「...ん......うわーん.....うわーん.....」
誰かの泣き声が聞こえてくる。目を向けるとそこには、1人の頭を抱えてる男の子を囲んで男の子たちが何かを言っている。
「お前.......キモいんだよ!」
そこから男の子たちが頭を抱えてる男の子に罵声や蹴ったり砂をかけたりしていった。止めに入ろうと思ったが、頭を抱えてる男の子の顔を見て止まってしまった。
「大丈夫ですか?」
気付けば、先ほどの男の子たちは居らず苛められていた男の子と1人の女の子がいた。誰だろうかと顔を見ようと思ったが、男の子が口を開いた。
「.......なんで......優しくしてくれるの?僕は.....こんなブサイクだし......皆からも気持ち悪がられるのに.......」
その瞬間自分の体が全く動かなくなった。男の子を見ることしか出来なくなった。そして、その男の子が涙目で怪我を手当てしてくれる女の子に恐る恐る聞いてみると
「.....貴方が優しい人っていうのを知ってるから.....ですかね?」
「え?」
「私.....何度か見たことあるんですよ?貴方が自分より小さい子どもが泣いているとすぐに駆け寄って心配して、慰めたり....」
「......」
「そして、昨日でしたかね。高い木に風船がかかって泣いている子どもと困ってた親を貴方が見つけて、怪我するかもしれないのに、必死で木に登って風船を取った上げた......そんな貴方を知ってるから.....助けようと思ったんです....」
そう女の子が言い終えこちらに顔を向けた。
「あぁ.......貴方は.....」
いつの間にかボロボロと涙を流していた。そう....彼女は.....自分が生きる切っ掛けを与えてくれた人で自分の......
「......ん......ゆ....けくん....
「っ!は、はい!」
いつの間にか寝ていたのか。車の中というのにぐっすり寝ていたようだ。助手席の学校の先生「山田先生」が自分の膝を揺らして起こしてくれていた。
「もう起きてください。あの、学校に着きますよ?」
「あ、すみません。起こしてもらいありがとうございます。山田先生。」
そう、自分は学校.....IS学園に向かっていた。
「だ、大丈夫ですか?」
「?な、何がですか?」
「え、いや、その、涙を流しているので.....怖い夢でも見たのかなぁ~って.....す、すみません、変なことを」
そう言われ手で肌をさわると本当に涙を流していた。
「あ、いえ、大丈夫です。怖い夢ではありませんので。どちらかというと、希望をくれる夢なので.....」
「希望をくれる?」
「はい......俺に....生きる意味をくれた人の出会いの夢なので!」
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2話
起きて数分後にIS学園に着き、教室の前まで案内してもらった。その教室は「2組」であった。
「では、私はここで。大変だと思いますが頑張ってください!」
「はい、ありがとうございます。」
そう挨拶が終わり教室に入っていった。そこには....女子女子女子.....流石、あの1人目や俺が発見されるまで女子だけの学園だっただけはある......しかも、全員が自分に注目してきて.......まぁ、大会とかで多くの人に見られるから緊張はあまりしないが......
「え?あれが2人目?」
「私たちのクラスなんだ....」
「....やっぱり....あの最初の人より....」
「うん.......顔が残念....」
そういえ声がヒソヒソと聞こえたりして、ため息をつきそうだったが顔を上げて自分の席に向かい座った。
「(何回も聞いてきたが.......これだけは慣れないなぁ.....)」
嫌な気持ちにもなりながらも、ISについてまだまだ未熟なので数週間前に渡された辞書以上あるこの本を授業が始まるまで読むことにした。
そして、全ての授業終了後
「(՞ةڼ◔)」
「え?なに?あの顔(ドン引き)」
やっと授業から解放された俺。渡された本の通り勉強はしていたが.........俺が苦手な理系と同じじゃねぇか!!!!あははは、そうだった!あれは語録と写真でどのような物かや歴史とかだけで、今日渡された教科書は理系に似てるやつだ.....もう、オデノカラダハボドボドダ....しかも、危険だと分かって勉強しようにも、1時間目の自己紹介で
「えっと、俺.....私の名前は岡本勇介です。趣味は本や音楽を聴くこと。中学では帰宅部でしたが、中学の終わり頃まで祖父と周りの人に鍛えられているので身体を動かすことも得意です!こんな俺....私では嫌かもしれませんが!よろしくお願いします!」
と、顔を真っ赤にしながら言い、話す切っ掛けを作ったつもりが、逆に聞きにくる人が多過ぎて、勉強に手に付かず、2時間目から最後の授業まで「ひぃひぃ」言いそうにながらも頑張って終わった。これだけは言える。
「YES!文系!NO!理系!」
と、そう考えていると
「ねぇ、岡本君。」
横から声をかけられて、振り向くと茶髪の女子だった。自分は一番後ろで窓側の席だから結構人の位置が見えやすい。この子は真ん中の席の女子で名前は.....確か.....
「えっと....神崎さん....だっけ?」
「あ、覚えてくれたんだ。えっと、山田先生が呼んでるよ?」
「え?うわっ本当だ!ごめん、ありがとう!」
「いいよ、大丈夫だよ」
神崎さんにお礼を言い、入口にいる山田先生の元へ荷物を持って向かった。
「どうしたんですか?山田先生」
「いえ、説明は歩きながらで、良いですか?」
「?ええ、構いませんが.....私、ホテルとかに戻らないといけないから、時間があまりないですが.....」
「あ、そのことなのですが.....」
「?」
山田先生が言うには、今日中に男子二人の部屋の準備が出来たから、鍵を渡すということだ。ん?
「先生。それなら、教室前で渡せば良かったのでは?」
「岡本君には鍵を渡した後に別の用があるので、ちょうど織斑君も職員室に居ますので、一緒に渡そうということで....」
「なるほど」
話をしていると職員室に着いたようだ。
「あ、あそこにいるのが織斑君ですよ。」
と、職員室前の男子もこちらに気が付いたようだった。うん、なるほど。クラスの人が自分を残念がるほどのイケメンだ。自分の周りにも格好良い人はいたが......それ以上だな。そう考えていると、こちらに近づいてきた。
「あ、山田先生.....と、えっと、あんたが2人目の人だったよな。俺は織斑一夏!」
と、挨拶をしてきた。.......あー、俺の苦手なタイプだわ。理由は距離感だ。俺と織斑君の距離が近い.....近すぎる。俺も人と話す時は相手が怯えないようにや苦手だと思わない距離で話してるが、それを無視するように近い。.......顔に出さないように俺も挨拶することにした。
「あ、あぁ。お.....私は岡本勇介です。よろしくお願いします。織斑君。」
「別に敬語なんて良いよ!後、名前で「一夏」で良いぜ!せっかくの男子2人だしな!」
「あー、敬語はまだ知り合ったばかりですし、これは癖でもあるから。後、名前をそう呼ぶのは慣れてないのでこれからも「織斑君」で呼ばせて良いですか?」
「おう!良いぜ!あー、でも俺の姉がここで先生やってるから.....」
「?別に織斑君に対しては「君」をつけて、織斑先生には「先生」とつければ良いので大丈夫だと思いますが....」
「そうか?なら、これからもよろしくな!」
手を出されていたので、握手もした。.......
