妄想短編集 (山中模索)
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氷菓
十文字かほ①


「んっ……ちゅ……んぅ、はぁ……ん」

 

 十文字かほさんの実家は神山市内でも有数の名門神社だ。毎年暮れには多くの参拝客が訪れ、今の時期はセミたちの野外合唱ホールと化している。当然のことながらその境内もとても広い。秋の終わりや桜の季節は掃き清めるのがとても大変だ、と珍しく十文字さんが愚痴を漏らしたことを覚えている。

 

 だから人目につかない場所も多い。

 

「あ、む……ん、ちゅ……は、あ」

 

 本殿の奥に建てられた立派な蔵の裏手。一方は裏山に続く鬱蒼とした森林に囲まれ、もう一方は大きな蔵の壁に遮られて四六時中陽が当たらず、神聖な境内の中で最も陰気な場所の一つだ。

 それゆえに滅多に人が来ない。その上、今の時期はセミたちが多少の音をかき消してくれるので、逢瀬するには最適の場所だ。

 

「ん、ちゅ……ぷは……ん、ぁ……ねぇ、私たちがどれだけ罰当たりなことをしてるかわかってる?」

 

 肉棒から口を離し、眼鏡の向こうからこちらを睨みつけるように見上げる十文字さん。学校では垂らしている前髪を今は左右に分け、同じように普段は編んでいる長い髪も後ろで一つに束ねて流している。

 学校での彼女は本ばかり読んであまり目立とうとせず装いもそれに合わせて地味目なのだが、巫女として神仏に仕える時はその場に相応しいようにキッチリしているらしい。

 そんな自分の仕事に誇りと責任を持っている彼女が、誰であれ清楚でなくてはならない巫女服を身に着けたまま、跪くように座り、懸命に肉棒を口で奉仕している。

 

 神主の娘としてここでは毅然と立ち振る舞う彼女を知っていればいるほど、その背徳的な姿に興奮しないわけがない。

 

 十文字さんとは同じ高校の同級生で、いつのころからか付き合うようになり、こういう仲になり、何度か経験を重ねた。

 今日はただ遊びに来ただけのつもりだったが、彼女の働く姿を見て不敬にもムラムラしてしまい、休憩に入った彼女を誘って、こうして人目を忍んで逢瀬している。

 

「こんなに大きくして……」

 

 呆れた口調とは裏腹に、十文字さんは優しく肉棒をさする。

 

 肉棒はすでにはち切れそうなほど勃起し、十文字さんの涎と先走りでてかてかとグロテスクに光っている。そんな物が、対照的にしなやかな十文字さんの手で梳かれ、触れるか触れないかの距離で彼女の白く整った顔と並んでいるのを見て、ますます熱くなる。

 

「神様も休憩中だよ」

 

 適当なことを言って、赤黒いそれで頬を撫でさすり、マーキングするように先走りを押し付ける。

 

「ん、ちょっ、と」

 

 顔を歪める十文字さん。

 普段より二割増しで鋭い目でこちらを睨みつけるその表情に、こちらはますますイキり勃つ。

 

「大丈夫。誰も見てないから」

「そういう問題じゃ、あ、ん……も、だ、め……だっ、ん、って……あ」

 

 頬を滑らせるようにして肉棒を紅く瑞々しい唇にあてがい、半ば強引に口に入れようとする。

 

「ん、もぅ……は、ちゅ」

 

 十文字さんは諦めたらしく、自ら肉棒の先にキスをして、再びフェラチオを始めた。

 

「ん、む、えろ……んぅ、ん、ん」

 

 まずは浅く、口の中で舌を転がし、円を描くようにカリを舐めまわしてくる。

 底抜けの気持ちよさとくすぐったさに身体を震わせると、十文字さんは目を細め、さらに奥へと肉棒を誘っていく。

 

 一度奉仕を始めると彼女はこちらが驚くほど積極的になる。

 

「ん、じゅ、はぁ……あぁ、んむ……おっき、い……あ、ん」

 

 小さな口を精一杯に開け、なんとか根元まで咥え込めないかと試行錯誤する。自然と彼女の細い腕が腰に回され、口は控えめにすぼんでゆく。

 普段は絶対に見ることができない彼女のはしたない表情に、急速に射精感が込み上げてくる。

 

「はむ、ん、んむ、あっ……ん……んっ、んっ」

 

 顔を前後させて口全体で肉棒を擦りあげる十文字さん。肉棒が露出し、また吸い込まれていくたび、その口から淫猥な音が漏れ出る。

 

「十文字さ、ん、音っ」

 

 暴発しそうな快感に耐えながら声をかけると、十文字さんはチラリとこちらを一瞥し、しかし動きは止めず、それどころかわざと音が出るように更に深く強烈に吸い付きだした。

 どのタイミングでかはわからないが、スイッチが入ってしまったようだ。

 

「じゅ、んっ……は、あ、んっ、ん」

 

 キャンディーを与えられた子供のように、肉棒にむしゃぶりついてくる十文字さん。

 

 いよいよ限界が近くなる。最後は顔を見ながら達しようと改めて十文字さんに目を向ける。

 

 普通巫女服は身体の線が浮くようにはできていない。しかし、この時の彼女は緋袴が地面に垂れるのを嫌がり、長い裾をひざ裏で挟み込み、膝はつかず背筋を伸ばして姿勢よく腰を下ろしている。

 反った胸が白衣の下から盛り上がり、彼女の頭越しにくびれた腰と突き出された尻がよく見えた。

 

 その瞬間、理性が飛んだ。

 

「ごめん! 十文字さん!」

「っ!?」

 

 十文字さんの頭を掴み、自ら腰を動かす。

 

「ちょ、ちょっと待、んうっ、んんっ! んぅ!」

 

 制止を無視し、彼女の口を無遠慮に凌辱する。

 片方の頬の内側に擦りつければ、もう片方にも同じようにする。浅く腰を引いて舌を裏側まで堪能したら、ギリギリ深くまで腰を推し進める。それに飽きれば、まるでモノを扱うように乱暴に腰を前後させ、口全体を使って奉仕させる。

 

「んぅ! んっ、ぷあっ! んっ……んっ、んっ!」

 

 肉棒を噛み切られてもおかしくない行為だったが、十文字さんはこちらを睨みながらも動きを合わせてくれた。目尻に涙を溜めながら、腰に回した手は離さず、舌を使って肉棒を刺激する。

 その健気な姿に最高潮の昂ぶりを迎えた。

 

「イクよ、十文字さん!」

「んん、ん、あ、ん……だし、て、んっ! はや、く、んぅ!」

 

 こちらを見上げ嘆願する十文字さん。まるで精液そのものを欲しがっているかのような言葉。

 堰はあえなく決壊した。

 

「出、るっ!」

「んっ!?んっ、んぁ……く、あぁ」

 

 彼女の口内全てを塗りつぶすように、一度、二度、三度、と精液を吐き出す。

 十文字さんは吐き出すことなくそれを耐える。

 

「十文字さん、目、閉じて」

 

 十文字さんがやや躊躇してから目を閉じたのを確認して、肉棒を口から引き抜き、残った精液を全て顔にかける。

 口を閉じ、上を向いてじっとする他ない十文字さんの顔が見る間に白濁で汚れていく。勢いよく飛び出る精液は眼鏡はもちろん、彼女の黒髪までを白く染めた。

 

 やがて射精は終わり、疲れ切った身体を蔵の壁に預けると、十文字さんが恐る恐る目を開けた。

 

「……ごめん」

 

 十文字さんは立ち上がると謝罪するこちらを一睨みし、少し考えた後、口の中に残っていた精液を嚥下し始めた。

 

「あ、無理に飲まなくても」

 

 と言うと、誰が飲ませたのよ、と言わんばかりにまたこちらを睨みつけてくる。

 やがて、顔をしかめながら時間をかけて全て飲み干すと、ふぅ、と息を吐いて、

 

「マズい」

 

 と呟いた。

 だから言ったのに、と喉まで出かかったが、また睨まれるのも嫌なので苦笑するにとどめた。

 

「顔にまでかけるなんて、まだ午後の仕事残ってるのに……」

 

 眼鏡を外し、緋袴のポケットからハンカチと手鏡を取り出す十文字さん。

 そんな彼女を何とはなしに見る。

 

 初夏、すでに気温は30度を越え、日陰での行為とはいえすでに二人とも汗だくである。十文字さんの額には汗が浮かび、ペタリと白い肌に張り付いた黒髪は背徳的な色気を放ち、鎖骨から滴り落ちる汗が掛け襟から胸元へと流れ落ちる様は挑発的ですらある。

 それに何より、先ほど見た彼女の腰のくびれと尻が目に焼き付いて離れない。

 

「十文字さん」

「ん?」

 

 精液を拭き終わりハンカチと手鏡をしまった十文字さんがこちらを見る。

 顔を寄せ、接吻した。

 

「!?」

 

 十文字さんは目を見開き、咄嗟に離れようとするが、両腕で彼女を抱き寄せて離さない。触れるだけだった唇も強く押し付ける。

 

「ん、あ……ちゅ」

 

 やがて状況を理解した十文字さんは抵抗を止め、同じように腕を回してきた。

 

「あ……んちゅ……んむ……は、あ」

 

 徐々に互いの抱きしめる力が強くなり、どちらからともなく舌を差し入れた。

 十文字さんの口の中は仄かに苦い味がしたが、それ以上に彼女の唇の柔らかさと押し付けられた胸の感触に頭が沸きあがらんばかりだ。

 背中に回していた左腕をそっと動かし、十文字さんの胸にあてがった。

 十文字さんは少し目を開き、そっと唇を離した。一筋の糸が二人の間にかかる。

 

「もう駄目、よ……私達を探しに人が来るかもしれないし、ここでは……」

「でも、十文字さんも我慢できないんじゃない?」

 

 空いていた右手をくびれをなぞるように下げ、尻を大きく撫でさする。

 

「っ」

 

 十文字さんは過敏に反応し、珍しく頬を赤らめる。フェラチオの途中から、もどかしそうに彼女が足を擦り合わせているのを見ていた。

 たまらずまた唇を奪う。

 

「んぅ、ちゅ、あ……んむ」

 

 白衣の上から胸に触れていた左手を襟の中に滑らせる

 

「あっ……ん、は、あぁ」

 

 十文字さんは止めなかった。

 左手で下着の感触を確かめ、そのまま柔肌に触れる。十文字さんの胸は大きすぎも小さすぎもせず、掌に伝わる感触はこの上ない。

 全体を手に馴染ませるようにさすり、突起した胸の先端を指で転がしながら揉みしだく。

 

「んぅ、あぁはっ、ん、ちゅ、あ、ん……!」

 

 悩ましげな声をあげる十文字さん。少し強引に手を差し入れたので、右肩から白衣と長襦袢がはだけ黒いブラジャーが見えている。彼女の白い肌にその下着はとてもよく映える。

 

 緋袴の上から尻を堪能していた右手も、腰にある緋袴の隙間から服の中に滑らせる。白衣と長襦袢をじれったくかき分け、ようやく彼女の生尻に触れる。こちらは下着の上からゆっくりと撫でるように揉み、徐々に秘所へと近づいていく。

 

「ん、あ、だめっ、そこ、は、だ、んぅ……あっ」

 

 構わずに指で触れると、秘所は下着の上からびしょびしょに濡れていた。

 

「ーーーっ……んっ! ちゅ、はぁ、あぁ、んむ」

 

 声にならない声を漏らし、誤魔化すように積極的に唇を押し付けてくる。いつの間にか腕がこちらの首に回っている。足を絡ませ、胸がつぶれるほど押し付けてくる

二人の間に隙間がなくなる。

 その積極的な姿に興奮し、こちらもとっくに硬さを取り戻している肉棒を彼女の腹にこすりつけるように押し付ける。

 

「あっ」

 

 すると十文字さんは慌てて身体を離し、目線を下げて肉棒をなぞる。

 

「駄目、汚れるから」

「じゃあそろそろ……いいよね?」

 

 十文字さんは逡巡しつつも、顔を紅くして頷いた。

 

 十文字さんの両手を蔵の壁につかせ、こちらに尻を突きだすような体勢をとってもらう。巫女服の十文字さんに実家の境内で男に全てを任せるような格好をさせる、というだけで達しそうになる。

 

 緋袴を捲り上げ、中の白衣と長襦袢をかき分ける。

 スラリと伸びた足と、均整のとれた尻が顕わになる。下着は上と揃いの黒。秘所にあたるところだけ色が変わるほどに濡れている。

 

「っ……」

 

 十文字さんは何も言わない。ただ下を向いて、時々恥ずかしさに身を震わせる。

少し意地の悪いことを聞いてみた。

 

「十文字さん、前に巫女服の下は白い下着を着るのが習わしって言ってたよね」

「っ、そ、それは……」

 

 十文字さんはこちらを振り返り、しかし何も言えず、顔を最高潮に紅くする。

 今日、遊びに行くことは昨日の時点で伝えている。だがその時、こういう行為をするとは、少なくとも言葉では一言も言っていない。

 つまり、彼女が今この下着を着けているのは彼女自身の意志だ。ということは、彼女もこうなることを期待していたのだ。それも、巫女として働いている間に。

 

「別に、期待していたわけじゃ、ただ……」

 

 十文字さんは堪らずに顔を伏せ小さく首を振る。これ以上言わせないで、とでもいうように。

 ゾクゾクと背中が粟立つ。

 

 彼女が今朝どういう気持ちで習わしに反してまでこの下着を選んだのか。午前中、この下着を身に着けたまま何を考えて仕事に励んでいたのか。そして休憩前に会ったとき澄ました顔だった彼女が何を想ったのか。

 

「もしかして仕事中から濡らしてたんじゃない?」

「そ、そんなこと、んっ!? ん……ちゅ」

 

 否定しようまた振り返った彼女の口を塞ぐ。別にどちらでもいい。それよりも、もう我慢できない。

 

 十文字さんに覆いかぶさり、両手は乱れきった白衣の襟から彼女の胸を揉み、肉棒は下着の上から秘所を擦る。

 ゆっくりと腰を動かし、秘所の表面だけをなぞるように肉棒を往復させる。

 

「ん、あ……ん、は、あ」

 

 切なげな声を漏らす十文字さん。こちらを見上げる瞳は切なげで少し潤んでいる。やがて物足りなそうに身をよじり、自ら尻を控えめに揺らす。

 

「じ、焦らさないで……挿れ、て」

「どこに?」

 

 十文字さんは顔を伏せ、消え入りそうな声で呟く。

 

「あ、あそこに……私の、ところに……」

 

 満足し、彼女の下着をずらす。

 

「挿れるよ、十文字さん」

 

 言うが早いか、十文字さんの細い腰を掴み、一息に肉棒を挿入する。

 

「ーーーーーっっっ」

 

 十文字さんは身体をのけぞらせ、咄嗟に片手で口を塞ぎ、何とか嬌声を抑えた。

もしかしたら今の一突きでイってしまったかもしれない。けれど、それを確かめる暇はない。

 膣のあまりの気持ちよさに、こちらもそれまでの余裕は消えていた。。

 

「動くよ、十文字さん!」

「ま、待って、私もうイッ、っ!!」

 

 肉棒を限界まで引き抜き、再び奥まで挿し入れる。

 

「ーーっ!!」

 

 肉と肉とぶつかる音が響く。

 何度も何度も。

 繰り返し肉棒を抜き差しし、彼女の膣内を隅々まで味わう。

 

「んっ! んっ! んっ! は、っ! ん! あ、っ!」

 

 十文字さんは何とか声を抑えようと耐えているが、徐々に漏れ出る声が大きくなっている。

 

「だ、めぇ! んっ、こ、こえ、んぅっ! が、がまん、できな、ぁぁっ!」

 

 この期に及んで声を我慢しようとしている彼女がもどかしかった。

 

「大丈夫っ、誰にも、聞こえないよ! 全部セミが消してくれる、から!」

 

 何の根拠もない言葉だった。

 それは十文字さんもわかっているはずだが、彼女はそれを聞いて躊躇なく口から手を離し、両手を蔵の壁についた。

 それを見て、再び強く腰を打ち付ける。

 

「あぁぁっんっっ!!」

 

 それは一切声を抑える気のない、十文字さんの素のままの喘ぎ声だった。

 

「あっ! あぁぁんっ! んぁっ! は、あっ! あんっ! あっ、きもち、いぃ、あぁぁああん!」

 

 深くつけば大きく、小刻みに動けば切れ切れに、浅く攻めれば悩ましげに、十文字さんは喘ぐ。

 普段は涼やかで理知的な彼女の声も、今は男を悦ばせるだけの淫乱なものに成り果てている。その声が聴きたくて本能のままに腰を振りたくる。

 

「あぁっ! も、はげしぃ、んんっっ! んぁっ! あぁぁんっ!」

 

 教室では本ばかり読んで、暇さえあれば図書室に入り浸り、放課後は二人だけの占い研究会でまた本を読み、放課後や休みは巫女として誠実に働き、たまに付き合いのある名家のお嬢様と遊ぶ。

 

「十文字さん! 十文字さん!」

「あっ! あっ! あぁぁっん!」

 

 そんな彼女がこんなはしたない姿を人に晒すなんて誰が想像するだろうか。

 自分だけが知っている。

 自分だけに見せてくれる。

 自分だけが彼女を好きにできる。

 細く長い手も、艶やかな黒髪も、汗が光るうなじも、揺れる胸も、くびれた腰も、震える尻も、震える足も。

 全て自分だけが堪能できるのだ。

 

 奥歯を噛みしめ、叫ぶように言う。

 

「十文字さん、そろそろっ」

 

 すると十文字さんはこちらを振り返り、息も絶えだえに答える。

 

「んっ、いい、よ、あっん! わた、しも、んんっ! もうなんかい、も、いっ、んっあぁあっ!」

 

 話の間も絶えず腰を動かし続ける。

 

「中に、だしても?」

 

 十文字さんは少し悩み、たまに見せる眉を寄せた困った顔で薄く笑った。

 

「いい、よ。んっ、服、汚れるか、らっ」

 

 中出しの危険性より巫女服の汚れを気にするのが少しおかしく笑ってしまった。

 しかし、中に出していいというのなら、もう躊躇はなかった。

 

「ーーーっ!! んっ! んっ! んっ! あんっ! あっ! あっ! ぁんっ!」

 

 腰を掴み直し、まさしく獣のように十文字さんを攻めたてる。

 今まで以上に淫靡な音が辺りに響く。地面には溜りそうなほど色々な液が降り注いでいる。

 だがそんなこと気にする余裕もなく、俺たちはただただ絶頂に向かって没頭していた。

 

「いく! いくよ、十文字さん!」

 

 十文字さんはもはや原型を留めていない髪を振り乱し、何度も頷く。

 

「きてっ、きてっ! わたし、もっ!」

 

 最後の一挿しが十文字さんの膣奥を叩いた。

 瞬間、膣が肉棒を締め上げる。

 

「イっーーーーーーーーっ!!!」

 

 十文字さんが声にならない声をあげる。

 底抜けの快感が頭からつま先までを貫き、思わず膝を折りそうになるが、踏みとどまる。

 再び十文字さんに覆いかぶさるように身体を曲げ、細い身体に抱き着き、彼女の身体の奥まで精液が行き渡るように、射精を続ける肉棒を押し付ける。

 

「っ……っ……っ」

 

 膣奥に精液をかける度に十文字さんの身体が細かく震える。

 やがて永遠とも思える快感の時間が終わり、萎えた肉棒を引き抜く。同時に、収まりきらなかった精液が漏れ出る。

 

「っ、はぁ、はぁ……」

 

 十文字さんが膝から崩れ落ちる。

 せっかく今まで服の汚れを気にしていたのに、と思ったが黙っておいた。

 

 それまでの行為が嘘のような静寂が訪れる。セミの鳴き声もどこか遠くに感じる。

 

「大丈夫?」

「……大丈夫じゃ、ない」

 

 十文字さんは蔵の壁に背中を預け、学校にいる時のように垂れてしまった前髪を軽くかきあげた。

 二人とも汗だくだ。

 十文字さんにティッシュを渡し、後ろを向いて服を整える。

 

「誰にも見つかってない?」

 

 周囲を見回し、頷く。

 

「多分ね」

「なら、よかった」

 

 十文字さんは腕時計を見て、休憩終わっちゃう、と立ち上がった。

 

「私お風呂入ってくるから。まだ何か用事があるなら本殿の集会所で待ってて」

「いや、今日はもう帰るよ」

 

 そう、と十文字さんは素っ気なく言って歩き出す。

 いつも情事のあとは淡白な十文字さんだが、今日は格別だ。

 怒らせてしまったか、と思っていると、十文字さんが振り返って恥じるでもなく言った。

 

「次はもう少し落ち着ける場所でしましょう」

 

 次。その言葉に危うく興奮しかけるが、さすがに自重して、また連絡するよ、と笑いかける。

 十文字さんは微笑みを返し、本殿の方に歩き去った。

 

 高校一年の夏のことである。

 



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SSSS.GRIDMAN
宝多六花①


「六花さん、この問題だけど」

「あーそれね。私も謎」

 

 六花さんの部屋で課題消化中。時刻は午後五時。カーテンの隙間から差し込む西日が白い壁を紅く染めている。

 

 かわいいとスタイリッシュが同居したこの部屋に来るのは、クラスメイトの宝多六花さんと付き合ってから五度目ぐらいか。来るたびに小物の配置が少し変わっているのは何となく彼女らしいと思う。

 

「はぁ、終わったー」

「お疲れさま。結局謎の問題は謎のままだったけど」

「わからないものは仕方ないよー」

 

 投げやりに言ってゴロリと寝転がる。

 白い天井と薄茶色の小さな照明が四つ並んだ室内灯をボーっと眺める。それは明らかに備え付けのものではない。六花さんはこういう所のお洒落にも余念がないようだ。

 

「なみことはっすからLINE来てる」

 

 何気なく、机の上でスマホをいじる六花さんに目をやる、と。

 

「っ」

 

 学校から直接、ジャンクショップ兼喫茶店を営む六花さんの家に来たので、二人とも制服姿だ。六花さんは上に白いカーディガンを羽織り、下はミニスカートにくるぶしまでのソックス。丸テーブルを挟んで向かい合う位置に、いわゆる女の子座りで座っている。

 だから、こうして目線を下げると、テーブルの下からハッキリ見えるのだ。六花さんのムチッとした太ももと、さらにその奥の薄水色の下着まで。

 

「まーた課題見せてだって。あの二人、まともに課題やったことあるの?」

「うん……」

 

 全神経をこっちに集中しているので相槌がおざなりになる。

 六花さんはまだ自分の足が凝視され、スカートの中まで覗かれていることに気付いていない。でなければこんなこと許すはずがない。

 

 ゴクリ、と生唾を飲み込む。

 

 別に六花さんの足と下着を間近で見ることが初めてなわけではない。付き合ってから今までそういうことは何度かしている。

 

 けれど今は状況が違う。

 

 六花さんは普段とてもガードが固く、いわゆるパンチラというものを学校はもちろんプライペートでも見たことがない。

 そんな六花さんが今は完全に油断している。全く無防備な状態なのだ。しかもここは六花さんの部屋。まるで六花さんが部屋でくつろいでいるところを盗撮したものを観ているような、背徳的な情念が胸に渦巻く。

 

「奢るから一時間後にいつもの場所、か。うーん……」

 

 机の下、というのがまた薄暗くてとてもリアルで興奮する。

 

「行っていい? 行かなきゃ何か言われそうだし」

「うん……」

 

 六花さんが足を動かすたび、下着がチラチラと見え隠れする。

 そのじれったさに思わず鼻息が荒くなる。

 

 すでに肉棒は痛いほどに勃起し、制服のズボンを盛り上げている。今すぐそれを取りだして擦り、いや、六花さんの太ももに挟んで猿のように腰を振り乱したい。

 そんなことをするわけにはいかないので、拳を血が滲むのではないかというほど握りしめ、目の前の光景を脳裏に焼き付ける。

 

「了解、っと。ん、んっ~~」

 

 六花さんは身体を解すようにぐっと伸びをした。つられて足が上がる。女の子座りから体育座りのような格好へ。

 

「っ!!」

 

 テーブルの向こうで、六花さんの太ももからお尻にかけてと下着の全てが露わになる。

 太ももは床から離れたことでさらに存在感を増し、逆に床に乗ってつぶれたお尻はそれだけで桃のような柔らかさが想像できる。そしてその二つに挟まれた下着は少し喰い込んでいて、六花さんの大事なところの盛り上がりと割れ目が、ここからでもわかるほど浮かび上がっていた。

 

 こちらの忍耐をあざ笑うかのような、あるいは挑発するかのような、六花さんの行動に、もはや理性などドブに捨てた。

 一度深呼吸して、最後にもう一度その絶景を見て、起き上がる。

 

「あと一時間なにする? あ、この前話したお店行く? そこで解散すればちょうど」

「六花さん」

 

 話を途中で遮られ、首を傾げる六花さん。やけに切羽詰まった声だったからか、少し緊張しているようだ。

 その反応を見て、やはりあれはわざとではなかったのだと確信する。

 

「どうしたの? そんな顔し、きゃっ!?」

 

 自分でも驚くべき速さで六花さんに近寄り、床の上に押し倒す。

 

「ちょ、ちょと」

 

 全く前触れのない行動に六花さんは目を白黒させて狼狽していたが、やがて、そういうこと、だと理解したのだろう、顔を赤らめて押し返そうとしてくる。

 

「だ、駄目だって。今日は課題やるだけって」

「ごめん六花さん、もう我慢できない」

「が、我慢できないって」

 

 六花さんは視線を下げ、ズボンを盛り上げるモノを見て段階をいくつか飛ばすように真っ赤になる。

 

「な、なんでこんなにしてるの」

「それは」

 

 理由は言えない。言えるわけがない。

 口ごもっていると、六花さんは不審げに眉をひそめつつ、とにかく、と手に力を込める。

 

「下にはママもいるんだし、なみこたちにも会わなきゃだし、そういうのは、その……また今度に」

 

 また今度、という提案には心躍るものがあったが、今この場でこの欲望を発散しなければ正直どうにかなってしまう。

 

 ……仕方ない。

 

 強引な手に打って出るしかない。

 

「だからどいて、って、んっ!?」

 

 六花さんの両手を床に押し付け、艶やかな唇にキスをする。リップクリームの苦みと彼女の唇の柔らかさが同時に伝わってくる。

 

「ちょ、ちょっと、んっ! ん、ちゅ、あ、ん」

 

 六花さんは当然抵抗しようとするが、本気を出した男の手を払いのけられるわけがなく、足をばたつかせることしかできない。

 嫌がる女の子にまたがり両手を拘束してキスをする。傍から見れば、いや、たとえ交際中の男女であろうと犯罪にあたる行為だ。それがわかっていながら止めることができない自分の性欲にきっと後で死ぬほど嫌悪するだろう。

 

 しかし、今はもう後先のことは考えられない。性欲の獣になっていた。

 

「んむ、ちゅ、あ……んん、は、あん、ん」

 

 絶縁覚悟で六花さんの唇を堪能する。

 柔らかい。とにかく柔らかい。何度行為を重ねようとも、何度接吻しようとも、六花さんと話す時、必ず一度は彼女のこの唇にむしゃぶりつきたくなる。それほどまでに魅力的なのだ。

 

 途中から六花さんの抵抗がなくなっていたが、それに気付かないほど夢中だった。

 

「ん、ん、あ、んむっ……あっ」

 

 しばらくしてようやく顔を離す。

 

「はぁはぁ」

 

 二人して息を切らし、少しの間息を整える間が流れる。

 見下ろす六花さんの顔はほのかに紅く、目尻が少し下がっている。怒りの表情、ではなかった。

 やがて、リップは完全に拭い取られ唾液で濡れた唇を開く。

 

「満足、した?」

 

 そう問う声は存外に優しく、こちらをいたわるようにも聞こえた。

 

「ごめん」

 

 今の行為と、まだまだ満足したとは言えない二つの意味を込めて答える。

 すると六花さんは一つため息を吐いて、呆れ半分、笑い半分の顔で言った。

 

「じゃあ、本番は駄目だけど……私がスッキリさせてあげる。それでいい?」

 

 喜びのあまりどんな顔になったか自分でもわからないが、六花さんが思わず吹き出すくらいだからきっとものすごくおかしな顔をしたのだろう。

 再び六花さんに覆いかぶさり、また唇を奪う。

 

「ちょっと、んっ、もうキスはしなくて、あ、んっ、ちゅ、んむ……もうっ」

 

 今度は舌を使ってより深くと繋がる。

 

「んっ、ちゅ、えろ、あ、んっむ……はぁ、はぁ……あっ、んぅ、ちゅ」

 

 六花さんもそれを受け入れ、舌と舌を積極的に絡めてくる。

 二人の唾液が互いの口の中を行き来し、唇の端から漏れ出たものが床に溜まるほど、重ね合い、絡まり合い、溶け合った。

 そうしている間に、ズボンのベルトを緩め、焦りと逸りでいつも以上に時間をかけながらチャックをおろし、なんとか肉棒を露出させた。グロテスクな肉棒はすでに我慢汁で全身が濡れていた。

 

 肉棒を曝け出したことに気付いた六花さんが目を細めるように笑い、両手で包み込むようにそれに触れた。

 電流が流れたように身体が震える。正直、それだけでイってしまいそうだった。

 何とか暴発を我慢していると、六花さんが耳元に口を寄せて言った。

 

「ベッド、行こっか」

 

 

 六花さんが毎日寝ているベッドの上で壁を背にして裸の下半身を投げ出す、という状況を羨ましがらないクラスの男子はいないだろう。さらに当の六花さんに赤黒く屹立した肉棒をまじまじと目の前で眺められている、などと想像しただけで下半身が熱くなるに違いない。

 

「改めてみると、大きくて……ちょっとグロい、ね」

 

 こんなのがいつも中に、と自分で言って赤面する六花さん。

 

「六花さん、そろそろ」

「あ、うん、ごめん」

 

 別に謝る必要は全くないのだが、よほど苦しそうに見えたのだろうか。

 実際息苦しさを感じるほど下半身と頭の中はどす黒い欲望で満たされているが、それがもうじき発散できるとわかればその苦しさすら今は心地よい。

 

「じゃあ、舐める、ね」

 

 六花さんは髪を耳にかけ、少し緊張の見られる顔を肉棒に近づけていく。熱い肉棒をひんやりした手で掴み、チロリと舌を出す。

 そして恐る恐る、

 

「んっ」

 

 舌先が亀頭に触れた。

 ザラリとした小さな、しかし確かな刺激に思わず情けない声を漏らしそうになる。

 

「んっ、んむ」

 

 六花さんは一瞬顔をしかめたが、それほど躊躇せずに舌を亀頭からカリへと下ろしていき、今度は唇が亀頭の先に触れた。

 

「ちゅ、ん、あ、は、ぇろ」

 

 唇で何度か亀頭にキスをして、口を開けて直接咥える。カリが完全に六花さんの口の中に納まるのと同時に舌が棒を浸食し始めた。

 さっきまでキスをしていた六花さんのあの柔らかい唇が肉棒に触れている。あの六花さんが自分の部屋で献身的に男に奉仕している。

 

 何度味わってもこの快感に背筋が震える。

 

 しばらくすると六花さんの中の羞恥心も薄らいだようで、動きが積極的になる。

 頭を下げて肉棒を中ほどまで咥え込むと、一度カリまで戻る。また下りてゆき、今度はさっきよりほんの少しだけ深く咥え、また戻る。これを何度も何度も繰り返し、時には焦らすように肉棒を口で擦っていく。

 

「う、あ、六花、さん」

 

 その動きに今度は我慢できず呻き声をあげる。

 六花さんはこちらをチラリと見上げ、ふふ、と笑った。

 

「ん、む、あ、は……じゅ、ず、んちゅ」

 

 やがて口の中いっぱいまで肉棒を咥えると、今度は口をすぼめて頭を動かしだした。じゅ、じゅ、じゅ、と六花さんが肉棒に吸い付く艶めかしい音が耳を刺激する。

 こちらを昂らせるためにわざとそんな音をたてているのは、六花さんの悪戯っぽい表情をみれば明らかだ。

 いつもクールで大人びた六花さんが子供のような悪戯心で楽しそうに、男の汚らしい肉棒をフェラチオで弄んでいる。

 

 もういつ果ててもおかしくない。

 

 そう思った時、頭に浮かんだのはあの光景だった。

 視線を六花さんの頭から身体を通って下半身に向ける。

 六花さんは膝を折ってベッドに寝そべっており、太ももは惜し気もなく晒しているが、スカートはギリギリ下着が見えない程度に捲れている。

 

 もどかしい。

 

 ふと、六花さんが足を前後させる。

 スカートの裾が引っ張られ、太ももの付け根と薄水色の下着がチラリと見えた。六花さんは肉棒への奉仕に夢中でこちらの視線とそのことに気づいていない。さっきは理性が邪魔をして手を出せなかったが、今は違う。

 

 そっと手を伸ばす。

 そして、下着の中に直接指を入れるように、露わになったお尻を揉んだ。

 

「きゃっ!?」

 

 突然の刺激に思わず口と手を肉棒から離しのけぞる六花さん。

 肉棒が何分ぶりかの外気に触れる。しかし六花さんがそうしていなかったら、今頃達していただろう。それほどまでに、掌から伝わる六花さんのお尻の感触は脳を刺激するものだった。

 

 六花さんは慌てて振り返る。

 きっと何か文句を言われるだろうがその前に、もう二度三度お尻を揉み、下着の線に沿うように撫でさする。

 その度に六花さんの口から、あ、んっ、と艶めかしい声が漏れる。

 

「ちょ、ちょっと、んっっ、わ、私のは弄らなくて、あっん、い、いいでしょ」

「いや、こっちだけ気持ちよくしてもらうのも悪いし」

「そ、そんなこと言って、あんっ!」

 

 そんなこと言って自分が触りたいだけでしょ、と言いたかったのだろう。

 その通りである。今日あの時からこの太ももとお尻をこうして触れて、揉んで、さすることをどれほど望んでいたか。

 

 下着越しにお尻を撫でまわし、もちろん生の感触も楽しむ。段々と太ももの方へと移っていき、その途上にある六花さんの大事な所、秘所に触れようとすると、

 

「そ、そこは、駄目っ!」

 

 こちらを止めようと手を伸ばすが、もう遅い。

 

「っっーー!!」

 

 声こそ我慢できたようだが、イってしまったとも思えるほどの反応だった。

 指でなぞると、そこはすでにびしょびしょに濡れそぼっていた。キスをしてから今まで触れてもいなかったのに。

 

「っ……」

 

 六花さんは顔を真っ赤にして俯いていたが、何も言わずに肉棒へと向き直り、再びフェラチオを始めた。

 

「んちゅ……あっ、はっ、あむ……んりゅ、あっ、は、んむ……えろ、ちゅ、んっん」

 

 それまで以上に激しく執拗に肉棒を攻めたてる六花さん。さっさと終わらせてなかったことにしたいのだろう。

 あえて何も言わず、こちらも秘所を指で優しく、ねっとりと掻き回す。

 

「んっ、あっ、んむっ、ちゅ、あっ、ん、ちゅ」

 

 部屋の中で二つの淫靡な水音が混ざり合う。いつの間にか頭がクラクラするほどの臭いが充満している。

 至福の時間は長く続かなかった。

 元より限界が近かったこともあり、こちらがすぐに音を上げた。

 

「六花さん、そろそろ」

「んっ、う、ん、あっ、んっ、出し、て、あぁ、んっ!」

 

 六花さんの方もどうやらかなりキテいるらしく、それが秘所の急激な律動からも伝わってくる。

 二人とも自分がイクのを我慢し、相手を先にイかせようとしている。

 指が。

 口が。

 自然、激しくなっていく。

 

「イク、イクよ六花さん」

「んっ、んっ、あっ、は、ぁ、んちゅ、あっ、んぅ! んっ!」

 

 そして、二人同時に最高潮に達した。

 

「っーーー!!」

 

 尿道から精液が迸り、秘所から蜜があふれ出る。

 こちらは奥歯を噛みしめて電撃のような快楽に頭がスパークしかけ、六花さんは固く目を瞑って快感に震える。

 

「んっ、んっう、んっ、んっ、んっ」

 

 六花さんは自分がイっている間も肉棒から口を離そうとせず、我ながら呆れる量の精液が彼女の口の中を満たしていく。

 それは自分のベッドを汚したくないからなのだろうが、こちらとしては背徳感で申し訳ないやら興奮するやらで複雑な心境だった。

 やがて長い射精も終わりに近づき、六花さんが枕元のテッシュを手元に寄せる。

 

「あ、んっ……」

 

 ちゅぽん、と萎れていく肉棒を口から引き抜く六花さん。口の中の物を少し吟味し、文字通りの苦い顔をしてそれをテッシュに吐き出す。

 

「マズイ……」

 

 見てはいけないと思いつつその様子を見て、またぞろ興奮しそうになる。

 全て吐き出し終えると、身を乗り出してテーブルの上のペットボトルを一気飲みし、一息つく。そしてこちらを振り返り、

 

「出しすぎ」

「ごめんなさい」

 

 素直に謝ると、六花さんはもう一度ため息を吐いてベッドに腰掛ける。

 

 沈黙。

 

 気まずい空気が流れる。

 約束通りスッキリさせてもらい、こちらはある程度満足した。はい終わり、と六花さんが言ってくれるのか思いきや、六花さんはそっぽ向いたまま黙っている。こちらとしてはどうすればいいかわからない。

 

 どれくらい時間が経っただろうか。

 

 もう一度謝るべきだろうか、などと考えていると、不意に六花さんが振り返った。

 行為が終わってしばらく経つというのに、その顔はまだ紅く染まっていた。

 

 最初は怒りのあまりそうなっているのかと思ったが違う。

 

 どこか気まずそうにチラチラとこちらを見て、何か言いたげに口を開いては閉じる。

 

「あの、さ」

 

 と、彼女にしては歯切れ悪く話し始めようとした時だった。

 

 部屋のドアがノックされた。

 

 二人して飛び上がり、マズイ、とアイコンタクト。このタイミングで部屋をノックするのは当然。

 

「六花さーん、ちょっといい?」

 

 六花ママ、宝多織江さんだ。彼女は下で店番をしていたはずだが。もしかして聞こえていたか? 確かに最後の方は六花さん結構な声を出していたが。

 

「な、なに? ママ」

 

 六花さんは急いで立ち上がり、ドアに駆け寄るついでにブランケットを投げてきた。

 これで隠して、ということだろう。しかしこの熱気と臭いは普通の大人なら部屋に入った瞬間まず気付く。

 それを六花さんもわかっているのだろう、ドアに近寄りはするが開けようとはせずにノブをおさえている。

 

「今日はもうお客さん来そうもないからお店締めちゃった」

「あ、そ、そう。わかった」

 

 ドア越しの親子の会話を黙って聞くこの状況。どうしようもないし、下手なことはしないほうがいいだろう。

 

「んで、買い物行ってくるけど何か欲しいものある?」

「だ、大丈夫。あ、今日これからなみこ達と会うからご飯いらないよ」

 

 手持無沙汰なので何とはなしに六花さんを見て、気付く。デジャブを見ているようだが、そんなこと今はどうでもいい。

 

「りょうかーい。あんまり遅くなんないでよ」

「はいはい」

 

 慌てていたのか何なのか、六花さんは自分の身嗜みを全く整えていない。

 スカートがカーディガンに巻き込まれてめくれあがっていた。しかもミニなのでそれだけで片方のお尻がこちらから丸見えなのだ。当然、薄水色の下着も。しかもその下着は半分近くずり下がり、隙間から秘所まで見えている。秘所とお尻、それに太ももにかけてまで、彼女のイった証がハッキリと残っている。まだ乾ききっていないそれは丸い太ももを伝い、やがて床に零れ落ちた。

 

 そんな己の痴態を見せつけるようにお尻をこちらに突き出す六花さんの姿が、そこにあった。

 今日何度目かの生唾を飲み込んだ。見なくてもわかる。肉棒はさっき以上の硬さをすでに取り戻している。

 

「じゃ、お邪魔しました~。あ、そうだ」

「なに?」

「多分お買い物に一時間、いや、二時間ぐらいかかると思うから・・・どうぞ、ごゆっくり~」

「……はぁ!?」

 

 六花さんはドアを少し開け、ため息を吐いて閉める。今度はカギをかけ、こちらを振り返った。

 

「ったく。ママも何言ってんだ」

 

 か、と言いかけて固まる六花さん。

 しまった、と思った時にはすでに遅い。

 その視線はブランケットを押しのけて主張するモノに注がれていた。

 

「な、な……」

 

 六花さんがブランケットを奪い取ると、天を高く指し示すように恥ずかしげもなく屹立した肉棒が二人の前に現れる。

 一度萎びたとは思えない威容を誇るそれに、今度は六花さんが生唾を飲む込む音が聞こえた。

 

「な、なんでもうこんなに」

 

 何とも答えられず視線を逸らすと、六花さんは少し考え、はっ、と自分のお尻に手をやった。

 そこでようやく状況が飲み込めたようで、顔を紅くして恨めし気にこちらを睨みつける。

 

「……変態」

「ごめんなさい」

 

 今日何度目かの謝罪の言葉とともに頭を下げる。

 六花さんも今日何度目かわからないため息を吐く。

 部屋の中に再び気まずい空気が流れる。

 やがて、ベッドの軋む音が聞こえた。頭を上げると、六花さんがうつむき加減に座っていた。

 

「ママ、買い物行くんだって」

「みたいだ、ね」

 

 当たり障りのない相槌を打つと、六花さんは吹っ切れたように小さく息を吐いて、こちらを見る。そして小首を傾げるようにして言った。

 

「続き、する?」

 

 心臓が一つ跳ね上がる。

 

「いや、でも、なみこさん達との約束が」

「あーそれは、まぁ、連絡すれば大丈夫」

 

 六花さんは髪をいじりながらもじもじと太ももを擦り合わせ、呟く。

 

「私も一度だけじゃ……物足りないし」

 

 そうまで言わせて、もはや断る理由などない。これ以上問答を続けるつもりもなかった。

 

「きゃっ」

 

 六花さんをベッドの上に押し倒し、馬乗りになる。

 

 この状況は本日二度目だが意味が全く違う。

 

 六花さんは赤らめた顔をそむけ、しかし何かを期待するようにチラチラとこちらを見る。髪をいじる手が世話しなく動いている。

 そのいじらしい姿に愛おしさがあふれ出てくる。

 

「んっ……んちゅ、あ、は、ちゅ」

 

 唇を押し付け、すぐに舌を入れる。

 六花さんも同時に舌を寄越し、こちらの頭の後ろに両手を回す。

 

「んっ、あっはぁ、ちゅ、んちゅ、んむ、ちゅ、あ、ん」

 

 最初よりも深く、長く、強く、互いを求める。

 頃合いを見て顔を離すと、六花さんは口を半開きにして喘ぎ、トロンとした目でこちらを見つめていた。その表情を見ただけで、触らずとも出来上がっていることがわかった。

 精一杯の理性を振り絞るように六花さんが言う。

 

「ゴムは、してね。今日は危ない、から」

 

 こちらも精一杯の理性を振り絞って頷いた。

 

 

「この格好……恥ずかしい」

 

 少し冷静になった六花さんが自分の身体を見下ろして呟く。

 仰向けになって膝を立て、足を広げて挿入を待つ体勢。いわゆる正常位だ。

 

 薄水色の下着は片方だけ足を抜いて足首に、スカートはそのまま、上はカーディガンの前を開け、制服のシャツはボタンを二、三留めただけ。肌着は付けてなかったようで、下とお揃いの薄水色のブラジャーが隙間から覗き、汗もかいているので全体が透けて見え、ペッタリと貼りついている。

 

 こちらの趣向を完全に反映した格好だ。普段の六花さんだったら、汚れるから、とあまり乗り気にはならないのだが、今日は特別のようだ。

 

「じゃあ、いくよ」

「……うん」

 

 ゴムを着け、さらに見た目がグロテスクになった肉棒を六花さんの秘所にあてがう。

 そこはイった時と同じくらいグショグショになっていて、挿れるのに手こずることはなさそうだった。

 六花さんの腰を掴み、一息に中ほどまで肉棒を挿入する。

 

「あっ、んっ」

 

 目を瞑り、切ない声を漏らす六花さん。

 さらに間髪入れず最奥まで押し進めた。

 

「ーーーーっ!!」

 

 六花さんはベッドのシーツを掴んで身体を震わせた。

 肉棒がギチギチに圧迫される。何度経験してもそれだけで快楽の、彼女の身体の虜になる。何としても孕ませたい、と頭よりも早く本能が下半身に命令を出す。

 

「あっ! あっ!、んっ、はっ、ああぁん! くっ、んんっ! ははぁんっ! んんぅ! あっあっあっ!!!」

 

 本格的に腰を動かすと、六花さんが動きに合わせて声をあげる。抑え気味な六花さんにしては珍しく、最初から声を出すことに躊躇がない。

 それにつられ、こちらも動きを早める。

 

「あっ! あっ! あんっ! や、はや、いんんっ! は、はげし、いんんんっ! か、らあぁあっぁぁん!」

 

 肉と肉のぶつかり合う激しい音が六花さんの抗議を掻き消す。

 ベッドは揺れ、スプリング音が不規則に唸る。

 ここが一軒家でよかった。マンションだったら即クレームがくる。隣家が少し気になるが、今さらそんなことを気にしている余裕はない。

 

「やっ! あぁあ、あ、あっ!! き、きもち、よすぎ、てっ!! あぁっ! んぅうう!! 声、でちゃ、んっんっ!!」

 

 六花さんも同じ気持ちのようで、声を抑える気はないようだ。

 腰を掴んでいた手を徐々に上げていき、シャツの中から胸に触れる。

 

「やっ、だ、だめっ、んっ! そ、そこはっ! あぁんっ!」

 

 こちらの手を押しのけようとするが、快楽に邪魔されてままならない。

 六花さんは胸にコンプレックスを抱いているわけではないのだろうが、行為中に胸を弄られるのを嫌がる。恐らく同級生と比べているのだろう。確かにクラスに一人群を抜いた胸を持つ子がいるが--そういえば六花さんの隣家は彼女の家だ--六花さんだってこの年頃の他の女の子と比べたら十分に育っている。

 

 現に今も身体の動きに合わせて、ブラジャーをしているにも関わらず上下に揺れ動いているのがわかる。

 

「んっ! んっ! だ、だめっ、あん! だってぇ! あっ、んあっあっ!! んぅ!」

 

 六花さんの抗議はやはり聞こえないふりをして、まずはブラジャーの上から胸を撫でるように揉む。そしてブラジャーを捲り上げ、直接触れて堪能する。沈み込む十指が彼女の胸で違う生き物のように蠢く。

 

「んっ!! あっ! あっ! あっ、んんっ! あぁあああん!」

 

 六花さんの喘ぎ声が大きくなり、ツンと立った乳首に触れるとひときわ大きな声をあげた。

 こちらも攻め手に気合が入る。

 緩急をつけ、奥を小突き、浅く焦らす。

 六花さんはその度に羞恥と興奮の入り混じった声を漏らす。

 

「六花さん、そろそろ一発目っ」

「う、ん! あぁん! はっあぁ! うんっ! わ、私も、もうっ、い、んんっ! いっちゃ、あぁん!」

 

 奥へ奥へと肉棒を押し進め、最後の一突きを押し込むと同時に欲望の権化が発射された。

 

「イクっ! イクっ! イクっ! んんっ! イっクぅぅぅ!!!」

 

 獣のような声をあげ、六花さんも果てる。身体を震わせ、やがて糸が切れたように脱力する。

 しばらくして射精が終わり、肉棒を引き抜くと、二回目とは思えない量がゴムの先にデロンと溜まっていた。

 

 しかし、まだ終わりじゃない。まだまだ終わる気がしない。

 

 興奮のままに、息を整える六花さんのお腹の上に馬乗りになる。いまだ太く固く勃起した肉棒を見せつけるように。

 目の前のそれを見て、六花さんは目を見開き、一瞬、恍惚の表情を浮かべたような気がする。

 

「まだ、出来るよね?」

 

 聞くと、六花さんは呆れたように笑い、答える代わりに肉棒にキスをした。

 

 

 時節は晩秋。すでに世間は冬支度の準備をし始め、陽が落ちれば外の気温も一桁を差すのが当たり前になっていた。六花さんも暖房を使い始めたと言っていた気がする。

 

「あんっ! んっ、あぁ! あっ! あっ! あっ! はぁんっ! んっあぁああぁ! あぁん」

 

 しかし今、彼女の部屋は暖房など入っていないにも関わらず、真夏の如き熱気に包まれている。

 窓も開けずに一時間ちょと。二人の若い獣が声も体裁も気にせず、ただひたすらに互いの肉体を貪り合えば、そうなるのも当然である。

 ベッドの周りには使用済みのコンドームがいくつも散らばり、シーツはシミの無い所を探すのが難しいほどビショビショに濡れている。汗やら、涎やら、涙やら、愛液やら、精液やらで。

 

 とにもかくにも乱れあった。様々な体位で、方法で。

 

「んっ、も、う、あぁん! また、ぁんっ! こんな、格好、でぇ、んあぁはぁぁ!!」

「最後だから、ね」

 

 六花さんを最初と同じように仰向けし、今度は両足を挙げさせ、それを抱え込むようにして肉棒を秘所に挿入している。

 この体位が一番好きだ。これなら六花さんの太ももとお尻を全身で堪能できる。本人に言ったことはないが。

 

「んっ! んっ! なみ、こと、あぁんっ! はっ、す、怒ってるか、な、あっ、ぁぁああん!!」

「多分、ね!」

「あぁぁんっっ!!」

 

 外はすでに暗く、なみこさん達との待ち合わせ時間はとうに過ぎている。

 それでも六花さんは途中で止めようとは言ってこなかった。これが最後なのは単純にもうゴムがないからだ。

 六花さんは途中から制服のシャツとカーディガンを脱ぎ、下着ももう身に着けていない。スカートだけ残っているが、ほとんど裸の状態だ。

 

 この姿の六花さんを見ていると、いつも独占欲が湧いてくる。

 

 度重なる行為で少々疲れているがその顔はこの上なく可愛く、紅い唇も、艶やかな黒髪も、プルンと揺れる胸も、ほどよく肉付いた腰も、この抱えている極上の足もお尻も、もちろん大事な所も。すべて彼女と自分だけのモノにしたい。絶対、誰にも見せたくない、やりたくない。

 

「っ!? あっあっあっ!! きゅ、きゅうにぃ! んんっ! は、はげしくしない、で、よぉ! あぁぁんっ!!」

 

 両腕に力を籠め、腰を振りたくる。

 それはおもちゃをとられまいと泣きじゃくる子供のように乱雑で自分本位の動きだった。

 

「六花さんっ、六花さんっ!」

 

 誰にでもなく、自分のモノだと主張するように名前を呼び、乱暴に腰を打ち付ける。

 それでも六花さんは嫌な顔もせず笑った。

 

「も、う、んんっ! い、く? いい、よ、あぁんっ!! あっあっあっ!! んっ、私、も、一緒、にぃっ!」

「六花、さんっ!」

 

 太ももを両手で包み込み、最後の力を振り絞って肉棒で最奥を叩き続ける。

 

「あっあっあっ!!!」

 

 そして、何度目かもわからない精液が迸った。

 

「んっっーーー!!! は、あぁぁんっっ!!!」

 

 六花さんの嬌声を聞きながら、腰を、全身を六花さんに押し付け、射精が終わるのを待つ。

 この時間がいつまでも続けば、なんてありきたりなことを思ったりもした。

 

 

 

「うわぁ、なみこたちからとんでもないLINEが」

 

 ベッドの上で裸のままスマホをいじる六花さん。

 こっちは六花ママが帰ってくる前にさっさと退散しなければならないので、汗だくの身体にビショビショの服を着るという拷問のような作業が終わったばかりだ。

 

「じゃ、六花さんお邪魔しました。あー・・・部屋、ごめんね」

 ある程度片付けて空気の換気もしているが、六花さんの部屋は目を覆いたくなるような惨状だ。このまま帰るのは心苦しいが、時間もないしどうすることもできない。

 

「いいよ。私も、なんていうか、共犯者みたいなもんだし」

 

 そう言って六花さんは笑った。

 

「ありがとう。今度なんか奢るよ」

「あーい」

 

 手をフリフリと振ってスマホに向き直る六花さん。

 それじゃ、と部屋を出ようとすると、

 

「あのさ」

 

 と六花さんがスマホを見たまま言う。

 こちらから六花さんの表情は伺えない。

 

「私たち、結構相性いいからさ、趣味も、その、あれも・・・。だから、多分、大丈夫なんじゃない?」

 

 何が、なんて聞くほど鈍感ではない。

 心を見透かされていたことに恥ずかしさを覚える一方、とても嬉しかった。

 じゃまた明日、とこちらを追っ払うように言う六花さん。髪の隙間から覗く耳が赤らんでいるようにも見えた。

 

「うん。また明日」

 

 特に上手い返しも思いつかず、そう言って部屋を出た。

 

 帰り道、服の不快感など一切感じなかった。

 



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新条アカネ①

「今日の夜、キミん家行っていい?」

 

 放課後、昇降口に続く階段で新条さんが唐突にそう聞いてきた。

 こちらは踊り場に立ち、向こうはいつも着崩している赤紫のパーカーのポケットに手を入れ三段ほど上に立っている。

 周りは部活へと急ぐ生徒や、放課後どこに行くかを楽しげに話しているクラスメイトで賑わい、新条さんの声は他の誰にも聞こえていないようだ。

 

「……いい、ですけど」

 

 新条さんは人好きのする笑みを浮かべ、じゃあまた後で、と横を抜けて階段を下りていった。

 その背中を見送り、姿が見えなくなったのを確かめてから、深いため息を吐いた。

 

 新条さんとは二人で話すのも久しぶりなのに、それを突然家に来るだなんて……。

 

嫌な予感しかしない。しかも、よりにもよって両親は明日の夜まで仕事で帰ってこない。まるで予めそれを知っていたかのようだ。

 本心では断りたかったが、なぜだか本能がそれを拒絶した。彼女の言うことに逆らったらマズイ、と。

 

 もう一度ため息を吐く。ふと六花さんの顔が浮かぶ。

 

 六花さんは今日と明日、家の用事で学校を休むと聞いている。そんな時にクラスメイトの女子を、夜家に招くというのは彼女に対する裏切りではないだろうか。かと言って、今さら断りにも行けない。

 

 まぁ……何かあると決まったわけじゃないし。大丈夫。多分。

 

 なんて呑気なことをこの時は考えていた。

 

 

 新条アカネさんはクラスの人気者、古い言い方をすればマドンナのような存在だ。男女に分け隔てなく優しく、少し天然なところも皆に好かれている、才色兼備な美少女。だが彼女は仲の良いクラスメイトとも放課後に遊ぶのは稀らしく、休日もいつも捕まらず、プライベートは謎に包まれている。それでも邪見にされないのはやはり彼女の人柄だろうか。

 

 いわゆる男の影というのも皆目ないらしい。

 

