型月ハーレムマンション (七味胡椒)
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隣宅訪問(アルクェイド)

「────────はあ」

 

 と、歩は溜息をついた。

 

 マンションの通路で自室の扉を背にして座り込み、降り止まない雨を見上げる。今日は不運にも傘を忘れてしまった。彼の通う学校はここからすぐ近くで走れば5分少々。とはいえ梅雨の夕立に打たれ、すっかり制服はずぶ濡れになってしまっていた。

 

 雨に濡れて額に張り付く髪を拭う。今朝は寝坊して急いでいたからか、傘のおまけに家の鍵まで忘れてしまっていた。母親が帰ってくるのは夜中になる。独身キャリアウーマンである母の稼ぎのお陰でかなりの高級マンションで生活できているのには感謝しきりだったが、こんな時ばかりは早く帰って来てくれと願うばかりだ。財布はあるのでその辺りで食事くらいは出来るけれど、何となく動く気になれなかった。

 

 ここで親友でもいれば電話で呼んで相手の家で雨宿りさせて貰うなりするのだろうが、悲しいかな歩の友達はクラスで会えば話すという程度の間柄の相手だけ。ついでに彼女も今までいた事がない。電話一本で彼の為に働いてくれる相手など存在しなかった。

 

「明日の宿題、どうしようかな……」

 

 そんな事を考えていると、ふと隣の部屋の扉に目が行った。

 

 最近、このマンションには外国人の入居者が多い。そして何故だかその多くがとんでもない美人ばかり。少年の隣室の女性もその一例だった。

 

 美しい金紗の髪に、カラコンでも入れているのか血に染まったように真っ赤な瞳。芸術品のように整った顔は意外と人懐っこい笑みをよく浮かべている。隣に住んでいるだけあって偶に遭遇するが、初めて会った時は余りの美しさに数秒間硬直してしまった程だ。今でも不意打ちで通路の角で出くわすと呂律が回らなくなってしまう。

 

 そして何より、そのスタイルはえげつない。ゆっさりと盛り上がった胸は巨乳と言って差し支えない。お尻もこれまた大きく、ふんわりしたスカートが張り付くかのようにむちむちと歩く度に揺れる。人種はよく分からないが東欧かどこか出身だろうか、透き通るような白い肌が艶めかしい。特に露出の高い恰好をしている訳でもないのに暴力的な色気を振り撒いている。歩が小柄な方だとはいえ、腰の位置など彼のへそより高いのではなかろうか。はっきり言って彼の同級生の女子たちなど女性として比べものにならなかった。

 

 むずり、と股間に血液が流れ込むのを感じて身じろぎする。ゴツンと後頭部をドアに当てて煩悩を振り払った。とはいえ彼も性欲旺盛な男子である。あのドスケベボディの外国人美女をオカズにする事などしょっちゅうであった。先週など、歩がふとスマホを落としてしまい親切に拾ってくれた彼女の手に指が触れてしまった。その時の女性らしく少しひんやりとしていながらすべらかな手の感触で何度自慰をしたか分からない。

 

 あんな美女が隣に引っ越して来てくれたのは歩の人生でも最高の幸運だ。叶うものなら見ているだけじゃなくて、お近づきになりたい。しかし歩は同学年でも小柄な方で、風貌も男らしくないと言われがち。本人としても一見少女のようにも見える中性的な見た目はコンプレックスだった。ついでに名前も女の子みたいだと言われた事もある。自分でもあの美女の隣に立つのに見合うとは思えない。余りにも高望みが過ぎるというものだった。

 

「どんな男ならあんな人の彼氏になれるんだろう。少なくともあの人より背が高くないと駄目だよね……」

 

 はーっ、とまた溜息をつく。雨の中一人で座っているせいか気分が鬱々としている。このままでは思考がどこまでも悪く進んで行きそうだ。

 

 一旦切り替えて、近くのコンビニに行って傘でも買おうか。どうせもうずぶ濡れだし、走ればすぐそこだ、などと思っていると。

 

「────あら、お隣さん? どうしたの、そんな所で座っちゃって」

「…………え、あっ!」

 

 どきんと心臓が跳ね上がる。涼やかな美声の方を振り向くと、あの人がいた。

 いつもの白いタートルネックのセーターに、紫色のロングスカート。買い物の帰りだろうか、雨に濡れた傘とスーパーのレジ袋を提げている。カツンとパンプスが鳴った。

 

「って、ずぶ濡れじゃない。傘忘れちゃったの?」

「は、はい。それでその、家の鍵も忘れてしまって」

「もーっ、駄目じゃないちゃんとしなきゃ。お母さんは遅くまで帰って来ないんだっけ」

「そうです……って、な、なんで知ってるんですか?」

「この前、立ち話したんだー。うちの息子が忘れっぽくて困るって言ってたよ」

 

 くすくすと笑われてしまい、どう反応すればいいか分からない。ただでさえ美し過ぎるその顔を直視していられず、歩は目を逸らした。

 そんな彼を見て美女が言う。

 

「でも困ったねー。いくらなんでも夜中までずっとそこにいる訳にはいかないよね。お金はあるの?」

「えっと、財布は持ってるから大丈夫です。雨が止んだらどこかで時間を潰そうかなって」

「ふうん…………」

 

 美女が緊張しながら答える少年を興味深そうに見た。頭一つ分高い所からじっと見られて、歩は更にどぎまぎしてしまう。彼女の視線から逃げるように俯く。

 

 雨音が二人の間に立ち込める。

 ややあって、美女が再度口を開いた。

 

「よーし、仕方ないわね。ずっとここで待ちぼうけさせてるのも可哀想だし。わたしの部屋で雨宿りしていかない?」

「え?」

 

 突然の提案に驚いて見上げると、美女が微笑んでいた。慌てて首を振って断る。

 

「そ、そんな、悪いですし」

「いいっていいって。泊めるのはちょっとまずいだろうけど、夜まで居させてあげるくらいはどうってコトないわ」

 

 むん、と胸を張って言う。思わずぷるんと揺れた豊かな乳房に目が行ってしまい、慌てて逸らす。

 

「で、でも……。僕、一応男ですし」

「……ぷっ、あはは! なになに、そういうコト考えてたの?」

「ち、違います! でも女性の部屋に上がり込むなんて……それにお姉さんもお付き合いされてる方とかいらっしゃるんじゃ……」

「あー…………まあ今は独り暮らしだし、大丈夫。気にするコトないわよ。ほらほら、身体冷えちゃってるでしょ。早くしよ?」

「え、えーっと……」

 

 ちょいちょい、と彼女の家の扉を指して急かされる。

 

 戸惑うものの、最初は驚いて断ろうとしたが、落ち着いて考えればまたとない機会だ。元から想いを寄せていた女性の部屋に招かれ、しかも相手は独り暮らしときた。こんなシチュエーションに興奮してしまっているのも確かだった。このままここで一人夜まで座っているのか、魅力的な外国人女性のお招きにあずかるのか。迷う理由は一切なかった。

 

「それじゃ、その……夜までお願いします」

「ん、おっけー。お風呂も入れてあげる。あ、でも服も濡れちゃってるのか。替えの下着とか持って……るわけないか」

「あ、そこまでは濡れてませんから……ってお風呂!? い、いいですって、そんな」

「はいはい、部屋で話そうねー。それじゃ、ほら。どうぞ」

 

 扉を開けて招かれる。女性ものの靴がいくつか置かれた土間が見えた。

 こうなってはもう覚悟を決めるしかない。唾を飲み込んで、歩は美女へ向き直った。

 

「お、お邪魔します。……ええと……」

「ん。アルクェイド・ブリュンスタッド。アルクェイドでいいわよ」

 

 一体何語で、何人なのだろうか。少年にはとんと見当も付かなかった。

 

「あ、アルクェイドさん。宜しくお願いします」

「はーい、いらっしゃい」

 

 にこやかに笑う姿に見惚れながら。

 アルクェイドに導かれて、歩は彼女の部屋へと入った。

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 アルクェイドの部屋は、歩の想像より質素な内装だった。

 

 机やソファといった家具は置いてあるが落ち着いた色で、あまり女性らしくないなと歩は思った。小物類や、驚いた事に化粧品なども見当たらない。一番使われていそうなのはテレビで、再生デッキの上にレンタル中らしいBDケースがいくつか置いてあった。

 

「ちょっと待っててねー。お風呂いれてくるから、座ってていいよ」

「は、はい」

 

 アルクェイドは玄関と居間の間の通路にある洗面所の方へ向かった。ガララ、と風呂場の扉を引く音がする。

 

「座っててって言われてもなあ……」

 

 服は濡れているし、あの人の部屋だと思うと緊張してしまって手持ち無沙汰で突っ立ったままになってしまう。

 

「……………………」

 

 アルクェイドの消えたドアの方をちらちら見ながら、すう、と深呼吸してみる。クラスの女子の化粧の匂いとは違う、かぐわしい花のような香り。そういえば先ほど初めて彼女の顔を間近で見たが、化粧っけが全くなかったように思える。すっぴんであれだとしたら、本当に女神のような美貌だった。

 

 辺りを見回していると、戸棚の上にいくつか写真立てがあった。アルクェイドと一緒に数人の男女が写っている。アルクェイドのように人間ばなれした程ではないが、女性は皆美人だった。

 その中には男性もいた。眼鏡をかけている青年だ。歩よりはいくつか年上、20代だろうか。彼がアルクェイドの恋人なのかも知れないと少年は思った。

 

「ごめんねー、待たせちゃって。すぐお湯張ると思うから、ちょっと待ってようか。何か飲む?」

「す、すいません。お構いなく」

「気にしないで。冷たいお茶でいいかな。梅雨は嫌だねー、あっついし湿気がすごいし」

 

 風呂場から戻ったアルクェイドは、今度はトコトコと台所へ向かって行く。その歩く姿さえ優雅で、モデルか何かのようだ。後ろから見ると、お尻の大きさが余計目に付く。

 

「あの、手伝いましょうか」

「いいから座ってて。ちょっとぐらい濡れてもいいから」

 

 促されて、歩はお尻を払ってからソファに座った。

 少し待つと、アルクェイドがコップを二つ持って来た。中身は麦茶らしく、しっかり氷も入れられている。

 

「はいどうぞ。喉渇いたでしょ。お代わりもあるよ」

「あ、ありがとうございます」

 

 確かにしばらく飲み物を飲んでいなかった為に喉が渇いていた。一気に飲み干していると、アルクェイドがテレビを点けた。天気番組が映っていて、どうやら雨は明け方まで続くらしい。

 

「ひゃー、雨止みそうにないね。わたし晴れてる方が好きなんだけどなあ」

「ぼ、僕もです」

「だよねー? 夏の暑いのは嫌いじゃないんだけどね。やっぱり太陽が見える方がいいなあ」

 

 くるくる変わる表情に見惚れながら、なんとか受け答えする。晴れも似合うけれど、どちらかといえば月光に照らされている方がアルクェイドの綺麗さが映えるような気がすると歩は思った。

 

「あ、あの。お聞きしてもいいですか」

「うん? なあに、何でも聞いて?」

「えっと……その写真の方たちは、お友達ですか?」

「ああ、これ? うーんと。まあ友達、かな? もしくは知り合い?」

 

 少年が指した写真を見てアルクェイドが言った。その辺りは複雑らしい。

 更に、歩がもっと聞きたかった事に触れる。

 

「それじゃ、その男の人は……」

「え?」

「い、いえ。何でもないです」

 

 共に写っていた男性について聞こうとしたが、勇気が出なくて躊躇した。しかしアルクェイドには伝わっていたらしい。にんまり、と猫のような笑みを浮かべて、

 

「なになに、気になるー? わたしと彼がどんな関係か。もーキミったら結構おませさんなんだから」

「す、すいません! 忘れてくださいっ」

「ふふっ。別にいいよ、隠すようなコトじゃないしね」

 

 口元を緩めてアルクェイドが言った。

 

「うーん、昔は……そういう関係だったコトもあるけど。彼、色々と忙しいし、とんでもなくモテるから。今はわたしと特別に深い仲、って訳じゃないかな。まあ、友達って感じ?」

「も、モテる……。そうなんですね」

 

 こんな極上の美女と良い関係だった上に彼女から女性にもてると言われるなんて、どれほどの女殺しなのだろうか。若干恐ろしくなる歩だった。

 

 そんな風にしばらく話していると、風呂場の方からピーッと音が鳴った。どうやらお風呂が入ったようだ。

 

「っと、準備できたみたい。それじゃこっち。ここが洗面所ね」

「あ、分かります。うちと間取り同じですから」

「あはは、そりゃそっか。じゃ、ごゆっくりー。石鹸とか使っていいからね」

 

 洗面所兼脱衣所に案内される。洗濯機や洗面台が置いてあって、ドアを閉められ一人になった。

 

「…………はあ」

 

 気になっていた隣室の女性の部屋で今からお風呂を借りようとしている。改めて、想像もしていなかった状況になったものだと思う。隣の自分の住む部屋と同じ形の脱衣所のはずなのに、ここで彼女が毎日裸になっていると思うと特別な場所に感じられる。

 

「って、馬鹿な事考えてないで早く入っちゃおう……」

 

 急いで服を脱ぐ。何となく綺麗に畳んで脇に置いておいた。

 

 と、裸になっていざ風呂に入ろうとした時、視界の端で何かが目に付いた。

 蓋の開けられた洗濯機。よく見ると、その口に、白いブラジャーが引っ掛かっていた。

 

「………………っっ!!」

 

 心臓がばくんと跳ね上がる。

 

 あの歩く度にぷるぷると震える金髪美女の巨乳。少年が毎日のようにオカズにしていたおっぱいを包んでいた下着。それが今、手の触れられる場所にあるのだ。

 

「…………はあっ、は……!」

 

 駄目だと思いながらも、吸い寄せられるようにふらふらと近付いてしまう。

 近くで見ると、華美になり過ぎない程度にさりげなくデザインされているのが見て取れた。本人自身が美し過ぎる彼女には丁度いいだろう。

 

「こっ、これが……あの人の…………!」

 

 間近で見詰めてしまう。触れてしまいたくなるも、流石にそれはまずいと歯止めを掛ける。彼女の白い美しさを汚す気がして触れ難かった。

 などと考えながらも、とっくに盛んに股間へ血液が送られているのが分かった。既にチンポは勃起し始めている。

 

「うっ、や、やばい……! こんな所で……収まらせないと…………!」

 

 この光景を見られでもしたら一巻の終わりである。必死に理性を総動員して視線を引き剥がそうとする。

 

 しかし、そこへ。

 

「────もうお風呂入ったよねー? バスタオル忘れてたよ、入口に置いておくから……」

 

 ガラリ、とアルクェイドが脱衣所のドアを開けて入って来た。

 更に運の悪いことに、はずみでポロリと落ちたブラジャーが、何の冗談か少年の反り返ったチンポに引っ掛かってしまった。

 

「…………え、あっ、そ、それわたしの……? えっと…………」

「────────!!! ち、違うんです! これは何というか、とにかく誤解でっ!?」

「……あ、あはは…………。ゴメンね、ちゃんと片付けないわたしが悪かったね……」

「だ、だから違いますってばっ!?」

「あーうん、えっとその、あまり汚さないでね……? じゃ、ごゆっくりー…………」

 

 お互い真っ赤な顔で言い合う。アルクェイドは逃げるように脱衣所のドアを閉めて離れて行った。

 

「…………さ、最悪だ……。終わった……」

 

 ポツンと取り残される。

 

 歩は全裸のまま、脱衣所で一人絶望した。

 チンポがしなしなと萎れて、ブラジャーがはらりと床に落ちていった。



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手淫介助(アルクェイド)

 歩が頭を抱えながら風呂に入っている頃。

 

「…………おちんちん見ちゃった……。一瞬だけど、勃ってたなあ……」

 

 アルクェイドも、悶々としてソファに座り込んでいた。気を紛らわせようとテレビを点けているが、全く頭に入って来ない。

 

 男性器を見るのは久方ぶりだった。それこそかつての恋人とセックスした時以来。もう何年振りになるだろうか。

 しかも勃起したチンポである。歩がちらちらと胸や尻を見ていたのは気付いていたが、あそこまで思いっきり自分を性の対象として見ていたとは。一見女の子のような可愛らしい顔と小柄な身体に似合わず、彼のチンポは完全にオスとしての物だった。

 

「あんな風なのに、ちゃんと男の子なんだ。ちょっと意外かも。もっと子供っぽいかと思ってたのに」

 

 彼が聞けばショックを受けるであろう事をポツリと漏らす。

 

 元はと言えば、自分の部屋に雨宿りに誘ったのだって彼を男性としてではなく子供として見ていたからだった。何度か擦れ違いざまに話した事があったが、その度にキョドキョドしている様子で可愛らしかった。勿論男だろうが何だろうが真祖の吸血姫たるアルクェイドの敵ではなかったが、精神衛生的に興味の無い男を部屋に招く気はなかった。

 

 だから、男として見ていなかった歩の成熟済みチンポを見てしまった事はアルクェイドにとっても不意打ちだった。

 その証拠に、

 

「……あ、やば…………。久しぶりに濡れちゃってる……」

 

 かつてセックスを経験してから、暇つぶしや興味本位で自慰をした事はある。しかし近頃はそれもご無沙汰だったのだが、突然のチンポで揺さぶりを掛けられたアルクェイドの性器が反応してしまっていた。マンコが少し蜜を漏らしている。恐らく気付かないうちにずっと性欲が溜まっていたのだろう。

 

「駄目駄目、忘れないと。お隣さんよ? 若い男の子よ? なんて言うんだっけ、未成年略取? ……は違うか。いや、そんなコトはどうでも良くて」

 

 頭を振って忘れようとする。しかし、

 

「…………結構おっきかったなあ。あれで全開……じゃないよね。どこまで大きくなるんだろ…………」

 

 ぽーっと少年のチンポを思い出してしまう。気付かぬうちに右手で下着の上からマンコを軽くさすっていて、はっと手を離す。それでも我慢できずに、今度は意識的にマンコを弄ってしまう。

 

 そうやってムラムラしたまま、少年の入浴を待つのだった。

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

「……お、お待たせしました…………」

「あっ、うっうん。お帰り、さっぱりした?」

 

 しばらくして、バスタオルを抱えた歩が部屋に戻って来た。上は制服の中に来ていたのであろうシャツに、下は体育で使う短パンを履いている。

 どよーんとした顔で俯きながらリビングに入って来る歩。髪もまだ生乾きだ。

 

「……………………っ!」

 

 ぐっと拳を握り締めて、歩が顔を上げた。

 

「あの、さっきはすいませんでした! 信じて貰えないかも知れないですけど、変な事をしてたんじゃなくて」

「あーうん、気にしないで。ほら、突然入ったわたしも悪かったからさっ」

 

 笑いながらぱたぱたと手を振るアルクェイド。明らかに気遣ってくれてはいるが、本当に最悪の印象を与えた訳ではなかったらしい。歩はひとまず胸を撫で下ろした。

 

「ほ、本当にすいません。お風呂まで入れて貰ったのに、失礼な事というか何というか……」

「ふふ、良いから良いから。もしかしてそれを言いに急いで出て来たの? まだ髪も乾いてないよ」

「あ……」

 

 自分の、男子学生としては少し長めの髪に触れる歩。どうやらアルクェイドの誤解を解くので頭が一杯だったらしい。

 

(…………やば。ちょっとカワイイかも)

 

 あたふたしている歩の様子に、アルクェイドも思わず笑みがこぼれる。

 なんだか母性を感じてしまって手招きした。

 

「もう、仕方ない子だなあ。ほら、こっちおいで? お姉さんが髪、乾かしてあげるよ」

「ええっ!?」

 

 驚く歩だったが、アルクェイドの誘いを断れる訳もなく彼女の元へ歩いて行く。

 

 そのまま隣に座ろうとするが、

 

「何してるの? 隣じゃ拭きにくいでしょ。ここ、膝の上に来なさい」

「え、な、なっ……!? 無理です無理です、そんなっ」

「いいから駄々こねてないで早くしなさい。反論は受け付けませーん」

 

 ツンとするアルクェイドにたじたじの歩。結局、彼女の言う通りにするしかなかった。

 恐る恐る歩がアルクェイドの膝に腰を下ろす。どうにか体重を掛けまいとするものの、アルクェイドに腰を引き寄せられてあっさり乗っかってしまった。

 

「すっすいません、重いですよね……!」

「ぜーんぜん? 歩くん、男の子ならもっとご飯食べて逞しくならなきゃ。小さい女の子を乗っけてるみたいだよ?」

 

 からかうように言いながら、アルクェイドが歩の持っていたバスタオルを手に取る。

 そのまま、彼の髪を拭き始めた。

 

「はあい、じっとしててねー。ふんふーん」

「あっ、あうう…………」

 

 憧れの美女の膝の上で、彼女にわしゃわしゃと髪を拭かれている。それだけでも思春期真っ只中の男子としては拷問級なのに、

 

(やばいやばいやばい! 胸がっ、当たってるっ……!)

 

 彼女のド級のロケットおっぱいが、ぷにぷにと歩の背中に当たっていた。とんでもなく柔らかく、しかも弾力がある。全神経が背中に集中しているかのようだ。

 アルクェイドの甘い吐息を首元に感じながら、生まれて初めて触れる母親以外の乳房を押し当てられる。そんなシチュエーションに、少年のチンポが耐えられる訳がなかった。すぐにむくむくと体積を上げ始める。

 

 

(お、収まれ、収まれっ! ……って無理だよぉ!)

 

 歩の努力も空しく、もっこりと短パンの股間部分が押し上げられてしまった。もはや傍から見ても勃起しているのは明らかだ。

 当然、アルクェイドが気付かないはずがない……と思ったのだが、彼女は変わらず鼻歌を歌いながら歩の髪を拭いている。

 

(あ……もしかして、後ろからじゃ見えないのかな)

 

 きっとそうだ。どうにか気付かれる前に収めるか、上手く隠すかすればセーフかも知れない、と歩は思った。

 

「ふんふん、と。よし、こんなもんでいでしょ」

 

 アルクェイドが明るく言った。タオルを取って、軽く髪を梳かしてくれる。

 

 やはり見えていなかったらしい。ならどうにかなるかも、と歩がアルクェイドから離れようとする。

 

「あ、ありがとうございました。すぐにどきますから……」

「────────っと、ちょっと待った」

 

 すぐに立ち上がろうとする歩を、アルクェイドがもう一度抱き寄せた。今度は肩を抱くようにしっかりと。

 硬直する歩の耳元で、アルクェイドが囁いた。

 

「……歩くん、ほんとエッチなんだね。おちんちん凄いコトになってるの、ばればれだよ?」

「ひゃ……っ、こ、これはその……!」

 

 慌てふためく歩に、また囁く。

 

「……ゴメンね、実はおっぱい当たってたの、わざとなんだ。そうだよね……下着見ただけでおちんちんあんなに勃起させちゃうのに、おっぱい当てられちゃったらこうなちゃうのも無理ないよね❤ 大丈夫だよ、怒ってないから。むしろ、わたしが楽にさせてあげようかなって❤」

「ふぇっ!? ら、楽にってっ」

 

 もうさりげないどころではない位のおっぱいの感触に、歩の頭は沸騰寸前だ。どうにか逃げようとするも、思いのほかアルクェイドの力は強く、その手を振り解けない。

 いや、本当は歩も本気で抵抗している訳ではなかった。性的魅力抜群の相手に誘惑されて、すっかり力が抜けてしまっている。

 

「わたしのコト、エッチな目で見てたでしょ? お姉さんもご無沙汰だからね、ちょっとムラッと来ちゃった❤ どうかな? 無理やりする気はないよ。歩くんがお願いします、って言ってくれたら、わたしのせいで勃っちゃったこのおちんちん、責任持って楽にしてあげるんだけどなあ……❤」

「あっ……あうう…………!」

 

 すりすり❤ と掌でもっこりしたチンポ、その亀頭の部分を服の上から撫でられる。女性のしなやかな感触に喜ぶように、びくんびくんとパンツの中でチンポが跳ねた。

 

「あ、短パンの中でおちんちん悦んでるね❤ おちんちんくんはもうアルクェイドさんお願いします、って素直に言ってるよ。あとは歩くんなんだけど、どうかな? 意地張らない方がいいと思うけどなー❤」

「ううっ……!」

 

 ぺろっ❤ と歩の耳たぶが舐められる。それが我慢の限界だった。

 

「お、お願いします……! アルクェイドさんに、ら、楽にして欲しいですっ」

「ん❤ よく言えました❤」

 

 よく出来ましたと言うようにアルクェイドが歩の頭を撫でる。

 そして、するすると彼の短パンを下ろしていった。

 

「あっあっ、見えちゃ……!」

「大丈夫、恥ずかしがらないでいいよ。お姉さんに全部任せて?」

 

 そのまま下していくと……、ぶるんっ! と服の拘束を脱したチンポが勢いよく跳ね上がった。

 ビンビンに天を向いて屹立しているチンポ。驚いたのはアルクェイドだ。

 

(……え、ちょ、何コレすっご……! この子のおちんちん、こんなに大きいの!? やっぱりさっきのはまだ半勃ちだったんだ……っ)

 

 もしやかつての恋人より大きいのではないか、という凶悪チンポ。性欲を向けて来る可愛い男の子のお世話をしてあげようという腹積もりだったのに、いざ対面してみるとアルクェイドの方が圧倒されてしまっていた。

 

「ごくっ……。そ、それじゃ、まずは扱いてあげるね。……ん、熱っ…………」

「ああ……!」

 

 アルクェイドの指が、歩のチンポに絡まった。最初は軽く、すりすりと扱く。チンポがぴくぴくと悦びに打ち震える。

 

 歩は目を皿のようにしてアルクェイドの手を見詰めていた。少し手が触れただけでオナネタにしていた掌が、今まさに自分のチンポをシコっているのだ。どんなAVや漫画よりも強烈な快感だった。

 

「先走り漏れて来た……❤ 気持ち良いんだね、良かった❤」

 

 しゅっしゅっと扱かれる。アルクェイドが見詰める先、亀頭の鈴口からは早くも透明な汁が垂れ始めていた。

 自分の手管で少年が快感を覚えている事に嬉しくなるアルクェイド。このまま心地よく射精に導いてあげよう、と思っていると。

 

「うっ……! アルクェイドさんっ、もう出ちゃうっ」

「へ? 出るって何が…………」

 

 呻く歩に戸惑って、アルクェイドは思わずチンポを覗き込む。

 

 その瞬間。

 

 ────びゅる、びゅぷっ! ぴゅっ、ぶぴゅぴゅ……! 

 

「っ、きゃ!? か、顔にっ」

 

 上を向いた歩のチンポが、あっさりと射精した。天井まで届きそうな射精。当然真上にあったアルクェイドの顔面には精液が直撃していた。

 

「ごっ、ごめんなさいアルクェイドさんっ……!」

「ぷあ……! すごい……わたしの顔、キミの精液でびちゃびちゃだよ……❤」

 

 たらり、とアルクェイドの顔を精液が垂れる。すうっとその匂いを吸い込むと。

 

(~~~~~っっ❤ やば、脳に直撃する感じ……❤ 歩くんの精液、濃すぎるっ❤)

 

 ガツンと頭を殴られたかのような衝撃。それはどんな死徒と戦った時よりもアルクェイドの身体と精神を揺さぶっていた。

 

「アルクェイドさん! すぐに拭きますからっ」

「あ……。ありがと、歩くん」

 

 自分の体液でアルクェイドが汚れているのが見ていられない、と言うように歩がティッシュで彼女の顔を拭いた。その必死な様子に、アルクェイドも少し嬉しくなる。

 

 全て拭き取って貰った後、歩のチンポを見ると、射精したばかりだというのにまだ元気に直立していた。

 

「もう、まだ溜まってるの? 我慢し過ぎは良くないよ、年頃の男の子なんだからさ」

「す、すいません。その……アルクェイドさんにして貰ってると思うと収まらなくって」

 

 気のせいか、射精前より膨らんでいるかのように見える。アルクェイドはくすっと笑うと、今度は歩の上半身を左手で支え、右手でチンポを扱ける体勢にした。

 

「わっ」

「おちんちん、一発で足りないなら満足するまで吐き出させてあげないとね。ほら、可愛い歩くんに大サービス。わたしのおっぱい、触ってもいいよ」

「え、え、えっ!?」

 

 信じられないというようにアルクェイドの顔を見る歩。優しく微笑む美女を目の当たりにして、その言葉が嘘ではないと悟った。

 恐る恐る掌を寄せて行く。やがて……、ふにょん❤ と柔らかい感触を指先が捉えた。

 

「凄い、柔らかいっ……! これが……アルクェイドさんのおっぱい……!」

「……ふふ。良いコト教えてあげようか?」

 

 悪戯っぽく笑って、アルクェイドが歩に耳打ちする。

 

「……わたしね、一応ブラは一つだけ持ってるけど、どうせ着けなくても体型とか崩れないんだ。で、そのブラはさっき歩くんが見た通り洗面所にあるの。……だからね、今歩くんが触ってるのは、ノーブラのおっぱい❤ セーター一枚だけのわたしのおっぱいの感触、しっかり堪能してね❤」

「はあ、はあっ……!」

 

 その溶けるような誘惑に、歩の理性の箍が外れて行く。最初、確かめるようだった指先は、次第に大胆に掌を押し付けるように。鷲掴みにして感触を楽しみ、たっぷんたっぷんと下から持ち上げ、落としてみる。童貞の少年は、すっかり金髪美女のおっぱいに夢中だ。

 

「んんっ❤ もう、好き勝手触ってくれちゃって❤ ほら、おちんちんびきびきに反り返って、血管浮いちゃってるじゃない……❤」

 

 アルクェイドのおっぱい遊びで歩のチンポは限界まで張り詰めていた。よしよし、と指先で亀頭を撫でるとひくひくと揺れる。アルクェイドは焦らしもせず、またその手で竿をシコり始めた。

 

「う、ううっ……! 気持ち良いですっ、アルクェイドさん……!」

 

 歩が悶える。この世でも最上級の美女のおっぱいを揉みながらの手コキ。快楽に溺れるのも当然だった。

 

「そうみたいだね、歩くんのおちんちん、泣きながら跳ねまわってる❤ 気持ち良すぎて辛いです~って言ってるみたい❤」

 

 先走りをアルクェイドの掌になすり付けながらしゃくり上げる歩のチンポ。もう掌はぬるぬるだったが、アルクェイドが嫌がる様子はなかった。むしろ滑りが良くなったとでも言うように手淫をスムーズに行う。

 

「あう、ううう……! アルクェイドさんっ、好き、好きですっ! むぐうっ……!」

「きゃ❤ ちょっともう、告白しながらおっぱいに顔うずめるとか、童貞さんなんだからあ❤」

 

 感極まって愛の告白をしながら、抱き着くようにアルクェイドのノーブラ巨乳に顔を押し付ける歩。ふるふると顔を揺らして顔面でおっぱいの感触を堪能する。

 

「すーっ……はああ…………!! すぅーっっ……!」

 

 おっぱいの中心で、思い切り深呼吸。甘いとろけるようなアルクェイドの匂いを肺一杯に吸い込む。

 

「あは、くすぐったいなあ❤ もう、歩くんったら赤ちゃんみたい❤ 女の子みたいなのに、赤ちゃんみたいなのに、おちんちんだけこんなに凶悪にして❤ 女の人のガードを緩ませておきながらオスの武器はしっかり持ってる、酷い歩くん❤」

 

 お返し、とばかりにアルクェイドが手コキの速度を上げる。ただでさえ我慢の効かない童貞である歩に、おっぱいパフパフ中の拘束手コキは致命傷だった。歩のチンポが、限界が近いと示すように跳ねる。

 

「ああっ、アルクェイドさん、また出ちゃうっ……!」

「そうみたいだね❤ それじゃもう一回、溜まった白いの吐き出そっか❤」

 

 アルクェイドが更に手コキ速度を速める。テレビが夕方のニュースを放送するのに被せて、にっちゃにっちゃと淫靡な水音が部屋に響く。

 

「も、もう駄目っ! あううっ、出るっ……!」

「……くすっ。歩くん、こっち向いて?」

 

 射精する寸前、アルクェイドに呼びかけられた。

 

 歩がとっさに彼女の方を向くと────

 

「ちゅっ❤ ちゅっちゅっ、ちゅう~~っ❤❤」

「むぐ……っ!!?」

 

 アルクェイドの柔らかな唇に、自分の唇を奪われた。憧れの人とのキス。当然、これが歩のファーストキスだ。

 それがトドメだった。歩のチンポが、一際激しく脈打つと。

 

 びゅびゅっ、びゅるるるるるるる……! ぶぴゅるるる……! 

 

「あっあっ、ああ~~っ……!」

「あは❤ すっご~い、まさに発射って感じ❤ いいよ、床は後で掃除しておくから❤ 金タマからっぽになるまで、ぜ~んぶ出しちゃえ❤」

 

 びちゃびちゃとアルクェイドの服に、手に、それを通り越して部屋の床にまで飛び散る歩の精液。それを咎めることなく、ゆるゆるとアルクェイドはチンポを扱き続け、歩の射精を促した。

 

「はあ……はあ……っ」

 

 二度の射精をして、流石に歩もぐったりしてしまう。最高の射精をして、彼としても信じられないような量の精液がチンポから吐き出されていた。

 

「ん、匂いも凄い❤ わたしの部屋に歩くんの精液の匂い、こびり付いちゃいそう❤」

「ご、ごめんなさい、部屋を汚しちゃって……」

「ううん、気にしないで。歩くんが気持ちよく射精できたなら良かった❤」

 

 アルクェイドが床に飛び散った精液を見る。

 

(本当に凄い勢い……。これって、精液をしっかり女の子宮に届かせる為、だよね。……こんなので子宮口を叩かれたら、どれくらい気持ち良いんだろ……❤)

 

 アルクェイドが精液で汚れていない方の左手でまた歩の頭を撫でる。歩はとろんとした目で、そんな彼女を見詰めていた。

 



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入浴素股(アルクェイド)

 外では歩が部屋の前で待ちぼうけしていた頃よりも更に激しく雨が吹き荒れ、窓を叩いている。

 悪天候の夕方。あえて照明を落とした薄暗い部屋で、歩とアルクェイドは身だしなみを整えていた。

 

「っと。うーん、服は洗わなきゃ。手や顔もティッシュで拭いただけじゃ、歩くんの精子落ちないな……」

「ごっ、ごめんなさいアルクェイドさん。こんな撒き散らしちゃって」

「いいのいいの。でもこのままじゃ匂っちゃうしなあ」

 

 床はしっかり拭いたものの、身体についた体液までは落ちそうにない。べとべとしていて、そのまま放置する訳にはいかなかった。

 その時、ハンガーに掛けてあった歩の制服のポケットに入っているスマホが震えた。手に取って確かめてみると、母親から今日は帰れそうにないとの連絡だった。恐らく朝帰りだろう。

 

「うわ……」

「どうしたの?」

「あ、い、いえ。何でもないです」

 

 これではどうにかして朝まで時間を潰すしかない。一番簡単なのはこのままアルクェイドの部屋に居させて貰うということだったが、ここですぐ頼み込めるほど歩の性格は大胆に出来ていなかった。

 

「ふうん? ……それより、やっぱりこのままだとベタベタしちゃうわね。わたしもちょっとシャワーを浴びようっと。帰る途中で少し雨に濡れてたし、丁度いいわ」

 

 すっと立ち上がってアルクェイドが言った。そのまま風呂場に向かおうとするも、思い直したかのように歩の前まで引き返してくる。

 

「……あ、アルクェイドさん?」

 

 アルクェイドは答えない。ただ少し赤らんだ頬で、歩を見た後。

 

「……歩くん、お風呂入ったばかりだけどさ。わたしの背中を流すくらい、できるわよね?」

「えっ!? そ、それって」

「そういうコト。歩くんが良ければさ……一緒にお風呂、入ってくれないかな?」

 

 可愛らしく首を傾けて聞かれる。その提案を、歩が断れるはずもなかった。

 

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 

 二人は脱衣所で揃って服を脱いでいた。気恥ずかしくて歩は目を逸らそうとするが、どうしてもアルクェイドに吸い寄せられてしまう。下着にも目を奪われるくらいなのに、今では本人が目の前で裸になろうとしているのだから無理もなかった。

 

「もう、歩くんったら見過ぎだよ。ほら、キミも脱いで?」

「すっ、すいません」

 

 窘められてシャツを脱ぐものの、アルクェイドが服を脱いで裸体を露わにすると固まってしまう。

 

(……すごい…………!)

 

 アルクェイドの身体は、目を瞠る程に綺麗だった。染み一つない白皙の肌が眩しい。細身ではあるが痩せぎすではなく、むっちりした肉体がフェロモンを放っている。股間では髪と同じ色の繁みが控えめに性器を守っていた。

 さっき歩が顔をうずめたおっぱいも、大きいのに全く垂れることなくツンと上を向いている。全体的に白い印象を与える中で、その瞳と乳首だけが赤く存在を主張していた。

 

「もう、手が止まってるってば。ほら、仕方ないからお姉さんが脱がしてあげる」

「わわっ」

 

 釘づけになってしまった歩を見かねて、アルクェイドが彼の短パンをするっと下ろす。

 と────ぺちん、と既に勃起していた歩のチンポが、アルクェイドの顔面をぶっ叩いた。

 

「っっぷ!? ひゃ、歩くんったら、またおっきくして……❤」

「うわあ!? ご、ごめんなさいっ」

 

 真祖の吸血姫の顔をチンポビンタする人間など、後にも先にも彼一人くらいだろう。歩も憧れの人の顔を自分のチンポで叩いた事に、興奮すればいいのか後悔すればいいのか良く分からない。

 

「もう、今はお風呂に入るだけなんだよ? 頭の中エッチなコトで一杯なんじゃないかなあ、歩くんってば❤」

 

 自分の事を棚に上げて言いつつ、彼の手を引っ張って風呂場へ入るアルクェイド。彼女もチラチラと歩のフル勃起チンポを盗み見ていた。

 

 しかし、より限界なのはやはり歩の方だ。服の上からでも歩く度魅惑的に揺れるのが分かったアルクェイドの身体なのに、裸では胸もお尻も思い切り男を誘うように震えてしまっている。それを間近で見せ付けられている童貞の少年はとっくに息が上がってしまっていた。

 

「じゃあ、身体洗って貰おうかな。そこのスポンジ取って?」

「は、はいっ」

 

 柔らかいスポンジを手に取って、ボディソープを垂らす。アルクェイドに言われるがままに、まずは腕を洗う。

 ごしごし、と皮膚を擦る音が風呂場に響く。そうしつつも、歩の視線はおっぱいと股間の方ばかりを見ていた。腕などろくに見ていない。

 

「ちょっとお、思いっきり見過ぎ❤ エッチだなあ……ほら、次は背中洗って? 前だと歩くん、胸ばっかり見てるんだもん」

「あう……す、すいません」

 

 後ろに回り、座椅子に座ったアルクェイドの背中を流す。背筋とそこから繋がる臀部の形さえ美しく、歩は見惚れてしまった。

 

「はあい、ありがと。それじゃ、もう一回前。次はお腹ね」

 

 また前に回る。おっぱいの下、お腹から下腹部辺りを擦ると、視界の上の方で胸がふるふると揺れているのが分かった。

 

「アソコは……まあ、自分でやった方がいいかな。歩くんだったら変なコトしそうだし」

「し、しませんよっ」

「くすっ。本当かな? まあいいや、次は足、お願い」

 

 余裕の笑みを浮かべるアルクェイドだったが、内心はハラハラしていた。

 

(危ない危ない。気付かれなかったよね? もう濡れてるって……。ああもう、歩くんがずっと勃起おちんちん、ふるふるさせてるのが悪いんだから)

 

 発情しているのはアルクェイドの方も同じだった。いや、むしろ歩よりも興奮していたかも知れない。単にいっぱいいっぱいの歩が気付いていないだけだった。

 

 コツン、とアルクェイドが浴槽の縁に踵を乗せる。歩よりも遥かに長いすらりと伸びた足を太もも、ふくらはぎ、足の甲と丁寧に洗っていく。

 やがて、両方のつま先まで洗い終えた。あと残る場所は一つしかない。

 恐る恐るアルクェイドの顔を見る歩。アルクェイドは立ち上がり、そんな彼からスポンジを取り上げた。

 

「はーい、ありがと。うん、さっぱりしたあ。もうスポンジはいらないね」

「あ…………」

 

 流石にそこまではやらせて貰えないか、と落胆する歩にアルクェイドが言った。

 

「……ふふっ、何がっくりしてるの? まだ洗ってないトコがあるでしょ? スポンジだと擦れて痛いからさ……歩くんのちっちゃな手で、揉み洗いして欲しいんだけどな❤」

「え…………」

 

 アルクェイドが背中で手を組んで、軽く胸を張る。ぷるん❤ と柔らかいながらも張りのある巨乳が、歩を誘うように揺れた。

 

「い……いいんですかっ? そんな、直接……」

「んー? 早くしないと気が変わっちゃうよ? ほら、手にソープ垂らして❤ もっとたくさん❤ くちゅくちゅって泡立てて❤ ゆっくり手を突き出して……そうそう❤ わたしのおっぱい、歩くんがしっかり洗ってよ❤」

 

 はあはあ、と息を荒げながら、彼女の言う通りに掌を泡まみれにする。

 そして、両手でむにゅり、とアルクェイドの巨乳を鷲掴みにした。

 

「ん、ふ……っ❤ まずは、おっぱいの下から洗おうか❤ そこ、汗が溜まっちゃうから、一番念入りに……んん❤」

 

 さっき手コキされながら触れた時よりも更に大胆に、直接おっぱいを揉む。片手で思いっきり鷲掴みにして持ち上げながら、もう片手で下乳をくにゅくにゅと指先で擦る。

 

「くふっ❤ じゃ、じゃあ、おっぱいの間も❤ わたしがおっぱい両手で開いてるから、歩くんが洗ってね❤」

「うわっ……泡がとろーって……!」

 

 アルクェイドが自分で両方の乳房を掴み、左右にくぱっ❤ と開く。露わになった巨乳の中央を、歩が両手でぬるぬると洗っていった。

 

「後は自由に洗っていいよ❤ あんっ❤」

「はあ、はあっ!」

「ちょっとお、自由にして良いって言った途端……❤ もう、目が血走っちゃって、聞こえてないなー?」

 

 洗っている事などすっかり忘れて、泡まみれおっぱいをもみくちゃにする。掌の感触のみならず両目も楽しませてくれる柔らかおっぱいを夢中で揉みしだく。それだけではなく、

 

(歩くんったら、おっぱいに夢中で自分じゃ気付いてないみたいだけど、わたしの足におちんちんくっ付けてる❤ ぬるぬるって、先走りまみれの亀頭、太ももで擦ってるよ……❤)

 

 勃起チンポが切なくなったのだろう、歩のチンポはアルクェイドの内ももに擦り付けられていた。アルクェイドの太ももはもう泡なのか先走りなのか分からない粘液でべとべとだ。アルクェイドが柔らかい太ももで、きゅっ❤ とチンポを挟み込むと、悦ぶようにビクンビクンと跳ね上がった。

 

「!? あ、アルクェイドさん、足がっ」

「ん❤ 良いよ、そのまま素股しちゃおうか❤ ほら、おっぱいもみもみしながら、腰はヘコヘコ❤ …………ぷぷっ、腰が引けてるよ、歩くん❤」

「ひう……っ」

 

 両手はおっぱい、チンポは太もも。両方極上の女体と触れ合って、歩の中で快感が弾ける。それでも懸命に射精を我慢しながら、ぬるっ、ぬるっとアルクェイドのすべすべ太ももでチンポを扱いていく。

 

(アルクェイドさんのおっぱい……おいしそう…………)

 

 蕩けた瞳で目の前のおっぱいを見詰める。歩は吸い寄せられるかのように、おっぱいの頂点にある鮮やかな乳首を口に含んだ。

 

「んむ、ちゅううっ……」

「っひゃあああ!!? あ、歩くん乳首は駄目、そこ弱いのっ❤」

 

 アルクェイドが甲高い悲鳴を上げるも歩の耳には入っていなかった。ころころと舌で転がし、味わうように吸い付く。

 

「や、やばっ、一気に来ちゃったっ❤ 待って待って、ほんとにイキそうだからっ❤❤」

 

 引き剥がそうとするも、歩はがっちり組み付いて離れない。力づくで離そうとすればどうとでもなるが、歩相手に乱暴な事はしたくなかったし、実の所アルクェイドも歩との素股と乳首吸いで快感を覚えていた。すぐに諦めて逆に歩を抱き締める。

 

「もうっ、子供の癖に生意気……! わたしだって容赦しないわよ、太ももでキミのおちんちん虐めちゃうんだから! ほら、早く射精しちゃいなさい……!」

 

 太ももを交互に擦り合わせてチンポを追い詰める。亀頭を挟み込み、腰を上下させて刺激を与える。歩の後ろに回した両手でがっちりと彼の小さなお尻を掴んで引き寄せ、ぱんっ❤ ぱんっ❤ と腰と腰がぶつかり合う素股コキでチンポを扱き上げた。

 

「んぷっ……アルクェイドさん、もう出ちゃいそうですっ! お願い、もうちょっと太もも緩めてっ」

「だ~め❤ 我慢なんかしないで出しちゃった方がきっと気持ち良いよ❤ ほらほら、追い詰めちゃうからっ❤」

「あ、あ、駄目っ、もう限界っ……!」

 

 音を上げて泣き言を言うも、更に素股を激しくされてしまう歩。腰を掴まれて逃げる事も出来ず、射精へと追い詰められる。

 涙さえ浮かべながら、歩がアルクェイドのおっぱいにむしゃぶりつく。そのはずみで、カリッと乳首に軽く噛み付いた。

 

「~~~~~ッッ!!??? 歩くん、かりって、わたしの乳首噛んで……っっ!?? あ、やばい、ほんとにイク、おっぱい咬まれてイクっ……!!」

 

 アルクェイドが久方ぶりの絶頂へと押し上げられた。遥か年下の少年に噛まれて達する、乳首アクメ。瞳の焦点がブレる程の快楽がアルクェイドの背筋を走り抜ける。

 

 ────ぴゅ、ぷぴゅっ、ぴゅっ❤ ぴゅるるる~~~っ❤

 

 それと同時に、歩も射精していた。アルクェイドの太ももから覗く亀頭が、背後の壁目がけて精液を吐き出していく。

 

「はあっ、出るっ、アルクェイドさんの太ももで……!」

「…………はぁ~っ❤ はぁ~っっ❤ やっば、滅茶苦茶気持ち良かった……❤ 歩くんに乳首噛まれてイッちゃったあ……❤」

「か、噛んだりしてごめんなさい。傷になってませんか……?」

「ん~? いいよ別に、最高だったもん……❤ 歩くんも良かった? ゴメンね、おちんちん虐めちゃって」

「い、いえっ。僕も最高でしたっ」

「そっか❤ じゃあ、仲直りのちゅー❤ ……んちゅ、ぷちゅっ❤ ちゅぱっ、ちう~~っ❤」

 

 裸で抱き合いながら、二度目のキス。始めての時よりも深く、アルクェイドの方から少年の舌を吸った。

 

(歩くんの精液、熱い……❤ 太ももにちょっとかかっちゃったけど、シャワーより熱くて、しかもすっごい濃くて全然垂れて行かない❤)

 

 指先ですりすりとチンポを扱き、残った精液も吐き出させてあげながらアルクェイドは思う。

 

(シャワーで誤魔化せてるけど、わたしのおまんこも洪水みたいに愛液溢れちゃってる❤ 子宮もさっきからキュンキュンして……これ、完全に歩くんを交尾しても良い相手だって認めちゃってるよ……❤)

 

 頑張ってつま先立ちして唇を合わせる歩を可愛らしく思いながら、アルクェイドはぴちゃぴちゃと舌を絡ませる。

 無意識に、指先で糸を引く精液の感触を確かめながら。

 




次、本番の予定。


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交合一夜(アルクェイド)

 時刻は夜に差し掛かっていた。

 

 外は完全に真っ暗になっている。雨の勢いは変わっていない。ニュース通り、このまま明け方まで降るのだろう。

 

「………………………………」

「………………………………」

 

 まるで外界と完全に切り離されたような雰囲気の中で、歩とアルクェイドは、脱衣所で自分の身体を拭いていた。

 

 お互い相手を視界に入れる事なく黙りこくっている。さっきまでの淫熱が冷めた、のではない。二人とも顔は真っ赤に火照り、息が上がっている。ここでどちらかが誘いを掛ければ最後まで突き進んでしまうと分かっているからこそ、それに躊躇しているのだった。

 二人が身体を拭き終わった。後は服を着るだけだ。それなのに、歩もアルクェイドも、バスタオルで局部を隠したまま着替えようとしない。

 

 当然である。躊躇してはいても、二人とももう何もせず終わらせる気などない。目の前の異性とセックスする事しか頭に無かった。

 

「あ、アルクェイドさんっ」

「ッ…………。……な、なあに?」

 

 先に声を掛けたのは、意外にも歩の方だった。

 歩が狼狽えるアルクェイドの目を見る。その顔はさっきまでのチンポを扱かれて半泣きになっている男の子の顔ではない。それは幼いながらも、異性にセックスを申し込むオスの顔だった。

 

「ぼ、僕、……アルクェイドさんとエッチしたいです。ずっと前から好きでした。綺麗で、優しくて、憧れてたんです。だからっ」

「う………………❤」

 

 不器用ながらも真っ直ぐな告白に、アルクェイドはくらりと来ていた。向けられる生の感情にアルクェイドの女の部分が反応してしまっている。歩から言い出さなければアルクェイドからアプローチしていただろう所に歩の求愛が直撃したのだから、ぐらつくのも当然だった。

 

「で、でもね……。ほら、わたしたち、歳の差もあるし。お付き合いもせず、お隣さん同士でエッチする、ってのもさ。ほら、色々問題があるっていうか……」

 

 もう答えは決まっているのに、及び腰で逃げようとするアルクェイド。

 しかし、歩はそんな態度を許さなかった。アルクェイドの両腕をがっちり掴み、必死で言う。

 

「じ、じゃあ、僕と付き合って下さい! それに歳の差なんて関係ないですっ。部屋が隣同士っていうのも、むしろ都合がいいって言うかっ」

「ひんっ、あ、歩くんっ…………!」

 

 夢中で頼み込む歩。そんな本人は気が付いていなかったのだが、

 

(あ、当たってる❤ お腹に……子宮の上に、歩くんのビンビンになったおちんちん、ぐりぐり当たってるよ…………❤)

 

 すっかり臨戦態勢になり上向いたチンポの亀頭が、アルクェイドに近寄った為に彼女のヘソの辺りに押し付けられてしまっていた。

 発情し切った子宮を『今からこれで犯してやる』とでもいうかのように亀頭で突つかれる。それがアルクェイドの理性を遂に打ち壊した。

 

「~~~~~っ、もうっ、そんな風に誘って……! 覚悟してよ、もう止まれないからねっ!?」

「え…………んむっ!」

 

 ぷちゅ、ちゅっ❤ と唇が重ねられる。キスしながら、アルクェイドが今度は自分の指先で、下腹部に歩のチンポをぐりぐりと押し当てた。

 

「ちゅぷ……っ❤ ほら、ここ❤ この内側にわたしの子宮があるの❤ すっかりその気になっちゃってるわたしの子宮、歩くんのせいなんだから……責任取って、しっかり満足させてよね……❤」

「あ、アルクェイドさん……!」

 

 見詰め合う二人。発情した男女は、しばらくキスし続けていた。

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 どさり、と歩はベッドに押し倒された。

 カーテンが引かれたアルクェイドの寝室。二人が並んで眠れるくらいの大きなふかふかのベッドだ。ベッド脇の小さな照明が点けられているだけで、室内は薄暗い。

 

「ちゅっちゅっ、ちゅぱ❤ んじゅるるるるっ、ちううう~~っ❤」

 

 四つん這いでのし掛かって来たアルクェイドに腕をがっちり掴まれ、逃げ場がない。腰の上に跨られているので動く事も出来ず、唇を貪られている状態だ。根本的にアルクェイドの方が身体が大きいので、上から見れば歩がすっぽりと覆われてしまっているだろう。男の子としては長めでさらさらの黒髪が枕に広がっていた。

 

(やばい、アルクェイドさん……僕のチンコにおまんこ、すりすりって……!)

 

 お互い全裸なので、竿を潤ったマンコで撫でられる感触が直に伝わって来てしまう。甘い蜜で濡らされ、歩のチンポは悦ぶように更に硬度を増した。

 

「ぷは……❤ 目が潤んだ歩くん、可愛い……❤ なのにおちんちんだけはさっきから、お姉さんのおまんこをびくびく❤ って叩いてて……罪な男の子なんだからあ……❤」

 

 自分もとろとろの瞳をしながら、アルクェイドが言う。大きなおっぱいは重力に引かれて、歩の薄い胸板にたぷん❤ と乗っかっていた。

 

「アルクェイドさんっ、僕もう……!」

「ん❤ ゴメンね、焦らしちゃって……ここまで来て、挿れる前に暴発しちゃったら勿体ないよね❤ わたしももう準備出来てるし……初体験、しちゃおっか……❤」

 

 アルクェイドが騎乗位のまま、腰を上げた。手で歩のチンポの向きを調節し、亀頭とマンコの入り口がちゅっ❤ と触れ合う。

 

「あ、あ……当たって……!」

「くすっ❤ ……じゃあ歩くん、ちゃんとわたしの目、見てるんだよ❤ ほら、挿れてくよ……っ❤」

 

 ぬぷぷぷぷ……、と歩のチンポが呑み込まれていく。歩は今まで知らなかった女性の肉を、最高級の相手で経験する事になった。

 

「はっ、はっ、はっ…………!」

 

 歩は息を切らせながら、必死に目を見開いていた。ぼやけた視界にあるのはアルクェイドの赤く輝く瞳だけだ。自分を見下ろす美しい瞳と見詰め合いながら、彼女の性器にチンポを嵌める。

 亀頭が膣に撫でられながら進んでいく。やがて……コツン、と子宮口にぶつかった。

 

「くふ……❤ 歩くんのおちんちん全部入ったよ❤ 腰と腰、くっついちゃったね……❤」

「アルクェイドさんの中……すごいっ……!」

 

 熱くぬめった膣の中で、歩のチンポがびっくんびっくんと跳ねる。さっきまで何発も出していなかったらとっくに射精していただろう。アルクェイドもそれを分かっているのか、彼が落ち着くまでじっと腰を下ろしたまま動かなかった。

 

 やがて、歩の腰のひくつきが収まった頃、

 

「……改めて、童貞卒業おめでとう、歩くん❤ ちゃんと射精堪えたね❤ 偉いよ……、ちゅ❤」

「はーっ、はー……。アルクェイドさん、僕……相手がアルクェイドさんで嬉しいですっ……!」

「うん❤ わたしも、キミの初めてがわたしで嬉しい❤」

 

 吐息が掛かるくらい顔を近付け微笑むアルクェイド。歩の手はそんな彼女の顔の下で揺れるおっぱいに自然と引き寄せられてしまう。下から持ち上げるように、肉の詰まった乳袋をたぷたぷと弄んだ。

 

「あんっ❤ もう、本当におっぱい好きなんだから……いいよ揉んでて、わたしが腰、動かしてあげる❤」

 

 言うが早いか、ぱんっ、ぱんっとアルクェイドの腰が上下に振られる。杭のようにそそり立つ少年のチンポが、吸血姫のマンコで何度も扱かれる。

 

「ふっ、ふんっ❤ 歩くんのおちんちん、立派だね……❤ 童貞卒業したばっかりなのに、わたしの子宮口、コツンコツンって叩いて……ここに精液吐き出させろー、って迫って来てる❤ もう、今更そんなおねだりしなくても、断る訳ないのに……❤」

 

 アルクェイドの大きなお尻が振られる度、ぎしぎしとベッドが軋む。それに合わせて、二人の汗が散った。

 

(僕のチンコ、溶けちゃいそう……これが女の人の……アルクェイドさんのおまんこ……!)

 

 ひだひだの膣壁で竿を包まれるのも、子宮口と亀頭でキスするのも、やわらかいお尻の感触を腰で直接感じるのも初めてで、少年の射精欲はあっという間に高まっていく。本日もう4度目の精液が、早くも昇って来ようとしている。

 

「ごっ、ごめんなさいアルクェイドさん、僕もう……!」

「ん❤ 頑張ったね、歩くん❤ じゃあ、どこに出したいかな? お姉さんに教えて?」

「ど、どこって……それは……っ」

 

 悪戯っぽく聞かれ、歩は恥ずかしくて答えられない。そんな彼に、アルクェイドが再度迫る。

 

「ん~? はっきり言ってくれないと分からないなあ? また顔にかけたい? 手で出させて欲しい? さっきみたいに、壁目がけて射精しちゃおっか?」

 

 答えは分かり切っているのに、猫のように笑って焦らすアルクェイド。観念した歩が我慢できないとばかりに叫ぶ。

 

「あ、アルクェイドさんの意地悪……! おまんこに……アルクェイドさんのおまんこに、中出ししたいですっ……!」

「あはっ❤ ちゃんと言えたね、良い子、良い子❤ じゃあ、お姉さんの中に気持ちよ~くぴゅっぴゅしちゃおうか❤」

 

 更に激しく、アルクェイドが腰を振る。上下に跳ねるだけでなく、ぐりぐりと捻り、前後に擦ったりと、自分のマンコを使って少年のチンポに快楽を与えていく。

 ぱん、ぱんと肉と肉がぶつかり合う音が薄暗い部屋に響く。そして、歩に限界が訪れた。

 

「で、出るっ……アルクェイドさん、もう……!」

「いいよ、出してっ❤ わたしの子宮に、歩くんの初めての精液、ちょうだい……❤❤」

 

 二人の指が絡み合う。少年のチンポが、一際大きく震えた後。

 

 びゅるるっ! ぴゅるっ、ぴゅう~~~っ……! 

 

「あっ、あっ、あ…………!」

 

(吸われるっ……腰を全部持ってかれてるみたいに、アルクェイドさんのおまんこに……!)

 

 アルクェイドの中で、歩のチンポが弾けた。びゅるびゅると、自分でも信じられないような量の精液が迸る。自分の手で擦ってティッシュの上で放つのとは全く違う、極楽の射精だった。

 

「あ、あっつぅぅ……❤ 歩くんのおちんちん、わたしの中で跳ね回ってる❤ もう、容赦ないくらい沢山出しちゃってるね……❤」

「ご、ごめんなさい、中出ししちゃって……」

「ううん、良いんだってば❤ わたしも歩くんの精液、欲しかったから❤」

 

 二人が見詰め合う。少し気だるげな空気が二人を包んだ。

 

 しかし、はあはあと息を荒げる歩に対し、アルクェイドは少し汗をかいているだけだ。それに気づいた歩が彼女に聞く。

 

「あの、アルクェイドさんは気持ち良かったですか……?」

「うん? ああうん、凄く良かったよ。歩くんのおちんちんのお陰だね❤」

 

 笑って答えるアルクェイド。しかし、それは歩がさっきお風呂で見た絶頂の顔とは違った。

 

(アルクェイドさん……イッてないんだ。そうだよね、アルクェイドさんは僕の為に腰を動かしてくれてたのに、僕は何もしてなかったんだから)

 

 歩の胸中に後悔の念が沸き上がる。それでも今ならまだ取り返せると、歩はアルクェイドの目を見詰めた。

 

「アルクェイドさん。次は、僕がアルクェイドさんを気持ちよくしますっ」

「ふえっ? あ、歩くん……きゃっ!?」

 

 チンポをマンコから抜きもせずに、今度は歩がアルクェイドを押し倒した。肩を掴み、優しくベッドに押し付ける。

 

「ちょ、ちょっと……どうしたのっ?」

「アルクェイドさん、まだイッてないですよね。僕、へたくそだと思いますけど……頑張ってアルクェイドさんを気持ち良くさせますから」

「え、えええっ…………ご、強引だなあ、急にっ……❤」

 

 戸惑いつつも、意外に男らしい所を見せた歩に、アルクェイドの心と子宮はキュンキュン来ていた。胸の前に腕を寄せて、生娘のように身を縮こまらせる。

 今度は自分から相手に跨った歩が、ゆっくりと勃起したままのチンポを引き抜く。亀頭が顔を見せるくらいまで抜いた後、ばっちゅん❤ と勢いよくマンコに突き入れた。

 

「────お゙ッッ❤ 歩くん、それ強っ……❤」

 

 子宮口をぶん殴られたアルクェイドが、唸るように喘ぐ。それはさっき乳首を噛まれた時よりも、中出しされた時とも違う、オスにメスの部分を攻撃されたが故の快感だった。

 

「アルクェイドさん、良かったですか? 一番奥が良いみたいですね、僕、頑張りますからっ」

「ま、待って待って歩くん、ちょっと待────あ゙っ❤ あ゙うっ❤ ん゙ぐうう~~ッ❤」

 

 どちゅどちゅと子宮をガン突きされ、身体を跳ね上がらせるアルクェイド。勿論嫌な訳ではなく、あまりの快楽に恐怖を感じた為の制止だったのだが、歩の耳には入っていなかった。

 アルクェイドが明らかに感じている事で歩に安堵が生まれたのか、余裕が出来た少年は奥をぐりぐりと押し付けたり、膣の天井を擦ったり、入口をくぽくぽと耕したりと想い人に性感を与える事に夢中になった。その度に、先程の歩のようにアルクェイドの身体が跳ねる。

 

「き、ぎもちいい……っ❤ あっ、そこ駄目っ、入口駄目っ❤ おまんこ擦るのも駄目っ、もう全部駄目ぇ❤ 歩くんのおちんちん、強過ぎだよお……っ❤」

 

 自分も自然と腰を浮かせ、少年のチンポに迎え腰でマンコを押し付けながらアルクェイドが悶える。今度は彼女の方が、枕に金髪を散らして汗を滴らせた。

 

「あっ❤ あっ❤ あっ❤ あっ❤ あっ❤ あっ❤」

 

 さっきよりも激しくベッドが軋み、二人の身体が揺れる。童貞を卒業したばかりの歩の抽送には技術も余裕もなかったが、既にほぐれ切っているアルクェイドのマンコにとってはそれが逆にぴったりだった。好きな人を気持ちよくさせてあげたい、という想いで必死にピストンする少年の動きに、恋愛対象として認めかけている事も相まって、吸血姫の子宮はひたすら歓喜を覚えてしまう。

 

 快楽を与え合う二人。そのうちに、また二人に限界が訪れた。歩のチンポが跳ね、アルクェイドの子宮が震える。

 

「アルクェイドさんっ……僕また……!」

「うんっ、わたしもっ❤ 一緒にイこっ、歩くんと一緒にイキたいっ……❤❤」

 

 ぱこぱこと性器をハメながら、二人が抱き合う。裸体を擦り合わせ、口付けた時。

 

 ────びゅびゅっ、びゅぅ──っ! びゅるっ、びゅぷぷっ! びゅくっ、どぷぷぷぷぷ……❤

 

 歩が射精し、アルクェイドが絶頂した。抜かずの二発目だというのに、歩の精液は今までで一番多い。手コキした時アルクェイドが想像した通りに、勢いよく大量の精液が彼女の子宮に流し込まれていた。

 

「ぶちゅっ、ちゅうううう…………❤ ちゅっ、ちゅ──ーっ❤❤」

 

 アルクェイドの方も、乳首アクメとは比にならない程の激しい子宮アクメだった。多幸感に包まれ、鼻で息をしながら、二人は相手の性器と唇を貪り続けた。

 やがて呼吸が落ち着いて、二人の唇が離れた。どさっと倒れ込んだ歩の身体をアルクェイドの手が優しく撫でる。

 

「あの……ごめんなさい。乱暴にしちゃって……」

「ううん、歩くん、とってもカッコ良かった……❤ あんなに男らしい所もあるんだね、わたし見直しちゃったよっ。エッチも気持ち良かったし、すっごく幸せだったよ❤」

「あ…………」

 

 ぽんぽんと頭を撫でられて、鼓動が落ち着く歩。自分もさっきは少しアルクェイドを責める事が出来た、と思っていたが、やっぱり結局は彼女の包容力には敵わない気がして、悔しいような嬉しいような気分になるのだった。

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

「おおっ、すっかり晴れてるね~っ。雲も全部なくなってる。昨日の風のお陰かなあ?」

 

 翌朝の早朝。カーテンを開けて外を眺めるアルクェイドが、表情を輝かせて言った。

 昨夜はあれで疲れ切った歩が眠ってしまい、エッチは終わりになった。まだ歩の登校まではしばらくある。

 

 歩は料理があまり上手ではないらしいアルクェイドの代わりに朝食を作っていた。母親が家を空ける事が多かったので、自然と彼の料理の腕は上がっていた。

 

「アルクェイドさん、ご飯出来ました」

「ありがとっ。……わっ、朝からお味噌汁が飲めるなんて! わたし作るのに一時間くらいかかるんだよーっ」

 

 リビングのテーブルで朝食を摂る。テレビを点けると、しばらくは快晴との予報が出ていた。

 

「そういえば、お母さんは誤魔化せた? もう帰ってるんだよね?」

「はい、何とか。友達の所に泊まるって言ったら、『そんな友達いつ出来たの!?』て言われましたけど」

「あははっ。まさかお隣のお姉さんの部屋でエッチして疲れて寝ちゃってました、なんて言えないよね~」

 

 けらけらと笑うアルクェイド。

 

 そう言われて、昨日までは絶対に手が届かないと思っていた女性と朝チュンで手料理を振る舞っている、という現状に改めて幸福感が溢れる歩。若干涙ぐむのを隠しながら、彼女と朝食を共にしていく。

 しばらくして食事も済み、さすがに家に戻らなければいけない時間になった。荷物を取って、服を着替え、ついでに母親に言い訳をする必要がある。今日の所はアルクェイドと一緒にいられるのはここまでだった。

 

「それじゃ、その……なんだか信じられない事になりましたけど、泊めて下さってありがとうございました。その、嬉しかったです、色々とっ」

「ん、わたしも。歩に声かけて良かったなあ。歩とこういう仲になれたって思うと、昨日の雨にも感謝だね」

「…………はいっ」

 

 さりげなく歩と呼び捨てにされ、また嬉しくなってしまう歩。

 ドアを開けて外に出ようとすると、すっと耳元に唇が寄せられた。

 

「……あと、一応言っておくけど……告白してくれたの、嬉しかったよ。明日、時間が出来たらさ、また部屋に来て。これからの事、改めて話し合おうね……❤」

「あ……わ、わかりました……!」

 

 お互い真っ赤な顔で、ぱたぱたと手を振り合いつつ、ドアを閉めた。

 

「……ふぅ~っ」

 

 朝日に照らされた通路を見て、昨日とは違う溜息をつく。

 アルクェイドが交際を了承してくれるかは分からない。それでももし認めてくれたら彼女と誠実に付き合って行こう、と決心しながら、自分の部屋へと戻って行った。

 

 

 

 実際はこれから、両手では足りない程の女性と関係を結ぶ事になるのだが────

 それはまだ、歩の知る由もない事だった。

 




そんな感じでアルクェイド編でした。エロくなってたでしょうか?
次はカレーのお姉さんか騎乗兵のお姉さんかナイフに着物のお姉さんの予定です。お姉さんばっかりだ


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口淫搾精(ライダー)

今回からライダー編、2話か3話の予定です。


 一日の授業を終え、歩は家路に就いていた。

 

 その足取りは軽かった。昨夜童貞を卒業して、今朝は想い人と共に食事を摂ったのだから当然だ。まるで新しい世界を見たような気分である。教室でもいつもは女子から話し掛けられるとどぎまぎしてしまうのだが、すっかり自然体で受け答え出来るようになっていた。あのアルクェイドとの夜を経験した後では、クラスメイトの女子など性の対象として外れてしまっているようだった。

 

「アルクェイドさんの答えは明日、か。良い返事を貰えるといいんだけど」

 

 エントランスをカードキーと顔認証で通過し、中へ入る。歩の住むマンションはコの字型に棟が建っていて、その中心に小さな公園くらいの大きさの植物園が造園されていた。いくつかのベンチが置いてあって、そこで座って和むのが歩のお気に入りだ。住み込みの管理人さんがよく整備している憩いの場の横を歩いて行く。

 

 と、通路の向こうに誰かが立っているのが見えた。背の高い、眼鏡を掛けた女性だ。

 

(あれ、あの人……最近よく見かけるな)

 

 アルクェイドと負けず劣らずの美人で、足首に届くのではないかというくらい長い紫髪をふんわりと背中でまとめている。薄手の黒いセーターにジーンズという素っ気ない服装だが、そのアルクェイド並みのスタイルはまるで隠せていなかった。胸とお尻はアルクェイドと同じくらい大きい上に、背が高い分更に足が長い。歩の気のせいか何なのか、たびたびすれ違ったり、視界の端に居たりする不思議な美女だった。

 

 モデルのような足取りで長髪を靡かせつつ、彼女はこちらに向かって歩いて来る。歩はちらちらとその美貌を盗み見ながら、ぶつからないよう端に寄った。

 二人が擦れ違う、その瞬間。

 

「────────こんにちは」

「わっ」

 

 歩に声が掛けられた。低めで落ち着いた、艶のある声だ。何度か会釈をした事ぐらいはあるものの、彼女に話しかけられたのは初めてで歩は驚く。

 

「あ、こ、こんにちは」

 

 少し緊張しながら返す。女性は髪を軽く掻き上げて、歩をじっと見た。

 

「…………あ、あの」

「……………………」

 

 見上げる歩が言う。しかし、彼女は反応せず、ただじっと歩を見ている。

 その細面はさながら女神のように整っているが、アルクェイドよりは若干怜悧な印象を受ける。きゅっと引き締められた唇は薄く艶めかしい。何より、

 

(あれ……瞳孔が…………?)

 

 四角いような気がする。確かめようと歩が目を凝らした時、

 

「先を越されてしまいましたか」

「え?」

 

 よく分からない事を言って、ふいっと興味を失くしたように歩み去って行った。

 

「………………???」

 

 ぽかん、と呆けた表情で首をかしげる歩。分かる事と言えば、

 

(…………アルクェイドさんと同じくらいに綺麗な人だったなあ)

 

 そんな、思春期の男子らしい事だけだった。

 

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 

 その日は、日中の過ごし易さに反して寝苦しい夜だった。

 

「う…………ん」

 

 何度目か分からない寝返りを打って、歩が汗を拭う。妙に身体に熱が籠っていた。昨日の雨の湿気がまだ残っているのだろうか、蒸し暑い熱帯夜のようだった。

 

「…………ん?」

 

 違和感を覚えて、ベッドの上で上半身を起こす。自分ではない何者かの気配がした。

 真っ暗な部屋を見渡す。見慣れたはずの様子が、何故だか今は異世界にでも居るように感じられる。

 

 ──────────ジャラリ。

 

「へ?」

 

 鎖が揺れるような音。それと共に、

 

「こんばんは、少年。どうやら眠れないようですね」

「え……えええっ!?」

 

 暗闇から溶け出すように、あの紫髪の女性が現れた。

 

「な、な、なっ……!? お姉さんはお昼の……って言うか、どうやって入って!?」

「そのような些細なコトは問題ではありません。それより、私は貴方に用があって来たのです」

 

 コツ、と彼女がベッドに近寄って来る。歩は混乱しっぱなしだ。彼女がここに何故来たのか、どうやって来たのかもそうだし、

 

「お、お姉さん……その服はなんですか? 何ていうか、その」

 

 男を誘っているようだ、と歩は思った。無理もない。美女は黒色のボディコンのような薄く肌に張り付き、手足を大胆に露出させる服を着ていた。長いニーソックスを履き、服との隙間から僅かに白い太ももが覗く。

 何より異彩を放つのはその顔だ。大きな眼帯のようなもので両目を覆っている。普通なら美観を損なってしまうだろうが、何故だか彼女にはそれが似合っていて、逆に艶めかしい。

 

「ええ、貴方が思っている通りですよ。これは男性を誘惑する為の格好です。現在の対象は……分かりますね?」

「っ…………!?」

 

 にたり、と唇を曲げた彼女の姿を見た瞬間、どぐんと鼓動が胸を打つ。さっきまでは全身に伝播していた身体の熱が、腰の中心へ一か所に集まっていく。

 

「うわ、なんで……っ」

 

 いつの間にかズボンがずり落ちて露出してしまっている、歩のチンポ。こんな状況で反応するはずもないそれは、しかし既にはち切れんばかりに腫れ上がっていた。それこそ昨夜のアルクェイドとの時以上に、旺盛に反り返り血管を浮かせている。

 

「これはこれは。思っていた以上に立派なのですね。幼気な少女のような顔をしながら、そこは獣のようではないですか」

「う……ぐ……!?」

 

 すっと歩み寄った彼女に、たおやかな指でチンポを撫でられる。その途端、彼女の言葉通りの獣性が歩の胸に沸き上がった。普通は性欲を感じたからこそ男性器が勃起するはずなのに、まるで逆の順序を辿ったかのようだった。

 

(身体が……重い……?)

 

 肘を立てて身を起こすのが精一杯だ。特に足は力が抜けてしまってろくに動かない。歩がそうやって四苦八苦している間に、美女は歩の股の間で四つん這いになっていた。

 

「ほら、暴れないで。貴方のペニスを私にしっかり見せてください」

「ひ、ひいぃ!?」

 

 両ひざを掴まれ、がばっと開かれる。彼女の眼前に歩のチンポが突き出された。

 

「ああ、本当に雄々しく勃起して、それなのにまだ淫水焼けしていない未熟さを漂わせて。なんと魅惑的なのでしょう。弱弱しい体躯にこれが生えているというのが、また不似合いでそそります」

「そ、そんなに見ないで下さ……っ!?」

 

 喚く歩を一切意に介さず、美女がチンポに見惚れる。眼帯をしているというのに、明らかに視認出来ているような口ぶりだった。

 すんすん、と彼女は匂いを嗅いで、

 

「とはいえ、既に匂いが染み込んでしまっていますね。本当は私の方が先に目を付けていたというのに。まあどうしても初物でなければ許せないと云うたちではありませんが……やはり、初めてを頂きたかった所です」

「に、匂いって……」

「ん……? しかしこれは」

 

 もう一度鼻を鳴らして、紫髪の女性が歩を見上げて言った。

 

「確認しますが、口での愛撫は受けましたか? 唾液の気配が感じられませんね」

「はっ? あ、愛撫って?」

「要するにフェラチオというコトです。……ああ、答えなくても結構ですよ。その顔でよく分かりましたから」

 

 再び面を下ろし、チンポの前に顔を寄せる。あと数センチ近付けば、亀頭に唇が触れてしまいそうだ。

 

「では、口取りの初めては私が頂くとしましょう。……ああ、覚悟する様に。腰が抜ける程に吸い出してあげますから」

 

 そう言って躊躇う事なく、むちゅり♡ と亀頭へキスをした。

 

「ひ、あああ……!?」

「ん、ふ……ちゅっ、ちゅ♡ ぷちゅっ、むちゅうっ♡」

 

 恋人の唇とするような、甘々のキス。それを亀頭に浴びせられ、力が抜けているはずの歩の腰が痙攣する。

 

「ウフ……やはり初めてでしたか。では、私の唇に病み付きになってしまう程に善くしてあげましょう……ちゅっちゅっ、ちゅっ♡」

 

 唇が触れていない部分がなくなるくらいに亀頭へキスを繰り返すと、今度は竿へ。膝を掴んでフリーハンドのまま、器用に顔面で裏筋を持ち上げ、根本の方へ向かって口付けをしていく。

 

 やがて玉袋まで到達すると、躊躇う事無く大口を開けて口に含んだ。生暖かい唾液に満ちた口内で、ころころと睾丸を転がす。

 

「あうっ……あああ……!」

 

 生まれて初めての感触に歩が慄く。それは苦痛によるものではなく、今まで感じた経験のない類の快感だからだった。

 

「ちゅっ、ちゅ♡ ほら、しっかりココで精を絞り出して下さい。一発では終わらせませんよ」

 

 左右の陰嚢へ交互に唇を落とし、彼女が言う。チロリと舌なめずりするのを見て、まるで蛇のような女性だと歩は思った。

 ぺろぺろ、と唾液の滴る舌でチンポ全体を舐められる。舌先で裏筋を押され、根本から舐め上げられると鈴口から先走りが溢れた。

 

 びくびくっ、と勃起が震える。蛇女の舌技で早くも歩のチンポは追い詰められていた。あっさりと精液を噴き上げる。

 

 びゅくっ、びゅるるっ! びゅううーっ……! 

 

「く、は……っ!」

「ぅぷっ…………これはこれは、また大層出されるのですね。私の顔に精をぶちまけるなど……どれほど世の男性が羨むコトか、貴方は分かっていないのでしょうが」

 

 堪える事も出来ず、びちゃびちゃと彼女の顔に白濁をぶちまけてしまう。堅そうな眼帯にも、真っ直ぐ通った鼻筋にも、さっきまでチンポに触れていた唇にも、粘度の高い精液がびゅるびゅると線のように引っ掛けられていく。

 

「はあっ……はあ……」

 

 一頻り出し終えて、歩の息は上がっていた。アルクェイドとのそれとは違う、唇と舌ひとつで弄ばれるように噴出してしまった射精に、身体が驚いてしまっている。

 しかし、

 

(っ、まだ……勃起したままだ……)

 

 一体どういう訳か、歩のチンポは屹立したままだ。未だに理由不明の淫熱が、腰の辺りにわだかまっていた。

 戸惑う歩を、美女は何も考慮しない。顔についた体液を拭いもせず、精液まみれのチンポを、今度は一気に咥え込んだ。

 

「んぐ……じゅぷうううううううううううう……♡♡」

「うあああ……っ!」

 

 唾液のしっかり溜められた口内を、ずるずるとチンポが進んでいく。呑み込まれた亀頭が、喉奥の柔らかい部分にむちゅりと触れた。

 

「ぉごっ♡ ぐぷぐぷぐぷ……っ♡」

 

 普通の女なら反射的に吐き出しているだろうに、むしろ更に引きずり込もうとしてくる。歩の大きなチンポが外から見て分かる程に彼女の喉を押し広げているというのに、むしろ幸いと喉で亀頭を扱き刺激を加えた。

 

 そのまま、

 

「ぶちゅっ♡ ぶちゅっ♡ ぶちゅっ♡ ぶちゅっ♡ ぶちゅっ♡ ぶちゅっ♡」

 

 口と喉を駆使した、激しいピストンが始まった。歯を引っ掛けないように意識しながら、口内と喉の筋肉を性具に見立ててチンポを扱き上げる。唇が出し入れするチンポに引き摺られ、美しく澄ました顔が崩れてしまうのも構わず、歩の精液を吸い出そうとする。

 

「お、お姉さんっ……激し過ぎ……! このままじゃ、口の中に……っ」

「くす……♡ じゅるるるっ、じゅぷじゅぷじゅぷじゅぷじゅぷじゅぷじゅぷっ♡♡」

 

 泣き言を言う歩に、蛇女はむしろ責めを激化させた。激しく啜られる唇の端から唾液と先走りの混ざった液体が撒き散らされる。もう歩の五感には、チンポを襲う暴力的な快楽と、鼓膜を震わせる粘ついた水音しか感じられない。女性の方も、ぐっぷぐっぷと顔を上下させ、艶やかな紫髪を振り乱しながら歩のチンポにトドメを刺す事だけに専念している。

 

 やがて、射精寸前まで追い詰めた事を敏感に察知した女性が、一際激しく啜り上げた。

 

「じゅるっ、ちゅぶぶっ♡ ずるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるっっ♡♡♡」

「うあ、駄目っ、出る出るっ……!」

 

 喉を使って、精液を汲み上げるようなフェラチオに、少年のチンポはひとたまりもなかった。

 

 ───────ぶぴゅる、びゅるるるっ! どぴゅ、どぷどぷどぷどぷ……っ! 

 

 喉奥で精液が吐き出される。口内射精と言うより食道に直接流し込むかのような射精を、紫髪の美女はえづく事もなく、こくこくと飲み下していった。

 

 長く続いた射精で胃の中を満たされ満腹になったのだろう。蛇女は口からチンポを引き抜いていく。

 

「ぬるるるるっ……ちゅっぽん♡ ……むぁ、みえまふか? ほとんどのんらのに、まらおくちにいっはい……♡」

 

 かぱっと開かれた口内は、白濁液が池のようになってしまっていた。ちろちろと赤い舌が見え隠れする。

 

「むふっ……くちゅくちゅくちゅ♡ かららららららっ♡ ……んぐ、ごっくん♡」

 

 口の中で味わい、うがいまでした後、精液を飲み込んだ。垂れた精液を指先で掬いちゅぱちゅぱと舐める様は、本当に甘露であるかのようだった。

 

「…………ぷは♡ フフ、これまた盛大な吐精でしたね。その細い腰のどこにこんな精が詰まっているのかと思うくらい」

「はあ、はっ……。お、お姉さん、結局なんでこんな事を……?」

 

 ひと段落したと思った歩が聞く。しかし蛇女は変わらず妖しい笑みを浮かべたままだ。

 

 直後、ジャラララッ!! と金属が巻き上げられる音がしたかと思うと、歩の四肢が長い鎖に巻き取られ、引き摺り上げられた。一体暗闇のどこから鎖が飛び出ているのか、歩は大の字に拘束されてしまう。

 

「うわあああっ!? な、何これ……っ」

 

 蛇女は怯える歩の顎先をツッと指先でなぞりながら言う。

 

「おやおや。まるで情事が終わったかのような言い草ですが、勘違いしないで下さい」

 

 歩の目の前で信じられない光景が広がった。ぞわぞわと美女の紫髪がうねり、伸びる。鎖の拘束の上から更に巻き付くように、歩の身体に絡まっていく。

 

「最初に言ったはずですよ、腰が抜けるまで吸い出すと。まだ到底慊焉には足りません」

「ま、待って下さ……ぼ、僕もう……!」

「いいえ、待ちません。少なくともまだ元気に自己主張している貴方のペニスが萎れるまでは、この悪夢に付き合って貰わなければ」

 

 身動きできない歩の前で美女が腰を落とし、歩のチンポにむしゃぶり付く。射精したばかりのペニスを咥えられる刺激に歩が悲鳴を上げる。

 

 この後、歩の精液が干乾びるまで、蛇女は口淫を続けるのだった。

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

「…………とんでもない夢を見たなあ」

 

 翌朝。早く仕事へ出た母の後で、歩は独り朝食を摂っていた。

 

 精液を撒き散らす悪夢を見た歩は朝になってはっと飛び起きたのだが、当然のようにあの紫髪の女性など部屋のどこにもおらず、夢精もしていなかった。汗だくで身体が疲れていて、精気というか生気的なものを抜き取られている気がしたがそれだけだ。安静にしていると身体のだるさもすぐ取れた。

 

「アルクェイドさんの返事を聞く日に、なんて夢を見てるんだよ……。ううっ、早く忘れよう」

 

 あの紫髪の女性に対しても失礼だし、と歩は首を振る。

 

 食事を終えて、登校しようとカバンを持って部屋を出る。ドアに鍵を掛けて通路を歩いていると、また向こう側からあの女性が向かってくるのが見えた。

 

「…………っ」

 

 昨夜の夢を思い出してしまって意味もなく緊張する。ちらっと彼女の方を見てみると、何故か相手も怖々と窺うような、どこか申し訳なさそうな雰囲気でこちらを見ていた。

 

「……あ、あの、おはようございます」

「!」

 

 何となく歩の方から挨拶してみると、驚いたように見詰められる。それから彼女は恐る恐るといった風に、

 

「…………おはようございます。その、身体は大丈夫でしたか」

「えっ?」

 

 反射的に夢の事を連想して聞き返すと、女性は慌てたように言う。

 

「あ、その、昨日は少し……寝苦しかったようですから。こういう季節は悪い夢を見るコトがあるかもしれません。貴方も気を付けた方がいい」

 

(あ……なんだ。単に僕の事を心配してくれてるだけか)

 

 そりゃあそうだよね、と一人で得心する歩。感謝を込めて、笑顔で彼女に答えた。

 

「ありがとうございます。実は昨日ヘンな夢を見て寝不足だったんですけど、お姉さんと朝から話せて元気が出ましたっ。 ……あの、僕、歩って言います。お名前を聞いてもいいてすか?」

 

 笑いかけられて何故かぽかんとしている彼女に聞く。微妙に狼狽えて、考え込んだ後、

 

「……それではライダーと。ああ、少し変わった名前ですが気にしないで下さい。通称のようなモノですので」

「えっと、ライダーさん……ですか? 分かりました、ライダーさん。それじゃ僕、学校に行きますから……これからよろしくお願いします!」

 

 不思議な名前だけど何か事情があるのだろうと納得してまた笑顔を向けてから、歩はマンションを出て行った。

 

 

 

 

 

「あんな酷い目に遭ったというのに、あのような顔で笑いかけてくるとは」

 

 歩が去り、一人になった後。

 

「…………おかしいですね。何故か鼓動が早くなっている。これでは、まるで私の方が本気になっているようではないですか」

 

 胸を押さえて、メドゥーサはポツリと呟いた。

 




アンケートの存在を教えて頂いたので(ありがとうございます)、早速設置してみました。
宜しければぜひ投票をお願いします。書く順番の参考にさせて頂きます。


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座位情交(ライダー)

※作者の趣味により、当SSのライダーさんは性的にクソザコです。ご了承ください。


 全校生徒集まっての朝礼はいつもかったるいものだ。

 それが、寝不足の朝ともなれば尚更である。

 

「ふああ…………」

 

 歩は大あくびをした。周りを見れば、数百人の生徒が歩と同じように突っ立っている。

 

 歩の学校は中高一貫で朝礼や行事も合同で行うので、広い体育館の中、十代始めの年頃から後半まで幅広い年齢の生徒がいた。アルクェイドやライダーほどではないが、歩からすれば最上級生あたりはもう大人に近いような印象だった。

 

「……また、来月行われる文化祭では例年通り中等部高等部が連携し合っての行事になります。保護者の方や外部からの来賓も多くいらっしゃいますから、滞りなく当日を迎えられるよう……」

 

 壇上では生徒会長がスピーチをしている。学業運動容姿素行すべてにおいて完璧と名高い、この学校はおろか他校からも有名な女生徒だ。艶やかな黒髪をツーサイドアップにした美少女で、今も隙の見当たらない様子で原稿も見ずに話し続けている。何でも高等部では毎日のように男子生徒が告白していて、その尽くが玉砕しているのだとか。

 

 とはいえ、歩とは接点のない存在だ。歩もその他の例に漏れず彼女に憧れてはいたが、それは恋愛感情というより尊敬に近かった。半分閉じそうな目でぼうっと見上げていると、その内に話が終わりを迎えていた。

 

「……では、これでわたしからの話を終わります。ご清聴有難うごさいました」

『高等部生徒会会長、遠坂凛さんのお話でした。では次に生徒指導担当の──────────』

 

 今度は年配の男性教諭が壇上に上がる。まだ朝礼は続きそうだ、と歩はあくびをかみ殺した。

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

「…………ふぅっ。どうなるかなあ……」

 

 今日は授業が午前中で終わりだったので、歩は昼過ぎには学校を出ていた。

 昨日の帰宅時と違って、少し重い気分。それは昨夜の悪夢の疲れが意外と残っていた事もあるし、今日がアルクェイドからの返事を聞く日でもあるからだった。

 

「う……ほんと、なんであんな夢を見たんだろ」

 

 夢の事を踏まえて今朝言葉を交わしたライダーを思い浮かべると、心臓がドキッとした。何故だか彼女の顔が脳裏から離れない。

 

「ちょ……待って待って。何であの人を思い出しちゃってるんだ」

 

 その動悸がアルクェイドに感じる物に近い事に気付いて、慌てて首を振った。とてつもなくリアルだったとはいえ、一度性的な事をする夢を見たくらいで想いを寄せてしまうのか、と自省する。

 

 とはいえ、それも無理のない事だった。歩のような性欲と情愛の区別の付かない年若い少年にあの悪夢は強烈過ぎた。それに歩は自分が勝手に見た夢だと思っているものの、実際の所はライダーが宝具を用いて行った求愛行動のようなものだ。また、この少年は心を寄せて来る相手には出来るだけ応えて喜ばせたいという無垢な甘さを持っていた。本能的にライダーの想いを感じていた歩は、進んでそれを受け入れてしまう。

 

 要するに、既に歩はライダーに惚れかけていて─────そんな彼の性格が無自覚な女たらしの原因になっていくのだが、それはまた別の話。

 

「はあ、今日も暑いな…………ん?」

 

 自分の裡で渦巻く感情を自覚せずマンションの前まで差し掛かった歩が、建物の前にいる一人の少女に気付く。

 

 シンプルなピンク色のエプロンを着て、竹箒でマンションの自動ドアの前を掃いている。独特な色調の黒髪が美しい。歩はまだ高校生である彼女が住み込みでこのマンションの管理人を任されている事を知っていた。

 

「管理人さん、こんにちはっ」

「あら、歩くん。今日は随分早いお帰りですね」

 

 手を止め、にこにこと笑って管理人さんが歩に答える。ここの管理人さんはまだ若い少女だというのに、母性たっぷりだった。その胸部と腰つきはアルクェイドやライダー並み。彼女たちと比べて一回り小柄なので、豊満さがより強調されている。性格の方もそう。軽く屈んで目線を合わせてくれる彼女の優しさが歩は好きだった。

 

「今日は午前で終わりなんです。管理人さんは、これから植物園の手入れですか?」

「ううん、そっちはもう終わった所です。もしかしてまた手伝ってくれるつもりでしたか? ありがとうございます」

 

 甘い声色で、年下の歩にも彼女は敬語を崩さない。何度かマンションに住む子供等と話す所を見た事があるが、そちらには普通に年下の子供と接するような口調だった。まるで自分が特別扱いされているような気になって、歩の胸が弾む。

 

「いえ、管理人さんとお花の世話をするのは楽しいですから。あの植物園って管理人さんが作られたんですよね? 凄いですね、一人であんな立派なのを作ってしまうなんて」

「ふふっ。実家にああいう植物園があって、そこの手入れも私がしていたんです。経験の賜物ですね」

 

 口に手を当て、上品に笑う。おしとやかな様子に歩は見惚れてしまった。

 

「それに、私一人じゃありません。手伝ってくれた人がいるんです。このマンションに住んでる人ですよ」

「っと……そうなんですね。お友達か何かですか?」

 

 気を取り直して歩が聞く。

 

「友達…………うん、そんな感じかなあ。彼女、見た目は少し近寄りがたいかも知れませんけど、優しい子なんです。歩君もきっと仲良くなれると思うな」

「へえ……。仲良くなるって言えば、僕、ライダーさんと仲良くなったんですよ。ここの住人の方の。今日……いや昨日かな、初めて話したんですけど。最初はちょっと怖い人なのかなって思ったんですけど、話してみたらいい人で、僕の事を心配してくれました」

「──────────え?」

「?」

 

 管理人のお姉さんが歩の方をぱっと振り向く。それから俯いて、

 

「…………彼女ったら、まさか。いえ、ただお話ししただけ、そうよね。……でも万が一というコトもあるわ。ふふ、本人にしっかり確認しておかないと」

「あ、あの……管理人さん?」

 

 不意に黒い笑みを浮かべたお姉さんに、歩が少し引いてしまう。それに気付いた管理人さんは取り繕うように手を振った。

 

「あっ、ごめんなさい。それじゃ、私はお掃除に戻りますから。歩くんも気を付けてね。……色々と」

「は、はあ」

 

 管理人さんはすたすたとマンションの中へ消えて行った。

 

「あの、管理人さん? ……あれ、いない」

 

 続いて歩が自動ドアを開け入室する。

 しかし、すぐ前にエントランスをくぐったばかりのはずの少女の背中は、もうどこにも見当たらなかった。

 

 

 

 

 

「管理人さん、足速いのかなあ。なんか一瞬で消えちゃったような……」

 

 歩が独りごちながらエレベーターに乗り、目的の階まで昇って行く。チン、と軽い音と共に扉が開いた。

 自室に辿り着く。鍵を取り出しながら、ふと隣室を見た。

 

(……アルクェイドさん、いるかな)

 

 彼女からは時間が出来たら来いと言われている。少し休憩してから訪ねようと思っていたが、もう今特攻するべきかも知れない。

 

「う、うーん……」

 

 どうしたものか。迷う少年が唸っていると、

 

「歩」

「えっ?」

 

 背後から女性の声がした。振り向けば、朝も言葉を交わしたライダーが立っていた。

 

「ら、ライダーさん。そこで何を?」

「今お帰りですか」

「あ……は、はい。たった今」

 

 歩の言葉を聞いて、ライダーは口を噤んだ。ちらり、と何故か歩と同じようにアルクェイドの部屋に視線を飛ばすと、

 

「では好都合だ。悪いですが、少し眠っていてください」

「へ──────あ、ぅ」

 

 一瞬、ライダーの右手が霞んだ、ように見えた。

 首筋に衝撃を感じる。それに疑問を浮かべるより前に、歩の意識は掻き消えていた。

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

「う……ん……」

 

 暗闇の中、歩は目を覚ました。

 

「っ……? ここ、どこ…………」

 

 一人がけの椅子に腰掛けているようだ。立ち上がろうとして、ジャラ、という音と共に突っかかる。見れば、両腕をそれぞれの肘置きに、両足首を椅子の足に鎖で縛り付けられていた。

 

「ま、またこの夢……!? いや、でも」

 

 後から思えば夢だった事に納得できる程不確かだった昨夜の記憶に比べれば、今の意識は鮮明だ。鎖の冷たさを感じる皮膚の感覚も、頬に当たる空気の感触も、完全にリアルで現実としか思えない。

 

 ガチャガチャと歩がどうにか鎖を振り解こうとする。そこへ、

 

「無駄ですよ。それを貴方が振り解くコトなど出来ません」

「あ……ライダーさん!?」

 

 昨日の焼き直しのように紫髪の美女が現れた。違うのは、あの色気を振り撒くボディコンではなく、歩の知る眼鏡にセーター姿だった事だ。

 

「あ、あの。これは一体……?」

「寝不足のせいか、よく眠っていましたね。今はもう夜ですよ。……それよりまず、昨夜の説明をしておきましょうか。もう隠しても仕方ないですからね」

 

 ライダーが、四角い瞳孔で歩を見据えながら言う。

 

「唐突ですが、私には貴方の想像の及ばない数々の異能がある。あの悪夢はその一つです。貴方に興味を持っている私が、少しばかりその精気を頂戴しました」

「はっ、はあ? 悪夢って」

「昨夜、私に口淫される夢を見たでしょう? そのコトですよ」

 

 目を白黒させ戸惑う歩。しかし、あの夢は誰にも口外していないはずなのに、普通なら思い付かないような淫靡な内容を彼女は当てて見せた。

 

「ついでに謝っておかないと。感情の制御が出来なかったとはいえ、昨夜は少しやり過ぎました。謝罪させて頂きます」

 

 謝る、と言いながらもライダーは頭を下げる様子もない。蜘蛛の巣に囚われたような歩をじっと見ている。

 

「え、えっと、意味が分からないんですが。ライダーさんがあの夢を見せたなんて……いや、例えそうだとしても、それでどうして僕はこんな事になってるんです?」

「話を聞いていなかったのですか」

 

 言って、すっとライダーが歩に近寄った。ぴと、とその頬に手を当て、

 

「貴方に興味がある、と言いました。……分かり易く明言すれば、私は貴方に好意を持っている可能性があります。今日はそれを確かめに来ました」

 

 そうして、そのままチュッと歩に口付けた。

 

「んむ…………っ!?」

「ぷちゅ、ぺちゃ……ちゅっちゅっ、ちゅぱ……♡」

 

 驚いて顔を背けようとするものの、がっちり手で頬を挟み込まれて身動き出来ない。そのまま口内を蹂躙させてしまう。

 

「ちゅるるるる……♡ ぺちゃ、むちゅっ♡」

 

 舌はおろか歯の一つ一つまで舐めしゃぶられる。しばらくして満足したのか、ぷはっとライダーは口を離した。

 

「ふぅ……っ。……ああ、そんな顔で見ないで下さい、歩。貴方を虐めたくなってしまうではないですか」

「う、う…………っ!?」

 

 怯えが混じった顔で自分を見詰める歩に気を良くしたか、ライダーは微笑みつつのそりと歩の膝の上に跨った。

 

「実はですね……私は男性も女性もいけるクチなのです。いえ、どちらかといえば女性の方が好きなくらいですか。セックスの相手としては男性が都合が良いですが」

 

 ふう、ふっ♡ と息を荒げる音。歩は最初、怯えた自分が呼吸音を立てているのかと思った。

 しかし違う。それは、興奮したライダー自身によるものだった。

 

「更に言えば、無駄に図体の大きい私よりも小柄で、可愛らしいモノが好きなのです。……分かりますか? 中性的で、小柄で可愛らしく、ついでにペニスの立派な貴方はですね、不遜な事にこの私の好みのど真ん中を突いてしまっているのです。魔術師でも異能者でもない貴方が、英霊メドゥーサたるこの私の心を掠め取ろうとしている」

 

 口調に怒りが混じる。しかし彼女の股間はそれと同時進行で、すりすり♡ と歩の股間に擦り付けられていた。それはまるで彼女の建前と本能が乖離しているかのようだった。

 

「しかも貴方は先に注目していた私に目もくれず、あの吸血鬼に求愛しようという。これは看過できません。このようなコトを見過ごしていては邪眼の名が廃る。ですから」

 

 ライダーの両腕が、ぎゅうっと歩の首筋に絡められる。歩を見下すような言葉に反した、恋人を抱くような優しい抱擁。

 

「ですから……っ、貴方を、性的に凌辱して差し上げます。そうして歩が無残な姿を晒せば貴方に興味など無くなるでしょうし」

 

 そして、至近距離から歩を潤んだ目で見て、

 

「あ、貴方も……金輪際、私に関わろうとは思わなくなるでしょうから」

 

 そう呟くと、するすると自分のジーンズを脱いだ。同時に器用に歩のスラックスも下ろす。

 キスのせいか、不器用な告白のためか、歩のチンポはもう勃起していた。そしてそれ以上に、ライダーの性器はしとどに蜜を垂らしている。ライダーは竿を指で支え膣口にあてがうと、躊躇わずにゅるり♡ と腰を下ろした。

 

「くあ……っ」

「あ……、はあぁぁぁぁぁぁぁ……♡ これが、歩の……っ」

 

 コツン♡ と子宮をチンポが小突くと、ライダーが歓喜の溜息と共に痙攣する。それは彼女にとって気持ち良くも、更に心を追い詰められる事だった。なぜなら、

 

「ら、ライダーさん……もしかして今のでイッて……?」

「くっ、うううううううぅぅぅ♡ い、イクものですかっ……この程度で、私が……♡♡」

 

 そう答えるが、強がりである事は明白だった。常は怜悧な表情を浮かべている顔はすっかり蕩け、子宮口は歩のチンポをもてなすようにちゅうちゅうと亀頭を吸っている。

 

「く、ふっ……で、では動きますから……泣き言を言わないように……っ」

 

 決死の思いでライダーが腰を上げる。と、体重を支えていたライダーの膝がずるりと滑った。股を開くように、ライダーの腰が歩の腰の上へ落ちる。

 

 全体重を掛けて、ライダーの子宮口と歩の亀頭が激突した。

 

「ご、ぉ…………ッッ!!????!!?? あ゙っ、ゔほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ……♡♡♡」

 

 容赦ないアクメがライダーの背筋を貫いた。仰け反って白い喉を晒すライダーの身体が、びっくんびっくんと危険を感じさせるほど痙攣する。

 

「ら、ライダーさん、大丈夫ですか」

 

 自分も快楽を感じながらもライダーよりはまだ余裕のある歩が声を掛ける。

 ライダーは答えない。どさり、と力の抜けた彼女が歩にもたれ掛かった。

 

「あ、あの、ライダーさん? …………うわあ」

「ごぷ……っ♡ ブクブクブク…………♡♡」

 

 首を傾け彼女の横顔を見た歩が若干引く。

 昨夜は夢の中で歩を搾精し虐めていたライダー。そんな彼女は余りの快感と刺激に耐えられず、幸せそうに泡を吹いて気絶していた。

 

 

 

 

 

「……ぁ…………? 私は……何を……」

「あ、ライダーさん。やっと起きましたか」

「ッ……!?」

 

 歩にしなだれかかっていたライダーが目を覚ました。状況を把握できず、目をぱちくりと瞬かせている。

 

「な、な…………っ? あ、歩……私はどうしたのですか……?」

「えっと、その。エッチしてる最中に気絶しちゃいました。3分くらいですけど」

「は? 気絶って…………っっ!!?」

 

 がばっとライダーが身を起こす。その拍子に膣の天井へ亀頭が擦れて、また「あんっ♡」と喘ぎを漏らした。

 

「ぐ、く……っ! そんな、私が失神絶頂を喰らうなど、有り得るはずが……っ」

「あの、ライダーさん。鎖を取って貰えませんか? 僕、逃げたりしませんから」

「く……」

 

 逡巡する。しかしもう意地を張っても仕方ないと悟ったのか、素直に歩の四肢を縛る鎖を解いた。

 溶けるように鎖縄が消えて行く。それを興味深げに見つつ、解放されたのを確認してから、歩が言う。

 

「ライダーさん。……あの、何ていうか、気落ちしないで下さい」

「ぐすっ……。要らぬ慈悲を掛けないで下さい。それは時に残酷というモノです」

 

 涙ぐんでライダーが言った。

 

「どうせ私を笑いたいのでしょう。粋がっておきながらあっさり気絶アクメをかます女などいい笑いモノです。ええ、分かります。立場が違えば私も指をさしている所ですよ」

「ライダーさんっ」

 

 拘束を解かれたというのに、逃げようともせず歩がライダーの両手を握った。驚くライダーに、

 

「僕、嬉しかったです。ライダーさんが僕の事を好きだって知って。笑う訳ありませんよ。気になる人が自分を好きだったなんて、光栄な事です」

「え……、気になるって……」

 

 言われた事を信じられないというような様子のライダー。そんな彼女に歩ははにかむ。

 少し頬が染まった笑みで、

 

「……僕、アルクェイドさんの事が好きですけど……ライダーさんの事も好きになっちゃいそうなんです。ええと、我ながら単純ですよね。好きだからずっと見てたって言われながらエッチしたら、自分もその気になっちゃうなんて」

「……………………!!」

「ら、ライダーさん?」

 

 ライダーが歩の胸板に額を擦り付ける。そのまま囁くように、

 

「……今そんな事を言いながら笑顔を浮かべるのは、反則です」

「え……?」

 

 小声を聞き漏らしてしまい、聞き返す。

 そんな歩にライダーは答えない。面を上げて少年を見る表情は、何か吹っ切れたような顔だった。

 

「まどろっこしい話は止めにしましょう、歩。─────────私は貴方に抱かれたい。貴方が好きだから、性交をしたいのです。貴方はどうですか? 私と……エッチしたいですか」

「う…………し、したいか、したくないかで言えば」

 

 ライダーの膣内で萎えかけていたチンポが硬度を取り戻す。むくむくと角度を上げ、再び彼女のマンコを力強く割り開いていく。

 

「凄く、したい……です」

「…………♡♡ 嬉しいです、歩……♡」

 

 ライダーの顔が幸せに満ちる。今度はゆっくりと腰を上下させ始めた。それは、最初のような自分本位ではなく、歩のチンポを気持ち良くさせる為のいじらしい膣コキだった。

 

「ライダーさんっ」

「あ…………♡♡」

 

 そんな彼女を見ては歩もただ座ってはいられない。細い両腕でライダーの腰を掴み、彼女の弱点を探りつつマンコを亀頭で抉る。

 

「く、ふっ……」

「あ、あ、あ♡ 歩っ、そこ良いです……ふあああ……♡♡」

 

 二人の身体を幸福感が包む。心が通じ合ったが故の甘い快楽が歩とライダーに押し寄せていた。

 

「はふ……♡ ちゅっ、ねちゃねちゃっ♡ 歩、私の舌、吸って下さい……♡ んむっ、んん~~~♡♡」

 

 歩がセーターの上からおっぱいを揉みしだきながら、ライダーの舌を吸う。ライダーは嬉しそうに目を細めた。

 ぱちゅん、ぱちゅんとゆったりしたピストンで腰が打ち付けられる。そんな緩いセックスでも、二人はもう十分な快楽を得られるようになっていた。

 

「歩、好きです……♡」

 

 感極まったように、ライダーが言った。

 

「貴方が好きなんです、大好きっ……♡ 一目惚れだったんです♡ それからずっと陰で貴方を見てて、貴方で自慰をしていてっ♡ 貴方のコトを深く知るようになったら、もっと好きになってしまいました♡」

 

 ぷちゅん♡ くちゅっ♡ と腰をグラインドさせながら、ライダーが言葉を零す。

 

「それなのに、貴方はあの吸血鬼のコトばかり気にしていて♡ そんな貴方を見ていたら、我慢出来なくなってしまいました……♡ このままじゃあの女に貴方を取られてしまうと思うと、いても立ってもいられなくて♡ 最後の想い出にしようとあの悪夢を見せたのに、貴方があんな顔で笑いかけてくるんですから……っ♡♡」

 

 涙を浮かべながらのライダーの告白。それを真っ直ぐぶつけられて、少年の自制心が保つはずもなかった。射精に近付き始めたチンポでライダーの中を掻き回しながら、

 

「ぼ、僕も好きですっ、ライダーさん! 好きになっちゃいますよ、こんなの! 僕だって、昨日のライダーさんが忘れられなかったんですから……!」

「……っ♡ 嬉しいっ♡ お願いしますっ♡ 側に置いて下さいっ♡ 二番目でもいい♡ 三番目でも四番目でもいいですからっ♡ 私のコトも好きになって下さい、歩……♡」

 

 大人の美女にそぐわない、いじらしい台詞。男心をくすぐる言葉を浴びせられ、歩のチンポがぐぐっと持ち上がる。目の前のメスを自分の物にする為に、チンポの中心を精液が駆け上がる。

 

「あっ、来るっ♡ 歩の精液っ、好きな男性の精液っ♡ 私の子宮に来────────♡♡♡」

 

 こりこりと子宮口を亀頭が押し上げる。その感触に、ライダーが三度目のアクメを迎えた時。

 

 どぷっどぴゅるるるるっ! びちびちっ、びゅくくくく…………! 

