だらけきった鎮守府 (ディン)
しおりを挟む
第1話 ROMANCE DAWN -海兵の夜明け-
これは完結させたいなぁ……
「ん?」
夢?
にしちゃあ……リアルだなオイ。青い空に、輝く海。浜辺…………。おかしなこともあるもんだ。布団に入って寝たってのにいつのまにか浜辺にワープか?ゲームのチートじゃねぇんだから……。
「んん?」
立ち上がって更に違和感。
視点が妙にたけーな……。服も見慣れねーものだし鏡でもあれば確認出来そうだが……
その時近場で爆発音が響く。
かなりの轟音だった筈だが俺はちょっと顔をしかめる位で終わった。(あくまで個人見解だが)
「なんだなんだ?」
どうやら轟音は島の反対側から聞こえてきたようだ。
浜辺は反対側まで続いているらしく沿って行けば直ぐに着きそうだが……
と、ここであるものが目に付いた。チャリンコだ。砂浜にかなりの存在感を有して其処にいる。俺はそのチャリンコに見覚えがあった。通称"青チャリ"と呼ばれるワンピース内の海軍元大将 青キジのチャリだ。
段々だが俺が誰になったのか察し始めた。見慣れない衣服に異常に高い視点、そして……ああ、やっぱりそうだ額に青色の目隠しがある。
俺は 海軍大将時代の青キジになっている……。
「おーおー。ありゃあ艦娘だな。」
身体の事は後回しに島の反対側まで回りチャリと同じく砂浜に落ちていた小型バッグから双眼鏡を取り出し観察する。
にしても身体はクザンのくせに世界は艦これとか随分とご都合主義だなオイ。
そんなことはどうでもいいな。この局面を乗り切れれば考える時間は山程ある。
さて、友軍編成はざっと見たあたり
阿武隈改二、睦月改二、如月改二、朝潮改二丁、霞改二、荒潮改二か。恐らく遠征だろう。だが敵艦と対峙する彼女たちの顔には恐怖が読み取れた。
遠征任務光景を見たことがないから言えた事じゃあ無いがいつもとは違うヤバイ奴と会敵でもしたのか?と双眼鏡を横にずらして行くとその疑問は納得に変わった。
あの禍々しい偽装は他でもない戦艦棲姫いや片角だから戦艦水鬼だな。どちらにしても彼女達には恐怖でしかないだろう。
「なんて事……!皆!奮起して!!ここで沈む時じゃないわ!!」
今日は全くもってツイてない。そう思ったわ。遠征中に鬼しかも戦艦水鬼に出くわすなんて……私以外の皆は大発のみ、かという私も大発と少しばかりの魚雷のみ……。
ああは言ったもののこの装備じゃあ背中を向けて一目散に逃げきるしかない!!
その数秒後に水鬼に砲撃のような攻撃があったの……小さな小島から……。
「……だれ?」
「…………?」
「あ、あれって……まさか!」
「あ…………」
「なんの……冗談ですか?」
「オノレ……!」
小島の浜辺、その視認できる場所に腕をクロスさせた気だるそうな表情で白と青基調の服装の男が居た。
その男からの攻撃によりキレた水鬼が男に大将を切り替え砲撃を繰り出した。
「あ〜。お嬢ちゃん達〜。早く逃げなよ。面倒くさいが俺が受け持つから。」
俺がそう言うと彼女たちは直ぐに反転し帰港を開始した。しかし先程の声で艦娘達が撤退し始めたのに気づいたのか水鬼は再び艦娘達に砲を向ける……
「アイス
初めての実戦だってのに全くもって能力の暴走がない。体が覚えているのか?
先程の両棘矛も全て奴の禍々しい偽装に当たり見事に煙を上げた。
「オノレ!!イマイマシイガラクタメッ!!」
水鬼は懲りもなくこちらに向けて砲を構える。
能力がキチンと出せるなら此奴も難なく出せるか……?
