ハイスクールD×D〜切札の赤龍帝〜 (bear glasses)
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Side Extraーオルタナティブ・スタートー
極限の邪龍少年


誤削除につき再投稿です・・・


ーーーーー

 

俺、匙元士郎がまだ小学生だった時の事。

 

ヒュゥウウウウウウン⋯!

 

遠くから風切り音が聞こえてきたかと思うと

 

ガァアン!

 

と、爆音を立てて目の前に黒い何かが落ちてきた

 

「うわぁ!?」 

 

いきなりのことに驚きつつも、黒い物体の落ちてきたところを見ると

 

「ゆーえすびーめもり?」

 

そこには黒く、クリアで「青銀色の端子」のゴテゴテしたUSBメモリがあった。小さかった俺は好奇心でそれを拾い上げ、 

 

「うわぁー⋯かっけー!お、スイッチがついてる。押してみるか」

 

スイッチを押した。すると

 

『Xtreme!!』

「エクストリーム?」

 

その瞬間、意識が暗転した。

 

ーーーーー

 

目が覚めると、目の前に蛇のような化け物がいた。

 

「うっ、うわぁ!?ば、化物!?」

『誰が化け物か。我が名は黒邪の龍王(プリズン・ドラゴン)ヴリトラ、五大龍王が一体である。』

「五大龍王!?⋯ってなにさ」

『お前は⋯まあいい。』

 

ヴリトラは嘆息しつつも話を続ける。

 

『まあ知識をくれてやる』

 

瞬間、匙の脳内に様々な情報が広がる。

ヴリトラのこと、三大勢力の事、裏社会の常識etc.etc.を得られた。

 

「⋯え?お前クソ疫病神じゃん」

『語彙力どうしたバラガキ』 

 

思わず、辟易とした顔になる。なんだお前。『力』と『女』を引き寄せる?それ俺が雑魚の場合秒殺やんけ。と。

 

「えぇー⋯お前渡したら俺死ぬだろ?」

『勿論』

「普通に巻き込まれても死ぬだろ?」

『今のままならな』

「死ねクソ蛇モドキ」

『殺すぞサルガキ』

 

あぁ、くそ。

 

「強くなるしかないのかあ⋯」

『その通りだ。諦めるんだな』

 

ケタケタと笑う蛇野郎を見て匙は決意した。

 

ーーー『この駄蛇は殴り飛ばす』

 

と。

 

しかし、この駄蛇はこの後の人生ーーーー、否、悪魔生で自身を助け、自身の力になる相棒となるのだが⋯匙にとっては今はただの疫病神である。

 

 

ーーーーーー

 

数日後、裏山にて。

 

『さて、では俺の力を顕現してみるとしよう。本来であれば我が分身に宿っていたのは黒い龍脈(アブソーブション・ライン)であるが、その『エクストリームメモリ』とやらの影響により、邪龍の黒炎(ブレイズ・ブラック・フレア)や、漆黒の領域(デリート・フィールド)龍の牢獄(シャドウ・プリズン)の能力も獲得している。』

「つまり?」

『我が分身は神器を4つ持っているも同じ。という事だ』

「なるほど。んで、どんなことができるんだよ?」

『ではまず我が分身の本来の力、黒い龍脈(アブソーブション・ライン)から始めよう。右手に意識を集中してみろ』

「わかった」

 

そう言われ、意識を右手に集める。すると

 

「うおっ!?なんだこの触手」

『これが黒い龍脈(アブソーブション・ライン)だ。能力はシンプル。なんでも接着し、そこからなにかしらを吸収する』

「なにかしら?」

『力であったり、体力であったりだ』

「なるほどな」

 

なんか、陰湿だなこれ。

 

『では次だ。⋯そうだな、炎が灯るイメージをしつつ、左手に意識を集めてみろ』

「了解」

 

続いて、左手に意識を集めつつ、炎が灯るイメージを行う。

 

「⋯おお」

 

すると、左手になにか澱んだような黒い炎が灯る。

 

『これこそ我が呪いの黒炎。⋯そうだな、大抵の敵なら炎と共に呪い殺せるぞ。ちなみにこれが邪龍の黒炎(ブレイズ・ブラック・フレア)の能力だ』

 

いやだから陰湿すぎねえ?

 

『さて、その炎を維持しつつ、そこの石に狙いを定めてみろ』

 

そう言われ、俺は目の前の小石に標準を合わせる。

すると、その周囲を黒炎が覆って、炎の壁を成した。

 

『これが龍の牢獄(シャドウ・プリズン)の能力だ』

 

ええ⋯なんかもう、すげえな。

 

『さて、最後だが⋯こう、体の奥底に力を貯めて、解放してみろ』

 

あー、きあいだめみたいなものか。言われた通りに力を込めると、周囲が黒い領域に支配される。

 

『これが漆黒の領域(デリート・フィールド)の効果。相手の魔法力を削る空間を作り出す』

「いやお前本当に能力陰湿すぎだろ!?」

『なにを言っている。我が分身。私は『邪龍』、ダークネスでドラゴンなのだ。そんなかっこよくて主人公然とした能力な訳あるまいよ。』

「ふざけてやがる⋯」

 

と、そこに、突然声が聞こえた

 

「あ、匙!」

「!?」

 

少し向こうに、同じクラスの兵藤一誠が居た

まてまて!これバレたらやばくないか!?

 

『これは⋯ドライグ!?』

「ドライグ⋯?」

 

わからん単語だ。兵藤がドライグ?とやらなのか?

と、何処からか来た一誠が俺にこう続けた。

 

「お前も『神器(セイクリッド・ギア)』持ってたんだな!」

「お前も!?じゃあ兵藤も持ってるのか!?」

「うん。俺が持ってるのは『神滅具(ロンギヌス)』、『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』」

「ろんぎぬす?ぶーすてっどぎあ?」

『ロンギヌスーーーー神滅具というのは、神器(セイクリッド・ギア)の中でも特に強力な、『神をも滅する具現』と言われている13の神器(セイクリッド・ギア)だ。その中でも『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』というのは、二天龍と呼ばれた、最強クラスのドラゴンの一体、ウェールズの赤い竜、『赤い竜(ウェルシュ・ドラゴン)』の力が封じられた『神器(セイクリッド・ギア)』というわけだ。』

「なにそれすげえ」

 

主人公かよ。すると、一誠は俺の右手⋯その中の黒いUSBメモリを見て、

 

「あ!しかもガイアメモリも持ってるのか!」

 

と言う。おいまて

 

「これのこと知ってるのか?」

「うん。俺も持ってるからな!」

『Joker!!!』

「まじか⋯教えてくれないか?これのこと」

「いいよー!ガイアメモリっていうのは⋯」

 

有り体に言うと、『ガイアメモリ』は、地球の記憶を内包したメモリで、その記憶に対応した力を発揮するらしい。

 

「⋯なるほどな」

「あ、そうだ!どうせなら一緒に修行しないか!?」

「なんでだよ!」

「だって、どうせドラゴンの力に目覚めたら裏社会に首突っ込まざるをえないからな!今から鍛えて全部叩き返せるようにしとこうぜ!」

「なるほど⋯よし!わかった!よろしく頼むぜ!イッセー!」

「よろしくな!匙!」

 

これが後に実を結び、この時の俺の修行を感謝することになるのは、またあとの話。



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Side Redー切札の赤龍帝ー
切札の覚醒


ぬるりと投下


ーーーーー

俺、兵藤一誠がまだ小学生だったときの事だ。

 

ヒュゥウウウウウウン⋯!

 

遠くから風切り音が聞こえてきたかと思うと

 

ガァアン!

 

と、爆音を立てて目の前に紫の流星?が落ちてきた

 

「うわぁ!?」

 

いきなりのことに驚きつつも、紫の流星の落ちてきたところを見ると

 

「ゆーえすびーめもり?」

 

そこには黒く、クリアで「青銀色の端子」のゴテゴテしたUSBメモリがあった。小さかった俺は好奇心でそれを拾い上げ、

 

「うわぁー⋯かっこいい!あ、スイッチがついてる。押してみよう」

 

スイッチを押した。すると

 

『Joker!!』

「じょーかー?」

 

小さかった自分には分からなかったが、Jokerというのは「切札」という意味の英単語だ。

 

「よくわからないけど、もってかえろー」

 

この時の俺はまだ知らなかった。この『ジョーカーメモリ』が俺に齎すものを。

 

ーーーーー

 

そして、小学3年生の夏、悲劇は訪れようとしていた。俺は友達の「コウタ」と一緒に隣町まで遊びに行こうとして、町外れまで行ったんだ。すると、そこには

 

「あら⋯可愛いニンゲンね。食べちゃいたいくらぁい(・・・・・・・・・・・)

 

上半身が裸の女性で、下半身がそのまま蜘蛛のような、化け物がいた。

 

「はぐれ悪魔⋯!?」

「は、はぐれ悪魔?コウタ、何か知ってるの?」

「はぐれ悪魔を知ってるのね⋯これはぱくぱく。しないとねぇ!」

 

というと、化け物は掌をこちらに向け、魔法陣のようなものを展開、そこから糸を吐き出してきた!

 

「くそっ!『Shield(堅牢なる盾よ!)』!!」

 

それにコウタは対応するように掌を前に突き出し、何かを叫んだと思ったら⋯『銀に輝く障壁』が現れた

 

「魔術!?これはますます食べたくなっちゃったわぁ⋯」

「不味い、不味すぎる⋯!くそっ!イッセー!お前だけでも逃げろ!俺がここを食い止めるから!」

「ダメだよ!コウタだけ置いて行けない!」

「そんなこと言ってる場合じゃない!このままじゃお前も死ぬぞ!俺が食い止めてるうちに早く行け!」

「ダメだ!」

「くどい!さっさと行け!死にたいのか!」

「うっ⋯!(怖い、こんなコウタ初めてだ。でも!)」

「わかったらさっさと「それでも、ダメ!」なぁっ!?」

「僕は、絶対に君を置いていかない!その上で、生き残る!コウタは僕を助けてくれた!だから今度は僕がコウタを護るんだ!」

『Wake up! Boosted gear!!!』

『Joker!!』

 

その時、俺の覚悟に反応するように、2つの音が唸りを上げた。ふと、左手に違和感を感じて、見てみると

 

「なに、これ⋯」

 

俺の左手には赤い外装に金の紋様、髭のような黄色い追加装甲に、手の甲の部分に緑の宝玉が嵌った籠手が現れていた。

籠手を見た瞬間、これの使い方が頭に流れてくる。

 

『Joker!Joker!!』

「うわっ!」

 

そして、忘れるな。というようにもうひとつの音声も唸る。

見ると、ポケットからだ。

 

「これ、あのメモリだ」

 

これも、触った瞬間に使い方が分かった。

 

「ブ、赤龍帝の籠手は兎も角、ガイアメモリ、しかもT2でジョーカー!?どういうことだ⋯!?」

 

コウタは相手の攻撃を凌ぎつつも、俺の持つ物に驚いている。なんで名前知ってるんだろう⋯?