 

「く、は……っ!」

 

 子宮に精液が注がれた。歩が歯を食いしばる。前立腺が痺れそうな快感が少年の全身を駆け巡っていた。

 

「あ、はぁ…………♡ すごいです……♡ 愛する人の精液、お腹いっぱいに……っ♡」

 

 お腹を押さえると、ごぽごぽと精液の泡立つ音がする。それほど大量の射精だった。

 

「歩…………♡ 好き………………♡」

 

 ライダーが震える程の光悦を味わう。女神としてでも怪物としてでもない、女としての幸福を子宮で噛み締めていた。

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

「歩、鎖など使ってすみませんでした。それに首筋も……痕は残っていないですか」

「あ、大丈夫です。でも凄いですね、本当に自由に鎖を呼び出せるなんて」

 

 絶頂が収まって一息ついた後、二人は後始末をしていた。

 

 歩が囚われていたここは、悪夢でも何でもなくただ照明を落としただけのライダーの部屋だった。彼女に気絶させられた歩は前日の疲れもあって深く眠り込んでしまい、外が真っ暗になってから目を覚ましたのだった。

 

「……意外と驚かないのですね。貴方の常識からはかけ離れたコトだと思うのですが」

「いきなり知ったら理解できなかったかも知れないですけど、昨日はあの悪夢だって見せられた訳ですし。今日も色々あって、信じない訳にはいかないですよ」

「う……そうでしたね」

 

 ライダーがバツが悪そうに俯く。そこにさっきまでの甘える少女のような雰囲気はない。

 

 しかし、その右手は歩の左手に繋がれていた。

 

「さて……それで、問題はアルクェイドさんだなあ。仕方ないけど、すっかり夜になっちゃって……これ、絶対振られるよ……」

 

 歩が溜息をつく。そんな少年にライダーが事も無げに言った。

 

「ああ、それは心配なさらず。あなたが振られるなどというコトは有り得ませんし、何より」

「途中からぜ~んぶ見てたからね、わたし」

「………………はっ?」

 

 涼やかな声が聞こえた。歩が振り向くと、彼の想い人が部屋に入ってくる所だった。

 

「なっ……あ、アルクェイドさん……!?」

「はあい、歩。随分楽しそうだったね~?」

 

 明るく言うアルクェイド。にっこり笑っているが、渦巻く威圧感を隠せていない。

 

「すっ、すいません、アルクェイドさん。告白の返事を聞きに行くはずだったのに……」

「ああ、あんなのオッケーに決まってるんだからどうでもいいわよ。むしろこっちから申し込みたいくらいなんだし」

 

 衒いもなく言って、アルクェイドが歩み寄って来る。繋がれた二人の手を見て眉をひそめた。

 

「……ふん。やっぱりこういうコトになった訳ね。まあ歩の性格からして、遠からず他の女にも引っ掛かるとは思ってたけど」

「むしろ私からすれば貴女に歩が引っ掛けられたと言いたい所ですが。……おお怖い、そんなに睨んで。歩、貴方の女が脅されています。男として守って下さい」

「っ、この蛇女が! よりにもよってあなたみたいなのが二番目に抱かれるとはね……っ」

 

 少年を挟んで、ギリギリと睨み合う二人のお姉さん。歩はなだめるように話しかけた。

 

「お二人は知り合いなんですか? 友達とか……」

「いいえ、そのような深い仲ではありません。……ただお互いが歩のコトを見ているのは知っていましたが」

 

 ライダーが目を瞑って言う。

 

「あの、ライダーさんがアルクェイドさんの事を吸血鬼って呼んでましたけど、もしかして……」

「うん、それも本当。わたし、こう見えて凄く強いんだよ?」

 

 歩に自分の事を聞かれるのが嬉しいらしく、アルクェイドは頬を緩ませて答えた。

 

「…………しっかし、歩もお盛んねえ。数日で新しい女に手を出すなんて」

「あ、あの……怒ってないんですか?」

「怒ってもいいけど、たぶんこうなるって思ってたし」

 

 さらりとアルクェイドは言った。付け加えるようにライダーが、

 

「ついでに、二人で収まるとも思っていません。勿論収まるのならそれは我々にとって喜ばしいコトですが……歩は先ほどの私のように想いを伝えられた時、拒めないのでしょう。ついでに向こうから来なかったとしても、精力旺盛で好色ですし。機会とタイミングが合えば手を出すのは目に見えています。……まあ、歩がしっかり落とした責任を取る限りは、新しい女に手を出しても見過ごしましょう」

 

 そう言ってから、ふと思いついたような顔で、

 

「……ああ、しかし手を出すべきでない相手というのも往々にして存在します。貴方にもあらかじめ言っておいた方がいいでしょう。例えば私の──────────」

「あっ、そうだ。ライダーさん、管理人さんが探してたみたいですよ」

「………………。……………………もう一度言って頂けますか」

 

 ふと昼間の事を思い出した歩が言うと、どうしてか、ライダーはしばらく黙ったあと聞き返した。

 

「えっと、お昼に管理人さんと話したんですけど、ちょっとライダーさんの話題になって。それからすぐに何か確認しないと、って言いながらどこかへ行っちゃったから、ライダーさんに用事があったのかもって」

「…………………………」

 

 遂にライダーが完全に停止してしまった。歩はよく分からず首を傾げる。

 と、その腕がちょいちょいと引っ張られた。

 

「歩~、知ってる? ハーレムってさ、男の方にもちゃんと義務と責任があるんだよ? ……って訳でさ、ほら❤ 今度はわたしを満足させて~っ❤」

「うわわっ!? あ、アルクェイドさんっ」

「ほら、わたしの部屋に行こっ。ここじゃ蛇女の匂いがこびり付いてるからイヤ、なんなら歩のベッドでもいいよ~?」

 

 アルクェイドに抱き締められ、真っ赤になる歩。愛しい少年を吸血姫が引き摺って行く。

 そんな二人を他所に、

 

「…………私としたコトが浅慮でした。到底隠し切れる気がしません。ああ、これは間違いなく折檻が待っていますね。私は明日の太陽を拝めるでしょうか…………」

 

 どんよりした顔で、ライダーが呻いていた。

 




ライダー編でした。口淫編は蛇っぽさを、座位編は乙女っぽさを意識したつもりですが、どうでしょうか。
後半はまあこんな緩いノリでやって行くという感じです。


アンケートに多数のご協力、ありがとうございます。大変参考になります。みんな桜好きなんですね。おっぱいが大きいからですか?
とりあえず、得票の多かったキャラを優先的に投稿出来ればと思います。


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主従絡舌(間桐桜、ライダー)

桜編、3話予定です。


 歩の住むマンションの中庭には小さな植物園がある。

 

 地面に植えられた太い幹を持つ木や、色とりどりの花が揺れる花壇、通路沿いに置かれた鉢花など様々な植物が密生している。ドーム状に覆っている骨組みには蔦が絡まっていて、外からは中が見えにくい。歩のお気に入りである奥の一角にあるベンチとその周りは特に蔦が濃く、強い日差しも大部分を防いでいて過ごし易かった。

 

「管理人さん、ここの水やりは終わりました」

「ありがとう歩くん。それじゃ、倉庫に置いてある肥料を持って来て貰えますか?」

 

 歩が言うと、土を弄っている管理人さんが振り向いて答えた。

 

 今は一緒にガーデニングの手入れをしている最中だった。こうやって歩が手伝うのはよくある事だ。最初は管理人さんも遠慮していたが、一人でせっせと整備をしているのが心配になって手伝いを申し入れたのだ。それは歩の生来のお人好しのせいでもあったが、完全に無償という訳でもない。お手伝いをする度に、お返しとばかりに管理人さんから植物園に活けてある花を貰っていた。それらは歩の部屋に飾ってあって彼の目を楽しませてくれる。それだけでなく、

 

(…………管理人さん、汗を拭う仕草も綺麗だなあ)

 

 そんな、少年故の無自覚の憧れからでもあった。実際、管理人さんは小柄ながらもグラマラスだ。アルクェイドのような目を引く美人ではないが一度ピントを合わせたら吸い込まれてしまいそうな可憐さを持つ美少女で、歩がお近付きになりたくなるのも無理はなかった。

 

 彼女に言われた通り、裏手にある倉庫へと肥料の袋を取りに行く。引き返す途中、見慣れた紫髪がフラフラと揺れているのが目に入った。

 

「あっ、ライダーさん。それは切っちゃ駄目ですよ」

「…………歩ですか」

 

 どこか不服そうな顔で、ライダーが振り返った。いつもの眼鏡に黒セーターだが、その手には剪定用の大きめのハサミを持っている。

 

「別に、枝の一本くらい切っても良いではないですか。こんなもの何度でも生えてきます」

「そういう訳にもいきませんって。管理人さんに怒られますよ?」

 

 そう言うと、むぐっと押し黙る。

 歩も知らなかったが、管理人さんとライダーは旧知の仲だったらしい。この前管理人さんがライダーに用があるのではないのか、という予想も当たっていたようだった。

 意外なのは、どうやら大人のライダーより、管理人さんの方が力関係が上らしい事だった。二人の仲は極めて良好のようだったが、どこかライダーは管理人さんの手玉に取られているような印象がある。この前の件でも何やらお説教を受けたようだった。

 

「そういえば、結局この前の呼び出しは何だったんです? 管理人さんに何か言われたんですよね」

「……別に。ただ抜け駆けしたからという話ですよ。アルクェイドに対する私と同じです」

 

 ? と疑問符を浮かべる歩に構わず、

 

「そんな事より、やはり私にはこのような繊細な作業は向いていないのです。桜も横暴だ。罰とはいえ、私に嫌がらせのような真似を」

「────────嫌がらせなんて、人聞きが悪いわよライダー。残念だわ、喜んで手伝ってくれてると思ったのに」

 

 ばっ! と慌てたようにライダーが振り返る。にっこり笑った管理人さんがいた。

 

「あ、すいません管理人さん。今持って行く所です」

「その辺りに置いて貰えば大丈夫です。ふふ、『歩くんは』頼りになりますね。ライダーも見習ったらどうかな?」

 

 褒められて歩は嬉しくなってしまう。一方ライダーはどこかバツが悪そうな雰囲気である。

 

「…………反省はしています。まあ、手を出したコトは全く後悔していませんが。というか私が放置していても単に桜が先に我慢の限界に達していたというだけのコトでは」

「ライダー、一人でブツブツ何を言ってるのかしら?」

「いいえ何でもありませんとも」

 

 ライダーがきりっと背筋を伸ばす。それは不仲ではなく、親密が故のじゃれ合いと言った様子だった。

 

「あはは。お二人とも仲が良いんですね。なんだか姉妹みたいです」

 

 そう言うと、なぜだか二人とも微妙に複雑そうな表情だった。ライダーが気を取り直して、

 

「まあ似た者同士という所はあるかも知れません。性格も近いですし、なにより男性の────────」

「ら、ライダー? 何を言ってるのかな?」

「止めた方がいいですか? では話題を変えましょうか」

 

 ライダーが澄ました顔で言った。歩に対して話し掛ける。

 

「唐突ですが、歩は合コンに行ったコトはありますか? 合同コンパ、いわゆる交際相手を直接探す目的で行われるパーティですが」

「合コンですか? まあ、言葉くらいは……」

「あ、あのうライダー? まさかとは思うけど」

 

 ライダーは慌てた様子の管理人さんをスルーして、

 

「実はですね、桜は合コンに呼ばれているのです。桜を性的に狙う狼がたむろしている酒席にです。どう思いますか? 桜ほどの美少女なら周りの男性みなが狙うでしょう、もしかしたらそのまま────────」

「ち、ちょっと来てライダー!」

 

 ライダーは最後まで言えなかった。顔を真っ赤にした管理人さんに引っ張られ、木陰まで連れて行かれる。

 

(……ライダー、どういうつもり!? 歩くんにあんなコト言うなんて)

(……貴女の為ですよ桜。歩は好意的に貴女を見ていますが、まだ無自覚です。早い所自覚させて貴女に対する感情を目覚めさせなければ)

(……こ、好意的って……それは嬉しいけど……でもこんなやり方しなくても)

(……オスに独占欲を持たせるには他のオスに奪われるかもと思わせるのが近道です。勿論それだけではなく、性的な興味も持たせる必要がある。大丈夫、歩はああ見えて中々にエッチですし、私も協力しますから)

(……だ、だから必要ないってば!?)

 

「あ、あのー……?」

 

 何やらこちらを盗み見ながらヒソヒソと話している二人。歩が戸惑っていると、話を打ち切ったライダーが言った。

 

「歩。それに桜も。朝から手入れをして疲れてはいませんか? ほら、少し休憩しましょう。お茶でも淹れて来ます」

「あっ、じゃあ僕も手伝いま……」

「いいえ、私一人で十分です。そこのベンチで二人で座っていて下さい」

「あっ」

 

 言うが早いか、ライダーは行ってしまった。歩は管理人さんと二人、ポツンと取り残される。

 

「……行っちゃった。それじゃ座って待ってましょうか、管理人さん」

「そ、そうね。……もうライダーったら、変な気を回して……」

 

 仕方ないので、言われた通り二人でベンチに座る。

 夏の日差しは強いが、ここは蔦の葉で木陰になっていて過ごし易い。一息ついて、歩はちらりと隣を見た。

 歩の右側に座った管理人さんは木漏れ日に手を翳している。

 

(…………ごくっ)

 

 その陰影に彩られた姿を見て、歩は生唾を飲み込んだ。彼女の首筋を汗がツッと伝う。制服の上にエプロンを着けているというのに、豊かな胸が大胆に自己主張していた。短めのスカートから伸びる太ももはむっちりと肉が詰まっていて、ベンチの上で柔らかく潰れている。

 アルクェイドとライダーで女の味を知ってしまった歩には目に毒だ。視線を逸らそうとすると、ふとこちらを見た管理人さんと目が合った。

 

「あ、歩くん……今日はありがとね、手伝ってくれて」

「そんな、全然いいんです。僕が管理人さんを手伝いたいんですから」

 

 にこりと笑うと管理人さんも笑ってくれた。と、何やら少し考え込む。

 それからおずおずと歩を見て、

 

「……あ、あの歩くん? えっとさ、私たちも出会ってからそれなりに経つよね」

「? はい、そうですね」

 

 管理人さんは、すう、と深呼吸して、

 

「じゃあさ、その『管理人さん』ていうの、ちょっと他人行儀じゃないかな? ほら、私は歩くんのコトを名前で呼んでるんだし。名前で呼び合うのが自然、だよね」

「……えっと、それって」

 

 驚いて管理人さんを見ると、彼女も頬が染まっていた。何かを期待しているような顔で歩を見ている。

 勿論彼女の名前は知っている。今までずっと『管理人さん』と呼ぶのが当たり前になっていたからか、意味もなく気を張ってしまう。歩はまたごくりと唾を飲み込んでから、

 

「それじゃあ……、桜さん、でいいですか?」

「あ…………う、うんっ。これからは、そう呼んでくれると嬉しいな」

 

 照れながら二人で笑い合う。ただ名前呼びにしただけなのに、彼女との距離が近付いた気がした。

 

 

 

 

 

「……ふう。身体を動かした後のお茶は美味しいですね。ほら、歩もどうぞ」

「あ、ありがとうございます」

 

 ベンチに座って、ライダーの持ってきた冷たい麦茶を三人で飲む。しっかり氷も入れられたそれを流し込むと喉がひんやりとして快い。

 しかし、歩は少し緊張していた。何故かと言うと、

 

(ライダーさん、ちょっと近いような……。これじゃ隣の桜さんとも密着しちゃうよ)

 

 桜と自分で歩を挟むように左側に座ったライダーだったが、歩との距離が近い。だけでなく、さりげなく段々更に近付いている気がする。

 

「あ……、ん……っ」

「うわっ? す、すいません」

 

 ライダーから距離を離そうとすると、反対側の桜と手と手が触れ合ってしまってぱっと離す。桜は恥じらったような顔で目を逸らした。

 歩は柔らかい女体に挟まれて真っ赤な顔で俯いてしまう。そんな少年の上で二人がヒソヒソと囁き合った。

 

(……桜、何をしているのです。ここは一次的接触を試みる機会ですよ)

(……だ、だから良いってば。名前を呼んでくれただけで十分だから)

(……なんという甘いコトを。こう言うとあれですが、私もあの吸血姫も既に彼と性交をしたというのに。そんな態度を取っていては、歩に抱かれるなど夢のまた夢。間違いなくまた他の者に先を越されてしまいます)

(……そっ、そんなコト言われても)

 

 ライダーが歯痒そうに言う。

 実際、彼女も悪夢と監禁でようやく歩と結ばれた身だ。ライダーとしても歩はエッチでお姉さん好きでそういう雰囲気になればチンポをおっ勃ててしまう思春期男子だと分かってはいたが、しかし何もしないうちに無理やり女を押し倒すような少年ではなかった。このままでは何時まで経っても進展は望めないだろう。

 

 はあ、とライダーが溜息をつく。そして周りをぐるりと見渡した。

 

「…………丁度いい。皆への示威にもなる、ここでしてしまいましょう。歩」

「え? ライダーさん?」

 

 歩の顎先にライダーの指が触れる。くい、と持ち上げられたかと思うと、

 

「────────ん、ちゅ♡ ぷちゅっ、むちゅう……♡」

「ん、むぐっ!?」

 

 いきなり唇を吸われた。目を丸くする歩に構わず、するりと舌を侵入させてくる。

 

「ちゅぱっ、ちゅっちゅっ♡ んむっ♡」

 

 両手を頬に当て、覆い被さるように密着される。セーターを押し上げる巨乳が、歩の胸で柔らかく潰れた。

 

「……ぷは♡ ほら歩、舌を突き出して。桜に見せ付けてあげましょう♡」

「な、何やってるのライダー!? ちょっと、歩くんから離れなさいっ」

 

 驚いたのは桜だ。血相を変えて二人を引き離そうとする。

 しかしライダーは桜に取り合わず、尚も歩と舌を絡め合った。

 

「ちゅるっ、ちゅうう♡ ……くすっ、歩、桜のあの顔が見えますか? ほら、自分の男を取られたかのような女の顔。どうしてあんな表情をしているのか……私を抱いた貴方なら、ちゃんと予想出来ますよね……♡」

「んぷっ……」

 

 歩の視線が桜を向く。危機感と怒りで頬が染まり、いくらかの悲しみに瞳が濡れたその顔。

 歩は知っている。ついこの間見たばかりのそれは、

 

「……そうです♡ 貴方が抱いてくれた時の私と同じ顔♡ 他の女ではなく、自分を抱いて欲しいと願う女の顔ですよ……♡」

 

 そう。数日前、泣きながら縋りついてきたライダーと同じ表情だった。

 

「あ、歩くんっ……」

 

 歩と桜の目が合う。それを見たライダーがあっさりと唇を離した。

 

「ほら、桜。歩が待っています。待たせる女は嫌われますよ」

 

 その言葉が耳に入っているのかいないのか、歩へと吸い寄せられていく桜。歩の方も、桜に魅入られたかのように動けない。

 そのまま……、

 

「……は、ぷちゅ♥ ンむっ……♥」

 

 しっとり濡れた美少女の唇が、少年のそれに触れた。おずおずと確かめ合うようにお互いを押し付ける。

 至近距離で目を合わせながら、ちゅ、ちゅ、とバードキスを繰り返す。次第に二人の瞳が溶けていく。

 

「むふ……っ♥ ぴちゃ、ちゅぱ♥ ちううう~っ♥」

 

 いつの間にか、ライダーと交代して桜が歩に覆い被さる様になっていた。アルクェイドともライダーとも違う、より柔らかみの強い肢体。その身体がよく住人や子供たちに挨拶をしているエプロン姿のまま自分に押し付けられているという事が、歩の脳を沸騰させる。

 

「……ぷ、はっ! ご、ごめんね、歩くんっ。いきなりこんな……って、あ…………♥」

「え……? うわっ!」

 

 歩が驚く。

 

 自分でも気付かない内に、少年の掌は豊かな桜の胸に押し付けられていた。エプロンの素っ気ないリネン生地の向こうにある滑らかな丸い肉が、少年の指の股からふにゃりと押し出される。

 

「ああ、まったく……歩は本当におっぱいが好きなのですね。おっと、手を離してはいけません。女が嫌がっているならいざ知らず、そうでなければ失礼に当たりますよ。今貴方の目の前にいるような発情したメスが相手ならば、しっかりと鷲掴みにして、手形が残るくらい握り締めてやらなくては……♡」

「っ、あ♥ おっぱい、潰れちゃいます……♥」

 

 ライダーに耳元で囁かれる。言われるがままに掌を閉じて、開いてを繰り返すと桜が嬉しそうに喘いだ。少年の力で激しく揉まれ、少なからず痛みも感じているだろうにその表情には快楽しか見受けられない。

 

「二人とも、ようやくその気になったようですね。……では、ほら桜。二人で仲良く歩とキスしようではありませんか……♡」

「……う、ん♥ もう、強引だなあライダー……♥」

 

 桜側にもたれ込んでいた歩の身体が元に戻される。そして、

 

「ちゅっ、くちゅくちゅくちゅっ♡ ……ほら歩、私の胸もどうぞ♡」

「あふ、んんッ♥ もう、歩くんってほんとにおっぱい好きなんだ♥ まあ、よく見てたから薄々分かってたけど……♥ ちゅっ♥」

「んく、ぷぁ……っ!」

 

 両側の美少女と美女から、交互に唇に吸い付かれる。だけでなく、腕を引かれそれぞれの胸を鷲掴みにさせられた。ハリのあるライダーの巨乳と柔軟さの強い桜の巨乳を揉み比べするという、有り得ない感触に少年の意識が焼き切れそうになる。

 

 おっぱいを一頻り揉み終わると、今度はそれぞれのお尻へ。堅めのジーンズのライダーは掌を押し込む様に、スカートの桜はぺろんと捲くってショーツの上から桃尻を撫でた。

 

「……ふふ♡ ほら桜、触れて見てください♡ 歩のペニス、すっかり私たちに欲情していますよ♡」

「わわっ、おっき……! これがライダーを躾けちゃった……歩くんのおちんぽ……♥♥」

 

 ズボンの上から二人のお姉さんに触られる歩のチンポ。ライダーに引っぺがすように脱がされると、ぶるんと勢いよく飛び出した。

 

「っ、熱い……♥ それにひくひく脈打って……♥」

「もう待ちきれないのですね♡ ……ほら桜、二人で♡」

 

 桜がこくり、と頷く。二人がベンチから降り、だらしなく椅子からずり落ちそうな少年の足の間に腰を下ろした。

 

「も、もしかして……」

 

 二人は答えない。淫靡な笑みを浮かべたまま、歩のチンポに顔を寄せる。

 そして、同時に舌を伸ばした。

 

「……ねろっ、れろぉ~~っ♡ むちゅちゅっ♡ んべぇ~♡」

「ちゅぶっ、ちゅううう♥ ずちゅううう……♥」

「あ、あ……っ!」

 

 左右から、舌で挟む様に少年のチンポが舐め上げられる。天を向いた肉棒が余りの快楽にぴゅるっと先走りを撃ち出した。

 

「じゅるるるるるるっ♡ んえぇ~~~っ♡」

「はーっ♥ はーっ♥ んぷ、だらぁ~~~……っ♥」

 

 チンポの全てを唾液で濡らそうかという勢いで二人は舌を這わせた。桜の方など、亀頭に舌先をちょこんとくっ付けてまで唾液を垂らしてくる。

 

「くっ、うう……!」

「歩くん、気持ち良さそう♥ おちんぽ、嬉しそうにしゃくり上げてる……♥」

「ぺろっ♡ まだ子供の色をした歩のペニス、私たちの唾液を塗り込んであげましょう……♡」

 

 にゅる、ちゅばっ、と顔を振り乱しつつ、二人の舌が這わされる。ライダーが亀頭を舐めれば、桜は裏筋を。桜が右から唇を押し当てれば、ライダーは左から。息が合った二人である、という事を駆使して大好きな少年へ快感を送り込む。

 やがて、両方の玉袋にそれぞれ口付けてから、二人が顔を離した。

 

「んぷっ♡ ああ、すっかり唾液塗れのどろどろになりましたね♡ ……それでは、ここは私がリードしましょう。歩の大好きなおっぱいで幸せにして差し上げます♡」

 

 するするとライダーが黒セーターの裾を上げた。下乳が僅かに覗くくらいまで引き上げ、首元もぐいっと開く。自分の巨乳を抱えるようにして、屹立したチンポの直上へと添えた。

 

「歩、あの吸血鬼にこういうプレイはされましたか? されていない? ……くふっ、では丁度いい。忘れられない体験にして差し上げます……っ♡」

 

 そう言うと。ライダーは、ぬっぷり♡ と、亀頭に巨乳を下ろした。

 

「ふああああ……!」

 

 鉄のようにいきりたった歩の亀頭が、ライダーの柔らかい下乳を掻き分ける。みっちり詰まった肉を懸命に押し退けて、ずりずりと上へ進んでいく。

 唾液に濡れているせいで、皮膚が無駄に擦れる事もない。にゅるる、と快楽だけを与えながら進んだおっぱいは、やがて歩の腰にぷにゅんと押し付けられた。

 

「あ……歩くんのおちんぽ、おっぱいの上から飛び出してる……♡」

 

 桜の言った通り、歳不相応の立派な歩のチンポはライダーの巨乳の谷間から亀頭だけを飛び出させていた。ぱくぱくと喘ぐように鈴口が開き、盛んにカウパーを垂れ流している。

 

「気持ち良いですか、歩? ……おやおや、言葉も無いようで。歩のイキたい時にイッて構いませんが、せっかくですから楽しみましょうね……♡ では、ほらっ♡」

「く、はっ……!」

 

 ライダーが上半身を揺り動かし、たっぷん♡ と巨乳を跳ねさせた。柔らかな水風船にズリ上げられたチンポの感覚に少年が呻く。ライダーが上下する度、ぬっぷん、たっぱんと歩の太ももに巨乳がぶつかった。臍から先が天国にいるかのようで、歩の息が荒くなる。

 

「はっ♡ んっ♡ ふうっ♡ 左右から腕で押してきつくしてあげます……♡ ほら、ぎゅ~~っ♡」

 

 おっぱいを潰しながらの、巨乳着衣パイズリ。口内とも膣とも違う未知の感覚に、少年のチンポは嬉しい悲鳴を上げていた。

 

「ああっ……歩くん、気持ち良さそう……」

 

 桜が興奮したような、切ないような声を上げる。我慢できず、涎を垂らしそうな少年に唇を寄せた。

 

「ちゅ……♥ 歩くんったら、ライダーに泣きそうなくらいに気持ち良くさせられて……♥ 私もちゃんといるんだからね……っ」

「ご、ごめんなさい桜さ……ううっ!」

 

 拗ねたような桜にちゅぱちゅぱと口を吸われる。腕を抱えられ、おっぱいに挟み込むかのように押し付けられた。

 ここまでされては、少年も限界である。ぐぐっと玉袋が持ち上がるのをライダーが感じ取った。

 

「ああ、出るのですね、歩♡ 私と桜の為に吐き出す、貴方のザーメン……♡ ほら、桜っ♡」

「あ、うん♥ 歩くん、遠慮しないで♥ 一滴残らず射精しちゃってね……♥」

 

 桜が今度は股間の方へ移動する。ぷるぷるの唇をぺろり、と舌で舐めた。

 

 そして、少年のチンポが致命的に震えた瞬間────────────────

 

「ぱくっ♥」

「う、ああっ!?」

 

 おっぱいの谷間から飛び出た亀頭を口に含んだ。だけでなく、じゅるるる♥ と吸い上げる。

 

 ────────びゅる、どぴゅるるるるるっ! びゅくくっ、びゅる~~っ……! 

 

 歩のチンポが精液を吹き出した。二度、三度、四度と跳ね、その度に精液を打ち放つ。

 

「ンふ……っ♥ んぶっ、んんん……♥ ぶぷぷぷぷ……♥」

「さ、桜さんっ……全部、口に……」

 

 小さな唇をおちょぼ口にして亀頭に被せた桜が、言葉通り一滴も漏らす事なく歩の精液を口に含んでいく。汗にほつれた髪を耳に掻き上げながら、くぷくぷと少年の精を口に溜めていった。

 

「ん……、ぷっ♥ くふーっ♥ ふー♥」

 

 やがて、桜がちゅぽんと唇を離した。

 

 まだ呑み込んでいないのだろう。桜の口はリスのように膨れてしまっていた。指先で唇を抑え、漏れてしまわないよう閉じ込める。

 そして、ライダーの方を見た。

 

「……ああ、桜、そこまで気遣わなくても良いというのに♡ まったく優しいのですから……、まあ、頂ける分には喜んで頂くとしますが……♡」

 

 ライダーが桜の頬に手を当てる。そのまま躊躇いなく唇を合わせた。

 

「む、ちゅっ♡ ぢゅる、じゅるるるるる♡」

「ぶぷっ、んん♥ ぶちゅ、むふーっ……♥」

「ら、ライダーさん、桜さん……二人とも……っ」

 

 美しい女性たちに自分の精液を回し飲みされる光景に、歩の脳の奥が痺れる。ときおりチラリ、と挑発する様に歩に視線が投げられた。

 

 そのまま歩の精液が薄くなり、二人の口内がお互いの唾液だけになるまで、二人のレズキスは続いたのだった。

 

 

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 

 

「……凄い光景だったなあ」

 

 その夜。歩は独り、自室で寛いでいた。

 

 今でも中々信じられない。ライダーだけでなく、毎日のように挨拶するあの美人な管理人のお姉さんとまでエッチな事をしてしまったとは。

 

「…………桜さん、可愛かったな」

 

 あの後、桜は顔を真っ赤にして逃げるように管理人室へ戻ってしまった。ライダーはやり過ぎたと平謝りしていたが、聞き入れて貰っていなかった。またおしおきされると蒼褪めていたのが印象的だ。

 とはいえ、歩としても正直何を言えばいいのか分からなかったので助かった気もするが。

 

「でも、なんで僕の事を気に入ってくれてるんだろう」

 

 憎からず思ってくれているのは分かったが、その辺りが不明だった。まあアルクェイドに対する歩がそうだったように、いつの間にか自然とそうなっていたのかも知れないが、

 

「そうだ。何か桜さんに贈り物出来ないかな。いつもお花を貰ってばかりだし、まあ……今日はエッチな事もして貰った訳だし」

 

 赤らんだ頬をぽりぽりと掻きながら呟く。

 それがライダーの言った通りの、合コンに行くという桜に対する独占欲の表れである事に、少年はまだ気付いていなかった。

 




感想、評価ありがとうございます。大変励みになっております。

桜は素でエロいキャラなので、出来る限りエッチにして行きたいと思います。次も宜しくお願いします。


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下着精選(間桐桜)

 ライダーと桜からWフェラを受けるという強烈な体験をした翌日。

 

「使えるのは……1万円と少し、か。まあ仕方ないよね」

 

 歩は早速、桜へのプレゼントを買う為にデパートへ向かおうとしていた。

 手元にあり、自由に使えるのは精々1万円半ばといったところ。これでも中学生の歩が持てる財力の限界である。お金を財布に詰め込んで部屋を出た。

 

「でも、何を買おうかな。桜さんってどんな物なら喜んでくれるんだろ」

 

 昨日の淫行の場である植物園の脇を通って、エントランスへ。そのままマンションを出ようとすると、

 

「おっと。歩ではないですか。どこかへお出掛けを?」

「ライダーさん。はい、少し」

 

 おっぱいの感触も鮮明な、紫髪の美女と出くわした。手にはビニール袋を提げている。歩は反射的にその豊かな胸に目が行ってしまう。

 どうやらそれも彼女にはバレバレだったらしい。

 

「……まったく、あれだけ私の胸で抜いたというのに、まだ飽き足りないのですね歩は。貴方の女として嬉しい限りではありますが、節操がないのは宜しくないですよ」

「いっ、いえ! そんなつもりじゃないですよっ」

 

 やれやれ、と腰に手を当てたライダーに言われ、慌てて否定する。

 話題を変えるべく歩は言った。

 

「そ、それより。ライダーさんもどこかからのお帰りですか?」

「ええ。ほら、これですよ」

 

 ひょい、とその手に持ったビニール袋を上げる。中には小さなパック入りの植物の種が入っているようだった。

 

「園芸用の物です。ほら、昨日のあれで桜を怒らせてしまって。罰……という程ではないですが、まあお使いという奴ですね」

「ああ、そうなんですね」

 

 そういえばおしおきが待っているかも、と憂いていたライダーを思い出す歩。

 そんな彼に、探るようにライダーが言った。

 

「……それで、歩はどこへ? 見た所、貴方も買い物ですか」

「えっと。はい、そんなところです」

 

 じっとライダーが歩を見詰める。一体なんだろう、と歩が戸惑っていると、

 

「────なるほど。桜へのプレゼントを買いに行くのですね。ええ、話を知った翌日すぐに、というのは男性として優れた行動力だ。褒めて差し上げましょう」

「はっ!? え、何で分かったんですかっ」

 

 うむうむ、とライダーが頷く。

 

「そのくらい見れば私にも分かります。しかし、これは良い傾向ですね。貴方がそこまで桜のコトを想っているとは予想外でした。それで、何を贈る気なのです? 予算は?」

「うう……。えっと、1万円くらいで。まだ特に決めてないんですが、服とか……」

 

 肌を重ねた関係とはいえ、女性にプレゼントを贈るのを知られるというのは少年にとっては恥ずかしい事だった。目を逸らしながら答える。

 

「そうでしたか。僭越ながら助言しますと、衣服の類はやめておいた方が賢明でしょう。サイズの問題がありますし、失礼ですが歩は女性に見合う服のデザインなど良く知らないのでは?」

「い、意外にズバッと言いますね」

「貴方の為です。いいえ、桜の為でしょうか。……そうですね、でしたら」

 

 ライダーが頬を緩めて言った。

 

「宝石などどうでしょう。その予算でも十分買えるモノはありますし、桜は意外と装飾品が好きですから。もちろん、派手過ぎるのは不適ですが」

「宝石……ですか」

 

 例えば、ネックレスなどだろうか。ふと自分が贈った飾りを嬉しそうに着ける桜を想像して、少年の胸がときめいた。

 

「…………うん、凄くいいかも。ありがとうございます、ライダーさん。その線で考えてみます」

「それは良かった。きっと桜も喜んでくれますよ」

 

 目的が定まって、勢いよく歩は駆け出していく。

 そんな少年を、ライダーが愛おしそうに見送っていた。

 

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 

 歩のマンションから歩いて約20分。

 街で一番大きなショッピングモールで、歩は桜へのプレゼントを物色していた。

 

「これは……高過ぎるか。うーん、こっちは派手で桜さんに合わなさそう……」

 

 ライダーのアドバイス通り、今は装飾品店を見回っている。

 

 具体的に桜がどんな色や形の物が好きかは分からないので、歩のセンスで考えるしかない。それは悩む事でもあったし、喜んでくれる彼女の顔を思えば楽しい事でもあった。

 念頭にあったネックレスから、イヤリング。花形の髪飾り、チェーンのブレスレット。店頭には様々なジュエリーがあって目移りしてしまう。

 

 その中で、一つのアクセサリに目を奪われた。

 

「……綺麗だな……」

 

 それは、小さな指輪だった。抑え目の刻印が施された金属製のリングに桜色の宝石が埋め込まれている。他の物と比べても決してそう高価という訳ではなかったが、そのささやかな美しさが桜に似合っているように歩は感じた。

 思い立ったら即決だ。こういった事は迷っていないで己の直観を信頼すべきである。幸いぎりぎり予算内だったので、その場で購入する事にした。

 

「…………よし。これに決めよう。あの、すいません」

 

 彼女にプレゼントする場面を想像しつつ、歩は店員を呼んだ。

 

 

 

 

 

「良いのが見つかったな。あとは桜さんに渡すだけだ」

 

 指輪を買った後、歩はモールをぶらついていた。

 店員に頼んでリボン付きの包装をして貰った指輪は、大事にバッグの中にしまってある。失くしたりしたら大事だ。今帰って渡したい所だったが、

 

「桜さん、今日はお出掛けしてるって言ってたんだよな。もうちょっと時間を潰そうか」

 

 歩としてもせっかくの休日だ。少し遊ぶのもいいだろう。

 ここは市内一の集合商業施設で、普通の食料品や衣類からゲームセンターや映画館まで併設されている。行先はいくらでもあった。ひとまずよく行く喫茶店にでも行って休憩しようか、と歩が思っていると、

 

「────────あ、歩くん。奇遇ですね」

「え? …………うわっ!」

 

 呼び掛けられて振り返る。運が良いのか悪いのか。そこには、いま少年の頭を一杯にしている女性がいた。

 

 昨日の事を思い出し、赤面してしまう。彼女の唇やおっぱいの感触は二度と忘れられないだろう。

 それは桜も同じだったようだ。お互い、赤い顔で俯き合う。

 

「も、もう。うわって、そんなに驚かないでください」

「す、すいません。……桜さんはお買い物ですか?」

「はい。歩くんも?」

「えっと、そんなところです」

 

 何となくバッグを背中に回して歩が答える。今日の桜は普段着だった。ピンク色のカーディガンが彼女らしい。

 

「そうなんだ。……ねえ、歩くんは一人ですか?」

「えっ? そ、そうですけど」

 

 桜が何か思案する。そうして、ひょいと歩の手を取った。

 

「じゃあ、ちょっと私に付き合って貰えませんか? 服を選んでるんですけど中々決められなくって。ほらっ、こっちです」

「わわっ」

 

 桜に腕を引かれて行く。

 すべすべした掌の感触に胸を高鳴らせていると、婦人服売り場に着いた。目星は付けていたらしく、桜はぱっぱっといくつかの服を手に取っていく。

 歩に向き直り、服を身体の前に翳した。

 

「歩くん、これ似合うと思います? こっちと比べたらどうかな?」

「え、えーと。両方似合いますよ」

 

 当たり障りのないような事を言ってしまうが、それは少年の本心だった。桜が自分用に選んだだけあって大外しする訳はないし、桜本人がとびきりの美少女のため邪魔をしない服なら何でも良いようなものだった。

 

「うーん。それじゃ、これとこれは?」

「右……いや、左かな……」

「…………むう」

 

 煮え切らない歩に痺れを切らしたようだ。桜はむっとすると、

 

「……もう、仕方ないですねっ。ほら、こっちに来てください」

「わっ、桜さん!?」

 

 また少年の腕を掴み、引っ張っていった。

 

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 

「ちょっと、桜さん。まずいですって……!」

「大丈夫、ここフロアの端で人があまり来ないから」

 

 衣類品店フロアの隅。他の喧騒から離れた場所にある一人用の試着室の中に二人はいた。

 バレないように、歩の靴は試着室の中に入れてある。外から見れば一人だけが入っているように見えるはずだ。

 

「ごめんね。でも歩くんもいけないんですよ? はっきり言ってくれないんだから……僕は桜さんにこの服を着て欲しいです、って」

「さ、桜さ…………っ!」

 

 狭く、薄暗い個室の中。頬を軽く染めた桜に、歩はぎゅっと抱き締められた。

 桜の背丈はライダーほどではない。ライダーなら抱き締められた時、歩の顔はおっぱいの中心に埋まってしまう所だったが、桜の場合は少年の顎が乗っかるくらいだった。

 いつもはふんわりとした髪に隠れている首筋に鼻を突っ込む。甘い少女の香りが鼻腔を満たし、歩はクラクラとしてしまう。

 

「……んふ♥ 今日、たまたま香水を付けて来てて良かったな。これね、歩くんに嗅いで貰いたくて選んだ物なんですよ♥ 男の子へのアピールに最適、って書いてあったから選んだんです」

 

 言いながら、歩の腰に回した手をぎゅっと引き寄せて来る。もう半勃ち状態の少年のチンポが服を押して自分の下腹にくっ付いているというのに、桜は嫌な顔一つしない。むしろ悦びを覚えているような顔で、

 

「どうですか……って、聞かなくても分かっちゃうな♥ もう歩くんのおちんぽ、私のお腹をぐりぐりしてるんですもの。良かったあ、歩くんが気に入ってくれて♥」

「さ、桜さん……今日はなんだか凄く大胆ですね……っ」

 

 お姉さんの柔らかい感触に包まれながら歩が言う。それに桜は微笑んだ。

 

「ええ。あの後ライダーにも言われたんです、このままじゃ駄目だって。……昨日も最初はびっくりしたけど、ライダーの言う通りね。歩くんは鈍感だから、ちゃんと私の方からアプローチしないと」

 

 そう言って、桜は身体を離し床に置いてあった籠の中身を取り出す。ここに来るまでに彼女が試着用に取って来た物だ。その中のいくつかを手に取った。

 

「桜さん、それ……っ」

「うん♥ せっかくだから、下着も歩くんに選んで貰おうって」

 

 ぱっと両手で端を摘まんで提げたのは、ブラジャーだった。純白のレース入りのものから、黒い透けたもの。活動的なスポーツブラ、大人びた紫色のフリル付きのものまで。その全てが、おっぱいの大きな彼女用のサイズだ。

 

「じゃ、まずはブラからだね。……ほら歩くん、ちょっと後ろ向いてて。こんな所で裸を見せるのは勿体ないから、今日は下着姿だけ……ね?」

「す、すいませんっ」

 

 歩が慌てて壁を向く。すぐに衣擦れの音がし始めた。

 

(うう……見たい、桜さんの裸……!)

 

 想像しただけで、パンツの中で先走りが漏れそうだ。出来るなら今すぐ振り返ってしまいたい。

 

 しかし歩は堪えた。歩は年相応に……いや、ともすれば同年代の男子よりもエッチだったかも知れないが、同時に無理やり女性の裸を盗み見るなど出来ない性格でもあった。それも最近は緩みかけていたが、既に深い仲のアルクェイドやライダー相手ならいざ知らず桜に無理やりそういった事を出来る性格ではなかった。

 

(歩くん、頑張って耐えてるなあ。……それだけ私の身体に興味があるってコトだよね。嬉しい……♥)

 

 そんないじらしい少年に桜はキュンキュンとしてしまう。胸の高鳴りを抑えながら、歩に言った。

 

「もういいですよ歩くん。ほら、こっち見て?」

「は、はい。……うわあっ……!」

 

 歩は息を呑んだ。

 裸体に下着だけを付けた桜。ショーツは自分の物らしい、小さなリボンの付いた可愛らしい下着。

 そして上半身には、さっき歩に見せてくれた中の純白のブラを着けていた。彼女の肌の滑らかさと人工的な白さのブラとが相乗効果を生みだしている。薄暗い試着室の中だというのに、眩しささえ感じさせた。

 

「……どうかな? 私がこれを着てるの見て……歩くんは欲情する?」

「よ、欲っ!? あの、ええと」

 

 真っ赤になって言い淀む少年に、桜ははにかみながら答えを待った。

 やがて覚悟を決めた歩が口を開く。

 

「……正直…………します。すごいします」

「……あはっ♥ 良かった、じゃあこれは買いますね。それじゃ歩くん、また後ろ向いてください」

「ええっ!? ま、まだやるんですか」

「もう決まってるでしょう? 全部のブラを見て貰わないと。さあ、次いきますよっ」

 

 慌てる歩に、楽しそうな桜が返す。

 全てのブラ、及び服を試着するまで、しばらくかかるのだった。

 

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 

(……うう、あそこがムズムズする。これじゃ生殺しだよ……)

 

 桜との試着が終わり、歩はトイレにいた。

 

 桜はトイレの外で待っている。結局、ブラの全てと何着かの服を購入する事になった。歩がどのブラも似合っていると答えたからだ。なにも全部を買わなくてもと言ったのだが、

 

『さっきの服と違って、歩くんが本気で全部私に似合うって言ってくれてるって分かりますから。あ、一番好みなのは純白の奴だってお見通しですよ?』

 

 との事だった。好みについても桜の言う通りで、やっぱり年上の女性なのだと実感する。

 

「……はあ。いけない、桜さんを待たせちゃう。早く行こう」

 

 一人呟く。チンポは今は萎えているが、その気になればすぐおっ立てて射精まで行く事が出来るだろう。狭い試着室で間近で美少女の下着姿を見せ付けられる、というのはそのくらい脳に刺激の来る光景だった。

 

 本能に従うならここの個室で一発抜いてしまいたい所だが、今は桜を待たせている。自分の性欲処理のせいで慕っているお姉さんを何分も待ちぼうけさせるなど歩に出来る事ではなかった。

 しっかり手を拭き、トイレを出る。

 

 と────────少し離れた所で待っている桜の前に、見慣れない男性がいた。髪を脱色させた大柄な男だ。少し柄が悪そうで、どうやら桜に絡んでいるらしい。心配になった歩が駆けて行くと、チラリとこちらを見てから興味を失ったように離れて行った。

 

「桜さん、お待たせしました。……あの、今の人は」

「あ……。うーん、ちょっと困っちゃいますね」

 

 桜が苦笑する。

 その両手がかすかに震えている事に歩は気付いた。

 

「……その、私がパーティーに誘われてるって話はライダーから聞きましたよね。あの方がそこの幹事で。断ろうと思ったんですけど、親族の紹介だし、私気に入られてるみたいなんです。それで今、運悪くばったり出くわしちゃって、必ず来てくれって言われちゃいました」

「……………………」

 

 どこか辛そうに言う桜の様子。それを見た歩の脳裏に、ライダーの言っていた『性的に桜を狙っている者たちが集う』という言葉がよぎる。

 

「────────桜さん!」

「ど、どうしたの? 歩くん」

 

 突然語気を荒くした歩に桜が戸惑う。

 歩は謎の焦燥感に駆られて言った。

 

「さ、桜さん。出来れば、その……合コンには行かないで欲しいんです。僕が行って欲しくなくて」

「え…………?」

 

 必死の思いで言う歩。桜はその言葉を反芻したあと、

 

「…………なんで? どうして行って欲しくないんですか?」

「な、なんでって……それは……」

「…………………………」

「……その……」

 

 なんらかの答えを期待するように聞いた桜。

 しかし、歩は答えられなかった。恥ずかしさもあるし、

 

(…………ここでもうプレゼントを渡そうか? いや、まだ早いよね……それにこんな所で…………)

 

 そんな、生まれて初めての女性へのプレゼントを渡す事への躊躇もあった。

 

 しかし、その煮え切らない態度が桜を怒らせてしまったらしい。つーん、と唇を尖らせてそっぽを向かれてしまった。

 

「…………ふんっ。はっきり言ってくれないんですね、歩くんは。……もう良いです。今日はここでお開きにしましょう」

「あ…………」

「私、まだ用事がありますから。夜までは帰らないと思います。それじゃ、歩くん」

 

 ぷんぷん、という擬音がしそうな様子だ。そのまま、桜は立ち尽くす歩を置いて行ってしまった。

 

「………………い、行っちゃった」

 

 遠ざかる桜の背中を見詰めて呆然とする歩。

 

「……怒らせちゃった。どうしよう……。これ、完全に僕が悪いよな……」

 

 自分の意気地なさに溜息を吐く。

 カバンの中で、プレゼントの包装紙がくしゃりと鳴った。

 




生殺し溜め回(歩くんの性欲的な意味で)
次回はいちゃらぶ生ハメ仲直りックス回です


※チャラ男さんは二度と出て来ません。


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雨降地固(間桐桜)

桜編ラストです


 夜になった。

 

 長い陽もすっかり落ちて、空には星が出ていた。路面にはまだ昼間の熱気が残っている。

 

「桜さん、帰って来ないな……」

 

 桜と別れた後一度は追い掛けた歩だが、結局彼女を見つける事は出来なかった。仕方ないのでマンションの前で待っていたのだが、いつの間にかもうこんな時間になってしまった。

 歩は道路に面したエントランス前の階段に腰を下ろしていた。管理人室に住み込みの桜はいずれここに帰って来るはずだ。入口にいればすれ違うような事もない。今夜は母親が不在なので待っていようと思えばいつまでも待っていられる。桜が帰って来るまでずっと待つつもりだった。

 

 かさり、と脇に置いた包装に触れる。桜の為のプレゼント。彼女が喜んでくれるかどうかは分からない。それでも、

 

(本当はあの時渡すべきだったんだよね。次はちゃんと勇気を出さないと)

 

 また躊躇しては二の舞だ。今度は彼女を落胆させてはいけない、とぐっと拳を握って決意する。

 

 と、夜道の向こうから誰かが歩いて来た。体型と髪の長さからして女性らしい。

 もしや桜か、と思ったが近付くにつれ別人だと分かった。夜道でも一目で分かる和風美人だが、優し気な印象の桜と違ってピリッとした鋭さを窺わせる。年齢も20代半ばか後半ほど。何より普段着としては中々目にしない、単衣の着物を着ていた。桜の服装とは似ても似つかない。

 物珍しく見ていたが、入口に座っているのが邪魔になると気付いて慌ててどいた。

 

「す、すいません。どうぞ」

「…………どうも」

 

 歩の横を擦れ違って女性は入口へと向かって行く。

 と、ふと彼女の視線を感じた気がした。振り返るが気のせいだったようで、こちらなど見ていなかった。

 どうやらここの住人という訳ではないらしい。女性はインターフォンでマンション内の住人を呼び出した。

 

「アイリ。悪い、遅れた。オレだ」

 

 住人が自動ドアのロックを解錠したのだろう。女性はマンションへと入って行った。

 

「…………自分の事をオレって、変わった人だなあ」

 

 あんなキレイな女性なのに、と思うがその辺りは個人の勝手だろう。

 今は関係ない相手の事を考えている場合ではない。歩は頭から余計な思考を振り払った。考えるべきは桜の事だ。

 しかし、帰りの遅い桜を思う度に歩の脳裏に嫌な想像が浮かぶ。昼間に見掛けた、桜の事を狙っているらしい男性。流石にないと思うが、

 

(もしかして、あの後また絡まれたりとか……? ライダーさんと探しに行こうか……)

 

 人外であるライダーならこんな時頼りになるだろう。場合によってはアルクェイドに協力を仰ぐのも有りかも知れない。

 待ちくたびれた歩が、そんな風に考え始めた頃。

 

「あ…………!」

 

 ようやく桜が帰って来た。特に変わった様子もない。

 桜も歩に気付いたようだ。少年の元へ歩いてきた。

 

「歩くん。そんな所でどうしたんです? どなたかお待ちですか?」

「はい。桜さんを待ってたんです」

「え? 私を?」

 

 歩と桜が闇夜の中で向き合う。街灯に照らされ、陰影の深い桜の表情。

 

「その、お昼にちょっと喧嘩になっちゃったじゃないですか。それで待ってたんです。中々帰って来ないから心配しましたよ」

「……そうだったんですね。すいません。お昼は、少し熱くなっちゃいました。私の言い過ぎで……」

「違うんです、桜さん」

 

 歩は自分から謝ろうとする桜の言葉を遮った。

 

「僕がはっきり言わなかったからいけないんです。……何で合コンに行って欲しくないのか、って聞かれましたよね」

 

 ドキドキする胸を押さえながら、すう、と息を吸い込んで、

 

「僕、桜さんが他の人の彼女になるのが見たくなかったんです。きっと前から気になってたけど、エッチな事をして本気で僕の隣にいて欲しい、って思う様になっちゃいました。単純だけど……特別な目で見るようになったんです」

 

 桜へのプレゼントを手に取る。目を丸くしている彼女に差し出した。

 

「こ、これ、受け取ってください。桜さんの為に選んだプレゼントです。その……何て言うか……僕の気持ちです!」

 

 不器用な、自分の感情をまくし立てただけの言葉。しかし、歩にとってはこれが精一杯だ。

 歩はぎゅっと目を閉じ、頭を下げた。

 そのまましばらく硬直する。夏の湿った風が吹いていた。

 中々桜は反応しない。もしや何か不興を買ってしまったか、と歩が不安になった頃、

 

「…………歩くん。それじゃ駄目ですね。全然大事な所が伝わって来ないです」

「え……」

 

 桜が静かに言った。顔を上げた歩が、さっきとは違う意味でドキッとする。

 それは少年が初めて見る桜の無表情だった。冷たい、という訳ではない。まるで何かが爆発する寸前のような、今にも獲物へ飛び付きたいのにあえて最後の一押しを待っているかのような雰囲気。

 

「結局、歩くんは私をどう思ってるんですか? 何で他の人のモノになるのが嫌なんですか? どうしてそのプレゼントをくれるんですか?」

「……そ、それは」

 

 全部、答えは同じだ。隠す気はなくても、はっきりと口にはしていなかった。

 視線を右往左往させる歩を桜はじっと見ている。もう誤魔化すのは許されない空気だった。

 

「…………僕が」

「僕が?」

 

 催促するように繰り返されて、歩はついに覚悟を決めた。

 すう、と深呼吸をして、

 

「……僕が……桜さんの事を、好きだからです……」

 

 消え入りそうな声で言った。言いながらどんどん声が小さくなっていくような告白だった。

 

(…………こ、この期に及んでなんでこんな小声なんだよ! 腰抜け過ぎる……!)

 

 俯いてぷるぷる震える少年。

 桜は黙ったままだ。今度こそ幻滅されたか、と歩が思った時。

 

「…………ふ、ふふ。うふふふふふふふふふふふふ…………!!」

「……え? うわっ!」

 

 桜が妙な笑いを零した。お昼に続いてまたまた腕を引っ張られ、エントランス脇の繁みの中へ連れ込まれる。壁と挟まれて外からは見えにくい位置だ。

 

「桜さん、どうし……んむっ!?」

「────────ちゅっ、むちゅううううう……っ♥ ちゅっちゅっちゅっ♥」

 

 引きずり込まれた勢いのままに、唇を貪られる。

 意外と強い力で肩を掴まれ動けない。お互い息継ぎも無しに、ひたすら深く口内を合わせる。

 息が苦しくなってきた頃、ようやく歩は解放された。

 

「……ぶはっ…………! はあっ、はあっ……さ、桜さん……?」

「はーっ♥ はーっ♥ ……ごめんなさい、歩くん♥ 我慢出来なくて……っ」

 

 さっきの無表情は掻き消え、喜色に満ちている。目の前の相手を絶対逃がさない、というようなメスの顔だ。

 

「でも、やっと言ってくれましたね……♥ もう、待ってたんですよ? 歩くん、私に興味を持ってくれてるのは分かったけど、あと一歩を踏み出してくれないんだから♥ これでも色々と手を回したのに、本当に鈍感さん」

「え、え? 手を……って?」

 

 意味が分からず聞き返す歩へ、満面の笑みの桜が答える。

 

「ライダーから聞きました? 彼女、歩くんのコト一目惚れだったって。私ね、ライダーと性格や嗜好が似てるんです。だからかな、私も歩くんに一目惚れだったんですよ。

 それでね、出来るだけ歩くんと接触する機会を増やそうとしたんです。歩くんが登下校するくらいの時間にはマンションの前で待ってるようにしたりとか、植物園のお手伝いもそうですね。一人で大変そうにやってたら歩くんならきっと手伝ってくれるようになるだろうなって分かってましたから。

 でも、そうやってゆっくり仲を深めてたらいつの間にか吸血鬼さんが歩くんと良い仲になっちゃうし、続いてライダーまで手を出したじゃないですか。すぐにライダーをおしおきしたんですけど、その時にさりげなく『私が合コンに呼ばれてる』ってコトを漏らしておいたんです。そうすれば優しいライダーは歩くんに伝えて行動を煽ってくれるって予想して。結果はずばり的中で、しかもエッチなコトにまで繋げてくれて本当に助かったなあ。あれで一気に歩くんも私が手の届く女の子だって、他の男の人になんてあげたくない~って思ってくれましたよね? 

 あっでも、プレゼントについては予想外でした。ごめんなさい、歩くんが宝石店で商品を見てるのを見掛けて、陰から見てたんです。そうしたら指輪なんて買ってるじゃないですか。もしかしたら……って思わず声を掛けちゃいました。その後、幹事の方とばったり会えたのも幸運でした。あれで余計、歩くんの独占欲が刺激されちゃいましたよね? そうそう、心配して貰えたのは凄く嬉しいんですけど、ああいう人に私が襲われたらなんて不安は大丈夫ですよ。私も魔術の心得があるんです。ライダーほどじゃないけど、普通の男性くらい一人でどうとでも出来ますから」

 

「…………え、えぇ~っと……そうですか……」

 

 ついに歩から告白を引き出したのが嬉しいのだろう。にこにこと微笑みながらまくし立てた桜に歩は若干引いてしまった。

 そんな彼に気付き、桜ははっとする。

 

「あ……ご、ごめんなさい。驚かせちゃいましたよね。……幻滅させちゃいましたか……?」

 

 不安そうに言う。しかし歩は意外そうな顔で首を振った。

 

「え? 何で幻滅するんですか?」

「な、何でって。歩くんの前では一応控えめなお姉さんで通してたつもりだけど、裏でこんなコトを考えてる女なんだって……」

「でも、それってつまりそれだけ僕を……好きでいてくれたって事ですよね」

 

 歩は真剣な顔で、

 

「だったら、幻滅なんかしないですよ。むしろ嬉しいですし、そんな所も可愛いなって思います」

「────────────────────」

 

 くらっと桜が立ちくらみしたようによろけた。頭を手で押さえてふらふらする。

 

「……そ、それ反則です、歩くん……」

「さ、桜さん? 大丈夫ですか?」

「だ、大丈夫です。……それで、歩くん。この後なんですけど」

 

 桜が潤んだ目で歩を見た。

 

「私たち、相思相愛になれた訳ですよね。だから、その………………」

 

 桜が何かを言いかけた時。

 

 ──────ヴーッ、ヴーッ、ヴーッ

 

「……あ」

 

 桜の携帯が鳴った。二人の間にあった空気が霧散する。

 電話を手に取ると、桜の顔が曇った。

 

「ああ、ごめんなさい歩くん、こんなタイミングで。あの幹事さんからです。……お昼に話した時もそうだったんですけど、二人で会いたいってコトだと思います。ちゃんと断っておかないと」

 

 画面をタップする。耳に当てて通話を始めた。

 

「……もしもし、間桐です。はい、ええ、お昼はどうも……」

 

 歩と話していた時とは一転、つまらなさそうに受け答えする。

 

「……その、すみません。二人で会うのはちょっと……。それと、せっかくのお誘いで申し訳ないですけれど、パーティの方も欠席させて頂こうかと……」

 

 合コンも断ろうとする。しかし、相手が食い下がっているようだ。

 

「え? 理由ですか? ……ええと、少し予定が合わないというか、他に外せない用事が─────────、あ゙……ッ?♥♥」

 

 不意に、桜の口から吐息が漏れた。

 驚いた桜が視線を下げる。彼女の左胸を、歩の掌が鷲掴みにしていた。

 桜の視線が歩の目に合う。少年の目は、桜への情愛と独占欲に塗れている。

 それに中てられるかのように、桜の声が熱を帯びた。

 

「……ご、ごめんなさい。用事って言うのは嘘です。本当は、その……私の良い人が……♥ わ、私の彼氏が、合コンには行くなって言うから……行けません♥」

 

 ぽふん、と歩が桜のおっぱいに顔を突っ込んだ。くにゃり、と桜の顔が蕩ける。ふっ♥ ふっ♥ と息が上がっていく。

 

「私の彼氏、独占欲強くって……♥ そういう場に私が行くのを許してくれないんです♥ 私、彼氏の言うコトを優先したいので……すいません……♥」

 

 我慢できないと言うかのように桜が電話を耳元から離す。そのまま、

 

「ぶちゅううう……っ♥ ちゅぷっ♥ ちゅぱ♥ ンむっ、ぺちゃっ♥ ぷちゅ……♥」

 

 つま先立ちした歩と深くキスをした。唾液が顎を伝って地面に垂れるのも構わず、お互いの唾液をすすり合う。電話口で相手が何か言っているようだったが、二人の耳には入っていなかった。

 しばらく口を吸った後、思い出したかのように桜がまた話し始める。

 

「んく、こくっ……♥ ああ、すいません、まだ切ってなかったんですね♥ もう用はないんですけど……え? 彼氏が誰か? えっと、それは……」

 

 言ってしまおうか逡巡する。しかし、相手は当たりを付けていたようだ。

 

「……あ、ばれました? はい、あなたも見てましたよね。あの時一緒にいた年下の男の子です♥ あの子が私の彼氏♥ ちなみに今、私のおっぱいにぎゅーってしてます♥ …………え? あんなガキより俺の方が、って? ……そうですね♥ あなたの方が年上だし、背も高いし、家柄も良いみたいですし、お金持ちで女性経験豊富って仰ってましたね」

 

 くすくすと笑う。目を細め、甘いのに冷たい声で、

 

「でも駄目です♥ あなたは彼じゃないので♥ ごめんなさい、あなたがどんな人かなんてどうでも良いっていうか、関係ないんです♥ もう、彼だって決めちゃいましたから♥ それじゃ、これから私、彼と楽しいコトしないといけないので……♥ もう掛けてこなくて結構ですよ♥」

 

 プツリ、と通話を切る。これ以上邪魔が入らないように電源を落とした。

 そのまま、何かを期待するように見る桜へ、歩が言う。

 

「桜さん。今日、うち、母親が帰って来ないんです」

「……はい」

「だから……その……僕の部屋で、いいですか」

「………………はい♥」

 

 上気した顔で頷く。

 

「それじゃ、歩くんのベッドで……初めてのエッチ、お願いします……♥」

 

 歩が桜の腕を掴み、部屋へと向かう。

 今日初めて、自分からではなく少年に引っ張られる感触に、桜は胸をときめかせた。

 

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 

 ぱたん、と歩が部屋のドアを閉めた。

 振り返る。自分が毎日寝ているベッド。そこへ、初めてこの部屋に来た女性が腰かけていた。

 

「……歩くん♥ ほら、早くこっち……♥」

 

 ついさっき自分の彼女の一人になった桜に手招きされ、歩は近寄って行く。

 灯りは落とされている。カーテンの開けられた窓から差し込む月明りが桜を照らしていた。

 我慢出来ず、歩は倒れ込むように桜へ抱き着いた。さっきよりも深く激しく、桜の胸へ顔をうずめる。

 

「すうっ……はあーっ……!」

「あ、きゃっ♥ 歩くんったら、おっぱいでぱふぱふって♥ たしかにもう歩くんのおっぱいですけど、甘えたがりなんだから……♥」

 

 カーディガンを引き剥がす様に開かれ、谷間に鼻を突っ込んで深呼吸されても桜は嬉しそうだ。太ももに擦り付けられているズボンの股間へ、自らも足を揺すって刺激を与える。

 

「もうおちんぽ、ぱんっぱん……♥ さっき私の電話を聞いてる時から、勃起しちゃってましたね……♥」

 

 どさり、と歩に抱き着かれたまま、桜が仰向けに倒れ込む。

 かぷっ♥ と歩の耳たぶを噛むと、少女のような可愛らしい悲鳴が上がった。

 

「ふふっ♥ ……そりゃ、勃起しちゃいますよね♥ 自分の女に、『お前には興味ない』って他の男に宣言させながらのおっぱい弄り♥ 彼女になったばかりの年上のお姉さんに……『この子の方が好き』って恋敵を振らせながらのディープキス……♥ まあ、私も目一杯、歩くんの独占欲が満たされるように言いましたけど♥ どうでしたか? オスの優越感、満たされましたか……♥」

「うっ、うん……! あの時の桜さん、エッチで凄かった……」

「良かった♥ ……もうズボン邪魔ですね♥ 脱いじゃいましょうか……ほら、腰上げてー♥」

 

 まるで幼児のように指示されるが、全く反抗する気にもならない。

 桜が歩のズボンを下ろすと、もう限界まで勃起したチンポが露わになった。先走りが溢れ、パンツと糸を引いてしまっている。

 

「…………♥ すごっ……ライダーとお口でしてあげた時よりも……♥ 外じゃなくて自分の部屋だから? それとも……フェラじゃなくて、本番エッチする準備かな……♥」

 

 ツンツン、と人差し指で亀頭をつつく。それだけで肉棒は悦ぶように震えた。

 桜がベッドの上に座り込んだ。乱れたカーディガンと服を脱ぐ。顕れたのは昼間に買った中で、歩が一番好きだった白いレース付きのブラだった。

 

「桜さん……それ、着てきたんだ」

「はい♥ たぶんこういうコトになるって思ってたし、期待してましたから♥ ……それじゃ、歩くんが脱がせてください♥ エッチするには邪魔ですよね……♥」

 

 桜が腕を上げ、頭の上で組む。

 歩は正面から桜の後ろに手を回した。ホックを外そうとするが、経験のない少年は戸惑ってしまう。自然、桜に抱き着くような格好になった。

 

「あはっ♥ もう、おっぱいに顔ぐりぐりってして♥ 彼女のブラを外す時にもそれですか……っ♥」

「す、すいませんっ! 上手く取れなくてっ」

 

 からかわれながら必死でホックを外す。

 しばらく苦戦し、ようやくカチッとホックを外す。ベッドにブラがぱさりと落ちた。

 

「……うわ………………!」

 

 歩は思わず息を呑んだ。

 月明りに照らされる中、暗闇に桜の裸体が浮かび上がる。大きくまろやかな乳房の存在感が凄まじい。柔らかく重力に引かれて僅かに垂れつつも、しっかり役目を守るクーパー靭帯によって形を崩す事なく実っている。

 

「かぷ……っ!」

「んああっ♥ あう、歩くん、噛み付いちゃ駄目ぇ……♥」

 

 思わず、桜色の乳首へ吸い付いてしまう。駄目と言いながらも桜はむしろ押し付けるように歩の頭を抱え込んだ。

 

「あ、は♥ 左の乳首、ちゅうう~って……♥ 歩くん、左ばっかり吸っちゃ嫌♥ そっちだけ腫れちゃうから……ほら、次は右をぱくっ♥ って♥」

 

 言われるがままにもう一つのおっぱいに吸い付く。

 そのまま夢中で吸っていると、勃起したチンポを握られた。滑らかな掌でしゅっしゅっと擦られる。

 

「ふふ♥ おっぱいを吸いながらの手コキです♥ 歩くん、おっきな赤ちゃんになったみたいでちゅね♥ ほら、なでなで~……♥」

「くぅ……っ!」

 

 昼間から焦らしっぱなしの為だろう。早くも射精が訪れそうになって、歩が耐える。桜もそれを感じたらしく、手コキを中断した。

 

「さ、桜さん。今度は、僕が何かしてあげられませんか」

「え……?」

 

 身を起こし、桜に言う。

 

「昨日も、ライダーさんとお口でして貰いましたし……今日も迷惑かけてばかりでしたよね。次は、僕が桜さんを気持ち良くしてあげたいんです」

「ええっ、もう、そんな気を使わなくていいのに……♥」

 

 そうは言いながらも桜は嬉しそうだ。やがてポツリと言った。

 

「そ、それじゃ……私のあそこも、手でしてくれるかな……♥ あの、ちゃんと処理してあるから……指でちょっと、くちくちってしてくれるだけで十分だから……♥」

「分かりましたっ」

 

 処理って何だろう? と思いながら、歩が身を寄せる。桜に案内され、ショーツの間に指を滑り込ませた。

 

「ふぅッ♥ さ、最初は優しく……そう……♥ 撫でるみたいに……っ♥」

 

 指先が蜜で濡れる感触がする。緩やかに掻き回すと、すぐに愛液が溢れ出た。

 

「こんな感じですか?」

「も、もうちょっと激しくしてもいいよ♥ 指を曲げるみたいにして……、くうううッ♥ あっ、ソコ良い……♥」

 

 ぷちゅぷちゅと秘所を穿られる桜は心底気持ち良さそうだ。痺れるように身体を震わせている。

 

「じゃあじゃあ、少し深く指を入れてみようか……♥ 中でくりくりって……、ふああああああ♥ いいっ、凄くいいよ歩くん……♥」

 

 弱点を引っ掻かれたらしい桜が悶える。

 

 その後しばらく、歩は桜にレクチャーされ指マンを覚えた。性への興味のせいか、少年も幾人かの女性を抱いてきたせいか。歩の飲み込みは頗る良く、教える立場の桜も絶頂に近付いていた。

 

「ふーっ♥ ふぅうーっっ♥ あ、歩くんっ、ちょっと待って♥ もう私、イッちゃいそう……♥」

「大丈夫です。昨日は僕だけでしたから、先に桜さんが気持ち良くなってください」

「えっ、ちょ、待ってっ♥ あっ駄目♥ そこ引っ掻いちゃ駄目ぇ♥」

 

 歩の腕を抑えようとするものの、快楽のせいで力が入らない。桜はあっさりと絶頂に達した。

 

「あ゙ッ……あ゙──ーっ……♥ やだぁ……指マンであっさりイかされちゃったあ……♥」

 

 一足先に訪れたアクメを噛み締める桜。少年の指で与えられた絶頂に酔いしれる。

 はあはあ、と荒くなった息を整える。ちらっと桜が目をやると、歩のチンポはもう鈴口から我慢汁を溢れさせていた。

 

「ごめんね歩くん、先に気持ち良くなっちゃって……♥ もうお互い、準備し過ぎってくらいだね♥ 私のおまんこもふやけちゃいそう……♥ 早く歩くんのおちんぽが欲しいってひくひくしてる……♥」

 

 桜がショーツを脱ぎ去った。しとどに溢れた本気汁が内ももをべったりと濡らしている。

 仰向けになり、少年の枕にぼすんと頭を乗せる。膝を軽く抱えて、最も少年がチンポを挿入し易い格好になった。

 

「……歩くん♥ ほら、ココ♥ 早く歩くんに食べて欲しいって泣いてる、お姉さんのおまんこですよ♥ ほらっ、おちんぽ添えて、ぴと~って……♥」

「はっ……はい……!」

 

 性器が触れ合い、お互いの蜜が混ざり合ってぷちゅっと音を立てた。

 二人の視線が絡み合う。汗で濡れた顔で微笑んで、桜が頷いた。

 歩が腰を押し進め、挿入していく。

 

「くっ、くうう……!」

「ん゙ッ……お゙お゙お゙……っっ♥ あ゙っ♥ 歩くんのおちんぽ、おっきい……っっ♥♥」

 

 にゅるっ♥ ぶちゅ♥ と愛液を押し退けながら、チンポが侵入していく。

 やがて、桜の最も奥深くまで少年の肉棒が届いた。

 

「あ゙……は……っ♥ こ、これ……思ってたよりもやば……っ♥ 大好きな歩くんだからかなあ……イキっぱなしになってる……っ♥」

「桜さんの中も、凄いですっ……!」

 

 歩としても、桜の膣中は絶品だった。まるで底なし沼のように歩のチンポを誘い、射精をねだってくる。

 しばし、二人は動きを止めて互いの性器を味わった。ようやく結ばれた大好きな相手の、最も大切な場所の感触を。

 

「……桜さん、そろそろ動きますね」

「うん♥ 私の中、歩くんで掻き回して……♥ あっ♥ あんっ♥」

 

 桜に伸し掛かった歩が、懸命に腰を打ち付ける。ぱん、ぱんっと腰がぶつかる音が部屋に響いた。

 

「す、吸われる……っ」

 

 意志を持っているかのように膣がうねり、チンポを吸い上げる。

 それを誤魔化すように、歩は腰を振った。

 

「あ゙っ♥ あ゙っ♥ あ゙っ♥ あ゙っ♥ あ゙っ♥ あ゙っ♥ あ゙っ♥」

 

 ひたすら奥を突くだけの不器用なピストン。それでも敏感になった桜には十分だったようだ。背をのけぞらせ、子宮を叩かれる快楽に酔う。

 腕を立てている事が出来ず、歩が桜の身体へもたれ込んだ。おっぱいを掴み、桜の唇をぺちゃぺちゃと舐め合いながら、必死で腰だけはカクカクと前後する。

 

「ぶちゅぶちゅぶちゅっ♥ ふぅーっ♥ ちゅぱ、ぢゅるるるるる……♥ んあーっ♥」

 

 何度目か分からないディープキスをしつつ、腰をぐりぐりと押し付ける。にちゃにちゃと秘所で体液が泡立つ音がした。

 歩も桜も、破れてしまいそうなほど強くシーツを握りしめる。ぽたぽたと布に汗が染み込んでいく。

 

「んふう……っ♥ 歩くん、おちんぽびくんびくんしてますよ♥ そろそろ出そうかな……?」

「はっ、はいっ。すいません、早くて……っ」

「ううん♥ もうお昼からずっと焦らして、溜まってたですもんね……♥ 私はさっきイカせて貰ったんだし、次は歩くんの番♥」

 

 歩の抽送が小刻みになる。射精を邪魔しないよう、桜がだらしなく股を開く。

 

「ほらっ、我慢しないで♥ 勿論、中で……子宮におちんぽぎゅーってくっ付けながらで大丈夫ですから♥ 溜まりに溜まった歩くんのいらいら、私の中に全部吐き出してください♥」

「さ、桜さんっ、出るっ、出る……!」

 

 涎を垂らしながらパコパコと打ち付けられる歩のチンポが限界を迎える。前立腺がキュッと収縮した。

 そして、

 

「……あ……っ♥ ふふ……びゅるっ、びゅっ、びゅるるる~~~♥ どぴゅどぴゅ~~~っ♥ っ、まだ出るんだあ……♥ ぴゅっぴゅっ、ぴゅるる~~~っ♥」

「あ……は……っ!」

 

 桜の膣内に、青臭い精液がぶちまけられた。昼間、桜自身が挑発して熟成させたそれが、彼女の中心へと注がれていく。

 

「う、ああ……吸い取られるみたい……」

「そうですよ♥ 歩くんの大事な精液です、一滴たりとも無駄には出来ませんから……っ♥」

 

 へこへこと歩の腰が揺すられ、チンポの残り汁まで桜のマンコに吸われていく。

 二人はそのまま、お互いの絶頂の余韻が収まるまでゆったりと性器を擦り付け合っていた。

 

「……はあ。もう最後まで出たかな? お疲れ様です、歩くん。……歩くん?」

「……すう……すう……」

「あら……寝ちゃってる?」

 

 今日一日の疲れが来たのだろう。桜へのプレゼント探しから、一緒の個室での下着選び、マンション前での数時間待ちぼうけまであったのだから無理もない。抱き枕にしがみつくような格好で、桜に抱き着いて眠ってしまっていた。

 

「仕方ないですね。ゆっくりおやすみなさい、歩くん。……とっても気持ち良かったですよ。次はライダーと一緒とか、いいなあ……♥」

 

 己の従者と共に抱かれるのを想像して、また子宮を疼かせる。

 月明りの差し込む部屋で、眠りこける少年の髪を撫でていた。

 

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 

「ん…………朝だ」

 

 歩は明るい陽射しで目を覚ました。

 外は夏らしい青空と雲。気温は高く、少し汗ばんでいた。

 

「……あれ? いい匂い」

 

 くん、と鼻を鳴らす。そういえば、昨日の夜はどうしたのだったか。少年が記憶を辿ろうとしていると、

 

「あっ、おはようございます歩くん。そろそろ起きないと遅刻しちゃいますよ」

「……あ……そ、そうだった」

 

 昨日、激しく身体を交えた桜がドアを開けて顔を出した。料理中らしく、手にはおたまを持っている。

 

「もしかして桜さん、朝ごはんを……?」

「はい。今日はおとなしめの物がいいかと思って和食にしました。得意なのは洋食なので、また今度作ってあげますね」

「あ、ありがとうございます」

 

 朝からお姉さんの作ったごはんを食べられるとは光栄だ。早速洗顔へ向かおうと起き上がりかける。

 と、桜が、

 

「そういえば、歩くん。聞きたいコトがあるんですけど」

「はい。なんですか?」

「私とライダー、どっちの方が具合が良かったですか?」

「……はっ!?」

 

 朝っぱらからとんでもない事を聞かれた。

 とっさに答えられず彼女を窺うも、にこにこした表情で答えを待っている。

 

「あー……ええと……その、二人とも同じくらい良かったです……」

「……………………」

 

 自分でも分からず、最低っぽい事を言ってしまう。

 それに桜はキョトンとした後、

 

「─────そうですか。うん、百点満点の答えですよ、歩くん」

 

 そう言って、歩を置いて台所へ行ってしまった。

 

「……えっと……順番を付けてたら、どうなってたんだろう……」

 

 一人取り残されたベッドで、少し背筋が寒くなる歩だった。

 

 

 

 

 

「……もしもし。私です」

 

「……はい、パーティーの件はごめんなさい。……え? あの幹事さんはシメておいた? ……あ、あはは、ほどほどでお願いします」

 

「……次のお相手ですか。……えっと、そのコトなんですけど」

 

「……お気遣いありがとうございます、兄さん。でも、もう交際相手は紹介して頂かなくても大丈夫になりました」

 

 桜が電話を持ち変える。

 

「……ええ。もう、良いお相手を見つけましたので」

 

 左手を天井に翳す。

 薬指で、小さな指輪が輝いていた。

 




桜編でした。桜の可愛さ、黒さ、したたかさ、エロさを出そうと色々やりましたが、どうでしょうか。
パートナーのライダーさんがクソザコなので、桜は歩くんより一枚上手のお姉さんキャラになりました。


次は式かセイバーオルタか、先に書き上がった方になるかと思います。よろしくお願いします。


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人妻焦燥(両儀式)

式編、3話予定です。

寝取り要素を含みます。(今回は軽いですが)


 改めて考えれば、自分の人生は女として満たされた物ではなかったかも知れない、と私は思う。

 

 色々と面倒な出来事はあった。心身に傷を負う事もあった。けれど心の通じた男性と結ばれ、生意気だが可愛い娘も生まれた。家督を継いだ事で経済的にも立場的にも何不自由ない暮らしをしている。そのあたりに文句を言うつもりはない。

 

 けれど、娘を産んだ頃からだろうか。心の片隅に、身体の奥底に女として満たされない何かが澱みになっている気がするようになった。自分でも直視したくない汚れのようなわだかまり。あるべき私とはかけ離れたそれ。その降り積もった塵が、今こそ解放しろと叫んでいるような。

 

「────────────────き」

 

 ……ああ、まただ。またこんな事を考えている。

 

 そのわだかまりだって、ずっと無視して来たんだ。つまりは無視出来る程度の問題だったはず。少なくとも今までは。

 それがおかしくなったのは、つい最近だ。一度目は友人の家へ向かう途中目を疑う光景を見てしまった事。二度目は、脳裏に響いて離れない口説き文句を聞いてしまった事。

 

 思い出しただけでも胸が高鳴る。強烈で、私の隠れていた本能を掘り起こすかのような記憶だ。忘れたくても忘れられない、忘れようとしても忘れられない。ふとした瞬間に思い出して心がざわつく。その衝動に突き動かされて、今では彼を陰から監視するかのように見詰め、情報を集めているくらいだった。

 

 そして思ってしまう。彼と絡み、幸せそうな貌をした女たち。

 私も彼女たちと同じになれたら、それは────────

 

「──────式? ちょっと式、聞いてる?」

 

 そこまで考えて。

 友人の声に、私ははっと妄想の世界から戻された。

 

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 

「もう、紅茶を持ったままぼうっとしちゃ駄目よ。落としたら危ないわ」

「……ん。わるい、アイリ」

 

 両儀式は、カチャリと手に持ったカップを受け皿に下ろした。

 のどかな昼下がり。開け放たれた窓からは快いそよ風が流れている。アイリの部屋の窓から眺める街の風景が、式は好きだった。

 

「しっかりして頂戴、式。せっかく綺麗なキモノなのに、汚しちゃったらいけないわ」

「ちょっと考え事をしてた。気にするな」

「気にするなって言われてもねえ」

 

 二人はリビングのテーブルで向かい合い、お茶を飲んでいた。

 アイリの銀髪が風に揺らめいている。式の和服に黒髪とは対照的な、銀を溶かし込んだように輝く髪だ。

 

「この頃、心ここにあらずって感じの時が増えたわよ。どうしたの? ご家族とケンカでもした?」

「いや、別に。大したことじゃない」

 

 ここ最近の様子を言及されて少しドキリとしながらも、何でもない事のように答える。アイリも真剣に心配していた訳ではないらしく、あっさりと式の言葉を信じたようだった。

 

 式は今、アイリにお呼ばれして彼女の部屋で寛いでいた。ふとした事から知り合い、お互いに家族が仕事や留学で家にいない事が多いという境遇を知り親近感を覚えた二人が、仲の良い友人になるまでそう時間はかからなかった。特にアイリの家族は皆が海外に渡っているらしく、家も近かった事からよく式が訪問するようになり、今では毎日のようにここへ来ている。

 

「それより。今日はあいつは来ないのか? せっかくアイリが旨い紅茶を淹れてるのに」

「ああ、メディアは来られないって。仕方ないわ、毎日家を空ける訳にもいかないでしょうし」

 

 本来ならもう一人似たような女性、つまり暇を持て余した人妻がいるのだが、不在だった。3人の中では一番性格に癖があるかも知れない女だったが、不思議と式やアイリとは気が合っていた。

 

 そういえば、とアイリが手を叩いて、

 

「式、あの子のコト知ってるかしら?」

「あの子って誰だ」

「このマンションに住んでる男の子。歩クンって言うんだけど」

「────────ぶ、ごほっっ!!」

 

 不意に式が咽た。げほげほと盛大に咳き込む。

 

「うわあ!? ちょっと式だいじょうぶ? ほら、背中撫でてあげるから。もうびっくりしたじゃない、突然どうしたの?」

「ごほ、けほっ……。い、いや、気管に入ったみたいだ。……それで、その少年がどうした」

「ああ、えーっとね」

 

 アイリは顎に指を当てて、

 

「今までもたまに見かけてカワイイなーって思ってたんだけど。あの子がね、意外とモテるらしいのよ」

「……へえ」

「その子の隣室のアルクェイドさん……ほら、金髪の吸血鬼の人とか。魔術師の大家さんとか、大家さんと仲のいいライダーさんとか……綺麗所の女性とよく親しげにしてるのを見るのよね。結構気難しい女の子たちとお近付きになるなんて凄いなって。それも単に仲が良いって感じじゃなくて、距離が近いっていうか。……私の推測ではね、あの中の誰かと行くところまで行っちゃってるわね、あれは!」

「そ、そうか……」

 

 目を輝かせて興奮気味に語るアイリに気圧される、ように見える式。

 しかし内心は、

 

(……言えない。誰かどころかその全員とヤる仲になってるらしくて、この目で植物園でエッチしたりマンションの入り口でキスする所も見てしまっていて、更には最近上の空なのはあの少年のコトを考えてるからなんて絶対に言えないぞ……)

 

 そんな、アイリには想像も付かないであろう事を考えていた。

 

「けどまあ、そういうコトは個人の勝手だろう。それに見た所そうおかしな少年じゃないし、評判も悪くない。あの連中が入れ込んでいるなら尚更だ」

「あら、式もあの子のコト知ってるのね? っていうかなんか詳しそう。……もしかして」

「いや、少し小耳に挟んだだけだ。オレは詳しくは知らないし興味もない」

「ホントかしら? ……ふふ、なんて冗談よ。私たち人妻だもんね、そういうコトはしっかりしなきゃ」

 

 薬指で指輪を輝かせながらクスクスと美しく笑うアイリ。式がすまし顔で答えながらも内心冷や汗をかいている事には気付かないようだった。

 

「でも、やっぱり気にはなるわねっ。デートとかしてるのかしら。そういえば明日は花火大会があるけど、あの中の誰かと一緒に出掛けたりするのかしらね」

「さあ。あの年頃の子供なら学校の友人とでも行くんじゃないか」

 

 ────────実際はお互いに牽制し合っているせいでまだ相手は決まっていないらしいぞ、と思いつつ話す式である。

 

 その後は話が逸れて行き、アイリの海外出張中の夫やら留学している娘やらの愚痴などを聞かされている内に時間になり、式は帰路に就いた。

 

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 

 アイリの部屋はマンションの中では上層階だ。階段で下りるのは億劫なので、式はエレベータに乗った。

 地上に着いて外へ出ると、マンションの中心部にある植物園が目に入った。

 

「……そういえば、ここの住人じゃなくても誰でもどうぞ、って書いてあったっけ」

 

 何となく周りを見渡して誰も見ていない事を確認しながら、中へ進む。

 この中に入ると、外からはかなり見えにくくなる。色とりどりの花草が目を楽しませてくれる空間を進んでいくと、

 

「…………………………」

 

 一際太く根を下ろした大樹と。

 その前にある、数人掛けのベンチへ辿り着いた。

 

「…………少し。ほんの少し座ってみるだけだ」

 

 不整脈のように躍る心臓を抑えつつ、着物の腰を下ろす。

 見上げると、ドーム状の格子に蔦が濃く絡まっている。よほど目の良い者や、人間離れした察知能力を持った者でなければ中の様子を窺う事は出来ないだろう。

 

 ────────幸か不幸か。式は、その両方だった。

 

 あの時の事を思い出す。まさにここに少年が腰かけ、その股間に美少女と美女がむしゃぶりついていた。

 

 式は丁度アイリの部屋から帰る所で、その光景を目の当たりにしてしまった。正確にはまだ彼ら3人が肩を寄せ合っている時から何となく眺めていたのだ。途中で背の高い紫髪の女が周囲を見渡したのを覚えている。今思えば、あれは覗き見している連中に見せ付けてやるという女の優越感の表れだったのかも知れない。

 

 そうして、また思い出してしまう。行為の最中の、女の幸福と快楽に満ちたメスの顔を。

 途端、

 

「…………く……ふ……ッ」

 

 ズキリ、と痛いくらいに式の子宮が疼いた。思わずお腹を抱え込むように丸くなる。

 

(……まただ。あの時のコトを想い出すと……あの少年のコトを想うと……)

 

 式の優れた視力は当然少年の怒張も捉えていた。夫には悪いが、比べものにならないくらいに逞しく若いオスの精気に満ちたそれ。ただ遠くから目にしただけなのに、触れてさえいないのに、その威圧感は式が10年前に一度使っただけでほったらかしにしていた子宮を目覚めさせてしまっていた。

 そして今も。

 

「まずい……思い出すなっ……」

 

 記憶を封じ込めようとする。しかしそれが逆に糸口になってしまったのか、その目撃の翌日の事にまで思考が及んでしまう。

 

 あの時は珍しく日中ではなく夜にアイリの元を訪れた。彼女が手料理を振る舞ってくれる予定だったからだ。マンションの前まで来て、心臓が止まるかと思った。あの少年がそこにいた。彼の挨拶にもはっきり返せたか分からない。初めはもしや自分を待ち受けていたのかと勘違いしたが、目的の相手は別にいた。一旦マンションに入ったがもう一度抜け出してみると、このマンションの大家でもある美少女と深くキスを交わしていたのだ。

 

 その、女として目一杯に充足している様子。電話越しに、この少年の女になれて幸せだと宣言する言葉。その一言一句をはっきりと覚えている。

 

 ─────私の彼氏、独占欲強くて。

 ─────歩くんのベッドで初めてのエッチ。

 

「っっ……くぅぅううう…………!」

 

 一際激しい波が、式の下腹部を襲った。

 

 もう我慢出来ない。きっとこんな場所誰も見ていない、外からはまず見えないと自分に言い訳をしながら、着物の裾から手を入れる。

 クチュリ、と陰部に指先が触れた。

 

「ふ、あ……くそ、気持ち良い……っ」

 

 自慰なんて人生でも数えるほどしかして来なかったのに、あの少年の事を知ってからは毎日数回のペースだった。思えば夫との性行為はあくまで子を成す為の行いであったし、それも娘が出来てからは数年単位ですっかりご無沙汰だ。それに不満はなく、自分は性欲が薄いのだと思っていたが、いざ性欲を自覚してからは10歳以上年下の少年をオカズに猿のようにオナってしまっていた。

 

(ここで……このベンチでヤってたんだ……。左右に女を侍らせて、交互に口に含ませて……してる方もされてる方も嫌だって感情は欠片もない、幸せそうな口取りだった……)

 

 単衣の着物が愛液に濡れるのも構わず、マンコを弄る。

 

 流石にここで本番はしていなかったが、間違いなく彼らはセックスする仲だろう。フェラチオよりもきっと底抜けに気持ち良い生の本番エッチを。……少年の部屋だろうか。女のベッドだろうか。それともホテルにでも行くのだろうか。ともかく、確実に一線を越えた間柄である事は見て取れた。

 

 特に式の興味を引いたのが、女たちと少年のお互いに対する態度だった。少年は謙虚を形にしたような性格で決して女たちを無碍にする事はなかったし、年上である彼女たちを敬っている様子だった。

 しかし女たちはそんな少年の態度を嬉しく思いつつも、あくまで少年を上に立てているように見えた。からかったり弄ったりする事はあっても根本的な所で少年に対して傅くように振舞っている。

 

 要するに、式から見た彼らはハーレムの主と妻たちのように映っていた。

 

 そして、想像してしまう。自分も彼に奉仕する女の一人となって。彼女たちのように、少年との尊敬と愛情を交わし合い。幸福に満ちたセックスを行う事を。

 

「あっ、あっ、あ! まんこ、いい……っ」

 

 式のオナニーが更に激しくなる。もう服が邪魔になって、太もものあたりから大胆にはだけ、ベンチに踵を乗せて膝を立てる。

 その格好のまま、股間を両手でほじくった。ぶちゅぶちゅと泡立った愛液がベンチに垂れて行く。

 

 息を荒げつつふと顔を倒すと、ベンチに数滴、染みがあるのに気付いた。

 もしかしたら、と思って顔を寄せ、匂いを嗅ぐ。

 

「あ゙ッ、あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙……っっ♡」

 

 式の嗅覚に直撃する。

 それは、間違いなくあの少年の精液の跡だった。蔦のドームが屋根のようになって日差しを阻み、染みとして残ったのだろうか。ほんの僅かな残り香だったが、今まで想像だけで盛っていた式にはとてつもない刺激だった。

 

「ぐぅ…………ッ! まずい、イく……♡ あいつの匂いだけでイカされる……♡♡」

 

 切羽詰まった指先の動きが速くなる。なりふり構わず性器を刺激していく。

 

「っ、オレも……オレも同じようにして欲しい……♡ 仲良くなりたいっ♡ イチャイチャしてみたい♡ エッチしたい♡ ハーレムに入れて欲しい♡ ……あゆむ♡ 歩っ♡ 歩ぅ……♡♡」

 

 オナニーを更に気持ち良くしようと、式がうわ言のように零す。

 やがて、脚がピンと伸び、踵が地面を引っ掻くと。

 

「~~~~~~~~~~~~~~ッッ♡♡♡」

 

 式が絶頂した。ベンチの上で仰け反ってアクメに酔う。

 しばらく快感を味わうと、どすんと身体を下ろした。

 

「はーっ……はあっ、はあ……。くそ、我ながらまずいコトを言ってたな……」

 

 余韻に浸りながら独りごちる。薬指の指輪の冷たさが後ろめたい気がした。

 

 熱が収まってくると、こんな外でオナニーをしてしまったという実感が押し寄せて来る。見られてはいないと思うが、流石にずっとここにいるのはまずいだろう。そう思った式が服を整え立ち上がろうとすると、

 

「────────両儀式さん、ですよね」

「……っっ!!???」

 

 突然、聞いた事のある声で呼びかけられた。

 勢いよく振り返る。そこには、思った通りの相手がいた。

 

「……お、おまえ……」

「覗き見してすいません。でも、全部見てました」

 

 今の今までオカズにしていた少年。

 歩が、式の目を見据えていた。

 

「……ぜ、全部って……どこから……」

「だから、全部です。赤い顔でそこのベンチに座って、いきなりオナニーし始めた所から、全部。……ずいぶん気持ち良さそうでしたね、人妻なのに僕をオカズにしてオナニーなんかして」

「っ…………!!」

 

 実戦からは遠のいているとはいえ、式とした事が全く気付かなかった。つまりそれだけ性欲に支配されていていたという事に眩暈がする。

 

「式さん。まだ満足してないですよね」

「ま、満足って……おまえ……?」

 

 ここに来て、ようやく式は歩の様子がおかしい事に気付いた。

 

 目の前にいるのは、間違いなくあの少年本人だ。別人という事はないし、洗脳や催眠の類もされていない。

 しかし、ドロリと濁った瞳は式が知る少年とはどこか違う事を示していた。微妙に強圧的な言動もこの少年には似つかわしくないように思える。例え性欲で箍が外れてしまっていたとしてもこうはならないだろう。

 

「僕も……僕でオナニーしてる式さんが可愛くて、こんなになっちゃいました」

「まっ、待……ひ……!?」

 

 ベンチの前に回って迫って来る少年。式はその様子に腰が抜けてしまって逃げられない。

 式の眼前まで迫った少年は、彼女の腕を掴み、自分の股間に押し当てた。

 

「なっなっ、なぁ……!? お、大きい……っ」

「式さん、言ってましたよね」

「え……?」

 

 面食らう式に、歩が言う。

 

「僕とエッチしたい、ハーレムに入れて欲しいって。……いいですよ。式さんみたいな綺麗なヒトなら、僕の方からお願いしたいくらいです」

「ちっ、違う……! あれは言葉の綾というかっ、とにかく違うんだ! やめろ、腕を引っ張るな……!」

 

 必死に首を振って否定するも、無理やり腕を掴まれてしまう。抵抗しようにも腰が抜けてしまって逃げられない。

 ……実際はそれだけでなく、心のどこかで式も少年の強引な誘いを断り切れない所があったのだが。

 

「さあ、行きましょう。ほら立って。僕が案内します」

「だ、だから待てって……! 頼む、放してくれぇ……!」

 

 自分より歳も体格も下の少年に引き摺られていく人妻。

 本人は気付いていないが、その顔は強引なオスに惹かれるメスの顔になっていた。

 




次から本番エッチの予定。

式を人妻バージョンにしたのは人妻ハーレム編をやりたいからです。というか意外と型月って人妻キャラ少ないですね


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人妻陥落(両儀式)

寝取り要素を含みます。


 ──────────話は数十分前に遡る。

 まだ式が、アイリの部屋で共にお茶を楽しんでいる頃。

 

 

 

 

「歩。最近、調子はどうですか」

「調子……って言うと?」

 

 話を振られ、少年は本から顔を上げてキョトンとして返した。

 ここはライダーの部屋だ。歩にとっては少し意外だったが、ライダーは読書が趣味だった。歩も読書は好きなのでよく彼女の部屋の本を読ませて貰っていた。

 

「とぼけないでください。どうせ目星は付けているのでしょう」

「えっと。よく分からないんですが、何の話です?」

「決まっています。次に落とす女についてですよ」

 

 ぶはっ!! と歩が吹き出す。それは奇しくも式が咽たのと同じ時だった。

 

「ごほ、げほっ! ……な、何言ってるんですか。僕は別に」

「誤魔化さないように。アルクェイドや桜のような美女を抱き、自分の女としたのです。もう歩は女の味を忘れられるはずがありません。幸運にもこの付近には上玉が多くいる。歩の薄い自制心が耐えられるはずがないと思いますが?」

「ううっ……」

 

 ライダーの言った事は決して的外れではなかった。何の因果か、このマンションを筆頭に歩が通う学校や近くの店などここら一帯にはとびきりの美人が多い。その中の幾人かは既に歩も知っていた。

 あの人たちとお近付きになれたら……と思ってしまうのは、歩のような年頃の男子なら仕方ない事だった。歩がその気持ちを抑えているのは、単純におとなしい性格である事と、

 

「……全く。そうではないかと思っていましたが、私や桜、アルクェイドという既に唾を付けた女に配慮しているのですね。それ程の女たらしだというのに、妙な所で律儀なんですから」

 

 微笑んでライダーが言った。そうは言いつつも彼女自身嬉しそうだったが、すぐにキリッと表情を引き締める。

 

「ですがそれではいけません、歩。実はですね、この前アルクェイドと桜を交え、話し合いまして」

「は、はあ。何ですか」

「貴方のハーレム拡大を推奨する事にしました」

「はい??」

 

 目を丸くする少年。

 

「えーっと、どういう事です……?」

「具体的に言えば、貴方が他の女を抱くコトを手助けすると言っているのです。……我々もですね、歩に抱かれ触れ合う内に考えが変わりました」

 

 すっと身体を寄せるライダー。驚いて縮こまる少年の肩を抱きながら、

 

「貴方は、特定少数の女で満足する雄ではありません。我々が惚れ込む程の男性ならば、出来るだけ数多くの優れた女を抱き、子種を蒔く必要があるかと存じます」

「あ、あの……流石に買いかぶり過ぎなのでは……」

「クスッ。ええ、今のは半分冗談です。────最大の理由は惚れた弱みというヤツです。貴方が新しい女の穴を求めるというならば、それに応じざるを得ないのが今の我々ですから。自覚が薄いようですが、それだけ我々は貴方に誑し込まれてしまったという訳ですよ」

「うっ…………」

 

 歩の鼓動が早くなる。至近距離に絶世の美女がいるという事もそうだが、それ以上に、

 

「……ほら、すこしペニスが硬くなった。そのくらいもう触れずとも分かりますよ。……今の、貴方に傅くような言葉を聞いて興奮してしまったのでしょう? 理由はそれです。貴方は優しいですからそういった面を隠そうとしますが、我々にはお見通しですよ。そういう言外の欲望をしっかり見抜き、満たして差し上げるのも貴方の女としての役目でしょう」

 

 わずかに持ち上がったズボンの股間部分を見下ろしつつ、ライダーが囁く。

 

「……おや、丁度いい。実はですね、私はこのマンションに簡単な結界を張っていまして。人の出入りや簡単な監視が出来るのです。…………この暴れん坊で、暖かくて狭い所が大好きな貴方のペニス。これを今まさに求めている浅ましいメスが、すぐそこにいるようですよ」

「えっ……う、うわ!?」

 

 ライダーはひょいと歩の身体を抱え、部屋を出た。そのままとんでもない跳躍力とバランス感覚で手すりから身を投げ出す。

 

「───────!?」

「口を閉じていてください。舌を噛みますよ」

 

 そうは言うが、実際にはそんな必要もない程にふんわりとした着地だった。一気に地上まで降り立ち、ライダーは歩を下ろす。

 

「っとと……。ら、ライダーさん、何ですか急に」

「ほら、見てください。……あそこです」

「…………あ」

 

 植物園の中へ視線を移す。

 そこには、ふらふらと熱に魘されたような足取りであるく和装の美女がいた。こちらには気付いていないようだ。その横顔に、歩は見覚えがあった。

 

「あの人、この前擦れ違った……」

「彼女の名前は両儀式。よくこのマンションに住む友人宅へ訪問しているようです。……薬指が見えますか? 人妻で、娘もいるらしいです」

「え、ええっ? そんな、他人の奥さんをどうこうする気なんて、僕は」

 

 言いかけた歩の唇に、ライダーがピトッと人差し指をくっ付けた。そのまま音を立てないよう注意しながら、式の後を尾ける。

 

「勿論、真に貴方に興味のない人妻を無理やり口説けとはいいません。貴方がそういうコトを望まない人格というコトも分かっています。ですが……ほら」

「え……うわ、ちょっとあれ……!?」

 

 草花に身を隠して覗き見る。ライダーに連れられた先、大樹の前にあるベンチ。

 そこには、整っていた着物をはだけ、猿のようにオナニーしている式がいた。

 

「彼女が何故自慰をしているのか分かりますか? ……あれはですね、貴方を想ってしているのですよ。この前あそこで桜と私で歩を気持ち良くして差し上げたでしょう? あれが彼女の心を打ち抜いてしまったようです。……罪な男ですね、口説きすらせず、エッチを盗み見させただけであんなきつめで貞淑そうな人妻を落としてしまうなんて」

「っ、僕を……想って……?」

「ええ。……可哀想だとは思いませんか? 夫も娘もいて、傍から見れば幸せな生活だったかも知れませんが、見れば分かるように本当の彼女は性欲旺盛なメス。なのにきっと若い頃からそれを満たせず、目を逸らして生きて来たのでしょう」

 

 ライダーは、その目に憐みさえ見せながら、

 

「そんな女が、ある日突然貴方の精力を目の当りにしてしまった。ずっと年下の少年のオスっぷりに恋してしまった。それはもう、えげつない不意打ちでしたでしょうね。……歩、どう思います? 直接貴方に声を掛ける勇気もなく、一人寂しくオナっている人妻。……抱きたいとは思いませんか? 押し倒して、欲求不満おまんこをぬっぷぬっぷに犯して、生娘同然の子宮をガツンガツンに殴りまくって。性欲も、寂しがりの恋心も溢れるくらいに貴方で満たしてあげて。あの和風美人の顔が台無しになるくらいに啼かせて……貴方に寝取られ待ちの人妻を、望み通りに寝取ってあげたいとは思いませんか……?」

「……っ、く……」

 

 少年の目は既に式だけを見詰めていた。それを横目で見て、ライダーが嗤う。

 

「……その気になってくれたようですね。ええ、それでこそ我がハーレムの主です。それでは、もう少しだけお節介を焼かせて頂きましょう。ほら歩、少しこちらを見てください」

「え────────」

 

 ライダーの四角い瞳孔が、怪しげな光を帯びる。それを直視した少年の瞳が、淫欲に濁っていく。

 

「私の宝具の応用です。一時的にですが、貴方の理性の抑制を外しました。優しい歩が、相手が人妻だからと手加減してはいけませんからね。……それでは、ほら」

 

 ライダーが、立ち尽くす歩の背中を軽く押す。

 

「私は邪魔にならないよう、部屋で待っていますから。……貴方の好きなやり方で、彼女を落としてあげて下さい」

 

 一際激しくオナニーしている式の元へ、引き寄せられるように少年が歩いて行く。

 それを見届けてから、ライダーは地を蹴り、部屋へと帰って行った。

 

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 

「はっ♡ はっ♡ は……♡」

 

 ────────ライダーが去った後。

 

 彼女の思惑通り、歩は強引に式へ言い寄った。これまたライダーの推測通り式は拒む事が出来ず、意外に力強い少年に腕を引かれて行く。

 半ば腰が抜けている式に階段を上らせるのは苦だと思ったのだろう。歩はエレベータを呼び出し、式と一緒に乗り込んだ。ゆっくりと扉が閉まる。

 

「ど、どこへ行くんだ……」

「いいから着いて来て下さい」

「っ…………」

 

 式にも想像がつく。このまま連れて行かれたら、きっと後戻り出来なくなると。

 抜けた腰を懸命に引き摺って、エレベータのボタンを押そうとする。

 

「頼む、降ろしてくれ……! あんな所で、おっ、オナニーしてたのは悪かったから……謝るから……!」

 

 ほうほうの体で見当違いの許しを請う式。

 そんな人妻の言葉に、少年は取り合わない。

 

「なに言ってるんですか。式さんも、このままじゃ辛いですよね? ……ほら」

「あひぃっ!?」

 

 式が目を見開き、悲鳴を上げる。完全に力が抜けてしまう。

 それも当然だ。未だ疼いている式のマンコ。そこを、着物の隙間から滑り込んだ少年の手が擦ったのだった。

 

「くはあぁぁ……♡ やめ、やめろぉ……っ♡」

「じっとしててください。……ほら、着きました」

 

 チン、と音を立てて扉が開く。式はまた手を引かれ通路を歩いて行った。

 やがて、一つの部屋の前で歩が止まった。部屋に備え付けられている呼び鈴を鳴らすと、ガチャリとドアが開く。

 

「─────おや、お早いお戻りで。いや、見た所これからですか」

「っ……おまえ、あの時の……」

 

 式が目を瞠るのと対照的に、彼女──────ライダーは澄ました顔だった。まるで私が彼の正妻です、新入りの貴女とは違うんですとでも言わんばかりの顔である。

 しかし、それも長くは続かなかった。

 

「ライダーさん。部屋を貸して欲しいんですけど」

「はい? 私の部屋を、ですか? ……しかし、確か今日はお母様も不在でいらっしゃるのだから貴方の部屋でいいのでは……というか、流石に他の女と寝るのに私のベッドを使わせるというのは」

「ライダーさん」

「え────────ひぎぃぃいいいい!!???」

 

 ライダーがあられもない悲鳴を上げた。

 その豊満な乳房。歩と会う時はよく下着を着けずにいるのが災いした。薄い黒セーターの上から、思い切り乳首を摘ままれたのだ。

 

「あ、歩っ!? 駄目っ、乳首そんなに抓られたら……♡」

「ライダーさん、僕のハーレムの一員だって言ったよね。僕の言う事を聞くのも役目だって。……なのに口答えするの? おかしいよね、それ」

 

 ギリッと捩じり上げられ、ライダーが涙目になる。

 

「あっあっあっ♡ わかっ、分かりました♡ 生意気言って申し訳ありません♡ 貴方に逆らう気などありませんから♡ どうぞ私のベッドをお使い下さいっ……♡」

「うん、ありがと。どこかで時間を潰してて」

 

 速攻でアクメし腰を抜かしたライダーをもう一瞥する事すらなく、歩は式の手を引いて部屋へ入っていく。いつもの少年では考えられない、俺様気取りの横柄な態度だった。

 

「っ……英霊たるこの私を本当に所有物のメスのような態度を取って……いくら何でも、許す訳にはいきません」

 

 バタンと閉まったドアの前。

 

「……と言いたいところですが、ああっ、子宮がキュンキュン疼いてしまっています……♡ 心臓も痛いくらい脈打って……惚れ直してしまいました♡ いつもの優しい歩も好きですが、たまには悪戯して強引にされるのも良いかも……♡」

 

 顔を真っ赤にしながら呟く。

 歩をリードしている気になっても、結局クソザコ根性が抜け切らない蛇女であった。

 

 

 

 

 

 

「あうっ!」

 

 薄暗い寝室の中。ベッドに乱暴に倒れ込まされ、式は悲鳴を上げた。

 ふかふかの掛布団に頭を突っ込む。すう、と息を吸うと、脳髄が痺れた。

 

(こっ、これ……さっきの女と、少年の匂いだ……。二人の体液が混ざり合った匂いがプンプンしてる……っ)

 

 恐らくは数時間前か、遠くても一日以内にはここで少年があの女を抱いたのだろう、と推測する。そこへ人妻を連れ込むのだから豪胆と言う他なかった。

 

「式さん。もう知ってるみたいですけど……僕は歩って言います。そう呼んでください」

「……わ、分かった。……歩。その、頼むから、オレを帰してくれないか……」

 

 少年の名前を呼んで、とくんと胸が高鳴るのを隠しながら式が言う。

 名前を呼ばれた歩は、ぎしりと自分もベッドの上に乗った。

 

「駄目です。僕は式さんを僕のものにしたくて、式さんは僕のものになりたいんですよね。だったら、僕が止まる理由なんてありません」

「待って、待っ……♡ ま、まんこ弄りながら脱がせるな……♡」

 

 くちくちと性器をほじられ抵抗できない式の着物を、歩が丁寧に脱がしていく。

 単衣の着物を脱がすと、肌襦袢が現れた。アルクェイドたちほどではないがふっくらとした乳房が布を盛り上げている。

 式に伸し掛かった歩は腰紐を解き、襦袢の前を開いた。

 

「……ああ、やっぱり。さっき触った時から思ってましたけど、下着は着けてないんですね。いや、これが下着代わりなのかな」

「う……うう……」

 

 白く薄い布の向こうから、式の白い肌が現れた。ぷるん、と柔らかそうなおっぱいが震える。

 

「……ぱくっ」

「ひああああああ!? やめ、胸を吸うなぁ♡」

 

 躊躇する事なく、歩が桜色の乳首へと吸い付いた。経産婦とは思えない、慎ましやかな乳首をちゅうちゅうと吸う。

 

「おっ♡ おほぉぉぉ……♡」

 

 身体を震わせる式。

 そうやって式の抵抗を完全になくしつつ、歩が式の下半身を守る裾避けを下ろす。

 

「式さんのあそこって、ちゃんと整えてるんですね。……もしかして」

「ち、違う……違うぞ……」

「その反応、バレバレですよ。僕とエッチする時の為に綺麗にしてたんでしょう。でも、つるつるに剃るのはちょっとやり過ぎなんじゃないかなあ」

「~~~~~っっ♡ 違うって言ってるだろっ……♡」

 

 真っ赤な顔を掌で隠す式。

 

 勿論、歩の言った事は正解だった。来るはずないと思いながらもどこかで期待して少年に抱かれる時の為に陰毛を処理していたのだ。加減が分からず剃り過ぎて、いっその事と思い全て剃り上げてしまったのだが。

 そんな式から服を全て脱がせ、全裸にする。汗にほつれた黒髪も、少年の唾液に濡れた美乳も、既にべたべたに濡れたマンコと太ももも。人妻の生まれたままの姿が少年の前に晒された。

 

「もう十分濡れてるけど……いきなり挿れると式さんのおまんこもびっくりしちゃいますよね。さっきのオナニーの続き、しましょうか」

「つ、続きって……?」

 

 怯える式の股間へ、歩が手を伸ばす。

 

「あ゙ッ……♡ まさか、手で……」

「はい。式さんが泣いちゃうくらい、気持ち良くしてあげます」

「くっ…………」

 

 完全に自分を格下と見ている発言に式の反骨心が目覚める。

 これでもかつては夜の闇を駆け、数多の敵を打倒した殺人鬼である。ここまでは少年のペースだったとはいえこのまま良い様にされる訳にはいかないと、懸命に目尻を吊り上げる。

 

「……お、オレを泣かせるだって。やってみろよ。悪いがオレだって経験はあるんだ。ちょっと良い女を抱いてきたからって、調子に乗るんじゃないぞ……!」

「っと。式さん、まだまだ元気なんですね。分かりました。たくさん気持ち良くしてあげますから」

「ふ、ふん……! その勢いがいつまで持つかな……!」

 

 式が腹に力を込め、気合いを入れる。

 ぷちゅっ、と歩の指先が式のマンコに触れた。

 

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 

 カチカチと時計の秒針が進む。

 いつの間にか布団はべたべたに濡れそぼっている。

 ぎしぎしとベッドのスプリングが軋んだ。

 薄暗い部屋で一組の男女が絡み合う。

 仰け反った身体から、粘ついた汗が飛び散った。

 

 歩の手マンが始まってから、僅か15分後。

 

「お゙っ♡ お゙ほお゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙おお゙お゙お゙お゙お゙お゙゙ッッ♡♡」

 

 式は、都合12回目のアクメを迎えていた。

 

 ぷしっ、ぷしゅっ! と何回目か分からない潮を吹く。掛布団は式の愛液でずっしりと重くなり、もう歩の匂いもライダーの匂いも上書きして式の匂いしかしなくなっていた。

 

「式さん、大丈夫ですか? ……え? 辛い? それは良かったです。じゃあ、式さんの弱点のGスポット抉ってあげますね」

「許してっ♡ もうイクの嫌だぁ♡ イキ続けるのきついっ♡ オレが悪かったから……ひきゃあああああああああああっ♡♡」

 

 問答無用で曲げた指でマンコを掻かれ、あっさり13度目の敗北を喫する式。びちゃびちゃと小便のように愛液を漏らす様子は脱水症状が心配になる程だ。

 

「あ゙っ、あ゙あ゙~~~っ……♡ し、死ぬ♡ イキ死ぬ……♡」

「安心してください。これでも手加減してますから、耐えられるはずですよ」

 

(こ、これで手加減とか♡ こんなの絶対勝てるワケない……♡)

 

 朦朧とした意識で式が絶望する。

 とはいえ、式が敵わないのも当然だった。歩の性技はアルクェイドやライダーといった人外の美女で培った上に、手マンに関しては桜から直々に教わったものだ。性感など碌に覚えた事もない絶頂生娘の式はひとたまりもなかった。

 

 どさり、と絶頂し過ぎて力の抜けた式の身体が落ちる。ひっくり返ったカエルのように大股開きでぴゅるっと残りの潮を吹き出した。

 それを見て流石に充分と悟ったか、歩がようやく手を離す。

 そして、自分のズボンに手を掛けた。

 

「うん、しっかり解れたみたいですね。たくさんアクメして準備も万端みたい。それじゃ、本番です」

「え…………ひ、ひぃっ……!」

 

 ぐったりしていた式の目が見開かれる。

 ズボンを下ろした少年のチンポ。それはすっかり勃起し切っていた。びきびきと反り返り、血管が浮いている。

 

「ほら、よく見てください。目を逸らさないで」

「うぷっ……あ、熱い……♡」

 

 仰向けに倒れ込んだ式の顔面を跨ぎ、歩が腰を下ろす。

 太く長いチンポが式の顔面に乗っかる。眉間に置かれた亀頭に吸い寄せられるかのように、式が寄り目になった。

 

「これが、式さんを貫くチンポです。大きさも形も匂いも、ちゃんと覚えて貰いますから」

「あ……あああ…………」

 

 式が呻く。そんな彼女を放って歩が腰を上げる。

 今度は両足を跨ぎ、下腹部の上にぴとっとチンポを乗せた。

 式が目を瞠る。少年の亀頭は、明らかに式の大切な部分へ届いているように見えた。

 

「そして、今からココに入るんですよ。分かりますか? ほら、ここまで届くんです」

「え、ええっ……!? そっ、それ、子宮に……」

「そうですよ、勿論。式さんの子宮まで、しっかり捩じ込みますからね」

「っっっ………………!!」

 

 慄く式を他所に、歩が亀頭を膣口に合わせた。

 人妻のマンコと、10歳以上年下の少年のチンポが密着する。

 

「────────ま、待てっ!」

 

 ここが最後の分水嶺と悟ったか、式が声を張り上げて制止した。

 

「ほ、本当に待ってくれ。歩、自分が何をしてるか分かってるか? え、エッチしてしまったら……もう後戻りできないんだぞ」

「……………………」

「か、考えてみてくれ」

 

 式が必死で説得する。

 

「お前の周りには、オレなんかよりずっと美人で若い女がたくさんいるじゃないか。それに、これからだってお前ならそういう女を引っ掛けられるだろ。だったら、あえてオレを落とす意味なんてない」

「……………………」

 

 しかし、それは。

 

「性格も顔もキツめで♡ む、胸はあいつらと比べて大きくないし♡ けっこう鍛えてるから、ちょっと筋肉質かもしれないし♡ その癖敏感でエッチに弱くて……♡」

 

 本人も気付いていなかったが、

 

「お、オレには夫も娘もいるんだぞ? 人妻で、経産婦だぞ? お前よりずっと年上で、子宮は使用済みで……♡ ほ、ほら、指輪だってしてる♡ こんな女を喰っても仕方ないだろ♡ 一度でもおまえに抱かれてみろ、ぜったい年甲斐もなくおまえに夢中になってしまう♡ 妻であるコトも、母親であるコトも、両儀の当主であるコトも忘れて、おまえの女だけの式になっちゃう……♡ だから駄目だ♡ 挿れちゃ駄目♡ 落としちゃ駄目♡ おまえが起こした子宮に、トドメ刺しちゃ駄目……♡♡」

 

 拒む、というよりは。

 どうぞ堕として下さいとお願いする、完堕ち待ちの誘い受けにしか見えなかった。

 

 勿論、そんな言葉をぶつけられた少年がおとなしく引き下がる訳もなく。

 ずっぷりと、勢いよく式のマンコに歩のチンポが挿入されていた。

 

「─────────────お゙」

 

 式の呼吸が止まった。

 めりめりと淫肉を掻き分けた竿は、一息に子宮口へと直撃していた。

 

「か────────────は」

 

 式の瞳の焦点がブレる。

 内臓を突き上げられて、強制的に息が吐き出された。

 そして一拍を置いた後。

 

「あ゙ッ、あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っ♡♡ イクっ♡ イクイクイクイクイク……♡♡♡」

 

 式が絶頂した。久方ぶりの、そして待ち望んだ相手のチンポに殴打された子宮が泣いて喜ぶ。

 

「お゙ほおおおおお゙お゙お゙お゙~~~~ッッ♡ これ駄目っ♡ 堕ちる♡ もう堕ちかけなのにっ、戻れなくなっちゃう……っ♡」

 

 幸せそうな顔で式が叫ぶ。ぱっくり開かれた子宮口を亀頭が貫いていた。子宮を一突きされただけなのに、繰り返し絶頂の波が押し寄せている。

 

「式さん、僕も動きます……っ」

「あんっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ もう止めて♡ 許して♡ こんなの酷過ぎるっ……♡」

 

 歩の力強いピストンでマンコを耕され、式が喘ぐ。

 若い雄肉を迎え入れたマンコが歓喜し、むっちゅりと肉棒を締め上げた。

 

「式さんの身体、綺麗……僕の痕を付けちゃいますっ」

「えっ、んああっ♡ き、キスマークなんて……♡」

 

 自分の所有権を主張するかのように、首筋や胸、お腹にまで少年の印を付けられる。

 人妻がされてはいけない暴挙に、しかし式の子宮は反応してしまうようだった。

 

「っ、式さん、子宮が下りて来てますっ……気持ち良いんですね、よかった」

「くっ、ふぅうううう……♡ ううううう……っ」

 

 式が顔を拭う。彼女が涙を零している事に歩は気付いた。

 

「泣いてるんですか、式さん」

「う、うるさいっ♡ ……おまえが悪いんだ♡ おまえと出会ってからおかしくなったんだ♡ こんな気持ちいコトも、幸せなコトも、知らないなら知らないままで良かったのに……」

 

 式はしゃくり上げながら、

 

「こんなコトされたらっ、もう忘れられなくなる♡ おまえに落ちてしまう♡ おまえのコト、本気で好きになっちゃうよ……♡♡」

「っ」

 

 人妻の涙ながらの告白を見せられ、終始優勢だった歩の動きが一気に切羽詰まったものになる。ぱんぱんと腰を打ち合わせる音が加速した。目の前のメスを自分のものにしたいと、金タマがせり上がり射精を促す。

 

「し、式さん、出ますっ……! 式さんの中に出しますからっ」

「え……ふぇえええっ!? おい、それはっ」

 

 必死に首を振る式。しかし、力が抜けているからか、本当はそれを望んでいるからか、逃げるどころかむしろ迎え腰で少年の射精を待ち受けた。

 式に倒れ込み、がっちりと抱き締める歩。そんな彼に式が最後の誘い受けを掛けた。

 

「なっ、歩♡ これが最後のチャンスだぞ、思い直してくれ……♡ 分かるだろ、射精したら、本当に好きになっちゃう♡ おまえのハーレム入りしちゃう……♡ 人妻を自分のものにしようなんて許されないんだぞ♡ このまま子宮に直接、びゅる~~ってしたら……おまえのハーレム入りプロポーズ、受け入れちゃうから……♡♡」

「っ、く……あああっ…………!」

 

 嫌がっているのかそうでないのかも曖昧な式の言葉に、歩のチンポが反応する。

 式の膣で、チンポが跳ね上がった後。

 

 ────────びゅる、びゅるるるるるるっ! びゅく、びゅる~~~っ! びゅぷぷぷぷぷぷ……! 

