深き海より生命を屠る者 (黒縄尊)
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オマケ
取り敢えず設定を読み返したい人へ送る離島のレポート【1話〜27話まで】


あくまでも背世界紹介となります。
正直まだまだな所が多く完全版じゃないから本当に読み返したい人向け


レポート1・生命樹(セフィロト)

 

5年前に突如現れた謎の生命体。

捕食した生物の能力や容姿を真似る事が出来、例外を除く全ての生命樹へと共有される。

現状人類の全兵器を持ってしても致命傷を与える事が出来ておらず、それどころか捕食され新たな兵器が作られている始末。

捕食した生物の性格や趣向などを真似する事からも推測だが捕食した生物の記憶を保有している可能性があり、この現象は一種のイレギュラーを生み出しかねないが現在は確認されていない。

現在約95%の生命樹が深海棲艦の容姿を真似て行動しているが数々の兵器を捕食した生命樹には通常の深海棲艦に見られない特異現象が発生している個体が見受けられる。

生命樹には原初生命樹(セフィラ)と呼ばれる10体の上位個体が存在し、固有の姿を持つ。

全ての原初生命樹に共通する黒い布が目を覆い隠しており同じく黒い布が欠損する身体の部分の補強を行なっているようだ。原初生命樹は生命樹達と大きく異なり、所々の欠損部位は存在するが人型そのものであり自我を持ちながら言語能力まで保有する。はっきり言って深海棲艦や人間と変わりない場所まで辿りつこうとしているようだ。

原初生命樹が観測されたのは約◾️年前であり恐らくは生物を捕食した生命樹達の情報の集合体、実質的の完成体とも言えるだろう。

生命樹が生まれ落ちるとされる根源生命樹は七色の光の壁で覆われており外部からの侵入を一切許さない。現状破壊する方法は見つかっておらず生命樹の増殖を止める手段も結果的に存在しない。

 

レポート2・深海鉱鋼(しんかいこうてつ)

 

鋼と書いて鉄と読む。

蓮が流れ着いた離島で見つけた禍々しい赤い光を放つ黒石。

見た目こそ肉肉しい奇妙な物体だが接触すればそれが金属に近い材質だと理解できるだろう。

生命樹は深海鉱鋼を避ける性質を持っているが原初生命樹達にはこの効果は確認できなかった事から克服、もしくはもっと別の何かが発生したと思われる。

衝撃を与えれば側の物を半永久的に増殖させることが出来、もう一度衝撃を与えれば増殖は停止する。

ただし見た目はやはり深海鉱鋼に近しい物となっており水類は血液の様になり、食料は石の様になり、資源は鉄の様な姿を取るが食感も味も性質も全て元になった物と同じ材質を持つ。

高度な加工技術を持ってすれば武器や家具、生活用品をも製作することの可能だろう。

 

レポート3・Arkadia(アルカディア)

 

通称根源生命樹近海深海移動型泊地。

超大型の船の形をしており、問題を抱える多数の深海棲艦が所属している。

最前線にも関わらず物資の補給が疎かであったり、食料しか無いなどの問題が多数存在するが実力的には深海棲艦の内部でも上位に食い込むであろうレ級や本部からの圧倒的な信頼を寄せられている第1部隊旗艦、指揮艦の南方棲鬼など他泊地と比べても見劣りしない戦力を保有する。

人類に不信感を抱いた妖精達が多数住んでおり装備の開発も盛んに行われているため、Arkadia所属艦は重火器を保有するケースが多い。

今までの深海棲艦のやり方である████が行えない為練度が上がっている艦も多数存在する。

 

レポート4・深海本部

 

現在の深海棲艦を纏める提督が存在する唯一の場所。建物自体は深海第2鎮守府を改装した物となっている。

7つの海域に存在した深海鎮守府は生命樹の進行により壊滅、指揮を失った深海棲艦達を纏める為に生き残った人員のみで7つの鎮守府を統合した深海本部が生まれた。

現在でも7つの鎮守府の生き残った提督達は指揮や作戦会議に参加、秘書艦とよろしくやっているとかなんとか。

代表となっている深海提督は第6鎮守府の生き残りであり離島棲鬼の知らない謎の深海棲艦「██水姫」を秘書艦とし活動を続けている。

余談だが深海本部の食堂はとてつもない人気であり泊地から通い詰める深海棲艦もいるとか何とか。

 

レポート5・離島棲鬼

 

蓮が探し求める彼女を知っているらしく蓮を提督とした張本人。

艦種は離島基地だが水上艦と変わりない機動能力を持ち、深海鉱鋼で作られた特殊艤装を使用する。

人類艦を知っているばかりか██を知っており████に干渉しようとした。

リアと名乗る妖精と共に行動をしており、ある事情から轟沈寸前のダメージを受けたが運良く蓮が居た離島に漂着した。

元艤装は海に流され何処かに行ってしまった。服はリアが修理中の為白いワンピースの様なものを着用している。

現状はここまでしか情報が無い。

 

レポート6・蓮の彼女

 

国に徴兵され戦地へ赴いた最愛の彼女。

蓮の笑顔がとても好きで共に愛を誓い合ったが現実は非情な物だった。

数々の戦場を掛けたが最期は冷たい海の底へ沈み溺死したと言われているが離島棲鬼曰く彼女は死んでいない。

彼女が居なかったら蓮が離島棲鬼に遭う事も無く物語は動き出さなかっただろう。

 

 

 

 

 

……レポートはここで途切れている

 

 

 




おまけとして。


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本編
無力な人間の愚かな戯言


シリアスなのかほのぼのなのか分からないなぁ
序盤はちょい重めかもです


20XX年_________世界は突如現れた人類の敵、深海棲艦により地球上の3分の2を占める海は人類の物では無くなっていた。

人類は持てるだけの戦力を使い交戦…しかしその努力は虚しく深海棲艦を滅ぼす事は出来ずもう制空権すらも人類の手には残っていなかった。

 

それでも俺には何も関係ないと思っていた、てか深海棲艦を見た事がない。関係ある事と言えば魚が高級品になり海外旅行や海外製品が市場から消えた事だが元からあまり海外製品を口にしなかった俺には関係ない。

 

そう思っていた。

 

 

 

 

俺の親はどんなに辛い事があっても笑えと言った、だから俺は事故で家族を失っても腕が動かなくなっても破産してもリストラされても笑い続けた。

こんなんだから友達は出来なかったし周りからも気味悪がられて近づく物は居なかった。

 

でも彼女は俺を受け入れてくれた、こんな変わり者の俺を好きだと言ってくれた。

 

馬鹿だと罵られようと構わない、俺は彼女が全てだった…だけど彼女はもう居ない。

 

彼女は国に召集され海に駆り出されるのだ。

 

海に駆り出された者は誰一人として帰って来ない事はもう皆知っていた。

国が秘密裏に人体実験をし兵器に改造しているという噂も流れる程その現場は悲惨な物だった。

 

ここで止めなければ彼女に会えなくなる、もう分かっていた。でも足がすくんでしまって動けない。

最愛の彼女すら守れない俺に何の意味があるのか。それでも彼女は俺に笑っていた。

 

「きっと戻ってくるから。…待っててほしいな」

 

そう彼女は言い残して国が率いる軍に徴兵された。

俺はどんな手段を用いてもここで彼女を止めるべきだったんだろう。

 

 

 

____________そして彼女はもう二度と戻って来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

それから5年が経った。

 

国から送られたのは彼女が戦死したと言う報告書。死因は溺死…だそうだ。

きっと苦しかっただろう、辛かっただろう。……寂しかっただろう。

彼女の事を考えるだけで心が痛い。

何故彼女が戦わなければならなかったんだろうか…

 

 

 

 

________________________________________________________________________

 

 

こんな事は彼女は望んでいなかったかも知れない。

 

でも俺はもう耐えられなかった。こんな理不尽な世界ではもう生きられる自信がなかった。

俺は彼女が死んだ海を死に場所に選んだのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

_______________きっと来世は彼女と共に幸せに慣れますように…………

 

 

 



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離島探索・前編

深海棲艦が出てきてないやん!!
ほのぼのしたいから注文したの!!どうしてくれんの!?
すいません許してくださいなんでもしますから…

ほのぼの路線にいつ入れるのだろうか(困惑)


いつまで寝ていたのか、目を覚ますとそこは小さな島だった。

………俺は死んだんだろうか、辺りを見渡してみると目に飛び込んできたのは青い青い海、白い砂浜…生い茂る木々の数々。まさに小さなリゾートのようだった。

ふと腕時計に目をやったがどうやら海に落ちた時に壊れてしまったらしく時を刻まない。

俺が飛び込んだ12時のまま止まっている、それとも死後の世界には時間は無いのだろうか?

首飾りは…大丈夫だ、壊れてないらしい。神様が本当に居るなら俺の気持ちを分かってくれたのかもしれない。

 

少し見て回る事にしよう。

 

近くにはヤシの木が生えていた、俺が生きていた頃にはこんな物は見た事無かったし新鮮だ。

本当に黄緑色をしているとは思わなかったが中には大層美味だと言われるジュースが入っているらしい。

そう言えば喉が渇いていたし飲んでみる事にしようと思う。

 

 

……が開かない。

てかまず固すぎて爪が折れた、痛い…どうやらあの世にも痛覚はあるらしい。

仕方がないからヤシの実を地面に置き海岸に向かう。ここがあの世なら海が真水という御都合主義もありえるかもしれないと言う馬鹿みたいな結論にたどり着いた俺は一心不乱に海水を飲んだ。

 

 

…不味い、と言うか鉄のような味がする。例えるなら水のようにサラサラ飲めるのにもかかわらず塩分を極度に摂取した生き物の血液のような味がした。

 

俺が甘かった、あの世なら楽に生きられると思った俺が間違いだった。喉は乾くし腹は減る、傷は痛むし救済は無い。水は飲めないし食べ物はない。自殺なんて方法を選んだ俺に対しての罰かも知れないけど…………

 

「これは余りにも酷く無いか?」

 

よし…他の場所も探してみよう、と言うか飲み水が無いと死んでしまう。

と言うかあの世で死ぬのだろうか?…考えるだけ無駄なのはわかっているし俺はそのまま奥へと進んでいく。

道中尖った枝で足に大量の切り傷を負ったがそんな事を気にしていては脱水症状で死んでしまう。

 

 

ヤシの木々を抜けた先にあったのはコンクリートで作られたであろう建物、いつ造られたものなのかは判別出来ないが何者かに爆撃され壊れていた。

もしかすると飲み水が有るかも知れない…崩れかけた玄関を抜け探索してみる事にする。

 

ここは何かの施設だったようだ…手術台の様な物や潮風で錆びたメス、それに壊れた機械が放置されたいた。

もう電池切れで冷えていない簡易冷蔵庫の様な物を見つけた俺は中から飲料水を取り出した。

そこにはラベルが貼ってあり「めちゃうま茶」と書いてあった、自分で美味いと書いてあるお茶の何が信用できるのだろうか。

大体自分で安いだとか美味いだとか言う者は真逆を行く…絶対不味いであろう。

 

だがここでこのお茶を飲まなければ俺はあの世でも死んでしまうかもしれない。

どんなに不味くても飲まないと行けない…!あの世で彼女と幸せに生きる為に…!!

 

 

____________美味い

身体に染み渡る。生温いにもかかわらずとてつもなく美味い…

750mlなんて一瞬だった。残りは3本…それまでに飲み水を確保しなければならない。

 

さて…この島でどうすれば水や食料を調達出来るだろうか…

 

 

 

 

 



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離島探索・後編

やっと深海棲艦要素…やったぜ。
離島ちゃんって可愛いよね。
早くほのぼのしてぇなぁ(届かぬ願い)




俺は廃墟を探索の拠点にする事にした、拠点が無ければ安心して眠れないし物を保管する場所も無い。

どうやらあの世にも夜と言う概念はあるらしい…空で光り輝いていた太陽が沈み始め水平線を照らしている。

夜になれば何が起こるか分からない、せめてここら周辺だけでもチェックしておかなかれば。

 

ふと廃墟から外を覗くと海岸に一際目立つ黒い何かが流れ着いているのが見えた。どう見ても異質なソレはもぞもぞと動いていた。

 

近ずいては行けない何かかも知れない、だが俺はとてつもなく気になる。幸いな事にまだ太陽は完全には沈んではおらず視界も良好だ。……よし、覚悟を決めて俺はソレの元に向かった。

 

ソレは悪魔や死神と言った死後の世界の化身だと思っていた。そりゃあ死後の世界なんだし案内役としてそんな奴が来てもおかしくない…だから俺は覚悟を決めてソレの元にきた。

 

 

「なんだ…こりゃ」

 

 

俺の予想は大外れ、ソレの正体は全身傷だらけのボロボロのゴスロリ服を着た少女。

右肘からは骨と思わしき突起物が突き出しており右足に当たる部分はグチャグチャで原型を留めておらず黒いオイルの様なものと血が混ざり合っており異臭がする上に左腕は側に打ち上げられている白い歯の様な物が付いた不気味な黒い砲台に押し潰されたのかペシャンコに潰れていた。

 

「おっ…おい!大丈夫か!?」

 

…返事が無い、そりゃあそうだ。この状況で生きている方が不思議である。

光の灯らない真紅の眼はどこか悲壮で…何か安心した様な表情だった。

 

俺は何かしなければ気が済まなかった。廃墟の中に駆け戻り治療できる物は無いかと一心不乱に倉庫を漁りだす。

…汚れた包帯_____ダメだ逆に傷を悪化させるかも知れない

…半分残った消毒液______あそこまでの傷に消毒は聞かないかも知れないが持っていく

…金属のパーツ_____いや何に使うんだ

 

クソッ…!!どれもあの傷をどうにか出来る物ではない、また俺は何もできないのだろうか。

また見殺しにしないと行けないのだろうか。もう嫌なんだ、無力な自分は…

 

突然棚が倒れ中から試験管の様なものが転がってきた。どうやら俺が投げた金属のパーツが棚にあたり固定器具を壊して内部の試験管が飛び出たらしい。水色の液体が入った試験管に貼っていたラベルにはこう書かれていた…。

 

〔試験薬品 修復材(仮) 取扱注意〕

 

修復材、錆びた鋼の匂いがするがもうこれしか望みが無かった。正直言って消毒液や包帯よりも危険な代物なのだろう。使い方も分からない人間が使うのは逆に殺してしまうかも知れない。

だけどもう俺は吹っ切れていたのかも知れない、あの様に苦しむくらいなら一息に殺してやった方がいい…心の中ではこうも思っていた。

 

 

 

そのまま俺は少女にこの薬品を飲ませた、抵抗すら出来ない少女にこんな物を飲ませる事は許されないかも知れない…だけど俺はこうしなければ行けないと思ってしまった。

 

要するにただの腐ったエゴだ。

 

俺は腐った人間なんだ。

 

少女は動かなくなった、案の定だ。抵抗出来ないにも関わらずわけのわからない液体を無理矢理飲まされた少女はピクリとも動かない。

 

俺は動かなくなった少女を廃墟の中に運び、そして汚れた毛布に寝かせた。もう起きない事は分かっていたのに俺はこんなことをしたのだ。

 

こんなことをしても俺は笑っていた。

意味がわからない、狂っているのかも知れない。いやもうとっくに可笑しくなってたんだ。

 

 

 

 

 

 

_______________彼女を失ったあの時から。

 

 

 

 

 




そろそろほのぼの入れます。あと2〜3話耐えてください(クソ野郎)


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誰も知らない深き海の真実

第三勢力注意。主人公やってる事ガバガバですね。


_____なんであんな事をしたんだろうか。

 

俺はあの後現実から逃げる様にすぐ眠りに落ちた、他にやり方があったんじゃ無いか。

ずっと頭の中ではそんな事を考えていたがやってしまった事を後悔していては何も始まらない。

せめて墓なんかを作ろう、そうでもしないとあの少女が浮かばれない…

 

「アラ…オキタノ?」

 

後ろから声がしたので振り返るとそこにはあの少女が居た、服こそボロボロのままだがどうやら傷は治っている様だ。

 

「お前…大丈夫なのか?」

 

「えぇ、お陰様で…何故私を助けたかはわからないけど」

 

少女の言葉は日本語の様に聞こえたが何処か違うような気がしたが何故か通じる。

昨日に比べて少女を可愛いと思ってしまうほど世界が変わった。昨日の俺に何があったのだろうか

 

「なんでお前はあんな所に倒れていたんだ?」

 

「…まぁ色々とね。貴方には関係ないよ。」

 

「それより貴方は何故私を助けたの?私達と貴方達は敵同士じゃ無いのかしら?それともそこまで人間は愚かなのかしら?」

 

何故助けたか…。実際は俺のエゴだ、それ以上でもそれ以下でも無い

ただの腐って自己満足で助けたのだ、それよりも敵と言う言葉に気になってしまう…あの世でも人間は争っているのだろうか…?流石野蛮種族

 

「敵…?お前は何者なんだ?」

 

少女は困った様な顔をしていた。まるで「そんな事も知らないのか」と言いたげな表情だ

 

「深海棲艦…。貴方達はそう呼んでいるんだっけ」

 

「っ…!?」

 

深海棲艦…俺が生きていた頃海を支配した人類の敵。

コイツらが居なければ彼女が戦地に赴く事も無かっただろうし死ぬ事も無かっただろう

 

「お前達が彼女を…殺したのかッ…!!」

 

クスクスと少女は笑いながらこちらを指差す

それは嘲笑…侮蔑。そんな感情を感じさせる

 

「殺したねぇ…馬鹿言わないで。私達は一度も命を奪った事は無いしこれからも奪うつもりは無いわ」

 

「嘘を付くな…!彼女は…彼女は…!!」

 

俺は怒りを堪えるのが精一杯だった。深海棲艦…人類が誇る圧倒的な兵器を持ってしても傷一つ付けられなかった化け物、そんな相手に無力な俺が敵うわけが無いと頭では分かっているんだろう、だがどう見ても少女だ…国の情報が間違っているにでは無いかと疑心暗鬼になる。

そんな俺を見て少女は溜息を吐き壊れかけの椅子に腰掛ける。

 

「…はぁ、やっぱりおかしいわ…本当に全て知っているの?」

 

「あぁ知っているとも…!!お前達が海を支配して俺達人類の貿易は出来なくなった!!そしてお前達を倒す為に女子供関係無く徴兵されたッ…!!」

 

「お前達さえ居なければ…彼女達は死ななかった!!」

 

少女はきょとんとした表情で聞いていた。馬鹿馬鹿しい…こんな俺でさえ殺せそうなこんな少女が人類の敵で核兵器すらも一切通用しなかったと言うのだろうか。

 

「本当に知らないとは思って無かったわ。貴方達人類は本当に愚かなのね…」

 

少女は一際目立つボンネットから手のひらサイズの可愛い白髪の女の子を出してこちらに見せてきた。

というか何処にこの子が入るスペースが有ったのだろうかと考えるがその思考を遮る様に小さな女の子はこちらに喋りかけてくる

 

「私達は争うべき存在じゃ無いんです!!信じてください!!」

 

「いや信じろって言ったってお前達深海棲艦が居なければ…「とっくに人類は滅んでいた」

 

こんな惨劇は起きなかった。その言葉を遮ったのは椅子に腰掛ける少女だった。

少女の瞳はさっきの様な嘲笑う様な物では無くまるで別人の様に真剣だった。

 

「生命の源であり全ての生命が行き着く果て…それが海、余りにも地上には命が増えすぎてしまったのよ。だからアイツは…目覚めてしまった。全ての生命をまた一塊に戻す為に奴らは動き出した。私達も戦力の大半が持ってかれたわ…残っているのは遠征に行ってた少数部隊と運良く奴らから逃れられた者のみ。」

 

少女は手のひらサイズの女の子を撫でながら真実を語り出した。

この戦いの本当の真相を、そして彼女を殺した敵の正体を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_______生命樹(セフィロト)……人類はこう呼んでいたわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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本日付で深海提督になりました。

ここで一区切り。
これからほのぼの出来たらいいなぁ


「セフィロト…?」

 

中二病患者御用達用語の一つである生命の樹、そんな物が本当に存在するのだろうか。

…手のひらサイズの女の子も居るくらいだしあの世には存在するのかもしれない

 

「そう、奴らは突如現れ同胞達を貪り喰らっても飽き足らず人類の侵攻し始めたんだ。………私達と同じ姿形を真似て…」

「姿を真似る?」

「そうよ…奴の親玉は喰らった生物の容姿や能力を吸収して強くなっていくのよ。逆に切り離して別個体を生み出すこともできるし切り離した個体に能力を付与する事も出来る…」

 

なにそれ怖い。本体を叩かなければ食っただけ能力を持った化け物が増えていくって仕組みなのだろう。

強い兵器が喰われればその 力を奪われ利用される。無理に戦力を投入できないと言う訳だ。

…じゃあ今まで人類を襲っていたのは深海棲艦ではなくセフィロトなのだろうか?

