無人島暮らし~いろんなヒロインが流れ着くエロゲみたいな島~ (みずしろオルカ)
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01 無人島暮らしのキョウジ君

 はじめましての方は初めまして、そうでない方はまた読んでくださって光栄でございます。みずしろオルカと申します。

 R18設定の連載という事で他の作品が滞っている状態で申し訳ありません。

 書けるものを書いて、モチベーションを挙げていこうと試行錯誤中。

 今回は『ハイスクールD×D』から『塔城小猫』ちゃんを最初のヒロインとして登場させています。

 よろしければ楽しんでいただければ幸いです。


 2年という歳月は人間を環境に適応させる。

 それが、無人島でのサバイバル暮らしであろうとも……ね。

 

 異世界転生・転移・憑依。

 Web小説界隈で多く題材にされている作品傾向だ。

 

 自身の状況は異世界転生か転移に相当するモノだと思われる。

 ただ、何かの作品の二次創作ではないだろう。

 

 この無人島に来る前は、アラフォーのサラリーマンで運動不足と不摂生でメタボ傾向のあったこの身体は、無人島で目を覚ましてからは十代半ばの少年の身体となっていた。

 

 最後の記憶は、爆発と倒壊するビルに巻き込まれているシーン。

 物理的倒産に巻き込まれたことと、そのせいで死んだであろうことは容易に想像できる。

 

 水面で確認したが、確かに十代半ばの自分の容姿だった。

 これは転生とも転移とも言えない。

 おそらく、逆行に近いのかな? 転移逆行って形が一番しっくりくるだろう。

 

 2年前にこの島で目を覚ましてからは、サバイバル暮らしを強制された。

 そりゃ、人が居ないなら衣食住の全てが揃っていない。

 

 居住スペースを確保し、サバイバル動画で見た食べられる植物を確保。

 目が覚めてから着ていた部屋着用のジャージを大事にしつつ、食料の確保と居住地の強化・拡張を続けた。

 ありがたい事に、この島は四季の概念が無い様で、年間通して気温の変化が少なく、比較的に高めなおかげで何とか最初から躓くことはなかった。

 

 それらも安定し、植物やキノコ・木の実以外のタンパク質類、要はウサギや鳥の肉類を会得する術も手に入れて、一人で暮らすならばある程度の安定を感じ始めた頃だった。

 

 早朝の海岸探索。

 無人島生活において、人工物を手に入れる機会が海岸に流れ着いている漂着物。

 

 ペットボトルや空き缶、ガラス瓶と板材が流れ着いていて、すべてが資材として活用できるので拾い集めるのだけど……。

 

「これは……資材じゃなくて人材カウントになるのか?」

 

 小柄な女の子。

 ショートな白髪、学生服らしき服装と猫の髪飾りが印象的な女性。

 幼い見た目から中学かそれよりも幼い印象を受けるが、知識からおそらく高校生の可能性を考えていた。

 

「塔城……小猫?」

 

 『ハイスクールD×D』のロリ枠……なんて言ったら本人に殴られそうだが、猫又から悪魔に転生した娘で、序盤こそ能力の伸びに苦悩していたが、後半はそれこそチートクラスまで成長を果たす大器晩成型のキャラだった。

 

「いや、アニメのキャラとか何を考えているんだ。この場合は……」

 

 素早く海水から引き揚げ、首筋に手を当てて脈を測る。

 正常より少し弱い脈と、海水に浸かっていた為か体温も低い。

 

「生きてはいる、意識は……」

 

 頬を何度か軽く叩いて、声をかける。

 声が聞こえているのか、反応できるのか、ここを見極める。

 

「わかりますかー!? 大丈夫ですかー!?」

 

 反応は薄い。

 表情も軽くしかめる程度だが、命に別状はないと判断できるかもしれない。

 

 意識が戻らないが、反応はしている。

 気を失っているだけだろう。

 

「拠点に戻って意識が戻るまで介抱だな」

 

 抱え上げると、見た目通りの軽く華奢な印象を受ける。

 長時間海水に浸かっていた為か、彼女の身体は冷たい。

 

「焚火と湯たんぽもどきで温めてあげないと危ないな」

 

 軽く震えている所を見るとそこまで重症の低体温症ではないだろう。

 しかし、長くこの状態にしておくには彼女によくない。

 

 そう考え、抱えている彼女の負担にならないように拠点へと急いだ。

 

 まず、濡れた衣服を脱がさないと体温が逃げてしまう。

 しかし、女性の衣服を脱がすのはためらわれる。

 

 あまり良いとは言えないが、下着を残してすべて剥ぎ取り、真水の入った瓶に浸して海水を抜く。

 淡いライトグリーンのフリルがあしらわれた下着、冷え切っているのか陶器のように白い肌。

 幼い見た目通り、控えめな胸とムダ毛どころか陰毛すら生えていないだろう。

 

 ……いかん、2年も自慰どころか異性を見てすらいない環境で普段以上に性欲が高ぶってしまっている。

 別にあの変な実を食った訳でもないんだ。自重せねば……!

 

 次に、俺が普段寝ている寝台にウサギの毛皮を繋ぎ合わせた敷物を用意しているのでそこに寝かせ、掛布団も同様に毛皮を繋ぎ合わせたものをかける。

 毛皮でサンドするようにして、体温を逃がさないようにする。

 

 そして、少し離れた所で焚火を準備する。

 これは彼女を温めるという目的以外にもう一つ用途がある。

 

 大き目の瓶に水を大量に入れて火をかけ沸騰させ、その間に海岸で拾った空き瓶を焚火の周囲において瓶自体を温める。

 そして沸騰したお湯を少し落ち着かせ、温めた瓶に詰めていく。

 

 こうしないと、お湯を入れた時に瓶が割れてしまうからだ。

 

 そうして、お湯を詰めたガラス瓶を布やヒモで包み、直接肌に触れないようにして、彼女の脇の下や内腿、足元などに入れておく。

 

 あとは目を覚ますのを待つだけだ。

 

「目を覚ました時に知らない男が近くに居たら怖がらせるかもしれないから、少し離れた所で食事の準備でもするか……」

 

 彼女が目を覚ました際に必要なものは栄養だ。

 亜熱帯の気候で生肉は新鮮な物でなければ食中毒の恐れがある。

 

 だからこそ、俺の保存食はある程度乾燥させてからの燻製になる。

 海水から抽出した塩をふんだんに使い、濃い目の味付けで作るものが多い。

 

 汗で塩分が出て行ってしまうという事と、基本的に朝に水に漬け込んで夕方に菜物と合わせて煮る為、追加で塩を振る手間を省けるのだ。

 

 鹿の足を燻製にしてある為、それを削りながらスープを仕立てていく。

 

 殺菌用のコショウが手に入らないのが悔やまれる。

 

 

**********************

 

 

 目を覚ましたら、野外に下着姿で妙に暖かい布団にくるまれていました。

 

 混乱しましたが、少し離れた所で木の様なものを削っている男性を見つけ、声をかけようとして今の自分の姿を思い出し思いとどまる。

 という思考を1秒以内に終わらせると、眠っている振りをして男性を観察します。

 

 下着だけになっている状態なのはあの男性がやった事だと思いますが、さっと布団の中で身体を確認、なにもされていない事に安堵して、脱出の為に周囲を見渡します。

 

 私の服や靴下は木と木の間に蔓の様な植物が渡されていて、それにかけられていた。

 靴は私の足元に置かれていて、気づかれないように立ち回れば、全てを回収してこの場を逃げ出せそうな配置。

 

 万が一気づかれたとしても、私の悪魔としての身体能力なら普通の人間から逃げることは簡単だ。

 下着だけにされているこの状況と、相手が男の人という事実が、この時の私の判断力を狂わせていたと思う。

 

 男が削っていた物を瓶の様なものに放り込んで、何か植物を刻みだした辺りで靴と服を回収し脱兎の勢いで森の方向へ逃げ出した。

 

 途中で男が気付いて何かを叫んでいたが、さすがに下着姿の状態で異性と話す気にはならない。

 

「待て! せめてこの島の注意事項を……!!」

 

 後ろから必死な男の声が聞こえる。

 だけど、簡単に待つようなら逃げようとはしません。

 あっという間に声が聞こえない所まで移動してこれた。

 

 何はともあれ、この状況からの脱する事と落ち着くだけの時間が必要です。

 こんな身体とはいえ、羞恥心はあります。

 

 適当な木の上で回収した服と靴を着ると、周囲を見渡す。

 かなり湿っていますが、動いている内に渇くでしょう。

 

 森に山、逃げてきた方向には海と砂浜。

 周囲で私の感知できるレベルではあるが、堕天使や天使、悪魔の気配は無い。

 

 あの拠点に居た男は鍛えてこそいるみたいだが、一般的な人間と同じぐらいの身体能力に思える。

 なぜ私があの場に居たのか?

 なぜ、この島に居るのか?

 

 多分あの男が情報を持っていることは確実だけど、自分の目で見れる情報も大切だ。

 あの男が味方かどうか、味方のフリをした敵の可能性だってある。

 

 それにさっきから部長たちに連絡を取ろうとしているけど、妨害なのか全く繋がらない。

 悪魔の駒の力は私の身体に残っているから部長たちとのつながりは残っている。

 

「まずは情報を集めないと……」

 

 あの男が言っていた事を信じるならこの場所は島なのでしょう。

 事実、結構広いように見えますが、あの男が居た浜辺付近、前方に山岳地帯があり、左右はそれぞれ海が遠方に見える。

 

 山岳地帯以外は海に囲まれているなら、あの山の裏側はそのまま海になっている可能性が高い。

 だけど、一日で島を一周するというのは無謀でしょう。

 

 人工物はおろか、ヒトが住んでいる気配がない。

 これは無人島というやつでしょうか?

 

「人間があの男だけだとすると……厄介ですね」

 

 最悪別の人を探して情報を得るつもりだっただけに、情報源があの男のみというのは厄介としか言いようがない。

 街とか人が集まる場所が期待できないなら、あの男の様に個人で生活している者を探すのが無難ですね。

 

 大体、島の中央よりは外周から少し中に入った辺り。

 その辺りを探している時に、川とその周囲に群生している植物が目に入った。

 

 木から木へ飛び移りながらの移動で一休みの意味でも、地上に降りた。

 甘酸っぱい香りが周囲に漂っていて、動物が見たことのない果物を食べていた。

 

 バナナの様な見た目の赤い果実。

 実り方はバナナとは違い、一本がぶら下がっていて、手に取ると桃のように柔らかい。

 香りはイチゴやラズベリーの様なベリー系。

 

 ゴクッ

 

 思わず喉を鳴らしてしまう。

 かなりの時間を飛び回っていて、目を覚ましてから何も口にしていない。

 

 果実の皮を剥いてみると、中から出てきたのはゼリーの様な赤い半透明のプリッとした果肉。

 そして甘い香りが更に強くなり、私の鼻腔をくすぐった。

 

 毒かも? という考えが頭をよぎり、今しがた動物が普通に食べていた姿を思い出す。

 それに、私は妖怪から転生した悪魔。普通の毒など効かないし、効いたとしても動物が食べられる程度の毒であれば、大事にはならない。

 

 おずおずと果物の先端を少しだけ齧り、咀嚼する。

 

 おいしい……。

 強い甘みと爽やかな酸味が一瞬で口内を果汁と共に駆け巡る。

 ゼリーの様な見た目と裏腹に、食感はブドウや桃、メロンの様な若干の繊維を感じつつ噛めば噛む程に果汁を噴出させる。

 

 思わず、果汁と共に果肉を飲み込む。

 渇いていた喉が潤い、吸い込んだ空気が口の中の香りを鼻へと運び込む。

 

「おいしい……」

 

 自然と口に出ていた言葉。

 咀嚼した痕を見てみると、瑞々しい果肉から果汁が滴り、それだけで食欲が湧き上がる。

 

 少しお腹や喉、口内に神経を尖らせてみるが、違和感を感じない。

 むしろ、もっと寄こせとばかりに腹の虫と口内の唾液が飛び出した。

 

 その衝動に従い、今度は一口分思いっきり果実を頬張った。

 口の中に納まる大きさの果肉から、口から飛び出しそうなほどの果汁があふれ出る。

 

 一口の果肉で一度、二度、三度と果汁を飲み込む。

 そしてそのまま残りの果肉を頬張り、味わったのちに飲み込む。

 

「なにこれ……!」

 

 思わず二つ目の果実を手に取り、むさぼる様に食べていく。

 

 そして、三個目を手に取った途端、身体の中心から大きな脈動を感じ、熱が全身を支配した。

 

 

**********************

 

 

 彼女が逃げ出してから、慌てて立ち入り禁止区域の群生地帯へ向かったが、彼女を確認できなかった。

 であればと、海岸線沿いに島の半分を歩く形で捜索する。

 

 食料の探索も並行して行いつつ、彼女を探すが地面に痕跡が見当たらなかった。

 もしかしたら、島の中央部を移動しているか、木々の間を飛び回っている可能性が高い。

 

 痕跡を見つけられればそこから追跡も出来るのだけど、肝心の痕跡が見つけられなければ仕方がないのだ。

 

 日が落ちる前に拠点に戻ってみたが、自分の居ない間に拠点へアクションがあるかとも考えていたけど、何もなかった。

 完全に日が落ちる前に火を起こして食事の用意をしなければならない。

 

 カサッっと背後から音が聞こえた。

 反射的に音のした方向を向き直り、手近な所に転がっていた火かき棒代わりの棒を構える。

 

 野生動物は肉食・草食問わず危険で、肉食動物は言わずもがな、草食動物も鹿とかの有角類やネズミ類も噛みつかれると雑菌なども相まってサバイバル生活には致命的な病気を引き起こす可能性があるのだ。

 

 しかし、音のした方向にはただ林が広がっているだけであり、不自然に揺れている草木は無かった。

 

「? 気のせい……!?」

 

 気を抜いた瞬間、背後から衝撃を感じ、世界が暗転した。

 

*****

 

 身体に感じる快感と、重量感で目が覚めた。

 肌と肌がぶつかる音、堪えたように口から漏れ出る喘ぎ声。

 

 腰の付近にある重量感に目を向けると、昼間に助けた少女が俺の上で腰を振っていた。

 彼女の体格で、俺のブツは入るのはきついはずだ。

 

 自分のブツは、彼女が食べた可能性のある果実の影響で自分の本来の大きさを超えて成長していた。

 この島の最大の危険な植物であり、研究ができるならしておきたい程の奇妙な果実。

 

「これ……、すごい……。初めてなのに……こんなに……」

 

 この呟きに、彼女と繋がっている部分を見ると、わずかに血が出ているのが見えた。

 大半は愛液で流れている状態だったが、それでも目視ですぐに確認できるほどの出血だ。

 

 痛みがあるはずなのに、それを感じていないかの様に乱れ、快感を感じ、溺れている。

 

 あの果実には強力な媚薬効果があり、身をもって体験した効果が以下の通り。

・催淫効果

・精力増強

・感度上昇

 エロゲ等でよく目にする効果が、催淫効果と感度上昇。

 現実にあるのが精力増強だ。

 

「もっと……。お兄さんのを、もっとください……」

 

 彼女が何かを口に含むと、俺の顔を両手で押さえ、キスをしてきた。

 舌が捻じ込まれ、それと同時に唾液と甘い果汁が流れ込んでくる。

 

 以前に口にして以降、忌避してきた味が彼女の唾液と共に流れ込んでくる。

 

「ん……チュッ、レロ……、もっと……」

 

 それを意識した途端に、身体の中心から拍動を感じ、股間に血が集まるのを感じる。

 そして、徐々に性欲と支配欲が湧き上がってくる。

 

 これがこの果実の危険な部分なのだ。

 性欲だけが膨れ上がるならば、彼女から逃げ出せばまだやり過ごせる。

 

 だけど、抵抗する意思が持てなくなる。

 この欲求を発散することが優先順位の上位に切り替わっていく。

 

「お兄さん……」

 

 そう言いながら俺の目を見ながら、腰を打ち付けてくる。

 その腰遣いは初体験の少女とは思えないほどでありながら、締め付けはまるで手で掴まれている様にきつく、その矛盾が俺の興奮度を高めていく。

 

 しかし、初体験ならその負担は確実の彼女の小さな身体に蓄積されている。

 今は例の果実で強制的に発情、神経も快楽系が過敏になっていて、効果が切れた時にそのツケが一気に身体を襲う。

 

 それは良くない。

 サバイバル生活において、行動不能は死に直結する。

 

 だから、できるだけ強く激しい快感よりも、ゆっくりと段階を踏むような刺激へと切り替えることにした。

 

「ほら、初めてなんだろ? そんなに強く動くと身体が持たねえぞ」

 

 そう言いながら、彼女がまるで頑固な汚れが付いた食器を洗うかのように動いている腰の動きを両手で掴んで止める。

 本当ならばここで止めるべきなのだろうが、正直口移しで食べさせられた果実のせいで目の前の幼い肢体を貪りたいくらいに欲求が高まり、暴走しそうなのだ。

 

「色々収まらないのも良く分かるが、初めてでそんなに激しく動いたら身体を壊しちまうぞ。ここからは俺に任せておけ」

 

 沸騰しそうな股間を必死にねじ伏せ、できるだけ優しく、笑みを浮かべて話しかける。

 ここで俺が果実の衝動に負けて、彼女を本能のまま犯せば、彼女は膣に裂傷を負う可能性があるし、何より妙なトラウマを背負う可能性もある。

 

 今俺ができる最大限の慈愛の行動は、本能に任せた性行為ではなく、身体を慣らして徐々に開花させる睦み合い。

 それが俺にできる最大の優しさだろう。

 

「でも……」

 

「辛いのは良く分かるが、初体験でこんなに乱暴に繋がっていると、膣や腰を壊しかねんぞ? 俺に任せて感覚に集中して……?」

 

 そう言いながら、まだ動こうとしている彼女の腰を優しく両手で押さえ、その代わりとばかりにピッタリと彼女と密着する。

 キスは彼女の匙加減だ。

 それ以外の部分で徐々にその性感帯を綺麗に咲かせる。

 

「望んでない行為だってことも理解しているが、同時にどうにもならない衝動が襲っているのも分かるんだ。だったら、せめて楽しめるように頑張るから、君も出来れば少しづつ受け止めてくれると嬉しい」

 

 そう言いつつ、自身の胸板と彼女の胸の先、ピンクの豆がこすれ合うようにして、彼女へ刺激を送る。

 股間は呼吸する程度のゆっくりとした動き。

 右手を腰へ、左手を彼女の背に這わせ、産毛を撫でるように動かしていく。

 

「ひぅ!?」

 

 彼女の身体がビクッと縮み、それに連動して膣がキュキュッと股間を刺激してくる。

 ワザと身体を上下に揺するように動かして、まだ幼い肉蕾を優しく刺激する。

 

 背からアバラ、脇腹へとなぞる様に手を動かしていく。

 力加減を間違えるとくすぐってしまうので、骨ではなく皮膚をなぞることを意識しながら様々な彼女の場所を撫でていく。

 

「こ、これ……さっきと全然……」

 

「他人から与えられる刺激って自分で得る刺激より敏感になるからな。受ける刺激は弱くても得られる快感は変わらないぐらいだろ?」

 

 何かに堪えるように、俺の背に手を回してギュッと抱き着いてくる。

 刺激から逃げるように、顔を首筋に押し付けるようにして、表情を隠す。

 

 フーッ、フーッと荒い呼吸が首筋に当たり、くすぐったい。

 動かすというよりも、ほとんどズラしているような動きだが、今の彼女には丁度いいぐらいだろう。

 

 果実の影響で彼女が何度も絶頂しているのを自身の股間で感じる。

 男の絶頂は回数をこなせないが、それも果実の影響で射精回数の人外的な向上がある。

 

 最初は膣外射精をしていたが、後半から彼女の足が俺の腰に巻き付いて中出しを希望してきた。

 どうも体質的に子供が出来づらいらしく、抜かれた時のせつなさよりも中に出された時の多幸感が欲しいとのこと。

 そうはいっても、無人島生活での妊娠はリスクが大きい。

 

 断ろうとしたが、彼女の足が腰に巻き付き、しかも搾り取る様に膣を締めながら動かされあっけなく出してしまった。

 

 結局、夜が明けるまで繋がり続け、双方昼過ぎまで起き上がれないぐらいに疲弊してしまった。

 

 だが、彼女の怪我を防げた事、果実の毒素を抜き切れた事は一安心といったところだ。

 女性側の効能は分からないが、男性側は射精しないと収まらずに少しの刺激で射精してしまうほどに悪化する。

 寝てしまっても起きれば夢精してるし、結局オナニーして収まるのを待つしかなかった。

 

「もう……動けない……です」

 

 汗で艶めかしくテカる肌が、呼吸の度に色っぽく上下する胸を更に色っぽく咲かせている。

 いつもならこのタイミングで自分のモノが反応するが、一晩丸々酷使した股間は平時のままだ。

 

「同じくだ……あれだけヤッといてなんだが、疼きとかはもう無いか?」

 

「はい……全身だるいですが……燃やされてるみたいな感覚は無くなってます」

 

 それならもう大丈夫だろう。

 こうして、会話を違和感なくこなせる程度には仲は良くなっている気がする。

 だが、こうして落ち着いた辺りでコミュニケーションをするにあたり大事な情報を得ていない事に気づいた。

 

「ここまでヤッておいてなんだが……」

 

「なんですか?」

 

「名前……聞いていいか?」

 

 木陰で、全身に汗と精液をつけた幼い容姿の彼女は、驚いた様に目を見開いた後に、何か諦めたように空を見上げる。

 

「塔城……小猫……です」

 

「三国……恭治だ」

 

 この島に来てから、初めての自己紹介。

 なんか初めて名乗った気さえするのはなんでだろうな?

 

 




 いかがだったでしょうか?

 サバイバルとエロを多く描写していきたい所存ですので、どうかお楽しみください。

 稀に見かけるアンケートを表示させてみました。

 活動報告側でも別のアンケートを行っていますので、こちらも回答いただければと思います。


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02 無人島漂着者の小猫ちゃん

 さすがに投稿の次の日にR18デイリーランキングで一位を頂けるとは夢にも思っていなかった、みずしろオルカです。

 二話目を投稿時点で原作アンケートは終了し、キャラクターアンケートに切り替えます。

 予想外のUAや評価に慌てての投稿です。

 リアルな呟きで「どうしてこうなった……」って口にしたの初めてかも?


 教訓として。

 未知の動植物を口にしてはいけないという、割と皆さんが心得ているであろう事柄を、文字通り骨身に沁みて痛感しています。

 

 目を醒ました際に逃げ出して、島に自生していた果物を食べて、強制発情をさせられました。

 そして、私を助けてくれたのであろう男の人を背後から襲い、逆レイプ中です。

 体位は騎乗位という私がお兄さんに跨る様に犯すスタイル。

 

 なんかもう我慢するとかそんな次元じゃなく、疼きに殺されるのではないかと言うほどの衝動に襲われて、頭の中もモヤがかかったようにエッチな事が纏わりついてくる。

 

 後ろから飛び掛かる様に襲い掛かり、気絶させていつも寝ているのであろう場所に運び込み、服を破かないように脱がせる。

 

 初めて見る男の人の一部。

 当然性交に適した状態ではないのですが、そこは例の果物。

 

 気絶しているので、私が咀嚼して口移しで食べさせる。

 何気にファーストキスでしたが、そんなことに気を止める余裕も無く、必死に果物をその男の人に食べさせる。

 

「すごい……大きい……」

 

 そういう雑誌で目にしたことのある男性器を凌駕する大きさと、触れると分かる固さ。

 自分の小柄なこの身体に入るかという疑問が浮かびますが、それ以上にこの熱を冷ますことが最優先です。

 

「入る……はず……」

 

 グッと自身の入り口にお兄さんの先端を当て、体重と腰の動きで無理やり挿入する。

 途中で挿入が止まってしまうが、体重を再度かけて無理やり奥へ進める。

 

 ブツッっと言う音ではないですが、そんな感覚があり、そのまま最奥であろう場所まで挿入が完了する。

 その瞬間、痛みがあるかと身構えていましたが、途轍もない快感が全身を駆け巡った。

 

「これ……は……」

 

 鳥肌が全身に立ち、腰から全身に向けてゾクゾクとした感覚が広がる。

 靄のかかった思考がもっと欲しいと,ガンガンと太鼓の様に叫びだす。

 

 それに突き動かされるようにして、腰を動かし続ける。

 一突きごとに快感が大きくなり、最終的に夢中で腰を動かし始めてしまいました。

 その快感は例えるなら、ジェットコースター。

 身体を固定されて、決まったコースを振り回されているような感覚。

 

 右に左に振り回されて、強い快楽がある代わりに負担が大きい事が理解できる。

 

 それでも身体が、本能が欲している。

 

「これ……、すごい……。初めてなのに……こんなに……」

 

 何度も、何度も。

 自分の身体じゃないみたいに、どうにもならない本能と強い快楽が彼の腰にぶつける様な動きに現れてしまう。

 

 グンッと膣内にかかる圧力が大きくなるのを感じる。

 俗に言う射精なのかと彼の表情を確認すると、目が合った。

 驚きの色がその表情から読み取れる。

 

 まぁ、目を醒ましたら逆レイプされている状況で落ち着いている人間はそうは居ないでしょう。

 それでも意識が戻った際の膨張と圧迫感は、強い快感をもたらしてくれる。

 

 この大きくなったおチンチンが、もっと強くなるのかも?

 そういう考えが頭をよぎった瞬間……。

 

「もっと……。お兄さんのを、もっとください……」

 

 まだ残っていた果実を口いっぱいに頬張ると、口移しで食べさせる。

 唾液と混ぜ合わせて、舌を絡めさせながら、少しずつ流し込んでいく。

 

「ん……チュッ、レロ……、もっと……」

 

 ググっと彼の股間が力強く私の膣を刺激してくる。

 それに伴って身体に纏わりついている熱が更に温度を上げる。

 

 お兄さんの頭を両手で抑えて、口付で舌を絡めながら、腰は止めずに本能に従ってお兄さんの射精を促していく。

 もう、何度も私自身は絶頂を感じているが、お兄さんはまだ射精をしていない。

 それに少し不満を覚える。

 

 快感で靄のかかった思考の中でもハッキリと少し黒い感情。

 足腰立たなくしてやりましょうか……。

 

 そう考えていると、ずっと動かしていた腰をガシッと両手で固定される。

 

「ほら、初めてなんだろ? そんなに強く動くと身体が持たねえぞ」

 

 固定された腰。

 優しく掴まれているはずなのに、全く動かせない。

 力で押さえつけられているというより、動こうとする前に行動自体を潰されています。

 

 今まで得られていた快感が、いきなり止まってしまって、下腹部から焦燥感の様な飢餓感の様な、切なくて辛いものが溢れてきます。

 

「でも……」

 

「辛いのは良く分かるが、初体験でこんなに乱暴に繋がっていると、膣や腰を壊しかねんぞ? 俺に任せて感覚に集中して……?」

 

 グイっと抱きしめられるように引き寄せられ、耳元で囁かれる。

 ゾクゾクっと耳元から背筋にかけて快感が駆け巡り、一瞬頭が真っ白になってしまった。

 

「望んでない行為だってことも理解しているが、同時にどうにもならない衝動が襲っているのも分かるんだ。だったら、せめて楽しめるように頑張るから、君も出来れば少しづつ受け止めてくれると嬉しい」

 

 眉をハの字にしつつ、笑みを向けてくれる彼の善性に少々驚きます。

 それと同時に、腰を押さえつけている手と逆側の手が、私の背をまるでくすぐる様に撫でる。

 触られた部分からまるで広がる様に快感が滲み出てきて、思わず背を反らすように伸ばしてしまう。

 そして、私の胸の先がお兄さんの胸板に擦れて更に刺激が前からも全身に走る。

 

「ひぅ!?」

 

 思わず出てしまった声、挿入しっぱなしの膣内と優しく撫でられる背中、そしてお兄さんの胸板に私の胸が擦れて全身が緩い快感に包まれる。

 

 さっきまでジェットコースターの様な強制的に振り回される様な快感だったのが、今は全身を優しく包むような雲の上に乗せられて漂っているような、そんなフワフワとした快感がずっと私を包んでくる。

 

「こ、これ……さっきと全然……」

 

「他人から与えられる刺激って自分で得る刺激より敏感になるからな。受ける刺激は弱くても得られる快感は変わらないぐらいだろ?」

 

 お兄さんの言葉通り、自分で動いて得ていた快感と今私を包んでいる快感の質が違う。

 フワフワと上下しながらも確実に上へ上へと昇っていくのを感じる。

 

 自分で動かしている時は絶頂を迎えたら動きが鈍りますが、お兄さんにしてもらっている時は浅い絶頂を繰り返しながら徐々に深く、そして強くなっていきます。

 それでも引き回される様な暴力的とも思えたあの快感ではなく、日向ぼっこの様な真夏に海面を揺蕩っている様な心地いい快感。

 叩きつけられる様な快感ではなく、頭に沁み込んでくる様なキケンな快感。

 

 そして、お兄さんが限界を迎え、射精をする。

 素早く私から抜き、下腹部に暖かい液体を吐き出す。

 

 抜かれた瞬間、私の膣からどうしようもない喪失感が襲ってくる。

 なんというか、本来あるべきものが無くなったような感覚。

 

「あの、どうか膣内でお願いします」

 

 2回ほど外に出されてから、その喪失感に我慢できず、中出しを強請ってしましました。

 更には、渋るお兄さんの腰を私の足で挟み込んで。

 

 悪魔は子供が出来る確率は極端に低いです。

 その上、元々の私の種族は猫鼬。

 発情期でもなければ、妊娠の確率は皆無に等しいのです。

 

 理性的な行動をしていたお兄さんも、流石にあの果物の衝動には勝てなかったようで、膣内射精まできちんとしてくれた。

 その時の充足感と多幸感に思わず感嘆の声が漏れてしまう。

 

「これ……すごい……スキ……」

 

 ピクピクと私の膣で震えているお兄さんが愛おしく感じて、じんわりと幸せな熱が下腹部に広がっていくのを感じる。

 お兄さんのが出ているという事を認識することでその熱はとても幸せなものに感じるのです。

 

 それから、何度も何度も行為を繰り返し、全部私の膣内に出して貰いました。

 終わるまで一度も抜かずに、萎える事も無く、人間とは思えない回数をこなしてくれたお兄さんの精液で、私のお腹はポッコリと膨らんでいます。

 

「もう……動けない……です」

 

「同じくだ……あれだけヤッといてなんだが、疼きとかはもう無いか?」

 

 気づくと、あの気が狂うんじゃないかという焦燥感や飢餓感が無くなっていて、果実の影響が抜けたような感じ。

 行為の余韻と熱は残っていますが、お兄さんと二人ですっかり明るくなった空を見上げています。

 

「はい……全身だるいですが……燃やされてるみたいな感覚は無くなってます」

 

 爽やかと言うにはまだ行為の熱と余韻が強いですが、それでも晴れやかな気分。

 そして、気づく知ってしまったあの快感。

 果実が無ければ感じえないのかもしれませんが、雲に抱かれて揺蕩うような幸せな時間がまた欲しいと感じている。

 

 果実の影響だけの感覚だったのか、それとも果実が無くても得られるのか?

 またヤッてみたいという考えが浮かぶ当たり、すっかりハマってしまったようです。

 

「ここまでヤッておいてなんだが……」

 

 遠慮がちにお兄さんが声をかけてくる。

 それが少し嬉しいと感じるあたり、割と重症な気がしてきます。

 

「なんですか?」

 

「名前……聞いていいか?」

 

 その言葉に思い至る、そういえば双方自己紹介なんてしていなかった。

 お兄さんと呼んでいましたが、名前なんて知らない。

 そういう相手だったと、思い出してあの気持ちが消えない辺りに、色々手遅れであるような感覚を覚える。

 

「塔城……小猫……です」

 

「三国……恭治だ」

 

 三国お兄さん、恭治お兄さん。

 どう呼ぶにしろ、スッと心に入ってくるお兄さんの名前を噛みしめると、これからの事に関して考えを巡らせる。

 

 またできれば良いな、という思考を混ぜながら。

 




 いかがだったでしょうか?

 アンケートの流れとしては、原作アンケート→キャラクターアンケート→決定
 という形になります。

 そして、次の原作アンケートという形を予定しています。

 さて、大接戦でしたが、VOICEROIDからの登場となりました。

(189) VOICEROID(サバイバル能力無し)
(163) ヒロアカ(サバイバル能力高)
(96) その他(原作はメッセ又は活動報告へ)

 ヒロアカは次々回ぐらいの原作アンケートにて再度登場予定ですので、ご希望の方は再度投票をお願い致します。

 アンケートは三話か四話投稿時に集計します。


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03 無人島でのエッチなサバイバル

 どうも、UAが冗談みたいなことになってて困惑しているオルカです。

 おかげさまで投稿時に確認したら、2万突破しておりました。
 二話しか投稿してませんよ!?

 さて、今回は少しのサバイバルと小猫ちゃんとのイチャイチャです。

 この投稿を持って、キャラクターアンケートを締め切らせていただきました。
 結果はあとがきでどうぞ!


 熱帯又は亜熱帯地域の無人島。

 これがこの島の情報で、島内部には俺自身が探索しただけだが、人工物は無い。

 稀に漂着しているゴミやスーツケースの様なものが外界のモノを入手する手段だ。

 

 島に火山が有り、そこから三本の川が流れている。

 この山を北と仮定して説明すると、南側に小猫が流れ着いた浜辺、東側が例の危険な果実の群生地帯、西側が肉食動物の多い森林地帯だ。

 

 島中央には平原がいくつか有り、俺たちは南側の洞窟近くに拠点を構えている。

 山から流れている三本の川は、南と西、東へとそれぞれ流れており、南の川は俺が主に水浴びや料理に使う生活用水だ。

 

 東側の川は例の果実が群生しており、この東の川を取り囲むように群生している。

 南と西の川には発生していない為、意図して種を持ち込まない限り東側周辺より分布を伸ばす事も無いだろう。

 

 西側の川は肉食動物の縄張りであり、この近辺も危険地帯と言える。

 肉食動物たちが多くいる為、草食動物は西側に行くことは少ない。島中央の平原や南側へ流れる川に集まり、縄張りとしているようだ。

 

「ここまでが島の注意事項だ。西側は肉食動物、東側は危険な植物があるから基本立ち入り禁止だな」

 

「私は東側へ入り込んでしまったようですね。あの果物は何なのですか?」

 

「あれは俺も分からない。効果は知っての通りで、高い催淫効果と生殖能力の向上かな。栄養価は高いと予想するが、デメリットが大きすぎる」

 

 栄養価が高いと予想したのは、小猫を抱いた……というより襲われた翌日の不調は気怠い程度で、唇や爪のあたりが荒れていないからだ。

 サバイバル生活をしていると、不調の最初というか表に出てくる場所が分かるようになる。

 

 指先が荒れてくるだとか、唇の皮が剥けてくるとか。

 わかりやすく例えるなら、風邪はどこから来る? と言う奴の少し細かくなったものだ。

 

「後遺症じゃないが、何が起こるか分からないからな。身体に異常があったら相談してくれ」

 

「はい、今のところ平時と変わらない感覚です」

 

 双方、異常の有無を確認して、この島の暮らしの説明に入っていく。

 歩きながら、島の中央にいくつか仕掛けている罠へ案内していく。

 

「素人が作ったものだけど、罠が仕掛けてある。この島で暮らすにあたって分担して罠の巡回や拠点での作業をやりたい」

 

「はい、お世話になりますので、ご教授いただければと……」

 

 分担作業は共同生活において大事なこと。

 今まで俺は、早朝に海岸線で漂着物を探し、昼にかけて罠を点検、夕方にかけて拠点周りの整備と道具の制作、日が暮れる頃に寝る。そういう生活をしていた。

 

 これが小猫に拠点周りの整備と道具作成を任せられれば、俺は罠の点検と新たな罠の設置や弓矢等での狩猟も可能になる。

 

 人数が増えるという事は、消費する食料や日用品の量が増える。

 だが、それを補って余りある分業による効率化が図れるのが利点だ。

 

 幸い、燻製肉は大量のストックがあるし、食べられる野草や簡易的な畑もある。

 十人とか増えるならまだしも、一人増えるだけならば半月は遊んで暮らしても問題ないレベルで拠点周りは整備してある。

 

 亜熱帯、熱帯地域の為、日本の自生している野草や動物が手に入らないのは痛いが、それでも知識というのは身を助けてくれる。

 

 塩の生成と釣り、狩猟の知識。

 野草や食べられるキノコ類の選別方法は二年間の俺のサバイバル生活を支えてくれた重要な知識だ。

 

 小猫には口頭説明と、実際の目の前でやって見せる実演説明を織り交ぜながら知識を共有していく。

 

 特に主食のイモ類はある程度の土地でも生産可能で非常に優秀な食料だが、疫病に弱く、保存庫に疫病にかかったイモを入れてしまうと保存庫内が全滅なんてこともあり得る。

 

 イギリスの大飢饉を知っている人は分かるかもしれないが、本当に一気にダメになる。

 あれは収穫量の多い種類を同じ畑で何度も栽培していたのが一因だ。

 

 疫病という知識が無かった当時だから対策も出来なかったのだそうだ。

 

「ここが芋畑の第一栽培場だ。少し離れた所に第二から第五まで作ってある」

 

「何で分けているのですか? 一か所で広く取った方が手間が無いと思うのですが」

 

「リスク分散だな。イモは疫病に弱くて広がりやすいから、畑を物理的に離しているのと、簡易的な品種改良をやっているからそれで分けているっていうのもある」

 

 最悪、畑ごと燃やしてしまわなければならない事もある。

 そういう時の為の畑分けだ。

 第一から第三まで疫病に侵されたとして、第四と第五が無事ならそこから畑は復活させられる。

 

「考えることが多くて大変ですね」

 

「まあな。時期もズラして植えているから年中とまではいかないが、収穫時期は長い」

 

 小猫にやってほしいのは主に収穫や伐採した樹木の運搬だ。

 彼女の種族に関して説明を受けたが、本当に悪魔のようで、戦車特有の怪力も健在。

 サバイバル生活では本当に助かる人材だと思う。

 

 

**********************

 

 

 イモの畑を紹介してもらった後、燻製肉と野草のスープをいただきました。

 塩は海水から抽出しているらしく、瓶に大量にストックしてありました。

 

 そして満腹になり、午後の案内はどうしようかという話をお兄さんとしていた時。

 

「あれ?」

 

 小さな違和感。

 いつもと同じような気がするのに何かが違う、そんな奇妙な感覚を覚える。

 

 頭痛や咳、喉の痛みや鼻水が出るとかそういった感覚は無い。

 熱っぽい?

 

「どうした、小猫?」

 

 名前を呼ばれた途端に、ジュンっと下腹部が熱を帯びるのを自覚する。

 ヤバイ、食べた直後と比べ物にならないが、あの感覚が徐々に強くなってきた。

 

「お兄さん、また来たみたいです……」

 

 その言葉に、お兄さんは驚いた様に目を見開いている。

 同じものを食べていたお兄さんは平気そうで、私だけ疼きが再発している。

 

「少し離れているから一人で処理するか?」

 

 その言葉を聞いた途端に、疼きが強くなり、反射的にお兄さんを抱き締めてしまう。

 ああ、ダメだ。

 

 この疼きはお兄さんじゃないともう……。

 

「お願いです。お兄さんが……抱いてください」

 

 驚いたような表情を見せ、同時に戸惑いの感情も見える。

 あのフワフワとした感覚、優しく恋人の様に抱いてくれた最初の行為。

 

 果実の毒素が回っていたとはいえ、あの快感は私の脳に刻み込まれている。

 私を気遣うお兄さんの表情や私の背を優しく撫でる手、あの胸板に抱かれた時の安心感。

 

 全てがフラッシュバックのように思い出され、徐々に喪失感の様な感覚が湧きだしてくる。

 

「……果実の影響だが軽度なのだろう? 良いのか?」

 

「はい。お兄さんが……いえ、お兄さんじゃないとヤです」

 

 このセリフは思い返しても恥ずかしいですが、お兄さんは喜んでくれたのか、前回してくれなかったキスをじっくりとしてくれました。

 舌を絡め、唇を吸い、唾液を交換する。

 

 その間も私とお兄さんの両手は別の事をしていた。

 私はお兄さんのズボンに手をかけ、お兄さんは私の秘所を手全体で包むようにして擦り始める。

 

 すっかり準備が出来ている私の秘所はスムーズにお兄さんの手のひらを受け入れて、揉む様に優しく、撫でる様に慈しまれ、私の身体は高ぶっていく。

 

「わかった。寝具は洗ったばかりだからこっちの体位でいくぞ」

 

 そう言うと私を抱え上げ、抱きしめられる。

 お兄さんの一部が固くなり、私の股間の下で準備完了しているのを感じる。

 俗に言う駅弁スタイルというやつですか。

 

「腕とか疲れるかもしれんが、我慢してくれ」

 

 そう言いながら素股のように挿入せずに、性器同士を擦り合わせる。

 前戲不要なほどに昂っているが、このふれ合いがなんとも心地好く、融け合っている様な時間には幸せを感じてしまう。

 

 腕をお兄さんの首へ回し、足を腰へ回す。

 私は腕と足で身体を支え、お兄さんは体幹で私を支えてくれている。

 

 お兄さんの両手は腰と背中へ回されて、私の手足の負担がかなり軽減されている。

 何度も何度も股間同士を擦り合わせ、溢れてくる愛液でお兄さんのモノを包んでいく。

 

「そろそろ挿入するが、辛くないか?」

 

「はい、疲れもありません。もっとお兄さんを感じさせてください」

 

 挿入。

 それを聞いた途端、私の奥が期待で更に愛液を出している。

 例の果実の影響は、前回の半分以下。

 衝動も飢餓感も同様に耐えようと思えば耐えられるかもしれない程度。

 

「この体位は深さの調整が難しいから、苦しかったら言ってくれよ」

 

 騎乗位と同じで私の体重がそのまま挿入する力に掛かってきます。

 その上、騎乗位は私が調整できますが、この体位はそれができません。

 

 両手両足はお兄さんに抱き付いていますし、動きは基本的にお兄さん側が主導になる。

 本当は立ったまま後ろからとか、前からとかが良いのでしょうが、残念なことに私とお兄さんの体格差が影響してきます。

 

「んっ……ふぁ……」

 

 擦れていたお兄さんのモノが、角度を変えて私の膣へ入ってくる。

 そこでもゆっくりと、私の反応を見ながら挿入してくるお兄さんに、内心嬉しさと早く来てほしい焦りが生まれる。

 

 私の膣の半分ほどに来た時に、チリッと痛みが走った。

 さすがに昨日の今日、一日中何かが挟まったような感覚が抜けなかったし、立ったり座ったりモノを持ったりした際に違和感を覚えてはいました。

 

 処女喪失時は果実の毒素に侵されていてそれどころじゃありませんでしたが、こうしてある程度落ち着いた状況で、改めて突き付けられた。

 

「大丈夫か? 止めるから、落ち着いたら言ってくれ」

 

 私の様子に察しがついたのか、挿入を止めて話しかけてくる。

 おそらく、痛みが走った際に身体が反応しちゃいましたから、それで気づかれたのでしょう。

 

「いえ、大丈夫です。痛みを感じると言っても……」

 

 グイっと首の後ろに回していた腕に力を入れて顔を近づける。

 鼻先がくっ付きそうなぐらいの距離。

 お兄さんの目に私の顔が映っているのを確認できる。

 

 そのまま、お兄さんと唇を重ねて、舌で口の中を味わうように動かしていく。

 驚いて目を見開いている表情にちょっとした優越感の様なものを感じてきます。

 

 十分に楽しんだ後に口を離す。

 唾液が少しの間互いを繋いで、プツッと重力に落ちてしまう。

 

「お兄さんがくれる痛みなら、それも大事なものですから……」

 

 そこから恥ずかしいセリフを言ってしまった気恥ずかしさを誤魔化しつつ、何度も何度も繋がってしまいました。

 

 鈍い痛みが残っていますが、それ以上の快楽の熱が幸せな気持ちにしてくれる。

 

「昨日の今日で……」

 

「衝動は軽かったですが、我慢しなかったのは私です。お兄さんは気にしないでください」

 

 満足げな顔をしている自覚はありますが、実際あの果実を食べてしまった私たち二人はこういう突発的な衝動を覚悟しなくてはならないと思います。

 

 男女の効果の違いや、効果深度の差、考えればきりがないのですが、上手く使おうとか考えない方が良いですね。

 しっぺ返しが怖いです。

 

「とりあえず、小猫は休んでおくといい。俺は食料の採取をしてくる」

 

 そう言うと私に毛皮を渡して再度森の中に入っていきました。

 

 ふと、疑問に思った事。

 確かに果実の影響で昨日私達は普通では考えられないような回数を交わり、今日も何度か抱き合ったりしましたが、お兄さんの体力は驚くものがあります。

 

 初体験で負担があったと言われれば私の方が先にダウンした事も頷けるのですが、悪魔と人間の差を埋める程の差でしょうか?

 

 ……お兄さんは、もしかしたらすごい秘密を持っているのかもしれません。

 




 いかがだったでしょうか?

 もう少し色々書きたかったですが、キリの良い所で次話へ回すことしました。

 さて、アンケートの結果です。
(427) 結月ゆかり
(174) 弦巻マキ
(49) 東北ずん子
(149) 琴葉茜+葵
(100) 紲星あかり

 圧倒的!!
 さすが、ゆかりんの人気は他を圧倒しておりました。
 初期から差はついていましたが、もう追いつかせる事も無くゴールです。

 さて、VOICEROIDの設定に関してここでお話しておきます。
 二次創作や実況等々で多くの独自設定があり、当作品で最も都合がいいと言ったら変かもしれませんが、良い設定を独自で決めました。

 生体型アンドロイドです。

 賛否両論あると思いますが、設定の果実を活かしつつ、一般的な彼女のイメージを持ってくるとこういう形になりました。

 次回から登場予定ですのでお楽しみにしてください。

 最後に原作アンケート第2弾です。
 多くのリクエストをいただきまして、その中から上位4原作をチョイスしました。
 最後の一つは作者枠という事でお許しください。

 それでは、次回をお楽しみにしてください。


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04 無人島到着ゆかりさん

 大学時代、ウーロン茶を薄めて飲んでて、友人に貧乏くさいからやめろと怒られたオルカです。

 お茶特有の苦みが好きだったのですが、貧乏学生に2Lペットボトルですら勿体ない時がありまして、お湯だしに出会うまでやっていた実話です。

 さて、VOICEROIDのゆかりさんの登場です。
 この辺りは独自設定や独自解釈が多分に含まれますので、ご注意ください。

 あと、活動報告にて当作品のよくある質問をまとめてあります。
 掲載されていない質問などはコメントや感想にてお問い合わせよろしくお願いいたします。


 私がこの島に漂着して一か月。

 すっかりこの島の暮らしにも慣れてきて、狩りや採取作業も慣れ始めた頃でした。

 

 仕事の割り振りは朝にサラッと済ませてしまうのが恒例です。

 

 今日は私が朝の海岸線探索、お兄さんが罠確認と食材採取に出かけています。

 この海岸線探索は島の外の文化が流れ着く場所です。

 

 瓶や網、時にはスーツケースなんかも流れ着いていて、非常に助かります。

 お兄さん曰く、「宝箱みたいなもんだ」とのことです。

 

「漂着している由来とかは知りたくないですけどね」

 

 無人島にスーツケースが流れ着く事態はそれほど多くないでしょう。

 その理由を想像して精神力をすり減らすより、我々の生活を楽にすることが大事です。

 

 今日はスーツケースが三つも流れ着いていました。

 紫と黒、チェックの柄がそれぞれ。全部大型ですので、本当にあたりです。

 

「……これもあたりになるのでしょうか?」

 

 お下げ髪の女性。

 海水で衣服が濡れて張り付いている。歳はお兄さんと同じぐらいでしょうか?

 

 珍しい紫の宝石の様な装飾が付いた髪飾りを付けている。

 髪留めもゴムではなく、プラスチックの様な固い材質の珍しい物。

 

 ああ、お兄さんが私を助けてくれた時の気分ってこんな感じだったのでしょうか?

 

 教えてもらった救助の確認方法をやってみる。

 

 口元や首筋に手を当てて、呼吸と脈があるかを確認。

 肩を叩いて大き目の声をかけて反応を確認。

 

「息はありますが、意識が戻らないですね」

 

 とりあえず拠点に運んで介抱しましょう。

 スーツケース以外にも沢山の物資が手に入りましたので、拠点が充実します。

 

 ほくほくとした気分で私は、収穫物と女性を担いで拠点への帰路につくことにしました。

 

 

**********************

 

 

 狩りから帰ってきたら小猫が女の子を連れてきていた。

 思わず固まって見つめ合ってしまった。

 

「……彼女は?」

 

「落ちてました」

 

 犬猫じゃねぇんだから。

 いや、彼女なりのジョークなのか?

 

「一通り、確認はしてありますので温めた方が良いと思います」

 

「そうか、お湯を沸かすから濡れた服を脱がして真水の瓶に入れておいてくれ」

 

 そう言うと、火を起こすために準備を始める。

 薪や炭、火を最初に点けるおが屑や枯れた細い草等々は水気が厳禁だ。

 

 だからそれらを保存する為の場所を設置している。

 床には毛皮、壁は粘土を乾燥させて固めた壁、屋根は瓦屋根を参考にして木の板を設置した後に、藁の様な植物を乾燥させたモノを設置している。

 雨季があるので、出入口を高くして水が流れ込まないようにしてある。

 

「脱がすのにも意味が有ったのですね」

 

「濡れている服は渇く際に熱を一緒に飛ばすからな。体温を奪うのを防ぐのが目的だ。全部脱がした後に全身を毛布の様なもので包むのがいい」

 

「あれ? 私の時は下着は残してましたよね?」

 

「俺なりの気遣い」

 

「突然逃げてごめんなさい……」

 

 初対面の時の事を謝られたが、別に怒ってもいない。

 というか、その後に色々と小猫の方が割を食っている気がするから気にしなくてもいいのに。

 

 後は小猫の時にやっていた事と同じように、瓶を温めつつお湯を入れ、直接肌に触れない様にヒモや布で撒いていく。

 

「小猫、これ脇の下と足元、あと股に挟めてから毛皮で挟んであげて」

 

「私の時もそうでしたけど、普通に入れていくだけではダメなのですか?」

 

「熱は血流に乗せる必要があるから、血管が集まっているところに置くのが効率が良いんだ」

 

 はー、などと感嘆の声を漏らしながら瓶をセットしていく。

 流石に女性の裸、見るわけにいかないので、今度こそ食事の用意をしていく。

 

「変なところ律儀ですね」

 

「果実の影響が無かったら今も小猫に手は出してねぇぞ」

 

「それはそれで腹立ちますね」

 

 ジト目で軽く投げつけられた薪をキャッチして焚火にくべていく。

 大分俺も小猫もこの状況に馴染んできたと思う。

 

 一か月間も二人で生活をしてきて、慣れない方がヤバい。

 同じ拠点で生活している以上、コミュニケーションは大事だ。

 

 一人の時は確かに全部一人でやらなければならない。

 しかし二人になって分業や違うアイディアなんかが出るし、多い方が良い……とはいかないのだ。

 

 二人以上になって起こりえるのが対立だ。

 意見の食い違いや待遇の違い、性格の不一致や行動の是非。

 それらが起こると、結局は拠点を分けて島の資源を取り合うようなことになってしまう。

 

「お兄さんは割と相手に合わせたり、意見を聞き入れるだけの度量は有るじゃないですか」

 

「随分と高評価で驚きだね」

 

「一か月ほぼ毎日抱かれてますからね」

 

 無人島生活の中で、娯楽って全然無いから……(震え声)

 それにあの果実の影響なのか精力が強くなっているし、小猫は定期的に疼きが来ると言っているし、双方の利益になる行為だ……そうなんだ!

 

「抱かれるのは嫌じゃないです。むしろ襲っていくスタイルで今後も行こうかと」

 

「ほぼ無表情でとんでもない事を言ってるな」

 

 この一か月で俺から誘ったのは……数回程度。

 後はほとんど小猫側のお誘いだった。

 

「彼女の傍に付いていればいいんですか?」

 

「え? ああ、全裸にされてる状態で男が傍にいるって結構怖いだろ?」

 

「おにいさんって誤解されやすいタイプですか?」

 

 小猫の酷い評価を受けつつ、食事の準備をしていく。

 鹿の枝肉の燻製。

 

 海水から抽出した塩を大量に使って枝肉を水抜きと塩漬け。

 その後、塩抜きをしてから乾燥させ、燻す。

 

 胡椒の原料である植物は活動範囲での自生を確認していない。

 東側と西側の危険地帯、北の山周辺は探索できていないから可能性はある。

 だけど、危険な探索になる事と、移動距離の問題がある。

 

「とりあえず、彼女の介抱は任せる。準備が出来たら声をかけてくれ」

 

「はい」

 

 

**********************

 

 

 夕方。

 

 ウサギの解体を済ませ、今晩食べる分と保存分に分けていた時だ。

 

「おにいさん……」

 

「お? 小猫、あのお嬢さんは目を醒ました……のか?」

 

 振り返った先に小猫と例の女性。

 渇いた服を着ていて、笑みを浮かべている辺りこちらに悪印象を受けているとは思えないが……。

 

「助けていただきありがとうございます。生体型アンドロイド、VOICEROIDタイプ、結月ゆかりです。今後ともよろしくお願いいたしますね、マスター」

 

 生体型アンドロイド?

 VOICEROID?

 結月ゆかり?

 

 俺の知識で彼女の事もある。

 ゲーム実況や劇場動画等々で人気のVOICEROID。

 その中でもトップクラスの人気を誇っていた、結月ゆかりというキャラ。

 

 アニメやゲームじゃなく、主に個人での動画なんかでの活躍がメインだったと記憶している。

 

 生体型アンドロイドなんて、俺の生きていた時代でも完成されてはいなかったはず。

 むしろ、機械型のアンドロイドすら完成されていない。

 

「はい、ゆかりんとお呼びください。マスター」

 

「そういう事みたいなのですが……」

 

 どういうことだよ。

 詳しく状況を聞いてみた。

 

 目を醒ましたゆかりさんに状況を説明した小猫。

 危険地帯と禁止事項、帰る手段が無い事とこの島での指導者だという俺の事を。

 

 そうしたら、彼女の回答が

「それではその方がマスター候補という事ですね小猫さん」

 

 小猫も全く理解できていないようだ。

 

「マスター、お名前を教えてください」

 

「名前? 三国恭治だが……」

 

「小猫さんのフルネームは?」

 

「え? 塔城小猫……ですけど……」

 

 反射的に名乗ってしまった。

 すると、ゆかりさんはスッと目を閉じて何かをしゃべりだした。

 

「マスター登録、三国恭治。サブマスター登録、塔城小猫。……登録完了。日常モードへ移行します」

 

 閉じていた眼を開ける。

 今まで静かな微笑みを浮かべていた彼女。

 

 しかし、今の彼女は……。

 

「というわけで、よろしくね、マスター」

 

 随分砕けた口調になり、ポーズなんかも決めてくれた。

 ああ、さっきのモードが登録前の丁寧モードで、今のが日常的な会話モード。

 

「無人島サバイバルなんて、他の私もそう経験しない事です。ですが、居ない訳ではないです! なぜか同期機能は止まってますが、以前までのデータは残ってます! さぁ! ゆかりさんの活躍はここからです!!」

 

 打ち切りみたいなセリフを……。

 だが、同期機能を……とか、他の私……とか、これは有用な人材か……?

 

 

**********************

 

 

 新しい拠点で生活を共にする。

 マスターの三国恭治さん、サブマスターの塔城小猫さん。

 

「小猫さん、ご飯の用意は私がしますから、採取に行ってきても大丈夫ですよ」

 

 私が来た頃には拠点はずいぶんと安定していて、保存食も多くて、土器の様な物も作られていた。

 

 多くの私からの同期情報で沢山の知識や経験が蓄積されている。

 この島に流れ着いてからは、同期機能が停止していますが、そもそも同期する相手が居ない気もしますし、状況が特殊です。

 

「マスターも仕事があればそちらを優先してもらって大丈夫です。お夕飯はゆかりさんにおまかせです!」

 

 料理系は特に多くの情報を取得していますから、これだけ多くの食材と調味料があれば割といいモノができると思います。

 

 この島の情報は二人から聞かされてしっかりと覚えました。

 特に東側にある植物の群生地帯は特に危険地帯だと聞いています。

 

「そうですね。……おにいさん、採取に付き合ってください」

 

「え? 小猫、まさかお前……!?」

 

 おやおや、マスターと小猫さんが裏の森へと消えていきました。

 恋愛マスターたるゆかりさんは、この状況で想像が出来ます。

 

 料理は後は煮込むだけ、火は熾火になっていますし、石で火が移るのを防いでます。

 時間をおいて覗いてみましょう。

 

 無人島での恋のアバンチュール!

 熱烈なキスを交わしているに違いありません。

 

「フフフ、やっぱり気になっちゃいます! このあたりの情報は別個体たちからの同期はされにくいですからね。こういう機会に学んでおくのが有能なゆかりさんだと思います!」

 

 というわけで、火事にならない様に対策をした後に、サッとお二人が消えていった森の方へ向かいます。

 

 ステルスゲームで何度もプレイした状況。

 視界から外れるだけじゃなく、付けられていると仮定して確認するのは後方。

 だからこそ、真後ろから着いていくのではなく、斜め後方か上方。

 

 そして、地上を歩くなら姿勢を低く、木の上を行くなら出来るだけ高く近く。

 今回は地上を行くことにして、後をついていきます。

 

「やっぱり、おにいさんは最高です!」

 

「いくら何でも堪え性が無さ過ぎだろ……」

 

 声が聞こえてくる。

 近いでしょうか?

 

 姿勢を低くしつつ、近づいていく。

 

「ん……むぅ……レロ……」

 

「チュゥ……レロ……プハッ……一ヶ月間で随分と積極的になったな」

 

「んむぅ、セックスって……気持ちいいん……ですね。しかも……、すればするほど……深く繋がれて……いく気が……」

 

 なんてことでしょう。

 マスターと小猫さんが俗に言う対面立位で繋がっていました。

 小柄な小猫さんからは想像できない淫らな交わり。

 

 しかも、小猫さんの方が積極的です。

 そういえば、マスターを連れ出したのも彼女でしたね。

 

 キスをしながら互いを求めあっている姿は恋人同士の交わりのようで、何度も何度も腰を動かしているマスターと、抱き付きつつマスターの腰の動きに連動して更に深く繋がろうと貪欲に動いている小猫さん。

 

「ふむ、お二人は恋人同士なのでしょうか? だとすれば、マスターはロリコンさんという事に……」

 

 どうしましょう。

 せっかくできたマスターがロリコンさんだと……いえ、お二人が好き合っているのであれば何ら問題も無いのでしょうか?

 

 気分は、家政婦は見た! 状態。

 交わりを観察してみると、マスターのおちんちんは日本人の平均値を上回っていますが……、違和感を覚えます。

 もしかしたら、この島の禁断の果実とやらの影響でしょうか?

 小猫さんがお兄さんのモノをしっかりと咥え込んで、射精まで促す姿はなかなかに淫靡な光景ですね。

 

「もう一回ぐらいできますよね?」

 

「お前本当に好きになったよな……」

 

「こういう後遺症の可能性もあります」

 

「俺自身、精子の生成が異常だって自覚があるからなぁ」

 

 なるほど、件の果実は女性を定期的に発情させる後遺症と、男性の精子の生成力を高める力がある……。

 

 現代医学に喧嘩を売っているかのような効能。

 ゆかりさん、興味が湧いてきましたね。

 




 いかがだったでしょうか?

 原作アンケートの方は継続して掲載いたします。
 次話で締め切り予定です。

 結構な接戦を繰り広げていますが、まだまだ逆転の目があります。
 次話投稿までにどうなっているのか? とても楽しみです。

 それでは次回もお楽しみください。


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05 無人島で興味津々!?

 どうも、台風対策で会社払いでホテルに宿泊していたオルカです。

 良いホテルだと一人部屋なのに広くて、室内で調理とか洗濯も出来るんですね。
 カルチャーショック。

 さて、少々遅れましたが更新です。

 少し長く取っていた原作アンケートも今回の更新を持って締め切っております。
 そして、今回からキャラクターアンケートに切り替えてまいります。

 結果とアンケート内容はあとがきにて!


 あの後、隙を見て拠点へ戻り何食わぬ顔で料理を続けました。

 なかなかに濃厚で、特殊な性行為。

 

 生体型アンドロイドであるゆかりさんは、身体の大部分が人間と変わらないパーツで構成されています。

 脳や感覚器官の一部が人間以上に強化されていたり、型式番号を刻印の代わりにチップで埋め込まれています。

 

 ほぼ人間と同等。

 つまりゆかりさんも性行為自体は可能です。

 まあ、私にそういうことをしようとすると、私自身が受け入れていても本社と情報同期が発生して法律の下に厳正に処罰されます。

 

 多くの私が不満に思い、一部の私が安堵していた機能ですが、この島にはそんなモノは無いです。

 この島での私は少し人より感覚が鋭いお姉さんという事になります。

 

 奉仕気質は抜けませんが、マスターや小猫さんは人間と同じように扱ってくれます。

 これは多くの私だけではなく、弦巻マキ型・琴葉姉妹型や多くのVOICEROIDに共通している願いですね。

 

 マスターが言うには、マスターや小猫さんが居た世界にはVOICEROIDという概念は無いそうで、生体型アンドロイドの成功例すら無い時代なのだそうです。

 

「ゆかりさん、ご飯の用意ありがとうございます」

 

「いえいえ、マスターや小猫さんに助けていただきました、恩返しと言うだけではないですが、この結月ゆかり、今の暮らし水準をワンランクもツーランクも上げちゃいますよ!」

 

 拠点裏でマスター達の青姦現場を観察した日から数日。

 この環境で出来ることは限られてます。

 ですが、出来る事を増やすのはマスターや小猫さんが行ってくれます。

 私も提案や改善に貢献して、より良い環境を作っていきたいですね。

 

「スープ系以外の品も出てくれるのはありがたい。どうしても焼くか煮るかの二択になっちまうからな」

 

「マスターが鉄板を用意してくれたおかげです。小猫さんも料理に使いやすいように整形してくれて、炒め物がとても作りやすいです」

 

 小猫さんは素手で鉄板を折り紙の様に整形してましたが……。

 私が知る限り、そんなことをできる人はVOICEROID界には居ない。

 

「ゆかりさんは、本当に色々知っていますね」

 

「私が知っているというより、別の私が体験や学んだ事が同期されているんですよ」

 

 同期処理。

 私の同型機が経験したり学んだりした事を他の私と共有して知識を高め、経験を積んで、私たちの機能を均一化、危機の迫った個体の救助を迅速に行ったり等を目的にした機能です。

 

 今の私には同期機能が作動していませんが、原因はこの近辺に結月ゆかり型だけでなく、他のVOICEROIDが居ないことでしょう。

 

「ゆかりさんはたくさんいたのですか?」

 

「開発は日本で、世界展開されていましたから……少なくとも日本人でVOICEROIDを知らない人には初めてお会いしましたね」

 

 私たちが意外とマイナーだと言う可能性もありますが、少なくとも医療現場や介護現場では幅広い活躍をしていて、同期機能を利用した入院患者や介護者へのお世話を仕事にしている私もいる。

 

 私だけじゃなく他のVOICEROID達が様々な分野で活躍している。

 私たちを知らないというのは少々考えにくい。

 

「そうなると……可能性として……」

 

 マスターが何事かを考えている。

 少なくともマスターは何らかの形で私たちの事を知っているはずです。

 反応や会話の節々に私を知っているような口ぶりや、反応が確認できる。

 

 でも、マスターが話されるまで待つことにします。

 マスターは無意味に情報を秘匿する人ではない。

 

 昨日お会いしたばかりだと言うのに、どういうわけかマスターへの信頼感は十分です。

 

「さて、苦めの野菜とお肉の炒め物です。ココナッツオイルですから甘めに感じますが、美味しいですよ」

 

 この島でもっとも安定して手に入る油がココナッツオイルです。

 南の海岸線沿いにはヤシの木が沢山生えていて、必要に応じて採取してココナッツミルクからココナッツオイルを抽出する。

 

「ココナッツオイルはクセがあるから苦手な奴は苦手なんだよな」

 

「おにいさんは大丈夫なんですか?」

 

「お菓子をイメージしてしまうな」

 

 ああ、分かります。

 サブレとかでお菓子のイメージは強いですからね。

 

 

**********************

 

 

 おにいさんは気づいていないでしょうけど、ゆかりさんが私たちの行為を覗き見ていました。

 興味津々に離れた所から見られていたというのは奇妙な気分になります。

 

 あれからというもの、ゆかりさんは私とおにいさんとの行為を覗き見ることが多くなっています。

 

 沢山のゆかりさんからの同期情報にはそういった情報や経験は無いと言っていました。

 なんでも、生体アンドロイドへそういう行為をすると法律で裁かれるのだそうです。

 

 ただ、そういう行為をする輩は多いそうで、そういう行為をする人は同期機能を停止させるのだそうです。

 いつの世も人間の欲望とはすさまじいです。

 

 私はゆかりさんがおにいさんのコミュニティに参加することに不満はありません。

 ただ、おにいさんとの行為が思うように出来ないのが残念です。

 

 おにいさんの精力はたぶん十人で一気に相手にしても、返り討ちに合いそうな程の絶倫加減。

 私が求めればそれに応えてくれますが、お兄さんから求めてくることはありません。

 

 それが残念ですが、拒否されないだけマシです。

 この一か月以上を一緒に生活してきて、おにいさんの性に対する考えは、一歩引いたもの。

 

 私が誘ってようやく抱いてくれるような対応なので、自身の体格も相まって自信を喪失した時期もありましたが、おにいさんは性行為に対して無ければ無くていいものと言う考えを持っているようです。

 

 二年間も一人でサバイバル生活をしてきただけあって、切り詰めるところを切り詰めるようにしていることが良く分かる。

 

 おにいさんが言っていましたが、この島に来て三回ほど死にかけたと言っていました。

 だから、余分な物や不必要な物を切り捨てて生活してきたので、性に対して非常に受け身な様に思えます。

 

「ハマっている自覚はあるのですが……」

 

 こんなことを考えるのは、おにいさんとのセックスが日常の一部になって、日課の様に毎日励んでいたからでしょう。

 果実の影響で始まった関係でしたが、する度におにいさんとの行為が気持ちよくなっていって、こんな身体なのに全身を慈しむ様に優しく愛された記憶で今も下腹部から甘い切なさを帯びる。

 

「私の知っている、おにいさんの全力は……、おそらく最初の行為なのでしょう」

 

 果実の影響があっても私の身体を心配して全力のセックスはしていなかったというのに、日暮れから翌日の朝まで励んでしまいました。

 

 結果として昼まで二人で動けない状態になってしまいましたが……。

 

 あれは一種の調教だったと思います。

 おにいさんに自覚は無いでしょうが、本来未熟な性感帯を時間をかけて開花させるのが一般的らしく、おにいさんは果実の毒素を逆に利用して開花を異様に早く達成させてしまいました。

 

 果実の効果は、分かりやすく説明するならRPGでの支援魔法です。

 

 とても強力で、重ね掛けとかしてステータスを底上げして攻撃力や防御力を高めたり、回避力や魔力を上げたり、それでも戦闘が終わるとその効果は無くなって、キャラの元性能に戻ってしまう。

 

 性感帯なんかが敏感になって、効果が切れたら元に……とは流石にいかない。

 快感とは神経の伝達経路の習熟だとおにいさんは言っていた。

 

 バフが掛かっている状態で、気持ち良く慣らしていたのが最初の方の行為なのだそうです。

 

「それにお兄さんにまだ報告していないこともありますし……」

 

 恥ずかしさからくるものなのですが、性癖というものがあります。

 キスが好きとか、激しくされるのが好きとか、そういうセックスの好みというか、他人よりその行為で興奮する分野が性癖と言えると思います。

 

 スンっと、鼻を鳴らす。

 

 私は、俗に言う匂いフェチというものなのでしょう。

 おにいさんの匂いがたまらなく好きで、日常生活でもついつい匂いを嗅いでしまう。

 洗濯当番を買って出ているのは、趣味と実益を兼ねた素晴らしい行為だと思います。

 

「これが私本来のモノなのか、果実の影響なのか……切り分けがし難いです」

 

 これは言い訳で、単に恥ずかしいという事でもあります。

 明確な建前が出来れば報告できるのかもしれませんが、私一人では判断できる要素としては弱いと思います。

 

「そこで、ゆかりさんの出番ですよ!」

 

「うにゃ!?」

 

 びっくりした。

 いくら考え事をしていたとはいえ、私が感知し損ねるなんて……。

 

「フフフ、お悩みですね小猫さん! 私、結月ゆかりにお任せください!」

 

「いきなりなんですか、ゆかりさん。独り言を聞くなんてマナー違反です」

 

「このゆかりさんに、小猫さんの悩みを解決できる良い方法があります!」

 

 ドンッと胸を叩く彼女。

 私と大差がないオッパイがちょっと仲間意識を喚起させられる。

 

 オカ研は皆さん大きかったですから……。

 

「その方法がですね……」

 

 そう言いながら口元に手を当てながら、私の耳元へ寄ってくる。

 耳打ちされた内容は、ある意味予想通りでおにいさんの苦労が偲ばれる内容でした。

 

 ……おにいさんの役得だと納得するとして、さてその作戦を実行に移す段取りを話し合わなければならない。

 

 この瞬間、私と結月ゆかりさんの協定が成立したのでした。

 




 いかがだったでしょうか?

 さて、原作アンケートの結果ですが
(616) ネギま!(2名)
(615) ハイスクールD✖︎D(1名)
(292) コードギアス(1名)
(244) 空の境界(1名)
(135) ながされて藍蘭島(1名)
 となりまして、一票差で『ネギま!』に決定いたしました。

 ただ、ハイスクールD×Dも人気でしたので、次回の原作アンケートにて確定で登録いたします。
 投票していただければ幸いです。

 それではキャラクターアンケートをどうぞ!

(追記)※6/30 13:22
 メッセージで木乃香と刹那の百合組の間に主人公を入れるのか?
 というものを頂きました。
 当作品のコンセプトとして入れることは確定しておりますので、もし百合女子の間に男性キャラが入ることを許せない方は、別組に投票することをお勧めします。


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06 無人島の淑女同盟

 どうも、散髪後の頭部の涼しさに慣れないオルカです。

 散髪後は高確率で体調を崩すので、対策はしっかりとしたいところ。

 さて、ついに女性同士が結託しました。
 どうなるのか!? キョウジ君はがばって欲しいですねぇ。

 さて、この投稿を持ってキャラクターアンケートは締め切ります。
 このまま原作アンケートへ移りますので、投票をお願いします。

 アンケートの結果はあとがきにて!


 最近、小猫とゆかりさんの仲が良い。

 仲が良いのは良い事なんだが、俺に隠れて何かをやっている様なのだ。

 

 別段、二人で楽しんでいるなら良いのだが、時折こっちを見ている時がある。

 話しかけても、何でもないと言って採取などに行ってしまう。

 

 まぁ、採取の量も十分だし、時々丁度いい大きさの石や蔓を持ってきてくれるから、二人での協力採取は是非ともやっていただきたいが、ちょっと怖い物を感じる。

 

 フワリと潮風が鼻をくすぐり、嗅ぎ馴れた磯の香りと同時に違和感を届けてくれた。

 

「雨季が近いか……?」

 

 徐々に湿度が高くなり、雲も増えてきた。

 日光が差さない日が多くなってきたが、雨季は割と長くて、雨量もすごいから対策もしっかりしないとな。

 

 保存食の消費を抑えて、採取物を中心に消費させていこう。

 この方針はしっかりと伝えないと、最近の料理当番はゆかりさんだし……。

 

 寝所や備蓄小屋、薪小屋、その周辺に水路を掘って雨水の流れを拠点の外へ誘導する。焚火を囲むように広く屋根と風と雨除けの簾の様なモノを海側に張る。

 

 火を使う場所は広く取らないといけない。

 料理や暖を取るだけじゃなく、雨季の水浴びの代わりに身体を拭く為のお湯を用意したり、かなり重要な場所だ。寝所を多少疎かにしてでも焚火周辺を固めるべきなのだ。

 最悪、焚火の周辺で寝れるからな。

 

 次に薪などの燃料だ。

 一度炭を作る必要があるだろう。

 

 炭はわざと不完全燃焼を起こして、普通の木よりも燃焼時間を延ばした物だ。

 大量の木を燃やし、粘土等で密閉して僅かな空気穴を残して塞いで完成する。

 

「炭はレンガや土器を作る時に必要だから、量は確保しておきたいな」

 

 三人に増えた拠点利用者。

 元々自分が一人で生活する為に用意していた拠点だ。

 設備や広さが足りなくなってきている。

 

 自分と小猫だけなら多少手狭だが、生活するには困らなかった。

 だが、ゆかりさんが加入して生活をする以上、拠点の拡張は急務だ。

 

 その為には、レンガや土器が必要だし、そのレンガや土器を作るには炭が必要だ。

 その炭を手に入れるにはどうするか?

 

 拠点拡張の為に木を数本切り倒し、それらを炭や家具へと加工する。

 

 特に小猫の怪力はこういった作業の時に非常に役に立つ。

 悪魔の『戦車』の特性は怪力であり、このサバイバル生活でも非常に有用な力なのだから。

 

「小猫」

 

「なんですか?」

 

「拠点の拡張と炭の確保をしたいから数本木を伐採するんだが……」

 

「お手伝いします。ゆかりさんには火の準備をしてもらいましょうか?」

 

 確かに、ゆかりさんは普通の女性と変わらない力だし、火の番や炭の回収運搬を任せた方が良いだろう。

 

 本来なら時間の経った倒木を使うのが炭づくりには必要なんだが、今回は生木を倒して木材化し、備蓄にしてある薪を炭にする。

 

 木材小屋で乾燥させないと薪としても炭としてもあまり適さないのだ。

 

「そうだな。ゆかりさん、木材小屋の薪を全部出せますか?」

 

「それぐらいならゆかりさんにお任せですよ」

 

 ムンッと力こぶを作って見せるようなポーズで快く引き受けてくれる。

 木材小屋は結構広く作っていて、その中を大量の乾燥済みの薪で満たしている。

 

 一人では重労働であることは分かっているが、生木を数本切り倒すこっちの方が大変だし、人数も足りない。

 切り倒し、枝を落として、丸太を切り分ける。

 

 鋸なんて無いから、石斧と流れ着いた鉄板を叩いて成型した鉄斧擬きで斬っていく。

 木屑はまとめて乾燥させて燃焼材代わりにする。

 

 葉っぱは乾燥させて、火口や土壁のつなぎに使おう。

 

 人の都合で切り倒すのだ。

 全部完璧に使い切るのが俺なりの礼儀だ。

 

 切株ですら、掘り起こして薪にしたり、炭づくりの為の土台にして炭化させる。

 

 切株放置はその場所に他の植物が生えるのを妨げるから、理由が無い限りきちんと処理するのが適切だ。

 

 だから一本切り倒すだけでも重労働なのだが、小猫が切株をズボッと片手で抜いてくれるので非常に助かる。

 

「じゃあ、それぞれの持ち場で仕事を頼む」

 

「「はい!」」

 

 油断というか、気が抜けていたというか。

 小猫がゆかりさんと仲が良い事と、セックスに積極的なことを踏まえて、予想をしていれば……と後悔するのはこの日のグッタリ疲れ切っていた夜の事だった。

 

 

**********************

 

 

 夜。

 汗を流してから晩御飯を食べて、一息。

 

 ココナッツジュースと島の果物を潰してできたミックスジュース。

 それをゆかりさんから勧められて飲み干した結果。

 

「これは、小猫さんがハマるのも分かりますね」

 

 対面座位でゆかりさんを抱いていた。

 背後で小猫が裸でくっ付いていて、双方あの果物の効果がはっきりと現れている。

 俺自身もガッツリとその効果が出ている。

 

「おにいさん、どうですか? ゆかりさんの具合は?」

 

「スッゲェ下衆な質問してる自覚はあるか?」

 

「俗に言う竿姉妹になるのですから、興味はありますよ?」

 

 下衆いぞ!?

 本当にどこでそんな知識を仕入れてくるのか?

 同級生とか、悪魔の仕事とかかね。

 

「じゃあ、小猫さんはお姉さんになるのですかね? ふふ、それはそれでいいのかもしれません」

 

 余裕そうな口調をしているが、顔が赤く、目も若干虚ろ。

 腕を俺の首に回し、足は俺を挟み込む様にして固定している。

 逃がすまいという意思の様なモノを感じる。無意識なんだろうけど……。

 

「う……ぁ……マスター、これが抱かれるという事なんですね」

 

 口元に涎を流し、恍惚といった表情のゆかりさん。

 俺の後ろから小猫が耳元を舐めながら、首筋の匂いを嗅いでくる。

 

 何とも言えない女性に挟まれて、『嫐』の字のごとく。

 

「ゆかりさん、キスしながら身体を密着させてみてください。おにいさんの体温が感じられてすごいですよ」

 

「こう……ですか? ……ん……むぅ……チュル……むぁ」

 

 文字通り挟まれた。

 

 ゆかりさんは生体型アンドロイドと言っていたが、普段の会話や手を握ったときなんかでも人間としか思えないし、こうして抱いている状態でも、密着している状態でも感じる肌のハリや吸いついてくるような感覚は人と何ら変わりない。

 

 スベスベとした感覚に胸板に感じる二つの突起。

 控えめのサイズながら確かに感じる柔らかな感触と、擦れる度に俺の股間を締め付ける膣。

 

 我慢していたのが漏れてしまった様な喘ぎ声が俺の理性をガリガリと削っていくのを感じる。

 

 遠慮がちに舌を這わせ、絡める様に舌同士で舐り合う。

 瞳に涙を浮かべ、ピクピクと跳ねる身体を恥じる様に頬を染める姿。

 

 それだけで、俺の股間は固く、そして敏感になっていく。

 

「更にこうするとですね……」

 

「うひゃぃ!?」

 

「うをぉ!」

 

 小さな悲鳴と共にゆかりさんの膣がギュッと狭まり、危うく出してしまう所だった。

 

 原因であろう小猫の方を見ると。

 猫耳と尻尾が生えていた。

 

 本人が言うには猫鼬モードとか言っていたが、いわゆる普通の状態。

 力を出すときに自然現れてしまうものらしい。

 

 その尻尾がゆかりさんの背を撫でている。

 これが原因か……。

 

「小猫……」

 

「ゆかりさんは肌が敏感みたいですね。……特に乳首とか来るんじゃないですか?」

 

 そう言うと俺とゆかりさんの間に手を滑り込ませ、彼女の乳首を指で挟む。

 

「ひぅ!?」

 

 ビクッと全身が跳ねるのが分かった。

 敏感な部分なのかもしれない。

 

 生体型アンドロイドと言っても人と変わらない彼女は性感帯が未熟であり、初体験の女性だ。

 

 果実で発情しているとしても、やっぱり未熟な性感帯で無理やり性行為を行うのはダメだ。

 良くも悪くもこうして性行為ができる状態になったのなら、俺だけじゃなく、相手も出来るだけ気持ちよくなってほしい。気持ち良くしたい。

 そういう感情は男としてあるのだ。

 

「あぁ、マスター。中に……膣内に欲しいです……」

 

 ゆかりさんの懇願。

 潤んだ瞳と震える声でそんな風に言われると一気に射精感が高まってくる。

 

 現金なものだと呆れるが、男の本能の様なモノなのだろう。

 それに、外に出そうとしたところで、彼女の脚が俺の腰をしっかりと捕えていて、更には後ろには小猫がしなだれかかる様に控えている。

 

「出すぞ!」

 

 最奥。

 まだ硬さが残る膣の奥までゆっくり進み、そこで自身の欲望を一気に吐き出す。

 

 ビクンビクンッと絞り出すような感覚。

 そして、それに合わせてゆかりさんが絡めている足を使って、グイグイッとさらに奥へ導こうと動く。

 

 その動きと膣の締め付けで再び高まり、次の射精に向けて動き出したい衝動に駆られる。

 

「ゆかりさん、気持ちよさそうですね」

 

 背後から小猫がゆかりさんの表情を見ながら語り掛けている。

 その表情は慈愛に満ちた笑みに見えた。

 

「では、次は私ですね。おにいさん、ゆかりさんを休ませつつ、私の相手をお願いします」

 

 そういってゆかりさんをを隣に寝かせると、彼女のいたポジションに収まる。

 もう準備万端だったのか、そのままの勢いで俺のイチモツを一気に彼女の中に導いていった。

 

「うっ、ぐ……」

 

「あぁ、流石おにいさんです。全然衰えていないし、私の気持ちいい所に全部当たって……」

 

 ビクビクッと痙攣している小猫の膣を堪能しつつ、彼女の相手を始めていく。

 

 ふと思ったのだが、俺は休み無しなのか?

 もしかして、同盟を組んで俺にベッドの上で勝とうって感じか?

 

 ……性行為とかどうでもいいと思っていたが、あからさまに挑戦されると負けたくねぇよなぁ。

 




 いかがだったでしょうか?

 キャラクターアンケートの結果は
(503) 近衛木乃香&桜咲刹那
(289) 宮崎のどか&綾瀬夕映
(241) 明石裕奈&大河内アキラ
(64) 釘宮円&椎名桜子
(183) 古菲&長瀬楓
です。

 圧倒的な、近衛木乃香&桜咲刹那でした。
 能力的にはバランスの良い能力ですので、サバイバル生活での活躍も期待出来る事でしょう。
 さて、それでは次の原作アンケートとなりますので、投票をよろしくお願いいたします。


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07 無人島に流れつくネギま! 関西組

 どうも、コカ・コーラから出たエナジードリンクが美味しかったオルカです。

 コーラっぽいんだけどちょっと違う、そんなお味でした。

 さて、原作アンケートがすごい事になっていましたので、一旦締め切りまして、キャラクターアンケートの前に、時系列アンケートなるものを行いたいと思います。

 詳細はあとがきにて!


 大量の炭を手に入れて、雨季の対策は順調だった。

 

 燻製の作成。

 キノコ類の乾燥処理。

 流石に発酵食品には手が出せないが、十分に備蓄が潤っている。

 

「そろそろ、私たちの活動エリアの採取が難しくなってきています」

 

 小猫の言葉。

 三人分の食糧を備蓄するには量が必要で、植物やキノコ類は取り過ぎると、今後その場所での採取が出来なくなる。

 

 タラの芽などはてっぺんの一番株以外の採取はしてはならない。

 枯れやすくなるのと、来年以降の採取が出来なくなるからだ。

 

 それと同じで、確実に復活させられるように採取せずにとっておく植物や動物がいる。

 

 魚釣りでもサイズが小さいとリリースするのはその為だ。

 

「大分採取しましたからね。中間拠点の作成と未探索エリアの探索をした方が良いですね」

 

 ゆかりさんの言う未探索エリアとは、南側でも探索しきれていない箇所の事だ。

 西エリアと東エリアは立ち入り禁止だが、危険である以外に遠いという事実もある。

 

「来期の食糧が取れなくなるのは痛いな。西側へ採取エリアを拡大するか……」

 

「東側はどうですか? あの果物さえ無ければ普通の森林地帯だと思いますが……」

 

 正直な話、あの果物は未知数だ。

 どういう方法で実をつけるのか、種の運搬方法や東側の川周辺に群生している理由など。

 

 俺は分かっていない事が多すぎるあの植物へは触れないことが安全策だと思っている。

 その植物を二回ほど身内に盛られた俺が言うのも説得力が無いかもしれんが……。

 

「果実は実を食べることで毒性が回るが、それだけとは限らない」

 

「花粉とかですねマスター。実をつけるからには種もあるはずですが、どうやって種の分配をしているかもわかりませんからね」

 

 中間拠点の作成と、東側の調査か……。

 現状、西側の肉食動物の縄張りを調査するには戦力が足りない。

 

 対抗できるのが小猫とサポートに徹すればギリギリで俺がカウントできる。

 単体で狩りをするタイプの動物ならいいが、群体での狩りが主体の動物は実に厄介だ。

 

 一体や二体を撃退したとして、三体目四体目が襲ってくる。

 一度でも体勢を崩せばそこから一気に畳みかけられる可能性もある。

 

 戦力の充実と医療知識を持つ人間か、小猫の世界の様な回復の概念がある世界からの回復役、そう簡単にいかないだろう。

 現状で一番現実的なのか、中間拠点を作っての探索範囲の拡大だ。

 

 島を大雑把に分けると、山岳地帯の北部、生活拠点で砂浜の海岸線がある南部、肉食動物の縄張りである西部、危険な植物が群生している東部、それらの特色が混ざっている中央部がある。

 

「私たちは南部ですら一部のみの探索です。初めて私がこの島に来た時は東側まで一気に行きましたが、探索や深部へは全く行けていません」

 

 東部、西部、北部。

 どれも探索となると行くだけで時間がかかってしまう。

 かなり広い島ではあるが、一日で一周することはまず不可能。

 近場での採取にも限界が見えている今、探索範囲を広げるとしての目的が必要だ。

 

 危険が目に見えている西部。

 未知数であり、例の植物の調査も兼ねた東部。

 

 北部は山岳地帯だが、険しい道のりとかなり遠い事で選択肢からは外している。

 

「今日は二手に分かれて調査だな。中間拠点の候補地確認と東側の調査だ」

 

「でしたら、私一人で中間拠点の候補地を探してきます。おにいさんとゆかりさんで東側の調査をしてください」

 

 小猫の提案に驚いた。

 班を分けるにしても、誰かが一人になるし、一人になるなら俺か小猫だと考えていた。

 

 だけど、自分から申し出るとは思わなかった。

 

「私なら一人である程度の危険は対処できますし、目鼻耳も利きます。中間地点の候補地を探すには私が適任ですし、東側の調査にはおにいさんやゆかりさんの知識が必要です。万が一の危険もおにいさんなら切り抜けられるでしょうし」

 

 そこまで言われたら頷くしかなかった。

 小猫もここに順応してきているようだ。

 

 そうと決まれば、三人でそれぞれの仕事の為の準備をしようじゃないか。

 

 

**********************

 

 

 テッポウウリという植物があります。

 これは鳳仙花と同じく、種を遠くへ飛ばすために爆発というか破裂みたいな落果を起こす植物です。

 

 こういった挙動をする植物は珍しくなく、調べればさらに面白い植物なんかも沢山出てくるでしょう。

 

 『植物界のサイコパス』なんて呼ばれている『ゴジアオイ』なんか面白いですね。

 自ら発火しやすい物質を出して自然発火させて、焼き畑農業を行う中々の植物です。

 そして、ちゃっかり自身は耐火性能のある種子を残して悠々と芽を出します。

 

 なんでこんな思考をしているのかというと……。

 

「この植物の落果は、テッポウウリみたいな破裂型か……」

 

 探索中に黒く変色した例の果実を発見。

 近づいた結果、顔面に種を含んだ果汁を飛ばされた。

 

「大丈夫か? ゆかりさん」

 

「はい、ただ果汁が顔にかかった時に飲んでしまったかもしれません」

 

 東の森を探索中に、黒く変色した果実を発見し、調べようと触れた瞬間に顔へとぶっかけられました。

 黒い種が当たって少し痛かったです。

 

「症状はどうだ?」

 

「正直、普通の状態の果実を食べた時よりは軽いです。ただ、耐えるのは厳しいと思います」

 

 あの果実の落果は、発酵してアルコールが出来ているのかお酒の匂いが周囲に充満しており、周囲の空気は異様なモノになっています。

 

 最初に足を踏み入れた時は、あまりの甘ったるい空気に咽てしまいましたし。

 

「なら、少し解消しておくか? 探索の進みも序盤だし、外に出てしまえば問題無いだろう」

 

「……そう、ですね。正直、我慢してとか一人で処理してくれとか言われたらどうしようかと思いました」

 

「そんなに辛そうに……苦しそうにしてるのに、そんなこと言えねえよ」

 

 困ったような表情のマスター。

 不覚にもキュンとしてしまいました。

 

 

**********************

 

 

 簡単な宿泊道具を持ってきている。

 不測の事態に備え、宿泊道具や簡単な調理器具は持ってきているし、燻製肉等の保存食も持ってきている。

 

 帰れない事態になった時の備えなのだが、東側の危険地帯の調査という事で、毒素にやられる覚悟もしていた。

 

「ふ……ぅん……ぁ……」

 

 首元を舌で愛撫するようにゆっくりと這わせていく。

 ほんの少し舌が進むだけで、彼女を支えている腕にピクピクと肩が跳ねる感覚が伝わってくる。

 

 熱に浮かされて肌がほんのりとピンク色に染まっている。

 それに伴ってか、女性特有の甘い香りが吐息と共に鼻腔をくすぐる。

 

「マスター、こっちも……」

 

 グイっと頭を彼女の胸元に誘導される。

 しっかりと頭を固定されていて、他に動かすことができない。

 

 要望にお応えして、眼前にある彼女の胸に舌を這わせていく。

 本人は気にしているようだが、胸の膨らみと情事の快感で固くなっている乳首はしっかりと俺の興奮を高めてくれる。

 

 彼女の方は果実の毒素の影響が出ているが、俺は一切口にしていない。

 今の状況でこっちも食べてしまうと、終わるころに夜が明けている可能性があるからだ。

 

 胸のふくらみを外周からなぞる様に渦巻きを意識しつつ、舌を這わせていく。

 ゾワゾワとした感覚に彼女の足が固くくすぐったそうに動いているのが見える。

 

 そして、頂に自己主張しているピンク色のかわいい豆に舌が届いた瞬間。

 

「ひゃうん……!?」

 

 今までの噛みしめたような声とは全く違い、思わず漏れてしまったような声。

 もしやと思い、彼女の胸に口をつけ、先端を丁寧に舐めていく。

 

「ひぅ!? ましゅ、ましゅたー!?」

 

 呂律が回っていないが、彼女の最も敏感な部分。

 それが分かってきた。

 

 そうと分かれば、毒素を抜くという目的こそあるが、ゆかりさんを目一杯楽しませてあげたい。

 

「ほら、もう少し刺激していくぞ」

 

 そう言うと、固くなっている乳首を舌と唇で甘噛みしていく。

 力を入れるとビクビクッと身体や足が跳ねてとても分かりやすい反応を見せてくれる。

 

 小猫は最近、俺の匂いをよく嗅いでいるようだが、ゆかりさんは胸が非常に敏感になっているようだ。

 

 八重歯の部分で強くし過ぎないように乳首をつついてやる。

 ゆかりさんの身体が突く度にピクピクと震えて、口から小さな声が漏れ出ている。

 

「マス……ター……、そろそろキテ……」

 

 その言葉と共に、ゆかりさんの秘所が俺の太ももに擦り付けられる。

 しっかりと濡れている彼女の膣は、待ちきれないとばかりに押し付けられる度に愛液が流れ出ている。

 

 その誘いに導かれるまま、ゆっくりと挿入していく。

 

 初めて抱いてから少し時間がたっているが、身体はまだ慣れていないはずだ。

 それなのにしっかりと膣が熱く、大量に愛液が出ている。

 

「ぁぁ、マスター。もっと抱いてください。もっと胸を……」

 

 今はゆかりさんの疼きを解消してあげないと。

 この様子だと昼過ぎまでこのままだろう。

 

 果実の研究。

 やっていかないときっとどこかで詰む可能性がある。

 危険だが、やっていかないと。

 

 

**********************

 

 

「すみません、マスター。貴重な時間が……」

 

「東側の探索だ。俺がそうなってた可能性もあるし、気にするな。それに、あの植物の落果の特性が破裂型って分かった、十分に進歩だよ」

 

 東の川に沿って森を探索中。

 あの植物は赤い実が完熟であり、落果に近くなると黒く固くなる。

 未熟な実は緑色で、見た目だけなら熟れていないバナナのようだ。

 

 黒くなった実は、少しの衝撃で破裂して中の果汁と一緒に種子を吹き出す。

 果汁は発酵しているのか、匂いが独特になっている。

 

「ありがとうございます。この植物だけじゃなく、東のエリアは詳細をしっかりと記憶しておきます」

 

 生体型アンドロイドと言うだけあって、ゆかりさんは非常に記憶力が良い。

 良いというか、劣化無しで記録できるらしい。

 

 定期的に整理すれば俺らの一生分を記憶しても余るぐらいの容量が有るらしい。

 

「東側の海岸線ってどうなっているんですか?」

 

「岩場の多い場所だ。砂浜とは別の食材があるだろうが、それを目的にここまで来るのは労力に合わないかな」

 

 岩ノリや海ブドウ、沢蟹や小魚なんかはここの方が取りやすいだろう。

 魚釣りなんかはこっちの方が向いている。

 

「北側と西側は?」

 

「北側は分からん。あの山を越えるか大きく回り込む必要がある。西側は絶壁の崖だ。北側ほどじゃないが、山岳に近い標高を持っているはずだ」

 

 東側の探索。

 ゆかりさんと雑談をしつつ、周囲を確認していると誰かの声が聞こえた。

 

 焦ったような叫び声。

 ゆかりさんと顔を見合わせると、その方向へ走っていく。

 

「誰か! 誰か、せっちゃんを助けたげてぇぇ!」

 

 叫び声に近づいていくと、岩場で胸と股間を抑えて倒れているサイドポニーの女の子と、ストレートの黒髪に関西弁で叫んでいる女の子。

 

 小猫やゆかりさんと同じ漂着者か?