 

「あっ……は…………♡♡♡」

 

 子宮の中の亀頭から、勢いよく精液が吹き出した。大量の粘ついた白濁は一瞬で子宮を満たし、膣へ逆流した。

 

「くう……まだ出るっ……」

「ひ……♡ だ、出し過ぎだっ……♡ 手加減しろ、この性豪め……♡」

 

 歩がぬぷん、ぱちゅんとゆっくり腰を振り、最後の一滴まで精液を流し込む。それは出来る限り式を自分のものに染め上げようとするかのようだった。

 

「はあっ、はあ……! 式さん、好きっ……! 僕のものになって……僕だけのものに……!」

 

(この、馬鹿……もう十分過ぎるくらい落とされてるっての……♡)

 

 必死に式をマーキングする少年を、初めて可愛らしいと思い。

 式は、ぎゅっと歩を抱き締めるのだった。

 

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 

「……本当にすいませんでした。なんとお詫びしたらいいか……」

「別に、過ぎたコトだ。今更気にするな」

 

 行為の始末を終えてから。

 

 ようやく正気に戻った歩は、式に平謝りしていた。式が気にしていないというフリをしても何度も繰り返す。優しい少年にとっては、人妻を押し倒したという事は極めて重大な不貞だった。

 

「というか、結局あの女に妙な術を掛けられていた訳じゃないか。だったらお前は悪くない」

「でも、あれは性格を変えるとかじゃなくて、理性のストッパーを外すものみたいですから。だから今のは僕が心のどこかで望んでたという事で……あ、す、すいません。ヘンな事言って」

「っ……♡ いや、大丈夫だ」

 

 貴女を抱いたのは抱きたかったからだと宣言されてしまい、赤面する式。

 その空気を振り払うように、

 

「はあ。しかし、これでオレもおまえの女ってワケだ。……最中にも言った通り、こう見えてオレは重いぞ。しっかり責任を取れよ」

 

 遠回しに口説かれた事の答えを口にする。

 しかし、少年はキョトンとして言った。

 

「え? いえ、そんな! 僕とそういう仲になる必要なんてないですよ」

「…………は?」

「今日の事は本当にすいません。式さんが望むならなんでもして謝ります。式さんは僕の、その……ハーレムに入りたいなんて事はないんですよね。勿論そんな必要はありません。安心してください」

「……………………!!????!!????」

 

(こっ、こいつ……本気で言ってるのか!? ヤッてる時の言葉を聞いてなかったのか? もうこっちは完全にその気なんだっての! おまえの女になりたいんだ! おまえが好きなんだ! 鈍すぎる……こりゃ、こっちから言わないと気付きそうもない……!)

 

 わなわなと震える式。

 頭を回転させつつ、はあ、と溜息を吐いた。

 

「……なあ、歩。おまえ、オレのコトは好きか?」

「えっ!? ……そ、その。好き……です……」

「ふん」

 

 その回答に胸をキュンキュンさせながら、式が鼻を鳴らす。

 

「それはつまり、オレにハーレムに入って欲しいってコトだよな?」

「……ま、まあ。式さんとそういう仲になれるなら、喜んで……」

「だったら」

 

 どす、と今度は式が歩を押し倒した。

 少年の顔の両脇に手を当てて、見下ろす。式の艶やかな黒髪が歩の頬にかかった。

 

「ここに、おまえに堕ちかけの女がいる。おまえはオレのコトが好き。オレも、おまえのコトが好き。で、おまえはオレにハーレムに入って欲しい。……だったらさ、躊躇するコトなんてないだろ。そりゃ人妻だが、おまえ、もう抱いちゃってるんだし。……そういえばさあ、明日、イベントがあるよな。おまえまだ、相手決まってないらしいじゃないか」

「し、式さん……」

「こう見えて、オレも女なんだけどな。好きな野郎には男見せて欲しいなー」

「っ……!」

 

 そこまで言われて尻込みする歩ではない。

 覚悟を決めて、式にお誘いを掛けた。

 

「……式さんっ。明日の花火大会、僕と行ってくれませんか……?」

「うん、いいよ。……人妻に不倫デートのお誘いとか、とんでもない中学生だな、おまえ……♡」

 

 赤くなった頬で見詰め合う。

 二人の胸は、まるで初恋のようにときめいていた。

 




式さんは絶対誘い受けタイプだと思うの。

次回はラブラブ花火デートです


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人妻逢瀬(両儀式)

寝取り要素を含みます。


 歩の住む街では、県下でも有数の花火大会が行われる。

 

 打上場所近くの道路はほとんど車両通行禁止になり、総勢数万人の人出で埋め尽くされる。一人で、家族で、あるいは友人や恋人と花火や屋台を楽しむのだ。

 そんな花火会場の近くのコンビニ前で、歩は式を待っていた。片手にはコンビニ袋を提げている。

 

「ちょっと早く着き過ぎたかな。まあ遅れるよりはいっか」

 

 ブロック塀に腰かけて式を待つ。

 歩のマンションからここまではそう遠くない。徒歩で来れる距離だった。足をぶらぶらさせながら夜空を見上げる。花火が始まるまであと少しだ。

 

「……みんな、ちょっと怒ってたな。まあ、式さんとデート出来るんだから後悔はないけど」

 

 昨日行為を終えたあとマンションの出口まで式を送って行ったのだが、様子を窺っていたらしいアルクェイドたちとばったり出会ってしまった。新入りの式に歩とのデート権を掻っ攫われたのが痛く不満だったらしく、アルクェイドたちはかなり不満なようだった。式がこれ見よがしに歩と腕を組んでいたから尚更だ。最終的には歩の意志を優先してくれたのだが。

 

(……まあ、見るだけならうちのマンションの屋上からも見れるんだけどね。桜さんとライダーさんはそうするって言ってたし)

 

 アルクェイドも彼女なりに楽しむのだろう。とりあえず今回は式とのデートに集中しよう、と思う歩。

 そこへ、

 

「──────歩。待たせた」

「あ、式さ……ん……」

 

 落ち着いた声で呼び掛けられ、顔を上げた歩が固まる。

 

「ん? どうした、何か変か」

「いっ、いえ。その、凄く綺麗だなって」

 

 式は青い単衣の着物からガラッと変わり、桃色を基調とした着物を着ていた。花柄や紋様の入ったそれは、普段着ではなく明らかに特別な時の為の着物だ。いつもは下ろしている髪をアップにし、可愛らしい髪飾りでまとめている。

 

「見惚れちゃいました。いつものも好きだけど、その着物も似合ってます」

「ありがと。着て来た甲斐がある」

 

 嬉しそうに式が返す。と思うと、悪戯っぽい表情になって、

 

「そういう歩は普段着通りだな。女におめかしさせて、自分はシャツにズボンなんて。亭主関白の素質あるよ、おまえ」

「ううっ。すいません」

 

 冗談さと笑う式。歩は立ち上がり、彼女の側に寄った。

 

「そ、それじゃ行きましょうか。そろそろ始まりますし」

「ああ」

 

 並んで歩き出す。

 歩行者天国となった道路は通行人でごった返していた。道の両脇に開かれた屋台を尻目に、まずは花火のよく見える場所へ向かって行く。

 しかし、余りの人出でうまく進めない。それに人の波で離ればなれになってしまいそうだった。

 

「っと。式さん、手を貸して下さい」

「あ…………。う、うん」

 

 ぎゅっと掌を握られる。自分の彼女を人並みに攫わせまいとする行動に式の鼓動が早くなった。

 

(……うわ、ホントに歩に参っちゃってるんだな、私。今時、小学生でも異性と手を繋いだだけでこんなにドキドキしないんじゃないか……)

 

 自分を引いて行く頭一つぶん背の低い少年の背中を見ながら、胸を高鳴らせる。

 しばらく移動すると、道路を下りて広い河原に出た。ここにも人は多いが密集していた道路よりは余裕がある。

 

「ここでいいかな。実は去年もここで知り合いと見たんです。花火がよく見えるけど意外と人は少ない穴場なんですよ」

「……へえ」

 

 不意に、式の胸がざわつく。

 自分にもいわゆる『女の勘』という奴が備わっていたのかと驚きながら、

 

「歩。一応聞くが、その知り合いってのは女か」

「え? はい、そうですけど……あ、別に変な関係じゃないですよ。僕が予定がないって言ったら無理やり連れ出されただけです。学校の保健の先生なんですけど、あんまり友達がいない僕を心配してくれてるみたいで色々世話を焼いてくれるんです」

「教師? なんだ、じゃあ警戒しなくてもいいか」

「え? 警戒って何です?」

「いや、こっちの話。気にしなくていい。……まあ一応聞いとくか。なんて先生だ」

「はい。蒼崎先生って言うんですけど」

 

 歩が言うと、式は形容しがたい表情になった。

 

「式さん? どうしました?」

「…………歩。今度そいつに会わせろ。それと、出来るだけそいつに近付くんじゃない。取って食われるぞ」

「?? は、はあ。気を付けます……?」

 

 よく分からず首を傾げる歩。

 

 ────────と、そのとき。

 ドオン、と空で大音が鳴り響いた。

 

「うわあ……!」

「おおっ……」

 

 まばゆい光で歩と式が照らされる。

 丁度良く花火が始まったのだ。周囲からもワッと歓声が上がる。二人は土手の階段に腰を下ろした。

 

「凄いな……。距離が近いから迫力がある」

「はいっ」

 

 大玉が一つ、二つと炸裂した。その後は色とりどりの小さな花火が連続して上がる。

 歩はちらりと隣を見た。花火に魅入っている式の顔が、花火の黄色や緑に照らされる。

 

(……まあ、僕にとっては花火より……)

 

 隣に居る女性の方がよっぽど綺麗だし、見ていたいと思う。こうして見ると、自分が抱いたとは思えないような凛とした美しさだ。白い首筋も、着物の上からでもちゃんと分かる胸も、昨日思う存分味わったというのにまだまだ足りない気がした。

 

(う、変なこと考えてたら勃っちゃいそう……他の所を見よう……)

 

 と、式の左手の異変に気付いた。

 

「式さん、今日は指輪してないんですね。それって付けたり外したりするものなんですか?」

「……おいおい。それ聞くか?」

 

 ふう、と軽く息を吐いてから、式が歩の耳元に口を寄せる。

 

「決まってるだろ? 結婚指輪って、つまりその相手の女だって主張する為のものじゃないか。オレはもうおまえのものなんだから、おまえとデートする時にあんなもの付けて来る訳にはいかないさ」

「し、式さ……」

「……なに赤くなってんだよ、スケベ。おまえ、何人も女を囲ってるのに、一人一人に独占欲持ってるよな。しかもその一人は人妻と来た。贅沢っていうかなんていうか……」

 

 澄まして言いながらも、式の頬も染まっている。式は歩の手を取り、自分の胸や足へ忍ばせた。

 

「ほら。触っていいぞ、スケベ中学生。ここ陰になってるし、どうせみんな花火に首ったけだし。ちょっとくらい物陰でモゾモゾしてても誰も気付かないさ。……遠慮するな、言っとくがさっきからオレをエロい目で見てたの、ばればれだぞ」

 

 彼女はさりげなく辺りを見渡してから、胸元と太ももの着物をはだけた。

 歩がごくりと唾を飲み込む。もし周囲に見咎められたら、という心配はある。しかし、彼女がこんな風に誘ってくれているのを我慢できる少年ではなかった。

 

「あ……ん……♡ いいぞ、おっぱい揉んでも、太もも擦っても……もうおまえの為の身体なんだから……♡」

 

 着物の襟から手を滑り込ませて、直接おっぱいを揉む。柔らかさを堪能してからくりくりと乳首を転がす。

 同時に、太ももからお尻に掛けてを掌で掴んだ。皺ひとつない、滑らかな肌だ。

 

「く、ふ……♡ お、おい、そんなエッチな触り方したら、その気になっちまうぞ♡ もうおまえに触られただけで濡れる身体になってるんだから、その辺よく考えろ……♡」

「でも、式さんが可愛くって」

「~~っ♡♡ おまえなあ、一回り年上の人妻に可愛いとか……あまり軽々しく言うなっての……♡」

 

 そう言いつつも、明らかに式は嬉しそうだ。お返しとばかりに歩の股間を撫でる。

 

「あっ……!」

「おまえだってもう勃ってるじゃないか。こんなままで歩く訳にはいかないよな……仕方ないヤツ♡」

 

 式の着物は裾が広い。歩の股間に被せれば、下半身が覆われて見えなくなるほどだ。

 

「これで隠れるだろ。ほら、手で抜いてやる。歩は好きにオレを触ってていいぞ」

「式さん……っ」

 

 包容力のある笑顔を見せられ、歩の怒張がいきり立つ。チンポを扱かれながら、式の美しい黒髪に顔を突っ込んだ。

 

「すーっ、はぁーっ……」

「お、おいっ。匂い嗅ぐなよ、汗かいてるし」

「大丈夫ですっ。僕、式さんの匂い大好きですから」

「そういう問題じゃ……♡ あんっ、ちょっとまんこは弄るなってっ」

 

 くちくち、にちゃにちゃという手コキと手マンの音は花火にかき消されて聞こえない。周りの人々が楽しそうに空を見上げる中、歩と式だけは脇目も振らずお互いの身体をまさぐり合っていた。

 

「くそ、生意気なヤツめ……♡ 人妻を喰って、堕として、終いにはこんな屋外で手コキさせて♡ なんで好きになっちゃったかな、こんな鬼畜ちんぽ……♡」

「式さんも、もうおまんこ濡れてます。敏感過ぎるんじゃないですか?」

「うるさいな、惚れた男に弄られたらそうもなるっての♡」

 

 竿を扱くだけでなく、亀頭を指先で遊んだり、指で輪っかを作ってカリ首を引っ掛けたりして歩の劣情を煽っていく。特異な状況故か、少年のチンポはすぐにびくびくと痙攣し始めた。

 

「ふっ♡ ふっ♡ 歩、もうちんぽ跳ねてるんだけど……♡ ちょっと興奮し過ぎだろっ」

「式さんの手コキがすごく上手くて……。駄目です、もう出ちゃいそう」

「まったく、しょうがないな……♡ どうする? このまま撒き散らすよりか、それとも」

 

 俯いて息を荒げる歩を覗き込み、

 

「あいつらがしてたみたいに、オレの口で受け止めてやろうか? 実はさ、あれを見た時からずっとやってみたかったんだ。おまえのちんぽを口で呑み込んで、ザーメンぶちまけられるヤツ」

「え、えっ!? 式さんが口で……」

「おまえがしてくれって言ったら、オレは断れないんだけどな? ……大丈夫、射精の瞬間にぱくってするだけ♡ 周りに見られても、ちょっと蹲っただけに見えるはずだって♡ 一言いってくれれば、この口で包んでやるんだけどなー♡」

 

 式がぱかっ、と口内を晒す。唾液のねっとり絡んだ舌がちろちろと泳ぐのを見て、歩が生唾を呑み込んだ。

 もうチンポは爆発しそうだ。欲求に抗う気も起きず、彼女にお願いする。

 

「式さん、お願いします……口で抜いてください」

「了解。じゃあ、射精する瞬間に咥えるからな」

 

 ぬちゃぬちゃ、と肉棒を擦る速度が速くなる。歩の余裕がなくなり、式をまさぐる手を止めてチンポの快楽に集中する。荒くなった二人の息が混ざり合う。

 一際大きな花火が上がった。ぱくり、と式がチンポを咥えるのと、観客たちが歓声を上げるのが同時。

 

 ────────ぴゅる、ぴゅっ、ぴゅぷぷぷ……♡

 

「んふっ♡ むぐ、んんん~~っ……♡♡」

「式さん、飲んでっ……全部……!」

 

 人妻に口内射精する快感に酔いしれる。そんな少年の欲望を悦ぶかのように目を細め、式が吐き出される精液すべてを呑み込んでいく。

 

「んぐっ、こくっ……けほけほっ! ぷぁ……♡ なんとか全部呑んだけど、出し過ぎだ……♡」

「ご、ごめんなさいっ。式さんの口が気持ち良くて……」

「なら良かった♡ ほら、ちんぽに絡んでるのも舐めてやるから……♡」

 

 未だ反り返ったチンポに付着した精液をしっかり舐め取っていく。

 

(上手く出来たかな。恥ずかしくて言えなかったけど、フェラは初めてなんだよなー……♡)

 

 チンポを咥える、なんて事は式の人生で初めての経験だった。自分の拙い技術で少年が気持ち良くなってくれた事に嬉しくなる。

 そして、それが式の興奮を更に押し上げた。

 

「……ちゅっ。ほら、おまえのちんぽ、綺麗になったぞ」

「あ、ありがとうございます。……良かった、みんなにもバレてないみたい」

 

 周囲を見渡してほっと安堵する少年。

 一方で、式の我慢は限界に達していた。手マンに咥え歩の精液を胃に流し込んだ事で、すっかり身体が反応してしまっている。

 

「はっ♡ はっ……♡ な、なあ、歩……」

 

 ズキズキと痛いくらいに昂り、彼のチンポを求める子宮を抑えながら。

 

「オレ、もう駄目……♡ おまえのチンポ欲しい♡ 歩に子宮、可愛がって欲しいよ……♡」

 

 蕩けた顔で、愛する少年にセックスを申し込んだ。

 

 

 

 

 

「式さん、本当にいいんですか。人が来るかも……」

「大丈夫だ。今はこんな所に誰も来ないさ」

 

 二人は大通りから離れた、薄暗い路地裏にいた。

 路地裏と言ってもしっかり整えられている。少なくとも不潔な感じはしなかった。オフィス街の為、夜でしかも花火大会中の今は人気が無い。

 

「それに、正直に言えば……ホテルとかに行くのも億劫っていうか、早くおまえのちんぽが欲しくてさ……♡」

「……っ」

 

 壁に背を預けた式に腕を引かれ、見詰め合う。

 

「……あのさ、歩。今からエッチするわけだけど。先に言っておきたいコトがあるんだ。実を言うとおまえから言われるのを待ってたんだけど、考え直した。オレの方から『頼む』コトだからな」

「え? なんですか?」

 

 そう言うと、すっと式が地面に膝をついた。武道を修めた彼女ならではの、背筋の伸びた美しい正座だ。

 目を丸くする歩の前で地面に三つ指を突き、地面に触れるまで頭を下げる。

 

「……貴方をお慕いしています。この身も、心も、これから先の人生も。全て貴方に捧げます」

「ちょ、ちょっと、式さん」

「だから、私を貴方のハーレムに入れてください。貴方に奉仕する女の一人にしてください。お願いします……『旦那様』」

 

 少年に向かって、深々と土下座しながら。

 式は一世一代の告白をした。

 

「式さんっ、顔を上げてください。……そんな事までされて、断れる訳ないじゃないですか」

「……ん。それ、良いってコトか? 言ったな? オレ、本気だからな?」

「分かってますっ。……ああもう、砂が付いちゃってるじゃないですか……」

 

 地面に擦り付けたせいで式の額にくっ付いてしまった小石を払いながら、歩が言う。

 

「……はあ~っ。良かった。断られたらどうしようかと思ってた」

「もう、びっくりしましたよ。突然土下座するんですから。……っていうか、旦那様って……」

「イヤか? 歩はハーレムの主なワケだし、オレなりに考えたんだけど。おまえ独占欲強いから、人妻に呼ばせたら喜びそうだし。エッチの時だけでも良いからそう呼ばせてくれないか」

「う……。全然イヤじゃないです。どちらかと言うと、その、嬉しいです」

「……ぷっ。やっぱりな」

 

 くすくすと笑い合う。それから、二人が立ち上がった。

 

「それじゃ、お待ちかね。……実はさ、おまえに土下座したらまんこがもっと切なくなっちまって。もうどろっどろ……♡」

 

 式がするりと着物を捲り上げる。

 

 街灯の鈍い灯りに照らされた、下着を付けていない下半身。そこはもう洪水のように愛液が垂れ流しになり、太ももを伝っていた。

 鍛えられている為に余計な脂肪やたるみは全くないものの、その腰つきとお尻は経産婦らしく丸みを帯びている。まだまだ子を産めると主張する腰回りが、少年の若い精子をせがんでいた。

 

 式は歩に背を向け、壁に手を突いた。足を拡げて少年の高さに合わせるように腰を下ろす。

 

「…………ごくっ」

「ほら、ここ。たった今おまえのモノになった女のまんこだ。堕とした人妻の、ハーレム入り一発目のエッチ♡ もうとっくにぬるぬるで、完堕ち寝取りセックスの準備、出来てるから……♡」

 

 式の誘いに反応し、歩の股間へ血液が送り込まれる。辛抱堪らないという様子でカチャカチャとベルトを外すのを、式がくすりと笑いながら見守った。

 ぶるん、と飛び出した少年のチンポ。その切っ先が、式の性器に添えられた。

 

「く……挿れます、式さん……っ」

「……来て♡ 旦那様……♡」

 

 むちゅり、と肉が触れ合い。

 なんの抵抗もなく、亀頭が媚肉を掻き分けていった。

 

「ん゙、あ……っ♡ 入って来たっ、旦那様のちんぽ……♡」

 

 長大な少年の性器は、易々と式の子宮に届いた。二人の腰と腰が密着する。

 

「式さんの中、すごく熱いですっ」

「旦那様のちんぽも、硬くて大きくて♡ 女を躾けるオス、って感じ……♡」

 

 バックから犯される事に式の女の本能が反応していた。ただでさえ挿れられているチンポに惚れ込んでいる子宮が、完全に屈服しようと早くも下り始める。

 

(うわ……♡ もう子宮が下りて、子宮口貫かれそうになってる♡ 挿れただけでコレとか、もうこの時点で勝負付いちゃってる……♡)

 

 分かってはいたが、こうなっては既に負け戦だ。自覚していた以上にこの少年に身も心もひれ伏していたのだと実感する。

 一方で、少年はそんな事に頓着しない。ぬるるる、とチンポを抜きながら腰を引く。

 そして、ぱぁん! と勢いよく打ち立てた。

 

「~~~ッッは……♡♡ あ゙っ、イク♡ 一発子宮ぶたれただけでイクぅううう……♡」

「式さん、子宮まで入れちゃいますからっ。腰逃がさないでっ」

「ひぃっ♡ 無理だってこれ、想像以上にキツいっ……♡ やらぁ、お尻掴まれて逃げられな……♡」

 

 既に腰砕けになってしまった式を歩は逃がさない。がっちりと式の尻を掴んだ。

 そして、激しいストロークで式を攻撃する。

 

「あんっ♡ あっ♡ 一発入れられるごとにっ♡ イキまくってるっ♡」

「式さんの子宮口、もう緩んでますよ。無理やり入れてあげます……っ」

「ひぐぅうううっ♡ ちんぽ入ってきたあ……♡ エッチの度に子宮犯されてたら、ホントに旦那様のちんぽの形になっちゃう♡ 旦那様専用の子宮になっちゃうぅぅぅ……♡♡」

 

 子宮まで犯され、式の身体が早くも白旗を上げる。引き締まった足がガクガクと震えていた。

 

(もうとっくに負けてるのに、こんなのオーバーキルだっ……♡ 一回りも年下の男の子にまんこ調教されて……これが歩のハーレムに入るってコトなんだ……♡)

 

 思った以上の現実に、しかし式の胸は幸せで満ちていた。運命の相手に出会えた偶然に、身体の芯が悦んでしまっている。

 歩の方も快感を得ているのは同じだった。一突きごとに敏感に反応する人妻の子宮が自尊心をくすぐる。

 歩は式の両手を掴み、引いた。式の頬だけが壁に押し当てられる。

 そのまま、完全に女を屈服させる為の抽送を開始した。

 

「お゙っ♡ お゙っ♡ お゙っ♡ お゙っ♡ お゙っ♡ お゙っ♡」

 

(やばっ♡ これ、ホントに私を潰す為の動きだっ♡ 二度と他の男に靡かないようにする為の、旦那様の本気の女殺しピストン……♡)

 

 もう完全に逃げ場がない。少年のチンポにボコボコにされ続けるしかない子宮が、嬉しい悲鳴を上げている。

 

「式さん、そろそろイキそうですねっ。僕もです、一緒に……!」

「はーっ♡ はーっ♡ はーっ♡」

 

(言われなくてもっ、こんな状態で射精されたら一緒にイクに決まってる……♡ このヤリチン、もう相手のまんこ負かしてるって自覚ないのかよっ……♡)

 

 歩からの宣告に、息も絶え絶えの式は言葉を返す事が出来ない。ただ彼から送り込まれる暴力的な快楽を受け入れるしかなかった。

 二人きりの路地裏に、ぱちゅぱちゅと粘ついた音が響く。遠くでは人々のざわつきと花火の音が聞こえる中、二人はひたすら相手の淫肉を貪っていた。

 やがて、歩のチンポにも限界が来た。射精に向け、一段とピストンが早くなる。

 

「く、出るっ……! 式さんの子宮に全部……!」

「んぐうっ♡ 出してっ♡ 旦那様の精液で、オレの中、一杯にして……♡」

 

 人妻のマンコが、一際強くチンポを締め付ける。子宮に精液をくれとせがむ。

 歩の腰が、一際強く式の腰と密着したあと。

 

 ────────びゅるるるるるるるっ! びゅく、びゅぷぷぷぷぷ! どぴゅるるるるる……! 

 

「ん゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っ♡ ぎもぢいいいいい……っ♡ 好きっ♡ 大好きぃ♡ 旦那様ぁ……♡」

 

(旦那様の精液、子宮に直接……♡ おなかタプタプになりそうなくらい、たくさん……♡)

 

 チンポが脈打つごとに大量の精液が撃ち込まれる。式は腰をひくつかせながら、愛する少年からの吐精を受け止めた。

 

「はあっ、はあ……! ごめんなさい式さん、ちょっと出し過ぎちゃったかも……」

「ばか、出されれば出されるだけ嬉しいっての……♡ ほら、ちんぽに残った分も、全部オレの中に出しちまえ♡」

 

 式の頬を汗が伝う。射精の勢いがだんだん弱くなっても式はマンコを締め付けて、最後の一滴まで精液を膣内に収めた。

 やがて、最後まで射精し終わったチンポがずるりと引き抜かれる。精液と愛液まみれのそれを、式は躊躇もなく着物の裏で優しく拭っていく。

 

「うわ、式さんっ。そんな所で拭いたら染みになっちゃうんじゃ……」

「別にいいよ。染みになるならそれもアリだし」

 

 水気を拭き取り服を整えてから、式が汗を拭う。二人の身体は汗だくになってしまっていた。

 始末を終えて、改めて二人が向き合う。

 

「……ありがと、歩。ちょっとキツかったけどさ、素敵なエッチだった」

「いえ、僕も……すごく良かったです。……あれ、今は名前呼びなんですか?」

「う、うるさいなっ。旦那様呼びはエッチの時じゃないと恥ずかしいんだっての……」

 

 手が触れ合う。

 恋人繋ぎで、二人は路地裏を後にした。

 

 

 

 

 

「あの、式さん、これ。好きだって聞いたので買っておきました」

「おお、ハーゲンダッツ。気が利くじゃないか……どれ」

 

 歩がコンビニ袋の中身を差し出した。

 デートをする事になって、式を監視していたライダーから情報を仕入れておいたのだ。受け取った式は蓋を開け、ぱくりと含む。甘い味に口元が綻んだ。そのまま一口、二口と食べていく。

 

「んむ。うん、うまい。やっぱりストロベリー味に限る」

「あはは、本当に好きなんですね」

 

 可愛らしく頬張る様子に、歩が微笑む。

 エッチをして花火も見終わった後、帰りにつく二人は休憩の為に待ち合わせ場所のコンビニへ寄っていた。式がお手洗いに行っている間に歩がアイスを買っておいたのだ。

 

「もう半分くらいになっちゃってるじゃないですか。そんなに美味しいですか?」

「ああ。歩も食べる?」

「いいんですか? じゃあ一口ください」

「分かった。口開けてろ」

 

 と言いつつ、式がスプーンに多目にアイスを乗せ、自分の口に運ぶ。

 そのまま、

 

「ちゅっ♡ ぷちゅ、むちゅう……♡」

「んむっ!?」

 

 歩の唇に式のそれが被せられた。ひんやりと溶けた甘いアイスが、少年の喉を潤す。

 

「し、式さん……。そういえば、キスは初めてですね……」

「うん。駄目だったか?」

「いえっ。全然駄目じゃないです、もっと欲しいくらいで……」

「勿論。ほら……♡」

 

 ちゅぷ、ぴちゃ、と舌が絡められる。年の離れた男女が口を吸い合う光景に、往来する人が奇異なもの見る視線を浴びせて来るが、二人の世界に入った歩と式は気にしていなかった。

 

「どうだ? おいしい?」

「はい。すごく甘いです……」

「だろ? オレのお気に入りなんだ」

 

 式が歩にアイスを送り込むと、今度は歩から。

 二人はアイスがなくなるまで、交代で口を明け渡した。

 

「……ぷはっ。ん、もう終わりだな。ごちそうさま」

「は、はあ……っ。お、美味しかったです」

「ふふ。なら良かった」

 

 終わった途端、衆人環視の中でキスしていた実感が湧いて恥ずかしくなってしまう歩。一方式はあくまで気にせず、嬉しそうに微笑んでいる。

 

(エッチの時は僕のペースだったけど……やっぱり、何だかんだで年上のお姉さんなんだなあ……)

 

 そこはかとない余裕に、根本的に人生経験の違いを感じる歩である。

 と、立ち上がった式が、そういえばと歩へ向き直った。

 

「あのさ。その、頼みがあるんだけど」

「はい? 何ですか?」

「近いうちに……出来れば明日とか明後日とか。またデートしてくれないかな。欲しいモノがあって。あ、買うのはオレだから、おまえには色とか種類とか、好きなのを選んで欲しいんだけど」

「僕が選ぶ……ですか?」

 

 聞かれ、こくりと頷く式。

 その頬は、真っ赤に染まっていた。

 

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 

「───────式。ほら、お茶どうぞ」

「ああ、ありがとう」

 

 アイリから紅茶を渡され、私は一口含んだ。

 ……うん、相変わらず美味しい。一度淹れ方を教わるのもいいだろう。淹れてあげたい人もいるし。

 

「そういえば遅いな、メディアのヤツ。いつまで買い物してるんだ」

「今日は私が夕飯ご馳走するー、って張り切ってたものね。彼女、あれで完璧主義者な所あるし」

「だから手伝おうかって言ったんだ。今頃買い物袋が多過ぎて苦戦してるんじゃないのか」

 

 そうかも、とアイリが笑う。

 相変わらずアイリの部屋は綺麗に磨かれている。掃除のあまり得意でない私からすると羨ましい。そもそもモノを置く習慣があまりないのだけれど。

 紅茶を楽しんでいると、ふとアイリが何かに気付いた。

 

「あれ? 式、左手よく見せて」

「ん。ほら」

「やっぱり。貴女、指輪変えたの?」

 

 さすがに目聡い。アイリの言った通り、私の薬指にはほんの数日前とは違う指輪が嵌められている。

 

「どうしたの? あれって結婚指輪よね? ……もしかして」

 

 真顔で見られ、少しどきりとする。

 しかし、

 

「もしかして……セカンドリングってやつね!? 聞いたコトあるわ、節目にもう一つ指輪を贈るとか、お揃いのモノに変えるとか。あれでしょう!」

「……あー、うん。まあそんな所かな」

 

 ほっとする。私は左手を掲げて言う。

 

「大切な人に選んで貰ったんだ。似合うだろ」

「まあ、旦那さんに? 素敵ね。ええ、とっても。前のより似合うんじゃない?」

「ああ。当然だ」

 

 そう、当然だった。私が本当に愛する人に選んで貰ったモノなのだから。

 今は家にいる時や家族と一緒の時以外はこちらを嵌めるようにしていた。他の連中にアピールする為でもあるし、自分の気持ちとしても常に彼を感じていたいからだ。

 

「いいわね。ちょっと羨ましいかも。……私の方は、相変わらずほったらかしよ。あー、新しい出会いがないかなー、なあんて。……そういえば式、ちょっと聞いてくれる? あの人ったら酷いのよ、また結婚記念日をすっぽかして……」

 

 寂しげに言って、恒例の愚痴を吐き出す友人。そんな彼女を見て、ふと思いつく。

 

 

 ────このかけがえのない友人と共に。

 ────屈服し、跪き、奉仕したら。

 ────それは、どれほど甘美であるコトだろう。

 

 

「……なあ、アイリ」

「うん? あ、ごめんなさい。話、長かったかな」

「いや。そうじゃないんだが」

 

 キョトンとした、人形のように美しい顔を見て。

 

「ほら、この前おまえが言ってた少年、いるじゃないか。彼のコトなんだけど───────」

 

 左手の指輪を撫でながら、話し掛ける。

 

 

 

 

 本人の与り知らぬ間に、少年を取り囲む輪が広がっていくのだった。

 




式編でした。人妻の良さが出てるといいんですが。
式みたいな強くて凛々しくて男性的な美人の土下座って良い物だと思う。
次はセイバーオルタの予定です。


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黒王客膳(セイバーオルタ)

セイバーオルタ編、3話予定です。


 歩の母は仕事柄、家を空けていることが多い。

 

 その場合、当然ながら食事は自前で用意することになる。食費代は渡されているので、以前桜とも訪れたあのショッピングモールで食材を購入し料理することが多かった。そうした経験を長年積んでいるので、今では歩の料理の腕はこの年頃の少年としては目を瞠るものになっていた。

 それも以前までは普通の家庭料理を作るだけだったが、近頃は出先の店で食べたものを真似して作ることも増えていた。最近のお気に入りはハンバーガー。挽肉や卵黄でパティを作り、買って来たバンズで挟む。気分でレタスやトマト、アボカドなどを加えれば、お店程ではなくとも十分美味しいお手製のバーガーが作れるようになっていた。

 

「よいしょ、っと。随分買っちゃったなあ。まあ、どうせ食べるからいいか」

 

 重みのある買い物袋の取っ手を握り直す。

 買い出しの帰り。今日は天気が良いので、運動がてら歩きで出掛けていた。ハンバーガーの材料だけでなく、牛乳やらお醤油やらも購入したので中々に大変だ。もともと小柄で細身の歩である。単純に腕力も乏しかった。

 

「……よし、もうちょっと鍛えよう。なんていうか……体力があった方がなにかと良いし」

 

 脳裏に浮かぶのは、ここ最近関係を持った女性たち。みんな歩よりも年上で、しっかりしていて、何より割と体力のある人たちだ。まだそういったことはないが、もしこの先エッチなことをしていて歩だけへばってしまう、などということがになったら情けない。……実際の所は女より先に歩のモノがへばるなんてことはそうそう有り得ないし、そうなっても彼女たちは何も気にしないだろうが、少年はそんなことは理解していなかった。

 

 心持ちさっきまでよりしっかりとアスファルトを踏みしめて歩く。太い幹線道路から住宅街へ。池の横を抜け、緩やかな坂を上り、また少し歩いた先に歩のマンションはある。

 キーカードを通してエントランスへ入っていく。今日もしっかり桜かライダーが手入れしたのだろう。落ち葉は掃かれ花壇も整っている、見慣れた植物園の脇を通っていると、

 

「………………ん?」

 

 ちらりと。木々の隙間から、黒い服が見えた気がした。太い巨木の前。色々と縁のある、古ぼけたベンチに誰かが座っている。

 というか、横たわっているように見える。

 

「……なんだろう。気になるな」

 

 ガサ、と買い物袋をその場に置いて植物園へ入っていく。ベンチの後ろ側から近付いて行くと、段々人物がはっきり見えて来た。とはいえ顔は見えない。その誰かはこちらに背を向けるようにベンチで横たわっている。

 その服装はあまり見慣れないものだった。漆黒の、装飾が抑えられたドレス。胴体部分と肩から腕にかけてを覆う部分は分かれているようで、背中が大きく開き白い肌を露出している。よく見れば腰の辺りには大きなリボンがあり、凛々しさと可愛らしさを同時に感じさせた。

 

「あのー……大丈夫ですか……?」

 

 眠っているのだろうか、と思いながら前へ回ると。

 

「……うわ…………!」

 

 整った相貌は、歩と同じか少し上なくらいの年頃。体格も同じ程度だろう。さらりと頬に流れる美しい金紗の髪と、それをシニヨンと三つ編みで結わえるリボン。チョーカーネックから吊るタイプのドレスで意外と大胆に胸元が見えている。フリルの深いドレスの裾からは細い足と黒いローパンプスが覗く。

 

 色々な種類の美女とお近付きになった歩でも見惚れてしまう程の美少女が、ベンチで横たわっていた。きゅっと引き締められた唇は薄い色。閉じた目蓋で、長いまつ毛が揺れている。

 

「寝てる……のかな。それとも具合が悪いとか……? あの、すいません」

 

 もしお昼寝中だったら邪魔をするのも良くないかも知れない、と思いながら呼び掛ける。肩を揺すろうかとも思ったが、どこか触れ難い気がしてやめておいた。

 

「…………ん…………」

「っ……! あ、あのっ」

 

 もぞり、と彼女がみじろぎして、ゆっくりと目蓋を開く。現れた金色の瞳にまたどきりとしながら、

 

「お、起こしてしまってごめんなさい。お休み中でしたか? その、具合が悪いのかと思って」

 

 わたわたと慌てる歩を気にせず、彼女はむくりと起き上がった。気だるげに周りを見渡し、ようやく気付いたかのように歩を見る。

 そして、小さな唇を開いて、

 

「………………い」

「え?」

「ひもじい」

 

 ぽかんとする歩。

 澄ました顔の彼女のお腹が、ぐううううっと鳴った。

 

 

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 

 

 セイバー、と美少女は名乗った。

 

 このマンションに同居人と住んでいるのだが、その相手が数日前ふらりとどこかへ行ってしまったのだと言う。掃除や洗濯はセイバーが受け持つ代わりに料理はその人の役目だったのがいなくなってしまい、途方に暮れていたらしい。なんでも『迷える子羊を探して来ます』とかなんとか。シスターさんか何かだろうか、と歩は思った。

 

「それで。何を献上するつもりだ、貴様」

「えっと、ハンバーガーとかどうでしょう。もっとしっかりした物の方が良いですか?」

「はんばーがー。それは旨いのか。旨いのなら何でも良い」

「ええ、美味しいと思いますよ。じゃあちょっと待っててください」

 

 ソファにちょこんと座ったセイバーに歩は笑いかけた。

 中庭で名乗り合ったあと、帰っても食事がなくてどうしようもないというセイバーを歩は自室に招いた。丁度買い出しの帰りでもあったので食材は十分にあったし、困っている彼女を放っておけなかったのだ。隣室のアルクェイドや、管理人の桜に任せるという手もあったのだが、

 

(まあ、正直……仲良くなりたいって下心があったのは否定できない……)

 

 挽肉をこねながら後ろを見る。セイバーはぽちぽちとリモコンを押してテレビを見ていた。

 

 その横顔は、午後の光に照らされて透き通っているかのようだ。見慣れた自分の家の風景が彼女がいるというだけで一変して見える。夏だと言うのに見ているだけで涼し気な目元。歩の出した、冷水の入っているコップを口許で傾ける仕草さえも優雅だった。

 

「なんだ。何を見ている。もう出来上がったのか」

「っと……ま、まだちょっとかかります」

「ふん」

 

 気付かれないようこそこそと見ていたのだが、歩の視線はお見通しだったらしい。ついっと見遣られ慌ててしまう。

 とはいえ、その言動は冷たいものの別に歩に悪感情を抱いているという訳ではなさそうだ。恐らく素でああいう感じなのだろう。

 

(同居人さんは、なんだかセイバーさんより上手っぽいみたいだったけど。一体どんな人なんだろう……)

 

 セイバーの話を思い出す。彼女の同居人は人使いが荒く、一目で孤高と分かるセイバーさえも手玉に取っていたのだと言う。料理以外の家事も無理やりやらされていて、反抗すればおしおきが待っているのだとか。話を聞くに、人並み外れたドSっぽい人のようだった。

 

「…………っと。よし、そろそろだな」

 

 考えているうちに、料理は終盤に差し掛かっていた。大きめのこんがり焼き目をつけたハンバーグ、洗ったばかりの水滴で潤ったレタスとトマトをバンズに挟む。オニオンスライスとチーズ、隠し味に和風ドレッシングをかけて。

 

「出来上がっ──────って、セイバーさん!?」

「いい匂いだ。旨そうじゃないか」

 

 ハンバーガーを皿に載せ、セイバーの元に……と思ったらいつの間にか背後から手元を覗かれていた。全く気配もなにも無く近づかれていて、歩は驚いてしまう。

 

「ああ、これがハンバーガーか。見たコトはあるぞ。大きい緑の看板の店の中で提供していた」

「あ、はい。そこのメニューを自分で作ってみたんです……って言っても物真似みたいなものですけど。全然及ばないと思います」

 

 苦笑して言うと、セイバーに目を合わせられる。

 

「そういうくだらんコトを言うな。無駄に自分を卑下する言葉は聞いている方が不快になる」

「あ……す、すいません」

「少なくとも私にはコレは作れん。最中の様子を見るに、貴様も自信を以て作ったのだろう? なら謙遜する必要はない。旨いから喰えと出せば良いのだ」

 

 カチャ、と皿を受け取ってセイバーはリビングの方へ戻っていく。慌てて歩も自分の分を持って着いて行った。

 カーペットの上に置かれた座敷テーブルを挟んで二人が座る。あぐらをかく歩に対し、セイバーはドレス姿で器用にも正座で座り込んだ。

 

「飲料はあるか」

「お茶と、水と、コーラですね。どれにします?」

「この料理に合っているのはなんだ」

「うーん……コーラかな?」

「ではそれで良い」

 

 分かりました、と彼女のコップに炭酸飲料を注ぐ。コポコポと泡立つそれをセイバーはじっと見ている。興味深いのか、単に眺めているだけなのか、歩からは計りかねた。

 

「では、頂く」

「はい。どうぞ」

 

 セイバーがぱかりとその口を開けた。微妙に緊張してしまって、歩は自分の分を食べずにセイバーの様子を見ていた。

 

 彼女の口が、ぽふりとハンバーガーに合わさった。抵抗もなく、もぐ、と端を齧り取る。

 すると。ぴたり、とセイバーの動きが停止してしまった。

 

「……………………」

「あ、あの。セイバーさーん?」

「……………………………………」

「ど、どうかしましたか? ……美味しくなかったですか?」

「……………………………………………………」

 

 セイバーはむぐ、と頬を膨らませたまま停止している。舌でも噛んだのだろうか、と歩が心配になっていると、

 

「…………ごっくん。おい、貴様」

「あっ、セイバーさん。大丈夫ですか? 卵の殻でも混じってました?」

「何を意味の分からないコトを言っている。そんな話ではない。まだコレの材料はあるのか」

「え? まあ、まだありますけど」

「では、」

 

 セイバーが、バーガーを両手で持ったまま歩の方を見る。今までとはちょっと違う、若干弱気というか、恥ずかしくて言いたくないからお前が察してくれというような視線。

 

 そんな彼女の様子、言動を鑑みて。歩はもしかしたら、と聞いてみた。

 

「あの、セイバーさん。もしかして……もっとたくさん欲しい、とか?」

「ッ」

 

 ぴくり、とセイバーが固まる。やっぱりそうなんだ、と思う歩にセイバーが恐る恐るといった感じで、

 

「……駄目なら、いい」

「いえいえ! セイバーさんが欲しいだけ作りますよっ。具もたくさん種類があります。チキンカツ、照り焼き、野菜、ダブルチーズ……次は何にしますか?」

「む。ではまず、肉の多い奴を」

「じゃあ照り焼きかな。分かりました。ちょっと待っててくださいね」

 

 どうやらまずいどころか、美味しさに感激してくれていたらしい。注文する声もどことなく弾んでいるように思えて可愛らしい。

 それに背中を押され、張り切って歩は料理をこなしていった。

 

 

 

 

 

 ─────────あの女は、舌が痺れるほど辛い料理ばかりを出してきたのだ。

 

 もっきゅもっきゅと歩の作ったハンバーガーを平らげつつ、セイバーはぽつりと話してくれた。同居人さんは大の辛党で、食欲旺盛なセイバーでさえも閉口するような辛口料理ばかりを作っていたのだという。それでも味が悪いわけではないし、自分で料理は出来ないからセイバーもそれを食べるしかなかったようだ。

 

「あ、そっか。そうやってずっと辛い物ばかり食べていたから、僕のハンバーガーを凄く美味しく感じたのかも知れませんね」

「だから、相手から好評を得た原因を他に求めるなと言っている。これを旨いと感じたのはこれが旨いからだ。貴様は胸を張っていればいい」

 

 4つ目のハンバーガー、野菜メインのバーガーを呑み込みつつセイバーが言った。どことなくその声音はさっきまでより柔らかくなっているように歩は感じた。

 

 ずっとまともな味の料理を口にしていなかったせいか、はたまた元来食いしん坊なのか、セイバーの食欲はとどまる所を知らなかった。5つ目の唐揚げバーガー、6つ目はホットドッグ。歩の作った料理を胃袋に放り込むかのように食べていく。

 

「あ、セイバーさん。唇にケチャップ付いてます」

「ん? …………ぺろっ。取れたか?」

「は、はい」

 

(やばい……美人さんはご飯を食べて、唇を舐めるだけでも様になるなあ)

 

 ただでさえ自分の作る料理を片っ端から食べてくれて嬉しさを覚えるうえに、セイバーはその所作のそこかしこが色っぽかった。こう言うと失礼だが、セイバーはその胸やお尻なんかはアルクェイドやらライダーやらに比べれば随分控えめだ。しかし漆黒のドレスは露出が抑えられている一方で隙間が多く肌がチラチラと見え隠れするし、人形のようでありながら血の通った女であると分かる相貌は見ているだけで劣情を掻き立てられる。控えめといった胸だって、ちょうどよく掌で包めるくらいには膨らんでいる。

 

 なにより、その唇。小さく整った形の唇は水分を含んだかのようにぷるんと潤って、セイバーが咀嚼する度に細かく震えている。その色も薄いけれどはっきりと境目の分かる鴇色。赤過ぎないそれが逆に艶めかしい。

 

「むぐ……。ん、なんだ。まだ何か付いているか」

「あっ、いえ。何でもないですっ。えっと、次は何にしますか?」

 

 セイバーは視線に目聡いようだ。また悟られていて、歩は話を逸らした。

 聞かれたセイバーはごっくんと7つ目のマフィンバーガーを完食して、

 

「いや、まだ喰えるがそろそろ十分だ。御苦労だった」

「そうですか。良かったです、セイバーさんが美味しそうに食べてくれて」

「ん……。まあ……悪くはなかった。褒めて遣わす」

「ははっ。ありがとうございます」

 

 目を逸らして言うセイバー。それが照れているのだ、と歩には分かって、笑って返した。

 セイバーがコーラも飲み干す。これで今日歩が買い出しで仕入れて来たものを綺麗に全て食べ尽くしてしまった。

 

(うーん、5千円ぶんの食材が……まあいいか、セイバーさんと一緒にいられたし)

 

 ポジティブに考える思春期男子の歩である。

 しかし、セイバーはそうではないようだった。

 

「……さて。ここまで食と労を供されたのだ。何か対価を支払わねばな」

「え? いえ、別にいいですよ、そんな」

「そうもいかん。王である頃ならばいざ知らず、この現世では一身の英霊に過ぎん。ただ振舞われるだけでは筋が通らん。私が摂った食材の総計はいくらだった、言ってみよ」

「は、はあ」

 

 王ってなんだろう。ちょっと夢見がちな女の子なのかな? とか思いつつ答える。

 

「そうですね、だいたい5千……あー、4千円くらいでしょうか」

「よんせ」

 

 歩の言葉に、セイバーは固まってしまった。口を半開きにして静止している。歩がひらひらと目の前で掌を振っても呆然としたままだ。

 ややあって、ゆっくり目を伏せると。

 

「…………真にすまん。私の小遣いは月500円なのだ。その貯金も3日前にコンビニで買ったカップヌードルで切らしてしまった。到底その大金は返せる額ではない」

 

 ず──ん、と落ち込むセイバー。こんなに感情を表すことが出来たのか、というくらいの勢いで沈んでいる。

 その様子に歩は慌てて、

 

「だ、だから良いですってば、お返しなんてっ。その、セイバーさんと仲良くなれただけで十分かなって」

「…………だから、返すと言っているだろう」

 

 歩の言葉に、セイバーが顔を上げた。その金の瞳に射抜かれ、歩が少したじろぐ。

 セイバーは歩へ確認するように、

 

「聞くが。今の言葉からは、私個人に興味を抱いているように感じられたが」

「えっと……ま、まあそうですね。セイバーさん、すっごく綺麗ですし……」

 

 ふむ、とセイバーが頷いて。

 

「つまり貴様は、女としての私を求めていると。もしや私を抱きたいのか?」

「……は、はあっ!? 何の話ですか急に!?」

「言っていなかったが」

 

 ずり、とセイバーがテーブルの対面から歩の横まで移動して来た。ふんわりと少女の甘い香りが漂って、歩の鼻腔をくすぐる。

 

「……貴様のコトは、話に聞いているぞ。ここの人外どもを次々食い荒らしているという好色男。吸血鬼も英霊も魔術師も手籠めにした男だと」

「えっ……えぇぇぇ……!?」

「最初中庭で会った時もここに連れ込まれた時も私を襲うつもりなのかと思っていたのだがな。こうして接してみて、どうやらそういう不埒な男ではないらしいコトは理解した」

 

 だが、と呟いて、

 

「それでも女好きというコトに違いはないようだ。私の身体を見ていたのには当然気付いているぞ。…………私も、お前に悪感情は抱いていない。空腹を満たしてくれたという恩もある。だから言うが」

 

 セイバーが歩の顔を覗き込む。寒気がするほどの美貌を至近距離で直視して、息を詰まらせてしまう歩に、

 

「取引だ。金で返せぬのなら、私にはこの身体しかない。……何がしたい、申してみよ。相応の範囲であれば、貴様に自由にさせてやっても良いのだぞ?」

「っっ………………」

 

 どくん、と歩の鼓動が胸を打つ。

 そりゃあ、したい。えっちなこと。彼女と深く交わること。何者にも触れ難い彼女を押し倒して、そのドレスをひん剥いて、腰と腰をぶつけ合いたい。セックスは、今の歩にとって夢物語ではない。数人の美女を抱いてきたことでリアリティのある、現実に手の届く行為になっていた。そんな状態でセイバーという特級の美少女にえっちのお誘いのリクエストをされて、簡単に突っぱねられる歩ではなかった。

 

 ──────だが、しかし。だからと言って、ではセックスさせてくださいと言える少年ではない。そういう奥手でセックスは最後に、という所も、美女たちを惹き付ける要因であるのだから。

 だから歩は間を取って、こう言うほかなかった。

 

「…………じゃあ…………スを」

「ん? なんだ、はっきり言え」

「そ、その。セイバーさんとキス、したいです……」

 

 きす、と繰り返して、セイバーがきょとんとする。反射的にか、唇をぺろりと舐めて。それが余計、歩にその唇を吸いたいと願わせる。

 

「……ああ、確かに。そういえば私が食べている間も、唇をちらちらと見ていたな。成程、その時から狙っていたと。全く……最初から素直に言えば良いものを。私の唇を貪りたい、と素直にな」

 

 くすっと僅かに頬を緩めるセイバー。それは意外と年頃のあどけない微笑みで、歩は見惚れてしまう。

 

 ぎし、とソファに座った歩へ伸し掛かるセイバー。膝立ちになって、歩の足を跨ぐように覆い被さる。歩の手が所在無げにふらつき、恐る恐る彼女の腰を抱く。一度触れると壁がなくなったかのように、思い切ってセイバーの身体を抱き寄せた。

 

「ん……。ではいくぞ。…………その、作法が分からないのだが。目を閉じていた方がいいのか……?」

「え、っと。僕は、目を開けてしたいです。セイバーさんの顔が……よく見たいので」

「……ふ……。では私もそれに倣おう。ほら、貴様がリードしろ……」

 

 二人の顔が、唇が近付いて行く。もう二人の視界には、頭には、お互いのことしかない。近付いて来る、もうすぐ触れる柔らかい唇のことしか。

 そして、

 

「………………ちゅ………………❤」

 

 暑く気怠い、午後のリビングで。

 少年と少女の唇が、ゆっくりと触れ合った。

 




なんと初のエロなしになってしまいました。すいません。
次とその次ではしっかりエロいことします。ちゅっちゅパコパコぬぷぬぷします。よろしくお願いします。


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黒王接吻(セイバーオルタ)

 表通りで自動車の走り抜ける音。

 うるさい蝉の声が、窓から漏れ聞こえている。

 丁度休日の部活帰りだろうか、高校生くらいの少年たちの声がかすかに聞こえる。

 

 そんな夏の昼下がり。

 

「……ん、むっ……❤ はふ…………❤」

 

 ──────セイバーと歩は、ソファに倒れ込むようにして口付け合っていた。

 

 歩にセイバーが伸し掛かるような体勢。頬を染める歩とは対照的に、セイバーはあくまでもクールな表情だった。セイバーの吸い込まれそうな金色の瞳に魅入られているかのように、歩は目を離せない。その眼を見詰めているだけで心臓が高鳴ってしまっていた。

 唇と唇を合わせるだけのバードキス。小さくも柔らかいセイバーの唇が、歩のそれとぶつかってふにゅんと潰れている。ときおり吐息を零しながら、角度を変えつつ二人はキスしていた。

 

「ぷぁ…………っ。は……」

 

 二度、三度と唇を合わせてから、ややあって二人は離れた。はあ、と熱い吐息が混じり合う。

 

「……これが、口付けか。まあ、悪くはないが。思っていたよりも普通だな」

 

 くに、と親指の腹で唇を撫でつつ、セイバーは言った。歩の方はと言えば少しだが息が上がってしまっている。はあはあと肩を上下させていた。

 

「そ、そうですか。僕は……凄く良かったです。セイバーさんとキスできて……」

「ふん。それほどのモノでもなかろう、この程度」

「余裕ですね、セイバーさんは」

「当然だろう。私を誰だと思っている。経験はなくとも、このくらいこなすのは造作もないコトだ。想像よりも物足りないくらいだったな」

 

 もぞ、と起き上がろうとするセイバー。

 しかし、今までの経験でむしろここからだと思っていた歩は拍子抜けしてしまった。

 

「あ、もう終わりですか。そうですよね」

「……む?」

 

 その様子にセイバーが眉をひそめる。

 若干不機嫌になったような声音で、

 

「まて。それはどういうコトだ。今の行為がキスではないのか」

「いえ、今のもそうですけど。もっとこう、激しくするのかなーって……」

「…………ほう」

 

きり、とセイバーが眉を逆立てる。歩の言葉に反発したかのように、少年へ言い放った。

 

「よかろう。今のは小手調べだったというコトだな。望む所だ、貴様の好きにやるが良い。私に本当のキスというモノを教えてみせろ」

「僕の……好きに?」

 

 唾を呑む。セイバーがこう言うということは、本当にやって良いということだ。

 

 彼女に出会ってからのことを思い出す。ベンチで淑やかに眠っていた姿。目を覚ましてからの、傍若無人ながら不快にはならない自然な振舞い。所作ひとつひとつの艶めかしさ。そんな美少女の唇を、思い通りに。

 

「…………分かりました。本当に良いんですね。僕だって男で、セイバーさんはすっごく綺麗な女の子ですから。思いっきりしちゃいますよ」

「だからよいと言っている。さあ、来い」

 

 むん、と胸を張るセイバー。言質を取った歩は、今度は自分から彼女を押し倒した。ぼふ、と軽い少女の重みがソファに沈む。セイバーの顔の両脇に手をつき、彼女を逃げられなくする。歩に明かりを遮られ、セイバーの陰影が濃くなった。その影の中でも少女の瞳は輝いて見える。

 

 そんな少女に覆い被さるように。歩は、セイバーの唇に自分の唇を落とした。

 

「ぁ……ン、ぷちゅ❤ にちゅ……❤」

 

 軽いキス。しかしさっきとは違い。歩の唇でセイバーの唇を軽く捲り上げさせる。唇の裏側の柔らかく湿った部分が触れ合い、微かな水音を立てた。セイバーの薄い唇を食むように吸う。ぴちゅ、と空気の擦れる音と共にセイバーの唇が引っ張られた。硬い歯の感触が、僅かに歩の唇に伝う。

 

「んく……っ。やはり、貴様は唇が好みなのか。そんな風に吸いおって……」

 

 先程までとは若干違う接吻に戸惑ったようだ。むず痒いように唇をもぞもぞとさせる。

 

「はい、好きです。正直に言っちゃうと、一目見た時からセイバーさんとキスしたいなって思ってました」

「…………痴れ者め。私のような高貴な存在を見てまず思うのが性の対象としてのコトなど、なんたる不敬か……んっ、おい、いきなり……んんッ❤」

 

 小言を黙らせるように歩が再度キスした。さっきよりも乱暴に唇を合わせる。

 

「ちゅむ、くちゅくちゅ……っ❤ ふぁ、んんんん…………❤」

「ん、む…………っ」

 

 むちゅむちゅと吸い上げるように少女の唇を貪る。セイバーはぎゅっと目を瞑ってしまっていた。そんな様子を可愛い、と思いながら、歩は念願の美少女の唇を堪能する。セイバーの肌はもちもちとして滑らかで、新雪のように穢れが無い。唇は尚更だった。柔らかさ、吸い付き具合は今までの女性の中でもピカ一だろう。常は澄まして硬質な印象を与える少女の柔らかい部分に触れているということが、歩の満足感を刺激する。

 

 一方、キスを激しくされたセイバーは戸惑っていた。知識はあれどろくに経験もなく、先程のバードキスで終わりかと思っていた所にこれだ。現世ではサーヴァントなれど孤絶した王としての自負と、たったいま現実に未知の感覚を送り込まれる接吻との間で板挟みになってしまっていた。

 

(お、おかしいぞ……恩に報いて少し褒美をやろうと思っただけだというのに……。このままでは、何かおかしな場所まで連れて行かれてしまいそうな…………、し、舌が入って来た……ッ!?)

 

「むぁ、ちょ、ちょっと待……んむちゅぅうううっ❤ ぷちゅ……❤」

 

 歩の掌は、今やがっちりとセイバーの頬を掴んでいた。さらさらとした髪を指でくすぐりながら、しっかりと固定した唇めがけて舌を捩じ込む。反射的に歯を合わせて侵入者を拒んでいたセイバーだったが、歩が根気強く舌で突っつくとやがておずおずと口内を開放し始めた。

 こうなればすっかり少年のペースだ。これ幸いと歩の舌がセイバーの口内に潜り込んでいく。怯えるように口の奥で縮こまっていたセイバーの舌を絡め取り、肉と肉を擦り合わせる。

 

「にちゅにちゅっ、ちゅるるる……❤ んむっ、ちうううう……❤」

 

 少年の舌は、少女の口内を蹂躙した。舌も上口蓋も頬の内側もたっぷりと舐め取る。甘い唾液を確かめるかのように舌で掻き回す。つるりとして引っ掛かりのない歯も、それを支える歯茎でさえも。少女の隅から隅まで味わっていく。

 

 もうセイバーはやりたい放題されるばかりだ。最初見せていたクールな王様としての優越感などすっかり消え去り、身を縮こまらせて男の性技に翻弄される生娘でしかなくなっていた。心臓はドキドキと高鳴っていて、少年の舌の動きに怖いような期待するような不思議な気持ちを抱いていた。本人は気付いていなかったが、いつの間にかフリルドレスの中の足は、膝と膝を切なげに擦り合わせていた。

 

「んんっ……ぷは……❤ はーっ、はぁー……❤ お、おい、貴様……少し激し過ぎだ……❤ ちょっと落ち着いて……」

「すいません、セイバーさん。全然我慢できません」

「ん、んん~~~っ❤ ぶちゅぶちゅぶちゅ……❤」

 

 たまに唇を離したかと思えばすぐにまた塞がれる。それを繰り返すうちに、自分と歩の唇の境界がなくなっていくかのようにセイバーは感じた。

 歩が唾液を送り込むと、セイバーは懸命にこくこくと飲み下す。今度はそちらの番、とばかりに舌で突かれ、もしやと目を見開く。ふるふると顔を振るものの、少年は動じない。観念したかのようにセイバーが自分の唾液を差し出すと、歩がそれを吸い上げた。ぢゅるるるる、と激しく立てられた水音に、セイバーの頬が羞恥に染まる。

 

 少年が、んべっと突き出した舌に、おずおずとセイバーが舌を伸ばす。空中で二人の舌がぴちゃりと触れ合った。ねっとりと唾液を絡ませ、交換する。舌先で突き合い、舌の腹を擦り合わせる。にちゃにちゃと卑猥な音を立てながら、二人は粘膜を擦り付け合う快楽に酔った。

 

 ディープキスを堪能しながらセイバーがちらりとまぶたを開けると、少年と目が合った。きゅんきゅんと胸と股間が疼きとっさに視線を逸らす。原因不明のときめきに戸惑いつつ、気持ち良すぎるキスを続けていく。プライドだけが先行した自意識過剰の処女であったセイバーに、数々の美女との触れ合いで培った少年の舌技はオーバーキル過ぎた。セイバーの腰にわだかまる切なさが次第に大きくなっていく。自慰もしたことのないセイバーの性器が、初めて味わわされる快楽に反応しまくっている。目覚めたばかりで送り込まれる快感に驚きつつも、それを与える誰かのことを探し始めていた。性器にはまだ指一本触れてもいないというのに、歩は生娘で性に興味の無い堅物だったセイバーに無理やり性感を叩き込み、メスの本能さえも起動させていた。生まれたての雛が親を刷り込まれるように、この時点でもうセイバーの子宮は歩だけを求めるようになってしまっていた。

 

 セイバーが目一杯突き出した舌を、不意に少年がぱくりと咥えた。え、と思う暇もなく。

 

 ──────じゅるるるるるるるるるっ! と。歩が、セイバーの舌を激しく啜り上げた。

 

「~~~~~~ッッ…………❤❤❤」

 

 ぴくんぴくん❤ と、目を見開いたセイバーが痙攣する。汗が一滴、首筋を伝い落ちた。

 

 ぱちぱちと脳内で弾ける火花がセイバーに生まれて初めての絶頂を憶えさせた。強敵を打ち破った時よりも、美味な食事を摂った時よりも遥かに上回る、神経に直接流し込まれる快感。王としての矜持を一瞬でも忘れさせる、それは原始的本能的な性感だった。

 

「あ゙ッ……はっ、はっ、は……❤ な、なんだ今のはっ……もしかして、私……」

「セイバーさん……アクメ、絶頂しちゃったみたいですね。滅茶苦茶可愛かったです……」

「っ……❤ あ、あくめ……絶頂……。わ、私が……? 舌を吸われただけで……?」

「ほら、見てください。セイバーさんの顔、凄いことになってますよ」

 

 歩に促され、首を傾ける。窓際に置かれた鏡台に、セイバーの顔が映っている。

 その顔。少年とのキスでとろっとろに蕩け、火照って頬はピンク色。唇の端からはだらしなく唾液が垂れている。髪はほつれ、汗で額にへばりつく。潤んだ目はいつもの鋭さを失い、眦が垂れ下がっている。はふ、はふ❤ と幸せそうな吐息が収まらず、夏だというのに湯気でも立ちそう。

 

(………………ああ)

 

 それは、孤高の王であるセイバーが、異性に興味などないアルトリアが一目で認めざるを得ないほどに。

 

(…………もう駄目だ、これは……❤ 撃墜された……❤ 完全に、女の顔になっている……❤)

 

 たった数分間の少年の口吸いだけでメロメロにされてしまった、ちょろい生娘の顔でしかなかった。

 

 

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 

 

「……あ、あの、セイバーさん。怒ってます?」

「…………………………」

 

(こ、これ、絶対怒らせた……! そりゃそうだよね、流石にやり過ぎだよ……!)

 

 長いキスが終わって。

 

 口許を拭い、向き直った二人だったが、その間には微妙な空気が漂っていた。褒美としてのキスを口実に女の子を押し倒し、やりたい放題唇を貪ったのだから当然である。セイバーはへそを曲げたかのようにそっぽを向いてしまっている。ちなみに配膳に使用したお皿は全てセイバーが洗ってくれたのだが、その間もずっとセイバーは歩の呼びかけを無視していた。

 

 今はお皿を戸棚に片付け、机を拭いている最中だ。前の同居人との生活で家事はお手の物なのだろう、皿洗いといい後始末といいその手並みは実にスムーズだった。料理以外の全てを担っていたというのは嘘ではなさそうだ。

 

「…………終わりだ。では、帰る」

「あっ……お、送ります! 部屋まで……」

「要らん。一人でいい」

 

 すっくと立ち上がって、何の未練もなくセイバーは玄関へ向かう。歩はわたわたと慌ててしまう。少し近付いたような気がしていたセイバーとの距離だが、振出しに戻った……どころか初対面の時より離れてしまったかも知れない。

 どうしよう、どうやって謝ろう。もう一度ご飯を奢ればいいだろうか。でもそれだとまた『ご褒美』を要求していると思われるかも、なんて歩が考えていると。ドアノブに手を掛けたセイバーが、くるりとこちらへ振り返った。

 

「…………おい」

「はっ、はいっ」

 

 冷たい目で呼び掛けられ、反射的に背筋を伸ばす歩。

 そんな少年に、セイバーは、

 

「…………アルトリア」

「え?」

「だから、アルトリア。それが私の本名だ。これからは、そう呼べ」

「は、はあ」

 

 戸惑う歩。少女はドアを開きながら、

 

「ではな、アユム。…………また来る。次は食材を持参するから、また何か作ってくれ」

「あ……は、はい! 喜んで!」

 

 喜色を浮かべて返す歩に、わずかに頬を染めて。

 アルトリアは、歩の部屋から姿を消した。

 

 

 

 

 

「ん…………く、ふ……っ❤」

 

 ばたんと閉じた自室の玄関のドアにもたれ掛かって。

 

 ずるずるとドアを背に、アルトリアは腰を抜かしていた。その股間から、にちゃりと湿った音がする。少年の前では懸命に抑えていた息が次第に上がっていく。耐え切れず、ドレスの裾から中に手を這わせた。

 

「くそ、くそ……アユム、アユム、アユム……っ。絶対に許さないぞ、絶対にっ……」

 

 額に汗を浮かべながら、うわ言のように少年の名前を唱える。

 

「絶対に、絶対に責任を取らせるからなっ……! 私をこんな風にして……弄んで……! 女にして…………❤ 憶えていろっ、この落とし前は必ず付けさせる……❤」

 

 乏しい性知識を総動員して、生まれて初めての自慰を敢行する。その拙い指先でも連続でイキまくる程に、少女の身体は火照ってしまっていた。

 

「ん、んんっ❤ つ、次に逢った時はどうしてやろうか……❤ 勿論食事を作らせて、一緒に食べて……キスして……❤ そ、そのあとは……❤ あっ、あ❤」

 

 恥も外聞もなく、腰を突き出しながら乱暴に性器を掻き回す。

 

 そのままアルトリアは、ドレスがぐっしょりと濡れそぼってしまうまでオナニーを続け、10回以上イキまくったのだった。

 その絶頂全てで、あの少年をオカズにして。

 




キスだけで1話終わってしまった。もしかしたら4話構成になるかも知れません。
黒王可愛いですよね。みんな好きですが、セイバー系列ではオルタが一番好きです。


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黒王手淫(セイバーオルタ)

 それからというもの。セイバーと歩が共に摂る食事は数日おきの恒例となっていた。

 

 歩の方から提案することもあるが、大抵はセイバーが作って欲しいメニューをお願いする形だった。材料費は折半だ。無一文だと言っていたセイバーだったが、なんでも同居人の部屋を掃除していたら隠してあったへそくりを見つけたらしい。勝手に使って大丈夫なのかと心配したが、『……まあ、殺されることはないだろう』との答えだった。

 

「アルトリアさん、本当にお肉が好きですね。野菜も食べなきゃ駄目ですよ」

「む。分かっている。ほら、その肉喰わんのなら貰うぞ」

「あっ。もう、仕方ないなあ」

 

 こぽこぽとコンロに置かれた鍋が噴いている。

 一緒の食事はこれで5回目、晩御飯は初めてだ。今日はしゃぶしゃぶだった。あっさりとした豚肉と、白菜や水菜といった野菜類をお湯にくぐらせる。胡麻だれに浸したそれをおかずにして、セイバーは白米を掻き込んでいた。どう見ても西洋人である彼女だったが箸の扱いも堂に入っていて、漏れ出る高貴さと器用さを感じさる。

 

「アルトリアさん、袖に気を付けてくださいね。高そうなドレスなんですから汚れたらいけないです」

「全く、やかましいぞ。誰にモノを言っている。私がそんな粗相をする筈が有るか」

 

 ツンとした態度。人を寄せ付けないその言動は、出会った時から変わらない。誰に対してもそうなのだろう。初めての食事会の後日、どうやらセイバーもアルクェイドやライダーと同じ側に位置する存在なのだという事を歩は教えられた。只者ではないというのは薄々察していたが、本当に人外だとは思っていなかった。嫋やかな少女に見えて実際は猛獣だったらしい。本当はアーサー王なんです、なんて言われても呑み込み切れない歩だったが。

 

(……ちょっと浮世離れしてる感じなのは、その辺りに原因があるんだろうな)

 

 根本的に孤高な人なんだろうな、と歩は思う。数日前など、スーパーで食材を購入した帰りのセイバーを見掛けたのだが、彼女の風貌の美しさと物珍しさに声を掛ける若い男性たちを完全に無視していた。プライドを傷つけられたらしい男性が彼女の肩を掴んだのだが、一瞬後には身体が宙を舞って吹っ飛んでいたものだ。他人を拒絶する態度は、言い寄って来る男性に対しては更に過激になるらしかった。

 

 けれど。それにも例外はあるようで。

 

「……ん。アユム、米粒が付いているぞ」

「え? あれ、どこですか?」

「唇の端だ。全く…………、ン……❤」

 

 ぷちゅり。と、あくまで自然な動作でセイバーが歩の下唇に吸い付いた。唇を尖らせて米粒を咥えると、こく、と呑み込む。

 

「あ、アルトリアさん、いきなり……!?」

「……ふん。そんな顔をして、どうせこうされるのを狙っていたのではないか? 私を襲って好き勝手する男だからな、貴様は」

 

 侮蔑するように言いながらも、その頬はうっすらと染まっている。歩から目を逸らすように、もぐもぐとまた肉を頬張った。

 最初のあの日以来、セイバーと歩の距離はとんでもなく近くなっていた。流石に歩の方からすることは抑えているものの、セイバーは事あるごとに少年にかぶりついているような状態だ。

 

 そして、食後のイベントも。二人とも口に出すことはないが、今ではお約束となっていた。

 

「…………………………」

「…………………………」

 

 気恥ずかしい空気が二人の間に漂う。ちらりとお互いを窺っては慌てて逸らす。食事に専念する雰囲気は薄れ、その後の行為が頭をよぎるようになってしまった。鍋が沸騰する音だけが嫌に響く。黙りこくった二人がもそもそと食材を消費していく。うずうずとセイバーが肩を揺らしているのが歩にもよく分かった。

 

 やがて、セイバーが最後の豚肉を食べ切り。カチン、とガスコンロの火が落とされた。

 その途端。

 

「おい、アユムっ❤ ばればれだぞ、ずっと私の唇を見詰めおって、ケダモノめ……❤」

「ええっ!? いや、見てたつもりはな……ん、んん……!!」

 

 自分がキスしたいのを少年のせいにして、セイバーが歩へとしなだれ掛かった。そのまま彼の頭を抱え、ちゅぱちゅぱと唇に吸い付く。

 

 ──────すっかりキスの虜になってしまったセイバーは、この毎回の食事後のキスを心待ちにしていた。最初は材料代と手間を担ってくれた歩への褒美であったはずが、今ではセイバーの方がこれ目当てに歩に会いに来るようになっていた。

 あくまでクールな表情を装いながらも、その瞳はとろんと溶けている。小柄ながら魔力放出を用いれば歩では到底抵抗できない腕力だ。それを以て少年を力ずくで押し倒した。

 

「はふ、ちゅぱ❤ おいっ、口を開けろ……❤」

「っ……アルトリアさん……!」

 

 戸惑いながらも、歩だってセイバーとキスするのは望む所だ。すべらかなドレスに包まれた背中へ手を回し、ぎゅっと抱き締めた。

 

「んん、んむっ❤ ちゅっちゅっちゅ……❤」

 

 いつもは先にやるはずの後片付けもすっかり忘れ、舌を絡める作業に没頭する。点けっぱなしのテレビがバラエティを流していた。芸人が何か喋って、観客がドッと笑う。その音も耳に入らず、夢中でぺちゃぺちゃと唾液を混ぜ合わせていく。

 

(アルトリアさん、可愛い過ぎる……! こんな風にされたらっ、我慢できないかも……)

 

 これまでの4回は、こうやってキスをするだけ。歩は受け身でセイバーの性欲を受け止め、彼女がキスに満足したら終わる。そういう関係だった。

 しかしそれも限界に近い。連日こんな美少女に迫られているのだ、そろそろその先へ進みたくなる。もし彼女に拒絶されたらと抑えているものの、いい加減歯止めが効かなくなりそうだ。

 そして、それは少女も同じだった。

 

(~~~~っ❤ アユムの唇、気持ち良い……❤ 駄目だっ、股がきゅんきゅんして……❤)

 

 押し倒している歩には見えない角度で、セイバーの腰はヘコヘコと情けなく振られていた。

 性欲が抑えきれないのはむしろ彼女の方が上だった。王としての矜持と少年への気恥ずかしさで直接の行為はキスのみで切り上げているものの、帰った後は彼を想って指がふやけるまでオナニー三昧。同居人が不在でむしろ助かったと思う程に、激しく夢中で自慰をしまくっていた。

 

 今ではこの部屋に入って、少年に『こんにちは、アルトリアさん』と名前を呼ばれ笑いかけられただけで下腹が切なくなるくらいだった。少年に気付かれないよう冷静を装っているものの、食事の最中でも下着が微妙に湿っているのが分かるくらいだ。未分化だったセイバーの情操は肉欲も恋心も愛情もごちゃ混ぜで考えてしまった。もはやセイバーにとって歩の存在は大好きで、お慕いしていて、そして唯一最大のセックスシンボルとして深く刻み込まれていた。

 

「ふっ❤ ふーっ❤ あ、アユムっ❤ 頼む、いつものアレやってくれ……❤」

「っ…………アルトリアさん、舌出して」

 

 はっはっ❤ と犬のように息をするセイバーが、舌を思い切り出す。その先端を少年が咥えた。

 そのまま啜るように、じゅるるるるっと吸う。人生初のガチアクメを決めさせられたこれが、セイバーは大のお気に入りだった。

 

「っっ❤❤❤ あ゙ーーっ❤ アクメきたっ❤ くぅうううん……❤❤」

 

 くいっと尻が持ち上がった。少年の上でセイバーの身体がキツく強張り、やがて弛緩する。ふわっと歩の二の腕をドレスの裾がくすぐった。

 

「あ……セイバーさん、イッたんですね。良かったですか……?」

「はー❤ はーっ❤ ん……❤ ま、まあ、悪くはなかった……❤ 貴様も嬉しかろう、私と接吻できて……❤」

「は、はい」

 

 ──────でも、物足りないんだよなあ。と、もぞもぞと腰を動かして勃起したモノを隠しつつ、歩は思う。

 

 セイバーは絶頂を迎えられるものの、少年の方はモヤモヤが溜まるのみである。勃起したからやらせてください、などと言える性根でもない。彼女をネタにオナニーするのもなんだか後ろめたかった。

 だからと言ってこのまま放っておくのは余りに辛すぎた。どうしよう、アルクェイドさんにでもお誘いしようかなぁ……などと知られたらまずそうなことを考えていると。

 

 一段落して起き上がろうとしたセイバーの股間が歩の膝に当たり。

 くちゅっ❤ という、聞き逃し様もない水音が響いてしまった。

 

「………………え」

「~~~~~~っっ!!???」

 

 セイバーの顔が見た事もないほど真っ赤に染まる。

 それは、間違いなく水分を多く含んだ布が押し潰される音だった。発生源も明らか。なにしろ、歩の膝には生暖かい湿り気の感触が残っているのだから。

 

「あの、アルトリアさん。今のってもしかして……」

「ち、違っ……! 違うんだ、今のはっ……」

 

 取り繕おうとするものの、いつも冷静な彼女が慌てふためいているという時点で認めてしまっているようなものだった。らしくもない内股で股間を手で押さえ、涙目になっている。

 

(そうか、アルトリアさんも……凄く興奮してるんだ)

 

 どくん、と歩の鼓動が高鳴る。

 限界ぎりぎりで性欲を抑えていた少年の自制心が脆くも崩れ去っていく。びきびきと硬度を増す肉棒が、精液を吐き出したいと自己主張する。

 それに突き動かされ、歩はセイバーに言った。

 

「……アルトリアさん。もしかして、興奮してるんじゃないですか。はっきり言いますけど、おまんこ濡れちゃってますよね?」

「お、おまっ……!? う、うるさいっ! これは……条件反射だ! ちょっとキスしたから、ちょっとアクメしたから勝手に反応しただけ……っ」

「ええ、それでも良いですから」

 

 ぎゅ、と歩がセイバーの肩を握る。

 惚れ込んでしまった少年に引き寄せられ、セイバーが目を丸くする。もうキスもする間柄だというのに、こんなことでもときめいてしまっていた。

 

「どうでしょう。アルトリアさんが良ければ、僕がアルトリアさんを気持ち良くしてあげます。……その代わり、アルトリアさんも僕を気持ち良くしてくれませんか? その、痛いこととかはしませんから」

「ぇ……アユムが……?」

 

 キスも、自慰も快感を伴うことだ。免疫のなかったセイバーが夢中になってしまうほどに。

 それ以上のことを、少年自らやって貰える。それはどれほど気持ち良いことだろうか。

 恥ずかしさやプライドと、快楽への欲望を天秤にかける。それはあっさりと傾いた。

 

「……わ、分かった……❤ し、仕方ない奴だ。そんなに辛抱ならんと言うのなら、私が相手になってやる……❤」

 

 自分が歩に仕方なく付き合う、というポーズを取りつつ、セイバーの頭の中は少年とのこれからの行為で一杯だ。ぺたん、と尻をつき、少年を窺うように見上げる。

 歩はセイバーの眼前に座り込んだ。そのまま彼女のドレスの端を摘まむ。

 

「アルトリアさん。めくりますよ」

「っ……あ、ああ……❤」

 

 ごくり、と唾を呑んでセイバーが頷く。

 ぺろん、と少年が捲り上げると。そこには性器を覆い隠す、黒い下着があった。もう明らかに濡れそぼっていて、ずっしりと重そうだ。小さな布きれでは止めきれない愛液が内股をべっとりと濡らしている。

 

「うわ……っ。滅茶苦茶濡れてますね、アルトリアさん。もしかして……今までもそうだったんですか?」

「う、うぅ…………っ❤ や、やめてくれ……❤ 虐めるなぁ……❤」

 

 好きな男の子に自分のマン汁でたっぷりの股間を直視されているだけでも辛いのに、それを口に出して説明されてはセイバーが耐えきれるわけがなかった。かつてブリテンを駆け不敗を誇った騎士王は、少年の言葉で今にも泣き出しそうな顔になってしまっていた。

 ごめんなさい、と言いながら少年は躊躇いもなくセイバーの股間に手を伸ばす。結んだ紐を解いて下着を剥ぎ取り、セイバーの性器を露出させてしまった。

 

「ああ……アルトリアさん、毛が生えてないんですね。うわ、泣かないでください。僕は綺麗だと思いますよ」

「ぐす、ぐすっ……❤ あ、あんまりじろじろ見るな❤ 頼むから……❤」

 

 もうすっかり半泣きのセイバー。一方彼女のマンコは少年に見られて悦ぶかのように、愛液の分泌を早めていた。とろとろと股間を潤し、床にまで垂れていく。

 

「それじゃ、触りますね。大丈夫です、痛くはしませんから。よ……っと」

「えっ!? さ、触るって、まさか……あっ、くぅうううん!?❤」

 

 にちゅり❤ という音。歩の指先がセイバーのマンコに触れた。生娘であるマンコを労わるように、優しくにちにちと解していく。

 

「んぅおおおお……!? ❤❤ なっなんだっ、びりびりってっ❤」

 

 セイバーの背筋を快感の稲妻が走り抜ける。自分で股間を弄った時とは違う、いやそれ以上の感覚。指で性器を刺激する、ということは同じだと言うのに、それが自分か歩かというだけでこんなにも違うのかと驚愕する。

 指をしとどに濡らしながら、歩はセイバーのマンコを掻き交ぜた。或いは本人以上に敏感にセイバーの弱点を暴き、責め立てていく。以前は人妻さえも啼かせた少年の技術に、生娘騎士王が耐えられるはずもなかった。

 

「お゙んッッ❤ やめ、やべろっ❤ あっあっあっ❤❤ やめてぇぇ❤❤」

 

 ぶちゅぶちゅぶちゅ❤ と差し込まれた人差し指と中指で内側を抉られ、セイバーの腰がガクガクと痙攣する。もう王としての姿などどこにもない、それは性経験豊富な男に玩具にされるおぼこでしかなかった。

 内部で歩が指を開き、くぱ❤ とマンコの内側を露出させる。少年は覗き込む様にセイバーの股座を見た。

 

「おおー、綺麗なサーモンピンクですね。本当に未使用って感じです。うわ、ごぽって愛液が溢れて来た。ほら、白くてねばねばしてるでしょ? 本気汁ですね、アルトリアさんが気持ち良くなってる証拠です。良かったなあ」

「ひっひぎぃぃぃぃぃ❤❤ も、もう殺せぇぇ❤ 嫌ぁぁあああああ❤❤」

 

 セイバーの発達し切っていない快楽神経は、少年から送り込まれる刺激を全ては受け止め切れていない。それでも少年は巧みにセイバーが最大限感じられる快楽を与え続けた。気持ち良すぎて苦しいぐらいの激感にセイバーの脳髄が痺れていく。まるでか弱い村娘のようにセイバーは濡れた悲鳴を上げた。

 歩はセイバーの最大の弱点を見つけたようだ。指先で処女膜を傷付けない程度に深く差し入れる。

 

「式さんと違って……ああ、いや。アルトリアさんは奥の方が好きみたいですね。じゃあその辺をしっかり刺激します」

 

(っ……こいつ、今他の女のコトを考えたな……❤ 私より先に喰った他の女のコトを……❤ そいつは私より可愛らしかったか? 私より具合が良かったか? ひどい、なんてひどい男だ……❤)

 

 もうセイバーにとっての歩は人生唯一の男性だというのに、歩の方からすれば何番目かの女なのだ。初めて彼女が覚える、嫉妬と悲しみと独占欲がわだかまる。もちろん少年は関係した女性それぞれのことを本心から大好きで順番など考えていないのだが、セイバーにそれが伝わるはずもなかった。

 

「アルトリアさん、そろそろイキそうですね。激しくしますから、好きな時に気持ち良くなってください」

「ふっ❤ ふうっ❤ あっ来るっ、また来てしまう……っっ❤」

 

 水音が激しくなる。指先の動きが加速していく。歩が引っ掻くようにセイバーのマンコの天井を擦り上げた。カリカリ、という音がセイバーの耳にも聞こえそうな、トドメになる激しい刺激。

 

 それに抗えるはずもなく、セイバーは本日2度目のアクメを決めた。

 

「ッッッ❤❤❤❤❤ あ゙っ、あ゙あ゙あ゙あ゙あ~~❤❤ イク、イクっっ❤❤ ぎもぢいいい……❤❤❤」

 

 鼻水と涎を垂れ流しながら、黒い騎士王が絶頂する。ぷしゅっとマンコが潮を吹いてまた床を汚した。収縮する膣が痛いほどに歩の指を締め付ける。生前の部下が見たら失神してしまいそうな情けない顔で、セイバーは指マンアクメを決めていた。

 ほへ、と間抜けな顔でセイバーが脱力する。そんな少女の前に、指を抜いた歩が仁王立ちした。

 

「アルトリアさん。……すいません、僕ももう我慢できません」

「ふぁ…………?」

 

 ジ、と少年がチャックを下ろした。一目で分かるほどぱんぱんになった下着も脱ぎ去る。

 すると。とっくにフル勃起して、切っ先を先走りに濡らしたチンポがセイバーの眼前に飛び出した。

 

「…………ッッ!!? なっ、なんだそれはっ……❤ やめ、突き付けるなっ❤」

 

 そう言いながらもセイバーは目を逸らさないどころか、むしろ顔を近付けていく。隆々と漲り血管の浮いた肉棒へ、吸い寄せられるように。

 

(凄い……これがアユムの……❤ ……アユムに抱かれた女は、これを味わっているのか……これで、胎の中を掻き回されて、狂わされて……種付けされて……❤)

 

 きゅんきゅんきゅん❤ と絶頂を憶えたばかりのマンコが、その奥の子宮が反応する。指先だけでなく本当はこれが欲しいのだとセイバーに訴えかける。

 そんな少女の前で、歩が自分の手でチンポを擦り始めた。しゅっしゅっという擦過音。

 

「な……き、貴様、もしや私の顔に……❤」

「ごめんなさい、アルトリアさんっ。でももう我慢できなくてっ」

「っ…………❤ こ、この痴れ者が……❤」

 

 100人と擦れ違ったら100人が振り返る美貌を自分の精液で汚す。そんな暗い欲望を満たそうと少年がセイバーの眼前でシコる。いつもの少年ならこんなことはしないだろう。しかし何回もキスだけで生殺しの目に遭った上にアクメ顔を見せ付けられて、制止が効かなくなってしまっていた。

 

 しかし。それはセイバーの方からも願ったり叶ったりだった。少年の精液を肌で直に感じられるなど、今の彼女が嫌がるはずもないのだから。

 

「……し、仕方ない……本当に仕方のない奴だ……❤ 良いぞ、無礼を許す❤ 貴様の浅ましい子種で……私の顔を汚すがいい……❤❤」

 

 言葉とは裏腹にすっかり蕩けたメス顔で、チンポの切っ先へ美しい顔面を晒した。キスを待つ時のような表情で、精液がぶっ掛けられるのを待望する。

 少年の手淫が早くなる。ぱたぱたと先走りが一足先にセイバーの顔面へ飛び散った。唇にかかったそれを、彼女が反射的に舌を伸ばして舐め取った時。

 

 ──────びゅる、びゅるるるるるっ! どぴゅぴゅぴゅぴゅぴゅ…………! 

 

「っ、ぶぷ……っ❤ ひぁ、ど、どれだけ出すんだ、この馬鹿……❤ ううっ、前が見えないっ……❤」

 

 びゅくん、びゅるんと精液が吹き出す。線を引くようにセイバーの顔面に引っ掛けられていく。粘度のとびきり濃い精液は流れ落ちることなくセイバーの顔に乗っかっていった。彼女が目を閉じなければいけないほど大量に顔を覆う。

 更には亀頭を額や頬にぐりぐりとなすり付けられ、残りの精液まで付着させられる。他の相手なら間違いなく殺しているだろう蛮行だというのに、少年が相手だと思うと今だけは彼を自分が独占しているような気がして何故だか嬉しささえ覚えた。

 

(濃すぎて顔から落ちて行かない……❤ 匂いも鼻が痺れるくらい濃厚で……それに味も……❤)

 

 ぺろ、と舌を伸ばして精液を舐め取る。苦く生臭い、旨味など欠片もない味。

 

(あ、またイク……アユムの精液を舐めただけで、自慰よりもずっと気持ち良いアクメ……❤)

 

 けれど、それだけで。力いっぱい自分で性器を掻き回した時よりも深い絶頂が、股間に巡るのだった。

 

 

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 

 

「………………ふう」

 

 ぼふ、と自室のベッドに倒れ込んで。

 セイバーは、少年のことを思い出していた。

 

(結局、行為はあれだけで……その先には行かなかったな)

 

 あの後、顔を汚してしまったと少年には平謝りされた。実際の所は不快でもなんでもなかったのだが、何となく彼へのアドバンテージを取れる気がしてセイバーは拗ねたフリをしておいた。

 

(あやつめ、妙な所で律儀というか、なんというか……。いっそ押し倒してくれば良いものを)

 

 彼と知り合う前の自分が知ったら呆然としそうなことを考えながら独りごちる。

 ふらりと股間に手を伸ばすと、数十分前にアクメしたばかりだというのにまた湿り始めていた。最近はいつもこうだ。あの少年のことを想うと一瞬で身体が火照ってしまう。

 

(……もう誤魔化すコトは出来ない。これは、あやつに抱かれたいからだ。その為に身体が準備をしているという証拠なんだ……❤)

 

 飽きたらずくちくちと性器を慰めながら、想う。

 

(あゆむ、アユム、アユムっ……❤ 頼む、抱いてくれ……❤ 私を組み伏せて……あの肉棒で股間を貫いて……私をおまえのモノにしてくれ……❤ おまえから来ないのならば、もういっそ……)

 

 こちらから、『処女を貰ってください』とお願いするしか──────と。

 すっかり少年への恋慕に染まった騎士王は、彼の従者に下る決心を固めつつあった。

 




やっぱり終わりませんでした。次で本番エッチです。


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黒王跪拝(セイバーオルタ)

「……それでさ、ライダーが言うのよ。『女性の魅力は小柄で嫋やかな所です。私たちのような大柄な女は宜しくない』って。そんなコトないわよねー、歩?」

「は、はい。勿論です」

 

 アルクェイドに腕を絡めながら話し掛けられた歩は、どぎまぎしつつ答えた。

 今日は珍しく、歩は彼女と一緒に買い物へ出掛けていた。というのもスーパーへ行く途中で偶然彼女と出くわし、せっかくだからとアルクェイドが着いてきたのだ。豊満なラインが浮き出たサマーセーター姿の美女を連れた小柄な少年に、スーパー内の買い物客たちは興味深そうな視線を送っている。アルクェイドはまるで気にしていないようだったが、歩は緊張しっぱなしだった。

 

「でも、アルクェイドさん、ライダーさんと仲良くなったんですね。良かったです」

「んー? まあ元から仲が悪いってわけじゃないよ。特別良くもないけど。ちょっとピリッとしてたのは、好きな男の子が同じ人だからってだけだし」

「……そ、そうですか」

 

 あっけらかんと言う美女に、頬が熱くなる。二の腕に触れる柔らかな胸の感触に意識が行ってしまった。

 数日分の食料品を買い物カゴに入れてレジへ進む。ここはセルフレジが設置してあるのでそちらに進んだ。会計を済ませて涼しい店内から外へ出ると、相変わらず暑い夏の日差しが肌を焼く。アルクェイドもすっと離れ、ぱたぱたと胸元をそよがせた。

 

「あっつ~い。夏ってイヤだなあ、外に出たくなくなるし。セミもうるさいしさ」

「そうですか? 僕は結構好きですよ、蝉の声。なんか、風情があるっていうか」

「えー? 日本人の感覚はよく分かんないなあ」

 

 空には大きな入道雲。湿度も高く日本の夏全開だ。太陽の照り付けるアスファルトの上を二人で歩いていく。いつもは制服を着て同じ学校の生徒たちと歩く通学路を金髪美女と歩いていることが、なんだか不思議に感じる。

 

 喋りながら歩いているうちにマンションへ着いた。エントランスへ入ると、日差しが遮られ一気に涼しくなる。ふう、と歩は一息ついた。

 

「そういえばさー、歩」

「はい?」

 

 キーカードを通す少年の後ろでアルクェイドが言う。

 

「最近は騎士王ちゃんを攻略してるんだってー? ああいうおっぱいとお尻の控えめな女の子もイケる口だったんだね、歩ってば」

「……はい!? 何の話ですかっ」

 

 慌てて振り返ると、アルクェイドはクスクスと笑っていた。

 

「もう、ちゃんと知ってるから隠してもしょうがないよ。まあライダーに教えて貰ったんだけどね。彼女、そういうコトはしっかり情報収集してるみたいだから」

「そ、そうなんですか。ライダーさん、また妙なことを……」

 

 そういえば式と関わった時もそうだった、と歩は思い出す。前回のようなお節介はしていないようだったが、しっかり嗅ぎ回ってはいるらしかった。

 

「それで、どこまで行った? もう落とした? えっちはした? ああいうツンツン系ってやっぱりマゾなの?」

「し、してませんよ!」

「えー? うっそだあ、ライダーが『あの堅物騎士王ですが、最近発情した顔で歩の部屋から出て来るのです。あれはもう毒牙に掛かっていますね、間違いない』って言ってたよ?」

「ら、ライダーさん…………!」

 

 わなわなと震える歩にアルクェイドは質問を重ねた。

 

「実際、何もないってコトはないのよね? 仲良くはなったんでしょ?」

「その、まあ。ちょっとは……。でもここ一週間くらいは会ってないんです。前回ですね、色々とあって……ここで僕から行ったらがっついてるみたいだし、アルトリアさんも迷惑なんじゃないかって」

 

(……まあ、早くまた会いたいとは思ってるんだけど)

 

 歩もセイバーとの交流を経て、はっきりと好意を持っていた。このままセイバーから何もアプローチが無ければ明日にでもこちらからお誘いを掛けようと思っていた所だった。

 

「うわあ、出た。歩の生殺し作戦。騎士王ちゃん、今頃泣いてるね」

「は、はい? どういう意味ですか?」

「べっつにー」

 

 意味が分からず、戸惑う歩。

 そんな少年にアルクェイドが近寄った。

 

「ねえ、歩? 前も言ったけど、歩がハーレムを大きくしてくのは構わないよ。むしろ言ってくれれば協力もしてあげる。……だけどさ、釣った魚に餌をあげないってのはどうかと思うな?」

「わっ…………!」

 

 マンション中庭の通路、人通りの少ない陰になった場所で。アルクェイドは少年の腕を持ち、掌をそっと自分の胸へと導いた。

 

「ん……。ほら、歩専用のおっぱいだよ。最近他の女の子ばっかりで、わたしを抱いてくれないじゃん。わたしのコト、飽きちゃった? もうえっちな目で見てくれないかな……?」

「そ、そんなこと! ない……です……」

 

 思わずふにふにと柔らかい胸を揉んでしまう。

 今でこそ何人かの女性と関係を持った歩だが、あくまで初恋の相手は目の前の吸血姫だ。順位付けをするような少年ではなかったが、やはり童貞を捨てた相手でもあるアルクェイドは特別な存在であった。

 

 そんな少年を見て、アルクェイドは満足げにくすりと笑った。そして、彼の唇へ自分のそれを寄せる。

 

「…………ちゅ♥」

「んっ……ア、アルクェイドさん」

「ふふ。……まあ、今の所はこのくらいで許してあげる。でも、一段落したらまたわたしにも構ってよね。約束よ」

「……はい。喜んで」

 

 お互いに赤い顔で笑い合う。丁度通行人が来たのに合わせ、歩はアルクェイドと別れるのだった。

 

 

 その場面を、一人の少女が見ているとは露も知らずに。

 

 

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 

 

 カーテンの引かれた薄暗い部屋。

 備え付けの机とベッドくらいしかない殺風景な室内は、住人の性格を思わせる。

 その飾り気のない自室で。

 

「………………はあ」

 

 少女───────セイバーは、ベッドに寝転がって溜息をついていた。

 

 はしたなくドレスがめくり上がるのも構わず、足をぱたぱたとさせる。彼女に似つかわしくないその仕草は、心ここにあらずということを表していた。

 

「なんで」

 

 悶々と呟く。その眉は切なげに垂れている。ぽふ、と抱き締めた枕に顔をうずめた。

 

「なんで、誘いに来ないのだ、あの馬鹿者…………」

 

 同居人の消えた寂しく静かな室内で、一人想う。

 脳裏に浮かぶのは、あの少年のことばかり。たった数日間会っていないだけだというのに、禁断症状のようにセイバーの心を独り占めしていた。

 

 前回の逢瀬のあと少年への想いを確かなものにしたセイバーだったが、自分から彼へ言い寄ることは出来なかった。それが嫌だったという訳ではなく、踏ん切りが付かなかったのだ。かつて王としてのセイバーは迷わず突き進むことの出来る君主であったが、今の少女としてのアルトリアは臆病だった。あわよくば少年の方から自分を求めてくれればと思っていたのだが、そこで少年の無自覚な放置プレイが炸裂した。

 

 こうなってはプライドも王の誇りもかなぐり捨てて自ら少年に首を垂れる他ない。実際はあと1日でも待てば歩の方から『今日お暇ですか』と食事の誘いを貰っていただろうが、セイバーにそんなことは知る由もない。例え知っていたとしても、もうあと1日だって我慢できるか分からなかったが。

 

「…………はあ。やはり、もう私から告白するしかないのか。あやつめ、今なにをしているのやら…………」

 

 少し外の空気を吸おう、と部屋を出る。廊下の手すりに身を預けると、夏の湿った空気がそよぐ。

 と。中庭の陰の辺りに、件の少年の姿が見えた。

 

(…………アユム…………!)

