日常はバンド少女たちと共に (Lv.零の素人)
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第一話

他の拙作をご覧頂いた方はお久しぶり、こちらが最初の方は始めまして。

最後まで、お読みいただければ幸いです。

※この小説は基本駄文です。ご注意ください!


†††††

 

彼女との出会いは、唐突なものだった。

 

始まりは、確か四年くらい前かな。

両親が事故で亡くなって、親戚の人についていくか悩んでいた時に気を紛らわす為に、公園でぶらぶらしていたら泣いていた彼女に気づいて声を掛けたんだっけ。

 

原因は、父親との方向性の違い、価値観の違いだったか。

何を言っても頭ごなしに彼女の言うことを否定する父親に今までの不満が爆発してしまったらしい。

それで家出したはいいものの、行く当てもなく(彼女には幼馴染が四人居るが自分の問題に関わらせたく無いらしい。)公園でベンチに座って泣いていたら俺が声を掛けてきたんだそうだ。

 

黒い髪のショートで、前髪に赤のメッシュが入ってる女の子なんだけどね。いや、当時はまだ入ってなかったかな?

声を掛けた時はビックリしたよ。

だってその子は思わず見惚れてしまうくらい美しかったのだから。

 

まあ、でも何とか平静を装って声を掛けたんだ。

 

「なあ、あんたなんで泣いてんだ?」

 

そしたら驚いたみたいに体を震わせてさ

 

「別に………」

 

無愛想な子だとかは思いもしなかったよ。ただ、力になりたい。彼女の泣いた顔を見たくなかったのかも知れないな。

 

「俺はさ、あんたからすれば何の関係もない奴かもしれないけど。もしよかったら何があったか話してくれるか?」

 

多分、これは俺が本来関わってはいけない事だ。

 

だから、覚悟を決めた

彼女の事情に巻き込まれに行く覚悟を

そして、自ら当事者になる覚悟を

 

とまあ、確かファーストコンタクトはこんな感じ

 

それからは蘭の親父さんと話したり、蘭の幼馴染たちと友だちになったり(全員レベルの高いタイプの違う美少女たちで驚いた。)とにかく色々あったな。挙げ句の果てには親戚について行くか、今の家で一人で生活するかの選択肢に何故か蘭の家(多分、親父さんに気に入られたのが理由…だと思う。)が提案されたりなんかもした。その時の会話が

 

「私たちの家に来るという事でいいのよね?鏡華くん。」

 

「いえ、俺は母さんたちの家で暮らしますよ。幸い成人するまで一人で生活する分には困らないくらいに遺産が出てますから。」

 

「でも「良いではないですか。彼の好きにさせてやっても。彼には蘭が世話になりましてね。でもね?もし鏡華くん。君さえよければウチで暮らしてみないかい?妻は同意しているし、蘭も…満更でもないようだ。どうかな?」

 

伯母さんの話しを遮って行天発言をしたのは何を隠そう蘭の親父さんである三竹義弘(みたけよしひろ)さんだ。見た目は優しそうな、眼鏡をかけた人だがその芯の通った強さは蘭にも共通する所がある。

 

「ですが、やはりそちらのご迷惑にもなりますし「そんな事気にしなくていい!母さんも父さんも良いって言った!あたしだって鏡華と一緒に居たい!鏡華はイヤ、かな?」

 

………そんな泣きそうな顔をされたら断れないだろ。

 

「わかりました。これからよろしくお願いします。」

 

そしたらなんか小さい声でやはり蘭を連れてきて正解だったな。とか聞こえたんですけど!?

 

「うん。後でもう少し詳しい話しをしよう。さて、それでは鏡華くんの面倒は私共が見ますので安心してください。」

 

伯母さんたちは唖然とした顔のまま帰って行ったよ。

 

と、こんなことがあって、俺は蘭の家で生活してます。いやまあ、生活費や食費とかはバイトして、しっかり渡してるがな。一応、母さんたちの家はそのままにしてもらって一ヶ月に一回くらいの頻度で掃除をしてる。偶に幼馴染ーズに手伝ってもらったり。俺が成人したら住む予定の家だからさ。

 

それで今に至るわけだけど

 

ああ、自己紹介がまだだったかな。

俺の名前は御篝鏡華(みかがりきょうか)十七歳。つい最近、時代の流れに飲まれ共学化した、羽丘学園の二年生でアルバイターだ。クラスは二年A組。席は蘭の一個前。とは言え、最近は蘭に付き合って授業はロクに出てないけど。

