こっちあっち…いや逆だ?!×名探偵コナン~新マリオネット行進曲~ (Dr.クロ)
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DETECTIVE.Ⅰ~Uからの依頼~

ある日、紫が訪ねて来る。彼女の持ちかけた依頼が事件へと導く


とある場所

 

そこである計画が立てられていた。

 

???「もうすぐ……もうすぐ私の計画が動き出す……」

 

その口から出た言葉には喜びがあふれ出ている。

 

やっと、やっと出来ると待ち望んでいたと言う歓喜で溢れている。

 

そんな人物を別の人物が笑ってみていた

 

???2「(ククク……愚かなマリオネットよ。貴様は我の手の中で躍り続けるのだ……我の力のために)」

 

目の前の笑う人物を内心見下しながら笑う…

 

 

 

 

とある日、伊御達はハチポチで集まっていた。

 

ちなみに集まっている理由は伊御の目の前にいる紫により呼び出されたのだ。

 

飲みに来ていたバディアも耳を傾けていた。

 

伊御「お久しぶりですね紫さん」

 

紫「ええ、あの鬼の国の事件以来ね」

 

挨拶する伊御に紫は笑って言った後にさてと…と真剣な顔で机に肘を付いて腕を組んで伊御達を見渡す。

 

紫「あなた達に依頼したい事があるのよ」

 

榊「依頼ってどんなのだ?」

 

正邪「また厄介な依頼なのか?」

 

半目で聞く正邪に厄介って言う所は正解ねと肯定してから紫は切り出す。

 

紫「皆はクローバーヒルズって建物知ってるわよね?」

 

咲「クローバーヒルズって言うとあのウォーターフロントの中心に建設された、超高層展望ビルのことよね?」

 

京谷「ああ、確か一周年になるんだよな」

 

出てきた建物の名前に咲が確認し、京谷もチラリと見たニュースを思い出して言う。

 

ケーキを食べていた針妙丸は首を傾げる。

 

針妙丸「ウォーターフロントってなに?」

 

正邪「簡単に言えば近くの海に人工的に作った場所だ」

 

姫「そこに建てられた大きなビルがクローバーヒルズです」

 

へぇ~と感心する中でコーヒーを飲んでいたバディアが顔を向ける。

 

バディア「それで?そのクローバーヒルズと依頼がどう関係しているのだ?」

 

紫「実はそのクローバーヒルズを作った社長さんからの依頼でね」

 

佳奈「社長さんから?!」

 

驚きの声をあげる佳奈にそうよと答えた後に紫は困った顔をする。

 

紫「ただね。丁度別の依頼と被って、他に頼む子も予定があって来れないからあなた達にお願いしたいの」

 

つみき「……そうなんだ」

 

真宵「それでどんな内容の依頼なんじゃよ?」

 

紫「あんまり大きい声で言ってはダメよ…」

 

そう言って紫は真剣な顔をし、誰もが息を飲んで言葉を待つ。

 

紫「……どうやらクローバーヒルズでテロが起きる可能性があるみたい」

 

伊御「……え?」

 

バディア「……なに?」

 

出て来た言葉に誰もが驚く。

 

紫「それをやるのは解放の花、奴らの構成員には危ない奴らもいるから何かあった時の為の対処をしてほしいの」

 

針妙丸「テロってなあに?」

 

伊御「お金を得ようとしたり、復讐のためにとか、自らを広めようとする際、暗殺・暴行・破壊活動などの手段を行使することか認める主義の事をテロと言うんだ。針妙丸に分かり易く言うなら一揆を大きくした感じかな」

 

そう言う紫の言った中の単語の意味を聞く針妙丸に伊御が答える。

 

針妙丸「お、恐ろしいことなんですね」

 

正邪「まあな。だがそれよりもっと怖いのが……それに感化された一般人なんだよな」

 

そう言われて針妙丸はイメージして…ぶるりと体を震わせる。

 

紫「さらにあなた達に頼むのはもう1つ、解放の花がガイアメモリを所持していると言う情報よ」

 

榊「なに?!」

 

真宵「ガイアメモリじゃと!?」

 

出て来た事に誰もが驚く中でバディアは成程なと言って紫を見る。

 

バディア「要するに我らにそいつらの対処を頼みたいという事か」

 

紫「ええ、そうよ」

 

頷く紫にこれはまた大変だなとバティアは呟く。

 

紫「まぁ、先方には八雲紫の代役と言えば通して貰える様にしてるから、そこらへんは安心してね。ちなみに入場料とかは基本的に大丈夫だけど食事関連は自費よ」

 

つみき「……今回の敵はテロリストか……」

 

姫「あわわわ……大丈夫でしょうか;」

 

そう言う紫のに呟くつみきのに姫は慌てる。

 

伊御「確かに大変だけどみんなで立ち向かえば大丈夫だと思うよ」

 

正邪「そうだな。鬼の国でもそうだったし」

 

そう言う伊御と正邪のに紫はふふっと笑った後にポンと手を叩く。

 

紫「あ、そうそう。正邪、あなたに渡したい物があるのよ」

 

正邪「ん?私にか?」

 

真宵「一体何を渡すんじゃ?」

 

これよと紫はテーブルの上に渡すものを置く。

 

それは小槌の中央上部分に刃の様なのが付けられており、さらに反鬼の顔が描かれた手裏剣が置かれる。

 

榊「なんだこりゃ?」

 

真宵「なんだか打出の小槌に似ているんじゃよ」

 

紫「そうよ。これは打出の小槌をモデルにして作った打出之小槌刀《うちでのこづちとう》よ」

 

訝しむメンバーに紫は説明し、手裏剣を取り付けて廻してから地面とか空中を叩けば陣が現れてあなたの新たな力になると正邪に言う。

 

正邪「へー、そうなのか……」

 

針妙丸「良かったね正邪!」

 

打出之小槌刀《うちでのこづちとう》を手に取る正邪に針妙丸は笑って言った後に紫が立ち上がる。

 

紫「それじゃあ私はこれで…頼んだ側とはいえ、無茶はしないでね」

 

伊御「うん、分かりました」

 

姫「ふぁ、ふぁい!」

 

そう言ってあ、これ皆の分のねと自分の注文したのにバディアや伊御達の飲み物分のを支払って出て行く。

 

榊「にしても解放の花か……」

 

京谷「確かどんな組織だったっけ?」

 

見送ってから腕を組む榊の後に聞く京谷に真宵がパソコンを取り出して調べる。

 

真宵「えっと確か……お、あったんじゃよ」

 

出て来たのを誰もが覗き込む。

 

バディア「なになに……解放の花とは黒瀬 靖志をトップとしたテロリストでトップである黒瀬靖志に幹部達はそれぞれ花の名前をコードネームとしている。どれ位の構成員で出来ているかは謎との事…ただ幹部には有名な存在がいるらしい」

 

伊御「ようするに…黒瀬靖志を止めないと幹部を捕まえても再起される可能性があるみたいだね」

 

つみき「……彼らは何が目的のテロリストかしら?」

 

解放の花について言うバディアに伊尾は腕を組んでそう呟いた後につみきは首を傾げる。

 

真宵「残念じゃけどそこまで書いてないみたいじゃな」

 

榊「そうか……」

 

佳奈「このテロリストはどんな事件起こしているのかな?」

 

困った顔で言う真宵にうむむと榊は唸る中で佳奈は探すがめぼしい事件はない。

 

つみき「秘密裏に動いているからないみたいね」

 

正邪「とにかく、行ってみるしかないか」

 

伊御「そうだね」

 

みいこ「それじゃあ行きましょうか」

 

そう言う伊御達にみいこはそう言う。

 

榊「こんなとき、コナン達が居ればもっと助かるんだけどな」

 

みいこ「そうねぇ」

 

そう呟いた榊だったがまさかそのコナン達もとある事でクローバーヒルズに向かっていた事を知るのは着いた時にであった。

 

 

 

 

数分後

 

伊御「着いたな」

 

榊「ああ。にしてもスゲェなぁこのビル」

 

駐車場に車を止めて、目の前にそびえたつビルを見ながら呟く伊御の後に榊は感嘆の声をあげる。

 

佳奈「確か上から見るとクローバーの形をしているからクローバーヒルズって言うんだっけ?」

 

真宵「そうなんじゃよ。パンフレットにもそう書いてあるんじゃよ」

 

そびえたつビルを見ながら言う佳奈に先ほど手に入れたパンフレットを見ながら真宵は答える。

 

針妙丸「おっきいねー!」

 

正邪「そうだな少名姫。特に少名姫にとってはこの高さは滅多にないだろうしな」

 

感嘆の声をあげる針妙丸に正邪はそう言う。

 

正邪としては姫だけで言うのがしっくり来るが同じ名前の姫がいるので針妙丸の苗字である少名に姫を付けてそう呼んでいる。

 

姫「確かの鬼の国にはあまりなかったですからねそんなの」

 

伊御「あったとしてもあの城だけだったしね」

 

そんな針妙丸にくすりと笑って言う姫に伊御は思い出しながら苦笑する。

 

バディア「それにしてもクローバーか……」

 

つみき「……少し不吉ね」

 

針妙丸「え?なんで?」

 

そんな中、バディアの後のつみきの言った事に針妙丸は首を傾げる。

 

つみき「……クローバーの花言葉は主に幸せとかってのがあるけど実は復讐って言うのもあるのよ」

 

針妙丸「それは…確かに不吉だね」

 

なぜ不吉と呟いたかの理由を言うつみきに針妙丸は顔を顰める。

 

すると周りを見ていた伊御は見覚えのある姿が目に入る。

 

それはかつてとある事件で出会った江戸川コナンであった。

 

他にも毛利蘭や父親である毛利小五郎もいる。

 

伊御「あれって……コナン君たちじゃない?」

 

正邪「ん?」

 

言われてメンバーも伊御の見ている方を見てあ、ホントだとバディアと針妙丸を除いて声を漏らす。

 

針妙丸「誰?」

 

姫「前にある事で関わった人たちなんですよ」

 

真宵「あの時も大変じゃったねぇ」

 

首を傾げる針妙丸に姫は説明して真宵はしみじみと呟く。

 

バディア「んでどういった奴らなんだ?」

 

伊御「名探偵とその仲間たちってところかな」

 

一応知ってはいるがそう聞いたバディアはふうんと小五郎と蘭を見る。

 

榊「んであの蘭って人は空手の使い手でとっても強いんだぜ」

 

京谷「優勝したくらいだったからな」

 

ほほうとバディアが感心する中で蘭がこちらに振り向いてあっと声を上げる。

 

蘭「つみきちゃん達じゃない!久しぶり!」

 

そのまま伊御達へと駆け寄り、笑顔で言う。

 

つみき「……お久しぶり」

 

姫「お久しぶりですね!蘭さん!」

 

小五郎「あ、お前等」

 

コナン「伊御お兄ちゃん達だ。久しぶり!」

 

それに小五郎とコナンも気づいて近寄る。

 

彼らと共に2人の男女がいた。

 

伊御「お久しぶりです毛利さん」

 

榊「よっ、久しぶりだなコナン」

 

コナン「うん、久しぶりだね」

 

小五郎「久しぶりだな…お前等も来ていたのか…」

 

代表で挨拶する伊御と榊にコナンは頷き、小五郎もメンバーを見て針妙丸とバディアを見て増えてるなと心の中で呟く。

 

針妙丸「は、はい。ちょっと用事……」

 

正邪「そう言う毛利探偵はなんで此処にいるんだ?」

 

言おうとした針妙丸を正邪は遮って逆に小五郎達がいる理由を聞く。

 

もしも口が滑ってテロが起こるなどと言うのが明らかになったら逆にやばいと判断してのだ。

 

小五郎「依頼だよ依頼。ここの社長に依頼されてな」

 

伊御「依頼ですか?一体どんな依頼を?」

 

聞く伊御に小五郎はチラリと一緒にいた男を見た後に確認する様に伊御達へ聞く。

 

小五郎「1つ確認させて貰うが、お前等は〝あの人”の依頼で来たのか?」

 

あの人と言うのに針妙丸は首を傾げるが伊御達は誰の事を指してるのか察して伊御が代表で頷く。

 

伊御「はい。あの人からの依頼で来ました」

 

小五郎「そうか……こりゃあこの依頼、一筋縄じゃいかなくなりそうだな」

 

肯定した伊御のに小五郎は顔を顰めた後に男へと顔を向ける。

 

小五郎「小沢さん。彼らもどうやら社長に依頼された人から派遣された子達の様です。一緒に連れて行ってもよろしいでしょうか?」

 

小沢「はあ!?見るからにあなたの娘さんと同じ高校生ではないですか!?見るからに中学生な子もいますし!」

 

そう頼み込む小五郎に小沢は驚いた様子で伊御達を見る。

 

榊「中学生な子って……」

 

京谷「針妙丸のことか?」

 

そんな小沢のに榊と京谷は針妙丸を見る。

 

小五郎「小沢さん。彼らに依頼した人物は我々探偵や警察から高い評価を受けているのです。そんな人物が送って来たのなら一緒に来た方が良いでしょう」

 

小沢「う、ぬ……分かりましたよ」

 

小五郎の真剣な表情に小沢は折れて同行を渋々許可する。

 

伊御「ありがとうございます毛利さん」

 

小五郎「お前らがいた方が色々と助かると思ったからそうしたまでだ」

 

正邪「それでも助かったぜ」

 

礼を言う伊御に小五郎はそう返し、正邪も礼を述べる。

 

話してる中で姫はメールを送っているコナンに気づく。

 

姫「誰にメールしているんですか?」

 

コナン「ちょっと灰原にね」

 

そうなんですか~と姫はほんわかしてるがそのコナンの行動が灰原や彼女と一緒に来ていた少年探偵団を救っていたのを知らなかった。

 

ちなみに時間帯は9時45分である。

 

建物に入った一同は小沢の案内の元、エグゼクティブフロアを歩いていた。

 

小沢「この先が社長のプライベートルームです」

 

小五郎「ほぉ、なかなかゴージャスなお住まいですな」

 

伊御「確かに高級感あるところですね」

 

説明する小沢のを聞いて小五郎は感嘆し、伊御達もフロアの高級感に同意する。

 

すると向こうから歩いていた女性がこちらに、特に小五郎と一緒にいた可南子に嬉しそうに近寄る。

 

????「可南子さん!ちょうどよかった!例のシステムが出来上がったんですよ!是非是非、見ていただきたいんですけど…」

 

可南子「あの……すみません、どなたですか?」

 

嬉しそうに声をかけて来た女性に可奈子は戸惑った様に聞く。

 

????「え?可南子さん?何かの冗談ですか?えと、正直……あんまりおもしろくないです」

 

可南子「ごめんなさい、でも本気なんです」

 

からかわれてると思ったのかそう言って笑う女性に可奈子は申し訳なく謝る。

 

冗談ではないと感じたのか戸惑いを隠せない女性に小五郎が話しかける。

 

小五郎「お嬢さん、可南子さんは記憶喪失に陥っているようなのです」

 

????「ええっ、本当ですか…!?……ってこんなおじさんが深刻そうな顔して私を騙す理由はないか」

 

それに女性は驚いた後にすぐさまそう言う。

 

小五郎「えぇ?ちょ、こんなおじさんって……」

 

伊御「あの、すみませんが貴方は?」

 

それに小五郎は言われた事に少し傷つき、伊御が女性に向けて聞くと女性はあ、すいませんと名前を名乗ってないのに気づく。

 

????「私はクラリッサ高嶺。このクローバーヒルズのネットワークを管理するオペレーターをしています!」

 

京谷「お、オペレーターって俺たちとほとんど歳変わらないのにか!?」

 

名乗った女性、クラリッサの言った事に京谷は驚き、真宵達も凄いと感心する。

 

そんなメンバーの反応にクラリッサは悪戯な成功した様な子供の様に笑う。

 

クラリッサ「それで貴方たちは一体?」

 

そんなクラリッサの問いに伊御達はそれぞれ自己紹介し、姫が先ほどクラリッサの言っていたシステムと言うのが気になって質問する。

 

姫「あの、さっき言っていたシステムって何なんですか?」

 

その姫の質問にクラリッサはよくぞ聞いてくれました!と楽しそうに笑って説明を始める。

 

クラリッサ「では早速この真実カードシステムの事を一から説明しますね!」

 

真宵「真実?」

 

正邪「カード?」

 

出て来た名前に誰もが首を傾げる中で小沢が苛立った様子で突っかかる。

 

小沢「クラリッサ、今、僕達は少し急いでいてね!社長の所にお客さんを案内したいんだ……また後でじゃ駄目なのかい?」

 

クラリッサ「うーん……」

 

その言葉にクラリッサは唸った後に首を横に振る。

 

クラリッサ「駄目ですね小沢さん!可南子さん、なかなか捕まりませんもの……」

 

うーーーーんと唸った後にクラリッサは妙案を思いついたとばかりに笑う。

 

クラリッサ「そうだ!どうせだから小沢さんや社長も一緒にこのシステムの話を聞いてください!そうしたら私、あとで森山コーポレーションの方々にレクチャーする手間が省けますから!」

 

小沢「手間が省けるって……それは君の業務だとおもうのだが?」

 

出て来た言葉に小沢はそう指摘し、確かにとコナンと小五郎に伊御達も小沢の指摘にそう思った。

 

クラリッサ「いいじゃないですか!一応、発注元は森山コーポレーションという事になってるんですし!可南子さんだけじゃなく、会社の人にちゃんと説明しなくちゃ!さ、行きましょう!」

 

そう言って駆け出すクラリッサにず、ずいぶん強引な女の人だなとコナンは思った。

 

コナン「(それにシステムを構築したって言うけどさっき京谷が言っていたように俺や蘭とそれほど変わらない年齢に見える……)」

 

バディア「ところでお前、我らと同い年に見えるが実際は幾つなんだ?」

 

追いついてから実年齢どれ位だと思ったコナンと同じ疑問を思っていたバディアが質問する。

 

クラリッサ「18歳です」

 

真宵「18歳でシステムを構築するなんて凄いんじゃね!」

 

榊「(いや、お前の方が凄いからね真宵;)」

 

そう言う真宵に榊は心の中でツッコミを入れる。

 

確かにライダーシステムを普通に作り上げてるから、真宵も真宵で凄い部類に入る。

 

クラリッサ「そう言えば貴方……もしかして片瀬真宵さんですか?」

 

真宵「え?私のこと知っているのん?」

 

するとふとそう聞くクラリッサのに真宵は聞き返す。

 

クラリッサ「確か新聞で学園祭にて凄いことしたって書いてあったのを見てね」

 

伊御「あーそう言えば」

 

つみき「……屋台をオール電化にしてたわね」

 

真宵「ソーラーパネル設置したりとか電子管制システム作ったりしたんじゃっけ」

 

小五郎「(実際に見たが、学園祭でそこまでするかって思ったからな……;)」

 

コナン「(ははは;)」

 

そう言ったクラリッサのに伊御達は思い出して言い、実際に行った小五郎とコナンは呆れる。

 

するとしびれを切らした小沢が咳払いする。

 

小沢「そろそろ社長が待っているから話なら社長室でして貰えるかな?」

 

小五郎「おっと、そうでしたな」

 

話は社長の自室でも出来ると言うので話しはそこでしようと一同は社長の自室へと向かう。

 

小沢「社長、入ります…」

 

目的の場所に着いて、ノックをしてそう一言断った後に小沢は扉を開けて中に入る。

 

小沢「……………あれ?」

 

ただ、そこには誰もおらず、小沢は首を傾げる。

 

小五郎「ん?留守のようだな」

 

伊御「ホントですね……」

 

後ろから入って言う小五郎と伊御におかしいな…と小沢は頭を掻く。

 

小沢「会社にも、自宅にも不在の時は必ず連絡を欠かさない方なのに…あんなに覚えていたのに…どこかに1人で出かけるなんてあり得ないと思うんですが…」

 

何処に行ったのだろうか…と小沢は困った顔をしてると続いて入って来たコナンと伊御の鼻に海で感じる匂いが通り過ぎる。

 

コナン「(この匂いは……)」

 

伊御「なんだか海の香りがしないか?」

 

なんで海のする匂いが漂っているのか疑問に感じた後にコナンはカーテンが揺れているのに気づく。

 

コナン「あれ?カーテンが濡れてるよ?」

 

姫「あ、ホントですね」

 

小沢「おかしいな……社長は新鮮な空気がお好きで、いつも窓を開けてらっしゃって屋上や非常階段のセキュリティに、自信を持っていらっしゃいますが…今日は雨が急に降ったなどないですし…」

 

さらに濡れている事に気づくコナンに姫も気づいて言い、濡れてるのを見て小沢は思い出して言う。

 

小五郎「取り敢えず社長を探しますか」

 

榊「後、この部屋に何処に行ったかの何か手がかりがあるかもしれないな」

 

針妙丸「だけど手分けして別々の場所を探して一々合流するのをしてたら手間じゃない?」

 

元刑事として関心出来んなと小沢の言った事にそう思いながらそう提案する小五郎に榊も部屋の中を見渡す隣で針妙丸がそう言うとクラリッサがふふふと自慢げに笑う。

 

クラリッサ「そういう時にはこの真実カードシステムを使うといいですよ!」

 

小沢「クラリッサ、どういう事だそれは?」

 

バディア「どんなのだそれは?」

 

告げられた事に誰もがクラリッサを見る。

 

クラリッサ「真実カードシステムはスマホアプリの一種で操作している人が見たり聞いたりした情報を文字にして打ち込んだり、カメラで写したりしてまとめる。すると真実カードシステムを使っている人全員にその情報が送られる超便利なシステムなのよ!」

 

笑顔で真実カードシステムがどう言うのかをクラリッサは説明する。

 

コナン「なるほどね……でもそれってメールで代用できないの?」

 

正邪「そういえばそうだな」

 

感心した後に質問するコナンに正邪はそこんとこどうなんだ?と聞く。

 

クラリッサ「メールアドレスをいちいち登録するのは面倒でしょ?知り合いでもない人とアドレスを教え合うのも不安よね?でもこれなら相手が同じアプリを使っていれば重要な情報を共用することができるのよ!」

 

榊「おー!それは確かに便利だな!」

 

佳奈「凄いシステム作ったねクラリッサさん!」

 

可南子「地震や火災が起きた時にも役に立ちそうですね…クローバーヒルズの管理者担当者が全員、このアプリを使っていれば情報の共有が一瞬で出来ますし…」

 

答えたクラリッサのに榊と佳奈は感嘆して可南子がそう言う。

 

クラリッサ「ええ、可南子さんが私にシステムの開発をお願いして来られた時も災害があった時、適切な対応ができるようにしたい……そう、おっしゃっていたんですよ!」

 

姫「ふぇ~そうなんですか」

 

笑顔でそう言うクラリッサに姫は感嘆する。

 

人の事を考えてるな…と京谷も感嘆する。

 

可南子「確かにそんなことをお話ししたような気がします」

 

小五郎「ほぉ、さすが可南子さん!建築家というのはそういったところにまで気を配るものなんですなぁ!」

 

そんな可南子の気配りに小五郎は褒める。

 

可南子「っ……!」

 

つみき「……どうしたの?大丈夫?」

 

すると可南子は頭を抑えて、呻き、つみきや蘭が近寄る。

 

蘭「大丈夫ですか可南子さん!?」

 

バディア「もし辛いなら病院に行った方が良いぞ」

 

可奈子「ごめんなさい、大丈夫です…何かを思い出せるような気がしたんですが……………お気遣い感謝します」

 

心配そうに声をかける蘭とバディアに可奈子はそう返してから礼を言う。

 

そんな可奈子を憎々しげに見ていた小沢はクラリッサへと顔を向ける。

 

小沢「………だいたいの事は僕にもわかった。クラリッサ、もういいだろう?」

 

クラリッサ「えぇ、でも……」

 

小五郎「ん……?なんだこれは?」

 

物足りなさそうなクラリッサだったが部屋を歩き回っていた小五郎は社長の机の近くで何かを見つける。

 

伊御「これは……手紙?」

 

小五郎「えっと何々……『…今すぐに水族館へ来い。お前が最も欲しているものを渡してやる』」

 

拾い上げたのを見て呟く伊御の後に小五郎は内容を読み、何じゃこりゃあ?と呟く。

 

榊「呼び出しの手紙の用だな」

 

咲「この手紙を見て、社長さんは水族館に行ったのかしら?」

 

コナン「(お前が最も欲しているものを渡してやる、か…この部屋にいないんだ…社長は取引に応じる為に、出かけたんだろう…だが、何かに怯えていたらしいのに危険を冒して出かけたってのは…嫌な予感がするな…)」

 

それを見て言う榊と咲の隣でコナンはそう考える。

 

伊御「取りあえずこの水族館に行ってみませんか毛利さん」

 

小五郎「ああ、そうだな」

 

それを伊御も感じ取ったのかそう進言し、小五郎も同意して移動しようとした時にクラリッサがストップをかける。

 

クラリッサ「その前に皆さん、すいませんがお手元の携帯やスマホを貸していただけますか?」

 

姫「ふぇ?」

 

バディア「何をするつもりだ?」

 

言われた事に誰もが首を傾げるが良いから良いからとクラリッサに急かされて、小沢以外のメンバーはそれぞれの携帯やスマホを渡す。

 

受け取ったクラリッサはこれをああして、こうして…と瞬く間に作業を終える。

 

クラリッサ「はい、これで真実カードシステムはインストールされました!じゃあ早速さっきの怪文書を登録して見ましょう!」

 

小五郎「お、おう…でもどうやればいいんだ?」

 

京谷「確かにどう操作すればいいんだ?」

 

笑顔で言うクラリッサに小五郎と京谷は聞く。

 

コナン「お姉さん、僕やってみたい!」

 

クラリッサ「あら、君がやるの?好奇心旺盛ね。とっても良い事だわ!」

 

笑って言うコナンにクラリッサは嬉しそうに笑ってコナンに近寄って説明を始める。

 

クラリッサ「まず、ここのボタンを押してスピーカーに向かって説明するの」

 

言われた通り、先ほどの手紙についてコナンは自分的に纏めてスピーカーに向かって話す。

 

コナン「うん、それで?」

 

クラリッサ「それからカメラを起動させるわ」

 

ヴィン

 

そう言ってクラリッサはカメラで手紙のを撮ると画面に手紙のがカードとなって出て来る。

 

クラリッサ「はい、これで真実カードシステムにさっきの怪文書が登録されました!」

 

姫「こ、これだけで!?」

 

真宵「これなら確かに誰にでもできそうじゃね」

 

その簡単な操作に誰もが驚き、感嘆する。

 

クラリッサ「でも一つ注意して欲しい事があるの!」

 

針妙丸「注意?」

 

姫「なんですか?」

 

するとクラリッサが真面目な顔でそう言い、全員の目が集まってからクラリッサは注意を言う。

 

クラリッサ「登録しただけじゃ、同じアプリを使っている人の所に真実カードは行かないのよね。だから接続ボタンを押してはじめて私のコントロールするネットワークを通じてみんなのケータイにデータが行くってわけ!」

 

小五郎「なるほどな……でも俺、細けぇ操作はつい、忘れちまうんだよなあ……」

 

注意にそう言う小五郎に確かにと榊は同意する。

 

人と言うものはあんまり細かすぎるのもつい忘れがちになったりしてしまうものだ。

 

クラリッサ「しょうがないおじさんね……。もし、接続するのを忘れた時は私がフォローしてあげるわ!」

 

コナン「ねえねえお姉さん!他の人にもこのアプリをインストールしてもらいたい時はどうすればいいの?」

 

そんな小五郎に呆れるクラリッサへとコナンが質問する。

 

クラリッサ「あら、良い質問ね!アプリ自体を転送するモードがついているからそれを使ってくれればいいわ!」

 

伊御「なるほど。それは便利ですね」

 

正邪「それって同時に複数に転送とかもできるのか?」

 

つまり教えれば簡単に出来る事に納得する伊御の後に正邪が聞くともちろんと返される。

 

小五郎「ほぉ、そりゃ便利だな」

 

榊「これならもしもの時の連絡は安心できるな」

 

誰もが感嘆してると見ていた小沢が口を開く。

 

小沢「でも、クラリッサ。クローバーヒルズは最先端の技術をもって建設された建物なんだよ?天地がひっくり返ったとしてもそんなアプリが必要になるとは思えないが……」

 

クラリッサ「それは、そうかもしれませんけど備えあれば憂いなしって言いますしね!」

 

コナン「(真実カードシステムか……これがあれば、何があっても服部や灰原と同時に連絡が取れるって事か……)」

 

しばらくして社長を探そうとした時、コナンのスマホに着信が来る。

 

コナン「ん?」

 

誰からだ?とコナンはスマホを操作し、服部からだとメールを開き…驚愕する。

 

