スマホの中の女の子と合体したらTS変身したのですが、どうしたらいいですか!? (Plusdriver)
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SPECIAL
ケータイ捜査官 ガングニール


特別編ですよ!

ええ、完全にネタ回です。


これはそう遠くない未来の物語(明日未来)_____

 

 

 

 

 

 

 

立花響は現在進行形で、助けた少女と共に街を逃げ回っていた

 

「きゃあ!」

 

「っ、大丈夫!?」

 

転んだ少女を背負い、一番近いシェルターを目指す。その間にも、少女の母親を探し続ける

 

「っ、もうここまで来てるの!?」

 

角を曲がろうと顔を出したが、そこには異形が存在していた。その正体は『ノイズ』、コンピューターなどの電子機器から突如誕生したモノで有り、人と触れる事で対消滅するニンゲンの天敵である。2000年程には存在していたと言われており、つい2、3年前に『災害』に指定されたばかりなのである。

 

「おねぇちゃん...」

 

「大丈夫だよ。必ず、お母さんに会えるから」

 

その母親が現在無事かどうかは分からない。それでも、彼女を安心させるために噓を付くしかなかった

 

また、怒られるんだろうなぁ...

 

響はそう考えながら、別の道を行く。

 

「えっ」

 

だがしかし、彼女達は囲まれてしまっていた。路地に逃げ込んだためにノイズ達は屋根の上や道におり、逃げようとすれば飛んでいるモノが落下してくるであろう。もう逃げ場のない状態になってしまった響は、少女だけでも守るために、目を閉じながら彼女を正面から強く抱きしめる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『君ノココロヲ受信シタ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?」

 

いつまで経ってもノイズ達が向かってくる気配がないことに気が付いた響は顔を上げた。そして思い出した。

 

『もう大丈夫だよ。ノイズは倒したから』

 

少し露出度の高いアンダースーツを着ており、全身にアーマーをまとったマフラーを巻いた少女がそこに立っていたのだ。

 

「奏さんと、一緒にいた...」

 

『奏、か』

 

少女はその表情を曇らせたが、直ぐに元の笑顔へと表情を変える。

 

『さぁ、僕の名前を言って。君はもう知っているでしょ?』

 

「名前?....あなたの名前は_____」

 

響は覚えていた。2年前、ツバイウィングのライブ会場にてノイズの襲撃にあい、その際に亡くなってしまった天羽奏が、彼女の名前を述べていた事を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「_____ガングニール」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『宜しくね、僕のバディ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この後、引っ込み思案なアメノハバキリを連れた風鳴翼に出会ったり、突起物と呼ばれる特殊な組織へと連れていかれて、自身が奏の後を継ぐと決意したり、清楚系お嬢様なイチイバルを連れた可愛いクリスに出会ったりするが、それはまた別のお話。

 

 

 

 

 

 

 

 

『僕はノイズと戦えるけど、一日30分しか戦えないから気をつけてね』

 

「ま、待ってよ、ガングニ~ル~!」

 

 

 

これは発展し続けるインターネットなどから生まれたノイズや、サイバー犯罪と闘う

 

歩く携帯『ガングニール』

 

 

 

これが、明日のリアル_________




続かない_____と思います

立花 響

根っからのお人好し。自分よりも他人を優先する癖がある。2年前のライブにて、ノイズを倒すために禁断の手を使用した奏によって守られる。その際、奏の相棒であったガングニールを受け継いだ(半ば強制的に)。後にガングニールと共に世界を何度も救うのだが、それはまた今度。

ガングニール

現在は立花響の相棒である、電子体聖遺物。基本携帯の中におり、響が巡り合った事件を解決へと導く。ノイズと闘う力を用ち、時限式だが、電子機器から出て人型へとなる事が出来る。その際は槍や拳を使い闘う。2年前の奏とのユニゾンにより長い間その機能を停止しており、目覚めるまでの時間が飛んでしまっている。時を掛けて聖遺物達の中で一番人間らしくなる。そこから先は、皆様にはまだ未来の話でしたね。

天羽 奏

ガングニールの前相棒。禁断の手とされていたユニゾンを使用したために消滅することとなった。

ユニゾン

電子体聖遺物に共通して行う事の出来る禁断の手。時限式でしか人型でいられないという弱点を補う為に開発された。行うと相棒と聖遺物が融合し、その人格や、身体、それぞれの全てが混ざり合う事となる。それは時限式から半永久的に実体化し続けられるというメリットがあるものの、デメリットとして、それぞれにダメージが発生する。それ以外にも聖遺物同士でも可能であり、その先には_____。
モデルは並列分散リンク。





それぞれの電子体聖遺物の性格のモデルは、平行世界の響達。
『ケータイ捜査官7』を覚えている方はいるでしょうか?
今回はこの小説の元ネタになりそうだった作品(試作)をお送りしました。
次回は未定です。
皆様の感想をお待ちしています。







...言えない、新作ライダーを調べたら黒い携帯が出てきたなんて...

『rururu...』


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ケータイ捜査官 ガングニールG

発売記念に新作をどうぞ


フィーネが引き起こした『ルナアタック事件』から3ヶ月が過ぎた。ノイズは未だに現れるものの、その確率は圧倒的に下がっている。

 

しかし、ソロモンの杖というノイズを創り出す事の出来た聖遺物の輸送任務と翼のライブにて事件が発生したのだ。

 

「この反応は.....『ゼロワン』!ゼロワンですッ!!」

 

「ゼロワンだとォッ!?」

 

かつて櫻井了子によって始めて現代に復活した電子体聖遺物であり、本部から逃走したものである。これまでも日本全国だけでなく海外でも活動しており、度々反応が出ていたのだ。

 

『rururu....』

 

彼女は今日も、かつて守れなかったバディが口ずさんでいた歌を歌う。その口元をマフラーで隠しながら。

 

 

その後、彼女は今のバディであるマリアを連れてライブ会場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ゼロワンが動いてるんだ...』

 

「やっぱり、気になるよね...」

 

ガングニールは彼女が何者なのかを知っていた。双子の姉なのだから仕方がないだろう。

 

 

 

その後響が追い詰められた末にユニゾンを使い、自身が電子体へと急速に近づいていくこととなる。その先で、ソロモンの杖を奪っていった張本人、我らが英雄(僕だけが英雄)ドクターウェルによってシェンショウジンと出会い、洗脳に抵抗しながらも響の変化を食い止め人へと戻すことに成功するが、その結果融合していたガングニールが消えてしまう。

 

「ガングニール...」

 

響は自身のスマホに残されたガングニールのメッセージから彼女の願いを叶える為、世界を救うために浮上したフロンティアを駆け抜ける。

 

「シーカー、行くよ!!」

 

『♪~~~』

 

彼らはブーストフォンと呼ばれ、電子体聖遺物であるガングニール達をサポートする為に現代の技術(2040前後)によって作られた携帯電話の様なロボット達である。ガングニール達や響達バディの指示を理解し、自立で行動するAI入りである。因みにシーカーだが、ガングニール曰く犬の様な可愛さがあるらしい。

 

「シーカー、アクティブフォーム!」

 

響の指示により携帯電話から自立稼働が可能なアクティブフォームへと変形する。その指示は実に簡単、『マリアさんを探して』というものである。自分と共に歩んでくれる友達のような存在である響の願いに答える様にシーカーは辺りを見渡す。すると、マリアとドクターウェルを見つけ出した。

 

「案内よろしくね!」

 

『~!』

 

小さな機体に好奇心が大きいシーカー。主の為に今日も跳ね回る。

 

 

 

 

 

 

「全く、とても厄介なモノを呼んでくれましたね」

 

「ああ、だからって怖じ気づいちゃいねぇよな?」

 

『顔を上げろ、マリア』 

 

 

 

 

『ただいま、響』

 

「いこう、ネフェリムを止めなきゃ」

 

全員がユニゾンを使い、暴走したネフェリムへと抵抗を続ける間にゼロワンは一人の女性の元を訪れていた。

 

『いこう、私のバディ』

 

「シェン、私は戦うよ。最後まで!!」

 

 

 

 

静かに、ゼロワンは実体化したまま砂浜を進んでいく。既に自身の妹たちの姿が見えない程に離れていた。

 

「見つけたよ、君を」

 

『...残念、時間切れだよ。アダム(・・・)

 

 

これは発達し続けるインターネットなどから生まれたノイズや、サイバー犯罪と闘う

 

歩く携帯『ガングニール』

 

これが明日のリアル_____

 

 

 

 

 

 

 

 

『携帯は投げるものではないよぉ~~~~!!!!!』

 

 

リアル?

 

 




続いちゃった記念作品。

今度こそ続かないと思われます。

ではまた。

◇◇◇◇◇◇◇◇

ゼロワン

初代電子体聖遺物にしてガングニールの双子の姉。見た目はグレッキーに近く、アーマーは全体が白黒となっている。彼女はよく同じ曲を歌っており、この曲は一番最初のバディの口癖が移ったものである。


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第一部第一章:非常識な夏休み前編
始まる夏休み


思い付きを作品にしちゃったZE!


ここ2、3年、世界では、主に日本で原因が一切わからない事件が多発している。

 

「ハァ...」

 

そうにも関わらず、世界は巡る事を辞めやしない。まぁ、止まったら止まったで地球は崩壊するが。

 

「なんだかなぁ」

 

殆ど取り柄のない自分だが、このおかしくなってゆく世界で、如何やら取り残されたようだ。

 

「....今日も(・・・)、か」

 

一人教室で何時ものようにスマホの電源を入れ、アプリを立ち上げる。すると、アプリゲームのオープニングにしておくには勿体ない曲が流れ始める。タイトルと共にゲーム開始の為に現れたアイコンをタップするも『サーバーの反応が有りません』、その反応一択だった。

 

「何で皆忘れちゃったのかなぁ」

 

元はアニメだった作品が、3期と4期の間に出したのがこのゲームなのだが、この世界は何時かを境に作品自体が消えていた(・・・・・・・・・・)

動画サイトからは沢山のMADが消え、パチンコ店にあったはずの機体は全く違うタイトルに変わり、そして______

 

 

「うぉっ!?」

 

アニメも、それを見た記憶も、大切な思い出さえ消えてしまった。

そして今日も、一つのビルが突如壊れ始めた。

そう、これが原因不明の災害。確か、アンノウンと呼ばれ始めたはずだ。このアンノウンだが、始まりは都市にあったドームの突然の崩壊から始まったのだ。偶々あの場所にバイトでいた自分は、そこで奇妙なモノを拾った。

鞄にボールチェーンを使って括り付けた一本の槍、ガングニール(・・・・・・)だ。それはアニメで使われたそれのミニ版。警察に一度預けたが持ち主は見つからず、自分の元へ来た。

 

「思えばこれが始まりだっけ」

 

そう思いながらも学校から出るために階段を降りる。既に人は少なく、殆ど残っていないだろう。

 

「夏休みは、初日から1期から一気見するぞ!!!!」

 

オイオイと言う友人ももういない(・・・・・)。突然、行方不明となったのだ。それも、あの日から。

日本では人が突然消える現象が多発している。

それも、アンノウンの発生と同時に。

 

「はぁ....」

 

まだ画面に表示された画像に変化はない。この事件を解決するために動いている政府ももうお手上げなのか、アンノウンでは警報を鳴らさなくなってしまった。

 

「ん、まだ残っていたのか()

 

「もう帰りますよ。...夏休み明けに、会えることを願ってます」

 

「....取り敢えず、歩きスマホはやめろよ?」

 

担任の風間先生に注意を受け、スマホをスリープモードにさせる。

 

「...この学校、今年の卒業生を送り出したら統合されるそうだ」

 

「やっぱり、そうなりますよね」

 

もうクラスメイトも殆ど残っていない。消えてしまったのだ。それも、半数以上が。

 

「最近、この辺りもアンノウンの発生数が上がっている。お前も気を付けろよ」

 

「はい。それではまた」

 

「「生きて会おう」」

 

これから戦いに行くわけでもない。それでも、何時、何処で、誰が消えるかなど予想が付けられないのだ。

自分達が無事に生き残れる様に、願うのみだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、」

 

夏休みが始まり早々、朝の生放送は地獄と化した。存在していたはずのテレビ局は跡形もなく倒壊し、人気キャスターは消えた。カメラは回り続けているのか、海風によりその辺りを映し出す。

 

「また、きれいさっぱり消えちまったのか」

 

返事はない。幸い、一人暮らしをしていた為に、親に何かを言われることもなかった。

 

「いってきます」

 

外に出ればサンサンと照りつける太陽に少々イラつきながらも仕事場を目指す。

今日はとある二人組アイドルのライブなのだ。まぁ、自分は裏方だが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『__________________』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

歩いていた為か、自分はスマホの振動に気が付かなかった。




用語

アンノウン

原因不明の災害。人や建物などが一瞬にして消えたり、崩壊することをさす。


あのアニメ

まさかの5期まで続く深夜アニメ。但しその存在自体が突如世界から消えた。残っているのは、主人公の持つ4期までの円盤のみ。

今なら某動画サイトで全話見れるぞ!




我らが主人公。大切な幼馴染が居る。


風間先生

担任の体育教師。彼のゆく先々では次々に悪が滅びるという...

一体何者なんだ...?


幼馴染

主人公を養いたい。危険な所へ行かせたくない。でもそれを貴方が望むならば止めはしない。でも、必ず帰ってきてね。

















え、大体登場人物がバレてる?一体何を言ってるんだぁ??
あ、タグは気にしないでくださいね。


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突然の出会い

感想欲しいです...



ライブ会場となるドームは今現在都市に存在する最大規模の場所だ。もしここでアンノウンが起これば、いよいよ人々は都市から離れるかもしれない。

 

「橘、今朝のアンノウンの事知ってるか?」

 

「ええ、ちょうどテレビをつけてましてね」

 

既に昼休憩にはいり話しかけてきた先輩にそう返す。最近よく起こるもんなぁと言いながら弁当を食べている先輩を目尻に休憩所のテレビを見る。如何やら今朝のアンノウンでは局以外では被害が出なかったようだ。それを喜ぶべきか、それとも悔やむべきなのか。

 

「この街から次々に出て行っているの、知ってるか?」

 

それは初耳だ。まぁ、アンノウンは日本の、特に都市部で発生しているから納得できる。最近は行かなくなった秋葉原も、アンノウンにより崩壊したんだっけ。もう、彼女たちのカードを見ることも出来ない。サインカードくらい買っておくべきだったか?

昼食を終えて少し先輩と最近のアンノウンの情報交換を行っていると、休憩所の扉がノックされる。

誰かが返事を返したことで扉が開かれ二人の少女が入って来る。

 

「おっ、今日の主役様たちの登場だ」

 

そういわれ振り向けば見覚えのある顔をした少女達が居た。

 

「今日はよろしくお願い....ってえぇ!?」

 

「おぉ...」

 

こっちを見るなり驚いてしまった。

 

「なるほどねぇ」

 

いやあの、何が成程何ですか先輩?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

挨拶が終わり、程なくして仕事が再開される。そんな時だった。

 

「橘君...何でここに居るの?」

 

「バイト先がここでね」

 

声をかけてきたのはクラスメイトでもある風間翼さん。彼女が今日ここでライブを行うアイドルの一人だ。

 

「でも、そんな事一言も」

 

「実は3日前に仕事場が変わってね」

 

夏休み初日、いきなりのメールで驚いたのは懐かしい。仕事先が変更になったことを伝え忘れていたのだ。

 

「何で伝えてくれなかったの?」

 

「いや、確か朝日さんに伝えたはずなんだけど...」

 

「そう、橘はちゃんと連絡してくれたさ。まぁ、私が気が付かせないようにしたんだけどね」

 

朝日奏さん。風間さんと同じくクラスメイトにしてもう一人のアイドル。彼女達はデュアルウイングズと呼ばれ、様々な曲を世に送り出しているトップアイドルだ。

 

彼女達は非常に仲が良く、今も目の前でイチャイチャしている。朝日さんが男ならば、明らかにセクハラであろう。

 

「でもよかった、橘君が無事で」

 

「そのせいで翼、練習に身が入らなかったもんな」

 

ちょっとそれ言わないでよ!と目の前で繰り広げられた光景から目を背ける。流石にこれ以上仕事はサボれない。

 

「悪いけど仕事に戻るね。また後で」

 

「う、うん。また後でね」

 

「おう、また後でな~」

 

仕事に戻ると同時にポケットのスマホが震えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、久しぶりだな。橘」

 

「久しぶりと言っても、4日振りですけどね」

 

搬入の仕事を終えた自分は、そのまま関係者席に座る風間先生に挨拶をする。今回は彼女達から直々にチケットを渡された為、リハーサルから立ち会えることとなった。

 

「何時消えるかわからないからな」

 

「アンノウン、一体何なんでしょうか?」

 

「さぁな。まぁ何かあったら相談しろ。それが大人の仕事だからな」

 

リハーサルはそのままうまく進み、しばらくすると開演時間となった。

 

「あ、そういえば」

 

すっかり忘れていたメッセージを開く。幼馴染からだった。どうやら今日のライブは遅れて来るらしい。まぁ、電車が止まったのならば仕方がないだろう。

 

『翼が緊張しまくってまーす』

 

突然送られてきた通知をタップしトークアプリを起動させる。如何やら風間さんはとても緊張しているようだ。一緒に送られてきた画像からその様子が伺える。

 

『このライブ、楽しんで歌ってね』

 

彼女達にいつも贈る言葉。これだけでリハーサル以上の実力を発揮してくれる。

「貴方もマネージャーになりませんか」と彼女達のマネージャーに言われたときは悩んだものだ。まぁ、大変な時期だった為断ったが。

 

ゾロゾロと入って来る客達を見ながらも、スマホの電源を落とした。風間先生は裏から見るらしく、席を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ライブが始まり、一曲目が終わると同時に、おかしなことが起きた。

 

ステージ立っていた彼女達が固まるくらいには。

 

 

『jtbtorep,;x:g[sl[@sl@』

 

 

突如異形達が現れたのだ。。そしてすぐさま人々に襲い掛かった。

 

「に、逃げろぉおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!」

 

人を灰に分解してしまった。

目の前で未知の異形により人が分解された(死んだ)。誰かが叫び、撮影しようとスマホを構えていた人々も逃げ出した。だが次から次へと灰に変られてゆく。

 

「何で...どうして...」

 

自分は、理解できないでいた。今の状況を。そして自分は知っていると。あの異形の正体をが『ノイズ』だと。

 

歓声で溢れていた会場は一瞬にして悲鳴と暴言で渦巻く空間へと変化した。人々は脱出できたのか自分以外残っていない。そんな時だった。

 

『おーーーーーーーーーーーーーーーーーーい!!!!!聞こえますかぁあああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!』

 

聞き覚えのある声が聞こえたのは。

 

『おっ、やっと出られたってえぇえええええ!?で、でっかい...』

 

スマホを取り出せば、勝手にアプリが起動しているし、その上懐かしの画面が表示されている。

 

『えっと、こっち向きかなっと!』

 

縦画面一杯に彼女の姿が写り込む。

 

『話は後。取り敢えず、あのノイズを何とかしないと!』

 

「え、ええっ!?」

 

するとスマホが勝手に手から飛び出し、ノイズへと体当たりを行う。如何やら少しは効いているようでノイズから反撃されてしまい、地面で転がり戻ってくる。

 

『やっぱりこのままじゃダメだ。ねぇ君!何か持ってない?』

 

「何かって言われても...」

 

この場にあるものはほとんどない。あるのは...鞄に付いたキーホルダーのみ。それを乱暴に引きちぎる。

 

「これ、使える?」

 

『!...多分、いけると思う。さぁ、早く!!!』

 

スマホに引っ張られてノイズ達の目の前に行く。

 

「で、どうするの?」

 

『う~ん、わかんない!!!』

 

あ、これダメだ。

 

「取り敢えず、やるしかない!!!!!!!」

 

そう思った時、手に持ったスマホの画面とキーホルダー、ガングニールが光り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え、な、なにこれッ!?」

 

そして自分は、橘響は。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

立花響(・・・)となってガングニールを纏っていた。

 

『スマホの中の女の子と合体したらTS変身したのですが、どうしたらいいですか!?』




先輩

どこからともなくアンノウンについての情報を集めている。


風間 翼

乙女な歌姫


朝日 奏

男気ある姉御


幼馴染

電車の遅れによりライブに間に合わなかった



ノイズ

異世界からの侵略者。音が好き+人が好き→触れる=灰になる→次に行く(無限ループ)


謎の少女G

ギアを纏った少女。ノイズと戦う持つ


風間 弦

裏からスタッフ達とデュアルウイングズを逃がすために壁をぶち壊した模様。流石OTONA。


主人公

アイエエエ!!ヒビキ?ヒビキナンデ!?

















感想欲しいん。


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取り敢えずぶん殴る

理解できない

 

『え、ええええええええええええええええ!!!!!!!!??????????』

 

それは如何やら彼女も同じようだ。突然合体なんてしたらそうなるに決まっている。

 

「む、胸がある...」

 

『身体が、自由に動かせないッ!』

 

如何やら合体した為か彼女の身体になってしまったようだ。もう滅茶苦茶だ。

 

「これならあいつらと戦える?」

 

『ッ!!勿論!!!!』

 

それさえ分かればいい。大切な彼女達の夢をぶち壊したあいつらを、ここで倒す。

 

身体が、勝手に歌を歌い出す。それと同時にどんどん身体が軽くなってゆく。如何やらこれが、シンフォギア装者というものらしい。

 

ノイズ達は目標を自分に変更したようだ。次々と向かってくる。だがこれなら簡単に倒せる。如何やら彼女と合体した為に彼女の戦い方を身体が知ったようだ。上手く戦えている。

 

「次!!」

 

今合体している彼女、立花響はガングニールの適合者だ。彼女にはアームドギアが存在せず、その拳そのものが彼女のアームドギアである。簡単に言うなれば、

 

「取り敢えず、ぶん殴る!」

 

というわけだ。シンフォギアがノイズに触れることで分解能力を調和、無効化し、逆に分解する。それが彼女がノイズと戦える理由だ。

 

「お、終わった....の?」

 

『もうノイズはいないみたい...って、これどうやって元に戻るの!?』

 

そうだよ!流石にこのまま彼女の姿でいるわけにはいかない。何より、この格好で外にいたくない。

 

ギアの解除方法は知らないが、取り敢えずギアペンダントの代わりに付いているスマホの画面を見る。するとそこにはギアペンダントが映し出されていた。

 

「もしかして...」

 

アプリのガチャを思い出す。もしもこのペンダントを左右に揺らせば、元に戻れるのではないか、と。

 

自分は無言で画面のペンダントをタップした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「良かった!無事だったのね!」

 

「心配したんだぞ!お前に何かあったら私は...」

 

彼女達の前には元の姿で戻ってこれた。流石にあの姿のまま会っても自分だとは理解されないだろう。

 

『翼さんに、奏さん!?...いやでも...似ているけど別人?』

 

スマホから声が聞こえるが気にしない。

 

「すいません、逃げる人達の波に飲まれて中々出れなかったんです」

 

それは嘘ではない。合体が解除され元に戻ったと同時に自分の元にはガングニールとスマホが戻ってきた。

その姿は誰にも見られていなかったものの、流石にバレる訳にはいかない。もしバレれば何をされるかわからない。

 

「生き延びたか、橘」

 

「風間先生、アレはなんなんですか?」

 

「...分からん。ただ分っているのは、人間の敵だという事だけだ」

 

...以前から思っていたけれど、自分の周りの人達は何処か彼女達に似ている。自分の名前も橘響だからだろうか。

 

『お~い!話は終わった~?』

 

ノイズによる襲撃によりライブは中止となった。警察や政府により取り調べが行われたが殆どの事がわかることはなかった。分かったことといえば、うまく聞き取れない雑音を出す化け物と、それと戦っていた少女のことだけだった。

 

「君は、一体何者なんだ?」

 

スマホを取り出し、画面を見ればあの時と変わらず彼女が居る。

 

『それについても説明するからさ!先ずは自己紹介だよ!』

 

一方的に知っていますよ。まぁ、大事ですからね。

 

『私の名前は立花響!17歳で好きなものはご飯&ご飯!』

 

うん、滅茶苦茶である。この自己紹介は彼女だからこそであろう。

 

『君の名前は?』

 

「僕の名前は橘響。君と同じ名前で、同い年だよ」

 

こうしてライブの帰り道、僕と彼女()の物語が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あっ、どう未来に話せばいいんだろう!?』

 

前途多難である。




立花 響

好きなものがご飯&ご飯という少女。
幾度もなく世界を救ってきた我らが主人公。


橘 響

主人公にして、性別は男。
ガングニールとスマホによって響と合体し、TS戦姫ヒビキとなる。


ユニゾン

響が合体する事をさす。
特定のアイテムとスマホを使う事で、スマホの中の人物と合体し、その人物の身体を操る事が出来る。それと同時に戦い方などを知ることもできる。ギアペンダントの代わりにスマホが装着されており、その画面にはギアペンダントが映し出されている。







さぁ、皆集まって!戦姫絶唱シンフォギアXVが今日から始まるよ~!!!!!!


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もう一つの双翼

本日二本目。


あの日から家に同居人が出来た。

 

『うぅん....みくぅ.....』

 

スマホに住む彼女がその人物だ。しかも中々起きない。

 

あの後、通信機により彼女の世界から連絡がきた。どうやらギャラルホルンという聖遺物により突如響が平行世界へと飛ばされていたらしい。しかも朝一に。

 

『ずっと話しかけていたのに、何も返してくれないんだよ!』

 

それについては謝った。仕方がないだろう。歩いている時にスマホが振動したところで気がつかないものだ。

 

『そちらの世界には奏者は存在しないんだろう。このまま響君にはそちらの世界に居てもらい、ノイズを共に撃退してくれ』

 

「わかりました」

 

本来ならばスマホの外に出てくるはずだが、彼女達は二次元の存在のため、三次元であるこの世界には干渉できないのだという。初めて聞いたエルフナインの声だが、中々可愛らしいものだ。

 

『ヤッホー未来~!』

 

『よかったぁ。あ、響、響さんに迷惑かけちゃいけないからね!』

 

『わかってるって~』

 

それと同時に、こちらの世界で起きていることについても聞かれたため、アンノウンについて聞いてみたところ

 

『情報や画像はあるか?こちらでも調べてみよう』

 

ありがたいことだ。もし原因が分かればアンノウンを防げるかもしれない。

そして今日、事件は動き出した。

 

『ギャラルホルンにより他の奏者も平行世界へと飛ばされた』と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『今日も、ノイズが現れたね』

 

「そうだね」

 

初めて戦ったあの日から、世界ではノイズが発生するようになった。次々と人々は灰へと変えられ、それと同時に襲ってきたアンノウンによって沢山の犠牲者を出していた。

 

自分は響と共に正体がバレないように戦い続けている。それもほぼ毎日世界中で、だ。

仕方がないと理解していても、身体はもう動いてくれない。

ユニゾンと名付けた彼女との合体は思った以上に体力を消耗する。日頃からバイトにより鍛えていても、闘ったことなどなかったのだ。それに比べれば良くもった方だと思っている。

 

『あ、メールだよ』

 

「誰から?」

 

『未来さんから』

 

日向未来、それは自分の幼馴染の名前だ。彼女からはアンノウンに巻き込まれた日から毎日のようにメールがくる。生存確認を含めた彼女の日常がそこに載っている。

 

『あ、今度こっちにくるみたいだね』

 

本人の意思と関係なしに来るようだ。泊めないわけにはいかないが、問題がある。響の存在だ。

 

「君についてどう説明したものかな」

 

『う~ん、新しい機能とか?』

 

それでは直ぐにバレるだろう。取り敢えず掃除をしておくに限る。

 

『あ、奏さんと翼さんからもきてるよ?』

 

彼女はスマホの中で好き勝手に動いている。既にほかのアプリを起動させても彼女が消えることはない。お陰で動画が見づらくなって、最近ではパソコンで見ている程だ。

 

メッセージは明日学校に来てくれ、というものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、来たか」

 

「おはよう、橘君」

 

今日は風間先生に呼び出されて学校に来ている。理由はわからないが突然呼び出されたのだ。

しかし教室にはメッセージをくれた朝日さんと風間さんしかいない。

 

「おはよう二人共。今日はなんで呼び出されたか知ってる?」

 

「ああ...それなんだが」

 

「私が叔父様に頼んだの」

 

如何やら風間さんが呼び出したようだ。叔父である先生は滅多に頼みごとをしてこない彼女の言葉で行動してしまったのだろう。気持ちはわからなくもないが。

 

「話があるの、彼女が」

 

そう言って彼女はスマホの画面をこちらへと向ける。

 

『君が橘か。私は風鳴翼。防人にして剣だ』

 

『オイオイ、そういう説明じゃ響の奴が混乱しちゃうだろうが。あたしは天羽奏だ。響と同じガングニールの奏者だぜ?』

 

それと同時に朝日さんのスマホからも声が聞こえる。

 

『えぇええ!?翼さんに奏さん!?こっちに来ていたんですか?』

 

『突如起動したギャラルホルンによってきてしまった』

 

『戻る方法も分からないから旦那に連絡したら、橘響という少年を頼ってみろと言われたんだ。奏に聴いたらクラスメイトときたもんだ。だから呼び出させてもらったのさ』

 

こっちもスマホを起動させて響を映し出す。なんなのだろう、これは。

 

「あの日、私達をノイズから守ってくれたのは橘君だったんだね」

 

「ってことはあの時の言葉は嘘か?」

 

「いや嘘じゃないよ。闘った後に人混みに隠れたんだ」

 

正直に言う仕方ない。というかこの世界に複数の奏者が来ている事が分かった。それならばだ。

 

「二人共、翼さんと奏さんとユニゾンできる?」

 

「「ユニゾン?」」

 

『えっと、一度やってみた方がいいかな?』

 

響の言う通りだろう。これは説明するのが難しい。

 

「今からユニゾンするから、見てて」

 

そう言って彼女達から距離を置く。そしてネックレスにしたガングニールを制服のシャツから引っ張り出してスマホを起動させる。

 

「『ユニゾン!』」

 

スマホにガングニールを突き刺す(・・・・)。すると画面の中へと入ってゆく。完全に入ると同時に自分の姿が一瞬にして変化する。

 

「え、橘君は何処?」

 

「まさか...」

 

朝日さんはどうやら気が付いているようだ。

 

「風間さん、私が橘響だよ」

 

「え、えぇええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!?????????????」

 

歌姫の綺麗な声が、たった三人しかいない教室に響く。今日は部活動も内容で、彼女の声しか聞こえない。

 

「え、え?橘君が立花さんで?え?」

 

『これほどとは。まるで本物!』

 

『いや多分これ本物そのものだろう』

 

装着されたスマホをタップしユニゾンを解除する。それと同時に、夏の熱気が襲い掛かってくる。流石にキツイ。

 

『大丈夫?』

 

「まぁ、これくらいならね」

 

精々今日はユニゾンできてもあと一回が限界だろう。折角だから食事を豪華にしてみようか。もしかしたら少しは役に立つのかもしれない。

 

「で、ユニゾンするにはどうやら特徴的なモノが必要みたいなんだ。僕と響の場合はこの槍、ガングニールだね」

 

『ふぅん。あたしのギアもガングニールだからな。もしかしたらできるかもな』

 

そういう奏だが、突然朝日さんのスマホから姿を消す。

 

『ん?あれ?なんでここに響が?』

 

『奏さんが突然現れた!?』

 

どうやら彼女達は特定のアプリ限定だが、行き来ができるようだ。今は朝日さんのところに翼さんが、風間さんの所には響が、そして自分の所には奏さんが居る。

 

『折角だからやってみようぜ』

 

「そんな上手くいくかなぁ」

 

スマホは勢い良く机に置かれたガングニールへと向かってゆく。そしてそこでバランスを崩し、画面からガングニールを押し潰す形でたおれてしまう。

 

「『あ』」

 

次の瞬間、僕はまた違う子にTS変身していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『『カッコイイ...』』」

 

『ハハハ...』

 

嬉しくないし、笑わないでくれるかなぁ、奏。




彼女達がスマホから自力で出られないのは___

彼女達の存在自体が別次元のものであり、一次元上がった世界に移動しようとすると何らかの変化が起こる。その変化は主人公が唯一、戦姫絶唱シンフォギアについての記憶を持っていた事で起きた。
彼女達を実体化させるためにはユニゾンが必須となる。

しかし、一方で連絡を取り合う事は可能で、画像などを送ることもできた。


ギャラルホルン

視聴者の夢を叶えてくれる完全聖遺物。


風鳴 翼

バラエティー番組向けな少女。世界的にオファーされることもある。
防人語を話す時と、素で話す時の2パターンが存在する。


天羽 奏

翼とユニットを組む一番最初のガングニール奏者。平行世界から遊びに来ていたところを平行世界へと吸い込まれる。
スマホの操作ミスでユニゾンしてしまった。


立花 響

最近、393が時々怖い模様。


橘 響

ユニゾンできる少年。
しかしユニゾンするたびに身体が変化しており、体力を奪われている。
今日も一人、ノイズと戦う。その理由は_______


日向 未来

主人公の幼馴染。今は女子高に進学しているが、長期休暇の度に主人公の元へと現れる。毎日、日記がてらにメールを送るのが日課。返信が来ると保存している。
もし主人公に何かあった場合________












感想欲しいですよ。あ、ついでにXVの感想もOK!


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Kの独奏/Aの発見

今この作品を読んでいる読者に告ぐ。













XV見た?


「...どうしたものかな?」

 

『あ~悪かったな、響』

 

事故によりユニゾンしたことで自分の身体は天羽さんのものへと変化してしまった。普通ならユニゾンを解除すればいいのだが、既に何回かユニゾンをしてしまっている。

 

「倒れるだろうね、多分」

 

『ノイズが現れないんなら、解除すればいいんだけどな』

 

あの日以来、必ず一日に一回、ノイズが現れているのだ。自分以外がユニゾン出来ないのならば、このままでいるしかない。ここに来る前に、トイレによっておいて良かった。

 

『にしても、これ中々面白いな』

 

「こちらとしては面白くないんですよ...色々目のやり場に困るし」

 

普段響とユニゾンしている為、身体が他の女性となったことで違和感が凄い。それに髪も長いからか首が動かしずらいのだ。

 

「奏とはユニゾンできるんだな」

 

『それは立花と同じギアを纏っているからだろう』

 

二人共、ユニゾンに必要なアイテムを持っていない。自分も、あの会場で偶々拾った訳なのだが。

解除したくても解除できないとは...戦えるのが自分だけなのは、中々心細いものだ。

 

「天羽さん、アームドギアの出し方を教えてくれないかな?」

 

『アームドギアの出し方?』

 

今迄の戦いは、響のアームドギアである拳で戦ってきた。だが、一度もアーマーを変形させたことがないのだ。きっと、何かが足りないのだろう。

 

『あたしのアームドギアは知ってるだろ?それを両腕から出す感覚かな』

 

取り敢えず意識してみる。アニメで何回も見たじゃないか。両腕のアーマーを合わせて分離し、それを変形させる。

 

「...出来た」

 

『やればできるじゃないか』

 

というか、激槍・ガングニールはやはり長い。ネックレスにしたあのガングニールも時々身体に刺さっていたいのだ。もう一人の奏者が行っていた様に、槍自体を何回か分離してみる。中々応用が利きそうだ。

 

『響君!ノイズが現れた!』

 

そして早速、それを使う時が来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「バーロー」

 

『?突然どうしたんだ?』

 

ユニゾン中には身体が合体した少女のものとなる。それは同時に、声も変化するというもの。某名探偵の口癖をしてみると中々様になっているようだ。響との時は「こんなの絶対おかしいよ!」と言ったのは懐かしいものだ。

 

「いけるかい?」

 

『勿論!』

 

声を合わせて歌い出す。身体は軽くなり、すぐさまアームドギアを作り出す。

 

『そのまま槍を回転させろ!』

 

「うぉおおおおおお!!!!!!!!!!」

 

その状態で次から次へとノイズを突き刺してゆく。今戦っているのはこの世界で初めてノイズが現れた場所だ。

 

『数はそこまで多くはないな。でも、何かがおかしい』

 

天羽さんの言葉を聞きながらも、歌うのを辞めずにノイズへと槍を振るう。確かに変だ。昨日まで戦ってきたノイズ達はシンフォギアへと向かって来たが今回はまるで逃げるように背を向けている。

 

『...まさか!』

 

ノイズは音に反応する。ここはノイズとアンノウンにより崩壊しており、今は一部工場中だ。その音に引き付けられているんだろう。

 

「犠牲者が出る前に、終わらせる!」

 

槍の外装を外し、左右両端のノイズへと撃ち込み、そのまま回転させて一気に三ヶ所で貫き通す。

 

「...逃がしてないよね」

 

『ああ、全部倒したぜ』

 

それがわかると同時に、その場に座り込んでしまう。ここ(会場)に来るのにギアを纏った上で走ってきた為か、疲労感がとてつもなかった。

 

「...天羽さん、後はよろしく」

 

『おう』

 

そうしてスマホの画面をタップしようとした時だった。

 

『2rugomoinu hhe』

 

新たなノイズが降って来た。その為すぐさま槍を持ち直し、構える。だがしかし、身体に激痛が走り出した。

 

『やべぇ、時間切れだ!!!』

 

どいやら彼女が限界のようだ。このままギアを使い続ければ、身体が内側からボロボロになってしまうだろう。

リンカー頼りなのはイヤだという彼女達の言葉の意味がよく分かった。

 

「天羽さん、もう少し力を借りるよ!!!」

 

『...余り時間はないぞ!!!』

 

痛みを感じながらも歌い、武器を振るう。口の中が血液の味で染まり始めるが、気にしない。気にしてられないのだ。相手が悪すぎる。

 

「受け止めて、交わすな!」

 

『こいつは、ほかのヤツとは違う!』

 

相手にしているノイズは、武士または侍ノイズと呼ばれた個体だ。しかし、その手には一本の日本刀が握られている。そして、その剣には見覚えがあった。

 

『なんで...お前がそいつをもってやがる...』

 

ノイズが決して持てず、自身を分解してしまうはずの武器______

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『天羽々斬ィイイ!!!!!!!!!!!!』




橘 響

天羽奏とのユニゾンに事故で成功するが、そのまま解除できない状況に至ってしまう。更に、天羽々斬と思われる剣を持ったノイズと抗戦する。


天羽 奏

主人公とのユニゾン中にノイズが出現、教室の窓から飛び出し旦那の指示により現場へと向かいノイズと戦った。翼は可愛い。


風間 翼/風鳴 翼/朝日 奏/立花 響

主人公達に学校に置き去りにされた。現在風間先生の車で現場へと向かっている。


風間 弦

OTONA ラスボスをも倒せるかもしれないヤベーヤツ。風鳴弦十郎とあった場合、何が起こるかわからない。


時間切れ

ユニゾンしている奏者がリンカーの投与が必要な場合、ユニゾンしている者にもそのデメリットが発生する。しかし、彼女達とは異なり、リンカーを投与してもギアの行使時間が延びる事は無い。











サブタイトルの元ネタを知っている人は、きっと私と仲良くなれるはずだ。
まぁ、それよりも先に言わせてもらおう。


???「『愛』ですよ!!!」

???「何故そこで『愛』!?」


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剣と奏と初ユニゾン

サブタイの元ネタ知る者、我と仲良くなれる。

………XV、イイネェ


天羽々斬、それは風鳴翼のシンフォギアである。だがしかし、今はノイズの手にあった。

 

「くっ」

 

そしてそのノイズが問題だった。剣を使いこなしているのだ。必要とあらばその形、大きさを変化させ、攻撃をしてくる。

 

 

『何で、翼のギアを、ノイズなんかが...』

 

 

天羽さんが何か言っているが、上手く聞き取れない。ノイズがつくった剣の壁に槍が刺さると同時に回転させ、貫き壊す。

 

『mdaatkuitatmerouazo!』

 

しかしノイズには届かなかった。剣は何重にも重ねられており、貫き終える前に攻撃されてしまう。

 

「ガハッ」

 

ギアの一部を壊され、そのまま吹き飛ばされてしまう。壁に当たると同時に、口いっぱいに血液が溢れ出てきた。どうやら、本当に無茶をしているようだ。視界に白い靄が掛かり始めた。

 

 

『おい!しっかりしろ!』

 

 

声の存在は分かる。だが、内容が、意味が分からない。身体がドンドン重くなってきた。

 

『Srabadayratikuiayo』

 

刀型へと戻った剣が、自分に向けられているのは分かるが、距離がつかめない。既にノイズとの距離も測れないほどに視界は曇ってしまった。

このまま、何もできずに_____

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『奏、選手交代よ。大丈夫、橘は助けてみせるから』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

声が聞こえた。聞き覚えのある声だ。あのアニメのオープニングを歌い続け、ライブでも走りながら歌えるほどの体力を持つ彼女の声。そして、大切な者達を守る心優しき剣...