 

だってあいつ、俺がクラスの友だちと喋ってたら腕を引っ張って無理やり屋上に連れて行こうとするからな。何回か繰り返してるうちに自分から行った方がまだ諦めが作くと思って並んで行く様になったけど。

 

テスト?あんなモン教科書読めばなんとかなるだろ。

 

(俺はな。蘭は割と悪かったけど俺が家で教える様になってからは多少はマシになった。)

 

コレでも処世術として人の心の機微には詳しい筈だけど、蘭のこの行動は理由がよく分からない。本人に聞いても顔を赤くしてそっぽを向くし。うーむ。何か怒らせるような事をしただろうか。

 

まあ、蘭と二人で居るのは嫌いじゃない、と言うかむしろ好きだ。ただ、人に寄りかかって寝るのはやめていただきたい(理性がやばいので)それに昼休憩になったら昼食を食べに蘭の幼馴染で友だちのひまりに、巴、つぐみ、それにモカの四人が来るからな。別に退屈はしない。

ちなみに、屋上にはパイプ椅子と何故か使っていない机が何セットかあって、昼食を取る時はそれを利用するんだが………なんであなたは俺の隣りの席に常に陣取ってムフーって満足げなんですかねえ!?

 

いや、そりゃ嬉しいよ。

当たり前だ。蘭みたいな美少女に懐かれて、嬉しくない訳がない。

でもさ、ほら俺も健全な男子高校生ですから?そんな事されると勘違いして告白して振られるまである。

 

自分で悲しくなるからしないけど

 

 

あ、そういえば蘭たち五人は最近よく話題になってるガールズバンドをやっているらしい

家に帰ってくるのが遅いのはそういう訳だったようだ。

この間、俺に当てられた部屋で寝る準備をしているとパジャマ姿の蘭がやって来て「これ、その、あたしたちのライブのやつ。よかったら来て。」って顔を赤くしながら、チケットを手渡してくれた

この辺のライブハウスのようだ。日付は次の土曜日、か。確か予定とかも無いし行ってみるか。




最後までご覧いただきまして、誠にありがとうございます!


バンドリは一度データが吹っ飛んだので今頑張ってランクあげてます!


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第二話

"雛斗"さん、"美味しいご飯"さん、好評価本当にありがとうございました!
ご期待に応えて二話目を書きあげました!
今後ともよろしくお願いします!

※駄文ですので、このキャラの口調がおかしい!なんて事が有るかも知れません。ご了承ください。


†††††

 

土曜日になったので例のライブハウス【CiRCLE】に行くことにする。

 

外出するので服装には気を使っている

 

まあ、蘭と蘭の幼馴染みーズに勧めてもらったヤツだが

 

「それじゃ、行ってきます。」

 

義弘さんに声を掛けてから出発した。

 

「はい。気をつけて行っておいで。」

 

 

道中

 

なんか、迷子になってる水色髪の美少女が居た。

 

「ふぇぇ。【CiRCLE】はどこだっけ?」

 

て、涙目になってた。

 

………まだ少し時間があるな。

 

「どうかしたんですか?」

 

「あ、じ、実は【CiRCLE】って言うライブハウスに行く途中なんですが迷ってしまって………」

 

「そうだったんですか。それなら、もしよかったら俺と一緒に行きませんか?丁度、今から向かうところだったので。」

 

「お願いします。私の名前は松原花音(まつばらかのん)と言います。それと、敬語はナシでいいですよ?見たところ私とそんなに変わらないみたいですしね。」

 

「わかったよ。俺の名前は御篝鏡華(みかがりきょうか)っていうんだ。よろしくな。」

 

「それで、何で鏡華くんは【CiRCLE】に?」

 

あ、まあ疑問に思うわな。

 

「実は、友だちが自分が出るからってライブのチケットくれてさ。丁度予定も空いてたから行こうと思ってさ。」

 

「そうなんだ。私は"ハロー、ハッピーワールド!"っていうバンドでドラムをやってるんだ!まだ、私たちの時間までは少し余裕があるんだけどね。」

 

へえ、ってこの人もやってるんだ。本当に流行ってるみたいだな。

 

「そっか、客席で応援してるな?」

 

そしたら嬉しそうに

 

「うん!鏡華くんのために頑張るね!!って、はっ!」

 

え。

 

「お、俺のため!?」

 

「う、ううん。違うの!!あ、いや鏡華くんのために頑張るのがイヤってわけじゃないの!!そうじゃなくて、そうじゃなくてぇ、あうあうあう………」

 

危ない!