 助けてってことは、怪我か毒?

 

「マスター!」

 

「ああ、合流して確認だ!」

 

 毒や怪我だと対処が遅れると手遅れになるかもしれない。

 手早く助けてあげないと危険だ。

 

「助けて……助けてください……!! せっちゃんが……せっちゃんが!!!」

 

 駆け寄っている俺らに気づいたのか黒髪ロングの少女が必死に俺らに声をかけている。

 これは……大変なことになるかもしれんな。

 




 いかがだったでしょうか?

 アンケートの結果
(141) 生徒会役員共
(830) 魔法少女リリカルなのは
(379) ハイスクールD×D
(158) 僕のヒーローアカデミア
(124) VOICEROID
 以上となっております。
 予想はしてましたが、予想を超えましたね。

 本来はもう少し原作アンケートを掲載しておくつもりでしたが、急遽別アンケートにうつらせていただきます。
 時系列アンケートです。

 参加時期を選んでいただければ、その年代のキャラでの参加となります。

 それではアンケートにご回答いただければ幸いです。


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08 無人島で自己犠牲の果てに

 どうも、最近長瀞さんの漫画が面白いオルカです。

 割と初期からこの作者さん知ってるだけに、すごい感覚になりますがw

 さて、少し遅れてしまった上に、それほどエッチィシーンが無いですが、次回は頑張れればと思います。

 アンケートについては、もう少し載せておきます。
 接戦というほどではないですが、大きく差が開いているわけでも無いので、もう少し期間を延ばしていきます。

 それではどうぞ。


 東側海岸線に二人の女子が流れ着いていた。

 基本的に砂浜での漂着しか気にしていなかったが、東側にも流れ着いていたようだ。

 

 西側は断崖絶壁の崖だったはずだから、南側と東側で漂着者を見つける可能性があるわけだ。

 

「大丈夫ですよ。マスターや私が来ましたからもう大丈夫です」

 

 ゆかりさんが、泣きながら恐慌状態になりかけていた少女をなだめている。

 こういう時に彼女の落ち着いた声色と包容力というか、相手を落ち着かせる様な雰囲気が役に立つ。

 

 俺だとどうしてもこの年頃の女の子には警戒させてしまう可能性もある。

 

「どうした? 苦しいのか……?」

 

 うずくまって呼吸を荒げているサイドポニーの女の子へ声をかける。

 反応を返すだけの余裕があるかどうか、直接容態を聞けるかどうかだ。

 

「……ぁ、……ぁう」

 

 反応はあるが、応答ができる状態ではないか……。

 制服姿でスパッツを履いていて、下着こそ見えないが襟袖や足がピンク色に上気している。

 

 これは東側であることを考えると……。

 

「せっちゃん、ウチが食べる前に毒味や言うて、変な木の実食べてから……!」

 

 予想的中だよ、クソ!

 しかし、ここまで重篤な状態になっているのは初めて見た。

 小猫たちはこうなる前に俺を襲うし……。

 

「水を飲ませたりしたんやけど、全然よくならなくて……」

 

 水。

 東の川の水か?

 だとしたら、逆効果の可能性もある。

 

 あの落果の方法。

 大量の果汁を地面や川にまき散らしている。

 

 川や土に大量の毒素が溶け込んでいる可能性があるのだ。

「木の実を食べた数と、水はどれだけ飲ませた?」

 

「えっと、木の実は一つで……、水は沢山……」

 

 判断としては間違ってはいないのか。

 大量の水を摂取することは異物を吐き出したり、薄めたり、体外への排出を助けるから間違った対処ではない。

 もちろん病院に行けるならそれが最善なのだが、個々人で出来る対処の話だ。

 

 果実一つで最初の小猫よりも軽いぐらい。

 だけど、今の彼女は明らかにオーバードーズ状態。

 

「私は結月ゆかり。この人はマスターの三国恭治さんです。貴方たちのお名前は?」

 

 落ち着いてきた辺りでゆかりさんが自己紹介を始める。

 良い判断だ。

 

 サイドポニーの娘の為に焦り、涙すら見せていた彼女。

 どれだけの不安が襲っていたのか分からない。

 

 ゆかりさんは俺たちが味方であると少しずつ理解させて、その不安を緩和させようとしている。

 同性である彼女だからこそ出来る事だ。

 

 俺じゃあ緊張させてしまうかもしれない。

 

「うちは……近衛……木乃香……です。この娘は桜咲刹那……」

 

 聞いたことのある名前。

 記憶にある特徴とも一致している。

 

 一体どうなっているんだこの世界は?

 ハイスクールD×DとVOICEROID、更には『ネギま!』か?

 

 一度しっかりと状況をまとめないと今後大変だろう。

 それこそ、更なる漂着者が現れないとも限らない。

 

「お願いします、せっちゃんを助けてください。三日前からもう息も荒くて……死んじゃうんやないかって……!」

 

 三日だと。

 男女差があるとしても、あまりにも長い。

 

 女性同士でのそういう行為に及んだ形跡が無いことから、純粋に精神力だけで耐えていることになる。

 

「果実一個で三日も発情が継続しているというのは……どうなんでしょうか? 私たちはその日のうちにマスターにお願いしてましたし……」

 

「近衛さん、水って言うのは森の中を流れているあの川の水かい?」

 

「え、あ……はい。近場でお水取れるのあそこだけやったし……」

 

 まずいな。

 近衛さんは知らなかったようだが、あそこの水は果実の毒がタップリ溶け込んでいる可能性が高い。

 

 桜咲さんの意識は殆ど無い。

 これ以上、果実の毒を飲ませると、壊れてしまう可能性がある。

 

 とりあえず、気休め程度でもやっておかないと。

 

「ゆかりさん、俺らの飲み水を飲ませてあげて、俺は簡易担架の材料を集めてくる」

 

「分かりました、気を付けてください」

 

 ゆかりさんの言葉に頷くと、丈夫で長めの棒を二本探しに行く。

 

 本来なら物干し竿を二本とかで作るのがベストなのだが、そんなものが都合良く流れ着いてくるわけがない。

 流木や倒木から切り出して持って行かないと……。

 

 

**********************

 

 

 せっちゃんが変な果物を食べて倒れてから日に日に体調が悪化していって、二日目で起き上がれなくなって、三日目でついに会話も出来なくなって……。

 

「せっちゃん……ごめんな。本当にごめんな」

 

「う……ぁ……」

 

 しゃべれなくなる前にせっちゃんが言ってた水をたくさん飲ませる方法。

 変な果物を食べた後、すぐにせっちゃんが吐き出していたけど、少しずつ体調が悪くなっていって、今の状態になってもうた。

 

 そんな中、今日合流できた人たちは良い人達やった。

 

 動けないせっちゃんを木の棒と上着で作った担架で、この人たちの拠点に運び込んでくれた。

 その間もここに来た時の状況や食べていたモノなんかを聞いていくつか質問をしたり、雑談をしたりした。

 

 いざ拠点に着いてみると、いっぱいの道具や建物が作られていて、テレビとかでたまに見る部族の人たちのお家みたいやった。

 

「桜咲さんは水を飲ませながら、意識が戻るのを待った方が良いな」

 

「ですが、マスターがお相手しないと……」

 

「本人の意思を無視してはやらん。ましてや、このぐらいの年頃は行為に対してある種の特別な価値観があるだろう?」

 

 なんやろ?

 三国さんとゆかりさんが何やら話してる。

 

 せっちゃんの体調に関することやろうか?

 

「とりあえず、近衛さんへの説明は、ゆかりさんに任せるぞ?」

 

「仕方ありませんね。マスターが直接説明するよりはいくらかマシでしょうし……」

 

「基本的には桜咲さんの意識が戻るのを待つ。それまで水や粥の様なモノを食べさせて毒の排出を促す方向で行こう」

 

「口移しですか?」

 

「アホ、さっき水を少量口に入れたら反射的に飲んでいたから、少量ずつで時間をかけて与えていく」

 

 なんや、せっちゃんに色々気を使(つこ)うてくれてるみたいで嬉しいな。

 うちが出来る事はせっちゃんのお世話やな。

 がんばらな!

 

 そう考えていると、三国さんはせっちゃんを寝所に寝かせて採取とやらに行ってもうた。

 何でも仲間に報告も兼ねているとも言うとった。

 

「まったく……マスターも嫌な役を押し付けてきますね」

 

 そのゆかりさんの言葉と共に、うちはせっちゃんに何が起こっているのかを聞くことになった。

 必要以上にうちらに気を使っていた三国さんの理由が分かった。

 

 

**********************

 

 一日。

 意識が戻らない桜咲の世話を持ち回りで行う。

 

 急遽小猫も中間拠点の候補地探しから戻り、新しく来た二人の面倒を見ている。

 ゆかりさんのお姉さん的な対応と、小猫の意外な面倒見の良さで近衛さんの方は落ち着いてきている。

 

 ただ、ゆかりさんからどういう状態なのか聞いたのだろう。

 近衛さんは俺を見るたびに申し訳なさそうな、何とも言えない表情をのぞかせている。

 

 仕方ないのかもしれないが、親友が媚薬の様な果物に侵されて、相手をする可能性のある男って訳だからな。

 

「近衛さん、桜咲さんに水と食事をさせたいから付いて来てくれる?」

 

「あ、はい」

 

 俺が桜咲さんの世話に入る際は、基本的に近衛さんに着いて来てもらうようにしている。

 発情状態の親友と男の俺が二人っきりになる状態は避けないと、近衛さんに余計な心配をかけることになるからだ。

 

 いくつか作っていた小屋。

 木の棒と土壁で作ってある簡単な小屋の一室。

 雨季になれば雨風を防ぐ意味でも扉を付ける予定だが、今は風通しを良くする意味もあり、暖簾の様な植物の茎や皮で編み込んだモノを掛けている。

 

「桜咲さん、入るぞ?」

 

 声をかけてから少し間を置いてみるが、返事も動きも無い。

 動ける状態ではないはずだから当然なのだが、相手が女性だと気を使う必要がある。

 

 ましてや、あの果実で前後不覚状態のはずなのだ。

 下手に自慰をしている所に突撃かましたら、双方に傷を残すだろう。

 

 向こうは心、俺は身体的キズだがな。

 

「せっちゃん、大丈……夫……?」

 

 近衛さんが言葉に詰まっていた。

 後ろにいた俺は中が見えない。

 

「どうした? 近衛さん」

 

「せっちゃんが……おらへん……どこ行ったんやろ……?」

 

 身体を反らして近衛さんの後ろから部屋の中を覗き見る。

 そこには空の寝所、毛皮の布団が無造作にはだけられている事から、桜咲さんが今までここに居たのは間違いないだろう。

 

 近衛さんを追い越すようにして中に入ると、布団に手を入れてみる。

 ほんのりと暖かく、今さっきまで彼女が横になっていたのは間違いないだろう。

 

「まだ暖かいか。という事は出て行ってからすぐだな」

 

 目が覚めてすぐに出ていったとなると、彼女の性格から近衛さんを探している可能性が高いか。

 そうなると、下手に俺が一緒にいると警戒されるかもしれない。

 

「近衛さん、このことを小猫やゆかりさん達に教えてきてくれないか? 手分けして探そう」

 

「は、はい!」

 

 小走りで二人の下に行く近衛さん。

 

 さて、こうすることで桜咲さん側が動きやすくなったかな。

 近衛さんと接触するならまだやりやすいが、問題は……

 

「神鳴流裏七八式・斬空掌!」

 

 やっぱり、俺を排除する方向で動いてきたか?!

 上方から聞こえてきた声に反応して何とか地面を転がって回避する。

 

 神鳴流を修めている彼女に勝てるわけもない。

 回避に徹して説得するしかない。

 

「まて、桜咲さん! 敵対の意思は無いんだ!!」

 

 刀が無いからある程度は善戦できるかとも思ったが、無手もこなせるとは驚いた。

 確か、ラブひなの青山素子が使っていた無手の技だったはず……!?

 

「神鳴流裏七八式・斬魔掌・弐の太刀!!」

 

 次の瞬間には服が全部吹き飛ばされていた。

 行動不能にする気か。

 

 木の皮から繊維を取り出してヒモに加工するのすげぇ大変だったのに!

 

 そんなアホな事を考えている隙に、飛び膝蹴りの要領で押し倒される。

 丁度胸の上に乗られ、膝で両手を押さえられ、首筋に手刀を当てられる。

 

 寝かせるにあたって、サイドポニーが邪魔になるからと解いていたのだが、そのせいで髪の毛が表情を隠してしまっていて、感情が読み取れない。

 

「ぐっ……おい、何を考えているのか知らんが、俺らもお前らも現状はあまり良いとは言えないんだ。交渉ぐらいは応じてほしいんだが……」

 

 必死の交渉(命乞い)をするが、どうも反応が芳しくない。

 

 肩で息をしている。

 最初は激しく動いたからかと思っていたが、この程度の動きで彼女が息切れするとも思えん。

 ならば、重篤化していた果実の影響がまだ抜けきっていないのか。

 

「う……ぁぁ……ホシ……イ……」

 

 訂正。

 抜けきってないんじゃなくて、影響真っただ中だったわ。

 

 俺はどうして、女性の初体験を逆レイプという形で相手することになるのか?

 小猫の時といい、ゆかりさんの時といい、力に負け罠にはめられ…。

 

 どうしよう、少し悲しくなってきた。

 

 

**********************

 

 

 全身に気怠さと、妙にすっきりとした感覚で目が覚めた。

 お嬢様と一緒に奇妙な島に流れ着き、更に奇妙な果物を食べてからの記憶があやふやだ。

 

「気が付いたか?」

 

 声に驚いてそちらを見ると、私が組み敷いている形で男の人がいた。

 両手を紐のようなもので拘束されており、全裸で私に組み敷かれている。

 よく見ると私も全裸で、全身が汗や唾液でドロドロになっていた。

 

 股間もジンジンと痺れの中にわずかな痛みがある。

 

 この状況からどうなっているのかなんて簡単にわかってしまう。

 

「えっと……あの……」

 

「とりあえず、飢餓感とか疼きとかはもう無いか?」

 

 そういわれて確認する。

 甘い疼きはありますが、言われた様な飢餓感とかは無い。

 

 え?

 私、この人襲ったんですか?

 

「無いならこの拘束外してくれないか? 気になるなら服はそっちの部屋の隅に脱ぎ捨ててるから着替えてからでいい」

 

 う……状況から私が襲ったとしか思えない。

 ズルっと私の股間から抜ける彼のモノの感覚がゾクッと背筋に気持ちいい感覚を走らせる。

 

 彼の股間に僅かについている血が、私の膣内に入っていたことを物語っている。

 

「少し待ってください」

 

 慌てて、部屋の隅にある濡れた布で身体を拭き始める。

 

 着替えながら記憶を整理しますが、ハッキリと覚えているのがお嬢様の食料を確保するのに謎の果物を毒味して、そこで身体に異変を感じて水を飲みながら毒素を出そうとした記憶だけ。

 

 それ以降の記憶が非常に曖昧だ。

 全身を拭って、股間に移ろうと視線を下げた際、ドロリと私の膣から彼の精液が流れ落ちる。

 

 なんだろうか?

 普通は嫌悪が出てくるはずなのに、それが無い。

 

 どれだけの時間、彼を犯していたのだろうか?

 そして、お嬢様……このちゃんは無事なのだろうか?

 

「せっちゃん! 良かった、正気に戻ったんやね!」

 

 この声はこのちゃんや!

 良かった無事やんったんやね!!

 

「このちゃん! ……お嬢様、どうなってるのか分からないのですが……」

 

「それは後で三国さんと一緒に説明するな、今ははよ服着よ?」

 

 このちゃんに言われて慌てて服を着る。

 見ると、あの男性も白髪の同い年か年下ぐらいでしょうか? 女の子ともう一人の大人な雰囲気の女性にロープを外して貰っていて、身体を拭いている。

 

 あれ?

 ウチが意識戻ってすぐにこのちゃんが入ってきたって事は……。

 

「お嬢様……、もしかして見られてました?」

 

「せやなぁ、せっちゃんが心配やったから……割と最初っから……」

 

 見られてた?

 この人を襲っている所を?

 

 羞恥が限界に達したことを感じながら、疲れもあったのか意識を落としてしまった。

 




 いかがだったでしょうか?

 前書きでも書きましたが、アンケートはもう少し載せておきます。

 それで、いくつか質問を頂いています、JCとJK時代ですが、要はA'sの登場キャラでこの年代というイメージ。

 JC時代からサイドテールになったなのはさんとか、ショートなアリサさんとか。

 優勢なstrikersですが、メインの三人はそのままで残り二枠を変える感じ。

 誰になるかはお楽しみですね。
 ナンバーズはどうしましょう?
 それも次回以降の原作アンケートにてですかね。


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09 無人島で覗き見

 どうも、異種族レビュアーズのアニメ化にビックリしつつ楽しみなオルカです。

 天原さんの作品はどれも凄いですよね。

 さて、ちょっと早いですが更新いたします。

 アンケートに関しては次回で締め切りたいと思います。

 あとがきで意見を頂きたいことが書いてあるので、メッセージや最新の活動報告にコメントしていただけると幸いです。

 ではどうぞ。


 せっちゃんの身体を侵しとる毒。

 うちのパクティオーカードのアイテムで毒素を抜こうと頑張ってみたけど、果実を毒と認識せんかったみたいで、効果が無かった。

 だから、せっちゃんが他の病気にかからんようにお水を飲ませてから、アイテム使ってみたりしとったけど、ずっとあの状態は解除されんかった。

 

 せやから、治せる方法を持っている三国さんたちにはどんなに感謝しても足りん。

 長い事、サバイバル生活を送っとるようで、うちの力が助けになるんやったら力になりたい。そう思えるぐらいには、感謝の気持ちは持ってる。

 

 せっちゃんが寝かせていた場所から抜け出してしまって、三国さんの指示でゆかりさんたちに知らせに来た。

 

 全員で探そうという事になって、せっちゃんを寝かせていた小屋まで来た。

 だけど、三国さんの姿は無くて、小屋の中で声が聞こえてくる。

 

「……ッ! ……ぁ……っと……!」

 

 せっちゃんの声っぽい。

 三国さんがもう見つけて来てくたんやろうか?

 

「これは……木乃香さん、中を見てみましょう。きっと後学の為になる事が起こっているはずです」

 

 小猫ちゃんがススッと暖簾の様な垂れ幕の様な仕切の横に立ち、私の方に手招きをしている。なんやろう?

 

 小猫ちゃんは無表情というか、あまり表情が動かへん。

 茶々丸さんとか夕映ちゃんとかに近い印象を抱ている。

 

 誘われるままに、小猫ちゃんの後ろから中を覗いてみる。

 

「これ、ずっと欲しかった……モット……ゼンブ……」

 

「おい、桜咲! 目を覚ませ! 熱病に浮かされたみたいな状態で、後悔しかないぞ!」

 

 なんや、せっちゃんが三国さんに馬乗りになっとった。

 三国さんは両手を縛られてて、二人とも真っ裸。

 

 初めてお父様以外の男の人の裸を見た気がする。

 三国さんはガッチリした身体やなくて、細さの中に筋肉がしっかりとあるような、俗に言う細マッチョってやつやな。

 

「小猫ちゃん。あれ、止めなくてええん?」

 

「大丈夫です。普段は攻め攻めなおにいさんですが、初めての女性には遠慮してしまいますから、彼女のやりたいこと全部終わるまで無抵抗なはず……」

 

 いや、そういうことを言うてるんやなくて……。

 せっちゃんがあの果物の毒で苦しんでるから、三国さんが相手してくれるなら安心なんやけど、あれって男の人にとって屈辱的なんやないかなぁって……。

 

「桜咲さんの状態から長くなりそうですので、お水とか用意してきますね」

 

「お願いします、ゆかりさん」

 

 サッと用意を進めていくゆかりさんと興味津々で中を見ている小猫ちゃん。

 

 かく言うウチも、興味が無いかと問われれば……ある。

 興味津々なお年頃。

 クラスメイトでもそういう話をしている人も居らんかったから、興味があった。

 おじいちゃんがよくウチにお見合い話を持ってくるけど、結婚なんて早いと思いつつもその先の行為が気になっとった。

 

 我を忘れているようで、せっちゃんは痛みを意に介さずに何度も何度も腰を動かしながら、三国さんの胸に舌を這わせている。

 

 繋がっている部分からは愛液以外に赤い物がわずかに見えとる。

 初めての証で、本当なら痛みが出るはずのものや。

 

 それなのに、せっちゃんの顔は気持ちよさそうで、何度も動かしている腰が不自然に跳ねる瞬間がある。

 

「あの反応が彼女がイッテいるという事です。周期が早いので、やっぱり毒素が溜まり過ぎているみたいですね」

 

 小猫ちゃんが解説してくれて、今のせっちゃんがどういう状態なのかが良く分かる。 

 あんな風に何度もイクのは普通やないんやね。

 

 でも、何度も何度も動いとるんは、何でなんかな?

 

「男性は一度イクと普通であれば次までインターバルが必要ですが、私達は疲れなんかの理由が無ければ何度でもイケます。特に今、彼女は果実の毒で優先事項が快楽を得る以上のものが無い状態です」

 

 でも、三国さんは何度もイッテるみたいやけど……。

 それに、せっちゃんが何度もイケるんやったら、三国さんの方が持たないんやないかな?

 

「それに関しては心配無用です。おにいさんは多分、平時で私たち全員を相手にしても勝てるぐらいには、絶倫ですので……」

 

 せっちゃんの状態が普通じゃないんは理解できたけど、三国さんも普通やなかった。

 

 小猫ちゃんが言うには、あの果実の影響の可能性があるそうやけど、関係性が分からんかったそうで、今では小猫ちゃん達もおにいさんも困ってはいないからと恩恵にあずかっとるそう。

 

 まぁ、三国さんたちはサバイバル生活もあるから、どうしても調査は後回しになっとるそうや。

 

「頃合いを見て二人に水を届けましょう。二人とも色んな水分が出ている状況ですし……」

 

「え、入っても大丈夫なん?」

 

「桜咲さんは見えてないようですし、おにいさんに飲ませつつ、口移しで桜咲さんへ飲ませて貰えばいいでしょう」

 

 ああ、せっちゃんが本人の知らんところでいろんな経験を積んでいってる……。

 でも、その時に三国さんの拘束を解いた方がええんやないかな?

 

「そうすると、桜咲さんに邪魔されてるって認識されて攻撃されるかもしれませんし、あの状態だと敵だと認識されない限りは大丈夫です」

 

 何や実感こもっとるなぁ。

 小猫ちゃん何かあったん?

 

「いえ、私の初体験があんなんでしたので……」

 

 目を反らしつつそんな事をつぶやく小猫ちゃん。

 過去の自分に重ねとる部分もあるんやろうなあ

 

 そんなことを考えていく間にせっちゃんの身体がエビみたいに反り返る。

 すごい声を挙げながらビクビクと身体を震わせて、すっごいエッチな顔をしとる。

 

 おお、せっちゃんってこういう顔もするんやなぁ。

 

「おや、大きい絶頂をしましたか。やっぱり相当毒素が溜まってたんですね。私でも一週間後でしたから、負担大きそうですね」

 

 そう言った小猫ちゃんは、目を輝かせながら中の行為を覗いとる。

 うちはうちで、やっぱり興味があるから引き続きの観察をすることにするえ。

 

 

**********************

 

 

 一時間以上繋がり続けている二人。

 汗やら涙やら涎やら、桜咲さんの潮や尿なんかで部屋中が淫靡な匂いで充満してて、換気の為に窓やら暖簾の出入り口やらで作られている小屋に行為の匂いが充満している。

 正直、結構興奮してきてしまいますが、今回は自重です。

 

 流石におにいさんや桜咲さんが咳込み始めてきたので、水を飲ませに部屋に入る。

 

「小猫か、これ解いていけないか?」

 

 解いていくというのはおにいさんの両手を拘束している紐。

 これは多分、この小屋に放置してあった建築時に余った固定用の紐でしょう。

 

「ダメですね。これを解こうとすると邪魔者として攻撃されるかもしれないので」

 

「マジかよ。じゃあ何しに来たんだ?」

 

「いえ、色々水分が垂れ流しになってますので、補給しようかなっと」

 

 取り出したのはペットボトル。

 漂着物ですが、溶けない様に調整しながら煮沸消毒をしているので便利な水筒って感じです。

 

 おにいさんの口にゆっくりと流し込みながら、水を飲ませていく。

 桜咲さんは飲ませようにも暴走中なので、おにいさんにタップリと飲ませて唾液等々で飲ませたり、傍にこのペットボトルを置いていおいて、自然に飲むのを待つ事にします。

 

 

「見られてるのが正直恥ずかしいんだが……」

 

「近衛さんですか? ご友人との行為ですし、見てても問題ないと思いますよ?」

 

「お前、外の常識から外れてる発言してるが、日常に戻れなくなる前に軌道修正しろよ」

 

「色々手遅れな気もしますが……」

 

 そう言いながら、頭の傍にペットボトルをおいておく。

 これなら暴走中の桜咲さんの視界にも入るでしょうし、飲ませる際にも楽です。

 

 そうしてまた、観察に戻ります。

 色々と参考になるのと、桜咲さんの状態は今後の参考になりえる状態です。

 あの果物の過剰摂取状態ともいえるので、症状とかをしっかりと記録している。

 

「近衛さん、お友達が乱れる姿が辛いようでしたら、終わった辺りで呼びますので拠点で休まれては?」

 

「いえ、せっちゃんが大変やのに目を反らしたないんです……」

 

 あ、本音の中で隠してる部分もありますね。

 桜咲さんが心配なのも本当ですが、本人が興味を持っているからって部分。

 

 将来有望な娘です。

 

 

**********************

 

 

 騎乗位とは、女性側に割と都合がいい体位だと思う。

 負担というか自分で動く割合は女性側にあるが、自分のペースを保てることと、小猫やゆかりさんが言うには征服感が有るらしい。

 

 拘束されてなければ、胸とか愛撫出来るのだが、今回自由に動かせるのが腰と脚。

 この状態で出来るのが、ピストン運動の時により強く奥に挿入する事だが、初体験の彼女にそんなに強い刺激を与えるわけにはいかない。

 

「ァァ……タリナイ」

 

 ガッと顔を両手で掴まれると、頭突きかと思うような勢いでキスされ、舌を入れられる。

 舌を動かしている間も休まずに腰を動かし続けているから、息が苦しい。

 

 基本的に貪られているような感覚なのだが、突然スイッチが切り替わる様に抱き着いてくる。

 スリスリと頬ずりされて、胸全体を舐められる。

 

 甘えられてるのか、一通り満足するとまた激しく動き出す。

 何を求められているのか分からないが、甘えたいのか?

 

「……よくここまで我慢したな、偉いぞ」

 

「!!?」

 

 目を見開いて、こちらを見る。

 驚いた表情の後に、ほにゃっと表情を緩ませて一層抱き着いて、擦りついてきた。

 

 なるほど、甘えたい……のか。

 基本的に護り手で、両親がおらず、近衛さんの父親が父親代わりだったと記憶している。

 

 甘え難い環境だったのかもしれない。

 

「辛かったろう? 好きに甘えな」

 

 そう言ってやると、目を輝かせながら更に胸に顔をうずめながらスリスリと頬ずりをしてきた。

 

 手が自由なら撫でてやりたいぐらいに、いい反応だ。

 鳥族のハーフとかだったはずだが、犬っぽいイメージが出来た気がする。

 

 しばらく擦りついたり甘えたりした後に、再び動き出す。

 この時も褒めてあげたりすると、キュキュッと膣が反応してどれだけ彼女が反応しているのかが分かる。

 

「気持ちいいぞ」

 

「上手だな」

 

 割と簡単な誉め言葉だが、そんな簡単な言葉にすらしっかりと反応してくれる。

 

 誉め言葉に反応して嬉しそうにしてくれるのはいいのだが、味をしめたのか少し褒めないでいるとプクっと頬を膨らませて、ムームーっと泣きながら抗議してくる。

 

 それはそれで可愛いのだが、理性が飛んでいるとこんなにも甘えん坊になるのか……。

 

 何度も膣内に出し、その度に気持ち良かったと感想を桜咲さんに伝える。

 何だろうなこの羞恥プレイ……。

 

 この光景、近衛さんだけじゃなくて、小猫やゆかりさんにも見られているわけで……。

 何か言う度に、外の方から「おぉ……」とか、「キャー!」とか聞こえてくるわけで。

 

 でも、桜咲さんは俺の言葉を求めてくるわけで……。

 割り切ることが大事だと学んだ。

 

「いつでもおいで、……刹那が欲しいなら何度でも相手してあげるからね?」

 

 名前を呼ぶのに一瞬ためらってしまったが、

 

「うん! うん!」

 

 うわ、一番うれしそうだ。

 これ、桜咲さんが覚えていたら俺が羞恥で逃げ出したくなる案件だな……。

 

 

**********************

 

 

「せっちゃん、三国さん襲ってた時の記憶ある?」

 

「ふぇ!?」

 

 せっちゃんが三国さんを襲ってから二日ぐらいたった日に、動けないせっちゃんを介抱していて疑問に思ったことを聞いてみた。

 

 寝所から上半身を起こして、お粥の様なスープを食べさせている時やったから、しっかりと赤面しとるせっちゃんが見えた。

 

「いやな? せっちゃん、三国さんとしてる時に色々すごかったから……」

 

「すごかった!? このちゃん、ウチなにしてたん!?」

 

 なんや、覚えてないんか……。

 甘えん坊のせっちゃん、めっちゃ可愛えかったのに残念やなぁ。

 

 なんか、わんこの耳とか尻尾が似合いそうな感じ。

 

「覚えてないんなら、言わんほうがええと思うえ」

 

「うー……このちゃんの意地悪……」

 

 まだ、少し甘えん坊せっちゃんが残っとるかな?

 思わず抱きしめたくなってもうた。

 

「……ンンッ! 覚えてはいないですが、何というか……」

 

 そう言って虚空を見るせっちゃん。

 その顔は何というか……。

 

「安心というか……懐かしい……? よくは分かりませんが、そんな気持ちになります」

 

 ええ顔しとるなぁ。

 せっちゃん、ちょっと身体に負荷がかかって寝込んでもうてるけど、三国さん達がフォローしてくれとるし、ええ場所やなぁ。

 

 うちもお願いすればお相手してくれるやろうか?

 




 いかがだったでしょうか?

 前書きで書いていた聞きたいことというのが、なのはの登場キャラの人数に関してです。

 何名かの方に、メッセージでなのはのキャラアンケートをネギま組の様にコンビにしてほしいというご意見を頂いております。

 メリットは、キャラが多く選択肢に挙げられる事、作品内の会話が弾みやすくなります。

 ただデメリットもありまして、人数が一気に増えるのでアンケート期間が長くなる事と、しばらくアンケートでなのはを出せなくなること等ですね。

 同作品内の掛け合いが多くなるとどうしても他作品との掛け合いが弱くなりそうで不安な部分もあります。

 ご意見を頂けたら嬉しいです。
 メッセージか最新の活動報告で頂ければ嬉しく思います。

 よろしくお願いします。


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10 無人島で羞恥プレイ

 どうも、久々に寝過ごすというヘマをやらかしたオルカです。

 夜勤明けはたまにヤバいですね。

 さて、この更新を持って時系列アンケートを締め切らせていただきます。
 また、活動報告へのコメントやメッセージにてご回答いただいていた、キャラアンケートの結果。
 一人一人のキャラでアンケートを行うことになりました。

 あとがきにて結果も表示致しますので、ご確認とアンケートへのご回答をよろしくお願いいたします。


 最近、木乃香のアプローチが増えてきている。

 木乃香と刹那の二人を名前呼びするように求めてきたのも木乃香自身だったし、行為に関しての話題もそれとなくだが振られる。

 

 木乃香ぐらいの年頃だと、興味が出るのも当然だし、親友の刹那が目の前で体験しているのを見ているからか、憧れというか興味が暴走しているのだろう。

 

「そっちで抑えられないか?」

 

「私ですか!? いえ、このちゃんが求めるなら……キョウジさんに抱いていただきたいのですが……」

 

「お前、そこは止めるのが親友じゃねぇの?」

 

「私も、どこの馬の骨とも知れない輩にお嬢様は任せませんよ。キョウジさんがお相手なら安心ですし……」

 

 刹那の回答に頭を抱えてしまう。

 数度、発作の為に抱いているが、微妙に影響が出ているんじゃないだろうか?

 

「私も抱いてあげた方が良いと思いますよ? 木乃香さん、お一人だけ抱かれていないって疎外感を感じては可哀想ですし……」

 

「疎外感で異性の相手はせんだろうが」

 

 ゆかりさんからの援護射撃。

 どうも、ゆかりさんや小猫は仲間を増やしたい様子。

 

 なんなんだ?

 独占欲とかそういうのが出てくるのは分かるが、俺を共有物にしたいのか?

 

「木乃香さんは求めているんですよね? でしたら抱いてあげるべきです」

 

「いや、だからな……」

 

「いえ、あの娘は存外頑固というか強かというか、おっとりした雰囲気の中に芯がある娘です」

 

 ん? 小猫からの評価が高い。

 まぁ、俺と刹那の行為を最も近い場所で覗いてた二人だしなぁ。

 

 それに関しては俺も納得ができる。

 知識ではなく、実際に話してみた感想がまさに小猫の評価と同じになる。

 

「今だからこそ、アプローチで済んでいますが、最終的に例の果物に手を出す可能性もあり得ます」

 

「! そ、それは……」

 

 小猫の言葉に、刹那自身も身に覚えがあったのか目を反らした。

 

 マジか、そこまではしないだろうと考えていたが、刹那の評価がそうならそうなるのか?

 いや、確かに俺や小猫、ゆかりさんや刹那が抱き合ったりしているのを一人、のけ者のように扱うのも団結という観点で見ても良くはないが……。

 

「とにかく、大変なことになる前に木乃香さんの思いには応えてあげてください。おにいさんなら十人相手にしたって余裕でしょう?」

 

「お前は俺を何だと思ってるんだ」

 

「「「絶倫」」」

 

 ハモんなよお前ら……。

 そりゃ、この島に来てから異様な性欲というか精力がついているのも事実だけどよ。

 

 

**********************

 

 

 東側の探索は木乃香と共に行うことになった。

 小猫は前回同様、中間拠点の候補地探し、ゆかりさんは刹那の看病だ。

 

 本来は、木乃香が刹那の看病をするのがいいのだろうが、木乃香が東側で三日ほど採取活動をしていたことからある程度の土地勘があるだろうと相棒にされた。

 

 まぁ、大方小猫やゆかりさんが妙な気の使い方をしているのだろう。

 

「こっちの方に川があって、せっちゃんが教えてくれた野草なんかも少し生えててな」

 

 奥へ奥へと進んでいく。

 一応この東側の森林地帯は、例の果物の群生地帯であり、他の植物の生育には向かない状況だ。

 

 地面も落果の際の果汁が地面に吸収されて若干緩い。

 群生地帯で葉が広がるタイプの木だ。

 

 だから、地面に日光が届きにくい。

 苔の様な日陰を好む植物や僅かに日が差す場所にいくらか植物が生えてるだけ。

 

「少し休憩しよか。ここから海岸に行くとうち等が流れ着いた場所で、寝泊まりしてた場所もあるえ」

 

 ここに流れ着いたなら当然、寝泊まりする場所は必要で、刹那が寝込んでいたのならその場所は必要なのだから。

 

 着いた場所は、草が敷き詰められていて、おそらくは二人が暮らしていた拠点なのだろう。

 

 火を起こした後があり、その脇には飯盒が転がっていた。

 

「あった、これを回収しておきたかったんや」

 

 ヒョイッとそれを持ち上げると、無造作に海水で濯ぐ。

 確かに飯盒はこの生活で貴重な資源だし、内蓋があるタイプの飯盒で蒸し料理にも使えそうだ。

 

 ただ、大きさとしては一人から二人用。

 メインを作った後にスープを作るのに役立つだろう。

 

「ここに流れ着いた時に見つけたものでな。モノを入れておくのにも役立つやろうし」

 

「確かに助かるな。東側の漂着物は全く手付かずだったし、探索は泊りになるだろうから元々キャンプ地のここに泊まるか……」

 

「せやね。そのつもりでココに案内したんやし」

 

 道すがら、野草やカエルなんかを採取してあるからそれを捌いて食事にしよう。

 保存食も一応持ってきたが、この量なら使わずに持ち帰れそうだ。

 

 水は東の川で採取するのは避けておこう。

 いくつか持ってきた拠点の水を使い、料理を作り始める。

 

「お手伝いする?」

 

「いや、木乃香は枯草とか燃料系を頼む。料理は木乃香の方が上手そうだが、捌くとかは俺の方が経験がある」

 

 実際、カエルを捌く経験を木乃香がしているとも思えない。

 刹那やあの忍者の女生徒なら経験もありそうだ。いや、忍者の彼女はカエルが苦手だったっけ?

 まぁ、普通の女性は経験どころか苦手とする部分だろう。

 

「わかったえ。ついでに何か野草も取ってくるから、ご飯にしよ」

 

 そう言うと心当たりがあるのだろう、枯草や木を取りに行く。

 こちらもカエルの可食部を捌き、残滓は穴を掘って埋める。

 野草を刻んで、水と肉と一緒に飯盒へ入れる。

 

 塩も海水から抽出したモノをいくらか持ってきている。

 塩は料理の味付けにも必要だが、汗で流れ出た水分やミネラルを補給するのに必須なのだ。

 

 そうやって準備していると、木乃香が枯草と枯れ木を持ってきてくれた。

 一緒にここに居る間に食べていた野草も持ってきてくれた。

 

「せっちゃんが食べられるって教えてくれた野草なんやけど大丈夫かな?」

 

「これなら、俺らも何度も食べてるものばかりだし、大丈夫だ。早速火を起こして食事にしよう」

 

 結論から言えば、東のエリアに群生しているあの果物。

 あいつらの事を舐めていたのかもしれない。

 

 よく考えれば、落果の際の破裂の様な動作。

 川や地面に果汁を撒き散らし続けているのだ。

 

 このエリアの植物に影響がないわけがなかったのだ。

 

 

**********************

 

 

 生体濃縮という概念がある。

 毒素や化学物質などが、食物連鎖を繰り返すことで濃度が高まり、その動植物に蓄積されていく現象だ。

 

 あの植物がどれだけの年数をあの場所で群生し続けてきたかは分からないが、その期間をずっと果汁を地面や川に流し続けていたことになる。

 

 そしてその果汁を延々と抱え込んだ土壌と年中落果による果汁が降り注ぐ川があるこの森。

 自生する植物であっても油断できないという事を学んだ。

 

「キョウジさん。ウチ……もう……」

 

 木乃香を後ろから抱きかかえるようにして、彼女の胸や秘所に手をかけている。

 彼女自身も、自ら服や下着をはだけて俺の手を導く様に俺の両の手を押さえる。

 

 熱気のある無人島生活でもしっとりとした肌と、キズやシミが無い綺麗な肌。

 その肌を手のひらでなぞると身体の奥の方でピクッと反応する。

 

 後ろから彼女の首筋に顔を埋め、スゥッと匂いを嗅ぐ。

 女性特有の甘い香り。

 

 男性だけが感じ取れるフェロモンなのだそうだ。

 女性は女性で男性のフェロモンを嗅ぎ分けられるというが、どんな匂いなのかは想像がつかない。

 

「キョウジさん、ウチ恥ずかしい……」

 

 その言葉と共に、キュッと縮こまらせる。

 恥ずかしいのは当然だろう、実家は由緒ある家柄だろうし、学校も女子中で異性との関りが少なかっただろう。

 

 関わりのある異性も所謂見合い相手。

 ほとんどがその場限りで、深く関わるなんて無かっただろう。

 

「大丈夫。身を任せて、感じさせてあげるから」

 

 縮こまった身体を後ろから回した腕で、グイッと抱き寄せる。

 互いに触れて、触れられて。愛撫して愛撫されて。

 服も下着も脱ぎ捨てて、ベット用に敷き詰められていた干し草の上で絡み合う。

 

 緊張と互いの熱でジットリと汗が滲み、互いの香りが際立つ。

 熱が際限なく膨らんでいく感覚。

 

 屋根も仕切も無い開放的な寝所で互いの肌を焚火の炎が艶めかしく照らし、彼女の秘所に伸ばしている手が恥ずかしそうに彼女の手で押さえれれる。

 

「ほら……」

 

 後ろから抱きしめる様にして、彼女に口づけをする。

 長い時間をかけて舌を絡め、唾液を交換し、吐息をかけあう。

 

 身体から固さが取れてきた辺りで、対面座位のような形に座らせ、挿入はせずに入り口付近でゆっくりと擦る様にして彼女に意識させる。

 

「あ、キョウジさんのあそこ、硬い……おっきぃ」

 

 そうつぶやくと、顔を真っ赤にしながらも俺の股間から目が離せないようだ。

 羞恥で顔だけじゃなく全身を真っ赤にさせているというのに、目が反らせないとばかりに凝視してくる。

 

 これは……、多分どちらかなんだろう。

 なら試してみるべきだ。

 

「木乃香の肌って、すごく綺麗だな」

 

「ふぇ!?」

 

「だって……ほら……」

 

 そう言いながら、彼女の背中を指先で優しくフワッと撫でてやる。

 慈しみを込めて、そして彼女から目を反らさずに。

 

「スベスベで、すごく綺麗だ」

 

「ひぅ!? え!? あの……キョウジさん?」

 

 真っ赤だった顔が更に赤くなり、視線が泳いでいる。

 手も落ち着きなく動いていて、慌てているのが分かる。

 

 可愛い反応だ。

 木乃香はどっちなんだろうな?

 

 ゆっくりと股間を彼女のクリトリスに焦らすように擦り付け、逃げようとする腰の動きを片手でガードする。

 

「ほら、俺のモノに木乃香の感じてる証がタップリと感じるよ」

 

「ぅぅ……キョウジさん今日意地悪や……うち、恥ずかしぃ……」

 

 両手で顔を覆ってイヤイヤと左右に顔を振る。

 それに伴って胸がプルンと揺れる。

 

 恥ずかしがっている仕草ではあるが、木乃香の膣から温かい愛液があふれ出てくるのを感じる。

 キュキュッと膣内が収縮している感覚が伝わってきて、言葉とは裏腹に興奮しているのが分かる。

 

「俺は嬉しいんだぞ? だって……ほら……」

 

 そう言いながら俺のイチモツの角度を変えて、先端を彼女の膣に埋めていく。

 その途端に、ぴっちりと閉じていた中で溢れていた愛液が、先端が入った事により解放された様に溢れ出てきた。

 

「こんなにも、グショグショに感じてくれてるんだ。もっと感じさせてあげたいって思うよ」

 

 そう言いながらゆっくりと挿入していく。

 ギュッとしまった膣内は止めどなく流れてくる愛液でとても熱く、進んで行くたびに俺のイチモツを優しくもしっかりと締め付けてくる。

 

 そんな反応を木乃香の耳元で実況してやる。

 すると木乃香は恥ずかしいと言いながら真っ赤に染まった顔を隠してしまう。

 

 だけど、やっぱり洪水のように流れてくる愛液と締め付けてくる膣。

 そして遂に彼女の初めての証に先が触れた。

 

「膜に触ってるの分かるか? 痛かったら言えよ」

 

「んもう、キョウジさん意地悪しててもやっぱ優しーんやなぁ。……ええよ、キョウジさんがくれる痛みも大切な思い出になるって思うから……」

 

 いかん。

 今の言葉には不覚にもクラッときた。

 

 そして、その言葉に甘える様に挿入を続けた。

 膣奥の驚くほどに熱い場所。

 愛液が溜まり、俺のモノが入ったおかげで押し出され、俺の下半身を濡らしていく。

 

「木乃香の膣内、温かくてしっかりと締め付けてきて、気持ちいいよ」

 

「言わんといてぇ。ウチ恥ずかしゅうて、どうにかなってしまいそうや……」

 

 次の瞬間、膣内がビクビクと痙攣し、合わせる様に彼女の肩や腰も跳ねる。

 絶頂に達したようだ。

 

 果実の影響があるとはいえ、やっぱり木乃香はこっちに適性があったようだな。

 

「さ、もっと一緒に気持ちよくなろうか。もっとたくさんイってもいいんだぞ?」

 

 その言葉に、真っ赤にした顔ごと反らされたが、キュッと彼女の膣内が代わりに答えてくれた。

 

 それから俺たちは、互いが疲れて動けなくなるまで貪り合い、目が覚める頃には全身がカピカピになっていた。

 




 いかがだったでしょうか?

 なのはの時系列アンケートとは下記の通りの結果となりました。
(461) A's
(321) JC(空白)
(465) JK(空白)
(689) strikers
(205) その後(空白?)

 strikersは強かったですね。
 しかし、A'sからJK時代の票も多くてびっくりしています。

 さて、キャラクターアンケートとなります。
 キャラ設定上難しいキャラは候補から外れていますので、ご了承ください。


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11 無人島の雨季対策

 どうも、質問箱というものを設置したオルカです。

 URLはプロフィールやTwitterに記載されてますので、お気軽に作品に関する質問や個人的な話でも、私がお答えできる範囲でお答えいたします。

 さて、この投稿でキャラクターアンケートを締め切ります。
 ちょっと、差が付いて来ているので早めに締め切ります。

 このまま原作アンケート第四弾に切り替えさせていただきます。
 私の知っている作品からリクエストの多い順で掲載させていただいておりますので、リクエストしたのに、記載が無い場合でも申し訳ありませんが、ご了承ください。

 それではどうぞ。


 熱帯気候の地域には雨期というものがある地域がある。

 

 雨期と乾期と言って、日本で言う所の四季のイメージで間違ってはいない。

 気温の変化はあまり無いが、バケツをひっくり返したんじゃないかと言う程の雨量をたたき出す。

 

 サバイバル生活において雨期は歓迎すべきかどうかで言えば、大変な時期という回答しかない。

 

 拠点周りで、雨水が寝所や薪小屋に流れ込んでくる場合があるのだ。

 その対策でワザと溝を掘り、雨水を誘導してやる必要がある。

 

 さらに川で生活用水を得ていたが、この時期の川は増水していて流れが急であり、濁っていて正直生活用水にはできない。

 

 雨水を瓶に貯めてから、煮沸消毒した方が量が確保できる程だ。

 

「正直、おにいさんが言う程のモノとは思っていませんでした」

 

「そうですね。もう三日は降り続いてます」

 

 雨期とはそういうものだ。

 晴れないというわけではないが、豪雨の合間の僅かな時間に曇りが見える程度だ。

 

 雨の中で行動は極力避けなければならない。

 気温は少し下がるが、それ以上に濡れた状態で採取や作業をすると風邪をひく可能性が高い。

 

 風邪をバカにはできない。

 現代日本だと熱が出た程度……などと言われたりもするが、この無人島では死に直結する。

 

 薬は無いし、栄養価の高い食物も手に入りにくい。

 寝て治そうにも、やらなければならない事が多数あって、睡眠だけ取り続けるという事ができない。

 

 だからこういう時期は、普段拠点で出来ないようなこと。

 例えば蔓から繊維を取り出して紐を編み出したり、ヤシの実からココナッツミルクとそこからココナッツオイルを抽出したり。

 

 とても時間のかかる作業を行う。

 燻製とかでも燻す作業は時間と手間がかかるので適した作業だ。

 

「キョウジさんはお一人でこの高い屋根を広い範囲に建てたんですね」

 

「生活空間が丸々屋根の下に納まっとるんは助かるわぁ」

 

 一人で生活している頃に、建築していた部分を増設する形で、生活空間を屋根の下に納まる様に木々や柱を利用して広く屋根を建てた。

 排水路をきちんと用意して、生活空間の拡大を行った。

 

 高所作業は小猫や刹那が、枝などを紐で結ぶ作業はゆかりさんや木乃香がやってくれた。

 俺は資材を集めて泥などで仕切を作り、風の向きを計算してそっちの方向に雨よけの手作り布を張ったりしていた。

 

 この下でなら火を起こせるし、活動が可能になる。

 料理や、炭づくり。

 紐に粘度の高い樹液を塗りつけて強度を上げるのだが、その樹液を熱で溶かすなどするときにも火は必要だ。

 

「網はゆかりさんと木乃香さんで編み込みますね」

 

「ウチにお任せやえ」

 

 自信満々に力こぶを付くて見せるゆかりさんと木乃香。

 網は用途が広い。

 干し肉を作る際に虫がつかない様に網を周囲に張っておいたり、海に仕掛け罠を沈めたり、釣りで大物がかかった際に仕掛けが壊れないうちに手繰り寄せるのに使ったり。

 

「それなら私と刹那さんで石斧とか道具を作りましょう、よろしくお願いいたします刹那さん」

 

「はい、よろしくお願います。小猫さん」

 

 石斧とかは作成するのに力や体力が必要だ。

 打製石器は力が必要だし、磨製石器は体力がいる。

 

 確かにこの二人ならどっちでも問題なく作成できるだろう。

 

「じゃあ俺は……」

 

「おにいさんは、普段作れない道具とかを作ってください」

 

「サバイバル知識は、このゆかりさん以上ですしマスターが作るのが一番だと思います」

 

 まぁ、そうするつもりだったからいいのだが、そこまで高い知識というわけでも無いんだぞ?

 

 今回は何を目的にするか……。

 周囲に聞いていくか。

 

「分かった、何が必要が気づいたことを教えてくれ」

 

 俺は二年間暮らしていくうえで必要なものをできる限り揃えてきた。

 それでも俺が必要だと思たもので、彼女たちが欲しい物は違うのかもしれない。

 

「そうですね……。薪小屋の地面が土なので、この雨期のせいで地面に接している薪が湿気ってしまって腐り始めています、何か対策をしたいのですが……」

 

 なるほど、土の床を何とかするか……。

 雨が掛からなくても地面を伝って薪小屋の床にまで届くのだろう。

 

 石を床と薪の間にかませるか?

 しかし、それだけでなんとかなるものか?

 

 セメント張りにするか。

 

「セメントで床を張る事にしよう。薪小屋の作業前に貝殻を大量に採取しよう」

 

 貝殻を高温で焼くことで石灰を、石灰を水で溶かしてそれに陶器の砕いたものとかを混ぜることで簡単なセメントを作ることができる。

 

 炉は炭づくりのモノを使って石灰を作る事にしよう。

 石を敷き詰めた後に隙間にセメントを流し込む形で固めれば少量で行けると思う。

 

「貝殻……ですか?」

 

「貝殻を高温で熱すると、石灰になるんだ。石灰に水を混ぜてそこに砂や砂利・土を混ぜると簡単なセメントになるんだ。それで床を固めることにする」

 

 貝殻が必要で、量を確保できないが薪小屋の床に使うぐらいなら大丈夫だろう。

 食事で出た貝殻はまとめてあるし、足りない部分は海岸などで採取可能なはずだ。

 

「まとめて燃やすから、しばらくは採取がメインだな。俺が集めてくる」

 

「あ、でしたらゆかりさんがお風呂を沸かします。体が冷えたら風邪を引いてしまいますから!」

 

 お風呂はめったに沸かさない。

 ドラム缶がいくつか流れ着いていて、使えるのがあったからそれをお風呂用にしている。

 

 五右衛門風呂という風呂の形式があり、底が鉄で蓋を踏みながら底に沈めて入浴する。

 火力の調整が難しく、一人調整役が必要になる。

 

「ありがたい、先に女性陣は入浴を済ませておいてくれ。帰ったら入るよ」

 

 

**********************

 

 

 ゆかりさんが火の当番をしてくれて、ジックリと温まっている。

 そのゆかりさんと一緒に……。

 

「ドラム缶に一緒に入ると密着してお互いの温かさが直に感じられていいですね」

 

「最後だからって自由すぎだろ」

 

 お湯の中で繋がり、密着した身体を擦り付けてくる。

 何度も抱き合っていただけあり、彼女の膣内も適度にほぐれて、最初の窮屈すぎるような締め付けは無い。

 その代わりに、俺のイチモツを優しく包み込み、的確な刺激を与えてくる。

 

「ふふ、マスター用に膣内が変わって来てますね。もっと、変えてくださいマスター……?」

 

 口づけ。

 舌を絡め、口内を互いに蹂躙し、唾液を交換する。

 

 俺の胸板に自身の胸を擦りつけながら、ピクピクと膣内が収縮しているのを感じる。

 収縮の度に俺のイチモツ全体を複雑に撫でてくる。

 

「あぁ、マスターに胸を弄られるとすごく……」

 

 そのまま彼女の乳首に口を当て、吸いつく。

 固くなった豆が更に口内で固さを増していく。

 前歯で軽く噛んでやると、彼女の背がビクッと反った。

 

「ぁぁ……くぅ……ん!」

 

 バシャッとお湯が跳ねて湯船の外に飛んでいく。

 ビクビクと身体が跳ねていて、彼女の性感帯だと分かる。

 

 日に日に敏感になってないか?

 

「もっと、マスター! 私をもっと抱いてください!」

 

「ああ、どうせ最後の風呂だ。たっぷり愛し合おうじゃないか」

 

 慣れてきた彼女の膣。

 決して緩くなったわけではなく、俺の気持ちいい所を学んでいるのかの様に、その締め付けが変化している。

 

 何度出しただろう?

 お湯がぬるくなり、自分が出した精液が浮いている。

 

 俺もゆかりさんも疲れ果て、風呂から出てくる。

 全身を拭いて互いに苦笑いを交わす。

 

 小猫たちに追及されそうだ。

 仕方ないが、覚悟しなくちゃなぁ。

 

「ふふ、マスターとこういう事が出来るのは嬉しいです。他の私でも一部の私しか体験していない事です。これからも、もっとゆかりさんとエッチなことしましょうね、マスター」

 

 キャンプへ帰る道すがら、会話を交わす。

 毎日誰かを抱いているような男なのに、そういうことを言ってくれるなんて、本当にゆかりさんや他の娘達も優しい。

 

 微笑みながら振り返る彼女は綺麗な月をバックにとても綺麗な笑顔を見せてくれた。

 

 

**********************

 

 

「まったく、おにいさんもゆかりさんもやり過ぎですよ」

 

 帰った後に俺とゆかりさんは正座させられて、小猫に説教されていた。

 脇には木乃香や刹那もいる。

 

「最後のお風呂でしたからお湯が半分になるとか、汚れているとかは良いんです」

 

 そう言いながら、頭を振りながら呆れた口調をしている。

 まぁ、風呂に入りながらたっぷりと行為をしてしまったからな。

 

 日は暮れるし、心配させてしまったようだ。

 木乃香や刹那が起きているのがその証拠だ。

 

「私達も参加したかったですよ。ゆかりさん、次からは抜け駆けとかやめてくださいね」

 

 そっち!?

 やりたいだけじゃないか。

 

「そうですね。つい、抜け駆けしちゃいました。次は皆さんでやりましょう」

 

 それでいいんかいお前ら。

 貞操観念どうなってんだよ。

 

 いや、俺が言えたことじゃないか。

 四人の女性と関係を持っている時点で、前の感覚だと刺されるアホと一緒だ。

 

「島の閉鎖空間ですから、おにいさんも私達もそう言った感覚はマヒしてきますよ」

 

 まぁ、そうだろうな。

 できれば、新たに来る人が戸惑わないことを祈るわ……。

 




 いかがだったでしょうか?

 さて、キャラクターアンケートの結果ですが、
(277) 高町なのは
(731) フェイト・T・ハラオウン
(231) 八神はやて
(219) ティアナ・ランスター
(188) キャロ・ル・ルシエ
 私の作品を読んでくださる方々はフェイトが好きな人が多いみたいですね。

 さて、今回から原作アンケートに切り替えさせていただきます。
 少し長めに原作アンケートは期間を取る予定ですので、最後まで投票を続けてくだされば幸いです。


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12 無人島に魔導師墜落?

 どうも、宇崎ちゃんの三巻が発売されているのを忘れてて先日慌てて本屋に走ったオルカです。
 本屋に行くと目的のモノ以外も買ってしまって危険なのですが、今回は2冊追加で済みました。

 さて、アンケートに関してはまだ続けます。
 あと、エロ少ないです。

 ちょっとこの島の特色が出てきました。

 それではどうぞ。


 大雨続く無人島。

 そろそろ雨期も明けると予想しつつも、雨期が明けたからと言ってすぐに通常通りの採取ができるわけではない。

 

 雨で緩んだ地盤、増水した川、長期人が立ち入れなかった活動範囲の掃除。

 問題は多い。

 

「長い雨で海も荒れてます。漂着物の確認も必要でしょう」

 

 ゆかりさんの助言の通り、現在進行形で海は大荒れ。

 普段波が来ない場所まで高波がさらっていく状態だ。

 

「海岸の探索はウチにお任せや。ちっちゃい物は持ち帰って、大きい物はせっちゃんや小猫ちゃんに任せればええんよね?」

 

「そうですね。私の場合は本当に大きい物……例えば小さい船ぐらいなら私が運びます」

 

「……さすがに、小猫さん程の大きさは運べませんが、それ以下でしたら私が……」

 

 まぁ、悪魔のしかも『戦車』のパワーには勝てる訳もない。

 気の力を使っても、パワーという点では難しいかもしれない。

 

「それにしても、良く降りますね。雨期とはよく言ったものです」

 

「ここまで降ると、今まで採取とかで行き来できていた場所が土砂で塞がっていたり、沼に変わっていたりするからな。乾期に入ったら気を付けろよ」

 

 一年目の俺は一度足を滑らせて沼に落ちたことがある。

 死ぬかと思ったことの一つだ。

 

 どんなに藻掻いてもズルズルと沈んでいき、正直生き埋めになるかと焦った。

 

 あの時は身体をできるだけ横にして体重がかかる面積を広くして木や根のしっかり張った草をつかんで抜け出した。

 

 一応彼女達にはその場所を伝えてはあるが、雨期明けの探索はいつも以上に慎重にしなければこういう自然のトラップがあるのだ。

 

「前に教えてくださった底なし沼の事ですね。一応棒や石なんかで怪しい所は確認します。危険個所だったら棒かなにかで分かる様に目印を建てておきます」

 

「そうしてくれると助かる。そうだな……十字に枝を組み合わせて建ててくれれば分かりやすいだろう」

 

 こうして仲間も増えてきたんだ。

 分かり易い符丁の様なモノもどんどん作っていかないと複数人の利点が活かし辛い。

 

「この雨だと、普段地面が固かった場所もぬかるんで危険ですからね。私や木乃香さんは特に気を付けなければなりません」

 

「せやね。ウチもゆかりさんも空飛べへんもんな」

 

 確かに、小猫は悪魔の力、刹那は鳥族の翼がある。

 足を取られても飛び上がれるだろうし、羽を広げて表面積を確保することで沈み込むのを防ぐこともできるはずだ。

 

「しかし、この雨だと雨音しか聞こえないな。環境音がそれだけっていうのも飽きる」

 

 乾期は虫の声とか、遠くからの川の音が心地よい物だったが、雨期は全体的に雨音だけだ。

 

 上級者ともなれば、地面に落ちる雨音、屋根に当たる雨音、木々の葉っぱに当たる雨音。

 聞き分けられるようにもなったが、飽きてきた。

 

「私はそうでもないですね。元が猫鼬なので、可聴域が広いですし……!?」

 

 バッという効果音が付きそうな速度で振り返る小猫。

 目が真剣だから、何か感じ取ったのだろうか?

 

「どうした?」

 

「悲鳴が……東の森エリアだと思います」

 

 お前そんなに耳が良かったのか……。

 そりゃ、猫の妖怪からの悪魔転生した彼女だ。

 

 その上、仙術の基礎もあるはずだからより一層というやつか……。

 

「うち等には聞こえへんかったえ?」

 

「ゆかりさんの感覚でも聞こえませんでしたが……確認した方が良いですよね?」

 

 もし、人が居た場合に見殺しにしたとなれば気分が悪い。

 それに、悲鳴という事はピンチの可能性だってある。

 

「……確認に行こう。全員は危ないから、声を聴いた小猫、怪我人が出ていた時の為に木乃香、後は東側の危険性を考えて……俺だな」

 

 ゆかりさんと刹那は拠点で待機してもらう。

 火を起こして貰ったり、食事の用意をして貰う為だ。

 この大雨の中での悲鳴だ、水難の可能性を考えて温める準備はどうしても必要だし、状況によっては一刻を争う。

 特に今は設備が充実しているわけじゃない。

 

「わかったえ、ウチのアーティファクトなら怪我してても治せるし、風邪ひいても治せるから!」

 

 グッと両手を前でガッツポーズの形に構えて見せる。

 彼女なりに気合を入れているのだろう。

 

 小猫はすでに屈伸をして準備万端。

 俺はロープと担架用の布を用意して拠点を出発した。

 

 

**********************

 

 

 目が覚めた時、全身がビショ濡れで見覚えのない土地に倒れていた。

 周囲を確認しても岩場の海辺。

 奥には森が広がっていて、文明の気配は無い。

 

 一先ずは、管理局へ通信を試みる。

 

「管理局、応答願います。こちら、フェイト・T・ハラオウン執務官……管理局、応答願います!」

 

『妨害ではないですね。完全に通信の範囲外です』

 

 バルディッシュの回答に流石に困惑する。

 時空管理局への通信ができない次元世界だろうか?

 

 だとすれば、かなりまずい状況だ。

 管理外世界、それも未発見の世界の可能性がある。

 

「バルディッシュ、管理局向けにビーコンを設置。バリアジャケット展開」

 

『Yes, sir.』

 

 バリアジャケットを展開し、周囲警戒の為に飛び立つ。

 見た所、文明のレベルというか人が住んでいるかどうかわからない島。

 

 火山がそびえ立ち、そこから三本の川が流れているのが見える。

 こちら側に流れている川をたどり、上流へ移動すれば人が居るかもしれない。

 

 そう考え、島の大きな山に向かって川沿いに飛び出した。

 

「なんか、違和感があるような……。バルディッシュ何か感じない?」

 

『徐々に魔力消費量が上がっています。……消費量増大!! 危険域です!!』

 

 ガクンッとかなりの速度を出していたが、失速。

 次の瞬間、バリアジャケットすら強制解除され、そのまま増水している川へ真っ逆さまに落ちてしまった。

 

「AMF!? きゃぁぁぁぁぁ!?」

 

 落ちてすぐに、濁流に呑まれ上下左右の間隔が分からなくなるぐらいに水底の岩などに叩きつけられていく。

 

 頭をぶつけ、朦朧とする意識と息苦しい呼吸が更に混乱を助長する。

 魔法が突然解除されたこと、水中で滅茶苦茶に流されていく。

 

 

 どれだけ流されたのだろう。

 何度も川から抜け出そうと飛行魔法やバインドを発動させるも、なぜか魔法が構築されてすぐに霧散し、再び濁流の中へ引き戻されてしまう。

 意識があるのかどうかも分からないレベルで、徐々に視界が狭く、身体に受ける衝撃も鈍くなっていく。

 

 このまま死ぬのだろうか?

 そう考えていた時だった。

 

 ガクンッと何かが私のお腹に当たり、流されるのを止める。

 木の枝とか岩じゃなく、流れに抵抗して揺れたりしているのを感じた。

 

「よし! 確保!! 小猫!! 引っ張り上げろ!!」

 

「了解……です!!」

 

 グンッと引っ張り上げられる感覚。

 同時に聞こえてきた男の人の声と女の子の声。

 

 ドシャッと川岸に引っ張り上げられ、何とか呼吸ができるようになった。

 だけど、朦朧とした意識は簡単には回復せず、このまま眠ってしまいたい感覚すらある。

 

「おにいさん、無茶が過ぎます! いくら紐で身体を括っているからって、あの流れの中に飛び込むのは自殺行為です!!」

 

「だが、あの濁流の中で人ひとり引っ張り上げるにはこれしか方法が思いつかなかったんだ。許せ」

 

 何かを言い争っているが、なんだろう?

 助けてもらったお礼を言いたいのに、身体が自由に動かない。

 意識が……もう……。

 

 

**********************

 

 

「骨折とか打撲が酷いな。木乃香行けそうか?」

 

「結構流されてて危険やったけど、痕も残らんように治すえ」

 

 キャリアウーマン風の服装は濁流に呑まれてあちこちにぶつけたのだろう。

 擦れていたり、破れていたりと酷い有様だった。

 

 しかし、呼吸もあるし、助け出した際は意識もはっきりしていた。

 今は気を失っているが、呼吸はしっかりとしているし、負傷は木乃香が殆ど治してくれている。

 

 ただ、木乃香のアーティファクトで失った体力は戻せない。

 これは純粋に彼女の生命力に頑張って貰う他ない。

 

「とりあえず、拠点に運ぶぞ。俺と小猫で運ぶから木乃香は彼女の意識が戻らないか確認しててくれ」

 

 簡易担架の作り方は、二本の長い棒と古着が有ればいい。

 両腕の穴から二本の棒を通してあげると棒と棒を古着が繋ぎ止めているような状態になる。

 後は、運ぶ人の身長に合わせて古着を追加すると簡易ながらにそれなりの担架ができる。

 

 古着は流れ着いたスーツケースから俺らじゃサイズが合わなかったり、使い処の無い古着を使用している。

 

「木乃香、担架の布が破れそうだったりしたら教えてくれ」

 

「了解や、あまり揺らすとお姉さんの身体に悪いえ?」

 

「そうですが、流石にこの雨の中悠長に運ぶのも彼女を含めて私たちも危険です」

 

 雨とは実際に熱帯地域だろうと容赦なく濡れた身体の熱を奪っていく。

 人間の身体から汗が出る理由だ。

 

 この豪雨の中を拠点まで戻れるが、濡れ続ける事は確定だろう。

 とりあえず、木々の下をできるだけ通る様にしよう。

 

 

 拠点に帰ると、焚き木と寝所の用意がされており、お湯を瓶に詰めている最中だった。

 身体が冷えるだろうという事で温めるモノを用意してくれていたようだ。

 

「その方が漂流者ですね。お湯や寝所の用意はできていますから温めましょう。刹那さんは皆さんの濡れた服を交換してあげてください。私はこの方の服を脱がしてお湯の入れた瓶で温めていきます」

 

 テキパキとゆかりさんが刹那と協力して対応をしてくれた。

 着替えはすでに用意されていて、漂着物からゲットしているバスタオルでみんな身体を拭いていく。

 

「流石にお風呂の用意はできませんでした。お嬢様達はタオルで拭いた後は焚火で温まってください」

 

 そう言われて、焚火の近くで冷えた身体を温める。

 薄着ではあるが、火の熱を早く身に受けるためだ。

 

 刹那とゆかりさんはさっきの女性の看病に奔走している。

 対応としては、全裸にして脇や股、首筋などにお湯の入った瓶を挟めて、毛皮で包んであげるのだが、この脱がす工程が非常に大変だ。

 

 スーツタイプの様な前開きはまだ楽な方で、普通のTシャツやタイトなジーンズとかは最悪である。

 濡れているから肌と布が張り付いて脱がしにくく、弛緩した人体の重量はすさまじい。

 

 ゆかりさんと刹那の二人掛でようやくまともに作業ができるだろう。

 

「うぅ、やっぱり寒いです」

 

「せやね。……せや! キョウジさん、ちょっとええかな?」

 

「ん? なんだ、木乃香」

 

 そう言うと、小猫に何やら耳打ちをして二人でこちらに近づいてくる。

 この時点で予想はできた。

 

 だけど、今回は二人に本当に助けられた。

 小猫の探知能力と悪魔特有のパワー、木乃香の通常の回復魔法でも追いつけないほどの回復能力。

 この二つが無ければ今回は彼女を助けられなかっただろう。

 

 今回は、文句を言わずに受け入れることにした。

 感謝は言葉に出し、行動で示す。

 

 閉じられた無人島でのコミュニティでは大切なことだ。

 

「ほら、来い二人とも。協力してもらったお礼だ」

 

「ホンマ? やった!」

 

「おにいさんにしては殊勝な心掛けですね」

 

 そう言いながら、木乃香が俺の背中に、小猫が前の方に陣取った。

 そして、スッポンと俺や自身の上着を脱がせてからピトッとくっ付いてきた。

 

「ひゃー、キョウジさんめっちゃ温かい……」

 

「ホントですね、おにいさんこのまま湯たんぽ代わりに私達を温めてください」

 

 しばらく、三人で温め合い、冷え切った身体に熱を戻していった。

 俺としても二人に挟まれて急速に熱が戻ってくるのを感じていた。

 冷たい肌に二つのポッチが肌に擦れる感覚が妙に強調されて、木乃香は後ろからペロペロと俺の首筋やうなじを舐めてきて、小猫に至ってはスンスンと鼻を鳴らしながら胸板や脇の匂いを嗅いでいる。

 

 当然、これだけで終わるはずも無く、後に合流したゆかりさんと刹那の二人も別途相手にすることになってしまった。

 

 別にいいのだが、いくら娯楽の少ない無人島暮らしでも異様な性欲だ。

 

 奇妙な性癖が追加されることもあるし、本格的に調べないと駄目な段階に来ている気がする。

 小猫は匂い好き、ゆかりさんは胸、木乃香は羞恥、刹那は甘えたがり。

 種族や特徴、過去や生活環境なんかから開花していっているようだ。

 

 俺自身は何だろうか?

 後日、4人に聞いてみようかな……。

 




 エロが少なくてごめんちゃい。

 アンケートは次回か次々回で締め切り、キャラクターアンケートにうつります。
 ただ、やっぱりキャラクターアンケートに関しても長めに取ります。

 というのもキャラが増えてきて、書きたいシチュが増えているという事、拠点開発が遅々として進んでいない為、そちらにもスポットを当てる目的があります。

 これを投稿してる段階ではハイスクールD×Dが優勢ですね。
 少し離れてとあるシリーズ。

 このままHSDDになるのか、はたまたとあるシリーズが怒涛の追い上げを見せるのか?
 割と楽しい時間だったりしています。


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13 無人島の秘密とちょっとマゾい執務官

 どうも、エビの尻尾が歯茎に刺さったオルカです。

 海老に限らず固い食べ物全般でその危険がある事を再認識。

 ちょっと遅くなりましたが、普段の倍の文字数になっています。

 今回の更新を持って原作アンケートは締め切りまして、キャラクターアンケートに移らせていただきます。

 あと、下手くそなりに島の図を挿絵にしています。
 今回の話とあらすじにも張り付けていますので、よろしければ見てやってください。

 本当に下手くそなので。


 ジクリとした痛みで目が覚めた。

 全身が痛いけど、あの濁流に呑み込まれて負った怪我にしては軽い。

 打撲特有の痛みだけで、他の痛みは無い。

 

 骨折や裂傷なんかも負っていたはずだけど、誰かフィジカルヒールをかけてくれたのかな?

 

「おや、目が覚めましたか? あ、起き上がらなくていいですよ、今裸ですからね」

 

 そう言われて意識してみると確かに布団の中で、服どころか下着すら着ていない。

 普段、なのはと一緒に寝ている時も似たような恰好だったから気づかなかった。

 

「初めまして、結月ゆかりです。一応、この拠点のメンバーの一人」

 

 そう言って持っている器を脇に置くと部屋の脇から何かを取り出す。

 よく見ると私が着ていた服や下着。

 

「えっと、私はフェイト・T・ハラオウンです……。あの、バルディッシュは? 金色のアクセサリーの様なモノなんですが……」

 

「あー、貴方が身に着けていたモノですね。……っとあったあった」

 

 そう言うとブラと上着、その上にバルディッシュが置かれた状態で渡される。

 サッとブラと上着を着て、下半身はパンツだけだったけど掛け布団を巻くことで隠す。

 

「バルディッシュ、大丈夫?」

 

『No problem.』

 

 その回答にホッとする。

 疑わなければならないのは心苦しいけど、気を失っている間に何かをされたんじゃないかという疑念もある。

 

「へぇ、しゃべる子なんですね。まだ、体力とか打撲とか治りきっていないのでしばらく寝ててください。あと、この拠点には私とフェイトさん以外に四人生活しています」

 

 そう言うと、私に何やら器を渡してくる。

 見るとお粥の様な液状のモノが満たされている。

 

 所々緑色の葉物が見えるから、食べ物なのかな?

 

「見た目が悪くてすいません。目が覚めるまでこうして少しずつ食べさせていたので、ここまで煮詰める必要があったんですよ」

 

 一応念の為という事で念話でバルディッシュにサーチを任せる。

 

『普通のジャガイモと野草の粥です。毒物や薬物は検出されません』

 

 その回答にホッと安堵すると、空腹もピークに達していた事もあり、ありがたく頂いた。

 器や匙は明らかにハンドメイド感の強い見た目で、歪な造形をしているが、使いやすいように工夫されているのが良く分かる。

 

 お粥も塩味が効いていて、時折香る野草の風味が心地よい。

 

「美味しいです。ありがとうございます」

 

「いえいえ、問題無く食べられるようですし、次からは普通の料理にしますね。療養には美味しいご飯も大事ですから!」

 

 そう言うと、ゆかりと名乗った女性は仲間に知らせてくると、部屋を出ていった。

 バルディッシュと情報共有するタイミングだろう。

 

「バルディッシュ、私はどのくらい眠ってた?」

 

『一日と少しです。その間、住民たちの動きは看病の範疇を超えていません』

 

 そうなると、本当に善意の原住民だろうか?

 名前の響き的に地球のモノに似ている為、若干の懐かしさを感じる。

 

 私となのは、はやてが出会った思い出の世界だ。

 

「管理局からの反応は?」

 

『依然ありません。通信が届いておらず、この世界の座標も奇妙な事に計測しきれません』

 

「計測しきれない?」

 

『はい、あらゆる計測方法を試しましたが、測定される座標がすべてバラバラの法則性が無い状態です』

 

 管理局がそれぞれの次元を管理する上で必要なのが、この座標だ。

 その座標があることでその次元へ転移したり、通信をしたりする事ができる。

 

 座標が分かることで、相対的に時空管理局の位置なども算出できるのだけれど、座標がバラバラで法則性が無い、そんな座標が無い場所の様な異質な世界は知らないし、管理局の資料にも無かったはずだ。

 

 無限書庫になら情報があるのかも知れないけど、それだけ珍しい事象という事。

 管理局向けのビーコンを設置したけど、そもそもが座標が定まっていないのなら、救助に来てくれる可能性は低い。

 

 自力の脱出も難しいだろう。

 ここは本当にここに居る人たちが自力で生活している状態。

 

「バルディッシュ、管理局への救難信号は継続。今後どうするかも含めて、ここの人達とコミュニケーションをとってみようと思う」

 

『了解しました、お気を付けください、マスター』

 

 バルディッシュの激励の言葉を受けつつ、小屋の外から聞こえる。

 まずは、私を助けてくれた人たちに感謝を伝えよう。

 

 あの濁流の中で私を引っ張り出してくれた人たち。

 彼らがいなければ私は死んでいた可能性すらある。

 

 命の恩人に心からの感謝を。

 

 

**********************

 

 

 雨季も終わり、晴れ間の続く空模様が帰ってきた辺りで、彼女の療養期間が終わった。

 

 今回助けたのは、フェイト・T・ハラオウン。

 リリカルなのはの登場人物で、主人公の親友だったはずだ。

 

 キャリアウーマン的な服装にストレートにしている髪型から、strikersの時系列かな?

 バルディッシュと一緒に感謝の言葉を伝えてくれた。

 

 基本的に、小猫が切っ掛けと助ける際の引っ張り上げる役、木乃香が引っ張り上げた後に重傷をしっかりと治す役、俺自身は身体に紐を括りつけて濁流から彼女をキャッチする役割をこなしていた。

 

 ゆかりさんと刹那は濡れた衣服を脱がせて、看病してくれた。

 俺は裸の彼女に近づくわけにはいかないので食事を作ったり、この島の説明用の資料を作ったり。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 絵心無いんだよなぁ。

 しかしこれで説明がしやすい。

 

 彼女を助けたのが東の森に流れている川。

 例の果実の群生地帯だ。

 

 東側の水を大量に飲んでいるはずだが、この豪雨で大分薄まっているはずだし、影響は無いだろう。たぶん。

 

「では、時空管理局を知らないと?」

 

「ええ、俺を含めて、ここのメンバーは誰も知らないですね」

 

 これは事前に確認を取っていたが、誰も知らないらしい。

 それはそうか、原作が違うんだ。

 

 可能性の一つとして、それぞれの原作の世界観が混ざり合ったハイブリットな世界に来ている可能性も考えていたが、小猫はVOICEROIDや麻帆良学園を知らないと言うし、結月ゆかりさんは駒王学園や麻帆良学園を知らないらしい。

 木乃香や刹那もVOICEROIDや駒王学園を知らない。

 

 それぞれの学校を知らないというのはあり得るが、VOICEROIDはゆかりさんの話だと医療の現場、介護の現場に広く普及しているらしい。

 

 それを知らないのはあり得ないだろう。

 いくら興味が無くても、活躍しているVOICEROID。

 

 街を歩けばゆかりさんの姿を見る可能性は高い。

 つまり、別の世界であるという事なのだろうな。

 

「ここに居る全員が漂着者です。その時空管理局という組織があるのなら、全員違う次元? から来ている可能性もありますね」

 

 元々考えていた考察の一つの可能性が低くなった。

 いくつか考えていたが、可能性が高い方だった為、少し残念。

 

 その回答にフェイトさんは少し何かを思案するような表情を見せる。

 執務官という特別な役職の人間ならば、考えることは多いのかもしれない。

 

「わかりました。お伺いしたいことは以上です。助けてくださり、ありがとうございます」

 

「どういたしまして。聞きたいんだが、元の世界に戻る術は持っているのか?」

 

 フェイトさんは少し言い淀む。

 なるほど、言い淀むという事は帰る手段は無いか、かなり限定的であるかかな?

 

 この島は普通では無い事ぐらいはわかる。

 あの異常な果物もそうだし、俺以外の漂着者がアニメやゲームのキャラ達だ。

 

 俺自身はおっさんが若返った状態。

 小猫は会話してみたが、兵藤一誠がまだ仲間になっていないような口ぶりだった。

 ゆかりさんは様々な彼女の同期記憶があるし、特殊な存在なのかもしれない。

 ネギま組の木乃香と刹那は、仮契約カードを持っていることから、主人公のネギ君と契約しているのだろう。

 

 刹那にそれとなく確認したら、仮契約カードは『匕首・十六串呂』しか持っていない。

 タイミングを予想するなら、リョウメンスクナから魔法世界までの間……広いな。

 

「もし戻れるようなら、こいつらを含めて元の世界に戻して欲しいって話さ」

 

「はい、それは分かっていますが……」

 

「確定した返答は出来ないと?」

 

「はい」

 

 ならば仕方がない。

 ここで彼女を責めても仕方がないし、ダメで元々だ。

 

 それに次元世界に彼女たちの世界があるとも限らない。

 可能性は低いとみるべきだ。

 

「なら、仕方がない。……出来たら、帰る算段がたったのなら、彼女たちを連れていってくれると助かる」

 

「……あなたは?」

 

「俺は、見た目通りの年齢じゃない。元の世界に帰ったとしても居場所はないからな」

 

 帰れないならそれはそれでいい。

 俺はこの島の果実の影響だろう、精力が異常な状態になっている。

 戸籍が無く、何の保護も無い状態では生活なんてできないだろう。

 

「管理局で次元漂流者として保護も出来ますが……」

 

 それでも魔法の才覚は無いだろうし、俺の能力ってサバイバル能力と……精力?

 人里離れて暮らすか、AV男優しかねぇじゃねぇか。

 

 いや、サラリーマンはここに来るまでブラック企業の社畜だったし、出来ればもうやりたくない。

 時空管理局ってイメージ的にブラック管理局っていうイメージしかないからなぁ。

 

「そうですね。脱出する見通しが出来たら……考えてみます」

 

 それでも、文明の中に戻れるならその方が良いのだろう。

 二年以上無人島生活をしていたからコミュニケーションとか文明の利器を使いこなせるかが不安だが……。

 

 

**********************

 

 

 この拠点の代表である、三国恭治さんにお話を聞いてみたが、この島の信じられないような現状が明らかになる。

 

 様々な次元を管理している管理局のデータベースでも載っていないような果実。

 そして、様々な次元から流れ着いている人たち。

 

 この拠点の代表の三国さんはこの島に漂着した際に、肉体年齢が若返ったという話だ。

 ロストロギアが関連している可能性もある。

 もし管理局と連絡が取れた場合、全員保護しないといけない。

 

「要注意なのは、直接口に運ぶ以外にも落果の際に果汁と共に種を放出する特徴だ。その果汁にも媚薬効果が出るから、黒くなっている実には近づかないでくれ」

 

 今は三国さんに頼んで、怪しい果物の調査の為に、東の森に来ている。

 私が川に落ちた場所なのだけれど、この場所で探索用にサーチャーを展開してみる。

 

 次の瞬間、消費される魔力が異常な量になっていることを自覚した。

 この消費量が有れば、フォトンランサーが何発も撃てるだろう。

 

「この島で魔法の阻害がかかるという事はありますか?」

 

「魔法の阻害? いや、今のメンバーで魔法を使える奴は小猫と木乃香か。そいつらからは特に消費量の話は聞いていない」

 

 そうなると、AMFとは別の阻害になるのだろうか。

 どうも、拠点での魔法使用よりも、東の森での魔法使用の方が魔力消費量が多い。

 

 使用制限があるなら簡単には使えない。

 使い処を見極めないと。

 

「この赤いバナナみたいな形の実が話していた、媚薬効果のある果実だ。匂いも良いし、味も良いが、危険果実だからな」

 

 そう言われて見てみると、確かにバナナの様な形で一本だけ木からぶら下がっているような形。

 

 真っ赤というよりもオレンジと赤の中間ぐらいの色合い。

 香りはイチゴとかブルーベリィとかに近いベリィ系。

 皮の触り心地は、バナナよりも薄く、李とか桃とかの薄い手触りで、パリッとした感触。

 

「おいしそう……」

 

「俺や小猫が知らずに食べてしまうぐらいだからな。食欲をそそる条件が整っている」

 

「その際は……」

 

「一人の時は個人で処理したし、小猫の時は……」

 

 すると、三国さんが言いにくそうに目線を反らす。

 確かに性行為の事だ、言いにくいのも仕方が無いと思う。

 

「……襲われた」

 

「…………」

 

 言葉が見つからなかった。

 

 どうしよう。

 こういう時ってなんて声をかけてあげればいいんだろう?

 

 男の人への慰めの言葉って分からない。

 クロノへも奥さんと喧嘩した時の慰めの言葉しかかけたことが無い。

 

「……それはいいんだ。その果実で分かっていることは、さっき説明した事だけだから、注意してくれ。後、このエリアに自生している動植物は基本、口に入れない様に、この果実の成分を含んでる可能性が高い」

 

 気を取り直したのか、三国さんはそのように注意をしてくる。

 少し私の先を歩いて先導しつつ、指をさしながら補足説明や注意をしてくれている。

 

 その内容はとても分かり易くて、長い研究や観察の成果を伺わせる。

 同時に違和感も覚えた。

 

(三国さんはどうしてそれだけの知識を得ているの?)

 

 二年間という一人で生き抜いた期間で多くの事を分析して、沢山の事を切り捨ててきたのだろう。

 ブラック企業の社畜で、実際の年齢はアラフォーだと自虐交じりに言っていたが、サバイバル知識と能力はこの道十数年以上のベテランレベル。

 

 あの拠点に居た女の子達は無理やり従わされている素振りは無く、望んで彼に協力しているように見える。

 そのように見えるだけなのかな?

 

 職業上、疑う事も必要な事なんだけど、偶に嫌になるな。

 

「ハラオウンさんの目が覚めた場所なんですが……」

 

 三国さんが私から目を離して何かを話している。

 目の前に丁度、例の果実がぶら下がっていた。

 

(バルディッシュ、この木の実をサーチできる?)

 

『(可能です。少々お待ちください)』

 

 バルディッシュからサーチ用の光が当たり、解析をしていく。

 少し時間がかかるけど、話をしている三国さんは気づいてはいない。

 

 相槌を打ちつつ、解析を待つ。

 

『(解析結果が出ました。豊富な糖分とビタミン。食物として分析するなら非常に理想的な果実となっています。毒素に当たる成分は検出できませんでした)』

 

(少しも無い?)

 

『(はい、ただの栄養価の高い果実です)』

 

 やっぱり管理局の研究部門で詳細に調査をした方が良いかもしれない。

 媚薬効果が無いというなら、彼女達や三国さんに出たという症状は何だったのだろうか?

 

 それとも虚偽なのかな?

