どうやらISに常識人(自称)として転生したみたいです (凄まじき戦士)
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常識人は不条理な目にあう

エクシブの変身バンクに心を奪われてしまって衝動的に書いたもの。

続けるかどうかはわからないし唐突に終わるという可能性もございますのでご了承ください。


あれだけエロいのに自重したってどういうことなの...?

P.S.
感想くれるとありがたいです


皆さんは突然不幸なことが起こり命を落としたらどう思うだろうか?

 

理不尽?それとも喜び?

 

俺は前者だ。なぜなら

 

「どうして女の子になってるんデェェス!?」

 

強制転生と性転換を食らったのだからな!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、落ち着いたデス。まずは状況確認デス」

 

俺は階段から落ちて首が折れて死んだのデス。そしたら

 

「いやーごめんねーこっちの新人のミスで死んじゃって!お詫びと言ってはなんだけど特典付きで転生させてあげるから!」

 

「いや...せめて拒否権を...」

 

「じゃーねー」

 

「くそがぁぁぁ!!!」

 

というやりとりのあと意識が暗転したデスよ。そうしたらこんな状況に...

 

「おきてがみと一緒にあるこれは間違いなく...あれデスよね」

 

意識が戻ってすぐにアタシを転生させた張本人を殴りに行こうと立ち上がると胸と股間に違和感。あたりを見回すとどうやら家のリビング、幸いなことに前世の自宅と間取りが一緒だったのでダッシュで洗面所へ。自分の姿を見て叫んだのが数分前デス。

 

とぼとぼリビングへ戻ると先ほどは気付かなかった手紙とその横に置かれている正方形の箱。手紙を取り出して読むとこう書かれているのデス。

 

『この度は私の不始末と上司のいい加減な対応によりあなた様に迷惑をかけてしまい、大変申し訳ありません。

 

おそらくこの手紙を読むころには自分の体の状態と状況確認が済んでいると思います。』

 

「ご丁寧にどうもデス。謝罪ができることはいいことなのデスが、なんでアタシが暁切歌になっているのか説明してほしいデス」

 

てがみにツッコミを入れながら読んでいくのデス。そう、今のアタシはシンフォギアに出てくる暁切歌になっているのデス。語尾と一人称も段々と...

 

『おそらく疑問に思っていることでしょう、なぜその容姿なのかと。それはあのダメ上司があなたがつい最近見たアニメを参考に情報を作り上げたからです。』

 

「いや...マジデスか?」

 

『その結果、あなたはその世界では暁切歌として生きていくことになります。前世は男だったという記憶とともに。』

 

「デェェス!?」

 

ちょっと待ってくださいデス!アタシは望んでないのデス!リセット!もしくは性別を選びなおすチャンスをぉぉぉ!!

 

『ちなみにその世界はシンフォギアではありません。』

 

「デス?」

 

シンフォギアではない?

 

ということは!

 

平和な世界でノイズに関わることなく、平穏無事に過ごしてもう一度死ぬことでやり直せるデスか?

 

『インフィニット・ストラトスです。』

 

「こんちくしょうめデース!!!」

 

よりによって一番行きたくない世界じゃないデスか!!いやデス!

 

『本当に申し訳ありません、お詫びの品としてイガリマをISとして送らせていただきました。どうか平穏な生活になることをお祈りしています。

 

名もなき神より』

 

「...もうどうとでもなれデェス」

 

その場で崩れ落ちるアタシ。専用機を持っているということはIS学園入学ルートまっしぐら。

 

唐変木に気をもまれ

 

天災に目を付けられ、あのセキュリティが万全なのだかよくわからん学園で3年間を過ごすことになるのデス...

 

『追伸

 

すでに入学は確定しておりますしクラスは1組です。ご両親は海外出張、ということになっております。また生活費はすべて私の上司が負担いたしますのでご自由にお使いください』

 

「至れり尽くせりすぎて不気味デェェス!?」

 

こうしてアタシの新しい人生がスタートしたのデス。

 

目標はただ一つ

 

 

「なるべく目立たず!青春を謳歌するデス!」

 

 

この目標がたった数日で打ち砕かれるとはまだ知らないのであった。




暁 切歌(あかつき きりか)・・・この物語の主人公にして最大の被害者。性別は元男性。

階段から落ち頭の打ちどころが悪く死亡し、神様にお詫びとして(強制的に)転生させられ、なおかつ性転換で女になってしまった。

容姿はシンフォギアシリーズの暁切歌まんま。転生当初は男言葉で思考も男だったがだんだんと、容姿と性別に魂が引っ張られている。語尾に「デス」と付け、困った時もとりあえず「デェス!」


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一学期
常識人は入学早々、面倒ごとに巻き込まれる


短編なのでお試し版ということで投稿します。

意外とアンケートに答えてくれてる方がいて嬉しいです。

変身シーンは各々の好きなのを想像してください。ただしギアの形状はGXです。


転生して一週間、今日は入学式。ついにこの日が来てしまったのデス。人気のない山の中でイガリマの訓練、トイレやお風呂の時の女性の感覚にも慣れたのデス。

 

アタシとしては平和に過ごせれば問題ないのデス。専用機持ちではあるのデスが

 

「暁切歌デス。趣味は料理、みなさんよろしくデス」

 

ふふーん!常識人は当たり障りのない自己紹介で終わらせるのデース!後ろにいる男子にみんなの視線が集中しているのであればなおさらデース!

 

「えっと織斑一夏です。以上です!」

 

なんですと!?それだけデスか!?せっかくみんなが注目しているのに!?何人かずっこけましたよ!

 

あ、黒スーツの人に出席簿で叩かれたデス。そして織斑千冬と名乗ったのデス。なるほど、織斑くんとは家族なのデスね?

 

「「「きゃぁぁぁ!!!」」」

 

「デェェス!?」

 

耳が!歓声で耳が痛いデス!あ、織斑くんも耳をやられたみたいデス。

 

そして先生はため息をついてるので相当うんざりしてそうデス。

 

あ、また織斑くんが叩かれてるデス。彼女は人間なのでしょうか?出席簿であのダメージおそらくはOTONA...

 

「暁、妙なことを考えるとこいつと同じ目にあうぞ?」

 

「き、肝に命じておくデース」

 

勘が鋭そうなので余計なことは考えずにいた方が良さそうデース。命は大事に、なるべく目立たずデス。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と思っていた数時間前のアタシを殴り飛ばしたいデス。初日の授業の最後、織斑先生の余計な一言でクラス代表が織斑くんと金髪さんの一騎打ちから

 

「では来週の火曜日にクラス代表を決めるための選抜戦を行う。せっかくだし暁も参加しろ」

 

「おう!」

 

「構いませんわ!」

 

なぜ!クラス代表戦に巻き込まれているのデェス!?拒否権がない戦いとかただの拷問デス!織斑先生の顔にはすまないという感じなんデスが

 

「すまんな、お前のISは特殊なのでデータが欲しいらしい。どちらかに1回でも勝てばクラス代表は辞退してもいい、他の教諭や学園長には話を通しておく」

 

と放課後に先生から言われたので仕方ないデス、こうなれば常識人のアタシが2人に勝利してクラス代表をなすりつけるデス(※常識人?)!

 

金髪はセシリア、確かイギリスの代表候補生なので情報収集には困らないデスね。

 

一週間あれば対策はたてられるのデス。ふっふっふ、目にもの見せてやるデス。

 

「ね~ね~キリちゃーん。笑顔がこわいよ~?」

 

「おっと、ごめんデスよ本音」

 

ダボっとしたパジャマを着ていて、端末の画面を覗き込んできたのは布束本音、私のルームメイトで最初の友達デス。

 

アタシは緑の短パンにフード付きのTシャツ、なんとなくズボンの方が楽なのデス。

 

「勝てるの~?」

 

「やってみないとわからないデス。けれど負ける気はないデスよ!」

 

「お~燃えてるね~」

 

当前デス!アタシの平和な学園生活のためデース!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてあっという間に一週間が過ぎ

 

 

真面目に授業を受けたり、織斑くんに専用機が支給されたり、本音をおやつで餌付けしたり、セシリアさんの専用機対策と忙しかったのデス。

 

途中変なのが入ったのは気の所為、いいデスね?

 

組み合わせはこうなったのデス。

 

1.セシリア・オルコット VS 織斑一夏

 

2.織斑一夏 VS 暁切歌

 

3.暁切歌 VS セシリア・オルコット

 

デス。

 

初戦の結果は織斑くんが惜しかったデス。あの単一能力は厄介かも。

 

「そろそろか、暁。準備しろ」

 

「わかったデス!」

 

アタシは胸のペンダントを握りしめて、目を閉じる。そして唄うようにある言葉を紡ぐ。

 

「Zeios igalima raizen tron.」

 

すると光に包まれて一瞬で姿が変わる。全体的なイメージは頭部装甲とヘッドセットにより魔女っぽい、ISスーツは明るい緑を基調に白と黒がアクセントとして入っており、腰にはスカート。右手には短めの鎌が握られている。

 

「織斑先生、準備完了デス」

 

「では織斑の補給が終わり次第試合を始める」

 

アタシはアリーナへと降り立ち鎌を一回転させて大型化させる。さあ魂を狩るザババの鎌、初陣デスよ!

 

そしてこれが彼女の戦いと常識人(笑)の道への始まりだった。




ちなみに主人公の制服は

少し短めのスカート、フード付きの上着です。はい、つまり切歌の普段着っぽいやつです


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常識人は初陣でやらかす

不定期ですが連載していこうと思いますのでよろしくお願いします

はい、お待ちかね(?)の戦闘シーンです。

おそらく修正する可能性はありますがよろしくお願いします。

あ、曲はあれです。やっぱ最初はこれからかな?と思ったからです。

P.S.

内容を大幅に修正しました。申し訳ございません。


鎌をクルクルと回しながら待っていると織斑くんがやってきたのデス。織斑くんのISは武装が一つだけ、刀が1本ってどうなってるんデスか?近づくためには遠距離武器必須デスよ?

 

「待たせたかな?暁さん」

 

「さん付けじゃなくていいデスよ?同じクラスなので敬語もなしデス」

 

「助かるよ。あまりしゃべったことなかったからさ、ありがとな暁」

 

あれが無自覚イケメンスマイル...なかなか威力があるのデス。

 

しかし!アタシは元男!こんなことで揺らがないのデス!

 

「それでは始めるデス!手加減はしないデスよ!」

 

「ああ!」

 

互いの武器を構えると同時に試合開始のブザーが鳴る。最初から本気で行くデス!

 

単一使用能力(ワンオフ・アビリティ)『シンフォギア』発動デス!」

 

すると胸のペンダント少し光り、周囲に聞こえるように旋律が流れる。まさかこういった形でシンフォギアシステムが再現されているとは思わなかったのデス。

 

「って!そっちも一次移行(ファースト・シフト)なのに使えるのかよ!」

 

織斑くんが驚いてますがアタシも教科書で読んで驚いたのデス。あなたも使っていたデスけど

 

(推奨BGM:獄鎌・イガリマ)

 

流れるメロディーは神秘さもありながらどこか怖さもあるもの。なるほど、今までためていた恨みをここで爆発させればいいのデスね!(ただの八つ当たりである)

 

「警告メロディー 死神を呼ぶ 絶望の夢 Death13」

 

切・呪りeッTぉ(キル・ジュリエット)

 

アタシは鎌の刃を2つに分裂させブーメランのように投擲、織斑くんはそれを刀ではじいて接近してくる。

 

「てぇぇい!」

 

刀を受け止め、遠心力を使って壁際へ弾き飛ばす。そしてジュリエットを今度は2回放つ。織斑くんは4つの刃を同じように迎撃するが甘いデス!

 

「動きを止めるデス!」

 

ジュリエットは囮、両肩からアンカーチェーンを射出して織斑くんの動きを止めることが本命。

 

「う、動けねえ!?」

 

アンカーチェーンは織斑くんをぐるぐる巻きにして完全に拘束する。背中のブースターで飛び上がり、鎌を巨大なギロチンに変化させる。さらにそのギロチンの両端からアンカーを地面に打ち込む。

 

準備万端、これで!

 

「切り刻んであーげましょう!」

 

断殺・邪刃ウォttKKK(だんさつ・ジャバウォック)

 

ギロチンを両肩のブースターで加速させながら突撃、狙うは首、人体の急所ならばシールドエネルギーの消費も多いはず!

 

しかし織斑くんは右腕を動かして刀で防御、反射神経はなかなかのものデス!

 

しかし、イガリマの単一仕様能力はアタシの歌と旋律に合わせて機体の出力と武装の切れ味が上がるのデス!

 

「でやぁ!」

 

白式の予想外の出力で拘束していたアンカーが抜けてしまい、そのままギロチンが刀に弾かれたので鎌に戻して、一回転しながら着地。織斑くんはパーツが展開されて光の刃が展開された刀を構えているのデス。

 

互いに一撃を入れば勝負が決まる、まるで武士の決闘のような緊張感が流れる。

 

あれは先ほどオルコットさんの時も使っていましたね、近接戦の参考資料に見ていたモンドグロッソでも同じような武装を見たデス。

 

たしか織斑先生が乗っていた暮桜だった気がするデス。それにあの一撃をもらったオルコットさんの顔が警戒心マックスだったので相当な切れ味、または一撃で勝負を決める類の能力。

 

(突っ込んでみて考えるしかないデスね)

 

肩のブースターで全速で加速、織斑くんは迎え撃つかのように同じくスラスターで加速し互いに一撃を入れまた離れる。アタシは腕装甲が切られてSEがごっそり削られ、急所を狙ったので同じく織斑くんもSEが削られているが私よりは少ないデス。

 

一瞬の交錯、アタシは確信を得る。やっぱりデス、あれは

 

「織斑くんのIS、織斑先生のと同じ能力デス?」

 

「まさか一発目で見切られるとはな、確かに千冬姉と同じ零落白夜だぜ」

 

「一撃一撃が必殺デスか。なら近づかなければいいのデス!」

 

2本目の鎌を取り出し、先ほどと同じようにブースターで突進。織斑くんは迎撃しようと刀を構える。

 

「鎌だけがイガリマの武器ではないのデス!」

 

封伐・PィNo奇ぉ(ふうばつ・ピノキオ)

 

両肩のアーマーを展開、アーマーの先端は刃となり連続で切り裂いていく。織斑くんは突然の武装展開に追いつけず全て食らってしまう。

 

「籠の中から 救ってあげる 両断のクチヅケで!」

 

「ぐぁっ!!」

 

手応え的に大技を決めれば勝ち!ならば!

 

「刃の雨で切り刻むデス!」

 

ピノキオと鎌で織斑くんを吹き飛ばし斜め上へジャンプ、2本の鎌を頭上で振り回して斬撃の雨を降らせる。

 

暴殺・魔ッ怒Haっター(ぼうさつ・マッドハッター)

 

危険を察知したのか織斑くんは技を出す前に攻撃をしてきますが時すでに遅し、デス!シンフォギア発動中のイガリマは出力が徐々に上がる、今の状態なら零落白夜を食らってもギリギリ残るデス!

 

無数の斬撃の雨を捌ききれなくなった織斑くんは地面へ墜落する。

 

地面へ着地したアタシはそのまま動きを止めた織斑くんを一閃

 

クルクルと鎌を回しながら決めポーズを取る。

 

『勝者、暁切歌!』

 

「さあ空に調べ歌おう」

 

イエーイ!切歌ちゃん大勝利ー!デース!



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常識人は天災(誤字にあらず)に出会う

この作品はノリと勢い、そしてちょっぴりシリアスでできています。

たまにはこんな天災いてもいいじゃない?

シンフォギア4話、熱かったですね。敵側に同情しつつも納得できないのは僕だけでしょうか?

あとジジィは、はよ退場しろ



クラス代表決定戦から数日後、アタシは織斑くん改め一夏の訓練に付き合っていたのデス。

 

あ、クラス代表はアタシとセシリアが辞退して自動的に一夏になったのデス。

 

試合はアタシが辞退を申し出て、セシリアが了承したことによりなくなったのデス。

 

「一夏、そうやってバカみたいに突っ込んでたら相手の思うツボデスよ?」

 

「開幕いきなりギロチンで首狙った奴がいうことかよ!」

 

失礼な開幕ブッパは常識、火力こそ正義デス。セシリアも苦笑いしながら近づいてくる

 

「確かに牽制も何もなくいきなりギロチン状の鎌で突っ込むのはどうかと」

 

「白式の零落白夜は一撃でも貰ったらアウト、 近づけさせないかペースをこちらが握るしかないのデス」

 

一撃必殺というのはそれだけで厄介なのデス。

 

「そういえば決定戦セシリアと切歌やらなかったよな?なんでだ?」

 

「アタシが一夏かセシリアに勝てばその場で辞退出来るように織斑先生が取り計らってくれたのデス」

 

「なるほどー」

 

そう説明してると背中に悪寒が走る。一夏と戦ってる時とこうやって話していると感じるデス。

 

「あと最近視線が気になるのデス。2人か何か知ってるデスか?」

 

「視線?俺は感じてないけど」

 

「私もですわね」

 

気のせいデスかね?

 

「どうする?もう一戦くらいするか?」

 

「経験を積むことは大事ですけれど座学も必要ですわよ?」

 

「うっ!」

 

一夏が肩を落とす

 

(アタシも苦手なので一緒に頑張ろうなのデス)

 

その気持ちを込めて一夏の肩に手を置く。泣きそうな顔でこちらを見ないでください、アタシ中身男デスよ?

 

最近、違和感を感じることが少なくなってきて怖くなってるのデスが。

 

セシリアに連れていかれる一夏に手を振り自室に戻る。

 

 

すると

 

 

「あれ?もう気づかれちゃったー?」

 

うさ耳になんか童話に出てきそうな服を着て、ケタケタと笑う不審者がいたのデス。

 

「とりあえず不法侵入で警察」

 

「ふっふーん!この部屋にはジャミングをかけているから電話は繋がらないよ!って鎌を首筋に当てるのやめてくれるかなっ!?」

 

「何の用デス?篠ノ之束さん?」

 

そう、目の前にいるのは篠ノ之束。ISの生みの親にして世界中の国家が探している超重要人物、そういえば同じクラスに妹がいたような?

 

あ、思い出しましたデス。篠ノ之箒さん、あまり話したことないので咄嗟に思い出せなかったデス。

 

「ん?あなたが気になったからだよ?」

 

「は?」

 

ポカンとすると鎌を弾き飛ばされて一瞬で組み伏せられる。

 

しまった!?この人細胞レベルで人間じゃなかったのデス!覚えているのが主人公とヒロインの名前だけ立ったのが仇と!

 

「うふふ...ハァハァハァハァ」

 

え?まさかとは思いますが、この人!

 

「変態デスか!?」

 

「失礼な!淑女だよ!」

 

「誰か!ヘルプデース!」

 

大声を出してじたばたするが全く動けないうえに血走った目の女性にまたがられているのが怖すぎるデス!

 

「ISが特殊なのは置いておいて。うへへへ、この束様がちーちゃんやいっくん、箒ちゃんのほかに心を奪われるとは!」

 

「ヒィ!」

 

やばい!このままでは喰われるデス!見た目は百合、精神的にはもっとヤベーイデス!

