進撃の狩人 (こんがり芋)
しおりを挟む

第一話 遭遇

エルヴィン団長とアルミン。及び心臓を捧げた者たちへのご冥福をお祈りいたします

……という話がぎりぎり使えるアニメ放映前に投稿する筈だったんだ。

放送時間を30分勘違いしなければ!







 ガシガシ。ガシガシ──

 頭を必要に刺される痛みで銀髪の小女は目を覚ました。

 

「……痛い」

 

 しかし痛みを感じるのは、相棒からの攻撃のみが理由ではない。全身からであった。

 それも当然である。背中には()()()()を背負っていたからだ。寝ていたのに、弓を背負っていれば当然背中は痛む。しかも、その弓には鋭い牙を左右に備えている。

 何故ここにいるのかはわからない。しかも意識を失う前の記憶も曖昧だった。けれどここで生きている。

 それだけで、狩人(ハンター)である少女にとっては幸運なことだ。

 狩人といっても、狩るのは兎や猪といった小動物ではない。()()()()()だ。彼女は時に、彼女の数倍の肉体を持ち、空を飛ぶ龍にさえも怯むことなく狩猟する強者だ。その若さでG級の称号に匹敵する実力を持つハンターであった。

 

 そんな強者であるにも関わらず、相棒である鳥の嘴につつかれて今日も目を覚ました。そんな日常は既に彼女の普通になっていた。

それでも、慣れたものではないので毎回「やめろよ」と小言を呟く。

 知性は十分ある筈のその鳥からは、毎回生返事しか返ってこない。

 

 ――今回も無理か

 

 と声には出さず、悪態をつく。

 しつけを諦めた。

 目覚めは何時ものように最悪であるものの、あの惨状の後で顔を見れたことはほっとした。

 少女は、「……でも、あんたも無事で良かったよ」と優しく声をかけながら頭を撫でた。

 すると、「クェッ」と媚びた声が返ってきた。

 

 ――ふふっ。都合の良い奴め

 

 悪態をついているものの、その顔は笑みを浮かべていた。

 そんな憎めない相棒は、「ガーグァ」の()()()鳥だ。けれどその特徴は、見た目からして大きく違う。

 二足歩行であるが強靭な脚力を持っている。

 嘴はあっても、ガーグァよりも丸く短い。

 そして羽に青味はなく、白に近い程色素がなかった。

 むしろ、羊の羽毛のように鮮やかなホワイトであった。けれどクチバシだけは綺麗な黄色であった。

 そして目が可愛い――というのは彼女の談。

 そんな彼(多分)を見つけたのは似た雰囲気を持つガーグァの縄張りがある「ユクモ村」周辺の渓流からは少し離れた場所。

 

 そんな個体だから、群れから追い出されたのだろうと思い、彼女は保護した。

 

 見た目からして、他のモンスターの変異体──亜種──で片付けるには違いすぎる為、研究機関に持ち込まれる可能性もあった。けれど彼女は、それを拒んで常に連れ歩いていた。

 

 「馬鹿なことはやめろ」と何度も同僚には説かれた。

 しかし彼女は頷かなかった。かけがえのない家族となっていたからだ。

 結果としては、望み通り彼と暮らしている。けれどそれと引き換えに、過酷な任務も多く任された。そんな時でさえもその鳥と共に彼女(ハンター)はいた。

 

 日頃寝るのは、「ポポ」小屋を元に改築した部屋の藁を敷き詰めたベット。

  ベースキャンプへ向かうときも。他の町へ移動する時も。そして、新大陸へ赴く船に乗り地味の大陸を調査する時でさえも……2人は共に生きてきた。

 

 

 さて。と小さく呟いてから、草まみれになった腰を上げる。固まった全身を伸ばした。

 そうして見えた景色は、彼女にとって見慣れないものであった。

 

「ここ……何処なの?」

 

 繰り返しになるが、彼女はハンターである。

その仕事はモンスターを駆逐することではあるが、その為に必要な知識を多く持っている。地理を覚えるのはその一つだ。

 

 しかも、少し前まで彼女がいたのは未知の多い新大陸。

 第5期調査団として「古龍渡り」という謎の渡りを調査する一員であった。

 己を鍛え、モンスターを狩ることしか脳のない馬鹿たちでさえも、必死になって情報を集め、それらを詰め込んでいた。

 それでも、未開の地は数多く存在するため、知らない場所が存在するのは無理もない。

 けれど、意識を失う直前にいたのは大海原の船。そんな未知の大陸での調査を終えることが出来たので、帰還するからだ。最も、多くのハンターたちは調査継続を希望したので、帰るのは珍しいのだが…

 彼女たち人類の故郷へ帰還する大型船に乗船していた。その航海の途中に襲来した未知の生物に吹き飛ばされた、筈だ。

 新大陸に来るときでさえも未知のモンスターには遭遇していた。その時も海へ投げ出されてしまったハンターハンターいた。なので、波打ち際に打ち上げられたのなら解かる。

そうして助かったハンターは多くいるし、彼女たち調査隊のメンバーにとっての英雄であるハンターが海へ投げ出されてしまっても無事に新大陸へ流れ着いたのだ。

 

