INFINITE・Be The One (海空来)
しおりを挟む

第1期
第一話 新たなWake Up


戦兎「地球外生命体エボルトと戦い、新世界を作ろうとした桐生戦兎はエボルトに取り込まれた万丈龍我を救おうと手を伸ばすが、
その視界はブラックアウトしてしまう
全く...ビルドの主役は俺だってのに...
この作品は一応クローズこと万丈が主役だ、なのにあいつ意識ないから俺があらすじやんなきゃいけないし...
こんな重荷務まるか...?そんな不安な第一話、どうぞー」


目が醒めると、生い茂った芝生が目に入った。

青臭い匂いが鼻をつく。

男は起きあがり、周りを見渡した。

「終わったのか?」

男はそう呟いた。

景色に破壊の痕は見えない、何ヶ月か経ってるような感じも見受けられない。

さらに挙げるなら。

「スカイウォールも、パンドラタワーも無くなってる!」

かつて国を3つに分けた巨大な壁、そしてそれらから形成されたタワー、それも見渡す限り消えていた

男は確信した

新世界だと

 

 

 

 

万丈龍我、それが彼の名だ。

彼はかつて、運命に翻弄されながらもたくさんの仲間に支えられ、新世界を作り、悲劇の元凶の居なかった世界を創るという相棒の願いを叶えるため戦った。

直前、彼はその元凶に体を奪われていたが命を懸けて相棒が助けてくれた。

然し、その相棒は横には居ない。

きっとどこか別の場所に飛ばされたのだろう。

万丈は立ち上がると、人の声のする方に駆けて行った

 

 

 

 

万丈は、公園の噴水でガックリ肩を項垂れていた。

大事な相棒=桐生戦兎が見つからないどころか

どうやら新世界では無い。

この世界ではISと呼ばれる何故か女性にしか扱うことの出来ない装備の登場により、女性が上に見られ、男性が下に見られるという世界だった。

 

「さいっ悪だぜ、戦兎がいねぇどころか、こんなわっけわかんねー世界になりやがってよ」

 

万丈は、相棒の口癖を呟きながら携帯で情報が集められる事が唯一の救いだったと空を見上げて思った

だがどう情報を集めようか悩んでいた時だった。

 

 

 

耳をつんざく悲鳴が響く

 

 

万丈は驚いて悲鳴の聞こえた方を向くと、そこには居るはずのない怪物、スマッシュが人々に襲いかかっている。

 

「なんでスマッシュが!」

 

万丈はかつて、いや、つい先程までそうだったように、懐から大型の機械を取り出した

ビルドドライバー、桐生戦兎が作ってくれた、

愛と平和を守るための力。

それを腰に巻くと、もう一度懐を探すが…

 

「あれ…ねぇ!!?あのボトル何処だ!?」

 

フルボトルと呼ばれるビルドドライバーを起動させる鍵とも言えるアイテムが見つからない。

それらしいものを探すが、見つかったのはドラゴンボトル、スクラッシュゼリー、マグマボトル、彼の探す金色のボトルは見つからなかった。

彼がそうやって慌てているとスマッシュはこちらに気付き、歩き寄ってきた。

万丈はそれに気付かず、スマッシュの振り被った腕をまともに喰らいそうになるが、それは小さな何かに防がれた。

桐生戦兎がかつて、万丈のお目付け役、そして万丈を導くために作り出したガジェット、クローズドラゴン

 

だが、その姿は赤い姿から、完成当初の黒い姿に戻っていた

 

「関係ねぇ、戦えれば十分だ!」

 

万丈は、クローズドラゴンの頭と尻尾を折り畳むと、ドラゴンフルボトルを振り、キャップを開けてクローズドラゴンにセットし赤いボタンを押し込む

 

「Wake Up!!」

 

その音を確認し、ベルトへセットした

 

「クローズドラゴン!」

赤い持ち手の付いたハンドルをグルグルと回して、プラモランナーのようなものを確認すると、掌を殴る様に拳を打ち付けた。

 

「Are you ready!?」

「変身!」

 

その腕をファイティグポーズをとる様に開いて叫び手を降ろすと、二回に分けて鎧が装着される

 

「Wake Up Burning!Get Cross-z Dragon!Yeah!」

体から蒸気が噴き出て変身は完了した

 

 




戦兎「あ〜あ、馬鹿丸出しな文章、なんか早く進めたい感やばいな」

作者「うるさいよ!実際早く進めたいんだから!」

戦兎「ま、こんな作者は放って置いて、次回はようやく俺が出てくるよ」

作者「次回、再会のムーンサルト」

万丈「俺台詞なしかよ!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第2話 再開のムーンサルト

万丈「地球外生命体エボルトを倒し、新世界を作れたと思った万丈龍我は、そこは新世界ではないことに勘づく、そして何故か現れたスマッシュに対してクローズに変身して戦いを挑むっ!」

戦兎「はいはい、お疲れ様」

万丈「戦兎、お前なんで俺にやらせといてそんな適当に切ろうとすんだよ!」

戦兎「なんかお前のあらすじがヒートアップしそうだからだよ、という訳で、第2話どうぞ」

万丈「おい言わせろよ!」


今、新たな世界で仮面ライダーは再誕した。

仮面ライダークローズ、桐生戦兎がビルドし、万丈龍我が愛と平和を成す姿

 

「行くぞ!」

 

ファイトポーズをとったクローズは果敢にスマッシュの下に向かう

スマッシュは、肥大化した両腕を叩き付けようと振り上げるがクローズはそれより早く得意の拳を横っ腹に打ち付ける

一撃与えれば、ニ撃目を、二撃目を与えれば三撃目をと、拳を叩き込む。

スマッシュはあまりの猛攻に耐え切れず、吹き飛んでしまう

 

「今の俺は…負ける気がしねェ!!」

 

そう叫びながら、再び、ベルトのレバーを回す

 

__Reday,Go!Dragonick,Finish!__

 

腕に青い炎のエネルギーが溜まり、クローズはそれをスマッシュに叩き付け一気に解き放つ!

するとそのエネルギーは神話の龍を型取り、スマッシュ諸共天に昇り爆散した

その爆発を見てふぅとクローズは溜息を吐きながら、空のエンプティボトルを使いスマッシュの成分を抜き取った。

スマッシュが居た場所には一人の人間が横たわっている、呻いてはいるが、大丈夫だろう

 

「しっかし、なんでこの世界にスマッシュがいるんだ?」

 

流石の万丈でもそれには気付いた

本来スマッシュはネビュラガスを人間に投与しなければ誕生しない

更には、ネビュラガスはこの世界には存在しないはずの物質なのだ

 

頭を抱えていると、聞き慣れない風切り音が響く、クローズが振り向くとそこには噂のISを纏った女性数人が降りてきた

こんな時、あいつならまた物理学者ぶるんだろうな、と思いつつ駆け寄った

 

「おーい!こいつがスマッシュの正体だ、苦しんでるから病院につr…」

 

「動くな、貴様を連行する!」

 

隊長と思わしき人物がクローズに銃を構え、続いて他のメンバーも銃を構える

数秒沈黙が流れ…

 

「…嘘だろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!??!?」

 

馬鹿でかい叫び声をあげながら一目散にクローズは走り出した

あまりにでかい声に隊員達も、耳を塞いでいたが、少ししてクローズを追いかけ始めた

クローズがダッシュなのに対して、ISは空を飛ぶ、その差は歴然でクローズはすぐ追い付かれてしまう

もうダメかと思われたその時、一人の隊員の通信が聞こえた

 

「わかった、そちらの赤と青の未確認兵器も追い込み、一網打尽にするぞ」

 

赤と…青…?

 

まさにその時だ、隣のビルの陰から見慣れた姿の奴が走ってきた

そいつはこちらに気付くとこちらに寄ってきた

「万丈!お前もか!?」

「そうだよ!文句あっか!?」

「あるわけないでしょーがぁぁぁ!」

 

この感じだ、この二人が揃うとどんな状況でもコントみたいになってしまう

仮面ライダービルド=桐生戦兎、彼と万丈龍我は、そういう最高のベストマッチなのだ

だが今は逃走中、そんな思いに耽る暇もない

 

「万丈!今から飛ぶから、背中に捕まっとけ!」

「お、おう!」

 

ビルドはベルトに刺さっているボトルを引き抜き、別のオレンジと灰色のボトルを差し込んだ

 

__タカ!ガトリング!Best Much!__

 

レバーを回すと、新たなランナーが組み合わさり、ビルドの体は宙を舞う!

 

__天空の暴れん坊!ホークガトリング!yeah!__

 

ホークガトリングへチェンジしたビルドはクローズ連れて飛び立つ、そのスピードはIS軍団の目を掻い潜ることに成功した

そして二人は、とある施設へと踏み込み変身を解いた

 

「ふはぁ、死ぬかと思ったぜ」

「安易に殺されるわけないでしょーが、実験台にされてクシャクシャのぽいだっての」

「…お前簡単にこえーこと言うなよな」

 

懐かしい、この感じが二人にとってえらく安心できた

 

「つかここどこだよ」

「IS学園、あのISってパワードスーツを扱えるように訓練する学校、要するに専門学校みたいなもんだ」

「へぇ、学校か、つかよぉ」

 

万丈はずっと気になっていたことがあった、だがそれは戦兎も思っていたようで二人の声が重なった

 

「「お前若くなった?」」

 

お互いフリーズ、そして自分の体を見て

 

「「えぇぇぇぇ!!!?!?」」

 

その時足音が響いた

二人は急いで近くにあった大きなマシンのそばに隠れた

しばらくしてドアが開いて現れたのは二人の女性だった

一人はかっちりしたスーツの高身長の女性

もう1人は胸元を大胆に開けた服装の緑色の髪の女性

 

「おかしいな、確かに男の叫び声が聞こえたような気がしたんだがな」

「きっと気のせいですよ、織斑先生きっと疲れてるんですよ」

「そうだな、そう思うことにしよう」

 

扉が閉まり万丈がふぅとマシンに手を当てた時だった

突如、そのマシンが起動し、万丈にくっついてしまった

 

「はぁ!?なんだよこれ!?」

「お前何やってんだよ!?」

 

戦兎は慌てて、マシンを剥がそうとするが、万丈がもがいたせいで吹き飛ばされ、、なんともう一機のマシンにぶつかり起動させてしまい、身動きが取れなくなってしまった

そこへ、先程の2人が来てしまい目を見張った

 

「ど…ども」

「さいっ悪だ…」




戦兎「という訳で今回から、おれが登場、少しは話が進むと思うよ」

織斑「どうだかな、かなりグダグダと訳わからんことをのたまうだけなんじゃないか?」

戦兎「うわぁ…いきなりキッツ…」

山田「まぁまぁ、さて次回は尋問編!」

万丈「第3話!偽りのつるえ!」

戦兎「TRUEだ馬鹿」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第3話 偽りのTRUE

戦兎「地球外生命体エボルトを倒し、新世界を作るはずが、別の平行世界へ来てしまった桐生戦兎、万丈龍我、そこで何故か現れたスマッシュを撃破するも、その世界の装備、ISを着込んだ特殊チームに拘束されそうになってしまう」

織斑「その追跡をふりきり、IS学園へ逃げ込んだ2人は、なんとISを起動させてしまい、織斑千冬と山田真耶に見つかってしまう」

万丈「対応してやがる...つか、手錠外してくれよ!」

織斑「誰が外すか、貴様らは要注意人物だ、じっくり話を聞かせてもらうぞ」

山田「さぁ、どうなる第3話!」

万丈「また言われた!」


「「最悪だ...」」

二人の男の声がハモる

結局あの後、ISを外してもらったは良いものの、そのまま手錠をかけられ取り調べ室のような場所に連れてこられた

ある程度の書類を書かされ、今は待機中という訳だ

 

「なぁー…」

 

万丈が口を開いた

 

「俺たちどうなんだ?」

「俺が知るわけ無いでしょーが、いい所事情聴取して、監禁してさぁ、実験を始めようか、だ」

「自分の決めゼリフ使うんじゃねえ」

 

はぁ...と溜息が2人から零れた時、カツカツと足音が響いた

 

「俺が話すからお前は黙ってろ、いいな?」

 

万丈はコクっと頷いた

扉が開いてスーツ姿の女性が現れた、キリッとした目は鋭く、視線で殺すことも出来そうだ

 

「じゃあ、質疑応答だ...まず貴様らは何故あそこにいた...」

 

女性にしてはかなり低いドスの効いた声で2人は震え上がった

《嘘ついたら殺される...》

 

その恐怖を飲み込み、戦兎が話し出した

 

「え、えっとですね、俺ISに興味があったんですよ...」

 

心做しか声が震えている

 

「ほう...貴様書類に物理学者とあったな?実績は?」

「いや...まだ無いですけど...」

「そうか、それで興味があった...というのはどういう事だ?これだけ世界的に普及しているISをさも最近知ったように...」

「えっと...しばらく俺達篭ってたんですよ、だからISの名前自体は知ってたけど興味なーい、っていうか...」

「苦しい言い訳だな、誤魔化さず全部話せ、そうすれば処分は軽くしてやるぞ」

 

戦兎が言葉に詰まる、彼女には何を言っても無駄、そう思えてしまう

そこでまたドアが開いて最初に一緒にいた緑色の髪の女性が入ってきた

 

「織斑先生、ちょっと...」

 

女性達はしばらく外に出て再び戻ってきた、その表情をさらに険しくさせて。

 

「質問変更だ、貴様らあの未確認兵器なのか」

 

来ると思った、ビルドドライバーやボトル、所持品の全てを渡さざるを得なかった...

つまりそれらを解析しようとしたのだろう、まあ簡単には開かないし何せネビュラガスはこの世界にないのだから実質解析不能なのだが...

きっとさっきのISチームのひとりがベルトを見て察したのだろう

さて、どう言い訳するか...

 

「あれは兵器じゃねぇ!」

 

...っバカっ...

 

「ほう?ではなんだ、あんな強大な力を持つ何かを兵器ではなくなんと言うのだ」

「愛と平和を守る力だ...」

 

...予定が狂った...筋肉バカが訂正したのは成長を感じれたが今じゃない...今じゃないぞ万丈〜...

 

「...わかりました、全て話します、今までは全部捏造でした」

 

そして俺はある程度のことを話した、

俺達が仮面ライダーであること

作ったのは俺であること、

元々別の平行世界にいた事

 

あくまで、話す必要はまだないと思った事(一海や幻さんの事だ)

そして、俺達の成り立ちや素性は明かさなかった

 

これを話した後、彼女は頭を抱えていた

 

「頭が痛い、貴様らはなんなんだ...」

 

そうだろうな、国を分けた壁や地球外生命体など、この世界には起こりえないだろうことを信じられる筈もない

 

しかし...

 

「分かった、信じてやる、まだ話してないこともどうせあるんだろう、気が向けば話せ」

 

あれ?意外と優しい人なのか?万丈と俺は顔を見合わせた

 

「さて、今から貴様らの処分だが...」

 

生唾を飲み込む...

