神バディファイト 新たなる挑戦 (駿駕)
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新たなる出会い

少年は、学校のチャイムと共に教室を飛び出る、相棒を連れて。

「行くぞ、ガルガ!今日もファイトしようぜ!」

「心得た!」

この少年、未門 友牙は相棒のガルガと共に、今日もバディファイトをするために、ホビーショップ・キャッスルへと向かう。

 

「誰だ?あの子は・・・」

「ここらへんでは見ない顔だな・・・」

友牙とガルガはキャッスルの前で立つ少年を見る。この店では見たことのない顔で、少しだけ足を止める。

金色の中に黒が所々入った髪に黒いパーカー。耳にはヘッドホンをしており、腰にはデッキケースを付けていた。

「友牙、話しかけてみるか?」

「カード持ってるみたいだし、話してみようぜ!おーい!」

友牙は躊躇いなく知らない顔の少年に声をかける。

「未門 友牙・・・?本物なのか?」

「え?」

少年はヘッドホンを取ると、目を輝かせて友牙の元へ走りよってきた。

「お、おい!」

「すごい!本物だ!サインしてくれよ!な?な?」

少年はどこからか色紙を取り出して友牙に渡す。

「えっと・・・君は?」

「俺は虎堂 タイガ。ここ最近、こっちに引っ越してきたんだ!」

「タイガか、よろしくな!君もバディファイトするのか?」

「あぁ、これが俺のデッキ!中身はまだ秘密だぜ!なぜなら、俺とお前は今から戦うからだ!」

「へ?」

タイガは友牙の手をしっかり掴むと、キャッスル前のファイトスペースへと引っ張っていく。

「目と目があったらバディファイト、だろ?」

「お、おう!」

「なかなか熱の入った男だな」

 

急に始まったファイト。友牙はまだこの状況を飲み込めていない。

「さぁお待たせしました!バディファイトあるところに奈々菜 イオンあり!今日はキャッスルから中継してます!」

実況も始まり、友牙はデッキを用意する。

タイガはすでにファイトテーブルのデッキスペースに手を置いている。

「今日ファイトは神バディファイター決定戦優勝者でお馴染み、未門友牙選手と、対するは・・・えっと」

「虎堂 タイガだ!」

「虎堂 タイガ選手!虎堂という名字、どこかで聞いたことありますが・・・今はいいでしょう!それじゃ、二人ともルミナイズしてください!」

 

騎士道極めし孤高のドラゴン、ここに見参!ルミナイズ!騎士ドラ!

 

13枚の光の翼!今、ここに解き放たれる!ルミナイズ!シャイニング・クロス!

 

『オープン・ザ・フラッグ!』

 

「ドラゴンワールド!」

「ダンジョンワールド!」

二人はフラッグをオープンし、次にバディを見せる。しかし、

「おっと、虎堂 タイガ選手、バディゾーンにバディモンスターがいません、これはいったい!」

タイガの横には何もなかった。

「俺にバディモンスターはいない。なぜなら、俺はモンスターを使わないからだ!」

「モンスターを!」

「使わない・・・だと?」

 

友牙 ライフ10、ゲージ2、手札6枚

タイガ ライフ10、ゲージ2、手札6枚

 

先攻ターンはタイガからスタート。

「俺のターン、ドロー!チャージアンドドロー!ライフを1払い、装備、シャイニング †ダガー!」

「見たことないカード、あれはいったい・・・」

「説明しよう!シャイニング † ダガーとは13枚までデッキに入れることができ、何枚でも装備できるダンジョンワールドの新カードだ!」

 

シャイニング † ダガー アイテム

3000 1

属性:†/ 武器

コスト:ライフを1払う。

・君は「シャイニング † ダガー」は13枚までデッキに入れられ、何枚でも装備できる。

・君の場の「シャイニング † ダガー」2枚につき、このカードの攻撃力は+4000し、打撃は1上がる。

[対抗]コスト:このカードを手札に戻す。

コストを払うことで、君の場の「シャイニング † ダガー」1枚につき、次に受けるダメージを1減らす。(最大10まで)

 

「それをさらに3本装備!そしてキャスト!シャイニング † ドロー。シャイニング † ダガー2枚につき1枚ドロー、ライフ+2!」

 

タイガ ライフ10 ゲージ2 手札4

 

シャイニング † ドロー 魔法

属性:† ドロー

君の場に「シャイニング†ダガー」があるなら使える。

コスト:ゲージ1払う

・君の場の「シャイニング † ダガー」2枚につき、カードを1枚ドローし、ライフ+2。「シャイニング † ドロー」は1ターンに一回だけ使える。

 

「さぁ、いくぞ!ダガーで攻撃!」

タイガはシャイニング † ダガーを1つ逆手に持つと、友牙に突っ込んでいく。

友牙 ライフ10→7

 

「ターン終了だ。」

 

友牙ターン

「友牙、相手はタダ者ではない。慎重に行くぞ」

「わかってる。ドロー、チャージアンドドロー!装備、神竜双剣 ガルツイン・セイバー。そして、レフトにガルキャットをコール。効果で1ゲージ、1ドロー。そしてライトにバディコール!ガルガンチュア・ナイト・ドラゴン!」

友牙の右に立つガルガは姿を変え、大きな竜となって場に現れた。騎士の鎧は上から差し込む太陽の光で輝く。

「ガルガンチュア・ナイト・ドラゴン・・・新しいバディか!」

「そうだ!俺のバディは、あのときから進化している!」

「友牙の言う通りだ。我らは日々進化している!」

「行くぞ!アタックフェイズ!」

「友牙、行くぞ!」

 

友牙の盤面は輝き始め、友牙とガルガとガルキャットは白銀のオーラを放つ。

「これは・・・!」

 

『G-BOOST 体ッ!』

 

 

タイガ ライフ10 ゲージ2 手札4

友牙 ライフ7 ゲージ1 手札5




カードゲームを主体とした小説は初めてなので、読みにくい部分や理解できない部分も多々あると思いますが、温かい目で見守ってもらえるとありがたいです。感想欄に改善点や要望を書いてもらえるとさらにありがたいです。
どんどん投稿していくつもりですので、ぜひよろしくお願いします!


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G-BOOST 体!

あらすじ
未門 友牙の前に現れた少年、虎堂 タイガ。タイガは会ってすぐに友牙にファイトを求める。



『G-BOOST 体ッ!』

 

白銀のオーラを纏った友牙とガルガとガルキャット。タイガからは、それらがとてつもなく大きく見えた。

「出たー!ガルガの新たなる力、G-BOOST!これで友牙選手の場のカードの攻撃力は100万、打撃力は2上昇だー!」

「さらに貫通も得たでチュウ!」

「・・・はぁ?」

タイガは拍子抜けする。そして大きく見えたのはそういうことだったのかとすぐに理解すると、ダガーの切っ先を友牙に向ける。

「来いよ!このダガーには第2の力がある。」

「第2の力?・・・なんだ?」

「それは攻撃したら見せてやるよ」

タイガはダガーを持つ手とは違う手で友牙の攻撃を煽りながら、センターへと足を運ぶ。

「なら、ガルガ!タイガにアタックだ!」

「心得た!」

ガルガはセンターに降りてきたタイガに剣を振る。

「まずはゲージ1を払ってキャスト、シャイニング † リロード!デッキからシャイニング † ダガーを装備。そしてダガーの効果発動!」

タイガの手元からダガーが消え、ガルガの剣はタイガをすり抜けて地面に刺さる。

「これは!?」

「ダガー1つを手札に戻すことで、ダガーの枚数分、次に受けるダメージを減らす。場には4つのダガー。よって減ったダメージは4。攻撃はすり抜けたということだ。」

「我、2回攻撃あり!」

「なら、ダガー1枚をデッキに戻して、キャスト!シャイニング † バリア!これで無効にして、ライフ+1、1ドロー!さらにガルキャットの打撃力-3!」

 

シャイニング † バリア 魔法

属性:†

君の場に「シャイニング † ダガー」があるなら使える。

コスト:君の場の「シャイニング † ダガー」1枚をデッキに戻し、シャッフルする。

[対抗]攻撃を無効にし、ライフ+1、カードを1枚ドローする。その後、相手モンスター1体の打撃力を、君の場の「シャイニング † ダガー」1枚につき-1。

 

タイガ ライフ10→11

 

ガルキャットの周りに3つのダガーが刺さり、ガルキャットに電撃が走る。

「これじゃあ攻撃できない・・・ニャ」

「なら、俺が!」

友牙は剣を持ち、単身でタイガに突っ込む。

「キャスト、ディフレクション!攻撃を無効にし、ゲージ+3!」

しかし白く光りを放つダガーで攻撃を防がれた。

「2回攻撃!」

「ダガー1枚を手札に戻して、ダメージを2減らす!」

今度は後ろに下がって避けるが、剣の切っ先がかすって、タイガは1ダメージを受ける。

 

タイガ ライフ11→10

 

「俺のターンは終了だ。」

 

友牙 ライフ7 ゲージ1 手札5

タイガ ライフ10 ゲージ4 手札4

 

タイガのターン

「装備!シャイニング † ダガーを4つ!」

チャージ&ドローをしたあと、タイガはすぐに4つのダガーを装備する。

ダガーはタイガの周りで浮遊し、まるで落ちる羽のように舞っている。

「さぁ、準備はいいか?・・・いくぞ!」

今回もセンターに降りてきて、ガルガ、ガルキャットを無視して、友牙を攻撃する。

「キャスト!神・緑竜の盾!」

「友牙選手、攻撃を無効にして、ライフ+3!」

 

友牙 ライフ7→10

 

「2つめのダガーで攻撃!」

「その前にキャスト!ガル・カモン!ゲージ1プラスして、ドロップゾーンからガル・バードをセンターにコール!ガルキャットはサイズオーバー!」

レフトにいたガルキャットの代わりに、ガル・バードが現れ、ガル・バードが攻撃を受け、ソウルが剥がれる。

「3つ!」

今度こそ、ガル・バードがセンターから消える。

「4つ!」

「ッ!」

ついにタイガの攻撃が通り、友牙はダメージを受ける。

 

友牙 ライフ10→7

 

「5つ!」

「キャスト!神・青竜の盾!」

「これで終わりだッ!くらえ!」

「うわぁぁぁッ!」

 

友牙 ライフ7→4

 

友牙はダガーの攻撃で、その場に膝をつく。

タイガは攻撃が終わり、元いた場所に立つ。

「これで終わると思うな!ファイナルフェイズ!」

タイガは横向きに書かれたカードを手のひらの上で回転させると、テーブルに叩きつける!

「ゲージ2を払い、キャスト!シャイニング † ブレイカー!」

 

シャイニング † ブレイカー 必殺技

属性:†

相手のライフが5以下で、君が「シャイニング † ダガー」を5枚以上装備しているなら使える。

コスト:ゲージを2払う。

・相手に5ダメージ。このダメージは減らない。この効果で相手のライフが0になったとき、相手は復活できない。

 

タイガの周囲に浮いた翼のようなダガーは友牙の方へ向くと、一直線に飛んでいく。そして、友牙の体をえぐるように突き刺さる。

「キャスト!ガル・ハイレン!ガルガ、すまない・・・。」

「友牙を守るため、我は犠牲になろう!」

 

友牙 ライフ4→8

 

一度はダガーが突き刺さったが、その瞬間にライフが増えたため、友牙は辛うじて生き残る。

 

友牙 ライフ8→3

 

「これでは倒れないか。さすが神バディファイターにして遊びの神だな。俺のターンは終了だ。」

 

友牙 ライフ3 ゲージ5 手札1枚

タイガ ライフ6 ゲージ2 手札0枚

 

友牙ターン

友牙は立ち上がると、デッキの上に手を置く。

「友牙、大丈夫か?」

「まだ、俺は負けてない!ガルガ、そうだろ?」

「友牙・・・。まだ勝機は残っている、全力で戦うぞ!」

「おう!」

友牙はヘッドホンを取り出すと、耳に装着する。

「ドロー!チャージ&ドロー!」

友牙は今引いたカードを見て、相手のライフを確かめ、タイガの周りを浮遊するダガーの数を数える。

「このカードなら、まだ勝機はある。アタックフェイズ!G-BOOST 体!」

友牙とガルガはもう一度、白銀のオーラを纏い、剣を構える。

「ガルガ行け!」

「心得た!」

「ダガー効果!」

前の友牙のターンに見せた避け方でガルガの剣を避け、

「我、2回攻撃あり!」

「もう一度だ!」

それをもう一度繰り返す。

「これなら!」

友牙の振り下ろした剣もダガーの効果で避けられるが、この前のターンと同じように、次の攻撃は避けきれずに攻撃を受ける。

 

タイガ ライフ6→5

 

「最後の攻撃は避けきれなかったが、これで」

「友牙、ファイナルフェイズだ!」

「ファイナルフェイズ!」

「なんだと!」

友牙は剣を地面に刺すと、右手に拳を作り、空へと向ける。

「俺の神ってる新必殺技!ここで見せる!ゲージ1を払い、神・ガルガンチュア・クラッシャーッ!」

空中に現れた大きな拳。友牙はガルガの肩に手の上に立つと空中へ投げられ、大きな拳の甲に開いた穴から拳の中に乗り込む。拳はセンターに降りていたタイガに向かって、突き刺さった。衝撃波はファイトスペースの周りを囲む壁を貫通して観客を震わせた。

「この俺が負けた・・・。」

拳が消え、倒れたタイガが現れる。

 

タイガ ライフ5→0

 

ライフの光は全て消え、0の数字が映し出される。

「winner、俺!」

「・・・まだ、父は越えられないか。」

タイガは手のひらに残る1枚のシャイニング † ダガーを見つめ、そう呟いた。

 

ファイトが終わり、友牙はすぐにタイガの元へ向かう。

「楽しかったぜ、お前とのファイト!」

「そうだな。・・・やっぱりモンスターは必要か」

「ダンジョンワールドは我にはわからないが、バディファイトはモンスター、アイテム、魔法、必殺技・・・それらが全て揃ってこそだと思っている。」

「そうだよな・・・。今日はこれで、またここでな」

タイガはそういってキャッスルを後にした。

「我は何か悪いことでも言ったか?」

「タイガ・・・後をつけてみよう。」

「お、おい!友牙!」



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モンスターの行方

あらすじ
友牙はタイガに勝利した。


「はぁ・・・。やっぱりモンスターが必要か。」

 

橋の上で川を見てため息をつくタイガ。

「友牙、見ろ」

ガルガはタイガを見つけると、友牙の服を引っ張って知らせる。

「未門 友牙・・・。なんでここに?」

「タイガこそ。どうしてこんなところに?」

タイガは友牙を見ると、目を合わせないように明後日の方向を向く。

「・・・関係ないだろ。」

「やはり我が悪いことを言ったか?」

「正論だ。モンスターが必要なのはわかってる。でもな・・・」

 

俺の使う†という種族のモンスターは滅んでしまった。

 

「どういうことだ?」

「教えてくれ、タイガ」

 

・・・

 

俺の使うダンジョンワールドの『†』という種族は、天使の羽から作られたシャイニング † ダガーを占い道具にして、明日の天気や今日の運勢などの小さなことから、これから起こることや過去に起こった事件の真相などの大きなことを見る種族だった。しかし、とあるワールドのとあるモンスターによって、†のモンスターは滅んでしまった。残ったのは、このダガーだけだ。そして残ったダガーは最後にあることを俺に伝えた。

 

黒いカードを操る女神の使いに裏切られた・・・と。

 

・・・

 

「黒いカード・・・ガルガ、まさか!」

「友牙、そのまさかかもしれない。」

「何か知っているのか!」

タイガはそれを聞くと、友牙の肩を掴む。

「ロストワールド・・・。」

「デストロイヤーか。」

「ロストワールド、デストロイヤー。決勝戦で見せたあのカードのことか!」

「しかし、あの世界でデストロイヤーを操っていたものはいない。あれほどのモンスターを操れたものもいないだろう」

「ロストワールドでも、別のモンスターがいる・・・ということか?」

「その可能性はあるかもしれんな。友牙、ランマに聞いてみるのはどうだ?今は遠くにいるが、話すことはできるだろう?」

 

「お、友牙!どうした?」

友牙はその場でランマに電話をし、ランマのバディであるデストロイヤーに、†という種族を滅ぼしたロストワールドのモンスターについて聞く。

「知らないな。その者は本当にロストワールドのモンスターなのか?」

デストロイヤーは何も知らなかった。ロストワールド全てについて知っているというデストロイヤーが知らないということを知り、友牙たちはロストワールドのモンスターではないと考える。

「ダークネスドラゴンワールドは?」

「そこまで黒いか?あのカード」

「黒というよりは紫だな」

 

次の日、どんなにカードを探しても黒いカードは見つからない。そこで友牙は図書館でダンジョンワールドについて書かれた文献を探すことにした。

「珍しいね、君が図書館にいるなんて」

声の方には星詠 スバルがいた。

「お、スバル。いいところにいた!ダンジョンワールドのことについて書かれた本とか無いか?」

「ダンジョンワールド?新しいガルガのG-Evo先でも考えているのか?」

「いやいや、違うんだ、聞いてくれ」

友牙はタイガのことと、†という属性の話をした。

「この前の中継は観ていたが、あのデッキにモンスターがいないのはそういうことだったのか。まず、ここにバディファイトについての文献があると思ったのか?」

スバルは頭を抱え、ため息をつく。

「ダンジョンワールドのことなら、ダンジョンワールド使いに聞くのはどうだ?ほら、童話使いのメルさんとか」

「さすが勉強の神!いいアイデアが浮かぶな!」

「勉強の神だろうが何だろうが、これくらいは普通浮かぶものだと思うが・・・」

 

「え?†という種族を知ってるか?・・・ですか?」

木陰で童話のモンスター達と絵本を読むメルの柔らかい空間に、友牙は足を踏み入れる。

「えっと、私は知らないですけど・・・エマ知ってる?」

エマは少し腕を組んで悩むと、何かを思い出してすぐに口を開ける。

「かつて†って種族がいたのは聞いたことあるけど、アタシたちが生まれたときよりもっと昔の話だったはず。ごめんね、あまり力になれなかったかな」

「いや、力になったよ。ありがとう!」

 

†のことを調べ始めてから数日後、

「ダメだー。情報はこれが手一杯だ」

友牙が†という種族についてわかったことは、結構昔に存在した種族だということだけだった。

「そもそも、本当に滅んだのかな。」

「どういうことだ?友牙」

「いや、父さんが言ってたんだ。今の俺のバディは封印していたところを解放してバディになったって。」

友牙は父親の真似をする。

「もしかして、どこかに封印されてるんじゃないか?」

「封印・・・か。」

 

夕日は橋の上の二人と1匹の竜を照らす。

「今日もなんか色々と迷惑かけたな。」

「そんなことないって。またキャッスルでファイトしようぜ!」

友牙はタイガと別れ、ガルガと共に川に沿うように歩く。

「ガルガ、やっぱりワールドには色々な物語があるんだな。」

「うむ。友牙もあらゆるワールドに触れ、そのことを理解したか。」

「とりあえず、ここ数日間でダンジョンワールドのことはよく知れたかな」

 

「お前が未門 友牙か?」

 

友牙の後ろに立つ、黒い長髪を1つ縛りにした女。頭には三度笠、着物を着て、腰には刀を付けていた。

友牙はあわてて振り返り、ガルガは剣をかまえる。

「おぬし、何者だ?」

女は三度笠を投げると、デッキを刀とは違う方の腰に付けたケースから抜き、カードの裏面が見えるように顔の前に出す。

「私はサクラ、神を滅ぼすもの。ファイトだ。」

「神を滅ぼす・・・もの?」

「ファイトで見せる」

サクラは四角形の小さな箱を友牙との間に投げる。

友牙はすぐにそれがバディファイト・バーチャルシステムだと気づいた。箱が光を放ち、友牙は目を閉じる。

目の開いた先にはいつものフィールドができていた。

「ガルガ、今日は新作でいくぞ!」

友牙はデッキをガルガに見せた後にファイトテーブルに置く。

「あれか!心得た!」

 

私の刀は神をも裁く!ルミナイズ!神殺しの刀!

 

神がかってるドラゴン勇者、ここに登場!ルミナイズ!ダンドラ!

 

『オープン・ザ・フラッグ!』

 

カタナワールド!

ダンジョンワールド!



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神を滅ぼす刀と3つの選択肢

あらすじ
†属性のモンスターの行方を探す友牙とガルガとタイガ。友牙はそのなかでダンジョンワールドについて理解する。そんなときに現れたのは、神を滅ぼす力を持つと言う女、サクラだった。


「兄ちゃん、なにしてるのー?」

 

晴が夕御飯ができたことを教えに友牙の部屋にいく。

そのとき友牙は悩んでいた。

Youtuberとして新しいことをしていかないと、視聴者はつまらないと思ってしまうと思い、たまに違うことを行っている。それはバディファイトでもそうだ。1つのデッキを使い続けるのもいいが、Youtuberをやるからには色々なデッキを視聴者に見せないといけないだろう。

友牙はこれまでにドラゴン、カタナ、マジックワールドのデッキを作ってきた。そこで次は・・・

「ダンジョンワールドのデッキを作っててな。」

友牙の前にはたくさんのダンジョンワールドのカードが並べられていた。

「どんな構築にするか悩んでいるのだ。」

「ダンジョンワールドかー。なら、これとか面白そうだよ!」

晴は並べられたカードの中から1枚のカードを指差す。

「何々?このモンスターが破壊されたとき、相手とジャンケンする。・・・ジャンケン?ファイト中にジャンケンするカードなんてのがあるのか!」

「確かに効果は面白いが確実性に欠けるな」

「ジャンケン・・・。そうだ!俺、いいこと思い付いた。これをこうして・・・」

「うむ、なるほど。これならまだ勝ち筋が見えるな」

「ダンジョンワールドのガルガ、頼んだぞ!」

「心得た!」

 

・・・

 

『オープン・ザ・フラッグ!』

 

カタナワールド!

ダンジョンワールド!

 

「バディは滅神の使者 阿修羅!」

「バディは神・ガルガンチュア・ドラゴン!」

友牙の横にはガルガ。サクラの横には丸い火の玉に3方向に顔がついたモンスターが現れる。

「ダンジョンワールドを使うとは聞いてないな・・・」

 

友牙のターン。

「俺のターン、ドロー。チャージ&ドロー。俺は拳闘士 ガルキャットをレフトにコール!」

「よっしゃあ!やるキャット!」

 

拳闘士 ガルキャット モンスター

サイズ1 5000/1/1000

属性:神竜族/冒険者

・このカードが登場したとき、手札を1枚捨ててよい。そうした場合、デッキから「拳闘士 ガルキャット」以外の、効果に「ジャンケン」と書かれたモンスターを手札に加える。その後、デッキをシャッフルし、デッキの上からゲージに1枚置く。

・このカードが攻撃したとき、相手とジャンケンする。君がジャンケンに勝ったなら、そのターン中、このカードの攻撃力+5000し、君のライフ+1し、デッキの上からカードを1枚引く。

 

レフトにはいつもと違い、拳にグローブを付けたガルキャットが現れる。

「効果で手札1枚を捨てて、デッキから"伝説の勇者 ガルガンチュア・ドラゴン"を手札に加え、ゲージ+1!そしてゲージ1払って装備、神竜ジャン剣 ガルソード!」

「ジャンケン?」

 

神竜ジャン剣 ガルソード アイテム

6000/2

属性:神竜族/冒険者

・君の場の「ドラゴッド」は相手の効果で破壊されず、手札に戻されない。

・このカードが攻撃したとき、相手とジャンケンをする。君が勝ったなら、君の場の「神竜族」全ての攻撃力を+5000、打撃力+1し、デッキからカードを1枚引く。

 

「そしてキャスト!ミッションカード"ジャンケンに勝て!"を設置!このカードは俺がジャンケンに勝ったときに2枚ドローできるカードだ!」

 

ミッションカード"ジャンケンに勝て!" 魔法

属性:ドロー/回復

[設置]

・君がジャンケンに勝ったとき、このカードをドロップゾーンに置いてよい。そうした場合、君のライフ+2し、デッキからカードを2枚引く。さらにこのターン、

・このカードがドロップゾーンにあるとき、このターン君がジャンケンで3回以上勝ってるなら、このカードを手札に加えてもよい。

 

「神竜ジャン剣 ガルソードでアタック!いくぞ!ジャンケン!」

「え、えぇ!?」

二人の右手が光り、黒い手になる。

ポン!

友牙の手はチョキ、サクラの手はパーになり、黒い手は伸びてぶつかると、サクラの手だけが破壊された。

「何?今の・・・。」

「このアイテムはジャンケンに勝つと、場の神竜族全ては攻撃力+5000、打撃力+1されて、俺は1ドローできる!さらにミッションカードの効果で2ライフ、2ドロー!」

「なんだって!」

「くらえーッ!」

サクラは意表をつかれたのか唖然としてしまう。

 

友牙のライフ10→12

サクラのライフ 10→7

 

「これでターン終了だ。」

 

友牙 ライフ12 ゲージ3 手札7

 

サクラのターン。

「可笑しなカードを使うな、私のターン、ドロー!チャージ&ドロー!」

友牙の目には一瞬だけサクラが笑ったように見えた。

しかし、その笑みも一瞬の出来事だった。

「まずは設置、滅神の祠 スレイブ・サンクチュアリ。」

 

滅神の祠 スレイブ・サンクチュアリ

魔法 属性:滅神

[設置] 「滅神の祠 スレイブ・サンクチュアリ」は1枚しか設置できなない。

・君の場の「滅神」の攻撃力と打撃力は減らず、「滅神」の効果で相手に与えるダメージは減らない。

・君の場の「滅神」のアイテムが相手のモンスターを破壊したとき、君のライフを+1し、カードを1枚引く。この効果は1ターンに1回だけ使える。

 

「そして装備、滅神の刀 神威!」

腰につけていた刀にゲージから2枚のカードが消え、刀が鞘から抜かれる。黒いオーラを放つそれは、バディゾーンのガルガを震わせた。

「あの刀・・・。気を付けろ、友牙。」

「ライトに滅神の龍、レフトに滅神の虎をコール。」

 

滅神の虎 モンスター

属性:滅神

サイズ1 4000/1/3000

・このカードが登場したとき、君の場に「滅神」があるなら、カードを1枚引く。

 

滅神の龍 モンスター

属性:滅神

サイズ2 6000/2/6000

二回攻撃 ソウルガード 移動

コールコスト:ドロップゾーンの「滅神」2枚までをソウルに入れ、ゲージ1を払う。

・このカードが場にいる限り、君が「滅神」のアイテムを装備しているなら、君は効果でダメージを受けない。

・[対抗]コスト:手札を1枚捨てる。相手のカード1枚をレストする。相手の場に属性に「神」または「ゴッド」を含むカードをレストしたならライフ+2。

 

「虎の効果で1ドロー。そしてキャスト、明鏡止水。効果で3ゲージ。そしてゲージ1、手札1枚を捨ててキャスト、滅神の祝福。効果で3ドロー、ライフ+1。」

 

滅神の祝福 魔法

属性:滅神/ドロー

君が「滅神」のアイテムを装備しているなら使える。「滅神の祝福」は1ターンに1回だけ使える。

コスト:ゲージ1払い、手札1枚を捨てる。

・カードを3枚引き、ライフ+1する。

 

サクラのライフ7→8 ゲージ2 手札5枚

 

「さぁ、神を立ちきる!」

サクラは刀を一度は納刀するが、刀の持ち手を掴んで居合いの構えをする。

「まずは猫、お前からだ。」

「ななな、何するキャット!」

サクラの視線はガルキャットを身動きできなくさせる。そして刀が抜かれたときにはすでにガルキャットは消えていた。

「体が動かない・・・キャット」

「ガルキャット!」

ガルキャットが消えたと同時に、友牙の周りに電気が流れる。そして2ダメージを受けた。

「これが、滅神の刀 神威の力、神を滅ぼす力。」

 

滅神の刀 神威 アイテム

属性:滅神/武器

20000/3/6000 三回攻撃、反撃、貫通

装備コスト:ゲージ2を払う。

・君の場に他の「滅神」があるとき、このカードは場を離れない。

・このカードが相手の属性に「神」または「ゴッド」を含むカードを攻撃したとき、そのカードの能力全てを無効にして破壊する。

・このカードが相手のカードを破壊したとき、相手に2ダメージ。

友牙のライフ12→10

 

「お前の使うカードは神竜族。ようするに神。」

「神を滅ぼす力・・・俺のデッキのモンスターは確かに神竜族しか・・・いや、あれなら」

「まだ、攻撃は終わってない!覚悟!」

 

友牙 ライフ10 ゲージ3 手札7

 

サクラ ライフ9 ゲージ2 手札6



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滅神を乗り越えろ!伝説の勇者 ガルガンチュア・ブレイブ・ドラゴン!