 それはクラスの男子にとってはこの上ない朗報である。自分にチャンスが巡ってくることはないだろうが、新条さんが、新条さんの身体が、誰の物でもないということだからだ。

 男ならば誰もが振り向く見目、タイツに包まれた蠱惑的な足、制服のボタンが悲鳴をあげていそうな、クラスでも群を抜いて大きな双丘。

 自分たちが遠目に見ることしかできない、その魅力的すぎる容姿を好き勝手できる奴がいるとしたら、きっと殺されるほど恨まれるだろう。

 

 だから今夜のことは誰にも言えない……六花さんにも。

 

 

「キミさぁ、最近調子乗ってるよねー」

 

 服を捲りあげ直に腹の上に跨って、スマホをいじりながら抑揚のない声で新条さんは言う。

 はしたなく足を広げ、短いスカートは一応大切な所を守ってはいるが、新条さんが少しでも動けば下着が見える。格好は夕方に別れた時と同じ制服。ただ、タイツだけ家で脱いできたのか、今は素足である。

 

「六花と付き合えたのがそんなに嬉しかったんだー」

 

 スマホのカメラをこちらに向け、カシャリ、とシャッターを切る。

 

「んふふ……情けない格好。これ六花に見せたらどんな反応するかなー」

 

 ニヤニヤと笑う新条さん。普段の控えめな笑顔とは似ても似つかない、悪戯っぽい笑みだ。

 

「止めて」

 

 そう言うと、新条さんはピタリと笑うのを止め、氷のように冷たい目で見下してくる。

 

「状況、わかってる? 今私がここを出て、明日の夕方にまたお邪魔した時の君の姿を写真に撮って学校にばら撒いたら、どうなると思う?」

「…………」

 

 今、両腕は拘束されている。いったいどこで手に入れたのか、新条さんが持ってきた二つの本物らしき手錠でベッドに繋がれている。いくら暴れても手錠が壊れる気配はない。

 この状態で食事もできず、トイレにも行けずに一日放置されたら、考えたくもない姿を晒すことになる。それも学校の皆に。

 

「止めて……ください」

 

 言い直すと、新条さんはつまらなそうに溜息をついた。

 

「六花ってばどうしたこんな情けない男好きになっちゃったのかなー」

 

 スマホをベッドの上に放り投げ、背中を反って天井を見上げる新条さん。その瞬間スカートが僅かにめくれ、薄紫色の下着がチラリと見えた。

 思わずつばを飲み込む。

 

 クラスの誰一人、新条さんと仲のいい人たちさえ、こんな彼女は見たことも想像したこともないだろう。行動も、思考も、性格も。同一人物とは思えない。新条さんの皮を被った誰かのようである。

 だが、恐らくこれが新条さんの素なのだ。無邪気に人を苛め、それを悪いと思わない。脅すし、嗤うし、怒る。

 前に一度見た、と言うか色々と話したりしたことがあるが、その時と何ら変わっていない。

 

「この前だって授業中に見つめ合って笑ってたし。イチャイチャイチャイチャ気持ち悪いったらない。本当に調子乗ってるよね? 二人とも」

 

 確かに授業中に偶然目が合ってつい笑ってしまうこともあった。だが、そんなことは週に一度あるかないか。基本的に学校ではお互い適切な距離を保つようにしている。六花さんが付き合っていると知らないクラスメイトのほうが多いぐらいだと思う。だからそこまで言われる筋合いはない。

 

 なんて言っても無駄なことはわかっている。

 

 何も答えず目を逸らす。

 それが気にくわないのか、新条さんは眉を顰めて前のめりになり、顔を近づけてくる。

 

「なんか、六花の話になると反応薄いよね。そんなんだと本当に、っ」

 

 それがいけなかった。彼女が身体を動かしたから、気付かれてしまった。

 新条さんは後ろを振り返り、『それ』を手で触れて、ああ、と笑った。

 またこちらに向き直り、さっきの悪戯っぽい笑みに愉快さをこれでもかと加えた笑みでこちらを見下ろす。

 

「ふぅ~ん、そっかぁ。ここをこんなにしてたから、六花の話はしてほしくなかったんだぁ」

 

 新条さんはニヤニヤと笑いながら、自分の尻の後ろでズボンを押し上げて主張する肉棒をさする。

 思わず身体が震える。

 

「彼女でもない女に乗っかられて、興奮したんだ」

 

 さいてー、と新条さんは笑う。

 

 ……言い訳になるが、最初はそんなつもりはなかった。彼女を部屋に招き入れた時も、油断してベッドに拘束された時も。可能性として考えてはいたが、そういう行為をしようとは微塵も思っていなかった。

 だが、タイツを脱いでいる新条さんに腹の上に乗られ、その尻の柔らかさと温もり、それに下着のザラリとした感触を肌で直に感じてしまってからは、抑えようのない欲望が湧いてきた。六花さんと同じくらい普段はガードが固い新条さんの下着が見えたのも、引き金の一つだった。

 

 その欲望は彼女が身じろぎするたびに大きくなり、今では言い訳もできないぐらい勃起してしまっている。

 それぐらい、新条さんは魅力的なのだ。手錠がなければ今すぐにでも押し倒してしまいたいぐらい。

 それを見透かしているのか、いないのか。新条さんはズボンから浮き出た肉棒を掌で包み込みながらゆっくりと焦らすように擦る。

 

「でも、それなら言ってくれれば良かったのに。『六花のことはどうでもいいから、今はこのオチンチンを君の中に挿れたい』って」

 

 笑いながら恥ずかしげもなく淫語を口にする新条さん。いつも皆を明るく癒す彼女の口からそんな言葉が発せられたと思うと、理性や罪悪感とは別のところで脳が刺激される。

 

「わっ、ビクってなった。もしかして私がオチンチンって言ったから興奮したの? 変態さんだぁ~」

 

 新条さんはますます楽しそうに笑い、一通り弄り倒して満足したのか、よし、とこちらに背を向けるように座り直した。

 

「それじゃ、その変態さんのオチンチン見せてもらうから」

 

 ズボンのチャックを降ろす音が聞こえる。新条さんが肉棒を取り出そうと手を動かすたび、その刺激で身体が震えてしまう。やがて、肉棒がズボンと下着から解き放たれ、外気に触れたのがわかった。

 猛々しく屹立しているであろう肉棒を前にして、うわぁ、と新条さんが引き気味に声を漏らす。

 

「相変わらず……馬鹿みたいに大きい」

 

 そう言って、何の躊躇もなく肉棒に手で触れた。

 その感触に腰が浮くほど反応してしまう。

 

「きゃっ」

 

 突然のことに新条さんもさすがに素の悲鳴をあげる。

 その際、スカートがまた捲れあがり、今度は下着とそれに包まれた桃のような尻が目に飛び込んでくる。

 

「もー、急に動かないでよー」

 

 まったく、とぶつぶつ言いながら新条さんはまた肉棒に触れる。

 新条さんの手の柔らかさに奥歯を噛みしめながら耐える。

 

「んっ……しょ……」

 

 両手を使い、意外なほど真剣に肉棒を擦る新条さん。その手つきは、たどたどしくはないが、さほど上手いともいえなかった。

 とは言え、相手はあの新条さんだ。たとえどれだけ手淫が下手であろうと男であれば感じないわけがない。

 

「わっ、ぬるぬるしてきた。気持ちわるー」

 

 当然先走り汁も出てくる。

 

「大きくて、熱くて、気持ち悪い……六花ってばいつもこんなの挿れられてるんだ」

 

 今六花さんの話は本当にしてほしくない。罪悪感で死にたくなってくる。

 新条さんはしばらくそうやって肉棒を弄っていた。

 こちらとしては先走りが出るほど感じてはいるが達するほどではなく、延々と中途半端な刺激が続く、贅沢な地獄のような時間だ。

 

「……飽きた」

 

 新条さんもその声色から、こちらがいつまでも達しないことにイライラを募らせているらしい。

 まさか、こうしてほしい、なんて言えるわけもなく黙っていると、新条さんは思いがけない行動に出た。

 

「んっ」

 

 肉棒にキスをしたのだ。

 新条さんの柔らかい唇の感触が肉棒を通して全身を駆け巡り、また腰を浮かしそうになる。

 

「し、新条さん」

 

 思わず名前を呼ぶと、新条さんは肉棒から唇を離してこちらを振り返った。気持ち悪い、とか言って止めるのかと思ったが違った。

 

「アカネ」

「え?」

 

 状況を忘れ素っ頓狂な返事する。

 

「二人だけの時はアカネって呼べって前に言わなかった? 学校で呼んだら殺すけど。忘れたの? 馬鹿なの?」

「いや」

 

 忘れていた。その日の出来事があまりにも衝撃的すぎて。しかもその後二人きりになった時なんてなかったから。そんなことを言ったら本当に殺されてしまいそうなので話を続ける。

 

「あ、アカネさん」

「何?」

「その……汚いよ。自分で言うのもなんだけど」

 

 するとアカネさんは、ぷっ、と吹きだし、

 

「本当になに自分で言ってんの」

 

 と言って、また顔を戻した。

 

「これ、フェラチオ? 六花もやったんでしょ? だったら別に気にしない」

 

 なぜここで六花さんの名前がでるのか意味不明だったが、考える間もなく『アカネさん』はフェラチオを再開した。

 

「んっ、ちゅ、ちゅ……ふ、んっ、あん……んむっ、えろ……んっ」

 

 最初は肉棒を何度もキスし、徐々に咥え込んでいく。

 

「んむっ、あっ、はっ……んっ、んっ、んっ……えろっ、んぁ……ぷはっ……まず」

 

 などと言いながらもフェラチオを止める気配はない。舌を使い、下品な音をたて、頭を上下させて肉棒を刺激する。

 

 あのアカネさんが男の汚いモノをしゃぶり、奉仕している。学校でのアカネさん。素のアカネさん。そのどちらも、男に対してこんな献身的なことをする姿は想像もできない。

 それはもう上手い下手とか関係なく、ただただ腰が抜けるほど気持ちよかった。

 

「えろっ、んっ、ちゅ、あっ……んうっ、ちゅ、ちゅる……んっ、んっ」

 

 アカネさんも慣れてきたのか、口の動きが単調ではなくなっていた。浅く吸い付いたり、根元まで加えたり、棒を横から攻めたり。

 きっと今アカネさんの顔が見えていたら、それだけで達してしまいそうな光景が広がっていたのだろう。

 

 もどかしい。色々な意味で。

 

 せめて両手が空いていれば目の前のアカネさんの尻を一思いに揉みしだけたのに。

 

 ふと、気づく。

 

 アカネさんがフェラチオをしながら腰を動かしている。尻を、秘所をこちらの腹にこすりつけるように。下着がチラチラと見えるのも厭わず。

 腹の上を滑る柔らかくもちもちとした感触。そして僅かに感じる湿り気。

 

 もしかして、アカネさん感じているのでは。フェラチオをしながら。この肉棒を挿れられることを想像して。

 

「んっ、ちゅ、あっ……んむっ、んむっ、んんっ……あぁん」

 

 アカネさんの声にはたしかな艶があった。

 それに気付いた時にはもう、下腹部の奥底からマグマのように熱がせり上がっていた。

 

「あ、アカネさんっ! もうっ」

「ん、んちゅ……だひて、いいよ……わたひの、んっ、くち、に……んむっ、ちゅる」

 

 それもまたアカネさんの口から発せられたとは思えない言葉。そして今何よりも聞きたい言葉だった。

 

「アカネ、さんっ!」

 

 ガシャンガシャン、と手錠の音が耳障りな音をたてるなか、精液が尿道を抜ける心地よさに一時も耐えられず、達した。

 

「っ! んっ、っ~~~~~!!」

 

 肉棒が暴れ、精液が容赦なくアカネさんの口内を塗りつぶしていく。

 この世の物とは思えない快感で意識が飛びかけるが、本能的に腰を突き出していた。アカネさんの奥へ奥へと。

 

「っ……っ……っ」

 

 それでもアカネさんは驚くほど健気に射精を受け止めた。

 どれだけ精液が彼女の口を蹂躙しようと、肉棒を頬に押し付けられようと、アカネさんは最後までそれを離そうとはしなかった。

 長い射精が終わり、腰がズルズルと引けていく。自然、アカネさんの口から肉棒が抜ける。

 

「う、うえぇ」

 

 アカネさんはすぐさま口の中の精液をベッドに吐き出した。

 

「まっっっず。こんなの飲めるわけないじゃん……信じらんない」

 

 息を切らしながら、涙目のアカネさんを見上げる。布団を汚されたことに文句をつけられないほど、気持ちよかった。

 口元を拭いながらアカネさんは肉棒に視線を向け、呆れたようにため息を吐く。

 

「男って一回だしたら終わりなんじゃないの?」

 

 こちらを見るアカネさんと目を合わせられない。

 肉棒は一度射精したというのに全く衰える気配をみせない。アカネさんの唾液と精液に濡れ、テカテカと赤黒く天を向いて隆起している。

 

 本当に、節操がない。

 

「まぁ、いいや。ここで萎えられても、つまんないし」

 

 そう言って、アカネさんはこちらを向くように立ち上がる。

 

「っ」

 

 息を呑んだ。

 アカネさんのスカートの中が下着から秘所、尻まで丸見えになっている。

 彼女はそれを隠そうともせず、ニヤニヤと笑いながらむしろ自らスカートをめくってみせた。

 

「知ってるよ。さっきから私のパンツチラチラ見てたでしょ。ホント、変態」

 

 さらにアカネさんは下着をずらし、秘所を見せつけてきた。そこは想像通り、いや、それ以上に濡れそぼっていた。溢れ出た蜜が太ももを伝って、腹の上に落ちる。

 また、唾を飲む。

 アカネさんはそのまま膝を折り、肉棒を手で固定して秘所に宛がう。

 

「あ、アカネさんっ。ゴムっ」

「めんど、くさいっ、っ」

 

 アカネさんの膣中に肉棒が誘われていく。

 肉棒を包み込んでいく生温かな感触にだらしなく口を開けてしまう。

 

「んっ、ふ……ん」

 

 息を止めてゆっくりと腰を下ろしていくアカネさん。

 肉棒はピッチリと締まった膣中を、しかし何に阻まれることなく押し分けて昇っていく。

 

「んっ、あっ、んんっ……はぁ、はぁ……全部、はいっ、た?」

 

 肉棒がそれ以上分け入れない所まで到達すると、アカネさんは思い出したように息をして、しばらく二人して呼吸を整える。

 

「……うごく、から」

 

 こちらの服を掴む両手を握りしめ、上目づかいに言うアカネさん。それまでの嗜虐性が鳴りを潜めた姿に胸がドキリとする。

 

「んっ……あっ……は、あぁっ」

 

 最初はゆっくりと浅く。

 

「んっ、んっ……あっ、あぁん……ふ、うぅっ、んんっ」

 

 次第に速度と早め、動きを激しくしていく。

 

「あっ、あっ、あっ……んっ! あぁん! はっ、んぅ!!」

 

 それに伴って口から漏れ出る声も大きくなる。

 アカネさんの嬌声に耳が蕩け、肉棒がますます熱を帯びる。

 興奮しているのはアカネさんも同じようで、緊張気味だった表情が紅く火照っている。

 

「あっ! んぅ! なに、これ、んんっ……まえに、したときと、あぁん! ぜんぜん、ちが、う……じゃ、んぁっ! おっき、くて、あぁん! きもち……いいっ」

 

 天国にいるような気持ちよさだった。肉棒はもちろん、アカネさんの淫靡な声を聞く耳も、そして目も。

 アカネさんが喘ぎながら全身を使って肉棒を擦るたび、制服に包まれた胸も揺れる。縦横無尽に。わざと目を引くかのように。

 

 こちらの視線に気づいたアカネさんが、上気した顔にこちらを小馬鹿にするような笑みを浮かべる。

 

「ん、あんっ……パンツの、つぎはっ、んっ、おっぱ、い? ほんと、おとこ、ってあぁんっ! ばか、んんっ」

 

 言いながら、アカネさんは舌を舐めて制服のボタンに指をかけた。

 一つ、一つ、とアカネさんがボタンを外していくたび、汗の浮かんだ白く艶めく肌が露わになる。

 恐らく彼女の思惑通り、そのストリップショーに釘づけになってしまった。

 

 アカネさんが制服の前をはだけると、窮屈そうに収まっていた胸が目に飛び込んでくる。下着の色は下と同じ薄紫。アカネさんが動くたび、それまでとは比較にならないほど、柔らかく揺れ、誘うように跳ねる。誰もが、男なら誰もが妄想した光景がそこにある。

 

 無意識のうちに腰を突き出していた。

 

「あぁんっ!!」

 

 アカネさんが一際大きな嬌声をあげる。

 

「んっ、もうっ! あんっ! だから、きゅうに、あぁっ! うごかないで、って、ば、あぁん!」

 

 アカネさんの抗議が聞こえていないわけではないが、頭が理性よりも腰の動きを優先させてしまう。

 目の前で縦横無尽に揺れ動く胸をどうにもできないもどかしさが、腰の突きを強める。

 

「あん! んっ、んっ、んっ、んぁ! も……もう、ぁ、いいかげん、に、あぅ!」

 

 また脅してくるかと思ったが、アカネさんは項垂れたまま喘ぎ声を漏らすばかりだった。

 

「あっ! あっ! あぁっ! んっ……」

 

 そして、ふと顔を上げて微笑んだかと思うと、覆いかぶさるようにキスをしてきた。

 

「ん、ちゅ、あっ、んっ……んむ、は、ちゅ」

 

 こちらの頭を抱え、舌をも入れてくる。

 押し付けられ潰れる胸の感触。唇の瑞々しさ。歯茎を舐める舌。鼻孔を抜ける匂い。目前に迫る端正な顔。

 あらゆる感覚が一瞬のうちに刺激され、脳が沸騰せんばかりに高揚する。

 

「ちゅ……ぷはっ」

 

 ほとんど一方的な唾液の交換を終え、アカネさんは顔を離す。

 

「これ、私のファーストキス……この前はしなかったから」

 

 その一瞬、アカネさんは年相応の少女のようにはにかんだ。

 そして何事もなかったかのように行為を再開する。

 

「んんっ! あぁん! あっ! あっ! あぁ!」

 

 そして訥々と語り始めた。

 

「きみ、が……りっかを、えらんだのが、んぅ、きにいらなく、てっ、んっ! しょじょ、までっ、んぅ! あげた、のにっ……ころそうか、とも、おもった、んんっ、けど、はぁ、んっ、それも、なんだか、しゃく、ぁん! で……んっ!」

 

 アカネさんのそれは、こちらの反応を求めていない独り言のようだった。

 

「いままでっ、あぁっ! むし、してたんだ、けどっ……もう、がまん、しない、からっ、んんっ! きみも、りっかも、このせかい、も、ぜんぶ、わたし、の、あぁん!……ものっ」

 

 言っていることが断片的にしかわからない。まるで高熱にうなされた時のうわ言のようだ。けれど今のアカネさんは何かを吹っ切れた、どこか清々しくも小悪魔めいた顔をしていた。

 

「あっ! あっ! あっ! きもち、いいっ! んっ! んっ! あぁんっ! きみのっ、おちん、ちんっ! さい、こうっっ、んっ! だれにも、あんっ! わたさ、ないっ、んっ! わたし、と、りっか、だけの、んあぁあぁん!!」

 

 アカネさんが汗を飛び散らせながら妖艶に腰を回す。

 クラスのアイドルが、さっきまで嗜虐的な笑みを浮かべていた彼女が、恥も外聞もなく乱れ、自分の肉棒を求めている。

 それは限界を迎えるのに十分な光景だった。

 

「あ、アカネ、さん! そろそろ」

「んぁんっ! んっんっ、いい、よ、だしてっ、わたしも、もうっ、んぅ!」

「いや、でも、ゴムしてないから、中は」

 

 最後に残った理性が動きに待ったをかける。

 アカネさんは肩で息をしながらこちらを見下ろし、尋ねる。

 

「六花には……中に出したことある?」

 

 また六花さん、か。

 下手に喋ると暴発してしまいそうなので、首を横にぶんぶんと振る。

 アカネさんはニヤリと笑った。勝ち誇ったような、あるいは何かに勝機を見つけたような顔だ。

 その細い指をこちらの唇をなぞるように這わせる。

 

「六花には悪いけど、またキミの初めてを……もらうから。私が」

 

 アカネさんが腰を揺り動かす。膣の奥を肉棒に押し付けるように。

 その動きだけでわかる。中に出すまで絶対に離れないつもりだ。こちらの理性も崩壊した。

 

「アカネ、さん……アカネさんっ!」

「んっ! あっ、あっ、んぅ! はぁ、はぁ、んんっ! だし、てっ! わたしの、なかにっ! りっか、より、さきにっ! わたしに、なかだし、してっ! あぁぁんっ!」

 

 もう脅されてとか、アカネさんが無理矢理、という言い訳は通らない。こちらも自分の意思で腰を振り乱しているから。目の前の女を孕ませようと必死に。

 

「あっ! あっ! あっ! んぅ! はっ、あぁん! んぅっ、あぁん!」

「アカネ、さん。もう」

「んっ! んっ! だしてっ! だしてっ! わたしの、いちばん、あぁっ、おく、にっ!!」

 

 アカネさんが背中に手をまわして抱き着いてくる。

 

「キミだけの、だからっ」

 

 それが最後の堰を切った。

 

「アカネさんっ!」

「んっ! イ……クっ! イク! いク! っーーーーーーーーーー!!!!」

 

 アカネさんと同時に果てた。

 精液が肉棒からとめどなく溢れ出る。手を使えない分、腰をこれでもかと浮かせ、肉棒をアカネさんの膣奥のさらに先へと押し付けた。

 

「んっ……んっ……んっ」

 

 アカネさんはこちらに抱き着いたまま口を結び、精液が膣を濡らすたび細かく震えて快楽を享受している。

 種を付ける間は、二人とも喋らなかった。

 膣に収まりきらなかった精液が肉棒を通り、またベッドを汚しているようだ。その肉棒もさすがに元気を失くし、アカネさんの膣からひとりでに抜けた。

 

「はぁ……はぁ……」

 

 しばらく息を知らして抱き着いたままでいたアカネさんは、どこか物寂しそうな顔をこちらに寄せ、またキスをした。

 

 

 ぼうっと天井を見上げる。

 アカネさんは裸のままどこか気の抜けた顔で寄り添うように横になっている。

 まだ手を拘束されたまま。いくら言っても外してくれない。

 

 一つため息を吐く。

 

 冷静になった今、改めて考えるのは当然六花さんのこと。

 

「六花さん、怒るだろうな」

 

 ポツリと呟くと、アカネさんがようやく反応してくれた。

 

「大丈夫だよ。六花は私に……甘いから」

 

 たしかに六花さんはアカネさんのことをとても気にかけている節がある。あまり表だって言ったりはしないが。だからと言ってこの状況を許すかどうかは不明だ。そう言えば……たしか二人は家が隣同士の幼馴染のような関係だったようだ。

 

 それに、とアカネさんは続ける。

 

「三人でいたほうが、もっと、たの……しい」

 

 見ると、アカネさんは安らかな寝息を立てていた。

 その寝顔を見て思う。きっとこうして寝ている時だけはアカネさんに表も裏も無いのだろう。

 アカネさんが優等生を演じている理由は何となくわかる。だが、それを追及したり、彼女の素をどうこう言ってはいけない気がする。絶対に。多分、躊躇なく殺される。そんな気がする。

 

 だから学校では知らないふりをする。この先もずっと。

 踏み込んでいいのは、この世界では……きっと六花さんだけだ。

 でも、こうして二人きりになった時は、一緒に寝てあげたいとも思う。

 

 

 後日、六花さんとアカネさんに呼び出され一悶着あったりもしたが、それは別の話。

 

 



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宝多六花&新条アカネ① 前

 フェードアウトしていくアウトロがぶつりと切られ、狭い個室が一瞬静寂に包まれる。遅れてまばらな拍手。

 

「あー、スッキリした」

 

 歌い終えたアカネさんは向かいのソファーにドカリと座り、靴を投げ出してテーブルの上に足を組み、スマホをいじり始めた。

 黒のタイツに包まれたアカネさんの足が目の前に差し出され、無意識のうちにその脚線美を目で追ってしまう。

 ふくらはぎ、太ももときて、ソファーに乗った尻、そしてはだけた制服のスカートの奥へ、というところで我に返り、慌てて顔を逸らす。隣でじとっとこちらを睨む六花さんと目が合い、流れるように天井を仰ぐ。

 

 やりづらい。

 

 両手に花ではあるが、二人同時に相手をするには男としての器量が足りなさすぎる。

 

 

 三人の少しアレな関係を共有し、主に六花さんとアカネさんの話し合いを経て、ある程度の『線引き』をしていつも通りの日常を過ごすようになって少し経つ。

 

 そんなある日の放課後、三人でカラオケにやって来た。

 

 提案者はアカネさんと六花さん。放課後にクラスメイトと遊ぶなんてまっぴらごめん、というタイプのアカネさんはなぜかニコニコと、逆に六花さんは眉を寄せて何とも言えない表情で誘ってきた。

 首を傾げつつ、三人で遊ぶのは実は初めてだったので喜んでついてきたが、やはりどこかおかしい。

 

「アカネ、行儀悪いよ。パンツ見えそう」

 

 と、注意する六花さんはらしくないほどソワソワしているし、

 

「えぇ~、別にいいじゃん。私達しかいないんだし」

 

 三人だけなので隠すことなく素を出しているアカネさんはやけに機嫌がいい。スマホに目を落としたまま足の指をぐにぐにと動かし、わざとらしく組み替える。

 

 その挑発的とも取れる行動に六花さんは呆れたため息を吐く。

 

 ハラハラさせるやり取りだが、二人が仲違いしているわけではなさそうなのでそこは安心した。アカネさんの素に関しても、六花さんは少なくとも三人でいる時は何も言わない。恐らくずっと前から何となく気付いていたのだろう。

 この二人の関係は思っていたよりも深く、複雑だ。立ち入れる領域ではないと近くにいればいるほど思うようになった。

 だから今の、二人の間でだけ何かが進行しているであろう状況は非常に困る。どうしたらいいかわからない。

 

「それよりさー、六花もなんか歌ってよ。私にだけ歌わせるとかひどくない?」

「あー……私はいいよ。基本聞き専だし」

 

 そう言ってこちらをチラリと盗み見る六花さん。

 何とはなしに彼女の顔を見ていたので目が合い、なぜか慌てて逸らされた。

 誤魔化すように、そう言えば、と六花さんはアカネさんに話を振る。

 

「アカネってさ、カラオケ嫌いじゃなかったの?」

 

 六花さんの問いかけに、アカネさんはテーブルの上のお菓子を一つまみしつつ首を傾げる。

 

「別に。ストレス溜まったらたまに来るから、好きとは言わないけど嫌いってわけでもないよ。なんで?」

「ん、いや、前は全然歌ってなかったか」

 

 突然口を噤む六花さん。しまった、とあからさまに口を滑らせたという表情を浮かべている。これまた珍しいことである。

 

 アカネさんも訝しそうに眉根を寄せていたが、やがて何か思い出したらしく急にニヤつき始める。これは二人でいる時によく見る顔だ。

 

 余計なこと言わないで、と睨む六花さんを殊更におちょくるようにアカネさんは口を開く。

 

「前って、もしかしてアーなんとかって動画配信してる男たちと来た時のことー? 当たり前じゃん。あんなオッサンたちの前で歌うとか逆にストレスたまるから。まぁ? 六花は私がさっさと帰ったあとも楽しんでたみたいだからー、どうか知らないけどー?」

「はぁ!?」

 

 六花さんは机を叩いて立ち上がりかけたが、アカネさんに乗せられていることに気付き、苦虫を噛み潰したような顔で座り直す。

 

「私もあの後すぐ帰ったし……あと楽しんでないから。あれは、なみことはっすがどうしてもって言うから行っただけ。私、ああいう人たち全っ然興味ないから」

 

 言いながら今度はハッキリとこちらを振り返る。

 

「本当だから」

「あ、うん」

 

 そう返すことしかできなかった。六花さんを信じているとかいないとかではなく、今まさに目の前の二人の女性を二股にかけている状態なので、こういうことに関しては何か言う資格がない。もやもやしたものが無いではないが……。

 

 六花さんとの間に何とも言えない微妙な空気が流れ、アカネさんはそれをせせら笑いながら席を立ち、こちらに近寄ってきた。

 

「まぁ、六花はいいとして……キミさぁ、なーに大人ぶっちゃってんの。本当は六花がこの狭い部屋で男たちと何してたか聞きたくて仕方ないくせに。つまんない反応しないでよ」

「アカネ、だから」

 

 と、また六花さんが言葉を止めた。視界の端で息を呑んでいるのがわかる。

 そしてそれはこちらも同じ。

 

「こんなことしたかもしれないんだよ?」

 

 何を思ったのか、唐突に、アカネさんが膝の上に乗ってきたからだ。スカートがはだけるのも構わず足を開き、手をこちらの肩に置き、真正面から向かい合うように。

 均整のとれたアカネさんの顔が目の前に広がり、その立派な胸が触れるか触れないかの距離にある。自然と喉が鳴ってしまう。両手が落ち着きなく宙を漂う。

 

「アカネ……本当にするの? ここで」

 

 気を取り直した六花さんはなぜか落ち着いていた。

 

「だって元々こっちが本命じゃん。六花が嫌ならやらなくていいよ。私だけ楽しむから」

「嫌なわけじゃないけど……」

 

 そう言って六花さんはため息を吐き、こちらに顔を向ける。さっきから一人、目を白黒させている姿が滑稽なのか、少し笑い、そして申し訳なさそうに言う。

 

「その、ごめんね。アカネがどうしてもこういう場所でしてみたいっていうから……付き合ってくれると、嬉しいんだけど……」

「言っとくけど、拒否権はないから。キミは私のセフレなんだし」

 

 ここまでくれば今までの違和感全てに合点がいく。つまり、彼女らはここでセックスをしようと考えていたのだ。

 心臓が早鐘を打つ。しかし、まだ理性が勝つ。だから、色々と危ない、と説こうとしたのだが、

 

「あ、この部屋にカメラとか無いことは確認済みだから。同じ階に他の客もいないし、店員も来ない。だから……何しても、バレないよ」

 

 それは、血が沸騰し、頭が茹であがるほどに蠱惑的な誘いだった。そんなことを言われては、うら若き性欲を抑えることなんてできやしない。

 正直に言うと、期待していなかった、と言えば嘘になる。二人からカラオケに誘われた時、心の片隅でこうなることを願っていた。

 

 いつだってそうだった。

 

 紆余曲折あって六花さん公認でアカネさんとセックスフレンド、セフレになり、六花さんとアカネさんもまた距離を縮める、という奇妙な三角関係ができた時から、この美少女二人を一緒に抱くことを、決して言葉にはしなかったが、常に渇望していた。それは男の夢だからだ。

 

 そして今日、遂にその時がやってきた。彼女達から、誘いを受けたのだ。

 であればもう、困惑したり迷っている暇なんてない。健全とか、常識とか、倫理とか、誠実とかそういうのは全部抜きにして、目の前の雌達を本能のままに貪りつくそう。

 

 両腕でアカネさんの身体を引き寄せ、抱きしめる。

 

「あんっ」

 

 瞬間、主に胸の辺りが眩暈がするほどの柔らかさに包まれる。そして無意識のうちにアカネさんの口を塞いでいた。

 

「んっ、ちゅ……んあっ……んふっ、んっ、あっ……んむぅ」

 

 瑞々しく、甘い。

 果実のような唇を味わっていると、アカネさんの手が肩から昇ってきてこちらの顔を両手で挟んだ。細い指で愛おしむように頬を撫でてくる。

 視線が合うと、目を細めて笑いかけてきた。

 

 そのらしくない慈愛に満ちた仕草と手つきになぜだか妙に気恥ずかしくなり、目を逸らす。

 隣では六花さんがふて腐れた様子でストローをいじっていた。こちらを気にしつつも混ざってくる気配がないのは、まずはアカネさんからと彼女達の間で取り決められているのだろう。

 

 突然、アカネさんが身体をより密着させてきた。むにゅり、と彼女の柔らかい部分が溶け合うように押し付けられる。

 再び視線を戻すと、さっきとは打って変わって不機嫌そうな目でこちらを睨みつけている。

 少し強引なほどにキスが激しくなった。

 

「ちゅ、る……んっ、ふ……んっ、んぅ……んっ、ぁ……ん」

 

 なまめかしい吐息、鼻腔を抜ける香り、押し潰れる胸、尻の弾力、タイツの擦れる音。

 それらの肉感に脳髄が一瞬で籠絡され、身体がむずむずと疼き、背中に回した手が行き場所を求めるように忙しなく動く。

 

「ちゅ、るっ……ん、あ……ぷはっ」

 

 口を離すと、アカネさんは一度呼吸を整え、こちらを見下して言う。

 

「今は私の番なんだからこっちに集中してよね。目を逸らすとか、生意気」

「ご、ごめん」

 

 ふん、と鼻を鳴らすアカネさん。

 

「それに、我慢してないで触ればいいじゃん。背中でモゾモゾされるのキモイから。なに? もしかして六花の前だから? ほんと止めてよね、そういうの」

 

 六花さんのいる方から何か言いたげな気配が伝わってくるが、つい今注意された手前そちらを見るわけにはいかない。

 アカネさんはチラリとだけ六花さんを見て、自分のシャツのボタンに手をかけた。上から手早く外していき、うなじ、鎖骨ときて、深い谷間が露わになる。

 

 前にもこんなことあったな、と思い出しながら彼女の指の動きに目が釘づけになる。

 その時と違うのは、今日は両手が自由だということだ。ブラジャーの感触が微かに伝わる背中の上で今はじっとその時を待っている。

 

 やがてへその辺りまでボタンを外し終えると、アカネさんは胸元をはだけて腰を少し反らし、自ら胸を突き出してみせた。その顔に悪戯っ子のような笑みを浮かべて。

 

「ほら、触りたいんでしょ、私のおっぱい」

 

 桃色のブラジャーに包まれた二つの山。見ただけで柔らかいとわかる肉の厚み。誰もが夢見た光景。露わになった肌はほんのりと赤らんでいる。深い谷間に一滴の汗が流れ落ち、吸い込まれていった。

 

 考えがまとまらない。

 

 気付けば、両手でアカネさんの胸を揉みしだいていた。

 

「あっ、ん……そう、そうっ、んっ……初めっから、そうしてればよかったんだ、よっ、ああんっ」

 

 鼻息が情けないほど荒くなっているのがわかる。だがどうしようもない。こんなものを見せられて興奮するなというほうが無理な話だ。

 掌に収まりきらない柔乳は指がどこまでも沈み込み、ぐにぐにと形を変える。弾けるように波打ち、揺れる。重量感に、改めてその大きさを思い知る。

 

 これがアカネさんの服の内側にあるモノ。制服を押し上げ、男たちの視線を集めていたモノだ。もっと。もっと触れたい。隙間なく、余さず、漏らさず、この手で味わい尽くしたい。

 

 無遠慮に豊満な乳肉をこねくり回す。

 外から内へ、内から外へ。目一杯に指を広げ、一本一本に意識を集中させて蠢かす。ブラジャーがずれ、大きすぎも小さすぎもしない乳首が顔を出すと、ますます鼻息に盛りがついた。

 

「くぅ、あっ……んふぅ、んんっ……あっ、や、んっ……ふふっ……がっつい、ちゃってっ……キモイ、ん、だから、あっ」

 

 小馬鹿にしたようなアカネさんの声すら気にならない。

 とにかく夢中だった。没頭しすぎて自分が今何をしているのかわからなくなるぐらいだ。だから、アカネさんのたわわな胸をすくい上げ、口を開けて中央の突起ごと頬張った時も、それを当たり前のように行っていた。

 

「ひゃんっ!!」

 

 今までに聞いたことのないような悲鳴をあげるアカネさん。

 文字通りの意味で彼女の胸を味わい、音をたてて吸い付く。

 

「ああぁ! んっ、もうっ、くぅ……ば、かっ、ばか、じゃないのっ! おっぱい、んくっ、吸う、なんてっ、あっ、だめっ! そこっ、舐めない、でっ、あぁんっ!」

 

 舌で乳首をねぶると、アカネさんは痺れるように身体を震わせて嬌声を漏らす。

 そこを中心にねっとりと円を描くように舌を動かし、汗の塩気と制汗剤の冷やかさに味蕾を刺激されながら柔らかな肌を舐める。

 

「んぅ、あぁ、くっ、うぅ……あぁっ!」

 

 アカネさんの悶えるような反応が新鮮でつい熱が入ってしまう。

 いったいどれほど弄っていただろうか。鳴き疲れた様子のアカネさんが、

 

「はぁ、はぁ、んく……もうっ、ほんっと、んっ、ばかっ、きもいっ……キミが、赤ちゃんに、なって、あっ……どう、すんのっ……はぁ、まったくっ」

 

 ため息を吐き、こちらの頭をギュッと抱きしめた。

 顔がたわわな胸に埋没する。

 それはこの上なく至福な時であったが、完全に四方を柔肉に囲まれ、すぐに息苦しくなった。必死に彼女の腕をタップする。

 

「ふふっ、情けない格好」

 

 解放された顔をあげると、アカネさんは屈託なく笑っていた。

 

 死にそうな思いをしたが、お陰で少し冷静になれた。一度彼女の胸から手を離し、そのままスカートの奥へと差し向ける。

 

「んっ」

 

 秘所にあたる部分はすでにタイツまでびしょびしょに濡れていた。

 アカネさんも同じようにこちらの股ぐらに手をやり、こんもりと盛り上がったところを指でなぞった。

 

「キミも、もう準備できてるじゃん」

 

 しなやかな指がこちらのベルトを外しにかかる。すっかり慣れた手つきで着々と衣服を脱がしていく。

 こちらもそれをただ黙って見ているわけにもいかず、アカネさんのタイツに手をかける。腰骨の辺りからスルリと下ろし、お尻、太ももと徐々に肌を晒していく。弾力のある柔肌に手が触れ、胸が高鳴る。

 

「アカネさん、足あげて」

「ん」

 

 衣擦れの音が耳を刺激し、雪のように白い肌、チラリと覗く上とお揃いの桃色のパンツが目を奪う。相手の衣服を脱がせるという行為にも妙な高揚を覚える。

 やがて肉棒が曝け出され、アカネさんの足からタイツを抜き取った。

 スカートと下着は残したまま両手をすぐに生尻に添える。

 

「あ、んっ」

 

 胸とはまた違う感触。張りがあり、つるりとしていて滑らかだ。揉み心地の良さに遜色はない。

 これ以上ないほど勃起する肉棒に許容を越えるほど血液が滾る。それまではアカネさんの肢体に夢中でそこまで考えが及ばなかったが、外気に触れ、その熱と猛りを自覚した瞬間、とめどない欲望が沸々と湧き出てくる。

 

 挿れたい。今すぐにこの肉棒を目の前の美少女の中に挿し入れたい。ぐちゃぐちゃにしてやりたい。

 

 際限のない獣欲に腰が揺すりたてられ、尻を掴む手に力が込もる。

 

「んっ、もう……落ち着いて、よね」

 

 言いながらアカネさんは自らパンツをずらし、肉棒を秘所に宛がう。

 傘が淫唇に埋まり、その中の具合に驚く。予想以上に濡れそぼち、肉棒を抵抗なく受け入れる準備がすでに整っていたからだ。

 

「ん、くっ、うぅ、あ……んっ、ふぁ」

 

 火照った顔で甘い声をもらしながら肉棒を挿入していくアカネさん。余裕ぶっているように見えて、彼女も相当に出来上がっていたのだ。

 ならば、と遠慮なく下から腰を突き出した。

 

「っ、ああぁんッ!!」

 

 アカネさんは嬌声をあげて背をのけぞらせる。

 中を分け入り最奥を貫く肉棒に、襞が隙間なくまとわりついてくる。

 

「あっ、んんぅ、も、うっ……かって、に……うごかない、で、よ、っ、ぁんッ! んんっ! あっ、あぁっ!」

 

 アカネさんの抗議も、腰を揺すって奥を何度も小突けば次第に聞こえなくなる。

 尻を掴み、目の前で踊る胸を楽しみながら肉棒を突き立てる。

 

「んっ! んっ! んぁ! はぁ、はぁ、あぁん! あっ、くぅ!」

 

 アカネさんは息を荒げて乱れる。自らも腰をくねらせ、動きに合わせて尻を上下させ、イイ所に肉棒を擦りつけようとする。

 肉棒を抽送するたびに飛沫があがり、身体に降りかかった。遊びも慣らしも必要ない。二人とも最初から剥き出しの性欲をぶつけ合った。

 

「あっ、くっ! き、もち、いいっ、ああぁ! きみ、のっ、あんっ! どう、して、いつも、こんなにっ、くぅ!」

 

 思わず口をついて出たらしい言葉に、アカネさんは照れ隠しのためにむすっと顔を膨らませ、こちらに唇を重ねてきた。

 

「んちゅ、ちゅ、んあっ! ふぅ、んんっ……あっ、ちゅっ、ちゅ、えろ……んむっ」

 

 自分がいいようにやられているのが気に入らないのか、これ以上何か口走るのを防ぐためなのかわからないが、どちらにしろこちらにとっては極上の体勢だった。

 上の口で舌を絡めながら淫らに繋がり、下の口では深く強く繋がり合う。ピタリと全身をくっつけるように抱き合い、豊満な胸が押し付けられる。

 相手の官能の熱が服越しにも伝わってくる。腰の動きに拍車がかかり、いよいよキスもままならない程に激しくなる。

 

「あっ! あぁ! んんぅ! い……くっ! いくっ……いくっ! いっちゃう! いっちゃうっ!」

 

 いっちゃう、と連呼しながらひしっと抱き着いてくる。

 こちらももう一刻の余裕もない。小刻みに腰を揺すり、肉棒へ絶え間ない刺激を与え続ける。

 

「アカネさん、中にっ、だしても?」

 

 本当は聞く必要はない。アカネさんとやるときはいつも中出し。それ以外は許可されないからだ。

 

「うんっ、うんっ! いい、よっ! あッ! いいよっ! なかに、だしてっ! いつも、みたいにっ! わたしの、なかっ! きみの、せいえきで、いっぱいにして、っ、いいよっ! だから、だからっ、いっしょにっ!」

 

 だがこうやって、アカネさんは昂ると非常にそそることを言ってくれるのでいつも意地悪く尋ねてしまう。

 十分に満足したのでスパートをかける。二人分の体重がソファーに悲鳴をあげさせる。

 

「いく、いくよっ」

「きてっ、きてっ! あっ! あっ、あっ、あっぁっ! いくっ、いくいくっ! いっく!」

 

 最後の一突きは、アカネさんの一番奥で。

 

「イッ、ッッッーーーーーーー!!!!!」

 

 痛いほど縋りつきながら達するアカネさん。恍惚に打ち震え、耳元で苦悶に喘ぐ。

 そんな彼女を抱き留めるこちらも脳天を貫くような絶頂に奥歯を噛み締めていた。

 肉棒から精液が迸るごとに下肢に電気が流れる。

 とめどない精液はアカネさんの膣を満たし、染めていく。二人ともその生の感触を息も絶え絶えにしっかりと甘受していた。

 

 やがて肉棒の震えが収まると、アカネさんも余韻から浮上して身体を離す。

 

「……きもちよかった」

 

 そう言って軽く唇を重ね、微笑を漏らしてソファーに倒れ込むように横になる。体力のないアカネさんは一度の行為で大抵グロッキーになる。息が整うまで少しかかるだろう。

 

 ふぅ、とソファーに背中を預ける。

 

 疲れたのはこちらも同じことだが、肉棒は萎えることなく筋をたてて活力を維持している。情欲も枯れる気配がない。

 まだまだいくらでもできそうだ。二人を満足させられずに終わる心配はなさそうで安心した。

 

 二人。

 

 そう、二人である。

 

 アカネさんの他にもう一人、この部屋には好き合う女性がいるのだ。途中まで存在を忘れてしまっていた男を、果たして彼女が愛想を尽かさずにいてくれているかはわからない。

 

 覚悟を決めて隣――横たわるアカネさんとは反対側――に顔を向ける。

 

「…………」

 

 六花さんは空になったコップの底をストローで音をたてて吸っていた。ずっと。いつまでも。

 

 不機嫌オーラが火山のように噴き上がっているのがハッキリと見えた。

 

 

 



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宝多六花&新条アカネ① 後

「私のこと忘れてたでしょう」

 

 六花さんは氷のように冷たい目でこちらを睨みつける。

 

「いや……」

 

 様々な言い訳が頭の中を駆け巡るが、肉棒を露わにしたこの格好では何を言っても滑稽で信用されないだろう。

 

「少し……だけ」

 

 結果、小さな声で情けなくそう言うことしかできなかった。

 六花さんはため息を吐き、申し訳なさと居心地の悪さから縮こまったこちらを見下ろす。

 

「バカ。サイテー。変態。信じらんない。あんた達が盛ってる間、私がどれだけ惨めだったかわかる? 店員が来るんじゃないかってソワソワして、音が外に漏れてるんじゃないかって無駄に曲入れたりして……あんたたちはそれに全然気づかないで……もう、ほんっと、バカっ」

 

 と言ってむくれる六花さん。

 最後の、バカ、も含めて、普段大人びた六花さんの子供っぽい一面に、こんな状況だと言うのにほっこりしてしまった。

 

「……なに笑ってんのアカネ」

 

 六花さんの視線がこちらを見越し、アカネさんに向けられる。

 べつにー、と背後からくすくすと楽しげな笑い声が聞こえる。アカネさんも同じようなことを思ったのだろう。

 

「……はぁ」

 

 六花さんはもう一度ため息を吐き、ソファーに手をついて前傾姿勢になったかと思うと、こちらの肉棒をそっと握ってきた。

 萎びかけていた肉棒を、細い指と掌でぐにぐにと揉み擦る。

 

「そんなに気持ちよかったんだ?」

 

 もどかしい刺激に苦悶する。

 

「私と……どっちがいい?」

 

 非常に困る質問だ。どちらも最高だ、というのが、人として最低であはあるが偽りない本音なのだが……。

 言葉に詰まっていると、六花さんは首を横に振った。

 

「ごめん。何でもない。私らしくなかった」

 

 そう言って、身を乗り出して肉棒を咥えた。

 

「ん、ふ……あむ……れろっ……ん」

 

 半勃ちの肉棒を口の中で転がす六花さん。舌で皮を伸ばし、亀頭を頬に押し付ける。口をすぼめ、精液やら蜜やらで汚れた棒を根元から吸いだす。

 

「あっ、ん……ちゅ、ちゅる……んふ……ずっ、ずりゅ……あ、むっ……えろっ」

 

 肉棒は瞬く間に力を取り戻していく。

 口の中で大きくなっていく肉棒に六花さんは意気盛んに奉仕を続け、それが完全に硬さと熱を取り戻すと、ちゅぽん、と音をたてて口から引き抜いた。

 すっかり涎でテカテカになった外側を舌と唇で舐めとりながらこちらを見上げる。

 

「元気になったね」

 

 肉棒にキスをしながら笑う六花さんの姿に、一目で骨抜きにされてしまった。

 それまでに見たことがないほど妖艶で、淫靡で、魔性と言ってもいいエロさだ。アカネさんというライバルのような存在が彼女の女心に火をつけたのかもしれない。

 六花さんは肉棒を手で捏ねながら顔をあげ、こちらを見つめる。

 

「今日は……生でいいから」

 

 驚いた。そういうところは徹底していた六花さんからそう言われるとは思いもしなかった。

 

「今日は大丈夫な日だから……それとも、私にはできない?」

 

 六花さん自身少し不安はあるみたいだが、意志は固いらしい。

 首をブンブンと横に振ると、六花さんはクスリと笑って軽く口づけをする。

 

「アカネと同じくらい……ううん、それ以上してくれなきゃ、怒るから」

 

 そう言ってこちらに背を向け、ソファーに片膝をついて尻を突き出す六花さん。顔を赤らめてゆっくりとスカートを捲りあげた。

 白くまん丸とした尻が目に飛び込んでくる。全体的にきゅっと引き締まりながらも足の付け根部分には柔い肉が乗り、そこから伸びる足、特に太ももは相変わらず確かな存在感をもって彼女を支えている。

 

 あの六花さんが、自ら恥部を曝け出して男を誘っている。

 

 生唾を飲み込む。

 そしてまた驚いたのが、彼女の秘所を覆っている黒のパンツの中心が、アカネさんと同じように、いや、すでにそれ以上の濃度で濡れていることだ。

 

 ゆっくりと手を伸ばし、丘の部分を布越しに指で押してみる。

 

「あぁんっ!」

 

 六花さんは甘く鳴き、パンツから染みだした蜜が太腿を伝う。

 

「六花さん、もうこんなに濡れてる」

「っ……あんた達がしてるのを、こんな近くで見せられて聞かせられて……何も感じないはずないじゃん……言わせないでよ、ばかっ」

 

 耳まで紅くして顔を伏せる。こんな場所でこんな格好をしているだけで、何だかんだもういっぱいいっぱいなのだろう。

 

 下肢が震え、肉棒が上下に揺れる。今すぐ目の前の雌の女陰に挿れさせろ、と急き立てる。いっぱいいっぱいなのはこちらも同じことだ。

 性急に六花さんの腰を掴む。下着をずらし、肉棒を蜜壷の入り口で待機させた。

 

「挿れるよ、六花さん」

 

 六花さんは下を向いたまま一つ頷いた。

 最大限の理性を動員してゆっくりと肉棒を埋没させていく。しかしその気遣いはやはり不要だった。

 初めて直に触れた六花さんの膣は、これ以上ないほど濡れそぼっていた。

 

「んっ、くぅ……あぁ、はぁ、はぁ……あ、んっ」

 

 肉棒は容易くトロトロの膣中に侵入し、蠕動する壁をこすりあげていく。焼けつくような熱を感じる。

 

「くあぁんっ!!」

 

 少し強く奥を叩くと、六花さんは全身で喜びを表した。それまで肉棒を撫でていた膣肉が引き締まり、隙間なく絡み付いてくる。

 ギリギリまで腰を引き、追い縋ろうとする襞の感触に奥歯を噛みしめ、一転して押し進める。

 それを契機に本格的な腰打ちを始めた。

 

「あっ! あっ! あぁ! ん、くうぅ! はぁ、ああぁん!」

 

 こちらの抽送に合わせて甲高い声をあげる六花さん。まだ行為が始まって数分しか経っていないとは思えないほどの乱れぶり、それまで我慢していたモノを吐き出すような嬌声である。

 

 腰を掴んでいた手を波打つ尻へと移す。さわさわと撫でるように揉み、指を埋める。

 

 六花さんはさっき、どちらがいいか、と聞いてきたが、尻の揉み心地は六花さんに軍配があがるかもしれない。その分、胸はアカネさんには及ばないが。

 

 などと、二人に話せば非難間違いなしなことを考えながら、六花さんをバックで突く。

 

「んっ! んっ! んぁ! お、く、あたって、んんっ! くぁ……あぁっ! んぁあ!」

 

 六花さんの嬌声、膣から弾ける水音、肉を叩きつける音が部屋中に響き渡る。

 尻を突き出し、上半身をソファーに横たえて官能に咽ぶ六花さんを見下ろす。

 ゾクゾクとした黒い欲望と共に、ふと頭をよぎるものがあった。

 

『本当は六花がこの狭い部屋で男たちと何してたか聞きたくて仕方ないくせに』

 

 ……その時は六花さんの言う通り何もなかったのだろう。それは疑っていない。

 しかし、想像してしまう。

 明らかにそういうことが目当ての男たちが六花さんの隣に座り、スカートから伸びる足を盗み見て、あわよくば触れようと……。

 

「んッ!? あ、あぁんっ! ちょ、ちょ、っと、きゅうに、はげしくっ、あんっ! あっ! あっ!」

 

 いつの間にか腰の動きが激しくなっていた。こねくり回すように下肢を回し、肉棒を四方の襞に擦りつける。

 

「ああぁ! だ、めっ! そこ、だめっ! んっ、んくぅ! きもち、よすぎ、てっ! く、あぁッ!」

 

 六花さんは目端を潤ませ、はしたなく口を開けてこちらを振り返る。

 

 男たちはきっとこんな姿も想像していたのだろう。よがり、紅潮し、色情に溺れた六花さんを。

 

 六花さんに覆いかぶさり、艶やかな黒髪に顔を埋めた。両手で太ももかかえ、体重をかけないように気をつけながらも、自由を奪うように彼女を抱きしめる。

 アカネさんは、大人ぶるな、と言った。とんでもない。今、こんなにも子供じみた独占欲で六花さんを束縛しているというのに。

 

「六花さん、六花さん……」

 

 そうやって犬のように縋り付いて腰を振り立てる。太ももを落ち着きなく撫でさすり、その感触を自分の物にしようとする。

 

「はぁ、はぁ、くぅ! んあっ……んっ、んんぅ! ああぁんっ! んっ、はぁ……も、う」

 

 六花さんは息を荒げながらこちらの頭に手を乗せ、子供をあやすように撫でる。

 

「そん、なに、んっ……しんぱい、ならっ……ちゃん、と、つなぎとめて、おいて、よねっ、んくっ……きみ、なしじゃ……いきて、いけない、ぐらいっ、あんっ!」

 

 全て見透かされていたようだ。

 そこまで言われては男としてできることは一つだけ。彼女の中に自分の存在を刻み付ける。他の異性に決して靡かないように。

 低く呻きながら肉棒をピストンさせる。

 

「あっ! あっ! あぁ! お、くっ! だめっ、そんな、つい、ちゃ! しびれ、ちゃうっ! くうッ!」

 

 この体勢では大きなグラインドはできないが、その分膣奥をしつこく叩く。この肉棒の形を、このセックスを、六花さんに覚え込ませる。

 ねっとりとした行為は二人の情欲を泥のように溶かし、没頭させる。

 時折キスをして、指を絡め合い、溺れるように混ざり合う。

 

「く、うぅ……んんっ……あぁ、はぁはぁ……わたし、もうっ……あぁん」

 

 六花さんが限界に近いことは膣の締まり具合から察していた。すでに何度か軽くイっていることにも気づいている。

 首筋にキスをして身体を起こし、腰を掴み直した。

 

「いくよ、六花さん」

 

 そう声をかけて、ラストスパートに入る。手加減のない本気の抽送で六花さんの膣を責めたてる。

 

「あぁ! んっ! くぁん! はっ、はっ、んんッ! あぁっ!!!」

 

 六花さんも情欲を全開にしてそれを受ける。

 それはまさしく獣の交尾だった。どちらも常識や倫理をかなぐり捨て、孕ませようと、孕もうと、性器をぶつけ合っていた。

 

「六花さんっ、中にっ……中に、だすよっ!」

「うんっ、いいよっ! なかにっ、せいえき、だしてっ! だいじょうぶ、だからっ! じゅんびっ、できてる、からっ! わたしの、なかっ、きみので、そめてっ! いっぱい、いっぱいっ!」

 

 気付けば雄叫びのようなものをあげていた。肉棒を六花さんの奥の、さらに奥へと、擦りつける。

 六花さんも目いっぱい叫ぶ。

 

「あぁぁ! イクっ! イクっ! イク、イクッ! イクッッ!!!」

 

 瞬間、肉棒が膨張し、尿道を駆けのぼった精液が弾けだされた。

 

「イッ、クゥッッーーーーーーー!!!」

 

