東風谷早苗は頭に緑のカチューシャを着ける。 (木工用)
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東風谷早苗は頭に緑のカチューシャを着ける。表
「早苗様、町をお救い下さい......!」
はい、必ずお救いいたします......
東風谷早苗は、現人神だった。
「早苗ちゃん、今日は学校行こ!」
はい、今日は行きますよ!
東風谷早苗は、学生だった。
「早苗さん、趣味とかあるんですか?」
うーんと、料理や散歩、ゲームなんかも......でも一番はそのときそのときを楽しむことですかね!
東風谷早苗は、誰よりも楽しそうに生きていた。
「早苗は、好きなものはなんだ?」
山の頂上から眺める景色です!
東風谷早苗は、町を愛していた。
東風谷早苗は、完璧な現人神だった。
「早苗お姉ちゃん!」
なあに?
そんな東風谷早苗は、お姉ちゃんだった。
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「私、お姉ちゃんみたいになりたい!」
うん、
「そうかな~......?」
お姉ちゃんは、私と見た目はそっくりでも、中身が全然違っていた。
身長も、顔も、靴のサイズまで体は似ていた。唯一色が違う髪さえ帽子で隠せば、町の人なら騙せてしまえるくらいに。
× × × ×
「お姉ちゃん、ゲームしよ!」
やりましょう! 今日は何をやりますか!?
「―――!」
お姉ちゃんとゲームをやるのが楽しかった。
お姉ちゃんはゲームとかネットのことになると目を輝かせてくれる。そして誰よりも強かった。私も強かったんだけど、お姉ちゃんにはなかなか勝てない。
× × × ×
「お姉ちゃんの髪は綺麗だね!」
ううん、
「えー?」
お姉ちゃんの髪はとても綺麗だった。
腰くらいまで伸びた緑色の髪は、和の趣を前面に威風堂々と構えるうちの神社を背景にお姉ちゃんが立ったとき、自然と輝いて見える。そんなお姉ちゃんを、私は町の人たちと同じ黒色の髪を揺らしながら、町の人たちの中に混ざって見ていた。
× × × ×
「お姉ちゃん、神様ってどんな人なの? 偉そうにおひげ生やしてるおじいさん?」
クスス、違いますよ
「へー、お姉ちゃんには見えてていいなー」
お姉ちゃんには、神様が見えていた。
話もして、一緒にご飯を食べることもあって、一緒に笑って、泣いていたらしいところも見た。
祭事のときには、合図とともに神の奇跡を起こしたりして、町の人を驚かせていた。
私から見たお姉ちゃんは、そんな"人"だった。
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――――んな、そうしたら―――様と―――様は―――
「......?」
ある日、夜中にお姉ちゃんの声が聞こえた。
―――ですが、―――――したら、―――様と―――様はもう―――――?
私のこと―――――。それより―――はどうなるんで――。まさか―――――で一人―――。
―――りました。ですが一つだけ――――――。――になるのは―――ではなく―――
「何の話をしてるの、お姉ちゃん?」
気になって、私は障子の向こうにあるお姉ちゃんの部屋に向けて声をかけた。
......ごめんね、起こしちゃった。大丈夫よ、
「......うん。お姉ちゃんは凄い"人"だもんね」
......寝ましょ。明日は祭事の片付けをしなきゃ。
「うん。おやすみなさい、お姉ちゃん」
......おやすみ。
この日から、夜中にお姉ちゃんの声を度々聞くようになった。
× × × ×
「お姉ちゃんのバカ!」
......
「ふんだ! どうせ私にはできないもん!」
そんなお姉ちゃんのことが、とても羨ましかった。
お姉ちゃんのようになりたいって思って、いろいろやってみたかった。
でも、やらせてくれなかった。一番やりたい祭事は全面的に禁止されてて、中でも一度は持ってみたい
......本当はわかってた。私は私であって、お姉ちゃんにはなれなかった。
私には無くて、でもお姉ちゃんにはあるものが、とてもたくさんあるからだ。
× × × ×
「ごめんね、お姉ちゃん......」
はい。私も
「うん......ねえ、ゲーム、しよ?」
はい。でも今日も負けませんよ? そうですね、もし今日の私に勝てたら、買ってきたこの緑のカチューシャをプレゼントです!