そして、コウタの言うとおり、これは神器(セイクリッド・ギア)神滅具(ロンギヌス)赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』そして、このメモリの名は『ジョーカーメモリ』

 

『今回の相棒は目覚めが早い様だな。俺の名はドライグ。赤龍帝ドライグだ。よろしくな。相棒』

「僕は兵藤一誠。早速だけどさ、神器って思いに応えるんだよね?」

『ああ。神器は思い次第でなんとでもなる』

「なら⋯こうも出来るはずだ」

 

俺は念じた。

赤龍帝の籠手にジョーカーメモリが装填できるようになれ。と。

生体コネクタがない以上、何かしらのコネクタはなければならない。

そこで神滅具をコネクタにすることに至ったわけだ。

存外、簡単にその改造は済んだ。

 

『Open, Gaia memory throt.』

「行くぞ⋯!」

『Joker!!』

『Load!Joker!!』

 

そうして、効果音と共に赤龍帝の籠手に紫のラインが走り、俺の身体を強化する。

 

「覚悟しろっ!」

『Boost!!』

 

俺は倍加を開始しながら駆け出した。

 

「なっ⋯!何やってるんだイッセー!?いくらジョーカーメモリと赤龍帝の籠手があるからって突撃はっ⋯!」

 

そう、コウタの解釈は間違っていない。

基本ジョーカーメモリは俺に「戦い方」を教えてくれる。

身体を強化しつつ、最適な動かし方を教えてくれる。

しかし、それだけでは赤龍帝の籠手込でもこの悪魔を倒すに至らない。

ただ、それは『通常』の場合。この時の俺はコウタを助ける一心だった。

それによりジョーカーメモリの出力は倍増。通常のこの形態よりも段違いに強くなっていた。

 

『Boost!!』

 

俺は攻撃を避けつつ近づき、倍加のカウントを刻んでいく。そして、出力を増大させ、飛び蹴りをかます。

 

「きゃああああ!?な、なに?この力っ⋯!?」

「喰らえっ!」

 

『Joker!!Maximum Drive!!!』

『Transfer!!』

 

マキシマムドライブにより、エネルギーが解放。

更に、赤龍帝の籠手の『譲渡』により、更に力が倍増し、籠手に集まる。

 

「ジョーカーッ!ドラゴンインパクトォ!」

 

そうして振り抜いた拳からは赤紫の龍のエネルギーが溢れて、はぐれ悪魔を呑み込んで行った⋯

 

『Burst』

 

瞬間、俺も限界を超えて倒れたんだがな。

 

 

ーーーーー

 

そして、小学4年生、俺は『終生のライバル』に出会うことになる

 

まぁ、その話はまたいつか。



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転生者・竜胆琥太

イッセーの友人、琥太についての話し


おっす!オラ琥太!転生者だ!

 

⋯ホントだよ?

 

元々はただの高校生だったんだけどねぇ⋯気づいたら死んでててさぁ。今は『ハイスクールD×D』の世界で小学生なんてやってるよ。あ、そうそう。ちなみにイッセーの友達でもあるぜ!

 

転生特典は4つ決められたからとりあえず『魔術の才能、素養』、『ネギま!のネギの使用可能魔法全てを使えるように』、『ネギま!の闇の魔法使用権と闇の魔法との超適合』、『ネギま!の魔法道具一式と、それを呼び出す魔法陣(何度でも使える)』にしておいた。もちろんこの世界の魔術もガンガン使える。

 

これでも安心できねぇってんだからおかしいよな。この世界。

 

高校になるまでには後ろ盾を作れたらいいなぁ⋯

 

と、思っていたが、それでは冗長過ぎると、すぐに思い知らされることになったーーー

 

小三の夏。イッセーと遊びに行っていた時の出来事だ。

 

 

「あら⋯可愛いニンゲンね。食べちゃいたいくらぁい(・・・・・・・・・・・)

 

上半身が裸の女性で、下半身がそのまま蜘蛛のような、化け物ーーーはぐれ悪魔がいた。

 

「はぐれ悪魔⋯!?」

「は、はぐれ悪魔?コウタ、何か知ってるの?」

「はぐれ悪魔を知ってるのね⋯これはぱくぱく。しないとねぇ!」

 

はぐれ悪魔は掌をこちらに向け、魔法陣のようなものを展開、そこから糸を吐き出してきた!

嘘だろ!?原作前にこんな驚異に会うか!?普通!

 

「くそっ!『Shield(堅牢なる盾よ!)』!!」

 

苦し紛れに詠唱を最低限まで削った障壁で防御した。

 

「魔術!?これはますます食べたくなっちゃったわぁ⋯」

「不味い、不味すぎる⋯!くそっ!イッセー!お前だけでも逃げろ!俺がここを食い止めるから!」

 

ここでイッセーに死なれちゃ困る!主人公とか、原作とか、そんなんじゃねぇ!友達だからだ!

 

「ダメだよ!コウタだけ置いて行けない!」

「そんなこと言ってる場合じゃない!このままじゃお前も死ぬぞ!俺が食い止めてるうちに早く行け!」

「ダメだ!」

「くどい!さっさと行け!死にたいのか!」

 

はぐれ悪魔の攻撃に対処しつつ、イッセーと口論する。この頑固野郎め!

 

「うっ⋯!」

「わかったらさっさと「それでも、ダメ!」なぁっ!?」

「僕は、絶対に君を置いていかない!その上で、生き残る!コウタは僕を助けてくれた!だから今度は僕がコウタを護るんだ!」

『Wake up! Boosted gear!!!』

『Joker!!』

 

その時、イッセーの声に呼応するように、2つの音が唸りを上げた。

まて、片方は兎も角、もう片方の音声はっ!?

 

「なに、これ⋯」

 

イッセーの左手には赤龍帝の籠手が顕現していた。ああ、早速原作崩壊かよ!?

 

『Joker!Joker!!』

「うわっ!」

 

そして、忘れるな。というようにもうひとつの音声も唸る。

いや、やっぱこの音声ってよ⋯

 

「これ、あのメモリだ」

 

やっぱガイアメモリかよ!?

 

「ブ、赤龍帝の籠手は兎も角、ガイアメモリ、しかもT2でジョーカー!?どういうことだ⋯!?」

 

はぐれ悪魔の攻撃は苛烈さを増してる。

やめてくれよぉ⋯まじで

 

『今回の相棒は目覚めが早い様だな。俺の名はドライグ。赤龍帝ドライグだ。よろしくな。相棒』

「僕は兵藤一誠。早速だけどさ、神器って思いに応えるんだよね?」

『ああ。神器は思い次第でなんとでもなる』

「なら⋯こうも出来るはずだ」

 

イッセーが何かを念じたかと思うと、赤龍帝の籠手の先端が展開し、ジョーカーメモリが装填できるような形になった。

 

『Open, Gaia memory throt.』

「行くぞ⋯!」

『Joker!!』

『Load!Joker!!』

 

そうして、イッセーはジョーカーメモリを装填すると、効果音と共に赤龍帝の籠手に紫のラインが走る。

 

「覚悟しろっ!」

『Boost!!』

 

イッセーは倍加を開始しながら駆け出した。

って、はぁ!?いや、自殺行為だろ!いくら技能が上がってても、地力が!!

 

「なっ⋯!何やってるんだイッセー!?いくらジョーカーメモリと赤龍帝の籠手があるからって突撃はっ⋯!」

 

しかし、俺の予想は大きく外れることになる。

 

『Boost!!』

 

なんと、イッセーは攻撃を避けつつ近づき、倍加のカウントを刻んでいく。そして、出力を増大させ、飛び蹴りをかました!

 

「う、嘘だろ⋯!?」

 

強すぎる⋯覚醒したのはほんとに今日なのか⋯!?それとも、ジョーカーメモリとの適合率か⋯!?

 

「きゃああああ!?な、なに?この力っ⋯!?」

「喰らえっ!」

 

『Joker!!Maximum Drive!!!』

『Transfer!!』

 

マキシマムドライブにより、エネルギーが解放。

更に、赤龍帝の籠手の『譲渡』により、更に力が倍増し、籠手に集まる。

 

「ジョーカーッ!ドラゴンインパクトォ!」

 

そうして振り抜いた拳からは赤紫の龍のエネルギーが溢れて、はぐれ悪魔を呑み込んで行った⋯

 

『Burst』

 

瞬間、イッセーも限界を超えたのか、倒れそうになる。

 

「危ない!『Acceleration(身体強化:最大加速)』!!」

体強化を施し、イッセーのところまで駆けつけ、受け止める。

 

「⋯これは、早急に後ろ盾を見つけないと」

 

グレモリー辺りか⋯?いや、遅い。後ろ盾でないにしても、何かしらの協力者を立てたい⋯

 

「スラッシュドッグの事件に首突っ込むかぁ⋯?」

 

等と阿呆な事を考えるくらいには疲れていたようだ。



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Iの覚悟/赤龍修行

神器に覚醒した日のこと、

 

 

ーーーーー

 

⋯ここは、どこ?

 

目を開けると、一面焔に囲われた空間。

 

『ここはお前の精神世界、心の中だ。相棒』

「ど、ドラゴン!?」

『そう、オレはドラゴン。しかも二天龍のうちの一体にして、赤い龍(ウェルシュ・ドラゴン)、赤龍帝ドライグだ』

「うぇるしゅ・どらごん?」

『ウェールズの龍、という意味だ。俺の2つ名のようなものさ』

「なるほど⋯ねぇドライグ」

『なんだ?』

「ドライグが僕の籠手に宿ったドラゴンなんだよね?」

『そうだが、それがどうかしたか?』

「僕に修行、着けられる?」

『修行だと?』

「うん、修行」

『何故だ?相棒にはジョーカーメモリなる力もある。しかもまだ子供だ。力がそこまで必要か?』

「必要だよ。僕は無力だ。琥太みたいに魔法が使える訳でも、裏の世界を知ってる訳でも無い。だからこそ、必要なんだ。力が」

『成程な。どちらにせよドラゴンは戦いに身を窶す運命にある。なればこそ、力を手に入れる必要はある。か』

「うん。なにより僕、ただの人間だからね」

『よし、良いだろう。ならば俺が具体的なトレーニング方法を教えてやる。現実に戻ってノートと筆記用具を持って待っていろ、相棒』

 

というので、戻って少し待つと

 

『出来たぞ。相棒』

 

左手の甲で丸い緑の光が点滅したと思うと、そこからドライグの声が聞こえて来た。

 

「うわっ!ドライグ、そのままでも声出せるんだね」

『言っていなかったか?まぁいい、今から言うからきちんとメモをするように』

 

ドライグの言うメニューは、こうだ。

 

・準備運動

 ランニング30分

 ダッシュ2本

 腕立て伏せ15回

 腹筋15回

 背筋15回

 スクワット15回

・本題

 正拳突き50回

 蹴り50回

 ジョーカーメモリ装填後、力の流れを掴む

 赤龍帝の籠手によるブースト

・クールダウン

 ストレッチ

 ランニング10分

 

『平日は少し短縮するとしても、休日ならばこうだろう』

「ふむふむ⋯」

 

かなり辛いけど、これを熟し続ければ、力になりそうだ。

 

『ただ、相棒のメモリ?だったか。あれには多少なりとも毒性がある。赤龍帝の籠手で毒性をある程度打ち消して居るが限度もある。後ろ盾が出来たらそこの技術者に専用装置を作らせるのもありだろう』

「え!?毒あるの!?」

『多少、だ。相棒はメモリとやらと相性が良い様だからあまり心配はないがな。むしろ赤龍帝クラスにならばこの程度の毒素ぐらい意にも介さないさ』

「ほえー⋯頼もしいね!よし、早速修行だー!!」

 

 

ーーーーー

 

裏山にて

 

『よし、準備運動はこれくらいでいいだろう』

「はっ⋯はぁはぁ⋯!す、すごい疲れるね、これ」

『ふ、初日だからな。さぁ、赤龍帝の籠手を展開し、スロットを解放しろ』

「了解!」

『Open, Gaia memory throt.』

『Joker!!』

『Load Joker!!』

 

瞬間、紫のラインが走って、強化が施される。

 

『いいか、相棒。最初にリンクした時、この状態はジョーカーメモリの上澄みを回したに過ぎない事が分かった。この力をより深く引き出すんだ』

「より、深く?」

『そうだ、ただ使うのではなく、より深くこの力を馴染ませるんだ、相棒』

「わかった⋯」

 

心を落ち着かせる。

より、より深くこの力を欲する。

赤龍帝の赤い力じゃなく、ジョーカーメモリの黒紫の力。

雷電の様な激しさと、流水の様な柔らかさが両立した力。

力の表層じゃない、赤と混じった力よりも、もっと深くの純度の高い黒紫の力。

 

『Joker!!!』

 