 けれど、ここは海が全く見えない陸地。

 

そんなで一人(と一匹)倒れていた。というのは聞いたことない不思議な話である。

 それでも、生きていた幸運に少女は感謝した。

 

 目を覚ました一帯は、一面の草原。点々と伸びている木々だけが殺風景な景色を装飾していた。動物やモンスターが一匹もいない。そんな殺風景で、のどかな景色が全面に広がっていた。

 しかも、木の影に寝ころんで昼寝をしたいくらいに穏やかな空だった。日頃からハンターとして殺伐な日々を送っている彼女にとっては、癒しの一時である。

 せっかくなので、木陰へ移動しようと決意したその時、場違いな程に陽気な鳴き声が聞こえた。

 

「今度はなによ?」と嫌み混じりに聞いた。

 そう思っていたが、背後には別の物があった。

 

「高い壁……」

 

 気高くそびえ立つ壁があった。

 明らかな人工物である。

 

 あの方向へ進めばきっと町がある。

 防衛壁でしか無かったとしても向こう側からモンスターが襲来することは0に近い筈だ。それに、生物の気配すら感じていなかった。

 もし、周囲にモンスターがいたのなら、あのようにぐっすり寝てはいられなかった。

 つまり前方さえ警戒してれば、ある程度の時間がある。

 その時間を利用して武装の消耗確認。そして体力回復を行うことにした。

 いくら敵影が視認出来なくても、いつモンスターが出るか解らない。しかも今モンスターに遭遇しては、全身が悲鳴をあげるのは用意に予想できた。

 真っ先に「回復薬」があるかを確認し、一本飲み干した。そうして、他の道具も確認していく。

 損傷はなかった。

 

「ふぅ……。無事みたいね」

 

 中身の無事を確認して安堵を口にする。

 リオレイアの尻尾で吹き飛ばされてもびくともしないが、ハンターズギルド印の鞄であり回復薬等を詰めている瓶だ。

 未知のモンスターでは危ういのでは無いかと危惧していたが、要らぬ心配であったようだ。

 ほっと息をついたその時、ふと目に入ったのが生肉。

 公開中のお供に。と選別として貰った飛竜の肉だ。

 

 そうして彼女は思い出した。

 

 食事を取りたい。という欲望を

 

「こんがり肉食べれるかなぁ……」

 

 思い出すのは、その肉を焼いた「こんがり肉」、ハンターにとっては戦場での定番食だ。

 嵐に巻き込まれたのは港を離れたその日の夜のことだったので、日にちはそう経っていない。筈だ。

 鼻を近づけて臭いを嗅いでも、異臭はしなかった。これなら大丈夫だろうと結論を出した。

 相棒にもこんがり肉を差し出し、彼女は筒に入れた水を飲む。

 

 いつ遭遇するかも解らないため武具を外すことは諦めるが、最低限の荷物以外は置いておくこする。

 

 

 そう考えた彼女は鳥に「行ける?」と心配そうに声をかけたが、返ってきたのは力強い鳴き声だった。

 

「じゃあ、行こうか!」

 

 少女が叫ぶ。

 相棒の背中に乗り、手綱を持つ。

 それを強く引けば、相棒は軽快に走り出した。

 その場に残るのは、2つの車輪の後だけであった。

 

 

 

 ※

 

 

「……うわっ」

 

 思わず出た衝撃の声。

 たどり着いたその町は廃墟だった。

 城門らしき扉は破壊されていたので素通り。街中には人の気配は皆無であった。

 ガラスは破壊され、投げ棄てられたぬいぐるみや遊び道具なんかも放置されている。崩壊した家もあった。

 荒らされ放題の、人間が住むことを放棄した街がそこには存在していた。

 けれど周囲に張り巡らされた高い壁からかなりの技術力を持っていたのだろうとハンターは判断した。飛龍対策も兼ねているのだろうかと想像する。

 周囲の建物もレンガ造りなので、放棄されたのは比較的最近なのだろう。

 だからこそ、彼女には不思議だった。

 

 ──こんな町があったなんて知らない。

 

 人がいた。ということは新大陸ではないだろう。けれど、王都以外に城壁で囲まれた街を知らない。

 けれど、王都に近い場所であれば周囲にモンスターがいないのは納得出来る。

 しかし居たのは、遠く離れた海の上―――。

 

 狩人として得た知識を総動員して推理する。けれど解答は浮かばなかった。

 情報がなさすぎるのだ。 で、あるならば、調()()()()()()()

 彼女は無断で家に入る覚悟を決めた。

 入るのは、隣に馬小屋らしき場所がある家に決めた。

 荷車を外してから、家に入る。

 

「お、お邪魔しまーす……」

 

 無断で他人の家に入る罪悪感を拭えなかったからか、小声での挨拶であった。

 念のため、扉はしめた。

 そこには生活の後が残っていた。

 