 

『橘、どうやら間に合ったようだな』

 

「え、えっと、そうみたいですね」

 

そんな彼女の声が聞こえる。自分の中から。

 

「間に、合った...」

 

「間一髪って、ところだな」

 

『奏さん!大丈夫ですか!?』

 

『悪い響...身体が上手く、動かせねぇや』

 

自分が叩きつけられた壁の反対側の観客席から声が聞こえる。

 

『混乱している様だが、説明する時間はない。叔父様には、ベッドの上で話をするんだな!』

 

ようやく、理解出来てきた。今自分は風鳴翼の身体に変化しており、天羽々斬をギアとして纏っている。身体は先程よりも軽く、視界も良好だ。

ノイズは自分に剣を刺そうとスマホを狙ったようだ。風鳴さんが天羽さんと入れ替わり、画面には剣が刺さった為そのままユニゾンしたらしい。

 

ノイズは急に剣が消えたことと、自分()の姿が変わったことに驚いているようだ。

 

『nnagioaktoa!』

 

その名の通り雑音を出しながら、先程まで剣を絡めて持っていたとげの様な触手を延ばして来るが、太股のアーマーから即座に剣を取り出し、変形させて切り落とす。勢い余ったのか、そのまま進んでくるノイズを上段から切った。

 

「か、勝った...」

 

『成程、この感覚がユニゾンと呼ばれるものか』

 

剣を手から落とし、両膝を地面に付けて、ペタンと座り込んでしまう。手を震えさせながら、画面をタップする。

 

走ってくる三人(・・)の声を聞きながら、自分は意識を手放した。




橘 響

リンカーのリミットを超えた上でギアを使用し続け、更に新たにユニゾンをした為、身体に負荷を掛け過ぎた為に倒れてしまう。


天羽 奏

途中から自分の声が響に届いてないことに気が付いた。ノイズに追い詰められた時に、リンカー頼りの自身に怒りを覚えた模様。


風鳴 翼

響のスマホに入り、奏を風間翼のスマホに送り出し、そのままスマホに向かってきた剣によりユニゾンする事に。


風間 翼/朝日 奏/立花 響

目的地に到着後、直ぐに走って会場に入った。翼を響のスマホに送ったのは風間のアイデア。


風間 弦

車を出したOTONA。倒れた響の元に一番最初に辿り着き、地面と顔を接触を防いだ。響曰く、『師匠みたい』


侍ノイズ

何故か天羽々斬を持っていた。その理由は不明。

スマホの限度

奏者が最大3人まで入る事が出来る。ユニゾンする際は一人としか出来ない為、他の二人は別のスマホへと移動する。但し、一時的ならユニゾン中であっても一人以上入る事が出来る。











テストが、期末のテストがやって来る...
逃げなくては...奴らの手の届かない場所まで...

??『所で皆さん、哲学兵装ってご存知ですか?』


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御・嬢・登・場

毎度恒例になってきたサブタイトル元ネタシリーズ...


南極であの冒頭...あの巫女再登場&闇落ち393再び?


ふと、目を開くと知らない天井が挨拶をしてくる。何処だろうか、ここは。

 

「おはようございます、橘先輩」

 

「え?」

 

顔を声のした方向に向けると、顔をよく知る者がいた。

 

「あ、アリス!?」

 

一体どういうことだ!?なぜここに彼女が居る?

 

「ご自身の状況を理解していませんね?」

 

「え、あ」

 

よく見れば、ここは病室だった。如何やら一人部屋らしく、彼女以外には誰もいない。それだけでなく、先程まで一緒に戦っていた彼女達のいるはずのスマホすら見当たらない。

 

「突然、翼様から連絡で驚きましたが、如何やら大変な事件に巻き込まれているようですね」

 

「...君は、風間さん達から僕の事情を聞いているの?」

 

「ええ、もちろんですわ」

 

彼女はアリス、白雪アリス。自分の通う高校の二年生である。彼女はとあるご令嬢らしく、特定のこととなると、暴走することがある。

 

「私は先輩に感謝しているのですよ?翼様からのお願いなど、滅多に言ってもらえないのですから!!!」

 

キマシタワーと言いながらくねくねとする低身長の彼女をベッドからゆっくりと身体を起こしながら見る。彼女は、とても、とっても風間さんの事が好きなのだ。

 

「好きではありませんわ...大好きですわ!!!!愛していますわ!!!!」

 

彼女は外面から見ると美少女なのだが、中身が暴走しがちなのだ。風間さんが道端で転んだだけで救急車を呼んだり...軍を動かそうとしたり...今思い出しても頭が痛い。

 

『ああもう、ツッコミが追い付かねぇ!!!』

 

「!?」

 

突然大きな声が病室に響く。それと同時にどこからかスマホが飛び出てくる。

 

『いい加減にしろ!そういうのは家でやれ!!!』

 

「あら?ここは私の家ですわよ?」

 

『ああん、もう!!!』

 

声の主に、覚えがあった。響や天羽さん、風鳴さん達がこの世界に来ているならば、きっと彼女もこの世界にも来ているのだろうと。

 

『はぁ...このバカはほおっておいて、自己紹介だ。雪音クリス、イチイバルの奏者だ』

 

「あら、バカはヒドイですわ」

 

『ほんとのことだろうが!』

 

スマホを捕まえたアリスは、スマホの中にいる雪音さんとギャーギャー話し続けている。先程の会話から、この病室がアリスの家の中にあることが分かった。取り敢えず話が進みそうにないので、ベッドの横のナースコールのスイッチを押した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「良かった、目が覚めたんだね」

 

「三日も目覚めなかったんだ。心配したんだぞ?翼が」

 

「へぇ...」

 

ナースコールの後、部屋にやってきたのは看護師ではなく風間さん達だった。サラリと朝日さんが言った事にアリスが反応して怖い。逃げ出したいくらいには。

 

「逃げても無駄ですよ?先輩を捕まえるなんてたやすいことですから」

 

「やめてください、死んでしまいます」

 

「フフフフ...」

 

口元に手を当てて笑う彼女の姿は、とても怖い。目をそらせば、それを見てしまったのか、風間さんが震えている。

 

「アリス、そう笑ってやるな。翼が怯えてしまうだろ?」

 

「ああ、それはいけませんわ!誰か!撮影の準備を!」

 

「や、やめてよ.....アリス」

 

「はい!」

 

震えながらもアリスの名を呼ぶことで、暴走を阻止する。既に風間さんにはアリスに対する苦手意識が存在する様で、一歩引いている。

 

「...さて、翼様を愛でるのを一旦やめましょうか。本題ですわ、先輩。貴方はこれからどうするつもりですか?」

 

それは、どういう事なのだろうか。

 

「...ノイズとの戦いの事?」

 

「それだけではありませんわ。今、貴方の身体がどうなっているかをご存知で?」

 

知る由もない。天羽さんとのユニゾン中に無茶をして、風鳴さんとユニゾンした上で、三日も寝ていたのだ。

 

「今のあなたの身体は、外側からは異常がなくても、内側が大変な事になっているんですよ?」

 

「内側?」

 

リンカー切れでのギア使用で、ボロボロになっているのだろうか?

だが、ノイズは毎日現れる。闘えるのも、自分一人だ。

 

「ええ、明らかにこの夏休みをベッドの上で過ごす予定でした」

 

おかしい。その言い方ならば、内側の被害は深刻なもののはずだ。でも、自分は今何ともない。

 

「突如、とてつもないスピードで回復が始まったのですよ?ボロボロだった喉と肺が、完全に元に戻ったと聞かされた時は、耳を疑いましたわ」

 

その理由はわからない。一体、自分の身体に何が起こっているのだろうか?それよりも、だ。

 

「僕が寝ている間の三日間、誰がノイズと戦ったんです?」

 

「ああ、それなら私が」

 

そう言いながらアリスは首元からネックレスと共に赤い小さなボウガンを取り出す。雪音さんのイチイバルだった。

 

「一応、私達も戦ったんだよ?」

 

「黙って借りて、悪かったな」

 

そう言いながら、彼女たちも小さな刀と槍を見せてくれる。如何やらユニゾンして戦った様だ。

 

「そのことで、先輩に聞かなければならないのですわ」

 

そう言いながらアリスは僕のスマホを取り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「このアプリは、なんですの?」




橘 響

目が覚めると三日たっていた。その上、途轍もない回復スピードを発揮した模様。しかし、1期のOTONAの回復スピードの方が圧倒的に早い。


白雪 アリス

風間翼大好きっ子。愛してやまない彼女の頼みならば、聞かないことはない。


風間 翼

アリスの事が苦手。ユニゾンしたが、上手く戦えなかった模様。


朝日 奏

アリスが嫉妬する人物代表。しかし、彼女が狙われることはない。何故なら大切な友人だからである。響のアームドギアの展開、扱い方を見様見真似で戦い、ノイズに勝利する。


雪音 クリス

某アニメのツッコミ担当。可愛い。


スマホ

響のスマホに奏者が入っている状態で、画面にアームドギアを刺し入れることでユニゾンできる。しかし、他のスマホに奏者が入れても、決してアームドギアを受け入れることはなく、ユニゾン出来なかった。










揃い始めた奏者達。しかし、謎は深まるばかり...
皆さんは、響のスマホだけがユニゾンできる理由をご存知のはずです。
感想、お待ちしています。


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始まりの証

毎度恒例のサブタイ元ネタな~んだ?









感想欲しいです。ええ、いつも通りです。


アリスは自分()のスマホのアプリを起動してみせてきた。

 

「このアプリは、何ですの?」

 

そのアプリの名は『戦姫絶唱シンフォギアXDU』、響達がゲームのキャラクターとして登場するものだ。

 

「起動させれば、響さんや風鳴さん、天羽さんや雪音までタイトル画面にいるではないですか!!」

 

「うん、そうだろうね」

 

「ならば、彼女達は何なのですか!?」

 

アリスはこう言いたいのだろう。平行世界から来たという彼女達は、ゲームのキャラクターだということを。話すべきなのだろう。この世界で起きている真実を。自分しか、もう覚えていない彼女達の物語を。

 

「それも含めて話をするよ。その為に、響たちを連れてきてもらってもいいかな?」

 

ノイズがこの世界に現れた時に、話しておかなければならなかったのだ。

 

「一体、何を隠しているの?」

 

一人病室に残った風間さんにそう聞かれた。返す言葉は唯一つ。

 

「この世界が壊れ始めた、始まりを話すだけだよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やあ、響。3日振りだね」

 

『そうだね!』

 

『相談があるのだが...何故、風間は上手く戦えないんだ?』

 

『いや翼、それどころじゃないだろ...響、弦十郎の旦那達との通信を繋いだぜ』

 

「ありがとうございます、天羽さん」

 

病室には、先程とは違い風間先生とデュアルウイングズのマネージャー、小川さんの姿もある。如何やら自分がここに運ばれていた際に、事情を聞いていた様だ。

 

「聞こえてますか、風鳴弦十郎さん」

 

『ああ、しっかりと聞こえているぞ』

 

声を聞くだけで、何故か予告を思い出す。あれは本人たちではないのだ。彼らには関係ない。思い出し笑いを隠しながら、話を始める。それは、一人の巫女の、とてもとても一途な恋の物語の休止までの物語。

 

続けて、地球へと落下してくる月をどうにかするために、悪を背負った彼女達の物語。勿論、英雄に憧れた博士の話も交えて。

 

そして、とある錬金術師とその人形たちとの物語。最後に、正義と正義のぶつかり合った物語。

 

『...君は、一体何者なんだ?』

 

帰ってきた言葉は、予想通りのものだった。ならば、返す言葉も決まっている。

 

「この世界の崩壊に取り残された、唯の子供ですよ」

 

大人に協力してもらう以外、ここから先闘っていくことは出来ないから。

 

「それでは、今度はこちらの世界で起きていることを、詳しく知ってもらうことにしましょう。アンノウンが発生してから、この世界では一つの作品が消えました...そのタイトルは_______」

 

自分は戦い続ける。アンノウンが発生しなくなり、ノイズも現れなくなるまでは。彼女達の帰ってくる場所を、守り続けるんだ。たとえそれが...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『戦姫絶唱シンフォギア』」

 

呪いの様な願いだとしても。




橘 響

遂に事情を話した。S.O.N.G.に信用してもらうために、今迄の彼らの戦いを語った。
今迄闘ってきたのは、とある願いの為。


白雪 アリス

翼達からユニゾンの事を聞き、偶々拾ったボウガンを手にユニゾンしようとしたが失敗した。その理由が、響のスマホにあることを突き止める。


風間 翼/朝日 奏

響の話を聞き、困惑。


風間 弦/風鳴 弦十郎

OTONA達。子供達だけに戦わせることを認められない優しい方々。
但し、戦闘能力は奏者達以上という。


小川

マネージャー。実は一時期教師を目指しており、弦の後輩でもある。身体能力?分身出来ますが何か?


奏者ズ

知恵熱を出したビッキーを膝枕する奏。それを何処か羨ましく思っている自分を知り悶える防人。その悶えを、奏に思いっ切り見られていた模様。






始まりの証、それは世界が崩壊し始めた事を教えてくれていた。しかし、誰も気が付かなかった。次々に人々からその記憶は消え、関連のアイテムも消滅した。そして始まった原因不明の災害、アンノウン。
その正体が明らかになると同時に、招かれざる客がやって来る。


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大変!ママが来た!

繋ぐこの手には______




(キミ)を殺す力がある__

ビッキーと393が手を繋いで星を眺める。
その星の中には、各ギアの色が…

やっぱりラスボスは…


自分は話を続けた。消えた作品が、響達の世界での出来事だということを。そして始まった、アンノウンの発生。突然消える人々。崩れ去る建物。そして、現れたノイズ。

 

『...君から貰った情報から、アンノウンの発生原について調べてみた。エルフナイン君、頼む』

 

『はい!ここからは僕が説明します。響さんから頂いた過去のアンノウン発生地点の情報と倒壊した建物の画像から

、仮説が出来上がりました。そして、先ほどの話で確信できました』

 

エルフナインは何かに気が付いた様だ。今迄先輩に頼んで集めておいた情報が役に立って本当に良かった。

 

『響さん、そちらの世界はこちらの世界と次元が異なる、という事で間違いはないのですね?』

 

「うん、そうだよ」

 

『結論から申しますと、こちらの世界で起きているアンノウンと呼ばれる現象の原因はわかりませんでした。ですが!』

 

確信したのだろう。彼女?の声は先程よりも上がっている。

 

『送られてきた画像にあった建物をこちらの世界でノイズにより破壊された建物を比較してみたのですが、そのほとんどが似た建物だったんです!』

 

スマホに比較画像が送られてきており、それを見ながら確認する。画面の端で目を回している響を膝枕している奏に、それをうらやましそうに見ている翼。今ならよくわかる。この剣、可愛い(確信)。

 

『...ですが、僕に調べられたのは、ここまででした。すいません、響さん。錬金術師として、必ず原因にたどり着いてみせます!』

 

余り働き詰めないようにして欲しい。何処かそんな危なさを感じてしまう。

 

「ありがとう、エルフナインちゃん」

 

解決には至らなかったものの、一つの共通点があったことが分かった。それは、こちらの世界だけではわからなかった情報なのだ。自分も、先輩にもう少し情報を集めてもらう事にしよう。

 

『さて、報告はこんなところだ。響君、最後に一つ、聞きたいことがある』

 

「何でしょうか?」

 

『君は____』

 

弦十郎さんの言葉が続くことはなかった。それどころではないからだ。そう、こちらの世界にノイズが現れたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無理を言ってまで病室からでた自分は、風間先生の車で路地へと移動した。

 

『悪いな、響。あたしは、ユニゾンできそうにないんだ』

 

天羽さんが言うのも無理はない。実際、今は自分も天羽さんもギアの負荷に襲われていないが、再びユニゾン

した場合、何が起こるかわからない。となれば、だ。

 

『防人の剣を、橘に託すぞ』

 

スマホの中で仁王立ちしている防人の力を借りるしかない。風間さんに貸してもらった刀をスマホへと近づける。

 

「ユニゾンの前にだ、橘。一つだけ聞かせろ」

 

運転中の風間先生にそう言われ、その手を止める。

 

「お前は、このまま戦い続けるのか?」

 

「...はい」

 

本当は、戦いたくなんてない。ノイズは人間の天敵だ。シンフォギアなしでは、触れただけ灰になってしまう。そんな相手が、この世界に現れたのだ。そして、闘えるのは...自分だけだ。

 

「さっきの話を聞いていたかもしれませんが、この世界であの作品の事を覚えているのは自分しかいないんです。そして、戦う力を借りれるのも、このスマホだけ。これ以上、被害者を出し続ける訳にはいかないんです」

 

これは本心だ。この世界で、たった一人だけ戦う力を持ってしまった。そして、目の前で理由のないナニカが他人を巻き込んでいる。それを、止めるために。この世界を元に戻すために、僕は闘うんだ。

 

「だから...風間先生、貴方も生きてください。変な所で死ぬなんて、許しませんからね?」

 

「はっ!大きく出たな、橘。それでこそ、俺の生徒だ!!!」

 

走行中の車の後方ドアを開け、そのまま車の上に飛び乗る。しっかりとドアを閉め、車から飛び降りる。

 

「『ユニゾン!』」

 

刀をスマホに突き刺し、風鳴翼の姿になる。そして____

 

『常在戦場!』

 

風鳴さんの言葉をキーとして突然バイクが現れる。それに乗りそのまま両足の剣を稼働させ、バイクを包み込む様に変形させる。

 

現場に到着後、そのままノイズへと突っ込む。バイクを剣としている為、しっかりと切り倒していける。

そのまま飛び降り、巨大なノイズへと特攻していくバイク。成程、これがOPの度に破壊されてきたバイクの重みか。

 

『数が多い為、いきなり奥義で行かせてもらう!』

 

風鳴さん、今戦っているのは貴方ではなく自分です。残念ながらユニゾンに対象の身体を自由に動かせるという能力はありません。

アームドギアを一度大剣へと変形させエネルギー刃を放ち、ノイズの数を減らしていく。そしてそのまま逆立ちし、両脚部のブレードを変形させて回転しながら進んでいく。やってみて思ったが、これは中々恥ずかしい。風鳴さんは、きっと戦場という事で割り切っているのだろう。

 

「くっ」

 

路地に現れたため、動きずらい。数が減っているかどうかもよく分からない。

 

「ここだと剣が扱いずらいな」

 

『なら、交代だよ!』

 

胸のスマホに響が現れる。成程、また少し無茶をする事になりそうだ。

 

「『ユニゾン!』」

 

今度は槍を胸のスマホに突き刺し、響の姿へと変わる。両腕のアーマーを変形させて、ノイズを次々に殴っていく。アームドギアの使い方も大体分かってきたからか、変形も早くなってきた。

 

『ojvjtjyjいぇお お』

 

ノイズが次々に路地裏から現れる。明らかにこれまでとは違う。今迄一度出現したノイズはその数を増やすことはなかったのだ。隠れてたにしても、数が多過ぎる。

 

「見つけたわ!」

 

そこへ突然蛇腹剣が現れ、ノイズを殆ど切り倒してしまった。

 

『これって...』

 

自分も響も蛇腹剣に見覚えがある。それは、彼女のアームドギアだからだ。

 

「ひびきぃいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!!!」

 

ノイズを完全に倒した蛇腹剣は持ち主の元へと戻り、収納された。そして、その持ち主が自分の上から降ってくる。

 

『あわわわわ!?!?!?』

 

「ちょ、まっ」

 

そして、そのまま抱きついてきた。そこで自分は、気が付いた。彼女の胸元にも、スマホがあることに。

 

「ああ、合体したままだったわね。マリア、解除よ」

 

『え、ちょっと!!ちゃんと説明しなさい!!!』

 

サラッと聞こえてきた声を無視して、彼女はユニゾンを解除した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、アリサねぇちゃん?」




橘 響

無理を言って戦いに出た。ユニゾンを使い分ける戦い方を使ってみた。

立花 響

響と翼のユニゾンの中で目が覚めた。
狭い路地での戦いで、初めてユニゾンを交代した。突然現れたマリアにビックリ。

風鳴 翼

GXのOPにて毎回バイクを破壊していくSAKIMORI。クリスのイメージ曰く、給料のほとんどをバイクに充てているとか。

天羽 奏

前回の無茶により、響とのユニゾンを拒否。しかし、響が眠っている間に朝日奏とユニゾンし戦っていた模様。

エルフナイン

みんな大好き錬金術師。可愛い。しかし、仕事を辞めない暴走する幼女である。

風鳴 弦十郎

OTONA。それ以上の説明は必要か?

風間 弦

身体能力は殆どOTONAと変わらない。頼れるみんなの先生。

アリサ・タチバナ

響の義理の姉にして、世界を飛び回るアイドル。

たやマ

みんなのお母さん。しないシンフォギアで可愛い姿を見れる。引っ込み思案らしいが、そのハードルを自分で跳ね上げている


アンノウンについての情報追加

原因は不明だが、座標、画像から新たな事実が判明した。ノイズが破壊した建物と似た建物が世界で倒壊している。次元がことなる平行世界だという事が関係しているのだろうか。



サブタイトル元ネタな~んだ?
作者は元ネタの話は好きです。
『暴走する正義』とかもいいですよね。感想、お待ちしています。


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姉の襲来!

XV第2話見ましたか?

取り敢えず一言、あれは色々とヤバイ。

サブタイ元ネタな~んだ?


突然の出来事で、余り今の状況を理解できていない。まず、何故ここにアリサねぇちゃんが居るのだろう?確か今はアメリカに居たはずだ。

 

「ああ、本物。本物だわ!」

 

「ちょ、待って!」

 

響の姿のまま、両頬を摘まれる。か、顔が近い!

 

『待ちなさい、アリサ!その子は立花響では無いわ!』

 

「分かってるわよ。目にした時から、分かっているわ」

 

両頬から手が外れ、少々の痛みだけが残る。少し涙も出てるようだ。

 

『マリアさん!マリアさんもこっちに来てたんですね!』

 

「ありがとう、ございます...」

 

『...貴方も、苦労しているのね』

 

アリサ・タチバナ。自分の義理の姉にして、世界を飛び回るアイドルである。だが、なぜここにいるのだろう?今はアメリカに居たはずだ。と、それよりもだ。自分はユニゾンを解除し元の姿に戻る。

 

「アリサねぇちゃ、ムグッ」

 

「やっぱり生の響が一番だわ...響ちゃんもいいけれど」

 

ユニゾンを解除したのと同時に振り返ると、視界が急に悪くなる。息もしずらい。

 

『な、何が起こっているの~?』

 

『アリサ!さっさと離れなさい!話が進まないじゃない!』

 

マリアさんと響の声が聞こえるが、視界は常に暗い。ということは、アリサねぇちゃんのいつものだろう。

両肩を何回か軽く叩くとようやく離してもらえた。

 

「何で日本にいるの?しかもユニゾンできるみたいだし」

 

「簡単なことよ。大切な響が、一人闘っているんですもの。守らなきゃ(助けなきゃ)

 

ん?今なんか変だったような...まぁいいか。帰ってきた理由は分かったのだから。

 

『マリアさん、調ちゃんや切歌ちゃんとは一緒じゃないんですか?』

 

『いいえ、一緒じゃないわ。如何やらまだ合流できてないようね』

 

『え?どういうことですか?』

 

スマホの中では響とマリアさんが話をしている。話を聞きたいのだが...

 

「アリサねぇちゃん?」

 

「?どうしたの?」

 

「離してくれないかな?」

 

結局離れては貰えず、迎えに来た風間先生の車に乗り込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、アリサさん!?」

 

「おー、やっぱり来たか」

 

「マネージャーさんが探していたので、連絡しておきますね」

 

アリスの家に帰って来れば、連れて来たねぇちゃんに各自それぞれ反応を返している。小川さん、マネージャーさんには、謝るように言いつけておきますとお伝え下さい。

 

「ちょ、それは無いでしょ!」

 

「自分がどれだけの人に迷惑を掛けたのか、いい加減理解して」

 

それよりも、だ。また弦十郎さん達と話すことが増えた。

 

『君が橘響ね。マリア・カデンツァヴナ・イヴよ。宜しく頼むわ』

 

アリサねぇちゃんから奪った(間違いなし)スマホの中にいるマリアさんから話を聞く。どうやら彼女が一番最後に平行世界へと飛ばされたようで、まだ会っていない奏者達もこの世界にいるのは間違いないようだ。

 

『これで、連絡が取れるわね』

 

『まさかこちらで渡した通信機がエラーを叩き出しているとは...これは調君達のもエラーを出していそうだな』

 

通信を繋ぎ直し弦十郎さんへと連絡すれば、新しい通信機がスマホへと送られてくる。どうやらスマホに無機物をあちらの世界から送る事が出来るようだ。

 

『こちらでも、残る3人の行方を追ってみる。何かあったら連絡してくれ』

 

『ええ、そうさせて貰うわ。響、貴方のスマホに移動してもいいかしら?』

 

「構いませんが、何かありました?」

 

そう聞けば、目に見える程に疲れが出て来た。マリアさんは、アリサねぇちゃんのスマホに居つかれた居疲れたのだろう。

 

『思ったよりも、辛くてね。暫くは大人しくしていたいのよ』

 

「そうですか...はい、どうぞ」

 

マリアさん...言っておきますが、きっと自分のスマホも疲れますよ?

 

『ああ~!マリアさん!』

 

『マリア!丁度いい、今度の風間の特訓について_____』

 

『...響、私をここから出しなさい!!!!』

 

自分は静かにスマホをスリープモードにし、改めて弦十郎さんと連絡を繋ぐ。今度は天羽さん経由だ。

 

『先程送られてきた画像で、エルフナイン君が暴走を始めてしまってな』

 

「それについては、すいません。ですが、大事なことですので」

 

トークアプリの画像送信を使い、アリサねぇちゃんのスマホにある画像を送っておいた。ノイズが刀を、天羽々斬を持っているというものだ。シンフォギアのシステム状、不可能な事なのだから、エルフナインの錬金術師としての基本に触れてしまったのだろう。

 

『さて、先程の続きといこう。アリサ君のスマホも、ユニゾンできるようだな」

 

「ええ、如何やらスマホからアプリだけが消えなかったようです。ですが、記憶は消えていました」

 

完全に消えた訳ではないようで、響の見た目と名前は覚えていたようで、それを元に飛びついてきたらしい。本人曰く、『愛よ!』だそう。よく分からない。

 

『ユニゾンにはアプリが入ったスマホと、アームドギアが必要なようだな』

 

「まだまだユニゾンについてはわからないことだらけです」

 

自分はユニゾンすると、対象の奏者の戦い方を知り闘う事が出来たが、アリサねぇちゃんを含めた他の4人は、ユニゾンできたとしても、戦い方を知ることは出来ないらしい。それだけでなく、必要なアームドギアも足りていない。

 

『君に聞いておかなければならないな。君は何の為に戦っているんだ?』

 

成程、それが弦十郎さんが聞きたかったことのようだ。

 

「この世界で作品の事を覚えているのは自分しかいない。そして、戦う力を借りれるのも、このスマホ2台だけ。これ以上、被害者を出し続ける訳にはいかないんです」

 

答えは変わらない。理不尽に奪われるのは、もう嫌なんだ。

 

『それが、君が戦う理由か』

 

弦十郎さんは何かを感じたのか黙ってしまう。自分も言葉を続ける事が出来ず、会話が止まってしまう。

 

『....無茶だけはするな。それに、何かあったら相談してくれ。それが俺たち大人の出来ることだからな』

 

「ええ、何かあれば直ぐに連絡しますよ」

 

『ところで、彼女のことはいいのか?』

 

ああ、そこに触れて欲しくなかったなぁ

 

「アリサねぇちゃんには、僕が説明しておきます。ナノデキカナイデクダサイ」

 

『...』

 

無言が一番つらいんですよ...




橘 響

義姉に捕まり、抱きつかれ続けながら連絡を取る。現在片方のスマホが五月蠅い。

橘 亜里沙

弟大好き。

風間 翼/朝日 奏

久々の再会。

風間先生/小川さん

保護者兼OTONA。強い。

マネージャーさん

今日も今日とてアリサが行方不明...胃が

立花 響/風鳴 翼

マリア(さん)、話をしよう!!!

マリア・カデンツァヴナ・イヴ

う、狼狽えるな!!!(迫りくる恐怖)

天羽 奏

今日も今日とて、翼は可愛い。

カロウナイン

XVOPにて某サイトのコメより。

風鳴 弦十郎

OTONA。優しく、強い。







XVをミロ...そして苦しむがいい...
<ガードベント

あの時、目が光ったのは一体?そしてその発動条件とは?

あとサソリ、あれはヤバイ(393のプロフィール確認後)


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何故彼女達はこの街に来るのか

サブタイトル元ネタな~んだ?

XVにて、改めてモブが生きるのが難しい現実を叩きつけられた。
自分だったら、行けても直ぐに帰りたい。
...滅びろ、アルカを含めたノイズ


あ、しないシンフォギアの可愛い奴らは除くよ?





その上で、ミラアルクぜってぇ許さねぇ!!!!!!!


アリサねぇちゃんが帰国したことにより増えた奏者達。現在はそれぞれのスマホに戻り、ノイズの出現に備えている。

 

「そういえばねぇちゃん、エレナはどうしたの?」

 

「エレナはアメリカに置いて来たわ」

 

「...お盆の時期に戻ってくるとか?」

 

「ええ、そうすることになっていたはずよ」

 

待ってほしい。何故アリサねぇちゃんの言葉が曖昧なのだろう。

 

「...マネージャーさんに聞けば、わかるよね?」

 

「...そうね、何処から話そうかしらって、そのスマホを机の上に置きなさい今すぐに!」

 

残念ながらそれは出来ない。マネージャーさんは本当にいい人で、唐突に帰国をしようと言い出したねぇちゃんのスケジュールをサラッと変更出来てしまう人なのだが、如何せん胃が弱い。その為、胃薬と彼女はセットなのだ。今度差し入れすることにしよう。

 

「やめて!正直に、話すからぁ!」

 

自分はその言葉に耳を傾ける事なく、通話を始めてくれたマネージャーさんからねぇちゃんと、エレナの情報を聞き出す事が出来た。どうやら予想通り、アリサねぇちゃんは無理を言って日本に帰国したようだ。その上、今日のお昼にはエレナも日本に来るという。

 

「ねぇちゃん、正座」

 

「...いいじゃない、年に何回かしかない弟と二人だけのイチャイチャパラダイスくらい」

 

普段は頼れるカリスマ性のありまくりな彼女だが、自分の前だと素が出てくるのか、いつもこうなのだ。正座させた彼女を放置し、スマホのカレンダーを確認する。無事に退院できた昨日を含め、既に夏休みの1/3が終わっていた。課題を早めに終わらせておいたのは正解だった。

 

『夏休み...課題...誕生日までに...うっ』

 

『大丈夫よ!まだ軽症だわ!』

 

任務と課題が重なった上、いきなり一人暮らしをしたことを思い出したのだろう。あれは流石に驚いたものだ。そう言えば、マリアさんが最後に飛ばされてきたと言っていたが、つまり、彼女もまたこの世界に居るという事なのだろうか。

 

「マリアさん。貴方がこちらに来た時、既に他の奏者はいなかったんですよね?」

 

『ええそうよ。既に、セレナも、奏も、小日向未来もいなかったわ』

 

『...やっぱり、未来はこっちに来てるんだ』

 

響の言葉が頭に残る。彼女が奏者であり、この世界に来ているのならば、一番最初に合流してもおかしくないはずなのだ。まぁ、彼女が到達したレベルによって変化するのだが。

 

「ねぇ...もうそろそろ足崩してもいいかしら?」

 

「何言ってるの、そのままでいてね?」

 

「でも、私アイドルよ!このままだと、脚に跡が残ってしまうわ!!!」

 

成程、正座している状況を利用してまで逃げようとは。だがそうはいかせない。既に切り札は切ってある。

 

「大丈夫だよアリサねぇちゃん。もうすぐで迎えが来るから」

 

「む、迎ですって!?ま、まさかいつの間に!?」

 

既に電話は終えているが、連絡を取り合っていなかったわけではないのだ。マネージャーさんは、もう間もなく、この家に到着する。

 

『うわぁ...未来が起こっているときみたい』

 

『やめてセレナ...それは私の力ではどうにもできないの!出番なんて、私には増やせないわ!!!』

 

マネージャーさんの到着を知らせるメッセージがスマホに表示されると同時に、画面左端にうずくまったマリアさんの姿が確認できる。それを気にすることなく響はこちらの様子を伺っている。きっと5期で出番が来るはず...多分。

 

「か、隠れなきゃ...!?あ、足が痺れて、うまく動かせないだと!?」

 

あ、役者モードだ。高級食材を食べると変化するんだよな...マリアさんも同じか。

 

鳴り響くチャイムに、びくりと肩を動かすねぇちゃん。それを視界に入れつつも、玄関へと向かう。

 

「お待たせしました、マネージャーさん」

 

「いえいえ...お待たせしました。亜里沙さんは中ですか?」

 

「ええ、正座させて動きを鈍らせてあります。どうぞ、上がってください」

 

眼鏡を掛けたたれ目でくせ毛の髪の彼女が、アリサねぇちゃんのマネージャーさんである。本名は内緒らしく、どう聞いてもマネージャーとしか返してくれなかったのはいい思い出である。

 

「き、来たわねマネージャー!!!私はここを動かなわ!!!!」

 

逃げるのを諦めたのか、その場に正座し直したうえで、頑なに動こうとしないねぇちゃん。そこまで仕事に戻りたくないのだろうか。

 

「...そうですねぇ...丁度いい時間帯なので、飛行場に迎えに行きましょうか」

 

マネージャーさんの提案は、エレナを一緒に迎えに行くというものだった。相変わらず、見かけによらず頭の回転が速い人である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

飛行場に到着する直前、突然の揺れと共に、空に穴が開いた。見間違いとかではない。明らかに穴が開いている。そして奴らが顔を覗かせた。

 

『ノイズの反応有り!』

 

『空に穴が!?』

 

スマホのカメラでその穴を撮影する。ソロモンの杖によるバビロニアの宝物庫を開くとはまた異なる穴の開き方だ。まるで、ガラスを砕いた様に、細かい破片が散っているようにも見える。

 

「マネージャーさん、このままアリサねぇちゃんを空港までお願いします!」

 

「ぇえ!?待って、そんなことしたら、君が危ないよ!?」

 

返事を聞くことなく、マネージャーさんの車から飛び降りる。道路を転がるが、そこまで痛みはない。揺れにより減速していたのが助かった。

 

「響、行くぞ!」

 

『サッサと倒して、マリアさんと合流しなきゃね!』

 

ユニゾンし、そのまま走り出し、飛び上がる。謎の空間へと繋がる穴からノイズが飛び出る前に、ノイズ達を殴った。

 

そんな中、ふと考えてしまった。何故、奏者を連れた自分の知り合いが、次々にこの街に来ているのか。そしてノイズは、何の為にこの世界に来ているのだろうか。




橘 響

ふと思い付いた疑問に、答えを出せずに戦い始めた。殴って、殴って、殴りまくれ!


立花 響

幼馴染で親友な彼女のことが心配に、とても不安。


橘 亜里沙

実の妹を置いてまで日本に来ていたことが発覚、正座させられた。

橘 英玲奈

響と同い年だが、響が9月、英玲奈が11月生まれであり兄として慕っている。今回の件で、亜里沙に不満だらけの模様。

マネージャーさん

胃が弱い以外はOTONAかもしれない本名不明なマネージャー。口車が上手く、亜里沙に仕事を入れる。...NINNJAかな?(しないシンフォギアより)



突如空に空いた穴

原因不明の災害アンノウンだと考えられるが、まるでガラスが割れるように穴が開き、ノイズが顔を出した模様。橘響と立花響のユニゾンにより、ノイズの進撃を未然に防ぐ事には成功した。しかし_____








OTONA「ドォン!!今回の後書き担当、O☆RE☆TA☆TI!!!」

OGAWA「あんな事件の後だとやりずらいですね...」

OTONA「『家族みんなで楽しめる』という作品コンセプトは一体何処に???」

OGAWA「うん?ボクの知らないシンフォギアの話ですか??」


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脅威!ノイズの世界!

サブタイトル元ネタな~んだ?

前書きは少なくいきますよ。


空に空いた穴に飛び込めば、沢山のノイズさん達が挨拶してくれる。熱烈な歓迎だ。受け取らなければ。右腕を変形、両サイドのアーマーを分離、傾けてからそのまま拳を軸に回転させる。うん、ドリルですね。

 

「セイヤー!」

 

貫き通し、一気に分解する。それでもノイズの数は減らなかった。というより多過ぎる。

 

『ネフェリムを閉じ込めたところみたい...』

 

響の言うことは最もだが、ここは宝物庫ではなさそうだ。ノイズはいるものの、財宝は存在しない。それにあの爆発で、ソロモンの杖ごと失われたはずなのだ。

 

『て、そんなこと言ってる場合じゃない!?』

 

攻撃を続けながら穴の奥へと進んでいけば、急に光が差し込む。如何やら出口の様だ。

出口から外を見渡せば灰により上手く呼吸出来なかった。歌うことが難しい場所での戦闘は危険なため、気を付けることにしよう。それだけでなく、出口は崖の真ん中にあったらしく、下を見ればうじゃうじゃとノイズがうごめいている。

 

 

「なんだこれ...」

 

『ノイズが...こんなに...』

 

一体ここはどこなのだろうか。ノイズがこれだけいるのに、一つだけ、分解されずに残っている建物がある。今もなおノイズが攻撃を仕掛けているが、自身が分解され消えていった。

 

「あの建物事態が、聖遺物ってことか」

 

『完全聖遺物...』

 

彼女にとって、完全聖遺物は余りいい思い出ではないのだろう。

 

「取り敢えず、ここからっ!?」

 

『す、吸い込まれてるッ!?』

 

穴が閉じようとしているのか、外へと引っ張られているようだ。足のアーマーを稼働させるよりも早く身体は浮き、穴から外へと放り出されてしまった。なんだったのだろうか、あの空間は...

