはぁ…何でお前は一回も飛ばないの!?」

「るんってする所を刺してるからね!」

「才能ってすごいな…んで罰ゲームは決めてなかったっけ、はぁ…氷川決めていいよ」

 

 さすがにこれは才能じゃないかもな、でもやっぱり氷川は何かを持ってるな。あと男に二言はないから何でもするか(するとは言っていない)。

 

「じゃあじゃあ! ハグしよ!」

 

 するとは言ってないって適当に言っていたんだがもろに当たったな。びっくりしたわ。

 

「は? いやそれは…」

「えーできないのー?」

「それはやりたくねえよてか事務所的にアウトじゃね?」

「あたしは大丈夫だから!」

「ダメでしょ」

「ぶーーー」

「ダメな物はダメなの」

「あたし勝ったじゃん…ダメ?」

 

 その上目遣いやめてぇええ! すっごく心に来るぅう! 

 

「フィンランドでは挨拶ってイヴちゃんが言ってたよ? 何もやましさなんて無いよ?」

「はぁ…わかったよ。やれば良いんだな?」

「うん! るんって来るね〜!!」

 

 来ねえよ、犯罪臭するわ。あと普通に恥ずかしい…

 

「いつでも良いよ!」

「はいはい」

 

 前からするのはとてつもなく恥ずかしいから、後ろに回って所謂あすなろ抱きという物をする。

 すると何という事でしょう、氷川の健康的な白い顔がみるみるうちに真っ赤になっているでしょう。

 その顔を見てこっちも今どんな事をやってるか改めて理解して死ぬほど恥ずかしくなってきた…むしろ死にたい、誰か殺してくれ……

 

「も、もういいから///ありがとね!」

「おう。いいよ……」

「「…………」」

 

 場が死ぬほど重い。助けてぇええぇ……

 

「ゲホッゴホッ」

「風邪?」

「食べ物が喉に引っかかってただけだよ」

 

 余りにも空気が重かったから嘘ついちゃったじゃねえか。てか氷川のやつ急に黙り込んだな、どうかしたのかな? 

 

「氷川? どうかした?」

「あのね…やっぱり何でもないよ!」

「?? 何かあるなら俺聞くよ?」

「じゃあ、一つ聞いていい?」

「いいよ」

「今日無理してあたしと飲んでくれたの?」

「は?」

 

 何を言ってんの? どういう事? あぁ、そう言えば氷川時々具合聞いてたな。

 

「今日ちょくちょく体調悪そうな時があってさ、あたしが無理に誘っちゃったかなって」

「あたしって空気読めないって言われるんだけどそのせいでいつもおねーちゃんやパスパレのみんなや君に迷惑かけちゃってるよね…だったらもっと控えた方がいいのかな…?」

 

 両目にうっすら涙を溜めて悲痛そうな面持ちでこちらを見ながらさらにこう呟いた。

 

「あたしは、あたしにはいつまでも他の人の気持ちなんてわかんないよ……」

 

 多分これが氷川の本音の部分なんだろうな。お酒が入ったからたまたま出てきたけど普段は誰にも言わない部分。でもそれはいい部分だとも思うけどな。

 

「ご、ごめんね! 急にこんなこと言っちゃって! 忘れて!」

「俺はそうでもないと思うけどね」

「えっ?」

「お前は他人の気持ちがわからないって言うけどそれがいい所でもあるんじゃないの?」

「だって他人とか空気とか考えずに自分の考えを持って人を引っ張っていけるじゃん。現にお前はパスパレや大学でもみんなを引っ張っていってるからな。まぁ確かに迷惑な時もあるけど、それ以上に俺はお前といて楽しいからな」

「ぐすっ…本当?」

「ああ、本当だよ。だからこのままの氷川でいてくれよ」

 

 言いきった途端に氷川は嗚咽を漏らしながら俺に抱きついてきた。

 

「うぅっ…ぐすっ…あたし、迷惑…!」

「お前は凄いし迷惑じゃないし悪くないよ」

「ひっく…うわぁあぁああん!」

 

 堰き止めていたダムが決壊したかのように数分間ずっと泣き続け、それからいつもの元気な氷川に戻り、普通の飲み会に変わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「さっきはごめんね」

「いいよ別に。後お前は勘違いしてるぞ」

「何?」

「俺風邪なんて引いてないからな」

「なぁんだ〜そうだったんだ〜!」

「まぁそういう事だ」

 

 ここからはまた色々騒いだりゲームしたりした。普通に元気になりすぎてしんどい。やっぱり前言撤回したい…

 そしてお開きの時間を迎えようとしていた。

 

 

「もう遅いからそれ飲んだら帰れよ?」

「帰る〜〜!」

 

 そして氷川が酒をぐいっと飲み干した。

 

「酒臭い……まぁいいや送ってくから準備しろよ」

「待って!」

「何?」

「本当にありがとね!」

「いいって別に」

「あのさ」

「どうした?」

 

 え、また空気重くなったよ? 

 

 

「あたしは君の事が好きです。付き合ってください」

「ええ!? 本気?」

「本気だよ!」

「まじかぁ……」

 

 まぁ答えは出てるけどな。

 

「俺も好きです。こちらこそよろしくお願いします」

「本当に?」

「本当の本当だよ」

「やっったぁ〜!」

 

 そう言って抱きついてくる。最高に可愛いかよ。

 

「おわっ! 何!?」

「えへへ〜大しゅき大しゅき! だぁいしゅき!」

「俺も大好きだよ」

「あたしはその倍大しゅき!」

「俺はその倍の倍だよ。あとさ」

「何〜?」

「これからもよろしくね、日菜」

「うんっ! こちらこそ!」

 

 

 

お酒から始まる恋愛があってもいいと思う。

用量を間違えなければいいきっかけになってくれるかも?

 




ここまで読んで頂いてありがとうございます。
大分遅れてほんとすいません、今後これくらいのペースになります。あと駄文になってるかも…申し訳わけないです。
余談ですが上海ハニーのカバーが決まりましたね。どうなるか楽しみです笑

あとこの場を借りて評価を下さったIKUSAさん、託しのハサミさん、リュウラセンの塔さん、弱い男さん、@棗さん、竹田 いのりさん、ぼたもち@さんみらもんさん、ダディエルさん、nesutoさん、蓮零さん、銅英雄さん、ketzerさん、koukou1031さん、MinorNoviceさんありがとうございます!とても嬉しかったです!

後、沢山のお気に入りとしおり登録ありがとうこざいました!
いつでも感想やリクエストなどお待ちしております。


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猫大好き歌姫系な彼女

テストと風邪でだいぶ遅れました。申し訳ないです。


 

  いきなりだが、小中高大の中で一番きついのはどれだと思う?

 

 小学生?色々覚えてないけど多分楽しかったから除外。

 なら中学生?何となくワイワイしてたし楽しかったから除外。

 だったら高校生?友達と遠出したり行事やったやん?楽しかったやん。だから除外。

 と言う事で残るのは大学生だ。本当に楽しいけどきつい、まじできつい。

 

 そして大学生の貴方達に問いたい。貴方が大学生活で一番きついのは何?

