艦息の彼は鎮守府で生きる (匿名希望)
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1話

書く気力が出てきたので新作投稿です。
前二作はなんか思っていたのと違う方向に進んでいったので、書き直す気力があれば、書き直して投稿したいと思います。
とりあえず読んで見てください。


 

「・・・・」

 

「?」

 

「・・と・」

 

「なんだ...?」

 

「て・と・」

 

「誰かが...?」

 

「て・とく」

 

「呼んでる?」

 

「ていとく」

 

「提督...?自分のことか..?」

 

 

提督!!!

 

「うぉっっ!!」

 

 

 起こされて僕は目を覚ます。寝ぼけ目を擦り顔を上げる。

 

 

「ようやく起きましたか...先ほどから声をかけていたんですが、なかなか目を覚まさないんですから...」

 

 

 目の前の彼女は呆れ顔で僕を見下ろす。

どうやら僕は寝てしまっていたようだ...

 

 

「忙しいのは十分わかってはいますが、休憩時間もあるんですからこうも堂々と寝られては困ります。」

 

 

 目を吊り上げて彼女は僕にそう言った。

 

 

「あはは...ごめんね大淀さん、今日は日差しが気持ちいいからさ。」

 

「だからと言って寝ていい理由にはなってません。寝るのであれば今日の執務がすべて終わった後にでもゆっくり休憩なさってください。」

 

「わかったよ。起こしてくれてありがとね。」

 

 

 そういうと大淀さんは秘書官の席に戻り、自分の分の書類に目を通し始めた。

 自分も気持ちを切り替えて、目の前にある書類に取り組み始める。

 昔から長い時間椅子に座っていると落ち着かなくて運動がしたくなるが、最近は一日の時間のうち机に向かっている時間の方が多く感じる。それが悪いとは思わないがやはり適度な運動は大事だと思う。

 そんなことを考えながら黙々と書類を終わらせていく。最後の一枚を終わらせて大淀さんに声をかけようとすると、廊下の方から足音が聞こえてきた。

 初めのうちは小さかった足音が徐々に徐々に大きくなっていき、執務室のドアを力任せに開け、中に入ってきた。

 

 

ぽーーーーーーい!!!

 

 

 そう言って元気に入ってきた張本人は僕の前までやってきて話し始めた。

 

 

「疎雨(ソウ)~~~聞いてほしいっぽい!!」

 

「はぁ...いつも言ってるが執務室に入る時はノックを...」

 

「関係ないっぽい!それよりも話を聞いてほしいっぽい!!」

 

 

 僕の小言を一刀両断した彼女、夕立は聞く耳を持たずに話し始めた。

 

 

「間違って時雨のプリンを食べちゃったっぽい!ばれないように匿ってほしいっぽい!」

 

 

 どうやらしょうもない姉妹喧嘩のようだ...少し焦ったが問題はなさそうで安心した。

 

 

「どう考えても夕立が悪いだろうに...早く謝ってこい。」

 

「怖いっぽい...謝るんならソウに付いて来てほしいっぽい...」

 

「俺はまだ執務中だ。頼むんなら他をあたってくれ。」

 

「嘘っぽい!もう机の上には何にもないっぽい!だから一緒に謝ってほしいっぽいぃ~...」

 

 

 半泣きになりながら一緒に来てくれと頼む夕立、確かにあと少しで執務は終わるが...

 

 

「提督?終わったんでしたら夕立と一緒に行ってあげたらどうですか?後は私がしますから。」

 

「そうっぽい!大淀さんも言ってくれてるんだし、一緒に来てほしいっぽい!」

 

「夕立ちょっと静かに。」

 

 

 そういうと夕立は先ほどまで騒がしかったのがウソのようにしゅんと縮こまった。

 

 

「大淀さん、いいんですか?」

 

「ええ、今日の分は終わってるみたいですし、夕立ちゃんについて行ってあげてください。」

 

「そうか、じゃあ後は任せたよ。じゃあ夕立、時雨を探しに行こうか。」

 

 

 声をかけると夕立は嬉しそうに顔を綻ばせた。

 

 

「ありがとうっぽい!」

 

「俺だけじゃなくて大淀さんにも、だろ?」

 

「そうっぽい!大淀さんありがとうっぽい!」

 

「いえいえ、許してくれるといいですね。」

 