紫のラインが、増えていく。

篭手を超えて、身体に染み渡る。

紫のラインは量を増したかと思うと、今度は紫のラインから黒いオーラが噴出する。

黒いオーラは鋭さを増し、黒い鎧となって身体を包んでいく。

頭部を覆ったオーラは、道化のようで、瞳部分の赤いマスクとなって、結実する。

 

『Joker Dopant!!』

『⋯凄い、力が溢れてくる。これが⋯』

『そう、これがドーパント。ガイアメモリの力を引き出した状態だ。ここから素振りに行くぞ!』

『了解!』

 

瞬間、正拳突きを行う。そして、愕然とする。

 

『す、凄い。何時もよりも体が動く。正拳突きも、何時もより強く、早い』

 

そのまま、ロー、ハイ、回転と蹴りを続け、ストレート、フック、アッパー⋯どんどんと技を続ける

 

『相棒、今度は赤龍帝の籠手だ』

『了解』

 

そして、ジョーカーメモリを排出。その後赤龍帝の籠手の効果を起動する。 

 

『Boost!!』

 

10秒して、

 

『Boost!!』

 

『Boost!!』

 

『Boost!! Burst!』

「ーーーッッッ!!!?」

 

バースト、の音声と共に、身体に言い様のない負荷がかかる。成程、今の状態では8倍が限界のようだ。

 

『まぁ、最初のうちはこんなものだろう。次は赤龍帝の籠手とジョーカーメモリの両方を使用した上での計測だ。相棒』

「了解!」

 

赤龍帝の籠手の機能を解放し、ジョーカーメモリのボタンを押す。

 

『Open, Gaia memory throt.』

『Joker!!』

 

そのままジョーカーメモリをスロットに装填し、力を同調させる。

 

『Load Joker!!』

『Joker Dopant!!』

 

すると、僕はジョーカードーパントのまま、赤龍帝の籠手を装着することが出来た。

 

『よし、倍加開始ッ!』

『Boost!!』

 

『Boost!!』

 

『Boost!!』

 

『Boost!!』

 

『Boost!!』

 

『Boost!!』

 

『Boost!!』

 

『Boost!! Burst!!!』

『〜〜〜〜ッ!?』

 

バーストした瞬間、ドーパント状態が解除され、そのまま膝をついて倒れた。

 

「な⋯なんだ、これ⋯ッ!?疲労感がッ違い、過ぎる⋯!」

『ジョーカーメモリの負荷と赤龍帝の籠手の負荷の相乗だろうな』

「⋯こればっかりはトレーニングだな」

『継続は力なり。だ相棒!』

「おう!」

 

よーしっ!頑張るぞ!



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Side Red First Trialー現れる財団X/■■■の使者ー
新たなる事件の始まり


Side Red新章にして第一章、開幕
色々試して見ました。ぜひご意見聞かせてくださいませ


亡国、某市。

 

どこかの工場で

 

「ふふふ、ふははははは、はーーーっはっはっはっはっは!!!完成だ!ついに完成したぞ!()()()()()()ィ!!!」

 

発明家然とした老爺の目の前には、骨のような装飾が着いたUSBメモリがあった。それは様々な配線に繋がれているが、ロゴがかろうじて見える。それにはーーーーー

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「これをCP(コピープロト)ガイアメモリと名付けよう!財団Xの新製品の誕生だァ!」

 

そこには、老爺の笑いが響き渡り続けた。

 

悪意の訪れは⋯近い。

 

ーーーーーーーーーー

 

所変わって駒王町。そこでは、匙と一誠が修行をしていた。

 

「じゃあ、今日はエクストリームの起動をしようぜ」

「了解。んじゃあやってみるか」

Xtreme!!

 

匙はエクストリームを起動すると、ヴリトラに無理矢理作らせたメモリスロットに差し込む。

しかし、肉体的な変化はない。

 

「⋯肉体的な変化はないけど、どうだ?」

「―――内側から溢れる力が段違いだ。()()()()()。出力もそうだが、寧ろ」

『ああ、我が分身の思っている通りだ。()()()()()()()()()()()()()()()()()。成程、確かにこれはモノが違う。今の我が分身は、4つの神器全ての能力の深部を扱える』

 

深部。深部とヴリトラは言った。

 

「深部?」

『簡単に言えば、ラインで吸収できる対象が広がった。邪炎で燃やせるもの、呪えるもの、呪いの内容が広がった。というようなものだ』

「じゃあ、俺のメモリとは方向性が違うんだな」

「イッセーのメモリってどんな感じなんだ?」

「俺のはどっちかって言うと単純に身体強化型なんだよなあ」

Joker!!

 

そう、ジョーカーは能力の底上げ。

飽くまでも身体能力の強化なのだ。

 

『Open, Gaia memory throt.』

『Load!Joker!!』

 

そして、紫のラインが籠手に走る。

そして、ジョーカーの『力』を引き出していく。

より深い深度で、黒紫の力を迸らせる。

紫のラインが身体中に走っていく。

 

「うおっ!?大丈夫なのかイッセー!?」

「大丈夫大丈夫」

 

今度は紫のラインから黒いオーラが噴出する。

黒いオーラは鋭さを増し、黒い鎧となって身体を包んでいく。

頭部を覆ったオーラは、道化のようで、瞳部分の赤いマスクとなって、結実する。

 

Joker Dopant!!

 

『こんな感じ』

 

「・・・・・・・・・すっげえええええ!かっけえ!なにそれ!?なにそれぇ!?エクストリームメモリでもできる!?できるよなヴリトラ!?」

『急にテンション上がるじゃないか我が分身(困惑)』

「だって変身だぞ変身!変身は男の浪漫なんだぞ!?」

『そ、そうなのか?』

「そうなの!だよなイッセー!?」

『流石だぜ匙。よくわかってる』

『そうなのか・・・』

「よっし!やるぞ!やってやるぞ!出来なくてもやる!出来ないのが道理なら道理の方からぶっ飛ばしてやるぜぇええ!」

『えええええ・・・』

 

その思いを知ってか知らずか。

 

『あれ?意外と行けるかも?』

「ホントかヴリトラ!?っしゃあ!やってやるぜえ!」

 

イメージするのは変身した自分!憧れ続けたヒーロー達の背中だ!

 

X...XX.Xt...Xtreme!!!

 

瞬間四肢から邪炎が吹き上がる。

黒い龍脈(アブソープション・ライン)』からラインが出現し、全身を包み込む。

ラインがやがてスーツのように全身にまとわりつき、邪炎がその上から鎧になっていく。

 

 

「変ッ・・・身!」

 

瞬間、焔は結実し新たな姿へと変わった。

黒い艶消しのスーツの上に、黒く輝くヴリトラを模した鎧が形成される。胸部にはヴリトラの顔を模した様なパーツがつき、その下に宝玉が着いている。

Vrtra Xtreme Drive!

 

『うぉ!?え!?もしかして禁手(バランス・ブレイカー)とかいうやつ?』

『違うぞ相棒。恐らくあれは神器の性能をオーバードライブさせたものだ。しかし、エクストリームメモリの性能故か、負担があまりかかってないな』

 

『っしゃああああ!やったぜ!』

『なんだこの我が分身(震え声)』

 

拝啓、親友(琥太)殿。

どうやら匙は思ったより脳筋タイプのようです。

 

『いやまあ、エクストリームメモリの性能的には、相性抜群なんじゃないか?』

 

というドライグの声に、

 

『いやー、相性良すぎても困るよ』

 

特に俺たちの心労が。

と、思わず返してしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――

別の日のこと

 

 

「実践的な修行?」

『ああ』

「どうやって?」

『はぐれ悪魔狩りだ』

「大丈夫か?それ」

『バレやしない。はぐれ悪魔は依頼が無いと討伐されん。依頼自体、場所がわかってない事やフラフラしてることが多い。死んでても死んでたと報告されるだけだ』

「ほえー」

 

ならいいか。

 

『それに、はぐれ悪魔が居ると人が餌食になる。相棒は嫌だろ?』

「ああ。絶対にやだね」

『相棒ならそう言うと思っていたよ。オーラは俺が掴む。行くぞ』

「了解」

『あ、ヴリトラの小僧も呼ぶぞ』

「匙も?」

『ああ。ドラゴンの神器を得た以上、力がなければ死ぬだけだからな』

「・・・それもそうかあ」

 

 

そして、1時間後。

 

「来たぞー」

「おう。さんきゅ、匙」

『さて、今回だが、はぐれ悪魔がいるのは駒王の端の廃工場だ』

「彼処か・・・」

「あそこの近くでよく人が消えるから近づくなーってよく言ってたよな」

「はぐれ悪魔が原因だったのか・・・」

 

ふつふつ、と怒りが湧く。

 

「俺たちの町でよくもまあ」

「・・・絶対許さねえ」

 

 

 

 

 

廃工場まで、全速力で走った。

 

 

 

 

 

 

 

廃工場にて

 

「匙」

「なんだ?」

「ガイアメモリは準備しとくぞ」

「勿論だ」

 

Joker!!

Xtreme!!

 

『『Open, Gaia Memory throt!』』

『『Load!!』』

『Joker!!』

『Xtreme!』

 

そして、廃工場の扉を開くと。

 

そこには

 

 

 

「あらあら、ボクちゃん達ここに来ちゃダメって言われなかったのぉ?」

 

女性が、居た。

 

「ボクちゃん達も、()()なっちゃうわよぉ?」

 

背後に屍の山を築いた、下半身が蠍の、異形の女性が。

 

「おい」

「なぁに?茶髪のボク」

「それやったの、お前か?」

「そうよ。ワ・タ・シ♡ボクたちも直ぐに連れてってあげるわぁ」

 

そして、女性は針を俺に刺そうとして。

 

 

ガシィッ!

 

「なっ!」

 

俺の左手に、抑えられていた。

 

「死ぬのはてめえだ。はぐれ悪魔」

 

そして、次の瞬間。

 

「ギィイイイイ!?」

 

邪炎が女性を襲った。

 

「お前に()()された命の分、しっかりと贖ってもらうぜ?」

 

Joker Dopant!!

Vrtra Xtreme Drive!

 

 

 

 

――――――――――――――

 

ああ、酷い気分だ。

悪い夢を見ているようだ。

 

『Boost!Explosion!!』

『オォオオオラァアア!!』 

 

「ギャァッ!?」

 

黒い道化師の拳が、私の下半身の外殻を砕く。

 

『燃えろッ・・・!』

 

黒い焔が、私を襲う。

 

「あ゛あ゛ぁあっ」

 

なんで!なんでよ!せっかくあのいけ好かないカスから搾り取るだけ搾り取って殺して逃げられたのに!

なんであたしがァ!

こうなれば―――――!

 

 

 

 

――――――――――――――

 

「離れろぉおおお!」

 

オーラが弾けて、俺たちを飛ばす。

 

「よくも、よくもよくもよくもぉおおお!クソが!下等生物(ゴミ)の分際で!餌の分際でよくも私にぃいいい!」

 

すると、女性は

 

 

『な』

『あれは』

 

ガイア、メモリ――――――?

 

Scorpion!!