伊御「どうしたのコナン君?」

 

コナン「す、水族館で社長さんの死体が発見されたって……」

 

「!?」

 

出て来た言葉に伊御や他のメンバーは驚いた後にコナンは真っ先に走り出し、伊御とバディアも続く。

 

時刻は10:00でコナン達は案内図を見ながら水族館に辿り着くと水槽の前で服部が立っていた。

 

コナン「服部!!森山コーポレーションの社長が殺されたって……!!」

 

伊御「こ、これは……!」

 

服部に近づき、彼が見ている方へと顔を向けて3人は驚く。

 

そこでは海藻の様にゆらめく…行く前にインターネットなどで確認した森山社長の姿があった。

 

コナン「(クソッ、なんて事だ………!)」

 

それにコナンは顔を歪める。

 

伊御「コナン君、今は驚いている場合じゃない」

 

服部「そうや!まだ社長さんは生きとるかもしれんのや!」

 

コナン「ああ、急いで引き揚げないと!!警備員さんカギは!」

 

2人の言葉にコナンは頷いた後に服部と一緒にいた警備員と思われる男性へとそう聞く。

 

警備員「いや、俺はこの水槽に続く通路のカギを持ってなくて……」

 

服部「なら持っとる奴を早く呼んでこんかい!!」

 

警備員「は、はいぃっ!!」

 

コナン「(クソッ……森山社長はおっちゃんに助けを求めてたってのに俺は助けられなかった……!)」

 

怒鳴られて慌てて走る警備員を見届けた後に悔しがるコナンは何か証拠はと水槽の中を見る。

 

コナン「(んん……?なんだアレは……?)」

 

その際、コナンは森山社長の頭に注目する。

 

コナン「頭に傷があるみたいだな……」

 

伊御「そうだね。なんか重いものでも殴られたのかな?かなり血が出ているみたいだし……」

 

服部「くっ、早く社長さんを引き揚げたらんと……!!」

 

同じ様に気づいた伊御の後に服部が警備員はまだかと焦る。

 

コナン「ああ……!それにしても妙じゃないか?」

 

バディア「む?なにがだ?」

 

服部のに頷いた後にコナンが呟いた事に伊御達はコナンを見る。

 

コナン「森山社長はどうしてこんな風に手を上げているんだ?この状況なら腕はぶら下がった状態なのが普通なんだが……」

 

そう言われて3人も確かにと森山社長を見る。

 

なぜ腕を下げてないで上げているか…ヒントになるだろうか

 

警備員「服部さん!カギを持ってる人、連れてきました!」

 

???「どうも、当館副館長の原田良太郎です。探偵さんがいらっしゃったと聞きましたが一体何が……!?」

 

すると先ほどの警備員が1人の老齢な男性を連れて来て、男性、原田は名乗った後に水槽の中の森山社長に驚く。

 

コナン「原田さん!しっかりして……!!」

 

伊御「早く、珊瑚の夢に続く通路の扉の鍵を!」

 

服部「まだあの人が息をしている可能性があるかもしれないんや!はようせい!」

 

それにコナンと伊御達は声をかけて、命がかかっていると言う事で原田も我に返る。

 

原田「わわわ……わかりました!どうぞこちらへ!」

 

急ぐ原田の案内の元、コナン達も急いで走り、原田は水槽上部の扉を開ける。

 

原田「こちらです!」

 

コナン「うん…!でも原田さん、ごめん!ちょっとそこで待っていてくれる?伊御さんとバディアさんは森山社長を引き上げて」

 

そう言って向かおうとした原田をコナンは止めて伊御とバディアにそうお願いする。

 

伊御「分かった。バディア」

 

バディア「ああ」

 

2人は頷いて急いで森山社長の所へと向かう。

 

原田「な、なぜあの二人に?」

 

服部「その前にや、望月さん。アンタは、このカギのかかった水槽には入れなかったんやな?」

 

質問する原田にそう言ってから服部は警備員へと確認する様に聞く。

 

警備員→望月「ああ、その通りだけど……」

 

服部「やっぱりな、社長を引き上げるのはあの2人に任せて、俺らはあんま現場を乱さん様に待って置くんや」

 

頷く望月や原田にそう言う。

 

しばらくして森山社長は引き上げられるが結果として死亡している事を確認された。

 

コナン「脈拍も呼吸も認められない…体は冷え切って軟らかい…残念ながら、森山社長はずいぶん前に息を引き取っていたようだな…」

 

伊御「そのようだね……」

 

バディア「にしてもずいぶん酷いなこれは……」

 

そう言うコナンに伊御も確認して頷き、バディアは森山社長を見て言う。

 

殴られた頭もそうだが膝部分が破けて膝を露出しており、足には浮かない様にする重りまで付けられていた。

 

すると入口から会話する声が聞こえる。

 

???「鍵が開いていて良かったわ。さあ行くわよ高木君!」

 

???2「すいません、ちょっとどいて―――ってあれ…?服部くんと音無くんに…」

 

???3「毛利探偵の助手くんじゃないか」

 

少しして2人の男性と女性が来る。

 

その内の男女が佐藤刑事に高木刑事でもう1人は服からして鑑識官みたいだ。

 

伊御「あ、高木さんに佐藤さん」

 

コナン「それに鑑識の柳下さんまで!!」

 

佐藤「あら、こんにちわコナン君。今日は服部君に…君はあの時の音無伊御君ね。君も一緒なのね」

 

気づいた伊御とコナンに佐藤は気づいて言う。

 

伊御「ええ、遊園地の事件以来ですね」

 

佐藤「そっちの女の子は?初めて見る顔だけど知り合い?」

 

頷く伊御の隣にいるバディアを見てそう聞いてからもしかしてガールフレンド?と茶化す様に聞く。

 

バディア「誰がガールフレンドだ。我はバディア。伊御とはただの……じゃ失礼だから仲の良い友達だ」

 

憮然として返すバディアにあら、ごめんなさいねと佐藤は謝る。

 

ただ、内心バディアはガールフレンドと言われてドキドキしていた。

 

高木「えっと、コナン君はともかく、伊御くんと服部くんはなんでここに?」

 

服部「俺はテレビに出演するために来て、待ってる時にプロデューサーを務める人から人が死んでるって話を聞いてここに急いで駆け付けたんや」

 

伊御「俺はある人からの依頼で、コナンくんを通して平次から教えられたんです」

 

佐藤「なるほどね…」

 

隣でそう聞く高木に服部は答え、伊御も続く。

 

柳下「相変わらず、事件に出くわす才能に恵まれているようだな…」

 

伊御「よく言うあれですかね?探偵が行く先に事件が起きるっていう」

 

呆れ交じりに言う柳下に伊御はそう返す。

 

高木「(確かに毛利さんが行く先々で事件に遭うよな…)」

 

佐藤「…っと、のんびり挨拶してる場合じゃないわね」

 

服部「ああ、そうやな」

 

バディア「殺した犯人の罪を暴かなくてはな」

 

伊御のに思わず納得する高木の隣でそう言う佐藤に服部も真剣な顔で森山を見る。

 

コナン「(服部達の言う通りだ…。真実に近づくために……まずはこの場所と遺体を調べてみよう!)」

 

それにコナンはそう考えた後に捜査を開始する。

 

起こりし社長殺害事件、伊御達とコナンは……




針妙丸「次回!『Iの調査』!Iって何?」

正邪「事件って意味のインシデントの頭文字ですよ少名姫」


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DETECTIVE.Ⅱ~Iの調査~

事件の調査を開始する伊御とコナン達。他の面々と合流して別れて調べ始める。


まず最初に森山社長の遺体を調べる。

 

服部「ん……これは…?」

 

伊御「懐中時計だな…」

 

探っているとポケットから懐中時計が出て来る。

 

バディア「壊れているようだな」

 

コナン「時間は6時10分で止まってる…」

 

服部「これが死亡時刻なんか?」

 

柳下「死亡推定時刻が6時って事は朝にしろ夜にしろあり得ないね…。遺体の状態から見て死亡推定時刻は昨日の昼2時前後だ…。ずれたとしてもその前後1時間だな…」

 

それを見て言う3人の後に柳下がそう推測する。

 

服部「なるほどな…」

 

コナンは早速、懐中時計のを暗号カードにして記録しておく。

 

次に腰部分は膝の所が破れている以外何もない。

 

続いて足の方を見る。

 

服部「水槽の表から見た時はわからんかったが…ダイビング用の重りをウェイトベルトで止めているみたいやな……」

 

バディア「これで浮けなくしていたか…もしも気絶の場合を考えてだろうか」

 

伊御「そうなのかな……」

 

足に付けられたウェイとベルトのを見て呟く服部の後にそう言うバディアに伊御はうーむと唸る。

 

続けて上半身で背広などを調べる。

 

服部「見てみいボウズ、ズボンと同じような擦り傷が腕にもついとるで…!」

 

コナン「本当だ…。森山社長は一体何をしてこんな傷を負ったんだろう?」

 

呟きながらコナンは指紋が付かない様に上着を調べる。

 

コナン「……ん?上着の懐にかたいものが…これは何だ…?」

 

すると懐部分に何かを見つけ、ハンカチで手を包んでそれを取り出す。

 

伊御「これってUSBメモリ?」

 

服部「しかも防水加工がされているみたいやな」

 

佐藤「それを調べるのは警察の仕事ね…コナンくん、それを貸してくれる」

 

出て来たUSBメモリに何が入ってるのかと誰もが思っていると佐藤がそう言って手を伸ばす。

 

コナン「はぁい…」

 

それにコナンは素直に佐藤にUSBメモリを渡した後にUSBメモリについての真実カードを作っておく。

 

その後にコナンは森山の頭や顔を見ながら伊御とバディアが引き揚げている時のを思い出す。

 

コナン「(伊御とバディアさんは遺体を引き揚げるのに随分と時間がかかった様子だった…社長はガッチリ骨太で背も高い…水面から引き揚げるのは難しかったんだろう)」

 

伊御「頭のてっぺんに大きな傷があるね…。何かで殴られた痕みたいだけど……」

 

高木「うーん、そうだね…社長と同じか、それ以上の身長がないとここを殴るのは難しいかな…」

 

考えるコナンの隣で伊御は森山の傷の場所を見て言い、高木がそう言う。

 

バディア「と言う事は犯人は社長以上の身長の人って事になるのか?」

 

佐藤「見た限り、社長の身長は180センチ後半よね…それ以上の人間となると限られてくる筈…犯人はぐぐっと絞れそうね…」

 

伊御「そうですね。そう言えば原田さんもそれぐらいの身長ですよね?」

 

そう言う佐藤のに続ける伊御のに原田は驚く。

 

原田「わ、私がやったとでも言うんですか!?」

 

高木「い、いやいや、あくまでですよ;」

 

怒鳴る原田に高木は慌てて弁解しながら宥める。

 

コナン「あ、伊御さん。よく見るとあっちの岩の塗装が剥げているよ?ここで森山社長と犯人が喧嘩したのかなあ?」

 

するとコナンが向こう側の岩の表面を指して呟くとそこをもう調べたのか柳下が口を開く。

 

柳下「確かに剥げてるからそうかもしれないな…先ほどそこに、小さいな血痕が残っているのを発見したからな…」

 

伊御「血痕が!?」

 

原田「そうなんですか?…私の目からは、特に異常は見当たりませんが…」

 

服部「水ならいくらでもある…岩場の奥にホースと水道栓があった事も確認済みや…犯人が血しぶきを水で洗い流した可能性も否定できへん…」

 

驚く伊御の後に首を傾げる原田へ服部が言う。

 

佐藤「そうね…高木君!ルミノール検査の手配をお願いね!」

 

高木「わかりました!入り口にいる目暮警部にも伝えてきます!」

 

指示する佐藤に高木は敬礼して入口へと走る。

 

コナン「(小さな血痕が残っていると柳下さんは言っていた……岩の塗装が剥げたのは森山社長と犯人が争ったからなのか……?)」

 

伊御「どうかしたの?コナン君」

 

考えるコナンへと伊御は聞く。

 

コナン「あ、うん。何でもないよ伊御さん」

 

服部「よっしゃ!ここからは聞き込みと行こうで!」

 

それに慌てて取り繕うコナンの後に服部がそう言う。

 

バディア「まずは誰から話を聞く?」

 

そうやな…と服部はこの場にいる自分達以外の佐藤や原田と警備員の望月の3人でまず最初に服部は原田に話しかける。

 

服部「原田さん。ちょいと聞きたい事あるんやけど」

 

原田「ふむ、高校生探偵…いったい、何を聞きたいんですか?」

 

バディア「まずはアリバイの方を聞きたいのだが良いか?」

 

声をかける服部に聞き返す原田へとバディアは問う。

 

原田「?私は服部平次君に聞いたんだがね?」

 

服部「ああ、こいつ等凄腕の探偵の助手をしとるからつい言ったんや」

 

そんなバディアに訝しげになる原田へ服部がフォローする。

 

原田「ほぉ、このお嬢さんたちが?」

 

服部「せや、ちなみにこの坊主も毛利探偵の助手なんや」

 

コナン「それでバディアさんのもそうだけど、この入る事が出来る人の名前も教えてくれませんか?」

 

関心する原田に服部は頷いてからコナンをそう紹介し、コナンもそう質問する。

 

確かにそれも大事だなと伊御とバディアが納得する中で原田はコナンのに答える。

 

原田「まあ、いいでしょう……この水槽に入れる鍵を持っているのは5人…担当飼育係の倉本君、それに副館長の私…社長ご自身と秘書の小沢さん、本社の技術部長である、矢口さんです…」

 

服部「ほぉ、なるほどな…って、本社技術部長の矢口さんがどうして鍵を持ってるんや?」

 

答えられた事に服部は納得した後に水族館に関係のない矢口がなぜ鍵を持ってるかに質問する。

 

原田「矢口さんは今、森山コーポレーションが関わる様々な施設をネットワーク化しているんです。ネットワーク化が完了した暁にはクローバーヒルズの様々なインフラやビル内部の管理・保安システムなどを一括で制御できるようになるんですよ」

 

服部「スケールのデカい話やな。何時ネットワーク化は完了するんや?」

 

説明する原田に服部は呟いてから続けて質問する。

 

原田「うちのネットワーク化が終われば、一通りおしまいですな…まぁ、そう言う訳で…彼には先週からアクアリウムのシステムを構築して貰っていいますから彼は今、アクアリウムにどこにでも入れるカードキーを持っているはずです」

 

伊御「なるほど…」

 

バディア「(ネットワーク化か……もしそれがテロに使われたら厄介だな)」

 

納得伊御の隣でバディアは顔を顰めてそう考える。

 

実際、そう言うのでドアのを閉じられて隔離されてしまえばした者の思うがままである。

 

バディア「(杞憂だといいが……心配だな)」

 

心配になるバディアを知らず、コナン達は次に望月に聞き込みをする。

 

望月「一体どういう事なんだ?訳がわかんないぜ…」

 

伊御「何が訳が分かんないんですか?」

 

ぼやく望月に伊御は質問すると望月は帽子を一旦脱いでから頭を掻いて再び被る。

 

望月「昨日の夜八時に見回った時も今朝の七時の巡回でも水槽には何の異常もなかったんだ。七時に巡回した後に誰かが社長を殺して水槽の中に入れたのかな?」

 

柳下「それはあり得ないな…」

 

答えて不思議そうに呟く望月の最後のを柳下が否定してなぜなのかを説明する。

 

柳下「遺体の皮膚を見るに今朝の七時以降に水に入れられたって事はない…」

 

望月「そ、そうなのか…!?だったらどういう事なんだ?さっぱりわかんねーよ!」

 

頭を抱える望月のに確かに現状じゃあさっぱりやなと服部は思う。

 

続いて佐藤に聞こうと思ったが呟いている言葉から進展が進みそうなのは聞けなさそうだなと思い、柳下に代わりに聞き込みをする。

 

柳下「俺にも話を聞きたいって…?」

 

伊御「はい、そうなんです」

 

頷く伊御にふうむと柳下は頬をポリポリ掻く。

 

柳下「今、俺にわかる事はさっき言った死亡推定時刻くらいだぞ?」

 

コナン「そっか…死亡推定時刻は確か午後二時くらいって言ってたよね?」

 

そう返す柳下にコナンは確認する様に聞くと原田が反応する。

 

原田「え、本当ですか?それは妙な話ですね…」

 

服部「何がや?オッサン?」

 

どうしてそう言うかを質問する服部や佐藤達に原田は理由を述べる。

 

原田「私は午後一時から三時までの間、何度もこの『珊瑚の夢』の前を通っていましたがその間、水槽には何も変わった様子はありませんでしたよ?」

 

それを聞いて誰もが顔を見合わせた後にバディアが問う。

 

バディア「それは本当なのか?見落としとかは?」

 

原田「ないと思うよ…なぜなら昨日と今日は水族館を閉める予定だったからね…『珊瑚の夢』を担当してる飼育員の倉元君が水槽の水を抜いてガラスや岩場を掃除していたんだよ」

 

服部「なんやて…!?」

 

質問に答えた原田のに服部は驚く。

 

伊御「それじゃあその時に死体が発見されているはず……」

 

服部「それにこの岩場の下で掃除しててもこの岩場の上で社長さんが殺されたんなら…」

 

コナン「音に気付いた倉元さんが目撃してないとおかしいって事になるね」

 

服部のにコナンも続く。

 

柳下「死後硬直の具合を見て我々は死亡推定時刻を割り出すんだがこの遺体はいったん硬くなってから柔らかくなっているようだからな。殺害後20時間は経っているはずだ」

 

伊御「20時間……」

 

柳下「とはいえ幾つか死亡推定時刻が狂うファクターがあるが…」

 

そんなメンバーへと柳下はそう言い、伊御が呟いた後にそう付け加える。

 

原田「ああ、その件なら安心してください。水温は常に25度になるよう、コンピューターでモニタリングされています」

 

柳下「なるほど…。だったら誤差ももっと小さくなるかもしれないな」

 

そう呟く柳下や原田のをコナンは残しといた方が良いなと暗号カードにしておく。

 

柳下「にしても…随分詳しいじゃないか、アンタ」

 

先ほどまでのを纏めていた柳下が原田へとそう言う。

 

バディア「そう言えばそうだな」

 

原田「フフ、私はミステリー小説やサスペンスドラマが大好きでしてね。水温や気温が死亡推定時刻の割り出しに重要なファクターだと知っているんです」

 

コナン「(なんだ、原田さん…やけに嬉しそうに笑うんだな。社長に恨みでも抱いていたのか…?)」

 

楽しそうにそう言う原田の様子にコナンは疑問を抱く。

 

すると高木が毛利さんが来ましたと言うので付いて行く事にした。

 

 

 

 

10:07にて、水族館に向かおうとしていたつみき達は丁度来ていた少年探偵団と合流していた。

 

歩美「あ、お姉さん達久しぶり!」

 

つみき「久しぶりね。貴女たちも来てたの?」

 

蘭「こんなところで会うなんて意外だね」

 

ワイワイ話し合うのを見て小五郎は不満そうにぼやく。

 

小五郎「フン…どうせボウズから水族館の事件でも聞いたんだろ…?帰った帰った!お前たちが突っ込める様な話じゃねーぞ!」

 

京谷「あ、毛利さん……」

 

真宵「まだ話を聞いてないのにそんなことを言ったら……」

 

帰らせようとして滑らした言葉に京谷と真宵が止めようとするがそれよりも速く少年探偵団は反応する。

 

光彦「水族館…?事件……?それは聞き捨てなりませんね…」

 

歩美「ねえねえおじさん、どういう事なの?」

 

元太「コナンの奴、水族館にいるのかよ!?」

 

興味津々になる3人につみき達はあちゃあとなり、小五郎も知ってなかったかと自分の失言に顔を抑える。

 

可奈子「毛利さん、この子達は…?」

 

小五郎「なんでもありません、あのボウズのクラスメイトですよ…。おい、お前達!なんでこんなところにいるんだよ!!」

 

そう怒鳴る小五郎に少年探偵団はむっとなるのにまぁ、この子らは好奇心たっぷりだからなと京谷は思っていると…

 

元太「なんだよ!オレ達はただのクラスメイトじゃねーぞ!!」

 

光彦「そうです!!子供ながらにいくつもの難事件を解決してきた…」

 

少年探偵団「少年探偵団だもん!!」

 

小五郎「お、お前ら…」

 

針妙丸「少年探偵団?」

 

あ、怒ったのはただの奴らと言われた事なのねとつみき達が思った中で首を傾げる針妙丸にそうだよ!と歩美は頷く。

 

針妙丸「ってなに?」

 

歩美「それはね…」

 

小五郎「なぁにが少年探偵団だ。いいからガキは早く帰りやがれ!」

 

続けて質問する針妙丸に歩美は答える前に小五郎が怒鳴って帰そうとする。

 

そんな小五郎に声をかける者がいた。

 

???「あの…この子達はただ、お友達に会いたいんでしょう?だったら、連れて行ってあげた方が話が早いと思うんですけど…」

 

誰でもなかったので小五郎はした方へと顔を向けると服の胸に魚のワッペンを付けた女性が立っていた。

 

小五郎「は、はれ…?えーと、あなたは……?」

 

???「私は倉元玲香…四つ葉アクアリウムの飼育係です。森山社長を殺害した容疑をかけられている内の一人…そう言えば、話は早いでしょうか?」

 

いきなり話しかけられたので戸惑う小五郎に女性はそう名乗ってから付け加える・

 

小五郎「………!」

 

言われた事に小五郎やつみき達は事件関係者に身を引き締める。

 

玲香「毛利探偵、ですよね?」

 

小五郎「そ、そうですが…」

 

確認する玲香に小五郎は頷く。

 

玲香「警察の方から、貴方とアクアリウムに来るように言われています…早く行きましょう…」

 

そんな小五郎へと玲香はそう言う。

 

榊「なんでそんなに急ぐんだ?」

 

玲香「私、一刻も早く森山社長を殺した人を見つけ出したいんです…」

 

小五郎「はぁ…でも、犯人探しは危険なことですよ?疑いを晴らしたい気持ちはわかりますが、ここは私や警察に任せてください!」

 

そう言う玲香に小五郎はそう返す。

 

確かに榊たちが知るサスペンスドラマでもそう言う事を1人でやると危険だというのがあるので小五郎も言う事も一理あるのだ。

 

玲香「…疑いを晴らしたいというより、私は…」

 

正邪「ん?」

 

小五郎「………?」

 

言葉を切る玲香に正邪達や小五郎は疑問を持つが聞く前に玲香が急かす。

 

玲香「………なんでもありません。急ぎましょう毛利さん…!探偵団のみんなもいらっしゃい…空いた時間で良ければ私が魚や海獣の事を教えてあげる」

 

最後のは探偵団や針妙丸へと向けて笑って言う。

 

針妙丸「怪獣?」

 

元太「怪獣!?ねーちゃん、怪獣に詳しいのかっ!?」

 

光彦「いや、元太君に針妙丸さんの言ってるのとは違うと思いますよ;」

 

そんな彼女の言った事に食いついた2人のに光彦がツッコミを入れる。

 

玲香「そっちの『かいじゅう』じゃないけど、同じくらい面白いことは保証するわよ?」

 

光彦「うわあ、楽しみです…!!」

 

佳奈「だねぇ~」

 

笑って言う玲香に少年探偵団や佳奈と針妙丸ははしゃぐ。

 

歩美「お姉ちゃん、怖い人かと思ったけど…良いお姉ちゃんなんだね!!」

 

玲香「ウフフ…」

 

玲香へと自身が印象を見た言う歩美のに子供だからこその感想だなと榊は苦笑する。

 

元太「よーし!少年探偵団、出動!!」

 

そう言って駆け出す少年探偵団に佳奈と針妙丸も続き、それを見て笑っていた玲香は顔を曇らせる。

 

玲香「………でも、よりにもよって社長が、私の『珊瑚の夢』の中で死ぬなんて………まるで、あの娘が連れて行ったみたい……」

 

姫「あの娘?」

 

蘭「今、なんて?それにあの娘って…?」

 

呟きに姫と蘭は聞く。

 

玲香「………!私、何か言っていたかしら?さあ、行きましょう!」

 

声を掛けられてハッとなった玲香は笑ってそそくさと向かう。

 

正邪「なんか気になる事言っていたな…」

 

京谷「ああ、あの娘が連れて行ったとか…」

 

そんな玲香を正邪と京谷は訝しげに見た後に水族館へと続く。

 

 

 

 

10:10に水槽の前に戻った伊御達は小五郎達が来ている事に気づく。

 

服部「おうおう…いつもの面々が揃っとるようやな…」

 

伊御「そうみたいだな」

 

並ぶメンバーを見てそう言った服部は早速小五郎へと話しかける。

 

服部「よう、おっちゃん!遅かったやないか!!」

 

小五郎「うるせー!こっちは子供と違って色々やらなきゃならねー事があるんだよ!」

 

可南子「すいません。ご迷惑をおかけしてます…」

 

声をかけた服部へと返した小五郎に可南子は申し訳なさそうに頭を下げる。

 

小五郎「いや、あの、可南子さんの事を言ったわけじゃなくてですね…」

 

玲香「じゃあ私かな…容疑者として、連れてきてもらったんだもの…」

 

慌てて弁解しようとする小五郎だった玲香のに言葉が上手く出ずに呻く。

 

小五郎「うぐぐぐ…」

 

玲香「冗談よ、探偵さん」

 

からかう感じにそう言う玲香のに京谷は咲の様な感じだなと思った。

 

咲「なに見てるのよ京谷」

 

京谷「な、なんでもねぇよ」

 

そんな京谷の視線に気づいて聞く咲に京谷は誤魔化す。

 

そこにふくよかな男性、伊御達も知る目暮十三が来る。

 

目暮「おお、毛利君…倉元さんを連れてきてくれたのか…」

 

ええまぁ、と小五郎が頷いた後に佐藤がその場にいる全員へと言う。

 

佐藤「他の方々と一緒に話を聞く訳にはいきませんから…。私や目暮警部が順番にお話を伺わせていただきますね」

 

目暮「毛利君、くれぐれも邪魔するんじゃないぞ!」

 

注意する目暮に分かってますよ警部殿と小五郎はそう返す。

 

一方でコナンが蘭に怒られていた。

 

蘭「コナン君!もう…音無くんやバディアさんが一緒とはいえ、先行っちゃうから心配したんだよ?」

 

コナン「ごめんなさい…でも、平次兄ちゃんも居たから大丈夫だよ!」

 

榊「(切り替え早いな;)」

 

正邪「(まあそうしないとバレるからな;)」

 

そう言って誤魔化すコナンに正体を教えられていた面々は本当に大変だなと思った。

 

服部「おう!ボウズはバッチリ、オレが見といたで!」

 

和葉「そういう問題ちゃうと思うんやけど…」

 

コナンの頭に手を置いて言う服部に彼と一緒に来ていて待っても来ないので来た和葉がジト目で睨む。

 

そんな彼らに可南子はくすりと笑う。

 

可南子「ふふ、皆さん仲が良いんですね」

 

小五郎「そうですな…皆、私の舎弟のようなもんです。一部は別の人のですがな」

 

コナン「(誰が舎弟だよおっちゃん…)」

 

真宵「(一部って私達のことなんじゃろうか…)」

 

胸を張って言う小五郎に服部やコナンに少年探偵団はジト目で見て、伊御達は苦笑する。

 

可南子「でしたら皆さんにも『真実カードシステム』をインストールしていただいた方が良いのではないでしょうか?」

 

コナン「確かにそうかもしれないね。真実カードシステムがあれば、上手に手分けして調査できそうだもん!」

 

服部「インストールはかまへんが…でもソレ、一体何なんや?真実カードシステムってえろう大袈裟な名前やけど」

 

そう言うコナンのに服部や初めて聞く少年探偵団は首を傾げる。

 

可南子「話すと少し長くなりますが…」

 

説明中

 

服部「ほぉ……ボウズや伊御達がさっき、望月さんや原田さん達の話を聞きながらなんやごそごそやっとったのはこれやったんか。はーん、確かに便利そうやな……」

 

説明を聞いて納得する服部の後に歩美もうんうんと頷く。

 

歩美「しかもコナン君からのカードだって分かるんだよ!!」

 

光彦「僕達も少年探偵団として、真実カードを集めてみたいですね!」

 

小五郎「あのなあ、お前達…俺達の調査は遊びじゃないんだぞ!!こんなものは没収…」

 

正邪「まあまあ落ち着けよおっちゃん」

 

興味津々な少年探偵団に小五郎は説教して没収しようとして正邪が止める。

 

正邪「持たせた方がもしもの時に何処に居るのか連絡できるだろ?」

 

そう言われて確かに…と小五郎は考える。

 

彼らの事だからきっと事件を解決しようと動き回るだろう。

 