「ぽい! それじゃあいくっぽい!」

 

 

 そう言って夕立は僕の手を取り走り出した。

 

 

「時雨はどこにいるんだ?」

 

「わかんないっぽい。でも食堂だと思うっぽい!」

 

「それじゃあ食堂に行ってみるか。」

 

「そうするっぽい!」

 

 

 そうして自分と夕立は時雨を探しに食堂に向う。夕立と話しながら歩いてるとすぐに食堂についた。

 昼ごはんには遅い時間だが食堂にはまばらに人の姿が見えた。

 

 

「それで? 時雨は居そうか?」

 

「よくわからないっぽい。一緒に探すっぽい。」

 

 

 そう言って夕立はぐいぐいと手を引っ張る。

 

 すると後ろから腕をくいくいっと引っ張られる。

 振り向くとそこには探し人が首を傾げて立っていた。

 

「ソウ? 今日の仕事は終わったの?」

 

「ん? 時雨か、仕事は終わったぞ。今は夕立と一緒に時雨を探してたんだ。」

 

「夕立と? 僕に何か用かい?」

 

 

 すると夕立は素早く僕の後ろに身を隠す。時雨はその様子を不思議そうに見ている。

 

 

「ぽいぃ...」

 

「ほら、夕立から言わないと時雨もわからないだろ?」

 

「夕立? どうしたんだい?」

 

「時雨ぇ...ごめんなさいっぽい。時雨のプリン食べちゃったっぽい...」

 

「僕の? 別に大丈夫だよ。後でソウに買ってもらうし、良いよね?」

 

「ん? 別にいいぞ?」

 

「ぽいっ!? 時雨だけずるいっぽい! ソウ~夕立にも買ってほしいっぽいぃ~。」

 

「はいはい、夕立にも買ってやるから仲良く食べろよ?」

 

「わかった(っぽい!)(よ)。」

 

「それじゃあ間宮さんに頼んでくるから席取っておいてくれるか?」

 

「了解っぽい! それじゃあ時雨行こうっぽい!」

 

「はいはい、それじゃあソウよろしくね?」

 

 

 そう言って夕立と時雨は席を取りに行った。それじゃあプリン二人分買いに行くか。

 

 

 




面白かった!!

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2話

2話です。


side 夕立&時雨

 

 

 

「時雨本当にごめんなさいっぽい。」

 

「ん? プリンのこと? 別に大丈夫だよ、あれは元々夕立に夕立に買っておいたものだったからね、渡す前に食べられるとは思ってなかったけど。」

 

「私に渡そうと? どうしてっぽい?」

 

「前に夕立がプリンを食べたいって話してたのをソウと一緒に聞いててね、それならって言ってソウと僕で買っておいて明日にでも渡そうって話していたんだ。」

 

「本当っぽい? それならソウにも申し訳ないっぽい...」

 

「それに関しては大丈夫じゃないかな?」

 

「どうしてどう思うっぽい?」

 

「それは内緒だよ、すぐに言っても面白くないからね。」

 

「うぅ...時雨、意地悪っぽい...。」

 

「まぁ考えたらわかりそうなことなんだけどね。」

 

「あれ? 2人ともこんな所で何してるの?」

 

「ぽいっ? あ、白露! お疲れ様っぽい!」

 

「あ、白露。お昼休憩だよ。ソウが僕と夕立にプリンを買ってきてるって言うから。」

 

「ソウが? ふぅん、それじゃあ私もねだろうかな?」

 

 

 

side ソウ

 

 

 

3人分でも結構な出費だな...まぁ物欲は無い方だから溜まっていくだけだし、こういう所で使っていかないとな。

 

 

「っと、それで時雨と夕立はどこだ?」

 

 

辺りを見渡してみると夕立と時雨が誰かと話しているのが目に付いた。

 

 

「ん? あれは白露か? たかられるだろうし仕方ない...自分の分を白露に...」

 

「あ、ソウ~~! こっちこっちっぽい~!」

 

「おー、白露も昼休憩か?」

 

「そうだよ~それでソウ~私にもプリン頂戴?」

 

「はぁ...ほれっ、余分に買ってきておいて良かったよ。」

 

「あれ? ソウの分は良いのかい?」

 

「ん? 大丈夫大丈夫、白露に1口分けてもらうから。良いか?」

 