 

「一週間後よりIS学園に入学だ、準備はある程度こちらでしてやる」

 

へ?俺耳おかしくなったかな、だが万丈もとんでもない顔をしているため聞き間違いでは無いようだ、俺達、2度目の高校生活始めました




万丈「おいどーすんだよ!2回目の高校生活だぞ!」

戦兎「うるさいよ、バナナやるから静かに...ってか実質俺は初めての高校生活なんだよ」

織斑「ふん、作者が感想など送ってくれと言っていたとだけ...では次回、インフィニット ビーザワン」

山田「二度目と初めての高校生活〈second & first high school life〉」

戦兎・万丈「「言われた!」」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第4話 二度目と初めての高校生活〈second&first school life〉

戦兎「地球外生命体エボルトを倒し、新世界に来るはずが別の平行世界へ導かれてしまった桐生戦兎、万丈龍我は、その世界の住人、織斑千冬の計らいで、IS学園に入学することになった」

万丈「おい、なんかだいぶ省いてねーか?」

戦兎「仕方ないでしょ、ベラベラ要点以外のこと喋っても混乱させるだけでしょーが」

万丈「つかISの参考書さ、分厚過ぎじゃねーか!?国語辞典かと思ったぞ!」

戦兎「本来小学生から学ぶ事を一冊にしたんだからそれくらいあるでしょーよ」

万丈「はぁ…分かる気がしねぇ」

戦兎「それに関しては話を通してあるから、さて、どうなる」万丈「第4話!」
戦兎「おい!」

万丈「主役は俺だ!」


電波時計の音が響く

万丈は目を覚ますと時計を止め、欠伸をしながら起き上がった

元々格闘家だったこともあり、朝には強い方だった

隣には、壊れてるデバイスを遅い時間まで修理していた戦兎が眠っている

万丈は頭を掻きむしると、仕方ないかとキッチンへ向かうのだった

 

 

 

[数分後]

戦兎も目を覚まして体を起こした

科学者故か遅い時間まで作業する事が多い彼は、目もまだ四分の一しか開いていなかったが、必死に目を擦り体を目醒めさせようとしていた

少ししていやに香ばしい匂いがあることに気付いた

 

「まさか…!」

 

嫌な予感を感じリビングへ向かうと

 

「おぉ、朝飯、作っといたぞ」

 

と言いながらカップラーメンを啜る万丈の姿があった

最っ悪だ…

まず第一に、朝からラーメンという高カロリーの重いものを啜る万丈に、そして2つ目にいつから起きてたかは知らないがお湯を入れ3分で食えるラーメンを朝ごはんと言って準備した万丈に…

 

だが食べ物を無駄にはできない、仕方なくラーメンの蓋を取った

そこにはやはりある程度スープを吸って伸びたラーメンがあった

箸をとり麺をすする

やはりお世辞には美味いと言えない割に腹に溜まる

やれやれと戦兎は時計を確認して青ざめた

 

「ばばっ万丈!急いで着替えろ!」

「は…?…ぇぇぇぇ!!!!!」

 

彼はラーメンに夢中で気付いてなかったようだ

 

「やべぇよ!急いでも間に合うのか!?」

「うわぁぁぁ!っと、そんなあなたにはこれ」

 

戦兎はビルドフォンとライオンボトルを取り出した

 

「んだよ、仮病の連絡か?」

「そうそう、もしもし〜?ってなわけあるか、急いで準備してこいよ、待ってるから」

 

気付くと戦兎は既に着替えを終え、歯を磨いていた

全体的に白で、アクセントで黒や赤の入った制服がよく似合ってる

彼は歯磨きを終えると外へ出て行った

 

「急がねえとな...」

 

彼も着替えを終え、カバンを持った2人はビルドフォン=マシンビルダーに乗り込み急いでIS学園へと向かうのだった

ちなみにここはIS学園に入学までの一週間、寝泊りする為の所謂、仮家だ

しかし、今日からは学園内の寮で過ごすのだ

荷物も既にまとめてある、戦兎は桐生戦兎として初めての高校生活に思いを馳せ、万丈は二度目の高校生活をどう過ごすか考えながら学園へと向かった

 

 

【IS学園】

 

「これは...想像以上にキツイ...」

 

織斑一夏は教室中の視線を一気に受け、そう感じた

世界で初めて男でISを動かしてしまったが故に、女子高と化したIS学園に入学する事になってしまった

彼がこれからの生活に不安になっているところ…

 

「っしゃあ!セーフ!」

「バイク使えば十分って言ったでしょーが」

 

救世主が舞い降りた、それも2人

桐生戦兎と万丈龍我はかなり特殊な事例のため報道されなかったのだ

突然の出来事に教室はしばらく静かになり、突然歓声に包まれた

 

「えっ嘘!まだ2人も男が居たの!?」

「しかも3人ともイケメーン!」

「爽やか系にオラオラ系よ〜!」

「多種多様〜!」

 

これに1番困惑してるのは万丈だった

 

「おい戦兎、クラス間違えてねーか?女しかいねーぞ」

「何を言いますか、ISは本来女性にしか動かせない、だから女子しかいなくて当然、更には唯一男でISを動かした織斑一夏がそこにいるんだから、間違えるわけないでしょーが」

「へ、へー...」

 

万丈は渋々、戦兎は意気揚々と席に着いた

 

これならいけるかもしれない…!っと織斑一夏は気を引き締めるのだった

 

 

(数分後)

 

「じゃあSHR始めますよ〜、私は皆さんの副担任を務める、山田真耶です、よろしくお願いしますね」

 

緑の髪の女性、山田真耶

あの人副担任だったのか、と戦兎は思いつつ周りの反応を見た

誰もが教室内3人の男に目を取られ誰も教卓を見ていない

気弱な正確なのだろう、山田先生もどうしたらいいかオドオドしている

仕方ない、ここは一発お手本になりますか

戦兎は割と普通だが、拍手を起こした

するとさすがに他の生徒も釣られて拍手を始め、山田先生も安堵の表情を見せる

 

「えへ、よかった〜、じゃあ自己紹介お願いしますね」

 

次々に自己紹介を生徒が行っていき、遂に、織斑一夏の番が廻ってきた

 

「じゃあ、次は織斑一夏君!」

「えっと...織斑一夏です、よろしくお願いします...」

 

周りは次は何が来るか、今か今かと待ち受けていたが...

 

「以上です!」

 

戦兎以外の全員がずっこけた

まさか名前だけ伝える自己紹介があるとは思わないだろう

さすがの万丈も肘を滑らせていた

しばらくまた自己紹介が進み

 

「次は、桐生戦兎君!」

 

ざわっと声が上がる

まぁ、滅多にない名前だから仕方ないだろう

ここでビシッと、お手本を見せてやりますか

 

「はい、ご紹介に預かりました、天っ才物理学者の!桐生戦兎でーす!わからないことがあったら、なんっでも聞いてくれ!」

 

一瞬の静寂が流れどっと笑声が上がった

 

「桐生君おもしろーい!」

「天才物理学者?サイコー!」

「なんかいいよねぇ〜」

 

戦兎は満更でもなさそうに席に着き直した

更に自己紹介は続き…

 

「次は…万丈龍我君!」

 

さてあの筋肉バカはどうくるか…

 

「はい!俺は…プロテインの貴公子、万丈龍我だ!好きなもんはプロテインとラーメンだ!よろしくな!」

 

戦兎より長い静寂が訪れた

ヒソヒソ聞こえるのはやはり

<プロテインの貴公子>

突然わけわからない説明を突っ込んで来た万丈に困惑しているのだ

すると

 

「ふざけないとまともに挨拶もできんのか貴様は」

 

言うが早いか動くが早いか、万丈の頭に炸裂音が響いた

万丈は何か言うこともなく机に突っ伏してしまった

 

「千冬ね…」

スパァンッ!

「織斑先生だ、馬鹿者」

 

ヒィ…戦兎は惨状から目を背けた

 

彼女は教卓へと向かい

 

「私が織斑千冬だ、貴様らを一年で使い物にするのが私の役目だ、私の言うことはよく聞きよく理解しろ、分かったらハイと言え、分かってなくても言え、いいな」

 

典型的な鬼教官タイプね、戦兎はあくまで冷静に見ていた

なにせこの一週間何かにつけ彼女の怒りを見ていたからだ(原因はほぼ万丈だったが)

 

「SHRは終わりだ、桐生、後で万丈を起こして職員室へ来い」

「わかりました」

 

こうして2人の学園生活は幕を開けたのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




万丈「…なんか頭いてぇんだけど」

戦兎「気のせいだろ、気にするんじゃないの」

一夏「千冬ねぇのあれ食らって平気な奴初めて見た…」

万丈「お、お前も参戦か!」

一夏「あ、あぁ、慣れないけどよろしく」

戦兎「あ、ここでお知らせ、まさかのタイトルが他の作品と被ってたので急遽変更になりました、だってさ」

一夏「結構大ごとのような…」

戦兎「取り敢えず次回、インフィニット・Be The ONE」

??「戦線布告のイギリス淑女、ですわ!」

戦兎・一夏「誰!?」

万丈「いい加減いわせろよ!!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第5話 宣戦布告のイギリス淑女

戦兎「地球外生命体エボルトを倒し、別の平行世界へ導かれてしまった
桐生戦兎、万丈龍我は、ISを起動させた男として、IS学園への入学を余儀なくさせられてしまう」

万丈「なぁ、俺らってIS?とかほんとに使えんのか?触ったら勝手にくっついた感じなんだけどよ?」

戦兎「本来起動するはずのないISが装着されたんだから使えるのは使えるんだよ、ま、お前はIS以外のあれを使って貰うけど」

万丈「まじかっ、助かるぜ」

戦兎「どうせ動かせないだろうし…」

万丈「おい、今馬鹿にしたろ」

戦兎「と、言うわけで」

??「どうなりますでしょう第5話!」

戦兎・万丈「誰だよ!?」


戦兎は気絶した万丈を起こし、職員室へと来ていた

 

「失礼しまーっす」

「もう少し生徒らしく振舞え桐生」

 

キッと鋭く冷たい視線が戦兎を突き刺した

椅子にかけたまま千冬はアタッシュケースを取り出して開けた

 

「お前達から押収していたドライバーとボトルだ、今は解析が不可能、ということで落ち着いている」

「そうして貰えると助かります」

 

下手に技術が横流しされれば、自分たちの世界のようになりかねない

戦兎は胸に秘める思いを吐露するのを堪えてベルトとボトルを回収する

 

「それと、お前達のISについてだが…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ある程度の話を終えて戦兎と万丈は教室に戻ると黄色い歓声に包まれた

 

「うるさっ…」

 

万丈は思わず耳を塞ぎながら席に着いた

戦兎も同様、席に着くと教科書を読み始めた

彼はこの一週間で全てを読上げISに関しては既に操縦どころか、開発を始められる状態だった

しばらくして授業が始まった

一夏が参考書を捨ててしまっていたため全くついていけず、千冬先生のスマッシュが炸裂するというハプニングはあったものの、それ以外は特に何も無く進み、クラス代表を決めることになった

 

「自薦他薦は問わない、クラス代表にふさわしいと思うものを挙げろ」

「はーい!織斑くんがいいと思いまーす!」

「はいはい!桐生くんと万丈くんもいいと思います!」

 

3人の目が点になる、いくら物珍しいからと言われてもこれでは…

 

「すまない、訂正する、桐生はまだISを用意できない、万丈はISとは違う特別な装備を使う、よって織斑のみ他薦により候補にする」

 

2人の目は安堵に包まれるが1人は違った、嘘だろと言わんばかりの目で落ち込んでいると

 

「納得行きませんわ!」

 

机をバンッ!と叩いて1人の少女が立ち上がった

 

「そのような推薦が意味ありますの!?大体!男がクラス代表など良い恥さらし!ただ物珍しいから極東の猿を選別するなど!本来ならば実力から言ってこの私、イギリス代表候補生のセシリア・オルコットこそ、クラス代表になるべきなのですわ!」

 

ファサッと金髪の縦ロールがなびいた、このセシリアとやらは余程自分に自信があるようだ

そしてそれに反論する2人

 

「誰が猿だ!」

「そうだ、それにイギリスだって対した国自慢ないだろ、世界一まずい料理で何年覇者だよ」

 

織斑一夏と万丈龍我その2人である

 

「私の国を侮辱しますの!?」

「そっちが先に馬鹿にしたんだろ!」

「黙りなさい!シュリンプ頭!」

「シュークリームの何処がわりいんだよ」

「シュークリームじゃなくてシュリンプ!えびですわ!そんなことも分からないの!?」

「エビフライの何がわりいんだよ」

「エビフライなんて言ってませんわ!?」

 

バァンッと机を叩く音が響いた

 

「コントもそれまでにしろ、ならこうだ、万丈とオルコットで代表戦を行う、それで勝った方がクラス代表、万丈が勝った時は織斑がクラス代表だ、それでいいか?」

「上等だ!」

「いえ、まだ納得行きませんわ!この方ISを使わないのでしょう!?そんな我が国で叡智を集め開発したISに何処の馬の骨とも分からない装備が勝てるはずないですわ!どうせモルモットとして実験されているんでしょう!」

「馬の骨で悪かったな」

 

今まで黙っていた戦兎が口を開く

その静かだがかなりの迫力にみんなが静かになった

 

「さっきから聞いてれば、極東の猿だのモルモットだの…人を見下しやがって、言っておくが…お前は万丈に勝てない、勝負、受けてやるよ」

「ふ、ふん!覚悟しなさいな!」

 

あまりの迫力に涙目になっていたセシリアも勝負を受けた

 

「よし、では来週、クラス代表決定戦を行う」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【廊下】

「悪ぃな万丈、熱くなっちまって」

「お前は悪くねぇよ」

 

夜、食堂で食事を取りながら2人は話していた

戦兎は焼肉定食、万丈はラーメンをそれぞれ食べている

最も、戦兎は付け合せの卵焼きに惹かれそれを選んでいた

そこへ

 

「やっと飯にありつける…」

 

一夏が疲弊した様子で2人と同じ机に座った

 

「おう、織斑じゃん」

「よろしく、桐生に万丈だっけ?」

「戦兎でいいよ」

「俺も、龍我でいいぜ」

「わかった、俺の事も一夏でいいから」

 

そして3人が食事を再開しつつ話し始めた

そんな3人をギャラリーが見つめている

 

「今もこうして見られてるけど、気にならないのか?」

「別に?俺は天っ才だから、よく注目の的になってたし」

「へぇ…」

「つかよ、なんでそんなに疲れた顔してんだ?」

「いや、寮の部屋に行ったら女子と相部屋でさ、相手が箒だったんだよ」

「あぁ、篠ノ之さんか?」

「そうそう、幼馴染なんだけど、あいつシャワー浴びててさ、タオルだけ巻いた状態で出てきて、俺の事見るなり木刀振ってきて…」

「危なっ?!お前大丈夫だったのかよ?」

「うん、じゃなきゃここにいない…」

 

そんな他愛ない話だった、だが戦兎は新鮮味を覚え、万丈は懐かしさを感じていた

更にそこへ1人の女生徒が現れた

 

「い、一緒に食べてもいいか?」

 

お、噂をすれば、そこには篠ノ之箒が塩サバ定食を持って立っていた

戦兎はあえて一夏の目の前の席に箒を座らせた

 

「篠ノ之はよ、一夏といつまで一緒だったんだ?」

「し、小学4年迄だ、5年生になる時私が家の事情で、な?」

「そうだったな〜」

「にしても万丈…だったか?代表戦、大丈夫なのか?」

「んぁ?どうゆう意味だ?」

「一夏の代打とはいえ、ISじゃない装備を使って戦うなど…」

「おっと、それは心配いらない、天っ才物理学者、舐めんじゃないよ?」

 

軽い…箒はそう感じていた

天才物理学者やらISとは違う装備やら、何か他と違う空気を出すこの2人の同級生の事が、ISを作ったのが自分の姉である箒は気になって仕方なかったのだ

だが、当人はものすごく軽い性格、あの怒った様子から何か隠しているように思っていたが考えすぎだった

 

「それに…今のセシリアじゃ万丈には勝てねぇよ」

 

戦兎は不敵に呟いた、箒はその瞳に自信と複雑な悲しみの両方を見るのだった




セシリア「という訳で登場ですわ!」

箒「フライングにも程があるぞ!こういうのは節度を守ってだな…」

一夏「まぁまぁ落ち着けって2人とも…」

セシリア「私は落ち着いていますわ!」

箒「私も落ち着いている!」

戦兎「そういうとこだって、ほらバナナやるから」

万丈「ウッキー!バナナだぁ!って猿じゃねぇ!」

戦兎「第一にお前にやったわけじゃねぇーよ」

千冬「次回、インフィニット・Be The One」
山田「復活!銀の青龍」

戦兎・一夏・セシリア・箒「言われた!」

万丈「いい加減頼むよ!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第6話 復活!銀の青龍

戦兎「IS学園に入学することになった、桐生戦兎と万丈龍我はクラス代表を決める際に、イギリス代表候補生、セシリア・オルコットに宣戦布告を受ける、その挑発の一つに怒りを覚えた桐生戦兎は彼女の挑戦を受ける」

万丈「なぁ、ほんとに俺勝てんのか?あいつらビュンビュン飛ぶんだぜ?」

セシリア「クラス代表を譲るのであれば取り止めてあげてもよろしくてよ?」

戦兎「その必要は無い、こっちにも策はある」

万丈「だそうだ!」

箒「その自信はどこから来るのだ…」

一夏「さて、どうなる第」万丈「6話!」

戦兎「お前被せるの好きだね〜…」


[代表戦当日、放課後]

 

「準備はいいか?万丈」

「あぁ、いつでもいいぜ…」

 

万丈は気合い充分と言った感じで拳を掌にうちつける

整備室には彼らと箒、一夏も居た

 

「悪いな、龍我…まだ俺のISが準備出来ないから…」

「気にすんなよ、これはお前の代わりであると同時に、俺の意地でもあるんだ」

 

そう呟くと彼は相棒に調整してもらった青いドライバーとゼリーを手にしてアリーナへ歩いていった

 

「ほんとに勝てるのか?ISに…」

 

箒は戦兎に再び問いかける

 

「大丈夫だっての、まぁ見てなさいよ」

 

【アリーナ】

万丈がそこに向かうとすでに自身の専用機、ブルーティアーズを纏ったセシリアが待ち構えていた

 

「あら、装備は着ないのですか?」

「見せつけてやろうと思ってな…」

 

万丈は不敵に笑うと青いドライバーを巻き付ける

 

\スクラァッシュドラァイバー!/

 

セシリアはそれを見てププっと吹き出した

 

「ププ…そんな大きなものに収納されていますの?全く、これじゃ勝ちも丸見えですわね」

「バカにすんじゃねぇ!」

 

万丈は怒鳴りながら手のひらサイズのゼリーを取り出すキャップを閉めた

 

「この力はお前らみてーに、実力を魅せるための力じゃねぇ…」

「では…なんですの?」

「…愛と、平和を守る力だ!」

 

そして一気にそれをベルトへ差し込む

 

\ドラゴンゼェリィー!/

 

軽快な機械音が鳴り出す

万丈は構えると覚悟を決めレバーを押し込みながら叫ぶ

 

「変身!」

 

刹那、ビーカーのようなものが形成され万丈を包み込み、中が青い液体で満たされていく

それが弾け、スーツを着ると頭からジェルが吹き出しそれが新たな装甲を形成する

 

 

\潰れる!流れる!溢れ出る!ドラゴンインクローズチャージ!ブルルルァァァァ!!!/

 