「望むところだ! うおおおお!」
でも、私はお姉ちゃんが大好きだ。
誰からもいい目で見られ、祭事を取り仕切り、なかなか行けない学校でも評判がよく、まるで神様のように見られることもあるお姉ちゃんという"人"が、大好きだった。
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「わっ......!?」
大丈夫よ。ただの雷だから。神社の中なら安全だから。神様が守ってくれるから。
「じゃあ、神社の外は危険なの? 町の人は?」
大丈夫よ。大丈夫。神様は凄いんだから。
「そっか。じゃあ安心だね!」
ある日、町を嵐が襲った。
この町は少し標高が高くて天気が荒れやすいのだ。だから嵐の前の日はうちにお祈りする人が多くて、お姉ちゃんも忙しいんだ。でもお祈りの効果はてきめんで、お祈りに来て怪我をした人はいないんだって! 嵐の次の日は町の人からお姉ちゃんが感謝される日って決まってて、神様って凄いなーって、思ってた。
......でも、その日は違った。お祈りに来てた人から、何人か怪我人が出てきちゃって......その嵐の次の日、お姉ちゃんは謝ってばかりだった。
× × × ×
―――ですが、それだと――――――。
―――そんな方法が―――しかし―――――だと、―――――が必要に―――。
―――そんな―――――あの子――――――
「......まただ」
その日から数日後、また夜中にお姉ちゃんが誰かと話しているときに起きてしまった。
たぶん、神様とお話をしてるんだろう。私には神様の声は聞こえないけど。
× × × ×
「よいしょ......あった」
気になった私は、どこかに何かないかと、最近一ヶ月くらい行ってなかった学校に行ったお姉ちゃんに内緒で、部屋を漁ってしまった。
そしたら、祭事を記録するノートやお宅訪問ノートやらの奥に、ピンク色の日記帳を見つけた。
どれどれ――――――
× × × ×
「ごめんなさい......」
私の日記帳を見るなんて、どうしたんですか。気になることがあるなら直接私に聞いてください。
「うん......」
日記帳を読んだことが、その日の夜にバレた。たぶん神様に見られてたのだと思う。私には神様の姿は見えないけれど。
「お姉ちゃん、今、神様はいる......?」
神様には、姉妹水入らずで話すと言って下がってもらいました。近づいてきても、もし神通力で盗み聞きしようとしてきても、私にはわかりますから、そういうことはしないと思います。
「そっか......じゃあ......」
ええ......姉妹水入らずの話を、しましょうか。
その日は、時計の針が全部右を向くまでお姉ちゃんと話し続けた。
明日は、嵐の前々日の日だった。
× × × ×
「お姉ちゃんは、現人神だった」
町の誰からも好かれ、お祈りされ、町のために働くその姿は、まさしく現人神だった。
「お姉ちゃんは、学生だった」
それでも行けるときには学校に行き、行けないときは授業の分を自力で学び、神事についても親や神様から進んで学び、勉強して、勉強して、勉強していたその姿は、学生だった。
「お姉ちゃんは、楽しそうに生きていた」
どんなときも楽しそうに、どんなとき笑って、その笑顔で人々を救っていたとさえ言われるその姿は、町に活力を与えていた。
「お姉ちゃんは、町を愛していた」
忙しい月でも、必ず一ヶ月に一回は山の頂上からの景色を見るのを止めなかった。散歩と称して町の人々を訪問し、困っていることがあれば助け、町の運営に改善策が出れば身を粉にして実現させようと働きかけ、町を守ることに誰よりも積極的に行動していた。誰よりも町を愛していた。
東風谷早苗は、完璧な現人神になってしまった。
「やっとわかったよ、お姉ちゃん」
その日から、町に嵐が来ることは無くなり―――
―――その日から、町に東風谷早苗の姿が見られることは無くなった。
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「では、今日も行って参ります!
神奈子様! 諏訪子様!」
『おう、今日も頑張ってこい、早苗』
『夕飯までには帰ってくるんだよー、早苗ー』
「大丈夫です! 私は一人ではありませんから!」
白と青の風祝服に、蛙と蛇の髪飾りと白の靴下。
東風谷早苗は、今日も
『......なあ神奈子よー』
『ん、どうした諏訪子』
『早苗さー、向こうじゃあんなカチューシャしてたっけ?』
『さあな。こっちに来てからかもしれんが......気になることか?』
『あー、うー......まあいいか。早苗だって女の子だ。おしゃれくらいするか』
頭に緑のカチューシャを着けて。
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東風谷早苗は頭に緑のカチューシャを着ける。裏
「
はーい! お姉ちゃん!
私には、妹がいた。
「
楽しいよ! 明日はお姉ちゃんも一緒に行こ!
妹は、普通の人間だった。
「
うーん、ゲーム!
妹は、私とよくゲームしてくれた。
「
おっしゃ! その勝負乗ったよ!
