3年A組 銀八先生! (カイバーマン。)
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第零訓 運命の出逢いは時に最悪

天人という宇宙人達の襲来によって、支配された国『江戸』天人達の支配によって江戸の文明は比較的に上昇し、反対に古くから存在していた侍たちは、天人の権力によって強いられた『廃刀令』によって衰退の一途を辿っていた。そして今では稀少種の一人の侍が、こんな時代に不満を言っていた。

 

「ちくしょ~、天人達のせいで俺の財布からマネーがロストしていくよ、ふざけんなちくしょうこの台全然出ねえじゃねえかッ!」

「銀さん、玉が出ないのは天人のせいじゃないと思うんだけど、悪いのはアンタの運と欲望だから、パチンコ台にキレても何も始まらないからね」

 

廃刀令がしかられた江戸で腰に木刀を差した銀髪天然パーマの男、坂田銀時がかぶき町のパチンコ店内で台に向かって椅子に座りながら、ブチ切れていた。それを隣りで疎めるグラサンの男はまるで駄目なオッサン、通称『マダオ』こと長谷川泰三だ。彼も既に財布はほぼ空だ。

 

「銀さんやっぱり駄目だよ今日は・・・・・・一旦出直そうぜ、これはきっと神様が俺達なまけ者に嫌がらせしているとしか思えねえよ、俺もなけなしの金はたいてやっているのに全然玉が出ねえ、今日は家に帰ってHPを回復しようぜ」

「家が無いアンタにんなこと言われても全然説得力無えよ、家どころか宿屋もないアンタがどうやってHP回復すんだよ、やくそうも買えないくせによ」

「うるせえよッ! 俺には公園という名の家があるんだよッ! 無許可だけどさッ!」

「それ家って呼ばねえよ、勝手に住みついてるだけだろアンタが、くそ~もう財布もヤバイし確かに潮時か・・・・・・」

 

銀時が財布の中をチェックしながら長谷川に毒を言う。実はこの長谷川泰三、現在無職でありそのせいで路上生活を余儀なくされている、哀れなオッサンだ。昔は江戸幕府の天人が江戸に来るのを仕切っている、入国管理国局長という立派な仕事を持ち、キャリア道をつっ走っていたのだがとある事件を機に仕事を失うわ、妻に逃げられるわ。

今ではもうマダオ道を全速力でつっ走っていた。

 

「銀さんは良いよな~俺と同じマダオなのに家もあるし、仕事もあるし、暖かい家族もいるんだから、俺なんか家無いし、仕事無いし、妻のハツには逃げられてるからね」

「何言ってんだよ、家って言っても家賃催促してくるババァがうるせえし、仕事だって万事屋稼業だからそんなに収入ねえしよ、暖かい家族ってアイツ等そんな生っちょろいモンじゃないから、熱すぎるからね? もう家の中オーバーヒート寸前なんだから」

「そういうオーバーヒート一家も俺には羨ましいんだよ、アレ? そう言えば銀さんって結婚とかしないの? カミさんとかいれば銀さんの所も少しは安定するんじゃない?」

「俺が結婚する質に見えるか? 結野アナなら文句無しでOKだけどさ、俺の周りの女共はモンスター軍団だからね、結婚なんてする気にもならねえよ」

「ハハハ、だよな~銀さんが結婚なんて想像出来ないもんな、まず銀さんの妻になる人なんてこの世界にいるはず無いし・・・・・・・お来たリーチッ!」

 

二人でパチンコしながらそんな談笑をしていると長谷川が吸っていたタバコを口から落とすほど突然テンションアップする。どうやらパチンコで大勝ちのチャンスが来たらしい。銀時は自分の席から立って長谷川の後ろからそれを眺める。

 

「頼む揃ってくれッ! ここで外れたら俺は断食修行のスタートだッ! 悟りを開いちゃうよッ!」

「いやブッダさん断食修行だけしても悟りは開かないって言ってるからね、長谷川さんの場合は地獄の門が開くだけだから」

「地獄の門なんてとっくに何回も通過してるよッ! もう常連だからッ! そろそろ赤鬼さんと青鬼さんに顔覚えられてるよッ! 頼む揃えェェェェ!! マダオ卒業させてくれェェェェ!!」

 

テンション上がって吼えている長谷川に銀時は哀れと思いため息をついた

 

「駄目だこのオッサンとことん駄目だ・・・・・・ん? なんだこの小さな穴・・・・・・?」

 

ふと下を向いていると銀時の立っている所にゴルフボールぐらいの小さな穴が1つぽっかり開いていた。なんでこんな所にこんな穴があるんだ? 銀時がアゴに手を当て考えていると突然

 

「でッ!」

 

穴がブオンッと音と共に、大きくなり銀時をすっぽり入れるサイズになった。あまりの突然に銀時は驚いてそのまま穴の中に・・この現象に誰一人気付かないのも不思議だが、ここはパチンコ店。騒音が長く響いている大きな場所なので銀時の声も聞こえず、みんな自分のパチンコ台に夢中なので気づかないのだ。

 

 

「アァァァァァァ!!」

「だァァァァァ!! 外したァァァァ!! 断食修行スタートだチクショォォ!!!」

 

銀時は叫び声を上げて落ちていく(ついでにマダオも叫んでる)。

下へ、下へと・・・・・・・まるで底なんか無いように銀時は落ちて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこは普通の人間と魔法使いの世界が混合している世界であり、普通の人間は魔法使いの存在など知らずに生活しているが、魔法使いは裏の世界(魔法世界)に住んでいたり、表の一般世界で普通の人間に魔法使いだとバレないように暮らしている人もいる。

そして表の世界のある魔法使いが住む家にて今1つのアクシデントが舞い降りてきた。否、落ちてきた。

 

「おわッ!」

 

銀時は突然知らない部屋の中に黒い穴から排出され、そのまま床に「うぎゃッ!」っと声を上げて顔面から落ちる。

 

「あ~クソ痛ぇ・・・・・・・何処だよここ俺パチンコ店にいたんだよな・・・・・・」

 

銀時が頭をおさえながら周りを見渡す。ある部屋に落ちたのは確かだが、銀時には見覚えが無い物があふれている。銀時はおもむろに部屋の物を物色しようと、色々と探ってみる。

 

「知らねえモンが多いな・・・・・・ナメック語で書いてある本なんて初めて見たわ、まずここは何処だ・・・・・・? 江戸か?」

 

ひょいとベッドに置いてあった彼には見知らぬ言葉で書いてある本を持って中をパラパラ見る。そして誰のかわからないタンスを見て、本をベッドに放り投げて近付いて行く。そしてまるで空き巣の様に中を調べ始めた。

 

「中には女の下着か、大きさからして子供か・・・・・・てことはここ子供部屋か・・・・・・? 何で俺が子供部屋に落ちてきたんだよ・・・・・・?」

 

タンスの中に入っている物でここにはどんな人が住んでいるのかわかる。万事屋というなんでも屋をやっている銀時にはこういう知識が豊富だ。銀時は他に何か無いかタンスの中をゴソゴソと調べていると、突然階段を駆け上がってくる音が聞こえた。そして突然部屋のドアがバタンッ! と乱暴に開く。

 

「今の音はなんだッ! まさか本当に召喚魔法が成・・・・・・・功・・・・・・・」

 

突然部屋に入ってきた金髪の少女は開けて早々叫んだが徐々にトーンが下がっていった。

 

目の前には自分の下着を持っている銀髪天然パーマの男がいた・・・・・・

「こ、こ、この下着泥棒がァァァァァァ!!」

「違ェェェェェ!! これは誰が住んでいるかという調査であってッ! 断じて違うからッ!」

「何が調査だッ! この変態天パがッ! 下着ドロでここに来た事を後悔させてやるわッ!」

「うおッ!」

 

金髪の少女が銀時に向かって飛びかかる。銀時は持っていた少女の下着をポイッと捨てて、少女を受け止めるもそのままベッドに押し倒された。

 

「まず貴様が盗もうとした下着の持ち主をその脳に刻んでおけッ! 私の名はエヴァンジェリン・A・K・マクダウェル、貴様を塵に変える者だッ!」

 

自分の名を叫んだ少女は銀時の胸倉を掴んでぐらぐらさせる。一方的に犯罪者呼ばわりされる銀時も少しカチンときたのかすぐに反論する。

 

「だから下着ドロじゃねえっつってんだろうがッ! テメェも刻んどけ思い出にッ! 俺は坂田銀時、真っ当な人生を歩む『万事屋銀ちゃん』のオーナーだガキッ!」

「家宅侵入罪の奴の名など覚える訳が無いだろこの私がァァァァ!!」

「好きでお宅訪問した訳じゃねえよッ! 突然俺がいた所に穴が空いてそこから落ちたら、こんな所にポイッされたんだよッ!」

「そんな話信じられるわけ・・・・・・・え?」

 

少女は右手で思いっきり銀時の顔をグーで殴ろうとしたが、彼の声でハタッと止まる。

 