 

「何をしている?」

 

「あががが、ちーちゃん!?」

 

外に音が聞こえたのか(神なんかに祈ってたまるかデス)篠ノ之束の頭を織斑先生がアイアンクローで掴む。

 

メキメキと人間の頭から聞こえてはいけない音がしているのは無視するデス。

 

「隣の織斑からの通報でな、この部屋から大きな物音がすると」

 

「てへっ☆」

 

ウィンクとともにそんなことを口走る変態。織斑先生の体から殺気が溢れ出す。

 

「束、今この場で殺されるか切り刻まれるか選べ。暁、お前のISの武器を貸せ」

 

「どうぞデス」

 

即答して武器を渡す。大体金属バットくらいの長さデスね、寮の部屋デスし。

 

「あれ?味方はいないの?」

 

「「いるわけないだろ(デス)」」

 

アタシに同性愛の趣味はないのデス。あれ?そうなると現在のアタシは男性と付き合うことに?

 

そんなことを考えていると万力のように力を込めて握りつぶそうとする織斑先生。

 

「ちーちゃん?そろそろ束さんの頭から出てはいけないものが出そうなんだけどなぁ」

 

「そうか、ならこの場からとっとと出してやろう。暁」

 

思考のループに入りそうになったアタシに先生が目線で窓を開けろと指示を出す。その通りに窓を開けると

 

「ふん!」

 

変態を離して鎌をフルスイング、音速を超え背中をとらえたその一撃で天災は声もあげられず星になったデス。

 

織斑先生が鎌をアタシに渡す。それを量子分解してため息をつくと織斑先生が苦笑していた。

 

「あいつは気に入ったやつに襲いかかる悪癖がある。私も何度かあるぞ」

 

「勘弁して欲しいのデス...」

 

そう言いながら床へとへたり込む。

 

「加減はしたがあいつの回復力でもしばらくは治らんだろう。安心しろ」

 

「それは常人なら死んでそうなのデス...」

 

「しかし織斑と篠ノ之以外で気に入るやつができるとはな、よかったじゃないか」

 

「喰われる危険性があるのにデスか!?」

 

いやだ!あの目はただの恐怖の象徴デスよ!

 

「安心しろ、慣れれば気配を感じてすぐに叩き潰せるようになる...言っただろ、私も標的だったと」

 

あ、織斑先生の周りが一気に暗くなったデス。あれに何度も襲われるたびに撃退しているのがあの鮮やかな手際でわかるデス。

 

「えーと...一緒にファイト...デス?」

 

「ああ、頑張ろうな暁」

 

そういいながら帰っていく織斑先生の背中はどこか中年サラリーマンの哀愁を漂わせていたのデス。

 

「あ、一夏にお礼を言わなきゃなのデス!」

 

そう思い一夏の部屋に向かったのデス。

 

「一夏、助けてくれてありがとうなのデス!お礼に(訓練に)いつでも付き合ってあげるデス!」

 

「当然のことをしたまでだよ、そうだ今度(トレーニング器具の買い物に)付き合ってくれよ」

 

「いいデスよ!」

 

その夜、木刀で何かをたたく音と男性の悲鳴が寮のどこかの部屋から響き渡るのであった...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「たぶん一夏のことデスから、トレーニング用品の買い出しデスよね?」

 

常識人は裏側まで読むのは得意だが、伝え方を間違ったようだ。



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常識人は解き放つ

基本ギャグなので過程はすっ飛ばしていくスタイル。

クラス代表戦、みんな大好き(?)イグナイトだよー

でも区切りがいいからいったん切るよー


「暁、ちょっといいか」

 

「デス?」

 

ある日の昼休み、篠ノ之さんに呼ばれて屋上に来たのデス。なんでしょう?果し合いデスかね?

 

「そんなに緊張しなくていい。姉さんから昨日電話がきたんだ」

 

「...いやな予感がするデスが一応聞くデス」

 

篠ノ之束(変態)からの電話だ。警戒心は強まる

 

「なんか震えてないか?」

 

「襲われかけたのデス...」

 

「いや...それは災難だったな...」

 

あれ?箒さんも段々と目が...もしかして同じ経験があるのデスね...

 

 

 

数分後、暗い雰囲気から戻ってきた箒(名前で呼んでくれと言われたデス)から連絡があって、なぜかアタシのことをものすごく話してきたらしいのデス。

 

「それで気になったからアタシと話をしたかったのデスね」

 

「ああ。一夏ともあって間もないのに親しげだしな。その...」

 

(恋する乙女というものは難儀なものデス...あと鈍感も)

 

ため息をつきながらやれやれと首を振る。

 

「一夏のおかげで助かったから今度買い物でも行こうという感じで誘っただけデス、特にそういう意図はないデス」

 

「そういう意図?」

 

「恋人ということデス」

 

アタシがそう言うと顔が赤くなったデス。わかりやすい

 

「な、何を言っているのだ!?私が一夏とそんな関係になりたいとは一言も!?」

 

「声がどもってるデス」

 

この初々しい感じ、前世の妹がアタシ以外の男をゴミを見るような視線だったのと比べると雲泥の差デス。

 

それにアタシも告白されたことはないデスし。

 

あれ?目からなにか熱いものが

 

顔を真っ赤にしている篠ノ之さんと目頭をおさえているアタシ。そうしていると予鈴が鳴ったのデス。

 

「篠ノ之さーん、予鈴デスよー」

 

「あ、ああ!それと私は箒でいい。同じクラスだし姉さんと区別がつかないだろう」

 

「じゃあそう呼ばさせてもらうデス」

 

篠ノ之さん...ではなく箒と共に戻ったデス。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「セシリア」

 

「なんですの?」

 

「アタシ達はなぜ制服の下にISスーツを着て発令所で待機してるデス?」

 

「そうですわね...専用機持ちだからでは?」

 

ほんと厄介なのデス、専用機持ちというのは!

 

時間は流れてクラス代表戦、織斑先生からの指示でアタシとセシリアは発令所で先生たちと一緒に待機デス。

 

「すまんな。残りの1年生の専用機持ちは代表戦に出ていてな、手が空いてるのがお前たちしかいなかったのだ」

 

と織斑先生が言うが勘弁して欲しいのデス...

 

「しかも現在進行形で...」

 

「ああ、正体不明のISが襲撃してきたな」

 

「あれぶった斬っていいデスか?」

 

「まあ待て。先に教師たちの部隊を向かわせる」

 

織斑先生がインカムに手を当てて指示を出す。しかし、扉がロックされているらしくハッキングによる解除に時間がかかるそうだ。

 

「仕方ない。暁とオルコットはこの先にある非常梯子から会場に入れ」

 

「バリアは破壊してもいいんデスか?」

 

「非常事態だし構わん。暁は戦闘中の2人を連れて控室まで運んでその後に交戦しろ、オルコットは狙撃で足止めだ」

 

「了解しました」

 

頷いてその場から走り出す。途中にあった扉とバリアは部分展開したイガリマで切り裂き、アリーナで戦っている一夏と2組の人を見つける。

 

「セシリア。あの二人をアタシのアンカーで引き上げるので」

 

「時間稼ぎはおまかせくださいな」

 

そう言いながらセシリアがブルーティアーズを展開しピットを飛ばしてアンノウンに攻撃を開始する。

 

アタシはカタパルトに鎌で身体を固定して肩アーマーを射出、2人の身体にまきつけて引き戻す勢いを使ってアタシは飛び出す。

 

絶対防御があるから死にはしないデス。多分めちゃくちゃ痛いとは思いますけど

 

「さて...」

 

地面を削りながら着地、その勢いのままジュリエットを放つがビームで一瞬で蒸発させられる。

 

(意外と高出力みたいデスね...)

 

『切歌!大丈夫か!!爆発が見えたけど!』

 

一夏からの通信、回復が意外と早かったデスね。

 

「アタシは無事デス。一夏たちは?」

 

『俺は受け身をとって何とかなったけど鈴は気絶してる。今は補給装置で白式の回復待ちだ』

 

「戦う気デス?」

 

『ああ。零落白夜があれば少しは楽になるだろ?』

 

「向こうが待ってくれれば...デスね」

 

怪しげにカメラアイを光らせるIS。これは一気に決めるしかなさそうデス

 

「織斑先生。イグナイト使用の許可を」

 

『了解した。相手は未知数だ、短期決戦で仕留めろ』

 

「合点デス!」

 

そういいながら胸の宝石に手を伸ばす。

 

「イグナイトモジュール、抜剣!」

 

そしてその左右にあるボタンを押しながら取り外す。

 

[ダインスレイフ]

 

無機質な音声とともに剣状に変形したマイクユニットが胸に突き刺さり、アタシの体から赤黒いオーラがあふれ出す。

 

そして全身を覆っているギアとスーツが黒く禍々しい形状へと変質する。

 

そして視界には999のカウントとイグナイトシステム起動の文字。

 

これはイガリマのリミッターを外すことによりすべての性能がけた違いに上がるシステム。その代償にカウントが切れる前に勝負をつけないとISが強制解除される諸刃の剣デス。

 

「これを抜いたアタシはもうだれにも止められないデス!」

 

くるくると回す鎌もどこか禍々しく鋭利になっている。

 

「死神様のお通りデース!」

 




メインヒロインとある人物がくるまで基本的に原作は飛ばしていきます

???「じー...」

はい、飛ばします


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常識人は無人機と戦う

読者の皆様の脳内に頼っている戦闘描写で申し訳ありません。

初期のめんどくささがが戻ってきている翼さん、そして余計なことをするジジィ。

車って分身できるんだなぁ(遠い目)。




イグナイトを解放し、謎のISと睨み合う。かなり露出が多くなるので恥ずかしいんデスよね。

 

しかも使うのに作戦指揮官の許可、もしくはSEの残量が3割を下回らないと使えない。

 

「最初からクライマックスデス!」

 

肩のブースターを使い残像を残すスピードで接近する。ISはビームを腕から放つが捉えきれていない。

 

そのままビームを放った腕を切り裂く

 

裂空・亜リiす(れっくう・アリス)

 

しかし全身装甲で硬く、切り落とすまではいかなかったデス。しかも一撃で危険度を判断したのかこちらに完全にロックオンされたデス。

 

「一夏」

 

『なんだ?エネルギーの回復にはもうちょいかかるぞ』

 

「作戦は言わなくてもわかってくれて助かるデス」

 

『ああ、一撃で決める』

 

一夏に通信をつなげると頼もしい返事が返ってきた。どうやらもう一人はまだ気絶してるみたいデスね

 

「じゃあそれまでアタシが何とかするデス!」

 

『頼んだ!』

 

そういって通信を切る。そしてイガリマの単一使用能力を発動させる。

 

(BGM:オーバーキルサイズ・ヘル)

 

ブースターを噴射して接近、ビームを切り払いながらジュリエットを連発する。両腕のビームで迎撃しているが間に合っておらずところどころダメージが残る。

 

「一夏!今デス!」

 

「おう!」

 

叫ぶと一夏が待機場所からカタパルトの勢いを使って飛び出してくる。そしてそのまま胴の部分を零落白夜で切り裂き、アリーナの壁まで吹っ飛ばす。

 

「やったか...」

 

「一夏...それは...」

 

土煙が晴れるとそこには各所から火花を散らしながら立ち上がるISが、一夏をにらむ。

 

イグナイトの残りカウントは300を切っている。強制解除はまずいのでシンフォギアと一緒にイグナイトも解除する。

 

「一夏、もう一度は?」

 

「ギリギリだけど何とかいけるぜ」

 

今のアタシたちはかなりギリギリ。となると

 

「セシリア」

 

『わかってますわ。私が隙を作りますので』

 

「助かるデス!」

 

通信でセシリアに援護を頼み、ブースターでISに接近する。放たれるビームは鎌を振り回す遠心力でかわして、ワイヤーアンカーでビームを放つ右腕を地面に固定する。そしてその直後に発射口をセシリアが正確に狙い撃ってくれたデス。

 

「一夏!」

 

「おうよ!」

 

一夏がウィングスラスターを全開にして突っ込んでくる。アタシは両足を白式の脚部に合体させて背中のブースターで加速。

 

「最速で!」

 

「最短で!」

 

「「一直線に(デス)!」」

 

その一撃は先ほどと同じところをより深く切り裂き、ISの動きを止めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「織斑、暁、オルコット。よくやってくれた」

 

謎のISの襲撃を撃退して放課後、アタシたちは呼ばれて職員室にいるデス。

 

「あのー織斑先生、俺達って...」

 

「ああ、ISの中は無人だった。お前たちは殺人はしていない」

 

(やっぱり。一撃目で手がしびれたのはそういうわけデスか)

 

アタシは納得する。しかし腑に落ちない点があったので織斑先生に質問をする。

 

「先生、あのISは誰かが新しく作ったってことデスか?」

 

「今のところは調査中だな、質問はほかにないか?」

 

「特にないデス。一夏たちは?」

 

「ないです」

 

「ありませんわ」

 

返答を聞いた織斑先生は立ち上がって言う。

 

「それでは解散、明日は振替休日だ。ゆっくり休めよ」

 

織斑先生にお辞儀をして職員室を退室する。明日は休み、久々に実家の掃除でもしますかね

 

「そういえばさ、暁の実家って日本なのか?」

 

「そうデス。こんな見た目ですが日本生まれ、日本育ちデス」

 

「じゃあ明日途中まで一緒に行くか?俺も家の掃除したかったし」

 

「いいデスよ、また後で連絡するデス」

 

そういって一夏と別れ、自室に戻ったアタシは明日の準備をして寝たのデス。寝る前に感じた悪寒は気のせいデスよね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本のとある場所、そこには美しい三日月を背に黒髪に紅い目の少女が立っていた。

 

そして一言

 

「...やっと会えるね。お兄ちゃん(・・・・・)

 




さあ、やってまいりました。たくさんのアンケート投票ありがとうございました。

おそらく誰かわかる人はたくさんいるでしょう。でも普通じゃ面白くないのでちょっとアレンジしてます。


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常識人は家に帰る

まさかの連日投稿

あの子が登場!原作でも百合っぽいから問題ないよね!

サブタイトルはその場のノリで決めているので、内容と関係あったりなかったり

PS

あとがきに今回から登場キャラの設定を追加しました。


「久々の我が家...だったのに!」

 

「ウフフ」

 

目が単色で恍惚とした表情をしている少女。その迫ってくる顔を抑えているアタシ。

 

Q.あなたは舌なめずりをして、魔王のようなオーラを出している前世の妹(転生済み)がいたらどうしますか?

 

A.人生終了のお知らせを予感します

 

 

 

なぜこんな風になったのか、事の始まりは数時間前

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「待たせたな、切歌」

 

「アタシも今来たところデス」

 

ゴーレムの襲撃の翌日。一夏と途中まで一緒に出かけるのデス。織斑先生に外泊許可を出して今日は制服ではなく私服デス。

 

「そういえば何を買うのデス?」

 

「んー掃除用具とか。切歌は買わないのか?」

 

「アタシは特にないデス」

 

と言いつつ後ろをチラッと見る。いるデスね。

 

笑顔だけど隙あらばピットで攻撃してきそうなセシリア。アタシを狙わないでください、まだ死にたくはないデス。

 

背中に般若が見えるレベルで睨んでくる箒。手に持ってる日本刀は真剣では?いや銃刀法違反デスよ?

 

そしてツインテールの目が単色になっている女子。なぜあの子は両手にISを部分展開しているのデスか、殺す気?

 

ため息をつくと一夏が首をかしげる。

 

「どうした?」

 

(この男、いくらなんでも鈍感すぎるのでは?)

 

「なんでもないデス。早くいきましょう」

 

ついて来ている3人の殺気をこれ以上浴びたくないため、一夏の手を引いてモノレールへと乗った。

 

すると殺気が倍増した。

 

(頑張れ、アタシの胃)

 

お腹をさすりながら今日が平和に終わるようにアタシは祈るデス。

 

「じー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

学園からモノレールで数分のところにあるショッピングモール。

 

そこにあるホームセンターで一夏の買い物の手伝いをしているのデス。

 

「これはどうデス?」

 

アタシが指をさした洗剤を確認する一夏。こう見ていると主夫って感じデスね。

 

「おお、さすが切歌!」

 

そう言いながら洗剤を手に取りレジへと並ぶ。そして店から出る。

 

「助かったよ。流石だな」

 

「アタシもよく使うものデスからね」

 

「なるほどなー」

 

と言いつつ胸に下げているイガリマのプライベートチャンネルを起動、セシリアにつなげる。

 

〈あーあーセシリア。見ての通り今日のこれはただの買い物デス〉

 

〈き、切歌さん!?突然プライベートチャンネルに!?〉

 

〈だからその物騒なものを取り出している2人を連れて帰ってくれないデスか?〉

 

〈き、気づいてましたの?どこから?〉

 

〈学園で一夏を待ってるときデス〉

 

〈最初からじゃないですか!?〉

 

そりゃあれだけの殺気、バレない方がおかしいデス。こうなれば

 

〈止めてくれたら一夏とのデート。セッティングしてあげるデス〉

 

〈オルコットの名にかけて!〉

 

ふ、ちょせえデス。流石チョロイン、あっという間に2人を抱えて退散したデス。さて、プライベートチャンネルを切って

 

「一夏、ここからは別行動でいいデスか?」

 

「ああ。いいぜ」

 

そう言って一夏と別れて電車を乗り継ぎ、自宅に到着する。そしてずっと感じてた気配。

 

「あなたも帰ってはどうデスか?」

 

振り返ると紅い瞳に黒髪をツインテールにした小柄な少女が。はて?なぜこの子がここに

 

「いつから?」

 

「久しぶりだね、お兄ちゃん(・・・・・)

 

その一言に全身を寒気が襲う。いや、そんなはずはない。

 

「今はお姉ちゃんかな?私の名前は月読調。忘れちゃった?妹のこと」

 

街を歩いていたら前世の妹が転生してた件。アタシも予想外デス。

 

 

 

 

 

 

衝撃的な再会から数時間後。その原因である妹、今は月読調だがアタシの家で話したいということで来客用のお菓子と道中で寄ったスーパーで買い物をして自宅に着いた。

 

「なんでここにいるデスか?」

 

「お兄ちゃんを追いかけてきたんだよ?」

 

「ブラコンをこじらせてますよ!?」

 

さらっととんでもないことを言う調。

 

そうこの妹、兄離れできないという問題ではなく明らかに恋愛感情を向けていたのデス。しかも友人の弟が告白された際の返事が

 

『私は兄さん以外に興味がありませんので』

 

だったという。しかもゴミを見るような目でというオマケ付き。その話を聞いたアタシは妹に恐怖した、そして色々と話しをしようとした時に転生させられたわけだが。

 

「まさかねぇ、月読調になっているとは思わなかったデス...」

 

「驚いた?」

 

「一周回って今は冷静デスけどね。髪はほどいてるんデスか?」

 

「子供っぽいから。気づいてもらうためにしてたわけだし」

 

妹は途中のコンビニで買ってきた麦茶を飲んでいた。今はツインテールにしていた髪はほどいて流している。

 

「おそらく転生だと思うんデスけど、なぜ?」

 

「だって、お兄ちゃんのいるところが私の居場所なんだもの」

 

そ、即答デスか。あまりにもブレない姿勢に感心する。

 

「それに私は性別が変わっても問題ないし、今は血縁関係もないよね?」

 

あれ?空気が変わった?

 

「ウフフ」

 

そして冒頭へと戻るわけデス。

 

 

 

 

 

「ストーップ、調!女の子同士!前世は兄妹!」

 

「関係ないよ?」

 

これは本気デスね!組み伏せられてますし!力がだんだん込められてますし!

 

「でもお姉ちゃんとは仲良くしたいし、嫌われたくないから」

 

(あれ?これは回避ルート?)