 

()()()()()()()()()()()()()()が音声を鳴らして、

 

「がぁ、ああああ!!」

 

『うぇっ』

『うわぁー・・・』

 

女性が、ガイアメモリを飲み込んだ。

 

そして、体が変質して―――――

 

 

女性は、人型の蠍とも言うべき異形へと変質した。

 

『なんだよ、あのメモリは』

『それは後だ匙!あいつを倒すぞ!』

『お、おお!』

『――――――キヒ、キヒャヒャハハハハハ!殺ス殺ス殺ス食ウ食ウ食ウーーーーー!キヒャァ!』

 

そして、蠍―――――スコーピオンドーパントが俺に飛んできた。

 

 

『甘いんだよ!』

 

しかし、拳がスコーピオンの顔面を殴り飛ばす。

 

『ギ!?』

 

そう、相手がドーパントになろうが、関係無い。

こいつは、俺たちの町を脅かした。

俺たちの日常を汚した。

それだけは許さない。

そう、

 

『お前がなんになろうと、俺達はお前を赦さねえ』

 

町を泣かせるヤツらは、俺のこの手で打ち砕く。

俺達が笑顔で暮らせるように。

父さんが、母さんが、俺の周りの全ての人が、

きっと笑顔で、暮らせるように。

笑顔を踏み潰す、全ての『悪』を破壊する。

 

『そういう事だ――――くらいやがれぇ!』

 

匙はラインを伸ばし、スコーピオンドーパントに巻き付けて、投げ飛ばす。

そして、そのまま邪炎を放って火達磨にする。

 

『ア、アアアアアア゛ア゛ア゛!!』

 

邪炎が相手を呪い、焼いて、損耗する。

そして、消耗が激しくなるか、という所で、

 

『なめるなぁあ!』

 

魔力を放って無理やり呪いを外す、が

 

 

『舐めてたのはお前だろ?』

『Explosion! Joker Maximum Drive!!』

 

都合1分、6回の倍加の果てに、ジョーカーメモリのマキシマムドライブを発動させる。

オーラ全てを拳に集中させ、

 

『ぉおおおおおおお!!!!』

 

スコーピオンドーパントに叩きつけた。

 

『ギィイイイイアアアア!!!!』

 

 

瞬間、スコーピオンドーパントは爆散し、はぐれ悪魔も、塵へと還った。

 

 

現場に、壊れたガイアメモリだけが残った。

 

『――――――なにが、起きてるんだ?』

 

謎のガイアメモリ、明らかにおかしい様子だったはぐれ悪魔。

 

何かが、確実に胎動している。

 

 

 

 

 




本格更新遅れてもうた―――――:(´◦ω◦`):ガクブル
補足
今回のはぐれ悪魔は1度スコーピオンドーパントに変身できる人間を捕食していて、アダプタが体内に残り、胃内部に癒着。胃の中にアダプタが発生した為に変身できるようになってしまったのです。それもあり、今回のスコーピオンドーパントは適応係数等も測りきれていないために暴走、破壊後消滅と相成りました


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崩壊のP/世界は悪意に満ちている

ひさしぶりの


――――――――平和とは、薄氷の上に映る虚像である。

 

 

「ここが、駒王町かァ」

 

 

――――――――尊く儚いものであるからこそ。

 

 

「ぶっ壊しがいがありそうだ」

 

 

――――――――壊れるのは一瞬なのだ。

 

 

Violence!!

 

 

『ヒヒッ、ヒャヒャ、ヒャーヒャッヒャッヒャッ!ぶっ壊してやるぜ!平和ボケしたクソカス共ォ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

一誠と匙は、鍛錬も兼ねて学校の裏山を木々の間を飛びながら散策していた。

そんな折、

 

 

「―――――――なんか聞こえないか?匙!」

「んんー、そうだな。なんか音がしてる」

 

ミシミシ。バキッ!という音。

 

「なんか居るのか?」

「気になるな。見に行こうぜ!」

「おう!」

 

 

そのまま軽やかに二人は木々を飛び、音のする方向に向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

しばらく飛ぶと、そこには

 

 

「なっ―――――!?」

「うそだろ・・・!?」

 

 

目が無く、歯がむき出しの頭部。

筋骨隆々で鉄板が刺さった身体。

鉄球になっている左手。

端的に言ってマトモではないその様相は間違いなく――――――

 

()()()()()・・・!?」

 

 

そう、そのドーパントが、木々を薙ぎ倒し、道を拓いている。

何の為に・・・?それは分からない。分からないがしかし。

怪しすぎる。あまりにも。

 

『―――――アァ?見られちまったなぁ?まあいいわ。死ねぇ!!』

そのまま、鉄球を振りかぶってきた。

 

 

「うっそだろオイ!?」

 

『Boost!Explosion!!』

 

即座に力を倍加、解放して籠手越しにガードする。が

 

 

ゴッッッッッッ!!!

 

 

「ギッ…!!!」

 

 

吹っ飛ばされる。でも、ただでは終わらない!!!

 

 

Joker!!

『Open,Gaia Memory throt. Load! Joker!!!』

Joker Dorpant!!

 

『Boost!!』

 

即座に全身を紫のラインが覆い、身体を道化師の如く変成させる。

 

 

「イッセー!!大丈夫か!?」

「大丈夫だ!サジ!お前も早く!!」

 

『死ねぇ!!!』

 

Vrtra Xtreme Drive!

 

瞬間、ドーパントの鉄球を黒炎が押し退ける。

 

『うおっ!?なんだこりゃ!』

 

 

『あっぶねー!!!サンキューヴリトラ!』

『全く。我が分身は危なっかしい』

 

 

イッセーはサジの元に戻って、

 

 

『おい!お前は何が目的だ!!!』

 

『あーん?目的だァ?そんなもん決まってんだろ!!破壊だよ破壊!!!!!この先にある駒王町を破壊するのが()()()の目的だ』

 

『『は????』』

 

『Boost!!!』

 

その言葉に、イッセーとサジは激怒した。俺たちの街を破壊する???急に現れてゲラゲラ下品に笑いながら??そんな事

 

 

『『許せねぇ…!!!!!』』

 

瞬間。ドラゴンの激情に釣られて龍のオーラが溢れ出る

 

 

『おいおい。ドラゴン系神器持ちのガキが()()()()()のガイアメモリユーザーかよ。肩慣らしにゃあ景気が良すぎんだろ!!!!』

 

 

すると、ドーパントの身体から闘気が溢れる。

 

 

『おい相棒。サジ。気をつけろ。あれは闘気。魔力では無いがあれを纏った鉄球の一撃は、今の状態でもかなりキツイ』

 

『『了解』』

 

『Boost!!Explosion!!!!』

 

そして、イッセーは己の激情に従い、溢れるオーラと共にバイオレンスに殴り掛かる。

サジはラインをバイオレンスに伸ばして闘気を吸収する。

 

 

『しゃらくせえんだよぉ!!!!!!』

 

 

バイオレンスは鉄球を振りかぶるが

 

 

 

『フッ…!!』

 

 

手をコロのように転がして鉄球をオーラごと()()

 

 

『なあっ!』

 

 

そのままの勢いで踏み込み、一撃。

 

 

ドゴッ!!!!!!!

 

 

『ガッ…!!!!』

 

 

『追い打ちだ』

 

 

邪龍の黒炎(ブレイズ・ブラック・フレア)でバイオレンスに追撃の炎を与える。

 

 

『ぐぅおおおおおお…!!!陰湿な真似をォ!!!!!』

 

 

バイオレンスは闘気を解放して無理矢理解呪した。

 

 

『そんな不用意でいいのか???』

『何言ってやがる。まだまだ闘気は――――――っ?』

 

 

バイオレンスは急に体制を崩した

 

 

『消費が…激しい…?馬鹿な。そんな量は出して…まさか!!!』

 

バイオレンスはさらに力を込めると

 

 

『これは…!!!』

 

 

()()()()()()()ラインが姿を表した。

 

 

『小癪な真似を!!!!!!』

 

 

バイオレンスは闘気をみなぎらせてラインを引きちぎった。が

 

 

『不用心すぎるぜ?』

 

 

側頭部にイッセーの回し蹴りがぶち込まれる

 

 

『ごおっ…!?』

 

 

そして、サジと同じところに着地し、解放。

 

 

『Explosion!!!』 

 

 

『決めるぞ。サジ』

『おう!』

 

 

そして、黒炎の鎖がバイオレンスを拘束する。

 

 

『くそっ!!!おい!離しやがれ!!!おい!!!!』

 

 

闘気とフィジカルで乗り越えようとするが、無駄である。あの黒炎は吸収した闘気から闘気吸収の能力を得た今だけの特別製だ。

 

 

イッセーは左足にジョーカーのエネルギーを。サジは右足に黒炎を纏い。空高くジャンプする

 

 

『『くらいやがれぇえええええええええええ!!!』』

 

 

ダブルライダーキックとも言うべきそれは的確にバイオレンスをぶち抜き――――――

 

 

『がっ…あ…』

 

 

メモリブレイクに持ち込んだ。

 

 

『さーてと』

『しっかり話を聞かせてもらおーじゃねーの』

 

 

2人はそれはもういい笑顔だったという



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Side Whiteー永遠の白龍皇ー
少年少女、邂逅す。


こちらがリメイク側になります


ーーーーーどこかの研究所

 

 

 

巨大なフラスコの中に存在する少女を、鈍い銀髪の青年が一瞥する

 

「出来た……!やっと出来たぞ!!ホムンクルスが!!!キヒヒヒャハハハハハ!!!これで、これで!!愚かな悪魔に鉄槌g」

 

スパン、と、青年の首が突如として切り裂かれ、あっけなく絶命する。青年の体が倒れると、黒いローブの何者かが現れる

 

「………邪悪な研究が行われていると聞けば、まさかホムンクルスとはな。仕様がない、あの神器オタクの所にでも送るか」

 

 

 

 

 

神の子を見張る者(グリゴリ)』本拠地にて

 

「総督、転移魔法反応です!!」

 

「なっ!?この魔法陣は、アイツの!?」

 

「⋯これは」

 

現れたのは、白いワンピースを着せられて横たわっている七歳程の少女だった。上に紙が置かれている

 

「ん?」

 

紙には

 

この娘はホムンクルスだ

名前がないのでアリア・エーベルヴァインとかいいんじゃないか?

こいつの面倒を見てやってくれ

 

と書いてあった

 

「事前連絡位しろあの野郎………!!?」

 

と、そんな時

 

「あなたは………?」

「と、目が覚めたか。俺はアザゼル。堕天使の総督だ」

「あざぜる、さん」

「お前、名前はあるか?」

 

ふるふる、と、少女は顔を横に振る

 

「なら、今日からお前は」

 

ーーーアリア、アリア・エーベルヴァインだ

 

「……はい!」

 

少女は、万感の思いを込めて、答えた

 

 

 

ーーーーー

 

俺こと、ヴァーリ・ルシファーは『神の子を見張る者(グリゴリ)』に引き取られて幾日か経った頃、アザゼルが「そろそろ顔合わせしても良いだろう」と、いう事でアザゼルに連れられ、幹部の堕天使達と会った。

……しかし、堕天使の幹部はあれでいいのだろうか……?

 

「……お、着いたぞ。ヴァーリ」

「ここは?」

「開ければ分かる」

 

ニヤニヤ、と笑う様子が気に入らない。蹴っておくとしよう。

 

「痛ぁ!?ヴァーリ!お前脛を蹴ったな!?」

「……ふん」

 

と、キレるアザゼルを尻目に、俺は扉を開けようとすると、

 

ガシュゥ。と、先に扉が開いた。

 

「うるさいですよアザゼル総督。……?ねぇ、銀髪の君。君の、名前は?」

 

そこから出てきたのは、絹のように美しい白い髪と、紅玉の様な輝きを持つ赤い瞳の少女だった。

 

「ヴァーリ、ヴァーリ・ルシファーだ」

「ルシファー……?魔王の?」

「ああ。それより、俺はお前の名前を聞いてないぞ?」

「私はアリア、アリア・エーベルヴァインよ。あ、アザゼル総督。ヴァーリ君って何歳?」

「お前の三つ下の六歳だ」

「そうなの!?なら、ヴァー君ね!」

「なっ!?」

 

なんだその呼び名は!?

 

「……嫌?」

 

うっ……そんな顔をされると、断れない。

 

「……ヴァー君でいい」

「うん、よろしくね!ヴァー君!」

 

さて、これからどうなることやら……

 

 

 

 

「あ、アリアとヴァーリは今日から同じ部屋な」

「おいちょっと待てどういう事だ説明しろアザゼルゥゥウウウウウ!?」

「だってよぉ。俺も忙しいし。かといって、お前らをほっとくわけにもいかないだろ?だから、同じ部屋に住んで仲良くなって、ついでに一緒にいてくれたら面倒も見やすいからな。アリアは嫌か?」

「ううん、いいよ!弟が出来たみたいで嬉しいし!!」

「なぁっ!?」

「ヴァー君は、やなの?」

「嫌というわけでは……」

「じゃあいいよね!」

「そうだな!」

 

この後、俺の必死の説得も虚しく、アリアと相部屋になった。

 

 

「ヴァー君!好き嫌いしちゃダメ!」

「嫌だ。なんでこんな苦みの塊(ピーマンなんか)を食わなければならない……!」

 

ピーマンを食べなくたって死にはしないだろう!