 

 胸がどきんと跳ねる。それは今一番逢いたい少年の姿だった。

 買い物帰りだろうか、荷物の詰まったビニール袋を持っている。こちらからは背中しか見えないが、間違いなく彼だ。

 

(いい機会だ。いっそこのまま下に降りて会いに行くか……?)

 

 セイバーの身体能力なら、一気に地上へ跳ぶことも楽々可能だ。このまま待ち続けても埒が明かない。思い切って逢いに行ってしまおうか、と考えていると。

 ふら、とセイバーの死角になっていたところから。金髪の女性が姿を現した。

 

(あれは…………吸血姫? アユム、その女と会っていたのか)

 

 セイバーの胸に影が差す。少年を目にして浮かれていた心が冷えていく。

 直接会ったことはないが、話には聞いている。少年といち早く親密な仲になったという美しい吸血鬼。こちらに背を向けた少年は、彼女と話していたようだ。少年の顔は見えないが、女の方はよく見える。しっとり濡れた瞳と緩んだ表情。間違いなく、愛しい男性を見詰める女の表情だ。

 

 それにほのかな嫉妬心を持つのと同時。セイバーの目が見開かれる。

 

(っ…………む、胸を……!?)

 

 歩の腕を持った吸血姫が、躊躇いなく少年の掌を自分の胸に押し当てたのだ。

 セイバーの心に、泣いてしまいそうな悲しみが浮かぶ。そして足がすくむような危機感も。

 

(ああ……そうか。私は、勘違いしていたんだ)

 

 セイバーは、当然のように自分と少年を対等だと思っていた。現在の会う会わないということも一種の駆け引きのように考えていた。どちらが先に音を上げて相手を求めるか。確かに女性経験豊富である少年の方が有利ではあっても、焦らしてやれば自分にも勝ち目があるのではないか。よしんば向こうから言い寄ってきたら、それをこちらが受け入れてやるという形に出来るのではないかと。

 

 しかし、実際は違う。自分と少年は対等などではない。今の光景がその証拠だ。セイバーにとってはあの少年だけが相手でも、彼の方はそうではない。二人の間にあるのは駆け引きなどではなく、少年がセイバーを喰うか喰わないかということだけ。それだってセイバーがくだらない独り相撲をやっているなら彼は他の女と遊ぶだけだ。無理にセイバーを相手にしなくとも少年には何人もの女がいる。美しく、セイバーよりも体躯に優れた女たちが。

 

(…………何を思い上がっていたんだ。今でも自分を王だとでも思っていたのか。私とアユムの力関係は拮抗などしていない。私に出来るコトは、アユムに手籠めにして貰えるかして貰えないかというだけの話だったんだ)

 

 腹に氷を突っ込まれたような気分で、呆然と少年と吸血姫の姿を見る。嫌な汗が止まらない。一刻も早く、それこそ前回の逢瀬の直後に彼に跪くべきだったと後悔が押し寄せる。

 

 そして、眼下の二人が唇と唇を合わせた時。

 

「───────────────は」

 

 歩とのキスは、彼女にとって特別なものだった。そんな筈はないのに、少年の唇を独り占めしているような気にさえなっていた。

 それをはっきりと否定されて。少女の意地は、今度こそ木っ端微塵に砕け散っていた。

 

「は─────はは、は。はははははは…………!」

 

 ぷっつーん、とセイバーの何かが切れた。

 幽鬼のように笑いつつ。少女は、ふらふらと部屋に戻っていった。

 

 

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 

 

 歩も年頃の少年として、ゲームを嗜んでいる。

 

 今のお気に入りはアクションRPG。対人要素もあるものの、それより歩は世界や街を冒険するという部分が好みだった。自分のキャラクターのステータスを高め、装備を鍛えボスに挑む。物によっては高難易度のゲームもあって、熱中してプレイしていると夜中になってしまうこともままあった。

 

「……やばっ、もう日付変わっちゃうよ。早く寝ないと」

 

 今日も就寝前のゲームを遊んでいた歩だったが、気付けば24時前になってしまっていた。翌日に支障が出る為、灯りを消しベッドに入る。

 疲れていたのか、すぐに眠気がやって来た。布団の中で微睡ながら、今日のアルクェイドとの会話に出た少女のことを想う。

 

(そうだ。明日、学校から帰ったらアルトリアさんに会いに行こうかな。一週間も音沙汰なしだし、もしかしたらアルトリアさんは僕なんかに興味ないのかも知れないけど)

 

 身体も心も親密になった気がしていたが、思い違いだったかも知れない。それでも彼女と仲良くなりたいというのは少年の本音である。今興味を持たれていなくても、これから持って貰えばいいやと歩は前向きに考えた。

 

(……よし。それじゃ、早く寝て明日に備えよう。あくびしながらアルトリアさんと会う、なんて失礼だし)

 

 そう思いながら。歩は、改めて布団にくるまった。

 

 

 

 

 

 

「……………………ろ」

 

 浅い眠りから引き戻される様に、ささやかな声がする。

 まだ眠っていたくて、歩は寝返りを打った。

 

「…………きろ。…………おい」

「………………ん」

 

 何者かが肩を揺すってくる。

 それでもまだ目覚めない。焦れたのか、相手は声色を強くした。

 

「…………起きろ、歩。頼む、起きてくれ」

「う……うぅん。あとちょっと……」

「……仕方のない奴だ」

 

 はあ、と呆れたような溜息が聞こえる。

 それとほぼ同時。唇が、何か柔らかいもので塞がれた。

 

「ん……ちゅ…………❤ ぷちゅ……❤」

「んむ……ん……?」

 

 緩やかに唇をくすぐられる。温かい感触。

 うっすらと目を開けると。眼前に、妖しく輝く金色の瞳があった。

 

「むぁ……? ん、んんっ!?」

「ん…………ぷはっ❤ まったく、早く起きないからだぞ……❤」

「あ……アルトリアさん!? なっ、なんで……ここ僕の部屋ですよね……??」

 

 仰向けになった歩に、馬乗りになったセイバーがキスしていたのだ。目を覚ました歩は慌てふためいて周りを見渡す。見慣れた風景は、先ほど眠ったばかりの自分の部屋だ。時計を見ると夜中の1時過ぎだった。

 

「どうしてアルトリアさんが……あ、もしかして」

「夢か幻覚か、などと言ってくれるなよ。これは確かに現実だ」

「あ……そ、そうですよね」

 

 もしや以前のライダーにされたような魔術の類かと思ったが、そうではないようだ。言われて見れば、今思えば夢うつつのようだったあの時と比べて現状はリアル過ぎる。手足の感覚も、腰に跨った少女の暖かな体温も。

 そこまで考えて、ようやく歩はセイバーの異変に気付いた。

 

「あの……アルトリアさん、その格好……」

「ああ。なんだ、ようやく気付いたのか。寝ぼけおって」

 

 頭には、可愛らしいホワイトブリム。首と後頭部には大きめの黒いリボン。クラシカルなメイド服ではなく、腕や太ももを大胆に露出したカジュアルなタイプだ。襟や袖、太もものガーターにもフリルがあしらわれている。

 

「それって……メイド服、ですか? そんな服持ってたんですね」

「同居人の趣味でな。無理やり着させられていた。……それより、何か感想はないのか」

「え? …………あ。えっと、すごく似合ってます。いつものドレスも綺麗ですけど……はっきり言って、滅茶苦茶可愛いです」

「……………………そうか」

 

 孤高を体現したかのようなセイバーが、他人に給仕する為の格好をしている。元から超のつく美少女であるセイバーだ。ギャップも相まって、大変な魅力を演出していた。

 率直に答えるも、セイバーは澄ましたままで微動だにしない。あくまでクールだなあ、と歩は思ったが、

 

「……あ。アルトリアさん、だんだん頬が赤く」

「うるさいっ。黙っていろ、少し話がある」

 

 ふー、ふーっと息を整えるセイバー。

 

「……まずは。夜中に押し入って済まなかった。明日にしようかとも思ったのだが、堪え切れなかったのだ」

「あ、そういえば……どうやって入ってきたんです? 鍵、ちゃんと掛けておいたと思うんですけど」

「ここの管理人がいるだろう。若い、魔術師の女だ。あやつに開けて貰った」

「桜さん? ああ、管理人さんだから合鍵も持ってるか…………でも、なんで」

「それは…………」

 

 セイバーが目を逸らし、逡巡する。

 数秒ほど考え込む。それから、決心したように言った。

 

「事情を、説明したのだ。そうしたら、快く開けてくれた」

「事情ですか?」

「ああ」

 

 ぎし、と歩に跨るセイバーが身を屈める。

 歩の両脇に手を突いて、少年を見下ろす。

 

「…………アユムのコトが好きだと。身を捧げ、奉仕したいと。……アユムの女になりたいのだと言ったら、喜んで開けてくれた。『貴女の気持ちはとっても良く分かります。頑張ってください。応援してますから』と」

「え……えっと。それって……」

「……………………」

 

 セイバーは何も答えず、うっすらと染まった頬のまま、ゆっくりとその唇を落としていく。

 やがて、何の抵抗もなく。少年と少女の唇が合わさった。

 

「ぷちゅ、んむっ❤ むちゅ……❤ ぷぁ……❤」

「ん…………」

 

 最初緩やかだったキスは、徐々に情熱的に。主にセイバーの方から、歩の唇に吸い付いた。

 

「んく、じゅるるるる……❤ ちゅっ、ちゅっちゅっ❤ んむぅ~っ……❤」

 

 うっとりと目を伏せたセイバーの、幸せそうなキス。少年の唾液を吸い尽そうと唇を尖らせて舌を啄む。

 セイバーにそんなことをされて、少年の劣情が耐えられるはずもない。腰に当たる柔らかさも相まって歩のチンポに血液が送りこまれていく。

 股間に当たる感触に、セイバーは敏感に気付いた。ぷは、と唇を離す。

 

「アユム……❤ その、硬いの……当たってるのだが……❤」

「う……す、すいませんっ。これは、条件反射で」

「ああ、いや。構わんのだ。今日は……そのつもりで来たのだから」

 

 至近距離の潤んだ瞳で見詰められながら言われ、流石に鈍い少年でもその意味に勘づいた。出番かとばかりにぴくっと跳ねるチンポの感触を股間のショーツ越しに感じて、セイバーがより顔を赤らめる。

 

 セイバーが歩の上からどき、ベッドの下に降りた。

 

「アユム。そこに腰かけてくれるか」

「は、はい」

 

 言われた通りにベッドの縁に腰かける。セイバーはそんな少年のズボンを下ろし、すっかり勃起してしまった肉棒を露出させた。

 

「う…………セイバーさんっ」

「……ふふ、もうこんなに勃たせおって。だが嬉しいよ。つまり、私を喰いたいと舌なめずりしているというコトだろう……?」

 

 隆々と漲るチンポ。陶然と勃起を眺めつつ、少年に言う。

 

「……そうだ、貴様の意志を聞いていなかったな。しっかりこのちんぽに聞いておかねば」

 

 すりすり❤ とそのすっと通った鼻筋で、吸い付く頬でチンポを撫でながら、

 

「……どうだアユム。私を貴様の従者にしてはくれまいか……❤ この身も、心も、貴様に捧げると誓おう……❤ 貴様が抱きたくなったら呼びつけてくれれば股を開こう。夜這いしたいとあれば鍵を開けて待っていよう」

「あ……ぐっ……」

 

 むちゅ、ちゅっ❤ と唇で亀頭にキス。そそり立つ肉棒を更に煽りながら、従属のお願いをする。

 

「ちゅ~~っ❤❤ アユム、貴様のハーレムに入れてくれ❤ いつでもこういうコトをしてやるぞ❤ いや、違うな……いつでもこういうコトをしたいのだ、私が……❤ 好きだアユム、好き……❤ 頼む、頼むから……私の処女を奪って、貴様だけの女にしてくれ……❤❤」

「っ……も、勿論ですっ。こんなの断れるわけないですよっっ」

 

 元より歩だってセイバーのことが大好きなのだから、この要求を断る理由など何もなかった。彼女の顔面の感触に悶えながら叫ぶ。

 それを聞いて、セイバーの顔に喜色が広がった。ふにゃり、と少年以外には見せないだろう表情に蕩ける。

 

「ああ、では……誓いの儀を執り行っておかねばな」

 

 ベッドに腰かけた歩の股の間に跪く。

 片足を突いて顔を伏せ、頭を垂れた。

 

「これより我が身は貴方と共にあり、我が運命は貴方の物になる」

 

 心臓を高鳴らせ、股間から愛液を垂れ流しつつ。

 

「ここに、契約は完了した。ああ……末永く貴方の雌奴隷(サーヴァント)としてこの身を側に置いてくれ、御主人様(マスター)…………❤❤」

 

 頭頂部のブリム、本来なら王冠が輝いている場所にチンポをなすり付けながら騎士の誓いを唱える。セイバーの身体がびくんびくんと激しく震えた。メイド服という主へ奉仕する為の衣装を着ながらの従属宣言も相まって、彼女は性器に触れてすらいないというのに精神的なドライオーガズムを味わっていた。

 

 

 

 

 

「ちょ、ちょっと、アルトリアさん!? 流石にこれは恥ずかしいんですけど……!!」

「ふふ、そう言うな。やりたいコトがあってな。何、中々愉快な格好だぞ?」

 

 主人と従者の儀式が終わって。

 いざエッチかと思った歩だったが、何故かセイバーに力ずくで妙な体勢を取らされていた。仰向けに寝転がり、両足首を掴まれ頭の脇にまで持ち上げられる。当然だが股間も不浄の穴もセイバーに丸見えになっていた。

 

「ふむ、可愛らしい穴だな。不思議なものだ、貴様のモノだと思うとこんな所でも愛しく思える」

 

 くすくすと笑うセイバー。そんな彼女にふうっと息を吹きかけられ、歩の背筋にゾクゾクと悪寒が走る。

 

「ひぃぃぃぃぃ……! やめっ、なんかくすぐったいですアルトリアさん……!」

「ああ、済まないな。では始めようか」

 

 セイバーはぺろりと唇を舐めて、

 

「私なりに調べたのだがな。この行為には相手への敬意や奉仕、信頼、何より屈服が込められるという。私と貴様には持って来いだと思ったのだ」

「え、な…………、っっっ─────!!?」

 

 戸惑う歩に、不意に今まで感じたことのない感覚が押し寄せた。生暖かいものが最も敏感な場所に触れるかのような感覚。

 

「ぶちゅ、ずずっ❤ んぢゅうぅぅぅぅ…………❤」

「ふわ……アルトリアさん、まさか舌で……!? やめ、やめてください……っ」

 

 そう。歩のアナルを前にしたセイバーは、尖らせた舌でその穴を舐めしゃぶっていた。

 

 数時間前お風呂に入ったばかりとはいえ、決して進んで触れたい場所ではあるまい。だというのに、むしろ嬉しそうにセイバーは奉仕していく。出来るだけ奥まで届けと言わんばかりに舌を捩じ込み、歩の直腸を探っていく。

 

「あっ、あああ…………!」

 

 今までフェラチオやセックスは経験してきた歩でも、それは未知の感覚だった。触れてはいけない内臓を直舐めされている気分。気持ち良いのか悪いのかも定かではなかったが、

 

「ん、ぷは……❤ なんだアユム、やめろと言っておきながら、もうちんぽはがっちがちじゃないか……❤」

「うう…………」

 

 セイバーの言う通り、歩の股間はさっきまで以上に勃起していた。セイバーが片手でしゅしゅっと擦ると、彼女の手に先走りを垂れ流す。

 

 それは快感の為でもあったし、セイバーのような気高い存在に尻を舐めさせているということへの興奮でもあった。始めて会った頃の、ツンとした彼女を思い出す。しかも彼女はまだ処女なのだ。男性はおろか他人に興味はありませんと言いたげだった彼女をここまで堕としたということに本能的な優越感を憶えていた。

 勿論、セイバーもそんな少年の昏い悦びに気付いている。むしろ、それを感じて欲しくてこんなことをしているのだから。

 

「いいぞ、もっと感じるがいい……❤ 私がどれだけ貴様を想っているか……ちゃんと貴様のモノになったというコトをな……❤」

 

 目を細めながら、セイバーは奉仕に没頭した。舌を入れるだけでなく、穴の周りも丹念に舐め回す。唇でも吸い付き、尻たぶに頬ずりし、顔面すら活用して歩の興奮を高めていく。

 

 少年の肉棒はもはや限界以上というくらいに漲っていた。ここまで身を擲って奉仕する女など種付けを拒むはずがないと分かっているのだ。早く射精させろとばかりに血管を浮き上がらせ攻撃的に猛っている。

 

「あ、アルトリアさんっ。僕もうっ」

「ああ、そうらしい……❤ 睾丸がせり上がったのが分かるぞ……❤」

 

 しこしことチンポを手コキしながらセイバーが言った。まだ経験の乏しい彼女でも射精が近いと直感で分かる。

 彼女は歩のお尻から顔を離し、

 

「ぶちまけては勿体ないからな。私が責任を持って全て受け止めよう……❤」

「え、あ……あああ…………!」

 

 歩の足を下ろしたセイバーが、亀頭をぱくりと咥えるのと同時。

 

 ────────歩のチンポが射精した。セイバーの口内で跳ねまわりながら精液を撃ち出す。セイバーが懸命に呑み込んでいくものの、それが追い付かない程の勢いだ。零さないように唇を締め、セイバーは残らず飲み下していった。

 

「んぐ……コクッ……❤ ぷは、はあっ、は…………❤ これはまた、大量に出したな……❤」

 

 ちゅうっと尿道に残ったぶんも吸い上げてから、セイバーが口を離す。むわり、と精臭が彼女の鼻を突いた。

 けほっと軽く咳き込みながら、歩に話しかける。

 

「どうだったアユム、私の舌技は。捨てたものではないだろう? …………? アユム?」

 

 少年は答えない。はあはあと肩で息をしながら俯いている。

 どうしたのか、とセイバーが窺うと、顔を上げた彼と目が合った。むっとした、へそを曲げたような表情。

 

「………………セイバーさん。ちょっとこっちに来てください」

「え……お、おい。まさか……怒ってるのか……?」

「いいから、こっちに」

 

 腕を掴まれ、部屋の窓際まで連れて行かれる。

 身体能力なら天と地の差がある二人だ。抵抗しようとすれば簡単なはずなのに、それが出来ない。少年に命じられ、無理やり引き擦られているということに身が竦んでしまっている。さっきまでは優位に立って歩を自由にしていたように見えて、根本的な所で屈服し切ってしまっている証拠だった。

 

 窓に向かう形で押し付けられた。歩の部屋は上階にある為、街の夜景がセイバーの目に映る。地上からは見えないだろうが、それでも誰かが窓際にいるというくらいは分かるかも知れない。

 

「そ、そんなに怒るな、貴様も気持ち良かっただろう……?」

「そういう問題じゃありませんっ。アルトリアさんはもう僕のものなんですよね? だったら、僕の言うことを無視してあんなことをするっておかしいじゃないですか」

「っ…………❤ た、確かに、私はもう貴様のモノだが……❤ って、あっ!?」

 

 不意打ちの所有物宣言に胸をときめかせるセイバーだったが、スカートをぺろんと捲り上げられて驚く。彼女からは見えないが、黒い紐パンが丸見えになっていることだろう。

 

「あ、アユム……まさかとは思うが……」

「そのまさかです。行きますよ」

 

 慄くセイバーの背後で、少年の腕が振り上げられる。

 そして、勢いよく彼女の尻が叩かれた。

 

 ────────ぱっしぃいいいん、という乾いた音。衝撃に、セイバーが目を見開く。

 

「ひぎっ…………! や、やめ、これはいくらなんでも……!」

「うるさいです。ほら、二発目」

「~~~~っっ!! くはああああ…………!」

 

 ぺしん、ぴしゃり、とセイバーの丸いお尻が打ち据えられる。白い肌に、ほのかに赤い手形が着いていく。ガーターベルトの嵌った太ももがぶるぶると震えた。

 

「あ゙っ❤ んぐッ❤ た、頼む、私が悪かった❤ 許してくれぇ❤」

「駄目です、ちゃんと反省するまで止めません」

「ひぃぃいいい……っ❤ 尻がっ、熱いぃ……❤」

 

 セイバーの声に艶が混じる。

 

 少年にお仕置きを喰らう事で逆説的に彼への従属を確認し、感じてしまっているのだ。そもそもが騎士であるアルトリアである。剣で斬られ、槌で殴られた経験など余りある。痛覚への耐性は常人を遥かに超えるというのに尻叩きで半泣きになっているのも、一重に相手が歩であるからだった。

 

「セイバーさん、ショーツが濡れて来ましたよっ。こんなことで感じてるんですね、騎士王さんは」

「うううっ❤ やめてくれっ……❤ こんな辱め……❤」

 

 そう言いながらも、セイバーが感じているのは明らかだ。ショーツはぐっしょりと濡れ、お尻には汗の粒が浮かんでいる。

 歩がセイバーの尻を撫でながら、

 

「……まあ、このくらいでいいかな。すいません、僕も熱くなっちゃって」

「はーっ❤ はー……❤ い、いや……大丈夫だ……❤」

 

 息を荒げながら窓ガラスにもたれるセイバー。

 そんな彼女の後ろで、歩が言った。

 

「それじゃあアルトリアさんも十分濡れたみたいですし。……そろそろ挿れますね」

「はあっ…………えっ、えぇ……❤ もしかして……こんな体勢で……❤」

 

 初体験がメイド服着衣での立ちバック。それも尻叩きで濡らされてからという、更にプライドを粉々にするシチュエーション。

 身震いするセイバーだったが、ぴとりとお尻に熱い肉棒を密着させられ、何も言えなくなった。へこへこと勝手に腰が持ち上がり、主人が挿入し易い角度を取ってしまう。

 

「……さて。そういえば、元はと言えば今日はアルトリアさんが夜這いして来たんでしたよね」

 

 歩がセイバーの尻の間でチンポを擦りながら言う。

 

「ならちゃんとアルトリアさんからお願いして貰わないと。もう僕がアルトリアさんの御主人様なんですしね?」

「う……うううううう…………❤」

 

 愛液を太ももに伝わせながらセイバーが呻く。もう完全に彼我に優劣が付いてしまったことに恐怖と悦楽を憶えながら、

 

「お……お願い、します……❤ ……マスター……❤ 私の……アルトリアの初めてを❤ 貴方の所有物の処女を奪って、本当に貴方のモノにしてくださ……、────────ッッ!!!?? ❤❤❤」

 

 処女喪失のおねだりを、言い切ることすらさせて貰えなかった。

 言葉の途中で、少年のチンポはショーツをずらされ無防備になったセイバーのマンコに挿入されていた。ぱちゅん、と腰と腰がぶつかる。初挿入で処女膜を破ったチンポは、その勢いで子宮まで到達していた。

 

「お゙ッ……お゙お゙お゙お゙…………❤ アユムのちんぽ、挿って来っ……❤」

 

 がくがくと細い足が震える。一滴赤い雫が垂れるも、セイバーはほとんど痛みを感じていなかった。スパンキングで出来上がりきっていた女性器は、破瓜の痛覚を塗り潰すほどの快楽を感じていた。

 

「あうっ、あっ、あ❤❤ あ、アユムっ、もっとゆっくりっ❤ そんな抉るみたいにするなぁ❤」

「そんなこと言われてもっ……! アルトリアさんの膣、気持ち良すぎて……!」

「ううっ❤ た、たった今処女を喪失したばかりなんだぞ❤ この騎士王の初めてを奪っておいて、まるで娼婦みたいに腰をぶつけおって……❤ き、貴様でなければ斬り捨てているからなっ❤」

 

 ぱんぱんと音を立てながらマンコを貫かれる。

 それでもセイバーは快感に腰が抜けそうだ。涎を垂れ流して喘ぐ。後ろから腕を回され、少年に胸を掴まれた。てのひらサイズのおっぱいを確かめるように揉まれ、メイド服が乱れる。

 

 歩の方も常にはない気持ち良さを味わっていた。高貴なセイバーにメイド服を着せて後ろから犯すというのは言葉にできない征服感だ。この孤高な少女を完全に自分のモノにしたということをありありと実感できる。

 

「アルトリアさん、ほら。これが膣口。これが浅い所です」

「くぅうううんッ❤ はあああああ❤ あっ、コリコリってぇ❤❤」

 

 腰を自在に動かしてセイバーの膣を感じさせる歩。セイバーはひたすら少年の動きに合わせて啼き喚くことしか出来ない。

 それはまるで中世の屋敷で、主人にお手付きでつまみぐいされるメイドのようだった。実際はお遊びでなく、男の方も独占欲と恋愛感情丸出しの本気なのだったが。

 

 セイバーの桃尻が、ピストンに合わせて柔らかく潰れる。奥まで捩じ込んでぐりぐりと子宮口を虐めるとセイバーが上下両方の口から泡を吹いて悦んだ。処女膜を破られた瞬間からずっと絶頂が持続しているようなものだ。鍛え上げられたセイバーにとってさえ、それは抗えないほどのキツい快感だった。

 

 そんな彼女に、とあることを思いついた歩が提案する。

 

「アルトリアさん。さっきお尻を叩かれてた時、凄く感じてましたよね」

「え……ふぇ…………?」

 

 ぬぷぬぷとセイバーの膣を味わいながら、

 

「こうやって挿入したままお尻を叩いたら……もっと気持ち良いかも。どうです、やってみますか?」

「なっ……なんだそれは……❤」

 

 セイバーの目が潤む。

 

 ふざけるな、と言い捨てることは出来ない。だって、間違いなく気持ち良い。この逞しいモノに貫かれながらの尻叩き。きっと更に愛液を分泌し、ぬめった膣を少年に耕されることだろう。けれどそれは本当に後戻り出来なくなるエッチだ。折れたプライドと誇りを完全にゴミ箱に放り捨てるようなセックス。二度と戻れなくなる所まで少年に占領される屈服アクメが訪れるだろう。

 

 ────────だが、だからこそ。セイバーの答えは決まっていた。

 

「……た、叩いてくれ」

 

 ぬちゅぬちゅと。半ば抜けかかったチンポに尻を押し付け、奥まで導きながら。

 

「お願いだ、ますたぁ……❤ 思いっきり叩いてくれ❤ 頼む、きっついので良いから……❤ 私に王であった時のコトを忘れさせてくれ……❤」

 

 窓に映った主人に目を合わせて。微笑みさえ浮かべて、降伏セックスをお願いした。

 

 ────────ぱぁあああああああん!! と、先ほどまで以上の大音が部屋に響いた。

 

「~~~~~~っぐうぉおおおおおおおお゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙…………ッッッ❤❤ イクイク、イックぅうううううう……❤❤」

 

 唸り声を上げて、セイバーが絶頂した。挿入中だというのにぶちゅぶちゅとマンコが潮を吹き、チンポとの隙間から飛び散る。

 

「床が汚れちゃいましたよっ、アルトリアさん。ほら、もう一発!」

「ぴぎぃいいいいいいいっ❤❤ ごっ、御免なさいっ、マスターっっ❤❤」

 

 汚したことを口実に、更に2発、3発と少年が平手を喰らわせる。その度にセイバーはアクメした。尻がぶるぶると震え絶頂の激しさを物語る。膝ももう立っていられないようだったが、必死で腰を突き上げてチンポの挿入を保っていた。

 

 乾いた音が連続して響く。その一発ごとに、ピストンの一回ごとに、セイバーの心と身体が少年専用になっていく。

 

「はあっ、はあっ、はあ…………!」

 

 歩の方もどうにか射精を堪えながらセイバーの膣を穿っていた。歩としても、本心からセイバーを虐めたいわけではなく彼女の興奮の助けになるからと思ったが為のスパンキングだったが、その遠慮が絶妙にセイバーのツボに入る力加減となっていた。叩く度にキュンキュンと収縮しチンポを締め上げる膣の気持ち良さもあって、射精欲が昇っていく。

 

「っ、アルトリアさん、僕また……っ!」

「お゙っ❤ お゙ほっ❤ わ、分かっている❤ 私の中で、ちんぽが膨らんでいるぞ……❤ 出すのだな、私の中に……貴様の種を……❤」

 

 尻叩きをやめて、ピストンに集中する。セイバーも歩を受け入れるように迎え腰で抽送を受け止めた。

 前後運動の間隔が短くなっていく。だんだん引き抜かれるというより、カクカクと膣奥に押し付けられるような形になっていた。射精が近いことを二人とも察知して、深く繋がり合う。

 

「出るっ……アルトリアさんっ、いいですよね、中に……!」

「ああ、勿論だ……❤ 中でなければ許さないぞっ❤ 私の初めてを奪って屈服させたのだ、しっかりその証を植え付けてくれ……❤」

「っっ…………! 好きですっ、アルトリアさん……大好きです……!」

 

 背後から抱き締めるようにもたれ掛かった少年を支えながら、セイバーが中出しを了承する。

 そして、後ろを向いたセイバーの唇を歩が奪った時。

 

 ─────びゅる、びゅくるるるるるるるっ! どぴゅ、ぶぴゅるるるるるるるるるるる……! 

 

(あ…………❤ 出てる、アユムの精液……私の胎の中に、全部……❤)

 

 子宮を直撃する熱さに、隷属アクメがセイバーの全身を駆け巡る。

 ちゅぱ、ちゅぷ、と少年と舌を絡ませながら。

 

(……最後の中出しの時だけ、こんなに優しく甘い口付けをしおって……❤ こんな性交を味わわされたら……本当に二度と貴様から離れられなくなるではないか……❤)

 

 うっとりと想い人の欲望を受け止めて。

 セイバーは、自分を白く染め上げる少年への愛情を感じていた。

 

 

 

 

 

 

「…………ふぁあああああ…………」

 

 歩は通学路を歩きながら、大きくあくびをした。

 時刻は夕方。帰りの道である。眠たく重い身体を引きずってマンションを目指す。

 

「眠い……。まあ、昨日は夜明けまでああだったし……」

 

 あの後。

 セイバーと歩は、夜明け近くまでお互いの身体を貪っていた。翌日学校があるなどということは頭から吹っ飛んでしまっていたのだ。

 歩は真面目に授業を受けようとしたが、何度かうとうとしてしまっていた。それでもしっかり眠ったわけではないので、夕方になって更に眠気が襲ってきてしまっていた。

 

「まあいいか。帰ったら寝ればいいし…………、ん?」

 

 マンションの前に差し掛かると、誰かが入口前に立っているのが見えた。

 独特の黒いドレスに、金色の頭髪。近付いて見れば、やはりそれはセイバーだった。

 

「む。アユムか。……その、待っていたぞ」

「そ、そうでしたか、アルトリアさん。昨日は改めて、その……ありがとうございます? いや、すいません……?」

「……ぷっ。なに、貴様が礼を言うようなコトではない。あれは私が望んだ行為なのだからな」

「……あはは。そう言って貰えると助かります」

 

 二人で笑い合う。セイバーの笑顔は柔らかくて、出会った頃の硬質なものとは大違いだ。彼女と親密になれて良かった、と歩は改めて思った。

 

「その、だな。貴様を待っていたのは報告があるからだ」

「報告ですか?」

「ああ。私の同居人が帰って来てな。……まったく、へそくりを勝手に使ったなとこっぴどく絞られたよ。それで、だからつまり。もう貴様に料理を作って貰いに行く、という必要はなくなった」

「ああ……そうなんですね。それは、良かった……です」

 

 同居人が戻ったのはいいことだ。

 けれど、歩の胸に寂しさが過る。彼女の言う通り、つまりそれは二人が会う必要性がなくなったということ。彼女が会いに来る口実が消えたということだ。

 俯く歩に、しかしセイバーが言う。

 

「まあ、丁度いい機会だと思ってな。私も今の状況に甘えている節があった」

「…………え?」

 

 歩が顔を上げる。

 そこには、甘く笑う彼女がいた。

 

「もう言い訳するコトはない。口実がなくても逢いたければ逢えば良いのだ。

 ……アユム。私が貴様と会っていたのは料理がどうだの、同居人がいないからだのというコトではないよ。ただ単に、好きな男の子に逢いたかったというだけの話だ」

 

 そう囁きながら。

 

 セイバーはそっと歩に口付けた。道端だというのに、人目を気にせずゆるく唇を押し付ける。

 歩の方は、エッチの時と違い固まるばかりだ。まっすぐな彼女の求愛に、すっかりペースを握られてしまっている。

 

「…………ぷは。ふふ、やはり良いものだな、貴様とのキスは」

「はぁっ……あ、アルトリアさん……」

「アルトリア、でいい。……それで、アユム。早速お誘いなのだが」

 

 セイバーは、可愛らしく小首を傾げながら。

 

「……このあと、食事でもどうだろうか。ああ、私の奢りでいい。昨日の借りだ。我々のしがらみのない第一歩、というコトで」

 

 当然、歩に断る理由はない。息を整えてから、セイバーに答えを返す。

 

「…………勿論です。えっと、どこに行きましょう。アルトリアは行きたい所、ありますか?」

 

 セイバーは若干恥ずかしそうにしながら、

 

「……とりあえず、肉を喰える店がいい」

「ぷっ……はははっ。言うと思いました。それじゃ、モールのフードコートに美味しいステーキ屋があるんですけど」

 

 

 すっかり眠気も吹っ飛んで、彼女と共にお店に向かう。

 二人は手を繋いで、仲睦まじくデートへ出掛けて行った。

 




セイバーオルタ編でした。気付けば今までで一番長くなってしまいました。
最近NTRばっかり書いてたので、いちゃらぶエッチが書けて楽しかったです。

次はアイリか橙子さんの予定です。大人のお姉さんが書きたいので。


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冬姫同居(アイリ)

アイリ編、4話予定。

寝取り要素を含みます。


「──あ、お帰りなさい歩くん。学校お疲れ様っ」

「はい。ただいま帰りました」

 

 学校から帰った歩が玄関のドアを開けると、明るい声が部屋の奥から響いた。

 

 挨拶を返してから、荷物を廊下の棚いれに置いて脱衣所で制服を着替える。そのまま行こうとしたが、あの人の前に出るのだと思い直して少し髪型を整えた。

 リビングへ入る。夕食の準備中なのだろう、居間に併設されたキッチンからいい匂いが漂っている。くつくつとなべが沸いているコンロの前で、一人の女性が立っていた。

 

 身長は160cm程度。腰まで届く絹糸のような銀髪がさらりと流れている。貴族風の赤い服を豊かな胸が押し上げているが、下品な印象はなくどこか気品を感じさせる。外出時は履いている足を包むブーツを今は外しており、短めのスカートから白く長い生足が大胆に露出していた。

 

(………何度見ても、お姫様みたいに綺麗な人だなあ)

 

 ふと見惚れてしまう歩に、料理中の彼女が振り返る。

 

「夕ごはんはもうちょっと待っててね、歩くん。お風呂もいれてあるから先に入る?」

「あ、いえ。お手伝いします」

「えっ? いいのいいの、用意は私がするから」

 

 お皿やコップを出すくらいなら自分もやれるだろうと思い申し出たが、彼女は慌てたように言った。ぱたぱたと手のひらを向けて、キッチンに入りかけた歩を止めようとする。

 

「でも、一人だけじゃ大変じゃないですか? それに全部やって貰ってしまうのも……」

「良いのよ、気にしないで。これは私がやりたくてやっているんだもの。約束でしょう、お盆休みの身の回りのお世話は私がする、っていう」

 

 手伝ってくれようとする気持ちは嬉しいけどね、と微笑んで言う。

 そう言われてしまえば、歩からこれ以上迫るのも無粋というものだ。ここは素直に厚意に甘えるべきだろうと歩は思い直した。

 

「そうでしたね、すいません。じゃあ先にお風呂に入ってきます」

「うん、どうぞ。……あ、夏だからってシャワーだけじゃなくてちゃんと湯船に入るのよ。しっかり肩まで浸かって暖まるコト。気温が高くてもね、意外とお腹は冷えてたりするものなんだから。それと私の部屋から海外産の良いソープを待ってきたから使ってみて。肌に優しくて潤い成分があってね、私オススメの愛用品よ。それから洗面所の戸棚に……」

「は、はい。ありがとうございます」

 

 まるで自分の子の面倒を見る母のような、いやそれ以上の甲斐甲斐しさを受けて嬉しいと同時に気恥ずかしくなってしまう歩。

 そんな少年へ、彼女────アイリスフィール・フォン・アインツベルンは生き生きとお節介を焼くのだった。

 

 

 

 歩とアイリは数日前から、奇妙な共同生活を送っている。

 その発端は、両儀式によるものだった。

 

 アイリと式は親友であり、ともに結婚及び出産済みの人妻だ。

 二人はひょんなことで出会い、すぐに意気投合した。単に性格が合っただけでなく、境遇も似ている所があった。夫は仕事柄家を空けることが多く、他の家族も式の娘は塾や知り合い宅へ入り浸り、アイリの方は海外へ留学へ行っている。時折帰っては来るものの、一年に一度か二度といった程度だ。放ったらかしにされ、夫婦仲はかなり冷めていた。

 

そこへ同じような悩みを持つ相手を見つけ、すぐに二人はお互いの家へ頻繁に招き合うほど親密になっていった。それからしばらくして、もうひとりメディアというこれまた似た立場にある女性とも知り合い、三人でよく過ごすようになった。メディアは少し気難しい所があったものの決して悪人というわけではない。むしろ着飾らず率直な言動には好感が持てるくらいだった。

 

 そんな事情から親友たちのことを信頼しているアイリだったが、数日前その両儀式から思わぬことを提案された。

 それは、最近式が親しくなったという、歩という名の少年の面倒を見てみないか──ということだった。

 なんでも歩の母親は色々な事情で家を離れることが多く、このお盆休みは丸々不在らしい。もちろん報酬は出すからその間の家事手伝いをしないかという。そこには歩への心配だけでなく、家族がおらずひとり寂しく家で鬱々としているアイリへストレスを発散する場を与えよう、という式の気遣いがあることにアイリは気付いていた。

 

 とはいえ、その提案に素直に乗ることは出来なかった。式は歩を誠実でおとなしく、邪気のない可愛らしい少年だという。しかし以前式との会話に出したように、件の少年のことはアイリも知っていた。式の擁護とは裏腹に耳に入る少年の話題と言えば金髪美女と歩いていたとか、女子高生の管理人さんと仲良くなったとかいうことばかり。アイリも以前小柄な金髪の少女と彼が一緒に部屋に入っていく所を見たことがある。それに夫婦仲は冷めているとはいえ、おいそれと年頃の男の子と二人きりになるわけにはいかなかった。

 

 しかし、不思議なのは式の態度である。アイリが彼女の提案に二の足を踏んでいると、かなり熱心に説得してくる。きっと相性が合うはすだ、たまには私たち以外の若者と接して気分転換してみるのもどうだ、悪い奴じゃないから──と少年とアイリの接触をどうにも推してくるのだ。身持ちが固く異性になど興味の無さそうな式のことだ、まさか少年と怪しい関係にあるなどということは無いだろうが、懇意にしてはいるらしかった。

 メディアにも相談したものの、興味なさげに『さあ、好きにすれば』と言われるだけ。迷ったあげく、アイリは結局折れることにした。初日は式の面会のもとに少年と顔合わせして、二日目からは一人で少年の部屋へ訪れるようになった。

 

 

 そして今。

 五日目に入った現在では、アイリは歩との関係をスタートして本当に良かったと式に感謝の気持ちさえ抱いていた。

 

 

 

 

 

 

「どうかな、肉じゃが。久しぶりに作ったんだけど」

「すごく美味しいですっ」

「ふふ、なら良かった」

 

 学校帰りでお腹が空いていた歩がごはんを掻き込むのを、嬉しそうに見るアイリ。

 しばらく他人に食事を作るということをしていなかったし、こうやって自分が作った料理を美味しそうに食べて貰うというのも久々だ。喜びと、夢中で食べてくれる少年の愛嬌を感じる。

 

 最初こそどんな男の子だろうと緊張していたアイリだったが、すぐに歩が式の言っていた通りの少年だと判った。この年代の少年としては珍しいくらいに他人に配慮が出来るし、邪気がない。今日も本来は休みのところを、自主的に学校で勉強してきたのだという。式が気に入るのも判る、良い少年だった。

 なにより、ちょっとからかうと慌てたり、好きな女の子はいないかと聞くと照れたりと可愛らしく反応してくれる。異性との談笑というものをほとんどしてこなかったアイリにとっては楽しく刺激的なことだった。

 

 元々の予定では共同生活は食事や掃除洗濯の時だけという話だったのに、今では朝食を作りに来たアイリが歩の家を出るのは夕食後になっていた。入浴と就寝以外は歩の部屋に入り浸っているような状態だ。

 

「……ごちそうさまです。すいません、作って貰ってばっかりで」

「もう、だからいいんだってばっ。あんまり遠慮するのも良くないのよ? そんなコトより、もっとちゃんと誉めて欲しいな」

「ご、ごめんなさい。その、また食べたいくらい美味しかったです」

「あら、嬉しいコト言ってくれるじゃない。それじゃあまた作っちゃおうかしら」

 

 くすくす笑うアイリに、歩はむず痒い思いだ。

 

 歩としても、式に突然この状況を提案された時は当惑した。まったく面識のない年上の女性と過ごせと言われたのだから当然だ。

 とはいえ女性に対する興味は津々な歩である。式にアイリの人柄を説明されたうえ、その北欧系の美貌を見て一目で魅了されてしまった。アイリよりよっぽど抵抗は少なかったと言えるだろう。

 

「それじゃ、お皿洗わなきゃ。流しまで持ってきてくれる?」

「あ、皿洗いくらいは僕にやらせてください。アイリさんのぶんも」

「えー? もう、別にいいのに。……でもお言葉に甘えちゃおうかな」

 

 歩の親切心に嬉しそうにして食器を預けるアイリ。

 シンクでお皿を洗う歩の隣で、使った調味料や具材を片付けていく。

 

「あ。そうだ」

「はい?」

 

 ふとアイリに話し掛けられ、歩は手を動かしながら答えた。

 

「そういえばさ、聞いてなかったと思って。……歩くんと式って、どうやって知り合ったの? 式からはすっごく信頼されてるみたいだし。お友達の私が言うのもなんだけど、けっこうあの娘に心を開かせるのはタイヘンだと思うんだけどな」

「あー……えっと」

 

 言葉に詰まる。そう問われても、まさか率直に『陰から自分を想って発情していた式をまんまと手篭めにしました。今では週一で密会する関係です』などと言えるはずもない。どうにか誤魔化そうと、適当なことをでっち上げる。

 

「そのですね、えーっと。あの、共通の友人がいまして。このマンションの、ライダーさんって言うんですが。その繋がりで顔見知りになったんです。別に怪しいもんじゃありません」

「ふーん……?」

 

 訝しそうにするアイリ。歩も嘘は言っていないが真実も言っていない。もっと踏み込もうとアイリが再度尋ねてきた。

 

「じゃあさ、そのライダーさんとはどうやって知り合ったの? ……もういいか、ぶっちゃけて聞いちゃうね。歩くんってさ、色んな女の子と仲が良いみたいじゃない。あれってホントなの?」

「ええっ!? そ、そのう……」

 

 大胆な質問をされ目を白黒させる歩。すっかり皿洗いの手は止まってしまっていた。

 答えられずあたふたする少年をじっと見てから、ふっとアイリは表情を緩めた。

 

「ま、いいわ。事情があるみたいだし。歩くんなら悪いコトはしてないでしょう。……いちおう聞くけど、してないわよね? 実は女の子とあそび呆けてるとか」

「な、ないですないですっ。僕なんてほら、まだ子どもですからっ」

「ふふ、そうよね。あ、でも歩くんは十分大人だと思うわよ。今まで一人の時は歩くんが家を守ってたんだものね。中学生でも、それだけしっかりしてたら立派だわ」

「そ、そうでしょうか」

 

 ええそうよ、と笑うアイリに少し後ろめたい気分。実際の所は日替わりで誰かの部屋に泊まるか誰かが泊まりにくるかという毎日であり、アイリとの共同生活の事も式とのベッドの中で聞いたのだった。

 

「……っと。皿洗い終わったので拭きますね」

「お疲れさま。じゃあ私が棚に入れていくから、順番に渡してくれる?」

「判りました」

 

 歩が布で拭いた食器を渡すと、アイリがテキパキと棚に置いていく。四日目ともなればアイリも勝手知ったるもので、置場所に迷うこともない。

 お皿を渡しつつ、歩はアイリを盗み見た。

 

(……本当に綺麗な人だなあ。それに綺麗なだけじゃなくて、ちょっとこう……お母さん、って感じがするというか)

 

 さらさらの銀糸から垣間見える、人形のように整った顔。

 しかしそこに無機質な印象はない。むしろ二十代後半の外見だというのに高貴な無邪気さや母性といったものが湛えられている。そのアンバランスさがまた彼女の独特な魅力になっていた。

 

(……いつもは一人で寂しく家にいるんだっけ。いや、最近は式さんとかといるみたいだけど。……僕と一緒にいて、少しは楽しく思ってくれたらいいな)

 

 ぼうっとして考える歩。

 

 ──それがいけなかったのかもしれない。ふと、皿を渡す歩の手と、受け取るアイリの手が触れてしまった。

 

「あ」

「っ────!!」

 

 慌てたのか、アイリが弾かれるように手をひっこめる。

 二人の間でちょうど手渡しされていた平皿が、ガシャンと床に落ち、割れてしまった。

 

「ごめんなさい! 大丈夫ですか、アイリさんっ」

「あ……わ、私のほうこそごめんなさい。ちょっとびっくりしちゃって」

 

 すぐさま床に散らばった破片を拾い集める歩とアイリ。破片が残ったら足裏を怪我してしまうかも知れない。見落とさないように拾い集めていく。

 

 と、

 

「あ、痛っ……」

「アイリさん? ……うわ、血が出ちゃってるじゃないですかっ」

 

 破片で切ってしまったのか、アイリの指に傷が出来ていた。深く切ってはいないらしいが、ひとすじの鮮血が伝っている。

 

「うわ、まずいな……絆創膏あったっけ」

「だ、大丈夫よ歩くん。このくらい」

「駄目ですっ!」

「っ……」

 

 鋭く言った歩に、少し気圧されるアイリ。

 歩にとって女性の身体とは大切に扱わなければいけないものだ。しかもそれがアイリのような魅力的で美しい淑女とあれば尚更。血が流れるほどの切り傷など、見過ごしていいものではなかった。

 

「駄目だ、無いなあ。……仕方ないか。アイリさん、このタオルを巻いておいてください。薬局で絆創膏と消毒液を買ってきますから」

「え、あ、歩くん」

 

 おろおろするアイリを置いて、歩は薬局へと走っていった。

 

 

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 

 

 

「……うわ、運がない」

 

 歩のマンションから歩いて15分ほど。

 近場にある大型薬局で必要なものを揃えた歩は、自動ドアをくぐると悪態をついた。

 

 行き道では曇っている程度だった空は、今ではかなり激しい雨に変わっていた。もう夕飯時過ぎということもあり辺りは一気に真っ暗になっている。

 数分待ったが、雨が弱まる気配はない。コンビニなら売り物の傘を出すだろうが薬局では見込めないだろう。しかしこのままアイリをずっと待たせておくわけにもいかない。

 

「まあ、もう一度お風呂に入ればいいんだし。走っちゃおうか」

 

 ビニール袋を握りしめる。そのまま歩が走り出そうとすると、

 

「──あっ、いたいた。ちょうどいいタイミングで来れたみたいね、私」

 

 前方から。歩の家の傘を差したアイリが、歩の方へ雨の中を近付いてきた。

 

「あ、アイリさん? そんな、待っててくれれば良かったのに」

「そういうわけにもいかないでしょ。自分の為に出ていった男の子にこんな雨の中を走らせるほど人でなしじゃないわよ、私」

 

 片手で傘を握るアイリ。

 もう片方の手は、歩に巻かれたタオルが握られている。やはり痛いのだろう、そちらは刺激しないように垂れ下がっていた。

 

「すいません、アイリさん。まだ痛いですよね」

「もうっ、歩くん。だから、さっきも言ったでしょう」

 

 隣に立ったアイリが、歩に笑顔を向けて言う。

 

「そういうときはね、すいませんよりありがとうの方が嬉しいのよ。親しい間なら尚更ね」

「……あはは、そうでしたね。はい、ありがとうございます、アイリさん。……正直、アイリさんが見えたとき、すごく嬉しかったです」

「そうそう、そういうのが一番よ。言われた方も、ああやって良かったなー、って思えるんだから」

 

 くすくす、と笑い合う二人。

 

 だがいつまでもこうしていては、せっかく急いだ意味がないというものだ。気を取り直して歩とアイリが家路に着こうとすると。

 

「……あれ。アイリさん、もしかして傘、一人分ですか?」

「………………あっ」

 

 ぽかんとするアイリ。

 片腕を怪我して使えないせいもあったのか。アイリが持ってきた傘は、無事な腕で差してきた一本だけだった。

 

 

 

 

 

 

「う、ううっ。私ってもしかして、もうボケてるのかしら……」

「そ、そんなことはない……と思いますよ」

「ああっ、歩くんのフォローも苦し紛れっぽい……!」

 

 歩とアイリは、雨の夜道を歩いていく。

 雨はさらに激しくなり、水滴が傘を打つ。路面が車のライトを反射してきらきらと輝いていた。

 

「歩くん、交代しようか? ずっと持ってると疲れるでしょう」

「大丈夫です。このくらいなんでもないですよ」

 

 歩が傘を握り直す。

 わざわざ来て貰ったのだからと、帰り道では歩が傘を持っていた。アイリの方が幾分か背が高いので、腕を上げ続ける格好になっている。それなりに辛いはずだが、少年は弱音を吐かず傘を持って差し続けていた。

 

 年若いといえど男子としての意地なのかな、と微笑ましく思うアイリ。しかし、ふと気付く。

 

(……あれ。歩くんの肩、濡れちゃってる)

 

 傘を差していない方の歩の半身はほとんど雨から守られず、濡れてしまっている。

 アイリが自分の身体を確かめる。吹き込んだ雨で少しは濡れているがそれだけだ。歩側の半身も、もう片方も綺麗そのもの。

 

 つまり、

 

(歩くん、これ……二人ともっていうより、私が濡れないように傘を差してるんだ)

 

 そう認識した途端。

 ──どき、と軽く心臓が鳴った。

 

(……あれ、なにドキッとしてるんだろ)

 

 ?? と胸に手を当てて首を傾げるアイリ。

 

 そういえば、今までもこういうことが何度かあった。例えば歩に手料理を誉めて貰った時。例えば一緒に買い物へ出掛けて、歩に手を引いて案内して貰った時。例えば、お風呂上がりでまだ下しか着ていない歩と出くわしてしまった時。

 彼との共同生活では、今まで感じたことのない不思議な鼓動を感じることがあった。それは日の経過と共に感じる機会が多く、また強くなっている気がした。

 

(……うーん。不整脈? いやいや、だからまだそこまで年取ってないってば)

 

 見当外れのことを思うアイリ。

 

 奇しくも、それは式の狙い通りの事象だった。

 式は大まかなアイリの過去を聞いている。それと式自身が見立てたアイリの性格から、彼女の恋愛感情についてある推測をしていた。

 

 アイリは一般的な恋愛過程を踏んでいるとは言い難い。恋を知る前に妻になり、愛を知る前に母になった。確かにそれらの感情は結果的にアイリの中に生まれたのだろう。だが、それはあくまで後から追い付いてきたもの。現在進行形で積み重ね、味わった経験はないのではないか、と。

 要するに人妻であり母親であるアイリは、同時にまだまともな恋愛経験を積んだことのない、恋愛処女とでもいうべき女性なのではないかということだ。

 

 それはまさしく図星だった。歩があまり男くささのない、中性的な少年であるということもあったのだろう。中学生くらいの恋愛情動のままのアイリの心は、ひょんなことから出逢った少年にこれ幸いと遅れて来た初恋を覚えさせて貰おうとしていた。

 しかし、それだけではない。アイリが持て余していたのはもうひとつ。母親となりいみじくもアイリの中に生まれた母性は、家族を失ったことで溢れ爆発しそうになっていた。そこへそれを存分にぶつけられる少年が現れたのだ。

 

 親友を『旦那様』に献上し、あわよくば二人仲良く可愛がって貰おうと目論んでいた式。

 そんな彼女でも想定していないほどに、歩はアイリの欲求を満たし尽くしてしまう少年だったのである。

 

「アイリさん、傷痛みませんか? もうすぐ着きますからね」

「う……うん。平気よ」

 

 話しながら歩く二人の脇を、道路の雨水を巻き上げながら車が走っていく。

 

(……あ、そっか。さっきからたまに立ち位置を変えてると思ったら歩くん、道路側に立って私を水跳ねから庇ってくれてるんだ)

 

 アイリよりも小柄な身体で彼女をエスコートする歩。

 そんな姿に、またキュンとしてしまう初心な人妻だった。

 

 

 

 

 

 

「それじゃ、また明日ね。歩くん」

「はいっ。おやすみなさい、アイリさん」

 

 ばたん、と歩の部屋のドアを閉じて。

 廊下に出たアイリは、ふうとため息をついてドアに背中を預けた。まだ夜空を雨が降りしきっている。

 

(……なんで、こんなに寂しくなるんだろ)

 

 歩との時間が終わり、彼の部屋から薄暗い夜のマンションの廊下に出たとき。毎回、以前ひとりで家にいるとき感じていたのよりもずっと強い寂しさが胸を打つのだ。

 思えば彼と会うようになってから、ドキドキしたり嬉しくなったり寂しくなったりという心の動きが増えている気がする。それは怖いようで、またどこか幸せな感情だった。

 

(……まだ、手が熱を持ってるみたい)

 

 指に巻かれた絆創膏を撫でる。ちょっと緩めに巻かれたそれは、歩が巻いてくれたもの。ついさっき、自分ではやりにくいだろうからとアイリの手を握って優しく巻いてくれたのだ。

 

(…………ん…………)

 

 何となしに、唇へそれを触れさせてみる。

 

 この程度の傷が熱を持っているはずはないだろう。だというのに、じんわりと唇が熱くなった。

 数秒間その熱を味わってから、はっと気を取り直す。

 

(な、なにしてるんだろ、私。こんなところ他の人に見られたら変に思われちゃう)

 

 ぶんぶんと頭を振って熱を覚まし、自分の部屋へ歩いていく。

 その途中。

 

「……早く、また明日が来ないかな」

 

 ざあざあという雨音に掻き消されるくらいの小声で、アイリは呟いていた。

 




アイリ編では読者の方から頂いたアイデアをいくつか入れてみました。メッセージを下さった方々、ありがとうございました。


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冬姫逢引(アイリ)

「私、アニメ映画って観るの初めてだなあ。なんだかワクワクするわねっ」

「人気で評判もいいみたいですよ。特に背景が綺麗だって話題なんです」

 

 目を輝かせるアイリに歩は笑いかけた。

 

 大型ショッピングモールに併設された映画館。休日で賑わうシネコンのチケット売り場の列に二人は並んでいた。夏休み商戦でファミリー向けの作品が上映されており、家族連れが多く見られる。

 独特のポップコーンの匂いが店内に漂っている。歩は映画が好きでたまに観に来るのだが、アイリは滅多に経験がないらしい。

 

 二人はこの夏話題のアニメ映画を観に来ていた。歩は大ヒットした前作でこの作品の監督のファンになり、新作を楽しみにしていた。当初は一人で観るか同じく映画好きのアルクェイドを誘おうかと思っていたのだが、せっかく縁が出来たのだからとアイリを誘ってみたのだ。アニメ映画は観たことがなく、興味を持ったアイリは二つ返事で了承してくれた。

 

「良かったわねー、隣同士の席が残ってて。こんなに人気なのね」

「二年前……もう三年前かな。まだ小学生だったんですけど、前作がヒットしてて僕も観てみたんです。それが凄く面白くて。あれでファンが増えたんでしょうね」

 

 売店でポップコーンとジュースを買って、チケットを店員に渡し中へ。話題の映画が割り当てられている大きな箱は大体がシネコンの奥の方にある。ドアをくぐって館内に入ると、もう座席はほとんど満席の状態だった。

 二人の席はかなり前の方の一番隅っこ。もう空きが少なく、並んで取れる席がここしかなかった。人気作品らしく老若男女さまざまな観客が座る座席の隣を通って、自分たちの席へ。荷物を置いて、歩はふうと息をついた。

 

 上映前の宣伝が流れる。大抵これから数ヶ月以内に上映開始予定の映画の予告編が流れるこの時間が、歩は嫌いではなかった。今度はどの映画を観ようかという情報収集になるし、何より大画面で観る予告はスマホやPCで観るのとは丸で違った迫力があるものだ。

 

「CGって綺麗ね、あのライオンとか本物みたい。……わっ。このピエロちょっと怖くない? 映画館でホラー映画観れる人って凄いね、私ぜったい無理だな。でもちょっと面白そうかも……」

「ふふっ。アイリさんが興味があったら、僕が付き合ってもいいですよ」

「えっ、本当? ……うーん、でも怖いわね……」

 

 アイリは興奮したように予告編の内容を歩に話し掛ける。一応注意した方が良いかとも思ったが、これだけ沢山の観客がいる館内だ。アイリが喋ろうが喋るまいが関係ないくらいにはざわざわしているから、まあ上映が始まるまではいいかと歩は思った。

 

 やがて予告が終わり、室内灯も消され上映が始まった。一気にシンとするのに合わせてアイリも口を閉じる。

 この映画は恋愛作品だ。美しい作画と音楽が、少年と少女の物語を彩る。主役に声優を配役しておらず、演技の飾り気のなさが作風に合い逆にいい味を出していた。きらびやかでもありまた影もある都会で繰り広げられる主人公とヒロインの出会い、そして逃避行を、歩は集中して観ていた。

 

 ──と。ふと、右手になにかが触れた。

 

(……あ。アイリさん……)

 

 それは、アイリの左手だった。肘掛けに置かれた歩の手に被せるようにぎゅっと握られている。

 無意識の行動だったらしい。アイリの目は歩の方を観ていない。夢中で観ていた歩よりもさらに釘付けになって、ボーイミーツガールの物語に魅入っている。

 やがて。少年が少女を失う場面で、ツッとその赤い瞳から涙が零れた。それをぬぐうこともせず、アイリはスクリーンだけを観ている。

 

 光に照らされるその横顔を、歩は綺麗だと思った。

 

 

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 

 

「ぐすっ。うぅぅ……ちゃんと再会できて良かったわねぇ……」

「あ、あはは……。ほらアイリさん、ハンカチ使ってください」

 

 ありがどぉ……と咽びつつ、ハンカチで目元を押さえるアイリ。

 

 映画が終わり、二人はモール内の小さな喫茶店で休憩していた。歩は自分のアイスコーヒーをズズ、と飲む。

 終わった時からアイリはこんな感じだった。元々の感受性も高いのだろう、映画はアイリの心をいたく感動させたらしい。ぐしゅぐしゅと座席で泣き始めてしまった彼女をなんとかここまで連れて来たのだ。

 

「でも、確かに面白かったですね。特にクライマックスの辺り。最後に出会うところもホッとしました」

「そこよね、そこっ」

 

 歩の言葉に、食い付くようにアイリは言った。

 

「最後がハッピーエンドかどうかって重要だと思うのよっ。特にこういうロマンスのお話は。もしヒロインの子が助からなかったり、最後に出会えなかったりしたら監督さんに抗議しにいく所だったわ。ううん、そんな元気も出ないくらい泣き疲れちゃうかも。やっぱり他の事情とか損得を抜きにしても、いま好きな相手のほうを取るってステキよね」

 

 結ばれてくれて安心したわ、と自分のミルクティーをこくこくと飲むアイリ。監督の過去作を観せてみようかな、気絶するくらい泣くかも──と歩は思った。

 

「でも、やっぱり誰かと観る映画もいいですね。僕、いつもは大体一人で観に来るんですけど。今日はアイリさんを誘って本当に良かったです」

「えっ……そ、そうかな。うん、私も……歩くんと観れて楽しかったわ」

「……?」

 

 何故か恥ずかしそうにはにかむアイリ。泣いたせいでまだ目元が赤いからその為だろうか、と歩は思った。

 

「それじゃ、この後はどうしましょう。ついでにお買い物して行きましょうか。それとももう帰ります?」

「うーん。晩御飯の食材は買ってあるし、もう必要ないかも。……あ、でも確か洗剤がなくなってたわ」

「じゃあ、それだけ買って帰りましょうか」

 

 ここはセルフサービスだ。飲み物もあらかた無くなり、トレイに乗せて持っていく。

 昼時で混み合った店内を進む。しかし、返却口の前まで来た時、歩の後ろにいたアイリが他の客にぶつかり、よろめいてしまった。

 

「わっ!」

「きゃ……あ、歩くんっ!?」

 

 がしゃ、とトレイの上のコップが倒れる。

 ぽたぽた、と水滴が床に垂れる。アイリの飲み残しのミルクティーが、歩の服にかかってしまっていた。

 

 

 

 

 

 

「ああもう、本当にごめんなさい。私っておっちょこちょいね……」

「いえ、もう帰るところでしたし。洗剤もまだありますから、また買っておきますよ」

 

 濡れた歩の服を気遣うアイリに、歩は軽い口調で言った。

 

 流石に紅茶のぶっかかった服では買い物は出来ないので、今日は切り上げて帰って来ていた。帰り道の間中アイリは申し訳なさそうにしていたが、実際のところ歩は特に気にしていなかった。

 

(また今度お詫びするから、ってアイリさんは言ってくれるけど。正直、アイリさんと映画デート出来ただけで十分なくらいだよね)

 

 まあ向こうはデートだとは思ってないだろうけど、などと考えながら歩いていると、二人の住むマンションに着いた。

 エレベータに乗って階を上がり、歩の部屋の鍵を開ける。夏のこもった空気で部屋が暑くなっていたので、冷房を強めに点けた。

 

「じゃあすいません。ちょっとシャワーを浴びて来ます」

「うんっ。服はカゴに入れておいて。洗濯しておくわ」

 

 ありがとうございます、と言って歩は脱衣所に入った。

 

 濡れた服の感触が気持ち悪かったので、すぐさま脱ぎ去る。ズボンもおろして下着姿になると、ようやく涼しくなった。

 

「……あ、そうだ。新しいボディタオル、買ったんだっけ」

 

 せっかく入るのだから身体もしっかり洗ってしまおう、と先日買っておいたタオルを探す歩。

 しかし、中々見つからない。風呂の入り口の側に置いておいたはずだがそこにはなかった。おかしいなと思いつつ洗面台下の戸棚を開けると、ようやく見付けた。おそらくアイリがしまっておいてくれたのだろう。

 

「よし。やっと入れる」

 

 気を取り直し、パンツも下ろす。

 浴室のドアを開け、そのまま入ろうとすると。

 

「歩くん、もう入ったわよねー? さて、お洗濯しないと」

「あ」

 

 ばったりと。脱衣所のドアを開けたアイリと、目が合った。

 

「………………え? あら?」

 

 キョトンとしたアイリ。目の前の光景を理解出来ないのか、固まってしまっている。

 その視線が、ゆっくりと下へおりていく。

 

「えっ…………あ? んっ???」

「あ、アイリさん……」

 

 気まずい沈黙が二人の間に降りる。

 やがて、しっかりと歩の下半身を直視してから、

 

「そのう…………ごめんなさい…………」

 

 真っ赤に茹だった顔で、静かにアイリはドアを閉めていった。

 

 ドアを開けられた時と同じ格好で固まっていた歩。

 その身体から力が抜ける。

 

「なんかこれ……アルクェイドさんとの時も同じようなことがあったな……」

 

 あの時とはちょっと違うけど、と。

 がっくりと膝をついて、少年は羞恥に悶えるのだった。

 

 

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 

 

「………………」

「………………」

 

 カチャカチャ、と食器が擦れる音だけが響く。

 テーブルに向き合った二人の間に、会話というものは一切ない。

 

 もう時刻は6時過ぎ。二人は歩の作った和食の夕飯を食べていた。

 いつもは会話の弾んでいる食卓には、今日は沈黙が満ちていた。二人とも気まずい空気を払えず、お互いを窺っては目を逸らしている。

 

 あのお風呂場事件の後から、歩とアイリの空気はずっとこんな雰囲気だった。特に恥ずかしそうだったのは見られた歩より見たアイリの方で、歩が話し掛けても目を見ることも出来ず、か細い声で返事をするだけ。それは裸を見たとはいえ、中学生男子を相手にした二十代の経産婦の態度ではなかった。

 

(た、確かに気恥ずかしいとは思うけど。そこまでショックを受けるようなことかなあ)

 

 無自覚に思う歩。

 それも仕方ないことだろう。彼の中ではアイリは大人で、もう出来上がった立派な女性で、自分のような少年には好意は持ってくれていてもそれ以上のものを感じてくれているとは想像もしていないのだから。

 

 しかし、実際の所は違う。

 頬を赤らめて俯き、焼き魚を箸でつつくアイリの胸中は、

 

(~~~~見ちゃった見ちゃったあっ! 歩くんの裸、素っ裸……っ!)

 

 ────それこそ中学生のように、気になる男子の裸で一杯になってしまっていた。

 

 アイリの脳裏から、昼間の光景が焼き付いて離れない。

 小柄ながら、ちゃんと引き締まった身体。筋肉は薄いが一目で男性のだと分かる肩回り、胴体。夏の日差しに焼けた腕と足。

 そして、

 

(……い、一瞬だけど。けっこう立派だったな、歩くんの……おちん……)

 

 心の中でもはっきり言えず、濁してしまう。

 歩の股間のモノはアイリの目から見ても大人顔負けに見えた。とはいえアイリの性経験は夫だけだし、どれくらいが普通かなんて分からない。しかも歩のモノは臨戦態勢でなかったのだから、印象と推測でしか言えないのだが。

 

(……でも、そうか。優しいししっかりしてるから考えてなかったけど……歩くんも中学生なんだから。もう男の子としての身体は出来上がってるはずよね)

 

 小柄だが、しっかりと男性としての特徴を備えた身体。そして股間にぶらさがったモノ。

 それをまた思い出して、ぽーっと。

 

(…………だったら。歩くんも、オナニーとかするのかしら…………)

 

 そう、不埒なことを考えた途端。

 ────きゅん、とアイリの下腹が切なくなった。

 

(…………え、ちょっと。嘘でしょ……っ!?)

 

 信じられず目を見開くアイリ。しかし、彼女の身体は正直だ。

 

 アイリにとって、歩はある意味初恋の人に等しい。友人の紹介で出会い、関係を育み、想いを募らせた。今では一日の生活の大半をともに過ごし外出も一緒。アイリは気付いていないが、それは一般的なカップルが仲を深める過程と酷似していた。

 更にただでさえアイリが歩に惚れかけていた所に、相手のオスの裸体を見せ付けられたのだ。歩を恋愛対象候補として見ていたアイリの心身は、もう完全に少年を交配の相手として認識してしまっていた。

 

(やだやだあっ、なんで……! こんなのいつぶりよっ……!?)

 

 あまりにも久方ぶりの感覚に、アイリが戸惑う。

 

 その事実を知ったら、親友の式でさえ驚くだろう。なんと、アイリの最後の性交渉は優に10年ほど前、娘を妊娠した時まで遡る。アイリの身体を尊重するうえに仕事の都合上、愛人を持っている夫は彼女が妊娠して以来抱こうとはしなかった。これまではそれで良かったのだ。厳密には人間ではないアイリは生来性欲が薄くセックスを望まず、この10年間自慰をすることもなかった。一度だけ使った子宮は放ったらかしにされ、錆び付いて休眠していた。

 

 しかし、そこへ現れてしまったのだ。それを強引に再起動させる男の子が。

 

(うーむ。今日のサンマは塩が利きすぎたか……?)

 

 アイリが自分の身体の異変におののく一方、歩は気楽なものである。まあアイリもそのうち元に戻るだろう、と気楽に考えてごはんを頬張る。

 

 

 発情しまくりの人妻と、そんなことは夢にも思わない少年。

 二人の食卓は、そのまま沈黙続きで終わったのだった。

 

 

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 

 

「あの、アイリさん。流石にそろそろ帰られた方が」

「………………ええ」

 

 歩の呼び掛けに、アイリがポツリと答える。

 夕食の片付けもとうに終わり、ゴールデンタイムのテレビ番組も終わった。風呂も済ませてある。時刻はもう深夜に差し掛かっている。いつもならとっくに解散している頃だ。

 

 だというのに、アイリは中々帰ろうとしなかった。むしろ何かを期待するように歩をちらちらと見ている。

 

「あの、アイリさん?」

「………………」

 

 再度呼び掛けられ、観念したように歩へ向き直る。

 そして、少年をじっと見た。

 

「……あ、あの?」

 

 ちょっと拗ねたような、いじらしいような眼差し。

 ややあってから、

 

「…………ねえ、歩くん。提案があります」

「はい?」

「歩くんってさ。あんまりお母さんに寝かし付けて貰ったりしたコト、ないでしょ」

「はあ。えーと、まあそうですね」

 

 別に全くないわけではないが、そういう記憶は少ない。物心ついてからはほとんど覚えがないし、当然だが中学生に上がったくらいからは一度もなかった。

 

「や、やっぱりそうよね。それってさ、ちょっと寂しいでしょ。お母さんに寝かし付けて貰いたいと思わない? 子守唄をうたって貰って、頭を撫でられて。思うでしょ? 思うわよね?」

 

 なぜか勢い込んでまくし立てるアイリ。

 そんな彼女へ、歩は深く考えることもなく、

 

「そうですね。たまには添い寝したりして欲しかったなあ、とは思いますけど」

 

 そういえば、そんな経験はなかったなあ──ーと思いつつ答えた。

 

「なっ、あ゙っ、えぅっ…………!?」

「……あの、アイリさん?」

 

 それに過剰反応したのはアイリだ。

 何らかの不意打ちを食らったかのように目を白黒させている。顔は初めてみるほど真っ赤。北欧由来の雪を思わせる白い肌が紅に染まっている。乗り出していた身体は何かに怯えるように引かれ、腕を胸の前で交差していた。

 

「あっ、あ、あううう…………! なっ、なんて大胆なコトを……っ。でもでも、歩くんがしたいなら私は……」

「あの、大丈夫ですか? ……何か僕の知らない所で話が進んでません?」

 

 歩の言葉も耳に入らない様子で、目をグルグルさせているアイリ。興奮しているのか汗を流して思考のドツボに嵌まっている。

 

 そしてしばらくして。拳を握り、決心したかのように言った。

 

「…………わかり、ました。歩くんがそう言うなら、吝かではありません」

「はい? あの、一体なんの」

「ほら、早く着替えて。……今日は、私が添い寝してあげます」

「………………はい?」

 

 そういうことになった。

 

 




次からエロ。
アイリは書きたかったキャラなので濃厚にしていきたいです。


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冬姫添寝(アイリ)

「…………どうしてこうなった」

 

 自室のベッドの上で、歩はつぶやいた。

 寝転び、天井の照明を見ながらそわそわしてしまう。リビングの方から時折聞こえてくる物音が耳に入る。恐らくアイリが着替えているのだろう。

 

 今朝、アイリとともに出掛けていった時には想像もしていない状況に陥っていた。そりゃあ想像するわけもない。まさか、家にお手伝いに来てくれている綺麗な人妻と、同じベッドで眠ることになろうとは。

 

 勿論、これは他の女性たち────つまりは歩のハーレムのメンバーの夜のお誘いとは違う。アイリは純粋に、親切心から歩を優しく寝かし付けてくれようとしている。夜中に暇を持て余してベランダに飛び移って遊びに来るアルクェイドとか、しばらく放ったらかしにしているとキレて悪夢に引きずり込んでくるライダーとは違うのだ。そこを勘違いしてはいけない。いけないのだが、

 

(そんなこと言ったって……あんな美人さんと一つの布団で寝るなんて、耐えられるかどうか)

 

 アイリは添い寝するとしか言わなかったから、歩が眠ったら退出するつもりなのかも知れない。しかし、そもそもアイリが隣にいる状況で歩が眠りにつけるかどうかが怪しい所だった。

 

 アイリが人妻だということは、歩の興奮を阻害するものにはならない。むしろそれを自分のものにしたい、という欲望さえ浮かび上がってくる。それは一重に両儀式との関係によるものだった。人妻である式を落とし、今でも定期的に愛を交わし彼女から崇拝に似たべた惚れをされていることで、すっかり歩の中で人妻は恋愛対象内に入ってしまっていた。勿論見境なく求めるということはなかったが、アイリとの関係は存外深いものになっていたし、数々の女性遍歴を経た歩は無意識にアイリが女としても母としても満たされていない欲求不満な人妻であることを察知していた。

 

 その歩の本能が、あの北欧系の美女を喰ってしまえと叫んでいるのだ。そこに彼女の方から添い寝の申し出が来たとあらば、歩の理性がぐらつくのも無理はなかった。ここ最近はほぼ毎日のことだった女性との交わりが、アイリとの共同生活がスタートして以降は行われていないのも歩の性欲を膨らませていた。

 

 今日は共同生活が始まって6日目。歩はこの6日間、一度も自慰も性交もせず、意図しないうちにオナ禁状態になっていた。

 

(落ち着け、落ち着け……。ヘンなことをして嫌われたりでもしたらそれこそ終わりだぞ。眠ればいいだけ。ただアイリさんの隣で何も考えず、さっさと眠っちゃえばいいだけだ、うん)

 

 到底無理っぽいことをぶつぶつと念じる歩。

 そこへ、コンコン、と。少年の部屋のドアがノックされた。

 

「────歩くん。入っていいかしら」

「あっ、は、はい。どうぞっ」

 

 びくっと肩を震わせて歩が言う。身を起こすと同時、ガチャリとノブが回されてアイリが入ってきた。

 

「お待たせ。ごめんなさいね、服を取ってきて着替えてたら遅くなっちゃって。…………歩くん? えっと、どうしたの?」

「あ……いや……」

 

 食い入るようにアイリを見る歩は、上手く言葉を返すことが出来ない。

 アイリは純白のネグリジェを着ていた。豊かな胸元の谷間が覗いている。膝下までのスカート部分は透けていて、うっすらとアイリの長い足が見えていた。

 まるでそれこそ天蓋付きのベッドが似合う貴族かお姫様かというような美しさ。彼女が自分の寝室にいることが、歩には現実に思えないほどだ。

 

「ね、ねえちょっと。どうしたの、そんなにぼうっとして。……あの、あんまり見られると恥ずかしいんだけど……」

「い、いえ。その、凄く綺麗だなあって。いつもそれで寝てるんですか?」

「そうだけど。……な、なんだか私も恥ずかしくなってきたじゃない。別におかしな格好じゃないでしょう、これ」

 

 アイリが頬を赤らめて言う。確かにおかしな格好ではないが、歩にとっては目に毒だ。もぞり、と血が集まりかけている股間をタオルケットで隠した。

 

「えっと…………それじゃあ、その」

「ええ。ベッド、失礼するわね」

 

 パチン、と照明を落としてアイリがベッドへ向かう。そのまま歩の隣へ横たわった。

 

「……ほら、何してるの。歩くんも横になって」

「あっ……は、はい」

 

 言われるがままに寝転がる。彼女の方を向くのは気恥ずかしくて、仰向けになった。

 と、隣のアイリが何かに気づいたように眉をひそめた。なぜかくんくんと鼻を鳴らす。

 

「あれ…………? これって……」

「アイリさん? どうかしましたか?」

「あ、いえ。……きっと勘違いね」

 

 振り払うように言うアイリ。

 そして、歩の方へと身を寄せてきた。

 

「わっわっ……! ちょっ、アイリさんっ」

「くすっ。もう、なに慌ててるの? ほら、歩くんのタオルケット、私にも掛けてちょうだい」

 

 夏ということもあって、ベッドの上にあるのは掛け布団ではなくタオルケット一枚だ。歩の腰にだけ被されていたそれを、アイリは自分のお腹と腰に半分引っ張っていった。

 

「ふふ、半分こね。うん、夏だしこれで丁度いいかしら」

「あう……は、はい……」

 

 くすくすと笑うアイリに、歩は翻弄されるばかり。

 無理もない。今やアイリの肢体は歩の間近。ほとんど密着しているような近さのうえに、二人を包むのは同じタオルケット。もはや遮るものは何もなく、そんな状況で至近距離で微笑まれては、歩も目眩がするというものだ。

 甘い女の香りが歩の嗅覚を刺激する。そんな少年の懊悩に気付きもせず、人妻は話し掛けた。

 

「ねえねえっ。ちょっと聞いてもいいかしら? この前も少し聞いたけど、はぐらかされちゃったし。その、歩くんって……好きな女の子とかいるの?」

「え、ええっ? なんでそんな」

「ほら、歩くんもお年頃でしょうし。一応親代わりの身としては、ね?」

 

 慈しむような笑顔で尋ねるアイリ。

 もちろん、その余裕ぶった顔の下は少年への興味と関心で埋め尽くされ、心臓は爆発しそうなほどに高鳴っている。まだ想いは無自覚でも、歩への恋心に突き動かされて彼の女性関係を知ろうとしていた。

 

「好きな人は……その、いるようないないような」

「ちょっと歩くん、そういうコトははっきりしないと。適当な男は嫌われるわよ?」

「ええっと、そう言われましても」

 

 相思相愛の女性なら5人ほどいます────なんて言えるわけもない。実直な少年は上手く誤魔化すことも出来なかった。

 

「もうっ、仕方ないわね。じゃあ、いま一番気になってる人は? そのくらいならいるわよね?」

「気になってる人……ですか」

「そうそう。それってどんな人? 性格とか容姿とか知りたいな」

 

 内心、自分に似たタイプだと嬉しいなあ────なんて思いながらアイリが聞く。

 

 一方、聞かれた歩の答えは決まっていた。

 ハーレムの女の子たち以外で、一番気になっている女性。そんな相手はたった一人しかいないのだから。

 

「それは……そうだなあ。優しくて、ちょっと抜けてる所があるけど親切で」

「うんうん」

「僕より年上で、背も高くて。あと、長い髪が綺麗で」

「へ~っ。年上の女の子が好きなんだ、歩くんってば」

 

 今のところ、私にも当て嵌まるわね──なんて思いながら言うアイリ。

 暗闇故か、距離が近い故か、はたまた同じベッドの上だからか。そんな彼女に、歩はいつもなら言えないようなことを言ってしまう。

 

「それでその、海外の出身で」

「あら、それは珍しい。留学生か何か?」

「髪は白くて、雪みたいに透き通ってて。触れてみたいって思います」

「うん……うん?」

「あと、カラコンでもないのに目が赤くて見詰められるとドキッとしますし、それなのに笑うと目元が柔らかくなって」

「…………えっと…………」

「なにより、映画を見て、登場人物の為に涙を流すのが……綺麗だなって思いました」

「……………………」

 

 二人の間に、沈黙が降りる。

 両者とも、口を開かず目を合わせるだけ。

 

 あっさり形勢は逆転していた。さっきまでの大人と子どもの構図は消え、大人ぶってからかっていたアイリの顔は茹だるように真っ赤。歩も赤くなってはいるが、真剣にアイリの目を見詰めている。

 

 アイリの脳内で緊急警報が鳴り響いている。こんな風にアプローチされるのは彼女の人生で初めてだ。それでも女として本能で理解出来る。目の前にいる少年は、ただ可愛らしく幼いだけではなく。オスとしての自覚と能力を持った存在であり。

 今自分に、交際か性交か────はたまたその両方かを申し込んでいるのだと。

 

「あっ……あ、あ、あのっ…………! ごっ、ごめんなさいね、おかしなコト聞いて……落ち着いて歩くん、ねっ?」

「はい。僕は落ち着いてますけど」

「そ、そうよね。私も落ち着いてるわ、うん」

 

 あたふたするアイリを見据える。

 ここにきて、歩の覚悟は決まっていた。というか、理性がプッツンしてしまったという方が正しい。少年はもう完全に、人妻を自分のモノにする方向に動いていた。

 

「ちょ、ちょっと離れましょうか、歩くん。やっぱりあんまり近すぎるのも良くないわ。ほら、今のはなかったコトにして、今日は早く寝────え?」

「あ」

 

 ずりずり、と身を離そうとしたアイリの身体が止まる。

 タオルケットの下で身じろぎしたアイリの太ももあたりに、何か固い感触があった。ぐりぐりと上下左右に揺れる棒状の何か。服の上からでも判る熱いモノ。

 

「ああ、あわわわわわ……!?」

「す、すいません。わざとじゃないんですけど」

 

 不意打ちの接触にアイリが泡を吹く。

 それは歩の男性器だった。もっこりと寝巻きの短パンの前を押し上げている。密着状態でアイリの甘い香りを嗅いで、すっかり反応してしまっていた。

 

(いっ今の、歩くんの……おちんちん、よね……? すごい、子どものモノとは思えないくらい硬くて、大きさも……)

 

 アイリが固唾を呑む。

 想いを抱く少年の性器に触れてしまい、彼女は混乱していた。昼間も見てしまったが、あの時は勃起していない状態だった。だからまだ平静を保っていられたのだが、今は違う。しっかりと怒張した子宮に種を届かせる為の形態。好意を持ちながらも心のどこかでまだ子どもだから男女の関係にはなれないと思い込んでいた前提を崩され、一気に彼に対するストッパーが外れてしまう。

 

 何よりも少年が明らかに自分で興奮してくれたということが、アイリに多幸感を弾けさせる。脳内麻薬のようにアイリを痺れさせたそれは、彼女に大胆な行動を促した。

 

「……あ、歩くん。また、ヘンなコト聞いていい……? あの、答えたくなかったらいいから」

「は、はい。なんでしょう」

 

 はふ、はっ、と息を荒らげて、アイリが言う。

 

「もしかして、さ……ここ最近、私が邪魔で、おな……オナニー出来なかった、とかあるかな……?」

「っ」

 

 いつものアイリなら絶対に発することのないような単語。それに、歩の鼓動が高鳴る。

 ここで、いいえそんなことありません、放っといてくれて大丈夫です────なんて言える少年ではなかった。

 

「……その、まあ。しばらくしてませんでした」

「う……そ、そうよね。そっか……。じゃあ……」

 

 アイリの手が歩の腰に伸びる。

 離されていた身体が、再び近づいていく。

 

「……しょうがないわね。そのままじゃ寝辛いと思うし。私が責任持って、歩くんを楽にしてあげる……♥️」

 

 

 

 

 

 

「ふ……っ、ん、う…………」

 

 くち、くちと肉が滑る音。二人の吐息が混ざり合う。

 アイリは寝転がったまま、タオルケットの下で歩のチンポを扱いていた。10年以上久しぶりに触れるペニスの熱さが、じんわりと手のひらを温める。

 タオルケットを掛けているのは恥ずかしくて直視できない為。そして、なんとなく隠れてコソコソとやるムードになった為だ。しかしそれが逆に感触だけを鋭敏に引き立ててしまっている気がする。

 

(やっぱり、握っただけでも判る。歩くんのおちんちん、おっきい……)

 

 直接今の状態を目にしてはいないため推測でしかないが、もしかしたら記憶も朧気な夫のモノより大きいのではないかと思う。もしそうだとしたらかなり立派なモノといえるだろう。

 

 そんなことを考えるアイリは、これでも歩のチンポが女を犯す為のフル勃起状態ではなく、まだ余地を残しているとは夢にも思わない。

 

「んっ、ん……。どうかな、気持ち良い、歩くん……?」

「は、はい。すごく」

 

 滑らかな肌を味わいながら歩が答える。

 実際、アイリの手のひらは心地いいものだった。指は長く細く肉竿に絡まり、緩やかなスピードで扱き上げてくれる。何よりあのアイリが手ずから奉仕してくれているということが興奮を助長する。

 

 しかし、

 

(正直、ちょっと……物足りないかも)

 

 きっとアイリは一生懸命やってくれているのだろう。ただ、色々と経験してきた歩にはこの刺激は満足には遠かった。押し倒して唇を吸って胸を鷲掴みにし、彼女の股間を掘り返したい衝動に駆られるのをどうにか堪える。

 

(歩くん、気持ち良さそう。ふふ、そうよね、私ってばこれでも経験あるし、大人の女なんだから。童貞の歩くんなんて手玉に取っちゃえるかも)

 

 見当違いなことを考えながらお子様手コキを続けるアイリ。

 

 しばらくアイリの手淫は続いた。歩のチンポが擦られる。それは中途半端な快楽だけを少年に与えていった。

 やがて、しばらくして。もう我慢できないとばかりに歩が言った。

 

「あの、アイリさん。手でするのも気持ち良いんですけど」

「え、うん? あ、もう出ちゃいそう?」

「いえ、そうじゃなくて。そろそろ次のことがしたいなあって」

「え」

 

(つ、次って。もしかして本当にエッチするつもり……じゃなさそうだけど。なにする気……?)

 

 アイリが目を丸くする。てっきりこのまま射精して終わりかと思っていたのだが、少年はそのつもりではなかったらしい。

 

「い、いいけど。どうするのかしら……?」

「それじゃあ、失礼します」

 

 そう言って、歩はアイリの腰を抱き、ぐっと引き寄せた。細い腰が歩と密着する。

 そして、透けるほどうすいネグリジェの上から、アイリの下腹部へチンポの裏筋を押し付けた。

 

「────っ、あ、ふえぇぇぇ……!?」

 

 手のひらで触れていた時よりも熱い感触が伝わる。

 ぴくぴくと細かく震える肉棒がアイリのへその辺りにくっついていた。玉袋の方から、逞しい幹、そして傘の開いた亀頭まで。薄い布を通って、はっきりと生殖器の形を伝えるその感覚はアイリの肌へ、そしてその奥まで伝わっていく。

 

(やだっ、熱い……♥️ それにこれ、大きさが余計はっきり判っちゃう……♥️)

 

 悶えているアイリに構わず。

 彼女の丸い尻をがっちりと掴んで引き寄せた歩が、ぐいぃぃぃ……っと、一際強く腰と腰を押し当てた。

 

「んぐっ、ふっ……!? あっ、は……♥️」

 

 びくびくびくっ♥️ とアイリの身体が震える。久方ぶりに感じる、甘く心地よい陶酔感。

 

(え、ちょっと、冗談でしょ……)

 

 咄嗟に口を両手で覆いながら、

 

(私、歩くんにおちんちん押し当てられただけで……っ♥️)

 

 子宮が切なく泣いているのを感じる。

 アイリの身体、いや子宮は、服の上にチンポの感触を感じただけで絶頂させられていた。きゅんきゅんと物足りなそうに収縮している。想い人の性器であることを察知し、子種を受け入れる準備を始めていた。もうただでさえうろ覚えだった夫の感触は消え去って、まだ実際には呑み込んでもいない少年のチンポの形に順応し始めている。

 

「アイリさん。これが僕のモノです。覚えておいてください」

「ひっ、ふ……♥️ おっ、覚えろって言われてもっ♥️」

 

 こんなのもう一生忘れない────とアイリの本能は叫んでいた。背筋にぞくりと悪寒が走る。ネグリジェの下の股間を守る下着が濡れ始めているのが判った。

 

 歩が腰を引く。熱いチンポが離れ、涼しくなったアイリの子宮が寂しげに震える。

 間髪いれず、ネグリジェを捲り上げた歩がチンポをアイリの足────長くむっちりとした太ももの間に差し込んだ。

 

「ああんっ♥️ ちょっとっ、近い、アソコに近過ぎるわっ……♥️」

 

 おまんこのすぐ下。ともすれば熱さが陰唇に伝わるほどの場所にチンポを持ってこられ、アイリが悶える。

 そのまま歩は腰を振ると同時に、掴んだアイリの尻を前後に揺すった。アイリの安産型のお尻を楽しみながら、柔らかくも弾力のある太ももでチンポを扱き上げる。ぱん、ぱんっ♥️ とまるでセックス中かのような音が寝室に響いた。

 

「ひぁ、あ、歩くんっ……♥️ これっ、えっちすぎるわよぉ♥️」

「アイリさんの足っ、すごく良いです……。最初に会った時からこうしたかったんですっ」

「~~~~っ♥️ こ、このすけべっ♥️ 歩くんがこんなにえっちな子だったなんてっ♥️」

「そんなこと言われたってっ、アイリさんだって悪いんですよっ。無防備に近付いてくるし、生足見せ付けてくるしっ。アイリさんみたいな綺麗な人といて、そういう気が起きない方がおかしいですっ」

「ひ、開き直るんじゃないのっ♥️ こんなの私以外の女の子にしたら、とんでもないコトになっちゃうからねっ……♥️」

 

 尻を揉みしだきながら逆ギレする歩をアイリが叱る。とはいえ彼女も素股で明らかに興奮しているのだから人のことは言えなかった。

 

 アイリの身体が汗ばんでいく。溢れる先走りと混ざり、太ももはべちょべちょになってしまっていた。乾いていた音が、水気混じりの淫音に変わっていく。

 

「アイリさん、アイリさん……っ」

「あ…………♥️♥️」

 

 腰をヘコヘコと押し付ける歩が、アイリの豊かなおっぱいに顔をうずめた。経産婦で一人の娘を育てたとは思えない、ハリのある乳房。ブラもしていないネグリジェの上から、顔面を思い切り擦り付ける。

 

「すうっ、はあー……っ。アイリさんのおっぱい、アイリさんの……っ」

「あふ……♥️ もうっ、おちんちんは大人なのに、そういうとこは子どもみたいね……♥️」

 

 優しく歩の頭を抱き締める。股間に凶器をぶらさげているクセに甘えたがりの子どものような少年が愛しくてたまらない。さっき女としての絶頂を味わわされたあとは持て余している母性を満たされる。チンポを扱く少年の自慰の手伝いをしているというのに、歩以上の満足感をアイリは感じていた。

 

 歩もむちむちの太ももをチンポで味わい、柔らかな美乳を堪能して最高の気分だ。谷間で深呼吸してアイリの香りを肺一杯に吸い込みながら、ネグリジェに皺が付きそうなくらいに彼女を抱き締める。

 

 ぱんぱん、ちょっとっ、にちゅにちゅ♥️ と卑猥な音が響く。抱き合う男女の汗と汗が絡み合う。

 やがて歩が限界とばかりに漏らした。

 

「アイリさん、僕……っ。キス、キスしたいですっ」

「っっ…………♥️ うん、私も……♥️」

 

 歩のおねだりを断るはずもない。

 首を傾けた歩へアイリは唇を落とした。すぐに歩がアイリの口へ舌を入れる。そんなキスは終ぞしたことのなかったアイリは目を丸くしながらも、少年の舌の求めに答えた。

 

「むちゅ、ちゅっちゅっちゅっ♥️ ぺちょ、むちゅううぅぅぅ……♥️」

 

 唾液が溢れるのも気にせず唇を貪り合う。ふっ、ふっ、と鼻で息をしながら粘膜を絡ませる快楽に酔う。アイリは人生で感じたことのない気持ち良さを、異性へのときめきを感じていた。その間もすりすりと尻を撫で、太ももにチンポを擦り付ける少年を可愛らしいと想いながら。

 

 歩の腰振りが速く、短くなっていく。カクカクと揺するような動きから、射精間近だとアイリにも判った。

 ネグリジェにぶちまけては悪いと思ったのか、歩が腰を引こうとする。それを、アイリが少年の腰に回した手で防ぎ、ぎゅうっ♥️ と抱き寄せた。

 

 ────びゅるるるるっ♥️ どぴゅ、びゅくっ♥️ ぶびゅるるる♥️ びゅるる~~~っ……♥️

 

「あ、ン……♥️ んちゅ、ぷちゅ……♥️」

 

 深くキスしながらの射精。びちゃびちゃと白濁が太ももを、ネグリジェを汚していくがアイリは気にしない。むしろ少年の体液で染められるのを悦ぶかのように腰を震わせながら、すりすりと太ももを擦り合わせて射精を促す。

 ぬるぬるとゆっくりとチンポが扱かれる。アイリの太ももに裏筋を擦り付け、尿道に残った精液も吐き出して、歩は射精を終えた。

 

「はあっ、はあ……。すごく良かったです、アイリさん……」

「うう……♥️ もうっ、とんでもないコトしちゃったわね、歩くん……♥️」

 

 またおっぱいに顔を押し付ける歩。そんな少年をよしよしと撫でながら熱い吐息をついてアイリが呟く。

 

 

 この日を境に、二人の共同生活は一気に淫らな色へ染まっていくのだった。





次で終わりそうにないので、5話になるかも。


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冬姫淫堕(アイリ)

 肉体的接触を経た後。歩とアイリの共同生活は、一気にふしだらなものへとなっていった。

 

 

 性欲旺盛ながら人妻の手前こらえていた歩と、10年間放置していた性欲が目覚め少年への恋心と混ざりあってしまったアイリ。それぞれの壁が取り払われた結果、歯止めが効かなくなっていた。

 これまでは朝訪れたアイリを礼儀正しく迎えていたのが、今では挨拶もそこそこに玄関で唇を貪り合うようになった。ドアにもたれ掛かり、外の廊下にまで聞こえるのではないかという程にぶちゅぶちゅと舌を絡める。添い寝手コキの時はまだ遠慮していた少年も、もう気にせずアイリの臙脂色の普段着の裾や胸元から手を突っ込み生おっぱいを掴むようになっていた。アイリもそれが判っていて朝はブラを着けず、歩が触りやすいようにしていた。

 

 日常生活の中でも二人は身体をまさぐり合う。アイリが料理していても、台所で揺れる彼女のお尻を見た歩が我慢できず、後ろから抱き着いてしまうのだからろくに続かない。歩が何度触れても飽きたらないお尻を揉んでいるとアイリの方も膝が笑ってきてしまう。当初は対面で和やかに会話しながらだった食事は、歩をアイリの膝に乗せた体勢に。おっぱいとチンポを押し付け合いながらの対面座位で、決して自分で食べることはせずに、相手の口内で咀嚼したものを口移しする。当然歩のチンポはびきびきに反り返ってしまうので、アイリが手コキするなり歩がアイリのお腹に擦り付けて射精するなりで発散した。掃除や洗濯でもアイリの身体を歩が弄り、濡れてしまった彼女の女陰を今まで培ってきた性技で慰める。少年が指でマンコを引っ掻き、舌で舐め上げるだけで人妻は小刻みな絶頂を味わい、それを見てまたいきり勃った少年のモノを人妻が慰めるという無限ループだった。

 

 外出しても二人がまず考えるのは二人きりになれる物陰があるかどうかということになった。ぎゅっと手を握り合い歩く二人をすれ違う人は親子か親戚とでも思うだろうか。しかし二人の頭の中は隣にいる大好きな相手のことばかり。いかにして自分を、そして相手を気持ち良くしてあげられるかということだけだ。カフェに寄ればストールで隠した歩の股間に隣のアイリが手を潜り込ませ隠れ手コキ。店員さんが追加のオーダーを取りに来ても、俯いて快感に悶える少年を尻目に澄まし顔のアイリが注文する。たっぷりと手のひらに吐き出した白濁液を運ばれてきたコーヒーに注ぎ一滴残らず飲み干した。衣類コーナーへ足を運べば以前桜とも来たショップへ歩がアイリを誘う。店の隅の試着室で少年好みのブラとパンツの着せ替え。歩が持ってきた下着を目の前で生着替えし、『どう? 似合ってる?』『ブラのホック嵌めてくれないかしら』と挑発し、辛抱堪らない歩がアイリの身体へかぶりつきチンポを擦り付けても人妻は拒みもせず顔を赤らめるのだから、中学生男子の性欲が抑えられるはずもない。跪いたアイリの谷間に下からチンポを挿入し、むちむち、ふるふるっ♥️ と揺れる新品のブラに支えられたおっぱいをチンポで滅茶苦茶に犯した。アイリも谷間から飛び出る亀頭へキスの雨を降らし、先走りでぬるぬるになったチンポを唾液で更に濡らしていく。少年の息が上がり、限界が近いと見れば肘でおっぱいを締め付けてチンポへ追い討ち。極楽のため息とともに乳内射精された精液をしっかりと保ち、乳房を持ち上げて谷間に唇を付けずるるるるっ♥️ と啜り取る。濃厚で喉に引っ掛かるほど濃い少年の精液を、ぐちゅぐちゅと噛み潰しながら呑み込むのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「アイリさん、こっちっ」

「あぅ……♥️ ちょっと歩くん、強引なんだからっ」

 

 歩はアイリの腕を掴み、トイレの個室へ連れ込んだ。

 外出から帰った後、歩は宿題、そしてアイリは家事に戻った。歩とさんざんじゃれ合ったせいで掃除や洗濯が疎かになっていた為だ。

 そこで歩も手伝った方がいいだろうと服を畳んでいるアイリを見に行ったのだが、そこにいたのは少年の下着を顔に押し当てながら股間を指でほじくり返している人妻だった。真っ赤になって必死で言い訳するも少年には通じず、追い詰められたアイリは『どうせ歩くんだって私でオナニーしてるんでしょう』『女がオナニーして何が悪いのか』『これは歩くんがえっちなコトをしてくるせい』と開き直る始末。チンポを猛らせた少年に問答無用で引きずられて行ったのだった。

 

 アイリを便座に座らせ、意味もなく鍵を掛ける。カチャカチャと急いでズボンを下ろすと、アイリの眼前に勃起チンポがぶるんと飛び出た。

 

「ひっ……♥️ あ、歩くん、あんまり怒らないで♥️ 私も悪かったからっ」

「別に怒ってないですっ。ただ、アイリさんが僕でオナニーしてるって思うとチンポが収まらなくて」

 

 びく、びくっと定期的に跳ねる肉棹がアイリの顔にくっつきそうなほど間近にある。こうして見ると、やはり逞しいモノだと改めて思う。

 

「ううっ……♥️ か、可愛い顔しておちんちんは凶悪なんだからっ……♥️ こんなの他の女の子に見せちゃ駄目だよ? きっと驚いちゃうから……私にだけ、ねっ?」

 

 白魚のような指でつんつん亀頭をつつきながらアイリが言う。

 歩はなんとも答えられない。彼女は知る由もないが、もう何人もの女の子にこのチンポをハメているのだから。

 

「わ、判りましたからっ。アイリさん、口で……」

「っ♥️ うん、まあ予想はしてたけど……♥️」

 

 ぐいっと鼻づらにチンポを押し当てられて、アイリの表情が蕩ける。もう嗅ぎ慣れてしまった少年の匂いを吸い込みながら唇を近付ける。

 

「んむぁ……ぷちゅ♥️ ちゅううう……♥️」

 

 人妻の唇が少年の亀頭に触れた。むちゅ、ちゅぷ、と愛おしげにキスしていく。チンポの熱さのせいで、暑さに弱い北欧美女の肌は火傷しそうなくらいだ。

 

「竿もお願いしますっ」

「はぁい♥️ んぁ、れろぉ~~……♥️」

 

 ぺろ、と舌を放り出してチンポにくっ付ける。アイリの舌は長く、柔らかかった。べちょべちょと器用に竿に張り付き、擦るように舐め上げていく。色白の美貌から飛び出す赤い舌はコントラストになって少年の視覚を刺激した。

 アイリは亀頭、竿はおろか玉袋まで舐めしゃぶっていく。もう少年の性器すべてを自分の唾液で包んでしまおうという勢いだ。

 

「んふ♥️ 歩くん、気持ち良さそう……♥️」

 

 快楽に喘ぐ歩を嬉しそうに見て、アイリが更に奉仕へ力を入れた。鈴口をねろねろとほじり、舌先との間に先走りと唾液の糸を引かせる。竿にぷくっと膨れた血管を鎮めるように啄む。銀髪を掻き上げながら少年へのフェラに没頭した。

 

「歩くん、そろそろ……いいかな」

「は、はいっ」

 

 歩が期待に勢い込んで答える。

 それにくすっと笑いながら、アイリが大口を開けた。

 

「あ~~ん♥️ んむ、ぐぷぷぷぷぷぷ……♥️」

 

 温かい口内へチンポが呑み込まれていく。唾液をしっかり溜めとろとろになった粘膜がチンポに絡み付いた。

 そのままアイリは歩の腰に手を当て、ノーハンドのフェラを始めた。にゅっぽにゅっぽとぬかるんだ音とともにチンポが人妻のおくちを出たり入ったり。うっすら汗をかきながら、髪を振り乱して顔を前後させる。いつもは淑やかに綻ぶばかりの唇をぴっちりと竿に締め付け、熱心に扱き上げていく。

 

「うっ、うう……! アイリさん、フェラ上手くなりすぎ……っ」

「くぷっ♥️ くぽ♥️ くぽ♥️ くぽ♥️ くぽ♥️ くぽ♥️ くぽ♥️」

 

 しょうがないじゃない、歩くんに仕込まれたんだから────とアイリは言いたげだ。実際、口淫など経験のなかったアイリは、少年に教えられるがままに技術を吸い込んでいき今やすっかり彼好みのフェラを覚えさせられていた。最初に挨拶のキスをするのも、竿とおくちをたっぷり唾液で濡らすのも、柔らかい唇で扱くのも全て少年の趣味だ。アイリも最初は顔を真っ赤にして恐る恐る舌先でつつくのが限界だったのが、今では手や足でコくより少年の熱を感じられる口取りの方を好むようになっていた。

 

「じゅぽっ♥️ じゅぷ♥️ ぬぷぬぷっ♥️ じゅるるるるるるっ♥️」

 

 唾液がぽたぽたと顎を伝い落ちる。アイリもすっかり興奮し、目を細め眉尻を垂れ下げた淫靡な表情。ふぅふぅと鼻で息をし口をすぼめた、いつもの高貴ささえ漂う美しさからは想像も出来ない少年にだけ見せるフェラ顔だ。

 

「アイリさんっ、もっと奥にっ」

「んぐうっ♥️ ぉごぉぉおおおおお……っ♥️」

 

 アイリの頭を掴んだ歩が、唇がぴっちりと腰にくっつくまでチンポを捩じ込む。えずくようにアイリの肩がぴくぴくと震えた。それでも前屈みになって腰に抱き着き、ぐぽぐぽと喉でチンポを扱く。

 そのまま、歩が腰を勢い良く振り乱した。

 

「んぐぉおおっ♥️ ぶちゅっ♥️ ぶちゅっ♥️ ぶちゅっ♥️ ぶちゅっ♥️ ぶちゅっ♥️ ぶちゅっ♥️ ぶちゅっ♥️」

 

 人妻の口をチンポをしごく為の穴扱い。感じてはいけない種類の優越感と快感に歩の脳が痺れてしまう。相手のアイリが嫌がるどころか甘く欲望を受け止めてくれるのも拍車を掛けた。とろんとした目付きで媚びるように見上げて来られては、少年の自制心が持つはずがない。結婚済み、出産済みの年上北欧美女を自分のチンポの虜にせんと若々しい肉棒を突き込む。

 

 アイリの方も無我夢中だ。性器を舐め上げられ悶える少年へ、恋心と母性本能がキュンキュンしている。立場や年齢の差の問題は脳裏から吹っ飛んで、ただ好きな男の子を気持ち良くさせてあげたいという想いだけが募っている。

 

 歩のストロークが切羽詰まったものになっていく。もうほとんど股間を押し付けるような動き。そんな青い性欲に突き動かされたチンポを、アイリが優しく呑み込むと。

 

 ────ぶぴゅるるるるるるっ♥️ ぴゅっ、ぴゅるるる~~~っ♥️ どぴゅるるるるるる……♥️

 

「あ……っ、は……!」

「んむぅぅ……っ♥️ んぐ、こくっ、ごくっ……♥️」

 

 抱え込むようにしたアイリへ、歩が精液をぶち撒けた。腰を揺すりながらびゅるびゅると精液を吐き散らす。

 激しく脈打つチンポをアイリはあくまで優しく咥え続ける。女の子の喘ぎ声のような情けない声を漏らす少年を可愛いと思いながら、ねっとりした白濁液を呑み込んでいった。

 

「んぐ……けふっ……♥️ 歩くん、またいっぱい出したね……♥️」

「ご、ごめんなさい。でも……ぜんぶ呑んでくれて嬉しいです」

「当たり前でしょ、吐き捨てるわけにもいかないし……♥️ こほっ♥️ やだ、すっごい匂い♥️ もう何度も呑まされて、私の息、歩くんの精液の匂いになっちゃってる……♥️」

 

 アイリが恥ずかしそうに口元を押さえる。歩の方も、存分に吐き出し切って流石に満足し、チンポも萎えていた。

 二人が身体を拭いてトイレを出る。それぞれ家事や勉強に戻った歩とアイリだったが、またすぐにお互いが恋しくなり、その肌を触れ合わせるのだった。

 

 

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 

 

 淫靡で卑猥な逢瀬と化した二人の共同生活。

 その日々も7日、8日、9日と過ぎ、遂に最終日の10日目となった。

 

 この日、アイリは一人出掛けていた。昼過ぎには終わる用事で、少年との時間を浪費しない為に日を改めようかとも思ったのだが、当の歩も家を空けるとのことだったのでならばと思ったのだ。

 用事も済み、マンションへ向かう。その足取りは軽い。

 少年との日々を過ごし、流石のアイリも自分の感情を自覚していた。夫とも、他の誰とも感じたことのない甘い恋心。人妻としてここ数日の行為はいけないことだと判っているものの想いを堪えられない。しかも長年夫には放ったらかしにされ夫婦仲は冷めているうえにあちらは愛人を囲っているということが、尚更アイリのハードルを低くしていた。

 しかしそれでも、

 

(何だかんだで、本番えっちはしてないのよね……。いやいや、流石にそれはマズイけどっ。いくらなんでも取り返しがつかないし)

 

 ふう、と。ようやく到着した、見慣れたマンションを見上げて、

 

(でも、やっぱり歩くんは……私としたいのかな……)

 

 とくん、と心臓が跳ねる。

 間違いなく、少年はしたいだろう。アイリを抱きたいと思っているはずだ。それは勘違いやアイリの自意識過剰ではなく、事実としてアイリにも察せられることだった。

 そして、アイリ自身も。

 

(…………まあ、そりゃ。私もしたいんだけどね)

 

 するりと自然に出てきた自分の思考に、驚きはなかった。

 アイリは歩が好きで、相手も恐らくそう思ってくれていて、既にセックスの手前までは済ませている。ならばその先へ進むのは当然の帰結のように思えた。

 

(歩くん、色々えっちな知識は豊富みたいだけど、まだ中学生だもの、きっと童貞よね。……うん。もし歩くんがお願いしてきたら、お姉さんが手解きしてあげちゃおうかしら)

 

 そんなことを考えている内に歩の部屋へ着いた。

 ドアノブを回すと、鍵は開いている。 もう歩は帰っているようだ。意外と早かったのね、と思いながら入ると、

 

「…………ん?」

 

 もう見慣れた玄関の土間に、何か違和感がある。いつもはないモノがある感覚。

 改めて確かめれば原因はすぐに判った。それは、靴だ。

 

(これって…………)

 

 明らかに少年のものではない。昨日まではなかった、女物の編み上げブーツ。洒落たデザインの高価そうなモノ。

 アイリの脳裏に、一人の親友の顔が思い浮かぶ。

 

(……………………式?)

