ボッチは一人でフォーリズム(リメイク) (八坂 エルナ)
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そして俺は島に帰って来る

はい!お久です!えっ?知らない人…?まぁそうですよね。今回は一昔まで書いていた俺ガイルと蒼かなのクロスオーバーをリメイクで書き直したいと思います。
不定期になるかもだけど、そこはよろしくお願いします


「帰ってきたんだなぁ」

目を腐らせながら船から降りてきた少年、比企谷八幡はそう呟く。天気は快晴かもめの元気な鳴き声が島中に鳴り響いている。

「お兄ちゃんなにしてんの?」

「久々の島に懐かしくてな」

「ふ〜ん」

妹の小町が島を見渡すも何も覚えて無いといった表情でこちらを見てくる

 

「まぁお前は覚えて無いだろうけどな、まだ3歳とかだったし。」

「そうなんだぁ〜あっ!お兄ちゃん!そろそろ引っ越しセンターの人達が来る時間!」

千葉に居る両親よなぜこんなキツキツな時間に引っ越しセンターを時間を設定したんだ…

「お父さんが1時間間違ったんだって」

「あの野郎…」

やっぱあのダメ親父だったか…あの遺伝子も洗練されて俺の中に…やだ、考えたくもない。

 

「行くよ!」

「おう」

走り出した小町に置いていかれない様に俺も走り出した。

 

 

 

 

「わぁ…広い」

着いたのはそこそこ広い家だった。そしてここは母さんのかなり親しい親戚の家となっている。それ故俺達が産まれて少しの間は母さんの『子供には澄んでいる空気を吸わせてあげたい』と言う希望から数年ここに住んでいたと言うわけだ。

 

と、言う訳で勿論あいつがいる訳なのだが…

いつの間にか小町がチャイムを鳴らしインターホンから声がが出てくる

「あ〜い」

「比企谷です」

「おお!上がって上がって」

そしてガチャッと鍵が開き

出てきたのは黒髪に紫色のきれいな目を持った女性。

 

「おお!小町ちゃんじゃん!めっちゃ可愛くなってる!」

手を頭に乗せてうりうり〜と撫で回す。よの突然の行動に小町は困惑している

「おい、小町が困ってる」

「ん?」

やっとこちらに気付いたのか手を止めこちらを見ると目を輝かせた。

 

「ハチ……だよね?」

不満と困惑に満ちた顔

「なんだ何か文句あるのか?」

「いや〜その…何?」

 

 

 

 

「目、腐ったね」

 

 

殴ろうと思った。いや今まで何回も言われてきたから慣れてるはずなのに、こいつに言われるとなんかとても腹が立った。

オラオラと近づくと小町が

「お〜まわ〜さ〜ん、強姦で〜す!」

と外へ向かって叫んでいた

やだ小町ちゃん何してるの?ほら偶々見回ってたおまわりさんがこっちに来ちゃったじゃない……

 

え…どうしよう

 

 

 

 

「酷い目にあった…」

本当こっちに来てからなんかあまり良いことが起きていない気がする。もはや島が俺を嫌ってるかも。とうとう人外にも嫌われる様になったとは、そろそろ神に挑戦していいかもな。遊戯の神とか破壊の神とか…

「お兄ちゃん、ごめんって。だから戻ってきて」

「ん…?何かあったか?」

「いや…遠い目どころか違う次元を見てるような目してたから、その今までの数十倍は目腐ってたよ」

 

なにそれDHAの量あの某青魚さん超えちゃってるじゃん。

俺食えれば超健康じゃん。

 

 

「で俺達の荷物は?みさき」

この話題に持ってくるのに何分かかってんだよ

「あ〜あの部屋に置いといた」

「ありがとよ。行くぞ小町」

「それでは!また後で伺いますね!」

「あいよ〜」

 

そう言い俺はこの家の裏の方にある小さな家に行く、小屋ではない、離れと言うやつだ

まぁ中に入れば詰め込めば家族一つ収まる位の広さはある。1階建てトイレ風呂あり3ルームだ。二人で住むなら広すぎるまでである。

「んじゃ軽く片付けするか」

「だね」

 

家族全員の移動では無いためそこまで荷物は無い、服と各自持ってきたかった物くらいだ。

食器等の小物は全て揃ってるため持ってくる必要は無かった。

片付けは1時間掛からずして終えた。

ちなみにリビングから右側が俺の部屋で左が小町の部屋だ、残りの一部屋は取り敢えず物置と言う事になった。物無いけど

 

「小町、みさきの所行くぞ」

「あ〜い」

一段落したのでみさきの家族への挨拶に行こうとし玄関のドアを開けると

「お?」

「あ?」

 

みさきが居た。

「どうかしたか?」

「いやそろそろ終わった頃だろうなぁと思って。上がっていい?」

それだと挨拶出来ないんだよな…

「安心しなっておばあちゃんしか居ないから」

「ならいいか」

 

結局そのまま家へカムバック!おいて行かれると急いで居た小町もそのままリビングで座らせる。

「ねぇねぇハチ?なんでこっちに戻ってきたの?」

「……」

ここに来てようやくちゃんとした会話かと思ったらそれかよ。でもあまり思い出したくねぇな。でもこいつならいいか適当に聞き流して明日には忘れてるだろう

 