「何よこれ! ()()わ!」

 

 思わず悲鳴をあげて、鼻をつまんだ。腐敗した食べ残しが異臭を放っていたのだ。

 足早に退散することに決め、2階へと登った。

 部屋を捜索する前に、通路にあった窓から周囲の様子を見渡すことにした。

 そこで見た景色に衝撃を受ける。

 

「んなっ……」

 

 通りを複数挟んだ先に、屋根よりも高い物体が視界に目に入ってきたからだ。

 それは頭であった。ちらりと見えた目の焦点が合っていないのか、眼光は正面を向いていない。

 即座にしゃがんだ。相手からはなるべく見えないように観察を続けていると、家々の隙間から全身を覗けた。

 

 全身の見た目は人間そのものだった。

 

 しかし、裸体であった。それも全身の筋肉がよく目立つ肉体だ。

 

 ()()がいたのだ。

 

 ここはシガンシナ区。かつての人類防衛の最前線であった場所。そんな巨人の占領地に異世界の戦士であるハンター(リア)は何故かたどり着いたのだ。

 

 





◆モンハン世界にもサシャらしき少女がいたりとコラボしているに、ハーメルンでは初らしい

◆どこまで続けるか未定なのに、巨人の真相に触れしまった件について

頑張れ、自分


※勇者プレイを出来るのは勇者様だけです



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二話 シガンシナ区Ⅰ

コミケ当落でお祈りされた記念




 リアにとって狩猟対象であったのはモンスターだ。

 二足歩行の猫である「アイルー」のように、人の姿では無いものの人類に味方する種もいた。

 時には同じ人間でも、密猟のような違法行為を行った犯罪者を捕縛する任務へ同行することもあったが、リアたちハンターが武器を振るう相手は、決まってモンスターであった。

 だからこそ、()()()()()()()()()()にはどう対応すべきか困惑したいた。

 

 そもそも、ここが巨人の住みかであることをハンターが知る術はない。ましてや()()()()であることも。

 故に、リアには彼ら巨人が、この町の住人なのではないか? という思考も棄てきれないでいた。

 別の町から来た侵略者であることは間違いない。けれど敵ではなく、モンスターのような人。という予想の方が強かった。 理由は明確。家のサイズが違いすぎるからだ。

 少なくとも、あれらの巨人がこの町を滅ぼした侵略者なのだと断定して良いだろうと結論付ける。

 

 腰巻きすら無いけ原始的な格好であるというのは疑問ではあるが、人間にしかみえない。人同士で争う。というのをリアにとっては理解できないが、敵には思えなかった。

 それも無理はない。普段相手にしているのはモンスター。つまり一目見れば敵と把握できる動物である。

 けれど、目の前にいるのは巨大な人。意志疎通が出来るだろうと思っていたのだ。

 

 けれどハンターとして培ってきた勘が警告する。もっと恐ろしいモノではないか? と。

 

 そもそも、この町にいた住人の生き残りだと思われては会話は厳しいだろう。今まで誰とも遭遇しなかったことが、その推測をより確実な予想へと導く。

 

 そうして、恐ろしい結論に至った。

 

 巨人が人を補食したのではないか? 

 

 人食い。

 かつて人がモンスターを殺す術を持っておらず彼らから隠れて生活していた頃は、厳しい冬を乗り越えるために行っていた地域もあったらしい。

 という噂をリアは聞いたことがあるが、今の時代にいるとは思ってもいなかった。

 

 今でもハンターや村人たちが、モンスターに殺されてしまったという事件は多くある。

 しかし、人が人を殺して食べた。等という話をリアは聞いたことがない。

 それどころか、モンスターに襲われる可能性がある時代に生きる以上、人と人が集団で争うことは滅多に起きない。町単位であれば尚更あり得ない。

 そんなことをしては、強者の餌になるだけだ。

 

 だからあの巨人は、人ではない。モンスターだ。

 

狩猟(ハント)しなきゃ」

 

 自分を鼓舞するために、自然と口に出していた。

 あれは人族ではない。と自身に言い聞かせてモンスターを見つめる。

 これは人殺しではない。新種のモンスターハントだ。

 

 ──そうよ。町の無念も晴らせる上に調査記録にも名前が残るなんて名誉じゃない! 

 

 何故なら彼女は狩人(ハンター)だ。未知のモンスターであっても狩猟するのが本分である。

 ……最も、未知のモンスターの方が燃えてしまうのが狩人であるが。

 

 そうときまれば。と巨人の行動を息を殺して観察する。

 

 ──矢が通りやすい部位は何処だろう? 