 

「そうね。少なくとも内地を攻め出したのは生命樹の連中よ。皆で作った艦装まで利用されるとは思わなかったけど…」

「私が知っている情報はここまでよ。…ここまで何も知らないとは思わなかったわ」

 

国は余程国民に知られたく無い情報があるらしい。確かに徴兵され二度と帰ってこない者の大半が女子供だった為、秘密裏に作られた女のみの部隊が存在すると言う噂も流れていた。強ち噂では無く本当なのかも知れない。

 

そんな事を考えていると突如閃光と爆音が響く、どうやら何者かによって爆撃されたらしい。

衝撃で倒れ込みそうになるがなんとか持ちこたえ外を覗いてみるとそこには黒い魚の様な生物が島の周りを旋回している。

少女はあからさまに嫌そうな表情をしていたが手のひらサイズの女の子は怯えている様子だった。

 

「っ…アイツらここまで追ってきてたのね」

「そういえば…ねぇ貴方。私の艦装は知らないかしら?」

 

艦装…まさかとは思うがあの歯が付いた不気味な兵器だろうか。

重すぎて持ち上げられなかった為海に放置していたら流されてしまったらしく跡形も無い。

 

「…無いのね!その表情は放置したのね!?あぁぁもう!」

「今の貴方じゃ勝てないよ!逃げよう!」

 

少女は俺の心の声が聞こえるのだろうか。それとも触れちゃ行けないのだろうか…。手のひらサイズの女の子は撤退案を出す、多分正解ルートだ。

焦り出す少女は側に落ちていた錆びかけた日本刀を手に取り構える…と言っても様になっていないしどう見てもゲームキャラ特有の謎片手持ち、焦り過ぎて頭がおかしくなった様だ。

 

「背に腹は変えられないわ…やるしかない」

「こんなところじゃ死んでられないから…行くわよ!!」

 

少女は窓から飛び降りて黒い生物の居る海まで走って行く、真紅の瞳からは同じく真紅の光が漏れて出していた。

少女がどんなに強くても見た目は中学生くらいの少女だ、心配なので俺は崩れそうな階段を急いで降り海岸にたどり着く。

 

「あら貴方は逃げないのね…じゃあ教えてあげるわ、あれが生命樹。同胞を喰らい同胞の真似をする醜悪極まりない者」

 

少女が指を指した先にはあの黒い魚が居た、が魚と言うには余りにもデカすぎる。

成人男性2人分くらいの大きさのその魚はどうやら口の中に砲台を装備しているらしい。

少女と俺を目掛けて鉄の玉を飛ばしてくるが少女の剣技により全て切り落とされる。

 

「ギィィィィィィ…」

 

化け物じみた声。赤子の様な声にも聞こえるが金属を擦り合わせる様な音にも聞こえる。

 

「鬼の力…見せてあげるわッ!!」

 

そんな事は気にせず少女は剣を構え魚に特攻。魚は少女の剣が届かない海に旋回し射撃体制に入る賢い戦法だ。

ただそれは少女が海を渡れない場合のみ賢い戦法と言える、少女は何故か海に沈む事なく海上を走り抜ける。

そして魚が射撃する寸前の口内に鉄の塊を放り投げる。発射口を失った弾丸は内部で爆発を起こし破裂…黒い魚は海へと沈んでいった。

 

「ま…ざっとこんな物ね。結局剣は使わなかったけど…まぁいいか」

 

少女は海上を悠々と歩いてくる。化け物と対峙している時の雰囲気とは異なり、話していた時の様な緩い雰囲気だった

………後ろから迫るもう一匹の化け物に気付いていなかったからだ。

 

「後ろだ!!避けろ!!」

「…っ!!まだ居たとはねぇッッ!」

 

少女は口を開け丸呑みにしようとしていた魚の眉間に錆びた刀を刺し、そのまま背びれの部分までボロボロの刃で切り裂く。

体が分断された魚は先程沈んだ個体とは違い砂の様に崩れながら沈んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「助かったわ。ありがとう」

 

少女は照れ臭そうにお礼を言ってきた、…少女程の力を持ってすれば感知していないなんて事は無いだろうに。

 

「貴方…もしかしたら私達の提督になれるかもしれない。

「慣れますよ!だって私が見えるんですから!」

 

手のひらサイズの女の子と少女は胸をはって言う。提督…海の軍を俺に指揮をしろとでも言うのだろうか。

俺は無力だ、そんな事は出来ないのは自分が一番分かっている。

 

「俺にはそんな事はでき「そのペンダントを作った人物は生きているわ。貴方ならこれがどれほど有用な情報かわかるでしょう?」

 

…ペンダントを作った人物が生きている?

それは最愛の彼女が生きていると言っている様なものだ。

このペンダントは彼女が俺の誕生日に送ってくれた物、世界に一つしかない彼女のハンドメイド。

 

「私達の提督になりなさい。そうすれば…貴方が言っている彼女とやらに会えるはずよ」

「俺は…」

「馬鹿ね、貴方だからこそ適任なのよ。貴方じゃ無ければ私達を纏められない…もっと自分に自信を持ちなさい」

「それに…貴方は俯いたり考え込まずに笑っていた方がいいわね。何故か見てるこっちが安心するから」

 

コイツはなにもかも見透かすのだろうか、俺はつくづく運が悪い様だ。

死んだ後なのに関わらず天国と呼べる状況じゃないしこの世界は前の様に狂ってる。

食べ物を入手するのもやっとで外は意味のわからない化け物がウジャウジャと居る。

意味のわからない深海棲艦に心の中まで見透かされ励まされ提督になれと言われ彼女は生きていると言われる始末。

 

______本当に涙が止まらない。

 

 

こんな無能な俺が救われていいんだろうか。彼女は許してくれるのだろうか。

 

「私の名前は離島棲鬼、こっちは妖精のリア…貴方の名前は?」

 

八神蓮(やがみれん)だ。俺は何も出来ないかも知れないけど…これからよろしく」

 

「えぇ八神提督。よろしくお願いします」

 

 

 

離島棲鬼の笑顔は初めて見たかもしれない。

最愛の彼女に負けないくらいの眩しい笑顔だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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深海鎮守府作り・前編

深海側は果たして鎮守府と呼ぶのだろうか…


「まずは形からよ蓮」

「この廃墟を掃除して使える建物にしましょう」

 

なんやかんやで離島棲鬼に呼び捨てにされているが別に問題はない。てか堅苦しい方が嫌いだ。

廃墟の掃除…結構広いこの建物は確かに良い、ただ問題があるのだ。

 

「2人じゃ掃除しきれねぇぇぇぇ!!」

 

二人で掃除するには広すぎるし意味のわからない薬品や武装が落ちていて危険だ。

さっきだって落ちていたガラス片が足に刺さって死にかけた。

 

「それなら私にお任せです!」

 

俺のポケットから飛び出してきたのは妖精のリアだ、正直離島棲鬼よりも有能で彼女のお陰で水源の確保が出来た。

今回もリアの知識を借りる事にしよう。そうすれば間違いない…筈だっただが

 

「これを使いましょう!エクストリームバキューム!!こんな事もあろうかと開発しておきました!!」

 

意味のわからない巨大な掃除機が出てきてしまった、これはあまりにも酷すぎる

 

「凄いわ!これなら建物ごと吸引できそうね!!」

「いや建物ごとはマズいだろ…」

「その後吐きだせばいいんじゃないかしら?」

 

狂ってやがる…!建物を掃除機で吸ってその後に出せば良いだって!?

馬鹿だ、馬鹿すぎる!そんなことしたら薬品塗れで使えなくなってしまう!

そんな事はさせない!この手でこの建物を綺麗にして見せる!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

____________10分後

 

「疲れた、寝よう」

「そうね、寝ましょう」

「いやいやいや…!なんで寝てるんですか離島さん!提督さん!」

 

いやぁ俺たち頑張ったよ。意味不明な薬品とかをくぐり抜けよく一部屋綺麗にしたよね。

そりゃあ疲れるわけで休みたくもなるよねそうだよね。いやー怖いわぁ…謎の薬品が余りにも多すぎる。

横になりながら今の現状でも整理しておこうか…

例の修復材はどうやら残り3つだけあるらしい。数に限りがあるという事がよーく分かったので大事に使おうと思う。その他にも黒いガスバーナーなんて物も見つかったが使い道が無さそうなので棚にぶち込んである。

食料は心許ないがやはり離島棲鬼が魚を取ってきてくれる事が大きい、生で食べているが腹を壊した事はないし普通に行ける系統の味だ。そして新発見だがここはどうやら人類が保有していた無人島らしい。恐らく生命樹の侵攻により手放す他無くなったのだろう…。

 

あれから生命樹がこの島に攻めて来る事は無くなった。

追ってきていたのはあの2体だけだったのかそれとも泳がされているだけなのか…

そんなことを考えたら腹が減ってきた、隣では離島棲鬼が寝息を立てている。飯を取りに行ける奴はいない…

 

これは悪魔でも俺の意見だが…腹が減って食べられない状況の時は時は寝るのが一番だ。

俺も眠りにつく事にしよう………

 

 

 

 

 

 

 

_________深海鎮守府掃除率…5%未満

 

 

 

 



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深海鎮守府作り・星空

解説回多くなりそう辛い


目を覚ますともう外は真っ暗だ、相当寝ていたのだろう

照明設備が何一つ無いここでは夜中の行動は危険な事は分かっているがどうせ離島棲鬼もまだ寝ているし外の空気を吸いに行くくらいは良いだろう。

 

 

 

 

________綺麗だ。

 

空一面に広がる満天の星達、光の無いこの島だからこそここまで綺麗だと思えるのだろう。

そういえば彼女も星が好きだったっけ、あの時はよくわからなかったが今ならわかる。

人が作り出した偽りの輝きでは無く真実の煌めきの美しさが。

 

それに外に出たのはもう一つ気になった事があったからだ

それは離島棲鬼と出会う前、島を探索している時に見つけたある石の事だ

禍々しく赤い光を放つその黒石は俺が倒れていた場所のすぐ側に落ちていた。

ただそれだけじゃ奇妙な石程度で気にならなかったかもしれない、だがその石を生命樹…黒い魚はあから様に避けていた。もしかすると俺でも奴らに対抗する手段が見つかるかもしれない。

 

 

あの時はそんな物に構っている暇がなく放置していたが余裕の出来た今なら確かめられるだろう。 

恐る恐る触ってみると見た目とは裏腹に金属に近い材室をしている、叩いてみると鈍い音がし、血液のような物が溢れ出す。

少量飲んでみたがこちらも見た目とは異なり飲料水にもなるようだ。

…万能すぎないかなこれ

 

あとからリアに聞いてみたところこの鉱石はどうやら物質を真似る能力を持つらしく側にあった湧き水を真似て飲料水を出していたらしい。

 

これを俺達は深海鉱鋼と呼ぶ事にした。

どうやらこの島には深海鉱鋼が多数存在しており資源の枯渇はまず無い状態だ。食料品問題も実質解決できるだろう。

 

だが問題が起きてしまった。

何でも複製できる深海鉱鋼を廃墟に少量だが運び込んでしまった。

感のいい者なら気付いたであろう。

 

_______ゴミがとんでもなく増えてしまった

 

 

 

「な…なんてことを…」

「まさかこんな増えるとは思わなかった」

「凄いわ。ゴミまでキレイに複製するなんて」

 

片付けていた執務室(仮)も溢れ出た深海ゴミだらけになり1から清掃し直しだ。全てはここに持ってこようとした俺とそれを止めなかったリアが悪い

 

「私に責任をおしつけないでださい!」

「いや…ねぇ…」

「ねぇじゃないですよ!!まったく…」

 

深海鎮守府清掃率…ー150%

 

 

 

 

早く清掃を終わらせて食料の安定供給と施設造りがしたい、ロクに飯も食えない状況をこのまま続けるわけには行かない。

それに離島棲鬼から聞いていない事も多数ある。

彼女の居場所や他の仲間は居ないのか…

俺は提督になったと言っても本当に何もしていないようだ。

平和なのか平和じゃないのか…そんな事を考えていると掃除は今日も終わらなかった。

 




どうか…どうか彼女(離島)だけでもほのぼのさせてやってくれ…頼む…これじゃ掃除終わんねぇよ…


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深海鎮守府作り・貨物船探索

掃除しろ((半ギレ))


「どうやら人間の船が流れ着いたみたいね…食料とかがあるかもしれないわ。行ってみましょう蓮」

「お前掃除する気無いだろ」

 

本日も掃除掃除掃除。毎日掃除掃除掃除。そんな日常を破壊すべく現れたのはまさかの貨物船。

この島が広くなかったら貨物船だけで潰されていると思うほどデカすぎる。

俺たちは一度掃除の手を止め貨物船を調べる事にした。

 

悪魔でも漂流物の類だ、もしかしたら内部に虫が湧いていたり死体がゴロゴロ転がっているかも知れない。

覚悟を決めて貨物船内に入ったが予想外の結果に終わる。

 

_____誰一人存在しない。

 

いた痕跡は残っているが死体一つも無いようだ、まさか幽霊船の類なのか!?

貨物船だと言うのに内装は豪華客船の様になっており、シャンデリアが煌々と辺りを照らしている。

 

「うーん…生命樹に襲われた形跡は無し…か」

 

離島棲鬼は原因を探っているように見えるが実際は貨物船内の食料を食べているだけに過ぎない。

恐らくサンドイッチらしきパンを食べながら歩き回っているだけのようだ。

原因はこちらで究明する必要があるらしい、少し船内を回ってみよう。

 

……………俺もパンを食いながらだが。

 

 

俺がまず入ったのは船長室の様だ、豪華な回転式の椅子付きのテーブルには日記帳が置いてある。

少し読んでみよう、何か情報が得られるかも知れない。

 

 

5月12日(土)

今日から日記を付けていく、流石に10日も何もしないと飽きてくる。

海での深海棲艦との戦闘は無し、上層部は国家機密である特殊護衛艦を付けてくれたのに残念でしょうがない。

今日の夜飯はカレーらしい。期待して良いのだろうか。

 

5月13日(日)

船員の半分以上が体調不良を訴えている。昨日食べた鉄の味がしたカレーが原因だろうか。

本日は何も起きない事を願っている。

 

5月14日(月)

上層部から連絡が入った。深海棲艦の目撃情報が多い海域付近に私達は来てしまったらしい。

正直あのカレーよりは恐怖を感じない。もうダメかも知れない

 

5月15日(火)

海上にて七色に輝く木の様な物を発見。進行方向では無かったが付近に深海棲艦と思わしき存在を多数確認。

交戦していたらまず間違えなく沈められていただろう。

 

5月20日 ()Arkadia

上層部からの連絡が途絶えた、現在は彼女達の基地に停泊している。

彼女達は自らをArkadiaと名乗り深海棲艦の討伐に当たっていた。装備品が奴ら深海棲艦に酷似していたがやはり武器を奪ったりはするのだろうか

 

5月28日()

輸送が完了した、本土に戻る予定だが羅針盤が壊れている。彼女達に匿ってもらった方が良かったかもしれない。

 

5月34日(光)

油断をしていた。私達は上層部を信頼しすぎていた。

上層部は機密情報ごと私達を消す気らしい。

 

 

_______日記はここで途切れている。

 

五月三四日…?この船の乗組員達は異世界にでも行ってしまったのだろうか。

そして余りにも情報量が多すぎる、国家機密の特殊護衛艦や七色に輝く木。それにArkadiaと名乗る者達…

知りたい事がとても多いがこれを書いたであろう船長はもう居ない。ただこの日記帳は貰っておいても損はなさそうだ。

 

 

 

 

一度離島棲鬼達と合流する事にしよう…この貨物船は調べられるだけ調べた方が良さそうだ。

 

 



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深海鎮守府作り・貨物船探索・後

説明多くなりますねやっぱり


「いやお前何やってんの」

「落ちてたゲームよ、結構難しいわ」

 