「えっとな…」

 

 

 

 

高校1年の頃の事をすべて話した。

奉仕部のこと、文化祭のこと、そして修学旅行のことを修学旅行の後は1度も奉仕部にも行ってないし、何なら俺の転校は誰も知らない。平塚先生に頼み誰かが質問しない限り俺の事は誰にも言わない、居なくなった事を気づかないような態度をとってくださいと言ってきた。

平塚先生は優しい先生だからとても悲しそうにしてたがしょうが無い、俺はあの学校の居てもいなくても変わらない存在から、居てはいけない存在になってしまったから。

 

「でこっちに来たと」

「そう言うことだ」

ここにいる全員がしゅんと暗くなる。そりゃそうだ聞いてきて気分の良い話ではないからな。

小町はあっちにいても良かったのに

 

『お兄ちゃんの事何もわかってない人達だね。お兄ちゃん一人にしたら干からびそうだし小町も転校するね』

とこっちに来たのだ。

「あんたも大変だったね」

「同情なら結構だ」

はいはいと受け流されて、伸びてきた2つの手が俺の頭をしっかりと掴みみさきと強制的に目が合う様になる「私はハチをそんな目には合わせない。」

「みさき…?」

「そいつらが理解出来なかったハチを私は理解してあげる。私が作ってあげる八戸求める本物を」

 

それは去年俺が思っていたこと。

本物が欲しい。偽物なんて要らないと。

一瞬こいつならと思ってしまったが、所詮気の所為と割り切り

「何熱くなってんだよ」

「ご、ごめん」

「これは、お嫁さん候補にした方が…」

 

小町が何か言っているが無視無視。

「そろそろご飯できる頃だから来てね」

「おう」

そう言うとみさきはそそくさと出て言ってしまった。

 

「お兄ちゃんみさきさんと仲いいんだ」

「ここにいた頃はずっと一緒にいたからな」

産まれたのが少し早いのを良いことに弟扱いで色々遊ばれてた、飯とかなんなら一緒の布団で寝されられた事もある。あのころは何も感じなかったが今考えれば、黒歴史だな。

「じゃあ行くか」

「だね」

 

心の中で俺もう明日学校何だよね…

もっと早く千葉を出れば良かったと今更後悔している自分がいた。

 

 

sideみさき

 

「あいつあんな人生送ってたんだね…」

離れから家に戻る道中そんな言葉を語散る。

話に出てきた総武校の奴らはちょっと苛ついた。

もしずっとハチがここに居て育ったならと考えてしまう。

「あの目じゃなかったらなぁ…」

先程本人はデフォルトと言っていた目だが絶対違う、あんな純粋無垢だった目があんなに腐るわけない。

まぁそれ以外を見たらカッコイイかもだけど。

「はぁ…明日から学校だるいにぁ〜」

自分の中で無理やり話題を変える、そこでまた違うことが思い浮かんだ

 

「ハチなんでこんなギリギリに引っ越したんだろう」

ギリギリもいいとこだとハチに大して呆れる、どうせ家を出るのが怠くて伸ばして伸ばして伸ばした結果だろう。

「まっ一緒に登校できるのはいいことか、おぶってくれれば私は寝れる。昌也はおぶってくれないからなぁ。」

ハチって昌也覚えてるかな…

 

 

八幡が帰ってきた事によってワクワクしてる私がいた

 

sideみさきout

 




ヒロインは今の所みさきちゃんにしようと思ってます


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そして俺は久奈浜学院に登校する

学校始まります。早いねぇ…


「はぁ…」

今日も快晴なこの島。まだ風は冷たい。はずなのに額に一筋の汗を流しながら歩いてる俺。なんでこうなった?

簡単に言ってしまえば低血圧で午前中は半寝のみさきをおんぶして登校しているからだ。

 

「zzzzz」

「呑気なこった」

夢の国に行っているみさきを羨ましく思いダラダラと、しかししっかりと進んで行くと停留所に着く。勿論バスなど来ない。

「大体10年位ブランク有るけど飛べっかな…」

そう言い踵を浮かし

「Fly」

宙に浮いて行った。その姿勢はとても安定し綺麗なものだった。

「意外と飛べるな、よし」

と少しスピードを上げ飛んでいった。

 

少しすると急にみさきが暴れだした

「な!なんだよ…」

「あそこに昌也居るから降りて」

「停留所は?」

「知らん」

どうやら島に来ていきなり前科持ちとなりそうです。まぁ違法と言うレベルでは無いんだけどね。

 

「ま〜さや〜」

まさや?なんか聞き覚えのある名前だな

だんだん高度を落としていくと昌也と言う男ともう一人ピンクっぽい髪の女の子が居る。

そして地面に降り立つと

 

「おいおい停留所に降りろよ」

「いいじゃん」

「ごめんなさい…」

なんでお前はそんな普通にしていられるの?ルールは破るものとか言う頭湧いてる族なの?

