OSERO【狐野家長男あべこべWORLD】 (のり塩ぽてち)
しおりを挟む

1・母さんは美魔女、俺は籠の鳥



 急にオリジナル作品が書きたくなったので




 

 

 人生は摩訶不思議アドベンチャーだ。

 

 

 今日もいつもどおりに高校に行き、夏場の女の子のスケブラを期待しながら鼻歌交じりに通学路の河川敷を歩いていただけなのにどうしてこうなった。

 

 気付けばいつも見慣れた建物はスタイリッシュに、道路や標識が見たこと無いデザインに変わってる。

 それよりもだ、周りにいるのは全員『女、女!女!!!』ってなんだこれ。俺に気付いた周りの子たちは全員が全員ガン見よ、ガン見。・・・どうしよう、なんかざわつき始めた。そのざわつきに一緒に混ぜて?お願いだから仲間にしてください。

 思いが通じたのか一人の女の子が手を伸ばし「あの・・・」って言ってく・・・

 

 

 アカン、女の子がそんな顔したらアカン。

 

 

 なんていうのアレ、捕食者の目ってやつ?

 氷を背中に突っ込まれたような感覚に陥り、頭の中は全力アラート。気付けば全開ダッシュで坂を駆け下り、覚えてる道順通りに自宅へと走る走る走る!

 部活のバスケで鍛えた健脚を発揮し、デザインが大きく変わった玄関のドアにたどり着き、あたふたしながら鍵を突っ込むも『あ・か・な・い!』よねそりゃ。

 

 絶望を感じながら玄関の横にズルズルと座り込む。

 遠くから俺のことを探す声が近付いてくる。俺は『いや、おかしいだろ』とか『なんでこうなった』とかぐるぐると考える。

 

 『うん、詰んだな』と諦めた瞬間にゆっくりと鍵が開き、『あ、やべ』と思ったけど脱力して体が動かない。

 そこから扉が少しづつ開き、こちらを見つめるのは怪訝そうな顔をしながらこちらを見つめる爆乳美女。

 

 

 

 しばし見つめ合うこと数秒、つい「助けてください。」って言った馬鹿がいたんだよ。・・・俺だよ、笑えよ。

 

 でも「あ、よければどうぞ。」って家にあげてくれる美女もどうかと思うんだ。

 

 中に入ると4人の美女と美少女がそれぞれ片手にフライパンとか持ちながらこっちみてポカンとしてんの。なにこれかわいい。

 

 

 

 ぐだぐだのまま客間に通されて俺は一人用ソファに案内され、対面には5人の美女と美少女たちが緊張した面持ちで正座してる。

 なんかいたたまれない気持ちになりながらも間取りだけ同じな『元自宅』を眺める。いや、わかってたさ、ここは違うんだって。・・・あ、なんか涙出てきた。

 

 

「どっ、どうした!?ソファが硬かったか?か、母さん!ソファ買ってきて!」

 

「そうねっ!きーちゃん、ほーちゃん付いてきなさい!」

 

「「まっかせて!」」

 

「いや、ねえちゃんたち。ちょっと落ち着きなってば。ほら美玲おねえちゃん、おにいちゃんポカンとしてんじゃん。」

 

 

 しまった、やらかした。

 いきなり知らない人が家に助けてくださいって言われて、中に通して泣かれたらそりゃわけわからんわ。

 

 

「失礼しました。ちょっと俺も混乱してまして、急に知らないところに飛ばされてわけもわからないまま逃げてきたので。まずは自己紹介を、わたくし『狐野 魅音(この みおん)』と申します。」

 

「・・・ん?狐野?」

 

「はい、こんな突拍子もないことを急に言って頭がおかしいのかと思われても仕方がないのですが。多分、俺は違う世界からきたのかも知れません。ここに来たのは俺が住んでいたところと同じ場所がここだったので、急に女性に追われて河川敷からなりふり構わず逃げてきました。」

 

「ちょっと待って、魅音君でいいかな?学生服らしきものも着てるし、何か学生手帳とか持ってないかな?」

 

「あ、あります。どうぞ。」

 

 

 まだ長髪だった頃の写真が写った生徒手帳を渡してソファに座り直す。ダチに『オンナみてぇ』とか言われてたから嫌なんだよな、あの写真。ん?・・・ってかよく見たら一番若い子、あの頃の俺にちょっと似てるな。自分に美少女って思ってたのか、ちょっと凹む。

 

 あれ?なんか5人でひそひそ話してね?うわーい、またぼっちだーい。

 

 と、少しすると美魔女と言ってもいい、先ほど『母さん』と呼ばれた方がこちらを真剣な目で見つめる。やめて、そんな目で見られたら浄化されちゃう。

 

 

「魅音君、ひとまず自己紹介をするわ。私は『狐野 亜実(この あみ)』とい・・・

「ちょっと待って!それ母さんの名前じゃないか!」

 

「えへへ、母さんって・・・ねぇ聞いた?母さんって。」

 

 

 なんだこれ、名字が『狐野』で『亜実』は母さんの名前だ。けどうちは俺が生まれて間もなく母さんは事故で無くなったって聞いている。俺はこれまで父さんと二人三脚で今まで生きてきた。

 父さんが『写真を見ると悲しくなるから』って言って処分したらしいから俺は母さんのことは一度も見たことはない。確かに美人だったって聞いているけど・・・『えへへ』ってかわいいなぁ!もぅ!

 

 

「じゃ、父さんは!?『狐野 貢(この みつぎ)』はこの世界にもいるのか!?」

 

 

 首を振られる。どうやらここでは精子バンクで子供が生まれるらしく、男性は滅多に生まれないらしい。

 300人に1人生まれればいいほうらしく、たまに雑誌で男性の姿を見るぐらいでそれ以外は生で見ることなんて滅多にないとのこと。

 亜実さんに教えてもらったところ、4女の『狐野 未来(この みく)』ちゃんが生まれるときに男の子が生まれればつけようと思っていた名前らしい。ちなみに住所もここで間違いはないってさ。

 

 

「うわぁ、じゃあなんだ反転した世界にでも飛ばされたっていうのか・・・。父さんは生活能力無いから大丈夫かなぁ・・・。」

 

 

「ひとまず魅音君は住むところもアテもないんだよね?それじゃあウチで暮らさないかしら?」

 

「「「「母さん!?」」」」

 

 

「いや、ほら驚かれてますし。いくら違う世界の母さんだからって・・・。」

 

「「「「「全然大丈夫だよ!!!」」」」」

 

 

 あ、いいんだ。

 

 『戸籍とかどーすんだ?』とか思ってたら、男性は『籠の鳥』と言って出生が秘密にされて育てられるケースも多々あるらしく、バレてしまうと戸籍登録や精子バンクへの提供が求められるが登録自体は問題なく行えるとのこと。

 しかも本人の意志や確認がちゃんととれて健康診断などに問題が無ければそのまま自宅で過ごすことが許され、しかも精子バンクについてはギャランティも発生するんだってさ。oh・・・種馬やん・・・。

 

 でもまぁ、どーしよーもないしな。父さん、お金持ちなんだから家政婦さんでも雇って強く生きてくれ。帰れたら帰るよ。

 

 

「じゃあこれからよろしくおねがいします。」

 

 

 全員がワールドカップで日本が優勝したみたいな雰囲気になっとる!おぉ、爆乳達がバルンバルンしよる・・・oh・・・

 

 






 男の子だもんね、しょうがないよね!

 狐野家の人達は鍵をガチャガチャされたとき『どろぼうっ!?』って感じだったそうです。

 主人公もそうですが、お父さんも案外楽天的で『まぁそのうち帰ってくるだろ』なんて思っています。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

2・胃袋掴めば心も掴めるって知ってた?


 魅音君と狐野家の方々は血のつながりを感じて案外すんなり受け入れた模様。



 

 亜実母さんの運転する車に乗ってお手続きお手続き。

 結局あの後はみんな学校を休むことにしてくれたみたいでみんな付き添ってくれた。

 『魅音はみんなで守らなきゃね』って言われて遠慮したら「飢えた獣の中に極上の肉を放り込むようなものだぞ?」と説得されて、朝のことを思い出して「お願いします。」と真っ青になって秒で答えたよね。なっ、泣いてないもん、僕強い男の子だもん!

 

 多少建物に入るときにトラブルはあったものの、そこはプロの人たちだね。真摯に対応してくれたよ、顔以外は。

 男性のストレスを考慮してか、書類はあっさり終わり。その後は病院にて健康診断などを受けてバンクへのキットを受け取って帰宅。

 なんと午前中で国籍不明から日本在住の日本人に早変わりしました。

 

 

「魅音は何が食べたいんだ?寿司でもステーキでもなんでもいいぞ!なんなら全部いくか、うんそうしよう!」

 

 

 た・べ・き・れ・な・い・から!

 

 こんなとんでもないことを言い出す人は『狐野 美玲(この みれい)』さん、美玲姉さんと呼ぶと超テレッテレになって可愛くなる普段はクール系モデル体型の美人なお姉さん。大学2回生の狐野家の長女で、忙しい亜実母さんの代わりに家事全般をこなす完璧超人・・・と思われていたらしい。

 どうやら俺が絡むと途端にポンコツになるらしく、甲斐甲斐しくお世話を焼こうとしてくれる。だがしかし、行き過ぎた愛は辛いものがある。抱きつかれるとね・・・その大きな夢が詰まったアレがね・・・。アレにはありったけの夢詰め込まれてると思うんだ、捜し物見つかったよ父さん。

 

 

「ウチはお寿司がたべたーい。」「ウチは松茸ごは~ん。」

 

 

 2人して正反対のことを言うのは狐野家の双子の元気っ子、『狐野 瑞樹(みずき)と瑞穂(みずほ)』ちゃん。俺よりも2つ年上だが、言動が明らかに幼く年下にしか見えないところから『きーちゃん』と『ほーちゃん』と呼んでいる。

 言動もそうだが身長もちいさく、美玲姉さんが178cmもあるのに(俺より20cmも高い)彼女たちは145cmしかない。だがしかし、母と姉と同じく夢詰め込まれたものは姉に負けず劣らずデカい。ロリ巨乳って卑怯やろ!そんなん勝たれへんやん普通!

 ちなみにワタクシ、現在自宅のソファで美鈴姉さんに抱きかかえられながら出前のパンフを眺めております。左右はきーちゃんとほーちゃんに腕を挟まれておりまして、先程から無我の境地を会得するために脳内父と対話し続けてます。

 

 

「おねえちゃんたち?そんなに食べられないから、あとおにいちゃん固まってるからそろそろ開放してあげて、可愛そう。」

 

 

 大・天・使・降・臨!

 

 彼女は末の『狐野 未来(この みく)』ちゃん。末の妹はしっかり育つというが噂は本当だったんだね。彼女はなんと、身長は俺と同じ158cmでなんと誕生日も一緒。まさに違う世界の俺、といったスペックとなっている。さすがに姉たちには及ばないが、アレについては確かな将来性を感じさせるボディラインとなっている。

 確かに似てるが、俺って中性的でオンナみてぇって言われるぐらいだから全然問題ないね。むしろ姉妹の中で一番仲がいいのは彼女かも知れない。なんていうの?自分の半身って感じ?すげぇ波長があうっていうかそんな感じ。

 みんなのことを全員ちゃん付けで呼んでるのがなんか可愛らしい。あと、兄が欲しかったらしくおにいちゃんと呼んでくれてる。

 

 

「食材があるなら俺、作るけど?」

 

 

 瞬間に固まる狐野家のリビング。あれ、なんか変なこと言ったか?あ、亜実母さんがいねぇ。

 とりあえず冷蔵庫の中でも拝見させていただきますかね~。ってチルド食品多いな、あとビールめっちゃ入ってら。冷凍庫は・・・冷凍食品ばっかりやん。もしかしてあれか、料理できない系女子の集まりか、ここは。

 

 

「魅音君っ!!!これでっ、これでご飯作ってくれるかなっ!?」

 

 

 びっくりした。どこかに消えたと思ってた亜実母さんがとんでもない息を切らして振り返ったら急に現れた。

 スーパーの袋8袋分の食材ってどんだけだよ。お前らどんだけ食うんだよ。でもすげぇなこれ、和洋中なんでもいけそうだ。

 ちなみに亜実母さんは170cmのこちらもナイスバディ。美玲姉さんに鼻差でトップが大きいと思われる。なんのトップがとは言わないが。

 

 

「あ、ありがと。みんなは何が食べたいんだ?これだけあれば大体のリクエストには答えれるぞ?まぁ家庭料理だからお店の味までは出せないと思うがそこは許せよな?」

 

「「「「「ぜんっぜん大丈夫だから!肉じゃがでお願いします!!!」」」」」

 

「ういー、肉じゃがご注文はいりましたー。」

 

 

 作りながらちょくちょく未来が手伝ってくれる。調理しながらいろいろ聞いてみると、ここでは女性はあんまり料理は出来ないらしい。で、昔から漫画であこがれの描写として『男性に料理を作ってもらう』というのがあるらしく、すごい有名になった漫画で出てきた料理が『肉じゃが』とのこと。

 男の手料理に飢えてる女子というのが多いらしく、食材もたくさん買ってきてもらったのでついでにいろいろとレシピを追加しようかな。

 ご飯には鶏そぼろに卵そぼろ、魚もさばいてかんぱちの刺し身にしてじゃがいも剥くついでにポテトサラダにしてしまおう。

 

 

「なにこれなにこれ!?ほーちゃんほーちゃん、すっごいおいしそうだよ!」

 

「きーちゃん、テーブルがキラキラしてて目があけれないよぅ・・・」

 

「隣で見てたけどおにいちゃんはほんと手際いいねー。美玲おねえちゃん、ママは料理見ながら泣いてないでちゃんと座って。」

 

 

 全員で「いただきます」を言ってから食べ始めたんだけど、みんなすっげえうまそうに食ってくれてんの。なんか昔観たお茶漬けのCMみたいだわー。

 でも泣きながら食べなくていいからね?多分塩の味がしちゃうと思うから。きーちゃんとほーちゃんなんか口の周りそぼろで大変なことになってるよ。

 

 米が足りねぇ。1升炊きやぞこれ。亜実母さんがこの後買い物に連れて行ってくれるそうで、そのときに一緒に追加の炊飯器を買ってくれるそうだ。

 いやー、余るかなって思ったんだけどね。余裕でした、ありがとうございます。そしてみんな揃って「ごちそうさま」、お粗末っ!!っていうことで。

 

 

「「すっごいおいしかったよ魅音君、ありがとねっ!!」」

 

「ほら、きーちゃんとほーちゃん、顔にそぼろ付いてるからこっちにおいで。」

 

「魅音、私にもついているぞっ!!」

 

「美玲おねえちゃん、今自分でつけたじゃん。バカなことやってないでおにいちゃんがこれから行くお店に予約入れて。」

 

「魅音ちゃんにはお昼ご飯ごちそうになったからなんでも好きなもの買っていいわよ~?」

 

 

 狐野家はにぎやかだ。女三人寄れば姦しいというが、5人プラス男がいればそれはそれは目立つ。

 デパートに入ったらモーゼの十戒かの如く人が割れていく。狐野家は結構地域では道場を経営してて有名らしく、この5人に囲まれている時は安全らしい。

 まぁ母さんが亡くなる前ってうち、裏の道場やってたらしいしね。向こうの世界では売っちゃったらしくてマンションが建ってたけど、こっちでは道場を続けてるらしい。

 亜実母さんの古武術道場は結構有名で、TV出演とかもしたことあるんだってさ。全然強そうに見えないけどたまに消えるしな。

 ここで、狐野家は二手に分かれて買い物開始、亜実母さんと未来は別行動で必要なもの買ってきてくれるそうな。

 

 店に入ればシャッターが閉じられ、店員さんが丁寧に説明してくれながら案内してくれる。

 その中でも服屋が一番疲れた。アレは駄目だ、着替えるたびに家族と店員が一人ひとり鼻血出していくんだぜ?・・・こええよ。

 

 さて、こっちの世界での身の振り方とか考えないといけないよな。

 え、欲しいものですか?趣味といえば料理ぐらいであとは空いた時間でバスケやるぐらいだったからなぁ。こっちの世界でもバスケは出来るのだろうか。

 ちなみに学校には通わなくていいらしい。通信教育が受けられるらしくてそれをお願いしといた。危ないからね、外は。

 

 






 大正義にくじゃが。

 ぶっちゃけ料理要素結構好きなんでこれからちょこちょこ入ります。

 魅音君は割とあっさり受け入れてますが、自分がこうなったらどーしよーもないししゃーなくね?って思ってこんな感じになりました。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

3・大天使妹様は最高です


 大天使、未来ちゃん回です。


 

 狐野家の俺の部屋割りは未来ちゃんの隣の部屋になった。うちって母方が結構大きい家柄の家系らしくて自宅が結構大きいんよね。

 だから余ってる部屋貰ったんだけど、物置だったから荷物を出さないといけなくて、さあひっこしだーと意気込んでたんだけど。

 

 俺にも仕事をく・だ・さ・い!!!

 

 家に帰ってきてからは美玲姉さんの膝の上にパイルダー・オンされて動けねぇ。「やるよ?」って言ってもみんな、「いいからいいから」って言うんだ・・・。ちょっと無理に手伝いに行こうとしたんだけど、この姉、力つええええぇぇ!!!

 結構ショッキングだったんだけど、そういえばウチ道場やってたんだよね。服屋のインパクトが強すぎて忘れてたさ。

 で、配送サービスのお姉さんがこちらを興奮しながら見てるのはもういつものことだからいいんだけどさ。

 

 あれー?おかしいなー?天幕付きのベッドって買ったっけー?

 

 どうもこっちの男性はかわいいが正義で、女性はかっこいいが正義らしい。どうりで服屋でスカートを普通に勧められるわけだ。女装しろっていう嫌がらせかと思ってたわ。美玲姉さんに聞いたら男性も女性も服装は分けられてないらしい。

 あぁ・・・俺の部屋がメルヘンになっていく・・・。なんとか壁紙ピンクだけは阻止し、ハートピンクの絨毯は返却させていただきました。赤いハートクッションはまぁ許そう。クッションに罪はない。

 このあとはみんなで炊飯器とか買いに行くらしい。どうやら作ってもらうなら今よりもっと良いもので作って欲しいらしく、今の炊飯器も買い換えるそうだ。

 

 

「じゃあ俺は小物とか片付けてまた夜ご飯つくるからまたねー。」

 

「あ、おにいちゃん。未来はおにいちゃんの部屋の片付けこのまま手伝ってもいいかな?」

 

「おぉー、いいぞ。よかったらまた夜ご飯つくるのも手伝ってもらってもいいか?量が量だから1人では流石にさばききれん。」

 

「あはは・・・。普段はあんなにみんな食べるわけじゃないんだよ?おにいちゃんの料理だからつい食べ過ぎちゃうっていうか、味もお店と変わらないかむしろそれより美味しいぐらいだし。」

 

 

 うちの妹が『て・ん・し』やでええええぇぇぇ!!!

 

 「ありがとな」ってなんとか言えたけど、もうちょっとでデュフ顔になるところやったわ。素直に褒められる経験があんまりないからお兄ちゃん嬉しすぎて浄化されちゃうううううぅぅぅ!!!

 なんやこの可愛い子は、どこの子や!?・・・うちの子か。

 

 

「そういえば未来は好きな食べ物とか無いのか?お兄ちゃん、大体のリクエストには答えられると思うぞ?作れなくても調べれば大体出来るしな。」

 

「んー・・・好きなもの・・・。あのね、おにいちゃん。笑わないでね?・・・ハンバーグが食べたいな。」

 

 

 笑わないいいいいぃぃぃ!!!はんばーぐつゅくりゅうううううぅぅぅ!!!

 

 ハッ!!!いかん、可愛さにやられた。これが妹か!!!

