母さんから立派な体をもらったので最強のヒーロー目指します。 (iltukun)
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1話
人は生まれながらにして平等じゃない。それが4歳にして知ったこの超人社会の現実だった。
「諦めた方がいいね。」
「この世代じゃ珍しい、なんの個性もない型だよ。」
そう僕は4歳にして医者からこの超人社会では絶望的な無個性宣告を受けたのだった。
それからの僕はものすごく落ち込んでいた。多分自分が無個性であることを認めたくなかったんだろう。
そして僕はある日、泣きながら母さんに言ってしまった。
「どんなに困ってる人でも笑顔で助けちゃうんだよ。」
「超カッコいいヒーローに僕もなれるかなぁ?」
そして母さんは僕の肩に両手を置いてこう言った。
「出久、あなたには個性がない。それは事実よ。だけどね、たとえ強力な個性がなかろうと諦めなければ必ずいつか勝てるから。あなたには個性はなくても生まれもった体も心もあるじゃない!」
僕にそう言った母さんは泣きながら僕の部屋から出ていった。それからというもの僕の心の中には母さんが言った言葉がずっと残っていた。母さんはそれから日に日に痩せて体調も悪くなっていった。
それからも幼稚園でかっちゃんにいじめられたり他の子達からバカにされたりしていた。でも僕はヒーローになる気持ちを押さえることができずいつも無個性の癖にかっちゃん達に歯向かってはボコボコにされていた。ある日傷だらけで家に帰ったことがあった。
「出久!どうしたの!その怪我!」
「ちょっと転んじゃって。」
僕は母さんを心配させまいと嘘をついた。
母さんは僕の嘘に気づいていたんだろう。母さんは泣きながら僕を抱き寄せこう言った。
「ごめんね出久。ごめんね」
ああ、僕はなんて弱いんだろう。母さんにもらった立派な体が有るのに。母さんに無個性に生んでしまったことを謝らせてしまうなんて母さんを追い詰めているのも僕がいじめられているのも僕が弱いせいだ。その次の日母さんが意識を失った。僕のなかで何かが弾けた。
僕は母さんが意識を失った次の日からトレーニングを始めることにした。僕は無個性でも立派なヒーローになるんだ!母さんに言われたある言葉を胸に頑張ることにした。そして本来4歳の体には到底耐えられないだろうレベルの訓練を一人で続けた。
毎日何十キロも走りひたすら丸太に蹴りや突きをいれ、筋トレも体が動かなくなるまで毎日続けた。
そして約10年の月日が流れた。
今の俺は中学二年生だ。幼少期のようにバカにしてくるやつはあまりいない。だがまた俺が無個性だと知るとバカにしてくるやつもいるが。あれから母さんが目を覚ますことはなかった今もなお眠り続けている。俺はさらに高みを目指すべく未だにトレーニングを続けている。
「BOOOM!!!」
俺が学校終わりにランニングをしていると商店街の方からものすごい爆発音が聞こえた。俺はランニングを中断し音のした方へ向かった。するとそこには同級生の爆豪勝己が敵にとりつかれていた。
「ダメだ誰か有利な個性の奴が来るのを待つしかねぇ」
「あの子には悪いが耐えてもらおう。」
駆けつけたヒーロー達がそんなことを言っている。
俺はわざと聞こえるように嫌みを言った。
「全く、個性を持っていて立ち往生とはな情けない。」
「君!一体何様のつもりだ!ここにいるヒーロー達は皆全力で戦っている!バカにするとは恥をしれ。それに只の学生に何ができるんだ?」
「お前たちよりはましに助けられると思うがな。」
「じゃあやって見ろよ。」
「おい、お前何いってんだ!相手一般人だぞwまあどうせびびって何もできんだろうがな。」
俺はヒーローに許可をもらったので爆豪を助けることにした。俺はその場から敵がいる方へと走り出した。
「おい!とまれ自殺志願者かよ!」
そんな声が聞こえるがお構いなしだ。
そして敵と相対する。爆豪は意識を失っているようだ。
「あ?ヒーロー?只の小僧か?ガタイはいいようだが何しに来た?邪魔するなよぉ!」
そういった直後敵は俺に殴りかかってきた。俺は構わず正面からその攻撃を受けた。
「バカが、只の学生に俺を倒せるはずなんてねぇだろ。犬死にだなぁ。」
だがそんな敵の言葉とは逆に俺はピンピンしていた。
「なるほど、爆豪の個性か。さすがいつも強個性と言っているだけはある。すこし重いがそれだけだな。乗っ取っている貴様も爆豪自身も鍛練が足りん。」
「当然だが俺を倒すには力が足りん。」
「な、バカな消えた!」
俺は脚力だけで敵の後ろに回り込み、敵だけに闘気を右手にまとい殴り飛ばした。
「この程度か・・・」
敵は瞬く間に30メートルほど飛んでいった。そして俺は爆豪を地面にそっと寝かせその場を猛スピードでさった。
後々いろいろ説教されるのは面倒だしな。そうして俺の初敵戦は幕を閉じた。
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