あらすじ
家に帰る途中、サクラという女にファイトを申し込まれる友牙。
サクラのデッキは友牙のデッキに相性の悪い、神を滅ぼす滅神というデッキだった。


「覚悟!」

 

サクラはレフトから跳び、友牙に切りかかる。

「二回攻撃!」

 

友牙のライフ10→7

 

「三回攻撃!」

「キャスト!ジャンケンシールド 気合いの盾!」

「またジャンケンか。」

 

ジャンケンシールド 気合いの盾 魔法

属性:防御/盾

・相手のターン中、君が攻撃されているなら使える。

コスト:ゲージを1払う。

[対抗]その攻撃を無効にし、相手のジャンケンをする。君がジャンケンに勝ったなら、次に受けるダメージを0にし、君はカードを1枚引く。

 

サクラは攻撃を無効化されて友牙のセンターに降りる。

「ジャンケン・・・」

『ポン!』

友牙はパー、サクラはグーで友牙がジャンケンに勝った。

「これで次のダメージは0だ!」

「なら、虎!」

サクラの指示で、滅神の虎が友牙の前にできた盾を破壊する。

「続けて龍!」

「ゲージ1払い、キャスト!シャルサーナの加護!」

 

友牙のライフ 7→8

 

「龍の二回攻撃!」

一度は攻撃を防いだが、次の攻撃に友牙は防ぎ手なく、龍の吐いた炎を間近でくらう。

 

友牙のライフ8→6

 

「ターン終了だ。神を滅ぼす力を受けて立っているとは・・・」

「友牙、次のターンは我を」

「わかってる。」

 

友牙 ライフ6 ゲージ1 手札6

サクラ ライフ9 ゲージ2 手札6

 

友牙のターン

「ドロー、チャージ&ドロー。」

友牙は悩んでいた。ライトにいる滅神の龍は対抗で友牙の場のモンスターをレストさせる効果を持つ。さらに、場に出すモンスターのほとんどが「神」を属性に持っているため、何を出してもレストされてしまう。

 

「キャスト!神々のジャンケンドロー!」

 

神々のジャンケンドロー 魔法

属性:神竜族/ドロー

君の場に「神竜族」があるなら使える。

コスト:ライフを1払う。

・カードを1枚引き、相手のジャンケンする。負けなかったプレイヤーはカードを1枚引く。(あいこならお互い1枚引けるぞ。)

 

「またジャンケン?」

「ジャンケン・・・」

『ポン!』

二人はグーを出す。二人の手から出た黒い手は両方とも爆発し、中から1枚のカードが出てくる。

「!・・・このカード。」

「友牙、どうした!」

「ガルガ、ごめん。デッキにお守りとして1枚だけ入れておいたんだ。」

「聞いてないぞ・・・」

「まずはゲージ1払い、神・ガルガンチュア・ドラゴンをライトにバディコール!」

 

友牙のライフ 5→6

 

「来たか。」

「神滅ぼしの力、超えて見せよう!」

「レフトに、剣使い ガルドッグをコール。」

ライトにはガルガ、レフトにはこれまでとは違う、口に大剣を加えたガルドッグが現れる。

 

剣使い ガルドッグ モンスター

属性:神竜族/冒険者

サイズ1 6000/2/1000

・君の場に「神竜族」が存在し、このターン、相手とのジャンケンに勝っているなら、このカードの攻撃力+5000し、2回攻撃を得る。

・このカードが攻撃したとき、相手とジャンケンし、君が勝ったなら、君の場の他の「神竜族」をスタンドする。

 

「あの龍は俺に任せろドッグ!」

「行くぞ!」

「滅神の龍をセンターに移動。そして手札1枚を捨て、神・ガルガンチュア・ドラゴンをレスト。そしてライフ2回復。」

「ッ!動けん!」

 

サクラ ライフ9→11

 

「まずはガル・ソードで攻撃!ジャンケン・・・」

『ポン!』

今度は友牙がチョキ、サクラがグーで友牙はジャンケンに負けてしまう。

「ジャンケンには勝てなかった、でも龍は一度破壊する!次はガルドッグだ!」

「俺も攻撃したときジャンケンをするドッグ!ジャンケン・・・」

『ポン!』

友牙はもう一度チョキを出し、サクラはパーを出す。

「負けたか。」

「ガルドッグの効果でジャンケンに勝ったら、他の神竜族をスタンド!ガルガをスタンドする!」

「ガルドッグよ、感謝する!」

「礼には及ばないドッグ!さらに俺は二回攻撃を得たドッグ!」

ガルドッグの剣は、滅神の龍の最後のソウルを剥がす。

「ガルガ!」

「我の力を受けるが良い!」

「ゲージ1払い、キャスト。鬼道 呪い氷鏡。無効にし、破壊。」

ガルガは盾で攻撃を無効にされ、さらにソウルを剥がされる。

「クッ!やるな。だが、我には新たなる姿あり」

「神・ガルガンチュア・ドラゴン!神G-EVO発動!チェンジ!伝説の勇者 ガルガンチュア・ブレイブ・ドラゴン!」

 

伝説の勇者 ガルガンチュア・ブレイブ・ドラゴン

属性:神竜族/ドラゴッド/冒険者

サイズ2 10000/2/7000

ソウルガード 貫通

コスト:ゲージ2払い、デッキの上からソウルに1枚いれる。

・君がジャンケンに勝ったとき、君の場に他の「神竜族」があれば、相手に1ダメージ。

・君がジャンケンに負けたとき、そのジャンケンに勝ったことになる。この効果は1ターンに一度だけ使える。(この効果を使ったとき、相手はジャンケンに負けたことになるぞ!)

・このカードが攻撃したとき、相手とジャンケンをする。勝ったら、このカードをスタンドし、そのターン中、攻撃力+5000、打撃力+1。

 

大きな盾と剣を構えたガルガは、剣の切っ先を滅神の龍に向ける。

「この剣、龍を倒し貫く!」

「ガルガの攻撃!ジャンケン・・・」

『ポン!』

友牙はグーを、サクラはパーを出す。

「私の勝ち・・・じゃない?」

破壊されないはずだったサクラの黒い手は、ガルガによって切られ、友牙の出した黒い手がサクラに襲いかかる。

「嘘!私が勝ったはず。」

「我はジャンケンの勝敗を一度だけ逆転することができる。そして友牙がジャンケンに勝つ度に、1ダメージを与えるッ!」

黒い手は滅神の龍によって防がれる。だが、龍は最後に黒い手を守り、ガルガによって倒された。

「貫通!」

 

サクラ ライフ11→8

 

「我の次の攻撃を受けるが良い!」

「ジャンケン・・・」

『ポン!』

友牙はパーを、サクラはグーを出し、友牙の黒い手がまたサクラに襲いかかる。そしてガルガもそれに続いて攻撃する。

 

サクラ ライフ8→3

 

「次だ!」

『ジャンケン、ポン!』

友牙はグーを、サクラはパーを出し、今度は友牙の手が破壊される。

「やった、私の勝ち!」

「だが、我の攻撃が残っているぞ!」

「それはキャスト!滅神の盾!無効にして、1ドロー、ライフ+1」

 

滅神の盾 魔法

属性:滅神

相手ターンの攻撃中、君が「滅神」のアイテムを装備しているなら使える。

[対抗]その攻撃を無効にし、次の効果から1つ選び使う。

・君のライフを+1し、カードを1枚引く。

・相手にダメージ1し、君のデッキの上から1枚をゲージに置く。

 

ガルガの攻撃は目の前に現れた、滅神の刀2つを交差した形の盾に防がれる。

「俺の攻撃を忘れるなドッグ!」

「ガルドッグの効果!」

『ジャンケン、ポン!』

「私の勝ち!2連勝!」

しかし、ガルガの影から走ってきていたガルドッグの二回目の攻撃を、サクラは受ける。

 

サクラ ライフ4→2

 

「反撃!」

「やられたドッグ!」

ガルドッグは滅神の刀の反撃で破壊される。

「これで攻撃は終わり。ゲージは1しかないから、必殺技は撃てない!」

友牙は1枚のカードを上に掲げ、レフトにコールする。

「俺のライフが6以下のとき、このカードを手札からコールできる!」

レフトが青く光輝き、その中から一人の男が現れる。

青い髪に、緑と赤の瞳。光輝く剣には電気が帯びている。

「君を助けるために、僕は未来からやってきた!」

「運命の守護者 タスク!」

その男はバディファイターなら誰もが知り、誰もが夢見て憧れた存在。

そして、この少女、サクラも憧れた。

「まさか、あの人の息子さんにも呼ばれることになるとはね」

「タスク長官!」

「長官?僕は運命の守護者 タスクだよ。・・・いくよ!」

タスクは剣を構える。そして宙を舞い、レフトにいた滅神の虎を破壊すると、サクラの前に立つ。

「あまり女の子に攻撃するのは嫌いだけど、ごめんね」

「え?」

タスクは剣を振り、刀を破壊した。

 

サクラ ライフ2→0

 

「ありがとう、友牙君。君とまたファイトできる日を、僕は楽しみにしてるよ。」

ファイトが終わり、全てのモンスターがカードへと戻る瞬間、少しだけタスク長官が見えた気がした友牙だった。




最後の部分、ガルガの効果でソウルから出せば倒せたんじゃないか?と書いてて思いましたけど、そこは突っ込まないでください。「運命の守護者 タスク」を無理矢理でも使ってあげたかったのです。


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牙王の残したカード

あらすじ
友牙の前に現れた女、サクラは神を滅ぼす力で友牙を翻弄する。しかし、友牙はジャンケンに何度も勝ち、そのまま勝利をも勝ち取った。




「なぜ、我らにいきなりファイトを申し込んできた?」

 

ガルガは膝をつくサクラに問う。

「私の名は轟鬼 サクラ。父、轟鬼 ゲンマを探している。父は人一倍、神への信仰心が強く、昔からある神を信仰し続けていた。それが、ここ最近さらに強くなり、ある日を境に姿を消してしまった。そんな中、遊びの神というのがこの街にいると聞いて、まさかと思い、一度戦いたくなった。・・・ッ!」

サクラはファイト中に足を痛めたのか、立ち上がれずにいた。

「友牙。」

「わかってる。立てるか?」

「すまないが、肩を貸してくれるか?」

サクラは友牙の肩を借りて無理矢理立ち上がるが、立ち上がって早々、痛みでガルガの上に倒れる。

「痛いではないか・・・。」

「すまない。」

サクラは倒れた拍子にデッキケースからデッキが流れ出てしまう。

バディにしていたカードが光ると、大きなモンスターが現れる。

「阿修羅。」

「・・・」

バディモンスターが出てきたは良いものの、話そうとしない。上から二人と一匹を見るだけだった。

「お前のバディ動かないのか?」

「私のバディ、滅神の使者 阿修羅は言わば銅像に近いモンスターだ。」

「銅像って・・・それでも」

そんな話をしていると、二人の腹の虫が鳴く。

「・・・家で食べていく?」

「いいのか?私はお前たちの敵かもしれないのだぞ?」

「ファイトをして我はお前に敵意が無いとみたが?」

「ガルガの言うとおりだ。それに、バディファイトを楽しんでるやつに敵はいないよ。」

「・・・優しいな、遊びの神は」

 

「友牙が女を連れてきた・・・?」

未門 パル子はサクラを見て、思わず拭いていた皿を落とした。

「母さん違うって、こいつケガしてて」

「あら、そうなの?」

パル子はサクラの足を見て、すぐに湿布やら包帯やらを持ってくる。友牙は肩を組み、サクラをリビングのソファに座らせる。

「これをこうして・・・これで完成ね!」

「ありがとうこざいます・・・。」

「今日は食べていきなよ。」

 

夕御飯の間、パル子はサクラに色々と質問をする。

「へー、あのゲンマさんの娘さんなんだ。あの人から、こんなおしとやかで可愛い子がねぇ~。」

「ありがとうこざいます・・・。」

「で、今はあの人そんなことになってるんだ・・・」

サクラは両手をテーブルに着けた後、頭を下げる。

「お願いします!私の父を助けてください!」

「そう言われてもな・・・」

友牙は困った顔をして、パル子の顔をみる。

「子は親に似る・・・ねぇ。ちょっと待ってて」

パル子はそういい、二人を残してリビングから出ていく。そして数分後、1枚のカードを持ってきた。

「これは・・・?」

「太陽拳 サンシャイン・インパクト。このカードはお父さんがゲンマさんとゲンマさんのバディ、デュエルズィーガーを倒したカード。お父さんが、友牙が困ったとき、見せろってね。この試合実況したからよく覚えてる・・・。観客全員があのファイトに心の底から暑くなったと思う」

ガルガはそのカードを見ると、

「友牙、このカードからは強大な力を感じる。」

と言い、テーブルの上に乗ってカードに触れる。

「・・・サクラといったな。お前の父は我々が助けよう」

ガルガはそう言い、テーブルから下りると窓の外へ出る。

「おい、ガルガ!」

友牙もガルガの後を追って外に出た。

ガルガは空に浮かぶ月を見ながら、

「そのカードには3人から受け継がれた力を持つ。一人はお前の父親、もう一人はその兄。では・・・もう一人は?」

と、神妙な面持ちで言った。

「もう一人・・・。」

 

・・・

 

時は同じく、エンシェントワールドのとある教会。

そこでは1体の龍と、5体の龍の魂を持つ龍が戦っていた。

「我らの信仰する神を侮辱するか・・・」

「何度も言っている。お前のそれは神ではない。ただのモンスターだ」

攻撃によって崩れ行くモンスター。

男は、神を信仰する屈強な体の男に、竜の爪を模した拳を突き付ける。

「デュエルズィーガー“ゴッド・エクリプス”のライフリンクは生命の奔流で無効だ!」

「勝利に堅実になのは良いことだ、さすが世界の様々な大会で名を上げているプロのエンシェントワールド使い、人一倍のプライドはあるみたいだな。しかし、その行為は神を愚弄する行為なのではないか?」

「神を・・・愚弄する・・・?」

「さらばだ、轟鬼ゲンマとそのバディよ。エンシェントワールドはこの俺が支配する。俺こそが真の神だ。」

ゲンマの体に拳が突き刺さり、ライフカウンターは0を映し出す。

「サクラ・・・。」

燃え盛る教会のなか、男は轟鬼ゲンマのバディカードを持って現れる。カードの端には火が付き、すでに燃え始めていた。

「まず一つ目だ。次はどこのワールドを支配する?」

 

・・・

 

「あれ?・・・私はいったい・・・」

サクラは目を擦り、周りを見る。

「目が覚めたか」

「お、おはよう、サクラ。」

「???」

サクラは友牙の部屋で目が覚めた。あの後、サクラは家に帰らずに友牙の家に泊まった。

サクラはそれを忘れていて思わず混乱する。

「か、帰ります!」

「あ、サクラ!」

サクラは急いで階段を下りる。

「あら、おはよう、サクラちゃん。昨日は良く眠れた?朝ごはん作ってるからもう少し待ってね」

階段を下りたところで洗濯かごを抱えたパル子に会うが、無視して玄関に向かい、靴を履こうとする。

「ーーーッ!」

治りかけていた足のケガがまた痛くなり、サクラは玄関で悶える。

「サクラちゃん、朝から元気ね・・・って、あれ?」

 

サクラは不機嫌な顔で朝ごはんのパンを食べる。

「パン・・・嫌い?」

「いえ、美味しいです。」

友牙とガルガはすぐに朝ごはんを食べ終え、外で準備体操をしている。

「二人とも、あなたのお父さんを助けるって昨晩からあんな感じよ。あんなにも精一杯なの久しぶりね。もしかしたら、友牙、あなたのこと好きかもね」

「え?」

「ふふふ、なんでもないわ。」

「サクラー!」

サクラは呼ばれ、窓の方を見る。

「ご飯食べたらまたファイトしようぜー!サクラのデッキとまたファイトしたくってさ!」

「・・・やっぱりそんなことないみたい。思う存分ファイトしてあげて」

サクラは少し微笑むと、デッキケースを持って足を引きづりながらも、窓の方へ歩いていった。

「やっぱり似るものなのかな・・・」

 

・・・

 

昨晩のこと。

「スバル、今日も星が良く見えていますね。」

スバルは、バディのクロスと河原の土手で星空を見ていた。

「あぁ。でもいつもと違う・・・」

「どうしました?」

「なんでもない・・・。」

スバルは望遠鏡から目を離すと、デッキからあるカードを取り出す。

「それは?」

「新たな装備、月読占弓(つくよみせんきゅう) ルーナ・アルクス。見知らぬ人物から送られてきた物だ」

 

月読占弓 ルーナ・アルクス アイテム

属性:天球竜/武器

6000/2

コスト:ゲージ1を払い、ドロップゾーンから3枚までをソウルに入れる。

ソウルガード 3回攻撃

・このカードは君のセンターに「天球竜」がいても攻撃できる。

・君の場の「天球竜」全ては相手のカードの効果で破壊されず、レストされない。

[対抗]コスト:ソウル1枚をドロップゾーンに置く。君のドロップゾーンまたは手札から「天球竜」をコールコストを払ってコールする。

 

「なるほど。しかし不気味ではありませんか?」

「クロスの占いではどう出ている?」

クロスは姿を変え、占い始める。

大量の魔法陣が一気に展開され、クロスは目を凝らして占うが、クロスはその結果に首を傾げる。

「・・・何も出ていません。それは普通のカードのようです」

「クロスの占い当たる。そうだろう・・・?」

「しかし・・・。」

 

「見つけたぞ!星詠 スバル!」

 

上から声が聞こえ、二人はすぐに上を見る。

そこにはクロスより一回り大きな2体の竜の姿と、その手のひらに乗る男の姿があった。

「君は誰だ?」

「俺は大宇宙 銀河!スタードラゴンワールドを支配する者だ!」

「スタードラゴンワールドを支配?」

「彼はいったい何を・・・」

銀河は竜の手のひらから地上に下りると、スバルを指差す。

「俺とファイトしろ!やれんだろ?」

「悪いが断る、僕たちが君と戦う理由はない。」

「なんだと・・・ふざけんじゃねぇ・・・え!?」

銀河は指をバキバキと鳴らしながらスバルに近づくが、あるところで透明な壁にぶつかる。

「なんだ・・・これは・・・?」

「戦う理由以前に戦えないみたいだ。さよなら」

「私も失礼させていただきます。」

スバルは望遠鏡を片付けると帰っていく。

銀河は透明な壁にぶつかったまま、スバルを追うことはできなかった。

「ち・・・チクショー!覚えてろォ!星詠 スバルゥゥゥ!」



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ブラックホール!?スタードラゴンを支配する者 銀河!

あらすじ
友牙はサクラのこと、サクラの親のことを知り、サクラの親を助けることを約束する。

そしてスバルは謎の少年、大宇宙 銀河に目をつけられ、ファイトを申し込まれたが拒否して終わった。



「今日は転校生を紹介するぞ。みんな仲良くしてやれー。」

 

スバルのクラスに転校生が来た。水色の短い髪と頭に星マーク。服はサッカーユニフォームのような服を着ていた。

「大宇宙 銀河。よろしくな!」

スバルは見たことある顔に息を呑む。

銀河はスバルに気付くと、歯を見せるようにニヤリと笑う。

 

「へー、君の父親、プロサッカー選手なんだ!」

「銀河君、頭良い!」

「銀河君、運動もできるんだ!かっこいいー!」

転校初日から銀河は大人気だった。クラスのみんなが銀河を囲むなか、スバルだけは自分の席でずっと本を読んでいた。

「おーい、スバルー!」

教室の外から、スバルを呼ぶ声が聞こえ、スバルはその方向を見る。友牙とサクラがいた。スバルはサクラを知らないため、頭に疑問を浮かべながら、教室の外へ行く。

「その女の子は?」

「中等部一年の轟鬼 サクラ、よろしくお願いします」

「え?お前年上だったのか?」

「え?」

二人は言葉を失い、お互いの顔を見る。

二人にスバルはため息をする。

「とりあえず、サクラさん、よろしく。で、何の用で来たんだ?」

「えっと・・・サクラ先輩の」

「別に先輩は付けなくていい。呼びにくいし」

「・・・サクラのこと紹介するためかな。こいつ強いぞー、カタナワールド使いでさ!」

ここから数分間、友牙がサクラとのファイトについて語る。スバルは途中から聞くだけになっていた。

「なるほど、一度手合わせしたいな。」

「おうおう、スバルさんよォ?」

スバルのその言葉に引っ掛かるように、銀河が現れる。

「俺より、そいつが先か?昨日、人の売った喧嘩(ファイト)を蹴っといてよォ。」

「君とやる筋合いはない。僕は君とのファイトを断ったはずだ。」

「スバル・・・お前」

普段からどんなファイトでもする友牙はスバルの言葉を聞き捨てならなかった。

「最もあの日はクロスしかいなかった。デッキが無かったからやらなかったんだ。」

「今なら、やれるよなぁ?デッキがあるみたいだしよォ」

銀河はSD状態の2体の竜を出す。

「やりますか?銀河。」

「やろうぜ、銀河よォ」

2体の竜は教室のなかで大きな竜の姿へと変化する。周りの机や椅子は壊れ、天井には穴を開けた。

「これでもか?お前の大事な学校が壊れるぞ?」

「それ以上は許さないな。」

「あぁ?」

「ファイトしようじゃないか。」

 

「バディファイトあるところ、奈々菜 イオンあり!今日は相棒学園ファイトステージから生放送中!」

「今日の対戦は勉強の神、星詠 スバル選手と、転校生の大宇宙 銀河選手でちゅ!」

 

廻る天球、竜の導き、ルミナイズ、ギャラクシー▽

 

星を食らう銀河の使徒!我に力を!敵に恐怖を!ルミナイズ、ギャラクシーレイ&シャドウ!

 

オープン・ザ・フラッグ!

 

『スタードラゴンワールド!』

 

二人ともスタードラゴンワールドのフラッグを表返す。

「バディは天占貴竜 クロス・イリスレーゼ・アストルギア。」

「バディは超銀河竜 レイ!」

2体のSD化した竜はお互いの顔を見る。超銀河竜レイはクロスの顔を見て、鼻で笑う。

「あの竜、食い甲斐がありますね。」

「スバル、あのバディモンスターから嫌な予感がします」

「気にするな、今のクロスの敵じゃない」

「スバル・・・」

「先攻はスバル選手!」

 

スバルのターン

 

「ドロー、チャージ&ドロー。ライフ2払い、キャスト、天占の昇光。デッキからクロスとアイテムを手札に。そしてセンターにバディコール、天占貴竜 クロス・イリスレーゼ・アストルギア。」

 

スバルのライフ8→9

 

クロスは真の姿でセンターに現れる。

「やはり食べがいのありそうだ・・・」

その度に、嫌な視線がクロスに刺さる。

「・・・スバル、やはり嫌な予感がします」

「心配ない、もしものときは僕が守る。装備、月読占弓ルーナ・アルクス。そして占闘竜 クーペをライトにコール。」

「僕の剣技をご覧あれ。さらにクロス様の効果で打撃力+2です!」

「キャスト、布告「占闘補給」でライフ+1、ゲージと手札を2枚ずつ追加。そして設置、フォーメーション・クリア。」

スバルの盤面はほどよく良い盤面になり、スバルの指示でクーペが銀河を攻撃する。

「僕が攻撃したとき、ライフとゲージと手札が増えますよー!せぇい!」

「ッ!」

 

スバル ライフ11 ゲージ3 手札8

銀河 ライフ6 ゲージ2 手札6

 

「やるじゃねぇか。だが、後攻を取ったことで俺のデッキは真価を発揮するぜ。」

「僕のターンは終了だ。君のターンだ。」

 

銀河のターン

 

「その余裕の表情、ムカツクなァ!今壊してやる。俺のターン!ドロー!チャージ&ドロー!」

銀河は引いたカードを見て、ニヤリと笑い手札に加える。

「ところでスバルさんよォ。ブラックホールって知ってるかァ?スタードラゴンワールド使いなら知ってて当然だよなァ?」

「・・・それがなんだ?」

「今からそのブラックホールってものを見せてやるよ!俺のゲージと、お前のバディ、クロス・イリスレーゼ・アストルギアを食らい、ライトにバディコール!超銀河竜 レイ!」

「何!?」

ライトにブラックホールが現れ、クロスが吸われそうになる。

「スバルー!」

クロス自体は吸われなかったが、クロスのソウルを破壊され、その破片がライトに現れたブラックホールに、銀河の払ったゲージと共に吸われる。

「そうだ!お前のバディがブラックホールに食われる姿を見て恐怖するがいい!」

ブラックホールの奥から銀河のバディが見え、ブラックホールが消えると共に大きな竜の姿になって現れた。

 

超銀河竜 レイ モンスター

属性:銀河竜

サイズ2 8000/2/5000

ソウルガード 2回攻撃 移動

コスト:ゲージを1払い、相手の場のカード1枚をソウルに入れる。

・このカードのソウルに相手のカードがある間、このカードは相手の効果で破壊されず、ソウルを捨てられない。

・このカードの攻撃力は、このカードのソウルにある相手のカード一枚につき+5000。防御力は+3000。

[起動]銀河の同調 コスト:ゲージを1払う。相手の場のカード1枚を選び、このカードのソウルに置く。銀河の同調は1ターンに一回だけ使える。

 

「ごちそうさま、おいしかったですよ。あなたの魂の断片(ソウル)

レイは口の周りを長い舌で舐める。

「さらにセンターに銀河竜 マーキュリーをコール!効果でゲージ2プラス!」

 

銀河竜 マーキュリー モンスター

属性:銀河竜

サイズ0 4000/1/4000

・このカードが登場したとき、君の場に他の「銀河竜」がいるなら、君のデッキの上からゲージに2枚置く。

[対抗]コスト:このカードを君の場の「銀河竜」のソウルに置く ことでこのターン、相手の効果で「銀河竜」は手札に戻らない。

 

「そしてもう一つのブラックホール!ゲージ1と相手のデッキの一番上のカードを食らい、レフトにコール!超銀河竜 シャドウ!」

現れた二つ目のブラックホールに、デッキの一番上にいた占闘竜 バリーがブラックホールに吸われる。

「ぷはーッ!上手いぜ!お前のカード!」

 

超銀河竜 シャドウ モンスター

属性:銀河竜

サイズ2 8000/2/5000

ソウルガード 3回攻撃

コスト:ゲージ1を払い、相手のデッキの上から1枚をソウルに入れる。

・このカードのソウルに相手のカードがある間、このカードは相手の効果で破壊されない。さらに他の別名の「超銀河竜」がいるならサイズを1減らす。

・このカードの攻撃力は、このカードのソウルにある相手のカード一枚につき、+5000。防御力は+3000。

[対抗]銀河の調律 相手の場のカードが君の場のカードのソウルに置かれたターン、【コスト:ゲージを1払う】ことで、このカードをスタンドする。銀河の調律は1ターンに一回だけ使える。

 

「役者は揃った!ゲージ1を払い!レイの効果起動!」

「銀河の同調!あなたのカード、いただきます!」

レイの胸が開き、そこから出てきた何本もの触手は、クロスの両手足と羽、首や胴体に絡み付き、胸のブラックホールに吸われる。

「スバル!スバルー!」

「ライフ1を払い、キャスト!セレソシエーション!クロスを手札に!」

必死にスバルの方へ手を伸ばすクロスを、スバルは魔法の効果で手札に戻す。

 

スバルのライフ 11→10

 

「食えない子ですねぇ。」

「不味いなァ、銀河よォ。」

「ヤツのセンターが空いたことに代わりはない。やれ!」

『了解!』

 

スバル ライフ10 ゲージ3 手札8

銀河 ライフ7 ゲージ2 手札4




正直、今の天球竜のデッキ構成がよくわかっていないところがある。
アニメの最後でクロスはイリスレーゼになってるけど、一番強いのレスト耐性持ってるファルネーゼだと思ってしまう。


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これこそが切り札!超銀河竜 ギャラクシー・ハート!