それを知る的な意味でも持たせたままの方が良いか…と小五郎は考えて仕方ねぇ…と渋々了承する。

 

小五郎「だが危ないことはするなよお前ら!」

 

少年探偵団「はーい!」

 

コナン「(ナイス説得だぜ正邪)」

 

注意する小五郎に少年探偵団は嬉しそうに返事する中でコナンは正邪を称賛する。

 

コナン自身、彼らにあんまり危険な目に遭わせたくないので真実カードで危機に陥ってないかを知るには丁度良かったので正邪の行動に賛成であった。

 

針妙丸「ねえ、私も一緒に調査してもいい?」

 

歩美「うん!良いよ!」

 

灰原「宜しくね少名さん(性格的に円谷くん達に近いけど年上だからここぞという時に止め役になってくれそうだから一緒にいて貰った方が良いわね)」

 

一緒に行く事をお願いする針妙丸に歩美は了承し、灰原も内心そう考えながら挨拶する。

 

佳奈「私達はどうする?」

 

姫「そうですね…」

 

佳奈のに姫は少し考えて私達もあの子たちと行きましょうかと提案してだね~と佳奈も頷いて追いかける。

 

小五郎「俺は現場の方を調査してくるか」

 

和葉「私達はどうする蘭ちゃん」

 

そんな少年探偵団を見送ってから小五郎は現場の方へと向かい、そう聞く和葉に蘭もどうしようかと考える隣で服部がチョイ待てと待ったをかける。

 

服部「何言うとんのや和葉…」

 

和葉「へ?なんや平次いきなり…」

 

きょとんとする和葉に服部は言う。

 

服部「犯人がどう言う奴か分からんのにお前や姉ちゃんだけで動き回るのは危ないやろ」

 

和葉「そ、そりゃそうやけど……」

 

伊御「(まあ確かにね)」

 

声に出さず、伊御は服部のに同意する。

 

犯人探すのには同意だが相手がもしもヤバい奴だったら危険度が高い。

 

さらに伊御達はテロリストの事もあってあんまり彼女達だけにするのは心配である。

 

つみき「……なら私達も一緒に行動するわ」

 

咲「それなら良いでしょ?服部くん」

 

服部「そうやな、アンタら2人いてくれるなら大丈夫やろうな」

 

そう申し出るつみきと咲に服部は受け入れると和葉はジト目で服部を睨む。

 

服部「和葉、あまり二人に迷惑かけるんやないんやで!」

 

和葉「………!!もう!平次のわからずや!!」

 

そう怒鳴ってずんずんと歩いて行く和葉になんで怒っとるんや?と服部は首を傾げる。

 

その様子に蘭やつみき達はあちゃあとなる。

 

つみき「……はぁ、駄目ね服部」

 

咲「女心が全然解ってないわ」

 

そう言い残して慌てて和葉を追いかける蘭の後につみきと咲も続く。

 

伊御「さっきのはちょっとアウトじゃなかったか?」

 

服部「な、何がや」

 

続けてそう言う伊御に服部とはタジタジになる。

 

榊「さっきの同い年なのに遠山と御庭たちの扱いが明らかに違う感じだったぜ」

 

服部「うぐ…」

 

コナン「(あー確かに;)」

 

続けざまの榊のに服部は呻き、コナンも同意する。

 

服部「しゃ、しゃあないやろ。前お前等と一緒に解決した事件で犯人が変なのつこうて化けもんになった事あるからな…」

 

京谷「まーそうだけどさ」

 

榊「それを知らない人から見たらなぁ…」

 

正邪「つか本音は危ない目にあってほしくないからじっとしてくれだろ」

 

弁解する服部に京谷もそこらへん聞いてるのと遊園地でも出現した事もあって同意はするが榊と同じで正邪が指摘する。

 

服部「そう言ってもあいつは聞かんからな…」

 

伊御「(後でつみき達にフォローを頼んだ方が良いかな?)」

 

正邪「(そうだな)」

 

顔を顰めてそう言う服部のに聞いた伊御へ正邪も同意してから少し離れてつみき達に連絡を行う

 

コナン「服部、大丈夫か…?さっきの現場、だいぶ事情が込み入っていたけど、ちゃんとその辺、忘れてねーだろうな?」

 

服部「あ、当たり前や!オレを誰だと思っとる…!!」

 

榊「んじゃあおさらいしてくれないか?」

 

確認するコナンに服部はそう返して榊のに分かったでと言ってから真剣な顔になる。

 

服部「まず被害者の名前は森山弘道、森山コーポレーション社長。殺害された場所は遺体が発見された水槽、『珊瑚の夢』上部だと思われる…」

 

コナン「ああ、その通りだ」

 

そう言う服部のにコナンは頷いた後にバディアが口を開く。

 

バディア「だが不自然な所が一つあるな」

 

伊御「うん。死亡推定時刻と合わせると不自然な状況があったね」

 

そやなとバディアと伊御のに服部は頷く。

 

服部「死亡推定時刻と見られる午後2時付近は、飼育係が『珊瑚の夢』を掃除していたんや。おまけにその様子を副館長のおっさんが目撃しとる」

 

榊「おかしいよなそれって。人がうろうろしている最中に殺害するなんて」

 

なぜ不自然かの理由を言う服部のに榊も腕を組んで唸る。

 

コナン「状況としては不自然すぎる…!」

 

バディア「うむ、そうだな」

 

真宵「ではそれを解決するために現場を調査するんじゃよ!」

 

呟くコナンへと頷くバディアの後に真宵が指を上に付き出して言う

 

コナン「いや、そうするよりもまずはアリバイを確かめないと」

 

伊御「後、警備員の望月さんが1つ気になる事を言ってたね」

 

そんな真宵へとコナンはそう返し、伊御のに服部もそやなと頷く。

 

服部「あの他の証拠と食い違う証言やろ?確か……朝七時に見回った時には森山社長の遺体は水槽のどこにもなかった…そう望月さんは言うとったな…」

 

コナン「ああ、その通りだ…。でも鑑識の柳下さんは遺体はその時間から水に浸かってたはずって言ってたな」

 

柳下の言った事を思い出しながらコナンは顎に手を当てて呟く。

 

バディア「ふむ、これも謎だな……」

 

京谷「そうなんだよな…」

 

服部「他の水槽に浸けられていたのか、望月さんの見間違いなのか…」

 

正邪「これに関しても情報を集めないとな」

 

そうだねと誰もが頷いた後に真宵があ、そうそう…と手をポンと叩いてからコナンに近寄る。

 

真宵「コナンくん、これを」

 

コナン「え?」

 

そう言って手渡されたのにコナンは戸惑う。

 

コナンが渡されたのはガイアメモリとロストドライバーであった。

 

伊御「真宵、それって…」

 

榊「まさかコナンのために作った…」

 

真宵「そう!彼専用のガイアメモリ、ストライカーメモリなんじゃよ」

 

コナン「マジかよ…」

 

驚くコナンの隣で服部はほぉ~と興味深く見る。

 

真宵「ちなみに変身する際は誰にも見られない様に注意じゃよ」

 

コナン「あ、ああ…」

 

伊御「秘密、増えちゃったね」

 

めんどくせぇな感じで渡されたのを見るコナンに伊御は苦笑する。

 

服部「そんじゃま、お互いに情報集めに行くとしますか、お前等はどうするんや?何人か俺と来るか?」

 

榊「そうだな…それぞれ分かれるか」

 

真宵「んじゃグッパで決めるんじゃよ」

 

そう言ってコナンと服部を除いてぐっぱする。

 

結果

 

コナン側:伊御、正邪、榊

 

服部側:バディア、京谷、真宵

 

服部「そんじゃ分かったら真実カードで」

 

真宵「情報を共有じゃね!」

 

伊御「ああ」

 

お互いにそう言ってから別れる。

 

少しして誰もいないのを見てから服部は真宵に話しかける。

 

服部「なあなあ」

 

真宵「ん?」

 

顔を向ける真宵に服部は聞こえない様にか小声で聞く。

 

服部「工藤には作ってるみたいやけど、俺にはないんか?」

 

真宵「勿論あるんじゃよ。紫さんに注文したのが」

 

バディア「注文だと?;」

 

何を頼んだのだ…と呆れるバディアに真宵は頭を掻く。

 

真宵「いやー、流石にロックシードまでは作れなくて…」

 

服部「ロックシード?なんやそれ?」

 

京谷「まあ変身アイテムの一種だ」

 

と言うかなんか本題を切り出される前に話してたのはそう言う事かよ…と自分がはちぽちに着いた時に来ていた紫と真宵が話していたのを思い出しながら呟く。

 

服部「ほぉ~どう言うのかは楽しみにしとるで」

 

真宵「もうすぐ来ると思うんじゃよ」

 

バディア「まさかこの事件の間に来たりして……」

 

京谷「おいおい、流石にそれは……」

 

ないんじゃねぇのと思ったがまさかこの時の会話が本当になるとは京谷も服部達も知らなかった。

 

 

 

 

10:15で服部達と別れたコナン達は珊瑚の夢の上部に来ていた。

 

気づいた高木が駆け寄る。

 

高木「おや、コナン君!また毛利さんのお手伝いかい?」

 

コナン「うん、そんなところ!」

 

笑顔で聞く高木にコナンは頷く。

 

伊御「何か新しく分かったことはありましたか?」

 

高木「そうだね…あったにはあったけど、わかった事のおかげでこの事件がますますわからなくなってしまったよ」

 

コナン「………?どういう事?」

 

そう聞く伊御のに笑顔から一転、困った顔でぼやいた高木のにコナンは質問する。

 

高木「柳下さんが割り出してくれた死亡推定時刻なんだけどその時間、四人の容疑者には全員アリバイがある…すでに全て裏付けも取れているんだ」

 

正邪「なにッ!?」

 

告げられた事に4人は驚いていると高木はアリバイを話を始める。

 

高木「玲香さんは水槽の掃除している所を他の飼育係や原田さんに見られてるし、矢口さんと原田さんは自分のデスクで仕事をしてたり、他の人と一緒に水族館の様子を見たり、お客さんを案内したりしていたんだよ」

 

伊御「小沢さんは?」

 

高木「秘書の小沢さんに至ってはそもそもこの島にいなかったんだ。対岸にある関連会社に仕事の打ち合わせで訪れてたみたいでね」

 

そっ、そっかーとコナンは納得しながら4人のアリバイ証言を真実カードに記録しておく。

 

そこに顔を顰めた佐藤が来る。

 

佐藤「頭が痛いわ…この情報、一体どう考えればいいのかしら…」

 

伊御「どうしたんですか?佐藤刑事」

 

ふうとため息を吐く佐藤に伊御は聞く。

 

榊「なんかまた新しいことが分かって事件がややこしくなってるのか?」

 

佐藤「ええ………柳下さんから社長の打撲痕について聞いたんだけど…」

 

伊御「凶器がわかったんですか?一体何で森山社長は殺されたんですか?」

 

そう聞く榊のに答えた佐藤のに伊御は聞くと首を横に振られる。

 

佐藤「いいえ、凶器は未だ、明らかになってないわ…」

 

コナン「………?だったら、一体何がわかったの?」

 

首を傾げるコナンや伊御達に佐藤は困った顔で答える。

 

佐藤「森山社長は、後頭部に向けて斜め上から降り下ろされた大きな鈍器で殺されていたの。社長の身長は187㎝…そんな大柄な人の頭を斜め上から殴るのはかなり背の高い人物にしか不可能だわ」

 

高木「それに当てはまりそうなのは原田さんだけですねえ」

 

正邪「だが原田さんは利き腕を怪我していて重いものは持てないんじゃねえか?」

 

答えた佐藤と高木のに正邪はそう聞くとそうなんだよね…と高木はなんとも言えない顔をして佐藤も顔を顰めて頷く。

 

佐藤「ええ、おまけに彼にはアリバイもある…って、こら高木君!会話に割り込んできちゃダメよ?」

 

高木「エヘヘ…すいませーん…」

 

注意する佐藤に苦笑しながら謝る高木にコナンは呆れる。

 

コナン「(ハハ…2人とも仲が良くて何よりだぜ…。でも確かに不思議だよな…一体どういう事なんだ?)」

 

その後に考えながら今聞いた話を真実カードにする。

 

周りを見ていた榊は別の岩場の上の物置に気づく。

 

榊「ん?なんだあれ?」

 

伊御「物置かな?」

 

コナン「調べてみる?」

 

佐藤「確かにあそこは調べてないわね…」

 

高木「彼らはともかくコナン君は、この岩場の合間をジャンプできるかな?」

 

同じ様に気づいて言う伊御とコナンのに高木はそう言う。

 

佐藤「確かにそうねえ…」

 

正邪「伊御がコナンを抱えてあっちにジャンプすれば良いんじゃね?」

 

高木「え?いけるのかい?160センチ近くの幅があるよ?」

 

子供を抱えて出来るのかと驚いて聞く高木に榊は笑う。

 

榊「あれぐらい平気平気」

 

正邪「こいつら、購買に行くとき普通に二階の窓から飛び降りて行ってるからな。あれぐらい平気だろ」

 

高木「ええ!?二階の窓から!?」

 

佐藤「凄いわね貴方達…」

 

高木に返した榊と正邪のに聞いた本人は驚き、佐藤は呆れ交じりに感嘆する。

 

いざ、向こうの岩場にと……行こうとした時……

 

ガシッ!

 

コナン「うわっ!」

 

伊御がコナンを抱き抱える前に誰かがコナンの襟首を掴んだ。

 

小五郎「こらっ、ボウズ!!ガキは引っ込んでろって言っただろうが…!」

 

伊御「すみません毛利さん。俺たちが助手として連れてきたんです」

 

正邪「コナンの奴、面白いところに気づくからな」

 

掴んだのは小五郎で怒鳴る小五郎に伊御は謝罪し、正邪がそう言う。

 

小五郎「そうかよ。とにかくあの物置は俺が調べるからお前等は別の場所を調べな」

 

伊御「分かりました」

 

榊「(物置は毛利さんに任せとくか)」

 

正邪「(そうだな)」

 

そう言う小五郎に伊御は素直に頷いた後に別の場所を探しに行く事にした。

 

少し歩き、バックヤードに来たコナン達は内装にほうとなる。

 

コナン「なんだかスゲー所に出ちまったな」

 

榊「確かにスゲーな此処…」

 

誰もがバックヤードを見ていた時だった。

 

???「あーっ!!名探偵君じゃない………!!」

 

後ろからのいきなりの声に伊御達は驚く中でコナンは別の意味で驚く。

 

コナン「ええっ…!?もしかしてこの声は…!!」

 

慌ててコナンが振り返ると元気溌剌を体現してる様な茶髪のショートカットの女性がいた。

 

榊「え、知り合いかコナン?」

 

???「どうもー!コナン君の知り合いの後藤でーす!」

 

そう聞く榊に女性は伊御達に元気よく挨拶する。

 

コナン「えっと、この人は後藤 秋江(ごとう あきえ)さん。とある事件で知り合った人なんだ」

 

後藤「まさかこんなところで名探偵君に再開できるなんてね!な~に、また毛利探偵にひっついてこんなところまで来たのかしら?」

 

知らない伊御達に対してそう紹介するコナンに後藤は嬉しそうに話しかける。

 

コナン「ハハハハ…まあそんなところだよ!」

 

伊御「はじめまして、今毛利さんの手伝いをしています音無伊御です」

 

そう答えたコナンの後に伊御が自己紹介し、榊と正邪も続く。

 

コナン「それにしてもなんで後藤さんは此処に?」

 

後藤「私、今は此処でアルバイトしているの!」

 

正邪「アルバイト?」

 

そう、その通り!と後藤は笑い…

 

後藤「…といっても魚や海獣の事は分からないから、写真を撮ってブログを作ったり四つ葉アクアリウムホームページの更新をしたりなそんなお仕事だけどね!」

 

その後に苦笑して付け加える。

 

コナン「そうなんだ。ねえねえ、ブログやホームページの更新って一体どんな事するの?」

 

榊「お、それは気になるな」

 

気になったので質問するコナンや榊に教えてしんぜようと後藤は自慢げに笑って説明する。

 

後藤「水族館の日常とか裏話を書いたりするのよ。昨日は玲香さんの水槽掃除の話を書いたわ!水族館の水槽掃除なんて、みんな、なかなか知らないでしょ?」

 

伊御「確かに……」

 

確かに水槽掃除を知る事はあんまりないのでへぇ~となる。

 

そんなメンバーの反応にそうよね!と後藤は満足そうに頷いて続ける。

 

後藤「だからなのかしら、けっこう記事の評判良かったのよ!」

 

コナン「確かに、ボクも知りたいかも…」

 

正邪「どんな感じだったんだ?」

 

そう聞く2人に後藤は芝居かかった口調で説明を開始する。

 

後藤「うふふ、最初は大きい水槽の掃除がどんな風かについて教えてしんぜよう…まず、魚を他の水槽に映してから水を抜くのね…それから漂白剤を水槽にまんべんなくかけてその後はデッキブラシで擦るとね…苔とか水垢が、ビックリするほど簡単に落ちるのよ!」

 

榊「漂白剤を使うのか」

 

ほへぇ~と感嘆する榊の後にコナンが質問する。

 

コナン「でも強いお薬を使ったらお魚の健康によくないんじゃない?」

 

伊御「そう言えばそうだね」

 

その質問によくぞ気づきましたと後藤は笑顔を浮かべる。

 

後藤「さすが名探偵君ね!その通り漂白剤が残っていると魚の健康に悪い影響が出るの。だから玲香さんは岩場や床の色々な所に中和剤を撒いていたんだけど中和剤って凄くぬるぬるするのよ…!」

 

正邪「ぬるぬる?」

 

説明に正邪は首を傾げる。

 

後藤「そう!水槽の奥、岩場の影の目立たない所に水道栓があるんだけど中和剤を流す時は滑らない様に注意しないといけないんですって!」

 

成程…とコナンは納得しながらもしかしたらこれも手掛かりになるかもしれないと後藤から聞いたのを真実カードにする。

 

説明しおえた後藤はところでさ…と言って真剣な顔つきになる。

 

後藤「この四つ葉アクアリウムで何かあったの?さっき矢口さんが慌てた様子で『しばらくバックヤードから出るな!』…とだけ言って去っていたんだけど…」

 

コナン「あ、えっと……」

 

正邪「(どうする気だコナン)」

 

榊「(教えるかそれともごまかすのか…)」

 

後藤「教えてよ、名探偵君…キミが此処に来ているのも何か事件を解決するためなんでしょう…?」

 

そう強く聞く後藤にコナンは戸惑う。

 

事件が発生し、それぞれ別れて事件解決の為に情報を集める事になった伊御達。

 

その裏で迫る悪意にはどう立ち向かうのか…




光彦「次回!頑張る探偵K達!」

歩美「次のお話は」

元太「俺達少年探偵団のターンだぜ!」


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DETECTIVE.Ⅲ~頑張る探偵K達~

探偵団は佳奈たちと共に証拠集めに赴く。


コナンとは別に行動する少年探偵団と佳奈と針妙丸は水族館のカフェに来ていた。

 

ちなみに時刻は10時15分である。

 

元太「―――にしてもおっちゃん、ムカつくよなぁ…」

 

光彦「本当ですよ!確かに僕たちは子供ですけど…」

 

歩美「色んな難事件を解決した、少年探偵団なのにね!」

 

佳奈「おお、凄いね~」

 

針妙丸「なら、私達も協力するからあの探偵さんより事件解決のを見つけよう!」

 

小五郎の自分達の態度に不満な3人の言った事に佳奈は感心し、針妙丸のにおお~と言う。

 

哀「…………」

 

佳奈「?どうしたの哀ちゃん?」

 

そんなメンバーを横目に何かを考え込んでいる哀に佳奈は話しかける。

 

哀「え、あ、いえ、ちょっと朝から色々と歩いて疲れたので丁度カフェに来ているので休憩がてらに何かを頼もうかと考えてたんですよ」

 

声を掛けられて哀は慌てた様子で言う。

 

針妙丸「そう言えば喉乾いたねー」

 

元太「でもよー、ここ、うな重も置いてないし…」

 

歩美「わたし、まだ全然疲れてないよ!」

 

それに対して針妙丸はそう言うと元太と歩美はふんすとガッツポーズする。

 

うな重なんて置いてる訳ないでしょうがと元太のに対して光彦がツッコミを入れた後に警備をしている望月に気づく。

 

光彦「あ、見てください!あそこに望月さんが居ます…!!」

 

佳奈「あ、ホントだ!」

 

元太「よくお前、名前知ってたな…」

 

名前を言った光彦のに元太は感心してると光彦はフフフと笑い…

 

光彦「この真実カードと一緒にあった人物ファイルをしっかりチェックしてますからね!」

 

針妙丸「すごーい!」

 

佳奈「やるね光彦君!」

 

歩美「光彦君、えらい!」

 

いえーと照れる光彦の後にようし!と元太が望月へと駆け出す。

 

元太「おーい、兄ちゃーん!ちょっと待ってくれよ!」

 

追いつくと望月の腕を引っ張って戻って来る。

 

望月「とと、引っ張るなって…!んん…?事件解決のために聞きたい事があるって言われてきたってのになんだよ、子供しかいないじゃないか」

 

哀「まあ、そう言わないで…私達、毛利探偵の助手みたいなものなの」

 

針妙丸「それに、警察に証言するまでまだ時間があるから暇つぶしの相手になると思うよ」

 

引っ張られて来た望月はメンツを見てぼやくと哀がそう言い、針妙丸が付け加える。

 

哀の言い方が意外だったのか望月は少し驚いた様子で哀を見る。

 

望月「へえ…なかなか大人っぽい事、言うじゃないか…びっくりしたよ」

 

その後にふうむと頭を摩る。

 

しばし考えて……

 

望月「まあ、いいか!」

 

佳奈「ホント!」

 

その後に了承した望月はああと肯定する。

 

望月「暇を持て余してたし、ぶっちゃけ誰かにこの話メールしたり、ネットで呟いたりしたいけど、それはダメっておっかない女刑事に怒られちゃったんだよ」

 

佳奈「(おっかない女刑事って佐藤刑事のことだよね?)」

 

苦笑して言う望月だが普通に怒られても仕方がない。

 

なんたって下手な情報は騒ぎの原因にもなるし被害者に親しい者に対する風当たりが強くなる可能性が高い。

 

情報漏洩と言うのは本当に危ないのだ。

 

望月「喋りたくて、口がウズウズしてるんだよなー…だからちょっとだけ話してやるよ」

 

笑って言う望月のに対して哀を除いたメンバーはちょっと待ってくださいねと言って集まって小声で話し合う。

 

歩美「望月さん、不真面目そうな人だね…」

 

元太「この人なら森山社長の遺体を見逃しても、不思議じゃねーよな…」

 

光彦「話し相手になってやるって、偉そうに言う事なんでしょうか…」

 

針妙丸「ん~?どうかな?」

 

佳奈「取りあえず聞いてみようか」

 

ひそひそとちゃんと聞けるかで悩む中で哀は大人の対応で礼を言う。

 

哀「フフ、そう言ってもらえると嬉しいわ。じゃあまず、昨日の話を聞かせてもらえるかしら?」

 

望月「ああ、わかった…でも、何から話せばいいんだ?」

 

そう聞かれて哀はそうね…と少し考えてからまずは当たり障りのない質問からと決めて口を開く。

 

哀「昨日、お客さんは水族館にいたのかしら?珊瑚の夢で2時に殺人事件が起こっていたら目撃していた人もいそうだけど…」

 

そう聞かれて望月は少し考えてから申し訳ない顔をする。

 

望月「いや、昨日はこの四つ葉アクアリウムは閉館してたんだ」

 

歩美「ええっ、そうなの?どうして水族館、閉館しちゃってたの…?」

 

出て来た言葉に歩美は目を丸くすると望月がなぜ閉館していたかの理由を説明する。

 

望月「今日、クローバーヒルズの開業一周年記念式典があるだろう?ウェストリーフで行われるセレモニーで、ペンギンパレードとアシカのショーをやる予定だったんだよ」

 

佳奈「アシカのショーにペンギンパレード!?」

 

針妙丸「見てみたい!」

 

目を輝かせる2人に哀はこの2人はホント吉田さん達と似た感じねと内心苦笑する。

 

望月「そのために動物を搬送したり、段取りをつけたりで大変だったんだ。飼育員も作業中の人を除いて、全員がセレモニーの方に行っちゃっててさあ…で、夕方の四時近くだったかな。なんかトラブルがあったみたいで、作業中の人もウェストリーフに呼ばれてその時間には水族館はものすごくがらーんとしてたぜ!その後、五時過ぎに作業中だった人は戻ってきたみたいだけどな」

 

そんな2人のに望月も微笑ましそう見ながら言った最後のに光彦は目ざとく指摘する。

 

光彦「作業中の人が居たんですか?一体、どんな作業をしてたんでしょう?」

 

望月「例えば、『珊瑚の夢』の水を抜いての水槽掃除とかだなー。珊瑚の夢は人気スポットだから水槽は綺麗にしておかなきゃダメなんだが…魚を別の水槽に移して水を抜く作業は水族館が閉館してる時にしかできないんだ」

 

歩美「へえ、そうなんだ…………!」

 

佳奈「そうやって掃除するんだー!」

 

目を輝かせる2人に望月は気分よく説明を続ける。

 

望月「ああ!もともと、昨日、今日、明日と水族館は閉館予定だったしな!飼育員の玲香さんは三日前から準備してていねいに掃除してだぜ!」

 

光彦「そんな玲香さんやあと何人かを除いて昨日は水族館の中にほとんど人が居なかったってことですね?」

 

確認する光彦に望月はそうだよと肯定する。

 

哀「…望月さん。それほど人目がなかったのなら通りすがりの誰かが水族館に潜入して社長を殺したという可能性はないの?」

 

佳奈「あ、確かに!」

 

気づいた事を質問する哀に誰もがそう言えばと納得するが望月は否定する。

 

望月「うーん、それはあり得ないな!入口のシャッターは降りていたし非常口付近にある監視カメラにも、怪しい人影は映ってなかったんだよ。昨日水族館に出入りできたのは、カードキーを持っている関係者だけだ!」

 

佳奈「カードキー?」

 

光彦「確かにそうだとすると人が限られますね」

 

うーんと光彦が唸ると望月が何か思い出したのかそうそうと口を開く。

 

望月「あ、あとさっき警察にも証言したんだけどさ、その日一番最初にカードキーを使った時間が、出勤時間として記録されるんだよな…!」

 

光彦「なるほど…だったらそれを調べる事で、アリバイをハッキリさせる事ができるかもしれません!」

 

そうだなと光彦のに望月は頷いた後にため息を吐く。

 

望月「ハァ、それにしても、ついてないぜ…。遺体まで見つけちゃうしよぉ…夢に出そう…」

 

歩美「大変だったんだね…」

 

針妙丸「大変だね…」

 

そうぼやく望月に歩美と針妙丸はそう言う。

 

光彦「アシカのショーやペンギンのパレードを見て、気晴らしを摺るといいですよ!」

 

姫「さ、流石にやらないんじゃないでしょうか…」

 

そう言う光彦だが姫のにあ、そっかーとすぐさま気づく。

 

望月「その子の言う通り、さすがに殺人があっちゃ、パレードもショーも中止だと思うぜ」

 

それを聞いてそっか…と残念そうな元太に望月は苦笑する。

 

望月「ハハハハ…もう聞きたいことはなさそうだな?じゃあな、探偵団。思ったより楽しめたぜ…!!」

 

礼を述べると望月は警備に戻り、歩いて行く。

 

歩美「望月さんのお話、面白かったね!」

 

佳奈「うん!そうだね!」

 

光彦「真実カードにできるような事が得られなかったのが残念ですけどね」

 

姫「あ、そうですね」

 

楽しげに言う歩美と佳奈に光彦はそう返すと姫もそう言えばと気づく。

 

確かに話を聞いてみるとカードに出来そうな手がかりはなかったのに姫はどうしましょうと困り果てる。

 

すると何か考え込んでいた哀が口を開く。

 

哀「ちょっと出てくるわ…あなた達、ここでお茶を飲んでなさい」

 

元太「何だよ、灰原…ぬけがけしようってのか!?」

 

佳奈「ぬけがけはダメだよ!」

 

そう言う2人に哀は違うわよと言ってから理由を言う。

 

哀「博士に電話をかけるだけよ……予定より帰りが遅くなるけど、心配しないでって…」

 

姫「ああ、そうなんですか」

 

そう言ってから歩き出す哀の背を見ながら針妙丸はんーと唸る。

 

少年探偵団と姫達から別れた哀は四つ葉アクアリウムに足を運ぶと鼻歌を歌う望月を見つける。

 