 

 普段の狩猟であれば、観察せずとも、知識や経験としてモンスター毎の弱い部位を知っているので苦労しないが。問題は未知のモンスターと遭遇した時だ。

 

「破壊された家もアイツらが壊したんだよね……」

 

 その図体通りの破壊力を持っているのことは容易に想像できた。しかもそんな巨人が何体もいる。

 

 ──同士討ちは期待できないもんねぇ……

 

 縄張り争いがあるのは弱肉強食な自然であれば常である。特に新大陸では、何度も観測していた。

 しかしそれは、別個体である場合だ。ここには巨人しかいない。

 ちらりと見えた小型も含めたら、100にも越えそうな数を一人で相手にしなければならない。

 

 もし地上に周囲に降りたら、囲まれるのは必然だろう。けれど下には相棒がいる。逃げる手段は確保したかった。

『こけし玉』や『もどり玉』を使って避難しようにも、彼らの攻撃を行うタイミングを理解しなければ、使う前にダメージを食らってしまう。

 最も、戻る拠点が無い以上もどり玉は使えない。その上、巨人に鼻があるかも不明なのだ。こけし玉を使っても無意味な可能性さえある。

 そうでなくとも、並の飛竜よりも図体が大きい巨人の攻撃では一撃で気絶してしまい、アイルー送りされる可能性もある。

 はたまた、人間の見た目であってもブレスを吐くかもしれない。それなのに、此方の物理攻撃は背丈が高すぎて足にしか届かない。

 見れば見る程に厄介そうな相手だ。

 

(……ニンゲン?)

 

 思考を巡らしながらふと思い出したのは、アレが人に限りなく近い見た目である。ということだ。

 もしかすると、弱点も人と同じかもしれないということに気がついた。

 

 ──なら、初撃で狙うのは背中。それも関節か、()()()の辺りね。後頭部に当てて脳震盪起こせても狙いやすそう

 

 ハンターにとっての敵は当然モンスターだ。彼らから身を守る為には人間についての知識も必要である。何処の部位を守れば、攻撃を受けてもより生存率が上がるのか。死なないのか。

 狙うのは屋根からも狙える10メートル越えの巨人だ。その中でも、30M程離れたところを徘徊する一番近くにいた巨人に狙うことに決めた。

 

 初撃は様子見も兼ねている。けれど、奇襲はそう出来ないので可能な限り強力な一撃を叩き込みたかった。

 弓矢が大量にあっても、「ビン」の無駄遣いは出来ないからだ。

 それでも、強力な「強撃ビン」に決めたのは奇襲が行えるからだ。無意識からの攻撃。無防備な敵への攻撃。どちらもそう簡単には成功できない。それが行えるのならば実行すべきなのは明白だ。

 

 未知の敵であっても、普段のやることは変わらない。

 長年連れ添い、幾度となく強化してきた黒光りの荒々しい弓矢を背中から取り出した。

 2つに折れていた弓矢の全貌が露になる。

 上下には鋭い角。それ単体でも多くの生き物を狩り取れる強度も備えている。

 上下2つの角を支えに張られた太い弦で幾度となく引いても、傷ひとつ入らないのがその証拠だった。

 その弦へ矢を通す。

 矢缶から取り出したこの弓矢も一般的な物それとは大きく違う。

 矢じりも羽も巨大なのだ。分厚く硬い龍の鱗を貫けるように造られたものなので当然だった。

 

 ロックが解除された矢じりには、予めセットしていた強撃ビンが塗られた。

 そのまま狙いを定め引き絞ると、矢の周囲が発光し初めた。

 

 ──狙いを正確に。外さずに……。

 

 弓兵として最大の攻撃。それは弓矢となる前、大自然で猛威を振るったモンスターの力を極限まで解放した一撃。

 強力な一撃であるが、解放してから撃つまでは今にも飛び出しそうな矢を抑え続けなければならない。

 その力を抑え込むのは、歴戦のハンターであっても至難の技であった。

 それでも、頭部に矢先が合うように狙いを定める。

 そして、解放した。

 

 ハンターの手から解き放たれた一本の矢は、勢いよく飛んでいく。

 その矢は巨人の後頭部深くへ突き刺さった。

 

 強力な龍の一部や、希少な鉱石で鍛えた弓矢を用い、G級にも匹敵する狩人が放つのが彼らの弓だ。当然、常人のものとは段違いの威力がある。

しかも彼女の弓は、長年調査してきたとある古龍の一部を用い「角王弓ゲイルホーン」と呼ばれる究極の一品であった。

 更には、火薬を積めたビンから塗られた強撃ビン。止めが、竜の力を解放した一撃。鬼に金棒では足りないほどの威力がある。

 

 だからこそ、であろう。

 剥き出しとなっている筋肉を貫いた矢が、爆破した。

 その後に、首の大半は四散し周囲に弾け飛び、頭部は天高く舞い上がったのは。

 吹き飛んだ頭部は離れた家屋に墜落した。

 

 そうして巨人は、攻撃さえ気がつくこともなく生命を刈り取られるだけではなく、無惨な最期を知ることなくこの世を去った。

 

 経験したことの無い爆破音に周囲にいた巨人たちも突然の奇襲に狼狽する。

 

 けれど、狩人の行動は素早かった。

 

 二矢目を構えていたのだ。

 

 巨人にとっては、たった数十メートルの距離であっえも遥か遠くからであった未知の攻撃に困惑するしかない。

 その間に、竜の力を溜め込んだ一矢を再び解き放った。

 

 その第二射目は、巨人の僧帽筋──うなじよりも少し下──を貫いた。

 

 当然のように頭部は吹き飛んだ。

 

 同じ方角からの攻撃

 同じ方角へ吹き飛ばされた巨人の頭部

 敵が近くにいる。

 巨人は漸く狩人の存在を認識した。そして発見したのは、たった一人であったことに驚愕した。

 少なくとも、リアにはそう見えた。

 

 しかし、一番衝撃を受けているのは、圧倒的強者であった巨人殺し(タイタンスレイヤー)本人(リア)であった。

 

 ──もう終わりなの? 