…目を回してこっちに倒れてきた。放っておく訳にもいかず抱える。

 

「ちょっ!大丈夫か!?花音さん!」

 

身体を揺らすが反応がない。気を失っているようだ。

 

「はあ、仕方がないか。」

 

埒があかないので、【CiRCLE】まで背負って行く事にする。

 

あ、コレまずい。ナニがとはいかないけど服の上からでは大したことが無いように見えた二つの膨らみだが、ふむ。こうして背負って見るとってうわわ、さっき会ったばっかの人に何考えてるんだよ俺ぇ!

…極力、意識しないように行こう。

 

 

【CiRCLE】って、あ、アレか!

ふう。や、やっと着いた。

 

とりあえず中に入ろう。

 

「んー?受付はー、とあそこか。すみません。この娘、関係者の人だと思うんですけど、目を回して気を失っちゃったみたいで…預けてもいいですか?あと、俺の受付お願いします!」

 

受付役らしい黒髪のお姉さんに声を掛ける。

 

「はーい!花音ちゃん!?ちょっと待っててね!いま"ハロハピ"の娘たち呼んでくるから!」

 

「え、あの俺の受付は、って行っちゃったか………時間は、よかった。まだ、間に合いそうだな。」

 

とりあえず花音さんをあのソファーに下ろすか。このままだと俺の理性がヤバい。

 

「遅くなってごめんねー!」

 

 

「お疲れ様です。それで花音さんのバンドメンバーの方は?」

 

帰って来たのは、受付のお姉さんだけだ。

 

…なんとなく嫌な予感がする

 

「それが準備で忙しくて手を離せないんだって。だから控え室を教えるから悪いけど連れて行ってあげてもらえるかな?」

 

やっぱりか!?

 

「はあ、わかりましたよ。」

 

「おお!男の子はそうじゃなきゃね!それじゃ場所は〜〜〜〜だよ。」

 

「了解です。………つかぬ事をお伺いしますが、もしかして人手が足りていないのですか?」

 

「なんでわかったの!?」

 

いや、見てればわかりますよ

 

「だって、さっきからあなたしか動いてませんし。」

 

「うぐっ!あ、あの〜クラブハウスのバイトとか興味ない、よね。」

 

思ったよりも深刻なようだ。

 

今更バイトの一つや二つ、増えてもそんなに変わらない、か。

 

「わかりました。俺、やります。いえ、【CiRCLE】で働かせてください!」

 

雇ってくれるというなら、こちらもそれなりの誠意を見せるのが道理だろう。

 

「ほ、本当に?やったー!!!初めての後輩くんだよ!あ、名前聞いてなかったね。私の名前は月島まりな(つきしままりな)だよ。君は?」

 

「あ、俺の名前は御篝鏡華(みかがりきょうか)です。これからよろしくお願いします、まりなさん。」

 

って話してる場合じゃなかった!

 

「す、すいません!その話しはまた後日!先に花音さん連れていきますので帰ってきたら受付お願いします!!」

 

急いで教えてもらった控え室に花音さんを連れて行く。部屋には誰もいなかった。

 

帰りも可能な限り急いで戻る

 

やばいやばいやばい蘭に怒られる!

 

「は、はい!えっとちょっと待ってね!………これでよし!入り口はあっちだよ!!楽しんできてね〜!」

 

教えてもらった入り口に周りの迷惑にならない程度のスピードで駆け込む。

 

「なん、とか間に合った、か。」

 

ギリギリだった。

 

丁度、次は蘭たち"Afterglow"(アフターグロウ)の番だ。

 

 

 

 

休憩時間が終わり、いよいよ蘭たちのライブが始まる。

 

 

ステージの中心にスポットライト

 

蘭だ。

 

「みんな盛り上がってる!?まだまだあたしたちが盛り上げていくからね!!」

 

あ、気づいた。手を振ったからかな。

 

ちょ、怖い怖いガン見してくるな。しかもだんだん赤くなっていくし

 

「そ、それじゃあ一曲目!『Hey! Day!狂騒曲(カプリチオ)』」

 