オレンジの目が光り変身が完了した

セシリアだけではない、ギャラリーや一夏や箒もどよめいた

 

 

「な、なんだよあれ!?」

「あんなもの、見たことがないぞ!」

 

そして…彼女達も…

 

「織斑先生!あれって!」

「ジェル状装甲…!あいつ、あんなものまで作れたのか…」

 

織斑千冬は、改めて桐生戦兎に恐れを抱いた

かつて、友人が耐久性に問題があると言って断念した技術

それを一生徒がやってのけているのだ

 

「行くぞォ!」

 

クローズチャージは拳を打ち付けるとその場で飛び上がりセシリアのISを殴り飛ばした、呆気なく吹き飛ばされるブルーティアーズ

 

「くっ…この程度…!?」

 

彼女は、自身のシールドエネルギーを確認して驚愕した

今の一発でエネルギーは3分の2まで落ちていた

あと2発でやられる…

セシリア緊急的に空中へ飛び立った

だがクローズチャージは追ってこない、いや、追えないのだ

観戦中の箒もそれに気付いた

 

「桐生、もしかしてあれ…」

「気付いた?そう、飛行ユニットがないんだよね」

「えぇ!?それって欠陥じゃないか!?」

「いや、ライダーシステムはそれで完成なんだよ」

「だがこれでは勝てないぞ、何か策は…」

「あるよ、3つな」

 

セシリアは有頂天になっていた

高い攻撃力を誇るとはいえ、みる限り飛行ユニットがない

更には武装を展開する様子もない

あれだけ勝てないと言っていたクラスメイトの悔しそうな顔が浮かぶ

彼女は、ビットでクローズチャージを端まで追い詰めた

 

「これで…終わりですわ」

 

だれもが終わりを確信した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()

 

突如ブルーティアーズのビットが爆発した

皆が状況が分からず困惑する中、一夏は気付いた

 

「あ、あれがクローズチャージの装備か!」

 

皆も気づいた、先程まで手ぶらだったクローズチャージが剣を持っている

 

\ビートクローザー!/

 

 

「…まだ終わってねぇ!」

 

彼は青のボトルを振るとそれをベルトへ差し込んで、レバーを押し込んだ

 

\ジェット!ディスチャージボトル!潰れなぁ〜い!ディスチャージクラッシュ!/

 

クローズチャージは上をむくと背中に戦闘機の羽根のようなものが形成され、空へ飛び立つ

 

「まさか!追加で装備を!?」

 

ISには量子化した武装を入れて置ける、バススロットと呼ばれるものがある、だがその中に飛行ユニットを入れておくのは前代未聞だ

 

彼女が驚いている隙に万丈は次の動作に移った

ビートクローザーに黄金のボトルを填めて柄を3回引っ張った

 

\スペシャルチューン!ヒッパレー!ヒッパレー!ヒッパレー!/

 

軽快な音が響く、クローズチャージが剣を振りかぶると鎖が出てきてブルーティアーズに巻きついた

まさか剣から遠距離攻撃を繰り出すと思っていなかったセシリアは呆気なく囚われてしまった

 

「くっ!ブルーティアーズ!」

 

セシリアは残ったビットを繰り出し、クローズチャージを攻撃する

 

「ツインブレイカー!」

空いた左手にジェルが纏わり、弾けるとまた新たな武器が召喚された

クローズチャージはそれにクローズドラゴンを装填した

 

\レディィゴォォー!レッツブレェイク!/

 

 

クローズチャージが引き金を引くとだれもが目を疑った

 

巨大な()()()()が発射されたのだ

それは軌道を変えながらビットを破壊し尽くした

後は本人のみ

 

だがクローズチャージはセシリアを見て悩んだ、戦兎から聞いてはいる

ISにはシールドエネルギーがあり、今回のような試合ではそれをゼロにした方が勝利と

 

だがシールドエネルギーがゼロにも関わらず攻撃すると、()()()()()ダメージが入ると

愛と平和を守る仮面ライダーがそんな事をしていいのか、それが自分の信じた仮面ライダーだったのかと…

 

万丈は諸々を考え、ビートクローザーからボトルを引き抜いた

鎖が粒子となって消える

クローズチャージは歩み寄っていき

 

「俺の勝ちだ、文句ねぇだろ…」

 

だが、セシリアは恐怖に怯えていた

このままでは負ける、その事実が彼女を暴走させた

 

「いやぁぁぁぁ!!!!」

 

クローズチャージに銃を突きつけ躊躇い無く引き金を何発も引いた

 

さすがに至近距離では無理があったか、クローズチャージは変身が解けてしまった

 

だが、錯乱した彼女は何発も万丈に向け銃を撃つ

 

「お、おい!落ち着けって!?うわぁぁっ!」

 

万丈はひたすら逃げるがやはり生身では逃げられない、一発が肩をかすめた

 

彼女は観客席に向けても銃を撃ち始めた

ギャラリーは突然の事に動けなかったがシールドが発動したのを見て避難を始めた

 

「万丈、撤退しろ、生身ではどうにも出来ない」

 

千冬は万丈に対してアナウンスするが

 

「…いや、俺が助ける!クラスメイトほっとけっかよ!」

 

万丈はドラゴンボトルを思い切り振りながら走り出す

 

「っの馬鹿っ!」

 

戦兎もたまらずアリーナへ向かった

万丈は右へ左へと飛んで跳ねて、人とは思えぬジャンプでセシリアに組み付いた

 

「目ェ覚ませ!お前の勝ちだっての!」

「いやっ…へっ?私の…勝ち?」

 

セシリアはようやく意識を取り戻し地上に降りてISを解除した

そして、万丈の傷に気付いた

 

「っ!その傷!」

「んぁ?あぁ、こんくらい気にすんなよ」

 

万丈は全然平気だと言うように肩を動かした

だがやはり痛むのか顔を少し歪ませた

セシリアはハンカチを取り出すとその肩を止血するように縛った

 

「せめてもの、お詫びですわ…」

 

 

 

戦兎もその様子を見てほっとため息をついたのだった

 

 

 




戦兎「万丈負けたってよ」

万丈「仕方ねぇだろ!いきなり撃たれたんだから!」

戦兎「そのままいけば勝てただろ、あんなの恐喝とかの類だろ」

セシリア「まぁ、御二方とも落ち着いてください、あれは私の未熟さゆえですわ」

箒「…一夏、彼女の態度、変わってないか?」

一夏「あぁ、まぁやりやすくなっていいんじゃないか?」

千冬「次回、INFINITE・Be The One」

万丈「鈴の音の少女!」

山田「Bell Sound Girl」

万丈「言わせてくれてありがとな、せんせ」

山田「いえいえ〜!」

??「次回は私が出るわよ!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

【小休止】4.5話 桐生戦兎のレポート

戦兎「これは天っ才物理学者、桐生戦兎による謎の原因、解明するために書き記したレポートである」


時系列、IS学園入学式、放課後

 

 

 

「さてと、まずは書き出しっと…」

 

1,何故俺達がISを纏えたのか

2,最初の2体のスマッシュ

3,現状の俺たちの装備

4,新世界はどうなったか

5,何故俺たちは若くなったのか

6,元の世界へ帰る方法

 

「じゃあまずは、何故俺たちがISを使えたか」

 

 

本来ISとは宇宙開発用のパワードスーツとして作られたが、10年前に起こった白騎士事件と呼ばれる事件により兵器として運用を開始されたものである

このシステムは何故か女性にしか扱う事ができず、それにより女尊男卑のが当たり前になったのがこの世界の現状である

 

その世界で異常事態が起きた、この俺、桐生戦兎、万丈龍我、織斑一夏の3人がISを動かしてしまったのである

 

結果、その3人はIS学園へ入学する事になった

 

さて、本題だ

ISが女性にしか扱えない理由は、開発者の篠ノ之箒の姉、篠ノ之束にも一切わからないらしい

織斑一夏の身体能力も織斑千冬の弟故か、常人よりすこし高いくらいしか違いは無かった

 

 

だが()()()()()()は分かった

 

 

俺はISを一から作ってみたいと思い、専用機開発を蹴り、改造予定の打鉄を貰い受けた

そのシステムの中に目を疑うプログラムがあった

 

その名も

 

()()()()()()()()()()()()()()()

 

どうやらハザードレベル3以上の人間が触れると装着できるシステムということらしい

 

だがこの世界に存在しないハザードレベルという概念を計測するシステムがなぜ組み込まれているのか、それは全くの謎である

 

 

 

 

 

「次はっと…」

 

 

俺たちがこの世界に来て、初めに倒した2体のスマッシュ

これも全くの謎だ、ハザードレベルという概念が存在しないようにネビュラガスも本来は存在しない筈だ、何せ、それを発生させたスカイウォールが無いのだから

 

因みに被検体だった2人は今はピンピンしているがやはり何が起きたかわからなかったそうだ、今は経過観察の為入院してるとか

 

そして、どうやらこのスマッシュは俺達より()()()()()この世界に現れていたらしい

 

ニュースや新聞に、2体のスマッシュの記事、そして同じ時期から誘拐や蒸発が多発していた

 

この2つは関係していると見てまず間違いないだろう

だがそうなると恐ろしい考察をしてしまう

 

 

この世界には俺達の世界に居た()()()()()のような組織があるのではないか

 

更にスマッシュの事を考えると

ネビュラガスを操れる()()がこの世界に導かれている可能性もある

 

最初はエボルトかと思ったがそれは正直無いと思う、その根拠は続く、俺達の装備に記載する

 

 

 

 

 

 

 

 

現在俺達の装備である、ドライバーやボトルは無事だ

一応60本全て確認したがベルトはしっかり認識している

 

続いてラビットタンクスパークリング、フルフルラビットタンクボトル

これらは現在修復中だ

というのも最後の決戦時、これらはエネルギーを失い、結果ラビットタンクに戻されてしまった

 

あと、ハザードトリガー、これはフルフルボトルを使っていた影響か、全く損傷は無かった、よりにもよって一番危険なのが…

 

そして、ジーニアス

このボトルはもとのパンドラパネルの変形したボトルになっていた

全てのエネルギーを新世界をつくるのにつかった影響だろう、修復は可能だ

しかし、寮ではそれも出来そうもない、設備が足りなさ過ぎる

 

さらにはフルボトルバスター、これは最後、俺がエボルトに叩きつけたジャストマッチブレイクのエネルギーが逆流したのだろう、回路が焼き焦げていた

それ以外の武器は全て使用可能なのが救いといったところか

 

続いて万丈の装備だが、損傷したものはなくどれも使用可能

そしてクローズドラゴンの件だがこれは、あの黄金のドラゴンのボトルが無くなったことで完成当初に戻ったのだと思う

 

あれは聞いた話だと、エボルトが万丈から搾取したDNAが万丈のハザードレベルによって書き換えられて出来たものと記憶している

エボルトを新世界創造のエネルギーにする際に一緒に還元されたと思われる

 

 

 

 

 

 

4つ目新世界…

 

正直これが気がかりだ

俺達は新世界を作れたのかすら確認がままならない

新世界は出来たがその際のエネルギーの奔流に呑まれ、この世界に辿り着いたのか

それとも俺達だけが平行世界に来てしまい、俺たちの世界は元のままなのか...

 

 

あと、俺達が何故若くなったのか

これは2つ要因が考えられる

考えとして弱い方はエボルトが居ない新世界を作ろうと時間を弄った影響、

逆に強い方は平行世界にいる桐生戦兎、万丈龍我として()()されたか

 

 

 

最後に、新世界へ戻る方法

 

 

これは、嘗て最上魁星の作った、エニグマを作る他ないと考えている

だが設計図も何も無いこの状況ではエニグマを作るなど、希望的且つ、非現実的であるのもまた事実

 

 

更に、俺達が元の世界へ帰る際の悪影響も考えなくてはならない

 

だが…今はこのときを楽しみつつ、事態を改善させるしかない

 

幸いISの操縦もままならなかった万丈はクローズチャージの使用許可は降りた

 

ビルドやクローズの使用は出来れば避けたい、最初の戦いで俺達の姿を見た人達に騒がれてしまっては困るからだ

 

俺も早く、自身のISを作りあげてしまおう

これにて、レポートを閉じる

 

 

 




戦兎「っはぁ…疲れた…けど、こうやって謎を解かないと…視聴者も大変だしな…んじゃ、おやすみなさいっと」

万丈「…あいつ誰と話してんだ」
一夏「さぁ…」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第7話 鈴の音の少女 Bell Sound Girl

万丈「クラス代表を決める戦いで、プロテインの貴公子、万丈龍我はセシリア・オルコットのブルブルティーに…」

セシリア「ブルーティアーズ!わざと間違えましたわね!?」

万丈「わざとじゃねぇよ!」

戦兎「ブルーティアーズに対してクローズチャージで戦いを挑む」

万丈「おい!戦兎!」

一夏「だが、彼のかつての決心は心を揺らがせ、反撃のチャンスを許してしまう」

万丈「一夏まで!!」

箒「結果、錯乱したセシリアはクローズチャージを倒しクラス代表の戦いに勝利するのだったが」

セシリア「箒さんまで!?」

戦兎「セシリアの中には、温かくも切ない、疑問が生まれるのだった」

万丈・セシリア「さ、さぁ!どうなる「第7話!」」

戦兎「仲いいな?」

万丈・セシリア「「よくない!」ですわ!」


【学生寮、シャワールーム】

 

セシリアは考えていた

何故万丈龍我は酷いことを言った自分を怪我をしてまで躊躇い無く助けたのか

何故桐生戦兎は間違いなく万丈龍我が勝つと信じたのか

そして、この胸の鼓動はなんなのか...

 

「知りたい…」

 

セシリアは小さい頃読んだ物語の王子様…とは程遠いがナイトのような万丈を思い浮かべ、笑った

 

「どちらにせよ、やっぱり似合わないですわね」

 

彼は彼だからこそいいのだ、そう思い浮かべ…くしゃみをした

 

「…へくちっ…」

 

 

 

【後日】

 

放課後、クラス代表決定パーティを行うということで呼ばれた戦兎、万丈、一夏は食堂まで廊下を歩いていた

 

「クラス代表決まったからパーティって…」

「女子はそーいうの好きなんだよ」

 

3人が食堂に入るとクラッカーが鳴り響いた

 

「「「()()()()クラス代表おめでとう!!」」」

 

 

 

 

ん?一夏?

 

「おい、クラス代表はセシリアのはずじゃ...」

 

3人が疑問符を浮かべ、問いただすとクラス代表だった本人が出てきた

 

「それはわたくしが辞退したからですわ」

「辞退?」

「あの戦いでは、龍我さんが勝っていたのは火を見るより明らか、しかし、勝ちにこだわり過ぎて錯乱、挙句は龍我さんに怪我をさせてしまいました...そんな人間にクラス代表が務まるはずがありません、だから辞退したのです」

 

セシリアは3人の前に行くと頭を下げた

 

「この度は数々の罵倒、暴言、大変申し訳ございませんでした、龍我さん、戦兎さん、一夏さん」

 

 

随分柔らかくなったな…戦兎は疑問を抱きつつも応える

 

「いや、俺も熱くなりすぎたよ、悪いな、圧かけたりして」

「俺も、傷なんてよく作るから平気だぜ」

「俺も、イギリス馬鹿にして悪かったよ」

 

 

今、クラスの結束が高まった

 

その時、カメラのフラッシュが焚かれた

 

「眩しっ!」

 

万丈が目を開くとその少女は新聞部の部長だった

 

「はーい、黛薫子です、よろしくね、早速だけど織斑君、クラス代表になった感想をどうぞ!」

 

マイクを向けられた一夏はアタフタしつつ

 

「えっと、成り行きだけど、頑張ります」

 

と、当たり障りなく答えた

しかし、薫子は納得行かなかったようで

 

「ん〜...じゃあセシリアちゃん、コメントちょーだい」

「私はあまりコメントは好きではないのですが、仕方ないですね、私がどうしてクラス代表を辞退したかと言うと一一一」

「長そうだからいいや、万丈君に惚れた事にしよ」

「なっななっ!何を言ってらっしゃるの!///」

 

このキョドり方...戦兎は気付いた、セシリアが万丈を、と言うより異性を意識し始めた事に

急ではあるが、理解は出来る

万丈には裏表がない、つまり、彼の行動は全て本心からのもの

本心から自分が傷ついても、助けようとしてくれたと分かれば、そりゃー惚れなくもないか

と、戦兎が分析しているとセシリアが近付いて

 

「戦兎さん、聞きたい事がありますの、のちほどよろしくて?」

「いいけど...」

 

それだけ言うとセシリアはスリーショットを撮るとかで万丈、一夏の元へ向かった

 

 

 

 

パーティ終了後、戦兎は寮へと向かった

セシリアの部屋の前に立つとコンコンとノックする

出てきたセシリアは気を使ったのか、まだ制服のままだった

彼女は戦兎を招き入れると紅茶を戦兎に出して自分も飲み始めた

 

「イギリスはこういった茶菓子が有名ですのよ」

「そうだな、スコーンとか好きだぞ」

 

と言いつつ戦兎も紅茶を啜る

さすがイギリス淑女、紅茶が美味い

戦兎が味を楽しんでるとセシリアが本題を切り出した

 