 

と思っていると唇を塞がれた。

 

「今はこれで我慢するね♡」

 

「アタシの(前世を含めた)ファーストキスがぁぁ!!」

 

なんという事でしょう、ファーストキスが妹とは。床に頭を打ち付けていると、調がとんでもないことを暴露した

 

「前世も初めてはお姉ちゃんだったよ?」

 

「いつの間に!?」

 

「中学生。寝ている時に我慢できなくて♡」

 

知りたくなかった新事実、その場で崩れ落ちそうになる。

 

「私もIS学園に転入するし、なんなら部屋も一緒だよ?」

 

「アタシの平穏を返してほしいデェェス!!」

 

誰もいない空に向かって絶叫するアタシなのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「聞くのも野暮ですけど、専用機は?」

 

「鏖鋸・シュルシャガナだよ」

 

「デスヨネー」

 

この件に関して両親に電話したところ、調は義妹になっていましたとさ。




自然な流れでお姉ちゃん呼びになる妹。

めっちゃ今更ですけど切歌も調もオリキャラ感満載ですね。ごめんなさい。

こんな感じで進めていきます。

ラウラとシャルが出るまでは何とかネタを作って更新していきたいですね。

目標は臨海学校であれを出す、なので

月読 調(つくよみ しらべ)・・・主人公の妹で同じく転生者。性別は女性。ブラコンを通り越して兄を愛しており、前世でもあの手この手を使って迫っていたが、兄の後を追うように自殺、兄を転生させた神をボコボコにして同じ世界に転生した。
 
容姿はシンフォギアシリーズの月読調まんまなのだが、黒くて長い髪をストレートにしている。前世から性格は変わっておらず、現在はヤンデレシスコンストーカーとなっているのだが、主人公はその気がないので貞操を守るために必死である。戸籍上は義理の妹にあたる。


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常識人は転入生を疑う

ギャグ少なめになったのはご勘弁を、後1話くらいは内容的にシリアスが続くかも

7話でまさかの人物が復活で超びっくり


「はぁ...」

 

「どうした切歌、ため息をつくと幸せが逃げるぞ?」

 

一夏にそう言われるが今のアタシにはそれにツッコミを入れる気力がないデス。

 

妹が転生して義妹になったという驚愕の事件が起こった翌日。用事があるからと書き置きを残した義妹(いもうと)に身の危険を感じたデス。

 

すぐさまIS学園の自分の部屋に戻ると

 

「おかえり、お姉ちゃん」

 

満面の笑みでエプロンをつけた調の姿。料理を作ってくれたのはありがたいデスがもう引っ越してきたのは予想外デェス!

 

「ご飯にする?お風呂にする?それとも...」

 

「風呂デスっ!」

 

地獄の三択になりそうな気配を感じてアタシが迷わず答えると、にやりと笑った調。

 

「私と一緒にお風呂」

 

「デェス!?」

 

予想外の返答からアタシは逃げられずに一緒に入浴、調の息遣いが荒かったのは無視したデス。

 

ご飯はおいしかった、食器を洗っているときにゴソゴソと音が聞こえたのは何かの幻聴デス。

 

そして最大の問題が早朝に起こった。体が重いので布団をめくってみると

 

「なぜ?別々のベッドに入ったはずなのに...」

 

「すぅ...すぅ...」

 

なぜかアタシの上で寝ていたデス、胸に顔をうずめて。もぐりこんでくるのは前世ではよくあったので気にしてはいないのデスが朝から疲れた。

 

転入生が3人来る、その情報が入ったのでさらに憂鬱なのデス。

 

そして朝のHRが始まり、その3人が入ってくる

 

銀髪で眼帯をした少女、なんか軍人さんっぽいですね。

 

そして調、アタシの方を見て笑顔になり、その後ろに絶対零度の視線を向ける。一夏が震えているのがわかるデス。

 

最後に男子が入ってくるが違和感を覚える。中性的な顔をしているがどこか所作が女の子っぽい、調も勘づいたのかちらりと男子の方を見る。

 

「月読調、よろしく」

 

「シャルル・デュノアです。皆さんよろしくお願いします」

 

金髪の男子生徒があいさつをすると入学式の時のような歓声があがったデス。アタシと一夏はそれを予想して耳栓を装着、ダメージを防いだデス。

 

(それでも頭がくらくらするデス...)

 

耳栓を外していると調が隣に座る。そして気になっていることを質問する。

 

「というか調、初めて会った日とテンション違いませんか?」

 

「転生直後で魂が肉体に定着してなかった...らしい?」

 

そう言いながら首を傾げる調。どうやら分からないようだ。

 

「疑問形なのデスね」

 

「お姉ちゃんもそうだったはず」

 

言われてみれば、最初は男言葉だったのデス。というか元の性別と違うといろいろ不便なことが起こるしそれどころではなかったのデスが。

 

「これからよろしく、お姉ちゃん」

 

「騒ぎはおこさないで欲しいのデス」

 

「お姉ちゃんの近くにいるあいつが何もしなければ大人しくする」

 

「一夏に対して恋愛感情は皆無、(元男が)惚れる要素はないデス。あるのは親友として、デス」

 

調にそう告げると、手のひらをぽんと叩き

 

「ということは同性で義理の妹なら...」

 

「危険な橋を渡る気はないデス」

 

「残念...」

 

あからさまにしょんぼりする調。その横からなにかを叩く音が聞こえる。音の聞こえた方を見てみると一夏が銀髪にビンタされていた。

 

認めないとか言っていたので織斑先生絡み?

 

また厄介ごとデスか、このクラスは一夏絡みでトラブルが多いデスね。

 

(一夏、ドンマイデス)

 

そう言いつつ1限目はISを使った実技のため、更衣室へと向かったデス。調が自然に手をつなごうとするのをかわしながら。

 

 

 

 

「いやー山田先生強いデスね。専用機持ち2人相手に完封とは」

 

「連携が取れてないのもあるけど、元代表候補性は納得」

 

「デュノアの説明もわかりやすかったしな...ってなんで月読さんは俺を睨んでるんだ?」

 

「...別に」

 

そして二組との合同授業。セシリアと鈴(一夏が紹介してくれた)が山田先生と戦っていたデス。

 

両脇には一夏と調。織斑先生のとなりにはデュノア君がいた。調のISスーツはアタシと同じくシンフォギアの武装だけを外した感じデス。あと調は一夏を睨まないであげてください。彼のライフがゴリゴリ削れてるデス。

 

あ、2人が撃墜されて出来上がったクレーターで喧嘩してるデス。妙に気合が入ってましたので、織斑先生がたきつけたんでしょうね。山田先生が使っていたのはラファール・リヴァイヴ。確かフランスのデュノア社のISだった気がするデス。操縦しやすく汎用性が高い。それにより操縦者を選ばないことで有名デスね。

 

それで専用機持ち達の指導のもとISを動かすという実習なのデスが...

 

「そりゃ一夏のところに集中しますよねぇ」

 

一夏のところに人が集中、織斑先生の一喝で分かれましたけど。その後一夏が自然に箒をお姫様抱っこしていた時、セシリアと鈴が睨んでいたデス。

 

問題なく授業が進んで昼休み。天気がいいので屋上で食べようという一夏の提案に賛成し

 

箒、セシリア、鈴、アタシ、調そしてデュノア君と一緒に屋上へ移動。鈴の酢豚と箒のから揚げをおいしそうに食べていた一夏に異変が

 

「セシリア、なんでサンドイッチを食べた一夏が気絶したんデスか?」

 

「あら?」

 

セシリアのサンドイッチを食べた瞬間、気絶したデス。よく見てみると見た目は奇麗なのだが何かとてつもなく嫌な予感がする鮮やかさをしているデス。

 

「セシリア、味見はしましたか?」

 

「え?味見って必要ですの?」

 

キョトンとしたセシリアの口に、何も言わずにアタシはサンドイッチをぶち込む。がくがくと震えながら青い顔をして倒れた。

 

「味見は大切な料理の基本、しない奴は地獄を見るデス」

 

「お姉ちゃんの意見に賛成」

 

「あ、あはは...」

 

デュノア君は苦笑いしながら食事を再開、アタシも作ってきた弁当から卵焼きを食べる。隣に座っていた調も同じように弁当からおかずを食べる。一夏は箒と鈴が蘇生していた。

 

「し、死ぬかと思った...」

 

「セシリアならそこで寝ころんでるデス。早く食べるデス」

 

ぴくぴくしているセシリアを無視して全員で昼食を済ませるのであった。そしてアタシと一夏は決意した。

 

(セシリアに味見を覚えてもらうデス)

 

(セシリアの料理には手を出さないでおこう)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時間は流れて放課後、デュノア君の指導で一夏は初めて遠距離武器を使って訓練をしていた。

 

その隣でアタシと調は互いのISの確認をしているデス。

 

「シュルシャガナ...能力自体はイガリマと大差なし。近距離は苦手そうデスね。手持ち武器はヨーヨー」

 

「お姉ちゃんが中・近距離タイプだから援護とかもできる」

 

「タッグで戦うことになると楽デスね」

 

武器が丸鋸とヨーヨーというのが面白いデス。お、一夏たちの訓練が終わったみたいデス。

 

「疲れてるみたいデスね」

 

「銃火器は初めて使ったからな。刀1本だけだったし」

 

肩を回しながらこちらに近づいてくる一夏。後ろからデュノア君が補足説明をする。

 

「白式には容量がないみたいだよ、零落白夜で拡張領域(バススロット)が埋まってるみたい」

 

「銃と刀の組み合わせは試してみたかったんだけどなぁ、仕方ないか」

 

「ロマンデスか?」

 

「憧れるだろ?」

 

そういう一夏の目は輝いていたが、どうやら追加の武装はないみたいデスね。そんなことを考えているとデュノア君が話しかけてくる。

 

「そういえば暁さんと月読さんの武器って特殊だよね?」

 

「アタシは鎌ですし、調は」

 

「これ」

 

それぞれ鎌とヨーヨーを見せる。すると、デュノア君の目が少し変わった。何か大切な情報を手に入れようと必死な感じに

 

「珍しいタイプだよね、第二世代?」

 

「第二世代後期で少し第三世代の技術が入っている感じデス」

 

そう説明するとうなずくデュノア君。やっぱり怪しい、白式に関しても何かを探るようにしているのは気のせいだろうか。

 

「じゃあそろそろ終わろう。みんな疲れただろ?」

 

一夏のその言葉でアリーナから出るのであった。

 

 

 

 

 

そして夕食を食べて風呂に入ってパジャマに着替えた後、調が尋ねる。

 

「お姉ちゃん、あのシャルル・デュノアって子」

 

「怪しいのはわかってるデス。でも一夏が何とかしてくれるような気がするのデス」

 

なんだかんだ言って主人公だし。そう思いながらベッドに入る

 

「当然のように同じベッドで寝ようとしないでほしいのデス」

 

「えー」

 

「えー、じゃないデス」

 

入ってきた調を隣のベッドへとシュート。この妹は常識はどこに捨ててきたんでしょうか?

 

「どこかに」

 

「拾ってもう一度インプットしてください」

 

自然に心を読まないでほしいデス。そう思って夢の世界へ

 

「すう...すう...」

 

「って!また私の上で寝てるデェス!」



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常識人は秘密を知る

シャルルさん身バレの巻

8話の誰かさんの決めポーズが、指輪の魔法使いっぽいね


デュノア君とボーデヴィッヒさんが転入してきて数日経ったある日のこと、その日はアタシたちは一夏と訓練中にボーデヴィッヒさんに絡まれて疲れていたのデス。

 

部屋で宿題を片付けて本を読んでいると扉がノックされる。調は入浴中、こんな時間に誰デス?

 

「こんな時間に...一夏?」

 

扉を開けると一夏が。急いできたようで息を整えている、何か大変なことでもあったんデスかね?

 

「まあとりあえず中に」

 

中に案内すると深呼吸をして

 

「シャルルが...女の子だったんだよ!」

 

「うん、知ってたデス」

 

「ええ!?」

 

即答するとびっくりしていた。結構挙動不審な感じがありましたよ?

 

「いつから気づいてたんだ?」

 

「転入してきた初日、一夏に手を握られて恥ずかしがっていたところデス」

 

冷静にそう言うと、一夏は肩を落とす。読んでいた本を閉じて話を聞く。どうやらボディーソープの詰め替えをデュノア君に渡そうとして脱衣所に入ったら...ということらしいデス。

 

「...一夏」

 

ため息をついてジト目でにらむ。一夏が目をそらした。

 

「はい」

 

「誰か入っているのであれば声をかけるのがまず最優先では?」

 

「うっ...」

 

なんとなく一夏の中の親しくなった人への遠慮というハードルが低い気がするデス。

 

「この際、それの説教は置いときますけど。経歴詐称デスか...」

 

「ああ、結構やばいよな?」

 

お互いに考えているとちょうどパジャマに着替えた調が脱衣所から出てきた。はいそこで一夏を睨まない。

 

「...何かあったの?」

 

「デュノア君がデュノアちゃんだったデス」

 

重要なことだけ言うと調は頷き

 

「オッケー、把握。先生を呼んでくる」

 

「ち、ちょっと待ってくれ!」

 

部屋から出ようとすると、一夏が止めた。

 

「なぜ?経歴詐称は立派な罪、本国に強制送還されてもおかしくない」

 

「で、でもよ。何か事情があるかもしれないだろう?一応聞いてみて...」

 

調の言うことはもっともだ。しかもデュノア社の関係者であることは明らかなので会社自体も大打撃を受ける。

 

「...じゃあ条件。当事者と知ってしまった私達で事情を聞く。その後は当事者同士で話し合って。その話し合いにはなにも関与しない」

 

そういうと一夏はうなずいてデュノアを連れてくると部屋を出ていった。

 

「お姉ちゃん的にどう思う?」

 

「何かしらの事情があるだと思ってるデス」

 

「私もそう」

 

調と話していると一夏がデュノアさんを連れて戻ってきたデス。

 

そして話を聞いて整理すると

 

 

自分は確かにデュノア社の社長の実子だが、愛人との間に生まれた娘であるため、2年前に母親が死亡してデュノア家に引き取られたが、事実上居場所がなかったこと。

 

IS適性が高いことが判明したことからIS学園へ転入。その転入もデュノア社がIS開発の遅れによる経営危機に陥ったため、数少ない男性の操縦者として世間の注目を集めることで会社をアピールするとともに、一夏に接近して彼とそのISである「白式」のデータを盗め、という社長命令であること。

 

「...というわけなんだ」

 

「なあ切歌、これが学園にバレたらどうなる?」

 

「これはあくまで予想デス。デュノアさんは本国へ強制送還、確実に裁判にかけられてそれなりの罪で投獄されるデス」

 

「デュノア社はおそらくラファールの製造やISに関する様々な権利をはく奪、フランスにはいられなくなる」

 

アタシと調がそう説明すると一夏はこぶしを握り締め、デュノアさんはうなだれる。

 

(さて...厳しいことをズバズバいうのはアタシの性格的にもう限界デス)

 

「一夏。IS学園特記事項21、覚えているデス?」

 

アタシが先ほどの真剣な声をやめて一夏に質問する。一夏はハッとする。

 

「ええと...本学園における生徒はその在学中においてありとあらゆる。国家・組織・団体に帰属しない。本人の同意の無い限りそれらの外的介入は原則として許可されないものとする?」

 

「正解デス」

 

「お姉ちゃん?」

 

転入してきたばかりの調はあまり校則を知らないので首をかしげる。要約するとIS学園にいる3年間はあらゆる権力から生徒を守るというものだ。

 

「つまり、この学園にいる3年間は安全ということデス」

 

それを聞いたデュノアさんは何か気づいたようだ。

 

「つまりその間に何か解決策を見つける?」

 

「それが最善策な気がします、アタシは今の日常がそれほど嫌いじゃないのデス。それを守るためなら協力するデス」

 

そう伝えるとデュノアさんは少し涙を浮かべていた。

 

「暁さん...」

 

「あと個人的にデュノアさんには似た感じの金髪ということで親近感が湧いていたのデス!」

 

どうするかは本人たちに任せましょうかね。一夏とデュノアさんを部屋に戻っていった。

 

 

 

さてと...アタシはさっきから静かにしている調が気になるので振り返る。

 

「ふふ...姉さん?」

 

(あ、これはお気楽に話してはいけない雰囲気)

 

黒と紫が混じったようなオーラと髪が謎の力でゆらゆらと揺れている。重力に逆らって

 

「私がいて浮気ですか?姉さん」

 

「いや浮気もなにもそもそも姉妹デスよね!?」

 

このままだと強制的にベッドインで捕食されるデス!

 

 

そのあとアタシは眠ることができず体調不良で一日欠席したのデス。調も同様に



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常識人はタッグを組む

なかなか話が書けず更新が遅れて申し訳ありません。

ザババのアマルガム、可愛かったですね、ロボに変形する盾とトラバサミは予想外でしたが。

月へ行ったということはマムとかフィーネさん出てくるのかなぁ。




デュノアさんが男じゃないと発覚した翌日、当面は男のままでということが一夏から伝えられた。しばらくの間、デュノアさんと呼ぶことにしたデス。

 

そしてその日の放課後、一夏たちと訓練をしようとすると...黒いISをまとったボーデヴィッヒさんが鈴の首を持って何かを言っている光景だった。

 

「一夏、落ち着いて。やみくもに突っ込んでも2人と同じ目にあうデス」

 

その近くにはボロボロのセシリアが気絶している。一夏の顔が険しくなりガントレットが光る。それをアタシは肩を掴んで止める。

 

「けどよ!セシリアと鈴が!」

 

「アタシが先に行って事情を聴くデス。その間に一夏はセシリアたちを保健室まで、調とデュノアさんも」

 

「...わかった。無理はしないでくれよ」

 

「合点」

 

「わかったよ、気を付けてね」

 

三者三様の返事を聞いたアタシは、イガリマを展開してジュリエットを放ちながらアリーナに降りる。ボーデヴィッヒさんはそれを何かで受け止めつつ、降りてきたアタシをみてつまらなそうに

 

「だれかと思えばお気楽者か」

 

全く話したことがない人物からの評価はそうなるのデスね。自覚はあるのデス。

 

「一応聞きますけど、2人をあそこまで痛めつけたのには理由が?」

 

「ふん、織斑一夏のことで挑発したらまんまと乗ってくれてな。そのまま叩き潰しただけだ、あれで代表候補生とは聞いて呆れる。あの男を侮辱されるだけですぐ我を忘れて突っ込んでくるのだからな」

 

無表情なのにどこか誇らしげに話すボーデヴィッヒさん、どうやら自分の力にすごく酔ってるみたいデスね。なんかイラっとするデス。

 

(力こそすべてっていう典型的なパターン...織斑先生、あなたはいったい何をしたのデス?)