あらすじ
スバルの教室に来た転校生、大宇宙 銀河。
初日早々、銀河はスバルにファイトを申し込む。
銀河の使うモンスターは相手のカードを奪う凶悪な効果を持ち、スバルのバディであるクロスを奪おうとする。しかし、スバルはクロスを手札に戻すことでそれを防いだ。


『了解』

 

銀河のアタックフェイズが始まった。だが、

「ゲージ1払い、キャスト、通告 「不動占術」。シャドウをレストしてこのターンスタンドしない!」

始まって早々シャドウは網によって動けなくなってしまう。

「畜生ッ!このガキィ!」

「口が悪いですよ、シャドウ。私がやります!」

「キャスト、通告「防衛占術」。君の場のモンスターの打撃力をこのターン1減らす。」

 

スバルのライフ10→9

 

「2回攻撃を食らいなさい!」

 

スバルのライフ9→8

 

「これで君の攻撃は終わりか?」

「ッ!あぁ、そうだよ!これで終わりだ!」

 

スバル ライフ8 ゲージ2 手札6

銀河 ライフ7 ゲージ2 手札4

スバルのターン

 

「君はバディファイトを何だと思っている?これはストレスの捌け口じゃないし、力を示すだけの場所じゃない。」

「お前何を・・・。」

「君はファイトを楽しんでいるか?バディファイトは楽しむものだ。ドロー、チャージ&ドロー。」

「ファイトは楽しむもの・・・。」

「センターにクロスをコール。フォーメーション・クリアでゲージ+1、ライフ1回復。」

「楽しむ・・・」

「レフトに占闘竜 セーブルをコール。効果でレイのソウルを捨て、破壊。」

「ぎ、銀河ァァァッ!」

「楽しむ・・・」

レイの叫びむなしく、レイは破壊されてしまう。

「おっと、銀河選手のバディ、超銀河竜レイが破壊される!」

「おい、やべぇよ!どうするんだよ!これ!・・・銀河?」

思い詰めた銀河に昔の記憶がフラッシュバックする。

 

そんなデッキで勝って楽しい?

お前とファイトしても楽しくない。もういいよ。

相手のカードを奪うとか、そんなデッキ使ってるから友達いなくなるんだよ。

 

銀河、バディファイト楽しくない?

 

「父さん、バディファイトを楽しむってどうすればいいんだ・・・」

「スバル。彼を・・・」

銀河はさっきまでの威勢を無くし、涙を流し始めた。

「僕はこれまでに色々なファイターに会い、色々なファイトを経験した。時にはバディのために、バディを解消したり、ファイトに負けて意識を失って倒れたときもあった・・・。でも、どんなときでも楽しむことは忘れなかった。」

「お前に何がわかる!俺は超銀河竜 レイが破壊されたとき、ゲージ2を払い、俺の場の全てのカードを食らって、現れろ!超銀河竜 ギャラクシー・ハート!」

「友牙、あれを見ろ!」

友牙はガルガの指差す先を見る。

銀河のファイトテーブルのセンターには黒いカードが置かれていた。

「あれがタイガの言ってた・・・」

「黒いカードか!」

半分がスタードラゴンワールド、半分がロストワールドの枠のカード。

イオンのカメラによって拡大されたそのカードはまさに黒いカードだった。

「なぜ、ロストワールドのカードを通常フラッグで使えるんだ?」

「おっとこれは、デュアルカード!二つのワールドで使えるカードだ!」

「スタードラゴンワールドとロストワールドのカードで使える見たことないカードがでチュウ!」

「いったい何が起こっているんでしょうか!?わわわ!」

二人の乗っていたUFOは壊れ、観客席に墜落する。

レイやシャドウが出たときとは桁違いの大きな穴ができ、そこにシャドウとマーキュリーが吸われる。

そして空間でもぶち破るかのように出てきたそれは、剥き出しの心臓を、色々な色の星で覆った体に、白と黒の竜の頭と手が付いた、まるで一つの惑星のような竜が現れた。

「お前からファイトを楽しむという感情を奪ってやる!ギャラクシー・ハートが登場したとき、お前の場のモンスター2体を吸収する!効果を無効にして、ソウルごとだ!」

 

超銀河竜 ギャラクシー・ハート

属性:銀河竜

サイズ3 0/3/10000

ソウルガード 移動 3回攻撃

コスト:君の場の「超銀河竜」が場を離れたとき、ゲージ2を払い、君の場、手札の全てのカードをソウルに入れる(このとき、君の場のカードのソウルのカードも入れる)。

・このカードが登場したとき、相手の場のモンスター2体までの効果を無効化し、このカードのソウルに入れる。

・このカードの攻撃力はこのカードのソウルのモンスターの合計になる。

・このカードの攻撃力、打撃力、防御力は相手の効果で減らず、ソウルは捨てられない。

・このカードのソウルに相手のカードがあるなら、君は効果によるダメージを受けない。

[対抗](起動):このカードのソウルのモンスター1体のサイズを0にしてコールコストを払わずにコールする。この効果でコールしたモンスターがファイナルフェイズ開始時に場にいるなら、このカードのソウルに入れる。この効果は1ターンに一度だけ使える。

 

「スバルーッ!」

「ッ!すまない!」

「クロス!セーブル!」

クロスとセーブルは効果によって、ギャラクシー・ハートに食われてしまう。

「これによって、攻撃力32000!さぁ、どうする!これで絶望を与え・・・なぜだ。」

スバルは、一度は平静を失ったが、すぐに取り戻して手札を見て次の手を考えていた。

「お前の場はアイテムと設置魔法のみ、ゲージも0枚だ。これ以上お前のバディはコールできないはずだ!」

「手札枚数は5枚、まだいくらでも展開できる手札枚数だ。」

「な!」

「君のモンスターを見てすぐに気づいた。君のモンスターは相手の場のカードを奪うことを得意とするデッキだ。そして対抗で僕の場のカードを奪うこともあり得なくはない。なら、最初に盤面を埋めるような行為はしてはいけない、そう予想した。」

「ッ!キサマ!」

「ルーナ・アルクスの効果。ソウル1枚をドロップゾーンに置き、ドロップゾーンからフレットをレフトにコール。」

「まだまだこれからですよ。」

「フレットの効果でゲージ2プラス、1ドロー。さらにライトにバリューレットをコール。さらにゲージ1プラス。そしてゲージ3を払い、王の輝き クロス・ファルネーゼ・アストルギアをセンターにコール。」

クロスはもう一度センターに現れた。そのクロスの姿に銀河は開いた口が塞がらなかった。さっきまでセンターにいたクロスより青い光輝く羽、頭には王冠のような被り物を着けていた。

「私は何度でもクロスを守る!」

「なんで・・・なんでだよ!」

銀河はファイトテーブルを殴り付ける。

「なぜ、お前はバディを奪われても立ち上がる!」

「バディを奪われても、勝機は奪われていない。」

「勝機は奪われてない?ソウル11枚のギャラクシー・ハートを見てもか?」

「王の輝き クロス・ファルネーゼ・アストルギアは僕の天球竜全てのパワーを10000上昇させる。」

「さらに、私は1ターンに一度だけ、手札を捨てれば、場の天球竜全てがスタンドします。」

「総攻撃回数はクロスが2回、アイテムが3回、フレットとバリューレットが1回ずつ」

「そして、私の効果でスタンドして4回」

「合計は?簡単な足し算だ。」

「えっと、2+3+1+1+4だから・・・11!」

「アタックフェイズ!」

「おぉーーッ!」

ここから11回の攻撃が始まる。ギャラクシー・ハートの周りを回る惑星(ソウル)は天球竜達によって破壊され、心臓が剥き出しになる。

「貫通をくらいなさい!」

最後のクロスの貫通効果が入る。

 

銀河のライフ7→4

 

「ギャラクシー・ハートは既に破壊寸前だが耐えた!今度は俺が逆転する番だ!」

「ファイナルフェイズ。」

「はぁ?お前の必殺技、裁き告げる三ツ星(トライスターディシジョン)はゲージ3必要だ!もう何もできない!」

「私たちはこのターンに4回以上殴りました。」

「だから何だよ!」

「僕たちが殴った分!」

「使うゲージが減る、スバルの新たなる必殺技!」

1枚のカードがスバルの手のひらの上で回る。

「「いっけー!スバル!」」

スバルはカードを上に投げると、カードは光包む球体を生み出す。そしてスバルはクロスの前に立ち、ルーナ・アルクスでギャラクシー・ハートを狙う。

「天球が満つる時、」

「君に告げるのは・・・」

「「敗北の矢だ!キャスト!裁き告げる天球の星(セレスフィアディシジョン)!」」

光が凝縮した矢は、光の球体から放たれた光と共にギャラクシー・ハートを貫き、後ろにいた銀河に命中した。

ギャラクシー・ハートは中心に開いた穴から黒いオーラを放出しながら、地面に落ちていく。

 

銀河のライフ 4→0

 

「この俺が、負けた・・・?」

銀河のファイトテーブルのセンターにいた、「超銀河竜 ギャラクシー・ハート」のカードは黒いオーラが消え、真っ白のカードになっていた。

「証明完了。」




ちょっとだけ投稿に遅れたのは、天球竜でどう立ち回れば、手札を必殺技1枚のみにしつつ、11回ジャストでソウルを削れるか考えていたからです。

カードは全て、これから現れるキャラの分、すでに考えているのですが、ファイトの流れは書いてる途中で考えているので、たまに今回みたく、投稿までに時間かかるかもです。


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世界の宝玉。盗まれた心

あらすじ
スバルにファイトを挑む銀河。
銀河の出した、スタードラゴンワールドとロストワールドのデュアルカードによって、スバルは一度は負けたように見えたが、銀河の予想を超えるプレイングによって、銀河に勝利する。


「勝者はスバル選手!さすが勉強の神!相手のデッキを読み取り、それに合わせたプレイング!お見事です!」

 

さっきまで観客席で観ているだけだったイオンは、観客席を乗り越えるくらいのテンションで締めの実況をする。

しかし、そのイオンの横を一人の男とそのバディだけは観客席から下りて、銀河のもとへ向かっていた。

「友牙?」

「銀河、あの黒いカードはなんだ!」

友牙は倒れた銀河を起こすと、黒いカードのことを聞く。

「友牙!あの黒いカードないぞ!」

ガルガはファイトテーブルの上をみて、友牙に黒いカードがないことを伝えた。

「黒い・・・カードは・・・」

「教えてくれ!」

「あれは・・・俺のカードじゃない・・・。全ては・・・ハート様の・・・ッ!」

銀河は気を失ってしまう。

「確かにあれはロストワールドのカードだった。」

「しかし、デストロイヤーは知らないと言っていた。」

「友牙、さっき銀河の言っていたハートについて調べるべきだと思うが」

スバルはカードを片付けると、ファイトステージから下りて友牙のもとへ歩いていく。

「ハートが、あのデストロイヤーとは違うロストワールドのモンスターだという可能性が高い。それを考え、調べることが必要だ」

「スバルの・・・言うとおり・・・です。」

いつもスバルの横にいたクロスは、センターでSDの姿になれずに倒れていた。

「クロス、いったい何が」

「わかりませんが・・・、ファイトが終わってから・・・体が思うように・・・」

「クロス!」

 

・・・

 

「中継見ていたよ、実はジャックも今、クロスのようになっていて、スタードラゴンワールドの知り合いに見て貰っている。」

友牙達はあの後、龍炎寺 タスクに呼び出された。

あのデストロイヤーの一件以来、友牙はタスクとファイトの特訓をたまに行っていた。

「そしてあの黒いカード、元々があのカードだったかは判明していないが、テーブルの上に白いカードを見つけた。あのギャラクシー・ハートの最後を見る限り、このカードだろう。」

「クロスはどうしてあんなことに!」

「・・・おそらく、ギャラクシー・ハートはスタードラゴンワールドの心臓なのかもしれない。・・・

 

ここ最近、エンシェントワールドとスタードラゴンワールドが何者かに侵略されるという事件があった。話によると、エンシェントワールドを守るために、そこに向かったプロバディファイターが敗北し、バディカードを燃やされている。さらにスタードラゴンワールドでも同じような事件が起きている。そこではワールドを守る角王がやられている。辛うじてスタードラゴンワールドの角王は一命を取り留めたが、エンシェントワールドに向かったファイターは未だに消息不明だ。火事の現場からその人のコアデッキケースとカードが見つかっているため、残念だがすでに死んでしまったかもしれないとの話だ。そして何よりもその世界を維持するのに必要な宝玉がどちらも盗まれている。あのモンスター、超銀河竜 ギャラクシー・ハートはそれを使ったモンスターだと考えられる。

 

エンシェントワールド、スタードラゴンワールド、次はどこが狙われるかわからない。君たちも十分気を付けてくれ。」

「・・・話は終わりましたか?」

桜色に赤髪の髪を隠すように黒い帽子をかぶった男。その男はSD化したクロスを抱えていた。

「ご苦労様、絢爛朱雀。」

「さんをつけてくれないか、あなたより私は歳上だが」

「そうでした、絢爛朱雀さん。」

「申し遅れた。私は絢爛朱雀。・・・ってその目は・・・なるほど。」

絢爛朱雀は友牙の周りを一周すると、ニヤリと笑い、タスクの横に立ち、耳打ちをする。

「やっぱり。なら、言ってもいいかな」

「?」

「スタードラゴンワールドの角王、ヴァリアブル・コードです。今はここに運ばれてくる、スタードラゴンワールドのモンスターを視る役をしている。」

「角王?」

友牙は知らない言葉に首をかしげる。スバルは知っていたため、目の前に立つ角王の存在に、静かながら目を輝かせる。

「遥か昔にヤミゲドウというモンスターによって世界は侵略されかけたときに集められた各ワールドの代表が角王ということです。」

「友牙、知らなかったのか。・・・でも角王が彼に負けるなんて」

「それに関しては一杯食わされましたよ。彼のバディが進化する前は私が勝ってたんですがねぇ。進化してからはそれはもう逆転されて・・・」

ヴァリアブル・コードは胸ポケットから取り出すかのように、角王の証を取り出して、友牙とスバルに見せた。

「これは守ったけれど、世界の宝玉(ワールド・ジュエル)は盗られちゃって。・・・ところで、あなたはスタードラゴンワールドに興味はありますか?」

ヴァリアブル・コードは扇子の先を友牙に向ける。

友牙は周りも見て、他全員がスタードラゴンワールド使いとそのモンスターだということに気づいた。

「ガルガ、どうする?」

友牙は自分より小さなガルガの後ろに逃げる。

「我にはスタードラゴンワールドの姿も存在する。ある時が来たら考えてみよう。」

「ある時、って?」

「友牙の言う『ネタ切れ』ってやつだな。」

「遊びの神からしたら、僕たちのデッキは動画のネタか。」

「ハハハ・・・」

 

「・・・そういうことだったのか」

友牙が店に行くと、タイガが待っていた。

友牙とガルガは、タイガに黒いカードについて話した。

「で、話があってな。ここの近くにバディ魔法図書館ってバディファイト世界の歴史の本を多く入れた図書館ができたんだ、今日はそこに行こうかと思ってて、友牙も行くよな?」

「もちろんだ、行こうぜ!」

「心得た!」

 

図書館内は広く、高い天井に届く本棚にバディファイトの書物が並べられている。上の方の書物は、ここで働いているモンスターが取ってくれるみたいだ。

「ようこそ、バディ魔法図書館へ。」

入るとすぐに、カウンターから一人の男が挨拶をする。友牙とタイガは頭を下げる。

「ここはバディファイトの書物が並べられており、全ワールドの書物がありますので、ぜひたくさん読んでいってくださいね。上の方の書物は私のモンスター達が取りますので、無理はしないようにお願いしますね。」

「ありがとうございます。」

友牙とタイガはダンジョンワールドについての書物を検索して読み始める。ガルバードは上から大きな書物を取り出すが、思った以上に重かったのか、ガルバードはバランスを崩して、本棚に激突してしまう。

「大丈夫か?」

「痛いバード・・・あっ」

本棚から何冊もの書物が床に落ちていた。

「大丈夫ですかー?」

カウンターにいた男が大きな音を聞いて、すぐに向かってくる。

「あぁ、なんてことを!」

「ごめんなさいバード。」

「上の方の書物は私のモンスターが出してくれる言ったじゃないですか!」

「ほ、本当にごめんなさいバード!ごめんなさいバード!」

鬼のような怖い顔をした男にガルバードは頭から火が出るくらいに何度も頭を下げる。

「こいつもこんなに謝ってるじゃないか!許してやれよ!」

男とガルバードと間にタイガが割って入る。

「あなた、ここの書物がどんなものだかわかっているのですか?あらゆるワールドのあらゆる書物が新品同然に蔵書されているのです!この価値がわかりますかね?」

「なら、自分一人で読書してろよ、ここは図書館だ。本が少しくらい傷付くのは仕方ねぇことだろ!」

「本が傷付く・・・だと?あなたのその心、許せません!私、魔法(まのり) 私書(ししょ)とバディファイトで勝負です!」

私書がそう言うと、周りにいたモンスターと遠くの本棚に並んだ書物がカードになり、私書の手元に重なってデッキになる。

「やってやろうじゃねぇか!」

「我がバディ、デウスの力を見せましょう!」

「我の魔法で滅ぶがいい!」



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王都ー魔法図書館

あらすじ
†のモンスターの行方を探しに、バディファイトの各ワールドの資料や書籍が蔵書されている新しい図書館に来た友牙とタイガ。
二人が本を探しているとき、ガルバードが本を本棚から落としてしまう。
それに対して激怒した図書館館長の魔法 私書。そしてタイガは私書の逆鱗に触れてしまう。


「バディファイトあるところ、奈々菜 イオンあり!今回はバディ魔法図書館の屋上のファイトスペースから生放送だ!」

「遊びの神と熱い戦いを繰り広げた虎堂 タイガ選手と、この図書館の館長、魔法 私書選手がファイトするでチュウ!」

 

13枚の光の翼!今、解き放たれる!

ルミナイズ!シャイニング・クロス!

 

世界随一の魔法図書館が今ここに!ルミナイズ!マジック・ライブラリー!

 

「バディ・・・ファイト!」

『オープン・ザ・フラッグ!』

「ダンジョンワールド!」

「マジックワールド。私のバディは、マジックライブラリアン・デウス・エクス・マキナ」

私書の横に白いスーツに大きな杖を握りしめ、大きな書物を背中に抱えた人型のモンスターが現れる。

「俺のバディは・・・」

タイガのバディゾーンには何もない。

「あんな威勢あったのに、バディがいないと、これは勝ったなぁ、デウスよ!」

「我が魔法の前に、いようがいまいが無力だ。相手には悪いが、我の力を思う存分見せてあげよう!」

 

私書のターン

 

「ドロー、チャージ&ドロー。ゲージ1を払い、設置、王立-魔法図書館。」

「魔法図書館?」

「これは面白い設置魔法でな、私の唱えた魔法を二度使うことができるのだ、どうだ?すごいだろう?」

 

王都-魔法図書館 魔法

属性:図書館

コストゲージ1を払う。

[設置]

・このカードはソウルに魔法がある限り、場を離れない。

・君が手札から魔法を使ったとき、そのカードをこのカードのソウルに入れる。

・[対抗]このカードのソウルにある魔法1枚を「ゲージ1を払い、そのカードをドロップゾーンに置く」ことで、コストを払わずに使える。この効果は1ターンに一回だけ使える。

・「王都-魔法図書館」は1枚しか設置できない。

 

「な、な、なんと!魔法を2回使うことのできる設置魔法!これはマジックワールドの革命的カードではないでしょうか!」

「これで驚くなかれ、小娘よ。キャスト、魔法図書寄贈。デッキから好きな魔法1枚を図書館に入れる。私は『ナイスワン!』を図書館のソウルに。そして1枚ドロー。さらにこの魔法もソウルへ」

 

魔法図書寄贈 魔法

君の場に「王都-魔法図書館」があるなら使える。

・君のデッキから魔法を1枚、君の場の「王都-魔法図書館」のソウルに入れ、シャッフルする。その後、君のデッキからカードを1枚引く。

 

「そして魔法図書館の効果で、キャスト、ナイスワン!2枚ドローだ!ハッハッハー!これがマジックワールドの魔法の力だ。そして装備、マジック・アイテム マジック・キャッチャー!」

 

マジック・アイテム マジック・キャッチャー アイテム

属性:図書館/武器

5000/2

ソウルガード

コスト:ライフ1払い、デッキの上から1枚をこのカードのソウルに入れる。

・君の場の「図書館」のモンスターの効果は無効化されない。

・君が魔法を使ったとき、デッキの上からゲージに1枚置いてもよい。

[対抗]コスト:ゲージ2払う。

相手モンスターが攻撃してきたとき、コストを払ってよい。払ったら、そのモンスターをゲージに置く。この効果は1ターンに一度だけ使える。

 

「手札からソロモンの鍵 上巻を撃ちゲージ追加!そして、バディコール!我がバディ!デウス・エクス・マキナ!」

センターに現れた5つの魔法陣。その中から現れたモンスターは魔法陣をレフトとライトに投げる。

「我はデウス・エクス・マキナ。我が魔法の前に全ては無に帰す。」

「ここでバディコール!マジック・ワールドの大魔法使い、デウス・エクス・マキナの登場だ!」

私書のライフ 10→11

 

「デウスに続け!マジカルとモーリィ」

 

マジックライブラリアン・マジカル

モンスター 属性:図書館

サイズ1 5000/2/1000

・君が魔法を使ったとき、君の場に「王都-魔法図書館」があるなら、相手の場のモンスター1体を選び、手札に戻す。この効果は1ターンに一回だけ使える。

 

マジックライブラリアン・モーリィ

モンスター 属性:図書館

サイズ1 5000/2/2000

・君が魔法を使ったとき、君の場に「王都-魔法図書館」があるなら、相手の場のモンスター1体を選び、別の空いているエリアに移動する。

 

「おい!サイズ超過でお前のバディ死ぬぞ!」

「我の効果を知らぬか、教えてやれ、そこの小娘よ」

「小娘って・・・。マジック・ライブラリアン デウス・エクス・マキナは彼以外の『図書館』モンスター全てのサイズを1減らすことができます!そのため、マジカルとモーリィはサイズ0になります!さらに、魔法を使うと相手の場のモンスター全てを破壊する、恐ろしい効果を持っています!・・・これでいいですか」

「感謝する」

 

マジックライブラリアン・デウス・エクス・マキナ

モンスター 属性:図書館

サイズ3 10000/3/9000

2回攻撃 貫通 ソウルガード

コールコスト:ゲージ2払い、デッキの上から2枚をソウルに置く。

・君の場に「王都-魔法図書館」があるなら、このカードは効果で破壊されず、手札に戻らず、レストされない。

・君の場のこのカード以外の「図書館」モンスターのサイズを1減らす。

・君が魔法を使ったとき、君の場に「王都-魔法図書館」があるなら、相手の場のモンスター全てを破壊し、その枚数分相手にダメージ。この効果は1ターンに1回だけ使える。

 

「さぁ、やるのだ!デウスよ!」

「我が大魔法の力、受けるがいい!」

デウスが杖を振ると、タイガに向かって雷の雨が降り注ぐ。

「キャスト!カシアードの静寂、次に受けるダメージを3減らす!」

雷はタイガに直撃するが、タイガの纏った青いオーラによってはじかれた。

「ライフ3減るのはさすがに防ぐっての」

「やるな、小僧・・・」

「ターン終了だ。」

 

私書 ライフ11 ゲージ2 手札3

タイガ ライフ10 ゲージ2 手札5

 

タイガのターン

「ドロー、チャージ&ドロー!さぁ、見てろよ!おじさん!」

「お、おじさんとは・・・」

「ライフ4払い、シャイニング † ダガーを4つ装備!」

タイガの周りにダガーが4つ宙に浮かぶ。

「同じカードを4枚とな、しかもアイテムを4つも!」

「このカードは何枚でも装備でき、13枚まで入れられる!」

「13とは、またまた不吉な」

「そしてキャスト!シャイニング † ドロー!ライフを4回復し、2枚ドロー!アタックフェイズ!」

タイガはダガーを両手に持つと、センターのデウスを攻撃する。

「ソウルガード!」

「2回目!」

「ソウルガード!」

「3回目!」

「ドロップゾーンの魔法をデッキに戻し、キャスト!フェイカウ!攻撃を無効にして1ドロー!」

「4回目!」

「魔法図書館の効果で、ソウルのフェイカウ!をキャスト!」

4回の攻撃を終えると、反動でタイガは元の位置に戻る。そして1枚のカードを持った。

「ゲージ1払い、キャスト!シャイニング † リロード!デッキからシャイニング † ダガーをコストを払わずに装備する!さらに、このダガーはこのターン、貫通を得る!くらえ!」

 

シャイニング † リロード 魔法

属性:†

君の場に「シャイニング † ダガー」があるなら使える。

コスト:ゲージを1払う。

[対抗]デッキまたはドロップゾーンから「シャイニング † ダガー」1枚をコストを払わずに装備する。その後、デッキをシャッフルする。この効果で装備したアイテムはそのターン中、[貫通]を得る。

 

タイガの投げたダガーは、デウスを貫いて、私書に当たる。

 

私書のライフ 11→8

 

「どうしたよ、おじさん!バディがいなくても戦えること証明してやるよ!」

「この小僧が、ちょっとはやるじゃないか」

 

タイガ ライフ10 ゲージ1 手札2

私書 ライフ8 ゲージ1 手札3

 

・・・

 

「シャイニング † ダガーを4つ装備!」

 

その言葉に一人の女が図書館内のモニターを見る。

「あれは・・・私たちの・・・」

女は本をテーブルの上に置くと、屋上へ続くエレベーターの前に立った。

テーブルの上に置かれた本の名前、そこには

 

(ダガー)』の文字があった。



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究極大魔法 バッド・エンド・ストーリー

あらすじ
†モンスターの行方を探すために図書館に来た友牙とタイガ。
そしてタイガは本を落としたことで、度が過ぎるほどに怒られたガルバードのために、館長の私書とファイトすることになった。



私書のターン

 

「ドロー!チャージ&ドロー!」

私書は手札に来たカードをすぐに使う。

「キャスト、マジック・タイム!手札の魔法1枚を『魔法図書館』のソウルに入れて、2ゲージ、2ドロー!さらにアイテムの効果で1ゲージ追加。」

 

マジック・タイム 魔法

君の場に「王都-魔法図書館」があるなら使える。

コスト:君の手札から魔法を1枚、君の場の図書館のソウルに入れる。

・君のデッキの上から2枚をゲージに置き、カードを2枚引く。「マジック・タイム」は1ターンに一回だけ使える。

 

「さらにキャスト、魔法図書寄贈。デッキから『マジック・アンプ』を『魔法図書館』のソウルに入れて、1ドロー!そしてもう一度、アイテムの効果で1ゲージ追加。これで6枚目。」

さっきから私書は不気味な笑いを繰り返している。

タイガはそれを見て寒気がする。

「もう一度現れろ!我がバディ!デウス・エクス・マキナ!」

「我をもう一度呼ぶか、良かろう!」

もう一度センターに現れたデウスはもう一度、レフトとライトに魔法陣を投げる。

「さらにゲージ1払い、キャスト!ナイスワン!」

 

「あの私書とかいう男、何をやっているんだ?」

観客席でガルガは友牙の問う。

「どうしたガルガ?」

「いや、あの男はあの図書館のソウルから魔法を使っていない。そして何よりも無理矢理、あの図書館のソウルを貯めているように見える。」

「あまり考えすぎじゃないか?タイガなら大丈夫だって」

「だといいが・・・」

 

「キャスト!ネバー・セイ・ネバー!ゲージ2だけ追加!手札0枚ならドローできるんだが、残念だなぁ。しかし、これで図書館のソウルは8枚になった。行くぞ、アタックフェイズ!」

「マジカル!モーリィよ!我に続け!」

デウスは手のひらから光の弾を、センターのいないタイガに向かって撃ち込む。

「ダガーの効果でダメージを4減らす!」

しかしタイガはダガーの効果で光の弾を避ける。

「二回目だ、小僧!」

「もう一度ダガーの効果で回避!」

次もタイガは攻撃を避ける。

「やれ!モーリィ!マジカル!」

レフトとライトの魔法使い二人組は、ダガーの効果を気にせず攻撃する。一度はダガーの効果で避けるが、次の攻撃は避けられずに当たってしまう。

「しまった!」

 

タイガのライフ 10→8

 

「さぁ、私がなぜ、王都ー魔法図書館のソウルをこんなにも貯めていたのか教えてやろう!ファイナルフェイズ!相手のライフが私のライフ以上のときに発動できる必殺技!」

「何!」

「ななななんと!ここで必殺技宣言!」

「タイガ選手のライフは8、これを削れるでチュウ!?」

「ゲージ3と、王都ー魔法図書館とデウスのソウルを全て捨て!キャスト!究極大魔法 バッド・エンド・ストーリー!」

「物語の終わりに潜む、大きな闇に沈むがいい!」

タイガの目の前に黒い渦が現れ、その中からどす黒い色の大きな手が現れた。

「この必殺技のコストで捨てたソウルの枚数分のダメージだ、喰らえ!」

「魔法図書館のソウルが8、デウスのソウルが2・・・足すと10!」

 

究極大魔法 バッド・エンド・ストーリー 必殺技

属性:図書館

君の場に「王都ー魔法図書館」と「図書館」のモンスターが3体いて、相手のライフが君のライフ以上なら使える。

コスト:ゲージ3を払い、「王都-魔法図書館」のソウルを好きな枚数捨てる。

・このカードのコストで捨てたソウルの枚数分、相手にダメージ!