ちゃぷ……
海水に手を入れ言う。
「
見える範囲全てが氷の世界へと変化した。ある程度加減したからか周辺諸島までは氷漬けにはなってはいない。
水鬼は艤装を氷漬けにされオロオロしている。
「ナッ!?ア?」
なんだこの可愛い表情は。ゲーム内じゃあ表情なんてあまり無かったし新鮮ちゃあ新鮮かな。
俺はゆったりとしかし確実に凍り付いた海を水鬼に向かって歩く。俺が近づく毎に水鬼は後退りしようとするも足首が凍り付いて動けないようだ。
便利だよなぁ。
「あらら……悩殺姉ちゃんスーパーボイン。今夜ヒマ?」
「…………ッ!!ハナレロォ!!」
バギィンと嫌な音を立てて俺の身体が奴の裏拳で吹っ飛んだ。いやーなんていうかね自分の身体が吹っ飛ぶところが見れるなんてレアだよな。
なんでそんなに冷静かって?
「んァア〜。ひどい事するじゃないの……」
「バ……バケモノメ……ヨ、ヨルナッ!!ヤ、ヤメロ!!」
化け物……ね。
「アイスタイム」
「アンタらに言われたらお終いだな、そりゃあ。さて……」
バギィン、ズガン!!
海に沈んでまた戦う日々に戻るならここで何もわからないまま粉々になった方がいいだろう……。
んじゃあ、ま。彼女達でも追いかけるかね……。鎮守府にいければ今のこの世界の状況を聞けるだろうしな。
「よっと…………おっとっと。」
俺は浜辺に打ち上げられていたチャリを立て直し漕ぎ始める。期待に胸を躍らせながら。
(後で覇気の練習もしとくべきかもな……)
SKS クザンの番外コーナー
「とりあえず青キジ知らねーって奴の為に簡単な説明どーん。」
tips 青キジ
漫画ワンピース内の正義の代行者 海軍の大将。だらけきった正義を掲げているが一昔まえは燃え上がる正義という真逆の正義を掲げていた。主人公麦わらのルフィが絡んだ頂上戦争ではルフィのみならず最強と言われる白ひげとジョズに対峙した。
頂上戦争後は元帥後継を同じく大将だった赤犬とパンクハザードで争い、敗戦。海軍を去る。その後の彼は神出鬼没。
「ま、こんなもんだな。なに?わからない?ならググれ。調べた方が100%安心だ。」
主人公
ふつうに会社に通いふつうに生きていた男。何故か大将時代の青キジに転生し艦これ世界の小島に打ち上げられていた。
阿武隈改二以下6隻
遠征帰りの途中逸れたのか護衛も連れずの水鬼に見つかり撤退戦(勝ち目なし)を余儀なくされるが青キジのおかげで難を逃れる。
戦艦水鬼
厄介なやつ。額から伸びた片側だけのツノが特徴的。棲姫どうように異形の艤装を伴っている。
クザンとの戦闘によって艤装もろとも氷漬け&バラバラにされた。
「上記は今回でてきた奴らだな。さーて無事にあの6人と合流できるかねぇ?」
クザンの氷河世界について。
原作では氷河世界は広範囲の海を凍らせ生物全ても凍りついていますがここの転生クザンさんは加減が可能で対象を除くこともでき周辺諸島、家屋なども意識して除外することが可能なスゴイ(小並)仕様。
「さて、この辺りで第1回SKS を終わりにしよう。またな!」
目次 感想へのリンク しおりを挟む
しおりを挟む
第2話 "脅威"
E2の空襲がえぐすぎる。
「あらら。」
先程助けた6人はしばらく行くとまるで待っていたかの様にその場に待機していた。
「オタクら、なんでこんなトコに待機してるんだ?海の天候は気ままだ。さっきの奴等もいつ出るかわからんぞ?」
「助けてもらった手前見捨てる選択は取れなかったにゃし……」
「阿武隈さんに無理して頼んだのは誰だったかしらねぇ?」
「霞!言い過ぎです。」
「あらあら〜。やっぱり本物なのね〜?」
「…………」
「辺りの安全確保が出来たので睦月ちゃんの提案を飲んだまでです。とりあえず鎮守府に案内します。」
彼女達からの反応は各々だったが睦月はどうやら敵勢地だというのに旗艦である阿武隈に無理言って待機していたらしい。
だとしてもだ俺が水鬼との戦いでやられる又はどちらも死ぬという可能性は考えなかったのか?