 前にダチが『みおやん・・・いもうとはええでぇ・・・』って言いながら近所の小学生見つめてたの思い出した。そういえばこっちにくる1週間前からあいつの姿見てないな。

 「わかった、ハンバーグな」って言いながら顔を見られないように頭を撫でた俺、ファインプレー。ただし心はノックアウト。

 

 

「そういえば未来の部屋って隣なんだよな?」

 

「そうだよ、よかったら見てみる?あー、でも未来、女なのに可愛いもの好きだからおにいちゃん引いちゃうかな・・・。」

 

「おー、大丈夫だ。俺は人の趣味をとやかく言うことはしないさ。お兄ちゃんの友達なんて部屋中ポスターだらけのやつとかいっぱいいたぞ?」

 

「うーん、絶対引かないでね?絶対だよ?」

 

「おう、お兄様に任せなさい。」

 

 

 はてさて、こっちの世界の女性の部屋ってどんなんなってるのかなー?っても前の世界でも女子の部屋なんて入ったことなんて無いんだけどね!(震え声)

 イメージだけどいい匂いとかしそうだよなー。とか思ってると、「じゃあ、開けるね?」って言われて中を見たときに叫ばなかった俺を褒めたい。

 

 

 N・A・M・A・K・O・!!!

 

 ナニコレ!?ナマコ!?

 

 なんか部屋の中が紫!!!

 

 

 「おー」で済ませた俺の胆力!!!「えへへ・・・これ、『なまこくん』って言うんだけどね?」って言いながらキャラクターの説明を始める我が妹。

 

 ごめん、お兄様は処理が追いつかない。

 

 必殺「ほー」「へー」「そうなんだー!」を駆使して妹の笑顔を守ることで必死だったよ・・・!!!

 もうちょっと対象年齢が若い子向けに流行っているゲームのメインキャラクターらしい。『なまこがメインキャラクター』というパワーワード、強い。

 キリがよさそうなところで、「ほっ、ほら、そろそろ夜ご飯の用意しなきゃな?」って言って戦略的撤退をかましました。

 

 

「じゃあ未来にはこねるの手伝ってもらおうかなー?こねたら手のひらサイズにして空気を抜くんだぞ?」

 

「はーい、おにいちゃんは玉ねぎ切るのはやいねー。目とか痛くならないの?」

 

「コツがあってな?冷蔵庫で冷やしておくのと、電子レンジで軽く温めてから濡らした包丁で切ると痛くなりづらいんだ。」

 

「そうなんだ、ねぇおにいちゃん。あのね、これからも料理教えてもらってもいいかな?母ちゃんや美鈴姉ちゃんたちにラクさせてあげたいなって思って。・・・ダメ、かな?」

 

 

 はあああぁぁぁい!!!ぜっっんぜっっんおっっっけえええええぇぇぇい!!!

 

 「ぶほっ」って変な声出たわ。「いいぞー」って言いながら絶対ニヤけてた!

 なんやこの子、可愛すぎるやろ。いかんいかん、妹やぞ!そもそも妹とは兄のための妹であって、妹がいるからこそ兄が輝くのであって・・・あれ、妹ってなんやっけ?

 

 

「ただいまー、炊飯器買ってきたよー!あれ、魅音君どうしたの?すっごいえびす顔になってるけど?」

 

「んっ、んんん!?大丈夫、俺は大丈夫だから!!!」

 

 

 あっぶねぇ!なんか真理の扉みたいなもん見えてた!!!

 

 首を傾げるみんなに見られないようにあわてて冷蔵庫の中に顔を突っ込んだわ!・・・あぁ、クールだ。クールになるんだ。

 さぁて、妹様の大好きなハンバーグを気合い入れて焼かないとな!前の世界で兄妹喧嘩する話を聞いたことあるけど信じられへんな。俺は今、ハンバーグのたねを全力で顔にぶつけられても嫌いになられへん自信あるわ。

 

 多分味覚が子供舌であろう妹様のために新しい炊飯器使ってオムライス作ったろ。どうせならパスタも茹でて、ハンバーグのミンチで特製ミートソーススパゲティや!!!あとは玉ねぎと昨日の残りのじゃがいもでポタージュスープも作って、即席ちょっと大人なお子様プレート完成や!!!

 

 

「うわああああ、夜ご飯もすっごいねぇ!」

 

「またテーブルがキラキラしてるですぅ・・・」

 

「なんだこの完璧な弟は!私の弟か!」

 

「おにいちゃん・・・私の好きなものばっかり・・・。ありがとうおにいちゃん。」

 

「すごいわねー、私の息子は!炊飯器の他にも電子レンジとかいろいろ買い替えたからまた使ってねー?」

 

 

 うっは、なんだろ。超うれしいな、自分の作ったごはんにこれだけ嬉しい反応してくれるって。

 ただでさえ美人が5人、しかもキラッキラの笑顔向けられたらもう・・・惚れてまうやろおおおオオォォォ!!!

 鎮まれ俺のオトッコヌシ。鎮まりたまえー。これからこの人達と生活していくのに俺・・・大丈夫やろか?

 

 全員で「いただきます」してさぁ実食。「うまー!」とかべた褒めの感想をいっぱいくれるんやけど・・・もっと褒めてもええんやで?

 さぁさぁ、この感じやと昼に仕込んでたものも成功しそうやな・・・。ふふふ、これでトリコニナルノデス。

 

 

「これはみんなに俺を受け入れてくれた感謝の気持ちだ、是非食べてくれ。」

 

「「「「!!!」」」」

 

「ぷーりーんーだー!!!」

 

 

 そう、お昼に蒸し器を発見してみんなに見えないようにこっそりと作っていたのだ。

 冷蔵庫の中に入れて、手前にチルド食品でカモフラージュするという隠蔽工作も完璧に行い、ミッション・コンプリート。

 フフフ・・・貪るように食いよるわ、このいやしんぼたちめ。

 

 ん?どうした妹様、こっちに寄ってきて。おいしかったからって、ちょ、ちょっとちかっ、ちかいいいいいぃぃぃぃ!!!

 あああぁぁ、あっ、ギュッとされると・・・あぁ、あああぁぁ・・・召されちゃうううううぅぅぅ!!!

 

 






 素直に甘えてくる妹っていいよね。

 未来ちゃんはよく見れば魅音君に似てるレベルですがしっかり女の子してるので二卵性双生児ほどではありません。

 みなさんは好きな食べ物なんでしょうか?

 私ははるまきが好物です。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

4・天然ビッチ系男子現る



 魅音君は一度天に召されました。




 

 

 おはようございます。妹様によって転生しました、どうも魅音です。

 

 昨日はやばかった・・・。あれから妹様が一緒に寝ようとついてきて家族全員に止められてなんとか就寝。

 皆様は今日から学校や道場とのことなので魅音さんはみんなにこっそりと愛・家族弁当なんてものをつくっちゃいますよー。

 

 まだみんなの好みがわからないから、今回の玉子焼きはノーマルエディションでお送りいたしますよ。

 昨日のハンバーグをミニサイズで召喚し、タコさんウインナーを弁当箱の中にシュート!!!

 あ、ちなみに弁当箱は昨日もらったお金でこっそり勝手に5人分買っちゃいました。

 特製のきんぴらごぼうと今回のメイン、グラタンさんを投入だー!!!こちらは朝ごはんにもなっちゃいますよ。

 

 

「あら、魅音君。朝早いわね、朝食の準備してくれてたの?」

 

「亜実母さん、おはよう。朝食はもう準備出来てますよ?あと実はですね・・・ふふふ、今日はなんと!お弁当をご用意させていただきましたー!」

 

「なんですって!?ちょっと美玲たち起こしてくるわ!!!」

 

 

 ドタドタと騒がしい狐野家は今日も平和です、まる。

 

 普段はズボラな彼女たちもどうやら男の前でみっともない真似はできねぇ!ということで、身支度の用意が出来るまで亜実母さんをテーブルに座らせてまったりと朝の時間をすごしております。洗面所あたりがうるさいけど。

 

 

「魅音君は頑張ってくれてるけど無理はしないでね?あの子達にはちゃんとごはん代も渡してあるんだからお昼ご飯まではいいのよ?」

 

「いやいや、好きでやってるから気にしないでよ。それよりも亜実母さんは朝早いねー。」

 

「私は朝日の出る頃に起きて道場で稽古してるのよ。これでも師範だから鍛錬はかかさないとダメなのよね。」

 

「えっ、っていうことは俺が起きる前から稽古してたんだ。そういえば今日は門下生への稽古があるんだよね?」

 

「そうよー、午前中は警察官とかプロの方向けで、午後からはジュニアクラスの稽古が私の稽古になるわね。休日なんかは美玲も指導したりするわよ?」

 

 

 道場の経営も大変なんだな、いろいろ教えてもらったけど経営に関しては協力出来そうなことはなさそうだ。簿記でも勉強してみるか。

 

 しばらくするとみんな集まってきて恒例の「いただきます」をし、朝食へ。

 グラタンだけじゃ華が無いなと思って、冷しゃぶパスタサラダも作ってみたけどこれも好評みたいやね。

 学校に行く彼女たちにそれぞれお弁当を渡してあげて(何故か一人ひとり渡してほしいと言われた)、お見送りしてマイルームへ。

 

 さて、こっちの世界に来て初めて一人の時間になったけどやることが無いぞ?

 

 パソコンも貰ったからちょっとこれでいろいろ調べてみるか・・・。

 んんんぅぅ~・・・『男性からやってもらいたいことランキング』、ほほぅ気になりますねぇ。

 

 

 

 ということで準備をすべてこなし、やってまいりました。

 亜実母さんいわく、『道場の稽古が厳しいからやめていく人も多く、門下生の維持が大変』とのことでしたので、『厳しいムチには甘いアメ作戦』を決行したいと思います。

 

 今回ご用意させていただきましたのはこちらのクッキー。

 下手に凝ったものよりもこういったクッキーがほしい!という世の中の女性の声を代表しましてご用意させていただきました!

 貰えればなんでもいいが多数派の中、実際のとこどうなん?と掲示板でアンケートをとらせていただきましたよ。

 ちなみにジュニアクラスの方々には可愛らしいアイスボックスクッキーをご用意させていただいております。

 

 それではいざ潜入!

 

 

 

 いや、なんか予想はついてましたけどね?

 

 目の前には頭にでっかいたんこぶを作って正座する涙目の美女たちがたくさん。

 のんきに「クッキー作ってきました」なんて言った瞬間に盛り上がる美女たち。

 鎮まるように叫ぶ亜実母さん、だがテンションが天元突破している彼女たちには効果がない!ミス、ゴーストタイプのようだ!

 ぷちっ、ていう音が聞こえたと思ったときのことなんですけどね?

 

 えぇ、そうです。アレは『修羅』でした。

 

 

「もう、魅音君てば、こんな野獣たちにエサなんて与えちゃダメなんだからね?動物には口で言っても聞かないんだから、こうして調教する必要があるのよ?」

 

「いや、みなさん頑張ってらっしゃるみたいだったので、清涼剤にでもなればなと思いましてですね。」

 

「あの、亜実師範。つかぬことをお聞きしますが、そちらのとてもかわいらしい男性の方とは一体どういったご関係なのでしょうか?」

 

「何よ、せっかく魅音君とおしゃべりしてるのに。この子は私のむ・す・こよ。」

 

「「「「「えええええええええぇぇぇぇ!!!」」」」」

 

 

 あんたら懲りねぇな。「息子さんを私にください!!!」っていきなり求婚かーい。

 亜実母さんが格ゲーのハメ技みたいなことし始めたぞ。すげぇ、人って蹴りで垂直に浮くんだ。あ、落ちた。

 でもあれだな、昨日聞いたけどどうやら俺の容姿はそうとうこの世界の女性からすればドストライクらしいな。こっちじゃ前の世界の『かっこいい』が女性に適用されて、男性には『かわいい』だもんな。男としてはなんか複雑ですわ。

 

 

「すみません、亜実師範!『先程クッキーを作ってきました』とのことでしたが・・・」

 

「あ、はい。みなさん稽古辛いって言ってる人がいるって聞いたものですから、これでも食べて休憩でもしていただければと思っただけなんすけど。」

 

「「「「「ありがたくいただきます!!!!!」」」」」

 

「もう、魅音君たら。・・・おいお前ら、うちの息子に手ぇ出したら◯スからな?あと今後はちょくちょく外にも出るから護衛も手伝え。」

 

「「「「「おまかせください!!!!!」」」」」」

 

 

 このあとクッキーを一人ひとりに手渡しで渡しました。あれ、なんかデジャヴ?

 そういえば警察官とかプロの方向けの稽古って言ってたもんね。外に出る時は彼女たちが守ってくれることになったよ、やったね!!!・・・俺はオタサーの姫か・・・ハァ。

 まぁいいや、ついでにめっちゃ重かったけどクーラーボックスに入れた自家製アイスティーもごちそうしてあげよう。

 あの、野太い声あげながら男泣き(女泣き?)するのやめなさい。さすがにその顔でそんな声聞いたらひくわ。

 あと、亜実母さん。すっげぇ低い声出てたけど大丈夫?俺、なんかいらんことして首スパッっとされたりしないよね?絶対怒らせんとこ。

 

 あれ?意外と話してみるとええ人多いやん。なんかもっとガツガツアピールしてくるんかと思ってたのに。

 あ、そこのお姉さんや、アイスティー貰ってないならこれ使いな?マイコップやけどまだ洗ってから使ってないから。

 

 

「・・・魅音君って、もしかして天然ビッチ?」

 

「何を言ってるんだ亜実母さん。」

 

 

 なんて失礼なあだ名つけやがる!ビッチ要素一欠片もなかったやないか!!

 ちょい待てや、君ら。そんな顔をすぐにそらしよってー!!!もう作ってやらんからなー!!!

 

 このあと全員泣いて土下座させました、まる。

 

 






 狐野家は国でも有数の安全地帯です。

 この世界では男がヘタに外に出るとまじやべぇです。

 他の男たちは大体が国が指定する重要保護施設などで生活しています。

 一般家庭で生活出来るのはほんの少数です。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

5・ロリ巨乳を覗く時、ロリ巨乳も覗いている



 魅音君は自らの手で年上のお姉さま方の加護を手に入れました。




 

 さて、今日は狐野家での初の休日である。

 

 この短期間で台所を完全掌握したので、道場への遠征任務も無事にこなしてジュニアクラスの子たちにも受け入れられて一安心。

 でもあれだね、女の子はたとえ小学生ぐらいでも女の子なんだね。中学、高校、大学と黄色い悲鳴が鳴り止まぬ中、私のものと言わんばかりに幼女に引っ張りだこになりました。「大きくなったら結婚してね?」の言質を取られないように必死でした。

 

 朝ごはんを食べ終えて、狐野家が誇るロリ巨乳姉妹にゲームに誘われたので一緒にプレイしてみることに。

 こっちでは『タコ』なんやな、色を塗り合って遊ぶゲームに参加させてもらい、遊ぶんだけど。きーちゃんとほーちゃんうめええええぇぇ!!!

 3人でチーム組んでやってるけど完全に俺、お荷物君ですやん。あっ、自軍陣地の方塗っときます、すいやせん。

 

 

「魅音君もそこそこうまいねー。」

 

「きーちゃん、ウチらはランカーだよ?ついてきてる魅音君は相当うまいと思うけどなぁ。」

 

「いや、なんか足ひっぱっちゃってすいやせん。」

 

 

 俺がちょっと卑屈になってきたのを見て、慌てて「「違うゲームしよう!」」と言うちっさいお姉さまたち。

 というかランカーどころか、その双子ならではの連携プレーはありえないからね!?なんなの!?ボム投げた瞬間に相方が突っ込んでいくタイミング、ニュータイプなの!?

 

 ということで、『スマッシュするシスターズ』へと舞台は移り、これならやりこんでるからイケる!って思ったんだけど、アレだよね。キャラとか似たようなのいるけどぜんっぜん違うゲームやんコレ・・・。

 仕方なく『最終番号』というキャラを選び、バトルスタート!

 

 

「いっけえええええぇぇ!」

 

「それっ、と。」

 

「いやああああぁぁ、きーちゃんベクトル変えちゃダメええぇぇぇ!ほーちゃん、その右手パンチで復帰殺ししないでぇぇぇ!!!」

 

 

 勝てるかぁ!?裏の攻撃の後に表の追撃とかどないなっとんねん!!!

 

 その後も様々なゲームを3人で楽しむが、うんあれだ。この子達は自分たち以外との協力プレイが壊滅的に出来ないんや。

 いっつも2人でやってるから2人では協力するのは当たり前、それ以外は敵!が染み付いていやがる。3人の中で俺だけ目の前で回復アイテムが2人のうちのどちらかに取られるというような状況が頻発。

 あれだな、未来が朝に言ってた「おねえちゃんたちとゲームすると心折られるからやめたほうがいいよ?」と言われたのはコレか。

 

 

「ほら、きーちゃんにほーちゃん。そろそろお昼だから何が食べたいんだー?今日はみんな出かけてるから好きなもの頼んでいいぞ?」

 

「ウチはパンケーキ!」「ウチはエビチリ!」

 

 

 だがしかし、この2人はいつも仲がいいと思われるが俺はよく知っている。

 

 『食べ物の好みが決定的に合わないのだ!!!』

 

 これまではレトルトとかチルド食品で済ませていたが、俺が作るようになってからは舌が肥えたのか明確な好みを示すようになった。

 きーちゃんは甘い物や海産物などを好み、ほーちゃんは辛い物や山の幸、肉などを好む。

 もちろん作る方からすればたまったもんではない。好みが真逆だと作るとなれば時間は2倍、どっちかにしなさいと言えば言い争いが起こる。それに手がとられて時間がかかる。

 他の家族がいれば譲歩もするが、2人だけの場合はどっちも作るハメになるのだ。

 

 

「仕方ねーなー。エビチリ丼と食後にパンケーキにしてやるからちょっと待っておけよー?」

 

「えー、パンケーキだけでいいよぅ。」「エビチリ丼だけでいいよぅ。」

 

「うるさい、玉子焼きだけにすっぞ。」

 

「「ごめんなさい」」

 

 

 で、先程『食べ物の好みが決定的に合わない』とつい最近まで思っていたのだが、お兄さんついに気付きました。

 この2人、それぞれに別々に出してやると結局交換して食べさせあいするのだ。

 コレに気付いた時の心境は「なんでやねん!!」だったが、亜実母さん曰く、アレはあの2人なりの不器用な甘え方らしい。

 

 なんでも学校で俺の作ったごはんの自慢を友達にするそうなのだが・・・。

 

 

「今日はカルボナーラ作ってもらったんだよぉ!でねでね・・・」「あー!!きーちゃん、その話はウチがしたかったのにー!!」

 

 

 と、1品だと片方が自慢話をして終わり、もう片方は自慢話が出来ないと喧嘩になってしまうらしい。

 

 でだ、2人が思いついた解決方法は『2品作ってもらえればそれぞれ自慢話出来るじゃん』とのことでした。

 実はあの2人、お互いが喧嘩することにすごい抵抗感があり、亜実母さんでも喧嘩したのを直接見たことは無いらしい。

 だから『どっちかにしなさい』と言ったときに喧嘩をしたのは演技だと思う、だとさ。

 

 それを聞かされたあとの俺の顔見ろよ・・・。真っ赤だよ!!

 

 めったに喧嘩しない双子の喧嘩の原因が『弟が作ってくれた料理の自慢話が出来ない』だぞ!?なんやそれ!!恥ずか死するわ!!!

 

 しゃあないからエビチリ丼はふわふわのスクランブルエッグも入れてやる!!

 パンケーキは3段にしてアイスと自家製ティラミスを添えてやるからな!!!