 

 

 

 

 

俺は【CiRCLE】の外で蘭たちを今日のライブを思い返しながら待っていた。

 

興奮の内に蘭たちのライブは終わった。

すごかった。音楽の事とか全く知らない俺にも分かるくらいに。

 

その後の"Roselia" (ロゼリア)も凄かったが、なんだろう。何かが違うんだ。確かに演奏の腕や歌も正直、蘭たちより上手いとは思うんだが、何か変に焦ってるような…って()()()()()()()()()()()()()()()()のやつが言えたことじゃないか

 

と、もちろん花音さんたちの"ハロー、ハッピーワールド!"のライブも見たぜ!なんというか、色々と凄かった。具体的には、ボーカルのこころ?さん(周りの人たちが"こころちゃん"って言ってたから多分そうなんだろう。)が舞台の下に降りたりとか。一言で言えばぶっ飛んでいる。そんな感じのライブだった。ただ、花音さん。あなたもですか!?人の顔見て赤くならないでくれませんかね!?

 

こんな感じかな、とまとめていると

 

「おーい鏡華!」

 

「ん、あ。巴か?」

 

宇田川巴(うだがわともえ)アフターグロウのドラム担当で、メンバーの頼れる姉貴分だ。

 

「他のみんなは?」

 

「もうすぐ来るよ。」

 

二人で待っていると、聞き慣れた声が。

 

「来てくれたんだね。鏡華。」

 

「お、蘭お疲れ様。ライブ、すごかったぜ!語彙が足りないくらいにさ!」

 

「そ、そう?あ、ありがと。」

 

だからなんで赤くなるんだ?

 

「きょーか、来てくれてありがとー。モカちゃんだよー。」

 

うわ!っと、背中に抱き着いてきたこいつは青葉モカ(青葉もか)バンドのギター担当だ。

 

「おいおい、モカ?年頃の女子がそんなに異性に抱きつくもんじゃないぞ?」

 

こいつも着痩せするタイプかって、そうじゃなくて!

 

「モカちゃんもーけっこ〜あるでしょー?」

 

「何の話だよ!なんの!!」

 

「えー、モカちゃんに言わせるのー?きょーかーのー、え・っ・ちー。」

 

ちょ、耳元で囁くな!ゾクゾクするだろうが!!

 

ギュッ!

 

「ん?蘭、どうした?急に手なんか握って。」

 

あ、なんかちょっと頬膨らませてる

 

「別にっ!」

 

そう言って赤くなった顔を背ける蘭

 

ちょっと悪戯心がむくむくと。

 

「もしかして、モカが羨ましいのか?それならそうと言ってくれればよかったのに。」

 

ギュウッ!

 

蘭を抱きしめる。

 

既に蘭の顔は茹でた蛸の様に真っ赤になっている

 

「〜〜〜〜〜っ!!!???」

 

プシュー。

 

あ、蘭が倒れた。

 

「蘭?やりすぎたか。おーい蘭?起きてくれ!」

 

「んぅ。うーん?きょうか?はっ、ちょ!なにしてんの!?」

 

うん。こっちが正常だよな。

 

「ははっ、悪い悪い。俺なんかに抱きつかれて気持ち悪かったよな。直ぐに離れるよ。」

 

ギュウウッ!

 

「か、勘違いしないでよ。………誰もイヤなんて言ってないじゃん。」

 

顔を真っ赤にしながらも抱き着いてくる蘭

 

後ろから足音が聞こえて飛びのく蘭と俺。

 

「えーと、あはは。お邪魔だったかな?」

 

この声は、つぐみか。

 

羽沢つぐみ(はざわつぐみ)

 

羽沢珈琲店の娘でバンド内ではキーボード担当の真面目な娘だ。この娘は実家が俺の行きつけの店だったので、昔から付き合いがあった。

 

「むう〜!私も混ぜてよ!」

 

こっちのこいつは上原ひまり(うえはらひまり)。担当はベース。ついでに、一応アフターグロウのリーダーもやってる。ただ、空気が読めない時が稀にあったりして、空回りしやすい娘だ。

 

「お、全員揃ったな。それじゃ、帰ろうか?」

 

「そうだな。」

 

「モカちゃんもう疲れちゃったよ〜。きょ〜か〜、おんぶ〜。」

 

「あ、こら。年頃の娘がそんなことしちゃダメだって言ったろ?」

 

「そ、そうだよ!それに鏡華くんの迷惑になるかもだし。」

 

「ほ、ほら!早く帰ろうよ!」

 

ギュッ!