「てことは・・・・・・召喚魔法でお前が呼び出されたって事か・・・・・・?」

「・・・・・・何言ってんのお前・・・・・・? 呼び出されたってここ何処?」

「紛い物かと思い面白半分で召喚魔法をやったら、出てきたのがこんな死んだ魚のような目をした男・・・・・・?」

「何死んだ魚の目って、埋めるぞガキ・・・・・・さっきから召喚魔法って何だよ・・・・・・?」

「おい、お前は魔法使いにここに召喚されたと信じるか・・・・・・?」

「・・・・・・へ?」

 

少女と銀時は互いに混乱を交わらせながら時が止まったかのようにお互いを凝視していた。

 

これがかつて『白夜叉』と呼ばれた侍坂田銀時と、かつて『闇の福音』と呼ばれていた魔法使いエヴァンジェリンの初対面であった。



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第一訓 侍だって教師になれる

当時、プロローグと1話は連載してから一ヶ月後ぐらいに一から作り直しました。

実は初の連載開始の時はあまりにもSSとは言えない内容でして……うろ覚えですがめっちゃ短い上に描写不足だった気がします

そのせいもあってかなり叩かれました、そらもうかなり

でも初っ端から辛口評価を頂いたおかげで、これはもう頑張って見返すしかないなと思い、SSの書き方を勉強しながらなんとか続けていこうと思ったんです。




外はすっかり夜になっていた。

 

「俺がお前に魔法でこの世界に召喚されました? それはわかったから元の世界に帰してくれないかな? 俺向こうで色々と忙しいんだよね、おチビさん?」

「帰し方なんか知らんって何回も言っているだろう、お前の言う『江戸』という国に帰す術など私は知らん」

「チビ人形~このガキ全然使えねぇよ~自分で口寄せしておいて帰せませんだってよ~なんとかしてくれよ~」

「ケケケッ、本当使エナイゴ主人ダナ~」

「お前の世界に送れる事は出来んが、代わりに地獄に送る事は出来るぞ貴様等・・」

 

前回、自分の世界にいた坂田銀時は、魔法使いのエヴァンジェリンことエヴァにこちらの世界に召喚されて、

現在はエヴァの家の小さなリビングにて互いの世界の事情を話し、ソファに座っている銀時はエヴァの従者の一人チャチャゼロという小型人形を両手で持って、銀時の向かいのソファに座っている寝巻き姿のエヴァをイラつかせながら話している。自分で召喚した相手を見ながらエヴァは深いため息をついた

 

「全く・・冗談半分で召喚魔法をやってみたらまさかこんな奴が出てくるとは・・それにしても『天人(あまんと)』、まあ宇宙人の事らしいが、江戸に宇宙人が来襲して支配された世界なんて聞いた事もないぞ・・・」

「俺だって生きている中で『魔法使い』がいる世界なんて漫画や映画でしか見たことねえよ、この世界にもヴォルデモート卿みたいな恐え~魔法使いとかいんの?」

「恐ろしい魔法使いなら今貴様の目の前にいるぞクックック・・」

「チビ人形~この痛い子どうにかして~、言ってる事が物凄く痛いよ~ガキのくせに自分の事恐ろしい魔法使いだってよ~痛々しい、痛々しいよこのガキ」

「ドウニモ出来ネェナ~、ゴ主人ハ一生コンナ子供ダカラナ~」

「いちいちチャチャゼロと会話するなッ! すっごいムカつくんだよお前等ッ!!」

 

相変わらずチャチャゼロと一緒に会話して腹立たしい事を連呼する銀時。そんなふざけた態度の彼にエヴァは額に青筋を浮かべて立ちあがって近付き、とりあえず銀時が持っていたチャチャゼロをひったくってブンッと放り投げる。「ア~レ~」と言いながら家の壁にぶつかり、その場に落ちるチャチャゼロ。そんな光景を無表情で見ていた銀時は目の前で荒い息を吐いているエヴァの方へ顔を向ける。

 

「じゃあ結局俺が帰れるのかわかんないんだよな?」

「うん、わからん」

「・・・・・・」

 

エヴァの一言で一刀両断された銀時の意見。しばらく銀時はそれを聞いて下を向いていたが・・

 

「まあお前の今後は私とジジィが・・むぐッ!」

 

エヴァの言い分を聞かず銀時はいきなり彼女に近付き、彼女の口の中に自分の親指を突っ込んでそのまま思いっきり引っ張る。銀時の先制攻撃に「いふぇふぇふぇッ!(イテテテッ!)」と驚きと痛みを交えてエヴァは思わず悲鳴を上げる。

 

「何がわからんだよテメェェェェ!! 人をわけわかんない世界に勝手に呼んで何だそりゃッ!? この世界で暮らせってかッ!? この世界で一生暮らせってかッ!? 俺の住民票どこッ!? 俺の家どこッ!? 俺の仕事どこッ!? 俺のメシ何処だオラァァァァ!!」

「いふぁいふぁッ!(痛いわッ!)ちゃんほおふぁえのしょふうはふぁんふぁえているふぁッ!(ちゃんとお前の処遇は考えているわッ!)」

 

頬を引っ張られたおかげで理解不能な言語になっているエヴァだが、銀時は理解したのかようやく彼女の口から自分の親指を抜く。解放されたエヴァは自分の両頬をさすりながら恨みがましい目で銀時を睨む。

 

「この私をよくもこんな目に・・くそ、いつか後悔させてやる・・」

「何か言ったかクソガキ?」

「この白髪天然パーマメントが・・まあいいこんな奴を召喚した私が悪い・・こいつの飼育は私がしっくり調教を交えながら飼って・・後は職だな、ずっとウチにいられるのも困るしな・・」

 

エヴァはしばらくブツブツと独り言をしながら銀時をどうするか考える。そんな彼女を銀時は小指で鼻をほじりながらボケーと眺めていた。

しばらくしてエヴァは一人の人物を思い出した、銀時に職を与えれるのはあの男しかいない

と彼女は立ちあがる。

 

「どうしたのおチビちゃん?」

「今からちょっと出かけるぞ、お前の職を提供してくれる心優しい人物の所にな、ちょっと着替えてくるから待ってろさすがに寝巻き姿で行くのはヤダ」

「出かけるって何処にだよ?」

「私の従者の一人がお前の事をジジィに報告している頃だな・・そこに私達も行って職を貰いに行くぞ」

「だから何処だっつーのッ! ハローワークか何かかッ!?」

 

銀時が何処へ行くのかと、自分の部屋に着替えるために階段に登って戻ろうとするエヴァに向かってソファから立ちあがって叫ぶ。少し口から歯を出して、意地の悪い笑みを浮かべてながら彼女は振り返った。

 

「麻帆良学園だ、ちょうど国語の教師が足りないとかあのジジィほざいていたからな、お前確か前の世界で万事屋とかいうなんでも屋をやっていたんだろ? そんなこと仕事にしているなら器用だと思うし、教師ぐらい出来るだろ」

「・・・はい?・・・何言ってんのお前・・・?」

 

ポカンと口を開けて固まる銀時に彼女は満足した様子で自分の部屋に戻って行った。

教師・・いくら器用でもそんなこと一回もやった事が無い・・まず人に物事を教え込む自体あまり無い、人に質問されたら返す程度・・教師など無理だ・・

銀時がそんな事を悩んでいると、床に転がっていたチャチャゼロがケケケッと笑っている。

 

「オ前モ前途多難ダナ~天パ」

「全てテメェのご主人のせいだろうが・・」

 

自分の心を読んでいたチャチャゼロを銀時は拾ってテーブルにポンと置き、乾いた声でツッコむのであった

 

 

 

 

 

 

第一訓 侍だって教師になれる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここは麻帆良学園。この巨大な女子校がある島のほとんどはこの麻帆良学園の所有地であり、学校というより、もはや1つの街と言った方がいいのではないかと思うほどめっさデカい。その学園内のトップが今、自室でこの学校の生徒と話をしていた。

 

「何? エヴァが別世界から奇妙な格好をした銀髪の男を召喚した? いきなりそんな事言われてもの・・ていうか何やってるんじゃアイツは・・その男は大丈夫なんじゃな? 何か目からビーム出すとか、投影魔法が使えるとか、自縛神を呼び出すとかそういう危ない奴じゃったらここにいては困るのじゃが・・?」

「大丈夫です、魔力も持ってないとマスターが言っていましたし、目が死んでいるちゃらんぽらん、持っているのは木刀一本と中身が空の財布のみ、この学園に危険が及ばせる程の人物ではないかと? まあ私を見てすぐに人間では無いとわかったのは凄いと思いましたが」

「その情報聞くと別の意味で危ない奴に思えるんじゃけど・・あとお主がバレるのもわかる気がするんだけど・・だて見た目どう見てもロボじゃん・・なんで気付かないのウチの生徒たち・・」

 

学園内のトップの人物。麻帆良学園理事長の通称、学園長。彼は自室の学園長室にて、自分用の豪華な椅子に座って目の前で無表情で説明している、エヴァの従者でもありこの学園の生徒の天才少女、葉加瀬聡美が作った高性能アンドロイド絡繰茶々丸から、エヴァが召喚してしまった男の情報を聞いていた。