 

 

「うわわわわぁぁぁ!!」「すごーい、今日もおいしそー!」

 

「ほら、二人ともちゃんとこぼさないように食べるんだぞー?エビチリは服についたらシミになるから気をつけろよー?」

 

 

 何故かこの2人には歳上なのに世話を焼いちゃうんだよな。未来も世話を焼いちゃうのは焼いちゃうんだが・・・。

 なんていうか、この父性?が溢れ出すというか、こう・・・無邪気なものをみてると邪気が無くなるというか・・・。

 

 あ、そういえばあいつが言ってたなー。『みおやん、ロリコンを覗く時、ロリータもまた覗いているんやでぇ』って、なんかこれは違うな。

 うん、あいつのことは忘れよう。名言?いや、迷言が多かったけど一向に参考になる気がしねぇ。

 

 

「魅音君、汗いっぱいかいてるみたいだけど大丈夫ぅ?」

 

「体調が悪かったらウチらが看病してあげるよぉ?」

 

「あぁ、エビチリ作るのに結構火を使ってたのと、ちょっと食料庫から料理酒とか取りに外に出たときに暑くてさ。ごはん食べたらシャワーでも浴びるよ。」

 

「「ふーん、そーなんだー。」」

 

 

 さて、ごはんも食べ終わったしシャワーでも浴びてさっぱりしますかね。

 夏真っ盛りだからちょっと外に出るだけで汗がすんごいんよね。未来は今日、図書館に行ってるらしいけど熱中症とかになってないやろか?

 

 さすがにそろそろこの家の違和感にも慣れてきたな。女性用シャンプーつかって女物ばっかりに囲まれて生活してるけど、元が自分の家だから使い勝手はあんまり変わらんしな。

 相変わらず夜に未来が寝室に侵入しようとするのは心臓に悪いけど。あー、でもアレの提出期限明日だっけ?たしか明日は家に誰もいないはずだからちゃんとやりますかねぇ。でもこの家でやんのすっげぇ気まずいんだけどなぁ。

 

 

「「魅音君!!ウチらが背中を流してあげよう!!」」

 

「キャアアアアアアアァァァァァーーーー!!!」

 

「「ふふふー、観念するのだー!!」」

 

「きーちゃん、ほーちゃん!!それはまずいってば!!ドアを開かないで!!肌色がっ、肌色がっ、覗いちゃいやあああああぁぁぁ!!!」

 

 

 数分の攻防の末、帰ってきた亜実母さんのげんこつにより、2人のロリ巨乳姉妹は沈黙しました。

 俺、覗いてないのに覗かれたんだけど・・・。やっぱりあいつの言うことは信用ならん!!

 

 






 今回は不器用な甘え方と不器用な恩返しでした。

 2人は独特の自分たちの世界で生きているのでこんな感じになりました。

 私、FPSが結構下手の横好きです。

 魅音君はそろそろアレのお時間です。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

6・勉強が出来てもアタマが弱い奴はいる



 魅音君の危険が危ない!




 

 連休の2日目、私こと美玲は最高に気分がいい。

 なんといってもゼミが急遽休講になり、事前情報によると今日は我が愛する弟、魅音と一日中2人きりというシチュエーション。これはさっそく甘やかさねばと気合を入れて愛のこもった朝食をいただき、リビングで全員が外出するのをコーヒー片手にリラックスして待つ。

 

 

「あれ、美玲姉さん。ゼミに行かなくていいの?」

 

「あぁ、今日は急遽休講になってな、今日は思う存分お姉ちゃんが甘やかしてやるぞー。」

 

「えっ、えええええぇぇ・・・。ふ、ふーん、そっかぁ・・・。」

 

 

 弟よ、どうした?

 

 そのまま何事もなかったかのように自室へ戻っていく我が弟。アレ?もしかして私はなんかしたか?

 もしかして洗濯するときにこっそりと匂い嗅いでるのバレたか・・・?それともお風呂上がりに身長差からくる胸チラを見ているのをバレた?さては料理をしていてこちらを気にしていないときに、こっそり部屋に入って布団にくるまっているのがバレた?

 

 マズい、マズいぞ!!それはマズい!!

 

 

「魅音よ!!お姉ちゃんが悪かった!!もう匂い嗅いだり、胸チラ見たり、布団にくるまったりしないから嫌わないでええええぇぇ!!!」

 

「扉を叩きすぎ、壊れるだろ!!!というか美玲姉さんそんなことしてたのか!?」

 

「あ、あああぁぁぁぁ・・・」

 

「いいよ、別に。今度からしないようにしてくれたら、なんとなく気持ちがわからないこともないし。」

 

 

 危ない危ない、一瞬絶望を味わってしまった。

 

 それよりもなんだ、うちの弟は天使か。いや、天使が弟の真似をしているんだな。

 

 

「それより美玲姉さん、今日は外に出る用事はないの?」

 

「いや、今日は全部の予定をあけてきた。だから魅音よ、お姉ちゃんと一緒に遊ぼう。」

 

「あ、うーん。まあいいか、わかった。なにするの?」

 

 

 弟の返事が煮え切らないがまぁいいや、今日は普段なかなか外に出られない弟のために早朝からビニールプールを用意してきたのだ!!

 しかも弟用の水着はすでにミツリンで買ったのが昨日届いて受け取り済み!!私の夏の弟とのアバンチュールはここからはじまるのだ!!

 

 渋々着替えた弟と私も水着に着替えて準備済み、これは勝ったな。

 

 

「あの、ごめん。ほんとに美玲姉さんは悪くないんだけど、ごめん。」

 

「どうした魅音?暑いのだからプールに入ればいいじゃないか。」

 

「そのビニールプールって、俺と美玲姉さんが一緒に入るにはちっさいよね。」

 

「どうした、私と魅音の中だ、何も問題あるまい。なんだ、かわいいやつめ。照れてないでこっちにこい。」

 

 

 涼むために出したとはいえうつ伏せで寝られては遊べないじゃないか。くそぅ、まさかプールの中でぐーたらされるとは思ってなかったぞ。

 起こそうとしても全然起きないから背に乗って後頭部に水鉄砲をかけてやる!!くらえ、キャッキャウフフしたいぞビーム!!

 

 

「だああああああぁぁぁ!!!美玲姉さん!!そろそろお昼だからお昼ご飯作るね!?」

 

「お、おおぅ・・・そうだな。」

 

 

 んんん?やはり弟の様子がおかしい・・・。なんというかその、冷たい?

 

 ハッ、もしやあれか!これが俗に言う『反抗期』というやつじゃないだろうか?

 くそぅ、なんてタイミングが悪いんだ。反抗期といえば腰を据えてじっくりと本人と向き合う必要があると先生も言っていたな。

 よし、午後からは無理にでももっとスキンシップをして悪の道に走らせないようにしないと!!

 そのまえにちゃんとごはんは美味しくいただかないとな!!弟の愛がこもっているからな!!

 

 

 

 

「あのさ、美玲姉さん。お願いだからおろしてくれないかな?ごはん食べ終わってからずっと膝にのせて映画見てるけど、そろそろ足も辛いでしょ?」

 

「何を言う、愛する魅音なら私は何時間でものせていられるぞ?ふふん、なぜなら私はお姉ちゃんだからだ!!」

 

 

 どうだ、今のはキマっただろう!?

 これで弟もお姉ちゃんへの尊敬ポイントがうなぎのぼりに違いない。

 昨日はきーちゃんとほーちゃんがヘマをやらかしたそうだが、私は弟が嫌がるようなことはせん!!

 

 お?どうした弟よ、ため息なんか吐いて。ダメだぞ、幸せが逃げていくからな!まぁ弟はこの私が幸せにするんだけどな!!

 

 

「・・・仕方ない。美玲姉さんお願いがあるんだけどいいかな?」

 

「どうしたんだ?なんでも言ってみろ、叶えられるものは全力で叶えてやる!」

 

「どーしても◯✕駅の前にあるケーキが食べたいんだけど、お願いできないかな?あそこって並ばないといけないらしいんだけど、食べてみたいなぁって。」

 

「むぅ、◯✕駅か・・・遠いな。あ、ちょっと待っていろ。」

 

 

 ワガママを叶えるためには部屋まで戻らねばならんではないか、せっかく弟の反抗期を矯正中だというのに!!

 まったくかわいいやつめ、弟のワガママぐらいお姉ちゃんは叶えてやらんといかんからな!!仕方ないな!!

 

 

「よし、魅音よ!よろこべ!!1時間もあれば届けてくれるそうだ。母さんの門下生の方がそこのケーキ屋と懇意にしていてな、ちょうど近くにいるから買ってきてくださるそうだ!」

 

「うわあああああああぁぁぁぁ!!!」

 

「む、どうした魅音よ。頼み事をしたらお礼を言わなければならんぞ?」

 

「違うんだよ姉さん、違うんだ!!」

 

 

 アタマをかかえながらこちらに訴えかけてくる弟、かわいい。

 あ、ちょっと涙目になってる、かわいい。

 

 

「俺は美玲姉さんに少しの時間だけでも出かけてほしいだけなんだ!!」

 

「む、なぜだ?ハッ!!まさか私がいない間に悪いことをするつもりだな!?ダメだぞー、お姉ちゃんは許しません!!」

 

「悪いことじゃ・・・いや、んん?ああああああああぁぁぁ!!とにかく姉さんが家にいたら出来ないから出ていって!!」

 

「なんだと!?お姉ちゃんに向かって出て行けとはひどいじゃないか!!とにかく理由を言いなさい!お姉ちゃんは許しませんからね!!」

 

「あああああああぁぁぁ!!もうっ、いいっ!!姉さんのバカ!精子バンクの提出期限が今日だから一人にしてほしいの!!!!!」

 

「ひぅっ!?」

 

 

 ああああああああぁぁぁ!!!

 やってしまったあああああああぁぁぁ!!!

 

 私は家を出るときに多分謝ったと思うんだが、気付けば家の前にいた。

 そう、この弟の平穏な時間を誰にも邪魔させてはいけないからだ。

 

 

 

 

 

 そして炎天下と沸騰したアタマのせいで自宅の前で倒れる1人の空気の読めない姉がいたらしい。

 

 最後に彼女は熱中症にかかったおかげで愛する弟の看病というものを勝ち取った。

 

 






 はい、ポンコツお姉さんの回でした。

 そりゃプライバシーもへったくれもない家でどーすんだよ、ってなったら1人になるしかないよね。

 キャラでいえば今の所、美玲姉さんが一番好きです。

 料理以外は美玲姉さんがやっているところもあり、魅音君は結構尊敬しています。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

7・仲良しなのは正統派ロリ



 なお、魅音君は無事提出が出来た模様。




 

 あー、この前はひどい目にあった。うなされながら『ごめんよぉ、ごめんよぉ』と言われたら許すしか無いやん。

 ただ、回復してから人の下を見て『大丈夫だったのか?間に合ったのか?』って家族の前で言うのはやめなさい。亜実母さんが真っ赤になりながらげんこつかましてすげぇ音してたわ。

 

 で、今日は我が家の大天使、未来がジュニアクラスに参加して稽古を受けているのを見学しに行ってまいります。

 実は亜実母さん以外が稽古してるのって見たこと無いんだよね。みんなめっちゃ強いらしいんだけど、こっちの女性は体型に出ないみたいだからイマイチわからん。

 狐野家の女性によれば『相手のオーラを見ればわかる』とのこと。どこの修羅の国の人ですか?

 

 

「あ、お兄さんじゃないですか。今日も稽古見ていかれるんです?お兄さんはちよがちゃんと守るですからお任せですよ。」

 

「今日もよろしくねー、ちよちゃんは頼りになるなぁ。」

 

 

 このデレッデレの顔で照れながらアタマをかく美少女は『一水 千代子(いちみず ちよこ)』ちゃん、高校3年生で150cmの小柄で小動物系女子である。

 

 俺がこの道場に通うようになってから『魅音杯』というものが狐野道場で開かれたそうな。

 大会はデスマッチ方式、プロ部門とジュニアクラス部門で開かれ、各部門の優勝者1名はそれぞれ俺に対する会話権を得るらしい。

 そして敗者は俺から話しかけないと緊急時やお礼以外は話しかけられない。ただし幼女は除く。

 俺がいないときに試合が開かれたそうなので、内容は詳しくは知らないがプロ部門では畳が半数以上張替えになったと聞けばその壮絶さがおわかりいただけるだろうか?

 

 ちなみに彼女は俺の作ったパウンドケーキが大好物らしい。味を変えてローテで作ってるしね、ほら今日はラムレーズンとココアだよ?

 

 

「いんやー、お兄さんが作るパウンドケーキはほんとに美味しいですねぇ!いいお婿さんになれるですよ!ちよが保証するですよ!」

 

「ありがとね、ちよちゃん。でも顔に『結婚してください』って出すぎだからまずはお友達からで。」

 

「おにいちゃんに近づく悪い虫はこいつ?ホントありえないから、◯んで?」

 

 

 妹様あああぁぁぁーーー!!!堕天しちゃいけませんよっ!?

 

 ちよちゃん泡ふいてるから!ほらほら、パウンドケーキ持ってきたから、コレでも食べて落ち着きなさい。

 

 あっぶね、ちよちゃん大丈夫か?あ、戻ってきた。

 それにしても妹様の速さが全然見えんかったぞ、狐野家の女性は化物かっ!?・・・まぁかわいければなんでもええんですけどね。

 あ、妹様。組手なんですね、いってらっしゃーい。

 

 

「ちよちゃんちよちゃん、実際うちの人ってどんぐらい強いの?一緒に暮らしてるけど『そのへんの子には負けないわよ~?』って言われても全然イメージわかなくてさ。」

 

「あいたたたた。狐野家の方々ですか?そうですねぇ、未来ちゃんはぶっちゃけプロ部門でも通用すると思うですよ。きーちゃんとほーちゃんはプロ部門上位で、タッグを組めばプロ部門全員でも歯がたたないんじゃないですかね?美玲さんはそれを1人でこなします。亜実師範に関しては別次元過ぎて想像がつきません。あの人、噂ですが特殊部隊の各国合同訓練が毎年各開催国で開かれるらしいんですけど、いまだに誰にも負けてないらしいですからねー。」

 

 

 ひぇっ、なんやそれ。それってどこのビッグマンマだよ。

 あ、もしかしてあのゲームのシンボルの動物ってまさかウチの家名・・・いや、考えるのはよそう。

 

 あ、妹様の組手始まった。1対10ってすごいな。おぉ、さばくさばくさばく!!!

 はっや、肩から先がぶれてぜっんぜん見えへん。それに合わせてアレが弾む弾む、こうしてジュニアクラスの他の高校生組にまぎれてすごくわかる圧倒的質量差!!!

 もう強いのがすごいのかアレがすごいのか、どっちを見たらええんかわからんくなってきたで!

 

 

「いやー、すごいですねぇ。なんですかアレ、ほんとに高校生ですか?」

 

「そうだな、ウチの未来はすっごいなぁ。」

 

「ですよね、あの・・・「「胸!!!」」

 

「おにいちゃん!!!ちよ先輩!!!」

 

 

 おっとつい煩悩が溢れ出てしまった。

 それにしてもちよちゃん・・・わかってるやん。こっちみてニヤリとしてくんな、あんたも十分かわいいから。

 妹様も真っ赤な顔で睨んできてるけどアレやで、かわいいだけやで?

 

 

「でもやっぱり男の人は大きいほうがいいのですかね?ちよは胸も身長もちっちゃいんで、女の自信無くしちゃいますですよ。」

 

「何言ってんだ、ちよちゃん。たしかに好みはあると思うけど、ちよちゃんは十分かわいいと俺は思うぞ?」

 

 

 「なっ!!」って言ってから真っ赤になってうつむくちよちゃん。あ、しまった。多分俺はやらかしたな。

 こういう世界だから気をつけないといけないけど、こんな可愛い子が落ち込んでたら慰めるやろぉ!?

 幸い近辺の子たちには聞かれてなかった模様。若干一部から瘴気が出てる気もせんこともないけど大丈夫だ。

 

 

「お、お兄さんは他の人にはそんなこと今後言っちゃダメなのですよ!?いいですか?絶対ですからね!?」

 

「ほーい、気をつけまーす。」

 

「あ、これ聞いてないやつですよ。この『天ビ』、絶対またやらかすのですよ。」

 

「こらこら、人のこと『天ビ』とか言わなーい!何度も言うけど天然ビッチ要素なんてどこにもないからね!?」

 

 

 でも、ちよちゃんってぶっちゃけ『イイ』よね!

 他の女の子や狐野家の女性たちよりガツガツしてこないし、なんか『気安い友達』ポジションを確立してくれてるからすんごい話やすいんよ。

 下の子たちの面倒見もいいし、意外と彼女って結構慕われてるんだよね。まぁ、こんな感じの子だからみんな俺と仲良さそうにしてても結構自然と受け入れられてるんだろうね。

 ぶっちゃけ結婚するならこんな子がラクなんだろうなぁ・・・。

 

 ん?あ、やっちまったか?

 

 

「お兄さん、考えてることが全部口から漏れてたのです。」

 

「スマソ。いや、だってさぁ、男性はいずれは結婚しなきゃだろぉ?そう言われ続けるとイヤでも意識しちゃうというじゃん?でも俺も体は一つだからな、相手はそこまで増やせないし、じゃあ今のうちに良さそうな人探しとかないといけないわけなのですよ。」

 

「じゃ・・・じゃあ、ちよは候補に入ってると思ってもよろしいので?」

 

「まだ期待させることは言えないにゃー。ひとまず『仲のいいお友達ポジション』はトップでついたと思っていてくれればいいよ。だから今後も俺の好感度上げをお願いします。」

 

「ほ、ほぉー、わかったのですよ。ちよは必ずその座を1つ手に入れてみせるのですよ!覚悟をしているといいのですよ、み、みおたん!!」

 

 

 あ、名前で呼ぼうとして日和った。

 「ちよたん、かーわーうぃーいー」って言ったら「うるさいのですよ!」って言いながら逃げてった。

 ホントあの子、付き合いやすいわ。他の子達もこれぐらいライトな感じだと喋りやすいんやけどなぁ。

 

 どーしてもこっちの世界で生きていくってなったら結婚は避けて通られへん問題やしな。18歳までに婚約者が最低3人は必要らしいし。それまではそういう交渉はせんでもええからじっくり考えていかなあかんなぁ。

 

 

「ねぇ、おにいちゃん。さっきちよ先輩のことかわいいとか言ってなかった?」

 

「ん、大丈夫や。未来は天使やからな、かわいい通り越しとるから安心し。」

 

 

 おーい、妹様よ。お兄様はめっちゃ適当に答えたけど、こんなんでデレッデレしとったらコロッと騙されるぞー。

 まったく、組手のときはつよつよやのに、俺のことになるとよわよわやな。ま、そんなところも含めて天使なんやけどな!!

 

 






 ちよたんまじちよたん。

 やっと魅音君に慣れてきた人も出始めました。

 実はこのちよちゃんも油断して無ければ未来ちゃんに勝てるぐらいの実力者です。

 カラテの技を使うとかなんとか、サツバツ!



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

8・驚愕のベストマイフレンド(お茶会前編)



 狐野家の食卓・魅音君『待たせたな』狐野家『うますぎる!』




 

 

「魅音君、そこは・・・そこはダメよ。あ、待って、ダメッ・・・ダメだってば・・・あああああぁぁぁ!!」

 

「わ、私はそこが弱いんだ。み、魅音頼む!ゆ、ゆるしあああああああぁぁぁ!!」

 

 

 あなたの背中に這い寄る快感、どうも魅音です。

 

 ただいまいつもお世話になっております亜実母さんと美玲姉さんへと指圧をさせていただいております。

 前の世界での特技でして、あいつを犠牲にして父さんの背中で大いに活躍させていただいた経験を活かし、ゴッドハンド魅音として健全に押させていただいておりますよ?『指圧のこころは、母心~♪』と口ずさみながら押してますが、なんだよコレ!かったい!!