 同時に膣がぎゅっと締まり、潮を吹きだした。

 今日二度目の射精は、そう感じさせない勢いで精液を六花さんの膣に撒き散らす。

 

「あっ……んぅ……くっ」

 

 六花さんは痙攣しながらそれを受け止める。

 

 こちらは崩れ落ちそうになる身体を何とか踏ん張り、いまだ精液を吐き続ける肉棒を六花さんの膣に擦りつけていく。そのようなことをしても染み込んだりするわけではないだろうが、意地のようなものだ。

 射精が収まってもまで六花さんの腰を掴み、入り口の辺りにも白濁液を塗りたくる。

 

「ん、あっ……くぅ」

 

 すでにいくらか落ち着いている六花さんが動きに合わせて甘い声を漏らす。

 長い時間をかけて肉棒を膣から引き抜くと、六花さんはゴロンと横になり、こちらを見上げ、

 

「やりすぎ、バカ」

 

 と言って頬を染めた。

 

 苦笑して、ごめん、と言い、立ち上がる。眩暈を起こし、フラフラになりながらジュースを一息で飲む。

 一度目も二度目も濃いセックスだった。この二人を相手にしているのだからそうなるのは当然だが、少し疲れた。

 

「六花ってメチャクチャ感じやすいんだねー。もう、すごい声だったよ」

「もー、やめてよアカネ、そういうこと言うの。恥ずかしいから」

 

 背後から女子二人の和気藹々とした会話が聞こえる。

 何かそういう女同士の戦い、てきな物になるんじゃないかと密かに危惧していたが、そんな心配はなさそうである。むしろ前より打ち解けているようにも感じる。

 

「ねぇ、六花……」

「……えぇ、嘘でしょ?」

「いいじゃん、私達しかいないんだし。六花だってまだ……」

「それはそうだけど……」

 

 何やらひそひそと声を抑える二人。話の内容は断片的にしかわからないが、どうもアカネさんが何かしようとしているらしい。

 

「じゃ、そういうことで。ねぇ、こっち向いて」

「あっ、ちょ、ちょっと待ってアカネっ」

 

 ソファーが軋み、衣擦れの音が聞こえる。

 こちらを向けと言われ、それ以上に二人がなにをしているのか気になるので振り返ると、

 

「っ」

 

 危うくコップを落としそうになった。

 

 二人はソファーの上に足をあげて膝を開き、パンツを脱いで露わになった秘所をこちらに見せつけていた。

 アカネさんは自分の指で淫唇を開いてみせ、六花さんはアカネさんに半ば無理やり大事な場所を曝け出されている。

 

「もうっ、ばかぁ」

 

 真っ赤にした顔を手で覆って俯く六花さんと、こちらに挑発的な眼差しを向けながらも羞恥を隠しきれていないアカネさん。

 

 息をするのも忘れてその姿を食い入るように見る。

 

 学校で一二を争う美少女達が、たった一人の男に女としての全てを曝け出し、淫乱ではしたなく、あられもない姿を晒す様を脳裏に焼き付ける。上はシャツを少しはだけただけの制服姿、というのもまたこちらのツボをよく突いている。

 二度の射精で落ち着いていた肉棒が痛いほど勃起しているのがわかる。自分の中の理性が急速に薄れていくのを感じる。

 

 アカネさんは目線を落としてこちらの肉棒を見やり、微笑んで、ゆっくりと、一語一語を耳朶に染み渡らせるように言う。

 

「いいよ、まだまだ、私達のこと、犯して。キミの、好きなように」

 

 二人の淫裂からは白濁液が垂れ落ちている。それは、自分がこの二人に種付けをした証であり、彼女達が自分の女であると確信させるものだった。

 

 乱雑にコップをテーブルに置き、血走っているであろう目で六花さんの前に立つ。

 こちらを見上げる六花さんの顔は羞恥に赤らんでいるが、その瞳は明らかに恍惚に浮かされていた。

 

「っ……」

 

 そして肉棒を前にして身体を疼かせ、自ら足を開き腰を浮かせて秘所を突き出す。

 

「……いいよ」

 

 次の瞬間には六花さんの唇にむしゃぶりつき、肉棒を挿入していた。

 

「んんッッ!! んっ! んぁぁ! ん、ちゅ、る……ふ、んぅ!」

 

 最初から全力で肉棒を叩きつけた。

 精液と蜜が入り混じった膣中は、肉棒を引いて挿し込むたびに、ぐちょぐちょ、と淫靡な音を響かせ、ソファーと床を汚していく。

 

「ちゅっ、ちゅっ、んぁ! んんぅ、あ、ちゅ……えろっ、んむ……あんっ!」

 

 六花さんは手をこちらの首に回し、足を腰に絡ませ、舌に吸い付いてくる。

 必死に縋り付いてくる姿が可愛らしくて、腰打ちにも更に熱が入る。

 ふと、視界の隅でアカネさんが不満げに頬を膨らませているのが見えた。

 

「また六花ぁ? 普通順番的に私でしょ」

 

 ぶつぶつと文句を垂れるアカネさん。

 左手を伸ばし、そんな彼女の胸を揉んだ。

 

「あんっ!」

 

 アカネさんは甘い声を漏らし、こちらを横目に睨みつける。

 

「ん……六花のこと、抱きながらっ、あっ……私のおっぱい、揉むとか、生意気、すぎっ、んあっ!」

 

 片手間に弄られるのは彼女のプライドが許さないのだろうが、それでもしっかりと感じてしまっている。乳首をつまむとさらに甲高く鳴き、もどかしさと劣情から遂にはオナニーを始めた。

 

「んっ、んっ……んあぁ、う、くぅ」

 

 指で蜜壷をかき混ぜながら声を押し殺すアカネさん。

 そんな彼女を横目に、空いた方の手で六花さんの制服の裾を捲り上げ、ブラジャーをずらしてこちらも胸を揉みしだく。

 

「あぁんっ! む、むねはっ、だめだって、ばぁ! んんっ!」

 

 六花さんはアカネさんと比べられるのを嫌がっているのだろうが、そんなことは気にせず柔乳を揉み解す。

 

「ん、くぅ、あぁ……ち、くび、そんなにっ、つまま、ないでよぉ」

「あっ! あっ! んんぅ! んちゅ、ちゅる、んあ……ん、ふ、あぁんッ!」

 

 左手でアカネさんの豊乳を、右手で六花さんの形のいい乳を揉み、溺れるようにセックスに興じる。

 あまりの気持ちの良さに頭がどうにかなりそうだ。

 もはや達するのを我慢するなど到底不可能で、精液が昇り始めたのを感じ取ると、本能に任せて我武者羅に腰を振り乱した。

 

「六花さん、また、中にだすよっ!」

 

 六花さんは犬のようにだらしなく舌を出し、何度も頷いて哀願した。

 

「だし、てっ! いっぱい、だしてっ! こわれちゃう、ぐらいっ! みたしてっ! おちんちん、からっ! あかちゃんの、もとっ、きみのっ、せいえきっ! ほしい、からぁ!」

 

 足と手に力を籠め、絶対に離すまいとしがみつく六花さん。

 

「っ、六花、さんっ!」

 

 瞬間、熱く滾る肉棒から精液の奔流が放たれた。

 

「あぁぁ、ッッーーーーーー!!!!!」

 

 六花さんは手足はそのままに天井を仰ぎみて、喉をヒクヒクとわななせながら達した。トんだ、というほうが近いかもしれない絶頂ぶりだった。

 膣は精液を一滴残らず搾り取るように収縮し、肉棒を圧迫してくる。

 歯を食いしばって踏ん張り、肉棒が射精を終えるとゆっくりと引き抜いた。

 

「ッ……はぁ、はぁ……あぅ」

 

 小さな物まで含めると相当な回数達したであろう六花さんは、普段からはあり得ない乱れきった自分の格好を正す気力もなく、ずるずるとソファーに身を沈めていく。

 二度精液を注ぎ込まれた膣からはとめどなく白濁液があふれ出し、中の満たされ具合を如実に物語っている。

 

 その征服感にまた肉棒が雄々しく屹立する。

 

 隣のアカネさんと目を合わせる。

 アカネさんは息を乱し、珠の汗を浮かべ、どこか陶酔した顔でこちらを見ていた。淫唇はひくひくと口を開き、その足元には精液に混じって大量の潮溜りができている。

 どうやら彼女も一緒にイったらしい。

 

「……なんで三回も出したのにそんなに元気なの……ちょっと引く」

 

 肉棒に目をやりながらアカネさんは呟く。

 誰のせいで、と思ったが、アカネさんが微笑しながら身体をこちらに向けたので、文句は後で言うことにした。

 

「ッ! ちょ、ちょっと、こんな格好っ、ん、あぁあッ!!」

 

 アカネさんの両足を掲げるように抱え、接合部が彼女からも見えるような形で繋がる。

 

「んっ! んっ! んぅぅ! あぁっ! も、うっ! なんでっ、こんな、かっこうっ、なのにっ、んんぅ! こんな、にっ、あぁ! き、もち、いい、のっ! ッッ!」

 

 アカネさんにとってはこの上ない屈辱的な格好だろうが、これほど官能に喘いでは取り繕うこともできないのだろう。

 組み伏されるように押さえつけられながら、アカネさんは快感に鳴く。

 

「あぁ! あっ! あっ! ん、くぅっ!」

 

 激しく腰をぶつける音が部屋の中に響き渡る。

 互いに言葉を交わさず、しかしどこまでも通じ合い、ひたすらに昂ぶっていく。

 

「はぁ、はぁ……んっ! あぁ、もうっ……ッ!」

 

 と、突然アカネさんが一人ごち始める。

 

「わかった、わかった、からっ! もう、みとめる、よっ! もうっ……んんっ! こんなにっ……ハマっちゃう、なんてっ、あぁん!」

 

 そう言ってこちらを見上げる。

 目と目が合い、少し逡巡した後、アカネさんは思いの丈をぶつけるように叫んだ。

 

「きみじゃなきゃ、もうだめっ! ほかの、おとこのことなんて、しらないけどっ……もうきみじゃないと、いや……まんぞく、できない、から……だからっ……」

 

 徐々に声を落としていき、頬を赤らめ、ポツリと囁く。

 

「せふれのかんけいでも、いいから……わたしのことも……すきになって」

 

 ただただ愛おしかった。心を打ち抜かれるとはこういうことかと実感した。隣で六花さんがもの言いたげな目をしているが、こればかりはどうしようもない。

 しかし同時に、心の興奮と同調して肉棒がそれまで以上に猛りだしてしまった。

 このまま獣欲に任せてアカネさんを抱いてしまっていいものか。

 などと葛藤しているのが伝わったのか、アカネさんは微笑んで身体を寄せてきた。

 

「いいよ。壊れるぐらい、私のこと、愛して」

 

 何かを言う前に身体が先に動いてしまった。

 

「んぁんッ!!」

 

 アカネさんをソファーに押し付けるようにして、肉杭を遮二無二打ち込む。

 

「あぁっ! このっ、たいせいっ、んんぅ! おちん、ちんが、おく、までっ、とどい、てっ! こじ、あけられ、ちゃうっ! ひらい、ちゃうよっ!」

 

 まるで道具を相手にするように肉棒を叩き込んでも、アカネさんは幸せそうに喘ぐ。こちらをひしっと抱きしめ、胸を押し付け、首元に何度も口づけをする。自分の物であると印をつけるように。

 こちらも肉棒の先端でアカネさんの膣奥に何度もキスをする。

 

「あっ! あぁ! そうやって、おく、こんこんっ、される、のっ! きみにっ……されるの……すきっ、だからっ……もっ、とっ!」

 

 俄然、腰使いに熱が入る。

 しかし、激しく愛し合う行為は、当然それだけ限界を迎えるのが早くなり、だからと言ってペースを落とせるほど冷静ではなく、その時はやってきてしまった。

 

「アカネさん、そろそろっ」

 

 そう言うと、アカネさんはこちらを上目遣いに見ながらコクリと頷いた。

 

「うんっ……おく、にっ、おくに、ながしこんでっ、んっ! きみのっ、せいえきでっ、わたしを、いっぱいにしてっ! きみの、ことしかっ、かんがえられなく、してぇ!」

「っ、アカネさんっ、アカネさんっ!」

 

 最後は二人ともひたすらに名前を呼び合い、壊れてしまうほどに互いを求めあった。

 そして、

 

「んぁっ! イクっ! イクっ! イクッ! イクッ! イッ、ッッーーーーーーー!!!!!」

 

 肉棒を膣奥のさらに先までねじ込み、同時に果てた。

 

「ッッーーーーー」

 

 その時は二人とも、溢れ出る快感を内に押し留めようと唇を結んで悶えた。

 肉棒は精根尽き果てるまで精液を吐き続ける勢いで、再びアカネさんの膣を染めていく。

 

「で、てる……きみの、が、わたしの、なかでっ……」

 

 アカネさんはどこか泣きそうな声で、噛みしめるようにそう言って、こちらの胸元に顔を埋めた。

 その頭を撫でてあげる。

 

 やがて四度目の射精を終えた肉棒がひとりでに膣から抜け落ちる。四度も連続で果てたとなれば、肉棒も元気を失う。

 例の如く精液も一緒にあふれ出て床を汚した。

 

 これはさすがに綺麗にしないと警察沙汰になるだろう。

 

 カラオケ店でこんなことをしている時点で十分ご法度だが、アカネさんの言う通り店員も誰も来なかったのでばれてはいないようだった。

 

 

 そうしてしばらく二人で抱き合っていると、

 

「……ちょっと、離してよ」

 

 そのアカネさんに腕を叩かれた。

 

 慌てて離れると、アカネさんはいつもの表情でこちらをしばらく見て、

 

「あー、気持ちよかった。まぁ、ストレス発散にはなったかな」

 

 と、やはりいつもの調子でソファーに背中を預けた。

 強がりかもしれないが、あの告白をした時のような殊勝な態度でいられたらこちらとしても対応に困るので正直ホッとした。

 

「アカネ……」

 

 しかし六花さんはやはりそれが気になるようで、複雑な表情でアカネさんの横顔に視線を向けている。

 

「……大丈夫だよ、六花。約束通り、六花たちの邪魔はしない。私とこの人はただのセフレ。それ以上でも以下でもない」

 

 わざと突き放すような言葉に六花さんはしばらく考え込み、はぁ、とため息を吐き、アカネさんの手をとった。

 

「わかった。アカネがそう言うなら、それでいいよ。でも、私とアカネも友達なんだからね。それは忘れないでよ」

 

 するとアカネさんは目を見開き、照れ臭そうにはにかんだ。

 

「ありがとう」

 

 六花さんも微笑みを返した。

 

 この場にいてはいけない。本能というか直観がそう告げている。邪魔だ、と。

 ちょっとお手洗いに、と服を整えてそそくさと部屋を出ようとすると、

 

「あ、ねぇ、さっきの話だけど」

 

 アカネさんに声をかけられた。

 

「六花が男たちとカラオケに来たって話。あれ、きみが六花の処女奪う前の話だから、本当になにも無かったよ。で、その後はキミも知ってのとおり六花はそんな男たちと遊んでる暇はなかったと」

 

 良かったね、とアカネさんが意地悪く笑うのと同時に、アーカーネー、と六花さんが飛び掛かる音が聞こえた。

 二人の少女の仲睦まじいじゃれ合いに頬を緩ませながら、男は一人クールに部屋を去り、トイレの個室でしばらく時間を潰した。

 

 

 



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みるタイツ
藍川レン①


 『CLOSE またのご来店をお待ちしております』

 

 

「んっ、ちゅ、あ……んっ、あぁ、んぅ」

 

 夕方の盛況ぶりが嘘のような静けさに包まれた店内で藍川レンさんと接吻を交わす。二度、三度。数を重ねていくにつれ、こちらのシャツを握る手に力がこもる。

 

「あぁ、ん、ふぅん、ちゅ、んむ……ぷ、はぁ……はぁ……ねぇ、本当にここでするの?」

 

 カウンター席に座り、額に汗を滲ませ上気した顔でこちらを見上げるレンさん。

 仕事が終わったばかりなので二人とも制服のままだ。どちらもかなり乱れているが。

 

 上は襟が黒い白シャツ、下は男は黒いパンツだが、唯一の女性店員であるレンさんは少し丈が短いグレーのスカート、そして黒タイツ。狙いすぎて萎えるようなものではなく、まさに男が理想とする喫茶店の女性店員そのものといった感じである。店長のセンスの良さが窺える。

 

 店長のコーヒーの評判が良いこともあり、お店はそこそこ繁盛している。とは言え、その客の九割が、制服を身に着けたレンさん目当てのサラリーマンと男子学生であるが。

 男二人は眼中になく、あるいは逆に射殺されんばかりの視線を向けられる。

 そんな飢えた獣たちも今はもういない。

 

 すでに外ノブには『CLOSE』のプレートがかけられ、窓は閉め切ってカーテンも引いている。外の喧噪や車の音は聞こえるが、店内の様子は外には伝わらない。何をしても。

 

「レンさんが誘ったようなもんだよ、あれは」

「それは……」

 

 顔を紅くして目を逸らすレンさんが可愛くて、もう一度唇を重ねる。

 

「んっ、あぁ、ちゅ、ん、ちゅ、あん」

 

 レンさんも口ではああ言っていたが、決して嫌がる素振りはみせず積極的に唇を押し付けてくる。

 

 カウンターの上には空になったコーヒー二杯と、二人分のエプロンが置いてある。コーヒーを淹れてくれた店長はついさっき買い出しに出かけた。いつも通り一時間は帰ってこないはずだ。

 二人きりになったからと言って、いつも店内でこんなことをしているわけではない。理由がある。こじつけのようなものだが。

 

 

 藍川レンさんは同じ高校に通うクラスメイトでバイト仲間で……だ。クールを装っているが頼みごとを断れない性格で面倒見がいい。そして何よりとても可愛い。同じクラスの腐れ縁女子三人組で話している姿をチラチラと盗み見る男子は少なくない。

 

 そんなレンさんと同じバイト先で働いているので恨まれることはしょっちゅうだ。

 今日も放課後に同じシフトで入り、レンさんは愛想よく気立てよく、こちらは刺すような視線を感じながら忙しなく働いた。

 閉店後、店長が出かけ、床のモップがけが終わるや否や、

 

「疲れたぁ~」

 

 と、レンさんはモップを放り出してカウンターにドカリと座った。

 接客中は天使のような笑顔を絶やさないレンさんも、周りにお客がいなければ途端に少し我儘な年頃の女子高生らしくなる。

 口癖は、

 

「こんなバイト辞めてやるぅ~」

 

 だが春に行く旅行のためにも辞められないのは知っている。

 しばらくカウンターに突っ伏していたレンさんが急に起き上がると、靴を脱いで両足を隣の席に投げ出し、こちらを見て有無を言わせぬ声で言った。

 

「マッサージして」

 

 それがいけなかった。

 

 いや、正直に言うと非常に役得ではあった。

 綺麗に整えられた指、ほどよい肉付きのふくらはぎ、男ならば誰もが思わず生唾を飲み込んでしまう太もも。それらがタイツでキュッと締まり、よからぬ妄想を掻き立てる。

 その脚を本人の許可の元、マッサージという名目で揉み解してよいなどと、いったい誰が断れるだろうか。

 仕方ないなぁ、と高校生特有の無意味で愚かな見栄を張り、嫌々といった体で気が変わらないうちにマッサージをしてあげた。

 

「ユアが言うには、んっ、足裏のツボを押すのが一番、あっ、いいらしいんだけど、んぁっ! ふぅ……やっぱり、気持ち的に、脚全体を解したい、あぁん、ん、だよねぇ」

 

 そう言うことならば、とまず足の指をぐっと反らしてツボを押してみる。

 

「んっ、あっ、いたっ、くすぐったい、あ、でも、んっ! いいっ、ユアより、んっ、上手い、よ」

 

 正直、この時点で理性が崩壊しかけていた。なぜかレンさんの声には妙な艶とやらしさがあり、いちいちこちらの鼓膜を刺激してくる。

 何も考えないようにして、ふくらはぎを挟むようにもみこむ。

 

「あっ、んっ、あぁん、いい、よ、あっ、はぁ、その、まま、んっ!」

 

 だが、レンさんは耳だけでなく目をも誘惑してくる。レンさんが身震いするたび、スカートが揺れてタイツに隠れた下着がチラチラと覗く。レンさんの隠された場所。誰であろうと男なら見てしまうはずだ。

 

「あっ、あっ、んっ、いいっ、きもち、んぅ、いいっ」

 

 太ももに手をかける頃には、もはや行為の時のそれと何ら変わりない声をあげ、下着の色やお尻の形までハッキリと見て取れた。

 

「レンさん、声。あと、その……スカート」

 

 これ以上耳目を刺激されたら我慢できそうにないので、それとなく注意を促したのだが。

 

「えぇ~、んっ、なにがぁ? あぁん」

 

 レンさんはニマニマと悪戯っぽく笑うばかりで全く直そうとしない。

 

「もしかして、あっ、なんか、勘違いしちゃう? んっ、ふふっ。でも、これはただのマッサージ、あぁっ、だよ。スカートだって、んぅっ、見なければ、いいじゃん」

 

 どうやら反応を楽しむためにわざとやっていたようだ。

 後者に関しては完全にレンさんの言う通りなのだが、男子高校生の不安定で行き場のない情欲を理解した上で弄んでいるのなら話は別だ。

 

 こちらも理性は捨てる。

 

 太ももに指を沈め、あくまでもマッサージの体を崩さないように、出来る限り厭らしくねっとりと揉みしだく。

 

「ん~~~っ」

 

 恍惚の表情を浮かべるレンさんを横目に、徐々に上へ上へ、太ももの付け根部分へと手の位置をずらしていく。

 そしてスカートに手がかかってようやく、レンさんは困惑と羞恥の表情でこちらを見る。

 

「ちょ、ちょっと、あんっ、そ、そこは、んっ、いいって」

「大丈夫。遠慮しないで。こういう所にも疲れを取るツボがあるらしいから」

 

 もちろん嘘だ。

 

「な、なに、あんっ! え、えっちなビデオみたいなこと、んんっ! 言って、や、んっ!」

 

 やがて両手がスカートの中に納まった。

 ここまできたら、それまで努めて澄ましていたこちらも興奮が隠せなくなる。

 客の男たちが想像することしかできないレンさんのスカートの中に手を入れ、その中に隠れているモノを思う存分味わっている。それは途轍もない優越感だ。

 

「あっ、んっ、だ、駄目だ、って、あぁんっ」

 

 レンさんはスカートが捲れあがらないように裾を抑えるばかりで、それ以上の抵抗はしてこない。攻められると弱いことは知っている。

 咄嗟にレンさんの背後に回り込んだ。両腕でレンさんの身体を挟み込み、逃げられないようにする。

 

「んっ、も、もう、あっ、あんっ!」

 

 レンさんの声はいつの間にかそれまでの芝居がかったものから、本物の嬌声へと変わっていた。

 両手はもうほとんどお尻に近いところを撫でさすっている。柔らかく、それでいて指に吸い付く。タイツのザラリとした感触も指先を心地よく刺激する。

 

 それにしても。

 

 こうしてレンさんの後ろからスカートの中に手を忍ばせ、太ももやお尻を撫でまわし、スカートを抑えて声を漏らさないようにしている耳まで真っ赤なレンさんの姿を上から見下ろすと、まるでレンさんを、痴漢、でもしているように思えてくる。

 自然と彼女が痴漢にあっている場面を想像する。

 

 満員電車で。

 小汚いおっさんに。

 いくら手を払おうともいいように撫でられ触られ。

 果てには赤黒い肉棒をタイツにこすりつけられ。

 そして・・・。

 

 ゾクリと背筋が震える。

 言いようのない怒りとともに下衆な情欲が肉棒を刺激する。

 我慢できず、レンさんに身体を密着させる。さながら満員電車にいる本物の痴漢のように。

 

「っ! ちょ、ちょっと、あっん、背中に当たってるんだけど、んっ、か、固いのがっ」

 

 当然、肉棒はとっくに活発になっている。

 それをもっとレンさんに意識してもらおうと、レンさんの腰とお尻の間に肉棒をグイグイと押し付ける。

 

「あっ、んっ、も、もう……変態」

 

 レンさんの罵倒も今は興奮を高める材料にしかならない。

 

「別に、んっ、私のパンツなんてもう、な、何回も見てるのに、なんでそんなに興奮してるの、あんっ」

「男はシチュエーションに弱いから」

 

 普段働いているお店の中で、AVさながらのマッサージをして、こうして痴漢紛いのプレイをしている、という状況だけで普段の行為とは全く別の興奮を味わえる。

 

「それにレンさんとはあと何千回やっても足りないよ」

「なに、あんっ、キモイこと、んっ、言ってんの、あっ・・・馬鹿」

 

 左手をスカートから抜き、制服を盛り上げる胸へと持っていく。ふかふかの胸に触れ、肉棒は更に硬さと大きさを増す。

 

「んっ、もう、胸、まで、あぁんっ! しわに、ぁんっ! なっちゃうじゃん、んぁ!」

 

 脚にばかり目が行きがちだがレンさんは胸も立派だ、制服の上からでも十分に揉み応えがある。とは言え、行為というものは際限なくエスカレートするものであり、やがて服の上からでは物足りなくなってくる。

 左手でレンさんのシャツのボタンを外し、今度は下着の上から胸を堪能する。レンさんお気に入りのピンクのブラジャーだ。

 

 このブラを襟の隙間から見ようと、学生たちが色々と画策しているのを見たことがある。

 机を拭かせたり、レンさんがお辞儀をする時に出来るだけ上から見ようとしたり、中にはわざと何かを溢して床を拭かせたり、なんて悪質なものまである。そういった物を男が処理すると、彼らは失望を隠そうともしない。

 中には彼女の胸チラを拝めた者もいただろう。しかし、こうして直に触れられる奴はいない。これまでも、これからも。

 

 醜い独占欲がふつふつと湧き上がり、頭がさらなる刺激を求める。

 

「やっ、あっんっ! あぁんっ!」

 

 左手はブラジャーを押しのけてレンさんの胸を直に触れ、右手をスカートの一番奥へと運ぶ。

 

「あっ! そ、そこは本当に駄目だって、んあぁんっ!」

 

 構わず秘所に触れる。

 そこは下着とタイツに守られてなお、指先が濡れるほどに出来上がっていた。

 

「~~~っ」

 

 レンさんは顔を伏せてしまい、ここからではどんな表情をしているかわからない。しかし耳は真っ赤だ。

 このまま彼女を言葉責めするのもいい。だが、今日はそれでは足りない。

 とにかくレンさんをイかせたかった。自分の手で。

 何も言わず、愛撫を再開する。

 

「っ! あ、んっ! ちょ、ちょっとま、んっっ!!」

 

 突起した乳首を指で転がしつつ、揉み、さすり、持ち上げ、寄せる。とにかく思いつく限りの方法で胸をいじる。

 一方は、始めは優しくこするように広く大きく撫で、徐々に勢いをつけて局所的に責めたてる。

 

「あっ! んっ、んっ、あぁ! は、あっ、んぁ!」

 

 レンさんは声が我慢できなくなるほどに昂り、身をよじらせる。

 

「だ、め、だめだってっ、い、いっちゃう、あぁんっ! い、いく、からっ! ほんとうにっ! んっ、あぁん!」

「イって、レンさん。掃除はまたすればいいから」

「そ、そういうことじゃ、あぁぁんっ!」

 

 シャツがはだけて現れた鎖骨に吸い付く。同時に、レンさんの香りが鼻孔を抜ける。痕が残るだろうが、明日は休みだから多分大丈夫だ。

 あっあっ、とレンさんは絶えず嬌声を漏らし、こちらの左腕にしがみついて体勢を保つのがやっとのようだ。

 

 やがて限界がきた。

 

「んっ! んぅっ! あっ、い、イク、イク、あぁぁんっ! イ、くっっ!」

 

 まるで懇願するようにイクと連呼するレンさん。

 左手は乳首を摘み、右手はタイツと下着の上からポツンと小さく勃ったモノを攻め続ける。

 

「イクっ! イクっ! いっ! っ----!!!!」

 

 瞬間、レンさんの秘所から潮が吹きだした。潮は下着とタイツを易々と抜け、外へと飛び出て放物線を描く。それは最後まで攻め手を緩めなかった右手をびしょびしょにしてもなお、店の床と椅子を濡らすほどの量だった。

 

「んっ、あ、あぁ、はぁ、んっ、はぁ」

 

 息も絶え絶えに身体を細かく震わせ、くたりとこちらに体重を預けてくるレンさん。

 

「もう、やりすぎ……掃除、し直さなきゃいけないじゃん」

「そうだね」

 

 でもその前に、と完全に油断しているレンさんに口づけをした。

 

「っ! ん、んちゅ、あっ、は、んっ」

 

 レンさんは目を開いて驚きつつ、抵抗する気力もないのか、する気がないのか、されるがまま受け入れている。

 

「もう限界なんだ」

 

 レンさんは制服のパンツを限界まで押し上げる肉棒を見て、ため息を吐いた。

 

 

 

 そして今に至る。

 

「じゃあレンさん、お願い」

「んっ」

 

 自分だけイってしまった後ろめたさか、場の雰囲気に流されて正常な判断ができていないのか、レンさんは驚くほど素直に、紅潮した顔を逸らしながら言われた通りカウンター席の小さな椅子に両足を乗せる。そして躊躇いながらも足を開いた。

 

 天国のような光景だ。

 

 バイト中は老若男女を虜にする笑顔を振りまくレンさんが、恥じながら自ら股を開いている。それもとてもはしたない格好で、カウンターを背に店内に見せつけるように。タイツは秘所の部分を中心に目に見えるほど色が変わり、中の下着もハッキリと透けている。色はもちろんピンクだ。

 

「これで、いいの? もう……本当に変態」

 

 などと言いながらも、レンさんはしっかりとスカートをつまんでいる。

 我慢できず、覆いかぶさるようにレンさんに近づき、顔をこちらに向けさせて唇を重ねる。今度は舌を絡める濃厚なヤツだ。

 

「んっ、ちゅ、あっ、んんっ、んぁ、んむっ」

 

 唾液の交換を終えると、レンさんもやる気が再燃したのか熱をもった瞳を向けてくる。

 

「レンさん、タイツ破っていい?」

 

 キスをしながら尋ねる。

 

「んちゅ、あっん、ん……後で、新しいの買ってよね」

 

 合意と受け取り、濡れたタイツに手をかけ、一息に引き裂く。その音は女性にしてみれば絶望と落胆の象徴だろうが、男にしてみればこの上なく甘美な響きだ。

 

 レンさんの白い肌とピンクの下着、そして秘所が剥き出しの状態になる。

 

「あんっ!!」

 

 下着越しに触れると、そこは十分すぎるほど濡れていた。

 

「ちょっと、いきなり」

 

 触らないでよ、と言いかけてレンさんは口を噤む。

 その視線は制服のチャックから飛び出た肉棒へと注がれていた。

 今すぐにでも自分を犯すそれを見て何を想像したのか、レンさんが生唾を飲み込む音が聞こえた。

 レンさんの下着をずらし、肉棒を秘所へと宛がう。亀頭が膣中を少し押しのけると、あっ、とレンさんが思わずといった風に切なげな声を漏らす。

 

「いれるよ、レンさん」

「……そういうの言わなくていいから」

 

 小さな声で呟くレンさん。勝手にやれば、とでも言いたげに頑なにこちらを見ようとしない。それが見栄であることは明らかだった。

 それじゃ、とこちらも平静を装い、腰を突き入れた。

 

「ーーーっっ!!!」

 

 レンさんは一度イって敏感な膣に固い肉棒を挿し込まれ、こちらは長いことお預けされていた肉棒を四方から締め付けられ、二人して悶絶する。

 顔を見合わせ、思わず笑った。

 

「動いてっ……いいよ」

 

 レンさんが首に手を回してきたので、こちらはレンさんのタイツに包まれた脚を掴んでしっかりと固定する。

 腰を引き、もう一度挿しいれる。

 

「あぁぁんっ! んぁ! んっ、んっ、あぁ! あっ、んぅ!」

 

 店内に響き渡る肉と肉を叩く音とレンさんの喘ぎ声。愛液が飛び散り、また床を濡らす。

 この世の物とは思えない快楽が飛び交う頭は役に立たず、ただ本能のままに腰を動かす。

 

「あっ! あっ! あっ! んぁっ! んっ! や、あぁんっ! ふぁ、んんっ!!」

 

 レンさんも羞恥をかなぐり捨て、感ずるがままに嬌声をあげる。

 

 何度も何度も。

 

 カウンターのイスが壊れてしまうのではないかというぐらい、激しく交わう。

 レンさん目当ての客で彼女との行為を想像しない人間はいないだろう。彼女に初恋を抱いた少年も今頃自分の中のモヤモヤに苦慮しているかもしれない。

 彼らが絶対に触れることができない、胸も、お尻も、脚も、そしてココも。全て自分だけが堪能できる。堪能している。

 

 最低最悪な欲望であることは百も承知。今はただ、この優越感と全能感を糧に彼女の中で果てたい。

 

「んっ! あ、んっ! んっ! んっ!」

 

 やがてレンさんは何かに耐えるように目を瞑った。かと思うと、顔を伏せ、手で口を覆って声を抑えようとしている。

 

「レンさん、イきそう?」

 

 興奮のままデリカシーもなく聞くと、レンさんは俯いたまま一つ頷いた。二度目の絶頂はもう間近まで来ているらしく、態度に余裕がない。

 

「んっ……んっ……んんっ!」

 

 また一人でイくのは嫌なのだろう、必死に快楽に飲まれまいとしているレンさん。

 そのいじらしい姿に思わず獣のような声をあげて腰を打ち付ける。

 限界が近いのはこちらも同じこと。下半身が射精に向けてスパートをかけている。もう止められない。

 

「中に、だすよ!」

 

 するとレンさんは壊れた人形のように何回も頷いた。

 

「いい、から、中に、だしていいからっ、イかせて、はやっ、んくっ! いっしょ、にっ」

 

 もはや何も考えられない。

 レンさんの両足を抱え込み、全力で腰を振りたくる。

 

「んっ! ふぁ、んっ! んっ! あっ、あん! あっあっ! んっ! あぁぁん!」

 

 レンさんは椅子からずり落ちないようカウンターに両手をつき、遮る物のなくなった口からそれまで我慢していた分の嬌声があふれ出る。

 

「レンさん! レンさん!」

「んっ! あっ! あっ! い、イク、イクイクっ! んぁぁ! イッ、くっ!!」

 

 最後の一挿し。

 

 膣の最奥を肉棒で目いっぱい叩き、射精する。

 

「レン、さんっ!」

「イっっっくぅぅぅ!! っーーーーーーーーーーーー!!!」

 

 レンさんと一緒に奥歯を噛み締める。

 あまりの気持ちよさに腰が砕けそうになるが、意地でも膝を折らず、射精が続く間はレンさんの膣中を肉棒の全てで味わった。

 レンさんに抱き着き、肉棒をグリグリと押し付ける。

 

「っ、っ、っ」

 

 その度にレンさんの身体が細かく震え、耳元で淫靡な喘ぎを漏らす。

 長い射精が終わり、萎えた肉棒を膣から抜き出す。同時に、収まりきらなかった精液がドロリと外に溢れ出る。

 

「んっ、あっ・・・どんだけ、出したの」

 

 クタクタになったレンさんが呆れたように言う。

 レンさんは一つ息を吐き、自分の格好と周囲の惨状を見て、苦笑する。

 

「掃除、し直さなきゃね」

 

 

 その後、レンさんは服を着替え、急いで掃除と換気をし、何とか店長が帰ってくる前に証拠隠滅できた。はずである。

 

 後日、レンさんにはタイツの弁償とスイパラを奢らせていただいた。

 

 



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のんのんびより
加賀山楓①


『7月15日 晴れ 正午』

 

 

「げっ」

 

 【かがや】の引き戸を開けるなり、店番をしていた駄菓子屋さん、もとい楓さんがこちらを見て露骨に面倒くさそうな顔をする。間違ってもお客にしていい反応ではない。

 

「何しにきた。と言うか学校は? まだ昼だぞ」

「期末試験日だから終わるの早かったんですよ。部活も休みなんでこのみちゃんと一緒に帰ってきました。と言うかそんなに露骨に嫌そうな顔しないでください。貴重なお客ですよ」

 

 楓さんは、はんっ、と鼻で笑った。

 

「物買わねぇ客は客じゃねぇ。れんげ達のほうがよっぽどお得意様だ」

 

 それを言われると痛い。駄菓子は嫌いではないが、この歳にもなるとどれも甘ったるく感じてそうそう喰っていられない。いくら昔馴染みの店だとしても。

 

 【かがや】は村唯一の駄菓子屋だ。最近は通販も請け負っているが、経営状況は芳しくないようだ。そこの店員である二つ年上の、長い金髪にヤンキーみたいな恰好を好む加賀山楓さんとは小中併設の分校に通っていた幼馴染のような関係である。と言うかこの小さな、子供が総勢十人にも満たない村には幼馴染しかいない。最近都会から越してきた子を除けば。

 だから出来るなら売上に貢献したいと思ってはいるのだが、最近は店に寄っても駄弁ることしかしてない。こんなことを言われるのも当然だ。

 

 話題を変えようと視線を外すと、棚の上に懐かしい玩具を見つけた。

 

「楓さん、あれ取れる?」

「ん? ……めんどくせぇな」

 

 と言いつつも、楓さんは踏み台を使って取ろうとしてくれる。

 

「んっ、このっ……お前、あたしにこんなことさせて、買うんだろうな?」

「うん、多分」

「多分って……絶対買えよ!」

 

 楓さんは必死に叫ぶが、この時彼女の声はほとんど耳に届いていなかった。ある一点に目が吸い寄せられていたから。

 

 今日の楓さんはノースリーブのシャツにデニムという、ジャージなどのラフな格好を好む楓さんにしてはきっちりとした服を着ている。きっちりとしているということは、ジャージなどより身体の線が浮かびやすい、ということでもある。

 

「くっ、あと少しなのに……誰だよここに置いたの……あたしだ」

 

 楓さんはぶつぶつ言いながら踏み台の上でつま先立ちになり、懸命に棚の上の玩具を取ろうとしてくれている。

 踏み台は子供達が使うために置いてあるので低くて土台がしっかりしていて、それ自体は大した危険はない。けれどそうやって身体を伸ばし、バランスをとるために下半身に力を入れると、デニムに包まれた楓さんの形のいい尻がキュッとしまるのだ。

 目線の高さに近いところでフリフリと揺れ動くそれを見せつけられると、思春期真っ盛りのこちらは否が応でも鼻息が荒くなってしまう。

 

 静かにゆっくりと楓さんに近寄る。

 

 忍び寄っていくにつれ、ジャージでは出来得ない尻の盛り上がりや、太ももの付け根に沿ってできる服の皺、シャツの隙間から見えるくびれ、など興奮を増長させる媚薬が次々と目に飛び込んでくる。

 

 楓さんの真後ろに立った時には、性欲に支配され我を忘れていた。手を構え、獲物を前にした獣のように狙いを定める。

 

「んっ、と。よし、取れた」

 

 そして、楓さんが玩具を手に取ったのと同時に、両手で彼女の尻を揉んだ。

 

「きゃっ!?」

 

 普段からは考えられない可愛らしい悲鳴をあげる楓さん。

 こちらはデニムの固い生地の向こうに確かに楓さんの尻の豊かな感触を捉え、瞬時に頭が蕩けていた。

 

 一瞬の空白。

 

 ガシャン、と楓さんが取り落とした玩具が床に落ちる音で、我に返った。

 青ざめているであろう顔をさっと上げると、対照的に顔を真っ赤にして震える楓さんと目が合った。青筋を浮かべて固く拳を握っている。

 

「……こんのっ」

 

 謝る間もなく、楓さんの鉄拳が振り下ろされた。

 

「エロ餓鬼!!」

 

 

「誠に申し訳ありません」

 

 店の床に土下座していつもの椅子に座る楓さんに謝罪する。

 腕を組み、零度のように冷え切った目でこちらを見下す楓さん。レジの横には箱の側面が潰れた玩具が雑に置かれている。当然購入させていただいた。

 

「お前な。本当だったら今頃駐在さんに手錠かけられててもおかしくないんだぞ」

「はい。本当に申し訳ありません」

 

 とにもかくにもひたすらに謝り倒す。自分自身とんでもないことを仕出かしたと思っているので、心を込めて心から謝罪する。

 

「……本当に反省してるか?」

「はい」

「もう二度と勝手にあんなことしないか?」

「はい」

「ウチの通販の手数料今の倍にしていいか?」

「……はい」

「これから毎日菓子買いに来るか?」

「毎日は」

「あん?」

「はい。買わせていただきます」

 

 一つ嘆息する楓さん。

 そして、

 

「今日は、その気分じゃないんだ……また今度な」

「……はい」

 

 よし、と楓さんは一つ手を叩いた。

 

「許す。もう頭上げていいぞ」

 

 こちらも安堵の息を吐き、立ち上がる。チラッと見ると、顔を逸らす楓さんの頬が少し紅くなっている気がする。

 楓さん、と気付いていないフリをして店の奥の畳部屋に置いてあるテレビを指さす。

 

「テレビ観ていい? 観たいドラマがあって」

 

 楓さんはガクリと肩を落とした。

 

「お前、そういう所夏海に似てるよな」

 

 

 一人、畳部屋で再放送のドラマを眺める。

 楓さんは店番を続けている。

 

 楓さんとそういう関係になったのは少し前のことだ。基本暇な若い男女が田舎に住んでいれば、自然そうなってくる。幸いなことに、なんて言ったら村の存続を憂いている人たちに申し訳ないが、若者の数がとても少ないので男女のドロドロした争いもここでは起こりようがない。

 

 しかし、今日のはいけない。楓さんが許してくれたからいいものを、駐在さんに通報されたら半日で全住民に知れ渡る。家族ともどもここでは生きていけなくなる。

 

 自重しなくては。

 

 などと考えていると、ふと影が差した。

 振り向くと、いつに間にか楓さんが側に立っていた。

 

「楓さん? 店番は」

 

 続く言葉は楓さんの口に塞がれて形にならなかった。

 

 接吻された。突然。

 

「んっ」

 

 目の前に楓さんの真っ赤な顔がある。目を閉じて柔らかい唇をぎゅっと押し付けてくれているのに、こちらはただただ固まることしかできなかった。

 

「……ぷはっ」

 

 唇を離し、すぐに顔を伏せる楓さん。

 事態が呑み込めず、どうしたの、という言葉さえ出てこない。

 畳部屋にテレビドラマの音声だけが虚しく流れる。

 

「……せいで」

 

 やがて楓さんが俯いたままポツリと呟く。

 ほとんど反射的に、え、と返した。

 楓さんはバッと顔を上げ、やはり真っ赤な顔でまくし立てる。

 

「お前があんなことしたせいで! その、なんかそういう気分になっちまったんだよ! 悪いか! 馬鹿!」

 

 楓さんは覚悟を決めるように息を吐き、こちらを見据えて、

 

「やるぞ」

 

 と、単刀直入に言う。

 何を、とは聞かなくてもわかる。だがあまりにも急な展開に理解が追いつかず何とも答えられずにいると、楓さんが不安げに眉を顰める。

 

「嫌、なのか」

 

 頭で考えるよりも先に首をぶんぶんと横に振っていた。嫌なわけがない。

 楓さんはニッと笑い、また唇を重ねてきた。

 テレビを消し、今度はこちらも積極的に唇を押し付ける。

 

「んっ、ちゅ、あっ……はぁ、ん……んむっ」

 

 次第にエスカレートしていき、どちらからともなく舌を絡める。同時に、互いの手が相手の身体をまさぐり始めた。

 楓さんの細い指が太ももから股間を撫でさする。肉棒をズボン越しに触れ、掌で包み込むように優しく擦ってくる。

 肉棒が急速に硬度と熱を増していくのがわかる。

 

「あ、んむっ、ちゅ……ふふっ」

 

 キスをしながら微笑む楓さん。

 こちらも両手で楓さんの尻を撫でる。突き出された尻はデニムをぴっちりと引っ張り、先ほどとは比較にならない尻肉の感触が掌に伝わる。

 

「あっ、んっ、ちゅ……ん、あんっ」

 

 普段は絶対に聞けない楓さんの甘えた声に昂り、ほとんど無意識に楓さんのデニムのチャックに手をかけていた。

 楓さんもそれを見てこちらのズボンのチャックを降ろし始める。

 二人とも少しもたつくが、そのじれったさがまたよかった。互いのズボンを脱がしていくことが、これほどまでに興奮するとは思わなかった。

 

 楓さんの下着は黒だった。

 楓さんはズボンに続いてピッチリと肉棒の浮き出たパンツを脱がそうとするが、こちらはまだ楓さんの下着には手をかけず、もう一度、今度は直に尻に触れる。

 

「んっっ!」

 

 楓さんが身体を震わせる。

 デニム越しに触るのもよかったが、生の感触もまた格別だ。柔らかく、もちもちとしていて、いくら触っても飽きる気がしない。

 思うがままに楓さんの柔尻を揉みしだく。

 

「好き勝手さわりやがって……んっ」

 

 楓さんはこちらのパンツを一息に脱がせた。

 固く張りつめた肉棒が、我慢汁を楓さんの顔にかけるほどの勢いで飛び出る。うわっ、と顔を引き、呆れたように、それでいてどこか嬉しそうに楓さんは呟く。

 

「準備できてんじゃねぇか」

 

 楓さんは長い髪を耳にかけて肉棒の先にキスをした。

 今度はこちらが震える番だった。

 そのままフェラチオを始める楓さん。肉棒を口に含み、舌を転がし、頭を上下させる。

 

「んっ、ちゅ……んむっ、あ、はぁん……あんっ、ちゅ、じゅるる……えろっ」

 

 楓さんは喉の奥まで肉棒を咥え込むことを厭わず、舌という舌、口という口を使って懸命に奉仕してくれる。

 

「んっ、んっ、んっ……じゅ、んちゅ、あ、はぁ、あむっ……ちゅっ、あぁ、んっ」

 

 年上の気の強い女性に肉棒を隅々まで舐めさせる、というのは中々に刺激が強く、そう長く保ちそうにない。

 楓さんの尻を堪能していた両手を、彼女の秘所へと運ぶ。

 

「んっ! あぁんっ! この……んっ、ふ……ちゅ、あむっ……じゅる、んっんっ」

 

 一度大きく身震いし、それでも肉棒からは口を離さずにフェラを続ける楓さん。

 下着の上から秘所を擦り、じわりじわりと濡れてきたのを確認してから、下着をずらして直接触る。

 

「あぁんっ!」

 

 肉棒を舐め、秘所をほぐす艶めかしい音が真夏真昼の田舎の駄菓子屋に妖しく響く。

 

「か、楓さん、ちょ、す、ストップ、ストップ」

 

 肩を叩くと、楓さんは肉棒を咥えたままこちらを見上げた。

 

「も、もう限界だから、そろそろ」

 

 情けない申告に楓さんは、仕方ねぇな、とでも言いたげに眉を寄せ、ちゅぽん、と肉棒を抜き取った。口を拭い、こちらを見下ろしてニヤニヤと笑う。

 

「なんだ? そんなにあたしの口がよかったか?」

 

 最近気付いたが、楓さんは自分が乗り気な時はかなりやらしくなる。卑猥なことも平気で口にする。

 だが、こちらが攻めに回ると途端にしおらしくなることも知っている。

 

「きゃっ!」

 

 挑発には乗らず、意外と力の弱い楓さんを畳の上に押し倒すと、また可愛らしい声をあげた。

 

「お、お前、いきなり危ないだ、ろっっ!!??」

 

 そして間髪入れずに肉棒を秘所へと挿入する。

 秘所が十分に濡れていることは確認している。肉棒はスムーズに楓さんの膣を滑り、奥を叩いた。

 

「っっっ~~~~~!!」

 

 不意の快感に腰を上げて悶絶する楓さん。

 それはこちらも同じこと。

 楓さんの奥に肉棒を押し付けたまま、胸を張るように身体を逸らして歯を食いしばる。でなければすぐにでも射精してしまいそうだった。

 

 二人して快楽に耐えること数秒

 

 楓さんを先にイかせてやる、という意地だけで腰を振り始めた。

 

「あぁんっ! んっ! んっ! お、おまえぇ、い、いきなりすぎんだ、あぁっ! よぉ、んっあぁっ!!」

 

 最初から全力だった。焦らす余裕なんてない。夢中で肉棒を抜き差しし、肉と肉のぶつかり合う音を響かせる。

 

「あっ! あっ! あっ! ま、まてっ! そ、そんなはげしく、んっ! されたら、あぁんっ!」

 

 楓さんは目に涙さえ溜め、さっきまでの攻勢が嘘のようによがり声をあげる。

 

「あぁぁっ! あんっ! あんっ! んっっ!!」

 

 シャツと黒のブラジャーを捲り上げ、激しく上下する胸をいじる。

 

「ば、ばかっ! む、むねはやめろっていつも、んっあぁああぁんっっ!!」

 

 楓さんのほどよく盛り上がった乳房を揉みしだき、突起した乳首を指でつまみ上げる。

 

「やぁんっ! だ、だめっ、あぁっ! もうっ、もうっ!」

「もう、イク? 楓さん」

 

 さっきの意趣返しに聞くと、楓さんはこちらの服を掴み、コクコクと頷いた。

 続けて尋ねる。

 

「中に、だしていい?」

 

 すると楓さんは目を見開き、今度は首を横に振った。

 

「だ、だめだっ、あぁんっ! きょ、きょうは、んっ、あぶない、かもしれないんだ、あぁ! だ、だから、んんっ!」

 

 だが、もう、止められない。身体も心も。

 楓さんに覆いかぶさり、普段の面影がほとんど残っていない上気した顔を真正面から見据える。

 

「来年の春には学校卒業するし、もしそうなったらちゃんと面倒見るよ、二人とも」

 

 楓さんは一瞬だけ呆けた顔をし、それまでとは全く別の意味で顔を真っ赤にする。

 

「は、はぁ!? んあぁっ! お、おまえ、んっ、い、いみわかって、んぁっ! い、いってんの、かっ!? んぅっ!」

 

 もちろん、と答える。

 

「っ~~~~」

 

 楓さんは快楽と突然の告白に混乱し言葉を失い、腕で顔を隠してしまった。

 答えを急かそうとはせず、黙って腰をゆっくりと動かす。

 やがて、キッ、と楓さんがこちらを睨んだかと思うと、また唇を重ねてきた。

 

「んっ、んちゅ、あ、はぁ、んっ、ちゅる」

 

 それまで以上に心の籠った、文字通り自分の物だと唾をつけるような濃厚なキスだった。

 唇を離し、紅い顔でやはり睨み付けてくる楓さん。

 それが照れ隠しであることはわかっている。

 

「お前、嘘だったら、んっ、承知しないからな。絶対、んっ……責任、とってもらうぞ」

 

 楓さんはそう言って顔を逸らし、どこか期待を込めた声で、

 

「中に、くれ……お前ので……あたしを、いっぱいにして……は、孕ませてくれ」

 

 その後はもう、ただただ無我夢中だった。

 

 楓さんを抱きしめ、猿のように腰を振り乱した。

 

「楓さん! 楓さん!」

「あぁんっ! あっ! あっ! んあぁっんっ!! ん、ちゅ、ちゅ、あぁ! んっ! んっ! んっ! い、イクっ! イクイクイク! いくぅっ!!」

 

 一発目は楓さんを床に押し倒したまま全身をピッタリとくっつけ、一滴残らず膣中に出した。

 

「んぁぁっっ!! なか……なかに、んっ……おまえ、のが、でてる、んぅ……」

 

 射精が終わるまで、楓さんは腰に回した両足を離そうとはしなかった。

 

 二発目はそのまま抜かずに楓さんを足の上に乗せ、対面座位の格好で交わった。

 

「あぁっ! あっ! んっ! はぁんっ! あっ! だ、だから、む、むねはっ! んぅっ! す、すうなってぇ! あっ! あっ! あっ!」

 

 目の前で揺れる乳にむしゃぶりつき、乳首を舌で転がす。

 二人ともすでに汗だくで口の中に塩辛さが広がるが、全く気にならなかった。むしろ楓さんの汗を舐めとれるのがこの上なく幸せだった。

 

「んっっ!! ば、ばか、やろぉ! あっ! あっ! わ、わかったからっ! い、いまはっ、むねもっ、しりもっ、ぜんぶ、あぁんっ! お、おまえのだからぁ! おまえだけのっ んぅっ! からだ、だからぁ! あっあっ、ま、またイクっ! いくっ、からっ! お、おまえも、いっしょにぃぃっ!」

 

 二発目もまた、全ての精液を楓さんの中に注ぎ込んだ。今度はこちらが、射精が終わるまで絶対に楓さんを離そうとはしなかった。

 

 三発目は立ちバック。楓さんの両手を手綱のように掴み、縦横無尽に揺れる金色の長髪を見下ろしながら腰を突きだす。

 

「あんっ! あんっ! あんっ! お、おまえぇ、あ、あたしっ、んんっ! い、いったばっありなんだからっ あぁん! す、すこしはかげん、しろ、よっ、ーーっっ!!」

 

 三度目だというのに肉棒は衰えを知らず、精液でパンパンになり突くたびに白濁液と愛液を撒き散らす楓さんの膣中を深く貫く。

 

「楓さん、また、出すよ」

 

 楓さんは獣の咆哮のように叫ぶ。

 

「んんっ! だ、せっ! だせっ! だせっ! おまえ、の、あぁんっ! せい、えきをっ、あたしがっ、んぁっ! はらむ、までっ! あぁんっ! ぜったい、にっ、はらむ、からなっ! んぁぁっ! ぜったい、おまえのっ、っっ! こ、ども、うむ、からっ! だせっ! いっぱいに、なるまでっ! おまえ、なしじゃっ、んっ! いきて、いけないぐらいっ! だ、せぇぇ!!」

 

 それまで以上に、深く、深く、肉棒を楓さんの奥に押し付ける。

 

「ーーーーーーーーーーーーーーーっっっ!!!!」

 

 楓さんが雷に撃たれたように痙攣する。

 三度目とは思えない量の精液が、膣だけでなく彼女の体内までをも塗りつぶしていくような感覚だった。

 射精が終わってもまだ、楓さんの膣から肉棒は抜かない。精液を塗りたくるように肉棒をこすりつける。

 

「んっ……あっ……は、ぁ」

 

 その度に楓さんは幸せそうな吐息を漏らした。

 

 

 結局、行為が終わったのは外が夕暮れに染まった頃だった。

 目も当てられない惨状の畳部屋で楓さんと並んで寝転がり、天井を見上げている。二人ともまだ裸だ。

 

「……今日、れんげたち来なくて助かった」

 

 それは同感だった。子供達には刺激が強すぎるというか、それこそ二人ともこの村にいられなくなる。

 楓さんは起き上がり、こちらに目を向ける。そして少し照れ臭そうに言う。

 

「約束、忘れんなよ」

 

 強く頷くと、楓さんはいつのもように笑った。

 

「あ、浮気すんなよ」

 

 ギクリ、と目を逸らす。

 楓さんの母性に溢れていた顔が鬼のような表情へと変わっていく。

 

「お前まさかあたし以外ともこんなことしてんじゃないだろうな」

 