 

 

 答えは…

 

 

 そう、徹夜明けの眠たい一限だ。まぁ二週間で5000字とか言うレポートも大概だがそれよりも徹夜明けの一限がただ板書を写すだけの一限だったらもう地獄である。こんな物は社会で悪い事した人が受けるべきだろう。そうしたら学生も寝る時間が作れるだろうし、犯罪者も退屈せずに済む。正しくwin-winだろう。だから即刻やめて(懇願)

 

 

 

 

 

 

「以上でこの講義を終わります」

 

 

「ふぁあぁ〜〜ねみぃ…もう帰りてえ…」

「あら、眠たそうな顔してるわね」

「湊はこの授業眠くなかったのか?」

「眠くなかったわ」

「でも思いっきりデコが赤いけどな」

「そ、それは…気のせいよ」

「まぁそう言うことにしとくよ」

 

 どっからどう見てもそんな寝てない時って見ればわかるよな。今の湊はまさしくそれだと思うしな。明らかにいつもより雰囲気が緩いって言うか何というかな。

 

「2限何処だっけ?」

「確か3階だった気がするわ」

「あーそうだったな」

「貴方、昨日何時に寝たの?」

「レポートやってたらいつの間にかお日様が輝いてらっしゃいましてね…」

「徹夜する事は余り良くない事ね、睡眠時間が6時間以内の人は死亡率が約2.4倍に上がるらしいわよ」

「よくそんな事知ってるな」

「このくらい一般常識よ?」

 

 なわけあるかよ。こんな豆知識を日本中の人が知ってるとかこの国はいつの間に徹夜大国になったんだよ。まあでも最近はブラックとか何とかでそうなりつつあるのかもしれないけどな。あと湊、お前人のこと言えないぞ…

 

「そうですかい。そう言えばだけど湊は金曜のレポート何について書いた?」

「れ、レポート…?」

「提出だったじゃん」

「あっ…」

「まさかお前、今の今まで忘れてたのか…」

「そんなわけないじゃない、ちゃんと覚えていたわ」

「じゃあ書いたんだな?」

「私は音楽の道に進むからいいのよ」

「開き直るなよ…てかもう日数も無いから手伝ってやろうか?」

「いいの?」

「条件があるけどな」

「……何かしら?」

 

 そんな蔑んだ目でこっちを見ないでくれよ。あと片耳にくっつけて今にも青い服の人(ポリスメン)に通報しようとしてるその携帯を下ろしてくれな。俺の人生が冤罪で終わっちゃうからな。

 

「いやちょっと待て変な事は言わねえよ。俺が言いたいのはいつでもいいから湊の歌が聴きたいって事だ」

「それくらいならいつでも良いわよ」

「良いんかよ、ほんじゃあそういう事で」

「一ついいかしら?」

「何?」

「何故私の歌が聴きたいの?」

「そりゃ湊の歌が好きだからに決まってるだろ」

「っ!ど、どうもありがとう…」

「どういたしまして???ってかもうそろ講義始まるぞ?」

「ええ、そうね」

 

 

 その後は湊がいつもよりも静かになった事で大して何もイベントは起きなかった。急にどうしたんだろうな?

 いつもなら大体猫の話題を振ってきて頬を緩めながら話してるのにな。湊は所謂クール系の美人さんなんだけど、猫の話題の時はそれが嘘みたいになっててまるで子供みたいになるんだよなぁ…まぁそのギャップでやられるよね。うん、可愛い可愛い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあキリがいいのでここらで終わります」

 

 

 そんな感じのことを考えてたらいつのまにか終わっていた。それじゃあ本題の湊の課題を手伝いますかね。

 

「おーい湊、図書館行くぞー」

「わかったわ」

「レポート何もやってないの?」

「そうよ」

「何で胸を張ってそんな事言えるんだよ…」

 

 若干ドヤ顔でそんな事言われても困るんだけど…

 

「だったら適当に本借りてこい。ちゃちゃっと終わらせるぞ」

「わかったわ」

 

 大してやる事も無いので湊が本を選んでいる間に携帯でニュースを見る。

 

 “徹夜の危険性!死亡率が2.4倍まで膨れ上がる!?”

 

 いやマジなのかよ…普通にニュースになっててびっくりしたわ。絶対そこまで読んでの発言じゃないのに負けた感あるな。所詮俺は敗北者だったのか…

 

 ハァ…ハァ… 敗北者……?

 取り消せよ……!!! ハァ… 今の言葉……!!!

 

 1人で居るとなんか変な想像が捗る気がする。これ新しい説として立証しても良くない?ダメですか…

 

 その変な事を色々考えてたらいつの間にか湊がいた。

 

「借りてきたわ」

「じゃあやるか」

「何をすれば良いの?」

「多分その部分を適当にまとめて自分の意見を書けばいいと思うぞ」

「ありがとう」

「どういたしまして、まぁなんかあったら呼んでくれ」

「わかったわ」

 

 大してやる事が無いので携帯を適当に触る。だがスタミナを使い切ったし、タイムラインも流れてこない。つまり暇だ。余りにも暇なので何かちょっかいかけようかとも思ったが結構真面目に取り組んでいたのでそれはやめておいた。

 

 ぼーっとしていたら急に睡魔に襲われた。そう言えば俺今日寝てないんだったな。

 あっ、やべえ限界かもしれん。視界が…ぼやけて…

 

 

 

 

 

 

 

 

「…きて…」

「あぁ…もうちょっと…」

「起きなさい」

「んぐぁ!何すんだよ!」

「いつまでも起きる気配が無いから強硬手段に出たまでよ」

「まじでごめんなさい。そんで終わったか?」

「終わったわ」

「んじゃあ帰りますか〜」

「ちょっと待ってくれないかしら」

「何?」

「今日家に誰もいないの」

「は?」

「今日家に誰もいないの」

 

 いや聞き取れたわ。それってお前…

 

「ウッソだろお前…」

「本当よ。だから一緒に飲みに行かないかしら?」

「………行こうか」

 

 ズッコケそうになったわ。若干、本当に若干期待した俺が馬鹿でしたよ全く。

 

「どこにする?」

「駅前にできたバーとかどうかしら」

「行こうか」

 

 という訳でバーに行く事となりました。

 道中は大して何も起きなかったって言うわけではない。道中でギャルみたいな女に付けられてた気がしたからな。まぁでも気の所為だろう。気の所為だと信じたい…

 

 まぁそんなこんなあったがバーに着いた。

 入ると席を案内されて、お洒落に装飾されたメニュー表を手渡された。

 

「何飲むんだ?」

「そうね、カシスオレンジにするわ。あと適当に食べる物が欲しいわ」

「カシスオレンジいいなぁ…俺もそれにするわ。あと適当に注文するわ」

「お願いね」

 

 適当に注文する。その後、そんなに間を置かずに頼んだ物が運ばれてきた。

 

 

「んじゃあ乾杯と行くか」

「そうね、乾杯」

「乾杯」

 