 

「タイガーッ!」

友牙の叫び空しく、闇の手がタイガを握りしめる。

「終わりだ!」

 

「キャスト!シャイニング † アブソーバー!」

 

しかし、タイガは諦めていなかった。

黒い大きな手は形崩れ、その中から光輝く三角形が出てきた。

「あれは!」

三つのダガーによって完成した三角形は、周りの闇を吸い、次第に大きくなっていく。

「このターン、俺が3枚以上ダガーを戻しているなら使うことのできるカード!次に受けるダメージを0に減らし、そのダメージを相手が受ける!」

 

シャイニング † アブソーバー 必殺技

属性:†

このターン、君の場から「シャイニング † ダガー」が3枚以上手札に戻しているなら使える。

コスト:手札の「シャイニング † ダガー」3枚を公開し、ライフを3払う。

[対抗]この効果で公開した「シャイニング † ダガー」全てをコストを払わずに装備する。そして次に受けるダメージを代わりに相手が受ける。

 

タイガの手のひらで浮く三角形はフリスビーのように飛んでいく。

「く、来るなぁーー!」

アブソーバーは私書の前で方向を変えると、ライフカウンターに刺さった。ライフカウンターは壊れ、0とだけ映し出される。

「ひぃぃぃ!」

タイガはセンターに立つと、ダガーを私書に向けた。

「さ、ガルバードに謝ってもらおうか?今も反省し続けてんだからよ」

私書は観客席のガルバードを見る。ガルバードは友牙の横で頭を下げていた。

「・・・悪かった、図書館はみんなの使う場所だ。みんなが笑顔で、時には感動して貰わないとな」

 

「うーん、これも書いてないか。」

タイガはファイトが終わってからも本を探し続けていた。友牙やガルガは、お腹が空いたのと文字の見すぎで眠くなっていた。

「もう帰ろうぜ・・・。また明日探そ」

「いや、今日だけでこの棚全ての本は読み終える!」

高い天井に届きそうな大きな本棚の本は下から読み尽くされ、すでにあと2段のところまで来ていた。

「†について・・・†について・・・」

 

「あの・・・」

 

後ろから一人の女性がタイガに話しかける。

「・・・何だ?」

ローブにフードを目深に被った女性はタイガが振り向いたのを見ると、フードを脱いだ。

「†について何かお探しですか?」

女性は輝くくらい綺麗な金髪に白い肌、目の下には†マークが刻まれていた。

「お、お前は・・・」

女性は光輝くと、来ていたローブが消え、白いワンピースと白い羽、手にはタイガの持っていたダガーと同じ形のダガーを持っていた。

 

「私は、光の使者 シャイニング † エンジェル。†属性のモンスターです。」

 



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†とミセリア

あらすじ
見事、私書のマジックワールドに勝利したタイガ。
ファイト後、タイガの前に現れたのは、滅んだと思われた†属性のモンスター「シャイニング † エンジェル」だった。


「私は光の使者 シャイニング † エンジェル。†属性のモンスターです。」

 

タイガはその言葉に本をテーブルの上に置く。

「本当なのか?」

「はい。」

タイガは一度は泣きそうになるが、涙をこらえて、デッキから「シャイニング † ダガー」のカードを見せた。

エンジェルは手に持っていたダガーをカードにかざす。

やがてカードとエンジェルは光出して、エンジェルはカードになった。

「本当だ・・・。ガルガ、俺の頬をつねってみろ!」

タイガはガルガに頼んだ。

「心得た!」

ガルガはおもいっきりタイガの頬をつねる。モンスターということもあってか、タイガの頬には2日くらい残りそうな跡が付いた。

「痛いって!・・・でも夢じゃないってことはわかった」

「夢じゃありませんよ、私も†の使い手に会うのを待ってました」

エンジェルはすぐにカードから出てきた。

「他に†のモンスターはいないのですか?」

「うん、お前しかいないよ。」

「エデン様も?」

「エデン?」

「はい。†属性の頂点に立つ、†属性の創成神 シャイニング † エデン様です。」

エンジェルは一冊の本をどこからか取り出すと、ある1ページを見せる。

見開きで、左には大きな悪魔、右側にはエンジェルや他の†属性のモンスターらしきモンスターが3体いて、真ん中には大きな光輝くモンスターの姿があった。

「この真ん中にいるのがエデン様。そして右側のモンスターがエデン様の使者である私達」

「他にも二人いるのか・・・この左側は?」

「これは私達がダンジョンワールドを守るため、最後に戦ったモンスター、ジャッジメント・ハート。私達はあの者を止めることはできませんでした。私は、ダンジョンワールドの角王であるミセリア様がカードにしてあの世界から離脱しましたが、他の方々はどうなったのかわかりません。ミセリア様ともあまり話しておりませんし・・・」

「色々と情報入ってきたな・・・」

「うむ。」

「モンスターが見つかったことが嬉しくて、内容全然入ってこなかった。」

タイガは頭を左右に振る。

「とりあえずエンジェル、おかえり」

「ただいま戻りました。†の使い手、虎堂 タイガ様」

「様って・・・タイガでいい。俺達はバディだからな!」

「いいんですか?私がタイガ様」

「ターイーガー!」

「・・・た、タイガのバディでも」

「あぁ。バディゾーンにはモンスターしか置けない。むしろお前しかいないんだ」

「タイガ・・・。わかりました!私はバディとしてあなたに尽くします」

「おう!」

「ただし、エデン様が来たらバディは譲ります」

「お、おう!」

 

・・・

 

「タイガ。ここはいったい?」

「俺の家だ!」

周りの家より少し大きな家。

その前にエンジェルは立っていた。

「今、父さんも母さんも仕事で外国に行ってるけど、おばあちゃんはいるから、大丈夫だよ」

タイガはドアを開ける。

「と、思ってたのか?」

そこにはタイガの父、ノボルが立っていた。ノボルはタイガの頭を掴む。

「なんだ?可愛い女連れて?彼女・・・て年ではなさそうだな・・・」

ノボルはマジマジとエンジェルを見る。

「はい、私はタイガのバディになりました、シャイニング † エンジェルといいます。」

「おぉ!タイガやったな!やっとバディが出来たのか!今日は寿司でも頼むか?」

「いいって・・・」

タイガはリビングに入ると、すぐにソファーに横になる。エンジェルは頭を下げて家に入り、タイガの寝転ぶソファの脇に立つ。

「それよりもさ、父さんはミセリアって知ってる?」

「・・・タイガ、どこでその名前を?」

ノボルはスマホをテーブルに置き、神妙な面持ちでタイガに問う。

「私を助けてくれた方なのですが」

タイガの代わりにエンジェルが答えた。

ノボルは向かいのソファーに座ると、テーブルの上に置かれたデッキケースから1枚のカードをタイガに見せた。

見せたカードは『流転の悲王 ミセリア』だった。

「以前まで、俺のデッキで切り札をしていたモンスターだ。しかし、それも4、5年以上前だ。とある大会でミセリアをコールしたとき、何も出てこなかった。俺はあのあと何度もコール宣言をしたが、ミセリアが姿を現すことはなかった。」

「そんな・・・」

「まだ死んだとは限らないが、可能性は0じゃない。」

「ダンジョンワールドでも見なくなったのぉ」

タイガの声が聞こえたのか、隣の部屋からノボルのバディであるエル・キホーテが現れた。

「また角王で集まって集会でもしてるのかと思っておったが、そんな話聞かないしのぉ・・・」

「ここ最近、こっちで絢爛朱雀ってスタードラゴンワールドの角王を見たという話は友達から聞いたぜ。」

「なぬ?タイガーボーイ、詳しく教えてくれ」

「いいけど・・・」

タイガはエル・キホーテに、友牙がバディポリスの本部でスタードラゴンワールドの角王と話したことを教える。

エル・キホーテはサングラスの下から真面目な目で話を聞いていた。

「ノボルよ、明日は暇かのぉ?」

「まぁ、今はオフだし、暇だな」

「角王に会いにバディポリス本部に乗り込むぞ」

「おう。・・・まぁ、タイガは疲れたろ、風呂入ってこい。それから飯にでもするか」

 

「はー、今日も色々とあったあった。」

タイガは風呂に入ると、思わず声を出してしまう。

「お背中流しましょうか、タイガ。」

エンジェルはそう言いながら、裸で風呂場に現れる。

「な、お前!」

タイガはすぐに壁の方へ視線を向ける。

「嫌、でしたか・・・?」

「嫌というかなんというかその・・・うん、あれだ。モンスターはどうだかわからないが、風呂ってのは男女別々で入るものだ!」

「では、私には関係ないですね。私は性別がありません、天使には子孫を残す意味がないので、性別という概念は」

「あー、わかった。入っていいが、タオルは巻いてこい!その、あれだ、それならいい」

「・・・わかりました。」

エンジェルはタオルを巻くと、もう一度風呂場に戻ってくる。そして、タイガの入るバスタブの横に立つ。

「な、なぁエンジェル。」

「なんでしょうか?」

「†のモンスターって他にもいるんだよな?」

「はい。今のところは私しか見つかってませんが」

「やっぱり図書館で話した、なんたらハートってヤツがモンスターを殺したとか?」

「わかりません。もしかしたらミセリア様によって助けられているかもしれませんし、もしかしたら・・・」

「そうか・・・」

二人はそのあとタイガがのぼせるまで黙っていた。

洗面所の前に立つノボルはその話を聞いて、今も声の聞こえないミセリアのカードを見た。

「タイガーボーイを見ていると、昔のお前を思い出すな。」

「タイガには、バディファイトを楽しく遊んでもらいたい。痛みや悲しみなく、ただただバディファイトを楽しんで貰いたいんだ。」

「それなら、ワシらがタイガーボーイの分、頑張らなければならないのぉ。日本の代表、ダンジョンワールドの代表としてな」

「そうだな。」

「今日は寿司と聞いたが、ワシも食べていいか?」

「はなからエルキホーテの分も取ってあるさ。」

「成長したな、タイガーボーイも」

「その呼び方はやめろって、もう大人なんだから」

 

・・・

 

「これがダンジョンワールドの滅んだ種族の書いてある本かー。」

「ちえり様、やっぱりこんな時間にこんな場所に入ったら、お父様にに怒られてしまいます。」

「いいの!ちえりは、みんなのために、ハート様のためにやってるんだからさ、ヒーローだよ!ヒーロー!」

夜の図書館、ちえりと呼ばれる女の子とそのバディモンスターはある書物を探していた。

「こら、こんな時間に何をやっている!」

私書がライトを持って図書館に入ってくる。

「夜遅くに物音がしたかと思えば・・・」

「このおじさん、誰?」

「私は魔法 私書!この図書館の館長を・・・って」

ちえりは私書の自己紹介を無視して、さらに本棚から本を投げるように取り出す。

「どうやら、これだけみたいですね。」

「ほんとー?まだあるかもよ、上の方とか」

「聞いてるのか!」

「もう、うるさいなぁ、みろわーる、アイツを倒して!」

「わかりました・・・ちえり様の命令は絶対!」

「な、何をする!やめろ・・・やめろーー!」

 

次の日、友牙とタイガは図書館の前に行ったが、図書館は閉まっていた。

バディポリスが図書館を囲み、中では捜査を行っていた。

「友牙君、タイガ君」

「タスク長官!」

二人に気づいたのか、奥からタスクがやってくる。

「大変だ、ダンジョンワールドが危ない」

「ダンジョンワールドが!?」

「何者かによって、図書館からダンジョンワールドのある書物が盗まれた。先日起こったエンシェントとスタードラゴンワールドの事件の前にもこのような事件が起きた。あくまで予測だが、これまでと同じ犯人グループの犯行かもしれない」

「友牙、ダンジョンワールドにいくぞ!」

タイガはタスクの話を聞いて身体を震わせると、友牙にそう提案する。

「エンジェル行けるか?」

「わかりました。友牙様も行きますよね?」

「あぁ、もちろん。ダンジョンワールドのためだ、ガルガも行くぞ!」

「仕方ないな、心得た!」

 



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ダンジョンワールドの世界の宝玉

あらすじ
†モンスターが見つかったことで喜ぶタイガ。そのモンスターである †エンジェルはミセリアに助けられたことをノボルやエル・キホーテに話す。

そしてダンジョンワールドには新たな危機が迫っていた。



ダンジョンワールド。

ここはゲームの中に入ったようなファンタジーな世界。

冒険者やモンスターが溢れ、冒険者はモンスターを倒してクエストをクリアする。

今も、ダンジョンに入ろうとする冒険者の少年二人と、モンスター2体がいた。

 

「なんだ、この服は?」

「豪に入れば郷に従えですよ、タイガ」

ゲームの職業でいうシーフのような格好をしたタイガと、僧侶の格好をしたエンジェル。

「おーい、タイガー!」

そこに剣と盾を持つ、勇者のような格好をした友牙と、

「待て、友牙!我はこれで良いのか?」

ファイト時のいつものガルガがいた。

「ここがダンジョンワールドか。で、今から俺達はクエストを達成するために、このダンジョンに入ると」

「タスク長官の話によると、ここがダンジョンワールドの核があるダンジョンだという。」

「行くぞー!」

タイガと友牙とエンジェルはダンジョンに入るが、ガルガだけは入れずに入り口の前で止まる。

「は、入れぬ。」

「小さくなればいいじゃん」

「それがなれないのだ!これでは、友牙の力になれんぞ!」

ガルガは無理矢理入ろうとするが、いつもの鎧が引っ掛かってしまい、動けなくなってしまう。

「すまない、先に行ってくれ。後で向かう」

「わ、わかった。」

 

「あのー、あなたたちもこのダンジョンに用があるのですか?」

 

ダンジョン入ってすぐのところで、一人の女の子に話し掛けられる。

薄いピンク色のツインテールとさくらんぼの飾りが付いたヘアゴムが特徴の女の子。手には弓矢を持っている。

その女の子の横には教会のシスターのような女性が立っていた。

「あぁ、ちょっと用があってな。」

「今、ダンジョンワールドが何者かの支配されそうになっている。それを食い止めるために、俺達はここに来た。」

「へー、そうなんですか。ちえりも付いていってもいいですか?あ、私は佐藤 ちえりっていいます」

「いいよ。俺、未門友牙。こっちは」

「虎堂 タイガだ。よろしくな!」

「よろしくお願いします、友牙さん、タイガさん!・・・あ、こっちは」

「私はみろわーると申します。ちえり様のメイドをしております」

「メイドさんか、よろしくな!」

友牙とちえりとみろわーるは先へ進む。タイガも付いていこうと足を踏み出すと、エンジェルに腕を掴まれて止められた。

「待ってください、タイガ」

「なんだ?」

「あの二人、怪しくありませんか?人間がこの世界にいることといい、あのメイドといい・・・」

「エンジェル、天使やモンスターの世界がどうだか、わからないけど、あまり人を疑ってかかるようなことはしちゃダメだ。」

「ですが・・・」

「さぁ、俺たちも行こうぜ。」

「あ、待ってください!・・・みろわーる、どこかで聞いたような・・・」

 

ダンジョンのなかは危険で、モンスターや罠が多く、険しい道になっていた。

そして友牙達は、最下層の宝の部屋の前に着いた。

「ここが、宝の部屋?」

「・・・開けますよ」

みろわーるが宝の部屋の扉を開ける。

その先には何もない開けた空間に、一本の柱とその中心で浮く、白く輝く宝石があった。

「これがお宝か・・・」

「案外、小さいもんだな。もっと金貨や宝石がたくさんーみたいなのを考えてたが」

 

「・・・思い出しました。」

 

エンジェルは宝石の前に立つ。

「みろわーるさん、あなた、ダンジョンワールドのモンスターですよね?」

エンジェルはみろわーるを指差して、そう言い放った。

「クイーンスイートシスター みろわーる。それがあなたの名前です!」

「エンジェル、まだこの人を疑って」

みろわーるはエンジェルに近づくと、どこからか出した拳銃でエンジェルの頬を殴る。

「きゃあ!」

「エンジェル!・・・お前!」

「そうだよ。みろわーるは、ちえりのメイドであり、バディモンスターである。」

二人の後ろから、ちえりが前に出て、みろわーるの横に立つ。そして台座に浮いている宝石を掴みとった。

「ちえりはハート様の僕!ハート様復活のために、世界の宝玉を奪いに来た!ごめんねー、みんな。」

ちえりはみろわーるに抱えられると、ダンジョンから逃げようとする。

「逃がしません!」

しかし、間一髪のところ、エンジェルがみろわーるの身体を掴み、ちえりを落とした。

「痛たた・・・なにするの!」

「宝玉は渡しません!タイガ!」

「バディファイトだ!ちえり!」

タイガはデッキを出す。

「ファイト?ちえりに勝てると思ってるの?みろわーる!」

「はい!」

みろわーるはバッグの中から、デッキとバディファイト・バーチャル・システムの筒を取り出す。

「そっち側に立ちなさい!」

タイガはちえりの言うとおりに立つ。二人が立つと、その場にバーチャル空間が作られた。

 

・・・

 

その頃のバディポリス本部。

その中でもモンスターの保護を行うチームの医務室。

「おや、君は・・・」

「お久しぶりですなぁ、ヴァリアブル・コード様」

エル・キホーテは絢爛朱雀のいるという話の部屋に入ると、すぐに絢爛朱雀を見つけた。

「もう4、5年は会ってなかったかな。・・・で、今日は何の話で?」

「ダンジョンワールドの角王であるミセリア様の行方を知っているかのぉ?」

「彼か。うーん、そうだなぁ」

「何か知っておるのか?」

絢爛朱雀は扇子の先を額に付け、何かを考えると、何かを思い出したのか扇子の先を額からエル・キホーテへと向けた。

「彼は5年前に起きたダンジョンワールドでの小さな戦争以来見てないねぇ。角王内の風の噂によると、とあるダンジョンに封印されたとかなんとか」

「それは本当か?」

「噂だから断定することはできないよ。・・・今、君の主の息子がダンジョンワールドに行ってるから、一緒に探してみてはどうだい?私が知ってるのはここまでだ、今スタードラゴンワールドが大変なことになってるから、他のワールドどころじゃないんだよね。僕は」

「なぬ!?今すぐ向かわねば」

「そして龍炎寺 タスクの話によると、ダンジョンワールドに不審者が入ったとか聞いたから、気を付けた方がいい。」

 

話を終えて、医務室からエル・キホーテ。ノボルは外でお茶の入ったペットボトルを持って待っていた。

「どうだった?ヴァリアブルコードは」

ノボルはエル・キホーテにペットボトルを渡す。

「大変じゃよ、ノボル。」

「ん、どうした?」

「タイガーボーイがダンジョンワールドに行ったと話を聞いた、今すぐ向かうぞ、ノボルよ。」

「おい、待てって」

 

・・・

 

「バディゾーンにモンスターがいるってのは、こんなに安心できることなのか・・・」

「タイガのために、私は戦う!」

「ちえりは待っている。早くやろ」

「ちえり様、あまり相手を急かしてはいけません。準備というものがあるのです。」

「いくぞ!」

 

13枚の光の翼!今、解き放たれる!ルミナイズ!シャイニング・クロス!

 

甘い香りで相手をメロメロ!ルミナイズ!スイート・ガールズ!

 

『オープン・ザ・フラッグ!』

 

『ダンジョンワールド!』

「お前もダンジョンワールド使いなのか!?」

「ちえりはダンジョンワールド使い!あなたこそ、ダンジョンワールド使いなんだね、バディはクイーンスイートシスター みろわーる!」

「バディは光の使者 シャイニング † エンジェル!」

さっきまでの僧侶の姿から一変、完全な天使の姿になる。

 

「さぁ、タイガ。私達の力を見せましょう」

「ちえり様、いきますよ」



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ダンジョンワールド対決!天使(エンジェル)vs修道女(シスター)

あらすじ
ダンジョンワールドの危機を知り、タイガと友牙はバディモンスターと共にダンジョンワールドにやってくる。

そこであった一人の少女、佐藤 ちえり。最初は二人の仲間のようだったが、世界の宝玉を盗むことを企む敵だった。


ちえりのターン

 

「ちえりのターン、ドロー!チャージ&ドロー!・・・まずはスイートシスター ここあをレフトにコール!」

その名の通り、修道女(シスター)姿の女の子が現れる。しかし、

「ねぇ?爆発してみる?」

性格は思ったより、狂気的で手には手榴弾を持っていた。

「ここあの効果、手札を1枚捨てて、デッキから『スイートシスター』を持ってくる。ちえりが持ってくるのは、『クイーンスイートシスター みろわーる』。そしてデッキの上から1枚を見て・・・ゲージに。」

 

スイートシスター ここあ

属性:スイートシスター

サイズ1 6000/1/5000

・このカードが登場したとき、手札1枚を捨ててよい。捨てたなら、デッキから「スイートシスター」のモンスター一枚を手札に加える。その後、デッキをシャッフルし、デッキの上から1枚を見てゲージに置くか、デッキの上に置く。

 

「そしてセンターにゲージ2を払い、バディコール!クイーンスイートシスター みろわーる!バディギフトで回復。」

バディゾーンから飛んでセンターに現れたみろわーるは、腰に付けていた機械のような剣と銃を取り出す。

「私にお任せを。」

「みろわーるは、ちえりの手札の枚数によって攻撃力と打撃力を増える能力を持ってる!」

「我らスイートシスターの力を見せましょう、ちえり様」

 

クイーンスイートシスター みろわーる

属性:スイートシスター

サイズ1 9000/2/6000

ソウルガード 2回攻撃 貫通

コスト:ゲージ2を払い、デッキの上から1枚をソウルに入れる。

・このカードがセンターにいるなら、君の場の「スイートシスター」の攻撃は無効化されない。

・君の場の「スイートシスター」全ての攻撃力は手札1枚につき+1000、打撃力は手札3枚につき+1。

・君の場の「スイートシスター」が相手のモンスターを攻撃で破壊したときか、相手にダメージを与えたとき、君はデッキからカードを1枚引いてもよい。

 

「さらにデッキの上から1枚をソウルに入れ、ライトにスイートシスター しょこらをコール!」

今度はガトリングを持ったシスターが現れる。みろわーるやここあと比べ、少し震えている。

「う、撃ちますよ・・・」

 

スイートシスター しょこら

属性:スイートシスター

サイズ1 5000/1/5000

ソウルガード 反撃

コスト:デッキの上から1枚をソウルに入れる。

・相手のカードが攻撃したとき、君の場に他の「スイートシスター」があるなら、その攻撃対象をこのカードに変更する。

[対抗]:コスト:君の手札1枚を君の場の「スイートシスター」のモンスターのソウルに入れる ことで君のライフ+2。この効果は1ターンに一度だけ使える。

 

「しょこらの効果で手札を1枚をみろわーるのソウルに入れて、ちえりのライフ+2。そしてそのライフ2を払って、キャスト、修道女達のティー・タイム!効果でちえりの場のスイートシスターの枚数分ゲージ1、1枚ドロー!そして装備、スイート・アロー!」

 

修道女(シスター)達のティー・タイム

属性:スイートシスター/ドロー/チャージ

君の場に「スイートシスター」があるなら使える。「スイートシスター・タイム」は1ターンに一度だけ使える。

コスト:ライフを2払う。

・君の場の「スイートシスター」のモンスター1体につき、デッキの上からゲージに1枚置き、カードを1枚引く。

 

スイート・アロー アイテム

属性:スイートシスター

5000/1

ソウルガード

コスト:ゲージ1を払い、ドロップゾーンの「スイートシスター」2枚までをソウルに入れる。

・君の場の「スイートシスター」は相手の効果で破壊されず、効果を無効化されない。

・このカードは君のセンターに「スイートシスター」がいても攻撃できる。

・このカードが攻撃したとき、君の場の「スイートシスター」1体の攻撃力+5000

[対抗]デッキの上から5枚を見て、好きな順番でデッキの上に置く。この効果は1ターンに一度だけ使える。

 

「そして早速スイート・アローの効果発動!デッキの上から5枚を見て、好きな順番に戻す。」

「見て入れ換えるだけの効果?」

「いや、次に引きたいカードを上に持ってきたのかと思います。みろわーるは・・・」

みろわーるはちえりのセンターから、タイガの目の前に飛ぶと、拳銃をタイガに撃ち込む。

「ダメージを与えたので1ドロー。」

「ダメージを与えるとドローする効果を持ってます。」

 

タイガのライフ 10→6

 

ちえり ライフ11 ゲージ4 手札7

 

タイガのターン

 

「俺のターン、ドロー!チャージ&ドロー!早速見せるか・・・」

「ちえり様、気を付けてください」

ちえりはみろわーるの言葉に唾を飲み込む。

「ライフ4を払い、4枚のシャイニング † ダガーを装備!」

 

タイガのライフ 6→2

 

タイガの周りには四つのダガーが現れ、タイガはそれを全て手に掴む。

「そして、俺の新たな仲間!光の使者 シャイニング † エンジェルをライトにバディコール!」

タイガの横からエンジェルは消え、タイガのライトに光の柱ができる。そこからエンジェルは現れた。

「エンジェル、初陣!」

 

タイガのライフ2→3

 

「タイガに†の施しを・・・」

「エンジェルの効果!デッキの上からアイテムの枚数分ゲージに置き、カードの引く!」

「そっちもそんな効果を・・・」

 

光の使者 シャイニング † エンジェル

モンスター 属性:†天国

サイズ0

5000/2/1000

・"†の施し"君の場に他の「†」があるなら、君の装備しているアイテム1枚につき、ゲージを1枚置き、カードを1枚引く。「†の施し」は1ターンに一度だけ使える。

[対抗]コスト:このカードを手札に戻す。

相手のターン中、相手モンスターが攻撃したとき、コストを払ってもよい。払ったら、その攻撃を無効にし、手札から「シャイニング † ダガー」1枚までを装備コストを払わずに装備する。

 

「ありがとう、エンジェル!」

「タイガに†の御加護を・・・。」

「そしてキャスト!シャイニング † ドロー!俺の場のダガー2つにつき、俺のライフ+2、1ドロー!」

 

タイガのライフ 3→7 手札7枚

 

「そしてライフ2を払い、ダガー2つを装備!」

「6つ!?デッキに入れられる枚数って4枚までじゃ!」

「ちえり様、あのダガー、効果で13枚入れられると書いてあります。」

「なにそれ!チートじゃん!」

「何と言われようと、反撃だ!アタックフェイズ!」

「・・・の開始時!ちえりの手札にいるスイート・シスター3枚をデッキの上に置いてキャスト!甘い誘惑!これで、ダガー3枚をレスト!」

 

甘い誘惑(スイート・チャーム)

属性:スイートシスター

・君の場に「スイートシスター」があるなら使える。

コスト:ゲージ1を払い、手札の「スイートシスター」のモンスターを好きな数、デッキの上に置く。

[対抗]このカードのコストでデッキの上に置いたカードの枚数、相手の場のカードをレストする。

 

 

タイガの装備したダガー3つが、シスター3人の影によって取り上げられた。

「ッ!・・・まだ、3つ残ってる!まずはそのしょこらからだ!」

タイガはダガーを持つと、しょこらに向かって走り出す。

しょこらは重いガトリングを乱射するが、弾の雨を避け、しょこらを切る。

「ソウルガード!」

「エンジェル!」

「くらいなさい、† レイ!」

エンジェルのダガーの先端から細いレーザーが出る。それはしょこらの盾にしたガトリングを貫き、しょこらを破壊した。

「ちえり様、頑張ってくださ・・・い!」

「しょこら!」

「次はセンターだ!」

「私は敗北しない!」

タイガはみろわーるの剣を避け、みろわーるを切る。

「ソウルガード!」

「もう一度だ!」

「ソウルガード!」

タイガは一度、センターに戻り、魔法をキャストする!