船長室を出て離島棲鬼と合流したがまさかの携帯ゲームをしていた。

聞き慣れた音楽を流しながら携帯ゲーム機は赤いランプを点滅させていた、そう電池切れだ。

 

「あっ」

「あっ」

 

ゴール寸前での電池切れはかなり精神的に来るものだ、ましてやそこまで辿り着くまで膨大な時間を費やしていたとしたらそれほど心の傷は深くなる。

 

「…やる気無くした」

 

ふてくされる離島棲鬼。電池の切れた携帯ゲームをほっぽり投げトボトボと歩き出す。

いやお前掃除サボってるし探索もしてないし食べて遊んでただけなんだけどなぁ

 

「でどうだったの?何かあった?」

「ん、まぁ一応こんな日記を見つけたぞ」

「…やっぱりそう言うことね」

「そう言う事って何だよ」

「この船の人間達は全員生きてるわ、間違えなく」

 

全員生きている?何を根拠にそんな事を言えるのか。

人影すらも見えず人だけが消え去ったかのような船内。

貨物船なのにも関わらず客船の様な不思議な船、そして船長が残したであろう謎の日記。

謎が謎を呼ぶこの状況で物事を断定する事は出来ない気がするんだが…

 

「私達は少数しか残っていないって前言ったわよね?」

「言われたっけ?」

「言ったと思うわ。それで貴方の彼女の居場所も知っているって言った筈」

「…いつまで経っても教えてくれないけどな」

「悪かったわね、言うタイミングが無かったのよ。」

 

離島棲鬼はボロボロの服から赤い槍の歯の様な紋章が付いた紙をを取り出してこちらに見せる。

 

「私達深海棲艦は生命樹に立ち向かう為生き残った者達と組織を作ったわ」

「その名もArkadia(アルカディア)。私達全ての生物が自由に生きられる為の理想郷を作る為に戦っている。」

「貴方の彼女もこの船の乗組員もArkadiaの本部に居るわ。」

 

そう言う事か、人類が勘違いをし深海棲艦を敵と見なしているなら単独行動は余りにも危険だ。

人類が軍隊を作る様に深海棲艦も固まって行動するのだ。

兵器が通用しないと聞いていたが俺は離島棲鬼がとてつもない怪我を負っていたのを見た事がある。

通用しないと言われているのは生命樹の連中だろう。

だがそうなった場合少し疑問が残る、それを聞いてみることにした。

 

「彼女は兵士として海に出た、なら何故敵だと言われている深海棲艦の本部に居るんだ?」

「そしてなんでお前は一人だけでここに流れ着いたんだ?」

 

離島棲鬼は妙に納得した様な顔をしこちらを指差した。

 

「そうよね、深海棲艦の生まれ方なんて貴方は知る訳がないわよね。」

「貴方の彼女は一度沈んだのよ。正確には肉体と魂が分離した状態を指すんだけど…説明しにくいから省くわ」

 

はい?肉体と魂が分離した状態?深海棲艦の生まれ方?

突如深海から現れ人類から制海権を奪った存在としか聞いていないし分かるわけがない。

てかなんだ魂と肉体が分離するって

 

「艦娘…貴方の彼女はそう呼ばれる兵器に改造されていたわ」

「恐らく私達深海棲艦の正体に気付いた者が人類の中にいて艦娘は製造された」

 

兵器に改造、やはり人体実験を行なっていると言うのは噂ではなく本当だった様だ。

いくら人類の未来の為とは言っても人体実験なぞ許される訳がない、そんな考えを出した腐った人間は俺がこの手でぶん殴ってやる。

 

「艦娘はその名の通り艦の意思を継ぎ艦自身となった者…過去に存在した軍艦の能力を保有する見たいね」

「私が流れ着いた理由も艦娘にやられたからなんだけど…あんまし言いたくないからこの件についてはこれ以上話さないわ。」

「彼女達と私達深海棲艦は似て非なる者。表と裏…光と陰」

「まぁ貴方の彼女はその艦娘だったのよ。それで生命樹に倒され沈められた」

「捕食されなかったのが奇跡ね、その時に出現していた生命樹は幹部クラスと聞いているもの」

 

幹部クラス?アイツらにも上位個体なんかが存在するのか?他の生き物を真似する必要があると言うのに?

 

「ええ、確認しているだけで9体存在する事が分かっているわ」

「Arkadiaの戦力でも勝てるかどうか…人類と協力できれば話は変わるかもしれないけど」

 

「まぁとにかく沈められた彼女を私達が回収して生き返らせたのよ、深海棲艦として。」

 

説明が足りな過ぎてわからないが要するに艦娘に改造されて戦地に出された挙句沈められ深海棲艦になったのか?

…ちょっと酷すぎる気がする。ただ一つ分かった事がある……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

___________【速報】俺の彼女、深海棲艦だってよ。

 

 

 




実は離島棲鬼ちゃん倒れてたままの服装なのでボロボロの服のままです。可愛そうです。


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深海鎮守府作り中断・貨物船改造計画&チート装備製造計画

転生特典か何かなぶっ壊れ資材現実にも欲しいなぁ。


衝撃の事実発覚から丸二日、とんでもない状況になっている様だが彼女が生きていると言う事実だけで安堵した。すぐさまArkadiaとやらに向かいたい所だが遠く離れた海域に本部があるらしく泳いで行こうとしたらまず間違えなく生命樹に食われてしまうらしい。

 

「この船を改造して私達の船にしましょうよ!」

 

船改造案を出したのはリアだった、確かにここまで立派な船ならかなり使えるだろうしなんなら倉庫にだって使えるかもしれない。間違えなく拠点をこっちに移しても問題ないだろう

 

「よし、鎮守府作り一旦停止。こっち改造すんぞ」

「そうね…そうしましょうか」

「そうと決まればこれです!!」

 

リアは外から深海鉱鋼を台車に乗せて持ってきた

 

「これで装備を作りましょう!離島さんはそんなボロボロの服じゃダメです!提督も護身用の武器くらいは持つべきです!!」

 

あっそこなんだね、船の改造に使うのかと思ってたよ

確かに離島棲鬼は島に流れ着いた時の服のままだった、ボロボロの上血痕が付いた奇妙な服になってしまっている。しっかしこれが腐臭はしないんだな、これも深海の技術力なのだろうか。

 

「離島さんは服のリクエストありますか?どんなのでも作りますよ!」

 

「特に変わった物は要らないわよ。今までのでいいわ」

 

「ダメです!せっかく提督も見つかったのでイメチェンしてみましょう!」

 

「は?」

 

ニコニコしているリアに対して離島棲鬼は呆れているようだ。

服のリクエストを聞いといて変えろって言われた様なものだもんなぁ

 

「…じゃあ蓮、貴方が決めて」

 

「はい?なんで俺?」

 

「貴方彼女が居たんでしょう?じゃあ服のセンスもあるんでしょうから…頼むわよ?」

 

「いやその理屈はおかしい」

 

「彼女の服を選んだりはしなかったのかしら?」

 

しないよなぁ、これが似合ってるよ!とかは言った記憶があるがまず間違えなく服を選んだ事はないし目利きのセンスも無いと思っている。

…仕方がない。文句を言われる覚悟を持って選ぶしかないか

 

「イメージカラーは変わっちまうけど白いワンピースとかどうだ?お前結構綺麗だし似合うと思うぞ。」

 

「綺麗…?私が…?…はぁ、お世辞は求めてないわ。じゃあそれを頼むわね」

 

お世辞では無いんだけどなぁ。

実際結構な美人だし…もしかして自覚してないのか?

 

「はい!任せてください!!」

 

元気に返事をしたリアは船の一室の深海鉱鋼を持って行ってしまった。

てかあの鋼どうなってるんだ!?なんで鋼で服が作れるんだ!?

いや飲み水も作れるくらいだしもう何が起きても不思議では…ないか。

 

「船を調べたらどうやら燃料が残っていたわ。例の鉱石を燃料室に置いておいたからこの船の燃料が切れる心配はないから安心して」

 

…どうやら燃料も生成出来るようです、無から有を生み出す鋼とか言う完全チートアイテムを俺達は入手してしまったらしい。これ生命樹にも余裕で勝てるんじゃないか?

 

「このままArkadiaに向かうんでしょう?蓮。彼女に会ったら…その時は」

 

「その時は…?」

 

かなり重大な事があるのか。実は彼女は俺の事を忘れていますーとかなのか?

そんな事があったら間違えなく泣いてしまうだろう、大の大人が恥ずかしい。

 

「帰って掃除ちゃんとしましょうね?」

 

「アッハイ」

 

その笑みには間違いなく怒りと言った感情も混じっていた。

ごめんなさい掃除サボりまくってました許してください




次回は番外編。別視点になります。ご了承を


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番外編・幹部との交戦

番外編です。後々にならないと分からない事だらけですいません。


「これでいいのか?俺様と対等に戦える相手が現れるのか?」

 

黒いフードを被った少女は木の根のような姿をした怪物の目玉に手を挿しそのまま目玉を引きずり出す。

痙攣する怪物に容赦なく手に持ったナイフで滅多刺しにしそのまま海へと投げ捨てる。

 

「あぁ、ここは奴等の発生源である根源生命樹がある。幹部クラスの出現もあり得るだろう」

「…あまり無茶はしないで。今回の目的は幹部討伐じゃない」

 

黒いクラゲのような化け物はマントを羽織った少女の頭の上からフードの少女に話しかける。

下の少女はフードの少女を心配するがフードの少女は聞く耳を持たない

 

「おお!本当に出やがったッ!!」

 

轟音と共に出現したのは一つ目の化け物を従えた赤髪の女性だった。

彼女は目隠しの様な物をしており、その模様は奥に生えている木と同じ紋章が刻まれている。

 

「キサマラ…オロカナイノチハワレラガミチビク…ワレハ【慈悲】…ケセドデアル」

 

ケセドが骨の様な腕を大量に展開する

 

「下がるぞヲ級。俺たちは後ろからレ級達を援護する」

「…了解アルベルト、深海対物ライフル 丙-四式」

 

マントを羽織った少女…ヲ級は何もない場所から頭に乗っていた化け物…アルベルトと酷似したデザインのライフルを取り出し狙撃体制に入る。

勿論狙撃体制中は周りからの攻撃を回避できないがヲ級の周りを2体の駆逐型深海棲艦が護衛する。

アルベルトは骨の様な触手で器用に無線装置を使い側の海域に配置された深海棲艦達に連絡を行う。

 

「Arkadia第二艦隊_____作戦開始」

 

「さぁて…俺様もやりますかぁ!!」

 

まず先に動いたのはレ級だ、手に持っていたナイフを投げ飛ばしケセドに真っ向から突撃した。

ケセドもその行動を見過ごす訳もなく骨の腕でレ級の身体を鷲掴みにし握りつぶそうとするがレ級の尻尾の艦装の砲撃をゼロ距離で受けた骨の腕は音を立て崩れ落ちる。

 

守りが薄くなった瞬間を見計らいヲ級はすかさずライフルでの狙撃を行う。弾丸が直撃しケセドの頭蓋が爆発するがすぐに修復されていくが再生する瞬間の隙をレ級に狙われ今度は心臓を潰される。

それでもケセドは活動を止めず側に落ちている生命樹の死体を混ぜ合わせ腕を何本も生成する。

 

「…きりがない」

「ならば例の弾丸を使ってみるか?」

 

アルベルトはヲ級に銀色に輝く弾丸を手渡し、ヲ級はその弾丸をライフルに詰め込み狙いを定めて狙撃する。

命中した銀の弾丸はケセドの内部で暴発し増殖。内部をズタズタに引き裂いていく。

 

「どうだ?俺が開発した三段式徹甲弾は。吸血鬼にも通用するぞ?」

「…そんな機会はない」

「確かにな!!来るぞヲ級!」

 

ズタズタになった筈のケセドは目を赤く光らせながらヲ級めがけて突撃してくる。

2機のイ級がケセドに砲撃し腕を吹き飛ばすがケセドはそんな事は御構い無しだ。

腕の修復すらせずに装備である骨の触手を首元から大量に生やしヲ級を串刺しにしようとするが上空からケセドの頭をレ級が叩き割る。

 

「俺様を無視するなんていい度胸だな!!」

 

「すまねぇレ級!俺が艦載機を積んでないばかりに!」

「…助かった」

 

「資材不足は俺様もわかってる。安心して援護を続けろ!!」

 

「おうよ!まぁ撃つのは俺じゃないんだけどなあ!」

「…任せて」

 

ギギギと金属が軋むような音を立てながらケセドが起き上がるが距離を取ったヲ級の狙撃によりケセドの再生しかけの頭を再び吹き飛ばす。

 

「オノレ…イマイマシイ…キサマラゴトキニ…」

「キサマラ二ゼツボウトイウモノヲオシエテヤル…!」

 

ケセドが悲鳴にも聞こえる様な音を発する。

その音に思わずヲ級は耳を塞ぐがアルベルトは思わず目を背けたくなるような距離光景を目にする。

 

「なんだよあの数…!?約100万の生命樹がこちらに進軍中!!」

 

「はぁ!?なんだそりゃ!?」

 

流石のレ級も焦っているようだ。幹部クラスは追い詰めたがそれは敵が一人だったからだ。

現在来ている数は100万。まず間違いなく今の戦力では第二部隊どころかArkadia自体が壊滅するだろう。

 

「撤退するぞレ級!無理だ!」

 

「くっ…!せっかくやれそうだったのによ…!」

 

「いや問題はない。と言うか最高と言うべきだろう」

 

「何が最高なんだよ?撤退がか?」

 

「お前は当初の目的を見失ってたのか…」

「…生命樹のサンプル収集が私達の任務…幹部クラスの腕を持ち帰れたんだからいい」

 

「でもどうせなら俺様がアイツらを潰したかった…」

 

「また今度の機会があるさ。生きていればな」

 

 

 

 

 

____________持ち帰ったサンプルを元にArkadiaは対生命樹討伐装備を生成。そしてArkadiaには現在500を超える深海棲艦が所属しているとされる。

 

 

 




アンケートご協力ありがとうございました。
次回は本編に戻ります。


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訳の分からないチート装備が完成しました。

チートタグ回収編。
生命樹チートでは無かったのか!?
ほのぼのする為には武力が必要なんだッ!!


「完成しました!新装備です!!」

 

リアが部屋から飛び出してくる。頼んでいた例の服の他にもどう見ても長すぎる刀に歪な歯が無数に着いた大砲のミニチュアの様なものなどが荷台に積まれていた。

 

「なんか多くない?」

「気のせいです!」

「気のせいか」

 

「まずはこれです!離島さんの新型ワンピースです!」

 

リアが取り出したのは純白のワンピース、サイズはぴったり離島棲鬼に合う様に作られているらしく目にも止まらぬ速度で離島棲鬼が着替えたがめちゃくちゃ似合っている。正直前より好き、主観だけど

 

「そして紹介したかったのはこれですよ!!形にするのはかなり苦労しましたがあの鋼のお陰で完成しました!!」

「対生命樹及び艦霊の攻撃を完全無効化出来る自動防衛システムを付与しており、新型のステルス戦闘機を700搭載!主砲は人類を参考にして戦艦の保有していた41cm連装砲を魔改造した超連装砲を搭載し砲弾は内部に純粋な深海鉱鋼を搭載する事で燃料同様無限となっています!それに最高速度は脅威の300ノットを実現しました!!」

「恐らく右に出るものは居ないかと」

 

いや居るわけねぇわ、なんじゃその超ハイスペックな性能は。

それになんだよ完全無効化の自動防衛システムに300ノットって魚雷か何かなのか?

 

「…流石の私でもその速度じゃ無傷で居られるわけが無いわ。あまりにもハイスペック過ぎるのよ」

 

離島棲鬼は少々引き気味だ、確かにその通りでありスペックが高すぎて使用者が壊れてしまうだろう。

いくら深海棲艦と言えどただの少女には変わりがなく耐えられる訳が無いのである。

 

「問題ありません!その服は全衝撃吸収性なので速度での損壊や反動ダメージは無いものと考えてください!」

 

「は?」

 

まさかの使用者無敵チート付き。

こんな事が出来るんだったら最初からやってれば生命樹なんて消し飛んでたんじゃ無いですかね。

 

「それにこれは試作品なのですが前にイ級型生命樹と戦った時に刀を上手く扱えていて感動したので刀も作ってみました。金属で作られたものなら全て溶断出来る筈です!」

 

あーもうめちゃくちゃだ

こんな化け物装備あの鋼だけでなんで作れるんですかね。

 

するとリアが暗い顔をしてこういった。

 

「ただ…一つ問題がありまして」

 

「問題?」

 

「はい。あまりにもハイスペック故に熱暴走を起こす場合があるのです。…一日一回の戦闘にしか使えないかと」

 

……うん安心した。

なんだかよくわからないけど安心した、ぶっ壊れてるけどちゃんと弱点があって良かった。

無かったら色んな所から怒られそうだ。もう怒られそうだが

 

「それなら大体の戦闘は今まで通り艤装を使用させて貰うわ……なんかミニチュアみたいになってるけど」

 

例の歪な大砲の様なミニチュアを見て離島棲鬼はそう溢す。

そう言われてみれば彼女が流れ着いていた時の側にあった奴に似てるかも知れない。

 

「あと忘れてました!提督にはこれです!」

 

リアから渡されたのは手のひらサイズの小さな棒だ

いやこれでどうやって戦うんだよスペック差が酷すぎるだろ!?

 

「深海鉱鋼は〈創造力(アイデア)〉通りに形を変幻自在に変えることが分かりました。触った人のその時に考えた物を生み出し続ける見たいですね。」

「それは深海鉱鋼の能力を制御した物です。それを使えば戦闘毎に武器の変更を行う事が出来ます。勿論変換にはブランクがありますから何種類の武器を使いまくるって事は不可能ですけどね」

 

 

 

 

_________まぁた壊れ装備だぁ

 




多忙の為今後更新出来ない日も増えるかと思います。ご迷惑をおかけしてすみません


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羅針盤が勝手に回るよどこまでも

羅針盤って本当曲がるよね


かくしてチート装備を手に入れた俺と離島棲鬼、お互いデメリットが存在するとはいえ世界観を崩壊させるほどの力を持っている。こんなものを簡単に作ったリアとは何者なのだろうか。

食料問題は解決したが限りのある資源だ、深海鉱鋼で増やせば良いんだろうが元が金属の物を食べる気にはなれないし廃墟の改築工事も掃除も何一つ終わっていない。

問題は山積みだがリアがいればどうにか出来る気がしてきた、大丈夫そうだ。

 

「た…大変です!!」

「羅針盤が勝手に回り出し船の制御が奪われましたぁぁ!!」

 

大丈夫じゃ無いらしい。制御奪われるって普通にやばいんじゃ無いのか?