 乾杯した流れでそのまま口に運ぶ。あ〜美味しい。ふと前を見たら湊がグラスとにらめっこしていた。

 

「湊、飲んでないけどどうかしたのか?」

「………いの」

「何か言ったか?」

「実はまだ一回もお酒を飲んだ事がないの…」

「じゃあ何でドヤ顔でカシスオレンジ頼んだんだよ」

「この雰囲気なんだからしょうがないじゃない」

「まぁそうだけども…普通に美味しいから飲んでみたらどうだ?」

「な、何か怖いわ…」

「いや最初はみんなそんなもんだって。それともあれか、青薔薇の歌姫様はお酒も飲めないんですか?」

 

 わざとこうして見え見えの煽りを入れてみる。

 

 

「の、飲めるわ。あまり舐めないでくれるかしら?」

「ほーんならどうぞ」

「あら、意外と美味しいわね」

「だろ?なら良いんだけどさ、湊大丈夫か?」

「何が?」

「いや顔真っ赤だぞ」

「よってないわ」

「まぁ俺が言うのも何だけどあまり無茶するなよ」

「何言ってるの?これくらい一気に飲んでも大丈夫よ」

「ちょま、一気飲みすな!」

 

 そして湊は残ってたカシスオレンジを一気に飲んだ。

 飲み終わったと思ったらグラスを置いて下を向いて動かない。

 

「おい湊?大丈夫か?」

「ふふふふふふっ」

「湊さん?」

「リサ、いつもありがとう。貴方が居なかったら今の私は居ないわ」

「俺はそのリサって人じゃないんだけど…」

「にゃーんちゃんは可愛いわね」

「いや俺猫じゃねえよ!」

「何でこんなに可愛いのかしらね」

 

 ええ…(困惑)酔うと俺は猫か他の人にでも見えるのか…あと酔うといつもより表情豊かで年相応みたいなところはあるな。かわいいな。

 

「リサには感謝してるわ。私達が崩れそうになった時も必死で間を取り持とうとしていたのは知っているわ。あといつもクッキー美味しくてこのままだと太りそうで困ってしまうわ。でも何よりも私とずっと友達で居てくれてありがとう。Roseliaのベーシストとしても期待してるわ。」

 

 そのリサって人もお前と関われて良かったと思ってるだろうな。お互い支え合ってこれからも頑張ってほしいな。

 

「良い友達を持ったな」

「本当にそうなのよ。ほら、にゃーんちゃんお手。」

「だから猫じゃねえって…」

「やっぱり猫ならサバトラが可愛いと思うわ。サバトラちゃんは白いお腹がとっても可愛いの、でもそれだけじゃなくてサバトラの正式名称はシルバーマッカレルタビーって言ってねマッカレルは鯖、タビーは縞模様って意味なんだけれどもまた縞模様が可愛くて可愛くてしょうがないのよ!他にも縞模様が可愛いのはいて…」

 

 いや急に猫の話をされても…俺は猫に興味がそんなにないから勉強になったけど、このままだと1時間くらいずっと話してそうで怖いわ。

 あと猫を話す今の湊は普段のクールさは無くて、子供みたいに目を輝かせて時々腕をブンブンさせたり表情を目まぐるしく変えたりとても可愛いと思う。惚れそう。

 

「ちゃんと聞いているの?」

「聞いてる聞いてる」

 

湊にメッされたけど、めっちゃ可愛いな。あと普段じゃこんな事絶対の絶対やらないよな。

 

「にゃらいいのだけれどもマンチカンはね、あっ」

 

 いや猫に侵食されすぎてにゃって言ってるじゃん…

 ずっと饒舌に猫の話をしていたが何かを思い出したように急に何も話さなくなった。急にどうした、もう怖いわ。

 

「湊?」

「にゃーん?」

 

 首コテンして猫の真似されても…単純に可愛いかよ。

 

「急に黙ってどうかしたのか?」

「そう言えば貴方、私の歌が聴きたいって言っていたわね」

「急だなぁ…まぁ言ったのは確かだけども」

「なら歌ってあげるわ」

「ここ店だぞ、程々にしろよ」

 

 次の瞬間、湊の歌声が響いた。絶句した。上手い、上手すぎた。

 若干騒がしかった店内から湊の声以外の音は無くなっていた。何かとても恥ずかしいな。

 でも本当に上手くてまるでコンサートに来ているような気分だった。

 

 

 

 〜〜〜〜〜♪♪♪♪

 

 

 

「どうだったかしら?」

 

 その声が掛かると掛けられていた拘束のような物が解かれて一気に騒がしくなった。周りの人達から拍手が起きたり“すげぇ!”だの、“感動した”という声が上がったりしていた。とても恥ずかしい。

 

「多分人生で五本の指に入るくらい響いたわ」

「そう、なら良かったわ」

 

 満面の笑みでそう言う。可愛い過ぎるな、惚れたわ。

 

「急に眠くなってきたわ。貴方の家に泊めてもらえないかしら?」

「はぁ…まぁいいよ。歌が素晴らしかった事に免じて許してやるよ」

「あ、りがと…」

「寝てんじゃねえかよ」

 

 しょうがないから俺の家までおんぶしていった。

 その間に背中に当たる感触を少しだけ楽しんでしまった。反省もしているし、後悔もしている。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほら着いたぞ、起きろ」

「んぅ…あっ、にゃーんちゃん…!」

 

 そう言って猫のクッションに飛びついて行った。そしてまだ酔ってんのかよ、おいマジかよ…

 まだ大分酔ってそうだったので水を持っていく事にした。

 

 その時にいつもの癖で鼻歌を歌った。歌ったのはさっき湊が歌っていた曲だ。

 何か気分が良い時って鼻歌歌うよね、だから今の俺はとても気分が良かったんだろう。

 

「おーい湊、水持ってきたからこれ飲め」

「いただくわ」

「酔いは覚めたか?」

「しゃめたわ」

 

 嘘つけ。てかどんだけ長く酔ってるんだよ。

 

「さっき私が歌っていた歌を歌っていたわね」

「ん?あー歌ってたな」

「そう言えば私が歌ってあげたわよね?」

「課題と等価交換なんじゃ…」

「何かしらぁ?」

「何でも無いです」

「2つ、お願いがあるの」

「何?」

「私とデュエットしないかしら?」

「いいよ、やろうか。もう1つは?」

「後で言うわ」

 

 あれだけ上手い湊に合わせられるかって言う不安もあるが、何より楽しみである。言葉では表すのが難しいけども心踊るってやつだろう。

 

「じゃあ私が歌い始めるから入ってきて」

「おっけー」

 

 この曲はゆったりとした曲調で恋愛感情を持っている二人の事について歌った曲でサビがとても盛り上がったり、ラストのサビの前で色を英語でテンポよく並べていったりととても良い曲である。

 ちなみに最近動画サイトで1億再生行ったとか何とか。

 

 

 

 湊が歌い始める。安定してとても上手い。上手いとしか言えないくらい上手い。(語彙力の消失)

 

