ジョジョとオルガの奇妙な冒険 (すろづき)
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第四部 ダイヤモンドは砕けない
1 ようこそ、杜王町
果たしてその理由とは…?
休むために働くのか?働くために休むのか?
よく取り沙汰される二択であるが、俺は後者だと思っている。逆に考えればいい。俺の考える方は『休まなければ働けない』になるのに対し、一方は『働かなければ休めない』とかいうのになって…ん?別にそれでもいいのか?自論を自分で崩してしまった。
とにかくだ、そんなものはただの言葉の綾である。
別に考える必要もない。俺は働くことに関して世間のようにマイナスのイメージは持ち合わせていない、ということが前提にあるからだ。
裏を返せば、『休むことにプラスのイメージも持ってない』ということになる。
何が言いたいか?
俺は、オルガ・イツカは、この状況を嘆くべきなのかということである。
タクシーの窓の外は快晴。空港を出発したときは灰色に澱んでいた空も、持ち直したらしい。
正直タクシーなるものに一人で乗ったのは初めてである。運転席のエアコン口の緑色…匂い慣れない植物系の芳香剤が鼻孔を撫でる。まぁ、別に臭くはない。
タクシーの運転手とは最初の五分喋った後、それっきりである。
運転手は定期的にちらちらと見てくる。何か話そうとしているのか、それともさっきから落ち着きなく足を組んだり外したりしている俺が気になったのか。初めてのタクシーだ、許せ。
さて、話を戻そう。
日本国M県S市の空港から目的地、『杜王町』まで車で四〇分ほど。どうして俺がそんな日本の小さな町に行くことになったのか。簡単な話だが三日前に遡る。
三日前。
俺の地球での『仕事』がやっと終わった。今度の仕事もミカと共同であった。
最近この類の仕事しかしていない。
いや、正直仕事と呼んでいいのかさえ分からない。
具体的に言うと、俺(やミカ、あのバエル馬鹿とか)はこれまで『異世界に飛ばされてそこで生きる』ことを繰り返してきたのだ。
数年前…いや、年なんて数え方が有効かどうかは分からないがとにかく、数年前に俺は一度『死んだ』。悲しい話だ。未練ってやつも残った。
その未練の因果かどうか、神は俺にチャンスをくれた。もう一度生きるチャンスを。
(と、ここまで書いたがここからの俺の長い長いセカンドライフは既に常識の範疇にあると思うので割愛させてもらう。)
さて三日前、火星に帰ろうとした俺を呼び止めた(正確には部屋に呼ばれた)のはバエル馬鹿…マクギリス・ファリド。俺の死因の一人だ。末代先まで呪ってやる。
低いテーブルを挟むように置かれた二つのソファにそれぞれが座った。マクギリスのいつもの微笑がいつも以上に気味悪く見え、少し身構える。口を開いたこの金髪、何を言い出すのかと思えば『君には休みが必要だ』とかなんとか。拍子抜けだ。
なんでも流石に働き過ぎらしい。不死身の俺に過労とか正直ピンと来ませんねぇ、と返したのだが
「いや、休暇を提案したのは私ではない」
「君の身体を心配したのは君たちの組織、鉄華団の1人だった…タカキ・ウノ、とでも言ったかな。彼だよ」
そうか、タカキが。まぁ仕事も入ってないし、たまには一日二日休むのも悪くない…と思って俺は「わかった」と承諾したのだった。
マクギリスの提案したのは日本の小さな町…静かでいいじゃあねーか、とまで思った。
休暇が一年間以上無期限だったことがわかったのは今朝である。
かくして俺は、終わりの見えない休暇に放り出された。
だが俺は決めたぞ。もう悲観はしない。どうせならとことん休みつくしてやろうじゃあねーか。
ジジッ、ジジッという音がして、軽快なポップ音楽が、最初は途切れ途切れに、やがてはっきりと車内に響きはじめる。
「おっ…入った。ここの鉄塔を過ぎれば、いつもラジオ入るンスよー」と、運転手が俺に言ったのか独り言か。
せっかくだ。会話しやすくなったこの好機、無駄にはできん。
「っと、おっさん。今から行く『杜王町』って町、どんな町だ?」
突然話しかけられて戸惑ったのか。運転手はええと、と場繋ぎ音を鳴らして
「杜王町は、初めてですか。…味噌漬けが、美味いスよ」
そう答えた。
味噌は知っている。だが味噌漬けって言われると、こう、何を漬けているのかわからないじゃあねーか。
聞いておこう。
「何を漬けるんだ」
「牛タンッスよ」
ふーん。
「……」
「……」
あーあ。またこうなった。
耳をラジオへ。抑揚のある男声が聞こえてくる。
「…ということで、今週のヒットチャート。続いて第3位。Uruさんで、フリージア」
ん?