 

「そんな事はないでしょ。どうせ回しすぎたんじゃ無いかしら?」

 

離島棲鬼は呆れた口振りでリアに問い掛ける。

 

「違うんですよ!ほら見てください!グルグル回り続けてるんです!」

 

うわぁ本当にグルグル回り続けてるー。

 

「でも羅針盤がダメなら俺達が運転すれば良いんじゃ無いのか?離島棲鬼は場所は知ってるんだろう?」

 

「えぇ、その通りね。私は場所を知ってるし運転すれば良いだけよ」

 

「…それが無理なんです。この船を改造した時に便利なハイテクグッズを制御装置に入れたんです。」

 

「…ん?」

 

「その名も妖精羅針盤。行きたい場所を設定するとそこに自動運行してくれる優れものなのですがね…制御が利かなくって…自動運転中は運転解除が出来ないんです」

 

ダメみたい。

ハイテクグッズに頼り過ぎはやっぱりダメだね!

俺はアナログ人間として生きていくよ!!

 

「それでもしこのまま放置したらどこに辿り着くの?」

 

リアの顔が真っ青になって行く。

 

「…輝きの樹です。間違えなく私達はバリアでバラバラにされます」

 

バラバラは怖いなぁ

ましてやここは大海原のど真ん中。

落ちたら間違えなく遭難するか生命樹の餌になる。

 

「なんで敵の本拠地に向かってるのよ!絶対悪意あるでしょ!」

 

離島棲鬼が喚き散らす。

てか敵本拠地って事は生命樹達の基地が輝きの樹なのか?

 

「それで私も辿って見たんですよ…羅針盤を狂わせた犯人のアクセスを」

 

「聞いて驚かないでくださいね?なんと私達の船にアクセスした者はChokhmahという名前でした。そうですね。原初生命樹(セフィラ)…コクマーでしょう」

 

突如甲板が破られ上空から灰色の髪をツインテールにし、意味のわからない模様が書いてある目隠しをつけており服は離島棲鬼の来ている純白のワンピースに酷似している。

 

「ワタシコソガイノチノイミヲシル…【知恵】ノ、コクマーココニケンゲン…」

 

「はい?原初生命樹(セフィラ)ぁ?……それって生命樹幹部クラスじゃない!!なんで私達が狙われているのよ!!あーもうこんな時に皆がいればっ!!」

「私一人じゃまず幹部クラスは無理よ!例の装備はまだ試運転もしてないしもう積んでるじゃない!!」

 

まさかの幹部クラスさんのお出まし!?

そりゃ離島棲鬼も取り乱す訳だ。流石に難易度がハード過ぎません?

提督業やった事ない俺に勝機はどこにあるんですかね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_________付近の海域

 

「敵反応確認。原初生命樹クラス一人に…ん?アイツ生きてたのか!?」

「…どうしたのアルベルト」

 

「離島棲鬼の反応を付近で確認した。この近さなら恐らく…原初生命樹と交戦状態と見るか?」

「どうするヲ級。本部に応援要請しに戻って助けに行くか?」

「…そんな時間はない」

 

「…このまま向かうまで」

「おー、マジかよ!?…ったくしょうがねぇなぁ…行くぞヲ級!!」

「…言われなくとも」

 




なんやかんやで書ける。書けなくなると思ってました(定時更新は当分出来ないです)


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知恵を授けし生命を

会話文が多くなります。ご了承を



「ククク…ワタシノ知恵デイノチヲミチビク…」

 

「貴方に導かれる程私達は落ちてないわよ。」

 

離島棲鬼は新型艤装(例のチート装備)を開放する。

目からは青白い光が漏れ出しており今までとは違う雰囲気を感じるのだった。

 

「行きなさい蓮。貴方は貴方の心配をして」

 

「あぁ。そっちは任せるぞ離島棲鬼!」

 

どうせここにいても足手まといになるだけだ。なら俺はこの船を沈めない為にも甲板を修復する必要がある。リアは先に資材室に行って深海鉱鋼を用意してくれている。

 

後ろからコクマーの触手が迫ってきていたがどうやら離島棲鬼が全て破壊したらしい。振り向く必要は無い…俺は先に向かうとしよう。

 

「さて…これで心置き無くやれるわね?」

 

「イセイガイイナ…オロカナイノチヨ。ワタシハオマエゴトキニハイボクスルワケガナイノダガ?」

 

「それはこっちのセリフよ。艤装展開…ここで仲間と共に沈めてあげるわ。」

 

「…ホウ、ワタシノホカニイルコトにキヅクトハネェ」

 

「なんでアイツがここに居るのかは知らないけどね。確実に沈めた筈なんだけど?」

 

「ワレラハイノチアルモノカラノダメージハオワナインダヨ。イクラアガイテモムダナンダ!」

 

「へぇ…それは良いことを聞いたわ」 

 

「ドウセオマエハココデ沈ム。メイドノミヤゲトイウヤツサ」

 

「ここで沈む気なんて甚だ無いんだけどね?」

 

離島棲鬼はコクマーの頭を掴みゼロ距離からの艤装砲撃を3発行う。

身体が弾き飛ぶコクマーは焦りながらも的確に自らの触手で身体を修復していく。

 

「グッ…?ナゼワタシガ…?キサマ…マサカ…!!」

 

「ええ、貴方の考えている通りよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_______資材室

 

「たしか…ここに…ありました!!これこれ!!私が作っておいたんですよ!緊急修復用深海研磨鋼(なんかすごいやつ)!!これさえあれば修復できます!」

 

「なんかすごいやつで笑いそうだが突っ込む時間はない!行くぞリア!」

 

「はい提督!」

 

後はこのなんかすごいやつを甲板に貼り付ければ甲板は修復され船の沈没は避けられる。目の前のはしごを登り右に曲がった先のはしごを上がれば甲板はすぐそこだ。

 

「…そういえば離島棲鬼は深海棲艦の中ではどのくらいの強さなんだ?」

 

「急にどうしたんですか提督。そんな事を聞くなんて」

 

「いやあんなヤバそうな怪物をボロボロの刀だけで倒したりしてたし他のArcadiaの深海棲艦より強いのかなって」

 

「現状離島さんは弱い部類ですよ。最弱って訳では無いですが第一部隊の皆さんと比べたら話になりません。」

 

「あれで弱いのか!?一体どんな奴らが居るんだよ…Arcadiaって…」

 

「ただ離島さんは他の深海棲艦とは違い陣地形成タイプなので防衛戦を得意とするんですよ。だから攻めは弱くとも受けは強い訳です。」

 

「防衛…もしかして全力を出せないのは…」

 

「そうですね。鎮守府作らないで掃除もしなかったからですね。」

 

あぁ俺提督失格だわ。

皆ありがとう。そしてごめんなさい

 

「ちなみに防衛の時の離島さんは原初生命樹2体を沈めてます!原初生命樹は幹部クラスの生命樹の事で大体深海棲艦1000体に匹敵します!」

 

いや何それ怖い。てかそんな奴が今襲来してるって事?

あれ…?これ大丈夫なの?

 

「大丈夫です!反応はコクマーの物しかありませんし一般型の生命樹もいないようです!」

 

「あ付きましたよ!甲板です!」

 

うわぁ…見事に大穴が空いてしまっている。

確かにこれは沈んでしまうだろう。早く修復しなければ…

 

「…!?提督伏せて!!」

 

「へ?」

 

ドォォォォォォォォン!!!

 

凄まじい轟音、目の前に何かが降ってきた。

黒い目隠しに謎の模様。白い服に赤い髪…

あれ…?まさかとは思うんだけどコイツって…?

 

「原初生命樹…ゲブラー…!?」

 

「…キサマライノチハココデダンザイスル…」

 

「ワレコソハ【峻厳】ノゲブラー。サバキノトキハキタ」

 

 

_______もしかして、俺…詰んだ?




結局離島ちゃんを海にほっぽり投げたら離島完成するんでしょうか?


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チートをぶつければ勝てると思ってました

この一週間中はリアルに更新出来ない時があると思います…ご迷惑をお掛けします


「キサマガ…ソウカ。ワレガキサマヲダンザイスル」

 

「そう易々とやられて堪るかよ…!!」

 

一応俺もリア特製の新型装備(チート装備)は持っている。

離島棲鬼さえ来てくれればどうにかなるかもしれない。

俺は無力だが時間稼ぎぐらいなら出来るだろう。

 

「その武器は提督が想像した装備をそのまま実体化させます!!原初生命樹に有効な物質は命を持たない物!!」

「無機物の系統で武器を形成してください!」

 

リアが後ろから指示を送ってくる。

命を持たないって大体がそんな気がするが使ってみたかった武器はある。

小さい棒が見る見る形を手の中で変蠢き、想像していた通りの武器に変わっていく。

 

「本当に出来たっ!これならどうにかなる!」

 

俺が想像した装備はハンドガン。「片手で保持して照準し,致命傷を与える弾丸を発射できる銃。」

装弾数は火力を殺傷力を上げる為に少なくなっているがそれを差し引いても時間稼ぎには有効だろう。

 

「ヨウイハデキタカ…?デハイクゾ…!!」

 

ゲブラーが凄まじい速度でこちらに向かってくる。武器の特性を知っているのか左右に移動しながら移動しているため狙いが定められないがここで引くわけには行かない。

 

一発目被弾、足を取った。

 

二発目回避、まさか触手を使って上に飛ぶとは思わなかった。

 

三発目被弾、ただ飛んだならば当てる事は用意である。胴体に風穴を開ける事に成功した。

 

四発目被弾、だがゲブラーは止まらない。ましてや速度が増している。

 

五発目回避、弾丸を切られた。あの触手を防ぐ方法を考えなければダメージを与えられない。

 

6発目不発、どうやら銃自体を壊されたようだ…

 

「ならこれだ!!」

 

______深海鉱鋼爆裂弾(グレネード)!!!

 

「ヌゥ!?」

 

丸いボールが爆発し内部の深海鉱鋼の破片がゲブラーの身体に突き刺さる。

リアに作ってもらっておいたのが功を奏したようだ、そしてここからがこの武器の恐ろしい所である…!

 

「ガァァァ…!!ワレノカラダヲタモテナイ…!?」

 

体内で破裂した深海鉱鋼は内部で細胞を無限に増殖させ続ける。

増えすぎた細胞により元あった細胞は死滅しそのまま即死する…それがこの武装だ。

 

____だが様子がおかしい、理論上はもう死んでいてもおかしくは無いはずだ。

 

「そういう事ですか…!!」

 

リアが何かを察したようだが俺も大体は分かっている。

生命樹に特攻を持つ装備が命を持たない武器であり命を持つ物の攻撃は効きにくいのかも知れない。

______確かに深海鉱鋼は「胎動」していた。命を持つ物なのかもしれない。

 

 

「グヌウ…サスガノワレモオドロイタガモンダイハナイヨウダナ」

 

「キサマモイノチノミナモトニカエルガイイ…!」

 

もう駄目か…!現状今持つ装備の全てが深海鉱鋼頼りな以上ゲブラーを倒す事は出来ない。

甲板を修復する事もままならず俺はこのままここで裂かれそして船とともに深き海へと沈んで行くのだろう。

 

 

 

「…ターゲット補足」

 

 

突如空気を切り裂くような音が辺りに鳴り響きゲブラーの上半身が弾け飛ぶ。

音の響いた方を見るとそこには頭に化け物を乗せた銀髪の女性が立っていた。

手には化け物のようなデザインをした禍々しい狙撃銃を持ち、化け物の口内からは黒い鳥の様な物が放たれ、女性の周りを漂っている。

 

「よぉリア、助けに来たぜ」

 

「アルベルトさんにヲ級さん!?何でココに!?」

 

化け物が喋ったぁぁ!?

どうやらリアは化け物と女性を知っているらしい。

ヲ級と呼ばれた女性とアルベルトと呼ばれた化け物はこちらの味方らしい。

 

「…貴方達の反応を見つけたから」

「それに気になる事(イレギュラー)があったからな…」

 

「キサマァ…!!ワガチカラノカケラヲナゼ…!?」

 

「答える義理はねぇな、行くぞヲ級。油断はするなよ?」

「…アルベルトこそ慢心はしないで」

 

 

 




ヲ級ちゃんはなんか後方支援してた方が好きです(個人的な趣味)


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生命の終着点

完全にオリジナル要素まっしまっしのやべぇ回です。
ただ完全に平和な世界がそろそろ始まりますので許してください()


「キサマラゴトキニナゼダッ…!!」

 

「…煩い」

 

ヲ級の弾丸がゲブラーの肉体を抉り爆散する。

対物ライフルとも呼べるその銃の反動をアルベルトが受け流し連射を可能にしている。

リアの作った装備とはデザインが大きく異なるが構造は同じ様に精度がとても良い様だ。

 

「グヌゥオオオオオオオ!?」

 

原初生命樹であるゲブラーの再生能力をも上回る速度で肉塊に変わる。

ゲブラーも負けじと触手で応戦するがヲ級は的確にそれを貫いていく。

 

「そうだリア、何でココでゲブラー(死者の復活)が発生したか分かるか?」

 

「…分かりません。やはりこの個体は…」

 

「あぁ、第四部隊がその命を糧に討伐した筈の個体だ。」

「俺はあの時彼処に居た。確実に心臓部(コア)を破壊し沈黙した筈なんだ」

 

アルベルトは怒りに震えている、仲間達が自らの命を犠牲にし培った勝利が意味の無い物だと否定される事が許せなかった。

ゲブラーの一撃がアルベルトを貫こうとするがヲ級の狙撃により阻止されゲブラーは体制を崩す。

 

「…余所見は禁物、アルベルト」

 

「悪りぃな、ついカッと為っちまった。」

 

遂に修復が追いつかなくなってきたゲブラー。

どうやらあの弾丸は対生命樹用に作られているらしくこちらの攻撃後の回復よりもスピードが遅い。

 

「キサマラァ…キサマラァ…!!」

 

「冷静に物事を考えられなくなったか?じゃあジ・エンドだ。ヲ級、心臓部(コア)を狙え」

 

「…了解」

 

ライフル弾がゲブラーの頭を潰す。人型生命樹の弱点であり制御系統である脳こそが心臓部(コア)

 

心臓部を撃ち抜かれたゲブラーはビクビクと痙攣し動かなくなった。

 

 

だがその弾丸がゲブラーの目を撃ち抜いた時に原初生命樹の本来の恐ろしさを知る事となる。

 

 

ゲブラーの壊れた筈の心臓部が周りの物質を取り込み出す。

分割された体や深海に沈んだ鉄屑や流木やゴミ、生物の死骸すらも取り込み人の形を形成する。

 

人の形を取り戻したゲブラーは目隠しを失い黒い光の漏れる赤と緑の二色の眼を露わにする。

 

 

「ククク…ハハハハハハ!!我ガ最初ノ特異神化(If)ダトハナァ!貴様ラ二ハ感謝セネバナルマイテ!」

 

触手は七色に輝き周りにはアルベルトが放った黒い鳥に似た目玉の怪物がゲブラーの周りを旋回する。

ゲブラーには赤い光の羽が生え手を払った衝撃波のみで船の残っている甲板が崩壊する。

 

これが特異神化(If)。有り得ない事を現実の物とした原初生命樹(セフィラ)の最終形態。

 

「我ノ神化二免ジテ今回ハ見逃シテヤロウジャナイカ。サァ戻ルゾコクマー。我ラガ母ナル生命へ(根源生命樹へ)

 

_______これ勝てないわ

 

 

 

 

 

 

離島Side

 

「ヤハリソウイウコトカ…オマエハカンゼンナルイレギュラー…」

 

「ワレラノシラヌトクイジレイトハ…」

 

「貴方達が何処まで私達(深海棲艦)を知っているかは知らないわ。ただ…」

 

 

「私はこの創られた世界(艦隊これくしょん)特異事例(イレギュラー)、何者かによって書き換わる前の世界を唯一知る者よ」

 

「ナニヲイッテイル??ツクラレタセカイ…?」

 

「理解する事を求めては居ないわ、ただ私は貴方達(生命樹)に感謝してるのよ。貴方達が存在しない世界を知っているからね」

 

「それは酷い物だったわ。何度も何度も戦って沈められてまた戦って迎え入れられて戦って沈んで…」

 

「だから私は生命樹(終着点)が存在するこの世界こそが平和だと心から思うのよ」

 

「もし生命樹が全て居なくなったらあの前の世界(悲しみと苦しみの戦争)を繰り返すのだろうね」

 

「私はそれを許容しない。もしそんな未来しか訪れないのならこの世界の全て(この艦隊これくしょんと言うゲーム)を敵に回してでも阻止するよ」

 

「…キサマハワレラノミカタナノカ?」

 

「いいえ。私は平和な時代で皆が心の底から笑い合える…そんな世界を作りたいだけよ」

 

「この話は終わりよ。さぁ…沈みなさい…ッ!?」

 

「戻ルゾコクマー。我ラガ母ナル生命へ(根源生命樹へ)

 

「ここまで来るとはね、死んだ筈の5番目(原初生命樹ゲブラー)。前みたいに私を沈めるのかしら?」

 

「…オ前ガ誰ダカハ知ラヌガ今ハ気分ガイイ。愚カナ貴様ラノオ陰デココマデコレタノダカラナ」

 

「…へぇそう、じゃあまた会いましょう。原初生命樹(新たな世界の敵)さん達。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_________________提督Side

 

「アイツらが居なくなった!早く修復だッ!」

 

「間に合いません!船の70%が沈んでいます!!」

 

「間に合わなかった…だと!?俺達は海の藻屑となって消えるのか!?」

 

「あのぉー取り込み中わりぃんだけどさ…俺らの船に乗ってけよ」

「…うん。2人…リアは問題ないし離島棲鬼と貴方だけなら乗れるよ」

 

助かったぁ!深海棲艦は良いやつしか居ないのか!?