 

ため息をつくと白式を展開した一夏が零落白夜を発動させて最大戦速でボーデヴィッヒさんに向かって突っ込んでいく。しかし嫌な予感がしていたので肩から射出したアンカーを一夏に巻き付けてブレーキをかけてこっちへ引っ張る。

 

「2人は?」

 

「山田先生が運んでくれた、なんで止めたんだよ?」

 

「軍人でIS部隊の隊長、専用機かもしれないデス。それに代表候補生を一方的に倒したのにも理由がありそうデス」

 

そういうと一夏は不満げな顔になりながらも聞いてくれた。ボーデヴィッヒさんは相変わらずの仏頂面だ。

 

「どうした?かかってこないのか?」

 

「あいにくデスが、正規の訓練を受けている軍人と真正面からやりあうほど間抜けではないのデス。なので」

 

「奇襲戦法が一番効果的」

 

「同感だね」

 

ボーデヴィッヒさんの背後にデュノアさんはサブマシンガンを、調が両手にヨーヨーを構える。さっきの会話は時間稼ぎ、ある人物を呼んで来るための

 

『そこまでだ、ボーデヴィッヒ』

 

「教官!?」

 

そう、2人には織斑先生を呼びに行ってもらっていたのデス。

 

『学年別トーナメントを前に代表候補生が意識不明の重体、さらにはどこかの馬鹿がアリーナのバリアを破壊したらしい』

 

「うっ...」

 

一夏がうつむく。なるほど、だから零落白夜を発動した状態だったのデスね。

 

『学年別トーナメントが開催されるまでアリーナの使用は禁止。それと織斑とボーデヴィッヒは後で職員室へ来るように』

 

と発令所からの織斑先生の指示でアリーナにいた生徒たちは次々と出ていく。一夏とボーデヴィッヒさんはにらみ合い

 

「貴様を教官の弟とは認めん。トーナメントで完膚なきまでに叩き潰してやる」

 

「いいぜ、俺もお前とはきっちり決着をつけたいしな」

 

と一触即発の雰囲気になったのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「2人ともー、体の調子はどうデス?」

 

「ええ、なんとか話せるくらいには回復しましたわ」

 

「アタシも。ただISの方はかなり重傷みたいでタッグトーナメントには間に合わないみたい」

 

というわけで時間もすぎて放課後、セシリアと鈴のお見舞いにきたのデス。ISスーツのまま包帯を巻いてベッドに寝転んでいますがどこか不機嫌

 

「学年別トーナメントがタッグマッチになって、たまたま一夏とデュノアさんがお見舞いに来てくれた時に女子が殺到した。一夏がデュノアさんと組むと言って女子が悲鳴を上げた...ってところデスか」

 

「ズバリ言い当てられて悔しいわね...見てたんじゃないの?」

 

「大勢の人が保健室に走っていくのを見たのと、直前まで一夏と話していたので。アタシは調と申請を出しましたけど」

 

そう、学年別トーナメントがペアとの連携を見たいとのことで急遽タッグマッチに変更、その知らせを受けた1年の全女子が保健室へダッシュ。数分後、そろそろお見舞いに行こうかと教室を出ると、保健室の廊下までゾンビのように倒れている女子生徒たちの姿があったのデス。

 

アタシはその知らせを受けたと同時に調から申請用紙を渡されたのデス。断る理由もないデスしね。

 

「廊下見るデス?結構ひどいデスよ」

 

「やめとくわ、なんか悲惨だろうし」

 

「ええ、私達も出られませんしね」

 

そう言いながら残念そうな顔をする2人であった。元気そうなのでこのまま退散するデス、その前に

 

「セシリアは傷が治ってからアタシと料理の勉強をするデス」

 

「え?」

 

ポカンとするセシリアだが、あんな兵器を量産されたら命がいくつあっても足らないのデス。

 

土管から復活する神なら別ですが

 

「その方がいいわね、アタシから箒にも伝えとくわ」

 

「いや、あの...私に料理の勉強は...」

 

「「なにか?」」

 

「...よろしくお願いします」

 

何か言おうとしたセシリアをプレッシャーで黙らせる。あれは殺人兵器の類デス。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「というわけで学年別トーナメントが始まったわけですが...デュノアさんえげつないデス...」

 

「腹にパイルバンカー、略して腹バン」

 

「それ略してるデス?」

 

そして一週間後に始まったトーナメント。初戦から

 

ラウラ・ボーデヴィッヒ&篠ノ之箒 VS 織斑一夏&シャルル・デュノア

 

となっていた。何かの陰謀的なのが隠されてそうなのデス。アタシたちは待機室のモニターで試合を観戦中、制服ではなくISスーツデス。

 

試合はというと

 

(箒が撃墜、しかもボーデヴィッヒさんは助けるどころか捨て駒として使ってきたデスね。それに対して一夏たちは連携で追い込んでいるデス。これはもしかすると...)

 

おそらくボーデヴィッヒさんが箒を捨て駒にすることを読んでいた。作戦を立てたのはデュノアさんデスね、考えることが恐ろしいデス。

 

「連携でAIC発動に必要な集中力を削いでいる。一夏さんは囮として機動力で撹乱、デュノアさんが弾幕で追い込む」

 

「一夏に合わせているデュノアさんの技量がよくわかる戦術デス」

 

デュノアさんの器用さがよくわかる戦術デス。一夏も前のように突進するだけではなく、スラスターで緩急をつけてレールガンやワイヤーブレードで狙いをつけにくくしている。

 

それにハマったボーデヴィッヒさんはレールカノンを破壊され、現在はワイヤーブレードと両手のプラズマ手刀で戦っているが、それすらも巧みな2人の連携で攻略されていき、壁際に追い込まれる。

 

そして一夏と交代するようにデュノアさんが飛び出し、ラファールのシールドが移動、そこからパイルバンカーが出現した。

 

「え、えげつないデス」

 

「鎌と丸鋸とかを使っている私たちが言っても説得力ない」

 

突き刺したままリボルバーで連続で撃ち込んでいくデュノアさん。絶対防御が発動していても炸裂の衝撃はあるので精神的にダメージが与えられる、それを連続で炸裂させているので相当な苦痛デス。

 

全弾撃ちつくしたデュノアさんはショットガンを構え、トドメを刺そうと引き金に指をかけた時

 

「うわぁぁぁ!!」

 

ボーデヴィッヒさんの叫びと共に、ISが変貌した。



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常識人は水着を買い、海へ行く

シンフォギア終わってしまいましたね...最後の最後まで本当に終わるのかドキドキでしたが。

ライブで何かしら発表するかもしれませんが、この作品はまだまだ続きますよ!

タッグトーナメントはほとんど変更ないのでダイジェスト、臨海学校編いくどー!!

みんな大好き水着もあるよ




「私、新しい水着が欲しい」

 

「それならショッピングモール行くデス」

 

タッグトーナメントから数日たった休日、調が水着が欲しいということでアタシたちはショッピングモールに来ているデス。

 

あの後暴走したボーデヴィッヒさんのISは織斑先生を模した姿に変化し、一夏を攻撃し始めたのデス。それを止めるためにアタシと調は出撃し、最後はデュノアさんのラファールからのエネルギー供給を受けた一夏の零落白夜でボーデヴィッヒさんを救出したのデス。

 

その後のタッグトーナメントはデータ収集などの目的もあり一回戦だけすべて行うことになったのデス。

 

アタシと調は危なげなく勝利。翌日にはデュノアさんが性別を戻して再転入、ボーデヴィッヒさんの私の嫁発言(調が少し反応していたが無視)があったデス。一夏関係はさらにいろいろ起こりそうデスね。あとボーデヴィッヒさん、嫁ではなく男性の場合は婿デス。

 

ボーデヴィッヒさんからこれまでの非礼を謝罪してきたのでラウラと、デュノアさんはシャルロットと呼ぶことにしたのデス。

 

 

「あれ?一夏たちも買い物デスか?」

 

ショッピングモールに着くと一夏とシャルロットがいたデス。どうやら一夏は買い物、シャルロットはデートだと思っているみたいデスね。

 

「ああ、シャルロットの付き添いでな...なぜか不機嫌なんだけど」

 

「...別に」

 

(そりゃ、デートだと思ってたら買い物だと言われたらそうなるデス)

 

「お姉ちゃん、私たちも早く行こう。時間がなくなる」

 

制服の裾を調に引っ張られたので一夏たちと別れて水着を売っている店へと向かう。アタシはイガリマっぽい配色のビキニを手に取る。

 

調はシュルシャガナっぽい配色の際どいやつを選んでいた。

 

「それはまだ早い、せめてこっちにするデス」

 

持っていた水着を取り上げて、別のワンピースタイプの水着を渡す。すると調は口元に笑みを浮かべていたデス。

 

(まさかとは思いますけど、わざと選んだデス?)

 

(お姉ちゃんなら選んでくれると思ってた。計画通り)

 

何か調の陰謀的なものが見えましたが触れないでおくのデス。そして水着を購入した後は何事もなく一日が終わったのデス。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「海だーー!!」

 

トンネルを抜けたバスの中でクラスの女子が声をあげる。どうやら臨海学校で泊まる旅館が見えてきたようデスね。

 

「じゃあ一夏、こちらもそろそろ終わらせるデス...」

 

「いや待て切歌。盤面吹き飛ばしておいて何言ってんだよ」

 

「オーケストリオンでダイレクトアタック!」

 

「負けたー!!」

 

アタシと一夏は後ろの席で遊〇王をしていたのデス。暇つぶしで持ってきておいてよかったのデス。

 

バスは目的地である旅館前に到着。。

 

「それでは、ここが今日から3日間お世話になる花月荘だ。全員、従業員の仕事を増やさないように注意しろ」

 

「「「よろしくお願いしま―す!」」」

 

千冬姉の言葉の後、全員で挨拶する。この旅館には毎年お世話になっているらしく、着物姿の女将さんが丁寧にお辞儀をした。

 

「はい、こちらこそ。今年の1年生も元気があってよろしいですね」

 

そのあと女将さんへの一夏のあいさつと織斑先生からの諸注意が終わり、アタシたちは更衣室へと向かい先日かった水着へと着替える。

 

「そういえば調、泳げるようには...なってないようデスね」

 

「うん...」

 

基本的に運動は何でもできる調なのデスが、幼少のころ溺れかけたトラウマで泳ぐのが苦手なのデス。

 

浮き輪があれば問題がないのデスが、今回も自前で持ってきていますし。それより気になるのは

 

「...ラウラは何でそんなミイラみたいな恰好をしてるデス?」

 

「は、恥ずかしいからだ!」

 

全身タオルでぐるぐる巻きの状態になっているラウラ、新しいミイラ?腕輪を付けたら面白そうデスね。

 

「「えー、せっかく似合ってるのにー」」

 

「暁とシャルロットは声をそろえるな!月読もそんなジト目で見るなぁ!!」

 

とにぎやかに更衣室から出て浜辺へ向かうと

 

「一夏、あれはどういう状況デスか?」

 

「俺にもさっぱりわからん。ただ鈴とセシリアは仲がいいってことだな」

 

((この鈍感男...))

 

サンオイルを片手に指をワキワキと動かしながら迫る鈴、それに青ざめているセシリア。

 

どう見ても紳士の方々が喜びそうなシーン、そして隣にはその手があったかと驚愕している調(浮き輪装備済み)。すでにアタシは塗っているので無駄デス、アタシとシャルロットで心の中で一夏にツッコミを入れる。

 

あと意外とみんなスタイルがいいデスね、アタシもいい方だとは思うのデスが...

 

「どうした切歌?」

 

「何でもないのデス、一夏は遊ばないデスか?」

 

目の前で行われているサンオイルの塗りあいという名のキャットファイトを見ながら一夏と話す。

 

「準備運動してからひと泳ぎしようかなって思ってる。切歌たちは?」

 

「浅瀬でのんびり浮かぶ予定デス。調と一緒に」

 

そう話していると一夏はようやく現実を見たのか尋ねてくる。

 

「俺の反対側のシャルの隣にいるミイラは誰?」

 

「シェm...じゃなくてラウラ、水着が恥ずかしいみたいデス」

 

「ほら、ラウラもせっかくだから見せなよ。せっかくの水着なんだしさ」

 

「うう...」

 

甘い雰囲気の中にいるアタシたちはお邪魔虫、調の手を引いてさっさとこの場からおさらばデス。

 

「調、あっちの浅瀬で泳ぐデス」

 

「がってん」

 

アタシたちはラブコメ展開を始めた一夏から離れたのデス。

 

 

 

 

 

 

「いやー、一夏にも困ったものデス」

 

「一夏が誤解のあるような言い方をするのもダメだと思う」

 

浅瀬で浮き輪でゆったりと過ごす、これぞ海の過ごし方デス。なんか浜辺の方では砂煙が上がってますが

 

「姉さんはこの臨海学校、平和に終わると思う?」

 

「天災が何かやってきそうな気配がするのデス」

 

「天...災?ああ、姉さんを襲ったあの害獣」

 

ISの生みの親で天才博士を害獣呼ばわり、大物デスね。

 

「あれはそのうち私がつぶす。姉さんを狙う敵だから」

 

(あーこれは絡むとめんどくさそうな、組み合わせデスね)

 

アタシはそう思いながら不気味に笑う調を無視して空を仰いだのデス。

 

その願いが木っ端みじんになることを、この時の切歌は知る由もなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「へーっくしょん!なにか私に向けての思念を感じる。待っててねー!箒ちゃん!切歌ちゃーん!」

 

ゾクっ!

 

「どうした箒?」

 

「どうしたの?姉さん」

 

「「いやな予感がする(デェス)...」」




最後の最後にぶっこんできたXDでのキャロル実装。必死に石をためて引き当てました。やっぱかわいいけど物騒だね!

切歌と調の水着はGX7話を参考にしてください。

わからない人はググってみよう!そしてシンフォギアを見よう(ダイマ)!

あ、遊〇王は見てみたい人がいればがっつりしたのを書こうと思います。


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常識人は準備する

遅くなって申し訳ございません。

福音の初戦まで行けるかと思ったんですが直前までになっちゃいました。

アズールレーンのアニメ面白いですね。昔消しちゃったデータをサルベージして復帰しちゃいましたよ。


「臨海学校でこの量のお刺身」

 

「さすが国家からお金をもらっている学園、豪勢デスねぇ」

 

アタシは刺身を食べる。さすが一流の旅館、使っている魚も一級品、一夏もうなっているし何よりも目を引くのは...

 

「なあ切歌、この鯛ってもしかして」

 

「いつも食べている刺身と違うので...」

 

「天然物の可能性が大」

 

調の言う通り歯ごたえの違う鯛を食べる。海が近いのと腕のいい漁師さんがいるのだろう、料亭とかで出されそうなおいしさデス。

 

「だよなぁ...」

 

「歯ごたえから違うのデス」

 

普段料理をする横ではシャルロットがワサビを入れ過ぎて悶絶、遠くの席ではラウラがフォークを使って食べている。

 

「そういえば明日はISの装備試験デスよね?」

 

「うん、専用機持ちは国からもらった新しいパッケージとかの試運転だね。切歌たちも?」

 

夕食を食べ終わって入浴時間、露天風呂につかりながらシャルロットと話す。

 

「アタシたちのは少し特殊なので、追加できるかどうかわからないのデス」

 

「やるとしたらみんなの手伝いかも」

 

そう話しながら露天風呂を出て就寝するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「専用機持ちはこっちデスね。調、ふらふらしてると海にドボンデスよ?」

 

「...眠い」

 

次の日、アタシたちは一般生徒から少し離れた岩場に集合していた。

 

「織斑先生、質問よろしいですか?」

 

「なんだオルコット」

 

「なぜ篠ノ之さんがここに?専用機はないはずなのに...」

 

「それは...あのバカを始末してからだ」

 

「ちーちゃぁぁぁん!!!」

 

叫びながらうさ耳を付けた不審者が猛ダッシュでこちらへと迫ってくる。それを見たアタシと一夏、そして箒はため息をつく。織斑先生がこちらへと近づいてくる。

 

「暁、また借りるぞ」

 

「どうぞデス」

 

片腕だけ展開したイガリマから鎌を射出し先生へ渡す。受け取った織斑先生はそれをためらうことなく走ってきた人物に振り下ろした。

 

「ぷぎゃっ!」

 

「いい加減抱き着こうとするのはやめろと言っているだろ、束」

 

「痛いなー、せっかくの友人とのスキンシップが過激じゃない?」

 

「悪いが、お前相手には例外だ」

 

頭をさすりながら起き上がる篠ノ之博士。アタシの隣でヨーヨーを取り出した調、目が単色になっている。

 

(殺る気満々デスね...)

 

「やあやあ、箒ちゃん久しぶり。切歌ちゃんも元気だった?」

 

「お久しぶりです...姉さん」

 

「ええ、元気デスよ」

 

若干引きながら挨拶する箒とアタシ。なぜかって?両手をワキワキさせながら近づいてきているからデスよ!

 

「じゃあ記念におむn...っと誰かな君?」

 

セクハラ発言をキャンセルするように調がヨーヨーを投げつける。単色から一歩進んで殺し屋の目になっている

 

「月読調、姉さんの貞操は私のもの」

 

「いや、アタシの貞操はアタシのものデスよ?」

 

調の一言を聞いた博士は目を細める。周りが唖然とする中、織斑先生が声をかける。

 

「束、何か用があるのじゃないのか?」

 

「そうだった!箒ちゃんにプレゼント!まずは上空をご覧あれ!」

 

篠ノ之博士が空を指さすと正八面体のコンテナが落下してくる。コンテナが開くとそこに入っていたのは紅のISだった。

 

「第四世代IS、紅椿(あかつばき)。一夏君の白と並び立つものだよ!!」

 

その言葉を聞いたアタシたちは目を見開く。特にセシリアとラウラは冷や汗を浮かべている。

 

「やり過ぎだ...」

 

「まだ第3世代型の実用化のめどがついていないのに...これだから天才は困るデス」

 

そのまま箒を連れてもろもろの調整を行う博士。セシリアは話しかけようとするが途中でやめたのデス。

 

「あのまま話しかけても望む答えは得られないでしょうから...」

 

そう話すセシリアはどこか悲しそうだったデス。そして紅椿を操る箒の顔は笑顔、いやな予感がするデス。

 

「お、織斑先生!大変です!」

 

一般生徒の指導をしていた山田先生が走ってくる。手に持たれているタブレットを織斑先生に渡すと先生たちの顔が厳しくなる。

 

「臨海学校は一時中止!一般生徒は宿に戻って待機!篠ノ之も含めた専用機組は私とともにこい!」

 

指示を飛ばされた全員は即座に動く。そのときアタシは見逃さなかった、博士の口元が三日月のような笑みを浮かべていたのを

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今から2時間前、ハワイ沖にて試験稼働中だったアメリカ・イスラエル共同開発の第3世代型の軍用IS、銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)が突如暴走を始め、試験場を爆破して逃亡、その後は米軍の追撃を振り切って領海から離脱したとの事だ」

 

旅館の一室を臨時の指令室にし、様々な計器が持ち込まれたこの部屋にアタシたちは集められたデス。

 

空中に投影された地図には銀の福音を赤い点として表示しているデス。その先にあるのは日本。

 

「衛星からの監視によれば、福音は太平洋上を日本へ向けて飛行中との事で、1時間以内にはここから2kmの海域を通過して、その後は首都東京の上空へと向かってしまうことになる」

 

シンプルでわかりやすい予想、それを食い止めるのがアタシたち。いささかできすぎな気もしますが

 

「当然だが、暴走状態の軍用ISが東京上空に行って万が一のことがあれば被害は甚大だ。そこで学園上層部は我々がこの事態の収拾を行う事を決定した」

 

「織斑先生、それはさすがに不可能では?」

 

セシリアが尋ねると、織斑先生はうなずく。

 

「オルコットの言う事はもっともだが、事態は急を要する。当然自衛隊所属のIS部隊にも要請を出しているが、1時間以内に到着するというのは無理との事で、だからこそここに集めたメンバーで迎撃、もしくは自衛隊のIS部隊が到着するまでの時間稼ぎを行う事になる」

 

「なるほど」

 

自衛隊が来ることを前提として動けるのなら話は早いデス。自分たちの役割は福音の迎撃、もしくはIS部隊の到着まで逃がさないように目標海域に留めておくこと。

 

「では、まずここまでで何か質問のある者は居るか?」

 

「はい!目標の詳細なスペックデータの開示を要請しますわ」

 

「わかった。だがこれは機密データに該当する物だ、万が一外に漏らした場合、諸君には査問委員会による裁判に掛けられ、最低でも2年は監視が付く事を頭に入れておけ」

 

