ドラスツが見たかったから転生したのにドランクに転生させられた少年の話 (血濡れの人形)
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オイラァ!って鳴く生もの初めて見たよ(エイプリルフール企画)

イベントで二人の過去話が出てますが、この作品は独自設定でこのまま突き進みます。


~グランサイファー 甲板~

 

『オイラァ!!』

そんな鳴き声を聞いたのは、僕とスツルム殿がのんびりと部屋で休んでいた時だった。あの鳴き声と今日の日付、それは、僕にはとてもなじみがあるもので・・・

「と思ってきたものの、あれの相手は無理だと思うんだけどねぇ」

「そうも言ってられんだろう。仮にも護衛という名目で乗せてもらっているんだ。せめて時間稼ぎ程度は必要だろう」

そうはいいながらも思わず頬を引きつらせているスツルム殿に、思わず苦笑がこぼれる。

「ま、とりあえずやれるだけやってみましょうか。睡眠よりは麻痺とか石化のがいいかなぁ。『パラライズ』、お、ちゃんと効いてくれたかな」

バチリと謎の生ものの表面に紫電が走る。それとともに、少しだけ動きが鈍る。が、

『オ、オイラに、こんな状態異常なんて効くかぁ!』

という叫び声とともに、バツンという音を立てながら麻痺が解かれる。

「やっぱりねぇ!すでに()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()時点であれよりも強化されてるんだろうなって何となく察してたよ!『アイスⅤ』!」

本来なら下半身から氷で串刺しにする魔法だが、足止めのために範囲を減らして強度を増やすようにする。ハイレベル使用のシヴァの第三の目、開眼を無傷で回避できるぐらいひえっひえだ。なんなら原作では相性不利だったゴブロさんの攻撃も普通に防げる。

「ふっ」

短い声とともに、剣が振るわれる。当然だが、この世界の人間だって別に武器を変えないわけではない。現在スツルム殿が装備しているのは最高強化のシュバ剣である。とはいえ、あの生もの本当に闇属性か?無属性とかだったりしない?全然攻撃が通らないんだけど。とはいえ、手を止めるわけにもいかない。

「スツルム殿!『クイック』『マジックスキン』!」

直後、足止めしていた氷が砕かれ、スツルム殿にこぶしが降りかかる。クイックの効果で速度の上がったスツルム殿は何とか攻撃を回避するが、追撃の回避ができないような無理な体制になってしまってる。

「だからこそ僕が一緒にいるんだけどね!」

そういいながら二人の間に割って入り、ゴブロさんとアテナの加護によって攻撃属性を風に変換+被ダメ100%カットの盾で攻撃を防ぐ。だがしかし、なんと悲しいことか!盾を持っていても防ぎきれなければ効果はない!僕は殴りとばされ星に・・・

 

~グランサイファー ドランク・スツルムの部屋~

 

というところで目が覚める。よかった。どうやら夢であったらしい。というか、この団の団長はギャグ時空に片足突っ込んでるから問題ないだろ。

『オ゛イラァ!』

ドシーン、という音が聞こえる。甲板に移動すると、例の生ものが目を回して気絶する上に座り、ヤイアのチャーハンとヴァンピィのスープを食べている少女の姿が目に入る。さらにキッチン(甲板から直通の位置がある)のほうから、さらに料理を持った少年が出てくる。

「あ、やっぱり何か倒れてる。凍華団長。なんですかそれ」

「私の食事を邪魔しようとした変な奴よ。筋ばってっておいしそうでもないから、二人の料理を台無しにしようとした代償として椅子が終わったら船から落とすわ」

どうやら心配するだけ無駄なようだ。というか、毎度思うのだが、僕やスツルム殿を護衛として雇わなくても問題なくないか?なんて思ったのだが、きっと何か考えがあるのだろう。え?現実逃避?ははっ、なんのことやら




タイトルの通りエイプリルフール企画でした。


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あけましておめでとうございます

急いで仕上げたので中身はスッカスカかもしれないです。
うっかり一回投稿したから消して再度投稿することにしました。一回見た人がいたらすみませんでした


~???~

 