もしその召喚してしまった男が危険人物なら、この学園に危害が及ぶ。学園長にはこの学園を守る義務があるので、仮にそんな男がこの学園内に入ったら即刻排除する気だったが、茶々丸の情報を聞く限りただの駄目人間が来たという結論に落ち着き安心する。

 

「まあそんな奴召喚したエヴァが悪いの・・召喚したなら責任持って元の世界に帰すなり、自分の家で世話するなりしろってあの娘ッ子に言っておいてくれ」

「承知しました」

 

学園長がめんどくさげに言った答えに、茶々丸は相変わらず無感情で頷く。だがその時、学園長室のドアがノックの音もせず開いた。入って来たのは私服姿のエヴァが腕を組んで学園長に向かって歩く。

 

「おいジジィ話がある」

「何じゃエヴァか、何か用? 言っとくけどワシ召喚した奴を元の世界に帰す術なんて知らねえよ?」

「おいおいおい、これがここの一番偉い奴なの? 見た目どう見てもエイリアンか洋梨だろコレ、おいガキ絶対嘘だろ、これここの建物の中に迷い込んだ野良エイリアンか何かだろ?」

「何このいきなりワシに無礼な態度の男・・? いきなりエイリアン呼ばわりされたんだけど・・エヴァ、もしかしてこの男をお前が・・」

 

エヴァの後から入って来て、学園長を見た早々いきなり自分を指差して失礼な態度を取る銀時に、学園長は眉間に皺を寄せた。恐る恐る学園長はエヴァに質問するが、彼女は髪を掻き毟りながら頷く。

 

「まさかこんな奴を呼んでしまうなんて思わなかった・・だが私が呼んだんだから一応私に責任がある、コイツは私の家に住まわせる、それで良いなジジィ?」

「別に良いよ、茶々丸君の情報を聞く限り危険人物では無いってわかったし、どうぞ末永くお幸せに~」

「そろそろ昇天するかジジィ・・」

「で? ワシに他に何かあんの? そろそろ孫娘のお見合い相手を探すというワシの趣味をやりたいのじゃが?」

 

エヴァの言い分にめんどくさげに自分の椅子にもたれながら承諾する学園長に、エヴァはイラつくもとりあえず再び口を開く。

 

「ジジィ、確かこの学園には国語の教師が不足していると聞いたが?」

「そうなんじゃよね~もう困りまくってんだよね~せめて後一人は欲しいんだよね~」

「ほう、ではこの男を教師にしたらどうだ・・?」

「・・・何言ってんすかアンタ・・?」

 

思わず自分の口調が変わるほど呆気に取られている学園長。エヴァが自身満々に指差した男、何時の間にか学園長室のお客様用のソファにゴロンと横になって欠伸をかいている銀時だった。そんな銀時を見ながら学園長は話を続ける。

 

「どう見てもコイツ教師出来ないじゃん・・見た目からして駄目駄目じゃん・・絶対無理よ・・いくら教師不足でもこれは無理よ・・」

「お前の意見など知らん、コイツはこの学園の教師にする、家にずっと居てもらったら困るし何より職も無いプータローを養うなど私のプライドからして出来ん、これはあくまで報告だ決定事項だからな、お前はこの男を教師にするよう手引きをする、わかったな?」

「わかったかジジィ俺を元の世界に帰せ、そうしてお前も自分の星に帰れ」

「いやエヴァの意見も理不尽じゃがそれ以上にこの天パの意見もムカツクんじゃけど・・何でお前を教師にする話がおまえを元の世界に帰す話になっているんじゃ・・しかもワシこの星出身だからね・・?」

 

いきなり自分とエヴァの会話に入ってくる銀時に学園長が冷静にキレながら彼のほうに目を向ける。何時の間にかソファに座っている茶々丸と相変わらず横になっている銀時がテーブルの上でオセロをやっていた。

 

「っておいッ! 人の部屋で何勝手にオセロやってんじゃッ! ていうかオセロなんか何処にあったッ!?」

「銀時様、角取りです」

「は~強すぎじゃねお前? これ負けフラグ立ってるよ俺、全部の角取られたらもう勝つ見込みねえよ」

「ワシの言葉聞いてないしッ! 何コイツッ!? ワシの人生の中でトップクラスのムカツク奴なんだけどッ!?」

 

自分の言葉など全く聞こえていない銀時に学園長はブツブツと小言で文句を言っていると、更に腕を組んで銀時と茶々丸の試合を眺めていたエヴァが追い討ちをかける。

 

「もしこの男を教師にしないと言うならば、その瞬間お前の天寿が全うするぞ、どうするジジィ?」

「どう考えてもワシがお前に殺されるという脅しにしか聞こえないんだけどッ!? 天寿じゃねえよッ! 明らかに殺されるよワシっ! どっちを取ってもこの学園崩壊の危機じゃんッ! ふざけんじゃねえぞコラッ! ワシだってやる時はや―――「何処の港に沈められたいんだジジィ?」・・・うん、こういう教師も悪くないっすね」

 

学園長がカッコ良く決めようと思ったが、話し終えるうちにエヴァのドスの効いた脅しが飛んできた、その瞬間速攻で心変わりする学園長。そんな使いやすい学園長にエヴァは満足げに笑う。

 

「良い返事だ、こいつを教師にするための書類やら何やらは全てお前に任せるぞいいな?」

「何でナギの奴、こんな奴をワシの所に送ったんじゃ・・警備としては最強だけど、性格は最悪・・」

「その長い白髭引っこ抜いてやろうか?」

「すんませんそれだけは勘弁して下さい、これワシのチャームポイント何で」

「どんなチャームポイントだよ・・」

 

自慢の長い白髭を持って、必死に謝る学園長。エヴァは全くチャームではない髭にツッコミを入れる。

 

「じゃあこいつ・・え~と」

「坂田銀時だ」

「銀時が教師として仕事を始めるのは明日でいいじゃろ? 国語担当だけじゃなく、ちょうどいないA組の副担任もやってもらうか」

「何でA組の副担任にするんだ・・?」

「ネギ君に基本、コイツ全部任せる」

「どんだけ無責任なんだお前は・・」

 

ある教師に責任全て押し付ける学園長にエヴァは呆れた・・

ふと時計を見ると時刻は既に午後9時になっていた、エヴァはそれを見て「こんな時間か・・」と帰る準備をする。

 

「じゃあ私達は帰るぞ、おい茶々丸、銀時の服をどっかから調達して来い着物で教師をやる奴などこの時代にはいないからな」

「ロン、九連宝燈(チューレンポート)で役満です48000点」

「うわッ! 『17歩』も強えんだけどコイツッ! 俺一発トビじゃんッ!」

「ってオイッ! 何で麻雀始めていたんだ貴様等ッ!? ていうか何処にあったそんなもんッ!?」

 

今度はオセロではなく突然麻雀をおっ始めている、相変わらず無表情の茶々丸と頭を抱えてショックを受けて立ち上がっている銀時にエヴァはつい大声でツッコんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

銀時とエヴァは二人で家へと帰っていった。茶々丸は「葉加瀬さんの所から銀時様の服を探してきます」と言って別行動になり、会話をする気も無いのでとぼとぼと歩いていた。

 

「・・・・・・」

「・・・・・・」

 

無言で歩く二人、空はすっかり真っ暗で、薄暗くなっている道を銀時が先頭で歩いている。

 

「・・・・・・」

「・・・おい」

「あん?」

 

無言で歩いていたエヴァが突然立ち止まって前を歩いている銀時を呼ぶ。彼もそれにぶっきらぼうに振り返って立ち止まる。

 

「お前はあっちの世界で家族とかいるのか・・?」

「血の繋がった家族はいねえな・・」

「どういう意味だ? 血の繋がっていない家族がいるというのか?」

「まあそういう事だ」

「家族というのは血が繋がっているから家族なんだろ・・そんな家族なんかいるか・・」

 

後ろでポツポツと小声で銀時から目を逸らして喋っているエヴァに、銀時は近付く。

 

「別に血が繋がってなくても家族なんかなれるんだよ、バカやって、喜んで、怒って、泣いて、笑って、またバカやって、そう言う事を一緒にやってりゃあ絆も生まれる、その絆を俺が家族と言えばそれは俺にとって大事な家族だ」

「ふん、大した楽天家だなお前は・・その家族から引き裂いた私をお前は憎いか?」

「あいつ等は俺がいなくても上手くやっていけるさ、俺はあいつ等の事を信用しているしな、それより俺はお前が心配だよ」

「は?」

 

銀時が突然エヴァの頭にポンと手を置く、彼女にとっては長年振りの人の温もりだった。

 

「お前みたいな変なプライド持っている奴は上手く友達作れねんだよな~、お前絶対友達いねえタイプだしな」

「余計なお世話だ・・」

「口寄せやったのも、「自分と喋ってくれる奴でも来て欲しい」とか思ってたんだろ? お前の目前に俺の世界で見た、友達が欲しいのに素直になれなくて絆が生まれる頃には死んじまった奴の目と似ているんだよ」

「・・・・・・」

 