「♩テ~テレレレレ~レ~レ~」
ん?
んん?
「ちょ、あの、おっさん!ラジオ…」
「おぉ、スいませんね」
運転手は音量のしぼりを回す。
音がでかくなる。気を利かせてくれたらしい。
いや、利かせるな。
「♩キボーノハナー」
「だからよぉ、止まるんじゃあねぇぞ」
車内で謎ポーズをキメて気を失っていく俺に、運転手が
「あれ、酔っちゃったんスか?」
とだけ言ったことまでは覚えてる。
まだまだ全然ジョジョじゃあないぞ
意外と話進ませるの難しいのね
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2 空条承太郎!オルガ・イツカに会う その1
マクギリス「成る程、では私から彼に言っておこう」
(もしこれで彼に長い長い休暇を与えれば異世界オルガが終わり異世界マッキーが始まる…そうなれば、俺の勝ちだ!)
いい天気だなあ。
予報で曇りって聞いてたけど、外れて良かった。
ローファーがアスファルトを軽く踏む。新しい靴はまだ少し違和感が残ってるけど…しだいに慣れるはず。
三月までと同じ通学路を歩くんだけど…同じじゃあない。なにか世界が違ったみたいだ(もちろんいい意味で!)。
住宅街を抜けると大通りに出る。少し歩いて駅前へ。バス停でバスを待つ…と、これが高校「初日」の通学路。
(ちょっとしたら親が入学祝いで『マウンテンバイク』を買ってくれるらしい!だからバス通学は数日だけだと思う。)
四月の頭にしては例年より暖かいんじゃあないか?でも学ランを脱ぎたいって程でもないし…ベストな気温。
駅のロータリーまで来た。平日の朝ということもあって多いのはスーツ姿の人や学生服の人…あ!あのでかい人は先輩かなあ。挨拶しなくっちゃあな。でも噴水にしゃがみ込んでなにやってるんだろう?
ぼくの名前は(まー覚えてもらう必要はないですけど)広瀬康一…一五さい。
今日から高校生。期待と不安で胸がいっぱいです。
ロータリーのバス停に向かう。円形のロータリーなのでぐるっと回らなくっちゃあいけない。この時間はタクシーもよく止まるなあ。
一台、タクシーが止まった。
ドアが開いて出てきたのは…で、でかい!二メートルはあるんじゃあないか⁉︎…大男だった。
黒を混ぜたような濃い赤(えんじ色、っていうんだっけ)のスーツを着てる。浅黒い肌に色素の薄い眼…外国のひとかな。
その足どりはおぼつかない。荷物をトランクから出す運転手も心配そうに見ている。なんだか気分悪そうだなあ…
と、そのスーツの男に気を取られていた…前から歩いてくる人に気がつかなかった。
ドシィン!
「うわっ!」人にぶつかってしまった。手が鞄から離れる。
こけた時とかはすごく時間が遅く感じる…今だってそうだ。スローになる時間の中、ぼくは目の端で鞄がパカっと開くのを捉えた。中身がバラバラと落ちるのも。
つぎに考えたのは自分の身のことだった。尻餅をつくのは必至。
痛いだろうなあ…かたく目をつむる。
…ト、と両足がアスファルトを踏んだ。
?
恐る恐る目を開ける。鞄はぼくの手の中…しかも中身もこぼれちゃあいない!
「あれェ〜…? おかしいな…今ぶつかって転んだと思ったのに…」
キョロキョロとあたりを見回しても鞄の中身らしきものはない…たしかに出て行くのは見たんだけど。
「よそ見しててすまなかったな」
声がした方に顔を上げる。
目の前に立っていたのはこれまた大男。で、でけぇ!一九〇以上はあるぞ!
白のジャケットに白のズボン。帽子を目深に被って…そこから覗く鋭い目に知性を感じる。なんか…カッコイイ!