 

「あ、蘭がさりげなく鏡華の手を握った。」

 

 

 

 

こんな会話をしながら俺たちは自分たちの家に帰ったのだった。

 

 

眠る前、蘭の部屋に行き

 

コンコン!

 

「いいよ。」

 

中にはお風呂上がりなのか何時もよりも肌が上気して、どことなく色っぽさを感じる蘭が居た

 

「それで、どうしたの?珍しいね。鏡華がこんな時間にあたしの部屋に来るとか。」

 

「蘭、今日は本当に凄いライブを見せてくれてありがとう。それでさ、俺も蘭たちの力になりたくて【CiRCLE】でバイトする事に決めたから。これからは俺も影から応援するぜ!とは言っても他のバイトもあるし、流石に毎日とはいかないけどな。」

 

「そ、そうなんだ。これからは、練習の時にも会えるね。嬉しいよ。」

 

そういうと蘭は綺麗に微笑んだ

 

「ところでさ、あたし頑張ったんだし何かご褒美があってもいいんじゃない?」

 

ご、ご褒美?ま、まずいな。なにも用意していないぞ。

 

「わ、悪い蘭!なにも用意してないんだ。明日にでも何か買ってくるか「だ、駄目!今、ちょうだい?」

 

「とは言ってもな。本当に用意してないんだ。」

 

「だったらさ、今日はあたしと一緒に寝てよ。」

 

「い、いや。それはまずいって!」

 

「鏡華はあたし一緒に寝るのはイヤ?」

 

だから、その泣きそうな顔はズルいって!

 

「はあ、わかったよ。ただし、今日だけな?」

 

「っ!うん!ありがとう!」

 

うわ、嬉しそうですね。俺なんかと一緒に寝て何が嬉しいのかね?

 

まあ、でも蘭のそんな顔を見るとそれだけで俺も嬉しくなるよ。

 

おやすみ、蘭。また明日

 

 

「おやすみ。鏡華。」

 

 

 

最後に頬に少し湿りけのある柔らかい感触のものが当たったような気がする。

 

†††††




最後までご覧いただきまして、誠にありがとうございます!

よろしければ、評価、お気に入り登録お願いします!
作者のやる気に直結しますので。


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第三話

今回は双子の天才の方が出ますよ〜。

はい、それではよろしくお願いします!


†††††

 

 

「るんっ♪てきた!」

 

「あのーそのるんってなんなんですかねー?」

 

「ええー、るんはるんだよー?」

 

拝啓 美竹蘭(みたけらん)

 

俺はいま、水色髪のよく分からない人に捕まって、何処かに連れて行かれています。

 

「で、日菜サン?そろそろどこに向かってるのか、教えてもらっていいですかね?」

 

「え?言ってなかったっけ?【CiRCLE】だけど?」

 

あ、そうすか。

 

とりあえず、一言。助けてください!!!

 

「もおー、そんなに怖がらなくてもよくない?」

 

事の発端は二時間前に遡る。

 

 

♢♢♢

 

 

 

 

朝、いつもより早く目が覚めた俺は、行きつけの喫茶店である羽沢珈琲店に目覚めの一杯をいただくために、向かっていた。

 

店の中に入ると、

 

「あ、おはよう!鏡華くん!今日はいつもより早いね!」

 

「ん、つぐか。ちょっと目が冴えちゃってな。注文は「いつもの、だよね。」ああ、そうだよ。頼むな。」

 

どうやら、すっかり俺がする注文は把握されているようだ。

 

「はい。お待たせしました。ごゆっくりどうぞ。」

 

運ばれてきたオリジナルブレンドを口に運ぶ

 

うん。いい感じだ。

 

しばらく堪能していると、ドアが開いた。

 

「いらっしゃいませー!」

 

つぐの元気な声が店内に響く。

 

入り口の方は向いていないが、足音が何故か俺の方に近づいてきているような気がするのは気のせいだろうか?

 

足音が俺の前で止まった。気のせいではなかったようだ。

 

「キミだったんだね!?あたしがるんっ♪てきたのは!」

 

はい?