 

「いいから食べなさい!それとも、ピーマンも食べれないおこちゃまなの!?」

「なんだと?いいだろう、ピーマン位幾らでも食べてやる!」

 

俺がおこちゃまで無い事を証明してやろうじゃないか!

 

「その調子だよヴァー君!」

 

うっ……やっぱりにがい。

 

 

「ヴァー君、お風呂入るよ!」

「はぁ!?ちょっ、待て!」

 

羞恥心が無いのかこいつは!?

 

「いいからゴー!!」

「うぉおい!?」

 

どうにか振り払t駄目だこいつ力強い!お助けぇええええええ!!

 

「ヴァー君、一緒に寝るよー!!」

「オイやめろ抱き着くnぐぼぁ!」

 

鳩尾がっ!

 

「すぴー……」

「寝るの早いな!?……思えば、こんなに騒がしい一日なんて、アザゼル以外とは初めてだ」

 

俺の鳩尾に頭をグリグリと押し付けながら眠る年上とは思えない少女。

張り詰めていた俺の心を解きほぐしてくれた明るくも不思議な少女。

よくわからない感情が胸に広がっていって、思わず

 

「ーーーありがとう、アリア」

 

感情が、言葉としてあふれ出た。

 

この感情の答えは出ていない。

だが、この少女に恩返しする為に、せめて、せめて、この日常を守れるぐらいには強くなってみせる!

 

 

 

 

 

 

 

「さて、アリアとヴァーリはもう寝たか?」

 

アザゼルは、二人の様子を見るために部屋を覗くと、

 

「……随分優しい顔するようになったなぁ、ヴァーリ」

 

ふと、優しい笑顔を浮かべた。その先には、ヴァーリに抱き着きながら眠るアリアと、それを受け止めながら、穏やかな表情で寝ているヴァーリが居た。

 

「さて、明日からかってやるとするか♪」

 

次の日の朝、今日の事をからかうアザゼルと、それに怒って殴りかかるヴァーリがいたそうだが、それはまた別のお話。

 



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龍皇少年、永遠を掴む/人造少女は幻想を得る

ーーーーー

それは、俺がまだ9歳ほどの時のことだ。

 

ある日、俺は『神の子を見張る者(グリゴリ)』の拠点から少し離れた中庭で軽く修行をしていた。そんな時

 

ヒュゥウウウウウウン⋯!

 

遠くから風切り音が聞こえてきて

 

ズボッ!

 

白い塊が地面にめり込んだ。

 

「なんだ?これは」

『気をつけろ。ヴァーリ。なにか良くないものかもしれない』

 

興味本位にめり込んだ白い塊を掴むと、

 

「なんだ?この小箱のようなものは。スイッチが着いているな。押してみるか」

『Eternal!!』

『ドライグ!?い、いや、声がそっくりなだけか』

「ドライグ?なぜここで赤い龍が出てくる?」

『ドライグの声も、これと同じなのだ』

「なるほどな。⋯しかし、これの用途がわからん。アザゼルに渡すか?」

『それもありだろうな。分からないままでも気分が悪いだろう?』

「ああ」

 

ーーーーー

『神の子を見張る者』は研究室にて。

 

「アザゼル」

「お、ヴァーリか。どうした?」

「これ、何か知らないか?」

『Eternal!!』

 

俺はこの白いヤツのボタンを押しつつ、アザゼルに聞いた。

 

「うおっ!?なんだ?それ」

「わからん。いきなり目の前に落ちてきた」

「そ、そうか⋯わかった。俺の方で調べておくからアリアと遊んでくるか修行でもしてるといい」

「わかった」

 

ーーーーー

そうして、ヴァーリが部屋を出た後。

アザゼルはエターナルメモリに様々な器具を取り付け、端末で情報を閲覧していた。

 

「これは、このUSBメモリには地球の記憶その物が入っているのか!?しかも、これを使うためにはメモリに認められる必要がある⋯ヴァーリは目の前にこれが落ちてきた。と言っていたな⋯適性がヴァーリにあったということか。しかしこのガイアメモリとやら、かなり応用が利きそうな技術が詰め込まれてやがる。これがあれば人工神器の研究も捗りそうだ。⋯そうだ、どうせならこいつを最大限に使用できるデバイスを作ってやろう。ヴァーリの力になってくれる筈だ」

 

アザゼルはそのままメモリの端子部分を見つつ、端末を弄る。

 

「ここには処理が施されていて、適切な物でなければ出力しないようになっているみたいだな⋯しかしのメモリは武器、というよりは鎧の様な物にする為にベルトにするか⋯?夢が広がるなぁ」

 

そうして、アザゼルはまた端末を弄り始め、データ収集に入った

 

ーーーーー

それは、私が12歳の時のこと。

私が学校から『神の子を見張る者』に戻ろうとした時。

 

パシュウウウウウ!!

 

と音を立てて目の前に黄色い光が飛んできた。

 

「これは、USBメモリ?にしてはゴツいけれど⋯スイッチが着いているわね。押してみましょうか」

『Luna!!』

「ルナ?⋯ローマ神話の月の女神かしら。でもなぜ?⋯分からないわね。アザゼル総督に頼むことにしましょう」

 

ーーーーー

『神の子を見張る者』研究室で。

 

「ただいま帰りました。アザゼル総督」

「おお、アリアか。おかえり」

「ねぇ、アザゼル総督。これを知っていますか?」

『Luna!!』

「それ、ガイアメモリじゃねえか!」

「がいあめもり?やっぱり知っているんですね」

「ああ。こいつは地球の記憶を閉じ込めた装置だ」

「地球の記憶⋯?随分と壮大な⋯」

「まぁ、研究途中だがな。実用化できたらこのメモリごと渡すから、借りてていいか?」

「どうぞ。どうせ使い方もわかりませんし」

「ありがとよ」

「あ、それでは私はここで失礼します」

「おう」

 

ーーーーー

アリアが去った後、アザゼルはルナメモリをエターナルの時と同様に器具を付けて情報を閲覧していた。

 

「うーむ⋯これは、ルナメモリは『幻想』か。これならむしろ単体ならドライバーを経由するよりアリアの『神器』に直接装填させた方が早いだろうなぁ⋯」

 

と、言いながらパソコンを打ち続け⋯

 

「しかし、そうなると毒素が心配だな。安牌はベルト⋯か。ただ、ルナメモリは出力が小さい⋯と言うよりは能力特化。尚の事ベルトでの単体出力では力を出し切れるとは言い難い⋯専用のアダプタでも作るか?」

 

カタカタとパソコンを打ちつつ、あーでもない、こーでもないとパソコンを弄る。

 

「やばいな、楽しくなってきたぞ⋯!」

 

と、ハイテンションで研究室に籠り続けた結果、二徹目位でアリアとヴァーリが突入し、そのまま無理矢理ベットに叩き込んだのはまた別のお話。

 

 

結果として、『エターナルメモリ』の端末として『ガイアメモリドライバーVer.1.0』が、『ルナメモリ』の端末として『ガイアメモリアダプタVer.1.0』が完成する運びとなった。




ガイアメモリドライバーVer.1.0
ガイアドライバーとは違い、ガイアメモリを横から装填するような、ガイアドライバーrexのような装填方式をとるドライバー。
このドライバーによる変身では、所謂『仮面ライダー』になる事は出来ない。というのも、アザゼルがまだメモリの毒素の性質を抑えることリソースを最大限向けており、ガイアメモリの力自体の出力法の調整を行っていないからである(使用者であるヴァーリの身体を最重要事項として考えて)。
ガイアメモリアダプタVer.1.0
神器と接続可能なアダプタ。
このアダプタはメモリの毒素を消し、メモリの『能力』を最大限に出力するもので、変身機能を備えさせておらず、神器に性能を付与する事に特化している。また、アダプタであるからかは分からないが、マキシマムドライブ機能を備えている。


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人造少女とラーメンと

ちょっとだけアリアちゃんの力をチラ見せ!


 

ある休日の朝、ヴァー君が出かけた後、私はアザゼル総督と通信していた。

 

「はぐれ悪魔の討伐?」

『ああ、本来なら悪魔側の領分なんだが、そのはぐれ悪魔が、俺たちの研究している『人工神器(セイクリッド・ギア)』の研究成果を盗んで使用してるみたいでな。その尻拭いとして』

「私が抜擢されたと」

『そういうことだ。行ってくれるか?』

「いいですよ。では、行ってきます」

『わかった。無事に帰れよ?』

「それは勿論」

『ならいいんだ。座標は———————だ』

「了解しました。では、転移」

 

 

 

————とある廃工場

 

「————貴方ね?私たちの、『神の子を見張る者(グリゴリ)』の研究成果を盗んだはぐれ悪魔、ヴァルザードは」

 

そこに居たのは、鈍い金髪にメガネ、白衣が特徴的な青年だった。

 

「ええ、そうですよ。小さなレディ?」

「なら、討伐させてもらうわ」

 

私は神器(セイクリッド・ギア)、『呪怨の鎌(カース・デスサイズ)』を展開する。

 

「『呪怨の鎌(カース・デスサイズ)』……確か、攻撃時にランダムでデバフを付加してくる厄介な神器でしたね、なら————」

起動(アクティブ)傲慢領域(フィールド・オブ・プライド)

 

面倒だから相手が何かしてくる前に『傲慢』の力(相手の異能を掻き消す能力。打ち破るには圧倒的なオーラか、禁手に至るレベルの思いが必要)で相手の異能を掻き消す。

格上には通用しないから、相手が格下(最低でも出力は)でよかったよ。

 

「なっ!?神器が!魔力が!発動しない!?何z「せいっ」ぐはぁ!?」

 

取り敢えず鎌で切り裂いて、

 

起動(アクティブ)怠惰(スロウス)付加(エンチャント)————怠惰の掌底(スロウス・インパクト)!」

 

掌底に『怠惰』の力(『動き』の減速)を付加させて打ち込み————

 

「—————禁手化(バランス・ブレイク)

 

禁手で終わらせた。

 

 

 

 

報告の為、アザゼル総督に通信を入れる。

 

「————終わったよ。アザゼル総督」

『やっぱりお前の『力』と相性が良かったか』

「そうだね。実際滅茶苦茶楽に終わったよ」

『そうか、そういえば、ヴァーリもさっき仕事が終わったようだから、一緒に飯を食ってきたらどうだ?』

「うん、そうするよ。またね。アザゼル総督」

『おう』

「さて、行きますか」

 

 

 

 

 

 

 

 

————どこかの町にて

 

「ヴァー君、今日はラーメンにしようか」

「珍しいな。何時もなら『外食なんていけません!』とか言うのに」

「嫌なの?ならやめてもいいんだけど」

「よし今すぐ行くとしよう!」

「現金ねぇ……」

「偶にしか行けないからな!これを逃したら次は何時になるか!」

「一人で行ってもいいのに……」

「家族と行くのは少ないだろう?」

 

————ッ!!う、嬉しい事言ってくれるじゃないの、ヴァー君!

 

「……生意気ね」

「顔が赤いぞ?」

「煩い、本当に外食やめようかs「やめてくれ!?」なら最初からからかわないの」

「俺は本気で言ったんだが」

「えっ」

「本気で言ったんだが」

「なっ、ななな、なっ——————————————」

 

顔が火照る、やばい、駄目だ……!!今見られたら、姉としての威厳が……!あ、でも、ヴァー君ならって何を考えてる私ぃいいいいいいいいい!?