銀時の推理が合っているかどうかわからないがエヴァは深く黙り込む。そんな彼女の頭をわしゃわしゃと銀時は手で掻きむしる、その手を彼女は振り払わず黙りこくったまんまで銀時に視線を向けた。彼はこちらを向いて優しそうな笑みを浮かべていた。その笑顔は昔会った男と何処か似ている・・姿形では無く雰囲気が・・・

 

「安心しろ、この銀さんがお前の遊び相手になってやるよ、俺はガキの子守りは得意でね、お前見たいな生意気なガキでも楽勝だ」

「ちゃらんぽらんで私に対してふざけた態度で接する・・お前はアイツと何か似ているな・・」

「何か言った?」

「何でも無い・・にしてもお前コロコロ性格変わるな・・最初私にあんなナメた態度だったのに、急に優しくなりおって、もしやツンデレか?」

「何がツンデレだこのガキ、髪の毛掻きむしりまくって、俺と同じように髪の毛ぐしゃぐしゃにしてやろうかこら?」

「止めろ止めろ! そんなに私の髪の毛を痛めるな! ハゲたらどうするッ!」

 

エヴァの首に腕でホールドを掻けて逃げれないようにして、もう片方の手で彼女の頭を楽しそうに掻きむしる銀時。

やってる事は子供と変わらない。

 

「家に帰るまでにお前の頭のてっぺんハゲにしてやろうか? ヘヘッ」

「止めろ小学生かお前はッ! 本当にハゲたら氷漬けにするぞッ!」

 

ようやく銀時のホールドから抜け出しエヴァは自分の頭を直す。そんな彼女を見ながら銀時はまだ笑っている。そんな男にエヴァはキッとして睨みつけるが急にしぼんだ風船のように顔を落ちこませる。

 

「悪かった・・」

「あん、いきなりなんだよ?」

「銀時、お前を勝手にこの世界に連れて来てしまって悪かった・・」

「何だそんな事か・・過ぎた事はしょうがねえだろうが、ここでお前と暮らして、先生やって、元の世界に帰り方を探す、今はそれが最善だ、お前の謝罪なんか聞いても背中がかゆくなるだけだっつーの、もう帰るぞ遊びは家に帰ってからだ、行くぞエヴァ」

 

銀時はそう言いながら自分の背中をボリボリとかいて歩き出すがエヴァは立ち止まったまんまだ。銀時は不審に思い彼女の方へ向く。

 

「どうしたんだよ? まさか疲れて歩けないとか言うんじゃねえだろうな?」

「いやさっきお前が私の名前初めて言ったなと思ってな・・ちょっと嬉しかった・・」

 

エヴァは少し顔をほんのり赤らめながら、自分の頬を爪で掻く。そんな彼女の様子に銀時は首を傾げるが「なんだそりゃ」と一言で一蹴してさっさと歩き出してしまった。

 

「これから一緒に暮らすお前の名前言うのがそんなに変なのかエヴァちゃん?」

「ちゃん付けで言うなッ! あと歩くのが早いんだよお前! 少しペースを落とせ!」

「お前の足が短いだけだろうが、デカくなれ、色んな所をデカくなれ」

「余計なお世話だッ! 痛ッ!」

 

走って自分の足に蹴りを入れようとするエヴァの攻撃を銀時はヒョイと避けて木刀を抜いて柄でコツンと彼女の頭を軽く小突く。そんな調子で二人は我が家へと帰っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これが俺の教師用の服か?」

「ハカセさんの研究所から色々とパク・・貰ってきました」

「ていうか眼鏡と白衣がある意味がわからんが・・」

「眼鏡と白衣があれば少しでも知的に見えると思いまして」

「それ俺の見た目がバカに見えるって事かオラ?」

 

家に戻ってしばらく茶々丸の帰りを待っていた銀時とエヴァ。数分経った頃、彼女は服を数枚調達して帰って来た。

銀時はとりあえずそれに着替えてみる。スーツの上に何故か白衣、小さな伊達眼鏡、履いているのは何故かサンダル。教師にはあまり見えない・・

エヴァも銀時の姿を見て、これが教師と認識されるのか? と首を傾げる。銀時も自分の着ている服を色々とチェックしている。白衣を調べているとふと胸ポケットに何かが入っていることに気付く。

 

「タバコかコレ・・? 何でタバコ?」

「前の持ち主が吸っていたようですね」

「おい、これ本当に貰ってきたんだよな? 普通タバコ入れたまんま渡すか?」

「・・・・・・」

「何故黙るのッ!?」

 

茶々丸が目を逸らしたので、銀時は服の本来の持ち主から本当に了承を貰ったのか不安に思うが、とりあえずタバコを胸ポケットに戻して元の服に着替え始める。

欠伸をしていたエヴァは首をコキコキ鳴らしながら自分の部屋に戻ろうとする。

 

「茶々丸、私は寝るぞ、今日は疲れた」

「わかりました、所で銀時様は何処で寝てもらいましょうか?」

「あ~俺はソファで寝るから気にすんなや」

 

銀時はカチャカチャと自分のベルトを締めながら欠伸をかきながら茶々丸とエヴァにに口を開く。

 

「俺ここの居候だしよ、わざわざお前等に寝床作ってもらうのも悪いわ」

「ふん、お前の遠慮など聞いても背中がかゆくなるだけだ、お前らしくない事を言うな」

「微妙に俺がお前に言った台詞と被ってねえか・・?」

「それにベッドぐらいならすぐに用意できるぞ、着替え終わったなら私の部屋に来い」

「はぁ?」

 

エヴァはそそくさと階段を昇って自分の部屋に戻って行った。

着替え終わった銀時は持っている羽織を肩に引っかけて、頭に『?』マークを浮かべている。

 

「俺が寝る用のベッドなんてあんのか?」

「ここから歩いて数キロにベッドが置いてあるデパートがありますが?」

「いやそういう意味じゃないから」

 

ボケなのか素なのかわからないが、とりあえず銀時は茶々丸に軽くツッコんで、エヴァの部屋に行くため階段を上っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で? 俺の寝床何処よ?」

「貴様の目の前にあるだろ」

「いやこのベッドお前のだろうが・・」

 

エヴァの部屋に入って来た銀時はしかめっ面で、目の前で自分のベッドに座って、ふふんと笑っている少女を見る。

 

「お前は何処で寝んだよ?」

「私のベッドに決まっているだろうが」

「そして俺は何処で寝るの?」

「私のベッドに決まっているだろうが」

「茶々丸、さっき言ってたデパートの場所教えてくれ、ちょっとベッド買ってくる」

「おい待てぃ銀時ッ!」

 

エヴァと会話して数秒で後ろに振り返って部屋から出ようとする銀時。それをエヴァは慌てて腰に抱きついて止めた。

 

「この私が一緒に寝てやると言ってんだぞッ! 遠慮するなって言っただろうがッ!」

「うっさいガキ、一人で寝ろ」

「くぎゅッ!」

 

自分の腰に抱き着いて抗議するエヴァの手を掴んで取って自分の腰から引き剥がす銀時、そのまま彼女をベッドに放り投げ、そのままエヴァはベッドに倒れこんだ。

 

「じゃあおやすみ~」

「おい待・・!」

 

そのままバタンと銀時は部屋をバタンッとドアを閉めた。ベッドに投げられたエヴァはベッドの上で体を起こしてあぐらをかきながら、ハァ~とため息をついた。

 

「やっぱりナギの奴と似ているな・・アイツも私が誘っても軽くあしらうだけだったもんな・・」

 

かつての想い人と銀時を比べているとエヴァは相当疲れていたのか、部屋の明かりを消さずにそのままコテンと倒れて眠ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

「銀時様、電話です」

「は? 俺この世界での知り合いなんてお前等ぐらいしかいねえよ?」

「学園長からです」

「あのエイリアンが・・?」

 

一階に戻ってやはりソファに寝ることになった銀時はくつろいでいると、茶々丸が電話の子機を持ってくる。どうやら学園長からの電話らしいが、銀時はめんどくさそうにその子機を受け取る。

 

「何すか? 俺もう寝たいんだけど?」

【ワシも寝たいんだけどね、お前のおかげで眠れないんじゃよ・・色々とお前の教職につける為の書類を作成するの大変なんだよね~本当】

「死ぬほど頑張れジジィ、はい俺のエールで元気になったか?」

【ならねえよッ! ていうか今ジジィつったろッ!?】

 

学園長が向こうで怒り狂っているのがわかるほど声を荒げているが銀時は全く気にしていない様子

 

「ていうか用があるんだろ? 早く言えや」

【本当ムカツク奴じゃの・・明日早朝にワシの部屋に来い、会わせたい先生がおる】

「めんどくせえな」

【つべこべ言うなッ! 明日遅刻すんなよッ! もし遅刻したらパワーボムかますぞッ!】

「いやお前みたいなジジィがパワーボムやったらオメェが死ぬ・・・・・・あ切りやがった・・」

 

自分の用件だけを言ってすぐに電話切った学園長に舌打ちして、銀時は電話を茶々丸に返す。

 

「俺もう寝るわ・・明日早く起こしてくれ、ジジィが話しがあるってよ」

「わかりました、この部屋の電気消しときますね」

 