 

思わず、声の先を見る。

 

「あの、俺です、か?」

 

 

 

そこにいたのは、俺を指差す水色の髪に翡翠のような色の瞳をした美少女だった。

 

「うん!そう。キミ!名前は?」

 

「あ、俺は御篝鏡華(みかがりきょうか)って言います。」

 

「キョウカくんだね!やっぱり、るんっ♪てくる名前!あたしは氷川日菜(ひかわひな)っていうんだー!よし!自己紹介も済んだし、ほら!行こーよ!!」

 

え?

 

「ちょ、どこ行くんですか。ってか腕引っ張らないでくださいよ!」

 

それにちょっと当たってるし。いや、どこがとは言わんが。

 

 

 

♢♢♢

 

 

まあ、そんなこんなで、今に戻る。

 

 

いい加減気になったので、少し尋ねてみる。

 

「それで、日菜はなんだって俺なんかを引っ張ってきたんだ?」

 

首を傾げる日菜

 

だが、その右手はしっかりと俺の手を握っている。

 

それ自体は問題ではない。いや、お互い初対面の人間同士という意味ならたしかにアレだが。

 

なぜ、『恋人繋ぎ』なんだ!!??

 

と、思考が逸れた。

 

 

日菜はしばらくうなって考えていたが、やがて答えが出たのだろう

 

「うーん、うん!るんっ♪てきたからだよ!」

 

 

 

思わずズッコケる。

 

 

「いや、だから………はあ、まあいいや。それで【CiRCLE】に行って何をするんだ?」

 

「ん?あたしのギターを聞いてもらおうと思ってね。」

 

ギター?その割にはなにも持っていないように見えるが………

 

「うん、まだ自分のギターを買えるほどおこづかいが溜まってなくてねー。だから、あっちで借りて練習してるんだ。」

 

へー。だが、それならなおさら何故俺だったのか、納得がいかない。

 

「んー、るんっ♪て来たのはほんとなんだけどソレとは別にキョウカくんの手を見たからかな。その手、昔ギターか何かやってたでしょ?多分、それもかなり上手いやつ。お姉ちゃんもおんなじ手だもん。」

 

まさか気づかれるとは思わず動揺してしまう。少々冷や汗が額を伝うが、なんとか動揺を押し殺し

 

「むかしの話だ。それに、そんなに大したものじゃないよ。お、そろそろじゃないか?」

 

というか、まさかバイトが休みの日まで、来なければならないとは。つくづく俺は音楽に縁があるらしい。もう、閉ざされた道だというのに。

 

おっと、これ以上はまずい。

 

 

俺の手をようやく解放した日菜はと言うと

 

「それじゃ、あたし、ギター借りてくるからちょっと待っててね!」

 

はいよー、と返事をする。

 

「あれ、鏡華くん?今日は休みのはずだけど?」

 

「あ、まりなさん。実は「ただいまー!ほら!早く行こうよー!」と、彼女の付き添いですよ。もう待ちきれないみたいなのでここで失礼します。」

 

ああ、そういう事、と苦笑するまりなさんの横を抜けて日菜が予約していたスタジオへ向かう。

 

♢♢♢

 

「よーし!それじゃ聞いててね!」

 

早速日菜が一曲聞かせてくれるようだ。

 

「ま、素人の意見でよければ聞かせてあげられるから頑張って。」

 

そうして、日菜の演奏会が始まったのだった。

 

 

♢♢♢

 

 

帰り道、日菜と話しながら帰った。

 

「へえ、じゃあ双子のお姉さんがいるんだ。」

 

勢いよく頷く日菜

 

「うん!そうなんだ。お姉ちゃんもギターが上手いんだよ!あたしが始めたのも、お姉ちゃんの影響だからねー。」

 

こんな感じで雑談をしていた。

 

 

「おっと、ここら辺でお別れだな。じゃあ、またな日菜!」

 

「うん!また、連絡するから一緒に遊ぼうね!」

 

♢♢♢

 

 

帰り着く頃には、もう夕方だった。

 

(因みに昼食は日菜と一緒に有名なファストフード店で食べた。予想外だったのは花音さんが働いていた事。)

 

用意されていた夕食を食べ終え風呂に入った。

 

そして部屋に戻り寝る準備をしていると、部屋のドアがノックされた。

 

「いいぞ。」

 

なんだ、蘭か。って、なんか機嫌が悪そうだな。頬を膨らませてムスッとしてる。可愛い。

 

「ねえ、明日まで休みだよね?なら、明日はあたしにつきあってよ。」

 

なんだ、そんなことか。

 

「もちろんいいぞ。なんなら明日の時間を少しでも長く取るために一緒に寝るか?」

 

思わず芽生えたいたずら心。さあ、蘭はどう出る!