妹は、私のわがままに付き合ってくれる、至って普通の人間だった。
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「今日もいつも通り、最高の町でした......と」
○月○日
今日は学校に行きました。期末テストがあったから。特例を認めてもらってるとはいえ、こういうのは受けないわけにはいきませんからね。
手応えは上々。友達と"一緒に30位以上に乗り続けてやろうぜぃ!"と楽しんでいるけど、問題は無さそうだ。
午前でテストが終わって、帰ったあとの午後は町内を散歩して回った。時間があるときでないとこういうことはできないから、時間がとれて良かったなあ。
よく参拝にお越しになる方や神社にゆかりの家の人には、わざわざお声かけしてもらえる。商店街の人からはよくものをいただいたりする。こういう人の暖かさに触れると、私も頑張ろうって思う。
帰ったあとはお夕飯を作って、妹と食べて、そのあとはゲーム! 今日も妹には負けなかった!
うん。今日もいつも通り、最高の町でした。
× × × ×
「できそうにありませんけどね。と......くぁぁぁ、眠いなあ。もう寝ましょうか」
×月○日
今日は朝から忙しかった。待ちに待った祭事の日だったのです。
周りから私と瓜二つと言われる妹だが、神事だけは私にしかできない。そのように生まれてしまったからだ。
もし、私の力を妹に貸すことができれば、という思いをこの日がくるたびに抱く。今の私にはそんなことはできそうにありませんけどね。
× × × ×
「......どうして、私にだけ見えるのでしょう。神奈子様、諏訪子様」
△月×日
今日、妹から"神様ってどんな人?"と聞かれました。
神様なのに人と聞かれて少し笑ってしまいましたが、実際私にだけ見える二柱の神様も見た目は人の形をしていますので、カッコいいお姉さんとカワイイお姉さんだと教えました。
妹は私が神様のことを見えることを羨ましがってました......私からすれば、皆さんに私の二人の素敵な"家族"を見てもらえないことが、堪らなく悔しいくらいなのですけれどね。
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「隠れ里、か......」
△月○日
昨日の夜、神奈子様と諏訪子様より神託を賜りました。何でも、今の世の中において存在し続けるための信仰を維持することに限界を感じ、以前から目をつけていた隠れ里を新天地として新しい信仰を手に入れようとのことです。
いろいろな話をしました。この町はどうするのか、私はいいとして妹はどうするのか、それほどまでに危機的状況なのか、その隠れ里とは―――
「何の話をしてるの、お姉ちゃん?」
そこまで話そうとしたところで、妹を起こしてしまいました。夜中にうるさくしすぎたかもしれません。
昨日の夜はここで一旦話を切りました。もう夜が遅いというのと、焦らずじっくり考えていきたいというのと......まあそんなところでしょう。
迎えた今日、祭事の片付けに身が入らず、妹に手を借りたのは、何とも情けなかったです。
× × × ×
「何を用意しましょうか......」
◇月○日
妹と喧嘩しました。
祭事に使う神聖なものを、遊びのように振り回しているところを見たからです。
......あれは反省です。そのときに私が「貴女には神様のことはわからないのですから」なんて言ってしまったので......妹がそのことを気にしているのはわかっていたことなのに。妹は何も悪くないのに......
今度、期を見て謝ろうと思います。そのときには何かをプレゼントしたいところですね!
× × × ×
「あのときの
♪月♪日
妹と仲直りできました!
お互いに仲直りしようとした日付がダブって「「あのね?」」と声が重なってしまったあたり、私たちは最高の姉妹だと思いました。
仲直りの品として用意した緑のカチューシャですが、いつのまにかゲームの景品と化してしまい、そしてその日の妹は異常に強く、完膚なきまでにボコボコにされました......悔しい。
でも、妹のために丹精込めて用意したカチューシャなので、ちゃんと渡せて良かったです。妹の嬉しそうな顔は、この日の私の宝物です。
やっぱり、私は妹が大好きです。
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「.....................」
÷月-日
昨日の嵐、神様が町を守りきれず、怪我人を出してしまったそうです。
いつもならこの町の人は祈りを捧げることで神様の加護をその体に宿し、嵐などの難から身を逃れていました。ですが今回はそうではありませんでした。
理由は、やはり神様の弱体化でした。以前から話していた、恐れていたことが現実になりつつあるのです。このままでは神様が居場所を無くし、力を失うことで、以前話していた隠れ里へと居場所を移すことも叶わなくなるかもしれません。
......明日からは、問題から目をそらさずに話の続きをすると決めました。大切な"家族"を失いたくはありませんから。
× × × ×
「......私は、どうすればよいのでしょう......」
⊥月≪日
あれから何度も話し合い、自分の頭でも何度も考えました。どうすれば、どうすれば、と。
全員で件の隠れ里―――幻想郷に移ることは可能です。それどころかそれが一番簡単なまでありました。ですが......それはこの町を見捨てて逃げることも同義です。私たちを信じて、私たちを大切に思ってくれている、私の大好きなこの町を、無情にも切り捨てる......そのようなこと、私にも神様にもできません。
そうなると、誰かがこの町に、神社に残らなければなりません。
神様のお二方は論外です。お二方には信仰を求めて幻想郷に行ってもらわなくてはなりませんから。
そうなると、残るのは―――
「お姉ちゃん、どうしたの?」
「......何でもないよ? 今日も一度も負けたくないなーって思ってね」
「むっ! 随分と自信満々だねお姉ちゃん! カチューシャの日から勝ち続きだからって調子にのんないでね!」
―――私は、どうすればよいのでしょう......