「ゲージ1払い、キャスト!シャイニング † リロード!デッキからダガーを装備し、貫通を得る!」

タイガは新たなダガーを手に持つと、センターからみろわーるに飛び込むように切りかかる。

「キャスト!スイート・バリア!攻撃を無効にして、そのカードの打撃力分、相手にダメージ!」

しかし、みろわーるの前に現れたハート型の盾によって、タイガは跳ね返され、ハートからピンク色のビームが出る。

 

スイート・バリア

属性: スイートシスター

・相手のターンの攻撃中、君の場に「スイートシスター」があるなら使える。

[対抗]攻撃を無効にし、攻撃したカードの打撃力分、相手にダメージ。

 

「ダガーの効果で手札に戻し、ダメージを減らす!」

タイガは辛うじてビームを透過させた。

「・・・ライフ削れずか。」

「ちえり様、ケガはないですか?」

「みろわーる達が守ってくれたからないよ!ありがとう!」

「あと、アイテムの効果を忘れないように」

「わ、わかってる!スイート・アローの効果で、デッキの上から5枚を見て、好きな順番に!」

ちえりは5枚を見て、『甘い誘惑』で上に置いた3枚中、1枚を上、残り2枚が下になるように置く。

「ターン終了だ!」

 

・・・

 

「待っておれ、タイガーボーイ!」

ゲートを抜けたエル・キホーテとノボル。

「ここは・・・」

「どこかのダンジョンに出たようじゃの。ワシも歳じゃ、正確な場所にはゲート作れん・・・よ」

二人の立つその先、ダンジョンで待っていたのは、

 

氷像となり、赤い鎖と大きな鍵によって封印されたミセリアと、その氷像の心臓部に浮かぶ大きな十字架の書かれた一枚のカードだった。



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甘い弾丸!デッキトップの恐怖!

あらすじ
ダンジョンワールドの脅威に、友牙とタイガはバディモンスターと共にダンジョンワールドへ向かう。
そこであった佐藤 ちえりは、ダンジョンワールドの世界の宝玉を奪いにダンジョンワールドに来ていた。
タイガはちえりの企みを知るとファイトを申し込む。


タイガ ライフ5 ゲージ6 手札5

ちえり ライフ11 ゲージ3 手札2

 

ちえりのターン

 

「ちえりのターン、ドロー!チャージ&ドロー!ゲージ1とライフ1を払い、スイートシスター ふろまーじゅをライトにコール!効果で、ちえりの場にスイートシスターが3体いるから2ドロー!」

 

スイートシスター ふろまーじゅ

属性:スイートシスター

サイズ1 7000/2/5000

2回攻撃

コスト:ゲージを1、ライフを1払う。

・このカードが登場したとき、君の場の「スイートシスター」のモンスターが3体いるなら、君はデッキからカードを2枚引く。

・このカードが攻撃したとき、君の場の「スイートシスター」のモンスター全てに「このカードが相手モンスターを破壊したときか、相手にダメージを与えたとき、君はカードを1枚引く。」を得る。「スイートシスター ふろまーじゅ」の効果は重複しない。

 

「次に見習いスイートシスター わっふるをレフトにコール!」

「頑張りますー!」

 

見習いスイートシスター わっふる

属性:スイートシスター

サイズ0 5000/1/1000

[対抗]甘い弾丸:君の場のこのカードをドロップゾーンに置いてよい。そうした場合、デッキの上から2枚を公開し、その中から「スイートシスター」のモンスターを1体コールコストを払ってコールする。その後、残りのカードをドロップゾーンに置く。「甘い弾丸」は1ターンに一度だけ使える。

 

「いきますよ!ちえり様のために!」

「はい!」「わかりましたー」

「みんな、アタックフェイズ!まずは、ふろまーじゅから!あの天使を倒して!」

「私の効果で、シスター達に効果を付与!くらえ!」

「エンジェルの効果!手札に戻して、攻撃を無効!そして手札からダガーを装備!」

「2回攻撃!」

「ダガー1枚を手札に戻して、無効!」

タイガはふろまーじゅの攻撃を避ける。ふろまーじゅはタイガの前から後ろに大きく跳ぶ。

「わっふる!」

ふろまーじゅのスカートの影から現れたわっふるは、既にタイガに銃口を向けていた。

「わかりましたー!えいっ!」

「ダガー効果!」

銃口から放たれた弾丸はダガー効果終了後を狙うが、次のダガーの効果でもう一度、攻撃を無効化した。

「みろわーるも続いて!」

「わかりました。」

みろわーるは正々堂々と、タイガに剣で攻撃する。

タイガはこれまでと同様、ダガーで無効にした。そしてみろわーるの二回目の攻撃もダガー効果で確実に避けていく。

「いっけー!スイート・アロー!」

「この矢を避ければ、攻撃は・・・終わる!」

タイガはそう言い、矢も避けきった。

「スイートアローの効果で5枚見て、わっふるの効果!」

「援軍の甘い弾丸!」

わっふるはちえりに向けて銃弾を撃つ。

「味方に向けて撃った!?」

「タイガ、あれを見てください!」

わっふるはちえりにではなく、ちえりのデッキに向けて撃っていた。

ちえりのデッキの上から捲られた2枚のカードの1枚を、わっふるはさらにもう一度撃ち込む。

「わっふるの効果、わっふるをドロップゾーンに置くことで、デッキの上から2枚を見て、1枚をコールする!私が選ぶのは、しゅとれん!」

「ちえり様、私をお使いください!」

「わかった!みろわーるに重ねてコール!クイーンスイートシスター しゅとれん!」

みろわーるは光に包まれ、その中から大きな砲台を両肩に背負い、両手にガトリングガンを持ったシスターが現れた。

 

クイーンスイートシスター しゅとれん

属性:スイートシスター

サイズ3 11000/2/8000

ソウルガード 貫通 反撃

コスト:君の場の攻撃力10000以上の「スイートシスター」のモンスターに重ね、ゲージ2を払う。

・このカードがセンターにいるなら、君の場の他の「スイートシスター」全てのサイズは1減り、攻撃力+3000。

・このカードが攻撃したとき、デッキの上から3枚を公開し、その中のサイズ1の「スイートシスター」1枚につき、そのバトル中このカードの攻撃力+5000、打撃力+1。この効果で公開したカードはデッキの下に好きな順番で置く。この効果で公開した3枚が全て「スイートシスター」のモンスターなら、このカードが攻撃で相手に与えるダメージは減らない。

 

「さぁ、ちえり!誰を撃てばいい!」

「狙いはあの人!」

ちえりはタイガを指差す。

「しゅとれん効果!ちえりのデッキの上、3枚を見せる!そのなかのサイズ1のスイートシスター1枚につき、しゅとれんの攻撃力は5000、打撃力は1追加!」

「さらに3枚捲れれば、ダメージは減らない!さぁ、見せてやりな、ちえり!」

ちえりは3枚のカードを捲る。

「まさか、さっきからデッキの上を見ていた理由って・・・」

「もちろん、このためよ!」

3枚のカードは全て、サイズ1のスイートシスターだった。

「これで終わり・・・!」

タイガの手札は10枚近くあったが、そのほとんどがダガーで、残りはエンジェルと、ダガーをデッキから持ってくるカードだった。

「すまない、エンジェル、友牙・・・」

「スイートフル・バースト!」

「タイガーーー!」

撃たれた砲弾は雨のようになり、タイガに降り注ぐ。

 

タイガのライフ 5→0

 

タイガのライフは0になり、倒れたタイガの元にエンジェルが現れ、体を揺らす。

タイガは気絶し、意識が戻ったのはダンジョンワールドから帰還した次の日だった。

 

・・・

 

タイガがちえりに敗北したとき、

「なんじゃ、この爆音は!」

ダンジョン内に、しゅとれんの撃った砲弾による爆音が響き渡っていた。

この爆音をノボルとエルキホーテも聞いていた。

爆音は振動になり、ミセリアの氷像を揺らす。

「やばい!エルキホーテ!」

氷像はエルキホーテの方へと倒れてくる。ノボルはエルキホーテに飛び付いて、エルキホーテの身を守る。

「ケガはないか?」

「ワシよりも、あれを見ろ!」

ミセリアの氷像は割れ、その中にあったカードは外へ出ていた。

ノボルはそれを手に取る。

「これは・・・」

裏面は普通のカードだが、表面は十字架のマークしか書かれていないほとんど白紙のカードだった。

「グッ・・・」

「どうした!?・・・やっぱりケガを!」

「違う、力が出ないんじゃ・・・」

ノボルが手を離すと、エルキホーテは一人で立っていられないのか、杖をつくことさえもできずにその場に膝をつく。

「カードに戻れば帰れる!」

「それではお前さんが帰れなくなるじゃろ!」

「そのときはなんとかするさ。俺だって成長したんだ」

「ノボルよ!」

ノボルはエルキホーテをカードに戻し、その部屋から出た。

 

・・・

 

「やっとダンジョンワールドの宝ゲット!」

ちえりはダンジョンワールドの世界の宝玉を手に入れ、おおはしゃぎする。

エンジェルは気絶したタイガを抱きかかえ、二人を睨むことしかできなかった。

「お見事でございます。しかし、このままではこのダンジョンは崩壊し、私たちは生き埋めにされてしまいます」

「それもそうね、ちえり満足!みろわーるゲート作って帰りましょ!」

「一度、このダンジョンから出なければ、この世界から出ることはできません。出たら、バディポリスに捕まってしまいます。」

「じゃあどうすればいいの!」

ちえりは地団駄を踏み、みろわーるを指差す。

 

「困っているなら力を貸すよ」

 

声と共に吹雪のような雪混じりの冷たい風がダンジョン内を通る。

いつの間にか、ちえりとみろわーるの後ろには水色の髪をした男の子が立っていた。

「あなたは!」

男の子は不思議な力でゲートを作ると、ちえりの手から世界の宝玉を取り返し、ゲートに押し込む。

「その代わり、これは返してもらうよ」

「あー!ちえりのお宝がー!」

「ちえり様!」

みろわーるもちえりを追うようにゲートに入った。

「君たちもこのゲートで帰るといい。僕の作ったゲートならバディポリスに怒られることはないよ」

「君は・・・」

 

「僕はミセリア。君のお父さんの友達さ。」

 




その頃、ダンジョンワールドの外では・・・
「ボスだ!このダンジョンのボスが外に出てきてるぞー!」
「我は違う!我はガルガンチュア・ドラゴン!未門 友牙のバディモンスターだ!」
「ドラゴン!?ひぃぃぃ!やっぱりダンジョンのボスキャラじゃないか!」
「違うと言ってるではないか!友牙!助けてくれぇぇぇ!」

その後、ガルガは見事ダンジョンから脱出したノボルとエルキホーテと共にダンジョンワールドから帰ってきた。一週間は友牙と口を聞かなかったという。


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新しい先生、新しい敵

あらすじ
ダンジョンワールドにて、ダンジョンワールドを守るためにやってきたタイガと、ダンジョンワールドの世界の宝玉を奪うためにやってきたちえりがファイトし、タイガは敗北し、一度は宝玉を盗まれたと思われた。しかし、ダンジョンワールドの角王であるミセリアによって、宝玉を取り返すことに成功する。

しかし、それによって新たな問題が発生した。


登校途中・・・ 

友牙とタイガは学校は違うが、家が近いため、朝に登校中に話す機会があった。

ダンジョンワールドでの一件があって一週間後、ガルガと仲直りした友牙は、タイガと現在のダンジョンワールドについて話していた。

現在のダンジョンワールドは世界の宝玉がさらにダンジョンの深くに保管され、大半の者がそこに行くには不可能となったという。

「まぁ、あんなお宝があるダンジョンにしては簡単だったからなー!」

「タイガ、震えてますよ」

「でも、あのダンジョン内でそんなことが行われているとはな。我も着いていきたかったものだ。なぁ?友牙よ」

「お、おう、そうだな。」

「友牙さんも震えてますよ、二人とも風邪でしょうか・・・」

「それじゃ、またキャッスルでな!」

 

「みんな、ビッグニュースだ!」

相棒学園のとあるクラスに一つのニュースが流れ込んだ。

「なんだなんだ!」

「今日、新しい先生が来るって!しかも、バディファイト専門の!」

「どんな人だろうな。手合わせできるだろうか」

「時間あったらファイトしてみようぜ!」

ニュースをばら蒔いた生徒のすぐ後に先生が教室に入ってくる。その先生の後ろには水色の髪の中性顔の男性が入ってきた。

「今さっき、彼が言った通り、今日から一ヶ月間、この教室でバディファイトについて教えてくれる先生、氷竜 キリ先生だ。みんな、仲良くな!」

「氷竜 キリです。今日から一ヶ月間、君たちにバディファイトの楽しさを教えられるといいなと思ってます。よろしくお願いします。」

「さぁ、今日の一時間目は授業を変更して、氷竜先生のバディファイトの授業だ」

 

「うむ、あの男、なかなかのやり手だったな。」

「まさか負けるとは思わなかった・・・」

「今日もキャッスルで修行だな、友牙行くぞ!」

「おう!・・・てあそこいるのって、」

友牙の前に現れたのは、下校中のサクラだった。

「サクラー!」

「未門 友牙、どうした?」

「これからキャッスル行くんだ!一緒に行こうぜ!」

「すまない、今日はちょっと用事があって・・・。次こそは行こう!」

「そうか、こっちこそごめんな!じゃあなー!」

友牙はサクラに大きく手を振る。

サクラは小さく手を振り、次の曲がり角に消えていった。

「残念だな、もう一度、サクラとは手合わせしたいものだ」

「サクラだって都合ってものがあるんだ、仕方ないさ。行こうぜ!ガルガ!」

 

・・・

 

友牙がキャッスルへと向かっているその頃、バディポリス本部では・・・

「何!氷竜 キリだと!」

黒渦 ライトと龍炎寺 タスクが、監視カメラの映像を見ていた。

そこには氷竜 キリの姿があった。

「氷竜 キリ。確かダンジョンワールドの角王である、ミセリアがこの世界で使ってた名前・・・ですよね?」

「あぁ・・・しかし、この数年間姿を消していたミセリアがどうして今この世界に?」

「今、ゲイルが彼を見張っています。彼は今、カードショップのキャッスルに向かっています。」

「バディポリスに連れてくることはできないか?」

 

「今は一人でも角王を集めることが必要だ・・・」

 

・・・

 

「やぁ、友牙君。」

友牙がキャッスルに着くと、キリが待っていた。

「お、友牙!この人強いんだ!・・・って知り合いなんですか!」

キリの隣にはタイガが立っていた。数分前にタイガもキリとファイトしていた。

タイガもキリに負けていた。

「だよな!キリ先生!もう一度ファイトしようぜ!」

「いいよ、何度でもかかってきて」

キリはコアデッキケースを用意する。

 

「見つけましたよ、ミセリア」

 

キリは声の方向を向く。

そこにいたのはタスクと絢爛朱雀だった。

「あなたは・・・」

「ミセリアってあの?」

タイガはキリの顔を見る。

キリの顔は強ばり、絢爛朱雀を睨んでいた。

「ここ数年間、角王の集会にも顔を見せず、エルキホーテやノボルさんの前にも現れなかったみたいですね。どこにいってたのですか?」

「それは・・・」

「ミセリア、このあと時間はありますか?」

「わかった、話すよ。」

キリは下に駐車されたパトカーに、タスクと絢爛朱雀と共に乗る。

「あの、俺たちは・・・」

「君たちには悪いが、この話は」

「君たちも来ていいですよ、一緒に話をしましょう」

「絢爛朱雀!?」

助手席に座る絢爛朱雀は、後ろに友牙とタイガを乗せることを許可した。

「あ、ありがとうございます!」

友牙とタイガは頭を下げると、後ろに乗り込んだ。

「何をしているんだ、彼らを巻き込むことは」

「あなたも、この頃ヤミゲドウと戦ったじゃないですか。」

「しかし」

「それに、彼らはすでにこの事件の関係者です。もう遅いですよ」

「ッ・・・」

タスクは三人を乗せると、パトカーを発進させた。

 

バディポリス本部に着いた五人は、会議室に入った。

五人は各々好きな場所に座る。

「で、ミセリア。話してもらえるかい?

「・・・話します」

 

僕はミセリア。ダンジョンワールドの角王だ。

僕はあるモンスターと共にここ最近まで封印されていた。しかし、一週間前に発生したダンジョン内での大きな爆発により、僕の封印は解除された。

封印は解除されたが、僕の心や記憶と体は分裂し、ミセリアの心はダンジョンワールドに残り、体はこの世界に辿り着いた。

この世界に辿り着いた僕は、相棒学園に向かい、理事長に頼んで、学園のバディファイト専門の非常勤講師という扱いで、置いてもらうことにした。

 

「あるモンスターとは?」

「・・・光の加護 シャイニング † エデン。」

「エデン!?」

「†属性のモンスター・・・?」

ミセリアの口から放たれた名前に、タイガと友牙は驚きを隠せなかった。

「知っているのか?」

「知ってるも何も、俺たちは†属性のモンスターを探してたんです」

タイガのデッキケースが光り、エンジェルが飛び出てくる。

「そうです。私は†属性のモンスターを・・・てミセリア様!?」

「君は?」

「私は† エンジェルです!ミセリア様に助けてもらった†属性のモンスターです!」

「ごめん、今記憶が曖昧で・・・」

「あ・・・そうですよね、ごめんなさい」

「謝ることはないよ」

気まずい雰囲気に絢爛朱雀は咳払いをする。

「・・・感動の再会は今は置いておいて。ミセリア、君の心と記憶はダンジョンワールドにあるといいましたね・・・」

「まさか・・・今のダンジョンワールドに向かうのか!?無茶すぎる!」

「この面々を見て、あなたは無茶だというのですか?ヤミゲドウから世界を救った男。そしてその仲間の一人の息子と私たち角王全てを使うだけの力を持つ男の息子。血を引くものとして、彼らにもその力は必ずあるでしょう。そして私、スタードラゴンワールドの角王がいるのです!これで、何か問題でもあるというのですか?」

「・・・今のミセリアは」

「ん?」

 

今のミセリアはこれまでのミセリアとは違う。新たなワールドを作り出すくらいの力を持っている。

 

・・・

 

一方その頃、ダークネスドラゴンワールドでは・・・

「うわぁぁぁ!」

「ライト!・・・ッ!」

とあるファイトに決着が付いたところだった。

ライトは血まみれになり、地面に這いつくばる。ゲイルもライトと同じく、体に装備した鎧の一部は砕け、傷口から血が出て赤く染まった肌が見えていた。

『WINNER、デスサイズ!』

ライトに勝った男は、倒れたライトのところへ向かうと、持っていた大鎌を向けた。

その鎌の刃は真っ黒で、うっすらと血が見える。

「そんな・・・なんでファイト中に実際にダメージが」

「この世界には、カードの力を現実で使うことができる力がある・・・。覚えておくべきだ」

「ッ・・・クソ・・・」

「ダークネスドラゴンワールド使い同士、仲良くなれると思ったが、目的が違うなら仕方ない」

男は鎌に付いた血を払うと、洞窟の中に消えていった。

 

その後、力を失い、衰弱したダークネスドラゴンワールドのモンスターが数多く見られ、バディポリスにダークネスドラゴンワールドの世界の宝玉が盗まれたという情報と、カードの力を現実で使うことのできる力があるという情報が流れた。

 



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創世。ミセリアの怒り

あらすじ
友牙の通う学校に赴任してきたバディファイトの教師、氷竜キリ。学校に来て早々、彼が角王のミセリアだということが龍炎寺 タスクと絢爛朱雀にバレる。
ミセリアは現在のダンジョンワールドの状況を全て話す。


とある建物にて・・・

「グレムリンJr.。さすがだな」

「その名前で呼ぶな。俺は大盛 鬼一(きいち)、ファイトネーム、デスサイズだ。」

デスサイズはある男にダークネスドラゴンワールドの世界の宝玉を渡す。 

「ダンジョンに行った佐藤は失敗し、カタナとデンジャーは現在調査中。他のワールドは行く人すらいない。今のところ回収したのは、スタードラゴン、ダークネスドラゴン、マジックか」

「ヒーローはどうする?俺が行こうか?」

「いや、この竜神(たつがみ)自ら向かう」

竜神と名乗る男はコートを羽織ると、部屋から堂々と出ていった。

「必要なものは、世界の宝玉とハート様の体・・・。俺たちの願う、罪人全てが裁かれる『審判の世界』が来るのは近い・・・」

 

・・・

 

「またここに来ることになるとは・・・」

ダンジョンワールドに到着した友牙、タイガ、タスク、キリ、絢爛朱雀はダンジョンワールドの衣装に身を包む。

バディモンスターである、ガルガやジャックは元の大きさに戻っていた。

「絢爛朱雀、君は戻らないのかい?その体じゃあ苦しいとか言ってた気が」

「僕はこのままでいいさ、あの姿では、このワールドのモンスターに怖がられてしまうからね」

「そうだな。」

ジャックは絢爛朱雀の言葉を聞き、SDになる。

「あの姿の方が落ち着くのだがな」

「なぜ、小さくなれるんだ!?」

ガルガはジャックがSD化したのを見て、一度はなれるかと挑戦する。しかし、どんなに力をいれても、どんなに力を抜いてもSDにはなれなかった。

「なれないのか?」

「この前もなれなかった」

「・・・なら、カードに入るのはどうだ?力にはなれないと思うが、ダンジョンに入ることはできる。」

「やむを得ん、友牙!・・・友牙?」

2体が立ち止まって話しているうちに、既に他4人は洞窟に入っていた。

「これは・・・」

「どうやら、俺たちは置いてかれたみたいだな」

「・・・」

 

友牙ーーーーッ!

 

神竜の叫びがワールド中に響き渡った瞬間だった。

 

・・・

 

「!・・・今誰かに呼ばれたような」

「気のせい・・・かな、僕には聞こえなかったけど」

既にダンジョン内に入っていた4人は松明を片手にダンジョンを探検する。

「ところで、友牙君。君の父親、未門 牙王君は今どうしているのかい?」

「今、世界各地のバディファイトの大会に参加してるって言ってました。まぁ旅していると言った方がいいですかね」

「そうですか。彼には僕たちだけでなく、世界中の皆さんが救われてますからね。感謝してます」

「その言葉、父さんに伝えたいけど、ここ最近、あまり父さんの話聞いてないんで、どこにいるのかわからないですね」

「残念ですね・・・」

「・・・その言葉、本心か?」

タスクは絢爛朱雀の言葉にまだ信用性を感じられていなかった。

「本心ですよ、もう昔のことは水に流しましょうよ、君のバディのメンテナンスは、ちゃんとするからさ」

「・・・いまいち信用できないな」

「着きましたよ」

キリの案内で、ダンジョンは呆気なく最下層の世界の宝玉を守るエリアに入るための扉の前までたどり着く。

「よく迷わずにここまで来れましたね」

「僕とミセリアは繋がってますから、だいたいどこにいるかはわかりますよ。・・・それでは開けますね」

キリは大きな扉を開ける。その先には、この前のような広い部屋に一本の柱と、その柱に穴を開けて真ん中に浮くダンジョンワールドの世界の宝玉があった。

 

「おかえり、氷竜 キリ」

 

その言葉と共に、エリア内に冷たい風が吹き荒れ、壁や床一面が凍りつく。

「なんだこれは!」

「来ますよ、角王、ミセリアが・・・!」

絢爛朱雀の言う通り、上から大きな竜が現れた。

実体というよりは幽霊のように半透明な体をしていた。

「ミセリア・・・!」

「久しぶりですね、ミセリアさん」

絢爛朱雀はキリよりも前に出て、元の姿に戻る。

「これが絢爛朱雀さんの元の姿・・・!」

少年二人はこの光景にこれ以上の声が出なかった。

「ヴァリアブル・コード・・・。」

「今、あらゆるワールドの世界の宝玉を狙う集団が現れ、スタードラゴンワールドはそれの被害に遭いました。ミセリアも一週間くらい前にその被害に遭ったはずです。」

「あぁ、狙うものは見たよ。しかし、彼女は僕が追い返したさ、元の世界に」

「なら、僕たちと共に、他のまだ被害のないワールドを助けに」

 

「もう、嫌なんだ!友情なんて!」

 

ミセリアは声を荒立てる。

声は周囲の氷の壁にヒビをいれた。

「・・・どうしてだ?」

「君たちの時間の流れで五年前にあったダンジョンワールドでの戦争で僕は傷付いた!どうせ、君たちも僕の力しか見てないんだろ!」

「そんなことない!これまでに会ってきた人たちを見ても、そんなことを言えるのか!牙王君やノボル君の顔を見ても、君はそんなことを言えるのか!」

ミセリアの言葉にキリは反論する。

「・・・黙って・・・黙ってよ!僕の分身が!」

ミセリアは急に大きくなり、キリを片手で掴むと、そのまま自分の胸に押し付けて、キリの体を吸収する。

「キリ君!」

「タス、ク、せんぱ・・・」

ミセリアは完全にキリの体を取り込むと、半透明な姿を実体に変化させる。

「これでまともに動くことができる・・・。この力があれば、僕一人でこの世界を救うことができるんだ・・・」

ミセリアは両手の平を体の前で合わせる。そして手の平を離すと、その間から金色に光ったカードを作り出す。

「これが僕の新たな世界。僕の経験によって作られた新たな世界・・・その名も、『創世』!」

「創・・・世・・・?」

その光ったカードは『創世』のフラッグカードになる。

「これが世界を守る鍵だ。さぁ、ファイトをしよう。まず、僕の力の実験台になるファイターは誰だ?」

「友牙君とタイガ君はこんな状態だ。僕が戦うべきだが、スタードラゴンワールドのカードは力を発揮しないし、そもそもジャックが着いてきていない・・・どうする?」

「簡単ですよ。僕をバディにすればいいのです」

「な、何を言ってるんだ!」

「僕の角王の力があれば、世界の宝玉が無くても、カードの力を発揮できる。僕がスタードラゴンワールドのモンスターの医務ができるのはそういうことです。角王の力を少しだけそのモンスターに分け与えることでモンスターは元の力を発揮できるのです。」

「任せていいのか?」

「はい。」

「・・・ミセリア、僕が相手だ!」

タスクはデッキケースを取り出す。

「最初は君が相手か、龍炎寺 タスク!全力で来い!」

 

タスクはヴァリアブル・コードをデッキに入れ、デッキをシャッフルする。

(ジャックのいない、このデッキ。そもそも戦えるのか?)

「ルミナイズはこれでお願いします」

絢爛朱雀はバディゾーンに立つと、一枚の紙を渡す。

「こ、これを言うのか!?」

「デッキ内容はほとんど同じなので、ルミナイズだけはこれで」

「今回だけだ」

タスクはデッキをボードに置く。

「いくぞ!」

 

銀河を飾る煌めきよ!嵐のごとく舞い上がり、今ここに一つとなれ!ルミナイズ!絢爛銀河!