 

 そう。何度か見たことがあるから覚えていた。アイリの部屋に遊びに来た時。メディアを交え、3人で買い物に出掛けた時。

 彼女は、こんな靴を履いていたのではなかったか。

 

「………………」

 

 何となく、物音を立てないように静かに部屋へ上がる。灯りを点けていない廊下は昼間とはいえ薄暗かった。

 その先、少年の部屋に歩いていくと。アイリの耳がかすかな音を捉えた。それはドアに近付くにつれ、よりはっきり聞こえてくる。

 

 ────ぎしぎしと何かが揺れる音。

 ────それに被せるような、くぐもった甘い声。

 

 そして。ドアの隙間から漂ってくる、むせ返るような淫臭。

 

「……はあっ……は、ぁ…………」

 

 息が荒くなる。

 喉が干上がる。

 

 なぜか、おかしな想像が止まらない。

 

 

 引き寄せられるように、アイリはドアノブに手を伸ばし──その扉を開けた。

 

 




人妻×人妻+男の子=ドスケベ


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冬姫陥落(アイリ)

寝取り要素を含みます。


 両儀式はアイリの親友である。

 

 両者は性格も趣味も嗜好も重ならない。しかし不思議と気が合い友好を結んだ。アイリが人生で得た親友と呼べる相手は二人。一人はコルキスの王女、そしてもう一人がかつて殺人鬼と呼ばれた式だ。

 アイリにとって式は無感情とまでは往かずとも、それに近い情緒であるように映っていた。彼女の喜怒哀楽は総量が低い――もしくは人より閾値が高いのか。生まれつきというだけではあるまい。まるでかつて限度を大幅に超えて情動を消費してしまったかのように、式の感情の振れ幅はおとなしい。それは例えば料理に対しても、運動に対しても、景色に対しても、そして他人に対してもだ。

 

 だからアイリは、彼女が娘のいる既婚者であると知って驚いたものだ。アイリの中で式は恋愛という行為と結び付かなかった。それが自由恋愛の結果であると知ってまた驚いた。

 同時に、式が不貞を犯すようなことは決してあるまいとも思った。それはそうだろう。いわゆる極道の頭、手を出してはまずい存在だということもあるが、きっと彼女は人生で出費できる分の恋愛感情を使い果たしてしまっている。娘まで産んだ後というなら尚更。再度、それも新たな男性と恋仲になるほどの熱量を持ち合わせていないだろう、と。

 

 きっとそれは間違いではなかった。式は稀に見る美人である。ともに出掛けていてナンパされたこともある。町内にも彼女に焦がれている男性はいるらしいと聞いた。組の中にも、憧れの視線で彼女を見る者は多いという。

 しかしその全てを式は歯牙にもかけず切り捨てていた。靡かないのは当然としても、そこには男が女として自分を求めているということに一切の興味がないように思えた。その様子を見て、やはり彼女は根本的に男性への興味が薄いのだとアイリは思ったものだ。

 

 アイリの考えは決して誤りではない。しかし正鵠を射てもいない。

 確かに式は感情を表に出すのが苦手だけれど、苦手なだけだ。中身は意外なほど多感な女性で、様々な想いが胸中を巡っている。

 ただ式は――――出会わなかっただけ。

 彼女の想いを呼び覚ます男に、それまでは出会わなかったというだけ。家庭を、世間体を放り捨ててでも共にありたいという相手に。

 

 そしてそれはアイリも同じ。

 自分に二度目の恋愛はないと信じ込んでいた雪国の冬姫。女としての自分を冷たい雪で凍らせていたホムンクルス。

 堅物を気取っているだけの恋愛初心者だった人妻二人は一回りも年下の少年に出会い、コロッとちょろまかされてしまったのだった。

 

 

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 

 

「あッ♡ あんっ♡ まっ、待って歩っ、アイリが来ちまったからっ♡」

「………………え、は…………?」

 

 ドアノブを握ったまま、アイリは呆然と立ち尽くしていた。

 じっとりした手汗の感触も、ツンと鼻を刺す淫臭も遠ざかり眼前の光景に魅入る。

 数日前、少年と添い寝したベッド。彼のモノを扱き、舌を絡め睦言を囁きあった場所。

 そこで今、自分の親友と少年が、肌を合わせていた。

 

「あ、アイリさん……っ」

「は……っ♡ 早かったじゃないか、アイリ。どうした? ほら、そこの椅子にでも座るといい」

 

 焦った顔で見てくる歩とは対照的に式は余裕の表情だ。むしろ視られて良かったと言わんばかりである。

 アイリは全く状況を飲み込めない。

 ────と、いうわけではなかった。そう、目の前で親密そうに絡み合う男女を素直に受け入れてしまえば、色々な事が繋がる。

 降って湧いた同居生活。

 執拗なまでに少年を勧めてくる親友。

 妙に女慣れした彼。

 それが、二人が繋がっていたと考えれば、式が裏で手を引いたのだろうと推測できる。

 

 だがそれは推測できるだけ。

 アイリ自身は、全裸で絡み合う少年と親友に圧倒されてしまっていた。

 

「なっ…………なな、なんで……っ。何やってるの、式っ!?」

「何って、そりゃ。見れば判るだろ。抱いて貰ってるんだ、旦那様に」

「だっ、旦那様…………??」

 

 仰向けの式に歩がのしかかっている。腰回りには掛け布団が掛かっているが、その下がどうなっているかは想像に難くない。

 そんな体勢で、目を白黒させているアイリに式は可笑しそうに笑う。

 

「そうだよ。こいつが──歩がオレの本当の旦那様。オレの好いてる男さ。今からちょっと前、こういう仲になってね。まあオレの方から誘ったようなもんなんだが」

「え、ええっ……ま、前からそういうコトを……?」

「そうだよ。くくっ、やっぱり全然気付いてなかったのか」

 

 ぐい、とベッドの上で身を起こして式が言う。

 

「歩はこう見えて好色でね。アイリも言ってただろ、歩が色んな女と仲良くしてるらしいって。じつはあいつら全部、歩のハーレムの女。オレで四人目かな。ちなみに最近また増やしやがったんだよな、ほらアイリも見掛けたコトぐらいあるだろ、金髪で金目の小柄な娘ね」

「し、式さんっ。アイリさんが驚いちゃってますから」

 

 歩の言った通り、アイリはオーバーヒート寸前である。自分だけが少年と仲がいという特別感。なんだかんだで自分の方が経験豊富な大人だと思っていた自負。性に潔癖だと思っていた親友。それら信じられない現実が彼女の心を打ちのめす。

 しかし。同時に、ああそうだったのか、と妙に納得できる所もあった。

 

「……そっか。そのベッドの匂い……」

「ん? ああ、コレか」

 

 ぱん、と式が布団を叩く。

 

「いちおう抱かれた奴が翌朝洗うコトになってるんだけどな。まあ染みついちゃってるだろうなあ、オンナの匂い。歩って性豪だからさ、相手はイキまくらされて布団べったべたにしちまうの。手加減してーって言っても逆効果。こっちが伸びるまで潰されちまうんだよ」

「えっと……僕そんな酷いことしてますか」

「してるしてる。アルクェイドが言ってたよ、仮にも真祖なのに腰抜かされるのはどうなってんだって」

 

 まあ相手がおまえだから感じ過ぎるんだろうけどさ────と式は笑う。

 そこには歩への親密な愛情しかない。少年に抱かれている他の女性とも親しいらしいというのに、だ。

 

「し、式……あの、他の女の人とも仲良いの? その人だって歩くんと……そういう仲、なのよね……?」

「そりゃあね。言っただろ、これは歩のハーレムなんだし。歩と一緒にいられる、ってコトが最優先なのさ」

 

 ぴと、と。式は自分に乗る少年の頬へ手のひらを当てる。

 

「それにハーレムを広げるコトもね。今回のオレの計画を話した時も全員了承してくれたよ。まあ10日以上も歩に抱いて貰えないってのは渋ってたけどね、それが歩の為ならって」

「……え、と。ハーレムを広げる、って」

「ん。判るだろ、言ってるコト」

 

 くす、と意味深な目で視られる。

 思わず少年に目を移すと。式とのセックス中だったからだろう、突然真実を話され戸惑うアイリに申し訳なさそうにしつつも思いっきりオスの目でこちらを見ている彼と目が合って。

 

「────っく、ふ……♥️」

 

 ずくん、と。胎の奥が、揺れた気がした。

 ふらつく身体を支えながら、

 

「っっ……♥️ し、式。ご家族には、このコトは……」

「ああ、勿論秘密だよ。面倒だし歩が望んでないからね。

 ああでも、娘は────未那にはそのうち、とは思ってるけど」

 

 式の言葉に。ぞくり──と悪寒が走る。

 判る。判ってしまう。その言葉の真意を。ここまでメスとして堕とされた女が、自分の娘を引き合わせるということの意味。

 そして、ああ、私にも娘はいるなと。流れるように思った自分の思考に愕然とした。

 

「……くす。さすが歩。聞いてはいたけど予想以上に墜ちちまってるみたいだな、アイリ。凄い顔してるよ」

 

 脂汗を垂らす親友を見て式が嗤う。

 そして、彼女に向かって手招きした。

 

「ほーら、アイリ。そろそろこっちにおいで。……もう判ってるだろ? 自分が何をしたいか。どうしたいのか。……どうされたいのか、さ」

「あ……、う……♥️」

「おまえの葛藤は判るよ。怖いよな。本当にいいのかって、常識と倫理観が言ってるよな。でもほら、深呼吸して。……歩とのコトをじっくり思い返してみて」

 

 ふっ♥️ ふうっ♥️ 自分の荒い息が鼓膜を震わす。

 誘導されるかのように、少年との日々を思い返す。

 

 ────最初は戸惑い、式を交えて話した。

 ────共同生活を始めてみれば、彼との出来事は胸をときめかせることばかり。

 ────募る想いの末、抑え切れずえっちな行為へ及んでしまう。

 ────それからの、快楽にまみれた生活。

 

 それらの日々を思い出すと、釣られるように、少年への恋心が改めて浮き彫りになっていく。

 

「思い出せたかー? ……それじゃ、トドメってコトで」

 

 不意に。式が掛け布団を掴み。

 ばさり、と取り払った。

 

「────ッッッが、ぁああああぁぁあああああ…………♥️♥️♥️」

 

 アイリの目が見開く。

 

 式の下半身。そこにはみっちりと歩のチンポが嵌まっていた。

 ずぬるる……と膣から引き抜かれ、露になる。アイリとの『遊び』の時の弱めの勃起とは違う。カリが開き、血管が浮き。べったりと式の愛液が張り付いてぬらぬらと光って。鈴口がぱくぱくとして獲物を探している、それは女を犯す為の本気チンポだった。

 

「ん……♡ ほらアイリ、見えるか? これが歩のちんぽ。ハーレムの女を喰う時のフル勃起ちんぽだぞ♡ 夫と比べてみな。どっちが大きい? どっちが挿れたくなる? アイリの為にオレのまんこで扱くだけで射精はしてないから、10日生ハメしてなくてイラついてる凶悪ちんぽになってるよ♡ もう素直になっちまえば、大好きな歩のえぐいコレで、天国に連れていって貰えるんだけどな……♡」

「うっ♥️ ふううううううう……♥️」

 

 ふらふらとアイリがベッドへ歩いていく。

 吸い寄せられるかのような歩み。

 不確かな足取りはまるで夢遊病者のよう。

 スカートの足元には、粘ついた体液がぽたぽた垂れ落ちている。

 

「うんうん。ほら、もうちょっと。もう少しでベッドの上。……歩にたっくさん愛して貰えるベッドだ……♡」

 

 よたよた。

 ぺたぺた。

 ぴちゃぴちゃ。

 

 遂に人妻は、ベッドの端まで来てしまった。顔面はもう汗だく。膝は内股でかくかくと震えっぱなし。瞳は瞳孔が開き危ない雰囲気を漂わせている。スカートは前面がマン汁でべちゃべちゃになってしまっていた。

 

「…………はい、到着っと。偉いぞアイリ。ほら歩、撫でてやってくれ」

「あ、はい……」

「くうんっ♥️ あー……♥️」

 

 よしよし、と大好きな少年に頭を撫でられると、それだけでイッた。股間からごぽりと愛液が吹き出す。だらしない顔でうっとりと彼の手のひらの感触を味わう。

 と。それを一旦止めるかのように式が言った。

 

「はい、そこまで。……アイリ、わるいけどこのままなし崩しでえっち、ってワケにはいかないぜ」

「えっ、ええっ……も、もう許してよお……♥️」

「駄目駄目。ちゃんと心を決めて貰わないとな」

 

 にや、と嗜虐的な笑みを浮かべる式。

 実際のところ、もうアイリの命運は決まっている。心も身体も歩専用になってしまっている。

 だからこれは心を決めると言うよりは、最終確認とでも言うべきモノだった。

 

「アイリ。両方は取れないよ。取るべきモノか、取りたいモノか。そのどちらかを選ぶんだ」

 

 もう膝が立たずぺたりと腰を下ろしてしまった彼女へ、式が囁く。

 

「天秤だな。まずは取るべきモノからだ。魔術師であるって自分。家系で背負ってる、一族の悲願を追い求めるコト」

 

 かちゃり、と。アイリの想像の中の天秤に錘りが載せられる。

 

「これから先の人間関係。きっと歩以外の男とは一緒にいられなくなる。いたいと思えなくなる。余暇も、自分より歩の為に潰したくなっちゃう」

 

 人生における自由。普通なら、男の子一人の為になげうつ事じゃないモノ。

 かちゃり。

 

「次に、家族。今は冷めてても、愛を誓った夫」

 

 かちゃり。

 

「────そして。自分のお腹で産んで、育てた、血を引く娘。きっと今までは一番大切な存在だった自分の子ども」

 

 ……かちゃり、と。

 

 天秤に錘りが載った。数は少ないかも知れない。けれど自分にも大切なモノがちゃんとあるということに、アイリは驚いた。

 これを、本当に捨てられるのか。

 ついこの前出会った、年下の少年への恋愛感情などの為に。

 

「それじゃあ、その反対側に」

 

 式の言葉と共に、今までの人生で得た大切なモノの反対側へ。

 

「歩を載せてみよう」

 

 数日前に惚れたばかりの少年を、置く────

 

(あ、駄目だ)

 

 載せる前から判った。

 いや、結果なんて決まり切っていた。

 たった一つの少年が載っかった方の秤が勢いよく傾いた。まるでもう片方なんて何も載っていないみたいに地面へ堕ちる。上がった方に載っていた錘りはどこかへ飛んでいってしまった。今ではそれが重かったのかどうかもよく判らない。もう何を載せても比べてもこの傾きは揺らがないということだけが本能で理解できる。

 

 アイリは決定的に、不可逆的に。

 自分の想いを自覚した。

 

(────欲しい)

 

 そうなれば、もう、後は雪崩のようにくずれていくだけ。

 

(欲しい、欲しい、欲しい、欲しい、欲しい、欲しい、欲しい、欲しい、欲しい、欲しい、欲しい、欲しい、欲しい、欲しい、欲しい、欲しい、欲しい────っっ♥️♥️♥️)

 

 少年の愛が欲しい。

 少年の時間が欲しい。

 少年との居場所が欲しい。

 少年と交わす情事が欲しい。

 

 少年が────歩が欲しい。

 

「はい。勿論です、アイリさん」

 

 欲しい♥️ 欲しいっ♥️ と、うわ言を呟きながら中学生並みの性欲を爆発させるアイリ。

 そんな人妻を見て、

 

「僕も……アイリさんが、欲しいなって思ってましたから」

 

 歩は嬉しそうに言って。

 彼女の手を引き、ベッドへと誘った。

 




次で終わる……はず!


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冬姫完堕(アイリ)


寝取り要素を含みます。




「ふぁ……ん、むちゅ……♥️」

 

 歩のベッドの上で、アイリは少年と舌を絡めていた。

 ブラウスは乱暴にはだけられ、歩にたぷたぷと持ち上げられるように揉まれている。スカートとショーツはそのままだが、びちょ濡れで内股に張り付いていた。

 

「んむ、んっ……ぷは♥️ 歩くんとのキス、気持ち良いよお……♥️」

「歩っ、オレにも♡ ちゅっ……♡」

 

 仰向けになった、年も体格もずっと下の男の子に、人妻二人が覆い被さって口付けをねだる。

 歩との初ガチセックスを控えたアイリは緊張と興奮からか、必死で貪るように少年の口を吸う。ねとねとの粘液が垂れた股間を浅ましく歩の太ももに擦り付けていた。まるでオナニー覚えたての少女のような、性欲に支配された行動。それも仕方ないだろう。今から初恋の相手と言っても過言ではない男の子との交尾が待っているのだ。しかもアイリはついさっき自分が他の何を引き換えにしてでも少年と結ばれることを望んでいると自覚したばかり。そこに早くも子作りえっちが到来したのだから頭の中は劣情で霞み、子宮は期待に震えている。セックス準備用の愛液が垂れ流しになるのも当然というものだった。

 

 対照的に、式はゆったりと味わうように歩と口付ける。こちらも、アイリよりは小振りだがしっかり膨らんでいるおっぱいを自由にされながらのキス。すっかり堕とされ切って旦那様との間に愛を育んだ和服人妻はこちらからがっつく必要などないと判っている。どのみち少年にスイッチが入れば基本的に女の方は翻弄されるのみ。人妻でありながら経験の乏しい自分やアイリであれば尚更だ。腕力で、戦闘能力で勝っていようと式と少年の間では完全に上下関係が決まってしまっている。であるならば、最初からハイペースで行く必要もないという判断だった。

 

「ちゅっちゅっ、んむ……♥️ あ、歩くんのおちんちん、すっごい……♥️」

「くす……♡ もう我慢汁だらだら垂らして……まあ、さっきまでオレの中で大きくしてやったんだもんな……♡」

「う、くぅっ」

 

 二人の言った通り、歩のモノはもう限界まで反り返っていた。まだアイリが到着していない頃、半勃ちの状態で式のマンコに挿入されたチンポ。締まりのいい式のマンコで扱かれ膣内でフル勃起したチンポは、いま人妻二人に片手ずつの手コキを浴びせられていた。それぞれのおっぱいを揉みしだきながら、交互に甘い人妻の唾液を飲まされつつ股間に伸ばした手でにっちゃにっちゃと弄られるのだから堪らない。アイリは幹の太さを確かめるように。式は指で輪っかを作り、ちゅこちゅことカリ首を責め立てるような手付き。精液を醸成しつつ、射精までは追い込まない手コキだ。

 

 もう交互にキスするのも待てないと思ったか、式とのキス中の歩の舌へアイリが吸い付く。負けじと式も舌を潜り込ませた。三つの舌が絡み合うトリプルキス。荒い息をぶつけ合いながら三人は唾液を交換した。ぴちゃぴちゃ、ねちゃねちゃと粘着質な音を響かせる。

 水音はそれだけではない。式は親友がコソコソと股間を弄っているのを見逃さなかった。

 

「くくっ……ほら、見ろよ歩。アイリったら、おまえとキスするのが気持ち良くてマンコ弄ってるぞ」

「い、言わないでよ式っ♥️ あああ、歩くんもそんな目で見ないでっ♥️ 仕方ないじゃない、おまんこ切ないんだもん……♥️」

 

 少年に擦り付けるだけでは刺激が足りなかったらしい。スカートに潜り込ませた指がくちゅくちゅと股間を慰めている。指摘され、歩に見られながらも手が止まらずオナニーを続けていた。

 

「アイリさん……。僕も、触っていいですか」

「お、いいね。じゃあほら、歩」

「へっ…………ひあああああああああ!?」

 

 アイリが絶叫する。

 歩の指がアイリの股間に滑り込んでいた。とっさに抵抗しようとしても、背後に回った式に羽交い締めにされ動けない。腰を突き出すような格好で少年に良いようにされてしまう。自分でしていた可愛らしいオナニーとは違う、メスをイかせる為のごりごりと抉るような手マン。アイリは強すぎる快感に慄いた。共同生活の中で性器を触られたことはある。しかし今は発情具合が全く違うし、少年の手付きもずっと力強かった。

 

「んぐうぅっ♥️ あ゙ッ♥️ あひぃぃいいい♥️」

 

 ショーツを太ももに捩られぶっちゅぶっちゅと股間をほじくられる。出産さえ経験した女性だというのに生娘のような敏感さ。10歳以上年下の男の子に掻き回されて面白いように感じまくってしまう。それはアイリの体質でもあり、正確に弱点を攻撃する少年の技術でもあり。そして何より、相手が歩であるからだった。

 

「アイリさん、すごい……感じてるんですね。じゃあ、一度このままイキましょうか」

「へあっ!? まっ待って歩く────ッッあ゙♥️♥️」

 

 歩が更に巧みに責める。指先を細かく震わせ、バイブさながらのマン肉ほじり。人妻は「へほっ♥️」「ほあああああ♥️♥️」と間抜けな鳴き声を上げるばかりだ。とろみの一層強い白く濁った本気汁が歩の手を濡らしていく。ただ刺激されるだけではここまで分泌されないだろう。けれどマンコと子宮はこれが今から美味しく頂かれる為の下ごしらえだと判っている。ただ快楽に振り回されるだけのアイリを余所に、しっかりオスを受け入れる準備を進めていた。

 式がくすくすと見る下でアイリのマンコが撹拌されていく。もうアイリは抵抗することも出来ず与えられる快感を享受するばかり。ブリッジするように腰が持ち上がり、爪先がかりかりとシーツを掻いた。歩が今度はアイリの陰核──クリトリスを摘まむ。アイリの目が見開かれ、股間からぷしっと潮が吹いた。

 

「お゙っ……んぐぅおおおおおおおっっ……♥️♥️♥️」

 

 獣のような喘ぎ声。北欧の妖精の如き美貌に相応しくない、低く唸る吠え声だ。寄り目になり、歯を食い縛ったみっともない顔で手マンアクメを迎えた人妻のマンコからぷしゅ、ぷしっと潮が吹き出す。余りに感じすぎて下腹部が痺れていた。

 

「あ゙っ、あ゙あ゙~~っ♥️ やだあっ♥️ お漏らししてるみたい……♥️」

「あーあ、シーツべとべと。判った、アイリ? こういうコトになるから女の匂いが染み付いちまうのさ」

 

 初めてこのベッドに入ったとき思った、幾人もの女のものが混ざったかのような匂い。ここで自分のように狂わされただろう女たちの光景が目に浮かぶようだった。

 

「……ま、その中でもアイリは相当だと思うけど。自分じゃ判らないかも知れないけどさ、メスの匂い凄いよ、アイリ。噎せ返りそうなぐらい……どう、歩。この発情しまくった女のフェロモン臭、ちんぽに効くだろ」

「……はいっ。アイリさんすいません、僕ももう我慢できません」

「…………ふぁ…………?」

 

 絶頂に一時脱力しているアイリ。

 しかし、放り出された長い脚は少年が軽く押せばぱかりと股を開いて股ぐらを差し出し、あまつさえゆるゆると少年の腰に巻き付いていく。アイリの本能が完全に歩を真のつがいであると認めてしまっているのだ。

 式が崩した正座になり、アイリの頭を膝に乗せる。仰向けに寝転がったアイリの、汗で髪が張り付いた額をそっと撫でた。ぼんやりとアクメの余韻に霞む親友の瞳を見詰める。

 

「さあて。お待ちかねの時間だよ、アイリ」

「う……あ……♥️」

 

 アイリの瞳が潤む。

 ぺちょ、と下腹部に置かれた少年のモノ。今から喰い散らかしてやると言わんばかりに怒張しカウパーを垂れ流すチンポは、亀頭がアイリのヘソまで届かんばかりだ。明らかに、膣道を埋め尽くすのみならず子宮まで貫くだろうと見てとれる。

 

「ほら、アイリ。ただ挿れて貰うのを待ってるだけじゃ駄目だ。これからはもう歩の女になるんだからさ────そのあたりの序列はしっかり心得ておかないと」

 

 一足先に歩のハーレム妻となっていた親友。少年の情婦としては先輩の彼女に言われ、アイリがごくりと唾を呑む。

 

「あっ、あのね、歩くん」

「はい」

「そのう……わ、私みたいなずっと年上の女に言われても困るかもしれないけど……」

 

 おいおい人聞きの悪い、オレも同じくらいだろう──という式のツッコミはアイリにも歩にも聞こえていなかった。お互い、相手のことだけを見詰めている。

 

「私、歩くんと一緒に過ごして……一緒にごはんを食べたり、出掛けたりしてるうちに、歩くんのコト、好きになっちゃったみたいで……♥️ それもね、ちょっと気になるとか、そんな程度じゃなくって」

 

 かあああっ……♥️ と頬が紅潮していく。一世一代の告白に、心臓が過剰反応している。

 

「ほんっとうに、人生捧げちゃいたいくらい……あ、歩くんの奥さんにして欲しいくらい♥️ だぁい好きなの♥️ 愛してるの♥️ だから、だからあ……せ、責任取ってよっ♥️ 私、家庭のある人妻なのよ? 歩くんみたいな年下の男の子に本気で恋しちゃうなんて本当は許されないんだから♥️ そんな女を誑し込んだ責任、ちゃんと取ってっ♥️ そりゃ、もっと若くて可愛い女の子と仲の良い歩くんじゃ気に入らないかもしれないけどっ……私にはもう歩くんしかいないんだもんっ♥️ ね、お願い、お願いしますからっ♥️

 私を……歩くんのカノジョにしてください……♥️」

 

 言葉を重ねるうちに恥ずかしさが抑えられなくなって、アイリは顔を手で覆っていた。経産婦の人妻が中学生の男の子に本気で交際を申し込んでいるのだ。もう完全に女のプライドとか、貴族としての誇りとかは粉々である。それらをなげうってでも、少年に想いを告げないわけにはいかなかった。

 お腹に乗っかっていたモノが震えたのに気付いてアイリが恐る恐る指の又の間から見る。ただでさえ張り詰めていたチンポは今や青筋を立てたかのように爆発寸前だった。本来手の届かない存在であったはずの北欧美女から愛の告白を受けたのである。喰ってくださいと言わんばかりの言葉に、少年のチンポもそろそろ限界だった。

 

 ぬぷ、と亀頭がマンコに触れる。それが歩の答えだった。この少年が女を犯すということは、その女を自分のモノと見定めたということに他ならないのだから。

 歩がアイリの細い腰を掴んだ。もう逃げられない。逃げる気もない。くいっと期待に人妻の腰が持ち上がる。

 少年が軽く腰を引く。

 アイリが、ひゅう、と息を呑んで。

 

 ────ごっっっちゅん♥️♥️ と、灼けた鉄のように堅く熱くなったチンポが子宮を潰した。その一突き、たった一突きでアイリは人生でもっとも深いアクメに昇らされていた。目の奥がパチパチとショートするような絶頂。もう10年近く拡張されていなかった膣道は、一息に割り開かれて感覚が追い付かない。亀頭にこりこりと子宮口を虐められてようやく思い出したようにチンポに絡み付く。これが新しい主人だと形を記憶しながら肉棒を抱き締める。

 経験したことのない深い絶頂に、アイリが怖じ気づく。

 