 

 表皮抜け。まるで手応えを感じなかったのに終わってしまった。侵略者である筈の巨人が、あっけなく倒れたという事実に狩人は困惑したのだ。

「図体だけは大きいのに、これでは()()()()()()()ではないか!」と嘆いた。

 

 ──まさかまさかの、ビンの無駄遣いだったんじゃないかしら……

 

 脅威度を格下げしたリアは、向かってくる巨人たちを無視し、淡々と作業する。

 一体の強さがアオアシラより弱くても、総数は「ジャギィ」以上だ。かなり厄介なことにはちがいない。

 弓矢につけていたビンを取り外して鞄にしまう。そのままビンへと取り替える。そして、()()()()矢を引き抜いた。

 

 瞬く間に弦を引き、巨人の頭部へと構えた。

 対して巨人は、漸く強者の位置を視認していた。

 当然それを理解しあのは、10メートル越えだけなので、たったの3頭のみであった。

 前方に2体。残りが後方だった。

 のそのそとしか歩いてなかった巨人は強者へ向かい走り出した。

 どうやら人よりも早く走れるらしい。その上、奇妙なフォームで向かってくる。近づかれたら、かなりめんどうなのは間違いない。

 それでもビンを替えて良いと判断し、近接時に効果が上がる「接撃ビン」へと切り替えた。

 

 最初に、眼球に狙いを絞ってから撃つ。

 射たれた巨人は抉られた右目を抑え、呻き声をあげた。

 別の巨人にも同じ部位に当たるよう撃つ。

 けれど、それてしまい、頬を抉るだけであった。

 

 しかし射ることを辞めない。

 

 狙いを絞って撃つ。

 

 狙いを絞って撃つ。

 

 かなり接近した後方の巨人にも撃った。

 目、腕、足……そして頭部。

 

 向かってきた3頭の巨人は、狩人をその場から動かすことすらないまま地面に倒れたのだった。

 

「驚いて損したわね」

 

 倒れた巨人を一瞥してから弓を解体しようとしたその時、倒れていた巨人は蒸気のような煙を上げながら立ち上がろうとしていた。

 そして狩人が目撃したのは蘇った目であっだ。

 

「うそ……。再生した!?」

 

 のろりのろりと2頭の巨人が立ち上がったのだ。討ち取ったと思っていた巨人の大半が息を吹き帰していた。

 

 切り取った飛竜の尻尾。砕いた角竜の角は月日が経てば再生する。

 生命力に満ち溢れた個体が多く存在することはハンターギルドでも把握しているが、損傷した部位が()()()()()()()()()()()()がいるなんて聞いたことがない。

 けれどもここにいた。

 

「……っ。甘く見すぎた」

 

 ビンを再装填する時間さえ惜しかった。

 油断した。と毒づいたものの、何も解決はしない。

 何度も弓を引いて、巨人を幾度となく射った。

 時間が立つほどに小型も増えてきたので、休める暇がなかった。

 手足を貫いて地面に転がっている矢。

 巨人に避けられ、建物を破壊しかけている矢。

 幾度も矢で射たれ、そのまま突き刺さっているのに未だに息を引き取らない巨人。

 増えることはあっても、ほとんど数が減らない巨人。

 そうしていく内に巨人の弱点が首の裏辺りでは無いかと算段をつけることができた。

 

 ──このままでは不味い。

 

 囲まれてしまうのも時間の問題だろうとは予想できた。

 武器を手に持ったまま、飛び降りた。

 そしてリアは叫ぶ。

 

「仕事の時間よ!」

「グァッ!?」

 

 予想しなかった叫び声に反応してか慌てていた。

 

 ──巨人に襲われそうになってるってのに相変わらず呑気ね

 

 それは陽気というよりも慣れであった。近くにいてもリアが脅威を倒すから危機意識があっても狼狽しなかった。

 リアが側にいる。という安心感があるからこそ、だらけていたという事実に、リア自身が気づいていない。

 

 屋根から飛び降りたリアは走りながら弓を分解し、係留してあった小屋に向かう。

 

 脇に差していた双剣の片割れを使って係留していたロープを切断する。

 

「行くよ!」

「クエーッ!」

 

 叫び声と持ち手を引っ張る。

 返事をすると共に、勢いよく走り出した。

 