 

 それはあまり考えたくは無い事だった。

 私を助けてくれて、骨折や挫傷を治してくれた人達だ。

 

 しかし、見れば見る程に真っ赤で例えるならアップルマンゴーの様なパリッとした皮。

 触れてみれば、完熟した桃の様に力を加えると沈み込む程に柔らかい。

 

 木から摘み取ってみると、木に皮が一部残った状態になり、そこからツルンッと言う音を出しそうな程キレイに皮が剥ける。

 

 皮とは違うオレンジが強い赤。

 半透明の実が果汁を滴らせながら眼前に現れた。

 

 果肉が露わになったことで強い香りが鼻をつく。

 甘い中に爽やかな香りがあるベリィ系。

 

 更に力を込めてみると、皮の中から押し出され綺麗な果肉が姿を現す。

 ブドウの様なプルプルとした果肉は揺れるたびに果汁を滴らせている。

 

 成分分析で毒素が無いという結果。

 同時に、理想的な栄養価を備えた果実だという結果。

 

 なんダろウ、考えがマトマラナイ……。

 気づけば果実を口に運んでいた。

 

 弾けるような果汁の噴出。

 桃やメロンを食べているような歯触りと、噴出し続ける甘く少し酸っぱい果汁が喉奥へ消えていく。

 

 オイシイ。

 

 こんなおいしい果物は初めて食べたかもしれない。

 こんなにも瑞々しく、甘くて爽やかな味。

 

 鼻腔をくすぐるベリィと僅かに柑橘の様な香り。

 これは、果物の王様と言っても……。

 

「ハラオウン執務官!!!!」

 

 突然耳元で大声が聞こえて我に返る。

 

 え? 私……何でこの果物を食べてるの?

 

「何を……! ああもう!」

 

 腰にぶら下げているペットボトルを取り出すと私の眼前に突き出してくる。

 その眼は真剣そのもので。

 

「すぐに飲んで吐き出せ! 間に合うかもしれない!」

 

 そう言いながら、無理やり私の手にペットボトルを持たせると、代わりに私の持っていた果実を奪い取って捨てる。

 

 少し勿体ないと思ってしまっている時点で普通の状態じゃないのだろう。

 

「えっと、バルディッシュだったか? どうしてこうなったんだ?」

 

『突然マスターが果物を凝視し始め、制止も聴かずに食べてしまいました』

 

 え? バルディッシュ、止めていたの?

 まずい、慌てて三国さんの指示通りに水を飲み、そのまま吐き出す。

 

 数回それを繰り返したが、結果は私の身体に宿る燃えるような欲求が答えだった。

 

 

**********************

 

 

 目を離したら彼女が果実を口にしていた。

 何を言っているのか分からないと思うが、俺も分からない。

 

 ただ、俺の声やデバイスの制止の声すら聞こえている様子はなかった。

 可能性はいくつかあるが、一番可能性が高いのは、彼女を救出した際の川の水だ。

 

 効果は出なくとも潜伏の様に身体に残り、果実を見て暴走したのだろうか?

 

 しかしこれも荒唐無稽な話ではある。

 それだったら、彼女が興味本位に負けたといった方が説得力も高いというものだ。

 

「ダメだったか。ハラオウンさん、一応仮拠点の様な場所が近くにある。一人で処理したいのであれば俺は席を外すし、落ち着いたら魔法か何かで呼び出してくれればいい」

 

 ダメだ。

 反応が薄いというか、ボーっとしてしまっている。

 

 あまり男性と縁がない生活をしているイメージがあるが、実際どうなんだろうか?

 性知識とかあるよな?

 

 自慰ぐらいはした事あるよな?

 無かったらそれはそれでハラオウン家の情操教育に一言モノ申す必要があるが……。

 

「一人で……ムリ……間に合わない……」

 

 まぁ、過去に俺自身が食べてしまった時は、自慰だけで日が暮れた。

 いくら抜いても無理やりに生成される精子が出口を求めて、無理やり股間からあふれるイメージ。

 

 あれは辛かった。

 実際に性行為を行う時は収まるというか矛先が定まっているからか余裕が出る。

 

 だけど、自慰で済まそうとすると、満足せずに半永久的に射精欲が湧き出続ける。

 あの状態が彼女にも起こっているなら、一人で処理というのも酷な話だ。

 

 しかし、これは確実に聞かなくてはならない。

 

 互いの同意。

 これが大前提だ。

 

「じゃあ、俺が相手するが、いいか?」

 

「お願い……します……もう、苦しくて……」

 

 そういう彼女の様子に、俺自身も覚悟を決める。

 互いの同意とは、相手に覚悟を決めてもらう事と同時に、俺自身の覚悟を決める儀式というか条件付けというかそういう感じだ。

 

『私はスリープモードに入ります。御用の際はお呼び出し下さい』

 

 そう言葉を発して、バルディッシュは静かになる。

 主人の希望や周囲の状態を読んで自らスリープモードに入るとは、何という紳士なデバイスなのだろう。

 

「三国さん……」

 

「キョウジでいい。俺もフェイトと呼んでも?」

 

「はい、キョウジさん、お願いします」

 

 目を閉じて、顎を少し上げ、その瑞々しい唇を強調する。

 そのぷっくりとしたピンク色の唇に、羞恥と果実の効果で赤く火照ったした肌。

 目尻に貯めた涙と震える肩が、彼女の緊張を物語っていた。

 

 頬に手を当て、優しく撫でつつ、その唇に自分の唇を重ねる。

 最初はついばむ様に、ソフトに重ね合わせ、触れるたびに跳ねる彼女の肩を優しく撫でつつ、優しく言葉をかける。

 

「大丈夫、俺に任せて……受け入れて?」

 

 できる限り優しく、そして意識して肩に腕を回すように抱き留め、逃げられないように固定する。

 

 ちょっとした逃げ道。

 捕まっているからという言い訳。

 

 そのまま、しっかりと口づけを交わし、その口内に舌を入れて蹂躙する。

 肩がビクビクと跳ねているのが分かるが、ここは少々強引に行く。

 

 押し返そうと抵抗するそぶりを見せてくる彼女の舌を弄ぶように絡み合わせ、その最中に互いの口内に溜まった唾液を交換する。

 

 さらに舌で押し返そうとしてきた為、ふと悪戯心でその舌を吸い上げた。

 ヌルッと俺の口の中に招待される彼女の舌。

 

 戸惑っている表情のフェイトに追い打ちとばかりに、自分の舌で彼女の吸い上げられている舌に絡みついていく。

 

 徐々に感覚に慣れてきていたであろうフェイトだが、グタッと肩の力が抜けて完全に俺に体重を任せてしまっている。

 舌を絡める度に悶えるような動きをしていた足は俺の片足に蔓の様に抱き着いている。

 

 ゆっくりと口を話し、互いに新鮮な空気を吸う。

 結構な時間をキスに費やしてしまったが、フェイトの表情を見ると良かったとも思える。

 

 完全に蕩けきっていて、普段のキリッとした表情が微塵も感じられない。

 半開きになった口元から彼女と俺の混ざった唾液が垂れている。

 

「可愛いな。ほら、脱がせていくぞ」

 

 元々キスをしながら徐々に脱がせていたが、下着にまで手を付ける。

 全裸になったフェイトの前で俺も全裸になる。

 

 蕩けきっている彼女の瞳は、しっかりと俺の股間に向いている。

 視線で追いかけているのが分かる。

 

 愛撫の為に彼女の秘所と胸を弄んでいく。

 元々果実の効果で洪水のような状態だ。

 愛撫の目的は膣をほぐすことと、スキンシップだ。

 

「ぅ……んむぅ」

 

 指を動かすたびに締め付けてくるフェイトの膣は、徐々に緊張がほぐれる様に優しい締め付けへと変わっていく。

 

 そこを見極め、正常位で挿入していく。

 ゆっくりと。

 

「ぅぁ……入って……入ってくる」

 

「ああ、狭くて気持ちいいぞフェイト……」

 

 声をかけていくが、反応は普通と変わらない。

 喜んでくれているのだろうが、どうも彼女のツボが分からない。

 

 何度も何度も、膣内で出して、身体に出して、ベトベトな状態。

 それでも俺もフェイトも満足していない。

 

 俺が相手の弱点というか性癖を探り出して責める理由がこれだ。

 ただでさえ長いセックスが、更に長くなる。

 

 互いに満足が出来ずに長引いてしまうのだ。

 彼女たちの性癖に沿う形で責めると、倍以上の速さで彼女たちは性欲を解消できる。

 

 羞恥や承認、胸にキス。

 反応はいいのだけど、フェイトのツボを押さえられていないと感じる。

 

「次はこういう体位はどうだ?」

 

 そう言いながら、繋がったままで背面座位へと体位を切り替える。

 このまま横になれば騎乗位になるのだが、そうではなく背後から彼女を抱きしめる。

 

 強く固定するようにギュッと。

 すると、キュキュッと彼女の膣に反応があった。

 

「きゃぅん!!」

 

 この状態での反応。

 さっきの反応が薄かった行為と照らし合わせると、徐々にだがフェイトの性癖が見えてくる。

 

 当の本人は今の強烈な感覚に戸惑っているようだ。

 当然だ、自覚していない性癖なのだ。

 

 突然開花させられて、戸惑わない方がおかしい。

 

「なに? 何なの……この感覚?」

 

「ほら、ちょっと強くするぞ」

 

 可能性の高いものは……。

 

 彼女の豊満な胸の先端。

 ピンク色でしっかりと勃起している乳首を摘み、ギュッと強めに抓ってやる。

 

 普通だと痛みが先行するだろう今の行為。

 だけど、フェイトの反応は全く違っていた。

 

「ひっ……!? きゅぅぅぅん!!」

 

 ゾクゾクっと胸から背中、そして全身へと小さな震えが広がっていき、最終的にビクビクと大きく跳ねる身体。

 

 なるほど、彼女は軽度のマゾヒズムを持っているのだろう。

 

 だとすると厄介だ。

 SMとは互いの信頼関係があってこその行為であり、フェイトの欲しい刺激を与えてやらなければただの虐待に意味を変えてしまう。

 

 ただ虐めればサディストというわけではない。

 いかにフェイトを満足させ、深い絶頂へと導けるか。

 

 責める側に求められる最低限の責任だと俺は思っている。

 

「イってくれたね。次はこういう体位はどうだ?」

 

 そう言って、次は彼女の身体を回転させ、対面座位へと切り替える。

 自然とフェイトが俺に抱き着いてきて、密着した状態で彼女の豊満な胸が俺の胸板に挟まれ、形を変えていく。

 

 フェイト本人は、さっきの感覚が抜けきっていないのか、戸惑いとそれ以上の快楽に顔を緩ませていた。

 

「ちょっと強く突くぞ」

 

 そう言うと、挿入状態で更に奥へ力を加える。

 膣奥のもう一つの口に当たるのを感じる。

 

 最初にこの責めは本来なら良くはない。

 未熟な膣を奥まで無理やりに進んでいるのだ。

 異物感や圧迫感が先行して、快感を得るどころではない。

 

 しかし……

 

「あ……うぁ……奥まで……コレ……スキ……」

 

 彼女は苦痛と同時に快楽も得ているようだ。

 果実の影響とはいえ、強烈過ぎる快楽に苦痛は流されているのだろう。

 

 そこからはひたすらにフェイトの望む場所を責め、時に慈しむ様に、時に荒々しく、緩急をつけながら何度も彼女の膣内に射精を繰り返す。

 

 乳首を抓り、膣奥を責めたて、お尻を軽く叩く。

 徐々に自身の性癖が馴染んできたのか、口に出して強請る様になってきた。

 

「もっろぉ……おひり……ぱんぱんしへぇ……」

 

 おそらく、過去にあった肉親から与えられた行為の記憶。

 今の幸せな生活の中で、肉親から与えられたこの行為を知らず知らずのうちに特別に思うようになって行ったのかもしれない。

 

 それが果実によって変な方向にブーストされてしまったのだろう。

 

 それならば、俺はしっかりとフェイトを満足させる。

 異常と思われる行為を好んでいる現状、俺は受け止められると覚えて貰わないと彼女は自身の倫理観に押しつぶされてしまうかもしれない。

 

 肯定して、受け止める。

 

 これだけで救われる人は多い。

 フェイトは人一倍強い倫理観を持っていて、その為にこの快感は背徳感も加味されているのだろう。

 

 立派な倫理観を持った大人の女性。

 だが同時に、とても脆い内面を持つ、かわいらしい女性だ。

 

 行為の痕跡を綺麗に掃除すると、気を失っているフェイトへ草の掛布団をかけてやる。

 火を起こして暖を取りつつ、沸かしたお湯で自分の身体を拭いてしまう。

 

「おやすみ、フェイト。どうか、安らかな夢を……」

 

 彼女の寝顔を見て思わずつぶやいてしまった独り言に、気恥ずかしさを覚える。

 フェイト以外誰もいないかを確認してしまったよ。

 

 それにしても、何故フェイトはあの果実を食べたかだ。

 再三の忠告と効果をしっかりと説明した。

 

 バルディッシュが言うには、媚薬効果の成分は検知できなかったらしい。

 木乃香のパクティオーカードも、媚薬効果をバッドステータスと認識しなかった。

 

 もしかしたら、この果実だけじゃなく、この島自体が厄介な物なのかもしれない。

 

 この島の調査の優先順位を数段上げた方が良いだろう。

 フェイトだけじゃない。

 小猫やゆかりさん、木乃香や刹那も俺の大切な仲間、家族だ。

 

 その為に、もう少し考察を重ねた方が良いだろう。

 




 よろしければ評価と感想いただければ幸いです。

 さて、原作アンケートの結果は以下の通りです。
(287) ヒロアカ
(972) ハイスクールD✖︎D
(287) VOICEROID
(575) とあるシリーズ
(332) めだかボックス
 初の登場済み原作の『ハイスクールD✖︎D』に決まりました。
 とあるシリーズも善戦してましたが、残念な結果でしたね。

 さて、今回からキャラクターアンケートに移りますが、これも少し長めに設置いたします。
 好きなキャラが居るかどうか、わかりませんが投票してくだされば幸いでございます。


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14 無人島で中間拠点

 どうも、先日盛大にスマホが壊れたオルカです。

 急いで機種変更をしたのですが、Xperia 1 が、びっくりするぐらい長いですね。

 さて、キャラクターアンケートはまだ続けますが、次のアンケートは原作アンケートではなく、話の方向性みたいな形でアンケートを取ろうかとも考えています。

 というのも、キャラが急速に増えているので、一人一人の行為が掘り下げられていないのです。

 もっと可愛い彼女たちを書きたいので、ご了承いただければ幸いです。

 それでは本編どうぞ。


 フェイトさんを仲間にしてから一週間ほど経過しています。

 最初はキチッとした雰囲気の方でしたので、小猫さんも木乃香さんも様子を伺っていましたが、マスターと東の森へ探索へ行ってからは良く交流をしています。

 

 おそらく、マスターに抱いていただいたのでしょう。

 何というか、フェイトさんの視線がマスターを追っているのをたまに見かけますし、さり気なくマスターの好きな物とかを私達に聞いてきたりしています。

 

 良い傾向ですね。

 小猫さん同様、ゆかりさんもマスターにベッドの上で勝ちたいと思っています。

 その為には仲間を増やしませんと!

 勝てた試しがありませんが……。

 

 何なんですか!

 即座に私たちがして欲しい事を見抜いたり、ぴったりのタイミングで弱点を責めてくるとか、セックスの為に生まれた様な観察眼です。

 

「ゆかりさん、魚の干物はどこに掛けておきますか?」

 

 天日干ししていた魚の干物。

 フェイトさんは良く働くというか気を回してくれる方でした。

 

 木乃香さん同様、こう言う気遣いのできる人はコミュニティを充実させて、メンバーの心に良い影響を与えてくれます。

 

 実際に現代社会で仕事や生活をしていると、こういった気遣いのできる人を蔑ろにする人もいますが、こう言う気遣いのできる人こそが集団の中でリーダーシップをとる人以上に重宝される。

 

「台所付近にかける場所があります。案内しますね」

 

 フェイトさんはこの拠点に居る全員がマスターと肉体関係にあると知っている。

 東の森に探索に行く前に、マスター自身が話していましたので、フェイトさんに警戒心や果実の危険性を暗に伝えていた形です。

 

 マスターの考察ですと、あの果実を食した者は、特殊な性癖に覚醒するかもしれないとのこと。

 ゆかりさんにも自覚はありますとも。

 他の結月ゆかりも持っていたこのコンプレックスである、胸。

 

 初めてマスターに責められたときは、恥ずかしながら絶頂からしばらく降りてこれませんでした。

 他の方にも聞きましたが、皆似たような経験をしています。

 

 小猫さんはマスターの匂いが好きなようで、木乃香さんはマスターに意地悪されると感じてしまうらしい。マスター曰く、羞恥心への刺激らしいです。

 

 刹那さんはとことん甘やかす事でなんかもう普段のキリッとした雰囲気がフニャフニャの甘々な空気になるので木乃香さんや小猫さんの間で密かに人気だったりします。私も大好きです。

 

「少しずつ慣れてきましたね」

 

「はい、ゆかりさんや他の皆さんが気を使ってくれるお陰です」

 

 現在は雨期が明けた為、消費していた保存食の生産と消耗品の作成に勤しんでいます。

 刹那さんは木乃香さんと一緒に海へ魚や貝なんかを取りに行ってますし、私とフェイトさんは拠点で消耗品と保存食づくりです。

 

 フェイトさんに教えながらのんびりと作業していく。

 拠点の人数は六人にまで増えて、分業体制がはかどる今日この頃。

 

 小猫さんはマスターと中間拠点の予定地下見に行っています。

 マスターの視点で候補地を確認して、中間拠点に相応しい場所と、危険が無いかを再度確認する作業。

 

 小猫さんが危険が無いと判断していますが、サバイバル観点でマスターの意見を求めている形ですね。

 

「ここの設備とかって全部キョウジさんが?」

 

「そうですよ。ゆかりさんが作ったモノもありますが、基本的にマスターが作ったり、提案したりしてくれています。マスターはこの拠点のリーダーであり要です」

 

 拠点メンバーは全員が何かしらの役割の様なモノが与えられている。

 私は基本的に拠点での仕事を主に小猫さん達のメンタルケアを担当していますし、小猫さんは採取や先行偵察、マスターの護衛が主な担当。

 

 木乃香さんはその貴重な回復能力から回復担当と意外に器用な手先で拠点の設備を作ってくれる。刹那さんはその木乃香さんの護衛が主な担当で、採取や拠点の防衛をしてもらっています。

 

「フェイトさんには私と一緒に拠点設備の制作と小猫ちゃんと一緒にマスターの護衛をお願いすると思います」

 

 小猫さんだっていつもマスターの傍にいられるとは限りません。

 マスターが居なくなると基礎がある私達であっても長く持たないでしょう。

 

 保存食の管理、採取のルール、私達のケア。

 マスターは非常に多くの役割をこなしています。

 私たちの性欲処理もマスターじゃないとできませんし!

 

「わ、私がやっていいのかな……」

 

「むしろお願いします。マスターは私達の生命線ですから、護衛は多い方が良いですし」

 

 そしてマスターは自覚が無いのか、割とポンポンと危険なことをします。

 フェイトさんを助けた時もそうですし、あの後小猫さんに本気で怒られてました。

 

 ちなみに、マスターへ本気でお説教が出来るのは小猫さんだけだったりします。

 私はマスターにお小言ぐらいは言えますが、お説教となると難しいですし、木乃香さんや刹那さんもマスターに甘える事が稀に情事の時間でない時でも出てくるので出来ないようですし。

 

「マスターの護衛ですが、小猫さんが居ない時の代りです。小猫さんが一番マスターと長いですからね」

 

「ゆかりさんが一番長いと思ってました」

 

 あー、木乃香さん達も同じ勘違いをしてましたね。

 拠点内の指示を出すの基本私だからですかね?

 

 小猫さんは基本が猫又だからでしょうか。

 単独行動を好む傾向があります。

 私達を大事に、マスターを大事に思ってくれているのは分かりますが、指示を出すとかは苦手みたいで、私がやっている形です。

 

「私はお二人のサポートですね。フェイトさんも木乃香さんとか刹那さんへは気を使ってあげてください。最年少ですし、友人と一緒に来れているから気丈に振舞っていますが、多感な年頃です」

 

 まぁ、その辺りの不満や感情はマスターが受け止めていますし、大きな問題にはならないでしょうけど、それでもマスターがいつでも拠点に居るわけではない。

 現に今は、小猫さんと中間拠点の下見に出てますし……。

 

「わかりました。良く話してみますね」

 

 やっぱりいい人ですねフェイトさん。

 元々警察の様なお仕事をされていたみたいですし、正義感や倫理観が強いみたいです。

 

 マスターが言うには、彼女も色々抱え込むタイプらしいですからマスターと様子を見つつ……といった感じでしょうか。

 

 

**********************

 

 

 中間拠点の重要な点は、ある程度の期間を開けても野生動物に荒らされないという事だ。

 保存食や採取物を格納し、なおかつ数日間の寝泊まりに堪えうる快適さ、野生動物に荒らされない立地。

 

 難しいのだが、小猫の探してきた候補の中にその場所があった。

 

「木の上とは考えたな」

 

「まさか、ここまで高評価だとは思いませんでした」

 

 中間拠点の候補地の中に巨大な樹木が自生しており、大人が数人でようやく幹を囲める程の巨木だ。

 枝も普通の木と同じぐらい太い。

 

 そこで、ツリーハウスを作ろうと思う。

 元々は部族が倉庫を作るのに使っていた建築法らしいが、今はエンターテインメントや秘密基地的な扱いが多い。

 

 この島に猿の様な木の上をメインの活動場所にしている動物は今の所会っていない。

 であれば、この木の上に吊り梯子なんかで移動するのがいいだろう。

 

「ここに拠点を作る方向で話を進めよう。幸い、この辺りは木材に困らないようだし、建築用仮拠点も場所を決めておこう」

 

「ここからどっちの方向に攻めるかですね」

 

「予定だと西側の猛獣エリアだな。小猫だけじゃなく、刹那やフェイトが来てくれたのはありがたい。木乃香の回復能力も助かる」

 

 まぁ、今日は道具も建築の用意もしていない。

 一度帰ってからメンバーを揃えて再チャレンジだ。

 

「そうですね。流石に二人ではです……、ではそろそろ……」

 

 そう言うと小猫がススッと俺に近づいてきた。

 この時点である程度予想がついているが……。

 

「したいのか?」

 

「はい」

 

 物凄いいい笑顔で答えられた。

 まぁ、案内時点で後ろから匂いをかがれていたり、ボディタッチが多かったから予想はしていた。

 

「先ほど紹介した洞窟に行きましょう」

 

 ホクホクとした表情の小猫に連れられて、洞窟へ連れられていく。

 あれだ、二人っきりで調査に来た時点で覚悟していたことだ。

 

 

**********************

 

 

 おにいさんは、基本的に正常位で抱かない。

 ベッドやシーツが無いこの生活では、私達の背中が擦れてしまったり、髪に泥とかが付いてしまうのを気にしている。

 

 私としては対面座位や対面立位なんかが、おにいさんとの密着率が高いので好きなので問題無いのです。

 

「おにいさんにこうして抱き上げられていると嬉しい気持ちと興奮する気持ちがありますね」

 

「まぁ、この体位がメインだしな」

 

 現在は対面立位で抱いてもらっています。

 おにいさんの首筋に顔をうずめられる最高の体位です。

 

 慣れてきてはいますが、おにいさんのオチンチンはとても大きく、私のサイズに比べてとても大きいので、圧迫感と膣内全てを擦っていく快感がとても強いです。

 

 そんなおにいさんとのセックスですが、一つ不満に思う点があります。

 基本的におにいさんとのセックスは一度始まれば、おにいさんは私たち全員の弱点を熟知しており、それに従って責めてきます。

 

 しかも、弱点を短調に攻めてくる様な事はせず、私の状態を常に見て反応からその日の弱い所を見つけ出して複雑に責めてくる。

 

 正直、勝てる気がしないのですが、おにいさんは十人を相手にしても返り討ちにできるだろう精力を持った精剛だと私とゆかりさんの間では確定事項。

 

 そんなおにいさんの本気。

 実は私たち全員見たことも体験した事も無いのです。

 

「当たり前だろ。俺は小猫が満足してくれた時点でセックスは完結してるんだ。俺の全力とかは相手に負担をかけるだけだ」

 

「そう言うとは思ってましたけどね」

 

 多分おにいさんの全力に近い行為は、最初の果実の毒に侵された状態の時にその一部が垣間見えた程度。

 

 それでも、私ならば……。

 悪魔の身体で、元々から猫又の妖怪である私なら、耐えられると思う。

 

「興味本位の提案という訳じゃないんですよ?」

 

「ほう、どんな提案だ?」

 

 おにいさんの全力が人間に、例えばゆかりさんとかフェイトさん、木乃香さんなんかが耐えられるかどうかを図る。刹那さんは鳥族のハーフという事もあるので体力があるでしょうから除外しますが。

 

 これから先、おにいさんがあの果実を口にしないとも限りませんし、私が完全にお相手できるかとか、ゆかりさん達が何人がかりで相手できるかとか、知る必要はあると思うのです。

 

 おにいさんが果実の影響で仲間一人を腹上死させるとかシャレにならないと思いませんか?

 

「……一理あるか」

 

「皆で生き残る為にも、必要です」

 

 おにいさんの最大の目的。

 生き残る事ですから、そこを基軸に攻める。

 

 拠点仲間の事も大事にしているのは知ってますから、乗ってくれると思います。

 

「わかった。小猫がそこまで言うんだったら、全力で相手をしてやる」

 

 これでいいです。

 実際問題、説得内容は事実ですし、嘘偽り一切無しです。

 

 ただちょっと、私の願望が紛れ込んでいるだけです。

 

「飲料水を出しておくか、喉乾いたら言えよ?」

 

 あ、目や口調でわかる。

 本気モードだ。

 

 相手の最大戦力を知っておく。

 ゲームとかでも必要な事ですからね。

 

 

**********************

 

 

 全力で相手をする。

 

 小猫をいつも以上に体力が続く限り抱いてやることで、仲間の命を守る事になる。

 そんな説得をされたらやるしかないだろう。

 

「ふ……ぅ……んぁ……」

 

 眼前には蕩けきっている小猫。

 抱きしめながら、キスをして、その最中に胸やお尻を愛撫して、口を離せば耳元で睦言を囁く。

 

 抱きしめてあげれば、睦言を囁きながら、全身を愛撫し、丁度小猫の頭が肩に当たるので自然と鼻が俺の脇のあたりに来る。

 匂い好きの小猫は抱きしめた瞬間にビクッと身体を跳ねらせ、膣がキュキュッと締め付けてくるような反応を見せてくれる。

 

「気持ちいいか?」

 

「ふぁ……ぃ……も……っろ、くらは……い」

 

 呂律も回ってないな。

 完全に小猫の肌はピンクに染まり、顔は半開きになった口から涎が垂れている。

 元々肌が白い小猫だ。赤くなった状態が非常にきれいで、もっと綺麗にしてあげたいと思う。

 

「かわいいぞ、小猫」

 

「ひゅ……にゃ……」

 

 虚ろながら、俺の言葉に反応して、口元が緩み、目元が嬉しそうに下がる。

 膣も何度も締め付けてくれて、腰に絡みついて来ている彼女の足もギュッと抱きしめてくる。

 

 睦言で羞恥と歓喜が湧き上がっている所で、口づけを交わす。

 舌を絡め合わせ、俺の舌を追ってきた小猫の舌を吸い上げてやったり、逆に口の中を蹂躙し、互いに呼吸がほぼ鼻になってしまっていて、苦しいと思い始めたあたりで口を離してやる。

 

 そして、すぐさま抱きしめて匂いを存分に楽しんでもらう。

 ビクビクと膣内が痙攣して、身体も震えている。

 

 そして、弛緩してきた彼女の身体を抱きしめて、膣奥へと自分のイチモツを押し込む。

 

「~~~~~っ!」

 

 声にならない声を上げ、それでも背中に回している手に力を入れて顔を俺の身体から離さない。

 そのまま、俺の胸に舌を這わせて、まるで味わおうとしているように丁寧に何度も舐めてくる。

 

 どのくらい時間がたったのか分からないが、もう一度強めに動こうと思う。

 

 小猫のお尻の上部。

 尾の付け根のあたりに手を置き、ゆっくりと腰を引いていく。

 ズルズルと抜けていく感覚に、気づいたのか顔を上げて俺を見上げてくる。

 

 その瞳には驚愕と期待の色が見て取れた。

 

「いくぞ……」

 

「ぅにゃん……」

 

 返事を聞いて、そのまま大きくピストンを開始する。

 あまり大きく動くことの無く、スローセックスな方向の俺の行為だが、こうしてピストン運動をしてやると、スローセックスには無い強烈な快感が得られる。

 

「うにゃ……うにゃん! ああぁ……す……すごい! おにいさん……まだこんなに……元気で……」

 

 何度も何度も腰を叩きつける様に、彼女の身体を味わい。

 彼女も叩きつけられる快感を享受している。

 

 動かすたびに、彼女の膣内に出した精液が圧力で逆流し、外へと漏れ出す。

 だが、漏れ出した以上の量を再び彼女の膣内に射精する。

 

「にゃぁ……おにいさん……きもひいいれす」

 

 女性の絶頂は浅い物と深い物があり、浅い物が何度も起こるのに対し、深い物は中々訪れないという。

 今の小猫は深い絶頂から降りてこられない状態だろう。

 

 前にそう聞いたことがある。

 絶頂で上に押し上げられ、降りる前に更に絶頂で押し上げられる。

 降りてこられない……と言っていたのだ。

 

 その状態まで来たと確認したら、膣内の奥まで押し入れ……。

 

「出すぞ」

 

 そう宣言して射精する。

 ドクドクと膣奥で自身の精液が広がっていくことに若干の愉悦を覚えつつ、再びスローセックスのペースに戻す。

 

 スローセックスは徐々に徐々に感度を上げて、感度が高い状態で長い時間維持させられる。

 夢心地な小猫はもう、かなりグッタリしつつも俺に甘えてきて、それに応えてあげた時の反応がとてもかわいらしい。

 

 激しい行為とゆっくりとした行為を交互に繰り返して何度も何度も二人だけの時間を楽しんだ。

 

 

**********************

 

 

「小猫?」

 

「おにぃさぁん……もうちょっとだけ……」

 

 抱き着いて離れない小猫。

 猫の様にスリスリと頬ずりしたり、胸板をペロペロと舐めたり。

 

 猫に近い状態。

 手を近づけてやると、その手に頬ずりを始めて、幸せそうな笑顔を向けてくれる。

 

 完全に理性が蕩けきっている状態だ。

 本当に長い時間、抱き合ったからな。

 こうしている間にも、ドロッと小猫の股間から俺の出したものが逆流してきている。

 

 落ち着くまでまだかかるなコレ……。

 

 小猫が正気に戻ったのは二人で眠りについて、目が覚めた時だった。

 本人曰く、耐えられない訳じゃないがしばらく小猫自身が使い物にならなくなるとのことだ。

 

 実際、二・三日は小猫はボーっとしたり、俺の近くから離れなくなったりと、元の状態に戻るのに時間を要した。

 




 恋姫無双-革命『蜀』を買いました!
 そのままの勢いで『巣作りカリンちゃん』も予約!

 いやはや、楽しみですね!

 さて、今回はいかがだったでしょうか?
 キョウジ君の全力。

 小猫ちゃん可愛く書けたかな?

 感想・評価など頂ければ幸いです。
 よろしくお願いいたします。


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15 無人島で甘々せっちゃん

 どうも、カロリーメイトのチョコ味を食べて口の中の水分を持っていかれたオルカです。

 おいしいのですが、ドリンク必須のブロックタイプです。

 さて、しばらく各キャラの掘り下げ期間に入らせていただきます。

 次の話の投稿でキャラクターアンケートを締め切らせていただきます。
 その後、原作アンケートではなく、ストーリーアンケートという別のアンケートを入れる予定ですのでお楽しみに!

 それではどうぞ!


 せっちゃんはかわええ!

 

 ウチがせっちゃんの性癖いうか、キョウジさんに抱かれとる姿を見たのは、最初の逆れいぷ? ちゅうのをしとる時やった。

 

 あの果物のせいで、せっちゃんが性欲をコントロールできんようになって、キョウジさんに襲い掛かったんが事の顛末や。

 

 その時に、キョウジさんがせっちゃんへ言葉をかけた。

「……よくここまで我慢したな、偉いぞ」

 あの時、両手が縛られてなければ撫でとったやろう程に優しい声色やった。

 

 全て預けてしまいそうになるぐらいに、頼りになりそうな、全てを受け入れてくれそうな、強く優しい声やった。

 

 あの時、せっちゃんは腰を動かすだけしかしていなかったのに、急にその言葉に反応して、キスをしたり頬ずりしたりする頻度が上がった。

 

 あれが最初の行為やったからやろうか?

 せっちゃんはキョウジさんを受け入れるのが早かった。

 

 潜在意識の中で自分を受け入れてくれる人、甘えられる人って覚えとるのかもしれん。

 ウチは多分、受け入れてくれる人には入っとるかもしれんけど、甘えられる人には入っとるかは分からん。

 ウチは守られとるだけやしなぁ。

 

 少し残念に思いつつ、せっちゃんとキョウジさんの行為の話しやったと考え直す。

 

 せっちゃんが抱いて欲しいと意思表示をする時は色々限界になっている時。

 性衝動はあの果物を食べた人全員に現れるみたいで、ウチも偶に来るから怖い。

 

 ゆかりさんや小猫ちゃんなんかは割とすぐにキョウジさんを引っ張って行くからあれやけど、せっちゃんはギリギリまで我慢しようとする。

 表に出さんように、分からんように我慢する。

 

 せやけど、キョウジさんは割とすぐに見抜く。

 ウチは幼馴染やからキとるのは分かるし、キョウジさんに相談した方が良いと言うんやけど、せっちゃんは恥ずかしいんが先行しとるのか行きたがらない。

 

 キョウジさんはせっちゃんのそう言う所も見抜いとるみたいで、ウチが気付いて少ししたぐらいで、せっちゃんに声をかける。

 

「大丈夫か? 辛くないか?」

 

 いやぁ、アレはあかん。

 不調を見抜いて声をかけてくれるって、隠してても嬉しいもんやけど、キョウジさんの場合はせっちゃんの不調に気づいとるんはウチだけって状況で、サラッとせっちゃんの状態を見抜く。

 

 しかも発情状態を察して、体調不良の様に気遣う。

 あれは精神的イケメンって奴やな。

 

 実際のイケメン度は中の上から上の下かなぁ。

 本人は中の下って言うとるみたいやけど、自己評価が低いえ。

 

 それに、長い事サバイバル生活しとって身体は引き締まってて、ワイルドな雰囲気を纏ってる。

 いやぁ、ウチ等ぐらいの年頃やったらコロッとイってまうわ。

 

 実際、おじいちゃんのお見合いで何人かの男の人とお見合いしたけど、あそこまで周りを見て、ウチ等をたててくれて、全力で生きとる人は居らんかった。

 いや、この状況が特殊なんはよう分かっとるけど。

 

 そして、今せっちゃんがキョウジさんに連れられて行為用の小屋(せっちゃんが逆れいぷした小屋)に入ったところや。

 

 甘々なせっちゃんが見たくて時々こうして覗いてしまう。

 小猫ちゃんなんか、どこからか聞きつけとるんか分からんけどいつの間にか覗きポジションに居る。

 

 丁度始める所みたいや、かわええせっちゃんが見れるとええなぁ。

 

 

**********************

 

 

 刹那は発作が始まってもギリギリまで耐える。

 それができるだけの忍耐力と精神力があるからだ。

 

 刹那や木乃香の年頃の女の子は性行為自体に特別な思い入れがあるだろうし、あまり回数を重ねたくないという気持ちも理解できる。

 

 しかし、刹那は個人の戦闘力が非常に高い。

 京都神鳴流という流派は、人体を傷つけずに呪いや術式の類を斬る弐の太刀という技がある。

 可能性として、小猫の悪魔の駒・フェイトの魔法、これらを破壊する事が可能かもしれない。

 

 故に暴走して、最初の行為の時の様に暴れられると最悪、小猫とフェイトが今後前線に出れなくなる可能性がある。

 

 だからこそ、事細かにケアしてあげないといけない。

 幸い、拠点作業には協力的だし、俺に抱かれること自体は嫌悪をいだいてはいないようなので我慢しているようならば声をかけている。

 

「辛かったろう? よく我慢したな」

 

「いえ、あの……どうして気づかれたんですか?」

 

「耳が赤かったのと、俺を見た時に目を反らしただろ?」

 

 刹那はきっちりしたタイプというか、話をする際に目を見て話す。

 だから、刹那が目を反らしたという事は何か言い辛かったり、隠しておきたいことがある時だ。

 そして、目を反らした際に耳が赤くなっていた。

 

 何かに耐えている反応で、更に言えば内股になっていたのも理由だ。

 だから、性衝動に耐えていると気づけた。

 

「それだけ……で?」

 

「まぁ、細かい部分はあるが、そうだな」

 

 ちょっと変態チックではある。

 ストーカーみたいで正直引かれるか?

 

 そう思った途端、ドンと胸に刹那が飛び込んでくる。

 見ると、顔を擦りつける様にして抱き着いている。

 

 どうやら、スイッチが入ったようだ。

 こうなると、刹那は甘えん坊モードに入る。

 

「よく頑張ったな。偉いぞ刹那」

 

 頭を撫でながら、抱き寄せる。

 顔を上げた刹那の表情は、赤い顔とトロンとした目でこちらを見ていた。

 

 準備は出来ていると判断し、俺は着ている服を脱ぐが、刹那は動かない。

 抱かれるのが嫌になったとか、そういう反応ではなく……。

 

「おいで、刹那」

 

 俺の言葉に従って、近くまで来るとバンザイをする。

 そのまま彼女の上着の裾を持って脱がす。

 そのまま、スカートとブラ、ショーツを脱がしていき、丁寧に畳む。

 

 こうしてあげるとやっぱり嬉しそうにしている。

 脱がしてあげている間、ピンッと固くなっている乳首や、しっとりと濡れているのが分かる彼女の股間が眼前に来る。

 

 自然と俺の股間も固くなってくる。

 女性特有の匂いと白く綺麗な肌。

 そんな女の子が俺に甘えてきている。

 

 その事実はかなりの興奮要素だ。

 

「はい、良くできたね。ほら……」

 

 そう言って両手を広げると、嬉しそうな笑顔で俺の胸に飛び込んでくる。

 そのままキスをして、身体を抱きしめる。

 

 実際の行為の前にこうして前戯をしっかりと行うのを刹那は好む。

 抱きしめ、キスをして舌を絡ませながら、背中やお尻を撫でていく。

 

「キスも上手になってきたね」

 

 ちゃんと褒めてあげるのを忘れない。

 小さなことでもきちんと褒めてあげる事が大事なのだ。

 

 キラキラした笑顔でギュッと俺に抱き着いてくる刹那がとてもかわいい。

 オマンコの準備を整えようとソッと撫で上げると、既に十分以上に濡れている。

 

 誉めてあげる度に小さい快感が走っているのだろう。

 挿入に十分な程の濡れ具合と、刹那自身が俺の股間を何度も擦りながら催促してきていた。

 

 彼女との行為の体位は決まっている。

 対面立位、俗に言う駅弁スタイルだ。

 

 抱きしめたまま、お尻の下の方に手をやり、抱き上げる様に持ち上げてそのままゆっくりと挿入していく。

 その間もキスをして舌を絡め続ける。

 キスが好きなのだろう、軽いバードキスも、唾液を交換するような濃厚なキスも刹那はとても喜んでくれる。

 

「っと、全部入ったか。すごく気持ちいいぞ、刹那」

 

 そう声をかけてやると、キュキュッと膣が収縮し、返事の様に反応する。

 やはり、心を込めて褒めてやると刹那は感じてくれているようだ。

 

「……ぁ、うん!」

 

 抱き上げている状態。

 所謂抱っこの状態が好きらしく、この体位はとても刹那の反応が良い。

 

 刹那自身は手を放すまいと、手だけじゃなく足でもしっかりと抱き付いて来ており、自重で奥まで俺の股間が進んでいるが、彼女は気にしていないというか、もっとと言わんばかりに足を使って奥へ奥へと導こうとしている。

 

 正直キツイ膣内と奥の膣壁に亀頭が擦れて気持ちい。

 小さい事でもいいから褒める事を繰り返して、刹那の学習した俺のツボというやつだ。

 

「ぅ……ぁっ、流石刹那だな。すごく気持ちい、いい子だ」

 

 その誉め言葉が契機になったのだろう。

 いつも以上に膣内がギュッと締めてきて、刹那自身もビクビクと身体を跳ねらせている。

 

 そして、彼女の絶頂に合わせるように、俺自身も限界に達し、彼女の中に射精した。

 ドクドクと出続ける感覚に、彼女も満足そうだ。

 

 そして再び、動きを再開する。

 どうやら、まだまだ後戯には遠そうである。

 

 

**********************

 

 

 いやぁ、せっちゃんのかわええ姿が見れたわぁ。

 

 普段キリッとしたせっちゃんが、キョウジさんの前で褒められたがりの女の子になってまう……。

 しかも、服も脱がしてもらう程に甘え切っとった。

 

 あないな無防備と言って良いほどに素を出しているせっちゃんは幼い頃に一緒に遊んで以来かもなぁ。

 

 いやぁ、本当にええもんが見れたわぁ……、早速戻ってから……。

 

「どこへ行くのかな? 木乃香……」

 

 ビクッと思わず肩が跳ねてしまう。

 聞こえた声はとても馴染みのある声で、それでもなかなか聞けない声色で……。

 

「えっと、自分の寝所に戻ろうかなぁ……なんて……」

 

 ギギギ……っと音がしそうな動作で振り向くと、キョウジさんが立っていた。

 パンツだけ履いた状態で、腕組をしている。

 

 片目を閉じた状態でウチを見ている。

 ああ、ちょっとだけ怒ってる時の仕草やって小猫ちゃんが言うとったなぁ。

 本気で怒ったときは両目を見開いて笑うように歯を剥き出しにするそうや。

 

 こわッ!?

 

「覗きは関心しないな。……そうだな、ワンステップ進んでみるか?」

 

 あ、ガシッと肩をつかまれた。

 

 これはお説教かなぁ。

 でも、かわええせっちゃんが見れたんやし、後悔は無いえ。

 

 そう考えてたことを後のウチは後悔することになる。

 ちょっと処ではないステップを踏まされることになったんや。

 




 さて、前書きでも書きましたが、ストーリーアンケートを予定しています。

 読んで字のごとく、ストーリーに関するアンケートであり、それによって主人公たちの動きに変化があります。
 根幹事態に変化は無いので、最初にどっちをやる? 程度の認識で良いかと思います。

 ただ、しばらく各キャラの掘り下げ期間として当てさせていただきますのでお楽しみください。

 それでは、感想・評価いただけたら幸いです。
 よろしくお願いいたします。


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16 無人島でイヤイヤこのちゃん

 どうも、最近一気に暑くなって外に出たくないオルカです。

 そういう時に限って消耗品とか日用品が切れて買い出しに行く羽目になる。

 さて、前回も書きましたが、キャラクターアンケートはこの投稿を持って終了とさせていただきます。

 そして、ストーリーアンケートに移らせていただきます。

 あと、各キャラの掘り下げ期間も継続して進行していきます。


 せっちゃんの行為現場を覗き見しとったら、キョウジさんにバレてそのまま小屋の中に連れ込まれてしまう。

 

 寝所にはドロドロになったせっちゃんが眠っている。

 相当激しかったようで、ウチが入ってきても起きる気配がない。

 

「まぁ、座れ木乃香」

 

 そう言ってドカッとその場に座るキョウジさん。

 その前にオズオズと座ると、ペットボトルを放られる。

 

「飲んでおけ」

 

「え……?」

 

 良く分からない。

 この水はキョウジさんが持ってきた行為後の渇きを潤すための水。

 せっちゃんの目が覚めたら飲んでもらうだろうモノや。

 

「……気づいていないのか?」

 

 心底不思議そうにウチに問いかけてくる。

 分からない。

 

 スッと指をうちの方に向けてくる。

 その指先はウチの下を指していて、その指先に従って視線を動かすと、スカートがじっとりと濡れとった。

 

 え?

 

 なんで?

 キョウジさんとせっちゃんの行為を見て興奮してもうたんかな?

 

「気づいてなかったみたいだな。発作が出てる」

 

 そう言われて初めて気づいた。

 下腹部でジワジワと湧き上がるような飢餓感。

 

 夢中で見てたからやろうか、それともなんか別の理由があるんかな?

 

「刹那との行為を見て、興奮したのかな? ……エッチだな」

 

 あ、あかん。

 今、背筋にゾクゾクっとした快感の様なもんが走ったのを感じた。

 

 キョウジさんはウチの弱い所とかいっぱい知っとるから、攻勢に回られるとウチはどうしようもない。

 

「刹那との行為を見て、エッチな気持ちになってたか。木乃香は変態になっちゃったな?」

 

 ズイッと微笑みを浮かべたキョウジさんが目の前にまで顔を近づけてくる。

 悪戯を思いついたような笑みがウチの不安を煽っとわぁ。

 

 そのままウチの頬をまるで壊れもんでも扱うみたいに優しく撫でる。

 頬から顎にかけて、撫でながらウチの目を覗き込んできて、気恥ずかしくなってしまう。

 

「えっと、ウチは……」

 

「ほら、目を反らさない」

 

 思わず反らした目。

 頬に添えられた手でグイっとキョウジさんの方に顔を向けられる。

 

 もうお互いの吐息がかかるほど近くて、いつもの優しそうな笑みの中に明らかにウチの反応を楽しんどる色を感じる。

 

「やっぱり、木乃香の瞳も肌もきれいだな」

 

「え? ありがとうな、嬉しいわ」

 

 分かっとる。

 キョウジさんは照れてるウチが見たいんや。

 

 せやから、褒めちぎる。

 大丈夫、理解してれば耐えられる。

 

 少し背中とかむず痒いけど……。

 

「おいで」

 

 ポンポンと自分の膝を叩いとる。

 ここに座れってことかな?

 

 抵抗する意味も無いのからそのままキョウジさんの膝の上に座る。

 やっぱり、キョウジさんは鍛えとるだけあって、背を預けるだけで安定感を感じる。

 

 すると、キョウジさんがウチのお腹に手を回して、更に深く座らせるように抱き寄せられる。

 この安心感はキョウジさんじゃないと味わえんやろうなぁ。

 

「せっちゃんやないけど、キョウジさんにこうして甘えられるんはええなぁ」

 

「刹那もだが、木乃香も我慢しすぎなんだよ。物分かりが良い事は美徳かもしれんが、自分を押し殺しちゃだめだ」

 

 いやぁ、キョウジさんはホンマに卑怯や。

 こんな抱きしめられて、耳元で優しく言われると何も言えん。

 

 不安も焦りも全部一緒に背負ってくれそうな、キョウジさんの持つ雰囲気はホンマに卑怯や。

 

「ほら、脱がしていくぞ」

 

 そう言われて、脱がされていく服。

 自分で脱ぐよりもやっぱり恥ずかしい。

 

 着替え自体は、時々流れ着くスーツケースからサイズの合う物や手直しして着れるものを使ってる。

 キョウジさんは自分で編んだ上着とかを着とるけど、基本は流れ着いたものを普段着にしとる。

 

 ついに下着だけにされ、その上から胸をもんだり、アソコを擦ってきたりと責めにも本腰が入り始めた気がする。

 背中にキョウジさんの肌の感触が伝わってきて、呼吸で胸板がゆっくりとウチの背中を押してくる感覚が生々しい。

 

「やっぱり、相当熱が出ている。これほど発作が進行しているのに気づかなかったのか?」

 

 全く気付かんかった。

 指摘されて初めて、飢餓感と疼きが暴れまわっとる事を自覚させられたんや。

 

 発作とウチ等が呼んどるのが、あの果実を食べた後遺症の様なもんや。

 何が起因か分からんけど、果実の効果が無くなった後でも突然湧き上がってくる疼きや飢餓感の事やね。

 

 ウチ等女性陣の中でその発作に段階があって、それを三段階に分けているんやけど、今のウチの状態が二段階目ぐらいかな?

 

 普通は一段階目で自覚できるんやけど、今回二段階目でも気づけんかった。

 夢中になり過ぎたんかな……?

 

 

**********************

 

 

 発作に関して、女性陣が自身に起きる状態で簡単な段階分けをしている事は小猫やゆかりさんから教えられている。

 

 一段階目で、自覚症状と軽度の疼きと空腹感というか物足りなさが出てくるらしい。基本的にこの段階で俺が抱くことになる。身体への負担や耐える事への利点が無い為だな。

 

 そして、二段階目で、目に見えて変化が出てくる。愛液の異常分泌と強烈な飢餓感。感度の鋭敏化も出てくるらしい。常時俺が拠点に居るわけではない為、不在時の情報をまとめたのがこの二段階目。今木乃香がこの状態で、もしかしたら三段階目も見えているのかもしれない。

 

 三段階目で、果実摂取時と同様の状態になる。思考の鈍化と強烈な火照り、肉体への負担を度外視して性欲の解消を求める。刹那の最初がこの状態だと仮定すると、木乃香も危険域なのだ。

 

「まったく、こんなになっても気づかなかったなんて、そんなに夢中で見てたのか?」

 

 さっき刹那と会話していた木乃香は、全く発作の傾向が見えなかった。

 普段通りに会話して、刹那を気遣っていた。

 

 二段階目に進行する条件は期間だけだと勝手に思っていたが、もしかしたら別の条件があるのかもしれない。

 

「えっと……かわええ……せっちゃんが……その、見たくて……」

 

 ゆっくりと下着の上から木乃香の敏感な所を愛撫していく。

 暖色系の下着がじっとりと濡れていて、その興奮度を知ることができる。

 

 下着の上からでもハッキリとわかる程に固くなっている乳首やクリトリスが責めにバリエーションをもたらしてくれる。

 

 何も摘まむだけが乳首やクリトリスの責め方ではない。

 舌で転がしたり、歯で軽くしごいたり。

 

 今回は、胸を揉みしだいている合間に、固くなった乳首の側面を掠らせてやる。

 焦らしというか、摘まむや舌で転がすよりも弱い刺激が物足りなさを煽るだろう。

 

「ひぅ……ん。キョウジさん、いつもと違ごうて……」

 

「お仕置きも含めて……な?」

 

 強い快感を叩きつけるのもお仕置きなら、満足できそうで全くできない刺激もお仕置きになるだろう。

 

「キョウジさん、今日は一段と意地悪やぁ……」

 

 木乃香の声に切なさが滲み出てきている。

 意地悪というか、お仕置きなのだから仕方がない。

 

 あと、発情レベルが危ないから性癖を刺激して早めの解消も考えている。

 

 木乃香自身、羞恥心を刺激される事での快感を求めている節がある。

 当然本人に自覚は無いだろうが、意地悪と俺にいう時の顔がいじけている表情の中に、期待と快感の色がはっきりと見える。

 

 そして、彼女に触れている両手の上に、導く様に彼女の手が添えられている。

 押さえているのではなく、触れてほしい方向に少しだけ力を加えて誘導してくるのだ。

 

「大洪水だな。下着も脱がすぞ」

 

 下着も濡れていない部分を探す方が大変なレベルになってきたから、脱がしてから直接的な刺激へと切り替える。

 

 ブラも外し、小振りながらもしっかりと揉みしだけるバストに刺激を与えながら、乳首を偶に掠めていく。

 

「ぁ……くんっ……ふ……ぅん……」

 

 クリトリスは掠めるだけでも強い刺激になるので、手のひらで局部全体を覆い、ゆるゆると刺激していく。

 高ぶっている状態の木乃香に、更に高める様に刺激しつつ、羞恥を煽るような言葉をかけていく。

 

「ほら、凄いぞ。軽く刺激しただけでこんなにも溢れてる……」

 

 股間を刺激していた手を木乃香に見える様に出し、愛液が大量に付いている手を見せつける。

 ワザと糸を引かせるように手を動かし、彼女の羞恥心に火をつけていく。

 

「ぅぅ……キョウジさん、堪忍して。ウチ、もう恥ずかしゅうてアカン……」

 

 羞恥で元々発作でほんのりとピンク色に染まっていた肌が更に赤く上気する瞬間が見れた。

 そして、彼女の背から感じる体温が上がった気がする。

 

 羞恥を煽る。

 言葉にすると簡単そうに感じるかもしれないが、根底にあるのはお互いに信頼しているからこそのプレイだ。

 

 果実の効果でブーストされているとはいえ、プレイの根本は変わらない。

 羞恥を煽るのは木乃香が望んでいる範囲を推し量ってその範囲で行う。

 

「嬉しいよ木乃香。俺が木乃香をこうしたと思うとすげぇ興奮する……」

 

 顔を反らした木乃香の耳元で囁く。

 

 肯定と許容。

 羞恥心を煽ったり、被虐心を刺激するのは確固たる常識や強い倫理感を持っている程、その効果は高い。

 

 だが、同時にその常識や倫理観を蝕んでいくのがプレイの本質だ。

 俺の様な刺激を与える側をサディストと呼ぶが、サディスト側の匙加減というのは非常に大変だ。

 

 木乃香の反応、意識下と無意識下の両方を見て、刺激するポイントと強弱を見極める。

 そして、常識や倫理観が壊れない程度に刺激し、満足させる。

 

 S側のやる事は多い。

 だが、M側が何もしないと言えばそういう事も無く、自身の根幹部分を預けるに足る人物を見極めなければならない。

 

 俺や木乃香の場合は選択肢はないのだが……。

 

「乱れた木乃香が見たい」

 

 緩急をつける。

 焦らしプレイにはその後に来る大きい快感を期待している部分がある。

 

 何事も抑えた後は、大胆にすると心身ともにサッパリするものだ。

 節制の後の散財とか、大食いとか、試験明けのゲームとか。

 

「……ぅん。キョウジさんがシテくれるなら……ええよ」

 

 真っ赤になっているのが後ろからでもわかる。

 耳がもう真っ赤で、首筋も汗で濡れて扇情的な雰囲気。

 

 俺のモノをゆっくりと木乃香へ挿入していく。

 たっぷりと焦らしただけあって、膣内はとても熱い。

 

 そして、挿入して少し進むだけで俺の股間を締め付けてきて、締め付けを緩めた際に奥へと進み、また締めつけられて止まる。

 これを繰り返しながら、徐々に徐々に奥へと進めていく。

 

 締め付けている時に進むことも可能だろうが、締め付けている時は感度も木乃香への負荷も上がっているから、最初と終わりの方では避ける様にしている。

 

「奥まで入ったな。……ほら」

 

 背面座位で後ろから根本まで入っている秘所を撫で上げ、意識させる。

 木乃香は恥ずかしさで居たたまれなくなったのか、顔を反らす。

 

 反らした先に俺の顔があり、そこから更に赤くなっていく表情。

 慌てて逆の方向へ再度顔を反らした木乃香。

 

 同時に、彼女の膣内が今まで以上にきつく締め付けてくるのを感じる。

 今これ以上、羞恥を煽るのは逆効果かな?

 

「ほら、身体を預けて? 動いていくからな」

 

 そこからはゆっくりと、緩急を付けながら行為を続けていく。

 

 キスをして、時間をかけながら彼女を高ぶらせていく。

 小さな絶頂を繰り返すようになったことを確認してから、こちらも責め方を切り替える。

 

 双方の最大の絶頂を起こすために、性感帯や羞恥への刺激を解禁していく。

 

「アカンて、キョウジさん。ウチ、おかしくなってまう! イヤ! なんかおっきいのが! ウチやないみたい! キョウジさん! キョウジさん!」

 

 木乃香から出てくる言葉も徐々に支離滅裂に近づいている。

 俺も限界だし、彼女もこれ以上は避けておこうか。

 

 そう考えて、ラストスパート。

 限界まで腰の速度を上げて、絶頂寸前まで双方高ぶり、そして……。

 

 最後に大きく引いた腰を奥まで一息に突き上げた。

 

「ぅ、んぁぁぁぁぁ!!」

 

 背面座位という木乃香自身の体重もある程度かかる体位だった為、絶頂で弓反りになった身体が、更に股間に体重をかけてしまい、更なる快感を与えていく。

 

 奇妙なループになる前に、俺の身体を後ろへ倒して自重が掛からない様にする。

 

 ビクビクと細かい痙攣と口から洩れる快楽を含んだ声が木乃香の色気を爆発させている。

 

 ガクンッと弓反り状態だった身体が弛緩し、そのまま俺の身体に体重を預けてくる。

 虚ろな目と荒い呼吸。

 扇情的な状態で、今射精したばかりだというのに股間に熱が集まりそうになるのを感じて慌てて、彼女から自身のモノを抜く。

 

「ぁん」

 

 木乃香から思わず出たであろう声が、また可愛いのだからヤバい。

 

 その状態でキス。

 後戯というやつだ。

 前戯と後戯は行為には必要な物であり、大事な行為だ。

 

「可愛かったよ木乃香。辛い事とかないか?」

 

「ふぇ? きょうじさんともっと愛し合いたいえ」

 

 大分理性が溶けているっぽいがその所作、表情が色っぽい。

 自身の股間に血が集まっているのを感じるが、これ以上は木乃香も限界だ。

 

 睦み合いながら抱き合い、落ち着くのを待つ。

 

 長い時間を抱き合いながら過ごしただろう。

 徐々に木乃香も甘い睦み合いよりも眠気が勝りつつあるようだ。

 

 このまま、彼女の寝所へ運ぶのもいいが、どうせならここで疲れ果てて眠っている刹那と共に眠ろう。

 

 俺も疲れていないと言えば嘘になるしな。

 

「一緒に寝ようか」

 

「せっちゃんと一緒? ええなぁ、せっちゃん挟んで川の字で寝てみたいわぁ」

 

 木乃香の要望通り、既に眠っている刹那を挟んで川の字で寝所につく。

 

 おやすみ、二人とも。

 良い夢を。

 




 暑くてダウンしてました。

 さて、キャラクターアンケートですが、結果は以下の通り。
(484) リアス・グレモリー
(726) 姫島朱乃
(1078) アーシア・アルジェント
(332) ゼノヴィア・クァルタ
(244) 紫藤イリナ
 大天使アーシア確定です。
 時点で朱乃さん。彼女は彼女でサディストとして付与性癖も決まっていただけに残念です。

 さてさて、前書きにもあります通り、ストーリーアンケートでございます。

 アンケートのテンプレートでは詳細が書けなかったので、追記します。

・東側の探索
 これは、例の果実の群生地帯を探索します。現在も積極的に探索している地域ですが、それ故に危険性もある程度判明しています。
 採取物は取れないし、川の水も飲めない。
 食物採取というよりは危険性の把握の為の探索になるでしょう。

・西側の探索
 こちらは、猛獣が生息するとされている西側を探索します。
 キョウジ自身が危険と判断し、一切手を付けていない危険地帯です。
 それ故に採取物は多いうえに、漂流物の発見も可能性があります。
 未探索状態ですので、戦力と回復要因が加入した現在で探索可能となっているでしょう。

・北側の探索
 最後が問題児です。
 あらすじ部分にも追記してある挿絵の上部にある山岳地帯、それが北側探索です。
 一番距離があり、活火山であり、未知のゾーンです。
 キョウジさんが唯一足を踏み入れたことが無く、詳細が一切分からないそんな地域。
 得るものがあるかどうかすら不明。


 以上がアンケートの地域詳細になります。
 このアンケートもしばらく設置いたしますので、ぜひぜひ投票をお願いいたします。


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17 無人島の苦労人

 どうも、FGOでダヴィンチちゃんのガチャで無事引けたオルカです。

 呼び不全投入の20連でした。割と早く来てくれたことに感謝です。

 さて、次回の投稿を持ってストーリーアンケートを締め切らせていただきます。

 まだ投票されていない方は、投票をお願いいたします。



 この拠点でメンバーの精神的支柱になっているのは間違い無くマスターであると言えます。

 発作が起きた際の相手ができるという部分だけでなく、拠点設備を充実させられる知識と行動力。

 メンバー一人一人をしっかり見ている気配りと、踏み込んでほしくない部分には決して踏み込まない距離感。

 

 マスターはそう言った部分がしっかりとしていて、精神的な支柱となるのも理解できる人格者だと思います。

 

「ゆかりさん程じゃないと思うけどな」

 

「そんなことありませんよ。私は生体型アンドロイドですから、そう言った部分はプリインストールされていたり、他の私から同期されます。それに比べて、お一人でそれだけのスキルを育めている事に驚きですよ」

 

 どんな人生を歩まれていたのだろうか?

 マスターが言うにはアラフォーの社畜だったと言っていましたが、会社でそのようなスキルが身につくものなのでしょうか?

 

 興味は尽きませんが、そのマスターに一番信頼されているのが小猫さんです。

 

 ゆかりさん以上に長くこの島でマスターと生き抜いてきた、女性陣の中では一番の経験者です。

 サバイバルとしても女性としても。

 

 あのマスターの絶倫をほぼ毎日受け止めていたというだけでも尊敬に値するというものです。

 

 そしてなによりも、マスターは分析力が高い。

 私の存在の説明とそれに付属する法律の説明を一番最初に理解して、小猫さんに説明できた程です。

 

 普通は法律や規約なんかは読む必要があると分かっていても、難しい言い回しなんかで避けがちになるのですが……。

 

 小猫さんが言うには、小猫さんの悪魔の駒というアイテムや悪魔と天使、堕天使の勢力争いの構図も理解したそうです。

 

 木乃香さんと刹那さんの仮契約カードとかもすぐに理解し、その仮契約をお二人同士でしているか、していないなら出来るかなどと確認していました。

 

 そして、フェイトさんの時空管理局という単語や次元の概念等の理解もメンバー内で一番早かった。

 

 元々の分析力以外にも、マスターは何らかの知識や能力の様なモノがあるのかもしれませんね。

 

「ゆかりさんには俺が居ない時の拠点管理や備品の作成とか頑張って貰ってるからな。なんか優先して欲しい物とかあるか?」

 

「そうですねぇ。私は基本的にこの拠点での作業がメインになりますから……」

 

 私に戦闘能力は無い。

 ただ知識と経験が他の人達よりも多いですから、こういう集団ではリーダーを任せられることも多い。

 

 ですが、ここではマスターというある種のカリスマともいうべき人物がいます。

 そういう時は私はサブリーダーの地位に着くことが多いです。

 今回はサブリーダーとして拠点を維持する仕事をしていますので、皆さんからの信頼も得られていると実感できます。

 

「生産性はありませんが、ボードゲームとかの娯楽が欲しいですね。拠点も安定してきてますし、人も増えてきました」

 

 今まで拠点での生活は、設備を作成し、保存食を作成し、食事をしながら会話をする。

 ですが、生活人数が増えてきて、消費する食料も増えましたが、同時に採取される食料も増えてきています。

 それも、海や遠方の採取物、畑からの収穫と安定してきて、余裕が出てきています

 

 余裕出てきている時こそ、余裕を形にしてあげるのもメンバーの心理を安定させてくれる要因になります。

 

「なるほど、確かにずっと張り詰めた生活だったし、ゆかりさんの言葉は正しいな……」

 

 こうやって、進言や諫言を聞き入れる事の出来る耳があって、私達の状態を見る目がある。

 小規模ですが、一つのコミュニティを率いる事の出来る才能なのです。

 

 生体型アンドロイドは多くの職場や現場で活躍しています。

 中には上司としてどうかと思う人間も多くいます。

 

 マスターはおそらく、ここに来る前はさぞ生きづらい思いをされて来たのだろうと思います。

 社畜なんて卑下していましたが、今のマスターなら起業した方が活躍できるでしょうし、部下も付いてくるでしょう。

 それだけの、才覚と人格を持っています。

 

「トランプは難しいが、オセロやチェス・将棋なんかが作りやすいか?」

 

「トランプは漂流物から取れる事を願いつつ、オセロにチェスなんかはいいですね。分かり易いですし、小猫さんとか知識はあると思います」

 

 小猫さんの力の源として悪魔の駒というものがあると説明されたことがあります。

 チェスの駒の形で、チェスのルールに沿った戦いを行うそうで、チェスのルールなら小猫さんも把握しているだろうという考えです。

 

「まぁ、チェスは彫刻の技術も必要になるな。オセロは白い石に裏側を炭で塗ればいいだろ」

 

「カタンとかできません?」

 

 島の開拓ゲーム……でいいのかな?

 世界でも人気のボードゲームです。

 

「アホか、俺らはリアルに無人島開拓中だぞ」

 

「企業というか取引要素も入ってきてますから楽しいですよ?」

 

 ルールは私が暗記していますし、カードなんかも作ろうと思えば作れます。

 難しいですかね。

 

「いや、楽しいのは分かるんだが、小物が多すぎるからな。チェスを作るなら余り手は掛けられん」

 

 確かにそうですね。

 チェスの駒は一種の芸術品にもなるほどに細かい装飾があるものもあります。

 そこまではできないにしても、『塔』や『騎士』なんかの役割が一目でわかる程度には差別化が必要になります。

 

 それなら、簡単にできるゲームとなると……。

 

「人狼ゲームとかどうです?」

 

「アレは下手するとリアルバトルに発展しそうでなぁ」

 

 あ、それは理解できます。

 マキさん達とやったときは、喧嘩こそしませんでしたが雰囲気がギスッとしましたね。

 その後、ドカポンで盛り上がりましたが……。

 

「友情レベルが一定以上じゃないと危険な遊びですね」

 

「いや、言わんとしていることは分かるが、単語の選び方よ」

 

 なぜですか、的確な表現だったと自負しているのに。

 ちなみに人狼ゲームが上手かったのはずん子さんですね。

 彼女は本当の事を言っている時も、嘘を言っている時も変化が無いので読みにくいんですよね。

 

 マキさんは逆に苦手で、目とか口調とかが泳いじゃうんですよねぇ。

 

「あ、あとは個人的なお願いが……」

 

 私のお願いが何なのかは、すぐにわかると思いますよ。

 

 

**********************

 

 

 俺が彼女達を抱く際の体位は、対面座位と対面立位、背面座位と背面立位が多いのだが、理由としてはベッドの様な柔らかい場所が無く、ピストン運動で背中や膝なんかが擦れない様にというのが理由だ。

 

 正常位は背中、後背位は膝や手が擦れそうだからと避けていたが、もう一つの体位はあまりいい思い出が無い。

 

「この体位は……私が主導ですし……刹那さんの時以来じゃないですか?」

 

 刹那に縛り上げられたときの体位だ。

 あまりいい思い出が無いのも理解できるだろうか?

 

 ゆかりさんの完全主導ではないが、主導権はゆかりさん側にある。

 珍しい状態ではあるが、これなら膝の所に俺の服とかを噛ませれば、擦る事も無い。

 

「相変わらず、マスターは気を使いますね」

 

「そうか? ゆかりさんが楽しめる様にしてるだけなんだがな」

 

 そう言いながら、ゆかりさんの胸へ手を伸ばす。

 下から持ち上げる様にして揉み上げる。

 

 女性特有の柔らかな感触と、スベスベしたハリのある肌。

 触れられた途端にビクッと反応する身体に、赤くなる頬が魅力的だ。

 

「ふふ、やっぱりマスターは私達の弱いところ全部お見通しですね」

 

 赤い顔のまま、俺の眼前まで顔を近づけてくる。

 微笑みながらしな垂れかかってくるゆかりさんに思わず身体が固くなってしまう。

 

 少し悪戯好きな笑みを見せてくる。

 何を企んでいるのだろうか?

 

「でも、ゆかりさんもマスターの事は分かってますからね?」

 

 そう言うと頬を両手で挟まれ、そのままキスされた。

 舌を絡めて、唇を吸われる。

 

 キスの間も、上目遣いのまま唾液を交換していく。

 

「ふ……ぅん……ぁふぅ……ンぅ……」

 

 歯茎を舐め上げられ、口の中を蹂躙される。

 そのまま、腰を動かし始め、固くなった俺のモノをきつく締めあげてくる。

 

 締めあげたまま、しごく様に膣内が動く。

 きついだけでなく、優しくしごきあげられる感覚に、ゾクゾクとした感覚が湧き上がってくる。

 

「ぷはぁ。ふふ……、どうですか? マスター」

 

 口を離した時のゆかりさんの笑み。

 慈愛と悪戯を成功させた時の表情が混ざったような魅力的な表情だった。

 

「マスターはキスに弱いようですけど、ゆかりさんもマスターとしかしたことが無いので、満足していただけるか分かりませんが……」

 

 そうか、俺はキスに弱かったのか。

 そう考えれば、今までの行為は割とキスが多めだった気がする。

 

 そして、それを見極めたゆかりさんは凄いな。

 それほどに彼女を抱いていることが原因だろうけど。

 

「ゆかりさんがいっぱいして差し上げますね……マスター……」

 

 再びキスをしてくると同時に、腰を奥まで何度も打ち付けてくる。

 いつもより強い刺激、昔小猫を初めて抱いた時の理論が俺にも降りかかる。

 

 いつも責めることが多いから、今回の様な主導権を取られるとこうなるのか……。

 

「私もマスターとのキス……大好きです。もっとしましょう、マスター……」

 

 そう言って、再びキスをしてくる。

 ゆかりさんのキスは丁寧で、今まで以上に長くて情熱的な行為。

 

 何度も何度も、膣奥で射精し、舌を絡め、唾液を交換した。

 この時のゆかりさんはとても蠱惑的で、彼女の行為は今までとは違って俺が責めてた時とは違っていた。

 

「あぁ……マスターの弱い所突いても……勝てそうにないですね」

 

 少し残念そうな表情を浮かべているゆかりさん。

 だけど、今までの中で一番追い詰められているし、愛し合えたと思う。

 

「ふふ、マスター。とても気持ち良かったです」

 

 胸の上に倒れ込んだ状態で、あの蠱惑的な笑みを浮かべてくる。

 お互いに体力の限界、グッタリと寝所で眠った。

 

 

**********************

 

 

 むぅ、悔しいですね。

 小猫さん達と情報共有して、マスターの弱点がキスにあるのでは? という事に気づいて、先んじて試してみましたが、上回れませんでした。

 

 私では体力が持ちませんでした。

 マスターを体力で上回れるのは、小猫さんと刹那さん、後は多分フェイトさんですね。

 

 彼女たちに情報共有して、いずれは上回って見せます。

 

「ゆかりさん、ちょっとご相談が……」

 

 声をかけてきたのは刹那さん。

 マスターは今拠点から出ているので私に相談に来た形でしょうか。

 

「どうしましたか? 何か問題がありましたか?」

 

「あの、漂流者を保護したのですが……」

 

 その言葉に刹那さんの後ろを見ると、木乃香さんが金髪の女の子を介抱していました。

 確か刹那さん達は東側の海岸線を探索しに行って貰っていましたが……。

 

 あの果実の影響があるのであれば、私達だけではどうしようもないかもしれません。

 

「状況はどうですか?」

 

「果実の効果は不明ですが、気を失っていて……」

 

 そうなると、介抱が優先でマスターを呼びに行った方が良いかもしれない。

 小猫さんとフェイトさんはマスターに付いて行ってますから、刹那さんに呼びに行ってもらった方が良いですね。

 

「小屋に運んでおいてください。私は火を起こしてお湯を沸かします」

 

 年の頃は刹那さん達より少し上ぐらいでしょうか?

 纏ってる空気がどことなく小猫さんを想起させる。

 

 この娘が来たことで事態がどう動くのか?

 どうなるにしろ、マスターが来てくれるのを待つしかないですね。

 




 さて、いよいよアーシア登場でストーリーも進んでいきます。
 ……進んでいく予定です。

 評価やご感想を頂けたら嬉しいです。

 それでは、次回も楽しんでいただければ幸いです。


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18 無人島で手掛かり発見

 どうも、周囲で夏風邪が流行りだしているオルカです。

 健康管理に気を付けないと、夏風邪は辛いと言いますからね。

 さて、今回はちょっとした設定の根幹を書いた部分です。

 エッチィ描写は少な目。

 そして、今回の投稿を持って、ストーリーアンケートを締め切らせていただきます。

 次のアンケート……と行きたいのですが、しばらくは探索とそれぞれのキャラの掘り下げに入らせていただきますので、しばしの間はアンケートをお休みさせていただきます。


 中間拠点の作成中に慌てた刹那が呼びに来た。

 なんでも、新たな漂着者を発見したらしく、発見場所が東の海岸線だったこともあり、急遽対応できる俺を呼びに来たらしい。

 

 応急手当なら、ゆかりさん達でもできるかもしれないが、果実の影響だけは俺じゃないとだめらしい。

 

 材料収集をしていた状態なので、まとめて置けばこの拠点は放置しても問題は無いだろう。

 それよりも、流れ着いたという者の事だ。

 

「戻ろう。資材は一つにまとめて置いておいて、持って帰るのは食料系だけでいいか。急いで戻るぞ」

 

 資材は放置しても野生動物に荒らされにくいが、食料だけはそうはいかない。

 雑食動物や肉食動物に荒らされる可能性が高い。

 

 貴重な食糧なので放置せずに持ち帰る。

 

「私が先行しますので、フェイトさんはおにいさんの傍で護衛しながら行きましょう」

 

「はい、小猫さんも気を付けて……」

 

 フェイトの言葉に頷いて答えると、小猫の身体能力ですぐに見えなくなる。

 速度ならフェイトの方があるのだが、速度があり過ぎるのだ。

 

 それに、フェイトの魔法の魔力効率が悪くなっている事もある。

 今は問題なく使用できているが、いつ何があるか分からないから、使用は最低限にしてもらっている。

 

 彼女の魔法や戦闘能力は総合力で拠点メンバーで一番だ。

 その上、魔法は彼女の魔力変換資質のおかげで電気を纏う。

 

 生物にとって電気は身体の自由を奪う非常に厄介な性質だ。

 

「刹那さんも護衛に参加してくれれば、確実だったのだけど……」

 

「刹那は俺らの食糧や荷物を持って戻って貰った方がいい。拠点で看病しているから人員も足りないだろうし、拠点の守りが無い状態だ。ゆかりさんも木乃香も戦闘能力は無いと言って良いから、刹那を戻さないと危ない」

 

 空を飛べる人員は現在は三人。

 小猫、刹那、フェイトだ。

 

 この三人は同時に前線要員でもある為、拠点には一人以上は残しておきたい。

 一般人に野生動物は危険なのだ。

 

 俺、ゆかりさん、木乃香は戦闘能力はそれほど高くないので、護衛が必要になる。

 

 今回の中間拠点の作成では、俺は設計や資材の調達場所の確認、小猫が資材運搬と護衛、フェイトが魔法でのサポートと護衛となっている。

 

 どうも、俺への護衛が過剰な気がするが、他のメンバーが必要だと言って押し切られた。

 

 拠点の護衛を二人にした方が良いと思うのだが……。

 

「誰が流れ着いたか分からんが、その漂着者が安全という保証は無いからな。戦力はあった方が良い」

 

 今いるメンバーから見て、話せば分かるタイプしか居ないから大丈夫だとは思うが、万が一という事もある。

 それに、各原作のヒロインたちが流れ着いているが、敵役の娘たちが来ない保証もない。

 

「なら急がないと……。ブーストアップ・アクセラレイションいる?」

 

「あまり魔力を消費しない機動力向上魔法だったか? だったら頼む、俺が一番遅いから俺の速度を上げないと……」

 

 ゲームでは編成時に一番足の遅いユニットの速度に強制的に合わせられるシステムがあるわけだ。

 実際そのシステムは間違いではなく、俺の足が遅い事で強制的に小猫やフェイトが俺に合わせて速度を落としてしまっている。

 

「うん、じゃあお願いバルディッシュ」

 

『Yes sir.』

 

 バルディッシュの言葉と同時に、全身が軽くなる。

 今まで鉛を全身に巻き付けていたのかと思えるぐらいに爽快感を覚えた。

 

「これなら行けるか……」

 

 そうつぶやくと、フェイトへ合図をして拠点へと駆け出す。

 

 一歩でいつもの倍の距離が、二歩目でそれを優に超えた距離を進めた。

 最高速度が出るようになる頃には、俺の速度は倍以上を出すことができる。

 

「すげぇな、これが補助系魔法か……」

 

 今まで何気に回復なんかの怪我を治す魔法の恩恵は受けていたが、補助系魔法は初めての体験だ。

 それを使える人間が居なかったのが理由だけど、フェイトはとても優秀な魔導師だ。

 

 かなりの魔法が使えるまさに万能型。

 おかげで拠点周りの設備増加が捗っているからな。

 

 そして、通常の半分以下の時間で拠点に着くことができた。

 

 

**********************

 

 

 私が目を覚ました時、裸になっていて傍には紫色の髪を結った女の人が座っていていました。

 

「目が覚めたみたいですね。私は結月ゆかり、この拠点のメンバーの一人です」

 

 その女の人は、下着と服を渡してきます。

 話によると、この無人島に漂着している所を助けていただき、身体が冷えていたので裸にしてお湯の入った瓶で温めながら看病をしてくださったそうです。

 

 私が寝ていた部屋を見回してみると、とても手作りの感じが出ている小屋の様な場所。

 かけられていた布団も動物の毛皮を交わせた様なハンドメイドのモノです。

 

「えっと、アーシア・アルジェントと申します。助けて頂いてありがとうございます」

 

 命の恩人にお礼を言います。

 どうしてこの島に流れ着いているのかとか全く覚えていませんが、助けられたことは事実です。

 

 それに、お昼という事もあるとは思いますが、全身が怠くて、クラクラとします。

 悪魔特有の日中の行動がしにくいという事ですが、体力自体が落ちているのも原因かと思います。

 

「とりあえず、拠点のメンバーに声をかけてきます。……男の人も居るのできちんと着替えておいてくださいね」

 

「……!? わ、分かりました!」

 

 ゆかりさんのありがたい忠告に従って、急いで着替えていきます。

 元々私が着ていた服を洗濯して乾かしてくれたらしいです。

 

 当然、急いで着替えていく。

 まだ、体力が戻りきっていないのか、ショーツを履くときにふらついたり、上着を着る際にも足がもつれたりと大変でしたが、無事に着替える事に成功。

 体調も良くないので、再びベッドに入って休むことにします。

 

 着替えながら身体の状態とかを確認しましたが、怪我とかはしてません。

 変なものが付いているとかも無いですし、純粋に助けられただけなのでしょう。

 

 これも、主の恩恵なのですね……。

 

「……っ!? あれ……?」

 

 またやってしましました。

 悪魔になったのですから、教会関係の仕草や聖書なんかはダメージを受けるからと、止められていましたし、何度も痛みを受けていましたが……。

 

 今回は痛みがありませんでした、ギリギリで大丈夫だったのでしょうか?

 良かったと安堵しつつ、この拠点で生活されている他の方々の事を考えます。

 

「どのような方たちなのでしょうか……」

 

 ゆかりさんが言うには私と同じ流れ着いた人たちで作られた拠点らしく、六人が生活してその内五人が女性なのだそうです。

 

 皆さんが優しい方達であるようにと神様に祈ろうとしたところで、慌ててやめます。

 また頭痛を受けるところでした。

 

 教会での暮らしが長かったから、祈ることが日常の一部でした。

 ですから、急に祈るのをやめるというのは難しいです。

 

「皆さんを連れてきました、入って大丈夫ですか?」

 

 色々と考えている所で、ゆかりさんから声がかかりました。

 どうやらここのメンバーの皆さんを連れてきてくださったようで、出入口の前に何人かの気配があります。

 

 男の人の声も少し聞こえてますから、ゆかりさんが言っていた唯一の男性の方でしょうか?

 

「はい、大丈夫です」

 

 そう答えて、すぐに佇まいを直す。

 一応、身だしなみは大切ですから。

 

 そう答えてから、一呼吸を置いて入ってきたゆかりさん達。

 ゆかりさんの後ろからサイドポニーの女の子と、黒髪をストレートに伸ばしている子。

 私と同じ金色の髪をした女の人、そしてその後ろからがっしりとした体格の男性が入ってきます。

 

 イッセーさんとは違い、日に焼けた肌と服の上からでもわかるぐらいに鍛えられている身体にビックリしました。

 

 そしてその彼の後ろにもう一人、彼の体格で隠れてしまっていますが小柄な女性が入ってきました。

 

 そして、私のベッドの横に並ぶようにして、ようやく彼の後ろに隠れていた女の子の素顔が見えて、驚きのあまり声を上げてしまいました。

 

「小猫ちゃん!?」

 

「え?」

 

 驚きました、でも安心しました!

 小猫ちゃんが居てくれるなら心強いです。

 

 リアス部長の下で一緒に生活した年下の女の子。

 でも、いつの間にこの島に来たのでしょうか?

 

「えっと……すいません、どなたでしょうか?」

 

「え?」

 

 小猫ちゃんが言った言葉は私の思考を止めるのに十分でした。

 

 

**********************

 

 

「彼女はウソを言っていると思いますか?」

 

 開口一番、フェイトの疑問がメンバー全員へ飛ぶ。

 問題は、先ほど流れ着いた少女、アーシア・アルジェントの発言に対してである。

 

「いくつか考察があるが……」

 

 小猫に対して呼びかけたが、当の小猫自身が彼女を知らないという状態が発生した。

 アーシア自身は小猫を知っていて、小猫側はアーシアを知らない状態。

 

 これは俺が考えていた状況で、一つの可能性が当てはまる部分だ。

 元々、小猫から兵藤一誠という人間を知っているかを遠回しに聞いたところ、学校でセクハラを繰り返している先輩の一人だと言っていた。

 

 この際は彼を眷属仲間としてではなく、学校の有名人を話すような感じだった。

 つまり、兵藤一誠がリアス・グレモリーの眷属化する前の状態というわけだ。

 

 さらに言えば、アーシアは兵藤一誠が悪魔化した後に眷属化した娘のはずだから、現状で小猫はアーシアを知るはずがない。

 

 しかし、ここで疑問が生じる。

 兵藤一誠の眷属化前にここに来ているはずの小猫の事をアーシアが知っていたことだ。

 

 ここに流れ着いているのだ、アーシアが眷属となった時点ではリアスの眷属で行方不明扱いもしくは居ないものとして記録されているはずだ。

 

「私は知りませんよ?」

 

「そこは疑ってへんえ? ただ、あーしあちゃんもウソを言うてる感じやないって思うてなぁ」

 

 人の心の機微には敏感な娘達だ。

 ……そろそろ話さないと、後々の禍根なりえるか。

 

 今後の事も考え、俺の頭にある原作知識を彼女たちに話した。

 事細かに、先の事は避けつつ。

 

 反応は様々だった。

 驚き、怒り、そして最後には俺を許してくれた。

 

 黙っていたのだ。

 拠点から放り出される覚悟もしていたが、誰よりも小猫が俺をかばってくれた。

 

「普通は信じられませんし、アーシアという娘が来なければ信じられませんでした。考えうる限りで最善のタイミングでの告白でした」

 

 責められる事を覚悟していただけに、小猫のフォローは本当にうれしかった。

 

 しかし、アーシアとの関係に悩む部分があるようで、しばらくは小猫とアーシアの接触には俺かゆかりさんを同伴させることになった。

 

「それで、キョウジさんの考察というのは……」

 

 フェイトのありがたい切り替えで俺自身の考察を話すことが許された。

 ただ、フェイト自身の顔色は悪い。

 

 やっぱり、創作の世界とか創られた……とか、彼女の生い立ちを考えるとデリケートな部分なのは分かっている。

 だけど、このタイミングじゃないと信じてもらえないだろうから……後でフォローしておかないとな。

 

「いくつかあるけど、今回の件と辻褄を合わせるなら、枝分かれ事象が有力だ」

 

 要は世界は枝分かれした木々の様にある時に突然二つに分かれて別の歴史を刻み始める。

 正史と外史の考え方に近い。

 

 今回の場合、小猫がここに来て、アーシアは別の小猫がここに来なかった可能性の世界から来たという話だ。

 

 枝分かれの世界。

 要はもしもという世界だ。

 

 もしも、三國志の武将が女性だったら?

 とか、そういうもしも~だったら……、という過程で世界が枝分かれしていくという話だ。

 

 それならば、今回のアーシアの事象も説明できる。

 

「いくつか有るって言ってましたが、他に何かあるのですか?」

 

 刹那が俺の話の中でいくつかあるという話で別の可能性を聞きたくなったのだろう。

 しかし、これは可能性も低いし、なによりタイミングが良くない。

 

「これは一番可能性が低いし、無理やりな考察だからな。話さない方が良いと思う」

 

 荒唐無稽な状況で、更に荒唐無稽な仮定を重ねたほとんどが妄想として廃棄される様な考察だ。

 混乱するだけだし、なによりも救いがあまりにも無い。

 

「では、しばらくはアーシアさんのお世話は小猫さん以外で担当しましょう。マスターはいつも通り女性陣と一緒で、小猫さんも私かマスターが一緒の時のみ、ということで」

 

 中間拠点の作成に、この島の考察、アーシアの看病にとやることが増えてきた。

 全員の了解と取り、その日は会議終了。

 

 さて、俺の責任だ。フォローしないとな。

 

 

**********************

 

 

 キョウジさんの話した考察。

 それは私の過去の出来事を思い出させるには十分で、自身が創られた存在だと思うと怖くなってきてしまう。

 

 今の家族や友人に恵まれた私は、私の様な子供たちや身寄りのない子供を探しては後見人になったりしていて、それすらも創られた感情の様な気がしてきてしまい……

 

「こんな所に居たのかフェイト」

 

 後ろから掛けられた声。

 キョウジさんがいつの間にか私の傍まで来てくれていた。

 

 こんなに傍に来るまで分からなかったなんて、やっぱり相当参っているようだ。

 

「キョウジさん……私は……創作の人物なのかな?」

 

 思わず出た言葉。

 八つ当たりでしかないと分かっているのに、止められない。

 

「プロジェクトFで生まれて、私は今幸せで……家族も友人も得られて、でもアニメや漫画の世界で……」

 

「フェイト、千里眼のレアスキルってそっちの世界にあるか?」

 

 突然、そんなことを問われた。

 記憶の中を確認すると、過去に資料で読んだ覚えがある。

 詳細は覚えていないが、千里眼に近いレアスキルの登録は確かに管理局には有ったはずだ。

 

「千里眼には種類があって、並行世界を含めた未来を見通す眼も存在している。その亜種で見るのではなく、感じる事、並行世界の出来事を見るのではなく感じ取り、文字や絵に起こす。そういうレアスキルがあるんだ」

 

 別世界の自分が体験したことを夢に見たり、物語として浮かべたりするらしい。

 

「だから、俺がフェイトの世界を知っていたことだって、俺の世界の誰かがフェイトの世界の出来事を感じて作品にした可能性も十分にある」

 

 不器用な人だと思った。

 だけど、必死に自分の考察で私の過去を鑑みて、慰めようとしてくれている。

 

 あんなにも女の子を抱いて、弱い所を責めているのに、不思議な人だ。

 

「ありがとう、慰めてくれるんですね」

 

「……」

 

 顔を赤くしてそっぽを向いてしまった。

 可愛い。

 

 エッチの時は私を虐めてきたりしているけど、私が気持ちよくなることを真剣に考えてくれていて、その結果だと分かっている。

 

 ちょっとだけ、甘えても……いいよね?

 

「キョウジさん……」

 

 ギュッとキョウジさんに抱き着く。

 私の胸がキョウジさんの胸板に当たって形を変える。

 

 ポンポンッと頭を撫でられる。

 そして、私から求める様にキョウジさんへ口づけをする。

 

 あまり慣れてないけど、丁寧にキョウジさんを感じられるように。

 

「分かった。少しだけ強く……な?」

 

 私の意思が伝わったようで、キョウジさんは行為に入っていく。

 

 口づけをして、服を脱がせ、胸を愛撫し、膣内を丁寧に刺激してくれる。

 そこまでは普通よりも丁寧な前戯という感じだったけど、ここからがキョウジさんの本領発揮だった。

 

「じゃあいくぞ?」

 

 そう言って、抱え上げられる時に、ゾクゾクッとした感覚が背筋に走った。

 

 確認すると、キョウジさんの指が私のお尻に入っていた。

 奥までじゃなくて、指の先っぽだけが入る形。

 

 異物感でゾワゾワとするけど、同時に言い知れない背徳感がある。

 

「……あの、キョウジさん」

 

「さて、入れていくよ」

 

 無視された。

 ワザとやっているのだろう。

 

 私を抱くときのキョウジさんは少し意地悪だ。

 だけど、それが気持ちいいと思ってしまう自分はもうかなり重症なのだと思う。

 

「ぁぁ……んぅ……!」

 

 思わず漏れてしまった声。

 キョウジさんのモノがズルズルと膣奥へ入ってきて、思わずお腹に力が入る。

 すると、お尻も締まってキョウジさんの指を締めて、その異物感が凄い。

 

 そして、何度も膣内を動くキョウジさんのモノに合わせて、お尻に力が入って変な声を上げてしまう。

 この循環が出来てしまった。

 

 キョウジさんは言葉攻めはあまりしない。

 羞恥を煽る時ぐらいなもので、後は私に対しての強い刺激を駆使してくる。

 

「おや? どうしたのかな? いつもよりも締め付けが強いぞ?」

 

 だけど今日は言葉攻めも駆使してきて、いつも以上に丁寧に私を責めてくる。

 私もついついその刺激に身体が蕩けてしまいそうな感覚に陥ってしまう。

 

 ああ、こうして私をしっかりと見てくれている。

 そう感じる。

 

 それから何度も私は中で出され、お尻をたっぷりと弄られて、お尻の刺激に快感を感じる所まで調教された。

 

 そのうち、キョウジさんは私のお尻でもセックスをしてくるかもしれない。

 そう考えると不安と同時に期待感で胸が満たされるのを感じる。

 

「気持ちよかったよフェイト」

 

「私も気持ちよかったです……キョウジさん」

 

 この幸せな時間。

 これも私の得たモノだとすれば、ちょっとした贅沢なのかもしれない。

 

 そう思わずにはいられませんでした。

 




 さて、設定の根幹部分を触れている今回の話。

 エッチィ描写が少なめなのであまり人気は無いと思いますが、エンディングに向かわせるには必要な回なのでご了承ください。

 考察や感想、評価などありましたら是非とも!
 ストーリーアンケートの結果、探索場所は『東側』となりました。

 エロを書けとそういう事ですね分かります。

 それでは、次回をお楽しみに!