 こちらも起き上がり、そそくさと着替えようとするが、楓さんがそれを許さない。

 

「だ、誰だ! 小鞠か!? 夏海か!? ま、まさか蛍ちゃんか!? それとも先輩か!? ひかげ、なわけないし・・・このみだな!? さっきも一緒に帰ってきたとか言ってたよな! おい! こら! なんとか言え! 答えるまで今日は帰さないからな!」

 

 結局その日は夜通し問い詰められ、言葉通り家に帰ることはできなかった。

 

 



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富士宮このみ①

『8月10日 晴れ 午後』

 

 

「キミさー、楓ちゃんともこういうことしてるでしょ?」

 

 夏真っ盛り。

 絶賛夏休み中の学校はいつもと雰囲気が違う。部活動に勤しむ同級生や後輩たちの声が賑やかではあるが、校内は閑散としている。

 この空き教室も遠くに野球部の快音が聞こえるばかりで、人が来る気配は皆無である。さらにドアには鍵をかけ、『着替え中!』の貼紙とカーテン。ここでの行為を誰かに覗き見られる心配はない。

 

 のだが……さっきから冷や汗が止まらない。

 

 男の大事なモノを握られた状態で他の女性との営みを指摘されるというのは、かなり緊張感がある。全面的にこちらが悪いのだが。

 

 曝け出された肉棒を手で弄びながら、このみちゃんはじっとこちらを見上げる。

 

 富士宮このみちゃん。同じ高校に通う幼馴染。共に来年卒業予定。今まで何をするにしても一緒だったが、このみちゃんは地元の大学に推薦で入る予定なので、初めて進路が別れることになる。

 面倒見がよく、ド田舎で子供の少ない地元では皆のお姉さん役を務め、とても慕われている。だが少々サディスティックなところがあり、怒らせたらとてもとても恐い。先の楓さん、駄菓子屋さんよりも年下でありながら、村内のヒエラルキーは上だと思う。

 

 今日は吹奏楽部の練習が午前だけということなので、午後からどこか遊びに行こうという話だったのだが、なぜだかこんなことになっている。ただ空き教室で少し駄弁っていただけなのに。

 別にこのみちゃんとこういう行為をすること自体は問題ではない。だいぶ前からそういう関係だから。しかし今日はそんなつもりはなかったはずなのだ。

 

……まぁ、このみちゃんの夏服と、汗に濡れたうなじや鎖骨、そしてほとんど無人の校内というシチュエーションに興奮して手を出したのはこちらなのだが。

 

それを今は少し後悔している。

 

「……なんで、わかったの?」

 

 言い訳は不可能、むしろ逆効果なので、いっそ開き直って聞いたみた。内心ビクビクしながら。

 するとこのみちゃんは存外にあっけらかんと答える。

 

「そりゃあわかるよ。二人とも幼馴染だし。皆が集まってるときになんか余所余所しかったり、ぎこちなかったりしてたから。なっちゃんたちはまだ子供だから気付いてないと思うけど」

 

 そうなのか。楓さんがそういうのを嫌がるので二人きりの時以外は全く意識しないようにしていたのだが、隠し事はできないものだ。

 素直に、というか最低なことをしているので当然のことだが、頭を下げて謝る。

 

「ごめんなさい」

「いいよー、別に。一言ぐらい欲しかったけど、まぁ、あそこじゃね。色々ともてあますのもわかるから仕方ないよ。ちゃんと私の相手もしてくれてたしね」

 

 そう言っていつものように朗らかに笑うこのみちゃん。二股をかけられていたというのに、どうやら本当に怒ってはいないようだ。

 胸を撫で下ろすのと同時に、その可愛らしい笑顔に心臓がドキリと跳ね、連動して肉棒も震える。

 

「わっ……ふふ、元気だねー」

 

 このみちゃんの手コキにも本格的に熱が入る。柔らかな指で肉棒をっしっかりと握り、勝手知ったるというふうに上下に擦りあげる。

 傘の先から我慢汁がにじみ出ると、それを掌に擦りつけオイルを塗るように肉棒に塗りたくっていく。

 

「ほらほら、ここがいいのかなー」

 

 指で輪を作りカリを搾るように刺激し、先端の敏感な部分をぐにぐにとこねる。テカテカと濡れ、青筋がこれでもかと浮き出た肉棒をこのみちゃんは愉しそうに弄りまわす。

 自分でするのとは桁外れの快楽に、こちらはただただ呻き声を漏らすことしかできない。

 このみちゃんはその反応に一通り満足したのか、

 

「んふふ……ちゅ……ん、あ、むっ」

 

 肉棒にキスをし、そのまま躊躇なく口の中へと咥え込んだ。

 

「ん、あっ……ちゅ、ちゅる、んっ……あっ、んぅ」

 

 丸々と太った肉棒を頬張り、頭を小刻みに動かしながら徐々に喉奥へと誘っていく。

 

「んっんっ……じゅる、んあ……ふっ、むぁ……じゅっ、じゅる」

 

 限界まで到達すると、唇を尖らせて吸い付きながら頭を離していく。その動作を繰り返し、ねっとりとしたフェラチオでこちらを官能の渦へと突き落としてくる。

 

「んっんっ……じゅる、じゅるるっ! んぁ、ちゅ……じゅ、じゅっ……あっ、んむ」

「このみ、ちゃんっ」

 

 辛抱堪らず、このみちゃんの頭を掴み、腰を揺り動かしてしまう。

 

「あっ、ん……んっ、んっ……んぅ……ちゅ、ちゅっ」

 

 このみちゃんは焦ることも手を振り払う素振りも見せず、こちらを見上げて嬉しそうに目を細め、動きに合わせて顔の角度を変え、舌や頬を使ってなお肉棒をしごいてくる。

 

 じゅっじゅっ、と肉棒をねぶる淫靡な音が空き教室に響く。

 

 うっすらと埃の積もった床に膝を付き、傅くように肉棒に奉仕するこのみちゃん。昔から知っている幼馴染で、皆のお姉さんでもある彼女のそんな姿を見下ろしていると、どす黒い愉悦を覚えそうになる。

 そんな己の制止するように、急速に下半身が疼き始めた。

 

「このみちゃん、もうっ」

 

 このみちゃんはまたチラリとこちらを見上げ、肉棒を口から引き抜いた。先走りやら涎やらでドロドロになったモノを手で擦りながら言う。

 

「いつでも、出していいよー」

 

 ローションを塗ったように艶めかしく濡れる肉棒を熱がでるほどの勢いでしごくこのみちゃん。しかし決して痛くはなく、むしろ腰が抜けるほど気持ち良い。こちらの肉棒の扱いを完全に熟知している。

 

「ほらほらっ。そんなに我慢しなくていいんだよ~」

 

 余裕たっぷりに、ビクビクとわななく肉棒を五本の指、掌で弄ぶ。天井を仰ぎ、腰を浮かせたり下げたりと忙しなく登り詰めようとする様を本当に楽しそうに眺めている。

 そしてこちらがもう限界を迎えようという時。それを察したのか、いつもの明るさで、しかし、慈母に溢れた声色で囁く。

 

「いいよー。おちんちんから精子、私の手にいーっぱい、出して」

 

 それが最期の引き金を引いた。

 肉棒が膨張し、震え、精液が飛び出る。

 

「わっ」

 

 このみちゃんが思わず声をあげるほどの勢い。

 視界が明滅し、頭の中を快楽物質が駆け巡る。一瞬、意識を失いそうだった。

 瞬く間にこのみちゃんの手は白濁液に塗りつぶされ、跳ねて床や机に飛び散り、このみちゃんの可愛い顔をも汚す。

 

「あーっ! 制服にかかっちゃった!」

 

 と、このみちゃんが文句を言っている間にも精液は出続け、それでもなお肉棒を手放そうとしないでくれているこのみちゃんの腕まで白く染め上げる。

 自分でも驚くほどの射精がようやく終わり、息を乱しながら辺りを見回すと、中々の惨状だった。

 

 床には精液溜まりができ、机や椅子にも点々と白い斑点がついている。当然このみちゃんの被害が一番大きく、掌はドロドロの精液に厚塗りされ、腕を通って肘まで垂れ落ちている。

 それらをティッシュでふき取りながらこのみちゃんは唇を尖らせる。

 

「もー、いくらなんでも出し過ぎ」

 

 鞄やこのみちゃんのフルートにかからなかったのは不幸中の幸いだ。本気で怒られていたかもしれない。

 このみちゃんは立ち上がって制服についた精液を丁寧に拭っていく。そんな彼女に、とても言いづらい告白をしなければならない。

 

「あのー、このみ、さん?」

「さんって……どうした、の……」

 

 このみちゃんはそれを見て珍しく絶句する。そして、えーっ、と驚きの声を漏らす。

 

「なんで一回出したのにそのままなの?」

 

 ズボンから飛び出た肉棒は、一度抜いた後だというのに逞しく天井を向いて屹立している。筋を立て、硬さも変わらず、グロテスクさはより増している。

 

 なぜか、と問われれば、さっきのこのみちゃんの姿を思い浮かべてしまったから、というしかないが、それを本人に伝える勇気はない。

 曖昧に苦笑していると、このみちゃんは呆れたようにため息をついた。

 

「今日、お買い物いく予定だったよね?」

「うん。まぁ、だから無理にとは言わないよ、もちろん」

 

 眉根を寄せたこのみちゃんの目が時計と肉棒を何度か往復し、しばらく考え込む。

 何とも気まずい空気が流れる。

 やがて、

 

「仕方ないなぁ」

 

 嘆息しながらこちらに笑顔を向けてくれた。

 

「いいよ。最後までしよっか。私も、まぁ、ちょっとだけ……そういう気分だから」

 

 と言って、目を逸らすこのみちゃん。頬を少し紅潮させ、脚を擦り合わせるように身じろぎする。

 押し倒してしまいそうなほど可愛い。

 なんとか自制し、それじゃ、と鞄から避妊用のゴムを取り出そうとするが、

 

「ストーップ!」

 

 と、突然このみちゃんが教室に響き渡る声をあげた。

 目を白黒させて彼女を見ると、突き刺すような視線をまっすぐこちらに向けている。さっきとは鋭さが段違いだ。怒っている。いや、訝しんでいる?

 

「このみ、ちゃん?」

 

 何が彼女の気に触ったのかわからずおたおたしていると、このみちゃんが普段より五割増しで低い声でこう言った。

 

「もしかしてだけど……楓ちゃんとは、生、でやってる?」

 

 ドキリ、と今度こそ心臓が高鳴った。もちろん驚きと恐怖で。

 このみさんの視線は鞄の中、そこから覗く避妊用ゴムへと注がれていた。

 

「ゴムの数、この前見た時から変わってない。私の見立てでは今日までに何回か楓ちゃんとやってるよね。その間、キミがゴムを買いに行った様子はない。田舎だからすぐにわかるしね。でもゴムが減ってない。と言うことは……」

 

 続く沈黙がとても痛い。

 このみちゃんの口から、やってる、なんて直接的な言葉が発せられたことに、なにかしら思わないでもないが、今はそれどころではない。

 

 この抜け目ない観察眼と頭の回転の速さが、彼女を村の若者たちの裏番長せしめてる理由の一つだ。このみちゃんの読みはズバリ当たっている。『あの日』以来、楓さんとは生でやることの方が多い。間違ってもこのみちゃんには知られてはいけないことだった。

 

 だがこうして脂汗を垂れ流して黙ってしまったということは、このみちゃんの予測が正しいと言っているようなもので……。

 

「ふーん、そっかー。やっぱり楓ちゃんとは生でやってるんだ」

 

 このみちゃんの冷たい視線が突き刺さる。

 

「いや、あの……はい」

 

 上手い言い訳など思いつくはずもなく、頷くしかなかった。

 

「ふーーーーーーーーん」

 

 と、このみちゃんは圧をかけてくるように声を大きくする。しかしよく見ると、その頬がハムスターのように膨らんでいる。それは怒っていると言うより、拗ねているといったほうが近い表情だった。

 正直、とても可愛い。

 

「楓ちゃんとは生でできるのに、私にはスキンつけようとするんだ。ふーーーん」

「い、いや、でも、言ってもまだ学生だからさ。楓さんはもう成人してるし、卒業したら社会人同士になるから一応責任とれるし、色々と立場が違うと言うか」

 

 そんな下手な言い訳をするから墓穴を掘ることになる。

 このみちゃんは驚きに目を見開き、鼻先を掠めるほどの距離まで詰め寄ってきた。

 

「もしかして楓ちゃんに子供できたら結婚するの?」

 

 しまった、と思ったが後の祭り。

 目の前のこのみちゃんからは答えるまで離れないという絶対の意志が伝わってくる。諦めて目を逸らしながら頷いた。責任はとるつもり、と。

 

「っ」

 

 このみちゃんは顔を伏せ、スッと離れた。

 一瞬の間の後、顔をあげたこのみちゃんの頬は餌を詰め込んだ頬袋のように膨れ上がり、これでもかと不満を乗せた目でジトッと睨み付けてくる。

 そして、

 

「じゃあ私とも生でやって」

 

 と、ぶっきらぼうに言ってきた。

 

 ……歓喜に心が躍ったことは言っておかなければならない。

 しかしこの時はまだ理性が勝った。

 

 いやいやいやいや。それはマズイ。マジでマズイ。このみちゃんは大学に進むんだから、もし、妊娠、なんてことになったら色々なところに迷惑がかかるから。

 

 なんてことを長々と説いた。

 彼女の両親に殺されるかもしれない。ただでさえ、今の状況は本当に印象が悪いというか、言い訳の余地なく、紛れもなく最低男の所業なのだから。と言うか、この言い分そのものが本当に酷いと自分でも思う。

 しかしこのみちゃんも頑として引かない。しまいには、今の関係性を最大限こちらが悪いという印象を持たれるように流布する、とまで暗に脅してきた。

 仮にありのままの関係を言いふらされたとしても、悪いのは間違いなくこちらなのだが、どちらにしろ村にはいられなくなるだろう。

 

 こんなこと楓さんの時にもあったなぁ、なんて頭の片隅で思い出しながら、結局こちらが折れた。折れざるをえんかった。

 

「最初からそうすればよかったんだよ」

 

 このみちゃんは満足げに頷きながらいつのもように笑う。もういじけた様子は微塵もない。

 そして、よっと、と机に腰掛けると、こちらが何かを言う間もなく、脚を開いてゆっくりとスカートをめくり上げた。少し汗ばんだ健康的な太ももとピンク色の可愛らしい下着を、躊躇なく露わにする。

 目の前の光景に、色々と考えていたことを全てのみ込むように、ゴクリ、と喉が鳴る。

 

「それじゃ、来ていいよー」

 

 まるで赤ん坊をあやすような言い方だ。だが、その顔はほのかに火照り、目元には妖しい光が滲んでいる。匂い立つような色香。男を誘う扇情的な仕草。そこに純朴な幼馴染の姿はない。

 それまでの、村でのこのみちゃんとのギャップに、情欲の炎が身を焦がさんばかりに燃え広がる。理性はこの時焼失した。

 

 犯してやりたい。

 

 どんな時も一緒だった彼女を、子供たちの前ではお姉さんぶっている彼女を、女としてあらんかぎり鳴かせてやりたい。その姿を自分だけが堪能したい。

 

 思えば、先の二択は自分にとってどちらを選んでも損はなかった。最低なことはわかっている。しかし、今この時は理性や常識を捨て、ただただこのみちゃんと一緒に性に溺れたい。

 

「このみちゃんっ!」

 

 押し倒さんばかりの勢いでこのみちゃんに抱き着き、唇を奪った。

 

「んっ、あ……ちゅ、ちゅ……あ、ん、もうっ……んふっ……ちゅる……がっつき、あんっ、すぎ、だよぉ」

 

 貪るようにこのみちゃんの瑞々しい唇を堪能しながら、片手を制服の下に這わせて胸を、残された方を曝け出された脚に触れる。

 

「ちゅる、んあっ……お、おっぱいは、あんっ、だめ、だって、ばぁ……んんっ」

 

 抗議を無視してブラジャーをすり下げ、直に揉みしだく。すでに楓さんより幾分か大きな胸に指が沈み込み、柔らかな肉はこちらの動きに合わせてぐにぐにと形を変える。指の一本一本が歓喜に震えるほどの揉み心地のよさだ。

 

 かたや太ももを撫でる手も極上の張りに世話しなく動く。しっとりと濡れていながらも艶やかで、ひざ裏近くと尻たぶとの境では全く手触りが違うので飽きることがない。

 

「んっ、ふ、あぁ……んぅ……くぅ、あぁんっ……は、あぁっ」

 

 こちらがまさぐるのに合わせて、このみちゃんが甘い吐息を漏らすのも脳髄をしびれさせる。

 手つきが段々と厭らしく大胆になり、やがてもっとも敏感な場所へと到達する。

 

「やっ、あんッ! そこ、は、んぅっ!」

 

 このみちゃんの下着をずらし、淫唇を指でなぞる。そこはすでに湿り気を帯び、ヒクヒクとわなないている。

 上下に擦るように秘所を撫で上げ、指を埋没させる。一本、二本、三本と。

 

「あっ、んんッ! や、あぁんっ……くぅ、んっ」

 

 三本の指でこのみちゃんの中を優しくほじる。多量の水をかき乱す音がこのみちゃんの耳にも聞こえたはずだ。膣は十分すぎるほど濡れそぼっていた。

 

 もう我慢できない。

 

 膣から指を抜き、惜しみながら胸からも手を離し、挿入の体勢を整える。肉棒を支え、このみちゃんの膝を抑えて固定する。

 このみちゃんは机に手をついて息を乱しながら、その様子を熱の籠った瞳で眺めている。

 

「挿れるよ、このみちゃん」

「……うん」

 

 肉棒の傘が膣口を分け入ると、んっ、とこのみちゃんが囁くようにうめく。

 そのまま腰を押し込み、肉棒を侵入させる。

 

「んッ、ッーーーー」

 

 互いに歯を食いしばり、快楽の第一波を耐える。

 生の感触はやはりゴム越しとはまるで違う。生温かなぬめり気と圧迫感が直に肉棒を刺激し、全身をしびれさせる。

 

「う、あぁ……なま、って、あぁ、ん……やっぱり、ちがう、ね、んぅ」

 

 初経験のこのみちゃんの感じ方もいつもとは明らかに違う。余裕のなさと恍惚に悶える様がぬめぬめとした膣からも伝わってくる。

 肉棒に絡みつこうとする膣壁から一度逃れるように抜いていき、限界まで引きつけてから、もう一度叩きつけるように押し出す。

 

「あぁんッ!!」

 

 肉棒が最奥を突き、堪えきれずにこのみちゃんが嬌声をあげる。

 それを皮切りに、本格的な抽送を始める。くびれを掴み、最初から腰を振りたくった。引き抜くたびに膣が締まり、またそれをこじ開ける。肉棒が常に膣に絡みとられるように、膣も硬い肉棒をあらんかぎりに享受している。

 

「あっ! あっ! あっ! んぅッ! はげ、し、あっ、ぁんっ!」

 

 このみちゃんは振り落されないようにしっかりと机を掴み、喘ぎ声をあげる。

 

「このみちゃん、声抑えてっ」

 

 いくら夏休みとはいえ、部活動の生徒や先生はいる。ここが校舎の最果てだとしても、近くを通った人に気付かれる可能性は十分にある。

 

「そんな、ことっ、んぅっ……あっ、はぁ、はぁ……いって、もぉ、あぁッ!」

 

 普段の落ち着きはらったこのみちゃんからは想像できないほどの乱れぶり。それほど生の感触と肉棒が官能を刺激しているのだ。男として嬉しくはあるが、僅かに残った理性が警告を鳴らす。

 苦肉の策として、前のめりになってこのみちゃんの口を自分の口でふさいだ。

 

「んっ! ちゅ、ちゅる……んあっ……あんっ! んちゅ……んっ、んっ」

 

 このみちゃんはすぐに机から手を離してこちらの首に回し、自らも唇を押し付けてくる。宙ぶらりんに近い状態で縋り付きながら夢中で吸い付き、やがて舌を絡めるようになる。

 上は粘つくような、舌は弾けるような、淫靡な水音が教室を満たす。これならば聞き耳をたてられでもしない限り、外に行為の音が漏れることは恐らくないだろう。

 

 ひとまず安心して、腰を揺り動かすのに集中する。浅いところを小刻みに擦過し、一定のリズムで突き入れる。

 このみちゃんの膣からはいつからか蜜がとめどなくあふれ出し、教室の床を汚している。

 

「んっ、んっぅ……ちゅく、ちゅ、ちゅ……んぁ、ぁんむっ」

 

 机がガタガタと耳障りな音をたて、滑るように不安定に揺れる。

 それならば、とこのみちゃんのふかふかなお尻を両手で掴み、その身体を持ち上げた。

 

「んっあぁっッ!」

 

 肉棒が膣中を擦る角度が変わり、このみちゃんが嬌声をあげる。

 頬を膨らませて睨んでくるのを笑って誤魔化し、今度はこちらが椅子に座った。対面座位の格好で繋がったまま腰を落ち着ける。息を整えながら、このみちゃんの尻肉をぐにぐにと揉みしだく。

 

「んっ、あ……んぅ……?」

 

 このみちゃんは火照った顔に疑問符を浮かべていたが、やがてこちらの意図を察し、また拗ねた表情をみせる。

 

「んもう……いじわる」

 

 と言いつつも我慢できないのか、自ら腰を揺すって気持ちのいい所を探して肉棒を擦りつける。

 

「あっ……く、んぅ……はぁ、はぁ……んんっ、あぁ、んっ」

 

 次第に動きは大きくなり、こちらの肩に置いた手をギュッと握り、珠汗を飛び散らせて淫らに腰を上下させる。

 

「ふっ、んんっ……あっ、あっ……んぅ……くぅ」

 

 甘い声を漏らし、チャームポイントのおさげ髪を振り乱すこのみちゃん。

 普段は行為の時も余裕ぶっている彼女が官能のために外聞もなく夢中になる。そんな姿が見たかったのだ。

 

「あっ! あッ! んぅッ! んぁあ! ん、くっ……ちゅ、ちゅる、ん、ちゅ」

 

 声の抑えがきかなくなると、このみちゃんは唇を重ねてくる。胸が潰れるほどしっかりと抱き着き、それでいて下肢をはしたないほど振り乱している。

 

 そのように求められては、こちらも限界を迎えてしまう。

 強く抱き締め返し、唇を離して耳元で呟く。

 

「このみちゃん、それそろっ、出すよっ」

「うんっ、うんっ! んぅッ! わたし、も……もう、イきそう、だ、からっ、あぁんっ!」

「……中に、出すよ?」

 

 最後に確認すると、このみちゃんは陶酔した顔に一瞬だけいつもの朗らかな笑顔を浮かべる。

 

「いい、よー、キミの赤ちゃんのモト、全部、受け止めてあげるから、いっぱい、だし、て?」

 

 それからはもう、ただ本能のままに腰を突き動かした。このみちゃんの胸元に顔をうずめ、鼻を抜ける彼女の匂いに酔い、いきり立った肉棒で膣奥を叩く。

 このみちゃんも動きに合わせて身体を上下させる。

 

「んっ! んっ! んっ! あぁっ! こえ、んっ、でちゃ、あぁんっ!」

 

 今度は口を塞ぎはしない。このみちゃんの甘い嬌声をしっかりと耳朶に刻みつける。

 

「あっ! んっ! い、いいっ、きもち、あぁッ! いいっ! んぅ、きもち、いいよっ!」

 

 このみちゃんも声をあげることに抵抗がなくなっている。今この時だけは、二人とも周りのことなんて気にもせず、快楽を貪った。

 それも長くは続かない。下腹部から登りつめるものが急かすように腰を震わせる。

 こちらの限界を感じとったのか、あるいは自分がすでに限界なのか、このみちゃんがうわ言のように声を漏らす。

 

「だし、てっ! だしてっ! きみの、せいえき、わたしのっ、なか、にっ! かえで、ちゃんに、まけない、ぐらいっ、いっぱい! わたし、をっ、はらま、せてっ……およめさんにっ、してっ!」

 

 最後の言葉は直接こちらの肉棒と、男心を刺激した。

 絶対に離してやるものか。

 そんな思いを込め、遮二無二腰を叩きつける。

 

「イクっ! イクっ! イクっ! イクッ!」

 

 最後の一挿しを膣奥へとねじ込む。

 

「イッ、ッッーーーーーー!!!」

 

 精液が弾け飛ぶのと同時に、膣が万力のように収縮し、蜜が飛び出した。

 二人して絶頂に震える身体を鎮めるように抱き合う。一つになるようにきつく。

 肉棒から射出される精液はあっという間にこのみちゃんの膣をいっぱいにし、隙間から溢れ出てくる。それでも肉棒からは絶えず精液が流れだし、彼女の膣を芯まで染めあげていく。

 

「んっ……ちゅ」

 

 ようやく落ち着いてきたころ、このみちゃんがキスをしてきた。そして、あはは、と笑みを浮かべる。

 

「しちゃったね」

「そうだね」

 

 後悔はしていない。冷静になったら、いくつヤバイ橋を渡らなければいけないのか、と考えて青ざめるかもしれないが、それでも後悔はしないだろう。

 

「まぁ、多分大丈夫だよ。今日は危ない日じゃないし。一回でそんなことにはならないと思うよ。……これだけ出されちゃったらわかんないけど」

 

 このみちゃんはまだ肉棒がつながっている下腹部を撫でる。愛おしそうに。

 そこに母性のようなものを感じ、変にドギマギしてしまう。

 ふと思い出す。

 

「そう言えばさっき、お嫁さんにしてって言ってたけど」

「えっ、私そんなこと言ってた? あはは、いやー、ついうっかり……うん、まぁ、でもいっか。本心だし」

 

 このみちゃんは耳元に口を寄せ、

 

「私と楓ちゃんのこと、よろしくね。お婿さん」

 

 と、冗談めかして言うものだから、こちらは顔を紅くして目を逸らしてしまった。

 そんな姿を見て、このみちゃんはまた笑う。

 

「そうだ。今度楓ちゃんと一緒にやってみよっか?」

「いや、それは」

 

 夏の午後は楽しく賑やかに過ぎていく。

 

 



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ゆるキャン△
各務原桜①


「んっ、ふ、ちゅ……はむっ……んぁ、ちゅる」

 

 運転席から身を乗り出すようにして、助手席で曝け出された固く熱い肉棒を咥える桜さん。

 エアコンをつけることも、窓を開けることもできない車内には汗ばむような熱気と艶めかしい臭気が充満し、肉棒を啜る音がダイレクトに耳を刺激してくる

 

「ふっ、ん……ちゅ、ちゅ……あ、むっ」

 

 長い髪を耳にかけ、慣れた『口つき』でフェラチオする桜さん。

 いつもの通り前髪をアップにして、シミ一つない額からは汗が一滴垂れ落ちている。グロスを塗った唇を惜しむことなく肉棒に押し付け、飴を舐めるように舌を這わせる桜さんを見下ろしながらその頭を撫でる。

 

「ちゅ、んむっ……あっ、は、あぅ、んんっ……ちゅる」

 

 こんな時でも桜さんはポーカーフェイスを崩さない。一見するとこの行為そのものにまるで興味を持っていないように見えるが、こちらが何を言わずとも恥垢を舐めとってくれるような舌使いを見ると、少なくとも嫌ではないのだろう。

 ざらざらとして舌がカリを刺激し、呻き声を漏らさないように奥歯を噛む。

 

 目の前のフロントガラス越しに雲一つない夜空を眺める。

 今夜は綺麗な満月だ。雲一つないのでよく見える。

 視線を降ろして周囲を見回す。大きな駐車場に車はこの一台だけ。等間隔に並んだ照明が虚しく空を照らしている。

 桜さんがこんな状況にあるので、その分注意して周りに目を配らなければならないが、誰一人として人が来る気配はない。

 

 

 各務原桜さんとは共通の趣味で仲良くなった。暇さえあれば互いの愛車で遠出したり、近場をぐるぐると回ったり。その点、山梨一帯はドライブコースに困ることはない。

 

 今日も桜さんの愛車に同乗して富士周辺を適当に流し、今はその帰りである。

 時刻はもうじき天辺を回る頃。場所は麓の街が一望できることでそこそこ有名な公園。昼間は家族連れで大層にぎわっているであろうこの場所も、今は虫の鳴き声が響くばかり。しかもここは広い駐車場の奥の奥。人目につくことはほとんどない。

 

 こんな時分にこんな場所に車を停めてやることは一つ。

 

 桜さんは愛車の中での行為を当然かなり渋ったが、フェラだけなら、と折れてくれた。

 

 そしてかれこれ十分ほど、このようなはしたなくふしだらな行為に臨んでいる。

 

「あ、んむ……ちゅる、んっ、んっ……ちゅ、ちゅ、あぁん……んむ……じゅる、じゅ、るるっ」

 

 桜さんは口をすぼめて肉棒を咥え、根元まで躊躇なく全体を擦る。

 

 思わず顔を伏せてしまう。

 

 万が一、人が近づいてきてもすぐ対応できるように二人とも服は着ている。桜さんはベージュのタートルネックセーターに紺のジーンズ。こちらも冬の始まりに相応しい装いで、コートは共に脱いでいる。

 

 桜さんのスタイルの良い肢体を眺められないのは残念だが、こうした日常を感じさせる服のまま、キャンプが趣味だという妹さんと他愛のない話をしているであろう愛車の中で、クールビューティな彼女に男の肉棒を奉仕させるのは、性根が悪いとは思いつつも情欲をそそられてしまう。

 

「んっ、ふっ、んっ、んっ……ちゅ、んぅ、じゅ……じゅ……」

 

 上下に揺れる桜さんの頭から視線を横に移す。

 セーターの裾が捲れあがり、くびれたウエストとジーンズの隙間から覗く黒い下着が目に入る。桜さんの白い肌に黒の下着は蠱惑的なまでに栄える。それも、よく見ると彼女から誘う時によく着てくる柄だ。

 

 ごくり、と生唾を飲み込む。

 日中、澄ました顔で富士を眺めていた桜さんは心の奥底で何を、期待、していたのだろうか。

 自然、運転席に突き出した、ジーンズに包まれた張りのある臀部へと右手が伸びる。

 

「っ!」

 

 桜さんが眼鏡の奥からこちらを見上げる。普段はどことなく無感情な印象を与える目にハッキリと非難の色が浮かんでいる。

 急に触らないで、と言いたいのだろう。

 だが手は引っ込めない。ジーンズの上から桜さんの丸い尻を堪能する。厚い布の上からでもムッチリとした尻肉の弾力は十分に伝わる。

 

「んぅ、あッ……」

 

 全体を撫でさすり、ジーンズに密着した秘所を指で擦ると、桜さんが思わずといった風に甘い声を漏らした。

 

「…………」

 

 微かに紅潮する桜さん。

 興奮を掻き立てられ、掌が尻に沈み込むまで力を込めた。

 桜さんはやはりもの言いたげにこちらを見るが、結局何を言うでもなくフェラチオを再開した。しかし、その激しさはそれまでの比ではなかった。

 

「んっ、ちゅ、ちゅる、んんっ! あむっ……んっ! んっ! んっ! じゅるっ、あ、んんっ!!」

 

 口内のギリギリまで肉棒を含み、一分の隙間も作らず吸いつきながらカリをしごきあげてくる。

 

 こちらも思わず情けない声をあげる。

 さらに、口に含んだ唾液を舌を這わせて万遍なく肉棒に塗り込む。唇で傘の先端に何度かキスをし、滑りのよくなった肉棒をまた喉奥まで咥え込むこんだ。

 

「んじゅ、ちゅ、じゅる……んぁ、は、あむっ……ちゅちゅ」

 

 淫猥な音すらも利用して、とにかくあらゆる手段で快楽を与えてくる。

 

「えろっ……じゅるぅ、あっ、はっ、んんっ! ちゅ、ちゅ……ちゅるっ、んんぅ!」

 

 それは淑やかさとはかけ離れた、男を快楽に誘うためだけの、下品で淫靡で官能的な口淫だった。

 あの桜さんがそこまでして肉棒を奉仕しているというだけで、頭が沸き立ちそうになる。

 

「桜さん、もうっ」

 

 当然そのように責めたてられては、余裕ぶっていることなんてできない。すでに精液が尿道の目前まで込み上げているのがわかる。

 桜さんは肉棒をしゃぶりながら言う。

 

「んっ、くるま、よごしたく、んっ、ない、から……んっ、ちゅ……わたひの、くちに、ちゅ、ちゅ……だひ、て、んっ、ちゅ」

 

 口内射精が許された事実に、無意識のうちに桜さんの頭を押さえて前屈みになる。

 瞬間、肉棒が桜さんの口の中で膨張し、大きく震えた。

 

「んんっっ!!」

 

 肉棒から噴出する精液が桜さんの口内を瞬く間に凌辱していく。

 

「ん……んむ……ん」

 

 桜さんは溜りにたまった濃密なそれを懸命に受け止める。

 一度、二度、と肉棒が律動するたび、桜さんの身体も僅かに震える。

 車を汚したくない一心なのはわかっているが、股ぐらにすがりついて自ら精液を甘受するような姿に、興奮はいつまでも冷めやらない。

 

「んっ……ん、んむ」

 

 桜さんが苦しげに呻く。

 いよいよ溺れてしまうのではないかと焦り始めた頃、ようやく精液の奔流が収まった。

 桜さんの背を叩いて教えてあげると、

 

「んっ、ちゅる……んんっ」

 

 桜さんは精液を零さないように口をすぼめながら、ちゅぽん、と肉棒を口から器用に引き抜いた。

 すぐに肉棒をティッシュでふき取りながら桜さんにも渡そうとするが、桜さんはなぜかそれを手で制した。

 

「んむっ……んっ……んっ」

 

 そしてあろうことか、喉を鳴らして口の中の精液を飲み下し始めた。

 

「んっ……ふぅ」

 

 止める間もなく全て嚥下して息を吐く桜さん。

 その顔には汗が浮かんではいるが、表情はいつもの彼女とほとんど変わりないように見えた。

 

「無理にそんなことしなくてもよかったのに」

 

 ティッシュの代わりに飲み物を渡してあげる。

 

「……別に、汚いとは思わなかったから。美味いわけじゃないけど。それより……」

 

 ペットボトルを受け取りながら桜さんが視線をこちらの股間に注ぐ。

 桜さんに抜いてもらってスッキリしたはずの肉棒は、未だ助手席の中心でその威容を誇っていた。テッシュでふき取ってなお、月明かりを浴びてテカテカぬめり、そびえ立つその姿を、桜さんは何とも複雑な面持ちで眺めている。呆れているとも、感心しているとも、ある程度予想していたようにも見える。

 

 申し訳ない、と謝るしかない。端正な顔で精液を何の躊躇もなく飲み干す桜さんの姿にまた興奮してしまった、とは言えない。もしかしたら気付いているかもしれないが。

 

「はぁ」

 

 桜さんは一つため息を吐き、身を乗り出したかと思うと、

 

「んっ」

 

 唇と唇を合わせてきた。

 そして、

 

「続きはホテルで、ね」

 

 いつもの表情、声色であらぬ想像を掻き立てるようなことをいう桜さんに、こちらとしてはただただ頷くことしか出来なかった。

 

「それじゃ、車出すからシートベルトして………あと、とりあえずそれしまって」

 

 慌てて恥さらしをズボンの中に押し込め、シートベルトを締める。

 

「窓、開けるわね」

 

 運転席と助手席のウインドウが下がっていくと、車内に充満していた熱気と臭気が夜の中に流され、心地よい風が二人の火照った身体を冷ましていく。

 だが、この肉棒の昂ぶりはその時が来るまで鎮まることはなさそうだ。

 

 

 

 車を走らせること三十分。

 近場のラブホテルに乗り入れ、さっさと部屋を選び、さっさと部屋に向かう。

 エレベーターを待っている間も気忙しく指が動く。スマートさは欠片もなく、初夜を迎える童貞のようだった。

 隣に立つ桜さんが全くいつも通りなのも、男のくだらないプライドを刺激していた。

 

 絶対に人には言えない想像を膨らませながらエレベーターが上へと昇るのを待つ間、ふとした悪戯心で桜さんの腰に手をまわして抱き寄せてみる。

 桜さんは変わらず無表情のままエレベーターの表示板を見上げ、少し寄りかかってきた。

 正直、もうそれだけで胸と下腹部がはちきれそうになった。

 

 足早に部屋に入るなり、桜さんの唇を奪った。

 

「んっ……ちゅ、ん、あ」

 

 桜さんも当然予想していたのだろう。驚きもせずに受け入れてくれる。

 ドアの前で、まだ部屋の灯りもつけていないというのに、桜さんの魅力的な身体を抱きしめ、何度も何度も唇を重ねる。

 

「んあっ、ちゅ、んっ、ん、ふ……あぁ、ん……お風呂、んっ、入らせてくれない?」

 

 桜さんは息継ぎの間にこちらの胸を押し留め、上目づかいに小首を傾げる。

 

「ごめん。もう我慢できない」

 

 はち切れんばかりの股間の膨らみを、桜さんのお腹に押し付ける。

 

「んっ……もう……ちゅ」

 

 やはりこれも最初から期待はしていなかったのだろう。桜さんはそれ以上は何も言わず、こちらの背中に手を回して唇を重ねてくる。そしてお返しとばかりに胸を押し付けてくる。

 

 キスはすぐにより深く繋がるモノへと移る。舌を絡ませ、音をたて、息をするのも忘れて淫猥な行為に耽る。

 それは桜さんをベッドの上に押し倒すまで休むことなく続いた。

 

「んっ……」

 

 長い髪がベッドの上に扇のように広がり、その中心で桜さんはじっとこちらを伺っている。頬が少し赤らみ、その目の奥はそれ以上にハッキリと熱に浮かされていた。

 すぐにセーターと黒のブラジャーを捲り上げ、桜さんの豊満な胸を曝け出す。

 

「あっ……」

 

 仰向けでなお上を向いた椀型の乳房。その天辺でつんと浮いた乳首が桜さんの火照りを如実に表している。そして双丘は桜さんが身じろぐ度にプルンと揺れた。

 我慢できずしゃぶりついた。

 汗の塩辛さと甘美な柔さが口に広がる。

 

「んっ、んっぁ……はぁ、んぅ」

 

 刺激に身震いしながらも声を抑える桜さん。

 いつもキスやフェラチオまでは積極的な桜さんだが、ベッドでの行為になると途端に受け身になる。自身が快感に喘ぐ姿を見せるのははしたないと思っているらしい。

 赤みの増した顔を腕で隠し、頑なにこちらを見ようとしない。

 それはまるで何かそういうプレイかのようで、ズボンの中の肉棒がしきりに反応してしまう。

 

 片方の乳房には口で吸いつき、もう片方はぐにぐにと手で弄る。円を描くように外から内へとまさぐり、たわわな肉を存分に掌で楽しむ。

 

「はっ、ぁぁんっ……んっ、あ、ふぅ……あ、くっ、んっぅ」

 

 桜さんは切なげに吐息を漏らし、太ももをもどかしそうに擦り合わせる。

 それに気づいていないフリをしながら、敢えて性感部分は避け、まとわりつくような手つきと舌で乳肉を愛でる。焦らすように、もったいぶるように。

 

「んぅっ……はぁ、はぁ……んっ、あっ……」

 

 やがて、桜さんが物をねだる子供のように腕の隙間からチラリとこちらを見た。

 その瞬間、待ちに待たされた乳首を指ではじき、甘噛みする。

 

「ッーーーー!!」

 

 桜さんはひときわ大きく反応し、嬌声を噛み殺しながら背中を弓なりに反った。

 軽くイったのだろう。しばらくそのまま小刻みに震え、やがて腰を落とした。肩で息をし、濡れた瞳でこちらを恨めし気に睨み付けてくる桜さん。

 

 足元に回り、桜さんのジーンズのボタンに手をかける。

 

「腰上げてください」

「……ん」

 

 桜さんは存外素直に腰を浮かしてくれた。もう本番を我慢できないのは彼女も一緒のようだ。

 

 車でチラリと覗いた黒の下着が露わになり、ついで丸い臀部と太もも、スラリと長い脚も曝け出す。

 見ると、むっちりした太ももの間に穿たれた女の溝はすでにぐっしょりと濡れていた。

 下着も脱がさず事に及んでしまったことは、正直申し訳ないと思う。などと考えながらも、さっさとこちらもズボンを下ろして限界まで張りつめた肉棒を外気に晒し、桜さんの脚を開く。

 膝を立て、ただ男を受け入れるだけの姿勢をとる桜さん。背筋が震えるような光景だ。

 

「んっ……あっ」

 

 下着をずらし肉棒を淫唇に宛がうと、桜さんは微かに喘いだ。

 

「挿れるよ、桜さん」

 

 桜さんが視線を逸らしながら、コクリ、と頷いたのを見て、一息に肉棒を膣に突き入れる。

 

「ッーーーー!!」

 

 敏感な膣を擦過され、また嬌声をあげそうになる桜さん。

 それはこちらも同じこと。

 とろとろの膣壁が肉棒にまとわりつく。柔く滑らかな肉だが、この肉棒の形を覚えているかのようにキッチリと万力のように締め付けてくる。

 一度出していなかったら、それだけで達していただろう。

 

 低く呻きながら腰を引き、また挿しいれる。

 

「んぁ! あっ、んぅ……あっ、あっ……ああっ、んぅっ」

 

 桜さんの脚を抱きかかえ、ピストンを行う。浅く、深く。深く、浅く。刺激に慣れさせないよう、緩急をつけて膣を責めたてる。

 肉をたたく音が部屋に響き渡る。

 

「く、んっ……んぅ、ふ、うぅ……あっ、あっ、あっ……んんっ」

 

 膣から溢れ出る蜜と収縮具合、それに漏れ聞こえる声の色から、桜さんが自分と同じかそれ以上に感じているのは間違いない。それでも桜さんは必死に声を我慢する。シーツを掴む足に力を入れ、悦楽に堕ちまいと抗っている。

 

 それがこちらの情欲をさらに燃え上がらせた。

 

 桜さんに覆いかぶさるように身体を倒し、杭を打ち付けるように肉棒を抽送する。

 

「ーッッ!!!  あっ! んぅ……んっんっ! あっ、んんっ!」

 

 奥を小突き、さらに先へとねじ込もうと腰を揺する。

 膣が蠕動し、絶え間なく蜜があふれ出し、シーツを汚すのがわかる。

 なお激しく、ベッドが軋む程桜さんを責めたてる。

 

「んぅ、く、うぅ! んっあぁぁっ、っ! ッ! ッ! あっぁんッ!!」

 

 桜さんはいよいよ両腕で顔を覆い隠してしまった。その口から発せられる声はすでに性行為に陶酔した者のそれと変わりなかった。

 桜さんを堕とすことができたようだ。それに満足すると、こちらも限界を知覚する。

 

 腰を振り立てるたびに揺れ踊る胸を押しつぶすほど密着し、桜さんの耳元で呟く。

 

「桜さん、もう、イくよ」

 

 すると桜さんは珠汗を飛び散らせながら何度も頷いた。

 

「わたし、も……んっ、んぅ! いく、あぁ、からッ、あぁッ! んぅ……」

 

 そして何かを恥じるように押し黙る。一度こちらをチラリと見て、首に手をまわして抱き着いてきた。何も言わず、呻き声だけ漏らす。

 

 それは中に出しても大丈夫なサインだ。

 

 肉棒がますますいきり立つ。下半身の熱が燃え上がり、頭の中が、桜さんを自分の色に染める、というただ一つの欲求に支配される。

 雄叫びのような声をあげ、腰を振りたくる。

 

「あっ! んっぁ! ん、はぁッ! んぅッ! はぁ、あぁんっ! んっ! んっ!」

 

 耳元でそれまで溜めていた分を吐き出すように濃密に喘ぐ桜さん。淫靡な声色でうわ言のように、イク、イク、と漏らし、両足でこちらの腰を挟んでくる。

 もう込み上げるモノを堰き止めることはできない。止めようとも思わない。

 

「桜さんっ! 桜さんっ!」

 

 名前を叫び、遮二無二肉棒を叩きつける。

 

「あッ! あッ! あッ! い、く……イク、イクッイッ、っーーーーー!!!」

 

 桜さんは絶頂に声を失い、電流が流れたかのように痙攣する。

 同時にこちらも目の前が明滅するほどの快感に襲われ、膣奥で爆発した肉棒から精液が放出される。

 とめどない量の白濁液が桜さんの膣を染め上げ、蹂躙していく。

 

「ッーーーー」

 

 縋り付くように抱き着いてくる桜さん。顔は見えないが、絶対に離すまいとする手と脚から官能のほどはハッキリと伝わってくる。

 肉棒が種を吐き出す間、二人とも相手を離そうとしなかった。本能的に腰を動かして肉棒と精液を膣壁にこすり付けるたび、互いに細かく震えて余韻に浸っていた。

 

 やがて射精も落ち着き、顔を見合わせる。

 

 桜さんはすでにいつもの表情に戻っていたが、眼鏡が少しズレ、頬は上気していた。

 その色香に満ちた顔にまた浅ましくも劣情を催してしまう。

 桜さんもそれを下半身で感じ取ったのか、呆れたようにため息を吐き、こちらにキスをして微笑した。

 

「バカ」

 

 その後、抜かずの二回戦、三回戦をしたことは言うまでもない。

 

 まだまだ夜は長い。

 

 



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志摩リン①

「あの……本当にここでするんですか?」

 

 リンちゃんはこちらを振り返って何度目かの確認をする。ランタンに照らされたその顔にはありありと、戸惑いと羞恥の色が浮かんでいる。

 

「やっぱりテントは汚したくない?」

「いえ、それは、一応シーツを敷いてるので大丈夫ですけど……その、単純に恥ずかしくて。それに……誰かに見られるかも」

「大丈夫だよ。外に透けないように目隠しはしてるし、そもそも周りに他のキャンパーがいないことはリンちゃんも知っての通り」

「でも、声とか」

 

 言いかけて、『声をあげてしまうほど乱れる』と告白しているに等しいことに気付いたのか、顔を真っ赤にして俯いてしまう。

 

 可愛いなぁ。

 

 心から愛おしさを感じながらリンちゃんの長く艶やかな髪を梳くように撫でる。リンちゃんは借りてきた猫のように脚の間にくるまった。

 

 

 山梨県某所のキャンプ場には、嘘偽りなく他のキャンパーたちの姿はない。穴場ということもあるが、やはり時期が時期だ。風は無いが夜になると底冷えする冷気に襲われ、テントの中にいても身震いしてしまう。

 

 なのでこうして、リンちゃんを脚で抱え込むようにして身を寄せ合って暖をとっていたのだが、静かな夜、ロマンチックな星空を眺めた後の若い男女がそのように密着すれば、自ずとそういう雰囲気になるものだ。しかも人肌で温めあう作戦が早々に功を奏したので、二人とも薄着。リンちゃんは黒のシャツにジーンズ姿。

 

 本末転倒感はどちらも感じていただろうが、じゃあ寝ようか、とはお互いに言いださなかった。

 

 つまり、リンちゃんも戸惑いこそすれ、これから行うことを嫌だとは思っていないということだ。それでも抵抗があるのはやはり、と言うかよく考えれば当然のことだが、テント内とはいえ外での行為には気恥ずかしさがあるのだろう。

 

 リンちゃん、志摩リンちゃんと初めて会ったのもこのキャンプ場だった。

 ソロキャンという共通の趣味を持っていたので話をしてみると、なんとビックリ、桜さんの知人だった。桜さんの妹さんとは同じ学校に通う同級生でキャンプ友達でもあるとかで、縁があったらしい。

 その少し前に桜さんが、妹の友達にとてもいい子がいる、と珍しく熱弁していたことがあったが、まさか偶然その子と出逢うとは思いもしなかった。

 

 なんと世間は狭いことか、と呆れたことを覚えている

 そうして何だかんだであって仲良くなり、こうして本当にたまーに二人でキャンプをするようになった。

 

 

 普段は髪をアップにしているリンちゃんだが、あとは寝るだけだったので今は床に流している。桜さんに負けず劣らずの長髪は水のように滑らかで、絹のように艶がある。どれだけ触っていても飽きない。

 

 リンちゃんが黙っているのをいいことに散々弄び、ふと思い立って、枕の寝心地を確かめるように顔を埋めてみた。

 

「ひゃっ!!?」

 

 可愛らしい悲鳴をあげるリンちゃん。

 

「ちょ、ちょっと、お兄、さんっ」

 

 リンちゃんがお兄さんと呼ぶのは別にこっちの趣味ではない。何となくそう呼びたいらしい。もちろん全く悪い気はしない。

 

 逃れようとするリンちゃんを脚で挟み、腕を回して優しく抱き着く。リンちゃんはその年ごろにしても背が小さく華奢なので、力を全く入れなくともそれだけで抵抗は意味をなさなくなる。

 

「だ、駄目ですっ、離して、くださいっ」

 

 それでもリンちゃんは懸命にこちらの腕をどけようともがき声をあげるが、なんだこれは、と一瞬にしてその虜になり夢心地に浸ってしまったアホな男には無駄なことだった。

 

 リンちゃんに対する変態的な行為は、想像以上に、この上なく、極上だった。きちんと手入れされているので枝毛が顔をチクリと刺すこともなく、さらさらと羽毛のように肌を撫でてくる。そして何よりも至福なのが、

 

「ほ、本当に駄目、ですっ! きょ、今日は、お風呂入ってませんから、その、に……匂いがっ」

 

 と、リンちゃんが言うように鼻腔を抜ける彼女の香りだ。だがそれは彼女が恥じらうような物では決してなく、花畑のように芳醇な香りを放っている。どこまでも甘く、どこまでも幸せを感じさせてくれる薫香だ。

 

 だから、思わず鼻息が荒くなってしまうのも仕方がなかった。

 

「お、お兄さんっ!?」

 

 抱き留めたリンちゃんの身体が徐々に熱くなっていくのがわかる。顔を真っ赤にしている様子が目に浮かぶようだ。

 

「か、かがない、でっ、くださいっ! あっ、だ、だめ、ですっ!」

 

 艶やかな髪に顔を埋め、芳しい香りに包まれ、リンちゃんの熱を全身で感じる。まさしく天国だ。

 そのような状況に置かれては、もう我慢なんてできようはずもない。ガバッ、と両手をリンちゃんの胸元に宛がった。

 

「っ!!」

 

 身体をビクリと震わせるリンちゃん。それまでの比ではなく体温が急上昇し、逆に抵抗は大人しくなっていく。もう始まっているのだ、と理解するような間があった。

 

「お……お兄、さん」

 

 もじもじと身を捩り、こちらを振り返りかけながらそう呼ぶ声には、確かな色があった。自分の胸をまさぐるゴツゴツした手を払いのけようとする力も弱い。やっぱり外でなんて、でも・・・という彼女の葛藤が手に取るようにわかる。

 

 曖昧な態度を同意と受け取り、シャツの上から少女の膨らみを撫でさする。

 

「んっ、あぁ……んっ、んっ……あ、んんぅ」

 

 まだ覚悟は決まっていないだろうが、刺激されれば甘い声は漏らしてしまう。

 リンちゃんの胸は体型相応とでも言うべきか、失礼だが『ある』ほうではない。だが触れればちゃんと柔らかく、感じやすさはむしろ人一倍あるかもしれない。

 

「あっ、んん……はぁ、はぁ……あっ、んっ」

 

 息を乱して艶のある声を漏らすリンちゃん。もう、駄目、とは言わなくなった。両手はこちらのズボンを掴み、悶えるたびに強く握りしめる。

 

 頃合いを見て手をシャツの裾に入れ、スルスルと捲り上げていく。

 

「あっ……ッ」

 

 リンちゃんは耳まで紅くして顔を逸らす。

 くびれた腰、珠汗の浮き出た白い肌、そして水玉模様の可愛らしいブラジャーが露わになる。

 

 ランタンに照らされ陰影の浮き出たその身体に、なぜだかいつも以上に目を惹かれる。未成熟と言える少女とその肢体を、まるで何かから隠れるように暗闇の中で暴き、味わう、という行いに、あってはならない情欲が刺激されているのかもしれない。

 

 そういう趣味は自分にはないと思っていたが……。

 

 今、目の前で火照り上気している少女が、どんなプロポーションの美女よりも魅力的で、魔性の如き色香を醸し出しているように見える。

 思わず喉を鳴らす。

 急くようにそのままブラジャーをも押し上げ、直に双丘に触れた。

 

「んんっ! あぁ、ちょく、せつっ……あぁ、ん」

 

 元よりスベスベの肌は水気を含んでさらに滑りがよくなり、這う指が縦横無尽にリンちゃんの敏感なところを責める。

 

「あぁ! んっ、んぅ! はぁ、はぁ……くぅ……あぁッ!」

 

 浮いた突起に触れれば甲高く鳴き、周りを丹念に揉みこめば苦悶に喘ぐ。凹凸が少ない分、こちらの手つきは型に嵌らずより厭らしく動き、リンちゃんも思った通りに感じてくれる。癖になりそうだ。

 

 違法マッサージ師にでもなった気分でリンちゃんの胸を堪能しているうちに、ふと気付く。

 

「んっ、あぁ……くぅ、んん……あっ」

 

 リンちゃんが前に投げ出した足をもどかしそうに擦り合わせている。官能に合わせ、徐々にその動きも大きくなる。

 すぐに片手を下げ、ジーンズのボタンに指をかけた。

 

「あっ! だ、だめ、ですっ! い、今はっ! ぁ、あぁんっ!」

 

 リンちゃんがこちらの手を抑えようとする前に、乳首を摘みあげて動きを止める。前のめりになって肩を上下させている間に、ジーンズのボタンを外してチャックを降ろす。

 あっ、とリンちゃんは声をあげるが、もう遅い。

 こちらの手は想像通り、いや、それ以上に濡れそぼった秘丘に触れている。

 

「ッ~~~」

 

 リンちゃんはまた耳を茹でダコのように紅くし、俯いてしまう。

 

 下着越しでこの濡れざまでは、恐らくジーンズにまでリンちゃんの蜜は染み込んでいるだろう。しかもこの量をみるに、多分髪に顔を埋めた時よりも前、テントで暖を取り始めたあたりからすでに、感じて、いたのかもしれない。

 

 澄ました顔で世間話していた時に何を考えていたのか。

 

 それを一向に顔をあげず怯えるように震えるリンちゃんに問い質すのは、さすがに気が引ける。

 

 何も言わず、髪をかきわけて首筋にキスをして秘所を指でなぞりあげる。

 

「ッ!! あっ、んぅ! あぁんっ!」

 

 同時に胸への愛撫も再開する。

 うなじに唇の雨を降らせ、なだらかで柔な乳肉を丹念に揉みこみ、女の丘を優しくこねくり回す。

 

「あっ、あっ! んぁ、く、うぅ……んっ、んくっ……はっ、はぁ……あんっ!」

 

 敏感な三か所を同時に刺激され、逃げることも適わずただ甘美の声を口の中で転がすリンちゃん。

 

「あっ、んんっッ!!」

 

 下着をずらして直接秘所に触れると、一際大きくわなないた。

 ぴちゃぴちゃ、とまたリンちゃんが赤面してしまいそうな音をたてながら溝を刺激し、しとどに濡れた穴へと指を埋没させる。

 

