抜け毛の激しいワンサマー (無個性のソーイお茶書き)
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プロローグ

乗っけから読者の皆様に質問がある。

 

【貴方は子供の頃、漫画やアニメの技を習得しようとしたことがありますか?】

 

答えは人によって様々だろう。

 

英才教育を受けていたためそんなことを考える暇など無い、という人もいれば『かめはめ波ぁ〜!』と両手を突き出して遊んでいた人もいるはずだ。

 

だが、所詮は只の紙に描かれた空想の産物。

 

誰も習得などできなかったと思われる。

 

子供達は、そんな絶望を味わって(一部除く)一歩大人の階段を登るのだ。

 

『俺の街に、落ちてくんじゃ、ねぇ!』

 

「かっけーっ!」

 

そしてここにも、道端に落ちていた『ワンパンマン』を読む『ワンサマー』こと『織斑一夏』少年がいた。

 

「スッゲー!おれもパンチ1発で隕石をこわせるくらい強くなりてー!」

 

あぁ少年、それは現実的には不可能だ…。将来開発される『IS』ならともかく、ただの人間だとまず隕石に拳が届く範囲までの跳躍は無理なのだよ…。

 

「うーんでも、隕石こわすだけだと他の家が壊れちゃうのか……あっ!それなら空中をけって、散らばった隕石を粉々にしに行けばいいんだ!」

 

さらに無理難題をおっしゃりやがる。

 

「……いや、そんなことよりもっと簡単な方法があるっ!」

 

あっ、めっちゃキラキラした瞳。

これは子供らしいとんでも発言の予感。

 

「サイタマも超えるくらいのすっっっっごい力で隕石まるごと消せばいいんだ!おれってもしかして、天才!?…いや、束ねぇねがいるからそれはないか」

 

天才ではなく天災ですぞ。

あの兎は比較対象にいれても無意味だ。

 

スペックが違いすぎる。

 

「よーし!それなら早速特訓だー!とりあえず腹筋とか腕立て伏せとかマラソンをめっちゃやるぞー!手始めにマラソン50km!腕立て伏せ1000回!腹筋1000回だ!あと、岩とかをこわす訓練もしないとな!」

 

一夏少年は決意した。

…まぁ彼はまだ小学生だ。辛いことに打たれ弱い時期だし、すぐに諦めるだろう。

 

 

☆☆☆☆

 

ここはとある村の小さな火山。

村の人々には信仰の対象となっている神聖な山だが、同時によく噴火する危険な山でもある。

 

村人は、噴火を神の怒りと認識し、それを治めるために食物を捧げたりしているのだが…そんなもので治るなら全国から火山の噴火は消えている。

 

「か、神がお怒りだ!皆の衆!もっと祈りを!祈りを捧げるのじゃあ!」

 

この村の村長が慌てた様子で村人に叫び散らす。

信仰している山が、噴火するという予報を見たからだ。

 

「も、もう限界ですよ村長!早くここから逃げましょう!」

 

「こんなところに居られるか!俺は村を出る!」

 

「何をいうか!貴様等のようなものがいるから神の怒りが収まらんのじゃよ!さぁ祈れ!今はとにかく祈るのじゃあ!…そこのコソコソしているのを捕まえろぉ!逃げずに祈るのじゃ!」

 

「ぐっ!何をする!HA☆NA☆SE!」

 

火山活動が活発になり、いつ噴火してもおかしくない状況。なのに村人が逃げ出さない……いや、逃げ出せないのは村全体を包み込む固定概念と村長の独裁によるものが原因だった。

 

……そして、そのツケが回って来る時がきた。

 

【ドガァァァァァン!】

 

火山が噴火し、その勢いで吹き飛ばされた大きな岩が村に降りかかろうとしている。

 

「も、もうダメだぁ、お終いだぁ…」

 

「短い人生だったなぁ…」

 

「せめて最後に一枚写真でも撮るか…」

 

多くの村人が死を覚悟し、俯いた。

その中で村長とカメラが趣味の男のみが上空を見上げている。

 

………そして、二人は見た。

 

 

「ワン…パァーンチィ!!」

 

 

赤一色の手袋、長靴を履き、黄色の全身タイツの上から白のマントを纏った少年を。そしてその少年が空中で思いっきり拳を振る仕草を。

 

だがその二人は最後までどうなるかを見届けることはできなかった。

 

何故か?それは…。

 

 

【………ズゴォォォォォォォォォッッッ!!】

 

 