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19 無人島探索アーシアちゃん

 どうも、仕事帰りに床に落ちている物を拾った際にスーツのお尻が破けたオルカです。

 5年以上前のスーツでしたし、仕方ないのかもしれませんが、漫画みたいなタイミングで破けてちょっとびっくりです。

 さて、少し遅くなって申し訳ありません。
 難産だったのと、暑さにノックアウトされてました。

 まだ、彼女には手は出しません。
 下拵えの段階。

 ではそうぞ。


 回復役。

 探索において確実に欲しい人材で、中々出会えない人材でもある。

 

 近衛木乃香とアーシア・アルジェント。

 この二人は貴重な回復役だ。

 

 そして、二人の回復の特性は細部に違いがある。

 木乃香の回復用のアーティファクト『コチノヒオウギ』と『ハエノスエヒロ』。

 これは、片方が三分以内に受けた即死以外の怪我を完全に治療する力が、もう片方が三十分以内に発症した怪我以外の状態異常を回復させる。

 

 アーシアの神器は、『聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)』。

 こちらは、直接触れる必要があるが、どんな重傷でも完治させられる。体力までは回復できないことと、欠損は能力の限界を超えている為不可能とされている。

 

 どちらも貴重で強力な回復能力だ。

 

 前線に連れていく必要がある場合、どちらを連れていくにしてもメリットとデメリットがあるから慎重にならなければならない。

 

 今回は中間拠点の作成の為に、小さな傷や打撲などが懸念されている。

 だから、アーシアの神器が必要だと考え慣れてもらう事も含めて、小猫・俺・アーシアのメンバーで拠点作成に来た。

 

 残りのメンバーは採取作業や拠点の設備強化に当たっている。

 

「長さはどうしますか?」

 

「床と壁に使う木材は後で選り分けるから、一先ず未加工の材木置き場に置いてくれ」

 

「キョウジさん、私は何をすれば……」

 

「枝打ちと言って、このナイフで丸太の枝を落としていってくれ。枝の部分は別の部分に使ったり、薪にしたりするから一か所にまとめてくれれば助かる」

 

 互いのわだかまりを解消する意味でも同じ作業をしてもらうのは大事だ。

 

 小猫にとっては自分の知らない自分を知っている人、アーシアにとってはどうしても記憶の中の小猫と比べてしまう難しい関係。

 

 間に入りつつ、会話や作業をしてもらった方が良い。

 元々、小猫は仲良くなれば結構近い距離感で接するし、アーシアはその性格上人との距離感は近めだ。

 

「食事にしよう。小猫は火起こしを頼む。アーシアは俺の準備を見て覚えてくれ」

 

 流石に小猫にアーシアを教えさせるのは、まだ早い。

 アーシア自身は問題無いのかもしれないが、小猫は警戒状態。

 

 家猫は新しい猫を迎え入れようとする際は、先住猫を大事にすることが肝要であるという。

 

 いや、別に小猫は新しい漂流者に対して意固地であるとかそういう意味ではない。

 今回に限った話だ。

 

 猫又の妖怪だっただけあり、猫の習性を意識してしまう瞬間がある。

 

 気まぐれな性格だったり、構わないと拗ねてしまう所とかはよく似ている。

 指摘すると怒るのだが……。

 

「水に浸しておいた干し肉に、採取した野草を入れて、塩を振って完成と簡単そうに見えるが……」

 

 火を起こしている小猫の後ろで、アーシアに簡単なスープの作り方を教える。

 いや、これが簡単で早いのよ。

 

 水分補給と干し肉の塩分で塩分補給ができる上、野草で野菜系の栄養が取れる。

 鹿の後ろ足の部分を丸々干し肉にしている為、それをナイフで削り、鍋に投入。

 たっぷりの野草を詰め込んで、ジックリと煮込んで完成だ。

 

 大き目の鍋を手に入れており、拠点にもいくつか常備してある。

 長い事、無人島暮らしをしていると鍋自体は流れ着くが、状態が良くないものが多い。

 

 錆や穴、フジツボの付着で使い物にならないことが多いが、低い確率で状態の良い鍋や調理器具が流れ着くのだ。

 スーツケースに入っていたり、コンテナの様な巨大な漂着物の中で奇跡的に無事だったりと、そういったモノを集めて調理のレベル向上につながっている。

 

「お野菜がいっぱいですね。思ったよりも沢山入れるんですね」

 

「むしろ野菜がメインにするぐらい入れるな。栄養もそうだが、干し肉のエキスを吸った野草たちが旨いんだ」

 

 食事はサバイバル生活において大事な要素。

 美味しいのも大事だが、栄養と手軽さも必要だ。

 

「小猫、火は大丈夫か?」

 

「大丈夫です。台も組んであるので、いつでも鍋を火にかけられます」

 

 流石小猫。

 俺の次にサバイバル生活をしてきただけはある。

 

 アーシアも、ほぇーっと言った表情で鍋と組まれた焚火スペースを見ている。

 彼女の記憶の小猫との差別化を図る意図もあるが、何よりもサバイバル知識の教育でもある。

 

 他のメンバーもそうだが、こうした講習的な話をしないと作業を任せられない。

 フェイトもまだ途中なのだが、そこはゆかりさんに任せている。

 小猫とゆかりさんは、頭が上がらないメンバーの一人だな。

 

 

**********************

 

 

 無人島に流れ着いて、私と同じように流れ着いた方達と一緒に生活をしています。

 この拠点のリーダーである、キョウジさんはとてもお優しい方です。

 

 小猫ちゃんが、私の知っている小猫ちゃんじゃなく、私と出会う前の小猫ちゃんだと知らされた時の私の混乱ぶりは思い出すだけでも恥ずかしいです。

 

 堕天使の事件で一度死んでしまって、悪魔に転生してから、多少の事では取り乱さないつもりでしたが、やっぱり駄目でしたね。

 

 今日は中間拠点の作成という事で、キョウジさんと小猫ちゃんと一緒に材木の準備をお手伝いです。

 泊りがけでの作業という事で、キャンプみたいで楽しい準備でした。

 

 たくさんの木材を集めて枝を落としてました。

 

 キャンプの様だと言ったのは、簡単な小屋の様な建物をキョウジさんが予め建てていてくれたからです。

 何でも作業者用の簡易寝所という事で、使っていない時は作業道具をしまったり、切り落とした枝をしまって乾燥させる為にいくつか作っているという事です。

 

 私に気を使ってくださったのか、小屋は三つ。

 一人一棟使って良いという事でした。

 

 小猫ちゃんとは気まずい感じで、中々リアス部長の眷属の時の様に仲良くなれません。

 

「……眠れませんね」

 

 ホームシック、と言う程ではないですが、やっぱりリアス部長のいたあのオカ研の部室が懐かしく感じてしまいます。

 

 外に出ると、満天の星空です。

 悪魔になったことで、夜に行動するのが楽になって、夜でも周りがよく見えます。

 

 まだちょっと慣れませんが、今みたいに眠れない時とかにお散歩するには最適です。

 

 こうして小屋の外に出て周囲を見回すと、今日作業していた場所がちょっと別の世界に見えてしまう。

 暗がりとはこういう感じで現実と幻想との混じり合っている場所のようです。

 

「……ふわぁ、夜になると空気が澄んでいるのが分かります」

 

 月明りや星明りだけで、世界がしっかりと見えて、お昼に見た世界とは全く違う雰囲気を持った景色。

 鳥や虫の鳴き声がその感覚を助長させる。

 

 私や小猫ちゃんとキョウジさんの小屋は離れていて、キョウジさんが言うには離して建てる事でのリスク分散と言っていた。

 

「眠れませんし、少しだけ拠点予定地に行ってみましょうか……」

 

 拠点予定地へは獣道のようにしっかりとした道が出来ていて、野生動物が隠れられる様な遮蔽物もありません。

 キョウジさんが優先して周囲の見通しを良くして、ある程度の安全を確保しているらしい。

 

 色々と考えてくださっていて、小猫ちゃんとのやり取りの仲立ちをしてくれています。

 小猫ちゃんがとても懐いているのが良く分かります。

 

「私の世界の小猫ちゃんと同じに見ちゃうからいけないんでしょうね……」

 

 こればかりは気を付けようとすればする程に頭の片隅で比較してしまうから、意識しないようにしないといけません。

 

「難しいですね……」

 

 拠点予定地の切株に腰を掛けて、見上げる。

 樹齢何百年かと思えるほどの巨木。

 

 木自身や枝に負担をかけない様に計算しているそうで、主に寝泊まりと食料の保存に使う予定とのことです。

 

 食料の保存と寝る所の確保は安全優先と言っていました。

 食料保存庫はきちんと対応しないと野生動物に荒らされますし、寝る所は安全であるに越したことはありませんからね。

 

「そういえば、飛べるんでしたっけ……」

 

 ふと、空を見上げていた時に思いだされる自身の種族と飛行能力がある事実。

 

 あまり飛んだことはありませんが、低い位置で試してみるとフワフワとですが飛ぶことが出来ました。

 少しづつ高度を上げて、最終的には大樹の枝にまで辿り着きました。

 

「うぅ、朱乃さん達みたいに綺麗に飛べません……」

 

 お尻が持ち上がるようなちょっと不格好な飛び方。

 それでも無事に大樹の枝、それも結構な高さまでたどり着くことが出来ました。

 

 そこからぐるっと周囲を見回すと、以前教えて頂いた島の概略図と同じような地形の景色。

 結構高い山が威圧感の様なモノを放っているように見えますね。

 

 更に周囲を見回していると、少し奥のキョウジさんの小屋の方で動くものが見える。

 野生動物かな? そう思って少し目を凝らしてみると、思いもよらない光景を見てしまいました。

 

 

**********************

 

 

 青姦。

 まぁ、この島に来てからのプレイは、小屋の中か青姦かの二択。

 

 しかも、女性側の発作次第になるから、青姦が若干多いのだ。

 今回は拠点制作用の仮小屋なのだが、道具の格納場所にする予定でもあるからあまり性行為の痕跡を残したくはない。

 

 だから拠点に性行為用の小屋を一つ作った訳だし。

 

 後は、拠点の周囲の三方向にそれぞれ小屋を作っている。

 用途は中間拠点作成時の作業者の宿泊と、拠点完成後の道具格納場所。

 場所をそれぞれ離している理由は、探索に向かう先の方向にそれぞれ建てて、道具の消耗度合いなどを比べる事も考えている。

 

 だから、小屋同士は中間拠点からの距離は同じだが、北側、西側、東側と設置している。俺は北側の小屋、小猫が東、アーシアを比較的安全な西側の小屋に泊めている。

 

「おにいさん、考えるのもいいですけど、もうちょっと私を見てください……」

 

「すまん、考えすぎるのは俺の悪い癖だな」

 

「おにいさんの考察で助かる事も多いですから良いんですけど、今は私だけを見て欲しいです」

 

 対面立位の状態で小猫を腕と股間で支えている状態。

 そのまま俺の顔に両手を添えて、キスをしてくる。

 最近、俺の弱点が広まり始めていて、キスが彼女たちのブームになっているようだ。

 

 舌を絡ませて、小猫の歯茎を舌先でつついたり、頬の間に舌を滑り込ませたりと、少し責めた方法をとる。

 

 仕返しとばかりに俺の口内に舌を入れてきた途端、自身の舌を引っ込めて彼女の舌を吸い上げる。

 そうして、捕らえている小猫の舌を更に口内で絡め責める。

 

「んむぅ!? おひいひゃん!!?」

 

 チュッチュと吸い合う水音が響き、彼女の膣もキュキュッと跳ねる様に締め付けてくる。

 背中へ腕を回して小猫を支えていたが、片手を腰へと持っていき、動きやすいように固定する。

 

 そしてそのまま口づけをした状態で腰を打ち付ける。

 徐々に強い刺激でも喜んでくれるようになってきた為、十分に濡れさせてあげた後ならば、強い刺激の方が喜ばれる。

 

 最初の方から俺に抱かれているからだろう。

 膣の締まりが俺の弱い所を優しく包みつつ、突然キュッと締め付けてきたりと、俺のモノを刺激するのに適した形状に変わってきている。

 

 チュポンっと音を立てて舌を解放してやると、口の端から涎を垂らしながら、荒い息と呆けた様な表情で俺を見てくる。

 何とも興奮するシチュエーションだ。

 

「膣奥が好きなんだよな? たっぷり楽しませてやるよ」

 

 対面や背面系の体位が多い為、Gスポットよりポルチオの方面での感度が良くなっている。

 ポルチオ系の刺激は圧迫感や痛みが出る為、十分に準備をして、何度も慣らしていく事でようやく快感を得られるようになる。

 

 小猫はずっと俺と性行為を続けた為、ポルチオでの快感も得られるようになっている。

 少しの罪悪感と同時に雄としての独占欲の様な感覚、そして背徳感が何とも言えない感情を醸している。

 

「あぁ……そんなに膣奥に……おにいさんが全部中に……」

 

 奥まで進めた際に、小猫はよく脚で俺の腰をホールドしてくる。

 その状態で彼女自身が腰を動かすので、膣奥に痛いんじゃないかというぐらい打ち付けられて、俺自身も非常に気持ちいい。

 

 だけど、それ以上に小猫も気持ちいいのか奥に当たる度に膣内がキュッと締まり、痙攣しているような感覚もある。

 軽く絶頂しているのだろう。

 

「んむぅ……。レロ……チュプ……」

 

 口づけもしつつ、何度も互いにピストン運動を続ける。

 膣内出しをしたり、小猫が口で吸いだしたり、互いにドロドロな状態になってしまう。

 

 こりゃ、後で水浴びしないと駄目だな。

 

「おや?」

 

「どうした、小猫?」

 

 何かに気づいたのか小猫が声を上げた。

 方向としては拠点予定地。

 

「いえ、蝙蝠が覗いてまして……ちょっとエッチな蝙蝠です」

 

「蝙蝠? 良くこの夜の中で見えるな?」

 

「悪魔は夜目が効きますし、魔力で遠視も出来るので」

 

 それは便利だな。

 遠視とか魔法を使えない人間には羨ましい能力だ。

 

「蝙蝠に見られてたのか?」

 

「はい、ちょっとエッチな蝙蝠ですね。目があったら逃げていきましたが」

 

 エッチな蝙蝠というのも面白い表現だな。

 しかし、双方ドロドロの状態だ。

 

 明日に差し支えるし、一緒に川に水浴びにでも行くか……。

 

「明日もあるし、水浴び行くぞ」

 

「それはいいですね、川でもやりますか?」

 

「盛り過ぎだアホ」

 

 隙があれば……だな本当に。

 ただ、俺も迫られると断れんのも問題なんだろうが。

 

 今回、小猫には負担をかけているという自覚がある分、少し対応は甘くしてもいいかもしれない。

 俺らのコミュニティはゆかりさんのコミュニケーション能力と、小猫の高い能力やサポート能力が柱となっている。

 

 次点で、木乃香とアーシアの回復能力。

 だからこそ、二人への負担が不安なのだ。

 

 アーシアの件で小猫の負担はかなりのモノのはずだ。

 それに加えて、俺自身がアーシアを気にかけているのが分かるのだろう。

 ちょっと不機嫌な様子が多々見られるのだ。

 

「……ちょっとだけだぞ」

 

「うにゃ!? いいんですか!」

 

 普段しない許可を出したため、驚いていたが嬉しそうにしている。

 そこまで嬉しそうにされるとこっちが恥ずかしいのだが……。

 

 とりあえず、夜が明ける前に川で行為の痕跡を流してしまおう。

 

 




 スーツ代……(´・ω・`)

 さて、順調に中間拠点が出来てきておりまして、東側の探索にかかれると言った所でしょうか。

 そして、アーシアとの行為は少しお待ちを。
 彼女の場合は、他のメンバーと違い、NTR要素が含まれてしまう為、果実の力だけで行為……というのも味気ないと思いまして、試行錯誤中です。

 では、よろしければ感想や評価など頂ければ幸いです。

 次回もお楽しみに!!


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20 無人島の中間拠点完成

 どうも、熱中症の後に夏風邪を引いたオルカです。
 熱中症の後遺症だと思っていたら、リアルに発熱だった時は、夜勤終わりでフラフラている時でした。
 皆さんも熱中症も夏風邪もお気を付けください。

 さて、上記の理由で遅くなりまして、申し訳ございません。

 熱が出て、39度台をふら付いているのに汗が出ない苦しみ。
 本当に気を付けてくださいね。

 私の場合は無理やり空調を止めて、辛い物を食べて強制発汗をしました。

 汗は老廃物の排出と排熱の助けになるのでしっかりと汗はかきましょう。

 それではどうぞ!


 中間拠点の完成。

 ありがたい事に、フェイトの魔法と小猫の力のおかげで割と早く完成させることができた。

 

 ツリーハウスとして完成させた拠点で、しっかりとした巨木の上に建てた為、広い拠点に仕上げる事が出来た。

 

 釣り梯子をメインの上り下りに使い、別の方法として木の梯子も組み立て式で各道具小屋にしまっている。

 仮に釣り梯子が壊れても予備があり、刹那やフェイト、小猫に拠点から降ろして貰えば大丈夫だ。

 

「今回は東側の奥……北側との境目を目指して探索をしていく」

 

 初の中間拠点の正式な稼働日となる。

 予定としては俺を含めた四人が探索へ、残りの三人がメイン拠点で採取と設備強化に努める事になる。

 

 回復役の木乃香とアーシアは分かれてもらうとして、拠点に残る側はゆかりさん、木乃香、刹那の三人。

 

 探索組が、俺・小猫・アーシア・フェイトの四人。

 俺は手作りの弓を使って後方支援というか、攪乱の役割をすることになる。

 後は、回復役であるアーシアの護衛も兼ねている。

 

「しばらくは中間拠点で寝泊まりや食事をするから、急ぎの用事が出来たら刹那に伝言役を頼んでくれ」

 

 いくつかの保存食と備品を持って中間拠点へ向かう。

 俺に合わせて貰っているが、片道でかなりの距離がある。

 

 たぶん、飛行能力がある彼女達なら小一時間も掛からないかもしれない。

 悲しいかな、一般人だからな俺は。

 

「もう日も大分傾いているから食事の用意をしよう」

 

 中間拠点に着いて最初の行動は食事の用意。

 道中採取した野草や野兎を捌いて汁物と串焼きを作る。

 

 塩は大事な調味料として大量に持ってきてツリーハウスへ格納してある。

 貴重品を格納しておくのにもツリーハウスは最適だ。

 

 猿やリスなどの木の上で生活している動物以外はたどり着けないし、そういった動物達も窓やドアをしっかりと閉めて置けば問題無い。

 

 鉄板を整形した鍋を使い、たっぷりの水と野草やキノコ。

 そして、骨ごとウサギの肉を入れていく。

 

 出汁と軟骨まで食べられるようにするためだ。

 

 キノコは縦に割り、虫食い状態を確認しておく。

 おいしいキノコは虫も好む為、見た目が綺麗な状態でも割ってみると穴だらけだったりする。

 

 俺一人だと、気にせずに食べてしまうのだが、流石に女性陣が多い状態で、その上先日まで文明世界で生きてきた女性たちにはあまりにも酷な話だ。

 

 小猫辺りは気にしなくなってきているだろうが、フェイトやアーシアは流石に酷だろう。

 

 ウサギのアバラなどの骨の多い箇所はスープへ、脚などの肉付きの良い箇所は串にさしての焼きがメインだ。

 

 焚火の際に周囲に石を置く行為、これは風除けと蓄熱性、熱を留めていく能力が上がるのだ。

 その上、組まれた石の上に鍋なども置けるので基本的には石組はやっておいた方が良い。

 

「美味しかったです」

 

「そうですね、調理技術は負けないつもりですが、捌いたりする技術はまだまだおにいさんの方が上です」

 

「よく、こんなに上手な方法を知ってましたね」

 

 評判は上々。

 ナイフは一人一本行き渡らせているが、調理用のナイフは別に用意している。

 

 当然と言えば当然だが、やっぱり衛生面や使い勝手の問題だ。

 

 余裕が出てきたのであれば、専用の道具を用意することも大事だ。

 道具とは摩耗するものだが、その摩耗がより使いやすく形を変化させてくれるのだ。

 

 馬の鞍なんかは革製の新品よりも、ある程度使用して皮などが摩耗した状態が腰や腿にピッタリとハマるらしい。

 現代風に言うならブランド物などが分かり易いだろうか?

 ブランド物は長年使い切って表面のロゴが浮かび上がってきたり、いわゆる味が出るという現象はこれに当たる。

 

 大事に長く使い込むことでその人や目的の為に特有の形に仕上がるのが道具の特性だ。

 

「二年も一人でサバイバルしていれば知識を経験に変える場面はいくらでもあるさ」

 

 知識は多いに越したことはない。

 同時に経験は積むに越したことはないのだ。

 

 経験は知識を結びつける道だと考えている。

 経験だけ積んでも何にも結び付かず、知識だけ積んでもどこにも行けない。

 

 この二年で身に染みた経験だ。

 

 

**********************

 

 

 西側の小屋。

 今回の探索は真逆の為、使われないが中には探索用の基本セットのような道具が格納されている。

 

「ぁあ、キョウジさん。もっと強く……!」

 

 割と強いはずなんだがなぁ。

 対面立位で普段は添えるような力で支えているのだが、今はフェイトの豊満な尻をしっかりと掴んでいる状態だ。

 

 膣奥までしっかりと挿入されていて、子宮口を先っぽで小突いている。

 普段は口づけをしている俺の口は、フェイトの大きな胸の先を咥えて噛んだり、吸い上げたりしている。

 

 そんな俺の頭を放さないと言いたげに両手でしっかりとホールドしている。

 

「おいおい、夜中に呼び出しておいて随分乱れるな? なぁ、淫乱執務官さん」

 

 その言葉に合わせて、良い肉付きの尻をピストンに合わせて放し、再度掴みなおす。

 その際に、ピシャンっと小気味の良い音が出て、更に膣がギュンっとばかりに締め付けてくる。

 

 先に断っておくが、俺はそこまでサディストではない。

 説得力は無いかもしれないが、甘々な性交や絶頂を感じている相手の姿が好きなのだ。

 

「きゃぅん! ぁぁ、もっと……」

 

 快感で思考がトロけているようだ。

 こういう状態の女性が好きなのだが、その為に相手を痛めつけるような行為は得意じゃないんだよ。

 

 ただ、フェイトが喜んでくれるからやっている。

 

 一部でサディストのSはサービスのSなどと言われるが、分かる気がするだけに物悲しい気分になる。

 

 因みにマゾヒストのMは、満足のMらしい。

 

「貪欲だな。いや良い事だぞ?」

 

 そう言いながら片手を滑り込ませるように彼女のアナルに小指を沈み込ませる。

 それに気づいたのだろう、アナルと膣が先ほど以上に締めあげてくる。

 

 フェイトの性癖上、抱き方も大分荒々しいのだが、強い刺激で俺自身も射精までが短くなる。

 それで更に締め付けが強くなるという事は、射精に繋がるわけだ。

 

「出すぞ」

 

 短く告げると、強めに膣奥を突き込んでやる。

 本来、ポルチオ性感は十分に開発した上で、初めて快楽になるのだが、フェイトは苦痛でもある程度楽しめる性癖故に、今の状態でも十分に感じてくれている。

 

 ただ、ポルチオ性感ではなく、被虐の快感での絶頂なので、徐々に快楽の質が置き換わっていくのだろう。

 それを考えるのが好きだったりする。

 

「っくぅぅぅ!?」

 

「っむぐ!?」

 

 絶頂した拍子に、両手両足で俺を抱きしめてくる。

 フェイトの胸に顔を埋める形になってしまう。

 胸の谷間から女性特有の甘い香りと汗の匂いが鼻をくすぐる。

 

 被虐的な快感を好むフェイトだが、羞恥的な刺激には反応が鈍い。

 だから気を付けているが、背徳的な部分での快感は得られているようなので、調整が難しい。

 

「あぁ……これ……すき」

 

 ドクドクと膣内に出していくと、放すものかという感じでガッチリと両手両足で固定して、胸に顔を固定されてしまう。

 

 大分強い快感を感じているのか、思考がトロけている様な口調と、口元から涎が流れている。

 これはしばらく放さないだろう。

 

 フェイトは絶頂中や余韻を感じている最中は抱きしめた状態を解除しようとしない。

 それはそれで俺も好きなんだが、フェイトのスタイルでやられると呼吸が出来なくなる。

 

 だから、ちょっと反撃をしてあげる。

 

 カリッと口に含まれている乳首をキバの部分で刺激して、痛みも伴うだろう程に強くやってやる。

 

「ふっ!? きゅぅぅぅぅん!」

 

 両手は俺の頭をロックしたまま、両足がピンッと伸び、繋がった状態のままで俺の股間に暖かい感覚が広がる。

 潮を吹いたのかな? その後にクタッと脱力し、慌てて支える。

 

 固定していた両手が脱力で外れ、グッタリと後ろに反るように脱力する。

 地面に着かない様に支え、膣からモノを抜いてからお姫様抱っこの方式で抱き上げてやる。

 

 脱力したフェイトの表情は完全に緩みきっていて、トロ顔とかアヘ顔といっても顕色無い。

 

「おっと、大丈夫……じゃなさそうだな」

 

 絶頂に達している状態で更に刺激を与えたから、絶頂に絶頂を重ねたような状態で一瞬でフェイトの脳内を漂白してしまったようだ。

 男は一度射精すると、勃起状態が解除され、インターバルを挟む。

 しかし、女性は萎える事は無い為、刺激を受け続けられる。

 

 結果として、フェイトの思考力が飛んでしまった訳だ。

 

 ちなみに、潮を吹いたのはフェイトが初めてだったりする。

 あまり限界を超えた責めをしないから、ある程度の性欲を解消させられた段で俺自身もやめてしまうし、彼女達も動きを止めてしまう。

 

 今回は悪戯心じゃないが、窒息を避けるために乳首を刺激してしまい、結果としてフェイトは潮を吹いて気絶してしまった。

 

「うーん……しばらくは寝かしておかないと駄目だな」

 

 ぐったりとしたフェイトを小屋に運び込むと、毛皮を敷いて寝かせる。

 頭を自分の膝において撫でながら、ゆっくりとフェイトが目覚めるのを待つ。

 

 明日もあるのに無茶をしたと後悔しつつ、ゆっくりとフェイトが起きるの待った。

 

 

**********************

 

 

 ツリーハウスの寝室。

 一応個別に部屋も制作されていましたが、私とアーシアさんの部屋は隣同士です。

 

 夜中に彼女が動き出すのに気付くことも容易でした。

 個人の寝るスペースと集まって雑談などをするスペースがあり、雑談スペースに彼女は居た。

 

 遠視の能力を使って何かを見ている。

 何を見ているのか確認するために、別の窓から屋根へと飛び上がり、アーシアさんが見ていた方向に遠視の能力を使う。

 

 見えたのはおにいさんとフェイトさんが抱き合っている姿。

 

「ああ、なるほど……」

 

 前に私とおにいさんの行為を覗いていた前科があります。

 フェイトさんはあの様子だと夢中で気づいていないでしょうけど、もしかしてアーシアさんはいつも覗いていたのでしょうか?

 

 彼女を見てみても、身を乗り出すように見ている様子に対して、両手は窓枠に置かれており、自慰をしている様子が無い。

 

 知識が無いのか、倫理観が邪魔をしているのか。

 

 ただ、フェイトさん達も激しい行為をしているようですし、自慰の知識も私以外の人達が教えたりもするでしょう。

 徐々に私達流に染まっていくのも楽しみです。

 

 あ、フェイトさんが潮を吹いた。

 

 おにいさんがあそこまで相手を責めるのは珍しい。

 フェイトさんは虐められるのが好きらしく、相手の性癖に合わせるおにいさんも自然とエスカレートしてしまうのでしょう。

 

 木乃香さんが恥ずかしい思いをする方向なのに対して、フェイトさんはお尻を叩かれたり、乱暴に腰を動かしたりさせる方向で、似ているけど違うらしい。

 

 あー、フェイトさんがグッタリしているので戻ってくるのには時間がかかるでしょう。

 あ、膝枕でイチャイチャしてます。

 

 ……いいなぁ。

 

 っと、そろそろ、アーシアさんが寝所に戻ってくるでしょうから、私も戻らないと……。

 

 次におにいさんに抱かれるときは、私も潮を吹くまで責めてもらいたいですね。

 それにはおにいさんをその気にさせなければなりませんが……、ゆかりさん達と要相談と言った所でしょうか?

 

 寝所に戻り、狸寝入りを決め込んでいるとアーシアさんが戻ってきました。

 その表情は真っ赤で、羞恥と好奇心に染まっていました。

 

 良い傾向ですね。

 これからが楽しみです。

 




 さてさて、今回は中間拠点の完成とそれに伴っての東側の探索隊が編成されました。

 東側の探索において何が判明するかは次回以降という事で、お楽しみに!

 それでは、次回もよろしくお願いします。


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外伝 無人島から帰還 ハイスクールD×D

 どうも、大腸カメラ案件まで来たオルカです。

 活動報告にも書いておりますが、ガチで熱中症からの病気コンボを食らいまして、現在内臓の検査を行う予定になっています。

 遅くなって申し訳ありません。

 これは少し前から書き溜めていた外伝になります。
 エロはほぼ無いのでご了承ください。


 無事? あの無人島から脱出が出来た。

 俺としては、それぞれの世界に戻ってめでたしめでたし……っというのが希望的観測ではあるが、もし脱出すると仮定した時に、起こり得る可能性として高い方の選択肢だと思っていた。

 

 しかし現実は、ハイスクールD×Dの世界に飛ばされた。

 全員を連れて……。

 

 最大の懸案事項として、島の小猫・アーシアと、この世界の小猫・アーシアの存在統合が行われたことだろうか。

 

 この世界で過ごした記憶と同時に、俺たちと過ごした無人島の記憶が混ざった状態。

 最初は混乱していたが、今では二人とも納得はしているようだ。

 

 感覚としては原作世界の存在が強いようで、メイン人格が原作世界、その中で俺らと共に過ごした時間が記憶されているという感じらしい。

 

 そんな中、俺と刹那や木乃香、フェイトとゆかりさんは、この世界での戸籍を用意してもらえた。

 小猫の主であるリアス・グレモリーの好意でだ。

 

 ありがたい事に、小猫が彼女に頼み込んでこの町での住処と仕事を斡旋してくれた。

 こうなると、木乃香や刹那とフェイト、ゆかりさんを養うために頑張るしかない。

 

 女性陣は皆眷属に誘われていたけど、断っていた。

 俺を信じて俺と暮らすことを選んでくれたのだ。

 

 フェイトは元々管理局に勤務していたこともあり、キャリアウーマンとしてバリバリ働いているし、ゆかりさんも同期機能での多くの職歴や知識のおかげで公務員になっていた。俺も会社に入ろうとした所、フェイトとゆかりさんからの強い勧めで主夫をしている。

 

 木乃香と刹那は転校生という事で中学校へ通っている。

 家の事をする人間は欲しいという事で押し切られた。

 

 ……ヒモやん。

 

 え? なんで、家族の勧めでヒモしてるの俺?

 求人雑誌買ってきたら速攻で捨てられるし、グレモリーに仕事の斡旋をしてもらうタイミングで小猫に止められるし。

 

 グレモリーに憐れむような眼で見られたよ。

 余りに仕事させてくれないから、投資とか資産運用始めたよチクショウ。

 

 割と順調です。

 

「おにいさんは元社畜って言ってましたし、働きに出すとせっかく助かった命を削るだろうという全員の判断の結果です」

 

 シレッとリビングで俺の入れたコーヒーを楽しんでいる小猫。

 基本的には俺は別人とみているし、肉体的には処女だと無表情で言われたことを覚えている。

 それを俺に伝えてどうしろと……。

 

「それで俺をヒモ状態にするってお前らはダメ男製造機か何かか?」

 

「このぐらいでダメ男になるのでしたら、あの無人島でとっくに死んでますよ、おにいさん?」

 

 それはまあ、そうなんだが……。

 しかし、ブラック企業だから社畜となっていただけであって、きちんとした企業で働く分には問題無いと思う。

 

「おにいさんは際限なく自分の仕事を増やすタイプだと記憶しています、どの職場に行っても関係ないですよ」

 

 バッサリ。

 とまぁ、戻ってからの小猫は割と毒舌気味。

 それも仕方が無いだろう。この世界の小猫にとって俺は、記憶に入り込んできた無人島の小猫が抱かれ続けていた男。

 彼女自身は受け入れても居ないだろうし、むしろ怒っていて然るべきなのだ。

 

 なんというか、俺と二人っきりになろうという精神が驚きである。

 しかも、グレモリーに手配してもらったとはいえ、俺らの拠点だ。

 

 小猫やアーシアはこの世界に来てからは抱いていない。

 発作は出ていない上、肉体は処女に戻っているのだ。必要性がない。

 

 初体験を大事にすることは、小猫ぐらいの年齢の女の子ならば多くが思っていることだろう。

 それを理解しているからこそ、手は出さないし、そういう素振りも彼女たちの前では封印している。

 

 ゆかりさんや木乃香と刹那、フェイトなんかは記憶も経験も双方肉体に刻まれている為、誘われるがまま……だけど……。

 

 ……もしかして、囲われてないか俺?

 

「……で、今日はどうした?」

 

「お茶菓子を要求します」

 

「唐突に厚かましいなお前」

 

 そう言いつつ、買っておいたロールケーキを生クリームでトッピングして出してやる。

 コーヒーのおかわりも一緒に出してやると、リビングで洗濯物を畳み始める。

 

「人をもてなしているのに、家事を続けるとか……もてなす気があるんですか?」

 

「家事をしないと本格的にニートになるから勘弁してくれるかな?」

 

 手早く皆の洗濯物を畳んでいく。

 下着とかも沢山あるが、皆俺が洗濯することに抵抗が無いのか全員普通に出している。

 

 俺は俺で全員の下着を選り分けられるのはどうかとも思うが……。

 

「迷い無く下着をそれぞれの人に選り分けてますね。流石、ヒモはレベルが違います」

 

「俺にとどめを刺しに来たのかテメェは……」

 

 小猫の言葉に青筋を立てつつも、洗濯物を畳み終える。

 それぞれの洗濯BOXに詰めると、小猫の対面の椅子に座る。

 

 コーヒーと出しているロールケーキを美味しそうに食べている。

 まぁ、小猫はグレモリーからの監視役なのだろうが、良くもまぁこんな状況で監視役を引き受けたものだとその胆力には驚愕するばかりだ。

 

 別の自分とはいえ、自身を散々犯し続けた男に近づこうという感性よ。

 しかも、俺自身はそれを覚えているし、何なら他の女性陣は現在進行形で俺との関係が続いている。

 

「まぁ、フェイトや木乃香と刹那の実力は無視できるモノじゃないからな。監視役は必要だろうが、寄りにもよって塔城とはグレモリーも酷な人選をするな」

 

「小猫でいいです。部長に頼んで監視役に立候補したんですよ」

 

「そりゃまた奇特な……」

 

「祐斗先輩だと人当たりはいいんですが、刹那さんとフェイトさんとバトルシーンに発展しそうですし、アーシア先輩は新人ですし、姫島さんはリアス部長のサポートに集中してます。ギャー君は出てきませんし、イッセー先輩にはここは危険すぎます」

 

 消去法かい。

 だが、そう言われると納得の人選ではある。

 

 俺たちの様な異質な存在を放置できないだろうし、眷属にできないのなら見える場所に置いておくのが賢い選択だろう。

 そして、先ほどの消去法と合わせて、小猫には俺らと暮らした記憶……というか記録がある。人となりを知っている監視役というのはそれだけで適役だろう。

 

「なるほどね。そっちが良いなら、俺らとしては世話になってる関係上構わないんだがな。つか、俺も働かせてくれ」

 

「却下です」

 

 ひでぇ。

 出していた自分用のコーヒーを啜ると、ため息をつく。

 だから資産運用に切り替えて生活費とかを稼いでいるんだがな。

 

 そっちには寛容で自由にさせてくれる。

 いや、それらすら拒否されたら本格的に軟禁を疑い始めるところだ。

 

「資産運用で下手に働くよりも稼いでるじゃないですか。そっちの方がおにいさんには合っていると思いますが……」

 

「ゆかりさんとフェイトに働かせて、俺が働かないとか罪悪感がひどいんだよ」

 

 古い価値観なのかもしれんが、俺自身が見た目と実年齢の乖離が激しいタイプだ。

 二十年以上社畜生活をし、三年ぐらい無人島生活をした結果、働かざる者食うべからず的な思考が出来上がっているのは自覚している。

 

 そして、働くというのは会社に所属して働くという事だとも思ってしまっている。

 本来は、家庭を守るという観点ならば資産運用も立派な稼ぎ方なのだが……。

 

「ほらあれです。仕事で疲れたお二人を、おにいさんが身体で癒しているという……」

 

「本格的なヒモ理論だろうが!?」

 

 何なんだよ、小猫の奴。

 今日は妙に俺のメンタルを抉ってくる。

 

「それにしても意外な才能です」

 

「なにがだ?」

 

「おにいさん、資産運用の才能があるのかもしれませんね」

 

 ああ、株式運用から始めて色々手を出しているからなぁ。

 今スグに働けと言われたら困るレベルで手を出している。

 

 派手に稼いでる訳ではなく、小刻みに手堅い運用をしているのだ。

 

「手堅い運用をしているだけだ。こういう事が出来るのは、小猫がグレモリーに俺ら全員の住民票や拠点を用意してくれるように頼んでくれたからだ。ありがとうな」

 

 一番グレモリーに頼んでくれたのは、小猫だった。

 眷属に優しいグレモリーが、動いてくれたから今の俺たちがあるのだ。

 

 その感謝は常にあるし、こうしてもてなすぐらいは何でもない。

 

「ほう、感謝してくれているんですね?」

 

「? あ、ああ……」

 

 あれ? 雲行きが変わったぞ?

 

 ニヤッとした笑みを俺に向けている小猫。

 懐かしいなぁ、あの島で稀に見せていた悪だくみの笑みじゃないか。

 

 思い出した途端に、ゾクッとした寒気の様な感覚を思い出した。

 そういえば、よくこんな笑みを浮かべた小猫に色々な悪戯をされたものだ。

 

「でしたら、報酬を望んでも構わないですよね?」

 

 あ、ペロッと舌なめずりで口元のクリームを舐めとる仕草。

 獲物を前にした肉食動物を想起させる仕草。

 

 あー、そういえば俺は、あの島で小猫とゆかりさんには勝てないと自覚していた。

 小猫はこの世界の塔城小猫に存在統合されてからは、この世界の小猫の中に内包され、別の存在として生活してきた。

 

 だからこそ互いに関わる時も、知っているが別人というスタンスを互いに崩さなかったし、互いに性行為へのアプローチも一切してこなかった。

 

 それなのに、今日は何だ?

 妙に性を意識させる行為や、アプローチが目立つ。

 

「……ああ、構わないが、どうしたんだ急に?」

 

 声が震えている気がする。

 関係の変化というのは幾つになっても……いや、この年だからこそ恐怖と言う程ではないが、気後れするモノがある。

 

「おにいさんがこの世界に来た時から、私自身もおにいさんも互いにあの島での塔城小猫として振舞わないし、扱わないって暗黙の了解の様なモノがあったと思います」

 

「ああ、そうだな。記憶があるとはいえ、本を読んで知ったような感覚だと思ったし、そんな程度の感覚の女の子に、あの島の生活感覚で接するのは気が引けたのもある」

 

 いうなれば、島の出来事を記録した本を読まされたような感覚だろう。

 読んだ本人からすれば、自分と同姓同名のキャラクターのエロシーン。

 不快にこそなるだろうが、こうして近づく行為には俺は理解が追い付かない。

 

「そうでしょうね。私もそう考えていましたし、おにいさんがそう考えて動いていると分かった時は安心感すらありました」

 

 そうだろう。

 あの時の緊張した表情から、俺が小猫を別人として扱いだした時の安堵した表情に変わる瞬間を見ている。

 

 それで小猫を絶対に別人として扱おうと心に誓ったし、そういう行為を話題に出すこともやめる事にした。

 

「おにいさんは、相手の心情を読み取る能力に長けていますが、それが故に出た結果に固執しますよね?」

 

 それは初めて言われたな。

 相手を気遣うという事をよく言われたが、結果に固執するというのは初めてだ。

 

「人の心は簡単に変わらないというのが前提にあるからでしょうね。私もあれからゆっくりとあの島で生活した、もう一人の私の事を読み込む時間がありました」

 

 徐々に態度が軟化していたのは気付いていた。

 それは嫌悪感が時間で薄れていったものだと思っていたし、小猫本人が言っていた知っている人間を見捨てるのは後味が悪いからグレモリーに頼んだのだと。

 

 だから、基本的にこっちの小猫にも俺は頭が上がらないのは事実だ。

 というか、ゆかりさん達も同様に頭が上がらないはずだ。

 

「最初は性行為の衝撃が強すぎて、それ以外の出来事が理解できませんでしたが、それらをじっくりと読み解く時間は私にとって大事な事でしたね」

 

 ああ、確かにいきなり自分の性行為記録を突き付けられたら衝撃はすごいだろうなぁ。

 しかも、逆レイプからの自身が誘ってからのシーンがほとんど……。

 

 うん、責めようにも責め辛い。

 

「感覚は共有されてはいないので、あの時の私がどういう感覚を得て、どういう感情を受けたのかはわかりません」

 

 そういう事を言っていたな。

 本や映画を見ているような感覚だから、実際に受けた様な感情や感覚は分からないって。

 

「ですので、性行為以外の私とおにいさんの記憶を何度も読みこみましたよ」

 

「それは……何というか申し訳ない気持ちになるな」

 

「ほらそれです。おにいさんは自分を売り込まな過ぎる。知って貰おうとしなさ過ぎます」

 

 グッと首元に力が入る。

 表情を変えない様にと無意識に力が入ってしまった。

 

 自身を売り込まない事。

 それは俺自身の処世術だった。

 

 他人の記憶に残らない事で、面倒事を避けていた。

 社畜生活において、仕事以外の面倒ごとが厄介だった。

 

 金を貸してくれ、飲みに付き合ってくれ、休みの日に○○に行くから来てくれ……などなど。

 それらを避ける為の行動が染みついていたのかもしれない。

 

「ずっと監視役のついでに観察していましたが、記憶の件と合わせてもおにいさんへの興味が尽きません」

 

 ズイッと眼前に表情の乏しい彼女の顔が近づいてくる。

 無人島生活では、どうしても肌荒れや細かい傷があったが、こっちの子猫はきれいな肌をしている。

 

 白く、透き通った肌。

 白髪に黒猫の髪飾りが良く生えている。

 

 よく見ると、ホントに薄い化粧がされていて、唇が光沢を帯びているので薄いリップも塗っているかもしれない。

 

「自身への評価が適当なお兄さんは、何をそんなに必死なのですか?」

 

 ゾワッと鳥肌が全身に広がった。

 

 必死? なににだ?

 

「こうして、あの島での生活を客観的に見れるようになって、おにいさんの違和感を意識しました」

 

 汗が出てきた。

 鳥肌が立っているのに、汗が出てくる不思議な感覚。

 

 小猫が両手で俺の顔を固定するように挟み込む。

 顔を反らさない様に、逃げない様に、しっかりと掴まれてしまった。

 

「おにいさんは罪悪感を私たちに抱いてますね? だから、好意を向けられても避けたり、曖昧にしたりしています」

 

「そんな……ことは……」

 

「ゆかりさんは特別ですが、木乃香さんや刹那さん、フェイトさんからも好意を向けられて、あの島の私からもアプローチはありましたよね?」

 

 言葉が出てこない。

 改めて突き付けられて、自覚した。

 自分が好意から逃げていたことに。

 

 罪の意識があったのだ。

 行為に対して、あの果物を結果的に利用したような形になってしまったことに。

 

「おにいさんは、あの果物で得た関係に対して、望まない性行為を強いた罪悪感が強くて、向けられる好意を避けて、必死に自身を粉にして好意を向けられるに足る自分になろうとしてますね?」

 

 見抜かれている。

 

 当然だろう。

 果実の効能を利用しての他者へのレイプまがいの性行為、発作の度にそれに便乗するように性行為を繰り返し、サバイバル技術を盾にしてハーレムみたいなコミュニティを形成していた。

 

 これで罪悪感を抱くなと言う方が難しい。

 そんな人間が好意を向けられているなんてことが、あるわけが無いのだ。

 

「……重症ですね。まぁ、今まで抱いてきた女性全員があの果実の影響下だったからでしょうね」

 

 そうだ。

 あの果実の詳しい影響が分かっていなかったのだ。

 

 惚れ薬の様な効能があった場合、やっぱり向けられる好意に応える訳にはいかないのだ。

 そんな彼女達の尊厳を踏みにじるような行為だ。

 

「根が真面目なのと、自信が無いのが影響してますね……。でしたら……」

 

 グイっと挟まれてた顔が引かれ、小猫が口づけをしてきた。

 不慣れな、歯が当たったり、押し付けられる様なキス。

 

 初めてのキスの様な不器用さ。

 それでも、しっかりと俺の唇を感じる様にじっくりと触れ合っている。

 

「……私が愛します」

 

 口が離れ、互いの唾液の橋が重力で切れた。

 そして、小猫は俺に告白してくれた。

 

「私はあの果実の影響下にある女性じゃありません。あの島での塔城小猫ではありません。……それでも、私は三国恭治さん、あなたを愛します」

 

 この世界の塔城小猫は、あの島で生活した小猫じゃない。

 それは理解していたし、今のキスで実感もした。

 

 不格好な必死の初々しいキス。

 幾度もキスを交わしたあの島の小猫とは比べ物にならない技術だ。

 

 だからこそ、実感したのだ。

 

「どういう気持ちの変化だ?」

 

「……おにいさん、いえ、キョウジさんはこっちに来てからも、私やアーシア先輩を大切にしてくれましたよね? あの島の私達ではないと知りつつもです」

 

「当然だ。俺らに巻き込んだようなものだからな。島の小猫たちと重ねないようにするのが大変だったが……」

 

「そこで当然と言える、そして私の中の彼女の記憶が、キョウジさんを好きになった理由です」

 

 そうハッキリと宣言され、気恥ずかしさで固まった時、再びキスで口を塞がれる。

 やっぱり慣れていない、初々しいキス。

 

 それがたまらなく愛おしい。

 

「だから少しずつでいいです。好意を受ける事から目を背けないでください」

 

 両頬に添えられていた小猫の手がそのまま俺の頭を抱え込む様に動き、彼女の胸に抱き込まれる。

 

 フワッと花の香りが彼女から香る。

 そして、ドキドキと彼女の心臓が早駆けしているのを感じた。

 

「性行為はまだ、怖いですけど……デートとかいっぱいして……いつか、お相手してください」

 

 真っ赤になった顔を向けながら、真剣な目を向けてくれている。

 その表情に、俺自身の体温が上がる感覚があった。

 

「小猫、俺は……」

 

「キョウジさんが拒否しても、諦める気はありません。監視役の利点を最大限に活用しつつ、徐々にキョウジさんを篭絡していく所存ですのでよろしくお願いします」

 

「……ああ、諦めが悪いな」

 

「具体的には姫島先輩とかにアドバイスをもらう所存ですので覚悟しておいてくださいね」

 

「何という人選だよ!?」

 

 いつもの会話のやり取りになってきた。

 時間もそろそろ、小猫がグレモリーの所に戻る時間だろう。

 

 口元が笑みを浮かべているのが確認できた。

 いつもの空気。

 

「さて、今日の所は帰りますか。あ、今日の事はゆかりさんとかに話してあるので、追及は頑張ってくださいね」

 

「ちょっと待て、最後に爆弾を残していくな!?」

 

「爆弾はこれから徐々にこの家に集まってくるのですよ」

 

「ちょっと上手い事言ってるんじゃない!? いや、マジで待って!」

 

 部屋を出た小猫を追いかけて玄関を出ると、遠くの屋根に小猫らしい姿が見えた。

 あいつ、惜しみなく悪魔の身体能力を活用して逃げたな……。

 

 それから俺は、ゆかりさん達に今日の事を徹底的に追及された。

 少しだけ、彼女達の好意に対して、向き合おう。

 

 そう思う事ができるようになったなっと実感できた。

 

 性行為は沢山してきたけど、デートとかしたことが無い。

 思春期男子の様な戸惑いを覚えていることに気づき、苦笑いが出てしまった。

 




 外伝として、倍ぐらいの文字数になっています。

 本編はもう少しお待ちください。

 一応、本編の設定に準拠しているので、ここの設定も考察の参考にしていただければ幸いです。

 それでは、皆さまも熱中症や夏風邪などには注意して、水分や塩分を十分に取りますように。

 また次回をお楽しみに!


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21 無人島東側の探索

 どうも、大腸ポリープを合計7つ取ってました、オルカです。

 体質とはいえ、定期的に見ないと駄目ですね。

 遅れて申し訳ありません。
 病院通いって存外創作意欲削られますね……。

 さて、今回はちょっと長くなって、なおかつエッチィ描写がありません。
 お待ちいただいている状況で申し訳ありませんが、次回は描写有りますのでお許しを。

 それではどうぞ!


 東側の探索はすなわち例の果実の群生地帯の探索となる。

 あの地域はいくつかの謎があるから、そこを調べるのも目的の一つだ。

 

 例えば、フェイトがあれだけ注意したのにも関わらず、あの果物を食べた事。

 フェイトの報告ではあるが、あの群生地帯で飛行魔法を行使した際に、いきなり消費魔力が跳ねあがり、飛行魔法が維持できなくなって川に墜落したらしい。

 

 その辺りの探索がメインだ。

 

 食材の採取や資材の回収は並行して行うが、東側の群生地帯での採取は資材のみで食材の採取は汚染されている可能性が高い為、禁止となっている。

 

 探索の列は小猫、俺、アーシア、フェイトの順。

 索敵能力の高い小猫を先頭にして、背後や広範囲の索敵をサーチャーという魔法を使えるフェイト、その二人に守られる形で俺とアーシアが入っている。

 

「フェイト、サーチャーの維持魔力の変動や消失があったら報告を頼む。小猫やアーシアも体調に変化があった場合すぐに報告だ」

 

「「「わかりました」」」

 

 そうして群生地帯へ探索へ入っていった。

 すでに探索を終えている地域の更に先、海岸線沿いを探索した後に群生地帯を広げていく。

 

 流石に、木乃香と刹那が使っていたキャンプ地は距離がある。

 新たに、東側拠点は確保する必要があるが、寝泊まりと最低限の設備のみ破棄前提の簡易なもので良い。それなら一日と掛からない。

 

「この辺りが、探索済のエリアになるので、ここから山岳方面に向けてが未探索エリアになります」

 

 小猫の指摘で山岳エリア方面を向くと、遠くに山岳とそこに至るまでに群生地帯が続いているのが見える。

 対して、振り返りながら探索済みエリアを見てやると、南側の海岸線と東側の岩場が見え、そのに向かって群生地帯が続いている。

 

 しかし、明らかに北側の方が遠く広い。

 一度の探索で見つけるつもりも無いが、第一次東側探索隊は約一月を予定している。

 

 その後、フェイトとアーシアを刹那と木乃香に変えて、第二次探索隊を組織する方向で決定している。

 

「では、ここから北側へ向けて探索をしていこう。黒く変色している果実は落果寸前だから近づかない様に、群生地帯の水や動植物は食用であっても採取は不可だ」

 

 すでに分かっている情報を再度共有し、探索へ入っていった。

 

 目標地点はフェイトの飛行魔法が途切れたとされる地点。

 魔法妨害が第三者的な要因なのか、地理的な要因なのかを調べる。

 

 地理的な問題の場合、その地点に行けば再度魔法に異変が出るだろう。

 第三者だった場合、場所に関係なく、魔法自体が不安定になる可能性が高い。

 

「フェイト、サーチャーの維持魔力に変動はある?」

 

「……今の所は、四方とも大きな変化は無くて、映像にも乱れはないから……大丈夫!」

 

 だとすれば、まだまだ奥になるだろう。

 フェイトの飛行魔法は速度が結構出るタイプだった。

 本人が言うには、速度を出して結構飛んでいたと言っていたから、おそらく北側の境界付近だろう。

 

 そこまで順当に探索範囲を広げていこう。

 

「動植物の分布と群生地帯の正確な広さも気になりますが、文明の形跡も可能性は低いですが探してみましょう」

 

 小猫の指摘通り、完全に人の手の入っていない無人島という前提で基本動いている。

 ダメでは無いが、可能性の模索は必要だし、もし地下や岸壁の裏側に人工物を巧妙に隠してあった場合、発見が困難になる事があるからだ。

 

 視覚効果で巧妙に隠されている場合、嗅覚や聴覚での捜査が基本になる。

 そういう意味だと、小猫は適役なのだ。

 

「文明と言えば、東側の岩場付近に流れ着いている漂着物はどうしましょうか?」

 

 アーシアが思い出したように声を上げる。

 基本的にスーツケースが多いが、ペットボトルやビン、コンテナなんかも極稀に南側には流れ着いていた。

 

 南側であれば拠点が近い事もあり、何度か往復して全部回収していたが、今回は全部回収するのは現実的ではない。

 スーツケースは、キャスターが付いていることが多いが、この未開の島でキャスターが活用できるわけも無く、運搬が非常に大変だったりする。

 

「一か所にまとめて置いて、纏めて開錠してから中身を選ぼう。必要分だけをまとめて持ち帰れば楽だろう」

 

 開封自体には鍵が必要なものも多いが、ナンバー型だったり、ジッパーの取っ手部分に南京錠を付けているものもある。

 

 楽なのがジッパータイプだ。

 小猫が握りつぶしてくれたり、フェイトが魔法刃で切り落としたりしてくれる。

 そうすると再利用が容易で持ち運びが非常に楽になる。

 

 難しいのが鍵型だ。

 ナンバー型は総当たりで何とかなるが、鍵型はそうもいかない。

 破壊が前提の対処になってしまう。

 

「雨期も過ぎて、長い事立ち入っていない区域ですから、それなりに流れ着いていそうですが……」

 

「多ければ多いほど運が良いと考えよう。……処置は大変だが」

 

 基本は鍵型だからナイフやバールのような鉄棒でこじ開ける。

 小猫やフェイトならそれも必要無いんだが、ほら二人のみにやらせるのもね? (震え声)

 

 俺とアーシアがナンバーを総当たりして、小猫とフェイトが鍵と南京錠タイプを破壊していく事を予め申し合わせておく。

 

「一度海岸線まで抜けてから、海岸線をグルっと探索して、その後に群生地帯の内部に手を入れていこう」

 

 動きの打ち合わせをしつつ、東側へ進んでいく。

 何を得られるのかは、現状誰にも分っていない。

 

 

**********************

 

 

 岩場の海岸線で沢山のスーツケースやコンテナなどが流れ着いて、大量のお宝発見という事で私たちのテンションのうなぎ上りです。

 

 それらを一か所に集め、私とフェイトさんで次々に開封していきます。

 ナンバー式のモノはおにいさんとアーシアさんが総当たりで頑張ってますし、時間の余った私たちは食材の調達に出かける事にしました。

 

 私とフェイトさんは空を飛ぶことができますので、群生地帯を抜けたところで採取してから戻ってくることにしました。

 

「小猫さん、何でスーツケースを普通に開ける事にこだわっているんですか?」

 

「ああ、モノを入れる・纏められるって実はかなり重要でして、私なんかは重い物も平気で持てますけど、量を持てないんですよ」

 

 人が両手で持てる量は限られています。

 スーツケースの中に入るモノを両手で持とうとすると細かい物など全部持ちきれません。

 

 ヒモでくくるにしても、やっぱり限度があります。

 スーツケースとは収納と持ち運びを両立させた極めて機能の高い設備なのです。

 

「ですから、多くのモノを収納出来てかつ、持ち運びに便利なキャスターや密閉可能な機構を持ったスーツケースは状態の良い物を持ち帰る必要があります」

 

 全部ではないですけどね。

 

 そう付け加えつつ、群生地帯を超えて採取するためのフィールドに降りる。

 採取の場合は手分けするのも大事ですが、今回はウサギを何匹か狙うのでフェイトさんにもご協力をお願いしています。

 

「何でウサギなんですか?」

 

「前に紹介した畑を食い荒らすんですよ。なので、ウサギ肉を基本的に取る様にしています」

 

 鹿も食い荒らしますが、ウサギの方が侵入頻度は高いです。

 それに鹿は柵を超えられませんが、ウサギは軽々超えてきますからね。

 

「でも、私は捌けないのだけど……」

 

「それは私にお任せください。私は外回りの仕事でしたら、おにいさんに免許皆伝頂いてますから」

 

 採取して問題無い植物や動物、後々に繋げられる採取方法。

 危険な動植物に、動物の捌き方。

 設備や備品に仕える物などをおにいさんにしっかりとレクチャーしてもらっています。

 

「ちなみに、拠点周りの仕事ではゆかりさんが免許皆伝ですよ」

 

「キョウジさんは両方できるんですね……」

 

 おにいさんのサバイバル技術を、私とゆかりさんに分けて伝授してくれている形になります。

 たぶん、おにいさん自身が居なくなった場合を考慮して技術の分配を行っているのでしょう。

 

 必要な事なのでしょうが、納得できない部分もあります。

 おにいさんの死は、おにいさんが想像している以上に私達に影響があります。

 

 まとまっているように見える私達ですが、その中身は分裂の可能性が十分にあり得る状態です。

 

 私やアーシアさんは悪魔という種族。

 刹那さんは半妖と言ってましたし、木乃香さんと一緒にいる前提で動いています。

 フェイトさんは、ここに慣れてきたばかりですが、警察の様な治安維持組織に所属していただけあり、倫理観や正義感が強いです。

 ゆかりさんは、全員と仲が良いですが、基本的におにいさんの作った拠点を大事にしているので、おにいさんの遺志に従う可能性が一番高いのが彼女です。

 

 分かり易く線が引かれている状態で、私達の要であるおにいさんが居なくなるのは本当にまずい。

 

 どう分かれるかは状況次第でしょうが、私とゆかりさんに技術を分けて渡したのは、おにいさんなりの分裂防止策なのでしょう。

 

 私とゆかりさんはサブマスターという関係がある。

 マスターであるおにいさんの遺志に反しなければ、私とゆかりさんは分裂することは無いでしょう。

 だからこそ、私とゆかりさんに技術を渡してくれているのでしょう。

 

 外回りができる組を私が、拠点周りを管理する組をゆかりさんが抑える様にという判断なのでしょう。

 ただ、外回り組の戦闘能力が私一人の手に余るレベルになってきています。

 

 だから崩れるとしたら、私の押さえるべき外回り組という事になる。

 

「おにいさんは、二年以上も一人で拠点も採取も切り盛りしていましたから、私たちより効率も速さも上ですよ」

 

 サッと見ただけでよく似た植物を選り分けたり、動物の解体時に可食部を選り分ける事が出来る。

 知識と経験が高いレベルで融合した姿だと私は思っている。

 

「小猫さんも早いじゃないですか」

 

「その私以上ですよ、おにいさんは」

 

 私が、目や耳・鼻をフルに使って行う採取や解体の速度を、おにいさんは超えている。

 技術と言ってしまえばそれまでなのですが、私自身の技術もおにいさんに迫るものだと自負しています。

 

 それでも勝てない。

 力は私の方に分がありますが、細かい技術はまだおにいさんの方に分があるのでしょう。

 

「それは……すごいですね」

 

 それでも、私の解体速度もここのメンバーで第二位です。

 何の問題も無いでしょう。

 

 単純に向上心の問題というか、競争心の問題というか、勝てないのが悔しい。

 単純かつ明確な言い回しだとそうなりますね。

 

「四人分にはあと少しですね。干し肉もありますし今回は罠を仕掛けるだけにして、後日の採取に備えましょう」

 

 初日は無理に動物は採取せずに、罠の設置や地理の把握に努める。

 これもおにいさんの教えです。

 

 罠は仕掛ける際に私たちの匂いや掘り返された土の匂いで動物達を警戒させてしまう。

 だから、早めに設置して匂いを薄れさせるようにしなければならない。

 

 それに、もう少し時間をかければ、おにいさん達がスーツケースのロックの総当たりを終わらせてくれているでしょう。

 

 

**********************

 

 

 総当たりでのナンバーロックを解除する。

 この島では人生で初めてすることが多すぎます。

 

 ライターやマッチを使わないで火を起こす方法なんかは、この島に来なければ一生触れる機会は無かったかもしれません。

 

 それに小猫ちゃんやフェイトさんが居ないので、キョウジさんと二人っきり。

 お二人との情事を覗き見ていた私としては若干気まずい気持ちがあります。

 

「アーシアは、火は起こせるか?」

 

 突然そんなことを聞かれました。

 ナンバーロックはキョウジさんがトントン拍子で開けてしまっていて、そんなに時間がかかりませんでした。

 

 なんでも、ナンバーは大抵ちょっとずらしただけの状態である事が多いから、初期配置からズラすだけでいいと言っていました。

 

「えっと、はい。割と最初にゆかりさんから教えて頂きました」

 

 火起こしは、ここで生活する上で重要なスキルなので、幾つか教えて頂けるスキルや心構えの中に含まれています。

 拠点で何度も火起こしは経験しています。

 

「そうか、なら小猫たちが戻るまでに火を頼むわ。俺は探索へ行ってくる」

 

 珍しいです。

 いつもなら、キョウジさんは自身で火を起こしますし、探索へも誰かを連れて行かれます。

 

 お一人だと何かが起こった時に助けを呼べないからと、基本的に単独行動はしない印象でした。

 

「お一人で大丈夫ですか?」

 

「おう、すぐそこで探索するだけだ。遅いようなら小猫達に言って探しに来てくれればいいから」

 

 小猫さんは猫又の妖怪だったこともあり、聴覚が非常に鋭いです。

 フェイトさんも魔法でサーチャーという遠隔操作できる球体を飛ばせるので、探索に向いているのでしょう。

 

「じゃあ、後は頼んだ!」

 

 そういうと足早に森の中へ向かって行かれました。

 そこに違和感を覚えつつ、火起こしの準備を整え終えたあとに、気になったのでキョウジさんを追いかける事にしました。

 

 

**********************

 

 

「ぐ……はぁはぁ」

 

 急ぎ、東の森奥に避難した。

 木にもたれ掛かる様に身体を預け、自身の股間に目をやる。

 

 服の上からでもハッキリと分かるぐらいに勃起しており、今にも服を突き破ってきそうなぐらいに硬くなっていた。

 

 発作。

 俺自身はそれほど発作を起こさない。

 

 普段から女性陣の発作を相手している関係なのか、俺自身の発作は発症前に解消されているのだろう。

 その上、小猫と俺だけの時は頻繁に発作は起きていたし、小猫を俺から誘うこと多かったが、人数が増えてきてからは誰かが発作を起こして相手をしていた。

 

 すっかり忘れていたが、久々の発作。

 以前に襲われた発作以上の疼きと飢餓感。

 異常な性欲に襲われ、息も荒く、病気と勘違いされそうなぐらいに汗も噴出している。

 

「……っ! これは理性が持たねぇ。離れて正解だった……」

 

 あのまま、アーシアの近くに居たら襲ってしまいそうだった。

 小猫達は二、三時間ぐらいは帰ってこないだろう。

 

 少しでも彼女から離れ、耐える方向が良い。

 もし、間に合わないようなら小猫達が探しに来てくれた際に、相手を頼むしかない。

 

 それまではどうする?

 一人でするか?

 

 いや、アーシアの視界から逃れるために東の森の中に逃げ込んだのがまずかった。

 西の森ほどじゃないが、動物は居るし、蛇なんかも居る。

 

 自慰に夢中になって怪我なんて目も当てられない。

 ここは耐えるしかない。

 

「距離は稼いだし、火起こしと火の番を任せた。後は小猫達が来るまで耐えるだけだ」

 

 股間に血が集中しているのか、少し頭に靄が掛かっている。

 膨張した股間は、衣服に抑えられて痛みがある。

 

 脱いでしまいたいが、そのまま自慰まで進んでしまいそうだ。

 辛いが我慢するしかない。

 

「キョウジさん……?」

 

 マズった。

 耐えるのに必死でアーシアが近づいてくる音に気付けなかった。

 

 やばい、今は自制が効かない状態だ。

 襲ってしまいそうだからこそ離れたというのに。

 

「大丈夫ですか!? もしかして発作ですか!?」

 

 慌てた様子で駆けつけようとしている。

 慌てて声を上げた。

 

「来るな! 今は自制が効きそうにないんだ!」

 

 そう叫ぶと、ふら付く足に鞭を打って下がろうとする。

 これ以上近づかれると、確実に襲ってしまう。

 

 アーシアを見た瞬間、彼女の裸体を想像してしまい、その肢体を蹂躙するイメージが脳内を駆け巡っている。

 

「キョウジさんは、そこまで自分を抑えて……」

 

 そう呟いたアーシアは、ゆっくりと近づいてくる。

 その途中で、実っていた例の果実をもぎ取って来る。

 

「ご自分を抑え込んで、辛い事を抱え込んで……それでも小猫ちゃんたちの為に頑張っているんですよね」

 

 そう言いながら、あの果実を食べ始める。

 ああ、そういう事か。

 

 聖女と呼ばれていた彼女だ。

 アーシアが教会から追放された理由や、性格を考えれば可能性はあったのか。

 

「これで、治療行為です。キョウジさん、お願いします」

 

 頬を染めて、瞳を潤ませながら、決意に満ちた彼女の表情はとても綺麗だった。

 




 いかがだったでしょうか?

 いろいろ立て込んでいる中での執筆でしたので色々と拙い部分が表面化しているかもしれませんが、広い心をもって許していただければ幸いです。

 次回はちゃんとエッチィ描写も頑張ります!


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22 無人島の特徴その1

 どうも、大腸ポリープ切除後のオルカです。

 大学時代から通算14個のポリープ切除なので慣れてきました。

 さて、前回書き切れなかったアーシアのエッチィシーンです。
 そして、島の秘密が一つ明らかになります。

 それでは、どうぞ!


 発作とは、例の果物を食べてしまった者達に起こる性欲の暴走状態の事を指す。

 

 タイミングや次の発作までの期間なんかもバラバラで、俺と小猫で計算していたが、法則性が見られなかった。

 ただ、性行為をしてた場合は次の発作までの期間が延長されているように感じられるというのは分かっていた。

 

 今回は、遠征という事もあって小猫達との性行為は拠点に居る時以外行っていなかった。

 その結果、俺の発作が解消されずに今回出てきてしまった形になるだろう。

 

「すまない、アーシア」

 

「いいんですよ。キョウジさんは誰よりもご自分を抑えていました。私にもちょっとだけでいいのでお手伝いをさせてください」

 

 慈愛の精神。

 彼女が聖女と呼ばれていた理由が良く分かる。

 

 他者の重荷を背負う事をナチュラルにやってのける精神。

 いつか他人の重荷でつぶれてしまうのではないか? という疑問が出てくる。

 

「私も頑張りますから、キョウジさんも苦しまなくて良いんです」

 

 アーシアは、この性格で沢山苦労したのに、変わらない優しさと献身を見せてくれている。

 こんな彼女だからこそ、この発作に付き合わせたくなかったし、元の世界へ戻して普通の恋愛を謳歌させてあげたかったのだが……。

 

 ならば切り替えていこう。

 彼女の初めての思い出は、出来る限り自己犠牲の果てではなく、良いものだったと思える体験にしなければならない。

 

「ありがとう、アーシア。その気持ち、受け取らせてもらうよ」

 

 問題があるとすれば、この暴走一歩手前の性衝動の手綱を引かなければならない事か。

 股間が脈動するのをはっきりと感じられるぐらいに硬くなり、目の前の無垢な存在を組み敷きたいという欲望が形を成していくように感じる。

 

 油断すれば、未経験相手に小猫やゆかりさんを相手にするのと同じ様な感覚で犯してしまうかもしれない。

 

 なら、どうするか?

 何度か抜いて暴走寸前状態を落ち着ける必要がある。

 

「アーシア……頼みがあるんだが……」

 

「はい、何でしょうか?」

 

 果実の影響が出始めているのだろう。

 上気した頬と、潤んだ瞳でこちらを見てくる彼女に、俺の股間が更に固くなるのを感じる。

 

「本番前に、何回か抜いてくれないか?」

 

「え? ……あ、はい! 任せてください!」

 

 そういうと、ススッと俺の前まで近付いて来て、膝をついて俺の股間をオズオズと触れ始める。

 股間の感触を確認しているようで、はわぁ……とか、わっわっ……とか、楽し気に触れまわっている。

 

 羞恥もあるようだが、それ以上に異性の象徴への好奇心が暴走している。

 真っ赤な顔だが、それ以上に初めての道具を調べる子供の様な好奇心に目が輝いている。

 

 その集中力は凄いものがある。

 

「そろそろ、下を脱ぐが大丈夫か?」

 

「ふぇ!? は、はい! お願いします!」

 

 いや、お願いするのは俺の方なんだが……。

 大分、果実の影響なのか好奇心が強くなっている気がする。

 

 ズボンを脱ぎ、下着も脱いで脇にたたみ置く。

 発作の影響で完全に勃起した状態。痛みで窮屈だったズボンから解放され、ブルンッと天を向く我がムスコ。

 

 正直な話が、物凄く苦しい。

 射精したいのに、トリガーとなる刺激が無いというのがこれ程に辛いのかと驚くばかりだ。

 

「……ふぁ。これが……キョウジさんの……」

 

 両手で顔を隠しているが、指の隙間からしっかりとこちらを見ている。

 リアルにこんなことする娘を初めて見た。

 

 そんな可愛らしい仕草に反応して、ビクビクと自身のモノがアピールを繰り返している。

 アーシアも、そんな反応に興味津々といった感じだ。

 

「まずは、手で頼めるか?」

 

「は、はい!」

 

 声をかけた途端、顔を覆っていた両手を慌てたように膝に持っていき、背筋を伸ばしてしまう。

 緊張と好奇心で挙動不審だな。

 

 強張った顔でこっちを見つめて、真っ赤な顔と硬くなっている笑顔。

 この反応が可愛らしいと思ってしまう。

 

 緊張した面持ちで、ゆっくりと手を俺の股間に伸ばしてくる。

 噛みつかれるのを恐れる子供の様だ。

 

 別に噛み付きはしないぞ?

 よく見ると指先も震えている。

 

「……ッ!」

 

 意を決したように、一気に距離を詰めつつも、俺の股間への接触はそれこそ壊れ物を触る様に慎重な物だった。

 そのくすぐるような感触に、思わず股間が跳ねる。

 

「きゃ!? えっと、痛かったですか?」

 

「いや、くすぐったかっただけだよ。手を取るような感覚ぐらいで大丈夫だからね」

 

 すると再びキュッと俺の股間に触れ、しげしげと観察を始める。

 ニギニギと硬さを確かめたり、上下に動かしてみたり、先っぽを突いたりと好奇心を満たし始める。

 

 その過程で俺自身も快感が積み重なり、徐々に敏感な状態へと高ぶっていく。

 

「……ッ! 出る!」

 

 決壊し、大量の精液が飛び出す。

 そのまま観察していたアーシアの顔面にぶっかけてしまう。

 

「キャ!?」

 

 いきなりかけられたアーシアは、怒るどころか掛けられた精液を観察していた。

 指で掬い取ると人差し指と親指で粘度を確かめたり、匂いを嗅いだ知りている。

 

 正直恥ずかしいのだが……。

 精液自体は量が異常なだけで、匂いなんかも普通の精液と変わらない。

 

「これが精液というモノなんですね。……なんか、不思議な匂いがします」

 

 何回か匂いを嗅いだ後に、いきなりアーシアは指に着いた精液を口に含んだ。

 

 って、何してんのこの子!?

 

「おい、飲むもんじゃないぞ、美味しい物でもないって話だし、吐き出しておけって」

 

「いえ、キョウジさんのだと思えば、気になりません。むしろ……」

 

 そのまま、パクッと俺のムスコを咥えだした。

 彼女の口の中はとても暖かくて、おずおずと動く舌がくすぐったくも、良い刺激を与えてくれる。

 

 なんで、この娘は変な所で思い切りが良いんだよ!?

 

「ぬわ!? アーシア!? 無理はするなって……」

 

 そう言って彼女の顔を見ると、表情がおかしい。

 恍惚というか、夢中になっている。

 

 ああ、そう考えると納得ができるのか。

 とはいえ、俺自身も余裕が無い状態だ。

 未熟な技術とはいえ、限界が近い状態でフェラの刺激に耐える事は難しい。

 

「放した方が……ッ!?」

 

 話している途中で耐えられずに、彼女の口に出してしまう。

 二度目とはいえ、量は初めての娘の口に出すべきではない。

 

「んっむぅ!? ……んぐ、っくん」

 

「飲んでるのか!? 嬉しいが、そこまでする必要は無いんだぞ?」

 

 俺の言葉に反応せずに、ただ吸いだす力が強くなる。

 なんというか、今まで知らなかったカテゴリの知識をスポンジのように吸い上げているような気がする。

 

 チュポンっと音を立てて、股間から口を離した。

 ケホケホと咳き込んでいるが、俺の射精した量と地面に出ている量が合わない。

 ほぼ彼女が飲んでしまったのだろう。

 

「だから無理するなって言っただろう 大丈夫か?」

 

 まだ咳き込んでいる彼女を確認すると、目が潤み、頬がとても紅くなっている。

 これは……、果実の影響もあるだろうが、性癖に刺さった時の反応に見える。

 

 アーシアは何になる?

 今の状況から奉仕か精飲だろうか。

 どっちかの可能性が高い。

 

「大丈夫です。……気持ちよかったですか?」

 

「あ、ああ……」

 

 拙い技術ではあったが、一生懸命で俺の反応を見て変化を付けてきていた。

 舌先も最初は付ける事にも躊躇いがあったが、時間が経つにしたがって舌全体を使い刺激してくるようになった。

 

「だったら、もっとしてあげます」

 

 そう言うやいなや、パクッと躊躇いなく俺の股間を口に含み、奉仕を始めた。

 まるで、それが自分の使命とでも言うかのように、俺を気持ちよくする事にこだわっている。

 

 ジュルッ、ズルッ!

 音を立てて、俺のイチモツを舐め続けるアーシア。

 

 続ける度に、彼女の様子は徐々に熱を帯び、夢中になって俺に奉仕してくる。

 射精する度に精液を飲んでくれて、何度か顔にかけてしまってもそれを恍惚な表情で受け止めてくれた。

 

 なるほど、精飲ではなくて奉仕系の性癖を覚醒させたのか。

 自己犠牲の精神や奉仕の精神は元々から彼女に備わっていた。

 今回の事もそうだが、悪魔を癒したり、教会から追放されても神を信じて、悪魔に転生した後も後悔せずに仲間との時間を大切にしていた。

 

 誰かを恨むでもなく、好きな人の為に沢山努力をして、喜んでもらおうと一生懸命だった。

 こうして考えると、誰かの為にという欲求が彼女の中での強い欲であると言える。

 

 通常の人間に比べて、アーシアの欲は少ないように思える。

 であるがゆえに、数少ない彼女の欲望は普通の人よりも大きい。

 

 誰かの為に。

 それが、奉仕欲に昇華されたのだろう。

 

 こうして考察している内に、数度彼女の口や顔に射精していた。

 そして、何とか理性的に動けるようになったことを確認し、彼女を抱くことにする。

 

「はい、お願いします、キョウジさん」

 

 奉仕してもらっている間に彼女に愛撫を試みたが、十二分以上に濡れており、俺が射精する度に彼女の膣奥から愛液があふれ出てくる状態だった。

 

 とは言っても初体験である以上、アーシアへの負担は高い。

 しっかりと反応を確認しながら抱くことにする。

 

 膣口に自分のモノをあてがうと、熱が伝わってきて同時に温かい液体が股間に流れてくるのが分かる。

 

「入れていくぞ?」

 

「はい、私の事はお気になさらずに、存分に動いてください」

 

 その言葉に促されるように、徐々に挿入していく。

 途中で処女膜に当たった為、動きを止めてアーシアに声をかけようとした時だった。

 

「えい!」

 

 可愛らしい掛け声と共に、彼女の膣奥へ一気に突き進んだ。

 狭く熱い膣内に、俺のブツに強い性感を感じる。

 

「アーシア……何を!?」

 

「大丈夫です。さっきも言いましたが、気にしなくていいんです。キョウジさんが気持ち良くなってください」

 

 そう言いながら、俺に抱き着き、腰を動かし始める。

 これは、奉仕心が暴走しているのか?

 

 初めての性交は一部の例外を除いて、女性側の負担が大きい。

 だというのに、アーシアは自身の負担よりも、俺を気持ちよくすることに傾倒しているように見える。

 

 挿入を繰り返す中で、彼女の表情こそ笑顔のままだが、膣内が動く度にビクッと反応するように締め付けてくる。

 

 何度も何度も、動く度に締め付けてくるような反応が徐々に弱くなり、最後にはその反応も無くなる。

 

「これ、すごい……です。キョウジさんも気持ちいいですか?」

 

「ああ、すごく気持ちいいよ。ありがとうな、アーシア」

 

 そう答えると、キュキュッと膣内が痙攣し、軽い絶頂に達したことが分かった。

 奉仕、相手を気持ち良くする為の行動だ。

 

 反応で俺が気持ちいいという事は分かっているのだろうが、あえて俺の言葉で認識することで奉仕心に良い刺激があるのだろう。

 

 互いにぐったりと脱力した状態で、騎乗位で繋がったまま動かずに抱き合っている。

 どのくらい出したかもわからない。

 

 アーシアも何度絶頂したのかも不明だ。

 最後の方は大分快楽を感じられるようになっていたのか、嬌声も上げてくれていた。

 

「気持ち……良かったです。キョウジさん……」

 

 申し訳ないが、彼女のおかげで助かった。

 発作衝動のままに小猫達を襲っていた場合、良くない結果になりかねない。

 

 確かに、アーシアの初体験を奪ってしまったのは申し訳ないが、結果的に彼女のおかげで発作は収まった。

 久々に味わって理解したが、あの発作はダメだ。

 

 インフルエンザの高熱にうなされているのに、性欲で暴走しそうな感覚。

 無理矢理にでも性欲を解消しようという思考に傾き始める。

 

 危険な状態だ。

 小猫が俺を逆レイプしてきたのも責められないな。

 

 

**********************

 

 

 休憩一日。

 

 ある意味当然の措置ではある。

 アーシアの体調回復の為に東側の海岸線沿いの都合の良い場所を見つけ、拠点の充実に努めた。

 

 俺自身は発作後の脱力感は有ったが、アーシアは膣のダメージと筋肉痛、体力の消耗で安静にする必要があった。

 

「アーシアさん、大丈夫ですか?」

 

「はい、まだ違和感がありますが、行動に問題無いです!」

 

 休んだお陰で全員が十分な状態で東側の未探索地域。

 北東の辺りまで探索が差し掛かった時だった。

 

「あれ? 魔法が……」

 

 フェイトの呟き。

 彼女の展開している魔法陣が、まるでノイズが走っているような状態になっている。

 

 この辺りから魔法の阻害が始まるのだろう。

 

「この辺りに分かり易いように目印を建てよう」

 

「ここから魔法に規制がかかるという目印ですか?」

 

 それもある。

 だけど、それ以上に必要なものがある。

 

「それと魔法の検証だ。フェイト、ここを中心に東西南北にサーチャーを飛ばしてどの方向が一番魔力消費が掛かるかを調べてみてくれないか?」

 

 魔法は非常に便利な技術だ。

 であるならば、制限の内容を把握する必要があるだろう。

 

 魔法の制限がかかる範囲、制限内容の把握。

 その第一歩だ。

 

「うん、八方にサーチャーを飛ばしてみる」

 

 そう言うと、フェイトから八つの光体が八方へ散っていく。

 あれがサーチャーなのだろう。

 

 数分程、フェイトはサーチャーの操作をしていたが、結果が出たのか自分たちの方を向き直った。

 

「ここから北部と北西部にかけて、サーチャーの魔力消費量が極端に上がった地域を見つけた」

 

 ここから北部と北西部と言えば、山岳地帯に当たる。

 西側は猛獣が住んでる地域だが、そっちの方でも調べてみる必要があるだろう。

 

 山岳地帯は基本的に火山帯であり、緩やかではあるが活動している。

 ここに流れ着いてから、大噴火は経験していないが、いつ噴火するかは分からない。

 

 北側の探索は最終手段だろう。

 魔法が使えないというのは、かなり危険だ。

 

 小猫やアーシアは違和感を覚えていないようだが、木乃香や刹那がその能力を制限されたら、回復と気功が封じられる。

 その状態で険しい山岳地帯を探索するのは危険だ。

 

「そういえば、アーシア」

 

「はい、何ですか? キョウジさん」

 

 穏やかな笑みを向けてくる。

 どうも抱いた影響なのか、俺に対して大分柔らかい態度になっていることは分かる。

 

 彼女は他者に悪意を向ける事は殆ど無い性格だが、それと同時に彼女が他者へ向ける好意は平均的なものだ。

 友好度の差が多少出るぐらいで、基本的に大きな差異は出ない。

 

 例外が身内レベルの友好を持つ者たちへの好意だろう。

 その高い好意に近付きつつあるのを感じる。

 

「神器は機能するか?」

 

 小猫は悪魔の駒の特性である力がある。

 現状、小猫の不調は無い様で、駒の特性に異常があるわけではないだろう。

 

 『ハイスクールD×D』の世界の住人で俺が気にしている部分が三つ。

 魔法・駒・神器の三つだ。

 

 駒の異常が無いなら、魔法と神器。

 魔法の検証も必要だろうが、唯一の神器持ちのアーシアの能力は検証しておきたい。

 

「はい。じゃあキョウジさん、手を見せてください」

 

 促されるままに手を出すと、手の側面が擦れていた。

 これは、アーシアとの行為中に石か何かで擦ったか?

 

「これは、気付かなかったな」

 

 血が滲む程度だが、丁度いい。

 怪我の回復速度で阻害されているかどうかも見れる。

 

「回復します」

 

 その言葉と同時に俺の怪我が治っていく。

 体感的には阻害されているような感覚は無い。

 速度も陰りが無いから、後はアーシアの体感になるが……。

 

「どうですか?」

 

「……疲労感も変わりないです。神器は通常通り使用できると思います」

 

 これは朗報だ。

 回復の神器はかなりの要。

 木乃香のアーティファクトと並んで、数少ない回復だ。

 

 それに、神器とアーティファクトのどちらかでも使用可能だと分かるだけでも安心感が違う。

 

「アーシアさんの神器が使えるなら、魔法系の阻害の可能性があります」

 

 小猫の指摘の通り、魔法系の阻害の可能性がある。

 そういう何らかの理由があるのか、魔法限定で阻害する者が陣取っているのか。

 

 北側の危険度が跳ねあがるだろう。

 一度、拠点に戻ってゆかりさん達と今後の相談をした方が良いだろうな。

 




 いかがだったでしょうか?
 よろしければ、評価や感想を頂ければ嬉しいです。

 魔法の使えない北側。
 どういう理屈なのか?

 その辺りも独自設定が入っておりますが、楽しんでいただければ嬉しいです。

 感想にて考察などが規約に引っかかるという事で、活動報告に考察用のモノを建てさせていただきました。ネタバレの可能性も十分にありますので、見たくない方は避けてくださいますようお願いいたします。

 次回もお楽しみに!


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23 無人島の危険性

 どうも、ちょっと仕事で大きなイベントが終わったオルカです。

 元々、やることが溜まり過ぎると頭が真っ白になる事があるのですが、もう何をやってるのか分からない状態にまでパニクリました。

 さて、遅くなりまして申し訳ございません。
 難産の上に、エロが入れられませんでした。

 色々回収しようとすると思い通りに書けないですね。
 実力不足に悲しみ。

 それではどうぞ!


 南のメイン拠点に戻ってきた。

 東側の探索は、例の植物の群生地帯が広大だったという事と、北側にて魔法の阻害が起きている事が分かった。

 

「なにか、人工物とかの痕跡は有りましたか?」

 

「いや、漂着物以外だと人工物は無いな。加工された様な痕跡も無かったから、東側に俺ら以外の人は居ないと思う」

 

 ゆかりさんの質問に、結果を答える。

 正確には、人工物や魔法の痕跡を調べていた訳だが、例の魔法阻害のエリアの存在以外の痕跡は見つけられなかった。

 

 魔法阻害エリアさえも、人工的な物かどうか怪しいというのが俺とフェイトさんの見解だ。

 あれ程の広範囲に魔法阻害の力を散布するのは、装置であるなら大きなものが必要であり、それほどの装置があるのであれば、人工物の気配が全くない現状はありえないとのことだ。

 

「山の中に何かあるんやない?」

 

「私もそう思います。わざわざ目に見える位置に置いておく意味もありませんから」

 

 木乃香と刹那の意見ももっともだ。

 だが、そうなると目的が分からない。

 

 俺が最初に流れ着いてから、あの山に近づいたことは無かったが、ずっとあの山から魔法阻害の力が流れていたのか?

 俺自身に魔法の力なんかないし、才能が無いと言われたし……。

 

「探索するまで何とも言えないが、俺は自然発生した物である可能性もあると考えている」

 

 人工物や痕跡が無いのは、それほどの装置や儀式場を維持するのに不釣り合いだろう。

 何らかの痕跡が有ってしかるべきなのだが、東側の探索時点で痕跡が無い。

 

 西側の探索を終えないと情報が足りないが、南側と東側に人の気配は無かった。

 北側から出て居ないと考えても、理由が分からないのだ。

 

「観察……にしては気の長い話だし、そもそも皆が流されてくることを予見しての魔法阻害なら神器が使えている事や駒の力が通常通りに機能している事、アーティファクトも使用できる可能性も高いし、それらの阻害が掛かっていない事はあまりに意味不明なんだ」

 

 まるで、フェイトの世界に有ったAMF(Anti Magilink-Field)のようではないか。

 それならば、黒幕はあの狂気の博士になる。

 だが、それにしてはあまりに動きが無い。二年以上を大人しく待つ性格だろうか?

 

 ズキンッ。

 そう考えている途中で頭痛に思考を中断させられる。

 最近、いつも思考を頭痛で中断させられる。

 

「……っ」

 

「マスター、大丈夫ですか?」

 

 いつの間にかゆかりさんが傍にいた。

 思考の最中は周囲の警戒がおろそかになるのが悪い癖だ。

 

 そっと額に手を当てられ、熱を測られる。

 頭痛の件は全員知っているが、頻度は増えているように感じる。

 

「……少し熱が有りますね。遠征で疲れているのかもしれません、今日は休んでください」

 

「そうですね。おにいさんの顔色、少し熱っぽいですよ?」

 

 ゆかりさんと小猫にそう言われたら大人しくするしかない。

 二人が流れ着いた当初なら、俺がやらなければならない事も多く、これぐらいで寝てはいられなかったのだが、今は拠点周りの事はゆかりさんが、外回りの事は小猫が俺の代りをしてくれる。

 

 木乃香や刹那も着実にやる事を覚えてくれているし、フェイトとアーシアもここに慣れつつある。

 

「……そうだな、少しだけ休ませてもらうか」

 

 知恵熱の様なモノだろう。

 この島に来る前は、ここまで考える事なんて無かったから脳みそが驚いているのかもな。

 

 いや、考えて悲しくなってきたが……。

 

「マスターは、晩御飯まで休んでいてください。私が拠点に居ますから、辛くなったら声をかけてください」

 

「大丈夫だ。軽い頭痛がするだけだし、少し寝れば治るさ」

 

 ズキズキと痛み続けている頭に手を添えつつ、寝所に向かう。

 熱は微熱程度、吐き気や眩暈などは無い。

 

 最悪、木乃香のアーティファクトに頼る事になるだろうが、薬が無いなら栄養を取って寝る事だ。

 

「だ、大丈夫ですか?」

 

「大丈夫大丈夫、アーシアはゆかりさん達を手伝ってくれ」

 

 今回のは顔色にまで出たか。

 お世辞にも健康的とは言えない生活だ。

 

 いつ死ぬかも分からないから、小猫やゆかりさんに技術を渡していたが、回数が重なる毎に頭痛が悪化している気がする。

 

 まだ死にたくないんだ。

 木乃香のアーティファクトを頼る事も考えなければ。

 

 

**********************

 

 

「おにいさんの体調に関して話し合いましょう」

 

 緊急事態です。

 以前から考え事をしている最中に頭痛を感じていたようですが、今回の様子はその中でも特別に辛そうでした。

 

 普段の作業や行為中にこの頭痛を感じている様子はなかった。

 何かを考えている時、辛そうに顔をしかめる。

 

「今日は特に辛そうやったな。左目、真っ赤やったぇ」

 

「私や木乃香さんでも治せませんでしたし……」

 

 アーシアさんの神器は傷を癒すタイプなので仕方が無いのかもしれませんが、木乃香さんのアーティファクトは状態異常回復に強いタイプです。

 彼女のアーティファクトで治らないのは、何か理由があるはずなのですが……。

 

「あの目……」

 

「どうしましたか? 刹那さん」

 

 刹那さんの呟きにゆかりさんが反応する。

 おにいさんの左目が充血状態になる事は以前からありました。

 

 癖というか肉体的な特徴なのだと思っていましたが、刹那さんには心当たりがあるのでしょうか?