 

我が魂の封印をとき、新たなる世界を創造しよう。ルミナイズ、解放世界(リミットブレイク・ディスワールド)

 

『オープン・ザ・フラッグ!』

 

「スタードラゴンワールド!」

「創世。ライフ10、ゲージ2、手札6枚、レジェンドワールドとダンジョンワールドの2つの記されたデュアルカードのみを使うことができる。さらにターンの終わりに、場のカード1枚にソウルを1枚入れるか、ソウルを1枚抜くことができる。」

 

 



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封印された心

あらすじ
ダンジョンワールドの世界の宝玉がある部屋にいたミセリアの精神。
ミセリアは氷竜 キリを体に吸収し、本当の力を得る。
暴走するミセリアを止めるために、タスクは絢爛朱雀をデッキに入れ、ミセリアとファイトすることになる。


ミセリアのターン。

 

「僕のターン、ドロー。チャージ&ドロー。キャスト、創世録。デッキから『封印された心』を手札に。そしてキャスト、創世追求、手札の『逆天の氷王 ミセリア』を捨て、3ゲージ、2ライフ、3ドロー。」

 

創世録 魔法

神/ゲット

君のフラッグが「創世」なら使える。

・次の2つから1つ選んで使う。

・君のデッキから「ミセリア」または、効果に「ミセリア」と記された必殺技を手札に加え、デッキをシャッフルする。

[対抗] 君はカードを1枚引き、このカードを君の場の「ミセリア」のソウルに入れる。

 

創世追求(クリエイターズ・クエスト) 魔法

神/チャージ/ドロー

・君のフラッグが「創世」なら使える。

コスト:手札のカード名に「ミセリア」を含むカード1枚を捨てる。

・君のデッキの上から3枚をゲージに置き、君のライフ+2し、カードを3枚引く。「創世追求」は1ターンに一回だけ使える。

 

「封印された心・・・?」

「これは僕の心。この封印が解除されたとき、僕は真の力を解放する」

「センターに僕自身をコール。創世氷王 ミセリア。」

ミセリアは青い光を放つと、氷のアーチを作り、センターへと下りてくる。

「ドロップゾーンの魔法2枚をソウルに入れ、ゲージ2を払ってコールする、それが僕のコールコスト、いくよ!」

 

創世氷王 ミセリア

属性:Dエネミー/魔王/水

サイズ3 7000/2/5000

2回攻撃 ソウルガード ライフリンク2

コスト:君の手札かドロップゾーンから魔法を2枚ソウルに入れ、ゲージ2を払う。

[角王]

・君のフラッグが『創世』なら、君は相手の効果でダメージを受けず、君の場の[設置]されたカードのソウルは相手のカードの効果で捨てられない。

・このカードが攻撃したとき、デッキの上から1枚を君の場のカードのソウルに入れてもよい。

・このカードが破壊されたとき、[ソウルガード]で捨てられるソウルは君の場の[設置]されたカードのソウルに入る。

 

ミセリアは手を前で合わせると、氷の矢を放つ。

「僕の効果で、デッキの上から1枚を僕のソウルに!」

タスクは手札の『アースバリア』を見る。

「ここは受けるか」

「ここは守るべきです、タスク」

「な、」

「キャスト、アースバリア!」

ミセリアの手元から撃たれた氷の矢は、タスクの手札から抜き取られたアースバリアによって守られる。

 

タスクのライフ 10→11

 

「何をするんだ。」

「僕はサイズ3、ミセリアと同じくセンターにコールされるべきモンスター。この後そのカードを使うことは、0に近いです。」

「なるほど」

タスクは絢爛朱雀の言葉に納得するが、

「だからってこんな無理に使うことはないはずだ!」

「喧嘩しているところ悪いけど、ファイナルフェイス。キャスト、封印された心。」

ミセリアは横向きのカードを見せる。

カードからは大きな魔法陣が現れた。

「あれは!」

魔法陣から現れたものは世界の宝玉。

世界の宝玉にチェーンが巻かれ、心の形になる。

「これがダンジョンワールドの核・・・。」

「デッキから『"封印解除(リミットブレイク)" ミセリア』をこのカードのソウルに。そしてターン終了時、フラッグの効果で1枚を『封印された心』のソウルへ・・・。僕のターンはここで終了だ。」

 

封印された心 必殺技

属性:無

[設置]

・このカードは相手の効果で場を離れない。

・このカードを[設置]したとき、デッキから名前に『ミセリア』を含むカードをこのカードのソウルに入れる。

・君の手札か場のモンスターがドロップゾーンに送られる度に、デッキの上から1枚をこのカードのソウルに入れる。

【対抗】[起動]"封印解除"このカードのソウルが10枚以上なら、このカードのソウルから『ミセリア』と名のつくモンスターを君の場にコストを払わずにコールする。その後、このカードのソウル全てをこのカードの効果でコールしたモンスターのソウルに入れる。その後、このカードをドロップゾーンに置く。

 

タスクのターン

 

「僕のターン、ドロー!チャージ&ドロー!」

「さぁ、強化された僕の力を見せるのですよ、さぁさぁ」

「・・・仕方ない、僕は手札の竜装機 トリプルバスター、竜装機 フォルフェックス、竜装機 ガイア・ファング、プロトバリアをソウルに入れ、ライトにバディコール、星嵐(せいらん)の剣王 ヴァリアブルコード!」

 

タスクのライフ 11→12

 

「待ってましたよ、その言葉!」

絢爛朱雀は扇子を閉じ、バディゾーンからライトに下りると、その体を竜の体に変化させて立ち上がる。

 

星嵐の剣王 ヴァリアブルコード

属性:ネオドラゴン

サイズ3 10000/3/6000

移動 ソウルガード

コスト:君の手札を好きな枚数、ソウルに入れ、ゲージを2払う。

[角王]

・このカードのソウルが3枚以上なら、このカードは相手のカードの効果で破壊されず、3回攻撃を得て、5枚以上なら、このカードの攻撃力+10000し、君は相手のカードの効果によるダメージを受けない。

・お互いのアタックフェイズ開始時、君のドロップゾーンのカードを2枚まで、このカードのソウルに入れてもよい。

[対抗]「起動」君のターン中、このカードのソウルを1枚捨て、ゲージ1を払ってよい。そうした場合、このカードをスタンドする。この効果は1ターンに一度だけ使える。

 

「へぇ、君も進化したのか。」

「角王も日々進化しているのです、君のようにね!さぁ、これも使いなさい!」

「こんなカード、入れてないぞ。・・・まさか!」

「そのまさかです。僕が君のデッキに入ったことで、何枚かカードが変化しました」

「またそんなことを・・・ライフ1を払い、装備、V・スターセイバー!」

 

V・スターセイバー 

属性:星/武器

6000/2

コスト:ライフ1を払う。

・「起動」君の場のカード名に「ヴァリアブルコード」を含むモンスター1枚を選び、デッキの上から1枚をドロップゾーンに置いてよい。置いたなら、デッキの上から1枚を君の場の選んだカードのソウルに入れ、このターン、そのモンスターはレストされない。

[対抗]「起動」このカードがカード名に「ヴァリアブルコード」のソウルにあるなら、ソウルのこのカードを捨ててよい。捨てたなら、デッキから必殺技を手札に加える。

 

「V・スターセイバーの効果でヴァリアブルコードのソウルにカードを追加する、そしてアタックフェイズ!」

「僕の効果で、ドロップゾーンから2枚をソウルへ。何も竜装機は落ちてないからアースバリアと、スタービリーバーで」

「ヴァリアブルコード!センターのミセリアを頼む!」

「ヴァリアブル・タイフーン!」

ヴァリアブルコードの羽から生まれた二つの竜巻はミセリアを包み込み、消滅させる。

「ッ!・・・ソウルガードで復活。ソウルガードで捨てるソウルは封印された心のソウルへ。」

しかし、ソウルガードですぐに復活する。

「まだだ!僕は3回攻撃を持っている!」

「もう一度、ソウルガード。次もソウルガード。」

ヴァリアブルコードの二つの竜巻はソウルガードによって完封された。ミセリアの砕かれたソウルは鎖で封印された心の中に入っていく。

「ヴァリアブルコードの効果!ソウル1枚を捨てることで、ヴァリアブルコードをスタンド!もう一度だ!」

「思い出してください!僕たちがヤミゲドウをもう一度倒したときのことを!世界を救ったあのときのことを!」

「うわぁぁぁ!」

ソウルの無くなったミセリアは、ヴァリアブルコードの放った竜巻と共に消滅する。

しかし、消滅した体はまた復活し、カードを手にする。

「デッキの上から1枚を封印された心のソウルへ・・・。」

「貫通ダメージ!」

「そして僕の攻撃を忘れるな!」

 

ミセリアのライフ 14→8

 

封印された心は少しずつだが動き始めている。

「解除も近い・・・。次は僕のターンだ・・・。」

 



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封印解除!最強のミセリア

あらすじ
怒りのミセリアと戦う龍炎寺 タスク。
ヴァリアブルコードの指示通りのプレイングをし、ミセリアがセンターにコールしたミセリアを倒す。
しかし、それは最強のミセリアの封印を解くための第一の鍵に過ぎなかった。


ミセリアのターン

 

「僕のターン、ドロー、チャージ&ドロー。突然だけど、僕のバディを紹介するね」

ミセリアはバディゾーンを指差す。魔法陣から吐き出されるように出てきたそれは、かつて氷竜 キリ(ミセリア)がバディにしていた、ミセリアの側近であるジョーカーの姿だった。

ジョーカーはそのとき既に暴走状態にあり、両手の鋭い鎌をひたすら振り回して登場した。

「フリィィィズ!フリーズ、フリーズ、フリーズ!」

「バディのクリエイト・ブレイド・ジョーカー。僕の力を近くで浴びてしまったからね。今は僕が封印してないと暴走して壁を破壊しちゃうんだ。さぁ、暴れて!ライトにバディコール!」

ジョーカーはバディゾーンから飛び出すと、ライトからタスクのセンターのヴァリアブルコードに攻撃しようとする。

「動かないでジョーカー!」

しかし、ミセリアの手から伸びた鎖によって、体を締め付けられて身動きが取れなくなる。

 

クリエイト・ブレイド・ジョーカー

属性:Dエネミー/魔王/アースガルド

サイズ0 5000/1/1000

・このカードが登場したとき、君の場に「封印された心」があるなら、手札を1枚捨ててよい。そうした場合、デッキの上から2枚を君の場の「封印された心」のソウルに入れる。

・このカードが攻撃したとき、相手に1ダメージ!

・このカードが破壊されたとき、このカードを君の場のカードのソウルに入れる。

 

「ジョーカーの効果で、手札1枚を捨て、デッキの上から2枚を封印された心のソウルへ。さらに、手札からドロップゾーンに置かれたことで、デッキの上から1枚を封印された心に。これで」

「9枚・・・」

「正解。あと1枚で封印は解除される。そしてこれで終わりだ、キャスト!創世相殺(クリエイターズ・キャンセル)!僕の場のカード1枚と君の場のカード1枚を破壊して、1ドロー!僕の場のジョーカーと、君のアイテムを破壊!」

 

創世相殺(クリエイターズ・キャンセル)魔法

神/破壊

・君のフラッグが「創世」なら使える。

コスト:君の場のカードを破壊する。

[対抗]相手の場のカードを破壊する。その後、君はカードを1枚引く。

 

タスクの持っていた剣は凍りつき、溶けるように破壊され、ジョーカーは苦しむように破壊される。

そして破壊されたジョーカーは「封印された心」の中に入り、ミセリアのデッキの上から1枚も入っていく。

「これで、僕の力は解放される!新たなる世界を作るために!僕の力は封印から解き放たれるんだ!」

封印された心は激しく鼓動し、周りの鎖はひび割れ、少しずつその壊れ始める。

「封印された心の効果!封印解除!」

ミセリアは両手を大きく広げる。封印された心の鎖は完全に壊れ、それと同時に世界の宝玉を持ったミセリアは心のなかに入っていく。

「いったい何が・・・」

「龍炎寺 タスク、僕の角王の証が激しく反応している。何か嫌な予感がする」

 

・・・

 

「ここはいったい・・・!」

太陽が眩しい・・・。

タイガは目が覚め、起き上がって目の前を見る。

そこにはダンジョンの入り口があり、タイガは友牙とこれまでダンジョン前の野原で寝ていたことに気づいた。

「気が付きましたか、タイガ」

エンジェルはタイガが起き上がったのに気づくと、入り口の方から走ってきた。

「ミセリアは!」

「今、タスクさんと絢爛朱雀さんがダンジョン内で戦っています。絢爛朱雀さんが安全な場所へ避難しろと言ったので、気絶したタイガと友牙さんをダンジョン外へ避難させました」

「タスクさんが危ない!」

タイガは立ち上がると、一度は立ち眩みで倒れかけたが、体勢を立て直してダンジョンに入ろうとする。

「待ってください!ダンジョン内は危ないです!」

「知るか!タスクさんが戦ってるんだ!俺も参戦する!」

「タイガ!・・・うぅ。」

エンジェルはタイガを押さえるが、体に極度の疲労感を感じ、その場に膝をつく。

「エンジェル、大丈夫か!?」

タイガはそれを見て、すぐにエンジェルに肩を貸す。

「すみません、疲れたのかも知れません・・・ッ!」

今度は痛みを覚える。

「まさか!世界の宝玉が!」

「そのまさかかもしれんな」

タイガの後ろにガルガが立つ。その体はまだ大きく、SD化できずにいた。

「周りを見ろ。」

周りには頭痛から頭を抱える冒険者モンスターや、体の痛みから体の形を変えるスライムモンスターがいた。

タイガはそれを見て、デッキのカードを並べて見る。

全てのカードがモノクロになっていた。

「クソ!」

タイガはデッキケースを地面に叩きつける。

「タイガ・・・」

友牙は心配して、遠くへ跳ねたデッキケースを拾い、タイガに渡す。

「俺は・・・ダンジョンワールドを助けられないのか」

 

・・・

 

「なんだ・・・この光は」

「これが、ミセリアの完全な姿・・・」

これまでのロワ・ミセリアと違い、黒い肌に水色の毛並みの龍。そして金色の羽は腕のようになり、地面や壁をがっしりと掴む。それとはまた別に金色の羽が生え、羽ばたくごとに吹雪のような冷たい風がダンジョン内を通る。

「これが僕の力だ!」

 

"封印解除(リミットブレイク)" ミセリア  モンスター

属性:神/アースガルド/魔王/水/無

サイズ3 30000/3/15000

3回攻撃 ソウルガード 貫通 反撃 移動

コスト:ゲージ10、ライフ10を払い、デッキの上から10枚をソウルに入れる。

【角王】

・場のこのカードは相手の効果で破壊されず、手札に戻されず、効果を無効化されず、ソウルを捨てられない。そして君は相手の効果でダメージを受けない。

・相手はこのカードしか攻撃対象に選べない。

・このカードを攻撃したカードの効果はそのターン中、全て無効化される。

[対抗]「起動」君の場のカードのソウルを捨てることで、このカードをスタンドし、相手の場のカード1枚を選んで破壊するか、手札に戻す。この効果は1ターンに一度だけ使える。

 

「さぁ、越えられるか!龍炎寺 タスク!」

「来るぞ!」

ミセリアの手はヴァリアブルコードを掴むと、地面に叩きつける。

「ソウルガード!ソウルガードで捨てた竜装機 ヴィーガーの効果でゲージ2追加!」

「次!」

ヴァリアブルコードは何度も掴まれては、地面に叩きつけられ、ミセリアの4回の攻撃を耐えたが、その痛みにより、立ち上がれそうになかった。

タスクも貫通によるダメージで膝をつく。

 

タスクのライフ 11→5

 

「絢爛朱雀!」

「この・・・程度・・・、なんてことは・・・ッ!」

ヴァリアブルコードは残り3枚のソウルがあるが、すでに動けそうになかった。

ヴァリアブルコードの見せた角王の証は以前より、光を失っていた。

「これでターン終了だ。フラッグの効果で1枚を僕のソウルに・・・。まだ戦おうというのか?そのボロボロになったヴァリアブルコードを見ても」

「ッ!」

「あ、諦めないでください、タスク」

龍の姿を保てずに、絢爛朱雀の姿に戻る。

「絢爛朱雀、しかし」

「諦めるな!・・・こんなことで負ける英雄じゃないでしょう?ヤミゲドウから世界を守った一人として」

「・・・子供のときとは違い、大人になった君なら、今この状態がどれだけ危険かわかるだろう?世界の宝玉が消え、角王の証が消える。つまりスタードラゴンワールドのカードは使えなくなる。ヴァリアブルコードが消えたら、君のバディのジャックは確実に息絶えるだろう」

「・・・だからどうした」

「何?」

タスクはファイトテーブルに体重をかけて立ち上がる。

「こんなとき、ジャックも諦めるなというだろう。この絢爛朱雀とファイトとき、ジャックは死にそうになりながらも、僕を勝利へ導いてくれた。ジャックのために、スタードラゴンワールドのために僕は戦う!」

「龍炎寺 タスク・・・」

絢爛朱雀の眼からは涙が流れ落ちた。

そのとき、タスクのデッキの一番上のカードが光り始める。

「これは・・・」

タスクは光るカードを手に取る。

 

「ドラゴン・・・フォース・・・!」

 



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ドラゴンフォース!

あらすじ
封印から解放されたミセリアは、この世界の常識を破るような桁違いの力を持っていた。

ヴァリアブルコードはその体を保てなくなるほどの攻撃を受け、タスクは貫通ダメージにより、立てないほどのダメージを受けた。

ボロボロになりながらも立ち上がったそのとき、デッキの上のカードが光った。



タスク ライフ5 手札0 ゲージ2

ミセリア ライフ8 手札6 ゲージ5

 

タスクのターン

「僕のターン。ヴァリアブルコード、もう一度立ち上がれるか?」

「この程度で、倒れては角王の恥です。」

ヴァリアブルコードは竜の姿になり、もう一度、センターに立つ。

「僕のライフが5以下で、場にソウルが3枚以上のネオドラゴンがいれば、解放できる!解放!」

タスクの髪は水色に光り、背中からは宝石のようなきらびやかな羽が生え、宙に浮き始める。しだいにそれは水色から、ヴァリアブルコードの赤に近いオレンジ色に変わっていく。

「ドラゴンフォース″朱雀の型″!」

 

ドラゴンフォース″朱雀の型″ 

属性:星/武器

7000/2

『解放条件!』君のライフが5以下で、君の場にソウルが3枚以上の[ネオドラゴン]がいる。

装備コスト:ゲージ2を払う。

・場のこのカードは破壊されず、手札に戻せず、能力は無効化されない。

・このカードが相手のモンスターを破壊したとき、このカードをスタンドし、相手に1ダメージ!

[対抗]君の場のサイズ2以上の「ネオドラゴン」のソウルを1枚捨てることで、このターン中、このカードの攻撃力+10000し、貫通を得る。

 

「行くぞ!」

「アタックフェイズ開始時、ドロップゾーンの竜装機 ヴィーガーと、V・スターセイバーを僕のソウルに!」

「そして、朱雀の型の効果で、ヴァリアブルコードのソウルにある竜装機 ヴィーガーをドロップゾーンに置き、このカードの攻撃力を10000上昇!さらに、ヴィーガーの効果で、ゲージ2追加!」

「ヴァリアブルコードだけは止める、キャスト!創世呪縛(クリエイターズ・ロック)。これで、ヴァリアブルコードは止めた!」

 

創世呪縛(クリエイターズ・ロック)魔法

・君のフラッグが「創世」なら使える。

コスト:ゲージ2を払う。

[対抗]相手の場のモンスター2体までをレストし、このカードを君の場のカードのソウルに入れてもよい。

 

ミセリアを封印していた鎖が、今度はヴァリアブルコードを締め付ける。しかし、ヴァリアブルコードは絢爛朱雀の姿になり、鎖から抜けて、ライトに立った。

「僕は止めれても、彼は止められませんよ」

ドラゴンフォースを纏ったタスクが、センターで待ち構えるミセリアへと飛び込む。まず、タスクの一蹴りがミセリアの腕を破壊する。

「ソウルガード!」

しかし、腕はすぐに元に戻る。

「このドラゴンフォースは相手を破壊したとき、このカードをスタンドし、相手に1ダメージを与える!」

「何だと・・・ということは」

「そうだ!お前が完全に破壊されるまで、僕は何度でも攻撃するということだ!」

ミセリアの周りを飛び、拳や蹴りで破壊する。ソウルガードという言葉が何度もダンジョン内に響き渡り、11回目の攻撃が終わったときには、ミセリアの砕けた胸部に、吸収されたはずの氷竜 キリの姿があった。キリの両腕と両足は赤い鎖によって縛られ、身動き一つとれない状態になり、体は少しずつ氷始めていた。

「キリ!」

「タスク・・・さん・・・?」

タスクは赤い鎖を破壊すると、キリを抱えてミセリアの胸部から脱出する。

「なぜ・・・だ・・・。僕はこんなに・・・強くなった・・・のに」

「貫通!」

 

ミセリアのライフ 8→5

 

「もう一度だ!」

″封印解除″ ミセリアの体はガラスのように粉々に割れ、そのなかからミセリアが逃げるように姿を現す。

しかし、それを見たタスクはミセリアに重い一撃を叩き込んだ。

「うわぁぁぁ!」

ミセリアはタスクの攻撃を受け、壁に衝突する。

 

ミセリアのライフ 5→3

 

「まだ、僕のライフは0じゃない!」

「そうだ、忘れてました」

絢爛朱雀はタスクの前に立つと、自分自身の胸に手を入れ、体からさっきまでタスクの装備していた『V スターセイバー』を取り出す。

「君のデッキの中の必殺技、デッキに入ったとき一枚変えておきました。それ使ってください」

「ふっ・・・本当に振り回されてばかりだ・・・。V スターセイバーの効果!このカードをヴァリアブルコードのソウルからドロップゾーンに送ることで、デッキから必殺技を1枚手札に加える!」

 

「タスクーーーッ!」

「ジャック!・・・いくぞ!」

「「ファイナルフェイズ!」」

 

部屋の出入り口を壊す勢いで入ってきたジャックは、タスクの手の先にあるカードを見て、息をあわせ、ファイナルフェイズ宣言をする。

「最後はやはり君に持っていかれますか」

タスクのジャックが剣を構え、その背後にヴァリアブルコードが立つ。

部屋はプラネタリウムのような星の輝く空が一面に広がり、その空を破壊するような、空気を揺らす大剣が現れる。

「君が解放条件を持つアイテムを装備し、君の場にソウルが3枚以上のサイズ2以上のネオドラゴンがあるときに使うことができる!必殺!スターダスト・レディアント・パニッシャー!!」

 

スターダスト・レディアント・パニッシャー!!

属性:ネオドラゴン

・相手のライフが5以下で、君の場にソウルが3枚以上の「ネオドラゴン」がいて、解放条件を持つアイテムがあるなら使える。

コスト:ゲージ2を払う。

・相手に5ダメージ!このダメージは減らない。

 

剣は夜空を巻き込みながら、ミセリアへと振り下ろされた。

ミセリアは避けることなく、その剣を受けた。

「僕は間違ってた。・・・この世界にはまだ希望がある。」

 

ミセリアのライフ 3→0

 

 

ファイトが終わり、静かになったダンジョン内に、ダンジョン外にいたタイガや友牙が集まる。

世界の宝玉が元の形に戻ったのもあってか、エンジェルの抱えていた頭痛や吐き気はすでに回復していた。

「ミセリア、君はどうしてあのようなことを?」

絢爛朱雀は正座をするミセリアに問う。

「・・・に裏切られた。」

「それはいったい誰ですか?」

「・・・」

ミセリアは黙り込み、頭を地面につけた。

絢爛朱雀はにこやかにしていた表情を、怒りに変えると、正座するミセリアを蹴る。

そして頭を下げるミセリアを何度も踏みつけた。

「お前!」

「!」

タスクはそれを見て絢爛朱雀を押さえ、エンジェルはそれを見てダガーをかまえる。

「僕たち角王はあなたが消息不明になったことを、どれだけ悲しみ、心配したかわかりますか!特に、ノボルはあなたがいないことで、あなたを裏で心配しながら、表でこの5年間を角王なしで戦い抜き、臥炎キョウヤにリベンジを果たし、世界大会優勝まで上り詰めたんです!なのにあなたときたら、姿も現さず、何も・・・何も!」

絢爛朱雀の目からは涙が溢れ始めていた。

「・・・話す。僕がこの5年間何をしていたか、5年前に何が起きたかを。」

 

・・・

 

「はぁ・・・はぁ・・・!」

雨の強い山のなか、一人の女が、何かに追われて走る。

追うものは人でもあり、竜でもあり、神でもある。そんな体になった男だった。男の懐あたりは光輝いていた。

「どこへいくのですか」

竜神だった。

「・・・!」

女性の前には流れの強い川。後ろからは竜神が追ってきている。

「生きるためには・・・これしか!」

「!・・・待て!」

女は川に飛び込んだ。

「逃がしたか・・・しかし、器は他にもあるはずだ。彼女だけではない」

竜神は元の人間の姿に戻ると、懐からエンシェントワールドの世界の宝玉(ワールド・ジュエル)を取り出す。

宝玉の光は点滅し、やがて消えた。

 

「ハート様の体を手にいれなければ、宝玉全て集めても意味がない・・・」

 

竜神は山の中へ消えていった。

 



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ミセリアの過去

タスクはドラゴンフォースを解放し、ミセリアを倒す。
ミセリアは過去の話を話し始めた。


6年前のダンジョンワールド

 

「ミセリア、お客様ですよ。」

僕は世界の宝玉(ワールド・ジュエル)が保管されたダンジョンの近くで、氷竜 キリとしてバディであるジョーカーと共に小さな喫茶店を営んでいた。

本当に小さな喫茶店で、1日に両手で数えられる程度の人しかこなかった。

「いらっしゃいませー。」

そのとき、ある女の人に出会った。

「あ、あの!ここで働かせてください!」

彼女の名前はハート。

黒い髪の女の人で、優しい顔をした女の人だった。

「君は?」

「私はハートといいます。元々は冒険者だったのですが、以前受けたクエストで一文無しになってしまって・・・。雑用でもなんでもしますので、お願いします!」

「といってもなぁ、この店、あまり客来ないから暇だと思うぞ?」

「それでも構いません!お給料は少なくても大丈夫です!」

「・・・だってよ、キリ。どうする?」

ジョーカーは少し彼女の存在を嫌がってたけど、僕は彼女の真剣な目を見て、採用したんだ。

彼女を採用してから、喫茶店は繁盛して、一日に何十人と来る店になり、一気に忙しくなった。

そして半年で、赤字だったのが黒字になっていた。

そんなときだった。

「店長って、あの角王のミセリアなんですよね?」

彼女は僕のことを知った。

僕がミセリアだということは隠していたし、バレることはしなかった。

「たまに店を離れてどこかいってたのって、角王のミセリアとしてコールされてるんですよね!」

「な、なんでそれを!?」

「知ってますよ、私、あっちの人なので」

「!」

確かにハートという名前のモンスターはダンジョンワールドで聞いたことがなかったし、変だなとは思ってたけど、まさかモンスターではなく、人だとは思ってなかった。

「それでなんですけど・・・。このダンジョンワールドの世界の宝玉ってどこにあるんですか?」

「!・・・なんでそれを知ってるんだ!」

「本で読んだんです。綺麗な色の宝石で、人生で一度は見てみたいって」

僕は彼女の人柄やこれまでの頑張りから、心に彼女への信頼が生まれていた。

「・・・特別だよ」

僕は最悪の判断をしてしまった。

 

彼女は世界の宝玉を前にすると、目の色を変えた。

宝玉を掴み、台座から引き抜いた。

僕はあわてて止めようとしたけど、そのときには遅かった。

 

「ありがとう、ミセリアさん!おかげでこの世界を支配できそうだ・・・」

 

それからダンジョンワールドは闇に包まれ、戦争が始まった。

そのときダンジョンワールド一番だった光の属性の集団、†は戦争に駆り出され、多くの犠牲者が出た。

†のリーダーであった、シャイニング † エデンはその力でハートの封印した。

しかし、彼女の力はシャイニング † エデンの力を越え、支配してしまった。

僕は†属性のモンスターである、シャイニング † エンジェルをカード化して逃がすと、シャイニング † エデンを封印するために、自らの体を氷像に変えて封印した。

氷像のなかで僕はシャイニング † エデンの中からハートを引き剥がすことには成功したけど、ハート本体は氷像から逃げ、僕らの封印された氷像にあの赤い鎖の封印をつけた。

 

 

「僕のいなかった5年間はそういうことだ。この前の爆発で僕の封印は解除されたが、それと同時にシャイニング † エデンも解放されたはずだ」

「エデン様はまだ生きてる・・・ってことですか?」

エンジェルはダガーをしまい、ミセリアに問いかける。

ミセリアは静かに頷いた。

「エデン様の場所はわかりますか?」

「僕はあくまで封印していただけだからごめん。でも氷像が壊れたときにある人間が近くにいたのは覚えてる・・・」

「誰かわかりますか?」

「わからない・・・でも、その人のバディモンスターと思われるモンスターがいた」

「とある人と、バディモンスターか。」

「ダンジョンワールドに侵入者が現れたあの日、僕らはある人とモンスターに会いましたよね」

絢爛朱雀はタスクの前に立つと、頭に扇子の先を当てる。

「・・・!」

「思い出しましたか。あの日、この二人とは別で向かわせた一人と1体を」

 

「虎堂 ノボルと、エル・キホーテか」

 

・・・

 