 

「で何してたの?」

「ああこの子が鍵を落としたみたいでね」

「はい!倉科明日香と言います!」

俺はもう空気です。この澄んだ空気に紛れる汚染空気です。なんだろうこの自虐は辞めよう。思いのほか自分へのダメージがでかい。

そしてこのピンク髪の子は多分アホの子だ。

 

「………」

この子を見ているとやはり由比ヶ浜と重ねてしまい、違うと分かっていても体が拒絶しようとしている。

「えっと…そちらの方は?」

倉科明日香と言う子がこちらを見て話しかけて来る。俺は空気じゃなかった様だ。

 

「え…と比企谷だ」

「分かりました!比企谷さん!」

「お、おう」

気付いていたがやっぱりフレンドリーな子だ、こう言う天然な子が男どもを玉砕する兵器になるのだ、可愛いの部類に入る顔は余計に男子共を勘違いからの絶望を辿らせるなんだろうな…

 

また別の反応の者が一人

「比企谷って事は名前、八幡だったりする?」

「ああそうだ。やっぱ昌也ってあの日向昌也か」

そうだと首を縦に振る。

こいつはみさきの幼馴染だそうなると必然的に俺とも幼馴染な訳になるのだが。俺は今の今までの忘れていた「こっちに来てたんだな」

「まぁな」

 

一通りの挨拶を済ました所で

「もうすぐ出校時間だが?」

「ヤバイ早く行くぞ!」

「飛ぶ?」

「止む終えん…」

昌也は飛ぶことに対してあまりいい感情を持ってないみたいだ。

こいつらの急いでる理由は今週の遅刻確認係が厳しい先生何だとか。俺は多少遅刻しても大丈夫だけどな。

HRまでに来いと言われてるから。

 

 

「みさきは倉科さん引き連れて、まだ飛べないだろうから」

「え〜ハチの上で寝る」

やだ。と心の中では即答できるが口に出して言えない、これがコミュ障か、いや違うか…いや違わないな。俺何言ってんだ

 

そして渋々手を繋いだみさき、流石に行かないとマズい。

「「Fly!(とぶにぁ〜)」」

 

飛ぶ上がり間もなく

「落ちる!落ちちゃいますよ〜!」

気にするようにみさき達の後ろを飛ぶ昌也

「手を繋いでる限り落ちないよ、///」

おいお前わざとだろ。スカート相手の後ろ飛ぶか普通…狙ってるのか、天然石なのか。二人共はずかしがってるから、昌也のは事故っていうかたちになったのか。俺も後ろ飛べば良かったな…

 

「ハチやらしいよ〜zzz」

「な!ばか!何がだよ!」

顔に出てただろうかみさきにバレた。なんで分かるんだよお前目瞑ってるじゃん!

 

そんな事も有りながら俺達は学校に向かった。

俺のぼっちライフが始まるぜ

 

 

 

「転校生の倉科と比企g(おおー可愛いー!)」

「///始めまして倉科明日香と言います!」

「比企谷です。(誰も聞いてない)」

まぁそりゃそうだ。こんなトップカーストみたいな顔のやつが転校してきたら煩悩男子は騒ぎたくもなるだろう。俺の事は多分誰も認識していない。これがミスディレクションか、俺の隠匿スキルも上がったな

てか倉科も転校生だったのか

 

「それじゃあそこの席座ってな」

「はい!」

「うす…」

指定された座席は隣通し、普通転校生同士固めるか?分からない事だらけだぞ?

 

「あと鳶沢、日向お前ら教育係な」

 

 

 

 

と言う訳で放課後。

えっ?クラスでの会話?んなもんねぇよ。

倉科はいろんな人と話してたみたいだけどな。

そろそろ体透けるんじゃないか疑うレベル。

 

「て訳でグラシュの練習をするんだが」

「はい!日向先生!」

俺は飛べるので倉科だけ飛ぶ事になった。

 

昌也先生のもと飛ぶ練習をする倉科。飛ぶのになんでスカートなのだろうか、そのせいで俺は上を向けないじゃないか。てか帰っていい?

その後無事に練習を終えようやく帰ることができた。

 

 

フォームは汚くともなんとか飛べるようになった倉科さんの為に飛んで帰ることになった。

「なんで魔王が一緒の道なんですか?」

なんか小さい子が話してる。魔王なんて物騒だからプリキュアとか言いなさい。

そうどうでも良いこと考えてると

「なんで無視するんですか!」

本当可愛そうだから無視して上げるなよ。それみさきのだろ

「そんなあきらさまに拒絶しなくても、グスッ」

「あ〜ハチ泣かせた」

 

ん?

「おいちょっと待てなんで俺のせいなんだ!?」

ここに居る全員がは?何言ってんの?みたいな顔で見てくる。

「まさか自分に話しかけられてた事に気づいてなかった?」

はい、その通りです。

「ああ、えっと悪かったな」

「別に気にしてません」

 

なんだろうこの小動物感。愛でたい。

ところで何だけど

「誰?」

また空気の温度が下がりました。

 

 

 

 

 

話によると実はフライング練習の時からずっといたらしい。有坂真白と言うらしい。

結構どうでもいい考え事ずっとしてたからな、それで気づかなかったのだろう。

「はぁ…ハチってこんな子だったっけ…」

「うっせ、世の中が厳しすぎたんだよ」

 

 

そんな話をしながら浜辺を歩いて居ると。

「私の勝ちですわね。これで久奈浜学院の院の字は貰いましたわよ。」

「クソぉぉぉぉ!」

 

ストリートファイトか?