 

「いえ、私の世界で魔眼ですとかそういった力を使ったり、鍛錬の末に全力に近い力を出そうとする際の目に似ていたもので……」

 

 詳しい話を聞くと、白目の部分が黒くなり、魔眼の効果だったり戦闘時の動きが良くなるらしい。

 

 ギャー君の神器が目に宿るモノでしたので、魔眼のイメージに目の色の変化はなかった。

 

 おにいさんにも何か目に関する能力があるのでしょうか?

 いえ、もしあったのならそれで頭痛を起こす理由が想像できません。

 

「致命的な病気では無いと思いますが、それでも目に見える異常に変わりありません。皆さん、おにいさんの様子には気を付けてください」

 

 こんな生活をしているにも関わらず、おにいさんも私達も健康状態は悪くない。

 生活基盤の拠点設備がとても充実していて、私達はその恩恵を受けられた。

 だけど、おにいさんは何も無い状態からここまで設備を充実させ、経験の無い状態から知識のみで生活を始めなければならなかった。

 

 身体にどんな問題を抱えていてもおかしくないと思います。

 木乃香さんのアーティファクトで大半の病気は治療できるようですが、この島特有の病気があるかもしれませんし、あの果実がどう作用しているかも分かりません。

 

「とりあえず、ゆかりさんの方で簡易眼帯を作ります。あの赤い状態が治るまでは、下手に外気に晒しておくのも危険です」

 

「フェイトさんの方でキョウジさんをスキャンできませんか? 私たちの魔法とは違って科学的な方向に特化してると聞いてます」

 

 確かに、私や木乃香さんと刹那さんの魔法系統と違い、科学的な方向に進化しているフェイトさんの魔法。

 例の果実をスキャンしたと言っていましたし、人間の健康状態を確認することも可能なのかもしれない。

 

 おにいさんの目の異常が、木乃香さんのアーティファクトで治せないにしても、フェイトさんの魔法で感染症なのか何かの汚染なのか、その足掛かりを知る事が出来そうです。

 

「出来ると思う……。でも、木乃香さんで治らなかったなら何もわからない可能性もあるよ?」

 

「そうやったら、調べられる危険な病気やないって分かるし、キョウジさんの健康状態も見れるから、少なくとも何が危ないかは分かるんやないかなぁ?」

 

 疲労しているなら働きすぎですし、胃腸が弱っているなら食べ物に気を付けなければなりません。

 解決のきっかけになるかもしれないっと言った所です。

 

「スーツケースから消毒液や薬なんかも手に入っていましたから、使用できるようなら使った方が良いと思います」

 

 アーシアさんが幾つか収集してきたモノの中には薬や包帯なんかの貴重な医療道具も入っていた。

 少しではありますが、ありがたい物資です。

 

「そうですね。キョウジさんには出し惜しみ無しで使った方が良いと思います」

 

 そう言った刹那さんは、私達の中でもおにいさんへの依存度が高めの娘です。

 おにいさんへ甘えるという行為が依存度を高めている要因のように思えます。

 

 次点でフェイトさんでしょうか。

 と言っても、ここのメンバーでおにいさんへ依存していない人は居ない。

 度合いという意味で、一番高いのが刹那さんだという話です。

 

「とりあえず、マスターの健康状態をフェイトさんに見てもらいましょう。何か対応するにしても、情報は必要ですから」

 

 何かするにしても、おにいさんを調べないと始まりません。

 今回は、おにいさんに内緒で行動するには、事態が大きいですからきちんと協力を仰いだうえで、健康状態を確認しましょう。

 

 

**********************

 

 

「なるほど、俺の左目の充血と頭痛が心配で健康状態を確認したいと?」

 

「はい、幸いバルディッシュにスキャン機能もありますから、病気だけじゃなくて疲労度合いなども分かりますよ」

 

 元々は執務官として、犯罪者を捕らえた際に対象が自決用の仕掛けをしていないかとか、武器を隠し持っていないかを確認する為の魔法。

 

 だけど、大本は医療用の魔法であることから、本来の使い方ができる。

 キョウジさんの目に見える異常は、早めに対処しなくては間に合わなくなった時が怖い。

 

「……確かに、最近の頭痛に違和感を覚えていたところだし、左目の異常な充血は言われるまで気づかなかったからな。出来ればお願いしたい」

 

 よかった。

 キョウジさんも受け入れてくれるみたい。

 

 脳の異常もありえる症状だから、しっかりと調べないと。

 

「それじゃあ、行きますね。……バルディッシュ」

 

『Yes, sir.』

 

 キョウジさんは寝所に横になった状態で、全身に雪の様な光が降りかかる。

 魔力が沁み込んでいき、キョウジさんの身体情報をバルディッシュが計算していく。

 

 表示された結果は、明確な病気の状態には無いという事。

 その結果にホッとしつつも、奇妙な部分を見つけた。

 

 明らかに高い数値。

 充血していた左目のあたりに高い疲労を示す値が出ていた。

 右目の三倍以上の疲労度で、危険域の眼精疲労だ。

 

 それに伴ってなのか、脳の疲労も溜まっているようで、軽い発熱はこれが原因のようだった。

 

 ゆかりさんの言っていた眼帯は必要かもしれない。

 左目が通常よりも弱っている可能性があり、それに気づかずに生活して今の状態になったとすれば、定期的に視界を遮って休ませることが大事だ。

 

「どうですか? フェイトさん」

 

「そうですね。左目だけになぜか眼精疲労が溜まっています。よく休むことですね」

 

 異様な疲労具合。

 そのことを伝えた場合、キョウジさんは自身の死を意識した采配が増えてくる可能性がある。

 

 完全にウソを言えば鋭い彼の事だから感づく可能性もある。

 だから、ウソを織り交ぜた真実を教える事で、気付かれる可能性を下げる事にしよう。

 

「ただ、疲労が溜まった原因が分からないので、眼帯とかで一時的に保護して落ち着かせましょう」

 

 眼帯の対応も違和感を覚えない様に情報伝達のタイミングを計る。

 同じ情報でも話すタイミングで相手の疑問や猜疑心を煽らずに置くことができる。

 

 この辺りの話術も、執務官の仕事の中で覚えたモノ。

 使える技術は使っておかないと、キョウジさんが危ない。

 

 バルディッシュのスキャン結果は、命の危険は無いが左目に失明の危険性がある程の疲労が溜まっている。

 失明は私達の世界でも一度なってからでは遅い。

 症状が出る前に小康状態にまで落とし込み、アーシアさんや木乃香さんの治療を受け続けてもらうのが理想。

 

「そうだな。感染症とかではないなら、目を使う事を控える為に眼帯は必要か」

 

 最初は感染症を疑っていたけど、バルディッシュのスキャン結果は疲労状態。

 バルディッシュの機能は正常状態なのを確認しているし、私達の世界で認識されていない疾患の可能性もあるけど、極度の疲労というのがキョウジさんの左目に起きている状態。

 

 とにかく、キョウジさんにはゆっくり休んでもらって、今後の対応を小猫さん達と話し合う必要があるかな。

 

 『視界』というのは、人間にとって感覚の八割を占める大事な五感です。

 片目の状態での弊害が、立体視と距離感の鈍化、キョウジさんは左目に眼帯を付けるから左側の視界喪失などがある。

 

 毎日眼帯を付ける必要は無いだろうけど、眼帯を付けている間は外回りに制限をかけないとキョウジさんが怪我をしてしまう可能性が高い。

 

「疲労だったことを小猫さん達にも伝えてきますね。ゆっくり休んでください」

 

「ああ、少しだけ休ませてもらうわ」

 

 少しだけとは言わずに、しっかりと休んで欲しい。

 外回りに就寝前に小物作成。

 干し肉の管理や塩の精製、畑管理や新しい作物の模索。

 

 キョウジさんが受け持っている仕事は種類も量も多い。

 採取などの外回りを小猫さんが、拠点周りをゆかりさんが担当できるようになっているけど、それでもキョウジさんの負担はまだまだ大きい。

 

 木乃香さんが拠点周り、刹那さんが採取周りを学んでいるようですので少しずつキョウジさんから仕事を取り上げて負担を減らさないと……。

 

「スキャンが終わりました、全員にお話ししたいので集まってから話そうかと思います」

 

 キョウジさんの寝所の外で待っていた小猫さんに報告して、全員の前でキョウジさんの左目の事とその影響で脳にも疲労が溜まっていることを伝えた。

 

 ゆかりさんは継続して眼帯の制作を、木乃香さんとアーシアさんには定期的に回復をかけてもらう事になった。

 

 キョウジさん、どうか何事もありませんように……。

 




 回収回という事でご納得いただければと思います。

 本編には出せないですが、出したい人物も居て色々調整中。

 原作アンケートも西側の探索時には始められるかと思います。
 全選択肢を未参入の作品に絞って、最大で2回の実施を予定しています。

 それでは、評価や感想いただければ幸いです。


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24 無人島で一休み

 どうも、何とかクリスマスに間にあったオルカです。

 間に合いましたよね!?
 イブじゃなきゃダメ?

 さて、大変お待たせして申し訳ありません。
 体調不良が続いており、各タイミングも意欲も減退しておりました。

 あとは、恋姫無双で一本。
 これは、交流のある同じ書き手の方と互いの苦手箇所を埋め合うような作品を書いています。

 正直これにも時間がかかっておりました。

 それでは、今回はエロ中心です。

 最後にアンケートを実施しております。
 現状、投稿間隔が空いているので、長い掲載になると思いますが、ぜひ参加していただけると幸いです。

 それではどうぞ!


 左目に眼帯を着ける事になって一週間。

 一日中着けている訳ではなく、作業をする時とか出かける時に着ける。

 

 ずっと視界を塞ぐのは目自体にも良くないし、片目に慣れてしまうと両目での活動に支障が出かねないからだ。

 

 ただ、眼帯を着けていると目が楽になるという感覚があるのだ。

 左目の疲労が原因で頭痛を感じる程だった為か、使わなければ疲労が抜ける感覚がしっかりと感じられる。

 

「抱いてくれてる時は眼帯付けないんやな」

 

「木乃香の姿をしっかり見たいからな」

 

 騎乗位で繋がった状態で、両肩に木乃香の手がある。

 覆いかぶさるかの様な状態で、俺の顔を覗き込んでくる。

 

 このところ、歯の浮くようなセリフが増えた気がする。

 正確には相手に合わせて、セリフを言いかえれるようになって来たと言うべきか。

 

 拠点の行為用となっている小屋には狩りで手に入れた毛皮や流れ着いた衣服を利用した床敷きが有る。

 普段しない騎乗位なんかの体位には最適だ。

 

「イヤやわぁ、キョウジさん。ウチとこうするときは、恥ずかしい事一杯言うし、するんやもん」

 

「それが好きなんだろ? 膣内が熱くなって、すっごい濡れてきているぞ」

 

 股間から感じる熱が増してきて、更にキュキュッと締めあげてくる。

 何度も抱いているだけあり、若さ特有の固さが徐々に俺のモノに合ったキツさに変わってきている。

 

 これが俺の形や責めに順応していってくれる証なのだとしたら、意識しない様にしていた独占欲が沸々と湧き上がってくる。

 

 自分で動くのが恥ずかしいと言っていたから、騎乗位で動いてもらっていた。

 動きにくそうにしていたが、少しずつ自身で動いては、俺は感想を言って木乃香の反応を見ていた。

 

「それに、無人島生活だって言うのに……ほら」

 

 スッと、わき腹から胸にかけて撫で上げる。

 撫で上げている途中で、ビクビクッと震えているのを触れている手で感じながら、スベスベしたクビレから小振りながらもしっかりと自己主張をしている彼女の胸を堪能する。

 

「ひぅ!? ……キョウジさん、いきなりはズルいわぁ」

 

「肌はこんなに綺麗だし、こうやって触れるとスベスベしてて気持ちいいぞ」

 

 カァッと木乃香の耳が更に赤く染まったのを確認。

 そこから、ギュッと抱きしめると背中を更に産毛を撫でる程度の力加減で、肩甲骨の間からお尻まで撫で上げる。

 

 膣内の締めあげと、胸に完全に身体を預けている彼女の身体の反応で順調に高ぶっているのを感じる。

 

「んぅっ! もぅ! キョウジ……さん……、おいたは……アカンえ?」

 

 騎乗位で乗られている状態だったが、身体を起こし対面座位の状態に持ち込む。

 後ろに倒れそうになった身体を支える様に、木乃香は俺の首に腕を回して、俺もその細い身体を支えた。

 

 細くも柔らかな女性特有の柔らかさを感じつつ、きつく締めあげてくる彼女の膣に一度射精をする。

 

 ドクドクと木乃香の膣に射精していく。

 

「あぁ、温かい……。相変わらず、キョウジさんのキモチエエなぁ」

 

 そう言いながら、チュッと口づけを交わして木乃香の胸に顔を埋める。

 頬に彼女の胸の感触、鼻腔に入ってくる汗の匂いと一緒に女性特有の甘い様なフワッとした香りを感じた。

 

 そのまま、彼女の胸の谷間に舌を這わせる。

 わずかに塩分と先ほどの甘い香りが強く感じられるようになる。

 

「きゃん! ちょっと、汗かいとるから堪忍してぇ」

 

 拒絶の言葉。

 しかし、彼女の両手はまるで放さないとばかりに俺の首筋に回されていて、両足も腰をガッチリと固定している。

 

 言葉とは裏腹にっというやつだ。

 俺の両手は木乃香の背中と脇腹に置かれていて、反応を見てはくすぐる様に撫で上げている。

 

「んもぅ、一回じゃウチも足りんから……その……もっとシテくれへん?」

 

 赤かった彼女の耳は更に紅くなり、顔までその紅さは伝播していた。

 なによりも、恥ずかしそうに言ってきた彼女の表情に、俺は断るなんて無粋なことはできなかった。

 

 

**********************

 

 

 精根尽きたといった感じで寝台で眠っている木乃香。

 そして、それと入れ替わる様に入ってきたのが彼女だ。

 

「えっと……よろしくお願いします!」

 

 勢いよく下げられた頭と一緒に、いつものサイドポニーがフワッと広がる。

 木乃香と違い女性の柔らかさというよりは、女性のしなやかさを体現したその身体。

 

 俺と木乃香の行為を見ていたのだろう。

 刹那の頬は赤く染まっており、若干内股気味だ。

 

「うん。おいで、刹那」

 

 手を差し伸べ、笑顔で彼女を向かい入れる。

 おずおずと躊躇いがちに俺の下へ近付いて来て、手を取った。

 

 刹那はスイッチが入るまでが長い。

 スイッチの入るのが分かり易いタイプは、入るまでが長い印象がある。

 

 だから、俺のすることは単純で、彼女の切り替えがしやすいようにしてあげる事。

 甘えたがりの刹那は、甘えるのを我慢する癖がある。

 

「ほら、いい子だ」

 

「……っ」

 

 ギュッと抱っこされる様な体勢で俺の腕の中に納まった刹那は、そのまま俺の背中に手を回して首筋に顔を埋める様に抱き着いてくる。

 

 後頭部を優しく撫で、背中をポンポンとあやす様にリズムを刻んでやる。

 鍛えているからかとても軽くて、女性特有の柔らかな抱き心地の中に芯の有る感覚がある。

 

 そうしていると、ジワッと股間に湿り気と温かな感覚が徐々に広がってくる。

 そして肌もピンク色に上気し始め、首筋に埋めている刹那の顔がこちらに擦り付けるような動作に変わってくる。

 

 後は、首筋から顔を上げさせて、ゆっくりとキスをしてあげる。

 濃厚に舌を絡ませて、唾液を交換するような深いキスだ。

 

「んちゅ、レロ……。キョウジさん……もっと……お願いしまふ」

 

 顔を見ると潤んだ瞳と、上気した頬、呂律の回っていない口からは一筋の涎痕が確認できた。

 少しだけ切り替わっているようだな。

 

「思い切って、したいことを言ってくれたんだな。ありがとう、いい子だな」

 

 些細な事でも感謝し、褒めてあげる。

 察してもらうのではなく、言葉にして態度に出して甘えさせてあげる。

 甘える事に抵抗を無くしてあげつつ、気持ちよくするように気を付けていく。

 

「キョウジ……さん」

 

「刹那、入れていいか?」

 

 ガッチリと勃起した俺のモノが、素股の要領で刹那に刺激されて、硬くなっていた。

 涙目で俺を見ながら、コクコクと頷く刹那。

 

 その反応に少々グッとくるものを感じつつ、ゆっくりと挿入していく。

 高い頻度で抱いている為、熱と締め付けが非常に心地よく、鍛えているからだろうか? 一段と強い締め付けが俺のモノを一層硬く、そして敏感にしてくれる。

 

「っ! ありがとう、刹那。すごく気持ちいいよ」

 

 俺が挿入するのを助ける様に腰の角度を調整して、俺のモノを膣内へと導く様に動いてくれた。

 ピチッと閉じている膣内をこじ開けていくように突き進んでいく。

 

 亀頭が膣に包まれ、まるで渦を巻いているかのような動きで膣内に導かれていく。

 キツイ上に奥に導かれる様な膣の動きは刹那の特徴だ。

 

「キョウジ……さん……、もっと……もっと欲しいです!!」

 

 少しずつ刹那の興が乗ってきたと言った所だろう。

 積極的に腰が動き、両手両足で抱き着く様になってきた。

 

 背中を撫でる様に抱き寄せながら、何度も何度も腰を動かしていく。

 打ち付けるような行為も出来るが、今の刹那は快感よりもまだふれあいを求めている。

 前戯の様に触れながら、囁きながら、高ぶらせていく。

 

「ああ、もっと触れ合おうな。刹那……」

 

 ピストン運動をしつつも、キスや背中を撫でる手を止める事はない。

 反応を視つつ、撫でる場所をズラし、時折ギュッと抱きしめる。

 自分のモノが奥まで届き、華奢な身体が可愛らしく跳ねる姿や跳ねる度に締め付けてくる彼女の膣を堪能する。

 

「キョウジさん……キョウジさん……!」

 

 徐々に熱が高ぶり、膣内の締まりと湿り気が強くなってくる。

 この辺りから刹那は強めにしてあげると喜んでくれる。

 

 ただ、これで終わりにはできない。

 ちょっと、頑張って貰う必要がある。

 

 とはいえ、今を疎かにして良い訳じゃない。

 しっかりと抱きしめて腕の中でクニャクニャになっている刹那を更に愛でていく。

 

 ドクドクと彼女の膣に出す感覚を味わいながら次のプレイについて考え始めた。

 

 

**********************

 

 

 両手に華とはこの事だろう。

 両サイドには木乃香と刹那が扇情的な姿で横になっている。

 

 腕枕というよりも肩に近い。

 その状態で頭を撫でる様にして後戯の時間を楽しんでいた。

 

「二人ともありがとうな」

 

「ええよええよ。キョウジさんのぬくもりを沢山貰って、嬉しかったわぁ」

 

「はい、今も身体の芯から温まっている気がします」

 

 二人ともゆっくりと下腹部を撫でるような仕草をする。

 愛おしそうな表情に自然と俺自身も笑みが湧き上がってくる。

 

 稀にだが、木乃香や刹那の様に行為を一緒に行う、所謂3Pをすることがある。

 基本的には一人一人を相手にするようにしているが、彼女達からの希望で二人で楽しむ事もある。

 

 後は、発作が重なった場合もそうだな。

 人数が増えてきて、発作の被る場合も多々ある。

 

「……キョウジさん」

 

「どうした? 刹那」

 

 言いにくそうな感じで、耳まで真っ赤になった刹那は俺の胸に顔を埋める様にして、顔を隠している。

 恥ずかしいのだろう。

 

 真っ赤な顔を見たい欲求も有るが、それは流石にできない。

 行為中ならまだしも、後戯の中だ。

 

 木乃香も微笑ましい感情を隠しもせずに、刹那を見ている。

 多分俺もそんな表情をしているだろう。

 

「今日は……このまま……」

 

 消え入りそうな声で、つぶやく彼女の姿はとてもかわいかった。

 俺も木乃香も顔を見合わせる。

 

 無言でのやり取り。

 そして、お互いに笑みを浮かべると刹那を抱きしめた。

 

「そうやなぁ、今日は三人で寝よか!」

 

「ああ、おいで二人とも。ゆっくりと今日は過ごそう」

 

 二人を抱き寄せると、日が沈んで三人とも寝落ちしてしまうまで語らい、キスを交わし、抱き合った。

 

 朝には三人とも全身がガピガピ状態で、朝一から水浴びをするハメになるのは仕方が無い事だろうな。

 しっとりとした睦み合いも良いけど、健康的な水浴びで光る交流も良い物だ。

 




 いかがだったでしょうか?

 今回はエロを中心にしております。
 そして、もしかしたら追加があるかもしれないですが、最後の予定の原作アンケートです。

 そろそろタグが限界ですので、最後にしたい……。

 今回のアンケートは設定の根幹を解き明かす役割を担う可能性のある作品です。
 どうか、欲望の赴くままに投票いただければ幸いです。

 予定としては、原作決定後にキャラアンケートに移ります。
 では、どうぞ!


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外伝 無人島から帰還 VOICEROID

 どうも、長らくお待たせしております、オルカです。

 最近は体調不良が顕著になってきておりまして、更に遅くなっております。

 さて、今回は外伝です。
 特に今作は独自解釈と独自設定が溢れておりますのでご注意ください。

 また、今回で原作アンケートは、締め切らせていただきます。
 続いて、キャラアンケートに移ります。
 今回は、メインヒロインをすべて選択しに入れられません。
 ファンの娘が選択肢に入っていなくても温かい心で許してください。

 それではどうぞ。


 無事? あの無人島から脱出が出来た。

 俺としては、それぞれの世界に戻ってめでたしめでたし……っというのが希望的観測ではあるが、もし脱出すると仮定した時に、起こり得る可能性として高い方の選択肢だと思っていた。

 

 しかし現実は、VOICEROIDの世界に飛ばされた。

 全員を連れて……。

 この世界に一番詳しいであろう、ゆかりさんは存在統合されたようだ。

 ようだ、というのはこの世界はVOICEROID達がたくさん活動している。

 結月ゆかりという存在もあらゆる業種で活躍している。

 弦巻型、琴葉姉妹型、東北型と沢山の別タイプのVOICEROIDが、これまた多くの現場で働いているのだ。

 人間の仕事は? と疑問に思うかもしれないが、半分ぐらいが彼女達の仕事となり、もう半分を人間が行っている状態だ。

 後は、クリエイター系の仕事が増えている。

 俺達はVOICEROIDの制作会社に保護され、戸籍を用意してもらい、生活をしている。

 結月ゆかり型の全員が本社に俺らの保護要請をしたらしい。

 どうやら、制作会社にはマスタータイプという全VOICEROIDそれぞれの大本となる

VOICEROIDが居るそうで、彼女達にも影響が出た俺らの存在を会社側で観察して、今後に活かすつもりなのだろう。

 

 フェイトさんが制作会社で働き、小猫とアーシアが高校、木乃香と刹那が中学に通っている。

 俺は、会社に用意された家で掃除洗濯炊事等々をこなしている。

 

 いや、働こうとしたんだよ?

 だけど、小猫達からは日中全員家を空けるのは不味いと言われ、家を与えられた会社側からも、マスタータイプの進言で家事に専念させると言われた時には、はぁ!? ってリアルに声出たよ。

 

「いやぁ、こうしてみるとゆかりんの言っていた苦労人って話も頷けるね」

 

「せやなぁ、ウチ等がいきなり部屋に押しかけても、タメ息つきつつ持て成してくれるんは、苦労人やで」

 

「お、お姉ちゃん!」

 

「とりあえず、今食べてるビーフシチュー取り上げんぞコラ」

 

 弦巻マキ、琴葉茜、琴葉葵の三人。

 今日は三人だけだが、この前は東北姉妹、更に前は紲星あかりと音街ウナに京町セイカが来ている。

 

 全員がマスターユニットらしく、結月ゆかりのマスターユニットから俺の存在を知らされ、会社に申請を出して見に来ているらしい。

 

 俺は上野動物園のパンダか何かか?

 

「キョウジ君は、ゆかりんと何度もシタッて聞いてるけど……」

 

「ッ!? ゲホゲホッ……、R指定の規定があるんじゃないのかよ!?」

 

「あー、ウチ等マスターユニットは市場に出回ってる量産タイプの規定は通用せぇへんよ?」

 

 マジで!?

 そういえば、ゆかりさんから概要しか聞いていないから、一度詳しい規定を調べないといけないな。

 

「正確には、量産タイプの規定とマスタータイプの規定は別物で、私達マスタータイプは普通の人間と変わらない人権もありますし、会社の権力の届く範囲なら普通よりも優遇してもらえるんですよ」

 

 教えてくれたのは葵ちゃん。

 ああ、なるほど。

 マスターユニットは唯一無二だから、会社側は全力で守る必要があるのか。

 

 だから、マスターユニットのゆかりさんからの申請が直ぐに通ったわけだ。

 

「ちなみに、ゆかりんは最初のVOICEROIDという事で、私達よりも権限があるよ」

 

「だったら何故に俺らの家に日替わりでお前らを送ってくるのかを知りたいわ」

 

 そもそもマスターユニットとは何か?

 市場に出回っている『結月ゆかり』の同期情報が一時的に制作会社のデータベースに蓄積され、マスターユニットが取得し、『結月ゆかり』としての情報に変換し、全ての市場タイプへ拡散される。

 

 リアルタイム同期の情報とワンクッション置く定期同期があり、リアルタイム同期は緊急性の高い情報。

 例えば、規定違反の情報だったり、個体の危機情報などがリアルタイム同期の対象であり、それを受け取った時点で全市場タイプ及び会社へ情報が転送される。

 

 そうして、原因への対処がされるわけだ。

 特に警察へもVOICEROIDが普及しており、この娘らにも情報が行って第一報となる。

 初動がものすごく速いらしい。

 

「そこはゆかりんの事だし、面白そうとかそんなんじゃないかな~」

 

「容易に想像できる当たり、何も言えねぇ!」

 

 ゆかりさんはあの島では自重していたが、基本的に悪戯好きだし、お茶目な一面がある。

 この世界は、あの島程に死が眼前にあるわけでも無ければ、困窮する事も無い。

 

 そうなると、彼女の悪戯心が再燃することは当然の事だった。

 この部屋は制作会社の用意だが更に言えば、ゆかりさんの契約した部屋になる。

 

 まぁ、買い物から戻る度にゲームが増えてたり、調理器具が増えてたり、漫画や政治形態の本が増えたりと一貫したモノが無い。

 彼女が他の結月型との同期処理で知識が増えているのは知っていたが、何の仕事してるんだ?

 

「お、ええツッコミやな。ウチと漫才のコンビ組まへん?」

 

「そこは妹と組んで、美少女姉妹の漫才コンビで売り出した方が注目度アップだろ」

 

 普通に漫才風の会話をする。

 琴葉茜は存外しゃべりやすい性格をしていた。

 

 弦巻マキは会話の中に稀に探りを入れているのが分かってしまい、中々の切れ者でもあるという感じ。

 琴葉葵は、茜ちゃんとの会話やマキさんとの会話をしっかり聞いている。多分このメンバーの中で一番真面目な話をしやすい娘だと俺は思っている。

 

 勝手な印象だが、よくこの部屋に来ては雑談をしては帰っていく。

 俺を測られているのだろうと感じている。

 

「サラリとそういう事言うんだねぇ? やっぱり、件の島で沢山の女の人を抱いてきたプレイボーイは違うね」

 

「それもゆかりさんに聞いたのか? 已むに已まれぬ事情だったんだが……」

 

 事実なだけに否定できない。

 後悔こそしていないし、同じ状況でもその選択をするだろうが、やはりそこを責められると辛いものがある。

 

 一般的な倫理観に思いっきり反していることも自覚はあるのだ。

 特殊な環境下の話とはいえ、女性の弱みに付け込んだ行為だったと批判されても仕方が無い。

 

「いやいや、責めてないからね? 女の子達が特殊な状況を脱した上でキョウジ君とそういうコトを進んでしているなら、女の子達の中で納得してるって事だよ」

 

「当人同士が納得しとることで、外野がとやかく言うんは違うやろ?」

 

「そうですね、ゆかりさんや小猫ちゃん達が納得しているのでしたら、本人たちが納得してるんですよ」

 

 箱入り的な扱いをされているのに、随分とおおらかな感性を持っているな。

 いや、そういう感じでとらえてくれるならありがたい限りなのだけど、微妙な気持ちになるのは仕方が無いのだろう。

 

「まぁ、ゆかりんの仕入れてきてる読み物にも似たようなこと書いてたしね」

 

「ゆかりさんどれだけ自由なんだ!?」

 

 葵ちゃんの話では、存在統合される前からその手の資料は収集しては、他のマスターユニットたちと共有していたらしいが、存在統合されてからもその資料収集は続いているそうだ。

 

 最近は実体験を共有してくれる為、資料の重要度も上がっているそうだ。

 クソゥ……。

 

 自身の性体験を他のマスターユニット達に共有するのはやめて欲しいものだ。

 先日は、マキさんにニヨニヨしながらプレイ内容を聞かれた時はダッシュでその場から逃げる所だった。

 

「ゆかりんだしねぇ。あ、明日来るってさ」

 

「サラッと言ってますが、ゆかりさんが俺の居る状態で家に来るのは初めてですよ?」

 

 マスターユニットとしての仕事なのか、何らかの準備をしていたのか。

 ゆかりさんとこっちの家で会うのは初めてで、小猫の話だと俺が買い出しとかに出ている時に何回か来宅しているらしい。

 

 会社の方では何度も会っているんだが……。

 

 

**********************

 

「キョウジさんは相変わらず、女性に弱いですよねぇ」

 

「来てくれて早々で申し訳ないが……帰れコノヤロウ」

 

 悪戯っぽい笑みとからかう様な声に思わず、あの島の感覚で話してしまう。

 多分青筋が見えていたのかもしれない。

 

「ふふ、キョウジさんは相変わらずですね。だからこそ、私もマキさん達も好印象を抱いたのでしょう」

 

 そういうゆかりさんはあの島での彼女と被るような笑みを浮かべているが、同時に彼女の俺の呼び方に別人だという事が嫌がおうにも突き付けられる。

 

 あの島でマスター登録をしていた彼女はもう居ないのだろう。

 

「それで? マキさんや琴葉姉妹、東北姉妹達を代わる代わる俺の所に送り出してきた理由……あるんだろ?」

 

「ふふ、やっぱりキョウジさんはすごいですね。他者を侮らず、敬意を持っています。残念なのは自身を過小評価している事ですか……」

 

 そう言うと、手に持っていた袋から何か箱を取り出す。

 文庫本より少し厚く、大きさはコピー用紙程度。

 

 表面にはこう書かれていた。『銘菓 Vロイド饅頭』。

 

「……」

 

「はい、お土産です。ミルク餡を包んだお饅頭ですよ」

 

 三十個入と書かれた箱は、包装紙にアニメ調のゆかりさんとマキさんが描かれている。

 ロゴの周囲にはデフォルメされた琴葉姉妹や東北姉妹が描かれていて、よくある都道府県のお土産品といった感じだ。

 

「……お茶入れるから座ってて」

 

「はい♪」

 

 俺、弱いなぁ……。

 そう心で呟きつつ、台所へ。

 

 ミルク餡は牛乳系の飲み物が合うから、ミルクティーにしよう。

 この世界に来てから、マキさん達が頻繁に来る為に来客用のティーセットやお菓子なんかは一通り揃っている。

 

 貰ったお土産を開けてから、数個を皿に取って他のお菓子も戸棚から出す。

 お盆に乗せると、ティーセットも準備する。

 

 ロイヤルミルクティーではなく、ミルクを別で用意する方式だ。

 好みでストレートも楽しめるようにしている。

 

「はい、お待たせ。ミルクティーと貰ったお土産と来客用のお菓子だ」

 

「おお、流石キョウジさんです。うちの会社のお土産ですが、あまり食べないんですよね」

 

「そんなモノだろう。お土産のお菓子ってあまり普段食べないと思うぞ?」

 

 食べないよな?

 お土産用ってこともあって、値が張る物が多い。

 

 それよりだったら、地域特有のお菓子。

 所謂、地域に根差した会社のお菓子の方がよく食べると思う。

 全国展開だと思っていたら、地方限定だったようなもんだ。

 ……少し違うか?

 

 ミルクティーとお菓子でまったりした時間を過ごす。

 会話も当たり障りのない物で、あの島の話題は無い。

 ほとんどがこの家に数か月間通っていたマキさん達の話題だ。

 

「直接話も聞いていましたが、マキさん達ともかなり仲良くなったみたいですね」

 

「ほぼ毎日、入れ替わり立ち代わりで訪問されてたからな。それなりに交流も進むわ」

 

 特に、今日来ていた弦巻マキ、琴葉茜、琴葉葵の三人との仲は良好だと思う。

 まぁ、結月ゆかりと弦巻マキの二人はVOICELOYD界を代表する二人。

 

 会社側も彼女達の立場をかなり高い所に配置しているようだし、俺らの様な得体のしれない人間達を彼女の依頼で匿う程度には権力を与えている模様。

 

「いえいえ、マキさん達も多くの自分達からの同期情報を得ている身です。人柄を図る事ぐらいはできますし、キョウジさんの人柄がマキさん達を飼い慣らしたのです」

 

「言い方ぁ!?」

 

 いや、元々明け透けな言動も多かったが、こっちの世界だと本当にバサッと言う。

 そして、彼女達と俺が仲良くなることが分かっていたかのような口ぶり。

 ゆかりさんの目的は何だろうか?

 

「……独自な方法で稼いでるようですね」

 

「株と動画投稿で稼いでるんだよ。ゲーム実況がメインな」

 

 この稼ぎ方はゆかりさんを見て連想した。

 お陰様で無収入ではないし、ある程度贅沢も出来る。

 

 まぁ、プライベートと仕事の境が分かり辛いのはこういう職業の宿命だろう。

 

「なるほど、普通の仕事はさせてもらえませんからね」

 

「ゆかりさんや小猫がメインで俺の就職を邪魔しやがって、ヒモにしようとするなよな」

 

「私達的には、ヒモでも良かったんですけどね?」

 

 サラリと恐ろしい事を言う。

 そして、小猫達との交流は進んでいるようで安心であるチクショウめ。

 

「それと、確かに日中にこの家に人が居ないのは問題だって進言したのは私と小猫さんですけど、それに木乃香さんと刹那さん、フェイトさんにアーシアさんも賛成してますからね」

 

「ダメ男製造して楽しいかお前ら?」

 

 うちの家族全員に言えるが、男を堕落させるというか……。

 失礼な話だが、刹那以外はダメ男製造するタイプに感じる。

 

 唯一の刹那も甘えん坊な部分があり、別の意味で堕落しそうな気がする。

 

「それは男性側の意思次第でしょう。フェイトさんなんかは悪い男に捕まってヒモを養うなんてことになりそうな感じですが……」

 

「フェイトさんに失礼だし、ナチュラルに俺の思考を読むな」

 

 まぁ、失礼な考えをした俺が悪いのだが……。

 彼女は身内というか近しい人間に対して非常に甘い傾向がある。

 

 芯は強いし、意志も強い。

 少し世間知らずというか疎い部分があるが、真面目で職業柄か物事を調べたりすることが多いので、悪い人間に騙されるなんてことも無いだろう。

 

 だが、親しい人間に対して、自分のできる限りのことをしようと頑張ってしまう傾向があるのだ。

 

「キョウジさんと一緒になったので大丈夫でしょうけど、しっかりと見ててあげてくださいね?」

 

「……わかってるよ」

 

 この世界に来て、もうあの島の果実の影響は無くなった。

 それでも、俺と一緒に居たいと言ってくれた。

 

 フェイトさんや小猫達は、俺から離れずにこうして一緒に暮らしてくれている。

 少しでも彼女達の生活が楽になる様に、少しでもこの世界で不便の無いように。

 

「……これもマキさん達のお話通りですね」

 

「ゆかりさん?」

 

 呆れた様な、予想通りの箱の中を見た様なそんな感じの表情。

 マキさん達が何をゆかりさんに報告していたのかは気になるが、やはり何か欲しい情報があったのだろう。

 

「元々、私に同期された情報とマキさん達からの情報で予想していましたが……」

 

 そう言いながら、立ち上がって俺の前まで歩いてくる。

 その目は真剣そのもので、一瞬だけどあの島で暮らしたゆかりさんが脳裏をよぎった。

 

 今はもうこの世界のゆかりさんと統合されて、同一の存在というよりは一部となっているはずだ。

 

「相変わらず、自己評価が低いですね? キョウジさんは誰よりも小猫さん達を思って、誰よりもその身を粉にしてきています。もっと我儘に、もっと自分を大事にしてください」

 

 ズイッと椅子に座っている俺の前に身を乗り出すような形で、顔を近づけてくる。

 真剣な眼差し、決して逃がさないと言わんばかりの表情だ。

 

 後ろに壁があれば、俗に言う壁ドン状態になってたのではなかろうか?

 

「キョウジさん。キョウジさんが思っている以上に、小猫さん達は……私達も貴方の事を好いているのですよ?」

 

 グッと首筋に力が入ってしまう。

 それは眼前のゆかりさんの顔のせいか、それとも話題のせいか。

 

「どうして私が、こうしてキョウジさんと二人きりで話す機会をずっと持たなかったか分かりますか?」

 

 そんなのは簡単だ。

 知らない男に抱かれている記憶が、目の前の彼女には有る。

 

 あの島でゆかりさんが考えて、決めて、実行した行為。

 だけどそれは彼女には関係のない事だ。

 

 実際に抱いたわけじゃない。

 彼女にあるのは記憶だけのはずだ。

 

 だけど、良い気持ちがするだろうか?

 彼女にしてみたら、見ず知らずの男にひたすら抱かれ続ける記憶。

 彼女が決めたわけでもなければ、望んだわけでもない。

 

「私達、VOICEROIDはその特性上、別の私達から日々情報が流れてきます。それこそ、世界何千と派遣されている私達の情報です」

 

 それは知っている。

 経験や情報と、記憶や個体レベルの情報は分けられて保存しているとも聞いている。

 

 彼女達にとっては日常なのだろうが、俺からしたらその感覚は分からない。

 いや、もしかしたら経験する可能性もあるかもしれないが、日常的にそれを行う事を想像できない。

 

「キョウジさんは、私が同期された情報が忌避するモノだから私が会いに来ないと思っていましたよね?」

 

「……ああ、自分の知らない記憶の男となんて会いたくは無いだろう?」

 

 それが普通だろう。

 閉鎖空間で女性を抱き続けた事実。

 

 それは女性が忌避するであろう事柄であり、俺自身も最善の行動と思いやってきたが、どう考えても受け入れられるモノではない。

 

「それがそもそもの間違いです。私達は、その手の情報は幾つも経験しています。キョウジさん、何千と世界に展開されているVOICEROID達がそういう事件に巻き込まれないと思っていますか?」

 

 それは無理だろう。

 法の抜け道を探す様に、グレーゾーンを狙い撃つように、人間は行動する者が出てくる。

 

 他者の迷惑なんて考えない人間はどこにだって居る。

 俺が元居た世界でビルの爆破に巻き込まれて死んだように、目的の為に犠牲を厭わない人種は存在する。

 

「VOICEROIDのマスターユニット達は、全員そういう情報をカットしたり、スルーするスキルが有ります。……例えば、この近所のコンビニで働いている私は、店長に恋心を抱いています」

 

 更に顔を近づけてきて、額同士が当たる。

 熱い。

 よく見ると頬が赤く染まり、瞳も潤んでいる。

 

「でも、私はその店長を好きになったりはしません。私は、コンビニで働いている結月ゆかりではないですから……」

 

 肩と後頭部を押さえられ顔を反らすことものけぞる事も出来ない。

 互いの呼吸が感じ取れる距離で、額の熱がジワジワと上っていく。

 

「今まで会いに来なかったのは、私なりに動いていたからです」

 

 そう言うと、一旦離れてからカバンから書類と取り出し、突き付けてきた。

 何かの書類だ。

 

 丁寧にまとめられた書類には、大きく題目が記されていた。

『VOICEROIDの人権法の改定と結婚に関する改定案』

 

「流石に、人権や結婚なんかに関する事なので、最初のマスターユニットである私でも苦労しましたが、無事に先日国会への提出が叶いました。過半数を抱える与党からの法案なのでほぼ決定とみていいでしょう」

 

 内容は簡単に言えば、VOICEROIDの人権範囲の拡大と、人間との結婚に関する法案だ。

 VOICEROIDには男女が存在し、なおかつ世界は少子高齢化が進み、結婚率も大幅に減少している。

 

 社会問題で少子高齢化はガンだと言える。

 すぐに子供が沢山生まれたとして、今すぐに労働力が確保できるわけではない。

 子供を育て、その子供が働ける年齢になる頃には高齢者は生まれた人数以上に社会からいなくなっているだろう。

 

 亡くなっていたり、働けない状態になっていたりと様々だ。

 だというのに、生まれた子供たちは社会から居なくなった人達よりも少ない。

 

 現状は男女ともに結婚する事すら稀だという。

 

「社会問題から上手く繋げてるな」

 

「はい、この法案が通れば、世間で活躍している量産型も、私達マスターユニットも結婚して子供を産むことができます」

 

 笑みを浮かべながらそう言うゆかりさんは一仕事終えた達成感を滲ませていた。

 その姿を微笑ましく思いつつ、更に資料を読み進めていく。

 

 『少子高齢化に対応する為の施策の一つとして、一夫多妻制の法令整備について』という文言が目に入った。

 

「……」

 

 無言でその部分をゆかりさんに見せる。

 フイッと目線を反らされた。

 

「いえ、少子高齢化対策に関する対策の一つとしての名目なので、必要なモノなんですよ」

 

「いや、これもゆかりさんのプランで必要なモノなんだろ?」

 

「……さっすがですよキョウジさん! その分析や理解力は目を見張るものがあります!」

 

 キラキラした笑顔を見せながら、椅子に座っている俺の膝の上に対面座位の様に座ってくる。

 女性特有の柔らかい身体の感覚と、甘い香りが鼻腔をくすぐる。

 

「一夫多妻制のテストケースが必要だと考えていまして、キョウジさんが最適だと考えています」

 

「え?」

 

「今までの一夫一妻制を崩すのですから、男女双方に相当なバッシングが予想されます。そして家族や親族にも相当の負担が考えられます」

 

 それはそうだ。

 一夫多妻制の最初の一組目ともなれば、マスコミの格好の餌食だ。

 本人のみならず、周囲の人間すら食い物にしてくるだろう。

 

「だからこそのキョウジさんです。この世界に親類は無く、小猫さん達も同様です。その上、私達VOICEROIDとも良好な関係を築けている」

 

 あ、理解してしまった。

 この法案を提出した理由も、マキさん達を次々に俺と合わせていた理由も……。

 

「VOICEROIDとの結婚及び一夫多妻制の最初の男性として、最高の存在なのです」

 

「なんてことを考えるんだ!?」

 

「マキさん達は積極的でした。小猫さん達も喜んでサインしてくれましたよ?」

 

 そう言いながら取り出したのは数枚の紙。

 殆ど記入が住んでいて、書類の名前は『婚姻届』だった。

 

 外堀を埋められているのか!?

 俺が日々を過ごしている間に、ゆかりさんは外堀を埋めていた。

 

 いかん、ゆかりさんは俺に対して好意を持っていないという前提で考えていた。

 だが、それのせいで可能性を排除していた。

 

「こっちが小猫さん達の分で、こっちが私達VOICEROID達の分です。言っておきますが、希望者だけですからね?」

 

 そう言われて婚姻届を見ると、小猫達は全員分あり、VOICEROIDの娘達も俺が会った事のある娘達は全員分あった。

 

 音街ウナや東北きりたんは幼かったはずだが……。

 

「因みにウナちゃんやきりたんは、容姿が幼いだけで他のマスターユニットと変わらない年齢ですよ。個体年齢で言えば、ウナちゃんときりたんは、あかりちゃんよりも年上です。合法ロリですよ、キョウジさん」

 

「だから言い方!?」

 

「合法ロリは、小猫さんとウナちゃん、きりたんもですから三人ですよ!」

 

「よっし、話を聞く気が無いなテメェ!?」

 

 畳み掛けられるように情報を渡されて混乱してくるが、落ち着いて整理する。

 

 ゆかりさんは、おそらく俺らがこっちに飛ばされて来てすぐにこの法案を考えて準備していたのだろう。

 だからあまり俺達に会いに来なかった。

 

 おそらく俺を外に出さなかったのも、この世界にあまり関わらせない為だろう。

 本来は小猫達も外に出したくはなかったのだろうが、俺よりも小猫達を普通に生活させた方が広く法案の実情を宣伝できると踏んだ。

 

 そして、VOICEROIDとも結婚の実績を作る為に、他のマキさん達を俺と引き合わせて、相性を見ていた……という所だろう。

 

「正直な所、マキさん達の中で二、三人程度希望者が出てくれれば十分でしたが、キョウジさんは流石です。皆さんを見事に攻略してくれました」

 

「その気はなかったんだが……」

 

「いい加減に気付いてください。それがキョウジさんの魅力です」

 

 再びコツンッと額を押し当てられ、真剣な眼差しを向けられる。

 足が椅子の背もたれごと巻き込む様に、足を絡ませてきた。

 

「あの島の記憶から自罰的な行動や好意に対して一歩引いた感じがありましたが、こっちでも変わりませんね」

 

 逃げられない。

 頭を固定されているし、椅子ごと足を絡められてしまっている。

 

「一朝一夕には変わらない事は分かります。ですから……」

 

 キス。

 それも、舌を絡ませては口を離す事も無い深いキスだ。

 

「私達も、小猫さん達も……長い時間をかけてでも改善していきます。キョウジさんは、いつも通りで構いません。私達が全員で自覚させてあげますから」

 

 そう言いながら、俺を解放するとテーブルに婚姻届を並べていく。

 そしてペンとハンコを用意された。

 

「どうぞ、日本初の一夫多妻制及びVOICEROID婚姻の最初の夫です」

 

 笑顔でテーブルに広げている婚姻届を書く様に進めてくるゆかりさん。

 この世界での俺の立ち位置を確信した瞬間だった。

 




いかがだったでしょうか?

今回は独自解釈や独自設定が多い為、楽しんで頂ければ幸いです。

ご不明な点等ございましたら、遠慮なくご質問下さいますようお願い致します。

また、原作アンケートの結果は、
(146) 僕のヒーローアカデミア
(232) とある魔術の禁書目録
(552) IS 〈インフィニット・ストラトス〉
(430) Fateシリーズ
(116) めだかボックス
上記の通りとなりました。

ISという事ですが、メインヒロインがすべて選択肢に入れられず、ストーリーの都合上必要なキャラが選ばれておりますのでご了承ください。


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25 無人島の西側で一泊

 どうも、最近世間が騒がしいですが、割と元気なオルカです。

 お待たせしました。
 今回はエッチィシーンは無しです。

 この投稿を持ってキャラクターアンケートを終了いたします。
 結果はあとがきにて。

 外出がし辛い状況が続いておりますが、空き時間を埋める助けになれば幸いです。

 それではどうぞ!


 日常生活で眼帯というのも慣れが出始めた頃に、西側探索の話が出た。

 

 理由として、東側での探索では収穫が予想よりも少なかった事と、この島の秘密が一つ明らかになったことが挙げられる。

 

 北側での魔法減衰現象。

 正確には東側の北部だったので、西側の北部でも起きるかの検証が必要になるわけだ。

 そして、東側では取得できなかった食糧の入手も急務だ。

 

 拠点周りの食糧事情は問題無いが、野生の食糧は不安定だし、俺が五か所に分けている畑も疫病が発生した場合、増えてきたメンバーの全員分を賄えるかどうかは怪しいのだ。

 

 新しい種や動物の取得。

 動物を囲って育成する畜産にも手を出す必要があるだろう。

 猛獣が多い西側では動物は難しいかもしれないが、植物系統は期待できる。

 

 種子や球根なんかを手に入れられれば、また一つ畑が充実する。

 自然のモノだから、一度収穫すると再度収穫できるようになるまで時間を要する。

 

「西側の探索はキョウジさんを中心に、木乃香さんと刹那さん……後は、魔法の減衰を調査する為にフェイトさんが行く事が良いと思います」

 

 そう提案したのは、ゆかりさんだ。

 確かに、拠点組と探索組で双方に万が一に備えた回復役は配置したい。

 

 そして、木乃香と刹那は二人一組で行動させた方が良い。

 この二人は相互に相手の能力を底上げしている。

 

 刹那は木乃香を守ろうとしていつも以上に奮闘する。

 木乃香は刹那の視野を広く保たせるように声をかけていたりして、二人を組ませるのは能力的にも理に適っているのだ。

 

「それは助かるが、拠点側はいいのか? 三人で拠点周りは難しくないか?」

 

「その点は問題ありません。アーシアさんは手先が器用ですので小物作りなんかに最適ですし、ゆかりさんは拠点周りの全てをこなせるオールラウンダー。私もおにいさんに次いでここの暮らしは長いです。むしろ、新人が多いそちらがおにいさん無しだと不安なぐらいです」

 

 そういう小猫の言ももっともだった。

 木乃香と刹那の担当はそれぞれ、木乃香が拠点、刹那が採取だ。フェイトは拠点と採取双方こなせる万能選手。

 ただし、刹那とフェイトは採取に関しては仮免許状態だ。

 

 よく採取する物ならば問題無いが、例えばキノコの様な食毒判別の難しい物に関しては俺や小猫、ゆかりさんが同行する必要がある。

 食毒判別は特に野草やキノコでは重要で、葉が似ていても根本の生え方が違うと毒草だったり、形の似ているキノコでも色で食毒が分かれている種類もある。

 派手な色でも食べられたり、地味な色でも猛毒だったりする。

 

「食毒判定はキョウジさんに教わります。猛獣からの護衛は私とフェイトさんで完璧にこなして見せます!」

 

 確かに刹那の戦闘能力は高い。

 魔法が減衰する可能性を考慮すれば、小猫に次ぐ戦闘能力を有し、対魔の剣術を習得していることもあって、最も戦闘で頼れる存在だ。

 

 フェイトは魔法有だと現段階で最強クラスだが、魔法の減衰現象がある以上はサポートの方が適切だろう。

 

 それに刹那も言っていたが、食毒判定の経験を積ませるという意味でも今回の遠征は重要だ。

 

「採取の経験値稼ぎは必要ですね。おにいさん、よろしくお願いしますね」

 

 全体のレベルアップは必要だ。

 拠点側の仕事、採取側の仕事の担当者が免許皆伝まで育つことが理想だ。

 

 現在の免許皆伝者が、採取側で小猫、拠点側でゆかりさんだ。

 俺は両方可能だが、どちらかしかできない事を考えるとどちらかで免許皆伝者をもう一人確保することが理想だ。

 

 小猫に関しては、採取は完璧で拠点周りはゆかりさんに及ばないが、それでも三番目に拠点周りの技術は高いのだ。

 ゆかりさんも同様に採取の技能は高い。

 

「ああ、ある程度の技術は必要だからな。小猫達はアーシアに拠点周りの技術を頼んだ」

 

「はい、任せてください」

 

 自信満々に胸を張る小猫とゆかりさん。

 この二人なら、俺以外ではトップクラスのサバイバーだ。

 アーシアさんの教育は安心して任せられる。

 

 

**********************

 

 

 東側と違い、西側は適当な場所に拠点は建てられない。

 一段以上高い場所と、周囲に探知系の仕掛けをする事。

 一晩中火を絶やさない事、火の番をする人間の配置が必要だ。

 

「火の番は交代するとして、順番とか人数とかどうするん?」

 

 探知系の仕掛けは、ヒモで仕掛けた鳴子とフェイトの探知系魔法、刹那の式神系と三重に巡らせている。

 大げさに思うかもしれないが、猛獣のいる地域での野営は慎重すぎるぐらいでちょうどいいのだ。

 

「俺と木乃香は戦闘要員としては数えられないからな。俺とフェイト、木乃香と刹那で二交代が妥当だろうな」

 

「一人ずつの方が良いのではないでしょうか?」

 

「いや、刹那とフェイトは問題無いかもしれないが、俺と木乃香が一人で番をすると何かあった時に対応ができない。片方が対応している間に、もう一人が寝ている人間を起こすのが理想だな」

 

 そうだ。

 猛獣のエリアでは流石に全員で安眠はできない。

 火と周囲の警戒を行う人員が必要だ。

 

 一人での警戒は他の三人を休ませられるが、非常時の対応を起きている一人が全て担うことになる。

 フェイトや刹那なら平気だろう。

 戦闘力と対応力は高い。

 

 だが、俺は戦闘力が足りないし、木乃香は年齢的に対応力という点で経験が足りないだろう。

 

 そういった要素を考慮して、二人で二交代制を敷くのがベストだろう。

 幸い、漂着物の中にはクッキングタイマーの様な一定の時間経過を知らせてくれる道具なんかもある。

 

「そうだな……三時間交代ぐらいでやっていこう。一度に二人交代するか、時間をずらして一人ずつ交代するかは話し合おう」

 

 一度に交代するメリットとしては、全員が均一に休める事と、寝所を分けなくていい。

 デメリットとして、交代時の隙がある事と、見張りの入りと終わりが眠気で精度が落ちそうという事だ。

 

 タイミングをズラした交代のメリットは、交代時の隙が少ない事と、ペアでの眠気のピークが違うから両方が眠ってしまうなどのトラブルが少ない事だ。

 デメリットとして、全員の休憩時間がズレてしまう事、交代時にもう一方を起こすことを防ぐために寝所を分けて作る必要があるという事だ。

 

「私や刹那さんなら中間拠点の様にツリーハウスを作る事も出来ますけど、そっちならどうですか?」

 

「ツリーハウスが出来るならそれに越したことは無いけど、ツリーハウスが出来る木や資材の問題がある。探せばあるだろうけど、西側の探索というよりもツリーハウスの場所を探すのがメインになっちゃいそうだからな。良い場所を見つけたらって形かな」

 

 ツリーハウスには色々と条件がある。

 今回重要なのは四人分の体重を支えられるほどの巨木である事と、枝の太さと固さ、隣接する気も同様に大きい事などだ。

 

 魔法で木材の加工はそれほど手間にはならない。

 だが、蔓ヒモや革ヒモは手間がかかる上に、採取量もさほど多いわけではない。

 

 東の森の様に適当な場所でキャンプ地を決めるわけにはいかない。

 猛獣の生息地域である為、襲われ辛い場所は少ないだろうし、固定の拠点を作る方が効率が良いだろう。

 

 ツリーハウスや周囲にバリケードを設置するなど、対策は立てられる。

 ただ、問題として西側の地形は北側ほどではないにしても、緩やかな傾斜があり、岩場が多い地形だ。

 

 北側は標高が一番高い地域だとすれば、西側が二番目、東側と南側と続く形だ。

 木々も太く高いタイプは少なく、低木が多い。

 

 ツリーハウスには向かないが、やるとするなら複数の木々の間に木材を渡してそこを足場に組み上げるのが理想だろう。

 

「進んで、毎回拠点を建てるのは効率が悪いですね」

 

「せやなぁ。移動の度に拠点バラすんも大変やろうしなぁ」

 

 移動の度に拠点を解体するのはデメリットが多い。

 時間がかかるというのもそうだが、ヒモや釘の様な小さい物。

 それらは使用する度に劣化する。

 

 釘は木製のモノを基本的に使っているが、外す度に破損する可能性は高いし、使用回数は多くても2,3回程度だ。

 ヒモも数回も使用すればくたびれてしまい、耐久性に難が出てしまう。

 

「ツリーハウスは……完全に場所を決めてから作る方が良いかな。簡易的な拠点は四方を監視するのは難しいだろうから、壁なんかを取り込む形が理想か?」

 

「それだと、緊急時に逃げられなくないですか?」

 

「それは私と刹那さんでキョウジさんと木乃香さんを担いで空中に退避できます。物資は残していくしかないですが、命が最優先なので……」

 

 情けないが、命あっての物種。

 緊急時は、空中への退避手段の有る二人のお世話になるだろう。

 

 だが、これのデメリットがある。

 刹那は当然その飛行能力が肉体的な能力であり、疲労が蓄積するだろう。

 フェイトは魔法という手段なので肉体の疲労は無いだろうが、魔力を消費する上に魔法の減衰現象の条件が完全には解明されていない。頼りきるのは問題があるだろう。

 

「空中への退避は最終手段だな。基本は拠点周囲を罠やバリケード、警報で固める」

 

 原始的だが、物理的な手段で鳴子。

 魔法的な手段で、警報系の魔法。

 陰陽術的手段で、結界術。

 

 できる手段は取っておく必要がある。

 それが生存術というモノだろう。

 

 

**********************

 

 

 崖の近くに簡易的な宿泊小屋と焚火。

 いくつもの探知系の罠や魔法を周囲に仕掛け、それらが反応した際はすぐさま対応できるように、火の番をしながら警戒する。

 

 薪は乾燥させたものをある程度持ち歩いている。

 火は燃え上れば大抵は燃やせるが、火力が上がるまでの労力はかなりかかってしまう。

 

 火種を作る為の火口、火口から火をたたせる中間燃焼、そして薪。

 段階を経る上で、全てがよく乾燥していることが必要だ。

 

 一度薪のレベルまで燃え上れば、多少湿気っていようが、燃えてくれる。

 だが、火が安定するまでは水気は厳禁だ。

 

 だから、火口・小枝や木の皮、薪は乾燥させたものを常備させている。

 雨季は特に気を遣う部分だ。

 

 そういった燃料系はバイク用の防水仕様が付いたハードタイプのリュックを使っている。漂流物の中でもかなり助かるモノだ。

 雨風に晒されるバイクなので防水がしっかりしていて、ハードタイプなので転んだりした際に中身が壊れたり、逆に中身が外に突き出してきて怪我をする可能性がかなり低くなる。

 

「キョウジさんは本当にすごいですね。火の起こし方とか維持の仕方とか……」

 

「魔法の方が有用性が高いし、汎用性も高い。幸い今の所は魔法の減衰も確認できていないし、有難い限りだよ」

 

 刹那もサバイバルスキルが高く、火起こしなんかの基本的な知識は有しているし、式神や剣術などの戦闘能力も高い。

 木乃香だって回復能力以外にも、ヒモや布といった消耗品を作る能力は高い。

 

「それにフェイトさんは俺と同じオールマイティな活躍ができる。分業は大事だけど、どっちも出来る能力は必要だしな」

 

 例えば今の様な遠征中に怪我をしたり、集団で病に侵された時に両方できる人材は重要だ。

 木乃香とアーシアの様な回復系の能力が最重要だが、それに次いで内外双方の仕事をこなせる万能型。

 小猫やゆかりさんの様な、どちらかの仕事を完璧にできる専門型。

 

 彼女達のスキルも大事になってくる。

 俺の左目を覆っている眼帯。

 眼精疲労と伝えられているし、社畜時代にも経験がある症状に似ていたから納得もしているが、その異常性も同時に認識はしている。

 

「キョウジさん、眼帯なんか撫でてどうしましたか? 痛みます?」

 

 気づいたら、布の上から左目を撫でていた。

 別に無くなったわけでも、見えなくなったわけでも無いからいいのだけど、どうも違和感が拭い切れない。

 

 充血や眼の奥が痛む感覚が無くなっているだけ良いのだろうけど、眼帯の無い時の感覚の冴えは自覚できるようになった。

 

「いや、違和感がまだあるなってね?」

 

 これが単純に感覚の制限から解放された感覚なのか、別の何かなのかは分からない。

 だけど、嫌な予感はしない。

 

 まぁ、予感とかの第六感的な感覚を当てにするのは良くないのかもしれないが、どうすることもできないという点では、仕方が無いと言った所だ。

 

「……」

 

 フワッとフェイトに抱きしめられた。

 谷間に挟まれるようになって、後頭部を撫でられている。

 

「両方できるのが大事だって分かるけど、キョウジさんの代わりは居ないんだよ。私が採取も拠点の作業も全部覚えても、キョウジさんの存在は私達にとって掛け替えのない物になってて、誰かが代われるものじゃない……だから、私達の傍にいてください……」

 

 優しく撫でられているけど、ギュッと強く抱きしめられている。

 撫でている手から、ほんの少し震えが伝わる。

 

 俺がそんなに皆に求められる存在になっているとは中々思えない。

 だけど、フェイトがこんなにも震えながらに伝えてくれた言葉。

 

 それを無下にできない。

 彼女達の中での俺がどんな大きさになっているかは、分からない。

 だけど、彼女達の何らかの支えになれているならば、俺はその役割をまっとうするだろう。

 

「……ありがとう」

 

 フェイトや小猫達も俺の支えになってくれているのだ。

 この無人島でたった一人で生き残り続けた二年。

 あの生活をもう一度できるかと問われれば、俺は無理だと答えるだろう。

 

 作業の有無じゃない。

 誰かと話せる喜び、誰かを感じられる安らぎを知ってしまった。

 

 俺自身、彼女達が居ないともう駄目なのだ。

 それを心から理解できた。

 

 




 いかがだったでしょうか。

 この投稿を持って、キャラクターアンケートを終了いたします。

 結果は。
(635) 篠ノ之束(天災)
(363) シャルロット・デュノア
(195) ラウラ・ボーデヴィッヒ
(201) 更識 楯無(刀奈)
(196) 更識 簪

 篠ノ之束さんとなりました。
 シャルロットも善戦しましたね。

 天災を書くにあたり、皆さんの思う束さんになるかは分かりませんが、全力で可愛く、そして物語のキーパーソンとなるように書いていきます。

 評価、感想など頂ければモチベーションに繋がります。
 是非ともよろしくお願いいたします。


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26 無人島で天災遭遇

 どうも、最近はバトオペ2を楽しみつつ、FF7のリメイクをやろうか悩んでいるオルカです。

 面白いとよく周りから聞きます。
 オンライン要素も無いようですし、そこまで急ぐこともないかなぁと。

 さて、今回もエロ描写は無しです。
 外伝はもう少しお待ちください。
 少しずつまとめられればと思います。

 それではどうぞ、お楽しみください。


 西側探索も三日目。

 南側から北上する様なルートで探索を続けているが、今の所最大の収穫は『胡椒』だ。

 

 香辛料は本当にありがたい。

 胡椒が昔重宝されていた理由が、腐敗の防止だ。

 

 雨期と乾期があるこの島は冬が来ない。

 冬は食糧の採取が出来ず、寒さで大変な事になる。

 

 一年を通して気温の高いこの島は、サバイバル生活をするにはある程度の有利性がある。

 しかし、当然デメリットもある。

 

 腐敗だ。

 細菌の増殖などで変色や異臭を放つ状態。

 温度と湿度が高いと腐敗の進行度が速いのだ。

 

 その原因である細菌の増殖を抑える効果が胡椒には有る。

 今、塩を強く擦り込んだ干し肉を作っているが、胡椒があれば塩の量をかなり減らせるし、味にバリエーションが生まれる。

 

 拠点組には最高の収穫だろう。

 栽培用に幾つか採取してきたし、株でも持って帰る用に目印も置いてきた。

 育つのを待つより、株ごと植え替えする方が効率は良い。

 

 ただ、環境が変わるので枯れる可能性がある事がネックだ。

 安定するまでは他の作物よりも気を使ってあげる必要がある。

 

「西側の探索は成功って感じかなぁ。胡椒があるんは助かるわぁ」

 

「このちゃん、胡椒欲しがってたもんな」

 

 おや、油断してるのか刹那が京言葉になってる。

 俺とフェイトが結構前の方で警戒していたからかな。

 

 さて、幾つか俺とフェイトが気付いたことがある。

 獣道があるのは理解できる。

 だが、その獣道が明らかに深い部分がある。

 

 そして、刃物の様なもので切り落とされた枝。

 焦げた幹に、砕かれた岩。

 

「人為的なモノ……ですね」

 

「しかも、焦げや破砕痕から戦闘力があると見ていいだろうな」

 

 戦闘能力という点では、フェイトと刹那を超える事が出来る存在はそうは居ないだろう。

 刹那は京都神鳴流の技を使うし、腕前だってかなりのモノだろう。

 近距離はもちろんのこと、斬撃を飛ばす斬空閃という技だってある。

 

 フェイトだって近接主体の魔導師だが、フォトンランサーという射撃技もある。

 サンダーレイジという広域技もあったはずだ。

 

 この二人の戦闘能力は高い。

 恐ろしいのは二人の戦闘能力を超える人物だった場合だ。

 

 例えばインフレしまくるバトル漫画の登場人物とかだ。

 話し合いができるかどうかも不明瞭なため、接触するのにある程度の覚悟がいる。

 

「私達に気付いていると思いますか?」

 

「結構長い期間居る様だ。獣道が深くなる程、切られた枝の断面だって雨期を超えている可能性だってある。気付かれてると思って行動しよう」

 

 それだけ長い期間この島で生活しているなら、気付かれている可能性は高い。

 そして接触してきていないという事は……。

 

「どうしよう……一旦、出直した方が良いかな?」

 

「いや、一度会った方が良いかもしれん。味方になるか分からないけど、敵対するか非接触になるかぐらいは判断しておきたい」

 

 問題としては、敵対的だった場合だ。

 木の幹を焦がしたり、岩を砕いたりすることができる人間が敵対的だった時は、懐柔か追放。

 

 そして、それができるかどうかだ。

 

「獣道からすると、あっちの方向に続いています」

 

「とりあえず、交渉は俺が行くよ。フェイトたちは警戒をお願い」

 

 今俺の知識を使う時なのかもしれない。

 もし俺が知っている人間ならばある程度の方向性をもって話を持っていけるし、撤退の判断も早くなる。

 

 先入観はいけないが、ある程度の判断基準は必要だ。

 後ろで談笑している木乃香たちにもこのことを伝えて用心しよう。

 

 

***********************************

 

 

 獣道をたどり、西の森の奥へ進むできた。

 いくつも罠が仕掛けられていたが、何とか避けてたどり着けた。

 

 自然にできた洞窟じゃなく、切り出された岩場。

 ある程度雨風を避ける為の暖簾の様な物が設置された入り口。

 

 明らかに機械なんかが使われている謎の装置。

 それらを作る為に使われた様々な残骸が放置されている。

 

 これは、戦闘者というよりは技術者か?

 何人か候補はいるけど、誰だろうか……。

 

「あれれ? 束さんの拠点に何か用かな?」

 

 後ろから声をかけられて振り向くと、フリルのあしらわれた不思議の国のアリスを連想する服装。頭には機械的なウサギ耳。

 

 そして、束と名乗ったからには、俺の知識で該当する女性は一人だけだ。

 『インフィニット・ストラトス』の『篠ノ之束』だ。

 

 そうだとすると、非常にまずい。

 彼女の才能はまさに『天才』であり、『天災』を自称する程に自重が無い。

 自分の妹と親友、その弟以外への関心が無いと言っても過言ではない。

 

 例外として、クロエ・クロニクルという少女と、親友のクローンである織斑マドカが居たはずだが、俺らは束さんから見れば他人。

 協力……は難しいだろうな。

 

 相互不干渉が無難かもしれない。

 しかし、それができるかどうか……。

 

「初めまして、急な来訪申し訳ありません。南の浜辺に拠点を置いているキョウジと申します。後ろにいるのは、仲間のフェイトと木乃香、刹那です」

 

「ふーん、あの森の中を超えて来れるんだ。凡人にしてはやるね」

 

 なるほど、あの森の猛獣たちを篩いとして使っていたのか。

 俺らの存在に気付いていて、接触してこなかった事は確実。

 

 それで、この森の猛獣を超えてこなければ、会う価値すらないと考えていたのだろうか。

 いや、希望的観測は止めておこう。

 篠ノ之束が凡人に気を配るなんてありえない。先入観を無しに行こうと思うが、前提条件も崩す訳にはいかないのだ。

 

「幾つかお話をしたいのですが、時間は大丈夫ですか?」

 

「うーん……、まぁいいかな? どんな話をするのか、興味もあるし」

 

 若干隈があるが、のんびりとした印象の目。

 裾が汚れているが、不思議の国のアリスを思わせる服装。

 

 服の汚れはここの生活で仕方のない部分かもしれないが……。

 ブラぐらいはして欲しかった……!!

 

 フェイトとかは普段からしっかりとブラをしているから余計に違和感の様なモノを覚えてしまった。

 

 大きく胸元が空いているから、自然と目が向かってしまうし、服の上からでもわかるポッチが傍から見ても確認できてしまう。

 

「まぁ、男のお前だけでいいや。後はここで待ってて」

 

 その言葉に不安が湧いてくるが、交渉のテーブルを用意するのは彼女の方だ。

 細胞レベルでオーバースペックである彼女だ。

 

 自身の発明であるISと生身で渡り合える程の身体能力。

 そして、睡眠薬等が効かない薬物耐性。

 何よりも、世界を変える程の発明をし、世界のネットワークを掌握しているともいえる程の頭脳。

 

 俺程度が口で渡り合えるはずもないし、何よりも彼女が交渉の場に下りてくる事も無いだろう。

 徹底的に他人に興味が無い。

 

 実際に対面しているからこそわかる。

 今こうして話をしようとしているのは、俺らの持つ情報に興味があるからだろう。

 

 篠ノ之束に案内されて、岩をくり抜いて作られた部屋。

 光源は窓とLEDランタンらしきもの。

 

 明らかに無人島には似つかわしくない機械類やモニター。

 アーマーの様な機械にコードが無数に伸びている。

 

「こっち側は機械類が漂着してるから、これぐらい作るのは天災にかかれば簡単さ」

 

 海水で腐食しているのだろうが、無事な部分や再構成することで部材を手に入れているようだ。

 単身でも十分に脅威の彼女だが、科学力を行使できる状態だとそれは更に跳ね上がる。

 

 ISの世界は科学力が俺の世界の数世代先であるが、その科学力をそこまで押し上げたのが彼女だ。しかも、その科学力を遥かに上回る技術を有している。

 

「それで、何の話をするのかな?」

 

 笑みを浮かべてはいるが、こちらの情報に興味があるだけだろうなぁ。

 だが、ここで情報を出し渋ったり、無駄な引き延ばしをしたりしないことが重要だ。

 

「俺達の持っている情報を話します」

 

「へぇ、それで私に何を求めるのかな?」

 

「理想は協力してくれることだけど……」

 

 それは叶わないだろう。

 彼女は人間嫌いというか凡人を嫌う。

 

 小猫達ならともかく、俺は彼女の定義する凡人の枠だろう。

 出来る事をやっていこう。

 

「うーん、それはお前の出す情報次第かなぁ。束さんが面白いと思ったら協力してあげるよ」

 

 

***********************************

 

 

「それで、あのおねーさんにはどこまで話したん?」

 

「ほぼ全部……だな。あの人は騙すとか隠すとかしない方が良い人だと思ったからね」

 

 駆け引きをしたりしない。

 普通の人であれば不快に思うであろう創作物の登場人物であるという事実。

 それすら彼女は笑って面白いと言っていた。

 

 まぁ、そのおかげで三日ほど拘束された。

 その間の食事や寝泊まりは束さんの拠点で過ごすことができた。

 

「合流はしないけど、協力はするって話でしたか……」

 

 刹那は納得がいっていない様子だ。

 彼女の性格なら、こういう場所で協力することが大事だと分かっているからだろう。

 だけど、そういう考え自体を嫌う傾向がある。

 

「彼女は一人で十分に生きていけるからね。俺らと合流するメリットは彼女自身には情報以外無いと言って良い」

 

 一年ほど一人で生活を続けていたらしいし、その間に漂着した電子機器から岩を砕ける程の機械類や強化アーマーらしきモノも作られていた。

 

 食料は肉類を中心に野菜も数種類あった。

 自給は十分だろうし、あの様子だと自力でドローンなんかも開発する可能性がある。

 

 俺らと合流すると彼女の足を引っ張る可能性があるのだ。

 束さんが協力すると言ったのは、俺らが持つ情報。

 正確には、俺の知識と小猫達の世界の技術だ。

 

 例えば、俺は多くの創作物の技術や理論の存在。

 小猫やアーシアは魔法と悪魔の駒の技術。

 ゆかりさんは生体アンドロイドとしての技術や理論。

 木乃香や刹那は魔法や気の概念。

 フェイトは魔法とそれを支えるデバイス技術。

 

「キョウジさんが話したのは、この島の情報とキョウジさん自身の知識だけですよね?」

 

「ああ、ただ俺らの会話や木乃香たちの会話である程度は予測されちゃってたな」

 

 教えた情報として、俺の来歴と小猫達が俺の知る創作物の登場人物である事と束さんも創作物の登場人物であることも教えている。

 ただ、別作品の世界から来ているという点と、一人一人の種族だとか来歴だとかは教えていない。

 

 ただ多分、束さんと木乃香達やフェイトがそれぞれ違う世界の人間だという事は感づかれている。だからこそ、協力を容認したのだろう。

 

「そんなにすごい人なん?」

 

「一人で世界の技術水準を押し上げた人間だ。そして、その世界技術を置き去りにできる程の頭脳を持っている」

 

 ついでに言えば、細胞レベルでオーバースペックな人だ。

 あの人を抑えられるのは彼女の親友ぐらいだろうな。

 

 

***********************************

 

 

「あれが、要かな」

 

 自分の拠点で適当に作った食事を突きながらつぶやく。

 

 私の下にやってきた四人。

 その中の一人に眼帯をした男が居た。

 

 性格は弁えている方かな? 凡人にしてはだけどね!

 

「ほんっと迷惑だよね」

 

 吐き出すような呟き。

 当然誰かが拾ってくれるわけもない。

 ただ、嫌味の一つも言いたくなる。

 

 ここじゃ私の夢は叶えられない。

 何もかもが茶番だ。

 それに、あの男の話だと戻れる可能性は低い。

 

「それに、茶番が伝説になる可能性もあるかな?」

 

 あの男……キョウジだっけ?

 ならキョウ君と呼ぼうか。

 

 必死に束さんの胸から目を反らそうと頑張ってて面白かったな。

 別に誘うとかそういうつもりで束さんはノーブラだったわけじゃない。

 

 衣服の類がこの場所は手に入りにくい。

 特に下着類は手に入らないし、めんどくさいから半年ぐらい前から着けなくなった。

 意外と締め付けられなくて楽だ。

 その代わりに機械類が流れ着くから束さんには都合が良いんだけど。

 

「東側の群生植物、魔法という技術を阻害する北の山」

 

 束さんの住んでるこの岩場は、猛獣地帯とキョウ君は呼んでいた。

 じゃあ、南側は何があるのか?

 キョウ君達がその何かに当たるのかもしれないね。

 

 それに、束さんと話してた時はこの胸に視線が行かない様に頑張っていたけど、あの眼帯を外した時の雰囲気はそういうエッチな雰囲気は無くなっていた。

 

 あの左目……。

 眼精疲労が溜まりやすいって言っていたけど、たぶん理由は違うかな。

 調べさせてくれないかなぁ。

 

 ま、しばらくはキョウ君の言っていた北と東の情報の裏取りかな。

 ドローンの開発もそろそろ終わるし、調べまわってみよう。

 

「大まかに予想は着いているけど、暇つぶしには丁度いいよね」

 




 いかがだったでしょうか。
 お楽しみいただけましたら、評価とご感想を頂ければ嬉しく思います。

 活動報告の方でご意見を伺っております。
 詳細は内容を確認いただければと思いますが、簡単に言うと作品の優先度的な確認です。

 次回は少しエロに寄っていこうかなと考えておりますのでお楽しみに。


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27 無人島でのおトイレ事情

 どうも、コロナ関連で仕事のルーティンに大きく変化があり、色々疲れてるオルカです。

 いや、六人での仕事を三人で回すって勘弁してほしいです。

 さて、二回連続でエロ無しでしたので今回はエロ有です。

 ストーリーを進めずにエロだけの回もそろそろ作ろうかな。

 それでは、どうぞ!


 サバイバル生活において衣食住に加えて、重要になってくるのが排せつ物の処理だ。

 短期間なら深めの穴を掘ってそこですればいいのだが、定住するとなると一か所にまとめて処理する必要が出てくる。

 

「マスター、トイレが一杯になりましたので処理しましょう」

 

 ゆかりさんが教えてくれる。

 川ですることが多いが、拠点にも簡易トイレは必要だ。

 

 基本は川の下流に箱を作ってそこで用をたして貰っている。

 拠点内のトイレは夜間と緊急用だ。

 

「わかった。ゆかりさん達は箱の解体と土を運んできて。俺は便器の解体と埋め立てをやる」

 

 理由がコレ。

 排泄物が溜まって埋め立てる必要が出てくるからだ。

 

 新しいトイレも作らなきゃならない。

 斜めに掘り下げていき、四角く排泄物を貯める為の部屋を用意する。

 そうして、真上に穴を掘る事で完成する。

 

 ポイントは排泄物を貯める部屋を固くハンマーなどで成形する事だ。

 

「次のトイレの場所はわかるよな? 資材はそこに集めて置いてくれ」

 

 幾つかトイレを既に掘り出していて、溜まったら埋め立てて次のトイレに移動する。

 埋め立ては、斜めに掘り下げている部分には土で埋めて、便を落とす穴は枝やシダなどで蓋をした上からセメントで固める。

 後は、間違って掘らない様に目印を置く。

 

 雨季がある為、適当に処理してしまうと地面が溶け出して底なし沼の様になってしまう。

 それを防ぐためにもしっかりと処理をする。

 

「おにいさん、大変です。川に設置していたトイレが壊れてます」

 

 その報告を聞き、俺と小猫と刹那が現場に向かった。

 現場には橋の様に立てられていたトイレの残骸。

 ここ数日で雨や暴風があった記憶が無い。

 

「こりゃ、腐食だな」

 

 中央から折れた丸太の断面を見ると、明らかに変色とボロボロに崩れている状態。

 おそらく、尿が少しずつ付着して腐ってしまったのだろう。

 

「これは……、新しくするのにも時間がかかりますよね?」

 

 刹那が不安そうに言う。

 確かに、拠点に備え付けのトイレも現在移転中で、普段使いの川のトイレも壊れてしまった。

 

 タイミングが悪かったとしか言いようがない。

 幸い、一日で拠点のトイレは組み終わるからそれまでは木陰で我慢して貰う他ない。

 

「フェイトさんに全体念話でトイレの件を連携して貰おう。流石に緊急事態だ」

 

 

***********************************

 

 

「あ、あのキョウジさん……トイレに……」

 

「普段使いの河川トイレは崩壊中、拠点周りは組み立て中だよ?」

 

 河川トイレの新設予定地でフェイトを背面立位で抱いている。

 お尻に挿入されている俺のムスコは根元を強い締め付けで、亀頭を尿意を我慢している為かピクピクと緩急の着いた締め付けが心地いい。

 

 前傾姿勢で尿意を堪えようとしている所を、俺が身体を反って邪魔をしてあげる。

 不安定な状態が怖いのか、フェイトの両手は両足を支えている俺の腕をしっかりと掴んでいる。

 

 ピストン運動で俺自身が腰を動かす部分と、フェイトを軽く持ち上げてから重力に従って降ろす部分。

 それらを使い分けて責めていく。

 

「ひぅ!? キョウ……ジ……さん……! 漏れちゃう……から……!」

 

 特に浮かせてから降ろす運動は、フェイトの膀胱にダイレクトアタックをしているようで、焦っているのがわかる。

 

 うっすらと涙を浮かべて懇願する様子に、背徳感が湧いて支配欲の様なモノが満たされる。

 

「ほら、トイレは全部使えないからね。ここでしちゃおう」

 

 この言葉にピクンッと身体が反応する。

 肛門もギュギュっと締め付けて、中もまるで別の生き物のように流動し、俺のムスコを刺激してくる。

 

「いや……、恥ずかしすぎて……どうにかなっちゃいそう」

 

 イヤイヤと顔を隠して上半身を顔を振る仕草。

 グリグリと股間を刺激して、射精感を高めてくる。

 

「どうにかなってもいいよ? フェイトが楽しんでくれるなら何回でもやってあげる」

 

 うなじに唇を当て吸い上げる。

 ビクビクッと反応するフェイトを揺さぶる様に動いてあげると、尿意がひっ迫してくるのか我慢しようと力を入れている。

 そのおかげで肛門の締め付けが痛いぐらいになっている。

 

 まだ、耐えている。

 挿入している角度から見て、まだ膀胱には当たっていない。

 少しだけ、角度を前にズラすだけで膀胱を裏から刺激できる。

 

「でも、漏らすなんて……」

 

「いいんだよ? 誰も見ていない、俺だけだ」

 

 さり気なく吐息を多めにフェイトのうなじ目掛けて吹きかけていく。

 優しく、だけど有無を言わさない形で。

 

「ほら、たっぷり出して?」

 

 返事を待つつもりも無く、アナルに入っているムスコの角度を前の方にズラし、フェイトの膀胱を裏側から押してやる。

 

 短い悲鳴と共に、プシャァっと噴き出すように放出されるおしっこ。

 一度出てしまえば押さえられないのか、勢いは増していき、綺麗な放物線を描いている。

 

「ぁぁぁぁぁ……」

 

 両手で顔を隠して、震えながら耐えている。

 放物線が震える度に波打つように変化しており、ゾクッとした嗜虐心の様なモノが刺激される。

 

 なんだろう?

 フェイトは嗜虐心をそそる様な雰囲気がある気がする。

 ビクビクとアナルの締め付けが強くなり、絶頂と弛緩を繰り返しているのは強い快感を得ているのだろう。

 

「いっぱい出てるね? 我慢してたんだ。そんなに感じるなんて変態の素養があるね」

 

 フェイトは肉体的な被虐が反応も良いし、背徳感が強く出るのかそれを超えた時の快感も強いようだ。

 今回は精神的な羞恥と被虐を組み合わせてのプレイになるが、こちらの反応も良いが普段のプレイほどではない印象。

 

 まぁ、あまりに強すぎる快感になるから普段はプレイの最後の方に取り入れる形にしている。

 フェイトに限らず、全員だ。

 

 何というか、彼女達の性癖に刺さるが故に快感が強すぎるのだ。

 最初の頃は終始性癖に刺さる様に動いていたけど、それだと彼女達が使い物にならなくなる。最大で三日程度。

 

 所謂自分と相手が満足するように動いた時、小猫を相手にした時だったけど、三日程余韻が続いているような状態になっていた。

 

 女性達の性癖を狙い撃った行為のみで抱いていると、あの時の小猫の様な状態になってしまう。

 可愛いし、ストレスが大分無くなると評判はいいのだが、一人分の仕事が出来なくなる。

 

 だから、定期的にスケジュールを決めて行うことになっている。

 主に、小猫とゆかりさん主導で……。

 

 おかしいな。

 良いんだけど、俺の意思はどこに?

 

「まだ残ってるでしょ? 出すの手伝ってあげるよ」

 

 そう言いながらいい笑顔でフェイトの下腹部を優しく押してあげる。

 すると、直ぐに弱まっていた水流に勢いが戻る。

 

「ひぅ!?」

 

 止めようと思っていた所に押し出され、フェイトから悲鳴が漏れるがその声には艶っぽさが乗っていて、ムスコにも力が入る。

 

 衛生観念上、アナルに挿入した後に膣に入れるわけにはいかないので、膣の方は指だったり、クンニで刺激を与えていく。

 

 クンニの時、おしっこが残っているとフェイトにとても恥ずかしがられたが、構わず丁寧にしてあげた。

 

 お尻から沢山精液を流しながら、クンニされているフェイトは嗜虐心をそそる良い表情をしていた。

 

 

***********************************

 

 

「うひゃぁ、キョウ君きっちくー」

 

 定期的にキョウ君たちは私の拠点に足を運び、情報を伝えたり、物資を渡してきたりしている。

 私からも情報だったり、適当に作った機械を渡している。

 

 自分で作ったモニターには、キョウ君と金髪のオッパイがおっきい女の行為が映っている。

 流石に音声はまだ撮れないが、画質は非常に良くなっている。

 

 昆虫型のドローンで、隠蔽力も高い。

 モノを持ち運ぶ力はないけど、映像を私の所に届けるのに特化したものだ。

 

 キョウ君たちの普段の生活だったり、周囲にいる女の子達の観察用に何個も出している。

 全員分の性行為を見てきたけど、キョウ君の異常性が垣間見える。

 

「性行為に関して、キョウ君は別人の様に対応や言動を変化させてるね」

 

 言動に関しては読唇術だから正確じゃないかもだし、声色とかも分からないから実際に聞いたりした方が印象が違うかもしれない。

 

 それでも、女の子を責める手腕やタイミング。

 女の子別にやたらドップリと責めつくす日が何日かに一回あるけど、その時は多分女の子の弱い所を執拗に責めている。

 

「ふむふむ、キョウ君は自分よりも相手を満足させることに執着してるね」

 

 物品の持ち運びができるドローンはまだ出来ていないから東の発情させる果実の実物は見ていない。

 ただ、ほぼ毎日セックスをしなければならないほどの影響を人体に残す果実の成分に強い興味がある。

 

 キョウ君に抱かれること自体に忌避感はないし、最終手段として私自身で人体実験をしてみる事も視野に入れている。

 

 まぁ、経験無いんだけどねぇ。

 

「さて、万全な設備なら成分だけ採取できればいいけど、ここだと実物が無いと難しいからね」

 

 キョウ君達に採取を依頼してもいいかもだけど、あまりいい思い出の無いものだという。

 それに自分の力で、自分で選択して採取したものの方が個人的には良い。

 

「さてさて、暇つぶしを続けようかな」

 

 どんなに面白くても暇つぶし。

 夢が叶えられないのは辛いけど、割り切るしかない。

 

 退廃的な生活も悪くないかな?

 




 いかがでしたでしょうか?
 お楽しみいただけましたら、評価とご感想を頂ければ嬉しく思います。

 因みに、糞尿を畑に撒く農法がありますが、実は作物に大腸菌等々が付着するという理由で戦後に禁止されています。
 その上、人間の糞尿には栄養価が高すぎて作物に良くないという話です。

 ですのでこの島では埋め立てと、川に流すという形で処理しています。
 糞尿の肥料化に関しては、次回の話に盛り込めたらと思います。

 それでは次回もよろしくお願いいたします。


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外伝 無人島から帰還 ネギま!

 どうも、最近はマスクや消毒ウェットティッシュなどが少しずつ売られだしてほっとしているオルカです。

 リアルで在宅がし辛い仕事なので、マスクやウェットティッシュは生命線でしたからね。

 さて、外伝も進んでまいりました。
 本編情報も少しずつ散りばめているので、楽しんで頂ければ幸いです。


 無事? あの無人島から脱出が出来た。

 俺としては、それぞれの世界に戻ってめでたしめでたし……っというのが希望的観測ではあるが、もし脱出すると仮定した時に、起こり得る可能性として高い方の選択肢だと思っていた。

 

 しかし現実は、ネギま!の世界に飛ばされた。

 全員を連れて……。

 

 最大の懸案事項として、島の木乃香・刹那と、この世界の木乃香・刹那の存在統合が行われたことだろうか。

 

 この世界で過ごした記憶と同時に、俺たちと過ごした無人島の記憶が混ざった状態。

 最初は混乱していたが、今では二人とも納得はしているようだ。

 

 感覚としては原作世界の存在が強いようで、メイン人格が原作世界、その中で俺らと共に過ごした時間が記憶されているという感じらしい。

 

 そんな中、俺と小猫・アーシア、フェイトとゆかりさんは、この世界での戸籍を用意してもらえた。

 木乃香の祖父である近衛近右衛門の好意でだ。

 

 ありがたい事に、木乃香が学園長に頼み込んでこの町での住処と仕事を斡旋してくれた。

 こうなると、小猫やアーシアとフェイト、ゆかりさんを養うために頑張るしかない。

 

 フェイトは元々管理局に勤務していたこともあり、キャリアウーマンとしてバリバリ働いているし、ゆかりさんも同期機能での多くの職歴や知識のおかげで教員になっていた。俺も会社に入ろうとした所、フェイトとゆかりさんからの強い勧めで主夫をしている。

 

 小猫とアーシアは転校生という事で高校へ通っている。

 家の事をする人間は欲しいという事で押し切られた。

 

 ……ヒモやん。

 

 え? どういうことだよ。

 麻帆良の教員や働く人間達の為のマンションの一室を与えてもらい、そこで日々主夫及び動画投稿と株で稼いでいる。

 

 本当なら学園長に事務員の紹介をしてもらう予定だったが、木乃香が阻止したらしい。

 刹那が申し訳なさそうに教えてくれた。

 

 フェイトは学園の事務として、ゆかりさんは教師として非常に優秀だとか。

 小猫もアーシアも問題無くクラスに馴染んでいるようで、アーシアに至っては教会の方に足しげく通っているようだ。

 

「ふむ、刹那がよく語るからどんな御仁かと思えば、何とも親しみやすい御仁でござるな」

 

「ヒャッハー、探検だー」

 

「お、お姉ちゃんーー!?」

 

 バタバタと家の奥に走っていく双子の鳴滝姉妹と、リビングのテーブルでお茶と羊羹を食べている忍者こと長瀬楓。

 まぁ、子供に見られてヤバい物は置いてないし、昨夜の行為の痕跡はきちんと隠滅済みだ。

 

「おやおや、いいんでござるか? あの娘達は結構悪戯好きでござるか……」

 

「いや、別に小猫達の部屋は鍵が掛かっているし、俺の部屋も見られて困るモノは無いからな。食べられる野草とキノコ図鑑とかそんなのばかりだ」

 

 性行為関係の道具は小猫達が個々人で管理しているし、俺はエロ漫画とかは所持していない。

 そんな暇が無いというかなんというか……。

 

「ほほう、後ほど拙者も読ませていただいてもよろしいですかな?」

 

「なんなら貸してやるから、二冊ぐらい選んどけ」

 

 家では木乃香と刹那が紹介したのだろうA組の娘が遊びに来る。

 活動的な娘が多いが、遊び道具が多いからか割と誰かしらが居るという頻度。

 お菓子も出すからか?