 後ろに荷物も無いので、その速度は馬よりも早かった。

 当然、巨人は追い付けない。

 疲弊しているとはいえ、脚力では巨人を凌駕していた。

 しかし、走り続けているだけでは意味がない。

 

「ふっ!」

 

 もう一度手綱を強く引くと、空を走り出した。

 

 その鳥の多くは飛ぶことを放棄した種族だ。僅かばかりの時間と高さだけは飛翔できる。

 けれど、ごく稀に飛ぶことを覚えている稀少種が存在していた。

 種族名を「チョコボ」。見た目から「白チョコボ」とよばれている伝説のチョコボ……なのだがリアは当然知らない。

 チョコボが、異郷の魔獣(ベヒーモス)と共に偶然来訪した人に飼育されるモンスターであることもだ。

 

 そんな白チョコボが、空高く舞い上がってしまえれば敵は存在しない。

 ましてや、制空権を脅かすドラゴンもいないので、チョコボが天の覇者であった。

 その光景に巨人たちは、棒立ちになるか、残ってる手を支えにして、天を見上げるばかりであった。

 

 やがて白チョコボは壁の上に降り立った。

 

 そうしてリアは、狩猟区域から安全地帯へ離脱した。





【悲報】 原作キャラはモブ巨人だけ
【朗報】 一話よりも文字数多


◆ちょっと某アニメリスペクト。監督。来年映画ありますか?

◆相棒は白チョコボ

◆壁内に行ける手段としても白チョコボはかなり有能でした

◆チョコボ、カワイイ

◆上位ハンターリアちゃん、ポンコツ疑惑


※6/17 武器描写を追加。

弓矢は「角王弓ゲイルホーン」です



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第3話 シガンシナ区Ⅱ

「2355」面白いですよ(言いたかっただけ)



 ハンターにとって、敵前逃亡は恥ではない。

 彼らには軍規が無ければ、逃亡だという概念も無いからだ。

 装備品等に費やしたお金が無駄になるだけで済む程度の問題だ。

 

 生きて生還出来た。ということは、己の実力不足やモンスターの通常とは違う行動を理解し、それを報告することはギルド全体の利益となるからだ。むしろ称賛すらされることもある優秀な行動だった。

 

 だからこそ、リアは壁の上で()()()()()()()

 いくらなんでも、緊張感皆無の行動である。しかし、その突飛な行動を咎める者は誰もいない。見てなければ報告もされないのだから当然ではある。

また、想像を越える出来事が立て続けに起きている以上、休息は必要であった。

 そもそも、ハンターたるもの討伐したモンスターの側で「踊る」ぐらいの度胸が勤まらないのだ。なので、周囲の安全が確保された壁上でくつろぐ程度ならば大きな問題ではない。

 だからこそリアは、気ままに普段よりも少しだけ大きな空を眺めていた。

 

「なーんもないなぁー……」

 

 子鳥も龍も、雲すらない空。

 眼下を見れば無数の巨人がたむろしているが気にしたら敗けだ。

 彼らは壁際に留まり続けていた。リアが落ちてくるのを待っているのだろう。

 しかしリアは空を見ている。動くのが億劫になるほどに日光浴をしてくつろいでいる。

 

「……せめてクッションとか欲しいなぁ」

 

 口にした出るのは不満。その中身は、地面が土草ではなく硬い石であることだ。場違いな文句でしかない。

 戦闘意欲は当然、皆無である。

 

 ──それもこれも、疲れているのが悪いのよ

 

 そう結論付けたリアは、快適な日光浴を取るために行っていた思考を放棄する。

 町に入ってから壁上に避難するまでに半刻程度が経過していると算段をつけていた。

 体内時計で狩猟時間よりも少し長い程度だろうと推測し、大体そのくらいだろうと算段をつけただけである。正確ではないものの、普段以上に長い時間警戒していれば疲労も貯まるので、間違ってはいないだろう。

 ここから一歩も動きたく無いと思ってしまう程に、リアは疲労していたのだ。

 

 そんな疲労。穏やかな風と暖かい日差しの影響で、リアは夢の世界へ旅立っていた。

 リアの背中が、羽に当たる

 

「グェッ」

 

 ぶつかった痛みで、怒りの籠った文句が届く。

 

「……あぁ。ごめん」

 

 目をさすり、定型文のような返事をする。

 無理やり身体を動かして、リアは寄り掛かるのを辞める。背中を確認して、怒った理由を把握した。

 チョコボの怒りの原因は、リアが彼にぐったりと寄りかかってしまったからだ。勿論チョコボという種は、その程度で怒る程、気性の荒い性格ではない。

 しかし、武器を掲げたままであれば別だ。弓の角が当たるって痛かったのだから文句の一つや二つは出て当然だった。

 安眠も邪魔されたので、彼の文句も倍だった。

 

 ──詫びにお肉は多めにしないとだよね

 