じゃあ完全に沈む前に離島棲鬼と合流するとしよう。

リア特製深海鉱音拡張伝達装置(無線)を使い呼びかける

 

「…そっちは大丈夫か!?…こちらは終わった!…助けが来たぞ!」

 

唐突にノイズの掛かった声が爆音で響く。

 

「うるさい…。音量調節してなかったわ…」

 

正直耳が痛いがこちらも返事をしておかないと何が起こるか分からない。

 

「…大丈夫よ…食料と深海鉱鋼を持ってすぐ行くわ」

 

伝える事は伝えた。さてやる事は一つだ。

 

 

 

 

 

「自分の分だけ食料持ってかえりましょ」

 

 




昨日更新出来ず申し訳ありませんでした


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海を守る者達・Arkadia

ヲ級「…私達影薄くない?」

アル「大丈夫だ。アンケートでレギュラーが約束された俺たちは勝ち組なんだよ」

ヲ級「…メタい」

離島「レギュラーの方がめちゃくちゃな設定にされるわよ」

ヲ級「…えぇ」


本気で当分書けない気がしてきますた


ヲ級達の船…沈んでしまった貨物船よりは小さいが十分だろう。

後から分かった話だがあのまま修復が間に合っても樹にぶつかって死んでいたらしい。

 

「そういえばそこのお嬢さんは誰なんだ?俺は見た事ねぇぞ?」

 

アルベルトは離島棲鬼を指差してそう言う。

いや指じゃなくて触手?わかんねぇなこれ

 

「…それに離島棲鬼置いて来てる」

 

「いや居るんだけど私」

 

離島棲鬼は自分の分だけ持ってきていたスナック菓子を食べながら反応する。

 

「嘘付け、離島棲鬼はもっと違うぞ。お前とじゃ比べ物になりゃしねぇ」

 

「…もっと派手、そんな清楚じゃない」

 

「…えぇ嘘でしょ?ネタよね?」

 

まさかの仲間に認知されていない…?

ちょっとは焦る離島棲鬼はスナック菓子を貪る手を止めポケットの艤装を見せる

 

「ほら。どう見ても私の艤装じゃない」

 

「いや小さすぎねぇか?もっとデカかったぞ」

 

「…レプリカ?」

 

まぁ確かに島で見た物よりも圧倒的に小さい。

性能はリア曰く一緒らしいが製造過程を見ていない彼女らは偽物と疑うだろう。

 

「あぁぁぁぁ!もうどうすれば証明出来るのよ!」

 

「…そうです!これを付ければ…!!」

 

リアは何処からとも無く離島棲鬼が元々付けていたボンネットを頭に被せる。

思いっきり行ったようで離島棲鬼は体制を崩して転び何故かこちらを睨んでくる。

____いややったの俺じゃないから!!

 

 

ヲ級とアルベルトは突如驚き出す。

まるで今更離島棲鬼を認知したように……

 

「それは…!離島棲鬼の髪飾り(キクラゲ)!!」

「おい待て」

「…!離島棲鬼の髪飾り(キクラゲ)!?」

「待てって」

「本物なのか…!離島棲鬼の髪飾り(キクラゲ)があるなら信憑性は高い…!l

「いや本当に」

「………!離島棲鬼の髪飾り(キクラゲ)は離島棲鬼しか付けてない」

「待てって言ってるわよね!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前が離島棲鬼(キクラゲ)だったのか!早く言ってくれれば良かったのに!」

 

「いやずっと言ってたわ!!てかなんだキクラゲって!私の印象それだけなのか!?」

 

離島棲鬼の悲痛な叫びが木霊する。

 

「おん。だってお前引きこもってばかりで接点あんま無いし」

 

「ああああああああああ………」

 

いや引きこもりだったのかよ…

じゃあ何で打ち上げられてたんだ…?

 

 

 

 

 

「…着いたみたい」

 

「これがっ…Arkadia…!?」

 

Arkadiaの正体はとてつもない巨大戦艦だった。

一つの島と言っていいほどの規模を誇り所々に深海棲艦が持つ艤装に似た意匠が施されている。

俺たちが乗っていた貨物船も大きかったが大きさのベクトルが違いすぎる。

…こりゃあすげぇや

 

出迎えてくれたのは淡いピンク色の髪をツインテールにし黒いコートの下に水着の様な服を着た女性だった。

 

「よく戻ったなヲ級にアルベルト…そちらの方々は?」

 

「…離島棲鬼と…そういえば貴方の名前は…?」

 

そういえば俺自己紹介してないわ。

そんなタイミングが無かったってのもあるけど。

 

「俺は八神蓮だ、よろしく頼む」

 

「私は南方棲鬼よ。いらっしゃいArkadiaは貴方を歓迎するわ」

 

「…でそちらのお嬢さんは?」

 

 

ま た な の か

 

 

「いや離島棲鬼よ!!お前もこれ付けないと駄目なのか!?」

 

「あぁ…!その髪飾り(キクラゲ)は離島棲鬼ねぇ…!」

 

「また私をキクラゲ扱いィィィ…!!」

 

「大体キクラゲってなんなのよ!あまりにも酷すぎないかしら!?」

 

子供の様に喚き散らす離島棲鬼。

それを見て苦笑いをする南方棲鬼に見ないふりをするヲ級。

もう大惨事だ。

 

「…はぁ。今日ここに来たのは蓮…コイツの彼女を探しに来たからよ」

 

「ん?合コンはやってないわよ」

 

「真面目にやって。本っっ当に。」

 

「…で?その彼女さんが誰かは分かってるのかしら?」

 

「このペンダントを持ってるアイツ以外に居ないわよ。」

 

俺のペンダントを南方棲鬼に見せる。

南方棲鬼もどうやらこれを知っているらしい。

 

「アイツなら……【第一部隊】なら出撃しちゃったわ。次戻るのは…一ヶ月後かしらねぇ?」

 

「一ヶ月!?何処まで行ったのよ!?」

 

「私達の装備じゃ人類艦と戦うのは厳しいからね、本部よ本部。」

 

「はぁ…?何で今更…?」

 

「戦艦棲姫から連絡が届いたのよ、人類の艦隊が付近で何度も目撃されているらしいわ…いつ戦闘になってもおかしくないのよ。だからこそこちらも支援を頼む訳」

 

「いやここを離れれば良いんじゃないかしら?」

 

「…今はここを離れる訳には行かないのよ。もう少しで生命樹(奴ら)を完全に破壊出来る艤装が完成する。その為には…」

 

「…生命樹のデータが不可欠って訳ね」

 

離島棲鬼と南方棲鬼はどうやら生命樹の話をしているらしい。

なんか放置されてる気がする。

ここに着いてからリアは居なくなってるし正直ぼっちだ。

 

……そうだ。聞いておかないといけない事がある。

 

「お取り込み中悪いんですけど…」

 

「どうしたのかしら?蓮君」

 

ここをよく知っていそうな南方棲鬼に聞こう。

正直今会えるとかそんな事より興味がある事を。

 

 

「俺の彼女は元気ですか?」

 

 

 

南方棲鬼は少し考えている様だが…

 

「えぇ、元気…まぁ元気よ。」

 

 

 

 

________今言葉を濁した気がするが…大丈夫なのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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レ級の暇潰し・前編

南方「まぁ…とにかくゆっくりして行きなさい」

八神「確かに船ないもんなぁ」

離島「一ヶ月ここに住む気なの?」

八神「おん」

離島「ええ…」




「やる事ねぇなぁ」

 

黒フードの少女…レ級は近海防衛(デイリー)任務を終え休みを与えられているが今にでも戦いたい彼女にとって休憩こそが地獄の時間なのだ。

最近は近海防衛(デイリー)任務中の戦闘も減っておりこれじゃあただの散歩…。訓練所は調子に乗って銃火器を撃ちまくった(頭の可笑しい誰かさんの)せいで使用不可。

 

遊び相手のヲ級は同じく近海防衛《デイリー》任務で出撃中、それにしては遅いが連絡は一つも来ていない為問題は発生していないと予測。

対等に戦える第一部隊は出撃中で誰もいない。

南方は構ってくれないしやる事と言えば艤装の手入れくらいだがとっくに済ませてしまっている。

 

正直Arcadiaに居ても変わった事が無いのだ

前に戦った原初生命樹(生命樹の幹部クラス)は一人で対応できる…それも奴らは力不足といった感じだった。

 

「…妖精共から新しく装備作ってもらうかぁ?」

 

アルベルトが使う艦載機が羨ましかったから作ってもらったが何とも言えない。自分自身が戦えないのは全く持って意味がないからだ。妖精達が作る装備は余りにも強すぎる自動装備が多く何もせずとも生命樹を壊していける、それこそ深海棲艦なりたての奴でも姫クラスの戦力となる。

 

いやそんな装備は必要ない。既に姫クラスを超える化物のレ級は第一部隊を相手にしたとしても善戦するだろう。

悪魔でも好戦的過ぎて交渉等に向かないと言う観点から第一部隊に所属させてもらえず一番指揮が上手いヲ級直属の第二部隊に所属している。

姫級の所属しない部隊が第二戦力と呼ばれるのはレ級が居るからでもあり単体ならArcadia最高戦力と言っても過言では無い。

 

「あぁー変わった事起きねぇかなぁ…人類艦とでも戦って見るか…?」

 

「人類艦とは相性が悪いと思いますよレ級さん」

 

レ級のフードの脇から飛び出してきたのは白髪ツインテールの妖精だ。

 

「あぁ?俺様が倒せねぇ敵は居ねぇよ…エナも良く知ってるだろ?」

 

確かにレ級は強い、余りにも強すぎるがその分心に空きがある。

それこそが慢心だ、自分の力の絶対的自信から引き起こされるそれは相手の力を見誤る可能性がある。

単体だけなら幾ら不利と言えど人類艦にも勝てるかも知れないがそれが複数…一艦隊を相手にした場合間違えなく沈むのはレ級であろう。

 

「一人だけはオススメしませんよ、人類も私達(妖精)の力で艤装を作っている見たいですしね」

 

「…なんでそんなこと知ってんだ?南方にでも聞いたのか?」

 

「言ってませんでしたね。私達(妖精)の勢力は2つに分かれています、妖精王様とその配下、王を慕っていた者や人間が好きな者達は人類に付きそれ以外の妖精は深海側に付きました。」

 

「じゃあお前はその王とか言う奴が気に入らなかったのか?」

 

「はい、私聞いてしまったんですよ王様と人間が生命樹(知らない筈の敵)に付いて話している事を…」

 

「あぁ?知らない筈?なんでだ?ここまで勢力を拡大した生命樹の事は知ってても可笑しくねぇだろ?」

 

「いいえ、彼らは生命樹を深海棲艦だと思っているからこそ生命樹と言うワードが出るのがおかしいのです。もし知っていたとしたら私達深海棲艦にも攻撃する理由が分かりません」

 

「単に俺様達が邪魔なんじゃねぇのか?」

 

「…そうなんでしょうね、少なくとも妖精王はそれを知っていて人類を支援しているんです。深海棲艦を知っている私は貴方達を傷付けたくないからこちら(深海棲艦)側についたんですよ」

 

「そうなのかー、俺様は戦えればいいんだが」

 

「…適当ですね」

 

「暇だからなー」

 

「暇なんでしたら外に出てみたらどうでしょう?どうやら面白い方が来ている見たいですよ?」

 

「…面白い方?」

 

「はい、どうやら私のリア(姉様)と離島さんと一緒に居るみたいですね…」

 

「ククク…!離島…暇潰しに付き合ってくれるかなぁ?」

 

艤装が蛇のように動き出し叫びを上げる。

レ級は悪魔の様な笑みを浮かべていた。

 

エナは少々呆れ気味だがレ級がどんな深海棲艦か知っている、戦闘狂の彼女を止められるのは同じく力を持つ者のみ。

 

「本当に物好きですね…レ級さん」

 

「そうか?何もしない奴の方が俺様は物好きだと思うぜ?」

 

 

 

 

 

 

 




なんかずっと戦ってる気がする()


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レ級の暇潰し・後編

レ級ってカッコいいですよね
特にアーケードの尻尾のアクションに惚れました


「それじゃあ蓮君。この船を案内するわね…」

 

「貴方達は任せるわ、どうする?」

 

南方棲鬼は離島棲鬼とアルベルトがどう見ても嫌な顔をしていたからか付いてこいとは無理強いはしなかった。

 

「…私は暇だし行く」

「マジかよヲ級。俺はパス」

「私も少し休みたいわ…船酔いがッ…」

 

どうやらヲ級は付いてきてくれるようだがヲ級の頭からアルベルトは離れ甲板にペッタリとくっついてジタバタしている。

離島棲鬼はまさかの船酔い、甲板に突っ伏したまま動かない。

 

「はぁ、じゃあ行きましょうか」

「おー!!」

「…おー」

 

こうしてArcadia探検が始まったのだった。

 

 

 

 

 

____________________離島Side

 

 

…とんでもなく気持ち悪い。

船に慣れていないのが悪いのかもしれないが元々私は「離島基地」…。

海上を悠々自適に行動できる深海棲艦()とは違うのだ。

 

「本気で…吐きそう…」

 

「お前なんで船酔いするんだよ…絶対飯食ってたからだろ」

 

「だって…船…慣れてな…オェェ…」

 

喋る事すらキツイ。

胃の中の物全てをぶちまけてしまうかもしれない。

 

「マジでやめろ!ここで吐くな!!」

 

こちらに向かって歩いてくる人影が見える。

あぁ…お迎えが来たのか…

いつか…生まれ変わったら…静かな時代で…きっと…

 

「なんでもう大破してんだ離島?」

 

最悪だ。お迎えじゃなくレ級…だと?

正直私はレ級(コイツ)にいい思い出がない。

ゲームは壊されるわ寝てる私に主砲はぶち込むわで昔は大怪我を負ったこともある。

 

「なぁ暇なんだ、俺様の相手をしてくれよ」

「嫌よ…吐くわよ」

「どんな脅迫だよ」

 

実際脅迫じゃなくて事実だ、レ級は正直今の私よりも強い。そんな奴を相手にしたら全てをぶちまけて昇天するだろう…。

 

「本気で…やばいから…オェェ…」

 

「あー…別に大丈夫だろ。後で掃除手伝ってやるから」

 

「は?お前ふざけんなよ俺まで被害受けるんだよ」

 

絶対に動こうとしないアルベルトが反論する。

 

「…?アルベか。なんでヲ級居ないんだ?」

 

「蓮に…付いて…オェェ」

 

「…誰だよ蓮って」

 

「離島棲鬼が拾ってきた提督(仮)」

 

「提督…ねぇ…お前適性持ち見つけたのかよ?」

 

そう言えばチェックしてなかったわ。

妖精が見えると言う観点だけで選んじゃったけど…

 

「適性持ちかは…わから…ないわ…」

 

「適当なのか」

 

「そ…う」

 

「まぁやろうぜ」

 

レ級の艤装が展開される。流石に演習用の弾のようだがそんな衝撃食らったら間違えなく吐くだろう。

 

「いやだからここは辞めろって」

 

「てか…まず…戦わな…い…んだけど…」

 

「いや俺様は戦いたいから」

 

________駄目だコイツ話が通じない。

 

「はぁぁ…ったぁーく、分かったよ。じゃあ…」

 

「海なら問題ねぇなぁああああ!!」

 

レ級は私を掴み海へ放り投げた

空をクルクルと回りながら私は海へと落ちて行く

海面に打ち付けられた私は見事に胃の中の物を全てぶちまけた。

 

_____気分が悪い

 

「これで戦えるだろ?離島?」

 

ニヤニヤしながらこちらに向かってくるレ級。

 

_____少しばかりコイツには痛い目を見せてやらないと行けない

 

 

 

 

「えぇ…やってやるわよ…クソ野郎(レ級)…!!!」

 

「よっしゃぁ!…じゃあ行くぜぇぇええ!?」

 

 

 

 

_____Prototype…(新型艤装…)開放___

 




次回・戦闘回

*活動報告で今後の意見募集中です。


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レ級vs離島棲鬼

ぶっ壊れ棲艦は増えていきます(白目)


prototype(新型艤装)?その人類艦みたいな艤装がかぁ?確か…ナガトとか言う奴が使ってた砲に近いか?」

 

41センチ砲の事だろう。実際深海棲艦でこの規模の砲を持つ者はいるか居ないか程度だ。

まず間違えなく基地型である私達で搭載している者は居ないはずだ。

それをリアは簡単に作り自動防衛兵器へと改造した、下手をすれば戦艦クラスすらも慄くだろうそのシステムは私にでも手が負えない。

 

「まぁ俺様の敵ではねぇけどなぁぁあ!!!!」

 

だがレ級はそんな事は気にしない。

レ級は基本戦術である特攻を仕掛けてくる

前は艦載機を飛ばして相手の行動を抑制していたが現在(レ級)の艤装には搭載されていないらしい。

 

ー対象危険ラインまで到達。自動防衛システム起動しますー

 

自動防衛システム…その力を見せてもらおうかしら

どうせ精度は低いオチでしょうけどね。

 

「ケケケッ!最初から全砲門を俺様に向けるなんてなぁぁ!」

 

レ級の艤装が唸り声を上げ、口からばら撒かれたのは無数の魚雷だ。

奴の恐らしい所はその威力であり、かの雷撃戦のプロフェッショナルであるチ級が「ふざけんな」とキレた伝説を持つ。

 

ー迎撃開始します。チャージ完了、全砲門一斉掃射ー

 

爆音とともに全連装砲から砲撃が放たれレ級の魚雷を全て爆破させる

 

とてつもない衝撃がこちらを襲うが吹き飛ばされはせずにダメージすら追わない。

どうやらこの(ワンピース)の衝撃吸収率は今までの艤装を根本的に変えるレベルの様だ。

 

「思っていたより酷い能力してるわねこれ…、今までの艤装を根本的に否定しているじゃない」

 

「それで終わりか?なら俺様の番だなぁ!」

 

迎撃しただけで私の攻撃は出来ていないんだけども…

どうやら一方的に勝つ気らしい、新機能でも試しながら…飛ばしてやろう。

 

「うぉっ!?どっから撃たれた!?」

 

何も無い場所からの射撃…ステルス機だ。

不意打ちこそステルス機の力だがこちらも目視出来ないのは正直如何なものか。

 

「見えないなら壊せばいいだけだろ!!」

 

いやその理屈はおかしい。

何故200ものステルス機が今の砲撃で撃ち落とされた?

嗅覚とでも言うのだろうか?