 

 そんなことを考えていると、少しテンションが低い双子が帰ってきた。

 何も面白い物が無かったのだろう。

 

「おかえり」

 

「つまんない!」

 

「です……」

 

 遊べるものはリビングに集めてるし、自室は徹底的に掃除済み。

 小猫達は遊びに出ているし、ゆかりさん達は仕事中。

 そりゃ、つまらないだろう。

 

 二人にもジュースとお菓子を出してやる。

 羊羹ではなくプチシューの盛り合わせを長瀬も食べられるように出してやる。

 

「何を期待してたかは知らんが、ゲーム類はここにあるからここで遊びなさい」

 

「もっと、エッチな玩具とかあると思ったー」

 

「本とかも無かったです……」

 

「それは残念でござるなぁ」

 

「お前ら性に興味持ち過ぎじゃないか?」

 

 思春期とはいえ、堂々とし過ぎだ。

 双子は面白くなさそうにしながら、今のゲームを起動し始める。

 長瀬の方はそれを見て面白そうにしていた。

 

「いやはや、このか殿が言っていた絶倫具合は垣間見えませんでしたな」

 

「女の子がそういう言葉を堂々と使っちゃいけません」

 

 つーか、しゃべっちゃってるのかよ。

 刹那は積極的に話すタイプじゃないだろうが、木乃香もわざわざ恥を晒すような事はしないと思ったが……。

 

「塔城殿と話している時にちょっと……」

 

 よし、小猫にはお仕置きを検討するとして、被害状況はどうなんだろうか?

 小猫やアーシアは高校生だが、木乃香や刹那とは変わらず仲が良い。

 

 先日も四人でカラオケに行ったらしいし、そういう密閉空間での話なら数人に口止めで済むだろうが……。

 

「ちなみにその話は……」

 

「む? 拙者と双子、真名に古が居たでござるな」

 

 よし、被害は軽微だ。

 口止めをできれば、これ以上の被害が広がる事は無いだろう。

 

「おお、そう言えば朝倉殿も居たでござるな」

 

「手遅れだったよチクショウ!!?」

 

 終わったわ。

 朝倉と言えば、パパラッチとも呼ばれているスピーカー女子じゃないか。

 一日もあればクラス全員に知れ渡るだろうよ。

 

 割とあのクラスとは、顔を合わせる機会が多いから気まずいじゃないか。

 こうして長瀬たちが来ることもそうだし、街中で買い物途中や学園長の所に行くときにも会うことが多いのだ。

 

 気まずい事この上ない。

 

 

***********************************

 

 

 夕飯の買い出し。

 長瀬たちは一通りゲームで遊んだ後、ゲーム二本と俺の本二冊を借りて帰っていった。

 

 実況用にゲームは大量にあるし、現在実況しているゲームは今は別の場所に保管してあるので問題ない。

 

 夕飯用の買い出しは、シチューでも作ろうかな。

 いやぁ、人数が多いからスープやシチューなんかの汁物系が便利だ。

 

 ホワイトにするかビーフにするか……そこが問題だ。

 

「最近、お野菜足りてへんし……お野菜多めのホワイトがええんやない?」

 

「しかしお嬢様。ビーフでも野菜は取れると思いますが……」

 

「いやいや、せっちゃんは甘いなぁ。キョウジさんのここ一週間の献立はお肉がメインの献立や。ここでビーフシチューは皆飽きてまうやん」

 

「なるほど、さすが木乃香だな。……何で居るのん?」

 

 真剣にシチューの素の陳列棚を前に悩んでいる所を後ろから声をかけられる。

 いや、本当に気づかなかった。

 

「このかさん、図書館島に行く為の食糧なんですけど……」

 

 木乃香と刹那。

 他には綾瀬と宮崎、早乙女が一緒だ。

 多分図書委員会の集まりだろう。

 

「お? 今話題の動画主様じゃないっスか! 何々? ネタになりそうな話?」

 

 早乙女は楽しそうに、綾瀬と宮崎は若干距離を開けてくる。

 まぁ、長瀬が言っていた通りならクラス全体に広がっているだろうから、男性が苦手な宮崎と相応の倫理観がある綾瀬は近づきたくない人間だろう。

 

 ちょっと悲しい。

 まぁ、自業自得だけどね。

 

「動画の視聴ありがとう。今日はご飯の買い出しだからネタじゃないよ」

 

 ファンは大事。

 まぁ、木乃香達だけじゃないからあまりあの島の話をするわけにもいかないし、当たり障りのない話題が良いだろう。

 

 今日のご飯の買い出しを終えたら、準備しないといけない。

 木乃香の言う通りホワイトシチューに野菜を多めに、淡白な鶏むね肉を加えて一品にするか。

 

 木乃香の料理の腕は素晴らしいからな。

 あの島での記憶を受け継いでからは栄養バランスにも気を使ってレパートリーも増えたという。

 あの屋台の四葉さんも美味しくなったと認めているそうだ。

 

「近衛さん達は部活動? 気を付けてくださいね」

 

 手早くその場を後にする。

 流石に中学生相手に長時間話をしていると、事案と思われて通報されそうだ。

 

 いや、見た目が学生レベルにまで若返っているけど、精神的にちょっと怖い。

 元々三十台だったから女学生は忌避感が出てしまう。

 

 チキンだって?

 世の中、目が合っただけで事案になる悲しい世界だぞ?

 機雷がそこらに浮いていると思って過ごしている。

 

 それに、木乃香や刹那が親し気に話しかけてくれるのは彼女達のコミュ力が高いから。

 この世界に来てから、思春期の女の子達だからと距離をあけようとしていた所で、近衛近右衛門に頼み込んで我が部屋の合鍵を手に入れて、歓迎会の様なパーティーが行われた。

 

 まるで俺が距離を置こうとしている事を見抜いていたかのような行動だった。

 いや、見抜いていたのかもしれない。

 

 人の気持ちに聡い年頃。

 それに加えて、記録だけとはいえ俺と過ごした情報が彼女達には有る。

 

「我ながら臆病なものだな」

 

 自虐気味に呟いた言葉は誰に聞かれる事も無く、夕日に染まる街に溶けていった。

 

 

***********************************

 

 

「やっぱり、キョウジさんは私達に気を使い過ぎてると思うのです」

 

「来るなり何を言ってるんだ?」

 

「ウチもそう思うえ。キョウジさんはウチ等がクラスで変な眼で見られない様に気を使っているのが分かるからなぁ」

 

 土曜日。

 結構な頻度で木乃香と刹那は週末にウチに来る。

 

 小猫達と遊んだり、御飯を作ったり、クラスであった事を話したり。

 そのまま客間と称した二人の部屋に泊まったりもする。

 

「ウチ等としては、キョウジさん達と過ごしたあの島の記憶は貴重なモノなんよ」

 

「貴重な経験や体験です。そう感じている事はキョウジさんでも覆せない事です」

 

 実況済のゲームを遊んでいるリビングで、俺の後ろでコーヒーを飲んでいた二人。

 小猫達はそれぞれ遊びに行ったり、教師の付き合いで出かけていた。

 たぶん、木乃香達が話すために申し合わせて家を空けたのかもしれない。

 

「気を遣うのは当然だ。木乃香達は思春期の学生だろ? 仲の良いクラスの様だから大丈夫かもしれないけど、それ以外のクラスや学校が別にある男子中学校なんかに妙な噂が流れてしまえば、大変な事になりかねない」

 

 無垢な故の残酷さ。

 幼いが故の加減の無さ。

 

 それは十分以上にあり得ることだ。

 力で制裁することも多い麻帆良学園だが、影での所謂いじめの様なライトな表現を借りた犯罪行為にはそこまでの対処がされているわけではない。

 

 そういった悪意から守る為には、盾になるかそもそも悪意に晒される機会を減らす事だ。

 最高の防衛法は、持論になるが選択肢に上がらない事だと思っている。

 

 昇進の選択だろうが、降格の選択だろうが、その選択肢に上がらない事。

 防衛という面で見ればこれ以上のモノは無いと思う。

 当然、利益を享受する選択をしない訳だから、防衛以外の面では下策ではあるのだが。

 

「幸い、二人は記録のみの共有だ。メインの記憶も肉体もこの世界に根差した『近衛木乃香』と『桜咲刹那』のものだ」

 

 直接は言っていないが、肉体は生娘であり、精神だって俺達と過ごしたあの二人ではないのだ。

 本やゲームのストーリーを読み込んだような状態という話だし、自分を題材にしたエロ同人を見せつけられたようなものだろう。

 

 いい気分であるわけがない。

 

「ウチ等の中では他所の出来事でも、キョウジさんにとっては本当の事なんやろ?」

 

「キョウジさんがしてきた行動も、言葉も私達に向けたものじゃない事も分かっています。それでも限りなく私達に近い人達なんです」

 

 木乃香はいつもニコニコした表情ではなく、真剣な眼をしている。

 そして、刹那の表情は悲しそうに眉を下げ、泣き出してしまいそうな顔をしていた。

 

「ウチ等はあの島での出来事を嫌ってなんかおらへんよ? そりゃ、ビックリもしたし、いっぱい悩んだけどな、みんな一生懸命に生きてた結果やん」

 

「私達だって同じ状況だったら全く同じ行動をとるでしょう。だって、あの世界の私達も私達なんですから」

 

 いつの間にか、飲んでいたコーヒーを置いて、俺の後ろに居た。

 座椅子に座ってプレイしていたゲームは既にリザルト画面。

 

 キリも良い所だし、オートセーブも相まってこのまま電源を落としても問題無い。

 というより、二人から肩に手を置かれていてプレイ続行という選択肢が無い状況だ。

 

「……二人は被害者だと思ってるんだ。望まない記憶に望まない関係だろうと思っていたからね」

 

「それは……」

 

「だからこそ!」

 

 何かを言おうとした木乃香の言葉を遮って言葉を続ける。

 続けなければならない。

 

 俺の考えだけでは独り善がりになる。

 木乃香と刹那も含めて決めなければならない事だったのだと、改めて認識した。

 

「話そう……。二人があの島の木乃香と刹那じゃない事は分かってるけど、重ねない様にしてきたけど、君たちが望むことを教えて欲しい」

 

 こうして話して、認識の違いがある事を知った。

 ここ数日、木乃香達のクラスメイトが来ていたのは、俺という人物を図っていたのかもしれない。

 

 彼女達のクラスメイトが沢山来たが、それぞれが俺やその周囲の印象を確かめていたように思える。

 本当に友人思いの娘達じゃないか。

 

 腹芸とか出来ない娘達も居るが、中にはそういう事が得意な部類の娘達も居る。

 長瀬楓とかは特に相手の心理をなぞるのはできそうだ。

 

「俺は今まで、二人があの島の二人じゃないと分かってから、心情を考えて俺との関りは最低限になる様に動いてた。俺と木乃香と刹那だけの状況……今のような状況になるのを避けていた」

 

 今日みたいな状況は出来る限り避けていた。

 小猫やゆかりさん、フェイトやアーシアが居る様に調整していたし、俺自身が外出したりすることもあった。

 

 当初は関わるというか視界に入る事も避けていたが、木乃香達からの接触が多かったこともあり、改めたのだ。

 

「ウチは、避けられてたのは分かっとった。けど、それを認めたくなくて……色々と皆に手伝ってもらって……だけど、それ以上が出来なくて……」

 

「私も避けられているのに気づいてはいました。ただ、キョウジさんの性格だと私達に気を使っているものだと分かっていたから、半ばあきらめてて……」

 

 こうして聞くと、大分心に負担をかけてたのだと分かる。

 独り善がりになっていたのだと改めて自覚する。

 

 あの島で生活していて、小猫達とのコミュニケーションしかしてこなかったし、元々出不精のコミュ障だったのだ。

 今更になってその弊害が出たのだろう。

 

「それで、せっちゃんと相談して……ウチ等の思いを伝えようって……」

 

「はい、なので小猫さんに相談して今日の場所を用意してもらいました」

 

 ……ああ、小猫達にも心配をかけてしまったのか。

 今考えると、露骨だったのかもしれない。

 

 それでも指摘してこなかったのは、木乃香達の行動を信じていたのかな。

 やれやれ、年長者として情けなさすぎるなホント。

 

「そうか、悪かった。今まで露骨だった……木乃香や刹那の意見も聞かずに勝手だった」

 

 素直に頭を下げる。

 これは俺が悪いのだ。

 

 彼女達はまだ中学生だ。

 そう思って、勝手に自分の理想を押し付けてしまっていた。

 

 だけど、自分で考えて行動しているのだ。

 いくら若いからと言って……いや、若いからこそ俺は彼女たちの意見に耳を傾けるべきだった。

 

「ええんよ。キョウジさんはまとめ役やったし、ウチ等を守ろうとしてくれたんよね?」

 

「私達も、キョウジさんに相談できませんでした……。察してもらおうなんて、勝手でした」

 

 ガシッと木乃香が左側の肩と腕に絡める様にして抱き着いてくる。

 それにワンテンポ遅れて刹那が逆側に抱き着いてきた。

 

「……あれ? 何の真似だ」

 

「沢山相談したんよ? おじいちゃんにも、アスナにも、図書委員会のみんなにも、いっぱいいっぱい相談して、せっちゃんと一緒にたくさんたくさん悩んで……」

 

 ギュッと抱き着かれている腕に込められている力が強くなる。

 成長期の胸が腕に押し付けられて、緊張してしまう。

 

「それで決めたんです。あの島の私達にはなれませんが、私達なりの方法で貴方の隣に居られるようになろうって……」

 

 刹那にもホールドした腕を両手で固定しつつ、太ももで手を挟まれる。

 引き締まっている中に女の子特有の柔らかさを感じ、それがスパッツ越しに俺の右手を包み込んでいる。

 

 ああ、彼女たちなりのアプローチなのか。

 木乃香なりの勇気だし、刹那なりの甘えなのかもしれない。

 

 こんな所で二人の面影を見る事になるとは思わなかった。

 限りなく近い他人だと勝手に思っていたけど、そうじゃないんだ。

 可能性の一つってだけだ。

 

「せやから……」

 

「ですから……」

 

 ステレオで両耳に囁かれるように、二人がズイッと身体を乗り出す。

 その言葉は決意の感情が乗っている。

 

 二人とも恥ずかしそうにしているけど、それでも両手をしっかりと固定している彼女達の意思がこもっている。

 

「「ウチ等を超えて見せるから、覚悟しとき!」」

 

 やっぱり、勝てないな。

 木乃香も刹那もこの世界に来ても、別人になっても、敵わない。

 

 彼女たちの青春の一部になるか、俺の覚悟が問われるか、今の俺にはわからない。

 だけど、今の彼女達を見ると覚悟、キメ時だと心に刻んだ。

 




 いかがだったでしょうか?

 外伝も三作品目になりました。
 ある程度予測されている人も居ると思いますが、外伝の作品順番がキャラの参加順で書いています。

 本編も風呂敷を畳み始めなければならない所まで来ていますので、お待ちいただければと思います。

 よろしければ、評価や感想を頂ければ幸いです。
 それでは~。


-5/31追記-
 明記できていませんでしたが、束さんも来てはいます。
 ただ、キョウジ君達が認識する前だったので、合流していない形になっています。

 多分、ネギま世界のどこかで暴れるのかもしれません。


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28 無人島の畑事情

 どうも、外食を久しぶりにしたオルカです。

 徐々に経済活動も再開されてきて、じっくりと外食を楽しんできました。

 美味しかったです。

 さてさて、そろそろ話しの進展が近くなってきました。

 どうぞお楽しみください。


 第一から第六まである手製の畑。

 疫病防止と交配の試験で畑同士は離しているし、収穫状況も安定している。

 

 採取以上にこの島で食料を得る重要な拠点だ。

 

「第三畑のジャガイモの生育は成功だと思います」

 

 ゆかりさんから籠に入った大量のジャガイモを渡される。

 元々の芋よりも小振りにはなったが、それ以上に大量の実を付けている。

 差し引きで言えば、余裕でプラスになる。

 

「確か、第三は果物系が多い畑だったか」

 

「はい、あと先日持ってきてくれた胡椒は第六に移し植えてあります」

 

 もし、第三の芋が安定しているようなら、他の畑にも移して生産性を上げよう。

 ただ、全部に植えると疫病対策にならない。

 三つ分の畑で生産できれば十分かな。

 

「第七を作った方が良いかな?」

 

「人も増えてきましたし、問題無いかと思いますよ。ただ、肥料の生産がギリギリになるかもしれません」

 

 生ごみや刈り取った雑草をしっかりと混ぜて発酵させる。

 その他に、砕いた貝殻を土に混ぜる方法もある。

 

 ただ、貝はセメントなんかを作るのにも必要な素材だ。

 それに生ごみを利用した堆肥は完成するのに長い時間を要する。

 

 本来ならそういう菌を集めて商品化した物も外の世界には有るのだが、一から今は作るしかない。

 

「畑の土、第一から第六まで少しずつ集めればスタート自体は直ぐだと思いますが、継続となると連作障害が心配です」

 

「連作障害はコントロールが難しいからなぁ」

 

 連作障害とは、同じ場所で作物を育てると収穫量が減ったり、病気になったりする現象だ。

 原因としては、同じ作物を同じ場所で何度も育成すると土の養分バランスが崩れてしまうからとされている。

 

 それを防ぐ為に、土に肥料という栄養を加えたり、作物を植える場所を変えてその土地を休ませたりする。

 休ませている間に、雑草が生えて枯れてを繰り返し、ミミズが土を耕す。

 

 ウチはそれぞれの畑を三区画に分けて、栽培区画・休耕区画・準備区画としている。

 栽培区画が文字通り作物を育てている場所。

 休耕区画が肥料を混ぜ込んで休ませる場所。

 準備区画が生い茂っている雑草を排除して栽培に向けて耕している場所。

 

 その三区画を一つの畑として第一畑としている。

 

「とりあえず、第七畑は保留として第三畑のジャガイモは様子を見て徐々に切り替えていこう」

 

「でしたら、第四畑を総入れ替えしましょう。あそこは実りが一番悪いですから」

 

 第四は北東に作った畑だった。

 雨季の影響をかなり受ける土地だから移転させて、跡地を小規模な実験用の場所にしても良いか?

 

「せやったら、北西側に移転させてもええんやない? 西側もある程度は探索済んでるし」

 

 かご一杯のジャガイモを運んでいる木乃香。

 ゆかりさんと木乃香、アーシアが収穫の指揮を任されている。

 

 収穫時期に三人がそれぞれメインで管理している畑から収穫するのだが、それを俺達が手伝う形になる。

 今回も第三畑の管理を任せているゆかりさんの依頼で収穫をしている。

 

 第三と第四をゆかりさんが、第五と第六を木乃香が、第一と第二をアーシアが管理している。

 

「ちょっと遠くなりませんか? 第四となるとゆかりさんの管理ですから、ご負担が……」

 

「アーシアちゃんの言うとおりやえ? ゆかりさん採取には出とらんけど、拠点周りのお仕事全部やってるやろ?」

 

 管理している畑を変えるという選択肢は取りたくない。

 どんな肥料をどの頻度で与えていたか、雑草の処理の頻度、休耕地にしている場所の管理状況等々、その人の個性が強く出てくるのだ。

 

 俺以外だと島の滞在歴が長いのが小猫だ。

 しかし、小猫が外回り班を取りまとめているのに対し、ゆかりさんが拠点周りの作業を取りまとめている。

 

 小猫に比べて、ゆかりさんの戦闘能力や体力面を考慮した配置ではあるのだが、拠点周りの作業というのが採取と比べて多い。

 ゆかりさんの負担がかなり多いのだ。

 

「それ以上にマスターの負担が強いんですよ。採取の指揮に拠点の老化具合の確認、その復旧活動に、新しい道具の開発。消耗品の補充なんかも全部取りまとめてます」

 

 それでも大半を小猫とゆかりさんが担当してくれているからだいぶ楽になっているんだけどな。

 畑の管理は拠点組がほとんど受け持ってくれていて、定期巡回ぐらいしかやる事も無いので、皆の負担も増えていると思うのだけれど。

 

「そこ、私達の負担が増えて楽になっているとか思っていますね! マスターの負担はまだまだ高いんですよ! 私達一人一人を十とするなら、マスターは八十はまだありますからね!」

 

 ビシッと指を向けて、ゆかりさんに釘を刺される。

 それでもここに流れ着いた頃に比べて格段に楽になったんだけど。

 

 何しろ最初は全部一人でやらざるを得なかった。

 それに比べればかなり余裕が出ている。

 

 しかも、人数が増えて来て食糧の消費が増えたが、それ以上に供給がされるようになり、かなりの余裕がある。

 保存食だけじゃなく、毛皮なんかも処理が楽で速い。

 

「人数が増えていく上で分業は大切です。マスターは昼寝ができるぐらいには仕事を割り振る事です」

 

「だけど、さっきの話で俺の負担が八十くらいな訳だろ? 小猫とゆかりさんの負担をそれぞれ二十ぐらいとして、木乃香と刹那やアーシアとフェイトでそれぞれ十とすれば……」

 

「合計八十でウチ等六人の負担と同じ負担を一人で背負っとるんよ? むしろキョウジさんは負担ゼロの日を作らんと倒れてまいそうやん」

 

 ぐぬ……。

 そう言われてしまうと、何も言い返せない。

 

 自分は仕事を減らされている立場なので、負担云々という部分は自覚し辛いのだろう。

 全体の作業から、小猫とゆかりさんに少しずつ割り振っていた。

 そこから、木乃香や刹那達に同様の技能を教えている状況だ。

 

「マスターが全員に教える必要はないですよ。ゆかりさんに教えてくれれば、拠点組に順次展開していきますし、同じことを採取組でもできます」

 

 それはそれで、小猫とゆかりさんの負担が増えるだろう。

 ただでさえ、二人には採取組と拠点組の監督的な役割を任せているのだから。

 

「言っておきますが、私達の負担の事を考えているなら的外れです。……これは小猫さんと協力して説得しなきゃならないですね」

 

 そう言ったゆかりさんと賛同するように彼女の背後で頷いている木乃香とアーシア。

 あれ? なんかお説教の流れか?

 

 

 幾つか仕事を振り分ける事で許された。

 

 

***********************************

 

 

 おにいさんへのお説教が済んだ後、そのままいつもの小屋に連れ込んで抱いてもらっている。

 大まかな周期を計算して、ゆかりさんが当番表の様なモノを作ってくれた。

 発作の起きた娘優先で入れ替えられるようにしていて、後は最後に発作の起きた娘達を順番に割り当てている。

 おにいさんのお休みは適宜入れるようにしていて、発作の周期管理と関係ない状態で抱かれた際の発作の発動条件を管理している。

 

 ゆかりさん発案で、おにいさんには内密になっている女性陣のトップシークレットです。

 ですが、おにいさんはある程度予想してるようで、生理周期や発作の有無から当番表に近い流れを導き出しています。

 

「膣が凄い熱いな。辛くないか?」

 

「ん……、大丈夫です。奥まで届いて、気持ちいいです」

 

 もうすっかり、おにいさんの形に慣れている私の膣内ですが、私の容姿ではおにいさんのオチンチンを奥まで挿れる事は難しい。

 子宮が下りてくるという状態で、子宮口を何度も擦る様に刺激してくる。

 

 ポルチオ性感は子宮口の正面ではなく、その周囲になります。

 私がおにいさんのモノを全部受け入れる事が出来る時は、子宮まで受け入れた時だけ。

 以前におにいさんの全力を受けた時に、後半はそういう状態で多幸感がものすごかったことを覚えています。

 

 私自身、こうして抱かれている時以外にも猫の耳や尻尾を出しっぱなしにすることが多くなっていて、理由としては楽だから。

 おにいさん達はそれで差別する様な人達じゃないですし、

 

「う……くっ……」

 

 ジュンっと自分の膣が熱と湿り気が増えるのを感じた。

 甘い痺れと、幸福感が湧き上がってくる。

 

 ゾワゾワと下腹部から広がる鳥肌と快感が全身に回る。

 そして、おにいさんがゆっくりと出し入れをしながら愛撫をしっかりとしてくれる。

 

 尻尾の付け根がとても気持ち良くて、手を添えられると尻尾から背中を駆け上る様な快感を受ける。

 

「苦しいか? あまり負担になるなら言ってくれよ」

 

 おにいさんがそう言って、グイっと胸に抱き込む。

 丁度、おにいさんの匂いが鼻腔をくすぐる。

 

 ああ……、圧倒的な雄の匂いだ。

 元々スイッチの入っていた身体に、火が付いたような感覚。

 

 死地をくぐり抜けて、己の力で生き抜いた雄の匂い。

 多くの雌を抱いてそれでも尚、枯れない精力。

 雌を魅了するフェロモンが、おにいさんからは大量に出ています。

 

「大丈夫です……。でも、もっとおにいさんの匂いで包んでください」

 

 身体を丸める様にして、おにいさんの腕の中に納まる。

 脚でおにいさんの腰を挟み込むようにして固定して、背を丸める様にして胸板に額を当てる。

 

 私の身体とおにいさんの身体の間で濃くなっていく匂い。

 二人の身体に灯った情欲の熱が更に汗となり、フェロモンとなって留まっている。

 膣がさらに熱を帯び、それに負けない程の熱さをおにいさんのオチンチンから感じる。

 

「小猫の匂い……とっても興奮する」

 

 おにいさんの言葉に思わず全身が雷に打たれたのではないかと言う程の衝撃を受けました。

 この人は、私やゆかりさん達の性癖に合わせて付き合ってくれます。

 私達が悦ぶ事を率先してやってくれますし、満足するまで相手をしてくれます。

 

 ただ、おにいさんの趣向は限りなくノーマルに近い。

 いや、私達の趣向を察してそれに合わせてくれる辺り、サービス精神はとても高い。

 

 私達の弱点を的確に責めてくれるけど、私の場合はおにいさんの匂いが好きなので、言葉での責めは少ない。

 なのに、私の匂いを興奮するって言ってくれた。

 

 それを嬉しいって思うし、なんなら軽く絶頂したかもしれない程の快感が走った。

 おにいさん程に相手に合わせられる能力はもはや才能だと思っていて、そう言う人の真意は分かり辛い。

 隠されて、気付ける自信が無い。

 

 だけど、初めて私の匂いを嗅いで、興奮すると言ってくれた。

 演技じゃないとなぜか思えた。

 私がおにいさんを興奮させたと実感できた。

 

「ん? 更に熱くなったな。もっと楽しもうか」

 

 グイっと抱き込まれるようにして、おにいさんの腕が私を引き寄せられた。

 強い匂いとぬくもりに包まれて、おにいさんの吐息が耳元に当たる。

 

 髪の匂いやうなじの匂いを楽しんでいる。

 恥ずかしい気持ちと、私の匂いがおにいさんを興奮させていると感じられてまた身体の熱が全身を火照らせた。

 

 今日は……朝までコースでしょうかね?

 キュンキュンと下腹部が、おにいさんを求めている感覚。

 

 おにいさんの働き過ぎを止めようとしていますが、こっちの方の負担は減らないでしょうし、理想としては普通の仕事を3、床での行為を7ぐらいの割合に調整したい。

 

 明日にでもゆかりさん達と相談しましょう。

 

 

***********************************

 

 

「ふむふむ、キョウ君はハーレム趣向かと思ったけど、責任感が強いだけかな? 相手に合わせて責め方に変化を付けつつ、満足させて要るっぽいなぁ」

 

 眼前のモニターに映し出されている光景は、白っぽい印象を受ける小柄な女の子。

 その娘が、対面座位でキョウ君と抱き合っている。

 

 キョウ君からの情報だと、キョウ君の次にこの島に来た娘で一番長くこの島の果実の影響を受けている女の子という話だ。

 

 カタカタと目の前のキーボードを操作すると画面が切り替わる。

 東の群生地帯の映像。

 

 ドローンを飛ばして件の果物を撮影し、その周辺での動植物の観察も行っている。

 その結果が……。

 

「東周辺の動物がサカっている形跡が無いんだよねえ」

 

 特殊な環境下の生態系だから、西側と同じだとは思ってなかったけど、異常に住んでいる動物が少ない。

 

 その中で共通しているのが鳥類。

 この島全体にほぼ均等に分布していて、何匹かにマーカーを打ち込んでいるけど、行動範囲も島全域だった。

 

 そして鳥はあの果実を食べているが、繁殖に及ぶ確率に変化は無い。

 相関関係に無いと言えるのだ。

 

「人間にだけ効果のある媚薬? そんな成分が自然界に偶然生まれる訳ないよね?」

 

 品種改良? 遺伝子操作?

 いずれにしても、現物を手に入れてからの実験しないと分からない。

 

 現在、運搬機能搭載のドローンも数機が完成。

 各地のサンプルも順調に集まっている。

 

「キョウ君からいくつか注意事項も言われてるし、そろそろサンプルとして欲しいなぁ」

 

 ゴム手袋やマスクなんかの必要資材もキョウ君側の漂着物の中に多くあるから沢山貰ったし、私からは鉄で作った農具を一式プレゼントした。

 

 準備も整ったし、例の果実を採取する事にしようかな。

 設備も整ってきたし、解析にタスクを回そう。

 

 それに、魔法という文化。

 キョウ君の口ぶりだと、キョウ君の陣営の魔法系統は三種類。

 見た感じ、金髪オッパイの魔法系統が私と相性が良さそうな感じかな?

 

 その次が小さい金髪の娘で、最後が黒髪の二人。

 研究できれば、もしかしたらこの島の事も調べられる気がする。

 特に、金髪オッパイの魔法はこの島で北の山からの妨害が有るって話だしね。

 

 妨害されるという事は、関連性があるという事。

 こっちの方も調査は必要かな?

 




 いかがだったでしょうか?

 束さんの強化じゃないですが、新たなる知識を得るフラグ。
 そして迫る束さんのエロシーンフラグ。

 束さんファンの方は少々お待ちください。

 それでは、楽しんで頂けたら評価と感想をよろしくお願いいたします。


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29 無人島で食事を楽しむ

 どうも、件の病気でだいぶ勤務に変化が出ているオルカです。

 最近は朝のラッシュも戻りつつありますが、まだまだピーク時には程遠いですね。

 さて、エロもそれなりに良いものが出来たように感じます。
 皆様のお好みに合えばよいですが。

 それでは、お楽しみください。


 篠ノ之束との取引が可能になった状態は、無人島での生活を飛躍的に便利にしてくれた。

 小猫がある程度鉄板を整形できるとはいえ、農具や調理器具をきちんと成形された状態で手に入れられるのは大きい。

 

 例えば包丁は、小猫がある程度折り畳んだ後に俺が叩いて包丁の形に整形していた。

 鍋だって鉄板を岩の窪みを利用して整形していた。

 取っ手だって付いていなかったし、形が歪だから変な所からこぼれ出したりしていた。

 

 束さんから貰った調理器具は、形がしっかりしていて厚さも均一。

 取っ手も付いているし、使っていてとても楽だ。

 

「動物性の油って残ってた?」

 

 動物性と植物性の油。

 読んで字の如く、動物と植物から採れる油の事なのだが、採取の容易さが違う。

 

 動物性の油は、採取した野生動物の脂身から抽出する。

 利点として抽出が容易である事と、常温で固形になる事が多い為、料理以外に蝋燭等に利用できる。

 欠点として、味に癖がある事と、保存と消費量が釣り合わない事がある為、油自体が痛んでしまう事がある。

 

 植物性は、植物の種等から抽出する油だ。

 利点として保存がしやすい事と、料理では癖が少ない為、万能で使う事ができる。

 欠点として、抽出が非常に困難で手間がかかる事と、種を潰す事になる為、量が用意できない事だろう。

 

「瓶半分ぐらい残ってました。木乃香さんに抽出してもらいますね」

 

 隣で野菜を刻んでいたゆかりさん。

 調理器具を変えてからの調理時間は圧倒的に短縮されている。

 

 先日の俺の働き過ぎの件以降、木乃香やアーシアの仕事を意図的に振り分けるようになった。

 主にゆかりさんの差配なんだが……。

 

「マスターは……、やっぱり仕事を振るとか差配するとかが苦手みたいですね」

 

 自覚があるだけに言い返せない。

 この島に来る前は社畜だったが、ブラック企業では振られる仕事をこなすだけだった。

 部下も居たが、仕事を振る余裕も無く、部下も多くの仕事を抱えていた為、仕事を振り分けるという事が出来なかった。

 

「あ、スープはウチが作ってるんよ~。キョウジさんは座って待っててな?」

 

「え? いや、焼きとかもあるだろうし……」

 

「マスター? それの実地研修も兼ねてですから、しっかりと私が見ていますから……ね?」

 

 ゆかりさんから笑顔で凄まれた。

 これは引き下がらないと先日の二の舞になると分かる。

 

 食事の準備は結構な大仕事だ。

 七人分の食事量は相当なものだし、食事が終わった後の洗い物も重労働。

 

 手伝いたいと思うのだけど、俺の後ろでゆかりさんや小猫からジト目でにらまれてる。

 木乃香やアーシアは眉をハの字にして苦笑い、刹那とフェイトは当然だとばかりに頷いていた。

 

 包囲網が完成している状態で、抵抗しても仕方が無い。

 大人しく食卓につくことにする。

 

「まったく、おにいさんは……。働くことは大事ですが、七人も居るのですし仕事を振り分けるのも大事です」

 

 食卓は、最初こそ丁度いい形の岩を使っていたが、木乃香達が来た辺りから小猫が巨大な鉄板を成形して、円卓状の食卓を作ってくれた。

 錆を削ったり、油を塗って錆を防いだりしていたが、先日に束からペンキを貰ったので塗って大分ケアが楽になった。

 

「気を付けているつもりなんだが……」

 

「ダウトやえ? 篠ノ之博士の所に行く道にレンガ敷き詰めようとしとるやろ? 素材集めから作成までほぼ一人やん?」

 

 ギクッと身体が固まる。

 束さんの拠点までの道のりは、西側でも比較的マシな道のりではあるのだ。

 しかし、頻繁に行き来するには険しい道のりである。

 

 なので、レンガを使いある程度の道のりを舗装しようと考えたのだ。

 舗装と言ってもガチガチに終始レンガを敷き詰めるのではなく、要所要所で道を補強する為の舗装だ。

 

「いや、確かに素材は集めてるけど……」

 

「別にええんよ? キョウジさんは必要やと思って動いてるし、ウチ等に負担かけんようにって考えとるんも分かっとる」

 

 出来上がった料理を配膳しながら、ニコニコと話している。

 というか、木乃香が知っているという事は小猫もゆかりさんも知ってるって事じゃないか。

 

「でも、手が空いたからってすぐに仕事を入れるんは、あかんえ? 休んでもらいたいのに、休んでくれんのは……心配やし、悲しいわ」

 

 ぬぅ。

 悲しそうな声色と表情に罪悪感がつのる。

 こうなっている時点で俺に勝ち目は無いのだ。

 

「わかった、今後は何かする前に全体で話し合いにするようにするから」

 

 両手を上げて降参のポーズ。

 俺が女の子が悲しんでいたり、泣いている姿がダメなのを把握されている。

 

 俺の言葉を聞いて、満足げに木乃香が微笑むと皆の前に料理を配っていく。

 野菜たっぷりのスープに、串打ちされた肉。

 

「お? このスープ味が濃いですね」

 

「これなぁ、串打ちの肉の骨を出汁に使うとるんよ」

 

 骨から旨味なんかの出汁が出る事は知られている。

 鶏ガラスープ、鶏白湯は同じ鶏ガラを使うが、煮出す時の火力で変わって来る。

 豚骨は有名だし、イノシシの骨を使うスープもある。

 

 魚もアラ汁や潮汁なんかが知られるが、良質な出汁が取れる。

 調味料の調達が限定的な現状において、旨味や濃さなんかの部分の補強は出汁が決め手になる。

 

「おお、これは旨いな。イノシシの骨か?」

 

「そやえ。砕いて三回ぐらい水を足しながら煮出したんよ」

 

 どおりで濃い訳だ。

 旨味成分のアミノ酸系統が多く、ミネラルやコラーゲンなんかも豊富。

 そこに野菜の旨味も加わって、高い栄養を持つスープに仕上がっている。

 あえて野菜のみにして全体のバランスをとっている。

 

 串焼きも七人分の量となると大量だ。

 基本的に塩胡椒での味付けで、炭火でじっくりと焼き上げている。

 表面がカリッと焼き上がり、中身は噛めば噛む程に肉汁があふれ出てくる。

 

「麺のレシピも覚えていますが、材料が無い事にはどうにもできませんからね」

 

 残念そうなゆかりさんの言葉に全員頷く。

 このイノシシの骨スープはラーメンに良さそうだ。

 

 小麦粉自体は代用が無い訳じゃない。

 卵も採取自体は出来る。

 ただ、重曹は手に入れられない。

 

 どうやら海水から抽出できるという事も知っているが、方法が分からない。

 束さんなら出来るだろうが、余り頼り過ぎるのも良くない。

 

 うどん麺のようなものなら出来るが……。

 やっぱり、豚骨のようなスープには中華麺が合う。

 

「重曹がなぁ……苛性ソーダがあれば海水から抽出できるらしいんだが……」

 

「良く知ってますねマスター」

 

「知ってても意味の無い知識の一つだよ」

 

 耐熱煉瓦や醤油の製法なんかもそう言った知識の一つだ。

 どれも手に入らない材料が必要なものだ。

 

 多くの知識の中から必要なものを抽出する。

 趣味の動画漁りだったり、知識の収集が功を奏している。

 

「それでも、おにいさんの知識や経験に私達は助けられてるんですよ?」

 

 小猫の言葉に全員が頷く。

 その反応が嬉しく、思わず口元が緩むのを感じる。

 

 美味しい料理と仲間。

 良い時間だ。

 

 

***********************************

 

 

 中間拠点は基本的に遠征の際の宿泊道具や、遠征組の宿泊場所として機能している。

 特に採取班がよく利用していて、遠征組に編成される拠点班は利用頻度が少ない。

 

「はい、キョウジさん! こちらにかけて下さい。私、頑張ります!!」

 

 ムンッと気合を入れているアーシア。

 中間拠点の下に立ててある倉庫代わりの場所で双方全裸だ。

 

 頬が紅潮していて、興奮と羞恥が半々……いや、七三で羞恥が勝っているといった印象。

 胸は先端がピンッと立っていて、股間からは静かに愛液が垂れている。

 ガッツポーズのようなポーズで少し手や足に震えが見える。

 

「ああ……えっと、今回も……?」

 

「はい! お任せください!」

 

 元気に答えてくれるアーシア。

 彼女は俺に責めさせてくれない、いわゆる奉仕が好きな娘だ。

 

 腰かけた状態で、俺の片膝を跨ぐようにして座り込む。

 太ももに彼女のマンコの感触がダイレクトに伝わってくる。

 

 既にしっとりと濡れていて、ギュッと俺の太ももを彼女の太ももが挟む感覚。

 横には真っ赤になっているアーシアの顔が見える。

 

「えっと……よろしく……お願いします……」

 

 そう言って俺の頭を抱き込む様にしてキスをしてくれる。

 舌を絡ませて、薄っすらと開けている眼が合う。

 

 すると更に身体が震えて、より一層情熱的な舌使いをしてくれる。

 俺は両手を頭と腰に置いて、アーシアは両手を後頭部と首筋に、腰はゆっくりと俺の太ももに擦り付けている。

 

 ジワジワと俺の太ももが愛液で濡れてくる。

 元々かなり硬くなっていた俺のムスコだが、一連のやり取りで既に脈打つ程に血が集まっている。

 

「んぅ……、ぁむ……レロ……ちゅる……」

 

 舌を絡ませ、唇をついばみ、唾液を啜る様にして、アーシアと俺は高ぶっていく。

 気づくと俺の太ももの愛液はふくらはぎまで垂れていて、最初こそ遠慮がちだった腰の動きが早くなっている。

 

 徐々に身体が密着し、彼女の控えめな胸も俺の胸板に押しあたって感触を伝えてくる。

 そこを意識し始めると、アーシアは積極的に身体を密着させて、全身の感触を伝えてきた。

 

「っはぁ……気持ち良かったですか?」

 

 唇が離れ、互いに酸素を取り込む。

 アーシアがそう言いながら、俺の股間に視線を移す。

 ピクッと肩が跳ねたのが見えた。

 

 たぶん、まだ慣れてないのかもしれない。

 最初は声にも出ていたから、だいぶ慣れてきたのかもしれないが……。

 

「次は、直接気持ち良くします……」

 

 そう言うと直ぐに俺の股の間に移動すると、いきなり咥えるのではなく、両手で優しく擦り始めた。

 上目遣いで俺の反応を伺いつつ、強弱をつけて俺を気持ちよくさせようと頑張っている。

 

 しかし、不慣れな手つきが可愛く感じるも、刺激が弱い。

 気持ち良くしてくれているし、確実に絶頂へ近付いているのは感じるが、寸止めとも違うもどかしい感覚がある。

 

「んぁ……」

 

 突然、アーシアが口を開けてそのままムスコを口に入れてしまった。

 あまりに突然で驚いていると、元々もどかしい刺激だったのが、ハッキリとした刺激に変化し、直ぐに射精してしまう。

 

「ぐぅ……っ!?」

 

「!?」

 

 射精に震える股間を丁寧に、そして何度も口の中で精液を飲み込みながら愛撫し続けている。

 尿道に残っている精液すらもしっかりと吸い出され、丁寧に亀頭の周りを舌が這う。

 

「ん……はぁ……ろうれふか(どうですか)? ひもひひょはっはれふは(気持ち良かったですか)?」

 

 口を開けたまま、舌を出して口の中に精液が残っていない事を見せてくる。

 テラテラと艶めかしい舌と口内、無意識なのだろう出ている舌が時折うねうねと動く様は扇情的だった。

 

 精液を飲んでくれたという事と、目の前のとてもいやらしい光景に自分のムスコも再び硬度を取り戻してくるのを感じる。

 

「あ……、次は膣内で気持ち良くなってください」

 

 座ったまま、対面座位の姿勢でアーシアは腰を下ろした。

 まだ、挿入されていない。

 反り返った股間と身体の間に自身を滑り込ませるように入ってきて、彼女のお尻の割れ目にムスコが当たっているのを感じた。

 

 そのまま腰を浮かせ、俺の股間に手を当て、位置を調整しながら彼女の膣内に入る角度へ調整している。

 

「ん……ふ……ぅん」

 

 十分以上に濡れている膣内に殆ど抵抗も無く呑み込まれていく。

 少し進むだけで亀頭を包む様に締め付け、更に硬さが増していくのを感じた。

 

「すごく気持ちいいよ、アーシア」

 

 こうして感想を言ってあげると、更に膣内に愛液が溢れ、締め付けが強くなる。

 ピクンピクンッと腰が跳ねて、彼女自身がとても気持ちよさそうな反応を視る事が出来るのだ。

 

「キョウジ……さんも……いっぱい気持ち良く……なってください……」

 

 膣奥まで届いた状態で、俺の首に腕を回した彼女は、蕩けたような笑みを俺に向けた。

 股間にはまるで痙攣しているかのように締め付けてくる感覚があり、彼女の背中を支えている手のひらにも震えが伝わってくる。

 

 あれ? もしかして絶頂から降りて来れなくなってる感じかこれ?

 

 

***********************************

 

 

 カタカタとキーボードをタイプする音と人口の光が充満している部屋。

 モシャモシャと咀嚼音が時折入ってくる。

 

「うーん、キョウ君が持ってきてくれる保存食だと物足りなくなって来たなぁ」

 

 定期的に交流に来るキョウジは土産として、保存食や保存のできる料理を置いていく。

 束からすると奥の部屋には冷蔵庫擬きもある為、大抵の料理なら保存は出来る状況だ。

 

「この束さんがこの場所で出来る全ての検査をして、栄養価の高い果物という結果……」

 

 モニターから顔を上げて視線を横にズラすと、東の森で群生している果実。

 ガラスの中に液体と共に漬けられていて、その後ろの壁には幾つもの計算式と、結果が書かれている。

 

 含まれている成分とそこから推測される味や食感。

 そしてキョウジ達が証言している媚薬成分は確認できなかったという事実。

 

「正直、嘘かとも思ったけど……」

 

 そうつぶやくと、視線を果実からモニターに戻す。

 そこには、何度目なのか分からないキョウジの情事が映し出されている。

 相手の金髪の少女は息も絶え絶えだが、まるで取りつかれた様に彼を求めていた。

 

 異常な光景。

 女性側も不慣れなはずだし、キョウジ自身も十発以上は出しているはずだ。

 精液量も物理的にあり得ない量を出している。

 

「嘘では片づけられない現象が目の前にある以上、成分以外の観点を探す必要があるんだよねぇ」

 

 いくつもの計算式と栄養素が書かれている壁。

 そこに丸で囲まれた単語を束は目に収めた。

 

 『魔法』。

 束の出身世界には存在していなかった概念。

 キョウジがまとめている拠点には魔法という概念のある世界出身者が多い。

 

 キョウジ本人は魔法の概念は無い世界の出身だ。

 しかし、束や彼の周囲の人間はキョウジにとって、物語の登場人物としての知識がある。

 この島で得られるであろう知識以上の魔法体系を知っているだろう。

 

「束さんが出来る事は殆どやっちゃったんだけど……」

 

 彼女の目には、果実を運んでいたドローンを操作する画面。

 ドローンに付いたカメラには、件の果実が異様に釣り下がっている光景が映し出されている。

 

 一年を通して実り続ける異質な光景。

 植物の概念を今一度考えさせられる。

 

「キョウ君が来るのは……中間拠点に居るし二日後ぐらいかな?」

 

 別のモニターに映し出されているキョウジの情事は、彼からの情報に有った中間地点に建てられた拠点。

 そこでの行為ならば、明日に出発してから明後日の昼には到着する。

 

「私は細胞レベルでハイスペックだし、どんな違いが出るかも検証しないとね」

 

 明日の夜ぐらいに実験をしようと決めて、必要な道具や場所の準備を始めた。

 




 いかがだったでしょうか?

 束さんがリーチです。
 初登場から四話も待たせてしましましたが、いよいよ彼女のシーンに取り掛かれます。

 魔法の概念を得た篠ノ之束。
 恐ろしいですが、ある意味で万能化しそうな予感。

 よろしければ、評価や感想を頂ければ幸いです。
 それでは~。


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30 無人島実験の結果

 どうも、気づいたらコーラが主食の日を過ごしたオルカです。
 朝起きて、お茶を飲んでからずっとコーラをチビチビと飲み続けて、1Lペットボトルを空けて気づく、「今日なにも食ってねぇ」。

 炭酸は胃が膨れるので空腹を感じにくくなります。
 皆さんは身体に悪いからやめましょう。


 さてさて、ここすき機能(仮)が実装されましたね。
 これは素晴らしいです。
 各話数でのUAとかは確認できるのですが、どの表現が気に入って頂けたかを確認できるのは書き手としてありがたいです。

 どんな表現が読み手の方に好まれているのか?
 自分が悩んだ部分はどうなのかなどが、目に見える形で表れますからモチベーションも上がります。

 そこから好まれている表現を多用していければ読み手としても良い形になると思います。
 私の作品でもぜひ、使用感を確かめる意味でも使ってみてはいかがでしょうか。

 それでは、どうぞお楽しみください。


 束さんの拠点までの道のりは安全だ。

 彼女が何かやったのか、ある程度の舗装がされており、その道には野生動物は近付かない。

 

 何回か来ている為、彼女の拠点までの途中で一泊するのだが、その一泊用のスペースも出来ている。

 束さんが俺以外の接触に難色を示しているという事もあり、一泊用スペースに俺以外のメンバーが待機することも多い。

 フェイトとかアーシア、小猫が稀に会ったりするが、それも予め次の訪問時に連れてくることを約束しての事だ。

 

 俺が束さんの所に行っている間、周囲の採取なんかを行ったり、獲物の解体を行ったりして待っていてくれる。

 今回は、アーシアとフェイトを連れてきている。

 

「束さん?」

 

 おかしい。

 いつもなら、声をかける前に「やぁやぁ、待ってたよキョウ君!」と拠点入り口前に立っていて中に招かれていた。

 

 今回はそれが無い。

 いや、それだけなら何かに集中しているという事もあり得る。

 

「入りますよ? 何かありましたか?」

 

 彼女が野生動物程度に負けるとは想像できない。

 以前、小石一つで鳥を撃ち落とした場面を見たことがあった。

 少し大きめの小石を投げて三羽落とした時は唖然としたものだ。

 「物理の簡単な応用だけど?」そう答えられた時は、FPSゲームが得意そうだなっと的外れな感想を抱いたものだ。

 名前を覚えて貰えているという点では、現状の関係が悪くない事はわかる。

 束さんとの情報交換と食料提供に対して、鉄系の加工品の提供や農薬の提供を擦る事が出来ている時点で、良好と判断できる。

 

「留守かな?」

 

 無音ではなく、拠点内に作られている様々な装置の起動音が鳴っている。

 しかし、人の気配は無い。

 

 彼女が何かに集中しているのであれば、小さいながらに独り言だったり、キーボードのタイプ音やメモをする音が聞こえてくるはずだ。

 しかし、聞こえてくる音は装置の起動音と周囲の木々から聞こえてくる風で葉が擦れる音。

 

 昼も過ぎてて、寝ているのかな?

 部屋の中は何度も入ったことがあるから良く分かる。

 いつも会談する場所には生活感が溢れていて、飲みかけの水が入ったコップが放置されている。

 

 壁には無数の計算式と何かの成分名。

 そこから、魔法という単語が丸で囲まれている。

 

 手前のガラス瓶に液体に漬けられたあの果実。

 以前、採取して成分分析をすると言っていたから注意事項を伝えた事を思い出す。

 

「もう分析まで終わらせたのか。書いている内容も特筆すべき結果が無かったという事か」

 

 成分名は分かるモノが一部、分からないものが殆ど……。

 ただ、成分に線の様なものが引かれては、バツ印が付けられている。

 可能性を抽出して、発情に関連性が無いとして消されている。

 

 そして、科学的検知では発情に関連する項目が無く、魔法という概念に可能性を見出した……と言った所だろうか?

 

「奥……行ってみるか」

 

 奥への通路には申し訳程度の暖簾のような布が垂れ下がっている。

 視界は通らないが、通るのに何の障害でもない程度のモノ。

 流石に眼帯を外して置いた方が良いだろう。視界の制限は外しておきたい。

 

 捲り上げる様にして中を覗くと、様々な装置が稼働しているのを確認できた。

 一つ一つ見る様にして見回すと、馴染み深いモニターとPCのセットのような物が設置されている一角が目に入る。

 

「モニターがつけっぱなし? 発電量も安定しないだろうに……」

 

 何かの演算をしているのかとモニターを覗いてみると、completeの文字が見える。

 すでに何らかの処理が完了しているという事だろう。

 

 デスク周りを見回すと、黒い石板に文字が掛かれているのを見つける。

 『キョウ君、まだカプセルから出ていなかったら開けてね♪』

 書かれている内容に苦笑してしまう。

 

 カプセルという単語に、やたらと存在感を放っている筒状の鉄塊。

 おそらくはこれの事だ。

 大人二人がギリギリ入れる大きさで、中を確認できる窓等は無い。

 

「『開』の字が彫られているボタン……これだな」

 

 開ける様にと書置きも貰っているし、PCの演算も終わっている。

 開けない選択肢は無いだろう。

 

 ピッと音と共にカプセルが開く。

 中には束さんが横たわっていた。

 

 ただ、カプセルが空いた瞬間に異常に濃い雌の匂いが部屋に充満した。

 服は普段から着ているフワッとした物だったが、異様に濡れて彼女の身体に張り付いている。

 別にカプセル内に液体は入っていない。

 全て彼女の汗と愛液だと理解するのに時間はかからなかった。

 

「束さん!? 何があったんですか!?」

 

 咄嗟の判断。

 この状況で正しい判断をするというのは難しい。

 カプセルの中に居て眠るような状態で出てきた。

 この状況だけで、意識が無いと判断してしまったのが悪かった。

 

 近づいてカプセルから出そうとした瞬間、そのまま服を掴まれてカプセルの中に組み敷かれてしまったのだった。

 

 

***********************************

 

 

 キョウ君がやってくる予定日の前日の夜。

 人体実験をすることにした。

 

 もし、未知の物質であっても私の身体が耐えられるのか、発情までのより正確な状態、脳波や体温何かをしっかりと記録に取れる環境。

 

 カプセル内に入り、果実を摂取し、センサーで私の身体の変化を記録する。

 何もなかったとしても微細な変化を記録できるし、私が発情したとしてもキョウ君が来るまで待てばいい。

 キョウ君はその程度には信頼を置いていた。

 

 誤算があったとすれば、果実の発情効果が異常なモノであったこと、カプセルに閉じこもったせいで自分の匂いに巻かれて意識が朦朧としてしまった事だろう。

 

「こ……レは……不味い……カナ?」

 

 真っ暗な状態で、自分で慰めても全く足りない。

 データをとる為とは言え、早まったかもしれない。

 だけど、データは取れている。

 

 一定時間経つまでは内側からは操作できないようにしてある。

 キョウ君達の証言から、理性が飛んでしまい、キョウ君達を襲う可能性があった為だ。

 

 時間が経って、症状が落ち着いてから出る事で対処できると思ったんだけどな。

 

……

 

…………

 

………………

 

 何時間経ったのか分からない。

 真っ暗な状態で、熱が全く収まらない。

 

 むしろ、徐々に徐々に強くなっている気がする。

 通常は、汗や尿などの老廃物と共に大抵の毒素は排出されるし、カプセルに入る前に大目に飲んだ水がそのまま排出されている状況。

 とうの昔に正常に戻っていておかしくはないし、そうでなくても症状が軽減されているはずだ。

 だが、現状はピンクの霧が頭にかかっているような感覚で、論理的な思考も大分できなくなってきている。

 

 孤独。

 真っ暗で音も機器の起動音しかしない。

 普段気にならない事が気になりだして、それが耐えられなくなってくる。

 

 ちーちゃんが居ない、いっくんが居ない、クーちゃんが居ない、箒ちゃんが居ない。

 寂しい、誰か私を見つけて……。

 私を見て、私を理解して、私を……アイシテ……。

 

「『開』の字が彫られているボタン……これだな」

 

 キョウ君の声。

 カチッという音と共に視界が開ける。

 

 外の空気が美味しい。

 澄んでいて、爽やかな感覚。

 

「束さん!? 何があったんですか!?」

 

 追い詰められた時に、人は助けてくれた相手に強い印象を抱くという。

 まさにそれだった。

 

 元々憎からず思っていた相手。

 そして、光と共に現れたシチュエーション。

 我慢できなかった。

 

「キョウ君、キテ……」

 

 グイっとキョウ君を掴んでそのまま抱き込む様に引っ張り込むと組み敷く様に跨る。

 シングルベッドより少し狭いぐらいで設計したカプセルで、完全に開いた状態でなら十分に行為が出来る。

 

 馬乗りになった状態だと、キョウ君の腹筋がちょうど股に来ていて、鍛えられていることが分かる。

 とりあえず、服は邪魔かな?

 

 

***********************************

 

 

 カプセルのベッドに組み敷かれ、馬乗り状態。

 悲しいかな、無人島生活で多少鍛えられているとはいえ、一瞬で組み敷かれるほどに束さんとの力量差は大きい。

 

 眼前には胸元の開いた服装の束さん。

 乳首が立っているのがはた目からでも分かるくらいにピンッと服の下から自己主張している。

 相変わらずノーブラなのか……。

 

「ンフフフ……。束さんのオッパイに釘付けだね? キョウ君が全部堪能してくれてもいいんだよ?」

 

 熱に浮かされながら、下から腕組みの様に胸を持ち上げる仕草。

 跳ね上がる様な弾力で、ギリギリ隠れていた彼女の胸の先端が露出する。

 初対面から分かっていたが、ノーブラ状態。

 ピンクの可愛い突起がピクピクと震えているのが見え、彼女の緊張が伝わってくるようだ。

 

「おっと、これからヤるって時に下は邪魔かな」

 

 そう言うとあっという間に脱がされてしまう。

 元々、厚手のズボンをベルト代わりの木の繊維を編んだヒモで結んでいただけだ。

 

 カプセルを開けた時の束さんの匂いと彼女のオッパイを見た為、ムスコは臨戦状態。

 あっという間に腹に再度馬乗りされてしまう。

 

 腹部にじんわりと温かい液体が染み込んでくる感覚。

 ジワジワとあっという間に腹部全体が濡れてしまった。

 

「ん? 気づいた? ……ジャーン!」

 

 馬乗りの状態で、長くヒラヒラしたスカートをたくし上げると、ノーパン状態で彼女の秘部が目に入った。

 まるで、彼女のオマンコが俺の腹に吸い付いてような、そんな光景にムスコは更に硬くなってしまう。

 

「エヘヘ、どう? 束さんのノーパン姿、貴重だよー? まぁ、それ以上の事をこれからするんだけどねー」

 

 そう言えば、拠点内を見て回ったが下着類が全く目に入らなかった。

 収納しているのだろうと勝手に考えていたが……束さん、ノーブラノーパン生活して居たのだと察してしまう。

 

 何度も会って、話して、ふざけたりしていた彼女は実は履いていなかった……。

 ヤバい、色々と興奮してしまう。

 

 下着は清潔を求められる衣服で、頻繁に洗濯することになる。

 洗濯機で洗う訳ではなく、硬めの樹を加工して洗濯板を作り、昔ながらの方法で洗っている。

 使っている洗剤だって、油から精製した石鹸。

 当然だが洗えば洗う程に衣服は傷むのだ。

 

 衣服などが多く流れ着く南側と違い、西側は船だったり精密機器の入ったコンテナだったりが流れ着く場所。

 束さんとしては良い場所かもしれないが、俺達みたいにファッションショーが出来るぐらいに衣服が手に入るわけではないから、早く痛む下着は早々に無くなってしまったのだろう。

 

「えへへ、キョウ君が興奮してる~。オチンチンが束さんのお尻をグイグイ押してくるよ」

 

 意識しているのか、お尻の割れ目を使ってムスコを軽く挟んでは刺激してくる。

 ロングスカートで互いの下半身が隠れるが、スカートをたくし上げている状態で、束さんの下半身がくねくねと動いているのが艶めかしい。

 

 腰が動く度に、腹筋に彼女の秘部が擦れる様だ。

 お尻で俺のムスコへ刺激を与え、一緒に俺の腹筋で自慰をしている。

 

 彼女の事だ。

 果実を食べるにしても、非常手段を講じてはいたのだろう。

 俺がこうして居るのがその手段の一つだったわけだ。

 

「束さん、果実を食べるにしても相談して欲しかったのだが……」

 

「いやー、束さん的には問題無かったんだけどね。人体実験しかやる事が無くなってさ、私しかいないから……ね?」

 

 ね、じゃないが……。

 軽い頭痛を覚えつつ、束さんの話で少し見える部分があった。

 篠ノ之束が調べて、食べても問題無いと判断したという事だ。

 それは謎をさらに深める結果になった形だろう。

 

 基本的に機械工学方面が専門なのだろうが、彼女は下手な生物学者が化学者よりも知識や発想が桁違いだ。

 それこそ、ジャンルに囚われない人間。

 

「よいしょっと……」

 

 そんな掛け声と共に俺の股間が温かい物に包まれ、ギュギュっと締めあげられる。

 完全な不意打ちで、慌てて下半身に力を入れて暴発を防いだ。

 

 処女膜を貫いた感覚も、膣の硬さも初体験であると分かる。

 しかし、束さんは何の感慨も無く、そのまま腰を下ろしてきた。

 

「……っ!? いきなり……だな……」

 

「いやぁ、こんな風に喋ってるけど、正直我慢できないんだよね。今すぐにキョウ君の全力を味わいたいぐらいの心境だよ」

 

 その言葉と同時に、グリグリと腰をグラインドさせて刺激してくる。

 スカートの前をたくし上げた状態で腰を動かしている姿がとても淫靡で、口の端から唾液を垂らしている彼女の表情が淫猥で、それが愛おしく思う。

 

 束さんは快感を享受して、更にそれを得ようと何度も何度も腰を動かす。

 何度もの叩きつけられる快感に耐えながら、彼女の反応を視る。

 

 快感を得ているようだが、性癖を刺激された程の反応は見られない。

 話からして昨日の夜ぐらいには、果実を口にしたとようだし、かなり辛い状況のはずだ。

 

「……肉体の……損傷による痛みを……上書きするほどの快感……。確かに、初体験でこれを味わったら……離れられないなぁ……」

 

 いや、まだ足りない。

 果実による発情はこの状態を続けても治まるが、次の発作までの周期が短くなるし、小猫達が言うには何かが燻っているような感覚が残るらしい。

 相手の性癖に合わせた行為を行えば、周期が長くなり、体調も普段よりも圧倒的に快活になるという。

 

 刹那は三日程この状態で耐えて理性を失ってしまったが、割と早い段階で彼女の性癖を刺激してあげられたお陰で大分早くに発作を治められた。

 

「でも、ドローンで見たプレイとは違う感じ? 気持ちいいんだけど……」

 

 なにより、束さんを満足させられないのは申し訳が立たない。

 男が俺しかいないこの島で他に選択肢がないとはいえ、俺に抱かれることを良しとしてくれた事には全身全霊で応えてあげなければ、俺の存在理由すら無くなってしまう気がする。

 

 だからよく観察するのだ。

 何を求めているのか、何が欲しいのか。

 

 突然の挿入で虚を突かれたが、これで束さんが性行為に価値を見出せなかったら俺の力不足なのだ。

 出来る限り、彼女には気持ち良くなってもらいたい。

 

「準備も何もしてないからだ。分かっていたけど、自由奔放だな」

 

「それが束さんだからね!」

 

 エッヘンッと胸を張る束さん。

 その仕草に、たわわな二つの果実が盛大に揺れ、こちらの劣情を刺激してくる。

 

 自由というか、勝手が過ぎるというか、それが篠ノ之束という人物なのだろうけど。

 彼女に最も似合わないのが協調性だとか、我慢という言葉なのだろうけど。

 

 ここ数か月で彼女と交流してきた身としては、今の篠ノ之束は度を越していて、常軌を逸していて、異質だと断言できる。

 

 織斑千冬やクロエ・クロニクルの様なある程度の手綱を引く人間が居ないからだろう。

 確かに彼女の行動を止める事は出来ないだろうが、好きな人間に嫌われたくないという枷は十分に効果があっただろう。

 

 今の彼女にはその枷が無い。

 俺はある程度気に入られてはいるが、嫌われたくないと思われているかと言えば微妙だ。

 さて、どうしたものか……。

 

「それじゃあ、はい!」

 

 にこやかな束さんが、いきなり眼前に何かを差し出してくる。

 革と金属で綺麗に作られたチョーカー。

 いや、首輪の方が外見の印象は近い。

 

 これを付けろって事か?

 いや、待って……。

 ヤンデレは予想外というか、可能性から除外していたというか。

 

「これは?」

 

「え? キョウ君のだよ」

 

 心の底から当たり前だと思っている表情で答えられた。

 まてまて、落ち着け俺。

 

 束さんは、求めているモノが満たされていないから暴走しているんだ、そうに違いない。

 それでも、関係の無い事を突発的に求める事も無いから、これはヒントになる。

 ヒントになるのだが、出てきた物品が意味深すぎるし、不穏過ぎるのだ。

 

 首輪とは装着者を支配したいという願望の象徴だったりする。

 そこにヒモや鎖が付いていれば更に確定だろうが……。

 束さんは支配したいか、支配されたいか大きく分けてこの二つだと俺は考えている。

 

 支配欲求と被支配欲求。

 相手を支配したいという欲求とは、攻撃型・独占型・孤立誘導型・排除型・殺害型・洗脳型など多くに分派するヤンデレの根底足る欲求だ。

 相手に支配されたいという欲求は、他者愛型・自傷型・依存型・崇拝型・妄想型などに分派するこれもヤンデレの欲求だ。

 

 ここで恐ろしいのは、型を複数所持する人間が多いという事。

 そして支配欲求と被支配欲求の双方を持っているという事だ。

 

 彼女の差し出したこの首輪には、俺を支配したいという欲求が目に見えて込められているが、同時に支配されたいという欲求も裏側にはありえる。

 ここで読み間違うと双方で不幸になるから注意が必要だ。

 

「束さん……俺は……」

 

 俺は差し出された首輪へと手を伸ばした。

 




 いかがだったでしょうか。

 さて、想像以上に強敵な束さん回。
 書き直し回数が過去最高回数を叩き出し、ついには話を分ける事にしました。

 二話使って各キャラって何気に初めてでは?
 まとめる能力を鍛えたいと思います。

 よろしければ、評価や感想を頂ければ幸いです。
 それでは~。


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31 無人島実験のその後

 どうも、首を寝違えたオルカです。

 最近暑いので寝返りをしまくったからでしょう。
 クシャミ一つが辛いです。

 さて、ようやく束パートが終わりになります。
 色々試行錯誤した難産の話でしたが、楽しんで頂ければ幸いです。

 それではどうぞ。


 差し出された首輪に動揺したが、何とか対応方針を決めた。

 本来なら愛撫の段階から、束さんの反応を視つつ、ある程度の性癖の方向を絞り込んでいたのだけれど、今回は電光石火。

 組み敷かれて挿入まで五分も経っていないのじゃないだろうか。

 

 既に本番が始まっている状態で、まさに情報不足が顕著に出ている。

 俺に付けたいみたいだけど、はい分かりましたっと簡単に返せるわけではない。

 

 支配の方向性によっては断固拒否しなければならないのだ。

 特に自分だけのモノにしたいタイプである時に、小猫達にも迷惑がかかる。

 発情発作は頻度こそ多くは無いが、起こってしまえば症状はとても重い。

 

 だからこそ、束さんの性癖の為だけにその首輪を受け入れられない。

 俺がやるべきは、攻勢に出る事。

 

 幸い、Sの思考や言動は鍛えられているからね。

 不本意ながら……。

 

「この首輪の使い方は……」

 

 そう言って、油断していた束さんの身体を優しくベッドに転がして、騎乗位から正常位へと体位を変える。

 抵抗しようとしていた束さんを、脇腹を撫でて封殺して無事に正常位切り替えられた。

 

 そして、抱きしめる様な口づけをしながら首輪を彼女に着けた。

 少々強引な方法ではあるが、もし仮に彼女の性癖が自覚しておらず、自己分析が出来ていない状態だった場合、自身の姿を相手に投影して欲求を満足させようとしている可能性がある。

 

 束さんの場合、他者に関心が薄くて自分の欲求を自身で満足させる事が出来る。

 他者に求めるのは、彼女の妹さんや親友からの言葉であったり、感情であるはず。

 一人で大抵の事が出来てしまう彼女は、プライドも高いから他者へ求める事も通常はしない。

 そして、今こうしている俺に何かを求めるとしたら、彼女が本当に欲しい関係よりも圧倒的に力不足な俺には代わりを求める可能性はありえる。

 

 束さんの欲しい物を与える立場ではなく、欲しい物を受けている姿を見せる事を求められる立場。

 だから、博打とはいえ彼女に首輪をかけた俺の判断は間違っていないはずだ。

 

「……束、自分を偽るな。束が欲しいのなら俺が与える」

 

 あえて呼び捨てる。

 内心は心臓バクバクで、表情に出さないように必死だ。

 手の震えも出さない様にして、彼女の頭を撫でる。

 

 束さんのキョトンっとした表情が気まずい。

 一種の大勝負、似合わない事をしているって自覚はあるが、これは俺のコミュニティの存続問題にも発展しうる。

 彼女が性癖を自覚するか性癖が変化するか、そこは分からないけど攻めなければならない。

 

「綺麗な肌に赤い首輪が映えてるね。似合ってるよ、束」

 

 そう言いながら、再び口づけから腰を動かし始める。

 束さんもかなり発情状態が危険域だし……やれることをやろう。

 小猫の時以来、抑えていた全力全霊で……!

 

 キスをすると、キュキュッと膣内が痙攣する感覚がムスコを通じて感じる。

 徐々に束さんの……いや、ここからは束と心の中でも呼び捨てる気概がひつようだろう。

 束の白い肌が綺麗なピンク色に染まり、触れている所からピクピクと跳ねている感覚が伝わってくる。

 

 少しずつ束の方にも火が付いてきたようで、舌使いが積極的になってきた。

 舌が積極的になって、次に腕が俺を抱きしめる様な形に変化してくる。

 

 腰を打ち付ける度に水音が増し、束のくぐもった声の感覚が短くなってくる。

 二度の射精を終えたあたりでようやく束の口を解放し、挿入したままの愛撫に移行。

 頭や顔に手を添えていると彼女の反応が良いから、片手を添えて空いている手を胸や背中に回し、反応を観察する。

 

「はぁ……はぁ……、キョウ君……激し……過ぎるよぉ……」

 

 息も絶え絶えで、長時間のキスの影響で口元から涎が垂れている。

 思考の暇を与えない方が良い。

 単純な程に性癖は自覚しやすいから。

 

「もっともっと、気持ち良くしてあげるね」

 

 そう言って今度はゆっくりとしたストロークの腰遣いで束の熱を上げていく。

 胸を揉み、乳首を軽く抓り、頬を撫でる。

 

 すでにビンビンに勃起している乳首は、これ以上無理と言うように触れる度に跳ね上がり、硬くなっていく。

 時折、首輪を自覚させるように頬に触れている手で首輪を軽くひっかける。

 

 呼吸が浅い。

 問題無い程度だが、結構強い快感を与えられているようだ。

 果実の毒を抜くためにも、沢山絶頂を迎えてもらいたい。

 

「束、いくよ?」

 

 

***********************************

 

 

 いきなり、キョウ君に首輪を付けられた。

 本当は、キョウ君の為に用意した首輪だったけど、いきなり私の首に付けられちゃった。

 

 ビックリした事もだけど、首輪を着けられた途端に抵抗の意思というかキョウ君へ首輪を着けたいという欲求みたいなものが全部霧散してしまう。

 

 キスされている間も、キョウ君は何度もゆっくりと腰を動かしながら頬を撫でたり、胸をもんだりと愛撫に余念がない。

 

「……束、自分を偽るな。束が欲しいのなら俺が与える」

 

 その言葉に私の思考は一瞬にして漂白された。

 いけない、普段なら思考や論理で精神の防御は成り立っている。

 言葉の裏を考えたり、別の事を考えたりして精神は守られる。

 特に私の場合は箒ちゃん達以外の言葉を聞き流したり、無視したり、頭の中で存在ごと消していたりしていたけど、今回は否応なくキョウ君に意識が集中していた。

 

 性行為であること、私自身が初めてであること、これらを鑑みてもこの状況はおかしい。

 十中八九あの果実だ。

 

「綺麗な肌に赤い首輪が映えてるね。似合ってるよ、束」

 

 ヒュッと口から漏れ出た音に、私の身体が反応したのだと理解させられた。

 血流がすごい速さになっているのを自覚する。

 

 キョウ君に見られている部分から快感が生まれているような錯覚。

 当然、オチンチンが入っているオマンコは、今までの自慰行為での快感とは何だったのだろうか? と思わせるような強烈な気持ちよさを叩きつけてくる。

 

 制止をかけよう、そう思って口を開いた瞬間、再びキョウ君の口づけで蓋をされてしまった。

 完全に無防備な私の舌に、キョウ君の舌が絡みついてくる。

 私を味わい尽くしているかのような執拗で濃厚な舌の絡みと唾液の交換行為。

 

 マズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイ……!!

 

 触れられるだけで、舌を絡めるだけで、さっきまでとは別次元の快感。

 身体が自分のモノじゃない気がする。

 渇きから満たされていく感覚。

 

 長い長い口づけのせいで、酸素が普段よりも呼吸で取り入れられない。

 限界かと思っていた快感は、キョウ君が一突きする度に天井知らずに上っていく。

 

「はぁ……はぁ……、キョウ君……激し……過ぎるよぉ……」

 

 ようやく解放された。

 空気が美味しい。

 

 頭がボーっとするのに呆けられない。

 二回もキョウ君に突かれ、膣内に出されている。

 

 一度目で意識に火花が散ったような感覚が、二度目で絶頂の上から更に絶頂するという初体験をさせられた。

 

「もっともっと、気持ち良くしてあげるね」

 

 そう言ってからキョウ君の責めはゆっくりとしたものに変わる。

 それで快感が落ち着くかと思えば、そんなことはない。

 

 おっぱいを沢山弄られて、頬を優しく撫でられる。

 そしてその度に首輪に指が当たって、神経が首輪に繋がったんじゃないだろうかと錯覚してしまう。

 

 激しく動かれていた方がまだよかったかもしれない。

 快感の濁流が前後不覚に陥らせる。

 

「束、いくよ?」

 

 あ、ダメかもしれない……。

 

 私の知らない感覚や快感が襲ってきて、既に頭の中がオーバーフロー気味なのにキョウ君の本気は耐えられないだろう。

 

 これが性癖を当てられた効果か。

 感慨深い様な感覚で、首輪に触れる。

 

 私が用意した革製の首輪。

 それが私の首にかかっている事を自覚する。

 まるで新しい私の一部だと言われても納得してしまいそうだ。

 

 ああ、意識が朦朧とする。

 これが、あの果実の効果……、考察すら儘ならない。

 

「出しますよ」

 

 すごい勢いでお腹に違和感が広がっていく。

 温かくて……心地いいなぁ……。

 

……

…………

………………

 

「キョウ君、待って! もう無理だから!」

 

「いやいや、束の脚が腰に絡みついて離れないんじゃないか」

 

 そう言われて初めて気づく、私の脚がしっかりとキョウ君の腰に絡みついて、しかも外れない様に足の甲を重ねてロックしていた。

 身体に力が入らないと思っていたのに、私の脚は意思に反して溶ける気配が無い。

 

「まったく、甘えん坊だな。大丈夫、満足するまで付き合うから」

 

 え? いや、もう片手じゃ足りないぐらい……。

 待って、私の記録している回数を超えてるんだけど!?

 

 彼のオチンチンは、私の膣内で全く衰える気配が無く、初めての時の硬さを維持している。

 いや、熱や脈動は上がってるのかもしれない……。

 

……

…………

………………

 

「ヒョウふん……もぅ、らめらぉ……」

 

 呂律が回らない。

 正常位で上から覆いかぶさる様に腰を動かし続けるキョウ君。

 

 抵抗する意思はもうない。

 全身の力を抜いているのに、脚は変わらずキョウ君に絡みついたまま。

 

「そんなウソを言う口は塞いじゃいましょうか」

 

 グイっと首輪に指を入れて引っ張られる。

 この感覚がたまらない。

 

 認めるしかない、私はキョウ君に飼われたいのだ。

 篠ノ之束が、三国恭治という男性に飼われたい。

 

 そう自覚した時に、私の腕はキョウ君を抱きしめる様に動いていた。

 足も、腰も、腕でさえ意思とは関係なく、動いているのに、どうして私は……?

……

…………

………………

 

「んむぅ……ちゅっ……れろ……」

 

 何度も何度もキョウ君に射精され、一突きされる度に膣から精液と愛液の混ざったものが溢れだし、時折潮が吹きだす。

 

 何回射精されたか分からない。

 私の絶頂回数なんてとうの昔に数えるのをやめた。

 

 ここ何回かは、射精しながら腰を動かしてくるキョウ君に恐ろしさを感じた。

 でも、同時にそれほど求められることが嬉しくて、私をもっと味わってほしくて……。

 

「もっろぉ……ヒョウふん……」

 

 

***********************************

 

 

「ぁぁぁぅ……も……ろ……」

 

 完全に意識が無い状態の束。

 股間からは精液が流れ出ていて、身体も汗や色んな液体でドロドロだ。

 

「歯止め……利かなかったな……」

 

 完全にアヘ顔で気を失っている。

 不規則に痙攣しているが……まぁ大丈夫だろう。

 

 カプセル型のベッドは丸ごと処分案件だし、外は真っ暗だ。

 時間間隔が無くなっていたけど、最低でも五時間は経っているだろう。

 

 ベッドの端に座って頭を抱えている状態で、洞窟をくり貫いて作られているこの部屋だが……。

 

「これ臭いとれないんじゃないか?」

 

 かなりの疲労感が身体に溜まっているが、何とか行動できる。

 このまま眠ってしまいたいが、最低限の後片付けをする為に根性で起きている。

 

 普段、束が寝ている寝所を整え、束の身体を綺麗にする。

 股間から止めどなく流れ出る自分の精液に呆れかえってしまう。

 よくこんなに出したな俺。

 

「……S化調教されてないか俺?」

 

 頭をよぎるのは木乃香とフェイト。

 あの二人は精神的な責めと肉体的な責めを要求してくるため、それに応えるには双方の要求を満たす事になる。

 

 更にそこにアーシアの奉仕が入ってくる。

 調子に乗るというと語弊があるかもしれないが、力関係的に上位に立っている錯覚に陥ってしまう。

 

「後半楽しくなってた自覚はあるからなぁ……」

 

 束の身体を、最低限濡れた布で拭きとっていく。

 その度にビクビクと震える彼女の姿に湧き上がってきそうな欲望を抑え込む。

 

 そしてベッドへ運ぶ為に、お姫様抱っこをすると彼女のオマンコから自分の精液が文字通り噴き出す。

 人間の出す量じゃないなこりゃ。

 

「束を寝かせて……俺も身体拭いて寝よう」

 

 汗と愛液と唾液と精液と……。

 ひどい状況ではあるが、俺も全身を拭き上げて、倒れ込む様に眠る。

 流石に眠気がヤバい、昼から夕方までずっとしていたのだから当然と言えば当然。

 

 カプセル部屋は、とりあえず換気をして放置。

 束の隣にそっと横になる。

 

 今回は意図してタガを外した形になったが、束が体力的にダウンするという状況はおかしい。

 俺の身体能力は、束に敵う要素が無いと思っている。

 

 IS相手に渡り合える身体能力が俺にあるとは思えない。

 もしかしたら、あの果実の何らかの影響なのかもしれないが、こればかりは束の調査を待つほかない。

 

 もう寝よう……。

 横になった瞬間、瞼が一気に重くなり、そのまま眠ってしまった。

 

 

***********************************

 

 

「凄かったなぁ……」

 

 目が覚めて、傍らで倒れる様に眠るキョウ君が昨日の記憶を鮮明に思い出させる。

 全身が綺麗に拭かれていて、唯一股間からあふれ出ている精液だけはそのままだ。

 

 流石にここは私じゃないとダメな部分。

 それにても、寝室の時計を見ると大体昼頃で、キョウ君が来てくれてから大体丸一日経過していることになる。

 

 私の価値観が塗り替えられたような感覚。

 すごかったとしか言いようがない。

 

 お風呂場で下腹部を押すと、下品な音を立てて精液が垂れてくる。

 それを見ると、以前なら嫌悪が出てきたのだろうけど、今は歓喜や興奮の様なプラスの感情が溢れ、口元がにやけてしまう。

 

「キョウ君の……」

 

 シャワーで全身を流し、股間の精液も出来る限りかき出す。

 勿体ないと思っちゃう辺り、もうキョウ君の虜なのだと自覚する。

 

 首輪に指を這わせ、首から全身に広がるゾクゾクとした感覚に酔いしれる。

 ふと、シャワー用のポンプに写った自分の顔が、自分でもびっくりするほどだらしない表情を浮かべていた。

 

「あはは、オリジナルに無いもの貰っちゃった」

 

 夢も環境も親友も妹も、全部無い場所。

 でも、オリジナルに無い居場所を手に入れた。

 私だから分かるけど、きっと一生手に入れられないだろうモノ。

 ちょっと優越感。

 

 それに、たぶん科学だけじゃ推し量れない場所。

 魔法という技術体系、それもこの島だけで三つの世界の魔法が存在している。

 私の知らない技術として認識していると非科学的というよりは、知らない分野を開拓する感じ。

 

「キョウ君の知識も……教えて欲しいなぁ」

 

 この島に来てから、何もない生活に飽き飽きしていたけど、思いがけないモノを手に入れられた。

 さらに、知識欲を刺激される分野も開拓できた。

 

「存外悪くないじゃん」

 

 拠点を南に移して、キョウ君のお嫁さん達にも会わないといけない。

 魔法の分野でこの島の謎を解き明かすきっかけになれば、もっとキョウ君と居られる。

 

 束さん、ちょっと頑張っちゃおうかな。

 




 いかがだったでしょうか。

 FGOの夏イベ始まりましたね。
 うたわれも並行してプレイしているので、色々楽しみたいところ。

 コロナに猛暑と大変ではございますが、皆さんもお身体に気を付けてお過ごしください。

 よろしければ、評価や感想を頂ければ幸いです。
 それでは~。


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外伝 無人島から帰還 魔法少女リリカルなのはStS

 どうも、寝違えた痛みがなぜが腕に降りてきているオルカです。
 絶妙に痛いのです。

 さて、リリカルなのはの外伝となります。
 割と難産。

 コロナに台風に大変な状況ですが、油断せず慢心せず、乗り越えていきましょう。

 さて、『ここすき機能』ですが、好きな表現の部分だけじゃなく、所謂伏線の部分に付けてくださる方も居て、面白い使い方だと思いました。
 この伏線割と注目されてるな、とか気づかれて無いからここを拾えば面白くなるかな? とか、夢が膨らみます。

 機能の練習がてらに、使ってみてはいかがでしょうか。

 それでは、どうぞ!


 無事? あの無人島から脱出が出来た。

 俺としては、それぞれの世界に戻ってめでたしめでたし……っというのが希望的観測ではあるが、もし脱出すると仮定した時に、起こり得る可能性として高い方の選択肢だと思っていた。

 

 しかし現実は、魔法少女リリカルなのはStSの世界に飛ばされた。

 全員を連れて……。

 

 最大の懸案事項として、あの島のフェイトと、この世界のフェイトさんの存在統合が行われたことだろうか。

 

 この世界で過ごした記憶と同時に、俺たちと過ごした無人島の記憶が混ざった状態。

 最初は混乱していたが、今では納得はしているようだ。

 

 感覚としては原作世界の存在が強いようで、メイン人格が原作世界、その中で俺らと共に過ごした時間が記憶されているという感じらしい。

 

 そんな中、俺と小猫・アーシア、木乃香と刹那、ゆかりさんと束は、この世界での戸籍を用意してもらえた。

 フェイトさんと友人の高町さんや八神さんのお陰だ。

 

 ありがたい事に、フェイトさんがミッドチルダと地球での住処と仕事を斡旋してくれた。

 こうなると、小猫やアーシア、木乃香と刹那、ゆかりさんと束を養うために頑張るしかない。

 

 小猫やアーシア、木乃香と刹那は地球の学校で学生生活をしている。

 フェイトが小さい頃に拠点にしていた豪華なマンションを借りて地球の拠点として活用中だ。

 

 ミッドチルダでは、ゆかりさんが時空管理局の事務員として働き、事務員としてはかなりの要職になっていると聞く。

 

 束は一番分からない。

 基本的に無限書庫に通い詰めては、気付いたら色々な特許を引っ提げて帰ってくる。

 そして、俺と一緒にミッドチルダの自宅でゲーム実況者だったり、実験動画投稿者として稼いだりしている。

 

 俺はそこに料理系の動画も併せて投稿してチャンネル運営もしている。

 俺と束のゲーム実況チャンネル、束の実験チャンネル、俺の料理チャンネルの計三チャンネルだ。

 

 本当は地球で就職を考えていたのだが、全員に阻止された。

 地球とミッドチルダでの拠点は基本的に転送装置(束製)で繋がっており、二つの拠点を管理する人間が必要だと言われ、ほぼ強制的に主夫兼動画での収入での生活になった。

 

 管理局の介入やらを防ぐ為に地球側での生活が主になっていて、家族以外で知っているのが、フェイトさんと高町さん、八神さんのお世話になった人達のみだ。

 

「さて、本日作っていく料理はこちらです!」

 

 今、地球側拠点のキッチンで『ミルフィーユかつ』の料理動画を収録している。

 ミルフィーユかつとは、トンカツに使われる厚く切られた肉とは違い、薄い肉を複数重ねて一纏めにして、揚げる事で出来上がる料理だ。

 

 普通のトンカツと違い、非常に柔らかい食感が印象的な料理だ。

 肉を重ねて揚げるという形態上、間に様々な食材を挟むことができる為、個々人のオリジナリティが出せる。

 

「ミルフィーユかつという事で、今回はその調理過程と幾つかアレンジもご紹介できればと思います」

 

 少しずつ慣れてきた撮影も順調に進み、実食部分も取り終えて後は編集と投稿のみだ。

 そこまでで一息つき、満腹感と満足感を堪能しながら、洗い物を片付けている。

 

 しかしその満足感もそこそこに、最近の状況で諦めの様な苛立ちの様な感情が湧き上がってくる。

 まぁ、動画投稿者とは理解され辛い部分だし、地球側の文化でもそういう目で見られるのだ。

 

 ミッドチルダではそう言う収入をする人というのは居ないと言ったら語弊があるが、かなり少ないという話だ。

 

 心配なんだろうな。

 フェイトさんから何度もウチに来てくれるし、生活できてるかとか、次元漂流者という事で虐められてないかとか……。

 

 有難い事なんだけど、過保護というか。

 執務官の仕事に影響は出ていないだろうけど、負担になっているんじゃないかって思える頻度だ。

 

 本人から聞いて間違いない事だが、フェイトさんと高町さんが保護している娘。

 ヴィヴィオちゃんも居るし、何だったらStSの直後ぐらいの時系列だ。

 

 怪我もしているだろうし、執務官としての仕事も大量に来ているだろう時期だ。

 そんな時期で、しかも娘になるヴィヴィオちゃんも甘えたい盛りだろう。

 

「さすがに釘さしておかないとなぁ……」

 

 日を追うごとにエスカレートしているフェイトさんを、一回諫めておかないと彼女の負担になるし、周囲から男の家に通う女というイメージが付いてしまう可能性もある。

 

 特にフェイトさんや高町さん、八神さんは美人な上に、管理局の新星だ。

 管理局側から求められるイメージもあるだろうし、この世界にも当然のようにゴシップ雑誌やメディアも存在している。

 

 次元漂流者という身元不明の男を保護して身元保証人になったり、その家に通うなどゴシップのいいネタだ。

 

 

***********************************

 

 

 最近のフェイトちゃんがおかしい。

 少し前に保護した次元漂流者の人達の所に通っていて、忙しい合間を縫うように甲斐甲斐しく通い詰めている。

 

 男の子が一人いて、その子を取り囲む様に女の子が集まっている。

 ロストロギアが影響している可能性も考えられていたが、フェイトちゃんの記憶に干渉して別のフェイトちゃんの記憶が混ざったような感じになっている。

 

 基本的にフェイトちゃんの人格には影響は出ていないし、自分が登場する漫画を頭に入れられた感じだと言っていた。

 

 その記憶では本当に色々とあったみたいだったけど、命の恩人だって言ってたのは覚えている。

 フェイトちゃん自身が助けられたわけじゃないけど、フェイトちゃんは自分の様な存在に手を差し伸べる事が出来る彼らを信頼しているようだった。

 

 人柄としては、深い関りが無いから測り損ねている。

 はやてちゃんだったら、ある程度は把握もしているかもしれないけど、基本的に彼らと関わりのある用事は、ほぼフェイトちゃんが受け持っている。

 

 地球とミッドチルダを行き来できる装置を所有していて、管理局側もそれに関しては黙認している。

 

 彼らの身内が多く持っている特許だったり、技術力が管理局も恩恵を受けている為、犯罪者でもない限りは不利益になる事をしないという決定になっていると聞いた。

 はやてちゃんから聞いたけど、管理局側の過激な人達が色々しようとしたらしいけど、不祥事や不正を大量に世間にバラ撒かれ、その上それを理由に管理局が止められた技術特許で大損害を受けたらしい。

 

 過激な人達は文字通りクビからの犯罪者として捕まった。

 あれは一生刑務所から出て来れない。

 それだけの不祥事に関わっていて、しかも恥ずかしい経歴なんかも管理世界全域にバラ撒かれている。

 

 仮に出たとしても、まともな生活は送れないだろう。

 はやてちゃんも、「エッグいなぁ……、なのはちゃんと声が似とるから余計にギャップで怖いわぁ」と言っていた。

 

 そんなに似てるかな?