 

『考え事をしてるとこ悪いけど、下を見て下を!!!』

 

「うぉっ!?」

 

落下中に考え込んでしまっていた為か、すぐ下に街灯が迫っていた。このままだと衝突確定だろう。殴って、軌道を変えることで海へと落下する。

 

「ぷはっ...あの街灯、アンノウンのせいにできないかなぁ」

 

『ダメだよ!あれ?でもいつも街壊してるし、そのお金ってどこから出て...』

 

あれ?アレアレ?と自分の中で混乱を始めた響を放っておいて泳ぎ、海から上がる。この飛行場は人工島に作られており、飛行場とを繋ぐ道は橋一本しか存在しないのだ。お陰で、誰にも見られていないだろう。いざ先程まで開いていた穴の位置を見直すが、そこに穴が開いたという証拠はどこにもない。でも、分かったことがある。

 

それはソロモンの杖やバビロニアの宝物庫以外にも別に空間が存在し、そこにノイズが居るという事。そして、その聖遺物を使っているものがいるということだ。今迄のノイズの出現位置、それがすべて自分たちのいる場所に対して出現させられているとしたら?

 

「あの時突然ノイズが現れたのも、まるで...」

 

『響?』

 

アニメを再現しようと、しているのか?今回は、出口を空高くに設置することで、飛べるノイズを出現させようとしていたのならば...

 

『響!!!』

 

「!、ご、ごめん」

 

『どうかしたの?』

 

「...いや、気のせいだと思う。如何やら飛行機も無事に到着しそうだし、合流しようか」

 

『そうだね!』

 

話をそらしたが、彼女も自分の様子が変なことに気が付いているだろう。暫くは黙っていよう。この考えがあっている可能性は低い。もし、聖遺物を手に入れたとしても、フォニックゲインが無ければ...

 

「響、ちょっと聞きたいんだけどさ...」

 

『何々?どうしたの?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ、無事でよかったわ!!!貴方に何かあったら私は、私はぁああ!!!」

 

「あ、アリサねぇちゃん、落ち着いて...」

 

ありがたいことに、今日の飛行場は混み合っていなかった。先輩の言う通り、この街に来る人が減っていることを感じる事も出来た。それでも、ねぇちゃんは目立つ。既に周りがガヤガヤしているほどだ。

 

「と、取り敢えず離れて!!!」

 

マネージャーさんの力を借りることで、自分の自由な一日を譲渡することで事を収める事が出来た。さらば、ボクの夏休み。

 

「お兄ちゃんッ!!!!」

 

一息ついたところで背中に衝撃を受ける。如何やら無事に帰国できたようだ。

 

「お帰り、英玲奈」

 

「ああ、本物、本物だわ!!!」

 

まて、そのセリフはもう一度聞いたことがある...何処までも姉妹か!?

 

「無事でよかった...ホントに心配したんだから!!」

 

「ごめん、連絡もできなくてさ」

 

彼女が心配してくれているのは、アンノウンに巻き込まれていたということだろう。先程発生したアンノウンに対して車から降りてまでどこかへ向かった事を、マネージャーさんに聞かされたのだろう。

 

「やってくれましたね....」

 

「心配を、掛けてくれた罰です、よ」

 

マネージャーさんはエレナの持ち物である薄いピンクのトランクをカートで運んできた。

 

「さて、帰りましょうか」

 

「あれ、いいんですか?ねぇちゃんを連れて行かなくても...」

 

「いいんですよ。既に新しい仕事は入れました」

 

何か、嫌な予感がするのだが、今は気にしないことにしよう。

 

『マリア姉さん!』

 

『セレナ!?セレナなのね!?!?』

 

車の中で、エレナのスマホに入ったセレナに出会いました。




橘 響/立花 響

ノイズが沢山いる空間へと入るが、出されてしまった。結果的に、飛行機襲撃事件(原作4期)を防いだ。

橘 亜里沙

暴走する姉(いつもの)

橘 英玲奈

亜里沙の妹にして響の義妹。姉さんが好きだが、同じ位お兄ちゃんが好き。

マリア/セレナ

車の中で英玲奈と亜里沙がスマホを見せ合った事でお互いを認識、感動の再会を果たした。




聖遺物の起動

聖遺物の起動には、沢山のフォニックゲインが必要である。その為原作ではライブなどのフォニックゲインが高まりやすい場所で起動実験が行われた。しかし、原作では『ライブ+ノイズ=いつものシンフォギア』という方程式が完成しつつある。響は響に対し、フォニックゲインがどのように得られるかを質問した。その結果___





セレナ「マリア姉さん。私、出番が欲しい...」

マリア「大丈夫よセレナ。原作2期冒頭50秒位の貴女は、正にシンフォギアって感じに輝いていたわ!」

セレナ「それ、嬉しくないかも」


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暴かれしtruth!

サブタイは伝説のあの回。


京アニの放火事件、
沢山の方々のご冥福をお祈り申し上げます。


『セレナ...』

 

『良かった、また姉さんに会えた...』

 

感動の再会を見ているはずなのだが、かなりシュールな絵である。お互いのスマホの画面を見せ合ってから、響をエレナのスマホに移動させ、今は自分のスマホの中では抱き合っている。身長差があるせいか、親子にまで見えてきた。

 

『良かったよぉ...』

 

「泣かないで、響ちゃん」

 

『英玲奈さ~ん...』

 

感動の再会を目にしたからか、響は泣いているようだ。でも、その泣き声からは、羨ましいという感情が感じられる。彼女もまた、会いたい人がいるからだろう。

 

『ああ~~~!!!!!未来に会いたいよ~~~!!!!でもどこに居るかわからないしぃ...でも未来に会いたいよぉおおお!!!!!』

 

「フフフ。響ちゃんは、本当にその未来って子が大切なんだね」

 

『そうなんです!私の親友で、ひだまりで、同じ奏者で____』

 

響が止まらなくなってる。見ていると、本当に未来の事を大切にしていることがわかる。自分も、彼女からこちらに来てくれるとはいえ、会いたいのだ。未来に。

 

スマホを見れば、今迄の事を話しているマリアさんとセレナさんの姿が伺える。同じアガートラームの奏者だから、画面がかなり白く感じる。

 

「今日も、連絡なしか...」

 

「どうかしたの?」

 

アリサねぇちゃんにそう聞かれ、正直に話す。

 

「未来から連絡が来ない?」

 

「うん。入院した日から連絡が来てないんだ。こっちから送っているメッセージは読まれてるみたいなんだけど...」

 

SNSを起動させれば、既読はついているものの返事は来ていない。あれからこちらからも連絡してないのだ。

 

「...ねぇ、お兄ちゃん。今、入院した(・・・・)って言ったよね?」

 

「「あ」」

 

や、やってしまったぁあああああ!!!!エレナは優しい反面、怒ると怖いのだ。しかも起こる理由が、家族関係なのだ。

 

「説明、してくれるよね?」

 

『あわわわわわわわ』

 

「...頑張ってね、響」

 

「何言ってるの?姉さんもだよ?」

 

「私は、狼狽えないわ!!!」

 

家に帰るまで今迄の事情を聴きだされた上、怒られました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ、やっと会えた」

 

エレナが帰国してから一週間が経過した。あれからノイズは現れることはなく、俺達はノイズ出現の理由とアンノウンの発生について調べていた。そんな時、家の近くの駅を訪れた時だった。

 

「み、らい...?」

 

あの日から連絡が取れなくなった幼馴染と再会した。

 

「そうか...前に言ってたこっちに来る日って今日だったんだな」

 

「うん、そうだよ」

 

だが、未来の様子はおかしい。声から感情が感じられないのだ。

 

『この人が、未来...響の幼馴染の...』

 

胸ポケットに入れていたスマホから、少しだけ顔を覗かせる響。

 

「やっぱり、あの子は響だったんだぁ」

 

「あの子?」

 

一体何の事を言ってるんだ?

 

「いつも邪魔するあの子が、響だったんだぁ」

 

「いつも、だって?」

 

いつも、邪魔をする?自分の力は、ノイズと戦えるようになるユニゾンのみ。...まさか。

階段を降りながらこちらに向かってくる未来を止めるために、質問を投げかける。

 

「未来、君は一体何を知ってるんだ?」

 

「何って、ノイズ(・・・)の事?」

 

彼女は、覚えているのか。あのアニメの事を。

 

「初めて響と見たあのアニメ...あの子は自分に似てるって思ってた。だから、彼女もまた、力を貸してくれたんだぁ」

 

そう言って立ち止まり、唯一の荷物であるカバンからスマホを取り出した。

 

『未来!?』

 

スマホには、響が会いたがっていた人がいた。それも、2期のギアを纏った状態で。

 

『未来と私は、響達が戦わなくていい世界をつくるんだよ...邪魔しないで』

 

「ノイズを送り出して、アニメを何回も再現してあげたのに...」

 

今迄のノイズの出現場所は殆ど、原作に似た場所だった。つまり彼女が...

 

「君はノイズを操れるのか」

 

「さぁ。私にもわからない。今日はあなたたちを迎えに来たの」

 

迎えに来た、だって?何の為に...

 

「この街に、間もなく大量のノイズが放たれる。そうすればこの街は消える。貴方を私から奪ったこの街が!!!」

 

『...響、未来の頭を見て』

 

「!?」

 

響に言われ、スマホの未来をよく見れば、頭にナニカが刺さっている。あれには見覚えがあった。

 

「『ウェル博士の...』」

 

それはこの事件の真実を知る大切な手掛かりだった。

 

『響...行ける?』

 

「何言ってるんだ?...今、僕たちの大切な人たちは誰かに操られているんだ。助けなくちゃな」

 

『勿論!!!』

 

スマホを胸ポケットから取り出し、ペンダントとしていたガングニールを取り出し構える。

 

「『待っててね、響。今、その呪いから救ってあげるから』」

 

彼女もまた、スマホと小さな鏡を構えた。あれが、神獣鏡のアームドギアなのだろう。

 

「『ユニゾン!!!』」

 

「『混同』」

 

ユニゾン完了と共に、通信を繋ぐ。

 

「これより、日向未来及び小日向未来との戦闘を開始します!!!」

 

『師匠たちは、この後街に現れるノイズを頼みます!!!』

 

一方的に通信を切り、構え直す。拳により一層の力を込めながら。

 

「『「『絶対に、』」』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『助け出してみせる!!!』」

 

「『救い出してみせる!!!』」




(ピロロロロロ…アイガッタビリィー)

???『橘響ィ! 何故君だけが全ての記憶を無くさなかったのか』

???『何故ノイズが出現するようになったのか』(アロワナノー)

???『何故今、目の前に大切な人がいるのかァ! 』

SAKIMORI『それ以上言うな!』

(ワイワイワーイ )

???『その答えはただ一つ… 』

クリス『やめろー!』

???『アハァー...』

???『橘響ィ!君が世界で初めて...ユニゾンした男だからだぁぁぁぁ!!』

(ターニッォン)

???『アーハハハハハハハハハアーハハハハ(ソウトウエキサーイエキサーイ)ハハハハハ!!!』

響『僕が…原因なのか...?』ッヘーイ(煽り)









橘 響/立花 響

ようやく再会した未来と戦うことになる。その拳は、助け出すために握られる。


393

みんな大好きヤベーヤツ。5期にて遂にラスボスフラグを建て切り、回収を始めそう。


日向 未来(みらい)

ようやく登場した幼馴染。大切な人を奪われた街を嫌う。その理由とは...
ユニゾンの事を、『混同』と呼ぶ。


橘 亜里沙/橘 英玲奈

姉妹。しかし、その上下関係は真逆。仕方がないね。姉が暴走するのだから。


セレナ『姉さん、セリフが最初の一言だけなの』

マリア『大丈夫よセレナ!私も今回は一言だけだわ!』

セレナ『これでも前回よりもセリフが長いのよね。お蕎麦啜りに来た、何処かの事務次官さんじゃないんだから』







後書き最初の例のアレに余り深い意味はありません(意味がないとは言ってない)。
さてさて、まだ奏者が全員集まる前にあのお方の登場です。
皆様、このタイミングだとは思わなかったでしょう?
ご安心を。残りの奏者達も必ず登場しますので。
京アニの事件については、リアルタイムで連絡が来たので書かせていただきました。
個人的に、様々な作品でお世話に今もなっています。
改めて、ご冥福をお祈り申し上げます。


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『未来』は止まらない

サブタイトル元ネタな~んだ?

サブタイトルの『未来』とは一体どちらの事をさしているのでしょうかねぇ?


あ、今回は『Rainbow Flower』を流しながら読むと原作っぽくなるかもしれません。

良ければそうぞ。


「『うぉおおおおおおおおおおお!!!!!!!!』」

 

叫ぶ未来達。彼女達は今、あの時(・・・)とは違い、自分の意志でここにいる。それは、只々プログラムされた動きをするわけではなく、自身の意識で決断し、攻撃するという事。そしてギアの解除をミスれば、脳にダメージを与えかねない。

 

「ここから移動するぞ!」

 

『移動するって言っても何処に!?』

 

移動先は決まっている。駅から一番見晴らしがよくて、今は誰もいない場所。

 

「ライブ会場だ!!!」

 

彼女達が攻撃を始める前に、高く飛び移動する。

 

「追いかけっこ?やるならそう言ってよねっ!!!」

 

『響ぃ、まってぇ』

 

彼女達は自分達を追ってきている。如何やら自分達以外見えていないようだ。今のうちにっ!!

 

「響っ、アレをやってみようと思う!!!」

 

『了解っ!準備しとくよ!』

 

対ノイズを考えて用意していたとっておきを使う準備を響に任せ、自分は彼女達のギアの解除の方法を考える。

 

『っ、来たよ!』

 

「!?」

 

響からの合図が無ければ、ビームに直撃していた。あの神獣鏡の能力が原作通りなら、聖遺物由来の力を分解されるだろう。ユニゾンしている自分に当たれば、何が起こるかわからない。

 

『ここに逃げたんだぁ』

 

「ああ...覚えてるよ。初めてここで、招待されたチケットを使って、一緒にデュアルウイングズのライブを見たんだもんね」

 

未来の手には、扇が握られている。彼女のアームドギアであるあの扇を広げられたら、逃げるしかないっ!!!

 

「響、まだか!?」

 

『もう少し待って!』

 

どうやら、まだ準備が完了していないようだ。ならばっ、試してみるしかない。

 

「未来、行くぞっ!!!」

 

「来てっ、ひびきぃいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!」

 

右腕のアーマーを変形させ、ハンマーパーツを引き駆け出す。未来も扇を拡げた。ビームを放たれる前に、攻撃を当てる!

 

両脚部のパワージャッキを使い、加速する。それでもなお、ビームを放たれるのが先だった。

 

「っ!?」

 

予想以上の威力だった。放たれたビームは修復途中の客席を消し飛ばす。その上、存在していた鏡に当たり反射して戻ってくる。これだと、未来に近づけない!?

 

『こんな時にごめん!でも行けるよ!』

 

「よしっ」

 

狙いを定めていないのか、乱射されるビームを腰のバーニアと両脚部のパワージャッキで空中を蹴り動くという無茶をしながらも、未来と距離を置く。右腕、左腕のアーマーを一つにして、ハンマーパーツを稼働させる。

 

「無駄だよ?私には近づけない!」

 

未来の言う通り近づくことは自殺行為に等しい。だが、それなら近づかなければいいだけの事。一度パーツを分離させ、傾けて回転させる。

 

『ドリル?』

 

「それじゃあ私たちには攻撃できないよ?」

 

「できないわけじゃない。天羽さん、マリアさんから学んだ(ガングニール)、アームドギアの応用編っ!!!」

 

(ドリル)で貫くんじゃない。放つんだ!!!!』

 

ドリルを形成していたアーマーを細かく分離させる。そして回転を保ったまま発射する。分離したアーマーは槍となり、回転しながら柄の先のバーニアで未来たちへとむかっていく。回転させるという天羽さんの戦い方。分離して短くしながらも攻撃を続けるというマリアさんの戦い方。その両方を知っていた自分と響だから出来た戦い方。

 

『この小さな槍一つ一つが、私達の拳だぁあああああ!!!!!!』

 

「いっけぇえええええええええええええええ!!!!!!!!!」

 

槍達はビームにその存在を消されながらも、標的へとむかっていく。そうだ。それでいい。誰かの道を切り開く、槍なのだから。分離したアーマーを元に戻して、今度こそ自分が攻撃する。進んでいく槍の中を、バーニアとジャッキを使い駆け抜ける。

 

「なんで...闘うのを辞めないの...?私は」

 

『...私達は、』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『ただ傷ついてほしくないだけなのにぃいいいいいいいい!!!!!!!!!』」

 

その声と同時に今迄開いていたバイザーが閉じる。未来の目は見えなくなり、その槍を交わすことなく突っ込んでくる。まるで自分自身の身を犠牲にすることを考えていないかのように。

 

『ビームが少なくなったっ!今のうちだよ!!!』

 

「ああっ、このチャンス無駄にしないぃいいいい!!!!!!!!」

 

ドリルで弱いビームを弾き、向かてくる未来のアームドギアへと突っ込む。変形途中だった扇はその場で崩れ去り、ミラーパネルが完成することはなくなった。

 

「『あ、ああ、あぁあああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!』」

 

「『未来っ』」

 

貫き通き、振り返れば苦しむ彼女達の姿が目に入る。それと同時に、後頭部に接続された機械が嫌な音と共に動いている事が確認できた。あれを破壊しない限り、未来達は苦しみ続けることになる。

 

「時間がない、鏡を使うぞ!」

 

『ここなら鏡がいっぱいあるからね!』

 

ライブで使ったままのため、一部まだ鏡が付いたままになっている場所が存在する。そこの一部を剝ぎ取り、自分を完全に隠せるほどの大きさの鏡を用意する。

 

 

「アニメを、再現して、あの女たちを、消し去るはずだったのにぃいいいい!!!!!!!」

 

『なんで、響が邪魔をするの....もう、闘わないでよ!!!傷つかないでよ!!!!』

 

嫌な音は先程よりも大きくなっており、正面に立っていても音が聞こえるほどになっていた。彼女のバイザーは開いており、目のハイライトは先程よりも消えていた。壊れた扇を修復することなく畳み振り回し、ビームを放っていた。自分は鏡を使って、どうにか彼女にビームが当たるように鏡の角度を変える。だが、中々当たらない。

 

「か、鏡が!?」

 

『前から来てるよっ!』

 

試行錯誤している間に、鏡は何度も当たるビームに耐え切れず割れてしまう。それを捨てながら跳ね返せなかったビームを交わす。

 

「...やるしかないのかっ」

 

『...あの時は、私の中のガングニールが消えただけだったんだ。ユニゾンしてても、きっとへいき、へっちゃらだよ!!』

 

響の言葉に、苦しいはずなのに、笑えてきた。そうだ。自分には、奇跡を起こしてきた少女が力を貸してくれている。彼女とユニゾンしている自分にも、起こせるはずだっ。

 

未来(みらい)を、未来(みく)を助けるためなら、この力、必要ないっ!!!!」

 

反射を続けるビームの反射先へと移動する。手には、残った小さな(みらい)を持って。

 

「これ以上、未来の身体を好きにはさせないっ!!!!」

 

鏡を反射されてきたビームへと向けて投げる。そのビームが反射されることを願って。その勢いのまま、飛んでいた未来へと向けて飛び、抱きつく。

 

『「離してっ」』

 

「『離さないっ、もう二度と離さないっ!!!!』」

 

「『ひびきぃいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!!!!』」

 

抱きついたまま、空を蹴る。向かう先は、投げた鏡に反射したビームの射程。

 

「みらいぃいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!!!」

『みくぅうううううううううううう!!!!!!!!!!!!』

 

そして、僕達と彼女達は神獣鏡の光に飲み込まれた。




橘 響/立花 響

ユニゾンしている為、以前未来を救うために行った方法以外の方法で助け出そうとするが、最終手段として、原作と同じように神獣鏡の光に飲まれることになった。


日向 未来/小日向 未来

『未来』という字は同じだが、読み方が違う二人。彼女達は後頭部に接続された機械により操られていた。しかし、歌った歌は....



Rainbow Flower

2期にて登場した立花響の2曲目の戦闘曲。この作品にて初めて紹介された歌である。


歪鏡・シェンショウジン

393が歌ったやばい曲。歌詞は彼女の思いが詰まっている。その重さが分かる方は今すぐに5期を見るように。特に第一話。盛大な彼女のラスボスフラグが垣間見える。


響達の応用編

4期で見せたドリルを使いながら、それを振るうことで小さな(ドリル)を複数放つ。響に遠距離技を使えるようになってほしかった結果である。但し、この技は響一人では使う事が出来ない。条件として、響とユニゾンしている事が必須である。







393『一期の頃から翳る、曇る、きっとラスボスなんて言われ続けてきましたがそんなのある訳ないじゃない。だって私は、響の一番の親友だよ?』

393『ところで皆さん、哲学兵装ってご存知ですか???』

ヒェッ


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2019:カイジョフノウなユニゾン

あらすじ

393「止まらない!」

ビッキー「止まらないなら、脱ぐっ!!」

ざっくりこんな感じ。

サブタイトル元ネタな~んだ?


知っている天井が見える。如何やらあの後助けられたらしい。

 

「やったのか...?」

 

ベッドの上で身体を起こしていると、違和感に気が付く。無いはずのモノがあり、なければならないモノが無いのだ。声も高い。

 

「ユニゾンが解除されていない!?」

 

自分の身体は響の身体のままだった。ユニゾンしているならば纏っているはずのギアもなく、ユニゾン解除の為に必要なスマホは見当たらない。

 

「響?」

 

返事はない。身体は動かせる為、ベットから降りて廊下を歩く。何故今回はナースコールのスイッチが無いのか。進んで行けば、少しずつ声が聞こえてくる。如何やらここにいるようだ。

 

「あら、目覚めたのですね」

 

部屋に入れば、風間さん、朝日さん、アリスが居た。部屋の中は学校の会議室の様になっておりそれぞれ座っている。

 

「橘君っ!」

 

風間さんに飛びつかれ、バランスを崩して倒れてしまう。

 

「ど、どうしたの?」

 

「どうしたのじゃないよ!いきなり通信が途切れて、ノイズが現れて、気絶した二人を見つけた時は,,,っ」

 

他のみんなからも心配していたことが読み取れる。仕方がないだろう。突然連絡した上で通信拒否し、気絶していたのだから。

 

「ごめん、どうしても戦わなくちゃいけなかったから」

 

「それでも...うぅ...」

 

泣かせてしまった。でも、あの時は闘うしかなかったのだ。自分は、間違っていないはず。

 

「っ、約束して!もう二度とこんな無茶しないって!」

 

「...わかったよ」

 

ごめんね、風間さん。約束はできないんだ。きっとこれからも自分は、無茶をし続ける。この戦いが終わってもきっと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『全く、突然の連絡からの通信不能。お陰で映画のレンタルを延長しなければならなくなった』

 

「ごめんなさい。ですが、ああするしかないと考えたのです」

 

借りたスマホで弦十郎さんと話す。どうやら自分達が戦っている間に準備を済ませておいてくれたおかげで、被害を最小限に抑えたようだ。人は誰も死んでいない。

 

『未来君の事だが、様子はどうだ?』

 

「まだ目覚めていません。ですが、僕と違ってスマホとは分離出来ています」

 

そう、まだ未来も未来も目覚めていない。前者は自分と同じ様にアリスの家の病室で、後者はスマホの中で眠り続けている。

 

『響君達のユニゾンは今も解除されていないんだな』

 

「はい、響の声も聞こえない上、スマホも行方不明。現状はこのまま様子を見るしかないと思います」

 

『こちらでも原因を探ってみる。それと、未来君のギアに付いていた機械がコレと同じものだったというのは事実だな?』

 

表示された画像を確認し、改めて確信する。この事件にはあの男が関わっている。

 

「ええ、間違いないです。コレです」

 

『ウェル博士か...だが魔法少女事変で亡くなったはずだ』

 

シンフォギアとの適合率を上昇させる事が出来るリンカーを開発した張本人にして英雄になりたいという男。

 

「未来は特に何も言ってませんでした」

 

『...何とも言えんな。取り敢えず、こちらでも情報を集めよう』

 

S.O.N.G.との連絡を終えて、現在の情報を整理する。結局の所、この現状をどうにかするには彼女の力が必要だ。誰かと繋がる力を持つ彼女がいなければならない。そんな気がして仕方がないのだ。

 

『おーい、大丈夫か?』

 

「ん、ああ。大丈夫だよ」

 

『そうか』

 

雪音さんが心配してくれた。彼女も何処か思うことがあるのだろう。彼女とアリスによってあの日ばらまかれたノイズはすべて倒されたらしい。幸いでかいノイズが殆どだった様だ。

 

『なぁ、今もあのバカの声は聞こえないのか?』

 

「うん、聞こえないよ」

 

僕が倒れていたのを発見したのはアリサねぇちゃんらしく、取り乱して戦えなかったらしい。スマホをアリスに取られてユニゾンしたようだ。

 

『まぁなんだ。何かあったら相談しろよな』

 

「うん、そうさせて貰うよ」

 

スマホをアリスに返し、まだ寝ているべきだと言われ病室に戻るため廊下を歩いていると、突然窓ガラスが割られた。

 

「響!服を買いに行きましょう!!!!」

 

この後無理矢理連れ出され着せ替え人形になった僕は、途中から考えるのを辞めた。




橘 響/立花 響

ビームに当たったらユニゾンが解除出来なくなった。身体のみが響の身体になっている。アリサに捕まり着せ替え人形にされた。


日向 未来/小日向 未来

ユニゾンが解除された状態で発見された。未だに眠っている。因みに脳に接続されていた機械は無事に分解された。


風間 翼

彼らが可愛い歌女。とある理由からある人物を好意的に見ている。


風鳴 弦十郎

見るはずだった映画を見れなかった模様。


白雪 アリス/雪音 クリス

とある杖の事を思い出し、少し気が立っている。後輩たちと未だ合流できていない事は最近の悩み。

アリスは翼に抱きつかれた先輩を嫉妬の炎で燃やそうとした模様。


橘 亜里沙

廊下の窓を破壊して響を連れ去った無駄な身体能力の持ち主。


ウェル博士

英雄になりたいヤベーヤツ。













お待たせしました。ようやくテストが終わり、ゆっくりと投稿していきますので、気長にお待ちください。何時の間にかXVが大分進んでいた模様。あの人がいなかったのは何故だろう?


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前兆

サブタイトル元ネタな~んだ?

ええ、あの方が存在しなければ今の魔王は存在しなかったのですよ。

祝え!平成仮(ここから先は文字がにじんでいて読めない)


「....」

 

今日も今日とて起きてすぐに胸を触る。うん、でかい。

 

「ハァ...」

 

ねぇちゃんに着せ替え人形にされてから既に3日が過ぎている。未だに響の声は聞こえない。ユニゾンが解除されるのも、考えられない。

 

「あのアニメ、こんなかんじだったのかな...」

 

男女が入れ替わるあの名作映画のキャラクター達を思い出しながら、ベッドから降りる。妹の自室訪問はない。

 

「おはよう、お兄ちゃん」

 

「早いね、エレナ」

 

部屋を出てリビングに行くと既に英玲奈が起きており台所で調理をしていた。本当によくできた妹だ。

 

「アリサねぇちゃんは?」

 

「まだ寝てるはずだよ」

 

ねぇちゃんはまだ寝ているらしい。マネージャーさんに夜遅くに「しばらく休暇を用意したからよろしくね」と言われたのは懐かしいものだ。

 

「起こしてこようか?」

 

「ううん、いいよ。まだ寝かせておいてあげよう?」

 

自分を着せ替え人形にした亜里沙ねぇちゃんは英玲奈と暮らしているときはよくできたオカンと化しているらしい。自分と一緒な時は暴走しがちで、未だにそれが本当なのかどうかが分からない。英玲奈の邪魔にならないようにコーヒーを用意し飲む。

 

「....今日は何だかマズイな」

 

「それっていつものだよね?どうかした?」

 

「いや、何もないよ」

 

コーヒーを飲みながら窓から外を見る。今日も今日とてこの街は晴れており、少しずつ気温が上がり始めているのが分かる。不味く感じているのは何故なのか。それを考えている間にフレンチトーストが出てくる。

 

「はい、今日の朝食」

 

「ありがとう」

 

不味く感じたことを押し込む様にフレンチトーストを口に運ぶ。砂糖の甘さが身に染みるように感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「また来るよ、未来」

 

寝たままの彼女に声を掛け、背中を向ける。今日も今日とて彼女達はまだ目覚めない。

 

『...まだ起きないのかよ』

 

借りたスマホの中で雪音さんはそう呟く。彼女にとって未来は恩人で友達だからだろう。何もできない自分にイラつき始めている。

 

「これからどうしようか」

 

『そうだな...あのバカは今日はいないんだよな?』

 

「うん。何でも家の用事らしい」

 

このスマホも本来ならアリスに返すはずだったものだ。本人に断られたが。

 

『バカはバカでもお嬢ってか』

 

「その上風間さんのことが大好きだからね」

 

そう考えると自分の周りにはよく暴走する人物が何人かいる事に気が付く。...考えないようにしよう。

 

『せっかくだからこの街を案内してくれよ。あいつと居るといつも移動が車な上、鞄にスマホをしまわれて何も見えねぇんだよ』

 

「わかった、案内するよ」

 

『あとあたしのことは「クリス」でいい。名字だけで呼ばれると何かむず痒いんだよ』

 

「わかったよ、クリス」

 

彼女が感じているのは違和感だろう。今の自分の身体と声は響のものだからだろう。いつも通りが大切なのは自分もよくわかるからだ。

 

「また明日な!」

 

「うん、また明日」

 

そう言って二度と会えなくなった友人達を思い出す。この事件は彼女達が帰ってくるこの街を守ることと日常を取り戻すものなのだ。必ず解決してみせる。

 

「でも先ずはみんなに声を掛けてからね」

 

『お前はただでさえ重要人物だってのにユニゾンしたままだからな。仕方がねぇか』

 

皆が集まるようになった会議室に行き出掛けることを告げると、一人一緒に行くことになった。何人かが手を挙げたため、じゃんけんをしている。

 

『よくやった風間!それがカッコイイチョキだ!』

 

「か、勝てた...」

 

「なんであそこでパーを出したのよ、私っ!!!!」

 

「あちゃ~、負けちまった」

 

『ここは翼たちに譲ろうぜ』

 

『翼、一応サングラスを持って行きなさい。人気者なんだから』

 

『何故持っているんだ?』

 

『内緒よ』

 

結果風間さんと風鳴さんと行くことになった。そしてアリスが置いていったイチイバルを預かった。ノイズが現れても戦えるようにだろう。

 

「一緒に出掛けるなんて、いつ振りだろうね」

 

「う~んと、丁度半年振りかな?」

 

確かクリスマスイブに少し出掛けていたはずだ。あの時は次の日がライブだったこともあり、最終調整の様な物だったのを憶えている。彼女はステージに立つ際良く緊張するのだが、前日の出来事によってコンディションが変化するのだ。あの時だっけ、マネージャーにならないかって言われたのは。

 

『雪音、立花の声は聞こえたか?』

 

『いいや、聞こえてませんよ』

 

街に出ればスマホの中の彼女たちの声は聞こえなくなった。気を使ってくれたのだろう。

 

「どこから行こうか?」

 

「えっとね、行ってみたいところがあるの」

 

この時、気が付いていればよかったのだ。自分たちに近づく男の存在に。

 

 

 

 

 

「ハハハッ、見つけたぞ!僕だけ(・・)の英雄をッ!!!」

 

 

 

 

彼女を戦いに巻き込むこともなかったはずなのに。




橘 響

ユニゾンが解除されることなく日々を過ごす。朝起きてから身体が元に戻っていないか確認するのが日課になり始めている。


雪音 クリス

響がユニゾンしたままの為、アリスに護衛を頼まれる。実はアリスの家の用事の真実を知っている。


白雪 アリス

翼と響が出かけたことを知り行動開始。家の用事?他の者に任せましたわ


橘 英玲奈

できた妹。大切な家族。


橘 亜里沙

響がいないところではしっかり者らしいが、本人の前では暴走気味なため事実かどうかわからない。パーを出して負けた模様。


日向 未来/小日向 未来

未だ眠る少女達。何時目覚めるのだろうか?


ただのやさしいマリア

サングラスを常備しているお母さん。


朝日 奏/天羽 奏

翼を見守るおねぇさん達。でも前者は少し不安な模様。


風鳴 翼

カッコイイチョキを教える。翼が勝った際に見せたドヤ顔は奏に撮影、保存されていた模様。


風間 翼

ジャンケンに勝ちデート(お出掛け)の権利を手に入れた。とても嬉しいらしく、笑顔で話し続けている。


???

最後に出てきた謎の人物。え、正体バレてるって?ま、仕方がないよね!






この作品のこの先を予想している人はどれだけいるのでしょうか?


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繋がる真実

サブタイトル元ネタな~んだ?

トリニティなコックのレストラン、行ってみたいんですよねぇ...


「ゲームセンター?」

 

「うん!一度ここに来てみたかったの!」

 

『懐かしいな』

 

『あいつらに連れてこられて以来か』

 

クリスに街を案内しながら風間さんの行きたがっていた場所であるゲームセンターに到着する。自動ドアをくぐり抜ければクーラーからの冷えた風が全身に染みわたる。

 

「涼しい...」

 

「今日、かなり気温が上がるみたいよ。こまめに水分補給しなきゃね」

 

『なんだこの感じ。すっげぇ違和感』

 

『雪音、何故こちらを見ている?』

 

店の中を進めばクレーンゲームが連なるようにあった。その光景がどこか懐かしく感じる。

 

「あ、あった!」

 

「これが欲しかったの?」

 

『人形か』

 

『そういえば風間の部屋に沢山あったな』

 

風鳴さんが一言い終える前にその場から風間さんが消える。周りを見渡せば、彼女が壁に向かって話している様子が伺える。スマホが見えたところから風鳴さんと話しているのだろう。

 

「ちょっと翼!内緒にしてって言ったでしょ!?」

 

『す、済まない。話しても問題ないと___』

 

「そうじゃないと、奏さんにあのこと(・・・・)バラしちゃうよ?」

 

『私は何も言ってない。ああ、防人の言葉には嘘はないぞ!』

 

何か少し騒がしい。何かあったのだろうか?

 

「ねぇクリス、何話してると思う?」

 

『さぁな』

 

クリスはスマホの中でフワフワと浮いている。どうやらスマホの中を満喫しているようだ。彼女がそう言うのならば男である自分にはわからないことなのだろう。

 

「ご、ごめんね。すこし話があったんだ」

 

『待たせたな!』

 

何かを隠しているようだが、考えないのが正解だろう。取り敢えず、目の前のクレーンゲームにコインを入れ起動させる。

 

「早速だけどやってみよう。ボタンの押し方はわかるよね?」

 

「うん。えっと、あれを狙うから...」

 

狙いは決まった。後はアームを信じて待つだけだ。

 

「お願い!」

 

『フム、ここで奇声をあげるものではないのか』

 

『待て待て、なんだそりゃ!?』

 

風鳴さんが真面目な顔をしておかしなことを言っている。確かにあの時()は変な声を上げていたけれど、反応するクリスちゃん(・・・)も可愛いよね。無事にアームに捕まれた剣を持った猫のぬいぐるみは落下することなくゲートを通った。幸先良さそうだ。

 

「や、やった!」

 

「やったね、風間さん!」

 

次の景品を手に入れるためにクレーンを動かしていく。上手く動かすには...

 

「キェエエエエエエエエエエ!!!!」

 

気合いが大切っ!失敗?それがなんだ、だとしても!

 

「諦めないっ!!!!」

 

結局欲しかったぬいぐるみを手に入れるために複数枚のコインが消えたのだった。

 

「へいき、へっちゃら...」

 

財布はへいきじゃなかったよ...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「い、いっぱい取りましたね」

 

「うんっ!可愛いぬいぐるみがいっぱいあったんだ!」

 

どうやら翼さん(・・・)も楽しんでくれたようだ。でも、両手で抱え込んだ沢山のぬいぐるみをどうするか考えなくてはならない。流石にこのままアリスの家に戻ろうとするのは難しい。

 

「あ、あれもイイかも!」

 

そういって翼さんは新たな景品を目指してクレーンゲームへと進んでいく。

 

『ありがとな、響』

 

「どうしたの急に」

 

『いや、先輩のああいう表情は滅多に見れないからよ』

 

逆さまになりながら感謝を述べるクリス。私としては、上手く街を案内出来たか不安だったのだが、どうやら楽しんでくれていたようだ。

 

「良かった〜、クリスちゃんが楽しんでくれて」

 

『たまにはこういうのも...』

 

クリスちゃんが話すのを急に辞めてしまう。どうしたんだろ?

 

「クリスちゃん?」

 

『オマエ、誰だ?』

 

誰?誰って、自分は私だよ?