一瞬の沈黙の後、凄まじい音が彼らを襲ったからだ。脳はそれを受け止めきれず、気絶という自己防衛手段をとったのだ。

 

…だが、カメラマンの意地なのか、カメラが趣味の男は執念で撮影ボタンを押していた。

 

……そのカメラは腕を振り切った短髪の少年と消え去った山と思われる場所が写っていた…。

 

……………………忘れていた。

 

織斑一夏が無駄に意地っ張りなのと、無茶苦茶な回復力や才能を持っていることを。

 

だが、いくら才能に恵まれたとはいえども、力の代償はある……今はまだ無いが、将来必ず何らかの形で現れるだろう…。

 

 

 

☆☆☆☆

 

原作開始まで一気に時間が飛んだ。

 

「(あー…これはちょっとキツイ……服、新調するべきだな)」

 

織斑一夏は原作どうりの展開(一部違いはあったものの似たようなものである)でIS学園へと入学。

 

勿論、女性しか動かせないはずの『IS』を動かした男性だから……なのだか…。

 

「(ヤベッ…また抜け毛だ…ストレスかな…?)」

 

本来は、本来ならイケメン男性操縦者として注目を浴びるはずなのだが…彼には2点ほど原作との相違が存在している。

 

まず1つ目。

 

服装がIS学園の制服ではないこと。

まぁ、これは実質女子校のIS学園なのだから男性用の制服がないのは仕方ないと言える…だが…。

 

「「「(……なんで全身タイツ!?)」」」

「(おほっ、いい体…)」

 

「(今なんか寒気が…あっ!また抜け毛!ヤベーな全然育毛剤役に立ってない!)」

 

赤一色の手袋、長靴を履き黄色の全身タイツの上から白マント。

 

目立つどころではない、最早不審者だ。

 

だがそれ以上に注目を集めているのは頭である。

 

一般的な男性よりも少し長めだが、それは問題じゃない。……なにせ、彼の頭の一部は———

 

 

「「「(……10円………ハゲ…?!)」」」

「(なんだか本当に猿っぽいですわね…)」

 

「(———今、盛大に喧嘩売られた気がする)」

 

 

—————ハゲていた。




多分一夏の魅力値的なのがあったら元の3分の一くらいまで減ってると思う。

あと、ここの一夏はワンパンマンことサイタマに憧れてすぎて形から入った結果現在のような服装で彷徨くようになりました。

Q:だれか止めなかったのか?

A:それは次回以降に話します。


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何やってんだイチカァァァァァァァァァッ!!

短い文だけども読者ツッコミ型小説を目指す。


【side ???】

 

さぁてとうとうワンサマーに挨拶の出番が回ってきたぁ!

 

10円ハゲサマーの口から溢れ出る!

 

「初めまして!俺の名前は織斑一夏!趣味は料理と掃除と洗濯、あと漫画を少し読むこと!特に『ワンパンマン』が好きだ!あまり読めて無いなけどな!この格好もその作品の中に登場するキャラの奴を知り合いのお姉さんに作ってもらったんだ!んで、好きな事は肉体の強化!だけど鍛えすぎで服がすぐにキツキツになるのがちょっとあれだけどな!そして夢は鍛えて鍛えて鍛えまくっていつかブラックホールを素手で吹き飛ばせるぐらい強くなる事!

 

因みに非童貞だ!みんな!よろしくな!」

 

「「「ファッ!?」」」

 

うん!何処にでもある普通の挨拶だな!(錯乱)

 

『あぁ!よろしく!』

そんな声が聞こえてくる!(幻聴)

 

「そ、そんな……非、ど、ど、童貞…?」

 

「あぁ!そうだぜ!」

 

「「「「「「ウソダドンドコドーン!」」」」」」

 

おっと!自分の独り言をイケメンが拾い上げて更に返答してくれた(そのイケメン度に惚れた)喜びで思わず叫びながら気絶するという高等技能を発揮した女子生徒が何十人も!素晴らしいソプラノだぁっ!

 

特に侍っぽいポニーテールの女子は目からハイライトが消えたぞっ!

 

ただの挨拶でここまでフラグを立てるとは流石がハーレム主人公!魅力値がおそらく本来の3分の1まで下がっていると思われる状態でもその辺は変わらなかった!一夏やるぅ!

 

「年頃のガキどもの前でそういった発言は避けろ!」

 

おおっと!

 

ここで関羽こと織斑千冬先生の登場だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!その恐ろしく早い出席簿アタックがハゲサマーを襲う!

 

"バッ、ガシッ"

 

まさかの反撃ィ!?