そう言って茶々丸は部屋の電気を切った。一気に部屋は暗くなり、銀時はそのままソファに寝転がる。

 

「ここでやっていけるかね~?」

「マア為ル用ニナレダナ」

 

銀時の独り言にテーブルの上に放置されていたチャチャゼロだけが暗闇の中で銀時に答えを返した。



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第弐訓 ジャンプを愛する奴に悪い奴はいない

世に存在する限り、これが一番私が書いた中で一番古い話です。

当時はPS3で書いてました


お姉ちゃんへ

僕の生徒達が中学三年生になって数週間がたちました。みんなとても元気で、むしろ元気過ぎる生徒もいますが、むしろ元気過ぎて暴走行為に走るので毎日がハードワークです。でも僕は元気にここで生活を送っています、生徒達ともちゃんと接し(例外もありますが・・)僕も勉強させてももらってます。特に一緒に住んでいる、木乃香さんとアスナさんにはとってもお世話になっています。木乃香さんは優しいし料理もうまいし、すごく良い人です、アスナさんは・・・えっ~と・・う~ん・・・あ日本で有名なジャンプという漫画雑誌を貸してくれました。「努力・友情・勝利」という三大原則は僕も知らなかった事でした、僕も勉強不足でした。でも僕のジャンプの中で一番好きな作品の「ギンタマン」という漫画はそんな三原則を見事に破壊していました、跡形も無く残ってませんでした。でもアスナさんは

「そこがいいのよッ! 人気が無いのが残念だけど革命的で私は好きだわ」

と熱く語っていました。僕もそういう所が「ギンタマン」の好きな所です。

そんなわけで僕は「ギンタマン」が打ちきりにならないようにファンでありつづけようと思いました

 

 

 

 

自分の家で読んでいた、自分の弟当然の子の手紙にネカネ・スプリングフィールドは読み

 

「後半からギンタマンオンリーね・・ていうか最後作文?」

 

疑問をポツリと呟きその子がどんどん遠くなっていると感じた

 

第弐訓 ジャンプを愛する奴に悪い奴はいない

 

「大変だ!今日は学園長から緊急の話しがあるのに!」

 

僕、ネギ・スプリングフィールドはあわてて走りながら目的地 麻帆良学園へと向って行った、昨日の夜に突然、学園長から電話があり話しと会わせたい人がいるということで明日は早めにくるようにすること、と言われていたのにうっかり忘れていた。

「あ~やっちゃたな~教師失格だよ約束忘れるなんて・・でも学園長もあんな時間に電話する事無いのにな・・・」

 

僕は一人で愚痴りながら走って行く。そういえば一人で学園行くの久しぶりだな・・いつもはアスナさんと木乃香さんと一緒に行ってるからな~。今頃は二人とも学園に向う準備かな・・アスナさんはジャンプ読んで遅刻しそうだな・・そういえば今日ジャンプの発売日だ! なんというミスを、SHIT! いつもは発売日にコンビニか購買部で買って、H・Rが始まる前に読んでH・Rが終わったらそのままアスナさんに貸す(ていうか強奪)といういつものパターンなのに・・アスナさんに怒られる・・

 

「どうしよう、でも学園長の話しがあるし・・あきらめるしかないか・・」

 

僕は深いため息をついて学園長にうっすら怒りを覚えて目的地に向かった

 

走りながら僕は人の間をくぐりぬけながら走り学園町の部屋まで遂にたどりついた。

間に合わなかったかな?5分は過ぎてる。あ~遅刻だ~怒られるかもな~どうせ遅刻するなら反対方向行って購買部でジャンプ買っとけばよかった・僕はそんなこと考えていたがノックして学園長の部屋のドアを開けた。

「すいません今日の用事を忘れてしまってました! 本当にすいません!すいません! 」

 

何度も頭を下げて謝った。そしてゆっくりと頭を上げて学園長の顔を見ようと思って顔を上げると

 

「今度から気をつけろよ、次やったらアレだ『キン肉バスター』だからな、もしくは『マッスルミレニアム』」

 

 

見知らぬ銀髪の男の人が、ジャンプ読んで学園長の机の上に腰掛けていた・・

誰だろう? 銀髪の天然パーマで、服はスーツの上に白衣を着ている、眼鏡を付けて、口にタバコをくわえている、そして目が・・生気がない、死んだ魚の目だ。そして一番気になるのはどうして木刀腰に差してるんですか? そうやってジロジロ見ているとそれに気づいたのか銀髪の人は

 

「何見てんだコノヤローそんなにジャンプ読みたいのか?」

 

不機嫌そうに銀髪の人は答えた。怒ってるのかな・さっきも「次やったら『キン肉バスター』決める」って言ってたし・・

「えっと・・今日は遅刻してスイマセンでした!  あとジャンプ読ませてくれません?」

謝りながらも僕は自分の欲求に逆らえる事ができませんでした今週の表紙珍しく「ギンタマン」だし・・

 

「あ~俺が読んだら貸してやるよ、あとそんなに何回も謝るんじゃねえよ、俺、嫌な奴みたいだろ」

銀髪の人はまた同じテンションで答えた。あ、これがこの人にとって素なんだな別に不機嫌ではなくこれがこの人の性格なんだ。

僕がそう解釈している時に・・

 

「やっぱ『ギンタマン』つまんね~なこの世界でも最悪だわ、早く抹殺して『ワンパーク』や『ベルト』を超える逸材を作らなきゃよ~。ジャンプの汚点だな」

 

僕はその銀髪の人に対して怒りのボルテージが上がった。

 

「いや~ワシが遅刻してしまったスマンの~ちょっと便の切れが悪くて・・ってお前等何やってんの?」

「『ギンタマン』の何処が悪いんですかッ! ああいうブラックユーモアやツッコミのキレが笑いを取れるんですよッ!」

「ああんッ! あんなもんただの下ネタまんさいオンパレードじゃねえかッァァァ!! お前なガキのくせにあんなもん見てんじゃねえよッ! ガキはコロコロコミック読んでろッ!」

僕は学園長の存在に気づくまでえんえんと銀髪の人とジャンプの方針について論争していた

 

 

 

 

「すいません思わずヒートアップしてしまいました本当すいません!」

 

まさか学園長の部屋で、激しいジャンプ論争があるとは、学園長も思わなかっただろうな・・僕はこれで今日何回謝ったかな?

 

「・・いやいいんじゃが・・君でもあんなに異常なほどテンション上がるん

じゃね、ていうかお前もじゃ銀時! 大人になれッ! その年でジャンプの行方について子どもと討論するなッ!

この人銀時っていうのか、この人何やっている人なんだろ?そんな事考えてると銀時さんは

「うるせえな~エイリアンのくせに、まあエイリアンにはわかんねえだろうがな~ジャンプには魂を熱くさせるというすっげ~ウェポンなんだぞッ!」

「そのウェポン、使ってのにお前の魂は燃えてねえしッ!つか死んでるわッ!お前の魂ッ!」

うわ~また喧嘩になりそうだな・・銀時さんってどんな人にでもケンカ腰になれるんだな

 

激しい学園長と銀時さんの怒鳴り会い、そして殴り合いがようやく静まり返った・・あの僕H・Rあるんですが・・学園長はとりあえず落ち着こうと椅子に座り深呼吸してしばらくの沈黙のあとやっと口をあけた

 

「まあコイツ・・この男は国語の先生になってなそして君のところ3年A組の副担当になった坂田銀と・・いや坂田銀八じゃ」

はい?

この人が先生? 目が死んでますよ? しかも3ねんA組の副担任? 僕の生徒とケンカする確率が高いと思うんですが・・・あとさっきはなんで「銀時」と呼んでいたのに「銀八」と呼んだんですかッ!?

僕は頭の中ブレイク寸前な時、その問題を抱える男、「坂田銀時」ならぬ「坂田銀八」はこちらよ指差し・・・

 

「おいコイツが先生なの? じょうだんだろ? なんで子どもが先生になれるんだよ~ドッキリか? 赤ヘルのオッサンは何処だよ?」

 

半信半疑だと感じているようだった。それはそうですね・・普通は10歳では教師やりませんし・・よしじゃあこう提案しよう

 

「なんかお互い頭が混乱しているんで、互いについて説明をしません?」

 

これが一番得策だと思った、お互い場の状況を理解しよう・・

別世界の住人、最初はそれを聞いた時驚いた、しかも銀八さんを呼んだのはどうやらエヴァさんらしい・・何やりたかったんだろ・・。

銀八さんは向こうの世界では、『天人』という宇宙人が江戸を支配し、自分たち侍は腐敗していってるらしい、だから刀ではなく木刀か・・まあでもここの世界でも木刀を所持するとはな・・いや僕の生徒の中にはモノホンの殺傷武器持ってる人がいるしな・・

そして何故坂田銀八と名乗るのかというと、単にハマッてたドラマの先生の名前をパクったらしく自分で付けた名前らしい「どうせ教師になるなら名前を教師っぽくしたほうがよくね?」が銀八さんの意見