哀「(望月さん…死人が出た直後に口笛はどうかと思うわよ…)」

 

針妙丸「あーいちゃん」

 

そんな望月に哀は呆れていると針妙丸が駆け寄って来る。

 

哀「少名さん!?何でここに!?」

 

針妙丸「哀ちゃんを追ってきたの」

 

そう答える針妙丸に哀はどうしようかと思ったがそこに鼻歌を止めた望月の独り言が聞こえて来る。

 

望月「しかし、綺麗な大水槽だよなぁ…でも俺、やっぱりクビになっちゃうのかな…まあ、そしたらその時、身の振り方を考えればいいかァ…」

 

哀「(…………まあ、こういう人だからこそ、私や探偵団のみんなにも、情報を教えてくれるのかも…)」

 

針妙丸「大変だね、望月さん…」

 

聞こえて来たのに哀は呆れたがすぐにそう思い、針妙丸のを聞きながら彼に近寄る。

 

哀「望月さん!」

 

望月「おお…?なんだ、さっきの女の子たちじゃないか…いったい、何の用だい?」

 

声を掛けられて気づいた望月はそう聞く。

 

哀「あなたが話したことで少し気になることがあってそれで追いかけて来たのよ」

 

針妙丸「気になること?」

 

出て来た言葉に望月もそうだが針妙丸も首を傾げる。

 

哀「これよ」

 

望月「その真実カードは…」

 

そう言って哀は真実カード《容疑者達のアリバイ》を見せる。

 

哀「玲香さんが水槽を掃除しているところを誰かが見ていたという話だけど他の飼育員はほとんどいなかったのよね。どうして玲香さんは都合よくアリバイを証明できたのかしら?」

 

針妙丸「あ、そう言えば…」

 

言われて針妙丸も気づくと望月はうーんと唸った後にそれについて自分なりに思い当たったのを言う。

 

望月「飼育員は確かに居なかったけどさ…俺は玲香さんの居る『珊瑚の夢』には何度も足を運んだんだ。あと、アルバイトの女の子…後藤さんが、掃除中の写真をいっぱい撮ってたんだよな。俺も一枚、玲香さんの写真貰っちゃったしね!それで、アリバイとして認められたんじゃないかなぁ?」

 

針妙丸「確かにそれじゃあ犯行は無理だね」

 

写真を貰ったという望月の部分以外に針妙丸も納得する隣で哀もそうなのね…と呟く。

 

哀「ずっと水槽の掃除をしていたわけじゃあなかったのね?」

 

望月「ああ、そうみたいだね…!!ってこんな話…何かの役に立つのかい?」

 

確認する哀に望月は肯定してから訝しげに聞く。

 

哀「ええ、とっても。他にも、何か噂話があれば聞かせてもらいたいわ。あなたは水族館の内部事情に詳しそうだし…」

 

望月「ええー、わかる?俺が事情通だって事。参ったな~、こんな小さな子にまでバレバレだなんて。イケメンオーラが出ているのかな~?」

 

そんな哀のに望月は照れ臭そうに笑う。

 

針妙丸「(イケメンオーラで言うなら伊御君の方が高いと思うな…;)」

 

哀「………(突っ込みたいところは多々あるけれど…情報収集のため、我慢しましょう…)」

 

そんな望月に2人は呆れていると望月が何かを思い出した様に声を出す。

 

望月「そうだ、思い出したぜ!前、俺のタブレット端末が、バックヤードのパソコンにうまくつながらなくなった時、通りかかった美人建築家の島崎可南子さんが、ちゃちゃっと直してくれたんだ!!」

 

哀「そうなの…彼女、機会にも明るいのかしら?」

 

出て来たのに哀はそう呟く中で明るい?と言うのに首を傾げる針妙丸に詳しいと言う事よと苦笑しながら教える。

 

望月「みたいだな!建築に使う計算でパソコンを使う必要があったらしいぜ。やってみたら面白くなっていろいろ勉強したって言ってたからさー!」

 

哀「ふーん…努力家なのね、彼女………」

 

これ以上は情報はなさそうだと思った哀は望月にお礼を言って元太達の所へと戻る事にした。

 

少年探偵団も探し出して事件解決の手がかりは見つけられるのだろうか……




哀「次回は『少女達の探索と小さな異常』に続くわ」


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DETECTIVE.Ⅳ~少女達の探索と小さな異常~

蘭達も事件の手がかりを探しだす。そんなかな、ちょっとしたトラブルが…


少し時間が進み10:25

 

つみきと咲は蘭と一葉と共に珊瑚の夢の水槽前で小五郎を探していた。

 

蘭「お父さん、どこかしら…」

 

つみき「依頼人の小沢さんを放ってる状態ね…」

 

咲「見当たらないわね…確か警視庁の人がこっちの方に歩いていたって聞いたけど…水槽の上かしら?」

 

困った感じに言う蘭を見ながら呟くつみきの後に咲が水槽を見て言う。

 

蘭「水槽の上にあがってみようかな。確か今、小沢さんも佐藤刑事達から事情を聞かれてるはずだけど…」

 

和葉「そうやね、おっちゃん、その場におるかもしれへんし…もしいなくても、小沢さんに『ちょっと待っとって』って言えるし」

 

蘭「うん!行こ行こ!!」

 

頷いた後に4人は上部へと移動するとそこで丁度佐藤が小沢と小太りな男性に事情聴取をする所であった。

 

どうやら小太りな男性は矢口隆と言う森山コーポレーションの技術部長を務めてるそうだ。

 

蘭「あ、もう始まってるね」

 

つみき「…そうね。でもなんか小沢さんの様子おかしくない?」

 

そう言われて3人は小沢を見ると確かに小沢は顔を青ざめてソワソワしていた。

 

咲「顔真っ青ね」

 

和葉「……こういうの、出ていきづらいなァ、蘭ちゃん」

 

困った感じに言う和葉に蘭もうんと同意する。

 

つみき「どうやら始まるみたいね」

 

そう言われて2人はせめて情報だけは聞いておこうと耳を傾けるのであった。

 

佐藤「…では、この岩場の向こうまでご一緒いただけますか?」

 

矢口「私は遠慮させてもらうかな。10年前に交通事故に遭ってから、右の足が不自由になってね」

 

そうお願いする佐藤に矢口はそう答える。

 

確かにつみき達から見た時から彼は杖をついていた。

 

矢口「杖をついて歩く分には、ほぼ支障はないがこんなところは跳べないよ」

 

小沢「それを言うなら僕だってそうです!!僕は高所恐怖症なんだ…こんな場所、跳べるはずがありません…!」

 

佐藤「………本当なの?高所恐怖症なんて、いくらでも詐称できると思うだけど」

 

続けて言った小沢のに佐藤は怪しむが矢口が小沢のを肯定する。

 

矢口「小沢さんが筋金入りの高所恐怖症なのは本当だよ…クローバーヒルズの真ん中にある電波塔―――セントラルタワーに上っても窓を絶対に見ないからね…このタワーのプロジェクトを進めていた社長の秘書としては、出世に響くほどなんだ…」

 

高木「なるほど…」

 

咲「(それで納得しちゃうの;)」

 

説明に納得する高木に思わず咲は内心ツッコミを入れ、佐藤自身も同じなのかええな反応で見ている。

 

もしもその行動が殺害の為の演技だったなら人を欺きやすいと思うからだ。

 

その後に佐藤は擬岩を見てから触って確認してみる。

 

佐藤「(ちょっと、このあたりの擬岩……滑りにくそうな材質よね。で、高木君が小沢さんの向こう側…水際にいる…と)」

 

丁度良いかなと本当に小沢が高所恐怖症かどうか確かめる為に佐藤は小沢に近づく。

 

佐藤「小沢さん…」

 

小沢「なんですか…岩場の間を渡れという話ならお断りで―――」

 

佐藤「ちょっと失礼…!」

 

そう言って佐藤は小沢を岩場の縁に落ちない様にドン!と押す。

 

小沢「う、うわあああ!!や、やめろ、やめろおおおおっ…!!!!」

 

佐藤「えっ、ちょっと…落ち着いて、小沢さん…!」

 

咲「(ちょ、あれパニックになってない!?)」

 

つみき「…まずいわね」

 

慌てぶりに佐藤は宥めようと駆け寄り、つみきと咲達はその様子に恐怖症は嘘じゃないと分かった後にちゃんと事情聴取に協力してくれるか不安になる。

 

小沢「ひ、ひやあああっ…!」

 

ドスッ

 

すると宥めようとした佐藤はパニックを落としていた小沢に突き飛ばされて岩場から落ちかけてしまいそうになる。

 

佐藤「きゃあああっ…!!!」

 

高木「危ない、佐藤さん!」

 

ガシッ

 

あわや、落ちかけた佐藤を高木が抱き抱えて事なきを得て、それに誰もがホッとする。

 

小沢「ひゃぁあああああ………助かった…」

 

その間に小沢は縁から後ずさって尻もちをついてホッと安堵の息を吐く。

 

小沢「な、なんて事をするんですか…!!こんなの、やりすぎですよ…!」

 

高木「すみません、小沢さん…おっしゃるとおりです。真実を明らかにしたい…その一心で、ちょっとやり方を間違えてしまったみたいです………」

 

怒鳴る小沢に佐藤を抱き抱えたまま高木は謝罪する。

 

佐藤「た、高木君、私は―――」

 

高木「佐藤さん、今は黙って反省してください…!!いくら僕が小沢さんの前に居たからって…今みたいに掴めるとは、限らないんですよ!」

 

それに弁解しようとした佐藤は怒った高木にピシャリと言われて軽率だったと反省する。

 

佐藤「………そうね、高木君の言う通りね…ごめんなさい…」

 

高木に謝った後に佐藤は小沢に顔を向ける。

 

佐藤「小沢さん…私が、軽率でした………」

 

小沢「………まあ、いいですけどね…結果的には大丈夫だったわけですから…」

 

高木「ありがとうございます…感謝します…」

 

謝罪する佐藤に小沢は高木が先に怒っていたのもあって許し、高木は礼を述べてから佐藤へと顔を向ける。

 

高木「………佐藤さん、大丈夫ですか?立てますか…?」

 

佐藤「え、ええ…………だから、その…そろそろ、放してもらえるかしら?」

 

確認する高木へとそう答えてから頬を少し赤らめてお願いする佐藤に言われた本人は自分と佐藤の体勢にハッとなる。

 

高木「………!!す、すみませんっ………!!」

 

慌てて安全を確認してから離れる高木に佐藤は頬を叩いてしっかりした後に小沢にまた顔を向ける。

 

佐藤「申し訳ありませんでした…」

 

小沢「ハァ……何だがどっと疲れましたよ。体中、汗でびっしょりだ…」

 

矢口「ハハハハ…そうだろうね………!でもこれで、君の高所恐怖症が嘘でない事がわかってもらえたんじゃないか?」

 

改めて頭を下げて謝罪する佐藤に小沢はそう言いいながら取り出したハンカチで汗を拭う中で矢口がそうフォローする。

 

高木「そうですね…さっきのは、演技で出来る事ではありませんでした…」

 

つみき「(確かにあの怯えようは演技には見えないわね)」

 

頷く高木につみきは同意でもしもあれで演技ならば普通に演劇やドラマに出れる程だと思った。

 

小沢「………分かっていただけたなら有り難いですが、寿命が縮みましたよ…」

 

蘭「小沢さん、高所恐怖症だったみたいだね…」

 

和葉「そうやな…岩場と岩場の間を渡れないんなら、小沢さんは犯人とはちゃうんやないか…?」

 

咲「それは分からないけど…真実カードにしておいた方がいいかもね」

 

安堵する小沢を見て呟く蘭と和葉に咲は提案する。

 

蘭「そうだね!」

 

つみき「それじゃあ真実カードにしときましょう」

 

それに3人は同意して真実カードを作り出してアップした。

 

その際に小五郎が物置のでいわくつきの物置と言う名前で、可南子が容疑者達の出勤状況を真実カードにしているのが分かった。

 

 

 

 

場所変わり、コナンと伊御、正邪に榊は後藤にどう説明しようかと考えている所であった。

 

だが後藤は真剣だった顔を緩ませて笑い…

 

後藤「……なーんてね!!うふふ、答えなくても良いわ…私も名探偵を目指す以上、真実は自分で明らかにしないとね!」

 

コナン「(た、助かった…)」

 

正邪「ふうん、あんたは探偵を目指してるんだな」

 

そうだよと正邪のに答えた後に後藤は困った顔をする。

 

後藤「ただ、まだまだなんだけどね」

 

伊御「まだまだ…ですか?」

 

そうだよと伊御のに答えてから後藤は困った顔をする。

 

後藤「そうそう、それに今事件を知ったからそれに関係ありそうな手掛かりは持ってないからね……昨日は玲香さんと一緒にウェストリーフに行く前に撮った写真をブログにアップロードしようと思ってたんだけど……えーっとどのフォルダに入れたっけ?」

 

そう言ってパソコンを操作してこれよ、これ!と目的のを見つけて伊御達に見せる。

 

後藤「見て見て、けっこう綺麗に撮れてるでしょ?」

 

コナン「ふむふむ…………?(あれ?どこか……オレがさっき見た光景と違うような気がするんだが…気のせいか?)」

 

伊御「あれ?この岩、さっきはなかったような?」

 

見せられた写真にコナンはふと違和感を持ったが伊御の指摘にそうだ!と気づく。

 

小五郎により止められた岩場の所に大きめの岩が写っているが実際の現場にはそんな岩はなかった。

 

コナン「後藤さん、この画像、僕の携帯に転送してもらってもいい…?」

 

榊「なんでこの写真を?…ああ、真実カードにする為か」

 

後藤「なんだか分からないけど……今からこの画像の含まれたページをインターネットにアップロードするから君のに転送するより、URLにアクセスした方がきっと早いわよ」

 

するとそうお願いするコナンに榊は疑問を感じたがすぐに理解する中で戸惑っていた後藤は落ち着いてからそう提案する。

 

コナン「そっか…じゃあ、それで大丈夫。URLを教えて…!」

 

伊御「そう言えばここのを見てなかったし丁度良いね」

 

後藤「オッケー、オッケー………」

 

お願いされて後藤はアップロードに取り掛かる。

 

だが意気揚々としていた後藤の顔はすぐさま困惑した顔になる。

 

後藤「……あれ、どういう事…?」

 

正邪「どうかしたのか?」

 

榊「何かトラブルか?」

 

誰もが後藤へと近づくと後藤は困った顔で振り返る。

 

後藤「ホームページにアクセスできなくなってるの…こんな事、今までなかったのに…」

 

伊御「通信障害かな?」

 

コナン「どこかで異常が発生してるのかな?」

 

困った顔をする後藤の隣でそれぞれが呟いた後にそうかも…と頷いてから後藤は言う。

 

後藤「調べてみた方がいいかもね…あ、そうだ…」

 

手をパンとさせてコナンへと後藤は顔を向ける。

 

後藤「『珊瑚の夢』の写真は、名探偵君のスマホに直接入れてあげるわね!」

 

コナン「ありがとう、後藤さん…助かるよ!!」

 

伊御「ありがとうございます」

 

そう言う後藤に2人はお礼を言った後にどういたしましてと後藤は笑う。

 

榊「(……それにしても電波障害か)」

 

その間、榊は今起こっている事を考える。

 

もしも紫から聞いたテロリストの仕業だとするとより警戒を強めないといけない。

 

榊「(……まさかこの事件もテロリストたちの?)」

 

その後にテロリストがテロの為の準備の為の布石かとも榊は可能性を考える。

 

もしもその考えも当たっているなら状況は酷く厳しくなる。

 

榊「(嫌な予感がするな…)」

 

まだ事件の全貌が見えてないのに来るであろうテロリストのに頭を悩ませながら榊は後藤の作業を見守る。

 

新たな手掛かりを得たコナン達。

 

だが、少しずつだが悪意の手は忍び寄っていた…




バディア「次回は『関西の探偵の情報収集』だ」

真宵「私らの番じゃよ~」

京谷「まぁ、合流するけどな」


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DETECTIVE.Ⅴ~関西の探偵の情報収集~

事件の調査をする服部達。そこである人物から声をかけられる



10時33分頃、服部達は再び珊瑚の夢の前に来ていた。

 

そこで唸っている目暮を見つける。

 

真宵「おや、どうしたんじゃよ?警部さん」

 

京谷「やっぱ事件ので悩んでいるんじゃねえか?」

 

バディア「こういう時は聞くに限るな」

 

そう話しながら4人は近づく。

 

服部「目暮警部どうしたんや?謎に迷っとるのなら…僭越ながら、服部平次、西の名探偵が力になるで……」

 

目暮「おお、君達……うむ、実はな……被害者は185センチを超える長身という事を服部君も見た通りだと思うが……彼は日頃から趣味のゴルフを上達させる為、熱心に鍛えていたらしい…」

 

真宵「ほ~趣味がゴルフですとな」

 

京谷「けど、そうなると……」

 

そう声をかける服部に説明した目暮のに真宵は感心し、京谷は気づいて、服部もああと頷く。

 

服部「社長を撲殺出来るような人物は、限られて来るという訳やな?」

 

真宵「ふぇ?」

 

バディア「なぜ……ああ、確かにあの社長では限られるな」

 

目暮「そう言う事だ……倉元玲香さんは女性であり、身体を鍛えた男性に勝てるとは思えない……矢口隆さんは足が不自由だし、原田良太郎さんは腕を骨折している。この3人には『珊瑚の夢』の上部で社長を殺す事は出来ないだろう……消去法で考えると秘書の小沢さんだけが残る……」

 

ううむと唸る目暮だが4人はあーと先ほど来た真実カードを思い出す。

 

京谷「その小沢さんも高所恐怖症で無理だな」

 

服部「探偵事務所の姉ちゃんが教えてくれた事なんやが……こいつが言った様に重度の高所恐怖症で岩場の間を渡って社長を殺すのは難しいと思うで…」

 

なんと言う事だと目暮が唸る中で4人は矢口と原田ので確認したい事を聞く。

 

真宵「そう言えば矢口さんと原田さんの手足が不自由なのは本当ですか?」

 

京谷「確かに骨折とか普通に偽装出来そうだもんな」

 

目暮「それについてはすでに裏は取ってある。矢口さんは10年前の交通事故で足に大怪我を負っている。必死にリハビリをした結果、歩く事は出来るが走ったり、跳んだりすることは不可能らしい。手だけで運転できる車を所持しているし、怪我が嘘だとは考えづらい……」

 

バディア「つまり、今の所は偽装ではないと言う事か」

 

服部「成程な……原田さんの方はどうなんや?」

 

次に原田のについて服部は確認を取る。

 

目暮「原田さんは1週間前、転んで利き腕を折ったそうだ。病院で撮影されたレントゲンを、ワシの部下が直接見ているし、保険会社が原田さんの怪我の事を、しっかり調べてるようだった」

 

服部「………」

 

真宵「ふぅむ……そうなると一体誰が犯人じゃろうね……」

 

京谷「けどよ。別に正面からそのまま殴って撲殺じゃない可能性もあるんじゃないか?」

 

顎を摩った真宵は京谷のに確かにそうじゃねと頷く。

 

服部「それに、社長さんは毒や睡眠薬を飲まされていたのかもしれへん……」

 

真宵「それらの検査はどうなってるんじゃろうか?」

 

目暮「それについては今、何かの毒物か睡眠薬が使用された形跡がないか詳しく調べている……だが、鑑識の柳下君は、薬物が使われた形跡はなさそうだと言っているがね…」

 

そう言った服部や聞いた真宵のに目暮はそう答える。

 

服部「ほぅ……なるほどな…………」

 

京谷「ってことはやっぱり殴られて殺されたのか?」

 

目暮「……どうだね服部君。この事件の目星は付いてるかね?」

 

京谷が呟いた後に目暮が聞くと服部はまだまだや……と首を横に振る。

 

真宵「ん~他の皆もまだ情報集まってないようじゃね」

 

服部「知れば知る程奇っ怪な事件やしな……でも、真実はいつだってひとつ……俺は必ず、真実を解き明かして見せるで!」

 

京谷「俺達もできる限り手伝うぜ!」

 

おう、頼むぜ!と気合を入れる真宵と京谷に服部はそう言う。

 

 

 

 

服部「さて、次は……」

 

どこに行くかと服部が考えているとおよと真宵が足音に気づく。

 

顔を向けると1人の男性が駆け寄って来るのが目に入る。

 

真宵「ん、誰か来るんじゃよ?」

 

京谷「誰だあれ?」

 

???「服部く~ん!」

 

元気よく声を出しながら来る男性に3人は首を傾げる。

 

服部は服部で面倒な時に来たなと顔を顰める。

 

真宵「知り合い?」

 

服部「俺が此処に来た理由の番組のプロデューサーしとる山田のオッサンや;」

 

京谷「なんか慌ててるみたいだけど……」

 

山田「探したよ服部くん……ってあれ?この子達は?もう1人の女の子もいないけど?」

 

なんでこんな時にと呟く服部の後に山田は3人を見て聞く。

 

服部「こいつは偶然来てた俺のダチや、和葉は別の知り合いと一緒に別行動中」

 

バディア「バディア。バディア・D・グモンロラだ」

 

真宵「私は片瀬真宵。こっちは西原京谷さんじゃよ」

 

京谷「んで何の用なんだ?こっちは今事件の捜査で忙しいんだけど……」

 

自己紹介した3人に山田は息を整えてから口を開く。

 

山田「あ、これはどうも、山田和則と言います。それで僕が来たのはそれが理由だよ服部くん!聞いたよ。この四つ葉アクアリウムで起こった殺人事件の捜査をするんだろ?」

 

真宵「(一体誰から聞いたんじゃよ;)」

 

京谷「(そういやなんかチャラい警備員がいたからそいつがなんか言いふらしたのか?)」

 

バディア「(あんまり広がると良くないのだがな……)

 

そう聞く山田に真宵と京谷とバディアが思う中で言った本人は次にとんでもない事を言う。

 

山田「頼む。密着取材をさせてくれ!!」

 

服部「………………ハァ!?」

 

京谷「密着」

 

真宵「取材!?」

 

バディア「(なんとなく予想はしてた)」

 

出て来た言葉に3人は驚き、バディアは内心溜息を吐く。

 

服部「いや、そりゃ困るで!」

 

山田「そこをなんとかお願いできないか!?」

 

真宵「流石にそれは無理じゃと思うんじゃけど;」

 

手を合わせて拝み倒す山田に真宵は冷や汗を掻く。

 

服部「こいつの言う通りや!証人は自分の秘密を守られると思うから探偵に、真実を話してくれるんや……そこにテレビカメラなんてあったら皆、口をつぐんでしまう……(それに工藤とも相談できへんようになるしな…!)」

 

山田「………………そこまで言われちゃしょうがないね……分かったよ……その代わり、事件が解決した後でうちの看板番組に出演してくれないかな……?」

 

そう言った服部に山田は真剣な目からそう返した後に頼みこんでくる。

 

服部「ええ……?」

 

真宵「看板番組に出演って……」

 

京谷「(そんなに服部を出して視聴率を上げたいのか…?)」

 

バディア「(良く刑事ドラマでそう言うのを気にするのが出るとホント厄介であるな……)

 

山田「勿論、タダでとは言わない。この四つ葉アクアリウム副館長……原田良太郎氏に、社長を殺す『動機』があるって噂を知ってるかい?僕は服部くん達に、それを教えてあげようと思うんだ……」

 

頼み事に4人がなんとも言えない顔をしたが山田の口から出て来た言葉に4人は驚く。

 

服部「……なんやて!?」

 

真宵「原田さんの動機じゃと!?」

 

京谷「マジかよそれ!?」

 

勿体ぶらずに教えてや!と詰め寄る服部に山田は涼しい顔で言う。

 

山田「それは、君の態度次第だよ……」

 

京谷「くっ、どうする服部?」

 

真宵「と言うか……山田さんが知ってるって事は……他にも知っとる人がおるんじゃなかろうか?」

 

ううむと唸っていた服部は真宵のにそう言えばそうやなと頷く。

 

服部「時間かかるけど、その方がええかな」

 

京谷「んじゃ他の人に聞いてみるか」

 

バディア「そうだな。こんな輩の取引などせんでも手に入るだろうしな」

 

山田「わーー!!?ちょっと意地悪してごめん!!分かった!教える!教えるから事件終わった後で良いから僕の看板番組に出て!お願いするよ!!」

 

いこういこうと歩き出そうとした服部に腰に抱き着いて必死に懇願する。

 

服部「素直にそう言えばええやろ……」

 

真宵「意地悪するとバチが当たるんじゃよ」

 

京谷「んでどんな動機なんだ?」

 

呆れ果てる中で代表で聞いた京谷に山田は服部から離れて先ほど言った原田の動機がなんなのか答える。

 

山田「動機と言うより黒い噂なんだけど、原田さんの黒い噂と言うのはね……天下りで得たお飾りの副館長職……それの給料増額をお願いしていた事だよ…」

 

服部「……成程な……」

 

京谷「動機になるかもなそれ」

 

真宵「でもそれだけで原田さん、人を殺すじゃろうか?」

 

噂の内容に覚える中で真宵のにそれは、分からないけど……と山田は続ける。

 

山田「でも、彼は食道楽で着道楽、おまけに株にも手を出してる浪費家だからね……」

 

服部「……フン。成程な……」

 

真宵「金欲しさで人殺すってよくあることじゃね」

 

京谷「けどまぁ、確かにさっき言ってた給料増額を蹴られたら……」

 

バディア「誤ってと言うのもあり得る……か」

 

各々に言った4人に山田は興奮した様子で頷く。

 

山田「その通り……恨みに思っても、おかしくはない……!!」

 

これは書いといた方が良いかなと真宵は人物ファイルのに山田から聞いた事を書き加えた。

 

服部「(通りは通るが……だが、他の連中にも、動機や何やらがないとも限らん……まだまだ情報が必要やな……)あんがとな山田のオッサン。まぁ、情報の提供のお礼や、あんたの看板番組に出たるわ」

 

ちなみにこいつ等も見学で一緒に頼むわと京谷と真宵の肩を叩く。

 

真宵「ってええ!?」

 

京谷「俺達も!?」

 

驚く2人に当たり前やろ!と服部は言う。

 

服部「生もんの撮影場所なんてめったに見られへんからええやろ?」

 

京谷「いやまあそうだけどさ…」

 

真宵「確かに、伊御さん達に自慢できると思うんじゃよ」

 

そう言う服部に京谷は頬をポリポリと掻く中で真宵はワクワクする。

 

真宵「と言う訳で事件終わった後の予定けって~い☆」

 

京谷「はあ、しょうがねぇか。んじゃこの情報、真実カードにしとくぜ」

 

ふうとため息を吐いた後に京谷はさっき聞いた事を真実カードにして送信した。

 

ちなみにバディアは我は興味ないと言うので断った。

 

 

 

 

一方のコナン達も四つ葉アクアリウムに来ていた。

 

コナン「(ひとつひとつ、情報が明らかになっていってる筈なのに……情報を集めて行く度に、犯人の輪郭がつかめなくなっているような気がする。この犯人……なかなかの強敵だ………だからこそ、情報を上手く使ってあぶりだしてやらなきゃいけねぇ……姿を隠そうとして『煙幕』を張ったのなら、『煙幕』の張った跡も必ず残るんだ……!!)」

 

整理しているコナンを見ていた伊御達は山田と別れた服部達に気づく。

 

伊御「そう言えばコナン君」

 

榊「推理の方はどうだ?」

 

コナン「んー……まだ駄目だね」

 

正邪「丁度服部達もいるし、一度真実カード以外でも情報交換してみるか」

 

首を振ったコナンは正邪の提案にそうするかと受け入れて服部達に近づく。

 

近づいた伊御達に服部達も気づく。

 

京谷「ん?榊達じゃねえか?そっちも来たのか」

 

榊「まあな、んで情報交換しようぜ」

 

確かに真実カードに出来ない情報を持ってるかもしれないと言う事で服部も賛成やと同意する。

 

伊御「まずは真宵たちの方はどうだったんだ?」

 

真宵「そうじゃね。目暮警部から聞いたんじゃが2人の骨折とかに関しては嘘じゃないそうなんじゃよ」

 

正邪「そうなのか。でも腕ならともかく足が悪い矢口さんなら犯行行えたんじゃねぇか?」

 

聞く伊御のに真宵はそう答え、正邪は指摘する。

 

京谷「だけどよう。あの足で飛ぶのが無理なんだぞ?」

 

正邪「んじゃなんか足場用意したんじゃねぇのか?」

 

服部「足場か……もしかすると毛利のおっちゃんが調べてる所に足場になるのがあるかもしれへんな……」

 

そう言う京谷に正邪はそう言うと服部も顎を摩りながらそう言う。

 