 

「ざっと300…いや400か、お前なんで本部のアイツ(海月)くらい搭載してんだよ!?」

 

やはり数が見破られている様だ。

 

「リアが作ったのよ」

 

レ級はフードに止まっていたエナをつまみ上げながら呟く。

 

「…やっぱり意味ワカンねぇ装備作るなコイツら」

 

「本当に意味わからないわよね。新型無い貴方じゃキツイんじゃないかしら?」

 

「ただ俺様も新しい艤装はあるんだ。使いたくねぇだけでな」

 

「はぁ?…使いなさいよ。それともここで沈めて上げましょうか?」

 

「はぁぁ…俺様はこう言うの好きじゃ無いんだけどよぉ…エナ。例の奴」「はい!」

 

エナが元気よく返事をするとどこからとも無く二丁のハンドガンが現れる。

…これが艤装?どう見てもただの銃火器では…?

 

 

「それ艤装破壊するんであんまり乱用は…「だから使いたくなかったんだけどよお」

 

「…はぁ。」

 

艤装破壊…だから使いたくなかったのね

コイツはただ戦いたいだけだし敵の無力化なんて一番求めて無いでしょうし。

 

 

 

「まぁ…全力で避けろよ」

 

 

 

流石に三式弾は内蔵していなかったがフルオートで自動加速装置内蔵型と見る。

要するに魚雷なんかとは比べ物にならない速度でこちらを穿つだろう。

ならばこちらもその速度を超えれば良い。

 

 

「さて…見せてもらぁぁぁ!?」

 

回避は出来た。全弾回避は仕切ったんだが

 

「…何やってんだ」

 

 

思った以上に早すぎる、と言うか制御が効かない

曲がれないは水飛沫は収まらず視界は悪くなるはで最悪だ。

いくら反動ダメージは来なくとも制御出来なければただの深海魚雷そのものじゃないか。

 

 

「どこまで行くんだー?」

 

 

 

「とっ…止まれないのよぉぉぉぉぉ!!」

 

 

 

「あーだめみたいかー?」

 

 

 

「ダメに決まってるでしょおおおおおお!!」

 

 

 

「ダメかぁ…じゃあいってらー」

 

 

 

「覚えときなさいよぉおおおお!!」

 

 

 

 

「…どう考えても自爆だけどなアイツ(離島)

 

「うーん(リア)はとんでも無いもの作りますねぇ…私も学ばないと」

 

「…絶対あんな艤装作んなよな。作っても俺様には押し付けるな」

 

「えー?良いじゃ無いですかー」

 

「良くねぇよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

________________________________________

 

「…今何か通らなかったかい?」

 

「真っ白な何かがまっすぐ突っ込んでいったわ」

 

「はわわっまさか海の亡霊なのです!?」

 

「そんなの居る訳ないじゃない!さぁ早く任務を終わらせて帰るわよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




災難だよ離島ちゃん


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Arcadiaの失態

最近更新できなくて申し訳ありません…


「どこまで聞いたのか私にはわからないから最初から解説するわねぇ」

 

「助かる」

「…だいたいわかってるけど」

 

そりゃヲ級は分かっているだろう。Arcadiaに属しているのにArcadiaを知らない訳がない

 

「まずはこのArcadiaの出来た経緯…Arcadiaに所属する深海棲艦は何処かしらに欠陥があったり問題を抱えているのよ。…深海棲艦でありながら戦いを拒んだ者、魂の定着に失敗して通常の深海棲艦の人格とは全く違う者、元から身体が不自由な者や戦いで身体を欠損した者…そして指揮官が恐れた者達。……私達は本部を離れ理想郷(アルカディア)を作ったのよ」

 

「じゃあ南方棲鬼も…?」

 

「ご名答、私も右目の視力を完全に失っているわ」

 

彼女は前髪を振り払うと右目があったであろう部分が露わになる。

 

そこにあるはずの眼球は無く側の皮膚と同じく焼け爛れ、穴の空いた様になっていた。

 

「昔ヘマをしちゃってねぇ、修復も出来ないから作戦から外す…それが本部の見解だったわ」

 

修復が出来ない…?あの島で見つけた薬品の様なものは深海には存在しないのだろうか。

 

「戦闘の出来ない兵器なんて必要ない…完全に価値を失った私は独り海を彷徨ったわ」

 

「果ての果て、誰も行き着かない最果ての海で私は彼女にArcadiaに誘われた。彼女はArcadia第一部隊の旗艦にして深海本部の主力空母…今までにも類を見ない完全なる異端(イレギュラー)

 

「彼女は絶対的な力を持っていても後悔と不安だけは残っていた…やがてその不安は彼女の魂を2つに分断してしまったの」

 

「光と闇、2つに分かたれた魂は反発し合う。絶対にわかり合うことが出来ず、そして何処全てを巻き込んだ本当の魂を取り戻す為の戦いが始まる…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「筈だった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「彼女の魂達には後悔はもう残っていなかった。不安すらも失った彼女の魂はまた一つに戻る…事も無く2つに分断されたまま。ただ彼女の魂達は地上と深海に留まっている…」

 

「しかも彼女達は大変仲が良かった。同じ魂の為かは知らないけど何時でも何処でも片割れの現状を確認できる彼女達はすぐ連絡を取り合ってるの。」

 

「そう。深海側(私達)の情報は人類側に筒抜けで人類側の情報は深海側(私達)に全て入ってくるのよ」

 

「おそらく人類側はそれに気付いているのは少数だろうけどねぇ」

 

人類はザルなのか。

と言うか凄い作戦を考えるだけ無駄なのでは…?

…そう言えば支援を求めに行ったのは第一部隊って言ってた気が…

 

「それ支援を呼んだのバレない?」

 

「あっ」

 

「…気付いてなかったのか」

 

ヲ級は頭を抱え、南方棲鬼はあからさまに焦りだす。

 

「これ本部の場所ばれちゃったかも」

 

「なんの為に隠していたのかしらねぇ…」

 

「…バレたら?」

 

「うーん…連合艦隊が攻めてくるかも?」

 

 

 

 

 

_________駄目みたいです

 

 

 

 

「まっまぁ…大丈夫でしょう。多分…いや多分。」

 

「絶対駄目だろ」

 

「駄目だと思うから駄目なのよ!」

 

感情論、素晴らしい!

 

「とにかく彼女に誘われた私は魔改造された艤装を手渡された。それがArcadiaにいる妖精達が作った特殊装備の起源…つまり半分以上彼女のアイデアで作られたのがArcadia装備よ。」

 

「俺Arcadia装備見たことないからわかんないわ」

 

「…これとか」

 

ヲ級の対物ライフル。アルベルトの様な歯が並んだデザインをしたそのライフルもヲ級曰くArcadiaで作られた武器であるらしい。

 

「ただ戦いたくなくてここに来た者達もいる。だから私達は艦隊としてでは無くArcadiaとして動いている…この船も深海棲艦(私達)には必要ないんだけども施設代わりとして使っている訳よ。」

 

「…ただ戦いたくて本部を壊滅させかけてここに飛ばされた奴もいるけどねぇ」

 

とんでもない奴も居るらしい。

ソイツとはあんまり関わりたくないタイプだな…

 

「そうだ。離島棲鬼は?」

 

「離島ちゃんは……………多分言ってもわからないと思うわ。私も分からなかったもの」

 

「どういう事だ?」

 

「全部が異常すぎるのよ彼女。

 

「精神異常にしては発言能力もあるし戦闘能力もある。虚言癖だったとしたらそれくらいで本部が切り捨てる訳がない。基地型なのに海上で戦える事。そして何より…」

 

 

 

 

 

 

 

 

「彼処まで人類艦の動きを熟知している事。…まるで一度経験しているかの様に」

 

 

 

 

 

 

 



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大いなる戦争の起源

世界観紹介みたいな物なのかも…?



「それにしては引きこもってばかりだったしねぇ…陸上型の深海棲艦だから待機させたけど勝手に出撃して消息不明になったのが離島棲鬼よ」

 

それだけ聴くとロクでも無い奴だなぁ…

それでボロボロになって漂着したって事は恐らく何かに敗北したのだろう。

 

「そういえば生命樹っていつから現れて何故深海棲艦の真似をするんだ?」

 

「…確か5年前」

 

「そうよ、5年前突如として奴等は現れ数多の生命を喰らいその姿を真似て行動範囲を増やしていった。」

 

「…私達を真似出したのは…3年前だよね」

 

ヲ級は首を傾げながら指で数えだす。

南方棲鬼は頷き

 

「そう、本部が生命樹幹部…通称原初生命樹(セフィラ)に襲撃をされて深海棲艦の過半数を失ったあの時から奴等は私達を真似し出し…そして人類との戦争が始まった」

 

「戦争で私達は何人もの犠牲者を出したわ、7つの海域で建てられていた深海鎮守府が深海本部に纏められる程私達深海棲艦は少なくなってしまった」

 

どうやら深海棲艦の基地…鎮守府は元は7あったらしい。

それが一つに統合され、なお戦争は続いているとなるとやはり戦いは熾烈を極めているのだろう。

 

「そういえばセフィラは2人居たけど何人いるんだ?」

 

「確認されただけで10体…」

 

あんな化け物が10体もいるのか…

勝機が見えないが大丈夫なのか…?

 

「……ただあんな姿の原初生命樹(セフィラ)は見た事が無い…特異神化(if)って言ってたっけ」

 

炎を司るセフィラ、ゲブラー。奴は明らかに他の生命樹とは一線を画していた。船を一瞬で炎に包み込んだり瞬間移動すらも使用していた…

そして、ゲブラーがコクマーと呼ばれる個体を回収し奴が放った一言…if。

聞いたことが無い単語だったが…確かに生命樹の核心に迫れるかも知れない。

 

特異神化(if)ねぇ…確かに聞いた事は無いけど…」

 

「…南方棲鬼も知らないんじゃわからない」

 

「ただ…恐らく分かるであろう人物を知っているわ」

 

「なんだって…!?」

 

「第一部隊旗艦…彼女なら恐らくね」

 

いやだから誰だよ…

もうソイツだけで良いんじゃないのかな?

 

「後は…貴方()ならよく知って居るんじゃないかしら?」

 

不敵に笑う南方棲鬼、俺は確かに知っている。

全てを熟知しているのであれば彼女は生命樹の事も全て知っているんだろう。

最果ての島で出会った、提督としての俺にとっての始まり。

彼女なら…そうきっと…

 

 

 

 

____________離島棲鬼なら

 

 

 

 

 

 

 

 

_____________離島Side

 

 

制御が聞かない。緊急停止ボタンすらも機能していない

何かにぶつかれば艤装が破損して止まるかと思ったが自動迎撃が発動してしまい障害物を全て破壊してしまう。

何度か生命樹とも衝突仕掛けたが全て吹き飛んだ。

艤装から離れようにも他の深海艤装と同じく生体部分に直接リンクしている為無理に接続を解除すれば私が私じゃなくなる可能性もある。

…どう考えても詰みなのだ。

リアめ、とんでもない欠陥装備を渡しやがって…

それにレ級もレ級だ、アイツが戦おうなんて言わなければこんな目には遭わなかった。

 

 

…うだうだと御託を並べる時間は無い。このままでは私の今後にも関わるし生命樹どころか海の生物全てが滅びるだろう。取り敢えずどうするか考えなくてはならない。

 

連装砲を真下に放ちその衝撃で浮いて何処かの島に着陸するか?

いや無理だ。連装砲を下に向ける為に私が向きを変えたら海底に突撃し地球が轟沈する。

 

艤装に自分で砲撃を当てるか?

これも無理だ。連装砲はそこまで曲がることは無い。

 

急遽連絡を取って本部の連中に破壊してもらうか?

おそらく無理だ。私自体が破壊されるか迎撃され本部の主力艦隊が壊滅する

 

一周してArcadiaに突撃するか?

…迎撃に私の突撃を食らったら流石の「彼女」も轟沈するだろう。……辞めておこう。

 

リアに突撃すれば一石二鳥か?

彼女がいるのはArcadiaの船内だ。普通に他の被害の方が大きくなるのは見えている。

 

陸に突撃するか?

おそらく人類は滅びるだろう、その原因を作ったのは私でしたーとか縁起でもない、最悪だ。

上手く人類艦(艦娘)達が艤装を潰してくれたらどうにかなるかもしれないがおそらく彼女達が沈む。

 

…根源生命樹にぶつかるか?

あのバリアは深海本部の主力戦艦を用いても破壊出来なかった、ならば衝撃吸収のこの服で私は生き残り艤装は完璧に砕け散るのでは…?

 

 

「フフフ…私ながら完璧な作戦ね…」

 

 

根源生命樹(奴らのアジト)に特攻しよう。その後に私は全速力で泳げば大丈夫だ、うん。そう信じよう…

 

 

 

 

 

 

 

 




頑張れ離島ちゃん


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番外編・深き底の深海本部にて

唐突の番外編


ここは深き深き海の底にある深海鎮守府。

数多の艦の感情が渦巻き私達深海棲艦は生まれ落ちた。

 

全ては静かな海を守る為に。

 

全ては二度と過ちを侵さぬように。

 

…皆が笑いあえるそんな海が訪れるその時の為に。

 

その為に私達(深海棲艦)は戦い続ける…

 

 

 

______深海本部に提督が着任しました______

 

重い鉄のドアが開きドアの向こうから出てきた男は椅子に腰掛けた。

 

「さて…今日の予定と報告は?」

 

その男はアンデッドの様な見た目をし、豪勢な装飾が施された服を纏っている。

この人こそが滅ぼされかけた我ら深海棲艦を導いてきてくれたお方。

大体居ない為私達が指揮を取る方が多くなるが提督が居る時の海域防衛は失敗した事がない。

 

「今日のご予定は根源生命樹近海泊地からの使者との会談、その後新造艦の艦隊編成、最後に新型対生命樹用艤装及び対艦娘用艤装の配備についてお聞かせください。」

 

「ご報告は集積地棲姫からの苦情と戦艦棲姫及び重巡棲姫からの資金要請、駆逐棲姫及び北方棲姫より物資要請が届いております」

 

「苦情?…俺なんかやったかなぁ…」

 

「何やら昨年よりも使用資材の量が約62%増加しているらしくもっと節約しろとの事です」

 

「そんなに使ってたのか!?…調子に乗って建造や開発しまくってたからなぁ…すまなかったと伝えておく」

 

「戦艦棲姫及び重巡棲姫からの資金要請は何やら水着の購入費を経費にして欲しいとの事で…」

 

「嘘だろ?また水着パーティー《夏イベント》やる気なの?」

 

「らしいですね」

 

「前回資金壊れた事をご存知でない!?あの時はまだ鎮守府自体も動いてたにもかかわらず資金は底をついた…今は全員の資金を出すのは無理かなぁ」

 

「では資金援助は無しっと…」

 

「次に駆逐棲姫及び北方棲姫からの物資要請ですが…浮き輪が欲しいとの事です」

 

「即刻用意すると伝えろ」

 

「…資金援助は出来ないとの事では?」

 

「子供は別だぜ☆」

 

「…はぁ、わかりました」

 

ふざけている様に見えてもこのお方はいつも真面目である。

実際私達は何度も窮地をこの方に救われた。

 

「根源なんちゃら泊地って最前線に行きたいって志願した奴と自由に動きたいって言ってた奴が作った奴だっけ?」

 

「それと戦う事を拒んだ者達も居るはずです。」

 

「嘘ーん、なんで最前線に行ってるんだよぉ!?こっちの方が安全だろう?」

 

「確か彼処には現在の我々と同格…それ以上の戦力が集まっています。場所が場所ですが艦娘が近付かない事を考えれば安全なのかもしれません…それに「彼女」は移動型の泊地です。彼女がいる限り問題ないでしょう」

 

なるほど、と提督は頷き書類にメモをする。

辞書10冊以上の厚みがあった書類はもう残り1枚となっていた。

最後の書類に手を掛けていた提督は手を止め私に声をかけてきた。

 

「…そういや水姫もなんか欲しいものとかないのか?」

 

「…私ですか?」

 

「そうそう。長い間秘書やってもらってるしなんでも買ってやるけど」

 

大体こういう時は提督自身がお金を出してくれている。

ただ兵器である私達に何故そんな事をしてくれるのか私は分からない。

 

「そうですね…ぱふぇとか言うのを食べて見たいです。」

 

「パフェなぁ!良いなぁ俺も食いたいわ!じゃあ食堂行ってみるかッ!」

 

「いや…私が確認した時はそんな物ありませんでしたよ…?話を聞いたのも深海鶴棲姫からですし」

 

「あー鶴棲姫(瑞鶴)か。アイツ良く陸に行ってるからなぁ…まぁ今回はアテがあるからな安心しろ」

 

「アテ…?」

 

 

提督はガッツポーズをこちらにし笑みを浮かべていた。

 

「あぁ、レシピを聞いておいたからなぁ…もう伝達済みなんだよ…!」

 

 

____________________

 

 

執務室を出て食堂に着くと今は誰もいない。

海域防衛に出ていたりただ買い物に行ったりしている者がほとんどだからだろうか。

 

「どうした提督。まだ昼時では無いが…」

 

声を掛けてきたのは厨房からこちらに手を振る中間棲姫だ。

ここの食堂の料理長で彼女が作る料理は和食も洋食も中華もなんでも美味しい。

…ただ自分が食べる量基準なのか全てのメニューが大盛りなのは気にしてはならない。

 

「おー中間、頼んでいた物…出来たか?」

 

「アレか?…あぁ完成したぞ。これで良いのかはわからんが」

 

「よっし!それ二つ頼むわ」

 

「わかった、少し待っていろ」

 

 

乱暴に椅子に腰掛ける提督は中間棲姫が差し出した紙コップの水を全て飲み干し机に置く。

中間棲姫はパフェの準備をしているらしくゴソゴソと冷蔵庫を漁っていた。

 

「さって話でもして待ってようぜ〜」

 

「話…でしょうか」

 

「おう、俺が居なかった時の事も聞きたいしなぁ…で?生命樹の正体と目的は分かったのか?」

 

「…いいえ、何故我々の姿を真似るのか…それに我々以外の生物を全て真似る理由…我々が名付けた生命樹と言うコードネームに対応する原初生命樹(セフィラ)。全てが謎に包まれています」

 

「俺達の名付けた名前に対応するってなぁ…名前気に入ったとか?」

 

「…そんな単純な物なのでしょうかね」

 

「単純でしょー、だって俺らも単純な生き物じゃん。ただ海を守りたい…それだけだろ?」

 

「…恨みや執着心、闘争心で動いてる者も少なからず居ますが」

 

「あっそれは別。例外でしょそんなのー」

 

「そうですか」

 

「あっ適当だな?分かるぞ〜俺分かっちゃうぞ!!」

 

「提督がいない間に原初生命樹一体の撃破に成功。それに姫級生命樹の言語パターン解析を行なっておりました。」

 

「話変えるの上手いな…んん…?原初生命樹一体の撃破に成功…!?」

 

「はい、生命樹識別個体ケテルの討伐を第一主力連合艦隊及び第ニ、第三連合艦隊の一斉攻撃により成功、根源生命樹の根を破壊する事に成功しております」

 

「やるじゃん!って言いたいけどその艦隊運用は資材が悲惨な事に…」

 

「…実際倉庫はスッカラカンです」

 

「終わったわどうすんの?…………資材使い過ぎの原因ってそれもあるだろ」

 

「あっバレました?」

 

「なんて事をッ…!!」

 

「…話を戻すが根が落ちたと言ったよな?原初生命樹を倒せば根源生命樹は消えるのか?」

 

「推測ですが恐らくそうでしょう、10本の巨大な根が海を覆っていましたが現在は8本…ケテル討伐後に一つの根は崩れ落ちていきました。潜水棲姫率いる回収部隊にサンプルを持ち帰らせた所…生体活動が完全停止しており生命を吸い上げていた根とは思えないほどの物にまで枯れておりました。」

 

「後でそのサンプル見せてよ。…そろそろ出来たっぽいよ」

 

提督が厨房の方を見るとドヤ顔でグッドポーズを取る中間棲姫が居た。

手元のあるのは馬鹿でかいパフェが2つ、どうやら完成したらしい

 

「さぁ完成だ、深海甘味パフェprototype…味合うがいい」

 

「一応試作品なのね」

 

「私は本物を食べた事がないからな」

 

「俺もだけどな。審査は鶴棲姫(瑞鶴)にやらせようぜ〜」

 

「アイツが提督にレシピを渡したのか?」

 

「食べたい買ってきてって行ったら持って帰れる物じゃない。レシピは知ってるから作ってみなよって言われて今に至る」

 

「まぁ確かにこれは深海本部(ここまで)持ち帰れないな…」

 

デカンタワインが入るであろう器の中に大量のクリームソースが入っており、ソースの中に沈められている果物が外から少しだけ見える。中には味の違うアイスクリームが約10個…その上には数種類もの果物が器の縁ギリギリまで積み重ねられその上に2色のソフトクリームが重ねられており深海猫艦戦が……んん!?