いや名前より先に見た目を教師にしてください・・

そして次は僕が話す番に名前は「ネギ・スプリングフィールド」魔法使いだということも話して(これを聞いた銀八さんは「だよな、服装からしてホ○ワーツとかにいそうだもん」と答えたそんなに怪しいかな僕の服装・・)

自分は魔法学校を卒業していて立派な魔法使い「マギステル・マギ」になるために修行ということでこの麻帆良学園で去年の3学期からで教師をしているということを話した。そのあと銀八さんはしばし考えた後

 

「ふ~ん色々あんだなお前も・・まあ自分の事は自分で決めろよだけど俺は子どもってのはただ遊ぶだけの方がいいと思うけどな・・」

とめんどくさそうに言ってきたこの人悪い人ではないんだろうな・・本当は優しい人なのかも

そんなこと考えていると突然ドアが『ドンッ!』と開いた

 

「ちょっとネギ!H・R終わったわよ!あんたがいないからみんなで勝手にやって終わったわよ!それとジャンプ持ってきなさいよッ!」

 

アスナさん?・・あそういえばH・Rのこと忘れてたしまったどうしよう・・H・Rの時にみんなに銀八さんの紹介しようと思ってたのに・・・

 

「ええやんアスナ~、ネギくんもなんか色々な事情があったんやろ? ウチのジッちゃんの長い話しでも聞かされてたんやろネギくん?」

 

木乃香さんまで・・心配かけてすいません・・と謝ろうとしたとき、二人とも不思議なものを見る目でこっちをみた

 

「・・・ネギその見るからに怪しい銀髪の人誰ッ!?」

 

そう言って指差したのは僕の後ろ、ああ・・ふてぶてしくまたジャンプに読みふけっていた銀八さんがいた

銀八さんはめんどくさそうにチラリとアスナさんを見て

 

「うるせえな~やかましいんだよ今ヤムチャまた死にそうなんだから」

 

そう言ってまたジャンプを読み始めた・・長い沈黙・・

もう耐えられなくなり

 

「この人は、今日から国語の先生で3年A組の副担任になる、坂田銀と・・坂田銀八先生です・・」

 

とりあえず僕が銀八さんの紹介した銀八さんも「よろしく~あと静かにしろ~ヤムチャ死んだから~」と答えた。銀八さんもうちょっとやる気出してください・・二人とも目が天になってますよ・・

しばしの沈黙のあと・・

 

「うそォォォォォッ!!これが教師?目が死んでるわよッ!しかも私達んとこの副担ッ!?麻帆良学園ってそんなに人材不足なのッ!?」

「アスナそれこの人に失礼やで・見た目は恐そうやけどきっと中身は・・あれどうやろ?」

 

まあそう思いますよね二人の反応はごもっともです。とりあえず僕が銀八さんの事情を話そうこの人説明しなさそうだし、今はジャンプに夢中だし・・

銀八さんの説明をするとおもいのほか二人とも驚かなかった魔法もあるなら別世界も一つや二つあるだろという結論にいきついたらしい

 

「コイツ侍なのッ!?全然見えないわよッ!どう見てもジャンプ好きの駄目人間でしょッ!」

 

たしかに侍って感じじゃないですもんね・・日本滞在が短い僕でもこれは侍っぽくないと感じる・・

「まあ侍だろうが駄目人間だろうがええやんこの人はここの先生、ウチらのクラスの副担任やろ?よろしくな~先生」

 

木乃香さん適応早すぎ・・こんな見た目の人でもやさしく出来るんだな・・僕も見習わなきゃ・・

 

 

「・・・・誰?アンタ?ジャンプ読みたいの?ほらよ、言っとくがヤムチャ死ぬから」

 

銀八さんは木乃香さんにぶっきらぼうにジャンプ渡した後・・

 

「んじゃあ俺便所行って来るわ~またなガキ~」

 

バタン と学園長室の部屋から銀八さんはトイレに行ってしまった

残されたのは呆然とするアスナさんと僕、学園長・・そしてジャンプ読み始めた木乃香さんだけ残された・・

 

 

あの人教師できるのかな?・・・



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第三訓 女子というのはだいたい見た目八割で決めるもん

当時、この回から必死に頑張って書いて投稿し

そのおかげなのかようやく「俺は面白いと思うよ」と初めて良い評価して下さった感想が一つだけつきました。

正直有難かったです


「ウィ~ス、銀さんが戻ったよ~いや~出たわ~ジャンプを読んでる時にトイレいけねえもんな~」

 

用をたし、スッキリした感いっぱいの銀八がトイレから帰ってきた。それを怪訝の目で見るアスナ、年上の銀八の将来に不安感を覚えるネギ、「もう駄目だこいつ・・なんともなんね~」と思いながら頭を抱える学園長の姿があった。一方木乃香はジャンプに夢中になっておりまだ読書中だった。そして銀八先生に気付き

 

「銀八先生、これおもろいな~ウチ漫画あんま読めへんかったかったけど、アスナが好きになるのもわかるわ~」

「あたりめえだろ、ジャンプはなッ!男の魂をビルドアップさせる強力なウェポンなんだぞッ!」

「いやウチ女やけど・・」

 

銀八と木乃香がそんなやり取りをしている時、アスナとネギは木乃香の持っているジャンプを物欲しそうに眺めていた

 

しばらくしてアスナが木乃香に近づいて

 

「あの~木乃香読み終わったら次さ、それ私に貸してくんない?まだそれ読んでないのよ」

「あ、ずるい! アスナさん僕も早く読みたいのにッ!」

 

ネギが気付きアスナに抗議をする、自分だって一秒も早くジャンプ読みたいのだ。

 

「うっさいッ! 年上が優先よッ!」

「普通、年下に譲るでしょッ!」

 

とジャンプ取り合い合戦が勃発していた。一方ジャンプの本来の持ち主、銀八は木乃香に向ってジャンプについて熱く語り始めていた。

 

「いいか~ジャンプというのはな、『努力』、『友情』、『勝利』の三原則を持つ正に今、人類の必要なものを教えてくれる、それはそれはありがたいものなんだよッ! お前さぁ~今まで今まで何を見ていたんだよ? ジャンプ読まない人生なんて、チャーハン作れない母ちゃんぐらいまずいんだぞッ!」

「いやアスナやネギくんがよく買って、寮で読んでるんやけど読もうとはしなかったんよ・・アスナとネギくんに話しだけは聞いたことあるんやけど『ギンタマン』? とかいうギリギリな名前の奴が、面白いと言ってたんやけど・・この漫画だけは理解不能やったんよ・・」

「いや理解しなくていいから、あんなもんジャンプのバイキンだから、すぐ消滅するから」

「「なにィィィィィィィィィィィィィィ!!」」

 

銀八と木乃香の話しの銀八の暴言に気付きコンマ0,1秒で同時に反応し、銀八の方向に振り向いたネギとアスナ、自分達の好きな「ギンタマン」をバイキン扱いされたから2人の怒りは一瞬で頂点に達した。

 

「くおらぁッ! そこの天然パーマぁぁぁぁッ! 今言ったことを撤回しなさいッ! そして土下座して謝罪しなさいッ!」

「いやなんでよ? バイキンをバイキンって言って何が悪いのですか~? 俺は真実を言っただけです~」

「そんなの真実ではありませんよッ!それはジャンプに隠された「ギンタマン」というシークレットウェポンを知らないからそんなことが言えるんですよッ!撤回、謝罪、切腹を申し付けますッ!」

 

お互いに睨み合い、火花を散らすネギ、アスナ、銀八。『第二次ジャンプ討論大戦』が今開かれようとしていた。

ジャンプを持ちながらうろたえる木乃香、「こいつら何やってんだろ?」という呆れた目で椅子にうなだれながら見ている学園長。

 

「よぉぉぉぉぉぉしッ!!わかったじゃあテメエら……」

 

銀八は黙り周りが静かになる

 

「今日は一日、「ジャンプに行方とその先に・・」というテーマで徹底的に討論だァァァァァッ!!」

「仕事行けェェェェェェェェェェェェェェェェェッ!!」

 

なんだかよくわからない討論会をおっぱじめようとする銀八に遂に学園長は椅子から立ち上がりブチ切れた

 

 

 

 

 

第参訓 女子というのはだいたい見た目八割で決めるもん

 

 

んだよジジィ、せっかくコイツらにジャンプのあり方を、徹底的に教えようと思っていたのに・・空気の読めないエイリアンだな・・

俺はそう思いながら、おもしろくなさそうに頭をポリポリとかく、仕事なんてよくわかんないし~そもそもどうすればいいのかもわかんねえんだよ・・そんな状況の俺に相変わらず空気の読めないジジィは

 

「ということで銀八、まずお前の担当は国語じゃな?もう一時間目始まるぞッ!さっさと行って来いッ!そしてワシの視界から消えてくれッ!」

 

うるせえな~唾がでてんだよ、きたねえな~。行って来いて言われても何処に行きゃあいいのかわかんねえよ

 

「一時間目?国語…げっ!…てことは私達のクラスよね…?」

「あそうやッ!、良かったやんその時に自己紹介できるな~銀八先生~」

 

名もしらねえ女子が、ツインテールのガキが嫌そうに、ジャンプ貸した黒髪のガキが嬉しそうにこちらを向いて言って来た。自己紹介? ちょ~めんどくせ~じゃん・・なんだよそれ、もう帰りてえよ~そんなこと考えてるのにまたこのエイリアンジジィがいらぬおせっかいをしてきやがった

 

「ネギくん、この男一人で授業させると、めちゃくちゃになるていうか学級崩壊になるの見えてるし、つーかコイツ途中で帰りそうだし、今日はコイツを補佐と見張りしてくれないかの?ぶっちゃけ見張りメインで?」

「はいわかりました!僕も自分達の生徒達が心配ですから…」

 

くそ~最悪だよいらねえよ、補佐なんて一人でできる子だよ俺はッ! これで『黒板に自習って書いてエスケープしちゃおう作戦』という知的かつステキな俺のナイス作戦ができねえだろうがおいッ!