「この街の地図を見ていたんでな…一つ訪ねたいんだが」
「?」
「この街で『東方』という姓の家を知らないか?」
聞いたことないなあ…悪いけど。
「ちょっと知りません…」
「成る程…じゃあ住所ではどうかな」
そう言って男は懐から黒い手帳をだした。細長いタイプの手帳…に、名前も書いてある。
『空条承太郎』
「定禅寺の…」と、手帳と見比べようと思ったのだろう。地図も掲げるように持った。
と、そこへ声をかけてくる男がひとり。
「すまねぇ…その地図、ちょっと見せてくれねぇか」
近づいてきたのはさっきの外国人だった。帽子の男…『空条承太郎』さんは怪訝な顔をして
「あぁ…少しならいいぜ」と男に地図を傾ける。
こうしてみると承太郎さんの方がほんのすこし低いのか…ぼくの身長は低いほうだから見上げると…首が痛くなってきそうだ。
「…ここだな…『杜王グランドホテル』…良し!サンキューな!恩に着る!」
そう言って男はロータリーの奥へ小走りに去っていった。
あまりにも一瞬だったから、ぼくも承太郎さんもぼうっとその外国人を見ることしかできなかった。そういえば外国人なのに日本語に違和感がなかったなあ。
「…さて、なんか邪魔が入ったが…定禅寺、だ。定禅寺一の六」
「ああ、その住所なら」知ってる。定禅寺なら確か…
ぼくはすぐ目の前を指差し、
「そこのバス停からバスが出てますよ」と伝える。
「そうか、ありがとう」
その時、ひときわ大きな声がぼくたちの耳に入った。
「一体なんのつもりじゃ!あぁ〜ンッ⁉︎」
なんだろう。振り向いて見ると噴水の周りを三人の学ランが取り囲んでいる。
よく見ると真ん中に人がいるらしい。さっきから噴水のそばにいた人だ!リーゼントが目を惹く。
「何って…ここの亀が冬眠から覚めたみたいで…見てたんです」
飄々とそんなことを言う。あんまり検討はずれの答えを出したら取り返しのつかないことになりそうだ…取り囲む三人の表情も険しくなる。
「爬虫類ってちょっと苦手で…その怖さ克服しようかなあ〜って…」
「そんなこと聞いてんじゃあねぇ!」「立てボケ!」
あああ。言わんこっちゃない。
リーゼントの人はゆっくりと立ち上がって三人を眺めている。そこには何か木陰で休むライオンのような怖いような優しいような不思議な圧迫感があった。
何より身長が高い。
「ほほぉ…一年坊にしちゃタッパあるっちゃあ…」一年生だったのか!じゃあおんなじ年…先輩だと思ってた。
長めの学ランにダボっとしたスラックス。ボンタン、っていうのかな。前を開いた学ランから覗くのは黄色いシャツ。それにリーゼントの髪型も合わさって…いわゆる『不良』の形を成している。
三人のうちの一人、リーダー格だろうか、がその亀を掴んでリーゼントのほうへ突き出し、「そンなカッコする前にまずは…ワシらに挨拶がいるんじゃああ〜ッ!」と叫ぶ。
「ち、ちょっと…怖いッスよおー」
と引きつった笑いを口元に浮かべる。その顔にイラッと来たのだろう。
「ウダラ、何ニヤついてんがァーッ!」
パン、と平手でリーダー格がリーゼントの頬を弾いた。
平手を受けたリーゼント、怒るでもなく痛がるでもなくただ、「すいません、知りませんでした」と腰を折った。
「フン、知りませんでしただァ〜?てめーもこの亀の様にしてやろうかッ!コラーーッ!」
リーダー格が持っていた亀を高く掲げる。どこかへ投げつける気だ。
腕を振り下ろす。数秒後の亀の無残な姿を想像してぼくは戦慄した。
しかし、亀は無事であった。振り下ろそうとしたリーダー格の腕が、固定されて動かない。
「おい、何やってんだ」
掴んでいたのはロータリーの奥に行ったはずの外国人だった!どうやら騒ぎを見かねてやってきたらしい。
「ああン…チッ」
三人は流石に二メートルを越す外国人に突っかかる勇気はなかったらしい。腕を振りほどいて、おい行くぞ、とリーダー格が2人に目を配せ、亀を噴水に落として歩き出した。小声で
「こンの…変な前髪しやがって」と捨て台詞を吐いて。
変な前髪…たしかに謎の角みたいになってるなあ、とぼくは素直に思う。捨て台詞が男の耳に入ったのか、
「変な前髪?てめーらだってそこのリーゼントだってかわらねーじゃねーか」と悪態をぼやいた。
その時、リーゼントの人の眉間にシワが走った。
その形相はさっきとはまるで別人。その変化にぼくは、(おそらく見てた承太郎さんも)何かやばい、と直感的に感じた。
ゆっくりと外国人の方へ首を回し、口を開く。
「あんた、今おれのこの頭のことなんつった!」
名前で呼んであげて康一くん
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3 空条承太郎!オルガ・イツカに会う その2
「ああ、石動。これは『荒野○動』というものだ」
「准将…」