「あのクローズチャージ…でしたっけ、ISと実戦を行ったことはありまして?」

「いや、ないよ、君のブルーティアーズが初陣」

「では何故、龍我さんが私に勝てると思ったのですか…やはり、あれだけの攻撃力を持つからですか?それともあの拡張性でしょうか?」

 

戦兎はフッと鼻で笑った

 

「気持ちだよ」

「気持ち?」

「アイツのライダーシステムには大脳辺縁系とリンクしてる部分があってな、誰かを守りたいとか、負けたくないだとか、そういう強い思いに反応するんだよ」

「すごいシステムですわね」

「あと、君と万丈の違いだ」

「私と?」 

「君は俺の挑戦を受けた時は、エリートである事を鼻にかけて、俺達を見下して余裕をこいてただろ?」

 

セシリアは頬を膨らませた

 

「それに関しては謝ったではありませんか!」

「ごめんごめん、けどそれが君の最初の劣勢だ、万丈はかつて、大事な恋人のために、エリートになるチャンスを捨てて地に堕ちた事があるんだよ」

「地に堕ちた?」

「…万丈は、恋人の手術代を作る為に、八百長試合をしたことがあるんだけど、でもアイツは嘘が付けなくて、結果、格闘技界を永久追放、勿論手術代も作れなかった、それからも色々やっては見たが彼女は…亡くなった。つまり、エリートになったことで人を見下していた君と、エリートになるチャンスを蹴ってまで、誰かを助けようとした万丈…どっちが勝つかなんて分かるだろ?」

 

セシリアは言葉を失った

この男はあの時ここまで分析をした上でどちらが勝つかを予測した事実

そして、万丈の悲惨な過去に

 

「でも君は最後、錯乱して負けたくないという思いが強くなった、対して万丈は君を傷つけたくない、そんな風に思いが反比例したんだよ、って、大丈夫か?」

 

セシリアは泣いていた、大粒の涙を零して

万丈の境遇を聞き、自分がいかに愚かだったかを思い知らされたのだ

 

「大丈夫ですわ、龍我さんの悲しみに比べれば…」

 

彼女は涙を拭った、その様子を見て戦兎は()()()()と笑った

 

「それを分かってやるだけでもアイツが救われるよ、ありがとう」

 

戦兎は時計を見てここまでだなと立ち上がった

 

「それじゃ、明日も早いし、そろそろ行くよ、紅茶美味かった、おやすみ〜」

「あっ、ちょ一一一」

 

戦兎はそそくさと部屋を出た

セシリアは名残惜しそうに戦兎に貸したティーカップを見つめた

 

「戦兎さんのこともお聞きしたかったのに…」

 

 

次の日、クラスはある話題でもちきりだった

 

「「「1-2組に転校生?」」」

 

男性陣3人の声がハモった

 

「時期がおかしくないか?入学式からそんな経ってないぞ?」

「きっと私の存在を危ぶんでの転校ですわ」

 

ふわっとセシリアの髪がなびいた

 

「それは兎も角、一夏には早くISに慣れ、クラス対抗戦で勝利してもらわんとな」

 

クラスの誰もがそれに同調し盛り上がり始める

 

「そーそー食堂のデザート半年タダになるんだから!」

「負けたら承知しないよ!」

「専用機もそろそろ届くんでしょ?専用機持ちは一組だけだから楽勝だよ!」

 

その時だった

 

「その情報、古いよ」

 

聞きなれない声が響いた

皆がドアに注目すると、そこには大胆に肩を出せるように制服をアレンジした、ツインテールの少女が立っていた

 

「戦兎、あの中学生誰だ?」

 

無神経なバカは彼女の事を事もあろうに中学生と呼んでしまった

大抵、あのように幼い少女は、それが()()()()()()()である

 

「?!あんた、初対面の相手に中学生は失礼なんじゃないの!?」

「イヤだってちいせぇし」

「はァァ!?サイってー!バーカ!」

「誰がバカだ!せめて筋肉つけろ!」

「全然筋肉ついてないじゃないのよ!ガリガリ!」

「俺は着痩せするタイプなんだよ!」

「知らないわよ!そんな事!」

 

戦兎がやれやれと仲裁に行こうとすると一夏が気付いた

 

「あれ…もしかして鈴か?」

 

やっと気付いた、と言うように溜息を吐いて表情を変えた

 

「そ、中国代表候補生、凰鈴音、専用機持ち、今日は宣戦布告に来たってわけ!」

 

 

 

 

 

「中学代表候補生…やっぱ中学生じゃねーか」

 

「中国代表候補生!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




鈴「と、言う訳で凰鈴音参戦よ!」

戦兎「そろそろ一夏のISが届くのか〜…調べてーなぁ…」

一夏「つか、戦兎のISはどうしたんだよ?」

戦兎「んー?んじゃ次の回で説明しようかな」

セシリア「前半がほぼ私の回でしたわね」

箒「…すまない、万丈では無いが…出番をくれないか」

万丈「気にすんなよ、せめてこういうとこで印象つけよーぜ」

箒「まさか万丈に慰められるとは…」

千冬「次回、INFINITE・Be The One」

万丈「空に舞う白き翼と!」

箒「あ、暗躍する黒き影!」

山田「White Wing & Black Shadow」

鈴「ちょっと私に言わせなさいよ!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第8話 空に舞う白き翼と暗躍する黒き影 〈White Wing & Black Shadow〉

戦兎「クラス代表を辞退した、セシリアは桐生戦兎に万丈龍我と自分の違いを聞く、そして万丈の悲しい過去に涙し、自分の行動を反省するのだった」

一夏「そんな矢先、1-2に転校生として、中国代表候補生となった凰鈴音がやって来て、俺達に宣戦布告する」

万丈「戦兎、宣戦布告ってなんだ?」

戦兎「お前宣戦布告も知らないのかよ」

万丈「うるせえ!けど戦うって字があるから戦うって事だろ?、俺に任せろ!俺の強さは一騎当千の鯉のぼりだ!」

戦兎「んー、うなぎのぼりの事かなー?一騎当千を覚えたのは偉いよーさて、こんな万丈はほっといて」

鈴「どうなる第8話!」

万丈「おい!また言われた!」


「待ってたわよ!」

 

5人が食堂へ行くと、彼女はラーメンを持って立っていた

朝、宣戦布告とやらに来た際は、直後現れた織斑先生によって強制送還されてしまった、そのリベンジということだろう

だが

 

「退いてくんねーか?」

「うん、普通に他の生徒の邪魔だろ?」

「わ、分かってるわよ!」

 

彼女は顔を真っ赤にして列を外れた

 

そして、鈴を含めた6人は同じ机で食事を始めた

 

「一夏、この子とはどういう関係なんだ?」

 

戦兎は素朴な疑問をぶつける

 

「あぁ、鈴は箒と入れ替わりで転校してきた幼馴染なんだ、セカンド幼馴染って奴かな?」

 

それ幼馴染と言えるのか…

と言いたいのを戦兎はぐっと堪えてコーヒーを飲み干す

万丈はそんな様子を気にすることなくラーメンを啜る

セシリアも変わらず食べているが様子がおかしいのは箒だ

先程から鈴を睨みつけ、食事に手を付けていない

大体見当は付いているが。

 

「鈴、彼女がファースト幼馴染の箒だ、前に話したろ?」

「へぇ、アンタが…よろしく」

「あぁ、こちらこそよろしく…」

 

2人は笑顔だがその視線で火花が起きそうだ

戦兎は一夏を見て哀れに思った

何日間かこの織斑一夏と過ごしているが、彼は…尋常じゃなく唐変木であった

一度自分がおかしいのかと思い調べたが、やはり箒から一夏に対する思いは恋以外に思い付かない

しかし彼は、鈍い、鈍感、などの言葉で言い表せないほど、その思いに気付かないのだ

その思いを寄せられてる相手に、別の思いを寄せられている相手を紹介するなど、修羅場真っ逆さまだ

 

「ところで一夏、この男達は誰?」

「ああ、桐生戦兎と万丈龍我、ニュースではやってないけど2人もISを動かしたんだ」

「うっそ!?それホント?」

「ああ、偶然ではあるけどな?」

「でも凄いわよ!?ところで…万丈…だっけ?何か言うことあるんじゃない?」

 

万丈は麺をすすりながら顔を上げた

 

「あん?あぁ…麺伸びっぞ?」

「一言謝ったらどうなのって言ってるのよ!」

 

鈴は机をバンっと叩いた

やはり彼女は今朝言われたことを気にしている

万丈は多分それに気付いてないから謝るという事が頭に浮かばないのだろう

 

「なんでだよ、俺なんか言ったか?」

「私の事中学生って言ったじゃない!」

「なんでそれ謝んねーといけねぇんだよ?お前中学生に見えんだよ」

「人が気にしてる事をぉ…!」

 

鈴の後ろに心做しか炎が見える気がする

 

「ま、まぁ落ち着けって鈴!」

「し、仕方ないわね…」

 

その後は結局、放課後、一夏が特訓を終えた後どうするかで揉めてるうちに、昼休みが終わった

 

 

 

 

 

放課後、一夏の元に遂にISが舞い降りた

 

「これが俺のIS…」

 

一夏は感慨深そうにボディ撫でる

まるで昔から使っていたようだ、彼はそう感じた

 

「これがお前のIS、白式だ、今から数十分やる、それでものにして見せろ」

 

期待しての言葉か、時間をかけたくないが故か、数十分しか貰えない一夏

彼はそれを前者と取り、できる限り精一杯動き、ファーストシフトへ移行させた

因みに戦兎や万丈、箒にセシリア、鈴はソレを眺めていた

 

「そういや戦兎のISはどうなんだよ?」

「もうすぐ出来るさ」

「何よ?作って貰ってないわけ?」

 

鈴が訝しげに聞くと

 

「いや、作ってんだよ」

 

万丈以外の3人がキョトンとした

 

「ホントですの!?」

「うん、ほんと」

「お、お前の頭はどこまで行くんだ…」

「前にも言ったろ?天っ才物理学者、舐めるなってさ?」

 

「「この人には勝てないかも…」」

 

3人の思いがシンクロした

 

夜8時頃

万丈は戦兎と共にISの格納庫に居たが、居ても役に立たないし当の本人も眠くなったので寮へ戻ろうとしていた

 

「っくぁ...ねみぃ...」

 

万丈がもうすぐで部屋に着くという時だった

 

パァンッ!

 

「…なんだ?」

 

「女の子との約束を覚えてないなんて男の風上にも置けない奴!犬に噛まれて死ね!」

 

あー一夏かな…と万丈はぼーっとしていたが直後飛び出した鈴を見て目が覚めた

 

彼女目には()が溜まっていた

 

それを見た瞬間、彼女が囁いた気がした

 

「___あれを見て放っておくのは万丈らしくないよ___」

 

香澄…

 

「しっかたねーなー!」

 

万丈は彼女を追いかけた

 

 

 

 

【とある場所】

頭に兎の耳のような物を付けた女性がカタカタと高速でキーボードを叩いている

 

「ふむふむ、遂にやられちゃったか〜、次のシフトに移行する必要がありそうだネ〜」

 

嬉しいのか、悲しいのか、どちらとも取れない言葉の弾ませ方で彼女は喋る

そこにとある男がマグカップを持ちながら近づいた

 

「どうだ?私の貸したドライバーで産まれた兵器達は?順調かね?」

「ううん、遂にやられちゃったよ〜!」

「何っ…まぁ予測していた事態さ、いずれはこうなると思っていた」

「あ、あとね〜…ハザードレベルに反応したISが2機あるよ〜!」

「おお!遂にか!どれ、見せてみたまえ」

「待っててね〜!」

 

カタカタとキーボードを映し出し2人の被検体を映し出す

()()()()()()()()

 

「どーするー?この2人連れてきて一気にやっちゃう?」

 

返事の代わりにマグカップの割れる音が答えた

 

「何故だ…何故貴様らが!!」

 

男はモニターに掴みかかった

 

 

「どーしたの?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()ちゃん?」




千冬「次回、INFINITE・Be The One」

鈴「まっさか、あんたに慰められちゃうなんてね〜…」
___仲深まる2人の()___

戦兎「もうすぐ出来る筈なんだけどな」
___最後のピースとは___

一夏「俺が勝ったら約束、教えてもらうからな!」
___始まる代表戦!___

布仏「なにあれ!!?」
___現れるスマッシュ!___

戦兎「俺達は変身しちゃいけない!」
万丈「んな事言ってる場合かよ!」
___ 交錯する思い__


___そして___

戦兎「さぁ、実験を始めようか」


___第9話 復活!愛と平和 LOVE&Peace___


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第9話 復活!愛と平和 LOVE&Peace

??「その日の疲れから就寝に入ろうとしていた万丈龍我は、炸裂音と部屋から飛び出す凰鈴音の目に溜まる涙を見て目を覚まし、かつての彼女、小倉香澄の事を思い出し凰鈴音を追いかける。
一方でとある場所ではIS産みの親、篠ノ之束と謎の男が桐生戦兎、万丈龍我の存在を知るのだった!
え?俺が誰かって?へへっ、それはいずれ明かされるだろうよ、だが今じゃない、戦兎はIS開発中、万丈も追いかけ一夏は叩かれた、それに関係なく着々近付く代表戦、現れるスマッシュ!どうなる第9話ぁ!」



万丈は鈴を追いかけ、部屋の前に来た

部屋からは様々な一夏への罵倒が聴こえる

 

「あんまこういうのは関わりたくねぇんだけどな…」

 

とりあえずコンコンっとノックをすると

 

「誰…今気分悪いから用があるなら勝手に入って!」

 

全然気分悪い奴の声じゃねぇ…と思いつつ万丈はスタスタ中へ入っていく

鈴はベッドの上で抱き枕を抱えて泣いていた

ゆっくり鈴がこちらを向くと驚いて慌てて立ち上がった

 

「な、なんであんたここにいんのよ!」

「はぁ?!お前が勝手に入れって___」

「せめて何か言うのが普通でしょ!女の子の部屋に入るんだから!」

「なんだよ、香澄はそんなこと言わなかったぞ!?」

「香澄って誰よ!」

「知らなくて結構!」

 

と怒鳴った直後、2人のお腹がくぅ〜っとなった

思わず顔を見合わせ赤面する2人

 

「…ち、ちょっと待ってなさい」

 

それだけ言うと鈴はエプロンを巻いてキッチンにたった

最初は一夏に食べて欲しかったのに…という思いを堪えて酢豚を二人分作り、机に置いた

 

「食べなさいよ」

「…おう」

 

万丈は受け取った箸で酢豚を口に放り込み、口を抑えた

 

「なんだこれ…うめぇ!!」

「ふっふーん、そうでしょ、お父さん直伝の酢豚だもん!」

 

素直に美味しいと言われ鈴も悪い気はしなかった

自分も箸を持ち食べ始める

 

「こんな美味い酢豚初めて食ったけど、飯屋でもやってんのかー?」

「あぁ…うん、昔お父さんが中華屋やってたんだ」

「昔って事は今は?」

「…お父さんとお母さん、離婚しちゃってさ、国に帰る時にお店も辞めちゃったんだ」

「そっか…悪かったな」

「へっ?!いや、いいのよ!気にしないで…」

 

素直に謝られると思っていなかった鈴はキョドってしまった

何故だろう、この男といると、なんだか安心する

 

「か〜っ美味かった〜!」

 

万丈は箸を置いて手を合わせた

 

「じゃあ次あんたの番ね」

「ん?飯か?」

「そうそう、私あんたの作った料理食べたーい…ってな訳ないでしょ!」

「じゃあなんだよ?」

「あんたも自分の事話してって言ってんの!」

「わかった…俺は横浜の産婦人科で生まれたんだ、3200gの元気な赤ん坊で__」

「だっれが生い立ち話せって言ったのよ!」

 

鈴はぼやぁっと浮かび上がった船のビジョンを叩き飛ばした

 

「何すんだよ!?」

「普通そこはね、家族とかさっきの香澄さんとかのこと話なさいよ!」

 

万丈の顔が若干曇った

 

「わかった…俺の両親は事故で死んでる…」

「えっ…」

 

予想外の言葉に鈴は口を押さえた

 

「警備員の仕事だったらしいけど多分その時にな、んで、俺何年間か記憶がねぇんだよ、多分親を亡くしたショックだって言われた、そんときに格闘技と、香澄に出会った…けど香澄ももう…」

「わ、わかったもう良いから!…ごめんなさい、私も辛いこと聞いちゃって」

 

まさかこんなに暗い話になるとは思わなかった

ここまで話が噛み合わなかったりしたのもきっと、両親を亡くしたショックが大きかったのだろう

だが帰ってきたのは以外な返事だった

 

「気にすんな、ってかお前の方が大変じゃねーか」

「え?」

「確かに両親がいねぇのは寂しかったし、香澄と会えねぇのも悲しい…けど、生きてるのに会えねぇお前の方が辛いだろ?」

 

予想外だった、自分よりも多く大事なものを失っている経験を持っているこの男に、心配されるとは

自然と目頭が熱くなって零しそうになったものを拭う

 

「ま、まぁね…けど慣れちゃったし」

「んな悲しいこと言うなって、生きてれば必ずいつかは会える、その日まで頑張れよ、な?」

「…まーさかあんたに慰められちゃうなんてね〜…」

 