 

「顔が熱いぞ?熱でもあるのか?」

 

おいちょっと待ておでこくっつけるな心臓に悪いからやめろくださいなんでもしますからぁ!?

 

「——————!!」

 

私の頭はショートして、意識は闇に沈んだ。

最後に、ポカンと呆けた顔のヴァー君を視界に写して

 

 

 

 

 

ふと、目が覚めると、

 

「起きたか」

「うん…ごめん」

 

膨れっ面のヴァー君が居た。

うぅ、恥ずかしい……

 

「とりあえず、一緒にラーメン屋行くから許して?」

「……今回だけだぞ」

「ありがと、ヴァー君」

「ふん……」

 

 

 

 

「おいしいねぇ」

「そうだな」

 

二人で食べる味噌ラーメンは絶品でした!

 

 

 



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Side Blackー幼き魔法使いと牙持つ堕天の狗神ー
琥太、狗神と出会う


堕天の狗神編。
基本番外編なので、本筋が進んでも進まないことの方が多いです


俺こと竜胆琥太はヘヴンリィ・アロハ号の事件を見て、学校を魔法人形に任せて幾瀬鳶雄達が巻き込まれるであろう事件の舞台へと向かっていた。

取り敢えず、このままでは補導される事間違いなしなので、年齢詐称薬で誤魔化すことにする。

 

「しかし、何時巻き込まれるかわからないからなぁ⋯長期戦になりそう⋯か」

 

幾瀬鳶雄に会えれば早いんだが。覚醒後じゃないとロクなことにならんからなぁ⋯そこも考えんと。

 

「更には転生者も居そうだからなぁ⋯変な波風を立てる部類の」

 

まぁ、俺も人のことは言えないから何とも言えないけど。

 

「(○○はオレの嫁!系じゃないといいなぁ。居ても。の話だけど)あー、ゆーうつ」

 

さぁーて、探索開始だ。

ーーーーーー

 

探索して数十分

 

「いや、見つけたけどさ」

 

まさかこんなにウツセミに囲まれてるとか思わんだろ!?

 

「取り敢えず⋯この世界の魔術でもいいけど⋯出力メインならネギま!の方がいいな」

 

そのまま魔力を身体に回し、跳躍。そのまま、遅延呪文(ディレイ・スペル)を解放するべく鍵言を言う

 

解放(エーミッタム)!!」

 

 

ーーーーー

俺、幾瀬鳶雄は夏梅さんと、ラヴィニアと街中を探索していた。すると

 

「⋯見つけた」

「「⋯見つけた」」

「「「⋯見つけた」」」

 

「ちょ、ちょっと!多すぎやしない!?」

「どんどん増えてきているのです⋯面倒なのです」

「これはまた⋯面倒だな⋯!」

 

多くのウツセミに囲まれ、ジリジリと距離を詰められつつも、戦闘準備を整え、戦おうとした、その時。

 

「『雷の暴風(ヨウィス・テンペスタース・フルグリエンス)』」

 

雷のような、暴風のような輝きが虚蝉を吹き飛ばした。

 

「これは、魔術なのですか!?」

 

雷の吹き飛んできた方向を見ると、そこには黒髪の青年が居た。

ラヴィニアはウツセミを制圧しつつ、青年に声をかける

 

「貴方は何者なのですか?見たところ、協会の者では無いようですが」

「ただのお節介だよ。困っていたようなのでね。しかも、この人の殻は一般人の様だからね。裏の者として、表の者に危害を加える輩は粛清しなければならない。こちら側の外にしかならないからね」

 

なるほど、筋は通ってる。けど

 

「⋯信用出来ないのです。話が美味しすぎるのですよ」

「まぁ、妥当。というか良い判断だと思うぞ?俺も自分で馬鹿だなぁ。と思っている。まぁ、実際は後ろ盾が欲しいだけさ。裏に入って少ししか立っていなくてな、何かしらの後ろ盾を得ようと思ったら、ここがハイエナ出来そうだったんでな。筋の通ってそうな方を。と思ってそっちを選んだんだ」

 

青年は向かってくるウツセミを一撃で消し飛ばしながら答えていく。

⋯桁違いだ。文字通り。

 

「さて、ゆっくり話がしたいし、そろそろ終わらせよう。『解放(エーミッタム)』っ!『魔法の射手・光の116矢(サギタ・マギカ・セリエス・ルーキス)』!!」

 

瞬間、輝きが瞬き、幾つもの光条が全てのウツセミを消し飛ばす。

 

「申し遅れた。俺は竜胆琥太。宜しく頼む」

 

一瞬で全てを終わらせた魔法使いは、なんでもないように俺たちに笑いかけてきた。

 

そして、ロビー

 

 

ーーーーー

 

「まぁ、今更見栄を貼ってもしょうが無いな」

 

と、俺は年齢詐称薬を解除し、元の姿に戻る

 

「こ、子供!?」

「え!?嘘!?さっきまで⋯」

「ヴァー君くらいの子供なのですね⋯」

 

おお、驚いてる驚いてる

 

「まぁ、子供がこんなとこぶらぶらしてても怪しまれるどころか補導されますし」

 

「でも、親御さんが心配するんじゃないのか?」

「そこはもう対処済みですよ」

 

というか、俺に親はいない。

2年前に『交通事故に巻き込まれて死んだ』という事になっているし、怪しまれもしない。

魔法使いだった両親が手を回してくれたお陰だ。

楽なものだ⋯寂しくはあるが。

 

「まぁ、ぶっちゃけた事を言わせて頂くと、俺は後ろ盾が欲しいんです。まぁ、後ろ盾。というか関わりですね」

「関わり⋯ですか」

「ええ。俺はつい2年前にはぐれの魔法使いだった両親が亡くなりまして。それだけならまだ関わりを持つ必要はなかったのですが、友人が神器の所有者で、かつはぐれ悪魔に襲われてから覚醒してしまいまして⋯」

「な⋯っ!なるほど、それで、関わりを持ちたい。と思ったのですね」

「まぁ、そんなところです」

「それで、その友人の神器はなんなのですか?」

「申し訳ないですが、教えられないです。まだ関わりを持てた訳ではありませんし、なによりかなりのビッグネームなものですから」

「そうですか⋯わかったのです。では、関わりないし、後ろ盾の件は総督に必ずお伝えするのです。安心して欲しいのです」

「ありがとうございます」

 

第一関門⋯クリアだっ!

 

「あ。そういえば、今回の件ですが、首を突っ込んだ以上は、必ず解決までお手伝いしますよ」

「助かるのです。でも、無理は禁物なのですよ?」

「もちろんですよ。友達を置いて死ねませんからね」

 

 

さて、次は第2関門。白龍皇だ。

 



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外法の魔術と四凶の檮杌 前編

話が終わった後のこと。

 

「さて、琥太君はどうするの?このまま此処で一夜を過ごす?それとも、家に帰る?」

「俺の家は駒王の方ですし、学校は分体に任せてるので大丈夫です」

「駒王!?結構遠いわね⋯」

「まぁ、それは兎も角、話によれば明日は鮫島?って人を探すんですよね?」

「なのです」

「分かりました⋯あの、そろそろ寝ても良いですか?割と眠気が限界で」

 

見ればもう夜の10時半。小学四年生程の琥太にはもう眠気が抑えられない時間帯に入るだろう。

 

「ふふっ、良いですよ。部屋は⋯です。おやすみなさい。コータ」

「ふぁい⋯」

 

そのまま琥太は部屋に向かい、ベッドに沈み込んだ。

 

 

ーーーーー

次の日の朝

 

リビングに向かうと、とてもいい匂いがした。

 

「んー⋯?」

 

寝ぼけ眼を擦りながらリビングに向かうと。

 

そこには、野菜スティック、オニオンスープ、ツナサンド、ジャムの添えられたフレンチトーストがあり、エプロンを畳む鳶雄さんと、はしゃぐ夏梅さん、目がフレンチトーストに釘付けなラヴィニアさんがいた。

 

「おお⋯美味しそう」

「あ、琥太君。おはよう」

「おはようございます。鳶雄さん」

「おはよう!琥太君!」

「おはようございます。夏梅さん」

「おはようなのです。コータ」

「おはようございます。ラヴィニアさん」

 

と、俺は挨拶を済ませ、空いてる席の方に向かいつつ。

 

「俺の席ってここですか?」

「うん。そうだよ。おかわりもしていいから」

「⋯鳶雄母さんとお呼びしても?」

「なんで!?」

「もうおかんですよ。その料理スキルは」

 

作る理由に関してもおかんだしな。

 

「まぁ、兎も角ーーーーーいただきます」

 

早速ツナサンドを1口頬張り、オニオンスープを呑む。⋯うん。

 

「凄く美味しいです。鳶雄さん」

「⋯!そう言ってくれると嬉しいな」

 

思わず笑みが零れるような美味しさだ。

横を見ると、夏梅さんも、ラヴィニアさんも舌鼓を打ちつつパクパクとご飯を食べている。

 

「カップ麺の袋を開けたままにしてしまったので、後でヴァーくんにあげるのです」

 

「「ヴァーくん?」」

 

俺は知らない風に、鳶雄さんは本当に知らないのでその名に疑問符を浮かべつつその名前を呼んだ。

 

「このマンションに住む琥太君くらいの生意気な男の子の事よ。カップ麺ばかり食べててね、私達のカップ麺もその子から貰ったの。成長期なのに不健康すぎだわ。今度幾瀬くんの料理を振る舞ってあげてね!」

 

やはりこの世界軸でもラーメン大好きは変わらないか。

 

「あ、夕飯は僕も手伝いますよ」

「え?良いのかい?」

「勿論です。僕も料理は得意ですから。手伝わせて下さい」

「わかった。ありがとうね」

「いえ、当然の事ですし」

 

作ってもらってばかりはなんか申し訳ないからな。

 

「さて、今日の予定だけれど」

 

軽く纏めると、これからの予定は町外れの廃業したデパートに居るであろう『鮫島綱生』の保護で固まった。その為に今朝食を済ませ、マンションから出た。

 

ーーーーー

デパート内部にて

 

「やっぱり、暗いわよね」

 

夏梅さんの呟きは、小声ながら店内に軽く響いた。

 

「ーーーーーああ、そーだな。『侵入者(・・・)』」

 

突然、男の声がした。

 

「なっ!?」

「ウツセミじゃ⋯ない!?」

 

それに対し、ラヴィニアさんと俺は静かに戦闘態勢を取り、鳶雄さんと夏梅さんも仰け反りつつも戦闘態勢に移る。

 

「俺は虚蝉機関の用心棒を務めている。名前を名乗るつもりもない。恨みは無いが、死んでくれ」

 

と言い、こちらに向かってくる。が

 

「随分と単調だな?用心棒」

 

修行で使えるようになった瞬動を利用して用心棒の腹に拳を添える。そしてーーーーー

 

解放(エーミッタム)。『雷の投擲(ヤクラーティオー・フルゴーリス)』」

 

雷の投擲を解放し、雷の投擲槍を排出し、用心棒を突き飛ばす。

 

「鳶雄さん、ラヴィニアさん、夏梅さんは鮫島さんを。俺はこの用心棒を片付けますので」

「⋯わかったのです。さぁ、行きますよ!トビー、夏梅!」

「ーーーッ、わかった!任せたぞ!琥太君!」

「無茶しちゃダメよ!」

「安心して下さい。コイツ程度には遅れを取りませんから」

「ーーー、そう簡単に逃がすとでもっ!」

解放(エーミッタム)、『魔法の射手・光の3矢(サギタ・マギカ・セリエス・ルーキス)』」

「ちぃ!面倒なっ!」

 

そして、走り去る3人を逃がさんとする用心棒何某に『魔法の射手』で牽制する。

 

「⋯さて、無事に行ったな。じゃあーーーー」

 

覚悟しろ。

 

瞬動で用心棒の目の前に接近。そのまま腹に蹴りを入れる

 

「ガッ、ハァーーーー!?」

 