「いや、これがなかなか馬鹿にできない。面白い。石動、お前もどうだ」
「准将…」
「フフ…そうだ!もっとお前の力を見せろォ!…で、どうだ」
「わたしは」
「?」
「わたしは、p○bg派です」
「」
「てめー今、おれのこの頭のことなんつった!」
そう叫んでリーゼントヘアの学生は、オルガに向かってズンズンと近づいてくる。
オルガは、今自分が「そんな気はなかった」だの「許してくれ」だの弁明しても無駄だと言うことを理解した。
同時にオルガは、殴るんなら殴ってくれ、とも思った。
オルガには、秘策がある。
数歩歩いて、リーゼントの動きが止まった。オルガから、距離にして一・五メートル。
(来るか)
オルガは全身にぐ、と力を入れる。彼の拳を半端に受けないためである。
だが、リーゼントの拳は動かなかった。
代わりに何か得体の知れない半透明の腕が、肩あたりから現れるのを、オルガは見た。
そしてそれが頰に叩き込まれるまで、一秒とかからなかった。
幸い歯をくいしばっていたので、歯が折れることはなかった。しかしそのあまりにも強すぎるエネルギーは、オルガの二メートル近い巨体をブッ飛ばすのに十分である。
殴られたダメージとアスファルトに叩きつけられたダメージで、オルガの意識は遠のく。
(死んだな)
オルガは、自分の命が『一つ』消えるのを理解した。
『無限』のうちの『一つ』、だが。
オルガは、死んでも死なない体を持っていた。いわゆる『不死身』である。だが死ぬときは必ず、怪我の有無にかかわらず出血する。
赤黒い静脈血が、オルガの周りに流れていく。無意識的に、いつものポーズを取る。
左手を挙げ、人差し指を立てる。台詞を口にする。
「だからよぉ、止まるんじゃねぇぞ…」
この一連の動作が、オルガが死後転生した際に与えられた『希望の華(オルガはそう呼んでいる)』の発動条件である。
希望の華は、何事もなく咲いた。
流れた自分の血が全て体に戻っていく、ちょうど逆再生のように。そのままの勢いで立ち上がると、オルガは首だけをぐるりとリーゼントの方に向けた。
そして殴った。
リーゼントはよろめくと鼻を抑えた。少し、血が出ている。
オルガは、
「何もいきなり殴ることはねーだろ」
と口の端に笑みを浮かべながら言った。
リーゼントは殴られて我に返ったのか、困惑した表情を浮かべる。
しばらくの沈黙が二人の間に流れる。次に口を開いたのは、意外にもリーゼントでは無かった。
「まさかとは思っていたがな…やれやれだぜ」
さっきオルガが地図を見せてもらった、あの帽子の男がこちらを見てそう呟いた。帽子はリーゼントの方に指を指し、
「お前が、東方仗助だな」
『東方仗助』と呼ばれたリーゼントの表情は、さらに困惑を重ねたように見える。「あ、はい」とだけ答えた。
「おれの名は空条承太郎。奇妙だが、血縁上ではお前の甥ってやつに当たる」
「お…甥…ッスか」
「そうだ。詳細は追って話す…そして」
帽子の男…空条承太郎は突然こっちに顔を向けて
「お前が、オルガ・イツカだな」
確かに、そう言った。
「…はい?」
オルガは、
(何故俺のことを知っているんだ?)
そう思って、
俺の名前をどこから聞いた、と問うてみた。
すると何故か、承太郎は怪訝な顔をする。
「スピードワゴン財団から聞いた。おれの調査の助手にひとり配属したと通達が来た…まさか何も知らずにここにきたのか?」
オルガは、脳をフルに回転させて考える。
(俺がここに来た、理由)
決まっている。
(そうか)
間違いない。間違いなくあの金髪バエル馬鹿…マクギリスの差し金だ。オルガは今度こそマクギリスに殺意を覚えた。
こんなにうまく使われてはまるで、俺があいつの部下のようだ。
オルガははぁ、と一度溜息をついて、
「オルガ・イツカだ。あんたのことについては何も知らないが…仕事ならやらせてもらう」
オルガがそういって承太郎の助手を引き受けたその時、プシュー、と音を立ててバスが近づいてきた。
ぶどうヶ丘高校前行き、である。
「…じゃあその、承太郎さん、オレは学校があるんで…」
「ああ、すまなかったな。仗助」
仗助はバスの方へかけていく。無事に乗ったのを見送ると、承太郎はまたこっちに体を向けて、
「というわけだ。幸い、おれも『杜王グランドホテル』に泊まる」
と言った。
オルガは天を仰いで
(嗚呼クソ、マクギリス。休暇っつーのはどういうわけだ)
と心で悪態をついてから、
「こちらこそよろしく頼む。承太郎」
最高の苦笑いをしてみせた。
文体を変えてみる
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4 空条承太郎!オルガ•イツカに会う その3
「オルガ?なんか休暇って聞いたけどよー」
「休暇…?」
「歩きながら話そう」