「織斑君って剣道か何かしてたのですか?」
「え?あぁ、してたよ。中学は帰宅部だったけど.....なんでわかった?」
「え?あぁ、私の友達も剣道やっててタコとか教えられたので、もしかしたらな....と」
「す、すげぇ....」
「凄いですね!岡本君!」
何故これくらいで凄いと言われるのかわからない......が、ちょっと嬉しかったりした。すると、後ろの職員室の扉が開くと、女性の先生が出て来た。
「おい、まだ山田先生は来て........来てるなら早く来い.....いつまで待たせるんだ....」
「あ、ごめん千冬姉 バンッ!!」
と、織斑君が言いきる前に手に持っていた出席簿で織斑君の頭部をクリーンヒットさせた。
「つぅ....」
「馬鹿者、学校では「織斑先生」だと言ってるだろ!」
この光景が分からなくて唖然をしてしまった。
「.....はっ!せ、先生!何やってるんですか!!ちょっ!織斑君大丈夫!?」
実の弟と喧嘩とかで拳骨や注意するのなら分かる。でも、出席簿で殴るってマジか!
「安心しろ!私の弟はそんなに柔に育ってない。」
「安心出来るか!ちょっと待ってて織斑君!氷を保健室から貰って来るから!」
「え、いや、勇介、俺は大丈夫だから。」
「頭を出席簿で殴られて大丈夫な人がいるか!」
すぐ様、山田先生に保健室の居場所を聞き向かった。
「あー、そのありがとうな。氷。」
渋い顔でお礼を織斑君が言ってきたが、
「はぁー、先生も先生ですが織斑君も織斑君です。たんこぶなど出来なかったから良かったものの......てか、他の生徒にもやってるんですか?あれ?」
と、織斑先生を見ると「無論だ!」という風に見える感じでそこにいた。
「.......他の生徒に「先生に暴力された!」って訴えられても知りませんよ。力づくでやっても世間が逃しませんからね?」
ともう一度先生を見ると、横に向いて汗を少し流してた.......この人は....
「ま、まぁ取り敢えずはお2人に鍵をお渡ししますね。」
雰囲気を変えるために、山田先生が話を切り替えてくれた。
「あれ?じゃあ、俺の荷物とかは?」
織斑君がそのことに気付き自分の荷物が心配になってきた。
「あぁ、お前の荷物は私が準備した。携帯の充電器と着替えがあれば充分だ。それから、岡本は、ホテルにあった物と.......これが届いていた。」
ホテルに置いてあったボストンバッグと銀色のスーツケースがあった。そこには「TLT」のマークがあった。
「え?TLTってあの特殊部隊の!?」
「TLT?」
「あぁ、私達が産まれる前からあった部隊らしくて....まぁ、要する自衛隊以上の組織だ。しかも、各国のエリート揃いが集まるな......何故、お前がそこの連中と知り合いなのかは知らないがな.....」
織斑君以上の職員の人達も驚いていた。理由も分かる。織斑先生が言ったように「TLT」は俺達が産まれてくる前からあった組織。すなわち、家の祖父母の時代にあった部隊で、その存在は公にさらされていなかったが、あることを境に存在全てを公にして今なお活動している組織。
「私の祖父母がそこの組織の部隊でして」
「え?マジか!」
「凄い人なんですね!岡本君のおじいさんは!」
「いえいえ、えっと、ある時「自分を変えたい」って祖父母に相談したら、そこの訓練所に連れられて中学卒業まで訓練していました。」
「そうか.....」
織斑先生が怪しい目線が気になるが本当のことなのだから仕方がない.......だって、俺も祖父母がそこの部隊だったなんて死ぬまでしらなかったし......てか、卒業してから「高校では普通に暮らす」という連絡してあまり関わりが終わったように見えたんだが......それよりは中身だ.....
「ちょっと、ここで中身を拝見しても良いですかね?」
「あぁ、既に爆発物ではないと確認し終えたからな。」
「分かりました......では」
鍵を渡され開けて見ると、中には丸い平べったい物と幾つかの.....装備が入ってあった。
はい、お気づきの人はお気づきの通りウルトラマンネクサスのような機体にするつもりで主人公の祖父母は弧門と凪です!この世界はネクサスの世界と繋がってると思ってください。
そして、主人公は一般的な顔です。苛められていて、「気持ち悪い」と言われたとは言え普通の顔です。でも、主人公は自分に自信が無く、いつも他人を上に見て自分を下に見ている。そういう主人公です。
後、宣伝しますが30日からウルトラマンネクサスがYouTubeで配信されるので気になる人は見てみください。
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3話
中には、丸い装置と様々な装備が入っていた。
「俺も見せてくれ。どれどれ......何だこれ?」
気になったのか織斑君も中身を確認しに来た。幾つかは自分が訓練で使っていたものだが......この丸い装置は.....気になってそれに触れると
ブンッ
「のわっ!」
装置がひかりびっくりして落としてしまったが、その装置の中心がひかり、白い服に包まれた人を映し出していた。
「え?何ですか!?」
「すげぇ!これ俗に言う立体映像だろ?ゲームみてぇ....」
『その通り』
「「!?」」
立体映像の人が突然喋って、織斑先生以外ビクッとなってしまった。
『初めまして、皆さん。僕はイラストレーター。TLTの作戦参謀です。』
「イラストレーター……じいちゃんらが言ってた人か.....」
自分は祖父母からイラストレーターについて少しだけ聞いたことがあり、存在自体は知ってたがこんなに若い人だったとは.....そう考えていると織斑君が
「あのー」
『はい?』
「その.....イラストレーターって本当に名前なんですか?」
『いえ、イラストレーターは自分のコードネームみたいなものです。』
「そ、そうなんだ.....やべぇ格好いい...」
「か、格好いいのか....」
「何だ?勇介は格好いいと思わないのか?」
「....最初はな....ところで、何故TLTの参謀が私なんかに、これを?」
話を切り替え、気になっていたスーツケースの中について聞くと
『ここの使われてる装備より使い慣れてる装備が良いかと思い、学園から許可も頂いてお送りしました。一応、技術者たちにも手伝ってもらいIS用の装備に仕立て上げました。』
「え?IS用?」
『はい、君には専用機は用意することは出来ませんでしたが交渉によって、学園の機体を貸し出しすることになりました。』
「そうですか.......じゃあ、これは?」
手に持って見せたのは訓練してた人達も着けてた物だった。
『それは、パルスプレイガー。優れものです。誰かに襲われれば、スタンガンなどにもなります。なので、しっかり説明書を読んでくださいね。』
襲われって.....そうだよな。他の国から狙われる可能性もあるし、男でISを動かしてるってことだから、そういう嫌悪してる人達にも狙われてる.....だから、自己防衛用ってことだ。
「すいません、ありがとうございます。」
『では.....それと勇介君』
それで、終わりかと思い片付けようと思っていたら、イラストレーターに話かけられた。
「はい?」
『初恋の人に出会えると良いね?』
「ヴオホッ!!!!」
「「え!?」」
何言ってんだ!この人!てか!!