アァァァァムロォォォォォォックゥ!

 

「いきなり頭を狙うなんて酷いなぁ……千冬姉」

 

「があああ!?学校では織斑先生だっ!馬鹿者ォ!」

 

「はーい。………ところで、久し振りのアームロックされた気持ちはどう?織斑先生?」

 

「実に至福っ……ではない!断じて違うぞ!?」

 

「へぇ?前はベットの上でこれでもかってくらいにねだって——————」

 

「それ以上言うなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!」

 

おい!それってYo!

近親相○ってやつじゃんか!

 

………ハッ!そうか!

 

ハゲサマーは戦闘力が上がった代わりに魅力値が落ちたただの超人じゃない!

 

魅力値が下がったぶん、つまり魅力値の3分の2がスケベ値に変換されたな!?

 

何故ならッ!あの!織斑!千冬がッ!アームロックでっ!至福をッ!感じているのだからッ!

 

織斑千冬をドMに調教して見せたのだからッ!!

 

それなら非童貞も頷ける!

おそらく今の織斑一夏は織斑一夏ではなぁぁぁい!

 

ましてやワンサマーでも!ハゲサマーでもない!

 

僭越ながらこの『織斑一夏のISたる私』がっ!名付けようではないか!彼の新たな異名を!!

 

そう、彼の新たな名前……それはッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『エロサマー』

ダァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!

 

 

ついでに叫んでおこう!

 

何ヤってんだイチカァァァァァァァァァァァァッ!!

 

 

 

 




えっ影も形もないって!?
原作の朴念仁何処言ったのかって!?

前回と比べると短すぎるだってぇ!?

うるせぇ!眠いダヨォォォォォ!!!!



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がんばれせしりあちゃん!

セシリア視点

クッソ短い1030文字くらい。


「因み非童貞だ!みんな!よろしくな!」

 

「「「ファッ!?」」」

 

「(な、なんなんですのこの男は!?)」

 

正真正銘貴族のセシリアは困惑していた。

 

今まで見てきた父の背中は情けなく、周りの女にへりくだって生きて、変わる事なく死んでいった。

 

その事実があったからこそ、典型的な女尊男卑の高飛車お嬢様になってしまったのだが…。

 

今ここに、自分の知識には全く当てはまらない、ドストレートに下ネタをかます男がいる。

 

そう、エロサマーだ。

 

「(し、信じられませんわ!こんな公共の場であのような下劣な発言…!この地の男は皆こんな輩ですの!?やはりこんな極東の島国に来るべきではなかったのかしら……?)」

 

原作でさえ嫌悪感…というよりは敵意丸出しだったのに加えて日本の男子全員に変態疑惑を掛けてしまうセシリアさん。

 

……………まぁ、日本は変態国家だし強ち間違いでもないところが悲しいが。

 

それでも健全で真っ白な子だっている!いるはず!

 

だが第一印象というのは余程のことがないと覆らない!人間って複雑だね!

 

 

「…ところで、久し振りのアームロックされた気持ちはどう?織斑先生?」

 

「実に至福っ……ではない!断じて違うぞ!?」

 

「へぇ?前はベットの上でこれでもかってくらいにねだって——————」

 

「それ以上言うなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!」

 

 

「(……はぁぁあ!?ぶ、ブリュンヒルデにアームロックを!?というかきょ、姉弟でそんなことを…!?はしたないですわぁぁぁぁぁぁぁ!!)」

 

 

あー箱入り生娘には刺激が強かったかー。

 

「…………おほん、私が織斑千冬だ———」

 

そして何事もなかったかのように挨拶をする織斑先生。同僚の山田先生が放心状態なのを放っておいていいんすかね?

 

「(織斑先生っ!?全く仕切り直せていませんわ!というか、先ほどまで皆さん気絶しておりましたのになんで起きているんですの…?)」

 

織斑先生が挨拶しても叫ばないクラスメイトの皆さんは気絶から復帰したばかりでそんなことをする余裕がないのだろう。

 

それでも気絶から気合いで起き上がるあたりとてつもない精神力の持ち主達である。

 

「(本来なら、わたくしが話しかけて差し上げるのですが…少し怖いですわね……いや!相手は男!何をビクビクしているのです!セシリア・オルコット!気をしっかり持ちなさいな!)」

 

お!セシリア・オルコットが立ち上がりエロサマーの元へと向かっていった。

 

キーンコーンカーンコーン…。

 

「(……考え込んでたせいで出遅れましたわ!)」

 

がんばれせしりあちゃん!