 

ジリリリリリリリリリリリッ!

 

そんなこと考えていると校内からベルが鳴った、これが授業開始の合図なのか?

 

「うわヤバッ!もう始まるじゃんッ!・・・あそういえばアンタが一時間目か・・・じゃあ急がなくいいわ」

「でも前もって銀八先生のことみんなに報告したほうがよかない?いきなり知らない先生が出てきたらビックリするでッ!」

「確かにいきなりコレが出てきて「俺教師よろしく」って言っても全く怪しい物体Xとしか思えない・・すごく変わった先生が来るってみんなに報告したほうが良いかも・・」

「オイ、変わった先生ってなんだよ?確かに銀髪天然パーマだが俺は変わったところはねえよ」

 

2人の女子の会話に思わずツッコむ、怪しい物体Xってなんだよ・・少なくともこのジジィよりも俺は自然だッ!

 

「アンタが口にくわえているタバコはッ!?授業中吸うんじゃないわよッ!それと腰に差してる木刀ッ!怪しすぎるわッ!つ~かもう全体が変な奴という空気で覆われてるわよッ!もはや「変な塊」よッ!」

そんな捨て台詞をはいてさっさと部屋から出るツインテール小娘とその後を「待たな、ネギくん、銀八先生、ジィチャ~ン」ともう一人の黒髪京都弁娘が言葉を残しこちらに手を振って出て行った…ん?ジィチャン?

 

「おいジジィ、あの京都弁娘もしかしてお前の孫?」

「そうですよ、木乃香さんは学園長の立派なお孫さんなんですよ凄いでしょ?」

「そうじゃよ~凄いじゃろ~、銀八、木乃香に近づくんじゃないぞッ!もし手を出したらお前マジ殺すぞッ!」

 

うへ~こんなエイリアンとあんな将来べっぴんさんになりそうな娘と血が繋がっているだ~ッ!ありえね~

 

「…ネギ騙されるな、このエイリアンきっとあの娘が小さい時に、UFOでさらって自分の孫だと記憶を変えたんだ、絶対そうだから、だからお前も気をつけろ、夜中にコイツに近づくなよ、キャトルミューティレーションされるぞ…」

「なわけねえだろうがぁぁぁぁぁ!! そんなにワシをエイリアン扱いしたいかクソ天パぁぁぁぁぁ!!」

 

俺がネギにしかわからないように、ネギの耳元でヒソヒソ声にしたのに、なんで聞こえんだよ…やっぱこいつ人間じゃあねえよ…

 

 

 

「じゃあ僕らも授業に行きましょうか、銀八先生、僕が案内するので付いてきてくださいね」

 

そういえば1時間目とっくにはじまってるのね…、大抵の教師は既に教室入りしてるんだよな普通。俺はそれに嫌そうに頷き、怒り狂ったジジィの部屋から出て行った。あ~めんどくせ~よ、授業行くのやめねえ?

 

 

 

 

ネギと俺は自分達が行く、教室に向いながら歩いて行った。ちょっと遅刻なんで微妙に早足だがな、そういえば俺は教室についたら何すりゃあいいんだ?

 

「んで具体的に何すればいいのよ、俺?」

 

俺はとりあえず歩きながら、自分よりずっと年下だが、先生歴はちょっとだけ先輩のこども先生に聞いてみた。ここは先輩のアドバイスを聞いとくべきだな

「今日は挨拶だけなんで授業はやらなくて大丈夫ですよ、自己紹介して、生徒達と色々喋ったりすればOKです」

ふ~ん…じゃあ生徒と喋るのはめんどいから省いて、自己紹介して帰るか、あ、まだあの娘っ子にジャンプ貸したまんまだ、返してもらって帰ろう~後は全部先輩に任せよう

「…なんか僕に任せてエスケープしようと考えていませんか?・・・表情が企んでいる顔ですよ・・・」

ネギが疑いの眼差しをこちらに向ける、コイツ結構鋭いな…やべえな、これは逃げられそうにねえよ…

「んなことねえじゃんッ! アレだよ今から「元気な生徒達と触れ合って教師生活スタートだ~ッ!キャホォッッッイィィィ!!」って期待と夢を膨らましてたんだよッ!」

俺はまったくそんなこと考えてないけどね、中学生のガキ共と触れ合ってもなんも得にならねえよ、むしろ綺麗な姉ちゃんと触れ合いたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらく歩いていると『3年A組』という表札が書かれた教室の前まで来た、やっと着いたのか、広すぎなんだよここ・・

 

「じゃあ銀八先生から先に教室に入ってください、一応担当だし、僕は後ろから付いて行くんで」

 

いや俺が先頭なのかよ…どうすっかな~とりあえず最初が一番肝心だし紳士的に…うん?

スライド式のドアが少し開いているんだけど? 上を見たらよくあるパターンである黒板消しがはさまってた、そりゃあもうチョークの粉いっぱいの…

プチッ

 

「うおらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

ドォォォォン!!

 

俺は思いっきり、ドアを蹴っ飛ばしてスライド式のドアを「押した」。ドアは思いっきりぶっとんで、向こうの壁にたたきつけられた。

コノヤロー…確かあの女子2人が俺が来る事を知らせているんだよな、ってこと確実に俺を陥れるトラップだろこれ? なめんなコラッ!

俺はお怒りMAXだが、その怒りを制御し、ドアのない教室にスタスタと入っていった。後ろの補佐する先輩がすっごいあわてているが、気にすんな、全部ココの生徒が悪いから、俺は関係ないから

 

俺が教室に入って、教壇についてもシーンと静まり返っていた、俺のことを疑う目、恐怖の対象を見る目、好奇の目、様々な生徒の目が俺に集中している。あれなんだかコレ、恥ずかしいわ・・なんか見せ物気分だわ…

にしても女子ばっか…つ~か女子しかいねえじゃん、マジかよ~聞いてねえよ~ダルイなオイ、しかも変な奴ばっかだし…アレ? なんか半透明な奴がいんだけど? 足無いし浮いているし…いやただ体が薄いだけだ、まあそういう人間もいるわ、うんそうだ、足が無くても人間やるきになれば、半透明で浮いている事も出来るんだよなウンッ!

俺は一人でうんうんと頭を下げて納得していると、一人の女子が歩いてこっちに近づいてきた、ていうかコイツ・・

 

「遅いわ、バカ者」 

 

グギッ!

 

いきなりコイツことエヴァが、俺の足にローキックかましてきたんすけど『グギッ!』って音したんですけどッ!

 

「イテェェェェェェェェェェ!!何すんだ、このクソガキッ!何でテメェがここにいんだよッ!」

「貴様の初授業だからな、来てやったんだありがたく思え、ていうか私はここの生徒だしな」

 

マジかよ…こいつどうみても中学生にはみえねえよ…つーかどんだけコイツ偉そうなんだよ…あれ?よく後の席見たら、茶々丸もいるじゃん、ここはカラクリも勉強する学校なのッ!?

マジかよ…こいつが生徒だと色々ヤバイな…どう考えてもサボるのが不可能じゃん…鬱になるわ~

俺がそう悩んでいるとやっと、控えめにネギが入ってきた。おい先輩助けろッ!俺をここではない所へバルシーラしてくれッ!

 

「あの~この人が新しい国語の教師でこのクラスの副担任になってしま・・なった坂田銀八先生です…」

 

俺の代わりに俺を紹介してくれた。あ~自分で言う手間がはぶけたわ、だが俺もなんか言わなきゃな、なんつ~か俺を怯える目もある、ヤバいなエヴァのせいで俺は恐い人だと認識されている…ここはとりあえず俺のお茶目な印象を見せなければ…

 

「こんにちは坂田銀八で~す、趣味は糖分摂取とジャンプ摂取、特技は目を開けたまんま寝ることで~す、しくよろ」

「「「ウソォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!」」」

一斉に生徒が叫んできた、何? なんかおかしなこと言った俺?

「本当に先生なんですよねッ!」

 

眼鏡を付けて、二本のアホ毛が触角のように生えている女子が、突然立ちあがり質問してきた、何あの触角?ゴキ?