「あ゙ッ……か、は…………♥️♥️ まっ、待っで……これなんかおかしいっ、怖────」

「ごめんなさいアイリさん、僕ずっと我慢してて……もう出ちゃいますっ」

「はっっ??? え、何……

 ~~~~~ッッッ!!??? ♥️♥️♥️♥️♥️」

 

 ここ10日生セックスをしていなかったこと、更に寸前まで式と膣コキをしていたことが仇となった。

 三擦り半どころではない。人妻のマンコを喰った少年のチンポは、捩じ込まれ子宮口とキスしたそのままに思い切り射精していた。人妻の膣コキで勃起したチンポを、別の人妻に挿入しての生中出し。完全に、自身のオスの種付け欲求にのみ従った最高に気持ち良い人妻生ハメ即射精だ。もう自分の物だと言わんばかりに強く掴まれた腰がぐいぐいと引き寄せられる。半固形と言ってもいいような濃厚ドロドロの精液がぴったりくっ付けられた子宮口に注がれていく。

 式がアイリを覗き込む。その顔と言ったら、

 

「うっわぁ、こりゃエグい。アイリ、旦那様のハーレムにようこそ……って聞こえちゃいないか。オレが見たコトない顔になっちゃってるよ。……歩さ、ホントちゃんと責任取れよー? アイリ、もうおまえ以外の男じゃダメになっちゃっただろうからさ」

「お゙お゙お゙お゙…………っ♥️ あ゙……♥️」

 

 舌をだらしなく放り出し、白目を剥いたみっともない顔でアイリは幸せいっぱいの絶頂を迎えていた。

 ただでさえ深いアクメを決めさせられていた所に愛するオスからの中出しを浴びたせいで絶頂が危険な域に達していた。深層心理に刷り込まれるような激感。他の男では、と言った式の言葉はあながち間違いではない。この時もうアイリの心身は歩のみを交配可能な異性と認識していて、それが父親であろうが以前の夫であろうが街でナンパしてきた男だろうが等しく歩以外の守備範囲外の男という括りで捉えるようになってしまっていた。

 

「くっ、まだ出る……っ」

「あ゙っ♥️ あ゙あ゙あ゙あ゙~~~♥️♥️」

 

 歩がアイリの膣内でチンポを跳ねさせる。こんな殆んど気絶しているような状態でもアイリの脚はくいくいっ♥️ と歩を引き寄せ、中出しをせがんでくるのだから堪らない。呆けた声でアヘアヘ言っている人妻へ容赦なく精液を流し込んでいく。アイリを、この綺麗なお姉さんを自分色に染め上げる気持ち良さ。数々の美少女を喰ってきたとはいえ歩もまだ中学生。人妻寝取り完堕ちセックスの快感は並大抵ではない。精力旺盛な少年でもなかなか経験がないほど濃く大量の精液を撃ち込んでいった。

 

「はあっ、はあ……」

「くすっ。どうだった、アイリの中は。まあ聞かなくても大体判るが」

「はい……すごく優しく締め上げてきて、子宮口が先っぽに吸い付いてきて。射精が止まらないくらい良かったです……」

「だろうね。アイリも幸せそうだ。堕としてくれてありがとうございますー、って顔してるよ」

 

 言われ、歩がアイリの顔を見る。アクメに溺れながらも美しい女の貌。思わず歩は彼女に覆い被さりその唇を奪った。

 

「ふぁ……ちゅっちゅっ、むちゅ……♥️ んん~っ……♥️」

 

 おっぱいをふにふにと揉みながらのキス。アイリの方も反射的にゆるゆると舌を伸ばす。すっかり歩の欲望を無条件に受け入れるようになってしまったようだ。涎まみれの唇を更に濡らすかのようにぴちゃぴちゃと啄み合った。

 数分間たっぷり口付けてから、ぬぱ、と離す。唾液の橋が伝い、切れた。

 

「んぅ……♥️ 凄かったぁ……まだお腹の奥がじんじんする……♥️」

 

 アイリが下腹部を撫でる。一突きと中出しで十分なほど満足したようだ。

 しかし、歩はそうもいかなかった。

 

「アイリさんっ。僕、まだアイリさんを抱きたいです。いいですか?」

「ぇ……ま、まだやるのっ? い、一発じゃ足りないってコト……?」

「足りる訳ないですっ。アイリさんとのえっちなんて何回でも出来ますよ」

「っ…………♥️ う、うん……♥️」

 

 女としての自分を最愛のオスから求められ嬉しくなってしまう。これも今までの人生では経験できなかった、本能的な悦びだった。

 勿論、少年のお誘いをアイリが拒否するはずもない。歩に抱かれることは、もう彼女にとって最も重要であり望むべきことになっていた。

 

「やった。それじゃ……式さん。アイリさんの足首を、こう」

「ん? ……ああ、なるほど。歩もわりとSなとこあるよな」

「……え? あの、何を」

 

 歩の指示を察した式が即座に行動へ移す。

 式がアイリの足首を掴み、転んだ彼女の頭まで持ち上げた。まんぐり返しの格好になり、ついさっき犯されたばかりの膣口が丸見えになる。

 

「き……きゃああああああああああ!!??? ちょっ、こんなのやめてえええ!?」

 

 マンコもその下の蕾まで少年と親友に見せつけるような形になってしまい羞恥に慌てふためくアイリだったが、式は「観念しろよー」と言うだけで手を離そうとしない。アイリの力では式を振りほどくことは出来そうになかった。

 まな板の上の鯉さながらのアイリ。そんな彼女の股間に歩が跨がった。それも正常位とは反対向き。いわゆる砧の体位になる。

 

「アイリさん、見えますよね。アイリさんに僕が入ってる所。もうアイリさんは僕のモノだって────しっかり見せ付けてあげます」

「あ……ああああああああ…………♥️」

 

 目を丸くして慄くアイリ。もう式の手を振りほどこうとするのも忘れ、上から撃ち込まれようとするチンポを見詰める。

 そして────ぬぷぷぷぷぷ……♥️ と、歩のチンポが呑み込まれていった。

 

「ふぁ……ああああ……っ♥️ ま、また歩くんのおちんちん、入ってきちゃったあ……♥️♥️」

 

 圧迫感にアイリがため息をつく。これでまだ二度目の挿入だというのに既にマンコが形を覚えてしまっている。空っぽの場所があるべきモノで満たされているような満足感。あと数回セックスを経れば完全にアイリの性器は歩専用の形になってしまうだろう。

 根本までアイリにチンポを沈めた歩がぐいっと持ち上げるように腰を動かす。普通のセックスでは抉られることのない場所を容赦なく削られる。それだけでアイリは絶頂してしまった。膣内を掻き回すように腰を回され絶頂、ほぐれたと見た歩に打ち落とすようにガン突きされ絶頂、イキ過ぎてきゃんきゃん喚いていたのでぴしゃりと桃尻を叩かれても絶頂。毎回の絶頂に脳が痺れそうな幸福感が伴ってくる。その全てをもたらしてくれた少年への愛情が止まらない。

 

(私のあそこ……歩くんのおちんちん、すごく美味しそうに頬張ってる……っ♥️)

 

 ぐちゅっ♥️ ぶちゅ♥️ ばちゅん♥️ と、少年チンポに好き勝手ピストンされる自分のマンコ。女の側は身動きが取れずオナホ扱いも等しいプレイだというのに一突きごとに脳天まで届く快感が突き抜ける。それが歩には敵わないと、歩こそ自分のつがいであるとアイリに伝えてくる。

 

(……も、駄目……♥️ ごめんなさい、あなた……ごめんなさいイリヤ……♥️)

 

 アイリは昔を思い出していた。人形として生を受けたこと。運命の巡り合わせで夫と出会い愛し合ったこと。その結果、娘を授かったこと。それらは確かに幸せだったはず。何に変えても大切なモノを守ると、かつては確かに誓ったはずだった。

 けれど、少年にマンコを一突き、子宮を一打ちされる度に薄れていく。アイリの中の一番重要なモノを置く場所から家族が退かされ、少年になっていく。家族との想い出も、絆も。今、実際に恋した少年のチンポで子宮を小突かれる快感に比べれば全てが遠い。

 

「アイリ、わるいな。結果的に、オレはおまえを寝取る手引きをしちまったわけだけど」

 

 微笑んだ親友に囁かれる。

 

「でもさ。それっておまえを不幸にしちまったかな」

 

(────────)

 

 問われ、湯だった頭で考える。

 以前のままに、冷めきった家庭で一人過ごすのと。

 心より恋した少年に寝取って貰うのと。

 どちらが幸せかと言えば、それは。

 

「アイリさん、そろそろ……っ」

「はっ♥️ はっ♥️ はっ♥️ は…………♥️」

 

 射精欲が高まった少年が呻くように言う。腰の動きもカクカクとした細かいものに変わった。明らかに射精が近い、後は解放するだけの動き。アイリもマンコを精一杯締めて射精を促す。子宮はとっくに降りきって精液を恵んで貰うことを求めている。

 そこにはただ、相手の肉を貪ることしか頭にない、生殖活動に溺れたオスとメスの姿だけがあった。

 

 ────びゅく、びゅるるるるるるっ♥️ ぶぴゅるるるるる♥️ どく、どぷどぷどぷっ…………♥️♥️♥️

 

 最奥まで届くチンポが吐精した。ぐりぐりと押し付けながらの人妻種付け。さっきの不意打ちではなくお互いに興奮を高めてからの中出しで、二人は通じ合うように同時に絶頂を迎えていた。

 

(ああ────)

 

 跳ね回るチンポの亀頭を咥えるかのように子宮口が密着する。一滴も無駄にはしないと精液を全て飲み干していく。歩もアイリも動けない。快感が強すぎて固まることしか出来ないのだ。歩は溜まった精液を残らず絞り出すまで。アイリは中出しアクメが終わるまで喘ぎながら余韻に浸る。

 

(歩くんの赤ちゃん、欲しくなっちゃった……♥️♥️)

 

 その中で。

 アイリはぼんやりと、少年の種でお腹を膨らませる自分を想像していた。





終わらなかった


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冬姫雪融(アイリ)

(…………ん…………)

 

 歩はぼんやりと微睡んでいた。

 

 心地よい日差しがまぶたをくすぐっている。心身ともに安心に包まれた朝だ。

 それは日差しだけでなく、何か暖かいものに頭が乗せられているからのようだった。柔らかく、触り心地がいい。思わずむぎゅ、と抱き締めると。

 

「あ……。歩くん、起きた?」

「ぅ…………?」

 

 優しげな女性の声がして、歩は目を覚ました。

 目を開く。と────視界にこんもり盛り上がった布が広がる。

 目をしばたたかせてよく見れば、それは見事に膨らんだ赤いブラウスの胸部。それを歩は下から見上げている。彼女の顔は豊かな下乳に邪魔されて歩からは見えない。少年は、アイリに膝枕されているのだった。

 

「わっ……! あ、アイリさん、すいませんっ」

「あ、いいのいいの。むしろそのままでいて。私、歩くんを膝枕するの、嫌いじゃないみたい」

 

 さらさらと歩の頭を撫でながらアイリが言う。あう、でも、と赤面しながらおろおろする歩の耳にクスクスと笑い声が聞こえた。

 

「もう、歩くんったら。えっちの時は王様かご主人様かっていう感じなのに、普通の時はカワイイ男の子になっちゃうんだから。……まあ、そんな年相応の歩くんも素敵だけどね」

「そ、そんなことは……。あ、そういえば式さんは」

「今は朝ごはんの支度中。交代で歩くんを膝枕してたの。嬉しいな、私の時に目を覚ましてくれて」

 

 しっとりと濡れた女の声。昨日までとはまた少し違う。それは明確にアイリが歩を自分の配偶者と認めた故の声色だった。

 それに、ああ、アイリが自分のモノになったのだと確信して。思わず歩は、アイリの柔らかそうなおっぱいに顔をうずめていた。

 

「ん、ぅ……っ」

「あん……♥️ もう、起きたそばからそれ? 私のコト堕としたって思ったらおっぱいにぎゅ~ってしたくなっちゃった? いいよ、もう歩くんのおっぱいだもの。気の済むまで甘えちゃって♥️」

 

 そう言われてしまえば躊躇する必要もない。ふにふにと鷲掴みにして、おっぱいの間に鼻を突っ込み深呼吸して。アイリの母性の塊のような膨らみに甘えまくる。

 アイリの方も、軽く身を屈めて歩に胸を押し付けながら囁いた。

 

「あのね、歩くん。その、えっちの時に思ったんだけど……歩くん、式に『旦那様』って呼ばせてるの?」

「あ……は、はい。その、式さんがそう呼びたいって」

「やっぱり。そうじゃないかと思ってね、私も特別な呼び名で歩くんを呼びたいなって考えてみたんだけど」

 

 アイリは少し恥ずかしそうにしながら、小声で言った。

 

「その……『だーりん』ってどうかしら? あっ、歩くんがイヤなら勿論いいのよ。でももし良かったら、って……」

「だーりん……ですか。はい、凄くいいです……!」

「ほんとっ? じゃあ、これからえっちの時はそう呼ぶわね」

 

 もしここに式がいれば、『いや、だーりんはちょっと……ダサくないか?』とまっとうなツッコミを入れていただろう。しかし時既に遅し。すっかり恋愛脳に惚けた二人の間では素敵な呼び名として決定してしまったのだった。

 

「だーりん、だーりんっ♥️ うーん、幸せ♥️ はい、ぎゅ~~っ♥️」

「む、むぐう……」

 

 破顔したアイリが歩をきつく抱き締める。歩は苦しいやら気持ち良いやらで一杯一杯だ。

 そこへ、

 

「おい二人とも、出来たぞ……って。おい、朝からおっ始めてんのか?」

「あっ、し、式さん。おはようございます」

 

 料理を終えたらしい式がやってきた。意外と可愛らしい猫柄のエプロンを着ている。まさに朝食を作る若妻、といった感じである。

 

「ん、おはよう歩。で、朝飯を作ってるオレを放っておいて二人で盛ってたのかな? おまえらは」

「いっ、いえ。そんなことは」

「まだこれからする所よね、歩くん」

「アイリさん!?」

「……仕方ないな」

 

 ぎし、とベッドに腰掛ける式。アイリに対抗するように歩の手を取って、自分の胸に押し当てた。

 

「ん……。アイリよりは薄いけど、ちゃんとあるだろ。ほら、直接でもいいぞ」

 

 着物の間から少年の手を滑り込ませる。歩の手のひらに柔らかな感触が広がった。

 人妻おっぱいを顔面と手で同時に味わう。起き抜けにそんなことをしては、歩の男が鎌首をもたげないはずもない。

 

「あは……♥️ 歩くん、昨日あんなに出したのにまた大きくしちゃって……♥️」

「全く、節操のないヤツ。……ほら、歩はそのままでいい。オレが楽にしてやるから」

 

 式が歩のズボンのチャックを開け、トランクスの前開きの間からチンポを取り出す。もうしっかり勃起したモノが現れた。

 

「すん……うわ、すご。オレとアイリの匂いが染み付いちゃってる。昨日はさんざんヤリまくったからなあ」

 

 式の言葉通り、昨夜は式とアイリと交互に精液が干からびるまで交わり女二人がダウンすると同時に歩も眠りに落ちたのだった。べったりと女汁を絡み付けたまま風呂にも入らず眠ったせいでチンポは濃厚な匂いになってしまっていた。

 

 匂いを落とすかのように、式がチンポに舌を這わせる。鋭く排他的な言動からは想像も出来ない、愛情たっぷりのフェラ。唾液を溜め、口内で洗うようにぐっぷぐっぷと咥える。まるで唾液の海に浸かっているかのよう。激しく出し入れするのではなくお口で抱き締めるような旦那様専用の口洗いフェラだ。

 

 アイリも歩に唇を落とした。ねろねろと突きだした舌を擦り合い、少年の舌を咥えて吸う。さらさらの雪景色のような銀髪が歩に掛かる。上は北欧系の銀髪人妻に、下は和装の黒髪人妻に。起きてからまだ一歩も動いていないというのに、人妻美女二人のおっぱいと粘膜を存分に堪能して歩は夢見心地だ。式を上から押さえ付けると喉を開き奥まで亀頭が入り込む。思わず彼女の頭を掴み、道具のようにイラマチオさせてしまう。それも拒むことなく和服妻はされるがまま。股間では人妻の口を酷いオナホ扱い、上では人妻と甘いディープキス。獣欲も愛情も目一杯受け止められて、人妻二人に溺れてしまいそうな幸せな起床だった。

 

 式の口内でふやけてしまいそうなチンポが、びくびくっと震える。

 

「────ん、ぐぅ……っ♡ずるるっ……ぶちゅるるるるるるる……♡」

 

 予告もなく、式のお口に朝の一番搾りをぶちまける。ぐりぐりっ♡ とチンポに式の頭を押し付けて尿道に残ったぶんもしっかり注いでいく。その全てを式は漏らさず呑み込んでくれる。朝勃ちから地続きの、甘さに満ちた朝フェラ射精だった。

 

「し、式、凄いわね。私もあのくらい出来るようにならなきゃ。

 ……あ、そうだ。式っていえば、歩くん」

「え……?」

 

 精を吸い取られる快感に浸っていた歩にアイリが話しかける。

 彼女の視線は未だチンポを咥えている式の左手にあった。

 

「式のあの指輪。もしかしなくても、あれ、歩くんの贈ったものでしょう」

「ぁ……はい。式さんに頼まれて、僕が選んだんです」

「やっぱり。……あのね、歩くん。折り入ってお願いがあるんだけど」

 

 式から視線を切ったアイリが歩を見詰める。

 

「その、ね。私にも、歩くんの……だーりんのモノだっていう印が欲しいなって……♥️」

 

 濡れた瞳。

 微笑むアイリは、最愛の人におねだりするメスの顔になっていた。

 

 

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 

 

「式、もういいと思うわ。あんまり蒸らしすぎても風味が落ちちゃうから」

「ん。そうか。……珈琲は塩梅が判らん」

 

 アイリの部屋の台所。

 二人はいつものように、お茶の準備をしていた。

 

『三人』集まっての午後のお茶会は彼女たちの間ではすっかり恒例になっていた。日によって珈琲か紅茶かお抹茶かは変わるが、お茶菓子を食べ飲み物を飲みながら話すのは同じだった。その会話の中でお互いの悩みや愚痴を打ち明ける。何かとストレスの多い彼女たちの発散方法だったが、しかしそれが主目的だったのは最初だけ。今では三人で親交を深め、話に花を咲かせること自体がお茶会の理由になっていた。

 

 場所はアイリの部屋で固定だが、準備は持ち回りだ。それぞれ各人によって得意とする飲み物は違う。式は日本茶、アイリは紅茶である。今日の当番は式のため日本茶の予定だったのだが、珈琲を好む三人目の彼女が珈琲豆を持ってきて『今日はこれがいいわ。悪いけど式、お願い』と押し付けて来たのだ。式も友人には甘い所があるので、ぶつくさ言いながらもアイリに手伝って貰い珈琲を淹れているのだった。

 

 つっかえながらも式が珈琲を蒸らし、注ぐ。黒色の珈琲の入ったカップをトレーに載せてリビングへ向かった。

 カチャ、とテーブルにカップを置いていく。目の前に置かれた珈琲とお茶菓子を見て────彼女が口を開いた。

 

「はあ。ようやく始められるわね。式、貴女珈琲の淹れ方くらい知っておきなさいな」

「うるさいな。おまえが自分で淹れればそれで良かったんじゃないか」

「それは御免よ。だって今日は貴女の当番だもの。それに珈琲が良いっていうわたしの要望を聞いたのも貴女でしょう、式」

「はいはい……まったく」

 

 澄ました顔で言う彼女────メディア、と呼ばれる美女に、式は唇を尖らせた。

 うっすらと青みがかかった髪。先の尖った耳が目を引く。飾り気のないツンとした表情をしているにも関わらず、その美しさは些かも損なわれていない。くすんだ蒼い瞳は感情が窺いにくい。式が不埒者を斬り付ける威圧的な美女なら、メディアは見る者をたじろかせる魔女とでも言うべき女だった。

 とはいえ、それは彼女らの美貌に惹かれ言い寄ってくる男に対してのもの。お互い心を開いた関係である三人の間には関係ない。突っ掛かっているように見える式とメディアの会話も、実際は仲の良いじゃれ合いと言った所だった。

 

「さてさて。それじゃあゆっくりお茶しましょうか。ふふ、楽しみだわ、メディアの持ってきてくれた珈琲」

「わたしもよ。まだ自分でも飲んでなくって。さて、あの子の言葉通りならいいのだけれど」

 

 各々がカップに口を付ける。熱い珈琲を口に含む。

 液体を舌先で転がして、まず口を開いたのは意外にも式だった。

 

「ほお。こりゃ中々旨い。オレの淹れ方が良かったのか」

「いやいや何言ってるの、元の豆が良いからよ。……でも、うん。確かに悪くないんじゃないかしら」

「ホントに美味しいわねっ。香ばしさが強くて香りだけでも満足できそう。選んでくれたメディアに感謝しなきゃ」

「……あー、うん」

 

 アイリの言葉にメディアが複雑そうな顔になる。

 もう一口珈琲を飲んでから口を開いた。

 

「……実はこれ、わたしが自分で選んだんじゃないのよね。珈琲店に行った時、どの豆にするか迷ってて……偶然、隣にいた子が薦めてくれたの」

「へえ? メディアが他人の言うコトを聞くとは珍しい。オレたちのコトもろくに聞かないくらいなのに」

「うるさいわねっ。……なんか、中学生くらいの男の子だったんだけど。わたしを見たら赤くなっちゃって、ちょっと可愛いな……って思ってたら、『こっちの豆がお薦めですよ』って言うの。わたしが迷ってるのを見てたみたい。それで理由を聞いたのよ。味が良い豆なの、それとも香り? って。そしたら、『薫り高くて、苦味が強くて、でも口当たりに柔らかさがあるのがお姉さんにぴったりだと思います』って。なにこの子、口説いてるの? って思ったんだけど、どう見ても本心で親切から言ってるみたいなの。なんだか調子狂っちゃって、言われるがままに買っちゃったわ」

 

 ぼうっと中空を見て思い出すように話すメディア。

 そんな彼女にアイリが言った。

 

「……えーっと。メディア、聞きたいんだけど。その子、どこかで見覚えなかった?」

「え? 何よアイリ、鋭いじゃない。そうそう、どこかで見掛けた気がするのよね」

 

 うむむ、と眉根を寄せて考え込むメディアを前に、式とアイリが顔を見合わせた。

 式がもしかしたら、という風に、

 

「なあ、メディア……もしかしたらそいつ、このマンションで見掛けたんじゃないか。ほら、例えば──」

「ああっ! そうそう、言われてやっと判ったわ。うん、そう言われればここで見たコトあるかも。確か……ここの管理人の子と一緒に中庭の手入れしてた子だわ。はー、やっと胸のつかえが取れたって感じ」

 

(やっぱりな……あいつ、早速メディアにも粉をかけてるぞ)

(本人はただ親切心で言ったんだろうってのが悪質ね。軽く言ってるけど、こんな風に男の人の話をするメディアなんて初めて見たわ)

 

 今度会ったらお礼しておきましょうかしら、と言うメディアを他所にヒソヒソ内緒話をする式とアイリである。

 と。ふと、メディアがアイリの首元を見た。

 

「あら。アイリ、またそれ着けてるのね。最近のお気に入り?」

「え? …………ああ、これ」

 

 アイリが人差し指でくいっと弄る。

 それは、黒いチョーカーだった。と言ってもチョーカーとしてはかなりごつい。それに革でなく金属製なので、清楚なアイリの風貌の中でそのチョーカーはかなり目立っていた。

 

「ふふ。どう、似合うでしょう? 真っ黒なのが目印って思えて大好きなの」

「ふうん? まあ似合ってなくはないけど。でも少し主張が強すぎるかもしれないわね」

「ええ、それがいいの。目立つのも、見間違えようがないのも、なにより首を締められているっていうのがね。もう堪らないのよ」

「あら、変わった趣味してるわね。わたしはゆったりしたモノが好きだから、ちょっと好みじゃないわ」

「それはどうかしら。貴女もそのうち、こんな感じのを着けたくなるかも」

 

 ないない、と言うメディア。

 アイリの首を指して、

 

「だってそれ、チョーカーって言うより────首輪に見えるもの」

「……………………」

 

 アイリは答えない。

 ただ、くすり、と感情の読めない微笑みだけを湛えている。

 

 

 その微笑みの意味を、メディアはまだ知らない。

 この時は、まだ。

 







アイリ編でした。予想外に長くなってしまった。
やっぱり人妻キャラはいい…エロい。そのうち人妻三人とヤリモク旅行編とか書きたいんですがどうでしょう。 10話くらい使って。

娘組(イリヤと未那)ですが、別々に母娘丼編にするか二人一緒にメスガキ編にするか考え中。
とりあえず次はカレンか橙子さんか攻略済みキャラか、気が向いたキャラを書こうと思います。


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主従相克・前(間桐桜、ライダー)

前編です


 このマンションの管理人、間桐桜の自室は管理人室に併設されている。

 

 管理人室にはエントランスに面した窓口がある。本来はここで管理人がマンションを出入りする住人を迎える。しかし桜は管理人室の外に出て、エントランスを掃除したり中庭の植物園の手入れをしたりするのが日課だった。時には設備会社を呼んで電気や空調のチェックをしたり、新しい入居者の応対をしたり。基本的にそういった業務は夕方までに終わらせて日が暮れるくらいには管理人室の奥の自室に引っ込む。そこからは出入りを監視する目はなくなるが、住人が人外揃いのマンションである。常時ライダーの結界が張られているということもあって、むしろ他の住宅よりよほど安全と言えた。

 

 管理人室の奥にある桜の自室は他の部屋とは少し違う。判りやすく言えば若干広く、設備も上質だった。間桐家も旧家、貯蓄には余裕がありそれを活用したものだ。他の部屋と比べお風呂は一回り以上大きいし寝室も広い。家具も良い物が揃っている。

 その中に最近追加された物があった。高画質の大型テレビだ。これは桜の趣味というわけではなかった。読書や勉強をして物静かに過ごす桜はテレビをほとんど観ない。

 これを購入した理由はひとつ────大好きな少年に、自分の部屋に来て貰う口実を作る為であった。

 

 

 

 

 

 

「やった! 勝ちましたよ桜さんっ。やっぱり上手ですね!」

「そんなコトないです、歩くんが助けてくれただけ。ありがとうね」

 

 夜。大型テレビに向かい、歩と桜はゲームをしていた。

 二人がプレイしているのは多種多様な作品から選出されたキャラクターたちを操作して闘う対戦格闘ゲームだ。攻撃を受けて画面外まで吹っ飛ぶか、フィールドから落ちたら負け。ネット機能が備わっており、全世界のプレイヤーと回線を通じて対戦出来る。

 歩はこのゲームがお気に入りだったが、今までは自分の部屋の小型テレビでしかプレイ出来なかった。それでも楽しくはあったのだがやはり迫力に欠けるというものだ。一緒にプレイする相手もいないので小さな画面に向かい一人で黙々とプレイするほかなかった。

 

 そんなあるとき桜との雑談でその話をしたのだが、その数日後、桜の部屋に行ったとき歩は驚いた。それまでなかった大型テレビが置いてあったからだ。壁に掛かる薄型のそれはどう見ても最新鋭の高価格なものだと見て取れた。桜が言うには実家で不要になったものを移してきたのだという。観たくなったら来て良いしゲームに使ってもいいよと言われ、それからというものゲームをしたくなったらここに持って来るようになったのだ。

 

 ────勿論、実家から移したというのは大嘘で少年を自室に招く口実作りの為に新品を購入したのだが、桜は歩にそれを伝えてはいなかった。テレビくらいあってもいいかな、とは思っていたし、なにより少年が知ったら『そこまでしてもらったなら桜さんの部屋に行かなくちゃ』と思うようになるだろう。あくまで少年が自発的に自分の所へ来たいから来てくれる、というシチュエーションが桜にとっては大事なのだった。

 

「ふふ。うん、久し振りにやるゲームは面白いね。最近は余裕なかったもんね」

「そうですね。すいません、間が空いてしまって」

「ううん、全然いいの。歩くんが来てくれるだけで嬉しいんだから」

 

 ここしばらく、歩はアイリとの同居生活に掛かりっきりだった。桜の部屋に来るのは随分久し振りだ。勿論度々会うことはあったが、一緒の時間を過ごすのは実に二週間ぶりである。

 

「……っと。そういえば遅いですね、ライダーさん」

「コンビニ行くだけって言ってたし、そろそろじゃないかな……あ」

 

 ガチャリとドアの開く音。

 噂をすれば、さっき『軽食でも買ってきます』と出ていったライダーが帰ってきた。手にはコンビニ袋を提げている。

 

「ただいま戻りました」

「時間掛かってましたね、何かありましたか?」

「いえ……知り合いと偶然出くわして少し。大したコトではありません」

 

 歩の質問に答えつつ、袋の中身を取り出すライダー。サンドイッチや唐揚げ、紙パックのジュースが机に並べられていく。ゲームに熱中していたこともあり、歩もお腹が減っていた。桜と一緒に一旦ゲームをやめて食事を摘まむ。

 桜の部屋で夜までゲームする日はこうやって三人でいることが多かった。ライダーは歩以上に桜の部屋に入り浸っている。桜の部屋を訪れると二回に一回はいるくらいだ。二人の様子を見ると本当に家族のように仲が良いんだな、と歩は思うのだった。

 

「そういえば……歩はそのゲーム、少しは上達したのですか。以前は中々寂しい腕前でしたが」

「もうライダー。そんな言い方ないでしょ」

「ううっ……いいんです桜さん。僕が下手なのは事実なので……」

 

 ゲームが好きかどうかと上手さは直結しない。それが対人ゲームなら尚更だ。歩の腕前はお世辞にも強いとは言えなかった。反射神経や判断力に優れたライダーにも、初心者ながら意外と状況の把握や相手の行動の読みに優れた桜にもほとんど勝てない有り様だ。ずーんと落ち込んでアップルジュースのストローを吸う。

 

「大丈夫よ、歩くん。たくさん練習すればきっと上手くなるわ」

「桜さん……。でも僕、もう十分プレイしてるんですが…………」

「…………ええっと。ほら、誰にでも得手不得手があるものだから」

「桜さん!?」

 

 あっさり擁護を諦めて目を逸らしてしまった桜に泣きつく歩。桜はあはは、と苦笑するばかりだ。

 それを見て、はあ、とライダーが溜め息をついた。

 

「……まったく。思うにですね、歩は他者を蹴落とすという行為に向いていないのでしょう。だから相手のいる対戦ゲームで遠慮してしまう。

 しかし、あくまでゲームはゲームです。歩の優しさは美点ですが、この場合それが障害となっている。生命に及ばない所で勝負を楽しむものなのですから、そう気負わずに遊べば良いのですよ」

「そう……なんでしょうか」

 

 別にそんな優しいつもりは……とも思うが、確かに相手を確実に倒せるような状況になった時、躊躇してしまうことがあるように思う。そのせいで逆転されたことも。

 要するに向いてないのかなあ、と思う歩に桜が言った。

 

「そっか……それなら、歩くん。勝ったらご褒美、っていうのはどうかな?」

「え? ご褒美ですか」

 

 どういうことだろう? と疑問符を浮かべる歩に、

 

「うん。勝ったら何かして貰えるとか、欲しいモノを買って貰えるとか……そういうご褒美があったら良いんじゃないかな。それならその目的のために頑張るー、って気持ちになれるかも」

「成る程。それは良い案です、桜」

「あ、ライダーもそう思う?」

 

 こくこく、と頷いてライダーが言う。

 

「目的意識というのは大切です。それを用いて勝つコトに慣れていき、最終的に勝負自体を楽しめるようになれれば良い。歩の事情にそぐう対処法でしょう」

 

 それに、と続けて、

 

「ご褒美、というのがまた素晴らしい。ええ、なんでも言ってください、歩。私がどんなコトでもして差し上げましょう」

「え゙」

「────ちょ、ちょっとライダー!? なに抜けが……じゃない、なんてコト言ってるのっ」

 

 すっと歩への眼鏡越しの視線を細めて言ったライダーに桜が慌てて言った。とはいえそこには拒否感はないようだ。赤い顔で、ちらちらと歩の方を盗み見ている。

 どきり、と歩も脈拍が上がってしまう。……実際、今日はそういうことを期待してここに来た所はある。以前もここでのゲームに興じたあとは半々ぐらいの確率で桜とベッドインしていたのだ。かなり久し振りに、桜とえっち出来ないかと──そして彼女もそれを望んでいるのではないか、そうだったら嬉しいなあ──と思いつつ訪れたのは本当だ。

 

「おや、桜は望まないと。では仕方ない、私が歩の欲求を受け止めるほか有りませんね」

「えええ!? ら、ライダーっ」

「ほら、歩。桜は貴方とえっちなコトをするつもりはない様ですから。私になんでも言ってください」

 

 いつの間にか歩の隣まで寄って来ていたライダー。

 眼鏡姿の美女が少年の腕をそっと抱く。彼の肘が、豊満な乳房の間に沈むように。

 

「な、なんでも……って」

「なんでもですよ、なんでも。しゃぶれでも、挟めでも。舐めさせろでも、踏ませろでも。貴方のやりたいコトを言ってください。どんな欲望も満たして差し上げます。……ああ、でも。他の男に抱かれてこい、などというのは駄目ですよ……私は、貴方だけの女ですから」

 

 妖しい笑みを浮かべて覗き込まれる。

 淫靡な蛇女。手を出した男は丸飲みにされるだろう。これを以前自分が堕とした、などとはにわかに信じがたい。しかし、その瞳に宿った愛情は本物。主と認めたオスに絡み付いておねだりする姿は、歩だけが見ることの許される恋する女としての姿だ。

 ごく、と歩が唾を呑む。魅入られたように、彼女に口を開こうとして────

 

「────だ、駄目っ! 歩くんっ、ライダーじゃなくて私に……!」

「わ……っ」

 

 今度は反対側から瑞々しい少女の身体が触れた。

 目に涙さえ溜めて桜が縋る。無理もないだろう。この世で一番愛する少年がほかの女に喰われそうになっている。しかも相手は自分の従者。更に元はと言えばここでのゲームのあとは自分が抱かれるのが基本なはず。それを掠め取られそうになったのだから必死にもなると言うものだ。

 

「歩くん、ね、ねっ? わ、私だってなんでもしてあげるよ? このおっぱいもお尻も、おまんこも……歩くんの専用の身体、全部好きにしていいんだよ……?」

「うっ…………そ、そう言われても、どちらか選ぶなんて」

 

 中学生の男の子にむっちむちの身体を擦り付けて劣情を煽るお姉さん。均整のとれたモデル体型のライダーとは対照的な、男好きのするメス体型だ。ここ最近大人の人妻女性ばかり抱いていた歩に効きまくる、食べ頃の女子高生ボディを密着させられ、歩の股間がむくむくと持ち上がっていく。

 

 勿論、それを見逃す女たちではない。目敏く少年の股間の変化を見付けて嬉しそうに笑った。

 

「あ……。歩くんったら、もう臨戦態勢……っ」

「ええ、そうでなくては。……しかし、このままでは私か桜か選べなさそうだ。それでは」

 

 かちゃ、とライダーがコントローラーを持つ。歩と桜のモノの隣。ライダー用の三つめだ。

 

「三人対戦と行きましょう。私は桜を、桜は私を倒すのが目的というコトで。ルールは残機三つのストック制で良いでしょうか」

「……ええ。いいわよライダー、望む所だわ」

 

 先に三回倒された方が負け、という一般的なルールだ。二人の瞳がメラメラと燃えている。勝者が少年と交われるというのだから無理もないだろう。

 一方、歩は手持ち無沙汰である。これでは自分の役割がない。

 

「あの、ライダーさん? 三人対戦……ってことは僕もやるんですよね。僕は何をすればいいんでしょう」

「ああ、歩は」

 

 ライダーは少年の耳元に唇を寄せると、

 

「抱きたい方を。えっちしたい方を勝たせるように動いてください。ええ、貴方になら文句は言いませんから」

「…………ええっと」

 

 驚いて見れば、ライダーは誘うように笑んでいて。

 思わず桜に目を移すと、上目遣いで物言いたげに見てくる彼女と目が合って。

 

「判り……まし、た」

 

(そんなこと言われても……どっちかなんて決められないって……!)

 

 半勃ちの股間が切ないなあ……などと思いつつ。

 追い詰められてそう答えるしかなく、しぶしぶコントローラーを握る歩だった。

 

 

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 

 

「くっ……中々やりますね桜。しかしもう諦めたらどうですか……っ」

「そっちこそ……! マスター相手に大人げないんじゃないの、ライダー……!?」

 

 ガチャガチャとコントローラーを操作する音が響く。

 主従の攻防は一進一退だ。残機は二人ともあと二つ。ライダーの操るトリを背負ったクマのキャラクターと、桜の操作する黄色いネズミがぶつかり合っている。

 操作自体はライダーの方が上手いようだったかが、経験は歩とよくプレイしていただけあって桜の方が勝る。総合的な実力は互角といったところか、ほぼ拮抗した試合運びになっていた。

 

(ふ、二人とも気合い入ってるなあ……)

 

 二人のキャラクターとは少し離れた所で大剣を持った金髪の青年キャラを所在なげに佇ませながら歩は二人の闘いを見ていた。

 ライダーにはああ言われたものの、歩は特に何も出来ていなかった。優柔不断と言われるかも知れないが、ハーレムの女の子たちはみな平等に大好きなのが歩という少年だ。元来の性格の面から言っても、どちらかに肩入れするというのは中々難しかった。

 それに、二人の様子に胸がドキドキしてしまっていた。必死になって操作する桜とライダー。それは、自分こそ歩に抱いて欲しい、と言っているのと同じようなものなのだから。

 

(………………あ)

 

 桜のキャラがライダーのキャラを吹き飛ばす。かと思えば復帰したライダーのキャラがすぐに桜のキャラを落とした。これで残り一機。あとは先に倒した方が勝ちだ。

 打ち合い、ぶつかり合う二人のキャラクター。ダメージが少しずつ溜まっていく。蓄積ダメージが高ければ高いほど吹き飛びやすいというシステムの為、対戦が続けば続くほど勝負が付きやすくなる。

 というのに、二人はギリギリの所で鬩ぎ合っていた。なかなか勝敗が決まらない。二人の操作の上手さもあるし、我こそが歩とという執念もあるのだろう。

 数分以上、その状態で闘い続けて。ふと、桜が持っていたコントローラーを膝の上に置いた。

 

「思った以上に踏ん張るわね、ライダー。ここまでとは思わなかったわ」

「当たり前でしょう。勝った方が歩と……なのですから。負けるわけにはいきません」

 

 ライダーも操作を止めて応じる。

 二人のキャラクターはもう大量のダメージが蓄積している。一発でも強攻撃を食らったら簡単に吹っ飛んでしまうだろう。

 半目で睨み合う二人。そのまま数秒、視線を合わせ……くすり、と。零すように桜が笑った。

 

「まあ、もう十分かな。ねえライダー。提案があるんだけど」

「ええ、私からも。恐らく同じコトを考えているだろうと思っていました」

 

 さっきまでの雰囲気とは一転、和やかに笑う桜とライダー。

 歩は驚いた。二人がゴトリとコントローラーを床に置いたのだ。

 

「さて。歩、見ての通りです。私たちでは勝敗が付きませんでした。なので」

「歩くんに選んで貰おっか。ほら、シたくない方のキャラを思いっきり殴って倒しちゃって。えっちしたい方を、歩くんの手で勝たせて欲しいな」

「えっ……えええええ……!?」

 

(け、結局こうなるのか……というか、まさか二人とも狙って……?)

 

 二人の雰囲気を見ればその可能性は大いにありそうだ。最初からそのつもりだったかは判らないが、残機1で拮抗していた時点でこの展開は決まっていたのだろう。

 

 ゲーム内の二人のキャラはもう棒立ちで歩を待っている。僅かな間を開けて隣同士で立ち、どちらかを攻撃してねという感じ。ついでに本人たちもじっとりというかねっとりした視線で歩を見詰めている。もちろん私を選んでくれるよね? 私とえっちしたいよね? という声が聞こえてくるようだ。女の重圧が伸し掛かってきて、歩の背中に冷や汗が伝った。

 

(…………か、覚悟するしかないか……!)

 

 この期に及んで逃げるのは許されないだろう。赤らんだ桜とライダーの顔は、なにも興奮からだけという訳ではない。よく見れば唇は不安そうに震え、眼尻は羞恥に潤んでいる。色々な過去を持つと言えど二人は女の子。好きな男の子にセックスをアプローチしておいて素面でいられるわけがなかった。

 歩の操作キャラがゆっくり二人のキャラに近付いていく。桜のキャラに触れる。選ばれなかったと思ったのだろう、う、と桜が言葉にならない声を上げる。それを心配そうに見たライダーが、やっぱり桜を────と口を開こうとした時。

 

 ぽいっ、と歩のキャラが投げた爆弾アイテムが。

 密着して立つ二人のキャラに炸裂した。

 

 大きなダメージと吹き飛ばし効果を持つ爆弾。歩のキャラは床に落ちていたそれを広い、桜とライダーのキャラ目掛けて投げたのだ。

 ただでさえ蓄積ダメージを負っていた二人のキャラは成す術なく派手に吹っ飛んでいく。きらーん、と二人ほぼ同時に星になって、ゲームセット。当然の帰結として、歩のキャラの勝利ムービーが流れた。

 ぱちぱちと歩の勝利を讃えて拍手するネズミとクマ。あと背中のトリ。

 

「…………うん?」

「…………はい?」

 

 ぽかん、と呆気に取られる桜とライダー。

 呆然と横を見れば、歩は赤い顔で目をつむっている。どうやらミスではなくワザとらしい、と桜とライダーにも判った。

 

「えっと……歩くん?」

「ど、どういうコトでしょうか。これでは勝敗が」

「そのう…………」

 

 ちらっと二人を横目で見る歩。

 ためらいながら、おずおずと口を開いた。

 

「えっと。僕、お二人のことが好きなんです。二人とも、同じくらい。だから選べないし、ケンカもして欲しくなくて。

 だから……あの、三人一緒に……はどうでしょうか……」

「「………………」」

 

 少年の言葉を咀嚼する桜とライダー。

 それはつまり、三人ともお互いが大好きなのだから、三人で愉しもうということで。

 その意味を理解した瞬間、桜とライダーは少年にぎゅっと抱き着いた。

 

「わっ、ふ、二人ともっ」

「歩くんっ、もう、もうっ……! 優しいんだからあ……!」

「ああ、まさしく歩の言う通りでした。久々の歩との時間で舞い上がってしまい、我先にと競うばかりで見苦しい所を見せてしまいましたね」

 

 少年に両側から身を寄せる。

 それは先程とは全く違う、愛する少年を二人で挟み込んでしまおうという甘いサンドイッチハグだった。桜の腕が歩の太ももに触れる。ライダーの髪が歩の腕に絡み付く。身体も心も許し、歩に対してはパーソナルスペースが完全に溶けて失くなってしまった二人の女。もう隠す部分のない二人が、今から抱いて貰う自分たちの所属するハーレムの主に媚を売りまくる。

 

「もちろん、三人でするのは大歓迎……っていうか、こっちからお願いしたいくらい。嬉しいなあ、歩くんが私たちのコト、そんなにちゃんと考えてくれてたなんて。ここしばらく放っておかれて、ちょっと心配だったんだよ……?」

「私も、自分で自分を慰めるしかなく……有り体に言えば溜まっていたのです。歩も私たちどちらかを選べと迫られながらこのような判断をして下さるとは、ハーレムの主人としての自覚が備わってきたようですね……?」

 

 しっとり濡れた、女の顔で少年の顔を覗き込む。混ざり合う熱い吐息。なにもそれは桜とライダーだけではない。歩の方も、もう二人と交じりたくって堪らない。

 我慢できず桜の腰を抱き寄せ、思いっきりおっぱいに鼻先を突っ込んでしまう。もう片方の手はライダーのおっぱいを鷲掴み。きゃん、くうん、と犬のように喘ぐメス二人に所有権を主張するように、桜には薄いブラウスの上から乳首を舐め、ライダーには手形が残るくらい強くおっぱいを握る。それに怒るのではなく股を濡らすのだから、二人の歩へのぞっこん振りがよく判るというものだった。

 

「っ、あ、歩っ。そのですね、実は私、衣装を用意していまして……一度シャワーを浴びて、着替えても良いでしょうか……?」

「え、そうなのライダー……? じゃあ私も汗を流したいかな……。歩くんが良ければだけど」

「あ……す、すいません。勿論ですっ」

 

 二人の柔肉からどうにか手を離す歩。今すぐ二人を抱きたかった思いと、二人の準備を待ってからの方がきっと気持ち良いえっちになるという思いがぶつかり合う。

 そんな少年を見て、改めて二人の美女が身体を押し付けた。

 

「あっ……!」

「ごめんね歩くん、すぐえっちさせてあげられなくて。でも大丈夫、ちゃんと満足してくれるように身体をぴかぴかに磨いてくるから」

「私も、きっと歩の性欲を満たせるよう準備してきます。正直恥ずかしい衣装なのですが……他ならぬ歩の為ですから」

 

 むぎゅうぅっ……、と胸もお尻も大きな二人に挟まれ、多幸感が限界に達してしまう。

 真っ赤な顔で女体に溺れ、あっぷあっぷしている少年を微笑ましく見て、

 

 

「それじゃあ待っててね、歩くん。私の寝室で、私のベッドで三人えっちしようね……♥️」

「貴方に出来るだけ美味しく食べて頂けるよう、二人で準備をして参りますので……貴方のハーレム妻の夜伽を、閨でお待ちください……♡」

 

 

 ちゅっ……♥️♡と両側から頬にキスされる。

 歩の肉棒は、もう期待と興奮でびくびくと跳ね上がっていた。



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主従相克・中(間桐桜、ライダー)

ちょっとキツめかも


 男子たるもの、好きな女の子と情事を始める前は緊張するものである。それが何度も経験した相手であっても。

 

「そろそろ、お風呂終わったかな」

 

 歩は桜の寝室にいた。部屋には大きめのベッドがある。シンプルながらも少女らしい薄桃色のシーツにパステルグリーンのカバーの布団。これが桜のベッドだ。歩はこの布団が好きだった。デザインも良いし、何よりここで桜と一緒に寝ると、彼女の香りに包まれて眠れる。情事の最中は煩悩を刺激する桜の甘い匂いは同時にリラックス効果も持っているようで、布団にくるまって桜に抱き締められていると得も言われぬ安心感が込み上げるのだ。

 ころん、とベッドに転がる。まだ二人が来なさそうなのを窺って、布団を抱き締めた。

 

「……さっきの桜さんとライダーさん、凄かった」

 

 両側から身体を擦り寄せられて息が詰まりそうなくらい興奮した。出来ればあの場で始めてしまいたかったくらいだ。

 

 主従の関係にあり色々と似通った部分のある二人だが、セックスに関しては大きな差異があった。まず桜とのセックスはどちらかと言えば桜が上位の、歩が彼女に甘えるようなプレイが多い。歩も今までの女の子、特に式やアルトリアとのえっちで自覚しているが、相手によっては獣性を見せてしまうことがあった。あくまで女の子が望み受け入れるのならという前提だったが、土下座させたり尻を叩いたり、更には人妻を寝取ったり……というのはかなりキツいプレイと言えるだろう。しかしこと桜に対してはそのような仕打ちをすることはほとんど無い。桜のあの甘く溶かすような雰囲気の為だろう、桜とのえっちは基本的に甘々ないちゃらぶえっち。キスして、フェラしてハメて、お好みで授乳手コキやお掃除フェラして貰って。激しくても精々イラマチオからの喉奥射精をする程度だ。そして桜のおっぱいに顔をうずめながら眠る、というのがパターンだった。桜の愛情を味わう為のセックスと言えるだろう。

 

 反面、ライダーは対照的だ。彼女は年上のクールビューティぶっておきながらその実、歩に征服されることを望んでいるクソザコマゾであり、女神の癖に性成熟したての中学生以下の性的弱者だ。経験の薄い頃の歩にも勝てなかった彼女が、今の彼に敵うはずもない。本人も負けることを望んでいる節があり、歩にえっちを誘われても渋るポーズを取って痺れを切らした少年に強く迫られてようやく了承し、いざベッドの中ではそのおしおきを喰らってひっくり返ったカエルさながらに潰されると言うのがお好みだった。乳首を抓れば悲鳴を上げて股を濡らし尻を叩けば子宮イキする変態である。もはや歩に対しての屈服アクメ癖が付いてしまっておりもう二度と治ることはないだろう。歩のハーレムの中でも最も重度の被虐体質。そんな正反対とも言える嗜好を持つ二人との三人えっちとなれば緊張もするだろう。これまでも三人で絡んだことはあるものの本格的なセックスは初めてだ。

 

 歩の中には同時に二人を味わうことへの期待と満足させられるだろうかという不安があった。どちらかと言えば後者の方が大きいかも知れない。大好きな二人にもし幻滅されたら、と怖くなってしまう。桜とライダーが知ればそんな心配必要ないと一笑に付すだろうが、歩にとっては切実だった。純情ながらも欲張りな少年はハーレムの誰一人失いたくはない。歩は心優しい少年だったが、まだ彼女たちの気持ちを正確に察知できるほどに大人ではなかった。あくまでこのハーレムは歩が望むから皆が付き合ってくれている、と思っているのだった。実際の所は歩のことが好きな女たちが彼を囲っていると言う方が正しいのだが。

 

 桜が毎日使っている枕をぎゅっと抱き締める。すう、と呼吸すると桜の匂いが肺に満ちた。股間に血液が流れ込む。見られたらまずいと思いながらも抑えられず、股に挟むように抱きかかえてしまう。ぐいぐいと股間を押し付けるとじんわりと快感が広がった。そろそろ二人が来るのに、というか今からえっちするのに──と思いながらも陶酔感から逃れられない。日常の二人が思い浮かぶ。マンションの入り口で出迎えてくれる桜。制服にエプロン姿でもその出っ張った胸と尻は隠せていなくて、箒を掃く度ふるふると揺れる。彼女は自分がこの辺りを通学路にする中学生や高校生の憧れの的だということを知っているだろうか。勿論桜が通う学園の高等部でもそうだろう。きっと桜をオナペットにしている男は数知れないほどいるはずだ。それはライダーも同じこと。日本人では有り得ない驚異的なスタイルの外国人であるライダーはとにかく目立つ。よく訪れる量販店や本屋では彼女は羨望の的である。美しくたなびく紫髪、スレンダーながら出る所は出た体型、常人のヘソくらいの高さにある腰。なにより特徴的な光彩を持った瞳がすれ違う人の視線を集める。一目見ただけでも彼女の美貌は永遠に忘れられまい。その2人を、いっぺんに。自分はなんて幸運なのだろう、と思いながら枕に抱き付いていると、

 

「────歩? その、入っても宜しいでしょうか」

「あ……は、はい。どうぞ」

 

 慌てて枕を放し起き上がる。

 どこか上擦った声はライダーのものだ。興奮と、緊張と、羞恥……だろうか。いつもの澄んだ声にはない、どこか心細そうな色。

 がちゃりとドアが開く。そこにいた2人を見て、歩は息を呑んだ。

 

「お待たせ、歩くん。って……ふふ、見てる見てる。ほらライダー、もっと堂々としなきゃ」

「あう……。わ、笑わないでくださいね、歩…………」

 

 二人が部屋に入ってくる。

 その姿に歩は目を奪われていた。よくピッチリした服を着ているライダーだが、今はふんわりしたベビードールを着ていた。黒色で、生地が極めて薄く中の黒ブラと黒紐パンが透けて丸見えになってしまっている。襟にはピンク色のリボン、裾には刺繍が施された、いつものライダーなら絶対に着ないようなキュートな服装だった。しかも長髪を二つのリボンでまとめたツインテールにしている。彼女特有の美女という部分は薄れ、可愛らしさを前面に押し出している。

 笑ってその背中を押す桜は、裸体にバスタオルを胸元から腰まで巻き付けただけの無防備な姿。わざとそうしているのだろう、股間はぎりぎり隠せているかいないかという程度で、高校生としては特大級と言える胸も乳首のほんの手前まであらわになっている。男なら誰でも腕を突っ込みたくなるそこはしっとりと濡れていた。よく見れば髪も水分を含んでおり、あえてお風呂上がりの水気を完全に飛ばさずに来たのだろうと判る。しかし何より異彩を放つのは、その首。戦闘服のライダーが着けているベルト状の首輪が桜の細い首に巻かれている。ほぼ全裸に近いような姿の中で、それだけが異物のように存在感を持っていた。

 

「桜さん、ライダーさん。その格好は……」

「あ、歩……申し訳ありません、お見苦しいものを……」

「だからそんなコトないってばライダー。ちゃんと似合ってるわ、歩くんもそう思うでしょ?」

「は、はい。勿論です」

 

 二人とも別種の色っぽさがあるが、より目を引くのはライダーの方だろう。どことなく幼ささえ感じさせるライダーの服装は、歩も初めて見る姿だった。

 見詰める歩の視線を誤解したか、ライダーがあたふたと言い訳を始めた。

 

「そっ、そんな目で見ないでください、歩っ。……ああ、やはり思い直すべきでした。たまには可愛らしい服で歩に愛されるのも、と思ったのですが……このような服は私のような無駄に体格の大きい女には似合いません。それに髪も、調子にのって姉の真似をするなど止めておくべきでした」

「もう、だから堂々としなってばライダー。……ええい、ほらっ」

「きゃっ……!?」

 

 縮こまるライダーを桜がどん、と押した。倒れ込むようにぶつかるライダーを歩が抱き留める。

 半ば泣きそうな表情でライダーが恐る恐る歩を窺う。

 

「す、すいません歩。跳ね除けて構いませんから……、歩?」

「…………っ」

 

 ともすれば冷血な印象さえ与える長身美女が、思い切った少女チックな服装で見せる弱々しい姿。

 そんな獲物を前にして既に半勃起の少年が我慢できるはずもなく。荒々しくベビードールの胸を揉みながら、唇を奪った。

 

「────んむ、むちゅううう……っ!? ぷぁ、んんん……っ!」

 

 驚き身をすくめるライダーだったが、ちゅっちゅっと唇を吸われ身体から力が抜けていく。しかもおっぱいは薄布の上から揉まれ、腕を掴まれて少年のチンポに手のひらを押し付けられる。お前で勃起したんだ、今からこれを挿れるぞ──という言外の威圧に彼女の本能は一瞬で白旗を上げされるがままになってしまった。

 

「ぢゅっ、ぶっちゅぅうううう……♡ あっ、歩ぅ♡ も、もしかして……私のこんな姿で興奮してくださったのですか……♡ わ、私……光栄の至りです……♡」

 

 絶対に好意的に見て貰えない、下手したら嫌われるかも──と思っていた所に全肯定の欲望をぶつけられ、ライダーの幸福中枢がスパークする。

 歩がライダーの腰を抱くとライダーもベッドの上に乗り、少年へと擦り寄る。ライダーが歩の首に腕を絡め、更に深くキスしようと──

 

「ああもうライダー、そこまではやり過ぎ! 今日は違うでしょっ、歩くんも、ちょっとストップ!」

「わっ」

 

 桜が慌てて2人を引き離した。ぬぱ、と唾液の糸が引く。

 夢から覚めたように目を丸くしているライダーに桜が言う。

 

「ライダーったら、さっき話してたコト一瞬で忘れちゃうんだからっ。2人で決めたでしょ、今日はいつもとは違うようなのを……って」

「あぅ……そ、そうでした。申し訳ありません桜、歩のモノに触れたら思わず」

 

 ふう、と桜が息をはく。ベッドの端へ座った歩の隣に腰掛けた。ライダーもその反対へ、歩を挟むように座る。

 お風呂上がりだからだろう、2人の体温はいつもより高く触れ合う肩から歩へ熱が伝わってくるようだ。その温かさにどきどきしながらさっきから2人が言っていることについて尋ねる。

 

「あの、さっき言ってたいつもとは違うのを、って」

「ああ、それね。ライダーから言い出したコトなんだけど……彼女ったら、今日は歩くんと甘々なえっちがしたいんだって」

「え……ライダーさんが?」

 

 思わず横を見れば、ライダーは真っ赤な顔で俯いている。艶やかなツインテールも萎れているかのようだ。少年の視線に、おずおずと口を開いた。

 

「その……勿論、歩にいつもして頂くような、激しいセックス……く、屈服させられるようなえっちも良いのですが……。たまには、歩に優しく愛して貰いたい気持ちもあるのです。歩がイヤと言うなら当然無理にとは言いませんが、その」

 

 心細そうに床へ視線を落とし、不安げに肩を縮込めて。歩の小指をきゅっと握りながら、

 

「出来れば私のペースで、歩を押し倒して……貴方と手を握りあって……確かめるように触れて貰って……♡ いつもの荒々しいものではなく、優しくねちっこくピストンして頂いて♡ だっ、抱き合いながらの中出しアクメして……♡ そんな幸せ一杯のえっちをしてみたいと、おっ、思ったり思わなかったりっ……」

「くすっ……ライダー、頑張ったわね。……歩くん、そういうコトなの。ライダーなりに考えたみたい、服装とか、髪型もね。どうすれば歩くんに甘々にして貰えるか、可愛いと思って貰えるか……ってね」

 

 そう言われて、改めてライダーの姿を見る。ベビードールは扇情的かつキュートな魅力を求めたもの。ツインテールはライダーの思う可愛らしい女性の条件である、外見的幼さを意図したものだ。こう見えて恥ずかしがり屋で女神としてのプライドもあるライダーは素直にラブラブえっちがしたいとは言い出せなかった。そんな彼女がそれでも歩に愛されたいと望み自分を着飾ったのが今の姿という訳だ。

 歩の胸に喜びが染み渡る。人間誰しも自分の為に相手が努力してくれたと聞けば嬉しくなるもの。しかも相手が大好きなお姉さんで、ただただ歩に抱いて貰うためとなれば尚更だ。

 見詰め合う少年と美女は、引き寄せられるようにまた口付けた。

 

「ぷちゅっ……んむ、んんん♡ くちゅ……♡」

 

 お互いの気持ちを確かめるような軽いキス。しばらく舌を絡めたあと、ぷは、と離した。

 

「歩……ありがとうございます……♡ それで……今日は、桜からも提案がありまして」

「え…………桜さんが?」

「うん。私もね、ライダーと一緒でちょっと変わったえっちが良いなって」

 

 桜が歩の肩に頭を乗せる。首輪の留め具がカチャリと鳴った。

 

「私とはいつも、それこそライダーが言うみたいな優しいえっちをしてくれるでしょう? でも最近、歩くんの女の子たちと喋ってて……やれ『歩に土下座するのは最高だよ。おまえらも試してみたら?』とか、やれ『初めての時にアユムに尻を叩かれたのだが、理性が吹き飛ぶ程の快楽だったぞ』とか、歩くんに虐められるのが気持ち良いって話を聞くの。一番身近なライダーはこんなのだし」

 

 こんなのとは何ですかっ、と抗議するライダーをスルーして、歩に囁く。

 

「だからね、私もちょっと虐めて欲しいなあ……って。他の女の子に……ライダーにいつもやってるみたいな、キツいえっち、して欲しいの♥️ 痛いのも苦しいのも少しは我慢出来るから……歩くんの好きなように滅茶苦茶にして……♥️」

 

 桜も興奮しているのだろう。生暖かい吐息が歩の耳をくすぐる。言われてみれば、着飾らず布一枚で身を守るものがない姿も首に嵌められた首輪も、少年の征服欲を掻き立てる為なのだろう。

 悪戯心が沸いてきて、不意打ちで桜の乳首を摘まんでみる。あん、という色っぽい声。歩を見る目は期待とともに若干の怯えがあるようだ。それでもこの反応なら虐めても大丈夫かな、と歩は経験則から判断した。

 

「さて。それで、どちらが先に抱かれるか、というコトですが」

「すぐには決められないと思うから、アピール合戦しようかなって話になったの。歩くん、お耳舐めてもいいかな? 両側から、ちゅっちゅって♥️」

「歩の耳を舐めながらの囁きで、より貴方のモノを固くした方から、というコトでどうでしょうか?」

「み、耳ですか? はい」

 

 耳舐めとは歩も初体験だ。綺麗にはしているが、唇などと違ってそもそも口の触れる所ではない。

 それでも。桜とライダーに挟まれながらの耳舐めが、きっと気持ち良いだろうことくらいは想像がつく。ぷるんと弾ける唇が、唾液に濡れた舌が耳介を食んで、這って。2人の吐息を至近距離で感じるのは、きっと股間に効くはずだ。

 

「良かった。その気になってくれたみたいだね♥️」

「それでは、行きましょう……拙いながらも懸命に致しますので、どうかお愉しみください……♡」

 

 2人がベッドに片手を突いて前屈みになる。

 ぺろり、と唇を湿らせ。唾液をたっぷり舌に乗せ。

 はー……♥️♡と熱い息を歩の耳にぶつけながら。

 

「────んちゅ、くちゅっ♥️ ちゅっちゅっ、ちう~~っ♥️」

「んは……はむっ、もごっ♡ れろれろぉ~……♡」

「ひぁっ……!」

 

 思わず情けない悲鳴を上げてしまう。

 股間に効く、なんてものじゃない。可能な限り一番鼓膜に近い場所で浴びせられるサラウンドの耳舐めボイス。唾液の水気と温かさを伴ったそれは歩の脳に直撃し、頭蓋骨の中で反響する。

 桜は唇を尖らせ、キス音メイン。柔らかなリップで少年の耳をついばむ。音を立てて吸ったかと思うとむちゅりと押し付ける。耳たぶを唇に見立ててバードキスしているかのようだ。

 ライダーはキスというより、唾液を溜めた口に耳を含んでの耳しゃぶり。じゅっぽじゅっぽと殆んど他人に触れられることのない場所を粘膜で愛撫され、歩の背筋はぞくぞくと震えてしまう。

 2人の性格がよく出た耳舐め奉仕に少年は悶えることしか出来ない。あるいはキスやフェラより鮮烈な、脳に響く快感だった。

 

「はぁ~~っ♥️ 歩くん、気持ち良さそう♥️ ねね、私と先にえっちしよう? むちゅう……っ♥️」

「ねろぉ~っ、ぺろぺろっ♡ ふぅぅ~~……♡ 駄目です、私が先♡ 歩、私のおまんこへ先に貴方をください……♡」

「ちゅっ、ちゅぱっ……♥️ なにやっても良いんだよ、歩くんの好きなように私を犯して♥️ 叩いても、踏んでも……今日は虐め放題だよ……♥️」

「まずは私といちゃいちゃえっちで一発抜くのが先決かと……♡ 桜を潰すのはその後でよいでしょう♡ 本日の一発目はどうぞ私に……♡ むちゅるるるる……っ♡」

 

 極上のメス二人からのハメ乞いアピールに歩のチンポがびきびきと反り立つ。据え膳どころか相手の方からハメられに来ているのだから躊躇う必要はないと出番を待っていた。

 しかし歩は決められない。出来ることなら二人同時にハメたいくらいだが、あいにくチンポは一本だけだ。なにより桜とライダーの舌が気持ち良すぎて耳舐め快楽に浸ってしまっている。

 先に動いたのはライダーだった。ただ舐めるだけでは決まらないと見たか、歩へと囁きかける。

 

「歩……♡ もし私を先に抱いてくださったら、私の知り合いの女の子を紹介させて頂きますよ♡」

「あっ!? ずるいわよライダーっ」

 

 ベットを上乗せするライダー。出し抜かれて慌てる桜には目もくれず、

 

「私、セフレがいるのです。ああ、と言っても勿論女の子ですが。元々私はどちらかと言えば女性の方が恋愛対象でして」

 

 歩が例外というコトですと微笑みながら、ライダーは続ける。

 

「名は美綴綾子。武芸に秀でた高校生の少女です。美人ですし中々好みでしたので誑かして遊んでいたら、あちらも本気になってしまったようなのですよ。私も気に入っていたのですが……歩と出会ってからは貴方を最優先しておりましたし、女性であっても貴方以外と肌を重ねるのは躊躇われたので放ったらかしになってしまっていまして。先ほど彼女とコンビニで出くわして思い出しました」

「……うわライダー、美綴先輩を売っちゃうんだ。思いきったなあ」

「綾子のコトは気に入っていましたが、歩の寵愛の為なら安いモノです」

 

 さらり、と事も無げに言う蛇女である。

 ひょいっとライダーがベッド脇の写真立てを手に取った。弓道場だろうか、弓立てや試射用の俵がある板張りで弓道服姿の女子数人が写っている。

 その中には髪を束ねた桜もいる。そして、言われずとも中心に立つ凛々しい美人が件の美綴女史なのだと歩にも判った。

 

「どうです? 美しい少女でしょう? もとは普通に異性愛者だったのですが、私に可愛がられる内に同性の魅力に目覚めてしまったようで。私が本命なのでしょうが、他の学園の女子にも手を出しているとかいないとか。

 ……この美少女を、貴方のちんぽで躾けてやりたいとは思いませんか? どうやら後輩の女子からは格好いい美人の先輩として憧れの目で見られているようで、綾子が声を掛ければイチコロでしょうね。そんな子相手にタチのレズを気取っている良家の一人娘を、押し倒しておまんこをほじくり返してオスの強さを判らせるのです♡」

「…………っ!」

 

 写真から目を外せない。切り取られた風景の中で微笑む中性的な美少女。彼女を犯したいという欲望が、確かに浮かんでくる。

 

「さっき会った時、綾子が何と言ったと思いますか? ……ライダーさんおねがいします、後輩じゃ満足出来ないんです、抱いてください……ですって♡可哀想に、私に開発され切った快楽に弱々な身体なのにずっと満たされず、後輩をつまみ食いして気を紛らわしているのですね……♡ ずばり言いますが、歩なら喰えますよ♡勿論私も協力しますから、どうですか? 私を先に抱いてくだされば、この弓道部部長を献上致しますが……♡」

 

 ぐらり、と。少年の視界が歪む。

 ライダーを犯すことでこの少女との間を手引きして貰える、となれば歩に断る意味などない。どう考えても得しかない、取引にもなっていない交渉だ。

 もう一度写真を見て。こくり、と歩が頷こうとすると────

 

「ち、ちょっと待って待って! もう歩くん、私のコト忘れてるでしょっ」

「あ……そ、そうでした」

 

 桜に抱き着かれ、歩ははっとした。

 言われてみればこれはどちらを先に抱くかという話だったはずだ。桜を無視して事に及んでは片手落ちである。

 

「しかし桜、もう勝負は付いたようなものでは? 私の綾子に比するカードなど貴女にありますか?」

「むぐ……言ってくれるじゃないライダー。私だって歩くんに差し出せるモノくらいあります。大事な人ですけど……ううん、大事な人だからこそ、かしら」

「は? ……待ってください、桜。貴女もしや」

 

 何かに思い当たったようにはっとするライダー。

 桜は歩にしなだれかかり、耳元で囁いた。

 

「あのね、歩くん。言ってなかったけど……私、ひとつ上の姉がいるの」

 

 ──やっぱり、とライダーが天を仰いだ。

 

「お姉さん……ですか? 知らなかったです。どんな方なんですか?」

「うん。ほら、歩くんも全校集会とかで見たコトあると思うんだけど。生徒会長の遠坂凛……って判る?」

「それは知ってますけど……え、もしかして」

 

 そうなの、とはにかむ桜。

 髪をくくるリボンを指先で遊ばせながら言う。

 

「あの人が私の姉さん。文武両道、眉目秀麗の生徒会長さんなの。……姉さんね、あんなに美人でモテるのに恋人いないんだ。意外とけっこうおっちょこちょいな所あるし、妹としてはころっとヘンな男の人に引っ掛からないか心配で。でも相手が歩くんなら安心だなーって♥️ どうかな、歩くんがよければ紹介するんだけど♥️」

 

 遠坂凛は学園一の有名人だ。勿論歩とて知っているし、内心憧れを持っていた面もある。壇上でスピーチする姿も、たまに見かける髪を靡かせながら歩く姿も美しい。毎日のように男子に告白されながらその全てを袖にしているのだとか。桜の言う少し抜けた所があるというのは意外だったが、あの生徒会長とお近づきになれるというならそれは願ったり叶ったりである。

 

「まったく……私も人のコトは言えませんが、まさか自分の姉を差し出すとは。凛が知ったら何と言うか」

「それはお互い様でしょ、ライダー。それより……歩くん。どっちを取る? 私とライダー、どっちと先にえっちするか決められた?」

「うっ……そ、その」

 

 決められない──というより、余計迷ってしまった。桜とライダーでも判断できないのにそこに話したこともない美少女二人を上乗せされた訳で、決めかねるのも当然だろう。

 桜とライダーもそれは承知のようだ。クスクスと笑いながら、

 

「じゃあどうしよ。……ねえライダー。こうなったら、おまんこで選んで貰うとかどうかな……♥️」

「ほう……それは名案です。ええ、本気セックスの前に歩にほぐしておいて頂くというのも一興でしょう♡」

 

 ほら、と桜に促されて歩がベッド脇に立つ。

 桜とライダーがベッドの端に腰掛け、お互いの肩が触れる程までくっつく。そして──かぱっ、と股を開いた。

 無防備な股間。桜はバスタオルの裾からちらちらと割れ目が覗く。ライダーはベビードールのスカート部分を捲って紐パンが見えるようにした。

 

「歩くん♥️ すぐ決められないなら、とりあえず私とライダーで交互におまんこして、中出ししたくなった方と本気えっちしよっか♥️」

「ほら、どうぞ歩♡ 貴方の女が二人、股を開いて待っています♡ どうぞ私たちの膣で勃起をもっと強くしてください……♡」

 

 ──ごくり、と唾を呑む。

 歩の為に性器を差し出してどうぞ使ってくださいと言う二人の美女。耳舐めと囁きでイライラが溜まっていた勃起は更に怒張していく。

 慌ててズボンを下ろす。ぶるん、と跳ね上がったチンポに桜とライダーが歓声を上げた。

 

「すご……おちんちん、涎垂らしちゃってる……♥️」

「ごくっ……♡ そんなに怒って……さあ、私のココで慰めてあげますから♡」

 

 もう我慢できない。歩はまず桜に飛び掛かった。それは単に、紐パンを着けたライダーよりもバスタオル一枚の桜の方が簡単にチンポを挿入出来るという単純な思考だった。

 

「あ゙ッ……あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙……♥️♥️ 挿ってきたっ、久し振りの歩くんのおちんちん……♥️♥️」

「むう、桜が先ですか。まあ良いでしょう、すぐに私の番が来るでしょうから」

 

 唇を尖らせたライダーの言葉は歩には聞こえていない。

 にゅぷるるるるる……♥️ とねっとりした膣がチンポを擦り上げる。締め付けに押され、びゅぷりと先走りが鈴口から飛び出たのが判った。桜との生えっち。年上のお姉さんのおまんこで先走り汁を拭う贅沢な使い方に、歩の満足感が満たされる。バスタオル越しにおっぱいを掴めばむっちむちの巨乳が手のひらからこぼれそうだ。もう直接触りたい、押し倒してしまいたいけれど、律儀な少年は本気えっちはまだという約束を思い出して必死に耐える。

 

「くはっ……!」

「歩、こちらも♡ ほら、まずは私の下着を脱がしてください……♡」

 

 手を握られ導かれた先はライダーのショーツ。細い紐を指先で摘まみ、軽く引っ張る──とそれだけではらりと布切れが落ちた。

 落ちたショーツとの間に糸を引く、ライダーのマンコ。そこは愛液にてらてらと光り、少年のモノを待っている。

 チンポに巡る快感を堪えながら桜の膣内から引き抜く。ずるずると抵抗するマン肉はチンポに出ていかないでと懇願するようだ。それをどうにか耐えて桜の中から引きずり出すと、チンポが抗議するかのようにビクンビクンと跳ねた。みっちり包んでいた柔肉から解放され怒り狂うソレを、次はすぐ隣のライダーへ挿入していく。

 

「お゙お゙お゙お゙お゙お゙ッ♡♡ 歩のちんぽ、強っっ……♡♡」

 

 あっさり最奥まで到達した亀頭にコツンと子宮口を叩かれ、ライダーが甘イキする。仰け反って喉を晒した姿は到底女神の一柱とは思えない淫らなものだった。

 ベビードールの感触を確かめるようにすりすりと顔を擦り着ける。質の良い肌触りはシルクのそれだ。歩の為に着られた性欲煽り用の下着越しにおっぱいの柔らかさを堪能する。

 

「つっ、次は桜さんに挿れたいです……っ」

「言わなくても大丈夫だよ♥️ おまんこ開いて待ってるから、ライダーの膣でコキ飽きたら私に戻って来て♥️」

 

 にゅぷるんっ♡ とまだ甘イキに蕩けているライダーのマンコから引き抜き、隣の桜へ。亀頭を膣口にくっ付けただけで中へ中へと引きずり込むマンコに逆らうことなく根本まで挿入。小刻みに腰を揺すって桜のマンコでチンポを扱いていく。

 

 桜を堪能したらライダーへ、ライダーを味わったら桜へ。歩のチンポを介して桜とライダーのマンコは直接触れ合ってもいないのに愛液の橋が架かっていた。数秒おきに二人のおまんこを味比べ。二人の膣の形の違いをたっぷり確かめられる、歩にだけ許された贅沢過ぎる主従ハメだ。

 

 にゅっぷ♥️ぷちゅん♡ぬぷぷっ♥️ぶちゅっ♡

 

「くふっ……やばい、出そう……っ」

「はっ♡ はあっ♡ おや歩、出てしまいそうですか……♡ いけませんよ、少し我慢しましょうね……♡」

 

 何往復目かのライダーのマンコに突っ込んだ時、歩の背筋に射精欲が走った。それはまだこの後のセックスで、と懸命に尻の穴に力を込めて射精を我慢する。

 

「ほら、私の中でちんぽを休憩させましょう……♡ 隙間があると漏らしてしまいますから、子宮口に亀頭をぎゅーっとくっ付けて♡ あん、ちんぽが跳ねています……♡ 落ち着いて、ピストンは一旦止めて♡ そうです♡ 私のおまんこで一息ついて、射精欲抑えましょうね……♡」

「歩くんっ、本気えっちはまだこれからだよっ♥️ お漏らし駄目、ぴゅっぴゅしちゃ駄目♥️」

「うっ……うぅぅ……!」

 

 ライダーの身体に抱き付いてどうにか欲求を堪えようとする。

 しかし、もう無理だった。さんざん昂らされたチンポは遂に限界まで張り詰め、爆発しそうになっていた。

 

「ライダーさんっ……! えっちしましょうっ、このまま先にライダーさんとしたいです……!」

「~~~っっ♡♡♡ 畏まりました、歩……♡♡」

 

 ライダーの表情が喜色に満ちる。敬愛するオスが自分を選んでくれたという満足感、優越感。それに従い、一度チンポを抜いて歩をベッドへと押し倒した。

 

「あ~っもう、歩くんたらっ。……まあしょうがないか、良かったねライダー」

「も、申し訳ありません桜っ♡ 一足先にさせて頂きます……♡ 歩っ、私が上でいいでしょうか♡いいですよねっ♡」

 

 仰向けの少年へライダーが覆い被さる。彼女としてもマンコを貫かれて焦れていたのだろう。いつもは歩に押し倒されるか後背位ですることが多かったが、今日ばかりは自分主導でセックスを進めたいようだ。

 

「むちゅぅうっ……♡ 歩、て、手を♡ 握っても良いですかっ♡」

「はいっ、ライダーさん」

 

 両手を恋人繋ぎで握り、腰に跨がって歩の唇を貪る。ライダーの方が体格が上で長い髪が歩を覆うように垂れ下がっているせいでまるで蛇が獲物を補食しているかのような構図。少年の薄い胸板に乳房を乗せながら、大きなお尻を持ち上げる。

 

「では、改めて……♡ 挿れさせて頂きます、歩……♡」

 

 天を突くように直立する歩の剛直。

 そこへ、ぬぷり、と膣口を押し付けて。

 

 くちっ……ぬぶぶぶぶぶぶ……♡♡

 

「くうっ……ライダーさんの中、熱っ……!」

「あ、は…………♡♡ 来たっ、歩の本気ちんぽ♡♡」

 

 ライダーの性器へチンポが全て挿入され、ぱちゅ、と尻と腰がぶつかった。亀頭がごりごりと子宮を抉り潰す。限界までチンポが奥へと入り込む体勢である上に体重が掛かっている為だ。さっき膣コキしていた時よりも遥かに深い挿入感にライダーの快楽中枢が脳汁を垂れ流した。

 

 ぱんっ、ぱんっ! とライダーが必死で腰を浮かせ、尻を落とす。その度に突き上げられる子宮と削られる膣は号泣するかのように愛液を吐き出した。一突き毎にアクメに達し引っくり返ってしまいそうになりながらもどうにか騎乗位ピストンを続ける。快楽とチンポに激弱のライダーとしては驚異的な頑張りと言えるだろう。歩から見えるライダーの顔は歯を食い縛って眉根を寄せた、他人には見せられないトロ顔だったが。

 

「ふッ♡ ぉぐぅっ♡ 駄目ですっ、私が動いてるだけなのに……歩のちんぽに負けてしまいそう……っ♡」

 

 或いはこの体勢を選んだことはライダーにとって失敗だったかも知れない。確かにライダー主導にはなっているが、与えられる快楽を享受すれば良かったいつものセックスと違い自分から動かなければならないから、これでは耐えるということが出来ない。

 しかも、少年はライダーの最初のおねだりを忘れていなかった。

 

「ライダーさん……無理させてごめんなさい。そういえば、優しくピストンして欲しいって言ってましたよね」

「ふぇ……? なんれすか、あゆむ……?」

「安心してください、優しくしますから。……いきますよっ」

 

 ?? とライダーが呆けるのも束の間。

 

 ────ぬぢゅ、くちゅくちゅぐちゅっ♡と歩が腰を回すように動かした。

 仰向けの動きにくい体勢とは思えない巧みな動き。ライダーの弱い所を知り尽くしている少年だから出来る、最小限の動きでライダーを責め上げる腰使いだ。

 

「ひゃあんっ!? 歩っ、それ駄目っ♡ 優しいピストン今されたらぁっ♡ あっ、子宮口ねちっこく捏ねるのも駄目ぇ♡」

「ライダーったら。そんなコト言いながら、とっても幸せそうな顔してるわよ?」

 

 最初に要求した通りの優しくねちっこいピストン。言葉通りのそれを浴びせられて、ライダーは駄目駄目と叫ぶしかない。

 それでも端から見ている桜からは、二人のまぐわいは愛情に溢れているように映った。お互いがお互いの肉を求め、また相手に快楽を与えようとしている。ライダーの雑魚メスっぷりのせいで判りにくくなっているが、それは対等な恋人のいちゃらぶえっちそのものだった。

 

 歩がライダーの腰を掴み、腰を回すだけでなく突き上げる動きを追加した。ライダーは更に追い詰められるが、どうせ限界が近いと悟ったのだろう。覚悟したように自分も上下運動を再開する。ライダーが腰を落とすのと同時に歩が子宮を突き上げる。二人は手を繋いだまま、お互いの性器をぶつけ合った。

 

「歩っ、精液を……貴方の精をください……♡ 子宮口にぴったりくっ付けて♡ 一滴残らず私の中に♡ 貴方の遺伝子を、私に恵んで欲しいのです……♡♡」

「勿論ですっ、ライダーさん……! ライダーさんが僕のものだっていう証拠、全部注ぎますからっ」

「はい……♡ 私は歩のモノです♡♡ お腹の中で受け止めますから……♡ 貴方の子種を、どうか……♡♡」

 

 責めるのではなく、ただただ気持ちよさを追求する騎乗位ハメ。腰をくねらせて愛情たっぷりに敏感なスポットをチンポで擦っていく。髪をなびかせ、巨乳を揺らす様は少年の眼も楽しませてくれる。

 

 真っ赤な顔で見詰め合い、互いの興奮を高めていく。もうお互いのことしか目に入らない。射精寸前のチンポが膣内で跳ね、それを子宮が敏感に察知した。

 初めて恋人繋ぎが解かれる。ライダーが上体を倒し、歩と深く抱き締め合う。唇をくっつけながら僅かに腰を揺する。それが、幕引きだった。

 

 ────びゅるっ、ぶびゅるるるるるるる……♡ どぷどぷどぷっ……♡

 

「────ッッッ……♡♡♡♡♡」

 

 溜めに溜めた、歩の特濃精液がライダーの子宮に直撃した。子宮口に密着した亀頭からその中へと勢い良く白濁液が注がれていく。ライダーの鋭敏な感覚が子宮をたっぷり埋め尽くす精液の感覚を感じ取っていた。

 大好きな相手と肌をすり合わせ、唇を重ねながらの射精とアクメ。まさにライダーが望んだ通りの甘々生ハメセックスだった。

 

(凄い、です……♡ 歩に手荒くされるのも良いですが……こういうらぶらぶセックスも病み付きになってしまいそう……♡)

 

 ゆるゆると腰を擦り付けて残りの精液を吸い上げつつ甘い絶頂感に浸る。汗だくの身体で抱き合うのが心地良い。すっかり上がった息を二人で整えていく。

 

 心臓の鼓動が緩やかになるまで、歩とライダーはお互いの身体を抱き締め合っていた。

 

 

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 

 

「歩、歩っ♡ どうでしょうか、もう一度私と……♡」

「わっ。ライダーさん、落ち着いてくださいっ」

「ライダー、そこまで! 次は私でしょう!」

 

 幸せそうに歩に絡み付くライダーを桜が牽制した。

 

 歩とライダーのえっちが終わって三人は一段落していた。歩との甘々えっちが忘れられないライダーが二回戦を希望しているが、流石にそれは桜が許さなかった。

 

「むう……仕方ありませんね。では私はサポートに回りましょう。桜の希望は歩に虐められたい、でしたか」

「うんっ。ふふ、ちょっと楽しみかも。どんな風にしてくれるのかなあ、歩くん?」

「……ええと」

 

 余裕の表情の桜に歩は戸惑った。

 虐められたいと言われても、いまいち加減が判らない。それこそライダーやアルトリア並みにして良いのか、いつもより少しだけ荒っぽくなのか。特に何もないのなら歩は後者を選ぶ所だったが────

 

「──歩。せっかくです、ここは私がされているよりももっとキツくというのはどうでしょう。優しい貴方も、余裕ぶっているこのメスを潰したいという気持ちも持ち合わせているのでは? 桜もそれでどうでしょうか」

「……クスッ。なあにもうライダーったら、人をメスとか潰すとか。いくらなんでもそこまでじゃないでしょう? 私、歩くんに負けちゃうほど弱くないわよ。……ええ、望むところです、歩くん。貴方の好きなように虐めて貰って構わないですよ♥️」

「──────」

 

 余裕をぶっこいたウインク。

 それを見て、びきびきびき、と。射精で萎えていた歩の怒張が再び血管を浮き上がらせた。

 ライダーの言葉通りだ。お姉さんぶって素で上から来るこの女をチンポで潰したら、それはどんなに気持ちが良いことだろう。

 歩は桜を尊敬しているし、頼り甲斐のあるお姉さんだと思っている。けれど、だからこそ。そんな相手を屈服させたい、という原始的な欲望が奥底にあった。ライダーに言及されたことで、それは歩の中で確かな形を持ち始めていた。

 

「……判りました。今日は桜さんを、思いっきり滅茶苦茶にします」

「え……あ、あはは。ちょっと顔怖いよ、歩くん?」

 

 雰囲気の変わった少年に怯える桜の言葉を、歩は取り合わない。

 肩を掴み、ベッドに押し倒す。そして、無理やり唇を奪った。

 

「むぐっ……んんんんん……!? むぁ、ぶちゅぶちゅぶちゅっ……!!」

 

 突然のキスに目を丸くする桜。歩は唇をこじ開け、舌を侵入させる。

 歯茎の隅から隅まで舐めしゃぶるような口淫。更に股間に手を差し込まれた。指で膣を引っ掻けるような激しい指マンに、桜の子宮が怯えたように震える。

 

「じゅるっ、ずるるるるるるるっ!? ぷぁっ……歩くん、ちょっと落ち着……むぐぅううう~~っ!!」

 

 キスの合間に少年を止めようとするもすぐにまた唇を塞がれる。それも歩の計算通りだった。激しいキスでまともに呼吸も出来なくさせて、酸欠に近い状態へ追い込んでいく。

 その間にも巧みな指マンで股間をほじくられるのだから堪らない。ごちゅごちゅと手のひらごと打ち付けられるような手淫に、桜は開始数分でアクメへと昇らされた。

 

「んぐぉおおおおおっ……ぐぅ~~~っっ……♥️♥️」

 

 浜に打ち上げられた魚さながらの痙攣。ぴゅっぴゅっと股から潮が吹き出た。ブリッジするように身体が持ち上がり、がくっと力が抜ける。

 ぬぱ、とようやく唇を離され、必死で酸素を取り込む。

 

「はぁーっ、はぁーっっ……♥️ けほけほっ……あ、歩くんっ、少し待ってくださいっ♥️ 怒らせちゃったなら謝りますから……」

「ぜんぜん怒ってなんかないですよ。むしろ、桜さんが好きだからしてるんです。ほら、次ですよ」

「お゙っ!? 乳首引っ張らないでぇぇっ……♥️」

 

 言いながら脱力した桜の乳首を摘まみ、捻り上げる。桜は乳首だけで持ち上げられる自分のおっばいを見て慄くことしか出来ない。なんせ、こんなことでも桜は快楽を感じてしまっている。無自覚だった少年への隷属欲が露になっていく。

 

「それじゃあ、今日は犬みたいに犯してあげますね。確か僕に負けるほど弱くないんでしたっけ。じゃあ勝負してみましょう」

「えっ、あの、歩く……」

「ほら、何してるんですかっ。四つん這いになってお尻を上げるんです」

「ひ……ひぃっっ♥️」

 

 よろよろと膝を立て、歩に尻を向けた四つん這いになる。少年からは慎ましい菊座も、その下でマン汁を垂れ流す割れ目も丸見えになってしまっているだろう。何度も身体を重ねた仲だというのに、震えるほど恥ずかしい。

 

 このまま挿入されるのか、と桜が背後を窺う。しかし────、

 

 ばっちいいいぃぃん!! と、思い切り桜の桃尻が平手打ちされた。

 

「おぎょっっっ!!???♥️♥️ ひぎぃぃぃぃ♥️♥️♥️」

 

 犬か豚のような悲鳴。目を見開いた桜から汗が飛び散る。

 平手は一度だけではない。二度、三度と打ち付けられていく。

 

「あぎっ♥️ ひぎゃあああああ♥️ 痛いですっ♥️♥️ ごめっ、ごめんなさいいい♥️ 謝りますからっ♥️ 許してええ♥️♥️」

「何言ってるんですか、そんなんじゃ負けちゃいますよ。ほらもう一発」

「ぴぎいいいいいいいい♥️♥️♥️」

 

 ぼびゅっ♥️ と桜のマンコから粘っこい白濁汁が溢れる。子宮が白旗を上げた本気汁だ。数分前まで余裕綽々だった清楚系お姉さんは、手マンと尻叩きだけでギャン泣きしていた。

 

「歩くん、怒らないでえっ♥️ 私が悪かったからっ♥️ 調子に乗ってたって認めるから♥️ 酷いことしないでえええっ♥️」

「だから何も怒ってないって言ってるじゃないですか、しつこいなあ。もっと強くしますね」

「あがあああああああ~~っっ♥️♥️」

 

 ばっしいいいいん! と一際強く叩かれ、マゾアクメに突き落とされる桜。

 尻を高々と掲げた体勢で崩れ落ちる。そんな彼女から視線を外し、歩が言った。

 

「ライダーさん、協力して貰ってもいいですか」

「…………おおっと。すいません、見入ってしまっていました。ええ、何でもどうぞ」

「ライダーさんがたまに出すあの鎖、今出せますか? あと、あれって僕でも触れるんでしょうか」

 

 質問に、何かを悟ったようにクスリと笑うライダー。

 ベッドで伸びている契約上の主人を見下ろしながら、

 

「はい。両方ともイエスですよ、歩。────では、どうぞご活用ください」

 

 じゃらり、という音。

 何の前触れもなく、歩の手元に銀色の鎖が出現していた。頑丈でしなやかなライダーの鎖。それを持って、歩はベッドの上の桜へと近付く。

 

「ほら、マン汁吹き出してないで起きてください桜さん。まだ挿れてもいないんですよ」

「ひっ……♥️ 待ってっ、今挿れられたら……♥️」

 

 すっかり抜けた腰で逃げようとする桜。

 勿論、歩がそれを許すはずもない。がっちりと腰を掴み、予告もなく一息に挿入した。

 

「~~~ッッぉおおおおおお……♥️ 子宮潰されっ……♥️」

 

 まるで犬の交尾のような後背位だ。横隔膜が振動する。掘削するかの如く叩き込まれるピストンで子宮口がブン殴られる。

 歩のハーレムに属し彼を最愛の人と位置付けながらも、心のどこかで『それでも自分の方が年上だから』『歩くんはまだ子供だから』と思っていた侮りがチンポで崩されていく。ライダーとそこかしこが似ている桜は、その隠れたマゾ本能もそっくりだった。ただ、今までは優しい少年があえて掘り起こすことはしなかったというだけ。それを、ただ自分が思い上がっていただけで少年の方が遥かに格上なのだと教えられる。

 

 歩が手に持った鎖を桜の首に回した。両手で掴み、ぐいっと引っ張る。桜の首にはライダーの首輪がしてあるので絞まることはない。

 ただ仰け反り、都合のいいオナホのようにガン突きされるだけ。それが余計に、少年には勝てない肉壺扱いであることを自覚させられてしまう。

 丸々したお尻にばっつんばっつん腰を叩き付けられ、その度にパチパチと快楽神経がショートする。ライダーとのセックスとは違う、純粋にオスの快楽のみを味わう為の抽送。女のことなど全く考えていない肉人形扱いだというのに、身体が蕩けそうなほど気持ち良いのだからどうしようもない。

 

「ぶぐぇえええええッ♥️ まけッ♥️ 負けましたあっ♥️ こうさんしますからっ♥️ 虐めるのやだあっ♥️ 気持ち良すぎておかしくなるっっ♥️ ら、ライダーっ♥️ 見てないで助けてよおおっ♥️」

「ふふっ……おやおや、もう音を上げてしまいましたか、桜。そんな風に鎖を繋がれて、まるで飼い犬か何かのようではないですか」

 

 ぎし、とライダーが桜の前に腰を下ろした。

 汗に濡れてほつれた桜の前髪を整える。現れたのは、涙と鼻水を垂れ流し、マゾ絶頂に火照ったみっともないメス顔。オスのチンポに負けてしまった、喰われる側の獲物の顔だ。

 

「……ああ、どうしようもない顔になって。これでお分かりですか? 私や式が抜け出せないのが判りましたか? それが歩に負けた女に与えられる、取り返しの付かない敗北アクメです♡ どうせ桜ももう二度と元には戻れませんので、せっかくですから骨の髄まで堕として貰いましょう♡」

「ごッ♥️ おんッッ♥️ やべっ♥️ やべてえええ♥️」

「やめる訳がないでしょう。……桜、私は貴女を愛しています。世界で一番大切な存在です」

 

 ほとんど白目を剥き、舌を飛び出させて一突きごとにアクメに達するマスターへ語りかける。

 

「でも、それは前までの話。今では桜は二番目です♡ という訳で、貴女の助けは聞けません♡ ああ、これも寝取られと言うのでしょうか? 普通のソレと違うのは、不幸になる者がいないというコトですが……まあそれは置いておいても、桜はここでしっかり堕ちておいた方が幸せだと思いますよ。実はこうなるコトを期待していたのですが、さすが歩、想像以上でした。私も貴女が同じ所に来てくれるのを願っています、桜♡」

 

 ぽんぽん、と頭を撫でられる。

 それが従者からの最後通牒だった。唯一の救いは消えた。あとは心と子宮を少年のチンポで捻り潰されるのみだ。

 それなのに、桜の中から畏れが消えていく。先ほどまで拒んでいたのは自分が決定的に変わることへの躊躇だ。しかし逃げ道を閉ざされたことで、ようやく現実を受け入れた。

 堕ちる。堕とされる。本来なら数ヶ月前に初めて歩と交わった日に来ているべきだった敗北が。

 自分の犯した軽はずみな誘い受けに引き寄せられ、ライダーの策略に導かれ。

 屈服が────とびきり気持ち良い射精が来る。

 

「桜さん、ほらしっかりしてっ。そろそろ出しますよっ」

「お゙ッ♥️ お゙ッ♥️ お゙ッ♥️ お゙ッ♥️ お゙ッ♥️ お゙ッ♥️」

「おまんこ弛んでますよっ、ちゃんと締めてくださいっ。またお尻叩きますよ?」

「あぐうううううっ♥️ 締めますっ♥️ ゆるマンでごめんなさいっ♥️ 歩くんのおちんちん扱く為の穴、ちゃんと絞りますからっ♥️」

 

 全身全霊でマンコを締め上げる。ちゃんと弛くはなくなったはず。なのに躾けるように尻を叩かれてしまい、また悲鳴を上げた。完全に所有物、オモチャ扱いだ。

 ライダーがうっとりと見る中、歩が射精へ駆け上がる。カリが張り詰め、膣壁をこれまで以上に抉り子宮口をこじ開ける。ただでさえ被虐快楽を得ている所にはキツ過ぎた。泡さえ吹きながら桜もマゾ絶頂へ追い込まれていく。

 ぎちぎちっ!! と歩が鎖を握り締め、引っ張った。チンポを限界まで捩じ込む。亀頭がぶちゅり、と子宮へ侵入して。

 

 ぼびゅるるるるるるっ♥️♥️ どぷっ♥️♥️ びちびちびちっっっ♥️♥️ どぴゅどぴゅどぴゅっっ♥️♥️♥️

 

「────オ゙ッ……んぐぉぉおおおおおおおおおっっ……♥️♥️♥️♥️ イグッ♥️♥️ イギじぬぅううううううッッッ……♥️♥️♥️♥️」

 

 獣のような唸り声。びちゃびちゃと子宮を精液が打つ感覚で桜は絶頂した。熱い体液で胎の底を占領されるのが判る。ひっくり返った瞳で鼻の下を伸ばした無様な顔でアクメを決める。エビ反りでカクカクと痙攣して、少年の精液棄て場として子宮を満たされていく。

 

「おめでとうございます、桜。これで貴女も立派なメス奴隷の仲間入りです。……って、聞こえていませんか。幸せそうに気を遣ってしまっています♡」

「うぶッ♥️♥️ おげぇえええええええ……ッッ♥️♥️♥️」

 

 嘔吐きながらマゾアクメを極める桜の中に、敗北感が染み着いていく。

 これからも桜は年上の女性として歩に接するだろう。歩をからかったり、セックスで主導権を握ることもあるかもしれない。

 けれど、その根底には歩への屈服が刻まれている。表面上どう取り繕っても少年に対しては絶対服従。包容力のあるお姉さんでありながら同時に歩へ降伏する快楽も求め、影も踏めぬハーレム妻として悦んで一生を捧げることだろう。そして時には、進んで彼に虐めて貰うようおねだりするだろう。

 

(ライダーや式さんの言ってたコト、やっと判った……♥️ こんなの勝てる訳ない♥️ 歩くんってこんなに強くて……私はこんなに弱かったんだ……♥️)

 

 快感に咽び悶える桜。それが収まれば、また尻叩きで目を覚まさせられ、苛烈で甘い被虐セックスが待っている。それは泣き喚く桜が完全に潰れ、失神アクメで意識を飛ばしてしまうまで続く。

 

 

 この夜。桜とライダーの主従は、改めて完全に少年の支配下に沈んだのだった。

 




桜はなにかと虐めたくなってしまいます


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主従相克・後(間桐桜、ライダー)

「……ん……ライダーさん…………?」

「おや、申し訳ありません。起こしてしまいましたか」

 

 部屋を出入りする物音で目が覚めた。

 室内は暗く、天井の電灯も消えている。まだ夜中のようだ。カーテンの隙間から月明かりが漏れていた。開いた窓から夜風が流れ込む。

 歩が首を傾けると、ベッド脇の椅子にライダーが座っていた。スタンドランプで手元だけを照らし、文庫本を読んでいる。机には湯気を立てているコップが置かれていた。中身の色からしてココアか何かだろうか。恐らく目が覚めたのはこれを持ち込む音のせいだったのだろう。

 

「早起き……って訳じゃないですよね、まだ夜明け前みたい。眠れなかったんですか?」

「ええ、お恥ずかしながら。今日はいつにも増して激しかったでしょう? その熱がまだ残ってしまっていたようです」

 

 ライダーの言う通りだ。数時間前まで行われていた情事は、歩も今まで経験したことのないほどハードなものだった。

 何度か鎖を用いた体位で桜を犯した後、それを見ていて疼いたのだろう、ライダーまでもが被虐セックスを申し出た。桜とのセックスでかなり暴走気味だった歩は喜んで承諾し、二人まとめて責め立てたのだ。桜以上にライダーはマゾの気が強い。ディルドを使った二穴責め、窒息寸前のイラマチオ、挿入しながらの腹パンといった尊厳を踏みにじるプレイを立て続けに行いアクメ地獄に陥ったライダーに桜がドン引きしていた。それが終わったら、再度桜を交えた3Pへ。桜もまたマゾアクメに堕としてやり、最後は土下座する二人におしっこを引っ掛けてフィニッシュした。

 

「あー……本当にすいません。なんだか夢中になってて……女性にすることじゃありませんでした」

「何を言うのです。私たちが望んだコトなのですから何ら問題はありませんよ。最後に上から小便を掛けられた時など至高でした。どうせ汗だくでまたシャワーを浴びなければいけませんでしたしね」

「そ、そうですか」

 

 まあ確かに、おしっこを引っ掛けられながらアクメして潮を吹くお二人はイヤらしかったです────とは言わないでおく。

 

「そうだ。歩も飲みますか? 暖かいココアです、落ち着きますよ」

「はい、それじゃ一杯」

「判りました。しばしお待ちください」

 

 ライダーが部屋を出ていく。歩も立ち上がろうとして、何かに腕が引っ張られた。

 

「あ……桜さん」

「…………すう……」

 

 掛け布団をめくると、歩の右腕に桜が抱き着いていた。

 両手で少年に絡み付いている。その表情は穏やかで、安心しきった寝顔だった。白のキャミソールだけを着ていて、身体のラインがくっきりと浮かんでいた。

 

 何となくその髪を撫でてみる。さらさらと艶めいたキューティクルの整った髪。指先を滑らせて耳を軽く摘まんで、首筋をくすぐってみて。頬をつつくとぐりぐりと歩の腕に顔を擦り付けた。月光に照らされて陰影を形作るその顔は、数時間前まで狂乱していたとは思えないほど無垢で、美しい。

 ……けれども。もう歩は、それを穢し、乱す快感を知ってしまった。今の桜は触れがたい乙女ではなく、その皮を被った自分だけのメス奴隷なのだ。

 

(……やばい。悪戯したい)

 

 以前の歩なら思い付かなかったか、思い付いても実行はしなかった行為。

 だけど、もはやそれを止めるものは何も無くて。薄布の上から、彼女の巨乳に触れてしまった。

 

「ン……っ、ふ……♥️」

 

 揉み込まれたおっぱいに押し出されるように、桜が吐息を漏らした。キャミソールは薄く、ほぼおっぱいそのままの柔らかさを歩に伝えるが、張り付いた布のせいで素肌とは手触りが若干違う。その頂点には可愛らしい乳首が浮かんでいる。それを指で転がすと、桜の腰がひくひくと震えた。

 腕をほどき、仰向けにした桜のおっぱいを、むちぃぃっ……♥️ と両手で掴む。歩の小さな手のひらでは到底収まらない果実だ。自由自在に形を変えるそれを好き勝手に揉んでいく。上から掴むと指先が沈んでいく。そのまま持ち上げようとしてみるが、余りの柔らかさとむっちりした重さで持ち上げられない。諦めて離すとたぷたぷっと震えながらバウンドした。両脇から胸の中心に寄せるようにすると、ただでさえ深い谷間がいっそう深度を増す。

 

(……挟みたい……!)

 

 ここに、己のモノを捩じ込みたいという欲望が沸き上がる。すっかり性欲に支配された少年は急いで股間を露にする。寝起きの肉棒は、とっくに勃ち上がっていた。

 キャミソールを鳩尾辺りまでめくりあげる。魅惑的な下乳が覗いた。歩は早速、そこにチンポを挿入しようとして──

 

「──歩。とりあえずココアは置いておきますので」

「え…………あっ!」

 

 驚いて振り返ると、澄ました顔のライダーが二つ目のコップを机に置く所だった。慌てて桜から離れようとするが、

 

「どうしたのです? どうぞ続けてください。桜もそれだけ弄られて放置されては辛いでしょう。ああ、気が散るというなら席を外しますが」

「いっ……いやいや、寝てる女性にこんなのまずいです……よね」

「何を言っているのですか」

 

 殊勝なことを言っても実際えっちな悪戯をしていた訳で、語尾が弱くなってしまう歩。

 しかし、ライダーはキョトンとした顔だ。ずず、とココアを飲んで言う。

 

「昨夜の桜を見ましたか? あの乱れよう、あの快感に咽び泣く姿。……桜も、過去には色々とありました。人との接触を恐れる少女だった頃もあります。その彼女が、尻を叩かれて啼き、中出しを喰らって絶叫する……そして終わった後、貴方に腕を絡めて眠る時の幸せそうな寝顔」

 

 微笑むライダーは桜を見ていた。少年に乳を揉まれて乳首をビンビンに尖らせキャミソールに浮かせる寝姿。どこか寝苦しそうな、物欲しそうな寝顔。

 

「私は貴方に感謝しているのですよ、歩。私を、桜を堕としてくれてありがとう……と。もう何があっても桜は揺らぐコトはないでしょう。それは貴方という芯が出来たからです。それを依存という人もいるかも知れませんが、プラスに向かうなら別にそれで良いと私は思うのです。貴方は私や桜と出会ったコトを幸運と思っているかも知れませんが、私から言わせて頂くなら運が良いのは貴方と出会えた私たちの方でしょうね」

 

 遠い目で桜を見詰めるライダーの脳裏には、きっと自分の知らない桜が映っているのだろうと歩は思った。とはいえそれを詮索する気はない。どんな道を歩んで来たにせよ、今の桜やライダーが歩は好きだったし、それこそが一番重要なことだろうと思った。

 

 歩とライダーが視線を注ぐ中で桜が寝返りを打つ。その拍子にたぷんとおっぱいが水風船のように揺れた。

 ごく、と歩が唾を呑む。ライダーが背中を押すように言った。

 

「ごちゃごちゃと言って申し訳ありません。要するに──もう桜も私と同じく歩のメス奴隷というコトです。貴方に犯され征服されるのが至上の歓びなのですから、その状況は問いません。眠りながらにして抱いて貰えるなど羨ましいくらいのシチュエーションですね。むしろ昂らせておいて放置する、という方が辛いかと思いますよ」

 

 桜がまた、うなされながら寝返りを打った。

 ここにきてようやく気付く。さっきからうなされているように見える桜。けれどそれは、うなされていたのではなく──少年に乳揉みをされながら、途中放置されているが故だった。

 その証拠に肌は汗ばんで、目尻は赤く染まっている。しかも切なげに内股を擦り付け、ひくひくと腰を、いや股間を震わせていた。それは明らかに、飼い主である歩を求めるメス犬の発情モードだった。

 

「ぁ……ゆむ、く…………♥️」

 

 遂には、その唇から自分の名前が漏れて。もう、歩は我慢していられなかった。

 

 桜に伸し掛かる。思いっきりおっぱいを鷲掴みにしながら、眠ったままの彼女の唇を奪った。

 

「ぅん、む……ぷちゅ……♥️ むちゅっ……♥️」

 

 無抵抗な唇を舐める。ぷるぷるした、彼女の透き通った声を漏らす口。きっと桜が授業で話すたび、帰りがけに挨拶するたびに、学園の男子生徒が目を引かれいつか吸ってみたいと思うのだろう。その聖域を自分勝手に味わい尽くす。

 力が抜けて半開きの口内はいつものキスとはまた違った感触で歩を楽しませた。ひたすらされるがままの舌を絡めとる。唾液を流し込むと、従順にこくこくと飲み下していく。

 

「ぶちゅっ……じゅるるっ♥️ んぶぅうう……♥️」

 

 桜の舌を咥え、思い切り吸う。甘露さながらに味わい深い甘さだ。もう一度唇を合わせ、くちゅくちゅと口腔を舐めてから放した。

 

「キスは終わりですか? お次は……ふふ、やはり。桜のおっぱいを味わう気ですね」

 

 ライダーの言葉通り。歩は桜の下乳にチンポを添えた。

 キャミソールを着ていることもあって仰向けでも形を崩さず、山のように盛り上がる巨乳。その谷間に、ゆっくりとチンポを挿入していく。

 

 ぷにゅっ……ぬぷぷぷぷぷぷ……♥️

 

「くっ……すごい圧……!」

 

 柔らかいから両手で挟まなきゃ、と思いつつの挿入だったが大間違いだ。みっちりと蜜の詰まったおっぱいはむしろハリが有りすぎるほど。ぱつんぱつんの肉壁を亀頭で無理やりこじ開けていく。瑞々しい素肌はチンポに吸い付いて、気持ち良さに腰が止まりそうになる。けれど動かせば摩擦と抵抗で更にチンポに効く。相手に合わせて形を変える乳肉が肉棒をしっとりと包み込む。

 極楽にびくんびくんとチンポが跳ねる。それに合わせて柔らかな水蜜桃がふるふると震えた。そしてようやく、チンポが谷間から顔を覗かせる。とはいえ桜のおっぱいが特大すぎて、亀頭しか谷間から出て来なかったが。

 

「はっ、はっ、はぁっ……!」

 

 歩はそのまま腰をグラインドさせた。おっぱいを両手で支える、必要すらない。柔らかなのに形の整った乳房はそのままで見事なパイズリ穴となった。下乳までチンポを下ろして、一気に挿入。根本にぱつん、とおっぱいがぶつかると、また抜ける一歩手前まで下ろす。さっきのゆっくりした挿入でも良かったのだ。一息に乳肉を掻き分け、まだカリを引っ掛けながら引き抜く快感ときたら堪らない。股間が天国に包まれているような心持ちだ。

 

「んっ♥️ ふっ♥️ くふ……♥️」

 

 次第に桜の肌も汗ばんでくる。まだ深い眠りにいるようだがいつ起きてしまってもおかしくないだろう。なんせ、パイズリ玩具にされているというのに先程よりも寝顔は紅潮し、息も上がっている。普通ならパイズリで女が快楽を得ることなどない。しかも桜は眠っているというのに、だ。それはさっきライダーが言った言葉が真実であることを証明していた。

 

 にちゃ、ちゅぶっ♥️ という粘ついた音。何度もおっぱいトンネルを潜らせたせいで谷間は先走りがたっぷりなすり付けられている。それは潤滑油となってグラインドを助けていく。とんでもなく気持ち良い。ばきばきに固く怒張したモノを女の柔肉で鎮めることが、オスの嗜虐性を満足させてくれる。

 

 前後だけでなく、左右にもチンポを振って感触を確かめてみる。鉄さながらに勃起したモノでもろくに押し退けられないほどの重量感。チンポを完全に引き抜いて、ヘソで先走りを拭って。下乳をつんつん亀頭でつつくと全体が面白いように揺れる。そのうちに、精液が昇ってくるのを歩は感じた。

 射精の寸前、イヤらしいことを思い付く。流石にマズイかとライダーを見ると、こくりと頷かれた。彼女が一言でも『歩、そこまでは』と言ったなら歩も思い止まっただろう。しかしむしろそれを後押しされるのだから、少年がやめられるはずもなかった。

 

 おっぱいからチンポを引き抜いて、桜の顔に跨がる。可愛らしい寝顔に先走りが垂れる。その唇に亀頭を押し当てた。

 桜が一瞬、顔を背け──ようとしてしなかった。逆にむちゅ、と唇をおちょぼ口に尖らせて亀頭をお迎えする。顔を背けようとしたのはチンポの生臭さを感じての抵抗。すぐに迎え入れたのは、それがご主人様のモノだと一瞬で悟ったから。唇に先走りが塗りたくられるのも構わず、亀頭へ被せていく。軽くひょっとこのようになったみっともないフェラ顔。ずるるるるる、と吸い付くお口へ歩がチンポを沈ませていく。喉奥まで亀頭が入り込む。口内、というより食道に直接、精液が吐き出された。

 

 ぴゅるるるるっ♥️♥️ ぴゅっぴゅっ、どぴゅ~~~っ……♥️♥️♥️

 

「はあっ……! 出る、出る……っ」

 

 桜の口内でチンポが暴れる。

 牡汁をぶちまける。膝立ちで桜の頭を掴み、抱え込むみたいに股間へ押し当てた。まるでお布団を抱き締めて射精しているかのよう。それをこんな美少女でやるのだから、中々射精が止まらない。天を仰いで極上オナホールへ精液を流し込んでいく。桜はむせることもなく白濁を飲み込んだ。

 

「やりますね、桜。眠っているのに全てごっくんするとは、根っからの変態である証明でしょう。歩に叩き潰されたばかりだというのに、早くもマゾ奴隷が板についてきましたね」

「ごぼッ……ぶぷっ……♥️ ごく、ごきゅっ……♥️」

 

 桜の喉が蠕動する。ドロドロで喉に引っ掛かる粘液を、桜は飲み干し切った。口からチンポを引き抜くと、ねばぁ~っと精液の太い橋が架かった。

 

「射精お疲れ様でした、歩。シャワーを浴びられますか? でしたら少し宜しいでしょうか、桜の口元を拭いますので」

「ライダーさん、舐めて」

「──────畏まりました」

 

 桜への気遣いを見せていたライダー。しかし、精液まみれのチンポを突き付けられ一瞬にして放棄した。

 持っていた本を放り投げて歩の股間へむしゃぶりつく。ベッドに仁王立ちになった彼の足元へ跪きお掃除フェラに夢中になった。射精で半萎えのチンポを口に含み丁寧に舐める。必要もないというのに金玉の方まで口で愛撫していく。

 懸命な奉仕で歩のチンポは再び漲っていった。ライダーの口内でむくむくと硬度を増す。すっかり勃起した辺りで、歩はチンポを抜いた。

 

「んっ……ぷはっ♡ はあっ……ふふ、私はちんぽを掃除と勃起させるだけ、というコトですか♡ 仕方ないですね、物足りませんが、歩には従います……♡」

 

 美女のお口でまた勃起したチンポ。

 その剛直をぶら下げて、もう一度桜へと伸し掛かった。むぐむぐと口に残った精液を舌先で転がしている桜。彼女の足の膝裏を掴み、ぐっと持ち上げて割り開く。

 生まれたままの姿の股間。そこはパイズリとごっくんフェラに反応して既に愛液を滴らせていた。その膣口へチンポを宛がう。ぬちゅ、と触れたそれは、何の抵抗もなく呑み込まれていった。

 

「んぐうっ……うううぁぁ……っ♥️」

 

 桜が溜め息を漏らす。

 それを聞きながら、歩は腰を振った。桜のマンコはもうびちゃびちゃに濡れていて易々とチンポを奥まで呑み込む。子宮を亀頭で叩くと桜が背筋を震わせた。

 ぎしぎし、とベッドが軋む。聞こえるのは桜の僅かな喘ぎ声と、歩の息遣いと、肉と肉がぶつかる音。スタンドランプに照らされる中、少年が美少女の身体を貪っていく。

 

「歩、我々の飼い主である自覚が出てきたようですね……その傍若無人にハーレムの女を喰らう振る舞い、まこと素晴らしいです。……おやおや、桜も。私の宝具で見ている夢を覗き見できるのですが、彼女、貴方に抱かれる夢を見ています♡ それも昨夜のような、キツく虐められながら愛されるセックス♡ あれほど喚いていながら、もうすっかり歩の屈服アクメの虜です♡ 眠りながら身体を歩に抱かれ、夢の中でも貴方に潰されるとは……♡」

 

 ぶちゅ、ずちゅっ、と股ぐらを打ち付ける。そのたびに桜のおっぱいがぶるんぶるんと揺れた。

 桜の両脇に手をつき、揺らすようなピストン。上を向いて持ち上がった桜の足がゆらゆらと揺れる。まるでアルコールか睡眠薬を用いたレイプと見紛うような。けれど、それを止める者はいない。主人の身を守るのが役目のはずのライダーには推奨され、桜本人は目覚めた後に事後承諾しても顔を真っ赤にして怒るだろうがただそれだけ。快感も眠っていてさえ犯される屈服感も身体が覚えてしまっているのだから、やめて欲しかったとも二度とやるなとも言えるはずもない。普通なら捕まるはずの行為を全肯定されてしまう優越感に突き動かされ、歩が腰を振りたくる。

 

 意識のない桜の身体は、いつもより純粋に刺激に反応していた。膣口を亀頭でぬぷぬぷと浚うと迎え腰で受け入れ、膣を抉れば収縮してチンポにすがり付く。そして子宮を虐めれば、びくびくびくッ♥️♥️ と全身を痙攣させて快感に悶えるのだ。面白いように少年に反応する身体を目一杯愛されていく。

 

「ん゙ん゙ッ……♥️ あ゙うッ♥️ あ゙♥️ ふッ♥️」

 

 桜の表情が蕩けていく。とても眠っているとは思えない淫らな顔になっていた。現実と夢はリンクするという。マンコをハメられ、きっと夢の中のセックスも盛り上がっているのだろう。歩と桜、二人から滴った汗が混じり、ベッドへ吸い込まれる。

 

 ぱんっ♥️ ぱんっ♥️ ぱちゅっ♥️ ぶちゅっ♥️

 

「桜さんっ、中に出しますよ……っ」

「はっ♥️ あんっ♥️ んぅっ♥️ くふ……っ♥️」

 

 桜の巨乳に顔をうずめて腰を揺する。ヘコヘコと細かい動きでチンポを押し付ける。射精が近い、切羽詰まったストローク。桜も完全に受け入れ体勢、子宮はとっくに降りきって亀頭をゆるゆると咥えている。

 歩と桜の息が上がっていく。さあ、と夜風にカーテンが靡き、交尾する二人にそよいだ。

 歩が子宮口へ、ぬぷりとチンポを押し込んで────

 

 どぴゅどぴゅどぴゅっ♥️ びゅく、びゅぷぷぷっ♥️ どぷどぷどぷ……♥️

 

「ぐぅ……っ」

「うあ……っ♥️♥️ んん~~っ……♥️♥️ はぁ……♥️♥️♥️」

 

 熟睡したままの桜へ、好き放題中出しする。昨夜からこっち中出しされまくりの桜のマンコは何発目かも判らない射精を従順に受け入れていく。おとがいを反らし中出しアクメに浸る姿は眠っているとはとても思えない敏感さだ。

 びくん、びくんと膣内でチンポがしゃくり上げる。そのたびに塊のような精液が吐き出されていく。金玉がカラッポになるまで、歩は桜の胎内に吐精し続けた。

 

 射精が終わるとチンポを引き抜き、また桜を跨ぐ。アクメ満喫中の桜、その顔面へチンポを擦り付ける。以前アルトリアに同じことをした時の征服感を歩は忘れていなかった。にちゃにちゃ、ぐちゅぐちゅと綺麗なお姉さんの顔をオナニー後のティッシュ扱い。整った美貌へまんべんなく己の体液を広げていく。高い鼻先で裏筋を押すとチンポに残った精液が桜の額に飛び出た。濃厚な白濁液は流れ落ちず、桜の顔に乗っかったままになる。桜の中も外も、歩は所有権を刻むようにマーキングし切ったのだった。

 

 

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 

 

「歩、そろそろ時間ではないのですか? あまりゆっくりしていると学校に遅れますよ」

「はい、もう行きますっ。朝ごはんありがとうございました、桜さん」

 

 翌朝。歩は桜の部屋で朝食を摂っていた。

 そろそろ登校時間が迫っている。荷物や制服は自分の部屋にあるので早くここを出なくてはいけない。ライダーにもせっつかれ、桜の部屋を飛び出ようとする。

 と────

 

「歩くん、ちょっと待って。スマホ忘れてるよ」

「あ……ありがとうございます、桜さん」

「気付いて良かった。はいこれ」

 

 靴をはき玄関のドアノブを握った所で桜に呼び止められた。

 忘れ物のスマホを手渡される。そこで、何となく二人とも固まってしまった。

 

「あー、えーっと……。その、昨日はすいませんでした……」

「うっ、ううん。ぜんぜん大丈夫だよ。……まあ、精液のニオイで目が覚めた時は驚いたけど」

「そ、そうですよね」

 

 昨夜、桜に精液を吐き捨てたあと。歩は汗と体液でベタベタだったので改めてシャワーを浴びた。ライダーに彼女の裸体でもって身体を洗われていると、目を覚ました桜も風呂場にやって来た。流石に激しいセックスをやる気にはならなかったので、広い桜の部屋の浴槽で三人ゆったり汗を流したのだった。

 

「もう、ホントにびっくりしたんだから。ああ、だからあんな夢見てたんだ、って思ったよ。ライダーもヘンな気を回すんだから」

「僕も驚きました。ライダーさんの宝具って色んなことが出来るんですね」

 

 ライダーの宝具。歩は詳しくは判らないものの、それは夢を見せる以外にも人を眠らせることが出来るらしい。やっている最中はそこまで頭が回らなかったが、そういえば熟睡しているとはいえあんな睡眠姦をして目を覚まさないというのもおかしい。ライダーは宝具の能力で、桜を眠らせたままにしていたようだった。

 

「まあそれとは関係なく、眠ってる桜さんにやりたい放題しちゃったのは事実ですし……。ごめんなさい、もうしませんから。身体はおかしな所ないですか?」

「…………別に、イヤだったって訳じゃ」

「え?」

「ううん、何でもないの」

「……?」

 

 桜がぱたぱたと手を振る。よく判らないが、大したことじゃないようだ。

 それでは、と出ていこうとする歩の視界を何かが横切った。小さなそれはふらふらと飛んで桜の太ももにとまる。

 

「あ……桜さん、蚊が」

「え? どこ?」

「太ももです。桜さんの」

 

 桜が自分の身体を見下ろす。ぐい、と身を捩る。

 それからゆっくり歩の方を見て、

 

「うーん、私からじゃ見えないみたい。歩くん、ちょっとはたいてくれないかな?」

「はあ。判りました」

 

 真っ白い太ももにとまる、小さな黒い蚊。

 どう考えても桜さんからも見えるはずだけど……と首を捻りながらも、膝を落とした歩がぺちんと桜の太ももを手のひらで打つ。運良く一発で仕留められた。

 

「はい、済みましたよ桜さん。……桜さん?」

「…………んっ…………♥️」

 

 桜を見上げると、どこか赤い顔でこちらを見ているように見えた。けれどそれは気のせいだったらしく、歩が立ち上がる頃にはいつもの清楚なお姉さんの顔に戻っていた。

 

「ありがとう、歩くん。ほら、いい加減そろそろ行かなきゃ」

「あっ、そうでしたっ。それじゃあ桜さんライダーさん、また!」

 

 今度こそ歩が部屋を出ていく。

 今日もまた、長い一日が始まることだろう──────。

 

 

 

 

 

 

 

「桜……。流石にそれで発情するのはどうかと思うのですが」

「な、なに人聞きの悪いこと言ってるのっ。人をヘンタイみたいに言わないでっ」

「みたいというか、そのものずばり変態です。……まあ人のコトは言えませんが。たぶん、私も同じようになるでしょうし」

「……お互い、ホントに歩くんに堕ちちゃったね。そうだ、学校でもちょっと会いに行こうかな」

「あっ、ずるいですよ桜っ」

 

 食卓で二人が言い合う。

 骨の髄まで染まりきった主従は、別れたばかりの愛しい少年を想うのだった。




桜&ライダーでした。やっぱりこの主従はエロい。
攻略済みキャラも楽しいですね。またちょくちょく書いて行きたいです。

次は新キャラ攻略の予定。カレンか橙子さんになるかと思います。


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聖女遭遇(カレン)

カレン編です

ちょっと長くなるかも?


 歩は残暑の続く午後の道を歩いていた。

 

 まだ太陽は高く、日没の気配を見せない。歩は既に帰宅途中だったが、今頃学園では部活動に勤しむ学生たちが汗を流しているだろう。

 歩の通う斎蘭学園は中高一貫のマンモス校であり、広大な敷地の中に部活用のグラウンドやコート、体育館など様々な設備が整っている。部活動は強制されていないので歩は入っていなかったが、サッカーやら陸上やらに励む同級生たちを横目に下校する時、たまに羨ましい気分になった。

 

 歩には親友と呼べる相手はいなかった。部活に入っていればそういう相手も出来たのかもと思うと惜しくなる。だからといって、今更入部する気にもなれない。出来上がった人間関係の中に飛び込むというのは新しく人脈を作るよりハードルが高いものだ。おとなしくあまり社交的とは言い難い歩であれば尚更だった。

 

 とはいえ歩にも、授業の合間に話したり共に昼食を摂るくらいの相手はいる。趣味も合わなければ性別も違うし、なんだか妙に突っ掛かってきたりするのだが、歩にとっては一緒に行動してくれるだけ有り難いものだった。今も並んで下校している隣の少女へと歩は話し掛けた。

 

「委員長さ、部活は良かったの? サボっちゃって」

「うっさいわね。あたしの勝手でしょ」

 

 つーん、と視線も合わせず答える。カバンを持った手を肩に引っ掛け、薄い……と言ったら怒る控えめな胸を張って歩く少女。

 赤いリボンが特徴的な彼女は、有間都古という。歩の同級生で学級委員長をしている、大きなツリ目が印象的な少女だ。可愛らしい少女でクラスメートからの信頼も厚いのだが、いかんせん性格がきつい所があった。それも他の生徒に対してはそこまでではないのだが、歩に対する言動がかなり刺々しい。なのに何故かよく絡んでくるし、行動を共にしているのだった。

 朝登校すれば彼女から話し掛けてくるし、お昼も歩の席まで彼女が自分の椅子を持ってきて一緒に食べるのが習慣になっている。今日も、帰りがけに一人で下駄箱から靴を取り出す歩に彼女の方から『途中まで一緒に帰るわよ』と言ってきたのだ。

 

(当たりは強いけど、嫌われてる……わけじゃないよね、たぶん)

 

 これで責任感が強く学級委員長なんかもしているくらいだから、友人がおらず一人でフラフラしている僕を心配してくれてるのかもなあ、と思う歩。

 そんな内心を知らず、都古が「まったくもう」と呆れたように言う。

 

「背中丸まってるわよ、ピシッとしなさいピシッと。ただでさえチビで女の子みたいな顔でほっそい身体なんだから、姿勢くらいちゃんとしなさいよね」

「うぐ」

 

 ジト目でみられ、そんな猫背のつもりはないんだけどなぁと思いつつ背筋を伸ばす。

 都古はこういうところがあった。何かと歩に口を出したがる。性格もあるし、委員長ゆえに面倒見を良くしようと思っているのかもしれない。だからこそクラスメートにも嫌われず信頼を得ているのだろう。

 

「別に、好きでチ……小柄なわけじゃないし。顔だって……そのうち男らしくなる、はず」

「どうかしらね。なよっちいままな気がするけど」

「うるさいなあ。委員長だって女らしくないじゃん、色々と」

「────あ?」

「いや何でもないです」

 

 彼女の胸を見ながら呟く……と殺気だった目で見られ即座に降参する。美少女で知られ腕っぷしもある都古だが、スタイルには思う所があるらしかった。

 

 都古と駄弁りながら幹線道路沿いの道を歩いていく。地方都市だが、歩もよく行く巨大ショッピングモールが十年ほど前に出来て以来この辺りが市内の中心地であるため人通りは多い。人が多くなれば施設も増えるもので、ファストフード店やファミレスはもとより病院やら結婚式場やらも移転してくるようになっていた。

 片側三車線の道の脇をしばらく歩いてから、住宅地の方へ入っていく。道は細くなり、民家やアパートが建ち並ぶ生活臭のある風景になった。ここまでくれば歩のマンションもそう遠くない。

 

「あ……そういえばさ。公園の坂の上のカフェ、来月明けにオープンするんだって。外人のメイドさんが二人、開店準備してたよ」

「ああ、ちょっと路地に入った所の? もうちょっと目立つ場所に開けばいいのにね。なんだっけ、変わったの名前の……あーねんなんとかって言う」

「そうそう。……そ、それでね。あたしちょっと興味があって、アンタが暇だったりしたらなんだけど、一緒に……」

 

(…………ん? あれって)

 

 そっぽを向きつつお出かけの約束を取り付けようとする都古──だったが、歩はろくに聞いていなかった。

 

 視線の先にあるのは、新しく出来た教会だ。鉄柵で門がされた石畳の広場の奥に、落ち着いた色合いの石造りで建てられた本格的なもの。表通りの喧騒から離れ、ひっそりと静かに佇んでいる。住宅街の一角にあって不自然とは思わせない、不思議な雰囲気を持っていた。

 その教会の扉の前に誰かが立っていた。門の前にいる歩とは反対側、教会の方を向いているので顔は見えないが、シスター服を着ているので女性なのだろう。

 歩は目を奪われてしまう。シスターなんてものを初めて見たということもあるし、

 

(綺麗な銀髪……アイリさんとはまた違った感じだ)

 

 日本の地方都市では中々見る機会のない、銀色の髪ということも目を引いた。透き通りそうなアイリの髪とは少し違うくすんだ銀鼠色。癖があるのか、波打つ髪は腰あたりまで届いている。身長は歩より少し高い程度だろうか。頭に乗った丸い帽子が可愛らしかった。

 

 教会の玄関を掃除しているらしい彼女が、ふとこちらを振り返った。整った美しい顔立ち。しかし感情というものが一欠片も浮かんでいないからか、まるで人形のようだと歩は感じた。

 

「良かったら今度……って。ちょっとどこ見てんの?」

「あ、いや。なんでもないよ」

 

 都古に呼び掛けられ、慌てて答える。なんだかあのシスターさんを盗み見ていたようでばつが悪い。

 もう一度教会の方を見る。けれどシスターさんはこちらになんの興味もないという風に、教会へ入っていく所だった。

 

「ああ、そこの教会? 最近出来たみたいだけど。ずいぶん立派よね……なに、あんた宗教に興味あるの?」

「そういうわけじゃないけどさ。綺麗なシスターさんがいたから」

「は? きもっ。うわ、そんな顔してムッツリスケベだったんだ。ちょっとこっち寄らないでよ」

「いやいや、そんなんじゃなくって!?」

 

 ジト目で見てくる都古に慌てて首を振る。

 二人は言い合いながら、帰り道を歩いていった。

 

 

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 

 

 その日の夜、歩は近所のコンビニにいた。

 

 住んでいるマンションから歩いてすぐの場所にあり、品揃えも悪くないのでショッピングモールに行くほどでもない買い物のときはこのコンビニをよく利用していた。出来るだけコンビニ弁当はやめておいた方がいいと判ってはいるものの、ついつい料理が面倒な時は頼ってしまうのが男子の性である。

 そろそろ日付が変わろうかという深夜。お菓子やジュースが欲しくなって買いに来ていた。今日は誰かが部屋に来る予定もなく、明日は土曜日で学校は休み。どうせ土日に予定もないので、夜更かししてゲームでもしようかという腹積もりだ。

 

 コンビニを出て帰路につく。夜も熱帯夜が続いているが、昼よりはましだ。とはいえ生暖かい風の中を歩いているとじっとりと汗をかいてしまう。歩が住むマンションの周辺は坂が多く、このコンビニまでも長く勾配のある道を通らなければいけない。早足で歩いていると息が上がってくるくらいだ。

 

「靴で来てよかったなぁ。サンダルだったら疲れそう」

 

 月を見上げながら独りごちる。運動不足な所がある歩である、歩きづらいサンダルで来たら足を傷めてしまいそうだった。

 

 片側一車線の道沿いを進む。それなりに太い道だったが、この時間になると車の往来もほとんどない。辺りは静かなもので、虫の声と遠くで救急車らしいサイレンの音が聞こえるだけだ。

 横断歩道を通って、住宅地へ。寝静まった家の間を抜けていく。

 と、

 

「…………あれ。人だ」

 

 視界に、人間らしい影が映った。

 歩は高台から公園を見下ろしていた。街中にある公園としてはかなり広い方だろう風景が一望できる。

 公園は森の遊歩道になっている場所とサッカーや野球が出来るグラウンドとの部分に分かれているのだが、歩が注目しているのはグラウンドの方だった。土に覆われた人気のないグラウンドで、人影が一人ぽつんと突っ立っている。

 

「散歩……じゃないよね。運動してるって感じでもないし……?」

 

 興味が湧いて近づいてみる。と言ってもちょっと怪しい人かも知れないので、公園を取り囲む道に沿って歩いていった。

 

 距離が狭まるにつれ、人物がよく見えてくる。肌に張り付く黒い服装に丸い帽子。そして月光を弾く銀の髪。見間違えようもない、下校途中に目にしたものと同じ外見。

 それは、半日前に見たあのシスターさんだった。

 

(えっと……何やってるんだろう)

 

 夜の公園で銀髪美少女のシスターさんが突っ立っている。

 

 はっきり言って、自分の目を疑う光景だ。視界に入ったら誰でも思わず二度見してしまうだろう。

 しかも、当のシスターさんの服装がまた風変わりだった。上半身はシスターらしい暗色の服だが、問題は下。どう見てもスカートを履き忘れているだろうとツッコミたくなる、タイツのみと言っても過言ではない下半身である。薄く肌が透けそうな生地が足とお尻にぴっちり張り付いている。シスターさんは歩に背中を向けているため、特にお尻が丸見えだ。全体的には少し細すぎるくらいの体型だったが、太ももから尻にかけてはむちむちとした肉付きでタイツを張り詰めさせていた。

 

(な、なんだあれ……痴女? 変質者? シスターなのに? ううむ、関わり合いになるべきじゃなさそう…………だけどお尻が色っぽいぞ)

 

 数メートル離れた場所でまじまじとお尻を観察してしまう歩。

 ────それがいけなかったようだ。不躾な視線を感じたのか、ふと彼女が歩へ振り向いた。

 

「あら。貴方は……?」

「あ」

 

 ばっちりと目が合う。

 

 驚く歩だったが、シスターさんは歩以上に目を丸くして驚いていた。まるでここにいるべきでない相手を見つけたような顔。歩の身体を上から下まで確かめるように見る。

 

「……おかしいですね。魔力の流れが感じられません。魔術師ではないようですが、どうやって私を察知したのですか」

「は、はい?」

 

 よく分からないことを言われ、ぽかんとしてしまう。

 え、もしかして本当に危ない人? と頭にハテナマークを浮かべる歩。そんな少年のもとへシスターさんが歩み寄った。

 

「う、わっ?」

「静かに。……ふむ、改めて確かめてみれば何らかの残滓があります。どうやら貴方自身ではなく、他のモノによる影響のようですね」

 

 ぴと、と細い指を歩の額に這わせて目を閉じるシスターさん。歩の何かを感じ取っているようだが、歩にはちんぷんかんぷんだ。

 

 シスターさんが指を離す。面と向かい、金色の瞳で歩を見た。

 

「質問しますが。貴方、身の回りに魔術に秀でたモノや魔力を帯びたモノがいませんか? 現在、この公園には一般人の意識からこの場所を抜け落ちさせる簡易的な結界が組まれています。侵入者を力ずくで拒むモノではありませんが、貴方のような魔術の心得のない人間は立ち寄れないはず。その貴方が抵抗なくここに入って来れたのは、貴方がこの結界を軽く上回るような存在と身近に接している為ではないかと思うのですが」

「あ……もしかして」

 

 そういうことなら思い当たる節がありすぎるくらいである。

 

 アルクェイドやライダー、桜やアイリ。具体的に名前や詳細を出すのは控えたが、彼女らと日常的に接していることを伝えるとシスターさんは納得したように頷いた。

 

「やはりそうでしたか。聞くに、貴方はかなりの上位存在に囲まれているようですね。でしたら私程度の間接的結界など突破してもおかしくはありませんか」

「そ、そうなんですね。……よく分からないんですけど、もしかして僕って何かスゴい力を身に付けてたり……?」

 

 歩も中二ど真ん中の少年である。普通じゃ近寄ることも出来ない場所に意図せず進入したと言われ、アルクェイドたちと懇ろになるうちに特別な能力が備わっていたりしないかとわくわくして聞いてみるが、

 

「いいえ、そんなコトはこれっぽっちも。凄いのは貴方の周りの方々であって貴方自身ではありません」

「ですよねぇ」

 

 微妙に冷たい目をしたシスターさんにバッサリと切られてしまう。

 思春期の妄想を容赦なく切り捨てられ、遠い目になる歩だった。




最近NTRばっか書いてたので糖分多めで行きたい(できるとは言ってない)


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聖女同行(カレン)

「カレンさん……ですか。やっぱり外国の方だったんですね」

「はい。三ヶ月ほど前、この国に派遣されて来ました。この街に来たのはつい先日ですが」

 

 歩とカレンは並んで夜道を歩いていた。

 

 カレンによれば、彼女たちが籍を置く魔術世界には全世界にネットワークを張り巡らせた組織がいくつかあるのだと言う。中でも世界の裏側を二分する組織があり、その片方にカレンは属しているらしい。

 目的は異端を消去し、神秘を管理すること。なんて言われても歩にはよく理解出来ないが、

 

「要するに、ヘンなことを人目に触れさせないのが役割ってことですか? 警察みたいな」

「どちらかと言えばもう片方の組織の方が警察に近いと思いますが。まあ、概ねそんな認識で結構です」

 

 カレンが素っ気なく答える。

 

 公園のグラウンドで出会ったあと、二人は行動を共にしていた。聞けば、カレンはまさにその『警察』としての仕事の真っ最中だったらしい。

 

 カレンはこの地の管理を役目として組織から派遣された。ここでいう管理とは当然魔術的な意味合いだ。一般人である歩は知る由もないが、カレンたちの組織が異端、または神秘と認定する事象や存在はこの世のあちこちに潜んでいるのだという。そう言われても歩には実感出来ないが、改めて考えてみればアルクェイドやライダーたちがまさにそういった存在である。それもついこの前まで認知していなかったのだから、カレンが言うように常人の預かり知らぬ場所に息づいているものなのだろう。

 