「ったく、またアイツらダンジョンワールド行ったのか」

ノボルはテーブルにカードを並べ、テレビを観ていた。

「エルキは隣の部屋で昼寝してるしなぁ・・・」

デッキのカードとは別に置かれた十字架の書かれたカードが視界に入る。

ノボルは視界に入ったそれを取ると、目に焼き付けるくらいじっくりと見る。

「・・・アイツは知らないみたいだし、これ本当にバディファイトのカードなのか?」

「次のニュースです、ダンジョンワールドのとあるダンジョンで大きな爆発が起こりました。」

「ん?」

ノボルは十字架のカードをテーブルに置くと、テレビ画面を見る。

「以前から問題視されていたモンスターの大量衰弱死の事件と関係しているとのことで、今回の事件で大量のダンジョンワールドのモンスターが搬送されたとのことです。」

「ダンジョンワールド・・・だと・・・!」

ノボルはすぐに立ち上がると、隣の部屋にいるエル・キホーテのところへ急いで向かう。

「エルキホーテ!」

ノボルはエル・キホーテを抱えると、体を揺すり、頬を軽く叩く。

エル・キホーテは意識がないのか、いっさい反応しない。ロシナンテも同様に動けそうになかった。

「嘘・・・だろ・・・返事しろよ!おい!・・・畜生!」

ノボルは慌てて車にエル・キホーテとロシナンテを運ぶとエンジンをかける。

車は走り始めるが、

「待って!」

「な、なんだ!?」

一人の女の子の手によって止められる。

「こっちは急いでるんだ!そこをどいてくれ!」

「ち、ちえりの・・・ちえりのバディを助けて!」

そこにいたのはちえりと、剣を杖のようにして体を支えるみろわーるだった。

 

数十分後・・・。

「ご迷惑をお掛けしました。」

元気になったみろわーるは、ノボルに頭を下げる。

「いえいえ、俺こそ自分バディ優先で考えてた。・・・日本を誇るプロのバディファイターがこんなんじゃな」

「やっぱりですよね!サインください!・・・っていっても色紙とか」

ちえりはみろわーるの顔を見る。みろわーるは首を横に振った。

「色紙か・・・ん?」

ノボルはなぜかポケットに入っていた、テーブルの上に置いたきたはずの十字架のカードを取り出す。

「なんですか、それ?」

「あぁ、これはなんでもない、気にしないでくれ」

ノボルはポケットに戻そうとする。しかし、それを見ていたみろわーるは、

「ちょっと見せてもらえませんか!?」

と、ノボルの腕を掴む。

「みろわーる!」

「はっ・・・も、申し訳御座いません、ちえりお嬢様!」

ちえりの声を聞いて我に帰ったみろわーるは、ノボルの腕を離して頭を下げた。

「まぁ、好奇心ってのは大事だ。これからもバディは大切にしろよ」

ノボルは十字架のカードをデッキケースにしまって、病院をあとにした。

「あ、ありがとうございました!」

ちえりは頭を下げた。

 

「ちえりお嬢様、あのときはすみませんでした・・・」

みろわーるは何度も頭を下げる。

「いいよ。・・・でも、みろわーるがあんなことするなんて、どうしたの?やっぱりまだ・・・」

「体の方はもう大丈夫みたいです。でも、あのカード、何か危ないカードだと思って」

「そうなんだ、ちえりは何も思わなかったけど」

「モンスターだからこそ・・・てことなのかもしれません。」

ちえりとみろわーるは外に出る。

みろわーるはちえりに傘を差し出す。

「嫌な雨ですね・・・」

「何かありそうね・・・」

二人は傘の下から空を見る。

雨は少しずつ強くなり始めていた。

 



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希望 ―ノア―

あらすじ
ミセリアは6年前に起きたことを話した。
ダンジョンワールドで起きたこと全てを

そして、地球ではダンジョンワールドのモンスターが一斉に運ばれ、ノボルのバディであるエルキホーテや、ちえりのバディのみろわーるもその被害にあっていた。

ここからは友牙達がダンジョンワールドから帰ったあとの話である。


ダンジョンワールドから帰った友牙とガルガは、大雨のなか傘を差して家に向かっていた。

傘が変形するくらいの風雨だったが、友牙はお構い無しに傘を前に広げて走っていた。

「ヤバい、今日雨だったのかー!」

「そういえば、今日の洗濯物当番は友牙だったな」

「怒られるー!ガルガ、元の姿に戻って背中に乗せるとかできないのか!」

「馬鹿者!これくらいの困難は友牙一人で乗り越えろ!それに背中に乗せたら、雨でびしょ濡れになるぞ」

「もうびしょ濡れだって」

「友牙、止まれ!」

友牙は橋を渡ろうとしたとき、ガルガの声で勢いを無理矢理殺して止まる。

橋の上には女の人が倒れていた。

服はボロボロで泥だらけになり、黒い髪はグシャグシャになっていた。

「とりあえず家まで運ぶぞ!」

ガルガは元の姿に戻ると、雨を防ぐように手のなかに女の人を包み込んで飛ぶ。

「おい、待てよー!・・・ん?」

友牙は落ちていたデッキケースに気づく。

「あの人のものかな?」

友牙はそれを拾うと、また傘を広げて走り始めた。

 

「ただいまー」

「おかえりー、ってどうしたの、ビショビショじゃん!」

晴はびしょ濡れになった友牙を見ると、すぐにタオルを持ってくる。

「ガルガと女の人は!」

「とりあえず、髪乾かしてそこにあった服を着させたけど、それでよかった?」

友牙の家にはサクラが来ていた。

「サクラ!?」

「お邪魔してます。実は友牙に用があって」

「俺に?」

「まぁそれよりも・・・今はその服を脱いでお風呂に入ってきた方がいいよ、風邪引いちゃうし」

 

サクラの言う通りに風呂に入ってきた友牙は、ソファで寝る女の人をチラッと見ると、テーブルを挟んでサクラの前にあるイスに座った。女の人は晴が畳んでおいたパル子の服を着ていた。

「で、話ってなんだ?」

「・・・父が帰ってきた。」

「!」

「なんだと!」

友牙も驚いたが、友牙よりもガルガの方が驚いていた。

「でも、意識は戻ってない。生きてることがありえないレベルの重症だって」

サクラはスマホを取り出すと、ある画像を見せた。

そこは焼け崩れた教会で、そこには数々のエンシェントワールドのカードが燃え、どこかで見たことのあるドラゴンの像が首のない状態で置かれていた。

「エンシェントワールドは壊滅寸前、話によると、角王のモンスターが見つかっていないらしい。・・・ごめんなさい、悲しい話をして」

「・・・俺たちこそ救うとか言っておいて、何もできなかった。」

「我が言い出したことだ・・・友牙は何も悪くない」

「ガルガは俺のバディだ、俺にも問題がある。」

「・・・」

三人は黙り込んでしまう。

「みんな!この人目、覚ましたよ!」

晴の声に三人は反応して、すぐにソファの方を見る。

女の人は目を覚ますと、ソファからすぐに起き上がった。

「ここは・・・!」

「橋の上で倒れてたんだ、ケガとかは大丈夫?」

「大丈夫・・・です。」

女の人はタオルを掴み、その手を見る。体は少し震え、まだ雨による寒さを感じている。

「なぜ、あんなところに倒れていたんだ?」

ガルガは歩み寄ると、全員が気になっていたことを聞く。

「・・・わかりません、記憶が曖昧で」

「そうか。」

「記憶喪失・・・ってこと?」

「いえ、そういうことでは・・・。」

「名前とかは?」

「私はノア。名字は・・・ごめんなさい、名前しか」

「ノアか・・・。ここらへんでは聞いたことない名前だな」

「そうだ、これ・・・」

友牙は玄関の下駄箱の上に置かれた、ノアの近くで拾ったデッキケースを見せる。

「これって君の?」

「たぶん・・・」

ノアは友牙の手からデッキケースを受け取る。しかし、

「・・・うぅ!」

ノアは頭を押さえ、デッキケースを下に落としてしまう。

デッキケースから出た色々なワールドのカードが床に散らばる。

「大丈夫!?」

「・・・ちょっと頭痛が」

「色々なワールドがあるな・・・。」

ガルガと晴はカードを一枚一枚集め始める。

「そういうことね。」

サクラは足元へ滑ってきたカードを取る。

フラッグカードの『楽園天国』だった。

「楽園天国か、戦ったことないなー。」

「特殊なフラッグでね、属性に天国が入ってればどんなワールドでも使うことができて、ゲージ1枚、ライフ12から始まるってフラッグ。」

「色々なワールドを使えるのか、面白そうだな」

ガルガと晴はデッキを集め終わると、まとめてデッキケースに入れて、今度はノアに渡す。

「はい、どうぞ!」

「ありがとう。」

「なぁ、俺とファイトしないか?」

「ファイト・・・?」

「あぁ、このデッキを使ってさ」

友牙はノアのデッキケースを掴む手に、自分の手を添えるように置く。

「えっと・・・ごめんなさい。ルールがわからなくて」

「・・・そもそもそのデッキってノアさんの物なの?ノアさんの近くに落ちてただけなんでしょ?」

「そうだけど。」

「他の誰かの落とし物かもしれないじゃない!」

「あの状況なら、ノアの物だと思うだろ!」

二人して少しずつ声が荒々しくなっていく。

「あ、あの・・・ファイトしてみたいです。」

その二人の間に入るようにノアがか細い声を出す。

「記憶は曖昧ですけど、このデッキはたぶん私の物だと思います」

「・・・わかった、やりましょ。その代わり」

サクラはデッキケースを取り出した。

「私が相手をします。」

 

 

「バディファイトあるところ、奈々菜 イオンあり!・・・ってここって友牙君の家だよね?」

「こ、この人は!?」

急にワープして現れた奈々菜イオンとタコ吉を見て、ノアは腰を抜かしてしまう。

「この人は奈々菜 イオン。バディファイトの実況をやってるんだ。」

「あのー、いいですか?・・・さぁ、やっていきましょう!今回のファイトはRanGaチャンネルで有名の未門 友牙君の自宅から放送してます!えーっと・・・」

「ノアです!」

「ファイト初挑戦のノア選手!対する相手は日本エンシェントワールド代表の娘、轟鬼 サクラ選手!」

 

私の刀は神をも裁く!ルミナイズ!神殺しの刀!

 

「え、えっと・・・」

「ルミナイズって言えばいいんだ」

 

ルミナイズ!

 

「オープン・ザ・フラッグ!」

「え?え?」

「フラッグカードを表にするんだ!」

「あ、そうか。オープン・ザ・フラッグ!」

 

「カタナワールド!」

「えっと、楽園天国!」

「バディは滅神の使者 阿修羅!」

「バディ・・・?これかな!」

ノアはバディゾーンに置かれたカードを表返す。

バディゾーンから現れたのは一人の騎士だった。

「希望の騎士 リゼ!」

一つ縛りの紫髪に金色を縁取った白銀の鎧を着けた女騎士のモンスターは、ノアに細い針のようなレイピアの先を向ける。

「私を呼んだのはあなたですか?」

「は、はい!」

「わかりました・・・。あなたに忠誠を尽くします!」

(やっぱりこの人のデッキじゃない気が・・・)

サクラは左手に持った手札を扇子のようにして口元を隠し、心の中でそう思う。

 

先攻のサクラのターン、「滅神の刀 神威」を装備し、そのままノアを攻撃し、ターン終了。

 

サクラのライフ10 ゲージ1 手札6

ノアのライフ9 ゲージ1 手札6

 

ノアのターン。

「眈々と進むサクラ選手のファイトに対して、今の一撃で心揺さぶられたノア選手!初めてのバディファイトに緊張しているのか!?」

「ノアー、まずはドローだ!」

「ドロー!」

「次は手札の今必要のないカードをゲージに置いて、またドローだ!」

「えーと、これを置いて、ドロー!」

「まずは準備だ!」

「え、準備?」

ノアは自分の手札をジッと見る。そして、

「えっと、装備、希望の杖 トゥルー・ホープ。」

 

希望の杖 トゥルー・ホープ アイテム

レジェンド

希望/杖/天国

0/1

コスト:ライフ1を払い、デッキの上から1枚をソウルにいれる。

・このカードは君の場に他の「希望」があるなら、効果で場を離れない。

・[起動]このカードをレストしてよい。そうした場合、デッキの上から1枚をゲージに置き、ドロップゾーンのカード1枚を、このカードのソウルに置く。

[対抗] [起動] 相手のアタックフェイズ中、このカードをソウルを捨ててよい。捨てたら、このターン、君が次に受けるダメージを0にする。

 

「希望・・・なんだこの属性は。」

 

初めて見る属性に困惑する友牙達。

そしてノアには、少しずつ忘れていた記憶が戻ろうとしていた。




今回は投稿遅れてしまい、すみませんでした。


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「希望」属性と阿修羅解放

あらすじ
ダンジョンワールドから帰った友牙とガルガは、土砂降りの中、橋の上で意識を失い倒れている一人の女に出会う。

女は自分のことをノアといい、それ以外の記憶を失っていた。

友牙はノアの近くに落ちていたデッキをノアに渡す。
ノアはバディファイトに興味を持ち、そのデッキでティーチングも兼ねた、サクラとのファイトをすることを決めた。


ノアのライフ8 ゲージ2 手札6

サクラのライフ10 ゲージ1 手札6

 

目の前に現れた杖を掴み、地面に刺す。

「次にデッキの上から2枚をドロップゾーンに置いて、希望の忍者 レイヤをレフトに!」

(にん)!・・・ってあなたは?」

レイヤはレフトに現れると、ノアの姿を見て、不審に思う。

「私はノア、よろしくね。」

「・・・まぁいいでしょう、指示を!」

「効果で、デッキの上から3枚見て、1枚を手札に加えて、2枚をドロップゾーンに・・・と。」

ノアはデッキから浮かび上がる3枚のカードから、一枚を掴む。そして残りの2枚はドロップゾーンに送られた。

 

希望の忍者 レイヤ モンスター

カタナ

希望/忍者/天国

サイズ1 6000/2/1000

「希望の忍者 レイヤ」は1ターンに一度しかコールできない。

コスト:君のデッキの上から2枚をドロップゾーンに置く。

・このカードが登場したとき、君の場に他の「希望」があるなら、デッキの上からカードを3枚見て、1枚を手札に加え、残りをドロップゾーンに置くか、デッキの下に好きな順番で置く。

 

(デッキのカードを捨てるって、灼熱地獄の共通効果じゃ・・・)

サクラは顎に手を当てる。

「そして杖の効果で、デッキの上から1枚をゲージに置いて、ドロップゾーンから、1枚をこのカードのソウルに入れて・・・そしてゲージ2を払い、ライトにコール、希望の騎士 リゼを・・・」

「バディコールだ、ノア!」

「バディコール?」

「バディゾーンのカードを場に出して、バディゾーンにカードを横向きで置くんだ。」

「えっと・・・こう?」

ノアは友牙の指示通りにする。

すると、それを見てバディコール宣言は無かったが、リゼがバディゾーンからライトに下りる。

「任せてください、希望のために私は戦う!」

 

ノアのライフ8→9

 

「希望の騎士 リゼ!サイズ2、攻撃力8000、防御力5000、打撃力2のレジェンドワールドのモンスターだ!このカードは攻撃時にドロップゾーンのカードを5枚戻すことで好きなカードを手札に加えることをできる強力な効果を持っているぞ!」

「さらに、フラッグが楽園天国なら、相手の効果で破壊されず、自分がライフを払うとき、払う数が1減るという効果も持ってるでチュウ!」

 

希望の騎士 リゼ モンスター バディ

レジェンド

希望/英雄/天国

サイズ2 8000/2/5000

2回攻撃 ソウルガード

コスト:ゲージを2払い、デッキの上から1枚をソウルに入れる。

・君のフラッグが「楽園天国」なら、このカードは相手の効果で破壊されず、君がライフを払うとき、払う数を1減らす。

・このカードが攻撃したとき、君の場に他の「希望」があるなら、ドロップゾーンのカードを5枚戻してよい。そうした場合、デッキから「希望」のカード一枚を相手に公開して手札に加える。その後、デッキをシャッフルし、デッキの上から2枚をゲージに置く。

 

「いきます!リゼ!」

「いくぞ!はぁーーーッ!」

リゼはレイピアを構え、ライトから走り始める。

「リゼの効果でドロップゾーンのカードを5枚戻して、デッキからカードを1枚手札に。私が持ってくるのはえっと・・・」

しかし、ノアが持ってくるカードを悩んでいるの聞き、その場に立ち止まって、

「希望の王剣を持ってきなさい!」

「わかった!えっと・・・これだ!私は希望の王剣 ホープ・エクスカリバーを手札に!そしてデッキをシャッフルして、2枚をゲージに!」

ノアは必殺技のカードを持ってきた。

「必殺技を手札に加えながら、コストも確保できるのか、あのモンスターやるな。」

「ッ!」

リゼの攻撃はやっと、サクラに通る。

 

サクラのライフ10→8

 

「2回攻撃!」

「キャスト、滅神の盾!無効にして、1ライフ、1ドロー!」

 

サクラのライフ8→9

 

「レイヤ!」

「承知!・・・忍!」

レイヤはリゼとは一転、忍者のような素早い動きで、サクラの背後にまわって攻撃する。

「なっ!」

 

サクラのライフ9→7

 

「これでターン終りょ、」

「いや、ファイナルフェイズだ。」

ノアがターンを終わらせようとするのを、リゼが止める。

「えっ、ファイナルフェイズ?」

「その手札にある必殺技を使いなさい。なんのために持ってきたの?」

リゼは説教口調でノアに言う。

「・・・うん!ファイナルフェイズ!希望の王剣 ホープ・エクスカリバー!」

ノアの持っていた杖は黄金の大きな剣に変化し、サクラに向かって倒れる。

「きゃぁーーーッ!」

 

サクラのライフ7→4

ノアのライフ9→12

 

「回復した!?」

「ホープ・エクスカリバーは、相手にダメージ3を与え、ライフ3を回復する剣。そして私たちの希望の力」

 

希望の王剣 ホープ・エクスカリバー 必殺技

レジェンド

希望/英雄/天国

君の場にワールドの違う「希望」のカードが2枚以上あるなら使える。

コスト:ゲージを2払う。

・相手にダメージ3!その後、君のライフ+3!このカードのダメージは減らない。

 

「これで本当にターン終了・・・だよね。」

 

ノアのライフ12 ゲージ1 手札5

サクラのライフ4 ゲージ1 手札6

 

サクラのターン

 

「ドロー、チャージ&ドロー。」

サクラは追い詰められていた。次のターン、またあの必殺技を放たれたら死んでしまう。

サクラはチラッと友牙の方を見る。

友牙はノアの方を見ていた。

「・・・本気出すかな。」

サクラはそれまでほどいていた髪を、いつもの一つ縛りに戻す。

「バディコール!ドロップゾーンのカードを3枚ソウルに入れてゲージ2を払い、ライトに現れろ!阿修羅!」

バディゾーンから消え、それは空間を突き破って上から落ちてきた。

目の前で変形する巨大なそれは、以前話した「銅像」という姿より、もはや「ロボット」のような姿だった。

「サクラ選手も負けじとバディコールだ!滅神の使者 阿修羅、サイズ3、攻撃力12000、防御力8000、打撃力2!」

「攻撃する度に、相手の場の神をドロップゾーンに置くでチュウ!」

 

滅神の使者 阿修羅 モンスター

属性:滅神

サイズ3 12000/2/8000

ソウルガード 移動 反撃

コールコスト:ドロップゾーンの「滅神」3枚をソウルにいれ、ゲージを2払う。

・君が「滅神」のアイテムを装備しているなら、このカードは3回攻撃を得て、君の場の「滅神」全てはレストされない。

・君の場の「滅神」のアイテムの攻撃力+10000し、打撃力+1する。

・このカードが攻撃したとき、相手の場の属性に「神」または「ゴッド」を含むカード1枚を選び、そのカードの能力全てを無効化し、ドロップゾーンに置く。この能力に相手は[対抗]できない。

 

「切る・・・」

サクラは神威の柄をいつも以上に力強く握り、居合いの構えをとる。

そして周囲が一度静かになった瞬間、一気に刀を抜いた。

刀から放たれる衝撃波は、ノアの立つ背後の壁を真っ二つにするように傷を負わせ、ノアもその衝撃を受けてライフを減らす。

 

ノアのライフ 12→8

 

「2回攻撃!」

サクラはもう一度居合いの構えをする。

「ノア!魔法を使うんだ!」

「魔法・・・」

「対抗って書いてある魔法だ!」

「・・・これだ!キャスト!希望から生まれる勇気(ホープ・ブレイブ)!相手の場のカードを1枚破壊する!」

カードから放たれたエネルギー弾は阿修羅の腕を破壊する。しかし、ソウルガードで場に残った。

「そして、ライフ+3して、手札を捨てれば次に受けるダメージを2減らす!」

 

希望から生まれる勇気(ホープ・ブレイブ) 魔法

ヒーロー

希望/ブレイブマシン/天国

相手のターンに発動できる。

[対抗]:相手の場のカードを1枚破壊する。さらに君の場に「希望」がいるなら、ライフ+3。さらに手札を1枚捨ててもよい。そうした場合、次に受けるダメージを2減らす。

 

ノアのライフ 8→11→9 手札3

 

「3回攻撃!」

再び抜かれたサクラの刀から放たれた衝撃波は、ノアにダメージを与える。

「きゃあ!」

ノアはその衝撃に思わず、尻餅をついてしまった。

 

ノアのライフ 9→5

 

「阿修羅は攻撃しない・・・。キャスト!明鏡止水でゲージ+3。そしてファイナルフェイズ!」

ノアは一枚のカードを持ち、阿修羅の手のひらに乗ると、思いっきりノアに向かって投げられる。

「滅神究極奥義!神殺の一閃!」

サクラはその一瞬でノアを切り、ノアの背後で刀を納める。

 

ノアのライフ 5→0

 

「あっ」

サクラは無意識のうちにここまでしていたのか、我に返ってノアの方を見る。

「・・・ひぐっ・・・うぅ・・・。」

ノアは初めてのファイトで、怖い思いをしたのもあってか、地面にぺたんと座って、目が少し潤んでいた。

「やっちゃった・・・」

「さすがにフォローできないな」

「同じく・・・。」

友牙やガルガは二人から目を反らしていた。

「え、えっと・・・私はいつも通りでいいのかな、これ」

実況をやっていたイオンも言葉に詰まる。

「友牙・・・これどういう状況?」

友牙の後ろに立っていたのは、怒れるパル子だった。



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遊びの神と竜の神

あらすじ
記憶を失った女、ノアの記憶を思い出させるために、ファイトしたが、サクラが本気を出したことにより、ノアに心の傷を負わせただけで終わった。


「今日はみんな家で食べていって!外、雨まだ降ってるし」

 

大人数で囲む食卓は、いつもより賑やかだった。

そんななか、友牙は頭にできた大きなこぶの痛みで、あまり笑うことはできなかった。

「帰ってきたら玄関はびちょびちょだし、脱いだ靴や服は散らかしっぱなしだし、部屋入ったら知らない女の子が泣いてるし・・・。賑やかなのは良いけど、ちょっとは治しなさい。もう6年生なのに・・・」

「ごめん、母さん。」

ノアが泣いているのは俺関係ないじゃん・・・と、友牙は心の中で思いながら、出された味噌汁を静かにすすっていた。

「ノアさんってここらへん?」

「いえ、私は・・・その」

「ノアは記憶喪失なんだ。」

「えっ・・・ご、ごめんなさい」

一通り食事が終わると、

「友牙、デザート買ってきなさい、お金はあとであげるから」

パル子は友牙にお使いを頼む。

「なんで俺が・・・」

パル子は友牙の方にだけ怖い顔で睨んだ。

「買ってきて?」

「わ、わかりました!」

友牙は久しぶりに見た母親の怖い顔に思わず、立ち上がって部屋から大急ぎで出ていった。もちろん、それを横で見ていたガルガも一緒に。

 

「母さんのあの顔、久しぶりに見た・・・」

夜の7時。辺りは雨が降っていて、夜というのもあってかとても暗く、街灯の明かりを頼りに二人は、近くのコンビニまで歩いていた。

「だな。・・・しかし、あの希望とかいう属性謎だ」

「あぁ、結構特殊な動きしてたというか、なんというか」

「違う。聞いたことのない属性なのでな、ここ最近生まれた属性なのだろうか」

「かもしれない・・・。ガルガは楽園天国ガルガとかにもなれるのか?」

「無論だ」

「じゃあいつか楽園天国も考えてみるかな」

「む。」

「どうしたガルガ?」

「さっきから後をつけられている。」

「え!?」

友牙はそれを聞いて、おもわず後ろを向く。

「誰もいないけど・・・」

ガルガは傘を閉じると、元の大きさに変化する。

「・・・友牙、上だ!」

ガルガの声に、友牙は上を向く。

「バレたか・・・仕方ない」

背中から龍のような羽を生やしたスーツ姿の男は、気付かれると地面に足をつけた。

「お前たち、ハート様を知らないか?」

「ハート・・・?まさか!」

「ほう?知っているのか・・・なら、」

「友牙!」

男は友牙の首を掴むと、後ろのコンクリート塀に叩きつけるようにして、友牙の身動きをとれなくする。

男の手は龍のような鱗と爪を持ち、友牙の右肩にできた傷からは血が出ていた。

「ッ!」

「答えろ、ハート様はどこにいる!」

「友牙を、離せぇーーーッ!」

ガルガは男に剣を振るう。

男は残像を作るほどの速さで友牙から離れると、空中へ飛んだ。

「モンスターが人間に戦闘外で攻撃するとは・・・。しかし、俺が相手がただの人間だと思うな?」

「友牙、大丈夫か?」

「あ、あぁ、少しケガしただけだ・・・。」

「この俺に立ち向かうか。良いだろう、お前らデッキは持っているか?」

男は友牙達にコアデッキケースを見せる。それは禍々しく、目のような装飾が特徴的だった。

「俺とファイトだ、神に歯向かいしものよ!」

 

 

「ん?この近くで始まった?」

「イオンちゃん、実況?」

「はい!友牙君には悪いですけど、今日はこの辺で、いくよ、タコ吉!」

イオンはタコ吉のUFOに乗ると、すぐにワープする。

「ワープ成功!・・・って友牙君!」

三つの目が空に浮かぶフィールドに、龍が口を開けたような入り口が4つ。

高低差のある2つのファイトテーブルの置かれたスペースの低い方には、上に羽織ったフードがボロボロになり、首に掛けたヘッドホンの片方が壊れて放電しそうな、傷だらけの友牙と、モードソニック状態のガルガの姿があった。

右肩を負傷したのか、右肩を左手で押さえ、剣を持つ友牙は満身創痍で今にも倒れそうになっている。

ライフは18対3で、センターに立つガルガもソウル0枚で立っているのがやっとの状態だった。

「こここ、これは!傷だらけの友牙選手と、あ、あれは、ドラゴン!?」

「ほう、実況か。誰が君を呼んだのかね?」

「ひぃ・・・っ」

友牙の前に飛んでいるそれは人間の形をしていながらも、肌は鱗になり、手には大きな爪、背中から竜のような羽を生やし、まさに竜のような姿だった。

「これはいったい・・・。」

「見ればわかるだろう、制裁を加えているのだ。神に抗ったこの偽物の神にな。我が名は、竜神(たつがみ)。遊びの神なんて馬鹿馬鹿しい名前の神とは違う、我は全ての竜と神を統べる真の神だ!」

竜神は羽を羽ばたかせ、一度上に飛ぶと、

「二回攻撃!」

と言い、センターに立つガルガを貫く。

「ガルガ!」

「ッ!・・・すまない、友牙・・・」

「止めだ、遊びの神よ!」

「クソッ・・・体が。」

 

「バディポリスだ!」

 

竜神の爪が友牙の体を貫こうとしたそのとき、ファイト空間の天井部分は粉々に砕け、バディポリスが一気に入ってくる。

「大丈夫か、友牙君!」

「タスク・・・さん」

「遊びの神よ、さらばだ」

竜神はコアデッキケースを空中へかざす。上には空間が歪んでいるかのような穴が生成され、竜神はその中に入る。

「待て!」

飛行するバディポリスに向かわせるが、穴は直前で消えてしまった。 

「・・・友牙君とガルガは僕が家まで届ける。君はすぐに帰るように」

「はい。」

「それから、今日ここであったことは無闇に話さないように。」

「わ、わかりました!いくよ、タコ吉」

イオンはUFOに乗り込むとワープした。

「・・・この場所、懐かしいな。もしかしてヤツもこの事件に関係しているのか・・・?」

 

「友牙、あとは頼んだぞ・・・世界をその剣で守れ。」

「おい、嘘だろ・・・。ガルガ・・・」

 

「ガルガァーーーッ!」

友牙は自分の部屋で目が覚めた。汗で枕が濡れている。どうやら、悪い夢を見ていたようだ。

「夢か・・・。ガルガは!」

「う・・・うるさいではないか、何事だ」

「良かった・・・」

友牙は机の上のヘッドホンを見る。ヘッドホンの片方は壊れていた。

「あのファイトは夢じゃないのか」

「どうした、友牙よ。」

ガルガはあくびをしながら起き上がり、友牙を見る。

「俺たち、負けたんだな。」

「友牙よ・・・。確かにあの男の力は我らの実力を遥かに越えていた。特にあのアイテムは強力だった。」

「ガルガ・・・」

「しかし、勝ち目はある。次こそは勝とうではないか」

ガルガはそう言って立ち上がるとカーテンを開けた。

「さぁ、朝の特訓をしようじゃないか。」

「・・・あぁ!」

友牙はいつもの服に着替えると、立て掛けてあった棒を取り、ガルガと共に外へ出た。

 

 

暗い部屋。デスサイズは竜神の帰りを待っていた。

「おかえり。ハート様は見つからなかったのか?」

「あぁ、だが、面白いものは見つけた」

竜神は帰ってくるとすぐに、部屋の奥にある龍を象った玉座に深く座る。足を組み、腕置きに片腕を置き、もう片方は頬杖をつく。

デスサイズは竜神の側に立って話を聞いていた。

「面白いもの?なんだ?」

「遊びの神だ。」

「もしかして、未門 友牙のことか?」

「?・・・知ってるのか?」

「知ってるのも何も、神バディファイター決定戦優勝者で、YouTuberとしても有名な未門 友牙だぞ!・・・竜神もしかして」

「ふん、神バディファイターってのも貧弱なものだな。」

「竜神・・・まぁ、それはいいとしよう。で、まだ何か隠してるだろ?」

「・・・お前のロストデュアルカードだ、使え。」

竜神はデスサイズに黒いオーラを放つ一枚のカードを渡す。

「ありがとう。大事に使わせてもらうよ」

デスサイズはコアデッキケースに差し込んだ。

「これでハート様でも捕まえてこい。俺は調査中のカタナワールドでも侵略してくる。」

「じゃ、ハート様でも探しにいくかな」

デスサイズは大きな鎌を肩に担ぐと、暗い部屋から出ていった。

「・・・支配の時は近い。モンスター達の力は全て、我々のものになる」

 



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相棒学園には幽霊がいっぱい!?