 

「なんで深海猫艦戦(これ)乗ってるんだ?」

 

「それは白玉だ。抹茶アイスを使ったのに無いのは個人的に許されない」

 

何故白玉を艦戦デザインにしたのか。

ところで中間棲姫が一番好きなアイスは?

A.抹茶。

 

彼女がオススメしているドリンクも抹茶ラテであり、抹茶が万能調味料だと信じて止まない中間棲姫。彼女作の抹茶チョコレートはリピーターが数多く存在する。

ただ何でもかんでも抹茶塗れにするのはやめていただきたい。

 

「そういえば今日は遠征に出ていた者達も帰ってくる日か…パフェ、出してみるか」

 

「この量はまずいんじゃないかな?」

 

「何を言う提督、満足に食べなければ戦場で支障を来す可能性もある…食事こそ戦争では必要不可欠なのだ!」

 

うん、確かに正論である。

だけれども…

 

「いやこんな量食べるのお前だけだろ」

 

「なん…だと…?」

 

後退りをする中間棲姫。

 

「いや気づいてなかったんかい」

 

「言うて私も食べられますけどね」

 

「ええ…水姫ちゃんいけちゃうクチ?俺は無理無理…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




本部の方が平和


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防壁に弾かれて

…ううむ無闇に解説しまくり過ぎたかもしれない
めちゃくちゃ更新遅れて申し訳ありません。


アルベルト「忘れられてるな俺」



ガキィィィィィン!!

 

虹色の防壁が私の艤装を弾き飛ばす。

根源生命樹近海最終防壁(ギミック解除が必要な侵入不可能エリア)をもってしても破壊しきれない艤装ってもう不具合(チート)

ただ艤装による自動加速(意味不明なスピードの爆走)が止まった為このまま着地すればどうにかなる。

 

 

そして私は心に誓おう。

もう二度とこのボタンを押すものか…

 

 

しかしここから見る限り防壁内には原初生命樹は一人も配備されていないようだ。本拠地だと言うのにこんなに警備が薄くて大丈夫なのかと不安になるが捕食した生命の知能を真似して行動するのが生命樹と確認されているならば防衛知能を持たない個体もいるのは確かだ。

 

…ここから私達(深海棲艦)を模造した個体が見えなければこの説は当たっていただろうね。

防壁外、その奥の島にはどうやら生命樹達の泊地が作られているらしい。無数もの目玉がついたような気色の悪いデザインの塔が立っており空母型模造式生命樹らしき存在が確認できた。

 

そうなると生命樹でも中には入れないのかそれとも何か理由があって防衛をしていないのか防衛に頼り切っているのか…

 

ただ【運命】というシナリオから外れたならどんな手段を用いるかはわからない、私は何度もそう言う存在(艦娘)を見てきたが知りうる限りこの世界でそれが出来るのは彼女らだけだった筈。…ならば私が警戒すべきはゲブラーただ一人であろう。生命樹でありながら艦娘と同等の改変能力を保有する世界の常識外の存在。

 

それに深海本部の秘書艦(正体不明の深海棲艦)。なぜか私以外は誰もが昔から居たように接していた。

ましてや本部に司令官なんて居なかったのだ、急に現れた骸骨(提督)は深海棲艦の指揮を取り始め、そして長い戦争の歴史すらも忘れられた(書き換えられた)

世界を根本から変えるような歴史改変(アップデート)は今までは行われていなかった。

 

…私ではどうにもならない何かが起きている、恐らくはこの改変に気づいているのは私だけ。

どうにかする為にはアイツ()の力が必要となる。

 

 

皮肉な物ね、人の力を否定した私達(深海棲艦)が人の力に頼らなければ世界を救うこともできない。

 

心の何処かで何度も私はこの世界でいいと思ってしまっていた。

終わらない戦争(苦しみ)から開放される方法が生まれたからだ。

戦争を拒んだ者達の救済措置である生命樹…残された者にとっては悲劇でしかないが本人にとっては安寧唯一の安寧である(終わり)が訪れる。

 

 

____________ただ、そんな世界で本当に良いのだろうか?

 

 

 

____________何か解決策があるんじゃないのか?

 

 

 

そんな事を考えていた為か私は海面に叩きつけられたが艤装のお陰でダメージは無い、後は戻るだけだ。

 

 

 

 

 

「…これ戻れなくない?」

 

 

 

……近海とか言っておいて近海じゃない根源生命樹からArcadiaまで帰還するのはかなり骨が折れそうだ。

 

 

 

一体何時になれば帰ることが出来るだろうか…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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次回更新で投票終了予定です。
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深海の理想郷

色々ありました。長い間更新せず申し訳ございませんでした。


「お前、やり過ぎだろ」

 

「ケケッ、俺様は楽しかったぞ」

 

無邪気に笑うレ級、呆れ気味のアルベルトは深い溜息を吐く。

離島棲鬼との戦闘により少なからずダメージを受けていたレ級、回復手段の存在しないArkadiaでは微量なダメージでも命取りとなりもしレ級を失えば生命樹や人類の艦隊に勝利する事も困難となる。だから模擬戦と言う形を取らせていた南方棲鬼だったが今回の件は完全にレ級の独断行動である、戦闘狂のレ級が行えば実弾演習となるのも無理はないだろう。

深海本部でも修復にはとてつもない時間を有し、建造した方が早いなんてよく言われている。だからこそ主力艦隊以外は破損すれば破棄、もしくは解体となり新しく建造される。その繰り返しが深海棲艦のやり方であり資材が底を尽きるのも時間の問題だろう。

 

「離島棲鬼帰ってこなぇな〜」

 

「まずアイツ(離島棲鬼)は水上艦じゃないからな。まずそこから可笑しいんだよ」

 

「そういや他の離島棲鬼は引きこもってるよな、なんでアイツだけあんなに動き回ってんだ?」

 

「水陸両用艤装の開発を進めたのは本部の連中だったが…しかし俺が知る限りあの艤装を搭載したのは離島棲鬼だけだ」

 

それは大規模なプロジェクトだった。大規模な予算を使い陸上艦を水上でも機動出来るようにする新型艤装。

かの深海主力艦隊旗艦(姫君)も関わっていたとされ集められた資材の半数を使ったらしい。

ここまで大規模なプロジェクトだったのにも関わらず搭載されたのは離島棲鬼ただ一人のみだ。問題があった訳でもなくコストの問題でも無い。

ここまで来ると本部には機密事項(どうしても隠さなければいけない事)があるのでは無いだろうか。

 

「良いなぁ〜俺様も専用艤装が欲しいぜ〜」

 

「…お前は陸上艦じゃ無いからありえないな」

 

「俺様は諦めないぞ!いつかこの海の頂点に立つ!」

 

「…それは良かった良かった。早く帰ってこねぇかなヲ級」

 

正直レ級と居るだけで心が休まらない。原初生命樹との戦闘後なんだ、少しくらい休んでも良いだろう。

俺は失敗したかも知れない、もしこんな面倒な目にあうのであればヲ級の頭の上で居眠りしていた方がまだマシだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_____________蓮side

 

 

 

「ここが最後の部屋よ、このArkadiaの司令室になるわ」

 

南方棲鬼に案内された最後の部屋。大量のモニターが壁に備え付けられておりArkadia船内の様々な場所を映し出している。

この部屋はArkadiaの装飾にも使われていた人の歯のようなものが椅子やテーブルなどに使われている。他の部屋では普通の生活用品が使われていたからこそ不気味さが増していた。

それどころかノイズのような歪な音が微かに聞こえてくる。意識しなければ問題ないが正直頭痛がするような音だ。

ヲ級はどうやら眠いらしい。部屋を巡っているうちに口数が減って行き今では今にも閉じそうな目を擦りながら俺の裾を掴み付いてきている、戦いの疲労から来る睡魔かそれともただ眠る時間なのか。

 

「Arkadiaの紹介はここまでね、何か聞きたい事があるかしら?」

 

南方棲鬼が歯型の椅子に腰掛ける。

そういえばあの日記帳に書いてある事を聞いてみるとしよう

 

「ここに人間達が来たことってあるのか?」

 

「何度もあるわよ。陸から資材は送ってもらってるしね」

 

「…人類艦と敵対しているんじゃ?」

 

「確かにそうね、ただ今の御時世、人間達が海を渡り他の国に行く事なんて不可能よ。生命樹に喰われるのがうち…だから私達と貿易する人間達も少なくはないって事」

 

 

人類艦とは争っているのに人類とは友好関係を気付いている?

この世界では深海棲艦が人類を脅かす存在としては広まっておらず、交易ができる。

ただし人類艦と呼ばれる存在は容赦なく深海棲艦を沈めていく。

人類が運用しているのならそれは余りにも不思議な行為だ。自らの交易相手を減らすような事をするのだろうか?

 

 

「…変な話だな」

 

 

 

 

 

 




アンケートご協力ありがとうございました。

同じ世界観を持った完全日常作品を別に作る
第一回深海人気アンケートを取る
の二つに決定致しました。

上記の完全日常作品は随時更新予定です。一話の投稿後作品名の変更と共にあらすじにリンクを貼らさせて頂きます。

第1回深海人気アンケートにつきましては番外編として行います。
少しの設定とともにお送りいたしますのでどうぞよろしくお願い致します。


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番外編・第一回深海人気アンケート

待望の第一回目。
見事一位となったキャラは専用番外編が作られます!!


注意
この番外編だけ台本形式です。
メタ要素注意


深海提督「どうも皆様、本日は司会を務めさせて頂きます深海提督です」

 

水姫「同じく司会を務めさせて頂きます。名前はまだ出せないので秘密水姫と名乗って行きます」

 

深海提督「いやーやって参りましたね第一回深海人気アンケート。第0回では私の圧勝で無事殿堂入りを…え?余計な嘘は要らない?あぁすいませんね」

 

水姫「何言ってるんですか提督」

 

深海提督「さて今回の人気投票はArkadia、離島泊地の深海棲艦に絞っての投票となります。まぁ(生命樹)に投票されたら色々マズイしね」

 

水姫「…話ズラしましたね」

 

深海提督「エントリーナンバー1番はこの方!」「離島棲鬼ィィィ!!」

 

深海提督「色々抱えてそうな二人目の主人公!すでにチートを手に入れている王道!蓮君の初期艦にしてぶっ壊れぇぇ!今後も一線級の活躍は見込まれるぅぅ!蓮君も応援しているぞ目指せ一位だってよぉ!」

 

離島棲鬼「一応主人公扱い…まぁ良いでしょう」

 

水姫「正直出番は確約されてますよね離島棲鬼」

 

深海提督「続いてエントリーナンバー2番はこの方!」「ヲ級ゥゥゥゥ!!」

 

深海提督「喋る艤装を付けた深海のアイドル!仲間投票では大きな差をつけての勝利を得たが今回の人気投票でも一位になるかぁ!?」

 

ヲ級「…頑張る」

 

水姫「スナイパーライフルとか憧れます」

 

深海提督「まだまだ続くぞ!エントリーナンバー3番はこの方!」「レ級ゥゥゥ!!」

 

深海提督「一人でArkadiaの最高戦力並みの戦闘能力を持つが残念ながら戦闘狂の問題児!強さも人気も一位なのかぁ!!」

 

レ級「俺様は投票なんて興味ねぇけどなぁ」

 

水姫「本部の最高戦力とはどのくらいの勝負をするんでしょうか」

 

深海提督「今投票のダークホース!エントリーナンバー4番!」「イ級ゥゥゥゥゥゥ!!!」

 

深海提督「生命樹に化けられてたり番外編しか出てなかったり散々な扱いを受けているが見返せるのかぁ!?」

 

イ級「…(酷くない?)」

 

水姫「可愛いと思うんですけどねぇ」

 

深海提督「まだまだ謎の多い解説役ゥ!エントリーナンバー5番!」「南方棲鬼ィィィ!!」

 

深海提督「Arkadiaの纏め役にして解説役ゥゥゥゥゥゥ!世界観解説役だよ完全に!」

 

南方棲鬼「確かに解説ばかりしてる気がするわねぇ」

 

水姫「いつか思いっきりシリアスしてくれるかもです」

 

深海提督「最後にエントリーナンバー6番!まさかのエントリーィィィ!」「アルベルトォォォォ!」

 

アルベルト「は?」

 

深海提督「まさかのヲ級とは別々にエントリーだぁ!!これは分からなくなってキタァ!」

 

アルベルト「いやいやエントリーした覚えがないから」

 

水姫「正直離島棲鬼よりイレギュラーしてますよね」

 

深海提督「以上6名から二票まで選んで投票してくれ!投票方法は簡単!キャラ名を書いてそのキャラに何表入れるかをここの感想に入れてくれ!」

 

深海提督「他の場所に書かれた感想ではカウントされないから注意が必要だな」

 

水姫「ただ感想が欲しいだけですねこれ」

 

 

 

 

 

 

 

 

ファン用裏ステ

第25話までのステータス

離島棲鬼

lv?

耐久 450/450

 

深海妖精試作41超連装砲

深海ステルス艦戦 markⅡ 350

深海ステルス艦爆 markⅡ 350

深海自動迎撃MarcⅢ

特殊変換艤装

 

自称書き換わる前の世界を知る者。服の修理は終わっておらず今はワンピースに似た服を着用している。

陸上基地なのにも関わらず水上艦レベルの戦闘を繰り広げたり、刀を使ったり連装砲をぶちかましたりと一番めちゃくちゃなキャラかも知れない。

本当の主人公

 

 

ヲ級

lv13

耐久76/96

 

深海対物ライフル 丙-四式改 12

5inch連装砲

 

アルベルト

lv13

深海棲艦戦 MarkⅡ 0

深海棲艦攻 MarkⅡ 0

 

Arkadia所属空母、異例の喋る艤装を装備し戦場を駆ける。

自作の対物ライフルによる後方支援を可能にしている。アルベルトは他のヲ級には定着しないらしい。

深刻なボーキサイト不足により艦載機が搭載されていない状況。

 

レ級

lv57

耐久 245/360

 

16inch三連装砲

12.5inch連装副砲

深海烏賊魚雷

飛び魚艦爆 0

 

現段階最強レベルの戦闘能力を持った戦闘狂。何度も人類艦と殺し合っており彼女らの退け方を熟知している。

Arkadiaには入渠施設がない為ダメージは受けたまま。

自らの意思で艦載機を取り外した。本人曰く「俺様が戦えない」

 

南方棲鬼

lv85

耐久 ???

 

???

???

???

???

 

Arkadiaの纏め役。Arkadiaのリーダーや深海本部の提督とは面識がある

戦闘能力については未知数。ただしレ級に気に入られている。

戦闘で片目を失っているが入渠施設がない為回復手段はない。

 

 

 

生命樹

ケセド 残りゲージ5/5

コクマー 残りゲージ 3/5

ゲブラー 残りゲージ1/5

 

根源生命樹ギミック解除まで

0/10

 

 

 

 

 

 

 




要約すると
・一人2票まで好きなキャラに投票できます
・一人につき2票でもいいし二人に1票ずつでも可
・この番外編以外の感想に投票コメントをしてもカウントされません
・一位のキャラは番外編が作られます


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彼女に会えるのは1ヶ月後!

イベントキツスギィ!


「おまたせしました!」

 

この声の主はリアだ、離島棲鬼と一緒に居たはずの彼女は同じくらいの大きさの妖精達を連れてここに来た。

手に持っているのは…深海鉱鋼に水色の液体の入った試験管。

…保管しておいた残り3本の一つ、離島棲鬼の怪我を治した不思議な液体だ。

 

「なんでそれ持ってるんだよ」

 

「いやぁ大破状態で死にかけだった深海棲艦を修復出来る液体なんて増やさなきゃ意味が無いじゃないですか、手土産に複製準備をしておいたんですよ」

 

深海鉱鋼からはいつもの如く赤い液体が流れ出している。錆びついた金属の臭いが辺りに立ち込めるがそれは複製が完了したと言う合図だろう。

 

「じゃあ試してみましょう、小破状態の南方さんが最適でしょう」

 

南方棲鬼は溢れ出す液体を飲んだが離島棲鬼の様な回復は得られないらしい。

一向に潰れた片目が修復する様子はない。

 

「…ダメ見たいよ?」

 

リアは手元の時計を確認すると後ろの妖精にその時計を見せる。

そしてその妖精は現在の時刻をメモし、+20と追記した。

 

「20時間後に治ります。すぐに修復する物ではないんですよこれ」

 

離島棲鬼も一日かかったのだ、それでも20時間はかかっていなかったし個体差があるのだろうか?