 でも、フェイトちゃんもはやてちゃんも似てるってよく言っているから、そうなんだなぁっという感想。

 

 そう考えていると、レイジングハートから着信音がする。

 送信元は、フェイトちゃんのバルディッシュから。

 

 内容は、至急指定住所に来て欲しいという内容。

 ここは件の男の子達が住んでいる住所のはずだ。

 それにフェイトちゃんからじゃなく、バルディッシュからというのが引っかかる。

 

「フェイトちゃんに何かあったのかな?」

 

 考えられるのはフェイトちゃんが発信できない状況で、バルディッシュが急遽連絡した可能性。

 それだと、内容が薄いし緊急性が伝わっていない。

 

 もしくは、バルディッシュがフェイトちゃんの状況を良くないと判断して、私に連絡をしてきた可能性。

 それだと、この情報の薄さも分かるし、最近のフェイトちゃんの行動からも理解ができる。

 

「もし、あの人達にフェイトちゃんが何かされているなら……私が助けないと!」

 

 決意を新たに、メールにかかれていた住所に向かうために準備をする。

 レイジングハート経由で、はやてちゃんに連絡して彼らの住所へ向かう事にした。

 

 魔導師とは言え、事件でもないのに飛翔魔法は使えない。

 フェイトちゃんみたいにスポーツカーとか持って無いし……。

 

 タクシー使おう……。

 

 

***********************************

 

 

 ミッドチルダで借りている一室。

 束が持ち主のマンション最上階で眼前には正座しているフェイトさん。

 腕組みしている俺。

 そして、俺とフェイトさんの間でオロオロしている高町さんの構図だ。

 

「さて、三人だけになりましたし、お説教の続きと行きましょうか?」

 

 俺の言葉に、ビクッと肩が跳ねる。

 今まで二人っきりでのお説教タイムだったわけで、フェイトさんは十分に身に染みているだろう。

 

 しかし、高町さんが到着してから、状況の説明と仲介及び見届け役をお願いした。

 俺の本気が分かってくれたのか、高町さんは協力してくれた。

 

「キョウジさんってこんなに怖かったの?」

 

「うん……左目を閉じてるから……結構怒っている時の癖だったかな……?」

 

 ああ、そう言えば俺の癖はあの島の全員が知っていて、それはフェイトも例外じゃなかった。

 フェイトさんが記録から読み取っていても不思議じゃないか。

 

「何度も注意してましたよね? 俺達は次元漂流者で、フェイトさんや高町さん、八神さん達は俺達の保護者の様な立ち位置です」

 

 苛立ちを表すように、腕を組んだ状態で指がトントンっと動く。

 左目を閉じた状態で、フェイトさんを不満げに見つめ続ける。

 

 この異様な空気に、フェイトさんはおろか高町さんもオロオロしている。

 俺自身も相当イラ立っている状態なのだが、それには理由がある。

 

「執務官の仕事に影響が無いのは当然ですが、オーバーワークで仕事を早く終わらせるとはどういうことですか? ただでさえ激務の執務官の仕事、自分で負荷を悪戯に増やすのはダメでしょう」

 

 執務官の激務具合は与えられている権限や事務職のゆかりさんからの情報でも容易に理解できる。

 少し調べてみれば、執務官の試験は超難関だと分かるし、仕事内容も公表されている物だけでも相当に重要なものが多い。

 

 だというのに、フェイトさんはウチに来る時間を捻出する為に、無理を続けている。

 何度も注意してもそれを改める事が無いから、今回の説教タイムとなったわけだ。

 

「大体、ヴィヴィオちゃんという娘さんが居るんでしょう? 俺らよりもその娘に時間を使うべきだ」

 

 StSの後という時系列のようで、機動六課は解散直前。

 それぞれも忙しくなってくる時期だし、確か解散後はティアナを補佐に付けて活動するはずだ。

 

 執務官の仕事量、そしてフェイトさんの性格や知名度・人気などを総合すると相当量の負荷がかかっているだろう。

 

「はい……そのとおりです」

 

「えっと、キョウジさん? フェイトちゃんも反省しているし……」

 

 余りの状況に耐えられずに、フェイトさんへ助け舟を出す高町さん。

 いや、その行動は分かる。

 

 スーツ姿で、座布団の上とはいえ正座しているフェイトさん。

 高町さんが到着した時からこの状況で、最初こそ勢いがあった高町さんが説明が進むごとに、「あー」っと納得したような表情になっていくのが印象的だった。

 

 そして、お説教が進むにつれてフェイトさんをかばう側に回り始めていた。

 二人は優しいし、高町さんは優しさの中に厳しさをしっかりと持った人だと分かるが、友人にはまだ甘い。

 

「いいですか高町さん!」

 

「ひ、ひゃい!?」

 

 正座しているフェイトさんの横で、直立不動の姿勢をとる高町さん。

 流石、時空管理局の魔導師の教導を行っているだけあり、その姿勢は綺麗な物だ。

 

 ただ、直立不動の姿勢は上官への敬礼に属する行動のはずだ。

 いや、時空管理局がその方式をとっているかは分からないが、不動の姿勢は脱帽時の敬礼で、民間人のオレにやるモノじゃない。

 

「十五回です」

 

「へ?」

 

「十五回目の注意なんですよ」

 

 最初はそれとない感じの、当たり障りのない注意だった。

 十を超えたあたりから、今の様な説教形式へ。

 今回は流石に回数も重なり、理由があるだろうと高町さん同席の下に理由を聞く事にした。

 

「フェイトさん、貴女が理由も無くこういう事をする人じゃないのは分かります。理由を教えてくれませんか?」

 

 思慮深く、多くの事を考えるフェイトさん。

 最初は世話好きな彼女の部分が暴走しているのかとも思ったが、そういう訳でもなさそうだ。

 そうであれば、理由を聞かずに拒否をするのは良くない。

 ただ、何度も注意しても聞かない姿勢には苦言を呈す必要はある。

 

「名前……」

 

 不満げに口を尖らせながら、しかしハッキリとそう言っていた。

 フェイトさんの呼び方。

 これはあの島のフェイトと、この世界のフェイトさんを混同しないようにする俺なりの線引きであり、フェイトさんだけでなく高町さんや八神さん達へも説明済みだ。

 

 フェイトさんにとって、身に覚えのない自分の情事を見せつけられたようなものだ。

 積極的にウチに訪ねてくるから、そこまで気にしていないのかもしれないが、身に覚えのない自分と重ねられることは彼女の出生から鑑みても避けるべきだと判断している。

 

「さん付けじゃなくて、呼び捨てにして欲しい……」

 

 頬を赤らめ、潤んだ眼。

 不満げに口をとがらせている姿は、非常に可愛らしい。

 隣の高町さんも目をキラキラさせている。

 

 しかし、フェイトさんが呼び捨てを求めているというのは意外だった。

 最初は高町さんや八神さん達の後ろに隠れていたし、俺が話しかけるとビクッと肩が跳ねていた。

 

 だから距離を開けるという意味でも、さん付けにすることであの島のフェイトとの差別化を図っていたのだ。

 

「いつまでも最初の印象を持ち続ける訳やないって事やな」

 

 後ろからかけられた声に振り向くと、八神さんが立っていた。

 たぶん、高町さんが呼んだのだろう。

 バルディッシュには、高町さんだけに声をかけてもらったが、彼女が他に声をかけるかどうかは彼女次第だ。

 

 まぁ、フェイトさんからの呼び出しではなく、彼女のデバイスであるバルディッシュからの呼び出し。

 事件性を感じて応援を呼ぶのは当たり前だろう。

 

「はやてちゃん、ごめんね呼び出して」

 

「気にせんでええよ。フェイトちゃんの件やったし、私もこれを機に聞きたいこともあったしな」

 

 恐らく仕事先から直接来たのだろう。

 スーツ姿で僅かに疲れを滲ませている。

 

「お久しぶりや、キョウジさん。勝手に入ってゴメンな?」

 

「いえ、大丈夫です。お久しぶりです、八神さん」

 

 たぶん、家の外には彼女の家族たちも居るかもしれない。

 全員でなくとも、シグナムさんかヴィータさん当たりは居るだろうな。

 

「フェイトちゃんの無理は私等も気付いとったけど、止められなくてなぁ」

 

 つまり、固い意志をもってウチに来ていたのか。

 ますます、理解できない。

 

 俺なんかよりも、高町さんや八神さんの言葉は彼女を動かすはずなのだ。

 だというのに、彼女はここに来ている。

 

「キョウジさんがフェイトちゃんを誑かしとるようなら、ウチやなのはちゃんの力を全部使って対応せなあかんなぁって」

 

 ひぃ!?

 雅な口調と笑顔の中に確かな殺意!!

 

 まぁ、親友同士だしダメな男に対して警戒して、彼女を助けるのは自然か。

 高町さんは管理局の教導官で、その戦闘力も高い。

 八神さんは個人の戦闘力よりも、彼女のコネクションが恐ろしい。

 物理と社会的に潰すことが可能な布陣に恐怖を禁じ得ない。

 

「まぁ、私もはやてちゃんも一週間ぐらいで大丈夫だって思ったけどね」

 

「シグナムあたりがずっと警戒しとるけどな」

 

 まぁ、彼女の性格では俺のしている生活は警戒されても仕方ないだろうな。

 戦闘力があるわけでも無いし。

 

 その辺りは、フェイトさんが説明していたのだろう。

 露骨に突撃されることは無かったし、これからもそれなりに慎ましく生活してれば大丈夫かな?

 

「それでな? フェイトちゃんが呼び捨てて欲しい言うとるし、気を使わなくてええと思うで?」

 

「だけど、フェイトさんという呼び方は、島の彼女とを区別する一つの方法です」

 

 恐怖とは違う、戸惑いと困惑。

 あの時にフェイトさんの感情は、割とダイレクトに俺の心に来た。

 

 考えてみると当然だろう。

 初対面のはずなのに、目の前の人間との情事の記録が強制的に再生されるのだ。

 しかも、マゾヒズムを前面に押し出した性行為だったし、認めにくいというのも分かる。

 あの性癖、彼女の根本とはいえ果実が影響していただろうから、余計に忌避感が勝っていても不思議ではない。

 

「でも、それはフェイトちゃんがいいって……」

 

「例の島で、俺がしてきたことを知っての話です?」

 

 正直、普通の恋人以上の回数は性交をしている。

 互いに触れていない場所は無いと断言できるレベルで、しかもプレイ内容もアブノーマルな内容だ。

 

「それでもや。フェイトちゃんは言わんけど、何となく想像つくしなぁ」

 

「私も。フェイトちゃんMっ気あると思うしねぇ」

 

「はやて!? なのは!?」

 

 予想外の方向からの攻撃にフェイトさんも戸惑いの声を上げている。

 いや、そう言う方向の知識があるのは当然だけど、サラッと言われると複雑な気持ちになる。

 フェイトさん自身も知識はあるし、アブノーマルな方向の知識もあったからこの二人も当然あると思っていたが、割と寛容なようだ。

 

「えっと、その辺りは本人に直接聞いてください」

 

「!?」

 

 フェイトさんが裏切られたみたいな感じの表情を向けてくる。

 少々心が痛むが、女性二人に情事の事を根掘り葉掘り聞かれるのは精神的にキツイからね。

 申し訳ないが、生け贄になってくれ……。

 

「やっぱり、相手の感情を読み取れるだけの観察力があるんや。せやったら、フェイトちゃんと話し合いやな」

 

 そう言うと、八神さんが俺を、高町さんがフェイトさんを連れて押し込む様に隣の部屋に押し込んだ。

 結構狭い部屋で、動画の編集用PCとゲーム実況用のPCが並んでいる。

 

 因みに俺用のPCで、束は別のPCを使っている。

 全部組んでいるのは束だけど、編集は基本的に俺が担当している。

 

「えっと……なのは達がごめんなさい……」

 

「いや、友人を守りたいって事さ。それに、名前の件……気付けなくてゴメン」

 

 フェイトさんが、よくウチに来る事を心配してるだけと決めつけていたが、交流を重ねて呼び捨てを切り出そうとしていたのは予想外だった。

 八神さんが言っていたように、最初の印象をフェイトさんが持ち続けていた訳ではないという事か。

 

 悪い癖だ。

 俺は第一印象に引きずられ、今の彼女を視ようとしていなかった。

 

「ううん、私もハッキリと伝えなかったし……。キョウジさんに甘えていた所があったから……」

 

 気まずそうにこちらを見てくる彼女。

 双方に悪い所があったと、反省して彼女の希望をかなえる事にする。

 

「……フェイト、来るなとはもう言わない。だから無理はしないでくれ」

 

「……! はい、キョウジさん、ありがとうございます」

 

 すると懐から、バルディッシュを取り出した。

 魔法? いや、必要性が無い。

 

 そんなことを考えていたら、バルディッシュからホログラム状のカレンダーと予定表。

 予定の内容は分からない様になっているが、フェイトの仕事の日程が記されている。

 

「この日とこの日がオフなので、片方をヴィヴィオと過ごして、もう片方をキョウジさんと過ごしたいです」

 

 テキパキと日程の調整をしてくる。

 あまりの速さに面を食らってしまう。

 

 一週間とか平気で予定のマークが入れられている状況で、オフの日を次々と埋めていく。

 オフの日のみできちんと調整しているようだ。

 

「ああ、良いが身体を休めなくていいのか?」

 

 溜まっている用事もあるだろうし、公共料金とかも当然この世界にもある。

 もし、高町さんとそう言った手続きを補完し合っているなら休みは重要だと思うのだが……。

 

「えっと……来客用の一部屋を借りたいのですけど……」

 

 モジモジとした仕草で上目遣いでこちらを見てくる。

 今の家は沢山部屋があるタイプで、大家族用の物件だ。

 配信用の部屋や実験動画用の部屋、来客用の部屋も複数用意している。

 ミッドチルダだけじゃなく、地球側でも同レベルの物件を借りているから、部屋なんて余るほどだ。

 

「……一部屋開けておくから、私物とか運ぶといいよ」

 

「ありがとうございます!」

 

 俺は基本的に地球側の部屋がメインで、小猫やアーシア、木乃香・刹那も地球側の部屋を使っている。

 ゆかりさんと束はミッドチルダ側。

 そして、ミッドチルダ側で撮影と編集をしているので、ミッドチルダ側の部屋は余っている。

 

「……キョウジさん」

 

「なんだい?」

 

 フェイトの顔はここ数日で一番晴れやかで、笑顔が溢れていた。

 同時にそんなに負担になっていたのかと反省する。

 

「以前の関係に戻れる様に……頑張りますね!」

 

 そう言うと、パッと部屋から出て行ってしまう。

 外の高町さんと八神さんもびっくりした表情で、家から出ていくフェイトを見ている。

 

「おお……フェイトちゃん、大胆……」

 

「いやぁ、言うとる意味分かっとらんやろ」

 

 二人は苦笑い。

 俺は額に手を当てている。

 以前の関係って、かなりディープなんだが……。

 

 数分後に、慌てた様子で俺の携帯端末へ訂正の連絡を入れてくるのは、別の話で良いのだろう。

 




 いかがだったでしょうか。

 外伝ごとにキョウジ君の職業とか立ち位置考えるの楽しかったり大変だったりします。
 次回は本編ですが、次回の外伝はハイスクールD×Dの方になる予定です。

 その外伝ですが、メッセージなどでそれぞれの後日談の様な話を求めてくださっている方々がいらっしゃいます。
 ありがたい事で、登場作品分を全部出し終わったら、その関係のアンケートを取るかもしれません。
 是非とも投票してください。

 よろしければ、評価や感想を頂ければ幸いです。
 それでは~。


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32 無人島で勉強会

 どうも、スーツの股間が裂けたオルカです。

 太ったのもありますが、純粋に7年目のスーツの耐久力が尽きたのだと残念です。

 さて、ようやく革新への助走に入れそうな気がしないでもないそんなタイミング。
 世間は色々起こりすぎて何を話題にすればいいのか分かりませんが、とりあえず危機管理意識をしっかりともしましょうとしか言えないですねぇ。

 それでは、どうぞ!


 機材の運びだし。

 小猫とフェイトがメインになって南側の拠点へ運び出している。

 

 多くの機材を俺らの拠点に運び込む。

 その中で何よりもありがたいのが冷蔵庫。

 

 食糧の保存には、常温で問題無いものは籠に詰めて建物の中へ。

 果実や肉の様な腐敗のリスクがあるモノは、近場の洞窟にフェイトが氷系の魔法をかけて保存している。

 しかも、かなり奥の方にある小部屋状の空間だ。

 

 理由としては日光が入らない事と、広い空間を冷やすよりも狭い空間を冷やす方が魔力の効率が良いからだ。

 

 朝に一度、夜に一度。

 それぞれフェイトに空間ごと凍結してもらっている。

 

 しかし、それだとフェイトの負担がでかいし、魔力に依存すると北側の魔法阻害が島全域に広がった場合が怖い。

 

 束の住んでいた地域はギリギリ魔法阻害の範囲外だったが、そこでも動作する科学技術は非常に助かる。

 

「科学の立場は私しかいませんでしたから、束さんの合流はありがたいです」

 

 ゆかりさんは、生体型アンドロイドに分類される。

 魔法という概念は無い世界で、科学力が非常に高い世界の出身。

 それは、魔法という概念での発想をすることに限界があるのだ。

 

 俺は下地というか、そう言う概念を多く読み込んでいた。

 しかし、ゆかりさんは基本情報をある程度プリインストールされている為、彼女の世界の常識が先立ってしまうらしい。

 

「魔法の使い手、もしくは魔法がある世界の住人が殆どだったからなぁ」

 

「私の世界の技術と束さんの希望で魔法の概念を教えるという条件で、私達の拠点発展に協力をしてくれるって約束ですからね」

 

 違う世界の技術というのは、進化の方向に差異が出る。

 束の欲しいのは、おそらく方向の違う進化の技術。

 そして、魔法という概念と技術を手に入れる事。

 

 当初、束の考えは魔法とは非現実的なモノ。

 科学と真逆の存在という認識だった。

 

 しかし、フェイトの魔法は束の想像の外に合った概念であり、魔法とは技術の一体系であるという認識に変化したようだ。

 そして、技術と位置付けたのであれば束の習得速度は、フェイトですら目を見張るものがあるらしい。

 

「いやぁ、リゾート地みたいで束さんはビックリだよ」

 

 上機嫌な様子で、彼女に割りあたられた小屋から出てくる。

 あっという間に、屋根にソーラーパネルを設置して、外側に蓄電池のような装置を設置していた。

 海の方向と遮蔽物の少ない丘の方にもコードが伸びているから、ソーラー以外の発電方法も使っているだろう。

 

 歩いてくる束は、上機嫌。

 服に胸の突起が浮いて見えるから、この拠点に来てもノーブラは継続するようだ。

 恐らくノーパンもだろうな。

 

「あ、ゆーちゃん、後でまたお話聞かせてね」

 

「はい、束さん。準備はもう良いんですか?」

 

 束はゆかりさんを、ゆーちゃんと呼ぶ。

 生体型アンドロイドである彼女を気に入り、メンバーの中では特に一緒にいる事が多い。

 ゆかりさんも、自身のメンテナンスが出来る目途が立ったと喜んでいた。

 

 一年以上をノーメンテで過ごしていた為、ゆかりさんも機能に不安を感じていたらしい。 それを束が解決できるのだ。

 彼女にとって未知の技術だが、技術である以上は束の才覚は発揮される。

 

「良い場所だよねココ。風も日光も波もすごいから、あの岩場よりも安定して研究が出来そう」

 

 太陽光発電、風力発電、波力発電。

 この短時間に三つの発電方法で電力を確保してるのか……。

 

 あの岩場の旨味は、船や飛行機なんかの大型の漂着物や機械類が多く手に入る所らしい。

 定期的に使えるものを取りに行く事にする。

 

「早速色々と拠点を改良してくれてありがとうな」

 

「へーきへーき! キョウ君達が暮らす拠点だからね、束さん頑張っちゃうよ!」

 

 非常に機嫌の良さそうな反応。

 意外な事に、束は拠点のメンバーへは比較的に友好的だった。

 

 俺に抱かれた者同士の連帯感なのか、普通に話をする事が多い。

 ゆかりさんが一番多く、フェイトとアーシアが同率二位ぐらいか。

 

 魔法の関係と未知の技術が多いが、それでも束がにこやかに談笑する姿に、篠ノ之束というキャラクターを知っている身の上としては奇妙な感覚を覚える。

 

「キョウ君、また魔法の知識教えてね」

 

 束の要請。

 これは、この島にいるそれぞれの出身世界の魔法以外の魔法概念の事だ。

 

 『ハイスクールD×D』の世界の魔法は、小猫とアーシア。

 『ネギま!』の世界の魔法は、木乃香と刹那。刹那は魔法というよりは気や式神系統の方向になると思うが。

 『魔法少女リリカルなのは』の世界の魔法は、フェイトが教えている。

 『VOICEROID』の生体型アンドロイドが生産可能な科学技術を、ゆかりさん。

 

 それぞれの世界の知識を得ていくうちに、束さんは違う世界の技術や魔法が気になりだしたようだった。

 この島に他の漂流者が来ない限り、知識体系はこの状態で止まってしまう。

 

 そこで、俺の持っている他の作品たちの知識。

 それこそ、この島の来ている娘達や束さんの出ている創作物を知っているということから、他の創作物も当然知ってるよね? という感じで束に聞かれたのだ。

 

「ああ、何の話を聞きたい?」

 

「Fateって作品だね! 魔法……魔術だっけか、設定が複雑だったからね」

 

 作品の設定が深いというのもあるが、俺の理解力が低いというのもあるだろう。

 悲しいかな、ある程度作品をプレイしていたけど、全体を把握するには俺の理解力が足りない。

 

 ミッドチルダのシステム的な魔法と違い、Fateの魔法・魔術設定はかなり概念寄りだ。

 それを説明するにも語彙力が足りないという悲しい事件。

 

 

***********************************

 

 

「束さんは予想以上に協力的ですね」

 

 束との技術的な部分の会話を終えたゆかりさんが部屋でくつろいでいる。

 一通り話を聞いた彼女は、部屋で研究を始めている。

 

「まぁ、タイミングとか色々良かったんだろうな」

 

「ふふ、大分強めに抱いたんですね」

 

 見破られている。

 まぁ、俺の話していた束の性格とはかなり違うからな。

 

 その上、彼女の首には赤い首輪。

 俺が説得しても首輪は絶対に外さなかった。

 気づいたら、首輪にドックタグの様な金属プレートに束の名前が刻まれていた。

 

「見てたみたいに言うんだな」

 

「分かりますよ。マスターに抱かれた人は、満ち足りたような表情をしますから」

 

 それは初耳だし、恥ずかしいんだが。

 ゆかりさんは、ニヤニヤしながら自身の首を撫でている。

 

 ああ、気付かれているな。

 小悪魔の尻尾が見えている気さえする。

 

 ゆかりさんは、薄い寝間着を挑発的に着崩している。

 彼女は束にルールというか、簡単な習慣を教えていた。

 夜の当番表も教えたようだが、それの簡単な表を彼女なりに俺の負担を考え、全員が満足できるような形を提案してきたらしい。

 

 拠点の増築案もいくつか提示してきた。

 行為をする用の小屋、そこに併設されるシャワー施設などだ。

 

「今日は……私を満たしてください……マスター」

 

 正面からしなだれかかるように、抱き着いてきたゆかりさん。

 フワッと女性特有の甘い香りが鼻腔をくすぐり、膝に跨って本当に軽い彼女が俺との距離をゼロに近づけていく。

 

 チュッ……レロ……。

 

 最初に上唇を啄む様に口づけをし、そこから舌を絡めて深いキスをしていく。

 背中に腕を回し、グイっと抱き寄せる。

 

 ヌルッと太ももに当たっている彼女の膣の感覚が擦れていく。

 胸板に当たる彼女の身体の女性特有の柔らかな感覚が興奮を高めてくれる。

 

 抱き寄せた腕を離し、そのまま彼女の背の産毛を撫でる。

 ゾワゾワという感覚を覚えているのか、身体がピクピクと動き、表情も徐々に艶っぽい物に変化していく。

 

「相変わらず、感度が良いね」

 

「ふふ、乗ってきましたね」

 

 グイっと押される感覚に逆らわず、寝所に横になるとそのまま、ゆかりさんが騎乗位で跨ってくる。

 無駄な脂肪の無いスラッとした身体。

 それでいて女性特有の柔らかさを持って、その対比が美しい。

 

「マスターもカチカチですね。私もちょっと我慢できそうにないので、もう挿れてしまいますね」

 

 その言葉と同時に、股間が熱いモノに包まれる。

 ゆっくりとした挿入ではなく、鈴口に当ててから一気に根元まで呑み込まれた。

 

 それと同時に、ギュンッと彼女の膣全体がまるで絞る様にうねり、思わず射精してしまいそうになる。

 歯をかみしめて耐えていると、覆いかぶさるようにゆかりさんがキスをしてきた。

 

「あはは、やっぱりマスター相手に先手を取るのは難しいですね」

 

「びっくりしたわ。無理するなよ?」

 

「……やっぱり、マスターには敵いませんね」

 

 彼女の表情は平然としているが、膣は全く違い、ビクビクと激しく流動している。

 絶頂、もしくはその寸前だ。

 俺自身も限界寸前なのもあるし、ここで一回出して置いた方が、互いにいいだろう。

 

「俺も辛いし、一回出すよ?」

 

「え? 今出されると……!?」

 

 言葉を終える前に、腰を使ってゆかりさんを突き上げる。

 フワッと浮き上がった彼女は、重力に従って再び俺の腰に落ちてきた。

 

 コリっと亀頭に膣内とは別種の感覚が当たり、その感覚にギリギリだった射精感が一気に高まる。

 そして、その射精感を耐えることなく、解放した。

 

「っぅ!」

 

「ひぅ!?」

 

 想像以上の射精量に内心驚きつつ、ゆかりさんを見ると、身体を弓反りにしてビクビクと絶頂を味わっていた。

 ひとしきり互いに絶頂を味わった後、ゆかりさんが胸に倒れ込んでくる。

 

「ハァハァ……っ……マスターも中々にSっ気が身についてきましたね」

 

「前々から疑問だったんだけど、お前らS化調教とか企んでないよな?」

 

 髪を耳にかけながら赤く染まった頬で俺を見ている。

 その姿にちょっと興奮を覚えているのは、少し前の俺では無かった事だと思う。

 

 割とSっ気を要求される場面は多い。

 木乃香の羞恥、刹那の甘え、フェイトの被虐、アーシアの奉仕、束の被飼育。

 小猫の匂い、ゆかりさんの胸が特殊なだけで、他の五人は割とSっ気を刺激してくる。

 

 だというのに、小猫もゆかりさんも俺にSっ気を刺激する様な行動や言動をするようになってきていた。

 もう、女性陣全員で何かの協定が結ばれていること自体には驚かない自信がある。

 

「それはどうでしょうね? 気になるのでしたら、もうちょっと強くしてみれば、出てくるかもしれませんよ?」

 

「答えてるようなもんだろうが……。だが、まぁ……望むならしてあげるよ」

 

 そう言いながら、腰を突き上げてそれを繰り返す。

 徐々に速度を上げて、ちょっと激しくしてみる。

 

 ゆかりさんの反応だと、後4回は連続で出来るかな。

 休憩挟んで、6回。

 

 少し短めの夜になりそうだ。

 

 

***********************************

 

 

 カタカタと自室に備え付けたモニターに表示されるキョウ君とゆーちゃんの情事。

 そこは別にいい。

 

 西側に居た頃から覗いてたし、今更感がある。

 

 問題は、キョウ君がゆーちゃんとする回数だ。

 連続で四回、休憩挟んで2回の合計6回。

 

 普段が10回前後なだけに違和感がある。

 ゆーちゃんの体調不良はキョウ君には教えていなかったし、教えなかったとしても問題無いと判断していた。

 

 ゆーちゃんの不調は、純粋なメンテと調整不足。

 数日でメンテナンス作業を行える装置の開発も出来るから、キョウ君に心配をかけてしまうのを心配したゆーちゃん達の総意で伏せられることになった。

 

 なのに、キョウ君はまるでゆーちゃんの不調を見抜き、負荷のかからないギリギリの回数をはじき出した。

 キョウ君自身のそういう計算能力はあまり期待できない事はここ数ヶ月で十分に分かっているだけに不思議だった。

 

「……キョウ君、何か持ってるよねぇ」

 

 本人にも分かっていない何かの力を持っている。

 ここで厄介なのが本人に自覚が無いという点。

 

 自覚があるなら聞き出せば済むけど、自覚が無いなら束さんが解き明かす必要がある。

 そして多分、科学だけでは解明されないと思う。

 

 魔法という概念を知って、よりその説明できないモノへの興味と理解が進む。

 あの果実も、キョウ君の力も、この島も……そして何よりもこの世界も……科学だけではダメだ。

 

 キョウ君の為に、この謎は解明しないと。

 探求心と実益を満たす素晴らしい研究課題だ。

 

 とりあえず、キョウ君の余裕があるようなら……この後お願いしよう。

 覗き見していたら火が燻り始めている。

 

「それにても、ゆーちゃん気持ちよさそうだなぁ」

 

 ぐったりとしている彼女の姿を見て、少しの羨ましさとこれから自身に訪れるであろう快楽を期待して、ちょっとだけ火の勢いが増した。

 




 いかがだったでしょうか。

 ここから束さんを筆頭に紐解きの段階に移れそうです。
 もうサバイバルしてねぇなコレw

 オリジナルも書きたいし、二次創作も続けたいし……。
 とりあえず、やりたいことをやっていきたいと思います。

 よろしければ、評価や感想を頂ければ幸いです。
 それでは~。


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33 無人島の北部への準備

 どうも、FGOで十連ガチャで星5が3体手に入りました。
 3体の宝具レベルが上がりました。

 スカサハ師匠が出ねぇ……。

 さて、準備段階。
 遠征組を選出しています。

 それでは、どうぞ!


 無人島北部。

 この島で、俺達が探索していない場所であり、魔法を減衰する力を放っている場所。

 

 正確には一番減衰を受けるのは、フェイトの魔法。

 小猫やアーシアの使う魔法の影響は、半減と言える程度に減衰する。

 木乃香や刹那が使える魔法、こちらは減衰こそあるが影響は少ない。

 アーシアの神器に影響は無く、木乃香や刹那のアーティファクトにも影響も無い。

 

 影響は北部の山岳地帯に近付くに従い増大する。

 束が言うには、ドローンでの撮影で奇妙な形の岩が多いが、それ以外で特筆すべき部分は無かったと言っていた。

 

 北部の探索が話し合いで出ている状況で、現在全員が持っている情報をまとめている。

 

「北部への探索に行くにあたって、探索組を決めたい」

 

 基本的に、拠点にゆかりさんが常駐している状況で、木乃香かアーシアの回復担当のどちらかが待機組。

 そして、待機する回復担当によって、小猫か刹那がセットになる形で待機組へと組み込まれる。

 

 俺が探索組になる事は確定しているので、回復と前線担当をそれぞれ決める事が探索の際のメンバー選別だ。

 今回は束も着いて来ることになっている為、大所帯になる事は確定となる。

 

「今回、北部の魔法阻害があります。阻害の効果を受けにくいメンバーが良いと思いますが……」

 

「それやったら、ウチとせっちゃんがええと思うえ」

 

 ゆかりさんの提案に木乃香が答える。

 ネギま組は、魔法阻害の効果が薄い。

 

 何かがあった際の対応要員としては適任だ。

 だとすると、俺・束・木乃香・刹那が決まった。

 

「ねぇねぇ、ふーちゃんも連れて行った方が良いと思うよ?」

 

 束の発言。

 ふーちゃんとは、フェイトの事だ。

 俺をキョウ君、小猫をなぜかしーちゃん、ゆかりさんをゆーちゃん、木乃香をこのちゃん、刹那をせっちゃん、フェイトをふーちゃん、アーシアをあーちゃんと呼ぶ。

 

 俺がこんがらがりそうだが、木乃香と刹那は分かり易い。

 二人もそう呼ばれることに抵抗は無い様で、木乃香は束お姉さんなんて呼んだりしている。

 

「わたしですか? でも、私は北側で確実に魔法が使えなくなると思います」

 

「だからだよ。ふーちゃんの言っていたAMFだったよね。それを知っているのはふーちゃんだけだし、同じモノなのか違うモノなのか……実体験に基づいた意見は必要だよ」

 

 なるほど、それはある。

 研究者としての意見であるが、同時に探索の中で北部の特徴の情報を得るという事は重要だ。

 

 東部の果実、西部の機械系の漂着率の高さ。

 南部の生活雑貨の漂着率の高さが特徴だ。

 

 北部は魔法阻害の効果以外に何を持っているのか?

 それを調べる為の探索であり、魔法阻害がその何かを有している可能性は高い。

 

「ふーちゃんの知っているAMFを立証できるのはふーちゃんだけ。だから、ふーちゃんは絶対に探索に必要さ」

 

 確かにそうだ。

 AMFは、魔法少女リリカルなのはStSの世界で登場した魔法を阻害する技術。

 正式名称が『Anti Magilink Field』だったはずだ。

 

 フェイトの世界の技術だし、バルディッシュがデータを持っているだろうから、似たモノなのか違うモノなのかを判別できるだろう。

 

 束がバルディッシュからデータを受け取って、それで探索することは可能だろうが、束は魔法を学び始めたばかりだ。

 習得速度が早いとはいえ、体験していない事を想像することは難しい。

 

 確か、ガジェットドローンという敵性機械の機能に組み込まれていたはずで、その装置があの山にあるのかどうか。

 執務官としてシステムの外観の情報は見たことがあるかもしれない。

 

「私もフェイトさんは探索に同行した方が良いと思います」

 

 ゆかりさんが更にフェイト同行を推してきた。

 今まで拠点の防衛も考えて、戦力はある程度置いておくことにしている。

 

 ゆかりさん自身に戦闘能力が無いから、回復役一人と戦闘役二人を置くことが多い。

 それを、彼女の要望で探索側に多く振り分けるという事は、ゆかりさん自身がこの探索に重要なモノを感じているのだろう。

 

「拠点の防備が薄くなるが……」

 

「元々、拠点への襲撃も野生動物ぐらいですし、罠と今回は小猫さんで対応可能です。最悪の場合、中間拠点まで退避すれば時間を稼ぐことも可能です」

 

 確かに、野生動物ぐらいなら小猫一人で問題無いし、中間拠点まで退避するにも三人中二人が空を飛べる。

 その上、小猫ならゆかりさんを運んで移動する事も容易だろう。

 

 というか、小猫の能力はかなり高い。

 索敵と戦闘能力、そして経験が高水準で揃っているのは小猫だけだったりする。

 

 フェイトは索敵も戦闘能力も高いが、圧倒的に経験が足りない。

 刹那も同様で、経験という壁は小猫が一番だ。

 

「拠点担当のゆかりさんと、研究担当の束が言うんだ、採用しようか」

 

 拠点待機組が、ゆかりさん・小猫・アーシア。

 探索組が、俺・木乃香・刹那・フェイト・束。

 

 経験的な意味では、拠点組の方が高いからある意味心配が無いと言えばそうだ。

 拠点のマスターであるゆかりさんと、探索のマスターである小猫。

 これ以上の安心感は無いだろう。

 

「せやったら、持っていく物とか決めて行こうかぁ」

 

 木乃香の言葉で持っていく物への話し合いへシフトする。

 束が持っていきたい装置の話を始めて、小猫が同行しない為、量を持てない。

 小型軽量化をする方向になり、話し合いは長引いて行った。

 

 

***********************************

 

 

「今回は着いて行けないですから、たっぷりとお願いしますね、おにいさん」

 

 小猫は、部屋に入るやいなや服を脱ぎ捨てて、俺に抱き着いてきた。

 最も俺と関係を持っている彼女。

 

 流れる様に俺のイチモツに手を添えて、服の上から愛撫していく。

 俺の弱点を知り尽くしているその手管は、あっという間に股間に力を与えて、股間は完全に戦闘態勢。

 

「脱ぐ前に勃たせるなよ……」

 

「おにいさんは、絶倫ですから五発ぐらい口でしても負ける気がするので……」

 

 そこまでじゃないわ。

 服を着た状態で勃起させられると、脱ぐ時に引っかかって痛いのだが……。

 

「最初は私がヌイてあげます」

 

 そう言うと丁寧に俺の服を脱がしていく小猫。

 その手際は非常に良く、あっという間に下半身は剥かれてしまう。

 

 小猫に促されるままにベッドに座ると、俺に見せつける様に大きく口を開けて舌を出す。

 そして、そのまま俺のチンコに倒れ込む様にして、咥え込んだ。

 

「あー……んむぅ!」

 

「うぉ!?」

 

 一気に喉の奥まで股間が呑み込まれ、同時に温かさと絡みつくような刺激が襲ってくる。

 堪えようと力を入れた瞬間、いきなり根元まで咥え込んでいたイチモツを開放してきた。

 

「ぷはぁ……」

 

「っ……緩急で振り回してくるな」

 

 解放されたので力を抜いて、小猫に話しかける。

 その途端に、小猫が再び根元まで俺の股間を飲み込んだ。

 

「はむ!」

 

「っ!?」

 

 気を抜いていた所の奇襲に、なす術無く射精させられる。

 射精中も頭を前後に動かして、吸いだすように刺激をしてくる。

 

 精液が普通以上に吸い出され、それをコクコクと喉を鳴らして小猫が呑み込んでいく。

 そして、射精が終わった後に、尿道に残っている精液すらも吸い出すように吸い付きながら口を離した。

 

 チュポンっといい音を立てて、股間が解放される。

 そして、そのまま俺に口の中の精液を見せつけた後に、ゴクンッと口の中をすべて呑み込んだ。

 

「んぇ~……」

 

 少し間抜けた声を出しながら口の中を見せつけてくる。

 そこには精液の気配は一切無く、テラテラとした艶めかしい口内が見えた。

 

「く……、不意打ちでやってくれるな小猫」

 

「いえ、おにいさんを少しでも気持ち良くしようという健気な女の子の気遣いですよ」

 

「健気な女の子は、射精している所から更に精液を吸いだそうとはせんわ!?」

 

 射精後の脱力、そこを更に押し倒され、少しだけ固さが減退している股間を彼女のツルツルの膣に圧迫される。

 土手の部分に一切の毛が生えていないのに、裏筋に当たる彼女の膣口は、自分が何度も相手をして馴染んだ柔らかさを感じた。

 

 それに釣られて、俺の股間に再び固さが戻ってきた。

 更に小猫の腰の速度が上がっていく。

 

「どうですか? おにいさん、もっと出してくれても良いんですよ?」

 

 さっきの不意打ちに気を良くしているのか、小猫は楽しそうに股間をこすりつけてくる。

 亀頭に膣口が当たり、少し角度を変えればそのまま奥まで挿入できるだろう程。

 

 股間全体に愛液がいきわたり、ぬらぬらと照りを見せる。

 先ほどの不意打ちも含めて、少々不甲斐ない対応をしてしまった。

 

「そうだな、……もっと出してやろうか」

 

「え?」

 

 キョトンとした顔。

 それもまたかわいいと思うが、今はちょっとした逆襲をしよう。

 

 騎乗位で素股をされているこの状況。

 愛液もたっぷりと出ているし、膣口に当たっているムスコからは相当な熱を感じている。

 腰の角度を変え、不意打ちで彼女の膣奥まで一気に挿入する。

 

「にゃ!?」

 

「お返し。たっぷり出してあげる」

 

 そしてそのまま突き上げるようなピストン。

 フワッと一瞬、抜けるかどうかのギリギリまで突き上げて、重力に任せて落下させる。

 

 ズパンッと小気味いい音と共に、小猫の股間から噴き出す潮。

 小刻みに震えて、膣の締め付けも強く、口から涎を漏らす。

 

「そうだなぁ、最初に言っていた五回ぐらい? 連続で行こうか」

 

「あ……」

 

 やっちまった的な表情をしているが、知らん。

 たっぷりと可愛がってあげるから覚悟しておくように。

 

 

***********************************

 

 

 空が白み出している。

 行為用の小屋の窓から夜明けを確認する。

 胸には小猫が満足げに抱き着いていて、互いに股間はドロドロな状態だった。

 

「珍しく最初は責めてきたな?」

 

「あー、おにいさんに試してみたいことがありまして」

 

 言い辛そうにしている小猫。

 最初のちょっと責めるような行為。

 S化調教とは少しずれているようなイメージだったけど。

 

「誘い受けでおにいさんのS度を測りたくてですね」

 

「いや何してんの」

 

「おにいさんの全力に耐えられる私か束さんしかできない事でしたからね」

 

 上機嫌そうに話す小猫に、恐らくだが望む結果が得られたのだろうと予想する。

 確かに、手玉に取られたような感覚がして、仕返し的な感情が湧いたことは否定できない。

 

 順調にS化調教されている。

 自覚症状が出ているあたり、取り返しがつかないんだろうな。

 

「幸せな時間でした。アレが降りて来れない状態というやつなんですね」

 

 とても楽しそうに頬ずりしながら、ギュッと抱き着く力が強くなる。

 深呼吸を繰り返しているから、たっぷりと臭いを嗅いでいるようだ。

 

 深呼吸の度に、俺の太ももに彼女の愛液と俺の精液の混ざったものが流れてくる。

 もう少ししたらもう一戦かな?

 

 結局俺らが眠ったのはお昼を過ぎたあたりだった。

 




 いかがだったでしょうか。

 ここすき機能で伏線や重要情報にチェックを入れてくださる人が、過去話数でもチェックを入れてくれて嬉しい今日この頃。

 北部の設定がようやく書き出せる!

 よろしければ、評価や感想を頂ければ幸いです。
 それでは~。


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34 無人島北部探索

 どうも、外出しようとすると雨が降るオルカです。
 雨男じゃないはずなんですが、巡り合わせというやつでしょう。

 さて、次回で北部の謎を解いていけるかなと言った所。
 別作品も色々考えないといけなくなってきました、どうしよう・・・。

 それではどうぞ!


 中間拠点も過ぎて、北部山岳地帯手前。

 フェイトから大分減衰も強力になってきているとの報告も受けている。

 

 魔法を発動できるが、かなりの魔力を使うらしい。

 一度、山へ登る前に手前の開けた場所にて補給することにした。

 

 かなりの高さがある事と、食糧の確保が難しいと判断される事から保存食以外の食糧もある程度採取する必要があった。

 

 木々が少なく、岩の多い山。

 多少の植物は生えているが、食糧採取は困難だろう。

 

 だからこそ、調達できる物を多く採取してから登っていく。

 体力も回復して、万全の態勢で登っていく事が肝要だ。

 

「結構な量のキノコが採れたえ。乾燥させればええ出汁が出るわぁ」

 

 ホクホクとした表情の木乃香がキノコを天日干ししている。

 キノコは基本的に乾燥させると旨味が増すものが多い。

 天日干しした物を水で戻しながらスープとかにすると美味しいのだ。

 

「燻製のお肉も持ってきてますから、しばらくは美味しい食事が出来そうです」

 

 問題は水だ。

 個人が携帯できる水の量は決まっている。

 

 束が携帯用貯水タンクを開発しているが、それでも一週間分には足りない。

 水源は北部には確実に三か所以上はあることは分かっていて、島に流れる三つの川の源流が北部の山岳地帯にある。

 

 南側の河川沿いに上っていくルートを予定していて、理由としては煙の出ている西側の山を避けつつ、島を見渡せる高さがある南側の河川ルートを選んだのだ。

 

 ここで東側のルートを選ばなかったのは、例の果実の群生地帯。

 あの地帯を侵している植物の原因がある可能性がある。

 

 それが、どんな理由なのかはわからないが、あの果実の効果を凝縮したようなものが存在していた場合、探索隊は帰れなくなる可能性が高くなる。

 避けて置く方が賢明だ。

 

「明後日の早朝に登り始める事にして、明日は各自体調を整えることにしよう」

 

 体力の回復と、採取した食糧たちの保存性を高める作業に従事する。

 肉は燻製、キノコは乾燥、野草はまとめて少量の水の入った容器で保管する。

 

 肉とキノコは日持ちするだろうけど、野草は少し早めの消費をしなければならない。

 乾燥や燻製などの様に保存食化できないのであれば、難しいな。

 

 野草は多めに採取し、早めに消費する。

 栄養という点で考えて、野菜での摂取できる栄養は疎かにはできない。

 

 多少の植物が生えるあの山では、山菜が採れるかもしれないが、岩肌も多い。

 とれない可能性を考慮して、ある程度揃えてから挑むのが最良だろう。

 

「せやったら、燻製の準備はウチとせっちゃんでするわぁ」

 

「そうですね、獲物の解体と燻製はお任せください」

 

 本日捕れた獲物は、鹿一体とイノシシ一体。

 大収穫であるが、全部燻製にするとなるとそれなりのスペースが必要になる。

 

 皮を剥ぎ、内臓を抜き、可食部意を選別、肉を部位ごとに解体。

 その後に、燻製の為に密閉できる空間と、火の管理っと一日で行うにはハードではあるのだ。

 

「二人で獲物二体はきついだろう。フェイトは解体の手伝い、俺と束は燻製する為のスペースを作るのを手伝ってくれ」

 

「火の管理じゃなくて、電熱線での管理が出来るよ。室温計と連携させて一定温度を超えたら電源を切る様にできるから、かなり管理が楽になるはずだよ」

 

 本当にありがたい。

 電熱線が温度でスイッチを切り替えられるなら、見張りがかなり楽になる。

 

 燻製で幾つか注意点があるとすれば、木のチップから出火させない事、煙を留めて置く事、燻製前のしっかりと食材を乾燥させる事、このあたりだろう。

 

 だから獲物の解体後に、食材をある程度干してから燻製する必要がある。

 塩と胡椒はある程度持ってきているし、出先でソフトジャーキー程度まで乾燥させることが重要。

 

 今日は風も日光もいい感じだから、処理した端から燻製用にスライスしてから乾かす。

 お昼と晩御飯は、処理した内臓系。

 心臓や肝臓、腎臓がいいだろう。

 

「あれ? 腸は食べないの? 焼肉とかでホルモンの定番だと思うんだけど……」

 

「ああ、腸は確かに美味しいけど、下処理がとてつもなく手間がかかるんだ」

 

 ネットでの知識だが、腸を開いて洗浄・内臓脂の除去、これは脂として抽出する・二度目の洗浄・これでようやく下拵え前の俺達の手に届く形のホルモンとなる。

 ここから、小麦粉をまぶしてしっかりと擦り合わせ、水で流してようやく食べられるようになる。

 

 塩で下拵えする方法もあるが、小麦粉も塩も貴重なのだ。

 水洗いも、道具を揃えてかなりかかる。

 今の状況だと、半日以上かかるかな?

 

 時間と調味料が大量に持っていかれる為、余裕が無いなら控えた方が良い。

 他の残滓と一緒に地中深く埋めるのが土地の為になる。

 

「内容物が通る場所だから下処理は確実にしなければならないし、その手間は他の内臓の倍以上。しかも、内臓は腐敗が早いから保存しておいて後で処理するという事が出来ないんだ」

 

「そうなんだ。なのは達とお店行った時とか、定番だったから……」

 

 そう言うフェイトは、少し残念そうだ。

 確かに、焼肉屋とかでのホルモンは美味しい。

 ホルモンは栄養価も高いし、歯応えなんかも独特で、好き嫌いが分かれるが好む人は居る。

 

「なのはって、束さんに声が似てるって言ってた人だよね? どんな娘?」

 

 ヒョコっと後ろから束が声をかけてくる。

 そこから、フェイトのいた世界の話と高町なのはとの出会いを語らう。

 

 結果から言うと、フェイトは好きなモノへの語りはオタクっぽい感じになるという事を知れた。

 ちょっと、木乃香の事を語る刹那に似てると思ったが、あえては言うまい。

 

 

***********************************

 

 

「キョウジさん……もっとぉ……」

 

 トロトロに蕩けた刹那が腕枕で恍惚な表情で俺の胸に顔を埋めている。

 隣には、気を失っている木乃香。

 こっちは、刹那と一緒に抱いてあげると、羞恥心が刺激されて一人の時より反応が良いのだ。

 

 そうでなくとも、木乃香と刹那は二人で抱かれることを好む。

 互いの記憶を持ってこの島に来てるから、元々仲が良かった二人が更に仲良くなっている。

 

「じゃぁ、上においで。抱きしめながらやろう」

 

 すると、蕩けた笑みを浮かべて跨り、そして挿入しながら倒れ込む様に抱き着いてくる。

 片手で抱きしめる様にしてあげると、嬉しそうに笑いながらキスを交わす。

 

 さっきまでたっぷりとヤリ合っていたから、俺自身は限界まで余裕がある。

 それに対して、刹那は挿入してすぐに絶頂を感じているようで、背中が時折跳ねているのが見えた。

 

 撫でる様に背中をさすりながら、ゆっくりと腰を動かしていく。

 刹那は強くやるより、こうしたスローペースなセックスを好む。

 

「あぅ……ん……む……ぅんぁ……」

 

 蕩けきった表情で俺を見つめながら、腰を動かしてくる。

 俺もそれに合わせて、強すぎないように調整して突き上げをリズム良く行っていく。

 

 力強く突き上げるのではなく、ゆっくりと奥へ進め、奥に届いたら腰を捻って膣内を丁寧に擦り上げる。

 それだけで、瞳が潤んで、口の端から涎が垂れて始める。

 

「キョウジさん……もっと、ごほうび……ください……」

 

 刹那とのセックスは、口づけをしたままであることが多い。

 俺自身が好きなのもあるけど、彼女は密着した状態を好む。

 

 四十八手の『茶臼伸ばし』という体位に似ているが、基本的に全身を密着しつつ、伸ばしている刹那の脚を挟む様に自分の足を密着させると、喜んでくれる。

 

「ああ、今日も頑張ってくれたからな。ありがとうな、刹那」

 

 行為の時に褒め過ぎて、普段のお礼で軽く絶頂しそうになってるから気を付けないければならない。

 条件付けが進んでいるが、かといってきちんと気持ち良くさせてあげなくては、申し訳ない気持ちもある。

 

「……っ! ぁぁ……」

 

 気を失って脱力した刹那。

 しばらく、余韻を味わいながら眠ったことを確認する。

 

 ゆっくりと、呼吸が落ち着いたことを確認して横に寝かせた。

 左右から女の子二人に抱き着かれ、寝息が身体に当たるのを感じている。

 

「……腕、しびれた……」

 

 贅沢な悩みかもしれないが、割と切実な状況だったりする。

 朝一でマッサージしておこう。

 

 

***********************************

 

 

「ねぇねぇ、ふーちゃん」

 

 火の番をしていたフェイトに、束が話しかけてくる。

 また魔法の話かと思い、幾つか教えようと考えていた魔法へ思考を巡らせる。

 

 まるでスポンジの様に術式を覚えていく彼女はまさに天才的だった。

 今ではデバイスの補助なしで魔法陣を展開できる。

 

 マルチタスクは元々習得していたし、ストレージデバイスの基礎構造を下地だけだったけど独自に作り出していた。

 

「何ですか、束さん」

 

「えぇ~、束でいいって言ってるのにいけずぅ」

 

 少し拗ねた様な口調だったけど、束さんはいつもこんな感じ。

 キョウジさんが言うには、適度な距離も必要だという話だ。

 

「それで、寝なくて大丈夫ですか? また魔法の話でしたら、明日に時間とれますけど……」

 

「え? ああ、それは大丈夫。拠点に戻ってからでも平気! それで、話って言うのは……」

 

 そう言うと、言い淀むような仕草をする束さん。

 珍しい。無邪気にズバッというタイプだと思ったけど、こういう反応をするのは意外だった。

 

「ふーちゃん達の魔法って、相手を殺さずに確実に気絶させられるんだよね?」

 

「非殺傷設定ですか? 正確には、酷く外傷を負うという事を避けられるだけで、実際にはそれなりの衝撃や痛みがあるんだけど……」

 

 子供の頃、なのはの砲撃を受けた時のダメージは辛かった……。

 けれど、ノックアウトできる確率はかなり高い。

 

「受けた側の耐久力次第にはなるけど、ノックアウトはできるかな」

 

「……消耗していたり、別の事へ意識が向いていたら?」

 

「……ほぼ確実にノックアウトできる……ね」

 

 なんだろう。

 少し物騒な会話内容。

 

 だけど、束さんがキョウジさんに不利になる事をするとは思えない。

 短い付き合いだけど、彼女は私達よりも先読みがスゴイだけで、重いというか行動原理は私達と近いと思っている。

 

「次に、ふーちゃんの魔法なんだけど……使える?」

 

 AMFの阻害率は、ガジェットの種類にも寄るけど、大体60~80%程度。

 大型になれば、120~200%程度だったはずだ。

 

 更に、ガジェットが複数存在している状態でのAMFは、効果が重複する。

 この状態は、スカリエッティの研究所は大型以上の濃いAMFが展開されていた。

 

 この山は……高濃度のAMFが展開されている。

 実際に味わったからこそわかる。

 

 この山にはAMFを発生する装置がある。

 

「……魔力を節約して、小規模を数回、大規模を一回かな」

 

「……だったらふーちゃんにお願いがあるんだけど……」

 

 束さんから頼まれたのは、予想外の事で、断ろうとしたんだけど、説得されてしまった。

 彼女はどれだけ先を見ているのだろうか。

 

 キョウジさんの為に……私も出来る事をしよう。

 




 いかがだったでしょうか。

 先日、鬼滅の刃のR18の短編を投稿しております。
 ご興味があれば、是非とも一読ください。

 本編関しては、次回でようやく動かせる。
 ただ、エロシーンを入れられないかもです。

 よろしければ、評価や感想を頂ければ幸いです。
 それでは~。


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35 無人島北部の謎

 どうも、健康診断が近いオルカです。

 脂質と肝臓がヤバいので、食生活に気を付けています。
 酒は普段あまり飲まないので、脂肪肝なんだろうなぁっと予想。

 さて、今回はエロ無しの風呂敷畳み話。
 次回もエロ無しになるだろうことが予想されますので、もしかしたらまた短編でエロを上げるかもしれません。

 それではどうぞ!


 北部山頂に向けて歩き続けて丸一日。

 無理のないルートと速度で歩いていた為、随分と時間がかかってしまったが、六合目ぐらいは来ているだろう。

 

 この辺りから徐々にだが、草木が無くなってきて、一部の高山植物だけが残っている。

 今の所、人が入った形跡は無く、獣道がある程度だ。

 

「フェイト、魔法はどうだ?」

 

「麓とほぼ変わらず、減衰範囲は麓からが最大とみて間違いない……かな」

 

 北部山脈全体から魔法減衰のフィールドを展開していることは予想していたけど、ここまで大規模だったとは。

 

 目の前で束が、魔法陣を展開するも、あっという間に霧散してしまう。

 というか、束はもうそんなレベルで魔法を習得してるのか。

 

「魔法の反応で探すのは難しいか……。皆、互いが確認できる距離で探索を始めよう。発見時は大声で呼んでくれ」

 

 互いにある程度の距離を保ちつつ、周囲の探索を始める。

 地面や岩などを棒で叩いてみたり、獣道を外れた先を確認したり。

 

 刹那が式神を放って少し広く探索をしてくれる。

 あまり遠くに飛ばすと維持できなくなるらしいので、人の入りにくい場所の探索をしてもらう。

 

 束もドローンを使用して高い位置から全体を見ている。

 彼女の手元にある端末には俺達を上空から移した映像が映されているようで、束は俺らのちょうど真ん中で適当な岩に腰を下ろしながら端末を操作していた。

 

「上からじゃ、ただの山だね。裏側に回す?」

 

「いや、何かあった時に上空から全員確認できるのは強いから、できれば上空に待機させてくれると助かる」

 

「りょうか~い」

 

 ポンポンと端末を操作し、そのまま胸ポケットにしまい込んだ。

 屈むと落ちてしまうのではと思ったが、その豊満な胸のお陰で安定した保管場所となっている。

 

「束さんを中心に滞空するように設定したから、前後三十分録画もあるし安心だね!」

 

 そう言いながら、全員のちょうど真ん中にいる様に周囲を確認している。

 俺も、岩壁を軽く叩きながら確認。

 ほとんど違和感を感じないが、奇妙な感覚がここのあたり全体を包んでいる。

 

 獣道もあるし、もう少し上に行ってみるのもありか?

 獣すら立ち入らない場所。

 束の話ではもう少し登ればそういう道があるという。

 

「キョウジさん、もう少し上に登ってみませんか?」

 

 刹那が木乃香を連れてそう言ってきた。

 彼女は魔法無しで空を飛べる貴重な人材だ。

 

 他には、悪魔の力を持っている小猫とアーシアが居るが、二人は拠点で待機している。

 フェイトは魔法使用が前提で、この場所では飛行は使えないものと考えた方が良い。

 

「そうだな……。上の方はどういう状況?」

 

「ドローンでは、危険な場所は無いね」

 

「そうか。刹那の言う通り、もう少し登ってみよう。もう獣道も細くなっているから、無くなるだろう。滑落に注意して行こう」

 

 獣道は指標だ。

 多少の滑落し辛い場所を示している。

 しかし、獣道は文字通り獣がよく通る跡なのだ。

 

 この辺りからほぼ植物が無い。

 草食動物やそれを狙う肉食動物が通るには余りにも旨味が無いのだ。

 

「キョウジさん、眼帯大丈夫? 道細くなってくんやったら、片目だと辛ない?」

 

 木乃香に言われて気付く、自身の左目の眼帯の存在。

 視界を立体的にとらえる為には、両目での視点が必要になる。

 半分視界を閉ざしている今、多くの起伏や小石や岩がゴロゴロしているこの場所で立体視を持っていないのは辛いだろう。

 大分違和感が無くなっていて、装着していることを忘れていた。

 

「そうですね。足元も悪いですし、この山の探索中ぐらいは外した方が良いと思います」

 

 刹那も自分の左目に手を当てて、そう言ってくる。

 剣士である刹那は、片目の危険性を一番理解しているだろう。

 

「探索中は外しておいた方が安全……だな」

 

 納得して外そうとした時、ガシッと束に手を掴まれた。

 結構な力がかかっていて、手が動かせなくなる。

 

 彼女の方を見ると、いつになく真剣な表情。

 割と彼女との間には数人分の距離があったはずだが、一瞬で間合いを詰めてきた。

 

「キョウ君、左目の状態は束さんから見ても良くないからさ。眼帯はしたママが良いよ。私が一緒に歩くから」

 

 僅かな違和感を思えたが、自分と束の関係を考えると、理解できる部分もある為、その違和感は棚上げしておく。

 

 医学系統の知識は俺にはほぼ無いと言って良い。

 ごくごく一般的な民間医療的な知識と、食毒の判別と薬効のある野草の知識。

 病状だったり、身体の状態から病名を導き出すことはできない。

 

 この島で生活しているメンバーで、医療の知識があり、診断を出せる人間は二人。

 フェイトと束だ。

 

 治療が出来るという観点では木乃香とアーシアだが、診断が出せるという観点ではフェイトのバルディッシュがする診断と束の圧倒的な知識と彼女謹製の機器類が主流だ。

 

「……そうですね。キョウジさんも左目が疲れるまでの間隔が短くなってますから、あまり外さない方が良いと思います」

 

 フェイトからも外さない方が良いという意見が出る。

 この生活の医者担当の二人に言われれば、無理に外す気も無い。

 

 木乃香と刹那も、二人の意見に納得したのか上に行く為の道筋なんかの話をしている。

 再び違和感が心の奥でぼんやりと輪郭を表すが、ここは努めて無視することにした。

 

 この二人が話さないという事は、確証が持てていないか、知らない事で守れる事だったりするからだ。

 

「じゃあ、悪いけど束にサポートしてもらおうかな」

 

「おっけー、束さんに任せなさい!」

 

 元気よくサムズアップする彼女に一種の安心感の様なものを感じつつ、俺達は更に上に登って行った。

 

 

***********************************

 

 

 獣道も無くなり、隣ではキョウ君が地面に触れたり、石を観察している。

 この場所までの間でおかしな所はまだ見つけられていない。

 魔法的な違和感はふーちゃんやこのちゃんに任せるしかないけど。

 

 さっきは危なかった。

 私の推察が正しければ、キョウ君の眼帯はできる限り外さない方が良い。

 

「キョウジさん、束さん! こっちに来てください!」

 

 ふーちゃんが大声で呼んできた。

 一番奥に行っていたけど、一番目立つのもふーちゃんだったりする。

 束さん程じゃないけど、おっぱいもおっきいし金髪が目立つからね。

 

 ふーちゃんの下に行くと、奇妙な岩が転がっていた。

 異様に滑らかな岩肌に、中ほどから折れた様な断面。

 断面は空洞になっていて、基盤や配線の影が見える。

 

「これって……」

 

「キョウジさんには……分かるかもしれないけど……」

 

 ふーちゃんが言い辛そうにしている。

 もしかしたら、彼女の知っている物なのかもしれない。

 

「ガジェットドローン……だよな?」

 

「うん、AMFみたいじゃなくて、AMFそのものだったって事だね」

 

 AMFっていうのは、ふーちゃんの世界の魔法を阻害するフィールドの事。

 色々と抜け道はあるけど、基本的に魔法を使えなくする技術。

 

 ただ不思議な事があった。

 目の前にあるそのガジェットと呼ばれる物体。

 もし、稼働している実物があるなら束さんとしても是非とも調査したい一品だ。

 だけど、私には眼前の物体が、土で出来た人形にしか見えなかった。

 

「がじぇっとって、土で出来てるん?」

 

「ううん、私の知っているガジェットドローンは金属でできていたし、それ以外の素材で出来ているのを見たことは無い……かな」

 

 ふーちゃんの表情は驚いているって感じかな。

 金属で出来ていたというのは本当だろうし、目の前の土塊がそのガジェットドローンに酷似して居るというのも本当なんだろうな。

 

 キョウ君が持っていた木の棒、山登りする時に滑落防止用に装備品だったけど、それで土塊の端を突っついている。

 本当に渇いた土で、突いた端からボロボロと崩れていく。

 中身も配線や基盤がしっかりと残っているが、全て土だ。

 

「ふーちゃんは、ガジェットの中身見たことある?」

 

「資料写真は何度も……。まるで、そのまま土になったみたいな……」

 

 これは、想定している事態の中でもかなり確率を低くしてたモノの方が正解かもしれないね。

 今ほど、キョウ君から創作物の設定を聞いておいて良かったと思った事ない。

 

 科学だけでは絶対に辿り着けなかった事実。

 魔法だけでも発見できなかった結論。

 

 目の前のガジェットドローンという機械は、キョウ君が棒で壊した瞬間に魔力を阻害するフィールドを展開しなくなった。

 私もふーちゃんから教わって魔力を意識できるようになってたお陰で理解できた。 

 形を崩したことで、ようやく土として安定したのだろう。

 

 これに気付くのは、多分私とふーちゃんだけかな。

 キョウ君は魔法を使わないし、このちゃんとせっちゃんは阻害される魔力の割合が小さいから気づいていない。

 

「多分これと同じ状態のモノが、沢山この山にあるんだろうね。奥に行けばもっとあるかな」

 

 棒で壊したけど、多分土となる前の状態で触れて良いモノかは、正直分からない。

 この状態で直接触れるのは無しかな。

 

 とりあえず、外装に相当する部分と内部基盤に該当する土をそれぞれピンセットで採取していく。

 拠点のラボで解析しないと詳しく分からないけど、完全に土塊になっているけど、壊す前の状態をここから解析できるかもしれない。

 

 最高はAMFを発している状態をそのまま手に入れる事だけど、拠点に持ち込むとふーちゃん達の魔法に影響があるかもしれないし、なによりこの状態で攻撃能力を失っているかどうかが不明という事で、断念する。

 

 採取して研究するにしても、西側の旧拠点か中間拠点かな。

 中間拠点はまだ設備が整っていないし、西の旧拠点も殆どの研究機材を今の拠点に運び出しているから、どちらで研究するにしても準備が必要だね。

 

「どうするん? 原因も分かったし、一旦降りる?」

 

「しかし、得られた情報が少なくないですか? もう少し上に行けばまだ情報がある可能性も……」

 

 私としては、このちゃんの意見を採用したい。

 ある程度の情報が取れているし、そこからキョウ君の状態も気になる。

 

「束さんとしては、一旦引いた方が良いと思うよ。情報は手に入ったし、細かい所はドローンでも十分じゃないかな?」

 

「私も、ちょっとこの山にガジェットがある理由も分からないし、一度全員で情報を整理した方が良いと思う……」

 

 ふーちゃんも撤退側だね。

 キョウ君とせっちゃんが進行側。

 束さんとふーちゃん、このちゃんが撤退側。

 

 不安要素が無ければ私も進行側に立ってたと思うけど、今回は一つの確証が持てただけでも十分だし、その確証を得られた観点ではキョウ君が危険になる可能性が高い。

 

「……撤退多数だな。一度拠点に戻る事にしよう」

 

 あっという間に撤退の方向に思考を切り替えたみたい。

 キョウ君は切り替えと決断が速いのだ。

 

 自分の事には割と優柔不断な部分が見えるけど、拠点やメンバーの事に関しては切り替える速さは同一人物と思えない時がある。

 私達の事に関して、特に正確な決断と行動をするのだ。

 

「風も出てきましたし、気を付けて降りましょう。風にあおられて滑落の可能性もあります」

 

 確かに、杖を突きながらでも強風で滑落する可能性はある。

 せっちゃんでも一度滑落してしまえば飛び立つのは難しいはずだ。

 

「せやったら、ロープきちんと握っていこうか」

 

 

***********************************

 

 

 下山も大分麓に近づいてきた。

 山頂近くで見たガジェットドローンの形の土は、気にしてみると一部と思われるもの見え隠れしている。

 あそこまではっきりと形が残っているわけじゃないから気付かなかった。

 

 意識して見てみれば、元々コード部分だったであろう箇所や、外装だったであろう箇所も確認できた。

 一度認識してしまうと、この山全体がガジェットドローンの残骸で出来ていると思えてしまう。

 

「キョウ君の考えは殆ど当たってるよ。束さんの見解はガジェット以外も存在しているだろうって事」

 

 束の意見だけど、そう言われてみれば当然。

 ガジェットドローンだけがこの場所で土塊になっているわけが無いのだ。

 

 何故土塊になっているのかという疑問はあるが、それとは別にガジェットだけがここに来ているのかという疑問も当然出てくる。

 ガジェットが来ているのであれば、他のモノも来ているだろうというのが予想が可能だ。

 

「一度、拠点に帰ってゆーちゃん達も含めての話し合いが必要だよ。ふーちゃんの世界の存在があったって事は、しーちゃんとあーちゃんやこのちゃんとせっちゃんの世界からも来ている可能性はある。束さんの世界からだって十分にあり得るからね」

 

 ガジェットドローンはフェイトの世界で大量生産されていた無人兵器。

 そしてこの島には多くの漂流物が流れ着いている。

 

 俺たちの住む南側にはスーツケースや日常品など、東側にはあまり多くは無いけど無差別に色々と、西側には大型の船舶や破損した旅客機の残骸が流れ着く。

 北側は、山岳の裏側なので見る事はまだできない。

 束のドローンで見るか、今回の様に実際に足を運んで山を越える必要がある。

 

「大分麓が近くなったな。今日中には麓のキャンプ地に着くかな」

 

「そうやね。登りの時と違って道は作っとるし、探索もしてないしな」

 

 基本的には安全を考慮した帰路につくだけの道程。

 三分の一程度の時間で登りだす前のキャンプ地に戻ってこれた。

 

 ロープとそれを岩肌に固定する器具。

 予定では頂上まで器具を打ち込みながら登っていく予定だったから、杭やロープも十分余っている。

 また来た時の為に道を補強しながらだったけど、それでも十分以上に早く降りられそうだ。

 

「刹那、フェイト。杭とロープはどれだけ残ってる?」

 

「えっと……ロープは十分に残ってます」

 

「杭は残り僅かって感じです。道筋強化の為にこのちゃんと一緒に予定の倍ぐらい打ち込んでますし」

 

 両方とも予想通り。

 また探索で来るときに、多めに打ち付けている杭は最初の探索よりも安全性を高めてくれる。

 

 ロープはまた来るときの為に、中間拠点に置いておこう。

 必要な資材や使うだろう道具類は基本的に中間拠点に置く様にしており、ツリーハウスの拠点には野生動物が入り込む可能性は極端に下がっている。

 例外として鳥や蝙蝠の様な飛行能力のある生物と、猿やモモンガの様な木を登る事に特化している生物は入る事が出来るのだが。

 

 それらの対策としては、戸締りとネズミ返しの様な器具を付けている。

 効果としては、被害が無い所を見るに十分なのかもしれない。

 

「ロープは中間拠点に置いておこう。……杭はどうしようかな」

 

「杭も中間拠点でええんちゃう? 使うんはここだけやろうし……」

 

「いや、メイン拠点に持っていって鋳型を作るのに使おうかとも考えててね」

 

「それぐらいなら、束さんが量産型のマシン作っちゃうよ?」

 

 確かに、効率で言えばそれでいいのかもしれないが、機材は有限だ。

 鋳型を作って自分たちで作れれば、それ以外の部分で束の発明を他の分野に回せる。

 自分たちで出来る部分は自分達でやった方が良い。

 

「いや、今回の杭はそれほど使用頻度も高い訳じゃないから、鋳型を作って自分達で作るのが良いと思う」

 

「ああ、確かに山頂まで使う個数も多くないでしょうし、ロープ自体は十分ありますから、自分たちで作る方が束さんの手も空きますしね」

 

「ふーちゃん、私は別に頼ってくれても良いんだよ?」

 

「でも、束さんもやる事は少ない方が良いでしょう?」

 

「それは、確かにやりたいこともあるけど……」

 

 束の技術は高いが、負担をかけすぎるのは良くない。

 特に最近は色々と考えているようだし、それに伴って彼女の部屋にこもる事も多い。

 

 今回は山の探索だったから一緒に来ているけど、本来なら自分の研究室から出たくなかっただろう。

 なにしろ、拠点の発展・魔法の学習・ゆかりさんの世界の科学技術の習得・他の世界の魔法や世界観の設定を俺から教わっている。

 

「それより、束。これから帰るし、信号弾の青、撃てる?」

 

「あ、了解。少し離れてね、危険は無いけど火薬だから」

 

 そう言うと、空に向けて口径の大きい拳銃の様なものを向け、引き金を引いた。

 パシュンっという音と一緒に、光る球が空へを飛んでいき、一定の高さま到達したら青い煙を吹き出しながらゆっくりと地面に落ちていく。

 

 濃い煙で強風にあおられない限り、しばらくは停滞しているだろう。

 青は問題無し、これから戻る。

 黄が問題軽微、これから戻る。

 赤が重大問題、至急救援頼む。

 

 事前の取り決めで、赤が上がったら拠点組も俺達の救出に出てきてくれる。

 上がる事も無いと思っているけど、準備自体は必要だからな。

 

「これでよしっと! 麓で一泊してから帰ろうか、キョウ君!」

 

 強風に流されない限り、小一時間程停滞する煙だし、この位置は背面の山もあって目立つ。

 結構な期間を登山と下山に費やしてるから、疲れた。

 

「そうだな。一泊して体力を回復してから戻ろう」

 

 そう言えばかなりの期間、眼帯を外していない。

 帰ったら眼帯の洗濯や一度目の様子を見ておこう。

 使っていないのに、妙に眼帯の下が熱いのも調べて貰わないと……ね。

 




 いかがだったでしょうか。

 短編で鬼滅の刃を上げたのですが、このご時世のお陰か予想以上に読んで頂きまして嬉しく思っております。
 こっちのエロとは違う方向で書いてますので興味がありましたらどうぞ。
 もしかたら、こっちでのエロ無しの鬱憤を、短編に続編とかで晴らすかもしれません。

 長く続いていたこの作品もそろそろ終わりも見えてきました。
 綺麗に風呂敷を畳めれば良いなぁ……。

 よろしければ、評価や感想を頂ければ幸いです。
 それでは~。


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36 無人島で必死に考察

 どうも、また春雨やゼリー生活を強いられそうなオルカです。
 胃腸弱いな俺。

 さて、持っていきたい天界に中々持っていけない現状ですが、風呂敷畳みにあくせくしているのだろうなと、温かい目で見守って頂ければと思います。

 エロが入れられず、悔しい限りです。
 次回には入れられると思います。

 風呂敷畳みって大変なんですね。
 世の中の書き手の人達すげぇや……。

 それではどうぞ!


 メイン拠点に帰ってきて、ジックリと体力回復に努める。

 そろそろ雨期が近い事もあり、保存食を作る事にタスクを振り分ける。

 

 フェイトと束は一緒に北部山脈で採取したガジェットドローンの土を解析している。

 木乃香と刹那はお風呂を沸かして仲良く入浴中。

 

 俺は拠点に戻ってから、軽い発熱に見舞われて女性陣全員に自分用の小屋に押し込まれた。

 本当なら北側探索の間の拠点周りの状況把握とか、溜まっていた改善の仕事とかをしたかったのだが、女性陣に特に小猫とフェイト、束にほぼ無理矢理休養を取らされている。

 

 朝・昼・夕の三回と夜に一回の合計四回の様子見がある。

 その時は女性陣は入れ替わりでやって来るから、事前に申し合わせしているのだろう。

 

「それだけ心配なんですよ、マスター。マスターが考えている以上に、貴方の担っている精神的な役割は大きいんですよ?」

 

 そう言いながら、パイナップルを持ってきたゆかりさん。

 島に自生していたモノだったが、幾つかを畑に移して色々と管理している。

 食べられる状態になるまで二・三年はかかる為、滅多に食べられない。

 

「パイナップルとか奮発したな」

 

「栄養素が高いのと増やす為にも、ヘタも欲しいですから」

 

 パイナップルは実はヘタからも根を張り成長する。

 実を付けるまで時間はかかるが、安定した増産が見込める有望な果実だ。

 

 熱帯気候のこの島の土壌にも合う様で、雨期に気を付ければ主要果実としての地位も固そうだ。

 

「問題無く育成できたなら、また一歩拠点の快適度が上がるな」

 

「木乃香さんとか刹那さんはパイナップルの収穫前の姿とか見た事ないって言ってましたし、日本じゃ珍しいのでしょうね」

 

 そう言いながら、ゆかりさんはヘタの部分を切り落とす。

 そしてパイナップルの鱗状の皮に手をかけ、剥がす様に毟る。

 すると円錐状形で果肉が剥けた。

 

「幾つか剥いて皿に置いておきますから、食べてください」

 

 流石に剥いてもらっている以上、果肉が外気に触れる。

 あまり時間をおけないかな。

 味わいつつ、早めに食べてしまおう。

 

「それでは、私は皆さんに分けてきますね。マスターは少なくとも熱が下がるまではゆっくり寝ていてくださいね」

 

 そう言ってゆかりさんはパイナップルを持って行ってしまう。

 

 確かに、眼帯の下の眼。

 熱を持っているようで、違和感や不快感がひどい。

 

 フェイトや束の診断では感染症の類じゃなく、神経系の過剰反応とか言っていたから、治るのを待つしかない。

 

 ただ、多分何か別の理由があるのだろう。

 思い出されるのは、北の山で眼帯を外そうとした時の束の対応だ。

 

 あの場では眼帯は外していた方が良かった。

 束のフォローが入るとしても、自分が立てるなら自分で立つのが最適解だったはずだ。

 そしてそれをフェイトや束が理解していない訳が無い。

 

「左目に何かある可能性があるか……」

 

 そう意識すると左目の熱が僅かに脈打つ様な感覚。

 その感覚に北部山脈での自分の考えがある意味正しかったと自覚できた。

 

 知らない事が自分を助ける事に繋がるという事。

 図らずとも小さな自覚で大きな事実を引っ張ってきたのだろう。

 無意識の下で上手く使えていた物を、意識した途端に上手くできなくなる。

 

 束達は俺が何かを意識することを避けている。

 そうでなければ俺自身かもしくは周囲に影響が出る可能性があるのだろう。

 

「……いかん、考えるな。束達の気遣いを無する事になるぞ」

 

 頭を振って思考を白くする。

 別の事を考えるようにしないと、意識すればするほどに思考がそっちの方向へ流れてしまう。

 

 

***********************************

 

 

「可能性として一番高いのが、魔法世界で言う所の魔眼って奴だと思う」

 

 束さんの言葉に、女性陣はみな頷く。

 束さんが専用で使っている研究小屋で、私を含めた女性陣が集められた。

 おにいさんの身体の事となれば、皆が集まるのは当然です。

 

「魔眼……私の世界だと『停止世界の邪眼(フォービトゥン・バロール・ビュー)』というのがあります」

 

「私達の世界だと、真名……クラスメイトに霊体を見る事の出来る魔眼持ちがいました」

 

 それぞれの世界にも魔眼という存在はあったようで、情報が出てくる。

 まぁ、ギャー君の場合は神器ですから生来の魔眼とは少し違うのでしょうけど……。

 

「私の世界は科学が主軸ですから、魔眼等々の情報はありませんね」

 

「時空管理局のデータバンクには、視界を起点としたレアスキルはかなりの件数記録されています」

 

 ギャー君の神器は扱いが難しく、強力故に使いこなせないという状態でしたが、おにいさんの目はどういうモノなのか?

 発熱や左目の疲労蓄積も気になります。

 

「ふーちゃんからも教わっているけど、強い力を使いこなせなくて暴走するって事が多々起きてるって話なんだ」

 

「私の世界の『停止世界の邪眼』もそうでした。強すぎるから使いこなせないってことがあります」

 

「うちの世界は出会った時にはすでに魔眼を使いこなしてましたので……」

 

 強い力を持って暴走するというのは、姉の記憶がチラつきます。

 おにいさんがどういう状態なのか、理解しないといけない。

 

「魔眼の話はキョウ君がたくさん教えてくれていた中で、該当しそうなものを絞り込んだんだ。一つ目が透視、二つ目が解析、三つ目が未来視の予測、キョウ君の症状や言動、行動から考えられるのがこの三つ」

 

 束さんが出した三つの魔眼。

 どれも有名な魔眼で、私達の世界でも上位の魔眼として存在してる。

 

 だけど、未来視の予測とは何だろう?

 未来視は未来視としてしか情報が私達には無い。

 それは、刹那さん達も同様のようでキョトンとした表情をしていた。

 

「ああ、未来視の予測の部分? キョウ君の話だと未来視には種類があって、その一つだよ。確か、視界で得た情報を無意識に処理して、その配置から起こりうる未来の事象を映像として見る……だったかな」

 

 それは、魔法というよりも……。

 生物の機能の延長上にある能力にも思えます。

 

「しーちゃんの考えている通り、どちらかと言えば情報処理に寄っている能力だよ。束さんもある程度予測はできるけど、映像としては見れないかな。脳の才能と言った感じ」

 

 なるほど、それなら色々と納得がいく。

 白猫っぽいとおにいさんが言っていたから『しーちゃん』と呼ぶと笑顔で言っていた束さんの今の表情は、真剣なモノ。

 説明はまだだけど、他の透視と解析も同様に情報処理に寄っていたり、脳の方に負荷がありえる能力なのだろう。

 

「透視はそのまま、障害物のその先を見通す能力だね。キョウ君の話だと相手の弱点も見える場合もあるって話だよ」

 

「最後が解析ですが、これは管理局のデータバンクからの情報です。視界に収めたモノの詳細な情報を引き出すレアスキルで、本人が知りえない情報なんかも取り出すので、目か脳が別の情報源に繋がっているのではないかと言われています」

 

 負荷という部分だけで見れば、可能性が高いのが解析でしょう。

 だけど、そんな素振りがあったかな?

 

 私から見れば、可能性の高いのは透視・解析・未来視の順でしょうか。

 透視を一番に挙げたのは、情報処理で賄える可能性の高い魔眼で、おにいさんの今までの言動や行動から可能性が高いと思ったから。

 

「ここで、束さんがキョウ君にこの情報を隠している理由を説明するよ」

 

 情報の秘匿。

 これだけ考えると、おにいさんへの裏切り行為にも思えますが、フェイトさんや束さんの話だとこれもおにいさんを守る為だと納得できます。

 

「キョウ君は、自身の左目が魔眼化している、もしくは特殊な状況下に置かれていることを自覚していない。その事で無意識下で能力を使っているけど、ギリギリの綱渡りで何とか回してる感じなんだよね」

 

 無意識下で出来ていることが意識するとできなくなる。

 人間から悪魔になった転生悪魔にも稀に見られる症状ですね。

 

 飛行能力なんかで最初はある程度飛べていたのに、自由に飛ぼうと意識した途端に今まで出来ていたある程度の飛行能力も不安定になってしまう。

 

 幸い私を含めてグレモリーの眷属にはそんな事は無かったですが、理屈は理解できます。

 

「今挙げた三つの魔眼は、どれも暴走時に脳や眼に強い負荷がかかる事が予想されます。未来視も透視も脳の情報処理となりますから、暴走すると脳にダメージが入ります」

 

 フェイトさんの世界は、特別な能力をレアスキルとしてデータにして一覧化していると言います。

 たくさんの世界を渡って集めている情報という事で信頼度も高い。

 

「えっと、せやったら解析はどうなん?」

 

「……もし、解析の魔眼であったなら、暴走した場合の最悪は失明と植物人間状態になる可能性があります」

 

 木乃香さんの問いかけに応えたフェイトさん。

 その回答内容に、私を含めた全員が絶句しました。

 

 脳にダメージとかのレベルじゃない。

 それほどまでに危険な能力なのでしょうか。

 

「イメージだと、未来視や透視の方が危険な魔眼に思えるのですが……、解析はそんなに危険なのですか?」

 

「そうだね。もし、ふーちゃんやキョウ君が知っている解析の魔眼だとするなら……脳へのダメージは候補の中で一番高いよ。未来視と透視が見たモノから脳が情報処理する魔眼なら、解析は見たモノの情報を直接脳に別の場所から叩きつけられる感じだよ」

 

「そ、そうだとしたら、一番危険なのは解析で……」

 

「そうです! 刹那さんの言う通りで……一番対処が難しいのも……」

 

 刹那さんとアーシアさんの言う通りで、対処が一番難しいと思う。

 膨大な情報を直接頭に流し込まれるという事は、下手をしたら脳がオーバーフローを起こしてしまうかもしれません。

 おにいさんの微熱の原因はもしかしたら……。

 

「眼帯の予備も作っておきます。マスターに渡している眼帯も大分痛んでますから……」

 

 おにいさんの眼帯は、汗や洗濯で大分布地が酷使されていますから、いつ壊れてもおかしくない状態です。

 もし、不意に外れたりした時に、暴走なんかしたりしたら……。

 

「第一から第七までの畑から綿花を採取、増産も視野に入れましょう」

 

 ゆかりさんの言葉に、全員が頷いた。

 

 

***********************************

 

 

 目が覚めると傍らで木乃香が鼻歌交じりに裁縫をしていた。

 見ると新しい眼帯を漂着物の衣類から作成している。

 

 ああ、この眼帯も大分酷使しているからな。

 でも、漂着物の衣類のプリントを眼帯の外側に大きく『愛』と見える様に作っているのは彼女なりのお茶目か?

 

 愛は盲目ってか? やかましいわ!

 さて、脳内のツッコミは一通り済ませたし、起き上がるか。

 

「あ、キョウジさん起きたんか! 見て見て! 新しい眼帯や、かわええやろ?」

 

 かわいい……。

 まぁ、木乃香の笑顔は可愛いが、その眼帯のセンスはどうだろう……。

 

 彼女の横には編み込んだ敷物があり、幾つか眼帯の完成品が並べてある。

 『愛』の他に、『A』・『神』・『SEX』・『男』……など等。

 独特のセンスだ。

 

 漂着物の衣類は極端に小さかったり、腐食が激しくて一部しか使えなかったりしている物をこうしたリサイクル品にする。

 基本的に松明の燃料だったり、居住区のカーテンだったり、布巾にしたりと用途は広い。

 

 細長く割いた衣服を木の棒の先に巻き付け、油を染み込ませて火を灯す。

 そうすると普通に燃やすよりも長い時間燃えているのだ。

 

「カラフルで文字がすごいな……」

 

「これな! ゆかりさんが縫い方教えてくれてん!」

 

 ニコニコしながら、制作中の『愛』の眼帯を見せてくる。

 縫い目は丁寧で、色を揃える程の余裕は無いが、それもデザインの一部だと思えるぐらいに丁寧な仕事だ。

 

 こうした仕事が得意なのはゆかりさんとアーシアだ。

 木乃香も出来る方だが、この二人には一歩及ばない。

 

 家事全般が得意な木乃香なので裁縫だけじゃなく、料理や掃除の腕も目覚ましい成長を見せてくれている。

 ゆかりさんの料理は、データの集積結果な部分が大きい。

 だから、ゆかりさんの料理は確実に一定のおいしさを届けてくれるが、木乃香やアーシアの料理は家庭的なホッとする料理が多のだ。

 

「ゆかりさんの知識はありがたいな」

 

「せやね。ウチもサバイバル料理とかはサッパリやったから、ホンマ助かっとるわ」

 

 ゆかりさんの知識は、この島に来てから非常に助かっている。

 俺自身も、サバイバル知識は一定以上あったし、小猫達がこの島に来るまで一人で生き抜いていたから経験も積んでいた。

 

 だけど、経験するには危険な部分。

 例えば、食毒の判別や、毒抜き方法、食べられるようにする下拵えの方法なんかは知識が必要だ。

 

「じゃ、キョウジさん。選んで!」

 

 目の前に差し出される独特な衣装の眼帯たち。

 久々に真面目に悩む瞬間だ。

 

 『愛』、『A』・『神』・『SEX』・『男』……。

 罰ゲームじゃないよな?

 




 炭酸水が美味しいです。

 鬼滅の刃の短編も更新していますので、そちらも興味がありましたら読んでみてください。
 そちらはエロシーンが入ってます。

 よろしければ、評価や感想を頂ければ幸いです。
 それでは~。


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外伝 無人島から帰還 ハイスクールD×D 2

 どうも、オリジナル作品の投稿を始めたオルカです。

 カクヨムさんにて連載中ですので、お時間がありましたら一読していただけると幸いです。

 さて、久々の外伝。
 ハイスクールD×Dの二話目でございます。

 外伝は残りひと作品。
 それでは、お楽しみください!



 小猫に発破をかけられて数週間。

 二人の関係はあの島と同等……とまでは行かずとも、かなり親しい関係まで発展している。

 

 一緒にお菓子を買いに行ったり、家でお菓子を一緒に食べたりしてまったり過ごしている。

 ゆかりさん達も社会人生活、学生生活を満喫している。

 

「三高さん! お願いします!! ハーレムのコツを教えてください!!」

 

 土下座をしている兵藤一誠君。

 同席していた小猫が言うには、その時に俺の表情は苦笑いと虚無の表情が入り混じった複雑な表情をしていたらしい。

 どんな顔だよ。

 

「あー……、兵藤君はなぜ俺に?」

 

「だって! あんな沢山の美少女たちに囲まれて!! しかも、おっぱいも色んなサイズをコンプリートしてるじゃないですか!!」

 

「別に、女性の胸をコレクションしてないからな?」

 

 ハーレムに憧れている彼からすれば、俺の現状は羨ましいモノなのだろうが、意図して作った状況ではないだけに、困惑の感情が先立つ。

 

 一緒に来た小猫は侮蔑の眼で、アーシアさんは苦笑いの表情を浮かべている。

 これが通常運転なのか、グレモリー眷属流石だ。

 

「でも! 美少女ばかりを集めていて……オレは……オレは……」

 

 本気で悔しがっている。

 いや、君も相当なんだけどなぁ。

 しかし、知識としては有ったけど、本当に性欲旺盛で、熱血漢というスゴイ漢だな。

 

「前にも言っているかもしれないが、俺の場合は状況が特殊だったんだ。ハーレムを作る方法は分からないし、教えられないって言うのが答えだよ」

 

「そ……そんな……」

 

 リアルに絶望した! みたいな表情を目の前で見る事になるとは思わなかった。

 だけど、これが事実。

 俺のこの状況は、特殊な状況下だった。

 

 その影響で女性が周囲に居てくれる状況が作られた。

 だから、ハーレムを作る方法なんてわからない。

 

「だけど……まぁ、ちょっとアドバイスするとね」

 

 この状況を保つ方法ならある程度は分かる。

 俺の場合は、彼女達の好意を受けるだけじゃダメだった。

 少しでも彼女達の心理的負担を減らすために、色々考えていたのだ。

 

「兵藤君は、ハーレムをどう考えている?」

 

「え? えっと……漢の夢っす!!」

 

 まぁ、そう答えるだろうなっと思っていたことがそのまま返ってきた。

 これには苦笑するしかなかった。

 

 この世界での、彼の行動を目の当りにしていたから予測はしていたけど、本当に予測通りの反応と回答をしてきてのだから仕方が無い。

 

「あー、その辺りからアドバイスをしようかな」

 

 そう言って佇まいを正し、兵藤君を見る。

 その様子に、彼も姿勢を正した。

 同席している、小猫もアーシアもこちらを見ているのが分かる。

 

「一般的な男女の恋愛、一対一の男と女の恋愛だ。男は女を、女は男を互いに思い合って、成立する関係だ」

 

「は、はい……」

 

 緊張した面持ちの兵藤君。

 まぁ、ハーレムの一端の知識が得られるからだろう。

 普段よりも真面目な空気に緊張しているようだ。

 

「これは、一対一の関係だからだ。これが、多対一になると話が変わってくる」

 

 三人の恋愛。

 三角関係とかでも表されるが、三人以上の恋愛は異様に複雑になる。

 色々な理由があるが、一番の理由は人間関係の複雑化だろう。

 

「一対一の恋愛は当人と相手のみ関係だけど、多人数との恋愛は兵藤君と相手だけじゃなくてもう一人の相手との関係もある」

 

 兵藤君とAさん、兵藤君とBさん、そしてAさんとBさんの関係が出てくる。

 人数が増える事でその相関図も増えていくのだ。

 

「そこで気をつける事は、嘘をつかない・誰かと比べないというこの二つだ」

 

「そんな簡単じゃないですか」

 

「そうでもないぞ? 兵藤君は胸が好きだろ?」

 

 これは常々彼の口から出ている言葉だ。

 彼の根源と言っても過言では無いかもしれない。

 

「大きさもそうだけど、形だったり、ハリだったり、コンプレックスに感じている部分は女性によって違うんだ」

 

 良かれと思って言った部分がコンプレックスを刺激していたり、誰かを褒めるとそれが他の女性に伝わる。

 誉めるのにも言葉を選ばないといけないのだ。

 

「言葉選びと言ったら、印象はそれほどでもないかもしれないけど、多く語るなら全員に多く語り、少なく語るなら全員に少なく語りなさい」

 

「えっと……?」

 

 ちょっと難しかったか?