自然と声が震える、ダメだ、泣いたら、前に進めなくなる

 

必死に、今日の出来事を思い出し涙をこらえる

 

「そ、そう言えば桐生戦兎…だっけ?IS作ってるんでしょ?あんたのは?」

「俺はIS使わねぇんだよ、戦兎の作ったクローズチャージを使うんだ」

「クローズチャージ?」

「おう、ドラゴンの力を使うんだ、マジ最強だぜ?」

「へぇ、奇遇ね、私のIS甲龍(シェンロン)って言うのよ?」

「甲龍?」

「中国に伝わる伝説の龍と同じ名前、願いを叶えてくれるの」

「そりゃいいな、じゃあまた親父さんに会えるようにって、願えるな!」

 

鈴はハッと気付いた、確かにそうだ

願掛けでしか無いし、意味も無い

けど、やってみたい

それだけの自信を、この男はくれるのだ

 

「考えたことなかったわ…ありがとう、龍我」

「あん?なんでいきなり名前…」

「なによ、私が呼んだら悪い?」

「いや、悪かねぇけど…」

「私も…名前で呼ぶから…あんたも名前で呼びなさいよ…」

 

鈴は少しもじもじしながら答えた

 

「わかったよ、凰」

「なんでそっちなのよ!?」

「え?お前確か?ファン、ヒーターじゃなかったっけ?」

「凰鈴音!鈴って呼びなさいよ!」

「わ、悪かったって…んじゃ鈴!」

「な、何よ!?」

「俺そろそろ戻るわ…ねみぃ」

 

万丈が指さした時計は既に11時を回っていた

 

「あ、そ、そうね…おやすみ」

「んぁ、おやすみー…」

 

鈴は万丈を見送り、皿を片付けベッドに入った

ベッドの中で抱き枕を抱きしめた

 

「まさか…ね…」

 

そのまま、彼女の意識はすぅーっと薄くなり、眠りについた

 

 

 

【IS格納庫】

 

「やっぱりダメだ…」

 

戦兎は苦難していた

やはり自分達はISをハザードレベルイニシャライザーありきで動かしていた

それを外してしまうと、つけていた時と違いてんで動かない

だがこのシステムは自分達の世界の誰かによって作られた可能性が高く、データを送受信出来る仕様であるため、いずれ戦うかもしれない敵に情報を送ってしまう

そうなると最悪…その誰かが宣戦布告などしてきた時、敵わない可能性がある

それは避けておきたい

つまり、自分にはハザードレベルイニシャライザーに変わるものが必要なのだ

 

「あと少し…なんだけどなぁ」

 

戦兎は置いてあるコーヒーを口にしラビットボトルを振った

 

 

「ボトルの神様ァ、俺にお知恵を()()()てくださいな?なんてな、寒っ」

 

戦兎はボトルを置き、格納庫で眠ってしまった

 

後日、こっぴどく先生から怒られたのは言うまでもない

 

 

 

数日後、クラス代表決定戦が行われていた

現在は最初のマッチの真っ最中

織斑一夏VS凰鈴音

最初から因縁の対決だ

 

鈴の使う衝撃砲による攻撃に苦戦する様子もあったが一夏は優れた洞察力でそれを交わし始める

 

「…よく躱すじゃない」

「ふっ、俺が勝ったら、約束の意味、教えてもらうぜ!」

 

一夏は鈴に飛び込んだ

 

「上等!」

 

同じく鈴も一夏に向かっていく

そして…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()が爆発した

 

「なんだ!?」

「何が起こったのよ!?」

 

その爆発は先生の目にもとまった

 

「山田先生、今のは」

「地中から何者かが侵入しました!」

 

そしていち早くその姿を観戦中の布仏本音が見つけた

 

「何あれ!?」

 

そこにはISとも、ライダーシステムとも違う生物のような物が蠢いていた

人型だがその姿はまるで獣のようで、しかし機械のようでもあり、一言ではあらわせなかった

 

否、ただ二人は知っている、こいつの名を

 

「「スマッシュ!」!?」

 

会場はパニックになった

スマッシュは計3体、現れると一斉に暴れ始めた

観戦中の生徒も逃げ出そうとするが、何故かロックがかかりドアが開かない

 

「一夏、逃げて!」

「待て!お前はどうすんだよ!」

「逃げる時間を稼ぐから早く!」

 

鈴はそこまで叫ぶと一体に向かっていき、その剣を叩き付けた

しっかり真を捉えたその剣は、体を切り裂くことは無かった

逆にその剣を捕まれ、鈴は投げ飛ばされアリーナのバリアに叩きつけられてしまう

 

「鈴!!」

 

 

【アリーナ、IS格納庫】

 

「やっぱりISじゃ敵わねぇ!」

 

万丈は駆け出してスマッシュの元へ行こうとするが、なんとそれを戦兎が止めた

 

「待て!俺達が行ったらダメだ!」

「はぁ!?何言ってんだよ戦兎!」

「俺達は既にビルド、クローズの姿を多くの人達に見せた、今ここで変身して戦えば、その姿を知る仲間がリークして国に追われる身になる!それにクローズチャージを使っても、ISを圧倒した存在を倒したものとして追われて、同じ結果を辿る!だから俺達は変身しちゃいけないんだよ!」

「んな事言ってる場合じゃねぇだろ!」

 

戦兎の言ってることも万丈は理解はしてる、彼らの出会いが既にそうだったから。

 

「それにそうなれば、俺達のクラスメイトも危険に晒される!」

 

戦兎がそこまで言った時、彼の頬に衝撃が走った、一瞬何かは分からなかったがしばらくしてジンジン痛みだし、目の前の彼が、自分を殴ったのだとわかった

そして目の前の彼は涙ながら叫ぶ

 

「…危険に晒される…?じゃあ今スマッシュに襲われてるのはなんだよ!お前が守ろうとしてる仲間じゃねぇのかよ!見損なったぞ、お前は自分のことなんか考えねえで、美空や!一海やげんさん!紗和さんに!...俺の為に動いてきてたじゃねぇか…!そんなお前に憧れてたってのによ!なんで今になって俺達だけの心配してんだよ!国に追われる…?上等じゃねぇか!俺達は一度国と戦ってんだからよ!お前の言ってきたラブアンドピースは…、正義のヒーロー桐生戦兎はそんなもんなのかよ!」

 

彼の熱い告白、戦兎はハッと気がつかされた

俺の信じたLOVE&Peace、別世界に来た事で、慎重になり過ぎたのかもしれない

そう、自分は臆病な天才物理学者なんかじゃない

 

 

()()()()()()()のヒーローだ!

 

 

 

【アリーナ、会場】

 

一夏と鈴は疲労していた、ISでも敵わない相手が三体もいるのだ

だけど、2人はお互いを逃がそうと何度も立ち上がる

 

「は、早く逃げなさいよ…」

「何言ってんだ、お前が逃げろよ…」

 

2人の元にスマッシュが迫る

もうダメかと思われたその時だった

 

赤いオーラを纏った右手と青い炎を纏った左手がスマッシュを吹き飛ばした

それを見てゆっくり振り向くと

そこに居たのは桐生戦兎と万丈龍我だった

 

「お互いを守ろうとするなんて、泣かせるじゃねーか」

「あとは任せろ!」

 

万丈はスクラッシュドライバーを、戦兎は発電機のような黒いドライバー(ビルドドライバー)を腰に巻き付けた

 

そして万丈はドラゴンスクラッシュゼリーをセットし、

戦兎は万丈が戦闘中に使ったものと似た容器を振り始める

すると数々の数式が流れ始めた、ある程度数式を流してキャップを捻り容器をベルトへ填めた

 

ラビット!タンク!BESTMATCH!

 

スクラッシュドライバーとは違い、小気味よい音楽が流れ出した

戦兎は突き出たレバーを回すとこれまた小気味よいテンポの音が流れチューブのようなものがボディを形成した

そして...

 

 

 

Are you ready?(覚悟は良いか?)

 

 

「「変身!」」

 

万丈はレンチを下ろし、戦兎は手を下ろした

そして、変身音が鳴り響く

 

ドラゴンインクローズチャージ!ブルルルルァッ!

 

鋼のムーンサルト!ラビット!タンク!イェェェイ!!!

 

フシュゥーッ!と蒸気が噴き出し、新たな戦士が姿を見せる

クローズチャージより洗練されたそのボディ、赤と青のヒロイックなカラー、そして、何より目を引くのは目の位置に相当する兎と戦車

逃げ惑っていた生徒もこれに気付き我先にと釘付けになった

 

「あれが戦兎君のやつ?」

「カッコイイ!」

「なんか見た事あるような…」

「なんでウサギと戦車?」

「名前なんて言うの〜!」

 

それが聞こえてか聞こえずか戦兎は自らを嘗て、葛城巧が伝えたように名乗った

 

「仮面ライダービルド、創る、形成するって意味の、ビルドだ、以後、お見知り置きを?」

 

そして、ポーズを変えると自らの決め台詞を発した

 

 

 

「勝利の法則は、決まった!」




次回!INFINITE・Be The One!

戦兎「ISとスマッシュが一つになってる…!?」

___現れる刺客!___

箒「なぜ私には何も出来ないのだ…!」

___悔やむ箒___

一夏「俺に考えがある!」

___考案される打開策___

___そして___

鈴「今の私達なら!」
万丈「負ける気がしねぇ!」

第10話___龍の名の元に___


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第10話 龍の名のもとに

戦兎「クラス代表戦の真っ只中、乱入した、三体のスマッシュが、凰鈴音と織斑一夏を襲う、助けに行こうとした万丈を一度は止めた桐生戦兎だったが、彼の説得により目を覚まし、皆の前で正義のヒーローへ姿を変えた、その名も仮面ライダー___」

万丈「なぁ、戦兎」

戦兎「人がかっこつけてる時に茶々入れるんじゃないよ、どした?」

万丈「お前だけ変身した状態で声変えて出ていきゃ良かったんじゃねぇのか?視聴者も言ってたぞ」

戦兎「そんなことしたら俺のヒーロー感が薄れるでしょーが、それにクローズチャージがジェットボトルを使ってるからそれと似た者を使った戦士が現れたら真っ先にお前が疑われるだろーが」

万丈「お前、まさか俺の心配して___」

戦兎「さて、どうなる第10話!」

万丈「おい!」


「勝利の法則は決まった!」

 

ビルドは決め台詞を決めると、クローズチャージと共にスマッシュへ向かっていった

ISと違い、彼らは順調にスマッシュを追い詰めて行った

拳一つで仰け反らせ、キック一発で怯ませる

 

「すげぇ…」

 

一夏が思わず感嘆の声を漏らす

ビルドとクローズチャージは二体のスマッシュを蹴り飛ばすとそれぞれが必殺の準備に入った

 

クローズチャージはレンチを、ビルドはレバーを動作する

 

“スクラップフィニッシュ!”

 

“Redy Go!! ボルテック!フィニッシュ!Yeah!”

 

2人が飛び上がるとそれぞれスマッシュ一体ずつに必殺キックを繰り出す

 

スマッシュは爆発し動かなくなった

2人はスマッシュに向けてエンプティボトルを翳すと粒子となって成分が納められる

 

その場には苦しそうな2人の男女が残った

 

「あと一体…!」

 

戦兎が振り返るとそこには苦しそうに電撃を放つスマッシュの姿があった

すると、なんとスマッシュの体からISのような腕、足、羽根が突き出した

電撃が治まると空を飛びこちらに攻撃を始めた

 

「あ、ISとスマッシュがひとつになってやがる…!」

 

二つの世界の技術が混ざってるだけありその力はビルド達をも凌駕していた

高速で飛び回り、すれ違いざまに拳を打ち付けてくる

その度に2人に大きくダメージが入る

 

「ぐっ!引くぐらいつえぇな…!」

「戦兎どうすんだよ!」

 

2人が会話してる中、スマッシュは一気に急降下してきた

危ない!そう思った時、ブーメランのようなものがスマッシュを吹き飛ばした

 

「二人とも!一旦体勢を立て直すわよ!」

 

鈴の手元にブーメランのようになった、大型の剣が収まった

4人は瓦礫の後ろへ隠れた

 

「一体何なのよあれ!」

「俺が聞きたいよ!まさかスマッシュとISが融合するなんて…」

「どーすんだよ!このままじゃ付録の猫だぞ!」

「それを言うなら袋の鼠だ!」

 

3人が啀み合う中、一夏が声を上げた

 

「俺に考えがある!」

 

3人が一夏に注目した

 

「あっちが戦兎達の科学と混じってるなら、俺達も力を合わせるべきだと思う」

「具体的には?」

「武器を交換するんだよ」

「「はぁ?」」

 

2人の声がハモる

 

「何言ってんのよ一夏、そんなの意味ないでしょ!」

 

鈴も反抗するが…

 

「ありかもしれない…」

 

戦兎は冷静だった

 

「一夏の零落白夜は、シールドエネルギーを犠牲にして相手の装甲を無効化して攻撃を出すんだったよな、ならISのコアを直接潰すことが出来れば…」

「ISが重荷になって!」

「スマッシュをぶっ倒せるわけか!」

「それと武器の交換とどう関係するのよ!?」

「俺たちの必殺技のエネルギーをシールドエネルギーの代わりに使うんだ、ただ、ベルトにかかる負荷が計り知れないが…」

 

ビルドは自分のドライバーを撫でる

それを見たクローズチャージは覚悟を決めた

 

「俺がやる、俺が一夏の剣で叩き切ってやる」

 

ビルドは、一瞬驚いた様子を見せるがそれしかないかと考え直す

 

「わかった、俺と一夏がアイツの動きを出来る限り止める、その間に鈴は衝撃砲で砲身を作って万丈を弾丸として打ち出せ、万丈は直ぐに必殺技でアイツを斬れ、これでいいか?」

「わかった、龍我これを」

 

一夏は雪片弐型をクローズチャージに渡した

ずっしりと重く、身の丈程ある剣をクローズチャージは握りしめる

 

「うし、作戦開始だ」

 

 

 

 

融合進化スマッシュは知能は無いのかずっと4人を探していた

ビルドはその様子を確認し、黄色と紫のボトルを振り、ベルトへはめ込んだ

 

“忍者!コミック!BESTMATCH!”

 

その音に気づいて、スマッシュは辺りを見回し、瓦礫に向かってミサイルを放った

直前、白式と甲龍は空へ、クローズチャージとビルドは横へ飛び退いて、ビルドはレバーを回した

 

“Are you ready?”

 

「ビルドアップ!」

 

ビルドが腕を下ろすと新たな紫と黄色のボディが体を形成した

 

“忍びのエンターテイナー!ニンニンコミック!Yeah!”

 

ビルドはニンニンコミックフォームになると、自動召喚された4コマ忍法刀を構えトリガーを引きながら走った

そして2つの忍術(コマ)を選択した

 

“分身の術!風遁の術!”

 

直後、BON!!という煙と共にビルドは計4人となり、それぞれがスマッシュに竜巻を御見舞した

 

さすがにスマッシュも制御を失い空へ舞い上がった

 

「一夏!」

「おう!」

 

待機していた一夏は予めクローズチャージから借りていたツインブレイカーに2本のボトルを差し込んだ

 

“ツイン!ツインフィニッシュ!”

 

そのボトルは“ローズ”と“ロック”

一夏はかつてグリスが放ったように薔薇の茨と鎖を打ち出しスマッシュを捉えた

 

「オマケに現状最強ベストマッチだ!」

 

ビルドはさらに、赤い鳥のマークのボトルとロボットの描かれたボトルを振り、ベルトへセットしレバーを回した

 

“フェニックス!ロボット!BESTMATCH!Are you ready?不死身の兵器!フェニックス!ロボ!Yeah!”

 

創造と破壊をつかさどる存在のベストマッチ、フェニックスロボ

ビルドは空高く飛び上がると再び必殺技を発動した

 

“Redy GO!ボルテック!フィニッシュ!Yeah!!”