絶対関わりたく無いけど絶対関わってしまうんだろうなって人達だ。

「ちょっと様子を見てきましょう!」

 

やっぱりね。

 

 

 

 




次回はエアキックターン。


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なんで俺が飛ばなければいけないのだろう

1日だけ時間を巻いています


「だから言ったのですわ、この佐藤院麗子に歯向かおうなんて太平洋でサメに挑もうと言うものですわ!」

「なんか分からんがくやしぃ〜!」

 

凄いイタい奴と筋肉さんが話してる。

ねぇ君達本当に関わるの?

「あ、あれまどかお兄ちゃんじゃん」

「どうしたんでしょう?」

 

「この佐藤院麗子にフライングサーカスで勝てるものなど久奈浜学院には存在しないのよ」

いやご令嬢キャラはいいよ。でもイタい。材木座とかと仲良く出来そう。いやイタいのベクトルが違うか。

 

「フライングサーカス?」

そこへ倉科さんからの質問が入る。そりゃそうか

「グラシュを使ったスポーツ」

「……」

みさき、それで説明終わりか?簡潔にも程があるぞ。俺ならもっとこう…ごめん分かんない。

「初耳なんですか!?」

「うん…」

 

この島以外だとあまり目にしないからな。俺は個人的に好きだからYouT○beで見てたけど。実際少しならやった事ある。(5歳くらいの時)

みさきにボコボコにされたけどな。

 

そしてあっちはまだ話が続いてる様だ。

「これで約束通り、久奈浜学院の院の字を貰いますわよ。これからは久奈浜学(くなはままなぶ)と名乗りなさい。」

 

「え!学校の名前変わっちゃうんですか」

んなわけあるか。

やっぱアホの子か?

「大変です!久奈浜学なんて嫌です!」

 

「だから……」

「カムバッーク……」

同じくカムバッーク

 

その勢いのまま倉科さんは防波堤の上に乗り

「すいませ〜ん!」

どうしようこの先の展開が綺麗に読めてるの、俺だけ?とみさきに目配りすると、同じく何かを訴えていた。だよね。

「私がそのフ…フライングサーカス?で勝てば院の字返して下さい」

 

「はぁ!?」

有坂、お前その反応この展開が読めなかったのか…

そして俺達は咄嗟に隠れてしまった。

防衛本能だからしょうがないよね。

 

 

「つまりわたくしに試合を挑むと?そんなにフライングサーカスに自信があるのかしら」

「いえ、今飛べるようになったばかりです!」

 

「倉科さ〜んそこ威張るとこじゃないぞ〜」

「ほえ?」

ほえ?って可愛いな。

それより相手もどうしていいか分からない様な雰囲気になってるぞ。

 

 

それからの流はこうだ。

実はあの人は高藤学院というフライングサーカス、FCの名門校の生徒だった。

そして本当に何も知らなかった倉科さんの為にFCのルールを說明した。

と言っても技とかではなく、300四方のフィールドの角にあるブイ、または相手の背中をタッチすると言う基礎だけ。

 

「どう?わかった?」

「ふむふむ…」

「本当に初めてなのか」

筋肉さんが今更な質問をする。これがハッタリだったら某ゲーマー『 』さんもびっくりだ。

 

 

 

「そして遂に来てしまった試合開始、今回はハンデ戦でルールはブイが2つ倉科さんが1回でも点を取れたら勝ちと言うルールのもと行わられる。

そしてファーストブイにスタンバイしている倉科さんはやはりふらふらと安定していない。流石にきついだろこの試合。セコンド俺だし…

「それでは行きます、位置について」

 

「セット!」

 

開始が宣言された。

相手は加速し開始数秒で得点を取られた。

でもこちらは1点取ればいい。たがら焦るな。そしてインカムの通信相手が女子だからって焦るな、キョドるな俺

「えっと…いいか」

『はい』!

インカムだからそんな大きな声じゃなくていいぞ…

 

「ラインの真ん中でサッカーのゴールキーパーみたいに構えてくれ」

その指示でふらつきながらも姿勢はとってくれる。

「後は頑張って背中をタッチして」

『はい!』

我ながら説明が下手臭い。

素直にはい!と言ってくれる彼女に罪悪感を覚える八幡。そこへ

 

「お前等何してる!」

救世主昌也が現れた。

「何って試合〜」

「はぁ?」

 

そのまま上空を見る昌也

「昌也セコンド変わってくれ」

「あ、ああ」

そう言い。セコンドを変わる。理由はこいつの方が詳しいからだ。数年前まではFCに出ていてそこそこ有名選手だったはずだ。

 

そして時間は30秒を切ろうとしてる。

「動くならここだな…」

そう思ったのは昌也も同じだったようで、折り返してきた佐藤さん?に対して上昇した。

「今だ!倉科さん!」

『はい!』

そのまま急降下。相手も油断しているはず。

 

「甘いですわ!」

と名門生徒が素人の直線技を躱せないなんてことは無く、簡単に躱してしまう。

時間は10秒を切った。

「これまでか…」

 