「んぁっ! だ、だめ、で、あッ! んぅっ! だ、め……だめ、ですっ、あ、あァんッッ!」

 

 蜜を掻き出すように指を回し、徐々にその本数を増やしていく。

 

「んんッ! そ、そこっ、あんッ! きもち、よすぎ、てっ、んッ! んぁぁ!」

 

 中の性感帯を指でほじると、明らかに膣の収縮と律動が早まり、高みへと昇っていくのがわかる。それが近いのは、リンちゃんの嬌声からも明らかだった。

 

「あぁ! あぁん! だ、め、ですっ! も、もうっ、んっ……イ……イっちゃい、ますっ! イっちゃい、ます、からぁ!」

 

 その余裕のなさに追い込みをかける。

 

「大丈夫。イっていいよ、リンちゃん」

 

 そう声をかけながら、膣と胸を弄る手を激しく動かす。性行為本番とほとんどかわりない勢いで。

 

「あッ! あッ! あぁぁ! い、イきま、すっ! イっちゃい、ますっ!」

 

 リンちゃんが息を呑んだ、次の瞬間

 

「イッ、ッッーーーーーーーー!!!!」

 

 電流が流れたように小さな身体が震え、膣から潮が吹きだした。

 

「んッ、んッ、ッーーー」

 

 腰を浮かしたまま細かに震えるリンちゃん。そのつど蜜壷から蜜が湧き出て、手や下着、ジーンズ、シーツなどを濡らしていく。

 

「う、あぁ……んく」

 

 身体を支えながら頭をなでであげていると、リンちゃんは全身の力をフッと抜き、体重をこちらに預けて肩に頭を載せてきた。

 

「はぁ……はぁ……」

 

 久しぶりに正面から見たその顔は、羞恥と火照りで紅くなり、頬は涙で濡れ、口の端からは涎が垂れ、呼吸も絶え絶え、といういつもクールな彼女からは想像もできない痴態を露わにしていた。

 

 それを隠したり見栄を張る余裕もないらしく、縋り付くようにこちらを見上げるリンちゃん。その表情に密かに嗜虐心をそそられながら、尋ねる。

 

「大丈夫?」

 

 リンちゃんは首をゆっくりと縦に振った。

 そっか、と返して唇に軽くキスをする。

 

「んっ、ちゅ、あ……ふっ、ん、んむっ……ちゅ、ちゅる」

 

 リンちゃんは目を閉じて積極的に唇を重ねてきた。

 

「ん、ちゅ……あ、ん……きす……すき、です……んちゅ」

 

 陶酔しているのか、普段はあまり口にしないことを囁くリンちゃん。

 

 しばらく他愛のないキスを繰り返し、唇を離す。リンちゃんは名残惜しそうにするが、そろそろこちらも限界なのでまた尋ねる。

 

「リンちゃん、次、大丈夫?」

 

 次、とはもちろん本番のことだ。さっきから股間が痛いほど窮屈に押し込まれていて仕方がない。

 リンちゃんは頬を朱に染め、少し逡巡しつつも、

 

「……はい」

 

 と、頷いてくれた。

 

「じゃあお尻をこっちに向けて」

 

 まだ絶頂の余韻が残っているらしく動きは緩慢だが、言われた通りに手と膝をついて四つん這いになり、お尻をこちらに差し出すリンちゃん。脱げかかっていたジーンズを下着と一緒に膝まで降ろし、小ぶりだが張りがありつるりと丸い尻を露出させる。

 

「んっ……」

 

 リンちゃんは恥ずかしさから身を捩る。その動きがまるで尻を振って男を誘う娼婦のように扇情的な仕草だとは気付いていないだろう。中央やや下で小さく口を開けている淫唇も、待ちきれないとばかりにヒクついている。

 

 堪らずに尻を撫でながら性急にこちらもズボンと下着を降ろす。

 

 開放された肉棒は腹に触れるほど反り返り、グロテスクに血管を浮き出させ、リンちゃんのことを言えないほど先走りで濡れていた。こちらを振り返っていたリンちゃんが息を呑む音が聞こえる。

 

 ゴムを付け、割れ目に肉棒を宛がう。

 

「挿れるよ、リンちゃん」

「んっ、あっ……く、うぅ、んんっ……」

 

 まだほとんど使われていないそこは、リンちゃんの体形も相まってやはり相当に狭い。だが大量の蜜が潤滑油の役割をはたし、初めての時ほどの抵抗感はなく、リンちゃんも苦しそうにはするが痛がる素振りはみせない。

 

 たっぷりと時間をかけて肉棒を奥まで挿れて一度息を吐き、尻や太ももを撫でながら、動くよ、と声をかける。

 リンちゃんはコクコクと忙しなく頷いた。

 

 やはり少し辛そうだが、それで止めるほどこちらも余裕があるわけではない。心の奥底では、今すぐにこの小さな肢体を抱きしめて犯し尽くしてやりたい、とほんの少しだけ思っているほどなのだから。

 

 腰を引いて肉棒を戻し、また差し込む。

 最初は浅いところを重点的に。責めるというより慣らすように一定のペースで突き入れる。

 

「くぅ、ん、んぅ……あ、はぁ、あん……んっんっ」

 

 しかしそれだけで、下手をすればこちらが暴発してしまいそうなほど気持ちがいい。リンちゃんの膣は狭すぎるきらいはあるが、その分だけ締め付ける力が強く、肉棒を容赦なく擦過する。

 

 気を紛らわせるためにリンちゃんの身体を隅々まで撫でる。お尻、太もも、ふくらはぎ、お腹、脇、あばら、へそ。

 やはり桜さんほどの肉感的な感触はない。だがどこを触れてもいちいち反応してくれるので触りがいがある。

 

「はぁ、んぁ! んっ! んっ! あぁ、あぁんッ!」

 

 そうやって意地悪をしていた甲斐もあってか、リンちゃんの声は徐々に甘さを孕んだものになり、膣を擦る刺激にも快さを感じ始めている。

 

 であれば、こちらも遠慮は必要なくなる。

 

 くびれを掴み直し、奥を叩くように腰を振った。

 

「あぁんっ! ん、んっ! あっ! あっ! く、ううぅ! あぁっ!」

 

 一突きごとにリンちゃんは嬌声をあげる。長い髪を振り乱し、弓なりに背を反る。

 

 その間も膣はぎゅうぎゅうと肉棒を締め付けてくる。肉襞がスキン越しにまとわりつき、抜けば追い縋るように絡み付き、押せば拒絶するように圧迫してくる。まるで一つの生き物のようにこちらを翻弄する。

 

 こちらも負けじと挿入の角度を変えたり、奥を小刻みに小突いたり、と懸命に膣をこねくり回し、この肉棒の形を膣に、そしてリンちゃんに覚えさせる。

 

「んっ! んッ! あぁぁ! お、にい、さんっ・・・おにい、さんっ! きもち、いいですっ! くぅんっ! きもち、いい、ですっ! あぁァんッ!」

 

 リンちゃんは普段の大人しさが嘘のように鳴き、お兄さん、と哀願するように何度も呼びかけてくる。

 自然、腰打ちにも熱が入る。

 

「あっ! あっ! あァッ! んくぅっ! わ、わたし、も、もうっ」

 

 と、崩れるように上半身を倒し、尻を突き出すように伏すリンちゃん。その劣情を煽り立てるような格好に、こちらもいよいよ燃え上がる。

 

 獣のようにリンちゃんに覆いかぶさり、無軌道に肉棒を抽送していく。

 

 二人の声と行為の音は全て外に漏れているだろう。だが問題ない。それを聞いているのは虫と自然だけだ。ならば、もっと彼女を乱れさせよう。もっと鳴かせよう。

 

「リンちゃん! リンちゃん!」

 

 と叫びながらまた髪に顔を埋め、両手は胸を撫で、腰を振り乱し、恥も外聞もなく文字通り全身で彼女を貪りつくす。

 

「あぁ! ぁあぁぁ! んっ! んくっぅ! んっ! んっぅ! んぁぁああ!」

 

 獣性に支配された男に凌辱されていると言っても過言ではない体勢で犯されながらも、快楽の坩堝に堕ちたリンちゃんは甘ったるく淫らに声を発する。

 

 その勢いは最後までとどまる所を知らず、肉と肉のたたき合う音が静かなキャンプ場に響き渡る。

 

「リンちゃん、そろそろイク、よっ!」

「は、いっ! わたし、もっ! あっ! くぅ……また、イき、ますっ! イきます、からっ! いっしょ、にぃ! んんぁ!」

 

 奥歯を噛みしめ、スパートをかける。奥へ、奥へと肉棒を進める。

 

「くっ! うぅっ! あっ! あっ! あんっ! おにい、さぁぁんっ!」

 

 そして限界まで張りつめた肉棒がリンちゃんの膣奥を叩いた瞬間。

 

「あァーーーー!!!!」

 

 リンちゃんが絶頂に吼え、肉棒から精液が噴出した。

 

「ッッーーーーーーーーー」

 

 リンちゃんは何度も身体を揺すり、言葉にならない官能を甘受する。

 そんなリンちゃんを圧し潰さんばかりに抱きしめ、こちらもスキンに精液が溜まっていくのを震えて待つ。

 

 至福の時だった。

 

 やがて射精も終わり、ゆっくりと腰を引いていく。肉棒が膣から抜けると、リンちゃんは糸が切れたように横になった。

 それまでの激しさが嘘のような静寂に包まれる。

 

 パンパンに精液の溜まったスキンを処理し、息を切らしているリンちゃんの頭をなでる。

 

「ごめんね。ちょっと無茶しすぎた」

 

 リンちゃんはちらりとこちらを見上げ、いえ、と頭にのせた手をとって指を組む。

 

「私も、その……気持ちよかった……ですから」

 

 そう言って、はにかんだ。

 あぁ、本当になんて可愛い子なんだろうか。桜さんが気にいるのも当然だ。今度三人でどこかに出掛けるのもいいかもしれない。

 なんてことを妄想しながら、風邪を引かないように毛布をかけてあげるのだった。

 

 



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Fate/Grand Order
マシュ①


FGOの男役は少し個性強めです。


 俺は今、訳あって人理救済なんてことをしている。簡単に言ってしまえば、世界を救おうとしている最中だ。ほとんど一般人の俺には荷が重すぎる使命だとは思うが、過去の、あるいは別世界の英霊、サーヴァントたちの力を借りてなんとかかんとか足掻いている。

 

 人類根絶を目論む奴らとドンパチやっているので、当然怪我も多い。擦り傷、切り傷、骨折なんかは当たり前。何度も死にかけ、本気で、終わった、と思ったことなんて、この両手の節くれだった指に余るほどある。こうして五体満足でいられているのが信じられないほどだ。

 

 そうやって繰り返し生命の危機に瀕していれば、心身に異常が出るのも仕方ないことである。

 

 具体的に言うと 【性欲】 が尋常ではないほど肥大化しても、それはやはり仕方のないことだ。身体も子孫を残そうと必死なのだ。

 

 しかも、英霊たちの中には美しく可愛らしい女性が多く、価値観の違いなのか英雄としての器の大きさゆえか、妖艶な格好、大胆な服装を隠そうともせず、むしろ見せびらかしてくるような者たちもいて、正直辛抱堪らない。と言うか、辛抱できなかった。

 

 この閉じられた世界の中、常に死にそうな思いをしている若い男が、共に窮地を乗り越えて絆を深めた色々な意味で魅力ある女性たちとそういう関係になったことを、いったい誰が責められようか。いや、責めさせない。限界だったのだ、もう。

 

 幸い、彼女たちは俺の苦悩を理解し、受け入れてくれた。複数の女性と関係を持つことにいい顔をしない者もいたが、皆積極的に発散に付き合ってくれている。

 

 

「ん、ちゅ……あ、むっ……ん、ふ、れろ」

 

 今こうして、俺の足元に跪いて股ぐらに顔を寄せ、パンパンに張った肉棒を口で梳いてくれている少女もその一人だ。

 

 名前はマシュ・キリエライト。最初に会った時からなぜか俺を『先輩』と呼び慕ってくれている、いわゆるメカクレ系の後輩女子で、サーヴァントとして正式な契約を結んでいるパートナーでもある。

 彼女は正確には純粋な英霊ではないのだが、行為には他の積極的すぎる方たちに負けじと率先して臨んでくれている。

 

 今日はすでに訓練を終え消灯時間も過ぎているので、眼鏡をかけ、いつもの白いパーカーに丈が短い黒のワンピース、それにタイツを着ている。

 俺も服は着ている。

 

 部屋に入るなりマシュを抱きしめ、尻を揉んでキスをして、服を脱ぐ間も惜しみ行為にふけったからだ。

 

「ちゅ、ちゅ……んむっ、んっ、は……えろ」

 

 マイルームのベッドに腰掛けて尊大に脚を広げる俺に、マシュは嫌な顔一つせず奉仕してくれている。

 舌でカリを絡め取り、にじみ出る先走りを掬い取っては唾と混ぜ合わせて肉棒全体に塗りたくる。

 ざらざらした舌の感触に身震いすると、マシュは肉棒を咥えたまま上目づかいにこちらを窺う。 

 

「ろう、れすか、んっ……せん、ぱい、あ、むぅ……わたひ、あむ、ちゃん、と……きもち、よく、んむ、でひて……まふか?」

「ああ、気持ちいいよ、マシュ」

 

 マシュは嬉しそうに目を細め、肉棒に吸い付いた。

 最初はたどたどしかったマシュのフェラチオも、今では円熟の域に達し、こちらの弱いところを的確に責めてくる。

 

「ちゅる、ちゅ……じゅるっ、んっ、んっ……あ、はむっ……じゅるるっ」

 

 肉棒を口いっぱいに頬張り、引き抜いていく。わざと音をたてるようにゆっくりと。そして唇が傘の先端にキスをすると、また肉棒を飲み込み始める。

 そんな動作をゆっくりと、焦らすように、繰り返していく。

 また、時折顔の角度を変え、肉棒を頬の内側でしごくように咥え込むようなこともする。

 

 外からでもハッキリとカリや竿の形がわかるほど、肉棒を頬に押し付けるマシュ。自分の顔が見ようによっては下品に歪むことを厭わず。

 

「ん、むっ……あむっ……えろ、あ、んんっ」

 

 こちらを見上げるマシュの瞳が眼鏡の向こうでこう言っている。

 

 先輩、こういうのお好きですよね。

 

 こちらの性癖も見透かされている。

 頬、舌、唇、喉。全てを使い、全てを肉棒に捧げるマシュ。

 誰しもが美少女と認めるマシュが、尊厳や品位を投げ打ってただただ俺のために尽くしてくれる。

 その優越感と征服感に背筋が震える。

 

「んじゅ、じゅる……ふっ、ふっ……あ、んむっ、んっんっんっ」

 

 こちらのせり上がってくる熱を感じ取ったのか、マシュの口淫のペースが徐々に早くなってくる。

 口をすぼめて一分の隙もないほど肉棒に吸い付き、サラサラの髪を振り乱して摩擦する。淫靡な音が部屋を満たす。

 

「マシュ、もうっ」

「ふぁい、んっ……どこに、だしたい、あむっ、れふか? どこでも、んちゅ、じゅる……へんぱい、の、ふきな、ところ、に、んうっ……かお、でも、あっ……んっ、くちのなか、でも」

「顔……顔に、出したいっ」

 

 特に理由は無い。今日はマシュの綺麗な顔を自分の精液で汚してやりたい気分だった。

 マシュは笑みを浮かべ、頷いた。

 

「わかり、まひた、んっ……では、イきそうに、あんっ……なった、ら……じゅるっ、おひえて、くら、ちゅる……はい……んっ、んっ、んっ」

 

 そう言ってマシュはスパートをかけた。

 こちらの腰に手を回して縋り付き、肉棒に食らいつく。いわゆるバキュームフェラのようなものだ。

 それまでとは桁違いの快感に背を弓なりに反る。

 

「んっ、んっ……んぶっ、ん、じゅる……じゅるる、んぅっ……じゅ、じゅ、んっっ」

 

 喉奥のギリギリまで肉棒を咥え、さすがにマシュも苦しそうに喘ぐ。それでもしゃぶるのを止めない。腰に回した腕にさらに力を入れ、飢えた獣のように肉棒に執着している。

 ともすればこちらが不安を覚えるほどの激しい行為だが、肉棒の先から根元までを生温かな舌でまさぐられ同時に擦られるというのは、膣では味わえない悦楽だ。止める気にはならなかった。

 

 マシュの頭を掴みながら呻き声をあげ、その快感を享受する。

 限界はすぐに訪れた。

 

「マシュ、もう出る、から」

 

 肩を叩くと、マシュはこちらを見上げ、少し名残惜しそうに肉棒を口から引き抜いた。

 マシュの涎と先走り汁でぬらぬらと光る肉棒。青い血管がいくつも浮き出て、今にも爆発しそうにビクンビクンと震えている。

 その汚らしく禍々しい男根を、細く綺麗なマシュの手が握り擦る光景は、とても背徳的で妖艶だ。

 

「どうぞ、せんぱい」

 

 マシュは呟く。陶酔した声で。

 マシュの手に自分の手を重ね、肉棒をしごき、最後の一押しの刺激を与える。

 

「マシュっ!」

 

 次の瞬間、肉棒が膨張し、その先端から大量の白濁液を放出した。

 

「あっ、んっ……」

 

 弾丸のように飛び出たそれは、瞬く間にマシュの顔を染めていく。

 びちゃ、びちゃ。そんな擬音が聞こえてきそうな量の精液を、マシュは目を瞑りじっと受け入れている。時折身震いするのは、その熱さゆえか、それとも鼻腔をつくむせかえるような臭気のためか。

 この世のものとは思えない快感に打ち震えながらも、目の前の光景を目に焼き付ける。

 眼鏡はもはや使い物にならず、さらに髪を汚し、服を汚し、マシュという存在の全てを自分の精液が汚していくようなこの感覚は、麻薬のような中毒性をもっている。

 

 自然、笑みがこぼれる。この時の俺は、おおよそ世界を救おうとしている者の顔をしてはいないだろう。

 やがて、自分でも驚くほどの精液を後輩にぶちまけ、肉棒の震えは収まった。

 

「動かないで」

 

 そっと眼鏡を外し、用意していたハンカチでマシュの目元を拭ってやる。眼鏡のレンズも軽くふき取り、またかけなおす。

 もういいよ、と言うと、マシュは恐る恐る目を開け、まず俺を見て笑みを浮かべた。次に顔に残った精液を指で拭う。そしてそれを自分の鼻先に掲げ、

 

「先輩の匂い……」

 

 と言って、舌で舐めとった。

 普段のマシュからは考えられない淫猥な仕草に、こちらがドキリとさせられる。

 マシュは、ハッ、と我に返り、顔を紅くする。無意識下での己の淫らな行いにはまだ耐性がないのだろう。

 

「か、顔洗いますね」

「待って、マシュ」

 

 そそくさと立ち上がり洗面台に向かおうとするマシュを呼び止める。

 

「はい? どうしました、先輩」

 

 振り返るマシュに、あくまでも平然と笑うでも懇願するでもなく言う。

 

「スカート、めくってみせてくれない?」

「っ」

 

 マシュはまた顔を紅くする。一度目を逸らし、チラリとこちらを見る。

 そして、

 

「……はい」

 

 逡巡しながらも、マシュは戸惑いや疑問を口にすることも無く身体をこちらに向け、うつむき加減に両手でスカートの端を持ち、ゆっくりと捲りあげていった。

 マシュのような真面目でいたいけな少女に、このようなことをさせているだけで肉棒が疼きを覚えるが、目的はそこではない。

 マシュのスカートの中が曝け出される。

 

 黒いタイツが引き締める肉付きのいい太もも、正面からもチラリと覗く尻肉、そして水色の可愛らしい下着とそこに包まれた秘所。

 マシュは顔を真っ赤にしている。自らスカートを捲って見せているから、ではない。

 

 触って確かめるまでもない。色の変わったタイツと下着が如実に表している。マシュの秘所がすでにぐっしょりと濡れていることを。恐らくタイツと下着を履いてなければ今も床に蜜が垂れ落ち、溜まっていたであろう量だ。

 

「フェラしている間ずっと触ってたんだ」

 

 マシュはゆっくりと頷く。

 途中から気付いていた。マシュが肉棒を咥えながらオナニーしていたことは。

 最初は無意識だったのだろうが、途中からは確かにマシュの意思による自慰だったはずだ。駄目だとは思いつつも我慢できなかったのだろう。

 

「何を考えてたの?」

 

 性根が悪いと思いながらも問いかける。

 

「……せ、先輩の……」

 

 一度口を噤み、しばらく押し黙った後、弱弱しくもハッキリと口にする。

 

「先輩の、お、おちんちんで私のお……おまんこを……たくさん愛してもらうのを、想像してましたっ」

 

 さらにマシュは続ける。

 

「先輩のおちんちんを咥えている時も、訓練している時も、お話している時も……ずっと、ずっと……そればかり考えてましたっ!」

 

 耳まで紅くするマシュ。

 後輩の口から発せられる淫語混じり告白とその姿に、半勃ち状態だった肉棒はすっかり硬度を取り戻し、雄々しく天を向いて屹立している。

 

「あっ……」

 

 それを見てマシュは甘い声を漏らす。

 その目は肉棒を捉えて離さず、いつしか頬の紅潮は羞恥から色情による火照りに変わっていた。

 

 

 とりあえずマシュには顔を洗わせた。そして今は目の前で気恥ずかしそうにタイツと下着を脱いでいる。

 本音を言えばタイツを破いてそのままシたいのだが、タイツも貴重な支給品の一つ。行為の度にいちいち破棄していたらさすがにダヴィンチちゃんに怒られる。

 

 それにこうして脱いでいる姿をじっくり眺めるのもよいものである。表情にもそそられる。こういうのを愉悦と言うのだろう。

 

「先輩……」

 

 脱ぎ捨てたタイツと下着の隣でスカートの裾をキュッと抑えるマシュ。白く健康的な脚が露わになっている。

 今あのスカートの下には何も履いていないのだと想像すると、喉が鳴るのを抑えられない。

 マシュはこちらに歩み寄り、ベッドに腰掛ける俺に覆いかぶさるように足を広げで膝立ちになる。

 

 目前に迫ったたわわな胸にむしゃぶりつくのを我慢し、ほっそりとした腰に手を添える。

 マシュは自分の手で肉棒を動かし、秘所へと宛がう。くちゅり、と濡れそぼった淫唇に肉棒の鈴口が埋まる。

 

「んっ……あん」

 

 それだけで身体をわななかせ、熱い吐息を漏らすマシュ。両手でこちらの肩を掴み、言う。

 

「挿れますね……先輩」

 

 ゆっくりと腰を降ろしていく。

 肉棒が生暖かく柔な膣を押しのけていく感覚にこちらも思わず呻き声を漏らす。

 

「んっ、あ……はぁ、はぁ……あぁ、んうっ……んっ」

 

 マシュも熱を帯びた声を噛みころしながら時折腰をくねらせる。

 たっぷりと時間をかけて肉棒は膣中に埋没した。とろとろした肉襞が絡み付き、歓喜に蠕動する。

 俺とマシュは一度息を吐き、顔を見合わせた。そしてどちらからともなく口づけを交わす。

 

「んちゅ、あ、せん、ぱいっ……んむっ、ちゅ、ちゅ……あ、んっ」

 

 マシュが前のめりにキスの雨を降らせてくる。腕を首に回し、せんぱいせんぱい、と甘く囁きながら舌先でこちらの歯を叩く。

 その身体をしっかりと抱き留め、舌を差し出す。

 

「ちゅ、ちゅ……じゅるっ、んむっ……しぇん、ぱい……あっ、ん、んっ」

 

 マシュは嬉しそうにこちらの舌を吸い、唾を絡める。

 淫らな水音が耳朶を犯す。

 下と上で、文字通り一体となるように繋がり合う。

 

「あっ、んぅ……うごき、ますね、ちゅ……せんぱい」

 

 そう言ってマシュは尻を浮かし、降ろす。

 

「んんッ!」

 

 肉棒が膣奥を突き、喘ぎ声をあげる。すぐに腰を持ち上げ、降ろす。それを何度も繰り返す。

 

「んっ、あッ……んっ、んっ……あッ、あんッ!」

 

 最初は浅く、ゆっくりと。徐々にスピードをあげストロークを深くし、それに伴って声も高くなる。

 

「あッ! あッ! あッ! は、んぅ! あんぁ! くっ……んんっ!」

 

 膣から漏れる蜜が跳ねてベッドを濡らし、尻たぶと太もものぶつかり合う音が部屋に響き渡るようになるまで、それほど時間はかからなかった。

 マシュははしたなく尻を振り、肉棒を己の蜜壷で貪る。

 

「んっ! んっ! せん、ぱいっ! あぁんっ! せんぱいっ、せんぱいっ! んんッ!」

 

 ここまで来たらキスをできるような状況ではなくなる。

 マシュはこちらをひしっと抱きしめ、耳元で恍惚に喘いでいる。

 

 このまま俺の胸元で潰れているマシュの胸の感触や、下腹部を嬲る快楽に身を任せるのもいい。だが、今日はそれでは物足りない。

 腰にあてていた手を下げ、ヒラヒラと動きに合わせて上下するスカートの中に忍ばせる。揺れる柔尻を鷲掴みにし、その感触に欲情の炎を滾らせながら、座ったまま腰を勢いよく突き出す。

 

「ッッ、ッーーーーーー!!!」

 

 マシュは声にならない声をあげ、大きく震えた。膣口から蜜が迸り、こちらの腹をびしょびしょに濡らす。

 予想もしていなかった一突きで絶頂してしまったようだ。

 

「ッ……ッ……ッ」

 

 こちらの服を両手で握りしめ、肩に顔を埋めて息を荒げるマシュ。時折電流が流れるように身震いする。その度に膣が収縮し、肉棒を締め付ける。

 正直、今の一突きでこちらも大分限界が近い。その上肉棒をくすぐられては、本能を抑えきれなくなる。

 指が埋没する柔尻を掴んだまま立ち上がる。

 

「……せん、ぱい……? っ! あぁんっ!」

 

 そしてそのまま立位の格好でマシュを突いた。

 イった後の鋭敏なな膣を擦りあげられ、マシュはしどろもどろに口を開く。

 

「あッ! あっ! せ、せん、んっ……ぱいっ、あぁッッ! ま、まって、くだ、んんっ……さいっ……わ、わたし、あぁっ! さ、さっき、んぅ、い……いっちゃっ、て、ッ!」

「ごめんマシュ。もう止められ、ないっ」

「ッッーーーー!!!」

 

 さらに勢いをつけて肉棒を差し込むと、マシュはまた悶絶する。

 反り返った肉棒は立位によって容赦なく膣壁を擦過する。さらにマシュは落ちないように両手両足でこちらに抱き着いているので、肉棒が膣奥をこじ開けるようにねじ込まれる。

 

「あぁんんっ! んッ! んぁッ! んっ! はぁッ! んんぅ!」

 

 歩くたびに肉棒が膣を蹂躙し、マシュが鳴く。

 密着させた身体を壁に押し付け、スパートをかける。

 

「んぅッ! んぁ! んぁ! んくっ……くっ……あぁっ! あっ! あっ!あっ! だ、め、ッ! は、ァァッ!!」

 

 マシュはだらしなく口を開け、目には涙さえ溜めている。それでも脚と腕の力を緩めず、むしろさらに強く締めてくる。まるでこちらのほうが捕らわれているのかのようだ。

 その体勢のまま抽送を行う。肉棒が膣をずりずりと擦りあげる。時折角度を変え、荒々しく掻き混ぜる。

 

「マシュ、そろそろっ」

 

 マシュは壊れた人形のように何度も頷く。

 

「は、いっ……はい、っ! だして、ください、んっ! せん、ぱい……わたしの、なか、に、っ! せんぱい、の、あぁっ……あかちゃん、の、もと、っ!」

 

 脚に力を入れ、全力で腰を振り乱す。マシュを壊してしまうのではないか、というほどの勢いで。

 しかしマシュは官能に溺れた顔で歓喜の声をあげる。

 

「あぁあぁっ!! せんぱいっ! せんぱいぃ! わたしっ、また、あぁんんっ! い、いっちゃい、そうですっ! せんぱいと、っ、いっしょ、にぃ、っっ!」

「ああ! マシュ! マシュ!」

 

 まさしく獣の交尾だった。そこに気遣いなど存在せず、お互い絶頂に向かってひたすら昂ぶっていく。

 そして、

 

「あッ! あッ! アァッ! せんぱいっ! せんぱいぃっ! イきますッ! いきますッ! いきますッッ!」

「マシュっ!」

 

 肉棒がわななき、尿道を洪水のごとく精液が駆け上り、噴出した。

 

「イッ、ッッっーーーーーーー!!!!!」

 

 同時にマシュも達し、二度目の潮を吹く。

 精液が注がれ、入れ替わるように蜜が飛び出る。肉棒は何度も何度も震え、そのつど大量の精液が膣を満たしていく。

 マシュを壁に押し付けたまま、肉棒も膣奥にこすり付ける。マシュも腰を揺らして肉棒を最後まで味わう

 

「せん、ぱい……」

 

 マシュが蕩けた顔でキスをねだってくる。

 それに応じている間に、肉棒が膣から抜け落ち、収まりきらなかった精液が溢れ出た。

 

 

 今夜はマシュとだけひたすらに愛し合う。それは他のサーヴァントも承知済みだ。何やらドアの向こうと壁の向こうから怨念じみたものを感じないでもないが、無視しよう。

 まだマシュの目からも熱は消えていない。

 次はどうしようか。いつかのハロウィンに着てくれた衣装を用意して……いや、うん、そうだな。まずは風呂に入ろう。

 

 マシュとの夜はまだまだ終わらない。

 



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ジャック①

 さて、サーヴァント達とくんずほぐれつな関係になってしばらくたつわけだが、サーヴァント間、そしてもちろん俺との間にもいくつかのルールが設けられている。

 

 それは何度かの目も当てられないトラブルを経て、青筋を立てたダヴィンチちゃん監修の元制定されたものなので、破れば誰であろうと謹慎室送り、反省文地獄を課せられる。

 

 その中の一つに『夜這いの禁止』というものがある。

 

 その理由は本当に単純明快で、普通に疲れるからだ。性欲は別として、体力、力ともに少し鍛えた一般人程度しかない俺に、毎晩毎晩超人集団のサーヴァントたちの相手はさすがにできない。

 その上、鉢合わせた者たちが真夜中に喧嘩なんぞを始めるものだから苦情が殺到し、このルールは発布された。

 

 数名ほど抗議の声をあげる者もいたが、今は渋々納得し、ならばとルールを侵さない者がいないか積極的に監視にあたっている。あるいは、チャンスがあれば密かに、なんて考えているのかもしれない。

 どちらにしろ彼女たちが互いに抑止力となり、夜這いはほとんどされなくなった。

 

 そう、ほとんど、は。

 

 

 

「おかーさん」

 

 ハッと目を覚ました。一瞬にして意識が覚醒する。この寝覚めのよさは数多の修羅場を潜り抜けてきて培ったスキルの一つだ。

 だが、だからと言って起きてすぐに状況を把握できるわけではない。具体的に言うと、目の前にジャックがいるのはわかるが、なぜ彼女がここにいるのかは皆目わからない状態だ。

 

「おはよう、おかあさん。あ、まだ夜だからおはようじゃないか。こんばんは、だね」

 

 ベッドに仰向けになっている俺の胸元にちょこんと腰を降ろし、こちらを見下ろすジャック。暗闇の中でも彼女の短い銀髪と大きなアイスブルーの瞳はよく見える。

 

 チラリと脇のデジタル時計を見ると、確かにまだ丑三つ時近く、真夜中だった。目覚まし時計の代わりに起こしに来てくれたわけではなさそうだ。

 

「どうしたの? こんな夜中に」

 

 尋ねながら、ふと嫌なことを思い出していた。以前誰かから聞いた、ジャック・ザ・リッパ―として現界した彼女の特性、願望とでも言うべき衝動を。いわく、ジャックは胎内に帰りたがっている。胎内、体内に帰るということはつまり……。

 

 知らず知らずのうちに心臓の鼓動が早くなっている。彼女のことを信じてはいるが、こんな時間に、動きを封じるような体勢で……。解体させて、とか言われたらどうしよう、なんてわりと洒落にならないことも考えてしまう。

 

 しかし返ってきた答えはあまりにも意外なものだった。

 

「あのね、おかあさん」

 

 ジャックは人懐っこい笑顔を浮かべる。

 

「またわたしたちと、せっくす、してほしいの」

「…………せっ、くす……?」

 

 思ってもみなかった返答に、聞きなれない言葉をオウム返しする異人のような反応になってしまった。

 ほんのりと頬を上気させてジャックは頷き、自分の下腹部の辺りを撫でる。

 

「この前おかあさんとせっくすした時からね、ここらへんがきゅうっとなるの。それで、自分でも触ってみたりしたんだけど……おかあさんがやってくれたみたいに気持ち良くならなくて……だから、お願い。わたしたちと、もっとせっくすして?」

 

 ジャックのお願いも驚きだが、目が暗闇に慣れてきた今、目線の高さに彼女が座っているのは非常に危ういことに気付いた。

 

 なにせ彼女は下に黒の紐パンしか履いていないのだ。

 

 上はノースリーブのジャケットに、下は布面積の極端に少ないパンツ。腕はもちろん、へそや太もものギリギリまで肌が露わになっている。こういう時のためにこしらえた衣装ではなく、これが彼女の普段の格好だ。

 ジャックの名誉のために言っておかなければならないが、この服は彼女の趣味ではない。彼女はむしろ恥ずかしがっている。

 

 だから普段は意識させないように接してあげているが、こうも目の前で曝け出されてしまえば嫌でも視線が寄せられてしまう。

 

 ジャックが動くたびにパンツが股に喰い込んでいき、毛も生えきっていない大事な所が徐々に・・・。

 

 こちらを見つめるジャックの顔は無邪気な少女そのものだ。たった今オナニーを告白したとは思えないほど純粋な瞳である。

 行為そのものを恥じらうほどには精神的に成長しておらず、セックスを、ただ気持ちの良いこと、としか認識していないのだろう。そして見事にハマってしまったのだ。

 

 ジャックはうずうずと、主に股をこすりつけるように身体を揺すり、こちらの返事を待っている。

 

 年端もいかない――サーヴァントに年齢の概念はないが――少女を抱いて、快楽の虜にしてしまったことに少し罪悪感を感じる。

 しかし反省はしない。なぜならば、すっかりと目が覚めたこちらも、発情した美少女を前にしてすでに火が点いているからだ。

 

 今日、いやもう昨日か、は地獄の特訓で疲れ果て、次の日、つまり今日、が休みであるというのに誰にも相手をお願いすることなく眠りについたのだが、今はもう完全にその気になってしまっている。我ながら現金である。

 

 だが事に及ぶ前に、いくつか確認しておかなければいけないことがある。

 

「部屋に入る時、怖いお姉さんたちに声かけられなかった?」

 

 ジャックは首を横に振る。

 

「かけられなかったよ。夜は騒がしくしちゃ駄目だからゆっくり入ってきたの」

 

 あぁ、とこの状況を他のサーヴァントが騒がないことに納得する。

 

 アサシンのクラスのジャックは気配遮断スキルをA+、かなり高いランクで保有している。その上、己の痕跡を完全に消し去るスキルも持っているので、いかな歴戦の英霊たちと言えど敵意を持っていない彼女を捉えることは不可能だろう。

 

「じゃあ、夜這い、って知ってる?」

 

 続けて尋ねると、ジャックは首を傾げた。

 

「よばい? なに、それ?」

 

 これは予想通りだ。基本的には良い子で素直なジャックが、いくら身体を持て余しているとはいえ、皆で決めたルールを平然と破っていることに違和感があったのだが、そもそも夜這いの意味を知らなかったのだ。だから夜這い禁止のルールを破ったとも思っていない。

 まぁ、ダヴィンチちゃん側のミスだろう。さすがの彼(彼女)も精神的に幼いジャックが夜這いするほど奔放だとは思わなかったのだろう。

 

 こちらが色々と質問したからだろうか、ジャックはその表情を曇らせていく。

 

「おかあさん……もしかして、迷惑だった? わたしたちとせっくすしたくない?」

 

 ついには目に涙さえ溜めてしまったジャックの頭を優しく撫でる。

 

「そんなことないよ。やろうか、セックス」

 

 一転して顔を輝かせるジャック。

 

「やったぁ!」

 

 と、飛び跳ねて喜んでいたかと思うと、前のめりになって唇を押し付けてきた。

 

「ん、ちゅ……んぁ、はむっ……んっ、ふ……おかあさん、ちゅ、ちゅる……あむ」

 

 子供特有の唐突さと強引さに面喰いつつも、しっかりと受け止めてあげる。

 

「はぁ、あっ……ちゅる……ちゅ、ちゅ……おかあ、さん、んふっ……おかあさぁん」

 

 おかあさんおかあさん、とこちらの唇を啄みながらうわ言のように呟くジャック。おかあさん、とはもちろん俺のことだ。彼女はマスターである俺はそう呼ぶ。

 

 ジャックの唇はゼリーのように瑞々しく、頭を抱える腕も、べったりとくっつく身体も、全てが柔らかさで構成されている。

 

 目に見える凹凸はほとんどない。くびれがセクシーなぐらいで、いわゆる女性的な魅力というものは乏しい。だが逆にその小ささと未熟さこそがジャックのような少女の魅力なのだ。

 

 正直、自分にそっちの性的趣向もあったことには驚いたが、彼女らはその身体も心もあまりにも可愛すぎるのだ。健気に、懸命に、欲望というにはあまりにも純真な想いで高みへと昇りつめようとする姿に惹かれ、興奮する。

 

 本音を言えば今もジャックを滅茶苦茶にしたい欲求を必死に抑えている。小さな身体を抱きしめて肉棒で刺し貫き泣かせてやりたいと思っている。だが今日は折角ジャックが自分の意思で己を慰めにきたのだ。ギリギリまで彼女に身を委ねるのもいい。

 

 とは言え、両手が手持無沙汰なのも寂しいのでお尻を触ったりはしてみるが。

 

「ひゃっ!」

 

 ジャックは可愛らしい悲鳴を漏らしながら顔を上げ、頬を膨らませる。

 

「もー、おかあさん。急に触っちゃダメだよ」

 

 ぷりぷりとむくれながらまた唇を重ねる。

 

「ちゅ、ちゅ……ちゅる、じゅ、んあ……んっ、ちゅ、あっ……んぅ」

 

 お仕置きだよ、とでも言うようにそれまで以上に激しくキスの雨を降らせてきた。

 

 段々と濃密になっていく接吻に酔いながら小ぶりな尻を優しく揉む。手に吸い付く柔尻はほんのりと熱く汗ばみ、ジャックが全身を火照らせているのが文字通り手に取るようにわかる。

 なだらかな丸みをなぞり、指で楽しみながら、ゆっくりと谷間へと手を寄せていく。

 黒の紐パンが守る領域はあまりに狭く、布に指が触れるころにはほとんど割れ目に差し掛かっていた。

 改めてこの霊衣の大胆さに苦笑する。

 

「ん、あっ……お、かあさん、くすぐっ、たいよぉ……ん、ふふ……ちゅ……あんっ」

 

 ジャックは俺の身体の上で、半分笑い、半分感じながら身を捩る。色々な意味で敏感になった身体はもうキスをするどころではないようだ。

 

「ジャック、前に教えたみたいに俺のを元気にしてくれる?」

「うんっ、わかった」

 

 ジャックはくるりと反転し、恥じる様子もなく尻をこちらに向けて四つん這いになった。

 白くつるりとした尻と、張りのある太もも、僅かな布に隠された秘所が目の前に差し出される。

 

「えっと、たしかこうして……」

 

 同じようにこちらの股ぐらに顔を寄せ、ズボンを脱がしにかかるジャック。動くたびにフリフリと誘うように尻が揺れる。よく見ると、秘所に当たる部分がすでに少し濡れているようだ。

 

 ゴクリ、と唾を飲み込む。

 今すぐ顔を埋めたい。揉みしだきたい。弄りたい。犯したい。

 沸々と湧いて出る欲望をなんとか堪える。今はまだ時期じゃない、と。

 

「んっ、しょと……わっ」

 

 こちらのパンツを脱がし、驚きの声をあげるジャック。こちらを振り返り、

 

「おかあさん、もうおちんちん大きくなってるよ?」

 

 そう言う彼女の顔の向こうで、曝け出された肉棒は天を向いて屹立している。これ以上ないほど勃起し、硬い表面に筋を立てながら。あのようなことをして、されれば当然このようになる。

 

 小さく可愛いジャックの顔と、大きくグロテスクな肉棒が並んで見える光景は、またぞろ狂いそうなほどこちらを昂らせるが、努めて冷静に、お兄さんムーブを忘れず声をかける。

 

「じゃあいじってくれる? これもこの前教えたみたいに」

「うんっ。ふぇらちお、だよね。やってみる」

 

 ジャックは肉棒に向き直り、汚らしいソレを腕に巻いた包帯越しに握り、顔を近づけ、

 

「んっ」

 

 舌先で傘の部分を舐めた。

 ざらりとした感触に身震いする。

 

「んあ、んっ……ふっ、んむ……えろ、ちゅ、れお……ちゅる」

 

 カリをすくうように舌を動かし、肉棒の先を唇で触れる。そのまま外側を上から下、また下から上へと、舌と唇で唾液を塗り込んでいく。

 

「ん、ふ……えろ、ちゅ……れお、んっ……ふふっ……んー、ちゅ」

 

 時折楽しそうに笑う声を聞くと、尺八をしているというより棒キャンディーを舐めている、といったほうが近い。それが関係しているかはわからないが、中々巧みな攻め手である。

 

 頭を巡らせ、両手で操縦桿のように肉棒を操作し、裏筋まで万遍なく舐めとるジャック。同時に、ジャックの涎とにじみ出た先走り汁でしとどに濡れたモノを、こちらが赤面しそうになるぐらい鼻を鳴らして嗅いでくる。

 

「ふあぁ……おかあさんの匂い……」

 

 うっとりとした声で囁き、再度傘の先に唇を重ね、肉棒を口内へと咥え込んでいく。

 

「んっ、ふ……んんっ……んあ……んむ」

 

 カリの少し先まで咥え、少し戻る。また頭を下げて今度はもう少し奥まで頬張り、また戻る。そうやって少しずつ肉棒を口の中に収めるようにして、こちらを気持ちよくさせようとする。

 だが、正直に言ってそれは、さっきまでの舌使いに比べれば稚拙で下手だ。たどたどしく技術も無い。ジャックも何とか上手くやろうとはしているが、圧倒的に経験が足りていない。

 

 しかし、それがいい。

 

 できなくて当然なのだ。そうやって一生懸命に肉棒を奉仕しようとする姿が何よりも興奮する。それに狭い口内はただ上下に擦過するだけでそれなりの刺激を与えてくる。

 

「んっ、ふ……んあ……んくっ、んっ、んぅ」

 

 肉棒の半ばほどでジャックの口の動きが止まった。

 どうやら喉奥まで到達したらしい。

 

「ん、んぅ……んっ、んっ……んくぅ」

 

 ジャックは苦しげに呻きながらも、どうにか肉棒の根元まで咥えこもうとしているが、元より子供の口に勃起した肉棒は大きすぎる。

 

 きっと今ジャックは必死になって口を開け、もしかしたら涙目になりながらも健気にフェラチオをしているのかもしれない。こちらから彼女の顔が見えなくてよかった。見えていたらきっと、我慢できなかったろう。

 

「ジャック、ジャックっ」

 

 呼びかけると、ジャックは肉棒から口を引き抜いて振り返る。

 

「どうしたの、おかあさん? やっぱり……気持ちよくなかった?」

 

 不安げに眉を寄せるジャックに優しく首を横に振ってみせる。

 

「そうじゃなくて、さっき自分で触ってみたりした、って言ってたでしょ? それを具体的にどう触ったり、考えてたのか教えて欲しいなって」

 

 あくまでも平然と変態的なお願いをする。

 さすがにジャックも顔を紅くしてあわあわするが、無理もない。

 

「お、おかあさんの前で? うぅ、恥ずかしいよ……」

 

 オナニーをしたことは話せても、その内容を詳らかにし、さらに実際にやってみせるとなると、当然だが彼女も恥じるらしい。

 しかし、せっくす、のことを実はよく知らないジャックはそれが決まりであると思い込んだようで、わかった、と頷く。

 

「ちゃんとフェラチオもしながらね」

 

 厚かましいお願いをジャックは素直に聞き入れ、右手を自分の股に、そして左手と舌で肉棒への奉仕を続けながら、ポツポツと語り始める。

 

「ん、ちゅ……最初は、ね、お部屋の布団の中で、んっ、弄ってたの……こうやって、んっ」

 

 と、ジャックはパンツの上から秘所をゆっくりとなぞる。

 

「気持ち、よかったんだけど……どうしても声が、でちゃって、ちゅ……ナーサリーとかサンタリリィに聞かれちゃう、と思って……んぅ」

 

 言葉の合間合間で律儀に肉棒にキスをする。

 

「だから、んぁ……こっそり、抜け出して……トイレで、いじったりも、してたの、くぅ……」

 

 夜中、トイレの個室で一人オナニーをするジャックを思い浮かべ、肉棒がビクンと跳ねる。

 ジャックはそれを気にもせず話を続ける。

 

「駄目だって、んっ……わかってる、のに……おかあさんとの、せっくす……思いだした、らっ……はぁはぁ……どうしても、んっ……やめられ、なくて」

 

 次第に息があがっていく。

 

「そう、したらっ……パンツの上からじゃ、物足りなく、なって……あうっ」

「直接、触った?」

 

 ジャックは頷いて、その時の再現をするようにパンツをずらして秘所を露わにした。

 

 今日初めて見るジャックのアソコは、未だ侵入を許していないかのようにぴっちりと綺麗に閉じている。

 しかしジャックが少し指で弄ってやれば、中から多量の蜜があふれ出してくる。それに伴ってジャックの声色も甘ったるい物に変わっていった。

 

「ん、くぁ……直接、触ったら、やっぱり、あぁ……気持ち、よくてっ……おつゆも、いっぱい、でてきて、あぁ、んっ」

 

 ジャックの指の動きが段々と激しくなっていき、飛び散る蜜が顔に点々と降ってくる。すでにこちらを気遣う余裕もなく、フェラチオもおざなりになり、オナニーに夢中になっている。

 

 それを指摘はしない。かくいう俺も、ジャックが淫唇を弄るたびにチラチラと見える桃色の膣に目が釘づけになり、いつの間に息も乱れ、無意識のうちに腰を揺すっているからだ。

 

「それ、でもっ……おかあ、さんと、せっくすっ、んぅ……したとき、みたいには、きもちよく、あぁ……ならな、くて……でも……」

「っ、でも?」

「なんで、だろうっ……今は、すっごく、ぁ……きもち、いいっ……おかあさんがっ……みてる、から?」

 

 それもあるし、肉棒を前にして想像力が刺激されてもいるのだろう。

 

「どんなこと考えながら、してたの?」

 

 こちらも色々と抑えながら尋ねるのに、ジャックは喘ぎながら答える。

 

「くぅ、あぁ……おかあ、さん、とのっ……せっくすっ……んっ、んぅ……おちんちん、でっ、ここ、を……いっぱい、いっぱい……ぐちゃぐちゃ、に……してもらう、のをっ、あぁっ……かんがえて、たのっ!」

 

 尻を高く上げ、遂には両手で秘所を弄るジャック。肉棒に顔を擦りつけ、鼻腔を抜ける臭いをも絶頂への糧にしているようだ。

 そして本番さながらの喘ぎ声をあげ始める。

 

「あっ! あぁ! おかあ、さんっ! きちゃ、うっ! なんか、きちゅうよっ! んんっ! んぅぅ!」

「そういう時は、イクって言うんだよ」

 

 ジャックは壊れた人形のように繰り返す。

 

「イクっ! イっちゃう! イっちゃうよっ! くっ……あぁ! イって……っ、いいっ? イっていい、おかあさんっ?」

 

 犬のような格好で尻を振って懇願するジャックに、俺は眩暈にも似た高揚を覚えながら答える。

 

「ああっ、いいよ。イク姿、俺に見せて」

「んっ! うんっ! うんっ! はずか、しいけどっ、くぅっ! みて、て、おかあさんっ……わたしたちが、イクっ、ところ……みててっ!」

 

 ジャックは自分の指で膣をこねくり回す。水音を立てながら、一番イイ所探す。まだオナニーで絶頂に向かう感覚に戸惑いはあるみたいだが、目の前の快感にひたすら追い縋ろうとしている

 

「あぁ! あぁ! あぁぁ! イクっ! イクッ! イっちゃう!」

 

 そうして浅ましくも純粋に昇りつめていき、

 

「イッ、ッッーーーーー!!」

 

 潮を吹くとともに、オーガズムに達した。

 

「アッ……ッ……ッ」

 

 大量に降り注ぐ潮にさすがに目を瞑り、暗闇と静寂の中、ジャックの呻き声だけが耳に入る。

 顔を拭いて目を開けると、ジャックはまだ痺れるように身体を揺らして絶頂の余韻に浸っていた。潮で濡れた淫唇もヒクヒクとわななき、今の俺にはそれがこちらを誘っているように見えた。

 

「ジャック、大丈夫?」

 

 声をかけると、ジャックはゆるゆるとこちらを振り返る。

 

「うん……ごめんね、おかあさん。おつゆ、いっぱい……」

 

 精一杯の笑顔を浮かべて笑いかけてあげる。

 

「大丈夫。それより、俺も先に謝っておく。ごめんね、ちょっと激しくしすぎるかも」

「え?」

 

 キョトンとするジャックの身体をサッと持ち上げ、今度は俺が上に跨り、再び顔と顔を突き合わせるように倒れ込む。

 火照った顔に困惑と若干の怯えを伴わせてこちらを見つめるジャック。

 

「おかあさ、っ!」

 

 我慢に我慢を重ね熱く滾った肉棒を膣口に宛がう。

 

「ま、まっておかあさんっ! 今、そこきゅんってしてっ、それでっ、せっくす、しちゃったらっ!」

「ごめん。もう我慢できないんだっ」

 

 そう言って、涙目のジャックの腰を掴み、一息に肉棒を挿しいれた。

 

「ッッッーーーーー!!!!」

 

 ジャックは大きく口を開けて空気を吐き出し、背中を反って悶絶した。身体がビクビクと震えている。

 

 またイったのだと、膣に挿れた肉棒の感触からもわかる。

 未成熟な身体は大事な場所も相応に狭く、肉棒をぎゅぎゅうと隙間なく締め付けてくる。いや、こちらの肉棒が無理やり押し広げているといったほうがいいか。

 

 それでも存外にすんなりと挿入できたのは、初めてではないことはもちろん、ジャックが一度達したことで中が十分に濡れそぼっていたからだろう。そしてまた達したので、潤滑油がとめどなくあふれ出てくる。

 

「動くよ」

 

 腰を引き、今度はゆっくりと挿し込む。

 口と同じように、膣奥まで進めても肉棒の根元が中に埋まることはない。だが、それはむしろ彼女の幼さを示す証であり、倒錯的な情欲を燃やす一因になる。

 

「んぅ、くっ……あっ、はぁ……んっ、んっ……あぁっ」

 

 ジャックはベッドのシーツを握りしめ、固く目を瞑ってこちらの腰打ちに耐えている。時折、おかあさん、と甘えた声を漏らし、こちらの耳朶を刺激する。

 手をジャックのへそに置くと、肉棒が膣を突く衝撃が伝わってきた。

 

 むずむずと下半身が疼き、腰の動きを早めろとせがまれる。

 

 肉と肉の叩く音が響き、ジャックの嬌声も次第に大きくなっていく。

 

「あっ! あっ! くぅっ! んあぁ、はぁ、はぁ……ッ、くっ! はぅあ!」

 

 両手を這うように動かし、ジャケットの下に潜り込ませ、なだらかな胸を撫でた。

 

「あうっ! おかあ、さんっ、おっぱい、は、あぁ! だ、めっ、だよっ……んっ、あぁんっ!」

 

 乳首をつまむと甲高く鳴き、膣も蠕動する。また軽くイきかけたようだ。

 そうやって反応を楽しんでいる間にも、抽送は勢いを増し、奥を小突きあげ、こねくり回した。

 

「あぁ! んぁぁ! お、かあさんっ! んンぁぁ! あぁんっ!」

 

 ジャックの手がこちらの腕を掴み、何かに怯える子供のように服を引っ張る。

 

「イっちゃう! またっ、イっちゃうよっ! んんぁ! ひとりじゃ、いやっ! おかあさんもっ、いっしょにぃ! んぅ! おね、がいっ! おねがいっ! いっしょに、イってェ!」

 

 涙を流して哀願するジャックが愛しくて可愛くて、覆いかぶさるように抱き着いた。

 

「あっ! あっ! あぁ! おかあ、さんっ、おかあさんっ!」

 

 掻き抱くようにこちらの頭に手を回し、唇を求めてくる。互いに舌を出し合い、卑猥な音をたて、上と下で深く結合する。

 

 ジャックを押し倒し、キスをし、肉棒を叩きつける。まさに想像通りにジャックを犯している事実が、俺の理性の糸を切った。

 腰の動きが振り切れ、ただただ己の欲望のためだけに少女の身体を蹂躙する。

 

「ジャック、ジャックっ!」

 

 と、遮二無二肉棒を動かす。膣奥の先までこじ開けんばかりの勢いで。

 

「あぁ! ああッ! ぁぁンッ!」

 

 苦しくないはずはないのだが、ジャックの顔は官能に溢れ、陶酔していた。そして喘ぎながら叫ぶ。

 

「おかあさんっ! おかあさんっ! いっぱい、んぁんっ! いっ、ぱいっ! わたしたちを、あいしてっ! なんでもっ、するから! ふぇら、ちおもっ、せっくすもっ、がんばる、からぁ! だからっ、あぁぁッ!!」

「っ・・・ああ、ああっ! これからもずっと、ずっと一緒だ! さみしくなったら、いつでもせっくすしてあげるからっ!」

 

 そう言ってやると、ジャックは満面の笑みを浮かべ、首に縋り付いて、

 

「おかあさん、だいすきっ」

 

 と言って、あとは振り絞るように嬌声をあげる。

 俺も喉の奥から唸り声をあげながらラストスパートをかける。

 

「んっ! んっ! んッッ! イくッ! イクっ! イっちゃう!」

「ジャックっ!!」

 

 渾身の一振りは膣奥のさらに奥を突き、ジャックの中を肉棒で埋め尽くした。

 

「イッ、ァッーーーーーー!!!」

 

 そのまま濃厚な精液が放たれ、中を染めていく。

 

「っーーーー」

 

 ジャックは奥歯を噛みしめて三度目か四度目の絶頂を迎え、ひしっとこちらにしがみついている。

 肉棒はいつまでも吐精を続け、膣からあふれ出し、ベッドを汚してもまだ出続ける。これが普通の人間ならば一発で孕ませられる量だ。

 

 二人は繋がったまましばらく余韻に浸る。

 

 そしてようやく肉棒が役割を終え、ずるりと精液を引き連れて抜け落ちた。

 

 ふぅ、と息を吐くが、ジャックがいつまでも離れようとしないことに気付く。もう彼女のほうも落ち着いているはずだが。

 