伊御「次は俺達の情報だけど」

 

榊「俺達はあの場になかった凶器と思われる石が犯行前にあったのと……なんか分からねえけどここの回線とインターネットが繋がらなくなってるみたいだぜ」

 

真宵「回線が!?」

 

京谷「それ、ヤバくね?」

 

驚く2人に服部もそうやなと頷く。

 

服部「んで、お前さん、なんで会話に参加せえへんのや工藤?」

 

コナン「え、あ、ちょっと気になる事があってな……」

 

正邪「気になること?」

 

真宵「なんじゃらほい?」

 

誰もがコナンから出て来たのにコナンに注目する。

 

コナン「伊御さん達はあの時あの場にいたから知ってるだろうけど、クローバーヒルズに関わりの深い建築家、島崎可南子さん。彼女は今、記憶を失くしてるけど……記憶を失くす前、真実カードシステムの構築を個人的なレベルでオペレーターに依頼してたんだ……」

 

服部「島崎可南子て、あの『美し過ぎる建築家』やったか…?」

 

正邪「そう言えばそうだったな」

 

バディア「お前は怪しいと思っているのか?」

 

服部に教えるコナンのに確かにと誰もが頷く中でバディアが問う。

 

コナン「バーロー、そんなんじゃねーよ……ただ、気になる所があるんだ…」

 

服部「なんや、それ?」

 

京谷「気になること?」

 

出てきた言葉に誰もが疑問を持つ。

 

コナン「この事件は、ただの殺人事件じゃなく…何かの始まりなんじゃねーかって…俺の思い過ごしでなら良いんだが…」

 

榊「(なんだろう……物凄いフラグな気がするな;)」

 

伊御「(紫さんからテロの事を聞いてるから否定できないよな…;)」

 

そうコナンが告げた事は伊御達には紫から事前にテロ予告を聞いていたので思い過ごしにならないと思った。

 

それを知らない服部はなんとも言えない顔をする。

 

服部「工藤がそこまで言うなんて、珍しいやないか…なんか理由でもあんのか?」

 

そう聞く服部だがコナンはまだ整理できてないのか無言でいた。

 

バディア「(まだ整理できていないみたいだな)」

 

まぁ、情報が集まってないのだから仕方がないかとバディアは思っていると小五郎が来る。

 

小五郎「おぅ、お前等、お前達もまだ、犯人が分かってなさそうだな!」

 

服部「お前達も、て……オッサンだって分かっとらんやろう!?」

 

そう声をかけた小五郎は服部のにそ、そんな事はねーぞ!とあからさまに目を逸らす。

 

正邪「(分かってないな)」

 

真宵「(分かってないんじゃね)」

 

それに呆れ果てていると伊御く~んと言う声と共に少年探偵団と佳奈達、可南子や蘭達も来る。

 

つみき「伊御」

 

伊御「つみき、そっちも情報は手に入れてるみたいだね」

 

ぽむと頭を撫でる伊御につみきはふみーとなる。

 

原田「おやおや、皆さん賑やかですな…」

 

そこに原田も来る。

 

伊御「あ、原田さん」

 

原田「やあ…名探偵と名高い『眠りの小五郎』と服部君が謎を解いてくれると聞いておりますから…私も大船に乗った気持ちでいるのですが…」

 

真宵「(小五郎さんの場合だと大船じゃなくて……)」

 

京谷「(泥船になりそうだな…)」

 

そう言った原田のに真宵と京谷は冷や汗を掻く。

 

前にも書いたが小五郎はエンジンがかかり、何か大事な物がかかっている時にはコナンにも負けない推理力を発揮するのだが普段が普段だけに自信過剰で空回りして抜けている所があり、危ない所があるのでなんとも言えないのだ。

 

そんな2人の心配を知らない小五郎はハハハハハと笑う。

 

小五郎「探偵ボウズの力なんて必要ありません……私が来たからにはチョチョイのチョイで解決できます!今のまま、どーぞと大船に乗っててください」

 

バディア「(そう思ってたら沈むぞ)」

 

咲「(うーん、ホント危機感のない状態だと抜けてるわね;)」

 

ナ~ハッハッハッ!と笑う小五郎にバディアとコナンは呆れ、咲は困った顔をする。

 

原田「フフフ、実に心強いですな…ならば、毛利探偵、1つお願いがあるのです…」

 

そんな小五郎にうんうんと頷いた後に原田はそう切り出す。

 

原田の言うお願いとは……




京谷「次回は『原田からの依頼、次なる手掛かり』だ。一体どんな依頼を言うつもりなんだ?」


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DETECTIVE.Ⅵ~原田からの依頼、次なる手掛かり~

原田のお願い、それは探偵達を急かすことであった。



小五郎「はぁ…お願いとは、何でしょうか?」

 

原田「ええ…あなたは今日のお昼…12時までに謎を解く事が出来ますかな?」

 

姫「12時までに謎を!?」

 

榊「おいおい、12時ってもうすぐじゃねぇか!?」

 

ええ!?と誰もが原田の口から出たお願いの時間制限に驚く。

 

小五郎「それはまた、厳しいタイムリミットですな…」

 

バディア「だが何故12時までになのだ?」

 

針妙丸「何かあるの?」

 

それに小五郎は唸り、バディアと針妙丸が時間指定の理由を聞く。

 

原田「私は午後から始まる1周年セレモニーに出たいんですよ。ですが、この事件の犯人が捕まらない限り、私は水族館の外に行く事が出来ない。だから早期の事件解決を望んでおります」

 

正邪「(おいおい、そんな私的な理由かよ…)」」

 

針妙丸「(流石にそれって自分勝手すぎな様な…)」

 

答えられた事に正邪は呆れ、針妙丸も何とも言えない顔をする。

 

原田「無論、タダでとは言いません。首尾よく私がセレモニーに出席できた暁には、私のポケットマネーから、報奨金として200万円を差し上げましょう…!」

 

小五郎「に、200万!?」

 

榊「マジか!?」

 

真宵「太っ腹すぎじゃよ!」

 

元太「おおおおおおーーっ!すっげっーーーー!!」

 

まさかの値段に誰もが驚く。

 

原田「フフフ…どうですかな?これだけの報奨金があれば…皆さん全員に行き渡るでしょう…」

 

伊御「(そう言う問題かな…?;)」

 

バディア「(金で解決しようとするのがちょっと気に食わないな…)」

 

そう言った原田だが、伊御は内心冷や汗を掻き、バディアは気分を害して顔を顰める。

 

少年探偵団や佳奈、和葉は純粋に凄いと感じているが一部が良い顔をしていない。

 

興奮していた小五郎はそんなバディアやメンバーの反応に気づき、なんとも言えない顔になった後に咳払いする。

 

小五郎「分かりました。男、毛利小五郎。探偵としても早めに事件を解決を目指して頑張ってやります。では、てがかりを探しに行くのでこれで!」

 

そう言って小五郎は駆け出して行く。

 

元太「200万円かぁ……それだけあったら、どれだけうな重が食べられっかな…?」

 

歩美「きっと、ものすごーくおっきなうな重を食べられるね!!」

 

光彦「善は急げです…!みなさん急ぎましょう…!!」

 

おー!と元気に言ってから少年探偵団も走り出す。

 

姫「どどど、どうしましょう!」

 

針妙丸「制限時間付いちゃったね…」

 

佳奈「とにかく追いかけよー!」

 

慌てる姫と呟いた針妙丸に佳奈が姫を引っ張って走る。

 

針妙丸は哀ちゃんと行動するから~とそんな走る佳奈へとそう言う。

 

服部「やる気マンマンやな…」

 

真宵「まああんな額のお金出されたら仕方ないんじゃよ」

 

榊「人ってのは欲には弱い生き物だからな…」

 

少年探偵団のに呆れる服部に真宵と榊はそう言う中で原田が残念そうな顔をする。

 

原田「……しかし、私としてはアテが外れたと言わざるを得ませんね…私は毛利探偵と服部少年に協力して欲しくて、報奨金の話を振ったんですが…逆効果だったようですね…」

 

バディア「(当たり前だ。服部がそんな人間じゃないことぐらい分かるだろ)」

 

苛立つバディアはこれだからお金で解決しようとする奴は…と遠ざかる原田を睨む。

 

伊御「バディア、怖い顏になってるぞ」

 

バディア「む、すまない…」

 

それに気づいた伊御が窘めて、バディアも謝罪して眉間を揉む。

 

コナン「ねえねえ、せめて、ここに残った人の合間だけでも情報を整理してから当たってみようよ!」

 

服部「そうやな。謎があり過ぎて、収拾がつかへんしなあ……」

 

榊「まず最初はどの謎から考えるか…」

 

そう提案するコナンに服部も同意して榊はうーむと唸る。

 

京谷「犯人がどうやって殺したかも考えねえとな……」

 

コナン「遺体の動きも掴めてないし…水槽の上で社長を殺したとして、そのままにしておくわけにはいかないよね?」

 

哀「殺した後、どこに遺体を置いておくのか…そしていつ、水槽に遺体は落とされたのか…玲香さんが犯人でないとすると…」

 

バディア「それらを全て彼女の目を盗んでやらないといけないが……可能かそんなこと?」

 

正邪「普通は無理だよな。水の中に長時間は浸かってた筈の遺体を朝、珊瑚の夢で見なかったって言う望月って言う警備員の証言が気になるよな…」

 

気になる謎について各自述べた後に誰もが唸る。

 

コナン「遺体がどういう動きをしたのか、はっきりさせたいね!」

 

服部「ボウズの言う通りやな。その為にはさっき、ちっさい姉ちゃんが調べてくれた玲香さんの動きを調べた方がええな」

 

咲「玲香さんの動きね…」

 

バディア「詳しく調べた方が良いな……」

 

哀「分かったわ。確か玲香さんは警察から事情を聞かれてるんだったかしら?私と少名さんはカフェの方に行ってみる事にするわ…」

 

コナンの言った事に服部も同意して咲とバディアのに哀はそう言う。

 

伊御「うん、気をつけてね哀ちゃん」

 

分かったわと哀は笑ってから針妙丸と共にカフェへと向かう。

 

その後に蘭がそう言えばと思い出す様に言う。

 

蘭「原田さんの話は聞いたけど…私、他の皆にも動機があるかどうか気になる…」

 

つみき「……蘭の言うとおりね。色々とあの人たちは複雑な関係がありそうだし…」

 

正邪「んじゃ私達はそこら辺調べてみるか」

 

和葉「アタシも手伝うで、蘭ちゃん!」

 

コナン「僕達も、動機について聞けるチャンスがあったら蘭姉ちゃんたちに伝えるね!」

 

そんな蘭のにつみきと正邪と和葉も同意し、コナンのに蘭はお礼を述べた後にまた後でと和葉とつみき、咲と共に別の場所に向かう。

 

その際咲が京谷をからかってたが些細である。

 

可南子「私も、少し調べたい事があるんです。記憶の欠片を取り戻せそう…そんな気がした場所があって…」

 

伊御「でも一人じゃ……」

 

バディア「では我が一緒に行動する。それなら大丈夫だろ?」

 

コナン「そうだね。誰か一緒にいた方が良いよ」

 

終ったのを見計らってそう言う可南子に伊御は記憶喪失なのもあって純粋に心配したので、バディアが申し出る。

 

可南子「大丈夫よ、ありがとう…」

 

服部「いやいや、音無も流石に記憶喪失の人を1人だけにする事を心配しとるから、誰か1人はおった方がええ、だから名乗り上げた王様系姉ちゃんが付いて行った方がええやろ(それに、可南子さんも怪しい可能性もありえるから音無達の誰か1人は傍にいた方がええやろうしな…)」

 

バディア「王様系姉ちゃんか…」

 

断ろうとする可南子に服部が念押しし、バディアはそう見られてたのかと思いながら行くぞと可南子の背中を押して行く。

 

服部「フゥ、こうやって外堀を埋めて行けば、今ん所の一番の謎……容疑者4人が抱える色んな事情が犯行を不可能にしているちゅう謎も解けるかもしれへんな……」

 

榊「そうだな……んじゃ俺達は残っている謎を調べるとするか」

 

伊御「残っている謎と言うと確か……」

 

見送ってからそういう服部のに榊はうっしと気合を入れて、伊御も思い出そうとして…

 

コナン「あ、あれ玲香さんだ」

 

服部「おお、丁度ええやないか」

 

真宵「話を聞いてみるんじゃよ!」

 

京谷「だな」

 

そう言ってメンバーは事情聴取を終えた玲香へと近づいて行き、言おうとした伊御は後にするかと続く。

 

 

 

 

10:50

 

意気揚々と飛び出した少年探偵団と姫、佳奈はバックヤードに来ていた。

 

元太「おおぉ…ここ、スッゲェーな!!」

 

佳奈「色んなものがたくさんあるねー!」

 

歩美「ねえねえ見てみて!お薬のお風呂に、お魚さんが入ってるよ」

 

佳奈「へぇ~、お薬のお風呂なんてのもあるんだね」

 

それに誰もがおお!と目を輝かせる。

 

姫「こっちはなんでしょうか?」

 

ほへぇーと置かれてるのを興味深くみていた姫の隣で光彦はバックヤードを見渡す。

 

光彦「こんなに面白い所ですから、ぱっと見ただけでは凶器と分からない様な何かが隠されてるかもしれません」

 

佳奈「もしくはトリックの道具とかあるかもね!」

 

元太「ようし!少年探偵団、出動!」

 

おお!と元気よく言ってから調べ始める。

 

佳奈「あれ?ねぇねぇ、何かキラキラするもの見つけたよ!」

 

ゴミ箱を調べた佳奈はある物を取り出す。

 

姫「これは…アルミですね」

 

佳奈「なんか細長くなっていて、そこにいっぱいあったよ」

 

なんであるんだろう?と誰もが思う中で光彦が声をあげる。

 

光彦「あ、これ、アルミはアルミでもアクリルミラーですよ」

 

佳奈「アクリルミラー?」

 

姫「えっと、なんですっけ?」

 

歩美「思い出した!薄くてカッターナイフで切れる鏡だよ。前に万華鏡を皆で作った時に使うまで知らなかったんだよね」

 

首を傾げる2人に歩美が思い出して言うと佳奈もおお、凄いと思った後にんん?と眉を顰めて手を見る。

 

佳奈「なんかねちゃねちゃしてるよ?」

 

元太「ホントだ。後ろがベトベトしてるぞこれ…」

 

光彦「これは…のりですね。幅は見た限り2センチ程度に、均一に切られてるみたいですね。でも、何でこんなものがあるんでしょう?」

 

同じ様に触った元太の後に光彦はゴミ箱にあるアクリルミラーを見て呟く。

 

元太「水族館の誰かが、万華鏡を作ってたんじゃねーのか?オレ達もアクリルミラーの後ろにのりを付けて厚紙に張って、筒に入れただろー?」

 

光彦「…その場合、こんなに沢山の廃棄物が作られるでしょうか?」

 

姫「……もしかしてこれに張ったんじゃないでしょうか?」

 

そう言った元太のに光彦がそう言うと姫が薬水の入った水槽の近くに置かれていた折り畳みの蓋を指す。

 

それに光彦はそうか!と閃く。

 

光彦「折り畳みの蓋にこのアクリルミラーを張り付け、社長さんを隠したんですね!」

 

佳奈「そっか!そうすれば望月さんも監視の時に見ても気づかないね!」

 

姫「それなら、もしかしてこの竿も使われたんじゃないでしょうか?」

 

自身の思い付いた事を言う光彦に佳奈も納得して姫が水槽の隣にあった竿を見る。

 

光彦「確かに、それを使えば社長さんを隠していた折り畳み蓋を水の上から取り出せますね」

 

佳奈「でもこれ、片腕じゃ無理だよね?」

 

姫「そうなると両腕が使える人に限られますね」

 

竿を見て光彦はそう言って佳奈が呟くのに姫がそう言う。

 

光彦「とにかく、蓋を除いて竿とアクリルミラーのを真実カードにしますね」

 

姫「え?蓋のことはしないんですか?」

 

そう言って別々に取ってカードにし始める光彦のに姫は首を傾げる。

 

元太「そうか!コナンに凄いなって言わせる為だな」

 

歩美「あ、それ良いかも」

 

光彦「はい、それに…なんと言うかこれは勘ですけど、そうした方が良いかなと思ったんですよ」

 

佳奈「勘?」

 

すぐさまそう言う2人に光彦は頷いてから真剣な顔で言った事に佳奈は首を傾げる。

 

光彦「真実カードので僕達以外に見ている人がいたのを過程して、もしも犯人が見ていて、証拠のを出し過ぎていたらミステイクさせる為のカードを出してくる可能性もありえそうだと思ったんですよ」

 

姫「あ、なるほど!」

 

佳奈「確かにありえるかもね!」

 

ありえそうだと光彦の仮説に誰もが納得する。

 

元太「おい見ろよ。パソコンあったぜ」

 

佳奈「なんかしているみたいだね」

 

すると元太がパソコンに気づいて言い、佳奈が覗き込む。

 

佳奈「ブログの更新中?」

 

元太「触らないでくださいって書いてあるな…ブログの更新って、どんな事をするんだ…?」

 

そう言って操作しようとした元太を光彦が制止する。

 

光彦「元太君!触っちゃ駄目と書いてあったじゃないですか!」

 

姫「イタズラしちゃ駄目ですよ!」

 

2人に言われて元太はおおっとそうだったと伸ばしていた手を戻す。

 

佳奈「気を付けないとね」

 

姫「あれ?誰か来たみたいですよ?」

 

うんうんと佳奈が頷いた後に姫が足音に気づく。

 

見て見るといたのは原田であった。

 

原田「おや君達は…こんな所まで入って来ちゃいけないよ。ここは水族館の大事な所だし…病気のお魚さんもゆっくり寝ているからね」

 

元太「さわっちゃダメって書いてある物には触ってねえぞ!」

 

歩美「うん!水槽にも、もちろん触ってないよ!」

 

佳奈「原田さんは何でここに?」

 

注意する原田に元太と歩美はそう返し、佳奈は聞く。

 

原田「私も色々と探していたんだよ」

 

佳奈「へ~そうなんだ」

 

姫「頑張って手がかりを探しませんとね」

 

光彦「あの、原田さん。少し聞いても宜しいでしょうか?」

 

そう返した原田に佳奈は納得すると光彦が質問しても良いか聞く。

 

原田「なんだい、坊や達……何か質問があるのかな?」

 

歩美「うん。さっき鏡の切れ端みたいなのを見つけたんだけど…」

 

佳奈「これってここでは何に使っているの?」

 

そう言ってアクリルミラーを見せると原田は首を傾げる。

 

原田「いや、こんなのを使ったのはやってないね…」

 

元太「じゃあ、やっぱり…」

 

光彦「やはり犯人がこれを水中に沈めて社長の遺体を包んだんですよ!そうすれば遺体は、視界から消えますね!」

 

佳奈「そうやって望月さんの目を誤魔化したんだね」

 

推理を聞いて原田はふうむと左手で顎を摩る。

 

原田「確かに良い線を行ってますが…アクリルミラーは薄いからね…水槽に入れても浮かび上がってしまう…重りを付けようにもゴミ箱の中のを見るからに重りは付けられてないみたいだね。遺体を包むならこんな風に切り刻んだりしないと思うのだが?」

 

姫「あ、それなら大丈夫です。今は話せませんけどちゃんとこうなっている理由を説明します」

 

指摘する原田に姫がそう返す。

 

原田「成程、確かにそう言うのは探偵の推理の時に聞くものだね。分かりました。その時に聞きましょう」

 

それではと原田はその場を去る。

 

佳奈「ねえ、あの事なんで秘密にしたの?」

 

姫「秘密にしちゃいましたが、それを言えばあの人も納得したと思いますよね?」

 

光彦「確かにそうですけど、原田さんが言った様に推理の時に話した方が説得力があると思いますし」

 

そんな原田の姿が見えなくなった後に佳奈が蓋の事について聞き、光彦がそう返す。

 

佳奈「あ、それに誰が犯人かまだ分からないしね」

 

光彦「そこですね。さっき思い付いたのだと原田さんは除外されます。理由は右腕を骨折してるので」

 

姫「そうですよね…矢口さんは足が不自由ですけど釣り竿は使えますね」

 

佳奈のに光彦はそう返し、姫も思い出して言う。

 

歩美「それじゃあ怪しくなるのは矢口さんなのかな?」

 

元太「けどよ。足を怪我してるのに踏ん張れるか?」

 

佳奈「あ~そう言えばそうだね…」

 

んーと誰もが唸るが光彦はとにかくと話を進める。

 

光彦「他の所にも行って情報を集めましょう!」

 

佳奈「そうだね!」

 

姫「それじゃあ行きましょう!」

 

おお!と元気よく返事をしてから少年探偵団と佳奈と姫は次の場所へ歩き出す。

 

集まる手がかり、次に手がかりを見つけるのは…




つみき「次回『少女たちの情報収集』よ」



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DETECTIVE.Ⅶ~少女たちの情報収集~

探偵達が手掛かりを探す一方、少女たちもまた手がかりを探して行動する。



時間を少し戻し、10:45分

 

蘭たちは珊瑚の夢の上部にいて、コナンが小五郎によって行けなかった所へと向かう所であった。

 

蘭「……えい!」

 

まず蘭が最初に行き、次に和葉、つみき、咲の順で渡る。

 

和葉「…ふう、しっかし、こうやってジャンプして渡るって面倒やなー…」

 

咲「確かにそうよね。なんか木の板とかあったら便利なんだけど」

 

つみき「…そうね」

 

振り返ってぼやく和葉のに咲も同意してそう呟き、つみきも頷く。

 

蘭「でも、咲ちゃんの言う様に木の板がないとあの人には犯行は無理だよね…」

 

そう言われて和葉は真実カードの中にあった矢口のを思い出す。

 

和葉「そう言えば、矢口さんは足が不自由で、ゆっくり歩く事が出来るけど…」

 

つみき「ジャンプとかはできなかったわね…」

 

咲「それじゃあ矢口さんは此処を渡ることができないから犯行は無理かしらね…」

 

それに4人はうーんと唸った後に蘭は渡った先にある物置を見る。

 

蘭「でも、ジャンプしないと来られない場所にどうして物置があるんだろう?」

 

つみき「確かにおかしいわね…ちょっと聞いてみる?」

 

和葉「誰に聞くん…って物置の中に人がいたらって事なんつみきちゃん?」

 

首を傾げる蘭につみきはそう提案して、和葉はそう聞き返す。

 

つみき「…それでも良いし、スタッフさんとかにでも聞いたら分かるかもしれないじゃない」

 

咲「ああ、確かにそうね」

 

誰もが納得した後に早速入って物置の中を見る。

 

すると原田がいた。

 

和葉「あ、原田さんや」

 

咲「此処で何しているのかしら?」

 

つみき「…ちょうどいいわ。この物置の事聞いてみましょ」

 

蘭「そうだね。すいません、原田さん…」

 

折角なので物置の事を聞こうと蘭が代表で話しかける。

 

原田「ああ、どうしたんだい?かわいい子が4人も揃って…」

 

蘭「ええっと……」

 

つみき「…この物置の事を聞きたいんだけど」

 

気づいて問う原田に何を聞こうか悩んだ蘭に変わってつみきは聞く。

 

原田「この物置についてですか?」

 

咲「ええ。『珊瑚の夢』の作りからして此処に物置があるのは不便じゃないでしょうか?出入口から此処に来るために必ずあの岩場の間を飛び越えなきゃいけないなんて」

 

そう言われて原田はああとなる。

 

原田「一応、バックヤードにひとつだけ渡し板があるね…珊瑚の夢を担当してる倉元くんは作業中はそれを利用しているみたいだよ」

 

つみき「渡し板があるのね…」

 

それなら足が不自由でも誰でも渡れるようになるなと4人は思った。

 

原田「それに見ての通り、今はこの場所、物置としては使っていないしね…?」

 

蘭「あっ、その話…聞いたことがあります」

 

和葉「なんや自殺騒ぎがあったから、とか……」

 

そう言われて物があんまりないのに気づいた後に蘭と和葉が思い出して言うとその通りと原田は頷く。

 

原田「小沢くんが以前に付き合っていた女性が、ここで首を吊って自殺してるんだよ…」

 

咲「小沢さんの…!?」

 

つみき「…それってどういう事?」

 

聞いた話にはなかったのに4人は驚く中で原田は考えるそぶりを見せた後に語り出す。

 

原田「毛利探偵には少し話したんだけどね…小沢くんと付き合っていたその女性は森山社長に熱心に口説かれていて小沢くんから社長に乗り換えたんだ」

 

でも…と原田は言葉を切ると顔を顰めてから続ける。

 

原田「社長はプレイボーイだからね……しばらくすると彼女に別れを告げて新しい恋人を作ったんだ。それに絶望したその女性は此処で自殺したんだよ…」

 

つみき「…酷い話ね」

 

それには蘭と和葉は悲しい顔をし、つみきと咲は顔を顰める。

 

同じ同姓だからこそ同情できるのだ。

 

蘭「そんな事があったのなら…」

 

咲「小沢さんには動機があるわね…」

 

誰もが悲しい顔をする中で蘭は新たな手掛かりが手に入ったのもあるので原田に礼を言う。

 

蘭「ありがとうございました、原田さん…また何かあったら…お話しを聞かせてくださいね」

 

原田「…ああ、何時でも構わない」

 

それを後に4人は珊瑚の夢を後にした。

 

エグゼクティブフロアを歩く中で蘭は顔をうつむいていた。

 

和葉「蘭ちゃん、大丈夫?なんや、あんまり顔色良くないで…」

 

つみき「…大丈夫?」

 

蘭「う、うん…!大丈夫だよ、ありがとう!でもこれで原田さんと小沢さんに動機がある事がわかったね」

 

声をかけられて慌てて返事をする蘭に咲も頷く。

 

咲「そうね。後は玲香さんと矢口さんだけだけど…動機、聞くの難しそうよね」

 

和葉「そやな…なかなか正面切って、『あなたは社長を殺す理由がありますか?』なんて…」

 

つみき「…普通聞けないわよね」

 

頬に指をあてて言う咲のに頷いてから言った和葉のにつみきは冷や汗を掻く。

 

蘭「私も同感!新一も服部君も、凄いなあって思うな…」

 

和葉「ホンマやな~ようし!平次のやり方思い出して頑張ったろ!」

 

つみき「そうね。頑張りましょう」

 

咲「ええ!」

 

気合を入れて4人は歩き出す。

 

 

 

 

時間が進んで10:55

 

森山コーポレーションのオフィスに来た蘭達は小五郎が矢口といるのに気づく。

 

蘭「あ、お父さん」

 

つみき「…矢口さんも居るわね」

 

和葉「あ、丁度ええし、どれ位進んどるか聞いてみようか!毛利のおっちゃ~ん!どや、調査は進んどるか?」

 

そう言って和葉は駆け寄り、3人も続く。

 

そんな4人で矢口は小五郎の視線から蘭を見る。

 

矢口「おや、毛利さんのお嬢さんでしたか…利発そうな顔をしてらっしゃる」

 

そう声をかける矢口だがつみきと咲は何やら丁度良かったとばかりに話題転換するような感じに見えた。

 

小五郎「……チッ……お前達、タイミングが悪いぞ!」

 

つみき「(…なにか話していたのかしら?)」

 

咲「(私達が来たからそれを聞くタイミングを逃しやったのかも…)」

 

蘭達には聞こえない程度に舌打ちしてぼやく様に言う小五郎のにつみきと咲は察した後に探偵の仕事を邪魔した事に変わりないので申し訳なくなる。

 

それを分かってない和葉と蘭は首を傾げる。

 

和葉「タイミング?何の事や……?まあええ、矢口さん!聞きたい事があったんやけど…」

 

矢口「なんだいお嬢さん達?私に答えられる事だと良いんだけど…」

 

そう聞く矢口に蘭が代表で聞く。

 

蘭「あの『珊瑚の夢』ですけど渡し板があれば矢口さんは物置がある方の岩場に行けるんですか?」

 

小五郎「…蘭!そんな質問するんじゃねぇ!」

 

質問のに小五郎は叱る。

 

小五郎自身、それは気になる事である。

 

だが、探偵でも確信があるまで相手の気分を害する事を質問するのは極力しない様にしてる。

 

それも障害を持つ相手には特に気を付けているので蘭の質問は見過ごせなかった。

 

蘭「ご、ごめんなさい、矢口さん…!!」

 

矢口「いや、良いんだよ。人が殺されたんだ…真実を明らかにする事の方が大事だろう…」

 

叱られた事で自分が相手の気持ちを害する事を言ったのに気づいて謝罪する蘭に矢口はやんわりと返す。

 

つみき「(……矢口さん、やさしいわね)」

 