 

 

「え、あ、その…そ、そういうのはまだ早いと思う。でも、い、イヤってわけじゃないから!!」

 

蘭の顔がどんどん赤くなっていくが、えーと、なんか誤解してないか?

 

「ちょ、ちょっと待て。誤解だって。俺はただ添い寝でもしようかと思っただけだぞ?」

 

 

「へ?あ、そう。そうなんだ。」

 

ホッとしながらもどこか残念そうな蘭

 

「じゃあ、おやすみ、蘭。」

 

「うん。おやすみ鏡華。」

 

………

 

いやまておかしい。

 

「蘭?お前自分の部屋に戻らないの?」

 

不思議そうに首を傾げる蘭

 

「なんで?鏡華が言ったんだよ"添い寝しようか"って。だから、あたしはそれに甘えて今日はこっちで寝るよ。」

 

いや、あれはタダの出来心で。

 

「それとも鏡華はイヤ?」

 

ああ、だからその目はやめてくれよ。弱いんだ。蘭のには特に。

 

 

「イヤなもんか。じゃあ、一緒に寝るか。ほら、枕を持っておいで。」

 

すると蘭は目を輝かせ

 

「うん!」

 

大きく頷くのだった。

 

 

蘭が枕を自分の部屋から持ってきた後は一緒に俺の布団に包まって眠るのだった。

 

 

†††††




如何でしたでしょうか?


面白かったと喜んでいただければ幸いです。


よろしければお気に入り、感想、誤字報告、その他諸々よろしくお願いします!


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第四話

思ったよりも皆様からの評価が高くてビックリしております。

これからもご期待に添えますようがんばらせていただきます!


………まあ、更新は不定期ですが。


†††††

 

日曜日

 

 

先日、蘭と交わした約束を守るため俺は商店街の少し手前にある広場で彼女を待っていた。

 

個人的には同じ場所に住んでいるのだし、一緒に来た方が早い様な気もするが、多分こういうのは雰囲気が大事なのだろう。

 

ちょっと早めに来てしまったため、現代人らしくスマホを弄って待っていると、後方から聞きなれた声が聞こえてきた

 

「あ、ま、待った?」

 

少し遠慮がちに声を掛けてきたのは、蘭だ。

 

その格好は、上は黒の生地に赤字で【afterglow】と書かれた半袖のTシャツで下は蘭らしい、ジーンズの半パンだ。

 

………えっと、確か

 

「いや?俺もいま来たところだよ。」

 

すると、蘭はクスッと笑って

 

「もう、嘘ばっかり。さっきスマホあたってたでしょ?」

 

う、まあ、わかるよな

 

おっと、それともうひとつ

 

「蘭、その格好良く似合ってるな。いつも可愛いけど今日はいつにもまして綺麗だ。」

 

「え、あ、ありが、とう。その、鏡華もかっこいいよ?」

 

まあ、いつもかっこいいんだけど、とボソッと呟く蘭

 

 

あの、聞こえてます………

 

こほん。

 

 

さて、今日は最近できたって言う大きめのショッピングモールに行こう。

 

「蘭、行く場所は少し遠い所にあるけどいいかな?」

 

「別にどこでだっていいよ。鏡華と一緒に居られるなら、それだけであたしは幸せだからさ。」

 

そう言ってはにかむ蘭

 

若干、頬が赤くなっているが…まあ、言わぬが華ってことで。

 

可愛いし

 

 

「そうか?俺も蘭と居られるならどこでもいいんだが、どうせなら隣町に最近できたらしいショッピングモールに行こうと思ってな。」

 

「ああ、そう言えばあたしの知り合いもそんな事言ってたね。隣町って事は電車だね。」

 

「よし。行こうぜ?」

 

さりげなく手を差し出す。

 

さあ、どう出る?

 

「ぇ、あ、うん!」

 

繋いだー!