「いやぁ、スツルム殿、気が付いたら年明けちゃってたねぇ」

「・・・ドランク、お前、自分から誘っておきながらよくそんなことが言えたな?」

「またまたそんなこと言ってぇ。楽しかったでしょ?」

ブスリと自分の尻のあたりに剣が突き刺さる。

「だ!れ!が!妙なエビフライ・・・エビフライ?を切り殺してたら年が明けてしまった現実に喜べるんだ!思い切り剣を突き刺すぞ!」

「いったーい!ていうか、刺してからいうことではないよね!?」

「この程度刺したうちに入らん!さっさとそばを食べに行くぞ!」

ちなみに、年が明けた直後に周辺にいた謎のエビフライもどきたちは黒い霧になって消えていった。その事実が、さらにスツルム殿の怒りを増長させる。とりあえず剣先向ける人物がいなくなったからか、自分の尻が再度刺される。

「いった!僕何もして無くない!?」

「うるさい、いいから速くいくぞ。近くにうまい蕎麦屋があるらしい」

そういうなり、スツルム殿は町中に向けて足を向ける。そんなスツルム殿の背後を、少し速足で追いかけ、隣に着くなり手を握ってみる。スツルム殿は、耳を赤くするだけで、こちらに攻撃はしてこなかった。

「まったく。急に手を握るんじゃない。驚くじゃないか・・・」

「ん~?いやぁ、それは無理かなぁ。だってほら、せっかくだし見せつけたいじゃん?帝国にいたころ全然できなかった分さ」

そういいながら、建物の影を指さすと、そこには黒騎士殿たちの姿があった。それを見た直後、耳までしか赤くなっていなかったスツルム殿の顔がさらに赤く染まる。

「ちょ、ばっ、なっ!」

「ほぉーら、スツルム殿!蕎麦食べに行くんでしょ?さっき言ってた店、もう予約してあるからさ。ほら、団長たちも来てるみたいだし、速くしないとあの団の子たちにも見つかっちゃうよ?」

それを聞くなり、僕を引きずるようにして速足で蕎麦屋のほうに駆けていく。そんな中、僕たちの前に団長たちの姿が現れ・・・

「グ、グラン?目の前が見えないんですが、いったいどうしたんですか?」

真っ先にルリアちゃんの視界がグランによってふさがれ、その次にイオちゃんの視界がロゼッタによってふさがれる。そんな団長たちの目の前にいるのは、急に止まられたせいで勢い余って胸に飛び込んでしまった僕と、その僕を抱きしめるように受け止めているスツルム殿だった。

「ふふるむほの、ははひへふははひ」

「んっ、しゃべるな馬鹿が!」

「ゴブフッ」

首を刈るようにこぶしが放たれ、地面に叩きつけられる。薄れゆく意識の中、襟をつかまれた感覚だけが残っていた。




このあと店に着いた後に意識を強制的に戻されて、そのまま食事してから宿屋に帰って寝た。


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突き刺さる剣(チョコ)

眠い(現在2:43)


~???~

 

「よし、とりあえずあいつにやる分はこんなものでいいだろう」

そういいながらうなずく彼女の前には、焦げ茶色の刀身のようなものがあった。その先端は柔らかいものであれば貫通できそうなほどに鋭くとがっている。

「さて、あとは鞘に入れて・・・」

白い筒のようなものにそれを入れ、ふたをするように柄のようなものをいれる。

「これで良し、あとは明日、あいつに渡すだけだな」

彼女はそう言うと、その部屋から立ち去っていった。

 

~ポート・ブリーズ群島~

 

「スツルム殿、なんか顔赤いけど大丈夫?風邪?」

「馬鹿なことを言っている暇があるならこの手を放せ!周囲の目が生暖かいものを見るような目になってるじゃないか!」

ポート・ブリーズ群島にある町の商店街に、その二人の姿はあった。顔を真っ赤にして照れているようなドラフの女性と、どこかふざけたような雰囲気のエルーンの青年は、恋人つなぎをしながら、どこか楽しそうに店を回っていた。その光景はさながら、観光に来た恋人のように見える。