咲「(けど、あんまり深く聞くのが難しくなるかもね)」

 

それを見て思うつみきだが、咲は困った顔をする。

 

相手を一度疑ってしまうとその相手も警戒して重要な事を得られないかもしれないからだ。

 

無論、先ほどの蘭の質問は純粋な質問だったから矢口はそこまで気分を害してないのは表面的に分かる。

 

咲は考えてる間に矢口は蘭の質問に対して答える。

 

矢口「君たちの言う通り、渡し板があれば私は行き返りする事ができるだろうね……でも私が見た限り、作業を終えた後も渡し板を出しっぱなしにするような飼育員はこの水族館には居ないだろうね…『珊瑚の夢』の岩場を往復して社長を殺すことは無理だっただろうね」

 

その話を聞いてつみきは先ほどの矢口の証言を真実カードにした。

 

小五郎「ほほぉ、成程…」

 

蘭「失礼な質問をしたのに…ありがとうございました、矢口さん!」

 

矢口「いや、良いんだよ。早く、真実に辿り着けると良いね」

 

そう言った矢口に会釈して小五郎と共につみき達はオフィスを後にした。

 

つみき「あ、あれって…」

 

咲「小沢さんね。ちょうどいいから話を聞きましょ」

 

小沢「あ、毛利さん…もう、ご用はお済みですか?」

 

エグゼクティブフロアに戻り、小沢がこちらに来るのに気づき、彼からも聞いてみようと思っていると小五郎に話しかける。

 

小五郎「ええ、小沢さんはずっとこちらに?」

 

聞き返す小五郎に小沢は頷く。

 

小沢「ちょっと常務からの連絡を受けておりまして……しかし、今日はどうも電波状態が悪いようですね…通話が何度も途切れてしまって困りましたよ…」

 

そう言われてつみき達は自分達の電波状況を見てみる。

 

咲「本当だ。アンテナが立ってないわね」

 

つみき「…私のも同じ」

 

和葉「ホンマや…アタシのケータイも圏外になっとる」

 

小五郎「電波の調子が悪いのか?こうなってみると、真実カードシステムがあって助かったなあ!オペレーターの金髪の姉ちゃんが可南子さんの依頼で作ったって言ってたが…流石可南子さん!転ばぬ先の杖、とはこのことか!なんちて…」

 

それぞれ見た後にそう言って褒め称える小五郎の言葉に小沢は不機嫌そうに顔を歪める。

 

小沢「……フン……毛利さんはずいぶん、島崎女史びいきのご様子ですが…僕は彼女の事、まったく信頼できませんね…!」

 

蘭「…どういうことですか?可南子さん、悪い人じゃないと思うんですが…」

 

吐き捨てる様に言う小沢に蘭は質問する。

 

小沢「まあ、美人ですからね…受けが良い事は認めますよ。でも僕は島崎女史の事で森山社長が頭を抱えていたのを知ってるんです…。彼女は何らかの形で今回の事件に噛んでいると僕は見ますね……記憶喪失だなんて戯言を警察も探偵も信じているようですが、僕は――」

 

小五郎「小沢さん!もう、それくらいにしといた方がいいんじゃないですか……」

 

和葉「そうや…可南子さんは事件と関係粗へんのやし証拠もない事は言わん方がええで!」

 

まくしたてる様に貯めていたであろう不満を吐き出す小沢に小五郎は宥め、和葉も少しイラっとして言う。

 

そんな和葉に対して小沢は憮然とした態度で返す。

 

小沢「僕は動機について話しているんです…無関係なんかじゃありません!」

 

つみき「…でも可南子さんには水槽の鍵を開ける事が出来なかったはずよ?」

 

ふんと鼻息を荒くする小沢につみきは指摘すると小沢はうぐと呻く。

 

小五郎「逆に聞かせてもらうが、アンタには何も動機はないのか?」

 

小沢「………」

 

続けざまに指摘する小五郎に小沢は口を閉じたがすぐさま開く。

 

小沢「でも動機があるのは私だけじゃない…!矢口さんだって独立して実家の工務店を継ぐ事を望んでいたのに…森山社長にあの手この手で邪魔されて、『殺してやりたい』とまで言ってたんですよ!」

 

咲「なんですって!?」

 

蘭「…それは、本当ですか?」

 

出て来た言葉に咲は驚き、蘭も先ほどの矢口を思い出して少し信じられないので聞く。

 

小沢「うちの会社では有名な話ですよ……さっき、警察にも色々聞かれましたからね……ちゃんと証言しておきましたよ!」

 

蘭「(矢口さんにも、動機はあったんだ…)」

 

つみき「(これで玲香さん以外の容疑者には全員動機がある事になるけど…玲香さんはどうなのかしら…)」

 

そう言って歩き去る小沢を見ながらつみきは玲香に関して考える。

 

複雑に絡み合う様々な動機…次に見つかる手がかりは…




光彦「次回!『玲香の証言』!あ、僕達は次回出番ないです」

元太「ないのかよ!?」


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DETECTIVE.Ⅷ~玲香の証言~

事件解決の為情報を集めようとするコナン達。一方の哀の元にある人物が現れる。



時間を戻し、10:47分

 

 

コナン達は四つ葉アクアリウムにて目暮に事情聴取されていた玲香に話を聞こうとしていた。

 

榊「さて、何を聞こうかねぇ……」

 

伊御「とにかく疑問に思った事を聞けば良いんじゃないか」

 

そうだなと榊が納得してる間に近寄って行く。

 

目暮「それでは、倉元さん……ご協力ありがとうございました……」

 

正邪「(やっぱり事情聴取か…)」

 

伊御「(どうやら終わったところみたいだな)」

 

丁度良いかなと思いながらさらに近づく。

 

目暮「あまり、お気を落とさんようにしてください……」

 

礼香「いえ、大丈夫です……警察に協力するのは、当然の義務ですから……」

 

では……と目暮は会釈してその場から去る。

 

コナン「(?お気を落とさんよう……?何の事だ?)」

 

榊「(とりあえず聞いてみるか?)」

 

服部「(そうやな)おーい!飼育係の姉ちゃん!ちょっとええか?」

 

その中で慰める様に言った目暮のが頭に引っかかった後に服部が代表で声をかける。

 

玲香「あら、あなた達は……」

 

服部「西の高校生探偵、服部平次と頼もしい仲間達や!」

 

真宵「今少し話を聞きたいんじゃけど……良いじゃろうか?」

 

声をかけた服部や真宵に玲香は渋い顔をする。

 

玲香「……さっき、警察に事情を聞かれたばかりなの、同じ事を2回も話すのはちょっとね……探偵さんは太っちょの警部さんと仲が良いんでしょう?警察から私が話した事を聞けば良いわ」

 

服部「な、なんやて…!?」

 

コナン「だいじょうぶだよ、お姉さん。僕達が知りたいのは警察と違う事……お姉さんの事情じゃなくてお姉さんが何時から何時まで水槽にいたのか、ってことだから……ね。伊御お兄ちゃん」

 

伊御「はい。そうなんです。もしよかったら教えてくれませんか?」

 

驚く服部の後にコナンがそう言ってから伊御に声をかけ、伊御も頷く。

 

ふうんとコナンと伊御を見る玲香にコナンは困った顔をする。

 

玲香「この子、子供にしては冴えてるわね……私もずっと考えていたわ……いったい何時、どうやって犯人は私の目を盗んで、社長を殺したのかしらって……」

 

伊御「ずっとですか?」

 

ええと玲香は頷いてから説明する。

 

玲香「わたしは死亡推定時刻とされる1時から3時まで、トイレにも行かず、ずっと珊瑚の夢にいたの……水槽の底にいても、岩場の社長と犯人が格闘してたら、絶対に気づく筈なのよ……だから私は不思議で不思議で……」

 

京谷「確かにそれが本当なら見てるはずだよな……」

 

彼女のアリバイに誰もが不思議と言う所に同意する。

 

服部「なあ、姉ちゃん……他の人に聞いたんやけど、アンタは午後4時頃に一度、ウェストリーフに行ったんやてな?」

 

確認する服部に玲香はそうよと肯定する。

 

玲香「ウェストリーフにアシカの様子を見に来いって言う、業務命令のメールが来たからね。それで私、アルバイトの後藤さんと一緒にウェストリーフまで行ったの。丁度『珊瑚の夢』に中和剤を撒いた所だったから、なじませる時間が必要だったし……」

 

正邪「(その居ない間にならできそうだが…それだと死亡推定時刻とあわないんだよなぁ)」

 

コナン「玲香さんは『珊瑚の夢』に何時に戻ったの?」

 

聞いてそう思った正邪の後にコナンがそう聞く。

 

玲香「ちょっと待ってね、中和剤をなじませた時間は手帳にメモしてあるから、逆算して…………………午後5時10分に戻って来たわけ……それから私は中和が終わった事を確かめて水槽に水を入れ始めたの、出かけたのは4時前だったから、水槽を放っていた時間は1時間強になるわね……」

 

榊「1時間ぐらいか……」

 

服部「ちゅうことは水槽に帰って来て、水を入れ始めた時には、遺体はなかったんやな……?」

 

ポケットから手帳を取り出し、書いたページを見てそう言う玲香に榊は呟いた後に服部が聞くとええ……と頷く。

 

玲香「水槽に特に異常がなかったのはアルバイトの後藤さんも見ている筈よ……」

 

真宵「そうなると犯人が遺体を水に入れたのはそれ以降になるってことじゃけど…」

 

コナン「玲香さん、水を入れている時間はどの位なの?後、この場を離れたりしなかったの?」

 

ふーむと唸る真宵の後にコナンがそう聞く。

 

玲香「もちろん、離れたりしなかったわ!5時50分に水がいっぱいになったのを確認して、魚を入れて、それからバックヤードに帰ったのが午後6時ね。そこで日報を書いてから退勤したのよ」

 

榊「なるほど…一応真実カードに書いても大丈夫か?」

 

最初に力強く断言してから出るまでの行動を言う玲香は確認する榊に別に良いわよと了承し、早速榊は『玲香の行動』と名前を付けて真実カードを作成する。

 

コナン「そっか、ありがと…!!」

 

真宵「それにしても水槽掃除って凄く大変そうじゃね。それも玲香さん1人でやるとなると…」

 

服部「確かに1人で全部こなすのは相当、重労働なんちゃうか?」

 

玲香「ええ、まあ、それは…」

 

お礼を言うコナンの後にそう言う真宵と服部に礼香は少し顔を暗くさせる。

 

正邪「何か、1人でしなくちゃならない理由でもあったのか?」

 

玲香「…………それを、言うつもりはないわ……」

 

コナン「(いきなり口が重くなったな……一体どんな事情があるんだ……?)」

 

試しに聞いた正邪のに固い表情で返した玲香にコナンは気になった。

 

玲香「じゃあ、今日はこれで失礼するわね、探偵さん達」

 

これ以上は話すことはないと言動に含んで玲香はその場から去って行く。

 

コナン「玲香さんはまだ何か、秘密を隠してるみてーだな……」

 

正邪「聞きたいところだけど流石に難しそうだな」

 

服部「そうやな……もうオレ達には話してくれへんやろ」

 

うーーむと唸る正邪に服部も肩を竦めて呟く。

 

コナン「そうかもしれねーが……でもオレは信じているぜ?」

 

服部「姉ちゃんが話してくれることをか?」

 

伊御「俺たちの仲間の誰かに…って足せば正解かなコナンくん」

 

そう言った伊御にああとコナンは頷く。

 

コナン「オレ達には無理だった扉を仲間が開けてくれることをさ……」

 

服部「そうやな…よっしゃ、オレ達も行くか!真実を見つけ出すために…!!」

 

んじゃあ何かわかったら真実カードでな~~!と言って服部は京谷と真宵と共に別の場所に向かう。

 

伊御「んじゃあ俺たちも行こうかコナン君」

 

コナン「うん、あ」

 

望月「…………」

 

頷いてから少し疲れた顔をした望月が歩いて来るのが目に入る。

 

伊御「あ、あそこに居るのって望月さんじゃないか?」

 

榊「お、確かに望月さんだな」

 

正邪「…なんか元気なさそうじゃないか?」

 

コナン「話を聞いてみよう望月さーん!」

 

丁度良いからコナンが声をかけると望月も声をかけられた事で伊御達に気づく。

 

望月「ああ、君たちか……俺に用があるのなら早くしてくれよ…」

 

正邪「なんか元気なさそうだけどなんかあったのか?」

 

それな……と望月は疲れた顔ではあを息を吐く。

 

望月「今、警察から事情を聞かれてたんだけどさ、鍵を持っていた4人はアリバイが有る事に加えてそれぞれ犯行が不可能な理由があるらしくってさ、改めて俺が事情聴かれたんだよなあ……鍵を持ってない奴が水槽に行くなんざ絶対無理だっていうのによぉ……」

 

伊御「それは大変でしたね…」

 

コナン「大変だったね望月さん…」

 

ぼやく様に訳を言う望月に伊御とコナンは労いの事をかける。

 

ホントそれなと返してから望月は話題を変える為かこう切り出す。

 

望月「なあなあ、毛利探偵と色黒の高校生探偵は今、事態をどう見てるんだ?」

 

コナン「アハハ、まだまだ調査中だよ」

 

正邪「そう言えばあんたは昨日からずっとここで警備のお仕事していたのか?」

 

曖昧に返すコナンの後に聞いた正邪にああ!と望月は頷く。

 

望月「長時間労働すぎて何とかの違反だって太っちょの警部さんに言われたけどな」

 

正邪「違反って言われるレベルって……それ大丈夫か?」

 

出てきた言葉に正邪は呆れ果てる。

 

と言うかこの人にも太っちょ言われてるんだな目暮警部と榊は笑いそうになるのを堪えながら思った。

 

コナン「ねぇねぇ、その間になにか変わった事はなかった?」

 

望月「だからねーって!午後1時から3時まではてんやわんやはしてたけどー、いつも通りの水族館だったよ!!」

 

確認するコナンに望月は少し苛立って返す。

 

コナン「死亡推定時刻の辺りだけじゃなくて他の時間に起こった事も何か、普段と違うことがあったら教えてほしい…」

 

正邪「って毛利探偵が言ってたぜ」

 

引き継いで言った正邪のにふぅんって望月は少し考え込んだ後……

 

望月「そう言えば、昨日の夜6時ごろ…『珊瑚の夢』の方から水音がしたんだよな」

 

コナン「ええっ!?本当…?」

 

伊御「それに午後6時ごろって…望月さん。ちょっとこれ見てください」

 

呟かれた事に伊御は望月に森山社長のポケットから出て来た懐中時計の真実カード『止まった懐中時計』を見せる

 

伊御「亡くなった森山社長のポケットから出てきた懐中時計の止まった時間が6時10分なんです」

 

望月「午後6時10分だって……?確かに6時に水を溜め終えた玲香さんの仕事を手伝った後だから水音がしたのは、そのくらいの時間だったはずなんだよな……」

 

伊御「じゃあやはり、社長はこの時計の時間に『珊瑚の夢』で襲われた?貴重な情報をありがとうございます望月さん」

 

コナン「じゃあ僕たちはこれで……」

 

頑張れよと言ってその場から去って行く望月を見送ってから4人は顔を見合わせる。

 

正邪「有力な情報をゲットしたな」

 

榊「午後6時10分か……でもそれだと推定時刻とあわねぇんだよなぁ」

 

ううむと唸る榊に伊御も同じ気持ちなので他に情報も欲しいな……と思っていると……

 

柳下「やあ、名探偵の助手殿にその仲間達」

 

榊「あ、鑑識の柳下さん!」

 

声をかけて来た柳下にどうもと会釈する。

 

柳下「ここで会えるとは幸先がいい。名探偵と色黒のボーヤに伝言をお願いしてもいいかい?」

 

コナン「うん、もちろんだよ!」

 

伊御「それで何を伝えれば良いんですか?」

 

そう言った柳下にコナンは頷き、伊御は問う。

 

柳下「物置の床に大きなルミノール反応がみられたんだ。服部君の言う通り、遺体は殺された後、しばらく物置に置かれていたようだな。おまけに蛇口についたホースからも、血のついた掌で握りしめたような痕が発見されたんだ…」

 

正邪「物置に!?」

 

コナン「ええっ……ほ、本当……!?ありがとう、柳下さん!」

 

伊御「なるほど……わかりました。毛利さん達にはちゃんと伝えておきます」

 

頼んだよと言って別の所に向かう柳下を見送った後に榊は先ほど柳下から聞いたのを『物置のルミノール反応』と名前を付けて真実カードにする。

 

 

 

 

10:50 水族館カフェ

 

哀「(あら、戌井君からの真実カードだわ。『玲香の行動』ね……玲香さんの行動について調べてくれたみたいだけど………ふうん、なるほどね)」

 

一方で針妙丸と共に歩いていた哀は新たに来た真実カードの内容を頭に入れる。

 

玲香「……………ふぅ…」

 

すると椅子に座って深い息を吐いてる玲香を見つける。

 

哀「(ちょうどいいところに玲香さんが…話しかけてみようかしら……)こんにちは、玲香さん」

 

針妙丸「こんにちわ~」

 

丁度良かったとばかりに哀と針妙丸は早速話しかけてみる。

 

玲香「ふふ、こんにちは……毛利さんの小さな助手の1人と別の人の1人、だったっけ……?私としては、こんな小さな子を殺人事件に関わらせるってどうかと思うんだけどね」

 

哀「よく言われるわ。でも、美しい珊瑚も実はほとんどが毒をもっているものよ。それを小さいころから知っておくのは悪い事ではないと思うわ…」

 

返された事に玲香は感心して目を丸くする。

 

玲香「あら、ずいぶん大人びた事を言うのね。その調子だと『珊瑚の夢』にも恐ろしい秘密が眠っているという事……もう知っているのかしら?」

 

哀「全部ではないかもしれないけど、ね……」

 

その言葉にそうと玲香は悲しい顔をする。

 

玲香「探偵さんも、大変よね」

 

針妙丸「…どうしてそんな事を言うの?」

 

出てきた言葉に針妙丸は気になって質問する。

 

玲香「だって、関係者の隠しておきたい秘密を掘り起こしてしまうのよ?真実を突きとめられなかったら、後はただ、傷ついた人が残るだけ、……わたしはそんな事、怖くてできない……」

 

その言葉に一理あると哀は同意する。

 

世の中には玲香の言う様にそう言う人達はチラホラいる。

 

探偵ではなく警察が掘り起こしてしまって傷ついた人もいる。

 

哀「(その気持ちはわからなくもないわね……私も、同じような事を考えたことがある……けれど、工藤君ならこう言うはず…)」

 

彼に毒されてるわよねと内心苦笑しながら哀は玲香をみつえて言う。

 

哀「真実を明らかにする事は、痛みを伴う事だと探偵はわかっていると思う……けれど殺人が起こってしまった以上、そこには何らかの歪みが生じていて、それを明らかにした上で犯人を突きとめなければ悲劇はいずれ、繰り返されると思うの・・・…」

 

玲香「ふぅん……わかったような事を言うじゃない」

 

その言葉に礼香は眉を顰めて呟く。

 

哀「真実を明らかにされると、死を以って償おうとする犯人もいるわ……でも、名探偵はそれを絶対に許さない。痛みをそれ以上広げないために…」

 

針妙丸「誰だって痛いのは嫌なのは当然だもん。だけど、それを盾にして逃げるのは違うと思う。だからこそ探すんだ」

 

玲香「………」

 

2人の言葉に玲香は考える様に顔を伏せる。

 

実際、哀の言った様にそれをやろうとした者達はいた。

 

止められたのもあったが新一がコナンとなって解決してきた中で1人だけ、復讐を遣り遂げて死んだ人物がいた。

 

それがまた、コナンにとって絶対に犯人を死なせる事をさせないと固く誓わせていた。

 

言葉に重みがあるのを感じた玲香はしばらく無言だったが分かったわと口を開く。

 

玲香「あなた達がそれなりの覚悟を以て事件に臨んでいるというのならわたしもそれなりに協力しましょう。話せる事なら、何でも話すわ…」」

 

哀「ありがとう玲香さん。それじゃあ早速聞かせてちょうだい」

 

それで何を言えば良いかしらとお礼を言った哀に聞く。

 

針妙丸「玲香さんは午後4時ごろにメールで呼び出されてウェストリーフに行ったと言ったんだよね?」

 

質問された事になぜその事をと玲香は驚きを見せたがすぐさまコナン達が教えたのだろう察してその問いに答える。

 

玲香「森山社長からメールが来たの……水族館に残っている関係者は全員ウェストリーフに来いという内容のね…」

 

それだ、コナン達も気になっていた事……

 

哀「(それはおかしいわ…だって……)」

 

そんなメールを社長が送れるのはありえないのだ。

 

哀「だとするとおかしいわね」

 

針妙丸「だよね。その頃には既に、社長は死んでいた筈だもんね……」

 

その通りと哀は同意しながら玲香を見る。

 

哀「玲香さん…玲香さん…正確な発信時刻を覚えている?」

 

そう聞かれて玲香は腕を組んでメールの発信時刻を思い出す。

 

玲香「午後3時50分に発信された筈よ……まぁ、誰かが社長を装ってメールしたんでしょう。内容はいつもの社長と同じく、傲慢で不遜なメールだったけどね…」

 

哀「いつも通り……?森山社長はずいぶんな性格をしていたのかしら?」

 

不満げに言った玲香のに哀は気になって聞く。

 

そうねと玲香はなんとも言えない顔で語りだす。

 

玲香「『俺は一度も、人に頭を下げたことがない。人に頭を下げるって事は、そいつに負けた事を意味するからだ……!』って言うのが口癖で……実際、人に相対するときは……いつもふんぞり返っていたわ……」

 

針妙丸「えー……」

 

哀「あなたは社長の事が嫌いだったの?」

 

動機が普通に出来そうな性格だなと呆れた顔をする針妙丸の隣で哀がそう聞くと別に、何もとそっけなく返される。

 

哀「(水族館の飼育員と建設会社の社長だものね……人となりがわかるような接点があるとは思えないけど……)」

 

玲香「もう、良いかしら?ムダ話は嫌いなの」

 

こればかりは仕方ないかと哀が思っているともう語る事は語ったと玲香はそう言う。

 

針妙丸「話を聞かせてくれてありがとうございます玲香さん」

 

玲香「………どういたしまして」

 

礼を述べた針妙丸に礼香はそう返して去って行く。

 

哀「(メールのことが気になるわ…あのオペレーターさんか、可南子さんに聞くのが早そうだけど私は連絡手段を持っていない……しょうないわね)」

 

連絡手段を持っているコナンへと電話をかけて彼を経由でして貰おうと哀は手早くコナンと通話する。

 

コナン『どうした、灰原?』

 

哀「工藤君、実は……」

 

電話中……

 

コナン『なるほどな……死んだはずの社長からメールが来ていたって事か……』

 

ええと伝え終えた哀はそう返すと伊御の声がする。

 

伊御『そのメールがちゃんとあったものか調べてほしいんだね」

 

哀「まだボンヤリとした形でしかつかめていないから、真実カードにはしなかったのだけど……」

 

それはしょうがないよと伊御は返す。

 

まだ明確に事実とは分かってないと言うのもあるのだ。

 

それで真実カードと言うのは矛盾に近いのもある。

 

伊御『わかった、可南子さんかクラリッサさんに解析を頼んでみる』

 

哀「お願いするわ……」

 

分かったよと返された後にコナンに渡したのかコナンが切ろうと声をかける。

 

コナン『ああ……それじゃあこれで切るぞ』

 

哀「待って!!」

 

声を強く出して言った哀に針妙丸や通話先のコナン達は驚く。

 

いきなりのストップに驚いてるだろうがそれでも伝えておきたい事があった。

 

哀「工藤君、あともうひとつ、気になる事があるの……」

 

コナン『ん?』

 

針妙丸「(気になる事?)」

 

なんだろうかと針妙丸も含めて耳を傾ける。

 

哀「私が少年探偵団のみんなと非常階段に居た時に……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()…」

 

怪しげな集団、その言葉に針妙丸もそうだが電話先の伊御達は眼を見開く。

 

針妙丸「(花の名前で呼び合う集団ってもしかして…)」

 

哀「この事件とは関係ないと思うし、ゲームか何かならいいんだけれど……」

 

コナン『そうか……ありがとう、覚えておくぜ!じゃあ、また後でな……!』

 

そう言って通話を終えてスマホを降ろす哀を見ながら針妙丸の背に冷たい汗が流れる。

 

針妙丸「(まさかもう『解放の花』が動き出しているの……?ど、どうしよう!)」

 

焦りまくる針妙丸。

 

花と言う言葉からもしかしたらと言うのが流れ込んで来る。

 

針妙丸「(は、早く正邪たちに教えないと……!)」

 

慌てる針妙丸に哀は気づいて問おうとした時……

 

???「ねえねえ、君達は伊御さんの知り合い?」

 

突然声をかけられて2人は顔を向ける。

 

そこにいたのは猫耳フードをかぶった哀から見れば身長が針妙丸より小さめ、元太よりちょい高な少女であった。

 

針妙丸「誰?」

 

橙「私は橙だよ~伊御さんの知り合いだよ~」

 

哀「音無君の知り合いですって?」

 

聞いてから哀はやばっとなる。

 

自分は今は年下なのに君付けで呼ぶのは疑われる可能性があるからだ。

 

橙「ああ、大丈夫だよ~紫しゃまから大体のを聞いてるから」

 

哀「(紫しゃまってもしかして八雲紫のことかしら?と言うか大体って私達の事を知っている!?)」

 

すぐさま驚いたがあの紫ならばありえると哀は彼女の情報網に冷や汗を掻く。

 

橙「紫しゃまから皆の手伝いをしてって頼まれたんだ~」

 

針妙丸「へ~そうなんだ」

 

むふんと胸を張る橙に針妙丸はよろしくと挨拶する。

 

哀「(八雲紫の使いまで出てくるなんて……何があるって言うの……)」

 

その中で哀は集団の事もあって不安を隠せなかった。

 

不安が当たると言うのを彼女が知るのは暫くして的中してしまう。




橙「次回は!『1つの記憶と儚い恋愛』だよ。藍しゃま~これで良いですか~」

藍「うんうん。偉いぞ橙」

紫「あなたは今回は出ないでしょ藍;」


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DETECTIVE.Ⅸ~1つの記憶と儚い恋愛~

捜査を続ける一行、そんな中、玲香の秘密が明らかに…


11時丁度にて、バディアは可南子と共に社長の自室にいた。

 

施錠されていなかったのですんなりと入れたのだ。

 

バディア「(すんなり入れたな。警察が一人や二人居てもおかしくないのに)」

 

可南子「…………っ!!!」

 

呆れ顔でちゃんとしたらどうだと思った隣で可南子が突然頭を抑えて膝を付く。

 

バディア「可南子、どうした!?」

 

慌てて声をかけるバディアのに返事をせず可南子は頭を抑えながら呻く。

 

可南子「い、今の記憶は一体……」

 

バディア「何か思い出したのか?」

 

戸惑った様子の可南子にバディアは問う。

 

膝を付いた態勢のまま可南子が語ったのは自分がこの場所で生前の森山と何かの話で言い争っている時の光景が過ったそうだ。

 

一言一句聞いてバディアは考える。

 

バディア「(どうやら森山社長は生前まで可南子とあることで揉めていたようだな。ただ、どんな内容で揉めていたかは分からない状態だな)」

 

可南子「私が森山社長に付きまとっていたと言うのは本当だったの……?」

 

そんな可南子の呟きにバディアはフォローしといた方が良いなと考える。

 

バディア「それほど重要なことだったのではないか?建築家のお主がそれほどまでに社長と揉める感じであったのならそうだと我は思うぞ。それに関する事がきっとここにあるかもしれんから探して見たらどうだ」

 

可南子「…………そうね。そうしましょう。社長に送られていたプリントに関するのもあるかも」

 

そう言いながら可南子は机の上に置かれたパソコンを見る。

 

もしかしたらとバディアと共にパソコンを起動させてみるとパスワードがかかっておらず、すぐさまデスクトップに入る。

 

バディア「(パスワードをかけてないとは社長にしては不用心だな)」

 

可南子「(『例の件』と言う言葉からして、あのプリントを送り付けて来た人物はおそらく何度か社長にコンタクトを取っていた可能性が高いわね……)メールソフトに何かあるかしら……」

 

呆れるバディアに見られながら可南子はパソコンを操作してメールソフトを立ち上げてあったメールを見て行く。

 

バディア「む?これは……」

 

その中で気になる件名に止まる。

 

《件名:組織への裏切りは許さない》

 

これは何かあると本文へ目を向ける。

 