 

ビルドは巨大なロボットアームを生み出すとその手でスマッシュを掴んだ

これで狙いは逸れることは無い

 

「今だ!鈴!」

「行け!万丈!!」

 

2人は下で待機してるチームに叫ぶ

鈴は衝撃砲のプログラムを完了した

 

「良いわよ龍我!飛び込んできなさい!」

「おっしゃぁ!」

 

クローズチャージは後ろへ飛び上がると鈴のISへと落下して行くが圧力により作られた見えない砲身にハマると一気に打ち出された

 

万丈はすかさずスクラップフィニッシュを発動し雪片弐型にエネルギーを込める

スクラッシュドライバーは想定外の自体にスパークを起こしているがそれでもやめない、この一撃にかかっているから

 

だが誤算があった

なんとスマッシュが顔を砲台に変異させ、ミサイルを放った

この勢いではクローズチャージがモロにぶつかってしまう、だが止まることも出来ない

誰もがそう思った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「専用機持ちは貴方達だけではなくてよ!」

 

一つの閃光がミサイルを迎撃した

セシリアがスナイパーからビームを撃ったのだ

これで邪魔はない、クローズチャージは渾身の力で剣を振り下ろした

スマッシュと雪片弐型の間で電撃が走る

だがやはり斬り込むことは叶わない

 

「鈴!来い!」

 

万丈は鈴を呼び寄せた

飛んでくる鈴の手元には、ドラゴンボトルを填めたビートクローザー

それをドラゴンのエネルギーと共に雪片弐型に突き立て押し込んだ

 

「今の私達なら…」

「負ける気がしねぇ!!」

 

凄まじいエネルギーにビルドと一夏は距離をとる

刹那、クローズチャージがスマッシュを斬り裂いた

パキッと音がしてISの動きが鈍くなる

ビルドはすかさずエンプティボトルを向けスマッシュの成分を抜き取り、中に捕われてた人物を助け出す

 

皆が地上に降り立つと黄色い歓声が上がった

 

 

「戦兎くんサイコー!」

「万丈くんかっこよかったよ〜!」

「一夏くんお疲れ様〜!」

「鈴ちゃん可愛い〜!」

 

などなど様々だった

 

ビルドはクシャッと笑い、クローズチャージは照れくさそうに頭を掻き、一夏は鼻を擦り、鈴は微笑んだ

 

だが、その頃箒は悔やんでいた、アリーナの通路から会場の4人を眺めながら

 

「私には何も出来ないのか…何故あそこに居れないのだ…」

 

その時、スクラッシュドライバーがスパークしてクローズチャージの変身が解除されてしまった

 

「お、おい戦兎、どうなってんだよ?!」

「無理をさせちまったからな…まぁすぐ直してやるよ」

 

ピッピッピッピッ

 

「何この音?」

「まさか…」

 

戦兎が当たりを見回すと鈴のすぐ近くにあるISの破片が、赤く発光していた

 

「鈴逃げろ!」

 

戦兎は叫ぶが間に合わずISは自爆してしまう

鈴は爆発に呑まれてしまったと思われた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが違う、鈴は見ていた

 

万丈が自分を庇ったこと

 

クローズチャージとは違う別の姿へ変身したこと

 

その姿はまるでビルドのようで、()()()のようだった

 

 

 

【謎の場所】

 

「よしよしー証拠隠滅カンリョーっと!」

 

ISの生みの親、篠ノ之束は先程までの万丈達の戦いを見ていた

そのデータを保存しモニターを閉じる

そこへ一人の男が歩み寄った

 

「変に深入りはしていないだろうな」

「も〜伊能ちゃんってばうたぐりぶかーい、箒ちゃんに手を出さないなら協力するって言ってるじゃーん」

 

束はヘラヘラわらいながら手を振る

 

「なら構わない、そろそろ被検体ナンバー1と2を呼び戻せ」

 

伊能と呼ばれた男はマグカップの珈琲を飲む

 

「お?ってことはやっちゃうの?IS RIDEシステムの起動!」

「あぁ、銀の福音(シルバリオゴスペル)の護衛にな…」

 

伊能はニヤリと笑い、桐生戦兎、万丈龍我の画像を睨み付けた

 

 

その頃、帰宅している落ち込んだ箒の足元から赤黒いスライムのようなものが体内に入ったことは、誰も気付かない

 

 

 

【救護室】

 

目を覚ました鈴は周りを見渡し自分が腕を火傷している事に気づいた

 

「目が覚めたか?」

 

不意にかけられた声に驚いてそちらを見ると、桐生戦兎がそこにはいた

 

「あ、アンタが私を見舞いに来たの?」

「いや、一夏もいたけど、長い時間寝てたから先に戻った、宿題あったらしいしな」

「ふーん…ねぇ、りゅ…万丈は?」

 

戦兎がんっと首を動かすのでそちらを見るとすやすやと万丈も隣のベットで寝ていた

 

しかし、顔には絆創膏が貼られ、自分より容態が悪そうだった

 

「こいつの見舞い?」

「まぁ、そんなとこだ」

「そっか…」

「心配か?」

「…まぁ、こいつ私を守ってくれたし…」

「…好きか?」

「ふぇっ!?///ななっ、何言ってんのよォ!?///」

 

突然の事に鈴の顔が真っ赤になる

だが、戦兎はあくまで冷静、淡々と答えた

 

「やめた方がいい、あとから悲しくなるだけだ」

 

戦兎はそれだけ言うと病室を出ていった

一体どういう事だろう、考えていると万丈が目を覚ました

 

「あっ…えとっ、おはよう…」

「んぁっ?あぁ、おはよう…?」

 

寝起きでポカーンとしてるが万丈も返事は返した

鈴は何を話せばいいのか分からずモジモジしている

 

「大丈夫だったか?」

「へっ、あ、うん…」

「そっか、良かった」

「…」

 

今しかない、やっぱり自分の気持ち、吐き出さないと

 

「ねぇ、龍我」

「んぁ?」

「聞いて欲しいの…」

「お、おう」

「私龍我に慰めてもらった時、一夏に怒ってたの、昔した約束を変な覚え方されててね」

「どんな約束なんだ?」

「…私の作る酢豚が美味しくなったら、毎日作ってあげるって…」

「へぇ……え、それって?」

 

鈴の耳が真っ赤になった

 

「うん、そういうこと…けどアイツ、ただ私が酢豚作るだけと思ってたみたいなの」

 

万丈はあー…っと返事を返した

 

「そりゃ怒るわな」

「やっぱり彼女居ただけあって分かるのね」

「まぁ、少しはな?」

「でも、もうそれはいいの、一夏みたいな唐変木に分からない言い方をした私が悪いんだし」

「そっか」

「だから…今度はちゃんと伝える」

「へ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私、龍我のこと好きなの」

「…えぇっ!?」

「貴方が香澄さんのことを忘れられないのもわかってる!それでも好きなの!どうしようもなく、好きになっちゃったの!」

「そ、そんなこと言われてもよぉ…」

「お願い!龍我に付き合って欲しいの!」

 

万丈は必死に考えた

未だかつて忘れたことなどない彼女を放って、

別の、しかも本来相当年下の女の子と付き合っていいものなのか

 

良いわけがないと振り切ろうとした時、彼女の遺言を思い出す

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

‘貴方のその拳で、多くの人の力になってあげて’

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

‘遠くから見守ってるね、龍我’

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……俺は、俺と戦兎はある事情があってよ、もしかしたらいきなり、お前達の前から消えちまうかもしんねぇ、それでもいいなら…付き合ってやるよ」

 

「…!…うん、いいよ、ありがとう」

 

鈴の目から涙が溢れ出る

万丈は優しくその目元を拭ってやるのだった

 

 

 

 




次回、INFINITE・Be The One

シャル「どうも、シャルル・デュノアです」

___4人目の男性操縦者?!___

ラウラ「許さない、貴様だけは!」

___彼女の目的とは?___

??「ビルドとクローズチャージの学年別トーナメントシード枠参加を許可しまーす!」

___無茶苦茶な生徒会長!?___

第11話 フランス、ドイツ、ロシア、美男子と傭兵と生徒会長


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第11話 フランス、ドイツ、ロシア、美男子と傭兵と生徒会長

万丈「…お、今回俺か!ええ〜っと、桐生戦兎と万丈龍我は、クラス代表戦の真っ最中に現れたスマッシュと戦うが、そのうちの一体がISと…えと、なんて読むんだこれ?」

鈴「融合よ融合!」

万丈「おぉ、サンキュー。ISと融合してしまう、それを抜群のチームのコンビネーションで、ぶっ倒した俺達だったが、ISの自爆から鈴を庇い、俺は怪我を負ってしまう」

鈴「命を懸けてまで自分を救ってくれて、更には以前、自分に希望をくれた事もあって、私は龍我に告白、晴れて付き合うことになりました…///」

万丈「お前照れんなよ、俺まで恥ずかしく___」

箒「惚気けるのもそこまでだ!」

万丈「箒っ?!」

セシリア「今回は新たに二人の生徒が転校してきますわ!」

鈴「セシリアもっ?!」

一夏「更には謎の生徒会長によりビルドとクローズチャージの学年別トーナメントシード枠の参加が許可されるぜ?」

万丈「一夏まで?!」

戦兎「とりあえずまずは、俺達がどうなるか、さぁ?」

万丈・鈴「「どうなる第11話!!」」



戦兎と万丈は織斑千冬のもとに向かっていた

 

「なぁ、戦兎、俺達追われんのかな」

「さぁな、そうなったら即刻退学だけど…」

 

戦兎は肩を落とした

呼び出されていた視聴覚室に入ると、そこに居たのは山田先生だった

 

「あ、待ってましたよ、桐生くん、万丈くん」

「あれ、山田せんせーじゃんか!織斑せんせーは?」

「貴方達の件で走り回ってます、大変だったんですよ〜?」

 

そして戦兎達は山田先生から話を聞いた

 

戦兎達が変身した直後、織斑千冬はネットの回線を妨害し流出を防いだそうだ

その後新聞部に赴き、掲載を禁じるなど、出来ることを何から何までやってくれたらしい

おかげで、俺達はまだこの学園に居ることは可能ということだった

 

「ですが、新聞が出せないということは___」

 

 

 

「直接俺達に聞きに来るだろうから気をつけろってこういうことかァァァァ!!」

 

戦兎と万丈は廊下を走る、その後ろには何十人もの生徒が追いかけている

彼女達は休み時間の度に彼らのもとへ訪れるため、長い休み時間は抜け出そうとしたところ見つかってしまいこのようになってしまったのだ

 

2人が夢中で走ってると突然引っ張られ部屋に閉じこめられた

2人を追いかけていた生徒達は気づかず走り去っていく

 

戦兎と万丈が息を整えていると

 

「大丈夫?戦兎くん、龍我くん?」

 

2人が前を向くとかなり近い距離に、ショートカットの水色の髪の女性の顔があった

 

「うわぁぅ!?びっくりしたぁ…!」

 

万丈が無駄に大きくリアクションをとった

 

「やだもぅ〜取って食ったりしないわよ♡」

 

彼女がバサッと扇子を広げると“ベジタリアン”と書かれていた

 

そういうことじゃねぇだろ、と、どこに売ってんだそんな扇子

 

の2つ考えが混ざりあったが嘗て

親しみやすさ右に同じ

と書かれたシャツを着ていた仲間を思い出し、そういうもんかと思い留まる

 

「私は2年生の更識楯無よ」

 

扇子をひっくり返すと‘夜露死苦’と書かれていた

 

「お、おう、とりあえず助けてくれてサンキューな」

「ん♡ところでねぇ、貴方達学年別トーナメントには参加しないの?」

「学年別トーナメントぉ?なんじゃそりゃ?」

「お前がやってた格闘技の試合をISで行うようなもんだ」

「ナルホド…」

「まぁ俺達は出る気は無いです」

「ええ〜どうしてぇ?」

 

軽く地団駄を踏む様が、まるで子供のようなのに艶めかしい

 

「万丈はISを使わないし、俺もまだISを準備出来ないからです」

「えぇ!?ビルドとクローズチャージがあるのに?」

「クローズチャージはISとして登録はしてますが、厳密には違うシステムなので使えません、破損してますし」

「ちぇ〜…つまんないの」

 

彼女はプクッと頬を膨らませた

 

「では」

「じゃあ貴方達の事、リークしようかな〜?」

「なっ…」

「生徒会長である私にはそれくらい権限はあるのよ?」

 

まずい、俺達の事をリークされたらほんとにここにいられなくなる

 

「…わかりましたよ…交渉はしてみますけど…」

「はーい!ビルドとクローズチャージの学年別トーナメントシード枠参加を許可しまーす!」

 

彼女が指を鳴らすと、突如電子モニターが空中に表示され、1年3()()と1年4()()に俺たちの名前が入った

 

「あれ?俺達1組ですけど…」

「はーい!万丈くんはおしまーい!」

 

楯無は万丈をどんっと部屋から押し出した

 

「いって?!おいっ!?おしまいってなんだよ?!」

 

ここで大声を出したのがまずかった

 

「万丈くんはっけーん!」

「なっ?!うおぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

万丈は再び走り出した

 

「頑張ってね〜♡」

「どーいうことです、なんか頼み事ですか?」

「Wow!戦兎くんってエスパー!?」

 

再び開いた扇子に‘予想的中’と書かれていた

 

「なわけありますか…」

「まぁ頼みっていうのはね…お願い!私の妹のIS作り、手伝ってくれないかな…?」

「IS作り?」

「うん、私もISを一人で…って訳じゃないんだけど、体裁的には一人で作った事になってるの、それにこの学園だと生徒会長は最強の肩書きを持ってるのよね、それもあって、私がコンプレックスみたいなのよ…」

 

なるほど、よくある姉妹のいざこざって訳だ

優秀な姉にその妹が嫉妬する、そう言えばブロスの奴らも兄弟だったな

 

「なんで俺なんですか…」

「貴方の製作中のIS、見せてもらったわ、あと一つの課題を除けばあれは傑作になる、そう思ったのと、その子ね、ヒーローが大好きなのよ、だから学園を救ったヒーローのあなたの協力なら喜んで受けると思うのよ」

 

ヒーロー…か、そう言われちゃ断れないな

 

「仕方ないですね、自意識過剰の正義のヒーロー、桐生戦兎がバシッと引き受けてあげましょうじゃないの」

「良かった〜!じゃあよろしく頼むわね!」

 

彼女はとびきりの笑顔で部屋を後にした

さて、やることが増えてしまった

そこでちょうどチャイムが鳴り、とりあえず明日から始めますか、と呟くのだった

 

 

 

次の日、再び教室はざわめいた、一年一組にまた転校生、しかも二人だそうだ

 

「えらい来る頻度高いな…」

 

戦兎はさすがに訝しんだ、ここまで来ると自分達の情報を聞き付けスパイを入れた可能性も捨てきれない

 

だが現れたのは…()()と傭兵少女だった

 

「こんにちは、シャルル・デュノアです、こちらに僕と同じ境遇の人が居ると聞いて____」

 

その瞬間の歓声はきっと、天まで届いただろう

 

「キャー!4人目の男子〜!」

「守ってあげたくなる系〜!」

「可愛い〜!!」

 

挨拶をしたシャルルも若干引いた様子だ

一方でもう一人はピクリともしない

 

「ラウラ、挨拶しろ」

「はい、教官」

「教官はやめろと言っているだろ」

 

挨拶を促した千冬さんも頭を抱えた

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」

「以上ですか?」

「以上だ」

 

一夏の時と同じくらいさっぱりしている

だが一夏と違い、こちらはそれ以外伝える必要は無い、と言った感じだった

彼女は一夏の元に行き

 

「貴様が___!」

 

彼女は一夏の頬に手を振りかぶった

誰もが炸裂音を覚悟したが…

 

「初対面の相手にそれは無いんじゃないの?」

 

ラウラが振り返ると戦兎がラウラの手を掴んで止めていた

 

「貴様!」

 

ラウラは腕を捻り返そうと飛び上がり背中に回るが戦兎とて、戦争の経験者、むしろ経験値に関しては戦兎が上である、ラウラの取りだしたナイフを叩き落として背中を固めた

 

「何っ!?」

「なかなかやるけど経験値の差って奴だな、簡単に勝てると思わない方がいいぜ?」

 

その時戦兎は視線を感じ手を離した

 

「そこまでにしろバカども、これにてHRを終る、すぐ着替えて第2グラウンドに集合しろ」

 

ラウラとシャルルは自分の席に着くのだった




戦兎「悪くないけどまだまだだったな」

ラウラ「貴様、何処まで私を侮辱する…!」

シャルル「落ち着いてって…もう、僕空気じゃん…」

箒「これが一部キャラクターの宿命なのだ…」

セシリア「作者さんが大変なので仕方ない事ではありますが…」

鈴「そう言うと思って来週はちょっと休憩回みたいよ〜?」

万丈「のんびりすんのか?」

鈴「と言うより合同訓練とお弁当食べたりするって書いてるわよ」

一夏「飯か〜…普段みんなが何食うかとか気になるな」

千冬「次回、INFINITE・Be The One」

山田「平凡な日々」

万丈「クローズチャージいつ治んのかな…」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第12話 平凡な日々

シャルル「い、いきなり僕かぁ…あ、台本あるんだ、えぇーっと、天才物理学者___」

戦兎「てんっさい物理学者な!」

シャルル「これそのまま読むんだ…てんっさい物理学者の桐生戦兎と万丈龍我の前に、新たな2人の生徒が現れた。一人は傭兵のような少女、ラウラ・ボーデヴィッヒ、もう一人は新たな男性IS操縦者、シャルル・デュノア、この2人の登場が物語にどう影響するのか、だけども今回は休憩回、さぁ、どうなる第12話!」

万丈「主役ってなんだっけ…」


HR終了後、1-1と、1-2の生徒は第2グラウンドへ来ていた。

今日は合同のIS実習の授業の日である

 

「では、本日より射撃、格闘を含むISの実習訓練を開始する」

 

整列している生徒の一人が手を挙げて質問した

 

「先生、なんで戦兎君と万丈君は制服のままなんですか〜?」

 

そう、戦兎と万丈はISを基本的に使わないためぴっちりしたISスーツを着ていないのだ

 

「そいつらはISより優れた装備があるからな。最も、桐生の奴はISを自分で作っているが…」

 

瞬間、生徒達がざわついた

 

「え、戦兎君自分でIS作ってるの?」

「天才物理学者ってホントだったんだ」

「ただの変わり者かと…」

 

ちょくちょく誹謗中傷が聞こえる気がするがこの際気にしないでおこう…

あれ、そう言えば…

 

「織斑先生、山田先生はいないんですか?」

「あぁ、彼女なら…」

どいてくださぁぁぁぁい!!