× × × ×
「ごめんなさい、
⊥月○日
妹に、この日記帳を見られてしまいました。諏訪子様が見つけたのを教えてくださったのです。私は学校に行っていたので、その隙にと部屋に入り込んだのでしょう。
「お姉ちゃん、今、神様はいる......?」
......そうですね。見られてしまった、知られてしまった以上、隠し通すことはできませんね。
奇跡的に、今日は神様のお二方はよそに出かけており、明日の朝まではお帰りになりません。姉妹水入らずで話すには絶好の日です。
私は妹とこれからのことを話し合いました。新天地に移り住むこと、神様の信仰が不足していること、もう猶予があまりないこと......全てを包み隠さず打ち明けました。妹も何か良くないことが起こっていることは察していたらしく、静かに聞き入れてくれました。
「お姉ちゃん、私たちはどうすればいいの?」
......その答えは私が知りたいと思いながらも、私は自分の考えを妹に話しました。
ずばり、町を見捨てないためには、私がこの町に残らなければならないことを、です。
「......お姉ちゃん、一人で?」
......妹には、神の力を扱う能力があまりありません。神様の補助があれば可能だと思いますが、一人ではどうにもならないというのが現実です。
そして神様は残れない。となると残るのは、私一人しか―――
「ダメだよ、そんなの! お姉ちゃん一人だなんて、そんなのダメだよ!」
......しかし、隠れ里―――幻想郷に行った先でも、神様には風祝が必要。一人は幻想郷に行かなければ......
「......いつもそうだ......私が......私がお姉ちゃんになれれば......!」
―――このとき私は、何を理由に後の言葉を言ったのでしょうか。誰のために、何を思って、妹に在り方を押し付けるようなあの言葉を......
......ねえ、
お姉ちゃんに、なってくれる?
× × × ×
「ありがとう、
月 日 最後の日
神は人には見えない。それはこの現実において当たり前のこととなっている。町にいる誰にも神様のことは見えないし、声も届かないし、触れられない。
ならば何故、私にはそれが適用されないのか。
答えは簡単、私も神、現人神であるからだ。
「バイバイ、お姉ちゃん......元気でね」
「貴女も......元気でね」
祈りを糧に、信仰を力に。
私は、神の力を以て、神社を五芒星の魔方陣で囲い込み、遠く遠くの隠れ里―――幻想郷へと送り込んだ。
× × × ×
私が東風谷早苗という人であれたのは、妹のおかげでした。妹という"普通の人間"が誰よりも側にいたからこそ、私は"神"ではなく"人"として現実にいれたのだと思います。
そして"人"としての東風谷早苗を
私は、今日も
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日記から破り捨てられた一ページ
⊥月×日
東風谷早苗に対しての信仰は、東風谷早苗の元に集まる。それは当然のこと。
これを応用し、幻想郷に送った東風谷早苗が集めた信仰を、現実にいる私が受けとる。これが、私と妹が計画した、全てを守りきる最後の手段。
「貴女と私は、信仰で繋がる。貴女が受ける信仰は私を神として強くする。逆に人である貴女が力を必要としたときは、私が神の力を貴女に与えられる。
これで、私たちは一緒でいられる。独りじゃなくなる」
でもこの計画には、東風谷早苗が二人必要だった。
だから私は、
「えへへ、似合ってるかな」
うん、とても似合ってるよ、緑の髪。
「やったー! お姉ちゃんとお揃いだあ!」
うん......最後に、これ。
「......これは......」
これだけ......この
でも、でもね......だからこそ忘れないでほしいの。貴女は"東風谷早苗"であって"東風谷早苗"でないこと、そして、こっちで生きている"東風谷早苗"のことを......お姉ちゃんが貴女にする最後のわがままなんだから、聞いてほしいかな......?
「......うん、わかった。大切にするよ」
うん......それでは改めてまして! お姉ちゃんから立派になった貴女に贈る、東風谷早苗の思いが込められたプレゼント、です!
そう言って私は、東風谷早苗の頭に緑のカチューシャを着けた。
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