「ジャック?」

 

 背中を叩いて声をかけると、ジャックは俺の肩に顔を埋めたまま首を横に振り、腕に力を込めた。どうやらもう少しこのままでいたいらしい。

 

 やれやれ、と苦笑しながら頭を撫で、子供をあやすように抱きかかえてあげた。

 

 しばらくするとジャックが寝息をたて始めた。そのまま眠ってしまったようだ。

 

 つられるように睡魔が襲ってくる。

 

 そういえばまだ夜中だったな、なんて考えながら、ジャックを抱いたまま眠りに落ちた。

 

 

 その日、起こしに来てくれたマシュが一日中不機嫌だったのは、まぁ、仕方のない事だ。

 

 



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メドゥーサ①

『マスター、傍へ、私の近くに来てください……ええ、ええ、そうです。私を抱きしめて……ああぁ、そう、そのまま、決して離さないで』

 

『ええ、そうですよ。私の身体は全てあなたの物です。いやらしい言葉を言紡ぐ口も、男を誘うために肉付いた胸も、はしたない尻も、そしてもちろん……こちらも。全て、全て、あなたの物です。あなただけが、好きにしてよいのです』

 

『あぁ、もっと、もっと私を求めてください。犯して、犯して、犯して、犯し尽くしてください。私は全て受け入れます。全てを愛します』

 

『かわいいマスター。愛しいマスター。あぁ、マスター、マスター、マスター、マスター……』

 

『この世でただ一人、私達に魅入られた、可愛そうな、マスター』

 

 

 

 とある日の夜。

 その日の業務も無事終わり、スタッフもサーヴァントも各々の部屋で睡眠をとるか夜更かしをしている頃。

 

 俺はメドゥーサをベッドに押し倒していた。

 

 紫の艶やかな長髪をバサリと広げた彼女に馬乗りになり、そのグラマラスな肢体を見下ろしている。

 

「あの、マスター? 今日は随分と、その、性急ですね」

 

 俺の下で目を丸くするメドゥーサ。微かに頬を染め、時折落ち着きなく目線を彷徨わせている。

 部屋に入るなり会話もなくこのようなことをされれば当然である。

 

 メドゥーサの力をもってすれば、俺なんぞを退けることは羽虫を払うよりも容易い。それをしないのは、『そういうこと』をするために俺に呼び出されたと理解し、承知の上でここにやってきたからだ。

 しかし今は、俺があまりにも強引でみっともなく鼻息を荒げているから、若干引いてしまい、どうすればよいかわからないのだろう。

 

 わかってはいる。今の自分がいかに浅ましく血走った目をしているかは。

 だが止められない。メドゥーサの全身を舐めるように見るのを止めることができない。

 

 正直、今すぐにでも彼女にむしゃぶりついて、心ゆくまで貪り尽くしたい。これでもそれを必死に抑え込んでいるのだ。

 

 聞かなければいけないことがある。

 

 一つ深呼吸して僅かにでも気持ちを落ち着け、ようやく口を開く。

 

「昨日、というか今日の夜……夢を見たんだ」

「……夢、ですか」

「……俺がメドゥーサを抱く夢」

 

 メドゥーサはボッと顔を紅くした。

 あれは抱くというより犯すといったほうが近い行為だったが、構わず続ける。

 

「それが夢とは思えないほどリアルで……でもどこか現実感がなくて……立場上、夢をよく見るからわかるんだけど、あれは……」

 

 メドゥーサが俺の言葉を引き継ぐ。

 

「……サーヴァントが見せる夢、のようでした?」

 

 頷く。

 

「誰かが故意にあの……あー、淫夢……を見せたのは確かだと思うけど……メドゥーサ、じゃないよね?」

「ええ、と……私は、その、まだそこまで積極的には……したくても、できない、と言うか……」

 

 珍しく口ごもるメドゥーサの頬の紅みが増していく。それからしばらく考え込み、やがて深くため息をついた。

 

「……心当たりは、あります」

 

 今度は俺がメドゥーサの言葉に続く。

 

「お姉さん方?」

 

 はい、とメドゥーサはとても申し訳なさそうに首肯した。

 

 だろうとは思っていた。

 

 メドゥーサ一日一虐をライフワークにしているあの二人なら、マスターである俺に妹のあられもない淫夢を勝手に見せ、お得に二人分の反応を楽しんだりもするだろう。何の遠慮会釈もなく。

 きっと昂ぶった俺がこうしてメドゥーサに襲いかかることも、彼女たちのイジワルに含まれている。メドゥーサとの特訓日にわざわざあれを見せる意図はそれしか考えられない。

 

 しかし実のところ犯人探しはハッキリ言ってどうでもいい。

 なぜ今日俺がこんな獣じみた性欲に突き動かされ、今しも襲いかかろうとしているのかを、目の前の二重の意味での被害者に理解してもらえればそれでよかった。

 

「そのお陰で今日一日ずっとメドゥーサのことが気になって……気になって……」

 

 改めてメドゥーサの見下ろす。

 メドゥーサの黒と紫の霊衣は大胆に肩と胸の谷間を露出したチューブトップのワンピースタイプで、裾の部分はミニスカートのように短く、ニーソックスに包まれた太股と輝くような絶対領域を惜しげもなく晒している。

 戦闘の時もこの霊衣を身に着けているのだが、そんな薄着で跳び回り、動き回れば、当然あちらはゆさゆさ揺れ、そちらはヒラリと捲れあがる。

 

 『そういう時』以外はマスターとして節度をもって彼女らサーヴァントと接するようにしているが、今日ばかりはメドゥーサの際どい姿ばかりを目で追い、あの夢の淫靡な姿をそこに重ねていた。

 

 そして今も。

 

 メドゥーサも全てを理解したらしい。

 

「今日、マスターの動きがおかしかったのはそういうことだったのですか。私はどこか体調が悪いのかと……そうですか……私のことを」

 

 呟きながら照れくさそうに、しかし満更でもなさそうな顔をする。

 もう一度深呼吸して、メドゥーサの目をじっと見つめる。そしてハッキリと口にする。

 

「一日中我慢しっぱなしで、もうどうにかなりそうなんだ。多分、一度始めたら止まれない。何が何でも、朝までヤリ続ける……いい?」

 

 どこぞのケルト戦士が乗り移ったような堂々とした宣告。たとえ嫌だと言っても、俺は令呪を使ってでも無理矢理に彼女を犯し尽くすだろう。

 俺の肉棒はすでにズボンの下でこれでもかと硬く滾っている。

 

 メドゥーサはこちらの張りつめたテントに目を向け、段々とその瞳に熱を灯していく。

 

「……仕方、ないですね。姉様たちのしでかしたことには妹が責任をとらないといけません」

 

 そう言って微笑み、スラリとした細い指で俺の頬に触れ、慈しむように撫でる。

 

「私のようなデカ女があなたの役に立てるのなら、いくらでも使ってください。遠慮は、無用です」

 

 そう言って、もう片方の手を自らの大きな胸に置き、その柔さを見せつけるように指を沈め、ゆっくりと唇を舐めた。

 受け身な言葉とは明らかに正反対な、まるで夢で見た彼女のようににこちらを淫らに誘うメドゥーサに、タガが外れた。

 

「メドゥーサっっ!!」

 

 メドゥーサに覆い被さり桃色の熟れた唇を奪う。

 

「あんっ、んぅ、んっ、ちゅ……んぁ、んんっ……ちゅ、ちゅ」

 

 逃れられらないように小さな顔を両手で挟み、息もつかせずに唇を重ねる。

 

「んんっ! んっ、んぁぁ、ん、ちゅ、んむっ……んっっ」

 

 メドゥーサが息苦しそうに呻いても構わず夢中になって吸い付く様は、まさしく獲物を貪る獣だ。

 

「はっ、んんっ、ちゅ、んむっ、んん……あ、んっ、ちゅ、ちゅるる」

 

 俺の一方的で独善的な行為を、しかしメドゥーサは嫌がる素振りもみせずに受け入れる。同じように俺の頭を両手で抱え、むしろ彼女の方がより強く、より深く繋がろうと引き寄せてきた。

 

「はっ、んん、んむっ、ちゅ、ちゅ……じゅる、んむっ、あっ、んちゅる」

 

 俺たちは当然のように舌を差しだし合い、踊るように絡めあわせた。

 粘つく水音が隙間から漏れ聞こえ、溢れ出る唾液がメドゥーサの丸い頬を伝い落ちる。

 互いに髪を掻き乱し、求めあう。

 

「ちゅ、んあっ、んんっんっ……んっ、はぁ……はぁ、はぁ」

 

 二人の間に幾筋もの細い橋をかけながらいったん顔を離す。

 気付けば俺たちは汗だくになり、しばらく息を乱しながら見つめ合い、どちらからともなく笑みをこぼした。

 すっとメドゥーサの乳に手を伸ばす。

 

「んっ……あっ、んぅ……」

 

 微かに声を漏らすメドゥーサ。

 サーヴァントの中でも上位に入る立派な豊乳はこちらの動きにあわせてぐにぐにと形を変える。

 その柔さと重量感に次第に力が入る。

 

「んぁ、んんっ……くっ、ぅぅ、あんっ、っ、くぅ」

 

 メドゥーサの声が大きくなっていき、甘くもどかしい吐息に耳朶がくすぐられる。

 普段は魔力で固定している霊衣も今この時はただの服に過ぎず、こちらが動きを激しくするほどにトップがずれていき、やがて綺麗な乳首が顔を覗かせる。下着は着けていない。

 

 雪山のように白い盛り上がりの中央でぷっくらと浮く桃色の突起。ピンと張ったそれを指でつまみ上げると、メドゥーサは一際大きな嬌声をあげた。

 

「あぁんっ!!」

 

 声に合わせて彼女の膝が背中に触れる。

 乳と乳首を弄りながら後ろに手を回し、膝の間から彼女の秘所に指をやる。

 

「あっ、そ、こはっ、んんぁ」

 

 喘ぎ、俺の手をしっとりした太股でぎゅっと挟み込んで締め付けるメドゥーサ。

 こちらは下着を着けていたが、すでに用を為さないほどに濡れていた。

 太ももで優しく圧迫されながら手を動かし、薄布を丘に埋没させて中から蜜を掻きだす。

 

「んあぁっ! あっ、んっくぅ、あっ、んんっ!」

 

 いちいち可愛らしく反応してみせるメドゥーサに笑いかける。

 

「もう準備できてるね」

 

 あえて意地悪く口に出して言うと、上気した表情で息を荒げているメドゥーサがポツリと呟いた。

 

「そんなもの、んっ……とっくに、できてましたよ。あなたに……声をかけられた、時から」

 

 言いようのない高揚が背筋を駆け上がっていく。

 

 いつも澄ました顔で一歩退いて、決して積極的なアプローチもしてこなかったあのメドゥーサが。俺に誘われた後、それを周りに悟られないように何てことない顔でいた時、実は下を濡らし、きゅんきゅんと疼かせていたのだ。

 

 その不器用さと愛らしさに下腹部が震え、股間がはちきれそうになる。

 もう余裕ぶっていることもできそうにない。

 

「メドゥーサ、立ってくれる?」

 

 自分のズボンに手をかけながら、メドゥーサにベッドから降りるよう促す。

 

「そう、そうやって壁に手をついて」

 

 意図を読みとったメドゥーサは、まったく、と少し呆れながらも言われた通りの姿勢をとる。

 

 両手を部屋の壁につき、上半身を倒してやや背を反らし、まっすぐに伸ばした脚を開いて尻を突き出す。尻肉がギリギリ見えてしまうぐらいまでスカートが引っ張られ、スラリとしていながらも肉付きのいい脚と併せて色気が引き立たっている。

 

 凝り固まった肉棒をさらけ出し、その絶景を真後ろから眺める。

 

 脚が長くスタイルのいいメドゥーサが男を誘うのにこれ以上ない淫猥な格好だ。

 だがそれ以上に、言わずと知れたかのメドゥーサにそんな無防備ではしたない姿を曝させているという優越感と征服感に思わず下卑た笑みを浮かべそうになる。

 

「相変わらず、あなたは変態ですね。毎度毎度、私にこんな格好をさせて」

 

 姿勢はそのままにこちらを振り返って非難するメドゥーサ。

 しかし、そんな言動とは裏腹にその瞳は期待ともどかしさで一杯になっている。身体が時折揺れるのは、尻を振っておねだりするのを我慢しているようにすら見える。

 

 メドゥーサの非難を無視し、スカートをまくり上げて張りのある白く丸い臀部を露わにした。

 

「んっ……あっ、ん、はっ……んんっ」

 

 艶やかな柔尻をさすり、その感触を堪能しながら細く食い込んだ紫の下着に指をかける。ぐちょぐちょのそれをずらすと、抑えを失った女陰から芳しい香りと共に蜜が垂れ落ち、太股を濡らしていく。

 

「あっ、んんっ! くぅ、はっ、んんっ、んんぅ」

 

 濡れそぼった唇を指で分け入り、水音をたてて膣中を弄りながら肉棒を股下に滑り込ませる。表面を撫でるようにゆっくりと前後させ、膣からにじみ出る蜜と先走りを塗りたくっていく。

 

「ん、くぅ、あっ……んんぅ……あっ、んんっ」

 

 敏感なところを擦過されて切なげに呻くメドゥーサ。

 

「あまり……じらさないで、下さい。はやく、あなたの、モノを、私の、中にっ」

 

 ついには自ら肉棒を求め、声を震わせて訴えてきた。

 

 とは言え、こちらももう我慢の限界に達している。このまま挿れもせずに吐き出すなんて情けないことは絶対に避けたい。

 メドゥーサのくびれを掴み直す。

 

「挿れるよ」

「っ、はい……」

 

 メドゥーサが頷いたのを見て、一息に肉棒を膣に挿しいれた。

 

「んあッッ、ーーーーッ!!」

 

 天を仰いでうち震えるメドゥーサ。文字通りの脳を貫くような快感に、口からは振り絞ったような掠れた空気だけが吐き出される。

 

 それはこちらも同じことだった。

 膣壁の襞が挿入した瞬間から肉棒にピッタリと貼り付き、一つの生き物のように蠢き、絶え間なく刺激を与えてくる。

 歯を食いしばって耐えなければそれだけで暴発していただろう。

 

 快楽の波が落ち着くのを待ち、腰をゆっくりと引く。両手に力を込め、再度奥へと肉棒を挿し入れる。

 

「あぁんんッ!!」

 

 メドゥーサが今度は高く感じ入った嬌声をあげた。

 

 それを境に、最初の一挿しが嘘のような激しさでメドゥーサを求めた。

 

 スマートさの欠片も無い抽送。甘い言葉を囁きかけるでもなく、低い声で呻きながらがむしゃらに腰を振り立てる。

 蹂躙するように、メドゥーサの膣を我が物顔で肉棒が圧し進んでいく。

 

「あっ! あっ! ん、くぅ! あぁん! んんっ、んっぅ!」

 

 メドゥーサも惜しげもない喘ぎ声でそれに応える。普段は絶対に聞くことのない熱にうなされたような嬌声。肉体も性に溺れていき、自ら尻をこちらに押しつけてむしゃぶりつくように肉棒を求めてきた。

 

「んぁぁ! あっ、くぅ! マス、ターッ! いい、ですっ! マスターの、もの、が、あぁんっ! くぅ、私のなか、に、はいって、くるのがっ、わかり、ますっ! きもち、いい、ですっ! んんっ!」

 

 そして心も。あのメドゥーサが恥ずかしげもなくよがっている。

 

 ますます動きが早くなっていく。

 腰で叩く度に尻たぶが波打ち、床すれすれの長髪が大きくなびき、珠汗が飛び散り、巨乳が縦横無尽に跳ねる。

 

 背中越しにそれらが目に入る。

 何という絶景だろうか。今まさに抜群のプロポーションを持つ美女を犯しているのだと実感できる。

 

 ああくそっ、と振り絞った声で叫ぶ。

 

「相変わらずっ……エロすぎるっ! 今まで、一体何度っ、お前のことをこうしてバックから突いてやりたいと思ったか、わからないっ!」

 

 脳が快楽に満たされると、言わなくてもいいことまで口をついて出てしまう。

 

「今日だって、飛んだり、跳ねたりするメドゥーサの尻と、太股と、胸を、後ろからずっと、ずっと見てたっ! 胸が揺れて、スカートが翻るたびに、この棒が、震えた。皆が真剣に訓練している間、そんなことばかりっ……考えてたんだっ!」

「あぁあんッッ!!」

 

 抉るように奥を突くと、メドゥーサは唾を飛ばして大きく喘いだ。

 

「んっ! んっ! んぅぅ! あっ、くぅ! はぁ、はぁ、んんっ!」

 

 絶え間なく女の部分を責められ、戦闘中でもほとんど疲れを見せないメドゥーサがすでに体力を失いかけているように見える。しかしポツポツと紡ぐ言葉はハッキリと聞き取れた。

 

「まったく、んぁ! だめな、マスターです、ね。んんっ……そのようなことを、言われてはっ」

 

 こちらを振り返り、メドゥーサは頬を緩めて妖艶に笑った。

 

「これから、隣に立つたびに……あなたを、誘って、しまいますよ」

 

 頭の天辺から足のつま先まで、全身が一瞬にして熱くなるのを感じた。心臓が早鐘を打ち、目眩を覚えるほど脳が沸き立つ。

 

 それは、男の中にある獣性を完全に覚醒させるには十分すぎるほどの魔性の言葉だった。

 犯す。犯し尽くす。自分だけの女にする。孕ませてやる。一生、この女を抱き続けてやる。

 

「っっっーーーー!! メドゥーサっ!!!!」

 

 頭の中を濁流のように流れる様々な黒い欲望は、あまりの奔流に言葉にならなかった。

 

 ただありったけの思いを込めてメドゥーサの名前を叫んだ。

 身体を折って彼女に覆い被さり、背中に顔を引っ付ける。白磁のような背に唇でマーキングしながら、両手で豊満な胸をすくい上げる。

 さらにそのまま肉棒をグリグリと押し付け、奥を開かせる。

 

「メドゥーサっ! メドゥーサっっ!!」

 

 何度も何度も、誰にともなく己の物だと主張するように、目の前で俺に犯されている最高の女の名を咆哮し、ひたすらに腰を揺り動かす。

 

 メドゥーサのほうが身長が高いこともあり、後ろから折り重なるのもいっぱいいっぱいで、今の俺の格好は傍から見れば少し情けなく映るかもしれない。

 だが今は誰も観ていない己の醜態を取り繕うよりも、セックスに没頭したいという欲求が遙かに勝っていた。

 メドゥーサにしがみつき、胸を揉みしだき、背中に口づけを落とし続け、肉棒を叩き込む。

 

「メドゥーサっ! お前は、俺の女だっ! 俺がしたいときには、いつでも、股を開くん、だぞっ! お前も、したくなったら、俺に、ちゃんと、アピールしろっ! どんな時でも、抱いてやる、からっ!」

 

 乱暴で下品な言葉がスラスラと口をついてでてくる。

 

「あぁぁっ! ん、くぅ! んんぁ……マス、ターの、めいれいでは、しかた、ありません、ねっ、んんっ! これからは、そう、します、からっ! もっ、と、マスターを、かんじさせて、あぁっ! くだ、さいっ!」

 

 声を張り上げるメドゥーサの顔が、快楽とは別に満足げなものになっていることに、この時は気付きもしなかった。

 

「んくぅ! マス、ターの、ものが、おく、にっ! あぁ! あっ! あっ!」

 

 互いに絶頂へと全速で駆け上がっていく、獣がごとき交尾。

 

 その激しさゆえに、限界はすぐに訪れた。だがそれは、とにかく一刻も早くメドゥーサの中を自分の色に染め上げたい俺にとって好都合なことだった。

 さらに腰を捻り、肉棒と膣に刺激を与え続けた。

 

「メドゥーサっ、出すぞ、中にっ! 孕ませる、からなっ! お前のことをっ!」

「っ、はいっ! はいっっ!」

 

 無茶も無理もお互い理解の上。野暮なことを言う者はここにはいない。

 メドゥーサもすでにイきかけていることは膣の収縮で感じ取れている。あとはただ圧すだけである。

 壊れてしまうのではないかという勢いで膣奥を貫く。

 

「メドゥーサっ! メドゥーサっ!」

「マスターッ! マスターッッ!!」

 

 着実に目の前に迫るその時まで、俺たちは名前を叫び交わし続ける。

 そして、

 

「メドゥーサ!!」

「っっ!! マス、タァァーーーーーー!!!!」

 

 肉棒が膨張し、膣が締まる。

 精液が、弾けた。

 

「ぐ、ぉぉぉ」

 

 腹の底から内臓が震えるほどの声をあげる。

 目の前が明滅する衝撃と快感に思わず仰け反りそうになる。意地でもメドゥーサからは離れず、精液を吐き出す肉棒を奥へ奥へとおしつける。

 

「ッッッ!! ンッ! んんんッーーー」

 

 メドゥーサが膝を折ってもおかしくない快感に苛まれていることは身体に触れて感じとれている。だが、彼女も決して腰を下ろそうとはせず、身体の内と外で俺の全てを余すことなく受け止めている。

 肉棒からは断続的に精液が放たれ、メドゥーサの膣を瞬く間に満たしていく。

 

 この上ない、至福の時間だった。

 

 収まりきらなかった精液が肉棒と陰唇の隙間から漏れ落ち、床に溜まりを作り始めてようやく、俺はゆっくりと腰を引いた。

 

「んっっ、あぁ……」

 

 メドゥーサは名残惜しそうに吐息を漏らし、壁に手をついたまま余韻に浸った。

 俺はそのままよろよろと後ずさり、ベッドに腰を落として深く息をついた。

 

 少し、飛ばしすぎた。

 

 夢中ではあったが、もちろ全てハッキリと覚えている。自分の言動を振り返り、いくらなんでもあの言い方はどうなんだ、などと考えていると、

 

「はぁ、はぁ……んっ、ふぅ」

 

 と、メドゥーサがこちらを振り返った。スッと姿勢を戻すと、思ったよりもしっかりとした足取りでこちらに歩み寄ってくる。だが股からは愛液と精液をこぼれている。

 そして俺の足下に跪くと、細い指で未だ堅く屹立している汚れた肉棒に触れた。

 

「っ」

 

 興奮やらでいつも以上に敏感になっていた俺は、反射的に身体を震わせてベッドの上を後ずさってしまった。

 メドゥーサは一瞬だけ目を丸くしてから、クスリと笑い、膝と手をベッドについてにじり寄ってきた。

 

 あっという間に壁際まで追い詰められる。

 

 メドゥーサは体勢を低くして俺の股座に顔を寄せ、わざとらしくゆっくりと口を開け、チラリとこちらを見上げる。

 その何とも言えない妖艶な仕草に俺が喉を鳴らすと、満足したのかメドゥーサは肉棒に視線を戻して一口でそれを呑み込んだ。

 

「んっ、ちゅ、じゅるっ、んあっ……んっ、んっ、んむっ」

 

 口内で肉棒をねぶるメドゥーサ。その舌使いはまさに蛇のように巧みで、肉棒の表面を丹念に撫ぜられるのがわかる。

 腰が引けそうになるが、いつの間にかがっちりと脚を捕まれ、身動きがとれなくなっていた。

 

「んむっ、ちゅ、ちゅっ……んあ、じゅる、んん」

 

 肉棒を上から下まで何往復かして、メドゥーサは一度口を離す。

 精液と愛液でドロドロに汚れていた肉棒が、メドゥーサが塗り込んだ唾液でてかてかと輝いている。

 

「相変わらず、大きいですね。一度出したというのに、まったく」

 

 などと言いながら再度肉棒を口に含み、今度は頭を上下させて全体を擦りあげる。それは先程までの掃除ではなく、こちらの射精を促す本格的なフェラチオだった。

 

「んっんっ、んんむっ……ん、じゅ、じゅる、るるっ、んじゅる」

 

 口をすぼめ、わざとらしいほど下品な音をたてて吸いつくのは、俺の趣向を完全に理解している証拠だ。手を使わずに口だけで弄り、時折こちらを見上げるのも忘れない。

 呆れるほど優秀でいやらしいフェラだ。

 

「あ、んっ、じゅる、じゅっ、じゅっ、んぁ……ん、ちゅ、ちゅ、ちゅぱ」

 

 瑞々しい唇をこれでもかと肉棒に擦り付け、余すことなくキスの雨を降らす。

 こちらがたまらず腰を動かしてその端整な顔に肉棒を押し付けても、メドゥーサは子をあやすように頬擦りをする。

 

「ふふ、おとなしくして下さい」

 

 献身的な愛すら感じる奉仕。このままずっと肉棒を愛でていても構わない、という思いがメドゥーサから伝わってくる。

 

 だが俺は情けなくも二度目の絶頂の予感を早くも感じ取っていた。メドゥーサのフェラチオはあまりにも気持ちよすぎる。

 

「メドゥーサ、そろそろ、出る、から」

「ん、ふぁい、わかり、ました。んっんっ……じゅ、じゅるるっ!!」

 

 一転して、激しいディープスロートへと移行するメドゥーサ。

 舌使いはそのままに、傘の先が喉奥に触れかかるほど深く肉棒を咥え、ギリギリまで引き抜く。それを髪を大きく揺らすほどの勢いと速さで繰り返す。

 

 自らの口をただ肉棒を擦るためだけの道具とするかのようなフェラチオだ。

 

「んんっ、んっ、んっ! じゅ、じゅる、んぁ! ん、ふっ、んむっ」

 

 今のメドゥーサは肉棒という卑しい存在に頭を下げ、女としての全てを捧げてそれにしゃぶりついている、娼婦、にしか見えなかった。

 再び腹の底から熱い物がこみ上げてくる。

 

「メドゥーサ、もう、出る、ぞ」

「ん、んっ! じゅ、じゅる、んあっ! んむっ、んっ、んっ!」

 

 メドゥーサは決して肉棒から口を離そうとしない。

 それはつまり、ここ以外に出すことを許さないと言っているようなものだ。

 

 気付けば、メドゥーサの艶やかな髪に指を埋めるように彼女の頭を掴んでいた。まるで物を相手にするかのように、肉棒を口の中に擦りつける。

 

「いくっ……いくぞっ、メドゥーサ!」

「ん、んぶっ! んんっ……んんむっ! んぅ!」

 

 さすがにメドゥーサも苦しげな表情を見せるが、こちらの腰に回した手を緩めようとはしない。

 

「くっ……い、くっ!!」

 

 肉棒が膨張したその瞬間。

 腰を突き上げ、彼女の望み通り口内に精をぶちまけてやった。

 

「んんぅぅ!! ん、んんむっっ!!」

 

 がっちりと腰を捉えたまま白濁液を受け止めるメドゥーサ。

 当然苦しいはずなのだが、こちらも気を使ってやる余裕はなく、痺れるような快感に身体を浮かせて震える肉棒をメドゥーサの頬の裏側に押し付ける。

 

 しばらくして肉棒の震えが小刻みになっていく。

 それが治まると手を離し、メドゥーサはゆっくりと頭を引いていった。

 

「ん、んむ……んふ、ちゅ、あ、む……じゅ、じゅる、んじゅつ……えろ」

 

 肉棒の表面に垂れ落ちた物はもちろん、尿道に残った精液まで丹念に吸い出しながら引き抜く。

 

「んっ、む」

 

 身体を起こしたメドゥーサはそのまま上を向き、俺の前に細くしなやかな喉を晒したかと思うと、口内に溜まった精液を嚥下し始めた。

 

「ん、んむっ……んくっ、んくっ」

 

 見せつけるかのように喉を動かして自分の精液を何の躊躇もなく飲み下す姿を、彼女の思惑通り食い入るように見つめていた。

 メドゥーサはあっと言う間に全てを飲みきり、一つ息を吐いた。こちらと目を合わせ、微笑む。

 

「この味、癖になってしまいました。あなたのモノなら、いくらでも飲み干せそうです」

 

 それは、相手が吸血種に属する存在であることを考えると、身の危険を覚えるべき発言なのだが、今の俺には妖艶な誘い文句にしか聞こえなかった。

 

 二度精を吐き出した肉棒は未だ、堅く雄々しく勃起していた。

 

 

 

「ん、くぁ! あっ! あっ! んんぁ!」

 

 メドゥーサが激しく喘ぐのを見下ろしながら、弾む乳を鷲掴みにする。

 

 精液と愛液の溜まった膣を突く鈍い水音が部屋に響きわたる。

 

 互いの霊衣と服は脇に脱ぎ捨て、一糸纏わぬ姿で汗を飛び散らせながら行為に興じる。ベッドの染みは時を追うごとに広がっていった。

 滑らかな肌を撫でさすって乳首をつまみ上げ、掌から伝わる心地よさをそのまま腰の動きに乗せて、突く。

 

「あっ! あっ! マス、ターっ! そこっ、いい、ですっ! もっと! あぁんっ!」

 

 フェラをしていた時から疼いていたのか、一突きごとに膣が締まり、メドゥーサがさっきから細かくイっているのがわかる。

 

「んんっ! んっ! んっ! んんぁぁ!!」

 

 バックでした時は顔をよく見られなかったが、今は目の前でメドゥーサの乱れる姿を楽しむことができる。

 蕩けた顔にいつもの凛とした面影はなく、口はだらしなく開きっぱなしで鳴き続けている。

 

「あぁ! あぁぁっ、マス、タァ、マスターァ!」

 

 その甘えきった声に益々盛り、背中に両手を回して覆い被さるようにメドゥーサに抱きつき、腰を振り乱す。

 

「あぁ! いい、ですっ! もっ、とっ! もっと、わたしを、もとめてくださいっ! んぁ!」

 

 乳にむしゃぶりつく俺の頭を抱え込み、足を組んで腰に回すメドゥーサ。

 一部の隙もないほど肌と肌を密着させ、高ぶっていく二人。

 

「メドゥーサ、いくよ、また、中に」

「んあっ! はいっ! どう、ぞっ! いくらでも、はきだして、んくぅ! くだ、さいっ!」

 

 メドゥーサの乳に包み込まれるように顔を埋め、雄叫びをあげながら腰打ちを激しくしていく。

 

「く、うぅぉぉ!! メドゥーサぁぁ!!」

「あっ! あっ! あぁぁ!!」

 

 膣中に二度目の精を放つ。

 

「ん、あぁぁーーーーーーッッッ!!!」

 

 メドゥーサも同時に、何度目かしれない絶頂を味わう。

 計三度の射精とは思えない精液が膣の奥の奥まで染め上げていく。

 

「ああっ、あなたの、が……わたしの中を、また……満たして……いきます」

 

 感慨深く呟くメドゥーサ。こちらの腰を捉えた脚を決して離そうとしない。

 それまでで最も長い射精の間、俺たちは一時も力を緩めることなく抱き合った。

 

「はぁ、はぁ」

 

 息を荒げながらずるずると腰を引き抜き、糸が切れたように脱力する。

 そんな俺の頭をメドゥーサが優しく撫でる。

 汗だくの身体で女性に抱き着き、子供のように頭を撫でられる姿というのは、冷静になって見るととても恥ずかしい。

 

 メドゥーサと顔を見合わせ、苦笑する。

 

「シャワー、浴びよっか?」

 

 穏やかに微笑を返すメドゥーサ。

 

「そうですね」

 

 今はこんな疲れきっているが、きっとシャワー室でもまたやってしまうだろう。そんな呆れた確信を持ちながら俺は立ち上がった。

 

 

 

 

 

「あら、お風呂に入ってしまうみたい。流石にそこにまで『かめら』は置けなかったみたいだし、ひとまずここまでかしら」

「そうね……」

 

 二人の少女の視線は、今まさにシャワー室に連れだって入ろうとしている愛する者たちへと注がれている。

 もちろん直接視ているわけではない。カルデアの職員に『お願い』して、マスターの部屋にこっそりカメラを仕込ませたのだ。

 そして、今さっきまで部屋で繰り広げられていた激しい情事の全てを、彼女たちは与えられた自室でスポーツ中継を観戦するかのように眺めていた。

 

 これもひとえに愛する妹を虐めるため。

 

 妹に対する出歯亀だけは何の躊躇もなくやってのけるこの少女たちの名はステンノとエウリュアレ。メドゥーサの姉である。そして、メデューサが今夜愛しの男に抱かれることになった原因である淫夢を、マスターに見せた張本人達でもある。

 

「それにしても想像以上の乱れっぷりだったわね、あの娘。手助けした甲斐があるというものだわ。ふふっ……あの娘、この映像を見たら何て言うかしら」

 

 上姉様ことステンノは、その天上が如き愛らしい顔に微笑を浮かべ、心から楽しそうにカラカラと笑う。

 

「そうね……」

 

 下姉様ことエウリュアレはどこか落ち着かない様子で、何物にも代え難い宝石のような輝きを持つ瞳を忙しなく動かしている。

 

 男の理想を完璧に具現化した偶像であり、瓜二つの見た目通りにほとんど同一の存在として在る二人だが、今は対極的といってもいい反応をみせている。この場合、上姉であるステンノの反応こそが彼女らの性格上正しいのだが……。

 ステンノも当然、エウリュアレの様子が途中からおかしくなったことには気付いていた。そしてその理由も。

 

「どうかしたの、(エウリュアレ)? なんだか落ち着かないみたいだけど」

 

 全てをわかりきった上で、すっとぼけて尋ねるステンノ。

 

「えっ、そ、そうかしら。べ、別にそんなことないけど。(ステンノ)ったら何言ってるの」

 

 傍から見ると可哀想なほど狼狽えるエウリュアレ。勢いよく立ち上がったかと思うと、そそくさと歩き出した。

 

「わ、私もお風呂に入るわ。あの馬鹿二人の野蛮な……あ、あれを見てたら変な汗かいちゃったから」

 

 そう言って足早にシャワー室へと向かうエウリュアレの背中を見ながら、ステンノはため息を吐いた。

 

「よりにもよって私に嘘をつくなんて、相当切羽詰まってるわね」

 

 だが、それを馬鹿にする気はない。なぜなら、ステンノもエウリュアレの気持ちを十二分以上に理解し、それが自分の身体にもしっかりと表れてしまっているからだ。

 部屋に一人になったステンノは、そっと自分の手を足の付け根にあてがった。

 

「んっ、あぁ……」

 

 思わず漏れる甘い吐息。意図せず身体が前屈みになる。

 悪戯でマスターに選ばせたお気に入りの下着の上から丘をなぞり、顔の前に手を掲げる。

 

 ステンノは思わず吹き出した。

 笑ってしまうほど濡れていたから。

 

「はしたない女ね。これじゃあ、メドゥーサのことを言えないわ、んっ」

 

 だが止めることはできない。ステンノは再び気持ちの良いところを弄る。

 

 エウリュアレもシャワー室で同じように自分を慰めているだろう。

 わかるのだ。他の誰でもない姉妹なのだから。そしてそれはメドゥーサも同じ。姿形は違ってしまったが、今でも妹のことならば何でも手に取るようにわかる。

 

 あの瞬間、彼女がどれほど幸せで、心地よく、気持ちよかったのかも。

 

「私も、久しぶりにマスターに愛してもらいましょうかしら、んっ……ああ、四人で、するのも、いいわね、んあっ……仲間外れは、嫌だもの。ふふっ、あの子達がどんな反応をするか、楽しみ、あんっ!」

 

 女神様初めてのオナニーは、画面の向こうで愛する者達が再び愛し合う時まで続いたのだった。

 

 

『三姉妹編 に続く』

 

 



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ジェーン①

ネタバレはないはず、です。


 ひょんなことから並行宇宙に連れてこられ、ひょんなことから悪の組織に追われる身になり、ひょんなことからスペース・イシュタル、カラミティ・ジェーン、X師匠の三人と宇宙冒険をすることになった、ここサーヴァントユニヴァース唯一のマスターであるらしい俺。

 今まで巻き込まれた騒動と比べてもかなりのっぴきならない事態なわけだが、笑いあり涙ありの、一大スペクタル映画真っ青なSF活劇を体験できて実は密かに楽しんでいたりもする。

 

 しかし一つ不満がある。不満というか、困ったことがある。

 

 広大な宇宙を移動するための船、マアンナ号。現代に生きる俺にしてみればオーバーテクノロジー極まった本物の宇宙船なのだが……小さい、のだ。とても。

 Sイシュタルとジェーンの二人旅なら何の問題もなかったのだろうが、今は倍の四人が搭乗している。どうしても船内の窮屈感は拭えない。

 

 元はSイシュタル個人が所有する小型艇なので小さいのは仕方がないし、狭いことそれ自体は俺も全く苦痛ではない。狭いが故に生まれる弊害――ある意味では役得――が目下悩みの種なのだ。

 

 つまり他の三人との距離間。

 

 すれ違うときに顔と顔が息がかかるぐらいの距離にあったり、船が揺れた際に意図せず柔い場所に触れてしまったり、着替えに遭遇してしまったり、などこの船では日常茶飯事だ。

 そのたびに俺はドキドキ、ムラムラさせられる。三人とも外見は超弩級の美女なのだから。

 

 こういう時、元の世界なら『発散』する術はいくらでもある。だがここは右も左も、上下の区別すら覚束ない未知の世界(ユニヴァース)。そしてXは別としても、Sイシュタルとジェーンとは知り合って間もない間柄。生きるためには何よりも調和が必要なこの状況で『自家発電』にしろ何にしろ『行為』に及ぶ度胸はない。

 

 結果、三人の美女サーヴァントの胸チラやパンチラ、無防備な寝姿、戦闘後の積極的なスキンシップ、恥じらいの表情、柔らかな身体の感触、匂い、吐息、視線、などなどを四六時中零距離で感じながら、悶々とした欲望を発散することも出来ずに冒険を続けなければならない。

 

 それが、辛い。

 

「~~♪ ~~♪」

 

 中でも、今隣で鼻歌を歌いながら操縦桿を握っているジェーンはとても厄介だ。

 他の二人――特にSイシュタル――はそういう雰囲気や状況になったら、顔を紅くして逃げるようにその場を去るので、微笑ましく比較的穏やかにいられるのに対し、ジェーンは違う。

 

「ごっめ~ん☆」

 

 と言いながらやけにベタベタと身体に触れてきたり、話すときに必要以上に耳打ちしようとしたり、ただでさえ目のやり場に困る格好をしているのにこれ見よがしに見せつけようとしたり……。

 

 明らかにこちらの反応を楽しんでいる。

 

 丈の短いノースリーブジャケットに、大胆なビキニで胸を包み、下はこれまた超ミニのホットパンツ。その開けっぴろげすぎる服装に違わず彼女自身も奔放な性格をしているとすぐにわかった。

 普段は心沸き立つ大胆な美女も、今の状況では悪魔に等しい。

 

 

 今日はそんな彼女と二人で見張り番。

 SイシュタルとXはポッドで休息をとっている。問題が起きない限りきっちり五時間は目を覚まさない。

 

「あっ、見て見て~☆ あの惑星、アルトンって言って、住民み~んな頭にぴょこんてアホ毛たってるんだ~。可愛いよね~☆」

 

 ジェーンといると退屈はしない。ぶっ飛んだ世界観も彼女の楽しげな説明を受けるとなぜか自然と受け入れられる。

 だがそれはそれとして、気を強く持っていなければならない。二人きりの時、ジェーンはより積極的にスキンシップを図ろうとするからだ。

 

「あっ、そうだ。ねぇねぇ、そこにあるブッラックホール観測レンズのスイッチ入れてくれる~? この辺り古い惑星が多いからもしかしたら未発見のがあるかもしれないんだよね~☆」

 

 それは大変だ、とそれらしいスイッチを探すが、ド素人である俺に無数にある機器の見分けがつくはずもない。

 

「あははっ☆ ゴメンゴメン。キミにはちょっと難しかったよね~。いいよ~、わたしがやるから☆」

 

 いつものことだが自分の不甲斐なさに意気消沈しつつ身体を引く。

 

「オートにしてっと……んっ、しょ」

 

 ジェーンは操縦席からこちらの身体を乗り越えるように身を投げ出し、

 

「っっ!!」

 

 むにゅり、とその豊満な胸を俺の顔に押し付けた。

 

「ん~~~、もうっ……ちょっと~」

「ジェ、ジェーンっ」

 

 声をかけてみてもジェーンは全く気にした素振りも見せず、むしろより、抱きつくように、密着してくる。

 

 わかってやっているのだ、と察した。

 

 押しのけようにも、ジェーンの格好は素肌の面積のほうが圧倒的に多いので、下手に触れることもできない。

 

 されるがまま、この船で最も大きな柔肉が顔半分を包み込む。

 薄いビキニは霊衣と言っても服として何か別の効力を発揮するわけではなく、躊躇なく押し付けられるその柔い感触はほとんど生のそれと変わらない。さらにあちらの世界でもこちらの世界でもこれだけは同じ、女の子の芳しい香りが鼻を抜け、脳内に快楽と焦燥を生み出す。

 

 心臓が高鳴り、血が脈動し、俺の肉棒は一瞬にして硬くなってしまった。

 

「よい、しょっと……うん、おっけ~☆」

 

 だが、ここで手を出すわけにはいかない。

 いくらジェーン自らが、襲われても仕方ないと思えるほど挑発的な誘惑をしてきたとしても、最後の一線を俺から越えるべきではない。ここは異次元の世界(ユニヴァース)なのだから。

 

 理性を総動員して震える手を抑えつける。

 後少しすればジェーンも満足して離れてくれる。それまでの辛抱だ。

 

 などと思っていたのだが、

 

「あれ~~?」

 

 と、俺に被さるような体勢のままジェーンがわざとらしく声をあげた。

 そして、

 

「ここ、大きくなっちゃってるね~☆」

 

 それまで決してそこにだけは触れてこなかったジェーンが、俺のテントを張った股間を指さした。

 

 言葉を失ったように口をパクパクさせる。

 てっきりジェーンは俺をからかうのが目的で『最後』までは行かないと思っていた。だが、それを指摘してしまったら、行き付く先はもう……。

 

「わたしのおっぱいが当たって興奮しちゃったのかな~? も~、ただの不可抗力だったのにな~☆」

 

 事の重大性がわかっているのかいないのか、からかうように笑いながらジェーンは躊躇なく山脈のように浮き出たそれを掌でなぞった。

 いつぶりかも思い出せない肉棒への刺激に、それだけで俺は身体を跳ねさせてしまった。

 ニヤニヤと目を細めるジェーン。

 

「触っただけでそんな感じちゃうなんて、キミって変態だったのかな~?」

 

 誰のせいで、と刺激に耐えながら目で訴える。

 するとジェーンは、ゴメンゴメン、と舌を出してウインクする。

 

「冗談だよ、冗談☆ 実は~、わたし気付いてたんだ。キミが前からずっと我慢してたこ・と☆」

 

 こちらと真正面から目を合わせて悪戯っぽく微笑し、そのままゆっくりと頭を降ろして股ぐらに顔を寄せる。

 

「イシュタリんとXは気付いてないっぽいけど~、わたし達みたいな可愛い女の子と一緒に旅してたら、色々と、溜まっちゃうよね~☆ しょうがないからわたしがお世話してあげよっかな~、なんて思って色々とアピールしてたんだけど~、キミってば全っ然手出さないんだもん。誠実なのはわかったけどさ~、めっちゃショックだったんだからね」

 

 テントを擦る手の動きが早まる。

 また、身体を震わせてしまう。

 

「ジェーン、それ以上は、もう……我慢、できなく、なるからっ」

「え~、我慢なんてしなくていいじゃ~ん。ここにはわたし達しかいないんだし☆ それとも、わたしとするの、そんなに……いや?」

 

 らしくない不安げな表情でこちらを上目遣いに見上げるジェーン。

 十中八九演技だろうが、不意をつかれて喉を鳴らしてしまった。

 

「いやなわけ……ないっ! そんなエロイ格好した金髪美女とヤれるなら、一日中だって続けられるよっ。俺がどんな思いでそれを我慢して……頭の中でキミを、キミの身体を、めちゃくちゃに、してたかっ!」

 

 思わず口をついて出た俺の吐露を聞いて、ジェーンは朗らかに笑う。

 

「あはっ、うれし~☆ わたしもね、なんか意地になっちゃってキミを直接誘うの我慢してたんだけど、ここがこんなになってるの見て~……もう、限界きちゃった」

 

 ジェーンの手がズボンの中にスルリと入り込む。汗ばんだ俺の皮膚を細い指で撫でさすりながら、

 

「ねぇ……しよう?」

 

 俺の中の何かが崩れる音が聞こえた。ここまで言われて貫く意地などない。

 それまでの葛藤が嘘のようにあっさりと彼女とセックスすることを決めた俺は、スッと腰を浮かした。

 

「んっ、しょっと」

 

 ジェーンは下着ごと俺のズボンをズリ降ろす。

 まるでそれまで秘められていた鬱憤を形にしたような勢いで、赤黒く太り、グロテスクな血管が浮き出て、猛々しく屹立する陰茎が飛び出した。

 

「っっ」

 

 眼前で生き物のようにビクビクと震える肉棒を前にして、ジェーンが息を呑んだのがわかる。好奇心に輝いてたその大きな瞳が、浅ましく淫らな雌のそれに変わっていくのを見逃さなかった。

 

「思ってたより、ずっと大きい……そっちのマスターって、みんなこうなの?」

 

 その疑問には答えず、更に腰を浮かせて肉棒をジェーンの頬にぶつけた。

 鉄のように硬い肉棒はジェーンの柔らかい頬肉を圧し潰し、整った顔を歪める。

 

「んっ……♡」

 

 尊大な態度にもジェーンは文句の一つも言わず、どこかうっとりとした目で肉棒を見つめて自ら頬ずりをし、そのままフェラチオを始めた。

 

「ん、ちゅ、ちゅくっ……ん、ふっ……ちゅ、むっ……あっ、は、むっ♡」

 

 マーキングするように瑞々しい唇で竿に万遍なくキスをしていく。

 

「あ、ん、ちゅ……んあっ、この、臭い、もっ……すっ、ごい♡ あ、んっ、クセに、なっちゃう、かも♡」

 

 鼻をひくひくと動かし、グロテスクな肉棒から放たれる濃縮された雄臭に酔うジェーン。唇の端から舌を覗かせ、鈴口の恥垢をこそぎ取るように舐めまわした。

 ざらついた感触に身体を震わせると、こちらを見上げる瞳を細めて笑い、ねっとりと肉棒全体に舌を這わせていく。

 

「ん、じゅる……あ、んあっ……ん、ふ……えろっ、ん、んふっ♡」

 

 鼻を擦らせながら根元から裏筋にかけて肉棒を堪能するジェーンを上から見下ろす光景は、壮観という他なかった。

 いつも溌剌として爽やかさと気さくさの塊のような女が、今は目に♡を浮かべて犬のような従順さで、先走りに濡れた汚らしい男根に夢中になっている。夢中にさせている。

 自然と興奮が募っていく。

 

 ジェーンの奉仕もより厭らしさを増す。肉棒をてかてかの涎まみれにすると、亀頭に口づけをしてから厚い唇で咥え込んだ。

 

「んっふっ、あぁ……ん、んむっ……んっんっ♡」

 

 はしたなく開いた生暖かな口腔へと肉棒を誘う。

 一息で限界まで飲みこんでしまうと、今度は頭を引いて肉棒を解放していく。口をすぼめ、吸いつきながらゆっくりと。

 傘に唇が引っかかると、またすぐに咥え込む。

 

 そうやって繰り返し頭を前後させ、巧みに肉棒をしごいていくジェーン。この上なくいかがわしい、男の情欲を知り尽くしたフェラチオだ。彼女の言動からある程度予想していたことだが、一度や二度の経験でこうは上手くならない。

 

「んっ、じゅ……あ、んむっ……んっ、んっ、んふぅ……じゅ、じゅるるるっ……あ、んんっ♡」

 

 肉棒の敏感な部分を的確に刺激するばかりでなく、下品にすする音をたて、熱っぽい吐息を漏らし、はしたなく歪めた顔で時折こちらを見上げては目元に淫靡な笑みを浮かべる。肉棒への刺激だけでなく、目や耳を通して男の興奮を煽り立てる術を熟知している。

 

 ジェーンが今までどんな男と寝てきたのか知る由もないし、つい最近知り合ったばかりの俺がとやかく言える立場にはないのだが、やはり嫉妬してしまう。

 そして同時に、まだどこか余裕ぶった彼女を俺の色に染め上げ、俺だけの女にしたいという子供じみた支配欲が沸々と湧き出る。

 

「ジェーンっ、そろそろ」

 

 射精が近いことを告げた。

 見栄を張って我慢しようとは思わなかった。そんな余裕がないこともあるが、今はすぐにでも目の前の女を精液塗れにしてやりたかった。

 

「ん、じゅ……んあっ、んん……うんっ、んっ、いい、よっ……んっ、んんむっ♡」

 

 ジェーンの動きが早く、激しくなる。頭を振り乱し、束ねた髪が大きく靡く。

 

「んじゅっ、じゅっ……じゅ、じゅるるっ……んあ、んっんっ、しゅきなっ、ところに、だひ、てっ♡ じゅっ、じゅずずずっ♡」

 

 物欲しそうな目でそう言われ、俺の中のタガも外れる。

 ジェーンの頭を掴み、喉奥を犯すように腰を突きあげた。

 

「んんぅぅ!?」

 

 今日、いや、この宇宙に来て初めて、自ら快楽を求めた。

 その動きはあまりに身勝手で、ジェーンをただの性欲を満たすための性具としか見ていないと思われても仕方がないものだった。

 

「ジェーンっ、ジェーンっ! 口の中にっ、出すから、飲んでっ! 俺のっ、精液をっ!」

 

 そんな要求を突きつけながら、腰の動きを容赦なく強める。

 

「んんっ……ん、じゅ、んんぶっ……んっ、んんっ、う、んんっ、んんっ♡」

 

 それでもジェーンは苦しげに呻きながら確かに頷いた。

 

 下腹部で熱が渦巻く。溜りに溜まったソレがあらゆる堰を押しのけてせり上がってくる。肉棒がはち切れんばかりに肥大し、震え、傘の先が開いた瞬間、俺は獣のように吼えた。

 

「んんぅっっ!!」

 

 弾けるような感覚と共に肉棒から噴出される精液。腰が抜けそうなほどの快楽に襲われた。

 

「んんんっ、ん、ぶっ、んんッッ……」

 

 ジェーンは言われた通り健気に口で受け止める。

 だが、俺もジェーンもすぐにそれが容易なことではないと悟った。

 

 久方ぶりの射精は、まさしく洪水だった。いくら吐きだしても止むことは無く、身体の奥から次々と湧き出てくる。ジェーンの口内を満たしてもまだ、途切れることがない。しかもそれは、あらゆる欲望を凝縮したかのように、濃い。

 

「んんっ、んっ、うっ、んぶっ……」

 

 さすがのジェーンも堪えきれず目尻に涙を浮かべる。彼女の泣き顔を見るのは初めてだ。

 嗜虐心をくすぐられながらも、これ以上は可哀そうだな、と俺は腰を引いて肉棒を彼女の口からズルズルと引き抜いた。

 だが未だ吐精は収まらない。

 

「顔に、かけるよ」

 

 そう言って、精液と唾液に塗れた肉棒を自ら手で擦り、マグマのように熱く粘っこい精をジェーンの顔にぶっかけていく。

 

「んっ、んんッ……」

 

 ジェーンの白く整った顔に白濁液が一直線に降り注ぎ、汚していく。ぶっくらとした紅い唇に肉棒の先を擦りつけ、歯茎にまで精液を塗りたくる。

 

「ん、あぁ……んんぅ」

 

 顎を掴まれ、瞳を閉じて眉を下げたジェーンは、それをただ黙って受け止める他なかった。

 

 きめ細かな肌、淀みの無い金髪を精液まみれにして、ようやく、肉棒の震えが徐々に収まっていった。

 

 大きく息を吐き、どっかりと席に腰を降ろす。今まで生きてきた中で最も長い射精だった。

 息を整えながらジェーンを見下ろす。

 

「んっ……んっ……」

 

 ジェーンは汚れた顔のまま、喉を鳴らして身体を震わせながら口内の精液を嚥下していた。その尋常ではない量を休みを挟みつつ、飲み下していく。

 

 意外なほどきちんと言いつけを守る姿に申し訳なく思いつつ、膣に流し込んでいたら間違いなく孕んでいただろう少し勿体ないことをした、などと最低なことを考える。

 しかし、こうして自分の精液に溺れた美女が、それを必死に飲んでいる様を見下ろす優越感もこの上なく滾るものだ。

 

「んっ、く……はぁ、はぁ」

 

 ジェーンは精液を全て飲み干した。目を閉じたままどこか朦朧とした様子で息を荒げる。

 顔にかけられた精液が丸い頬を伝い、顎の先から零れ落ちると、それを指で掬って口元に運んだ。

 すると、

 

「んッッ♡」

 

 と、身震いして、頬を緩めた。

 顔にかかった精液を手で拭い、それを舐めとり、ジェーンは目を開く。陶酔した眼差しでこちらを真っ直ぐに見て笑った。

 

「すっっっごい!!」

 

 飛び上がるように顔を突き合わせる。

 

「わたし、こんなの初めてっ! キミがすごいのか、マスターがみんなこうだったのかわかんないけど、すごかった! キミの精液で、わたしのなかが塗り替えられていくのがわかったの。うわ~、うわ~、ヤバイな~☆ 本気でキミに病み付きになっちゃうかも~、いや、もうなっちゃったかな~☆」

 

 普段より三割増しでテンションの高いジェーン。精飲は彼女にとってご褒美のようなものだったようだ。

 しかし考えてみれば当然だ。俺はマスターで、彼女はサーヴァント。この行為は魔力供給に他ならない。

 

 向こうの世界ではメジャーな手段だが、マスターのいないこの世界では未知の刺激だっただろう。ジェーンはそれに嵌ってしまった。

 少し小狡い手ではあるが、これもマスターの特権だと考える。

 

 そしてまだ行為は終わりではない。

 

「ジェーン」

 

 と声をかけ、肉棒を見せつけるように腰を突き出す。それは未だ硬く勃起し、あれほど精液を出しても一切萎びを見せない。それほどまでに禁欲生活のツケは大きい。

 

「っっ♡」

 

 ジェーンもこちらの意図をすぐに察した。その瞳が一瞬で堕ちきった雌の物に変わる。

 

「あ~、本当に、マズイんだけどな~。これ以上やったら、多分、わたしもう元には戻れないよね~……あぁ、うん、でも♡」

 

 ジェーンはこちらに背を向け、ホットパンツに手をかけて尻を突き出した。

 

「もう、こんな機会は逃せないよね~♡ わたしのここ、こんなになっちゃってるし~♡」

 

 ホットパンツを下着ごと降ろし、ジェーンは両手で恥ずかしげもなく自らの秘所を開いて見せた。

 目の前に差し出された秘所からはむんむんと雌の匂いが立ち込め、そこは照明の明かりを受けて輝くほど濡れ、物欲しげにひくひくと口を開いていた。

 ジェーンは肉感的な臀部をふりふりとふしだらに振って、甘く媚びきった声で懇願した。

 

「ねぇ、お願い♡ キミのおちんちんで、わたしのここ、いっぱいにして♡ イシュタリんとXが起きちゃうぐらい激しく、わたしを、犯して♡ 孕ませても、いいからぁ♡」

 