「な、なななななななな何で!!貴方が知ってんだ!!!」
顔を真っ赤にして聞くと
『皆から聞いてるよ?それでは。』
と、すぐさま消えていった。......よし、今度あの人達にあったら文句いってやる!って考えていると、
「あ、あの岡山君」
「はい!?」
山田先生が隣から声をかけてきて背中が嫌な汗が滴り、嫌な予感がした。
「は、初恋の人がここにいるんですか!?」
やっぱり、聞きますよね?しかも、大声で......織斑君も気になるようで「お、おい勇介!いるのか!?」と迫ってくるし、織斑先生も「ほう、それは是非聞きたいな。」とさっきの仕返しか、囲まれ逃げることも出来ない.......
「......はぁー、ええ、正直に言いましょう.....初恋....というか、自分を.....生きるきっかけをくれた人ですね......ここにいるらしいです......」
いつの間にか素の喋り方になってしまったが、気にしない。
「生きる.....きっかけ?」
「......誰にも言わないでくださいね?」
そこから、自分の過去、何故変わりたかったことについて説明した。
今さらですが、お気に入りをしてくれた方ありがとうございます!
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4話
自分の祖父母と父は誰かを救う仕事だった。自分もそれに憧れて、父と祖父母は同じことを言ってた。
「どれほど、誰かに絶望して、どれほど自分が無力かを知る......でも、そこで諦めたら駄目だ!自分の心が酷く弱く脆くなる時がある。でも、自分を信じてくれる人がいる!自分がしてきたことを認められる時が来るから.......苦しみを乗り越えられる.....だから....諦めるな」
だから、子供ながらも泣いている人や困った人を見つけたら、助けにいったりしていた。その事が気にくわなかったのか、いつからか、いじめられていた。最初は笑って我慢していたが、だんだんと酷くなっていった。だが、助けることはやめなかった。でも.....
「自分がやってることは......誰かのためになってるんだろうか.....」
父と祖父母に憧れ「自分もあのようになれたら」って思い始めたことだった。でも、助けたとしても誰にも知られていないように思えてしまって......つらくなる一方だった。小学生になってからも続いた。
「格好いいと思ってんの?ヒーローぶってるとか気持ち悪っ!」
「こういうのなんて言うか知ってる?恩着せがましいって!」
名誉やそんなものはいらなかった........父や祖父母のような立派な人になりたくて.....やってたんだ......それが、原因もかもしれない.....家族に話そうと思ったが迷惑をかけるにもいかないと思い話さなかった。父や祖父母が言ってくれた言葉も忘れて、だんだんと追い詰められ......諦めようとした時に.....あの女子がやって来た。
「何してるんですか?」
「ぐすっ....はあっ.....」
涙でその人の姿はあまり見えなかった。が、声からして女子だった。
「は?誰お前?」
「私から聞いています、彼に何をしているんですか?」
その女子の声に圧があって1人また1人逃げて行き自分とその女子だけになった。
「....ふぅ....大丈夫ですか?」
「ぐすっ......大丈...っ!.....」
蹴られて転けた時に擦りむいたのか膝から血が出てた。
「少しここで待っててください」
女子はそこから離れて、少ししたら戻って来た。
「滲みると思いますが、我慢してください。」
その女子は自分のハンカチに水を濡らして膝の血を拭い、ポケットから絆創膏をはってくれた。涙も拭いて胸元に名札があったので見ると、同じ学校で自分より2年上の人だった。
「もう大丈夫ですよ」
「......なんで」
「?」
「なんで.....優しくしてくれるの?僕は.....こんなブサイクだし......皆からも気持ち悪がられるのに.......」
この頃の自分は他人があまり信用が出来ず、今もそうだが自分を下に見ていた。だから、この人も何かあるのか?と思ってしまっていた。だが、その女子からは
「.....貴方が優しい人っていうのを知ってるから.....ですかね?」
「え?」
彼女は、今まで自分が行って来たことを遠くで何回も見ていて、「そんな彼がいじめられているのは間違っている」と思い助けてくれた。
「あ.....」
「どうしました?」
自分がしてきたことは、無駄ではなかったように思えて来て自分がしてきたことを知ってこんな言葉をかけてくる人がいて嬉しくて.....また泣いてしまった。
「ぐずっ.......すみません」
「いえいえ、もう落ち着きましたか?」
「.....はい....貴方のおかげで元気になりました。」
「それは良かったです。」
「......あの」
「はい」
「もし、よかったら.......また!ここで話をしませんか!」
自分でも何言ってるのかわからなかった。見てくれていたとはいえ、初対面の人にこう言ってしまって逆に恥ずかしかったが
「えぇ、今度時間が合えば」
彼女がそう言ってくれるのは予想外で、彼女と別れた後も少し放心していた。そこから、彼女とは少ない時間だったがいろんな話をして盛り上がったりもした。そして、祖父母の言葉を思い出すきっかけ、勇気を与えてくれるきっかけをくれた。
それから、2年後
「.......」
「.......」
ある日の夕暮れ、彼女とまた会っていた。でも、いつもとは違ってお互いが黙っていた。理由は、自分にある。彼女から勇気を貰い、数日後にはいじめに立ち向かえるほどまでに立ち直れた。自分でも、驚くほどだったが、父が言っていた。「人の心を治すには人の思いと人の愛情だけだ。」と。自分にはあまりわからなかったことだが、今ではわかる。そして、またいじめに立ち向かっていた時にそのことが親から知れ渡り、ニュースとかにはならなかったが、いろいろと揉めてしまい、相手側も学校に入られなくなり、自分たちも」こんな学校に居らせられるか!」と両親の決定で引っ越すことになった。そう、これが彼女との会える最後の日だ。
「「あの!」」
彼女と同時に喋ってしまい譲ったが彼女もこちらに譲って、その繰り返しが行われたが、自分から喋ることにした。
「....その.....今までありがとうございました。」
「.....」
「....貴方のおかげで自分はいじめから逃げず立ち向かえるようになりました......貴方には本当に感謝しかありません.....」