 歌い続けてサビに至る。そこで俺も入る。俺は湊ほど上手くなく、何なら普通くらいだ。

 だが、この時が楽しくて楽しくてしょうがなかった。体全体が燃えるように熱くて全身で楽しんでいるみたいな感じだ。俺も酔ってるんだろうな。

 

 湊にアイコンタクトを送ると、あいつもそう言う意味のアイコンタクトを返してくれた。やっぱり歌は良いものだな。

 

 とても楽しく歌い続けていたが最後のフレーズを残す所まで来た。

 俺と湊は笑顔で顔を合わせて、最後のフレーズを歌った。

 

「「いつまでもそばにいて」」

 

 

「中々楽しかったな」

「そうね、久しぶりにこんなデュエットをしたわ」

「いつかまた出来ると良いな」

「そうね」

「そう言えばもう1つのお願いって何なの?」

「それは…」

「それは?」

「さっきの曲の最後のフレーズ覚えているかしら?」

「いつまでもそばにいて。だろ?」

「そう言う事よ」

「わからんわ」

「それくらいは察しなさい、とどのつまり私と付き合って下さいって言う事よ」

「本気で言ってる?」

「本気よ。最近バンドの練習中に貴方の顔を思い出してしまって調子が出なかったの」

「へ〜そうなのか」

「そこで私は恋を自覚したわ」

「まじかよお前」

「答えを、聞かせてくれるかしら?」

「決まってるだろ、俺もお前のことが好きだ。

 こんな俺で良ければいつまでもそばにいて下さい。」

「良かった…振られたらどうしようかと思ったわ」

「俺も良かったわ」

 

 

 

 これまで全く知らなかった愛を知って、俺の人生は輝き出すんだろうな。良かったのはこっちもだよ。不器用な俺だとしてもどうかずっと見守っていてくれよ、友希那。

 

 

 

 

 次の日、何故か俺と友希那は風邪をひいた。

 あと何となくtwi○terを開いてみたら昨日のバーで歌っていたのが動画になっていて滅茶滅茶バズっててとてもびっくりした。

 




ここまで読んで頂きありがとうございます。
友達にこれがバレました。泣きたかったです。
あとFGOを始めてそれが面白くて書く時間を削っていきました。結構面白いですよね。

この場を借りて評価を下さった、youukkariさん、中野六花さん、ミラノさん、はつひこさん、整地の匠さん、グデ猫さん、空中楼閣さん、唐揚げ/コウレンさん、すけ〜るさん、ユウダヨーさん、紅葉さん、カラド・レライエさん、クドさん、蓮兎さん、ありがとうございました!本当に嬉しかったです!

いつでも評価や感想やリクエストなどお待ちしてます!

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パン大好きダウナー系な彼女

大変遅れました…


「ふぁぁ〜…眠っむ…」

 

 時計の短い針は12を超え、長い針は6を指す。

 この時間帯にもなってくると眠いだけじゃなく空腹も相まってより一層授業を聞く気が無くなってくる頃だ。

 

 真面目に授業を聞く者は段々と少なくなっていき、友達と談笑をする者や机に突っ伏して寝る者、あろう事かイヤフォンをしてゲームに励む者までいる。中学や高校ではまったく考えられない風景だろうな。だが残念ながらこれが大学だ。

 

 こんな偉そうに言っている俺ではあるが、ノートの横には携帯があり片手間で話を聞いているから、先生が壇上で必死になって説明している事なんて1割も頭に入っていないんだろうな。

 

 ずっと下を向いていたら首が痛くなってきたので首を一回転させた。その時、そばに置いてあったシャーペンが目に付いた。つい数日前に迎えた誕生日のプレゼントで友達からもらったのだが、持ち主がこんな調子ならば他のやる気のある奴の手元に行きたかったんだろうなと勝手に妄想してしまう。申し訳ねえ。

 

 そんな事を考えながら見ていた動画の再生が終わるのと共に授業の終わりを告げるチャイムが鳴った。今から昼休みの時間だから、適当に腰掛ける場所を探してそこでのんびりと時間を過ごそうかなと思いつつ講義室を出た。

 

 普段は友人がいる為に一人では無いが今日はその友人が休んでしまった為に一人だ。ボッチで昼を過ごすのって中々心にくるんだよなぁ…

 

 だがその心配は杞憂で終わる事になる。何故なら講義室を出た次の瞬間に、聞き覚えのある間の抜けた声が聞こえて来たからだ。

 

「おーい待ってよ〜」

「何か用?」

「呼んでみただけ〜」

 

 

 

 

 この何とも間の抜けた声を発しているのは青葉モカと言う。彼女は俺と同じ学部に所属していて、いつの間にか仲良くなっていた。正直に言ってどうやって仲良くなったのか全く覚えていない。

 

 青葉を例えるならば猫みたいな感じだ。

 自分の気の向くままに行動する所が正に猫そのものだ。あと本人には絶対に言わないけども普通に可愛いとも思う。まぁそういった所から猫っぽい。

 

 そしてそんな姿からは考えられないのだが、彼女はバンドをやっていたりもする。

 

 Afterglowと言う幼馴染の五人で結成されたバンドでギターを担当している。それは一部の高校生や大学生が趣味でやっているお遊びバンドなんかでは一切無く、正に王道のロックでガールズバンドに詳しい人もそうで無い人でさえも聞いた事があるくらいの人気と実力を持っている。

 

 この間ライブのチケットを本人から手渡され見に行ったのだが、はっきり言って圧倒された。

 自分達の叫びをそのまま歌った様な激しい歌詞であったり、一人一人が楽器をかき鳴らして上手いくらいに混ざり合ったメロディーであったりと本当に凄かった。この良さを語りたいのだが生憎、俺は語彙力が無いので凄いくらいしか出てこない。

 

 あとライブの時の青葉は普段のダウナーな感じは消え去り、Afterglowのギタリストとして全力で思いをぶつけるかの様に弾いていてギャップを感じた。本人には99%言わないがその姿に惚れそうにもなった。何なら惚れたまである。告白とかはしないけどな。まぁざっと俺の知ってる青葉モカはこんな感じである。

 

 

 

「まぁいいけど。そう言えば青葉は今日の昼どうするんだ?」

「みんな今日いないんだよーモカちゃんショック〜」

「じゃあ俺と昼食べないか?」

「いいよー」

 

 いいらしいので近くにあったベンチに座って食べる事にした。

 

「その卵焼き、美味しそ〜」

「これか?なら一個あげるわ」

「わーいありがと〜」

「味付け大丈夫か?」

「んーほいひいーほっぺた落ちそうだよ〜」

「なら良かったよ」

 

 他人に褒められるって良いなって思いました。(小並感)

 

「そういや青葉って午後の授業は取ってるのか?」

「取ってるよー」

「俺も取ってるんだけど今日友達いなくてさ、何なら一緒に受けないか?」

「いいよ〜」

 

 青葉モカが 仲間に加わった!と某RPGならこういうナレーションが流れているんだろうな。まぁでもこれで一人で寂しく端っこに佇まなくても済むようだ。

 