仗助のバスを見送った後、承太郎はオルガを横目で見てそう言った。オルガはどこへ、と聞こうとしたがついさっき自分と承太郎の泊まるホテルが一緒だという話をしたのを思い出して、やめた。
歩き始めて、少したった。
住宅地に入ると余り高い建物は見当たらず、ほとんどが二階建ての一軒家であった。それが整然と並んでいる。
オルガは沈黙を続ける承太郎の背中を見て、
(いい加減話を始めたらどうだ)
そう思った。
「オルガ」
心を読んだのか、と疑うほどのタイミングで承太郎が口を開いた。
「お前、スタンドはどこで身につけた?」
オルガの脳内に盛大に「?」が踊った。まるで知らない単語がさらっと出てきたからである。
「スタンド?なんなんだよそいつはぁ」
承太郎は表情を一瞬止め、次に帽子のつばをぐ、と下に引いた。
「『無意識』か…やれやれ」
「は?無意識?」
「オルガ、お前…なにか『特殊な力』持ってるな?」
承太郎によると
この世界にはスタンドと呼ばれる超能力が存在していて、先程の仗助に殴られた時にオルガにその能力の片鱗を見たという。承太郎は勿論、さっきオルガに突っかかった学生…仗助にもスタンドが発現しているそうだ。
オルガは承太郎に、自分が一度死んでも蘇る体だ、と説明をした。それがこの世界ではスタンド能力という部類に入るらしい。
「スタンドってやつのことはわかった。ところで、あんたが俺を助手にしてやりたいことの用件を聞こうか」
「ああ、それが本題だ」
承太郎は辺りを軽く見回すと、もう一度こちらを向いて言う。
「ある凶悪なスタンド使いが、この街にいることが分かっている。俺は…いや俺たちはその調査をしに来たッ!」
「凶悪なスタンド使い…か…」
つまりは、オルガの不死身に匹敵するレベルの能力者…『スタンド使い』がいるということ。そしてそれが悪事に使われているということ。オルガはそう理解した。
「無意識のスタンド使いなんてな…どうしてSW財団がお前をよこしたのかはわからないが、覚悟がないならこの仕事に就く必要はない。最悪の場合死ぬからな」
「…」
(俺に、出来るのか?)
オルガは考えていた。
(たしかに放っておけばこの街に死人が出ることになるかもしれねぇがな…
だがこれは、俺の手に負えるのか?元はと言えばあのマクギリスが俺を送り込んだだけだ。何も知らせないで)
承太郎はオルガが黙りこむのを見かねて、
「明日までに返事を聞く。強制はしない」
そう告げて、いつのまにか目の前だった杜王グランドホテルへさっさとチェックインに歩き始めた。
ホテルの自動ドアの前に取り残されたオルガは、足を一歩退けた。オルガに反応していた自動ドアが、小さな音を立てて閉じる。
少しの時間が流れる。
オルガは振り返ると今来た道と別の道を歩き始めた。歩きながら少し考えようと思ったのである。
まだ昼だ。
上がりきっていない太陽は雲を寄せ付けず、杜王町を照らす。そう、杜王町。この街には沢山の人が住んでいる。その命が少しでも摘まれることを、承太郎は良しとしていない。
(俺は)
横断歩道の信号機は赤。少し黒ずんだ点字ブロックの前で、オルガは足を止めた。
(俺は)
その時である。
オルガの右のポケットが振動を始めた。
一瞬ビクッとして、すぐにオルガはポケットに携帯電話を入れていたことを思い出した。
画面を確認する。電話の着信、『ミカ』。
ミカが電話を?過去そんなことはなかった気がする。
緑の通話ボタンをタップして、耳にあてる。
「おう、ミカ」
『オルガ?休暇ってほんと?』
いつも通り、聞きたいことを率直に聞いてくる。
「…いや、休暇って口実でマクギリスにいいように使われた」
『…ほんと?』
少し殺意を帯びている声に聞こえるのは気のせいだろうか。せいぜいあの金髪には自分の首を心配してもらおう。
「まあその、なんだ。街を守ってくれって仕事らしい」
オルガはそう言ってからしまった、と思った。ミカに仕事のことなんて言えば、おれもやると言ってくるに違いない。案の定、
『仕事?おれ、やろうか?』そう言った。
「…いや、これは俺個人の…俺に任せられた仕事でな」
『なんで?』
「なんでって、お前…」
『おれと、オルガと、みんなで鉄華団でしよ』
「…」
『オルガが一人だけでやるなんて、おれに任せてくれないなんて、そんなの嫌だ』
「嫌って…」
『もう、あんなの嫌だ』
そうか。
(ミカは、あの時を、俺が殺されたあの時を思い出しているのか)
“おれと、オルガと、みんなで鉄華団でしよ”
オルガの口元が、にいっと笑みを形作る。
「ったくお前は…」
『オルガ』
「よぅしミカ、少数精鋭でいくぞ」
『うん』
「新しい鉄華団の仕事だ。一つの街をまるごと守る。でっけえ仕事だぞ」
『わかった』
「覚悟はできてんだろうな」
『そんなの、とっくにしてるよ』
オルガは電話を切った。そしてすぐ、新たな番号を打ちはじめる。
「もしもし、俺だ」