彼女に別れということで今までのお礼を言っていたのだが
「....ふふ...ごめんなさい....」
「うぇ!?」
彼女は笑っていた。何故かと思って聞いてみると
「だ、だって貴方、会えないと思って話をしてて....ふふ.....死ぬわけでもないのに.....ごめんなさい....ふふ」
「.....あっ!」
そう、自分はもう一生会えないと思っていたが、実際は連絡先など交換すれば話せることに気づいた。
「ふふ!」
「いや、もう笑わないでください!」
「.....ふぅ、大丈夫落ち着きました」
「.....もう」
だが、彼女との会話もめっきり無くなると思うと悲しくなる。電話などが出来るとはいえ、実際に会って話すのとは違う。
「....ちゃんと、健康で頑張ってくださいね?」
「.....はい。貴方も元気で頑張ってください!」
これで、しばらくは話せないしお別れだ。彼女とは違う方向に歩き、彼女も歩き出した。だが、自分は言っていないことがある。一度、歩みを止め考え、秘密で練習していたことを彼女に言った。
「あ、あの!」
「?はい。」
夕暮れのように顔を真っ赤にして、尋ねた俺に彼女は疑問を抱きながらも、歩みを止めこちらを振り向いてくれた。
「.......」
「.......」
恥ずかしくて、なかなか言えなかったが、それでも彼女は待ってくれた。もう一度自分に勇気を与え、彼女に言った。
「......すぅー.....もし!」
「......はい」
「もし!また貴方と会える日まで!自分をもっと!鍛えて!今まで以上になったら!あ、貴方とょお!恋人になっちょくれますか!!!!」
最後らへんで噛んでしまって、もう頭が爆破しそうなくらい真っ赤で汗もだらだらに流しながら、彼女を見ると。
「.......や」
「や?」
「約束ですよ!私!待ってますから!」
「!はい!」
夕暮れのせいか、彼女の顔が真っ赤なのかわからなかったが、ただ一つ言えるのは、笑って泣いていたことだった。そこから別れ、新地に向かいそこから自分を変えるために祖父母に相談していったと.......
「うぅ.....良い話です....うぅ」
「「..........」」
この話を誰にも話したことがなかったのでとても恥ずかしく、また顔を真っ赤にしながら自分も話をしていた。山田先生は涙を流し、織斑姉弟は無言ながらも顔を赤にしていて、周りの教員も仕事をしながらも顔を赤くしていた。
「す、凄いな勇介は.....」
「そ、そうかな?」
「私も、凄いと思います!そうですよね!織斑先生!」
「わ、私はそういうのはわからないが.....大切な人のために頑張れる....そういうのは分かる....」
賛美してくれるのは嬉しいが......こっちは相当恥ずかしいよ!!あのイラストレーターによって話をしたが恥ずかしいわ!!
「それでさ」
「ん?」
織斑君が何か疑問に思ったのか自分に質問してきた。
「いや、その恋人になってくれ!って言った人の名前は何かなって.....」
「あ、私もそれは気になります!学園にいるってことは私も知ってる人かもしれないですし!」
本来は自分で見つけようと思っていたのだが、少し甘えるとしようと思う。織斑先生と耳を傾けながら聞いてもいるし。
「はぁー......えっと、その人の名前は.....」
生徒会室
「虚ちゃ~~~~んもう休憩に入らない?」
「駄目です。これを今日中にと頼まれたのですから。」
そこには、水色の髪で一番目立つ場所に座っている女子生徒と眼鏡をかけ水色の髪の生徒に注意した生徒と
「( ˘ω˘)スヤァ…」
「こ~ら、本音もいい加減に起きて手伝いなさい。」
袖がダボダボな生徒がいた。
「ふぁ~…おはようお姉ちゃん。」
「おはようじゃないわよ。ほら、これをあっちに運んでね?」
「了解~」
この光景はいつも通りで、今日はどのくらいで終わりかな?と考えていると。
バンッ!!
「うぇ!?」
「ウワアアアアアアアアアアァァァァァァァ!!」
バラバラ
水色の髪の生徒が顔を伏せていたが、突然の音に驚き、袖がダボダボの生徒は驚き書類を空中に上げてしまった。
「あ、あ、あの!」
「え?あ、はい」
いきなりのことで焦ってしまったが、急用なことかと思い冷静に装うとしたが入って来たのは、例の二人目の男子であった。
「ここって!生徒会室で良いんですよね!」
「え、えぇそうだけど....」
そう答え彼は周りを見渡し、ある所で止まった。そこを見ると、眼鏡の生徒、虚ちゃんと袖がダボダボな生徒、彼女の妹の本音がいた。
「やっと.....」
そして、その男子は二人の元へ行くと、彼女らも気づいたようで振り向いた。すると、虚ちゃんが今まで見たことがないほどびっくりしている顔をしていた。そして、男子、岡本勇介君が虚ちゃんの前に行くと
「や、やっと会えたね!虚ちゃん!!!!」
彼女を抱きしめた。
「え!あ、あ、あの勇介君!?」
「うん!そうだよ!虚ちゃん!!」
「「え、えぇぇぇぇぇ!!!!」」
突然のことで思考を停止したがやっと動き驚きの声をあげていた。
ついに、出会いました!そう!今回のヒロインは布仏虚さんです!私.....好みなんですわ.....
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5話
突然現れて、虚ちゃんを抱き締めたのは二人目男性の岡本勇介君だった。
「久しぶりだね!虚ちゃん!」
「ひ、久しぶりだけど......その、皆が見てるから...」
そう言われて見回し、顔を赤くして虚ちゃんを離した。
「ご、ごめん!」
「ううん、大丈夫....」
二人とも恥ずかしくなって黙っていたが、勇介君の方から口を開いた。
「あの.......虚ちゃんは....あの約束....覚えてる?」
「.......うん」
約束とは何のことかわからなかったが、途中から来た山田先生は顔を赤くしているので何か知っているようだなとわかる。
「.....あれから、俺.....小さかった頃より背伸びたよ....」
「うん....前は私が背を合わせてたりしたのに....今は君の方が高いね」
彼はあの織斑君よりはイケメンではないし普通であるが、その織斑君より背が高い。
「まだまだ成長してるから伸びるよ......それに、体も訓練して鍛えたよ....」
「うん....抱き締められた時に.....その固かったね...体...」
.....二人の会話聞いてると口から砂糖を吐きそうになるし、会話からしてもしかしたら.....