「じゃあもう一個卵焼きもらうね」

「別にいいよ…ってもう残り一個しか残ってないじゃねえか!」

「美味しくいただきました〜」

「まぁ良いんだけどもな…」

 

 そんなこんなでそれからも色々な具材を奪われながらも楽しい昼休みを過ごす事が出来た。

 

 色々やってるうちに授業開始五分前を表す鐘の音が聞こえて来たので急いで弁当箱を片付けて、次の授業の教室へ行き二人分の空いている席に座った。そして教授が起立の声をかけて授業が始まった。五分くらいして青葉にでも声をかけようか迷っている時に、横にいる青葉から声を掛けられた。

 

「何かやろうよ〜」

「えぇ…何をやるんだ?」

「絵しりとりとか、どー?」

「まぁ良いよ、じゃあ俺からな」

 

 ノートの切れ端を千切って、リから始まる赤くて丸い果物の絵を描いて青葉に渡す。渡して時間を置かずすぐに紙が返ってくる。

 

 どれどれ、これは…コロネじゃねえか!しかもまあまあ上手いんだけど!てか濁点どこ行った…。でも時々濁点だったら取るからまだセーフかぁ…?

 何て色々思いながらネで続く言葉を考える。考えた結果、ネットが最初に出てきたのでそれを描いて青葉に渡す。

 

 そして青葉は悩む仕草をして少し時間を置いてからこちらに紙を回した。

 

 何だこれ?クッキーか?全くわからん…でもこのまま悩んでいても埒があかないと思い答えを聞く事にした。

 

「このクッキーみたいなの何?俺ネットで回したぞ?」

「それはトリハスだよ〜」

「は?何だそれちょっとググるから待って」

 

 初めて聞く単語だったのでとりあえずwik○を開いてみる。何々、トリハスとは、スペインの揚げ菓子で薄い輪切りにして甘く味付けしたミルクや白ワインに浸した噛みごたえのあるパンにとき卵をつけて揚げるもの、らしい。

 

 いや本当にこんな食べ物あるんだな…。また一つ無駄な知識を得てしまったわ。

 

「本当にあるんだな…」

「モカちゃんは物知りなのだ〜」

「お前はパンの事なら何でも知ってるんじゃないか?」

「そうかも〜」

 

 と、こんな感じで青葉と大して授業も聞かずにじゃれ合っていたらいつの間にか授業の終わりを告げる鐘がなった。

 一人でいる時より何倍も早く終わった感じがあったからとても楽しんでいたんだろうな。

 

「午後の授業付き合ってくれてありがとな青葉」

「どーいたしまして」

「楽しかったよ、じゃあまた明日な」

「あ〜待って待って」

「何かあるのか?」

「えっとね今日何かー無性にお酒が飲みたい気分なのだよ〜」

「付き合えと?」

「そーゆーこと」

「別に今日はバイトもサークルも無いしいいよ」

 

 午後の授業付き合わせてしまったしな。

 

「やった〜じゃあしゅっぱーつ」

「おー」

 

 そう意気込んで出発したものの、いざ店に着いてみると本日定休日と書かれた張り紙が貼ってあった。さてどうしたものかね…

 

「やってないな」

「やってないねー」

「他の店探すか?」

「ふっふっふっ、その必要は無いよ〜」

「どこかやってる所でも知ってるのか?」

「君の家〜」

「は?」

「君の家だよ〜」

「流石にダメだわ」

 

 食い気味に即答したわ。

 

「えーいいじゃーん」

「ダメでしかないわ」

「そこをどうかー」

「ダメなものはダメなの」

「本当にだめ?」

「うっ…」

 

 上目遣いは卑怯だって…

 

「しょうがないな、今日だけだからな」

「いえーい」

 

 ちょろいって思うかもしれないが、上目遣いの魔法からは逃げられなかったよ…。そしてそれから二人で近くにあったスーパーでお酒と夕飯とおつまみを買って帰ったのであった。

 

 

 ☆★☆★☆★☆★

 

 

「お邪魔しまーす」

「おう、まず手を洗ってな」

 

 何か言ってる事が母親に似て来た気もするけどもそこは気にしないでおこう。

 

「ちゃちゃっと作るからそこら辺で寛いどいて」

「りょうかーい」

 

 俺はさっき買ってきた食材を使って夕飯を作る事にした。ちなみに作るのはハンバーグと卵焼きと野菜炒めだ。そして俺が作っている間、青葉はまるで我が家にいるかの様にソファーの上で寛いでいた。適応力高すぎだろ…

 

 その後は大して問題も無く料理が完成した。青葉に運ぶのを手伝ってもらい、運びきったところで食べ始めた。

 

「うーんおいし〜」

「なら良かった」

 

 青葉は作ったご飯をめちゃくちゃ美味しそうに食べてくれていて、もうその様子を見てるだけでも楽しい。

 

「そう言えばお酒出し忘れてたな。若干度数高いけど大丈夫だったか?」

「大丈夫だよ〜」

「わかった。じゃあこれ注いでやるよ」

「ありがと〜。ならあたしも注いでしんぜよう〜」

「ありがとな、んじゃ乾杯」

「かんぱーい」

 

 そう言って二人同時にグラスを傾ける。あぁ、こうやってお酒を飲む事って何か1日生きてきた感があって良いんだよな。

 

 あと度数が高いとは言ったものの俺はどうやら酔いにくい体質らしいので大した影響はない。

 

「青葉、度数高いけど大丈夫か?」

「だいじょーぶだよ〜」

 

 青葉に声を掛けて様子を見たがいつもと大して口調は変わらないし、強いて言うなら若干顔が赤くなっているくらいだった。これなら大丈夫そうだな。

 

「無理しないで飲み食いしろよ」

「わかったー」

 

 だがその後、俺の忠告とは反対に結構早いペースで飲み食いをしていた。最初の方は何ともなさそうだったが段々顔も赤に染まっていき、行動と言動も危うくなってきた。これなら大丈夫そうとか言って安心していた数刻前の自分を殴りたい気分だ。

 

「おしゃけおかわり〜」

「本当に大丈夫か?」

「だいじょ〜ぶだいじょ〜ぶ」

「大丈夫なのかよ…」

 

 半分呆れながらもグラスが空であったので注いだ。そうしたら青葉はすぐに飲み干してこう言った。

 

「もういっぱい〜」

「いやもうやめとけ」

 

 顔も真っ赤になってるし雰囲気もいつもと違うからな。

 

「え〜」

「え〜じゃないの。このままだと何しでかすかわからないからもうやめとこうな」

「しゅーん。ていうか君ももっと飲もうよー」

「まぁ…飲むか」

「注いであげるねー」

「ありがと」

 

 ぐいっとグラスを呷ろうとした。だがその時、青葉が何かに気づいた声を発した。

 

「んー、あっ」

「どうした?」

「君って今日、誕生日だよね?」

「いや誕生日は一昨日だわ」

 

 確か青葉からもプレゼントを貰ったんだけど…

 

「もう一個プレゼントあったの忘れてた〜」

「そうなの?何?」

「目瞑って〜」

「わかった」

 

 突然のサプライズとかめっちゃ好きなんだけどこう言うのって本当に心躍るよな。このワクワク感大好き。

 そして何が来るのかドキドキしていたら急に腕に柔らかい感触を感じた。一体何なんだ…

 

「開けてもいいよ〜」

「おー、ってどういう状況!?」

 

 簡単に言えば俺の腕に青葉が抱きつく形となっていた。

 あと腕に感触を感じたと言ったな。それは青葉の青葉が押し当てられたからだ。

 

「誕生日プレゼントは〜あたしで〜す」

「ふぁっ!?お前何してんの!?」

 

 多分、人生でトップ3に入るくらい心臓がドキドキしていると思う。

 

「今どんな気持ち?」

「色々あるけどめっちゃドキドキしてるわ」

「もっとドキドキしよ〜?」

「お前何言ってんの?何やってんの?」

「えーい」

 

 青葉は 密着する力をより強めた!