 

「取り敢えずこれは置いて行きます、怪我を負った人達に使えば時間経過で治って行くはずです」

 

「こんな物何処で入手したの?本部にも回復手段はないでしょう?」

 

「変な離島です、恐らく艦娘用の試作品でしょうね」

 

「…そう言う事ね」

 

南方棲鬼は何やら納得したようだが俺は何も納得出来ていない。敵対する筈の艦娘達用の試作品で何故深海棲艦の傷を治す事が出来るのだろうか?

 

「じゃあ提督、戻りましょうか」

 

「え?俺の彼女が帰ってくるまでここに居るんじゃ無いの?」

 

「そんな事してたらあの島沈みますよ」

 

「なんで待ってると島が沈むんだよ…」

 

「この修復材を持ち込めるだけ持ち込んだ深海鉱鋼で複製しているんですよあの廃墟で…建造技術が無い我々は回復手段があるのだから使いましょうと言う事で。」

 

「それ水浸しになるよな彼処」

 

「はい。早く帰らないと島が沈みます」

 

やってくれたなリア、大惨事がもう見える見える。

どうせ想定外で増えすぎてる落ちだ。もう島が沈んでいるとか普通に笑えないからやめて欲しいが…

 

「って事でまた来ますね南方さん、ヲ級さん」

 

「…私は付いていく、ここじゃあ艦載機が補充されないからアルベルトがやる気を出さない」

 

「まじ?」

 

ヲ級さん着いてくるんですか?遠距離支援が増えるのはとても嬉しい。

それに清掃は人数が多い方が楽だ、二人でなんて作業が終わるわけが無いし手伝わせよう。

 

「…またArkadiaの戦力が減ってくわねぇ」

 

南方棲鬼は肩を落とす。優秀なスナイパーが別のところに行きますなんて言われたらそうなる気持ちもわかる

ましてや戦闘員が少ないらしいArkadiaじゃかなりの痛手なのだろう。

が心を鬼にして連れて行こう。こちらも離島棲鬼だけに頼りっぱなしは本当に不味い。

 

「じゃあ離島さん呼びますね、あの艤装に携帯擬き…連絡ツール付けておいたので」

 

リアは手に持った携帯のような物を使い電話をかける。

いやどう見てもただの携帯だし用途も携帯そのものじゃないか…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

___________離島side

 

 

 

 

 

 

軽快な音が鳴り響く、小さい液晶がついた物から音が鳴っているのに気がついたので押せと書いてあるボタンを押してみる。これで加速したらリアは燃やそう…それがいい。

 

 

「もしもし離島さん?今何処にいます?」

 

声の主はリアだ、まさかの連絡ツールがこんな小さな端末だとは…

 

「…根源生命樹周辺」

 

「え?甲板じゃないんですか?」

 

「レ級に絡まれてこのザマよ、あんたの作った欠陥艤装のせいでこんな場所までたどり着いたし」

 

「あーすいません、ブレーキ付け忘れました…」

 

「すいませんじゃ無いわよ…普通に死にかけたんだけど?」

 

「後で修理します、ごめんなさい!」

 

「はぁ…で?場所を聞いて何をしようとしていたの?」

 

「今からあの離島に帰ります、離島さんが根源生命樹周辺に居るなら恐らくそのまま離島に向かってもらった方が早いですね!」

 

「は?」

 

「じゃあ離島で落ち合いましょう!それでは!」「ちょっと待ちなさい!」

 

…切りやがった。私はそのまま離島に向かえと?

散々な目に合ってる気しかし無いしこの新型艤装はオーバーヒート寸前。

艤装ちゃんはミニチュアサイズだし停止したら泳いで帰らないと行けない。

 

 

 

 

 

「私の扱いが酷くない?」

 

 

 

 

 

 




毎日投稿してた時代が懐かしい。もうガバガバ不定期投稿になってしまった…


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星が降る夜に

実質一章終了です。
番外編じゃ無い番外編?


私は夢を見たかったんだ、誰もが苦しまない平和な海で皆が笑いあえるそんな時代で生きたかった。

ちっぽけな事で起きた戦争は大切な物を全て掻っ攫って。まるでそんな物は元から無かった見たいに。

誰もが必死に戦った、戦争で仲間を失ったとしても止まれない。

永遠に終わらない戦争は少しづつ私の心を憎しみで染めていく。

 

目の前に広がっていたのは正しく地獄、平和だった筈の海はまるで死んでいった物達の血で染まったように赤く、赤く、赤く染まっていった。

私も仲間を守る為に必死だったんだ。

一体、何百の命を海底に沈めた事だろうか。

今でもその感覚はこの手に深く根付いて離れない。

傷つけ合う事でしか分かり合えないなんて間違っている。

 

だけど皆は死んでしまった。

皆グチャグチャのなって死んじゃった、私が弱かったから死んじゃった。

私は何も守れない、誰一人この汚れた手じゃ守る事なんて出来やしない。

絶望に打ちひしがれる私は今まで私がやって来たように貫かれ皆と同じく爆発して死んだ。

別にこんな地獄に未練があるわけじゃ無かった、なんなら早く死んで皆に謝りたかったんだ。

初めてこの戦争で私は感謝した、ようやく死ねるこれで終わりなんだって。

 

 

気付くとそこは海ではなく何処かの建物の中だった。

私は悪夢を見ていたらしい、私は国を守る為に戦争に参加する事になった。

建物の中であった人達も同じく戦争に参加して国を守る人達だった、皆優しくて心の底から笑いあえる。そんな毎日を過ごしていた。

だけど私達がやっているのは戦争だ、ずっと一緒に居てくれた人が目の前で死んだ。

遺体すら回収できない海の底へと沈んでいった

私が気づかなかったから、私が弱くて守れなかったから。

それでも戦火は止まらない。ずっと必死になって戦って、誰一人としてこの手じゃ救えなくて。

やっとの思いで敵を倒した私は皆が守りたかった国に帰る事にした。

だけど皆が命をかけて守った物は余りにも儚く、脆いものだった。

私が帰還した時には何も無かったんだ、誰一人生きていなかった。

皆が託してくれた物すら守れなかった私は生き残っていた敵に殺された、死んでいった皆と同じく海の底へと沈んでいった。

 

 

目が醒めるとかつての仲間達がいた。かつてと言うのは可笑しいか。少し寝すぎてしまったようだ。

平和な海で私達は平和に暮らしていた、戦争が始まるまでは。

仲の良かった友達も死んでいった。それこそ地獄と言っても差し支えのない様な光景だ

私は必死に戦った、これ以上皆を死なせたくないから敵を沈めていった。

中には命乞いをする者も居たのに私は躊躇なく殺していった。だって私の友達の時だって容赦なく殺されたんだから。

きっとバチが当たったんだろう、守りたかった物は何も残らず私を殺してくれる者も居なくなってしまった。

だから自分で自分を撃ったんだ。皆の元に還りたかったから、自分で命を絶ったんだ。

 

 

気づいたら皆生きていた、いや生きているのが普通なのか。嫌な夢を見てしまった。

皆で他愛も無い話で盛り上がって、楽しい毎日だった。

でも戦争は起きてしまった。痛い、痛い、痛い。幾ら助けを求めても戦争は終わらない。

だから殺した。皆を守りたかったから殺した。でも私はバカだから相手の作戦に気づかなかった。

私が敵の首を取った時にはもう守りたかった物は何も無かった、いや守れなかったんじゃない。守らなかったんだ。

私はバカだ、罪の償いをする為にまた殺して回れば憎しみの連鎖は続いていく。そんな事にも気づかないんだから。

誰も居なくなった世界で私は首を切った。自分で首を落としたんだ。

その方が楽だ、もうこんな世界はこりごりなんだから……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目が醒めるとそこには仲間達が……

 

………ようやくわかった。この世界は無限に繰り返している見たいだ。

殺して殺して殺して。死んで死んで死んで。でも終わりはない。永遠に終わらない。

 

こんな世界壊れて仕舞えばいい、私はそうお星様に願ったんだ。

どんなに必死に頑張っても何も守れず、そして積み重なるのは憎しみだけ。

そんな世界に価値なんか無い、皆壊れて仕舞えばいい。

 

私の願いが届いたのだろうか。

私の姿は変わっていた。地獄に住む鬼の様な姿になった私は戦争を止める唯一の手段を行なった。

 

世界の破壊だ、私の力ならこんな世界を壊してしまう事なんて簡単な事。

壊れて壊れて壊れて、落ちて落ちて落ちて。ようやく終わる、皆解放される。

 

でもよく考えてみたらわかる筈だよね。

自分達が作った世界を破壊しようとするバグ(イレギュラー)を見つけたらどうすればいい?

世界を守りたい神は私の存在を無に消そうとした訳だ。いやぁ賢いね、真実にたどり着いた者を生かしておくわけには行かないから。

 

だけど私の力は世界を壊し切れた。神の力は憎悪に敗れたんだ。

ようやく_____解放される。

 

 

これで物語は終わり。

皆平和に生きていける静かな世界になる様に、壊れゆく世界で最後まで輝き続けたお星様に一人の少女は願いましたとさ。

 

「いつの日か…皆と…」

 

 

「静かな…静かな時代で…きっと…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_____________出会えますように




作者は星に願いました。

更新遅れまくりませんように


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温泉作り 1章

秋イベきっついきっついきっつい!!
いやーバケツ壊れちゃ〜う!!
長らく更新出来ず申し訳ありませんでした。
【報告】過去の話を大幅に変更するかも知れません。


「長らくの船旅お疲れ様でした!」

 

「……ついたよ」

ヲ級に揺らされて目覚める、どうやら俺は寝てしまって居たらしい。

目の前にはいつもの離島が……ん?

大きなヤシの木よりも高く高く上がる水飛沫。

この先は…拠点にする予定だった建物のある方向じゃないか?

 

「あー…やっぱり増えすぎてましたね……」

 

「なんじゃありゃ!?」

 

「修復剤ですよ、建物地下で増やしていたんですが…増えすぎましたね」

 

例の試験薬…修復剤がキャパオーバーで爆発したらしい。

確かに大怪我を負っても後3回しか治らないのはかなり痛かった。

だがあれではまるで温泉、離島棲鬼(あの時)の用にかけたり飲ませたりと言う事はどう考えても出来ないじゃないか?

それに拠点としていた建物も水圧で破壊されている。

大惨事だ、離島棲鬼が見たら間違えなく怒る。

 

「どうすんだよこれ」

 

「仕方ありません…人間達の方式を取り、同じくお風呂にしましょう!」

 

それしか無いとは思っていたが本当にそうするのか…いや風呂だけ作っても寝床もない島で生活しろというのか?

深海鋼鋼をいかに上手く使えるかが勝負になりそうだ。

 

「さぁ皆さん!温泉制作作戦開始です!」

 

「おー」「風呂は命の選択だ」

 

リアの掛け声と共に温泉と言う聞いたことの無い施設に目を輝かせるヲ級。ヲ級の頭で風呂について語りだしたアルベルト。

ハチャメチャな状況だが奇妙な温泉製作所作戦開始の合図になるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_________離島side

 

 

 

「流石にふざけ過ぎよ…ロクな目に合ってないわ」

 

Arcadiaではレ級に殺され掛けるし、意味のわからない欠陥艤装のせいでボス海域手前(生命樹防壁)に吹き飛ばされた上帰ったら置いてかれるし…私に対する扱いがひど過ぎる。

ナニも良くない、何がイイデショウだ。こんな所に放置しないでくれ。

それに原初生命樹(ゲージボス)が2体同時に出てくるとか世界の(システム)を大幅に無視している。いやいやふざけんな。

へ?私は人の事言えないだろって?ちゃんとルールは守ってる。今までの経験から艦娘の攻撃は全部見切れるし生命樹に対する弱点も知り尽くしてるけど世界の(システム)はちゃんと準拠してる。

でもアイツらは違う。後一度撃破されれば死ぬ-壊-になるのはわかるけど2ゲージ同時出現はルール無視。なによそれ、ズルじゃない?

それならこっちも無視してやるわ、人類と手を組んで殲滅してやる。

……問題はそれが出来るかって話なんだけどね。

この世界は私が知ってる世界のシナリオじゃない。

私だって希望を持ちたいのよ?もしかしたら、今までたどり着けなかったその先に、あの答に辿り着けるんじゃないかって。

その結末が私が永遠に追い求めてきた物なのだとしたら。

 

 

 

 

 

 

_______私はこの命を捧げても、その結末を手に入れる。

 

 

 

 

 

 

 

約束なんだ。遠い遠い昔の、あの海での約束。

絶対に忘れてはいけない。なんの為に私が生きているのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あー…やっぱり駄目みたい」

 

「私達ってさ、なんで、戦争なんてしているんだろう」

 

「あはは…馬鹿みたいだよね…私」

 

「私達が生まれる前からずっとずっと戦ってきて、私達が止められるはずもないのに意味なんて求めてさ。」

 

「ねぇ、………?お願いしたい事があるの…。いいかな?」

 

「………………………」

 

「この願いはさ、確かに貴方の言う通り。今の現状じゃ無理に決まってる。」

 

「でも、平和になった世の中ならきっと実現出来ると思うの」

 

「あーあ…私も見たかったなぁ…」

 

「私が死んでも、強く生きてね、………?」

 

「泣かないでよ、……。私も…辛くなっちゃう…じゃない」

 

「貴方は…笑ってた方が…可愛いよ」

 

 

 

 

大丈夫、貴方の願いは必ず、私が叶えてみせるから。




離島ちゃんは別行動


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温泉作り 2章

ラスボスまで書けるのか?


「……機能性を重視すべき」

 

「やはり風呂はシンプルイズベストだろう、ゴチャゴチャしていれば心は休まらん」

 

「……快適さは必要。至れり尽くせりは最高だよ」

 

「昔ながらの銭湯こそ至高。大勢で入るなら機能重視よりもシンプル度だろう?」

 

アルベルトとヲ級が温泉の件で話し合っている。

機能性を求めるかシンプルさを求めるかで言い争っているようだ。

 

「修復剤の抑制と複製施設完成しました!」

 

リアがドヤ顔でレンガ造りの建物を見せてくる。

中にはゴチャゴチャとしたホースが入り乱れ

水色の液体…修復剤が入った大きな試験管、恐らく人が入れる大きさの試験管の内部には浮く黒い石…「深海鉱鋼」が浮いている。

そこから生み出され、ホースを伝って地面の下に送り込まれる赤い液体は複製された修復剤だろう。

 

「地面の下になんで流してるんだ?」

 

「地下に施設を建造しました、全部そちらに送らせていただいています。これが人間達や生命樹にバレたら大惨事ですからね。」

 

四肢切断内蔵損傷でも振りかけるだけで元通り!なんて確かにバレたら奪い合いになるだろう。

そりゃそうだ、隠すのは当たり前だろうが…この世界は人間も使うのか?

一度切傷につけてみたが一切治らなかったぞ?

……考えるのはよそう、離島棲鬼みたいな人間だらけなのかも知れない。

 

 

「ただここの地下ですからね…かなり危険です、深い場所に作ったとは言え近隣海域でぶっ放されたらワンチャン島ごと決壊しますよ」

 

「なんて恐ろしい事を」

 

リアの話では島がきれいに海の底に沈むらしい。

ふざけんな、全員サヨナラホームランだよ。

 

「……大丈夫、私は"空母"だから」

 

「そうだな、我々に任せておけば敵が立ち入る事はないだろう」

 

胸を張るヲ級とアルベルト。

確かに敵が近付いて来ないなら無敵ではないか。

……修復剤どう考えてもいらないけど。

 

「……まぁ艦載機があれば、だけど」

 

「それがねぇんだよなぁ…」

 

「ん?遠距離戦闘は出来ないって事か?」

 

「……その通り」

 

駄目みたいですね(落胆)

敵に見つからないようにひっそりと暮らすしかない。

いや温泉なんて作ってたら普通にバレそうだが…大丈夫だろ。

 

「離島棲鬼、帰ってこないな」

 

「そうですね。オーバーブースト決め込めばもう付くでしょうに」

 

いや俺達が置いてきたんだけども。

ん、オーバーブースト?何それは…

 

「私お手製の究極艤装の最強ブースターですよ、最もブレーキ付けるの忘れたんで島吹っ飛びますけど」

 

「は?」

 

俺達に残された明日は…!?次回に続く!!

 

 

 

「んな事どーでもいいんで温泉作りますよ、どうせすぐ帰ってきますから」

 

「どっからその自信が湧いてくるんだ」

 

「あの艤装gps付いてるんでわかるんですよ、それに離島さんブースターキメてませんよ」

 

「あっ、そうなんだ…」ショボン…

 

「ヲ級さん、アルベルトさん。決まりました?」

 

「……「決まったぞ」」

 

おっと、意見が揃ったらしい。

離島棲鬼が帰ってくるまでに作って驚かせる方向にチェンジしようか。

 

「「両方作る」」

 

「は?」

「は?」

 

両方作るはng

選べないときの欲張りセットかな?

 

「…両方作れば良いって事で落ち着いたの」

 

「よくよく考えれば男湯と女湯で分ければ良いんだわ」

 

てかアルベルトお前"男"なのかよ…

妙に既視感のある触手ってもしかして…

 

「あぁ…いやしかし建築資材コストが…」

 

「安心してください!深海鉱鋼ありますよ!!」

 

やったね、建築資材が増えるよ!

逃げ道も無くなって労働時間も二倍だけど!!

 

「……………」

 

「さて、頑張りましょう提督」

 

「…手伝うよ」

 

「まっ俺達の労働力は一人分だけどな!!」

 

これ一日で終わるか?休みってありますか?寝る場所ありますか?

 

地獄の銭湯作りが今始まる…!




幹部早めに出し過ぎたんです(先を考えない)
尺稼ぎは許してください(謎理論)


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