 

突然の叫び声に皆が逃げる、ただ一人一夏を除いて

 

一夏を巻き込み、空から落ちてきたそれはアリーナに激突した

一夏は間一髪白式を起動し難を逃れた

 

「んっ…なんだこれ」

 

一夏は手元にある柔らかいものを掴んだ

 

「あうんっ//」

 

突然のいやらしい声に一夏は驚いて視界を広げた

そこには、自分が押し倒したようになっている山田先生の姿があった

 

「ぬァァァ!?」

 

一夏は驚いて飛び退いた

 

「あの…織斑くん…困ります//」

 

頬を赤らめた山田先生は誰の目で見ても色っぽい

 

「山田先生、授業を始めますよ」

 

千冬先生のドスの効いた声が響く

 

「ひゃいっ!それじゃあ皆さん、専用機持ちの方をリーダーにして班を作ってくださーい」

 

するとセシリアや鈴を無視して、シャルルや一夏、戦兎、万丈の元へとみんなが集まってしまった

 

「バカども!出席番号で8人ずつ6グループに分かれろ!桐生と万丈は一緒のグループになれ!いいな!」

 

 

数分後、6グループが出来上がった

 

織斑一夏チーム

一緒になったメンバーは口々に自分の名字に感謝していた

ただ一人、篠ノ之箒を除いて…

彼女は2()()()一夏と練習がしたかったと思っていた

それゆえブスっとふくれっ面だが、一夏がそれに気付くことは無かった

 

桐生戦兎、万丈龍我チーム

 

言わずもがな、仮面ライダーへの質問ばかりで実習にならない

最終的には千冬先生の監視の下、とても静かな実習となりました

 

セシリア・オルコットチーム

このチームは順調で、セシリアがクローズチャージと一戦交えたのもあり、その時の経験を活かした実習が行われた

 

凰鈴音チーム

このチームも順調ではあったが時折、鈴が質問をされて困っていた

その質問というのも…

 

「鈴って万丈と付き合ってるの?」

 

これを言われ誤魔化す必要は無いのだが、放課後にいつも一緒に帰るようになったため勘繰られたらしい

 

シャルル・デュノアチーム

女の子のように可愛いシャルルに皆かかりきり、専用機持ちなのに心配されるという結果となった

 

ラウラボーデヴィッヒチーム

…最悪だ

ラウラはろくに教える気がない、ラウラを除いたメンバーが自分たちで学ぶ実習となった

 

 

 

【お昼休み】

 

 

今日は箒の提案で屋上で弁当を食べることになった

本当は2人で食べようと言うことだったらしいが、一夏は皆を誘ってしまったのだ

溜息を吐く箒と、事情を察して同じように溜息を吐いた戦兎

 

「はい、一夏、あんたの分」

 

最初に動いたのは鈴

一夏が以前、食べたいと言っていたから作っていたらしい

一夏が鈴の弁当箱を開けるとそれはそれは美味しそうな酢豚が入ってた

 

「おお〜、美味そうだな〜!」

「ふふん、そうでしょ」

「これを龍我は毎日食べてるのか〜」

「そうよ〜!……え?」

 

鈴がフリーズした

 

「ななっ、なんで知ってんのよ!?」

「万丈いっつも言ってるぞ、おおー鈴の奴力入ってんなーって」

 

鈴は溜息を落とす

こいつこういうデリカシーは無いのか

 

「んっんっ!」

 

咳払いの起こった方を見るとセシリアがバゲットを開けていた

 

「私も今日はちょうどたまたま早く起きてしまったので、多く作ってしまいましたの、食べてくださりませんか?」

 

その中にはいくつかのサンドイッチが入っていた

だが一夏はしっている、彼女はろくに味見もせず美味しそうな材料を放り込み、爆弾級のものを作ることを

 

それを知らない万丈は躊躇いなくそれを齧った

 

 

数秒の沈黙が流れ

 

 

 

 

「まっずい!!?」

 

 

「なんですって!?」

 

セシリアが怒りながら立ち上がった

 

「いやほんとにまじぃんだって!」

「そんなことないですわ!あむっ!…なんですの…この味…!?」

 

セシリアが思わず手を抑える

 

「お前味見とかしないだろ、見た目だけ良くしても料理は上手くならない、ISと同じさ、武器を増やして見た目を良くしても使えなきゃ強くはならない、しっかりと練習して、自分でも確認しねぇと、な?」

 

戦兎が優しく諭すとセシリア少ししょんぼりと頷いて座り直した

 

「次はシャルルだな」

 

一夏が弁当を覗くと美味しそうな和食が並んでいた

 

「最近フランスで和食人気なんだ、それで僕も作ってみたくなっちゃって」

 

「へぇ…食べてみていいか?」

「それじゃあかまぼこあげるね」

 

シャルルは口元にかまぼこを持って行った

一夏は躊躇いなくそれを食べる

 

その様子はさながら、カップルのようだった

 

「あ、うめぇ…料理美味いんだなーシャルルは」

「へへへ、ありがとう、一夏」

 

良い雰囲気の二人の横でめらめらと炎が燃えたぎる

それに気付いた戦兎は箒の弁当を覗いた

 

「おおっ、箒の弁当唐揚げ入ってるー!」

「えっ、あ、あぁ!一夏に食べてもらおうとな!…ハッ//」

 

アピールし過ぎたことに気付いた箒は顔を赤らめた

 

「へぇ、それも貰っていいのか?」

 

ダメだった…箒はブスっとした態度で唐揚げを取りやすい位置へ持って行った

 

「うん、美味い…混ぜてるのは生姜と…なんだ?」

「!おろしにんにくだ!隠し味に大根おろし少々だな」

「なるほどな〜今度やってみよう」

 

少しでも一夏と話せた箒は上機嫌だ

 

そして…

 

「万丈のは鈴が作った酢豚か〜…で、戦兎は…おお!?」

 

戦兎は栄養バランスを考えた内容だった

弁当箱の半分を占めるふりかけご飯、2つのミートボールにポテトサラダ、アジの開きと蜜柑。飲んでいるのはパック牛乳、そして卵焼き

 

「お前これ毎日作ってんのか?」

「まぁな、頭を動かす天っ才だからな、ちゃんと考えねーと」

「だからアジの開きか〜…魚は頭にイイって言うもんな、卵焼きは塩か?砂糖?」

「砂糖だ、母さんの味を再現したいんだが上手くいかなくてな…」

「へぇ…食べてみていいか?」

「いいぞ、ほら」

 

一夏は貰った卵焼きを頬張った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっま!!!?」

 

 

「そうか?俺の母さんのはもうちょっと…」

 

戦兎の言葉に万丈除く全員が目を見開く

一夏がここまで叫んだというのにまだ足りないと言うのか

 

皆は戦兎の味覚に不安を覚えるのであった

 

 

 

 

 

 

[ある日の昼休み]

 

戦兎はまた格納庫に向かい自分のISの開発にかかろうと歩いていた

 

「あ、そういや…」

 

戦兎は踵を返してとある教室へ向かった

 

ノックをして入ったその教室は1-4組

教室は歓声に包まれた

 

「桐生戦兎様よー!」

「正義のヒーローだ〜!」

「どうしてこんな所に〜!?」

 

もう慣れたものだ、戦兎は手頃な生徒に話しかける

 

「あの…更識って女の子いる?」

「更識さんですか?更識さーん」

 

教室の隅に眼鏡をかけ眠そうな目をしてデスクモニターを睨んでる子がこちらを見る

 

間違いない、この子だ

戦兎が確信したのは髪色、生徒会長と同じ髪色をしている

 

「…へっ、な、なんでっ!?」

 

その子はこちらを見るなり顔を赤くしていった

 

「よっ、俺桐生戦兎、君もISを1人で作ってるって噂を聞いてね。よかったら一緒に作らないか?」

 

戦兎はまるで(無自覚)彼氏のように机くらいの位置にしゃがみこんで視線を持って行った

 

「はわっ…わわっ、私で…良ければ…」

 

彼女はモジモジしながら応えるのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回、INFINITE・Be The One

簪「私、ヒーローが好きなの、ヒロインを助けてくれるヒーローが」

___彼女のISを作る理由___


ラウラ「必ず倒す、私を侮辱したアイツを…」

___ラウラの敵意___

そして…

ラウラ「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」


千冬「バルキリートレースシステムか…」
戦兎「その姿…まさか?!!」
万丈「…なんでてめぇが!!」

第13話 「Phantom Evolution (幻惑の進化)」







お知らせ
作者「たいっへんお待たせ致しました…忙しくなったのと戦姫絶唱シンフォギアにハマってしまいましたがゆえです…
さて、お知らせとはですね王姫絶唱オーマギア、あれやはり消します。
理由はやることが想像できなくなったからです
INFINITE・Be_The_Oneはストーリーが決まってるのですがあれは突貫的に描きたくなっただけで何も決まってないんです
なのでシンフォギアは別の形で作り直します、申し訳ございません」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第13話 Phantom Evolution 幻惑の進化

戦兎「学年別トーナメントに向けてIS作りに入ろうとした天っ才物理学者の桐生戦兎は、生徒会長のお願いを思い出し、更識簪に接触を図る」

楯無「思い出しってどーいうこと…?忘れてたの?」

戦兎「生徒会長!そんなことは…ありません!」

楯無「やーん戦兎君の人でなし〜!」

万丈「あ、戦兎泣かせた〜」

戦兎「小学生みたいなこと言うんじゃないよ!もう第13話で何とかしますから〜!!」




戦兎は簪と共にIS格納庫にいた

 

「うぉぉっ!すっげ…なるほど、試験機の打鉄をベースに改良して専用機に…へぇ〜…」

「せ、正義のヒーローで天才物理学者の戦兎さんには適わないですよ…」

「いやいや、そんな事ないよ、ここまで出来ればじゅーぶん立派立派〜、あと天っ才物理学者な?」

 

天才物理学者と理系少女

気が合うのか二人の仲は急速に深まった

お互いにISを見せ、改良点を言い合う、ただそれだけだが充分お互いを知れた

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ひとしきりISを見終わった2人は座って話していた

 

「そういやさ、なんで一人でISを作ってんだ?」

 

姉である自分自身に負い目を感じてる

生徒会長はそう言っていた

しかし、戦兎は念の為確認を取った

 

「…私のISは…織斑一夏のせいで後回しにされた…それに、私のお姉ちゃんも、一人で作ったから」

「なるほど、姉への負い目もそうだし、一夏の件もな…」

 

確かに男がISを動かす

本来天地がひっくり返ってもありえない事が起きれば、そちらにかかりきりになってしまうだろう

 

しかし、彼女は続けた

 

「でも…」

「ん?」

「…ヒロインも頑張ってるから…」

「ヒロイン?」

「私…ヒーローが好きなの、ヒロインを助けてくれる、ヒーローが」

 

そう言えばヒーローもの好きって言ってたな

 

「ヒロインも、ヒーローが来てくれるまでは絶対諦めないから…私も頑張れば…きっといつか、ヒーローが助けてくれるって…そしたらほんとに来てくれた…!」

 

そっかそっか…ん?来てくれた?

簪は戦兎の手を掴みじっと見つめる

 

「貴方こそ私のヒーロー…!」

「えっ、えぇーーーーーーーーーーーーーー?!いやいや確かに俺はナルシストで自意識過剰な正義のヒーローだけど、特有の誰かを守るって訳にはいかないんだよ?」

「うん、分かってる、ヒーローは皆を守らないとね、だからお手伝いさせて!皆を守る手助け!それがヒロインの役割……!」

 

参ったな、俺の発明品を下手に触らせる気は毛頭ない

そんな事する気は無いだろうが、何処から情報が漏れるかなんて分かったもんじゃない

すると、天は俺に味方してくれたのか、タイミングよくチャイムが鳴った

 

「おーっと、そろそろ戻んねぇと!」

「あ、戦兎さん!」

 

簪は不満そうに戦兎の背中を見送るしか無かった

 

 

──────────────

 

 

ラウラは怒りに拳を振るわせていた

確かに自分から教官を奪った織斑一夏も憎い

だがそれ以上に…

飄々としているくせに軽々と自分をねじ伏せてみせたあの男

桐生戦兎

ラウラはこの男に憎悪を抱いていた

 

「必ず倒す、私を侮辱したアイツを…」

 

ラウラは拳を壁に叩きつけた

 

──────────────

 

【大会当日】

 

様々な事象が重なりながらもどうにか、大会当日となった

セシリアと凰はラウラにボコボコにされ大会を棄権せざるを得なくなり、凄まじく不満そうな顔をしていたが、それはある男の闘争心を焚き付けた

 

「鈴の仇をとってやるって思ってたのによ…」

 

万丈は頬杖をついて不貞腐れたようにトーナメントを見る

すると、初戦から、一夏&シャルルVSラウラ&箒という因縁の組み合わせとなっていたのだ

この戦いで一夏が勝ち進めば、自分はラウラと戦えなくなる

それが少しもどかしい

 

「なーに熱くなってんだよ」

 

隣に戦兎が缶コーヒーを渡しながら座り込む

 

「お前の気持ちは分からなくもないが、結局は喧嘩だ、それで生まれた心の憎しみを、ボクシングの試合に持ち込んだことあったか?」

「…ねぇよ」

「ならその気持ちを思い出せ、これは戦争じゃねえ、一種の競技だ…俺がジーニアスになれなくなった時みたいに、お前も変身できなくなるぞ」

 

憎しみの心、復讐心

それらはライダーシステムの起動を妨げる

万丈もそれを理解し、拳を握る

 

──────────────

 

 

初戦

織斑一夏&シャルル・デュノア

VS

篠ノ乃箒&ラウラ・ボーデヴィッヒ

 

最初こそどうなるか分からないと思われたこの試合

酷いものだった

 

一夏とシャルルのコンビは、一夏が苦手としていたり、拾いきれなかった攻撃をシャルルがカバー

互いに数日間、息を合わせる訓練をしていたこともあり言ってしまえば、戦兎と万丈に勝るとも劣らないコンビになっていた

 

しかし、箒とラウラはろくに作戦も立てず、ラウラは箒を居ないものとして戦っていた

そんな有様で勝てるわけがない、ラウラは徹底的に追い込まれた

 

「負け……るのか……」

 

嫌だ…あの男に私は勝たなくてはならない…

二度と()()()()()の烙印を押されないために…

 

その時、箒の体から抜け出た何かがラウラに入り込み、声が響いた

 

“願うか?汝、自らの変革を望むか?より強い力を望むか…?”

 

寄越せ…唯一無二の絶対を…比類ない最強を…!

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁァァァっ!!!」

 

刹那、シュバルツェア・レーゲンが発光し、ドロドロに解けてラウラを飲み込んだ

 

「な、なんだ!?」

「どうなってる…!?」

 

皆が息を飲む中、泥は人型、それも女性のような姿を現した

その手に大きな刀、雪片の模造品を持って…

 

「あれは…くそっ!」

 

先に動いたのは一夏だった

一夏は泥に対して向かっていき、刀を振るう

然し、泥は横に避けると熟練の動きで一夏の腕を切った

その一撃で残り少なかったシールドエネルギーは底を突いたのか、白式は消失してしまう

 

「くそっ…」

 

起き上がる一夏に泥は近づく

そして再びその一閃を食らわそうとするその瞬間だった

 

《ボルテックフィニッシュ!》

 

一夏の前にビルドが現れ、飛び蹴りで泥を吹き飛ばして、着地した

 

「箒、一夏を連れて行け!」

「分かった、行くぞ」

 

戦兎の声を聞き、打鉄を脱いだ箒が一夏を連れて行こうとするが一夏は手を振り払う

 

「ふっっざけるな…」

 

今女型が振るった太刀筋、それは織斑千冬の真剣の太刀筋

それを振るった目の前の何かも、それに振り回されているラウラも一夏は気に入らなかった

 

1発殴ってやる

 

そう思う一夏だが、彼はビルドに行動を止められた

 

「馬鹿野郎!シールドエネルギーが尽きたお前じゃ無理だ!」

「どけ戦兎!あいつぶん殴ってやらないと気が済まない!」

「何感情的になってんだよ!」

「お、おい2人とも!あれって…」

 

箒に声をかけられ2人は女型を見る

そこには先程までとは何かが違う女型がいた

まるで裸の女性のような何か

しかし……

 

「あれって…戦兎のベルト……か?」

 

そうだ、その腰にビルドドライバーが…

いや違う、とてもよく似ているが、ビルドドライバーと違い回転する部分は星座早見盤のようになっていて、細部も違う

戦兎はこれを知っている

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()ドライバー……?!」

 

女型はそれを回し、腕をクロス。

まるであの四文字を呟くように首を動かすと手を伸ばす

 

 

見たくなかった

その姿だけは二度と……

 

 

生徒達の避難を手伝っていた万丈も、修理が完了して全力全開のクローズチャージに変身してその場に現れた

だが敵の姿を見て体が止まってしまう

衝撃、屈辱、憤怒

様々な感情が万丈を襲う

 

「なんでてめえが…ここに居るんだよ……!!」

「その姿…なんで……なんでだ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦兎・万丈

 

「「エボルトォォォォォォっ!!!」」




次回、INFINITE・Be The One

戦兎
「実力は本物よりマシかもしんねぇけど…!」

───現れた、災悪────


「私だって見てるだけは嫌なんです!」
シャルル
「守られるだけじゃない、僕たちにできることをやろう…!」

────それぞれに出来ること───


───そして…────

戦兎
「簪…頼みがある」

一夏
「覚悟しやがれラウラ!」

戦兎
「今こそ正義のヒーローは…!」

ビルドドライバー
「シュワっと弾ける!!」

第14話「Sparkling Build(シュワっと弾ける)」




皆さん長らくお待たせしました!
ちょこちょこ書き進めていたこの回をようやくあげられます!
更新頻度が上がるという訳では無いのが申し訳無いですが、頑張って書いていきますのでよろしくお願いいたします!