 

 おふたりさん、肩凝り過ぎじゃね?やっぱあれかね、アレのせいで肩凝るんかね?

 

 ちょっときーちゃんとほーちゃんこっち来てみ?

 

 

「みっ、魅音君。肩ならほほほ、ほーちゃんが凝ってるよ!ほーちゃんにやってあげなよ!!」

 

「きーちゃんもウチと変わんないじゃん。ほらお先にどうぞ。」

 

「ぎぃやああああああぁぁぁ!!!」

 

「あ、魅音君。うん、ウチは遠慮しようかな?ほら、みんなやって疲れてるだろ?ちょっと休んだほうが・・・。あ、待って待っ、ぎっぎぃいいいいいいぃぃぃ!!!」

 

 

 悲報『狐野家、慢性の肩こり持ち』

 

 こりゃひでぇ、運動してても肩こりひどい人はひどいんやね。

 え?妹様には優しくするに決まってるじゃないですか、やだー。

 

 なんだよみんな、こっちは善意でやってあげてるんだぞ。

 未来と未来のお友達にあげるお菓子を勝手に食べちゃったのなんか気にしてないんだからねっ!!ねー、未来?

 サッと目をそらしちゃってまぁ・・・。ホント大人ってきたないわー、やだー。

 

 え?未来、もういいの?さすがにおにいちゃんにそんな目で見られてイジられたら耐えられないし可愛そうだからそろそろやめてあげて?

 ホント聞いた、今の?さすが大天使妹様やでぇ・・・。

 

 

「あっ、おにいちゃんそろそろ友達が来るみたい。」

 

「そうか、俺も同い年だから仲良く出来るといいな。アレだろ?未来が前に言ってた変な転校生も今日は一緒に来るんだろ?」

 

「うん、なんかおにいちゃんのこと知ってるみたいだったし。他の子達はおとなしい子ばっかりだから初対面のおにいちゃんでも大丈夫だと思うよ?」

 

 

 はぁ~、癒やされますぅ~。やっぱりうちの妹は完璧、知ってた。

 

 今日は同世代の友達を作りたいという兄の希望を叶えるべく、妹様が奮起してくれたのだよ!

 うちの道場に来てる子たちは体育会系女子が多いから、ちょっとノリについていけないんよね。なんていうの、飢えた獣?

 そこで妹様に協力してもらい、同世代の友達を増やそうという今回の企画、実に楽しみです。

 

 あ、来たみたい。じゃあ俺は急遽作ったお菓子を出して、お茶会セットでもご用意させていただきますかね。

 本日のデザートはドーナツでございます。チョコ、抹茶やシナモンなど、急ぎで作った割にはトッピングの種類は豊富。

 さっき本気で作ったケーキ各種は狐野家のお姉さま方の胃袋に消えてなくなりましたよ、ちくしょう。

 

 

「おじゃましまーす、わぁ!お菓子を用意してくださっ・・・

「うわあああああぁぁぁん、みおやーーーーーん!!!」

 

「わっぷ、え、え?君誰?」

 

 

 お嬢様みたいな女の子の影からすっ飛んできたのは、金髪美少女。狐野家のリビングが一瞬で氷つく中、俺の胸の中で泣きわめく彼女。

 え、誰この人?ほんとにこの子、見たこと無いんやけど?こっちの世界はピンクやエメラルドグリーンなど髪がド派手な子が多く、金髪なんて珍しくもないが、俺の知ってる中で金髪の子は1人もいなかったはず。

 おぉ、この子は着痩せするタイプやね。

 

 おっと、俺は君のこと知らないよ?ひとまず落ち着いてこの紅茶でも飲みなさい。

 

 

「何言ってんねん!親友やと思ってたのにワイのこと忘れたっちゅうんか!?こっちは変なとこ飛ばされて、身寄りもないから国に保護されて大変やったんやぞ!女版みおやんやと思って話しかけたら未来ちゃんやし!しかも何やコレ!?ワイ、超絶可愛なっとんねんぞ!」

 

「ちょっと待て、飛ばされただと?その喋り方は・・・もしかして弥生か!?」

 

「せや!みおやんの大親友こと『鷹西 弥生(たかにし やよい)』とはワイのことや!今後もよろしゅうな、みおやん!」

 

「えっ、ええええええぇぇぇぇ!?」

 

 

 驚愕の新事実、親友がTSしてたでござるよ。

 

 ひとまずお客様方をリビングにお通しし、なんか可愛くなっちゃった親友と情報交換。

 なんでも俺が飛ばされる一週間前にこっちに飛ばされてたらしく、その後は国のサポートを受けて一人暮らしをしていたそうな。

 元々あちらの世界でも交通事故で両親を無くしており、一人暮らしにはさほど問題は無かったらしい。

 小学校と中学までは同じ学校だったが、高校へは俺が進学校で弥生が普通校へ通っていたのでいなくなったのは気付かなかった。たしかに2,3日に一回はうちにご飯食べに来てたから最近来ないなとは思ってたけど、これまでにもあったことなので仕方ない。

 

 んで、学力試験を受けて高校に通わせてもらえることになり、未来がいるクラスへ編入。そこで見つけた俺に似た未来を見つけ、勘違いして飛びついたらしい。

 『知らない子に突然泣いて飛びかかられた』と聞いた時にキマシタワーとか思っててスイマセン。

 

 

「いやー、未来ちゃんからみおやんの名前が出てきた時は嬉しかったで~。それにしてもアレやな、みおやんにとってはハーレムやんけ。うらやましいの~?」

 

「ほほぅ、気軽に外にも出歩けず、常にハンターたちに狙われる草食動物の気分を味わうこの状況。これがキサマにはうらやましいと?」

 

「あばばばば、じょ、冗談やってば。でもええ家族でよかったやん、おっちゃんもええ人やったけどやっぱり血筋かにゃあ?」

 

「そうだろう!うちの自慢の家族だからな!まっ、父さんには悪いがあの人はモテるから大丈夫だろ。」

 

 

 父さんはアホみたいにモテるからな。俺を育てるために母さんとの思い出も断ち切って女性との交際も断り続けてたみたいだけど、この機会に是非新しい自分の幸せを見つけてもらいたい。ご飯だけが心配だけどなぁ・・・。

 

 でも親友がいてくれて安心したわ。

 こっちに来てからは女性に対しては言動に気をつけないとすぐに過剰な反応されるんよね。やっと気軽に話が出来るやつが出来た。

 

 

「あの、魅音君?そちらの弥生さんは向こうの世界で親友だったのよね?」

 

「そうだよ亜実母さん、未来もこいつは変な言動多くてバカ丸出しだけど根っこは・・・いや、根っこだけはいいやつだから仲良くしてやってくれ。」

 

「みおやん、根っこだけってどういうこと!?相変わらずワイに対して厳しすぎへん!?」

 

「そ、そう・・・。それで、聞きたいんだけど、彼女は元『男』でいいのよね?」

 

 

 「そうだけど?」って答えたら一斉に女性陣が円陣を組み始めた。

 って、ちょっとまてーい。「あんなに仲良さそうにベタベタと、BL!?BLなの!?」って聞こえてるから!!!

 

 あとお前、こっちにしなだれかかってくんじゃねぇ!なにが「みおやんのい・け・ず」じゃ!

 中身知ってるだけあって見ろ!このサブイボの量を!!!

 

 

「はぁ、みんな・・・こいつは愉快犯だから真面目に相手にしてると疲れるから程々にな?あと亜実母さん、こいつ前の世界でうちでちょくちょくご飯食べさせてやってたんだけど、こっちでも来てもらってもいいか?」

 

「あ、あらごめんなさい。もちろんいいわよ、弥生ちゃん、君、どっちかしら?遠慮しないでいつでも来ていいからね?」

 

「おっ、ホンマですか!?ほなありがたくこさせていただきます。みおやんにはまたこっちで見つけたおもろい漫画とかぎょーさん持ってきたるさかいに楽しみにしとってや!」

 

「おう、じゃあみんな、時間とっちゃってごめんね?ドーナツとか好きに食べていいから今日はゆっくりしていってね?」

 

 

 とんだハプニングがあったけど、俺のために来てくれたんだしちゃんとおもてなしせなな。

 おや、弥生がうちの家族に囲まれとる。あいつ、いらんこと喋ったら許さんからな・・・。

 

 






 書き終わってから気付いたんです。

 弥生、やよい、やおい・・・おっと誰か来たみたいだ。

 親友がTSしてきたら美少女なら許す。

 これには賛否両論ありそうですがそっとしといてください。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

9・血の饗宴(お茶会後編)



 魅音君は握力めっちゃ強いです。




 

 一言で言わせてもらうなら、『どうしてこうなった!?』

 

 出鼻をくじかれ、ちょっと日和見ムーブを発動していた2人の女の子たち。

 はじめはしどろもどろになりながらも会話をこなし、そろそろ仲良くなってきましたかねと思っていた頃に事件は起きた。

 

 一人目はプラチナブロンドでぐるぐる髪の漫画に出てくるお嬢様みたいな子は『西方院 麗華(さいほういん れいか)』さん。

 彼女は冗談抜きのお嬢様で、親が芸能界の大手企業のシャッチョサンをしているらしい。彼女自信もファッション雑誌のモデルをやっているらしく、お仕事で男性との付き合いもあって耐性があるので今回選ばれたとのこと。

 

 もうひとりの茶髪の女の子は『音無 鏡花(おとなし きょうか)』ちゃん。

 未来のクラスの委員長で、堅物なイメージが強いが話してみると意外とかわいらしく。話しかけるとプルプルする。真面目で学年では成績トップの努力家で、クラスの勉強会とかをよく開いているそうな。

 

 その彼女たちが真っ赤になって床に倒れている。

 始まりは弥生が放った爆弾から始まった。

 

 

「そうそうみおやん、ワイこっちに来るときに携帯を手に持っとってな。それこっちでは使われへんけど写真とかは見れるから、よかったら昔のみおやんみんなで見ようや。」

 

「おい、弥生。お前変な写真とか撮ってないだろうな?」

 

「だいじょーぶ、だいじょーぶ!こっちで確認したけどアハンな写真は無かったから心配せんでええって。」

 

「魅音様のお写真気になりますわ!!鏡花さんと未来さんも一緒に拝見させていただきましょう!!」

 

 

 そして我が家のテレビに繋いで、大画面で鑑賞会の開始。

 あー、アレはゲーセン行った時の写真かー。あの時は弥生がフィギュアのクレーンゲームで3000円飲み込まれて試しに俺がやったら一発で取れた時のやつだな。

 ファミレスで鼻にクリームつけた写真なんていつ撮りやがった!?微笑ましい雰囲気出されてめっちゃハズいんやけど!!

 お、父さんと3人で撮った写真もあるのか、アレは今度俺にもデータ送ってもらおう。狐野家の女性陣の食いつきもすごいな。

 

 

「魅音さんのお父様も優しそうな方ですね。私は勉強ばっかりしていてゲームセンターとかは行ったことが無いので楽しそうでうらやましいです。」

 

「そうですわね、ワタクシもお仕事があったりでゲームセンターは行ったことがありませんわ。」

 

「れーやんもきょーやんも行ったこと無いんか!?ほなみーやん誘って4人で行こうや。みんなでプリクラとってみおやんのデコに貼り付けたろ。」

 

「弥生ちゃんはおにーちゃんいじめちゃダメ。」

 

 

 うちの妹様は天下一いいいいぃぃぃ!!

 

 弥生というゲスがいると未来が当社比3倍増しぐらいに可愛く見えるな。

 でもさすがは弥生、言動は気持ち悪いくせに相変わらずのコミュ力オバケやな。前の世界でもどこ行っても友達作ってたし、こっちの世界でもそれは健在か。まぁ、あれだ。愛すべきバカってこういうやつのことを言うんだろうな。

 

 そして弥生が「ほな次行くでー」と言ってからその事件は起こった。

 

 

「やっ、やっ、ややややや!!!弥生さん!!!消して!早く消して!!!」

 

「なっ、なんやみんな?これただのみおやんと海水浴行った時の写真やで?たしかに肌色多いけど水着もちゃんと着とるしなんか変なとこあるか?」

 

「うえっ、うえが!!ぴっ、ぴんくのぽっちがみえっ、みえっ・・・ぷしゅー・・・」

 

「あー、あれだ弥生。俺もこっちにきて知ったんだけどな。男性の水着は『上下セット』なんだ。ということで、俺の胸もこっちでは弥生のいうアハンな対象になるわけだ。」

 

「えっ、ホンマかいな!?ゴメンなみんな、すぐ消すわー・・・ってもう遅いか。」

 

 

 そこかしらに転がる死屍累々の美女たちの姿。床は血の水たまりが出来上がり、綺麗なお顔が見るも無残な状態に。

 こっちの女性たちはこういう系のモロに弱い。女性向けの雑誌は男性保護の観点から規制が厳しく、あっても漫画がほとんどで生写真などはほとんど無いらしい。

 余談だが、男性と『コト』に及ぶ場合は個人差もあるが、こういった写真で1ヶ月ぐらいかけて耐性をつけてから致すらしい。

 

 

「なぁ、コレさぁ・・・俺が全部片付けんの?」

 

「スマン、まさかこんなことになるとは思ってなかったわ。ワイも手伝うから雑巾とか貸してくれへんやろか?」

 

 

 二人してやるせない気持ちになりながら掃除をしていく。

 あぁ・・・初めての友達の顔が大変なことになってるよ。亜実母さんは結構頑張ったみたいだけどダメだったか。

 一緒に住んでるんだからある程度耐性ついたかと思ったんだけどなぁ。

 

 全員の顔を拭いて弥生とリビングでティータイム。

 それにしてもこいつも美少女になったな、女になるって気分がわからんがどう思ってるんやろ?

 

 

「なぁ、そうなって実際のところどうなん?」

 

「んぁ?あー、まあワイは前の世界で彼女とかおらんかったからなぁ・・・。でも心は元男なわけやねんけど、こう・・・なんていうか女に引っ張られとるみたいで女の子のアハンな姿見ても全然興奮せんのよなぁ。」

 

「あ、やっぱり?前の時の弥生ならこんな状況になったら興奮して絶対変なコトしそうやもんな。」

 

「せやでー?やからみおやんがもし困ったらサービスしたるで~?」

 

「アホ、弥生相手に欲情するか。もっとカップ数上げてから出直してこい。」

 

「ひっど!うわひっど!!いくら狐野家のお姉さま方がアメリカンサイズやからってそれはないんちゃう!?」

 

 

 これこれ、やっぱ気安いこと言えるダチってラクやわー。

 でも確かに弥生は美少女になってしまったなー。声もめっちゃ可愛くなってしまって・・・。

 

 いかんいかん、ゲスの顔を思い出せ。男の時の感覚でこられるから距離が他の女の子たちに比べて近いんだよな。

 おいやめろ、俺が拾うから目の前でドーナツこぼしたからって胸チラすんな。あと足は閉じろ。

 

 

「まー、でもこっちの男はどいつもこいつも最悪なやつばっかりらしいで?えっらそうにふんぞり返っとるやつばっかりらしいわ。」

 

「そうなんか、そういえばこっちにきてからは他の男には会ったこともないし、噂も聞いたことないな。」

 

「みおやんはこっちでいう漫画の中の王子様みたいやからな。気をつけなアカンで?普通にしとっても女の子たちからすれば『優しくしてくれる、好き!!!』ってなるからな。みーやんが『おにいちゃんは天然ビッチかもしれない』って言ってたけど、大いに同意させてもらうわ。」

 

「なんだって!?うちの大天使がそんなこと言うわけ無いだろう!!!」

 

「そんなんで嘘つくわけないやん。あー、でもそんなわけやからワイも貰い手見つかりそうにないからみおやんよろしゅうなー?ぶっちゃけアホぅに組み敷かれるぐらいやったら親友にヤラれるほうが全然ええわ。」

 

 

 くっそ、真剣な顔で言いやがって!!くっそ!!!

 お前なんか一生独身になっちゃえばいいんだ!でっ、でもどうしてもっていうなら考えてあげなくもないんだからねっ!!!

 

 でもそうかー、こっちの男はそんなにひどいんだな。

 こいつは人のこと滅多に悪いふうに言わないし、こいつがここまで言うなら相当なんだろうな。

 それ知っちゃうとなー、自分の周りの人達には幸せになってほしいしなー。

 

 でも俺は1人だからなぁ。どうやったらみんな幸せになれるか真剣に考えてみますかね。

 あ、てめぇそれは俺のドーナツじゃねえか!かえせー!!

 

 






 キャラ結構出ましたね、そろそろ夏休み編に入りますので落ち着きます。

 この世界では髪が結構カラフルなので魅音君の黒髪は結構浮きます。

 ドリルキャラいいですよね、天元突破しそうです。

 弥生ちゃんは適応力も高いのでこっちの世界に結構馴染んでます。



 


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

10・ぶんぶん、みょんちゅーぶ



 おぉ、魅音よ。辱められるとは情けない。




 

 世間は夏休み。通信教育で無事に全国模試もそれなりの順位を叩き出し、勉強に関してはほっと一安心。

 狐野家の人たちも高校生組は大体宿題も終わらせてリビングでぐでっとすごしております。

 うちの人たちは亜実母さんの『勉強も鍛錬』の方針でみんななかなか好成績をキープしてるみたい。特に美玲姉さんは普段はアレだが、国立の結構有名な大学に通っているらしく将来は経営コンサルタントを目指してるらしい。

 

 そう、将来の夢、お・し・ご・とですよ!!

 

 いくら男は国から補助金やギャランティで生活出来ると言われても、元の世界の感覚が残っている自分としてはなんか許せないわけなんですよ!!

 でも企業に勤めるのは社会問題にもなりかねないらしく、芸能活動ぐらいしか職業の場っていうのはあまり無いらしい。

 

 そこできーちゃんとほーちゃんを見ててお兄さん思いつきました!!

 

 前の世界でもしょっちゅう拝見させていただいていた、そう!!

 

 動画配信でございます!!!

 

 きーちゃんとほーちゃんは『KIHOチャンネル』という動画配信をたまにやっているらしく、プロゲーマー顔負けの有名配信者らしいです。

 本人たちが編集をめんどくさがってあまり動画にはあげてないらしいけど、機材をオススメしてもらってレクチャーしてもらい、俺は生放送でいざスタート。

 

 

「魅音君、じゃあ最初の配信はこの多人数参加型のバトルロワイヤルでやってみるといいよぉ。」

 

「きーちゃんと一緒に部屋から同じルームで参加してあげるから頑張ってみてね!」

 

「きーちゃん、ほーちゃんありがとう!あとで2人のリクエストのお菓子作ったげるね?」

 

 

 わーい、やったー!とドタドタと部屋に戻るロリ巨乳姉妹。父性があふれちゃう・・・。

 

 このゲームはきーちゃんとほーちゃんと一緒にやったから感覚はバッチリ。さっきSNSアカウントも作ったし、ワイプ画面で顔出しもしちゃうよー。

 顔出しについては家族会議で賛否両論ありましたが、家からめったに外出しない俺からすればあまり関係のないこと。

 もしストーキングが出てもうちに来てるプロ部門のこわーいおねーさまたちが守ってくれるそうなので警備体制もバッチリです。

 

 投げ銭オンにして、ロビー画面にうつって配信スタート。

 

 

「こんにちわー、『みょんチャンネル』に来てくれてありがとー!・・・ってすごいな、KIHOチャンネルで告知して貰ってたとはいえもう20万視聴ですか!?初見さんはじめまして、今日からちょこちょこ生配信をさせていただきます、みょんです。よろしくおねがいしまーす!」

 

 

 なんということだ、告知アリとはいえとんでもないことになってる。

 きーちゃんとほーちゃんが気を利かせて事前に俺が出てる告知動画を作ってくれんけど、ここまでになるとは思ってなかった。

 さっきからすっごい勢いでコメントが流れていくからコメントが拾えない。

 これはアレだ、ちょっと気合い入れて楽しんでもらわないと。

 

 

「では今回は画面の通り、みんなが参加出来るゲームでわいわい遊べたらと思います。あ!?投げ銭機能付いてるからって万はアカン!!!チョット待って!!!上限設定するから!!!・・・はー、投げ銭は募金感覚でいいからねー?生活費削ったらダメだぞー?」

 

 

 『好き』やら『愛してる』はいいけど『あなたのためなら全てをささげます』とか重いわ!!!