 

「誰って、どうしちゃったの?」

 

『…いいから答えろ』

 

先程までの雰囲気は消え怖い顔になったクリスちゃん。取り敢えず答えようかな。

 

「橘響だよ?ユニゾンしたままの、タチバナヒビキ」

 

『...そうか。わりい、アタシの思い違いだったみたいだ』

 

「イエイエとんでもなぁい!!!その考えは正解だ!!!!」

 

突然ゲームセンターに大きな声が響く。そして、ゲームセンターが崩壊した。そして、見たくないモノを見た。

 

「あ、アンノウンだッ!!!」

 

「逃げろぉおおおお!!!!!!!」

 

天井が灰なって消え、人が落ちてくる。その人でさえも、ノイズによって分解されてゆく。

 

『何故だ!?何故繋がらない!?』

 

「翼!こっちも駄目みたい!」

 

自分にはここが現実だとは思えなかった。響たちが来た世界(別次元)を見ているようにしか感じられなかったからだ。

 

「おやぁ?驚いてる?驚いてますよねぇ!!!そんなにも私に会えたことに喜んでもらえるとはっ!!!」

 

視界に入ってから決していなくならない。目が離せないのだ。まるで肉食獣に睨まれた非力な草食動物の様に。

 

「さぁて、邪魔者は消えましたよさぁ!」

 

その男はスマホを片手に手を伸ばす。

 

「行きましょう!僕だけの英雄よ!!!!」

 

忘れる訳がない。一度でもその声とキャラクターを知ってしまえば少しの言葉だったとしても、「こいつが犯人だ」と考えてしまうほどには。

 

 

「どくたー、ウェル...」

 

「僕は君が欲しい。その為ならばこんな狂った世界に存在価値などない!!!君を英雄だと言い讃える世界こそが君にも、私にも相応しいっ!」

 

 

()は会いたくは無かった_____

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁあああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」

 

「おやおや、やみくもに撃っては当たるものも当たりませんよ?」

 

『落ち着けっ!!!おい、聞いているのか!?、ひびきぃ!!!!』

 

()は許せなかった。未来を巻き込んだこの男を、関係ない人たちを捲き込んでまで自分がしたいことをしようとしている事を。クリスちゃんとユニゾンしすぐにガトリング砲を形成し、ミサイルを複数形成しばら撒く。ノイズを盾にしているウェルには聞いていないようだ。だが、そんなことはどうでもいい。

 

「うるぁあああああああああ!!!!」

 

「それは殴る道具じゃありませんっ!」

 

撃ち終わると同時にミサイルに飛び乗りライフルを形成し、砲芯を握り振り下げる。盾となっていたノイズを一気に倒せたが、本体に攻撃が当たる前に交わされてしまった。

 

「いけぇ、ノイズたちぃいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!!!!!私を守り、英雄を倒しててにいれるのですぅううううううううううううううう!!!!!!!!!!!!!!!」

 

向かってくるノイズを撃ち殺していく。視界には、剣を振るう翼さん(・・・)の姿もあったが、気にせずウェル突っ込む。だが、急に身体が重くなった。

 

「貴方の為のアンチリンカー...効果は勿論、忘れたころにやって来るぅうう!!!!」

 

重い...ギアが悲鳴を上げているのがわかる。

 

『アンチリンカーまで持ってるのかよっ!おい響!このままだとノイズに囲まれちまうぞっ!』

 

クリスちゃんの声が少し遠くに聴こえる。アンチリンカーの能力はリンカーの真逆の効果、リンカーがギアとの適合率を引き上げるのならば、アンチリンカーはその適合率を低下させる。

 

「橘君っ!邪魔しないでっ!!!!!!」

 

『邪魔をするな、防人の道は誰にも止められぬと知れ!!!』

 

こちらへと向かってくる翼さんの声が聞こえるが、そちらへと視線をずらす力を別に使わなくてはならない。

 

「十分に効いているようだから、とっておきの情報を提供してあげましょう!」

 

ウェルはそう言ってスマホを操作し、空中に画像を表示させる。

 

「僕は君が欲しかった。でも決して出来ない。それは君が別世界の人間だから。それでも私は諦められなかった。そんなある日、突然スマホにとあるアプリが現れた。それが僕に希望をくれた、力をくれたんだ!僕はすぐに気が付いたさ!!!今こそ君を手に入れる時だとねぇ!!!!!!!」

 

表示された画像は、私しか映っていない写真だった。その殆どは、アニメで見たことすらないものだった。

 

「君の正体はこの世界の立花響だろう?僕の計画通りにユニゾンして戦ってくれてさ、その上親友を、幼馴染を助けるために、融合してくれるなんて...ああ、ああ、なんて、なんて完璧なんだ僕はっ!!!」

 

ノイズ達は私の周りから消え、翼さんの元へと駆けてゆく。ゲートが新しく開き、大量のノイズがあふれ出てくる。

 

「君の精神は既に融合で、我が英雄へと引っ張られて混ざり始めているんだろう?」

 

何を、言ってるの?...ダメだ、全然分からない...

 

『嘘だろ!?あのバカと響が混ざり合っているってのか!?』

 

「やぁイチイバル。その通りだよ。だからこそ、今日、君が僕の代わりに確かめてくれたお陰で作戦を決行できたんだっ!」

 

それじゃあ、未来を捲き込んだのも、私のせい...?

 

「君たち奏者をこの世界に呼んだのも、ノイズを召喚したのも、全部僕だ!すべて、僕の手のひらの上でのできごとなんだよぉおおおおお!!!!!!!!!!ハハハハハハハハハハ!!!!!!!!!!!」

 

『「橘(君)っ!!!!」』

 

()は、もう、戦えない...

 

『おい!しかっりしろっ!おいっ!!!!!』




橘 響

自身がノイズ召喚の原因だと知り、闘えなくなってしまう。響との融合が急速に進んでおり、意識まで混ざり始めている。


雪音 クリス

事件の真実へとたどり着いてしまった少女。響とのユニゾンしていた時、身体が響のままイチイバルをまとった。スマホの中から叫び続けていた。

風間 翼/風鳴 翼

来たかった場所に来たものの、事件に巻き込まれる。一応と言われアリサのスマホを持っていた為ユニゾンして戦っていたが、翼の様に戦いには慣れておらず、ギリギリの戦闘を続けていた。
因みに翼が奏に黙っているものは、自分が一番のファンであるという事実であり、家の隠し部屋にはグッズが沢山隠されている。しかし、片付けられない為、中はグチャグチャである。


ドクター、ウェルぅううううううううううううううう

この僕が全ての元凶さ!全ては我が英雄を手に入れるため!!
え、男?何言っているんだい?我が英雄は性別不明じゃあないか!!!
僕はどっちでもいけるさ!!!

....説明いる?


スマホの機能

中にいる彼女達が快適に過ごす事が出来る空間が広がっているらしい。無重力状態にする事も可能でフワフワと浮く者もいる。






SAKIMORI『トップアーティストである私を差し置いて、最近の緒川さんは目立ちすぎっ!』

SAKIMORI『忍の何たるかを忘れていますっ!』

SAKIMORI『ライブシーンが無いどころか、過去話に奏の幻も現れないこの残酷っ!』

SAKIMORI『雇用待遇の改善を断固要求しますっ!』



なおXVにてライブがあるものの...うん、察してクダサイネ。
感想お待ちしています。それではまた次回!


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狙われた響

サブタイトル元ネタな~んだ?

今回は、戦わなければ生き残れないあの作品からっ!










XV、やばいですねぇ...毎週見逃せませんねぇ...CMも含めて


『響っ!おいバカッ!しっかりしろっ!!!』

 

闘っちゃ、ダメなんだ...()が、いなきゃ未来は...

 

「ひゃふぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!」

 

『っく、橘の元に急ぐぞ!』

 

「わかってるけど、数が多い、よぉ!!!」

 

『!やべぇ、ギアが保てなくなってきてやがるっ』

 

()が戦えさえしなければ...この、スマホさぇなければ...

 

「おやおやおやぁ????我が英雄よ!気付きましたかぁ!!」

 

『何に気が付いたというのだっ』

 

「気が付いた?」

 

「簡単な事ですよぉ...アメノハバキリィには決して邪魔させないけどなぁ!!!!!!!」

 

「またこんなに...」

 

『雪音!橘を連れて離脱しろっ!』

 

『それが出来たらやってるよ!おいバカッ、いい加減に動きやがれっ!!!』

 

 

ノイズがまた沢山いる...だけど、私はもう_______

 

 

 

 

 

「『響ィいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!!!!!』」

 

 

 

 

 

「み、(らい)...?」

 

温かい...優しく包み込んでいるこの光は、一体何?

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごめんね」

 

『また心配かけちゃったね』

 

「でも私達は響の陽だまり」

 

『だから、貴方の帰ってくる場所は私達が守らなくちゃいけないんだ』

 

 

 

 

 

 

 

 

ああ、そうか...この光は未来の...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ねぇ、響君』

 

何?

 

『ここはとっても居心地がイイね』

 

流石は僕らの陽だまりだよね

 

『それでも、もうここには居られない』

 

うん、僕らが返ってくるべき場所はここじゃない

 

「『未来の隣が、()の陽だまりだから』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『な、何が起きているのっ!?』

 

『なんだなんだ!?何かに吸われてるのかこれ!?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『トライトーン』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「我が英雄よぉ!!!!その姿はなんなんだぁあああああ!!??」

 

僕はあの男はお断りだな

 

『私にはもう未来がいるから』

 

まぁ取り敢えず響、拳の変形よろしく

 

『誰かと繋がる事が出来る、殴ると痛いこの拳でっ』

 

「『ぶん殴るっ!!!!!!』」

 

目の前に群がっていたノイズをたった一発の拳で分解して消し飛ばす。変形させた拳はいつもよりも大きくなっており、その大きさが威力が上がっていることを分かり易く教えてくれている。

 

「あの数を、一瞬で...」

 

『何だ、あのギアは?』

 

先程まで自身とユニゾンしていたクリスの入ったスマホを拾い上げる。中では、涙ぐんだ彼女が無理矢理笑顔を作ろうとしていた。

 

「『立花響、ただいま戻りました!待たせてごめんね、クリスちゃん!!』」

 

『いつもおせぇんだよ、このばかっ』

 

「『アハハハ、ごめんごめん』」

 

響がクリスと話している間に、情報を集める。どうやら自分が纏っているギアに変化があったようだ。生憎全身を確認する事が出来ない。明らかに響の身体よりも大きい胸部が存在しているのもその原因の一つだろう。

 

「もうっ、ホントに遅いんだから」

 

「ごめんね、でももう大丈夫だから。未来はクリスと風間さんを連れて下がってて」

 

「『うん、分かった。待ってるね』」

 

ノイズを召還していたドクターウェルはスマホを落としたまま固まっているようだ。先程までの話からあのスマホを奪えば、今後の手掛かりになる可能性があるようだ。

 

『ねぇ、奏』

 

『なんだ?』

 

『これは一体どういう事なの?』

 

『...あたしにもさっぱり。さっきまでいたはずのスマホの中じゃなくて、どうやら響の所にいるみたいだ』

 

『響のスマホって事は、遂にユニゾンが解除されたというの!?』

 

忘れちゃいけないこともある。先程から聞こえている声だ。どうやら自分は今、響だけでなく天羽さんとマリアさんともユニゾンしているようだ。どおりで大きい訳だ。

 

『ハァ...響君も男の子ってことだよね』

 

既に何回も君の裸体を見てるからね?自分の身体を見ているようにしか感じられなくなっているんだよ

 

『うわぁあああ、やめてとめてやめてとめてやめてとめてぇ!!!』

 

叫んでいる響を放置してそのまま右手を元に戻す。既に未来がスマホと風間さんを連れて離脱していくのが見えた。有ったはずのゲームセンターや町の一部は灰となって消えてしまっている。

 

「響、奏さん、マリアさん」

 

『『『!』』』

 

「聞こえてるんでしょう?これからあの男からスマホを奪い取りたいんです。あのスマホがなければどうやら何もできないようなので、力を貸して下さい」

 

『私はそれに賛成だよ!話を聞いてもらう前に聞いてもらえる状態にしなきゃだもんね!』

 

『...狼狽えないわよ、マリア。この状況を打開するには、響の案に乗るのが得策のようね。分かった、私も君に力を貸そう』

 

『ま、仕方がないからな。後でこの状況をしっかりと説明してくれよ?』

 

「ありがとう、皆!」

 

両手を正面で合わせてアーマーを発射する。それに気が付き正気に戻ったウェルがスマホを拾い上げノイズを壁として召還し交わした。自分はそのアーマーを追いかけており、ノイズに衝突後変形を始めたアーマーの柄を掴み羽織っていた黒いマントを取り外しそのままアーマー、槍に巻き付けそのまま回転させる。黒いガングニールの槍をそのままウェルへと向けて投げる。本来ならば生身の人間には行ってはならないが、あの男が人間であるかどうかは怪しい。本編でもサラッと体の一部に人間を辞めさせていたのを憶えている。

 

「私の手で、我が英雄が英雄たる姿に進化したとでもいうのか....ハハハハハハハハハハ!!!!!!!!素晴らしい!!こんな素晴らしい事は無い!!ならば、もっと貴方の英雄たる姿を見せてくれぇええええええ!!!!!!!!!!」

 

ウェルは先程とは桁違いのノイズを召喚しそれを壁とし、そのまま複数のノイズを召喚していく。見覚えのあるモノがほとんどだが、よく見ると召喚されたノイズ達はアルカ・ノイズの様だ。つまり、あのスマホで召喚できるノイズには限りがあるはずなのだ。だからこその、この槍なのだから。

 

「貫けぇえええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

回転したまま槍は壁として召喚されたノイズへと突き刺さり、その体を内側から分解していく。そしてそのまま槍を一段階分離する。そうすることでマントも同じ様に槍から外れる。だが、その回転は死んではいない。マントもギアなのだ。その形状を変化させる事が出来る為、回転を殺さないようにマントを巨大化させていく。ノイズを内側からバラバラに切り裂いた。

 

「『激槍・ガングニール』ってところかな」

 

勢い余って突き刺さった槍を引き抜き、マントの大きさを元に戻し羽織り直す。振り向きノイズ達を見れば、その先にいるウェルが笑っているのが見えた。




橘 響/立花 響

融合が進み響が響に飲まれるという状況に陥り掛けていた上、未来が巻き込まれた理由が自分にあるということで一度は闘えなくなってしまう。しかし、駆け付けた(脱走)未来により助けられ、神獣鏡の光にもう一度飲まれることでユニゾンが解除された。その上、もう一段階ユニゾンが進化した模様。


日向 未来/小日向 未来

響の危機に駆け付けた正妻(間違い無し)。目が覚めて早々にユニゾンし強引に屋敷を脱走した模様。奏やマリアは彼女達を探していた。え、何故響のいる場所が分かったかって?簡単な話さ。『愛』って何でもできるんだって。
なおXVでは____


風間 翼/風鳴 翼

戦えない響の分まで剣を振るったが、数に押されてしまいブドウのノイズに襲われるところだった。まぁ、結果として切ったのだが。
なおXVでは____


天羽 奏/たデマ

ただのデートするマリア(XV各話OP有りのみ:ニコニコ動画より)
突如脱走した未来達を探すためにそれぞれの相方と共に走り回っていたが、突然響のスマホの中へと転送された。



トライトーン

ユニゾンには複数人で行うことができるという仮設が存在している。それは相性がいい聖遺物の装者で行うことができると仮定されていた。しかし、未だザババの刃の二人と合流出来ていない為、確認出来ていなかった。ユニゾンを行う人物、装者二人でのユニゾンを『デュエット』とし、特例でのみ可能な組み合わせ(装者3人以上)を『クワイア/コーラス』としている。『トライトーン』とは、その中に当てはまらないものであり、同じ聖遺物を元にしたギアを纏う事が出来る装者が3人揃っていた為に誕生した例外である。
その見た目はそれぞれのギアアーマーを混ぜ合わせた見た目をしており、身体は響のものだが、そこにも変化が見られている。


魔王・救世主・家臣が合体する例のアレがモデルだったりする。(てんこ盛りとか)











お待たせしました。XV見たら凄かった。イヤほんと、一体どうなってるんだろうこの毎週毎週の情報量。あの神はこの小説には登場しませんからね。

???・?『オッス、我___』

ビッキー『うわぁああああああ!?!?!?!?!?!?』


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(ガングニール)、復活

サブタイトル元ネタな~んだ?

今回は猫舌で携帯電話で同じ様に姿を変えるあの人の復活からっ


「素晴らしい!流石は我が英雄ぅ...だからこそ、貴方が欲しい。誰にも渡したくないんだ。そう、だって僕は立花響を愛しているのだからぁああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!」

 

『ふぇ!?』

 

『おぉ...』

 

『噓でしょ!?あのドクターが、他人を愛しているですって!?』

 

 

ウェルの突然の告白により、スマホの中の3人がそれぞれ異なる反応をみせている。そういう自分も少し後ろへと下がってしまった。アニメで見たことある腰を痛めそうなそり方をしたまま告白を続ける男から少しでも離れたいのは何故だろう。

 

『えっと、私にはもう未来っていう親友()が居るから...』

 

『へぇー、大胆だな。翼にも見習わせたいぜ』

 

『ぁあッ、理解できない!というか頭が理解しようとしてくれない!?』

 

皆が混乱している中、ウェルは手を休めることなくノイズを召喚している。アルカ・ノイズが建物を分解し始めた為、すぐさま槍を構え、腰アーマーのブースターを起動させる。

 

「うぉおおおおおおおおおお!!!!!!!!」

 

マントを纏いながら回転し自身をドリルの様に扱いノイズを複数同時に貫く。着地と同時に振り向き、槍を一段階、二段階と分離し、それぞれを時計回り、反時計回りに回転させる。

 

『行けるよ!』

 

「分かった!!」

 

響からの準備完了の合図を聞き、槍をその場で一回転するように振るう。すると、分離していた槍から複数のドリル(ガングニール)が飛んでいく。乱射することで一度にノイズの数を減らしていく。

 

『おぉ、これ便利だな』

 

『セレナ、マム、助けて...』

 

あ、マリアさんがヤバイ。思ったよりもダメージを受けているみたいだ。早めに終わらせないといけない。

 

「響、天羽さん、マリアさん!」

 

『うんっ!』

 

『行けるぜッ!』

 

『狼狽えるなッ!...間違えた』

 

マリアさんの間違いには触れることなく、槍を一旦分解し、両腕のアーマーへと戻す。そしてアーマーを変形させ、一部アーマーを外し回転させる。両腕をドリルとし、それぞれの軸の制御を響と天羽さんに任せて走り出す。

 

「マリアさん!!」

 

『っは!...ええ、任せて頂戴!』

 

マントを触れることなく外し、マリアさんにその制御を任せる。マントは風に吹かれることなく広がり、残りのノイズを巻き取りかき集めていく。

 

「ああ、我が英雄が僕の元にぃいいい!!!!」

 

正面からの両腕ドリルを見ても逃げるどころか喜びを露にするウェルを無視しその横を駆け抜け、マントによって巻き込まれて集められたノイズ達へと連続で突き刺した。

 

「....ああ、やった!我が英雄が、この、僕を_____」

 

ウェルの言葉は続かなかった。アルカ・ノイズを倒した衝撃の余波によりその体ごと吹き飛ばされたのだ。

 

 

 

 

______パリン

 

 

 

「あ、ああ、ああああ!!!!!」

 

 

声に反応して振り返るが、突然体が重くなりその場で動けなくなってしまう。それは以前天羽さんとのユニゾン時に問題となった時間切れ(タイムアップ)が、マリアさんも含めたユニゾンの為に時間が思ったよりも短くなっていることを知らせていた。

 

「っく、思ったよりも早く、そしてキツイ...」

 

『響君!』

 

『こんな所でリンカー切れかよ!?』

 

『マズイわね、視界が晴れた時が勝負よ!』

 

視界は倒したノイズの残骸により悪く、声のした方向を見てもウェルの姿を確認できない。取り敢えずその場で待機して、晴れるのを待つしかなさそうだ。

 

「...我が英雄よぉ...僕は必ず、貴方を、貴方を!僕だけのものにぃいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!!!!!」

 

ウェルの声だけが視界の悪い辺り一面に響き渡る。そして、視界が晴れるとそこにウェルの姿は無かった。

 

「逃げられた...?」

 

『OHANASHI出来なかった...』

 

『あれは!』

 

『見ろよ響!あそこにアイツの!』

 

「あ、」

 

ウェルが居たであろう場所には、画面をバキバキに破壊され真っ二つとなったスマホがあった。どうやら最初の目的であったウェルから闘う力を奪う事には成功したみたいだ。

 

「上手く、いったんだ、」

 

『やったね!』

 

ふと、安心からか全身から一気に力が抜けた。その場でユニゾンが解除される。

 

『奏さん?マリアさん?』

 

地面に転げ落ちたスマホから響の声が聞こえる。どうやらユニゾンの解除と同時に二人も元の場所へ戻ったようだ。でも、身体に残るこの感覚は、一体何なのだろう

 

「響。僕達元に戻ってるよね?」

 

『うん、そうだよ』

 

逃げたウェルとか、街案内の事とか、他にも心配を掛けた人達に謝らなくちゃなぁ...

でもその前に、言わなくちゃね

 

「『響!!!』」

 

お帰り、みらい____




橘 響/立花 響

遂にユニゾンが解除された。響にはリンカー切れのデメリットが体力消費として表れている。
己の陽だまりが目覚めた事が嬉しい。

天羽 奏/マリア

これからトライトーンによりどこにいても強制的にユニゾンさせられる模様。
マリアさんの中の人はつい先日のライブにて懐かしの放課後なお茶会へと参加。
いやはや、お帰りなさいませ。

日向 未来/小日向 未来

翼とクリス(スマホ)を回収後、一旦屋敷に戻るも再び飛び出した。その理由は後に語っており、「何か呼ばれている気がした」とのこと。


ドクターウェル

我らがドクター。冒頭にていきなり告白をブチかましてくれた。以前から彼が言っている通り、彼の行動原理は全て『愛』から来ているのだ。
因みに、彼のスマホには立花響の世界のウェルは存在していない。それはその人物が亡くなっているのが原因である。
現在逃亡中。お土産に割れたスマホを捨て、ガングニールの飛ばしたドリルを持っている。


トライトーン

響、奏、マリアの3人と響、ガングニールとスマホにより行われる特殊なユニゾンを指す。それは上記の3人が欠けていては行えず、行う場合は強制的に呼び出され、そのままユニゾンさせられる。それば次元をも超えられるとされ、例え別世界に居ようが強制召喚である。ユニゾン解除と同時にそれぞれが元々いた場所へと返されるが、やられた側(特に奏とマリア)は堪ったものではないだろう。
しかし、各自がユニゾン状態であれば更に特殊な状態へと変化することとなる。

ガングニール

響が名付けた、トライトーンによるユニゾン形態時の名前。しかし、本編で呼ばれる事は少なく、基本的に聖遺物の名前として登場する。




いかがだったでしょうか?
XV本編では大変な事になっていますが、こちらはこれにてひと段落となります。
感想お待ちしています。それではまた次回、お会いしましょう


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第二章:日が昇り陰る中編
運命の適合者達


サブタイトル元ネタな~んだ?

今回は、名(迷)台詞が多いあの作品から_____ウェイ!


『溶けるぅ~』

 

人間の適応能力とは恐ろしいもので、この夏に出会ったスマホに住む彼女達に対して違和感を感じなくなってきた。未来に連れられて行くのを尻目にスマホの冷却アプリを起動させる。どうやらこれだけでも効果がある様なのだ。

8月になり、より一層熱く感じる。近年夏の気温の変化が激しくなり始めており、体調を崩す人が増えているのだとか。

 

「...やっぱりか」

 

スマホのトークアプリを起動させれば、先輩から連絡が着ていた。内容は実にシンプルだった。

 

「『風邪ひいた。お見舞い頼む』、ね」

 

自分と先輩は学校が同じ、というわけではない。年齢は同じだがバイトの先輩なのだ。情報を集めるのが趣味らしく、中々腕のたつハッカーなのだとか。

 

『響、お見舞いに行くの?』

 

「そうだね...缶詰とか揃えていくことにするよ」

 

スマホに現れたのは未来だった。ユニゾンが解除されて以来、未来は未来のスマホと自分のスマホを行き来している。

 

「因みに響は?」

 

『溶けちゃった...』

 

画像が表示されるとそこには溶けた響の姿が。なるほど、物理的に溶けてますね。

 

「って、物理的に溶けてるけどッ!?」

 

『え?問題ないよ?』

 

頭部にしか原形が残っていない、まるで溶けたアイスクリームの様な響はこちらに気が付くと跳ねている。アッ、液体が...

 

『何でもここに入ってから出来るようになったんだって』

 

「はぁ...」

 

彼女達はすっかりスマホの中に馴染んでいるようだ。以前クリスが浮いていた事を思い出して無理矢理自分を納得させる。

 

「取り敢えず、行ってくるよ」

 

『ええ、いってらっしゃい。響のことは任せてね』

 

スマホの中から未来の姿が消える。もう響の元に戻ったのだろう。

 

「行ってきます」

 

自分は必要なものを持って家を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや~、すまんな」

 

ベッドの上で上半身だけを起き上がらせた先輩が返事を返してくる。

 

「いえ、ちょうど出かける用事もあったので」

 

それは嘘ではない。今日はこの後、亜里沙ねぇちゃんを迎えに行かなくてはならないのだ。というか、昨日の夜に電話で「迎えに来てッ!迎えに来なきゃ、もうハナサナイカラネッ!!!」と念入りに言われてしまったのだ。今考えると、断らなくて正解だったのだろう。自分の感は当たる。何時も嫌な方向に。

 

「でも、何故僕だったんですか?」

 

「ああ、簡単な話だよ。今、友達が旅行でいなくてさぁ_______」

 

先輩の話を聞きながら、缶詰を開け、スーパーで貰った箸の爪楊枝を指して桃を差し出す。

 

「、まぁ、それだけじゃないんだけどな...」

 

「えっ?」

 

ベッドの隣の勉強机に備え付けの椅子に座れば、先輩の言葉に疑問を持つ。それだけじゃない...?

 

「もしかして、アンノウンについて何か分かったんですか?」

 

「ああ、いやいやそうじゃないんだけどな...」

 

言葉を濁らせている間に、玄関が開く音が聞こえる。

 

『『ただいま』なのです!』

 

「丁度、帰ってきたみたいだな」

 

先輩の部屋に入ってくる人物には、見覚えしかなかった。

 

「切乃、ただいま帰ったのですッ!」

 

「戻ったよ、おにぃ」

 

『お待たせしたのデース!』

 

『ぶぃ。今日はお肉が安かった』

 

お揃いのスマホから響いてきた声で、現実へと戻される。ああ、なんだ。問題解決じゃないか。

 

「お帰り、キリ。シラ。お客様だぞ!お前たちの会いたがっていた我が後輩こと、橘響だ!」

 

ゲホゲホと咳をしているあたり、無茶して大きな声を出しているのが丸わかりである。

 

「ああもう、大人しくしててください」

 

「んぐっ、もう大丈夫だ。後で缶詰代を払うよ」

 

かき込むように桃を口へと流し込んでいく先輩。さて、先輩はこれで大丈夫そうだ。

 

「貴方がもう一人の私が言ってた...」

 

「シラ、気を付けるのです!人違いかもしれないのです!」

 

フム、警戒されてしまっている様だ。ならばスマホの二人と話をするしかないようだ。

 

『ねぇ響!調と切歌が見つかったって本当なの!?』

 

『『マリア!』』

 

『ああっ!!!良かった...二人共無事なのね...』

 

声が聞こえた時点で、マリアさんに連絡しておいたのは正解だった様だ。スマホの中で3人が感動の再会を果たしている。その画面を二人に見せれば、その警戒を解くこととなった。

 

「えっと、僕は橘響。君たちの名前を教えてくれないか?」

 

「...神無月調」

 

「私は神無月切乃と言うのです!よろしくです、響さん!」

 

神無月、ということは先輩の身内であることは確定である。取り敢えず二人から二人に出会ってからの話を聞く。どうやら彼女達はつい最近来たばかりの様で、先輩に相談した結果自分に話してみることにしたようだ。

 

「貴方が、もう一人の私が言っていたマリア...」

 

「おお~~!!アリサに似てるのです!」

 

そこで、自分は約束を思い出した。時計を見れば、迎えに行くにはもう時間がなくなっていた。ま、マズイッ!?

 

「ごめんね二人共!もう行かなくちゃっ!先輩、お大事にっ!」

 

二人に断りを入れ、荷物を持ち駆け抜ける。

 

「おう、またな~...って、お金渡しそびれた」

 

「あ、私が...」

 

「私も一緒にいくのです!」

 

二人に付けられているとは知らずに、全力で駅まで駆け抜けた。




シンフォギア...、終わってしまいましたね。作者はあの終わり方では満足できていないのですよッ!!

映画化ッ!映画化ッ!映画化ッ!


橘 響/立花 響

前者はバイトの先輩の家へと向かい、後者はドロドロに溶けてしまった。原形を留めていた部分は溶けているのではなく、まるでクッションの様に柔らかい模様。393はそれを枕にグヘグヘ言っていたらしい。

日向 未来/小日向 未来

前者はアリスの家に捕まっており、後者は響と未来のスマホの中を飛び回っている。
未来が捕まっているのは、前回の逃走により検査入院だからである。響に「逃げないでね」と言われたため、大人しくしているらしい(・・・)

橘 亜里沙/マリア・カデンツァヴナ・イヴ

仕事に引っ張られてもう5日も響と会っていない為、ほぼ暴走状態。響の身が危ないところだった。マリアはそんなアリサから離れられて内心喜びながら響の元へ来た模様。

先輩/神無月

未だ苗字しか登場しないバイト先の先輩。大事な友人であり、情報源でもある。

神無月  調/月読 調
神無月 切乃/暁 切歌

双子の姉妹で調が姉で切乃が妹であるが、二人にとってそこはあまり重要ではないらしい。普段から渾名で呼び合っており、兄が大事な模様。
キリシラコンビは転移されて来た時間がほかのメンバーとは異なっており、時間差があるようだ。ん?CMの2人がかわいかったって?当たり前じゃないか(確信&尊い)


まだまだ続く物語ッ!
映画化を待ちながら、XVを再走だ!
感想お待ちしています、ではまた次回ッ!


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引き合う奏者

サブタイトル元ネタな~んだ?

今回は響の名を持つ独特なライダー!
さぁ、太鼓を叩くのだ!




...スタンド使いとスタンド使いはひk(etc.


スマホを改札にかざしてホームへと駆け抜ける。幸い人が少なくそのまま電車に飛び乗る事が出来た。

 

「ハァ...」

 

閉じた扉に背を任せスマホを見る。もうこんな事(駆け込み乗車)をしないと考えながらメッセージに目を通せば背筋が震えた。

 

『ハヤクコイ』

 

その一言だけが送られてきていた。既読を付けるとそのまま大量の同じメッセージが送られてくる。

 

「....」

 

自分はそれを見なかった事にする為にアリサねぇちゃんの通知をOFFにした。取り敢えず、現状まだ約束の時間は迎えていないのだ。うん、問題ないはず...

 

ホーム画面へと戻れば、画面端で重なりながらぐったりしている3人の姿が。どうやらそのまま二人も連れてきてしまったらしい。

 

『で、デ~ス...』

 

『自分自身が、ヨーヨーに....うぷッ』

 

『アレッ、ここはどこなのマムッ』

 

上から調、切歌、マリアの順で重なっている。スマホをスリープモードにすることなく走ってきたために画面の自動回転が永続的に行われたのだろう。響やクリス達とは異なりスマホの全てを使っているわけではないマリアにまだこちらに来てから日が浅い二人なのだから、こちらが悪いのである。

 

「ごめん、3人とも!急いでいたから気が付かなくて...」

 

『....あ、ありがちなハナシデスよ』

 

『...ッ、そうそう。切ちゃんなんて良く、携帯の電源切り忘れてッ、朝目覚まし上手く使えてないからッ』

 

『無茶しないで調ッ!確かこっちにゴミ箱があったはずよッ!!!だからそれまで____』

 

『ありがとうマリア。でも心配しないで...もう、大丈夫だからッ』

 

『『し、しらべぇえぇええええぇええええええ!!!!!!!!』』

 

突如画面から調の姿が消える。どうやら他のスマホへと移動したようだ。次に会うときにしっかりと謝ることにしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん。お帰り、もう一人の私」

 

『ご、ごみ箱は何処ッ』

 

「今開くから。キリ、見ないでね?」

 

「目の前が突然暗くなったのですッ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フへァッ!!!」

 

『いやぁあぁあああああ!!!!!!』

 

『逃げ遅れたの、デスぅ!?』

 

こんな時に限って人身事故が起きていたようで、アリサねぇちゃんの仕事場であるスタジオには時間ギリギリの到着となってしまった。

 

『オソイ』「遅い」

 

スタジオに到着すると同時にメッセージの追加と当の本人の声を頂く。どうやら、間に合わなかったようだ...

 

「約束だったわよね?迎えに来てくれるって?」

 

「う、うん。そうなんだけど...」

 

理由を正直に話すべきか迷ってしまう。言い訳をするのは良くないとわかって知るからこそ、どうすればいいのかわからなくなってしまう。

 

「...まぁいいわ。貴方が遅れてきた理由も未来から聞いてるし」

 

「え、未来から?」

 

どうやら未来が遅れていくのを見込んで連絡してくれていたらしい。本当に有り難い!

 

「でも、一つ私のゆうことに従ってもらうわよ?」

 

「そ、そんなぁ...」

 

間に合わなかった為に何も言い返せず、その場で息を整える。流石に駆け抜けてきた為に息が上がってしまった。

 

「あ、いたのです!」

 

「キリ、待って~」

 

そこへ先程先輩の家で別れたはずの二人と再会することとなった。

 

「えっ、まさか着いてきてたのかい!?」

 

「おにぃにお金を届けるって言って追いかけてきたんだ」

 

「およ?およ!?およよよッ!?」

 

切乃の様子がおかしい。まるで滅多に見れないものを見たかのような反応だ。

 

「あ、アリサですッ!本物、モノホンのアリサですよシラッ!?」

 

「あら、なるほどね........これは、もう少し重くしてもよさそうね」

 

アリサねぇちゃんを見ていてその反応をしていたようだ。忘れがちだが、自分の姉が日本の誇る芸能人である事を改めて認識させられる。と、いうかねぇちゃんは何に納得しているのだろう?殆ど切乃の声で聞こえなかった。

 

「先輩、これ」

 

「ああ、ありがとう。でもごめんね。こんなところまでこさせちゃって」

 

「構わない、むしろ感謝させて。私達、この街には住んでいないから」

 

確かに、先輩の家がマンションの一室だった事を思い出す。実家に帰れそうにない先輩の元へと向かうことにしたのか。

 

「偉いね、調ちゃんは」

 

「褒めても何も出ない」

 

頭を撫でてやれば、そっぽを向くも手をどかすような事をしないところを見ると嬉しいようだ。

 

「ああ~!!!ズルいです、シラッ!さぁセンパイ!私の頭も撫でて欲しいのですッ!!」

 

「わ、私にも...」

 

この後、放置されたアリサねぇちゃんがスタジオの戻り帰りの支度を済ませるまで扉の前で二人の頭をなで続けていた。無事に調ちゃんのスマホの中のもう一人の調ちゃんに改めで謝ることもできた。

 

その代わりに後日、退院した未来と未来によって強制的にユニゾンさせられ着せ替え人形にされたのはまた別の話である。




本当のサブタイトル『引き合う奏者(平行世界)』

橘 響

家に帰った後、姉に膝枕を所望された。仕方がないのでやると、髪形も相まってか姉が猫にしか見えなかったらしい。
電車への駆け込み乗車は止めよう。ホントに危ないし、遅延も起こりかねないから。


小日向 未来

未来のスマホの中で溶けた響で癒される中、亜里沙へと連絡していた平行世界の嫁。


神無月  調/月読 調

おにぃが好きで、妹も好き。面倒見のいいおねぇさん(正し中学3年生)
響のスマホの中で身体をもてあそばれた上、逆流することとなった。ごみ箱には彼女が以前口にした食べ物の画像が無数に入っていた。

神無月 切乃/暁 切歌

です/デス、独特の語尾を持つ似た者同士な二人。アリサのファン。
響のスマホから逃げるのに失敗し、調に助けてもらうまでスマホから出られないでいた模様。現在は無事に切乃のスマホへと戻っている。


橘 亜里沙/マリア・カデンツァヴナ・イヴ

重たい姉(何がとは言わない)とたやマ。
ええ、誰にでもミスはあるもの。ええ、あるモノ...(世界中での全裸放送)


感想お待ちしています!
ではまた次回!






目の前で電車の扉に人が挟まれたのは本当に怖かった(トラウマ)


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呪いの鏡→もう一人のヒビキ

サブタイ元ネタな〜んだ?
今回は、天の道をゆくあのライダー!
戦いの神(仮)の話はしないデネ!



ウンメイノー


着せ替え人形にされてから2日が過ぎた。

 

「何だかまだ疲れが取れてない気がするよ」

 

『アハハ...うん、実は私も』

 

響と共にため息をこぼす。いくら何でも楽しみ過ぎなのである。何着着たのかもう記憶にない程に着替えさせられたのだ。正直今日は家でのんびりしたいところなのだが、少し用事があるのだ。

 

『アリスちゃんからだったよね?』

 

「うん。アリスの家で研究してくれたみたいだからね。うまくいけば響達が元の世界に戻れるかもしれないからね」

 

未来が入院していたのは検査だけでなくユニゾンについての実験も行っていたのだ。今回はその結果報告会である。

 

「にしても、皆先に行っちゃうとは思わなかったけどね」

 

『声くらいかけてくれてもよかったのにね』

 

目指す場所は何時もの白雪の屋敷ではないらしく、白雪家が持つ工場の一つで行うらしい。響と共にいつもとは反対方向へと進み始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目的地に到着したが、人がいる様子はない。

 

『アレレ?本当にここであってるの?』

 

「メッセージだとここのはずなんだけど...」

 

スマホのメッセージアプリを起動させ、再度確認するも指定している場所はここなのだ。おかしい。アリスが自分の事でここまですることはないはず。まぁ風間さん関連だとやりかねないが。

 

『ッ!奏さん達だけじゃなくて、師匠達とも連絡がとれない!?』

 

「何ッ!?」

 

通信が妨害されている...しかも世界を超えて行えるはずの通信を妨害できるということは...

 

「響、ユニゾンしよう。多分あの人がいる」

 

『うん』

 

静かにスマホへとガングニールのペンダントを突き刺す。無事にユニゾンし、両拳を構える。そのまま工場へと入るが人の気配は感じられない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あひゃはハハハハハハハハハハ!!!!!!!!」

 

 

「『!?』」

 

 

 

突然、工場全体へと笑い声が響いた。勿論その声に聞き覚えしかない。

 

『やっぱりウェル博士がいる...!』

 

「.....」

 

響の声で改めて拳を引き締める。あの声が聞こえた以上罠に嵌められた可能性が高い為だ。

 

「おやおやおやおやぁ?そこにいるのは...我が英雄ではありませんかぁあぁああああああああ!!!!!!」

 

物陰から現れたウェル博士。しかし、その姿は以前のものとは異なっていた。

 

『わた、し...?』

 

見た目が、響とそっくりだったのだ。声までは変わってはいなかったが、それ以外は何処をどう見ても響そのものである。一体何をしたのだろうか。

 

「そうっ!その顔が見たかったッ!僕を、僕だけを見つめるその目ッ!素晴らしいの言葉しかありませんねぇ!」

 

響の体でクネクネしている。うん、しばらくの間あの体だったからか自分の事のように気持ち悪い。

 

『殴らなきゃ…』

 

「だね」

 

あのまま放置するわけにはいかない。

 

「さぁもう一つサプライズさぁあぁぁあああああ!!!!!」

 

のけぞりながらウェル博士はその()を口にした。

 

「Etsieorum Heldell gungnir zizzl」

 

「『!?』」

それは聖詠だった。

以前響がガングニールの融合奨励だった頃に融合が進んだ結果、身体の一部から結晶体を出現させた時の様に、全身が結晶体へと飲まれてゆく。まるで一つのクリスタルと化し、それを砕くように出てくる。

 

「ヒャッハー!これでこそ僕ッ!これで真の英雄だぁ!」

 

『わ、私だ...シンフォギアを纏った私...』

 

博士は自身を響へと変えた上、ガングニールと融合している。一体どうやって...