 俺の理性は さらに弱まった!

 ⠀⠀⠀⠀

「だから!お前!何やってんの!?」

「誕生日プレゼントだよ〜?」

「そんなん要らんから!とりあえず離れろ!」

「いやで〜しゅ」

 

 青葉は酔ったらスキンシップ激しくなるのか…

 てかこの収拾つかない状況どうしよう…

 

「どう〜?ドキッとした〜?」

「死ぬほどドキドキしたわ!」

「なら良かったよー」

「良くねえよ!」

「じゃあもっとドキドキさせたげようか〜?」

「もうやめて…」

「いやで〜しゅ」

 

 なら元々俺には拒否権は無いって事かよ。悲しいわ。

 てかまだ何かやろうとしてるのか?こんだけの事があったんだからもう何が来ても驚かない自信あるわ。

 

「君ってすごくかっこいいよね〜」

「へぁっ!?」

 

 前言撤回。いきなり驚かされたわ。

 

「顔真っ赤っ赤だよ〜もしかして照れてる?」

「それは多分気の所為だ」

「そうかな〜?」

 

 嘘だ。全力で照れてるわ。多分だけど今の俺の顔は林檎くらい赤くて、湯気が出るくらい熱くなってるんだろうな。

 

 あと青葉がさっきから本当にいいニヤケ面してやがるよ。何でそんなニヤケれるのってくらい笑ってやがる。

 何かその面を見てたらやり返してやりたいって言う気持ちが大きくなってきた。

 

 仕方ない、全てを酒の所為にしてやり返してしまうか。

 

「そう言う青葉だってめちゃくちゃ可愛いだろ」

「え?」

「だってそのさらさらの白銀色の髪とか最高でしかないだろ」

「ふぇ…///」

「それに加えてバンドもやってて格好いいとかもう惚れそうだわ」

 

 99%言わないと思っていたけど言ってしまうとはね。

 何より全ては酒の所為だ。もっとやり返してしまえ(暴論)

 

「会話してても疲れないし、むしろ楽しいしさ。青葉と居る時間が本当好きだわ」

「あ、あたしも君と会話するの楽しいよ〜」

「本当にいつもありがとな、青葉」

 

 そう言って後ろから抱きついてみる。所謂あすなろ抱きというやつだ。何となく流れでやってしまったが今、途轍もない羞恥心に襲われている。録画とかされてたら間違いなく悶え死ぬ。

 

 こんな大胆な事をしたにも関わらず、青葉は何も反応を示さないので気になって見てみるとちゃんと耳が赤くなっていた。ちゃんと照れていてくれていてよかった。そしてこの体勢のまま幾ばくかの時が流れていった。だがその後に青葉は俺の腕を払い、こっちを向いて抱きついてきた。

 

「ふふふ、ぎゅ〜」

「青葉?」

「えへへ〜あったかーい」

「青葉さん?」

「もうちょっとだけぎゅってして〜」

「……はぁ、しょうがないな」

 

 酔ったらスキンシップが激しくなるだけだと思っていたが、それだけじゃなくて甘えん坊になるんだな。可愛い。

 

「なでなでして」

「はいはい」

 

 そっと頭を撫でてあげると嬉しそうに笑った。

 その笑顔は写真に収めて飾っておきたいくらい可愛い。

 

「よしよし、可愛い可愛い」

「もっと〜」

「もっとって何だよ…」

「もう一声」

「ええ……よしよし、好きだよ」

 

 あっ、これ気付くの遅れたけど告白じゃねえか!?

 

「ほ…本気で言ってるの?」

 

 なし崩し的になったけども青葉に好意を持っているのは確かだ。多分ここで言わないと男じゃないな。

 

「こんな形になったけども本気だ」

「付き合ってください」

 

 俺の急すぎる告白に対して青葉はこう返事した。

 

「あたしで良ければお願いします」

 

 この返事によって晴れてカップルとなった。正直言ってめっちゃ嬉しい。嬉しくてたまらない。その気持ちは青葉も同じらしく普段のクールな顔つきからは考えられないくらい今の顔は笑顔で弛緩している。

 

「急に来たからモカちゃんびっくりしたよ〜」

「急で悪かったな。でも言えて良かったよ」

「これからもよろしくね〜?」

「こちらこそな」

 

 何度目かわからないハグをした後、お互い冷静になり、食器などを片付けた。

 その後駄弁ったりゲームをしていたらいつのまにかいい時間になっており二人で仲良く床に就いた。

 

 そして次の日、二人で仲良く登校していたらAfterglowの面子とばったりあってしまい、丸一日問い詰められて精神的にも肉体的にも疲労した。

 




ここまで読んでいただきありがとうございます。
遅れた理由はリアルの事情とスランプ入ってました。今回スランプの中絞り出した物なのでいつもより出来が悪かったら申し訳ないです。

そしてこの場を借りて評価を下さった、渡る泳ぎ手さん、amami0713さん、ボルンガさん、KRリバイブさん、ベルファールさん、KIRAMEROさん、MasterTreeさん、政影さん、普通の石ころさん、pigeon-dragonさん、syouyanさん、ジェニミさん、黒澤秋桜さん、絢瀬白さん、ワッタンさん、伊織庵さん、白スバルさん、マヨネーズ撲滅委員長さんありがとうございました!励みになりました!
感想や評価やリクエスト(書けるとは言ってない)をいつでもお待ちしてます!


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猫被りちょまま系な彼女


更新がとっても遅れました。


 

 “ピピピピッ、ピピピピッ!”