「ん?いいほ~(良いよー)ほうはべはっへるへど(もう食べちゃってるけど)。」

 

「あぁもう、落ち着いて食えって、ほっぺたに付いちゃってるだろ。こっち向け、拭いてやるから。」

 

「あ、ありがと~。」

 

「ん、夕立と時雨も落ち着いて食えよ?」

 

「っぽい! ありがとうっぽい。」

 

「ありがとね、それでソウ? この後はどうするの?」

 

「ん?この後は今週末の演習に向けての艤装のメンテナンスがあるからって、明石と夕張に呼び出されてるぞ。」

 

「その演習って大本営とだったよね? 私たちも見学していい?」

 

「見学者は今日お夕食のときに希望者を聞くつもりだぞ? まぁ遠征とかの任務が入ってたらそっちを優先してもらうけどな。 それでも面白くないと思うけどなぁ... 俺がひたすら耐えてるだけだし。」

 

「ソウが攻撃に回ったら一瞬で終わっちゃうっぽい。」

 

「そんなことねーよ。毎回毎回ぎりぎりの戦いだし、今回はどうなるかねぇ...」

 

「それは相手側のことを言ってるのかい?」

 

「それもあるけどな、まぁ夜戦に入る前に旗艦大破で終了が楽なんだけどな。」

 

「あれ? 今回って旗艦大破で終了のルールっぽい?」

 

「それだったら大本営の方も気合が入るだろ、俺だけなんだし実際中破でもう降参なんだけどな。」

 

「私も参加できればよかったのに...。ソウばっかりずるいよ~。」

 

「もう決まったことだし文句は言わない。それじゃあ食べ終わったことだし、そろそろ行くか。三人はどうする? ついてくるか?」

 

「私は行こうかな? 久しぶりにソウの艤装見せてもらいたいしね。」

 

「僕も行こうかな。」

 

「夕立も一緒に行くっぽい!!」

 

「了解。 間宮さーん、プリンごちそうさまでした。」

 

 

 プリンを食べ終え、ゆっくりとした足並みで工房へ向かう。三人で遠征や出撃、演習のことを話しているとすぐに工房の入り口についた。

 

 

「明石さんと夕張さんに、声かけたほうが良いっぽい?」

 

「いや、連絡はしてあるし、このまま入って行っても大丈夫だろ。」

 

二人には前日に声をかけておいたので、そのまま中に入る。

 

 

「工房に来るのも久しぶりだな。って言ってもそんなにたってないと思うが。」

 

「最近ソウは執務室に籠りっぱなしっぽい。」

 

「そんなに長い間籠ってたつもりはないんだけどな。」

 

「ソウがそう思ってるだけで、僕たちから見たら結構長いこと籠りっぱなしになってるように思うよ?」

 

「そうそう、仕事以外で顔を見ることがないから、話すことができないっていろんなところで聞くよ?」

 

「そっかぁ... それじゃあこの演習が終わってからでもみんなと話す時間を取ろうかな?」

 

「そうするといいよ、ところで今回の対戦相手は誰なんだい?」

 

「ん? それは今夜、夕食の時の報告で伝える予定だよ。」

 

「でも大本営との対戦は、だいぶ前からソウvs一軍って形になってるから大体の相手は同じなんじゃない?」

 

「それでもだよ、まぁその試合に勝つために今日はメンテに来たんだけどな。っと言うわけで、明石、夕張、来たぞ」

 

「あ、提督! お疲れ様です! ようやくメンテができますよ!」

 

「ああ、そんなにメンテが楽しみだったのか? 俺が出撃する時とかにメンテは任せてるんだが。」

 

「それでもなんですよ! 提督の偽装は唯一無二ですからね! 皆さんの偽装は一部を除いて量産されていますけど、提督の偽装に限っては、どの偽装も一点物なんで、毎回のメンテが楽しみなんですよ!」

 

「って言ってるけど、そうなのかい?」

 

「ん? そうだぞ。俺の偽装は俺が持ってきたものだけだからな。開発でも出ないし、俺がほかの鎮守府で建造されることも、ドロップすることもないからな。」

 

「そうですよ! だからメンテができるのは提督に任されてる私と夕張だけなんですよ!」

 

「はいはい、その話は後にしてメンテナンス始めるぞ。」

 

「任せてください! 今回のメンテも、大成功させますよ!」

 

 




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