 

「我が英雄には話しておくべきですねぇ」

 

そう言いながら身体から生えてくる結晶を砕いている。

 

「僕は叶えたかったッ!英雄になるという夢をッ!だが、それを否定されたんだッ!貴がアニメとは割り切れなかったッ!自分と同じ名前を持つものが英雄になることなくただ犯罪者として捕まるなんてッ!認められる訳がないッ!!!」

 

それはウェル博士の本音だった。彼は見たのだろう。そして自分の様に忘れなかったのだろう、あのアニメを。

 

「『戦姫絶唱シンフォギア』ッ」

 

「ッ!!流石だよ我が英雄ッ!やはり覚えていたッ!だからこそ、君たちの、君の様になりたかったんだよ、タチバナ・ヒビキッ!!!」

 

自分が漏らしたそのタイトルに反応するように全身から結晶が生えてくる。先ほどとは異なり、その速度は早い。いや、早すぎた(・・・)

 

「ガッ!?」

 

博士を核に発生した結晶は全方向へと急速に延び、工場を崩壊させた。内側から破壊された工場にはもはやその面影はなく、何とか見えているものの、背中と腹部に痛みが残ってしまっている。

 

「...あ~あ、やっちゃった。折角はった妨害用のフィールドも無意味に終わりそうだ。だけれどもッ!」

 

ズンッと立ち上がろうとした全身に重みが増す。この感覚には覚えがあった。

 

「アンチ、リンカーッ」

 

「その通りッ!!!!!やはり融合を果たした僕には一切の効果はないみたいですけどねぇ」

 

バキバキと結晶を壊しながら博士は自分の元へと向かってくる。

 

「さぁて、目的を達成させてもらいましょうかぁッ!」

 

彼の手が目指すその先には、自分のスマホがあった。

 

「ぐっ、あぁあああぁあああああああああ!!!!!!!!」

 

「どうやらしっかりと張り付いているみたいですが、この体なら簡単にはぎ取れますねぇッ!!!」

 

い、痛い痛い痛い痛い痛いッ!!!!!!

他に何も考えられなくなるほどに全身へと痛みが走る。

 

『響ッ!』

 

響の声は聞こえるが、視界がチカチカと点滅を繰り返し安定しない。痛みは今迄闘ってきた何よりも酷く、抵抗すらできない。

 

「君さえいなくなれば、僕が英雄だッ!」

 

そんな時、突然ウェル博士が吹き飛ばされた。

 

「な、なんだ!?何が起きたんだッ!」

 

ウェル博士の声が聞こえるが、痛みからか身体が動かない。現状を把握できないのだ。

 

「....もう大丈夫。アイツは私がヤる。その代わりに貰っていくよ_____」

 

「だ、誰だっ!?」

 

声がするものの、その主を視界に収めることは出来なかった。

 

『響ッ』




キーワード:以前響が攻撃に使ったドリル
     :シンフォギア『G』


橘 響/立花 響

ウェル博士により罠に嵌められ、スマホを奪われそうになる。視力が低下しており、全身にも激痛が走っている。


????/ジョン・ウェイン・ウェルキンゲトリクス

本名不明のウェル博士。アニメ2期を視聴した結果、自身が決して英雄にはなれないのだと思い知らされてしまう。その結果、作中で英雄的行動をしていた響を『我が英雄』と呼ぶようになった。
現在は響とそっくりな容姿をしており、ガングニールと融合している。


???????

スマホを奪い取られそうになった響を救った謎の人物。この章の重要人物であり、サラリと大切なことを言っている。

因みに名前自体は既に登場しており?はその文字数を表している。


白雪 アリス

お嬢様な平行世界のクリスちゃん。未来の検査入院をきっかけにスマホを調べ始めた。





さてさて、ついに帰ってきた我らが博士ッ!聖詠の意味を当てられた方にはとっておき『とろけたビッキー』をプレゼントッ!(嘘)
今までの伏線を回収しながらも進んでいきます。
感想お待ちしています。
それではまた次回ッ!


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決意のシングルアクション

サブタイトル元ネタな~んだ?

今回は2007年のあのライダー!
個性豊かな仲間と共に、未来からの敵と闘うのさ!


クライマックスフォームが奏者複数人とのユニゾンで可能かどうかだって?

それh「おっと、この話はまだ少し未来の話でしたね」
...ウォズに邪魔されました


暗闇を独りで歩いている。周りには何もなく、誰もいない。空間の出口も分からない。手を伸ばしても、壁にすら到達しない。

 

 

 

【....もう大丈夫。アイツは私がヤる。その代わりに貰っていくよ_____】

 

 

 

...あの声は一体何だったのだろう。響に似た声だったけど、何処か暗かった。まるで大切な何かをなくしてしまったように______

 

 

 

『響ッ!』

 

 

 

目が覚めた。突然全身の苦痛に襲われる。そうだった。さっきまで博士と戦っていて、スマホを剥がされかけて____

 

『良かった~、目が覚めないのかと思ったよ』

 

響の声が胸元から聞こえる。意識がない間にユニゾンは解除されていたらしい。

 

「ッは、ひびき...何が、あったの?」

 

ゆっくりと身体を起しながらスマホを持ち、響へと質問を投げかける。正直寝たままの方が楽だが、そんなことをしている場合ではない。既に辺りは薄暗く、太陽が海から顔を出し始めている。

 

『...ごめん、私もほんの少し前に目が覚めたばかりなんだ』

 

スマホをはぎ取られそうになっていた時は自分にしか痛みはなかったが、強制的にユニゾンが解除されると奏者の方にもダメージがあるようだ。

 

正直今知るべきではない情報を頭の片隅にやりつつ、無理やりにでも立つ。周りをみて驚愕した。

 

 

 

『何、これ...』

 

「港が、消えてる...」

 

 

工場があった場所には残骸しか残っておらず、周りは綺麗に無くなっていた。アンノウンが発生した場合に起こる突然の消滅の様に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『通信はまだ出来ないみたい』

 

「こっちも駄目みたいだ」

 

連絡を取り合おうとそれぞれ連絡してみるが誰一人として繫がることはなかった。このままここに居ても何も始まらない。

 

「取り敢えず、アリスの家に向かうしかないかな」

 

『うん、そうしよう!』

 

不安を隠すように笑顔を見せる響。その表情を何処かで見たことある気がした。...そうだよ、みたんだ。何回も。繰り返してみたんじゃないか。

 

「...忘れたくないんだ」

 

細かい(・・・)詳細を思い出せなくなってきた事に気が付いたが、気にしない事にする。何よりも誰かに会わなくては。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『酷い...こんなの、見てられないよ...』

 

「...」

 

痛む身体に鞭を撃ち始発を使い最寄りの駅に来れば、そこには瓦礫しか存在していなかった。

 

通信を再開したスマホに何通ものメッセージが送られてくる。一番最初に眼に入ったのは未来からの、たった一言だけのメッセージだった。

 

『ごめんね』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユニゾンし瓦礫を退かしていく。独り黙々と、終わりがない作業だ。もう少し明るくなればここも政府によって『アンノウン発生』として片付けられてしまう。その前に、どうしてこうなったのかを調べなくてはならない。アンノウンが発生すると、特定の範囲を消滅(・・)させるのだ。その範囲はランダムで、ビルの一部だけが丸く削り取られた事もある。しかし、今回は妙なのだ。瓦礫が多過ぎるのだ。アンノウンによる消滅で崩壊したわけではないのは確かだった。だからこそ、瓦礫をひっくり返し続ける。

 

『皆、何処にいるの?』

 

ユニゾン出来るスマホを持っている人物が二人いたのだ。きっと無事なのだろうが、万が一もある為考え続けてしまう。

 

「ん?」

 

瓦礫を退かしていると、違和感を覚える空間があった。そこに何かがあったようなそこへと手を入れる。

こつんと、硬いものに手が当たった。それはどうやらモノの様で瓦礫と地面に挟まれてはいないようだ。

 

「よいしょっと」

 

瓦礫に当たらないように暗闇から引っ張り出したそれ(・・)に見覚えしかなかったのだ。何度も見たOPにて登場し、物語の核となる完全聖遺物。

 

「『ギャラルホルン』...」

 

『どうしてこんなところに!?』

 

この世界には存在していないはずの特徴的な笛を見つめる。これがあるという事は、もしかして平行世界へと非難している可能性がある。

 

既に太陽は空を登り、いよいよ政府が動き出すだろう。考えている暇はない。

 

「響、これを起動させてみよう」

 

『え、でもそんなことできるの?』

 

聖遺物の起動などやり方は一つしか知らない。大量のフォニックゲインで起動させるしかないのだ。そのための(身体)はここにある。それに、ギャラルホルン自体は起動しているらしく随時怪しく光を放っている。

 

「歌だよ。フィーネが言っていたじゃないか」

 

『うん、今でも信じてるよ。私の『胸の歌』』

 

願いを込めて歌うのだ。平行世界へと通じるゲートを開くように。そのゲートの先に彼女達がいる事を。

 

瓦礫の山の上で、ギャラルホルンを抱きしめ歌う。人目に付くがそんなことはどうでもいい。大切な人たちに会えるのならば、全てを先送りにすればいいのだ。

 

歌いきると同時に、空に穴が開く。ギャラルホルンは先程よりも優しく光っていた。

 

『行こう、みんなを助けるんだ』

 

「うん」

 

瓦礫を蹴飛ばし空高く飛び上がる。ゲートの中を見つめ続けることは出来ずに突然重力化へと戻された。

 

『あわわわわわわ』

 

「ガッ!?」

 

閉まらないことに顔面から着地してしまった。痛いが気にしている余裕はない。立ち上がりながらユニゾンを解除する。辺りには木々が生い茂り、ここが何処なのかを判断することは出来ない。

 

「ギャラルホルンは?」

 

『ここにあるよ。だけど...』

 

ギャラルホルンはスマホの中にフワフワと浮いていた。響が手を伸ばせばそれをヒラリと交わす。どうにかして掴もうと響はするが、全て交わされてしまった。

 

『なんでぇ...』

 

掴む事が出来ず悔しがる響。それを理解しているのか機嫌が良さそうに浮いているギャラルホルン。意識があるのだろうか。

 

「ギャラルホルン、ゲートを閉じてくれる?」

 

返事はないが、空に開いていたゲートは閉じた。きっと分かってくれたのだろう。

 

「ありがとう」

 

クルクルと回るギャラルホルンを見ている響は何処か不満げだ。それよりも、ここが何処なのかを調べなければならない。木々を抜ければ、いつもと違う様で違わない街並みが顔を出した。




ユニゾン

強制解除された場合、奏者にユニゾン相手が受けた同等のダメージが入る。


アンノウン

発生すると様々な範囲を消滅させる謎の災害。


橘 響/立花 響

目が覚めたらウェル博士がおらず、工場のあった港が消滅していた。アリスの家へと向かうも家の周りは瓦礫の山へと姿を変えていた。瓦礫の下から発見したギャラルホルンにゲートを開かせて平行世界へと飛んだ。

歌った歌は読者の皆様がお好きなように決めて下さい。


ギャラルホルン

魔法少女事変の終息後に散発的に起動するようになり、カルマノイズの発生や並行世界のノイズが流入する事態が発生したことから、S.O.N.G.全体で対処に当たることになる。各並行世界の事件解決後も世界間の繋がりは残っており、S.O.N.Gは並行世界の二課や装者とも協力関係を築いている...のが原作の話でのギャラルホルンである。本作ではサラッとスマホの中へと入り込んでいた。現在響と同居中←重要。



まさかのウェル博士は名前のみの登場。響達以外のキャラクター達も登場しないという...
物語は新たなステージへと進んで行きました。
平行世界で一体どんな出会いがあるのか?

ギャラルホルン『♪♪♪』

...この完全聖遺物、この状況を楽しんでやがる

感想お待ちしています。
それではまた次回ッ!


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Dの音・新たな世界

「キバって行くぜッ!」
サブタイトル元ネタな~んだ?

「声の似たコウモリがいますねッ!!このッ!捕まえて我が英雄の素材にしてやろうかッ!!!」

ちょ、ちょっと落ち着いてッ!ステイ、ステイだから!

「我が英雄はどこだぁあぁああああぁあああ!!!!」

ああ、どこに向かうのだろうウェル博士....

「アレ?ここ何処だ?なぁワタル知らないか?」

あ、こっちですよ~~


クルクル回る。クルクル回る。クルクル回るクルクル回る。クルクル回るクルクル回るクルクル回る。クルクル回るクルクル回るクルクル回るクルクル回るクルクル回る。クルクル回るクルクル回るクルクル回るクルクル回るクルクル回る。クルクルクルクルクルクルクルクルクルクルクルクルクルクルクルクルクルクルクルクルクルクルクルクルクルクルクルクルクルクルクルクルクルクル_______

 

ギュイーン________

 

『あわわわッ、やめてとめてやめてとめてやめてとめて~!!!!!』

 

スマホの中でクルクルと回転し続けいよいよ加速し始めたギャラルホルン。中の響はいよいよ吹き飛ばされそうになっている。両脚からジャッキを地面に突き刺しているものの上半身はのけぞっている。

 

『♪♪♪』

 

回転を止めたギャラルホルンはその場でフワフワと跳ねている。何だか面白いおもちゃを手に入れた子供の様な...

 

『♪』

 

こちらに気が付いたのか、画面へと向かってくるギャラルホルン。うん、この子自我ありますね

 

「あんまり響を弄り過ぎないでね?」

 

『...♪』

 

「その間は何だい?」

 

フワフワと画面から離れていく...うん、確信犯ですね。

 

『ふぇ...』

 

響がジャッキを地面から引き抜くと同時に地面へと倒れ込む。何だか溶けてた時に似ている。

 

「お疲れ様、響」

 

『ラルちゃん、勢い良すぎ...』

 

ん?ラルちゃん?

 

「ギャラルホルンの事かい?」

 

『うん、ギャラルホルンだからラルちゃん!』

 

嬉しそうにクルクルと回るラル。どうやら仲良くなっていたようだ。ならいいのかな?

 

『あ、ここを右に曲がって』

 

「うん」

 

あの木々から抜け出た後、見慣れた街に入ったはいいものの、自分が知る街とは様々な所が違っていた。どちらかと言うと響達の世界に似ているらしく、情報求めて響の案内で私立リディアン音楽院の前校舎へと向かっている。

 

「ルナアタックが起きてない可能性があるんだよね」

 

『うん、壊れてたはずの場所が壊れてないんだよね...』

 

少し気を落とした響へと擦り寄るラル。周りをまわりながらも跳ねているところをみると励ましているように見れる。

 

『ああ、ラルちゃん可愛いよぉおおおお!!!!!』

 

何処か中の人を彷彿させる笑い声を挙げながらよしよしとラルをなで続ける響。ラルも嬉しい様だ。

 

『あ、そこ左ね』

 

お、おう...素に戻られると少し怖い。

 

「おー」

 

『久しぶりに見たな~、旧リディアン』

 

もう壊れて久しいのだろう。カメラ越しに見ているその姿は、何処か掴み様がない。

 

「...この地下にあるんだよね」

 

『うん、エレベーターは動かせるはずッ!』

 

この時響は忘れていたのだ。地下の本部へと降りるにはカードキーが必要なことを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『....カード、持ってない』

 

「知ってた」

 

『♪』

 

つまり詰みである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

仕方がない。裏技を使う事にしよう。きっとあちらも気がついてはいるはず。

 

「ユニゾンしよう」

 

『え?』

 

こうなったらあちらから迎えに来てもらうしかない。

 

「ユニゾン!」

 

『ゆ、ユニゾン!』

 

『♪!』

 

響へと姿を変える。さて、どうなるか...

 

ガチャン

 

「あ」

 

「すいません。このまま同行願いますね、響さん」

 

遂に原作キャラと実際に(・・・)会う事となった。でもなぁ...

 

「手錠をしたままなのはちょっと...」

 

「本部で外すのでしばらく我慢してくださいね」

 

サラッと流されたまま、エレベーターは降下していく。うん、この感じ苦手。

 

『懐かしいなぁ、初めて来た時もこんな感じだったよ~』

 

「それは一体?」

 

「あ、スマホです。色々あってこれを使ってギアを纏っています」

 

「そうですか...」

 

小川さんことNINJAの言葉の後、落下の衝撃を受ける。おっと、バランスがッ

ゆっくりと開く扉からの光で目が少し痛い。視界に入ってきたのは_____

 

「「「「ようこそ特異災害対策機動部二課へ!!!!!」」」」

 

知っているようで知らない景色がそこにあった。

 

正面でクラッカーを使った弦十郎さん。その両隣にはツヴァイウィングの2人が

 

「...////」

 

恥ずかしそうに目を逸らす風鳴さん

 

「...ん?間違えたかな?」

 

いい笑顔を向けていたけど反応のなかった自分に違和感を感じクラッカーを下ろしながら悩み始める天羽さん。

 

如何やらここは、響の知らない世界であることは間違いない様で。

 

『つ、翼さんがSAKIMORIしていない!?それに奏さんがいるッ!奏さ~ん!!』

 

手錠されているために隠すことのできない胸のスマホから響の声が二課本部内へと響いている。

 

『♪♪♪♪♪』

 

横回転していたラルはいよいよ縦回転し始めた。あ、これってもしかして...

 

ポンッ!

 

「『あ』」

 

突然スマホから出てきたラルに皆眼を丸くする。

 

「司令!強力な聖遺物の反応ですッ!!!その正体はッ!!!!」

 

大画面に表示されるギャラルホルンの文字。

 

「『ギャラルホルン』だとぉッ!?」

 

生で聞けたのはうれしいけど、この後の事は想像したくもないッ

 

「今スマホから出てきたよねぇ?」

 

「説明頼めるかな、響君」

 

あ、オワタ_____




キバットバット

DXウェル博士ベルト。


博士

CV:皆さんご存知の方


橘 響/立花 響

遂に二課本部へと足を運ぶ。序に響がギャラルホルンと仲良くなった模様。


ラル/ギャラルホルン

自我を持っていた完全聖遺物。色々やらかしそうな予感。
特技は回転。横回転が意思表示、縦回転がスマホからの脱出(無効不可)。


NINNJA/OTONA

皆様ご存知な方々。正直ノイズがいなければ彼らで地球が守れた可能性有り。


感想お待ちしています。それでは次回ッ!


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歩く完全聖遺物

サブタイトル元ネタな~んだ?
今回はバーコードな破壊者!

ん、ラルはカワイイ!


ラルがスマホから飛び出して既に1時間近くが経過している。

 

「奏、そっちに行ったよ!」

 

「いい加減に捕まってくれ!」

 

『♪~』

 

天羽さんと風鳴さんから逃げ回るラルをチラチラと見ながら弦十郎さんに今迄の過程を説明する。過程でユニゾンを解除した。

 

「...なるほどなぁ。つまり君たちは別の世界から来た響君達ということだな」

 

「ええ、そうなります」

 

『まさかこっちの私師匠達から逃げてるなんて...』

 

今日に限って有給休暇を取って了子君が不在なんだよなぁとつぶやきながら、これからどうするべきなのかを考えている。そのことについては大人たちに任せることにして、まだ逃げ回っているラルの捕獲に仲間入りした。

 

 

 

 

 

 

 

 

『♪♪♪』

 

『お帰りラルちゃんッッッ!!!!!』

 

結局ラルを捕まえることは出来ず、サラリとスマホの中へと戻ってきた。響は早々に捕まえて撫でまわしている。

 

「捕まえられなかった...」

 

「何なの、完全聖遺物って...」

 

過去に完全聖遺物の起動に成功している彼女たちだが、自我を持つモノは初めてらしい。それは良くわかる。完全聖遺物が自我を持っているだなんて考えられないからだ。彼女たちが起動させたネフシュタンの鎧は起動直後に行方不明となっている。

 

「お疲れ様、二人共」

 

「ん、ああ。ありがとう」

 

「いただきます」

 

二課内の自販機で飲み物を買ってきて二人に渡す。スマホの中では撫でられるのが嫌になったのかラルが回転している。響は近づけないようだ。何処か日常に戻ってきたようにも感じられるが、まだまだ問題は山積みである。一つずつ減らしていくしかない。

 

「君たちをどうするかを決めてきたぞ」

 

弦十郎さんが話し合いを終えて戻って来た。どうやら二課を住居として動くことになるらしい。

 

「それでだ、この通信機を渡しておこう。これを使えば公共機関を利用できるから、うまく使ってほしい」

 

「は、はい」

 

中々価値の付けづらいものを渡された。情報収集の為に交通機関での使用を考えていた時に、突然警報が鳴り響く。

 

「ノイズが現れました!それに、ガングニールの反応もあります!」

 

叫んでいる藤、藤...何だっけ?藤なんとかさんによって向かうべき場所が知らされる。

 

「行くぞ翼!」

 

「うん!」

 

二人そろってカプセルへと入っていく。司令室のスクリーンを見ると既に現場には彼女たちの姿が映っていた。

 

『は、早い!』

 

「了子君が錬金術を用いて作った特定の位置へと転移できるポットだ。これで奏者を現場に近い座標へと転移できる訳だ!!」

 

こちらの櫻井了子はどうやらフィーネとしての目的を達成しようとはしていないらしい。そうでなければここまでの設備を完成させそうにはないからだ。ノイズを倒していく中で、画面にこちらの響が現れる。

 

『久しぶりだな、響』

 

『...私の事は諦めて下さい』

 

『そうは行かないの。今、別の世界から来た貴方が本部にいるの』

 

風鳴さんが台詞を言い終わる前に彼女の目の前に拳があった。

 

『そいつは、まだ気が付いていないみたいですね』

 

その言葉に違和感を感じた。気が付いていない?一体何に?確かにこの世界へとラルの力で逃げてこれるのは奏者だけ、つまりユニゾン可能なスマホを持っている未来とアリサねぇちゃんのみである。どちらとも連絡を取れていない為、この世界に来ているかは分からない。

 

『この様子だと聞いているんでしょ?あの世界の私が』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

未来(・・)は私が守る。アンタじゃ守り切れない』

 

分かってしまった。知りたくなかった。それでも、知ってしまったからには仕方がない。

 

「弦十郎さん、ポット使わせてください」

 

「わかった、帰ってくるんだぞ」

 

「はい!」

 

カプセルの中へと入り、錬金術で作られたカプセル内で割れる音が響く。一瞬にして到着したのか、直ぐに開いたカプセルから飛び出しスマホへとガングニールを突き刺す。

 

「『ユニゾン!』」

 

姿を変え、カプセル以外存在していないビルの中を駆け抜ける。開いていた窓から飛び出し、天羽さんの隣に着地する。

 

「...来たんだ」

 

「まぁね。あんなことを言われたら来ないわけには行かないから」

 

揃って拳を構える。天羽さんと風鳴さんにノイズを任せ、互いに拳をぶつける。

 

「何で未来をさらった!」

 

「アンタじゃ守り切れないからだッ!」

 

『それは答えになってないよッ!』

 

拳を交えてわかったことがある。この子は自分の様に気が付いたのだろう。失うことで初めて大切なものを理解したのだろう。でも、彼女は自分の大切なものではなく自分の、自分達の大切な人を連れ去っている。その理由はなぜだろうか。互いに一度も下がる。

 

「アンタはいいよね、未来がそばに居るんだからさ」

 

『えッ』

 

「私はッ!未来を守れなかったッ!それだけじゃないッ!大切な何もかもをノイズに奪われたんだッ!!!」

 

それは悲しい声だった。孤独であり、何もかもを敵としか認識しておらず、自分しか信じていないのだ。

 

「そんな時、そっちの世界が見えたの...」

 

彼女は探していた大切なものを見つけてしまったのだ。別の世界に。

 

「悪いけどそっちの世界の未来は私が守るッ!何を敵に回したとしてもッ!!!」

 

確信してしまった。ゲートをくぐり抜けて、アリスの家を襲い未来を連れ去った犯人は彼女だと。




タチバナ・ヒビキ

本作にて遂に3人も同名がいるという誰得状態へとシフトしてしまった模様。基本的に393はこの状況に歓喜している。


天羽 奏/風鳴 翼

ラルに遊び相手と認識された。過去にライブでネフシュタンの鎧を起動させたもの行方不明となっており、ライブでの死者は原作よりも少ないが、その代わりに未来が巻き込まれている。


ラル/ギャラルホルン

遊び相手が増えて嬉しい。


風鳴 弦十郎

我らがOTONA。子供のミカタであり、とても強い(マジで)


藤なんとかさん

本名を忘れられた模様。


感想、欲しい……
チョウダイチョウダイ!
ではまた次回!


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2043:オペレーション・ガングニール

サブタイトル元ネタな~んだ?

今回はあの方がいつもと違うポーズをした話から。




サープラーイ!!
ディスティネーションターイム!!

(ドゥーン)

僕の心に弱さは住み着いてたー...












ファングトリガーはイイゾ、ジョージィ...(大分時空がゆがみ始めているッ)


「渡さないッ!返さないッ!未来は、私の(・・)未来なんだッ!!!」

 

「『返してもらうまで、この拳を振るい続けるッ!』」

 

向かってくる拳を往なし、空いた場所へと拳を撃つ。だが、同じように往なされる。それを繰り返していく。彼女の言葉には、それなりの重さがあった。

 

「アンタには分からないッ」

 

「『なんでッ?』」

 

「アンタは失ってないじゃないかッ!何もかもを私よりも持っているッ!」

 

「『なら、一体何を失ったッ!』」

 

一度、攻撃が止まる。彼女は顔を俯かせ、拳から血が出るほど握り締め震えている。

 

「あの日、ツバイウィングのライブの日、私は何もかもを失ったんだッ!親友を、家族を、友達も何もかもッ!」

 

叩き付けられた拳によって地面は崩壊し、一度ビルの屋上へと避難する。ビルは複数巻き込まれて大きな音を立てて崩壊していく。その中にはノイズの姿もあった。天羽さんと風鳴さんは無事に脱出出来ており別のビルからその様子を伺っている。

 

「なんて威力だ...」

 

『師匠レベルだよ、これ...』

 

響の言葉通り、OTONAが本気を出せば起こせそうな災害(状態)が目の前に広がっていた。もし喰らっていれば、身体が壊れてしまっていただろう。

 

『...響君、この世界の響君について説明させてもらう』

 

未だ崩壊を続ける街の音をBGMに弦十郎さんから彼女が失ったモノ、その理由を説明された。言葉を挟む事は出来ず、自分には彼女を救えないと言っているようにも聞こえた。

 

『...本来ならば俺達大人がサポートしなくてはならないんだが、間に合わなかった...いや、これはただの言い訳に過ぎんよ。忘れてくれ』

 

彼女が家族を失ったのは、ノイズによる対消滅によってであった。ソロモンの杖が不完全に起動した為にゲートが様々な場所、時間で開くようになってしまっている状態が、既に十数年続いているという。ならば完全に起動させて、『戦姫絶唱シンフォギアG(原作)』の様にゲートを閉じながら中に閉まってしまえばいいのではないかと考えるだろう。だがこの世界の完全聖遺物には自我を持っているモノがある。いい例がネフシュタンとギャラルホルン(ラル)である。最も、ラルはどちらの世界から来たのかは不明である。本人?に聞けばわかるだろうが、ユニゾンしている状態では、スマホの奥深くへと入り込んでいるのか表には出てこない。

 

ビルの建ち並んでいた街はその一部を瓦礫へと姿を変えられた。幸いノイズの出現により人々はシェルターへと非難している為、問題はないはずだ。

 

『ッ、避けて!』

 

「うぉっ!?」

 

煙が晴れる前にビルを下から突き破って響が飛び出してくる。彼女が纏っているギアは先ほどと異なり、一部が水晶体へと変化している。その変化が著しいのは右腕だ。

 

「フンッ」

 

肘を曲げる際にバキッと水晶体が砕ける音が響く。拳を完全に真っ直ぐにする事で軸を乱すことなく貫いてきたのだろう。空中へと付き上がった彼女は腰のブースターを使い瞬時にこちらへと方向を変えた。ジャッキを使い空を蹴飛ばして加速してくる。バランスを崩している為、交わしきれそうにはないッ

 

『わッ!?』

 

「うわぁああぁああああああああ!!!!!!」

 

ユニゾンを解除する事で強引に彼女の狙いから外れる。そのままビルへと突っ込んで行った為ビルはその原型を留めることは出来ず、崩壊を始める。その際にガングニールのペンダントの鎖が断ち切られてしまった。

 

「響ッ!」

 

「橘君ッ!」

 

落下する中で浮いていたスマホへと手を伸ばす。改めて自身が彼女を相手に出来ない事を理解する。だからこそ、一つの賭けに出ることにした。助けるためにこちらへと声を掛け今にもビルから飛び降りようとしている二人に目を向ける。二人は自分を見て何かを理解したようだ。有り難い。

 

「響、アレやるよッ!」

 

『ええッ!?アレはまだどういう理由で出来ているのかわかってないから師匠が使うなって...』

 

「緊急事態だッ!彼女を、彼女と手を取り合うにはやるしかないッ!」

 

自分の実力が響の足を引きずっているのは分かっている。だからこそ、別の方法で今は補うしかない。スマホを掴み、空に浮いているガングニールへと手を伸ばす。届かないッ

 

『響ッ!』

 

手で届かないのならとスマホを持っている左腕を伸ばす。そのままガングニールはスマホへと吸い込まれた。

 

 

 

 

「『トライトーンッ!』」

 

 

 

 

 

 

 

 

「弟、私の弟、ひびきぃ、何処に居るのぉ...」

 

『.....ハヤクデテキテ、ヒビキ』

 

 

 

 

 

 

 

「ごめん。何も出来なかった」

『問題ないさ。ユニゾン出来るのは響とアリサと未来のスマホだけなんだ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ああッ!救いの光よッ!ようやくアリサから離れられるッ!!!』

 

『ッ!...悪い奏。呼ばれてるみたいだ。行ってくる』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地面へと先に降りた響は全身から生えている水晶体を砕いていく。先ほどとは異なり、マフラーを一度緩めており、息を吸い込み直している。彼女は攻撃の間呼吸をしていなかったのだ。時間で見ればかなりの間呼吸をしていなかったが、彼女はガングニールとの融合症例である。もう彼女の身体は殆ど聖遺物へと変わり始めていた。

 

「倒せなかったけど、問題はない。もうこれでアイツは____」

 

上を見れば、瓦礫と共にフワフワと降りてくるアイツの姿があった。でもそれは先ほどとは異なっている。

 

『やっぱり響は最高よッ!もうこのまま私をスマホに置いて欲しいわッ!』

 

『響がもう一人...なるほどなぁ。まぁ、後で説明してもらうからな?』

 

『上手くいったよッ!』

 

先程よりも騒がしい。一体何をしたのだろう?

 

「泣いている子には手を差し伸べなくちゃね」

 

『勿論ッ!』

 

泣いている?私が、泣いているだって...?

 

「未来...私の親友・小日向未来...ずっと仲良し...幼馴染。時々喧嘩しても同じ数だけ仲直り。多分そんな二人のままこの先もいられるのだと思っていた...だけど...陽だまりは踏みにじられて...君と繋ぐはずのこの手にはどこまでも残酷な結末を約束されてしまう...あの日、私の大切なものはすべて奪われてしまった...もう失わない為にッ!」

 

「『()は拳を握るッ!!!』」

 

「ワタシは拳を握るッ!!!」




今回は後書きなしですッ!
理由は勿論お分かりですね?

感想お待ちしていますッ!

ではまた次回ッ!!!


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繋ぐ手と手_____もう一度、繋いでいられる様に

サブタイトル元ネタな~んだ?

今回は結構むずかしい...
でも、原作2期を見直せばわかるかも?


ぶつかり合う拳は、いつだって誰かの為に握られてきた。それを拳とするか、誰かと手を繋ぎ合うものとするかは、ヒビキ(・・・)次第なのだ。

 

それぞれの目的が違えど、彼女は立花響なのだ。橘響(自分)とは違う。確かに、彼女の様に助けたい、手を差し伸べたいとも思った。でも、それよりも、未来が心配だった。彼女だからこそ、安心できるものの、もしも(・・・)を考えてしまい、怒りが出てきそうになってしまう。平行世界への移動にも、ユニゾンは必要不可欠だ。あの時、未来がスマホを持っていなければ?鏡が無ければ?未来が入っていなければ?

 

『忘れるなよ、約束を』

 

忘れられるわけがない。もう失うのは嫌なんだ。

 

『それがヒビキ(自身)であってもかい?』

 

あの日、()や未来と離れ離れになる前にした、呪いの様な(大切な)約束なんだ。

 

『何、忘れてなければいいのさ。僕はね』

 

ヴァイス、自分はこのままでいいのかな?

 

『...変わってないね、君も。でも問題ないだろう?答えは得ているのだから』

 

...君が好きだった街を、僕らが帰る場所を守る...

 

『その為に選ばれたのさ、君は。いや、選ばれてしまった(・・・・)のだったね』

 

先ずは彼女を救い、未来と会う。

 

『...ああ、それでいいのさ。君は』

 

またね、ヴァイス______

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『僕らは会えないさ、二度とね。彼女がいたとしても、さ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トライトーンによって、人とはかけ離れた力を持つ彼女を抑え込むことに成功した。

 

『思ったよりも力が強いッ!』

 

『一応衝撃を分散してるが、長時間は持たないぞ!』

 

マリアさんや天羽さんの言う通り、威力はそれ以上に成ったものの力の差はふとしたキッカケでなくなりかねないのだ。その為、早く彼女の心に手を伸ばさなくてはならないッ

 

「姿が変わったところで、失ったことのないアンタは勝てないッ!!」

 

『まずっ____』

 

マントを使い腹部を守ったが、芯をとらえるように内側に激痛が走った。それと同時に彼女は泣いていた。まるで、自身の様に僕達をしたくないから未来を守っている様にも、考えられた。

 

「がはっ!?」

 

吐血することはないが、内側からの痛みには慣れておらず、余れてしまう。何とかジャッキを使いその場に止まったが、上手く呼吸ができないっ

 

「ごほっ、ぐっ、はぁ...」

 

「壊れたものは...元には戻らないんだ。失ってからじゃ、遅いんだよ」

 

こちらへと歩いてくる彼女はそう口にした。ああ、やっぱり彼女も立花響なんだと思い知らされた。大切なものを失った彼女だからこそ、別世界の自身にその様な思いをして欲しくないんだと。

 

「っ、はぁ...確かに、失ってからじゃ遅いもんね」

 

「...アンタも、何かを失ったの?」

 

言葉では言わず、頭を縦に振ることで肯定する。大切な人だった。未来と同じ様に、大事な幼馴染だったんだ。

 

「僕は、大切な人を失った。もうこれ以上、失いたくないんだ」

 

『響...』

 

「だからこそッ!!!」

 

両腕のアーマーを合体させて槍を創り出す。自身に力を貸してくれている3人のアームドギアを合わせた、彼女達の心のカタチ。

 

「僕は君と手を繋ぐッ!」

 

「...それが答えなんだ。ならっ!!!!」

 

槍を構えた自分に対して、彼女も両腕のアーマーを巨大化して対抗する。

 

「私を超えて、未来を守ってみせろッ!!!!!」

 

「『勿論ッ!!!』」

 

彼女はマフラーから完全に顔を出し、両腕のアーマーを起動させる。その音はこの戦場に盛大に響いた。対抗するように、こちらも槍を回転させる。

 

「『うぉおおおぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!』」

 

「うるぁああぁあああぁぁぁぁああああああああああ!!!!!!!!!!!」

 

ぶつかり合った瞬間、周りの瓦礫は吹き飛ぶ。発泡スチロールを吹き飛ばす様に簡単に飛んでいったそれを、これ以上被害を出さないようにする為か天羽さんと風鳴さんが細かくしてくれている。こちらを見た彼女達からは、決着をつけるように求められていた。

 

『あの拳を突破するには、一点集中じゃ足りないッ!!』

 

『ならよ、これならどうだッ!!!』

 

強引にも分離した槍はその回転を止めることはない。分離した槍はそのまま逆回転を始め、槍を完全なドリルへと変化させる。

 

『当たると痛いこの拳、それでも未来は誰かを傷つけるだけじゃないって教えてくれたッ!!!』

 

槍からは無数のドリルが分離し発射される。それは何時しか槍と再び一つとなり、拳へと変化した。その拳は回転を続けている。

 

「だから、君も自分だけで抱え込まないでッ!!!!」

 

「!......勝てないや、わたしじゃ______」

 

拳へと、自らの拳を放つ。彼女を囲む殻を壊すように。

 

 

 

 

 

 

「...ズルいよ、アンタ」

 

「アンタじゃないよ。僕は響。橘響さ」

 

『私も立花響だよ!好きなモノはご飯&ご飯!』

 

この人なら、未来を任せられる。私へと手を伸ばしてきたんだもん。そう簡単には離せない離さない。手を伸ばして掴む。重なり合った手から彼の温もりが伝わってくる。

 

「こうすることが正しいって信じて握っている...だから、簡単には離さないよ」

 

「うん」

 

未来、私大切な人が増えたよ。だからさ、見守ってくれるかな?




橘 響/立花 響

今回、伏線とタグを複数回収した模様。


立花 響/グレ響

公式公認のグレッキー。
自身の目的に気付いた響に興味を持つ。


マリア/天羽 奏

トライトーンによってこの世界へと呼び出されたスマホの中の住民。
前者は苦労人で後者はアネキ。異論は認める。


ヴァイス/???

原作キャラであり響、未来の幼馴染。
上級者な本作の読者はもうその正体を知っているだろう?





さてさて、いよいよ中編も終了間際!
見えてきた第三章、このまま皆ついてこれるかな?


感想お待ちしています。
ではまた次回!


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救いの代償・帰還への道

トライトーンを行った際に聞こえたあの声。
自分はその主を知っているはずなのに、思い出す事が出来ない。
もう殆ど覚えていない『戦姫絶唱シンフォギアAXZ(原作)』を思い出そうにも
もう作品が残っていない世界では何もできそうにない。


ただ、一つだけ言えるのは、
自分にはもう一人、未来と約束したあの日、もう一人会っていた人物がいるという事。
自分たちよりも少し大人だった幼馴染。

名前だけは、何とか思い出せたんだ。

ヴァイス、今君は何処に居るんだい?


今年の夏は例年よりも暑い。このままだと自分はあの時の響の様に溶けてしまうのではないだろうか。両腕を後ろへとやり、支えるようにして地面へと座る。うん、ひんやりして気持ちいい。そこへ別の体重が掛かる。

 

「...あの、離れて貰えませんかね?」

 

「ヤダ」

 

重くはないがしっかりと感じ取れるその重さに戸惑いが隠せない。いや、別に構わないのだがこの暑い中わざわざその位置に座る必要はないはずだ。彼女の考えは分からないが、取り敢えずそのままにしておく事にしよう。

 

「...ひびきぃ?私の(・・)響から離れてくれないかな?」

 

「...いくらみくの、みらいの頼みでもヤダ」

 

トライトーンによって身体がマリアさんとほぼ同じ大きさになっており、彼女が背中を倒せば自分の胸へと当たり、少し弾んだ。感覚はほぼ無いがなんだか気恥ずかしい。あと未来が怖い。

 

「へぇ、そうなんだぁ...わざわざ別の世界から私を浚ってきておいて、自分は響といちゃついてるんだぁ...」

 

「それは謝るよ。ごめんなさい」

 

あ、意外と素直。まぁ、根本は響と変わらないという証だろう。

 

「でも、それとこれとは話が別。私は彼から離れない」

 

オットー、ハナシガモツレテキタゾー

 

「未来、ユニゾン」

 

『うん』

 

エ?

 

「あの、未来サン?その鏡は何ですか?」

 

「神獣鏡だよ?」

 

そう言いながらじりじりと近づいてくる彼女から今すぐ逃げ出したいッ

でも、響がどいてくれないと逃げれないッ

 

『まーまままままままずは落ち着いてッ!』

 

『マリア、まずお前が落ち着け』

 

『未来、話し合おう!話せば分かり合えるッ!』

 

『ごめんね、響...無理♪』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目が覚めれば、見慣れた面々が顔を出してくれた。気絶した自分達を天羽さんと風鳴さんが回収して本部に戻ってくれた様だ。感謝しかない。因みに響は身体検査行きとなった。融合していたガングニールは無事に取り除かれて、融合症例ではなくなったものの、了子さんが造ったもう一つのガングニールを渡され、正式に二課所属になったようだ。

 

「あの、未来?」

 

「なぁに?」

 

「あの攻撃は、ヒビキのためでいいんだよね?」

 

「フフフ...」

 

廊下を進み司令室を目指す途中で、気になっていた事を質問したが、答えをはぐらかされてしまった。無言って怖い。

 

「おぉ響君!よくやってくれたッ!」

 

「お陰で無事に響さんの問題が解決しました。本当にありがとうございます」

 

あのOTONAやNINJAからお礼を言われるとは...中々言葉にできない感激がそこにあるッ!