 そんなことを思いながら、リアは鞄から生肉や肉焼き器を取り出す。

 疲労回復の為にも、出来立ての肉を作ろうとしている。

 作る、とは言っても作業工程は非常に簡単だ。

 最初に火打ち石で火を起こす。仮に無くても火種を作ることくらいハンターには容易い。

 火が燃えすぎないよう。かつ絶やさないように注意しながら温度を上げたら、肉を焼く。

 この時、肉全体に火が通るように肉をコロコロと回すはこんがり焼くためのコツだ。

 そして頃合いを見て肉を火から離せば完成だ。

 それは料理とすらいえないような、即席狩人飯(ハンターめし)

 しかし甘く見てはいけない。龍の肉というのは、丸焼きであっても美味である。

 焚き火で焼いた肉は美味であるのは常識だった。

 多少野蛮ではあるが、それがハンタースタイルである。

 

 そんな骨つき肉を細かく千切ってから、チョコボへと渡す。

 基本は草食であるチョコボだが、美味しそうにパクついていた。

 

 普段の狩猟と違い、ずっと走ったり、戦闘行っていた訳ではない。けれど、体力が万全ではない状態で重たい狩猟道具を持ち続けるだけでもかなりの体力を奪われてしまう。

 その上、先ほどまでやった巨人相手の狩りだ。

 回避をしない以上倒しやすいモンスターだと思っていた。しかし彼らは、回避能力をして再生させることに特化した種族であるらしい。

 

 だからこそ疑問があった。

 

 ──何度も甦る巨人と、直ぐに死んだ巨人との差ってなんなの? 

 

 その違いは検討がつかなかった。

 初撃の強力な攻撃でだけ倒せて、後の連射では倒せなかった。というのであれば対応しやすい。

 一撃必殺を叩き込めば済むからだ。

 確実に、一撃で、倒していけば、今の武装でも仕留めきれると踏んでいた。時間は懸かるものの、倒し尽くす目処を容易に立てれるのだから、古龍を相手にするよりも数段余裕があった。

 

 けれど違った。

 連射でも()()()()()もあった。

 

 ──倒せなかったことの方が多いけど……

 

 あの乱戦では、狩猟中に観察する余裕がなかったのだ。倒せる基準がわからない。

それでも収穫があった。

巨人の特徴は幾らか判明してきたからだ。

特に大きいのは、弱点があると判明したことだった。

それ以外にも、

 

 一つ、ビンんを使い全力で頭部を狙えば殺せる。

 一つ、全力で矢を放てば手足を破壊できる。

 一つ、威力が低くても何処かを狙えば殺せる。

 

このようなことが判明した。羅列していけば、弱点というよりも攻略方法であが、大きな手懸かりである。

 距離を保ちながら何度も試していけば、弱点もわかるだろう。

 しかし目的は、()()()()()()()()()

 

 ──亡くなった人のことを思えば、倒してあげたいけど……

 

 リアは、敵討ちが叶いそうもないことを理解している。

 武装の底を着きそうなのが、目に見えていた。そうでなくとも、体力が持たない。

 今の手持ちでは、あと一回先ほどと同じように動き回れば補給する食糧が足りなくなってしまうからだ。

 

 何よりもリアが優先すべきなのは、生き残ること。そして、食糧確保であった。

 乗っていた船が無事なのかも確認したい。その為にも、人と会うことを優先したかった。

 誰かに会えれば、その周囲には生活圏が確保されており、食料も分けてもらえる可能性があるからだ。

 

 何にせよ、この町からの離脱は必然であった。

 置いてきた荷馬車を無視すれば離脱するのは難しいことではない。けれどあの中には、兵装が入っていたので確保しておきたかった。

 そのためにはもう一度、巨人の巣に飛び込む必要があるので、現状では無謀であった。

 

「直ぐに戻るからね……」

 

 巨人の住みかの何処かにある荷車を思いながら、リアは惜しむように口にした。

 あの荷車は、白チョコボを仲間にしてからずっと愛用してきた代物だった。その中には、お気に入りの物も入っていたので何としてでも取り戻しに来る決意をしたのだった。

 

 壁上は安全圏である代わりに、遮蔽物が何もないので留まるには向いていない。

 生存者がどこへ避難したのかを見極めて、リアもそちらへ早く向かう必要があった。

 

 主に胃袋の為に

 

「ちょっと歩くよ」

 

 羽を撫でながら告げた。チョコボは好物を食べれなかったからか、返事の覇気は弱かった。

 

 

 *

 

 チョコボへ繋げたリードを引っ張りながら、壁上を歩く。

 リアたちが動き始める頃には、空が赤く染まっていた。

 しかし変わったのは空しかない。他は代わり映えのしない景色の連続だ。

 中側は巨人に破壊された町とたむろする巨人。外側は何もない草原。

 

 ──早く見つけないと、ここから降りれずに餓え死ぬことになるわ……

 

 最悪の結末を予想してしまった。そんな終わりだけは御免だ。絶対に生き残ってやる、と強く決意をする。

 せめて腹一杯ご飯を食べたい。

 更に欲をいえば、家に帰りたかった。

 