地図が切り替わり目標である銀の福音の全体像と、武装や機体スペックなどが詳細に書かれたデータが映し出される。高機動型の広域殲滅を可能とする特殊射撃を得意とした全身装甲(フルスキン)タイプのIS。高い機動性と広域殲滅に特化した射撃武装は厄介だろうし、全身装甲という事は防御力も並のISとは比べ物にならないだろうと予測出来た。

 

「オールレンジが可能な射撃型...私のブルーティアーズと同じタイプですが、少し違いますわね」

 

「速度は...アタシのじゃ追いつけないわ、こりゃ」

 

「それにこの特殊武装も厄介だよ、連続しての防御は難しいかな」

 

「うむ、データ上では近接戦闘武装が無いが、データに無いだけで搭載されている可能性も考慮するべきだ」

 

流石に現代表候補生と元代表候補生は見るべき視点をちゃんと弁えていた。一夏たちはぽかんとしていたが

 

「姉さんは言ってることわかるの?」

 

「やばいってことだけデス」

 

イグナイトとユニゾンを使用しても距離を取られるとどうしようもないデス。ラウラが手を挙げる

 

「威力偵察は可能でしょうか?」

 

「可能だろうが、もしその偵察でこの海域から離れられたら不味い、一度のアプローチで確実に仕留める必要がある」

 

「となると...可能なのは一撃必殺の破壊力を持つISに限られますね」

 

山田先生はアタシと調、一夏を見る。

 

「確かにあの3人ならば福音を墜とせる可能性は高い。だが零落白夜はともかく...」

 

「そうですね...あれはリスクが高すぎます」

 

「...絶唱デスね?」

 

「なんだそれは?」

 

一夏が手を挙げる。

 

「簡単に言うと暁と月読のに搭載された決戦機能の一つだな。SEの99%を使って戦術兵器並みの威力を瞬間的に引き出す」

 

「要するに捨て身の一撃デス。一時的にすべてのシステムがダウン、補給を受けなければ動くこともできないデス」

 

「さらに言うと防御機構もすべて攻撃に回すから絶対防御を発動できるぎりぎりのエネルギーしか残らない」

 

先生の説明にアタシたちが補足を入れる。

 

「となると一夏頼みになるんだけど、だれが運ぶかだよね...」

 

「現在の専用機でもっともスピードが出るのは?」

 

「私のブルーティアーズが最高速度です。更に本国から強襲用のパッケージが送られてきていますし、超高感度センサーも搭載しています」

 

すると天井裏から博士が乱入してきて紅椿なら問題ないというが織斑先生はそれを却下する。

 

「なんでー?」

 

「織斑はともかく篠ノ之は実習でしかISに乗っていない。それに、初めて乗った専用機で不測の事態が起こった時に対処ができない」

 

「私ならできます!」

 

「根拠のない自信が一番危険だ。織斑とオルコットは準備をしろ、パッケージのインストールのを全員で手伝え。バックアップとして暁と月読も準備をしろ」

 

「「「「「「了解!」」」」」」

 

アタシたちはセシリアの手伝いを開始したデス。




歌詞の使用が解禁されたので過去の話にも歌詞を入れていこうと思ってます


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常識人、墜ちる

福音戦、第一ラウンド

シリアスになったのは展開的に仕方なかったんや...


「...なんで箒がここにいるデス?」

 

「束さんがIS委員会を脅して作戦参加を認めさせたらしい...代わりに切歌がセシリアと一緒に俺たちのバックアップ、調たちがこの浜辺で待機して何かあったら動けだって」

 

セシリアの高機動パッケージの準備が終わり、出撃場所の浜辺に行くと白式を展開した一夏とその横には箒がいた。表情はいつも通りだが雰囲気が違っていた

 

「一夏、気を付けて。今の箒は嫌な予感がするデス」

 

「さっき千冬姉からも同じようなこと言われた。速度は作戦宙域までセシリアたちに合わせる、そこからは俺たちが先行する」

 

「ありがたいですわ」

 

「じゃあそろそろアタシたちも」

 

セシリアがISを展開する。ブルー・ティアーズは射撃機能を封印し、完全にスカート状のスラスターとしてのみ使うらしいデス。アタシもイガリマを展開してうつぶせになったセシリアの上に乗る。

 

「なかなか怖いデスね」

 

「前傾姿勢で私の両肩のアーマーを持ってください。イメージはバイクのハンドルですわ」

 

言われたとおりにすると姿勢が安定したデス。さすが代表候補生、一夏たちも準備が完了したようデス。

 

「織斑一夏。白式、出る!」

 

「篠ノ之箒。紅椿、参る!」

 

「セシリア・オルコット。ブルー・ティアーズ・ストライクガンナー、出ますわ!」

 

「暁切歌。イガリマ、行くデス!」

 

アタシたちは浜辺から飛び出した。そして箒以外が抱いていた嫌な予感が的中したのはこの数分後だった

 

 

『織斑先生、作戦宙域に到着しました』

 

[位置を確認した、篠ノ之と織斑はそのまま敵機と戦闘に入れ。オルコットと暁は宙域外で待機、何かあった場合に備えて機体間の通信はつなげたままにしておけ]

 

「了解デス」

 

作戦宙域に到達したアタシたちは速度を上げた一夏たちを見送る。今のアタシはセシリアにおんぶされているような状態で待機デス。

 

「切歌さんどう思います?」

 

「何がデス?」

 

「箒さんのことです」

 

そういうセシリアの顔は厳しい表情デス。誕生日プレゼントとはいえ世界最高の頭脳を持つ姉から専用機を譲渡、本人は一夏と一緒に戦える力が欲しい

 

「大いなる力には、大いなる責任が伴う...デスねぇ」

 

「箒さんは専用機の意味を分かってるのでしょうか?」

 

「箒は猪突猛進すぎますしねぇ。アタシも突っ走る時が多いデスけど、箒よりはマシだと思ってるデス」

 

「一夏さんたち、失敗しましたわね」

 

ハイパーセンサーで一夏たちの攻撃が外れたことを確認したセシリア、アタシの言ったことガン無視しましたね。ちょっと傷ついたデス

 

「もう一度やろうとしてますが無茶デスね。相手は完全に戦闘モードデス!」

 

「切歌さん!捕まってください!」

 

アタシたちは次の行動に移る、右手に鎌を持って左手でセシリアにしがみつく。一気に最高速度まで加速し福音に向かってジュリエットを放つ。しかしそれは避けられこっちもロックされる。放たれるエネルギー弾を鎌と両肩のアーマーではじきながら一夏に通信を入れる。

 

「作戦は失敗!いったん撤退するデス!」

 

「無理だ切歌!船がある!」

 

「まさか!密漁船ですか!」

 

一夏が指さす方を見ると船が見えた。海域封鎖に穴があったか、誰かが故意に見落としたかは分からないデスが

 

[織斑先生!どうしますか?]

 

[教師部隊と月読たちを向かわせる!それまで何とか守り切れ!]

 

「了解!セシリアはライフルで、一夏とアタシは...って箒!?」

 

セシリアに指示を出していると箒が福音に向かって攻撃する。まさかの命令無視デス!?

 

「箒!先生の命令聞いてたのかよ!」

 

「うるさい!そんな犯罪者など放っておけばいい!」

 

一夏が箒に向かってそう叫ぶが箒は耳を貸さない。あーもう!嫌な予感が的中したデス!

 

「箒さん戻ってください!」

 

「ふん!福音は私がやる!」

 

セシリアの制止も聞かずに、箒は二刀流での攻撃を始める。福音も最初は防御をしていたが徐々に回避し始める。

 

「くっ!なぜ当たらない!?」

 

箒は福音に避けられ続けてイライラし出した。いくら機体の性能が良くても操縦者が未熟ならば宝の持ち腐れデス。 

 

しかも、その余波がこっちにやってくる。福音から出される光弾をそれぞれの武器ではじいたりして防御するが掠める攻撃でSEは減っていく。

 

「一夏、SEの残量は?」

 

「3割ちょっとだ」

 

一夏は既にエネルギー切れに近い状態になりつつあある。これ以上喰らえば確実にヤバイ、密漁船に逃げる様に指示を出してもこの状態ではさすがに無理デス。

 

「ぐあっ!」

 

箒の苦痛の声で顔を向けると福音の攻撃を喰らい吹き飛ばされる紅椿だった。

 

「セシリアは引き続き密漁船の護衛を!一夏!」

 

「わかってる!」

 

吹き飛ばされた先は密漁船、当たれば無事では済まない。最悪な事に福音は箒にとどめを刺そうと無数の光弾を放ち、しかも羽根の間では砲撃用のエネルギーのチャージも始めている。まともに食らえば全滅は免れないデス!

 

アタシと一夏は一直線に箒へと向かう。このままでは密漁船と箒が危ないし、無事ではすまない事はわかっていた。だがここで見殺しにする訳にはいかない。

 

「うおおおっ!!」

 

若干速かった一夏は勢いのまま箒を蹴飛ばして福音と密漁船の間に入る。

 

「ぐあああっ!!」

 

一夏の悲鳴と共に白式の装甲が破壊される。光弾を受けた一夏は海へと落下する。福音はさらにチャージしていたエネルギーを解き放とうとしていた。

 

(これは、捨て身で止めるしかないデス!)

 

「セシリア、調が来たらフォローよろしくデス...」

 

「切歌さん!?」

 

そう伝えてアタシは歌う。絶唱を

 

「Gatrandis babel ziggurat edenal.

 

Emustolronzen fine el baral zizzl.

 

Gatrandis babel ziggurat edenal.

 

Emustolronzen fine el zizzl.」

 

世界から色がなくなる感覚。全身が悲鳴を上げる。落ちていく一夏とそれを受け止めようとしている箒を庇うように鎌を巨大化させてビームを受け止める。しかし

 

「あああああああ!」

 

装甲がひび割れ、目から血涙が流れ始める。あまりの激痛に叫びながら耐える。喉が枯れ、ビームの衝撃がなくなって安堵すると体から一気に力が抜ける。視界が赤い、体も重く鉛のようデス...

 

(密漁船は無事...なんとかなったデス...) 

 

密漁船を見て、思わず笑みがこぼれる。重力にひかれて海へと落ちていく

 

意識が落ちる寸前

 

海の冷たさと、必死な表情でアタシを引き上げる調の姿を見ながらアタシの意識は暗闇へと沈んだ。

 

(あ、そういえばこのまま死んだらどうなるんだろう?再就職ならぬ再転生?もしくは緑の死神としてあの世に就職?)

 

とどーでもいいことも同時に考えていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「姉さん...」

 

どこかを呆然と見ながらつぶやく調。作戦失敗が通達された後、2人は臨時の緊急治療室へと搬送された。他の専用機持ちは千冬たちのいる臨時の司令室で待機している。

 

「山田先生、お二人の容態は?」

 

セシリアが尋ねると先生は首を振る。

 

「織斑君は全身やけど、暁さんはやけどに加えて絶唱のバックファイアにより全身がボロボロです...」

 

それを聞いた調は立ち上がる。そして部屋の隅でうずくまっている箒の胸ぐらをつかんで立ち上がらせ、右手を大きく振りかぶった。

 

「落ち着け月読」

 

「いやです、離してください」

 

「殴っても何も変わらん。冷静になれ!」

 

それでも箒を殴りかかろうとする調を必死に止める千冬。今の調は箒を殺しかねないと判断したからだ。

 

「それでも!私はっ!」

 

「気持ちはわかる!それで暁たちの容態が回復するわけじゃない!」

 

「ですが!」

 

箒から強引に引きはがされた調は尻もちをつく。千冬は真耶を含めた教師陣に命令を下す。

 

「作戦は失敗だ。以降、状況に変化があれば招集する。それまで各自待機しろ。山田先生、篠ノ之を別室に連れていけ。そいつは次の招集まで謹慎処分にする」

 

「は、はいっ!わかりました」

 

真耶は千冬に言われて箒を連れていく。教師陣や他のメンバーが散り散りになり、セシリアは調の肩に手を置く。

 

「大丈夫ですわ、調さん。切歌さんはお強いですもの」

 

「うん...」

 

「それに、しばらくすればいつもの調子で目が覚めますわ。それまで私たちでできることをいたしましょう」

 

「うん...ありがとうセシリア」

 

そういった調の目には気力がみなぎっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃

 

「なあ切歌」

 

「なんデスか?」

 

「ここどこだ?」

 

「一夏、その言葉をそのまま返すデス」

 

「だよなー」

 

撃墜されて昏睡状態の2人はよくわからない場所にいた




セシリアがまとも枠におさまっている?

この作品の絶唱は絶対防御発動ギリギリまでエネルギーを使って発動するものです。

エネルギー補給の手段があったり、瞬間的な攻撃などの使用には問題はないですが今回のような状況だと危険です。


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常識人は新たな力を得る

遅くなってしまい申し訳ありません。


「...殺風景な場所デスね」

 

目が覚めるとアタシは真っ白な空間にいた。福音の攻撃を絶唱で受け止めたところまでは覚えているのデスが...

 

「とりあえず歩いてみるデス」

 

その場から立ち上がり歩き始める。しばらくすると青空が広がる場所へと出た。そこには見慣れた顔とよく知らない人物がいた。

 

「一夏?」

 

「切歌か!」

 

一夏の後ろにいるのはどこか織斑先生に似た雰囲気、そして

 

(あれは白騎士...教科書でしか見た事ないデス。というかここはどこ?)

 

そんな風に考えていると、白騎士らしき人物が口を開く

 

『あなたたちは何のために力を欲しますか?』

 

その言葉を聞いたアタシたちは考える。

 

「俺は...誰かを守れる力が欲しかった」

 

一夏がぼそりとつぶやく。

 

「ISって力を手に入れて浮かれてたのかもな...気が付けば箒を泣かせてたし、切歌も危険な目に、だからさ...」

 

うつむいていた一夏は顔を上げる。

 

「誰かを守れる強さを手に入れるより、まずは自分を守れなきゃなって思った。周りの人間に助けられてもいいから」

 

その言葉を聞いた謎の人物はアタシに顔を向けた。

 

『あなたはどうなのですか?』

 

「アタシはお気楽者ですからね、みんなとわいわい過ごすための努力は惜しまないつもりデス!そのためなら鼻血やケガがなんぼのもんかデス!」

 

そう答えると謎の人物は微笑み、目の前が真っ白になった。

 

「知らない天井...ってわけではないデスね」

 

謎の人物との会話から目を覚ましたアタシは布団から起き上がる。絶唱の影響と治療のための鎮痛剤で身体がうまく動かないが、気にしてはいられない。部屋から出るとそこには同じように部屋から出た一夏がいた。

 

「大丈夫か?」

 

「そういう一夏もデス」

 

アタシは身体中に包帯が巻かれている。火傷と福音の砲撃を相殺するときに壊れた装甲による切り傷によるものだ。

 

一夏も砲撃を受けたはずだが傷は完治している様子

 

「白式のおかげデスか?」

 

「わからん、だけど俺たちの部屋に誰もいないってことは...」

 

そう言いかけた一夏が足を止める。アタシもイガリマを握る。

 

「連帯責任で織斑先生に怒られるとするか」

 

「行くデス!」

 

旅館から飛び出したアタシたちはそれぞれのISを展開し、みんなが戦闘を行っている空域へと向かった

 

 

 

みんなのいる空域に到着すると、福音の羽根が光り輝いておりその先には調たちがいた。

 

「一夏!」

 

「おう!」

 

一夏は白式に新たに追加された武装を展開して鉤爪で切りかかる。福音は回転しながらそれをかわす。そこにアタシはジュリエットを放ちダメージを与える。

 

「調!みんなも無事デスか?」

 

アタシたちは調たちのもとへと向かう。全員がボロボロ、戦闘継続が可能かとなると微妙なレベルだ。

 

「姉さん、それってまさか...」

 

「第二次移行...というより換装ですかね?」

 

今のアタシはイガリマをベースに白式のスラスターを装備している。調は茫然とした様子だ

 

「無断出撃したら厳重注意、一緒に怒られるデス」

 

「うん!」

 

損傷が激しいセシリアたちから離れてアタシは福音を見る。ちょうど一夏が福音を弾き飛ばしたところだった。

 

「調、これをみんなに使うデス」

 

アタシは応急修理キットを調に渡して福音に向かって飛び出し両肩のアーマーを射出するが躱される。

 

「一夏、どうデス?」

 

「動きが速くて零落白夜を当てる隙が見つからない。みんなは?」

 

「応急修理キットを渡したのデス」

 

鎌をくるくると回転させながら福音を観察する。光の翼を広げた福音は天使のようだ

 

「一夏、雪羅は遠距離攻撃可能デス?」

 

ここまで飛んでくる時に一夏の新しい装備の名前だけは聞いていた。まさかあんな風なものだとは思ってなかったデスけど。

 

「おそらくできる。ぶっつけ本番になるかもだけど」

 

「なら任せるデス」

 

ブースターで福音に向けて突撃する。福音は光の翼から大量の光弾を飛ばしてくる。

 

アタシはその場でスラスターを使って回転する。

 

災輪・TぃN渦ぁBェル(さいりん・ティンカーベル)

 

緑色の竜巻となって光弾を防ぎながら近づく。しかし光弾の数が多く距離がなかなか詰められない。この技は目が回るためそれほど長時間使えない。

 

後ろから砲撃が放たれる。エネルギーの反応は白式、雪羅から煙が上がっているのでそこから放ったのだろう。

 

「切歌!これはそう何発も撃てない!」

 

「進化して燃費が悪くなるんデス!?」

 

どうあれ道ができたので突撃、福音の装甲めがけて振り下ろす。ダメージは与えられずに受け止められたが、動きを止めることはできた。

 

「前回のお返しデス!」

 

断突・怒Rぁ苦ゅラ(だんとつ・ドラキュラ)

 

踵に巨大な刃を生成、本来は蹴り貫く技だが後ろ回し蹴りで福音を一夏の方へと蹴り飛ばす。

 

零落白夜で落とせる...