「ねぇねぇ....お姉ちゃんとゆー君って付き合う約束してた?」
「「ぶふっ!」」
「ほ、本音!」
本音の突然のカミングアウトで私と勇介君が吹いてしまった。
「え?てか、そのゆー君って呼び方と本音って.......後、お姉ちゃんって.....」
「久しぶりだね~、ゆー君。後、かんちゃんもこの学園にいるよ~。後、私とゆー君が好きな虚ちゃんは私のお姉ちゃんなのだ~。」
えっへん!と胸を張って自慢をしていた。
「マジでか!?」
「そういえば、言ってなかったし、私もゆー君がお姉ちゃんと知り合いだなんて知らなかったよ~。」
「あの、勇介君と本音と妹様って知り合いだったんですね。」
本音と勇介君が知り合いだと虚ちゃんも知らなかったのか、驚いていた。.....しかも、勇介君に近づいて腕にくっついた。
「え?あ、あの、引っ越す前の1年だけクラスが一緒でして、その、クラスが一緒なだけで!うつつを抜かしてないですし!俺は虚ちゃん一筋だから安心して!」
腕にくっついていた虚ちゃんの手を取り、そう大胆に告白した勇介君。.....山田先生にいたっては、さっきからずっと真っ赤にしている。このままでは、いけないと思い
「.....その、立ってるのもなんだから....座って話さない?」
そう提案して、二人とも恥ずかしそうに小さく頷いた。
本当はネクサス3話前に書き上げるつもりだったのですが.......遅れて申し訳ありません。
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6話
誤字の方向があったので訂正させていただきました。見つけてくださりありがとうございます。
「......そういうことがね...」
「「はい...」」
現在、生徒会室にある机で水色髪の人・本音さん、虚ちゃん・俺という配置で座ってる。山田先生は、話が終わったら先ほどの武器について用があるから後で整備室に来て欲しいということで、先に行ってもらった。
「......あの」
「?何かしら?」
「貴女は....その...虚ちゃんとどういうご関係でしょうか?」
先ほどから喋ってる人が気になってしまって仕方なかった。生徒会にいるということは生徒会のメンバーだろうけども.....
「あぁ、紹介がまだだったわね。私はここの学園の生徒会長の更識楯無よ。よろしくね岡本勇介君。」
「あ、いえいえ、こちらこそよろしくお願いします。まさか、生徒会長だったとは......それに、すみません、いきなり、押し掛けてしまって。」
大切な人の場所がわかって、嬉しい気持ちが押さえられなかったのは多分誰にも分かるが、いきなり押し掛けてしまったのはやはり相手に悪いことをしたと思い生徒会長に謝罪をした。
「良いわよ別に。」
「いえ、貴女たちに仕事もあるのに押し掛けて、お茶まで貰い.....本当に申し訳ありません。」
「......ねぇ?」
「はい?」
「悪いと思ったなら.......生徒会に入らない?」
「お、お嬢様!?」
「へ?」
いきなりのことで頭が真っ白になってしまったがすぐに再起動した。
「え?いや、生徒会ってちゃんと生徒会の皆が会議などを行い、意見が成立したら認証するのでは?その、生徒会長とはいえ独断は.....」
「そうね.....」
「私は良いと思うよ~」
向かいの本音....本音さんが俺が生徒会に入ることに賛成した。
「だって、ゆー君はちょっとしか一緒のクラスしか居なかったけど真面目だし、なかなかの逸材だと、私は思うのだ~」
姉譲りの胸を大きくはり、自信満々にそう言った。
「...本音......本当は?」
「ゆー君が入れば、仕事が減るかもしれないし~」
.....先ほどの少し感動してしまった私の気持ちを返してくれ。
「....本音はああ言うけど、虚ちゃんは?」
実際、それは自分も気になっていたことだから.......なんか、ドキドキしてきた。
「....わた、私は......勇介君....次第かと.....やはり、無理には駄目だと思いますから....」
少し安心した。もしかしたら、否定されるしれないと不安が少しあったが......
「ほら、本音や虚ちゃんも許可がおりたことだし!」
「え?いや、真面目だと言ってましたがそれだけじゃ駄目では!?自分は中学は生徒会とか入ったこともありませんし、仕事もわかりませんし....それに「あ!生徒会に入れば虚ちゃんと毎日会えるわよ」是非!やらしていただきます!生徒会長!!」
「勇介君!?会長!?」
「即答!?」
そうだ!生徒会に入れば虚ちゃんと毎日会えるジャマイカ!この期を逃すわけにはいかない!