「まー…其奴は有難いんだが、
悪魔の実の能力者で海を渡れるのはレアケースだがこのチャリ移動は海の表面を凍らせながら走る為どうしても追跡されやすくなる。
もっとも鎮守府埠頭から近海を氷漬けにすれば奴等は出てこれなくなるが彼女達が出撃できなくなるのでNGだ。
「大丈夫です。先程私たちの提督に話を通して小舟を手配しましたから!」
どうやら阿武隈は俺が思っている以上に色んな事柄を見ているようだ。……お言葉に甘えるとしますかね。
しばらくすると鎮守府があるだろう方面から船を伴った護衛艦隊がやってきた。
遠征部隊の阿武隈達と俺は船に乗り鎮守府へと向かうことになった。
「改めてありがとうございました!!貴方のおかげで無事にあの危機を回避することができました。」
「いや、まー。なんてゆーかね。可愛い女の子が襲われてたから守ったまでだからそんな感謝いらねーよ。」
「あの……青キジさん?ですよね?」
「んん?なんで知ってんだ?」
阿武隈達それに護衛に来た子達もそうだが皆青キジを知っている。それはこの世界にも漫画ワンピースは存在するようで鎮守府にもファンがいるらしい。(秋雲がワンピースの同人誌を一時期描いていたらしいが聞くのはよそう。)
「なるほど……別次元の世界……ね。」
「驚きとか無いわけ?いきなり違う価値観の世界に飛ばされたら混乱すると思うけど。」
「海軍はこっちでも存在してるんだろ?なら俺のやる事は正義を成す事……だな。ま、敵の対象が違うぶん全員殺さなきゃあならんのが心苦しいがな。」
今気づいたんだがやはり身体が大将時代だからか先に起こる決闘などは記憶には無かった(自分の中にはちゃんとあるが…)
と談笑していると船が停止し外から鎮守府に到着した旨が伝えられる。阿武隈達の後ろに付いて埠頭へと足を運ぶ。
と、外の景色が見えた瞬間眼前に違うナニかが見えた。
「"アイスサーベル"!」
咄嗟に船に設置されていた手摺を凍らせ勢いよくナニかと自らの間に滑り込ませた。
キィン!
派手な金属が鳴り響く。どうやら刀のようだ形からして天龍型の……やはりそうだ、眼帯に頭の両端に耳の様な艤装が浮遊している。天龍だ。
彼女はニヤリと笑うと再び刀を振り上げたがそれは怒号によってストップした。
「やめなさい!!天龍!!」
ビリビリと空気が振動する。天龍は興が削がれた様に呆れ顔で其方に振り返る。
其処には白い軍服と軍帽を被った女性と赤城、大淀がいた。
「なんだよ提督。提督だろ?この男は脅威になるって言ったのは。」
「私は彼との接し方次第では脅威になり得るかもしれないと言ったのだけれど…………」
「天龍さん。貴女は少し話を聞いて考えてから動いてもらいたいんですが……」
どうやらここの天龍は喧嘩っぱやいようだ。俺は船の手摺を勝手に折ってしまった事を謝罪する。
「あー……スマン。手摺を折っちまって……金が共通だったなら弁償出来たんだが……」
「謝るのはこちらです。申し訳ありません……。彼女には悪気は無かったので許してください。ほら!天龍も謝りなさい。」
「嫌なこった。」
「ふざけやがってぇ!!(cv.玄田○章)」
(筋肉式説教)
「す……すぴ……すぴませんでした……」
「お、おう。」
「とりあえず執務室に案内をします。そこで経緯など聞かせていただきますね?」
「そうしてもらえると助かる。」
「誰かこのタンコブを入渠させてくれる?」
「じゃあ私が連れて行くわぁ〜?ねぇ?天龍ちゃん。頭を冷やしましょうね〜」
天龍がヤバイの目の龍田に連れて行かれた。天龍の方は……放心してるな。南無。
「ほら皆も見世物じゃ無いわよ!各自戻りなさい!!…………クザン大将。こちらです。」
「こっちじゃあ、大将じゃねぇんだがなぁ……」
「同じ海軍ですし変わりませんよ。」
こうして俺は一波乱あったものの鎮守府構内に足を踏み込んだ。
tips
護衛艦隊
小船の護衛としてやってきた6人。のちのち出して行くのでクザンとの絡みなんか期待していいんじゃない?
提督
女性
180cm
髪は茶。筋肉モリモリマッチョマンの変態だ。という訳ではない。
天龍
手が先に出るタイプ。喧嘩っぱやい。妹の龍田には頭が上がらず連行される際には断末魔をあげるか放心状態になる。
龍田
こわい。
目次 感想へのリンク しおりを挟む