後10秒で戻ってきて背中を取るなんて無理だ。

誰もがそう思った。

「今〜解き放て♪」

その昌也のインカム越しに聞こえた、昔見ていたロボットアニメの曲。

そして彼女は佐藤さんの背中にタッチし赤い三角形が得点が入ったことを知らせる。

「エア…キックターン…」

ここに居る全員が驚きを隠せない。

 

反重力の壁メンブレンを踏みそのまま飛び出す、この技上級者が使うような技だ。それを今日飛び始めたような子が…ビギナーズラックと言う可能性もあるが、この競技においてビギナーズラックはあるのだろうか。それに競技用のグラシュじゃないのにな…

 

 

そして審判が判定を下す

「ポイント……」

「倉科明日香です!」

その笑顔は眩しかった。

 

 

 

「なんでことですの…この私が」

「凄いじゃん倉科さん!」

「えへへ〜です」

 

佐藤さんが膝を付き倉科さんがそれをちらちら見ながら喜んでいる。多少違えどここに来た時と逆の立ち位置になってる。

 

「あ〜!もう!そこの貴方!」

「は!ひゃい!」

急に話しかけるなよ。噛んじゃったじゃねぇか

何言われるのかな。不安しかない

 

「私とフライングサーカスで勝負なさい!」

「お断りします」

「それでは行きますわよ…って?断る?」

「はい、面倒くさいので」

実際俺も初心者…?なのかな。 

勝てるわけ無いしな

 

「セコンドだって出来ていたじゃない!ルールは知っているのでしょう。なら断るは無しよ。私にボコボコにされなさい。」

ああこれただの腹いせだ。

「我が翼に蒼の祝福を!」

やっぱ中二病だろ。

 

「ハチ諦めて10分戦ってきな」

「うえ…」

これ以上時間を掛けるのも面倒くさいので

「はぁ…Fly」

 

俺も飛び上がりファーストブイにスタンバイする。

ルールは先程と少し違い2点俺が取れば勝ち。まぐれを回避しやがった。

 

「よーい、セット!」

 

そして試合が開始される。

因みにセコンドは居ない。てか要らない

「よっと、」

向かってくるライン上に構える。

「それはあの子で見ましたわよ!」

「知らねぇよ」

 

通り過ぎようとすると放電が発生し佐藤さんと俺は弾き飛ばされる。

「ドックファイトですの?」

「スピードだと勝てないので」

挑発と言わんばかりにこちらから近寄り佐藤さんを弾く。

「いいですわよ乗ってあげます」

 

そう言いまた放電が起きそうな距離で上空に上がっていく。

クソっ早い。流石にこのグラシュじゃ無理だろ。

ハンデがハンデの意味を成してねぇよ

 

内申悪態をつきながら佐藤さんとドックファイトをする。そしてなんか上手く背後を取れた。

でも俺はタッチしない。これは誘いで手を出そうなら背後に回りタッチされるだろう。

だから俺はタッチする気ではなくタッチする。

「見えてますのよ!」

かかった

 

背後に回ろうとしたお陰で俺は佐藤さんを超えることが出来る。つまり

「ありがとうございました」

そのままブイに向かえば良い。

このグラシュが出せる全速力をだしブイを狙う。

後ろをチラッと見るとものすごく速さで佐藤さんが迫っていた。

 

「やってみるか」

これしか無いと。俺はグラシュに手を掛ける。

因みにこの技はそこそこ難しく俺は成功したこと無い。てか小学生で出来たら称賛されるくらいの技。

「来い!ビギナーズラック!」

我ながらなんて情けない事を叫んでるのだろう。

そう思いその行動をする。

 

その瞬間スピードが跳ね上がる

「ソニックブースト!?」

「届け!」

そう言いもう1度ソニックブーストをする。

やり方の感覚は小さい頃一人で練習したのと、千葉に居た頃そこそこ真面目に読んだウィキペディアのコツだ。

後は神頼み。2連続成功は奇跡神様大好き!

 

そしてその手はブイに触れる

「ポイント比企谷」

その瞬間に手首がコキッ!と音を立て悲鳴を上げ、グラシュの操作がしっかりしていればあまり無い慣性の様なものを受ける。

「あ、」

 

足元を見ればグラシュの羽根なんて無い…どうやら俺の翼には折れた様だ。

 

 

「神様なんて嫌いだ…」

 

 

その後背中に強い衝撃を受けると意識は落ちていった。

 




ソニックブーストのやり方は知っていた。と言う事です。そして偶々神様が味方?しただけです。


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今思うなんで飛んだのだろう…

「……ん…」

「あ、起きた」

ぼやける視界の中みさきの顔が見える。

あれ…俺何してたんだっけ。

 

自分が今どう言う状態なのかグワングワンと響くように痛い頭で整理を始める

 

確か…倉科さんが佐藤さんと勝負して大技決めて、俺も勝負する事になったんだよな、佐藤を抜いてブイを狙ったとこまで覚えてる…その後は分からん、慣れない運動で酸欠でも起こしたか…

 

「ハチ〜大丈夫?」

考えてる中そんな間延びされた声により思考は中断される。

「あ、ああ」

そう言えばなんでずっとみさきが俺を見下ろしてると言うアングルなのだろうか、それに地面に寝てるにしては顔が近いし枕がある、枕!?