 人の配信で投身自殺はやめてくれ。「ちゃんと自分のお金でごはん食べるんだぞー?俺もご飯は毎日ちゃんと作って食べてるからなー?」とかいうと『私にも作って』とか『作った料理、作ってるところみたい』とか言ってくれる。ふむ、そういう趣向の配信もいいかもね。

 

 

「すてんばーい、すてんばーい・・・GO!!!よっしゃーーーー、ヘッドショット!!!観た!?いやー、このゲームKIHO姉ちゃんたちに鍛えられたからちょっと自信あるよー?・・・あ、待って待って、こっち狙わないで。ってHO姉ちゃんかーい!?」

 

 

 最終局面まで残ったけどあっさりとほーちゃんに撃ち抜かれ、ゲームオーバー。さっきグレネードで追いやってきたのは絶対きーちゃんだアレ。

 落ち着いてコメント欄と入場数を見ると、なんと100万超えの入場数にビビる。

 『面白かった』『声もカッコいい』とか嬉しいコメントがたくさんでありがてぇ・・・ありがてぇ・・・。

 

 

「じゃあ今回はこのへんで終わりまーす。『いかないで』は嬉しいけど俺もご飯とか食べたいからそろそろ終わりねー?先ほどコメントにもありました『料理作っているところを観てみたい』とありましたが、今後撮影機材を用意して試してみたいと思います。SNSで作った料理とかアップする予定なのでそちらのチェックもお願いしまーす。ありがとうございましたー。」

 

 

 ふぅ、前の世界の有名配信者の話し方を真似してみたけど大丈夫かな?ほとんどコメント欄は好意的な印象が多いから多分大丈夫か。

 やっぱり結構料理に飢えてる子が多いな。にくじゃが配信とかしたら発狂するんじゃなかろうか?

 おぉ、SNSのフォロー通知がバグっとる。今日のゲームのイメージで弥生から送ってもらった俺のサバゲの時の写真をアゲたろ。

 『イイネ』はええええええぇぇ!!!ポポポポポポポって音止まらねええええぇぇ!!!

 

 

「魅音君かんっぺきだったよ!ちょーおもしろかった!!」

 

「ふふふ、魅音君のハートはほーちゃんが撃ち抜いたのですぅ。」

 

「きーちゃん、ほーちゃんありがと。最後あれですっごい盛り上がったよ。」

 

「そういえば魅音君、投げ銭やってたけどどうなったぁ?」

 

「最初50万ぶっこんだ人いたですよねぇ、さすがにびっくりしたのですぅ。」

 

「んー・・・どうなってるかな?・・・って、はああああああぁぁぁぁ!?150万超え!?ハァ!?上限1万にしたハズやで!?ってことは入場者のほとんどが投げたってことか!?」

 

 

 「予想してたけどこれはすごいねぇ」というきーちゃんと、「魅音君ならこうなるのはわかってたですぅ」というほーちゃん。いや、あんたらわかってたんかい。

 理由を聞いてみると、どうやら男の配信者で『かわいい』と『面白い』が揃ったらこうなるのは当然とのこと。

 罪悪感を感じていると、『その分面白い配信すればいい』『むしろ投げ銭無いと住所特定されて現金が送られてくる』とのこと、どんだけだよ。

 きーちゃんがネットを見るとすでにバズっているらしく、非公式ファンクラブもすでに設営されて掲示板ではサイトがダウンしたらしい。

 あ、SNS開かねぇや。弥生から『料理動画撮る時はカメラマンしたるでー』とのんきなメッセが飛んできてる。

 

 

「魅音君、ほーちゃんと一緒に公式ホームページ作ってあげるねぇ?」

 

「弥生ちゃんから『グッズ制作なら任せろー』ってメッセきてるのですぅ。魅音君もこれで一躍有名人ですねぇ。」

 

「なんで俺の知らないとこでグループライン作ってんの!?俺、そのグループライン入ってないんだけど!?」

 

 

 サッと逸らされるうちのロリ巨乳姉妹たち。くそぅ、仲間はずれにしやがって。

 うーん、まぁ今回は楽しんでもらったみたいだしよかった・・・のかな?

 

 その日は晩御飯のときに残しておいた配信動画をみて、家族全員で俺の滑稽なやられシーンをみて爆笑されたでござる。

 このちびっこどもめ!ぜったいゆるさない!ぜったいにだ!!

 

 






 この回はやってみたかった回です。

 芸能活動している男性もいますが規制が多く、生で楽しめるアイドルってのが新鮮だったみたいです。

 弥生ちゃんは愉快犯なので前の世界でも魅音君はよくイジられてました。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

11・お野菜しっかりとってね?



 なんでも言うこと聞く魅音ちゃん。




 

「あわわわわわわわ、みおたん!もっとそっちに寄ってください!」

 

「そんなこと言ったって・・・あ、ほーちゃん!そっちに足をのせちゃっ!?ちかいちかいちかい!!!」

 

「はーい、おにいちゃんアウトー。」

 

 

 今日は我が家でちよたん含む狐野家高校生組で遊んでおります。

 あのですね、ツイスターゲームはアカンと思うのですよ。ただいまほーちゃんのスパッツに負けました。

 そして俺が上でちよたんが下、ちよたんは俺から見て逆さ向いてブリッジしてました。あとはわかるな?

 

 

「魅音君はカラダかったいねー。きーちゃんとほーちゃんでやわらかくしてあげるのですぅ。」「やるのですぅ。」

 

「あ、だめっ!両方から引っ張っちゃ・・・あだだだだだだ!!!」

 

「おねえちゃんたち、あんまりおにいちゃんにいじわるしちゃダメだよ?また肩ぐりぐりされちゃうよ?」

 

 

 さすが妹様、俺の味方はあんただけやあぁぁ・・・。

 

 きーちゃんとほーちゃんは無茶苦茶するからなぁ。

 あ、今日ちよたんが来てるのは元々きーちゃんとほーちゃんがちよちゃんと同じクラスで、大学受験の勉強会のためらしいです。

 ん?まて、勉強会どこいった?

 

 

「きーちゃんにほーちゃん、それとちよたん。勉強会はどったの?」

 

「みおたん、それは聞いてはならないのです。夏休みなんですよ?たまには勉強も稽古も忘れて遊ぶのです。」

 

「ちよちゃん勉強あんまり出来ないけどねー。」

 

「今日はこのあとちよちゃん家に泊まりで徹底的にちよちゃんに叩き込むのですぅ。」

 

 

 ひえぇ、といいながら青ざめるちよたん。

 よく考えたら今日はロリ率たけえな。全員160cmいってないという・・・うっさいわ!

 

 さて、恒例のデザートタイム、本日はババロアでございまーす。はーい、みんな手を洗っておいでよー。

 暑いからね、昨日のうちに用意して冷ましておいたよ。いちごとチョコと抹茶をそれぞれ作ってみたぜ。

 あれからみょんチャンネルも好評で、実は反響が多いのがお料理回だったりする。アレコレ作ってと言われると勉強にもなるし、人に見せるためにも練習するから最近またメキメキと腕があがりました。

 おぉ、うめぇか?たんとおあがり。

 

 

「みおたん!お願いがあるのです!」

 

「どした、ちよたん?鼻にクリーム付いてるぞ?」

 

「っ!!!・・・コホン。実はですね、ちよに料理を教えてほしいのです。」

 

「どした?ちよたん料理出来ないの?」

 

「簡単なのは出来るのですが、いつも頑張ってくれているママにもっとおいしい料理を作ってあげたいのですよ。ママはプログラマーなのですが、いつも遅くまでお仕事していて大変そうなので是非労ってあげたいと思ったのです。」

 

「「ちなみに魅音君のホームページ手伝ってくれた人だよー。」」

 

 

 ふむ、そういうことであればこの魅音、み・な・ぎ・っ・て・ま・い・り・ま・し・た!!!

 まかせろちよたん!俺が全力でサポートしてやるぜ!!

 

 さて、今日のメニューはお仕事でおつかれのママさんをサポート、自然食をテーマにしていきたいと思います。

 ごはんはひじきを炒め蒸し煮し、玄米でひじき玄米ごはんに、食べごたえを意識してひき肉入りのれんこんバーグ。梅酢をつかってさっぱりとにんじんドレッシングサラダとこんぶで出汁をとったお味噌汁。

 

 

「ほえ~、配信で見てるですがみおたんはやっぱり手際がいいですねぇ。」

 

「油使うけどこれならちよたんでも簡単に作れるだろ?ママさん、栄養偏ってそうだし今日はカラダにいいメニューを選んでみたけどどうかな?」

 

「ありがとです。タッパーは洗ってちゃんと返すのです。また時間あるときに教えてもらってもいいです?」

 

「もちろん、ちよたんが連絡入れてくれれば今度はママさんにも出来たてを味わってもらいたいからうちに呼びなよ。」

 

「いいねおにいちゃん、ちよ先輩には未来も稽古のときにお世話になってるからその時は未来もお手伝いするね?」

 

 

 俺の周りには天使しかおらんのか・・・。ハッ!?ここが天界か!?

 いかんいかん、またトリップした。しかも無意識でついつい両サイドの天使たちを撫でてしまっていた。

 ちよたんめっちゃ真っ赤になってるやん、かわええ。

 

 そういえば公式ホームページ作ったって聞いたけどまだ見てないんよね。

 あ、きーちゃんほーちゃん、俺のホームページちょっと開いて見せてくんね?

 

 

「はーい、こちらが魅音君の専用ページになりますぅ。」

 

「サーバーはいっちばんいいとこの使ってるですよぅ。ちよちゃんママ経由で大手のサーバー会社に大量アクセスでも大丈夫な専用サーバーを用意してもらったのですぅ。」

 

「何これ?俺、このトップ画像のこんな優しい微笑みした写真撮ったことあったっけ?」

 

「みおたんの写真は弥生たんが提供してくれた秘蔵の写真らしいですよ?」

 

「まあああぁぁたぁあいつかああああぁぁぁ!!!」

 

 

 どこのアイドルの写真だよってぐらいのカメラ目線、これ絶対俺が寝ぼけてるときに撮りやがったな!!

 超ハズいわアホおおおぉぉぉ!!!

 

 なんやこれグッズ販売?うは、クリアファイルにキーホルダー、Tシャツもあるのか。

 街中に俺の顔をプリントした女性たちが歩いて・・・はっず!!!はずかしすぎるわ!!!

 あいつ、今度ご飯食べに来たときに嫌いなピーマンてんこ盛りにしてやる。

 

 え?通帳見たって?怖くて見てないってば。

 あ、はいはい。ネットバンキングで見てみますね?

 ・・・ひえええええぇぇぇぇ!!!みっ、美玲姉さんに資産運用任せよ。

 

 

「ハハハ。みおたんはちよが養ってあげるつもりでしたがこれではちよが養われてしまうです。これではちよはお役御免です・・・。」

 

「何を言う、ちよたんがいてちよたんのママがいるからここまでになったんだ。それに俺は誰かに養われる男になるつもりはないぞ?それにちよたんにはいつも癒やされてるからな、もっと自信を持ちなさい。」

 

「だっ、だからみおたんはそういうセリフは反則なのですぐにいっちゃダメです!!!」

 

「「魅音君はホントに天ビですぅ。」」

 

「俺は天ビじゃない!!!」

 

「ごめん、おにいちゃん。今回はちょっと未来もフォロー出来ないかな?」

 

 

 天使たちが地獄に叩き落としてきたでござるよ!?

 

 最近あだ名が天ビで固定されてきた。みょんチャンネルの人達にもちょくちょく天使(天ビ)って言われるし、ひでぇ。

 弥生なんか『みおやん。あ、違った天ビ~?』とか言ってからかってくるからな、やはりあいつの食事はピーマンに決定やな!!

 

 お、そろそろちよたんの家に行くのか?近いけど気をつけろよ?

 きーちゃんとほーちゃんはちよたんママにお礼言っといてくれ。ほな行っといで。

 

 

「おにいちゃん、たまにみんなにお父さんみたいな雰囲気出すよね。」

 

「そうか?まぁあのちびっ子たち見てるとなぁ・・・。あれ、みんなホントに全員年上なんだよな?」

 

「・・・たまに未来もわからなくなるかも。」

 

 

 妹様と見送ってから二人して首を傾げる。

 

 その後、ちよたんがちよたんママに夜ご飯を魅音が作ってくれたと伝えたところ、一眼レフを持ち出してメモリ容量いっぱいまで嬉し泣きしながら食事を連射して撮りまくるママさんがいたそうな。

 どうやら健康のことまで気遣ってくれたことに感動した模様。ホームページの運営のつぶやき欄に投稿したところ、大量のイイネがついたそうです。

 

 






 食生活って難しいですよねー。

 ちなみにこのあときーちゃんほーちゃんコンビによる鬼の勉強合宿が開催。

 ちよたんはやればできる子です。

 ただし体を動かすほうが好きなので普段はやりません。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

12・美玲の野望、ぱわーあっぷきっと



 魅音君は、はたらくママを応援しています。




 

 ここにきて初めて『うちの美玲姉さんまじですげぇ』と思いました。

 

 実はみょんチャンネルを始めるときに賛成多数の中、最後まで『私の魅音を世間に広めるなんて許さないぞ!』って言って反対していたのは我が家のポンコツお姉ちゃん、美玲お姉さんその人でした。

 『魅音の危険が危ない!』とか『ひどい女に何かされたらどうするんだ!?』とかホントに心配してくれていたみたいで、俺の『何かあってもお姉ちゃんたちがいるから大丈夫だよね?ダメ?』って言ったら『ぐぬぬぬぬぬ』と言いながらも了承してもらえました。

 いや、まさかあの一言でここまでしてくれるとは・・・ホント大変申し訳ございません。

 

 知らなかったのだが、美玲姉さん。

 

 チャンネル設立と共にうちの門下生巻き込んで警備会社を買収して設立。要人や男性専門を対象としたプロ集団を作り上げた。

 しかも結構順調にシェアを勝ち取っているらしく、民間の警備会社はどんどん買収していってるらしい。

 

 更に俺の芸能事務所もついでに設立。グッズ販売からファンからのプレゼントの管理、ホームページやSNSの検閲などの専任チームを雇ったそうな。

 今後は有名チャンネルの人達も数名この事務所に所属することが決まっているらしい。専任チームにはちよたんママも最近移籍したみたいです。

 

 で、『うちの両隣がそれぞれ工事してるな~』ってのんきなことを思ってた俺は、そんな警備会社と事務所がそれぞれ建設中なんて知りませんでした。

 いや、美玲姉さん普通にいつもどおりに朝出ていって夜帰ってきてたじゃん!!いつそんなことしてたのさ!?

 しかもこの姉、そんな大仕事を片手間でやりながら大学へは普通に通っているというなんというチートっぷり。

 

 

「ほら魅音、笑って笑って!!・・・いい、その笑顔実にいいぞっ!!!」

 

「あらあら美玲ちゃんったらはしゃいじゃって、スタッフさんの邪魔にならないようにね~?」

 

「おにいちゃんおにいちゃん、次はこの服だって!あ、デザイナーさんこの服はちょっと露出が多いかなぁ?」

 

 

 本日はME『MION Exquisite company(ミオンイクスクィジットカンパニー)』の警備会社で使うポスターと専属デザイナーによる各種媒体への写真をプロのスタジオで撮影してもらっております。

 Exquisiteとは『この上なく優れた、非常に美しい、絶妙の』っていう意味らしい。なにそれ恥ずかしい。

 MEの右下にちっちゃくCo.と書かれたロゴがすでに出来上がっており、専用のホームページも順次アップされる予定です。

 さらに今回のデザイナーさんによって新たな服飾ブランドも立ち上げられるそうな、なにそれ怖い。

 

 で、目の前で撮影スタッフ差し置いて分身しながら様々な角度で写真を撮りまくる我が姉。絶対俺よりいい笑顔してるぜ。

 この日のためにプロのカメラマンから撮影技術を習得してきたらしい。・・・どこにそんな時間があったんだ!?

 

 

「美玲姉さん、ちょっと休憩入れようよ。それにしてもここまでしてくれてありがとね、今日はやさしくマッサージしてあげるからね?」

 

「何を言う、愛する魅音のためならお姉ちゃんこれしきのことなんともないぞ!マ、マッサージはやさしくな?」

 

「美玲ねぇ、ママと未来ちゃんでホームページに使う写真選んでくるねぇ?」

 

「ウチはちよたんママたちにポスターの加工頼んでくるですぅ。」

 

 

 狐野家のロリ巨乳姉妹はスケジュール管理とかお仕事の振り分けとかをしてくれております。

 この2人はアイデア出したりしてくれてくれることも多く、配信制作に大いに役立てさせてもらってます。

 

 きらっきらの笑顔で隣りに座ってスポーツドリンクを飲んで汗を拭う美玲姉さん。あんたスポドリとかのCMの仕事貰えるよ。

 「コレとかどうだ!?」とかいいながら自分の写真見せてくれるんだけど、姉さんホントにあんた何でも出来るな!?雑誌とかで見るような構図が完璧に撮れてるじゃん!!

 

 

「ホントにありがと、まさかここまで美玲姉さんがしてくれてたとは知らなかったよ。でも無理しないでね?」

 

「好きでやってることだ、魅音は気にしなくていい。それに経営を自分でやることで将来のためにもなると思ってやっている。今回のことで人を動かす難しさを改めて理解できた。ゼミでもこれを新たな研究テーマとして活用させて貰っているからな。私にとってもためになっているんだ。」

 

「ここまでやっちゃったら十分だと思うんだけど、姉さんの目指す経営コンサルタントは最後に国でも動かしそうだよね。」

 

「何を言っている。すでに十分動かしているぞ?今やチャンネル登録者数は億を超え、ネットではどこもかしこも魅音一色。到るところからオファーが入り、今でも事務所には電話がひっきりなしだ。うちの愛する弟は全世界で愛されているな!!」

 

 

 ええええええぇぇ、最近数字が怖くて見てなかったけどそんなに見てる人いるの!?

 コメント欄が追いきれなくてきーちゃんかほーちゃんに拾ったコメント読み上げてもらってるけどさ!?

 道理で最近2人が『外国語の勉強になるですぅ』とか言ってたわけだ。知らん間に全米デビューしてたんかい!?

 

 え、美玲姉さん。そのいつの間にか膝にかかえてる俺に似てる人形なに?

 弥生にデザインして作ってもらった?あいつはなにやってんだああああぁぁ!!!

 

 

「魅音も辛くなったらお姉ちゃんにちゃんと言うんだぞ?男がメディアに露出するということは社会現象になりやすい。好奇の目にさらされて辛い目にあうこともあるかもしれない。その時はお姉ちゃんが絶対に守ってやるからな?」

 

「美玲姉さん・・・。うん、ありがとう。・・・大好き。」

 

「!?みっ、みみみみみみ魅音!?今お姉ちゃんのこと大好きって言った!?母さん、みんな!今魅音がお姉ちゃんのこと大好きって言ったあああぁぁぁ!!!お姉ちゃんも大好きだあああああぁぁぁ!!!」

 

「ちょっ、美玲姉さん恥ずかしいからやめて!!やめてってば!!やめんかい!!」

 

 

 全力全開で叫ぶ姉、うっせぇ!!部屋が声量でビリビリ震えてやがる!?