「っ・・・!離せといっている!」

そういいながら、彼女は腰に差していた剣の一本を抜き、青年に突き刺す。

「いったぁ~い、んもぅ、なにするのさスツルム殿。唐突に刺してくることないじゃんさ。いや、なんかいつもよりは勢い控えめだったけど!」

「うるさい黙れ。お前のせいでさらに注目を集めたじゃないか。まったく。こんなところでお披露目するためにこんな面倒くさいものを作ったわけじゃないんだぞ」

そういいながら、彼女は先ほど突き刺した剣を鞘にしまう。

「そういえば、今の剣の刀身どうしたの?錆ているようには見えなかったけど、いつもより遠慮気味だったよね?」

ドランクにそう指摘され、内心で舌打ちをするスツルム。変な時に鋭くなる癖をいい加減直してほしい。

「えぇい、いちいち考えるのも面倒になってきた。おとなしくお前はこれでも食べてろ!」

開き直るついでに、ドランクの口の中に先程しまった剣を叩き込む。とはいえ、さすがに人を傷つける可能性があるのでささるまえにとめるのだが。まぁ、当然そこまですれば気が付かれてしまうわけで。

「まったくスツルム殿は。照れないで言ってくれればいいのに」

そういいながら、ドランクは剣状のチョコを食べていく。作るのに時間はかかれど、消えるのは一瞬だと理解させられる悲しい空間であった。

「うるさい。黙ってさっさと食べきれ」

今度は手加減なしで、チョコでできた剣(予備で作っていた2本目)を脇腹に突き刺すスツルムであった。



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ホワイトデーのクッキーを

遅れましたが投稿


~グランサイファー 食堂~

 

「ん~、このくらいで平気かな?いやぁ、一年ぶりに作ると、ところどころ忘れちゃってるなぁ・・・」

そういっている僕の目の前には、複数の味のクッキーが焼きあがっていた。焦げているところはないが、中まで火が通っているのか気になるところではある。まあ、一枚ずつ食べてみればわかるだろう。

「ドランク、こんなところで何をしている?って、それは・・・」

想定外の声に驚き思わずその場ではねてしまう。後ろを向くと、スツルム殿の姿があった。

「・・・!?え?なんでスツルム殿がここに!?ローアインさんたちが見張ってたんじゃ・・・」

「やけに周囲を見回してたと思ったらそんな理由か・・・水を飲みに来ただけだ。あいつらの視線が途切れたタイミングで入ってきた」

なぜそんなことを、と思ったが、スツルム殿の視線は先ほど焼きあがったクッキーに行っている。

「それで?そのクッキーはいつものやつか?」

「そうだけど、まだきちんと焼けてるか確認できてないから、あとで渡しに・・・」

そこまで言うが早いか、スツルム殿はクッキーをヒョイとつまむと、そのまま自分の口の中に入れてしまった。

「・・・うん、いつも通りおいしい。しかし、そんなに気になるならば、いつも作ればいいものを」

「えぇ、スツルム殿、そういうこと言っちゃう?まったくもぅ、わかってないなぁ。こんな感じで、一年のうちに一回とかのほうが、特別なものって感じがしていいじゃんねぇ」

とか言いながら、時々茶請けのお菓子を自作しているのだが、それは内緒である。

「ドランク、紅茶を入れてもらってもいいか?一緒に食べよう」

「ホワイトデーのお返し、毎年こんな感じだけどいいのかなぁ?」

「何を言っているんだか。もらった側が提案しているなら、別に問題ないだろう」

それもそうだなと納得し、紅茶を入れるためにお湯を沸かす。そうしている間に、スツルム殿はクッキーを皿に盛り付けるとそのまま食事場のほうに持って行った。

少しして、紅茶の道具一式を持ってスツルム殿の座っている正面に腰掛け、紅茶をいれる。

「それじゃあ、「いただきます」」

そうして、食堂にて、小さな茶会が開かれたのだった。

 

~食堂前廊下~

 