 

「!」

俺はバッと起き上がり自分が寝てた場所を見る。

「何?」

「いや…なんでも」

俺…膝枕されてたの…。

そうか!だからみさきの顔の顎らへんが見えなかったのか!何で見えなかったかなんて言わないけどな。

意外にでかいのな…

 

「な〜んかやらしい」

「な!何言ってんだ!…痛ぅ」

「や!バカ!まだ起きるな!もう昌也ー!」

鋭く俺の考えを読み取ったみさきに男の本能で言い訳をしようとすると、急に起き上がったダメージもあるのか頭、背中、ふくらはぎに痛みが走る。

みさきが読んですぐに昌也が来て俺はそのままおんぶされる。

 

「何?どうした?」

「お前今脳震盪と結構な打撲してるから、歩けもしないんだよ。歩けると思って起きるの待ってたけど。やっぱ歩けなかったか。」

俺…本当に何があったんだろう

「なぁ、俺何があったの?ブイを狙った辺りから記憶が抜けてるんだけど?」

 

その質問にはあ…とこの場にいるほぼ全員が溜め息をつく、1人はふぇ?と何が何だか?と言う顔をしている。まぁ倉科さんだ

「八幡。説明するとだな」

 

 

 

要はこう言う事だった。

本来最低限の機能しか付いていない学校用のグラシュで無理やりメンブレンのショートカット、つまりソニックブーストを2回もやったせいで俺のグラシュがオーバーヒートし停止したとのこと。

それでもいくら学校用のグラシュとは言えこんな風に壊れる事は少ない。つまり俺の運が悪かったのと見様見真似のソニックブーストが下手で負担をかけたのかのどちらかなのだろう。多分どちらもだろうけど。

 

「で高さ15m近くから背面着水ってか」

「そうだ」

どうりで背中とふくらはぎが痛いわけだ。それでもその程度の怪我で済んだのはラッキーか、あの高さだとコンクリートに打ち付けた位の衝撃なわけだし、脊椎とかやんないでしっかり五体満足なだけ儲けもんか…

はぁ、それにしてもかっこ悪いな。

 

「それにしても八幡、お前ソニックブーストなんて使えたんだな」

「あれ、マジでまぐれだから。何となくとウィキペディアに書いてあったコツでやっただけ。」

「逆にその知識でのまぐれの方が怖いよ」

あれ?

ま、あの時だけ神様が味方してくれたんだけどな、数秒後に裏切られたけど…上げて落とす辺りやっぱ神様は性格が悪い。

 

 

その後はそのまま昌也におぶられた状態で家に送ってもらった。

「ハチ?ご飯食べれる?」

「悪い…気持ち悪い」

「そか。小町ちゃん行こ」

「はい!じゃあ小町は言ってくるね」

「おう…」

 

まったく治りません。体は痛いし頭はグワングワンするし。なんか吐き気もしてきたし。

このままじゃ風呂も入れないし、何より登校用のグラシュ壊したんだよな。

どうしよう…

 

その時八幡の沈む気持ちを全部無視した様な明るい音が家に響く。と言ってもチャイムだ

「ああ?」

時間は8時。こんな時間にしかも離れの方にとは、誰だろうとゾンビもビビる様な這いずりで玄関に向かう。

って誰かゾンビを超えるゾンビだよ…

もういろいろ頭がおかしくなってるみたいだ。

 

「はい…」

「うお!何だ八幡か…」

「何だと思ったんだよ」

「……………」

ゾンビだなゾンビだと思ったんだろ。どうしようまた転校しようかな。

 

「で何の用だ?こんな時間に?」

「ほらこれ」

そう言い突き出されたのは学校用のグラシュ。

「何?」

「いやお前のグラシュ壊れただろ?だから修理するまで貸しといてやるよ。無いと困るだろ?」

「さ、さんきゅーな」

困る困らないと言われたら別にどちらでも無いんだよな。千葉だと飛ぶ事無かったし。

そこは地域ごとの価値観なのだろう。まぁグラシュがあれば楽なのに変わりないからな。助かる。

これも小さい頃の俺のコミュ力に感謝。昌也はいいやつ。以上!

 

「体とか拭いてやろうか?」

いや小町でいいです。足ゃタオル踏んで俺の背中ゴリゴリするだけだけど。本当最近お兄ちゃんの扱いが雑すぎて泣けちゃう。

 

流石にこのまま寝たくも無いので背に腹は代えられない思いで昌也に手伝われながら着替えると。

「まぁ八幡。女の子の下着って見ちゃったらどうすれば良い?」

「相手が気づいてないなら黙って脳内保存。バレてたら土下座して脳内保存。てかなんでそんな質問を?」

「ちょっとな…」

何をやらかしたのだろうか。何となく予想はつくが。まぁ下着を見てしまいなんか気まずい雰囲気が流れたのだろう。

 

「隣に引っ越して来た女の子が着替え中だったんだけどその俺の部屋と彼女の部屋カーテン開いててさ…」

ほう、要はラッキースケベって奴だな。死ねばいいのに…

「土下座で謝れ。世の中性的な意味だと男の勝算はほぼ0だ。あっちから接触してきたとしてもあちらがやってないと豪語すれば男の話なんて取りあってもらえない。ソースは俺」

 