 



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人生実況はーじめーるよー(by箒

……ちょっと調子に乗ってやりすぎたかもしれない。
タグ追加しなきゃ。


【side out】

 

一限終了。

 

廊下では10円ハゲを知らない女子生徒がキャーキャー騒いでる。……いや、どちらかというと誰がハゲサマーに話しかけるか、牽制しあってるのが正しい。

 

因みに肝心のハゲサマーは一限の内容を殆ど理解しないまま誰にもバレないようにガムを噛んでいる。

 

しかし織斑先生にはバレて肩に出席簿アタックをもらった。

 

ハゲサマーは基本的に頭さえ狙わなければ反撃をしない為、事は穏便に住んだ様子である。

 

正直千冬としてはもっと食らっていたかっ(文章はここで途切れている)

 

☆☆☆☆

 

【篠ノ之箒】

 

私の人生高校編がスタートだ。

 

はい、よーいスタート(棒読み)

 

今回のチャートは今までと違い、私の強さを鍛えるのに加え幼馴染の一夏との距離を縮め好感度を稼ぐという少々気恥ずかしい作業があるのだが気にせず頑張っていこう。

 

「一夏、久しぶりだな!」

 

一夏は小学生の頃は元気なやつで、いつも体を鍛えており、周りがそれ以上は危険と言っても聞かないほど頑固な性格だった。頑固なやつは性格が変わりにくいと聞いたことがある。

 

なら一夏も変わりはないはずなので気さくに話しかければ少なくとも嫌悪の感情は抱かれないと思う。

 

「お、その声は箒!6年ぶりだなあ!」

 

一夏が天然イケメンスマイルで私のような女を落としに来るが、ここで精神を強く持たなければうっかり暴力的になってしまうから注意が必要だ。

 

「ああ……その、なんだ…きょ、今日はいい天気、だな…」

 

しまった!

 

今まで鍛錬に時間を割きすぎて会話能力(コミュニケーションパワー)が全く目標値に届いていない!

 

「ああ!見事な快晴ってやつだな!……それにしても箒、なんか身体つき良くなってないか?こう、武道の達人って感じがするぜ!」

 

が、コミュ力お化けの一夏のフォローによって事なきを得た。更に一夏のみ対象でコミュニケーションパワーが目標値に達したようだ。

 

これなら行ける行ける。

 

しかし身体つきが良くなった云々はセクハラ案件になりそうだがその辺考えているのだろうか?

 

……(おそらく考えて)ないです。

 

「お前をいつか越えるために色々鍛えたからな……というか、一夏、お前の方は…なんというか相変わらずその服装なのだな」

 

昔を懐かしむそぶりを見せれば一夏はのってくるだろう。何せ、6年振りの再会だ。積もる話は山ほどある。

 

「あぁ!束さんが丹精込めて作ってくれた大切なものだしISっぽいこともできる。あと修行にもってこいだしな。因みに同じのがあと5着あるぞ!」

 

この服装は姉さんが一夏に態々コンピュータを弄る時間を割いてまで熱心に造っていたはず。

 

ここまで愛用されているとは、さすが姉さん。

 

……だが、私は知っている。

 

夜な夜な起きては一夏宅へ向かっていったことを。

 

そしてその次の日には肌がツヤツヤした姉さんと千冬さん、そして少しゲッソリして学校に来た一夏。

 

これから導き出した結論と一夏の自己紹介時の『非童貞』発言を照らし合わせたら……つまりはそういう事なのだ。

 

ここでもそんな事件が起こってしまうのは大変よろしくない。

 

既成事実を作られては一巻の終わり。

致した相手の国にあれやこれやと理由をつけられ束縛、実験動物のような人生を送ってしまうだろう。

 

なにより、私の成長に著しい遅れが生じる。

 

というか、この場でうまく修正しておかないと数ヶ月に絶対そういう事態(イベント)が発生するためここは最初のリセットタイミングとなっている(3敗)

 

「それにしても箒はすごいよな〜。ずっと山の中に封印されてたモンスター達を解放して、親善大使としてしばらく働いてたんだろ?」

 

その話はやめろぉ!(トラウマ)

何せあそこは私の人生では絶対にカットできない部分であり一番の修行ゾーンだったのだが…。

 

戦闘の経験を積むために何度もリセットしてみんなを傷つけたことか……。

 

あれはもう出来ればしたくない。

 

ほねこわい

 

「……あぁ。今は仕事の引き継ぎが終わって、信頼できる後輩に託したのだ。……意外とすんなり受け入れられていて驚いたのだが…まぁおそらく私が姉さんの妹だから圧力が強かったのだろうな」

 

「IS作った人だもんな〜」

 

うんうん、と満足げに頷く一夏。…よし、ここからが好感度稼ぎとフラグ構築の本番だ!