 カレンの仕事とは、人を害する異端を表の社会から退治することだ。とは言えそれは一般人を守る為ではなく、そういった怪異が人々に公になる前に自分たちで管理する為というのだから組織の性格が窺えるというものである。

 

「まあ、分かりやすく退治と言いましたが私は戦闘に秀でているわけではありません。本部もそれを期待してはいないでしょう。どうやらこの地には悪魔の類いがいる訳でもなさそうですし、私の仕事は龍脈の整地や雑多な亡霊を祓うことですね」

「ぼ、亡霊? 幽霊ってことですか……あ、こっちです」

 

 話しながらカレンをさっき訪れたばかりのコンビニの方へと案内していく。

 歩がカレンと一緒にいるのは道案内を頼まれたからだ。カレンがこういったパトロールをするのは今日でまだ数回目とのことで、この辺りの地理には疎いらしい。カレンも大方どの付近に異常があるかは感知出来るようだが右も左も分からない現状では一人で街を回るのは手間なので、その先導役として見込まれた訳だ。

 

(まあ、頼りにされてるってより便利に使われてる感じがするけど)

 

「おや、何か言いたげな様子ですが。不満でもおありでしょうか」

「ああいや、何もないです」

「であればいいのですが。対価として私の仕事に首を突っ込んだ貴方を見過ごそうと申し出て差し上げているのですから、相応の役目は果たして貰いませんと」

 

 にやり、と嗜虐的な笑みでこちらを見るカレン。

 

(この人、第一印象で思ったよりドSな感じなんだよなあ……)

 

 カレンに気付かれないようため息をつく。

 本来なら彼女たちの組織の任務を目撃した一般人は、記憶の消去や場合によっては命を取る取らないといった処置を下されるらしい。いや、別にわざとカレンの仕事を邪魔しに行った訳じゃないし、と言っても今更遅い。こういう非日常の世界では力がある側の論理が優先されるものであり、歩とカレンどちらが上の立場かと言ったら疑いようもなく魔術師である少女の方なのだった。

 カレンはその一方的に優位な立場を利用してねちねちと歩を弄ってくる。なかば無理やり道案内をさせられているのもそのせいだ。パッと見の外見から推測される修道女としての印象とは大違い。カレンの本性はこちらの方であるようだった。

 

(くそっ、さっさと帰って一晩中ゲームする予定だったのに。……でもカレンさん可愛いなあ、お尻えっちだなあ)

 

「なにをぶつぶつ言っているのです? それで、目的地はまだでしょうか」

「あ、ごめんなさい。もうすぐそこです」

 

 涼しげな視線で見咎められ、焦ってしまう。歩は彼女を宥めつつ先導していった。

 

 

 

 

 

 

「お待たせしました。ここですね、団地裏の廃工場」

 

 数分後、二人は人気のない工場跡地にいた。

 

 十年以上前に会社が倒産しそのまま放置されている工場だ。フェンスに囲まれた草むらのなかにひっそりと佇んでいる。もとは製紙工場かなにかだったようだが、機械類も運び出された今はその面影もない。長年の放置で荒れ果て、瓦礫が散らばるがらんとした内部がガラスの割れた窓から差し込む月明かりに照らされていた。

 一人なら絶対に寄り付かない薄気味悪い空間だ。昼間でも敬遠するだろう。カレンはそこへ、躊躇なく足を踏み入れていく。

 

「成る程。見立て通り、ここがこの地の龍脈の『瘤』の一つですね。人が立ち入らない場所ですから、管理が簡単そうなのは助かります」

 

 修道服を揺らしながらガラスやコンクリートの破片を踏み締めて歩いていく。その様子からは暗闇に対する恐怖とか、怯えといったものは一切感じられない。

 工場の中心あたりへ進んだあと、おもむろに地面に手のひらをついた。割れた床のタイルがじゃらりと擦れ、軋む。

 

「え────うわ、なん……っ!?」

 

 歩の見つめる先で、カレンの足元がぽぅ、と輝いた。

 彼女の手のひらを中心にして半径2メートルほどの円形の模様が地面に浮かんでいく。青白い線で引かれた幾何学的な陣形の隙間に歩には読み取れない奇妙な文字が刻まれている。指で描いたわけでもないのに、目を閉じたカレンに呼応するかのように独りでに浮き出した。

 

 カレンの銀髪がふわふわと揺れている。陣形から沸き上がった微風だ。カレンは何事かを唱えながら、陣形の光を強めていく。

 

「ちょっ、すごいすごい!! これ魔方陣!? スマホで撮ってもいいですか!?」

「黙りなさい、気が散ります。もちろん撮影は禁止です。口外すればただでは済みませんよ」

 

 ド直球にオカルトな光景にはしゃぐ歩に対しカレンはあくまでクールである。

 魔方陣の光量が次第に強く、明るくなっていく。それが限界に達した時、光が弾けた。魔方陣が消えるのと同時、横溢した光が地面を双方向に走っていく。歩からは見えない道筋があるのか、地面を這う光は左右正反対に工場から飛び出していった。

 

「い、今のは……?」

「言った通り、『瘤』を解消しました。定期的に消去しておかなければ淀みができ、悪質な異状が生まれてしまいます。もうここはしばらく大丈夫でしょう」

 

 立ち上がったカレンがぱんぱんと手を払う。

 一仕事終わったとでも言いたげだ。そのまま歩の横を通り過ぎ、工場を出ていこうとする。

 

「さて、それでは次の場所です。次はここから北東方向に1キロほどですね。さあ、案内を」

「あ、カレンさん。ちょっと」

 

 とっさに歩がカレンの腕を掴み、引き留めた。

 

「……なんでしょう。いきなり身体に触れないで頂けますか」

「少し休憩しませんか? カレンさんも疲れましたよね」

「別に疲労はありませんが。何を突然────」

「でも、汗だくじゃないですか。そこで休んでいきましょう? 無理はいけませんよ」

「………………」

 

 しぶしぶカレンが振り返る。

 むっとした目で歩を見る彼女の顔は、暑さだけのせいではない汗で濡れていた。少し息が上がっているようにも見える。青白くさえ感じた頬は上気し赤くなっていた。

 

「……そんなコトを言って、貴方が休みたいだけなのではありませんか。それならそうと素直に」

「はいはい、それでいいですから。ほら、そこの階段で座りましょう」

「あっ……よ、止しなさい」

 

 カレンの背中を押して階段へ座らせ、歩もその隣に座る。

 仕方なくといった態度で腰を下ろしたカレンだが、歩から見ても明らかに疲労の色が現れていた。歩いたのは大した距離ではないから、今の龍脈の調整とやらの影響だろう。歩には魔術というのがどれほど大変なのか想像も出来ないが、地域一帯に影響を及ぼす行為だ。息を吸って吐くようにとはいくまい。

 

「今の、けっこう体力を使うんですね。まあなんかすごい光ってましたし。ほら、汗ふいてください」

「…………ん」

 

 ハンカチを差し出され、むぅと唇を尖らせるカレン。

 それからハンカチを手にとって、ひとつ息をはいた。

 

「……ありがとうございます。たしかに貴方の言う通り、無理を押して失敗してはいけませんね」

 

(あれ、意外に素直だ)

 

 どうやら度を越えた意地っ張りという訳ではなさそうだ。仕事熱心なのも性格と責任感から来るものなのだろう。

 カレンがぽんぽんと額を歩のハンカチで押さえる。なんだか少し嬉しくなって、歩は手に持っていたコンビニ袋を開けた。中から紙パックのカフェオレとドーナツを取り出す。歩が自分で食べると思ったのだろう、横目でそれを見ていたカレンに差し出すと彼女は驚いた。

 

「え……私に、ですか? 特に空腹という訳ではありませんが」

「疲れた時には糖分が効きますよ。ひとつ丸々が多いなら半分こしましょう」

「だから必要ないと……ああもう、意外と強引なのですね、貴方は」

 

 歩に押し付けられた、ぱかりと二つに割ったドーナツの片方を受け取るカレン。

 相変わらず眉をひそめながらなものの、受け取るや否やもぐもぐと口に運ぶ。その様子を微笑ましく思いながら歩もドーナツを齧ると甘味が口に広がった。カフェオレを渡すと、こちらもストローを咥えてこくこくと吸う。

 

 闇夜の廃工場で二人並んで座りながら夜食を頬張る。

 ちょっと買い物をしようと家を出たのがまだ一時間ほど前。思えば不思議な状況になったものだ。隣を見れば、銀髪を月光に濡らした美少女がドーナツをぱくついている。ぽろりと欠片が修道服にこぼれて慌てて口元を押さえるその可愛らしさと夜の廃墟に儚げな外見のシスターが佇んでいるギャップが、よりカレンの非現実的な魅力を強調していた。

 じっと見ている視線に気付き、カレンがジト目で歩を睨む。ごくんと口の中のドーナツを飲み込んで、

 

「変態。女性の食事をじろじろ見るなんて、マナーがなっていませんね」

「す、すいません。なんか、カレンさんが可愛くって」

「可愛い? 私が?」

 

 意外な、予期せぬことを言われたかのように目を丸くするカレン。

 

「はい。ドーナツを食べてるカレンさんが可愛いというか……あ、この人もちゃんと食べたり飲んだりするんだ、っていうか」

「……貴方、私を何だと思っているのです? 私も人間なのですが」

「いえ、変な意味ではなくってですね」

 

 第一印象が人形っぽいな、だったので────とはとても言えない。緩んだカレンの態度が再びサドっ気を出してしまいそうだ。

 

「あ、ドーナツ全部食べたんですね。どうでした? 僕のお気に入りなんです、これ。コンビニ用だからかな、ちょっと甘すぎるかも知れませんけど」

「はあ。これは甘いのですか」

「え?」

 

 思わずカレンに聞き返してしまう。

 歩が買ったのはドーナツ店と提携してコンビニが並べている商品なのだが、その中でも最も甘さの強いものだった。これをカフェオレで流し込めばかなり甘ったるいはずなのだが、カレンは気にならなかったのだろうか。

 

「あれ、甘くなかったですか?」

「あいにく私は味覚が衰えていまして。今では唐辛子たっぷりでなければ味を感じないくらいなのです。ええ、それはもう山盛りなほどに」

「は、はあ」

「身体も無理が利かないくらいで。さきほどの魔術行使で疲労してしまったのもそのせいですね」

 

 やれやれ、と頬に手を当てて語るカレン。

 どう見ても歩をからかう冗談っぽいのだが、カレンはどこか飄々としていて真偽がよく掴めない。とりあえず歩は話を合わせることにした。

 

「ええっと、それならこれ以上他の場所を回るのはやめておいた方がいいんじゃないですか? また今度にしておくとか」

「その必要はありません。走るのは難しいですが徒歩なら大丈夫ですし、決めた分はその日に処理しなければなりませんから」

 

 すくっとカレンが立ち上がった。お尻についた砂を払い、歩を見下ろす。

 

「…………?」

 

 何か言いたげな様子だが、歩に心当たりはない。

 内心首をひねってから、ああ、と思い当たった。

 

「もちろん次の場所までの道も案内しますよ。せっかくですし、今日は最後までお手伝いさせて貰います」

「……そうですか。ええ、当然ですね。いい心掛けです」

 

 澄まして言うカレン。けれど、歩からはどこか嬉しそうな顔のように見えた。

 

 

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 

 

 その後、歩とカレンは計三ヶ所を回った。

 二人で特に大したことでもない雑談をしながら、夜の街を歩く。

 既に時間は真夜中だ。時折自動車と擦れ違うくらいで、出歩く人はほとんどいない。数少ない歩行者も、夜更けにうろつく少年とシスターを不思議そうに見るものの関わり合いになるつもりもなく擦れ違っていく。

 明るい中では見慣れた風景も、人気のない夜ではまるで異世界にいるような気分になる。隣にカレンがいると思うと尚更だった。いつもは人が出入りしているスーパーも、子どもたちが騒いでいる小学校も今は人っ子ひとりいない。歩はそんな夜道をカレンと肩を並べて進んでいった。

 

 道中、歩がここはよく来る本屋さんだとか、昔通っていた学校だとか話すと、カレンは素っ気なく相槌を打つ。しかしその実興味はあるようで、後から詳しく話を聞きたがった。歩はカレンを深くは知らないが、きっと普通の生活は送って来なかったのだろうことくらいは分かる。こちらの日常生活を知りたがるのはその辺りが原因なのだろうと思い、歩は興味のままに質問してくるカレンへ何でも話してあげるのだった。

 歩もカレンをもっと知りたいのだが、あまり彼女は自分の過去を話したがらない。言いたくないことを無理やり聞き出すつもりもないので、歩ばかりが自分のことを話す形になってしまっていた。どの学校に通っていて、好きな食べ物は、よく聴く音楽は、経験のあるスポーツは……と、カレンがぽつぽつと聞くままに話していく。長い夜の間中、二人きりの時間を共有する。ひょんなことから始まった見知らぬ相手との夜の散歩は、思いがけない居心地の良さを二人に与えていた。

 

 その時間も次第に終わりが近付いてきた。三ヶ所目、パチンコ屋の裏手の土手を処理し終わり、カレンが歩に向き直った。

 

「……これで良し、と。今日のぶんはこれで完了です。長く付き合わせましたね」

「いえ、楽しかったですよ。魔術を見てるのも、カレンさんと一緒に歩くのも」

 

 歩の言葉に、ふ、とカレンが頬を緩める。まだ一日も経っていない、初めて教会の前で掃除をする彼女を見た時には想像も出来なかった表情だ。

 

「それは良かった。私は少し耳が疲れてしまいました。貴方がたくさん自分のことを話そうとするものですから」

「あはは。聞いてくれてありがとうございます」

 

 悪戯っぽく言うカレンに、歩が笑い返す。

 ひとしきりくすくすと二人で笑い合ってから、歩が言った。

 

「それで、次回はいつ行うんです? 明日ですか?」

「────え?」

 

 ぽかんとした顔のカレン。

 そんな彼女に、歩が言葉を重ねた。

 

「まだ一回ですし、街の隅々までは判りませんよね。次もお手伝いしますよ」

「……明日の予定、ですが。しかし、これは単なる私の仕事ですし。今日は同行して頂きましたが、何度も強制させる訳にはいきません。なにより貴方に利益がないではありませんか」

「いいですから。僕がカレンさんを手伝いたいから手伝うんです。それに、正直に言うともっとカレンさんと一緒にいたくなっちゃったんです」

 

 言われ、ますますぽかんとするカレン。

 それから何故か、目を伏せて暗い表情で言う。

 

「……そう言って頂けるのは光栄です。しかし、私は貴方のような真っ当な方と釣り合う相手ではありませんよ」

「って言うと?」

「何を隠そう、私は相手が望むのならば身をもって獣欲を受け止める修道女なのです。性的暴行を容認するコト、それ自体が私の役目の一つなのですよ。まあ、それは以前いた母国での頃の話ですが、過去を消すコトは出来ません」

 

 よよよ、と泣き真似をするカレン。

 

(またどぎつい下ネタだなあ……)

 

 さっきの味覚の時と同じでからかっているのだろう、と歩は聞き流す。

 空が白み始めている。この散歩もお開きの時間だ。流石に眠くもなってきたので、歩は話を進めた。

 

「はいはい、そういうのはいいですって。明日ですね、じゃあ今日と同じあのグラウンドで待ち合わせで良いですか?」

「ですから…………ああ、もう。仕方ありません。そこまで仰るのならお願いします。時間は、日付が変わる頃に」

「了解です。それじゃ、約束ですよ」

 

 二人が小指を絡め合う。

 朝日が昇り、街が目を覚ます頃、歩とカレンはようやく長い散歩を終えたのだった。

 

 

 

 

「……ふぅ。これ、昼まで寝ちゃいそうだなあ」

 

 マンションへの道を行きながら、歩が呟く。

 

 別れ際、帰り道も付き添おうかとカレンに申し出たがここから教会への道は分かるとのことだった。着いて行っても良かったのだが、どうせまた今夜逢うのだしと遠慮しておいた。

 

「しかし、カレンさんか。なんか突拍子もない出会いだったし、最初は変な人かと思ったけど……すごく可愛い人だった」

 

 初対面の手前、出来るだけ抑えていたが歩はバリバリにカレンに性的魅力を感じていた。美しい顔立ちも、小振りな胸も、何より肉付きのいい下半身も女性としての魅力に溢れている。それを表に出さなかったのは、カレンとの時間を壊したくなかったからだ。

 カレンが最後に言った下ネタが頭によぎって、ぶんぶんと首を振る。目ざといカレンのことだ、歩がそういう目でカレンを見ていると知ったらまたからかってくることだろう。

 

「はぁ。早く帰って休もう、夜は歩くことになるだろうし。ちょっとお腹減ってきたな……」

 

 朝日が気温を上げ始める中を足早に歩いていく。

 

 

 

 カレンが冗談混じりに言った、味覚について、身体について、そして『下ネタ』について────

 その全てが嘘偽りのない事実であることを、まだ歩は知らなかった。




次でエロ……たぶん


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聖女交歓(カレン)

 それから、歩とカレンの夜の巡回は数日おきの日課となっていた。

 二人で決めた待ち合わせ場所で合流し、夜の街へ繰り出す。一日に回るのは二ヶ所から三ヶ所、歩も回数を重ねるうちに案内に手慣れて来たので、初回ほどに長引くことはなくなった。取り留めのないことを話しながら連れ立って歩き、カレンの『処理』を眺める。一回ごとにそれなりの疲労を負うためこまめに休憩するようになったのだが、その際の軽食や飲み物を用意するのは歩の役割だった。適当に街のベンチや階段に腰を下ろし、二人で食事をとる。それが一段落すれば、またその日のカレンの仕事が完了するまで彼女を案内していく。

 

 カレンにとって同年代の少年と接するのはほとんど初めての経験だ。当初はどこか壁があった態度も同じ時間を過ごすにつれ少しずつ打ち解けていく。歩の方はといえば、外見的な美しさに併せて棘がありつつも素直じゃない飼い猫のようにこちらに懐いてくれるカレンをすっかり好きになっていた。

 静かな街を歩がエスコートし、カレンがそれに着いていく。

 二人にとって、夜の密会は密かな楽しみとなっていた。

 

 

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 

 

「はあ。それで御母様がよく不在でいらっしゃると。お家では一人で過ごされているのですか?」

「そうですね、基本的に。カレンさんはどうです?」

「私も教会が出来てからはあちらに一人で寝泊まりするコトが多いですが、他に寝所も持っています。そちらには同居人がおりますね」

 

 歩とカレンは、もう何度目かの巡回に赴いていた。

 一ヶ所目は終えて、今は次の場所に向かう途中である。

 

(同居人かあ。もしかして、男の人だったり? いや、僕が口出しすることじゃないけど)

 

 どう見たって男と同棲しているようには見えない(失礼)が、人は見かけによらないものだ。出来る女のように見えて実はドMの蛇女とか、一見貞淑そうだけど裏では年下の少年のモノになっている和服の人妻とか、世の中には色々いる。

 ちらちらと彼女を見ていると感づかれてしまったようだ。不思議そうに聞いてくる。

 

「なんでしょう? そのように盗み見て」

「あ、その。同居してるって方はどんな人かなーって」

「? ……ああ。もしかして気になるのですか?」

 

 カレンが唇を曲げながら目を細める。よくする、相手をつつけると悟った時の表情だ。

 

「御安心ください。相手は女性です。まあ私と違い性格に難があり困った人ですが、悪人ではありません」

「私と違いって。いやそれより、別に気になってなんかないですって」

「本当ですか? それにしてはこちらを計るような視線でしたが」

「うぐ……」

「クスッ」

 

 ばればれである。こんな感じで、歩がカレンに好意も持っているのはとっくに筒抜けになってしまっていた。

 

(……でも、仕方ないと言わせて欲しい)

 

 笑みを漏らす彼女を見ながら思う。

 カレンはとびきりの美少女だ。それも今まで歩が出会って来なかった、少し陰と棘のあるたぐいの相手。こちらを上手からねちねちと弄ってくるのも新鮮である。なのにふと見せる今のような微笑みは柔らかく、年相応のものだ。初見で人形のようだと思ったが、深く付き合ってみれば意外なほどころころと表情を変えてくれる。

 

 それに、身体のスタイルもそう。月明かりに濡れる銀髪は艶かしく輝き触れてみたいと思わせる。胸は小振りだが、修道服の上からでもしっかり実っていると分かる。極めつけはやはりその下半身。黒タイツのみと言っても過言ではないそのお尻は大きめで、歩く度にぷるぷると揺れる。完全に丸出しではなく、上着からちらちらと覗くのがまた色っぽい。そこから伸びる太ももとふくらはぎもタイツに締め付けられながらもぱつんと張り詰めさせ、しなやかに動いている。

 

 カレンは歩の目から見ても魅力に溢れた美少女だった。掴み所のない性格と、細いのに肉感的な身体のギャップがまた男心を刺激する。あのタイツを破って尻に腰を打ち付けたい、と下心満々に思ってしまうくらいだ。

 

(まずいまずい、良くないって。カレンさんはそんなつもり無いだろうし。……でも、あんな格好してるカレンさんも悪……くないって、落ち着け僕っ)

 

 しばらく一緒にいるうちに、カレンは歩の恋愛対象としての圏内に完全に入っていた。煩悩を振り払おうとするも頭から彼女への欲望が消えてくれない。

 そして、それはなにも歩からの一方通行という訳ではなかった。

 

(……何でしょうか、この感じは。彼が私の同居相手を気にするのが、なぜか……嬉しいような)

 

 カレンが内心、首を捻る。

 彼女にとっても、歩の存在は大きくなっていた。思いがけない出会いで行動を共にするようになった相手。異国で出会った、最初は脅迫混じりで協力させたはずの少年は、しかしむしろカレンと一緒にいるのを楽しむような態度で隣にいてくれる。母国では肉体的にも精神的にも使い捨ての道具のような扱いを受けていたカレンに、優しい少年との時間は彼女が気付かないうちに心へ染み渡っていた。

 

 もし少年の周囲の女性が知れば嘆息することだろう。歩が相手を見初めたということは、本能的に相手もこちらを憎からず感じていると察知したということだ。本人はその辺りの能力を自覚していないので無理に迫るのはと躊躇してしまい、その結果女性の方からハーレム入りを願い出させる形になるという天然ジゴロであった。特にそういった状況へ追い込まれた経験のあるライダーやアイリであればカレンへ憐れみと共感の眼差しを向けるに違いない。

 

(そうだ……カレンさんにお出掛けの誘いをしてみるのはどうだろう。別に、夜しか会っちゃいけないなんて決まりはないんだし……いや、でもなあ)

(また、何か言いたげな目を。早く喋りかけてくれれば良いのに……ふふ、次はどうやって虐めてあげましょうか)

 

 夜道を歩きながら、お互いを盗み見合う。

 歩もカレンも、まだしばらく目的地に着きたくないと心のどこかで思うのだった。

 

 

 

 

 

 

「ふぅ。もう終わっちゃいましたね、今日のぶん」

 

 一時間ほど後、町外れの溜め池の前で歩が言った。

 ここが本日四ヶ所目、最後の場所である。二人が待ち合わせ場所を出発してからまだ二時間も経っていない。回数を重ねるごとにスムーズになっていったカレンと歩の『仕事』は、今では総計3時間かかるのも稀なくらいになっていた。

 

「ええ。…………まあ短縮化できた最大の要因は私の練磨のおかげでしょうが、貴方もそれなりに頑張ってくれているとは認めましょう」

「あはは、ありがとうございます」

 

 照れくさそうに言うカレンへ笑いかける。彼女の毒舌は相手をいたぶる為の時と照れ隠しの時がある。今は明らかに後者だった。

 

「んん…………っと。なんだかこのカレンさんとの散歩、運動になって良いですね。僕、あまり身体を動かさない生活だったので」

「そうなのですか? この前話してくれた、貴方の通っているという学校では運動訓練の授業もあるのでは」

「ああ、体育はありますけど。それだって一週間に何回か、って程度ですしね」

「……そうなのですか」

 

 カレンがぽつりと呟いた。

 

「どうかしましたか? カレンさん」

「いえ、別に。貴方のようなすけべなら女子が運動しているのを凝視していそうだな、と思っただけです」

「僕を何だと思ってるんですか……」

 

 半目になる少年へにやりと笑う。カレンはそれとなく目を逸らした。

 

(貴方と学校へ通うのも楽しそうだと思った、とは……言えませんね)

 

「まったくもう……それで、次回ですけど」

「今まで通りで構いません。あの公園に、日付が変わる頃に」

「やっぱりそうですよね。分かりました」

 

 もう慣れ親しんだ次の予定を決める。

 いつもなら、夜の散歩はこれで終わり。あとは歩はマンションに、カレンは教会に帰るだけだ。

 なのに、

 

「………………」

「………………」

 

 今日はなんだか、二人とも別れたくなかった。

 さっき、改めて相手への感情を見直してしまったからだろうか。まだ一緒にいたい、という気持ちが湧いてきていた。

 

 それは、二人の想いがある線を越えたからだ。今までは『仕事』にかこつけて密会し、それが終わればお開きにするという形でも十分発散できていた感情が、この日を境に発散できないくらいまで大きくなっていた。

 夜道を照らす街灯の下で歩とカレンが向き合う。二人とも恥ずかしくて自分からは言えず、相手の言葉を待つ。

 

 先に決心したのは歩の方だった。うっすらと頬を染めたカレンへ、

 

「あの、カレンさん。よければ」

「っ……はい、なんでしょう」

 

 反射的にか、カレンが背筋を伸ばす。

 珍しく緊張しているカレンを可愛らしいと思いながら、歩が言った。

 

「このあと、お仕事とか抜きで……ちょっと歩いていきませんか」

「…………仕方ないですね」

 

 ふっとカレンが頬を緩める。

 少し小首をかしげて、少年へ答えた。

 

「ええ、是非。お付き合いいたしましょう」

 

 

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 

 

「……それでですね、この辺りでブレーキが壊れちゃって。もう止められなくって、自転車ごとあのガードレールに突っ込んだんです」

「あらまあ。怪我はなかったのですか? ……おや、ここに擦れたような痕がありますけれど」

「うわ、それ僕の自転車のハンドルがぶつかった所ですね。まだ痕が残ってるんだ」

 

 白いガードレールについた痕をさするカレンへ歩が答える。

 

 二人は、あてもなくふらふらと夜の街を散策していた。もうそこには目的地もないし、仕事としての義務もない。

 ただ単純に、相手と一緒に居たいだけ。隣に相手が居てくれること自体が目的の、居心地のいい散歩だった。

 

「ぷっ……ふふふ。貴方、見掛けによらず昔はやんちゃだったのですね」

 

 カレンがころころと笑う。手を口元に当てた、上品な含み笑い。

 

(……たまにトゲがあるけど、笑うとやっぱり可愛いんだよなあ……)

 

 思わず歩は見惚れてしまった。

 これまでもだんだん表情が柔らかくなってきてはいたカレンだが、この時間になってからは尚更だった。歩の話に屈託なく笑い、感心し、相槌をうつ。一見感情の乏しそうな彼女が思いをストレートに表現する様子は、既に惚れかけている歩の心を鷲掴みにするには十分過ぎるほどだった。

 しかも、

 

「……そうだ。その、大したコトではないのですが」

「はい?」

「貴方、先ほど仲の良い相手がクラスにいる、と言いましたが。それはもしや、女性なのでしょうか」

「えっと、そうですけど」

「………………」

 

 むぅ、と唇を尖らせるカレン。

 こんな風に、ちょくちょくいじらしい面を見せてくるようになったのだ。思いがけず仲良くなった男友達への軽い独占欲といった所だろうか。歩としては嬉しい限りである。実際は仲が良いどころか、肉体関係を結ぶ相手が何人もいるのだったが。

 

(……そうだ。そろそろ、カレンさんのことも教えてくれないかな)

 

 親しい仲になったとはいえ、未だにカレンについて歩は深く知らない。カレンの方はもう歩のことを色々と知っているというのに、まだ歩はカレンの名前と『仕事』についてくらいしか把握していなかった。

 

「あの、カレンさん」

「はい? なんでしょう」

「僕もカレンさんについて聞いてもいいですか? どこで生まれたとか、何をしてきたとか。もっとカレンさんについて知りたいなって」

「………………」

 

 歩がそう言うと、カレンが口をつぐんだ。

 無表情になると途端に人形のように感情が読めなくなり、歩は戸惑ってしまう。

 

「……それは」

 

 一度口を開いて、また閉じる。

 それから再び決心したように、

 

「それは、私と性的な関係に及びたいというコトでしょうか?」

「…………えっと」

 

(違う……いやあながち違わなくもないけど……って)

 

「な、何言ってるんですかカレンさん!?」

「おや、そうではないのですか? てっきり私の身体を求めているのかと」

 

 キョトンとした顔で見られ、歩は目眩がする思いだ。そりゃあ勿論そういった関係になるのはどんと来いだが、今のはそれを申し出た訳ではない。

 

 あわあわと慌てる歩をカレンはじっと見た。それから、いつものように目を細めて笑う。

 

「くふっ。狼狽しすぎですよ。すみませんでした、貴方の様な女性経験の乏しい方にはきつい冗談でしたか」

「えっ? あ、いや、そうではなく……」

「誤魔化さなくても良いのに。ええ、貴方が私のような見目麗しい女性と親密な仲になりたいというのは理解出来ますとも。ですが、もっと手頃な相手を探した方がよいでしょう。私はこれでも経験豊富な女でして、貴方のような年頃の男性が好む清い身ではありません」

「え」

 

 胸の前で両手を組んで軽く瞑目し、大したことでもないように言う。歩はさらりと告げられたことが飲み込めず、戸惑ってしまう。初めて会った日にも同じようなことを言われたが、あの時は下ネタのたぐいだと流したのだ。

 

 しかし今の言い方は明らかに冗談でも何でもなく、ただ事実を伝える為の口振りだった。あの時の内容を加味して考えれば────母国にいた頃は男性の暴行を受容するのも仕事の一つである修道女であり、だから私を恋愛対象とするのは止めておきなさいと、そういう意味だ。

 

(嘘じゃない……よね)

 

 淡々とカレンは『仕事』について打ち明けた。そこには恥じらいとか、卑屈さといったものはない。単にそういうことをしていましたよ、そんな女は嫌でしょう? ──という態度だった。

 

「カレンさんは……その仕事を、進んでやっていたんですか?」

「そういう訳ではありません。貴方に言っても理解できないでしょうから詳細は控えますが──私は特別な『体質』なのです。悪魔に取り付かれた罹患者は精神の箍が外れ、欲望に囚われたケモノと化します。そういったモノを引き寄せる誘蛾灯のような役割が私なのです。故に、それらに欲望をぶつけられるコトはありました。それも一度や二度ではなく。それを後悔はしていません。私がヒトの役に立つ数少ない使い処でしたから。しかし、私のような女が男性に喜ばれないコトは理解しています」

「………………」

 

 歩は何を言うべきかを考えた。

 よく見れば、カレンの手は少し震えている、ようにも見える。僅かな灯りに照らされるだけの夜道では見間違いかも知れなかったが。

 

 カレンの告げたことは、正直気になると言えば気になる。

 けれど、それはだからと言ってカレンを嫌いになった、ということにはならない。可哀想に、とも思わない。何しろカレン本人がそれを悔やんでいない、むしろ自分の立派な役目だと言っているのだから、そう思っては失礼にあたるだろう。

 

「なるほど。平たく言えば、カレンさんは苦労してきたと言うことですね」

「苦労、ですか。ええ、その表現は正しいですね。苦しさや疲労は確かにありましたから」

「で、その過程で身を犠牲にしてきたので、私を女性として求めるのはやめておけ、と」

「まさしくそういうコトです。よく判って頂けたようですね」

 

 こくこく、と頷くカレン。

 

(────よし、決めた)

 

 カレンはこう言えば歩が自分への興味を失くすと考えたのだろう。彼女は自分の過去を消そうとは思わない、けれど自分が穢れているとは思っている。憎からず思うようになった歩相手だからこそ、それを打ち明けて彼が自分を恋愛対象として見ないようにした。いざ結ばれたあと歩に嫌われたり、落胆させることのないように、先手を打ったのだ。

 

 しかし、カレンは歩という少年を見誤っていた。歩はある意味で単純だった。彼は相手が昔どういうことをしていましたとか、どんな関係を持っていましたということはどうでも良かった。

 歩が重視するのは、今の相手が好きかどうかということだけだ。そんな少年に過去の異性経験を説いて、だから自分は止めておきなさいと言っても何の意味もない。むしろカレンの態度は本当は彼女も歩に好意を持っているけれどやむ無く少年を慮ってという健気なもので、完全に逆効果だった。

 

 だからこの時、歩は決心していた。

 カレンの不器用な建前を取っ払って、必ずや彼女を自分のモノにしてみせる。女性としての自分に価値がないような口振りの彼女を──たっぷりと、女の悦びで満たしてあげたいと。

 

「カレンさん」

「え……」

 

 胸の前で組まれた手を握ると、驚いてカレンが身をすくめた。

 目を丸くする彼女に、勢い込んで歩が言う。

 

「もしよければ、僕とデートしませんかっ!」

「…………はぇ?」

 

 あんぐりと口を開くカレン。

 ぱちくりと瞬きする彼女を、歩はじっと見詰めていた。

 





はよエロ書きたい(本音)


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聖女不来(カレン、セイバーオルタ)

 デート当日になった。

 場所は隣街にある遊園地。年間一千万人以上の入場者を誇る、この地方でも有数の大型レジャーランドだ。数を揃えた絶叫マシンに定評があり、海外からも愛好家がやってくるとか。遊園地だけでなく夏は屋外プールも解放され、家族連れやカップルで大賑わいする。

 

 この場所に決めたのはもちろん歩だ。色々と考えたのだが、素直に二人で遊べる場所がいいと思った。ジェットコースターのようなスリルを楽しむマシンからゆったりと景色を見れる観覧車まで様々な施設があるここなら、カレンも楽しめるだろうと考えてのことだ。

 約束をしたあの日から二日。歩はもう楽しみで楽しみで、首を長くして待ち侘びていた。今までカレンと会うのは仕事としての一環だったが、今回は違う。これはプライベートで、会いたいから会うデートだ。カレンとのデートが初めてなら、そもそも日中に会うのも初めて。早起きして電車を乗り継いで来たら待ち合わせの一時間も前に来てしまった。けれどそわそわと遊園地の入り口でカレンを待っている時間も、それはそれで悪くはないものだった。

 

 既に開場された入り口から来場客たちが流れ込んでいく。老若男女様々な人がいるが、誰も彼も明るく期待に満ちた顔つきだ。

 待ち合わせ時間は開場の10分前。もうとっくに過ぎているのだが、

 

「遅いな、カレンさん」

 

 歩は一人で、ぼけっと入り口の前に立っていた。

 約束の時刻から30分は過ぎてしまっている。流石にそろそろ来てもいいはずだが、なかなかカレンはその姿を見せない。彼女はスマホの類いを持っていないので連絡も出来ない。ただ遅刻しているだけなら別にいいのだが、何かあったのかもと思うと落ち着かなくなってしまう。

 

「どうしよう……すれ違いになるかもだから帰る訳にいかないし。もうちょっと待ってようか」

 

 真夏の日差しのなか突っ立っているのはきついので、入り口の目の前にあるコンビニに入って待つ。立ち読みコーナーからは待ち合わせ場所が見えるので、小まめにチェックすれば見逃さないだろう。

 

 それからまた数十分。一向にカレンは現れない。いくらなんでもおかしいだろうと、歩が本気で心配になりつつあった時。

 

 ────ぼぼぼぼぼっ、と轟音を立てながら一台の大型バイクが遊園地入り口前のターミナルへ入って来た。コンビニの中まで伝わるくらいの激しい音だ。

 運転手は黒いライダースーツにフルフェイスのヘルメットを被っているため、中身は窺えない。だが、体格から小柄な女性なのだと判る。

 

(うわ、女の人なのに凄い。カッコいいなぁ)

 

 大人の男性でも制御に苦労しそうな大型バイクだが、女性は全く手こずる様子を見せない。跨がった状態で爪先が地面に着くかも怪しいというのに自在にバイクを操っている。

 遊園地で遊ぶには中々不釣り合いな姿である。もうひとつヘルメットを持っているので誰かを迎えにでも来たのかも、と思う歩の視線の先で彼女がヘルメットを外し、何かを探すように辺りを見回した。

 

「え…………嘘っ」

 

 見覚えがある、というか見間違いようもない顔で驚いてしまう。

 慌ててコンビニを飛び出し、自分を探す少女に呼び掛けた。

 

「アルトリアさんっ。どうしたんですか、こんな所で」

「む。アユムか、待たせたな」

 

 歩へ振り向き、金髪の少女──セイバーは頷いた。

 

 

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 

 

「じゃあ……カレンさんが言ってた同居人って、アルトリアさんだったんですね」

「そういうコトだ。私も驚いたぞ、カレンと貴様が二人で出掛けるような仲になっていたとは」

「そういえば、アルトリアさんも一緒に住んでる人がいるって言ってましたっけ。じゃああれが」

「カレンだな。以前姿を消していたのは聖堂教会の任務だった。教会が完成したので戻って来た、と言っていた」

 

 歩はセイバーが運転するバイクの後部に座っていた。

 セイバーはカレンに頼まれ、待ちぼうけになっている歩を迎えに来てくれたのだ。連絡手段のないカレンが取れる唯一の選択肢だった。

 とはいえ、

 

「アルトリアさんは僕の電話番号、知りませんでしたっけ?」

「記憶しているが、教会にも私の部屋にも電話は無いのでな。他の連中に借りても良かったが、どのみち貴様をその足で帰らせるような無礼は出来ん。さっさと迎えに来た」

「無礼って、そんな気にすることないのに」

「阿呆。どこに自分の主を連絡一つで舞い戻らせる従者がいる。それよりほら、もっと強く掴まれ。落ちるやも知れんぞ」

「う……で、では遠慮なく」

 

 かなりのスピードで走行するバイクの上で、ぎゅっとセイバーの腰を抱く。セイバーに借りたヘルメットが彼女のそれとこつんと当たった。

 想い人の少年に抱き着かれ、僅かにセイバーの腰が震える。しかし不安定なバイクの後部に乗り戦々恐々としている歩は気付かなかったようだ。

 

「んっ……。そ、それでだな。さっきも言ったが、カレンは体調を崩している。重篤ではないが、出歩くコトは無理だろうな。アユムに申し訳ないと謝っていたぞ」

「そんな、気にしないでいいのに。それより、風邪か何かですか?」

「いや、そうではない。主に疲労が原因だろう。聞けば、ここしばらく毎日のように夜中から明け方まで出歩いていたらしいではないか。カレンは身体が弱いからな、無理が祟ったのだろう」

「疲れですか」

 

 確かに『仕事』は大変そうだったけれど頻繁に挟む休憩では平気そうだったし、体調の悪化なんておくびにも出さなかったから全然気が付かなかった。もっとしっかり彼女を見ていれば、と歩は悔やむ。

 

「それより、よくもまああの性悪女をあそこまで絆しおって」

「絆すって?」

「あやつ自身、ろくに自覚していないようだがな。そもそも龍脈の調整といった聖堂教会の仕事など連日行う必要はないのだ。あれはな、ひとえにアユムと会う口実の為だろうよ。身体に無理を押してでも貴様と逢瀬を重ねたかった訳だ。……く、だがそれも無駄ではなかったようだな。貴様、その様子だともうカレンを手中にするコトを決心しているだろう」

「う……。ま、まあもっと仲良くなりたいなー、とは思ってますが」

 

 赤面して呟く。それはセイバーに本心を見透かされているからでもあったし、カレンの気持ちが嬉しいからでもあった。

 

 セイバーの駆るバイクは速く、同時に極めて安全な運転だった。地図が頭のなかに入っているのか、迷うこともなく最短距離で歩たちの街の方へひた走っていく。しばらくすると見慣れた地元の風景になった。

 太い幹線道路から横路へ。少し走ると、あの教会へと到着した。裏手に回り、セイバーがバイクを車庫入れするのを後ろから眺める。車庫が閉まり勝手口から出てきたセイバーはもうライダースーツを脱いでいつもの漆黒のドレス姿になっていた。

 

「ありがとうございました、アルトリアさん。助かりました」

「だから従者として当然の務めと言っているだろう。ほら、こちらだ。教会の裏に居住スペースがあってな、カレンはそこにいる」

 

 セイバーに言われて着いていく。彼女の言葉通り、ささやかだが中庭や池もある場所へと出た。その奥に石造りで出来た洋風の建物がある。小さな公民館くらいの大きさだ。半楕円形の木扉を開け、中に入った。

 

 中は薄暗く、ひんやりとした空気に包まれている。住人が一人である為かあまり生活臭はしない。恐らくマンションと同じくセイバーが掃除しているのだろう、清潔に保たれてはいるようだった。

 

「けっこう広いんですね、ここ。外からじゃぜんぜん判らないや。それで、カレンさんは」

「アユム。それよりもだ」

「え……あの、アルトリアさん?」

 

 早速カレンのお見舞いに行こうとする歩へ、セイバーが振り返った。

 肩を掴まれ、壁へ追いやられる。乱暴ではないがセイバーの力は強く、歩では到底振りほどけない。そのまま押し付けられてしまった。

 

「あ、あの?」

「アユム。私はな、集団の首長には責を果たした者へ褒美を与える器量も必要だと思うのだ」

 

 セイバーの力が緩まる。それと同時に、彼女が身体をくっ付けてくる。

 大きすぎはしないが手のひらにぎりぎり収まらないくらいの胸、引き締まったお腹。瑞々しい身体を使い、壁と挟み込むように歩を拘束する。更には細く長い脚を絡められ、歩はもう身動きをとることが出来ない。

 

「っ……アルトリアさ……」

「今日の私の努め、誉れではないか? 私のおかげで助かっただろう? なあ、貴様のために尽くした女に、褒美を取らせるべきではないのか……?」

 

 歩の首に腕を回し、むぎゅうぅぅ、と抱き着いて。

 上目遣いになった視線は、王や騎士としての威厳をどこかへ放り投げた、自分が傅くハーレムの主人へおねだりするメスの顔。歩と会うまで男に興味などなかった騎士王は、今では自分の身体を使い少年へ媚びっ媚びの誘惑をするまでになっていた。

 はぁ~~っ♡と歩の耳元を吐息で撫でる。セイバーに新陳代謝はなく、余計な体臭はない。それでも大食いのため少年に不快な思いをさせないように、密かに口臭スプレーを常備しているセイバーの吐息は爽やかな柑橘系だ。

 

「んっ……あは……♡ そうだ、もっと触ってくれ……♡」

 

 セイバーが悦びの声をあげる。

 歩の手のひらは、あっさりとセイバーの胸、そして尻を掴んでいた。以前ならいきなり触るのは、と躊躇していた少年の姿はもうない。それはむしろ躊躇することがセイバーやハーレムの女性たちにとっては失礼にあたるからだ。

 いつ何時も歩からのアプローチが最優先で最大の喜びである彼女たちは、歩に求められないことこそが最も嫌うことだった。ハーレムのメンバーと深く付き合うことでようやくそれを理解してきた歩は、今では積極的に彼女たちを求めるようになっていた。

 

「んむ……っ」

「むちゅっ♡ ふぁ……♡ ちゅぷっ、んんんっ♡ れろれろ~っ……♡」

 

 歩が唇を被せると、セイバーは喜んで舌を突き出した。隙間なく口と口を合わせ、お互いの唾液を分け合う。すんすん、とセイバーが鼻で息をする。歩もじんわりと股間に血液が巡っているのを感じているが、まだ余裕はある。それとは対照的にセイバーの方は歩と口付けをしただけで子宮が震え、マンコがびちょ濡れだ。長いスカートで見えないが、太ももには既に愛液の線が伝っていた。

 

(っ……も、もうこんなに……♡ まずい、アユムに気付かれては……)

 

 襲った側だと言うのに自分ばかり感じさせられ、腰を退こうとするセイバー。

 しかし、歩にはお見通しだった。逃げるセイバーのマンコへ、股を割り開くように膝を捩じ込む。

 

「お゙お゙っ!?♡♡」

「アルトリアさん? 駄目ですよ、そっちから誘って来たのに。ほら、腰を戻して」

「はっ……はひ……♡」

 

 ゴリゴリと股間を膝で抉られ、セイバーが悶絶する。逃げたいものの、少年の命令は絶対だ。自ら追い討ちを掛けることになると理解しながら、元の場所へ腰を突き出すしかない。

 当然、

 

「ぐぅぅうううう……っ♡ むっ、無理だっ♡ これ以上はっ、もう……アソコが擦れて……♡」

「これくらいで何言ってるんですか。ほら、ぐいっと」

「ひっっっ♡♡」

 

 桃尻を鷲掴みにした歩が、一気に引き寄せる。

 ぐちゅぐちゅっ♡ とセイバーの股間が膝の上を滑った。セイバーの身体が痙攣する。絶頂感が全身を駆け巡っていく。

 

(なっ、なんだこれは……少し膝を立てられただけで、一方的にアクメするなんて♡ まだアユムは完全に勃起してもいないというのに……♡)

 

「はっ……は……♡」

 

 歩の肩に額を擦り付けながら余韻に浸る。

 すりすりと労るように歩に腰を撫でられ、じんわりと胸が温かくなる。無様にアクメしたというのに優しく抱き締められ、少年の愛情に報いたいと思ってしまう。

 

「アルトリアさん? 落ち着きましたか?」

「はー……。あ、ああ。済まない、私だけ……」

 

 懸命に息を整える。その間も、歩はセイバーの身体を撫でていた。

 数分間その体勢で過ごした後。人心地つき、セイバーが歩を見上げた。

 

「ふぅっ……。すまん、先にイッてしまって……それで、アユムは」

「えっ、と。もうこんなんです」

「ん…………♡」

 

 すり、とセイバーが歩の股間へ手を伸ばす。そこはもっこりと膨らんでいた。何度も身体を重ねたセイバーだから判る、それは少年の勃起チンポだった。さっきまで半勃ちだったそれは、セイバーが絶頂を味わっているうちに臨戦態勢へと変化していた。

 セイバーがまた歩へしなだれかかる。今度は屹立したチンポを下腹部に押し付けて、

 

「アユム。率直に聞くが……貴様、カレンを抱く気だろう?」

「う」

 

 ぎくり、という顔になる歩。

 セイバーはそんな少年を見てくすくすと笑いながら、

 

「そのくらい見ていれば判る。私が保証するがな……間違いない、カレンは落とせるよ♡ あやつも貴様に落ちかけだ。毒舌な上にひねくれた性格の女だ、意地を張って巧妙に隠そうとするだろうが、貴様なら簡単に引き剥がせるさ。まあそもそも、あの女がデートを了承するという時点で貴様をつがいとして求めつつある証拠だよ。……そこでだ」

 

 またセイバーが歩の首へ絡み付く。出来るだけ少年のチンポへ効くように口上を述べていく。

 

「貴様、ここの所カレンにかかりきりで、満足に抜いていないのではないか? カレンも経験はあるとはいえ……分かっているだろう? あれはただ穴を使わせていただけの人形、中身は初心な生娘のようなものだ。そんなあやつにいきなり歩の濃厚なざーめんをぶちまけてみろ ♡貴様、溜め込むと黄ばんでくっさい、ゼリーみたいにどろどろの大量せーしになるだろう……ただ回数をこなしただけの精神処女にはきっとキツ過ぎる、面食らって腰を抜かしてしまうに違いない♡」

 

 べろぉ、と少年の頬を舐め上げる。

 スボンの上から裏筋をシコりながら、

 

「カレンと会う前に一発、私に吐き出しておけ♡ ああ、もちろんゆったりと丁寧に抱いてくれないでも良い。余計な精液を捨てておいた方がカレンと落ち着いて接するコトが出来るからというだけさ。私は貴様の女だ、とっくに濡れてる股に突っ込んで、適当に中出しするだけの便器として使ってくれればそれで十分だから……♡」

 

 少年だけの肉奴隷騎士の、卑しいハメ乞いおねだり。

 歩のチンポが、応えるように跳ねた。

 

 

 

 

 

 

「お゙っ♡お゙っ♡お゙っ♡お゙っ♡」

 

 教会の奥。窓が無く密閉された、薄いベッドと本棚だけが置かれた部屋。

 

 そこでセイバーは歩に犯されていた。ベッドの上で四つん這いになり、後ろからチンポに突かれる。ドレスのスカートをまくり尻を掴まれ、突き刺すようにピストンされていく。

 

 ここに歩を案内したのはセイバーだ。しかし部屋に入った途端ベッドに叩き込まれ、前戯も無しにバックからハメられてしまった。ドレスをひん剥きショーツを破り捨てて、ギンギンに反り返ったチンポでまだぴっちりと閉じていた膣を一気に貫かれ、そのまま高速ピストン。セイバーが言った通りの精液コキ捨て便器扱い、自分の射精しか考えていない王様セックスだった。

 

「あんっ♡ あっ♡ 待ってアユムっ、こんなにばっつんばっつん音立ててたらカレンに聞こえてしまうかもっ……♡」

「なに言ってるんですかっ。アルトリアさんから誘ったのに、今さら止まれませんよっ」

「ひぃっ♡ やめ、子宮突き上げないでぇっ♡」

 

 密室に肉と肉がぶつかり合う音が木霊する。シーツはもう汗と愛液でべとべとだ。激しいピストンでベッドが揺れる。セイバーの高貴そうなヒールがゆらゆらと揺れた。

 

(駄目だ、本気で私を潰すモードに入ってる……♡)

 

 歩がこうなった時の展開は分かっている。どのみちセックスでセイバーが勝てることはない。あとは彼に跪くハーレムの女として、少しでも美味しく食べて貰うことを考えるだけだ。

 

 大好きなご主人様に報いるため懸命に尻を掲げる。もう上半身には力が入らず、肘でなんとか身体を支えている状態だ。それでも彼の女として一人で伸びているなど許されないし、何よりセイバー自身がそうはなりたくなかった。

 しかし、

 

「ぉごっ♡ ぐふうっ♡ ま、御主人様( マスター)っ♡ お願いしますっ♡ もう少し手加減をっ♡ これでは私、もう……ぐぉおおおお~~ッ♡♡」

 

 歩はセイバーの泣き声など聞いていない。それも当然だ。何をしようが騎士王は少年に絶対服従。結局は彼に言われるがままの都合のいいハメ穴になるしかないのだから、いちいち考慮する意味などなかった。

 

 マンコを虐め抜かれたセイバーが、身体を支えていられずベッドに突っ伏した。枕を抱き締め無様な喘ぎ声を抑えようとする。鼻水と涎で枕が濡れていく。瞳がふらふらと上を向き、眉を垂れ下げた表情は完全にチンポに負けたメスの顔。愛しいオスの怒張から送り込まれる快感をひたすら耐えることしか出来ない、少年専用の肉奴隷騎士の姿だった。

 それでもなお、どうにか再び腰を持ち上げようとするのだが、

 

「ふぐぉっ♡ ぶふぅッ♡ ふんっ♡ んぶっ♡ ぶぎぃっっ♡」

 

 健気なセイバーの奉仕を叩き潰すかのように、歩が上から下へのピストンを喰らわせていく。セイバーの細い腰は少年の勢いと快楽に負け、あえなくベッドへと落ちた。枕に顔を押し付けくぐもった豚のような喘ぎ声を漏らしながら、セイバーが屈辱と快楽でぽろぽろと涙を流す。それでも歩の腰は止まらない。完全に寝そべったセイバーに、ベッドへ縫い付けるような寝バックピストンをお見舞いする。それはまるで動物がマウントを取って上下関係を教え込んでいるかのようだった。

 

(分かってる、もう分かってるのに♡ 御主人様(マスター)の方が上だって分かり切ってるのに、まだ満足してないんだっ……♡ 私にちゃんとご主人様に負けて悦ぶメス奴隷になれって攻撃してる♡ そんなの必要ないのに、もうとっくになってるというのにっ♡)

 

 既に白旗を上げているのに叩き込まれるオーバーキルなピストンにセイバーは一方的に翻弄されるばかりだ。腰がぶつかるたびにベッドが軋むが、薄い天板の為衝撃が逃げていかず直に子宮へ届いてしまう。

 

 歩がぴったりと腰と腰をくっつける。そのままぐりゅんぐりゅんと膣内を掻き回しセイバーのマンコを虐め抜く。ご主人様に苛烈な仕打ちを受け、マンコは許しを請うようにチンポへ絡み付き、性感を与える。愛液が溢れ結合部からぴちゃぴちゃと飛び散っていく。

 

「すうっ……はぁ……!」

 

(あ……御主人様(マスター)、私の匂いを嗅いでいる……♡ 良かった、風呂にも気を使うようになって……♡)

 

 セイバーに覆い被さった歩が彼女の後頭部に鼻先を突っ込み、肺一杯に空気を吸い込み、匂いを堪能する。

 セイバーは嫌がるどころか喜んでしまう。歩の女になってから、以前は全く関心のなかった身だしなみに気を配るようになった騎士王は、ハーレムの中で一番そういったことに詳しそうな桜に頼み込み、自分に合うシャンプーやコンディショナーを使うようになっていた。繰り返しセイバーの匂いを吸い込む歩の様子を見るとお気に召したのだろう。努力して良かった、彼に気に入って貰えて良かったと幸福感が沸き上がってくる。

 

「んぶっ……ぶちゅるるるるるるっ♡ むちゅちゅっ♡ じゅるるるるるる♡」

 

 顔を横に倒し歩と唇を貪り合う。引っこ抜かれそうなくらいに舌を吸われ、脳の奥まで痺れそうだ。その間も子宮を突き上げられ、へっへっと犬のように息をしながらアクメへと向かう。

 

 歩のピストンも小刻みなものになっていく。好き勝手に犯していいと言われその通りにしながらも歩は自然と二人一緒に絶頂を迎えられるよう抽送し、セイバーもそれに応えていた。ぱん、ぱんと鳴っていたピストンが、ぱちゅぱちゅぱちゅっという連続音になった。やがて引き抜くこともしなくなり、腰を密着させた状態でぐいぐいと亀頭と子宮口を押し付け合う。

 

 二人の身体が強ばった。セイバーの膝から下が曲がり、ぱたんとベッドに落ちる。

 ぶわ、と鳥肌が立って。

 

 ──────ぶびゅるるるるるるるっ♡ びゅく、ぴゅるるるるっ♡ どぷどぷどぷどぷっ♡♡ どぴゅるるるるるるる~~っ♡♡

 

(~~~~~~っっ♡♡♡♡)

 

 膣内に精液が注ぎ込まれる。セイバーが予想した通りの、半固形にまで濃縮されたどぎつい特濃ザーメン。日頃の少年とのセックスで貰う精液は、ハーレムメンバーがローテを組んで毎日のように抜いていることでまだ薄くなっていたのだと実感する。子宮口に当たり、子宮の中までどろどろと入り込んでくる感触がはっきり分かるほどにねばついた精液だった。

 

(トドメの上からトドメを重ね掛けされて……♡ もう本当にどうしようもない……♡ 一生アユムのメス奴隷確定だ……♡)

 

 決まっていた未来が更に補強されてしまい、身体を震わせるセイバー。

 しかし、

 

(全く……改めてどうしようもないな……男のメス奴隷にされて、悲しむどころかひたすら嬉しいだけとは……♡)

 

 熱い胎を撫でながら、満ち足りたため息をつくのだった。

 

 

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 

 

「貴様な、少しは加減というものを覚えろっ。まだ腰が痛いではないかっ」

「いや、本当にすいません……。夢中になってしまって……」

 

 セックスが終わり、二人は後片付けをしていた。枕やシーツは洗わなければいけないだろう。他にも体液やら何やらでベッド周りは酷い有り様だ。

 とはいえまだ出ていく訳にはいかなかった。一番丁寧に掃除すべき部分がある。

 

「仕方のないヤツめ……ちゅる、ぺろっ。ほら、ちゃんと股を開け。全部舐め取るから、れろぉ~っ」

 

 精液まみれになった歩のチンポ。粘液のこびりつくそれを、ベッドに腰掛けた歩の股間へ隣から倒れ込むようにしながらセイバーがお掃除フェラをしていた。

 舌先で器用に精液を舐め取り、こくこくと飲み下す。その様子が可愛くて歩が頭を撫でるとうっすらと頬を染めた。

 それを誤魔化すようにセイバーが言う。

 

「アユム。一応言っておくが……カレンにはここまで激しいコトをしてやるなよ。いや、本当にフリではないぞ。いきなりこれをかまされてはあやつにはきっと耐えられん」

「わ、分かってます。アルトリアさんだけです、こんなことできるの」

「ん…………♡」

 

 不意にこのプレイが出来るのは貴女だけだと言われ、ますます赤面してしまうセイバー。

 うるさいぞとばかりにチンポを掴み、大口を開ける。一気に頬張ってチンポを綺麗にする気だろう。

 

 歩も腰を突き出してそれを求める。セイバーの顔が近付く。まさに彼女の口が亀頭を呑み込む、その寸前。

 

「……あの。一体、貴方がたは何をしていらっしゃるのでしょうか」

「「え」」

 

 入口の方から、聞き慣れた少女の声。

 弾かれるように歩とセイバーが入口を向けば。ドアを半開きにして、凍えるような目付きのカレンが二人を凝視していた。

 





おかしい、カレンのエロを書くつもりが気付いたらセイバーがエッチしていた


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聖女陥落(カレン)

「信じられません、まったくもって信じられません。私が寝ているすぐ傍であんなコトをっ」

「いや、本当にすいません……」

 

 ベッドに横たわりそっぽを向くカレンに歩は平謝りだ。

 

 カレンの部屋はきっちりと整理整頓されていた。モノトーンを基調とした内装で、家具もベッドのシーツも白が多い。開けられた窓からふわりと風が入ってカーテンを揺らしていた。

 カレンはまだふらつくとのことでベッドに入っている。さっきは水を汲みに部屋を出たら使っていないはずの部屋から物音がするので、見に行ってみたら……ということらしい。

 

「びっくりさせましたよね。お部屋は掃除しておいたので……」

「そ、そういうコトではありませんっ。今日は仮にも……で、デート……だと思っていたのに。体調を崩した私も悪いですが、そのお見舞いに来た私の家で他の女性とあんなコトをするなんてっ」

「うぐ」

 

 カレンは歩と目を合わせようともしない。まったくもって仰る通りなので、歩には何も反論出来なかった。

 

 どうしようかと迷っていると、部屋のドアを開けてセイバーが入って来た。手には水の入った桶とタオルを持っている。

 その格好は歩も以前見たことがあるメイド服だ。袖もスカートの裾も短いミニスカタイプだが、意外なほどにセイバーに似合っている。家事をこなす時はこちらに着替えるのだろう。

 

「まあそう言うな、カレン。誘ったのは私の方でな、アユムを責めないでやってくれ」

「……セイバー。貴女、彼とお付き合いしていたのね。驚いたわ」

「うん?」

 

 きょとん、とセイバーが眉を上げる。机の上に桶を置きながら、

 

「お付き合い、交際か。まあ外れてはいないが」

「……? どういう意味かしら。さっきのは、つまり……そういうコトでしょう?」

「ふむ。話せば複雑な事情なのだ。いや、単純と言えば単純か?」

「??」

 

 セイバーが何を言っているのか、カレンにはよく分からない。

 

 カレンにとって、セイバーとは清廉潔白な騎士だ。身も心も触れがたい誇り高さを持っている。

 正直にいえば、そんな彼女が男と交わっていること自体、信じがたい所がある。それでもまぐわっている場面を目の当たりにしてしまった以上認めないわけにはいかない。

 

 ならば、二人が交際しているとカレンが判断するのは当然だった。何しろあのセイバーが行きずりの相手に身体を許すはずがない。身体を許したということは、恋愛関係であるからに決まっているのだから。

 

「そうだ、貴女に謝っておかないと。悪かったわねセイバー、貴女の良い人に手を出そうとしてしまって」

「む? いや別に、そんなコトは」

「けれど貴女も酷いわ。事情を知っていれば私だって、デートの約束なんて突っぱねたのに。……けれど、一番悪いのは貴方じゃない?」

 

 じろり、と恨みがましい目で見られて歩はたじろいでしまった。かすかに涙の浮かんだその瞳には、怒りだけでなく悲しみも映っている。

 

「こんな、セイバーなんていう身も心も綺麗な彼女がいるのに、私なんかに気のある素振りをして。見窄らしい私で遊んでいたのですね。ええ、勿論穢れた私なんかを本気で相手にするつもりが無いコトくらい分かっていたけれど────ああもう、心底傷ついてしまったわ。どう落とし前を付けてくれようかしら」

「いやっ、そんなつもりは!」

 

 冗談めかして言いながらもその声音は泣き出してしまいそうで、歩は慌ててしまう。

 カレンの言っていることは全くの誤解だ。しかし確かに、この状況ではそうとしか思えないだろう。

 

(ど、どうしよう……! 話して分かってくれそうにも思えないし……)

 

 俯き、今にも涙を溢しそうなカレンの前で歩が頭を回転させる。だがあいにくと妙案は浮かんでこない。

 

 それを救ったのは少年の従者だった。状況を理解したセイバーがカレンに言う。

 

「成る程成る程。ようく分かったぞ。──カレンよ、ひとつ聞くが。貴様、アユムに慕情を抱いているのか?」

「…………っ」

 

 カレンは目を見開いた。眉根を寄せて言いづらそうにちらちらと歩を見る。しばし躊躇ってから、嘆息して口を開いた。

 

「はあ。もうこうなったから言ってしまうけれど、そうね。憎からず想っていたわ、その……もっと隣にいたい、と考えるくらいにはね」

「……カレンさん」

「な、何ですか。そんな目で見ないでちょうだい」

 

 もう貴方との縁もこれまでだから、とカレンは言う。しかしカレンの言葉を聞いたセイバーは目を光らせた。

 

「そうかそうか、それは結構。──ではカレンよ、是非アユムと交際するが良い。私はそれを止めん、むしろ推奨しようではないか」

「……はあ!? な、何を言ってるの、貴女?」

「言葉通りの意味だが? ああ、しかしこやつは私にとっても唯一傅くべき主でな。ゆえに私も主従関係を保たせて貰うが」

「だ、だから何を……って、主……??」

 

 目を白黒させてカレンが呆気に取られる。

 それは歩も同じだ。突拍子もないことを言い出したセイバーに仰天である。

 

(……あのっ、セイバーさん!? いきなり何を)

(……なにを慌てるコトがある。今さら囲う妾が一人増えようと貴様は構うまい、そもそもそのつもりでカレンに手を出したのだろう? それに、好色な主に新たな牝を用意するのも従者の役目に違いあるまい)

 

 横目で薄く笑いながら言われてしまう。

 歩がひるんだ隙を衝いて、セイバーが主の懐からスマホを抜き取った。画面に指を滑らせると、あっと思う間もなくロックが解除されてしまう。

 

「ええ!? なんで暗証番号知ってるんですかっ」

「下女の嗜みだ」

「意味わかんないですー!?」

 

 喚く歩を無視してセイバーはカレンへ向き直った。スマホの画面を掲げながら、

 

「カレンよ。貴様、どうも私の存在や故郷での前歴でアユムと交際するのを拒んでいるようだが、そんな必要は無い」

「え……と言うと……?」

「なぜならば──こやつは私も含め、幾人もの女を囲い日毎に別の相手と愉しむ漁色家だからだ。故に、もう私と付き合っているだの男性経験があるだのと気にするコトはない。とっくに私以外の女に手を出しまくった後だし、不可抗力で関係を持った貴様と違ってこやつは単なる趣味で女を喰い散らかしているのだ。むしろこやつの方が下半身に自制が利かず申し訳ないと弁解する側だろうよ」

「…………は…………??」

 

 意味が呑み込めずぽかんとするカレン。それも、突き付けられたスマホを見て表情が変わっていく。

 

 セイバーの指がスワイプする度に写し出されていく画像。

 相手はそれぞれ違う。金髪赤目の美女であったり、高校生くらいの制服姿の少女であったり、中には子どもがいてもおかしくないくらいの和服の女性であったり。しかしそのどれもが、少年と接吻するなり性交中なりといった、ただならぬ関係にあることが一目で見てとれる写真ばかりだった。

 

「んえっ……な、な、なあ……!??」

 

 両手でセイバーから渡されたスマホを握り締め、紅潮した顔で震えるカレン。激しく画面を指で撫でていくが、大量に保存された画像は中々終わらない。

 そのうちどこか違う所を触ってしまったのか、今度は画像ではなく動画ファイルが再生された。じゅっぽじゅっぽと粘ついた音が響く。手に持って撮影しているのだろう、見下ろすような画面の中では、メイド服姿のセイバーが夢中で少年の股間をしゃぶっていた。

 

「ち、ちょっとセイバーさん!? なんでカレンさんに見せちゃうんですかっ」

「これが一番手っ取り早いだろう。言って説明してもどうせ信じられんだろうしな」

 

 事も無げに言いつつセイバーがカレンのベッドへと片膝を乗せる。まだ目を皿のようにしてスマホを凝視するカレンに囁いた。

 

「どうだ? それがアユムの女性遍歴の一端だ。貴様、どうせあやつを年相応の童貞だとでも思っていただろう。言っておくが、そんなものはほんの一部に過ぎないぞ? アユムは存外に女殺しでな、一度嵌まったら体も精神も抜け出せなくなる。貴様は──どうやら、心の方は残念ながら手遅れらしいな」

「っ……そ、そんなコトはっ……」

「いいや、私には分かる。何故なら私も同じなのだからな」

 

 くすり、と笑う。それはいつもの彼女が見せるひねた笑いではなくて、自分と同種の女を歓迎するような顔。

 

「……それに、どうやら身体も興味津々のようではないか。私は鼻が利く。この部屋に入った時からぷんぷんしていたぞ、発情した女の匂いが。先程の私とアユムの性交で濡れてしまったのだろう? じっくり最後まで見ていたものなあ、覗き見ながら股でも弄っていたのではないか?」

「くっ…………!」

 

 それは、図星だった。

 さっきの光景は、カレンには衝撃だった。カレンにとってセックスとは、ただ性器を擦り合わせて精を吐き出すだけのモノ。そこに快楽も充足も感じたことは無く、ただ耐えるだけの行為だった。

 

 けれど歩とセイバーのそれは違う。そこには肉を交わらせる快楽と、心を満たす充足があった。荒々しい交わりだというのに、二人からはただひたすらにお互いへの愛を感じた。

 何よりも、歩のセックスを生で見てしまったのがカレンには致命的だった。セイバーをイキ狂わせる彼を見ながら、もし自分にもそうしてくれたらと思ってしまうのも仕方ないことだろう。自然、股から蜜が漏れ、そこに手を這わせてしまったのだった。

 

「どうだ、カレン。あやつに抱いて欲しくないか? それこそ私のように、天上の快楽を教えられたくはないか」

「ぁ、う…………で、でも……」

「なあ、考えてみろ。もはや貴様が遠慮する意味など毛頭無くなったのだぞ? 何も拒むモノなどない、貴様がただ一言強請ればあやつが貴様を手篭めにしてくれるのだ──ほら、こんな風に」

「…………っっ!!」

 

 セイバーがスマホを操作する。中空をさ迷っていたカレンの視線が再度、画面を捉えた。

 カレンの心臓が爆発しそうなほど跳ねた。すぐ隣にいるメイド服姿の少女が正常位で組伏せられ、股間を貫かれている。メイド服のセイバーは、カレンが見たこともない蕩けきった顔で歩の名を呼んでいた。常は低く威厳のある声を響かせる喉からは甲高い鳴き声が奏でられている。指を絡めてご主人様、ご主人様と泣き叫ぶ姿はひたすらに女としての幸福に満ち溢れていた。

 

(こんな、風に…………彼に)

 

 一度思ってしまうと、もうせき止められない。

 セイバーに腕を回されたカレンの肩が、ぶるりと震える。俯いたカレンの顎に汗が伝っていた。それは身体の不調ではなく、明らかに興奮によるものだ。

 

 すりすりと布団の中で膝と膝を擦り合わせる。寝巻きの股間はぐしょ濡れになっていると触れずとも分かる。もうセイバーはおろか少年にもバレバレだろう。

 

「あっ……あの……」

 

 それでも。それでもまだ素直に誘うことは出来なくて、歩を見上げる。おずおずと言葉を放つ。

 

「あ、貴方はどうでしょう……やっぱり私なんて」

「カレンさん」

 

 不意に肩を捕まれて、身体が跳ねる。

 視界に広がった少年の顔は、さっきまでのセイバーとの会話で狼狽していたのとは全く違う、覚悟を決めた顔。カレンでも分かる、獲物を捕らえると決めた雄の顔だった。

 

「なっ、なにっ……」

「率直に言っちゃいますけど」

 

 歩はカレンの顔を覗き込みながら、

 

「僕、カレンさんが好きです。初めて逢ったあの日からずっと。

 だから、カレンさんとエッチしたいですし、カレンさんに僕の隣にいて欲しいです。カレンさんを──僕のものにしたいんです」

「あ……が、あ、あ……♥️」

 

(酷い……なんて酷い口説き文句ですかっ……♥️)

 

 そう、余りにも酷すぎる。少年が言っているのは、要するにお前が気に入ったから抱かせろと、そして自分のハーレムに入って俺を囲えと言っているようなものだ。

 

 それなのに、カレンの胸で歓喜が弾けた。さっきのスマホの写真を思い出す。少年が自分を見初めたということは、あのとびきりの美女たちを味わっている彼が自分を女として求めてくれたということ。

 カレンは性経験は豊富でも、それは毒素を抜き取る道具として使われていただけで、愛する女として求められたことなど一度もない。望んでもいない行為であるにも関わらず身を汚されたカレンを、教会の者たちも穢れた存在として敬遠していた。

 なのに、よりにもよって想い人の少年に求められるということは、それら全てが塗り潰されるということだ。今まで自尊心を決して満たされなかった女としての諦めも、穢れた身としての自虐も根こそぎ消し飛ばされて、ただ好きな異性に求愛されるという幸福だけに満たされてしまう。

 

 きゅんきゅんと、カレンの子宮が痙攣している。下腹が幸せに緩む。それは、カレンが初めて味わう絶頂だった。

 

「で、では……♥️ その、不束者ですがっ……♥️」

 

 もう、止まることが出来ない。

 カレンにとって初めての行動──自分から悦楽を求めるという動作へ、一歩踏み出す。

 

「その……♥️ お手柔らかにお願いします……♥️♥️」

 

 少年と少女の唇が、優しく触れ合った。

 




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聖女愛撫(カレン)

 白いシーツが敷かれたベッドの上で、歩とカレンは口付けを交わしていた。

 

「んっ……ちゅっちゅっ♥️ んむっ♥️ ぷちゅ……♥️」

 

 歩の唇がカレンのそれに覆い被さり、くぐもった声を鳴かせる。

 羞恥に身体を退こうとするものの、カレンの肩は歩にがっちりと掴まれ動くことが出来ない。更には隣にいるセイバーもカレンへしなだれ掛かるようにして彼女が逃げるのを防いでいた。

 

 歩のキスは乱暴ではなく、カレンを味わいたいという優しいものだった。怯えて縮こまっていたカレンの舌をつつき、引っ張り出して自分の舌で絡め取る。口内を味わわれる恥ずかしさにカレンの頭は沸騰してしまいそうだ。

 

「ち、ちょっと息継ぎを……んぅっ♥️」

 

 口が離れた隙に言うものの、すぐにまた閉じられてしまう。

 

 カレンにとって、こんな自分と相手に気持ち良さを伝えるためのキスは初めてだった。ばくばくと心臓が鳴っている。しかも相手は恋しながらもさっきまで関係が終わってしまうと覚悟していた少年だ。セイバーとの間に入り込むことなど出来ないと思っていたのもつかの間、いきなり甘いキスをされて思考が着いていかない。

 

 そんなカレンを見て、セイバーは薄く笑っていた。彼女としてはこの展開は望む所だ。セイバーは一見冷徹な印象を与えるが、実際は身内を案じられる心を持った少女である。同居人としてカレンの素性を知っておりなおかつ歩に心酔するセイバーとしては、カレンを幸せにするなら少年の手でしかあり得ないと思っていた。その為ある程度意識してこの状況に誘導した所がある。勿論、自ら仕えるご主人様に貢ぎたいという思惑も多分にあったのだが。

 

「ほら、恥ずかしがるなカレン。どうせこの先何千回何万回とアユムに口を吸われるのだ、逃げていても意味はないぞ? 肩から力を抜くといい」

「んふぅ……! ん、んん……♥️」

「そうだ、それでいい。次は舌を突き出してみろ。そうそう、アユムの口に届くぐらいにな。そうすれば貴様の舌をアユムが吸い上げてくれる……くくっ、身体を震わせおって。頭に響くだろう?」

「んぐぅう~~っ♥️」

 

 ずるずると舌を、唾液を吸われてしまう。少年の喉が上下する音が聞こえる。自分の唾液を呑み込まれているのかと思うとこそばゆくなる。

 歩の嚥下が終わると、次はカレンの番だ。歩が唾液を貯め、舌づたいにそれを流し込まれる。なんの抵抗感もなくそれを飲み下してしまう。酒でも飲んだかのようにカレンの胃がカッと熱を帯びる。ただでさえ濡れた股間からこぽりと蜜が溢れるのを感じた。

 

 唾液を交換し終えて二人の口が離れた。ぬぱ、と唾液の糸が引く。

 歩も少し上気しているが、カレンの方はもう息も絶え絶えだ。たらたらと口の端から漏れる唾液を拭う余裕もない。

 

「はあっ……はあ……♥️」

「カレンさん、イヤでしたか?」

「っ……♥️ そ、それ聞きますか……♥️」

 

 ぺろ、とカレンの唇を舐めて歩が聞いた。カレンは唇をむにむにとうずかせて、

 

「……イヤなら抵抗しています。だから……もうっ、言わせないでください」

「なら良かった。カレンさんの唾液、甘くて美味しかったですよ」

「~~~っ♥️ 馬鹿、そんなコト言わなくていいですからっ」

 

 カレンが顔を真っ赤にして唸る。しかし明らかに嬉しさも混じっていて、迫力は無いに等しかった。

 

 二人を尻目にセイバーが水桶とタオルを取る。溜められた水にタオルを潜らせ、絞って余分な水気を取った。

 

「さてアユムよ。一刻も早くカレンを抱きたい所だろうが、まずは身体を拭いてやっても良いか? 病ではないとはいえ臥せっていて汗をかいている、そのまま抱かれるのはカレンも気が引けよう」

「あ、分かりました。じゃあ僕に任せて貰ってもいいですか」

「ふぇっ!?」

 

 カレンが素っ頓狂な声を上げるも、構わず歩はセイバーからタオルを受け取った。手元で折り畳み、拭きやすい形にする。言葉通り自分でカレンを拭いてあげるつもりだ。

 

「ま、待ってくださいっ! セイバーに、いや自分でやった方が」

「だから逃げるなという。安心しろ、アユムは許容範囲が滅法広いからな。貴様の裸を見てもおっ勃てるに決まっている」

「ひああああ!? ぬ、脱がさないでっ」

 

 セイバーがカレンのパジャマを脱がしていく。悲鳴を上げるカレンだったが、力では到底セイバーに敵うはずもない。パチパチとボタンを外して上着をひん剥かれ、下も無理やり脱がされてしまった。

 

 白い飾り気のないショーツ一枚になったカレン。必死で胸と股間に手をあてて隠すものの、それ以外は丸見えだ。

 

「カレンさん、それ……」

「ううっ……見ないで、見ないでください……」

 

 それで、カレンが嫌がっていた理由が歩にも分かった。

 

 カレンの身体には所々に包帯が巻かれていた。それでも隠せない包帯の端や胴体に、痣や傷が覗いている。怪我の上から怪我を重ねたのだろう、そのいくつかは身体に定着してしまって二度と取れないものになっていた。元が真っ白で美しい肌のため、より痛々しさが増している。

 

 自分は魔を引き寄せ暴力を受けるのも仕事の内だ──というカレンの言葉を歩は思い出した。この傷はその任務において負ったものなのだろう。体力がなく身体が弱いのも当然だ。明らかにカレンの細い身体には荷が重すぎる。彼女が自分との関係に尻込みしていたのはこの所為もあったのかも知れない、と歩は思った。

 

「あ、あまり見ないで。気分の良いものではないでしょう」

 

 視線を落としたカレンが言う。後ろめたいような、歩に申し訳ないと思っているような表情。

 

「……先程の写真。皆さん、美しい身体でしたね。こんな傷どころか、染みの一つもないような肌でした。あの方たちの身体を知る貴方からしてみれば、随分と醜いものでしょう」

 

 確かに、カレンの言う通り。歩を囲う女性たちは天上の美姫ばかりだ。桜や式も見事なものだし、元から人外のアルクェイドやライダーに至っては全身くまなく探しても小さなほくろさえ無いことを歩は知っている。

 

 カレンもそれが分かるからこそ、歩に肌を見せることを恐れた。どれだけ歩がこちらを好きと言ってくれてもいざ傷だらけの身体を目の当たりにしてしまってはきっと幻滅させる。それが何よりも怖かったからだ。

 

「別にいいのですよ、無理しないで。……貴方が私を好きと言ってくれたのは嬉しかったですし、嘘だとも思っていません。ですがこんなモノを見ては貴方も萎えてしまうでしょう。今からでも止めに……」

「いえ、カレンさん」

「…………え?」

 

 カレンが歩を見上げる。その目を見て、カレンは固まってしまった。

 

(う…………嘘)

 

 カレンは少年を見誤っていたことに気付かされた。

 歩の顔は、むしろさっきよりもカレンへの性欲を鮮明にしていた。傷だらけのカレンを見て、萎えるどころかより興奮を高めている。

 カレンは信じられず呆然とするものの、歩にとってはそれも当然だった。好きになった女の子が裸体を披露し、いつもの斜に構えたカレンからは想像も着かないしおらしい態度で『イヤなら抱かなくてもいい』『私の裸を見たら萎えるだろう』などとほざいているのだ。むしろ挑発されているようなもので、白い肌の傷など逆にアクセントとしてよりカレンの魅力を映えさせているようにしか見えなかった。

 

「無かったどころか、よりカレンさんを抱きたくなっちゃいました。……わかりますよね、これ」

「え……っ!? も、もうそんなにっ……♥️」

 

 歩が自分の股間を示す。そこはズボンの上からでも分かるほどに盛り上がっていた。その隆起ぐあいからして、すっかり勃ち上がっていることは明白だ。

 

「くっ……あはは! ほら見ろカレン、この節操なしがアユムでなあ。こやつめ、惚れた相手なら何をしようが垂涎なのだ」

 

 セイバーがけらけらと笑う。身体を起こしたカレンの背中側に回りながら、

 

「身体を拭くと言ったが、それはもう後回しだな。どうするアユム、挿れるか? 舐めるか?」

「はっっ? な、なにをセイバー、舐め……?」

「そうですね。それじゃ二番目の方で」

 

 歩がさらりと言う。

 そして、意味も分からず狼狽しているカレン、その脇腹へちろりと舌を這わせた。

 

「ひっっ!??」

 

 あまりの衝撃に固まってしまうカレンを放って、歩が彼女の肌を舐める。

 カレンの脇腹には円形の古傷があった。よく見れば細かい歯形によって出来たもので、何かに噛み付かれたのかも知れない。引き攣ったまま治癒した皮膚はもう一生元には戻らないだろう。カレン自身もあまり触りたくないようなそこを少年はぺろぺろと躊躇なく舐めていく。

 かすかにピリッとした刺激がカレンに伝わる。背筋にぞくぞくと電気が走る錯覚があった。

 

(舐められてるっ……傷を……!?)

 

 ついさっきまで、これを見られたら嫌われる、少なくとも敬遠されるだろうと思っていた。それなのに少年は却って愛おしいかのように滲む汗ごと舐めてくる。肌を他人の舌が這い回るのは手の届かない所を引っ掻かれるような不思議な気持ち良さをカレンに与えた。

 歩は脇腹の傷だけでなく、胸元の裂傷、二の腕の打撲に至るまでカレンの傷を愛でていく。隠しておきたかった肌の損傷を見られるばかりか好きな男の子にたっぷりと慈しまれてしまい、カレンはもう嬉しいやら気持ち良いやらで感情が飽和してしまう。

 

「ふあぁぁ……♥️ もっ、もう十分でしょう♥️ 汗くさいですし……♥️」

 

 蕩けきった顔でもう止めてくれと頼み込む。

 しかし、それがいけなかった。背後でカレンの身体を支えるセイバーが悪戯を思い付いたように言う。

 

「ふうん? どうだアユム、カレンは匂うか?」

「え? いえ、そんなことないと思いますけど」

 

 歩がきょとんとして返す。カレンは首を振って、

 

「そ、そんなコトありますからっ。これ以上は……」

「よし、ならば試してみよう。そら、腕を上げろカレン」

「な…………」

 

 セイバーが背後からカレンの腕を持ち上げた。肘を掴み、顔の隣まで上げさせる。

 つるりとしたカレンの脇。毛穴も見えない綺麗なそこへ、僅かの迷いもなく、歩が顔を寄せた。

 

「────ッッ!!???♥️♥️♥️」

 

 カレンの顔が燃え上がる。

 一番汗のたまった、匂いも強いだろうそこに顔を密着される。もはや恥ずかしいどころではない。ある意味性器を見られるよりも耐え難い羞恥だ。通常でも他人に嗅がれるなど考えられないのに今は寝込んで汗をかいているのだからなおのこと。しかも歩が相手となれば絶対に避けたい行為だった。

 

「そこが一番分かりやすいだろう。アユム、カレンはああ言っていたが?」

「すん……。うん、やっぱり大丈夫ですよ。むしろ甘いみたいな、これがカレンさんの匂いかな」

「ほう? どれどれ…………ふむ、確かに。甘ったるい匂いがするぞ、はしたなく牡を誘惑する牝犬の匂いだ。汗の匂いなんぞよりよっぽど強いな」

「!??!!??? 」

 

 くんかくんかと二人に脇を嗅がれ、カレンの頭がオーバーヒートしてしまう。弾けるように絶叫した。

 

「いっ……イヤぁああああああ!! 変態、変態ぃぃいいいい!! 離しなさいっっ」

「騒がしいぞ、発情期の犬の分際で。恥じるコトはない、それがアユムの勃起を助けているのだから胸を張るべきだ」

「黙りなさい、この淫乱騎士王!! って、ひゃああっ♥️ 貴方もそんなところ舐めるんじゃありませんっ♥️」

「いいじゃないですか。カレンさんの脇、すべすべで可愛いですよ」

「ああんっ♥️ なっ、なんですかこの変態どもはぁ♥️♥️」

 

 セイバーからは言葉責めを、歩からは脇舐めをされカレンが悶える。いつもとは逆にすっかりカレンの方が翻弄されてしまっていた。

 片方をしっかり舐め尽くされると、当然のようにもう片方にも口を付けられる。ちゅぱちゅぱと舌と唇で啄まれ、くすぐったい快感がカレンに走った。きゅんきゅんと子宮が反応している。まだ性器に指一本触れていないというのに、脇を舐められただけで浅いアクメの波が何度も押し寄せていた。

 

 カレンの抵抗も虚しく、結局しっかりと両脇を愛撫されてしまった。歩とセイバーは『カレンの味はどうだった』『ちょっとしょっぱかったです』などと呑気に話している。カレンはうつろな目で笑みを浮かべた。恥ずかしいを通り越していっそ殺してくれという気分だ。

 

「おおい、どうしたカレン? ……なんだ、こやつ泣いておるぞ。嬉し泣きか?」

「くすぐったかったんじゃないですか。舐めてる間、なんか震えてましたし」

「ふはは、泣くまで笑うとは。貴様も可愛い所があるではないか」

「……主よ、憐れな子羊をお救いください……変態と変態の主従に辱しめを受けています……」

 

 ぽろりとカレンの瞳から涙がこぼれた。

 

 

 

 

 

 

「ちゅ、ちゅっ。ほらカレンさん、僕が悪かったですから」

「んっ……♥️ そんな、キスで誤魔化されたりしません……♥️」

 

 しばらくして、まだ涙ぐむカレンを歩は慰めていた。

 舌を絡め合うのはさっきまでと同じだが、カレンもかなり積極的になっていた。カレンの方からも盛んに舌を歩の口内へ差し込む。お返しとばかりに歩から唾液を流し込まれると嬉しそうに呑み込んだ。

 

 今では胸と股間を隠していた腕もほどいている。露になったカレンの乳房は小振りだがお椀型に整った美乳で、色素の薄い乳首がピンと立っていた。

 歩がくりくりと乳首を指先で転がす。カレンは恍惚とした溜め息を漏らした。

 

「あ、ん……♥️ もう、胸を触りすぎです……♥️」

「カレンさんのおっぱい、ちょうどいい大きさで触りたくなっちゃいます。乳首も可愛いですし」

「も、物は言いようですね……ひぁんっ♥️」

 

 胸を揉み込み、柔らかさを堪能する。決して大きくなくてもしっかりと女性らしさを備えた乳房だ。唇を合わせながらカレンのおっぱいの形を確かめていく。

 

 ひとしきり触り終えると、歩が寝そべったカレンの足の間に膝立ちになった。カレンの内腿、むっちりと肉がついたデルタゾーン。そこには膝の辺りから股間へと昇るように引っ掻き傷があった。深い傷ではないようだが、そこだけ肌の色素が落ちている。

 歩が今度はそこへ口を付けた。まずは膝、傷の始まりを始点として舌を落とす。上半身の傷へしたように跡を優しく愛撫しながら、少しずつ上へと昇っていく。

 

「はっ、はあっ……♥️ ち、近いです、あそこに……♥️」

 

 カレンももう嫌がる素振りは見せなかった。期待するように、股間へ近付いていく歩を見詰める。

 太股の付け根まで昇ると、歩がカレンのショーツを下ろした。洪水を起こしたマンコとショーツが糸を引く。カレンは真っ赤な顔を両手で隠してしまった。

 べとべとに粘液を張り付かせた、完全発情状態のマンコ。そこへ歩が躊躇うことなく唇を落とした。

 

「ああっ……♥️ 駄目駄目っ、汚いですからっ……♥️ イヤぁ、音たてないでっ♥️」

 

 むずがるカレンを無視して歩が股間を舐める。カレンが漏らした愛液をしっかり舐め取っていく。とっくにふやけきったカレンのマンコには刺激が強すぎたらしく、歩が舐めるよりも早いスピードで新たな愛液を分泌してしまう。

 

 カレンが抵抗するように歩の頭を押さえるも、それは逆効果だった。むしろマンコに押し付けたようになってしまう。これ幸いと攻勢を強めた歩にカレンは更に翻弄されていく。

 

「あ゙っ、ああああ……♥️ そんな、吸っちゃ駄目です……♥️」

 

 カレンの口がだらしなく半開きになる。さっき歩に散々呑み尽くされた唾液がまた溢れ、口元にこぼれた。

 

(まだ身体とあそこを舐められただけなのにっ、お腹の奥がじんじんして……♥️ これで挿れられたら、私……♥️)

 

 これから来るだろう本番へカレンが気を逸らす。

 しかし、それが隙となってしまった。カレンの意識が一瞬余所へ向いた瞬間。

 

 ──じゅるるるるる、とマンコに唇を張り付けた歩が勢いよく吸い上げた。わざとカレンの股間を震わせるような、空気ごと蜜を啜り立てる愛撫。マンコのみならず、その奥の子宮までもが確かに震わせられる。

 

「────っあ゙!?♥️♥️」

 

 今まではただ切なく自分で震え、愛液を吐き出すだけだったカレンの子宮。

 それが、初めて外部からの刺激を受けて完全にスイッチが入ってしまっていた。一気に子宮が脈動する。これまでのペッティングで感じていた甘イキとは全く違う、本気のアクメが押し寄せる。ぐっと膣道に力が入り、まだ挿っていない肉竿を求めるかのように絞まった。

 

「ん゙お゙ッ……おおおおお♥️ ひぐっ、イクっ♥️♥️ おまんこ舐められてイッてしまいますっ……♥️♥️」

 

 カレンが身体を強張らせる。

 胎内で子宮が激しく収縮と膨張を繰り返した。その度に心地良い快感が走る。ぷし、とマンコが潮を吹く。歩の顔にかかってしまうも止められない。またごぽりと愛液が吐き出され、シーツをぐしょぐしょに濡らしていった。

 

「はあっ♥️ はあっ、は……♥️」

 

 肩で息をするカレン。歩が口を離すと、ひんやりとした空気が股間を撫でる。

 

 これで一度アクメに達したカレンだったが、それで昂りが収まるかといえばそんなことは無かった。むしろ子宮と膣は絶頂を覚えながらも肝心の肉棒が触れもしていないことに腹を立て、欲求不満を叫んでカレンを苛んでいる。

 

(ああ、これでは足りない……。欲しい、彼のモノが……彼の精が……♥️)

 

 勿論、これで済まないのは身体だけでなく、カレン自身もそうだ。

 少年に抱かれたいと、少年のものになりたいと思ってしまっている。セイバーや他の少女たちと同じように歩に股間を貫かれ、精液で子宮を満たされたいと心底から願ってしまっていた。

 

 そして、それは歩も同じことだ。カレンにも分かる。身を起こし、真っ直ぐにカレンを見つめる少年の視線は、雄弁にカレンへの欲望を語っている。

 

 つまり、カレンを犯したいと。自分のチンポで大好きな跳ねっ返りの聖女を滅茶苦茶に躾けてカレンの身も心も自分で染め上げたいという、愛情と獣欲が混じり合ったオスの瞳。

 

(ああ……♥️ もう逃げられません、私……彼に喰べられてしまうのですね……♥️)

 

 ついに観念したカレンが胸の前で指を組む。

 神に祈るような姿。しかしその頭にあるのは、少年とのセックスを今か今かと待ち望む性欲まみれの期待だけだった。

 



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聖女饗艶(カレン)

 ベッドの上で膝立ちになった歩を、カレンは期待の目で見つめた。

 だらしなく放り投げた脚の間では秘裂が愛液を垂れ流しにしている。小水のごとく漏れ出る液体によって、膣が出来上がりきっているのは明らかだった。

 

 歩が自分のズボンをおろす。下着ごと脱ぐと、ぶるんと肉棒が飛び出した。

 

(なっ……お、大きっ……♥️♥️)

 

 カレンの前に現れたフル勃起状態のチンポ。

 人並み外れて特大とまではいかないものの、歩の体格からすれば立派なものだ。幾人もの美女との性交で鍛え上げられた逸物である。以前あった可愛らしさはすっかり消え、赤黒く淫水焼けして血管を浮かせ女を犯すための凶悪なモノに成長していた。

 

 経験があるとはいえ小柄な少年だし、と油断していたカレンの頬に冷や汗が伝う。ただでさえ完全に蕩けきったマンコは少年に挿入されるだけで高みへ飛ばされることが目に見えていたのに、よりによって少年のモノがこんな魁偉となればどんな酷いことになるか分かったものではない。自分を捻り潰すであろう少年の股間の竿から魅入られたように目が離せない。

 

 歩がぺとりとチンポをカレンの下腹部に乗せた。根元が膣口に、亀頭がカレンのヘソ目掛けて向くように置く。

 

「っ…………♥️」

 

 カレンの目が潤む。まるで膣道をなぞるように置かれた歩のチンポは、やすやすと子宮まで亀頭が届いていた。ただ深く挿入されるだけで強烈に子宮口を押し上げられることだろう。

 子宮口がくぱくぱと開閉しているのをカレンは感じた。歩の下半身を目の当たりにして身体が勝手に受け入れ体制に入っているのだ。

 チンポを乗せられた下腹部が熱い。膣肉が今か今かとうねり、挿入を待ちわびている。

 

「──くふっ。まったく、揃ってケモノのような顔をしおって。では私は少し退いているか」

 

 セイバーがベッドから降り、部屋の隅の椅子へと控えた。

 正直な所を言えば二人のセックスに混ざってしまいたいし、中々見れない翻弄されるばかりのカレンをからかってやりたい悪戯心だってある。しかし少年に仕える騎士として、彼の邪魔をすることだけは絶対に出来なかった。

 

「すみません、アルトリアさん。ちゃんとお返ししますから」

「ほう? それは良い心掛けだ。そうだな、ではデート一回で手を打とうか」

 

 目を輝かせて言うセイバー。歩が苦笑して頷いた。

 

 歩が腰を引き、膣口にチンポを宛がった。それに応じてカレンが自分の膝裏を掴んで股を開く。

 挿入に適した、歩の肉棒をねだる姿勢を自分からしてしまう。歩が驚いて見ると、真っ赤になったカレンと目が合った。眉尻を垂れ下げたどうしようもないメスの本能むき出しの顔だ。

 ぬぷり、とチンポが潜り込む。マン肉を掻き分けながら、カレンの胎内を貫いていく。

 

「あッ……はぁぁああああ……♥️」

 

 あまりの快感に、カレンの口からだらしない声が漏れた。

 歩のチンポは力強く膣をこじ開けていく。カレンのマンコはようやく訪れた初恋の少年のチンポに大喜びだ。一切の抵抗もなく、諸手を挙げて襞を絡み付ける。穴をたっぷり満たしていた愛液がチンポに押し退けられてぶちゅりと溢れ、シーツとの間に糸を引いた。

 

 こつん、と子宮口に亀頭が届く。それだけでカレンは絶頂していた。甘くとろけるようなアクメが脳を痺れさせる。

 

「あ。カレンさん、イッちゃいましたか?」

「……っ♥️ ちっ♥️ ちが、イッてなんかな……っ♥️」

 

 自分でもバレバレだと分かりながらもどうにか隠そうとする。これでも不本意とはいえ経験は豊富な身、あっさり少年にイカされるなどカレンのプライドが許さない。何より、こんな一突きで絶頂させられていては先が思いやられるというものだ。

 息を整え、身体を落ち着かせる。カレンにはうっすらとした歩への対抗心があった。あの写真群を思い出す。美女を手当たり次第に抱いているらしい歩。このセックスで負けてしまっては、自分もあの女性たちと同じ、都合の良い彼の女になってしまうと。

 

「ふっ♥️ ぁ、んんっ♥️ くうっ♥️ やだ、奥っ♥️」

 

 ーーにも関わらず、歩がピストンを始めるとその意地があっさりと溶けていく。

 歩のピストンは、意外に優しいものだった。あくまでカレンに快楽を与えるために、激しく叩き付けるのではなくねっとり掻き回すようにマン肉をえぐる。腰を楕円形に回して膣を解していく。

 それは勿論、歩が手加減しているという事ではない。純粋にこの方がカレンを落としやすいと思ったからだ。今までカレンは肉人形としての性交しか知らない。ならば、あえてこうやってゆったり慈しむようなセックスの方がカレンに効くと思った。

 

 それは大正解だった。荒い性交しか知らず当然そうなるだろうと身構えていたガードをすり抜けて歩の愛情を流し込むようなセックスがカレンに直撃していく。初めて抱いた恋愛感情と相まって、カレンの身も心も歩という少年へ沈ませていく。

 

「んむっ♥️ んん~っ……♥️ やだ、パンパンされてる顔、見ないでくださいっ♥️」

 

 顔を背けようとしても両手で掴まれ、愛情たっぷりのキスを浴びせられる。当然その間も歩の目は至近距離からカレンを見つめたまま。マンコを突き上げられるシスターが、自分のチンポでよがる様をじっくり記憶に収めている。

 

 歩がカレンの両手を握り、ベッドへ押さえ付けた。これでもう獲物は逃げられない。喰われる、と本能が危険を訴えるがすっかり快楽に酔わされてしまったカレンの身体はろくに動かず、ただ膣を締め上げるのみだった。

 歩が腰をぐいっと捩じ込む。亀頭が子宮をあやすように愛撫した。緩み始めた子宮口が、ぬぽぬぽと亀頭を咥える。

 

(ま、まずいです……このままでは……♥️)

 

 危機感を覚える。完全に歩のペースになってしまっている。それを嫌とは感じさせないのが歩のずるい所だ。歩の思うままに食べられ堕とされ、彼が望む時に都合よく身体を預ける女になってしまえば良いのではないかと思わせる。

 

(そう、彼のモノになって……♥️ お腹をいっぱい満たして貰って♥️ 私は彼だけが相手なのに、彼にとっては気ままに囲って抱きたい時に呼び出される彼限定の情婦扱い♥️ 惚れた弱みを握られて身体も躾けられて、一生逃げるコトの出来ない彼だけのシスターに……♥️)

 

 その未来を想像しただけで、胸が喜びに満ちてしまう。歩に全てを捧げることこそが幸せへの近道だと、心のどこかで思ってしてしまっていた。

 

「カレンさんの顔、すごく可愛いです……。もっと見せてください」

「い、いやっ♥️ やめ……あっ♥️ あうっ♥️ んん♥️」

 

 気持ち良さと恥ずかしさ、何より心を奪った少年が優しく犯してくれることが、カレンにいまだかつてない喜びを与えていた。歩がピストンの勢いを速めていく。膣を擦られ、子宮を突かれる度にカレンへ快感が押し寄せる。何度もピストンされているうちにカレンの腕から力が抜け、掴んだ足を離してしまっていた。今度は歩がカレンの足を掴んで思いっきり割り開き、好き勝手にマンコを貪っていく。

 

 そのままなら歩のヘソまで届きそうなほどに上向いたチンポを膣に捩じ込まれ天井を削られ、マンコと比例するかのようにカレンが顎を反らせる。ずるずると引き抜かれればマン肉を持っていかれた性器が痙攣し、突き込まれれば間抜けな顔で吐息を漏らす。歩のチンポ一本で完全に翻弄されてしまっていた。

 

「おいおいカレン、いつもの威勢はどうしたのだ? アユムに玩具にされているように見えるがなあ?」

「だ、黙りなさいっ♥️ 貴女はもっと酷かったでしょうが……♥️」

 

 セイバーの野次に言い返す。それも、今のカレンを見れば虚勢に過ぎないと誰でも分かるだろう。

 

(一突きごとにっ♥️ イカされてるっ♥️ 足首掴まれて、みっともなく股を開かれて♥️ 良いようにされてしまってる……♥️)

 

 一見ただ思うがままにピストンしているように見えて、歩は巧みにカレンの弱点を探り、責め抜いていた。

 シーツを握り締めて快感に耐える。それでも奥を叩かれ膣壁をえぐられると下腹が幸せで一杯になってしまう。更には意中の彼に唇を奪われ舌を吸われるのだから、イキっぱなし状態が止まってくれない。

 

「あぁっ♥️ くふうぅぅっ♥️ おっお腹っ、ぐいってされてっっ♥️ 逃げられないぃぃ♥️ イクぅうううう♥️♥️」

 

 しまいには、鉄のように固くなったチンポでもって胎内を持ち上げられる。ごりごりとマンコの天井を潰される快感から逃れようとカレンの腰も持ち上がっていく。

 チンポの言いなりになった女の、あまりに無様な大股開きブリッジ。身体を支える手のひらと爪先がプルプルと震えてしまう。それでもなお虐めをやめないチンポの前に、カレンは特大のアクメへ追い込まれてしまった。

 

「ほッ♥️ おおッ♥️ おおおおおおぉぉ~ッッ♥️♥️」

 

 ヘコヘコと腰を揺らしながら絶頂する。聖職者とは到底思えないアクメ声。マンコがまたぷしぷしと潮を吹いた。

 

「くく、間抜けな面になっておる。この毒舌女をこれほど不格好な顔に出来るのはアユムだけであろうな。……そら、折角だ。写真に収めておいてやる」

 

 寄り目で唇を尖らせアクメするカレンをセイバーがスマホで撮影していく。ぱしゃりと至近距離でシャッター音が鳴らされてもカレンはろくに反応も出来ず、されるがままになってしまっていた。

 記録される美少女シスターの絶頂顔。とても他人にはお見せ出来ないだろう写真が少年のハーレム写真集に加えられていく。意識を虚ろにさせているカレンは知る由もないが、この先こんな写真を何百枚と撮られることになるのだった。

 

 身体を貫いていたチンポが引き抜かれ、糸が切れたようにカレンの身体がどさりと落ちる。カレンは汗だくの身体を上下させて必死で酸素を吸い込む。

 しかし、歩はカレンに休憩する暇を与えなかった。ベッドに立ち上がりカレンの身体を跨ぐ。

 

「え…………、っ!? ひぃっ!?♥️♥️」

 

 シスターの喉から引き攣った息が漏れた。

 カレンの顔にチンポの影が落ちる。下から見上げる少年のチンポは、お腹に当てられていた時より更に膨らみ、攻撃的に漲っていた。本能的に足が竦む。ぎゅんぎゅんと痛いほどに子宮が反応しているのが分かった。

 歩のチンポにはカレンのマン汁がべっとりと張り付いていた。てらてらと明かりを反射する鈍い輝きがどれほど一方的にマンコを耕したのかを窺わせる。

 

(すごい……っ♥️ なんですかこれは、こんなの絶対に勝てるわけがない……♥️ セイバーがああなるのも当然でした、こんなモノの前では……♥️)

 

 しかも、すでに数え切れないほどに絶頂を味わわされたカレンとは違い、まだ歩は一度も射精してはいないのだ。少し前にセイバーで射精済みだというのを差し引いても、恐るべき性豪さであった。

 カレンの内心から歩へのちっぽけな対抗心が消えていく。むしろ、このチンポに犯して貰えたのは何よりも有難い名誉な事であるかのような気さえしてくる。

 

「カレンさん、気持ち良かったですか? なら次は、僕がすっきりしたいです」

「っ…………♥️ し、仕方がない……ですね……♥️」

 

 歩に求められる事に堪らない嬉しさを感じてしまう。

 そのままもう一度股を広げようとしたカレンに歩が言った。

 

「次は違う体位でしませんか? ほら、膝立ちになって。バックでしましょう」

「わ、分かりました……♥️」

 

 言われた通りベッドに膝を突く。軽く足を広げると、すぐに後ろからチンポが挿ってきた。

 

「くっ……ふぅううううう……♥️」

 

 ぱつん、と腰と腰がぶつかる。歩がカレンのマンコと尻たぶの感触を味わうように腰をくいくいと押し付ける。

 そして、勢いよくピストンを開始した。ぱぁん、ぱしぃんと身体がぶつかり、カレンの尻がぶるぶると震える。

 

(そうか、これ、さっきのセイバーと同じバック……♥️一緒の体位でどっちの女が具合が良いのか比べられてしまってます♥️ 酷い、酷すぎます、このヤリチン中学生っ……♥️)

 

 心の中で懸命に毒を吐くが、歩にチンポを叩き込まれる度にプライドが捻り潰されていく。

 本心では、また歩が自分の身体を求めてくれて光栄だとさえ思ってしまっている。彼が望むならカレンを放ってセイバーに抱かせろと命じても、それこそカレンでもセイバーでもないハーレムの女を呼び足しても彼女たちは拒まないだろう。それなのに歩は真っ先にチンポの挿入先をカレンに選んでくれたのだ。

 

(ああ、セイバーや貴女がたの想い、今ならもう分かります……♥️ こんな、純粋な真心と優しさでこちらの隙間に入って来て心を掴んだかと思えば、小柄なクセして立派なモノで身体を嬲られて♥️ こんなの堕ちてしまうに決まっています、彼なしじゃ生きられない女にされてしまいます……♥️)

 

 バックを始めてから遠慮がなくなったのか、歩のピストンは強くなる一方だった。それも正常位でたっぷりマンコを解されていたため、カレンの辛さにはならない。むしろ力任せに打ち付けられる抽送の全てが快感に変換されていく。

 

 激しく揺さぶられるカレンが身体を支えるためにベッドの柵を握る。そんな彼女の前にセイバーが近付いた。

 

「ようやく判ったか、カレン? アユムの魅力が。そやつと出会えて良かったと思うだろう、女に生まれて良かったと。まあ今までの苦行はその為の前払いだったと思えば良い。では、今度は録画をしておいてやるとしよう」

「あっ♥️ はあっ♥️ こ、こんな顔ぉ……♥️ 彼にメスにされてしまってる顔、撮らないでくださいっ♥️」

「何を言うか、アユムに躾けて貰えるなど名誉なコトなのだぞ? その中の一人になれたのだから胸を張れ。それにこの映像はこれから何度も観たくなるだろうよ、むしろ感謝して欲しいくらいだ」

「こ、この色ボケ女騎士ぃ……♥️ おまんこ潰されて脳みそまで壊されてしまったのですかっ♥️」

 

 ──とは言いながらも、カレンもセイバーの言葉に全面的に同意である。

 すんなりと思ってしまう。ここまで心身ともにオスの魅力に溢れた少年が、一人の女しか相手にしないのは損失であると。むしろ質の良いメスに出来るだけ数多く種を付ける事が最善であると。

 今やカレンには、歩自身とそのチンポに崇拝の念さえ抱えていた。それはずっと心の是としてきた主への信仰よりも遥かに高く、大きい。彼の為なら信仰さえ放り捨てられるだろうと確信出来る。

 

(それに、この体位……♥️ 私が襲われていた時と同じです……♥️ だから本当は好きじゃない、はずなのに……♥️)

 

 そう、悪魔に憑かれた者の捌け口となっていた時。本能だけで襲ってくる彼らとの交わりは、必ずこの後背位だった。

 それと同じ体位で、遥かに上回るセックス。一突きごとに他の男に犯された記憶が消えていく。少年のチンポで上書きされ、塗り替えられていく。

 慰み物になっていた頃の行為をもう思い出せない。心のつかえになっていたモノが何だったか分からない。いや、もはやどうでも良くなってしまった。彼が求めてくれるなら、今の自分でいいのだろうと全肯定出来る。

 

「カレンさんっ、マンコが凄いうねってる……! 吸い取られそうっ」

「うっ、ううううう……♥️ わ、悪いですかっ♥️ 好きな相手の子種を欲しいと想うのは当然です、淫乱みたいに言わないでくださいっ♥️」

 

 ようやく本心を認めてしまったカレンのマンコが収斂し、精液をねだる。歩もここまで耐えていたつけが回ってきた。一気に射精欲が高まっていく。

 

 腰がぶつかる音が早く、激しくなっていく。歩ががっちりとカレンの尻を掴んだ。爪を立て跡が残ってしまうような掴み方だというのに、その痛みがそれだけ彼に求められているとカレンに感じさせ、更に快楽を高めていく。

 

 がちゃがちゃとベッドの柵が軋む。汗みずくのカレンの額にぺたりと髪が張り付いていた。ぽたぽたと愛液と汗がシーツを濡らす。

 そして、ぐぷりと亀頭がこれまでで一番強く子宮口をこじ開けた時、二人の身体が固まった。

 

 ────ぶぴゅ、びゅるるるるるるっ♥️ どぴゅどぴゅどぴゅ♥️ びゅくびゅくっ♥️ びゅぷぷぷぷ……♥️♥️

 

「お゙……ッ♥️ おほぉぉおおおおっっ♥️ あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙~~♥️♥️」

 

 子宮口に嵌まった亀頭から弾けるように精液が放たれた。ゼリーのように濁り固まった液体をびちびちと浴びせられる。念願の精液に、いとも容易くカレンは絶頂へ飛ばされていた。

 

「イクっっ♥️♥️ イッグぅうううう♥️♥️ お腹にぶちまけられてっ♥️ 我慢出来るはずありませんっ♥️こんなのアクメするに決まってますぅぅっ……♥️♥️」

 

 子宮を熱い精液で満たされ、カレンの身体が痙攣する。快楽のままに咆哮を上げて、カレンは少年に齎されたアクメに溺れた。

 

 はへはへと、飛び出した舌を揺らめかせながら髪を振り乱す。もはや超然として余裕たっぷりな聖職者の面影はどこにもなく、ただ絶頂に身を震わせる事しか出来ない。

 

「ああもう、だらしない顔をしおって♡ 後で観たら卒倒するであろうな、こんなアユムに堕ち切ったメスの顔……♡ まあそれでも、こんなに幸せそうなのだから善しとするか♡」

 

 セイバーがスマホの画面を覗き込む。

 そこにはオスに喰い散らかされながらもただひたすらに幸福そうな、一匹のメスの姿があった。

 




おかげさまで、頂いた感想と評価がともに100件を越えておりました。
趣味で書いている作品ですが公開する以上は読んで貰うのが目的ですし、反応があるのはモチベにも繋がるのでとてもありがたい事です。
これからもどうぞよろしくお願いします。

カレン編は次で終わりの予定。
出来るだけ早く投稿したいと思います。


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聖女襲来(カレン)

「はあっ、ジェットコースターがこんなに凄いモノだったなんて……! 勇気を出して乗ってみてよかったですっ」

「それじゃ、また違うジェットコースターに乗りますか? それとも別のやつにします?」

「では、これ! この船の乗り物に乗りたいです!」

 

 はいはい、と歩ははしゃぐカレンに頷いた。

 

 カレンと結ばれてから数日、歩は改めて遊園地で彼女とデートしていた。

 パーク内のカフェで朝食を取ったのだが、いざ遊ぼうとなると設備が色々有りすぎて目移りしてしまった。歩としては特に乗りたいという物もなかったので、カレンに合わせる事にしていた。

 

 ジェットコースターやキャラクターライドものなどいくつかのアトラクションに乗った後カレンが選んだのは、俗にバイキングとかポセイドンと呼ばれる、支柱に支えられた大きな船型ブランコに客が座り前後に揺らされる物だ。歩としてはもっと大人しい物をカレンは好むのではないかと思っていたので、ジェットコースターにしろバイキングにしろこういった激しく動くアトラクションを選ぶ事が少し意外だった。

 

 そう言うと、カレンは心外そうな顔をする。

 

「そんなコトはありません。せっかくこんな場所に来たのですし、ここでしか乗れないモノを体験しなければ損ではないですか」

「まあそうですけど。その服ヒラヒラしてますから気を付けてくださいね、ライドの時めくれてましたよ」

「う……わ、分かっています」

 

 カレンが頬を赤らめてスカートを押さえた。

 今日の彼女は意外にもデートらしい服でしっかり決めて来ていた。胸元に小さなリボンをあしらった白いワンピース。袖もスカートも長めで露出は少ないのだが、銀髪美少女のカレンによく似合っていた。

 

「ああもう、そんなにじろじろ見ないでくださいっ。セイバーもこんな服を用意して……気を使わないでと言ったのに」

 

 カレンのデート服はセイバーが仕立てたものだった。カレンが歩とデートすると知ったセイバーは、彼女のセンスでデート用品一式を準備してやったのだ。

 

 セイバーは意外と少女趣味だったらしい。カレンが着ているワンピースはフリルや刺繍が施された可愛らしいものになっていた。それだけでなく指輪や、非貫通式のイヤリング、小物入れのバッグまで。とてもカレン自身が用意したものではないだろうという服装に身を包んでいた。

 

「別に恥ずかしがらなくてもいいじゃないですか。確かに最初はびっくりしましたけど、僕は可愛いと思いますよ。服もすごく似合ってます」

「……本当ですか? 本当に似合うと思います?」

「本当ですってば。なんでそんな疑うんですか、もう」

 

 不機嫌な猫のようにこっちをちらちらと窺う様子に、歩は笑みをこぼしてしまう。

 カレンは、んん、と咳払いをして、

 

「…………では、その。今の言葉の証明が欲しいのですが」

「え。またですか? ……その、ここで?」

「はい。おっと、イヤならいいのですよ、イヤなら。その場合、貴方は口から出任せを言ったコトになりますが」

「うわ、分かりましたって。ヘソ曲げないでください」

 

 身を寄せておねだりするカレン。表面上ツンとしているものの、歩に手を繋がれるとすぐにふにゃりと相好を崩した。

 人だかりに溢れたメインストリートから外れ、建物の影へいく。他人の視線から逃れたそこで、二人はぷちゅりと口付けした。

 

「はむ……んふ……♥️ ちゅっ、むちゅ♥️」

 

 うっとりと目を閉じたカレンが舌を突き出し、歩の口内を舐め上げてくる。

 

 ──今日のデートが始まってから、もう何度も二人はこうしてキスを交わしていた。

 誘いをかけるのは大抵カレンの方からで、なにかと口実を見付けては歩にキスを迫ってくる。もちろん歩としても望む所なので、その度に人目のない所で舌を絡めていた。

 

 先日のセックスが止めとなり、身も心も歩に堕ちたカレン。

 一度たがが外れては、もう想いを塞き止めるものは何もない。自分の感情を受け入れたカレンは積極的に歩と接触を図るようになっていた。無理もないだろう、今や歩はカレンにとって恋愛対象であり崇拝する対象でもある。新たに芽生えた恋愛感情も、これまで敬虔に崇める主へ向けていた崇拝ももう丸ごと歩の物。その相手と大手を振っていちゃつけるとなれば、羞恥心やプライドなど何の役にも立たない不純物にも等しいというものだ。

 

 そんなわけで、以前まであった人を寄せ付けない態度は完全に消え失せ、歩に対しては主人に懐いた猫さながらにすがり付くようになっていた。

 

「ん~っ♥️ 貴方の唾液、甘いです♥️ もっと呑ませてくださぁい……♥️」

「んむ、んんっ。……あ、さっきのパンケーキの味」

「おや、貴方からも。では、これが全部なくなるまで舐め取って差し上げます……れろぉ~っ♥️」

 

 カレンは歩の舌だけでなく歯の裏や歯茎までしっかり舐め取る。相手の口にかすかに残ったパンケーキの蜂蜜やカフェオレの砂糖が唾液と混ぜ合わさり、ねっとりと甘く濃縮されていく。

 

「こく、んくっ……ちゅるっ♥️ ぷは…………はい、御馳走様でした♥️ あ、唇にも付いていますよ……ぺろっ♥️」

 

 歩の唇を舐め上げる。一筋唾液の糸を引いて、カレンの舌は離れていった。

 

「はあっ…………すっかり大胆になりましたね、カレンさん。もう何度目か分からなくなっちゃいましたよ、キスするの」

「なにを言うのです、他人事のように。私をこういう女にしたのは貴方なのですよ? しっかり責任を取って貰わなければ困ってしまいます」

 

 クスクスと笑ってカレンは歩の胸板に額を擦り付けた。

 

 歩はごくりと唾を呑む。カレンの唇の感触に、髪から漂うほのかな香水の匂い、そして密着してくる均整の取れた身体。

 本人も言う通り、カレンはもう歩の女。それも一般的なものではない、歩が命じれば何でもするだろう言いなりのシスターだ。ここで尻でも掴んで催促すれば、喜んで物陰でもトイレでも、なんならデートを切り上げてホテル直行でもして歩に股を開く事だろう。

 

(駄目だ駄目だ、今日はお互いに楽しみにしてたデートなんだから。そりゃエッチもしたいけど、ちゃんと優先順位ってものがあるよね)

 

 息を整えて興奮を逃がしていく。

 歩から見ても、あくまで今のカレンはスキンシップとしてすり寄って来ているのだという事くらいは分かる。かなり際どい感じだが、直接的にエッチを求めているわけではないのだ。

 

 今の歩がすべきことは、好意を示してくれるカレンをしっかりエスコートする事。自分のものになったからといって時と場合を弁えず身体を求めるのは男として落第だろう。求めれば拒まない相手だからこそ自制しなければいけない、と気持ちを切り替える。

 

「……よし、と。それじゃあ行きましょうか、カレンさん。きっとまた長く並ぶでしょうし、何か買っておきましょうか」

「それではさっきの売店にあったチュロスが食べたいです。揚げたてで美味しそうでした」

「あ、いいですね。一緒に飲み物も買いましょう」

 

 どうにかカレンの柔らかい身体を引き離す。柔らかな手を引いて誤魔化すようにまたメインストリートへと戻っていく。

 そんな少年を、

 

「…………ふふっ♥️」

 

 カレンが悪戯っぽい笑みを浮かべて見ていた。

 

 

 

 

 

 

 その後も、二人は遊園地デートを楽しんだ。

 カレンが興味を示すままに様々なアトラクションに乗り楽しむ。お化け屋敷では全く怖がらないカレンに幽霊役のスタッフが困るのが可笑しかったり、水しぶきに突入するコースターでは二人揃って頭から水を被ってしまったり。

 よく笑い、はしゃぐカレンは歩には新鮮で、ますます惚れ直してしまう。その姿を引き出せるのも見せてくれるのも自分だけだと思うと心の中に嬉しさと独占欲が浮かんでくる。カレンと仲良くなろうとした自分の選択に間違いはなかったと、改めて思うのだった。

 

 

 

「……ふう。すみません、まだ夕方だというのに」

「いえ、無理する事ないですよ」

 

 本日最後の乗り物、街を見渡せる高さの観覧車に二人は乗っていた。

 カレンの言う通り、まだ日は落ちていない。夕焼けが空を染め始めていた。

 予定よりもかなり早く、今日はこれでお開きする事になった。一日歩き回ったカレンがふらつくようになってしまったからだ。体調不良は収まったとはいえ、根本的な体の弱さは如何ともし難い所だ。

 

「……でも、夜にはパレードもありますのに。出来れば貴方と見たかったです」

「ああ、行列がメインストリートでやるアレですか」

 

 寂しそうに言うカレン。対面に座る歩が微笑んで言った。

 

「だったらまた来ましょう。今日は朝からで疲れちゃったと思いますから、次はお昼からとかで。飽きるまで何度でも来ればいいんです」

「………………何度でも、ですか」

 

 呟いたカレンがおもむろに姿勢を整える。

 すっくと背筋を伸ばし、正面の歩を真剣な表情で見た。

 

 真っ赤な夏の夕焼けに照らされたカレン。銀髪もワンピースも赤く染まるなか、その瞳だけが金色に輝き、歩を見つめている。

 歩がその姿に見とれていると、その口が開いた。

 

「そういえば。なあなあになっていましたが、はっきり伝えなければいけないコトがありました」

「はい? って言うと?」

「決まっています」

 

 カレンは宣言するように、

 

「貴方が好きです。私を癒し、身体を満たし、心を開かせてくれた貴方が」

 

 歩の目を見つめながら、

 

「だから。私と交際して欲しいのです。

 ……ええ、貴方が何人もの女を囲う鬼畜ハーレム野郎だというコトは重々承知です。そのうえで、その中の末席に加えて頂きたいと申し込んでいるのですよ」

 

 彼女らしい、素直ではない告白をした。

 

 しぃん……と観覧車の箱に沈黙が満ちる。澄まし顔のカレンの顔が、だんだん夕陽ではない赤色に染まっていく。

 ややあって、

 

「え? 今更ですか?」

「~~っはあああぁぁ!? 貴方っ、私の一世一代の告白の反応がそれですか!! 女どもと絡むうちに脳が腐ってしまったのではないですか!?」

「うわ!? ちょっ、すいません冗談ですって!」

 

 ぷんすかと怒るカレンを歩は必死に宥める。肩を抱き、頬を寄せるとカレンは大人しくなった。

 がこん、と観覧車が揺れる。窓を見れば、頂点に差し掛かり下りへ入る所だった。

 

「ごめんなさい、今更って言ったのは……もうとっくにそういう関係だと思ってたからです。順番がおかしかったかも知れないですね、デートする前にエッチしちゃうなんて」

「……そんなコトを言って。他の女の子とも身体の関係が先行しているのでしょう。そのくらい分かりますよ」

「う。ま、まあそうかも知れないですけど」

 

 ジト目で見られ、歩はたじろいだ。

 とはいえ告白してくれたなら返事を返さなければからない。そして、歩の答えなど決まりきっていた。

 

「告白の返事ですけど。もちろんオッケーです、っていうかこっちからお願いしたかった所ですよ。僕も、カレンさんが好きですから」

「……ふん。ならばさっさとそちらから言ってくれれば良かったのです。そうすれば私が恥をかく必要もなかったんですから」

 

 また怒っている、フリをしながらもカレンは嬉しそうだ。口角が上がるのを抑えられないようで、口をむにむにとさせている。

 

 そんな様子を微笑ましく見ていると、気付いたカレンがむっと唇を尖らせる。一転、最近はなりを潜めていた嗜虐的な笑みを見せた。

 

「貴方、まるで自分がウワテみたいな態度ですけど。今日一日、私を襲いたくってたまらなかったの、お見通しですからね?」

「え!? あー……」

 

 図星を突かれ慌ててしまう。カレンの言う通り、何度彼女を押し倒したくなったか分からない。それを精神力で耐えていたのだった。

 

「ふふ。でも今日はエッチはなしです。これは健全なデートなのですから。どうです、焦らされる気分は。いつも女性を自由にしている貴方からすれば癇に障りますか」

「いえ、そんな。むしろ新鮮で良いですよ」

「……そう言って貰えると嬉しいです。私は出遅れているわけですから、他の子たちと同じようにやっていては追い付けません。私なりの方法で貴方にアプローチしないと」

「カレンさんなりって言えば、さっきの告白も何だか雰囲気があってグッと来ましたよ。想定してなかったからびっくりしました」

 

 それは嘘ではない。突然の夕陽の中の告白は、歩に思わぬ衝撃を与えていた。

 カレンも言ったが、歩とカレンの関係は事後承諾で何となく成り立っている所があった。歩も意地っ張りなカレンの事だしこのまま成り行き任せで続いていくと思い込んでいたのだ。

 そこに真っ直ぐな告白をかまされたのだからたまらない。冗談ぽく流しながらも、歩の心に深く響いていた。

 

「あら、あら。余裕そうな顔をして、その実私に参っていたのですね。そうでしょうそうでしょう、私がやられっぱなしで終わるとでも思いましたか。ベッドの上では敵わない以上、それ以外の所で意地を見せませんと」

 

 ニヤリ、と流し目。

 うわあ、調子出てきちゃったなカレンさん……と冷や汗を流す歩に彼女が言う。

 

「それに、サプライズはこれだけではありません。とっておきが準備してあります」

「??」

「まあ、今はまだ良いでしょう。……おや、そろそろ終わりますね。ほら、今日は家までしっかりとエスコートしてください」

 

 一周した観覧車のドアを係員がガチャリと開ける。

 

 先に地面にトンと降り立ったカレンが、笑みを浮かべて手を差し出す。

 歩は苦笑しながら、カレンの小さな手のひらを握った。

 

 

 

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 

 

 

「ふぁああああ…………眠い」

 

 それから一週間ほど経った、とある朝。

 

 歩は眠い目を擦りながら登校していた。広いグラウンドで部活に励む生徒たちを横目に校舎へ入り、下駄箱でシューズに履き替える。

 

 階段をひとつ上がって廊下を歩いた先。二階の角部屋が歩のクラスだ。

 ガラリと引き戸のドアを開けると、教室には半数くらいの生徒がいた。部活のある者以外はほぼ居そうだ。

 

 自分の席に座り荷物を出していると、後ろから聞き覚えのある声が話し掛けてきた。

 

「おはよう。ちゃんと課題やってきた?」

「朝の第一声がそれ? まあいいや、おはよ」

 

 振り返ると、そこにいたのはやはり委員長こと有間都古だった。今日も今日とてキリッとした表情である。

 

「宿題ならやってきたよ。委員長は」

「やったに決まってるでしょ。……そっか、ちゃんとやって来たんだ。まだなら土下座すれば見せてあげなくもなかったんだけど」

「何だよそれ」

 

 都古は毎朝のようにこうして歩に挨拶しに来る。それ自体は嬉しいくらいなのだが、口の悪さのせいでよく減らず口の言い合いになってしまうのが困りものだった。

 

 都古としばらく雑談していると、部活も終わったのか段々生徒が増えてきた。やがてドアが開き、一人の女性が入ってきた。

 

「おはようございます、皆さん。席についてくださいね」

「あ、浅上先生だ。じゃ戻るわね」

 

 都古が自分の席に戻っていく。入って来たのは黒い服の女性教諭だった。

 杖をついているが足取りは確か。名を浅上藤乃という彼女は、歩のクラスの担任である。

 噂で聞いた所によると昔の事故で視力を失ったらしく、完全に盲目というわけではないが、杖やコンタクトレンズがなければ日常生活が難しいレベルのようだ。

 

 ちなみに藤乃は男女問わず生徒から大きな人気があった。女子からは親しみ易く親身になって相談に乗ってくれる性格から。男子に関しては、その整った美貌と柔らかな雰囲気、何より豊満な身体つきからすれば理由を考えるまでもない。もちろん、歩もその中の一人である。

 

 教壇に立った藤乃が点呼を取っていく。全員居る事を確認してから生徒を見渡した。

 

「はい、皆さんいらっしゃいますね。今日はまず皆さんにお知らせがあります。実は、今日から皆さんと一緒にこの教室で勉強されるお友達がいらっしゃいます」

 

 ──つまり、転校生がいると。

 わっ、と教室が沸く。どうやら誰も知らなかったらしく、男か女か、どんな子だろうと近くの席の相手と話し合う。

 

(……転校生? へえ、どんな人だろ)

 

 今まで自分のクラスに転校生が来た事のない歩も、御他聞に漏れずわくわくしていた。男の子でも女の子でもいいから仲良くなれるといいなあ、などと呑気に思う。

 

 思っていた、のだが──

 

「はいはい、静かに。……それではどうぞ、入ってきて」

 

 藤乃の呼び掛けに応じて開いたドア。

 その少女を見て、歩の思考が固まった。

 

(…………はぁ!??)

 

 彼女は、銀髪を揺らしながら教室へと入ってくる。

 整った顔立ちに外国人らしいスタイル。あまりの少女の美しさに、ざわついていた教室が静まり返る。

 

 コツコツと教壇まで歩み寄る彼女は、やがて中央で止まり、生徒たちへ向き直った。その後ろで藤乃が黒板にチョークで名前を書いていく。

 カタカナで書かれたその名前は、歩にとってはもう慣れ親しんだ名前。

 藤乃に促され、彼女が名乗る。

 

「────カレン・オルテンシアと言います。本日より皆さんと共に勉学に励むコトになりました。以後、宜しくお願い致します」

 

 腰を曲げて頭を下げる。

 また背筋を伸ばした時には、教室内が弾けていた。どう見ても外国生まれの、人生でそう何人もお目にかかれないような美少女の登場に歓声が爆発する。

 

(ああ、そう……サプライズって……)

 

 

 引きつった笑みを浮かべる。

 壇上のカレンは、そんな歩だけを見つめていた。

 




そんな感じでカレン編でした。思った以上に長くなってしまった。
カレン編では出会いや過程に尺を取ってみましたがどうでしょうか。そのぶんエロが薄くなってしまったので、そのうちエロ要素メインのカレンを書きたいと思います。

次は橙子さんか攻略済みキャラか、もしかしたらそれ以外かも。
そろそろマンション外も開拓していきたい。題名「ハーレムマンション」だけど学校とかでもハーレム作っていいよね?


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冬姫進貢・上(アイリ)

どうしても人妻おっぱいが書きたくなったので先に書きました。
傷んだ赤なんとかさんは次で。


「へぇ~っ。中はこんな風になってるんですか」

「まだ内装は作りかけだけどね。大体こんな雰囲気かな」

 

 歩はぐるりと部屋を見渡した。

 

 木組みが印象的な暖かみのある室内。こちらも木製のテーブルと椅子が、広い室内に近すぎず遠すぎずの距離を保ちながら置かれている。全部で15、6組といったところだろうか。所々に観葉植物が置かれたり間仕切りがされたりして、それぞれの座席が干渉しないようになっていた。

 

 ここは喫茶店である。

 名をアーネンエルベといい、お茶と軽食を出すオーソドックスなカフェになる予定。予定、というのはまだオープン前の準備段階だからだ。正式に開店するのは来月の事で、それまで関係者以外は立ち入る事が出来ない。歩が入れるのは、単純にここの店主になる女性と深い仲だったからである。

 

「でも驚きました。ここ、クラスの知り合いの子とオープンしたら行ってみようかって話したりしてたんです。まさかアイリさんのお店だったなんて」

「ふふっ。ほんとは開店後に教えてビックリさせようかと思ってたんだけどね、早く伝えたくなっちゃって」

 

 この店のオーナーである女性──アイリスフィール・フォン・アインツベルンが言った。

 

 歩も驚いた事に、以前都古との会話でも出た新規開店するこの喫茶店は、アイリが店主なのだった。今日は学校も休みで家で暇を潰していたところ、訪れたアイリに連れて来られたのだ。

 

 店内を見渡せばまだ備品が置かれていなかったり照明が取り付けられていなかったりと準備途中なのがよく分かる。椅子やソファの数も足りないようだ。

 

「気を使って貰わなくても良かったのに。僕も手伝いますよ。開店準備って大変なんじゃないですか?」

「あっ、いいのいいの。実家からメイドを二人連れて来ててね、有能な娘たちだから」

 

 そういえば、都古がメイドさんを見かけたとか言ってたような……と思い出す。きっとそのメイドさんたちだったのだろう。

 

「でも、二人で大丈夫なんですか? アイリさんを入れても三人って事ですよね」

「うん。一人はすっごく力持ちでね、この机とか椅子はその娘が全部運び込んでくれたの。もう一人も身体は弱いけど事務処理とかは得意だから。そこに私もいればじゅうぶんな感じ」

「そうですか。でも何かあれば言ってください、何でもやりますから」

「もう、優しいんだからぁ。だから歩くんは待っててくれればいいんだってば」

「わっ、むぐぅ……」

 

 ぎゅっ、と後ろから回された腕に締め付けられて、歩の息が詰まる。

 

 昼間とはいえ、窓から差し込む光だけが明かりの室内は薄暗い。日光に照らされて僅かに埃が舞っているのが分かる。黒い色調の木材で統一されているから尚更だ。

 

 がらんとした二人きりだけの空間で、歩は後ろからアイリに抱きすくめられていた。アイリに案内されて内装を見ながら少しソファに腰を下ろしたら、自然な仕草でアイリが隣に座り密着してきた。どぎまぎしながらもこの店についての話を聞いていたらいつの間にか後ろに回られ、胸部を押し付けながら抱き締められていたのだ。

 

 アイリの服装はいつもの鳶色の洋服に膝上のミニスカート。しかしお馴染みの長いブーツは脱ぎ捨てられ、すべすべの足が歩の短パンから伸びる足に絡み付けられている。

 

「あのっ、アイリさん……流石にくっつき過ぎでは……」

「ん~? なに、イヤなの? 悲しいなあ、歩くんに拒絶されたら私、どうしていいか分からなくなっちゃうけど」

「い、嫌ってわけじゃなくて。その、胸とか……」

「ああ、感触分かる? 歩くん好きでしょ、私のおっぱい。さっきも見てたよね」

 

 ばれてたのか……と冷や汗をかいてしまう。

 

 アイリの胸は魅惑的だ。ただ大きいだけではなくて、娘を一人育てた母であるが故の母性に溢れている。

 同じ母親である両儀式がツンと上を向く美乳だとしたら、アイリはたっぷりとした柔らかさを持つ豊乳。垂れる事はないが、服の上からでも分かるくらいに手頃な重さを感じさせる。

 

 それを、背中に押し付けられて優しく潰される。お互いの服が間に挟まっているのがが余計に中身の柔らかさを想像させてしまう。

 明らかに一線を越えたスキンシップだ。知り合いはおろか、家族にだって中々ここまで身体を擦り合わせたりしないだろう。

 

 それもそのはず。歩とアイリはまさに一線を越えた間柄だった。

 アイリは、歩に傅き奉仕する、ハーレムの一人である。貞淑な妻であり母であったアイリだが、家族と離れて暮らし、寂しさと鬱屈を溜め込んでいた。