 普段感じるよりも過酷かもしれない生命の危機を感じながら進む。

 その悲しみは壁の反対側に着いたら見事に晴れた。

 気の遠く成る程に立ち塞がる壁の向こう側には、家があったからだ。

 

 ──この先には人がいる

 

 それは確信ではない。けれど、かなりの期待を持つことができた。

 内側をみても、巨人の気配もない今は好奇だった。

 

「行こう!」

 

 ──お腹一杯のご飯が私たちを待っている

 

 主の覇気を感じてか、チョコボも気合いが入った。

 リアが何に喜んでいるかは彼は知らない。けれど必ず良いことがあると確信していた。

 彼女が笑顔になるのはご飯を食べている時だと知っているから、美味しい野菜を食べれると期待もしていた。

 だからこそ、力強く、天へ向けて羽ばたいた。

 

 しかし気合いがいくらあろうとも、食欲には勝てない。

 

「ひゃっ!」

 

 チョコボが突如、急降下を始めたのだ。

 あまりにも唐突なの行動に、リアは年相応な可愛らしい悲鳴が出た。

 そうして飛び降りた先には川があった。

 

「……水、か」

 

 行動の理由には理解した。しかし納得は出来なかった。

 今度好物の野菜を手に入れても、決してあげまいと誓った。

 

 ともあれ、水は大事である。

 泥や排水で汚れていない綺麗な水は、とても貴重だ。

 飲める内に沢山飲んで、水筒に貯めておきたいことには代わりない。

 そう考えれば、水補給できるのは有り難かった。

 

 チョコボは壁のすぐ側にある、川の側に降り立った。その川は真っ直ぐ伸びていた。このまま進めば町はあるだろう。

 けれど、通りやすいこの道が続いているとは限らないし、街も無いかもしれない。

 存在しないならましだ。真っ直ぐ進んだ先にある()()()も滅びているかもしれないのだから。

 

 ──というか、森の中で巨人に遭遇する可能性もあるゆだよね……

 

 平原なら遭遇しても遠距離で倒せる。深い森林なら、見つからずにやり過ごせるかもしれない。

 しかし答えは、既に決まりきっていた。

 

「迂回しかないわね」

 

 特に、夜の森では奇襲に対応するのが難しいからだ。昼間でも通過したくない空間を避けるべきなのは、当たり前の判断であった。

 とはいえ、巨人のテリトリーがこの町だけなのか、他にもあるのかさえリアは知らない森なのか。はたまた別の住みかが存在するのかは不明だ。だからこそ、森は避けたい。

 リア一行は森を迂回するように進む。当ての無い町への進行を始めたのであった。

 

 

 それは大地を月が照らし始めたのと同じであった。

 夜は()の時間であって、巨人のモノではない。

 彼女たちは幸運にも、巨人と遭遇することなく反対側である「ウォール・シーナ」へ到着できかもしれない。

 

 その旅は希望に満ちていた。

 

 

 *

 

 

 同じ頃 ウォール・シーナ壁周辺。

 

 その一帯は死臭で満ちていた。

 

 彼らは口減らしの為に、リアが滞在していたウォール・マリアに派遣されるウォール・シーナより外の元住民だ。

 彼らは奪還軍としてが壁外へ出た。しかし門を出る時から、彼らは軍とは呼べない集団だった。

 

 そんな死地へ向かう集団が、ウォール・マリアへ向かい始めたのは明け方である。なので正確には、リアが到着するよりも早く向かい始めていた。

 そのリアは日の入りと共に向かい始めたので、道中巨人に遭遇する可能性は()()()()()ありえない。

 

 巨人に出会わないことは幸運に違いない。それは、ウォール・マリアを突破された人類にとって共通認識として身に染みている。

 なので自ら巨人に会いに行かされる解放軍は、不運であったのだろう。

 

 繰り返しになるが解放軍は、夜明け前に巨人に会うために外へ出た。しかし壁近くで倒れている。彼らは幸運にもウォールシーナ近くまで()()()()()人間だ。

 彼らには体力があり、決断力も有していた。解放軍にならず訓練すれば、優秀な兵士になったであろう人間だった。

 最も、解放軍にならなければ、そのほとんどが農家になっていたので無意味な期待なのだが。

 

 ウォール・シーナまで帰ってこれなかった解放軍はほとんど一瞬で全滅した。

 解放軍のメンバーほとんどが、()()()()()()()()()()()物言わぬ亡骸になったのだ。

 彼らにとっての真の不幸は、知らないことだったのかもしれない。けれど巨人に食われることなく死ねたのは、幸運だった。と言えるかもしれない。

 

 巨人以外に殺されることなど想像してなかったのだから──

 




【無念】
主人公以外で 生きて登場する人間が 誰もいませんでした!


◆漸く進撃キャラを出せそう。長かった

◆けれど、巨人含めたら四体目のキャラは進撃組ではない模様

◆原作キャラ(サシャ)の出番は次次回までに



目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 ~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。