 

はずだった。

 

「あんな動きありかよ!」

 

距離を詰めていた一夏が驚愕する。福音が空中で回転して体勢を立て直す。そのまま一夏に攻撃をしようとするが

 

「させない」

 

応急処置が終わった調のヨーヨーのワイヤーが福音の両足に巻き付き、動きが止まる。だが一人では支えきれず、シャルロットとラウラが補助に入る。

 

「お姉ちゃん!」

 

「ナイス調!一夏、同時に決めるデス!」

 

「ああ!」

 

動きを止められた福音は光の翼で迎撃しようとするがセシリアと鈴から放たれた攻撃その場からの移動は難しい。一気に決めるために加速しようとしたとき

 

「一夏!」

 

叫んだ方を見ると黄金の粒子をまとった箒が手を伸ばしながら近づいてくる。一夏が触れると驚いたように声を上げる。

 

「エネルギーが回復した!?」

 

「切歌も!」

 

「箒、ありがとデス」

 

箒に触れるとSEが回復していく。

 

「これが紅椿の...」

 

「絢爛舞踏というらしい。これなら一夏たちも」

 

「ああ、フルパワーで」

 

「やれるデス!」

 

(BGM:Edge Works of Goddess ZABABA)

 

シンフォギアシステムを起動したアタシと一夏は動きが止まった福音の両翼を鎌と刀で切り落とす。バランスを崩した福音は調たちに引っ張られて海面へと叩きつけられる。

 

 

「一夏と箒で福音を足止めしてほしいデス!その間にアタシと調の大技で!」

 

「箒!」

 

「承知した!」

 

そこに向かって箒は紅の斬撃を飛ばして追撃、アタシは調のもとへと向かう。意図に気づいた調は福音を拘束していたヨーヨーを手元に戻す。目を合わせてうなずく。

 

海面にたたきつけられた福音から凄まじいプレッシャーが放たれる。おそらくアタシたちを本気で殺す気だ。

 

 

アタシと調はそれぞれのアームドギアを合体させ、巨大な武器へと変化させる。

 

禁合β式・Zあ破刃惨無uうNN(きんごうベータしき・ザババサンムーン)

 

ヨーヨーが鎌の柄の先に接続、巨大な刃が付いた車輪状に変化した武装を二人で前へと突き出し、丸鋸へと変化した部分を回転させて突撃する。足止めをしていた一夏に集中していた福音は気付けずに直撃、軍用IS相手には有効打のはず。

 

激しい火花を散らして福音の動きは止まる、そして箒の補給を受けた一夏が零落白夜を発動し瞬時加速を使って一気に接近する。福音はそこから全力で逃げようと翼を広げるが

 

「逃がさない...!」

 

「大人しくするデス!」

 

専用機持ちの攻撃で足を止めて合体技を解除したアタシたちで四肢を拘束、一夏の方へとぶん投げる。

 

「これで!終わりだぁぁ!!」

 

その一撃を受けた福音の動きが止まる。アタシたちは武装を解除し大きく息を吐きだした。

 

「何とか終わったな...」

 

「今までで一番疲れたデス...」

 

疲れで眠った調をおんぶしながらみんなのもとへと向かう。こうして福音討伐戦は幕を閉じたのであった。




新形態のイメージは

XDのメカニカルギアをベースに白式のスラスターがついた感じを想像してください。


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常識人は退屈しない

これで一学期は終了ですかね?


福音を回収した後、旅館に戻ると鬼の形相の織斑先生とあたふたしている山田先生がいた。

 

「無断出撃、織斑と暁は病室を抜け出してだ。処分の覚悟はできてるんだろうな?」

 

全身から放たれる威圧感に黙るアタシたち、しばらくするとため息をついて

 

「説教と反省文は後回しだ、全員メディカルチェックを受けろ。特に暁」

 

「はいデス?」

 

「傷口が開いているぞ」

 

呆れたようにそう言われてから気づく。包帯を巻いていた部分は血がにじんでいた、あれだけ無茶なことをやったのだから仕方ないのデス。

 

「姉さん?」

 

心配そうに見つめてくる調に大丈夫だと手を振る。

 

「早く治療してもらえ、朝食に間に合わないぞ」

 

「「「「「「「「はい...」」」」」」」

 

重い体で歩き出すアタシたち、そういえば篠ノ之博士を見かけていないのデス。

 

「...切歌ちゃんだけでなくてあのツインテールの子も面白いね。調ちゃんかぁ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「姉さん大丈夫?」

 

「大丈夫...と言いたいところデスけど、この状態デス」

 

調たちが朝食を持ってきてくれたので布団から体を起こす。

 

病室に到着したアタシはそのまま気絶、メディカルチェックの結果は貧血と腕の骨にヒビが入っていた。戦闘中のハイテンションによるものだろうと言われた

 

幸い骨折までとはいかなかったので包帯で固定、治療用ナノマシンを投与してもらったので数時間で完治するとのこと。鎮痛剤と固定している影響で腕が動かないデスけど。

 

「一夏みたいにはいかないデスね~」

 

「本当よね、あの重傷が短時間で治るなんて...」

 

鈴の言葉に首をかしげる一同。すると噂の人物が登場する。

 

「やっぱりここにいたか、織斑先生が切歌以外に話があるって」

 

「その言い方だと一夏さんは終わったのですか?」

 

セシリアに尋ねられた一夏が震え始める。どうやら強烈なトラウマが残ったようなのデス。

 

「ねえ、わずかな希望にかけてお祈りしない?」

 

「鈴さん...それは無理ですわね...」

 

「おとなしく受け入れよう...」

 

「ああ...説教モードの教官からは...逃げられない」

 

重い足取りで指揮所となっている部屋へと歩いて行ったのデス。みんなの姿が見えなくなり、残った一夏とアタシは敬礼をした。

 

「大丈夫なのか?帰ってきてすぐ、ここに運び込まれてたけど」

 

そう聞かれて包帯が巻かれた腕を見せる。

 

「やけどは医療用ナノマシンで治ってますし、特に問題はないデス。というより一夏は何で全快してるんデス?」

 

「ち...織斑先生が言うには白式が治してくれたんだって」

 

一夏もわかってない感じデスか...

 

「...一夏、帰ったら模擬戦デス」

 

「なんでだよ!?」

 

「憂さ晴らし」

 

「即答!?」

 

とりあえず全快したらボコるデス。納得がいかないので

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トイレに行くために起きると織斑先生が外に出ていくのが見えた。いつもより険しい顔で

 

気になったのでついて行ってみると宿の近くの岬へと着いた。バレないように少し離れた岩陰に隠れる。

 

 

「今回の事件を仕組んだのはお前か...束」

 

そう尋ねる織斑先生の視線の先には

 

「さーてどうだかねー?束さんにもわからないのだー」

 

いつも通りの笑顔を崩さない篠ノ之博士がいた。

 

「ここからは私の推測だが、ある天才博士が自分の大好きな妹のために試作段階の軍用ISの制御を乗っ取り、我々の旅館へと向かわせた。目的はそうだな...妹に戦闘の経験を積ませることと、自分が生きていることをIS委員会に証明するため」

 

「ふーん。突拍子もない話だねー。そんなことできるなんてほとんどいないよー」

 

「ああ確かに。軍事基地をハッキングして日本に向けて、2000発以上のミサイルを発射させた奴とかな」

 

(白騎士事件...事件の記録しか見たことがないデスけど、そういうことですか)

 

そうなると、今話している2人は事件に直接関わっていることになる。

 

しかし、織斑先生の言い方は何か引っかかる。それから会話をすると風が吹き、篠ノ之博士は消えた。

 

(もしかすると巻き込まれた?少し調べてみるデス)

 

「そこに隠れているのはわかってるぞ」

 

(バレてたデス)

 

岩陰から出ると織斑先生はため息をつく。

 

「てっきり一夏あたりがついてきてると思ってたのだがな」

 

「一夏なら箒たちの誰かとイチャイチャしてるんじゃないデスかね?」

 

「ありえそうだ。私の弟は鈍感だからな」

 

肩をすくめながら言う織斑先生の手が頭に置かれる。そして耳元に顔を近づけて

 

「さっき聞いたことは他言無用だ。いいな?」

 

「わかってるデス。別にこの情報をどこかに持ち込もうとか考えていないので、安心してほしいデス」

 

「賢明な判断だ」

 

織斑先生は離れて旅館へと戻る。それを見届けてイガリマの両腕を部分展開、鎌を射出して担ぐように構える。

 

「別にアタシを標的にするのは構わないデス。調に手を出すのなら...

 

ザババの刃でその魂...いただくデス」

 

鎌で周囲を切り裂く。何かにかすった感覚と地面に落ちたわずかな髪の毛、その色はつい最近見たもの。

 

(頭脳だけでなく身体スペックも化け物デスか、厄介なやつに目をつけられたデスね)

 

鎌を回転させて肩アーマーに収納する。威嚇のついでに傷の具合の確認、少し痛みがあるが無事に治ったようなのデス。

 

「ま、忠告としては妥当な...」

 

「安静って言われてたのに何してるの?」

 

冷たい声が聞こえて振り返る。両手でヨーヨーを操っているイイ笑顔の調がいた。おそらく抜け出したアタシを探しに来たんデスね。

 

「えーと夜の散歩?」

 

「ISを部分展開する散歩って何?」

 

夏のはずなのに寒気を覚える。音を立てて回転しているヨーヨーが恐怖だ。

 

「姉さん...部屋に戻ったら看病してあげる」

 

そう言って袖から取り出したのは銀色の輪っか...

 

ってまさか!?

 

「待つデス!ならその手錠はなんデスか!?」

 

「逃がさないため」

 

「自分で戻るので大丈夫...ってヨーヨーと手錠を投げて捕まえようとしないでほしいのデス!」

 

部分展開を解除して迫りくる捕縛を回避する。本当に看病するのなら問題はない。

 

「うふふふ...じゅるり」

 

(目が単色になっている人に看病はされたくないのデス!)

 

間違いなく看病とという名目の捕食!貞操が危険!しかもこっちは病み上がり!このままでは食われる!

 

「ヘルプ!誰でもいいからヘルプデェェス!!」

 

そのあとなんとか自分の病室に調の追跡を巻いて戻り就寝、バスの出発に遅刻し出席簿アタックを食らったのデス。

 

「イタタ...で、この修羅場は何なのデス?」

 

頭を押さえながらバスに乗り込むといつものメンツに囲まれている一夏がいた。あたふたしているデス。

 

「一夏が福音のパイロットにキスされた」

 

「大体理解したデス」

 

大方避けずにもろにキスを受けたことによる修羅場であろう。

 

というか

 

「有人機だったんデスね。思いっきり攻撃してしまったデス」

 

「気にしないで、軍用だから装甲や搭乗者の保護機能はそれなりなのよ」

 

「なるほどー...って急に話しかけられるとびっくりするデス」

 

横からは話しかけられてバランスを崩して調に支えられる。怪我が治ったとはいえ万全ではないのデス。

 

「ごめんなさい。私はナターシャ・ファイルス、あの子と私を止めてくれてありがとう」

 

金髪の女性ーーナターシャさんがそう言いながら手を差し出してくる。握手デスね。

 

「暁切歌デス。そしてこっちが...」

 

「月読調」

 

「暁さんと月読さんね、ありがとうあの子を止めてくれて」

 

あのことは福音のことだろう。しかし、その声は固い。おそらく暴走させた犯人に対しての怒りだろう。

 

(まあ100%あの天災のせいだと思うんデスけどね...)

 

頭の中でハイテンションで騒ぐ博士を蹴り飛ばし、余計なことを言わないように気を付けながら笑顔で握手する。ちらっと一夏の方を見ると

 

それは見事な5連撃を食らって気絶していた。ナターシャさんはこの後来るアメリカ政府の役員と一緒に帰るためにIS学園までは一緒に乗るらしい。織斑先生の方へと向かった。

 

「本当に一夏と一緒だと退屈しないデスねぇ」

 

「...惚れた?」

 

「そんなわけないデス」

 

肩をすくめて首を振ると、調がにやりと笑う。

 

「ならよかった、姉さんのは私のもの」

 

「そんな肉食獣のような目でこっちを見ないでほしいのデス...」

 

アタシは常識人!特殊な性癖はないのデス!

 

「あ、そういえばそろそろ夏休みだな」

 

箒たちの攻撃から復活した一夏が顎をさすりながら言う。

 

「それは楽しみなのデス!」

 

「ああ!みんな(・・・)で楽しめるからな!」

 

「「「「「「「はぁ...」」」」」」」

 

「ん?」

 

一夏、そういうところデス。一夏は首をかしげながらうなっている。

 

「ほんと...面白いデスね、この学園は」

 

 

 

『ねえ、ちーちゃん。この世界は楽しい?』

 

『ああ、少なくとも退屈はしないな』

 

昨夜の会話を思い出す。あの時の篠ノ之博士はどこかいつもの明るさはなかった気がする。

 

(ま、なんとかなるデスよね)

 

「そういえば姉さん、帰る前に気づいたんだけど私の部屋にこんなものが置いてあった」

 

そういって調は何かの紙を取り出す。

 

「手紙デスかね?」

 

「中身はまだ見てない」

 

調から渡された紙を広げると手紙だった。

 

『また会えるといいね!というか会いに行くね!

 

                     束』

 

「...調、こういう時はどういう顔をすればいいデス?」

 

「心配しないで。次は仕留める」

 

「答えになってないデスし...目からハイライトが消滅してるデス」

 

特大の爆弾を残していったウサギに頭を抱えながらアタシたちの臨海学校は終わったのデス。

 

 

「ところで姉さん...心配をかけたバツとして次の休日は一緒に出かけてね?」

 

「ハイライトの消えた目は止めてほしいのデェェス!!」




夏休み編はメジャーなイベントを書いていく予定です。

二学期を書くかは少し未定です。


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夏休み
常識人は模擬戦をする


今回から夏休み編です。

XDに出てきたギアなのですが、少しオリジナル設定が入っています。ご了承ください

XDといえば、なのはコラボ楽しみですね、僕ははやてと未来の奴を狙いたいと思っております。

それではどうぞ!


「そういえばさ...切歌と調のISってさ」

 

試験日がすべて終わり、終業式が明日となった休日の食堂。アタシたちはいつものメンバーで昼食をとっており、ラーメンをすすっていた一夏が尋ねてくる。

 

「なんデス?」

 

ちなみに、アタシは豚の生姜焼き定食、調はサンドウィッチを食べてるデス。

 

「二人の機体って交換したりとかできるのか?起動の仕方とか似てるし、コンビネーションを主体に戦うから」

 

「交換?」

 

イガリマとシュルシャガナは対となるISなので可能かもしれませんけど

 

「専用機って操縦者のパーソナルデータを登録するから無理なんじゃない?」

 

ため息をつきながらそう言う鈴。アタシもうなずきながら

 

「その通りデス。試験期間の勉強で頭おかしくなったんデスか?」

 

「いや、鈴も切歌もひどくないか?」

 

「調はどう思うデス?」

 

若干落ち込んだ一夏を無視してカフェオレを飲んでいた調に聞いてみると

 

「姉さんのデータが入ってればいいんじゃないかな?」

 

「いや、それは流石に...」

 

ないだろうと思っていると調がほほ笑んだ。

 

(あ、この笑い方は...)

 

「イガリマとシュルシャガナは少し特殊なネットワークが構築されている...らしい?」

 

「疑問形なんデスか?」

 

まあ試してみるのもありかもしれないデスね。生姜焼きの最後の一切れを口に運ぶ、うーむレシピを教えてほしいデスね...

 

「面白そうだしやってみるデス」

 

「成功率は高くなさそうだけどなー」

 

昼からの予定が決まったアタシたちは早速アリーナへと向かったのデス。

 

「アリーナの予約なんていつとってたんだ?」

 

「一夏、忘れたデスか?臨海学校の時に言ったこと」

 

「え?まさか」

 

交換の件はついで、本題はこっち。

 

「試した後はイガリマと白式で模擬戦デス」

 

「あれって冗談じゃなかったのかよ!?」

 

ISが進化したのだから、新しい装備に慣れておくのは大事デスよー

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わってアリーナ、アタシと調はイガリマとシュルシャガナ交換していつも通り起動させる

 

「いや、まさかとは思ったけど...」

 

「ああ、前代未聞だな」

 

「ありえないですわ...」

 

「俺もこうなるとは...」

 

結論から言うと展開することはできた。アタシはいつも調のツインテールを覆っているウェポンラックが背中で羽根のようにくっついている。調はポニーテールなっている以外はそれほどアタシの時と違いはない。

 

「いつもより重い気がする」

 

「調もデスか」

 

全体的に黒いところが多くなっており、体に違和感がある。一次移行前の初期状態を動かしていた時に近いデスし、これはあまりやらない方がよさそうデスね。

 

「まさかこんなことができるなんて」

 

「これっきりデスけどね」

 

シュルシャガナを解除して調に返す。調はちょっと不満そうだったが

 

「もう少し姉さんを...」

 

「それ以上はだめデス」

 

危ない雰囲気を漂わせた調からイガリマを取り返す。危ない目をしていたのデス。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ一夏、始めるデス」

 

「おう」

 

少し休憩したアタシたちは向かい合っている。イガリマは白式を模したスラスターを装備している例の形態デス。少し離れたアリーナの席で調たちが観戦している。

 

「俺もいつでもいいぜ」

 

一夏も白式の調子を確かめようにマニピュレーターを動かす。

 

審判役はセシリアで、ルールは

 

・制限時間は15分

・どちらかのSEがなくなれば終了

・零落白夜と絶唱は使用禁止

 

「では開始!」

 

セシリアの声とともにスラスター全開で接近、鎌と雪片がぶつかって火花が散る。

 

「ちょいさ!」

 

ぶつかった反動で宙返り、その勢いを利用したかかと落としは雪羅に止められる。

 

スラスターの一部を展開、ピノキオで攻撃する。一夏はそれを躱し、刃がアリーナの地面に突き刺さる。後ろに気配を感じて鎌のサイズを変更、地面に刺したアーマーとスラスターの勢いを利用して回転、雪片の側面を殴るように斬りかかってきた一夏を弾き飛ばす。

 

「やるな切歌」

 

「そっちこそ」

 

元の大きさに戻して構える。予想以上に一夏の動きが速い

 

(移行前の1.5~2倍ってところデスかね...)

 

そんなことを考えながらその場で一回転、勢いよく鎌の先端を地面に突き刺す。

 

「なんだ?」

 

一夏が眉を寄せるがアタシの攻撃はすでに始まっている。一夏の足元が緑色に光り、そこから光の刃が一夏めがけて伸びる。

 

陰牙・亡ぃ血nGえiル(いんが・ナイチンゲール)

 

「って奇襲攻撃か!」

 

慌てて飛び上がる一夏、避けられるのは想定内。アタシは両手の鎌を一夏に向けて投げる。投げた鎌は高速で回転して緑色の軌跡が残る円盤と化し、一夏に迫る。

 

一夏は雪片と雪羅の爪を使ってはじく、それをアタシは空中でキャッチして落下の勢いを利用して斬りかかる。

 

断遂・愚れェぇテ瑠(だんつい・グレーテル)

 

一夏は雪羅をこちらに向けて、砲撃を放つ。

 

「しまった!

 

...とでもいうと思ったデス?」

 

そう対処するのは想定内、鎌で砲撃を切り裂いて進んでいく。しかし一夏には刃に雪片を当てて回避する。

 

「ここは俺の間合いだ!」

 

その言葉と共に一夏のドロップキックで吹き飛ばされて地面に激突、土煙が上がる。

 

「ゲホッゲホッ...手加減ないデスね...」

 

こっちもそろそろ温まってきた。目の前のウインドウが出現、そこには

 

【条件達成により換装形態、メカニカル型解放】

 

その下のあるOKボタンを押す。手足の装甲が一回り大きくなり、持っている鎌と白式を模したスラスターはのこぎりのような歯が、魔女帽子のような装甲も一部が変化して猫耳のようになる。

 

変化した鎌を一振りして砂煙を払う。

 

「換装完了、行くデス!」

 

この状態になるのは初めて、攻撃方法を試す。ジュリエットを放つ、今までとは違い飛び方が不規則になり、一夏は突進することで威力を軽減しようとする。

 

(それは間違いデス!)

 

その隙に空へと飛びあがって白式のスラスターに鎌をひっかけて振り回して地面に落とす。

 

そして鎌に飛び乗る。

 

「ってその鎌乗れるのかよ!」

 

驚く一夏に向かって急降下、起き上がって鎌を受け止められた反動を利用して鎌からジャンプする。スラスターの一部が展開、アームと刃が出現する。

 

アームに刃を接続して、スラスターで加速、一夏を地面に抑えつけてそのままのこぎり状の刃を当てる。

 

魔鎧・禍Gャ腐rいNセs(まがい・カグヤプリンセス)

 

『うわぁ...』

 

観戦していた専用機持ちが軽く引いている。現在の体勢がアタシが一夏を押さえつけてチェーンソーを押し付けてる状態。本来は鎌とこのアームの刃で切り裂くのだが、継続ダメージを与えた方がいいと思ったのデス。

 

「さすがね...」

 

「一夏さんとの初戦では、思いっきり首をギロチンで狙ってましたものね...」

 

「ゼロ距離になると、鎌を出して後ろ回し蹴りとかするからな」

 

「意外と手段選ばないよね」

 

「いや、戦いとはそういうものだろう」

 

鈴、セシリア、箒、シャルロット、ラウラの順でこそこそと話しているが全部聞こえている。

 

「ちょっと!アタシのことdisってますよね!?」

 

『いいえ全然』

 

声をそろえて即答している時点で嘘くさいデス!遠くだと聞こえないとでも思ってるんデスかね!