 

 うるさく鳴り響く携帯のアラームによって強制的に目を覚ます。寝ぼけ眼を擦りつつ、まだ思考がはっきりとしない中スマホに手を伸ばし時間を確認する。

 

「まだ7時か……」

 

 ここで冷静になって考えたらわかる事だが、そもそもアラーム鳴ってる時点で起きないといけない時間なのだ。だが大量の課題を消化してやっとの思いで終わらせて寝床についたのが、日付が変わる時刻を大幅に超えた所なのであった。

 

 まぁつまり何が言いたいかと言うと睡眠不足なのである。そして睡眠不足により思考回路が回っておらず睡眠欲がもう臨界点を突破しているこの状況。そこから導き出せる結論は…………

 

「あと10分だけ寝よう…」

 

 そう、二度寝である。そしてそのまま夢の世界の深部へと旅立って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして気がつくと俺の目の前には湖が広がっていた。いや自分でも何言ってるかよくわかんないんだけども湖が目の前に見える。

 

 俺が気づいてからすぐにざばぁという音を立てながら水の中から人が現れた。人というか女神?みたいな感じだ。

 そしてその女神(仮)は俺に向かってこう言った。

 

「貴方が落としたのはこの金の有咲ですか?」

 

 は?

 

「それともこの銀の有咲ですか?」

 

 は??

 

「もしくは普通の有咲ですか?」

 

 は???

 

 あ、因みに有咲って言うのは同じ大学の同級生であり俺の彼女である市ヶ谷有咲(いちがやありさ)と言うやつだ。猫を被っているが素の性格はコミュ障兼ツッコミ気質と中々面白い性格をしていて一緒にいてめっちゃ楽しい。

 

 あとPoppin'Partyと言うガールズバンドを組んでいてキーボードを担当していたりもする。

 彼女らが練習している蔵に呼ばれる事もちょくちょくあり他のメンバーの事とも面識はあるが何というか個性的な面々だと思う。

 

 ウサギ連れてきたり、休憩時間に狂ったようにチョココロネを食べていたり、いきなり飛びついてきたり、ようやくまともだと思ったら急に三刀流ドラムをしたりともう個性の塊を凝縮した感じだ。

 

 この中で市ヶ谷さんは逞しく生きています。言うてもキャラの濃さで言ったら他とも変わらないと思うけどな。

 まぁ過労死しない程度に頑張って欲しいな。

 

 そして本題に戻るのだが、この状況は何なのだろう。さっっっぱりわからない。でも同じような光景は童話で見た事あるような無いような…

 

 急過ぎてどう答えていいかわからないが自分の思いついた通りの回答で良いだろう。

 

「普通の有咲で」

「本当によろしいですか?」

「はい。普通の有咲で」

「中々のツンデレで時々学校に来ない普通の有咲になりますけどそれで宜しいですか?」

「はぁ…それでいいです」

 

 女神(仮)さん中々有咲の事知ってるじゃねえか…

 あと普通って何だっけ。てかこうして聞くと普通って何か全く分からなくなるな。

 

「では普通の有咲をそちらに送りますね」

「えぇ…ありがとうございます?」

「普通の有咲をよろしくお願いしますね」

「わかりました?」

 

 

 

 

 返事をした瞬間に霧が晴れて現実に引き戻される感覚とともに目が覚めた。一体この夢は何だったんだ…

 

 そして携帯に手を伸ばし時間を確認する。

 

「まだ8時かぁ…もうちょっと寝ようかなぁ…」

「ちょま、何時間寝るつもりだよ!」

 

 声のした方を向くとさっき夢に出てきた普通の有咲がいた。こいつ朝早いな。

 

「まだ8時だろ」

「夜のな!」

 

 何を言っているか理解できずもう一度携帯に手を伸ばす。画面を見てみると20:29という表示になっていた。意味がわからずに数秒間、画面とにらめっこをした。

 

 そしてまだ覚醒しきっていない脳を必死に働かせてやっと今は夜の8時29分であるという結論に至った。もうここまで来ると一周回って冷静にしかならない。

 

「寝坊したわぁ…」

「寝坊ってレベルじゃねーぞ」

「というか何で普通の有咲が俺の家にいるの?」

「ん?普通の有咲って何だ?」

「あー…何でもない」

 

 まだ頭が覚醒しきっていないのか夢と現実がごちゃごちゃになっていたようだ。なんかごめんね。

 

「それで何でいるの?何か約束したっけ?」

「お、覚えてないのか?」

「うーん…ヒント」

「んー酒だな」

「○桜?」

「何で実況者なんだよ!」

「だったらは○おさん?」

「ようつべからも離れろぉ!!」

 

 ツッコミ疲れたのか肩で息をしている。お疲れ様です。

 

「それで答えは何なの?」

「今日飲みに行くって約束した筈だろ!」

「あっ…約束したね。うん、覚えてる覚えてる」

「本当に覚えてたか?」

「オボエテタヨー」

「覚えてなかっただろ!!」

「覚えてたって」

「はぁ…まぁいいけどさ。今からどうすんだよ?」

 

 今から外に飲みに行くという選択肢もあるが、今から行くのはあんまり気が乗らない。でもお酒は飲みたい。となると考えられるのは…

 

「酒とつまみなら家にあるから宅飲みでどう?」

「ん、いいぞ」

「じゃあ支度するからちょっと待ってて」

「私も手伝ってやるよ」

「ありがと」

 

 適当に冷蔵庫にあった肉をフライパンで焼き、予め作ってあった何にでも合う秘伝のタレをかければあら簡単。お手軽な生姜焼きの完成だ。

 この間に有咲はアスパラにベーコンを巻きつけてアスパラベーコン巻きを作ってくれていた。

 

 そういえば唐突に思った事だが、アスパラベーコン巻きってこれ以上ないくらいストレートに料理名を表しているよな。5歳児に生姜焼きとか言っても理解出来ないと思うけどもアスパラベーコン巻きって言えばある程度理解出来ると思う。そう考えるとアスパラベーコン巻きって凄いな。

 

 その後、俺も有咲もその他の料理を作り終えてテーブルに運ぼうとした時に知り合いから電話がかかって来た。

 

 そして少し長めの電話の応対をして部屋に戻ってみると、全ての物がテーブルに配膳されていてもう食べるだけの状態になっていた。どうやら有咲が全て配膳して酒も出しておいてくれたみたいだ。

 

「運んどいてやったぞ」

 

 そっぽを向いて少し不機嫌そうにしている。そんな姿も可愛い。

 

「ありがと、さすが有咲。やれば出来る子」

「ほ、褒めたってダメなんだからなっ!」

「ツンデレありがとうございます」

「うるせー!!」

 

 お手本のようなツンデレを発揮してくれました。

 

「それじゃ食べようか」

「おう」

「「いただきます」」

 

 自分的には割と上手く作れた気がしたが、有咲の口に合っているかどうかが少し不安になったので聞いて見る事にした。

 

「味付けとか大丈夫?」

「全然大丈夫、てかこの生姜焼きうめーな!」

「それ結構自信あったから良かったよ。あとそこにあるきゅうりのたたきが結構酒に合うから試してみ」

「どれどれ……ああ〜染みるわ〜」

「言ってる事がリーマンのおっさんみたいだね」

「はぁ!?誰がおっさんだ!」

 

 貴女の事です。

 

「それより、あんまり酒とか飲んでこなかったけど意外といけるもんだな」

「なら良かった。でも調子に乗って飲んでると酔うよ?」

「大丈夫大丈夫」

 

 と言いつつ早くも二杯目を飲み始めた。結構ハイペースで飲むものだから酔いが回ってるのか顔が赤くなっている。本当に大丈夫なのか少し心配になってきた。

 