 

「いやいや、そんなことを言えば一夏こそ火山から降り注ぐ岩を火山ごと吹き飛ばしてたではないか。すごいニュースになってたが大丈夫だったか?」

 

「あぁ、あれな〜!そん時は一応マスクしてたから身元はバレなかったぜ!」

 

「なるほどな……あっそうだ(唐突)、久し振りに手合わせしないか?さっきも言ったが色々と鍛えたからな。少し腕試しをしてみたいのだが…」

 

自分を鍛えるのが楽しくて仕方なく、また誰かと戦うことを喜びとしていた一夏なら…!

 

「…おうわかった!休日にグラウンドでいいか?あそこなら適度に広いしな!」

 

「ああ!楽しみにしているぞ!」

 

キーンコーンカーンコーン…。

 

「おっともう時間か……それじゃまた今度な」

 

「あぁ。昼にでも会おう」

 

名残惜しいが時間が迫っているならしかたないな。

 

…あれ?なんか忘れてるような…?

 

……あっ!

 

(注意するのをド忘れした!やらかしたっ!)

 

「……はぁ」

 

【ホウキ】【LV 1】

【1ー1教室】

 

続きから】【リセット】

 

私はセーブ画面を呼びだし、前にセーブした…自己紹介時点へと時を巻き戻す。

 

 

「ちなみに『非童貞』だ!みんな!よろしくな!」

 

 

これで4敗…次こそはしっかりと指摘しなければ。

 

出ないと一夏を超える以前の問題だ。

一夏を実験動物扱いなんて私がさせない。

 

*そう思うと、私はケツイで満たされた。




Undertale……好きなんすよねぇ…。

骨兄弟……すこだわぁ…。


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親善大使様

……深夜テンションMAXで書くとこうもまとまりがなくなるのか…。


【side ハゲサマー】

 

うー…どうもわからない。

 

今二限が終わったばかりなんだが、まるで理解が追いつかないし、及ばない。

 

『こーれは勉強会しないとですかね』

 

そもそもあの分厚い辞書みたいな参考書を見て、武器になりそうとしか思えなかった俺に、勉強は意味ないんじゃないだろうか。

 

『弱音吐かないの!エロサマーらしくないよ』

 

誰が、エロサマーだ、誰が。

 

ったく…。

束さんがこの服がスムーズに動作を進行できるように人工知能を入れてくれたのはいいけど、たまに、いや結構な頻度で毒吐くんだよなぁ。脳内に直接送ってくるタイプのやつで。

 

しかも自分のことをISだと思い込んでるし。

 

まぁ、実際IS見たいなとこはある。

空飛んだり、武器だしたり。

 

だが、こいつの本質は『俺の体を鍛える』ことなのだからISには分類されないと思う。

 

「ちょっと、よろしくて?」

 

「ん?あぁ、いいぞ。何の用件だ?」

 

そんな風に独白している俺に、周りの女の子が牽制しあっている中堂々と声をかけてきた人がいた。

 

そいつは地毛の金髪が鮮やかで、白人特有の透き通ったブルーの瞳が、ややつり上がった状態で俺を見ている。

 

「まあ!なんですの、そのお返事。わたくしに話しかけられるだけでも光栄なのですから、それ相応の態度というものがあるんではないかしら?」

 

おっとコイツァ俺の話を聞かなさそうな手合いだな!いかにも高飛車なお嬢様って感じだ。

 

『の、割には声が震えてるけどね。さっき織斑先生にアームロックしたのが効いたのかしら』

 

成る程、考えなしに行動しても時々いいことが起こるらしい。

 

だが、それでもこの態度を崩さないってことは相当筋金入りのプライドをお持ちのようで。

 

この手合いは苦手だ。早めに切り上げる為にもここは助けを求めるか。

 

俺はチラッと箒の方を向く。

 

「…(コクッ)」

 

目があった箒は一つ頷き、こちらへテクテクと歩いてくれる。

 

*テテテピューン

 

なんだ今の効果音!?