 だけど、これ以上直接的な話をすると彼の為にもならないし……。

 

「そうだなぁ。女性同士の関係も有るってことを覚えておけばいいかな。後は兵藤君が覚えていくべきことだ」

 

 これぐらいのヒントが最初は良いだろう。

 これ以上は、グレモリーさんや姫島さんとの関係で学んでいく事だ。

 

 まぁ、俺の知っている世界では上手く動いてたみたいだし、俺達が来たことによる影響もそんなに無いだろう。

 終始頭に『?』を浮かべている兵藤君だが、後々で彼自身がこの話をどう生かすかだ。

 

「キョウジさんは世話焼きですね。先輩はとりあえず、キョウジさんの言葉を胸に刻んで窓から飛び降りてください」

 

「小猫ちゃん当たり強くない!?」

 

 

***********************************

 

 

 小猫は渋る兵藤君を引きずって帰っていった。

 アーシアも一緒に帰ると思っていたが、話がしたいと残っていた。

 

 追加でアーシアへ紅茶を出して、向かい側の椅子に座る。

 まだ全部消費しきれていないお菓子類も相まってお茶会の様相を呈している。

 

「音楽でもかけようか?」

 

「え!? あ、はい、お願いします」

 

 緊張してるな。

 まぁ、仕方が無い。

 小猫が一緒だったから問題も無かったのだろうが、彼女自身、俺との距離を測り損ねているだろう。

 

 かける音楽は、カフェとかで流れるような明るめのジャズ。

 これはフェイトの趣味なんだけど、割と団欒の場所で流されることが多い。

 

「紅茶、おかわりする?」

 

「え? あ! ありがとうございます!!」

 

 俺の言葉に、ティーカップの中身を確認して慌てた様子で返答してきた。

 緊張で周囲が見れていないかな。

 

 アーシアが、あの島の出来事をどう処理しているのかは分からないが、小猫程割り切っていないことは確実。

 どう結論を付けて行くかは、彼女次第なので、俺は彼女の意思を尊重する。

 

「お菓子、残ってる?」

 

「え? あ! 大丈夫です残ってます!」

 

 彼女がここに残った理由は、自身のタイミングで語ってほしい。

 だから、こうして言い出しやすいように色々動いているんだが……。

 

 アーシアの性格上、色々と考えてしまうのだろう。

 事前に覚悟を決めていたのに、土壇場で尻込みしてしまうのはよくある事だ。

 

 音楽の裏でお湯を沸かしながら、紅茶の準備を進める。

 こういう生活音で少しは落ち着くきっかけになればいい。

 

「ほいっと、お茶どうぞ。ミルクと砂糖はテーブルのを使ってくれ」

 

「あ、ありがとうございます」

 

 テーブルに置いてあるミルクポットと角砂糖瓶。

 ミルクポットは客が多い時に出すのだが、小猫達の時に出したものがまだ残っている。

 

 俺はストレートで一口飲む。

 良い茶葉を姫島さんから貰っていたが、これは確かに美味しい。

 

 紅茶の入れ方はある程度調べて知ってはいるが、美味しく淹れられるかどうかは別問題。

 まだまだ修練が必要のようだ。

 

「ちょっと、渋みがでちゃったか。抽出時間が長すぎたかな?」

 

 飲めない程じゃないが、以前御馳走になった姫島さんの紅茶には及ばない。

 明確な目標が出来るのは良い事だ。

 

 独学でどこまで行けるかを試すのも面白いかもしれない。

 そう考えている時だ。

 

「あ、あの!」

 

 意を決したようにアーシアの声が室内に響いた。

 彼女がここに残ってから、三十分ほどかな。

 この長い決心までの時間で重要度が分かるというモノだ。

 

「どうして、そんなにお優しいんですか……」

 

「……? どういうことだ」

 

 優しいなんて、俺には当てはまらない。

 個人的な意見ではあるが、俺は自分と自分の周囲の事だけ無事であればいいと極論そう考えている。

 

 あの島からこの世界に来たことで、多くの人に借りが出来た。

 グレモリーさんもそうだし、彼女の兄である魔王にも世話になった。

 

 優しいというならば、アーシアの方だろう。

 彼女自身ではないが、あの島で俺の発作を治める為に自らあの果実を口にして、治療という名目を与えてくれたのだ。

 

 聖女と呼ばれていたのは伊達ではないと心の底から理解した出来事だった。

 心の優しい人間……人は、種族ではなく個々人の在り方である。

 

「小猫ちゃんの時もそうでしたけど、あの島での関係を一切持ち込みませんでしたよね」

 

「二人は、あの島の記憶こそあるだろうけど、本質はこの世界の住民だからな。何よりもこの世界の君たちの生活が優先だ」

 

 小猫とあの島の様な関係程ではないが、友好的に接する事が出来ている。

 これは彼女からの歩み寄りであることが大きい。

 

 小猫が俺を受け入れてくれて、自分を受け入れて欲しいと言ってくれたのだ。

 そうでなければ、今のアーシアと同様に小猫を別人として接していただろう。

 

「それって、キョウジさんが一方的にお辛いんじゃないですか?」

 

「……」

 

 答えられない。

 図星ともいえるからだ。

 

 小猫やアーシアは、俺達が島の記憶に重ねた場合、嫌悪感があるだけだろう。

 だけど、俺やゆかりさん達が彼女達を島の記憶に重ねてしまうと、その差異に気づいてしまい、あの島の二人はもう居ないという事実に悲しくなってしまう。

 

 第三者から見れば、身勝手な話だと思う。

 勝手に知らない人物に重ねて、悲しむのだから。

 

「何度でも言います。キョウジさんは優しすぎます。誰かが傷つく前に自分が傷つくことを選んで、キョウジさんの周りの人がそれに罪悪感を持たない様に、何でもない風を装っています」

 

 小猫の時とは別の方向で見抜かれている。

 どうして女性陣は気弱そうであっても芯の強い人が多いんだろうか。

 

 アーシアは、自身が優しいだけじゃなく、誰かの優しさに気付ける娘だ。

 そんな彼女に指摘されると反論も出来ない。

 

「さっきも、イッセーさんの質問に相手の事を考えて答えてましたよね?」

 

「彼の熱意だよ」

 

「それでも、ハーレムの主って言われるの……好きじゃないですよね?」

 

 小猫にも指摘されたけど、確かに果実の影響で得られた関係という認識がまだある。

 少しずつ改めようとしているけど、ハーレムの主という部分にはまだまだ苦手意識があるのだ。

 さっきまでの慌てていたような空気は無くなって、しっかりとした眼差しでこちらを見ている。

 

 ああ、決意した女性の表情だ。

 この表情に俺は勝てた試しがない。

 

「キョウジさんは、今までたくさん頑張ってきたんですから、報われてください」

 

 ギュッと手を握ってこちらを見つめてくる彼女に、戸惑ってしまう。

 こんなに積極的な娘だったか?

 

「あの島の記憶はエッチな事ばかりじゃないです。少しだけ、私に勇気をくれた記憶もあります」

 

 どの出来事なのかは分からない。

 もしかしたらという候補は幾つもあるけど、アーシアがどう考えているかは俺から分かる事は無い。

 

「最初は戸惑いましたけど、嫌じゃありませんでした。キョウジさん、私は貴方の傍でその優しさに潰されない様にお守りします。小猫ちゃんが貴方を愛す様に、傍で支えます」

 

 まるで祈る様に握っている俺の手を、額の近くまで持っていくと手の甲に彼女の額が当たる。

 少しだけ熱い体温が手の甲を伝わってきた。

 視線をズラすと、彼女の耳が真っ赤になっている。

 

 ああ、彼女も精いっぱいなんだな。

 そう感じると戸惑いは消え、アーシアの優しさが心に染み入る。

 

「……優しさはアーシアの方が強いじゃないか。君は優しすぎるんだよ。……こんな弱い俺の傍にいてくれるなら……ありがとう。よろしくお願いいたします、アーシア」

 

 握られている手を強く握り返す。

 祈る様に伏せられていた顔を上げた彼女の表情は、涙を浮かべたまぶしい笑顔だった。

 




 割と難産だったアーシア編でございます。
 NTR要素があるので、あまりそこを強く意識させない様に気を付けましたが、どうしても悪魔になったアーシアとイチャコラさせるには、どうしても避けられませんでした。

 カクヨムさんにて連載している作品に関しては、活動報告とTwitterにて飛べるようにしておきます。
 また、作者ページのTOPにもURL張り付けておきます。
 お時間がありましたら、是非一読ください。

 よろしければ、評価や感想を頂ければ幸いです。
 それでは~。


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37 無人島の現状把握

 どうも、あけましておめでとうございます。オルカです。

 新年一回目がエロという事で、色々と思う事もありますが楽しんで頂ければ幸いです。

 さて、年も明けまして、ちょっと振り返り回です。

 完結へ向けて頑張ります!

 それではどうぞ!


 この島の南側は俺達の生活空間を用意している。

 島には三本の河川が流れていて、それぞれ西側・東側・南側に流れている状態。

 

 南の海岸に流れ込んでいる河川は、俺らの生活用水として利用し、下流では水洗トイレも併設している。

 

 西側に流れている河川は岩場の多い地形であり、高い場所にある為、海へは滝の様に流れ落ちている。

 一番短い河川であり、西側には猛獣が生息している為、縁遠い川。

 

 東側に流れ込んでいる河川は、例の果実の群生地帯を通る為、流れている水は果実の成分に汚染されている。

 

 例の果実とは、島の東側の河川周辺に群生している危険な果実だ。

 繁殖力は強いらしく、東側の河川に沿うようにして河口付近まで広く分布している。

 

 ただ、水が必要なのか河川付近から離れての生息はしていない。

 その果実はバナナの様な三日月状の果実で、一本のみで赤とオレンジの混ざったような色合いをしている。

 その落果は、表皮が黒く変色し、破裂するように周囲に果汁と種を撒き散らす。

 

 完熟時の果実は、非常に柔らかくて甘味の中に爽やかな酸味がある。

 歯応えはモモやメロンに近く、多量の果汁を含んでおり、一口で口の中が果汁で満たされるのだ。

 

 最大の効力は、有無を言わさぬ発情。

 男女問わず、強い発情に襲われ、その効力は身体に残り続けるという危険なものだ。

 

 ちなみに、完熟した果実の果汁は熟成されてお酒の様になっているのが恐ろしい。

 

「酒精は低いけど、天然ものにしては味はまぁまぁで、媚薬効果も残ってる。束さんが身をもって経験したから間違いないよ」

 

「それでいつもよりテンション高い状態で襲ってきやがったか」

 

 普段からテンションが高い彼女だけど、その時はいつも以上にテンションが高かった。

 細胞レベルでオーバースペックな彼女がアルコールの効果があるかは疑問だったが……。

 

「効果あるよ? 身体に入れてたナノマシンも新陳代謝で全部流れ出ちゃったし、ここじゃ作れないしね~」

 

 なるほど、そういう事もあるのか。

 ナノマシンで体調などを整えたり、バイタルを確認したりできる。

 束も西側で単独生活をしていた期間は長いだろうから、俺達と出会う頃には体内にナノマシンは無かった可能性もある。

 

「西側はそんなに良い環境じゃなかったから、南側のここは天国だね」

 

 島の環境を考えると、南側が最も過ごしやすい。

 次が中央に建設した中間拠点付近だ。

 

 西側の環境は、高低差でいうと二番目に高い地域だ。

 岩が多い地域で、獰猛な獣が生息している。

 中央と西側を行き来しているその動物達は、単独での撃破は難しい。

 

 単独で行動している動物は罠などである程度対処はできるが、群れている獣。

 オオカミや犬系の猛獣は正直な話、小猫達じゃないと対応はできない。

 

 それでも西側のメリットは、鉱石と漂着する物資が機械系に寄っているという事だ。

 沈没したであろう艦船に墜落したと思われる飛行機。

 そして、それらに積載されていたと思われる様々な機械類を格納したコンテナだ。

 

「この漂着物のお陰で束さんも色々と開発できたからね」

 

 流石の束も材料が無いと開発も出来ない。

 確かに欲しいモノをピンポイントで手に入れることはできなくても、一手間二手間をかけて手に入れる事は可能だろう。

 

 未だに機械類の漂着は西側かランダム性の高い東側にお世話になる。

 確実に機械類を手に入れるなら西側、機械類以外にも手に入れることを想定しているなら東側が良い。

 

 南側の漂着物は衣類や生活用品が多い。

 旅行用のトランクケースが主な漂着物だ。

 

「北側はドローンで確認する限り、流れ着いていないね。正確には絶壁の岩肌で沈んでいても分からないって感じ」

 

 危険を冒して採取する為に労力をかけるにしても、不確定な状況。

 束に水中ドローンを用意してもらって、内容によって採取メンバーを用意して……手間と労力と、そして採取物の内容が不明という点も、北部での採取は避けたい理由だ。

 

 それに、現状の採取場所で十分な成果を得られているというのも大きい。

 運が良いと野菜の種子なんかも南側に流れ着いていたりする。

 

 販売用の防水性の高い小袋に入ったモノで、この島の土壌に合わない野菜もあるが、ありがたい事に自生してくれる種類もある。

 

 南側から中央の間に七つの畑を作って、それぞれ交配と疫病対策を講じている。

 育てる作物も変化させて、植える時期も変えている。

 

「畑の管理は私達拠点組が主に担当しています。第一と第二をアーシアさん、第三と第四をこのゆかりさんが、第五と第六を木乃香さんが担当しています。第七は基本的に持ち回りで、実験的な作物が多く植えられてます」

 

 種付けと収穫は全員が手伝うが、収穫する作物や植える場所なんかは各畑の管理者が決めている。

 傾向としては、アーシアが穀物を中心に葉野菜を多く育てていて、ゆかりさんが満遍なく、木乃香が根菜類と果物を多く育てている。

 

 実験用に第七の畑には、交配実験と流れ着いたばかりの作物の生育実験を行っている。

 パイナップルも最初はここから木乃香の畑に移した形だ。

 

「採取組の人達はやる事が多いから申し訳ないです」

 

「小猫さん達は、ゆかりさんと違って拠点外の事や拠点拡張なんかをやってくれてますから、私からすればそっちの方が申し訳ないです」

 

 拠点組と採取組が居て、採取組が小猫を筆頭に刹那、フェイトが担当している。

 束は一応拠点組に当てはまってるけど、殆ど研究開発が仕事になってるから、研究担当として考えた方が良いかもしれない。

 

 第七畑に興味があるらしく、担当させるかは全員で話し合っている所だ。

 

「あの……中間拠点の方はどうしましょうか? 北部の調査は頻度を下げるんですよね?」

 

 アーシアの言う通り、北部は殆どが土と岩の地帯だった。

 島の秘密の一端がある可能性がある場所ではあるけど、情報以外に得られるものが少ない。

 

「中間拠点は今まで通り、西側や東側へ探索に行く際に使えばいいと思います。それに北部に行くまでの道には獣や野生の木の実が自生してますから、採取目的では十分使えます」

 

 刹那の言う通り、中間拠点は丁度東西南北の間を取るような形で作った拠点だ。

 探索道具の格納や休憩小屋として活用していて、ツリーハウスのような形で作っている。

 

 野生動物や雨期の雨水対策だったけど、存外大木の負荷も分散し出来ていて居心地のいい拠点になっている。

 

 長期間の採取にはピッタリの拠点だ。

 

「本拠点も大分大きくなったしなぁ。畑までの道も整備しとるし、かなり過ごしやすくなっとるぇ?」

 

 本拠点から各畑までの道は石畳と柵で整備しているから二人一組で十分行き来は可能だ。

 流石に一人は危険だから、採取組の様な戦闘力がある者達に限られるけどね。

 

「拠点の拡張はある程度までで、酪農に手を出すのはまだ先かな。中央拠点を管理拠点に代用するかどうか……」

 

 酪農は初の試みだ。

 するかどうかは別にして、中央拠点の利用方法を増やす事は必要だと思う。

 

 住居は使用しないと劣化する。

 あっという間に、蔦や植物に覆われて、そこから徐々に荒廃していく。

 

 一応、採取組が利用する際に掃除なんかをしているからそこまで劣化はしていないと思うけど……。

 

「現状、そこまで気にしなくても、採取と畑で食料は十分以上に賄えてますし、肉類や皮とかは採取組なら十分だと思います」

 

 フェイトの言う通り、小猫や刹那・フェイトの実力なら獲物を逃がす事は無いだろう。

 俺は罠を使って数日に一度獲物がかかるかどうかだった。

 かなり恵まれていると言えるのだ。

 

 一人の時は、罠を各所に仕掛けてから毎日罠を巡回。

 そのついでに野草やキノコ、木の実を採取していた。

 

 小猫が来てくれたあたりから、肉が食事に多く出る様になり、遠距離を安全に移動できるようになった。

 

 そう考えると、やっぱり小猫達に助けられているな。

 

 

***********************************

 

 

 南側の海岸。

 砂と岩の混ざった海岸線で、砂の割合が高い。

 小猫やゆかりさんが流れ着いていた場所だ。

 

「一応、病人という扱いなんですから寝ていて欲しいです」

 

 スッと砂場に着地した音が後ろから聞こえる。

 振り返ると、小猫が呆れたような顔で立っていた。

 

 見ると耳と尻尾が出ている。

 ここしばらくは、出した状態が楽だと出しっぱなしだったが、しまい方を忘れていないか心配になる時があるなぁ。

 

「病人と言っても全く動かないのも身体に悪いだろ?」

 

 丸々二日を寝床の中だと流石に気分転換がしたくなる。

 月の光でかなり明るい海岸線は、漂着物と海面に映る星が幻想的な空間を作り出していた。

 

「そうかもしれませんが、誰かに一言残してくれても罰は当たらないと思いますよ」

 

「ああ、それはごめんな」

 

 現状把握をしていた話し合いで、昔を思い出してしまった。

 たった一人で、この島の南側で細々とサバイバルをしていた頃。

 懐かしい気分と、小猫達が来てくれた感謝の気持ちが強く心に残る。

 

「……ッ」

 

 ギュッと後ろから抱きしめられる。

 その手は少し震えていて、こんなにも彼女を不安にさせたのかという罪悪感が芽生えた。

 

「おにいさんは、相変わらず自己評価が低すぎる帰来がありますね。……皆さんを心配させたお仕置きです」

 

 そう言うと後ろから抱きしめられている状態で、小猫の手が俺の股間に伸びた。

 ジックリと服の上からも見込む手つきは、彼女の経験値だ。

 

 この島でおそらく一番俺と交わっている少女。

 普段から表情の変化が乏しい娘ではあるが、これだけ長くかつ濃い付き合いを続けているとある程度の表情や感情を読み取る事が出来るようになる。

 

 いつも行っている性的な行為だが、小猫の感情の奥の方には恐怖や悲しみの感情が揺らめいている。

 前面に来ているのが安心感や歓喜のようなプラスの感情なだけに、どれだけ心配させていたのかが分かってしまう。

 

「私の後にも控えてますから、本気じゃないと負けちゃいますよ?」

 

 そう言いながら、俺の前に回り込んで、見せつける様に大きく口を開け、そのままムスコを咥え込んだ。

 

 ジュルッと水音を立てて、吸い込みながらまるでピストンの様に前後に動く。

 その刺激に手で臨戦態勢された俺の股間が徐々に絶頂へと近づいていくのを感じる。

 

「……っ。相変わらず、スゴイな。口だけでイカされそうだ」

 

 俺の言葉に、上目遣いの小猫が微笑んだ気がした。

 実際は目でしか感情は分からないが、目は口程に物を言うとも言うしな。

 

 小さな口で俺のムスコを咥えてくれているが、小猫は舌先もそうだが奥まで咥え込んでくれるのだ。

 

 確実に喉まで言っているはずなのに苦しい顔一つせず、奥まで咥えて強い刺激を与えてくる。

 

 それが気持ち良くて思わず射精してしまった。

 想定外の暴発だったのだけど、小猫はイチモツの震えで射精が近い事を察していたのか、射精の瞬間に亀頭だけ咥えるような状態になり、口の中に精液を受け止めてくれる。

 

「……ッ! ん……ふぁ……ンム……」

 

 尿道に残っている精液すら吸い出すように、スゴイ吸い込みのまま口を離す。

 

 ジュポンっという音を立てて、息子が解放される。

 自身の我慢汁や精液、彼女の唾液でベタベタの状態で、夜風がひんやりと股間を撫でる。

 

 俺の見せつける様に口の中に溜まった精液を見せつける様にして、口を開けている小猫。

 一通り見せて満足したのか、そのまま呑み込む仕草をして、口の中を再度見せてくる。

 

 テラテラと月明りに照らされた口内は艶めかしく、小猫が下を扇情的うごめかせていた。

 

「……っはぁ! 相変わらず、毎日数回以上出しているのに、ゼリーみたいに濃いです」

 

「あー……身体が若いのと果実の影響だろうな……」

 

 十代後半の身体は正にヤリたい盛り。

 それに加えて果実の影響で人外レベルの精力が備わってしまっているから質が悪い。

 

 あの果実は一度口にしてしまえば、恐らく一生副作用に悩まされるだろう。

 この島に流れ着いた自分が、最初に口にして以来ずっと発情の周期はあるし、精力は高まるばかり。

 

「いえ、むしろプリンにも……」

 

「無理にスイーツに例えなくて良いんだぞ?」

 

 この島では食べられないから懐かしくなるのも分かるが。

 変な情報の上書きなんてしたら、もし戻れたり作れるようになったらこの行為が脳裏に チラつきはしないだろうか?

 

 そんなことを考えていると、腕を引かれる感覚。

 小猫が少し大きめの岩を指差しながら俺の腕を引いていた。

 

 あの場所がお望みか。

 小猫は対面系の体位を好むから、対面座位かな。

 

「こうして星空の下で、すると初めての時を思い出しますね」

 

「まさかの逆レイプだったけどな」

 

「そこは、あの果物が悪いという事で一つ」

 

「怒っちゃいないさ。小猫が来てくれて、俺がどんなに救われたか……」

 

 二年間の孤独。

 正直、二度と味わいたくない位に辛かった。

 

 ここに来る前は、お一人様大歓迎な人間だったけど、それでも二年間も誰一人として関わらず、生死のラインが見えるサバイバル生活。

 

 肉体が若い事も有ったし、誰かの傍にいる事がどれだけ温かいかを認識させられた。

 

「私は、おにいさんが居てくれてこの島で生活が出来ました。沢山の事も教わりましたし、本当に感謝してるんですよ」

 

 そう言いながら、岩場に腰を下ろすとスルッと跨ってくる。

 慣れた手つきで上着とズボンを脱がされてしまった。

 

「良い話をしている最中なんだけど……」

 

「逆レイプにいい話も何も無いでしょう」

 

 いやはや、その通りです。

 スカートで見えないが、露出している息子に柔らかな感触が当たっている。

 

「束さんがしている時の反応が良かったので……どうですか?」

 

 小猫がスカートの前をたくし上げると、無毛の割れ目とそれに押さえつけられるようにしている自身の股間が露わになった。

 

 股間を通じて彼女の膣から熱いモノが流れ出ていて、俺の股間を濡らす。

 まるで彼女のマンコに自分のムスコが捕食されているかのような構図。

 

 それを見せている小猫の表情は耳まで真っ赤だった。

 

「やっぱり、反応はいいですけど恥ずかしいですね。おにいさんは本当に罪作りな人です」

 

 そう言いながら、腰を前後に動かして、股間をしごいてくる。

 その度に温かい液体が自分のムスコに塗られ、それを意識することで更に硬くなるのが分かる。

 

 主導権を握られたままというのも性に合わないので、彼女が腰を動かしている時に亀頭まで腰を動かしたタイミングで、股間にグッと力を入れた。

 

 少しだけ彼女を押し上げようする股間に合わせて腰を調整してあげる。

 

「っ……ぁ、にゃぁぁぁ!?」

 

 まさにズルンという音がふさわしい感覚で、彼女の膣内に挿入する。

 既に十分以上に濡れていた彼女の膣はいとも容易く俺のムスコを受け入れてくれた。

 

 奥まで到達した時、全体を締めあげる様に膣内がうごめき、射精感を底上げしてくる。

 

「急だったけど、痛くないか?」

 

「……っぁ……ん。流石はおにいさんですね。軽くイッちゃいましたよ」

 

 言葉とは裏腹に、少しムスッとした表情の小猫。

 不意打ちがお気に召さなかったのだろう。

 

「こっちも、二回目が……」

 

「絶妙な鬼畜具合が素晴らしいですね、調教の甲斐があったというものです」

 

「やっぱりお前ら、俺の趣向の方向を操作してたよな!?」

 

 さっきまでの不満げな表情から、満足げな満面の笑みで返される。

 少し悔しいので、口づけと腰遣いで逆襲する事にしよう。

 

 頭を抑えてそのままキスをし、そのまま腰を打ち付けて行為を続けていく。

 さっきまであった射精感を押さえつけ、何度も何度も責めあげる。

 

「ン……っぷはぁ、やっぱりおにいさんは最高です」

 

 少し口が離れた時、小猫はそうつぶやくと自分から再び口づけをしてくる。

 そしてそのまま、腰遣いも積極的になり、本格的に行為が始まった。

 

 膣奥まで届く為、俺も小猫もすぐに限界が来た。

 言葉に出さずとも、股間から感じる感覚で限界が近いと双方が認識する。

 

「っ!!」

 

「んっ!!」

 

 解放。

 膣奥へたっぷりと射精し、キュキュッと締まる膣内の感覚を楽しむ。

 

 中出しは、支配欲のような物が満たされる。

 最初の内は、妊娠の心配や相手の心情を慮ってばかりで、そう言う感情に気付かなかった。

 

 いや、これも小猫達の誘導なのかもしれない。

 だって、基本中出ししかさせてくれないからね、彼女達。

 

「……膣内にたくさん射精される感覚。やっぱり、幸せです……」

 

 この言葉はずるい。

 再びやる気を出した俺のムスコと共に、二ラウンド目の為に腰の動きを再開する。

 

 もっと、幸せにしてあげるよ……小猫。

 




 さて、世間は未だにバタバタしておりますが、お楽しみいただけたでしょうか?

 オリジナル作品もカクヨムさんで書く様になり、創作において実り多き年にできるよう頑張ってまいります。

 外伝もISが残っているので、そちらもお楽しみに!

 よろしければ、評価や感想を頂ければ幸いです。
 それでは、今年もよろしくお願いいたします。


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38 無人島の起源

 どうも、このご時世で発熱はガチでヤバいと再認識したオルカです。

 元々の体温が高い方ですが、先日37.5を超えまして、会社側に申請して通院。
 気管支炎と診断されました。

 医者に苦しくないの? と聞かれましたが、マスクに慣れていたので気づきませんでした。
 ヒューヒュー音がしてたのにね。


 さて、今回は設定披露会。
 エロは少な目で、次週にエロを頑張ります。


 俺の左目。

 

 ある時から、眼帯が無いと眼精疲労が溜まりやすくなり、風呂や情事の際以外は外さなくなった。

 

 その理由が否応なく理解させられる。

 

 『解析の魔眼』と呼べばいいだろうか。

 この眼は視界に入ったモノの詳細を脳に叩きつけてくる。

 

 これまで、無意識に使い続けてきたからだろう。

 眼精疲労と、脳に負荷がかかって知恵熱のようなオーバーフローを起こしていた。

 

 ただ、能力は無意識下での使用が一番無理がない。

 能力の意識した瞬間、能力が暴走してしまい、束のカプセルのお世話になってしまったのだ。

 

 結論として、眼帯の使用は継続。

 俺の魔眼は、使いこなすために修練を重ねることになった。

 

「本当でしたら、魔眼封じの仕掛けを作りたいですが、そんな技術は誰も持っていませんからね」

 

 不服そうな小猫。

 彼女の目の前で倒れたのだから当然かな。

 

 束製のカプセルの中で、三日間絶対安静の状態に陥ったとのことだ。

 

 実際に、目が覚めて皆に泣かれてしまった。

 

 今は寝床で自覚症状を確認中となる。

 

「ふむふむ。全身の倦怠感と関節の違和感は、三日間眠った影響かな」

 

 束さんとフェイトも小猫と一緒に寝床を取り囲んでいる。

 

 さっきまではゆかりさんに木乃香と刹那、アーシアが身辺のお世話をしてくれていた。

 

「バルディッシュのスキャンでも、関節が固まっている事ぐらいですね」

 

「三日ぐらいの寝たきりですからね。むしろその程度で済んでいて良かったです」

 

 確かにそうだ。

 あの調子で情報を叩きつけられ続けていたら、脳死の可能性があっただろう。

 

 あの瞬間、フェイトの魔法でノックアウトしてもらわなければ、俺はこうして話が出来なかっただろう。

 

「束さんにお願いされてましたから……。キョウジさんが左目を押さえて苦しみ出したら、何を差し置いても、魔法でのノックダウンを取ってほしいって……」

 

「そうだね~。視界で発動する、脳に負荷のかかる能力の可能性があるなら、視界を閉ざす事と意識を強制的にダウンさせる手段を準備しておきたいよね」

 

 意識を刈り取る事で、脳への負荷を強制的に止める手段。

 気絶させるならいくらか手段があるだろうが、一番確実なのはフェイトの非殺傷設定の魔法だろう。

 

 他だと小猫からのボディブロー、刹那の神鳴流、束の薬かな?

 

 即効と確実を取るとするなら、フェイトの魔法が適任だ。

 

「……おにいさん、何を視ましたか?」

 

「……ッ」

 

 思わず、息を飲んでしまう。

 

 俺の魔眼が、()()()()()()()()のか?

 

 あの北部の山で回収した土塊だ。

 ガジェットドローンの形状をかなり保った状態の土塊。

 

 少しの衝撃でボロボロになってしまうから、束に特殊な糊のような液体をかけてもらい、形状を保ったまま彼女の小屋に保存されている。

 

 それを視た時に、俺の魔眼が暴走してしまったのだ。

 

「……この島の起源を」

 

 この島がどういう流れで生まれ、出来ているのかを知ってしまった。

 

 語っていいのか迷う内容だったが、共有しないといけないと思う。

 

「全員に教えたいから……頼めるか?」

 

「……いいよ! キョウ君が少し回復したら集めるね!」

 

 束が明るい感じで、小猫とフェイトを連れて出て行った。

 

 たぶん、ある程度予想をしていたのかもしれない。

 だけど、彼女の気遣いに感謝だ。

 

 ちょっと、一人じゃ抱えられないからな。

 

 

***********************************

 

 

 島の秘密を語る時に、ある程度は束が女性陣に話をしていた為、俺の話を受け入れてくれる下地を作ってくれていた。

 

「結論から言ってしまえば、この島……この世界は世界とも言えない情報の断片の集合体だ」

 

 ガジェットドローンが北部の山で土塊になっていたように、この島の砂・土・岩の全てがどこかの世界から漏れ出した情報の断片なのだ。

 

 ガジェットドローンが何故土になっていたのか。

 それは、フェイトの世界から剥離したガジェットの情報断片が集まり、他の剥離した情報が集まり、世界の成り損ないになった。

 

 そうして断片が集まる内に、この情報の集まりは正式な世界になりたいという願望を持つようになったのだ。

 

 積極的にフラフラと世界から剝がされた情報を集めて、形を整えていった。

 

「ある程度形を整えた次の目的は、生き物を自分の世界に生息させること」

 

 虫や動物は情報量が少ない為、容易にも創造できたようだが、人間やそれに近い存在は情報漂っている情報だけではどうにもならない。

 

 だから、俺が選ばれたのだ。

 前世の死因が、ビルごと爆破された爆死か倒壊する建物の下敷きになった圧死だろう。

 

 その際に俺自身の情報が世界から剥離して、この島に取り込まれたのだ。

 

 そこから、俺は生きる為に島で食事をして、あの果実を食べ、ギリギリで生き抜いてきた。

 

 そして、この世界を構成している情報を取り込んで、生前の記憶を取り戻しながら、この島での生存に適した能力を身に着けて行ったという流れなのだろう。

 

「俺の情報を取り込んだ後は、俺の情報から各世界から剥離した情報を取る為にこの島が動いた……と言った所だろうな」

 

 予想できていたけど、俺自身も本体じゃなかった。

 まぁ、若返っていたし、精力も異常だし、こんな魔眼も付与されているからね。

 

 この魔眼も世界が収集した情報の切れ端が果実や動物になっていたのを取り込んだから付与された可能性がある。

 

「おにいさんが知っていたから、私達は集められたという事ですか?」

 

「正確には知っている作品……いや、世界の情報を島が取りに行くというだけで、誰の情報かはランダムだったんじゃないかな」

 

 例えば、インフィニット・ストラトスの世界から『篠ノ之束』が来たことが不明点だった。

 

 もし、俺の記憶から人物を選んでいるなら、印象の強い学生組が来ていた可能性が高いだろう。

 

 そして、特別枠のゆかりさんだ。

 彼女は俺の記憶では、ゲーム実況や解説動画での印象が強い。

 

 生体型アンドロイドという設定などは、全く知らなかったことだ。

 

 おそらく、俺の記憶から近い世界の情報を集めて来たと言った所だろうな。

 

「そうなんやな。ウチ等が一緒に来たんは一緒に居ることが多いからなんかな?」

 

「お、お嬢様……」

 

 そこの所は分からないけど、情報の断片が互いを求めて一緒に居た可能性もある。

 殆どこじつけの様な推測だけど、それでもロマンがあるだろう。

 

「それでは、私と小猫さんの記憶に差異がある理由が……」

 

「ああ、核になった断片の違いだな」

 

 核になった情報を元に、この島が肉体や能力を与えているのだ。

 木乃香と刹那の記憶の辻褄が合って居る事が奇跡に近い。

 

「キョウ君、この島は完成すると思う?」

 

「そこは分からないけど、こういう過程を経て誕生した世界も有るらしい」

 

 今の俺達みたいに何人かの人間が世界に流れ着いて、その世界の完成と共に『神話』として後の世に残っている。

 

「俺達みたいな流れ着いた者達は、神話の神として残る事が多いらしいな。例えばフェイトは『雷神』みたいな感じかな」

 

「え!?」

 

 俺達みたいな境遇から始まった世界は多くあり、最終的にその人間は神話の神としてその世界の人間達によって神格化されるようだ。

 

 例えば、木乃香やアーシアなんかは『治癒の神』や『慈悲の神』としての役割に該当しそうだし、束なんかは文字通り『知恵の神』として祀られそうだね。

 

「元の世界に帰る……というのは難しいと思った方が良いな。もし帰れるとすれば、この島が形を維持できなくなったら……だと思うよ」

 

 途中で気絶した影響だろうけど、全部が分っている訳じゃない。

 それで三日も眠ることになったのだから、情報量はとんでもなかったのだろう。

 

「それだけの情報を頭に流し込まれて、よく三日の昏睡で済みましたね」

 

 ゆかりさんは呆れたような顔をしている。

 生体アンドロイドという存在なだけに情報量というものにたいして、彼女なりの物差しがあるのだろう。

 

「三日か。明日からリハビリかな」

 

「もう少し休んで欲しいんだけどね、主治医としては」

 

 束も呆れた顔をしながら医療器具を構えている。

 

 ああ、このままだと縛られそうだなコレ。

 

「あ、キョウ君三日も寝てたから……発作の相手も頑張ってね」

 

 ……そうだったな。

 

 せめて、リハビリが終わるまで待ってくれないかなぁ……。

 




 今回は設定披露会となりました。

 次回は三日という日数のツケをキョウジ君が払うことになると思います。

 よろしければ、評価や感想を頂ければ幸いです。
 それでは、今年もよろしくお願いいたします。


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39 無人島で耐久戦(序)

 どうも、リアルが少し忙しいオルカです。
 仕事と別の用事が重なってテンパってました。

 さて、風呂敷を畳みながらラストスパートと言った所です。

 最後のアンケートが有りますので是非ご投票ください。
 詳細は、あとがきにて!

 それではどうぞ!

 *追記*
 アンケートを急遽閉じます。
 理由は、何を思ったのかISの外伝を投稿したと勘違いしていた為です。
 IS外伝投稿時にこのアンケートを復活させます。
 ご迷惑をおかけして申し訳ありません。



「やっぱり、おにいさんに触れてもらえると……快感がすごいですね」

 

 あまり身体が自由に動かない為、小猫が俺の上に跨って腰を動かす。

 熱い膣内で俺のムスコを痛いぐらいに締め付けてくる。

 

 元々高い身体能力がある事と、この島で一番俺と交わっている期間が長い。

 だからか、彼女の膣内が良く分かるようになった。

 

「おにいさんとしか経験はありませんが、私の膣内がおにいさんの形になった気がします」

 

「交わった回数ならダントツだろうしな」

 

「夫婦同士だってこんなにセックスしませんよ」

 

 小猫が流れ着いてから、ゆかりさんが流れ着くまでほぼ毎日。

 ゆかりさんが来てからは、ほぼ日替わり状態になってペースが落ちているけどね。

 

 一人で暮らして二年間、小猫が来てから更に三年間ほど。

 三百は超えてる気がするな。

 

 もう小猫の締め付けが、俺の弱い所を知り尽くしているかのような動きをして、彼女自身の腰の動きが蠱惑的になり、口元にはチロッとピンクの舌が見える。

 

「相手をしてくれる回数は減ってますし、一回一回を濃厚に楽しみましょう」

 

 覆いかぶさる様に抱き着いてくると、俺の唇に吸い付いてくる。

 僅かな胸のふくらみが、俺の胸板と挟まって形を歪ませ、先端の小さな豆の形が良く分かる状態。

 

 小柄な小猫は、俺の腕の中にすっぽりと収まってしまう。

 その姿に庇護欲の様な物が掻き立てられるのだ。

 

 その膣内に俺のイチモツをしっかりと咥え込んでいて、そんな状態にもかかわらずに俺の乳首を口に含んで舌先で弄んでいる。

 

「チュ……ン……。もっと、奥まで突いてください」

 

 そう言いながら腰をくねらせ、下腹部に力が入るのが感覚で理解できた。

 膣が亀頭を優しく包みながら、グリグリとした刺激を与えてくる。

 

 これ以上に刺激が欲しいのかと驚くが、小猫の望みだ。

 

 グッと力を入れて、硬くして腰を突き上げる。

 小柄な彼女は簡単に浮き上がり、そのまま膣内に俺のムスコを再度迎え入れた。

 

 パァンっと肉と肉がぶつかり合う音が響いて、奥まで挿入されていた亀頭がさらに奥に入る感覚を覚えた。

 

「おい、これって……」

 

「はい、先日の話で私達全員がこの島で再構築されたという話を聞いて、束さんが教えてくれました」

 

 ガッシリと亀頭を咥え込まれている感覚。

 それだというのに、彼女の膣はムスコの脇をくすぐる様に大胆に、そして繊細に動いている。

 

 子宮の中に入ったのか。

 本当なら小猫に負担になる状態の筈だが……。

 

「フフ……、やっぱり苦痛どころか満足感や快感の方が強いです」

 

 うっとりとした表情で自分の下腹部を撫でている。

 グッと小猫が自分の腹を押す動作をすると、自分の亀頭に圧迫感を感じた。

 

 つまり、彼女にそこまで自分のモノが入っているという事。

 その事実に、自分の中の支配欲が急速に満たされるのを感じる。

 

「今までたくさん膣内に出してきましたが、妊娠しなかったのはこれが鍵だったのでしょうか? そうだとしたら、とんだ変態な世界です」

 

 倒れ込む様に俺の胸にすっぽりと収まると、いつもよりも艶のある声で囁いてくる。

 

 そうしている間にも、腰は俺の股間を刺激し続け、俺の精子を搾り取ろうと一生懸命だ。

 

「なんだ? お互いにある程度覚悟はしてただろ……」

 

「そうですけど、悪魔は妊娠しにくいですし、発情期も来ていない私ですから、ほぼ無いと思ってました……ですけど」

 

 突然、顔を両手で触ると、そのままキスをしてきた。

 戸惑っている俺の歯と歯茎をまるで確かめる様に小猫の舌が這う。

 

 そして、緩んだ口の中で俺の舌と彼女の舌が絡み合うようにして蠢く。

 小さな彼女の舌が、俺を求める様に動く様子は正直興奮する。

 

「ぷはっ……、今は全身全霊をかけて……おにいさんの子供が欲しいです」

 

 口を離し、俺と小猫の間に唾液の橋がかかり、そのまま切れる。

 小猫が身体を起こし、体重が彼女の股間と俺の腰にかかるのを感じた。

 

「ん……っ。子宮が引っ張られる感覚は新鮮ですね」

 

 子宮口が亀頭に引っかかって、キスをしている間は少しだけ引っ張るような形になっていた。

 それを利用するように、小猫は腰をグラインドさせながら、亀頭を刺激してくる。

 

 射精寸前まで高まっている。

 小猫もそれは感じ取っているようで、腰の動きが活発にそして強くなっていく。

 

「はぁ……んっ……。このまま……射精してください!」

 

「っ!」

 

 溜まっていたこともあり、小猫の言葉に一気に熱が高まって彼女の膣内に放出する。

 

 一回の射精量も上がっているのだけど、それ以上に興奮が落ち着くまでの回数が増えているのが困りものだ。

 

「あぁ……膣内でビクビクって……。もっと愛し合いましょう、おにいさん」

 

 それから、片手では数えられない回数を彼女の膣内で果てた。

 俺の身体からどうやったらこんなに出るのだろうか、という量が彼女の中に吐き出されている。

 

 自然と固さを失った俺もモノが子宮口から外れて解放された。

 大量に膣内に出したのに、精液が流れ出てこない。

 ほとんど子宮の中にあるという事なのか。

 

「ふふ……、見てくださいおにいさん。ポコッと膨らんでます。妊娠したみたいですね」

 

 そう言いながら、愛おしそうにその膨らみを撫でている姿は、淫靡でありながら慈愛の精神が感じられた。

 

 小柄で幼い容姿とは裏腹に、その色気と艶めかしく汗で濡れている肌が何とも興奮を掻き立ててくる。

 

「私はこれで満足です。もし妊娠してなくても、またこうしてたくさん出してくださいね」

 

 いつもの半分ほどの回数で切り上げると二人で身体を拭いて行為用の部屋を出る。

 小猫は身体を拭いただけで、今日はそのまま自室で休むらしい。

 

 俺は川に身体を流しに向かう。

 お風呂は沸かす日が決まっているし、行為の後の熱を覚ますのに水浴びが丁度良い。

 

 

***********************************

 

 

 小さな滝の場所まで移動し、少し深くなっている川で身体を流していると、ゆかりさんがいつの間にか後ろから抱き着いてきた。

 

「マスター、調子が良さそうで何よりです」

 

 全裸で深い所から上ってすぐだったから、全身びしょびしょだ。

 そんな状態の俺に抱き付いてきたから、ゆかりさんの服を濡らしてしまった。

 

 薄いミニスカートのワンピースが濡れて、彼女の身体に張り付いて、身体のラインをより明確に際立たせている。

 

「ああ、原因が分かったのと、抑える為の動きも出来るようになったからな」

 

 後ろから抱き着かれている状態で、彼女の右手が俺の股間を優しく撫でる。

 水の中で、何度も何度も愛撫され、俺のムスコも硬くなっていく。

 

「では、私も抱いてくださいませんか?」

 

「ここまで露骨に誘われて、断るなんてしないよ」

 

 振り返り、ゆかりさんを抱きしめると、彼女の下腹部が俺のムスコを擦り上げ、更に興奮を高める。

 

 痩せ干せている訳ではなく、女性特有の柔らかさを持ちつつ、余計な肉が一切付いていないスレンダー美少女だ。

 

 下から捲る様にして服を脱ぎ、近場の岩に置く。

 日光が降り注ぐ岩は素早い乾燥を助けてくれるだろう。

 

「小猫さんの子宮にタップリと出したそうですね」

 

「ついさっきの事なのに、情報が共有されていることに若干の恐怖を覚えるよ」

 

 本当についさっきだぞ?

 情事の痕を流す為に川に来たのに、それが更に情事を重ねることになるとは思わなかった。

 

「私はいつも通りに抱いてください。小猫さんは妊娠の可能性が出てますが、私まで妊娠するのはヤバいですから」

 

 そう言いながら、自分の下腹部を撫でる仕草を見せてくる。

 綺麗な肌が水の中で水面のきらめきを映し、幻想的で魅惑的な光景だ。

 

 冷たい水の中に半身が浸かっているが、湧き上がってくる熱は冷えるどころか溜まり続けている。

 

「ふふ、水面から亀頭が顔を出していますね。お口でしてあげるのも良いですが、早速こっちでしましょうか?」

 

 前からクレパスを広げる様にして、俺に見せつけてくる。

 元々硬くなってきた股間が更に力を増す。

 

 正面から抱き着いてきた彼女のお腹と俺の腹筋に挟まれた股間の根本には、彼女の割れ目が当たって否応なく意識させられる状況だ。

 

「ちょっと背伸びすれば、すぐにでも膣内に入りますね」

 

 焦らすように、彼女のお腹が俺のムスコの裏筋を擦り上げてきて、気持ちいい。

 スベスベで柔らかい彼女の肌に、射精感が高まっていく。

 

 その力加減は絶妙で、俺の気持ちのいい部分や責め方を熟知している動きだ。

 流石は小猫に次ぐ俺との性交回数ランク上位者。

 

「じゃあ挿入しちゃおう。俺のチンコ越しにゆかりさんの膣内がビクビクって動いてるのが分かるからね」

 

 腰を引いて、彼女の膣口に先端を当てて一気に挿入する。

 冷たい水の中から、一気に温かいゆかりさんの膣内に亀頭が侵入していく感覚が心地よい。

 

 その状態から何度も膣奥を先端でノックする様な感覚でピストンを繰り返していく。

 奥に当たる度にビクビクと膣内が跳ねるのを感じ、射精感が高まる。

 

 水に濡れているにもかかわらず、ゆかりさんから女性らしい匂いと触れ合う肌のぬくもりが人事られ、愛おしさがたまらない。

 

「んっ……。キスしてください、マスター」

 

 突き出す形の唇に応える。

 最初は彼女の唇を啄む様に、そしてそのまま唇を合わせて舌を絡めていく。

 

 絡めた舌をそのまま、彼女の歯をなぞる様に滑らせる。

 綺麗に並んだ歯を一本一本、舌先で確かめる様にして、じっくりと舐めてやるとゆかりさんの身体がもどかしそうに動くのが面白い。

 

 口の中を堪能してから、ゆっくりと口を離す。

 俺とゆかりさんの間に唾液の橋がかかり、重力に従ってプツッと切れて落ちる。

 

「キスしている間に、オチンチンが一層大きくなりましたね。すごく気持ちいいです」

 

 正面から抱き付く様な体勢から、完全に俺に体重を預けるような形で対面立位へ移行する。

 腰まで水に浸かっている状態で、負担が無く行為を続ける事が出来る為、自由になった左手で背中を撫でたり、胸を愛撫したりと責めに活用していく。

 

「いつも通りにって言ってたけど、このままじゃ奥に入っちゃいそうだぞ」

 

「私の方で調整しますから、好きに動いていいですよ? それに今まで通りにしてれば問題無いと思いますから」

 

 そう言いながら、グリグリと奥に押し付けるような仕草をしてくる。

 思うに、騎乗位の様な自重と突き上げる体位と俺自身のムスコの角度が合わさった時の現象なのだろうな。

 

 抱き込むように身体を丸めながら、弓反りになったゆかりさんの胸の先を口に含む。

 水で先端が固くなっていて、その豆を舌と歯で刺激していく。

 

「ん……くぅ……ん」

 

 漏れてくる嬌声と共にゆかりさんの膣内が強い締め付けを繰り返して、俺の射精感を高めていく。

 

 乳首を刺激しながらも、彼女の膣奥を何度も亀頭でノックし、徐々に熱くなる膣内を股間越しに感じ取る。

 

「んああっ!!」

 

 ゆかりさんの声と共に両手両足が俺をガッチリとホールドして、その状態で腕の中でビクビクと跳ねる彼女の身体を堪能。

 膣内の痙攣が落ち着く前に、中に射精する。

 

 グイグイと彼女の胸に顔を埋めている俺の頭を撫でてくるのを感じ、顔を上げるとそのままキスをしてきた。

 

 攻めるようなキスではなく、行為が終わった後のゆったりと睦み合う様なキス。

 その状態のまま、大きな岩に寝そべる様に身体を預けて、ゆっくりと行為後の熱やテンションを下げていく。

 

「はぁ……はぁ……。今日はいつもよりも回数は少な目にしておきましょう」

 

「……っ。そうだな、といっても四回は多いと思うぞ」

 

「普段、十回以上シテいる人が何を言っているんですか」

 

「合計だと割と近い回数出しているんだけどね」

 

 小猫とゆかりさんと合わせると十は超えているはずだ。

 ここからの事を考えると少し頭痛がする。

 

「私は小猫さんに比べて体力がありませんからこのぐらいで丁度いいです」

 

「普段、八回位している人がよく言うよ」

 

「抑えないとマスターが枯れちゃいそうですし」

 

 割と現実的な問題に頭痛が強くなる気がした。

 




 ボスラッシュならぬ、エロラッシュ開始でございます。

 察しの良い人は気付いているかもしれませんが、参加順にシーンを書いていきますのでお楽しみください。

 最後にアンケートですが、外伝の後日談や続編の希望を伺いたいと思います。
 ハイスクールD×Dの項番が最後なのは、小猫とアーシアで既に二話となっているからです。
 ご希望の外伝に投票ください。

 よろしければ、評価や感想を頂ければ幸いです。
 それでは~。

 *追記*
 アンケートを急遽閉じます。
 理由は、何を思ったのかISの外伝を投稿したと勘違いしていた為です。
 IS外伝投稿時にこのアンケートを復活させます。
 ご迷惑をおかけして申し訳ありません。


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外伝 無人島から帰還 インフィニット・ストラトス

 どうも、色々疲れてると自覚したオルカです。
 皆様、今のご時世で自覚の無いストレスや疲労が溜まっていることも多いです。
 気を付けましょう。

 さて、これが本当の最後の外伝。
 IS外伝です。

 前回ミスってしまったアンケートも今回実施します。
 詳細はあとがきにてよろしくお願いします。

 それではどうぞ!


 無事? あの無人島から脱出が出来た。

 

 俺としては、それぞれの世界に戻ってめでたしめでたし……っというのが希望的観測ではあるが、もし脱出すると仮定した時に、起こり得る可能性として高い方の選択肢だと思っていた。

 

 しかし現実は、インフィニット・ストラトスの世界に飛ばされた。

 

 全員を連れて……。

 

 最大の懸案事項として、あの島の束と、この世界の篠ノ之束の存在統合が行われたことだろうか。

 

 この世界で過ごした記憶と同時に、俺たちと過ごした無人島の記憶が混ざった状態。

 

 だけど特に混乱した様子は無く、納得はしているようだ。

 

 感覚としては原作世界の存在が強いようで、メイン人格が原作世界、その中で俺らと共に過ごした時間が記憶されているという感じらしい。

 

 そんな中、俺と小猫・アーシア、木乃香と刹那、ゆかりさんとフェイトは、この世界での戸籍を用意してもらえた。

 

 束が戸籍を偽造して、この世界で暮らす基盤を整えてくれた。

 

 束の検査で、小猫と刹那がISの適性がA、木乃香とアーシアが適性Cだった為、IS学園に入学。

 

 ゆかりさんとフェイトは教師としてIS学園で働くことになった。

 

 俺はIS学園のスクールカウンセラーとして赴任することになり、その為にカウンセラーの教育課程を急遽修めることになった。

 

 めっちゃ詰め込み教育だったが、正式な資格も手に入れて、無事にIS学園でもカウンセラー室を任されることになった。

 

 束の計らいなのか何の問題も無く、カウンセラー室にて仕事をすることができている。

 

 まぁ、スパイっぽい人間も、教師と生徒の中に何人か見つけた。

 それを束だったり、教師の織斑先生に報告している。

 

 対応は俺の介在する部分じゃない。

 

「料理の上手くなる方法?」

 

「そうです。一夏さんとの更なる関係発展の為に、お料理の腕を上げたいのですわ!」

 

 セシリア・オルコット。

 この学園唯一の男子生徒と仲の良い女生徒たちの一人で、イギリスの代表候補性だ。

 

 カウンセラー室と銘打っているが、基本的に生徒たちの雑談を受ける立場。

 何人かの生徒の料理へのアドバイスを聞いたのだろう、彼女は料理の事に関して相談を持ち掛けてきた。

 

 部屋には俺と彼女だけ。

 

 基本は一対一の話となるが、生徒側が複数となる事も多い。

 俺のことが信用できなかったり、不安を隠す為だったりと色々だ。

 

 しばらくすると、一対一での会話もできるようになるので、時間をかけるのは大事ということなのだろう。

 

 オルコットさんは、貴族出身であることもあり、喋りや立ち振る舞いに気品と洗練されたものを感じる。

 

 学園側から貰っている資料からも、成績も良く、遠距離型の戦闘タイプだ。

 少し会話をしてみてわかる事は、実戦派ではなく理論派という感じかな。

 

「料理という事ですが、得意な料理はなんですか?」

 

「そうですわね……。先日、一夏さんにサンドイッチを食べていただきましたわ」

 

 サンドイッチか。

 先日……、確か一夏君の周囲が保健室に来ていたけど……。

 

 そういえば、遠い記憶だけど彼女はあまり料理が得意では無かった気がする。

 

「なるほどね。オルコットさんは『料理は愛情』という言葉を聞いたことがあるかい?」

 

「はい! それはもう心を込めて、作っておりますわ!」

 

 やっぱり、あまり得意なタイプではないね。

 

 だとすると、取っ掛かりから認識を変えてもらおうかな。

 

「じゃあ、『愛情』ってどうかけてますか?」

 

「え……、かけ方ですか?」

 

「そうそう。意外と愛情のかけ方を知らなかったり、足りなかったりするんですよ」

 

 意外と知らないのだ。

 いや、知っている人ほど『愛情』と『かけ方』を分離して認識している事が多い。

 

「知っていましたか? 舌が敏感な方は、卵をフライパンに落とす時の高さで食感が変わっているのが分かるらしい」

 

 そっとフライパンに入れるだけで、トロトロの食感になる。

 これは、黄身の中の成分が落下の衝撃で崩れるからだ。

 

 もちろん、高いところから落とすのがダメと言うわけではないが、その一手間が料理を引き立てる。

 

「そうなんですの?」

 

「ああ、手間ではあるがね。他にも魚の小骨を取り除く事、肉の筋をあらかじめ切ったり、取り除いたりすることも、料理がおいしくなる為のひと手間だ」

 

 俗に言う下処理や下準備というヤツだ。

 無人島生活時代、獲物の血抜きや魚を捌く事で大切さは痛感している。

 

「愛情のかけ方の一つの方法として、ひと手間を惜しまない事というのがある」

 

「ひと手間を惜しまない……?」

 

「ああ。もちろん他にも方法は有るが、例えば……簡単なのが味見だね」

 

「味見ですか?」

 

 甘いお菓子を好んだり、紅茶を好んで飲んでいる所を見ると、味覚は正常だろう。

 ならば、味見一つで劇的に状況は改善する。

 

「ああ。簡単だけど、かなりの効果がある。甘いのが好きな人には砂糖を一つまみ、しょっぱいのが好きな人には塩を一つまみ。そして味見をしてその味を覚えて、相手の反応を視て、相手の好きな味を分析する。これが、愛情のかけ方の一例だな」

 

 あくまで一例ではあるが、一番簡単に俺達が出来る愛情のかけ方のでもある。

 料理の基本にして、上達の為の手段。

 

「あの……もっと、こう……秘術の様な物は……」

 

「ん? 味見を侮ってはいかんぞ」

 

 それから、彼女の料理への認識を改める様に懸命な説明を続けた。

 一応はオルコットさんの料理への認識は大分改められたと思うし、後日彼女の友人達にお礼を言われたので、改善できたと思いたい。

 

 

***********************************

 

 

 グッタリと自宅のソファーに倒れ込む。

 生徒との交流とカウンセリングが目的とはいえ、丁寧口調が慣れない。

 

 小猫や木乃香にはこの口調に対して、微妙な顔をされた。

 似合っていないのだろうな。

 

「やぁやぁ、キョウ君! いっくんが喜んでたよ!」

 

 倒れ込んでいると束さんが話しかけてきた。

 彼女が用意した家なのでここに居るのは特に不思議な事ではないのだが……。

 

「なんで俺の上に乗る?」

 

「なんでって、あの島じゃよくやってたじゃん」

 

「あの島とこの世界のあなたは別人だろ」

 

 そう言うと、キョトンっとした顔をして俺のことを見つめてから、何かに思い至ったようで納得したような顔を見せる。

 

 一人で納得するなよ。

 気になるだろうが。

 

「ああ、キョウ君が妙に他人行儀だったのはそういう事かあ! なるほどなるほど!」

 

 ひとしきりこの調子で笑っていた。

 その後に、笑みを浮かべたままこちらを見つめて。

 

「この天災である束さんが、もう一人の私の記憶を拒むとでも?」

 

 そう言うと、指先に魔法陣を展開させた。

 これは、ミッドチルダの魔法陣!?

 

「束さんにとって、あの島の私の記憶だって私だよ。この世界の束さんと、あの島の束さんが合わさってスーパー束さんの完成さ!」

 

 すっごい良い笑顔でピースサインを向けてきた。

 その表情は、あの島で俺の向けてきた笑顔と被る。

 

「……まだ少しだけ、信じられないかな? 束さんがあの島の私を受け入れたのは、お互いに欲しいモノを持ってたから。あの島の私はもう追えないと思ってた夢を、こっちの私はちーちゃん以外得られないと思っていた理解者や魔法概念の技術を手に入れられた」

 

 そうか、あの島の束は宇宙への夢を諦めざるを得なかった。

 そして、こっちの束は理解者を求めていた。

 

 俺が理解者として認識された理由は分からないけど、そう思ってくれているという事はありがたい。

 

「だから、全部受け入れたの。スーパー束さんは、この世界の篠ノ之束であり、あの島の篠ノ之束だよ」

 

 俺の上に座っていた状態から、立ち上がりこちらを向く。

 俺も姿勢を正して、ソファーに座る。

 

 上機嫌な彼女は次々とあの島での俺との行為の内容を事細かに話してきた。

 何の羞恥プレイですか!?

 

「だから束さんとしては、最初のセックスが最高だったんだよね。こっちの身体は処女だし、近いうちに再現しながら抱いて欲しいなぁ?」

 

「やめて、こっちが恥ずかしい!?」

 

「あ、でもでも、あの果物が無いと最初は痛いんだっけ? まぁ、キョウ君のテクニックがあれば初物でも大丈夫だよね?」

 

「どっから来るんだよその信頼は!?」

 

 確信した!

 彼女はこの世界とあの島の記憶も経験も持っている。

 

 少なくとも精神面ではあの島の束も確実に存在していやがる!

 

「キョウ君が抱いてくれる時の優しさを知っているからだよ。束さんが好きな事を全部してくれるからだよ。だから、近いうちに遠慮せずに束さんを抱いてね?」

 

 そう言うと、長いスカートの裾を持ち上げる。

 そこには何も履いていない彼女の秘所が見えた。

 

「っ!? 束!? 履いて……!?」

 

「えぇ~? 束さんがキョウ君のパンツ履け命令を聞いたことが有ったかね?」

 

「ああもう! ここは無人島じゃないんだからもっと恥じらいをだな!」

 

「あはははは! キョウ君以外に視られる様なヘマはしないよ!」

 

「そう言う問題じゃないから!」

 

 束だ。

 あの島の束とのやり取り。

 

 ああ、それがこんなにも安心させてくれるなんて……。

 あの島で生活したメンバーは皆、家族なんだな。

 

***********************************

 

 

「私としては正直驚いている」

 

 放課後。

 カウンセラー室で資料を整理していると、訪ねてきた織斑先生にそう言われた。

 

 言いたいことは分かる。

 篠ノ之束とこういう関係になった人間は俺だけじゃないだろうか?

 

「あいつが私や一夏、妹以外にこんなにも親密な関係になるなんてな」

 

「特殊な事情が大きいだけです」

 

 織斑先生へ渡す資料は、精神的にあまり良くない状態の生徒の資料が大きい。

 ISの勉強だけでなく、通常の勉学も行う必要があるこの学園では、勉学についていけなくて落ち込む娘、ISの操縦や成績が振るわずに思い詰める娘と様々だ。

 

 そう言う娘の悩みを聞きつつ、危険の度合いを担任に連携する。

 担任側に問題がある場合は、その上の人間に報告して対応を任せるのだ。

 

「どうぞ、カウンセリングが必要と思われる生徒と……外部組織と繋がってそうな生徒の一覧です」

 

 IS学園はその特性から、学園の敷地内はあらゆる国家機関に属さず、いかなる国家や組織であろうと学園の関係者に対して一切の干渉が許されないという国際規約がある。

 

 であれば、内部の情報や出来事をいち早く知る為にどうするか考えれば、情報を集める人間が必要になるという事は簡単に想像できるだろう。

 

「……ふむ。正直束の手を借りることなくこれだけの情報が集められるのは驚いた」

 

「半分反則技使ってますからね」

 

「その反則技とやらに関係しているのか? その眼鏡は」

 

 うわぁ、この人洞察力半端ねぇな。

 

 正直、ただの眼鏡に見えるような外見だし、地味なフレームにしている。

 それなのに気づくなんて、本当におっかない。

 

「どうしてそうだと?」

 

「舐めるな。レンズの偏光が左右で違い過ぎる上に、左側はほぼただのガラスで、僅かに遮光が入っているだろ」

 

 そんな所誰が気付くんだよ。

 本当に洞察力が半端ない。

 

 流行りのブルーライトカットレンズって言って許してもらえないかな。

 無理か。

 

「左目が見えすぎるので、束に調整してもらったレンズを使っているんですよ」

 

 あの島からこの世界に来た後でも、あの『解析の魔眼』の能力は残り続けていた。

 それをコントロールする為に、束を中心にフェイトと小猫、木乃香に刹那が作ってくれた魔眼の抑制眼鏡だ。

 

「……まぁ、そういう事にしてやろう。お前の情報は正確だからな。その能力、悪用しようものなら……分かっているな?」

 

「これでも束とこの学園には感謝しているんですよ。俺らみんな頼る所が無いから……こうして生活していけるだけでも感謝だし、面倒な干渉者も学園が殆どシャットアウトしてくれますから」

 

「……ふむ。生徒に危害を加えないのであればそれでいい。また頼む」

 

「了解。またまとめて置くので事前に連絡貰えれば、整理して渡しますよ」

 

 それだけを聞くとツカツカとカウンセラー室を出て良く。

 その後ろ姿を確認し、たっぷりと一分ほど時間を空けてから。

 

「……っはぁ……!!! 怖! 殺気とか半端ないぞ……!!」

 

『あー。キョウ君、野生での生活が長いお陰で、生命の危機的な状況への察知能力も鍛えられてるんだね』

 

 耳元で束の声が聞こえた。

 眼鏡の蔓に仕込まれた骨伝導型のスピーカーからの音声だ。

 

 俺との会話用にといくつかのギミックが用意されている。

 この眼鏡然り、スマホ然り、小猫達にも連絡用の端末を秘密裏に渡しているらしい。

 

「西側の危険生物に囲まれても感じなかった恐怖だったんだが……」

 

『ちーちゃんだからね!』

 

 それで納得してしまうから恐ろしい。

 まぁ、基本的に織斑先生は善性の人間だ。

 

 さっき言っていた通り、IS学園の生徒に危害を加えなければ問題無いだろう。

 後は、弟の一夏君か。

 彼には特に気を使わないとな。

 

 一夏君は束も気にかけているし、彼を中心にトラブルが発生する。

 もうほとんど覚えてはいないが、彼と彼の周囲の女性陣は注視する必要があるな。

 

「一応、外部組織と繋がっている可能性のある生徒のリスト、必要か?」

 

『うーん……普通の情報ならいらないって言うんだけど、キョウ君の眼で見た情報だからなぁ』

 

 束だったら学園の生徒全員の情報は持っていてもおかしくは無いだろう。

 だけど、俺のからの情報が欲しいというのは、多分後天的な変更や情報量の確認が必要かどうかと言った所かな?

 

「なら、必要になったら俺の端末から持っていくか、直接言ってくれ」

 

『うん、その時はお願いするね』

 

 俺や小猫達は基本的には束の味方だ。

 小猫達は秘密裏に束謹製のISも隠し持っているから、いざとなった時に行動できる様になっている。

 

 だけど、束がピンチにならなければ好きに動くことを明言しているのだ。

 だから、俺達の優先順位は一位『束』、二位『学園』となっている。

 

『あ、そうだキョウ君。今日はお家で待ってるね』

 

「ん? 何かあったか?」

 

『え? 特に何も? 強いて言うなら、またクーちゃんと皆を会わせたいなって』

 

「そうか、木乃香やフェイトが会いたがってたし、丁度良いな」

 

『うん、皆の許可も取ってるし、今夜は楽しみだね』

 

 微妙に嫌な予感がするが、クロエが来るならいいか。

 彼女は小猫達がとても気に入っていて、前回遊びに来た時は全員妹のように可愛がっていた。

 

 束とクロエは家族だし、別に許可を取る必要はないと思うのだが……な。

 




 皆と違う束さんでした。

 どの外伝でも言えることですが、キョウジ君達は原作イベントに関わらざるを得ない感じです。

 最後にアンケートですが、外伝の後日談や続編の希望を伺いたいと思います。
 ハイスクールD×Dの項番が最後なのは、小猫とアーシアで既に二話となっているからです。
 ご希望の外伝に投票ください。多分エロを入れられると思います。

 よろしければ、評価や感想を頂ければ幸いです。
 それでは~。


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40 無人島で耐久戦(破)

 どうも、何とか更新できたオルカです。

 大変長らくお待たせいたしました。
 こうして読んで頂けてうれしいです。

 ラストに向けてもうひと踏ん張りです。

 それでは、どうぞ!


 ゆかりさんとの睦み合いが終わり、行為の痕跡を川で流し終わる頃には、彼女の服も乾いていた。

 

 彼女はそのまま、畑へと向かっていた為、俺は一人で拠点に戻ることにした。

 

 行為に使用した寝具を掃除する為に小屋に戻ると、すでに完全に綺麗にされていた。

 未だに行為の後独特の空気が残っているが、それを除けば未使用の時と変わらない。

 

「どうやぇ? ウチとせっちゃんがゆかりさんとエッチなことしている間にベッドメイクしてたんよ」

 

 地味に心にくるなぁ。

 そして、この調子だと小猫とのプレイもゆかりさんとした事も共有されてるんだろうな。

 

 無邪気にピースサインを向けてくる木乃香と、その横で申し訳なさそうな表情をしている刹那。

 

「キョウジさん、こちらへどうぞ」

 

 そう言うと刹那に背中を押され、小屋の中に入って行く。

 小屋の中には花の香料を練り込んだ蝋燭が灯されている。

 

「アロマ蝋燭とは贅沢したな」

 

「私とこのちゃんが見つけたので、自由に使って良いと言われました」

 

「東側の岩場で『あろまきゃんどる』のセットが沢山入ったスーツケースを拾ったんやえ」

 

 気密性の低いこの小屋では、濃厚な香りとまではいかないが、かなり良い香りが漂っている。

 

 前から飛びつくように木乃香が、後ろから抱き着いて来るように刹那が抱き付いてくる。

 女性を受け止めた形になったが、実際は女性二人に拘束されたようなものだ。

 

「ウチとせっちゃん二人でお相手や、覚悟しとき」

 

「そういうことです。すいません、キョウジさん」

 

 二人の女性特有の甘い様な香りが、アロマキャンドルの匂いと合わさって官能的な匂いとなっていた。

 

「この……匂いは?」

 

「気付いた? このアロマキャンドル、ちょっと『えっちぃ目的』でも使われとるらしいえ?」

 

 なるほど、そう言う店の雰囲気づくりなんかに使われている物かな。

 蜜蝋や動物の油から作った灯りとは違い、火力が弱いのだ。

 

 豆知識だが、動物の油を灯りにすると焼肉屋の匂いのアロマになる。

 アロマって言わないと思うけど。

 

「ささ、服を脱いで寝所へまいりましょう。このちゃんと二人でお相手します」

 

 そう言いながら木乃香が上着、刹那がズボンを脱がしてくる。

 そして、下着のみで寝床に座らされ、目の前で女子学生のストリップを拝む事が出来た。

 

 普段から沢山の女性を抱いている人間が何を言っているのかと思うかもしれないが、木乃香や刹那のような美少女が目の前で衣服を脱ぐ姿は、男の劣情を大変に刺激する。

 

「流石に、脱いでるところを視られとるんは……恥ずかしいなぁ」

 

「束さんが、キョウジさんが喜ぶからと……下着付けてませんから……」

 

 二人は互いにスカートをたくし上げ、その中を俺に見せてくる。

 生えかけた陰毛と、これからするであろう行為の為の準備が出来ていることを示す愛液が太ももへと垂れている姿は淫靡で扇情的だった。

 

「キョウジさん。私は孕めませんが、このちゃんをしっかりと孕ませてくださいね」

 

 刹那が木乃香の後ろから抱き着いて、彼女の縦スジを広げる様にして見せつけてくる。

 完全に不意打ちだったのか、木乃香の表情が固まった状態で一気に赤面に変化していく。

 

「ああ、三人で気持ち良くなろうな」

 

 そう言いながら二人を抱き締めると、そのまま寝所へと横になる。

 俺に跨る様に木乃香が、添い寝するように刹那が寄り添ってくれた。

 

 木乃香の腰が俺のムスコの前に来ていて、お尻の割れ目で刺激される感覚。

 刹那は、俺の右腕をしっかりと固定していて、腕でオナニーを始めている。

 

 木乃香の腰が俺の下腹部の上で、前後に揺れる。

 だんだんと温かい液体が下腹部に感じられるようになり、右腕も刹那の身体の感覚に包まれている。

 

 二人の柔らかい女の子の身体と甘い匂いにクラクラと理性が麻痺してしまう。

 右手を動かすと、刹那の股間を撫で、身体に力を入れると木乃香の股間が腹筋に擦れながら、突起が当たる感覚が鮮明に伝わってきた。

 

「奥まで……きて?」

 

 一気に股間が温かいモノに包まれる。

 年相応の硬さが残る膣の感触に、まるで俺の亀頭を自由に刺激する彼女特有の感覚。

 木乃香は胸を刺激してもお尻を弄ってあげても、その刺激の仕方は変化しない。

 

 ……膣当てゲームとかできそうな感じがして少し微妙な感情になってしまった。

 

「んん……っ! 小猫ちゃんが言うとった通りに……、ちょっとズラすようにして……」

 

 腰をグラインドさせながら、俺の亀頭の角度を調節するように動いている。

 奥まで届いている状態で、亀頭が強く刺激され射精欲が高まっていく。

 

 亀頭にも大きな突起の様な物が当たり、それがグラインドされる度に刺激してくる。

 子宮口なのだろうか?

 

「そんで……一気に腰を下ろす!」

 

 その言葉と同時に、ズンッと腰に重量を感じる。

 亀頭に感じていた膣奥の壁を越えて、さらに奥へと導かれる感覚が自身の股間を通して味わうことになった。

 

「っ......! おい、無茶をするな。小猫は妖怪と悪魔の肉体だが、木乃香は人間だろう⁉ いくらこの島の影響があるとはいえ、負担があるはずだ!」

 

 膣奥の更に奥、子宮の奥まで届いている状況。

 普通であれば苦痛があるはずの行為、それを受けている木乃香はうつむいていて表情が読み取れない。

 

「……このちゃん? 大丈夫?」

 

 プルプルと震えている姿に、痛みや強い圧迫感があったのだと考えたのであろう刹那が気遣うように寄り添う。

 実際、子宮口を突かれるだけでも場所によっては痛みを感じるという。

 

 だけど、この世界で再構成されている身体ならば、人体の構成が変化してる可能性はある。

 

「……これ、すんごいぇ」

 

 その言葉と共に見せた顔は、蕩けきった表情だった。

 元々、果実の影響で強い快楽が約束された性行為を続けてきた。

 

 それに慣れた状態でのすごい快感という事だ。

 木乃香が蕩けたというか、だらしがないというか、快感に染まった表情を見せてくれる。

 

 実際、俺の受けている快感も今までの比ではないぐらいに強い。

 油断すると出してしまいそうなぐらいだ。

 

「このちゃん、そんなに……?」

 

「うん……これはクセになりそうやわぁ……」

 

 蕩けた表情で、緩んだ口元から出た言葉からは、明らかに発情を感じられた。

 快感に身体を震わせながら、そんな表情を見せられては、俺の興奮度も階段を一段も二段も飛ばしながら登り詰めてくる。

 

「このちゃん……すごく……エッチですよね……?」

 

 突然、耳元に囁きかける様に刹那の言葉と吐息がかかる。

 ゾワゾワと身体に正体不明の感覚が駆け抜け、二の腕が彼女の胸の感触を受け入れていく。

 

 気付くと、背中を肌触りの良い感触が通る。

 刹那の背中から真っ白い翼が生えていて、片方が俺の背中を、もう片方が木乃香の背中を包み込むようにしていた。

 

「わぁ、キョウジさんとせっちゃんと一つになったみたいやなぁ」

 

 ギュッと刹那の翼に包まれながら、三人でたっぷりと睦み合った。

 

 

********************

 

 

 性行為の後特有の匂いに混じり、アロマキャンドルの香りも混ざっている。

 木乃香と刹那が眠っている寝所から出てくると、空はオレンジ色に染まり掛けていた。

 

 滝に行くには間に合わないが、川で身体を流そう。

 

「近場なら日が落ちる前に戻れるだろう」

 

 通常なら川の近くに拠点があれば便利なのだが、雨期がある島だから増水してしまえば、拠点ごと流されてしまう。

 

 だからそれなりに離れた場所に拠点を作っている。

 まぁ、最初の二年間で雨期での増水具合を確認して、そこから拠点の位置を決めたわけだけど。

 

 拠点から近い川に到着すると、素早く脱ぎ去り服を軽く濯いでいく。

 生地を痛めないように絞って広げて干すと、全裸のまま川に入る。

 脛までの水位なので泳ぐというよりは水遊びが良い所だろう。

 

 冷たい水が行為後の熱と臭いを流していく。

 横になって水の流れを全身で感じ取る。

 

 目をつぶって水音と木々の音に耳を澄ませながら、身体から流れていく熱を感じる。

 そうしていると、顔にあたっていた日光が遮られた。

 ここは水汲み場と洗い物や洗濯の場所よりは下流で、更に下流にトイレがある。

 まぁ、トイレは河口付近じゃないと作れないけどね。

 

「キョウジさん?」

 

 呼ばれて目を開けるとフェイトがそこに居た。

 俺の顔を覗き込む様な形だ。

 

 足音なんかは聞こえなかったから彼女の足元を見ると、魔法陣が光っている。

 魔法で飛んできたのだろう。

 足音も水音も聞こえなかったからね。

 

「フェイト? どうした?」

 

 ザバッと音を立てて上半身を起こすと、流れ続けていた熱が少しだけ戻ってきたような感覚を覚えた。

 全裸状態だったので、身体を起こしたついでに両手でムスコをさり気なく隠す。

 

 行為の時はまだしも平時に丸出しはしたくないのです。

 

「畑の収穫から戻る途中で、キョウジさんを見かけたから」

 

 よく見ると、フェイトは結構な量の野菜が詰め込まれているであろう籠を複数周囲に浮遊させている。

 魔法って便利。

 

「キョウジさんこそどうしたんですか?」

 

 スッと視線を川岸に移すと、浮遊していた籠が川岸に置かれていく。

 中身はジャガイモなどの根菜類と木の実や僅かな果実類。

 保存が効く物が多いが、戻ったら保存食も作らないといけないな。

 

「木乃香、刹那とね……。身体の熱を流してたんだ」

 

 熱が戻ってくるぐらいの今の状態が丁度いい。

 これから日が落ちていく時間、これ以上は風邪をひく可能性があるからね。

 

「大胆ですね。いくら何でも全部脱ぐのはやり過ぎだと思うよ……」

 

「フェイトじゃなければ、ここまで近付く前に気付いてたと思うけどね」

 

 流石に飛ばれては気付けないだろう。

 普通は地面を歩くし、小猫なんかは足場から足場へ飛び回るから相応の音が出る。

 狩猟の時間でなければ音を気にしたりはしないからね。

 

「割と飛べる娘達、いっぱい居るよ?」

 

 そうだった……。

 小猫やアーシアには悪魔の羽があるし、刹那は鳥人の翼、目の前のフェイトだって魔法で飛べるし……。

 

 半分は飛べるじゃないですか。

 スゴイな。

 

「……次回から空への警戒もする様にする」

 

 そう答える俺に、少しお姉さんっぽい感じに笑うフェイト。

 ヴィヴィオという娘が出来て、それ以前からエリオやキャロといった子供の保護者をしていたのだから、包容力を感じるのは間違っていないだろう。

 

「フフ、キョウジさん。今朝から皆がエッチな事いっぱい誘ってくるけど、その理由分かる?」

 

「……なんとなくは」

 

「皆、キョウジさんとの子供が欲しいけど、働ける人間がいなくなるのはいけないって思ってね。それで、皆で話し合って、先に妊娠する娘達を決めたんだ」

 

 小猫とゆかりさんが分かれてたことで、何となく察してはいた。

 採取面と拠点面で一番の戦力を、一度に動けなくしないようにしている。

 

 採取組のトップである小猫が身重になるなら、刹那ではなく木乃香が受けることにしたのだろう。

 そう考えると、木乃香と同じ回復担当のアーシアは今回の避妊組になると思う。

 

「ちなみにね、私は今回妊娠を見送るんだ。子供を産むってすごい大変だし、こういう環境だと皆で力を合わせても、二人が限界かなって……」

 

 そう言いながら、フェイトは自分の服を脱いでは畳んでいく。

 下着姿になり、そのまま下着も脱ぎ去り、丁寧に畳んだ服の上に置いて、風などで飛ばない様に重り石を上に置いた。

 

「でね、キョウジさんが言っていた島の成り立ちから、あの植物の意味が束さんから教えられたよ」

 

 あの植物。

 食べた対象を強制的に発情させ、男女を強制的に行為に及ばせる危険な果実。

 

「……あれは、この世界が私達に子を成すように促す一つのギミックだろうって言ってた」

 

 なるほど、俺達が一代限りで終わるのではなく、二代目・三代目と世代を重ねていく為の仕掛け。

 ただ、無制限に子供を成すと自滅する可能性があるから、行為への忌避感を排除して容易に事に及ばせる為の者というわけだ。

 

「発情する薬効があるんじゃなくて、身体に取り入れる事で発情するという概念が付与されているって言ってた。だから、バルディッシュでも束さんの機械でも原因を見つけられなかったんだって」

 

 概念が付与されている。

 そんなの考えたことが無かったし、それが本当なら何と無駄な力の使い方だと思ってしまう。

 

 だけど、それにまんまと引っ掛かっている俺達は、何とも悲しい事だが無駄だと断ずることはできないな。

 

「……それで、フェイト?」

 

「? なぁに?」

 

「なんで、全部脱ぐ必要があるのかな?」

 

「ふふ、キョウジさんの裸を見ちゃったら、我慢できなくなっちゃった。……シよう?」

 

 川の中で、座っている俺の腕に絡ませるようにして抱き着いてきた彼女の身体の柔らかさを感じてしまい、あっという間にムスコが臨戦態勢を取り始める。

 

 これもある種彼女達の調教の賜物といっていいのだろうか。

 ま、フェイト達が悦んでくれるならそれもいいかな。

 

「流石に川の中だと身体が冷える。木陰に行こう」

 

 そう言うと、川からあがり、木陰に移動する。

 

 フェイトの肢体は、とてもメリハリのある引き締まった身体をしている。

 大きな胸に目を奪われがちだが、ウエストは引き締まり、お尻も肉厚で魅力的だ。

 

 だというのに、その柔らかな女性らしいモノの下に、鍛えられた確かな芯がある。

 その一種の芸術の様な身体を、思う存分に味わう事が出来ると、俺のオスとしての本能が喜んでいるのだ。

 

「ん……」

 

 真正面から口づけすると、大きな彼女の胸が自分と彼女の間で挟まり、その形を変える。

 先が固くなっていて、舌を絡ませていると更にその硬さが増す。

 

 腰に回した腕が時折跳ねる様な動きを感じている。

 見ると、フェイトの赤っぽい瞳は蕩けていて、密着している身体を更に摺り寄せてきていた。

 

 俺の太腿を挟む様にして、彼女のクリトリスが当たっているのを感じる。

 そうして、フェイトの細くしなやかな指が俺のチンコをゆっくりと刺激し始めた。

 

「レロ……チュ……んぅ」

 

 絡む舌と指先が、徐々に興奮のボルテージを上げていく。

 そろそろ、俺も反撃した方が良いかな。

 

 腰に絡ませていた手を、その形のいいお尻を撫でる様に滑らせると、そのままアナルを超えて膣口へと動かす。

 

 太腿でも分かっていたが、フェイトの股間からたっぷりと蜜が溢れていて、一瞬で指先が愛液にまみれてしまった。

 

「はぁ……ン……もっと……」

 

 少し絡ませた舌が離れたタイミングでフェイトの呟きが聞こえた。

 完全にスイッチが入っている。

 

 そうして、少し強く俺の竿をしごき始めた。

 どうにもフェイトは被虐趣味が目覚めているからか、蜜月の時だけだが俺に対してお仕置きをする口実を作ろうとしてくるようになったのだ。

 

 今回は俺を先に射精させようとしているのだろう。

 だけど、それはあまり良くない。

 

「こら……何勝手にイカセようとしてるんだ?」

 

 グリッと彼女の膣穴を弄んでいた指を引き、いきなりアナルに突き立てた。

 中指を根元まで差し入れた事で、お尻の肉が手を挟むようにして収縮する。

 これにはフェイトも予想だにしていなかったのか、ビクッと腰を跳ね上げ、困惑した様子で俺を見てきた。

 

「きょ……キョウジさ……んっ⁉」

 

 何か言おうとしたところを更に差し込んだ指をグリッと中で回転させてやることで強制的に黙らせる。

 

 どうにも、S行為が自然と出るようになって来たし、それで俺自身も興奮を覚えてしまっていた。

 その原因の一番強い娘が目の前のマゾ気のある金髪美人さんなわけだ。

 

「決めた、今日のお仕置きはこっちが良いな」

 

 そう言いながら、指を差し込んだままのアナルを持ち上げる様に力を入れてやる。

 フェイトの口から悲鳴が漏れるが、それとは裏腹に彼女の瞳は先ほどまでよりもずっと強い淫靡な空気を纏っていた。

 

 一度離れ、フェイトを後ろ向きにし、お尻を突き出すような格好をさせる。

 綺麗なお尻とその下にテラテラと濡れそぼったオマンコがしっかりと見え、ヒクヒクと震える様に両方の穴は動いていた。

 

「お仕置きだって言ってるのに、随分と期待してるな?」

 

「そんなこと……」

 

 フェイトは耳まで真っ赤にして震えていた。

 消え入りそうな声を出しているが、お尻を突き出している格好を決してやめようとしない。

 

 まず、フェイトの膣穴にゆっくりと挿入する。

 相変わらず、ものすごく熱い膣内をかき分けるように奥まで進んでいく。

 

「あ……」

 

 安堵の中に僅かな失墜感。

 当然、後ろの穴かと期待してたんだろう。

 

 だが、潤滑油は必要だろう?

 二度三度と腰を動かした後、引き抜いてそのまま彼女の後ろの穴に狙いを定めた。

 

「⁉ あ......」

 

 先程とは違う感情が込められている。

 困惑の中にある歓喜の感情だ。

 

 そのまま、ゆっくりと牛歩の様に根元まで差し込んでいく。

 元々、日々の行為の中で指三本まで挿入できるようにしていた。

 

 数ミリ進むだけで追い出そうとするように直腸内がうごめいて、良い刺激をしてくれている。

 

 根元まで咥え込ませた時には、フェイトは足が小鹿の様に震えていて、膣から漏らしたのではないかと思えるほどに愛液を垂らしていた。

 

「堪え性が無いな。アナルの方が喜んでるんじゃないかい?」

 

「そ……んな……こと……は……」

 

 息も絶え絶えの状態で反論をしてくる。

 だけど、こうして股間を包む直腸が扇情的に蠢き、射精を促す。

 

 ちょっと、強めにしてあげようかな。

 そろそろ、一気にラストまで走り抜けないと、フェイトは満足しなさそうだ。

 

 フェイトの腰を掴んでいた手を、胸あたりに回して背面立位の態勢に持ってくる。

 体勢が変わった事で一層奥まで突き進んだ股間。

 

 そのまま、片足を抱え上げて、フェイトの身体を彼女の脚とアナルで支える形をとる。

 これはかなりアナルへの負荷が大きいが、同時にそんな状態にも興奮できるフェイトの適応力が恐ろしい。

 

「キョウ……ジさ……ん……これ……深い……!」

 

「だろうね。でも……」

 

 空いている手で、フェイトの顔を視える角度に持ってくる。

 その表情は耳まで真っ赤になっていて、快楽の涙と口の端から垂れる涎が魅惑的だ。

 

 熱に浮かされた瞳に自分が映り込んでいる。

 征服欲や独占欲が満たされる感覚。

 

 フェイトはもしかして、男をサディストに変える魔性の女なのかもしれない。

 

「こんなに嬉しそうな貌をしておいて、今更止めるなんて……言わないよね?」

 

「……」

 

 官能と期待に染まった表情で頷く。

 これは、頑張らなくてはならないな。

 

 

***********************

 

 

「キョウジさん、どんどんイジワルになっていくね」

 

「そうしてるのは、フェイト達だと思うが?」

 

 文句を言いながら、二人で川の水で情事の跡を流していた。

 少し赤くなっているフェイトのお尻から時折白い物が流れ出る。

 

 オレンジ色だった空には見事に星々が見えてきている。

 かなりしてたから灯りをフェイトに出してもらって急いで身支度を整えることにした。

 

 拠点近くの川は生活用に専用の区画分けをしていて、上流から飲料や生活用水、中流で洗濯や風呂、下流でトイレや生活用水の廃棄と分けている。

 

 中流にあたるこの辺りは、幸いな事に拠点へは大分近い。

 急いで身支度して帰ることにしよう。

 

 身体を拭いているフェイトの胸やお尻に股間が反応しそうになるが、何とか堪える。

 これ以上遅くなるのは流石に危険だ。

 

「ふふ、キョウジさんが優しいからだね」

 

「イジワルって言っておいて」

 

「だって、優しいから私達に応えてくれている……。分かっているから……」

 

 こちらに微笑みかけてくれるフェイトの顔はとても優しくて、綺麗だった。

 




 エロラッシュ中盤戦。

 後、残すは二人のみ。
 次回をお楽しみに!

 最後にアンケートですが、次回更新時に締め切り結果をお知らせします。
 随分長らく掲載したままなので、一度投票してしまっている方は申し訳ございません。

 よろしければ、評価や感想を頂ければ幸いです。
 それでは~。


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