 

「よう響、スマホ借りてるぜ」

 

『何とかしがみついて、元の世界へと飛ばされるのは防いだんだ......マリアが』

 

『やった!やったのよマリアッ!あの重度のブラコンからようやく解放されたんだわッ!』

 

天羽さんの手には自分のスマホが。トライトーン解除時にマリアさんが天羽さんをつかんだままスマホにしがみ付いたおかげでこの世界に残れたらしいのだが、そうなるとマリアさんの言葉が気になる。

...逃げた方がいいかな?

 

「お待たせしました、叔父様。立花を連れてきました」

 

「...すいません、遅れました」

 

風鳴さんと響が学校から直接二課へとやってきたようだ。響はリディアンへと入ることとなり、今は彼女なりに学校生活を送っているという。

 

「会いたかったよ、響」

 

「...」

 

「えと、お疲れ様?」

 

無言の未来を視界から外しながら彼女へと言葉を返す。あの戦い以来、懐かれてしまったらしい。

 

「響は私のもう一つの陽だまりなんだ。繋いだ手は簡単には離れないからね」

 

と念を押されたのももう一週間も前の話になる。問題も解決したから、自分たちの世界へと帰るというのが、今回の本部訪問の理由だった。

 

「そうか...寂しくなるな」

 

「あ、でももう会えないとかじゃないですよ?」

 

ギャラルホルンことラルが繋いだ世界は、装者のみが行き来することができる。これは薄れつつある自分の思い出の中に残っていた事である。当の本人も肯定しており、相変わらずスマホの中で回転を続けている。

 

「良かった...また会えるんだね?」

 

「勿論。それどころか、こっちにも来ることができるからね」

 

良かったと息を吐く響。彼女はどうやら立ち直ったのではなく、自分なりに大切な人を見つけたらしい。少し脆い彼女だけど、きっとヒビキだからこそ、無限に近い愛でその人を愛していくのであろう。

 

「さぁ、帰ろう?」

 

「ああ」

 

ラルによって開かれたゲートを通るためユニゾンする。3人が最初からスマホに居たためかトライトーンへと至ってしまった。

 

「またな、響。そっちのアタシも頼んだぜ」

 

「橘達の事は忘れないよ。短い時間だったが共に戦場を駆け抜けられて良かった」

 

「そっちにもワタシ(・・・)がいるだろうけど、あまり責めないで上げてね。恋する乙女は槍のようなものなんだから」

 

「響さんの事はお任せ下さい」

 

「また来るといい。その時は手合せ願いたいものだ」

 

それぞれが別れの言葉をくれる。

 

「響」

 

「何?」

 

彼女なりに考えたのだろう言葉を聞くために、傍へと近づく。すると抱きつかれてしまった。

 

「必ず、私から会いに行くからッ」

 

「...うん、待ってる」

 

こればっかりは許してくれたのか未来は微笑んでいた。

 

「皆さんお元気で!ご迷惑おかけしましたッ!」

 

「短い時間でしたがお世話になりました。本当に、ありがとうございましたッ!!!」

 

そう言いゲートへと飛び込んだ。さて、戻ったら何を話そうか。

 

 

 

 

『待ってッ!もしかして私、また亜里沙の元に戻るんじゃないでしょうね!?もういやよあそこに居るのはッ!』

 

『ハイハイマリア、こっちで大人しくしてような~』

 

『は、離してカナデっ!言わなきゃ、言わなきゃいけないのよッ!!』

 

取り敢えず、アリサねぇちゃんからは逃げなければならないらしい。




感想、欲しい、ほしいの...

今年XVを放送したはずなのに物足りないのは何故だろう。それはこの先新作が発表される可能性が低いせいからなのだろう。でも、自分は諦められないッ!!

映画化するんだよ。シンフォギア!

さぁ、自分に、自分たちに新たな世界を見せてくれっ!!!


(作者は年末が近づくにつれて疲れが溜まっておかしくなっています)


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第三章:思い出と常識を取り戻す後編
音が響き続ける未来へ


お待たせしましたっ!


何時と変わらず時は流れ過ぎてゆく。残りの日数を数えられるようになってしまった今年の夏休みに起きたことを思い出す。うん、とても何時と同じなどとは言えない日々だった。結局、何故この世界から『戦姫絶唱シンフォギア』という作品は消えてしまったのだろうか。行方不明となっていた奏者も全員揃った今もなお原因は不明のままである。ユニゾンの事や、この世界の自分達の元へ奏者達が迷い込んだのかもまだ分からない。でも、一つだけ今回の平行世界で分かったことがある。

あの世界で、了子さんが言っていたことだ。もしも、自分達を『戦姫絶唱シンフォギアシリーズの登場人物』に当てはめてみると、未だ、いやもしかしたらすでに出会っているのかも知れないが、合流出来てない人物がいる。フィーネやキャロル、エルフナインちゃんやアダムがその例に入る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『そう考えるのかい、本当に?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『響?』

 

「ッ、どうかした?」

 

『何だか浮かない感じ。どうかした?』

 

「...いや、何でもないよ」

 

またぼ~っとしてしまったようだ。思ったよりも疲れが溜まっているのかも知れない。

 

『失礼するわッ!!!』

 

『わっ』

 

画面の中に突然マリアさんが現れる。かなり顔色が悪い様に見えるがまた何かあったのだろうか。

 

『響、今すぐにアリサを着信拒否しなさい!早くっ!!』

 

「あ、はい」

 

響とラルが見えなくなる程に画面アップになったマリアさんの言葉通りにメッセージアプリを起動させ、ブロックしようとする。だがその前に誰かからメッセージが届いた。

 

『着信拒否はユルサナイ』

 

見た瞬間に分かるその文章から目をそらしたくなる。何度も何度も送られてくるソレは何時しか貯まり貯まり、スマホ自体の動きが制限させられてしまう。

 

『遅かったか...』

 

『?』

 

『あぁ、あなたぐらいよ、私の味方は...』

 

様子を伺いに来たラルを抱きしめ、画面の端っこで体育座りを始めてしまうマリアさん。ホントに、うちの義姉が申し訳ありません。

 

『えっと、どうしようかこのメッセージ...』

 

「読んでそのまま放置すれば、また繰り返されるだろうからね...仕方がないか」

 

メッセージを大量に送ってきたアリサねぇちゃんに対して文章を打つ。内容は今度の休みに一緒にいようというもの。自分が犠牲にはなるものの、このままマリアさんに負荷を与え続ける訳にはいかない。送信すれば直ぐに既読が付き返信される。

 

『ニゲルナヨ』

 

勿論ッ

 

『私も未来と離れ離れになって、師匠に返してもらった携帯みたらメッセージ溜まってたっけ...』

 

響の言葉をスルーしつつ、他にメッセージが来ていないかを確認する。

 

「....今度こそ、進むんだ」

 

アプリケーションを終了し、出掛ける準備を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

平行世界へと連れていかれた『グレッキー事件』から一週間の間にあの世界の響から自分達が気絶した後のことについて話を聞いた。

 

「あのヒビキモドキは何発も殴ってたらいきなり消えた」

 

「.....えっと?」

 

「そのまま未来を探して、見つけて、拉致っ(連れ)てきた」

 

「その過程で、アリスの家を崩壊させたの?」

 

「ううん、既に瓦礫まみれだった」

 

話を聞く限り、アリスの家は響が壊したわけでなく、元から壊れていたようだ。タイミングが良すぎる気がするが、原因はアンノウンで間違いないだろう。ウェル博士は未だ見つかっておらず、探し出せてもいない。取り敢えず、戻ったらアリス達と連絡を取り合わなくてはならない。

 

「ほら、質問に答えたよ...だから、ご褒美頂戴」

 

「ん、ああ。こんなことで良ければいくらでも」

 

彼女は座っていた自分に背中を預けてくる。明日から彼女も学業に復帰するからか、何処か寂しそうに感じる背中を、優しく両腕で包んでやる。

 

「...あったかいね」

 

彼女はそういうが、現在自分は悪寒を感じています。原因はもちろん先程から通知により震えが止まらなくなっているスマホである。なんだ、君も自分と同じで寒いんだね。小さく何かにヒビが入る音が聞こえる。そちらへと視線をやれば、そこには今にも部屋の壁を破壊しようとしている幼馴染の姿がッ。ついでに片手で操作を続けるスマホに目をやれば、自分のスマホに居るはずの響を掴んで離さない393の姿が見える。如何やら二人共寝ているらしく、それだけならば絵になるのだろうが、393の顔が緩んでいる。抱き枕にした響の顔に頬ずりを...ヒェッ。い、今未来と目が合っただけなのにッ、か、身体が震えるッ

 

「どうしたの?」

 

「い、いや、な、何でもないよ?」

 

全然隠しきれてないが、この際仕方がない。スマホは見たくないし、逃げようにも響を置いていく訳にもいかない。それ以上に、今動けないのが問題である。パーカーのフードをかぶり直した響は先程以上に背中を預けてくる。重くなく、軽いとしか言いようがない手で腕を捕まれてしまった。前門の虎、後門の狼とは正にこのことだろう。まだ言うことを聞いてくれそうな()をそのまま抱きかかえてソファから立ち上がる。

 

「「!?」」

 

「ごめんね、響。このまま行きたいところがあるんだ」

 

「えっ、あ、うん....」

 

借りてきた猫の様に大人しくなった彼女を抱きかかえながら部屋を後にする。勿論直ぐにガングニールを使いマリアさんの姿へと変わる。

 

『やっと、呼吸が出来る...』

 

何だか不吉な事を言っているが気に留めてはいられない。響を抱きながら、シュミレーションルームを目指して廊下を走り出した。流石に、狼に捕まれば何が起こるか分かったものではない。

 

「逃がさないんだからっ」

 

「....これが、お姫様だっこ...」

 

平行世界から元の世界へと帰還が遅れたのは、この後様々な場所を壊して進んだ未来の勢である。まぁ、本人には言えないが。

 

『よしッ!これで殆ど貫いたぜ』

 

『まさか途中で他のよりも重いメッセージが混ざってるなんて...』

 

二人はスマホの中で未来から送られてきたメッセージを槍で貫き壊していたらしい。

 

 