 

☆☆☆☆

 

【side 箒】

 

よし、セシリアが一夏に絡んだな。好感度上昇イベントキタコレ。

 

ちょうど一夏もこちらにアイコンタクトで助けを求めてきたので、これ幸いと私は彼女に近づいた。

 

*テテテピューン

 

この効果音が鳴ると、世界がモノクロに切り替わる。だが、その音が聞こえたり、この世界が見えるのは私だけらしい……一部のモンスターには見えていたようだがな。

 

それにしてもセシリアと会うのはこの時間軸では久しぶり…でもないか。私の引退セレモニー(強制)に参加してくれていたしな。

 

もう何回も繰り返したせいか感覚がどうも狂っている…狂気に飲まれないようにしなければ。

 

閑話休題。

 

それよりも問題は目の前のセシリアだ。

 

「…これはこれは親善大使様。お久しぶりでございますが、今わたくしはこの男と話をしなければならないのです。ご用件はまた後ほど」

 

*セシリアはうざったい様子でこっちを見ている。

 

【FIGHT】【ACT】【ITEM】【MERCY】

 

【ACT】

*調べる *話す

*口説く *煽る

 

ふーむ…よし、口説くか。

 

*あなたは情熱的にクサい台詞を浴びさせた。

 

「な、な、な…何をいきなりっ…!?」

 

*セシリアは困惑している。

*畳み掛けると面白いことになるかもしれない。

 

貴族の割に案外簡単に堕とそうなお嬢様だな。

 

しかし、私は一体どんなセリフを吐いたのだろうか。【ACT】での行動は全て自動なので私がセシリアに何を言ったのかは分からないのだ。

 

だがそんなことはどうだっていい。

重要な事じゃない。

 

ただ追い返すだけでも一夏の好感度は上がる。だがそれだとセシリアの好感度は下がってしまう。

 

セシリアの好感度が下がった状態で、この後のクラス代表決めの流れに乗ると、結果的にセシリアは一夏に惚れてしまうのだ。

 

そうなればこれ幸いとイギリス政府が一夏を抱え込みにかかれと、お前の望みを叶えてこいとか外面の良い言葉でセシリアを丸め込めて一夏に積極的アタックするようになる。

 

たが一夏は超鈍感。

 

そんなことに気付くことなど、これまでのルートでも一切なかった。

 

だがらどんなにセシリアが頑張ろうと、イギリス政府の要望には応えられない。

 

そうなったらこぞって政府の連中はセシリア・オルコットを責め立てるだろう。

 

そうならないようにする為に、セシリアを一夏に惚れさせないという選択肢があるが、Gルート真っ青な難易度のクソゲーとなってしまうので却下だ。

 

だったらどうするか。その答えは、『他の人物に惚れさせる』というものだ。

 

だが、IS学園は清掃員の方や整備員の方を除けば女性しかいない。

 

しかしクラスメートには百合の花を咲かす趣味の人はいないし整備員の方々には荷が重い。

 

なら、私がやるべきなのだろう。

 

*あなたがセシリアを惚れさないのは勝手だ。

*だがそうなれば誰に惚れさせると思う?

 

…………。

 

*万丈だ。

*万丈はあなたに世話になったのに恩を返せていないことでお前に負い目を感じてるはずだ。

 

*だからあなたがやらなきゃ

*恩を返す為自分から手を挙げるだろう。

 

*だが、彼には失った恋人がいる

*今の万丈のままではその恋人のことを引きずり、セシリアを惚れさせるなんてことは出来ない。

 

*あなたがやるしかないのだ!

 

いやだからやると言っているだろう…。

 

時々この説明文はおかしなことを口走る。

それに万丈さんは関係ないだろう。

 

まぁ仮に私が他の誰かに惚れさせようとしても万丈さんには振らないがな?

 

説明文にもあったが、あの人は亡くなった恋人がいると聞いている。

 

しかもこのご時世には珍しくどこまでも一途に想っているのだがら、それをわざわざ破らせることはない!

 

それに恩なら充分に返してもらっている。

あの人の身体能力と格闘家としての技量の高さは惚れ惚れするほどなのだ。多分、生身でもISと戦闘できるぞあの人。

 

その強さは私の成長に大きく貢献してくれる。

 

それを抜きにしても、もう何回も一緒に過ごした家族なのだから恩など関係なしに楽しく過ごしたいのだから、こんな事に巻き込むことなどしない。

 

っと、話題がずれてたが、要はセシリアを堕とそうってことだな!

 

さて、やるか。

 

【ACT】

*口説く

 

私は決意に満たされながら【ACT】コマンドを発動したのだった……。




万丈は公園で倒れているところを助け、移住食を提供したら懐きました。


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