 そこに現れたのが歩という少年だった。アイリの親友である式の手引きもあるが、この少年によってアイリは身体の疼きも精神の不満も満たされ、あまつさえ恋心まで抱いてしまった。かくしてアイリは歩に身も心も堕とされ、彼の女となったのだった。

 

 クラスでも一、二を争うくらいに小柄な男の子へ、手足の驚くほど長い北欧美女が絡み付く。まるで女が少年へ悪戯しているかのよう。体格の差も相まってすわ性犯罪かと思わせるような構図だ。

 けれど本当は、むしろアイリが歩に甘えている側に近い。歩はあくまでアイリを年長として立てようとするがアイリはそう考えてはいなかったし、実際の所もそう。二人の関係はあくまで歩が上だった。どれだけ歩が持ち上げようとしてもそれよりへりくだるのがアイリだ。

 

「んむ、ぺろっ……♥️ ふふ、無事開店できそうで良かったぁ。これで私も歩くんにお貢ぎできるわ」

「ふぁ……っ」

「もちろん、売上は家計にも入れるつもりだけど。それ以外にあの娘たちのお給金とか光熱費とか差っ引いて残ったぶんは、全部歩くんのお小遣いね。好きなモノに使っちゃって。ご飯食べに行くのもよし、ゲーム買うのもよし。他の女の子とのデート用でも、まあ許しちゃいましょう。あ、もちろん私とのデートは私が払うからね、そこは気にしないで」

 

 にゅる、ぺちゃ、と耳たぶを舐められながら『お小遣い』の話をされる。

 年上の人妻に貢がれる、という事への優越感が、歩に危ない興奮を誘っていく。それでも少年はなんとかそれを振り払った。

 

「そっ、そんなの……いけません。良くない事です……うぁ!?」

「ふぅ~~っ♥️ いいのいいの、このお店自体が私が趣味で始める道楽なんだもの。別に家の貯金を崩して、とかじゃないんだから心配いらないわ。……そ、れ、に」

 

 アイリは歩の耳たぶへ吐息を吹き掛けながら、

 

「そんな殊勝なコト言っちゃって、もう式やアルクェイドさんにはお小遣い渡されてるの知ってるわよ? 式もそうだけど、アルクェイドさんもお金持ちなのね。そんなワケで、私にも何か出させてください。

 家族もね、喫茶店開きたいって言ったら賛成してくれたわ。気晴らしにもなるし、出会いとかもあるだろうって。まあ、出会いはもうあったんだけど、さ」

「あっ、首筋……汗かいてますからっ」

「ちゅ、ぷちゅっ。歩くんの汗、しょっぱい♥️ 私好きだなあ、この味。……それにさ、聞いたよ? また新しい女の子に手を出したんだって?」

「うっ。そ、それは」

 

 歩の頭に一人の少女の顔がよぎる。恐らくあの子の事だろうな、という銀髪の少女。

 

「カレンちゃん……だっけ。カワイイわねー、あの子。それで思ったんだけどさ……なんだかあの子、私とちょっと被ってない?」

「え?」

 

 きょとんとして振り向く。と、そこには子供っぽく唇を尖らせたアイリの顔。

 

「だってさ、銀髪だし、外国人みたいだし。しかも、私よりもずっと若い子なワケでしょう。そりゃあ危機感だって持ちますっ。ただでさえ女の子はたくさんいて、歩くんは一人なんだから……あの子に夢中になられたら、私の出る幕がなくなっちゃうかも知れないじゃない」

「もしかして……だから今日はこんなにくっついて来てたんですか?」

「な、なんですか。笑いたいなら笑えばいいわ。それだけ私が君を想ってるってコト……あっ」

 

 歩の身体に回されていたアイリの細腕。

 その手のひらへ、初めて歩が手を添えた。白魚のような指を自分の指と絡め合う。

 

「なに言ってるんですか。僕はアイリさんを他の人と重ねて見たりしませんよ。そのくらい、アイリさんは分かってますよね?」

「…………これだけじゃ分からないかも」

「しょうがないですね」

 

 歩が首を傾け、後ろのアイリの方を向く。ただでさえ密着していた二人は、あっさりと唇を重ねていた。

 くちゃ、ぴちゃ、ちゅ……と唾液が混ざる。歩の舌がアイリの唇を舐め上げる。アイリの色素の薄い唇がめくれ上がり、少年の自由にされていく。

 

 しっかりアイリの唇に唾液を塗り広げてから、ぷは、と歩が唇を離した。すっかり紅潮しメスの顔になってしまった人妻へ、

 

「これで分かりましたか? まだ足りないです?」

「……え、えと。足りないって言ったら、どうされちゃう……?」

「そりゃもちろん、分かるまで続けます。唇にも、こっちにも」

「っん、ぁ♥️」

 

 ぐい、と歩が尻を後ろに突き出す。

 それだけで、アイリの口から甲高い声が漏れた。それだけでなく、股間からはぴちゃりと濡れた水音まで。

 

 腰を退こうとするアイリだが、ソファの背もたれに阻まれ、それ以上後ろに行く事が出来ない。ただくちくちと股間を遊ばれるままになってしまう。

 

「ひっ♥️ ひぁぁ♥️ やだやだっ、だーりん♥️ 虐めないでっ♥️ ヤキモチ妬いてごめんなさいっ♥️ だーりんの愛を疑うワケじゃなくってぇ♥️」

「あ。やっとだーりんって言ってくれましたね。二人きりなのに言ってくれないからどうしたんだろうって思ってたんですけど、もしかしてそれも意地はってたんですか?」

「だ、だって♥️ 私ばっかりヤキモチ妬いてたらばかみたいじゃない……♥️ だから、少しは気にしてくれるかなって……」

「ふぅん……それじゃ、その指輪も?」

「ぅ…………」

 

 こつん、とアイリの薬指を歩の指先が叩く。

 そこには、銀色の指輪が嵌められていた。もちろん歩が渡したわけではない。これは、アイリが元から持っていた結婚指輪だった。

 

 きらりと光るそれを、2人が見つめる。しっかりと指の根本に嵌められているそれは、偶然抜け落ちるような事はないだろう。

 

 アイリの息が上がっていく。はぁ、んん、と熱い息が歩の首筋を暖める。

 母として、妻としての倫理観と、女としての欲求。それは綱引きするまでもなく、あっさりと片方が上回った。

 

「だーりん……あの……♥️ これ、ね? 分かるでしょう、どうして欲しいか……」

「どういう事ですか? ちゃんとはっきり言ってくれないと分からないです」

「っ……♥️ こ、この鬼畜っ……♥️」

 

 アイリの息が、鼓動が、更に高まっていく。

 それが閾値を超えた時、人妻はついに白旗を振った。

 

「……お願いします、だーりん♥️ この指輪、だーりんが取っちゃってください……♥️♥️」

 

 一息に言う。歩の耳元で、絶対に聞き逃される事のないように。

 

 歩が指輪をつまむ。ずり、ずり、とゆっくり引き抜いていく。夫が与えてくれた、ぴったりアイリに填まるオーダーメイドの指輪は、抜け落ちる事を拒むようにアイリの指を締め付ける。アイリはそれを歩に抜き取られるのに抵抗するどころか、指を反らしてより取って貰いやすいようにする。

 関節に引っ掛かった指輪に少し力を入れて引っ張る。と、そのまま勢い良く、指輪はするりと抜けてしまった。

 

「────っく、は……♥️ くぅん……♥️♥️」

 

 抜き取られた指輪を見るアイリの腰が震えた。

 これ以上ないほど分かりやすく人妻である事を自覚させられ、更にはその象徴を奪われた事で、堪えていた欲望が解放された。歩のモノになってからは彼の前では着けないようにしていた結婚指輪。歩への当て付けの為とはいえ、まがりなりにもそれを着けている事はアイリから母として、妻としての自覚を引き出していた。

 

 それを奪われては、もう歯止めが利かない。アイリの子宮を甘いアクメが包む。歩への精神的な屈服アクメ。きゅんきゅん疼くマンコが、愛する少年の子種を呑みたいと疼き始める。

 

 もはやそれに抗う気も、意味もない。欲求のままに少年へとはしたないおねだりをする。

 

「指輪、取られちゃったわね……♥️ これで母親としての時間は終わり♥️ 奥さんとしての立場もおしまい……♥️」

 

 背後のアイリへ歩が向き直る。

 一見少女と見紛うような、線の細い可愛らしい少年。しかしその実、アイリを食い潰し後戻り出来ないところまで堕としきったオスの顔。

 

 その愛するつがいへ、アイリがセックスを誘う。

 

「だから、ここからはだーりんの女♥️ だーりんだけのアイリ……♥️ ほら、もうおまんこぐしょ濡れで準備出来てるから♥️ 溜まってるざーめん、一滴残らず私のお腹にちょうだい……♥️♥️」

 

 びきり、と歩の股間がズボンの上からも見てとれるほどいきり勃つ。

 自分に覆い被さって来る少年を、アイリは蕩けた瞳で見つめた。

 



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冬姫進貢・中(アイリ、セラ、リズ)

 アーネンエルベは国道沿いに面していた。

 表通りを車が往来していく。太い道だ、乗用車だけでなくバスやトラックも盛んに通り過ぎる。通行人も多い。引かれたカーテンの向こうにサラリーマンや学校帰りらしい子供たちのシルエットが見えていた。

 

 喫茶店から一歩でも出れば、そこは日常の風景。どこにでも見られる、地方都市の片隅の光景だ。

 道行く人たちや、車を運転して通りがかった人たちは、ふと開店準備中の喫茶店を見て、こんな所に新しくカフェが出来たのか、と思うだろう。中にはオープンしたら行ってみようかと思う人もいるに違いない。

 けれど、彼らは想像もしないだろう。センスのいい洒落た外観の喫茶店。──その中で、中学生の少年と一回り以上も年上の人妻が、身体を擦り合わせているとは。

 

 

 

「あん♥️ だーりん、おっぱい触りすぎ♥️」

「アイリさんの胸、柔らかい……それに重くって、掴みたくなっちゃいます」

「んっ……♥️」

 

 歩が下からアイリの胸を持ち上げる。

 たぷん、と震える乳房。みっちり詰まったそれは、腕に力を込めないと持ち上がらないくらいに重い。

 

 ソファに浅く腰掛け、足を放り出したアイリ。肌に汗が滲む人妻に跨がって、そのおっぱいを歩は堪能していた。洋服は薄く、熱くなったアイリの体温を隠す事もない。吐息が混ざり、二人の周りの温度が上がっていく。

 

 おっぱいを掴んで左右から真ん中に寄せれば、扇情的な谷間が出来上がる。男を誘うそこへ、歩は思いっきり顔を押し付けた。天国のような柔らかさと暖かさが顔を包む。歩にだけ許された、アイリの身体を自由にする特権を惜しみ無く使う。

 

「すうっ……はあ……! アイリさんっ、もしかしてこれ……」

「うん、ノーブラ♥️ だーりんがすぐ触ってくれるようにって、下着つけないでおいたの♥️」

「だからあんなに揺れて……このっ」

「ひやぁああん♥️」

 

 胸元を無理やり開き、より生の感触を味わう。

 アイリは歩が胸を見ていたと言ったが、その原因は彼女の誘い受けにあったようだ。それにまんまと乗せられて劣情をぶつける少年を、アイリは愛おしげに見つめた。

 

 辛抱堪らなくなった歩が、胸元のみならず洋服のボタンを全て外し前を開く。現れたのはアイリが身じろぎする度に揺れる豊乳。汗ばんで艶々と光り、歩を誘っている。

 その頂点に息づく乳首。アイリの唇と同じく色素の薄めなそこへ、歩がしゃぶりついた。

 

「あん……もう、赤ちゃんみたいなんだからぁ♥️」

 

 おっぱいに顔をうずめる歩の頭を、アイリが優しく抱く。

 

 舌先で乳首を転がし、唇をすぼめて吸う。ちゅうちゅうと吸ってから口を離すと、もう片方へ。本来はひっそりとしている乳首を刺激していく。

 仕上げに強めに吸うと、勃ち上がった乳首が顔を出した。血が巡り、乳首も肌も薄っすらとピンク色に染まっている。

 

 歩が指で乳首を摘まむと、アイリから甲高い声が漏れた。そのままコリコリと抓れば、人妻の声が蕩けていく。

 

「だーりん、乳首虐めちゃイヤぁ♥️ 腫れちゃうわよぉっ」

「心配しなくても、もうぷっくりしてますよ。もっと吸ってあげますね」

「ひあ……♥️」

 

 乳首を唇で挟みつつ、空いた方のおっぱいを片手で揉む。歩は抱きつくような格好でアイリに思いっきり甘えた。

 その股間は既にパンパンだ。膨れ上がったチンポの裏筋をズボン越しにアイリの下腹部へ擦り付ける。それだけでも美女のしなやかな腹筋のおかげでチンポは悦び、パンツの中でびくびくと痙攣する。

 

(もうっ、本当に子供みたいなんだから……♥️)

 

 胸を吸いながらヘコヘコと股間を押し付ける少年。小柄で可愛らしい外見も相まって、アイリから見れば大きな赤ちゃんのようだ。

 

 しかし、

 

(こんなカワイイくせに、逞しい男の子でもあるのよね。ううん、男の子っていうより、オスって言う方が合ってるかな……♥️)

 

 見た目だけなら女性に翻弄されるだけの少年でしかないし、実際にそういった面もある。

 

 しかしひとたび仮面を脱ぎ去れば、中身は女を征服するオスのもの。その無害そうな外面で懐柔し、凶悪なチンポで食い荒らすのだ。

 その餌食になった女たちを、アイリは笑う事が出来ない。当の自分もまさにその中の一人なのだから。

 

 今やアイリの中の優先順位で頂点に立つのは家族でもアインツベルンの悲願でもなく、この少年に愛して貰えるかどうかである。歩の心とチンポを満足させられるかどうかがアイリにとって最も重要な事になっていた。それ自体は他のハーレムメンバーも同じだが、その中でも持て余していた母親としての母性を満たされ、更には人妻としても寝取られたアイリは完全に歩に参っていた。

 自立した大人の女性としての矜持を備えながらも、歩の前では少年の欲望を全肯定しどんなセクハラにも笑顔で悦ぶ。そんなチン負け人妻になってしまっていた。

 

「アイリさん、さっきみたいなの、もう止めてくださいねっ。アイリさんは僕のものですよね? だったら……」

「うん♥️ ごめんなさいだーりん、気を引くためなんて言ってわざと指輪着けたりなんかして……♥️ だーりんの前じゃもう二度と着けないから、許して♥️」

「だめ、だめですっ。僕怒ってるんですよ? ちゃんと分かってますか?」

「あっ♥️ 待って、乳首つねらないでぇ♥️」

 

 痛みになるぎりぎりの力加減で歩が乳首をねじり上げる。

 

 アイリが結婚指輪を着けて来ていた事は、アイリの狙い以上の効果を歩に与えていた。

 気が多い歩だが一人一人の女性への想いは本物だし、人一倍独占欲の強いたちでもある。そんな歩にとって、しっかり堕としたはずの女が他の男の証を身に付けてくるなど言語道断、決して許せない事だ。数々の女を堕としたといっても本人はまだまだ少年。独占欲を掻き立てる為の演技だったとはいえ、アイリが結婚指輪を見せびらかしてきた事に拗ねるような怒りを覚えていた。

 

 アイリに何か足りなかったとすれば、歩の想いを汲み取れなかった事だろう。自分の恋愛感情を満たす為に相手を刺激するばかりで、歩の愛情を自覚していなかった。歩からは既に目一杯の想いを向けられているというのに、それを理解せず挑発してまったのだ。

 

 もちろん、おっぱいを味わったくらいで歩の怒りが収まるはずはない。そもそもが歩とアイリは対等ではなく、アイリが一方的に食い散らかされる関係である。このような無礼を許していては他の女の子にも伝染するかも知れない。ハーレムの主として生意気な女には上下関係をしっかり覚え込ませなければならないと、本能的に理解していた。

 

「そんな、そんなっ♥️ 怒らないでっ、私が悪かったから♥️ 何でもするから許してぇ♥️」

「だめです、許しません。……ほら、立ってください。確か奥に休憩室があるんでしたよね。そこで、しっかりおしおきしてあげますから……これで」

「ひっ……♥️♥️」

 

 乳首をつねられていたせいで気が付かなかったのか。

 いつの間にか、歩はズボンを下ろしチンポをあらわにしていた。バキバキに反り返ったチンポの先から涎のような先走りが滴り、アイリのスカートや座椅子に染みを作る。

 

 チンポを突き付けられながら据わった目で宣言され、アイリの心臓と子宮が竦み上がる。

 手首を掴んで無理やり引き立たせられ、部屋の奥へと引っ張られていく。

 頭一つ二つぶん背の低い、異能も持たないただの少年である。本来のアイリならば簡単に振りほどけるはず。それこそ魔術を使えば指一本動かす事なく歩を吹き飛ばせるだろう。

 

 しかし完全にマウントを取られ、骨の髄まで歩への愛情と屈服で満たされたアイリには、そんな事は出来るはずもない。

 ただ股間をぐっしょりとマン汁で濡らしながら、少年に引きずられていった。

 

 

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 

 

 歩とアイリが店内から消え、しばらくして。

 喫茶店のドアが、ガチャリと開いた。

 

 入り口のドアは歩を連れ込んだ時点で、邪魔が入らないようにとアイリが鍵をかけていた。そもそも開店前の店であり、看板も立っていない。まだ客が来るはずもなかった。

 

 という事は、入ってきたのはこの店の関係者に他ならず。

 

「ちょっと、まずはノックしろとあれほど言っているでしょうリーゼリット。何度言えば分かるのですか!」

「だいじょうぶ。誰も、いないみたい。セラ、気にしすぎ」

 

 だからそういうコトではなく……と、セラと呼ばれた少女が額に手を当てた。

 

 それは銀髪が眩しい、二人の少女だった。

 

 年齢は十代半ばから後半といったところ。赤い目に雪国出身らしい抜けるような白い肌。色素が薄く、人形のように整った外見は人間味を感じさせない。白と黒が基調のクラシカルなメイド服を着ており、本来はキャップを被るタイプのようだが、今は着けていなかった。

 

 見た目のパーツは似かよっているが、実際に受ける印象は真逆だ。セラは肩口までの髪をさらりと流し、リーゼリットは少しクセのあるミディアムボブ、という髪型にもあるが──何より本人たちの性格によるものだろう。セラはきりりと眉尻を上げ、ピンと背筋を伸ばし、硬質な雰囲気を纏っている。対してリーゼリットは若干だらけたような、捉えどころのない雰囲気だ。

 

 セラとリーゼリット──愛称リズ──はアイリに、ひいてはアインツベルンに仕えるメイドである。人間味がないのも当然で、二人はアインツベルンによって製造されたホムンクルスだ。セラは細々とした事務作業や料理、掃除などを。リズはもっぱら腕力を活かした力仕事を担当している。

 

 二人はアイリの喫茶店開業を手伝う為に日本へ来ていた。メイドとして海外にいるアイリの家族の身の回りの世話をしていたのだが、アイリ本人に頼まれ急遽来日したのだ。

 一家についていたとはいえ、元々本来の主はアイリである。断る理由もなく、むしろアイリに奉仕出来るのは二人にとって喜ばしい事。一も二もなく飛んできたセラとリズはそれぞれの長所を活かして精力的に働き、アイリの手伝いをこなしていた。

 

 二人のおかげで予定より随分と早くアイリの喫茶店は開店まで漕ぎ着けようとしていた。そして今日も、いつものように作業をしに来た所だった。

 

「おや……奥様、いらっしゃらないわね。奥でお休みされているのかしら」

「呼んでくる? アイリさま、こだわりがあるみたいだし。内装とか、家具の配置とか。聞きながらやったほうがいいかも」

「それには及びません。連日作業しているし、奥様もお疲れなのでしょう。ほら、二人で始めるわよ。まずテーブルの組み立てから始めましょう」

「セラ、人使いが荒い……ちょっと手伝って。私ももう、クタクタ」

 

 リズがセラを見て言う。疲れている、とは言いつつもその表情や目はほとんど動かない。相当に近しい人でなければリズの言葉が本当かどうか、彼女が何を思っているかは読み取れないだろう。

 

 しかし、セラは数少ない近しい者の一人だった。はあ、とため息をつき、

 

「嘘おっしゃい、この程度で疲労が溜まるような造りはしていないでしょうに。減らず口はやめて働きなさい」

「……むう。セラ、そうやって相手にだけ、ようきゅうするのは良くない」

「はあ? 何よあなた、口が回るようになったわね。旦那様やイリヤさんや、それに彼と接しているからかしら」

 

 生意気な妹分にセラが眉をひそめた。

 リズは元々自我の薄い所があったが、一家と関わるにつれ情操が発達して来ていた。こういった反抗をするのもここ数年になってからの事である。

 

 とはいえセラは態度を軟化させるつもりはないようだ。そもそも火急の際には戦闘にも対応出来るよう調整されたリズと違い、セラの腕力は人並みかそれ以下である。まったく、と聞き流し、相手にしないつもりらしい。

 

 ますます不満そうになるリズ。表情が変わらなくても分かるほどだ。

 ムムム……とセラに反撃する手段を探す彼女は、やがてぴったりな方法に思い当たった。

 

「……はあ。セラは、私のくろうを分かってない。セラと違って、タイヘンなんだから」

「大変? いったい何の話────」

「だって。セラには、私みたいなおっぱいがない」

 

 ピキッ……とセラのこめかみに青筋がたつ。

 俯き、震える彼女にリズは尚も、

 

「このおっぱい、重いし、大きくて邪魔だし。物を持ちにくいし、立ったままじゃ足元が見えないの。セラには、分からないだろうけど」

「………………」

「セラが、うらやましいなあ。身軽でいいよね。アイリさまもおっきいし、セラだけ、仲間外れ」

「………………、ちょっと」

「ちなみに、まだおっきくなってるから。去年は92センチだったけど、今はそれいじょう。リズは? 1センチくらいは、おっきくなっ──」

「っっがあああああ! この馬鹿っ、人が気にしているコトを……! そこに直れっ、お説教です!」

 

 烈火のごとく怒るセラが掴みかかるが、知らないよー、とリズはひらりと身を躱す。もう一度飛びかかってもあっさり避けられてしまう。

 

 セラとリズの身体能力には天地の差がある。セラがどれだけ捕まえようとしてもリズは簡単に逃げてしまう。ムキになるセラが追いかけ回すが、到底追い付かなかった。

 しばらくたつと、部屋には平気な顔でテーブルを組み立てるリズと、その傍らで汗だくでひっくり返っているセラの姿があった。

 

「セラ、そんなところで寝てたらじゃま。早くどいて」

「はあっ、はあっ、はあ……! む、無茶言わないで頂戴っ、少し休ませて……」

「まったく、セラはダメダメ。自分が働けって言ったクセに…………ん?」

 

 ふと、リズが視界の端に何かを見つけた。

 

 テーブルの上に置かれた、光を反射している小さなもの。銀色の金属製のなにか。

 リズが手に取ると、それは指輪だった。シンプルだが高価そうなそれに、見覚えがあった。

 

「これ、アイリさまの……」

「はあっ、はぁ……どうかした、リーゼリット? あら、それ……奥様の結婚指輪じゃない。落とされたのかしら?」

「……そうは、思えない、けど」

 

 この指輪がアイリの指にしっかり嵌まるサイズなのはリズもよく知っている。もし何かの拍子落ちたとしてもアイリならすぐに気付くだろうし、つけ直すだろう事も。

 光にかざしてよく確かめてみるが、やはりアイリのものだ。装飾も宝石も内側に施された刻印も、二人の主が身に付けていたものと合致している。

 

 リズが周囲を検める。机には異変はない。しかし、

 

「この椅子……濡れてる」

「?? どうかした、リーゼリット?」

 

 キョトンとしたセラに構わず椅子を調べる。

 まだ若干の体温が残っている木製の座椅子。そこに落ちた雫の跡を嗅いでみる。

 

 と、

 

「~~~ッッ……!?」

 

 リズの優れた嗅覚に、今まで嗅いだ事のない匂いが直撃した。

 

 これが人間と身体性能の変わらないセラならマシだっだろう。しかし、リズは五感も人間を大きく上回る。

 そのケモノ並みの嗅覚が、それを直に嗅いでしまったのだ。並外れて優れたオスである少年による、今から女を犯そうとしているチンポから垂らされた濃厚な先走り汁を。

 

「ぐ、く……! ううっ……!?」

「ちょ、ちょっとリーゼリット、どうかした? 顔色が……」

 

 悪いわよ、と言おうとして、セラは思い止まった。

 滅多に表情を変えないリズが呻き、顔色を変えたから思わず『悪くなった』と思ったのだが……、実際は逆だった。

 

 リズの顔はお風呂上がりでもこうはならないというほど赤く染まっていた。いつも動かないはずの表情筋は緩みきり、酒にでも酔ったかのようにトロンとしている。目は潤んで焦点を失い、口は半開き。

 いつもの無表情が印象的だからこそ、それが崩れているのが強調される。リズを知っている者は一目で彼女だと分からないかもしれない、そんな顔をしていた。

 

「な、何……?」

 

 その顔を見て、セラは、以前観た動物の生態を追ったテレビ番組を思い出した。狩りやら縄張り争いの他に、交尾についてもまとめていた番組。人間なんか映っていなかったのに、確かにこんな顔を見た気がする。理性が飛んでしまった顔。うわべの仮面をはぎ取られ、本能が剥き出しになった顔。

 

 ──発情、という言葉が脳裏をよぎった。

 

「っ…………この匂い、まだ」

 

 続いている、とリズが呟く。

 

 彼女の視線は下を向いている。釣られるようにセラが床を見れば、かすかに雫の跡が残っているのが分かった。座椅子から始まったそれは点々と続き、部屋を横切っていく。

 

 それは、休憩室に繋がるドアへ続いているようだった。

 




衛宮・アインツベルン家については、本編とプリズマイリヤの中間くらいの世界線な感じでひとつ。

迷いましたが、人妻&メイドさん書くのが楽しいのでこのままセラリズ編に行きたいと思います。カレン編がおとなし過ぎたのでエロ多めにしたいですね。


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冬姫進貢・下(アイリ、セラ、リズ)

寝取り要素を含みます


 アーネンエルベの建物には、喫茶店の裏に休憩室がある。

 

 休憩室、とは言っても豪華なものだ。喫茶店のキッチン裏のドアをくぐれば、洋風のホテルのような廊下に出る。はめ殺しの窓や廊下の隅のテーブルに置かれたスノードロップの花瓶、敷かれたふかふかの絨毯などはアイリがリラックスしてお店を続けられるようにとセラとリズが母国から持ち込んだものだ。その廊下の奥にある部屋がアイリ専用の休憩室。書斎程度の大きさではあるがアイリが休めるようベッドもあり、シャワールームやプライベートキッチンまである。ここに住もうと思えば住めるほどの設備で、しかも内装はしっかりアイリの好む落ち着いたドイツ風に整えられている。

 

 アインツベルンは錬金術を専門とする魔術師の一族で研究に没頭し世俗との関わりは薄いのだが、貴金属の扱いに長けている。数多の宝石類を所有しており、また貴族の家系でもある彼らは豊富な財産を抱えていた。

 その直系であるアイリが店を開くとなれば、当然金に糸目をつけるはずもない。実際の所、この店が赤字だろうが黒字だろうがアインツベルンの財政には何も響かない。これは完全にアイリの道楽であり、採算は二の次なのだった。

 

 それでも日本に一人で住む主から『店を開きたいから協力して欲しい』と連絡が来た時、セラとリズは喜んだ。主であるアイリではなくその家族のメイドとして海外にとどまる事は彼女本人の言い付けだったとはいえ心配には思っていたし、最近はストレスを溜め込んでいるらしい事も察していた。だから電話口の主がやりたい事を見つけたと明るい声で言うのを聞いて嬉しくなったし、その手伝いが出来るならと一も二もなく駆けつけたのだ。

 

 

 ────だが、しかし。

 

 

「なッ……な、な、なあ……!??」

「……うわあ。やばいもの、見ちゃった」

 

 座椅子と床に垂れた雫の跡に気付いてから数分。

 セラとリズ、メイド服姿の少女二人は、僅かに開いたドアの隙間から、休憩室を覗き見ていた。

 

 喫茶店内の雫の跡は、その奥の廊下の絨毯にも続いていた。数歩ごとに落ちた黒いシミ。リズが指先で触れてみればねばついていて、その感触がまたリズの息を荒くさせた。

 跡を辿っていくと、突き当たりの休憩室にまで続いていた。恐らくアイリが休んでいるだろう私室。セラがノックしようとした寸前、中からする物音にリズが気付いた。いわく、肉と肉がぶつかるような音がする、と。

 

 耳をすませてみれば、セラにも確かに聞こえる。ぶつかると言っても殴るようなものではなく、身体と身体を打ち合わせるような音。それだけでなく、何か粘ついた汁の粘着音。そして、くぐもった女の喘ぎ声──。

 中で何やらとんでもない事が起きている。セラとリズの脳内で、ドアの向こうへの興味と見るべきではないという警告がせめぎ合った。当然だろう、音を聞けば性経験のない二人にも何が起きているか想像はつくし、そしてこの部屋にいるとしたら一人しかいないのだから。

 

 二人は顔を見合わせて迷ったが、ホムンクルスである二人もれっきとした女。結局は興味が勝ち、気付かれないよう盗み見てみよう、という事になった。特に盗み見を推したのはリズの方で、セラはやめておいた方がと尻込みしたのだが、セラが見ないなら私だけで見ると言われてしまい渋々同意したのだった。

 

 セラが音を立てないようにドアノブを掴む。ゆっくり回し、数センチだけドアを開けると。そこから見えたのは、二人の想像を上回る光景だった。

 

「おっ、奥様っ……!? 一体何を……!!」

「あれ……男の子? アイリさま、裸……ていうか、あれ、エッチしてる……よね」

 

 ヒソヒソと囁き合う。

 

 休憩室のベッドの上では、肌を晒したアイリと初めて見る小柄な少年が激しく交わっていた。アイリが仰向けに横たわり、ベッドに銀糸のような髪がきらびやかに広がっている。上半身は完全に裸で下半身も足首に引っ掛かったショーツ以外は何も付けていなかった。少年はアイリにのし掛かり、彼女の足首を掴んで股を開かせ腰を振りたくっている。

 

 明らかに、二人はセックスをしていた。ベッドの周りに放り捨てられたアイリの服が二人の夢中さを物語っている。少年が一発腰を打ち付けるたびに『ぱぁんっ♥️』と外まで響いていた音が鳴り、アイリが悲鳴を上げる。悲鳴、とは言ってもそれは苦しさからではなく、快感と歓喜から。悩ましげに眉を曲げ涎を垂らしながらも、その潤んだ瞳はハートマークを浮かべそうな勢いで自分を組伏せる男の子を見つめている。

 

『アイリさん、もっとおまんこ締めてっ。アイリさんが気持ち良くなってちゃおしおきになりませんっ』

『そっ、そんな ♥️コト言われてもっ♥️ だーりんのおちんちんが凄すぎるんだもんっ♥️ このおちんちんでおまんこ擦られてお腹突かれたらっ、気持ち良くなっちゃうに決まってるよおぉっ♥️♥️』

『しょうがないな……っ、じゃあ苦しくなるくらいに感じさせちゃいます。ほら奥まで……っ!』

『~~っぐぅうううう……!?♥️ しっ、子宮っ♥️ もう降りてるのにっ♥️ そんなごりごりエグられたらっ、気持ち良すぎて壊れちゃうぅぅぅ~ッッ♥️♥️』

 

『   』

『アイリさま、すごい顔になってる。ずばり、うわきだね、これ。あの男の子はだれだろ…………セラ? だいじょうぶ?』

『   』

『おーい。……だめだ、これ』

 

 背丈も年齢もずっと下であろう少年にマンコをガン突きされよがっている主人を目の当たりにしてセラがショートしてしまった。

 口をぱくぱくと開けて固まっている姉妹をよそにリズが視線を戻す。ベッドの情事は、佳境に入ったらしい。アイリががくがくと痙攣し、少年の腰に足を絡めて射精を促す。

 

『おおッ♥️ ぉおおおおお♥️♥️ だーりん、お仕置きしてぇ♥️ 他の男の指輪着けてきた貴方の女にお仕置き♥️ だーりん専用になった子宮にざーめんたっぷり注いで欲しいのぉぉっ♥️♥️』

 

「…………ごくっ」

 

 乱れ狂う主人の姿を目にして、リズが唾を呑み込んだ。

 

 分かりやすくショートしてしまったセラと違い、リズの反応は分かりにくい。しかしそれはただ表にはあまり顕れないというだけで、リズもセラのように衝撃を受けていた。……もしかしたら、それこそセラ以上かも知れない、という程に。

 

(あれが……エッチ。性交。セックス……。はじめて、見た)

 

 きゅん……、と下腹が痺れる。

 どう見てもアイリ本人の同意の上とはいえ、主人である彼女が、夫以外の男性に貪られている。アイリを守護するのが第一命題であるリズならばすぐさま押し入っていき、不埒ものをとっちめるのが道理というものだ。

 だというのに、リズにはその発想も浮かばなかった。それは幸せに浸っているアイリの邪魔をすべきでないという殊勝な心懸けなどではない。

 

 というか。今のリズには、主人であるアイリの姿もろくに目に入っていなかった。

 

(おちんちん……。男性の股間に、ぶら下がってるモノ。見るのは、はじめてじゃない……けど、()()()()()()になってるのは、はじめて。あんな大きいモノが……出たり、入ったり……。血管が浮いてて、そりかえってて、汁でべとべと。おなかのおく、突いてるんだ。たぶん、床に落ちてたシミは、あのおちんちんから……。あの男の子……小柄で細い身体なのに、おちんちんはたくましい。アイリさまの、うわきあいて。アイリさまを……あんなにした、男の子)

 

 アイリの股間をほじくり返す、大きなチンポ。そしてそれを備えた少年。リズの視線と思考は、彼の事ばかりを捉えていた。彼はどんな男の子なのか。性格はどうだろう。一方的にアイリを責め立てているけど、経験豊富なのだろうか。マンコに刺さったままで先っぽまで見えない彼のチンポをよく見たい。シミ一つからでも濃厚に感じた彼の匂いを嗅ぎたい。何より──彼は、私に興味を持つだろうか、と。

 

 それはリズの気質によるものだった。

 理性的なセラと違い、リズは単純で明快だ。ある意味ケモノに近い気質を持つ彼女は、本能的に上下関係を理解し、重視している。

 リズにとってアイリは素晴らしい主人だ。しかしそれはそもそもリズがアイリやその娘をサポートする為に調整されたホムンクルスだから、という事も大きい。勿論、何もなければリズは疑問を持つ事もなくアイリにずっと仕えただろうし、事実これまではそうだったのだ。

 

 しかし今、その主人がベッドの上で組伏せられ、犯されている。まるで犬がマウントを取られ交尾するような姿を見た事で、プログラミング通りにアイリへ奉仕する意思に亀裂が走ってしまった。ライオンのオスが争いに負けたら群れを乗っ取られるようなもの。いや、この場合はアイリは女であり性的にも蹂躙されているのだからもっと酷い。原始的な面を持つリズの心に響くには十分過ぎるほどの光景だ。

 

 盲目的に奉仕していたアイリへの忠誠が崩れかけている。アイリに幻滅した、嫌いになった、という訳ではない。ただ単に、『アイリさまは自分の仕えるべきご主人様ではないかも知れない』と思ってしまった。

 

 なにしろ、仮にも主人であるはずのアイリは、どう見たってあの男の子より格下の扱いをされ、それを受け入れているのだから。

 

(あ……二人の、うごきが)

 

 止まった。アイリの身体が仰け反り、男の子が腰を押し付ける。

 数秒の後。

 

『イク♥️ っっ♥️ 出てるっ……♥️ びゅるびゅるお腹に出されてる♥️♥️ だーりんの濃ゆ~いざーめんっ♥️ 私に一滴残らず出しちゃってぇ♥️ 子宮のなか、タプタプにして~っ♥️♥️』

 

 経験のないリズでも分かる。それは中出しでアクメを極めた女の姿だった。

 

 子宮の中へ、たっぷりと中出し。リズの見る限り避妊具を着けていた様子はないし、そもそも妊娠を嫌がっているようにも見えない。アイリ自身が証明したようにホムンクルスといえど種を蒔かれれば妊娠する可能性はあるというのに、夫ではない男の子からの孕ませ射精を拒む様子はまったくなかった。

 

 ゆっくりとアイリが呼吸を整える。それも、上半身を倒れ込ませた男の子と濃厚なキスをしながら、だ。舌を絡め唾液を混ぜる音がドアの外まで聞こえてくるほど。それを見て、ファーストキスもまだのリズの胸が、また鼓動を早めてしまう。

 

(キスは……気持ち良い、のかな。エッチが良いっていうのは、なんとなく分かるけど。どう、なんだろう)

 

 二人が唇を重ねるのに魅入ってしまう。無意識に自分の唇を指で撫でるとむずむずと疼く。

 アイリと男の子がキスを終えた。見つめ合う二人は何事かを囁きながらくすくすと笑っている。それこそ恋人同士にしか見えない親密なやりとりだ。

 

 ひとしきりイチャイチャしたあと、アイリがベッドから下りた。全裸のアイリが絨毯に立つ。ベッドに座った男の子の方へ向き直る。ドアからはアイリの美しい背筋しか見えない。

 

(……? アイリさま、何を……)

 

 するつもりだろう、と疑問に思うリズの視線の先で。

 アイリはすっと膝を落とした。ふかふかの絨毯の上で脚を畳み、正座になる。

 

 そして──深く深く、その身体を倒した。後ろから見るリズからはアイリの頭が前方に消え、背中に散らばる銀髪と、大きめのお尻だけが見える。

 

『本当にっ、本当にごめんなさい、だーりん……♥️ 私、アイリスフィール・フォン・アインツベルンはだーりんのメス奴隷だっていう立場を忘れて、ヤキモチを妬いて貰うために元夫の指輪を着けて会いに来てしまいました♥️ 失礼なコトをしてごめんなさい♥️ だーりんの愛を疑ってごめんなさい♥️ こんなどうしようもない女におまんこから溢れるまで中出ししてくださってありがとうございます♥️ 愛してます♥️ お慕いしてます、だーりんっ……♥️♥️』

 

(────は)

 

 アインツベルンの冬姫。完璧なホムンクルス。貞淑な妻であり娘を愛する母であり、セラとリズの主人であるアイリ。

 そんな彼女の、額を床に擦り付ける見事な土下座である。見間違えようもない、せいぜい十代半ばだろう男の子への屈服のポーズ。

 

 それを見て。遂に、揺らいでいたリズの心の柱が砕けた。

 目を見開いて自分の主がひれ伏す姿を凝視する。目が離せない。リズが信じていたものが壊れて、取り返しがつかなくなっていく。

 

 そして、思わず立ち上がった瞬間──

 

「お止めになってくださいっ、奥様……!!」

 

 ようやく正気に戻ったセラが、部屋に飛び込んでいた。





次エロ

最近土下座を書いてなかったので、セラリズ編ではたくさん書きたい。


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従者煩悶(アイリ、セラ、リズ)

「奥様っ! どうか顔をお上げください!」

「うわあ!?」

 

 突然部屋に押し入ってきたメイドさんに歩は仰天した。

 

 咄嗟に布団を下半身に被せる。そんな事をしてもアイリが素っ裸なのだから言い逃れしようがないのだが、流石に初対面の女性相手にフルチンでいられるほど図太くはない。

 

 飛び込んできたメイドさんは銀髪赤目の美少女だった。目元がキツめで性格をよく表している。それも今は泣きそうにくにゃりと曲がり、彼女の心境を反映していたが。

 しかも、メイドさんは一人ではない。先に入ってきたメイドさんの後ろからもうひとり、同じ服装の女性が入ってきた。こちらは少し眠たげというか力が抜けたような少女で、いくらか落ち着いているようだった。

 

 二人とも、それこそ人形のようなとんでもない美少女だ。その風貌からアイリの関係者なのだろうという事は容易に想像がつく。

 つまり、アイリの身内に浮気現場へ踏み込まれたという事である。やばい、どうしようアイリさん──と人妻を見るが、驚いた事に彼女は動じていなかった。

 

「あら、入って来ちゃったのセラ。今いい所だったのに」

「え……お、奥様……?」

「どうせなら最後まで見ててくれれば話が早かったんだけど。まあセラはそういう性格だものね……ん」

 

 呆気に取られるセラをよそに、アイリがリズを見る。

 内面を窺えない無表情。少し頬が赤らんでいるが、それだけだ。

 だというのに、アイリは正確にリズの現状を把握していた。それは歩のものになった事で目覚めた女の嗅覚であり、またかつてリズと同じ目に逢ったからでもあった。

 

「……そっかそっか。リズは早くもそうなっちゃったかあ。だーりんったらまだ顔を合わせてもない女の子を、ねえ……♥️」

「な、何をおっしゃっているのですか? そんなコトより、どうぞこちらをっ」

 

 セラがクローゼットから白色のガウンを取り出しアイリの肩にかけようとする。

 しかし、アイリはそれを手で制した。断られるとは思っていなかったセラが目を白黒させる。

 

「お、奥様? どうされたのですか? 早くこちらで身体をお隠しに……」

「いいのよ、減るもんじゃあないし。それより、聞きたいコトがあるんじゃないかしら?」

「そっ……それは……」

 

 セラがちらちらと歩を見る。聞きたいかと言えば、とてつもなく聞きたい。少年が何者なのか。少年とアイリの関係を。

 しかしセラは切り出せず口をもごもごとさせるばかり。それは恥ずかしくて聞けないという事もあったし、聞いてしまえばその時こそもう後戻り出来ないという事でもあった。

 

 だが、

 

「──アイリさま。その子は、うわきあいて、ですか?」

「なっ……り、リーゼリット!?」

「あら、大胆ねリズ」

 

 それをあっさり破ったのは彼女の妹だった。まごついている姉を押し退けるように単刀直入に質問する。

 アイリはさらりと、

 

「浮気、っていうとおかしいかも。率直に言うとね、私が一番愛してるのは彼のコトだから」

「え……あ、愛して……?」

「うん、彼を──だーりんをね。見てたでしょう、だーりんと私のエッチ。言っておくけど、今日が初めてとかじゃないわよ? もう私の身体でだーりんが触れてない所なんてないし、心もぜ~んぶだーりんのモノなの♥️」

「だ、だーりんというのは」

「決まってるでしょう? この子よっ」

 

 セラにそう言って歩に抱きつく。ふんわりと柔らかい豊乳が二の腕に押し付けられた。

 

「アイリさん、今はまずいんじゃ……」

「ほら、だーりんはもっと堂々としてて? 何も悪くないんだもの。あ、それよりごめんね、セラとリズが盗み見してるって教えなくって。説明するより見せた方が手っ取り早いかなーって、あえて黙ってたの。ふふ、ドキドキしたなあ、他人に見られながらだーりんとエッチするの♥️」

 

「お、奥様ぁ…………」

 

 自分を放ってイチャイチャし出すアイリにセラは半泣きである。浮気を止めるどころか見せ付けている節のある主人にたじたじだ。

 

「アイリさま。聞いてもいい?」

「あら、なあにリズ。なんでも聞いて頂戴」

 

 再び役に立たなくなってしまったセラの代わりにリズが進み出た。呆、とした視線をアイリに向け、

 

「まず。旦那さまのコトは、忘れたの?」

「うん? 勿論忘れてなんかないわよ。あの人は私の愛する家族だわ。

 ……でも、それが異性の愛情かっていうと、ねえ。そりゃあ無くなったワケじゃないけど……だーりんと比べたら百分の一か、千分の一か……ううん、一万分の一? もっとかしら? まあそんなところね。だーりんっていう、運命の人を見つけちゃったんだもの。あの人を一生添い遂げる相手だと思ってた頃もあるけど、それは勘違いだったみたい」

「なるほど」

 

 聞きようによってはひっくり返ってもよさそうな告白だ。現に隣のセラは泡を吹きそうである。

 しかしリズはこくこくと頷くだけ。それはむしろ、推測していた内容を確認するかのようだ。

 

「じゃあ、イリヤのコトも、私たちのコトも。忘れたり、どうでもよくなったわけじゃない。ただ、その子が、ずっと大切になっちゃった、ってコト?」

「ええ、そうよ」

「さっきまでのを、見せたのも……ううん。このお店も、私たちを日本に呼んだのも。彼の、ため」

「そうよ、その通り。よく分かったわね」

「ん。やっぱり、思ったとおり」

 

「あ、あのう?? ついて行けないんですけどー!?」

 

 二人だけで謎の理解をしている主人と妹にセラが叫んだ。

 実際、常識的にはおかしいのはアイリとリズの方でありセラはむしろまともなのだが、非常識な相手に囲まれてしまうのが彼女の運の無さである。

 

「セラ、分からない? かんたんなコト」

「ぜ、全然簡単じゃありませんっ」

「ううん。すごくかんたん」

 

 リズは困惑する姉を見て、

 

「その子は。すごく、つよいオス。アイリさまよりつよい。アイリさまは、その子に負けちゃった。好きになっちゃった。だから、なにかあげたい。惚れたよわみってやつ」

「は、はあ……?」

「セラでもわかるくらいかんたんに言うと。アイリさまは、もう私たちの主人じゃない。……ううん。せいかくには、いちばんの頂点じゃなくなった。

 私たち、っていう群れはのっとられた。それで、いままで私たちがアイリさまのメイドだったみたいに、アイリさまはその子に貢いで、ご奉仕するたちばになった。

 あとは、分かるでしょ。貢ぐものは、いろいろあるけど。ゴハンとか。お金とか。たぶんそういうのは、もうあげたあと。

 だったら。ほかにオスに捧げられるのは、若いメスだよね」

「──────」

 

 セラは、固まってしまった。あんぐりと口を開けて、リズを見るばかりだ。

 

 ぱちぱちと拍手の音が響く。アイリが手のひらを叩いていた。

 

「正解っ。凄いわリズ、貴方やっぱり資質があるわ!」

「このくらい、かんたんに分かる。セラじゃあるまいし。えっへん」

「っっ……この、得意気な顔してるんじゃありませんっ! 貴女ね、それが本当なら私たち、その子に……っ!?」

 

 怒鳴りながら反射的に少年の方を見ると、不安そうな彼と目があった。

 

 どくん、と心臓が跳ねて、セラが慌てて目を逸らす。顔が熱い。堰を切ったように堪えていた感情が溢れ出す。

 

(な、なんでこんなにドキドキして……!? ええい、この子は奥様を陥れた悪魔なのよ……!!)

 

 どうにか胸の高鳴りを抑えようとする。

 歩とアイリのセックス、更にアイリの土下座は、セラにも大きな影響を与えていた。その理性を狂わせかねないほどに。

 敬愛していたアイリが完全に叩きのめされるのを目の当たりにしたのだ。もう、この少年が並外れて優れたオスだという事は疑いようもない。

 

 ホムンクルスとしての性質も無関係ではない。彼女たちは、根本的に人に傅く存在である。その傅く相手であるアイリが崩れたと知ったならば次の主人を求めるのは必然。そして今、セラたちを従えるほどの人間は、歩しか有り得ないのだった。

 

「ふふっ。二人とも、自分がここに呼ばれた意味、分かってくれたみたいね♥️

 ……それじゃあ、さっそくだけど」

「あっ」

 

 二人の様子を見たアイリが笑いながら歩の腰にかかった布団をめくる。

 

 そこにあったのは、勿論歩のチンポ。それも、歩の精液とアイリの愛液でべっとり汚れたチンポだ。射精した直後である、今は萎えているが、その気になればすぐに復活する事をアイリはよく知っていた。

 

「ひっ……!!」

「……ん……」

 

 セラが息を呑み、リズが喉を鳴らす。

 二人の視線がチンポへ吸い寄せられる。彼女たちの主を叩き潰し、堕として見せた傑物へと。

 

「命令よ……って、私はもう貴女たちの主人とは言い難いけどね。

 ほら。どちらかだーりんのおちんちんを綺麗にしてみて? 大丈夫、私が保証するわ。だーりんの女になれるって、これ以上なく幸運で幸せなコトよ♥️ これはその第一歩。ほらほら、勇気を出してみない?」

「っ、ぅ…………!!」

 

 どきんどきんどきん──と、セラの心臓が痛いほどに跳ねる。

 イヤなはず。触れたくもないはずなのに、何故か目が離せない。粘液まみれの肉棒。汚れまくった生殖器。

 

 口内に唾液が溜まって、溢れてしまいそう。この唾液が乗った舌をあれに張り付けたいと、自然に思ってしまう。主人を欲するホムンクルスとして、またエッチに興味津々な初心なメスとして。その両方が、あのチンポを求めてやまない。

 それでも。セラは、どうにか本能の囁きを堪えようとする。

 

(だめっ、だめだめだめ……! 毒牙にかかってはいけません……! イリヤ様だって、『彼』だって、私たちの帰りを待っていますっ。もちろんあんな人好きじゃないです、好きじゃないですけどっ! でも、想いは私もリーゼリットも同じ。だったら、私たちはちゃんと戻らないと……!!)

 

 異国の地で待つ可愛いお嬢様、そして姉妹揃って淡い想いを抱く少年。彼らの事を思い出し、煩悩を振り払う。これは一時の気の迷い、アイリの行為にあてられただけ。そう念じて元の自分にしがみつく。

 いや、しがみつこうとする。

 

 ──もちろんセラもとっくに手遅れ、あとは歩にどう美味しく戴かれるかという段階であり。

 彼女の妹は、一足先に少年に跪く事を決めてしまっていたのだが。

 

「……分かった。私とセラ、どっちかが、やらないといけないんだよね」

「え……リーゼリット?」

 

 今までの積み重ねにすがり、衝動を抑えようとする姉。

 それを尻目に、妹があっさりと歩み出た。セラは信じられないようなモノを見る目だが、既にリズは確信していた。

 

 アイリを負かした男の子。彼こそ、自分が仕えるに相応しいオスではないか、と。

 

「セラは、決心がつかないみたい。

 ……しょうがない。うん、しょうがないから──私が、やる」

 

 他に適任はいないのだから、と呟く。

 しかしその真っ赤に染まった顔を見れば、彼女の本心は透けて見えるようなものだった。





エロまで行きませんでしたが、切りがいいので。
次もほぼ書けているので早めに投稿したい。


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従妹陥落(アイリ、セラ、リズ)

寝取り要素を含みます。


「リーゼリットさんのおっぱい、大きい……っ。ふかふかで凄い……!」

「んっ……ふ……。リズって、呼んで……」

 

 大きなベッドの上、その中心へ座る少年にもたれ掛かるようにして、リズは歩におっぱいを揉みしだかれていた。

 

 右脇に座るリズの背中から回した右手で彼女の右のおっぱいを、左手で左のおっぱいを掴む。

 リズのメイド服は胸部のみを薄く黒い布で包んでいる。その特大の大きさも柔らかさも堪能できるエロメイド服だ。とはいえ、それを味わったのは歩が初めてだったが。

 

 下から持ち上げ、落とす。弾力に秀でたおっぱいがぶるんと震えた。手のひらで押せば、むっちりと潰れて形を変える。タイツのように薄い布の肌触りと、その奥にあるとんでもない柔らかさが病み付きになってしまう。手のひらを限界まで広げて指を乳肉へ沈ませ、五指で感触を確かめる。はふ、はふとみっともなく鼻息を荒くしながら初対面の美少女メイドさんのおっぱいを自由に弄ぶ。

 

 歩のチンポをお掃除する、という名目で始まった二人の行為は、早くも脇道に逸れていた。まだリズはチンポに触れてもおらず、一方的に歩がリズの身体を堪能するばかり。しかしこの部屋で最も立場が上なのが歩である以上、誰も口を挟む事など出来るはずもない。

 

「本当におっきい……! これ、今までで一番かもっ」

「……いちばん。アユムが触れた中で、いちばん?」

「あ……ごめんなさい、失礼な事を」

「ううん……嬉しいから、いい。もっと言ってくれて、いいよ」

 

 少年の名前。その響きは不思議なほどにリズの心に反響し、染み込んでいた。アユム、アユム……と呟けば、自然と胸が高鳴り、毎日呼ぶのにしっくりした響きかも、なんて思ってしまうほどに。

 

「うん、やっぱり間違いなく一番おっきいです、リズさんのおっぱい。96……ううん、98はありますよね。たぶんIカップくらいかな」

「え。触っただけで、分かるの?」

「はい、感覚で分かります。こんなおっぱいが揉めて光栄ですっ」

「……ふう、ん」

 

(きっと……たくさんの女の胸を揉んできたから。色んな女の胸を、大きさを覚えるくらいまで揉んで、数値も言わせて。指先だけで、分かるようになるまでになったんだ。……凄い。本当に、凄いオスなんだ。優れた女を、独占して、好き放題して)

 

 そして、その中でお前の胸が一番だった、と言われて。

 歩はリズの胸を触れて光栄だと言うが、リズに言わせれば触って貰えるこちらの方が光栄だとさえ思うくらいだ。掴みどころがなく飄々としたメイド美少女は、歩に対しては自然に下手に出てしまっていた。

 

 歩の右手が今度はお尻へと回った。リズに抱き付く格好になり、大胆にも左手はおっぱい両方。抱きかかえるような体勢になる。

 むちむちっ♥️ ふにふに♥️ と、リズのお尻と胸、両方規格外のそれを同時に味わっていく。

 

「り、リーゼリットぉ……あんなになって……」

「くす♥️ もうメスの顔になっちゃって♥️ ただでさえ堕ちかけだったものね、そこにだーりんにモミモミされちゃあ耐えられるはずないかあ……♥️」

 

「っふ♥️ んんッ……♥️ くぅ……♥️♥️」

 

 いつもは口数の少ないリズの唇は、少年に好き勝手に身体をまさぐられただけでだらしなく半開き。戦闘でも漏らす事のない熱く湿った吐息を吐き出していた。額には汗が浮かび、彼女の興奮具合を表している。

 

 歩の両手は更に大胆になっていく。右手はスカートを邪魔だと言わんばかりにめくりあげ、直接尻を撫で始めた。シンプルで細い白の下着ごと尻肉を掴む。胸に負けず劣らずのボリュームだ。きっとこちらの大きさも計られているのだろう、と思うとリズの心は羞恥でいっぱいになってしまう。

 そうやって尻を愛撫しながら、歩が顔を思い切りおっぱいに押し付ける。アイリにもして貰ったおっぱいサンドに、むふう、と恍惚のため息を漏らしながらすりすりと顔を擦り付ける。美少女メイド、それもメートル超え手前の巨乳相手に一切遠慮せず、人妻美女に貢がれるオスとしての特権をしっかり使っていく。

 

「んん……っ。リズさん、好きぃ……! 僕のモノになってくださいっ、お願いしますっ」

「っっ……♥️ ま、まだ分かんない……考えちゅう……♥️ もうちょっと、アユムとの相性、たしかめなきゃ……♥️」

「そんな、お願いです。リズさんみたいな魅力的な人、絶対あきらめられませんっ」

 

 何とも早すぎる告白である。とはいえ、もちろん歩が適当に言っている訳ではない。このメスは堕とせると、モノに出来ると直感で判断した故だった。

 その証拠に、

 

(腰、しびれ……ッ♥️ なに、その告白、ふいうちすぎ……♥️ こっちがばかみたい、私はアイリさまの命令でしかたなく、みたいなポーズとってるのに……アユムはまっすぐ告白してくれるなんて……♥️)

 

 この期に及んで浅ましく建前に隠れている自分に対し、性欲むき出しの大胆な告白を披露する歩。その告白でリズのマンコは歓喜し、こぽりと白濁した本気汁をお漏らししていた。否が応でも自分と歩の格の違いを思い知らされてしまう。

 

 98センチおっぱいの谷間で深呼吸しながら、歩がリズを見つめる。少年のつぶらな瞳と至近距離から目が合ってしまったリズは慌てて逸らすものの、やがておずおずと視線を戻した。

 

(こんな、見た目は可愛いくらい、なのに……♥️ シロウに比べたら、線も細くて、身体もちいさくて……。なのに、見つめられただけで、腰抜けそう……♥️ こんなの……反則……♥️)

 

 歩はリズを身に余る美女だと捉えていた。ここで逃したらもうお目にかかれないほどの相手だと。

 けれど、リズに言わせれば逆だ。リズにとっての歩こそ運命の人。本能で分かる、これ以上は有り得ない今すぐひれ伏すべき最高のご主人様だった。

 

 そんな少年からの逆告白。あまりの歓喜で意識が飛びかけているリズの谷間から顔を離す。

 涼しくなった胸元に寂しいと思う暇もなく、

 

「リズさん……僕、リズさんとキスしたいです。……いいですか」

「き……キス……っ♥️ でも、私、はじめて……」

「イヤですか?」

「イヤ、じゃなくて。その……うまくできるか、どうか……」

 

 わたわたと頬を染めて慌てる様子に微笑みながら、歩がリズの頬に手を当てる。

 そのまま──

 

「ふぁ……まって、まっ……んむっ♥️」

 

 ぷっくりした厚めの唇。艶めいて光るそれを、歩の唇がついばんだ。

 

「んぷ、れろぉっ♥️ ちゅっちゅ♥️ んべぇぇ~っ♥️ ちぅぅぅぅ……♥️」

 

 今までで誰にも触れられた事のなかったリズの唇は、今日出会ったばかりの男の子に奪われてしまった。

 胸や尻と同じく、リズの唇と舌は肉感的だ。弾力に富んで歩の舌を跳ね返してくる。その抵抗を楽しみ、柔らかさを感じていく。

 

 歩とのキスでリズの心臓は爆発寸前、思考もまとまらない。それを見抜いて歩がリードしていく。たぷんたぷんとおっぱいを揉みつつ、リズの口に舌を滑り込ませ、歯茎の裏まで舐め上げる。怯えるように引っ込んでしまったリズの舌をつつき、優しく緊張をほぐしてやる。

 

 リズの舌が咥えられ、ずるるるるっ♥️ と啜られる。リズの目の前に火花が散った。全身の筋肉が強ばり、電流が駆け巡る。

 

「んぐぅーっ♥️ ふっ♥️ ふ♥️ んふぅううう……♥️」

 

 リズの腰がふるふると揺れる。大きな尻がベッドを軋ませた。

 

 口を吸われただけ、しかもこれがファーストキスだというのにリズは絶頂へ押し上げられていた。もう愛液が溢れ、パンツでは収まらずスカートの下で太ももをべっとり濡らしているのが分かる。

 

「っ……ぶはぁああっ! はーっ♥️ はぁーっ♥️」

「あ……イッたんですね、リズさん。良かった、イヤじゃなかったって事ですよね」

「だ、だからイヤじゃないってさいしょから言ってる……あ、待って、んんッ♥️」

 

 再び唇を奪われる。

 しかも今度はそれだけでなく、スカートの下に少年の指が侵入してきた。あっ、と思う間もなくパンツを押し退けられ、秘裂に歩の指が掛かった。

 

 すでに洪水を起こしたようになっているずぶ濡れマンコ。曲げられた人差し指に浅瀬を引っ掛かれ、リズの腰が跳ねる。

 

「んっぐぅぅううううッ!?♥️ ひいいッ♥️ ふぐうううううう♥️」

 

 戦闘用に調整され、人間を超えた力を備えるホムンクルスであるリズ。

 

 そんな彼女を歩は指一本で支配してしまった。さらにまだまだと言わんばかりに奥まで指を届かせ、掻き回す。マンコは生まれて初めて侵入してきた外敵に怯えながらもすがり付き、襞をうねらせていく。

 ぶちゅぶちゅ♥️ にゅるる♥️ と音を立てながら玩具のようにマン肉をほじくられ、リズは悶絶するしかない。

 

 リズのマンコを弄ぶ歩の指先が何かに触れた。独特の、薄い膜のような感触。

 

「あれ。これ、もしかして処女膜かな? 変わってますね、処女膜って言っても普通はもっと穴が開いてるものなのに、リズさんのは本当に膜って感じです」

「~~~っ!!???♥️♥️♥️」

 

 触れてはいけない所を直に触られ、リズが目を見開く。

 元々は廃棄予定だったところを調整して運用されている存在であるセラとリズ。その身体は人間とは異なる部分も多い。

 

 処女膜はその一つだった。人間を模して作られたとはいえ、妊娠する事など姉妹の仕事の内にはない。そもそもボテ腹になっていてはアインツベルンに奉仕するという役割を果たせないだろう。

 その為、万一にも孕む事のないように、セラとリズはぴっちりした一枚膜で子宮の手前を守られていた。特殊な膜である、人間のそれと違って破られるのに痛みを伴わず出血もない、ただの生体膜。

 

 しかし。それはただ破瓜の苦しみがないというだけで、神経には繋がっている。

 

「うわ、面白いなあ。つるつるしてます。ホムンクルス?ってやつだからでしょうか」

「ッッ♥️♥️ お゙お゙お゙お゙お゙ん゙っっ♥️♥️ やべッ♥️ やべでぇぇッッッ♥️♥️」

 

 コリコリと爪で膜を引っ掛かれる。内臓の最奥、快楽神経の端を直接引っ掛かれているようなものだ。

 生娘のリズには余りにも強すぎる刺激である。マンコがぶしゅぶしゅと狂ったように愛液を吹き出した。大股開きでのけ反り、ベッドのヘッドボードに頭をゴリゴリ擦り付けながらイキまくる。

 

「んぐぅーっ♥️ うう♥️ ふひぃぃぃっっ♥️」

 

 あまりの快感で脳神経がパチパチとショートしてしまう。膜を引っ掻く歩の指は、これまた丁度いい力加減だった。痛みや苦しみまでは行かない程度に巧みに刺激し、快感のみが送り込まれてくる。

 オナニーもろくにしたことのないリズには受け止めきれない激感。白目をむいて歩の指に狂わされてしまう。

 

「リーゼリット……! お願いしますっ、あまり酷いコトは……!」

「あ……ごめんなさい、やり過ぎましたね。リズさん、大丈夫ですか?」

 

「あ゙ーっ♥️ あ゙あ゙ー……♥️♥️」

 

 リズを責めるのに夢中になっていた歩が、セラの悲痛な呼び掛けで手を止める。

 

 指を引き抜かれたリズはうつろな目で呻いていた。いつも感情の乏しい目をしているリズだが、それとは根本的に違う。性的な躾を受けた、被虐的な快感に濡れた瞳だ。

 

 強すぎる刺激にリズの焦点の合わない瞳からぽろぽろと涙が零れている。

 その顔の前に、歩が手をかざした。リズのマンコを抉っていた手。その手のひらは、指先から手の甲、手首に至るまで白く濁ったリズの本気汁でベトベトだ。

 

「いきなり奥まで触ってすみません、リズさん。でもアクメ出来たみたいですね。感じて貰えて良かったぁ」

「はっ……はへ……♥️」

 

 にこにこ笑う少年の手のひらを濡らす、自分のマン汁。

 それを目の当たりにして、リズの背筋には恐怖さえ浮かんでいた。その体液は、つまるところ自分の敗北の証だ。普通ならお互いの性器を擦り合わせるのを助け、中出しへと導く為の重要な役割を持つ潤滑油。しかしこの少年相手では、指先で少し弄られただけでマンコが勘違いしお漏らしする程度の小水に過ぎないのだと見せ付けられてしまう。

 

(これ……まずい……♥️ もう相性たしかめるとかの話じゃない……っ)

 

「それじゃ、リズさん。そろそろお掃除して貰ってもいいですか」

「あぅ……♥️」

 

 ぐっと腰を寄せられる。

 歩の股間。萎えていたチンポは、リズの痴態を見た事で再びいきり勃っていた。アイリとのエッチを盗み見ていた時には見えなかった全貌が顕になっていている。

 

 リズの想像を超えた大きさ、逞しさ。精液にまみれた淫水焼けチンポは、威圧感さえ漂わせていた。

 

(す、すっごいにおい……っ♥️ あたま、おかしくなる♥️)

 

 濃厚な匂いがリズの鼻を刺す。先走り汁の残り香でも発情させられたのだ。精液そのものなら尚更である。

 チンポから目が離せない。他のものが遠ざかって、チンポだけに焦点が合ってしまう。

 

「どうやって綺麗にして貰おうかな。……うーん、やっぱりリズさんはおっぱいが良いか」

「ぅ……私の、むね……?」

「はい。おっぱいで挟んで拭いて欲しいです。リズさんのおっぱい、ハリがあってむっちりしてるから、しっかり綺麗に出来そうですね」

 

(おっぱいで……アユムのおちんちんを……♥️ じかに、触るってコト……♥️)

 

 もちろん、リズはチンポになど触れた事はない。その初めてを、歩に。この特別なオスのチンポが初めて触れるチンポだと思うと、それは喜ぶべきなのではないかと心の何処かが囁く。

 

 けれど、胸を使った愛撫──パイズリなどやり方が分からない。一応、知識として知ってはいるのだが、作法など見当が付かなかった。

 

 そんなリズに今まで傍観していたアイリが歩み寄った。困り果てているリズの肩を優しく抱く。

 

「あ……アイリさま……」

「だいじょうぶ、リズ。私が教えてあげるわ。ほら、ベッドから下りましょう。だーりんはベッドに腰かけて?」

 

 手を引かれてベッドから床の絨毯へ足を下ろす。

 ベッドの端に腰かけた歩の前に座り込む。ちょうど胸の前にチンポが来る高さだ。さっきよりも間近になったせいで、チンポの凹凸や亀頭の形がよく分かる。

 

 少年のチンポに圧倒されているリズに微笑みながら、後ろに回ったアイリがメイド服に手を添える。

 コルセット状に腹部で絞めている部分の紐を外すと、それに持ち上げられていた乳房がぶるんっ♥️ と解放された。ただでさえ巨大だというのにまた一回り大きくなったようにも見える。

 

 首から胸、腰までを包む薄い黒のインナーを下からまくり上げていく。するすると上げられたインナーは、おっぱいの下までで止まった。

 

「……ごくっ」

 

 さしもの歩も唾を呑む。目に飛び込んでくるのは、インナーから僅かに覗くリズの下乳だ。Iカップに膨れ上がったおっぱいの下部、そして魅惑的なパイズリ穴。インナーが黒色のせいでリズの白さ、興奮からくる赤らんだ肌が強調されている。

 

「首の方は胸元まで下ろして……っと。はい、準備出来たわ。

 それじゃ、おっぱいを持ち上げて。そう、下から支えるみたいに」

「こ、こう……?」

 

 手のひらを皿にして下から持ち上げる。巨乳の形が変わり、サイズのきついインナーははち切れんばかりだ。

 

 そのまま天を向いて屹立する歩のチンポ、その亀頭の上へ、下乳の谷間をあてがう。ぬぷ、と汗ばんだ乳房と精液まみれのチンポが触れた。

 

「いいわ。位置と角度を調整して。そしたら──はい、離しちゃえ♥️」

「んッ──」

 

 言われた通りに、手を離すと。

 

 柔らかい柔らかい、蜜の詰まった肉風船。Iカップともなれば片乳だけで1キロを超える膨らみがチンポを挟みながら落下する。

 インナーに締め付けられてぱつんぱつんに張り詰める両乳房の谷間をチンポが掻き分けていく。柔らかさと締め付けのせいで、チンポへの圧迫感は恐ろしいほど。更にキメ細かいリズの肌がチンポに快感を与えていく。

 

 だぷんっ♥️ と歩の太ももにおっぱいが落ちた。リズのインナーの胸元から亀頭が飛び出るが、それも先っぽだけだ。それ程の巨乳だった。

 

「くはっ……! すご……!」

 

 歩が恍惚としたため息を漏らした。チンポと下腹部に押し当てられたおっぱいの感触は、腰が蕩けてしまいそうなくらい。

 

 柔肉に包まれたチンポがびくびくと跳ねる。そのせいでチンポとおっぱいが擦れ、また快感が生まれる。ここまで主導権を握っていた歩でも夢中になってしまうほどだ。

 

「よく出来たわね、リズ♥️ そのまま身体を上下させて、おちんちんを擦ってあげて♥️」

「は、い……んっ、ん……♥️ よい、しょ……♥️」

 

「ううっ……! これ、やばいですリズさん……!」

 

 手でおっぱいを押さえながら背伸びするように身体を動かし、パイズリしていく。瑞々しいリズの肌のせいでおっぱいがチンポに吸い付き持っていかれそうだ。

 おっぱいが持ち上げられ亀頭が谷間に消え、下乳に引っ掛かる。そこまで抜いたところで、一気に落とす。ストロークのたびにおっぱいが歩の太ももに当たり、たぱん♥️ ぱつんっ♥️ と音を立てた。

 

 アイリがベッド脇の籠からチューブボトルを取り出した。歩とのエッチ用に準備しておいた潤滑用のローションだ。それをリズの胸元に垂らしていく。滑りが良くなった谷間でにゅるにゅると勃起チンポが扱かれる。

 

 歩が手を後ろについて腰を突き出し、うっとりとご奉仕を受ける。パイズリの経験はあるが、その中でもとびきりの気持ち良さ。リズのおっぱいでなければ実現しないだろう快感だ。

 

(ちょっと、私のペースかも。アユム、きもちよさそう……♥️)

 

 歩を見上げると、眉間にシワを寄せて快感に耐えていた。ぎゅっと目をつむる少年の顔は年相応で、ちゃんとこういった一面もあるんだと可愛らしく思えてしまう。

 

 と、リズの背後のアイリが目を光らせた。

 彼女らしい茶目っ気が顔を覗かせる。二人のエッチにちょっかいをかけたくなってしまったのだ。

 

「あー、そういえば。──リズってば、気になる男の子がいるのよねえ」

「っ!?」

 

 突然話を振られたリズは目を丸くした。

 

「な……なにを、アイリさま」

「え、そうなんですか?」

 

 当然、歩にも聞かれ、興味を持たれてしまった。

 アイリはなおも続ける。

 

「そうなのよ。うちの養子の子なんだけどね。リズ、あの子のコトはもういいのかしら?」

「え、えと……()()()のコトは関係ない……」

「そうも行かないでしょう。他に本命がいながらだーりんと、なんて私が許さないし。それにだーりんも、ね?」

「……はい」

 

(う…………アユムの目、ちょっとこわい)

 

 こちらを見下ろす少年の目。その瞳は今、濁った色に染まっていた。

 女の子に昔どんな事があったかなど気にしない歩だが、現在進行形なら別の話だ。もとより独占欲の強い歩の事。獲物と見定めたリズに本命がいる、なんて事は看過出来るはずもなかった。

 

 ──とはいえ、リズはもう歩を主人にする事を実質認めているようなもの。

 何より、これほど優れたオスと出会える事は今後有り得ないだろう、というのは経験の薄いリズにも見当がついている。ここまで来てアユムに気に入って貰えない、なんて事は絶対に御免だった。

 

「ちが、ちがうの……! すきなんかじゃないっ。私、もう、アユムをご主人さまにするって決めてる……!」

「でも、アイリさんはああ言ってますけど。本当かなぁ」

「うう……!」

 

 焦って涙ぐむリズ。もちろん、後ろで策が嵌まったと笑みを浮かべているアイリには気付かない。

 

「だって……だって、こんなふうになったの、アユムがはじめて……!」

 

 元主人に乗せられている、と気付かないリズは、本心を吐露していく。

 淡く儚い初恋ではなく、今目の前にいる最高のオスへの隷属、そちらを選ぶのだと。一度口にしてしまえば、もう後戻り出来ない告白を。

 

「あっちとは……シロウとはなんねんもいっしょにいて、すきなのかなって勘違いしちゃっただけ。エッチしたいとか、ご主人さまになって欲しいとか、いちども思わなかった」

 

 むぎゅぅ……♥️ とチンポを挟むおっぱいに圧力を加える。

 言葉と身体。両方からオスに媚びて、メスとして気に入られようとしていく。

 

「でも、アユムはちがう……♥️ 会うまえから、まけそうになってた♥️ アイリさまとのエッチをみて、お仕えしたいって、思っちゃった……。まだ会っていちにちもたってないのに、これ♥️ くらべものになんない……♥️ ぜんぜん別格だって、はっきり分かっちゃう♥️」

 

 みち……、と胸が内側から押し退けられる感覚。

 他のオスより貴方を選びますというアピールに、歩のチンポが反応したのだ。人妻を寝取るのに興奮を覚える少年である、こういう告白にもしっかりと反応する。それに気をよくしたリズは、以前の彼女なら言わないような事まで口にしていく。

 

「お、おちんちんだって……♥️ いちど、おふろ上がりのシロウのおちんちん、みたコトあるけど♥️ 萎えてるとき、ってコトもあるけど……アユムのほうが、ずっとずっとおっきかった♥️ きっとあっちのおちんちんは、勃ってもこのくらい、アユムのおちんちんのカリ首くらい♥️ ぱいずりしたって、アユムみたいに先っぽが出てこない……ううん、シロウが小さいっていうより、アユムが逞しすぎるだけ……♥️」

 

「リ……リーゼリット……」

 

 セラが呆然と完全に心を決めてしまったリズを見る。

 同じ想いだと思っていた妹がオスへ陥落していく姿は、彼女の心にも罅を入れていた。

 

「だから、ね……♥️ もう言っちゃうけど……アユムに、ご主人さまになってほしいの……♥️ こんなきもち、今までなったコトなかった……アイリさまでも、イリヤでも……シロウでも♥️ アユムがはじめてなの、このひとのモノになりたい、って思うのなんて……♥️♥️」

 

「……リズさん。嬉しいです」

 

 ぽん、と頭を撫でられる。

 髪をくしゃりと鋤かれ、リズの胸が温かくなった。飼い犬が主人に撫でられて喜ぶのと同じだ。主人との触れ合いで愛情を感じ、支配下に置かれているのだと安心してしまう。

 

「ほら、パイズリはもういいです。次は咥えて貰えますか?」

「く、咥え……♥️ うん、わかった……がんばる……♥️」

 

 このフル勃起チンポを咥えろと言う。とんでもない命令だ。なのに、リズにはもう断るという選択肢が浮かばない。

 

 おっぱいから、ずるるる……とチンポを引き抜く。パイズリ穴からローションまみれのチンポがぬぽんと抜け落ちる。リズの告白で挟み込む前より更に漲りエラを張ったオスチンポ。パイズリ奉仕のおかげで鈴口から汁を垂れ流し、射精が近いのは明らかだ。

 

 リズが根本を指で支え、直立させる。リズの顔を悠々と縦断できる長さだ。

 ぱんぱんに張り詰めて苦しそうなソレの上で、小さな口を広げ。──ぬぷり、と亀頭を頬張った。

 

「む、ぐ……っ♥️ ぶちゅる♥️ じゅるっ……ぐぷぷぷぷぷ♥️」

「はぁ……っ!」

 

 射精寸前のチンポが生暖かい口へ呑み込まれていく。

 リズのぷるぷると艶めいた唇がチンポを滑る。舌がねっとりと絡み、窄められた頬が張り付く。

 

(アユムのおちんちん……♥️ 口でちょくせつ触れたら、よけいに分かる……こんなつよくて、たくましいのに、勝てるわけない……♥️ アイリさまやイリヤにはないおちんちん……シロウじゃかなわないおちんちん♥️ 私、なんて運がいいの……アユムにであえて、しかもおまえが欲しい、って言ってもらえるなんて……♥️)

 

 チンポに押し退けられた唾液が唇の端から溢れるのも構わず、奥へ奥へと咥えていく。ローションに続いて唾液の海に浸ったチンポはふやけている事だろう。

 根本の手前まで呑み込んで、リズが歩を窺う。次は引き抜いてフェラチオを続ければいいのか、と目で聞く。

 

 しかし、歩の要求は違った。

 

「ん、ぐ……?」

 

 再び歩がリズの頭に手を置いた。さっき頭を撫でたのと同じ場所だ。

 リズが、また撫でて貰えるのか──と思うが、違う。

 

「ごぶ……っ!! ぶぐう!? ぅぐううううう……♥️」

 

 リズの頭頂。銀髪が揺らめくそこへ手を置いた歩は、ぐいぃぃ……と股間へ押さえつけたのだ。

 

 美少女メイドの顔が股間に沈み込んでいく。やがて、ぶちゅ♥️ と唇とチンポの根本が触れてしまった。

 そのままリズの頭を掴み、股間に押し付ける。喉奥の感触を亀頭で味わい、唇で根本を扱かせる。ぐりぐりと回転を加えてチンポを刺激していく。

 

「ぶご……ッ♥️ ぶぷうッ♥️ ぶちゅぶちゅぶちゅっ♥️ ぐぶぅぅううう……♥️」

 

 完全に、好き勝手に使う性具状態。女を道具に見立てた王様エッチだ。

 使われる側のリズは堪ったものではない。人生初フェラだというのにキツ過ぎるフェラチオを、懸命に喉を開いてどうにか受け入れていく。

 

「あは、すごいわだーりん♥️ 男らしくてかっこいい~♥️」

「あ、ああっ……。どうかあまり酷いコトはしないでください、お願いします……!」

 

 アイリとセラが野次を飛ばすも、二人には聞こえていなかった。すっかりお互いの粘膜の感触に酔いしれている。

 

「がぼッ♥️ ぉごおおっ♥️ じゅぷっ♥️ ずるるるる……ッ♥️」

 

(喉のおく、柔らかいところ、ガンガン突かれてる♥️ オナニーに使われてるみたい♥️ かたくて、あつくて、ヤケドしそう……♥️)

 

 頭を揺らされているからか、歩のチンポを味わっているからか。リズの脳は茹だり、ぼうっとしてきてしまう。

 

 そのせいで、頭を上下させられる速度が加速した事に気付かなかった。

 チンポがぐっと膨らみ、睾丸が持ち上がる。歩が限界までリズの喉奥へチンポを捩じ込む。

 

 リズにとって生まれて初めての口内射精。それは、予告も何もなくぶちまけられる、オナホ扱いとしてのものだった。

 

 ──ぶぴゅるるるるっ♥️ どぷどぷっ♥️ びゅくびゅくびゅく、どぴゅるるるるる……っ♥️

 

「~~~~~~っ♥️♥️♥️」

 

 チンポが弾けた。そう思うほどに激しい射精。

 

 びちびち、と喉にぶち当たる。チンポがしゃくり上げるたびに粘っこい精液が吐き出されていく。歩は射精しながらもメイド喉オナホをぐりゅんぐりゅんとチンポに押し付けた。食道に直接射精してやる、と言わんばかりだ。

 

「ごぶッ♥️ ぶちゅうッ♥️ じゅるじゅるじゅるっ♥️♥️ んぐぅうううう……ッ♥️♥️」

 

(イグっ♥️ アユムの射精でのどたたかれてイク♥️ りょうもこさも凄い……っ♥️ こんなのおまんこで射精されたらぜったい孕む……♥️ アユムにおなかふくらませられちゃう……っ♥️)

 

 この、図抜けたオスに種を付けられる。

 その未来を想像してリズはアクメした。もう異国においてきた初恋の相手など脳裏から吹っ飛び、自分をオナホ扱いする年下の少年の事しか頭からなくなってしまう。

 

「はー……。気持ち良いです、リズさん……。よく吐き出さず呑んでくれましたね」

「んぶぅ……♥️ ごきゅッ♥️ ごくっ♥️ ごっくん♥️」

 

 よしよし、と頭を撫でられてまた甘イキ。すっかり負けグセが付いてしまった巨乳メイドである。もう歩に何をされたって快楽に変換し、敗北アクメに叩き込まれる事だろう。

 

 ずるぅうう……とチンポが引き抜かれる。唾液と精液まみれのチンポがリズの口から抜け落ちた。

 

「げぼッ……ぶはぁあーっ♥️ げほ、ごほごほっ♥️ けぷ……♥️」

 

 栓を抜かれ咳き込む。

 リズの顔は酷い有り様になっていた。口元は精液でベッタリ。噎せたため、鼻水のように精液が飛び出している。生理的に涙が溢れ、頬を伝った。それは、精液の受け皿として良いように使われた雑魚メスの無様な姿だった。

 

「もう、また汚れちゃいましたよリズさん。ほら、こんなにベトベト」

「ぶへぁ……ッ♥️ ごめ、ごめんなさ……♥️」

 

 べっちょり♥️ とチンポを顔面に押し付けられる。そのまま擦り付けるように顔でチンポを拭かれていく。

 人形のように整ったリズの美貌。他の男は触れる事も許されないそれも、歩にとっては自由に出来る所有物だ。高い鼻梁で、つるつるの頬でチンポを綺麗にしていく。

 

 これは、マーキングのようなものだった。しっかりと自分の匂いを堕としたメスに付けていく。実家にいるらしいリズの初恋相手。その誰かに奪われる事のないように。二度とリズが自分以外を見ないように。

 

 顔だけでなく、リズの髪や服まで使ってチンポを拭いていく。やがて当初の目的通り、歩のチンポからは精液はほぼ拭き取られた。

 

(もぉ……っ、こんなのひつようないのに♥️ ぜったい、アユムいがいの男なんてありえなくなっちゃったのに♥️ 私にゆびいっぽん、ふれさせない気なんだ♥️ 独占欲、すごい……こうやって女をひとりじめして、はーれむを増やすんだ……♥️)

 

 きゅんきゅん──と子宮が疼く。処女膜に守られた腹の奥が、ご主人さまを欲しいと叫んでいる。

 

(これ、ぜったい犯される……っ♥️ アユム、私を欲しいって言ってたし……♥️)

 

 イラマチオされ、更に顔面を精液でべったべたにされながら無抵抗のリズ。彼女を見れば、もうこのまま押し倒せばハメられるのは明らかだ。リズも確信していた。このまま抱いて貰える、歩のモノにして貰えると。

 

 しかし、

 

「ふぅっ。それじゃ、今日はこのへんにしておきましょうか。リズさんも疲れたでしょうし」

「え…………」

 

 歩から思わぬ言葉を浴びせられる。

 

 リズのマンコはもう臨戦態勢、歩のチンポを待っている。また最初のように歩の方から抱きたいと言ってくれるかと思っていたのに、これでは梯子を外された気分だ。

 

 捨てられた犬のような思いで歩を見上げる。

 それで、彼の狙いが分かってしまった。

 

(そっか……。アユム、私から言わせる気なんだ)

 

 リズを見下ろす少年の目。それは、メスを屈服させるにはどうしたらいいのかを理解している目で。

 

(いま抱かせろって言えば抱けるって、わかってるのに……♥️ あえて、私の方からおねがいさせる気なんだ♥️ アピールさせて、独占欲満たさせて……アユムのモノにしてくださいって言えってコトなんだ……♥️)

 

 ぞくっ──と背筋が震える。

 

 あくまでも、女の方から傅け、という事。徹底的にイニシアチブを取って、メスを手に入れるやり方。

 

 リズにとって何が恐ろしいかと言えば、それが嫌でも何でもなく、むしろ嬉しいと思わされている事だ。最初は抱きついてくる歩をあやしている様だったのに、いつの間にかここまで追い込まれてしまっていた。

 

 けれど、もうリズには歩のモノになる以外の選択肢がない。いや、あったとしても、もう取る気にならない。

 

 リズが歩にくっつけていた身体を離し、一歩下がって床に膝をついた。覗き見ていた時のアイリの姿勢を思い出す。足を揃えて、三つ指を突いて。頭を下げていく。

 

 アイリのそれを見よう見まねした、不器用な土下座。しかしその平伏度合いはアイリに勝るとも劣らない。歩への服従を願う、見事な土下座だった。

 

「アユム……、お願い……っ♥️」

 

 額を絨毯に擦り付けて、

 

「私をアユムのモノにしてほしい……♥️ アイリさまみたいに、ううん、もっと後戻りできないまで……♥️ アユムせんようのメイドになりたい♥️ アユムのそばにひかえて、アユムのお世話をして、アユムに命じられたら喜んで抱いてもらう、アユムだけのオナホメイドになりたいの……♥️♥️」

「うーん。でも、リズさんは好きな方がいるんじゃないんですか?」

「っっ……♥️ だから、それは誤解♥️ もうアユム以外の男にはぜんぜん興味ない♥️ 誤解しないで、アユム以外は好きでも何でもない、シロウが初恋だって思ってたのもただの勘違いだから♥️ 私の運命の人はアユム♥️ アユムの女になりたいの♥️」

 

 姉と元主人が見ている前だというのに、恥も外聞もないメス奴隷志願。少年に気に入って貰うためだけに酷い言葉を吐いていく。

 

「ええー、どうしようかな。リズさんが本当に僕の事が好きなのか、心配なんですよ」

「こっ、このきちく、どえす、ばかぁ♥️ わかった、わかったからっ」

 

 からかうように言う歩に、リズも甘えるように返す。まるで付き合いたての恋人のようなじゃれあい。

 もうアインツベルンへの忠誠も、淡い初恋も、欠片も残ってはいない。

 ただ新たに見つけた運命のご主人様へ、なりふり構わず媚びていく。

 

「──それなら、こうしよ♥️ これから私、アユムつきのメイドになるから♥️ たくさんアピールして、アユムに気に入ってもらえるようにするから……私を抱きたくなったらいつでも言って♥️ そのときは私のコト、アユムのモノにして欲しい♥️ 私の処女、アユムがうばって……♥️」

 

 処女膜の向こうで子宮が痛いくらいに疼くのを感じながら。

 少年へ、淫らな同居を申し出た。

 





式やアイリのような人妻の土下座も良いですが、メイドさんに主従関係を分からせるための土下座も乙なものだと思います。


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従姉悩乱(セラ、リズ)

「…………はあ。あの二人、まだ寝ているのかしら」

 

 台所に立つセラが溜め息をついた。

 

 時刻は早朝、今は朝食を作っている最中。本来はリズが料理担当なのだが、なぜか今日は一向に起きて来ない。

 

 

 リズが歩の軍門に下ってから数日。セラとリズは、歩のメイドとして彼の家に居候していた。

 

 

 これは歩というよりアイリの指示によるもので、親が不在の歩の世話をするよう気を配ったのだ。セラはともかくリズはもうアイリに忠誠を誓ってはいないが、尊重はしていたし何より歩の役に立てるとなれば断る理由もない。そんな妹に引きずられる形でセラも着いてきていた。

 

 もちろん、そこにはセラ自身の意思もある。リズが堕とされる光景はリズに大きなショックを与えていた。そもそもが姉と妹、それも同型機とも言えるホムンクルス同士。性格は違えど、根っこの感性はよく似ている。

 

 妹が初恋も主人への忠誠も捨てて年下の男の子のモノになる姿を見たら、普通の姉ならどうにかして矯正しようと思うだろう。もしくは男の子をとっちめてやるかも知れない。

 けれど、セラは違った。表面上は妹に着いてきた形になっているし、まだ歩に反抗するポーズを取っている。しかし内心では、歩への感情が湧いて止まなかった。

 

(……そりゃ、手を出されないのは有難いですけど? リズとはうっとうしいくらいイチャイチャしてるのに、私には指一本触れないだなんて失礼じゃないかしら)

 

 むぅぅ……と唸る。ここ数日、姉妹は歩と行動を共にしている訳だが……歩が手を出すのはリズばかりだ。

 

 朝起きて洗顔して、まず歩がする事と言ったらリズとのキス。ちゃんと歯を磨けているかチェックするようにお互いの口を舐め回す。洗面所で妹が少年におっぱいを揉まれながらちゅぱちゅぱと舌を絡める横で歯を磨く姉の身にもなって欲しい。当然そんな事をしていては歩の寝起きチンポは元気になってしまい、リズの太ももにすりすりと擦り付けられ存在を主張する。そうなれば歩のメス奴隷に堕ちたリズが黙っているはずもなく、歩のパジャマのズボンだけを下ろして腰に抱き付き、歩のモノを咥えこむ。蹲踞の姿勢になって唇を伸ばしチンポを啜るリズの姿はセラから見ても下品に過ぎ、イリヤや士郎が見れば卒倒する事だろう。朝は歩も堪えが利かないらしく、3分と保たずにリズの口内へ朝一番の精液を吐き出す。昨日などはそのまま寝起きの小便を流し込まれ、リズは窒息しそうになりながらも必死に飲み干していた。

 

 その後も二人はべったりだ。食事中は歩がリズの膝に座り、リズが作った食事を手ずから食べさせて貰う。リズの爆乳を枕にして後ろから抱き締められ食べさせて貰うのはまるで幼児のようで歩も恥ずかしがるのだが、リズがどうしてもと譲らない。買い出しに出かける時も歩を疲れさせたくないとお姫様抱っこをし始めて、流石に顔を真っ赤にした歩に断られたくらいだ。それでも歩としっかり手を繋ぎ、荷物は全て持ち、先導していく。家に帰り、何をするでもない時も歩の側に控え、彼の指示を待つ。とはいえ歩はリズをこき使うような事はなく自由にしていて良いよと言うのだが、それはむしろリズにとって不満らしい。唇を尖らせたリズは寝転んでスマホをいじっている歩の腕を抱いて豊満な身体をすり付け、ぺろぺろと子猫のように頬を舐めて驚かせたかと思うと少年の手に自分の胸を掴ませるのだ。それだけでも歩はムラムラ来ているというのにリズの手のひらは歩のズボンの股間をすりすりと撫でている。据え膳を食べない理由もなく、そのままセラが眉をひくつかせている横でパイズリが始まるのだった。

 

 リズの作る夕食はもちろん歩の好物尽くし。歩の好きな味付けをしっかりと聞き出し、彼が満足してくれる料理を用意する。また歩を膝に乗せて食べさせ、片付けや皿洗いは全てリズとセラ持ちだ。

 

 イリヤはおろかアイリにも見せた事のない念入りなご奉仕で、メイドとして、そして女としての能力を最大限に使っている。初めて見つけた本当の御主人様として接しているのがよく分かる奉仕っぷりだった。

 

(昨夜なんかは、お風呂にも付いていこうとして。まあ断られてましたけど。あの子ったら、本当に彼のコトが……好きなのね)

 

 まともな恋愛経験のないセラから見てもよく分かる。あれはただ目上の相手として世話をしているだけではない、女として惚れた男に仕える姿だった。

 

(彼とくっついているリーゼリット、幸せそう。士郎のコトなんてもう頭の片隅にもないみたい。イリヤさんのコトは……分からないけど。あのエッチで、塗り潰されちゃったのね……)

 

 元主人が土下座するのを見せ付けられ、更に自分も責め抜かれたのだ。感情に乏しいと言ったってリズも生娘である。少年に屈服してしまうのも無理はないようにセラには思えた。

 

 つらつらとそんな事を考えながら料理していたセラだったが、いつまで経ってもリズと歩が起きて来ないので心配になってきた。リズはともかく、歩は今日は学校があるはず。まだ余裕はあるものの、そろそろ起こした方が良いだろう。

 

 一旦手を止め、まずはリズの部屋に行く。数回ノックをするが、出てくる気配はなかった。

 

「リーゼリット? 開けますよ…………あら?」

 

 部屋はもぬけの殻で誰もいない。ベッドも整えられたままで、昨夜ここを使った様子はなかった。念の為セラが借りている部屋も確認したが、当然いない。

 

「……もしかして」

 

 自分の部屋にいないのなら、心当たりは一つだけだ。

 

 廊下を歩き、奥の部屋の前へ。そーっとドアを開き、中を覗く……と。

 

(やっぱり。彼の部屋に……)

 

 歩の部屋のベッドの上。二人で寝るには少し狭苦しそうなそこに、歩とリズは寄り添っていた。

 歩は普通のパジャマ。リズはボーダーの入った肩だしシャツにホットパンツという露出の多い格好だ。

 歩はリズの特大の胸に顔をうずめている。足も絡ませ、抱き枕を抱いているかのようだ。さぞかし極楽の眠りだろう。

 

(うっ……この匂い……! ま、また淫らなコトをしたのね、この二人……っ)

 

 一歩足を踏み入れただけで鼻をつく、濃厚な匂い。

 生臭いような、青臭いような……体液が揮発した匂いだ。嗅いだ事のあるセラには分かる。それは歩の精液と、リズの愛液の混じった匂いだった。

 

 もしや、もう本番セックスを……と思い、慌ててリズの身体を精査する。セラとリズはホムンクルスの姉妹機であり、お互いの状態を確認して損傷がないか見る事が出来る。例えば処女膜が無事かどうかくらいならすぐに分かる。

 

(……はあ、良かった。エッチはしてないみたいね。でもこの匂い、ふぇ、フェラチオやパイズリはしたに違いない……。元々常識のない子だったけど、ここまで倫理観が壊れるとは……)

 

 年も体格も下の少年の頭を抱いて眠りこける妹を見ながらセラは眉をひそめた。

 

 規律を重視するセラとは対照的にリズは本能と欲求のままに行動する所があったが、それでもアイリに仕えている頃はまともな分別があったはず。しかし今では、他のものを後回しにして如何に歩を喜ばせるかだけを考えて行動しているように見える。

 

 セラはリズから視線を外し、それもこれも全てこの少年のせいだと歩を睨む。まだあどけなさの残る顔は、胸の谷間で挟まれながら惰眠を貪っている。

 

「本当に最低、最悪ですっ。貴方のせいです、全部……奥様がおかしくなったのも、リーゼリットのコトも。ああもう、気持ち良さそうに眠って……腹が立つっ」

 

 ぎりぎりと歯を鳴らして少年を見下ろすセラ。

 少年の顔はわりと整っていて、見ようによっては中性的でもある。安心しきって眠っている今など少女に見えなくもないくらいだ。

 けれど、セラはよく知っている。この少年がどれだけの性豪であるかを。

 

「この、屑っ……貴方一人の満足の為にアインツベルンはおかしくなってしまいそうです」

 

 ぎし、とベッドに手をつく。覗き込むようにすると、セラはなんとなく黙ってしまった。

 

「……眠っていれば、可愛らしいくらいなのに」

 

 じっと彼を見る。安らかな寝顔が呼吸と共に上下している。

 何故か、目を逸らす事が出来ない。歩に吸い込まれてしまう。

 

 もっと近くで見ようと、セラの背が屈んでいく。セラの前髪が歩の頬に触れて、彼が寝返りをうった。

 

「ん……」

「…………っ!」

 

 至近距離に歩の顔が来て固まってしまう。

 すう、と寝息がセラの唇にかかる。セラの唇がつやつやに潤っているのに対し、歩の唇は少しかさついているようだ。

 

「っ、く……! は…………♡」

 

 どっくん、とセラの心臓が跳ねる。溜め込んでいたものが、溢れそうになる。

 自分以外に誰も聞いていないからか、隠していた本心をぶちまけてしまう。

 

「この無礼者……! なんで、なんで……私に手を出しに来ないのですかっ……♡」

 

 眉間に皺を寄せ、悔しげに呟く。

 それが、セラの本心だった。気丈に振る舞っていても、妹がそうだったようにとっくにセラも歩のモノになるのを望むようになっていた。

 

 未だに歩にそれを求められないのは、一重にセラが意地っ張りで素直ではないから。そしてアイリや士郎への義理があるからだった。

 しかしどれだけ隠そうとしても歩への慕情が止む事はない。むしろ歩の顔を見るたびに、彼と絡むリズを見るたびに大きくなっていく。ある意味、その想いはリズよりも大きかったかも知れない。さっさと歩への隷属を決めて気持ち良く肌を合わせていたリズと違い、セラは欲求を溜め込むばかりで発散出来ない。目の前で歩のメス奴隷になる幸せを見せ付けられているのに自分もして欲しいと言い出せない、酷い生殺しになっていた。

 

「はぁっ、はあ……♡ どうせ胸でしょう、わかっていますっ。奥様もリーゼリットも余分な脂肪が過剰に付いていますもの。士郎だってそうでした、貴方も同じのはず。私を女として見ていないのですね……!」

 

 涙を滲ませながらセラが呟く。胸の薄さは彼女のコンプレックスだ。初恋の──と思っていた──少年だってそういう節があったのだから、歩もそうに違いないと思っていた。

 

 それも仕方ないだろう、セラから見れば歩のハーレムはアイリとリズの二人だ。他にも囲っている女がいるとは聞いているがどんな女かなどセラは知らない。だから元主人と妹という巨乳と爆乳コンビの印象が強すぎるのだ。

 

「うっ、ううぅ……! のんきに眠ってっ。こっちは大変なんですよ、奥様は尊敬してますし、士郎のコトだって大切ですし……リーゼリットみたいにすっぱり捨てられる性格じゃないんですっ。だから、だから貴方が一言、自分のモノになれって命令してくれれば私は聞くしかなくなるのに、いつまで経ってもリーゼリットとイチャイチャネチャネチャしてばっかりなんですからっ。こっちもいい加減堪忍袋の緒が切れそうです……!」

 

 顔を真っ赤にして捲し立てる。思わず熱が入り、語気が荒くなってしまう。

 それがいけなかったらしい。歩がうっすらと目を開けた。

 

「んん…………。セラ……さん……?」

「!? あわ、ま、まず──ッ」

 

 小声とはいえまつげが触れそうな近くで声を出しているのだから目を覚ますのも当然だろう。

 セラは慌ててしまう。部屋に忍び込むだけならまだしも寝顔に見入っていたなどとバレたらまずい。何より、いま歩に起きられたらおかしな事を言ってしまいそうだった。

 反射的にセラの魔術回路が起動する。優れた魔術師でもあるホムンクルスの体内へ魔力が循環していく。

 

「っっ……と、とりあえず眠って……!!」

 

 歩に初歩的な、眠りへ誘う魔術をかける。

 数秒もかからず歩がこてんと再び眠りへ落ちた。一般人の歩がセラの魔術に対抗出来る訳もなく、そのまますうすうと寝息を立て始める。

 

 しばらくセラは固まっていたが、歩が目を覚まさない事を確認すると肩から力を抜いた。額の汗を拭いつつ、

 

「……あ、危なかったわ。いえ、別に彼に見られようがどうでもいいけれど。もし私から襲っただなんて誤解されたら面倒だものね」

 

 うんうん、と一人で頷く。そしてもう一度歩を見て。また、心臓を弾ませた。

 

 起きかかったからか、半開きになった唇が強調されている。隙間から赤い舌が垣間見える。まるでセラを誘っているかのようだ。さっき歩の唇を意識したのと同じ、いやそれ以上に視線が吸い寄せられてしまう。

 

(彼の、唇……。いつもリーゼリットはちゅぱちゅぱ吸いあっているわ。凄く顔を蕩かせて、幸せそうに)

 

 息が荒くなっていく。こくん、と唾を呑み込んだ。

 

(気持ち良いのかしら……。わ、私も一度くらいしたって問題ないわよね。どうせ遠からず襲われるんでしょう? だったらここで練習しておくのも悪くないはず。そう、これはあくまで練習なんだから)

 

 どくん、どくん──と心臓が痛いくらいに鼓動する。

 唇を舐めて湿らせる。魔術を行使するために一旦離れていた距離が縮まっていく。

 これがファーストキスだという事も気にならない。初恋の少年への想いが大切だと言ったばかりだというのに、歩とキス出来ると思うとどうでもよくなってしまった。そんな事より、彼と唇を合わせられる事の方がずっと重要に感じられる。

 

「は……♡ いく、わよ……キスするからっ、本当にするから……! えいっ」

 

 歩の頬に手を当て、ぎゅっと目をつむる。

 そして、まさに唇をくっ付けようとした瞬間。

 

「────見ちゃった。セラ、いけないんだぁ、寝込みをおそうなんて」

「……っっは!?」

 

 聞き慣れたダウナーな声。

 咄嗟に顔を上げると、ジト目のリズがセラをじっと見つめていた。

 




活動報告に内容についての質問を置いておきました。是非コメントを頂けると有り難いです。これからの内容に反映させますので。

セラリズ編はあと2、3話の予定。しっかりエロくしたい。


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従姉屈服(セラ、リズ)

「まったく、おどろいちゃった。セラが、そんなにムラムラしてたなんて」

「む……ムラムラとか言わないっ。それより貴女こそなんのつもりよ、狸寝入りなんて」

「んー?」

 

 眠りこける歩を挟んで姉妹が言い合っていた。

 

 むっくりと起き上がったリズをセラが睨む。

 出来るだけ目元をキツくするセラだったが、リズはどこ吹く風だ。呑気にくあっとあくびをして、

 

「べつに、寝たフリじゃない。セラがうるさいからおきた。だって、隣でメスまるだしでアユムを襲おうとしてるんだもん。誰だっておきるよ」

「め、めす……っ!?」

「うん。薄目でみてたけど、ひどいカオしてた。わりとドン引き」

 

 けろっと言われ、セラは唇をわななかせる。

 リズはどこか常人と感性がズレているところがあるが、それでもこんな事で嘘はつかない。

 

 ならば、自分が歩に対し劣情を晒していたというのは本当なわけで。

 妹の変貌に驚いていた自分の方も少年に変えられてしまっていたのだという事に呆然としてしまった。

 

「そっ、そんなハズは……私はべつに」

「それに、セラ、言ってたじゃん。なんで私に手をださないの、って。あれってつまり、手をだしてほしいってコトだよね?」

「──っ! ちがう、ちが……」

「だいじょうぶ、セラ」

 

 真っ赤な顔を振るセラ。

 リズはそんな姉の頬に手を当てて言う。

 

「アユムはね、セラもじぶんのモノにするつもりだよ。ただ、いきなりだとセラもびっくりしちゃうから、焦らしてただけ。セラにきょうみがないとかじゃない。むしろ『セラさんみたいな人は大好きです』って言ってたから」

「うぇ、ほ、本当にっ……!?」

「うん、ホント。自分でいってたから、まちがいない」

「っ……♡」

 

 とくん、と人工物の心臓が跳ねる。

 まるで興味を持たれていないと思っていた少年。アイリとリズが主と認めた牡。そんな相手に実は好意を持たれていたと知って歓喜してしまう。

 

 セラはある意味、リズはおろかアイリよりも女性らしい感性を持っている。

 いつもは従僕としての役割を優先するため女としての自分を表に出す事はないが、一皮剥けば年頃の少女らしい部分が顔を出す。そんな彼女にとって、歩に女性として求められていないかも知れないというのは大きな不安だったのだ。その不安が取り払われて、セラの心に安堵が広がる。

 

「アユム、早く触れたい、セラとえっちしたいって言ってたよ。セラの凛とした声とか、すっと伸びた背筋とか、きりっとした表情とか。そういうの全部とろとろのくちゃくちゃにしたいなって」

「え……ええぇぇぇ……!? な、なんですかそれっ……♡」

「でもタイヘンだったんだから。焦らすのはいいけど、アユムったらセラとえっちしたいってムラムラを私で解消するんだもん。フェラもパイずりもやらされまくって、でも私も本番えっちはおあずけ。そろそろオナニーじゃ限界だったから、セラがぷっつんしてくれたのはよかった、かな」

「ぐ……な、なんてフケツなっ。私はそんなコトをする気は……!」

「えー? あんなメス顔さらしてそれいっちゃう?」

 

 呆れたように言われてセラが言葉が詰まらせる。確かに歩の寝込みを襲っておいてその気はない、などという事は通らないだろう。それでもセラは声を張った。

 

「ええ、言います、言いますとも。私はそんな軽々しく身体を預けるようなコトはしませんっ。アインツベルンのメイドとしての気品を忘れる気はありませんし、それに……好きな人、が」

「……ああ、そういうコト。セラったら、シロウに義理立てしてるんだ。なんていうか、セラらしいね、それ」

 

 ふうん、と感心したように頷くリズ。

 それが姉妹の大きな違いと言えるだろう。セラも初恋の相手と目の前の少年、本能に従った時どちらを選ぶべきなのかはもう理解してしまっている。

 

 けれど、答えが出たらあっさりそちらを選ぶ事の出来るリズと違い、セラはなかなか一歩を踏み出せない。それは義理固く、また過去の積み重ねを大切にするセラならではの一面だった。

 

「──うん、そうだね、セラ。たしかに、セラはまだ、私やアイリさまごしに見てただけ。間近で見たわけでも、触れたわけでもないもんね。でもね、セラもじぶんで体験してみたらすぐわかるよ」

「…………え? それはどういう」

「しょうがないから、セラにおしえてあげる。その義理立てが、どれだけむだで意味のないコトなのか、ね」

 

 言って。

 コツン、と、リズがセラと額を合わせた。

 その瞬間、

 

「な……っ、ぁ────!!???」

 

 入ってくる。

 セラの脳裏に、体内に、リズの記憶が流れ込んでくる。

 

 アインツベルンのホムンクルス、しかも同じ小聖杯失敗作を調整した同型機であるセラとリズ。

 

 魔術的なパスで繋がっている二人は、感覚や記憶を共有出来る。

 今のはその応用。リズは、ある経験にのみ絞って、五感のデータをセラへアップロードしたのだ。

 

 その経験とは、勿論。歩とのまぐわいである。

 

「ひぃっ♡♡ やだっ、おちんぽ大きすぎますっ♡ そんなの咥えられな……やめて射精しないでっザーメンくっさいぃぃぃっ♡♡ ちょっとどれだけ出すんですかぁぁ♡♡ お腹パンパンになっちゃいますっ、胃袋ザーメンでいっぱいになるぅうううっ♡♡ ……っえ、な、なに、ちょっと待っ……お゙っっ、お゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!??♡♡ ひぎぃっっ♡♡♡ やめ、おまんこほじらな、っっぐぅぅううううう~~~っっ♡♡ あああイクっ♡ イグイグイグっっ♡♡♡」

「ぷっ……あは、セラったら。腰へこへこ振っちゃって、みっともないなあ」

「おっ♡ ほ♡ ほ♡ ほぉ~っ♡ 処女膜コリコリやらぁぁぁ~っ♡ おまんこ痺れるぅっ♡ おごぉっ♡ っっ♡ リズっ♡ た、助け♡ 助けてっ♡ おまんこ犯されてるっ♡ 気持ち良すぎて死ぬっ♡♡ 死♡♡♡」

「死なないよー、私のきおくを見てるだけだから。それに、まだ犯してもらってないよ。それ、ただの指マン。でもすっごく良いでしょ」

 

 くすくすと笑うリズ。記憶に翻弄されるセラはそれに言葉を返せない。

 

「んむぅっ、べろ、れろれろぉ~っ♡ ちゅっちゅ♡ ぶっちゅぅぅぅぅ♡」

 

 セラがタコのように唇を伸ばし舌を回転させる。

 記憶の中の少年と交わす不様なエア・ディープキス。もとより歩とキスしたがっていたセラである、リズが歩とした舌を絡めるキスの記憶を流し込まれ、鬱積していた少年への欲望が爆発した。まるで自分がキスをしているかのような錯覚に陥ったセラは、記憶の中のリズより遥かにみっともなく歩の唇を貪ってしまう。

 

 追体験に煽られたセラは股間に手を伸ばし、ぐちゅぐちゅとオナニーをしていた。ベッドに顔面を押し付けて唸りながら腰をびくつかせる。整えられたメイド服のスカートが乱れるのも構わず処女マンコをほじくり回す。

 

「おごぉぉおおおおおお~っ♡♡ キモチいいとこ弄らないでぇ♡ なにこれっ♡ この子に責められてるの分かるっ♡ 精液の味も舌で味わってるみたいっ♡♡ やだやだぁっ♡ 負けるっ♡ こんなオスの力思い知らされたら♡♡ 負けてこの子のメスになっちゃうわよぉぉおおおおおっ♡♡」

 

 リズが歩から受けたキスや手マンや飲精、それらの感覚データが、歩との行為をセラに教える。

 セラに性行為の経験はなく、せいぜい拙い手付きで自慰をするくらい。そこに主と妹を目の前で落とし自分も興味を持っていた少年との快感にまみれた記憶を植え付けられたのである。セラの『義理立て』を破壊するには十分な快楽だった。

 

 ぎりぎりと痛いくらいにセラの子宮が引き絞られる。手マンの快楽も歩の精液もあくまでデータとして受け取っているだけでセラ本人が直接触れたものではない。セラの身体が本物を寄越せと叫んでいる。

 

「欲しいっ♡ この子の精液欲しいっ♡ えっちしたいっ♡ 奥様みたいに、あんな風に私も逞しいおちんぽでズコズコハメ潰して欲しい~っ♡」

「あは、本音がでちゃった。いいの? アインツベルンのメイドにはもどれないよ? シロウのコトもわすれなきゃだよ? アユムは女の子をひとりじめしたいタイプだからね。なるなら、ぜんぶアユムに捧げないと」

「~っっ♡♡ 酷いっ、たくさん女の子に手をつけてるのに♡ 姉妹揃ってメス奴隷メイドになれなんてぇ♡♡」

 

 ぽろぽろと涙の粒を溢してセラが咽び泣く。

 しかし、それももう言葉だけ。マン肉をほじりながら歩の寝顔を見つめるセラの目は、リズやアイリと同じく彼への恋慕に満ちている。

 

 ぐいいぃっとセラの尻が持ち上がっていく。細い指で浅瀬を掬っているだけなのに、歩との感覚を重ねるだけでアクメへ一直線。少年の精を求めて性欲が暴走している。

 

「お゙っ♡ お゙っ♡ お゙♡ お゙♡ お゙♡ あ、ゆむ……さま♡ 歩様っ♡ 御主人様ぁ♡♡ イグッ♡♡ イッ♡♡ ぐ♡♡♡」

 

 セラの子宮で快感が爆発した。

 人造ホムンクルスとして生を承けてから一度も味わった事のない暴力的なアクメ。それはリズから与えられた幻の歩との記憶と混ざり合い、セラをもう引き返せない場所まで連れていく。股間からは愛液がしとどに溢れ、ショーツどころか厚めのメイド服のスカートにまでずっしり重く染み込む。その奥のマンコでは、まだ処女膜はぴっちり残っているというのに子宮はくぱくぱと口を開いて歩の精液を欲しがっていた。

 

 数分間アクメを堪能したセラの身体がどさっとベッドに落ちた。疲れ切ってしまい、汗だくで全身に力が入らない。涙と涎をシーツに垂れ流しにして身を震わせている。

 

「よしよーし、気持ち良かったねー、セラ。いっとくけど、歩にちょくせつ触れてもらったら、もっと感じちゃうからね。そりゃもう、女性体でよかったー、ってくらい」

「ふぁ……♡」

「どう? アユムにぜんぶ、ささげる気になった?」

 

 ぽんぽんとセラの頭を撫でながらリズが歩のズボンを下ろす。

 パンツに引っ掛かったチンポがぶるんと勢いよく跳ね上がった。仰向けで眠る少年の股間にそびえる朝勃ちチンポ。細身で小柄な歩には不釣り合いなくらいに立派なそれにセラは圧倒されてしまう。

 

「あ、あ……♡ なんて……逞しくて……♡ コレで奥様を躾けたのね……♡」

「ふとくて、ながくて、かたくてデコボコしてて♥️ 私もはやく、コレでお腹をぐりぐり~ってしてほしいよ♥️」

 

 リズが指先でなぞれば悦ぶようにビクビクと震えるチンポ。

 セラも手を伸ばすが、リズに制止されてしまう。

 

「だめだよ、セラ。ちゃんとアユムに身も心もささげるってちかわなきゃ。──そうだね、決心できたら、アユムのおちんちんにチュッてキスしてみよっか。ファーストキスをおちんちんにささげるの。うれしいよね? こうえいだよね? 他のみんなも経験してないんじゃないかなー、おちんちんとのキスがはじめて、なんて」

「はっ……は……♡ き、きす……歩様のおちんぽと……♡」

 

 セラの瞳の焦点がチンポだけに絞られる。見開かれた眼に歩のチンポ以外映らなくなる。

 誘蛾灯に吸い寄せられる虫のようにチンポへ顔が近づいていく。ふらふらと顔を寄せて、チンポの熱さが唇に感じられそうなくらいに近づいたとき、セラが思い止まった。チンポにキスしたら最後、二度と後戻り出来なくなってしまうだろう。これまで通りアインツベルンのメイドとして過ごすコトも初恋の少年と一緒にいる事も。

 

「迷っちゃってるの、セラ? ごうじょうだなあ。でも、比べてみたらわかると思うよ。……シロウのおちんちんも、セラにあげた記憶にはいってるよね」

「あ、ああ……っ♡」

 

 リズが以前見たお風呂上がりの少年のモノが、セラの脳裏にまざまざと甦る。

 

 それは──普通だった。まったく人並みの、決して笑われるような粗末なモノではない男性器だ。

 しかし、そんなモノではもうセラの心はときめかない。

 今目の前にそびえる女殺しのチンポとは格が違う。大きさも、色も形も。元から優れていた歩のチンポは数々の女の膣で磨かれた事によって凶悪なモノへと成長している。

 なにより。全身全霊でひれ伏すに値する御主人様のモノと、少し気になっていただけの男子のモノでは、もはやセラにとって次元が違いすぎるのだった。

 

「ん、む……ちゅっ♡♡ ちゅぅうう~~っ♡♡」

 

 一度決心してしまえば、セラが新しい主に鞍替えするのは早かった。

 尖らせたセラの唇が、歩のチンポと触れ合う。

 じんわりと先走りが滲む鈴口へセラはキスした。艶やかなピンクの唇でむちゅり、ぷちゅ、とチンポを押す。うっとりと目を閉じて指を組みながらキスする様は礼拝でもしているかのようで、歩に対する忠誠を物語っていた。あくまで誓いのキスである、お口にチンポを頬張りたいのを堪えて唇だけを押し当てる。ちゅっ♡ちゅっ♡むちゅっ♡と新しい御主人様にベーゼの雨を降らす。チンポはセラの唇がやけどしそうなほどに熱く、その熱を感じるたびにセラの心がより深く屈服していく。

 

「ちゅ♡ 誓います♡ もうアインツベルンも♡ 士郎もどうだっていい♡ ちゅ、ちゅうっ♡ 歩様が私の本当に仕えるべき御主人様です♡ 歩様とこのおちんぽに、絶対の奉仕と服従をお約束致します……♡♡ ちゅっ♡」

 

 隷属の口上を述べる。

 クールで棘のあるメイドは、妹に見守られながら、眠ったままの少年に屈服したのだった。

 





主人公が知らないうちに勝手に堕ちてく女の子かわいい。

年末+遅筆で時間がかかってしまいました。次は早めに投稿出来るといいなあ


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姉妹猥雑(セラ、リズ)

「ただいまー……わぷっ」

「おかえりなさいませ、歩様。荷物をお預かり致しますね」

 

 その日学校を終え帰宅した歩を待っていたのは、今朝からガラリと態度の変わったセラの抱擁だった。

 

 ほくほく顔のセラが正面から歩を抱き締める。荷物を持つだなんて口では言いながら、実際は歩とくっつきたいだけなのが見え見えだ。

 

「ち、ちょっとセラさん。そんなに抱き締められると、その……胸が」

「あ……申し訳ありません。私の貧相な胸など歩様にはお気に召しませんね」

「いえ、そんな。むしろその逆って言うか、ドキドキしてしまって……」

 

 身長差の為にセラの胸に顔を密着させる形になっていた歩が、どうにか身体を離した。セラは卑下するように言うが、リズやアイリに比べれば控えめなだけでちゃんと女性らしい丸みを帯びている。歩のほっぺたはしっかりふにふにとした感触を覚えていた。

 

 それに、彼女の格好も歩には新鮮だ。いつものメイド服ではない、ベージュのシャツにスカート、それにエプロン姿。

 歩が初めて見るセラの私服である。メイド服姿も美しかったが、こちらもまた生活感溢れる魅力がある。

 何より、言わば仕事服であるメイド服でなく私服姿を見せてくれたのが、自分に心を開いた事を示していて歩は嬉しくなった。

 

 今朝起きたとき、歩はベッドの上でセラとリズに挟まれていた。

 リズは分かるが、まだ歩に対し壁があったセラもである。いきなりどうしたんだろうと戸惑う歩だったが、二人に大方の説明を受けて理解した。リズと同じ歩を主人と仰ぐ色がセラの瞳にあるのも見てとれて、彼女が自分のモノになってくれた事を実感したのだった。

 

 と、今朝の事を思い出している歩を再びセラが抱き締めた。肩に腕を回して、より身体が密着するようにする。

 

「ありがとうございます、私の身体でドキドキするなどと……♡ 実を言うと私、自分のスタイルにコンプレックスがあったのですが、歩様にそう言って頂けると安心致します」

 

 はぁ……♡ と恍惚のため息を漏らすセラ。

 実際、リズや士郎に胸やスタイルで反発していたのはセラ本人がそれを気にしていたからだ。妹と比べて身体の起伏が乏しい事も、初恋の相手に貧相な身体と思われる事も、セラに自信がないからこそ嫌だった。

 

 しかし、今やそれもすっかり消えてしまった。本当の御主人様と敬愛する少年がセラの身体を好きと言ってくれるならそれで十分である。リズや士郎に感じていたコンプレックスなど、最早どうでもよくなっていた。

 

(セラさんの身体、柔らかくていい匂いがする。香水でも付けてるのかな)

 

 セラの胸元で空気を吸い込むと甘さと爽やかさの混じった匂いがした。シトラスの香りだろうか。これも以前まではセラが気を配る事のなかった、歩という男性にアピールするための身嗜みだった。

 

 歩としてもセラのアピールを受け流すつもりなんてない。そっちがその気ならとシャツのふくらみに顔を突っ込みつつ、手のひらで彼女のお尻を鷲掴みにした。

 

「ひゃっ!?♡ 歩様っ、手つきがイヤらしいです♡」

「なに言ってるんですか、セラさんが誘ったんでしょう。ほら、もっとくっつきましょう」

「あぅ、スカートめくって、もみもみって♡ 下着が見えてしまいます……♡」

 

 お尻を掴むだけではない。歩はわざとセラのロングスカートを大胆に捲り上げて白く清楚な下着を丸見えにしていた。

 

 セラが根っからの従者、他人に仕える存在である事を歩はしっかり見抜いていた。同時に、そういう相手に対しては下手に遠慮するよりむしろ高圧的に出た方が喜ぶだろうと。

 実際セラはその通りだった。恥じらいを見せながらも歩の言う通りに身体を更に密着させる。胸元辺りまでしかない背丈の御主人様に、子宮を疼かせながら下腹部をすりすりと擦り付けていく。

 

「うわ、えっちな腰つき。セラさん処女ですよね? なのにそんなに盛っちゃって、リズさんよりもよっぽど性欲強いんじゃないですか?」

「い、言わないでください♡ その、溜まってしまっていて……♡ もうリズは歩様にご奉仕もしていますのに私は放ったらかしでしたから……」

「それって僕が悪いって事ですか? 違いますよね? えっちなセラさんが悪いんですよね?」

「はっ、はいっ♡ 申し訳ありません、悪いのは全て私です♡ 歩様への想いを抑えきれない私の不徳の為ですっ♡」

 

 眉尻の垂れ下がったメス顔で媚びるセラ。そんな顔を見せられては、歩も嗜虐欲が高まってしまうというものだ。

 少し虐めてみようかな、と無邪気な悪戯心が浮かんでしまう。

 

「じゃあ謝らないと。メイドから主人に迫るなんて普通は許されない事ですよね? ほら、どうぞ」

「えっあっ、わ……私、セラは、メイドの分際で歩様に媚を売ってしまう卑しい端女です……♡ どうかお情けをお恵みください♡ もうお腹の底のほうが歩様を欲しがって疼いて堪らないんです♡ 奥様やリーゼリットにしてるみたいに、私も歩様の精を頂きたいのです♡♡」

 

 のぼせ上がった顔で一息に言い切る。貞淑さを捨てた言葉に、歩はにっこりと頷いた。

 

「よく言えましたね、セラさん。でもまだ我慢ですよ。僕も帰ってきたばっかりで疲れてますし。ちょっと休憩して、ご飯でも食べましょう」

「そ、そんなっ……あ、いえ、勿論ですっ♡ 今お作りしますから、しばしお待ちください♡」

 

 本当は今すぐにでも事に及びたいのだが、主の命令は絶対だ。慌てて取り繕ってからセラは食事の準備に取り掛かった。

 料理をしている間も、内ももに愛液が伝うのを感じながら。

 

 

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 

 

「はい。アユム、あーんして。私がたべさせてあげる」

「あっ……ず、ずるいですよリーゼリット。ほら歩様、私からもぜひっ」

 

 三十分後。食事の最中も姉妹メイドは甲斐甲斐しく奉仕していた。

 

 テーブルを囲むのでもなく、ソファにセラとリズが歩を挟む形で三人で並ぶ。中心の歩へ二人がせっせと箸でつまんだ食事を運んでいた。

 

「あむっ……ごくん。やっぱりセラさんのご飯は美味しいですね。いいお嫁さんになれると思いますよ」

「お、およっ!? あああ、ありがとうございます♡♡ 嬉しいです、歩様にそう言って頂けて!」

「……セラ、たんじゅん。べつにアユムがセラを奥さんにしてくれるって言ったわけじゃないよ?」

「うるさいわねっ。余計なコト言わなくていいからっ」

 

 呆れて言ったリズをセラが睨む。

 とはいえ、歩としてももうセラを離す気はないのは事実だ。一度落とした女の子は二度と手離したくないのが独占欲の強い少年の考えだった。

 

「んふ……♥️ アユム、まんぞくしてくれてる? あんっ♥️ いいよ、しょくよくもせいよくも満たそうね♥️」

「っ、はぁ♡ そんなにお尻を揉まれたら、力が抜けて歩様にお食事を運べなくなってしまいます……♡」

 

 もちろん、美少女二人に挟まれて何もせずにいられる歩ではない。口では交互に運ばれる食事を頬張りながら、両手を姉妹の身体に回して揉みしだいていた。

 

 右手はセラのお尻へと伸ばし、ロングスカートの上から触る。柔らかいソファとお尻の間に無理やり手のひらを突っ込んで持ち上げるように尻肉を掴む。歩が指に力を込めるたびにセラの身体が震えて箸を取り落としそうになってしまっていた。

 

 リズは歩の左側にいた。彼女もセラと同様、今はメイド服ではなく私服になっている。肩出しの半袖トレーナーに股下数センチのホットパンツ。セラより大幅に露出の激しい服装だ。

 その胸元から歩の腕が差し込まれていた。リズは息苦しいからと基本ノーブラである。そんな彼女が歩の前で余計な下着を着けるわけもない。毬型の生乳は歩の手では到底掴み切れず、手のひらが沈み込むようだ。ノーブラの巨乳は食事のついでとばかりに無造作に揉まれていた。

 

「アユム、ちゅーしよ、ちゅー♥️♥️ 口うつしで食べさせてあげる、んー♥️♥️ ちゅ、むちゅっ♥️」

 

 リズがもぐもぐと噛んだ卵焼きを歩の口へ移していく。

 ぴったり合わさった唇はこぼすこともなく卵焼きを移動させた。それを歩が呑み込んだ後もしばらく二人は唇を合わせあった。

 

「ああっ、リーゼリット、羨ましい……」

「ぷはっ。なら次は僕がセラさんに分けてあげますね」

「ふぇ!? あ、歩様からですかっ」

 

 慌てふためくセラをよそに今度は歩が卵焼きを頬張った。何度か咀嚼してからセラに唇を寄せる。

 

「むぐっ……んんん……♡ ちゅるっ♡ こくん♡」

 

 セラの口内に卵焼きが流し込まれていく。セラにとってはこれが歩の唇とのファーストキスである。ずっと待ち望んでいた歩とのキスにセラの胸は躍っていた。

 

(歩様の舌が入ってきて……♡ 私の舌も口も良いようにされてしまう♡ 歯茎の隅から隅まで舐め回されてます……♡)

 

 歩の舌がセラの口に突っ込まれた。セラが卵焼きを呑み込んだあともその味を全て舐め取る勢いでセラの口内が蹂躙されてしまう。

 

 卵焼きの甘さはすぐに洗い流され、セラの舌は歩の唾液の味だけを感じていた。唾液が舌に触れるたびにセラの背筋がぞくぞくと震える。自分の作った卵焼きなんかより主人の唾液のほうが遥かに美味だとセラの味覚は感じていた。

 

「歩様ぁ……っひ!? そっ、そこはっ──♡♡」

「あっんんん♥️♥️ アユム、いきなりぃ♥️♥️」

 

 メイド姉妹が突然の刺激に身体を震わせる。

 歩の手のひらはいつの間にか二人の胸と尻から離れて、それぞれの股間に伸ばされていた。セラははしたなくめくられたスカートから、リズはホットパンツのウエストから。歩との密着キスで潤った膣内を割り開くように指が潜り込む。ぶちゅっ、こぷっ♡♥️と閉じ込められていた愛液が溢れ出た。

 

「ひぃッッ♡♡ でっ出ちゃうっ♡ 歩様とキスして溜まった愛液こぼれちゃいますっ♡♡ ソファ汚してしまいますからっ♡ も、もうちょっと手加減っ、ッッうぅぅぅぅ~~っ♡♡」

「くぅぁぁ♥️ 処女膜コリコリしちゃらめっ♥️♥️ もうふやけてるからっ、指でかんたんに破れちゃいそお♥️♥️ おっ、おちんちんで♥️♥️ 破るならアユムのおちんちんに破ってもらいたいからぁぁ♥️♥️」

 

 巧みに二人の弱点を探しあて、指先で擦る。オナニーもろくに経験のない二人にハーレムの主として培った少年の性技は耐えられるほど甘くなかった。閉じられていた両足は少しずつ開き、ガードを緩めていく。三分も経たないうちにセラとリズの股は完全に開いていた。二人揃って一人の男の子に指先で弄られただけでセックスOKの体勢になってしまう。侍らせたメス二匹が完全に自分の支配下にあるのを悟った歩は指の動きを更に激しくしていく。手のひらを叩きつけるような指マンに抵抗する事も出来ず、姉妹は腰をヘコヘコと上下させながら仲良くマン汁を吹き出した。

 

「うわあ……セラさんもリズさんも、もうちょっとお淑やかな人だと思ってましたけど。アイリさんたちがこんなところ見たら幻滅しそうですね」

「あっあっ♡ も、申し訳ありません奥様っ♡ 忠義を貫けなかった私をお許しくださいっ♡ 私の御主人様は奥様ではなく、歩様ですうっ♡」

「アイリさまのコトは、好き、そんけいしてる♥️ でも、御主人様からはこうたいして♥️ アユムのメイドになるから♥️」

 

 セラは足をピンと伸ばし背筋を反らせながら。リズは体育座りのようにソファの上で足を畳んで身体を丸めて。そして二人とも両膝はぱっかりと開いて、元主人へ、元想い人へ懺悔を重ねていく。

 

「し、士郎も♡♡ ごめんなさい、もうそちらには帰れません♡♡ 士郎のコト、たぶん初恋だったと思うのですがっ、なんというか、なかったコトにさせてください♡♡ 歩様にお会いしてよく分かりました♡♡ 私が告白出来なかったのは歩がと出会う為♡♡ 士郎に処女を捧げるのは勿体無いって本能で悟ってたんだって♡♡ 心配されずとも大丈夫です♡♡ 士郎より歩様の専属メイドになったほうが間違いなく幸せだと思いますので♡♡ 士郎はどうか、イリヤさんと幸せになってください♡♡」

「シロウ、いままでありがとーね♥️♥️ シロウのおかげでアユムが凄いオスなんだって比べられるよっ♥️♥️ アユムのコトしか知らなかったら、男の子ってみんなこんなに強いんだって勘違いしちゃってた♥️♥️ シロウのコトしか知らなかったら、みんなこのていどなんだって思っちゃってた♥️♥️ たまにチラチラおっぱい見てるの分かってたけど、触らせてあげられなくてごめんね♥️♥️ たぶんシロウからおねがいしてくれたら、前までなら触らせちゃってたと思うけど、もうダメ♥️♥️ もう私のおっぱいはアユムのモノだから指一本触らせてあーげないっ♥️♥️」

 

 ──ほんの数週間前、異国を発つまでは淡い想いを抱いていた相手へ。共に過ごした時間で言えば百分の一にも満たない、しかし心の底から主人と傅く少年にマンコをほじられながらお別れの言葉を告げていく。

 

 懺悔する事で姉妹の興奮はより高まっていた。そこにはアイリや士郎への後ろめたさもある。しかしむしろそれをダシにして歩への性感を掻き立てていく。今や尊敬していた元主人も好きだった相手も、歩から与えられる快感を増す為のオカズに過ぎなくなっていた。

 

「よく言えましたね。ご褒美に、しっかりほぐしてあげますね」

「ふぎゅッ!? ゆ、指三本も入らなぁ……ッ♡♡」

「くぅんッ♥️♥️ おまんこ開いちゃらめぇ♥️♥️」

 

 セラのマンコはまだ弄られ慣れていないからかピッチリと入り口を閉じている。とはいえ愛撫で若干緩んでいた割れ目に、歩の指が三本一気に差し込まれた。指の第二関節を曲げて内部をゾリゾリと抉る。強過ぎる刺激に、マゾっ気があるらしいセラの喉から嬌声が漏れた。爪で引っ掻かれて痛いくらいだというのに興奮度合いを示すかのようにごぽりと愛液の塊が陰唇からこぼれ落ちた。対して、処女のまま開発されきったリズのマンコは積極的に指に吸い付いていたが、歩は人差し指と中指でもってくぱっとマン肉を割り開く。ねっとりと糸を引く肉穴は大口を開いていて、覗き込めば処女膜まで見えてしまうだろう。

 

「あっいくっ、いくいくっ♡♡ やだっ怖いっ♡♡ あ゙っあ゙っ♡♡ っっ♡♡ ~~っあ♡♡」

 

 先にアクメに達したのはセラの方だ。股間を御主人様に差し出しながら絶頂へ突き上がる。

 オナニーもろくにした事のなかったセラにとってあまりに強烈な快感だった。いつもクールな装いのセラが外面を繕いもせず間抜けに目を細めて舌を伸ばしたアクメ顔を晒す。足をぴーんと伸ばした体勢からは、ひたすら快感を貪っている事が窺えた。

 

「ゔお゙お゙ッッ!?♡♡ もっもうイッてるからっ歩様っ!?♡♡ 指うごかすのやめっ、あっあ゙あ゙ー♡♡ はっ♡ はがぁっ、はひぃ──っ♡♡」

 

 アクメ中のマンコをトドメとばかりに擦られてセラが狂乱した。弓なりに背筋を持ち上げる。ピュッピュッと愛液が潮を吹き下着と歩の指を濡らした。

 

「あ~、セラ、みっともないカオになっちゃった♥️ でもわかるよ、私もさいしょはそうだったし♥️」

 

 歩を挟んで向こう側で白目をむくセラを見てリズが笑う。セラに比べれば余裕があるが、それは単純に歩に開発され始めたのが早かったからだ。当初はリズも今のセラのように歩の指技で泣き、意識を飛ばすのが常だった。連日玩具にされたマンコは今では歩に撫でられただけで口を綻ばせる始末だった。

 

 しかしその余裕もここまで。歩が少し荒々しく掻き回せばあっさりとアクメに向かってしまう。

 

「あっ♥️♥️ はっ♥️♥️ あっダメっ♥️♥️ イクっ、イッちゃうっ……♥️♥️」

 

 セラのような激しいものとは違う、快感に浸るようなアクメ。何度味わっても飽きる事のない快楽電流がリズの背筋を登り、頭のなかでスパークする。

 

「はぁ~~っ、あ~~♥️♥️ アユムの指、気持ちいいよぉ♥️♥️ おまんこ溶けちゃいそう、とろとろ~って……♥️♥️」

 

 湿り気を帯びた恍惚のため息。力が抜けて弛みきった顔で主人に与えられたアクメを堪能する。

 

 二人がすっかり出来上がったとみた歩が左右のマンコから指を抜き、それぞれの眼前に掲げた。しとどに濡れてふやけそうな指。ほかほかと湯気が立ちそうだ。愛液は粘度が高く、白く濁っている。ただ刺激された反射の生理現象で出るものではない、快楽を与えてくれるオスの精を求めているがゆえの分泌液だ。

 

「うわぁ……手首まで濡れちゃってます。粘っこくて糸引いてますし。パンツももうべったべたですよ。お漏らししてるみたい」

「はぁっ、はあ……♡♡」

「んんっ……♥️♥️」

 

 息も絶え絶えのメイド姉妹が御主人様の指を見る。そこに絡んだ白濁液は、メスとしての屈服の証だ。

 

(なにあれ、あんなモノが私の身体からっ……♡ 自分のオナニーじゃ見たコトもない……ううん、あんなモノが分泌される機能があったコトも知らない……♡ 指でちょっと引っ掻かかれただけでアソコが壊れたみたいに涎を垂れ流して、歩様のおちんぽが入りやすいように準備しちゃってる♡♡ 私の子宮が欲しがってる♡♡ 歩様のおちんぽをハメられて、いちばん奥でびゅる~っ♡ って精液出されたがってる♡♡ 孕めるかも、孕みたい♡ 奥様がイリヤさんを産んだみたいに、私も歩様の遺伝子で受精したいっ♡♡)

(また負けちゃったぁ……♥️ 毎回もうちょっと耐えよう、最後までがまんしようって思ってるのに、ぜんぜんダメ♥️ 身体はアユムにかいはつされて、心は惚れたよわみ握られちゃって♥️ もうどうしたって勝ち目ないよ♥️ あとは子宮だけ♥️ 負けちゃいけないのに負けたがってる子宮をアユムのおちんちんで負けさせてもらうだけ♥️♥️ アユムのおちんちんの形も精液の味も知り尽くしてるのにまだ処女なんて、もう耐えられない♥️♥️ アユムのおちんちん早くほしい……♥️♥️)

 

 霞がかったような意識で思う。もうセラとリズの頭から他の事は消え失せて少年のチンポを股ぐらに突っ込んで貰う事しかない。子宮はとっくに降りきって口をぱくぱくさせている。本来生殖など目的のうちにないはずのホムンクルス姉妹は、今やセックスの事で頭が馬鹿になってしまっていた。

 

 セラが濡れて股間に張り付いた下着を足から引き抜く。ずっしりと濡れそぼった布は、床に放るとびちゃりと水音がした。それを見たリズも愛液まみれの下着を脱ぐ。

 

「歩、様っ……♡ おズボン、下ろさせて頂きますね……♡」

 

 セラが細い指で歩のズボンを下ろす──と。

 

「ひっ、ひぃぃ……♡♡」

「あは……♥️ 歩もおっきくしてるんだ……♥️」

 

 ブルンッ!! と肉竿が跳ね上がった。両隣からさんざんメスくさい声を浴びせられて勃起しきったチンポは、先端を先走りでぬらぬらと光らせて獲物の膣穴を探している。

 

「僕も、早くセラさんとリズさんが欲しくて堪らないです。ほら、僕の部屋で」

「は、はい……♡ ではその、失礼いたします……♡」

「うんっ♥️ もうガマンできない、はやくいこ♥️」

 

 主人にセックスを誘われた姉妹に断る気も理由もない。三人がソファから起き上がって、寝室へと向かう。

 真ん中の少年に逃がす気はないとばかりに丸出しのお尻を掴まれて、どぷっ♡ごぽっ♥️とそれぞれのメス穴からまた本気汁が溢れた。

 




前戯が一番書いてて楽しいので、毎回長くなってしまう……


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