廊下を歩いていて騒いでいた女子の間を通り抜けようと躱すと相手の女の子がちょっと体を揺らし俺に当たってしまった。それが原因で尾ひれが4枚も5枚もついた話が出回った。"わざとヒキガエルが女子に当たって痴漢をしようとした"となって話は広がり未遂では無く失敗と言う形になった俺は放課後謝罪させられた。

その時に取ったスキルが土下座だ。今やカンストしている。

俺の人生って何だろう…目から汗が…

 

「八幡!?更に目が腐ってるぞ」

「DHA豊富そうでいいじゃねえか」

「戻って来い!」

 

 

その後昌也は帰った。何とかして下着を見てしまった子に謝罪するらしい。

「腹減った…けど食欲無い…」

なんと矛盾したことだろう。そして俺はそのまま空腹のまま夢の世界へ逃亡した。現時刻9時30分、健康そのものだな睡眠大事!

 

「はぁ…明日治ってなかったら病院行こ…」

独り言がこの部屋の暗闇に吸い込まれていった。

 

 

 

なんで俺は飛んだのだろう…




次回辺りから青柳まどかちゃんとかしっかり出そうかと思ってます


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フライングサーカス部

今日も今日とて太陽サンサン快晴。俺にとっては毒でしか無い。外にいるだけで毎秒体力1ずつ持っていかれる。だいたい2分で俺は棺桶だろう。俺弱すぎるだろう…

なんて考えている間に学校に着き教室に着き、教室の扉を開ける。

 

「お!八幡。久々の登校はどうだ?」

「おう…病院に帰りたい」

 

そう俺はあの怪我でここ一週間俺は入院していたのだ。思いの外あの怪我が響いてて翌日になっても逆に痛みが増していく一方なので病院に行ったところ、骨等に異常は無かったものの内臓に僅かであったが損傷があったため治療と節々のケアの為の入院していたのだ。まだ週に1度の通院があるが、今日からは普通の生活に戻れる

 

でも久々と言う訳でもなく毎日面会に来ていたので、これと言って話すことが無い…

だから俺は寝るだけだ…

 

「あら…寝ちゃいました」

「でもそうはいかないっぽいぞ」

 

「ひっきがやくーん!」

「う"」

折角人が夢の世界へ旅立とう言うのに誰だ。

頭を叩くことは無いだろう…

ここは俺は目を濁らせて睨もう。あ、もう濁ってたわ

俺はゆっくり目をやると八重歯が特徴的な女子だった。

どこか小町の印象に近いなにかを感じる

 

「ねぇねぇ比企谷君もさFC部入らない?」

「入らない」

俺の即答にその場の時が一瞬止まる。

「え!?なんで!?」

「その…アレがアレだから…」

「他の部活?」

 

どうしよう。こういうときに限って良い訳が出て来ない普段は要らない位出て来るのに。この頭が恨めしいよ

は!そうだ!

俺はとある事を思い付き昌也に耳打ちする

 

「お前はFCやってるのか?」

「俺はやらん」

そうかやっぱりそうか。俺が他人を使って自衛するなんて珍しいが俺にはもうこのカードしか無いんだ!

 

「昌也が入ってたらいいぞ」

どうだ!これが俺の切り札!秘技[お前何にする?それ?じゃあ俺もそれ]だ。

それを聞いた瞬間八重歯少女がパァと笑顔になる

あれミスった…?

 

「実はね!日向君はねコーチとして夏の大会までの間はFC部なんだよ!」

ああ…もう逃げ場が無いです…

「やっぱ…」

「さあ!もう言質は取った!今日の放課後から行くよ!」

 

こうして俺はFC部に入った。

この俺の拒否権の無さの入部はどこか既視感を覚えるな

 

 

 

 

放課後

「おお!君はあの時のソニックブースト」

「はい…よろしくお願いします」

「お兄ちゃん比企谷君ね」

「そうか行くぞ比企谷!」

「えっと…どこへ」

「飛ぶぞ!」

そんな俺としてはありがたい程短い自己紹介だったが、この筋肉部長さんはもう飛べと言う事らしい

俺は先に飛んで行ってしまった先輩を追うため飛ぼうとすると

 

「お兄ちゃーん」

「ん?」

何処からとも無く飛んできたのはマイエンジェルシスター小町だ。

小町降り立つと

「はいこれ」

謎の紙袋を出してきた。

「何これ?」

「競技用のグラシュだよ。入院した時買っておいたの。」

 

どうやらここまで完全に仕組まれた話はだったらしい。おおかたみさきが小町に言って入部させようって事になったのだろう。

「サイズぴったりだし…」

「妹ですから。あ!今の小町的にポイント高い」

「そうかいそうかい」

「んじゃ部活頑張って」

「おう。 Fly」

 

グラシュが起動され羽が展開される。

「白って…」

羽のデザインは天使の様に真っ白で一切の歪みがないものだった。俺のイメージとは真逆だな。その内黒色の羽になるんじゃねえかな…

 

 

飛んで行った方向へ飛んでいくと4つのブイが定位置に立っている練習場に着いた。

「比企谷さ〜ん!」

「お?来たな」

「魔王〜!」

そこにはフラフラとおぼつかない様子で飛んでいる倉科さんと減速を知らない部長、俺を魔王と呼ぶけしからんちっこいのが居た。ほんと誰がはるのんだよ。

 

「フォームの練習か?」

「はい」

「魔王!セカンドブイまで競争です!よいどん!」

何それずるい…魔王を倒すには不意打ちって事か?