あらすじ
友牙は雨のなか、おつかいに外へ出る。そして友牙はハートを探している竜神に会い、ファイトを申し込まれ、完敗した。



夜の相棒学園校舎。

「あの・・・サクラ?」

「何?」

「もう少し離れて歩いてくれないかな?」

ぎこちない歩き方をする友牙と、友牙の背中にピッタリとくっついて歩くサクラ。

「嫌だ。」

なぜこうなったのか、それは4時間前に遡る。

 

放課後。

「幽霊を見た!?」

「あぁ、この学校出るらしいよ」

友牙の耳に入ってきたその言葉。友牙は内心ワクワクしていた。

「友牙ー。」

「サクラ、どうした?」

別の場所を掃除していたサクラが入ってくる。

「聞いた?学校に出る幽霊の話。」

「今さっき聞いたよ」

「じゃあさ!今夜、肝試ししない?」

「・・・肝試し?どうして?」

「どうして・・・って、ほら、友牙の動画のネタになるし、ね?」

「確かに。じゃあスバルとかマサトとか、ミコやメルも一緒に」

「ダメ!」

「え?」

サクラは友牙のスマホを持つ腕を掴む。

「私と・・・二人でやろ!幽霊もそんな大勢で行ったら出ないだろうし」

「それもそうだな、よし!じゃあ今夜の8時から」

 

そして今にあたる。

「・・・ねぇ?」

「なんだよ」

「あの三匹は?」

「話したら断られた。怖いってさ」

「ガルガは?」

「ここにいるぞ。」

「うわぁ!驚かさないでよ!」

「さっきからいたではないか。どうしたんだ、いつもの威勢は」

「うるさい!」

サクラはガルガの頭を叩く。

「着いたぞ・・・まずはここだ」

友牙達はまず第一のスポット、理科準備室に来ていた。

「ここの人体模型が動くって話。」

「でも、ここって鍵ないと開かないような」

「あ・・・」

 

「ねぇ、あなたたちも幽霊に会いに来たの?」

 

「ひっ・・・きゃぁぁぁ!」

サクラは床に尻餅をついて倒れる。

「大丈夫だよ、わ、私は幽霊じゃない」

二人の前に現れた女の子。髪はクリーム色で、前髪が片目が隠れるくらい長く、手が見えないくらいの黒いパーカーを着ていた。

「私は小梅。私も気になってきたの」

「俺は未門 友牙。で、こっちは・・・」

「ガタガタガタガタ・・・」

「サクラっていうんだ。」

サクラは立てないくらいに怯えていた。

「もう嫌だ、帰る!」

「帰っていっても、立ち上がれないんだろ?・・・ほら」

腰が抜けてしまい立ち上がれないサクラの前に、友牙は後ろになってしゃがむ。

「ほら、乗れって。俺がおぶるから」

「・・・ありがと」

「それじゃあ、いこ?」

小梅は二人の前を歩き、次の場所へ導く。

「次はここ・・・」

次に着いたのは女子トイレだった。

「ここの三番目のトイレに華子さんがいるって噂・・・だな」

「・・・入るの?」

友牙の後ろからサクラが聞く。

「入ろうぜ」

「男の子なのに?」

サクラの言葉に、友牙は頬を赤らめて足を止めた。

「・・・。どうする?ガルガ?」

「我に聞くな・・・。今時間帯、他の人間は誰もいないのだ。入ってもかまわないはずだ」

「ガルガがそういうなら・・・」

友牙はなぜか目をつぶって、女子トイレに入る。

「ここか。」

そしてガルガに連れられて三番目のトイレのドアの前に立ち、恐る恐る三回ノックした。

「・・・何も出てこないな」

「今日は・・・いないの・・・かな?」

小梅はそう言い、トイレの扉を開ける。

そこには何もなく、きれいな便器があるだけだった。

小梅とガルガは外に出た。友牙とサクラもそれに続いて外に出る。

「ん?これって・・・」

友牙は足元にバディファイトのカードが落ちていたのに気づく。

「なんだ。そのカードは」

「レジェンドワールドのフラッグだ。」

「落とし物かな?」

友牙は棚の上にカードを置き、その場をあとにした。

「・・・牙王・・・。」

「え?」

友牙は知らない声を聞き、トイレの方を振り返る。

声の方には誰もいない。

「どうした、友牙よ。」

「いや、女の子の声が聞こえたんだけど・・・気のせいかな」

「やめてよ、そんなの」

「やっぱり・・・いたんだ、華子さん。」

「え?」

小梅は両方の袖口で口を隠してクスクスと笑う。

「ねぇ、ファイト・・・しよ?」

「何?急に・・・」

「バディファイトしよ?」

小梅はパーカーのポケットからデッキを取り出す。

「私も、デッキ持ってるから」

「やるか、友牙よ」

「挑まれたなら、やるしかないよな、ガルガ!」

 

「バディファイトあるところ、奈々菜イオンあり!夜の学校、誰もいない校舎の屋上でもって・・・何これぇ!」

「わわわ、観客(?)がいっぱいでチュウ!」

屋上で準備する三人と一匹を囲むように、大勢の幽霊が現れ、幽霊は呻くような声を発していた。

「聞きたいのはこっち!なんでこんなことに・・・」

サクラは腰が抜けて友牙の足にしがみついていた。

「・・・君がこれを呼んだのか?」

「あの子見えるんだ・・・ふふふ」

「あの子・・・?」

「さぁ、やろ?バディファイト。」

空中に現れたVボードにデッキを置く。二人の間にはセンター、ライト、レフトを表す紫色の文字と、その文字を囲む紫色の六芒星が表れた。

 

大地を駆ける剣馬のドラゴン、ここに参上!ルミナイズ、神・速ドラ!

 

危険な館の危険な幽霊達、今あなたの元に・・・ルミナイズ、デンジャラス・ゴーストパレード。

 

「バディーファイ!」

「「オープン・ザ・フラッグ!」」

 

「ドラゴンワールド!バディはガルガンチュア・ブレイドケンタウロス!」

「デンジャーワールド。バディはシャドウ・ウォーカー。」

 

「ウガァァァーーー!」

観客である幽霊達も興奮で叫び始める。

「ヒィィーーー!・・・友牙ー!頑張れー!」

 

先攻 小梅のターン

 

「私のターン、ドロー、チャージ&ドロー・・・。ライトにバディコール、幽刻の魔影 シャドウ・ウォーカー」

「ククク・・・」

六芒星の中心から現れたモンスターは、動物の頭蓋骨に黒いロングコートに骨でできたランタンを持ったいかにもホラーなモンスターだった。

 

小梅のライフ 10→11 

 

「ヒィィー!また怖いの出てきた!」

「怖くないよ、シャドウ・ウォーカー。この子はライフ2を払って、幽霊を呼んでくるの」

「幽霊!?」

「ケタケタケタケタ・・・!」

シャドウ・ウォーカーは笑う。すると、ランタンが光り、幽霊がセンターに現れた。

 

幽刻の魔影 シャドウ・ウォーカー

属性:ゴースト

サイズ0 1000/0/1000

2回攻撃

コストゲージ1払う

・このカードは相手の効果で場を離れない。

・このカードは登場したターンの、次の君のターンの開始時にドロップゾーンに置かれる。

・君の場の「幽霊」がいるなら、このカードの攻撃力と防御力は君の場の「幽霊」の数×10000。2枚あるなら、打撃力+2

[対抗]「起動」君のライフを2払うことで、君のデッキの上から1枚を裏向きにして、「《幽霊》サイズ0/10000/3/1000」のモンスターとして君の場に出す。

 

「設置、幽闇のお墓 ネクロタフィオ。さらにキャスト、お話しようよ・・・ね?」

「え?何?」

「効果でゲージ+2、ライフ+2。さらに幽霊がいるから、ライフ+2、1枚ドロー。」

 

小梅のライフ 9→13

 

幽闇のお墓 ネクロタフィオ

属性:ゴースト

[設置]

・君の場の「幽霊」は相手の効果で破壊されず、相手のセンターにモンスターがいても相手を攻撃できる。

・君の場の「幽霊」がドロップゾーンに置かれたとき、君のライフ+1し、カード1枚を引く。この能力は1ターンに一度だけ使える。

・「幽闇のお墓 ネクロタフィオ」は君の場に1枚だけ[設置]できる。

 

お話しようよ・・・ね?

属性:ゴースト

・君のデッキの上から2枚をゲージに置き、君のライフ+2。さらに君の場に「幽霊」があるなら、さらに君のライフ+2し、カード1枚を引く。「お話しようよ・・・ね?」は1ターンに一度だけ使える。

 

「さぁ、幽霊で攻撃・・・」

センターから飛んでいった幽霊は友牙の体を貫通して、センターに戻る。

「ッ!」

 

友牙のライフ 10→7

 

「ターン終了・・・ふふふ」

このとき、友牙とガルガには見えていた。小梅とシャドウ・ウォーカーを囲む大量の幽霊の存在を・・・。

 

友牙 ライフ7 ゲージ2 手札6

小梅 ライフ13 ゲージ4 手札5

 



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遊びの神と幽霊

あらすじ
肝試しに夜の相棒学園に訪れた友牙とサクラ。
二人を待っていたのは心霊現象と、一人の女の子だった。



友牙のターン

 

「ドロー!チャージ&ドロー!」

「友牙、なんとかして!」

「装備、神竜光剣 ガルライト・レイピア!そして神竜の騎士 ヴァルハイトをレフトにコール!効果で手札1枚を捨てて、ガルガンチュア・ブレイドケンタウロスを手札に!」

「我の効果で、主を姿をお見せしましょう!」

ヴァルハイトは手に持つ武器を振る。

そしてデッキから1枚のカードが友牙の手札に加わった。

「ライトにバディコール!ガルガの新しい姿!ガルガンチュア・ブレイドケンタウロス!」

「我は止まらぬ!行くぞ!」

新たな姿のガルガは、4本の足で地面をガッシリと掴み、剣を構える。

「アタックフェイズ開始時!ガルガ!」

「心得た!G-BOOST 技!・・・ぐぁ!何が・・・!」

「な、なんだこれは・・・動けんぞ!」

G-BOOST発動の構えを取るガルガは、急に苦しみ始め、体が金縛りにでもあっているかのように動けなくなる。レフトのヴァルハイトも同様に動けなくなった。

「ガルガ!ヴァルハイト!」

「呪われちゃったのかな?」

小梅は1枚のカードを見せる。

小梅の場にはいつの間にかレフトに幽霊が現れており、センターとレフトにいる幽霊から伸びた影が、ガルガの影に侵食して、ガルガの足を掴んでいた。

 

呪われちゃったのかな?

属性:ゴースト

君の場に《ゴースト》または「幽霊」があるなら使える。

コスト:ゲージ1、ライフ1を払う。

・君の場の「幽霊」1枚につき、相手の場のモンスター1枚を選び、レストする。さらに、君の場に「幽霊」が2枚以上あるなら、この効果でレストしたカードはこのターン、スタンドしない。

 

小梅のライフ13→10 ゲージ4→3

 

「ッ!・・・なら、俺が攻撃する!攻撃するのは、幽霊を出している、そのモンスターだ!」

友牙はガルライト・レイピアを構える。

「ーーー!」

シャドウ・ウォーカーはランタンで、襲いかかってきた友牙を振り払う。

「その子の防御力は21000。・・・まずは幽霊を払わないと倒せないよ。」

「なら、まずはセンターの幽霊からだ!」

レイピアは、センターの幽霊に突き刺さって一度は消えるが、またシャドウ・ウォーカーのランタンが光り、幽霊が現れる。

「私のライフを犠牲に幽霊は現れる・・・。そして、お墓の効果でライフ1回復とドロー。」

 

小梅のライフ10→9 

 

「もう一度だ!」

友牙はもう一度、レイピアで幽霊を刺すが、幽霊は湧き出るように甦る。

 

小梅のライフ9→7

 

「3回攻撃!」

「キャスト、私達と遊ぼ?」

今度はシャドウ・ウォーカーも消え、幽霊がセンターとライトに現れる。

 

私達と遊ぼ?

属性:ゴースト

コスト:ライフを1払う。

「私達と遊ぼ?」は1ターンに一度だけ使える。

[対抗]デッキの上から2枚を裏向きにして「《幽霊》サイズ0/10000/3/1000」のモンスターとして、君の場の別々のエリアに出す。

 

小梅のライフ7→6

 

「足りない・・・ターンエンド。」

友牙は手札にある『神・ガルガンチュア・クラッシャー!!』を見て、ターンエンドを告げる。

「友牙・・・」

 

小梅のターン

 

「ドロー、チャージ&ドロー。キャスト、お話しようよ・・・ね?」

 

小梅のライフ6→10 ゲージ4→6

 

小梅はついに袖から手を出した。そして、

「夜、深夜・・・ここからが本当の時間だよね・・・。ほら、あの子が、起き出す・・・。」

小梅の指の先には1枚のカードがあった。

「3体の幽霊を1人の子に・・・起きて。ふふふ」

3体の幽霊は笑いながら、夜の空に消えていく。そして辺りはクラシック音楽溢れるコンサート会場のような空間に包まれた。

「いったい・・・何が・・・」

「現れて、コンサートの亡霊!」

これまでの幽霊とは違う骸骨の音楽団が、演奏のために音を合わせ始める。

ライトに現れたのはドレスを着飾った大きな骸骨だった。

 

幽魔の旋律 シナヴリア・ファンダズマ

属性:ゴースト

サイズ3 30000/3/1000

2回攻撃

コスト:君の場の「幽霊」3枚の上に重ね、ゲージ3を払う。

・このカードは場を離れず、センターにコールできず、移動できない。この効果は無効化されない。

・このカードが攻撃するとき、デッキの上から2枚を裏向きにして「《幽霊》サイズ0/10000/3/1000」のモンスターとして君の場の別々のエリアに出す。

[対抗]君が攻撃されたとき、君のライフを1払うことで、デッキの上から1枚を裏向きにして「《幽霊》サイズ0/10000/3/1000」のモンスターとして君の場に出して、その攻撃の対象をそのモンスターに変更する。

 

それがそのモンスターの名前。

 

「来るぞ、友牙!」

「ガルガをセンターに移動!」

ファンダズマは大きく息を吸うと、オペラのような透き通る声が辺りに響き渡り、周りの骸骨達はクラシックな音楽を演奏し始めた。

「この子が攻撃するとき、幽霊が2人現れる。」

音による攻撃によって、ガルガは一度は消えるが、

「ソウルガードで復活!」

ソウルガードによって復活する。

「レフトの幽霊で・・・友牙君を攻撃」

「な、」

「設置魔法の効果!」

サクラは友牙に、幽霊が潜影の効果を持ったことを教える。

「ッ!」

「もう一度・・・いって。」

「うわぁぁぁぁ!」

「友牙ッ!」

 

友牙のライフ7→1

 

「ファンダズマでガルガを攻撃。」

ファンダズマはもう一度、透き通った声で攻撃する。音はガルガの鎧を砕いた。

「すまん、友牙!」

「ガルガ!」

「まだ幽霊が残ってるよ・・・ふふふ」

「キャスト!神・緑竜の盾!」

「次・・・」

「キャスト!神・青竜の盾!」

友牙は辛うじて幽霊の二回の攻撃を防ぎきる。

しかし、友牙の立つ足元にも、まるで冥界へと引き釣り混もうとするかのように、幽霊に囲まれていた。

 

友牙のライフ4 ゲージ4 手札2

小梅のライフ10 ゲージ3 手札5

 

友牙のターン

 

「ドロー!チャージ&ドロー!ガルガンチュア・ブレイドケンタウロスをライトにコール!」

「我はまだ諦めぬ!」

「キャスト、ガル・オラクル!効果で2ドロー!違う・・・けど、いける!」

「心得た!G-BOOST 技!」

「また呪われちゃったのかな?」

「ッ!クソ・・・またこれか・・・」

「だが、アイテムの3回攻撃は残っている!」

友牙はレイピアを幽霊に刺す。

「2回攻撃ッ!」

「発動!」

ファンダズマは叫び始める。

すると、センターに幽霊が現れ、攻撃を吸い込む。

「ライフを削って・・・攻撃をこの子に。」

 

小梅のライフ10→9

 

「まだ3回目の攻撃が残ってる!」

「もう一度、守って!」

 

小梅のライフ9→8

 

「友牙、どうするのだ!?」

「これならどうだ!来い!カリバーン・ガルドラ!」

友牙の言葉に応え、ドロップゾーンから1体のモンスターがレフトのヴァルハイトに換わって現れる。

「今こそ、我の力を示すとき!」

カリバーン・ガルドラは剣を構える。

「もう一度!」

 

小梅のライフ8→7

 

剣は幽霊を切り裂き、次の攻撃に備える。

 

「もう一度!」

「その魂、切り裂く!」

2度の攻撃は2体の幽霊を切り、剣をしまった。

 

小梅のライフ7→5

 

「今だ、我が主よ。」

「あぁ、ファイナルフェイズ!キャスト!神・ガルガンチュア・クラッシャー!!」

夜の空に現れた大きな拳に、友牙はガルガの力を使って乗り込む。

「いっけぇーーーーッ!」

「ありがとう・・・私とファイトしてくれて・・・」

 

小梅のライフ5→0

 

「WINNER、俺!」

神・ガルガンチュア・クラッシャーの拳が消えたその後には、小梅の姿はなく、周囲にいた幽霊や骸骨は一人もいなかった。

「あれ、小梅は?」

「もしかして・・・あの子も幽霊!?・・・ぁ」

サクラは友牙の足元で気絶してしまう。

「サクラ!・・・ガルガ、サクラを運ぶぞ!」

「心得た!」

 

相棒学園怖い噂話の一つ。

夜に学校に来た子供とファイトする少女の幽霊。

「待ってるよ・・・ふふふ」

彼女は今もファイトの相手を待ってるとか・・・。

 



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侵略されるカタナワールド

ある日、角王のみが知ると言われている場所に角王全員が集められた。

集めたのはミセリアではなく、ヴァリアブルコードだった。

 

「おいおいなんだ?俺は今、テツヤのダンスフェスに忙しいんだ。スケジュールがコミコミでよぉ。」

「お久しぶりですアスモダイさん、あなたのワールド、襲われたらしいですね、竜神という男に」

ヴァリアブルコードは、逃げようとするアスモダイを止めた。

「マジックワールドの世界の宝玉が盗まれているのに、どうしてあなたはそんな平気な顔をしているのですか?」

「・・・どうしようもできねぇんだよ、こればっかしはよ!」

アスモダイは持っていたペンを折る。

「やめなさい。起こってしまったことを話しても、何も始まらん。次の被害を抑えなければならない。」

次に入ってきたのはドーン伯爵だった。

「レジェンドワールドは今は問題なく、いつもどおりの生活をしておるが、いつこの平穏が崩れるかわからん。それにわしももう歳だ。吸血鬼といえど、体にそろそろガタがき始めたものじゃ」

「そろそろ、角王の証を次世代に受け継がないとか・・・」

アスモダイは角王の証を取り出す。

「俺もテツヤには悪いが、もう戦うのがキツいんだ。昔みたく、踊るなんてもっとな・・・」

「・・・そうだ、ジウンと天武はどうした?あの二匹の顔を全く見てないのだが」

「ミセリアはダンジョンワールドから離れられないと言っていましたが、その二人は聞いてませんね」

「天武のじいさんも歳が歳だ。ジウンなら山籠りでもしてるだろうな・・・」

 

 

一方その頃、カタナワールドでは・・・。

「なんでゴワスか、この竜は・・・」

城壁に叩きつけられたジウンは空を見る。

「世界の宝玉はどこだ?」

空には翼を広げた竜が、右手に持つ大剣の切っ先をジウンに向けていた。

その竜は、歯車の特徴的な竜で、羽が全て歯車になっていた。

「狙いはなんだ・・・?」

「狙い?・・・我々の主の降臨だ。」

「主?」

「全てはハート様のために・・・」

大剣はジウンの首を刈り取るように振られる。

「月影!白夜!」

しかし、二人の忍者によってそれは止められた。

「なんだ!?」

「バディポリスだ!おとなしくしろ!」

バディポリスが、歯車の竜を取り囲む。

竜の前に現れたのは斬夜だった。

「これ以上のカタナワールドへの侵略はさせない!」

 

「侵略・・・か。」

 

その声は城からだった。

「そ、それは・・・!」

城から現れたそいつは、世界の宝玉を左手に、世界の宝玉を守っていたと思われる忍者の首を片右に持って現れた。

「我々の計画を邪魔するものは、排除する」

男は忍者の首を、斬夜の前に投げ捨てる。それは斬夜の目の前でカードになった。

「ギア・ロード。こいつらは?」

「バディポリスみたいだ。」

「なら、ボクには必要ないな。」

男は来ていたパーカーのポケットからカードを取り出す。それは剣となり、足にも歯車が特徴的な装備が付く。

その装備からはジェット機のような火を噴射し、男は辺りを飛びながら、周囲を取り囲むバディポリスを攻撃する。

「殺戮、侵略、破壊・・・最高だ!」

「こうなったムゲンは止められないな。」

「ムゲン、ヤツの名前か・・・ヤツを止めろ!」

「無茶です!動きが早すぎま・・・」

斬夜に指示された男は声を発し終わる前に、口から上を切られて地上に落ちていく。

「次はお前だ・・・」

斬夜の背後に現れたムゲンを、斬夜はなんとか刀で攻撃を防ぐが、その威力に斬夜も地上へと落ちる。しかし、地上にいた月影によって地上への激突だけは免れた。

「すまない、月影。」

月影は頷く。

「何を安心してるんだ?」

ムゲンは空中から斬夜目掛けて飛んでくる。しかし、

「グォォォォッ!フン!」

ジウンの決死の突進によって、ムゲンは木に叩きつけられた。

「ここはおいがなんとかするでゴワス!斬夜はこのことをバディポリスに!」

「ジウン・・・ジウンーーーッ!」

月影は斬夜を抱きかかえ、その場から離れた。

 

その後、カタナワールドは炎に包まれ、世界の宝玉は盗まれた。

斬夜がその場から戻ったときには、ジウンの姿はなく、角王の証だけが残されていた。

 

・・・

 

世界の宝玉が盗まれたことで、カタナワールドの力は弱まっていた。

カタナワールドのモンスターは衰弱し、モンスター専門の病院やバディポリスには大量のモンスターが押し寄せていた。

「ミコ・・・ちゃん・・・」

「アマテラス!しっかりして!」

その被害は友牙の周りでも起こっていた。

そして・・・

 

「神威、竜、虎・・・。阿修羅・・・」

ここにも一人の少女がカードを見て泣いていた。

声が聞こえず、姿の現さないモンスター達と力を失った刀。

「サクラ・・・」

サクラは涙を流すしかできなかった。

「父親だけでなく、カードまで・・・友牙!」

「なんとしてでも、世界の宝玉を取り返さないと・・・!」

 

・・・

 

バディポリス本部。

「斬夜君、この状況わかっているな?」

「はい・・・。僕はカタナワールドを守れませんでした。僕は・・・バディポリス失格だ」

タスクは斬夜の肩を掴む。

「君はあの現場でこの事件の犯人を見ている。そしてその事件に使われたモンスターもだ。なら、特定することも可能じゃ」

「あのモンスターとファイター。両方とも情報にありませんでした。『ギア・ロード』という名前のモンスターは一体も確認されていない、新種のモンスター。ムゲンという名のファイターは記録にありません。」

「なん・・・だと・・・。まさか!」

「作られたモンスター・・・という説も十分ありえます。」

タスクはそれを聞くと、モニターの電源を消して部屋を出る。それに続くように斬夜も出た。

「この事態、どこに行くんですか!」

「臥炎 キョウヤ。彼ならあのドラゴンのことを知っているかもしれない。斬夜、君はその角王の証をある人に渡してほしい。」

「ある人・・・」

「エンシェントワールド使いのプロバディファイター、轟鬼 ゲンマの娘、轟鬼サクラだ。彼女の力なら、この事件を解決できるかもしれない」

 

・・・

 

その日の夜、友牙とガルガはベランダに座って夜空を見ていた。

「ガルガ、カタナワールドにはもうなれないのか?」

「わからぬ。しかし、今はなれない。何か内側から縛られているみたいだ」

「そうか・・・。で、これからどうする?」

「決まっているだろう、この事件を解決するのだ。」

「解決するといっても、手がかりがなぁ・・・」

「カタナワールドで起きた事件だ、実際にカタナワールドにいってみるのはどうだ?」

「どうだといっても、カタナワールドへ行く術が・・・」

 

「行く術ならここにある」

 

ベランダの窓を開け、ベランダに出てきたのはサクラだった。

「サクラ!?」

「お邪魔してるわ、友牙。」

「で、術って?」

「これ」

サクラは小脇に抱えていた箱のなかを見せる。

「バディポリスの人から貰ったの、カタナワールドの角王の証。」

 

・・・

 

数時間後。

タスクはとあるビルの最上階に来ていた。

ピアノの戦慄が部屋中に響き渡る。

「バッハ、トッカータとフーガ ニ短調・・・。相変わらずだ」

「やぁ。アポなしで僕のところに来るとは・・・、バディポリス長官権限ということか。」

ピアノの前に座って演奏する男、臥炎 キョウヤはタスクが来てもなお、演奏を続けていた。

タスクはそれに構わず、カタナワールドで起きた事件の一部始終の映像をキョウヤに見せた。

「これがなんだい?」

「この映像に映るドラゴンを知っているか?」

「・・・無限竜」

「知ってるのか!」

「これは臥炎財閥が十年以上昔に秘密裏に製作していたバディモンスターの集団。強すぎるが故に僕たちですら彼らを止めるのは不可能だった。」

臥炎 キョウヤは演奏を止めて立ち上がると、本棚から一冊のファイルを取り出した。

背表紙には『無限竜記録』と書かれていた。

「そのときの使用者であり被験者、ムゲン・アレスター14歳は無限竜を使ったファイトのなかで無限竜のカードと共に、事故によって死んでいる。しかし、その映像には彼の姿がはっきりと映っていた・・・」

「まさか甦ったとでも言うのか・・・?」

 

死者を甦らせることのできる力。

君たちの追っている者は、僕がなろうとした「神」に等しい存在なのかもしれない。



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