 みんなも微笑ましい笑顔でこっちみないで、恥ずかちいいいいいいぃぃ!!!

 

 でもホントにいい姉、いい家族だ。ちゃんと俺のやりたいことやらせてくれて、嫌な顔もせずに全力で協力してくれる。

 恵まれてんなぁ、俺って。俺に出来ることは恩返しって柄でもないけどなんでもしてあげたい。

 

 

「はあああぁぁぁん!!うちの弟は最高だぞおおおぉぉぉ!!!はーーーー、クンカクンカ、はぁはぁ、すーーーーーはぁぁぁぁ。」

 

「ちょっと美玲姉さん!?どこに顔埋めて匂い嗅いでんの!?やっ、やめっ、って力つよおおおおぉぉぉ!?」

 

「美玲ちゃんあうと~。いくら魅音君が大好きだからって魅音君の嫌がることはお母さんゆるしません。」

 

 

 母は強し。亜実母さんのげんこつによって暴走状態の美玲姉さんはアカン顔しながらシャットダウンしました。

 すげぇよ亜実母さんの振り下ろすげんこつ。一瞬ソニックブーム起きるんだけど、抱きつかれてる俺には一切ダメージ無いの。

 

 あー、もう。幸せそうな顔で寝落ちしちゃってまぁ・・・。

 仕方ないから今日はこのまま起きるまで膝枕してあげよう。え、みんなもやってほしい?家族だけね?お家に帰ったらやってあげるから。

 

 






 ちよたんママは前回の料理で買収されました。

 魅音君を守るために全力全開でバックアップしたら覚醒したお姉ちゃんの鏡。

 MEカンパニーはあなたの力を必要としています。

 ※今なら魅音の限定プロマイド付き



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

13・鏡花ちゃんのお着替え会


 ぽんこつ姉「そうそういいよー、じゃあもう一枚脱いでみようか?」魅音「」



 

 さてみなさんは覚えていらっしゃるでしょうか?本日は魅音の部屋に音無 鏡花ちゃんをゲストでお迎えさせていただいております。

 

 めでたくMEカンパニーに服飾ブランドが発足いたしまして、撮影会のときにいたデザイナーさんが実は音無さんのお母さんだったそうで、その方が筆頭になって私めのお洋服を作ってくださっているそうです。結構身内で固めてるな、うちの企業。

 で、鏡花ママのお願いで今日は新作の服を作ってくれたそうなので、感想を聞きたいと言われて鏡花ちゃんが駆り出されたわけでございます。

 

 鏡花ママ、俺に合わせる服のデザインが湧き出まくっているみたいで、エナドリでブーストしながらすごい勢いでお家で服作りしてるらしいっす。

 鏡花ちゃんも会いに行く口実を探してたみたいで、お互いうぃんうぃんで親子仲も最近更に良くなったそうです。

 「魅音さんに会いたかったからちょうど良かった」ってプルプルしながら言ってくれるこの子、健気っ!!

 

 

「じゃ、じゃあお母さんから言われた質問はこれで全部だよ。結構長いこと着替えたりしてもらっちゃったけどしんどくない?大丈夫?」

 

「大丈夫大丈夫。鏡花ママとの撮影会の時なんかこの倍は着替えたし、撮影も兼ねてたから半日使ったしな。あのときに比べたら余裕余裕。それより鏡花ちゃんこそゴメンね、巻き込んじゃって。遊びに来る時は気兼ねなく来ていいからね?連絡入れてくれたら気合入れて料理とかお菓子作るし。」

 

「よ、よかった・・・い、いいの?迷惑なんじゃ・・・?」

 

「いいっていいって、弥生なんかこの前朝から来て3食デザート付きで食べてから『みおやん、明日の朝ごはん持って帰るから作ってぇな~』って言って持って帰ってたぐらいだぞ?それぐらいなんでもないから気にすんな。」

 

「弥生さん・・・あの人はもう・・・。でもやっぱり弥生さんとは仲いいよね、やっぱり弥生さんや狐野家のみんなみたいな自信のある人のほうが魅音君はいいよね・・・。私引っ込み思案だから自信無くすなぁ。」

 

「なに言ってるの、鏡花ちゃんしゃべったらかわいいし、よく気がつくいい子だと思ってるよ?クラスで弥生がバカやったときにフォローしてくれてるんでしょ?あいつ元が男だから結構ギャップでしんどい思いしてたみたいでさ、鏡花ちゃんがいるとすごく助かってるってべた褒めしてたよ?」

 

 

 ぷしゅうううぅぅと煙を上げて真っ赤になる鏡花ちゃん。かわゆす。

 なんていうんだろう、この子は周りにいないタイプの安心感のあるかわいさというか、話してるとすごいほっこりする。

 

 あ、せっかく服が大量にあるし、アレやってもらおうかな?

 ちょっと身長が鏡花ちゃんのほうが大きいけど仮縫いで持ってきて貰ったものだからイケるでしょ。

 

 

「鏡花ちゃん、この服ってデザイン決まったら市販で販売されるんだよね?せっかくだから俺だけじゃなくて他の女の子が着てるとこも見てみたいから着替えてみてくれない?」

 

「え?う、うんいいよ?じゃあ着替えるね?」

 

 

 ふふふ、け・い・か・く・ど・お・り。

 

 こっちの女の子は前の世界と違って羞恥を感じるポイントが違う。

 そう!『男の前で平気で着替えるのだ!!!』

 

 ほほぅ・・・。本日は『青のワンポイントレース』でございますか。結構なお手前で。

 小ぶりながらも形のいいラインが美しいでございますなぁ・・・。

 キュッとしまったヒップらいんに絹のようなお肌。脳内ハードディスクの容量足りるかしら。

 

 実はこのお着替え会、以前狐野家でも開催されたのですが、ちょっと『質量』という刺激が強すぎて、みんなもいるので動揺を隠すのに必死であまり楽しめなかったのです。

 だがしかし、本日は鏡花ちゃんと2人きり、Bというブレイク寸前サイズなら俺もギリギリ耐えられます。

 

 

「ど、どうかな?変じゃないかな?」

 

「いい!!いいよ鏡花ちゃん!!!じゃあ次はこっちいってみようか、鏡花ちゃんならこっちも似合うと思うんだ~。」

 

「ええぇ・・・。私こんな可愛いのは似合わないよ。」

 

「だいじょーぶ、鏡花ちゃんの可愛いところ魅音君みたいなー?あ、ちょっと靴下も履き替えてみようか。いいねいいね~。」

 

 

 すごいすごい、もう魅音君立ち上がれないでございますよ!!

 

 あ、やべ、いてぇ。ちょっとテンション上がりすぎた。

 ダメ、そっち向いて四つん這いになって服さがしちゃダメ。

 しまったあああぁぁ、かんっぜんに動けなくなってしまったあああぁぁぁ!!!

 

 

「魅音さん大丈夫?すっごい汗かいてるけど?あ、ハンカチ持ってきてたから汗拭いてあげるね?」

 

「だだだだ大丈夫!!ほっ、ほら!そっちの服に着替えてみよう!?わー、魅音は鏡花ちゃんのそのかっこいい服着てるとこみたいなぁー。」

 

「無理しちゃダメ、じっとして。ほら、汗こんなにかいてる。」

 

 

 煩悩よ消え去れえええぇぇ!!!

 鏡花ちゃん!!その姿で近寄って汗拭かないでえええぇぇ!!!

 

 やばいやばいやばい、めっちゃいい匂いがします!御尊顔が近いです!!鏡花キャニオンが肌色であばばばばばば!!!

 

 

「ホントに大丈夫!?魅音さんしっかりして!!」

 

「あばばばばばばば・・・。」

 

「おっすー、みおやー・・・キャー!!みおやんがきょーやんに押し倒されてるー!!!」

 

「えっ、弥生さ・・・!?こっ、これは・・・きゅぅ・・・。」

 

 

 あっ、鏡花ちゃん。そのまま上に乗っちゃ!?

 ちゃうねん、弥生!鏡花ちゃんとお着替え会やっとてやな!!

 

 え、なんでそんな冷めた目で見てくるん?

 あ、はい。そうですよね。ワタクシめはクズ野郎でございますよ。弁解の余地もございませぬ。

 

 

「ハァ、みおやん。きょーやんが純粋に心配してくれとるのに邪なこと考えよってからに・・・。」

 

「はい、反省してます。」

 

「アカンでー?みおやん、気持ちはわからんでもないけど軽い気持ちでやってもーたら痛いみるで?1人終われば2人3人ねずみ算式や、そしたらみおやん出涸らしになってサハラ砂漠並みにカラッカラになるで?やからそーいうのはちゃんと地盤固めてからにしぃ。」

 

「ワカリマシタ。」

 

「あー、びっくりした。まさか最初がきょーやん!?とか思って思いっきり取り乱してしもたわ。まぁ一応ちゃーんとみおやんのこと考えてみんなで取り決め作って、そういうのはみおやんからしてくれるまでお預けっていう協定結んどるから安心し。」

 

「なにそれ!?そんな協定結んでるの!?」

 

 

 ほれ、と見せられたグループのノートに『魅音淑女協定』ってのが箇条書きにされてる・・・だと!?

 『私物は盗まない』『魅音の歯ブラシを使わない』『洗濯物でスーハーしない』ってこれ大体美玲姉さんやろ!!!

 

 なんや弥生、こんなことしてくれとったのか。

 どーりで最近姉さんたちみんなちょっと大人しくなったなと思った。

 

 

「まぁみおやんから求められたらみんなばっちこーいやからな。大事なんやったらうかつなことせんとちゃんと考えたらなアカンで~?ちゃーんと我慢してくれとんのやからな。みれねえやんなんかこれ決める時血涙流しとったで?ホンマ大事にされとんのー、うらやましいやっちゃで~。」

 

「おう、気をつけるわ。俺が甘かった、ちゃんと真剣に考えるわ。ありがとな。」

 

「しゃーないやつやでみおやんは。ほなきょーやんはワイが服着させたるからちょっと待っとき、それともワイが相手したろかぁ~?」

 

 

 ばっ、なんてこと言いやがる!?

 くっそ、こいつにやにやしやがって!完全におちょくってやがる!!

 べべべべ、別に弥生のことなんか興味ないんだからねっ!!

 

 






 魅音家ではお風呂上がりに夢の光景が広がります。



 なんでもいうこと聞いてくれる鏡花ちゃんでした。



 ちなみに弥生は逆に羞恥心があります。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

14・僕と契約して〇〇になってよ



 幼馴染(元男)に翻弄される魅音君。




 

「おにいちゃん、今日は麗華ちゃんが遊びに来るってさ。今度の雑誌に載せるインタビューにもついて聞きたいって言ってるから答えてもらってもいい?」

 

「おぉ、いいぞ~。じゃあ今日は麗華さんが好きなパイ系で攻めてみようかね、生地の準備しとかないと。あ、インタビューってもしかして麗華さんから聞かれるの?」

 

「そうだよ?あんまり知らない人に任せられないから、雑誌の編集の人が質問形式で用意してそのまま麗華ちゃんのとこの雑誌に載せるみたい。」

 

 

 友達繋がりで麗華さんのとこの雑誌のオファーは受けることにした。

 ちなみに麗華さんだけ『さん』づけしてるのはお仕事してるからね。芸能活動でいえば俺より大先輩だし。

 

 お嬢様系スタイルの雑誌の『お茶会コーナー』に載せてくれるらしい。

 すでに俺のアレンジお菓子とかがコンビニでコラボで置かれていたり、『魅音の男子すいーつ』とかいうレシピ本とかが発行されてるらしい。

 で、お茶会コーナーには紹介されない俺のオススメのお菓子との飲み物の相性とか、そういったものを語ってくださいとのこと。

 俺の写真付きになると一瞬で売り切れるらしいからどんだけ活用されてるかはしらんけどな。

 一応配信のコメントで『作ってみました、美味しかったです』って言われてるらしいからいいんだろうけど。

 

 

「お邪魔しますわ。今日はうちの事務所の子オススメの菓子店のスイーツをお持ちしましたわ。是非みなさんで召し上がってくださいまし。」

 

「おぉ、ありがとう麗華さん!俺って作るのも好きだけどお店の食べるのも勉強になるからこういうのホントうれしい!!」

 

「みっ、魅音様、そのお手を繋がれますと・・・。」

 

「あ、ごめんごめん。つい嬉しくて、今日は麗華さんのためにパイ焼いたからこっちも楽しんでよ。今日のパイはイチジクとパイナップルだ!」

 

 

 麗華さんはあるラインより内側に入るとぐるぐる目になって赤くなるんやで。

 モデルさんやから手袋したり日傘差したり大変そうだ。食事にも気を使ってるらしく、栄養士さんのツテを持ってるからたまにレシピとか麗華さん経由で教えてもらえるんよね。

 美容の知識も豊富で、化粧水とか教えてもらったりメイクや美容師さんとかも紹介してもらった。ホンマ麗華さんにはアタマがあがりません。

 今日も精一杯おもてなしさせてもらいます。

 

 

「その、魅音様。今度のお茶会コーナーについてなんですが、読者アンケートで魅音様のことも聞きたいというお便りがたくさん届いておりまして、答えられるものは答えてもらってもよろしいかしら?」

 

「全然大丈夫ですよ?麗華さんにはいつもお世話になってますし、ある程度プライベートなことでも協力させていただきます。」

 

「ママたちにはNGなものは未来が判断してって言われてるからダメなものは未来が教えるね?」

 

「ありがとうございます。ではまず簡単なものから質問させていただきますので、お茶でもいただきながら答えていただきますわね?」

 

 

 順調に答えていくけど世の中の女子はそんなこと聞きたいのか!?ってことが結構ある。

 誰だよ、『カラダを洗う時はどこから洗いますか?』『右手と左手、どちらが相棒ですか?』とか未来ちゃんばりあが火を噴くぜ。

 海外からの質問で『行ってみたい国はどこですか?』とかあったけどこれもNGらしい。なんでもヘタに言うと国賓待遇で招待されかねないらしい。

 

 よどみなく質問していく麗華さんだけど、様々な外国語もスラスラと読んでいるあたりアタマもいいんだな。

 めっちゃ美人でアタマいいなんてこの人も完璧超人のうちの1人か。俺の周りはすごい人が多いなぁ。

 でもお兄さん気付いちゃいました。なーんか麗華さん今日はくらーいんだよなぁ・・・。

 

 

「あの、麗華さんちょっといいかな。なんか今日ちょっと暗くない?何かあったの?」

 

「え、麗華ちゃん何かあったの?よかったら相談してくれたらおにいちゃん共々お世話になってるから全力で協力するよ?」

 

「それが・・・お母様がお見合いのお話を持ってまいりまして、お相手の方は関東の大きな財閥の息子さんらしいのですがあまりよい噂を聞く方では無くて・・・。」

 

「えっ、麗華ちゃんお見合いするの!?」

 

 

 おっと、とんでもねぇ話聞いてしまった。

 今回はスポンサー会社のひとつらしく断れなかったらしい。しかもお相手は財閥のバカ息子。

 アイドル食いのゲス野郎らしく、お見合いしてから結婚するまでにお相手の女性は消息不明になるらしい。

 証拠が出ていないらしく、しかも明確な理由が無いと女性はお見合いを断ってしまうと社会的地位を失うんだってさ。

 こいつはくせぇ、ドブのにおいがぷんぷんしやがるぜ!!!

 

 

「よし、じゃあ未来。亜実母さんたち呼んできて!他はお兄ちゃんに任せろ。」

 

「おにいちゃん・・・。うん、わかった。すぐに呼んでくるね!!!」

 

「えっ、えっ・・・どうしましたの?あまり大事にしてはお母様に迷惑がかかってしまいますので穏便にしていただきたいのですが・・・。」

 

「麗華さんはお茶でも飲んで座ってて、すぐに戻ってくるから。」

 

 

 さーて、みんなに連絡しねえとな。ひとまず麗華ママにも連絡連絡。

 あ、麗華ママ、元気ー?あんまりお仕事ばっかりしちゃってると魅音心配しちゃうぞー?

 ディナー食べに行きたいって?宿泊施設無しのお酒とか無しならいいよ?盛ったら一生嫌いになるけど。

 で、それであの件なんだけどいいかな?とりあえず麗華さんの許可は今から貰うから。

 ありがとー、今度麗華ママの好きなもの作ってあげるね、またねー。

 

 

「魅音君どうしたのお母さんたちみんな呼び出して。あら弥生ちゃん、ちよちゃん、鏡花ちゃんに麗華ちゃんもいらっしゃい。」

 

「なんやみおやん。このメンツということはついに腹くくったか?」

 

「わかってるじゃーん。ひとまずみんな集まってくれてありがとう。突然ごめん。ここにいる人たちに聞いてほしいんだけど、将来的に俺が『結婚してほしい』と思っているメンバーなんだよね。」

 

「「「「「えええええええぇぇぇぇぇ!!!」」」」」

 

「うるさっ、待って待って。結婚してほしいとは言ったけどお互いまだ日も浅い。でも過ごしてきた時間は濃厚で、俺も今好きな人達は間違いなくみんなだって言えるんだ。で、俺ってさ、一度うちに入れたものにちょっかいかけられるのすっごいイヤなんだよね。独占欲みたいなもんなんだろうけど。」

 

「まさか魅音様、ワタクシの先ほどのお話を聞いて?」

 

「たしかにそれもある。こんな美人でアタマもよくて頼りになる人がどっかのバカ息子とお見合いとかぶっちゃけ嫉妬心がハンパないです。だからじゃないけど、ひとまずみんなには『婚約者』っていう形で18歳になるまで待ってくれないかな?もし俺のことが嫌になったらそのときは解消してもらっても構わないから。」

 

「魅音さん!!!そんな悲しいこと言わないでください!!!私を婚約者にするなら一生離さない気持ちでいてもらわないと困りますっ!!!」

 

「鏡花ちゃん・・・。うん、そうだね。みんな俺が幸せにしてやらぁ!!!黙ってついてこいっ!!!」

 

 

 盛大に上がる歓声の中でもみくちゃにされる俺。

 俺はやっとこっちの世界で新しい一歩を踏み出せた気がするよ、父さん。

 『大事なもんは体張って守るもんだ』ってよく言ってたよな。

 ちょっと多いけどコレが俺の『大事なもん』だ。

 

 

「それにしてもみおやん、やっと言いよったな~?こんなにぎょーさんキープするなんてみおやんはクズ野郎やなぁ。あ、ちなみにワイも中に入ってると思ってもええんやな?」

 

「おう、クズ野郎上等!・・・弥生、頼むから18歳まで待ってくれ。それまでに自分の中で折り合いつけるから。」

 

 

 ちょっと麗華さん泣かないで!?きーちゃんほーちゃん、それにちよたん、さすがに3人もお腹に乗られると苦しい・・・。

 亜実母さん、未来と鏡花ちゃん笑ってないで助けてええぇぇ。あ、美玲姉さん18歳まではそういうことは無しで。

 

 






 お話はまだまだ続きます。



 結構なスピードで一区切りしました。



 麗華ちゃんのためだけではなく、配信で人気が出ているために特定の相手を作ることで魅音君の身を守るためでもあり、弥生ちゃんと話し合いしてました。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

15・躍動するふぇちずむ(肉の表舞台)



  魅音君は早くも婚約者を作った模様。




 

 婚約者騒動も落ち着き、そっからが大変でした。

 まず麗華ママに婚約のご報告。しなだれかってくる麗華ママに『お友だちからで』を叩きつけ、ちよたんママと鏡花ママにもご報告。

 おふた方は大人な対応というか『我らがアイドルにそんなこと恐れ多い』とのこと。

 

 で、あのバカ息子。メンツを潰されてプギャる。

 亜実母さんと怖いプロのお姉さまたちが本気を出し、徹底的に身辺調査をしてプギャりました。

 なんでもかなりブラックなことしてたみたいで、総理さんまでもが動いて財閥ごとピチュンしたそうです。

 結果だけ教えてもらいました。やだ、俺の覚悟・・・必要だった?