「できれば隠しておきたいって言われたから見張ってたけど、通しちゃったらいっちゃんまずい人通っちゃったと思ってたんだけど」

「案外平気っぽくね?ただ、これ以上覗くのはまずいべ」

「というか、俺ゆぐゆぐにお返ししに行かなきゃいけないから、ちょっと抜ける」

「「おけ」」

そうして、食堂は一時的に封鎖されたとかなんとか。




食堂前廊下のは文字数稼ぎです。


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プロローグ

~???~

 

ベッドに横になってグラブルやって寝落ちして、目が覚めると真っ白な空間にいた・・・なんていうテンプレな感じは全部カットされ、気が付くと僕はそこにいた。というより、転んだ拍子に思い出したといったほうが正しいのかもしれない。転んだ、といっても軽いもので、少しだけ後頭部を地面にぶつけただけ、上級生に水筒の底で殴られるよりはダメージは少ない。とりあえず言いたいことがあるが、こんなところで叫んだら変人に思われるかもしれないので押さえておく。叫ぶなら心の中でに限る。

(というわけで言わせてもらうけどドラスツが見たいとは思ったことあるけどドランクに転生とかふざけてんのか!あ、なんかだんだん思い出してきた。そう、どこかポンコツっぽい雰囲気させた女性にあった気がする。この世界に来る前に!え?実はあんまり覚えてないだけで神様転生だったんですか?だったらその時の俺はなんでドラスツが見たいですって言わなかったわけ?その時の俺ってば寝ぼけてたのかな?そりゃそうだよね寝落ちした直後ぐらいに呼び出されてんだもん変な思考回路していたに違いない! ・・・寝起きの思考回路(それ)が原因でこんなことになったうえに記憶もあやふやなんだろうね!あぁもうやってくれたな!しかし、こうなってしまったのならば仕方がない。俺のことだからとりあえず転生先の世界がグラブルなのは確定だろう。だってそれ以外アニメもゲームも書籍も知らないし。つい最近習った世界の島の勉強とか言ってポート・ブリーズ群島とかあったし、それ以外にも聞き覚えとか見覚えのある島の名前もあった。騎空団とかもあるって話だし、間違いないと思っていいだろう。となれば後はスツルムに会わねば・・・いや待て、そういえば近所の女の子がそんな名前だったよな?赤髪だったし、ドラフだし・・・)

そこまで考え、ふと上を向く。小さくため息がこぼれるが、気にしないことにする。

「・・・実はもう会ってたのかぁ。運命の力とでもいうのかねぇ・・・」

そんな風にぼやく僕は、とりあえず周辺の状況を確認する。まず、転ぶ前に持っていた本、それはすぐ近くにあったので、割とすぐに回収できた。たしか、魔法について載っている本だったはずだ。それを拾い、立ち上がる。周辺には建物らしき影は見えず、近くに木があったので、その下に行って座る。本を開いて、読み進めることにした。これから先必要な知識があるのだ。読まないわけにはいかない。そもそも、記憶が戻るまでにも何度も読みなおした内容だ。実は半分ほど暗記できている。現在の年齢は確か九歳ほど、スツルムも同じ年に生まれたので、同じく九歳だろう。そんなことを頭の片隅で考えつつ、僕は本に意識を向けるのだった。




というわけで始まりました。新作です。気が向いたら投稿されます。もしかしたら凍結後に削除します。感想が来ると更新速度が上がる・・・かも?


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あれから数年経ちました

できたから投稿。グダグダです。

ドランクの日記より一部抜粋

記憶を取り戻してから数年、体を鍛えていたことにこれほど感謝する日は、これから先そうそうないだろう。あのスタンピードから早数日、僕らは五体満足で生きている。


~???~

 

全く、体を鍛えておいてよかったよ。こんなことになるのは想定外だったけど、それでも彼女を護れたんだから。

「あっはっは、思ってた以上に痛いですね・・・スツルム殿、全力で逃げますよ!殿は僕がやるので、気にしないで隠し倉庫の船まで走る!『スリープ』!」

「馬鹿を言うな!ドランクお前、もうすでに片腕が使えないじゃないか!」

「そこは気合とスツルム殿に対する愛で何とか持たせますよ!ほら、剣片方渡すので、前から来たらお願いしますね!『パライズ』!」

僕の魔法を受けるたびに足をからませ転ぶ魔物たち。そんな魔物を踏み砕きながらこちらに走ってくる他の魔物を見ながら、全力で走る。二本もっている剣を一つ彼女に渡し、もう一本の剣に手を置きながら全力疾走する。あと一、二分で目的の場所に着くが、下手をすれば操作中に襲われかねない。そう思い、何かあった時の保険として用意しておいた魔具を地面に叩き付ける。灰色の煙が立ち込め、襲いかかってくる魔物たちを石に変えていってくれるはずだ。そして、僕たちの目の前に一つの小型船が見えた。