 

「だから先生だっつてんだろ、2度も言わせんな、ったくうるせえな・・その触角抜いて方向感覚無くしてやろうか?それとも殺虫剤かけるぞオラ」

「いやこれ触角じゃないからッ! 地毛だからッ! つ~か昆虫類でもありませんッ!」

 

ふ~もう帰りてえな~…こいつら俺のこと信用してないし…帰って寝たい、いや酒飲みたい…俺はクシャクシャと頭を掻き毟りながら生徒を見まわす

 

「ククク…やはり貴様が先生と認識されるはずがなかったな銀八先生?」

 

あ~こいつまだいたのか…いやらしい笑い方だし、ウザいし、死んでくれないかな…

 

「うるせぇな、テメエも見た目小学生だろうがッ!カルシウム取れッ!カルシウムッ!煮干と牛乳の摂取が足りねえから背が小せえんだよッ!」

「なんだとッ!頭の中は幼稚園レベルのくせにッ!私が小さいのは色々事情があるんだよッ!アホ天然パーマッ!」

「んだとコラァぁぁぁぁ!!テメェ、もう泣かしてやるわぁぁぁぁ!!ていうか天然パーマの何が悪いんだぁぁぁぁ!!」

 

俺とエヴァは喧嘩をおっぱじめた。よし、とりあえず回りの生徒共はほっといてコイツをだまらせよう…なんか周りがざわざわがしているがどうでもいいわ

 

 

 

しばらく怒鳴り合いをしていると、席から立ちあがり、ニコニコしながらこっちに歩み寄ってくる女子が俺とエヴァの間に割り込んできた。なんだコイツも中学生か? 成長しすぎじゃね? ムネが? このガキに分けてやれよ

 

「ど~も銀八先生~初めまして朝倉和美です!、まあまあ2人とも落ち着いて~、エヴァちゃん珍しく朝からハイテンションだね~」

 

そんなノリノリのテンションで、この女子が俺達をなだめにきた。なんだよ邪魔すんなよ、今から俺の『アルティメットスクリューナックル』がこのクソガキののライフを大幅に削ろうとしていたのに

 

「え~とそれで銀八先生、1つ2つ質問していいですか?」

 

ニカッと笑いながら、なだめてきた女子が俺の顔にマイクを近づけてきた、どっからだ?どっからマイクだしたッ!

 

「え~めんどいんでノーコメントでお願いします」

「却下です」

 

俺の意見が笑顔で却下されたッ!俺の拒否権は無いのかッ!俺の人権は何処に行ったッ!

 

「え~それではインタビューを開始しま~す」

「何コレ?新手のイジメ?すっげ~腹立つんすけど…」

 

女子がまた俺をまあまあとなだめた、何コイツ…強引にも程があるだろ、お妙と良い勝負だな…

 

「じゃあ速攻で本題に入りますが銀八先生ッ!さっきからエヴァちゃんと仲良さげですが、ぶっちゃけエヴァちゃんとはどういう関係でッ!?」

「とりあえず、お前一度眼科行って来い、仲良しに見えるか普通?どんな関係って別に何もねえよ、ただ一緒に住んでるだけだっつーの」

 

あれさっきから目をきらきらしながら質問してきたのになんか俺が答えた瞬間、時が止まったように硬直したぞ?つーかこのクラス全体が硬直しているぞ?何、俺が喋るみんなと黙るシステムなのか?

 

 

「…え~もしかしてそれは同棲ですか…?」

 

うるさい小娘がありえねえことを言って来た、そういう結論になるか普通ッ!もしやクラス全員がそういうこと考えてるんじゃねえよなッ!

 

「そういう意味じゃねえよッ!なんで20代の真面目で健全な俺がこんな小学生みたいなガキとそんな関係にもつれこむんだよッ!、コイツとはな俺が違う世界にいたときにコイツがいきなり…」

「くぉぉぉぉらぁぁぁぁ!!黙れぇぇぇぇぇ!!それ以上言うんじゃねぇぇぇぇぇ!!」

 

俺が質問の答えを言い終えるうちに、エヴァが顔面にドロップキックを当ててきた。俺は思わず「あべしッ!」と叫んでモロにそれを食らって大の字に倒れた…あ、魔法の事は言っちゃいけないんだけ? 忘れてたわ…俺が倒れながらそんなこ考えていると、あの質問娘が俺を起こしてくれて、また質問してきた

 

「つまり銀八先生はエヴァちゃんによって、深く禁じられた世界に入ってしまい、そのまま新しい世界に住むことを決めたということですかッ!?」

「違うからッ! いや合ってんのか? いや違うわッ! ちょっと合ってるけど、それは違うわッ! 合ってるってのはそれじゃなよッ! あれだからッ!」

 

俺が冷せ汗ダラダラ流しながら必死に弁明した。やべ~どうしよう…このガキはニヤニヤ笑いながらこっち見てるし・・お前もなんか言えよッ!ふざけんなッ!銀さんはノーマルだッ!そんな危ない道は俺は渡らねぇッ!

 

「駄目ですよ、朝倉さんそういうこと聞いちゃッ!」

 

いきなりネギが口を挟んできた、助けに来たのか?魔法がばれず、なおかつ俺がいかに真っ当な人間だと教えてくれッ!頼む!300円あげるからッ!ネギは「任せてくださいッ!」という表情だ、これは期待できるッ!

 

「銀八先生はエヴァさんが夜中、森に呼んで色々合って、その後エヴァさんが責任を取り、2人は色々な問題を抱えながらも乗り越えて行き、1つ屋根の下で喧嘩しながらも、なかよ…グボォッ!」

 

ネギが言い終わるウチに俺のナックルがネギに直撃!ネギは叫び声をあげおもいっきりに後ろにぶっ飛んだ

 

「お前を信じた俺がバカだったよぉぉぉぉ!!何話し進めてんだよッ!今まさにこの問題を乗り越えたいよッ!むしろ破壊したいわッ!ていうかお前を破壊したいよッ!」

 

そんなネギの逆効果熱弁により俺はどんどん窮地に陥っている…なんかもうクラスの中から

 

「ロリコンっていうのかな?」

「いや愛に年齢は関係無いッ!」

「いや見た目的に無理でしょ?」

「ロリコンって何アル?強いアルか?」

「いや、まあ別の意味で強いけど…」

 

やべ~よ、これ俺もう『ロリコン』っていう1つの称号手に入れてるよ…最悪だ…なんかもう一層死のうかな…

教室の隅っこで座って思いつめていると、後ろから優しく背中をポンと叩かれた、振り向くとニッコリ笑っている 『ギンタマン』好きのツインテールの小娘がいた。なんだ俺を励ましてくれるのか? 言っとくが今の俺はどんな慰めでも立ち直れない状況だぞ・・

 

「大丈夫!たとえアンタがロリコンでもこのクラスにはショタコンもいるんだからッ!同じ外道同士仲良く出来るはずだから安心してッ!」

「何処が安心だぁぁぁぁぁぁ!!!何その励まし方ッ!全然嬉しくねえよッ!むしろこのクラスが心配になってきたよッ!」

 

最悪の励まし方だなオイ・・つーかショタコンって誰だよ…

そんなこと考えてると、一人の女子が立ちあがってきた、日本人には珍しいロングの金髪で、出るところが出てる姉ちゃんだな…つーかここ本当に中学校?

 

「ちょっとアスナさんッ! まさかわたくしの事を言ってるんじゃなくてッ!」

「そうよショタコンッ!あんたも銀八先生と一緒に小さい子供を追いかけているがいいわッ!」

 

この姉ちゃんか、ショタコォォォォン!!自分で公表しちゃったよッ!自分でも軽い自覚あるんじゃん!しかもお前ら俺を同類扱いしてんじゃねぇぇぇぇ!!勝手にロリ、ショタコンビ結成させるなぁぁぁぁッ!

 

「言いましたわねッ!貴方なんかオジコンのくせにッ!あなたあのマダオ(まるでダンディなオジサマの略)と言われている高畑先生のこと・・」

「のわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!それ以上言うなぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

なんかショタコンとオジコンが、殴り合いスタートしたんですけど…もうどうでもいいよ、チクショウ…どうすりゃいいんだよ俺は・・誰か俺のピュアを返してくれぇぇぇぇぇ!!

 

 

 

 

 

ジリリリリリリリリリリリリ

 

これ授業終わりの合図だよな…まだコイツら喧嘩してるし…結局俺は『ちゃらんぽらんのロリコン』という称号をもらってるまんまだよ…この先やって行ける気がしねえよ…どうする俺?

頭を抱えて悩んでいるとまだニヤニヤしながら笑っているエヴァが突っ立っていた。

 

「どうだ銀時? ここで教師としてやっていけるか?」

 

挑発的な質問だな…このアマッ! とりあえずニヤニヤ止めろ腹立つからッ! お前が全ての原因なんだろうがッ!

俺はそうぶちまけたいが、生徒の前でまたコイツとバトったら、またいらぬ噂が広まりそうだから我慢する…俺はため息を1つ吐き

「やっていくしかねえよ、そうしないと俺の居場所がねえ…テメェのことはテメェでやるさ」

 

俺はエヴァにそう言い残し、ショタ、オジコンビの喧嘩をネギに任せてドアの無い教室から出ていった…

 

 

そあ、そういえばジャンプ返してもらうの忘れたわ

 

 

 

 



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