デパートの壁に叩きつけられる用心棒を他所に、俺は呪文を紡ぐ。

 

「アストラ・マ・ストラ・アウストラ!来れ深淵の闇(アギテー・テネプレラ・アビュシイ)燃え盛る大剣(エンシス・インケンデンス)!!闇と影と(エト・インケンディウム・)憎悪と破壊(カリギニス・ウンプラエ) 復 讐 の (イニミーキティアエ・ストルクティオーニス) 大 焔 (・ウルティオーニス)!!我を焼け、彼を焼け(インケンダント・エト・メー・エト・エウム)そはただ焼き尽くす者(シント・ソームル・インケンデンテース)ッ!『奈落の業火(インケンディウム・ゲヘナエ)』!!」

 

呪文を完成。そのまま打ち出す所をーーーー

 

「『術式固定(スタグネット)』!」

 

固定!そうして魔力をこの手に収めて、

 

「『掌握(コンプレクシオー)』!!」

 

この身に浸透させる。

 

魔力充填(スプレーメントゥム・プロ)術式兵装(アルマティオーネ)獄 炎 (シム・ファブリカートゥス・)練 我(アブ・インケンディオー)』」

 

そうして成されるは『闇の魔法(マギア・エレベア)』。ある世界では禁呪とされた邪法にして外法の理。

 

「な、なんだ、それはっ!」

「君に教える必要、あるかな?」

「ちぃっ!」

 

すると、用心棒とやらは神器と思われるものを展開する。火炎を宿した両手⋯『白炎の双手(フレイム・シェイク)』?いや、これは⋯

 

「『白炎の双手』じゃない⋯いや、亜種か?」

「どうだろうな。行くぞっ!」

 

用心棒は両手から炎を噴出させ、加速しながらこちらに殴りかかってくる。

 

「ちっ!」

 

俺の拳と、相手の拳がぶつかり合う。

俺がまだガキとはいえ『闇の魔法』状態の俺と打ち合える⋯!?ただの人間じゃあねぇな。

しかし、瞬動に対応できてなかった点から異形とも思えない。

 

「⋯なんだ?お前は」

「それはこっちのセリフなのだがな」

 

すると、相手はわざと拳を引き、もう片方の拳を叩きつけにくる。しかし

 

「甘い」

 

それをそのまま片手で掴み取り、相手を投げる。

 

「なっ、子供の腕力じゃないぞ!?」

 

相手は炎で姿勢を制御し直し、立て直す。

 

「いつまでも相手をしていられない⋯本気を出さなければならないようだな」

 

すると、相手のオーラが膨れ上がり⋯

 

「『禁手化(バランス・ブレイク)』」

 

瞬間、腕に燃え盛っていた炎は結実し、白く赤い両籠手に、背の方に大きな炎の拳が4つも浮かび上がった。

 

「『巨人の白炎手(ティタノ・バーニング・シェイカー)』!さて、ぶん殴る!」

 

用心棒は俺に殴り掛かりながら、背後の巨大な炎拳4つを飛ばして攻撃を仕掛けてくる。

 

「⋯マジかよっ!」

 

俺は『獄炎練我』の炎の出力を上げ、殴り掛かる。

大きな拳を4連。避けつつ本体とラッシュに入る。が

 

「ぐっ!?拳が、不規則に速い!そうか、ブースター!?」

「気づくのが早いじゃないか。それ、ご褒美だっ!」

 

そのまま速く、重い一発を貰い、飛ばされると。

 

「ぐっ!?がぁあああ!?」

 

焔の四拳に挟まれる。それに伴い、『獄炎練我』も解除された。

 

「まぁ、ガキにしちゃあ、強かったz「解放、『雷の暴風(ヨウィス・テンペスタース・フルグリエンス)』」なあっ!?」

 

しかし、そのまま体制を立て直し、『雷の暴風』を叩き込む。

 

「ちっ、避けたか」

 

まぁいい。これが大事なんだ。

 

「このっーーーーー!!」

 

お返しとばかりに相手側が炎の拳を飛ばしてくる。

が、それを避けつつ、詠唱。

 

「解放、『雷の暴風』。『術式固定』、『掌握』、『魔力充填』、術式兵装『疾風迅雷(アギリタース・フルミニス)』」

 

そのまま、炎の拳を無力化する為、詠唱を続ける。

 

「解放、『雷の投擲』×4」

 

自身を中心に雷槍を発射し、炎の手を壁に縫い付ける。そのまま、瞬動に入る。

 

「その技はもう見切ったぁ!」

 

あいつは着地点と思わられるところに向かって拳を向けるが、それも織り込み済み。

 

拳の少し手前で体勢を変更、拳を避けて懐に入る。そして

 

「何を見切ったと?」

「な、あーーーーー!!」

「解放、『雷の暴風』!!!」

 

至近距離の『雷の暴風』を叩き込んだ。

 

「が、あ⋯!」

 

「⋯っふう。やりすぎだよなぁ⋯これ。」

 

さて、捕縛して、と。

 

「みんなのところに行くか」

 

鮫島さんと会えてればいいんだがな



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外法の魔術と四凶の檮杌 中編

遅れてごめんなさい


敵の処理が終わった為、そのまま追いかけに行く。すると、

 

「ーーー!?」

 

5階の方から不自然な気配(オーラ)の高まりを感じた。

 

「なんだ、これ?烏天狗?鬼?いや、んん???」

 

なんだ、この、混ぜ物のような、そうでないような⋯?

 

ーーーー

 

ところ変わって5階。

 

 

鳶雄達は童門に拘束されていた。

 

「ちょうど、この場に君と縁のある者を連れていたようだ。後方にいる者は前に出なさい」

 

そこには、鳶雄の友人がいた。

 

「⋯佐々木?」

 

昨日魔方陣に飛ばされた友人がここに居た。

 

「昨日、1度君に倒された子だねぇ。けれど、こちらの技術で分身体を再生できる場合もあるのさ」

 

「やめろ!佐々木!俺だよ、幾瀬だよ!」

 

鳶雄は呼び掛けを必死にかけるがーーーー

 

「無駄だぜ。こいつらを操ってるヤツらを叩かない限りは、襲いかかってきやがるのをやめやしない」

 

童門はこちらの反応を楽しみにつつ、佐々木の首を掴み、子犬の頭の刃に詰め寄らせる。

 

「まだ、ヒトを斬ってはいないのだろう?『四凶』とされる君達の神器がヒトの血を覚えた時何が起こるかーーーー実に興味深いとは思わないかな?」

 

「ッッ!!てめえ、卑怯にも程があんだろうが⋯!」

 

それに対し童門は

 

「何を言っている?元はと言えば君達があの豪華客船に乗らなかったのが悪いのだ。それを隠蔽した黒き翼の者達には是非とも文句を言いたいものだが⋯」

 

などと、愚痴を続けていく。そこで一転し苦笑する。

 

「いや、だからこそ神の子を見張る者達(グリゴリ)と呼ばれるのだろうか。神器は神からの贈り物とされるからね」

 

佐々木がこちらに視線を送り、口を動かす。

 

「うらぎりもの」

「佐々木⋯」

 

そうだ。自分は裏切り者なのだろう。あの旅行に参加せず、彼らを巻き込んだ。こんな理不尽なまでに異常な事態に投げ込まれ、化け物の主として級友と戦うよう仕向けられた。

これが裏切り以外のなんだというのだ⋯!?

ふいに鳶雄の脳裏に旅行前の佐々木との会話が蘇る。

放課後、帰り道で佐々木は気恥しそうに言った。

『なあ、幾瀬。俺な、今度の旅行でC組の室瀬にコクろうと思ってんだ⋯』

佐々木は事ある事に室瀬のことを口にしていた。恋路に疎い鳶雄でも、佐々木が彼女に恋しているのぐらいは知りえていた。佐々木は鳶雄の背中をばんばんと叩く。

『もし、もしもさ、玉砕したらその時はあっちで慰めてくれよ!頼むぜ!』

普通の学生だ。佐々木は普通の高校生だ。

勉強して、運動して、笑って、怒って、泣いて、恋する。どこにでもいる普通の男子高校生だ。

 

童門が子犬の刃に佐々木を近づけていく中、佐々木はくぐもった声を発する。

 

「⋯い⋯いくせ⋯」

 

ーーー、自分の、名前?

 

佐々木は無表情のまま。泣いていた。

 

「たす⋯けて⋯」

 

思わず、泣きそうになった。ウツセミであるはずなのに、俺の名前を呼んでくれた、救いを求めてくれた。

 

「これは⋯素晴らしい!」

 

うるさい。黙れ。よくも、俺の友人を⋯!親友を!

 

「まだ意識があるのか!興味深い!彼らを捉えたらーーー」

「⋯れよ」

「ん?なんだい?」

「黙れよ。屑」

「なんだい?いきなり。そもそも君達があの時に参加しなかったのが悪いんじゃないか。ああ、そういえば、君は『幾瀬』か、確か東城紗枝と懇意にしていたというデータがあったねえ。いいだろう。会わせてあげよう。彼女も良いウツセミになってるよ。ああ!思い出した!」

 

紗枝、紗枝が良いウツセミ⋯!?

 

「彼女は実験中いつも『とびお、とびお』とうわ言のように呟いていたよ。ああ。君のことだったか」

 

瞬間、俺の中で『何か』がトんだ。

 

殺意が渦巻く。怒りか迸る。ああ、もうダメだ。俺はこいつを赦せない。

 

あいつが何かを口走っている。聞こえない。聞くつもりにもなれない。

 

こいつが許せない。人の思いを、尊厳を、全てを踏み躙る醜悪な愚物を、何をもって許すというのか。

 

気づけば、心の限りに叫んでいた。

 

「俺に力を貸せェエエエエエエエエ!!お前は《刃》なんだろォオオオオオオオオオオッ!!!!」

 

そうして、体の裡から吹き上がるような力と共に、影から、刃から、歪なる《刃》が突き出る。その刃はウツセミを残さず切り刻み、その残滓を残すことも赦さない。

 

「影からの刃!?なんだ、これは、『四凶』!?いや、そんなものでは無い!これは、最早ーーー!!!」

 

「去ね」

 

そのまま、刃が童門(クズ)の右手を斬り落とす。

 

「ギィアアアア!?」

「叫ぶな」

 

耳に障る破れ鐘の音を遮るように、第2の刃を右太腿に刺す。態とより歪に、刃毀れさせながら創った刃だ。

 

「ア゛ア゛「叫ぶなと言っただろうが」」

 

第3の刃が、童門(クズ)の顎を撃ち抜く。態と鈍に、そして先を尖らせずに創った刃は鋭い刃とはまた違う苦痛を与えた

 

「ゴ⋯ア⋯!貴様ァ!許さん、許さんぞ!来い!『星熊天狗』!!!」

 

瞬間、少女が召喚された。

 

「呼出に応え、推参しました。命令を、主」

 

その少女は異質だった。鬼のような角に、白い髪と赤い瞳、そして白い鳥の翼。その少女は一切の感情を抜き取ったような声で話している。

 

「あそこの『狗』使いを行動不能にしろ!」

「諾」

 

少女は俺に斬りかかってくる。が

俺は刃を出現させ、足止めしつつ。

 

「あがああああ!?」

 

細かい針のような刃を童門(クズ)に刺す。

 

「うぐううううう!?何をやっている星熊ァ!早く殺せ!使えぬ塵め!早く『忌手化(フォビドゥン・ブレイク)』しろ!」

「はっ。『忌手化(フォビドゥン・ブレイク)』」

 

瞬間、異質なオーラか周囲を包む。なにか、合わさらないふたつが合わさったような。気持ちの悪い感覚。言葉に表せない、醜悪な『ナニカ』。その澱んだ黒い、瘴気にも似たオーラは、少女を包み、少女を少女ではない『ナニカ』に変質させる

 

『ッーーーーガァアアアアアア!!!』

 

黒いオーラが晴れると、そこには、怪物がいた。

 

灰色の翼、赤く長く、太い鬼の1本角。白目が黒く反転し、赤い瞳の瞳孔は縦に割れている。黒いオーラは鎧のように少女の各部に取り付けられ、右手には黒く侵食された剣が現れている。

 

「ふっ、ふはははは!どうだ!我らが研究!人に取り付けることで人を変質させながら式神とする術!呪器(カースド・ギア)!いくら化け物とはこれには勝てまい!」

 

おい、まて。こいつは今、なんと言ったーーー?