《本文:協力を拒み、警察に向かうというなら、お前に災いが降りかかるだろう…。

最終手段はこちらも使いたくない。命を大事に思うなら、賢明な判断を》

 

可南子「何これ……」

 

出て来た内容のに可南子は声を漏らす。

 

バディア「次のは…」

 

《件名:組織を抜けたいのなら》

 

《本文:連中は本気だ…。本当に組織を抜けたいと思っているなら彼らに対抗できる、取引材料が必要だ。それを得たいと望むなら、このアドレスに連絡しろ。》

 

《件名:取引の件》

 

《本文:取引を望む旨、了解した。それでは明日、16時15分に、四葉アクアリウム大水槽の前で待つ。

貴方に通じている事は知られたくない。人払いはしておくように。余計な者がいたり、遅刻して来た場合、この話はなかった事にさせてもらう》

 

続けて見た2つの内容にそんな……と可南子は漏らす。

 

可南子「社長は何かの、非合法組織に加入していて……そこから抜け出したいと思っていたという事?その為に何かの取引を行おうともしていたみたいだけれど……これは真実カードにしていた方が良いわね」

 

そう呟きながら『社長への脅迫メール』と言う題名で真実カードにしている可南子の後ろでバディアは険しい顔でメールの中に書かれていた組織ので考えていた。

 

バディア「(社長が抜けたいと思っていた組織……これがもし革命の花だとしたら…)」

 

もしもバディアの考えてる通りならこの事件を起こしたのは革命の花のメンバーの可能性があると言う事だ。

 

その革命の花がやろうとしてる事を社長は知ってしまい、口封じの為に殺された。

 

バディア「(…だがまだ革命の花と言う証拠もないし確定はできぬな)」

 

とにかく、この事は後で話し合う事を視野に入れた方が良いなとバディアはそう考える。

 

 

 

 

戻って10:50分の珊瑚の夢上部にて、そこに服部と真宵、京谷は足を運んでいた。

 

柳下「ムム、これは……!」

 

服部「よう、鑑識のおっちゃん。なんか新しいのが分かったんか?」

 

何かを発見して唸る柳下に服部は聞く。

 

柳下「フム、服部君に友達か……そうだな、色々と面白いものが出て来たぞ……」

 

真宵「面白いもの?」

 

京谷「なんだよそれ?」

 

面白いものと言うのに3人は興味津々で聴く。

 

柳下「まず階段のある方の岩場……手前の岩場上部にほんの少しだけ、社長の血液がついていた事が判明した」

 

服部「なんやて?凶器から滴り落ちたとかやろか……」

 

告げられた事にそう呟いた服部にいや、違うなと柳下はそう返す。

 

柳下「言い方がマズかったか……?正確に言えば、社長の指の痕……血濡れた指紋が検出されたんだ」

 

服部「なんやて?」

 

真宵「血の指紋!?」

 

京谷「あれ?けどおかしくね?」

 

出てきた言葉に真宵が驚く中で京谷のに服部は頷く。

 

服部「せや、奥の岩場なら分からんでもないが、なんで、手前の岩場に指紋があるんや!?他に血痕は検出されたんか?」

 

真宵「どうなんじゃよ柳下さん?」

 

柳下「いや…手前の岩場にあった血痕はそれだけだったな…」

 

確認する服部と真宵に柳下は否定してそう返す。

 

そうですか……と京谷は呟きながら先ほどの話を『血濡れた指紋』として真実カードにする。

 

真宵「じゃけどなんで…?」

 

柳下「それと……森山社長が殺害されたのは擬岩の塗装がはがれている物置がある方の岩場の……奥の岩場のてっぺんで間違いない。洗い流してはあるが、かなり広範囲に血液反応がみられたぞ」

 

服部「ほぉ…なるほどな」

 

続けて報告する柳下のに服部は呟く。

 

柳下「あとは……そうだな、折角だから意見を聞いておこうか。俺には解せない状況証拠がもうひとつ出てきたんだ…ちょっとこちらに来てくれないか?」

 

服部「お、おう…なんや、一体…」

 

呼ばれたので3人は向かうとそこには青白く光る血痕があった

 

柳下「これなんだが…西の名探偵、アンタはこれをどう見る?」

 

服部「これは……血しぶき……滴下痕(てきかこん)やな。飛び散り具合を見れば、どれだけ高い所から血液が滴り落ちたか分かるちゅう」

 

聞かれたので服部は思い出しながら答える。

 

柳下「ほぉ、流石によく知ってるな。その通りだよ…。そしてこの滴下痕を見た限り…血は上方20センチくらいの位置から垂れ落ちているんだ。そして、それ以上の距離から落ちた滴下痕はない…」

 

服部「なんやて?どういう事だ…?」

 

京谷「20センチの位置って言うとこれぐらいの高さだよな…?」

 

感心してからそう言った柳下のに少し驚く服部の後に京谷が右手を大きく広げて見せてそう聞く。

 

柳下「大体そうだな。要するに、森下社長は屈んだりしゃがんだり、といった低い体勢から鈍器で一撃されて死亡した、という事だ」

 

京谷「屈んだりした姿勢で…?」

 

真宵「とりあえずカードにしておくんじゃよ」

 

告げられた事に京谷が唸る中で真宵は滴下痕を真実カードにしておく。

 

柳下「身長が高い人物が犯人だという目暮警部の仮説は外れてしまったな」

 

服部「そうかもな……でもこの証拠から犯人を絞る事も出来るで」

 

京谷「え、そうなのか?」

 

出てきた言葉に京谷は目を丸くする。

 

服部「よぉ考えてみ?こんな不安定な場所で、無防備に屈んで、後頭部を見せるなんて信頼しとる相手にしかできへんやろ?」

 

真宵「あー確かに……じゃけどこの社長さんじゃとそれも難しそうと思うのじゃが…」

 

だからこそやと真宵のに服部はそう返す。

 

服部「血下痕はそんな社長が気を許しとる相手が犯人やと物語っとるんや」

 

京谷「あーなるほどなぁ…」

 

柳下「ほぉ、西の名探偵もなかなか切れるじゃないか…。以前、眠りの小五郎の推理を見たことがあるが、それに負けずとも劣らんな…」

 

聞いて感心した柳下は思い出してかしみじみとそう返す。

 

服部「………ハハ、さよか……おおきにな、オッサン」

 

真宵「(ものすっごく不機嫌になったんじゃよ;)」

 

京谷「(そりゃあコナンが推理してるとはいえ、普段抜けてる毛利さんと一緒にされるのが嫌なんだな)」

 

半目で不機嫌に返す服部に2人はあーとなる。

 

真宵「えっと、確か柳下さんに調べてほしいことがあったんじゃよね」

 

服部「お、おお。そうやった。オッサンにちょいと調べてほしい事があるんやけど…」

 

話を振られて我に返った服部は柳下に頼み込む。

 

柳下「何だ、言ってみろ…」

 

内容によるがねと言動に含んでる柳下に服部は言う。

 

服部「……誰が容疑者にしろ、社長さんみたいながっちりした男の遺体を持ち歩くのはかなり難しいと思うんや……」

 

真宵「確かに男性でも難しそうじゃねぇ……」

 

そう言った服部のに真宵は森下の見た目を思い出しながら同意する。

 

服部「この水族館の中に運べるような道具があるって話も聞かんし……」

 

柳下「確かに、そうだな…」

 

それでと話しの続きを促す柳下に服部は続ける。

 

服部「でも、午後5時10分に玲香さんとバイトの姉ちゃんが珊瑚の夢に戻ってきた時…社長の遺体は此処にはなかった。死亡推定時刻が昼の2時ならその理由は――」

 

柳下「犯人がどこかに遺体を隠したからだ、としか考えられないな…」

 

そうや……と柳下のに服部は同意する。

 

服部「で、犯人は一体どこに遺体を隠したのかがカギになってくるわけや。だからオッサン、水槽への出入り口とこの場所に血痕があるかどうか、見てみてくれへんか?」

 

そう言って上部にあった物置を指さす。

 

柳下「物置の中か、分かった。検査しておこう」

 

真宵「頼むんじゃよ!」

 

任されたと返した柳下のを聞きながら次の場所へと向かう。

 

 

 

 

11時5分、つみき達は水族館カフェに来て今まで集めた情報を纏める所であった。

 

和葉「えっと、今までの調査でわかった動機をまとめてみるな…?」

 

咲「小沢さんは元彼女を森山社長に取られちゃって、その元彼女は社長さんに振られて自殺しちゃった…」

 

切り出した和葉に咲が1つ目のをあげる。

 

つみき「……原田さんは森山社長との間に金銭トラブル……」

 

和葉「矢口さんは会社を辞めて独立しようとしたが社長に邪魔されてしまった…」

 

蘭「後は玲香さんに動機があるかどうかだけど…」

 

各々に関わりのある者達の動機になる事をあげた後に蘭が呟くと望月が近づいて来る。

 

望月「ああ、キミ達……ちょっと探偵さん達に伝えて欲しい事があるんだけどいいかな?」

 

蘭「はい、なんでしょう?」

 

話しかける望月に蘭が代表で聴く。

 

望月「さっきふと思い出したんだけどさ……昨日の昼から、水槽上部に向かう階段にね『清掃作業中。滑ります。入らないで!』って札がかけられていたんだ。勿論それをかけていたのは玲香さんだし……作業終わりにはそれを抱えてバックヤードに戻って行ってたんだけど…」

 

その証言につみきと咲は考える。

 

つみき「(…昨日の昼から水槽掃除をしていたのは真実カードで知ってはいるけど…)」

 

咲「(そうなると玲香さんが札をかけた時には何もなかったって事なのかしら?)」

 

望月「なあ、この情報は何かの役に立ったりするのかな?」

 

そんなメンバーへと望月は確認する。

 

蘭「わたし達は探偵じゃないからわかりませんけど……」

 

和葉「ちゃんと探偵本人には伝えるさかい、安心してや!」

 

望月「本当か?ありがとな!!」

 

笑顔で言う和葉に望月は礼を述べる。

 

咲「にしてもそこまで見てるなんてなかなかないと思うんだけど…もしかして望月さん。玲香さんの事、気になったりする感じかしら?」

 

蘭「さ、咲ちゃん!」

 

和葉「実はうちも気になったんや」

 

和葉ちゃんまで!と興味津々な2人に蘭は怒ると望月は苦笑する。

 

望月「あー……まあいいよ……確かにオレは玲香さんの事、可愛いなと思ってる……でも彼女、彼氏が居るだろ?」

 

つみき「…彼氏?」

 

うんと望月は落ち込み気味に言う。

 

望月「誰と付き合ってるのかまでは知らないけど、指輪を大事そうにネックレスにしているし…無意識だろうけど、よく触っているからさ」

 

その言葉に4人は顔を見合わせる。

 

咲「…ねえ、これって…」

 

和葉「原田さんの話と合わせると…玲香さんが付き合っている相手って、もしかして…」

 

蘭「うん、多分……森山社長だと思う。小沢さんの元彼女はわざわざ珊瑚の夢を自殺場所に選んだ、って言ってた……だから……」

 

困った顔で言う蘭もそれならば玲香の少し鬼気迫る感じがあったのにも納得してしまう所があった。

 

つみき「……そうだとすると玲香さんが森山社長を殺した犯人を気にしていた理由も納得いくわね」

 

望月「ええ……?で、でも、確かにそうかも…………たまに夜遅く、社長が水族館に来る時があったけど……その時は大抵、玲香さんも残業してたし…」

 

困った様につみきのに答えてからハァアと深い息を吐く。

 

望月「………社長と付き合ってたような人なら、勝ち目ねぇじゃん…ああもう、しょんぼりだよ……」

 

つみき「……えっと……ドンマイ;」

 

蘭「気を落とさないでください……」

 

肩を落とす望月につみきと蘭は励ます。

 

望月「ハハハ……二人とも、ありがとな」

 

蘭「……望月さん、今、玲香さんがどこに居るかわかりませんか?」

 

お礼を述べた後に蘭の質問に確か……と呟きながら思い出してエレベーターの方を見る。

 

望月「さっき、警察の事情聴取終えて、エレベーターに乗るところが見えたけど…」

 

咲「じゃあオフィスに行ったのかしら?」

 

そう呟いた咲のに違うと思うなと望月は否定する。

 

望月「もしかしたらヒルズの外かも……たまに臨海公園の方に行ってるのを見かけたし……」

 

蘭「(その時、声はかけなかったのかな……?って、なかなかかけれないよね……)ありがとうございます、望月さん……」

 

和葉「ほな外まで、探しに行ってみるわ!ホンマおおきにな!」

 

望月へとお礼を述べて蘭達は外に向かう。

 

 

 

 

クローバーヒルズ外

 

つみき「…居たわ。あそこ」

 

玲香「…………」

 

すると入り口近くで玲香が立っているのに気づく。

 

蘭「玲香さん……!!」

 

代表で蘭が声をかけると玲香は驚いた顔でな、何と聞く。

 

和葉「あのな、……森山社長とアンタの関係を、ちょっと、聞いてみたいんやけど……」

 

咲「もしかして二人って……」

 

恐る恐る質問する和葉と咲のに玲香は少し無言なってから……

 

玲香「………あーあ、ついにバレちゃったわね…」

 

つみき「!!」

 

蘭「………!(やっぱり………)」

 

困った様に笑うのに玲香は森山社長と付き合っていた事は当たっていたと判明する。

 

玲香「確かに私は、以前、森山社長と付き合っていたわ……」

 

つみき「……()()?今は違うの?」

 

出てきた言葉につみきは問う。

 

玲香「ええ……1か月前くらいかしら……仕事で忙しくなる、だから会えないと言われてそれっきり、連絡が来なくなったの……それと同じ頃にあの新鋭建築家……島崎可南子さんと話す姿を見かける事が多くなっていったわ……」

 

咲「えっ……じゃあもしかして森山社長の新しい恋人って……」

 

出てきた言葉に咲は驚いて呟く。

 

玲香「さあ、そこまでは知らないけど……」

 

つみき「……けど?」

 

少し言葉を切った玲香は空を見上げてからつみき達に視線を戻す。

 

玲香「…………私の前の恋人にも、連絡をぷっつり断ち切って別れていたからついに私もか、と思ったわ……」

 

蘭「倉元さん………」

 

寂しそうに呟く玲香に蘭は悲しそうに顔を歪める。

 

咲「(クールな表情しているけど心の中は寂しそうね…)

 

玲香「でも、3日前にこんなプリントが社内便で来たの……」

 

そう言って懐から玲香は紙を取り出し、つみき達は内容を見る。

 

『セレモニーが行われる今度の土曜日……水槽の掃除を理由に『珊瑚の夢』に一人で居てくれ。キミに話がある…誰にも邪魔されたくないから、配慮してほしい……』

 

和葉「………社内便って、オフィスにある箱に相手の部署と名前を書いておくとバイトの子らが封筒持って、各部署に送り届けてくれるってシステムやんな……?」

 

つみき「……メールは使わなかったの?」

 

封筒に押されていたのを見て思い出して呟く和葉の後につみきが聞く。

 

玲香「『メールは必ず、サーバーを経由する……覗き見られる可能性があるから、スキャンダラスなメールは出さない……』彼はそう言って、逢引きの約束には社内便を使うことが多かったの……」

 

そんなつみきの質問に対して玲香はそう返す、

 

つみき「…そのプリント、少し貸してもらえないかしら?」

 

玲香「ええ、大丈夫よ……ただ、警察は気になる事を言ってたの……」

 

和葉「えっ……?どんな事や?」

 

手渡しながらそう言った玲香に和葉は質問する。

 

玲香「確かにこれは、森山コーポレーショングループの使っているプリンターから印刷されたものらしいんだけど……この書類がピックアップされた時間……3日前の午前中には、社長は社内にいなかったみたいなの……」

 

蘭「そ、そんな……!」

 

つみき「……じゃあこのプリントは犯人によって偽造されたもの……?」

 

告げられた事に蘭達は驚き、つみきは自分の手の中にあるのを見て呟く。

 

玲香「ええ、多分ね……何が理由かはわからないけれど…私は犯人の思うがままに動いてしまったのかもしれないわ……」

 

蘭「………」

 

つみき「……そのことを真実カードにしてもいいかしら?」

 

自嘲する玲香に蘭はどう言えば良いか分からず、つみきは心苦しいがそう聞き、玲香は良いわと返したので『社内便での呼び出し』と言うタイトルで真実カードにする。

 

つみき「(……人の恋を犯罪に利用するなんて許せないわ……)」

 

作り上げた真実カードを睨む様に見ながらつみきはそう決意するのであった。




榊「次回『着々と集まる真実』だぜ」


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DETECTIVE.Ⅹ~着々と集まる真実~

次々と集まる情報。
探偵達は着々と真実に近づいて行く。


11:00

 

森山コーポレーションのオフィスにて、服部達は可南子とバディアと合流していた。

 

服部「どうやった?可南子さんに王様系姉ちゃん」

 

可南子「……先ほどそこのパソコンで、サブコントロールルームに連絡を取ってクラリッサに確かめて貰いました」

 

バディア「このアシカの世話のメールはやはり森山社長からので間違いないそうだ」

 

確認する服部に可南子とバディアはそう返す。

 

京谷「なんで断言できるんだ?」

 

可南子「森山社長のパソコンは起動する時に指紋認証を行うんです。ログを見た限り、指紋を認証した10分後にメールを出しているようですから…」

 

バディア「だから送れるのが本人しかいないってわけだ」

 

服部「そう言う訳か、成程な……(そしたら3時40分までは……社長は生きとったと考えるべきやな……)ってログやて?そんなもんまで残っとるんか!?」

 

断言した理由についてそう述べる2人のを聞いて納得しかけてその中のに気づいて驚く。

 

クラリッサ『あ、それは私からご説明します』

 

京谷「うお!?いたんだな」

 

真宵「ログってどういう事なんじゃよ」

 

まだ繋げていたのか可南子が指さしていたパソコンの画面からクラリッサが声を出したのに京谷が驚いた後に真宵が聞く。

 

クラリッサ『パソコンだけじゃなくプリンタやスキャナーなど、サーバーを通してなんやかんやするものは全てログを取っているんです!』

 

服部「ほほう、成程な……」

 

真宵「これは重要な事じゃね」

 

なんやかんやって曖昧だなと思いながら京谷は先ほどの話を『午後3時50分のメール』として暗号カードにしておく。

 

可南子「ええ、確かにそうだったわね……何かあった時に備えて……全ての記録が制御室に集まる様にした筈………ッ……!」

 

その後に可南子が言ってる途中で頭を抑えだす。

 

服部「大丈夫か可南子さん!?」

 

真宵「どうしたんじゃよ!?」

 

可南子「平気よ、ごめんなさい…。記憶がよみがえってきて、混乱しただけ…」

 

京谷「あんま無理しないようにな」

 

ええと心配する京谷や真宵達に頷く可南子を見ながら服部は考える

 

服部「(しっかし、この事件の真相……もし、俺の予想通りだとしたら……あまりに邪悪すぎる!!)」

 

自分の想像に服部は手を握り締める。

 

真宵「へ、平次くん?」

 

可南子「どうしたの?そんな、怖い顔をして…」

 

戸惑うメンバーを知らずに服部は可南子に謝る。

 

服部「すまんな、可南子さん。オレはあのボウズや音無達と話す必要がありそうや!また後でな!!」

 

そう言って服部は足早にその場を去り、京谷と真宵も慌てて追いかける。

 

バディア「(…服部の奴、気づいたようだな。事件解決はあと少しな感じか)」

 

それを見届けながらバディアは可南子を見る。

 

 

 

 

11:05にてコナン達はバックヤードに再び来ていた。

 

コナン「(あいつ等が送って来た真実カード……俺の考えが正しければ……()()()()()を組み合せれば、死体を隠す事が可能になる筈だ……)」

 

そう考えていたコナンや伊御達へと後藤が話しかける。

 

後藤「あら、名探偵君。何か手掛かりでも探しているの?」

 

榊「お、後藤さん。あれ?原田さんたちはいねぇのか?」

 

確か来てると聞いたんだが……と呟く榊に後藤はうんと頷く。

 

後藤「私と入れ違いになっちゃったみたいね!」

 

コナン「そっか……」

 

伊御「後藤さん。俺達、このバックヤードを調べたいんですがいいですか?」

 

何か手がかりが他にもあると思うのでとそう言う伊御に後藤は了承する。

 

後藤「うん!私も手伝ってあげるわ!」

 

正邪「んじゃ調査開始と行くか」

 

早速後藤も交えて捜査を開始する。

 

コナンと探していた正邪は蛇腹蓋の置いてある水槽を見る。

 

正邪「このフタ、なんかベトベトしてるな…」

 

コナン「もしかして接着剤が使われた跡か?もしこのフタにアレを貼り付けたら…」

 

そう言ってコナンは言ったアレ……真実カードにされていた捨てられたアクリルミラーをゴミ箱から取り出して、蛇腹蓋に合わせる。

 

その幅はピッタリであった。

 

コナン「思った通りだ!蛇腹のフタにアクリルミラーを貼り付けたら……」

 

後藤「社長の遺体を隠すことができる…そういうことね!」

 

正邪「だから望月は見回りで遺体を発見できなかったわけか」

 

成程なと近づいてみた榊は唸る。

 

榊「まさかこれが鏡の代わりになるなんてなぁ…」

 

伊御「後で警察に蓋とアクリルミラーの接着剤の成分が同じか調べて貰わないとな」

 

アクリルミラーを見ながら呟く榊に伊御もそう呟く。

 

後藤「営業時間外だもの、夜や早朝は水族館の明かりが絞ってるわ。薄明りの中なら、社長の遺体の目隠しは十分に出来る筈ね……凄いじゃない名探偵君!それに君達も!」

 

コナン「はは、ありがとう」

 

伊御「ありがとうございます。これであの人が犯人じゃないことが分かったね」

 

褒める後藤に伊御はそう言う。

 

コナン「(伊御の言う通り、死体を隠した方法が分かった事で、少なくともあの人が犯人じゃない事がハッキリした!)」

 

後藤「この調子で頑張ってね名探偵君!あーあ、私もこの後、警察の実況見分に付き合わされるんじゃなかったら一緒に謎を解きに行くのに……」

 

残念そうに呟く後藤に誰もが苦笑する。

 

正邪「残念だったな」

 

榊「あんたの分、頑張って行くさ!そんじゃ」

 

そう言ってコナン達はバックヤードを後にする。

 

 

 

 

11:05

 

四つ葉アクアリウムにて

 

橙「あ、真実カードが更新されてるね」

 

針妙丸「これで解決へと近づいたのかな?」

 

哀「そうね……私達もバックヤードに行って見るのはどうかしら?」

 

真実カードを確認した橙のを聞いて呟いた針妙丸に哀はそう提案する。

 

針妙丸「え?どうして?コナンくんたちが行ったのに?」

 

橙「あ、分かった!私達の視点で分かる証拠もあるかもしれないからだね!」

 

哀「橙さん正解。現場に小細工が仕掛けられていたのならそこに手がかりがある筈だもの。後で知れるのだってあるわ」

 

成程と針妙丸が納得してる間にバックヤードに向かう。

 

後藤「なんでこれがあの時、あんな所にあったんだろう?」

 

そこでは後藤が何かで首を傾げていた。

 

哀「こんにちわ、後藤さん。どうかしたの?」

 

後藤「ああ、名探偵君のお友達に……君達は?」

 

橙「橙だよ~」

 

針妙丸「少名針妙丸です!」

 

聞く後藤に橙と針妙丸は名乗る。

 

後藤「元気がいいね~後藤暁江で~す。もしかしてメガネをかけた高校生の男の子の友達?」

 

橙「そうで~す」

 

針妙丸「そうだよ~」

 

聞く後藤に橙と針妙丸は肯定する。

 

後藤「元気が良くて良いわね~」

 

哀「それで後藤さん。どうかしたの?」

 

針妙丸「何か困った事でもあったんですか?」

 

困った事と言えばそうかな……と後藤は針妙丸のに対し、頬をポリポリ掻く。

 

後藤「実はね…水槽の掃除をする時に使う立て札があるの!」

 

橙「立て札?」

 

後藤「これなんだけど…」

 

これなんだけど……と後藤は指さした方を3人は見る。

 

そこには薄黄色のフロアスタンドがあった。

 

哀「『清掃作業中。滑ります。入らないで!』」

 

針妙丸「これがどうかしたんですか?」

 

後藤「いつの間にか、この置き場所に戻ってたのよね……今朝、私が出勤してから此処に来る途中の通路で確かに見かけたんだけど……」

 

立て札に書かれたのを読む哀の後に聞く針妙丸に後藤は不思議そうに言う。

 

戻ってたと言うのに首を傾げる橙と針妙丸に対し、哀は見かけたと言う言葉に食いつく。

 

哀「見かけたって……どこにあったの?」

 

後藤「珊瑚の夢に続く階段よ。変よね…もう掃除は終わっていたはずなのに…」

 

針妙丸「確かに変だね…なんで?」

 

出てきた言葉に首を傾げる針妙丸に哀も同意であった。

 

哀「(確かにおかしい……渡し板をしまった時、一緒に立て札も持って来たと玲香さんは証言していた…。誰が何のために立て札を置いたのかしら…?)」

 

とにかく、今の後藤の証言を哀は真実カードにしておく。

 

 

 

 

少し時間を戻して11:05、四つ葉アクアリウム

 

そこでは少年探偵団と佳奈と姫は水槽を見ていた。

 

無論、事件が起きた水槽ではない別の水槽だ。

 

歩美「うわぁ……見て見て、エイがひらひらしててキレイ!」

 

光彦「僕はあの、おっきいサメが好きですね……」

 

佳奈「あれってジンベエザメかな?」

 

目を輝かせる歩美の隣で光彦が同じ様に泳いでる大きいザメを見て言い、佳奈は何かなと呟く。

 

歩美「サメなんて怖いよ……あんなに大きいサメ、一口で人を食べちゃいそうだし……」

 

佳奈「ジンベエザメは人食べないよ!」

 

光彦「佳奈さんの言う通りです!世界で一番大きなサメであるジンベエザメはプランクトンが主食なんです!だから人を襲ったりはしませんよ」

 

怖がる歩美に佳奈がそう言い、光彦が解説する。

 

それを聞いてそうなんだと歩美は安堵する。

 

歩美「確かによく見ると優しそうな目をしてるね」

 

姫「水玉模様も可愛いですよね」

 

元太「オレはやっぱり、アジだな!見てみろよ…たくさん居るしうまそうだろ?」

 

そう言って妄想している元太に歩美は不満げに頬を膨らませる。

 

歩美「ぶー!元太君ったら、ロマンがないよ!」

 

元太「なんだよロマンって…食えるのかよ」

 

怒られた事に不満げな元太にそこはね……と姫と佳奈も歩美に同意で光彦も元太に呆れている。

 

光彦「そんな事を言うからデリカシーがないんですよ元太君は」

 

元太「俺は正直に言っただけだぞ」

 

姫「元太くんらしいですね;」

 

佳奈「だねー」

 

憮然とする元太にハハハと笑いながら原田が来る。

 

原田「気にする事はないよ、元太君。美味しそうと言われるのも水族館の役目の1つだからね!」

 

姫「(魚さんたちからしたら嫌な気持ちになりそうですね;)」

 

元太「やっぱりそうだよな!おっちゃん分かってるじゃん!!」

 

そう言った原田のに姫はそう思ってるのを知らずに元太も笑って返す。

 

原田「そうだ…キミ達は釣りには興味ないかい?」

 

佳奈「釣り?」

 

元太「釣りがどうしたんだ?」

 

首を傾げる面々に原田は理由を言う。

 

原田「先ほどアジの事を言ってたのを聞こえてね。アジはね、釣った後に活け締めにするとおいしく食べられるんだよ」

 

佳奈「あ、前に漫画で読んだことがある!それ」

 

それに反応した佳奈に元太は聞く。

 

元太「活け締め?何なんだソレ?」

 

佳奈「釣った魚を直ぐに殺しちゃうの。そうすると鮮度が保たれるんだよ!」

 

姫「佳奈ちゃん。言い方が物騒過ぎです;」

 

原田「簡略な説明と言う意味では合ってるね。詳しく説明するなら釣り上げた魚は地面に放置するとぴちぴちと跳ねるだろう?でも、そうやって暴れると疲労物質が溜まって美味しくなくなるんだ。暴れすぎて、死後硬直が早く始まってイキが良くなくなると言えば良いかな?だから針金を使って即死させる方法を『活け締め』と言うんだよ」

 

首を傾げる元太に答えた佳奈のに原田は苦笑しながら活け締めについて解説する。

 

光彦「ええっ…そ、そうなんですか」

 

佳奈「…あ!もしかして人でも同じことあったりして!」

 

柳下「なんだ、探偵団に知り合いの子達。なかなか興味深い事を話してるじゃないか」

 