 

調は何も言っていないが

 

「なるほど...私も丸鋸とヨーヨーを使えば...」

 

とアタシよりえげつないことを考えてるっぽいんデスけど...

 

「おりゃぁ!」

 

と言いながら抑え込んでいた一夏は雪片と雪羅でアタシを振り払う。

 

「相変わらずえげつない攻撃するぜ」

 

「そういいながら対応できてる一夏もすごいデス」

 

と言いながらSEを確認、意外と削られている、残り時間は5分、あまり時間はないデス...

 

一夏もそのつもりのようだ。アタシはメカニカル型を解除して元の状態に戻り、鎌を取り出す。

 

(ぎりぎりまで引き寄せてカウンターで決めるデス)

 

白式の速度は大体わかった。そこに合わせれば...

 

「甘いぜ!」

 

そういうと一夏は瞬時加速でさらに速度を上げた。鎌は空を切り、後ろから斬りつけられた。

 

「まだまだぁ!」

 

「くっ!」

 

雪片を大上段で構える一夏、間合い的に大技は隙を見せることになる。振り返りながら肩のスラスターを一夏の方に向けて全力で解放、強烈な熱風と光で目をくらませる。

 

「あ、危なかったデス...」

 

「まさか...目くらましに使うとはな」

 

距離をとるも今の一撃でSEは危険域、一撃食らえばアウト...

 

どう一撃いれるか考えているとブザーが鳴る。一夏のアタシの前にタイマーのウインドウが現れた。

 

「一夏の勝ちデスか...」

 

「不意打ちが決まらなかったら俺の負けだったよ」

 

さわやかに笑うのがむかつくデス。ISを互いに解除して握手する。

 

「すっごい戦いだったな」

 

「一夏も強くなったじゃない?」

 

離れた場所にいた全員がこちらへ来る。帚と鈴にそう言われた一夏は頭をかく。

 

「まあな、いろいろと心境の変化があってさ...」

 

というと観戦していた全員がこちらを見る。

 

「切歌の影響かしら?」

 

「ん?切歌は関係ないぞ」

 

鈴からの威圧をスルーして答える一夏。それを聞いてほっとした様子の5人と、一夏を少しにらんでいる調。

 

「じゃあ今日はお開きにするデス」

 

調の手を引いてアリーナを後にする。手を強く握り返してきた調の顔を見るのが怖い...

 

「本当に一夏と何もないよね?」

 

「いや、段々と闇のオーラを出すのやめてくれないデスか!?」

 

まずはヤンデレモードに入った調の対処デスね...手を通じて感じる鈴より怖い威圧感。今日は一緒にお風呂と添い寝デスかね...

 

アタシは頭を押さえながら寮へと戻ったのデス。




メカニカル型ギア・・・昏睡状態の時、白式にいる謎の存在との邂逅によってイガリマが独自に構築した形態。

ISを模しているため手足の装甲が一回り大きくなっており、持っている鎌と白式を模したスラスターはのこぎりのような歯が、魔女帽子のような装甲も一部が変化して猫耳のようになる。

すべての武器がのこぎり状になっており、相手のSEを削るように使うことが可能。今まで使用していた技はすべて使える。


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常識人は義妹と出かける

お久しぶりです




「暑いデスねぇ...」

 

アタシは今、IS学園寮の門の前にいる。学園自体は定期試験が終わり、夏休みに入った。

 

「まさか初日にいきなり出かけようといわれるとは...」

 

「もうしばらくしたら帰省するんだから、デートをするなら早めがいい」

 

声が聞こえたので振り向くと調がいた。

 

「いやデートではないデスし、帰省はしますけどだいぶ先デスよ?」

 

ちなみに今日は2人とも私服。

 

アタシは緑色のパーカーにショートパンツ、転生した時の初めての買い物で直感的に選んだものデス。

 

調はピンクのワンピース、髪型はポニーテール。

 

「昔姉さんの部屋にある雑誌で見つけたから久々にやってみた。似合う?」

 

「どの雑誌か気になりますけど...似合ってますよ」

 

「ありがとう」

 

腕に抱きついてくる調を躱して右手を差し出す、一瞬むっとしていたがすぐに笑顔になる。

 

(まあ手をつなぐくらいならいいデスかね...)

 

よくこうやっていたので許容範囲デス(※普通の姉妹はこういうことしません)。

 

学園の最寄り駅からモノレールに乗ってショッピングモールへと向かう、

 

「ところで今日はどんな予定なんデス?」

 

「私服が今着ているのしかないから服を買いたい」

 

確かに調は制服を着ていることが多い。なかなか私服を買いに行く時間がなかったんデスよね。

 

「あれ?寝てるときはどうしてるんデス?」

 

「Tシャツだけど」

 

「あれってどこから持ってきたんデスか?」

 

調にしては珍しい黒色のTシャツ、サイズが大きめで下には短パンをはいている。サイズ的に男物なんデスよね...

 

「実は前世で着ていたもの」

 

「はい!?」

 

前世のものって持ち込み可能だったのデスか!?一切説明されずに来たので持っていけないとばかり...

 

「前世のものって基本的に持っていけないのでは?」

 

電車の座席に座りながら尋ねると、調はイイ笑顔で

 

「神様をボk...こほん。神様に一生懸命お願いして持ってきた」

 

「ちょっと待つデス。今ボコったって言いかけましたよね?」

 

アタシを(強制的に)転生させた奴ならそんな暇を与えるはずが...まさか?

 

「説得したんデスか?神様を拳で?」

 

「お願いしただけだよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんでこんなところで働いてるんデス?2人とも」

 

「あはは...まさか切歌たちが来るとはね...」

 

目の前には執事の格好をしているシャルロット。その横を通り過ぎるのはメイド服を着たラウラ。

 

服を買ったのはいいが量が多かったので宅配を頼み、昼食をとろうと喫茶店に入ると2人がいたのデス。

 

「バイト?」

 

調が尋ねるとシャルロットが答えてくれる。

 

 

「うん、ラウラがね。でもボクもああいう服がよかったなぁ...」

 

うらやましそうにメイド服を着ているラウラを見るシャルロット。両方とも似合いそうデスけど、執事服のイメージの方が強いんデスよねー、シャルロットの場合。

 

「お姉ちゃんも似合いそうだよね」

 

「うーん...着ようとは思わないデスけどね」

 

シャルロットに案内されて席に座ってメニューを開く。

 

「それで2人はどうしてここに?」

 

水を持ってきたシャルロットが聞いてくる。水を一口飲んだ後に調が口を開く。

 

「臨海学校の時の約束デス」

 

「ああ、調が言ってたね」

 

「心配をかけたから当然」

 

頷きながらシャルロットが店の時計を見る。

 

「僕とラウラがもうすぐ休憩だから一緒にお昼食べない?」

 

シャルロットの提案にうなずき、メニューにあるサンドイッチとオムライス、食後のコーヒーを頼む。

 

 

 

そのあと休憩に入ったラウラが合流、昼食を食べていると、喫茶店の扉が乱暴に開け放たれ、銃声が聞こえた。

 

(まさかの

 

目の前には怪しい格好の男が2人、手には拳銃。足元には大きめのケース

 

アタシとシャルロットはため息をつく。隣を見ると強盗犯より怖い殺気をまとい始める調。

 

(のんびり買い物の続きの予定だったんデスけどねぇ...)

 

この場をどう切り抜けるかを考える。一応ISは持ってきているが生身の相手には危険デスし...

 

(あれ?ラウラが氷だけ入ったグラスを持って行ってるデス)

 

休憩中に食べていた料理の皿を厨房へと持っていくために席を離れていたラウラが、お盆に山盛りの氷が入ったグラスをもって犯人たちに近づいていく。

 

もちろん絡まれるが、ラウラは意に介さずにお盆を蹴り上げる。犯人の視線が宙に舞ったそれらに向けられる。意図を察したアタシたちは姿勢を低くして駆け出す。

 

ラウラは空中に飛び上がって氷をデコピンの要領ではじいて犯人をひるませる。アタシと調は奥の方でケースを守っていた強盗に接近する。

 

「おわっ!」

 

転んだ強盗の手から銃が離れる、それを空中でキャッチして調へと投げ渡す。

 

「調!」

 

「合点」

 

銃を受け取った調はセーフティーをかけてその場から離れる。

 

「てめぇ!!」

 

犯人が連続で殴りかかってくる。それを躱しながらタイミングを見計らう、大降りになった腕を払って犯人の懐へ接近、そのまま下から急所を蹴り上げる。

 

「ぐへぇっ!」

 

下半身を押さえてうずくまる犯人。男の急所を思いっきり蹴り上げたんデスからそれはね

 

気絶した犯人をどうやって警察に引き渡すか考えていると悲鳴が聞こえる。

 

ラウラたちが抑えようとしていた犯人が腹に巻いた爆弾の起爆スイッチに手をかけていた。どうやら店ごと吹っ飛ばす気のようデスね。

 

〈調、合図をしたらラウラかシャルロットにその銃を。アタシは起爆スイッチを回収するデス〉

 

〈わかった〉

 

調とプライベートチャンネルでの会話を終えて、ラウラたちの方を見る。意図を察したラウラたちは犯人の両側を押さえるように駆け出す。

 

「何のつもりだてめえ...なっ!」

 

「これは回収させてもらうデス」

 

2人に気を取られた犯人の手にあった起爆スイッチを、地面に落ちていたモップを使って弾き飛ばし、そのままキャッチする。調に目配せをすると手に持っていた拳銃をラウラへと投げた。犯人はもう片方の手に握っていた拳銃をこちらに向ける。

 

「てめぇ!」

 

アタシに銃を向けてくるが銃身に見慣れたヨーヨーが巻き付き、犯人の手から銃を取り上げる。

 

「ナイス、調!」

 

「ぶい」

 

ヨーヨーをラウラの方へと操作し、それを受け取ったラウラシャルロットは拳銃を

 

アタシはとモップを犯人に突き付ける

 

「これで」

 

「詰みデス」

 

「観念するんだな」

 

観念した強盗犯は両手を上げる、こうして警察が来て逮捕されたのデス。まあアタシたちはその場から退散しましたが

 

「IS学園の生徒で専用機持ちだとバレると面倒だからな」

 

「織斑先生にバレるとシャレにならないデス」

 

ラウラとシャルロットは店の制服から着替えていた。店長のご厚意で裏口から出てきたのだ。

 

「じゃあアタシたちは買い物に戻るデス」

 

「うん、それじゃ」

 

シャルロットたちと別れたアタシたちは買い物に戻ったのデス

 

「そういえば、そろそろ食材を使いきらないと駄目デスね」

 

ショッピングモール内の食材コーナーを回りながら思い出した。

 

「父さんたちも帰ってくるらしいデスけど...」

 

「そういえば今はどこにいるんだっけ?」

 

調が今日の夕飯の材料を見ながら尋ねてくる。アタシたちの両親は現在、世界中を飛び回っている。仕事の内容はあまり聞いてないが定期的に連絡は取っているのデス

 

「この前は中南米あたりにいるって言ってましたね。アタシたちの帰省に合わせて帰国するとか」

 

「姉さんも久しぶりに会うんでしょ?」

 

そう、入学前に一度帰国してあってるのデス。

 

「私は声しか聴いたことないんだけど、どんな人?」

 

「ISがなければ地上最強候補」

 

「え?」

 

即答すると、調が目を丸くした。アタシの言ったことを理解していないようだ。

 

「母さんは科学、父さんは格闘能力で世界最高峰の実力デス。母さんは生物学関係ではあの束博士よりも上デス。父さんは各国のSPをやったりしてるんデスけど...爆破の衝撃を発勁で打ち消したりできるデス」

 

「それは人間なの?」

 

「人間デス」

 

アタシも話を聞いて、動画を見たときは絶句しました。動きが明らかに人間じゃなかったのデス...

 

「会うのが怖くなってきた...」

 

「普通にいい人デスよ?あの天災ウサギみたいな性格じゃないデス」

 

そう話しながら今日の夕飯を考える。煮魚デスね、魚が安いし和食は得意デスし。夕飯の食材を決めて、レジに並んでいると考え込んでいた調が口を開いた。

 

「楽しみになってきた?」

 

「なぜ疑問形なんデス?」




あ、切歌たちの両親はあの人たちです

ちなみに祖母はあの人です


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常識人は帰省する

更新が遅れてしまい申し訳ありません。

リアルの方でいろいろありまして遅れました。






「いやー今回も大変だったなー、母さん」

 

「そうねー、まさか研究施設がテロ組織に襲われるなんて~」

 

「まさかとは思うけど...」

 

「ああ、俺が鎮圧した。さすがにISを展開されると厄介だからな、展開前に近づいて顎先をかすめるように殴ってな」

 

家に帰って早々、人間離れしたことを話し始める父さん。それをニコニコと笑いながらうなずく母さん。それを聞いたアタシたちはこう思った

 

やっぱり人間ではないのでは?と

 

しかも話の流れだと、ISを展開させる前のわずかな時間に装着前の人間を気絶させた可能性が高い。

 

アタシたちの両親――暁了子と暁弦十郎の話を聞いた調は絶句している。

 

「ところで切歌、学園の生活は大丈夫か?臨海学校の近海で軍用ISの暴走があったそうだが」

 

昼ごはんのそうめんをすすっていると父さんから尋ねられて固まる。

 

「大丈夫デス、なんか政府のIS部隊が鎮圧したとか」

 

「そうなのねぇ...てっきり切歌たちが鎮圧したのかと思ったわー」

 

「一応聞きますけど根拠は?」

 

「女の勘よ」

 

さらりと言う母さん。でもその勘が外れたことは一度もない。

 

「そういえば今度の研究はなんデスか?」

 

「ISと極限まで鍛えた人間、どっちが勝つかよ?」

 

「また父さんが実験台デスか!?」

 

この母親、ものすごく優しいのだが少々マッドである。父さんが人外レベルで強いためそこまで問題ではなさそうだが。

 

「いやー流石にグレネードはきつかったな、とっさに爆破の衝撃は発勁で打ち消したが閃光弾でな、目がやられたから音だけで銃弾をはじくのは流石に厳しかった。はっはっは」

 

(本当にアタシたちと同じ人間なのでしょうか?この父親)

 

ISサイズの閃光弾を食らってなんで反撃ができるのか?流石に生身では死ぬと思うので一応聞いてみる。

 

「今度は何を開発したのデス?」

 

「男の人でも戦場やテロ現場でISに遭遇した時の護身用の簡易装甲よ。要人警護の人たちが使うものだけど」

 

母さんはそういうとカバンから銀色の籠手のようなものを取り出した。

 

「装着すると身体能力が上がる、というわけではなさそう」

 

「その通りよ、調ちゃん。ISの量産機の武装はほとんどが実弾、ならそれを防ぐバリアみたいなものを簡易的に展開でき、なおかつ複数展開すると完全に防御ができるってものよ」

 

それは確かに要人警護にはいいかも、見たところそこまでごつい感じもしないデスし。

 

「で、これを使った父さんはどうやってISを倒したの?」

 

調が尋ねると麦茶を飲んでいた父さんが顎に手を当てて

 

「ん?視線で大体の弾道の予測はできるからな、引き金を引く前に震脚で作った破片を使って陽動、意識がそこに向かった瞬間に接近して、バリアを展開した籠手を使って正中線に6連撃を決めてKOだ」

 

「いや、視線で弾道予測とかおかしいデス」

 

「でも姉さんも鎌でレールガンの弾丸を斬ってた」

 

「あれはアシストを使ってるのデス」

 

この父親、その気になれば刀剣を指で白刃取りや、銃弾を震脚で作り出した即席の壁で防御できるらしい。らしいというのは実際にまだこの目で見ていないためデス。ましてやISに搭載されている銃火器は人間が使うそれと違って威力も半端ではない。ふと籠手が目に入ったので質問する。

 

「ISの攻撃って結構なダメージだと思うんですけど、耐久力とか大丈夫なんデス?」

 

母さんに尋ねると笑顔で

 

「大丈夫よ。衝撃吸収機構をつけてあるから。ただねえ...」

 

「どうしたの?」

 

ため息をついて父さんを見る母さん。まさかそんなはずないデスよね?

 

「ああ、俺の話か?10分保たないっていう」

 

「もう大体察したデス...」

 

横の母さんを見るとため息をついている。会うたびに人外度が増してないデスか?

 

「データは取れたからいいけどね。切歌たちはどうなの?学園生活」

 

「楽しいデスよ。一夏の周りは飽きないデス」

 

一夏の周りの女性陣の話をすると母さんは笑いながら

 

「切歌たちは狙ってないの?」

 

尋ねられるが、笑って答える。

 

「まさか、仲のいい友達デスよー」

 

「どう思う、調ちゃん?」

 

「こういうタイプが勘違いさせやすい。男も女も」

 

こそこそ話す母さんと調、別に勘違いする要素はないんデスけどねぇ...

 

「ともかくうまくやってるわけね、なんか変なのに目をつけられて...るわね」

 

母さんの言う変なやつには心当たりがある。うさ耳を付けた天災が

 

「その表情的に考えると束ちゃんね...今度見つけたらお灸をすえとくわ」

 

「何回かあったことあるんデスよね?」

 

母さんに尋ねるとにこりと笑いながら

 

「ええ...だって私、束ちゃんと千冬ちゃんの元担任よ?」

 

その情報に驚き、目を見開く。

 

「ああ、そういえば高校の教師をしていたって聞いたデス。まさか担任だったとは」

 

「千冬ちゃん以外で数少ない話相手だったわね、あの性格だから無理ないけど」

 

話していると父さんは付け加えた

 

「興味のない人間とは話さないタイプのようだからな、母さんは時々連絡を取っているようだが」

 

「同じようなタイプだと思われたのかしらねぇ...」

 

母さんの言い方だと相当苦労したみたいデス。

 

「あ、そういえばお土産があったのよ」

 

アタシの叫びを無視して母さんが取り出したのは何かのパーツのようなもの

 

「これは?」

 

「ISの強化パーツ?」

 

「調ちゃん専用のね。腰に装着する外部デバイスで拡張領域を圧迫しないタイプだから、学園に戻ったら試してみて」

 

「ありがとう、お母さん」

 

受け取った調はうれしそうに微笑む。形状からすると

 

「切歌ちゃんにはこれね」

 

アタシに渡して来たのは銀色の弾丸。何かのパーツ?