『オルガか。返事は決まったようだな』
電話の相手は承太郎である。
「報酬、あんだろうな」
『報酬?』
「そうだ。こいつぁもう俺だけの仕事じゃあねぇ。鉄華団で引き受けることにした」
『鉄華団…何かは知らんが、協力してくれるようだな』
「そうだ。財団ってやつと鉄華団。契約成立ってとこか」
『ああ。報酬だが、おそらく財団から出るだろう。よろしく頼む』
「おう」
電話が切れる。オルガは耳から携帯を離すと、空を見上げた。
雲はもうすっかり消えた。
腹が減った。昼飯でも食いに行くか。
ああ^〜はやくスタンドバトルを書きたいんじゃ^〜
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5 オルガ•イツカ!アンジェロに会う その1
オルガ「は?あんた正気か?」
その電話は、意外とすぐに鳴った。
オルガがホテルにチェックインした翌日、承太郎から連絡が入った。軽い気持ちで電話を取り上げたのが、その内容は非常に暗いものであった。
仗助の祖父が、何者かに殺害されたという。スタンド使いの犯行で間違いないそうだ。承太郎は続ける。
「奴の名は片桐安十郎、通称アンジェロ。悪虐の限りを尽くしたような男だ…一度服役してるが脱獄、その際にもスタンドが使われたと見て間違いない」
「スタンド使いの犯罪者…ってことか」
「そのスタンドは水に同化できる。複雑な擬態も可能だそうだ…仗助の祖父は、その擬態の応用で殺されたと見ている」
「待ってくれ!仗助は無事なのか」
「ああ、無事だ。一度は奴を追い詰めたようだが…何も知らない一般人の命を利用して逃げ出した、という感じだな。やれやれ…」
驚くのはあの高校生が水のスタンドを一度捕らえたという点だ。どうやったのだろう、とオルガはなけなしの脳ミソを動かしてみたが、特には思いつかない。その事を聞くと、
「仗助のスタンドは、ものを『治す』能力だ。瓶を破壊して奴とともに『直せ』ば、復元した瓶の中に収まる、という手はずだ」
もっとも自分の傷は直せないらしいな、と付け加えて承太郎は沈黙した。それをオルガが継ぐ。
「おい承太郎、俺は、どうすればいいんだ?」
「お前は仗助の家で見張りをするんだ。それが最善だからな」
「見張り?」
「奴はまた戻ってくる、きっとな」
「おぉ…だが、俺が仗助の家に上がれるか?人種も若干違うみたいだが…」
「…誰が家に上がって見張れと言った?」
「…は?」
三日後。
オルガはテントの中にいた。承太郎曰く、
「流石に見ず知らずのの男を家にあげるのはまずいからな。近くの公園でテントを張って寝泊まりしてくれ、悪いな」
だそうだ。ちなみにこの時の承太郎の声に悪い、と思っている感じは微塵も無かった。
おまけに雨も降っている。テントの中にまで水が入ってきそうだ…
…水?
オルガは走り出した。向かう先は、東方家。
(まずい。雨の中なら、奴のスタンドは多分かなり『自由の身』だッ!)
玄関へ駆け込んで、ドアを開ける。鍵は開いていた。奥の部屋から物音がしている。
奥の部屋…台所に駆け込むと、男が二人立ちすくんでいた。仗助と承太郎。
「オルガ…まずいぞ」
承太郎がそう言う。見ると、鍋という鍋、ヤカンというヤカンでお湯が沸かされている。立ち昇る蒸気は部屋を覆い、肌を濡らす。
「どうも、オルガさん…この蒸気、どこからくるかわかったもんじゃあねーぞッ!」
蒸気で覆われているということは、つまりはどこからでも奴が襲ってこれるという状況である。三人は背中を付けようと後退りする…
「オルガさんッ!あんたの後ろだァァーッ!」
「‼︎」
オルガが振り向く。それを待っていたかのごとく、奴が、水のスタンドがオルガの口に飛び込む。
「ウ ゙ウ ゙ッ」
オルガは血を流してその場に倒れこむ。左手で虚空を指差して、呟いた。
「止まるんじゃねぇぞ…」
瞬間、オルガは立ち上がった。血を全て自分の元へ吸収し、完全に傷を治癒させる。そして
「承太郎、仗助!ここにいたんじゃ俺たちは確実に殺されるぞ!」
と一喝。別の部屋に走り出した。
「なんだ今の野郎は…あいつ…いい気になってんなァァァ〜ッ‼︎」
「まずいな、どこまで蒸気が広がってやがんだッ⁉︎」
オルガがそう悪態を吐く。次いつアンジェロが襲ってくるのかもわからないこの状況で、彼に優位なフィールド…蒸気に囲まれているのは非常に部が悪かった。
「さて、仗助。お前はこの状況、どうやって切り抜ける」
承太郎が仗助に問いかける。その仗助、まだ全然焦ったような表情はしていない。
「切り抜けるってのは、ちょいと違いますね…」
「は?」
そして出た。仗助のスタンドである。全身を銀色のアーマーのようなものが覆っており、ハートマークが各部にあしらわれている。拳を固く握り、
「ドラァッ!」
となりの壁へと打ち付けるッ!