 それから先は人とサーヴァントのセックスではなく、獣と獣の交尾だった。

 

 ジェーンのくびれを掴み、無我夢中で腰を振りたくった。前戯は必要なく、慣らしもいらなかった。ひたすらバックから彼女を犯し尽くした。

 

「あっ、あっ、あぁ♡♡ これっ、すっごいぃ♡ これっ、ぜんぜんっ、しらないところまでっ、キミの、おちんちんがっ、あぁああん♡♡」

 

 ジェーンもあらん限りに鳴く。

 活発で天真爛漫だがあまり取り乱すことのない彼女が、今は性感に身を捩り、されるがまま乱れている。

 

「んっっ♡ くぅう、あっあっ、そ、そこっ、だめっ、だめっ♡ かんじすぎちゃうっ、からぁ♡ あっあっ、あぁああ♡」

 

 規則性のないただ自分が気持ちよくなるためだけのピストンでも、ジェーンの出来上がりきった膣は、彼女に膝を笑わせて腰が落ちそうになるほどの快感を与える。

 腰を抱え上げて膣奥を突くと、ジェーンは激しく絶頂した。

 

「あぁああッッ♡♡♡」

 

 膣壁が収縮し、噴き出した潮がこちらの下半身を濡らし、床に溜まる。

 

「あっあぁ、んんぅ♡ だ、めっ、だめっ♡ わたしっ、いった、からぁ、いっちゃったからぁ♡ そんなに、つかれたらっ、またっ♡ あっあっんぅ♡」

 

 断続的に痙攣する膣を俺は一時の休みもいれずに突きまくる。敏感な所を擦られてジェーンがよがり狂っても関係ない。こちらも間もなく達する。

 ジェーンに覆いかぶさり、背中から手をまわしてぶるんぶるんと揺れる乳を鷲掴みにする。

 

「あっ、あっぁぁ♡ おっぱいっ、んんっ♡ そんなっ、ちくびっ、つねっちゃっ、あぁああんっ♡♡」

 

 そのまま腰を密着させ、子宮口をこじ開けるようにして肉棒を揺り動かす。

 

「ジェーンっ、出すよっ!」

「んっんっんぅ♡♡ あっ、あぁああーーーっっ♡♡♡」

 

 肉棒がわななき、間髪入れず白濁が解放された。

 今度は歯を噛みしめ、低い呻き声を漏らす。頭が痺れる感覚でわかる。この精液も一度目に負けず劣らず濃い物だ。

 

「あっあぁぁああ♡♡ で、てるっ、キミの、せいえきが、わたしのなかに、いっぱいぃ♡♡」

 

 抱きかかえたジェーンの身体も痙攣している。どくどくと精液で子宮を満たされながらイったのだ。

 

「はぁはぁ……んぁ……もう、わたし、なんかいも、いっちゃってる♡ きみの、おちんちんが、すごく、っっっ!!??」

 

 完全に油断しきっていたジェーンが弓なりに背を反らして悶絶する。

 更にもう一突き、精液を迸らせながら未だ熱く滾る肉棒で子宮口を穿った。一度出しただけでは、止まらない。

 

「あぁんんっっ♡♡♡ だめっ♡ だめ、だよっ♡ せいえき、だしながらっ、なんて♡ あぁ、あっ、あっ、ついちゃ、だめぇ♡♡」

 

 本当に切羽詰まった様子で制止を訴えるジェーン。

 構わず、精液塗れの膣をかき乱した。ぐちゅぐちゅと精液と愛液が掻きだされ、あるいは更に奥へと押し込まれていく。

 

「あっ、あっ、あっ♡ そんなにっ、せいえきっ、ぬりこまれたらぁ♡ ほんとうにっ、きみの、こどもっ、はらんじゃう、からぁ♡♡ んっ、んんぅ♡ キミなしじゃ、いきてっ、いけなくなっちゃうっ、からぁぁ♡♡」

「ジェーンっ! ジェーンっ!」

 

 ただただジェーンの名を叫び続ける。

 ジェーンは我を忘れてよがり、喘ぐ。

 

 ハイテクノロジーな操縦室が、知性とは真反対の原始的な男女の営みによる浅ましく、美しく、淫蕩な空気で満たされる。

 

「ジェーンっ、俺の女に、なれっ! 俺だけのっ、サーヴァントにっ、なれっ! 俺だけに、この身体を、使わせろっ! 俺だけが、愛して、やるっ!」

 

 頭が朦朧として、言葉を取り繕うのもままならなくなる。思ったことをそのまま口にしてしまう。

 ジェーンはガクガクと壊れた人形のように頷く。

 

「うんっ、うんっ♡♡ なってるっ♡ もう、なってる、からぁぁ♡ わたしの、ぜんぶっ、おっぱいも、おまんこもっ♡ ぜんぶっ、きみの、だからっ♡ だから、きみの、ぜんぶもっ、また、わたしのなかに、そそぎ、こんでっ♡ わたしを、きみでっ、みたしてぇ♡♡」

 

 最高速で肉棒を鞭打ち、雄叫びをあげて射精目掛けて突き続ける。

 

「あっあっあっ♡♡ あぁぁあッッ♡♡♡」

 

 くびれを掴み直し、最後の一突きで肉棒の形を覚えた子宮口に傘を突き立てる。

 

「あぁあああッッーーーーーーーー♡♡♡♡」

 

 三度目の射精。これも、普通の人間相手であれば確実に孕ませたと確信できるものだった。サーヴァント相手では正直わからない。

 

 それでも、電流が流れたように震えるジェーンの身体を強く引き寄せ、奥へ奥へと精液を吐き出し続けた。

 

 ジェーンが糸が切れたように膝を折ってもまだ、俺の欲望は彼女を染めて止まらなかった。

 

 

 

「ね、イシュタリんのこととかキミのこととか、全部終わった後なんだけどさ」

 

 もはや何度したかわからないほど求め合い、操縦室を燦々たる有様にした後の、小休憩中。

 俺とジェーンは互いの汗だくの身体を正面から抱き留めあっていた。

 立て続けの激しい行為に情けないほど息を切らしていた俺は、口を開くのもままならずそのまま話を続けさせた。

 

「……この世界に残らない?」

 

 そう言われるのではないかと予想はしていた。

 

 答えあぐねていると、ジェーンは真剣な口ぶりから一転、唇を薄く裂くように妖艶に微笑み、耳元に口を寄せて耳朶をくすぐるように、囁く。

 

「もしキミがこの世界に残ってくれるなら~、もちろんずっと、一生、タダで用心棒やってあげるし~、いつでもどこでも、キミのしたいこと、わたしに、何でも、していいよ♡ な・ん・で・も、してあげる♡」

 

 あのジェーンの口から囁かれているとは思えない、背筋が震える甘い誘惑。

 こちらの首に回した腕を強く絡め、胸を押しつけ、腰を揺する。言葉と身体の両方で、俺が彼女にそうしたように、俺を堕とそうとしてくる。

 

「それに、今なら多分イシュタリんとXもついてくると思うな~☆ キミを独り占めできないのは残念だけど~、わたし達、キミのためなら本当に、何だって、できるよ♡」

 

 正直、頭が沸き立つほど興奮した。

 目の前の美女、それに負けず劣らずの二人と一緒に、この宇宙船で銀河中を旅して、冒険して、気が向いたら貪るように四人でセックスをする。時に普通に、時に趣向を凝らして、飽きるまで抱く。

 ジェーンはもちろん、SイシュタルもXも、なんだかんだ言いながら顔を紅くして付き合ってくれるだろう。

 そうなると、この船の狭さはもはや利点でしかない。

 ジェーンの言うとおり、いつでも、どこでも、手を伸ばせば喜んで股を開く極上の雌たちと戯れられるのだから。

 そして満足したらまた冒険にでかける。

 男のロマンが詰まった夢のような人生だ。

 

 世界を一つ引き換えにしても手に入れるべき価値のある……。

 

 俺はジェーンとまっすぐに視線を合わせ、微笑んだ。

 ジェーンはじっとそんな俺を見つめ、大きなため息を吐いた。

 

「やっぱりダメか~☆」

 

 頬を膨らませ、チラチラと刺すようにこちらを睨む。

 

「わたしにこれだけしておいて、俺のサーヴァントになれ、とか言ってくれたのにな~☆ もしかしたら、赤ちゃんもできてるかもしれないのにな~☆」

 

 自分の下腹部をこれみよがしにさするジェーン。

 

「それは……本当にごめんなさい」

 

 ついテンションがあがって、なんて言い訳できることではない。全く情状酌量の余地のない無責任クズ男である。

 

 しかし、それでも、こちらの世界に居続けることはできない。

 

 ジェーンがクスクスと笑いだした。

 

「冗談だよ、冗談☆ 多分、人であるキミとサーヴァントであるわたしの間に子供はできないと思うよ。ちょっと残念だけど☆」

 

 おどけたようにウインクしてから、ふと視線を落とすジェーン。

 

「まぁ、キミにこの世界に残って欲しいってお願いと、わたしのマスターになってくれるって話は……ちょっと本気だったけどね~」

 

 そう言って寂しげに笑う姿を見ると、ただクズと罵られるより心にくるものがある。

 気まずい空気が流れるかと思った時、あっ、とジェーンが突然声をあげる。そして寂しさなど一瞬で吹き飛ばして曇り一つない笑顔をこちらに向け、

 

「わたしがそっちの世界に行けばいいんじゃ~ん!」

 

 と言った。

 

「Xが行けたってことはわたしも行けるはずだし~、長いことこっちにいたから少し離れてみるのも面白いよね~☆ そっちはまだ宇宙にもほとんど行けてないんだよね? つまり、この世界のず~~~っと前の生活をしてるってことかな? う~ん、考古学者の助手としての血が騒いじゃうな~☆」

 

 すでにあちらに行くこと、行けることはジェーンの中で確定事項なのだろう。落ち込んでいる時間は一秒にも満たなかった。どんな時でも希望を見つけ、それに向かって真っ直ぐ歩み続ける彼女らしい。

 

 やれやれ、と自分のことを棚に上げて肩を竦めていると、ジェーンが突然唇を奪ってきた。

 

「んっ、ちゅ、んあ……んっ、んんっ♡」

 

 彼女にされるがまま接吻を受け続ける。

 ぷはっ、と唇を離し、ジェーンはいつものように笑った。

 

「でも、今はこの時間を大切にしないとね~☆ ここもすっかり元気になってるし~♡」

 

 ジェーンは肉棒をなぞり上げながら、また耳元で囁いた。

 

「これからもよろしくね~、マスター♡」

 

 



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ようこそ実力至上主義の教室へ
佐倉愛里①


「はい、じゃあ撮るよ」

 

 ベッドの上に寝そべり、教室では一度も見たことのない笑顔でポーズをとる佐倉さん。

 デジカメが彼女にピントを合わせるのを待って、シャッターを押す。

 

 カシャリ。

 

 佐倉さんは緊張を解くように一つ息を吐き、

 

「どう、かな?」

 

 と画面上の自信に溢れた姿とは打って変わって控えめに聞いてくる。

 

「多分、大丈夫だと思うよ」

 

 画面を見せてあげると、佐倉さんはまた表情を変えて真剣に確認する。

 ネットに公開する以上、下手なものはあげたくないのだろう。そう考えると、改めてカメラマンとしての責任とプレッシャーが圧し掛かってくる。

 

 

 佐倉愛里さんは同じ学園に通うクラスメイトだが、同時に雫という芸名を持つグラビアアイドルでもある。

 学園での彼女は地味で引っ込み思案な目立たない生徒で、思春期真っ盛りの男子たちからもあまり注目されていないが、いわゆる着痩せするタイプで脱ぐと抜群のスタイルをしている。少し背が小さいのでモデル体型というわけではないが、逆にそれがマニアには受けているようだ。

 

 写真集を出す程度には有名だが、本人がひた隠していることもあってクラスの中でもそれを知る者は少ない。現在は少し特殊で閉鎖的な学園にいるので芸能活動は休止中だが、ネットに雫としての写真をあげることは続けている。今までは趣味も兼ねて自撮りしたものをあげていたが、最近マンネリ化してしまったらしい。

 

 なのでこうして素人カメラマンを雇っているわけである。

 

 

 しかし、今までにも何度かこうして彼女の部屋を訪ねることはあったが、今日はいつもと雰囲気が違う。

 

 理由の一つは、佐倉さんが完全アイドルモードでいること。

 

 伊達眼鏡を外し、普段は二つ結びのおさげにしている髪をサイドアップにし、猫背気味の姿勢も撮影時はそのプロポーションを誇示するように堂々としている。もちろん表情も。

 声や態度はもちろんいつもの佐倉愛里さんだが、見た目は完全にアイドル雫である。

 

 彼女がこうしてプライベートで積極的にアイドルとしての姿を見せるのは初めてだ。だから余計に緊張してしまう。

 

 そしてもう一つは彼女の格好だ。

 

 なんと自前の水着。フリルがついた水玉模様の可愛いらしいやつ。さすがにファンサービスしすぎ感はあるが、これもマンネリ防止策の一つなのだろう。

 

 こちらとしては、まるで理性を試されているようで落ち着かない。まずこの恰好で出迎えられ、その場で押し倒さなかった自分を褒めてやりたい。佐倉さん本人が顔を真っ赤にしていたことが歯止めをかけたこともあるが。

 

 水着姿のグラビアアイドルと部屋で二人きり、という状況は際限なく男心を刺激し、時を追うごとに悶々は募るばかり。

 

 さらに撮影時。

 

 ポージングは極々普通のものだが、動くたびに柔らかく豊満な胸が揺れる揺れる。プルンプルン、と本当にそんな擬音が聞こえてきそうだ。

 

 その豊乳だけでなく、お尻や腰のくびれ、シミ一つない肌、そして美貌も、グラビアアイドルとしては超一級品だろう。

 

 正直、グラビア時代のカメラマンを嫉妬と同時に尊敬してしまう。よくもこんな彼女を前にして理性を保てるものだと。

 

 だからこそ、この仕事はきちんとこなさなければいけない。どれだけ佐倉さんが魅力的で扇情的であろうと、今だけは、彼女の信頼に応えるために一切の邪念を押し留めよう。

 

 

「うん……大丈夫、かな」

 

 そう言って佐倉さんは控えめに笑う。こういう時はやはりいつもの彼女だ。

 

 仕方ないとは言え技術的に拙い部分ばかりだろうが、佐倉さんは一度のNGも出さない。

 もしかしたらこのチェックは鏡などに『自分以外の誰か』が写っていないかを確かめているだけなのだろうか。

 

 撮影者は知人の女性ということにするらしいので、あげた写真に男の影でもあれば炎上どころの騒ぎではない。下手をすれば事件に発展する。ただでさえ彼女には厄介なファンがつきやすいと言うのに。

 だからこちらも細心の注意を払っている。佐倉さんのためだけでなく、自分の身の安全のためにも。

 

 あとでもう一度確認しよう、などと考えていると、あの、と佐倉さんが申し訳なさそうに口を開く。

 

「もう何枚かいい、かな? できるだけ撮り溜めておきたくて」

 

 もちろん、と答えてカメラを構える。

 佐倉さんは少し考えてから、前のめりになって胸の谷間を強調するようにポーズをとり、写真映えする笑顔を浮かべる。

 ゴクリ、と喉が鳴り、心臓が早鐘を鳴らす。

 これはマズイ。

 早速沸々と湧き出ようとする欲望を振り払うように、無心でシャッターを切りまくる。

 それからも数回、撮影とチェックを繰り返す。

 休憩のたびにこちらの煮えたぎる情欲は理性という薄氷の下で、その時を今か今かと待ちわびていた。

 

 そして遂に、その時はやってきた。

 

「うん」

 

 佐倉さんはデジカメを手に自分のベッドの上で膝を立てて座り、十数枚分の再チェックを終えて頷いた。

 

「これでしばらくは大丈夫だと、思う。今日はもうおしまいでいいかな」

 

 カメラマンの役割から解放された瞬間である。

 

「そっか。よかった」

 

 と、穏やかに答えながらもすでに理性は崩壊しかけていた。こんなこともあろうかと用意していた自分用のデジカメを取り出して足早にベッドに近づく。

 

「あの、今日は本当にありがとう。その……」

 

 もじもじと何かを言い掛けていた佐倉さんを強引に押し倒す。余韻やムードもあったものではないが、もう限界だったのだ。

 

「きゃっ」

 

 倒れた衝撃で揺れる胸とお腹の中間に膝立ちになって跨った。

 目をぱちくりさせる佐倉さんに自分のデジカメを掲げる。

 

「ごめん。次はこっちで撮影したい。プライベートを色々と」

 

 佐倉さんは言葉の意味を数秒考えて、ボッと顔を紅くした。あのその、ともごもごと口籠りながら忙しなく目線を彷徨わせる。

 急かそうとはせずに真剣な、あるいは血走っているかもしれない瞳でじっと見つめる。

 佐倉さんはチラリとこちらを見上げ、やがてポツリと呟いた。

 

「誰にも見せないで……ください」

「もちろん」

 

 見せるわけがない。

 同意を得るや否や、すぐに身体を倒し佐倉さんの唇を奪う。

 

「んっ……ちゅ、あ、む……ちゅ、ちゅる」

 

 佐倉さんはこちらの服を掴みながらぎゅっと目を瞑る。

 受け身なのをいいことに、やはり普段はつけない少し明るめのグロスを塗った唇に何度もキスを重ねる。

 ぷっくらした唇は柔らかく瑞々しい。整った顔が眼前に広がり、芳醇な香りが鼻孔を抜ける。そして大きな胸の先がちろちろと身体を掠める。

 急かす心を落ち着けながら舌を差し出すと、恐る恐るといった風に佐倉さんも口を開ける。

 

「ちゅ、ちゅっ……ん、ふっ、んじゅる……じゅ、るるっ……んぁ、んむちゅ」

 

 舌と舌が絡まり、押し引きしながら互いの口内を水音をたてて舐めあう。

 その淫らな音にまた顔を赤らめながらも、次第に佐倉さんも積極的に舌を使い始める。手の位置も徐々に上へ上へと移動し、こちらの後頭部を包んで引きつける。より深く繋がるように唇を押し付け合い、貪り合う。

 

「じゅ、じゅるっ……ん、ぷ、あぁ……んんぅ、ちゅ、ちゅる……んあっ、あっ……」

 

 顔を離すと、佐倉さんは惜しむような声とともに陶酔した表情でこちらを見上げる。

 どちらの物かもわからない唾液で唇を濡らす佐倉さんを、まずは一枚。

 佐倉さんは恥じらいながらもはにかんだ笑顔を見せた。それはまさしくアイドル雫の顔だった。

 そのサービス精神にズボンの下で窮屈にする肉棒がビクン震える。もう一時の我慢もできず、手早くズボンのチャックを降ろしソレを曝け出す。

 

「っ……」

 

 ビンビンに張りつめた肉棒を自分の胸越しに見つめる佐倉さん。変わらず赤面したままだが、その目は赤黒いモノを捉えて離さない。

 

「動かないでね、佐倉さん」

 

 腰を進め、肉棒をゆっくりと山と山の間に埋没させていく。どこまでも柔らかな乳肉に包まれていく肉棒。先走りがどんどんにじみ出るのがわかる。

 

「んっ……あ、つい……」

 

 佐倉さんがそう言って身を捩り、胸を揺らすものだから、肉棒の先っぽが谷間から顔を出した頃にはこちらも色々と歯止めがきかなくなっていた。

 ガバッ、と両手を水着越しに彼女の胸に覆い被せる。

 

「ん、ぁんっ!」

 

 佐倉さんは声をあげ、こちらはその感触に電流が走る思いだった。

 このグラマラスな胸は何度触っても新鮮な心地よさを与えてくれる。広げた五指がすっぽりと埋まり、それでもなお掌から零れ落ちる。ふかふかの柔肉は揉みしだけばそれにあわせて形も変わり、そのつど佐倉さんが切なげに、あるいは甘く声を漏らす。

 

 いくら触っても飽きることがない。

 玩具を手にした子供のように我が物顔で乳を弄びながら、腰を前後に動かす。

 

 先走りと汗で濡れた谷間は滑りがよく、肉棒は佐倉さんの胸を擦りながら行き来する。乳を寄せればたわわな肉が優しく包み込み、増々勢いづく。

 

「んんっ……あっ、んう……ん、あぁ」

 

 少し強めに乳を弄っても、佐倉さんは肉棒の熱さに蕩けるように喘ぐだけである。

 

「佐倉さん、自分で胸おさえてくれる?」

「あ、うん……ん……っしょ……こう、かな……?」

 

 佐倉さんは言われた通りに両腕を使って自分の胸を端から押し付ける。

 空いた手で写真を撮る。自ら胸を寄せ上目づかいで肉棒に奉仕する佐倉さんの姿がデジカメに収められた。

 

 腰の動きが意図せず早くなる。射精に向けて本能がそうさせているのがわかる。

 それに抗おうとはせず、佐倉さんの手にこちらも両手を重ね、本番さながら、もしくはそれ以上の無遠慮さで腰を胸に打ち付け、肉棒を擦過する。

 

 佐倉さんもこちらの限界が近いことを悟ったのか、指を絡めるようにして共に乳を押さえつける。

 

「佐倉さん、顔に出すよっ」

「うんっ……いい、ですっ、んっ……出して、くださいっ」

 

 部屋に来た時から溜りに溜まっていた精液は肉棒を一瞬にして駆け上り、その先端の小さな穴から迸るように飛び出した。

 

 今日初めての絶頂に頭がぐわんぐわんと揺れる。

 胸に挟まれた肉棒はその目標を見失うことは無く、佐倉さんの顔に容赦なく精液を放ち続ける。瞬く間に唇や頬など顔全体を白く染め、さらに鉄砲水のように射出される白濁液は髪の毛までをも汚した。

 

「ん、あっ……あ、つい……ん、んくっ……ぁぁ」

 

 佐倉さんは目を瞑りながら降り注ぐ熱を受け止め、感嘆に近い声を漏らす。

 長い射精が終わり、細かく震えながら肉棒を胸から引き抜く。その際、肉棒の先に残っていた精液が胸との間に一筋の橋を作り、それがまた妙に艶めかしかった。

 

 息を乱しながら佐倉さんを見下ろす。

 

 胸の谷間から髪までを台風が通った後のように白濁液に蹂躙された佐倉さん。ドロリとしたそれはゆっくりと肌を伝い落ち、瑞々しい柔肌が今この時も汚されていく様はあまりにも淫靡だった。

 

 当然その姿も写真に収める。

 

 そして膝立ちのまま移動し、肉棒を佐倉さんの口元に差し出した。元より一度の射精で収まるはずもないそれは、萎えることなくその威容を誇っている。

 目元を拭った佐倉さんがこちらを見上げる。

 

「佐倉さん、舐めてくれる?」

 

 すると佐倉さんは頬を緩め、うん、と躊躇なく目の前の肉棒にキスをして。

 

「ん、ふっ、ちゅ……じゅる、んあっ……んっ、んっ、ふ、んあ」

 

 肉棒をしゃぶる佐倉さんを、その快感に耐えながら撮る。ひたすらにシャッターを切る。

 

 喉奥まで咥え込む。口をすぼめて吸いつく。頬に擦りつける。舌で舐めとる。鼻先で臭いを嗅ぐ。

 

 佐倉さんと肉棒のありとあらゆる淫乱で下品な写真をコレクションしていく。

 その途中途中で佐倉さんはこちらに目線を向け、まるで彼氏とツーショットをとるように肉棒を愛でるさまをカメラにアピールする。

 

 ゾクリ、とまた背筋が震える。

 現役のグラビアアイドルの肢体を弄び、精液で汚し、肉棒を掃除させ、その姿を自分だけの記録として残す。

 その征服感と優越感に勝るものはない。

 暗い欲望は下半身を滾らせ、危うく二発目をぶちまけてしまうところだった。

 

「ありがとう。もういいよ」

「ん、ふぁい」

 

 佐倉さんは肉棒を口から引き抜き、手で優しくこねながらこちらを見上げて気恥ずかしそうに笑った。

 

「いっぱい撮れたよ」

「もう、恥ずかしいよ」

 

 佐倉さんは拗ねたように唇を尖らせる。

 カメラを操作し、写真から動画へと切り替える。そしてさりげなくレンズをベッドに向けてサイドテーブルに置く。

 すぐに佐倉さんの足先に回り込み、立ててある膝を開いた。

 あっ、と佐倉さんはそちらに気を取られて顔を紅くし、

 

「あ、あまり見ないでください……」

 

 と消え入りそうな声で呟いた。

 その理由はすぐに分かった。開いた足の付け根部分、女の丘を包む水着の色が変わり、濡れていた。それはベッドの上のシーツに染みを作るほど滲んでいた。

 その上、水着はギリギリまで股に喰い込み、くっきりと溝を浮かび上がらせていた。乳を弄られている時も、肉棒を弄っている時も絶えず足を擦り合わせ、直す余裕がなかったのだろう。

 

 水着ごと奥に押し込むように指を秘所に埋める。

 

「くぅ! ん、あぁ……ンっ、あぁんっ」

 

 佐倉さんは切なく声を漏らし、脚でシーツを握りしめる。

 膣を軽く撫ぜてから指を引き抜くと、根元から爪先まで万遍なく蜜に濡れていてた。もはや前戯は必要無しと判断し、びちゃびちゃに濡れた水着をずらして肉棒を膣口へと宛がう。

 

「挿れるよ、佐倉さん」

 

 言いながら腰を押し出して傘を埋没させ、一息に突き入れた。

 

「ンぁぁあッッ!!」

 

 嬌声をあげる佐倉さん。

 歯を食いしばりながら腰を引き、また挿し入れる。最初は一定のペースで、とろとろの膣の感触を楽しみつつ、佐倉さんの息遣いに耳を傾ける。

 

「んっ、んっ、くぅっ……あっ、あぁんっ……はぁはぁ、あッ、んっぅ!」

 

 胸に負けず劣らずの立派なお尻をぐにぐにと揉みながら角度を変えて膣壁を擦りあげる。

 

「あぁんッ! そ、そこ、んぅっ! き、きもち、あっ! いい、ですっ! く、ううぅ!」

 

 官能に悶える佐倉さんの姿に、腰の動きが徐々に早くなっていく。すると当然、二つの大きな乳房も動きに合わせて上下に揺れる。動きを強くするにしたがって踊るように跳ねるそれらに目が釘づけになる。

 

 その誘惑に抗えるはずもなく、また両手で鷲掴みにする。

 

「やぁんッ!」

 

 今度は水着の下から手を入れ、柔い乳肉を直に肌で感じる。汗と先走りでぬるぬると滑り、さっきとはまた違う感触に忙しなく指が動く。

 水着がズレ、ぷっくらと浮き出た乳首が顔を出す。

 

 どうしてこう脱げかかった水着というのは蠱惑的なのだろうか。

 肉棒が熱くなるのを感じながら乳首を摘み上げる。

 

「あぁあんッ!!」

 

 佐倉さんは一際甲高い声をあげ、膣がキュンと肉棒を締め付ける。また、腰の動きが早くなる。

 しばらくの間、互いに息を荒げながら行為に耽った。汗が飛び散り、ベッドを揺らす。十指は縦横無尽に胸を揉みし抱き、肉棒は奥を突きあげる。上と下から絶え間ない快感が生まれては脳を駆け巡り、天にも昇る心地よさに狂乱しそうになる。

 それは佐倉さんも同じようで、先ほどからだらしなく口を開いて甘美に喘いでいる。普段は処女のように恥じらいながら感じる彼女にしては珍しい官能ぶりだ。

 

 その理由には心当たりがある。

 悪戯心を起こして少し動きを止めてみた。

 

「あっ……はぁ、はぁ……?」

 

 佐倉さんは息を荒げながらこちらを見て、訝しげに首を傾けた。

 そんな彼女の耳に顔を寄せ、ほとんど確信をもって尋ねる。

 

「佐倉さんさ、もしかして今日こうなること期待してた?」

「っ」

 

 佐倉さんは息を呑み、カーッと顔を紅くする。

 

 やはりそうだったのだ。最初から少しおかしいとは思っていた。いくら佐倉さんに友達が少ないとはいえ、いないわけではないのだ。異性はあれとして、同性の友人でこのようなことに喜んで付き合ってくれる者を何人か知っている。

 

 そんな人たちではなくわざわざ男に頼むことが、いくらそういう仲だとはいえ、彼女の性格からしてあり得ないのだ。何か別の目的があると考えるのが自然だ。

 それがこの、学生という身分、そしてグラビアアイドルという立場からすればあまりにもふしだらでいかがわしく、背徳的な行為だったのだ。

 

 もちろん写真を撮ることが一番の目的ではあったろうが、その先を想像していたかどうかは、彼女の乱れようと今の様子を見れば一目瞭然である。

 

 佐倉さんは耳まで紅くして目を伏せている。

 

 これ以上の追及は可哀そうなので腰の動きを再開させようとした時、佐倉さんは呟いた。

 

「こういう格好をすれば……その……喜んでもらえると思って……」

 

 心臓が大きく高鳴る。

 

 佐倉さんは普段の自分をグラビアアイドル雫と重ねて見られるのを嫌がる。だから一緒にいる時は彼女を佐倉愛里としてしか見ない。

 

 そんな彼女が自分から、アイドルであることを推しだして行為に臨もうとしていたのだ。元から尽くすタイプではあったが、その健気さに興奮するなと言うほうが無理な話だ。

 

 もう何も言うことはなく、佐倉さんに覆いかぶさりまた唇を重ねる。

 

「ん、ちゅ、んぁ、んっ! ふっ、ンンっ! ちゅ、ちゅる、んぅぅ!」

 

 頭を抱えるように抱き着き、同時に腰を打ち付ける。無茶苦茶なド素人のようなやり方だが、今はとにかく佐倉さんを全身で感じたかった。

 それは佐倉さんも同じ想いのようで、足を絡め、胸を潰れるほど押し付け、こちらの頭を掻き抱いている。

 汗だくの身体を淫らに、淫靡に擦りつけ合う。一生このままでいたいと思わせるほどの夢心地だった。

 

 だが無情にも限界はやってくる。下腹部が熱くなるにつれ、肉棒が落ち着きなく震えるのがわかる。

 

「う、ぉお・……佐倉さんっ、佐倉さんっ!」

 

 低く唸りながらスパートをかけていく。手は再び胸を揉み、腰もあわせてほとんど意思とは無関係に、本能によって荒々しく雌として完璧に近い肉体を蹂躙する。

 

「あぁ! あぁぁ! ンっ、くぅう! あっ! あっ! あっ! だ、めですっ、そんなに、つよくした、らぁ! んあぁっ! きもち、よすぎてっ! りょう、なのにっ、こえがっ! あぁんんっ!!」

 

 激しすぎるほどに犯されているというのに、佐倉さんはその痛みさえ快楽に感じているようだ。そして本人の言う通り声が段々と大きくなる。隣の生徒に聞こえてしまうのではないかというほど。

 けれど二人とも止まらない。止められない。

 

「佐倉さんっ、そろそろ出すよ!」

 

 佐倉さんはコクコクと頷く。

 

「うんっ! うんっ! きょう、は、だいじょうぶ、だからっ、あぁんっ! なかにっ、んぁッ! くだ……さいっ!」

 

 その言葉に最後の心配事はなくなり、無我夢中で腰を振り立てる。天井を仰ぎ、全ての神経を肉棒に集中させる。

 

「うっぁ! あぁ! ぁあ! イ、きます、イきますっ! イっちゃいますっ! くぅうっ! ンっ! ンあぁ! ンくぅ!」

 

 佐倉さんもまた高みへと昇っていく。

 渾身の一突きを膣奥へと挿し貫き、こねくり回した。

 

「くぅっ、あぁンッ! ああッ! ッーーーーーーーー!!」

 

 佐倉さんがあらん限りに鳴き、肉棒は膨張して精を放った。

 

「ッッッ!!!」

 

 跳ねるように腰を浮かせてイった佐倉さんを両手でしっかりと掴み、蠕動するように精液を吐き続ける肉棒を腰ごと押し付ける。本気の種付け行為を無意識のうちに行っていた。

 佐倉さんもまた、恐らく無意識のうちにこちらの腰に足をまわして離すまいと引っ付いている。

 

「う、んぁ……はぁ、はぁ……」

 

 やがて佐倉さんはぐったりと腰を落とし、こちらも射精の終わった肉棒をズルズルと引き抜く。膣から精液が一緒に漏れ出て、さらに収まりきらなかった分も溢れ、ベッドを汚す。

 二回目とは思えない量を彼女の中に放ってしまった。いくら大丈夫な日らしいとはいえ、これは少し危険かもしれない。だが、今は何も考えない。考えても仕方がない。

 

 まだ息を乱している佐倉さんの片足を持ち上げ、まだまだ萎える気配の無い肉棒を精液と蜜にまみれた膣へと再び挿入する。

 佐倉さんは声をあげて制止しようとする。

 

「あっ、ま、まって、くださいっ! わ、わたし、イ、イったばっかりでっ、んんっ、ああぁっ!!」

 

 だがその懇願を無視し、つるりとした足に縋り付きながら腰を前後に揺り動かす。あんな顔をされて、あんな告白をされて、一度二度で終われるはずがないのだ。

 

「ごめん、今日は全然止まれそうにない」

「そ、そんなっ、あぁンっ!!」

 

 佐倉さん涙目でよがり声をあげる。

 

「だ、だめですっ、き、きもち、よすぎてっ、んんッ! わ、わたし、おかしく、なっちゃい、ますっ!」

 

 

 

 

 結局、性欲は留まることを知らず、朝まで佐倉さんを抱き続けた。ベッドで、リビングで、キッチンで、風呂場で、またベッドで。

 

 カーテンの隙間から朝日が差し込むベッドの上で、今日が休みだとはいえさすがにやりすぎた、と反省する。佐倉さんもさっきまでむくれていたが、今は隣で安らかな寝息を立てている。

 

 デジカメの電池はとっくに切れていた。まぁ、今回のことは忘れようとしても忘れられるものではないのでよしとしよう。多分、佐倉さんにとってもそうだろう。

 

 佐倉さんの頭を撫で、あくびを一つ漏らして本物の夢の中へと落ちていった。

 

 



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一之瀬帆波①

♡(ハート)使ってみました。


「今日は付き合ってくれてありがとね」

 

 隣を並んで歩く一之瀬さんが笑いかけてくる。

 その屈託のない笑顔を向けられると今でもドキリとしてしまう。一切の邪気やあざとさがない分、愛嬌と素直さ、そして何よりも単純に、学年でも一二を争う絶世の可愛らしさがストレートに突き刺さってくる。

 

「うん、いや、どういたしまして」

 

 だから、こんなつまらない返ししかできない自分が少し情けない。

 だが一之瀬さんはクスクスと楽しそうに笑うのだった。

 

 

 梅雨が明け、夏を迎えたとある休日。一之瀬さんと数日後に控えた学園主催の豪華客船旅行の買い出しに出かけた帰り道である。

 

 一之瀬帆波。Bクラスのリーダーとして圧倒的カリスマを誇る美少女。その容姿と頭脳を鼻にかけることなく、誰とでも仲良くなりクラス問わず友達の多い人気者。もちろん男達はアイドル並の容姿とスタイルを持つ彼女とただの友達のままではいたくないと思う奴がほとんどで、今日も街中で何度舌打ちを聞いたかわからない。

 

 すでに辺りは夕闇に包まれ、街灯が行く道を点々と照らし出している。

 

「旅行楽しみだねー。私、豪華客船なんて初めて」

 

 無邪気にはしゃぐ一之瀬さんに、そうだね、と応える。この学園のことだからきっと面倒な何かがあるんだろうな、と思いながら。

 

「ね、私たちクラス違うけど多分自由時間とかはそんなの関係ないだろうし、一緒に遊ぼうね? プールとかマッサージもついてるんだってね。あ、部屋に行ってもいいかな?」

 

 こちらの顔を覗き込んではにかむ一之瀬さん。

 聡明な彼女もこれがただの旅行にはならないと予想はしているだろうが、それはそれとしてこの行事を心から楽しもうとしているのがわかる。その純真な所も彼女がB組で支持を得ている理由の一つなのだろう。守ってあげたい、という比護欲をそそられるのだ。

 

 しかしそんな彼女と、関係者しか乗っていない船でこれ見よがしに一緒にいるのは色々な意味で危険だ。街中とはわけが違う。クラス間の無用な対立を生みかねないし、海の上は完全犯罪を成立させるのにもってこいなのである。

 

「皆で遊んだら楽しいだろうね」

 

 それゆえの、この空気の読めない言葉である。

 

「……むぅ」

 

 一之瀬さんは頬を膨らませ、それまでの楽しそうな表情から一転、目を細めてこちらを睨みつける。

 

「そうだねっ」

 

 ふん、とわざとらしく鼻を鳴らし、さっさと歩きだしてしまう。背中から明らかな不機嫌オーラを漂わせて。

 

 あれが彼女の求めていた言葉でないことはさすがにわかっていた。だが致し方ない。まだ死にたくはないのだ。

 どう宥めよう、と遠ざかっていく姿を突っ立って見ていると、一之瀬さんがこちらをチラリと振り返った。徐々に歩調を緩め、やがて少し先の街灯の下で足を止めた。

 バツが悪いのか決してこちらを見ようとはしないし、何も言わないが、すぐに気付く。

 待っているのだ。俺が追いつくのを。

 

「ーーーっ」

 

 可愛すぎるだろう。

 思わず叫びだしそうになる。

 もう寮は目と鼻の先だ。あと百メートルもない。だが一之瀬さんはそのわずかな距離でさえ、一人で歩くことを惜しんだのだ。

 あまりの健気さと愛おしさに倫理観が崩れ落ちていく。往来、それも先述した通り寮の目の前だというのに、今すぐ彼女に抱きつきたい想いで心が一杯になった。

 

 それを寸前で踏みとどまり、足早に駆け寄るに留める。

 

「「…………」」

 

 手が触れるか触れないかの距離で、何とも言えない空気の中並び歩いた。

 結局そのまま一言も話はせず、寮に着く。気持ちは急くばかりだが、不思議と全く悪い時間とは思わなかった。

 

「着いちゃったね」

 

 一之瀬さんが呟いた。こちらを見上げ、寂しげに笑う。

 

「それじゃあ……またね。おやすみ」

 

 そう言ってひらひらと力なく手を振り、寮に入ろうとする。

 だが、ここで女を黙って見送るほど空気の読めない人間ではなく、この悶々とした気持ちを抱えたまま寝つけるほど出来た人間でもない。

 

「待って」

 

 と、一之瀬さんの腕を掴む。

 驚いてこちらを振り返る彼女の目をまっすぐ見る。

 

「少し話さない? 部屋で」

 

 一之瀬さんは目を見開き、みるみるうちに頬を染めていく。

 

「え、と……それって」

 

 視線を彷徨わせた後そろそろと顔を上げる彼女に迷いなく頷いてみせる。

 ますます紅くなって俯く一之瀬さん。

 

 無言の間が流れる。

 

 焦らない。誰も通りかからないことを祈りながらじっと返事を待った。

 やがて、一之瀬さんは自分の胸に置いた手をぎゅっと握りしめ、耳まで真っ赤にし、

 

「……うん」

 

 と頷いた。

 

 

「んっ、あ、ちゅ……んむっ……んっ、んっ……ん、ちゅあ、ん、ふっ、んん♡」

 

 一之瀬さんとキスをする。

 人目を忍んで一之瀬さんの部屋に入り、ドアを閉め、すぐに。二人とも靴を脱ぐ時間さえ惜しんで玄関前で唇を押し付け合った。

 

「ん、ちゅ、ちゅ、んあ……ん、ふっ、んん、ちゅ♡」

 

 話をしようと誘い誘われたにも関わらず、俺たちは部屋に入ってから一言も言葉を交わしていない。キスしよう、とすら口にせず、示し合わせたかのように抱き合った。

 

「んんっ、んぅ、ちゅ、んは……んっんっ♡」

 

 体格の差を補おうと精一杯に背伸びをし、腕をこちらの背中に回してキスをする一之瀬さん。

 踏ん張らなければそのまま押し倒されそうな力強い抱擁。薄着の下から突き出た豊乳がむにゅりと胸の下で潰れているのがわかる。

 一之瀬さんは構うことなくふっくらとした艶やかな唇を積極的に擦りつける。

 

 一之瀬さんはキスが好きだ。

 人目につかない場所でそういう雰囲気になれば外であろうと熱っぽい目で求め、行為の前はいつもこうして執拗に唇を重ねたがる。

 いまだ初心なためか決して上手いとは言えないが、感じ入ったように瞳を閉じ、身も心もこちらに委ねてひたすらに甘えてくる。

 普段の彼女からは想像もできない姿だろう。

 

「んんっ、んっ……ちゅ、んあ……んっっーーー、んんっ……ぷ、はっ♡」

 

 最後に感情のまま目一杯唇を押し付け、一之瀬さんはゆっくりと顔を離した。

 

「はぁ、はぁ」

 

 息を乱し、目尻を下げ興奮に蕩けた瞳をこちらを見つめる一之瀬さん。頬は紅く、汗の滲んだ肌から色香が漏れ出ている。

 たった数分のキスで完全に発情してしまった。

 目の前で見せる同級生美少女の悩ましげな表情にこちらの理性もドロドロに溶かされていく。

 しばらく見つめ合った後、えへへ、と一之瀬さんが照れくさそうに笑う。

 

「なんか、ごめんね。お話しようって言ってくれたのにキスばっかり夢中になっちゃって……」

 

 目線を下げて自分の唇を指でなぞる。唇を合わせた感触を思い出すようにゆっくりと。

 

「キミとキスすると……すごく安心する、から」

 

 噛みしめながら呟く一之瀬さんに際限のない愛おしさがこみ上げる。そしてその蠱惑的な仕草にズボンの下で肉棒が完全に覚醒した。

 

「ベッド、行こうか」

「……うん」

 

 顔を紅くして頷く一之瀬さんを見るのは今日二回目だ。

 

 ドサリ、と一之瀬さんを彼女のベッドに押し倒す。

 長い髪を下敷きにして仰向けに横たわる一之瀬さん。普段彼女はここで友達と何てことない話をしたり、雑誌を読んでいるのだろうが、今は緊張しているのか少し強張っている。しかし同時に隠しきれない興奮がその火照った顔から見て取れた。

 

 一之瀬さんのマウントをとり、まずじっくりと肢体を見おろす。

 黒のインナーに肩出しのブラウス、そして下はホットパンツ。夏らしい涼しげな恰好だ。そのぶん、男の目を奪うためだけに成長したかのような身体とその線が惜しげもなく顕わになっている。

 薄布を押し上げる胸は美しい楕円を描いて浮き出て、ホットパンツから伸びる引き締まった脚は健康的であると同時に、それを見せつけるような格好も相まって、この上ない卑猥さを感じる。

 雌の身体として十分以上の魅力を持ったそれらは、一之瀬さんが動き、喋り、笑うのに合わせてより強調され、より男の肉欲を煽る。

 

 道行く男が皆振り返り凝視していたのを知っている。靴屋の店員が試し履きと言って脚に触れようとしたり、カフェのスタッフが注文に悩む彼女の胸の谷間を上から覗き込んでいたのも知っている。

 虫が花の蜜に惹かれるように、男は彼女に近づき、味わおうとする。

 それらに対する感情は複雑だ。同じ男として共感し、不躾な態度に怒り、無防備な一之瀬さんには不安を覚える。優越感に高揚し、独占欲に胸が焦がれる。

 

「うぅ……そんなに見られたらさすがに恥ずかしい、かな」

 

 一之瀬さんは照れくさそうにはにかみ、隠すように両腕で自分の身体をかき抱く。圧されて形を変えた乳が腕の隙間から覗き、それがより一層淫靡な肉感を引き立たせる。

 きっと彼女は日常的にもこうして無自覚に異性を誘惑するようなことをしているだろう。同級生を。先輩を。店員を。男を。獣を。

 それは俺をひどく焦燥させ、雄としての本能を試されているような気になった。

 

「きゃっ」

 

 気付けば、一之瀬さんの服を下のインナーごと捲り上げていた。薄水色のブラジャーとそれに包まれた豊満な乳が顕わになる。

 強引な俺の行為に一之瀬さんは何も言わず、上目使いにもじもじと身体を揺する。ブラジャーの中で少し窮屈そうに収まった乳が波打つ。

 それがまた俺の欲望を刺激する。

 

「下も脱がすよ」

 

 コクリと小さく頷いたのを見て、ホットパンツに手をかけ、尻、太股とくぐらせていく。

 まん丸とした臀部を包み込むブラジャーと揃いのパンツ。立てた膝の間から覗く中央部分はきゅっと食い込んで引き締まり、女の丘が微かに浮かび上がっている。

 

 ふと思う。

 あの靴屋の店員はホットパンツの隙間からこの下着を見たのだろうか。

 もしチラリとでも見えていたなら、それを男は脳裏に刻みつけ、間違いなくオナニーのオカズにするだろう。

 

 下着姿、裸、そしてセックス。

 

 男がマスをかいている間に必死こいて妄想している光景を俺は目の前にし、今まさに貪ろうとしている。

 言いようの無い興奮と共にズボンの下の肉棒が打ち震える。なんて浅ましく卑屈な精神構造だろうか、と自分でも思う。

 だが、一之瀬帆波という女のあられもない姿を前にしてまともな思考回路でいられる男はいない。優越感に浸るなというほうが無理な話だ。

 

 恐らく俺がこんなことを考えているとは思いもしていない一之瀬さんは、自ら両手を背中に回してブラジャーのホックを外した。

 解放された乳が揺れて、弾む。プルン、という擬音が聞こえてきそうだ。

 真っ赤な顔を俺から背けながらブラジャーを脇にそっと避けた。

 今度は胸を隠そうとはしない。制服、私服問わず、彼女と相対した男が一度は想像する服の下に隠されたそれを顕わにする。

 

 佐倉さんほどではないが同年代女子と比べると十分すぎる大きさ。綺麗なお椀型の美乳でもあり、仰向けに寝転がって中央に谷ができてもその形をしっかりと保っている。

 白い肌には艶があり、胸の先端でその存在を主張するきれいな桜色の乳首がよく映える。モデル顔負けの体型とのバランスも奇跡的なまでに合致している。

 まさに男の理想をそのまま形にしたかのような極上の身体だ。

 

「あんっ♡」

 

 たまらず一之瀬さんに覆い被さった。

 片方の乳を掌を目一杯に広げて鷲掴み、もう片方へはほとんど本能的に顔を埋めて吸いつく。

 

「んっ、あっ♡ まっ、て、そんな、急に、吸われちゃっ、たらっ、ああぁんっ♡」

 

 一之瀬さんが驚きとともに蕩けた吐息を漏らす。

 彼女の乳房に夢中になってむしゃぶりつく。乳を中央から潰すように顔を押し付け、乳輪ごと乳首を口に含んで吸い上げる。

 

「んあぁっ♡♡」

 

 微かに甘じょっぱい味が口の中に広がる。舌で肌を舐めとると、さらにその味が濃くなった。

 だがそれ以上に、赤子のように乳房に食いつき、水音をたてて乳首を弄ぶという行為に得も言われぬ甘美な心地を覚える。

 

「あっ、んぅ♡ ふふ、んっ……もう、そんな、赤ちゃん、みたいにっ♡ あんっ♡ おっぱい、すっても、何も、んくっ……でない、のにっ♡」

 

 一之瀬さんも母性が刺激されたのか、あやすようにこちらの頭を撫でる。だがそうやって余裕ぶっていても声は熱っぽく、二つの乳首はツンと固くなっている。

 それを舌で転がし、指で摘まめばはしたない女の声をあげてしまう。

 

「んんぁっ♡ く、うぅ♡ んんぅ……あっ、ん……ふぅ、んんっ♡」

 

 一之瀬さんは悩ましげに息をつきながら太ももを擦り合わせた。

 残った手でその太ももをやや強引に開かせる。

 

「あっ、やっ、んんっ♡」

 

 なだらかな曲線を描く肉付きのよい脚を撫でさすり、その感触を堪能しながらゆっくりと付け根へと降ろしていく。

 指先が薄布に触れ、そのまま中央に迫ると、一之瀬さんが声をあげた。

 

「あっ、だ、だめっ、んっ……今、そこ、触られ、ちゃった、らっ、ぁぁ♡」

 

 抗議を無視して布ごと指を溝に押し込むと、クチュリ、という水音とともに蜜が染み出した。パンツを汚してしまったことに多少罪悪感を覚えながらも、そのまま更に指を押し進める。

 一之瀬さんは一段と喘ぎの声色を高め、呼応するように愛液が溢れ出して指を濡らす。

 パンツを避け、直接膣中に触れてみた。

 

「んッッ♡ くぁぁ♡♡」

 

 柔肉の感触に指をわななかせつつ、爪を立てないように注意しながら届く範囲を撫ぜる。少しずつ動きを激しくし、挿入する指の数を、二本、三本と増やしていった。

 三本目ともなれば襞の収縮まで感じ取れ、膣全体が指を逃さないように締め付けているのがわかる。

 

「くっ、うぅ♡ そん、なにっ、弄ったら、たら、あっ♡ だ、めっ♡ 私、もうっ、んんっ♡」

 

 一之瀬さんの吐息に熱がこもる。それは絶頂が近いことを告げている。

 上と下の愛撫を激しくする。上は絞るような動きで乳首と乳房をしごき、下は敏感な場所を執拗に刺激する。

 

「んっんっ、んあぁ♡ あっ♡ あっ♡ く、うぅぅ♡♡」

 

 乳をしゃぶる音、愛液を掻きだす水音、一之瀬さんの嬌声がぶつかり合って部屋の中に響く。

 

「んんっ♡ あっ、く、うぅ、んぁ♡ も、もう、い、いっちゃっ、んんっ♡♡」

 

 俺の頭を抱く手に力がこめられる。淫感に溺れ、息づかいが不規則になる。

 

「あっ♡ んぅっ♡ あぁ♡ いッッ……いくっ、いくっ、イクッ♡ イクッ♡ ッッ♡♡」

 

 一之瀬さんが咄嗟に口を抑える。

 その瞬間、

 

「ッッッーーーーー♡♡♡♡」

 

 身体をビクリと震わせ、口を覆い隠した両手からくぐもった長い嬌声を漏らした。同時に腰を浮かし、ぎゅっと締まった膣口から愛液を噴き出す。それは俺の手首を濡らし、ベッドの端まで降り散らした。

 

「ッッーー♡♡ッッーー♡♡ッッーー♡♡」

 

 固く目を瞑り、腰を浮かせたまま小さく痙攣する一之瀬さん。やがてゆっくりとベッドに腰を降ろしていくが、呼吸は乱れたままだ。

 

 声をかけるよりも先に喉を鳴らしてしまう。

 

 絶頂の余韻にひくつき、力の抜けきった身体と表情でぐったりする一之瀬さんに嗜虐心がそそられてしまった。

 いい加減に肉棒も開放してやらなければうっ血してしまいそうなほど硬くなっている。

 

「ごめん、一之瀬さん」

 

 ズボンとパンツを降ろしながら全く不誠実な謝罪の言葉を口にし、限界まで昂ぶった肉棒を晒け出した。

 一之瀬さんの視線を感じながら足元に回り込み膝を開き、いまだひくつく膣口に肉棒を宛がう。当然濡れ具合に問題はなく、傘先が少し触れただけで愛液が滲み出た。

 ぬぷり、と濡れそぼった襞をかき分けていく。

 

「っっ♡♡ んんっ、くぅ……あぁっ、おっ、き、いぃ♡♡」

 

 熱く蒸れる壁がきゅうきゅうと竿を締め付ける。排除するではなく、一部として取り込もうとするように蠢きまとわりついてくる。

 歯を食いしばって鳥肌が立つような快感に耐え、最奥にたどり着く。

 

「ッッ♡♡」

 

 一之瀬さんの身体が微かに震える。膣の締め付けが強まり、結合部から愛液が漏れ出る。

 浅いが、確かに達した反応だ。

 一度の絶頂で敏感になった膣は、奥に肉棒を押し付けるだけで一之瀬さんに痺れるほどの快感を迸らせる。

腰を揺すって膣奥を小突く。

 

「あっ♡ んんっ♡ そん、なっ、奥っ、突いちゃっ、あぁ♡♡ だ、めっ♡ んっ♡ 感じっ、すぎちゃうっ、からぁ♡♡」

 

 徐々にストロークを伸ばしていき、愛液を掻きだすように狭い膣内を往復する。

 こちらの抽送に呼応するように一之瀬さんの喘ぎ声も甘く、高まっていく。

 

「あっ♡ あっ♡ んんぅ♡ くっ、んんっ……はっ、はっ、あぁんっ♡♡ んんっ、も、うっ、っっ♡」

 

 一之瀬さんがまた口を塞ぐ素振りを見せたので、咄嗟に手を掴んでベッドに抑え込んだ。被さるように体勢が変わり、肉棒が杭のように膣奥へと打ちこまれる。

 一之瀬さんは熱を帯びる吐息交じりの声を必死に抑えて頭をふるふると振る。

 

「だ、めっ、声っ、でちゃう、よぉ、んんぅ……くぅ……隣の、子にっ、あぁっ……聞かれっ、ちゃう、からぁ♡」

 

 一之瀬さんの懸念もわかる。

 だが、切なげに瞳を潤ませ、細く折れてしまいそうに艶っぽく囁くのは、むしろこちらの興奮を最大限に煽る行為だ。

 

 それでなくとも俺の情欲はとっくに理性を上回っている。

 身体ごと押し潰すように一之瀬さんに覆いかぶさり、耳元に口を寄せる。

 

「一之瀬さんの、声が聞きたいっ」

 

 そう伝えると、触れ合った彼女の肢体が瞬く間に熱くなり、膣がギュウギュウと収縮した。

 

「~~~っっ♡♡♡」

 

 ぎゅう、と抱き着いてくる一之瀬さん。腕を首に回し、脚を背中に絡ませる。

 

「そんなっ、こと、言われたらっ……もうっ、我慢、できなくなっちゃう、よぉ♡♡」

 

 我慢なんてしなくていい。

 そんな想いを込めて、ピストンに激しさを乗せる。

 

「あぁッッ♡♡♡」

 

 一之瀬さんが耳をつんざくほどの嬌声をあげる。

 

「あっ♡ あぁ♡ んっ♡ んんっ♡ いいっ♡ きもち、いいよっ♡ わたし、さっきから、もうっ、なんかいも、イっちゃって♡ んんっ♡ きみとっ、えっちすると、いつも、くぅっ♡ こわいぐらいっ、かんじ、ちゃってっ♡ あぁんっ♡♡」

 

 大きく開いた口から感極まった喘ぎ声が絶え間なく続く。

 その愛らしい声に脳を蕩けさせながら夢中になって相手を求める。肉棒は膣壁を擦切るように前後し、全体重を乗せた腰打ちが子宮口を穿つ。

 

「あぁ♡ そ、こっ♡ そこっ、もっと、つい、てっ♡ あっ♡ あぁ♡♡」

 

 豊満な胸を腹で潰し、乱暴に腰を突き入れる。

 男は上に乗って腰を振り乱し、女は下で為すすべなく責められる。凌辱にも似た性交に俺たちは極限まで昂ぶった。

 肉棒がはち切れんばかりに膨れ上がるのがわかる。同時に、抗いがたい射精感が背筋を駆けのぼった。

 