「じゃあ、仕事とかの説明は明日から!よろしくね!」
「はい!」
「ちょ、ちょっと待って「虚ちゃん」は、はい!」
自分は虚ちゃんの手を握り、こっちに向かせた。
「俺、頑張るから!虚ちゃんが好きだから入った.....という気持ちもあるけども、虚ちゃんは受験やら何やらで忙しいと思ったし、それに.....やっと会えてその.....こ、こ、恋人同士になったんだから.....自分に頼って欲しいと思ったから.....入る決心が出来たんだよ。だから、大変だと思うけど、俺一生懸命頑張るから!」
「......うん。勇介君がそう決心したなら.....止めれないね。後、」
「うぇ?」
「あの二人の前でその.....恋人同士宣言は...」
そう言われ横を見ると
「キャー!虚ちゃんと岡本君熱いわね!本音!今日の夕食はお赤飯ね!」
「了解なのだ~!!」
「ウワァァァァァァ!!!!!」
恥ずかしさがまた現れた。
「全く、あそこまでやるか?」
「あははは、ゆー君顔がまだ真っ赤だ。」
「誰のせいだと.....いえ、俺のせいです。本音さんのせいではありませんでした。」
なんとか、あの騒ぎ抑え(物理的に)山田先生が待っている整備室に本音さんに案内して貰いながら向かっていた。
「むー、昔は「本音」って呼んでたのに」
「....流石に今の年齢で名前を呼び捨てはな....訓練でちゃんとそういうことも教えられたからな。礼儀も大切だってな。」
「ふーん、そうなんだ~、あっ、着いたよ。」
話をしてたせいかすぐに整備室と書かれた所に着いた。
「し、失礼します。」
ノックをし、声をかけながら入るとそこに2台のISがあった。
「あっ、岡本君!こっちです。」
何かコードが付いているISとは別の方向に鎮座しているISの所に山田先生がいた。
「お待たせしてすみません、山田先生。」
「いえいえ、数年ぶりの大切な人と会えているんですから.....もう、良いんですか?」
「えぇ、ちゃんと落ち着きましたから。」
「ゆー君の絞め技凄かったね~」
「し、絞め技?」
「何でもありませんよ山田先生....良いですね?」
「あ、はい......じゃ、じゃあさっそく始めましょうか。」
「はい。あ、本音さんありがとう、ここまで案内してくれて仕事もあると思うのに。」
「ん~、大丈夫だよ~それに私も手伝うよ~」
「え?」
「あ、本音さんはISの整備課志望の人なんですよ。」
「うっそだろ!?」
「ふっふっふ、驚いた?」
「お、驚きました。.....じゃあ、お二方、よろしくお願いします。」
そう言うと、二人ともテキパキとやってくれだした。まず、武器が正常に動くかの確認で自分がISに乗ろうと思ったが、まだ操作も不慣れだと危ないということで山田先生が変わりに行って貰った。そして、時間が経ち、やっと完成間近まで行った。
「よし、後は....?これを読み込めば良いんですかね?データ?必須と書いてありますし大丈夫ですよね。」
ケースにあった残りのも全て終わった。
「いや、凄いな、二人とも......これが....自分のか....」
完成して、待機状態にするとネックレスになった。
「V....かな?勝利のビクトリーってことかな?良いじゃん。」
そう盛り上がっていると
「あっ」
三人とも気づかないうちに人がいた。先ほどからあるコードが付いているISの持ち主かな?と振り向くと
「.....お、岡本君....」
「お?か、簪さん?」
「あ、かんちゃんだ~」
本音さんと同じクラスで自分とも思じクラスだった女子、簪さんがそこにいた。
お待たせいたしました。これも、全てFGOイベントのせい.....おのれ!運営!おのれ!カジノ!
水着沖田さんとメルトが来ない....やだぁ.....やだぁ.....やだよぅ.....
最初、簪をヤンデレにしようと思ったんですが......何か違うと思いやめました。.....べ、別に!面倒と思ったからじゃないんだからね!.....ち、違いますからね!
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7話
誤字報告がありましたので修正させていただきました。
「岡本君と簪さんはお知り合いなのですか?」
「えっと、そうですね、知り合いです。本音さんと同じクラスになったりしていたんですよ。」
そう知り合いだが、知り合いだが.....
「っ!」
簪さんはもう一度自分の顔を見て部屋から出ていった。
「え、あ、かんちゃん!待ってよ~!あっ!じゃあ、私はこれで~!待って~!」
本音さんも簪さんを追いかけて行った。自分も追い掛けようとしたのだが、途中で止まってしまう。
「......変わったって言ったけど.....何一つ変わってないな」
虚ちゃんにはああ大見得きったけど、自分の無力感は毎回感じてしまう。本当に変わったのかと.....
「...あの、岡本君....簪さんとは何かあったんですか?あ!話たくなかったら良いんですよ!」
流石に話したくはないし、これは自分の問題でもあるから...
「...すいません。これは自分の問題なので....あ!これありがとうございました。ついでになんですが、明日から機体の指導とかよろしいですか?」
「え?あ、はい、全然大丈夫ですよ!任せてください!あ、後それから.....これが岡本君の部屋の鍵です!」
ポケットから部屋の鍵を取り出し自分に渡してくれた。
「ありがとうございます。それでは....」
「...あの!」
部屋に向かおうとすると後ろから山田先生に声をかけられて止まり振り向いた。
「?何かまだ?」
「.....何か困ったことがあったら頼ってきても良いんですよ?私じゃあ出来ることは少ないかもしれませんが.....私先生なんですから!」
山田先生の一生懸命が伝わり「あぁ、この人は本当に優しいんだな」と感じる。小学・中学ではそこそこ良い先生に会ったが、昔お世話になった保育園の先生.....五代先生みたいな優しさが山田先生にあったと思う。
「...分かりました。何かあれば相談します。....山田先生」
「はい?」
「山田先生は本当に優しい先生ですね。先生自身は立派だと俺は思います!.....それでは失礼します。」
言いたいこと言い部屋から出て行った。
「....ありがとうございます」
部屋から出ていった勇介には聞こえないくらいでお礼を言っていた。
その頃、本音と簪ペア
「待って~!かんちゃ~ん!」
私、更識簪は部屋から飛び出し逃げていた。
「.....」
「わわっ!急に止まらない..「きゃあ!」...あ!かんちゃんごめん!大丈夫!?怪我は!?」
「う、ううん大丈夫....」
「かんちゃん?顔赤いよ、熱あるの?」
顔が赤いことを見透かされ、彼と会ってから鳴り止まぬ心臓のドキドキがヒートアップした。
「もしかして.....ゆー君のこと?」
「......」
黙りながら頭を縦にふってしまった。
「....かんちゃん....もしかして、ゆー君のこと好きだったの?」
そこまで見透かされて顔をさっき以上に真っ赤にした。彼とは本音と同じクラスになって知り合った人でお人好しで正義感が強い人だった。たまに空回りして「何してんだ馬鹿勇介」とクラスから笑われていたが何故か彼は笑っていた。クラスに良くいるムードメーカーだった人で良く友達の相談にものっていた。何回かクラスの班や机が隣だったこともあり話す機会も沢山あった。そして、本音の薦めもあり相談してみた...家族関係や周りについて悩んでいた私は「どうせこの人も...」と思っていたが、彼はこう言った。