「ついた!これがあれば何とか逃げ切れる!」

そういいながら、僕はスツルムを後ろの座席に押し込み、自分もすぐに前に座る。これは僕が自作した小型船だが、とりあえずテストもしたので大丈夫だろう。エンジンをかけ、レバーを動かす。少しずつ走り出したところで、横から魔物たちが現れるが、もう遅い。速度は少しずつ上がり、僕らはそのまま空へと飛び立つのだった。

 

~ポート・ブリーズ群島 病院~

 

そんなことがあってから早数日、僕たちは運よくポート・ブリーズの町の近くに降りる・・・落ちる?ことができ、僕の状態を確認した町の人が病院まで運んでくれたと、目を覚ました時にスツルムに教えられた。少し前まで泣いていたのか、目の周りが赤くなっていた。ちなみにそのあと来た医者の話では、不時着した直後にスツルムが僕を引きずり出して、何事かと騒いでいた町の人たちに僕を病院に連れて行ってくれと頼みこんだらしい。それを聞いてスツルムを見ると、顔を林檎のように赤くしていた。とても可愛くてイイと思います。それはそうと、僕の体の状態を話してくれたのだが、思っていた以上に深刻だったようだ。負傷した片腕はしばらくしびれが残るので、その間無理に動かさない事。治らない状態で十回ほど動かしたら完全に駄目になるらしい。その時は腕を切り落として義手をつけるしかないとか。それと、細かい傷から毒が入っていたらしく、解毒うんぬん以前に、よく生き残っていたものだと笑われた。笑い事ではないが、生き残っているのでよしとする。そして治療費についてなのだが、とある商人から金額の書かれた紙とともに渡されたものを使ったらしく、とりあえず場所分の代金として百ルピだけ払ってほしいそうだ。治療代はその商人に直接返してほしいとのことだった。聞いた話では、赤い瓶に入ったものらしく、エリクシールというものらしい。そう、グラブルをやった人なら聞き覚えのある名前だろう。僕もよく全滅したときとかお世話になりました。そしてそれとほぼ同時に思ったのは、

(これは金額を見るのが怖いな)

ということくらいだ。主人公たちみたいに百何本も持っている方が異常な薬品だ。いったいいくらになるかなんて知りたくもない。

「ちなみにいくらだったの?」

「・・・宝晶石という、めったに見つからない不思議な宝石百個だそうだ。返すまでの期限は、私たちが死ぬまでに返してくれたらいいといっていた」

これは長いと取るべきなんだろうか。しかし、ガチャ石ですか・・・百個、クエストとかやると普通に五十個もらえていたような奴だけど、この世界に来てから一つとしてみたことがない。というかどこに存在するのかわからないのだが、それについては聞いていてくれているだろうか・・・

「その人、どこで手に入る~、とか言ってた?」

「いや、そのようなことは言っていなかったが、極稀に魔物の体内から出てくることがあるらしい。ただ、強い魔物で五個あればいい方だ、といっていた。弱い魔物なら、百体に一個出てくるかどうかだそうだ」

それを聞いて、思わず頭を抱えたくなる。まさかそこまで出にくいとは思っていなかった。いや、当然といえば当然か。しかし、それでは返すのにどれだけかかるかわからない。死なない程度にコツコツ集めるにしても、同じ島で何千体単位で殺すわけにはいかないから、島をちょくちょく移動しなければならない。

「あとは、『私が発行している依頼十回で一つ分という扱いにさせていただきます~、あ、きちんと報酬の方も出しますよぉ?』と言っていたな。名前は確か、シェロカルテと言っていたはずだ」