承太郎はなるほど、と感心した。
(この隣は部屋だったか。この家の間取りを完璧に知るこいつにしかできない選択だぜ、やれやれ…)
「ほら、早くこっちへ。壁が…戻りますぜ」
壁が元の形に戻っていく。仗助に続き、承太郎とオルガも穴から部屋に入った。オルガは安堵した。
「とりあえず、やっと俺たちの居場所ができた、ってことか…」
「「「‼︎」」」
机から何やら冷たい風が頬を撫でている、と承太郎は考えていた。それもそのはず、机の上に置いてあったのは…
「まずい、加湿器だッ!電源が入っているぞッ!既にッ!」
「避けろ仗助ェェェーーッ!」
当然アンジェロのスタンドは、加湿器の蒸気から飛び出してきた。オルガの叫びも虚しく、予想外の攻撃に対処しきれなかった東方仗助の口に奴は入ってしまった。
「ぅごごが…」
「仗助ッ!」
仗助は自分の首を掴んで苦しそうな動きをする。一度奴に体を乗っ取られれば、勝ち目はもうない。
仗助の見開いた目が苦しそうに二人を映す。
「承太郎…さ…オルガ…さん…ッ」
「仗助ェェェーーッ‼︎」
←ーTo Be Continuedー - -
https://syosetu.org/novel/196620/
↑こっちも宜しく☆
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6 オルガ・イツカ!アンジェロに会う その2
アクア・ネックレス
STAND MASTER
片桐安十郎(通称:アンジェロ)
破壊力 C / スピード C /
射程距離 A / 持続力 A /
精密動作性 C / 成長性 E
「仗助ッ!」
殺人鬼アンジェロのスタンド…『アクア・ネックレス』を喉に突っ込まれた東方仗助にオルガが叫ぶ。仗助は咳き込もうとしているのか。とても苦しそうな顔をしている。
「待ってろ!今出すからよぉ…」
「待てッ!オルガッ!」
仗助の口に手を入れようとするオルガを制止したのは承太郎。
「良く見ろオルガ。仗助…コイツは初めっから『負け』ちゃあねーようだったぜ…」
「?…!!こ、コイツは!」
仗助が背中を仰け反らせ、その勢いで吐き出したのは緑色の『ゴム手袋』!
「そうか、手袋に奴を閉じ込めたのかッ!」
「奴のスタンドは水。確かに出入口を無くせば閉じ込めらるが…やれやれ、それをやってのけるとはな。全く『クレイジー』な奴だぜ」
数回咳をし、膨らんだゴム手袋をしっかり掴んで仗助が立ち上がる。
「さっきゴム手袋をよー、粉々にして喉に入れといたんスよ。スタンドが入った時点で『戻す』…そうしたら瓶の時みたいに閉じ込めらるんじゃあねーかと思ってよッ」
最後の「よ」に合わせて仗助は思いっきり腕を振った。ゴム手袋の中で水が上下に動く。
すると、外から雨音の間に男の悲痛な叫び声がかすかに聞こえた。
「アンジェロは外だ!近くにいるぜ」
走り出した承太郎に続いてオルガ、仗助も声のした茂みへ向かう。
仗助は何度も何度もゴム手袋を振り続けた。スタンドのダメージは本体へのダメージ。茂みに倒れているアンジェロを見つけた頃には、もう身体がボロボロであった。
「アンジェロ、てめー…」
仗助の表情の怒りがあらわになる。仗助を少し鎮めるように承太郎が肩に手を置いた。そして話し始める。
「アンジェロ、お前いつ、どうやってスタンド能力を身につけた?」
「ハァーッ、ハァーッ、クソッ、てめーら、いい気に、なりやがってェ…」
会話が成り立たない。仗助のスタンドがアンジェロの右手を不意に殴った。打ち付けた先には大きな岩。右手と岩が一緒に砕ける。
「ーーッ」と声にならない叫びを発するアンジェロ。そしてその右手は案の定、『直』された。砕けた岩とともに。
「お、お、おれの手がァーーッ!?」
「おい、アンジェロ」とオルガがドスの聞いた声を発しながらアンジェロの髪の生え際を掴む。
「…矢だ」
「は?矢?」「!」
「矢だよ。おれが服役してたころだ。独房にブチ込まれてたおれの元に、突然学生服の男が現れたんだ」
アンジェロはちら、とどこかへ目を走らせた。そしてまた続ける。
「そいつがおれを『矢』で撃ち抜いたんだぜ…痛かったさ」
そこでアンジェロの独白は終わった。承太郎が言葉を継ぐ。
「それでスタンドを身につけたって訳か…やれやれ」
そこまで言いかけた時である。三人の後ろで水音がした。雨ではない。
「なんだ」
後ろを振り返ったオルガに目には、薄くなったゴム手袋が落ちていた。薄くなった?