耳まで真っ赤になってらっしゃる。

 

では、このまま駅まで仲良く行くとするか。

 

 

 

道中、パン屋帰りのモカに遭遇してからかわれたが、まあ、それは別の話だろう。

 

 

 

 

†††††

 

 

「全く、モカのヤツ。今度あったらただじゃ済まさないから。」

 

「まあまあ、アイツのことだから構って欲しかっただけかもな。ほら、そんな顔してたらせっかくの美人が台無しだぜ?笑え笑え。蘭は笑った顔が一番可愛いんだから。」

 

「そうかな?ぁ、ありがと。」

 

「あ、確かあのビルだったよな?」

 

「えっと、あ、うん。あたしが友達に聞いたのも確かこの辺りだったはずだよ。」

 

「よし、入ろうぜ。」

 

†††††

 

蘭の買い物に付き合ったり、二人でカフェに行ったりして一日を満喫し、そろそろ帰る時間になった頃

 

「ねえ、あたしもうちょっと二人で一緒に居たいよ。」

 

蘭が顔を耳まで真っ赤に染めながら、そんな事を言った。

 

「ぉ、おう。じゃ、じゃあ地下にあるプラネタリウムに行ってから帰ろうか?」

 

そう、このビルの地下にはなんとプラネタリウムがあるのだ。

 

正直に言おう。

 

超驚いた。

 

え?なんでここに?と、いった疑問にしばらく悩まされた。

 

店員さんに聞くと、なんでもこのビルのオーナーの趣味らしい。

すごいよな、ビルの地下にプラネタリウムとか。

 

と、脱線した。

 

どっかの誰かさんが待ちきれないようなのでそろそろ向かうとするか。

………手を繋ぎながら。

ちなみに今回は蘭の方から手を伸ばしてきた。

すごい可愛いですまる

 

†††††

 

夜空に煌めく色とりどりの星たちに蘭はこころ奪われていた。

それも仕方ないと言えるだろう。

なぜなら作り物とわかってはいたがそれを一瞬忘れてしまうほどプラネタリウムの空は素晴らしいものだったからだ。

「………」

 

「おい?蘭?らーん?」

 

ヤバイな放心状態ってヤツだろうか?

 

「…かった。」

 

「ん?」

 

「凄かった!何て言うか、キレイだった!」

 

蘭の頬が興奮で上気して、目が子どもみたいにキラッキラしてる。

 

「うおっ!」

 

び、びっくりした。確かに凄かったが、蘭のテンションがおかしいレベルで振り切れてる。普段とのギャップがすごくて思わず告白して振られるまである。振られちゃうのかよ。

 

………言っておくが別に俺の目は腐ってないし、濁ってもないぞ?

 

「そ、そうか?まあ、蘭が楽しめたんなら良かったよ。」

 

「はっ!ぁ」

 

おお、すごい勢いで真っ赤に染まっていくな

しょうがないと言えばしょうがないか?だって、もう少しで唇と唇がふれあいそうなほど近くに来てるからな。

………蘭の方から

なんだろう、見ててすごく楽しい

 

「えーと、か、帰るか?」

 

コクン、と小さく頷く蘭の手を引いて、俺は帰路へつくのだった。

 

†††††

 

オマケ

 

その日の晩

 

鏡華の部屋へと忍び寄る影があった

 

想像通りかもしれないが、蘭である

 

ゆっくり、ゆっくり、と鏡華を起こさぬように細心の注意を払いついに獲物(きょうか)に接近したハンター(らん)はゾッとするほど美しい微笑を浮かべ、獲物(きょうか)の寝ている布団の毛布を捲り上げその中へと潜り込んだ。

その後、蘭はまるで捕まえた獲物を逃がさんとするかのごとく、鏡華を抱き締め深い眠りへと落ちるのだった。

 

 

二人の寝顔は実に対照的で、蘭は幸せそうな笑顔できっと素晴らしい夢をみているのであろうことが想像に固くない寝顔だが、鏡華はその正反対で、苦しそうな表情を浮かべており、時折うめき声をあげていることから察するに、とてつもない悪夢をみているのだろう。

 

ちなみに、朝に蘭よりも早く起きた鏡華は身動きのとれないことに驚き、蘭が自分を抱き締めて眠っていることにまた、驚くのだった。

 

 

†††††




うーん、本文が物足りなかったのでちょっとオマケを追加してみました。

本文で飛ばしたお出かけの内容ですが反応がよければもしかしたら番外編として再編するかも?

まあ、あまり期待はしないでくださいね?

では、また次回お会いしましょう。

※いつになるかはわかりませんが気長にお待ち下さい。


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