 

 

「魅音君が動いたとなればヘタしたら国際問題、社会問題にもなるんだからこの結果は当然よ?むしろ魅音君が動いたからこそ、ここまで大胆に動けたんだから誇っていいと思うわよ?」

 

「亜実母さん・・・。そうは言っても俺、なんにもしてないじゃん。」

 

「そう思ってるならみんなにまたお菓子でも振る舞って上げなさい。うちの門下生たちって魅音君のことホントの弟みたいに思ってるみたいだからここまでしてくれたのよ?これだって普段から魅音君が勝ち取った信頼の証、自信を持ちなさい。」

 

 

 亜実母さんはやっぱり『母さん』なんだなぁ。

 ただいまちょっとブルーな気分でバブみを感じているわたくしこと魅音です。

 

 そう言われてしまうと頑張るしかないじゃないか!!

 今日はプロの方々にメッセを送って労っちゃいますよ~。

 亜実母さんにはお昼はそっちに届けるね?と伝えてネット通販にて食材をぽちり。男性向け宅配サービスなんてあるんですって、便利な世の中ですわ。

 

 さすがに大所帯なので本日はこれでいってみましょう!!お子様から大きなお子様まで大好きなバーベキュー。

 1日開催はしんどいのでジュニアクラスと身内は明日そのまま使いまわしで楽しんでいただこう。

 切って切って切って、刺して刺して刺して刺して・・・おうふ、多い。

 

 

「あら、魅音君。お昼もってきてくれたのよね?」

 

「母さんのアドバイスを頂きまして、本日は趣向を凝らさせていただきました!!皆様お庭の方にお集まり下さーい!!」

 

「・・・どうりで何も持ってきてないし、今日は門下生がそわそわしてると思ったわ。」

 

 

 いや、亜実母さんが振る舞えばいいって言ったじゃん。

 ダメな子ねぇ、みたいな優しい目線はやめてください!ちょっと気持ちよくなっちゃう!!

 

 あ、取り皿こちらでーす。今日は飲める方はビールもご用意しておりまーす。

 じゃんじゃん焼きますのでお皿が空いた方は並んでくださーい。

 

 

「亜実師範、私っ・・・お菓子をいただけるだけでも十分だったのに、こんなに幸せなことが・・・うぅ。」

 

「お前ら、味わって食えよ?あと泣くな、うちの息子にきたねぇツラ見せんじゃねぇ。」

 

「「「「「押忍!!!」」」」」

 

 

 甲子園で優勝したみたいになっとるで。ごめん、みんな美人なんやけどなんやろこのむさ苦しい感じ。

 あ、酔っ払って近寄ってきたお姉さんが亜実母さんのげんこつに沈んだ。毎回思うけど懲りねえな。

 

 よし、だいぶ落ち着いたしちょっと気になってたことあったからやってみよう。

 ちょっとちょっとそこのおねーさん。そうあなた。じっとしててな?

 ほっほー、思ってたより固くない。あ、腹筋もええですか?うわー、シックスパックになってるー。しなやかな筋肉すごーい。

 

 

「あ、あの、魅音君?どうしてうちの門下生の腹筋さわさわしてるのかしら?あとそのへんにしてあげて、その子すごい顔になってるから。」

 

「おっとすみません。いやみんなあれだけ稽古やってるのに体型に出てないなーって思ってて。やっぱ実践的に使える筋肉鍛えてる人はかっこいいですね。」

 

 

 途端にざわめき出す門下生たち。

 さっきまで酔っ払ってた人まですくっと立ち上がり、お?なんか始まった?

 

 フロントリラックスからのサイド、リア、サイドときてダブルバイセップス!!!

 その後、次々とサイドチェストなどのポージングを決めていく門下生たち。芸人かお前ら!!!

 あかん、お腹痛い。目の前で美女たちが本気のポージング決めていく姿とかウケる。

 バーベキューでちょっと顔がおテカりになってるところが更に笑いを誘う。やべぇ。

 

 

「ちょっと魅音君、大丈夫?こっちにきてから見たことない笑い方してるわよ?」

 

「いかんお前たち!!みおんきゅんがお倒れになったぞ!!タンカもってこいタンカ!!」

 

「バッカ!!こういうときは背中を擦るんだ!!」

 

「何言ってる!?こんなときは人工呼吸だろ!!!」

 

「「「「「それだ!!!!!」」」」」

 

「あんたたちうちの息子にそんなことしたら◯すわよ?」

 

「「「「「さーせん!!!!!」」」」」

 

 

 ひえっ、ひっひっひっ!!息がっ、息ができんっ!!!

 

 ぶはっ、はーはーはー。死ぬかと思った。

 亜実母さんにみんな正座させられてしょぼんとしてるのがまた笑いを誘うけど今のうちに片付けちゃおう。

 

 

「じゃあ亜実母さん、俺は片付けてくるから稽古頑張ってね?」

 

「もぅ、魅音君ってば。あんまりおいたしたらダメよー?」

 

「わかってるってば、亜実母さんもあんまり怒らないであげてね?みんな俺の面白い『お姉ちゃん』たちなんだから。」

 

 

 背後から聞こえる美女の咆哮をBGMにさっさと片づけよ。

 あれ?きーちゃんにほーちゃん何してんの?

 え、ビデオカメラで録画してたん?いや、別にええけどちゃんとみんなの許可はとるんやで?

 今日のお菓子はスコーン焼いたるから楽しみにしときやー。

 

 しっかしお姉ちゃんたちは面白かったな~、あれで警察や自衛隊とかのエリートっていうんだから世の中わからんもんやで。

 ほら、焼けたから未来ちゃんはお皿用意して。みんなは手を洗っておいでや?

 

 

「魅音君、さっきの動画あげたのですぅ。」

 

「さっそくニュース記事になってるですぅ。あ、でも魅音君のホントのお姉ちゃんは私達ですから他でああいうこと言っちゃダメなのですよぅ?」

 

 

 『実践的な筋肉を作ってかっこよく!これであなたもお姉ちゃんに!!』

 

 はやすぎやろ。スポーツジムや道場の入会に長蛇の列とか見たことないわ。

 いやぁ、言ったけどさぁ・・・。ちょっと露骨過ぎやしませんかねぇ・・・?

 なになに、筋肉芸人が再ブーム?あかん、ダメ。俺のお姉ちゃんたちのほうが面白いからもっと頑張ってもらわないとな。60点!!

 って、この記事の著者『369』・・・?まああああぁぁたあいつかあああああぁぁぁ!!!

 

 ん、鏡花ちゃんから着信?・・・いや、別に俺は筋肉フェチじゃないから無理せんでええよ?うん、うん、そういうことで。

 今度は麗華さんか!?腹筋割っても触るわけじゃないからね!?モデルなんだからそのままの君でいて!!!

 

 

「おにいちゃん、未来も結構あるほうだと思うんだけどどうかな?」

 

「いや、だからお兄ちゃんは筋肉フェチじゃないから。」

 

 

 このあと帰ってきた美玲姉さんにも服をめくりながら「さぁ!さわれ!!」と言われました。

 女の子はやわらかいほうがいいの!!!

 

 






 世の中の女性たちが筋肉へと目覚めたようです。

 ぶっちゃけ男性アイドルなんて競合する相手がいない中で魅音君みたいなかっこよくて優しい、しかも配信も面白いという男が現れたらとんでもないことになると思うんですよね。

 門下生のお姉ちゃんたちは書いてて楽しかったです。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

16・跳躍するお姉ちゃん(肉の裏舞台)



  筋肉ふぇちと全世界発信された魅音君。




 

 AM5:30 いつもどおりに起床し、寝室に飾られた寝顔に向かい正座をして精神を統一させる。

 本日も御尊顔を見れることを感謝しながら自分の中にあるチャクラを目覚めさせ、気合をいれて朝のロードワークへと走り出す。

 

 今日も風が気持ちいい。宿舎の同僚たちが合流し、お互い爽やかな笑顔を浮かべながら今日のお情けを考えながら悦に浸る。

 隣の彼女もどうやら今日は浮かれているようだ。

 

 

「隊長、今日もお会いできるといいですね!」

 

「そうだな、私達は全世界から羨むような立場にある。この立場にあぐらをかかず一層気を引き締めなければならん。全員朝食までいつもよりハイペースでいくぞ!!」

 

「「「了解!!!」」」

 

 

 AM6:30 宿舎に戻り、最低限稽古で動けるだけの朝食をいただき、いつもの時間までへの最高の状態へと調整する。

 ここでドカ食いするやつはいない。なぜならそんなやつは『女』ではないからだ。

 その時全員へとあの方から連絡が入る。隣りにいた副隊長がこちらを見てニヤリと笑い、今日の任務をこなすため全員がすばやく身支度を整える。

 

 AM7:30 全員で点呼を取り、宿舎を出発するがその時の彼女たちの風格はまさに歴戦の戦士たち。

 我が隊は全員がエリート、まさに選ばれた戦士たちである。厳しい訓練をやり遂げ、全員が空挺資格を持ち、さまざまな技能を取得している。

 この軍隊に絶対に勝てる人間は私は1人しか知らない。最近あそこの一番上も一進一退の勝負を繰り広げているが、最近は勝ちをひろえていると思う。それもこれもあの方のおかげであり、私達はあの方のために強くなったと言っても過言ではない。公の場では絶対に言えないが。

 

 AM8:45 早朝の掃除から始まり、全員で揃って礼をする。

 目の前にいるのは過去に『狐』と呼ばれた伝説の傭兵だ。私がまだ新兵だったときに死亡説が流れていたが、隊長になってから極秘任務と称してここでの訓練をするように言われた時は驚いた。まるで姿が変わっていなかったのと、まさかの子供を抱いていたからだ。

 そのときはあの狐も人の子だったのかとホッとしたものだ。

 

 

「足元がお留守だ!!そんなことでは戦場で転がされて終わるぞ!!そんなに人のことを見上げたいか家畜共!!!」

 

「申し訳ございません!!亜実師範!!!もう一本お願いします!!!」

 

「そうだ!!立て!!よちよち歩きの兵士はいらん!!!その体全てが武器だと知れ!!!」

 

 

 苦しい。すぐにでも膝をついてしまいそうだ。だがその先にあるものを我々は知っている。

 誰一人掛けることなくあの伝説へと挑みかかる。渇望する勝利があるからこそ我々は『生きて』いるのだ。

 

 AM11:00 そろそろ緊張の糸が切れ始め、脱落する味方が出始める。

 まだだ、まだ終わらない。ここで終わっていては勝利は掴むことは出来ない。我々は『精鋭』、こんなところで終わっていては次は『生きる』ことが出来ない。味方を鼓舞し、新兵共を震え立たせるのは私の仕事。道場へと響き渡るほどの活を入れ直し、後ろを見る。大丈夫だ、まだ味方の目は生きている。

 

 

「いくぞお前たち!!!『勝利』を勝ち取るのは我々だ!!!」

 

「「「「押忍!!!」」」」

 

 

 AM12:00 膝が震えながらも伝説へと拳を叩き込む。

 ニヤリと笑い、手のひらで受け止められた拳を見つめいまだ届かない自分に苛立ちを覚える。

 ふと目の前の伝説のオーラが一瞬で切り替わり、その瞬間に全員がすばやく体勢を立て直す。時間だ。

 

 

「母さんのアドバイスを頂きまして、本日は趣向を凝らさせていただきました!!皆様お庭の方にお集まり下さーい!!」

 

 

 今日も御尊顔を拝見させていただけることに感謝しながら、私を含むむさ苦しい女どもは全員がぞろぞろと少年の後に続く。

 

 あぁ・・・。今日もええ匂いがするんじゃあぁ~。

 

 少年の甘い匂いと、稽古で完全に空腹になったときに香る肉の焼ける匂い。

 普段の甘いお慈悲だけでも十分なのに今日は私達体育系女子が大好きなお肉だって!!

 

 

「はーい、今日も稽古お疲れ様でーす。お肉はたくさんありますのでどんどん食べてくださいね?」

 

「ありがとうございます!!うわぁ、ビールも貰っていいんですか!?え、焼いてくれるの?しゅごおおおおぉぉい!!!」

 

 

 ありえない!!普通男性はこんなこと絶対やってくれない。

 私バーベキューって女同士でやさぐれながらだらだらやるもんだと思ってた!!

 何これ、華やか!!しかもこれだけむさ苦しい女どもしかいないのに華やかなんだよ!?

 

 つい亜実師範に向かって泣いちゃった。部下も全員わんわん泣きながら肉を貪ってる。

 あ、はい。お前ら泣くな、泣いたら次の訓練外すからな。

 

 

「どうですか?楽しんでくれてますか?みなさんお肉が好きだと聞いたので今日はちょっといいとこのお肉使ってみました。」

 

「みっ、みおんきゅん!?おおおお、おいしい!!すっごくおいしいです!!」

 

「よかった、ところでちょっとやってみたいことがあるのですがじっとしててもらってもいいですか?」

 

 

 なんだろ?みおんきゅんになら何頼まれても平気だけど、私達に頼み事なんて珍しい。

 

 ・・・!?ちょっとみおんきゅん!?うでぇ!?こんな汗かいてるおねえさんの体さわっちゃダメだってば!!

 あっ、美少年の手のひらってこんなにすべすべなんだ・・・。って腹筋きたああぁぁあああ!!!

 タッチがっ、タッチがやらっ、やらしっ・・・あばばばばばばば・・・。

 

 

「やっぱ実践的に使える筋肉鍛えてる人はかっこいいですね。」

 

 

 かっこいいですね・・・かっこいいですね!・・・かっこいいですね!!

 

 お前ら、みおんきゅんがかっこいいですねと言ったんだ、わかっているよな?

 ここで魅せなきゃ女が廃る、私達がやらなければ誰がやる?副隊長がまたニヤリと笑い・・・。

 

 フロントリラックスからのサイド、リア、サイドときてダブルバイセップス!!!更にアブドミナル・アンド・サイ!!!

 

 キマった・・・。私達は今日このときのために辛い訓練を耐えてきたんだ・・・。

 アレ!?みおんきゅんめっちゃ笑ってる!!かー↑わー↓うぃー↑うぃー↑!!

 

 あっ、おつらそう・・・タンカ持ってきてもらわなきゃ。やだ、人工呼吸って、やるしかないじゃない!!

 すいませんすいません、調子乗りました。そうですよね、ワタクシごときがあんな可愛い子に遊ばれてるだけですよね。あ、投げ銭最初50万いれたんですがあれから1万しか投げれないんで代わりにグッズいっぱい買いましたんで。

 

 

「亜実母さんもあんまり怒らないであげてね?みんな俺の面白い『お姉ちゃん』たちなんだから。」

 

 

 ・・・!?『お姉ちゃん』ですって!!!

 

 おおおおおぉぉぉおおおおおぉぉぉ!!!

 滾る!!!滾りよるわ!!!わ・た・し・大・勝・利!!!

 

 

「喝!!!うるさいわ貴様ら!!!むさ苦しいことこの上ない、うちの息子に手えだしたら1日タイマン稽古で朝日を拝めると思うなよ?わかったらさっさとその汗臭い匂いを風呂入って落としてこい!!!」

 

「「「「「押忍!!!」」」」」

 

 

 自衛隊特殊部隊所属隊長、私の名前はみおんきゅんには知ってもらわなくても構わない。

 ただこれからはみおんきゅんの『お姉ちゃん』として彼の庇護者でいよう。

 

 






 ぶっちゃけこの回、書いててめっちゃ楽しかったです。

 こんなノリの真面目にふざけてるような人結構好きです。

 筋肉キャラってどの作品でも好きになりがちです。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

17・可愛くて頭脳ぷれい



 大きいお姉ちゃんを翻弄していく魅音君。




 

「おにいちゃん、洗濯物は未来がやっておくね?あと買ってくるものがあったら言ってくれたら買いに行くから教えてね?」

 

「う、うんわかったわかった。おにいちゃんは大丈夫だから未来はやりたいことやりなさい。」

 

 

 婚約者発言から我が家の妹様の距離感がバグりました。

 どうやら甘やかしたいみたいで、甲斐甲斐しく世話を焼いてくれるうちの大天使。

 亜実母さんに聞いたところ、未来ちゃんは俺が来るまで男にこれっぽっちも幻想をいだいていなかったそうです。

 で、原因が子供の頃に街を歩いているところに通行の邪魔だと言われて男に突き飛ばされたそうです。そいつ見つけたらただじゃおかねぇ・・・。

 そのあとに俺がきて、『おにいちゃん』としては認識していても『男』として認識していなかったらしく。あの発言で目覚めたのでは、とのこと。

 

 お兄ちゃん早まったかもしれない。

 今日の朝、ついに妹様が朝起きたら布団に侵入してました。

 ついびっくりして悲鳴をあげたら亜実母さん登場して怒られてギャン泣き。

 慰めてからは俺の一歩先を行くかのごとくやることなすこと取られます。

 

 

「亜実母さん、どないしよ・・・。」

 

「仕方ないわよ。そのうち落ち着くから好きにさせてあげなさい。」

 

「おにいちゃーん!今やろうとしてるピザ生地の仕込みはさっき未来がやっといたから冷蔵庫に入ってるよー?」

 

「まてーい!洗面所からどうやって俺の行動見てるの!?あと俺、今日ピザにするって言った!?」

 

「・・・魅音君、未来ちゃん何か別のものも目覚めてるわよね。さすがにお母さんでも今のはびっくりしたわ。」

 

 

 怖い怖い!大天使が堕天しちゃった!!サタンみたいになってる!!!

 あの亜実母さんがビビってるって、すごいな未来ちゃん。とりあえず作戦会議しよう。

 

 亜実母さん曰く、あの表情の変化を見るにまだ『おにいちゃん』を引きずってるので『女』として目覚めさせるか、封印させるかどっちかしかないという結論へ。

 封印に関しては引き離すのが手っ取り早いけど、同じ部屋で住んでるし無理矢理はかわいそう。

 じゃあ『女』を目覚めさすか、となったがそこは恋愛初心者組。

 特に具体案が無かったため、やむなく弥生を召喚。

 

 

「みおやん、あのみくやんはアカン。何やアレ、怖い・・・怖すぎるやろ!!!」

 

「そうなんだよ、さっきも弥生がきたときに『弥生ちゃんきたんだよね?迎えに行ってくるね?』って言ってそっち行ったんだよ。アレ、未来に来ることいってないんだぜ?」

 

「あばばばば・・・。早急に覚醒させないといつかみおやん刺されそうや、全力で協力したるで!!!」

 

 

 家に来て弥生が俺に近づくたびに目が死んでいく様を見て、さすがに緊急事態と察した弥生と案を出し合ってみることに。

 

 『2人っきりで部屋で映画を楽しむ。ただし未来を膝の上に乗せて』これは以前に近いことをやったことがあるので効果無し。

 未来のいい匂いが常にして神経焼ききれるかと思っただけやった。

 

 『抱き合いながらお昼寝』残念、そういえば朝がまさにそれ。

 未来が素直にすやすや寝て俺は寝られずに腕枕の腕がしびれただけやった。

 

 

「ちくしょおおおおおおぉぉぉぉ!!!なんでやねん!お前ら兄妹は距離が近すぎるやろ!!!なんで甘酸っぱいことほとんどやっとんねん!!!」

 

「いや、初の妹だと思ったら可愛くてさぁ。あんまり意識してなかったんやけど、意識するようになったら恥ずかしいな。」

 

「みおたんのどあほおおおぉぉ!!自業自得じゃ!!・・・しゃーない、みくやんこっちにおいで。」

 

 

 そしてついに未来側が拉致される事態へ。

 「こっからは女の話じゃ!!みおやんは報酬にお菓子でも作ってこい!!」って言われたから渋々ボウルをかき混ぜてます。

 あいつに女の話が出来るのか?謎だ・・・。

 

 気を取り直して本日は究極にして至高のショートケーキを作りますよー。

 季節外れですが夏秋いちごをプロのお姉ちゃんが持ってきてくれたので、量は少なかったので家族分で使うために消費しちゃいますぜ。

 亜実母さんに買ってもらった最新オーブンがすっごい便利で助かるわぁ。

 そしてクリームはこだわないとね!電動の泡立て器は使いませんよ、丁寧に腕の力使って混ぜますやん。

 ふふふ、砂糖とクリームは数多の調合の末に出来た秘伝のレシピなのですよ。

 

 

「はぁ、とりあえずみくやんにはいろいろ教えといたから、後はみくやんしだいやろ。ほなワイはお菓子食べたら帰るで。」

 

「わりいな。ほれ、弥生と言えばケーキだからな。今回は特製ショートケーキだ!!」

 

「うっわ、マジで!?ワイお店のケーキは相変わらず食べられへんけど、みおやんのケーキだけは大好物なんよな~。スッキリした甘さで、後に残らん感じがええんよな。」

 

「未来もおにいちゃんの作るケーキが一番好き。おにいちゃんあーんして?」

 

 

 終始甘ったるそうな顔をしながらケーキを食べ終えた弥生を見送り、未来と俺の部屋へ。

 相変わらず朝と雰囲気変わってないけどあいつ何を教えたんだ・・・?