「お姉さんとの関係で悩んでる?....うんうん、姉に「駄目でいなさい」って?....お姉さんとそのことについて喧嘩とか親に相談とかは?.....してない?姉に敵うはずもないし迷惑とかがかかるといけないから......か.....えっと、簪さん.....自分でも変わりたいと言っていたけど、俺は何も出来ないよ.....周りの人にも影響もあって変わる人もいるけど、なかなか変わることなんて滅多にないよ.....俺自身、応援することは出来るけど、本当に自分が変わりたいと思うなら自分の気持ちが大事なんだよ....自分も簪さんみたいに悩んで自分がやってることなんて意味あるのかな?って思ってたことがあって家族や友達にも相談しなかったこともあったけど、ある人に出会って今の状態にあるから....人の影響はあるかもしれないけど、やっぱり自分の気持ちが大事だよ....厳しく言うかもしれないけど、思ったままじゃ何も変われないよ、敵わないとかの気持ちは分かるよ.....でも、君はお姉さんとのことで悩んでるだろ?敵わないとかの気持ちを捨てて心を整理して思いっきりお姉さんに自分の気持ちをぶつけてみ?そしたら、何か変われるかもしれないよ?君は君自身なんだから、周りの人が怖いこともあるかもしれないけど、そこで立ち止まってたら何も変われないよ。」
彼の言葉を聞いていたら何か心が洗われているように感じた。彼のことは何も知らないけど、自分が今まで溜め込んだ気持ちなどを全て彼に話してしまった。彼が言った通り「私は立ち止まって逃げていたのかもしれない」と改めて考えて、家に帰り
「......お姉ちゃん」
「え?あ、あぁか、簪ちゃん....どうしたの?」
お姉ちゃんのもとへ行き.....そして
「ふぅ.....この!馬鹿姉がぁぁ!!!」
「ヴぇ!?」
殴るのはいやだったから平手打ちをお姉ちゃんにかました。そして、お姉ちゃんに今までの思いをぶつけ、お姉ちゃんも私が心配であぁ言ったと久しぶりに盛大に大喧嘩をした。家族や本音たちも驚いて止めに入りなんとか収まった。.....彼が言った通り、自分の何かが変わったような気がした。今まで心にあったもやもやがスッキリと無くなったていた。家族とのわだかまりもこの一件があり普通に戻っていた。そして、彼にこのことを報告してお礼を言ったが
「いや、俺はアドバイス上げただけだからそれは簪さん自身が自分を変えたんだよ......それにしても、初っぱなに平手打ちか.....簪さんの印象が変わったよ...はははは」
そう言って笑っていた。.......この頃からだと思う。彼を好きになっていったのは.....男の友達が岡本君と話していると別に平気だが....「もっと私と話して。一緒にいて」と思ってしまったり、女子だと「離れてよ」と心がモヤモヤしてしまったりしていた。初恋だと気づいたのは、そうかからなかった。.......そして、彼がいじめが原因で転校すると聞いて皆は「えぇ!?勇介転校するのかよ!?まぁ、お前がいじめどもを成敗していたのは知ってたけど、まさか転校か....」とその話題で沢山だったけど、私は怖かった。今まで沢山話をしていた人が居なくなることと好きな人が遠く行って会えないという気持ちでいっぱいになり怖かった。
だから、私は彼が転校する前住所を教えて貰い家に行き二人きりになって告白をした。でも、駄目だった。彼にはもう好きな人がいて、その人が前に話していた助けてもらった人だった。彼は何も悪くないのに、私は彼に平手打ちをかまして逃げてしまった。帰る道中、沢山泣いて凄い後悔してした。彼が転校して何もかも忘れて振り切ろうと考えていた。
そして、彼が好きな人が虚さんだと気づいたのは、彼が二人目のISを動かしたニュースが流れた日だった。偶然だった。虚さんが誰かと話をしていて誰だろうと思い虚さんに近付いて声を聞こうと思ったけど、その前に通話が終了していた....でも、その画面に「岡本勇介」と書かれていたのは見逃さなかった。虚さんが「どうしました?」と聞いてきたけど、平然と装い「大丈夫」と答えた。
「そうだよね....虚さんの方が綺麗だし可愛いし...私なんかより」と考えていることに気付き、「私は彼のことは諦めたんだ!前に進むと決めたんだ!」と決めていたのに、会ってみると「やっぱり諦めない」という気持ちがいっぱいになり逃げてしまった。
「かんちゃん?」
「..うっ....うぅ....ほ、ほんにぇぇぇぇ!!」
諦めれない恋心がもういっぱいになり、本音に泣きついてしまった。多分、酷い顔をしてるんだろうなぁ....
本音に部屋まで連れて行って貰い私が眠るまで一緒にいてくれた。
どうしてこうなった....
「お風呂にする?」
「ご、ご、ご飯にしま.....すか?」
「そ・れ・と・も?」
そこに、俗にいう裸エプロンをした生徒会長と虚ちゃんがいた。
「な」
「「な?」」
「何してんだぁぁぁぁぁ!!!!!」
速攻で部屋の扉を閉め、荷物にあった自分の上着とかを二人に羽織らした。
「.....何してるんですか本当に...」
「いや、勇介君はこういうのが喜ぶのかなぁ?って思っててね?ほら、虚ちゃんの裸エプロンよ~どうで...ガシッ!..あたたたたた!!ごめんなさい!本当にごめんなさい!手を離して!」
いや、いきなりこの格好で現れた誰もビビるだろう!ほら、虚ちゃんなんかベッドで布団に包まれてるし....何やってんだこの生徒会長は....
「いや、嬉しいかどうかh「でも、嬉しいでしょ?」....い、いや、本当n「正直に言えば、勇介君が来る前に撮った裸エプロン着た虚ちゃんの写真を挙げるわよ」もの凄い嬉しいでs..ぐぎぎぎぎぎ、く、苦しい。」
いつの間にか、布団から出てきた虚ちゃんに首を絞められていた。
「もう.....会長は後で」
「いや、私は」
「良いですね?」
「あ、はい」
絶望の顔になった生徒会長が愉快愉快.....あ、やべぇ虚ちゃんの胸と合わさりこのまま昇天しても良いと思ってしまう。
「我が生涯に一片の悔い無し!」
「何を言ってるんですか......二人だけなら別に....」
「え?それは本当に「うるさいです」ぐへぇあ!」
「ゆ、勇介くぅぅぅぅぅぅん!!!!!」
完全に沈没してしまった俺はそこからの記憶が無く、気づけば朝になっていた。
なんか、普通に恋愛小説になってしまっている。
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8話
「あたたたた.......いつの間にか朝か.....1人部屋か......逆に女子と相部屋になったら虚ちゃんに......いや!朝からこんなことを考えるのをやめよう!」
昨日、部屋で虚ちゃんに気絶させられていた俺は首が痛いのを我慢して時計を見ると、まだまだ時間があった。
「.......さてと.....どうすれば良いのか.....」
悩んでいたのはやはり「簪さん」についてだ。中学で勉学や訓練してる合間に毎回考えていた。友達やTLTの人達に相談をしてみたのものの
「ん~、お前は好きな人がいたから断ったんだろ?じゃあ、何も心配する必要ないじゃないか。その女の子も時が過ぎればお前のことを忘れてちゃんとまた別の好きな人が出来ると思うよ?」
と、言っていたが......自分の心がモヤモヤしたままだった。まだ時間があるしもっと考えようとしたが
ぐ~
「......飯....食いに行くか...」
人間の欲求には勝てなかった。
「よぉ!勇介!」
「ん?あぁ、織斑君おはようございます。」
食堂に向かっていると後ろから織斑君がこっちに向かってきた。相変わらず距離が近い近い。見ろ、周りの女子を....