目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第14話 Sparkling Build シュワっと弾ける

一夏
「遂に始まった学年別トーナメント、俺はシャルと組んで箒、ラウラチームとの戦いを行っていたが…」

シャルル
「突如、ラウラのISシュヴァルツェア・レーゲンが溶解、女性の姿に変わって僕たちを襲ってきた」


「間一髪戦兎のお陰で危機を逃れた一夏だが、何故か一夏は異形となったISと戦おうとする…それだけじゃなく…」

一夏
「そいつは戦兎達のベルトみたいなのを使って、見たこと無い仮面ライダーへ変身しやがった……」

セシリア
「新しい仮面ライダーですって!?」


「それにISが溶解ってどういう事?!」


「落ち着け、私達も何が何だか分からないのだ……」

シャルル
「戦兎達はエボルトって言ってたけど…」


「でもヒーローは負けません!絶対に勝ちます!そんな14話をどうぞ!」

一夏、箒、シャルル、セシリア、鈴
「「誰…?」」


万丈

「てめぇにだけは二度と会いたくなかったぜ…」

 

クローズチャージはゆっくりと歩を進め、ビルドの隣に立つ

 

戦兎

「この世界のスマッシュも、ISのハザードレベルイニシャライザーも…全部お前の仕業なのか…応えろよ…エボルト!!」

 

何も答えぬエボルトの姿をした黒いそれ(以下、エボルト)へと二人は向かっていく

エボルトはかつてのように腰に手を当て、側頭部を人差し指で2、3度撫でた

そんな余裕の態度のエボルトへ、2人のライダーの拳が繰り出されるが、エボルトはヒョイッと身体を仰け反らせて避けると、そのまま身体を回転し回し蹴り1発で2人を蹴飛ばした

 

「あの二人が…たった一撃で…?!」

 

ISなどものともしなかった2人が一撃でダウンをとられた

その事実は、その場にいた全員にハンマーで殴るような衝撃を与えた

 

───────

 

戦兎

「うがっ…本物より…実力はマシかもしんねぇけど…!」

 

ビルドは瓦礫の中からどうにか這い出した

自分達のハザードレベルは落ちていない為、本物と戦うよりは遥かにマシだとは感じていた

それでもラビットラビット、タンクタンク、ジーニアスになれないのは痛手だった

ハザードは使いたくない

いくら使える時間が伸びているとしても短期決戦出来なければ最悪の結末を生んでしまう

戦兎は悔やんだ

残り一つ、ビルド初のパワーアップアイテムを持ってこなかった事を

とっくに修理は完了していたが、IS同士なら必要ないと油断してしまった

あいつの前に立った今、取りに戻ることは出来ない

万丈1人に戦わせたら、また体を乗っ取られる可能性もある

どうすれば…

 

「戦兎さん!!」

 

簪の声にハッと戦兎が顔を上げると、奴はすぐ目の前まで来ていた

 

戦兎

「まずいっ…」

「避けて!」

 

直後、エボルトに何発ものミサイルが直撃した

戦兎は慌ててエボルトから距離をとる

周りを確認すれば、打鉄を一時的に纏った簪の姿があった

簪は戦兎に駆け寄る

 

「戦兎さん!大丈夫ですか!」

戦兎

「避けろって言うなら打つ前に言いなさいよ!?」

「ごめんなさいっ…」

戦兎

「ってかそこじゃねえ!お前何考えてんだ、こんな危険なとこに…」

「ヒーローが頑張ってるのに…ヒロインとして逃げる訳には行きません!」

戦兎

「お前…そんな理由で…!」

万丈

「うぉぉりゃ!!」

 

戦兎は今にも怒りそうになるが、万丈の声を聞き怒りを一旦抑えた

 

戦兎

「説教はあとだ、他の奴連れて逃げろ!」

「そのあとは!?」

戦兎

「そのまま避難しろ、これは遊びじゃないんだ…」

 

そのまま立ち上がりエボルトに向かおうとするが、簪は腕を掴む

 

「遊びのつもりなんて私にはありません!私だって皆を守る手助けを…いや、皆を守りたいんです!」

 

そう叫ぶ簪の目は真剣そのものだった

戦兎は少し悩むが、あることを託す

 

戦兎

「わかった…みんなを避難させたあと、整備室にあるビルドの顔が書かれた缶を持ってきてくれ」

「っ…!はいっ…!……って缶?!」

 

簪の目は感激に満ちるが、すぐ困惑の目になる

 

戦兎

「行けばわかる早く!」

 

戦兎はとにかく急ぐように叫ぶ

簪も箒や一夏たちのもとへ走り、避難を促した

 

「さぁ早く行きましょう…!」

「そうだな、行くぞ一夏!」

 

しかし、一夏はまだ行かないと言うように手を振り払う

 

一夏

「あれは…あれは千冬姉の太刀筋だ…あれは千冬姉だけのものなんだよ…!」

 

箒はわなわなと拳を震わせる

おまえはいつもいつも…

 

一夏

「それだけじゃない、あの訳の分からない力に振り回されてるラウラも気に入らない。

とにかくラウラもISも、正気に戻してぶん殴ってやらないと!」

「理由は分かったが今のお前に何ができる!白式のエネルギーも残っていないのだぞ!」

 

目の前では戦兎と万丈が必死に謎の仮面ライダーと交戦している

しかし、負けるのも時間の問題かもしれない

簪は二人を無視して戦兎のラボへ走り出す

一夏はそれを気にせずに答える

 

一夏

「何ができるかじゃない、俺が何かを起こさないとなんだ。ここで引いてしまったら、俺が俺でなくなる…織斑一夏じゃなくなるんだ」

 

箒は哀しそうな目で一夏を見つめる

またお前は私の気も知らずに平気で無茶をしようとする

失敗することなど恐れず、考えず、ただ前だけを見て──

だが今は状況が違う、生身でISに立ち向かうなどさせてたまるか──

何か、なにか─言い訳を─────

 

「だからどうするというのだ!お前の白式はもうエネルギーが!」

シャルロット

「無いなら他から持ってくればいい、でしょ?一夏」

 

どうして、皆は怖くないのか。

一夏をどうして駆り立てるようなことを─────

 

「余計なことを!」

シャルロット

「だめだよ篠ノ之さん、一夏にとっては自分で解決しなくちゃいけないことなんだ

自分が自分であるために、他人には譲ることができないとても大切な…だから僕は協力するよ、一夏の力の力になりたいんだ」

 

箒は俯いた

シャルロットは一夏の方に向きなおす

 

シャルロット

「けど!約束して、絶対負けないって」

一夏

「もちろん、ここまで啖呵を切ったんだ、ここで負けたら男じゃない」

 

そこへ、戦兎が走ってきた

 

戦兎

「お前らいつまで話しこんでんだ!早く!」

一夏

「戦兎!俺にもやらせてくれ!」

戦兎

「…あれは俺たちにとっては負の遺産だ。俺達の手で片づける!」

一夏

「だったら俺も条件は一緒だ!最初に出てきた女は千冬姉のデータだ!あれは俺の手で決着をつける!」

 

戦兎と一夏はお互いににらみ合った

一夏の目はまるで覚悟を決めた万丈と同じ目をしていた

しばらくにらみ合うと戦兎はフッと吹き出した

 

戦兎

「いい目してんじゃねぇか、わかった。先にお前がやれ…」

一夏

「あぁ!シャルル頼む!」

 

シャルロットは一夏の白式へ、自身のリヴァイヴに残されたエネルギーを全て移動させた

しかし、武装は右腕と武器のみだ

当たれば即死、よくて重症

だが怯む理由はない

 

戦兎

「万丈!下がれ!」

 

戦兎の声を聴き万丈は隙を見て後ろに下がった

 

万丈

「なんだよっ!作戦でもあんのか」

戦兎

「あぁ、多分そろそろ」

「戦兎さぁーん!」

 

戦兎の待ち望んだ声が響く

後ろを振り返れば、簪が走りこんできた

 

「こ、これでいいんですか?」

 

その手に握られた缶を手に取り満足そうに自分の後頭部を摩る

 

戦兎

「サイッコーだ!よし一夏、アイツのベルトを狙って斬り裂け。そんで少しでもあの泥を弾いたらすぐ離れろ。いいな?」

一夏

「分かった。そこからは任せるぜ」

 

いくぜ、偽物野郎

そう呟くと一夏は零落白夜を発動させ、姉─織斑千冬から学んだことを

幼馴染─篠ノ乃箒から学んだことを思い出しながら剣を構えた

それをみたエボルトは上等と言わんばかりに零落白夜を取り出し構える

一夏は目を閉じ集中

一瞬のその瞬間を待った

 

一夏

「思い出せ─千冬姉と箒の教えを────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今だ

 

一夏は振りかぶられた剣を防ぎ、そのまま振り切った

その刃は一直線にベルトをたたき切る

エボルトはバグったような動きをはじめ明らかに調子が悪いのが見て取れた

 

戦兎

「よし、今だ!」

 

戦兎は簪から受け取った缶をシャカシャカと振ると、プルトップを引き上げる

飲み口部分からは赤と青の泡が吹き上がった

 

戦兎

「今こそ正義のヒーローは…強くなる!」

 

缶をビルドドライバーに差し込むと缶の複眼が点滅し始める

 

\ラビットタンクスパークリング!/

 

戦兎が手際よくレバーを回すといつもと違うスナップライドビルダーが展開

そしてアナウンスが響く

 

Are you ready?(準備はできた?)

 

戦兎

「ビルドアップ!」

 

形成された新たな装甲がビルドの鎧になる

そして文字どうり…

 

\シュワっと弾ける!

ラビットタンクスパークリング!イエイッイエェェイッ!/

 

弾ける泡が爽快なビルドの強化形態、ラビットタンクスパークリング

 

普段のビルドラビットタンクフォームに白の挿し色が入り、普段のフォームチェンジとの違いを感じさせる

戦兎は再びレバーを回し、空へと飛び上がった

 

戦兎

「勝利の法則は、決まった!!」

 

そのままライダーキックのポーズをとると、ワームホールのような図形が現れ、エボルトを捕まえた

ビルドはその中へ飛び込んでいく

そしてキックの瞬間、ビルドはISの中へ消えた

 

 

【シュヴァルツェア・レーゲン内】

 

私は…あの人になりたかった

遺伝子強化試験体C‐0037、それが最初に与えられた私の名前

戦う為だけに生み出され、優秀な成績を誇っていたのに

ISが配備され、適応するために左目に“ヴォーダン・オージェ”を埋め込まれた

それが私のモノだけバグを起こし、目が金色になり、ISを扱うことが難しくなり…出来損ないの烙印を押された

そんな私を助けてくれたのが教官だった

あの人のお陰で私の強さがある

出来損ないから優秀な人材へと返り咲いた

だから、そんな教官を女の顔にさせる織斑一夏

ソイツだけは潰すと決めたのに…

 

違う、羨ましかったのか…

教官にそんな顔をさせてみせるアイツが…

 

???

「ふぅん、ヤキモチがこのシステムの起動に繋がったのね」

ラウラ

「誰だ!?」

 

そこには赤と青と白、ISとはまた違うシステムを纏い、生身でも私を捩じ伏せたあの男がいた

 

ラウラ

「貴様か…」

戦兎

「あぁ、助けに来てやった。正義のヒーローだからな」

 

反吐が出る…戦場において、正義だの悪だのは無い

ただ生きるか死ぬかだ

だが、この男の強さは一体…?

 

ラウラ

「聞かせろ、お前はどうしてそんなに強いんだ」

戦兎

「そりゃあ、天才にかかればこんな装備…って答えじゃないよな、お前が欲しいのは…」

 

奴は私の隣に来ると座り込んだ

 

戦兎

「俺、この力で誰かを助けるのが好きなんだよ…

俺の発明品は色々あっけど、その多くが人々を泣かせてしまった。

それに気付いて何とかするためにライダーシステムを創った。

そして、この力で多くの人の笑顔を創って来たんだ、綺麗事みたいに聞こえるかもしれねぇけど、その想いがあるからこそ強くあり続けられた…かな」

ラウラ

「あくまで正義のヒーロー気取りなんだな…どうせ、報酬も弾んでもらえたのだろうな」

戦兎

「正義のヒーローに報酬も何もあるかよ、自営業だよ俺は」

ラウラ

「な?!どうしてそこまで…!?」

 

ここで奴は“クシャッ”と笑った

 

戦兎

「クシャッとなるんだよ、誰かの役に立てたり、誰かをすくえた時…俺の顔。仮面で見えねぇけど。強いてあげるなら報酬はそれだ。けど、見返りを求めたら、それは正義とは言えねぇぞ」

 

何処までお人好しなのだこの男

無報酬で、ただ誰かを助けたい、それだけでここまでしてきたというのか?

その為だけに、今この場でシュヴァルツェアレーゲンの中に飛び込んで来たというのか

何故だ、何故胸が高鳴る。

まさか…これが…

あの時の教官の気持ちなのか?

分からない…

 

戦兎

「あともうひとつ…お前は誰だ?」

ラウラ

「え?…私は…」

 

ラウラ…なのか?それとも遺伝子強化試験体…?私はなんなのだ?

 

戦兎

「…お前はラウラだろ、遺伝子強化試験体だかなんだか知らねぇけど。

俺の知ってるラウラボーデヴィッヒは…IS学園2年生で、ドイツの代表候補生。無愛想で生真面目な、一人の人間だ」

 

一人の人間…

この男は私を一人の人間として受け入れてくれると言うのか?

まるで、教官のように…

 

戦兎

「過去がどうあろうと関係ない、お前はお前だ。そして、お前をラウラと呼ぶのは俺だけじゃない…」

 

彼が指差すところを見れば、外で固唾を飲み、私達を心配してくれているもの達がいた

そうか、こんなに沢山の仲間が居たんだな…

 

戦兎

「…出る気になったか?」

ラウラ

「あぁ…頼む」

 

男は私を軽々とお姫様のように抱き上げると、少し駆けて外へ飛び出した

 

 

 

【アリーナ】

 

ビルドがシュヴァルツェアレーゲンから飛び出すと、残骸は大爆発を起こした

これで一件落着、と言った所か

ビルドは胸元にいるラウラに視線を落とす

まるで眠り姫ってやつだな…そう思ったのも束の間

 

ビルド

「…っぇぇえええっ!!!?なんで全裸なんだ!?」

 

驚き過ぎてラウラを落としそうに成るが、さすがにこらえる

しかし

 

クローズチャージ

「戦兎!?」

一夏

「うわっ!?」

「お前と言うやつは!中で何をしていた!!?」

ビルド

「知らない知らない!無実無実!!冤罪勘弁!」

 

ビルドはラウラを床に下ろして変身を解除すると、自分の制服でラウラを包んであげた

だが、変身を解いたのが不味かった

 

「戦兎さんの…馬鹿ァァ!!」

戦兎

「ひでぶっ!!!!?」

 

簪のビンタの痕はしばらく取れなかったという

 

 

【放課後】

 

戦兎と万丈はトーナメントが中止となって人がいなくなったアリーナに来ていた

 

万丈

「まさかとは思ったが、アイツと出くわすとは思わなかったぜ」

 

地面に拳をたたきつける万丈をしり目に戦兎は顎に手を当てる

 

戦兎

「ヴァルキリートレースシステム、調べた限りはあんなシステムではないはず…」

 

略称VTシステム、過去のモンド・グロッソの部門受賞者、つまり戦乙女(ヴァルキリー)の動きをトレースするシステムで、アラスカ条約で現在どの国家・組織・企業においても研究、開発、使用全てが禁止されている

ラウラのシュヴァルツェアレーゲンには違法にそれが搭載されていた、それだけならまだ理解はできる。ドイツという国に対して説明責任を果たす事が求められるだろう

だが、動きをトレースするだけのシステムがなぜエボルトへと変身したのか

モンドグロッソの際にエボルトが現れたとでもいうのか?

いや、そんな事態があったなら記述こそ無くても調べれば多少なりとも引っかかるはず。

何よりそれは、モンド・グロッソ第一回大会にて優勝者、織斑千冬が仮面ライダーエボルに変身したということになってしまう

そんなことあってたまるか

そんな希望的観測をしつつも妙な違和感を感じずにはいられなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回、INFINITE・Be The One

一夏
「よく晴れたなぁ」

─一夏とシャルルの行く先は─

──水着売場?!!───

戦兎
「なんでこうなるんだ!!?」
ラウラ
「いいから行くぞ」

──進展?戦兎とラウラ───

──そして───

万丈&鈴
「「海だぁぁぁーーーー!!!」」

第15話「海と恋模様(オーシャン・ラブパターン)


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。