 そこから部屋でゴロゴロするも、のどが渇いたと思えば口にストローが差し出され、口が寂しいと思えばキスをされ・・・。

 

 ・・・あれ?俺は今何された?

 

 

「えへへ、しちゃった。」

 

 

 そう言いながら目の前で顔を真っ赤に染める妹様。

 驚きすぎてお兄ちゃんは逆に冷静になったよ。どないしたん急に?

 え?弥生に『そのモヤモヤが恋や、それでもわからんならチューしてみぃ』って言われた?

 またあいつか、今回はちょっとブッコロ案件かもしれん・・・。

 

 

「弥生ちゃんを怒らないでね?弥生ちゃんにちゃーんと子供の作り方とか教えてもらって、未来はちゃんとおにいちゃんが男の人として好きって自覚したんだけどね?冗談でちゅーしてもいいっていうから、じゃあせっかく言われたししちゃおうと思って・・・てへへ、しちゃった。」

 

 

 妹様言質取ってたあああぁぁ!?

 まさかの淑女協定の抜け穴を使ったグレーなダーティプレイだと!?

 『同意を得られればキスまでは可能である』確かに『誰の』とは明言されてませんでしたね!?

 かわいいいいいぃぃぃ!!!けど、恐ろしい子っ!?

 

 

「未来が自覚してくれたのはよかった。でも悪い子だなぁ、嫌いにはならないけど。じゃあ前みたいにもうちょっと控えてくれな?お兄ちゃん耐えきれないから。」

 

「わかった、未来もおにいちゃん困らせたくないから我慢する。でもふたりっきりの時は甘えてもいい?」

 

「仕方ないなぁ、未来は。あ、でも無理にふたりの状況を作ったり夜中に布団に潜り込んでくるのは無しな?」

 

 

 その一言に一気にしょぼんとするうちの大天使妹様。あ、やっぱり言質取りにきてたな。

 仕方ないなぁ、今だけ存分に甘えるが良いぞ。ほれほれ膝枕とかしちゃろう。

 

 多分、こうやって甘やかすからいけないんだろうなと思いつつ、でも妹様の笑顔には勝てないなと思いました。

 

 






 大天使妹様には勝てない。

 やはりかわいいは正義。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

18・愛と性癖は両立しにくい



 おまたせ。




 

 

 さて、夏も終わり学生組は学校がスタート。亜実母さんも出張中で、現在はこちらの狐野家に来てからのはじめてのおひとりさまです。

 朝に家事などはすべて終わらせ、やることも無いのであの時の約束を果たすために連絡してみますかねー。

 

 あ、もしもしー?この前言ってたの今日だったら出来るけどどうかな?え、すぐこれるの?

 お昼に好きなもの作ってあげるけど食べたいものアレでいいの?わかった、待ってるねー。

 

 この人の食べたいものすっごい腕のふるいがいが無いけどリクエストには答えてあげよう。

 ごはん炊いて、このときのために買っておいたなまり節と高級しらすを混ぜて完成。まさかの『ねこまんま』である。

 ・・・まじか。仕方ないのでゆっくりしてもらうときに飲んでもらう用にドリンクを作ろう。

 アップルジュースに杏仁豆腐、マンゴーをカットしてクコの実、そしてガムシロップとおしゃれにミントの葉を添えてノンアルカクテル。

 とりあえず終わったのでこっちのランチはロコモコ丼でも作りますかね。

 

 ん、外が騒がしい?

 

 玄関から外を覗くと、見慣れた道場の門下生のお姉さんたちと麗華さんのツインドリルが2倍になった4連ドリルのボンテージコスチュームを来た高身長の美人がやいやいと罵り合っていた。

 

 

「離してくださいまし!!ワタクシはご主人様に呼ばれてこちらに参ったのですわ!!」

 

「待て待て、お前みたいな変態をみおんきゅんに会わせるわけにはいかん!!せめてその服を着替えて『おもちゃ』を全部捨ててから来い!!」

 

 

 ・・・うわぁ。3人のプロのお姉さんに囲まれてリムジンに押し込まれているド変態がいる。

 今日お呼びしたのは以前麗華さんとの婚約の件でお世話になった麗華ママ。

 一緒にディナーが食べたいとのことでしたが、会うたびに性的なイタズラを仕掛けてくるので近寄りません。それに麗華ママが望む『ご主人様兼愛人になってくれ』というお願いには答えれず、仕方ないので『好きなもの作ってあげる』という希望だけは叶えてあげようとのことで今回はお呼びしました。

 さっきの連絡とともに護衛のため、プロのお姉さんたちにはランチを用意させてもらってます。

 

 で、なんやかんやあってようやくアレやコレやが取り払われた麗華ママがプロのお姉さん3人を引き連れて入室。

 さっそくお昼かなー、と思ってたらまた問題が発生しました。

 

 

「で、麗華ママ。これに入れればいいの?」

 

「ええご主人様!!このワタクシの『マイ餌入れ』にそのおいしそうなねこまんまを是非入れてくださいまし!!」

 

「あの、みおんきゅん。流石にこれは・・・普通に皿で食べろよ。その、この変態を外に捨ててこようか?」

 

「何を言ってますの!?ご主人様の手で自らお作りになられたお恵みですわよ!?でしたらこれは作法!!ワタクシの様な犬にはこちらでいただくことがご主人様へ対する忠誠と愛の証なのですわ!!!」

 

 

 このとても困った人はとても残念なドMである。

 活動の幅を広げようと雑誌などへのメディアの露出を増やすために麗華さんを頼ったところ、どうしても一度会いたいとのことでお会いしてからずっとこの調子であの手この手で俺をご主人様にしようとしてくる。

 もはやこの状態の時は相手をするのも疲れるので死んだ目になりながらごはんをよそってあげる。

 え、床においてほしい?これ以上そういうこと言ったら二度と会わないからな?

 

 と、またもや一騒動あったが、ごはんを食べ終えノンアルカクテルを飲みながらのんびりする。

 

 

「ご主人様、本日はこの卑しい雌犬めにお慈悲をいただきありがとうございますわ。それで、ワタクシにお話があるのですわよね?」

 

 

 さすがこの方は大企業の社長さんだけあってこういうところが素直にすごいと思う。

 

 実は現在、インターネットへの配信と雑誌への出演を行っているが、今後メディアへのさらなる拡大を考えていて方針を麗華ママに相談させてもらいたいと思っていたんだ。この世界では何をするにも男性は慎重になりすぎるぐらいでないと問題が起こりやすい。前回の雑誌のときも麗華ママに芸能界などのメディアへの予想する反応を考えてもらい、入念な下準備をしてから発売に至ったという経緯がある。だからすごい優秀な人なのだ、変態だけど。

 

 

「実はね、配信で有名になったことだし麗華ママのオススメでテレビ出演とかをかんがえているんだ。」

 

「もちろんご協力をさせていただくことは問題ございませんが、なぜそこまでご主人様は働こうとされますの?あれだけ配信や雑誌などへの仕事もされて、資産なども十分ではございませんの?」

 

「資産は十分だけど、その代わりに俺にはまだまだ『自由』が無いんだよね。大量の護衛をつけないと外にも出歩けないし、俺にもやりたいことだっていっぱいある。で、その自由を自ら勝ち取るには『これだけやってるんだからいいでしょ?』って言えるぐらいにはならないといけないと思うんだ。」

 

「それはご主人様がされることでは無いのでは?ワタクシなどに頼っていただければ不自由はさせることはないと思いますが・・・。」

 

「それだけはダメ。父さんから『出来ることは自分でやること』って昔から言われてるんだ。だから今のやり方が合っているかはわからないけど、自分でできることは自分の手でやりたいんだ。こうやって麗華ママに頼っちゃったりしてるところあんまり偉そうには言えないけどね。それに男だからってふんぞり返ってるのって俺には出来ないんだ。」

 

「こんなのは頼って頂いてるうちに入りませんわ!!そうでしたのね・・・よいお父様に育てられましたね。」

 

 

 そう、俺がこうやって仕事をしたりする現状は本当にいいのかはわからない。でも『男』としてこの世界で仕事をするにはどこも窓口が狭く、やれることはそんなにない。じゃあその『男』を最大限に使って俺はいろんなことに挑戦しようと思っている。

 実際に世の中に俺の知名度が上がることにより、家族や護衛と外出したときにアイドルとして遠巻きに騒がれることはあるが、以前みたいに男性だからと無理やり襲われることは少なくなった。『あの人は有名な男の人だから』という意識が強くなり、女性同士で俺が危ない目にあわないように自主的に自制しあってくれるいい環境が出来上がりつつある。

 わかりやすく言うと、『偶像崇拝させて神聖化』させることにより『触れてはいけない存在』にする作戦。曰く、『みおやんは新世界の神になるんや~』という弥生プロデュースである。

 

 

「わかりましたわ、ご主人様のそのご立派な志にワタクシ全力で協力させていただきますわ!!あぁ、やはりご主人様は素晴らしいですわ!!是非ワタクシをご主人様の愛の奴隷にしてくださいまし!!」

 

「いや、麗華ママ結婚してたでしょ?さすがに他の男の人の女性を取る気無いし、あと奴隷はいらない。」

 

「そんなものこの前スパッと別れさせていただきましたわ!!あんなお金だけでぶくぶく心も体も肥え太った男はもはや必要ありません!!ワタクシはご主人様へ全てを捧げさせていただく所存でございますわよ!!」

 

「えー、マジかよ。じゃあご主人様をやめるのと変態発言をやめてくれたら考えてあげる。」

 

 

 こらこら、ドMとしては・・・とか本気で悩まない悩まない。

 

 いや、別に麗華ママめっちゃ綺麗だし全然そういう関係になってもええんやけどね?ただ残念なことに俺はまだノーマルでいたいのですよ。

 うわっ、アタマ抱え始めた。え、たまに座ってくれれば我慢する?うーん・・・。

 

 






 みなさんはドMですか?それともドSですか?



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

19・若武者たちの戦い(体育祭前編)



 ついに魅音君がお外出ました。




 

 さて、ついにこの日がやってまいりました。

 未来ときーちゃんほーちゃんの高校の体育祭でございます!!

 今日はこの日のためになんと5時起き、それもこれも狐野家と護衛の方々のためのお弁当づくりのためですよー。お弁当箱は豪華に5段重ねの高級重箱を6つもご用意してます。未来やきーちゃんほーちゃんの友達連れてきてもらってもなんとか足りるでしょう。

 それとは別にクッキーを工場ばりの大量生産。こちらは全校生徒向けのお菓子でございます。お弁当食べれない子たちが暴動を起こしかねないので妥協案だ。

 

 こっちの世界の外でのイベントごとは初めて参加するので楽しみ。

 学校側に協力してもらい、専用の場所も作ってもらってます。いやぁ、至れり尽くせりですな!!

 女性の人数が多いせいかこっちの世界の体育祭はどこも競技場を借りてやるんやね、大画面モニターで選手の様子とか見れて本格的やわ。

 グラウンドに群がるJKの波をモーゼのようにかき分けて校長と生徒会長にご挨拶と全校生徒分のお菓子を渡して指定の場所へ。

 

 

「お、みおやんやっと来たな~?婚約者ということで入れてもらったけどクラスメイトたちにアレコレ質問されて、ここに来るまでめっちゃ大変やったわ。ちゃーんとみんなの分の弁当用意してきたんやろうな?」

 

「おう、今日は気合い入れて作ってきたぜ!!みんなが出る種目とか教えてもらってもいいか?」

 

「きーちゃんはねぇ、ほーちゃんと二人三脚と玉転がしに出場するですぅ。魅音君が来るって聞いてほーちゃんと一緒に気合入ってるですぅ。」

 

「ちなみにきーちゃんとはゲーム部の部活対抗リレーに参加するですぅ。ほーちゃん、アンカーなんですよぉ?」

 

「未来は障害物競走と玉入れだよ。麗華さんは騎馬戦と棒倒しで、鏡花ちゃんは未来と同じ障害物競走と徒競走だね。後は学年ごとにダンスもあるからおにいちゃんも楽しんでもらえるといいな。」

 

「ちよは弥生ちゃんと一緒でクラス対抗リレーと仮装レースですよ!弥生ちゃんなんてぶっちぎってやるです!!」

 

 

 めっちゃ楽しみなラインナップですやん。うちのメンバーって弥生と鏡花ちゃん以外めっちゃ体育会系だからみんな活躍しそう。

 周りが非常に華やかなメンバーでみんなテンションが高くていいね。周囲の女子高生たちがすっごい目でこっちみてるよ。

 一応紅白で対抗戦なんだけど、うちの三年生組が紅で一年生組が白って具合に分かれててわかりやすい。どっちも身内がいるし、片方の肩を持つと暴動になりかねないから気をつけないとな。

 

 さて、1種目目は鏡花ちゃんが出る徒競走やね。お、こっちを見て気合い入れてる。

 あれ?周りの女の子も異様に気合入ってないか?おぉ、モニターに各選手の写真が映し出されてる。実況もあるのか、しかもあれは麗華さん!?

 

 

「さぁ待ちに待った体育祭、本日は実行委員のワタクシが実況を務めさせていただきますわ。

 さて、体育祭を始める前に特別ゲストのご紹介でだぁ!!狐野家長男んぅ!!インターネットでの配信ではチャンネル登録者数まさかの3億超えぇ!!その甘いマスクは数多の女性を虜にさせてきたぁ!!全世界の女性たちを熱狂させているぅ!!そう、この方!!こおおおおぉぉのおおおおぉぉ・・・みぃぃいいおおおおおん!!!」

 

 

 プロレスの実況やん!?え、俺専用の登場映像作ったの!?麗華さんの実況が本格的すぎてやばい。

 なんか反射的に立ち上がって手を振ってるけど聞いてないよ!!人気コンサート並の熱狂的な盛況具合がやべぇ。

 みんな凝ってるなー。うちわとかタオルに横断幕まで作ってくれたのか、今まで目に入らんかったけど全員どこに隠してたんやろ?

 

 

「ありがとうございますわ、魅音様。それでは第1種目の走者は各スタートラインに付きました。最初のスタートピストルを鳴らすのは28歳体育教師、『みょんきゅんのグッズは全て購入済みです』とのことです。我が学校の体育教師の夏のボーナスが全て魅音様のグッズ代に消えたのを確認したところで第一走者スタートです!!」

 

 

 麗華さん、笑いもとれるだと・・・!?緊迫のスタートかと思いきや、麗華さんの実況でぐだついたスタートは全員がひとかたまりになりながら100メートルのトラックをひた走る。鏡花ちゃんは第二位だけど一位との差が結構あいててなかなか追いつけない。必死になって走る女の子の姿ってなんか新鮮やわ。そのまま第二位をキープしてゴール。いやー、結構追いすがってはいたんやけどね。悔しそうだから後でちゃんと慰めてあげよう。

 

 

「あ、みおたん。次はきーちゃんほーちゃんの二人三脚ですよ!ここでいい感じに紅組の点数を伸ばしてやるのです。勝ちは間違いないのです!」

 

 

 その言葉通りにぶっちぎりで走り抜けるロリ巨乳姉妹。二人だけ二人三脚という競技を忘れたかのような速さだったな。狐野家はやっぱり有名なのか声援も学年問わず他の生徒よりも人一倍多い。見ろよ、あれうちの姉ちゃんなんだぜ?あ、知ってるよね。

 走り終わったらこっちを向いて全力で手を振ってくるのでこちらも全力で振り返す。うーん、跳ねるたびに大質量のアレが跳ねてらっしゃる。眼福眼福。

 

 その後、麗華さんの棒倒しがあったんだけど、これに関しては語らずともいいだろう。いや、みんな女の子が出しちゃいけない声で倒すんだよ!?しかも服はめくれ上がるわ、何人か完全に剥かれてたからね!?そんな中で麗華さんは並居る猛者たちをちぎっては投げちぎっては投げしてた。最後は棒の上に上り詰めて高笑いしながら女生徒たちの群れの中に消えていった時はウケたけど。そして麗華さんチームが勝ちました。これで白組が一歩紅組に追いついたね。

 

 

「あ、あの魅音さん。先ほどは負けちゃいましたけど、未来さんと一緒に障害物競走では頑張りますから見ていてくださいね?」

 

「もちろんだよ鏡花ちゃん。未来も応援してるから怪我しないように頑張ってね?」

 

 

 鏡花ちゃんはこちらに微笑んで、未来はこちらを見てからその目に闘志を宿す。

 横では午前の出番があまりないちよたんがポリポリとお菓子を食べながらこちらにもたれかかっており、美玲姉さんと亜実母さんはビールとつまみ片手に観戦している。2人はもう出来上がりつつあり、時折身内が盛り上がった時は圧倒的質量を押し付けながらやいややいやと騒ぎ出す。周りの女生徒たちから血涙流さんとする勢いで見られてるから怖いわ。

 

 鏡花ちゃんと未来がスタートラインに付き、一斉に障害物へ・・・。ちょっとまって!?障害物って『人』なん!?

 明らかに大柄のスポーツ系女子たちが横一列に並び、腕をクロスさせながら向かってきた生徒たちへとタックルしていく。

 未来は対峙する相手への懐へと飛び込んだと思ったら、接触する瞬間に体がぶれて気がつけば相手の後ろにいるだと!?あれは前の世界で有名なラグビーの技やないか!?更に未来へと全員の視線が集まった瞬間に抜き去る鏡花ちゃん。あっちはミスディレクションやん!?最近の女子は少年誌みたいなこと出来るの!?

 同じ白組ということで圧倒的実力差と頭脳プレーでの連携を見せつけて2人はぶっちぎっていく。ゴール手前の主将クラスの前に行くと未来が飛び上がり、ほぼ同時に鏡花ちゃんがスライディングで股の下をくぐっていく。鮮やかな連携プレーすげぇ。

 ワンツーフィニッシュで2人がゴール後に片手を叩いた瞬間に湧き上がる会場の熱気がやべえええぇぇ!!かっけえええぇぇ!!

 

 あとうちのメンツはそれに乗じて俺に抱きついてきて質量やべえええぇぇぇ!!ああああぁぁ、ここ公共の場だからやめてえええぇぇ!!

 

 






 キャラ設定のデータがぶっとんだーーーーー!!!

 泣きそう・・・。



目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。