 

「おい。童門(クズ)今、なんと言った。人を式神にって言ったか?」

「は?ああ。言ったが?」

「何故した?なんで、こんな事が出来る。あの子はまだ幼いだろう!?」

「何を言ってるんだ、お前は?」

 

心底分からない。という顔で宣う童門(クズ)はこう続けた。

 

「あいつはアルビ二ズムの烏天狗の半妖。忌み子として捨てられ、のたれ死ぬところを私達が保護してやった。であれば、()()使()()()()()()()()()だろう」

「ーーーそうか、もういい。話すな」

 

返しの着いた刃を、童門(クズ)の顎に突き刺し、口を開けなくした。

 

「ぐぶぅ!?」

 

主に危害を加えた事で、少女ーーーであったものが俺に襲いかかる。

 

「速っ」

 

刃が俺の眼前に迫りーーー

 

突き刺さーーーー

 

解放(エーミッタム)雷の斧(ディオス・テュコス)

 

る前に、雷が迸り、少女であったものを吹き飛ばした。

 

「変なオーラが気になって急いでみれば⋯随分苛つく事態になってますね⋯鳶雄さん。あの娘は任せてください」

 

まるで、ヒーローのように。頼りになる少年が降り立った。



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外法の魔術と四凶の檮杌 後編

1時間前に中編投稿しました


「変なオーラが気になって急いでみれば⋯随分苛つく事態になってますね⋯鳶雄さん。あの娘は任せてください」

 

どうにか5階に到着し、あの鬼の女の子を吹き飛ばした。

 

「わかった。ありがとう、琥太君」

 

その言葉と共に鳶雄さんは無数の刃で童門を斬り刻みにかかる。その時

 

「計久ッ!ここは引け!その実験体で足止めをするぞ!」

「姫島室長!」

 

その名前に気を取られた鳶雄さんは、少し行動が止まった。その隙に童門はフラッシュバンのようなものを発動させる。

 

「面白い。いずれまみえようーーーー『狗』よ」

 

そのまま、童門は転移した。

 

ーーーー少女を置いて。だ

 

「ーーーーーーそうかよ。クソッタレめ」

 

成程。ハナから回収するつもりは無かったようだ。足止めーーーーつまりは捨て駒。恐らくこの状態には何らかの不具合があるのだろう。

 

「鳶雄さん。みんな。ここは退いてください。ボクがこの娘を鎮めますので」

「なっ、そんな、君だけに任せる訳にはーーー」

「鳶雄さんの体力、もうほぼないでしょ?それに、気になる事もある筈だ。ここは僕にまかせてください。この娘も助けてみせます。それにーーーーー」

 

今からの僕の姿を、貴方達に見せたくない。

 

「ーーーわかったのです。行くのですよ。トビー」

「でも!」

「コータなら大丈夫なのです。コータを信じてあげてください」

「⋯わかった。琥太君、死なないでくれよ」

「絶対、無理しちゃダメよ!」

「⋯死ぬなよ」

 

その言葉に、僕はそっと、サムズアップで返した。

それを見て、みんなは駆け出していった。

 

「ーーーさて、行くぜ?」

『ガァアアアアア!!』

 

女の子は、超加速して俺に向かってきた。成程、これは雷の精霊の力だ。恐らく神器(セイクリッド・ギア)だろう。

 

解放(エーミッタム)エグゼキューショナーソード(エンシス・エクセクエンス)

 

右手の手刀を魔法の冷たい刃が覆う。

 

その剣で、相手の剣を受け止める。

 

『ガァアアアアッ!』

 

成程。獣の様だ。まるで、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

いや、考えられてなどいないのだろう。これは言わば生体兵器を作る為の技術だ。

兵器に情など不要ず、自我など非ず、怯え等以ての外。

だからこそ、こうしたのだろう。

 

「巫山戯るなッ⋯!!!!どれだけ人の心を踏みにじれば気が済むんだッ!」

 

手刀を押し込み、弾く。

 

解放(エーミッタム)(・エト・)固定(スタグネット)千の雷(キーリプル・アストラペー)掌握(コンプレクシオー)術式兵装(プロ・アルマティオーネ)雷天(ヘー・アストラペー・ヒューペル・)大壮(ウーラヌー・メガデュナメネー)』」

 

そうして、この身に雷を降ろす。

 

『ッ!ガァアアアアアア!!!!!』

 

女の子は、黒い雷を剣に宿して、鬼の気と烏天狗の気を放出させる。この状態がやばい。と察したのだろう。そうして、鬼の気と烏天狗の気を複合させて、精霊の雷と合わせる。そのまま、駆け出してきた。

 

「ーーーー『雷速瞬動』」

 

瞬間、身体が雷化して、雷の速度で駆け抜ける。

 

解放(エーミッタム)魔法の矢・雷の100矢(サギタ・マギカ・セリエス・フルゴーリス)。雷華天掌ッ!」

『ガァッ!?』

 

女の子に掌底を当てて、魔法を解放する。

 

とは言え、これではダメだ。救えない。外部でダメージを与えるのでなく、内部から。精神(ココロ)の側から救わねば。ただ、それを今行っても外側で殺される。であれば、

 

「捕縛、封印か」

 

幸いな事に、戒めの風矢もストックしてある。ついでに結界魔法で封印しつつリンクを繋げよう。

 

腰のベルトから7つの杭を取り出し、雷速瞬動で定位置に配置、6つの杭の中心に最後の1つを置く。瞬間、杭に仕込まれた機能で、全ての杭がリンクし、魔方陣を作る。

 

『ガッ!?』

 

いきなり浮かびあがった魔方陣に警戒する女の子に雷速瞬動でまた近づく

 

『ガアッ!』

 

しかし、女の子は雷速瞬動に対応してカウンターを放とうとする。が。

 

「織り込み済み」

 

バックステップを行い、更に懐に潜る。そして女の子に掌を向けて、

 

解放(エーミッタム)魔法の矢・戒めの風矢×100(サギタ・マギカ・アエール・カプテューラエ)

 

そのまま、100の風が女の子を捉える。

 

「『邪鬼封縛結界(Ogre capture field)・6重展開(Sextuple expand)』」

 

そうして封縛結界を貼り、万全を期す。

 

「『思念接続(Mental connection)』」

 

そして、少女の精神内部まで侵入する。

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

そこは、濁流だった。

 

殺意と悪意に溢れた醜悪で悪辣な絶望と羨望に塗れた黒い流れが心を侵し、怒りと悲しみと妬みと嫉みと怨みに溢れたココロ(セカイ)が信念を手折る。

 

「ッーーーーー」

 

思わず、愕然とする。この様なココロが、あっていいのか。虚蝉機関が、そのようにしたのか。あるいはーーー

 

いや。今はいい。今すべきは救出だ。詮索ではない。

 

黒い流れを進む、進む、進む。

 

心の中に、景色が浮かぶ。

 

ーーーーー

 

『忌み子め』

『死ね』

『里に不幸を運ぶな』

『生まれて来なければよかったのだ』

『人との間に生まれた半端者の上、忌み子であるとは業が深い。せめて安らかに殺してやろうか?』

 

ーーーーー

 

こんなものは断片だ。欠片だ。この子が受けてきた物の1部に過ぎない。

 

だというのに、涙があふれる。

 

このような物はただの同情に過ぎないし、安い偽善かもしれない。でも、俺はーーーーー

 

「この子を、助けたい」

 

どんどん、どんどんと進んでいく。その度に、悲しみが溢れていく。

 

この子のココロの根源まで行って、そしてーーーーー

 

 

 

小さな白い子に出会った。

 

絶望と悲しみによって顔から感情は消え失せ、その瞳には輝きすらも宿っていない。失望と諦観の澱みが宿るのみである。

 

ふと、目が合った。

 

「なんだ、お前は?」

「君を助けに来た者だ。」

 

そう言った瞬間、少女の目に溢れんばかりの怒りが生じた。

 

「嘘だッ!!お前と同じ事言った人は!私を実験台にした!優しくして、私を騙して!私の事をっ!お前もそうなんだ!私が()()()()に捨てられたから!今度はお前が私をーーー!!!!」

 

そう叫ぶ少女を抱きしめる。

 

「おい!何をする!やめろ!はなせ!私はっ私はっーーーー!!!」

 

声が歪む、泣いているのだろう。俺の肩には熱い液体がぽたぽたと落ちてきた。

 

「なんで、なんで誰も私をたすけてくれないんだっ!こんなに苦しいのに、悲しいのに!たすけてくれたひとだって、私をっ!私はっなんのために生きてるんだ!私は、わたしはなんのためにいきればいいんだっ!」

 

「だったら」

 

少女の叫びに、俺は答える。

 

「君が生きる理由を見つけられないなら!俺が一緒に探す!だから、俺と一緒に生きよう!俺は君を見捨てない!君がどこに行っても、何処に連れ去られても、俺が君を助けてみせる!救ってみせる!俺が君の味方になる!」

 

「会ったばかりのお前を信じろって言うのか?」

 

「馬鹿な事を言ってるって分かってる。それでも、信じてくれ」

 

「馬鹿だなあ。私なんて見捨てて殺してしまえばよかったのに」

 

「そんな事は、絶対にしない」

 

「お人好しめ。ーーーーーありがとう」

 

泣きながら笑顔を浮かべる少女はすごく綺麗で、なぜか、心がザワついた。

 

「俺は竜胆琥太。君は?」

「私はーーーーーいや、今までの名前は要らないな。頼むよ。琥太。君が私に名前をつけてくれ」

「え?」

「私を捨てた親は、私に名前なんて付けなかったし、虚蝉機関の奴らは、『壱壱漆號』とか、『星熊天狗』としか呼ばなかった。そんなの名前じゃあないからな。お前が着けてくれ。苗字は竜胆以外認めないぞ?」

 

と、悪戯に笑う少女は可愛らしくて、きっと、本当の少女はこうだったのだろう。と、思った。

 

「わかった。うーん、そうだな、怜。竜胆怜なんてどうだろう」

 

怜⋯清らかに澄んだ心。という意味だ。

 

「怜⋯れい。うん。いいな。私は竜胆怜。これからよろしく。琥太っ!」

 

ああ、やっぱり。いい笑顔だ。

 

助けた甲斐があったってモノだ。

 

 

 

 




プロフィール

竜胆怜

烏天狗と人間のハーフ。アルビ二ズムで、白髪と赤い眼を持つ。更には神器(セイクリッド・ギア)雷精の霊刀(ヴォルト・ブレイド)』を持つため忌み子として捨てられ、空蝉機関に拾われる。その後戦士兼実験材料として育てられ、呪器(カースド・ギア)の実験台として第一号機たる『式神鬼哭(オニナキ)』を植え付けられる。今後は琥太と共に行動する。

雷精の霊刀(ヴォルト・ブレイド)
雷の精霊ヴォルトが封じられた刀型神器。使用者の身体を雷で強化したり、刀身に雷を纏ったり等、雷を操る神器である。

呪器(カースド・ギア)

神の子を見張るもの(グリゴリ)の人工神器(セイクリッド・ギア)技術と空蝉機関⋯ひいては五大宗家の式神等の技術によって作られた()()()()()()()。呪器は装着者を()()。それにより装着者を封じ込められた種族に近づけながら隷属させて式神化する外法の呪具。

呪器壱號機『式神鬼哭(オニナキ)
鬼の角型の人工神器で、装着者に植え付けることで効果を発揮。封じられているのは『星熊童子』で、五大宗家に封印されていた鬼の一人。


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