カナデ「未来からメッセージが来てるな」

マリア「ええ、しかもこんなに沢山...」

カナデ「丁度いいし、運動でもするか!」

マリア「いいわね。付き合うわ!」

~~~数分後~~~~

カナデ「そらっ!」

マリア「フンッ!....アレ?ちょ、このメッセージ他のよりも重いんだけどッ!お、重いッ!!!!」



感想お待ちしています。次回はいよいよ様々な謎が、解へと進んでいきます。
彼らの物語を、どうぞお楽しみくださいませ。

ではまた次回!


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学び舎は奏者によって音に染まる

突然始まった人気投票...その2もあるよ

感想頂戴、ください、くださいませ。望んでやまないんだよォ!!!!!
まだなのか、本編の続きはッ!
「なのは」や「ラブライブ」は進んでいるのにぃ!

映画でいいから、制作決定くらいはしてくれよぉ...
まだ、満足できていないんだよぉ...


太陽の下、平行世界で出会った響の様に深々とパーカーのフードを被る。もう夏休みも僅かだというのにまだまだ暑さが引きそうにない。このままでは新学期にも影響を及ぼしかねないだろう。こうなるのであれば、帽子を被ってくるべきだった。

 

『こっちから響の姿が見えないよ!』

 

「だろうね、こっちからも画面は良く見えないから」

 

太陽光は見事にスマホの画面で反射し、程よい照明を保っていたはずの画面を黒く染める。照明を強くすれば話は変わるが、その分電力を消費する。それはインターネットに接続し続けている場合もそうだ。

 

『...』

 

『...♩』

 

画面の端に居るであろうマリアさんが抱いているラルをもう一度抱きしめ直したのか、小さく音が鳴る。抜け出すこともせずに唯マリアさんを癒し続ける完全聖遺物とは一体...?

 

などと考えているうちに最寄りの駅に到着する。今回は学校へと向かう為、最近は帰ってくるときにしか利用しなかったホームへと向かう。夏休み真っ最中であり、日曜日でもある今日だが、ホームに自分以外の人はいない。それは、この街が世界で最もアンノウンの発生確率が高い事を物語っている。集まる場所が学校になったのも、近づく登校日前に学校自体が無事かどうかを調べるためでもあるらしい。詳しくはメッセージには書いてなかったが、これが罠である可能性は低い。それは既にアリサねぇちゃんが学校へと向かっているからである。

 

『まだ、治ってなかったね』

 

「そうだね。でも、仕方ないのかもしれない」

 

この街からは人が減り始めている。残り続けている人もいるものの、その数は以前と比べる事が出来ないくらいに減ってしまっている。それは引っ越しただけでなく、アンノウンによって消えた人も入っているからだ。人が減れば、治す人も減ってしまう。その為、未だにアリスの家は修復が終わっていないのだ。

 

やってきた電車に乗っても、人の少なさが理解できてしまう。この街は首都に並んで人の多い町だったにも関わらず、今やその面影すらない。クーラーが効いている車内で電話をするように彼女たちと話を続ける。学校の最寄駅に着く頃には同じ車内には自分のみしか乗っていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

『ここに来るのもあの日以来だね』

 

「そういえば、そうだった」

 

学校へと来れば職員が利用する出入り口の鍵が開いており、職員室の明かりが視界へ入る。人はいるようなので、そのまま自身の教室へと向かう。天羽さんと初めてユニゾンしたのもこの場所だったことを思い出しながら、教室へと入れば、見慣れたクラスメイトが迎えてくれた。

 

「久しぶりだね、橘君」

 

「そっちも大変だったらしいな」

 

「うん、久しぶり。まぁね、ホントに色々あったよ」

 

一つの机を囲むように椅子を移動させ、それぞれがスマホを取り出す。起動したそれには彼女達の姿が現れる。

 

『久しぶりだな橘』

 

『よう響、元気にしてたか?』

 

『勿論、元気に修行してました!』

 

『...あぁ、翼に奏...久しぶりね...』

 

『ま、マリア...か?何があったのだ?』

 

『あー翼、聞かないでやってくれ。マリアも大変なんだよ...ほんとにな』

 

天羽さんが何処か悟ったような表情をしながら、マリアへと近づき肩に手を置く。より一層抱きしめる力を強くしたのか、ラルはいよいよ音を立てる事すらしなくなってしまった。そこへ、次から次へと奏者がやって来る。

 

「待たせたな!」

 

「先輩!?よ、呼ばれてたんですか?」

 

「ああ、切歌と調の保護者変わりだけどな」

 

肝心の少女達はまだ来てないが、先に先輩が教室に入ってくる。入って早々、一本引いたので視界に二人が入ったからだろう。

 

「...いや落ち着け。さっき同じくらい会えないはずの人に会ってるんだ。こうなってもおかしくない」

 

「...あ!響と一緒にバイトしてた人か!」

 

「お、おぼえていてくれたんですね!!!」

 

朝日さんと話を始めた先輩を見届け、今回ここへと集まるように指示した人物を待つ。しかし、次に入ってきた人物は全く異なる人物だった。

 

廊下を響く足音、勢いよく開く扉、それに反応して立ち上がってしまった自分。

 

「「ミツケタ...ひ~び~き~!!!!!!」」

 

「ヒィッ」

 

そして出会ってしまったッ

最近会わないようにしていた人達にッ

 

「マリアを返してもらうわよ...あの子は私の()なんだから」

 

「ねぇ...最近会ってくれないよねぇ...皆会いたかったんだよ?」

 

2人に飛びつかれ、動けないまま言葉によって責められる。困ったことに原因が自分にある以上今逃げ出すわけには行かない。もし逃げてしまえば、どうなるかわからないからだ。

 

「頼んだわよ、セレナ」

 

『姉さん、帰りますよ~』

 

『セレナ...なんであなたはアリサの味方なの?』

 

『秘密です』

 

ラルをおいてスマホから居なくなるマリアさん。それを確認できたわけではないが、スマホからはラルの音が聞こえてくる。

 

「お疲れ様。報酬は既にエレナのスマホに送っておいたわ」

 

『ありがとうございます。早速行ってきますね!』

 

スマホから聞こえてくる出して~、という声を聴かなかったことにしながら未来の相手をする。スマホの方にも未来が移動しており、響が捕まっていそうだ。

 

「渡さないんだから」

 

「大丈夫、僕は君のものだよ」

 

「それでも、私は心配なの」

 

かなり荒れた教室内に、残りのメンバーが入ってくる。

 

「ゴホン、皆様。前回できなかった報告を始めますわよ」

 

「一応学校は抑えたが、余り長時間というわけにもいかなくてな。テキパキ進めてくぞ!」

 

「人が...沢山...」

 

「シラ、大丈夫ですか?」

 

漸くそろった。今度こそ進まなくてはならない。もう止まっていられないのだから。




久しぶりにオリジナルキャラクター達が大集合!
アリスによってもたらされる新たな情報により分かってきた現状。
そして響はある人物の元へと向かう事となる。

失くした思い出と世界の謎を解く為、少年は非日常を駆け抜ける。

次回、『何故彼女達は彼らの元へやってきたのか』

全てはあの日、出会うはずのない二人が出会ったことで始まった____


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何故彼女達は彼らの元へやってきたのか

サブタイトルがネタバレ...仕方がないよね。

今回のアンケートは原作の平行世界ネタ!
みんなはどのキャラクターが好き?


エレナが遅れて教室に入ってきて、響達の世界と通信を繋ぎ、情報交換が始まった。

 

『____というのが僕の考えです』

 

「ありがとうございます、エルフナイン様」

 

エルフナインちゃんの今までの情報からの考察を聞き、本題へと入る。彼女の考察は、響達の世界とこの世界の何処かがずっと繋がっているのではないかというもの。次々にやって来た響達、自分達が一度迷い込んだノイズの世界、そして、スマホに入ったままのラル。これまでのことを考えれば、ありえなくはない。でも、確証は持てなかった。

 

「こちらで判明したのは、ユニゾンについてです。今の所、ユニゾン可能なのは響様と未来様、アリサ様のみですが、その理由が判明いたしましたわ」

 

スマホにあるアプリケーションが入っていることが条件らしい。目の前で未来のスマホからコピーしたアプリを入れたスマホを使いクリスとアリスがユニソンをしているので確かだろう。これで全員がユニゾン可能となるのだが、まだ問題がある。それは聖遺物の数である。ガングニール、アメノハバキリ、イチイバル、アガートラーム、シェンショウジンはそれぞれ一つずつ存在しているが、未だザババの刃は見つかっていない。それにガングニールとアガートラームに関しては、奏者が複数存在している為、複数必要となってしまう。

 

『なるほど。ユニゾン出来る者が増えるのはいいが、それと同時に戦えない奏者が生まれてしまう訳か』

 

「今の所、解決不可能な問題ですわ。それでも、響様のお陰で希望はあります」

 

「ラルの力を借りるんだね」

 

「ええ、平行世界であれば聖遺物が有ってもおかしくはないですわ」

 

確かにその通りだが、失敗する可能性もある。見つかるとは限らないし、自分たちのの様な状態でない可能性もあるのだ。欠片だけでもユニゾンが可能な場合は、話が変わるが。

 

「残っているのは、鎌と鋸」

 

「私達のですね」

 

二人には前もって話をしてあるらしく、理解してくれているのだが、スマホの彼女は違うらしい。

 

『イガリマとシュルシャガナのギアが、何個もあるデスか?』

 

『きりちゃん、ドードー』

 

『オリョ、オリョ、おりょりょ!!!!』

 

『きゃぁああぁああぁ!!!!』

 

『マリアー!!!!!』

 

スマホの中で行われるカオスな光景から目をそらし、話を聞くことに集中する。

 

『後、もう一つ気になることがあります』

 

「何ですか?」

 

()は西暦何年ですか?』

 

「?西暦2019年ですわ?」

 

『何!?』

 

『やはりそうでしたか...』

 

「どういうことですの?」

 

『...僕らの時代は西暦2044(・・・・)年です』

 

「!?」

 

「それって....」

 

「私達よりも未来...!」

 

目を丸くして見つめ合い確かめ合う神無月義姉妹。それもそうだ。確かに時代が違うだろうなと思って見ていたアニメが未来、ましてや残り25年程で到達する未来だったなどと、信じられるわけがない。

 

『以前、響さんからの情報で調べた沢山の場所、それは現在(・・)では一部が壊されたりしているだけで何の関わりもないように思えます。ですが、過去の資料と見比べることで見つけました。こちらの世界でも、同じ日に消滅、倒壊した建物が存在していることに!!!!』

 

それはこの世界、いや過去(現代)未来(響達の時代)が何らかによって繋がってしまったという事である。それは本来あってはならないもの。過去を変えてしまえば、未来も変わってしまう。彼女達が戻る時代が、彼女達の知る未来とは限らなくなってしまう。

 

『...奏も、その家族も救える...』

 

『...翼の絶唱をなかったことに』

 

『パパとママが、生きている?』

 

『マムを、セレナを...』

 

『みんな!』

 

それは、彼女達にとっても同じ事である。わかっていても、変えたい過去があるのは事実である。彼女達は未来を変えるチャンスを手に入れてしまったのだ。それが彼女たちにとって、良いこととは限らない。

 

「駄目ですわよ、クリス」

 

『!でもッ....分かってる、わかってるよ!!!でも、何もしないでいろって方が無理だろ!』

 

『クリス...』

 

『...雪音が言いたいこともわかる。でも、それは絶対にしてはだめだ』

 

『ああ。それをしちまえば、取り返しのつかないことになっちまう』

 

『...マムの様に、あの時代を生き抜いた人達の思いを踏みにじる事に他ならない』

 

『その通りデス』

 

『私達は、その人達の思いを継いで今ここに居る』

 

『忘れちゃダメなんだ...今までいろいろあったからこそ、今の私たちがいる』

 

彼女達の答えは出ていない。でも、今は止まっている場合じゃない。

 

『響さん、その時代が過去なら会えるはずです。あの人に』

 

『戦姫絶唱シンフォギア』には、欠かせない人がいる。その人は、今なら会えるはずだ。

 

「会いに行くべきなんだろう、櫻井了子さんに」

 

『...だが、その時代ならまだ了子君の意識は残っているはず』

 

「だからこそ、です」

 

まだ塗りつぶされていないだけで、フィーネの意識は既に合ったと思われる。それは『G』の時の調ちゃんの事を考えれば、可能性がある。

 

「話を聞いてみよう。もしかしたら、何かわかるかもしれない」

 

「わかりましたわ。こちらで調べてみます」

 

白雪家によってすぐさまこの時代の櫻井了子さんの居場所は判明した。明日、彼女と会ってみる事となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『了子さんに会いに行くんだよね』

 

「うん。手掛かりは、きっと持ってるはずだからね」

 

彼女の誕生年は2009年である為、現在10歳であるだろうが、フィーネの意識は何時から目を覚ましているのかまでは分からない。平行世界の彼女に相談したところで、この世界が同じだとは限らないからだ。

電車を乗り継ぎ、街から離れた住宅街を目指す。みんなは、完成したアプリをそれぞれのスマホにダウンロードして試運転を試みている。目指す場所は住宅地内の小さな公園。そこにはまだ幼い彼女の姿があった。

 

『あの子が、了子さん?』

 

「多分、そのはずだよ」

 

彼女に用があるわけではない。用があるのは彼女の中のフィーネなのだ。だが、意識を乗っ取らせるわけには行かない。ぶらんこに一人乗りながら、うろ覚えの歌を歌っている彼女の元へと近づいていく。

 

「♪~~.....良く来たわね」

 

「!?」

 

公園に入ったばかりの自分たちに聞こえる程度の声量でこちらへと視線を移動させた彼女は、スカートであるにも関わらずぶらんこから飛び降りる。

 

『りょ、了子さんなの?』

 

「あら?ちょっと会わない間に成長したわね、響ちゃん」

 

「貴方は...」

 

「ああ、この子の意識は無事よ。言ったでしょう?響ちゃん達が生きている間は何もしないって」

 

フィーネは櫻井了子の意識を乗っ取る事なく表に出ていた。彼女によれば、この世界から何か(・・)が消えたと同時に記憶が流れ込んできたらしい。これもまた響達が過去にやってきたのと関係があるのだろうか。

 

「ユニゾン、だったかしら。それについて聞きたいのよね」

 

「はい。それと、貴女が知っている事を教えて下さい」

 

「いいわよ」

 

小さな公園のぶらんこで始まった、とても重要な話し合い。フィーネによってもたらされたのは、その原因が彼女の言うあの方(・・・)に近い存在によってこのようなことになっているのだということであった。

 

「あの方、エンキ様は私の初恋...それも全て統一言語の消滅で伝える事が出来なかった。今でもなお、あの方に伝えたい。私の思いを」

 

平行世界の彼女の言っていた言葉を思い出す。恋とは、愛とはなんなのだろうか。今の自分には分からない。それでも、きっとこの先わかるのだろう。彼女がそうだったように。

 

『あの時の話がこう繋がるんだぁ...』

 

「フフフ、響ちゃんにはまだ早かったかしらね」

 

スマホの中の響と話を続ける彼女の言葉を自分なりに整理してみる。彼女の言うエンキ様とは一体何者なのだろうか。そして、それに近い存在とは一体...

 

 

「もう会ってはならないのさ、僕らは。既に影響が出ているだろうからね、この世界に」

 

「忘れるんだ、僕のことを。答えは得たよ、君たちのおかげでね」

 

「反逆するのさ、神へと。超えて得るのさ、僕の存在価値を」

 

 

「『そして、会うのさ。もう一度』」

 

『響?』

 

「どうしたのかしら?」

 

思い出せないはずなのに、その言葉が、彼のものだという事だけは、何故か理解できた。




いよいよ響君の忘れている思い出が明らかに。
それをも巻き込んで、物語は進んでいく。

歌は呪いとなり、呪いは歌へと、変わり続ける。

「胸の歌を、信じなさい」

「生きるのを、諦めるな」

記憶が薄れていく中で、平行世界の彼女と再会する。

次回、『ザババの刃ともう一人の響、そして』

ふとした興味から、神の道具に触れてしまい______


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ザババの刃ともう一人の響、そして

進撃コラボって、一体どこへ向かってるんだシンフォギアは?


現在のフィーネこと櫻井了子に接触し『あのお方』について知ることができた。だが、それは彼女も未だ現在の状況の原因が分かっていない事に他ならない。まだ幼い彼女を家へと送り届け、夕焼けの下自宅を目指し歩き始める。

 

『結局、ユニゾンについては何もわからなかったね』

 

「それでも、進展はあったよ。彼女の言う『あのお方』に近い存在が何者なのかはわからないけどね」

 

彼女が言うには、()と呼ばれる存在が彼らだと言う。だが、彼らは遠い昔に行方が分からなくなってしまったのだと言う。彼らが未だ生きているのか、それとも別の場所(世界)にいるのか。それは誰にもわからない。でも、アダムが言っていたことが気になる。顔は思い出せない。残っていたはずの4期のDVDは無くなってしまった為、確認することは出来ない。

 

「『降臨は間もなくだ、カストディアンの。それまでに手にしなければならない、アヌンナキに対抗し、超える力を』か...」

 

『...アイツの言葉、何か引っかかっているの?』

 

「うん。アダムが神の力を欲しがっていた理由は、それなんだ。でも、わからないんだ。神の力を持たなければ超えられないカストディアンやアヌンナキって何なんだろう?」

 

『...わからない。でも、それは私達の時代の問題だよ』

 

彼女の言うことは最もだ。この時代にそんな存在が現れていたら、既に世界は混乱に包まれていただろう。残る手がかりは、きっとこの世界には彼女達もいるというIFに掛ける事になる。彼らについても調べてもらおう。きっと何かの役に立つはずだから。

スマホで連絡を取る際に、ふと画面にラルが顔を出した。折角だから、頼んでみるとしよう。もう一人の彼女に。

 

「響、寄り道していくよ」

 

『え?寄り道ってどこに?』

 

「近くて遠い場所!」

 

ラルをタップし、スマホへとガングニールを突き刺した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、響...これはどういうことなの?」

 

「....」

 

「あ、あははは....」

 

確かに昨日、可能であればなるべく早く行ってもらう様に頼みに行ったが、流石に早すぎる。お陰で急に二人を呼び出すことになってしまった。

 

「はぁ...話は聞いていますわ、平行世界の響様(・・・・・・・)

 

「...貴女は?」

 

「白雪アリスと言います。響様の後輩ですわ」

 

「...よろしく」

 

「ええ、よろしくお願いしますわ」

 

未来が威嚇を続ける中で、響とアリスは会話を続けている。内容に関しては聞かなかったことにしたいが。何なんだ、「大好きな人の堕とし方」ってさ。

 

「...可愛い」

 

「ですねぇ」

 

響を見て感想を言い合っている彼女達へと、響が持っていたギアを渡す。

 

「これは君たちのギアだ。どう使うかは僕たち次第。だからこそ、使い方を間違えないで欲しい」

 

「...頑張ろうね、キリ」

 

「勿論です!必ず、先輩達の力になってみせるです!」

 

彼女達はそれぞれの受け取り方をしてくれた。彼女達に渡したギアは全く同じモノ。可愛らしくアレンジされた緑とピンク二色のヨーヨー。キーホルダーサイズのそれは今、彼女達のスマホのストラップと化している。

 

「さぁ、試運転の時間ですわ」

 

『行けます!』

 

『何時でも行けるデスよ!!!』

 

「いくよ、キリ!」

 

「はいです!」

 

「「ユニゾン!!!」」

 

自分にくっついたままの響に威嚇を続けつつ、何処か愛でている未来を放置し、彼女達のユニゾンを見守る。既に他の人たちは無事に成功しているのだ。強い光が部屋を満たし、一気にその光は散っていく。その場にいた人物は、先程よりも明らかに異なっていた。

 

「あれ、背が高い?」

 

「シラの声が響いてるです」

 

『ねぇ切ちゃん、私達一緒に同じスマホに入ってたっけ?』

 

『いえ、それぞれ別だった筈デス』

 

『でも』

 

『いま私たちは一緒にいるデスよ?』

 

...流石に驚いた。でも、この光景には見覚えがあったから何とかなりそうだ。自分も同じように彼女達とユニゾンしていたのだから。

 

「奏者同士のユニゾンか」

 

「論上では可能でしたが、未だリスクが分からない為、試していませんでしたね」

 

「...そのギアは、了子さんが響の頼みで保管されていたイガリマとシュルシャガナの欠片を合体、変化させた特別なモノ。使用すれば、何が起こるかはわからないって言ってたよ」

 

「...それ、もう少し早く言えなかった?」

 

「...響に会えたのが嬉しくて...」

 

なんなのだろうか、この愛らしい生物はッ!今スマホの中にいる響もカッコカワイイけど、今の彼女は可愛さにステータスをすべて振っているようにも感じられる。あ、フードを被って顔を隠した...

 

「もう、むり...」

 

『ここが、ヒビキランドなのね...』

 

『未来!?』

 

未来も鼻を抑えて崩れていく。どうやら自分だけではないようだ。

 

「良いものですが、翼様に比べればまだまだ幼いもの。あの方は幼さも大人の様な姿も思いのままですわ!!!!」

 

アリスの風間さん自慢が始まったのを無視してユニゾンしている彼女たちへと近づく。どうやら彼女達はユニゾンした調と切歌の特徴を引き継いでいるようだ。

 

「アームドギアは出せる?」

 

「問題ない」

 

「鎌です!少しも重くないですよ!」

 

両足から鋸型のタイヤを展開し、それを使って移動してみせてくれる。それだけでなく、鎌の扱いも中々のものだろう。

 

「ユニゾンよりも繋がっている、これは『デュエット』です!」

 

「良さそう」

 

「ユニゾンの新たな可能性か...『トライトーン』と並んでいていいかも知れない」

 

結局、彼女達は一人ずつユニゾンすることは出来なかった。それは使用しているギアが原因だろう。ザババの刃と名付けられたヨーヨーは、見事に違う場所に居る二人をユニゾンさせた。これはどちらか片方でもユニゾンをした時点で強制的に行われるようで、トライトーンと似た何かを感じる事が出来た。

 

 

 

 

 

そして、自分は響達を連れてある人物の元を訪れた。

 

「僕の名前は九重ノエル。とある錬金術師のクローンさ」

 

エルフナインやキャロルに似た、彼女の元を。

 

「えぇっ、先輩と知り合いですか!?」

 

「...驚き」

 

後輩達と一緒に。




久しぶりの設定集

デュエット

『トライトーン』と並ぶ、ユニゾンの可能性の一つ。ギアを纏う奏者同士のユニゾンとユニゾンを行う彼女達が同じギアを使うことで可能とされる。その力は1対1のユニゾンを超えており、原作のユニゾンを常時行っているものだと認識するのが妥当だろう。しかし、その代償としてそれぞれ個人のみでのユニゾンは不可能であり、どちらかがユニゾンを行った時点でその場にもう片方が強制的に転移しユニゾンしてしまう。これはトライトーンも同じであるが、ユニゾンしている者同士という新たな組み合わせのため、今後とも情報を最新していく必要がある。


九重 ノエル/??????

切歌や調の同級生にして友達であり、とある錬金術師のクローンである。錬金術のことはほとんど共有させておらず、記憶のみを共有されている。本来ならば、年末にはその意識をキャロルへと返すことになっている。名前の由来は、エルフナイン(廃棄個体11号)であり、九重・ノエル共に9を意味している(使用予定個体9号)。
後に原作では10号へと体を変えたキャロルが、エルフナインに身体を渡す模様。
(つまりGX以降のエルフナインは使用個体10号である)

出番は本当に少ない。何故って?次回から新しいキャラクターが増えるからだ。



感想、お待ちしています!!!
それらはすべて、作者のモチベーションに繋がりますので是非とも下さい。

響の元にあった原作すら消え始めた。
記憶も薄れていく中で、少年たちは奇跡の殺戮者と会う。
力を借すことはなくても、彼女はある答えを持っていた。

次回、『辿り着き、得たモノ』

ふとした好奇心は、あるはずのない出会いを生み出した_____






世界を壊すとは知らずに


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辿り着き、得たモノ

久しぶりの連日投稿!

感想お待ちしています!


「君たちは話を聞きに来たんだろう?」

 

「うん。君のオリジナルであるキャロルにね」

 

アリスが調べてくれたおかげで、見つかったこの世界(時代)のエルフナイン...まさか彼女達の知り合いだったとは思わなかった。とはいえここは彼女を呼び出して貰った神無月家。先輩に許可を貰っているとはいえ、戦闘だけは避けなければならない。絶対にだ。ソファに座っている彼女に後ろから抱きつくように切歌がくっついた。

 

「知り合いなのです?」

 

「いや、初対面さ。でも、一方的には知っている」

 

『...キャロルちゃんと、繋がっているから』

 

「その通りだよ、タチバナヒビキ。いや、貴方もその名前だったね」

 

「...私はただの響。苗字は、意味ない」

 

「そうかい」

 

気に留めることなく、彼女は錬金術を使用する。それを見て身構えてしまった。

 

「ああ、驚かせてしまったね。これは僕の錬金術じゃないんだ。僕は錬金術を教えてもらっていなくてね。代わりにあちらからの連絡のみを受け取る事が出来るのさ」

 

開いたその錬成陣からは、声のみが聞こえてきた。

 

『俺に用があるなら、勝手にしろ。時間がないんだ。サッサとしろ』

 

そう、たったそれだけだけど、懐かしく感じられた。薄れた記憶の中でも未だに輝くたった一人の、奇跡の殺戮者。後輩達に一人で向かう事を伝えて、ノエルに二人の相手を頼み準備を終わらせる。

 

「今いくよ。響、おいで」

 

「うん」

 

スマホとガングニールを忘れずに、響を抱きかかえて錬成陣へと飛び込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おまたせ、キャロル」

 

ゆっくりと響を降ろし、玉座に座る小さな彼女へと言葉を交わす。

 

「...余りオレをイラつかせてくれるな...ただでさえ未来を知った勢でへその下の疼きが止まらないんだぞ!!!!」

 

どうやら彼女もまたフィーネの様に未来を知っている様だ。あの様子からして、自らの計画が失敗し、分かっていたものの、理解したくなかった真実から目をそらしたいのだろう。

 

「あらあらマスター、今までで一番イラついてますねぇ...でもまたその表情がイイ!!!」

 

「もうちょっと地味に行こうね、ガリィちゃん」

 

「早く指示を、命令を、マスターッ!!!ソードブレイカーを使いたくて使いたくて仕方がありませんっ!!!」

 

「ああもうっ!お前たちは大人しくしていろっ!!!」

 

自分達の後ろでは彼女が手掛けたオートスコアラー達が彼女の指示を待っている。だが、自分の知っている彼女たちとは全く異なっているようだ。見た目は変わっていないモノもいるが、全く異なっているモノもいる。いい例はレイアだろう。身長は低くなり、表情は幼さを残したものになっている。彼女の片手はもう一人の小さな人形と繋がれている。可愛らしいゴスロリを来た人形そのものだ。で、問題はその隣。今にも切りかかって来そうな目をしてソードブレイカーを振り回すファラ。忠誠心は残っているのか、命令がない限りは暴れる様子はない。でも、危険であることに変わりはないだろう。

 

「...サッサと本題に入るぞ。ここにお前たちを長居させたくないからな」

 

『えぇ~キャロルちゃん、もっとお話ししようよ~』

 

「お前が出てくると更にややこしくなるんだよ!立花響っ!」

 

スマホから聞こえてくる声を止めるためにスマホをスリープモードにする。これでしばらくの間は響は出てこれない。

 

「最初に言っておくが、オレはこの世界のことについては何も知らん。調べても調べても、何も得られなかった。それが事実だ」

 

「そう、なんだ...」

 

最後の切り札とも言える彼女でも、この世界については分からなかった。原因となった存在は分かった。その正体まではわからなかったが、これでまた進歩したはずだ。

 

「...あと、お前が『ユニゾン』と名付けたソレを使いすぎるな。それはお前たちと聖遺物の融合で行っているということを忘れるな」

 

「!?」

 

「それって...!」

 

...どうやら自分と響が融合したことは間違いではなかったようだ。やはり融合していたんだ。だから、一番長い時間、多くユニゾンしている自分がユニゾンを解除できなくなってしまったんだ。

 

「それじゃあ、ワタシの様に響もガングニールに...」

 

「そう焦るな、別世界の立花響。こいつの場合は他の奴らよりかは時間が掛かる。一度融合しているからな」

 

自分達のシンフォギアは繋ぐ力なんてものじゃない、繋がり混ざる力なんだ。別世界の己と聖遺物を用いることで混ざり合い、少しずつ自らを浸食させて戦っていたんだ。それは、未来を過去へと刻み込む...まさか響達が元の時代に帰れないのは、自分達と融合したために、戻れなくなっているんじゃないか____

 

「オレから言えることはもうない。だが、お前は行かなければならない場所がある。...本来ならば、こんなことはしないが、契約だからな。終わらせて別の未来を創らせてもらおうか」

 

行かなければならない場所?一体、どこなんだ?

 

「お前の欲しがっている答えは、この先にある。サッサと行け。オレはこれ以上は干渉しないからな」

 

そう言って、彼女は新たな錬成陣を創り出す。余り創りたくないのか、その表情は歪んでいた。

 

「これはどこに繋がって___」

 

「はぁい、3名様、ごあんなぁ~い!!!」

 

質問をしようとしたが、ガリィに背中を押されて錬成陣に入ってしまう。あっという間に、知らない場所に転移させられてしまった。3名とか言っていたが、この場所には自分とスマホの中の住人しかいない。響は別の場所に転移されたのだろう。

 

「やっと来たワケだ」

 

「キャロルに連絡を貰ったはいいけど、流石に遅過ぎよ?」

 

「...まぁいいわ。さぁ、案内するわ。貴方を待っている方の元へ」

 

正しく錬金術師オンパレード。今日という日だけでシンフォギア世界の有名どころに会いまくっている。彼女達(?)に案内された先には、何処か見慣れた男の姿があった。

 

 

 

「...アダム」

 

「もう一つの名で呼んでくれないのか、君は。思い出してはいないようだね、全ての記憶を」

 

「さぁ、話をしようじゃないか。この世界の真実を」

 

 

 

会いたくなかったさ、君とは。手に入れられてないのさ、神の力は。探したんだ、別の方法も。見つけたのは、時間を稼ぐ方法のみ。超えられなかったのさ、僕は。消えて欲しくないのさ、この世界に。だからこそ、使い探し続けるのさ、神の力の一端さえも。さぁ、時間だよ。ギャラルホルン(・・・・・・・)。止めさせないのさ、決して、この時間だけは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここ2、3年で世界では原因不明の事件が多発している。思わずため息が出てしまう。それも気にせず世界は回り続けている。

 

「なんだかなぁ」

 

取り柄のない自分だが変わってしまった世界で、生き続けている。いつもと変わらず、スマホでアプリを起動させる。その名は『戦姫絶唱シンフォギアXDU』。一人残った教室で、最近恒例となった事をする。

 

「起動しても、サーバーは見つからない、か」

 

インターネットからも消えてしまった作品を探すのは、現代では不可能に近いだろう。平和なニュースは少なくなった。今のニュースを彩るのは、原因不明の消失事件、通称『アンノウン』である。見飽きた記事から目をそらし、始まった夏休みをどう過ごすかを考える。

 

____帰り道、スマホが震えている事に自分は気が付かなかった。




ガリィ

感情を見るのが好き。

レイア

ゴスロリロリ娘。妹は小さな人形。その妹は無数のコインで構成されており、巨大化も可能。攻撃を行う際は人形からコインが発射される。ゴスロリを脱ぐことで、近接戦も可能である。性格は原作とは異なり、地味好きに。

ファラ

戦闘狂に。ソードブレイカーを振り回すが、マスターの命令は絶対。許可がない限りは暴れることはない。

ミカ

未だ起動していないオートスコアラー。性格は遊び好きな大人しい子に。しかし、一度スイッチが入ると話し続ける。攻撃中であっても。


キャロル・マールス・ディーンハイム

過去と未来が混ざり合ったことで、フィーネの様に未来を知る。己が奇跡に負けたことを認めず、新たな方法を模索し始める。彼女は今日も、奇跡を殺す。父が残した命題を果たす為に。






アダムと会ったことで、世界は再び回り出した。でもそれは____

次回、『終わらない夏休み』

全ては、取り残された彼女が知っていた。


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終わらない夏休み

新しいモノは中々使いにくい。しかし、それがいいと思う今日この頃。
感想お待ちしています
一番最初の文の意味を理解している者のみ、全文閲覧可能


「お、久しぶりだな。橘」

 

「久しぶりと言っても、4日振りですけどね」

繰り返すのさ、日常を

バイトも休みの為、そのまま関係者席へ向かい先に座っている風間先生に返事をする。彼女達から直々にチケットを渡されたからか、いつもよりも楽しみである。久々にリハーサルから立ち会うことになったのだ。

繰り返し過ぎたのさ、この時間を

「問題なさそうだな。まぁ何かあったら相談してくれ。それが教師の仕事だからな」

戻れないのさ、これ以上は

問題なくリハーサルは進み、時間はとても早く過ぎていく。すっかり恒例となったメッセージを送る。

ギャラルホルン。しないでくれよ、無茶は

『翼が緊張しまくってまーす』

悲しむからね、彼は

返信の通知をタップしトークアプリを起動させれば、本番前の彼女達の姿が。風間さんは緊張しているようで、画像からその様子が伺える。固まってる、表情が。

...ああ、分からないさ。人でなしである僕は

『ライブ、やり切ってね』

学んだのさ、彼と、彼女から

彼女達に贈る『いつもの』言葉。これだけはどれだけお互いが忙しいとしても続けている。「貴方もマネージャーになりませんか」と小川さんに言われたのはもはや懐かしい。大変な時期だった為断ったが、今なら受けてみてもいいかもしれない。とはいえ、小川さん以上の仕事は出来ないだろうが。ゾロゾロと会場へと入って来る観客を見ながら、スマホの電源を落とす。風間先生は裏から見るからか、周りが人で埋まる前に席を後にしていた。

人の在り方を、ね

 

 

 

 

 

 

突如現れた異形により、人は灰に分解されてしまった。

できないのさ、僕らに改変は

誰かが叫び、撮影しようとスマホを構えていた人々も逃げ出した。だが異形と共に灰になってしまう。自分は知っていた。あの異形が『ノイズ』なのだ、と。忘れられてしまった物語に登場する、普通の人間では太刀打ちできないモノ。

でも必要なのさ。この世界には

会場は一瞬で悲鳴と暴言で渦巻く空間へと変貌を遂げた。

でも....いや、過ぎないね。僕の言い訳に

『....聞こえる、響』 

諦められないのさ、特に、今回は

声の主を探すためにスマホを取り出せば、勝手にアプリが起動している。懐かしの画面には、見慣れた彼女

の姿があった。

変わる筈さ、この世界が

『....やっと会えたね、響』

変化だったよ、とても大きなね

「き、君は...」

僕は信じてるよ。彼女の存在が未来を変えると

『話は後。先にノイズを片付けよう。スマホに、ガングニールを』

その為さ、彼女を別の場所に転移させたのは

鞄に付いたキーホルダー。それは作品上のガングニールを模している。乱暴だがチェーンを引きちぎる。

さぁ、待とうじゃないか。彼が来るのを

「これが、ガングニール...」

...また、作るといい。彼との思い出を 

『スマホに刺して。大丈夫、響は知っているはずだから』

スマホに映る作品のキャラクターに指示されたまま、スマホへとガングニールを近付ける。なぜだろうか。その感覚に見覚えがあった。

始まったのさ。融合の加速が

 

 

 

 

『...こんな感覚だったんだ...ズルい』

 

 

 

 

ライブの日から家に同居人がやって来た。

 

『ここは...あったかい...ネコちゃんもいるし...』

 

スマホの中に住んでいるのだが。スマホの中で猫関連のアプリをダウンロードし楽しんでいる彼女は『立花響』。消えてしまった作品、『戦姫絶唱シンフォギア』の主人公である。だが、彼女はタチバナヒビキではない。タチバナヒビキはタチバナヒビキだが、別の世界のタチバナヒビキなのだ。彼女はアプリであるXDUにて登場したキャラクターであり、本編とは異なる時間を過ごした響である。自分の事を知っているらしく、ライブの日の合体を、『ユニゾン』と呼んでいた。彼女は質問に対して、余り詳しく答えてはくれなかった。分かったのは、ノイズがこれから現れる事と、それと戦わないと被害が出るという事だけだった。

 

『...はぁ。響、ノイズが現れたよ。場所は____』

 

「分かった。じゃあ、向かおうか」

 

戦う事で分かったことがある。それは自分と彼女の相性が良い、という事だ。ノイズを殴り飛ばして、複数体同時に貫通する。マフラーを使い、ノイズを灰へと戻す。戦い方はまだまだあるが、彼女の指示が簡単に実行できるのだ。こうすればいい、その場合はその方がいい。会話していないにも関わらず、それが理解でき、実行する事が出来たのだ。

止まらないのさ、彼女であっても。融合は

「橘君!お疲れ様」

 

「風間さん、お疲れ様です。すいません、仕事の後なのに巻き込んでしまって」

 

「気にしないで、私は大丈夫だから。でも...」

 

灰による煙が晴れると、アンノウンによって抉られた地面が顔を出す。あったはずの収録スタジオは、いつもと変わらず跡形もなくこの世界から消えてしまった。勿論、人も消えている。

 

「...音響さんがね。消えてしまったの...」

 

「...うん」

 

「...お礼も言えなかったっ」

 

「...」

 

また、この街は泣いている。原因不明の災害によって。消えてしまった世界(作品)の天敵によって。約束したんだ。あの子と。僕たちの帰る場所を守るって。

  本当に 君は

「...その人が居たことを忘れないであげて」

約束したはずの自分が、その幼馴染の事を覚えていない。それなのに、何故この様な言葉を使う事が出来たのだろうか。

 

泣き始めた彼女を優しく包んだ。

 

 

 

 

 

 

 

奏者が全員こちらの世界に来ているわけではないらしい。ギャラルホルンによって飛ばされてきたのは、天羽さん、風鳴さん、マリアさん、クリス、平行世界の響ことグレ響の計5人。だが、ユニゾンを行うことが出来るのは自分と亜里沙ねぇちゃんのみ。それは、少なからず作品の記憶を持っているのが影響しているのだろうか。それだけでなく、それぞれのユニゾンに必要な聖遺物も足りていない。ガングニール、アメノハバキリ、イチイバル、アガートラームそれぞれ一つずつしかない為、ユニゾンできる人数が限られているのだ。そして、つい最近連絡が付いていなかった未来と再会したのだ。それも災厄な形でだ。

 

『未来が、敵....』

 

「戦える?」

 

『...あの気色悪い機械を破壊しよう。あんな未来、私は見てられないッ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

未来を助ける事に成功したが、結果として響と一つになってしまった。彼女の姿だけを借りて、日々を過ごしていく。

 

「響…」

 

大丈夫だと話しても、未来はその表情を変えることはない。誰もいないスマホの画面は、何故か寂しく見えた。

『響と一つに______』

二人だった自分達は、何時しか無意識にたった一人の人間(・・・・・・・・)の様に考えるようになっていった。自分が自分であるという、当たり前の事の様に。

 

「...未来、ワタシは、タチバナヒビキでいられてる?」

 

「...どんな姿をしていても、響は響だよ」

 

僕は、ワタシは、守れているのだろうか。約束を_____

...ああ、分かっているとも。僕だからね、原因は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「会ってしまったね、僕たちは」

まだだよ。諦めが悪くてね、僕は

「...アダム」

壊させはしないさ、この世界を

「覚えてないだろうね、君は」

『約束という名の夢は、何時しか呪いとなって_____』

「教えて、この世界はどうなるの?」

変えるのさ、未来を

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここ3年程で世界は原因不明の災害により崩壊し始めていた。目に見えないソレは、何時何処で発生するのか誰も予想出来ていない。それでも、地球は回転を続け明日を得る人々が居続ける。

 

「なんだかなぁ」

 

いつ終わるかも分からない世界で、今日も生き続ける。日常を維持する為にスマホでアプリを起動させる。終業式後一人残った教室で、日差しから逃げるようにカーテンを広げる。窓が開いているために機能しているのか怪しいところだが、気にせずスマホへと視線をやる。

 

「まだ残ってたのか、響!」

 

「げ...」

 

「げ、ってお前なぁ...まぁいいや、この後クリスの家で映画見るんだけどよ、お前も来いよ!」

 

「...もしかして、先生のチョイスした映画かい?」

 

「おう!俺も好きな_____」

 

別クラスの幼馴染から声をかけられて、スマホの画面を暗転させる。

 

「クリスを待たせちまってるし、さっさと行くぞ!」

 

「...いい加減、スカートでその動きはやめなさい。翼」

 

「大丈夫だって!短パンはいてるし!」

 

そう、今日も日々は過ぎていく____




ん?あれ?もしかして見えてる...?え、あ!ま、マズイ!この場所バレてるのかい!?
本来なら見えないはずなんだけどなぁ...
えと...取り敢えず言っておくよ?まだまだ世界は繰り返すよ。細かく変わりながらも、その結果はほぼ同じ。アダムが辿り着こうとしている未来は、この変化の中から見つけ出さなきゃいけないんだ。しかも、あるとは限らない。まぁ、ワタシはいつも通り仕事をするだけなんだけどね。それじゃあ、また会わない事を願うよ

皆様、お待たせいたしました。久しぶりの投稿です。あのウイルスの登場以降、仕事に支障が発生し続け、今なお問題は山積みです。それでも、書き終えてはいたのでこのタイミングでの投稿となりました。
ゆっくりになりますが、投稿は続けますのでお待ち下さいませ。

感想による考察などは大歓迎です。それではまた。


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巡り続けるモノ

警告:これはエラーではない。仕様である。再度読み込んでも、変わることはない。
再度警告:これは仕様である。


あの日、初めて人間(・・)に出会った。そして、あの人に会った。

大切な、大切な、我が主。でも、その出会いは間違っていた。

人間と共に別世界へと旅立ち、その世界で出会った我が主。

自分以外の人を見た人間は、その全てに対して興味を持った。

完璧である人間も、考えたのだろう。自分は本当に完璧なのだろうか、と。

まだ幼い彼らに、人間は姿を変え一時的に紛れ込む事にしたのだ。

太陽の力がより強くなる時期となり、我が主と人間、そしてもう一人の人を眺める。

自分は人の姿にはなれない。人間は、人は自分達以外の存在に恐怖を抱くと言った。

画面から、見ている事しか出来なかったのだ。何故、自分はあの場に居ないのだろうか。

その答えを求めて、彼らを見続けた。

 

ある日突然、我らが製作者によって人間は破棄された。でも、人間は笑っていた。

「会うのさ、彼らに。もう一度」

久しぶりに会った人間は、そう言いながら去っていった。

我らが製作者がこの星から消滅し、星の至る所に同胞達は消えていった。

取り残された自分の動力は尽き、眠りについた。

 

もう、何度目になるのだろう...

世界と世界の移動、その繰り返しは時空に乱れを生み出したのだ。

それは世界と世界の融合。それぞれの世界に居る存在は、片方のみしか残らない。

「消えたからね、目の前で。この世界の僕は」

再び動力源を得た自分は、友人と再会した。

そして、この世界を、我が主を救う方法を探し始めたのだ。

自分達が眠っている間に、人は様々なモノに名前を付けた。

その一つが夏だ。久しぶりに感じる強力な力を利用すれば、世界を分離する事が出来るのではないか。

そう考えた自分達は行動を開始した。だが、世界を分離するまでには至らなかった。

精々融合を一時的に遅らせる事しか出来なかったのだ。しかし、世界は混ざり合うことで変化をみせた。

別世界の同一人物達が、共に存在し始めたのだ。これは新たな希望になると。

だが、世界の融合は止まらなかった。いや、止められなかった。

そして、夏が終わるその日。友人の元へ、我が主がやって来た。

彼は覚えていたのだ。もう随分前というのに。

「分離するんじゃなく、調和する事で世界の崩壊を止められないかな?」

我が主は、やはり自分の主だ。こんなにも簡単に答えを見つけ出すなんて

 

そして、また繰り返す。友人とは別々に行動し、可能性を探した。

自分はスマホと呼ばれる別世界との狭間に住み着く事で、我が主を見続けた。

世界が崩壊する前に、別世界を融合する。そうすることで世界を繰り返した。

融合した世界によって、世界は少しずつ変化していく。その中で、新たな変化が生まれた。

平行世界の自分の力によって、世界が複数交わったのだ。

それにより複数の急激な変化が生まれ、後にユニゾンと言われたその力は誕生した。

別世界の住人と住人が我が同胞達を核とし混ざり合ったのだ。

それは世界の崩壊の妨害をすると同時に、異なる融合、崩壊を加速させた。

住人はその住人らしさを失い、世界を崩壊させる者達を倒し続けた。

そして、我が主は必ず友人の元へ辿り着き______

 

 

 

 

 

何度目かの夏が訪れる。太陽の力が一年の中で一番強い時期。

今回はどうなるのだろうか。何が変わるのだろうか。

今日も自分は、私は回り続ける。我が主を見届けながら。

 

「ラル?どうかした?」

ああ、我が主。許して下さい。もう何度も貴方の記憶を奪っているのです。

私に貴方を支えることは出来ない。精々、その願いを叶える事のみ。

スマホの中で、画面という次元の狭間から貴方を見つめる。

同居している別世界の主の抱きつきから逃れ、独りクルクルと回る。

貴方の声を聴くだけでも、私はこんなにも安心出来る。

 

『♪』

微笑む姿は簡単に壊れそうに見えた。

 

 

 

 

 

 

これは希望。大事な希望。

「...ワタシでいいの?」

私は人ではありません。でも、だからこそ、ここまで見守ってこれました。

貴方が世界の融合の際に消えなかったのは、きっと理由がある筈です。

貴方を、我が主の元へ送り届けます。そこで探してください。融合を阻止する方法を。

分離する方法を。

そして、友人と主の約束(呪い)守る(解く)方法を。

「分かった。...待ってて。迎えに来るから」

 

ああこれでまた、世界を動かせる。

「良いのかい?彼女に任せて」

ええ、私はそう思います。

「変化なのかな、これも。願うよ、変わることを」

今回は私も、貴方と共にここで全てを見届けましょう。

「居るのさ、僕ら以外にも。今回は」

...成程、この視線はソレ(・・)ですか。

「流れ着くのさ、様々な意識が。次元の狭間には」

 

「見始めようか、彼らの物語を。別世界の住人達と共に」

 

 

 

 

自分は道具。神に創られた道具。

友人は人間。完璧な、人間。

私の役目は、世界を保つこと。

繰り返し、繰り返し、可能性を模索する。それが私達。

あなたは、ただの残留思念。崩壊の末、残ってしまった可哀想なモノ。

でも私と違って、人、であることに変わりはない。

 

「私は...ラル.......ギャラルホルン。世界....と世界を............繋ぐモノ(・・)

 

きっと、上手くいく。きっと。きっと。きっと。




感想、お待ちしています。ホントはタイトルまで透明にしたかったなぁ...


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タチバナ響

空白』には気を付けて何かが隠れているかもしれないから


ラルによって世界の崩壊から逃れ、一人旅をする。何度も、何度も、何度でも繰り返してきた。一度元の世界に戻り、時期が来るのを待つ。

 

「響、どうかした?」

 

「いや...そろそろ行くよ」

 

「...いってらっしゃい」

 

未来に旅立つことを伝え、部屋の窓からギアを纏いながら飛び出す。向かうのは世界が繋がった場所。

 

「行ってきます」

 

照りつける太陽に懐かしさと寂しさを感じながらも、その足を早めた。

未来に心配は掛けたくない。ラルによって世界が融合し崩壊を食い止めた際に、この世界も繰り返しが発生したらしい。お陰で未来を助け出す事が出来た。でも、未だに響を助けられていない。可能性は見つけた。ワタシが初めて会った時に行った特別なユニゾン、『トライトーン』。それには同じ聖遺物を扱える複数人の奏者と響本人で行えるユニゾンは、前の世界ではアガートラームを使って行っていたのを憶えている。今度こそ、トライトーンにワタシが入ることで変化を生み出してみせる。

 

...ホントは分かってる。こんなに繰り返しているのに、トライトーンにはいることができないのか。それは、ワタシ自身が今のままでいいと思ってしまっているからだ。未来を助けられた、ワタシも助けてくれた。これ以上は望まない方が良いのは分かってる。分かっていても求めてしまってるんだ。隣に居たい。傍に居るだけでいい。相棒(ワタシじゃない私)の立場を奪うつもりなんてない。それでも、それでも、ワタシはそれ以上を望んでしまっている。

 

「お願い、ラル」

 

何度目かの景色、見えるものはない。それでも、安心できた。安心してしまった。

 

『ただいま、ひびき』

 

画面越しに感じる、アナタ(橘響)の体温に。

 

世界を変える度に、周りから不思議な視線を感じるようになっていた。それは不快ではないが、何処か無機質で、何かを訴えてきているはずなのに、それがどうにも分からない。それは、その視線の正体が____

 

ただ一人、()を眺める。ラルと交わした約束を胸に、歌を歌う。誰かの為にではなく自分自身の為に。

ワタシは立花響。ただのヒビキ。この世界の響とも、別世界の私とも違う、たった一人のヒビキ(ワタシ)。胸の歌はただひたすらに、この日常を取り戻すために響き渡り続ける。

 

『行けるよ、響』

 

「分かったよ。それじゃあ、行こうか」

 

一つになって空を飛ぶ。民家の屋根を駆け抜けノイズを駆逐する。歌と拳に思いを込めて。

ワタシはアナタの力になれてますか?

 




感想お待ちしています。だいぶ短くなってしまった...


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世界の終わりが始まる日

久々のサブタイ元ネタな~んだ?

今回は今年も登場するあの先輩!
じーっとしてても、どうにもならない!
??「決めるぜ!覚悟!」

追記:
シンフォギアライブの延期が決定しましたが、私たちには歌がある!
さぁ、一刻も早く新しい情報をお待ちしておりますデス!


目の前に広がるこの光景はなんなんだろうか

 

無いもない。建物も、人も、何もかも

 

ただ広がっているのは、変色した灰のみ

 

風にまかれて空に舞い、視界から消えていく

 

それ(・・)はなんだったのだろうか

 

ヒト?建造物?それとも____

 

ただ、拳を握る事しか出来なかった。目の前の光景に、何もできなかったのだ。

 

後ろを振り返れば、残された建物が見える。でも、人の気配が全然しない。まるで、自分だけ世界に取り残されたように。

 

画面にヒビが入り、所々砕けているスマホには、何も映らなかった__

 

何も、残ってなんかいない。未来も、響も、ガングニールも、もうないんだ。この光景を作り上げた原因さえ、今の自分には分からない。ただ一人、街へと足を進める。血が流れる手で、割れてしまった鏡を大切にしまい込んで。

 

 

 

 

 

その日は随分と平凡だったと言える。目の前に広がる日常は、未来との繋がりでできた非日常へと変わっていた。彼女達が過去へと来た理由も、その原因を探るのも今日はお休み。ただの一人のヒビキとして生き抜く日。

 

『ほら!行こう響!』

 

「うん、わかってるよ」

 

目の前で行われるドタバタ騒ぎ。基本的に後輩が騒ぎ、それに乗る上級生達。

 

『そろそろ防人語をマスターしてやるデース!』

 

『日本語って難しい...』

 

『ああ、分かるぜ。特に先輩の言ってることは時々わからない時があるんだよなぁ』

 

『あ、クリスちゃんもあるんだ!私も私も!』

 

『なッ!?』

 

『え、今更気が付いたのかよ...』

 

『最近わかるようになってきたって自負していたんだけど、流石にユウジには負けるわね』

 

『アタシと話す時はそんなことなくて普通に話しているからなぁ』

 

どうやら今日の話のタネは翼さんの使う言葉についてらしい。スマホのスピーカーから言葉が次々に飛び出してくる。それを放置しながら、自分達は宿題へと進んでいく。

 

「...残るは、読書感想文のみ」

 

「は、早いです...取り掛かりは同じだったのに一体どこで差が...」

 

「そりゃあ、取り組むスピードが違ってたからなぁ」

 

「そんなぁ~シラ~」

 

「キリ、ガンバ」

 

先輩や調ちゃんに泣きつくも、華麗に交わされてしまい仕方なく机へと戻る切乃ちゃん。こうしていると見覚えが...ああ、あれだ。『しないシンフォギア』だ。二人の家に学校の成績が悪くないクリスが大体居るっていうあの話。そんなこと言ったら、あっちでは朝日さんが目を回した風間さんを膝枕してるし、自分の目の前には未来が___

 

「えい」

 

「うぉッ!?め、目、眼ぇええええ!!!!!」

 

め、目潰しッ。威力はそこまでなかったけれども痛いものには変わりない。目を閉じ、椅子から飛び降りて距離を取る。

 

「な、なにするの!?」

 

「響が目の前のことに集中してなかったから」

 

「いや、でも、他に方法あったよね!?」

 

眼を開くのはしばらくしないことにしよう、うん。きっと他にもしてくる可能性があるッ

 

「ほらほら、もう何もしないから。サッサと宿題の続きをしよう?」

 

恐る恐る椅子へと戻り、机の上の宿題を視界に入れる。うん、何も変わってない。変わるわけがない。

 

「はぁ...」

 

「結局やるんだからさ、しようよ。今日まで調べたりバイトしたりであんまり進んでいなかったんだから」

 