まぁ俺も選手になっちゃった訳だし練習がてら追うか。

力をいれ一気に加速する。

 

「はや!」

この前の一戦で感覚は掴んだ。悪いが勝たせて…

「でりゃああ!」

「クッ…」

追い越そうとしたら進路妨害からの反重力によるバチバチ要は同じ極同士の反発で弾かれ、体制を崩す

 

 

 

「やったー魔王の首取ったりー」

「ドックファイト有りとか聞いてないんだけど」

「邪神の力なのです」

てかお前邪神だったの?俺勝ち目ないよ?

それから何回か勝負した。結果?何とか勝ちました。どうやらこのグラシュスピーダー寄りのオールラウンダーで設定してあるらしい。牽制したら逃げろの俺事をよく分かっている設定だ。流石小町。

 

「お〜ハチじゃん。本当に来たんだ」

「よっ」

勝敗についてあーだこーだ文句を言っているちっこいのは放っといて置こう、なんか関わらなくていい気がするから。

 

「半強制だけどな。」

「自分で墓穴掘っておいてよく言うよ」

「うっせ。」

「それよりさ〜ハチ私と勝負してくれない?」

さっきも言ったが選手になったからやった方が良いのだろう。面倒だけど

「わかった」

「よし!勝ったほうがうどん奢りね。飛ぶにぁー!」

うどん奢りって。俺の意見ガン無視で飛んで行っちゃったし。まぁ俺も行くか

「Fry」

 

 

「あれ二人共試合するでしょうか?」

「それっぽいですね。じゃあ私達は降りましょうか」

 

どうやら二人共降りたみたいだ。これで完全に空の上には俺とみさき二人。

取り敢えずインカムを付けてセコンドが就くのを待つと『よーし!比企谷ぁ!スピーチで振り切れ!!』

部長かよ…昌也が良かったな。耳が痛い

 

「行くよー。  セット!」

同時に飛び出すややみさきの方が速いか。

「と言っても最高速は俺の方が速い…はず」

「あちゃ〜スピーダー寄りか」

200m程のとこでみさきを追い抜きセカンドブイをタッチする。

「ポイント比企谷1ー0」

ファイターのみさきならここからはショートカットする必要があるその為サードブイへも簡単に行ける

「ポイント比企谷2ー0」

さてここからだ、フォースブイをスピードで狙いたいがショートカットして来たみさきに道を阻まれてる。

 

「さぁハチ」

なんでそんな楽しそうな顔をしてんだよ

「バチバチしようよ!」

反重力と反重力が触れ合い放電し俺は弾かれ失速する。あっさりノックバックされる辺り体が弱いのだろう

 

「部長ドックファイトになりそうです」

『振り切る動きをしながら前みたいに不意打ちでブイを狙ってみろ』

案外普通の指示を出してくれた部長に内心驚く、スピードで勝て!とか言われそうだったから…

「んじゃ行くよ!ハチ!」

「出来れば来ないで…」

 

背中を取ろうと回り込む動きをし始めるみさき、ファイターのグラシュだけあって初速が速くスピード寄りのこのグラシュだと少々きつい。それでもついていけるのは流石オールラウンダーのグラシュってとこだろう

「はいもらった!」

「チッ…」

「ポイント鳶沢2ー1」

やっぱりドックファイトだときつい、始まってものの数秒で点を取られた。

 

「もっとバチバチしようよ。ハチ」

「パチパチとかで良いんだけど…」

そこから数分は何とか耐えて2ー1で抑えている。

それでも防戦一方って形で俺の体力も残り少ない…

「遅くなってるよ!」

「ポイント鳶沢2ー2」

やはり体力切れがバレてるか…

 

ならやってみるしか

「!」

ビッタリくっついていたみさきを無視するように急上昇する

「道を開けてくれんならブイ狙っちゃうよ」

そしてみさきはフォースブイを狙う

「今だ」

放物線を描くように降下、そのまま加速していくこのスピードならみさきがブイをタッチする前に俺が背中をタッチできる。技名はたしかハイヨーヨー…もどき

 

もらった

「はいもらった」

タッチする直前クルンと身を翻したみさき。タッチできずに流されそのまま逆にタッチされる

「ポイント鳶沢2ー3」

「じゃんじゃん行くよー!」

「クソっ」

 

俺はタッチミスの時の下降の加速、プラスみさきのタッチによる下への加速でどんどん海に近づく、高度が下がり上手く動けなくなると、みさきの殴打は続いた

 

 

 

 

 

 

「ゲームセットポイント3ー7勝者鳶沢」

最後の最後で一矢報いる事ができました。本当に一矢だけど。

見学してた人達からの評価は

昌也

「ドックファイトの先読みは出来てるけど反応が遅い」部長

「スピードで振り抜けばよかったものを」

倉科さん

「比企谷さん凄いです!」

有坂

「流石みさき先輩です!」

みさき

「フィジカル弱!」

と言う感想だった。うん…突っ込むところ無いよね…

 

 

こんなんで俺大丈夫か…




次回は合宿ってことで


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