 

「それはね、お土産よ」

 

「なんでアタシだけ!?調のように強化パーツじゃないんデスか!?」

 

「冗談よ、切歌ちゃんにはこれ。ちなみにそれを使う時は気を付けてね?」

 

そういって渡されたのは十字架。何かにはめて使うんデスかね?母さんは手を叩きながら言う。

 

「さてと、買い物に行きましょうか。今日の夕飯はパーッとやりましょ!何がいい?」

 

「寿司デス!」

 

「ピザも食べたい」

 

アタシたちがそういうと母さんは微笑みながら立ち上がる。

 

「なら今からいろいろ買いに行かないとね。ピザは流石に宅配だけど...」

 

そう話しているとアタシのスマホが震える。画面を見ると一夏からだった。スマホを操作して耳に当てる。

 

「もしもし」

 

『もしもし、今時間あるか?』

 

「大丈夫デス、何か用事デスか?」

 

『明日なんだけどさ、篠ノ之神社ってとこで夏祭りがあるんだけど。行かないか?』

 

「お祭りは楽しそうデスね、確認してからまた連絡するデス」

 

そういって通話を切る。

 

「一夏から?」

 

「明日一夏の地元で夏祭りがあるらしいデス」

 

そう説明すると、母さんが

 

「なら浴衣を持っていきなさいな。明日には私たちも日本を発つしね」

 

そういえば一時帰国だったのデス。アタシたちに会うのが目的の

 

「何かあったら連絡してきなさいな。何でも相談に乗るわよ」

 

「ありがとうデス!」

 

そういってアタシたちは買い物に出かけたのデス。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういえば切歌」

 

「なんデス?」

 

「父さんからおすすめの映画があるんだがどうだ?」

 

「どんな映画デス?」

 

そういって父さんに渡されたのは、巨大なロボットが活躍するものだった。

 

「何かの参考になるのではないか?」

 

「ありがたく見てみるデス」

 

~視聴後~

 

「いくらなんでも星ぶった切る斧ってなんデスか!?」

 

中身はトンデモ理論の映画でしたとさ。

 




ここで少し説明を。

この世界は風鳴家は存在しておりません。

了子さんもフィーネの魂などは宿っておらず、普通の人です。男性でもある程度ISに対抗できる技術を研究しております。本業は生物学者ですが、人間工学にも精通しているという感じです。

弦十郎さん?あの人は公式設定で見る映画によって得意なことが変わるって感じじゃないですか。ちなみに、この世界の好きなジャンルはアクション映画全般です。

銃火器も普通に使えますが、原作レベルの格闘の達人です。ISを使われると流石に防戦一方になるので、展開前に縮地で接近して気絶させるのが基本戦法。了子さん特製の対IS兵装を装備した場合、真っ向勝負で撃墜できますが...

ちなみに了子さんが開発した対IS武装はXDで登場したあれです。ちなみに量産型の稼働限界は操縦者のための、試作型というか弦十郎さん専用の稼働限界は武装のためのリミッターです。

あ、次回は夏祭りです。もしかしたら特別編を挟むかもしれませんが


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常識人は夏祭りを楽しむ

どうもまた期間が開いてしまい申し訳ありません

プロデュースとレースと古戦場、そして現実の事情でぶっ倒れてました

今回は非常に短いですが、ご了承ください。それではどうぞ!


「いやー久々に来たデスねぇ、夏祭り」

 

鳥居をくぐると祭りばやしの音を楽しみながらたこ焼きをほおばる。

 

「姉さん、たこ焼きとお好み焼きのトレードを要求する」

 

「いいデスよ」

 

調の食べていたお好み焼きを一口もらいながら、鳥居のそばで待つ。すると、いつもとは違う装いの一夏が来た。

 

「お待たせ、似合ってるな切歌」

 

「一夏も似合ってるデスよー」

 

なぜアタシの浴衣を見て赤くなってるかは知らないフリをして答える。

 

「箒は?」

 

「あいつは巫女の舞を踊るから、終わったら合流する予定。それまではリハーサルで動けないんだって」

 

「ほえー」

 

たこ焼きを食べながら答える。しかし箒が巫女...

 

「どっちかって言うと箒の雰囲気的には剣舞の方が似合うような?」

 

「それは思ったけど...本人も気にしてるから言うなよ?」

 

実習とかトレーニングで戦ってるからデスかね?結構戦いづらいんデスよねぇ。

 

「他のみんなは?」

 

「代表候補生の用事があるとかでセシリアと鈴はそれぞれ帰国して、シャルとラウラは学園に帰ってISの整備するらしい」

 

「代表候補生とか大変そうデスよねぇ...アタシは絶対なりたくないデス」

 

「俺も全然知識と経験が足りないから、なりたくない...」

 

「私も」

 

そう話しながら屋台を歩き回る。色々と食べ物が多くて目移りするデス、イカ焼きを買って食べていると一夏が時計を見る。

 

「そろそろ時間だから行こうぜ」

 

一夏に言われて中心にある矢倉型の舞台のところへ向かう。そこには巫女服姿の箒が手に刀を持ってたたずんでいた

 

「あれ?やっぱりそっち方面?」

 

「やっぱり剣舞じゃないデスか」

 

刀を持って舞う箒はかっこいいデス。そう考えながらフランクフルトをほおばる。終わったのを見計らって会場をさり、そのまま箒を待つ。箒は浴衣に着替えて出てきた。

 

「お疲れ、かっこよかったぞ」

 

「そ、そうか!」

 

このまま箒とくっついてくれるといいんデスけどねぇ...多分気づいてないデス

 

「じゃあアタシたちはそろそろ帰...」

 

「え?もうちょっと回ろうぜ」

 

(箒と回ってあげた方がいいと思うんデスけど)

 

「そ、そうだな!一緒に回った方がいいかもしれん」

 

めちゃくちゃテンパってる箒。なるほど...流石に恥ずかしいんデスね

 

「まあいいデスけど、調は?」

 

「大丈夫」

 

サムズアップで答える調。そのままアタシたちは4人で屋台を回ったのデス

 

~射的~

 

切歌「アタシ射撃苦手なんデスよねぇ」

 

一夏「とか言いながら全弾当ててるじゃないか、お菓子に」

 

切歌「ほしいものは手に入れる!あとブーメランは得意デス」

 

調「姉さんが飛ばしているのは鎌。ブーメランではない」

 

 

 

 

~ヨーヨー釣り~

 

調「これは私の得意分野」

 

箒「すごいな、もう10個目だ」

 

切歌「相変わらず器用デスねぇ」

 

 

~輪投げ~

 

一夏「なかなか入らないな...」

 

箒「私もだ」

 

切歌「意外と難しいデス」

 

調「ふっ、まだまだ」(パーフェクトでライン賞)

 

 

そうやって遊んでいると一夏と箒がとある場所へ案内すると言い出した。そこは境内の裏手だった

 

「ここは、俺たちが小学生の時に見つけたんだ。大人たちも知らないんだ」

 

そういって一夏は指をさすと

 

「「「「おお~」」」」

 

見事な花火が上がった。そこから連続で様々な花火が夜空に咲き誇る。

 

「綺麗デス!!」

 

「久々に花火見た」

 

アタシたちはその光景に見とれる。箒と一夏も同様に空を見上げていた。色々あったデスねぇ。

 

「2学期こそは平和に過ごしたいデス」

 

「姉さん、それは...」

 

「フラグだぞ」

 

「フラグだな」

 

「フラグだね」

 

声をそろえて言う3人、アタシは絶対に信じないデス!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と思っていた時期があったアタシはお気楽すぎたんデスかねぇ...

 

「切歌、助けてくれ!!生徒会長が俺と同室になった!!」

 

2学期が始まった初日。一夏がアタシたちの部屋に転がり込んできた。話を聞くと

 

護衛という名目で寮長の許可を取ったのこと。何か裏がありそうな気がするんデスが...

 

「まあでも護衛してくれるんだったら大丈夫じゃないんデスか?」

 

「...水着にエプロンで出迎えてくる人がまともだと思うか?」

 

(日本刀持ち出したり、ISの武装を使って料理を作る人がいるのでまだマシでは?)

 

一夏の目が死んでいるのでその感想は飲み込んでおく。

 

「まあ頑張るデス、本当に困ったら助けるデス」

 

「やばくなったら頼む...」

 

そういって一夏は出て行ったのデス。さてと

 

「調、もしかしたら...」

 

「一夏のISが普通じゃないかもってことだよね?」

 

調がそう答える。そう、白式が特殊過ぎるのではとずっと考えているのデス。

 

「まあそこに詳しいのに心当たりはあるんデスけど...絶対に連絡したくないデス」

 

「それは同感」

 

個人的に調べていきますかね。

 

「そういえばうちのクラスは文化祭何をするんデスかね?」

 

「代表の一夏次第ではあるね」

 

文化祭の思い出ってあまりないんデスよねぇ...バンドやったくらいしか。

 

「何でもいいデスけど、変な格好をして接客とかじゃなければ任せるデス」

 

なんかフラグ建った気がするけど気のせいデスね。




お知らせ

流石に話の内容がそろそろ思い出せなくなってきたので、原作を思い出すためにしばしの間更新を停止いたします。

オリジナル展開の可能性もありますが、話の内容思い出してきます...


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二学期
常識人は準備する


お久しぶりです...2年も空いてしまってスミマセン...

現実で流行り病とかの影響で色々と忙しくて執筆できる時間が取れませんでした。

久々に書いたので思い出しながらになりますがよろしくお願いします。


「はーいそれでは学園祭の出し物を決めるデス、一夏」

 

「わかった、みんなそれぞれの考えた出し物を言ってくれ。それを切歌が書いていく」

 

学園祭。

 

年に一度、外部の人間も招かれて行われる行事。知り合いに招待券を渡すことも可能で、クラスはそれぞれ出し物を行うことが決められているのデス。

 

ちなみに今のところは

 

・一夏とポッキーゲーム

・一夏と記念撮影

・一夏と握手会

 

「大体一夏関連デスね」

 

「多くないか!?」

 

一夏がそういうと、クラスのアドバンテージは活かすべきだと主張するクラスメイト達。やれやれと首を振りながらまとめる。

 

「予想はできたんデスけどね...」

 

「はい」

 

「却下。調はなんとなく予想がつくので」

 

「...ちっ」

 

「あの切歌さん、おもいっきり舌打ちしてるんですけど...あなたの妹さん」

 

「スルーで」

 

挙手した調を一蹴、そうやっていろいろな案を出すが、まとまらない。

 

他の案を聞こうとするとラウラが手を挙げた。

 

「喫茶店はどうだろうか?一夏だけではなく、我々も接客すればいいし収益が見込める。衣装は...あてがあるので任せてほしい」

 

そういうと女子たちが一層盛り上がる。たしかに喫茶店ならいろいろとできそうですし、一夏に負担が集中しない。これはほぼ決まりデスかね。

 

「じゃあラウラの案でいくデス。反対意見は?」

 

そう聞くと反対意見は出なかった、織斑先生の方を見ると頷いていた。

 

「では企画書を作って生徒会と担任に提出、期限は3日だ」

 

織斑先生と場所を交代して、授業が始まる。そしてお昼休み、アタシたちは巨大なメインホールへと集まっている。どうやら生徒会長から話があるらしい。

 

「生徒会長って全然見たことないんデスよね、生徒の中で1番強いっていうのは知っているんデスが」

 

「ISを一人で作ったとか、いろいろなうわさは聞くな」

 

「...怪しい」

 

「そういえば、別のクラスにもそんなことをしている人がいたような...」

 

そうやって話していると、舞台の上に青い髪の女性が出てきた。全身から只者ではないオーラを漂わせている、かなり強いデスね。

 

「...なんかあの髪の色、格納庫で見た気がする」

 

「あーそんな気がするデスね」

 

一夏は白式に変化があってから、よく格納庫で整備科の人たちと作業をしている。なんでもエネルギー問題が深刻だそうだ。

 

アタシたちはメンテナンスと、ちょっとずつ増えているシンフォギアシステム内にある曲を調べるためデスね。最近はやたらデュエット曲が増えている気がするデス。

 

「あと謎の機能もあるんデスよねぇ...なんで携帯端末に移せるんデスかね?」

 

「うちの出し物で急なトラブルが発生して、2人で歌えるように?」

 

「シャレにならないフラグを立てるのはやめてほしいデス...」

 

そんなことを話していると、とんでもないことが話されていた。一夏の部活入部を景品とするイベントを開催、捕まえた部活は部費10倍と一夏の獲得だそうだ。横に座っている一夏の顔が青ざめていた。全校集会が終わった後、一夏は生徒会室へと突撃しに行ったデス。

 

「さてと、購買で食材でも買いますかね。調、今日の晩御飯の希望は?」

 

「肉」

 

「アバウトですねぇ...」

 

そんなことを言いつつ、冷蔵庫の中身を確認する。

 

(食材はあるので問題ないデスね...)

 

晩御飯を作っているとものすごい勢いでドアがノックされた。この時間に人が来るなんて

 

「調ー、今手が離せないのでお願いするデス」

 

「わかったー」

 

そういってベットから起き上がった調が扉を開けると、一夏が転がり込んできた。そんなに離れてないですよね?

 

「はぁはぁ...切歌!」

 

「なんデスか?とりあえず息を整えてからで大丈夫デスよ。調、なにか飲み物を」

 

「ん」

 

調が冷蔵庫から取り出したペットボトルのお茶を一気飲みする一夏、気管に入ったようでむせてますね。豚キムチとレバニラ炒めを調理し終わったので、テーブルの上に並べる。アタシも調も結構食べる方なんデスよね、前に箒たちと食堂で食事をしていると驚かれたのデス。

 

 

「あ、一夏はどうするデス?一応多めに作ったんデスが」

 

「いただいていいか?」

 

「問題なし」

 

そういって予備のお茶碗を出して、夕食を食べ始める。しばらくすると落ち着いた一夏が話し始めた。

 

「生徒会室に行って役員の人にどういうわけか聞いたんだ。そうしたら...」

 

「なんで一夏が部活に入っていないのか、そういう感じの相談が殺到していたとか?」

 

そういうと一夏が頷く。たしかに一夏は専用機の訓練に忙しかったみたいデスしね、そこの部分も織斑先生が考慮していたのかも。

 

「整備科のみんなと格納庫でいつも通り、白式のエネルギー問題をどう解決するか相談していたんだ」

 

「ほうほう、それで」

 

「一応めどは立ったんだけど、それ用の機材をそろえるために今日はいったん解散ってことで自室に戻ったら...」

 

「戻ったら?」

 

そこ一夏が言葉を止める、なにかやばいことでもあったんだろうか。

 

「生徒会長がいたんだよ!」

 

「「...は?」」

 

「しかも...」

 

そういった一夏の顔が真っ赤になったデス。これは相当な何かを見せられたようデスね。

 

(どうやら生徒会長はかなり頭がぶっ飛んでいるようデス)

 

そんなことを考えていると再びドアがノックされる。一夏が震えだしたので、一応アタシが出ますかね。扉を開けると、昼間に講堂で見た姿の人物がいた。

 

「織斑君はいるかしら?そろそろ落ち着いた頃だと思ったんだけど」

 

なんでこの部屋に駆け込んだことが分かったのだろうか、わざとこちらに向かうように誘導した?

 

「一応いくつか質問させてもらうデス、なんで一夏の部屋に?」

 

「会長権限」

 

「どんな格好で?」

 

「水着エプロン」

 

「調、こいつ痴女デスよ。確信犯デス」

 

「あら、ひどいこと言うわね。暁さん」

 

そういって扇子で口元を隠す会長さん。この人、考えが読めないデスね...ただならぬ雰囲気は感じますが。

 

「一夏のことだから、裸エプロンかもとか思ってそう」

 

「なんで俺の考えてたことが分かるんだよ!?時々調が怖いんだけど!?」

 

「カマをかけたら正解だったんだね。もしくはそう見えるように水着を選んだ会長の思惑通り?」

 

「すごいわねー月読さん。生徒会に入らない?暁さんも一緒に」

 

「結構(デス)」」

 

すごい達筆で『正解!』と書かれた扇子を開く会長。そんなコントみたいなやりとりをしながら

 

(何を言っても誤魔化されそうなので、ここは妥協案でも)

 

「今日の所はお暇するわ。また明日ね、織斑君」

 

この状況をどう切り抜けるか、考えていると唐突に会長さんが話を切り上げた。

 

「は、はい...」

 

アタシの後ろで震えていた一夏に、声をかけて去っていく。

 

「一夏、確認なんデスけど1人部屋ですよね?」

 

「いや、今日からあの人と同室なんだ...」

 

「あーなるほど、きちんと許可を取ったうえでいるわけデスね」

 

「用意周到」

 

生徒会長って怖いなーと思いながら肩をすくめる。急な同居人、上級生で生徒会長、織斑先生たちは何を考えてるんデスかね?

 

「明日から波乱の予感デスねー。」

 

「文化祭の準備に参加できなかったらごめんな...」

 

「そこらへんは考えてくれてると信じたいデスねぇ...」

 

「一夏の周りの女性はみんな押しが強いから」

 

そういうと、一夏の全身をどんよりとしたオーラが包み込んだ。そのまま自室へと帰っていく一夏を見ながら思い返す。

 

(なんか前世の友人でもこんな感じのがいた気がするデス)

 

「姉さんもモテモテだったよ、前世での話だけど」

 

「さらっと心を読むのはやめてほしいデス...って、嘘デスよね?」

 

「本当だよ。よく同級生から相談されたし」

 

(あれ?でもそんな話は一度も...あ、触れないでおこう)

 

調の声がワントーンどころか、絶対零度まで落ちていたので深くは言及しないことにしたデス。

 

 

 

 

 

 

数日後、文化祭の準備をしながら一夏の様子をそれとなく気にしていると、時々誰かに呼び出されているようだった。その理由は白式に通信が入って即ダッシュでどこかに行くからデスね。しかも一夏の作業がひと段落したタイミングを狙いすましたかのように。

 

「大丈夫、お姉ちゃん。作業スピードには問題ないけど」

 

「まあ全体的な効率は...あの人たち以外」

 

闇のオーラが漂っているエリアに目を向ける。そろそろ支障が出そうデスね...

 

「調、しばらく任せてもいいデスか?」

 

「どこに行くの?」

 

まとめていた資料を調に手渡して、教室を後にする。一夏の行先は大体わかっている、呼び出した相手も

 

「何を考えているのかわからない生徒会長がいそうなところ...デスね」

 

アリーナへと向かうと、予想通りいた。一夏が白式を展開して何かの訓練をしているようだ。

 

「あら暁さん、よくここが分かったわね。誰にも気づかれないと思ったのに」

 

「一夏が急に走り出したら疑うのは当然デス。ましてや一度見てますし」

 

「意外と鋭いのね、あなた」

 

なんか引っかかる物言いデスが、スルーして一夏を見る。なんか大変そう

 

「何の訓練をしてるんデス?」

 

「代表候補生たちがよくやっている射撃訓練よ、あなたもやってみる?」

 

「遠慮しておくデス。そもそも生徒会長デスし、アタシの実技試験の成績を知ってるでしょ?」

 

そういってジト目でにらみつけると、口元を扇子で隠した。どうやら図星らしい、出入口へ向かって歩き始める。

 

「あら、もういいの?」

 

「別に、一夏が強くなる分には賛成なので。ただもう少しこちらの事情も考慮して欲しいデスね」

 

「大丈夫よ、意外と根性あるもの。それに毎日呼び出しているわけじゃないしね」

 

扇子でぱたぱたと扇ぎながら話す生徒会長、ほんと読みづらい。ま、危害を加えそうな雰囲気はないので退散するとしますか。

 

「あ、それと暁さん。あなたたちはどこかの部活に入らないの?」

 

「アタシと調ですか?特に入る気はないデスね。めんどくさいですし、ISも特殊ですからいろいろと調べたいこともありますし」

 

「あら、生徒会に勧誘しようと思ったのに。残念ね」

 

「あなたのような生徒会長の下で働くのは骨が折れそうデス」

 

ひらひらと手を振りながらその場を後にする。一夏は集中しているようだったので、声はかけなかった。

 

(あ、箒たちにどう説明しよう...)

 

そう考えると一気に気分が落ち込んだのデス。



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