「今日の約束反故にしてごめんね」

「良いよ別に。今こうして飲めてるからな」

「そう言ってくれると助かる」

「でもまさかこんな時間まで寝てるとは思わなかったぞ」

「いやぁ…俺もこんだけ寝たのは初めてでさ。もうここまで寝坊すると一周回って冷静になるよ」

「私はてっきりそういう病気でも患ってるのかと思って心配したよ」

「そういうのではないから大丈夫だよ。てか心配してくれてたんだね」

「はぁ!?別にしてねー!」

「嘘だぁ〜」

「嘘じゃねえ!」

 

 思いっきり心配したって自分で言ってたけどね。まぁそう言うところが有咲の可愛い所だから見てて楽しいんだけどね。

 

「てかこの有咲の作ってくれたアスパラベーコンめっちゃ美味いんだけど、何か特別な物入れた?」

「特に何も入れてねーぞ」

「これほんと最高だよ。有咲は引きこもり気味だけどご飯美味しいし将来良いお嫁さんになりそうだよね」

「はぁ!?き、急に何言ってんだお前!」

「ありのまま言っただけだよ」

「ったく…そう言う事はあんま言うなよ」

「へいへい」

 

 絶対わかってねぇ…とか言いながら酒をぐびぐびとおっさんみたいに飲む。さっきからずっと飲んでいるためか有咲の顔が大分赤くなっていくがこれは酔いなんだろうか。

 

「そう言えば料理してる時に電話かかって来てたけど誰からだったんだ?」

「沙綾さんからだったよ」

「沙綾からか…ってお前沙綾といつの間に仲良くなったんだ?」

「あの人とはサークル一緒だから色々話してる内にこうなってた。てか有咲今日、学校で元気なかったんだってね」

「気の所為だと思うぞ」

「でも沙綾さんがそうやって言ってたよ」

「お前沙綾に信頼おきすぎだろ」

「あの人はポピパでも常識ある方だからね」

「それでも私より沙綾に信頼を置くなよ…」

「だって沙綾さんポピパの中で一番見てて安心するもん」

「悪かったな。見てて安心しなくて」

「そういうわけでもないけど」

 

 何となく喉が渇き、近くにあった酒に手を伸ばそうとした時に気がついた。

 

 いつの間にか机の上には、まあまあな数の飲み干した缶や瓶が無造作に置かれている。缶の方はあまり度数が高くなかったが、瓶はある程度の度数を持っていた。それを空けて飲んだという事は酔ってる可能性が高いと言う事になる。

 

「有咲、大丈夫?」

「らいじょ〜ぶ」

「本当に大丈夫?」

「大丈夫らって言ってんだろ〜」

「いや全然大丈夫じゃないでしょ」

「大丈夫らっていってんだろ!」

 

 もう口調から分かるように完全に酔っているみたいだ。有咲はこんなんになるまで飲んだ事がないからこの先どうなるか不安でしかない。

 

「お前なぁぁ…」

「どうしたの?」

「もっと私にかまえよぉ!!」

「はい?」

「だぁぁ!こうなったら私が言いたかった事言わせてもらうぞぉっ!」

 

 如何やら有咲は酔ったら言いたくても言えない本音がだだ漏れになるタイプらしい。

 

「さっきから沙綾沙綾っていってるけど彼女はこのわたしなんだぞ!」

「そうですね…」

「ほんとにわかってるのか〜〜?」

「勿論わかってます、はい」

 

 赤くなった頬をいっぱいに膨らませてこちらに抗議をする。

 

「すっかりポピパのメンバーとも馴染みやがって!わたしより仲良くなってんじゃねぇ!」

「ごめんなさい」

「香澄が抱きついてきた時こころではガッツポーズしてんだろ!」

「してました。本当にごめんなさい…」

「学校でも色んなやつとしゃべりやがって!じゅるいんだよ!!」

「それはコミュ力の問題じゃ…」

「そもそも雰囲気がよしゅぎるんだよ!!あとコミュ力も高しゅぎるんだよ!!もっと控えろ!」

「ええ…」

 

 最早ただ言いたい放題になってきてるような気もする。

 

「とりあえずお水飲んで落ち着こう?」

「これはウイスキーかぁ??」

「もうそれでいいから飲んで」

 

 酔いすぎてもう何かすら認識出来てなかったが、ひとまず水を飲ませて見たところさっきよりは大分落ち着いた。

 

「今の気分はどう?」

「マジでハイって感じだ」

「はぁ…何かして欲しい事ある?」

「じゃあ私に抱きつけよ」

「えぇ……」

「3回な」

「いやなんで3回?」

「お前がかしゅみにデレデレした回数分」

 

 何で3回って正確に判断できたんだ。

 

「わかったよ、やるよ」

「ん」

 

 お酒から来る酔いのせいなのかとろんとした目で俺を見つめながら両手を広げてこちらの挙動を待っている。俺はそんなに酔ってないからかなりの羞恥を感じつつ、有咲の正面から抱きつく。いや真面目に恥ずかしい。

 

「今日学校に来なかった事、心配したんだからな」

「心配かけちゃったね」

「わざわざ五限サボってまでここに来たんだからな」

「多分明日は行くから安心して」

「多分じゃなくて絶対こいよ。お前がいないと学校楽しく感じられないしさ」

「わかったよ」

「じゃああと2回分の抱きつき権を使って聞きたい事があるんだけど」

「何?」

「色々コミュ障だったり重かったりするかもしれないけどそれでも私でいいのか?」

「全部ひっくるめた有咲が俺は好きだよ」

「そっか、ならよかったよ!」

 

 何百万もする凄い絵画なんかよりも価値のある、最高の笑顔をして有咲はそう答えた。その後、ちょっと駄弁っていたら眠くなったのか目を擦ったりしていたのでそのままお開きにして、二人とも寝る事にした。

 

 

 

 

 そして次の日───

 

「有咲〜もう10時だよ〜」

「もうちょい寝させて…って何でこの時間!?二限間に合わねえぞ!」

「何回揺すったりしても起きなかった有咲が悪い」

「ぐっ…ごめん」

「いいよ。そういえば昨日の事覚えてる?」

「昨日……あっ……」

「酔った有咲も好きだよ」

「昨日の事は忘れろぉ!!」

 

 結局、二限どころか三限にも間に合わなかった。

 




ここまで読んでいただきありがとうございます。
5ヶ月も空きましたね…本当に申し訳ございません。これからはもう少し更新頻度上げていきたいと思います。

この場を借りて評価を下さった、宮ノ村さん、テト・ストラトスさん、希望光さん、猿もんてさん、空中楼閣さん、思春期を殺した少年の翼さん、ムーンフォースさん、にゃるさーさん、みゃーねこさん、ゴリおさん、るかzzzzさん、☆麒麟☆さん、Amesupiさん、酒狐仁さん、いかだらさん、はげもとさん、絆…ネクサスさん、休憩さん、ボルンガさんありがとうございました!めちゃくちゃ嬉しいかったです!!



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