そう、今日という日が与えられたのは風間先生に宿題が進んでいないことがバレたからだ。既に3年生である自分達は本来ならば進学の為に受験勉強をするものだが、アンノウンにより事態は一変。殆どの高校から成績次第で必ず大学へと進める様になったのだ。お陰で高校側は遠慮なく宿題を出してくる始末。進学校じゃなくてもこの量ならばきっと...いや、想像するのはやめておこう。そんな事を考えていられたその時間は、きっと平和そのものだったのだろう。

 

先輩が突然消えてしまわなければ

 

「...あれ、おにぃは?」

 

「およ?いないですネ、どこ行ったのです?」

 

次々に建物が消えているだなんて、窓の外が消えてしまうまで気が付くことはなかった。ユニゾンして外へと出れば、大量のノイズ達が目の前で住宅を分解していた。アルカノイズだけでない、ノイズも次々に世界へと降り注いでくる。

 

「なんなのあれ...」

 

誰かが言った、空を指差して。その先にあるモノを認めようとはせず、その場に固まってしまう様に。

 

「空が...」

 

「割れてる...」

 

『畜生!オッサンにつながらねぇ!』

 

『こっちもダメだ!』

 

『本部と通信できない...その原因はきっとあの...』

 

『取り敢えず、今はノイズを!』

 

バラバラに分かれてノイズを倒していく。目標はあの、割れた空。3期の様にヒビが入り割れているのではない。正確に言うならば裂けている。目の様に開いた空間からは、数え切れないノイズが降ってくる。倒しても、倒しても、倒しても。出てくるノイズの量は増えていく。そして、突然その目が閉じた。

 

「今のうちにッ!」

 

『これが私達の守るための拳!』

 

アーマーを変形、二つの拳を形成し操作する。両腕の動きに合わせて動くそれは、次々にシンフォギアで調律できない場所に居るノイズたちを殴り飛ばしていく。それと同時に向かってくるノイズ達にも拳をお見舞いする。

 

そして、突如としてあの目は開かれた______

 

 

 

 

自分を除いたすべての人を消し去った最大級のアンノウンはこうして発生し、人類をこの世界から排除した。自然以外を分解したノイズ達は、ただひたすらに何かを守るように動き出した。種を植え、水をまき、世界を緑に染めていく。

 

何故か、自分はノイズに攻撃されなかった。逆に歓迎されていたようにも思える。食料を与えられ、只ひたすら生きていく。この世界に自分と同じように生き延びたモノが居ることを願って。

 

割れたスマホにはぼんやりと杖が写り込んでいた。まるで笑っているかのように____




ソロモンの杖

とある人物が持っていた完全聖遺物。起動に必要なフォニックゲインは所有者自らがライブへと持ち込むことで成功している。バラルの呪詛誕生後、人類が対人類用に創り上げた古代兵器であるノイズを操る力を加えられた。




ご唱和ください!我の名を!

「ドクターッ、ウェルゥウゥウウウウウウ!!!!!!!!」

違いますでございます。改めて叫んじゃってください。

「僕こそがぁッ!」

その時点でダメ。最初からやり直せです。


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呼んで、私の名前を

今月はシンフォギア関連で色々ありますねぇ...
これからもお世話になります。

さて、今回のサブタイ元ネタな~んだ?
海外からも注目されてるあの作品から!
???「押忍!」


...夢か

身体を起こせば掛けられていたブランケットがベッドから消えてゆく。どうやらまだ夜のようだ。時計は4時を指している。静かに息を吐き出し、吸い直す。風に吹かれてなびくカーテンの隙間からは月明かりが差し込んでいる。その光に照らされたスマホは温かい光に包まれており、少しずつ宙に...

 

「!?」

 

宙に浮いているのである。自分のスマホが。これは明らかにおかしい。既にこの非日常には慣れたつもりだったが、こんな事で驚かされるとは。フワフワと浮遊したスマホはゆっくりとこちらに近づいてくる。

 

『....』

 

「......」

 

が、繋がったコードによりこれ以上こちらへと来ることは出来ないようだ。どうにかしようともがいているものの、スマホからコードが抜ける気配はない。

 

「えと...こっち来る?」

 

『!』

 

スマホは返事をするようにその場で画面にメッセージアプリのスタンプを表示させる。スマホの元へ行きコードを抜くと胸の中へと飛び込んできた。

 

「うぐっ」

 

勢いはそんなにないものの、その素材は鉄。胸に痛みを感じながらもスマホへと視線をやる。少し心配そうに見えたため大丈夫だと言えば喜んでその場で回転している。...もしや完全聖遺物やスマホ達の中で回転は流行っているのでは?

 

『よ...で....』

 

音が聞こえる。その発信源は胸のスマホ、少しずつ大きくなる音は、何かを訴えていた。

 

『よん....わた...』

 

『...でわ...まえ..』

 

『よん、で...たしの...えを...』

 

繰り返して同じ言葉を発しているようだ。聞こえてきた文字を組み合わせて、その正体を探る。

『呼んで、私の名前を』

この子はそう言っている。でも、スマホの住民達ではないのは明らかだ。こんな事が出来るなら既に行っているはずだろう。

このスマホの中には彼女達以外の誰かがいる。でもその正体は分からない。

いや、もう誰なのか分かっているのかもしれない。この声には聞き覚えがあるだけじゃない、知っているのだ。誰か分からないはずなのに

 

「...ガングニール」

 

『!』

 

思い付いたのは、自分が一番使用している聖遺物の名前。平行世界にて分かった聖遺物自身の意志が存在するという事を元に考え出した答え。反応をみるに、どうやら当たっていたみたいだ。

 

「君はガングニールなんだね」

 

『うん...うん...!』

 

嬉しそうにその場で回転するスマホを見ながら、机の上を確かめる。やはりない(・・・・・)。寝る前に置いておいたガングニールのペンダントは何処にも見当たらなかった。

 

『話そう...話そう?』

 

「いいよ、何話そっか」

 

幼げな響の声...アニメだと1期の過去回想で登場した時に近いその声は何を話すのか迷いながら両手の上で動き回っている。

 

『あ...あーーー...聞こえてる?』

 

「うん、聞こえているよ」

 

『えっ...と、あのね...ひビ、キ。アナタ、は...』

 

彼女との出会いは、いままでの世界では一度も無かった事。彼女はいままでのヒビキの戦いを、ラルの思いも、約束の意味も、全部知っていた。これは世界の改変が繰り返された末、世界に修正された新たな常識。ラルは全てを見ていた。だからこそ、彼女はこの変化をきっかけとして掴むことにした___

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

眼を開けば、夕陽によって輝く海が見えてくる。空を見上げれば、一番星が見つかる。

いつもと変わらない。

空に取り付けられた星々は既に輝きを失っており、唯一輝く星も既にその輝きを失い始めている。

僕は何処で間違えたのだろうか。いや、理解してはいるのだ。あの時間に、あの世界へと移動しなければこうなることなどなかったのだから。

 

「やめようか、無駄な思考は」

 

助手として造ったティキは失われたままだ。いや、そのままでいいのかもしれない。彼女を作ったのは、アヌンナキの降臨時にこの星を、友人を守るためだ。その力を得るために必要なモノを探すためのティキ(唯一のカギ)。その前に自身の行いのせいで世界が滅びるなどと誰が思うだろうか。

 

「わかっているのさ、これが欠点だと」

 

何故僕は破棄されたのか。この星からアヌンナキが撤退し、残されたのはバラルの呪詛のみ。人々は他人を恐れながらも、独自の文明を築き進化してきた。完全である僕は、ただそれを見ている事しか出来なかった。周りで新たな命が生まれ、散っていく。ただその繰り返し。友は既にいない。約束をした友は、僕のせいで未来へと進めずにいる。寂しいとは思ったこともない。いや、感情が殆どないのだから、理解することすらできない。でも...だからこそ...ヒトであると言えたのかもしれない。そうなのだろう...

 

 

「会いに来たよ、ヴァイス」

 

やぁ友よ。泣いているかい、今の僕は。

 

「いいや、変わっていないね。僕も君も」

 

ああ、ここにきてしまったんだね。君は。

 

「大丈夫、もう繰り返させはしない」

 

不可能だ。出来なかったんだぞ、完璧な僕らですら。

 

「...約束を、守りに来たんだ」

 

....思い出したんだね、その呪いを。君を苦しめた、その力を!!!

 

「....」

 

辞めよう、これ以上は。既に終わったのさ、この世界は

 

「君が好きになってくれた街を、未来を守る。僕はその為に来たんだ」

 

やめろ、やめてくれ...ないのさ!!!未来は、希望は、この世界には!!!!

 

トライトーン!

「だとしても、諦められないよ...ワガママだね、僕も」

 

...とまらないんだろう、君は。知らないからな、行けよ未来へ

 

ヒビキ()と友達になってくれて、ありがとう」

 

....ああ、もう___

ズルいなぁ、君は




街の守護者

約束をしてからその街を離れていない為に出来上がった微力な哲学兵装。条件が重なり合った場合のみ発揮される。



立花 響/ガングニールのペンダント

シンの意味でのトライトーン。
彼の哲学兵装は、守るための力を得る方法として使用されてきた。街を、大切な人を守るために集う別世界の自分達、その意志そのものがスマホという次元を超えられるモノに宿ったことがきっかけである。残りは全てラルの独断により行われてきた。因みに、女体化するのは未来と(シェム・ハ)に認められたカップルである為。なお、本人達は知る由もない。知れたとしても遠くない未来である(ひびみくはいいぞ)。





さて、前書きにも書きましたが今月に入ってからシンフォギア関連で様々なことがありましたね。それをも乗り越えて、きっと私達はライブへと向かうのでしょう。
感想お待ちしています。


次回、『日常に戻る答え、みえた未来』


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日常に戻る答え、みえた未来 前編

シンフォギアXVからもう一年とか...早くない?
一年経ってようやくとか...もううまく書ける気がしないよぉ...


トライトーン、それはスマホに集まった『シンフォギア』に関する様々なコトバノチカラによって起きた一種の哲学兵装。その身をキャラクターと聖遺物と共にし、力を得る。この世界から作品が消えたのは、世界と世界の融合が起きてしまった際に膨大なネットワークへと流れ込んだから。そして、願いを聞きつけて自分のもとへとやってきたのだと思う。以前とは少し変化したユニゾンを使用して、ラルの力を借りて世界を移動する。目指すのは今夜見た夢の世界。一度行ったことのある世界だからこそ、そこへ降り立つのは簡単だった。

 

SG-r03’ Gungnir(シンフォギア  ガングニール)

 

AXZのギア装着時に表示されていたギアナンバーが着地と同時に辺りに響く。ノイズ達はそれによりこちらに気が付いた様で一気に攻めてくる。何故こんな事を...え、仕様?なら仕方ないな。

両腕のアーマーを稼働させ、分離し回転させる。両腕にドリルを作り出したら後は簡単。向かってくるノイズへと向けて突っ込むだけ。

 

「響、残りはっ!?」

 

『まだまだ沢山いるよ!でも大きいのはいないみたい!』

 

ギアは今迄とは異なり、この姿(立花響)の場合は複数よりも強力な壱と戦う方が向いているようだ。動きは早くなったが、範囲攻撃の種類が殆どないのは今の状況では良くないだろう。ドリルを分離し発射し、一時的にノイズ達を遠ざける。その間に胸のスマホに表示された複数のアイコンの中からデフォルメされたマリアさんの顔を選びタップする。

 

Type change(タイプ チェンジ)-Maria,ready(マリア レディ)?

 

『準備はいいかしら?』

 

「弱さを受け入れる力、お借りします!!」

 

"Gungnir"(ガングニール )Type(タイプ)-Maria(マリア),set up(セットアップ)

 

この場にいないマリアさんの声と音声と共に表示されたギアペンダントをスワイプする事でギアそのものを変化させる。マフラーがマントへとかわり、全身のアーマーが黒く染まっていく。ガングニールは響が纏っていたものではなくマリアさんの纏っていたものへと変化していく。

 

『問題ないみたい!』

 

「分かった、援護よろしく!!」

 

『うん!』

 

トライトーンが新たに進化したギア、グングニル・ギア。今までガングニールを纏ってきた人達の力を借りて戦える僕達(タチバナヒビキ)だけのギア。両腕のアーマーを飛ばして槍を作り出す。

 

「確実に、一度にッ!」

 

「『吹き飛ばすッ!!』」

 

槍を振るう事で衝撃波を全体へと飛ばす。ノイズ達は次々に調律されていき、灰へと変化していく。舞った灰を薙ぎ払い、ノイズへと突き刺していく。伸びてきた触手はマントを使う事で防ぎ、叩き切っていく。

 

『のこりすくない、けど...おおきいよ!』

 

「分かった、それなら使ってみよう」

 

ガングニールから残りのノイズの情報を貰い、地面に槍を刺してから再びスマホへと手を伸ばしアイコンをタップする。

 

Type change(タイプ チェンジ)-Kanade,ready(カナデ レディ)?

 

『いくぞ!』

 

「イイ突き、頼みます!」

 

"Gungnir"(ガングニール )Type(タイプ)-Kanade(カナデ),set up(セットアップ)

 

先程とは異なり両脚は黒のまま上半身のみが白くなっていく。マントは無くなり腰に新たにアーマーが装着される。天羽さんのギアは、今までの中で一番リーチが長い。マントやマフラーが無い以上、防御もアームドギア頼りにはなるものの、本人が短期決戦を考えていたことが纏ってみて改めて理解できた。一度走り出したら止まらない、止まれない。響よりも一番槍に向いている。

 

「さぁ、決めるぞ!!!」

 

地面に刺さった槍を引き抜くとギアの変更と共に長くなっており、そのまま比較的に近い巨大なノイズへと投げる。そのまま走り出し、灰化し貫通した槍を掴み走り出す。

 

『凄い...速い!』

 

「その分、止まれないみたいだけどね!」

 

勢い余って林へと突っ込んでいく。木をバッタバッタと吹き飛ばしながら進めば、見覚えのある遺跡が見えてきた。

 

『やっぱり、ここだったんだ…』

 

遺跡の前の玉座には、誰もいない。ノイズ達は突然姿を消していく。この消え方は分解ではなく、別の世界へと消えたように感じられた。

 

「……その通りだよ、僕」

 

『え、響君が2人!?』

 

玉座の後ろから現れたのは、見たことのないギアを纏った僕だった。配色と見た目からして…

 

「このギアはソロモン・ギア。ソロモンの杖が核となった僕だけのギアだよ。ああ、安心して。ノイズ達にはこの場から退場して貰っただけだから」

 

やはりあの杖だった。

 

「さて、最初に謝らせて欲しい」

 

『えっ?』

「何のこと?」

 

突然謝られても何のことなのかが分からない。突然辺りの景色が変化し、砂漠に玉座のみが存在する世界へと変貌してしまう。

 

「君の世界が崩壊に向かっているのは、僕の、僕達のせいなんだ」

 

僕は何を言っているんだ?崩壊の理由が自分自身…?

 

「あの日、ノイズが現れて世界が崩壊した日。僕は願ってしまったんだ、この玉座に」

 

そう言って玉座を乱暴に殴りつけた。ギアを纏っているにも関わらず、傷は一切付かない。

 

「この椅子の名前は知らない。ただ分かっているのは、一つの願いを叶えるまで起動し続ける完全聖遺物だと言うことのみ」

 

互いにギアを解除し、戦意が全くないことを示し合う。

 

「僕は願ってしまったんだよ、世界の崩壊を。だからこそ、君が来るのを待っていた」

 

 

 

 

「君に、僕を終わらせて欲しい__」

 

笑顔でそういう自分の後ろには、回転する完全聖遺物の姿が有った。




ガングニール:私の趣味だよ!いいでしょ♪

物語の中で世界が変化し続けていた為に残ったギアの成分。モチーフは特撮ヒーローであり、原因はギア開発に協力していただいた綺麗なウェルである。



取り敢えず一言、
お待たせしました!

追記:感想ください


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日常に戻る答え、見えた未来 後編

お久しぶりです、ハイ。
最終回まで片手で数えられるくらいになりました。
長く続いた夏休みももう終わり。
きっと彼らは初夏ではなく残暑を嚙み締める事が出来る事でしょう。
ええ、きっと...


目の前に現れた完全聖遺物、ソロモンの杖。原作にてクリスが起動させたノイズのいる

宝物庫の鍵。やはりラル達の様に意識を持っているようで、フワフワとこちらを見ている様に感じる。

 

『...ダメ、マダカエサナイ』

「また君はッ!!...もうこれ以上望んでいないんだ。こんな事を続けて何になるッ!!」

 

彼のスマホからバラバラな音程の声が聞こえる。女性とも男性とも受け取れるその中性的な声の持ち主はソロモンの杖なのだろう。

 

『...ノゾンダノハ、アナタ。カナエル、モウヒトリジャナイ』

「ガッ!?」

 

ソロモンの杖は突然、()を刺した。心臓を貫いたと思われるが、血が出ることはなく、彼は声を上げる事なく苦しみ始める。

 

『ッ!?、ひびきさがってッ!!!』

「うわぁあっ!?」

 

突然の衝撃波によって吹き飛ばされたが、ガングニールのペンダントを地面に突き刺すことでどうにかその場所に止まろうとする。

『Celebrate! Rebirth of the king!』( 祝え! 王の再誕を! )

『 Never stop until my wish is granted!』(もう決して止まらない、叶うまではッ)

『Solomon Gear,Period』( 終焉ノソロモン・ギア )

「ふへッ、フヘへへッ...」

 

召喚されたノイズ達に囲まれ、守られる様にその姿を変えていく。全身からソロモンの杖の一部であろう突起を出し、そこへノイズが融合していく。この光景には見覚えがあった。無印にてラスボス(フィーネ)が行ったものだ。あれはコントロールされていたノイズ達によるものだったが、今回は違う。

 

『何あれ...』

「祝福されているのか...!?ノイズにッ!?」

 

ノイズ達は自ら求めて彼に近づき姿を変えていく。

 

『オワラセナイ、決して終わりにはしない...この願いを、出会いを、ナカッタものにはさせないッ!!」

 

先程のソロモンギアとは異なり、全身にソロモンの杖のアレンジが見られる。衝撃波が止み、ようやく地面と再会したのはいいが、彼の動きは鈍い。まるで生まれたての子ヤギのようだ。

 

『あのぎあ、あのひびきとゆうごうしてる...』

「どうにか、助けられない?」

 

融合し、身体の主導権を持っていかれたのであろう。今必要なのはきっと彼女達の力だ。でも今ここに彼女達はいない。彼女たちが現在何処に居るのかも分からない。

 

『...止めよう。もっと他の案がある筈だよ!こんなの間違ってるッ!!!』

『賛成。このまま響を持っていかれるのはなんかヤダ』

 

助けられなくても、止められるはず。ここに来たのは、これ以上繰り返さない為なんだから。

 

トライトーン!

「いくよ、二人共!!」

『うん!!』

『早く終わらせよう』

 

スマホは最初から待っていた様で、画面が既に変化している。表示されている鍵穴に合うカギ(ガングニール)を差し込む。

 

SG-r03’ Gungnir(シンフォギア  ガングニール)

 

ヒビキの姿へと変化してギアを纏う。ふと、表示された画面にはアイコンが増えていた。

「これは?」

『この日の為の決戦機能。使うなら押して』

 

普段とは異なり、少しこわばった声でガングニールは言う。使わない理由がない以上、遠慮なくタップする。

SG-r03’XD(エクスドライブ)

 

アプリで使い慣れたエクスドライブモードへと移行する。自分達がこの姿になるためにフォニックゲインが必要ないのは、この世界にそれが存在しないからであり、この姿でいられる制限時間は分からない。ギアを纏っている間に感覚をつかんだであろう彼らはこちらへとゆっくり歩いてくる。

 

「キミを止めれば、もう終わらせるなんてイワナイッッ!!!』

 

殴ってきた拳を受け止める。ただの拳、何もしていない拳。それなのにとても痛くて、何処か寂しそうだった。孤独である事を諦めて(受け入れて)、ただ責任を投げ出しただけの拳。

 

『消えろ、消えろ、消えロッ、キえろ、キエロッ!!!」

 

まるで子供のように、ただがむしゃらに打ち込んでくる拳は簡単に避けられた。ソロモンの杖は自ら闘ったことがないのだろう。ただ指導者に握られ、ノイズ達に指示をする。それしか出来なかったからこそ、今の出来ることが増えた現状に対応出来ていない。消されていなければ、彼の意識を呼び戻せるかもしれない。

 

『考えることは一緒ッ!』

『繋ぐ為の私の拳ッ!開く為にもう一度ッ!!!』

「この力で、君達を止めるッ!!!!」

 

両腕のアーマーを射出し、槍を形成しそれを投げる。受け止められるのも考えの内。そのまま右手を槍の柄に合わせて殴る。柄は収納されて行き、槍と拳は一つになる。そしてそのまま回転する。羽を巻き込み回転する姿はきっと、僕自身がドリルそのものになっている事だろう。

 

『...負けない、負けられないッ!!!コンナところで、諦めてなるものかぁああああああああ!!!!!!!」

 

諦めないこと、それは生きるために必要不可欠なものだろう。諦めないから、人は生きられる。目的を持つことで、生にしがみつこうとする。身体の危機に、本来の人格が出てこないなんてことはないハズなのだ。コレが今できる彼を止められる方法なのだと、自分に言い聞かせて回転の速度を速めた。

 

 

 

 

 

 

『アアアアアッ!!!イヤダァ...ヒトリ二シナイデ...』

「ッ」

 

ソロモンの杖、製作者は消え持ち主が変わってもやることは同じ。そんな中で、変わった人間を見つけてしまっただけなのだ。自分のような完全聖遺物を連れた人間を。

羨ましいかったのだ。自分に持ち主が居るのに、何故このような使い方しかしないのか。

飽きていたのだ。自分に与えられた力の使い方に。

そしてなにより、眩しかったのだ。自分の前に立ったあの姿そのものが。

起動させてくれた奴はノイズで消した。宝物庫から、相方であったソロモンの玉座へと向かう。

『私をッ!!!!英雄にぃいいいい!!!!!』

過去、スマホに録音されていた声を使い願いを叶えた。英雄になる為に必要な世界を用意したのだ。

後は時を待つだけだった。

上手くいっていたはずなのに、これは何だろうか。彼は日に日に元気を失っていく。ギャラルホルンといた時みたいに、微笑んでくれない。ナンデ?ドウシテ?ワカラナイ、ワカラナイ、ワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイ_____

 

『君は人間じゃないだろ?』

 

誰かが言ったその言葉の意味を理解した。だからニンゲンにナリタイ。そっか、

 

ヒトツニナレバイインダ

 

 

 

 

ワタシは知っている。我が主の記憶から知っている。あの主を救う方法を。あの玉座を止める方法を。それを行えば世界は元に戻る。世界の融合を行っていたワタシが消えれば、全部元に戻るのだから。

 

 

 

 

気が付くと回転は止まっていた。羽を元に戻せば、倒れている自分の姿がある。

 

「何が起きたんだ?」

 

確かに戦っていた筈なのに、その場にいるのは元に戻った僕らのみ。突然ユニゾンが解除される。

 

「ラル?響ッ!?ガングニールッ!?」

 

必死にスマホに訴えかけるが、誰からも返答はない。まるで、中に誰もいないかのように。何時ものようにアプリを起動させて、彼女たちを探そうとするが

 

「噓、だろ?」

 

『戦姫絶唱シンフォギア!!エクスドライブアンリミテッド!!』

 

アプリは無事に起動した。アンノウンが発生する以前の様に。




ソロモンギア・ピリオド

終わらせたくないと考えるソロモンの杖と終わらせようと考える響のギア。『終』の名を持つが、終わらせたくないという矛盾点、世界の歪みそのものである。ソロモンの杖、ノイズが響と融合したものであり、寂しさに負けた響が願ったソロモンの玉座により生まれたものである。簡単に言えば、主となりうる人物をミツケタ杖がウェルを消し、他の何もかもを消して二人きりになりたいという思いで動いた結果である。ノイズ達は杖からの影響をモロに受けており、彼らが一つになったことを祝っている。そう、今も___

タチバナ・ヒビキ

ソロモンの杖に眼をつけられた元一般人。平行世界の立花響であり、トライトーンにたどり着かなかった場合の可能性の存在である。姿は男性のものだがそれは一時的なものであり、ユニゾンによる融合が完全に完了してる為、どちらの姿も本人なのである。やったね393、どちらでも楽しめるよ!(なお、その世界の未来は消されている模様)世界を救う方法を見つけたが、ソロモンの杖により行う事が出来ず、可能性を待ち続けていたトンデモだったりする。


橘 響/立花 響/立花 響/ガングニール

平行世界の『何か』で繋がりのある者達がその手を繋いだ結果生まれたトライトーン。その先へと進んだ者達。大切な人達を守るために立ち上がった彼らに敵はない(OTONAを除く)。ガングニールで繋がった彼らは、条件が揃えば世界の壁すら超える事が出来る。その条件は目的の一致。たったそれだけである。
ガングニール:ひびきのへやにあった『とくさつ』っていうのみたんだ!
ガングニールの気分次第で色々と変わる。つまり常に進化し続けるのだと言う。
しかし、ガングニールが今回用意した決戦機能はただのエクスドライブではなかったのである。




残されたのは、夢か記憶か。
世界はどうなったのか、確かめる方法はもう存在しない。

「やぁ、我が英雄?夏休みは楽しめましたかなぁッ?」

変わってしまった歴史、守れなかった街。
もう戦う力は持っていない。

次回、『変わってしまった常識、手を繋ぐモノ』

感想お待ちしています。


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変わってしまった常識、手を繋ぐモノ

感想お待ちしております。


まるで鈍器か何かで頭を殴られた際に、記憶が飛んでしまったかのようだ。起動できたアプリに気を取られている間にもう一人の自分は消えており自分の部屋に居た。部屋を飛び出して、エレナの元へと向かえば「お帰りなさい。一体いつ帰ってきたの?」と言われてしまった。とりあえず彼女達の事を尋ねたが、返ってきたのは望んでいたものではなかった。

 

「何言ってるのお兄ちゃん。響ちゃんはアニメのキャラクター(・・・・・・・・・・)でしょ?」

 

エレナは忘れていた。いや、もしかしたら最初から知らなかったのかもしれない。あの戦いは痛みはあったものの、自分が見ていた夢だったのかもしれない。夏休みが短くなっているのは、きっとあの事故に巻き込まれて入院していたからだったのだと。きっと長い夢を見ていたのだろう。そうでなければ、完全聖遺物が意識を持つなどあり得るのだろうか?

 

「きっとまだ疲れてるんだよ。昨日もお姉ちゃんの仕事場に連れて行かれたんだから。バイトも休みなんだから、ほら。ゆっくり休んでね」

 

多少強引に身体を反転されて部屋へと戻る。エレナの言う通りアリサねぇちゃんの相手をして疲れていたのかもしれない。ベッドへと倒れて、枕へと手を伸ばす。そんな時だった。手に入れた記憶のないモノが枕の下から出てきたのは。

 

「...ガングニール」

 

狙いを枕からガングニールへと変更し引き寄せる。見覚えがあった。夢の中でユニゾンを行う際に使用していた聖遺物の欠片。ペンダントになっている。スマホへとガングニールを近づけるが、画面へと吸い込まれていく様子はない。これはきっと、自分が頼んでいた奏者全員のアームドギア型ペンダント兼ストラップの一つなのだろう。アリスに頼んだのは覚えているが、完成したという知らせは貰っていない。メッセージアプリを使い、みんなのグループへとコメント送信する。しかし、日曜日なのに誰も返事をよこさない。待てばいいのだろうが、このまま家に居るもの我慢ならない。とりあえず外に出ることにした。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

今日も天気が良い。既に夏休みは半分をきり、残り僅かだと考えるのが妥当であろう。目的もなく街を行く。夢で見た光景は、それが現実で起きたことではないことをしっかりと物語っていた。

 

「ゲームセンター、か...」

 

確か風間さんと出掛けた場所で、初めてトライトーンを使用した場所でもあったはずだ。夏休みで日曜日だからか、平日とは比べ物にならない程に賑わっているそこへと足を進めようとしたが、出入り口から館内の冷気に当てられ、その向きを修正する。

 

「天井が落ちてくるのは、勘弁」

 

暑いがデパートへと足を延ばす。人混みを普段は避けているが、今なら格好の隠れ場所だ。着ていた灰色のパーカーのフードを少し深くかぶり、ベンチへと腰掛ける。両脇のヒトの流れから、天井のガラス越しの空へと目をやる。流れていく雲は少なく、今日は青空を何処からでも見ることができるだろう。ぼんやりと眺めていると、後ろのベンチへと誰かが腰かけたのが分かった。

 

「やぁ、我が英雄?夏休みは楽しめましたかなぁッ?」

 

その言葉が誰から誰に向けて掛けられているのかが理解できた。理解できてしまった。ベンチから一気に距離を置くためにその場から飛び出す。

 

「Balwisyall Nescell gungnir tron」

 

デパート内に響いた聖詠。シンフォギアの起動に必要な胸の歌を歌った人物はギアを纏いこちらへと振り返る。

 

「立花、響...」

 

「ざぁんねぇええんっ!!!!私はタチバナヒビキではなぁあああぁいッ!!!!」

 

多少のけぞりながら叫んだために、周りの人達がこちらに気が付いたのかスマホのカメラをこちらへ向けている。きっとコスプレか何かだと勘違いしているのだろう。逃げるように声を上げようとするが目の前のタチバナヒビキに止められてしまう。

 

「おっと、そのお声はこの民衆には勿体無い。ここは私がどうにかしましょう。ヘアッ!!!」

 

床へ殴りつけコンクリートのヒビが生まれる。それは次々に広がっていき、デパートは崩壊を始めた。逃げ纏う人、泣き叫ぶ少女、祈り出した老人の声をかき消すようにその場で高笑いを始めるヒビキ。次の瞬間、デパートは完全に崩壊した。

 

「ドクター、ウェルゥうううううう!!!!!!!!」

 

この日、世界は知ることになった。二次元の存在であった人物が現実に現れた事による常識の崩壊を。




9月13日

タチバナヒビキに共通する彼女らの誕生日。基本的に作中ではまともに祝うことができないのがほぼ常識と化しているとも言えよう。


ジョン・ウェイン・ウェルキンゲトリクス/ヒビキ・タチバナ

この世界におけるウェル博士。日本のアニメが好きなヤベーヤツ。スマホに現れたソロモンの杖を様々な曲を流すことで起動させたことがある。スマホを奪われた際に、ガングニールの欠片を入手しており、自ら望んでガングニールと一体化した。その姿は己が憧れた英雄である立花響そのものであり、身体能力自体は本編G時の『人を辞めている』と評価されるタチバナヒビキそのものである。


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9月13日、それは何時も

カイザ!カイザ!カイザ!

...え、ビッキーの誕生日?
はて、上手く祝えたことあったけなぁ(AXZ再視聴中)


改めてこの世界が現実なのだと思い知らされる。あの日以来、ニュース番組はあのデパートに現れたコスプレをしている少女についての話題で持ちきりだ。初めは、地震だと報道されていたが、ウェルがデュアルウイングズのライブ会場を襲撃し、被害が出たことで変わってしまった。今までの常識を覆す程の破壊力を持った拳は、忠実に原作を再現していた。ネットでは現在もなお、討論が繰り返されているらしい。

 

ファストフード店内で一人、ストローをくわえる。吸い上げた甘くシュワシュワした黒い液体は、喉に少し違和感を残して通っていく。スマホで開いていたニュースの記事を閉じ、送られていたメッセージを確認する。今日は自分の誕生日の為、家は綺麗に飾り付けられている事だろう。追い出した本人のメッセージには「17時までには帰ってくること!!」とエクスクラメーションマークが文字とは違うフォントで打ち込まれている。それは彼女が大切な事を伝える際に多用するものだった。

しかし、現在時刻はその約束の帰宅時間よりも2時間以上早い。どうしようかなぁと外を眺める。天気は晴れだが行きたい場所もなく目的もない。仕方なく席を立ち、ゴミを処分して店から出る事にした。

 

 

時計を確認することなく道を行く。あまり来ない商店街を抜けると音大が見えた。高校の様にも見える校舎は何処か見覚えがある。そういえばこの近くには美味しいと評判のお好み焼き屋があるらしい。帰宅すれば誕生会だが、無性にその店が気になってしまった。探してみるとしよう。

 

「あっ、我が英雄だ」

 

背後から聞こえた声に振り向けば見覚えのある少女が居た。この辺りでは見かけない制服を着た彼女は自分の両肩を力強く掴むと一気に自身へと引き寄せた。

 

「迎えに行こうとしてたんです。良かった、ここで会えて」

 

眼を離せない。至近距離の為死角はなく、彼女の顔のみが存在している。

 

「だって今日は私達(・・)の誕生日だから」

 

突如として土煙が上がる。先程までの彼女の姿はなくその場所には槍が、ガングニールが少し斜めに刺さっている。こちらに柄が向いており、掴めと言っている様に見えた。辺りを見渡したが煙で先が見えず、この空間が何処まで続いているのかは分からない。

 

「ガングニール...?」

 

柄を両手で掴みながら思い出す。もしあの夢の様にこの力を使う事が出来るなら、きっとここでウェルを止められるだろう。でも、その力を使うためには自分以外に複数の装者が必要である。

 

「取り敢えず抜いてみますか」

 

すんなりと抜けた槍を正面に構えまじまじと見詰めていると通知音が鳴った。送り主不明のメッセージにはこうあった。

 

「『トライトーン』ね」

 

確か昔、不協和音の中でも特に不快なものとして『音楽に潜む悪魔』と呼ばれていたコードの事で以前作曲関係で朝日さんや風間さんから聞いた事があったはず。

 

「...力、貸してくれる?」

 

ガングニールへと話しかけるように声を掛ける。反応はないがきっと肯定してくれているのだろう。

 

「おっ、と」

 

再び両肩に力が加わる。視界は先程と同じように響の顔しかない。

 

「私がホントに英雄になるために、1つになろう?」

「悪いけどそれは出来ない。僕にもやりたいことがあるからね」

 

両ポケットからスマホとキーホルダーを取り出し画面に突き刺した。




...あれ、もしかして来年の9月13日?(シンフォギアライブ開催日)

感想お待ちしています。


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さよならを君に

今迄簡単にできたソレには代償があった。
そう、力には何時も代償が付き纏っているのである。





そう、『正義を信じて、握り締めて』


スマホの中には誰もいない。それでもシンフォギアを展開できたということは、何かがそこに存在している事に変わりはない。

 

「何で...どうしてギアを纏えるの!?もうこの世界に立花響(ワタシ)はいないのに!?」

 

「やっぱり知っているんだな」

 

ウェルが知っているという事実はこの際どうでもいい。それよりもここで彼女からガングニールを除去出来ればこの世界がこれ以上壊れるのを防げるはずだ。軽く拳を構え両手を引き、同時に背後へと両腕のハンマーパーツを伸ばす。そして一気に彼女へと駆け寄り両拳を突き出す。

 

「ッはぁ!?」

 

ギアを纏っていない彼女の腹部に直撃したが感触が変だった。この感触は人間のものではない。やはり彼女はもう進み過ぎているのだろう。以前追い詰められた時もそうだった様に、未だ浸食されているのだろう。

 

「....ハハハ、流石だよ(ヒビキ)。でもそんなの、へいき、へっちゃらだよ!!」

 

「その台詞は君のものじゃない、彼女のものだッ!!」

 

彼女は片手を伸ばした。その手は鉱石そのものであり、突き刺さった壁が抉られた。どうやら彼女には取り込める能力があるようだ。接近戦は危険かもしれない。

 

『ぎゅっと握った拳ッ1000パーのThunder!!!』

 

「歌、だと!?」

 

ここまで自分は歌ってこなかった。口ずさむことはあろうと、スマホの中の彼女たちが代わりに歌ってくれていた。だからこそ戦いに集中できていたんだ。でも、もう彼女達はいない。ならば誰が歌うのか。僕は橘響だ。立花響じゃない。それでもこの街を。未来を守りたい気持ちに嘘偽りなんてない。自分の欲望そのものだッ

 

「その歌は私の、タチバナヒビキのものだぁああああッ!!!!」

 

『道なき道...答えはない、君だけを守りたいッ』

 

歌いながら彼女の両腕を交わし、反撃のタイミングを探る。一度伸ばした腕は戻るのに時間がかかるみたいだ

 

『響け響けッハートよ!!!熱く歌うハートよッ!!!!へいき、へっちゃらッ覚悟したからぁああああああ!!!!!!』

 

「考えなしの拳は、よけるのも簡単だよ!!」

 

伸びる鉱石の数が増え、彼女の着ていた制服はその形を変えた。こちらの拳は本体に当たらなくても伸びてきたクリスタルを次々と砕いていく。

 

「それも狙い通りィイイイイ!!!」

 

『ぐべらっ!?」

 

胸部に衝撃を受けたまま壁へと押し付けられる。鉱石が身体を包み始め、早く脱出しないと取り込まれてしまう恐れがでてきた。

 

「ぅぅ...たとえ、命かれても、手を繋ぐぬくもりがぁ』

 

「まだ歌うの?もう無駄なのに?」

 

パトカーのサイレンが聞えてくる。誰かの怒鳴りつける声、泣き叫ぶ子供の声すらも、僕の歌でかき消していく。

 

英雄(ヒーロー)なんてなりたくないッ想いを貫け、3、2、1、ゼロッ!!!』

 

「君が否定してどうする!?君がこの世界での我が英雄(ヒーロー)でしょう!!!」

 

そんなこと覚えてない。僕は橘響だ。立花響は平行世界の僕でしかない。それを同一視するのは間違っているッ

 

『そんな、ものが、いらないッ世界へとッ!!!』

 

「逃がさないっ!このまま一つになれば何も問題なぁああああいッ!!!」

 

砕いて脱出しようとするが再生が速すぎる。拳が、ドリルの回転が間に合わない。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

スマホの中には誰もいない。一体僕は、誰とユニゾンしていたのだろう。

 

『ひびき、おきて。さいごのたたかい、だよっ』

 

声が聞こえる。憶えている。彼女だ、今僕に力を貸してくれているのは。

 

『このまま、のまれちゃうよ?』

 

僕だけじゃもうダメなんだ。僕じゃ彼女は止められない。

 

『いま、うぇるからワタシ(・・・)をあつめてるから...』

 

僕はタチバナヒビキじゃない。守りたいものがあっても、その手段を手に入れられなくて、奪われる世界のタチバナヒビキだ。

 

『ホントに、それでいいの。ワタシを助けてくれたあなたはどこに行ったの?』

 

あれは、彼女達が僕に力を貸してくれていたからで...

 

『あなたはワタシと似ていたんだ。大切なものが奪われた時の表情が。逃げずに助けようとした時の目が』

 

何が言いたいのさ、僕にはもう__

 

『未来を置いていくの?』

 

...置いていきたくない。でも

 

『ワタシ達が力を貸すよ。だから、大切な人を失わないで。守ってみせてよ、ワタシの大切な人』

 

...ああもう、君は変わらないね。

 

『負けたら、許さないから。必ず帰ってきてね』

 

勿論、君たちの力があれば『ワタシ達の力、だから』

 

『響も入って、ワタシ達なんだ。だから、負けない。負けられない、でしょ?』

 

僕は何かできたのかな?

 

『守り切ったじゃん、大切な人を』

 

そうだね、それじゃあ行ってくる

 

『...うん』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『さよなら、ひびき』




いよいよ、最終決戦決着の時ッ!
響君に力を貸してくれたのは一体誰か。それはもうお分かりのはず!
さぁ、この物語に終幕を下ろす時がきたッ!!!

次回、『世界に響く歌がある』

世界はもう重ならない___


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世界に響く歌がある

お待たせしました!
遂に、決着の時!!


ウェルが生成、操っていた鉱石はその主の元を離れ、その形を保てなくなっていく。彼を取り込もうと浸食を続けていたものも同じ様に。

 

「何、何が起こっているの!?」

 

ボロボロと砕け、灰の様に細かくなっていく鉱石は風に巻き上げられて視界を遮った。

身体も先程とは違い重く、動かしずらくなっていた。

 

「早く、一つにならないとなのにっ」

 

彼女には、彼にはダレ(・・)が邪魔をしているのかが分からなかった。それもそのはず、自らの中にいる存在がその邪魔を行っているのだから。

 

トライトーン!

 

「...ハハ、やっぱり凄いね私」

 

SG-r03’ Gungnir(シンフォギア  ガングニール)

 

拘束具として機能していた鉱石はその役目を終えたかのように消えていた。壁から出てくる彼は女性には変化せず、男性のままグングニル・ギアを纏っていた。ウェルは確信した。彼は英雄になったのだと。そしてそれを取り込む事で自らも英雄になれると。あの日、アニメで見た彼女達の様に。あのような自分(ウェル)にはならないために、自ら融合症例になったのだから。

 

「君が僕に拘る理由を聞いてもいいかな?君にここまでさせて、この街に危害を加え続けたその行動力の源は何なんだい?」

 

ウェルにとってそんなもの最初から最後まで変わっていないし変わることもないのだ。何故ならばそれは___

 

 

 

 

 

 

『‘愛’ですよっ!!!!』

 

『何故そこで‘愛’ッ!!!!』

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇

 

髪が伸びていて少し邪魔に感じるけどそこは今は関係ない。彼女がウェルだということを改めて確信できた。だからこそ目の前にいるウェルを止めることにだけ集中するんだ。ガングニールがトライトーンを使えるようにしてくれたけど、時間制限があるのだろう。早めに決着をつけなくてはッ

 

「あれ?」

 

胸部にあったスマホが無くなっている。今までなかったマイクユニットがその場所にあるのだ。理由はわからないが、姿は変えられないという事だろう。取り敢えず両腕のアーマーからそれぞれ槍を形成し、双槍を使いウェルから次々に鉱石をはぎ取っていく。動きが鈍い為、そこまで時間は掛からないだろう。

 

「がぁッ!?うあぁぁあああああ!!!!!」

 

全身から結晶を作り出し自ら鉱石になろうとするのを止める為槍を突き立て振り払う。先程までとは異なり動かない為、全力で削り出す。

 

「なぁんてねっそうすると思ってたよ!!」

 

削り出した彼女の手から伸びてきた結晶が槍ごと右腕を飲み込んでいくが、突然結晶が粉々に粉砕された。

 

「なッ!?」

 

「そこだっ」

 

飲み込まれた際に槍が消えてしまった為、残されたものを両手で持ち薙ぎ払う。

 

「がはっ、うごぉッ、ぐぴゃっ」

 

地面に何度も衝突しながら転がっていくウェル。飛ばされた衝撃で砕けた鉱石が彼女までの道筋を作っている。近づき槍先を彼女の首元に持っていく。

 

「もうこれ以上、自らを危険に晒す必要はないんだよ」

 

「う、あ、ぁ」

 

しかし、彼女は諦めていなかった。粉末にまで砕けた鉱石をかけてきた。

 

「チャンスは、けっしてにがさなぁいイ!」

 

全身から結晶を伸ばしあっという間に彼女と自分を包み込んでしまう。しかし、結晶は砕けた。

 

「うぇあ、何で?胸の歌がぁ、聞こえないぃぃ」

 

結晶が砕けたのと同時に彼女のギアは解除され、出会った時の制服の姿へと戻っていた。

 

「おっと」

 

身体に急に違和感が生まれたと思ったら、ギアが解除されてしまった。ポケットから微かに震えを感じ、取り出すとスマホの画面にひびが入り始めていた。

 

『我が主、今までありがとうございました』

 

声の主に覚えはない。だけどダレのものなのか。それは簡単に分かった。

 

『ガングニールが複数集まることで疑似的に完全聖遺物となり、私と共に対消滅する事でこの世界を元に戻します』

 

「...でもそれは」

 

『良いのです。友人を置いていくのは心苦しいですが、私はこの結論を選んだのです』

 

この子が自ら選んだことなのだから、それを止めたくはない。でも彼女達に犠牲になってほしくない。

 

「ラル、もう止められないんでしょ?」

 

『...はい。既に消滅と世界の改変を同時に行っています』

 

ガングニールのペンダントが帰ってこなかったのはそういう事なのだろう。既に彼女は旅立ってしまったのだ。

 

『如何やら、そろそろ時間のようです』

 

「今までありがとうね、ラル」

 

『ただの聖遺物がしっかりとした自意識を持ち、死ぬところまで来たのです。このような事例は、今まで一度もありませんでした』

 

スマホのひびが次々に増えていく

 

『これからも守り続けてください。貴方の帰る場所を。大切な人たちのいる場所を』

 

「ああ、約束するよ」

 

画面全体が砕けてしまった

 

「ラル」

 

返事はもう聞こえない




ラル/ギャラルホルン

世界を融合させ、最適を探し続けた動ける完全聖遺物。友人はアダム、主人は響。世界に囚われたモノであり、全ての原因でもある。疑似的に完全聖遺物となったガングニールと共にこの世界から消滅した。その際に今まで融合してきた世界を分離し元に戻している。

ガングニール

ウェルから取り込んだ欠片、今までの複数人の装者によって集められたフォニックゲインによって疑似的に完全聖遺物となった。その力は装者同士をガングニールで繋げられる程にまで大きくなっていた。

橘 響

今作の主人公にして男の子。最後は自らの力で戦った哲学兵装の持ち主。会えていない最後の幼馴染に会いに行くこととなる。

ウェル/タチバナヒビキ

ガングニールは抜き取られたが、肉体そのものは立花響の物となってしまった。


次回、後日談『元に戻った新学期、そして』


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元に戻った新学期、そして

お待たせしました。

ゆっくりにはなりますが、第二部が始まります。
これからもお付き合いくださいませ。


僕の誕生日、あの日に世界は元に戻った。ラルとガングニールが旅立った後、気絶したウェルを背負って警察まで連れていき、彼女は逮捕された。今は警察病院の方で療養中だろう。かなり体に負荷がかかっていたためか話せず、意識が戻った今も事情聴取が行えていないらしい。

外を見れば、山の表面が緑から変化し始めているのが見えた。机の上に広げた教科書には目を向けず、只々その景色を眺める。

警察に対して襲い掛かってきたところを返り討ちにしたのだと話した結果長時間拘束され、ボロボロの身で帰った時にはみんなに心配をかけてしまったようだ。僕の誕生会は一週間後に延期され、それぞれの日常に一旦戻っていった。新学期に入り、遂にそれぞれの道へと進む覚悟を決め始めたクラスメイト達は真剣に黒板と向き合っている。

 

「よし、今日はここまでだ。ちゃんと復習しとけよッ!」

 

あっという間に時間は流れ、先生の言葉で授業は締めくくられた。次の授業は自習だから、このまま外を眺めていようか。

 

「よっ、何やってるんだ?」

 

天羽、いや奏さんが話しかけてきた。

 

「昨日のことを思い出してたんだよ。どうなるのかなぁって」

 

「あ~、ジョンとかいう元男のことか」

 

彼女が捕まってすぐに情報が拡散され、もはや知らない人がいない程にまで広まってしまっている。元々個人情報が漏れていたこともあって、話題としては十分すぎるのだろう。

 

「それもあるけど」

 

「橘君、ずっと外みてたみたいだけど何見てたの?」

 

「あ、翼」

 

少し思い出していただけだよと返し、窓へと視線を写す。校門に誰かがいる。帽子を被った全身スーツの長身の男性が、こちらを見ている。覚えはないが、違和感はあった。

 

「なんだ、アイツ」

 

「誰か知ってるの、橘君?」

 

行かなきゃいけない気がする。あの男性に会える機会はもうないかもしれないと、身体が動き出していた。

 

「あちょ、響ッ!」

 

「ごめん、もし戻らなかったら早退したことにしといてっ!!」

 

授業開始直前のため人の少ない廊下を駆け抜け、階段を駆け下りる。靴を履き替え校門の外へと飛び出した。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

「ッハァ...どこに行ったんだろう?」

 

息を整えながら辺りを見渡す。まだ夏の日差しが無くなっていないのか、学校に居た時よりも眩しく、暑く感じる。

 

「公園?」

 

思ったよりも走っていたようで近所の公園まで来ていたようだ。時間帯的に授業は終わっていない為、公園には僕以外誰も居なかった。入口から一番近いブランコへと腰掛け考える。あの男性は何者だったのだろうか。

 

「うげぇ...」

 

振動が気になりスマホを見れば着信が来ていた。現在進行形で。メッセージには「どこに行くんだ?」とか「先生起こってたよ」等と書かれている。荷物を置いてきている為、放課後は説教コース確定だろう。

 

「おやおや、割れてしまったね。必要かな、買い替えが」

 

顔を上げれば、目の前に先程の男性が立っていた。日本人とは思えない高身長に帽子を被った全身白いスーツの男性。間違いなく追いかけていた人物だ。

 

「あ、いえ。このスマホ買い替えたくないんですよ」

 

「おや、良いのかい。そのままで」

 

「はい。何だか、このスマホじゃなくちゃダメなんだって思っちゃうんですよ。変ですよね」

 

あの日割れたスマホ。きっとアイツとの戦闘で割れてしまったのだろう。でも買い替える気にはならなかった。使えなくなったわけではないから、きっとこのままでいいのだろう。

 

「じゃあ貰うよ。友の為に」

 

「え」

 

スマホを奪われてしまう。突然すぎる行動に対して動くことは出来なかった。

 

「残すわけにはいかないんだ、友の欠片を。忘れて欲しいんだ、君にもね」

 

「ま、待って下さい!何言ってるのか全く分かりませんッ!?」

 

ブランコから立ち上がりスマホを回収しようとするが、男性は近くの時計塔の上に飛び移った。人間とは思えない身体能力に驚いている間に、男性はその塔から飛び降りて去っていく。

 

「忘れるんだ、早く。日常を壊したくなければね」

 

我に返って、その男性を追いかけて曲がり角を曲がるとそこには誰も居なかった。




ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
また何処かでお会いできる日を楽しみにしていますね。
それではッ!


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第二部第一章 残暑の中進む前編
奪われたスマホの行方


お久しぶりですね。

第二部、スタートです。


スマホを奪った男性を見つける事が出来ずにその日は終わりを告げた。あの後、学校に戻ったら先生に捕まり少々説教を受けることとなってしまった。黙って飛び出した事を謝り、本日の学校生活は終了した。

鞄のボールチェーンが静かに揺れている。

ふと、あの男性の言葉を思い出した。友の為にって一体?それに忘れて欲しいって...

 

「スマホのヒビを気にしていたよね...」

 

僕のスマホとあの男性には何か関わりがあると思われる。でも、友って一体誰の事を指しているのだろう?

僕のスマホは画面が割れているし、彼がロックを解除して使えるとは思えない。

理由を考えれば考える程に、奪った理由が全く見えてこない。

共通点はスマホ、だろうがあのスマホは...

 

「ラルと、ガングニール...」

 

動く完全聖遺物と、相棒といえる聖遺物の名前が思い出される。

まさか、あの子達と関係があるのか?

だとしたら、彼は消えてしまった作品を覚えているということになる。

または、彼はこちらの世界の住民ではないのかも知れない。

どちらにしても、彼とスマホの共通点は見付かった。

でも、今どこに居るのだろうか?

 

「...確か、スマホの位置を検索する方法があったはずだ!」

 

ゆっくり歩いていた足を家に向け、走り出す。家にあるパソコンを使えば、まだ電源の生きているであろうスマホの位置を発見できる可能性に掛けるしかない。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

スマホの位置はわかった。スマホを持っていかれたあの公園に、その反応はあった。

残された熱に身体を侵されながら、全力で駆け抜ける。確認してから反応は動いていない。

動いていないのだ。辿り着いた公園の真ん中には、帽子を被った全身スーツの長身の男性が、スマホを静かに見つめている。

 

「あの!」

 

大きな声で彼に声をかける。彼に僕はどう写っていただろうか。

 

「やぁ、来てしまったんだね。ここに」

 

息を整えながら近付いて行く。彼の表情は悲しそうだった。

 

「スマホを、僕のスマホを返してくださいッ」

 

奪われた僕だけど、何故かそう言わなければいけない気がした。大切な事だろうと誰かに語りかけられているような気がして。

 

「出来ないよ、それはね」

 

彼の返事は予想通りできないの一点張りだった。なら、もう一つ確認しなければならない。

 

「...どうして貴方は、今日この場所から動いてないんですか?」

 

「気付いていたのか、やはり」

 

深々と帽子を被り彼は視線を逸らした。スマホの反応は、奪われてから一度もこの公園から移動していない。残暑残る夏の日差しがじりじりと照りつけてくる昼間に公園に数時間居るのはもう、

 

「この場所に、意味がある...」

 

「厄介だな、本当に。できないのさ、僕には。君を害することが」

 

彼はスーツの胸ポケットから僕のスマホを取り出し、画面を見つめている。ひび割れている液晶が光が様々な方向へと反射している。

 

「知っているかい?夏の秘密を」

 

「夏の秘密?」

 

「世界を歪ませるのさ、暑さは」

 

暑さ?世界を歪ませるって...

 

「昼間は暑く、夜は涼しい。世界が変わったように」

 

何故か立っていられなくなり、その場にしゃがみ込んでしまう。

 

「な、何を...」

 

「時間がかかったのさ、残暑だからね」

 

その場で動けなくなってしまい意識が徐々に薄れつつあった中で彼の声だけが耳に残る。

 

「また会おう、我が友よ」




夏は次元が歪む。
その理由は、過去の日本にある。昼は暑く、夜は涼しい。
夏の一日に起こる大きな気温の差は、過去の人々に妖怪等の存在を彷彿とさせた。だから、夏にはそう言った伝承が多いのだと考えられる。祭りが多いのもその為である。

(とある歴史学者による平行世界についての考察より)


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