あ、よろず屋さんでしたか。なるほど、それでさっきの宝晶石。たしかに百個で一つと交換だったね。

「とりあえず今は休んでいるといい。いくら薬の効果で毒がなくなったとはいえ、まだ多少だるいだろう?」

「・・・うん、そうさせてもらおうかな。それじゃ、お休み・・・」

そうして、僕の意識はゆっくりと、薄れていくのだった。




まえがきを少し書き加えました。また気が向いたら消えたり増えたりするかもです。


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最初の仕事は

~ポート・ブリーズ~

 

あれから二日、体調も全快した僕たちは、何をするにもお金は必要だということで、比較的楽に稼げる方法を考えていた。ちなみに現在の所持金では、ほんの十日程度ですっからかんになるだろう。武器の整備にもお金がいるし、実際はもっと早くなくなる可能性が高い。

「というか、シェロカルテ殿に聞きに行けばすべて済むのでは?」

「・・・それもそうだな」

ということで、シェロカルテを探すことに。依頼料自体はもらえるといっていた(らしい)ので、できることなら依頼を受けたい。とはいえ、今の装備では心もとない。数日は稼ぎが少なくても安定して攻略できるクエストが望ましいと考えてしまうのは、やはりわがままなのだろうか。などと考えつつ、騎空挺を止める桟橋に向かって歩き出す。聞いた話によれば、彼女はそこで騎空団相手に商品を売っているらしい。

「いらっしゃいませぇ~、おやおやぁ?そこにいるのは、あの時エリクシールを使われた方ですねぇ?ご快復なされたようで何よりです~」

「その件に関しては本当に感謝している。それと、急な話で悪いのだが、この島の中でできる仕事などはないだろうか」

スツルムがそういうと、まるで予想通りだったとでも言いたげにシェロカルテが笑みを浮かべる。

「そういうことなら、ちょうどいい依頼が来てますよぉ~?この近くに現れた魔物の討伐依頼なのですが、それほど数も多くなく、比較的弱い個体が集まっているそうですぅ。もっとも、簡単な仕事なので、その分報酬の方は比較的安くなるのですが~」

彼女はそういうと、一枚の紙を取り出す。そこには、ウィンドラビット、ドリフトフライの討伐と書かれていた。さらに、下の方を見ていくと、どちらか一体あたりにつき10ルピと書かれている。

「この依頼自体は常に発行されているものなのですがぁ、今は少し多くなりすぎたということで、5ルピ分ほど値段が高くなってるんですよぉ。あ、討伐した証として、ウィンドラビットなら耳を、ドリフトフライなら羽を切り取ってきてください~」

ちなみにこの報酬だと、二十体ほど倒せば小さい宿で食事つき、といったところだろう。そこまで確認した僕たちは、この依頼を受けることに決めた。

「それとぉ~、一部の魔物の変異体が見つかっているらしいですぅ。その個体たちについては、一頭丸ごと納品してくれれば、五十ルピと保存食をお渡ししますぅ。あ、もちろん、サイズ次第では金額やお渡しする保存食の量が増えますよぉ?」

それでは頑張ってください~、という言葉を最後に、彼女は別の客の接客に戻っていった。僕たちの最初の仕事は、どうやら魔物討伐になりそうだ。・・・いや、楽だからいいんだけれどね?




借金表のようなもの
宝晶石 100個
クエスト十個で一つ分

現在受けているクエスト

ポートブリーズに大量発生した魔物の駆除

内容
ウィンドラビット・ドリフトフライの討伐 討伐対数は任意だが、三十体ほど討伐して一つ分と換算する
討伐証拠
耳・羽 どちらでも構わないが、基本は右側。羽の場合は背中から見て右上のものでよい
報酬
10ルピ(5ルピ)今回は個体数の多さから金額に補正がかかっている。

特殊
変異種である魔物(ダライアスバニー)の討伐 一頭丸ごと持ち帰るのが前提条件。一匹当たり一つ分
討伐証拠
一頭そのまま持ち帰ること
報酬
50ルピと保存食(保存食の分だけ金額を上乗せすることも可。最大100ルピ)


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