「一之瀬さん、そろそろ、出す、よっ」

 

 一之瀬さんは咽び泣きそうになりながら、うんっうんっ、と頷く。

 

「きてっ♡ きてっ♡♡ こんどはっ、いっしょに、イきたい、からっ♡ いっしょに、きもち、よくっ♡ きもち、よくっ……なろ♡」

 

 最高速で限界間近の肉棒を鞭打つ。獣のような唸り声をあげて射精目掛けてひた走る。

 一之瀬さんも快感に堕ちきった嬌声をもはや何の躊躇もなく響かせる。

 

「あっ♡♡ あっ♡♡ あっ♡♡ うっ、くぅ♡♡ んっっ♡♡ あぁああ♡♡」

 

 そうした陶酔の中にあっても、こちらの腰に絡めた脚の力を緩めることは一瞬たりともなかった。

 それは言葉にするよりも明確な、種付けの懇願だ。

 そう頭で認識した途端、溶岩のような熱さが尿道を勢いよくせり上がった。

 

「出すっ、出すよっ、一之瀬さん」

 

「わ、わたしもっ、いっ、く♡ イクっ♡ イクっ♡ イクッッ♡♡」

 

 開いて待ち構えていた子宮口に肉棒を、ねじ込む。

 

「イッッッ、クゥゥゥッッッ♡♡♡♡♡」

 

 弾けるような感覚が下半身を襲う。

 込み上げていた欲望の塊が暴発するように吐きだされた。

 途方もない快感が全身を駆け巡る。腰が自然と震え、尽きることなく注がれる精液が更に膣奥を汚す。

 

「ーーッッ♡♡♡ ーーッッ♡♡♡ ーーッッ♡♡♡」

 

 間違いなく今日一番の絶頂に声にならない声を漏らす一之瀬さん。肉棒が脈打って精液を流し込むたびに膣が細かくわななき、身体をひくつかせる。しかしどれほど快感に気をやっても、手足はこちらを捉えて離さなかった。

 汗だくの身体を押し付け合い、互いを感じながら達し、悶え、浸る。

 俺たちはこの時を一瞬でも長くその身に刻みつけようと、しばらく繋がったまま抱き合った。

 

「……キス、してもいい?」

 

 そう聞いてくる一之瀬さんの声は少し掠れていたが、普段と変わらない落ち着きを取り戻していた。

 頭を上げて顔を見ると、一之瀬さんはいつもの可愛らしい笑みを浮かべていた。

 

 黙って唇を重ねる。

 膣を満たし、子宮を一杯にしてもなお収まりきらなかった精液が結合部から溢れ出る音が微かに聞こえた。

 

 

「ごめんね」

 

 ベッドに寝転がって何とはなしに天井を眺めていると、隣に寝ている一之瀬さんがそんなことを口にする。

 一之瀬さんは両手で枕を抱いて顔半分を隠しているが、こちらを見つめる瞳から彼女が何かしらにバツの悪さを感じているのがわかる。

 

「なにが?」

 

 思い当たらず首を傾げて聞くと、一之瀬さんは目を伏せて枕をぎゅっと抱きしめた。白い胸が押しつぶされではみ出し、思わず目がそちらに引きつけられる。

 二人ともまだ裸のままだ。服を着ようとすると一之瀬さんが腕を掴んで放さないので、仕方なしにこうして、素面のままでは少し恥ずかしい姿で並んで寝ている。

 

 汗をかいた身体で、諸々をふき取ったとはいえ丸出しの陰茎を晒しながら、甘く胸が高鳴るような女の子の匂いがする布団で寝るというのは何ともむずがゆい。ベッドの主である一之瀬さんは何ら気にしていないようだが。

 

 モゴモゴと一之瀬さんが話しだす。

 

「私、今日、すっごく甘えちゃったから、さ……その、重かった、よね? 帰り道でも一人で拗ねちゃって……だから、ごめん……」

 

 この重いはもちろん体重の話ではないだろう。だとしても、全くそうは思わなかったが。むしろ俺の方が周りの男に嫉妬したり優越感を感じたりと、かなり重い。

 こちらが何かを言う前に一之瀬さんは更に続ける。

 

「私、前にも話したけどお母さんと妹の三人暮らしだったからさ……男の人に頼って、甘えたいってずっと思ってたんだ。あ、も、もちろん男の人なら誰でもってわけじゃないよ! キミだけ……今までこんなこと話せたのは、キミだけ、だから」

 

 慌てて弁明していた一之瀬さんが一転して照れくさそうに頬を染め、それからまた少し不安げに眉を寄せたかと思うと、ぎゅっと抱きついてきた。

 

「これからもずっと、ずっと、進級しても、卒業しても、キミにだけ甘えられたら……すごく、嬉しい。佐倉さん達と一緒の時も本当に楽しいけど……時々でいいから、二人きりでこうやってお話したい。私だけを、見てほしい。……あはは……ごめん、やっぱり重いね……」

 

 一之瀬さんはこちらの胸に顔を埋めてその表情を隠した。だが背中に回された腕の力から彼女の想いの丈と不安が伝わってくる。

 一之瀬さんの身体を強く抱きしめる。

 あ、と一之瀬さんは声を漏らし、少し間を置いて同じように腕を回してきた。

 

「ありがとう」

 

 その穏やかな声を聞いてひとまず安心する。こちらの想いも伝わったようだ。あとは愚息が空気を呼んでくれるよう祈る。

 

 



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堀北鈴音①

「んっ、あ、んちゅ……んんむっ、んっんっ……ちゅ、く、んっ、あっ」

 

 満天の星空と煌々と輝く満月の下、俺と堀北さんは唇を重ねる。

 

 小さく顎を上げてぎゅっと目を閉じ、両の手でこちらのジャージを握り、受け身に構える堀北さん。普段大人びている彼女もこんな時は年相応の少女らしさを見せる。

 それでも、月明かりを浴びて艶やかさを増した長い黒髪や均整のとれた面立ちなど、他とは一線を画す美しさは一片も変わらない。

 

「んっ、んぅ……あっ、んっ、ちゅ」

 

 そんな美少女が時折――恐らく無意識に――漏らす甘い声にむらむらと滾る欲望を何とか落ち着かせつつ、優しく啄むようにキスをする。

 小さくハリのある唇を少しずつ濡らし、焦らずゆっくりと堀北さんの情欲にも火を点ける。ジャージの上からくびれを優しく撫でつけ、身体にも熱を持たせていく。

 

「あっ、んん、ちゅ……んむっ、ん、あっ……はぁ、はぁ」

 

 一度顔を離すと、堀北さんは薄く開いた口で少し大袈裟なほどに息を乱し、ぼうっとした目でじっとこちらを見上げる。

 長い睫毛と透き通った瞳に見惚れるように見つめ返していると、ふと正気に返った堀北さんがついと視線を逸らす。

 白磁のように白い頬をほのかに色づかせて何かを言いかけては口を噤み、を繰り返し、やがてポツリと呟く。

 

「本当に……こんな場所でするつもり?」

 

 その問いかけをただ笑って聞き流そうとする俺に、堀北さんは何度目か知れない溜息をつく。

 

 

 ここは学園の所有する孤島、その森の中。学園に課された試験で半ば強制的に一週間の集団サバイバル生活を強いられている真っ最中である。

 

 男女間の対立、他クラスとの駆け引きなどに神経をすり減らしつつ、森の中に見つけた川の近くに拠点を築いたのがつい先日。

 俺と堀北さんはクラスメイトが寝静まったのを見計らい、拠点を抜け出して逢瀬していた。正確に言うと、俺が無理を言って彼女を外に連れ出したのだが。散歩しよう、と。

 

 街ではお目にかかれない夜空を埋め尽くす星々と丸く大きな月のお陰で、森の中でも空が開けている場所を歩くのには困らなかった。

 最初は他愛のない話をした。散歩に乗り気ではなかった堀北さんもこの試験ですでに相当ストレスを溜めていたのか、話を聞くうちに態度を軟化させるようになった。

 何よりも他人との協調が必要不可欠なこの試験は、一匹狼気質の堀北さんにとって地獄そのものだ。それを見越して気分転換を兼ねた散歩に誘ったのだが、どうやら功を奏したらしい。

 

 実際、喧騒とは無縁の自然に囲まれたこの状況はロケーションとして悪くない。二人ともジャージ姿でそこはロマンチックさの欠片もないが。

 そうして川縁を歩き、せせらぎに耳を傾けながらしばらくは散歩を楽しんでいた。

 月明かりに浮かぶ堀北さんの横顔はさらさらと流れる黒髪も相まって神秘的に美しく、それでいて普段より柔らかい表情をみせるほどリラックスしているのがわかった。

 

 その姿に愛しさと情欲がこみ上げるのに時間はかからなかった。

 

 元より健全な少年少女のお忍びデートで終わらせる気はさらさら無かった俺は、拠点から十分離れ、周囲に人の気配もないことを確かめてからアプローチをかけた。

 

 堀北さんの細い腰に手を回し、ぐっと抱き寄せる。

 

「っ」

 

 手を繋ぐなんて青春的な行程をすっ飛ばしたセックスアピール。すでにだだならぬ関係とは言えセクハラにも等しいこちらの行為に、しかし堀北さんは少し意外な反応を見せた。

 一瞬驚きに身体を震わせたかと思うと、視線を避けて逡巡するような仕草を間に挟んでから、触れる程度の力でこちらの身体を押して離れようとする。

 

「誰かに見られたら、どうするつもり……」

 

 顔を伏せてそう呟く堀北さん。馬鹿げたことには、馬鹿じゃないの、とハッキリ言って撥ねつける彼女にとってそれは拒絶の意志ではない。

 

「あっ」

 

 頑なにこちらを見ようとしない堀北さんを傍の巨木に抑えつけて逃げ場をなくし、顔を上げさせた。

 

「っ…………」

 

 目を細めてこちらを睨みつけてくる。が、そこに迫力や冷たさは微塵もない。

 潤んだ瞳と火照った顔からは、何かを期待してしまっている熱と羞恥、それを必死に誤魔化そうとする健気さだけが伝わってくるばかりだった。

 

 ゆっくりと顔を近づけていく。

 

「駄目、こんなところで、だっ、あっ、んんっ」

 

 言葉を遮るように口を塞いだ。

 

「んんぁ……んんっ、ちゅ、んんぅ……んっ、んちゅ、くぅ」

 

 そのまま背中に腕を回して抱きしめると、僅かな抵抗もたちまち萎んでいく。

 ただされるがままに、一度も顔を背けようともしなかったのが、彼女の本心を表していた。

 

 

 そうして、今に至る。

 

 少し考え込んでから堀北さんは再びため息をついて、口を開く。

 

「どうかしてるわ。こんな、いつ誰に見られるかもわからない場所、しかも外でしようだなんて」

 

 顔をあげ、こちらを見つめるその瞳にはどこか呆れや自嘲めいた色が見えたが、迷いは消えていた。

 

「本当に、どうかしてる……私も、あなたも」

 

 そう言って、堀北さんは唇を押し付けてきた。

 

「んっ、ふ……ちゅ、んむっ、あ、んんっ……ちゅ、ちゅるっ♡」

 

 つま先立ちになってこちらの首に腕を絡め、それまで受け身だった分を倍にして返すように積極的な接吻を重ねる。

 そんな彼女の細いな身体を支え、今度はこちらがそれを黙って受け入れる。

 堀北さんのキスは徐々に濃密さを増し、互いの涎が唇の端から漏れ出て混ざり合っても、止める気配はなかった。

 

「んっ、ちゅ、んぁ……んっ、んっ……ちゅく、んっ……ひた、だひて、んっ♡」

 

 言われた通りに舌を差し出すと、すぐに相手の舌で絡め取られた。付け根をくすぐられ、腹を撫でられる。更にこちらの口内をぐるりと一周し、歯を一つ一つなぞり、マーキングをつけていく。

 一瞬、堀北さんが目を細めて笑った。

 優越感か、あるいは独占欲が満たされたのだろうか。

 

 舌と舌は前哨戦のように口内で激しくまぐわい合う。淫らな水音とざらざらした感触、肌に触れる息づかい、鼻腔を抜ける甘い香り。

 その全てに自然と身体が熱くなっていく。

 

 それは堀北さんも同じようで、もどかしそうに揺れたかと思うと、こちらの舌先に吸い付いて強引に自分の口の中に引っ張り込んだ。

 

「んんっ、じゅ、じゅるる♡ あ、んっ、んっ、んっちゅ……んあっ、んむ♡」

 

 唇と唇の境がわからなくなるほどの深さ、激しさ。身体はより密着し、首に回された腕は一時も緩まない。

 何事にも冷淡で斜に構えている堀北さんがこれ以上ないほど濃密なディープキスに夢中になっている。

 俺の思考と理性をドロドロに溶かすのには十分すぎる光景だった。

 

「ちゅ、じゅる……んあ、ん、むっ、えろ……じゅ、ちゅ……んっ♡ ん、あ……はぁ、はぁ」

 

 唇を離した後、息をするのも忘れて行為に浸っていた俺たちは息を整える必要があった。その間もじっと恥ずかしげもなく見つめ合う。

 堀北さんの目には今俺しか映っていない。彼女の兄や、この試験や、クラス昇格のことなどもう頭にないだろう。でなければ、こんなにも無防備に蕩けた視線を向けられるはずがない。

 それがとても嬉しくて、興奮する。

 

 ふと、堀北さんがこちらの身体を伝うように手を降ろし、ジャージの上から股間の盛り上がりをさすった。

 

「キスだけでこんなにするなんてね……」

 

 呆れ気味に呟きながらも、それを撫でる手は止まらない。まるでその大きさと形を掌に馴染ませるように押し付けて上下させ、浮き上がらせる。

 身震いしそうになるのを耐えつつ、じっと自分の愛撫を見つめる堀北さんの耳元に口を寄せ、フェラチオ、をするように頼む。

 

「っ……」

 

 堀北さんはサッと顔を紅くしてこちらを睨みつけ、またため息を吐いた。そして何も言わず膝を曲げ、長い髪が地面に触れないように腰を下ろし、俺の股座に顔を寄せる。ズボンに両手をかけ、少し躊躇しつつ下着ごと引きずりおろす。

 

 いつの間にやら硬く勃起していたイチモツが飛び出て外気に晒された。堀北さんの目の前で傲岸に天を貫くように上を向き、ビクビクと震える。

 外で性器を晒すというのは想像以上に気恥ずかしかった。だが、俺のいきり立ったモノを前にして、目を逸らせずつばを飲む堀北さんの姿が興奮を煽り、止めようなどとは欠片も思わなかった。

 

 堀北さんがチラリとこちらを見上げる。俺が黙って先を促すと、少し不満げに眉を顰めつつも肉棒に向き直り、傘の先にゆっくりと唇を近づけ、

 

「んっ♡」

 

 尿道の入り口にキスをした。

 そのまま唇を擦りつけながら竿を下り、付け根の部分に顔を埋める。

 

「んっ、あぁ、ふぅ♡ あ、んんっ……ん、ちゅ♡」

 

 吐息がこそばゆい場所に吹きかかる。チロリと舌を出して裏筋を舐めあげながらまたカリへと戻る。傘の先は唇で包み込むようにねぶってから、首を回して反対側を下っていく。そうやってねっとりと竿全体を自分の涎で濡らしていく。

 

 ざらついた舌の感触と、ついさっきまで口で味わっていた柔らかな唇が今はグロテスクな肉棒にすり寄っている、という妙な心地良さに身体を震わせる。

 

「ん、あ、んむっ……ちゅ♡ あぁ、んっ……えろ、んん……♡」

 

 はしたなく口を開けて舌を出し、むせ返る肉棒の臭いなど気にも留めず鼻を擦りつける堀北さん。

 端正な顔とグロテスクな肉棒が同じ視界に収まっている光景は中々クルものがある。

 

 こちらが何も言わずとも、積極的に肉棒のイイ所を探して口だけで奉仕する。最初に見せた、仕方なくやっている、という態度はとうに消えていた。本人にそのつもりはないだろうが、今の彼女は従順な雌犬にしか見えない。

 

 クラスの男子がこんな姿を見たら卒倒するだろう。

 征服欲と独占欲がむくむくと沸き上がってくるが、今はまだ堀北さんの奉仕に身を委ね、竿が先走りと涎でテカテカと濡れていく様を見下ろす。

 

「ちゅ、ちゅるっ、んん、あぁ♡ んっ、んっ、じゅ、じゅるるっ♡」

 

 堀北さんは舌の上に肉棒を乗せると、そのまま迷いなく口内に誘い入れた。唇で亀頭を咥え込み、皮を突っ張るようにズルズルと吸い付く。

 こちらからは、小さな口を肉棒が無理やり押し広げているように見える。これからもこの先も、彼女の口がこんなにも大きく開くのは俺の肉棒を奉仕するとき以外ないだろう。

 

 ふと、視線が合う。

 

「んっ、ふぅ……あむ♡ ちゅ、じゅる……んぁ♡ あまり、こっちを、んんっ♡ みないで、ちょう、だい、んっ、ちゅ♡」

 

 そんなことを言いながらも、堀北さんはフェラチオを止めようとはしない。口内に異物を入れられて淫らに歪んだ顔をむしろ見せつけるようにこちらを見上げている。

 

 生温くとろとろな唾液にまみれる口内で、それらを肉棒に休むことなく塗りたくられる。舌がカリをなぞって垢をこそぎ、チロチロと亀頭を舐められる。

 呻き声を漏らすと、堀北さんは更に深くまで肉棒を咥えた。口をすぼめ、肉棒との隙間を限りなくゼロにして頭を前後させる。

 

「んっ、んむっ♡ んっ、んっ……じゅ、じゅるるっっ♡ ん、むぅ……んんっ♡」

 

 こちらの尻を両手でがっちり抱え、長髪をなびかせて下品な水音とともに肉棒をしごいていく。それまでのじゃれつくような物ではなく、本気でこちらを射精させようとするフェラチオだ。

 

 この時を待ち望んでいた肉棒はあえなく吐精に向けて膨張し始める。限界が近いことを告げると、堀北さんは肉棒を口の中で弄りながら言う。

 

「じゃーじっ、よごふぇない、からっ、んっ♡ ひょのまま、くひのなかっ、ちゅ♡ だひ、て……♡」

 

 もっともらしいな理由をつけて口内射精を許すその言動、視線、仕草の全てが、俺には淫蕩な誘いにしか見えなかった。

 思い切り腰を振り乱してやりたい衝動に耐えつつ、堀北さんに覆いかぶさるように樹に手をついて身体を支える。

 その間も堀北さんは休むことなく、むしろより激しさを増して口淫に励む。

 

「んっ、んむっ♡ んっ、んっ、んっ♡ あ、ちゅ、じゅるつ……じゅ、んじゅるッッ♡」

 

 肉棒が引き絞られ、吸い上げられる。熱いモノが我先にと出口を目掛けてせり上がり、自然と腰がカクついた。

 落ち着きの無い肉棒を堀北さんは頬と舌で逃がさないように受け止め、しごき続ける。

 

 一際大きな快楽の波が背筋を駆け、全身が震え、溜りに溜まった欲望の塊をぶちまけた。

 

「んんっ!! んっんんっっ……んッ、ッ~~~~~~」

 

 その勢いと量に、堀北さんも苦悶の声を漏らす。

 狭い尿道からは次から次へと白濁液が吐きだされる。断続的に跳ね上がる肉棒が頬の裏や歯茎、喉奥を次々と汚していくのがわかる。

 鳥肌がたち、目の前が真っ白になった。腰が砕けんばかりの快感だ。

 

「んんっ、ん、ぶっ……んっ、んんっ……っっ」

 

 最後まで律儀に肉棒を咥えたまま吐精を受け止めていた堀北さんの口から、ゆっくりと肉棒を引き抜いていく。

 堀北さんは精液が漏れ出さないように口を引き結び、その圧迫感にまた残滓が漏れる。

 ちゅぽん、と解放されて弾む肉棒は綺麗に掃除されて艶めいていた。

 

「んっ……んく」

 

 竿に付いていた精液もまとめて拭い取った堀北さんは顔をあげ、口の中のそれを飲み下し始める。

 俺は木に手をついて息を整えながらその様子を眺めた。それに気付かれると、眉を顰めて睨まれ、顔を逸らされてしまった。

嚥下し終えて一息つくと、堀北さんはこちらの股間をじっと見つめる。

 

「……相変わらず、一度出しただけでは治まらないのね」

 

 肉棒は少しも萎えることなく堀北さんの顔の横でビンと屹立している。

 

「あなただけ満足するのは……不公平ね」

 

 腰をあげながらそう言って木に背中を預けると、堀北さんは顔を赤らめつつ自分の服をまくり、ズボンのウエストを下着ごと引き下ろした。

 芸術のように美しい臍から鼠蹊部にかけてが月明かりの下で露わになった。肌は彼女の昂りをあらわすように桃色に色付き、痩せ形の引き締まったくびれを汗が伝う。だが、脚の付け根が濡れているのは汗のせいではない。淫靡な粘着性をもって下着と秘所を繋ぐそれは、今も溝から漏れ出して見える。

 

「もう、準備はできてる、から……」

 

 堀北さんはそれ以上口にしなかった。いつものように顔を逸らして表情を隠す。しかし、目の前の耳が真っ赤に燃えているので意味は無い。

 自ら秘所を晒すなど普段の彼女からは想像もできない。あの堀北鈴音が女の顔で男の種を懇願し、ねだっているのだ。言葉しないからこそ、より生々しく蠱惑的な色香が身体から立ち込める。

 

 これでもかと嗜虐心がそそられた。この雌を孕ませたい、という雄としての本能が勃起し、それをできるのがこの世でただ一人だと言う自尊心と優越感が俺を突き動かす。

 

「んんっ! んっ、ちゅ、く……んあぁ、んんっ♡ あ、んんぅ、ちゅ、ちゅる♡」

 

 堀北さんの唇を奪うと、目尻が下がって瞳がとろんと濁った。もはや取り繕う余裕もなく、すぐに舌を絡めようとしてくる。

 だが俺はさっと唇を離して耳に寄せ、尻をこちらに向けるように言う。

 

「……意地が悪いわね」

 

 そう言いながらも堀北さんは言われた通り背を向けて木に手をつき、尻を突き出す。

 すでに脱げかかっていたズボンを膝まで降ろし、柔らかい曲線の臀部を晒した。

 これでもう互いに誰かに見られたら言い訳のしようもない姿になった。

 

「んっ……」

 

 堀北さんが脚を擦り合わせるのは無意識のうちに秘所を隠そうとしているのだろうが、その仕草はこちらを誘うように尻を振っているに等しい。

 そっと割れ目に手を伸ばし、撫でつける。

 

「あっ♡」

 

 思わずといった風に声をあげてしまい、慌てて口を塞ぐ堀北さん。

 そのまま丘を弄ると、奥からどんどんと蜜が溢れ出して指と地面を濡らしていく。

 

「んっ、くぅ♡ あっ、んんっ……んんぁ、あぁ♡」

 

 人気のない森の中で、クラスメイトの美少女の下半身を露出させて尻を向けさせ、陰部をなぞって喘ぎ声を押し殺させている、という背徳の極みのような状況に頭の中が果てしない高揚感で満たされていく。

 

「んんっ♡♡ んっ、くぅぅ、あっ、まってっ♡ まっ、てぇ♡」

 

 途切れ途切れの言葉に愛撫の手を止めると、堀北さんは項垂れるように肩で息をしてこちらを睨む。

 

「もうっ……じゅんびは、できてるって、言った、でしょ……もう、いい、からっ……あなたの……いれ、て……」

 

 堀北さんは顔を伏せると、今度はハッキリと彼女の意志で尻を微かに揺らし、誘ってきた。

 俺は大きく息を吸い込み、堀北さんのくびれを掴む。肉棒の先を濡れそぼった膣口にあてがい、挿れるよ、と言って返事を待たずに腰を突き出した。

 

「っっっ♡♡」

 

 膣内を淀みなく貫いた肉棒の先が奥を突くと、堀北さんは顔をあげて身体を震わせた。脚がガクガクと揺れ、今にも膝を折りそうだ。収縮する膣と溢れんばかりの蜜が肉棒を包み込んでいくのがわかる。

 愛撫の時にすでに兆候はあったが、堀北さんがこの一突きで軽くイッたのは明らかだった。

 腰を引き、再び肉棒を蠢く膣深くへと挿入する。

 

「あぁあんっっ♡♡」

 

 堀北さんの押し絞るような嬌声に耳朶が震える。そこに普段の怜悧な冷たさは微塵もない。

 肉と肉がぶつかる音と堀北さんの甘い喘ぎ声が静かな森に木霊する。

川のせせらぎがある程度打ち消してくれるが、大自然にあるまじき淫乱でいかがわしい響きは聞こえている以上に耳に残りやすい。

 クラスの皆に聞こえるかも、堀北さんにそう囁く。

 

「そんなっ、こと、あぁんっ♡ いわれ、てもっ♡ んんっ……あっ♡ だ、めっ、こえっ、でちゃ、うっ、んぁ♡ んっ、んっっ……あぁんっ♡」

 

 甘く蕩けた声と共に、降参するように、あるいは懇願するように首を振る堀北さん。

 

 実際は拠点からかなり離れているので問題ないはずだ。そのことを堀北さんもわかっているかは不明だが、肉欲に溺れた彼女に声を抑えるという選択肢は元々ないようだ。

 せめてもの、と堀北さんに重なるように少し身体を曲げ、腰を掴んでいた手を片方彼女の口元に持っていき、指を唇に押し付けた。

 

「んっ、あっ♡ んっ、んっ……あ、むっ、ちゅ、ちゅるっ♡ ん、ちゅ♡」

 

 堀北さんも意図を察してその指を口に含んで吸い始める。これで多少は声を抑えられるかもしれない。

 爪を立てないように気をつけながら口の中を弄ると、堀北さんは慌ててそれに追いすがる。

 

「あ、んちゅ♡ んっ……あっ、んんぅ、ちょっ、とぉ、あっ……え、うぅぅ」

 

 ちょっとした悪戯心で堀北さんの口内を弄り回してみた。裏頬を撫で、歯茎をなぞり、舌を抑える。指をびちゃびちゃと濡らしながら隅から隅まで蹂躙していく。

 

「やめっ、な、はい……あっ、ん、くぅ♡ あっ、んん、えろっ……よだれ、がっ、あぁんんっっ♡」

 

 頬を引っ張り、無理やり口を開けさせる。膣内の肉棒を揺すれば喘ぎ声とともに涎があふれ出し、手首にまで伝ってくる。

 

「あっ、えうぅ、んんっ♡ えろっ、ん、んんくっ……も、うぅ……あっ、んろっ」

 

 堀北さんはされるがまま、口を弄られ続ける。今彼女は普段の面影など微塵も感じさせないほどだらしない顔をしているのだろう。目尻に涙をため、涎を垂れ流している。

 その無様とも呼べそうな様を正面から見られないのは少し口惜しかった。

 などと考えていると、指を、カリッ、と噛まれてしまった。

 こちらを振り返った堀北さんが口の周りを涎で汚しながら鋭く睨み付けてくる。

 

 少し調子に乗りすぎたらしい。

 苦笑して謝り、腰の動きを再び強める。

 

「んんっっ♡♡ あっ、あっ、あぁんっ♡ ん、くぅ♡」

 

 堀北さんの嬌声が一際高くなる。膣が肉棒を催促するように締め付けてくる。

 犬のような格好で後ろから突かれ、犬のように舌を出して、口内を好き勝手に遊ばれて喘がされる姿は、彼女にとって屈辱だったことは確かだ。だが、この上ない快感でもあったらしい。

 堀北さんの被虐性にますます興奮を募らせ、潤沢な愛液でとろける膣中を擦り切るように侵していく。

 

「んっっ♡♡ あっ、んんっ、ちゅ、あ、んんちゅ……んっ、あぁんっ♡ んんっ、むぅ♡」

 

 髪は大きく揺れ動き、服がまくれて白いブラジャーが覗く。膣壁は断続的に律動して肉棒を絡め取り、腰を引いたほんの一瞬の間さえ惜しむようにわななく。

 動きを大きくすると先ほどの音の中に粘っこい水音が混じり、弾けた雫が辺り一面を濡らす。

 全ての反応が大きな絶頂に向かっていることを示していた。

 

「あっあっ♡ んんっ……そ、こぉ、あっ、んんっ♡ そこっ、きもち、いいっ♡ あなたのが、あたっ、てっ、あぁんっ♡」

 

 一呼吸ごとに吐息が熱っぽくなり、指を舐めるのも忘れてよがる堀北さん。

 誰かに聞かれる心配などとうに消え失せ、俺たちは盛り合った。

 両手でくびれを掴み直し、スパートをかけていく。

 

「あっ、あっ、あぁっ♡ んっ、お、くっ♡ おく、にっ、あぁっ♡ んんっっ♡」

 

 堀北さんの身体を引き寄せ、自分の身体を押し付け、奥を穿つ。一突きごとに肉棒の先が子宮の口を開いて広げていく。

 その都度、堀北さんは極まった声をあげる。

 容赦のないピストンは、ここに出す、と伝えるためでもある。俺は堀北さんを本気で孕ませる気でいた。

 

 ふと、堀北さんがこちらを振り返る。珠汗の浮かんだ顔に今度は笑みを浮かべ、言う。

 

「じゃーじ、よごすとっ、あっ♡ んんっ……いけないっ、からっ、んっ♡ ……なかに、だし……て♡」

 

 それは俺の心を読み取った、先程と全く同じもっともらしい理由をつけた、中出しの要求だった。

 俺は軋むほど歯を食いしばり、ただただ絶頂に向かって猛然と腰を振りたくった。この肉棒の形、そして味を刻み込むように。

 程よい肉付きの堀北さんの尻たぶが波打つ。その波は全身に伝播し、叫びに近い嬌声を震わせる。

 

「あっ、あっ、あっ♡ わたしっ、もうっ、んんっ♡ い、くっ、いっちゃ、うぅ♡ あっ、んっ、くぅぅ♡」

 

 膣の蒸れるような熱と収縮からも、堀北さんの絶頂が近いことを感じる。

 今にも崩れ落ちそうな華奢な身体を腰から持ち上げ、肉棒を突き上げていく。

 

「っっっっっ♡♡♡」

 

 結果としてそれが敏感な膣壁を擦り、堀北さんはつま先立ちのまま全身をビクつかせて潮を噴いた。膣中がそれまでにないほど縮こまり痙攣する。

 堀北さんの愛液に下半身を濡らしながら、俺は責め続ける。

 

「あぁぁっ♡♡ まっ、てっ♡ まっ、てぇ♡♡ わたし、もうっ、いった、からっ♡ いった、からぁぁ♡♡」

 

 待て、という言葉を今は聞き入れることはできない。すでに俺の下肢では二回目の濁流が今しも堰を切ろうとしているのだ。

 痕が残るほど強くくびれを掴み、最高速で限界間近の肉棒を鞭打つ。まるで掻きだされているかのように愛液が飛び散る。

 

「あっあっあぁぁ♡ あっ、んんぅぅ♡ んっ、くぁあぁんっ♡♡」

 

 身体を揺さぶられ、言葉にならない声をあげることしかできない堀北さん。幸運だったのは、その時間が長くは続かなかったことだ。

 

 電流が背筋を昇る。呼吸が止まり、脚に力が入る。

 俺は獣のようにしゃがれた声で、出すよ、と言って膣の一番奥へと肉棒を突き入れた。

 

「んんっっっーーーーーー♡♡♡」

 

 その瞬間、再び膣が打ち震えた。肉棒との隙間から蜜がとめどなく溢れ落ちていく。

 

「っっ♡ っっ♡ っっ♡」

 

 堀北さんは苦しそうに背中を上下させ、声を発するのもままならないほど感じ入った。

 

 それはこちらも同じだった。

 満天の夜空を仰ぎ、しかし視界に何も映っていない。頭の中が明滅し、脚が笑う。

 クラスメイトへの本気の種付けは意識が飛びそうになるほど気持ちよかった。今もどくどくと精液が膣内と子宮を満たしている。

 この吐精が終わるまでは堀北さんから離れたくない。

 その一心で、倒れ込みそうになるのを耐えながら彼女の腰を掴み、いつまでも肉棒を押し付けていた。

 結局、膣を満たしてもまだ精液の奔流は収まらず、漏れ出た粘液が地面に溜まりを作ってようやく、柔くなった肉棒が抜け落ちた。

 

「どれだけ出すのかしら……馬鹿」

 

 正気を取り戻した堀北さんに開口一番そう言われるのも仕方がない。

 俺と堀北さんはしばらくの間樹に背中を預け、余韻を噛みしめた。

 

 そして当然と言えば当然だが、服や身体は色々な体液やらでびしょびしょに濡れ、その隠滅に苦心することになる。

 さらに後日、堀北さんが体調不良で試験をリタイアしてしまい、さすがに責任を感じた俺はその後は真面目に取り組んだのだった。

 

 



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ライザのアトリエ
ライザ①


「あれ?」

 

 扉を開けて中に入ると、そこには錬金釜をかき混ぜるライザの姿しかなかった。声の一つもなくアトリエは寂しげにしんと静まりかえっている。

 

「……おはよぉ」

 

 こちらを振り返るライザもやけにテンションが低い。

 

「皆は?」

 

 ソファーに腰掛けながら聞くと、ライザは釜に向き直りつつ、んー、とやはりどこか気の抜けた返事をする。

 

「レントはなんか村のほうで急に力仕事頼まれちゃったみたいでー、タオは家の掃除に駆り出されてー、クラウディアも家の用事がどうしても外せないみたいでー、リラさんとアンペルさんはさっきまでいたんだけど調査に出ちゃったー」

 

 リラさん達はいつも通りだが、全員何かしら所用ができて来られなくなったということらしい。

 

「皆、夕方に一度顔見せてくれるみたいだけど……そんな遅くからじゃ採取行けないし……はぁぁ」

 

 今日の採取を楽しみにしていたライザは大きなため息を吐いた。

 誰が悪いわけでもないので怒ることもできず、珍しく無気力感に苛まれているわけだ。釜を混ぜる肩も心なしかいつもより低く見える。

 

 ライザリン・シュタウト、通称ライザ。

 この隠れ家『ライザのアトリエ』の名実ともに生みの親。レントとタオの幼馴染トリオ、それにお嬢様のクラウディアと、退屈で閉鎖的な日々の中試行錯誤しながら自分を探している少女である。

 

 同じ島の出だが少し歳が離れている俺は、未来ある彼女たちを護り手のアガーテと共に見守っている。

 そして妹分が落ち込んでいる今こそ俺の出番なのだが、こんな時の慰め方を俺は一つしか知らない。

 

「あ~~~っ!! ダメっ! 全っ然ダメ!」

 

 突然爆発したように叫びだし、頭を掻きむしるライザ。ぶつぶつと反省とも愚痴ともとれる独り言を漏らす。

 

「う~~、やっぱりあの材料がダメだった? でも他に代用できる物ないし……そもそも今日はそれを採取する予定だったわけで……いや、でも成功の余地は十分あったと思うし」

 

 頃合いと見て立ち上がり、

 

「一度休憩したら? 頭スッキリさせたほうがいいアイデアも浮かびやすいだろ」

 

 などともっともらしいことを言いながらライザに近づく。

 

「……うん、そうね」

 

 ライザは項垂れたまま頷き、また一つ大きなため息をついた。

 そうしてこちらを振り返ろうとした所を、すかさず後ろから抱きしめた。

 

「っっっ!?」

 

 ライザは驚きに声をあげるのも忘れて硬直し、俺はあえて何も言わずライザの帽子に顔を埋める。

 

 少しの間、アトリエに呑気で間の抜けた静寂が訪れる。

 

 やがて、ギギギギ、と壊れた人形のようにゆっくりとライザが首をこちらに回し、

 

「……ナニシテルノ」

 

 と、ひどい棒読みで問い質してきた。

 顔の位置をライザのこめかみに移し、少女特有の甘い香りに鼻腔をくすぐらせながら答える。

 

「いや、頭をスッキリさせるには『コレ』が一番だと思って」

 

 そう言って、それまでは一応服に触れているだけだった身体をぎゅっとライザに密着させた。

 途端に、干したての布団を包みこんでいるような心地よさが全身に伝わり、服の上からでもわかる、柔らかく、それでいて肉感的なライザの肢体に興奮が加速度的に募っていく。

 

 もーっ、とようやくライザが声をあげる。

 

「そんなこと言って、あんたがやりたいだけでしょっ。は・な・し・な・さ・い・よ~」

 

 身体を捩り、腕を外そうともがく。

 しかしそれは抵抗と言うにはあまりにおざなりで、傍目からはじゃれついているようにしか見えないだろう。

 本当に嫌がっているなら、問答をする間もなくすでに全力で張り倒されている。

 

 だからその形ばかりの抵抗を合意と受け取り、本格的に頭の中に欲望の火をくべた。

 

「あっ、んっっ♡」

 

 薄い夏服から突き出たライザの胸を下から押し上げる。

 たわわで柔らかな乳は自重だけで腕を包み込むように形を変え、上から見下ろすと魅力的な曲線を描く谷間がよりハッキリと浮かび上がっていた。

 

「あっ♡ ちょっ、とっ、ほ、本気? ほんとうに、ここでっ、んっ♡ するっ、の?」

 

 もじもじと身体の動きが恥じらいへと変化するにつれ、声色も少しずつ小さく甘えた物に変わっていく。

 自分のヤル気を示すように乳を鷲掴みにして揉んだ。

 

「あんっ♡」

 

 ゆっくりと円を描くように、ねちねちとできる限りいやらしく、ライザにも熱が入るよう愛撫する。

 

「んっっ♡ だ、めっ、だって♡ アトリエはっ、みんなのっ、んんっ♡ 隠れ、がっ、なん、だからぁ♡」

 

 言葉の上ではまだ理性的な反応を示すライザ。こちらの手に手を重ね、引き剥がそうともしてくる。

 しかし吐息交じりの声はすでに彼女もその気であることを明確に表していた。

 

「大丈夫。夕方までは、俺たちしかいないんだろ?」

 

 耳元でそう囁き、首元にキスをする。

 

「んっっ♡ あざっ、ついちゃう、でしょっ♡ だ、めぇ♡」

 

 ライザが身を捩るほどに裾が捲れあがり、チラチラと可愛らしいへそとくびれが覗く。

 そこから服の中にさっと手を忍ばせ、つるりとした肌を撫でる。くびれに沿って上へと登っていき、下着をずらして直に程よく熟れた果実に触れた。

 

「あっっ♡♡」

 

 ライザは一段上の嬌声をあげ、堪らず壁に手をついて前のめりになった。

 下着から解放され重力に従う乳を下からすくいあげる様にして揉みしだく。際限のない柔さに歓喜した指が縦横無尽に二つの山の間を走る。

 

「んっ、くぅ♡ はぁ、はぁ……あっ、んんっ♡ あっぁんっ♡」

 

 口を掌で覆い、甘い声が漏れないようにするライザ。もう、ダメ、とは言わなくなった。

 そんな余裕もないほど感じているのが、熱く昂ぶった肢体から伝わってくる。

 

 片手で乳を弄びつつ、もう片方の手をライザの太ももへとやった。

 ライザのむちむちとした太ももはほんのりと汗ばみ、指を跳ね返す弾力が心地よい。

 乳房のように激しくは愛撫せず、こちらの手を嫌でも意識してしまうようにねっとりと撫でさする。前から後ろへ、上から下へ。絞るように瑞々しい肉感を堪能する。

 

「やっ♡ んっ、んくっ♡ やらしくっ、撫で、すぎっ♡ ばかぁ♡」

 

 恐らく無意識のうちにライザは足を内股にし、俺の手を挟みこんだ。

 左右から両ももの溢れんばかりの肉に圧迫され埋もれる俺の手。その豊かな感触と温かさに思わず身震いし、動きを止めてしまった。

 

 その隙に息を整えるライザ。こちらを振り返り、ジトっとした目を向けてくる。

 

「ん、もう……いつもいつも、あたしの太もも、いっぱい弄ってくれちゃって……普段からあんたが視てるの、気付いてんのよ」

 

 この健康的でありながら、蠱惑的で匂い立つような色香を醸し出す下肢を見るなと言うほうが、無理な話だ。

 

 悪びれもせずに愛撫を再開する。

 今度はより直接的に、ライザの性感帯を責める。乳は中央で勃起している乳首を指で摘み上げ、足の方はホットパンツごと女の丘の周囲をなぞる。

 

「やっ、あぁっ♡ きゅうにっ、いじらない、で、よっっ♡ んっっ♡♡」

 

 文句が嬌声に上書きされる。

 気付けばライザは投げ出すように身体を折り、尻をこちらに突き出してびくびくと性感に震えていた。

 ホットパンツの下から浮かび上がる下着の線と形の良い臀部からは、こちらの肉欲を煽る雌の匂いが立ち込めている。

 時折尻が揺れると、ライザ自身が誘っているのではないかと錯覚してしまう。

 

 堪らず、ズボンを盛り上げる肉棒をライザの尻の間に挟み込むように押し付ける。

 

「っっっ♡♡」

 

 ライザがそれまでとは明らかに感度の違う反応を示す。

 限界まで勃起した肉棒の前には薄布など無いに等しい。

 

「ちょっ、とぉ♡」

 

 言葉にはしないが、その硬さと熱を肌で感じたライザは想像したはずだ。自分がこれによがる姿を。

 

「っ♡ っ♡」

 

 秘所が疼くのか、しきりに太ももを擦り合わせるライザ。

 

 より肉棒の昂りをわからせるために、ライザの身体を引き寄せて更に密着させる。縦に伸びた肉棒が丁度割れ目に埋没していく。

 その間も乳を絶え間なくこねくり回し、秘所を掌で覆って執拗に擦りあげる。

 

「~~~~っっ♡♡」

 

 同時にいくつもの性感帯を弄りまわされ、声を押し殺して肌を震わせるライザ。

 そうやって身体を捩るたびにこちらの肉棒も尻の間でズリズリと擦られ、興奮のボルテージを高める。

 俺たちは相手の息遣いと熱と情欲を感じながら、急速に欲望を膨らませていった。

 

 だがこれはあくまでも疑似行為。達するには必ず物足りなくなる。

 

 最初に我慢の限界を迎えたのは、ライザだった。

 

「っっ♡ わかっ、たっ……わかった、からっ♡♡」

 

 その言葉に愛撫の手を緩める。

 

「はぁ、はぁ……っ♡」

 

 こちらが弄らずとも、感じ入ったライザは今にも身体を崩そうとする。ゆるゆるとこちらを振り返り、途切れ途切れに言葉を紡ぐ。

 

「もうっ……あんたがあたしと、したいのは、十分伝わったし……相手っ、して、あげるから……ベッドで、しようよ……ここじゃ、釜とか危ないし……ね?」

 

 あくまでも受け身、俺がしたいから仕方なく、という態度をとるライザ。

 しかし、紅く火照り切った表情と時を追うごとに艶っぽくなる吐息、そしていつの間にかこちらの服をぎゅっと掴んで離さない姿を見れば、それが素直な本心でないことは明白だった。

 

 熱の籠った、期待に濡れた眼差しで俺を見上げる。

 

 小さな頃から親しんでいる純朴な田舎娘の、俺しか知らないであろう雌の顔を前に、脳が獣性へと振り切れた。

 

「あっ♡」

 

 ライザの身体を抱きかかえ、半ば強引にアトリエの一角に置かれたベッドに押し倒す。

 

「んっ、もうっ♡ さっきから、強引っ、すぎっ♡」

 

 ライザの抗議を無視して急き立てるようにホットパンツを下着ごと脱がす。

 

「やっ、あぁ♡」

 

 更に勢いのまま存外に柔軟なライザの足を持ち上げ、太ももを抑え付けるようにして俺の目の前で股を開かせる。

 この屈辱的で尊厳も何もない格好にはライザも本気で羞恥に顔を赤くする。

 

「ちょ、ちょっと、こ、こんな格好……や、止め、んんっっ♡♡」

 

 それでも、秘所を舌でなぞりあげてやれば途端に蕩けた声を漏らす。

 

「やっ、だぁ♡ そんなっ、ところ、舐めないで、よぉ♡ あぁんっ♡」

 

 頭を掴んで引き剥がそうとするが、男女の力の差以前に、快感に毒されているライザの手には全く力が込められていない。

 

 頭を撫でるようなライザの手をよそに、蜜壷を堪能する。

 そこは俺が唾をつけるより前からすでに艶をたたえていた。唇で溝を押せば蜜が漏れ出し周りを濡らす。舌で舐めとると、甘じょっぱさが味蕾を刺激する。

 俺だけが知っているライザの味だ。

 それにこのむせ返るような発情した女の匂い。

 性欲に突き動かされている男にとってこれ以上の媚薬は無い。

 

 犬のように舌をライザの秘所に這わせた。

 

「んんっ♡ ん、くぅあぁ……あっ、んぁあ♡ んん、ふぅ♡」

 

 すでに格好への羞恥など消え失せ、ただただうっとりとした嬌声を漏らすライザ。

 

 下の口が物欲しそうにわななき始めたところで、顔を上げる。口を拭い、ズボンを降ろすと、はち切れんばかりに膨れ上がった肉棒が姿を現した。ビクビクと揺れ、今にも意思を持って目の前の穴に襲いかからんばかりである。

 

 息を荒げるライザはこちらを見る余裕もないが、肉棒を結合部に宛がうと、大きく身体を震わせた。

 

「入れるぞ」

 

 そう声をかけると、腕で顔を隠しながらライザは微かに頷いた。

 

 一息に、肉棒を膣中に挿入する。

 

「んんっっ、あぁぁぁ♡♡♡」

 

 ライザの一際大きな嬌声が耳朶を打つ。

 

 膣中は鎔けそうなほどの熱さで、異物を吐き出すように締まっている。だが十分に濡れているお陰で動きはスムーズだ。

 

 腰を引き、もう一度打ちこむ。

 

「あぁんっっ♡♡」

 

 肉棒の先が膣奥、子宮の口に当たったのがわかる。

 下半身を絶え間なく襲う快楽という名の刺激に歯を食いしばりながら、ピストンを始める。

 

「んっ、んっ、んんっ♡ く、うぅぅ♡ あっあぁんっ♡ はげしっ、いよぉ♡」

 

 自分で仕掛けた事とはいえ、長い間焦らされた肉棒はすでにそれほど余裕ではなかった。ゆえに、抽送も始めから激しくなる。

 跡が残るほど強くライザの太ももを掴み、杭を打ちこむように挿入していく。

 

「あっ、あぁぁ♡ くぅぅ♡ だ、めっ♡ そこっ、そんなに、おしつけた、らぁぁ♡」

 

 ライザの弱いところは知っている。衝動に身を任せた動きの中でも、そこを責めるぐらいはできる。

 腰の角度を少し変え、膣壁を擦りあげるように肉棒を挿しいれる。

 

「んっ、あぁあぁぁ♡♡」

 

 叫びに近いライザの嬌声。同時に膣の圧力が強まり、隙間から蜜が漏れ出した。

 

 達したのか、達しかけたのかわからないが、ライザは極まった様子で喘ぎ声をあげ続ける。

 はしたなく口を開き、潤んだ瞳はとろんと濁る。抱え込んだ太ももからはじっとりと珠汗が噴きだし、その間で乳が淫らに揺れ踊っている。

 

 その艶めかしい姿に普段の笑顔や幼馴染たちといる時のライザを重ねると、無性に興奮する。俺の欲望の限りをぶつけ、汚してやりたいと思う。

 

 そんなことを考えていると、急速に熱く滾るモノが込み上げてきた。

 ピストンに激しさを乗せる。

 

「んっ、んっ♡ あっ、あぁんっ♡ そ、そこっ♡ そこっ、いいっ♡ きもち、いいいっ♡  あんたのっ、おおきいの、がっ♡ あたっ、てっ♡ ん、くぅぅ♡」

 

 遂に自らの悦楽を吐露し始めたライザに、ますます劣情が掻き立てられる。

 粘りつく膣壁の絡みを擦り切るように腰を振り乱しながら言う

 

「ライザっ、そろそろ、出すぞっ。中に、出すからなっ」

 

 すると、極限状態にあったライザの瞳に少しだけ正気の色が戻り、こちらの肩をぎゅっと掴んでくる。

 

「ま、まっ、て♡ んんっ♡ きょ、きょう、は、あぶない、ひっ、だからっ♡ なかに、だしたらっ、んんっ……できちゃう、かもっ♡」

 

 官能とはまた違う単純な恥じらいに顔を紅く染めて視線を逸らすライザ。

 

 こんな田舎の島だ。若い娘が身ごもれば瞬く間に島民に知れ渡る。

 俺たちはそう言う関係として見られ、逆にそれに従わなければこの狭い世界では生きていけないだろう。

 

 俺はそれでも構わなかった。

 

 ライザも、まて、とは言ったが、だめ、とは言っていない。

 

 緩めていた動きを再び強め、食いつくように肉棒を押し付ける。子宮の中にまで届くように。これが俺の答えだと言わんばかりに。

 

「あっ、あっ、あぁぁ♡」

 

 ライザは嬌声を奏でながら、呆れたような、しかしどことなく嬉しそうな表情を浮かべる。

 

「んっ、もうっ♡ ばかっ♡ ばかっ♡ あたし、ほんとうにっ、うんじゃう、からねっ♡ あんたの、こどもっ、つくっちゃう、からねっ♡♡」

 

「ああっ、ああっ! 孕んでくれ、ライザ! 俺の種で!」

 

 深く、深く、肉杭を打ちこむ。子宮の口をこじ開け、そこを満たすことだけを考える。

 ベッドが軋み、肉と肉の打ち合う音がアトリエに響き渡る。

 

「あぁんっっ♡♡ きてっ、きてっ♡ あたしのなかっ、いっぱいにしてっ♡ あんたのっ、せいえきで、いっぱいにしてぇ♡」

 

 ライザがキスをねだってくる。

 本能のままに足を割って入り、覆いかぶさって艶やかな唇に貪りつく。

 

「んっちゅ♡ あっ、んんむっ♡ んんっ、んっ♡」

 

 ライザはすぐに脚をこちらの背中に回し、その太ももでがっちりと身体をホールドした。

 

 絶対に離さない。

 

 そんな強い意志を感じながらラストスパートをかける。

 

「んんっ、ちゅ♡ くっ、あぁんっ♡ あっあっ♡ いくっ、いくっっ♡ またっ、いっちゃうっ♡」

 

 ライザと隙間なく抱きあいながら肉棒を鞭打つ。

 

「いくっ、いくいくっ♡♡ イっっっ♡♡」

 

 膨れ上がった肉棒が子宮口を穿った瞬間。

 

「イッッ、くぅぅっっーーーー♡♡♡」

 

 俺とライザは同時に果てた。

 

「あっ、あっ♡ あっあっーーー♡♡」

 

 熱い粘液が注ぎ込まれるたび、ライザは細かく痙攣する。

 

 そんなライザを抱きながら思うがままに精液を注ぎ込んだ。膣内を満たして溢れ出ても、まだ足りない、と腰を捻って種を擦りつける。

 

 ライザもいつまでも足を離そうとしなかった。

 

 吐精が終わってもまだ、俺たちは繋がったまま抱き合っていた。

 

「はぁ、はぁ……」

 

 互いに息を整えているとふと視線が合い、自然と唇を重ねた。

 

「んっ、ちゅ、んあっ……んっ、ぷはっ」

 

 顔を離すと、どことなく照れ臭そうなライザが視線を彷徨わせた後、微苦笑する。

 

「ちゃんと、責任取ってよね。じゃないと、怖いよ、お母さんが」

 

 ああ、それは確かに怖い。

 苦笑を返し、再びキスをする。

 

「んんっ、ちゅ、くあっ、んっふっ♡」

 

 そうしている間にも、また情欲に火がつき始めた。膣内に納まっている肉棒に血が集まっていくのがわかる。

 

 当然、ライザもそれに気付く。

 

「あんた……まだ、んっ♡」

 

 十分な硬さを取り戻した肉棒を少し動かしてやると、ライザが甘い声を漏らす。

 

 子供を作るのに種はあればあるほどよい。

 

 そんなことをライザの耳元で囁く。

 

「んっ♡ もう十分っ、なのにっ♡ あんっ♡ これもっ、あんたが、やりたいだけっ、でしょ♡ んんっ♡ やっ、もぉ♡」

 

 結局俺たちはその後、陽が落ちかける時まで延々と燃え合い、営み合った。

 

 

 

「おーす。悪い、遅くなった」

 

 夕差しがアトリエを染める頃、レント達が姿を見せた。

 

「ライザ、ごめん。今日採取に付き合えなくて」

 

 律儀なタオはすぐライザの元に駆け寄ってバツの悪そうな顔をして謝る。

 ライザは過剰なほどぶんぶんと首を横に振った。

 

「い、いいよ、気にしなくて。家の用事じゃ仕方ないもんね。うん、仕方ない。あ、あはは」

 

 明らかに挙動不審だ。

 

 無理もない。本当についさっきまで『後処理』に追われていたのだから。

 

 髪は所々ほつれ、額には不自然な汗が浮かんでいる。息はどこか艶っぽく、しきりに服を直す仕草をみせる。

 俺だってソファーに座りながら何事もないように振る舞っているが、必死に息を整えている。

 

「そ、そう?」

 

 長いつき合いのタオがライザのその不審な反応に気付かないはずもない。首を傾げながらもそれを追求しないのは藪蛇をしたくないからだろう。

 

「あ、あれ? アンペルさんは?」

 

 ライザが露骨に話を変える。

 そして言われて初めて気付いたが、確かにアンペルさんの姿が見当たらない。

 

「あいつなら村に寄っている」

 

 そう答えたのはアンペルさんの相棒のリラさん。

 だがそのリラさんの様子も少しおかしい。入り口に立ったまま腕を組んでアトリエを見回している。まるで何かを探すように。

 

 ふと目が合い、慌てて逸らす。心臓が早鐘を打つ。

 

 ベッドは直したし、特急でだが掃除もした。問題はないはず、だが……。

 

「ん?」

 

 と、レントが鼻をひくつかせる。

 

「なんか臭わねぇか?」

 

 心臓が跳ねる。視界の端でライザは身体ごと跳ねていた。

 

「そう? 僕は感じないけど」

「いや、間違いない。ライザぁ、お前錬金失敗したろ?」

 

 えっ、とライザが素っ頓狂な声をあげる。

 

「あ、ああ、錬金ね。うん、そう、失敗しちゃったの! あはは、ごめんね。一応、換気はしたんだけど」

 

 勘弁しろよなー、とレントが茶化して、それで話は終わった。

 誤魔化し切れたと言うより、レントにはそれ以外の異臭の理由が一切思い浮かばなかったのだろう。

 

 ライザは胸をなで下ろし、こちらを横目に睨みつける。

 

 あんたの性欲が底なしだからこうなるのよ。

 

 こんなことを言いたいのだろう。

 最後までよがっていたライザに言われたくはないのだが……。しかし、それよりもライザは気付いていないのだろうか。

 

「…………」

 

 リラさんがずっと俺のことを睨んでいることに。

 どうやら、純真な子供は誤魔化し通せても、百戦錬磨の大人には全て見抜かれてしまったようだ。

 

 密かにため息を吐く。

 

 修羅場の予感がする。

 



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