「まずいッ!結び目が甘かったんだッ!」
オルガが横目で動く水を捉える。と同時にその水…アクア・ネックレスがオルガの方向へ飛び込んだ。
一瞬の反応。オルガの頬をアクア・ネックレスが横切る。切り傷ができ、飛び出した血が二滴、三滴濡れた道路に飛び散る。
「てめーらもう終わりだーッ!いい気になりやがってェェェーッ!」
アンジェロの笑い声が響く。その視線の先には、口をぽかんと開けた子供。
「やべーっすよオルガさん!早く!」
「ちっくしょおおおお!」
子供の方向へオルガが走り出す。が、到底及ばない距離だった。
(クソ、クソ、間に合えッ!)
オルガは死に物狂いで子供の方向へヘッドスライディング。しかしもう届かない…
「え?」
「何ッ!?」
届いた。
アクア・ネックレスを腹に直撃させたオルガは「ウ ゙ウ ゙」と叫んで例のポーズ。「だからよ、止まるんじゃねぇぞ…」
「仗助ッ!今だッ!」
「分かってますッ!」
岩から必死に手を抜こうとしているアンジェロの正面に立つ仗助。
「永遠に供養しろ、アンジェロ。じいちゃんも含めて、てめーの殺した人間のなッ!」
恐怖に目を見開いたアンジェロに、仗助のスタンドの拳が無数に叩き込まれる。
「ドラララララララララララララララララーッ!ドラァッ!」
そして『直す』。アンジェロはついにッ!岩と一体化したのだ!
「アギ」と声か音か判別できないような断末魔を上げて、アンジェロは完全に沈黙した。
ーーよく見れば人間の顔のようにも見えるその岩は、誰が付けたか『アンジェロ岩』などと呼ばれ、杜王町の人気スポットとなった…
「お疲れ様ってやつだな、オルガ」
その夜。オルガの提案で二人は居酒屋に入って酒を酌み交わしていた。
「どうってことねぇよ。前は肉体労働だったからな」
ついでに命も張っていた、と付け足そうと思ったがやめた。
「仗助のスタンドだが、名前、なんか付けてやらなければって思うんだが」
承太郎の立案。名前があった方が利便的らしい。ちなみにアンジェロのスタンドはアクア・ネックレスと呼ばれていたことも今知った。
「仗助のスタンド?…『クレイジーダイヤモンド』…どうだ?」
「クレイジーダイヤモンド」
「そうだ、承太郎が言ってたじゃあねーか。コイツはクレイジーな野郎だとかなんとか」
「それに加えてあの外見から…なるほど、良いな」
話は次第に、オルガの話題へ移る。
「オルガ、あの謎の瞬間移動についてだが」
「あ?…あったなそんなこと」
オルガは大分酔っている。酒に特別強いわけではないのだが、どうも飲みすぎるきらいがある。
「届くはずのない、距離だったが」
子供を助けようと飛び込んだオルガのあれである。絶対に届くはずのない距離だったのは間違いない。
「俺は、あれがスタンド能力ではないかと思っている」
「?」
「お前は、ダメージを受けると血を流して倒れ、そのあと蘇る」
「おう」
「そして今日のあれだ。お前、あの移動の前に血を出していただろう」
確かにアンジェロに頬を傷つけられ、多少の出血があった。
「ああ。で、それが?」
「お前の真の能力は、おそらく」
「血を介して、肉体を移動させる能力だ」
「血を介して肉体を移動…?」
「ああ。いつもの蘇りは本当に死んだわけではなく、血を流してその血から自分の身体を『再構成』してる、と考えている」
「正直、ピンと、きませ、せ、…」
オルガは机に突っ伏し、寝息を立て始めた。
会計は承太郎がした。オルガはなんとか起き(少し吐いたが)、フラフラと立っている。
「おい、オルガ…スタンドの、名前とかないのか」
「…ィトキングラット…」
「なんだ?」
「グレイト・キング・ラット…火星ネズミの、王だ」
「そうか。グレイト・キング・ラット…か」
承太郎は居酒屋を出てホテルへ歩き出す。オルガのことはあまり気にしていなかった。大の大人だ、自立はしてるだろうと考えている。
「まだ寒いな」
四月の夜空は、澄んでいた。
グレイト・キング・ラット、Queenの曲から拝借。
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