少し引く光彦の後に佳奈がふと思いつくとそこに柳下が来る。

 

佳奈「あ、柳下さん!聞きたいんだけど活け締めと同じことって人間にもあったりする?」

 

柳下「活け締めか…ああ、同じ例ならあるぞ。人間も魚と同じで死ぬ間際に激しく動くと疲労物質が体内に溜まるんだ。そうすると魚と同じことが起こる…奮戦した後、立ったまま死んだ武蔵坊弁慶。同じく激戦の地で死んでもラッパを離さなかった兵士。著しく影響をおよぼした例が色々と報告されているぞ」

 

原田「人間と同じとは、鑑識の柳下さんでしたか?興味深そうなお話ですね……」

 

質問した佳奈に柳下はそう返し、原田も感嘆した様子でそう呟く。

 

元太「へー、そうなのか!おっさん、物知りだな!」

 

光彦「コナン君に教えてあげないといけませんね!」

 

佳奈「もしかしたら解決のヒントになるのかも!」

 

推理に役に立つかもと盛り上がるメンバーのに小五郎ではなくコナンに教える事に柳下は目を丸くする。

 

 

 

 

11:20 四つ葉アクアリウム

 

コナンと伊御達は少年探偵団と姫達と合流してさっきまで原田と話していた事を伝えていた。

 

佳奈「って事なんだけどどうかな?ヒントになったりする?」

 

伊御「活け締めか……」

 

ふむと伊御は考える。

 

伊御「(もしかしてあの事が指し示していたのって…!)」

 

その後にある事と結び付けて伊御は唸る。

 

伊御「(……もしこれが真相ならあまりにも……酷すぎる)」

 

チラッとコナンの方を見て、コナンも少年探偵団から離れて強張った顔をしていた。

 

その様子から彼も自分と同じ考えに行き付いたのだと察する。

 

京谷「ど、どうしたんだ音無?」

 

そこに服部と共に行動していた京谷が来て、伊御に気づいて恐る恐る話しかける。

 

伊御「…二人とも。ちょっと俺の推理聞いてくれるか?」

 

榊「お、おう…」

 

同じ様に気づいて近づいていた榊にも声をかけて、伊御は自分の考えた推理を語る。

 

伊御「……って事なんだけど…」

 

榊「うわ…えげつねぇなそれ;」

 

京谷「ホントにそうならあの人やべぇな」

 

推理を聞いて榊は何とも言えない顔をし、京谷も唸って呟く。

 

伊御「でもまだ確定はしてない。証拠がないと…」

 

京谷「それなら今、珊瑚の夢の水を抜いてるって聞いたぞ。伊御の推理通りなら言ってた奴が見つかる筈だよな」

 

京谷のに伊御は頷くとすげぇ!と言う元太や歩美の感嘆の声が聞こえて来る。

 

榊「ん?なんだ?」

 

何を見てるのか伊御達は顔を向ける。

 

そこでは子供たちの様子に楽し気な玲香の姿があった。

 

玲香「ふふ、海藻にしか見えなかったでしょ?」

 

歩美「うん!でもよく見るとお魚さんなんだね…!!」

 

佳奈「この魚、なんていう魚なの?」

 

興奮して聞く佳奈に少年探偵団と共に見ている魚について解説する。

 

玲香「この子はオコゼっていう魚の一種なの。海藻にそっくりな見かけをしている事で天敵の目をやりすごしているのよ。これを専門用語で『擬態』って言います!」

 

元太「へえ…初めて見たけど、カッコいいな~!」

 

姫「頭が良いお魚さんなんですね」

 

光彦「『擬態』ですね…?勉強になります!」

 

その様子に伊御はくすりと笑う。

 

京谷「楽しそうにやってるな探偵団の奴ら」

 

榊「まぁ、良いんじゃね?と言うか子供的にはあんな風に過ごしてる方が良いと思うしな」

 

伊御「確かにそうだな」

 

呆れた様に呟く京谷に榊はそう言い、伊御も相槌を打ちながらコナンと服部の方を見て見るとジト目の服部に小突かれているコナンの姿があった。

 

服部「おう、伊御。お前さんも推理とかはどうや?」

 

伊御「多分そっちと同じ感じかな」

 

そうかそうかと服部は楽しそうに笑う。

 

服部「お前さんもなかなか推理力高いからな~動物探偵としてやって見るのもありやと思うぜ」

 

伊御「動物探偵って…;」

 

榊「そう言えばここって水族館だよな。伊御に魚よって来たりして」

 

後半は揶揄う様に言う服部に冷や汗を流す伊御を見て榊はそう言う。

 

伊御「んなわけないだろ;」

 

流石にそれは……と証明する為に水槽に近づくと……魚たちが一斉に伊御の方へと泳いでいく。

 

歩美「凄い凄い!伊御お兄さんにドンドン集まってる!」

 

光彦「しかも皆、さっきより活き活きしてますよ!」

 

真宵「夏祭りの時の金魚と同じじゃね;」

 

玲香「務めてる中で魚たちがこんな反応をしたの初めて見たわ」

 

目を輝かせる歩美と驚嘆する光彦の隣で玲香は驚いた顔で伊御を見る。

 

わーおと誰もが驚く中で伊御は解せぬと呟く。

 

真宵「(やはり伊御さんの動物ホイホイスキルは凄すぎるんじゃね;)」

 

榊「(御庭がいたら逆に逃げてそうだよな……)」

 

佐藤「あ、服部くん!それにコナンくんも……って音無くんはどうしたの?」

 

伊御「いえ、なんでもないです刑事さん……」

 

そんな伊御を見て真宵と榊がそう思う中で佐藤が来て伊御の様子に声をかけてそう返される。

 

佐藤「?そうなのね。あ、服部くん、さっき言ってた実況見分の結果、色々な事が分かったわ!」

 

服部「おおきに!」

 

コナン「色々分かった事を聞かせて貰える佐藤刑事?」

 

伊御「お願いします。解決の手掛かりになるかもしれないので」

 

ええと答えてから佐藤は分かった事を告げる。

 

佐藤「まず珊瑚のついてない方…奥の岩場の下部から上部にかけて様々な所ででね、人の血液によるルミノール反応が得られたの」

 

伊御「!」

 

最初に告げられたのに伊御はこれは残した方が良いなと『岩場についた血』で真実カードにしておく。

 

服部「想像通りやな。続けてくれるか佐藤刑事」

 

佐藤「ええ、そして…水槽の底に落ちていた岩からもルミノール反応が検出されたわ…!」

 

榊「…って事は凶器はそれで間違いなさそうだな」

 

コナン「だとすると、後藤さんの写真が語っていた通りになるね」

 

早速コナンは『凶器は落ちていた岩』として暗号カードに残す。

 

佐藤「それじゃあ、私は毛利さんの所に行って来るわね。あなた達と同じ話をしてあげなくちゃ」

 

伊御「ありがとうございました佐藤刑事」

 

どういたしましてと返しながら佐藤は小五郎の元へ向かう。

 

伊御「(…これでカードは揃った。あとは解決するだけだな…)」

 

コナン「なあ、服部、伊御。これで真実へと至るピースは全ての揃ったな!!」

 

それを見届けた伊御や服部にコナンはそう言う。

 

服部「ああ!犯人に突き付けたろうぜ!」

 

伊御「じゃあ始めるか?」

 

コナン「ああ、俺達の推理ショーを!」

 

3人はそれぞれ笑って言う。

 

真実は今、紐解かれた。




針妙丸「次回、『想定外の謎解き』え?何が起こるの?」


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DETECTIVE.Ⅺ~想定外の謎解き~

始まった謎解き。
だが想定外の事態が…


四葉アクアリウム

 

玲香「本当なんですか……!?この事件の犯人が…真相が、全てわかったというのは……!」

 

原田「本当かどうかはわからないが、だからここに集まれと言われて来たが……」

 

来て早々にその場にいた原田へと問う玲香に聞かれた本人はそう返しつつ半信半疑な様だ。

 

矢口「しかし、よくこんな短い時間で真相に辿りつけたものだね」

 

小沢「適当な推理で、間違った犯人をでっちあげられてしまうんじゃないか…心配になりますよ」

 

驚いた様子で言う矢口に小沢は少し不安そうに呟く。

 

和葉「心配せんでも大丈夫やで、小沢さん!眠りの小五郎だけじゃあらへん。服部平次がおるんや!平次の推理に間違いはないで!!」

 

つみき「……伊御たちも居る」

 

柳下「確かに、名探偵の助手も含めてあちこちを駆け回っていたからね…」

 

そんな矢口へと和葉が自信満々に言い、つみきも続き、柳下が呟く。

 

哀「ふふ……彼らがどんな名推理を披露してくれるのか、楽しみね」

 

歩美「うん!ワクワクする!」

 

佳奈「あ、居たよ!」

 

そう言う哀のに歩美が同意した後、佳奈が目暮と共に来る小五郎に気づく。

 

目暮「どうだね毛利君、調査は進んどるかね」

 

小五郎「いえ、それがサッパリ………犯人があの4人の中にいるのかどうかさえ、怪しいものだと思ってますよ」

 

そう話しながら来た小五郎はメンバーに気づく。

 

小五郎「……あれ?皆さん、おそろいで……何か、あるんですか?」

 

後藤「な、何言ってるの毛利さん…『全ての謎は解けた…これから推理ショーを始める…』あなたがそう言ってると聞いたから、私はここに来たんだけど…?」

 

佐藤「ええ、私もです…。違うんですか、毛利さん?」

 

聞く小五郎に3人がそう返す。

 

小五郎「いや、さっぱり身に覚えが…」

 

コナン「(これ以上はマズいな…いくぜ、おっちゃん…!!)」

 

んん?と首を傾げる小五郎にコナンはいつも通り時計型麻酔銃を構える。

 

が、ここで予想外の展開が起こる。

 

針妙丸「あ、小五郎さん。ハンカチ落としてたよ」

 

小五郎「おっと、すまないな嬢ちゃん。」

 

発射される寸前で針妙丸がそう言ってハンカチを差し出し、それを受取ろうと小五郎が屈んでしまい……それにより照準がズレてしまい、発射された麻酔針は小五郎の頭上を通り過ぎ……

 

チクッ!

 

正邪「はにゃ!?」

 

偶然にも小五郎の隣にいた正邪に突き刺さる。

 

コナン「(やばっ!?)」

 

正邪「はにゃほろひれは……」

 

そのまま正邪はよろけて壁にもたれて座り込む。

 

高木「あれ?なんかいつもと違う感じが……」

 

伊御「(あ、マズイ…)毛利さん、ちょっと…」

 

疑問詞を浮かべる高木の後に伊御が小五郎を呼ぶ。

 

小五郎「あ、なんだ?」

 

伊御「今から自分がすることに話を合わせてください。これから起こる事に関係するので」

 

はぁ?と小五郎が訝しむ中でコナンは急いで正邪の背後の近くの死角になる所へ移動してから蝶ネクタイ型変声機で正邪の声を探し当てて喋りだす。

 

正邪(コナン)「わりぃな。私がコナンに頼んで毛利探偵の名を使って皆さんに集まって貰ったんだよ」

 

蘭「え?神那さん?」

 

和葉「どういう事なん?」

 

正邪の声でそう言ったコナンのに誰もがざわめく。

 

服部「ほう、どうやら姉ちゃんも推理をしようちゅう事やな」

 

小五郎「何、そうなのか?」

 

伊御「何言ってるんですか毛利さん。これより前に推理の確認をしてもらったではないですか」

 

目をパチクリさせる小五郎に伊御がそう言う。

 

え、あ、そうか……と小五郎は先ほど言われた事を思い出して少し訝し気に返す。

 

目暮「どういう事だね神那君?」

 

正邪(コナン)「この事件の真実は毛利探偵じゃなく、この私が代わりに皆さんに話そうってことだよ警部さん」

 

なんだって!?と目暮の驚きと共にざわめきが強くなる。

 

目暮「では、誰が森山社長を殺し、どうやって殺したかの謎も解けたのかね!?」

 

正邪(コナン)「ああ、そうさ。そう言った謎も全部明らかになってるんだよ」

 

小五郎「皆さん、信じられないかもしれないですがこの私が推理の確認したところ、彼女の言っていることは事実です。彼女の推理を是非最後まで聞いてあげてください」

 

自信満々に言う小五郎に咄嗟の機転で言えるのは流石は毛利さんだと伊御は感心する。

 

原田「な、なんと…!本当に、事件の謎が解けたのですか…!!これは、ちゃんとお礼をしなくてはなりませんな…」

 

後藤「凄いわね神那ちゃん!こんな難しい謎をあっという間に解いちゃうなんて…。探偵志望の私でもいろいろ考えたんだけど、何一つ、謎は解けなかったのに…」

 

正邪(コナン)「確かにこれは難事件に見える。けどそれは容疑者となるかもしれない人間全員に死亡推定時刻のアリバイが有るからだ。だから『不可能犯罪』に見えちまう。けどよ、不可能な犯罪なんてありはしねぇ。何処か逆に認識しているところがある。間違っているのに正しいと認識しているところがな」

 

驚いて言う原田と後藤に正邪(コナン)はそう言う。

 

正邪(コナン)「じゃあこれから森山社長を誰がどうやって殺したのか、その謎を解いていくぞ。まずこの事件において間違っていた前提条件、死亡推定時刻を正していくぞ」

 

柳下「バカな!?この遺体は死後硬直が最硬になってから緩んでいる。20時間以上の時間が経っている事は確かだ。俺の鑑識結果が間違っていると言うのか?」

 

出てきた言葉に柳下は信じられないと言動に含んだ質問に対し、正邪(コナン)はこう返した。

 

正邪(コナン)「法医学の常識じゃあそうだけど、今回は違う。森山社長は()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

佐藤「通常の状態じゃないって…一体どういうこと?」

 

質問した佐藤に正邪(コナン)は答える。

 

正邪(コナン)「実際の死亡推定時刻が鑑定されたものと狂った理由、それは森山社長が死ぬ前に運動をしたからなんだよ」

 

小五郎「警部、警察学校で習いましたでしょ?急激な運動をしている最中に急死した場合、筋肉中のタンパクが固まり易くなり、死後硬直が通常より早く強く出てしまうと言う事を……」

 

目暮「!?確かに、急激な運動をしてる最中に急死すれば本来の死亡推定時刻より大幅にズレる!」

 

光彦「そうか!活け締めの逆ですね!」

 

正邪(コナン)のを合わせる様に察した小五郎がそう言い、目暮も思い出して合点が行くと納得すると共に光彦が原田から聞いた事を思い出す。

 

可南子「い、活け締め?」

 

姫「あ、もしかしてさっきの原田さんが話していた釣り用語の…」

 

原田「ええ、釣り用語のひとつで魚を釣り上げた後、ぴちぴち跳ねるのに任せてしまうと死後硬直が早く出てしまう…そうなると美味しくなくなるから、釣ったらすぐにトドメを刺すという事です」

 

服部「上品な顔して、案外ブラックなおっちゃんやな……」

 

目を丸くする可南子の後に同じ様に思いだした姫の言った事で説明した原田の言い方に服部はうへぇとなる。

 

原田「お褒めにあずかり恐悦至極……ですが、森山社長が運動していたという話に根拠はあるのですか?」

 

正邪(コナン)「もちろんある。社長の体にあった擦り傷だよ。これに対応するように『珊瑚の夢』にはこんなものが残ってたぜ」

 

これですと伊御が真実カードの『岩場に付いた血』をその場にいる全員へと見せる。

 

伊御「『珊瑚の夢』の珊瑚がついてない方の岩場の下部から上部までの様々な場所に人の血液によるルミノール反応が出ました。おそらくこの血液は……」

 

玲香「そんな……!?遺体の傷は『珊瑚の夢』の岩場でできたものだというの…?」

 

正邪(コナン)「ああ、その通りだ。森山社長は謎の人物と取り引きの約束を交わしていた。絶対に遅れないようにって言われてたから必死で岩場を這い上がろうとしたんだろうな」

 

驚きの声をあげる玲香に正邪(コナン)は肯定してそう言う。

 

高木「そう考えると、社長が珊瑚の夢に来た時間は絞られますよね…?」

 

正邪(コナン)「そうだな。おそらく玲香さんが水槽に中和剤を使ってなじませた状態でその場を離れた時だろうぜ。森山社長はゴルフが趣味でなかなかの腕前だって噂だからな。中和剤が使われてない状態なら傷を負わないで登れたんだろうが中和剤で滑るようになった岩場を上がろうとしたからあんなに手足が傷だらけになったんだよ」

 

呟いた高木のを肯定して正邪(コナン)はどうして森山の血の付いていたかを述べる。

 

伊御「服がボロボロになるほどぬめる岩場を登ろうとするのは大変だったでしょう」

 

柳下「あれだけの血の量だからな…相当苦労したのだろう」

 

言った伊御のに柳下も同意する。

 

服部「その直後に殺せば死後硬直がすぐに発現しだす。だから、鑑定による死亡推定時刻が狂い、本当の死亡時刻とのズレが生じたんや」

 

榊「容疑者全員にアリバイが有ったのもそれが理由だったって事だな」

 

その通りだぜ服部に榊と正邪(コナン)は肯定する。

 

目暮「ふむ……これは全員のアリバイを見直す必要がありそうだな……!」

 

小沢「ちょ、ちょっと待ってください……話の辻褄は合ってますが証拠はあるんですか……!!仮説だけで構成された推理に基づいて犯人当てをされるなんて当事者としては不安すぎます!!」

 

正邪(コナン)「そりゃそうだな。なら実際の死亡推定時刻が柳下さんの鑑定と違う証拠を見せてやるぜ」

 

不安な様子でまくし立てる小沢にそう言ってから伊御と正邪(コナン)は声をかけ、伊御も頷いて真実カード『午後3時50分のメール』を出して説明する。

 

伊御「これは昨日午後3時50分に玲香さん達水族館関係者に送られたメールです。全員すぐウェストリーフに来いという内容・・・…合ってますよね玲香さん」

 

確認する伊御に玲香はええと頷く。

 

原田「成程……でも、社長本人が出したメールとは限らないのでは?」

 

メールならば誰だって社長と偽って出来ると言う原田のを正邪(コナン)は否定する。

 

正邪(コナン)「残念だがこれは社長本人にしか送れないメールなんだよ。社長のパソコンには指紋でロックがかかっているからな」

 

柳下「指紋認証つきパソコンか!確かにそれでは本人でしか開けられないから犯人が使うことは不可能だな」

 

指紋は本人のでなければ無理だから社長が送ったと断言できると柳下も納得する中で正邪(コナン)は捕捉する。

 

正邪(コナン)「オペレーターのクラリッサの証言じゃメールを送信する10分前に指紋認証が行われてたそうだ」

 

高木「なるほど……!メールを打った時点では社長は生きていたと考えてよさそうですね!」

 

興奮する高木の後に矢口も納得する。

 

矢口「と言う事は社長からのメールで関係者達がウェストリーフに向かった後、犯人は社長を殺したという事ですね」

 

正邪(コナン)「その通りだ」

 

肯定した正邪(コナン)に佐藤は浮かんだ疑問を言う。

 

佐藤「でも玲香さんが戻って来て、水を入れ始めた時には水槽のどこにも遺体がなかったという証言があるわ。神那ちゃん、その間、社長の遺体は何処に消えてたのかしら?」

 

正邪(コナン)「ああ、それは…」

 

そんな佐藤の疑問に正邪(コナン)が答えようとして……

 

小沢「ちょっと待ってくださいよ…!玲香さんは容疑者の1人……嘘をついている可能性だってあります!容疑者の証言をそのまま使うなんて、日本の警察はずいぶん横着なんですね……!」

 

小沢が待ったをかけて否定してから毒づく。

 

それを言ったらあんたも容疑者の1人やろと服部は内心ツッコミを入れる。

 

針妙丸「異議あり!玲香さんは嘘なんてついてないよ!」

 

後藤「針妙丸ちゃんの言う通りです!遺体がないことは玲香さんだけじゃなく私も確認しています…!私、水を張り終わった時の写真も撮ってますし…!」

 

正邪(コナン)「…と言う事だ。それに犯人が遺体を隠していたという証拠だってあるぞ」

 

小沢「なっ………!?」

 

それに針妙丸が噛みつき、後藤も続いた後に出た正邪(コナン)の言葉に小沢は驚く。

 

元太「なあ姉ちゃん。あんまりじらすなよ…」

 

光彦「犯人は何処に遺体を隠したんですか?

 

正邪(コナン)「そう焦るな。今教えてやるよ。遺体の隠し場所、それは珊瑚の夢、上部にある物置だ!」

 

じれった元太と光彦のに正邪(コナン)は答え、それにええ!?と驚くメンバーに正邪(コナン)のを肯定して柳下は言う。

 

柳下「彼女の言う通りだろうな。あの物置でルミノール反応検査を行った所、物置の床には大量の血液が流された形跡が検出されたよ」

 

蘭「あの、いわくつきの物置に!?」

 

な、なんと!?と告げられた事に原田は驚く隣で同じ様に驚いた蘭のに正邪(コナン)は肯定する。

 

正邪(コナン)「そこに犯人は潜んでいたんだよ。森山社長の遺体と一緒にな!」

 

つみき「……なるほどね。あの物置では女の人が一人自殺している……犯人は玲香さんが絶対に入らないという自信があったからそんなことができたってわけね」

 

納得したつみきの言葉に玲香は悲痛な顔で胸の服を掴む。

 

哀「……で、神那さん。物置から遺体を出し、水に入れたタイミングはいったい何時になるのかしら?」

 

正邪(コナン)「それは水槽に水が満ちた後だ。そのタイミングしかないだろ」

 

哀の問いに正邪(コナン)はそう返す。

 

佐藤「そうね。水が満ち、玲香さんが最終確認を終えた後に出さなければ……」

 

真宵「玲香さんと後藤さんの二人に遺体が見つけられてしまうという事じゃね」

 

タイミングがどこなのかに誰もが納得する。

 

原田「しかしあの物置は、今よりさらに陰惨な逸話に彩られてしまいますな……」

 

京谷「(怖い事ばかり言うなこの人……;)」

 

しみじみと言う原田になんでそう言えるんだこの人と京谷は冷や汗を流す。

 

蘭「原田さん、あんまり怖い事を言わないでください」

 

姫「こ、怖すぎですぅ!」

 

原田「おおっと、これは失礼……」

 

怯える蘭と姫に原田は流石に不躾だったと謝罪する。

 

目暮「(コホン)……神那君、君は重要なことを忘れているぞ?」

 

空気変えようと咳払いしてから目暮は正邪(コナン)へとそう言う。

 

伊御「重要な事って言うと望月さんの……」

 

望月「そ、そうだよ!俺が朝、見回った時には……遺体は水槽の中にはなかったんだぜ?それは絶対に見間違えじゃない!」

 

確認する伊御に言われた望月が断言する。

 

正邪(コナン)「そりゃそうだろ。犯人はあるものを使って遺体を隠していたからな。真宵!」

 

真宵「はいはーい!」

 

呼ばれて真宵は蛇腹のフタとアクリルテープを持ってくる。

 

目暮「アクリルテープと蛇腹のフタ?」

 

正邪(コナン)「予備のを貸してもらったのさ。この二つを組み合わせれば簡単に遺体を隠すことができるぜ」

 

こんな風にねんと真宵は手早く、正確に蛇腹のフタに幅を合わせたアクリルテープを貼り付けて行く。

 

真宵「じゃーん、自由に曲がる鏡の完成じゃよ」

 

佳奈「おー!確かにこれなら隠せそうかも!」

 

目暮「確かに、これで覆えば丁度社長の姿も見えない……!」

 

見せられたのに誰もが声を漏らす中でスマホで通話していた高木が目暮に話しかける。

 

高木「警部!先ほど鑑識から連絡があり、ここのバッグヤードに置いてあったごみ箱に捨てられていたアクリルテープに張り付けられていた接着剤と蛇腹に残っていたべとべとした液体は同一のものだったようです!」

 

正邪(コナン)「テープを丁寧に張り付けてできた、鈍く光る円柱状の鏡だ。閉館時間は灯りが消えてるしちょうどいい目くらましになるだろ」

 

報告を聞いてそうか……と納得する目暮に正邪(コナン)がそう言う。

 

後藤「でも望月さんが遺体を発見した時には、そんなものなかったでしょう?いつ、それは『珊瑚の夢』から撤去されたのかしら?」

 

正邪(コナン)「簡単なことだ。犯人がふたを引き揚げたのは午前八時半以降だろ。可南子さんが容疑者のみんなの出勤時間を調べてくれたからな。犯人は出勤してきた後、水槽に続く道に立ち入り禁止の札をかけて、このカギのついた竿を使って、ふたを引き揚げたんだ」

 

不思議そうに呟く後藤に正邪(コナン)はそう答える。

 

目暮「ふむ、なるほど……しかし、そこまで解っているのなら……そろそろ教えてくれんかね?誰が社長を殺したのか…!」

 

小沢「ぼ、僕には無理です!僕は極度の高所恐怖症なんですよ!!あんなところで人を殺すなんて、絶対無理です!」

 

原田「私だって無理ですよ……!こんなふうに利き手に怪我を負った状態で森山社長を殺せるわけがないでしょう!」

 

矢口「無理なのは私ですよ……!犯行時間が彼女の言う通りなら、珊瑚の夢には渡し板がかかっていない筈。どうやっても、奥の岩場には行けません!」

 

玲香「わ、私だって犯行時間のアリバイがあるわ……!!」

 

顎を摩ってから問う目暮の後に4人は各々に主張する。

 

高木「僕には全員に犯行が無理なように思えるんだけど……」

 

正邪(コナン)「高所恐怖症に怪我、渡し板にアリバイ。確かにどれも犯行が無理そうに見えるが……解決できる理由が一つだけある。その理由の人が犯人だぜ高木刑事」

 

んーと唸る高木に正邪(コナン)はそう言った時だった。

 

柳下「あー……推理の途中で悪いが少し待ってくれないかな?」

 

突然柳下が待ったをかける。

 

目暮「どうした柳下君?」

 

柳下「良い所ですいません。えっと……戌井榊君だったか?」

 

榊「ん?俺?」

 

なんで俺?といきなり柳下に指名されたので自分を指さしながら榊はハテナマークを浮かべる。

 

柳下「普段なら俺も何も言わないんだがね……少しその柱から退いて貰えるかな?」

 

言われた通り、榊はもたれていた柱から退くと柳下が近づいて確認する様に見てからやはりなと呟く。

 

柳下「見て貰えると分かるが、彼がこの柱にもたれた事で少したわんでいる」

 

え?と誰もが柳下の指摘した柱を見てみる。

 

確かによく見てみると柱が少したわんでいる。

 

玲香「本当だわ…。この『水晶の金魚』の柱は相当な強度を持っているから戌井君がもたれたくらいでは揺らぎもしない筈なんだけど……」

 

真宵「もしかして…欠陥建築?」

 

可南子「!?」

 

気づいて言う玲香の言葉に対して真宵が言った言葉に可南子は反応する。

 

それには可南子から戻った記憶で守山と何かで言い争っていたのを聞いたバディアももしやと考える。

 

バディア「(彼女と森山社長の口論の理由はそれか……?)」

 

もしも欠陥建築の事で森山と言い争っていてその際になんらかの頭をぶつけ、記憶を失ってしまったのなら納得がいく。

 

バディア「納得は行くが……証拠がないか……」

 

ホントにそうなったと言う証拠もない故に確かめる術がないのでバディアは呻く。

 

なお、バディアは大体のコナンの歴史は知ってはいるがゲームの方には触れていなかったのでゲーム関連の事件の事は全然知らないのである。

 

 

閑話休題

 

 

服部「鑑識のおっさん。欠陥建築を気にするのもええけど、まずはこの事件の犯人を判明させようやないか」

 

高木「そ、そうだ。それで犯人は誰なんだい?」

 

話の流れを修正する服部に高木も乗っかって正邪(コナン)に聞く。

 

静かになる中で正邪(コナン)は突き付ける。

 

正邪(コナン)「犯人は……矢口隆さん!あんたただ!!

 

矢口「………!!」

 

告げられた矢口は驚いてたじろいた後に叫ぶ。

 

矢口「な、な、なんでですかっ…!私はそんな事、できませんよ!!!」

 

高木「そ、そうですよね。他の人たちはいざ知らず……矢口さんは足が不自由なんですから……」

 

流石に殺すのは無理ではと思う高木や他の面々の反応に正邪(コナン)は想定済みだ。

 

ここからが彼の犯した犯行を曝け出すのだから……




榊「次回は『天邪鬼な少年の推理/Sの初陣』だぜ!」

正邪「……ある意味、私より天邪鬼な事をしてるよなコナン」


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