「ねぇ、あれが噂の...」
「うん....BLコンビ......ネタが尽きないわ!」
「でもさ、二人目はさ3年の虚先輩の恋人じゃないの?」
「一夏→勇介→←虚の関係......嫌いじゃないわ!」
「勇介に惚れた織斑先生の弟...一夏は告白しようとした....だが、既に勇介には恋人がいた....諦めきれない一夏は......ハァハァ....良いわ!良いわ!」
なんつう学園なんだよ.....ここは。いや、そりゃ人の性癖なんていろいろですぜ!俺も弟に影響されて百合好きだが、ノーマルだ!BL本を出されればそりゃ、渋るがR18以外だったら見ることもあるさ.....
「なぁ、周りの人らどうしたんだ?顔を赤くして....大丈夫かな?」
お前はどこまで純粋なんだよ......さらに、後ろから女子が後からやって来て新手か?と思ったが違った。
「全く!私を置いていくとは酷いではないか!一夏!」
「いや、勇介がいたからさ。まぁ、ごめん箒。」
どうやら一夏の友達のようだった。
「ん?貴様が.....」
「えっと、どうも初めまして。知ってるかもしれませんが、私は岡本勇介と言います。すいません、失礼ですが貴女は?」
「え?あ、あぁ、私は篠ノ之箒と言う。よろしく頼む。名字で呼ばれるのは少し嫌でな...箒で頼む。」
「分かりました。箒さん」
「よし!二人の自己紹介も終わったし!ご飯食べに行くか?」
「ん?いいんですか?自分も」
何か凄い目で箒さんが俺と一夏を見てる。「おのれ!私の時間を邪魔しやがって!」と「私だけじゃ駄目なのか!?」という気持ちが読み取れる目であった。だが、
「な?良いだろ箒?」
「.....はぁ、良いだろ」
諦めたのか了承した。.....同じ女子だから聞いてみるか....そして、3人で食堂へ向かって行った。
「ほぅ、それは大変ですね.....」
「ふん!それはこいつの自業自得だ。」
「えぇ!?あれは俺のせいなのかよ!?」
食堂でそれぞれ食事を取って話をしていたのだが、俺が理系という悪魔から苦戦している時に織斑君は、何人かにクラス代表に推薦されそれに、反発した女子と決闘することになったという......あれ、そういえば
「勇介はクラス代表にならなかったのか?」
「.....そういえば、誰でしょうかクラス代表...」
「「いや!知らないのか(よ)!?」」
そういえば、理系に苦戦し過ぎてあまり、そういったことを聞いてなかったな.....すると
「何言ってるの?勇介君が代表でしょう。既に担任の先生から決まったって報告があったわよ。」
後ろから声がして振り向くと、「おはよう」とかかれた扇子を持っている会長がいた。
「あ、おはようございます更識会長。」
「はい、おはよう勇介君。」
「なぁ勇介、この人誰だ?」
「え?あぁ、この方はこの学園の生徒会長だよ。」
「そうなのか?」
「そうよ、更識楯無って言うの、宜しくね織斑君。」
会長....一夏と近付くのは良いけど....
「......」
箒さんがヤバい目で見てるから!「お前を消す」という殺意みたいなものがこっちまでビンビンにしてるから!なんとか、話を変えないと.....そうだ!
「え、ゴホン!会長、その俺.....私が代表って言うのは?」
「え?さっきも言った通り担任先生からも報告があったし、勇介君も承諾したって聞いたわよ。」
・・・・あ!あの時か!昨日の2時間目に苦戦していた俺は良く話を聞かずに皆が「岡本君で良いよね?」と満場一致の状態で聞こうにも無理だと感じて頷いた.....あの時か!
「その様子じゃあ自分も知らずになっていたようね....」
「あ、あははは.....やはり、理系は悪い文明....」
「「いや、理系は何も悪くないだろ....」」
いや、取り消すということは.....出来ないだろうなぁ....
「自分が聞かなかったのも悪いですし、何より頼まれたからにはしっかりやらせて貰います!」
「うんうん、良い顔良い顔」
「凄いなぁ、勇介は....」
「気持ちの切り替えが早いな....」
それから、生徒会長と別れてご飯の再開してる時に、箒さんに聞きたかったことを思い出した。会長でも良かったが....自分の第六感が余計にややこしくなると感じてやめていた。
「あの.....箒さん」
「ん?どうした?」
「あ、いえ、昨日昔の知り合いに出会いましてね....」
「ん?勇介の初恋の人か?」
「何!?そうなのか!?」
箒さんが机から身を乗り出してきたが
「違いますよ....まぁ、初恋の方は大丈夫だったんですけど....問題はその後なんですよ....」
「その後?」
昨日のこと少し嘘交えて二人に説明した。
「知り合いと引っ越す前に喧嘩してそのまま.....と....」
「普通に謝れば良くないか?」
普通の喧嘩だったらなぁ.....
「......そう簡単にはいかない喧嘩をしてしまいましてね.......」
「ふむ......わ、私ならそいつ好きな物を作って話をしにいくが...」
箒さんが一夏を見ながらそう提案してくれた。てか、箒さん....一夏のことが好きなのかなぁ?あからさまに頬を赤く染めてるし.....まぁ、提案はそれにしようとしたんだがな
「好きな物か....なんだろう」
「む、お前....知り合いなのだろう。そいつの好きな物を知っているのではないか?」
「いや、知ってるけどもう何年も前だから変わってるかもだし....」
簪さんが好きな物と言えば....やはり、あれしか....
「勇介!男なら度胸!バシッと行ってこい!」
「そうだぞ!男なら怯えてどうする!」
二人が後押しをするので
「そう....だよな、やるしかないよな...」
怯えて誰かを救えないなんて......あの時で十分だ....
「そうだぜ!そのいきだ!」
「ふぅ......ありがとうございます。箒さん、織斑君....よし、それなら授業があるからその後に行動しよう!本当にありがとうございます!」
と、席を立とうとするが
「お、おい勇介!ご飯は!?」
「?もう既に食べ終わりましたが?」
二人を見るとまだまだあり、自分のは考えながら食べていたので既に終わっていた。すると、織斑先生が食堂に現れ遅れてるやつに忠告しに来た。
「や、やばっ!おい箒!さっさと食べるぞ!」
「あ、あぁ!」
「.....すいません、お先に失礼します。あ、後織斑君」
「ん?」
「織斑君が代表の人と戦うんですよね?だったら、同じ国の生徒もしくは先生に聞くか代表ならテレビに出てるでしょうから映像にも動きがあると思いますから、それを参考にすれば何か突破口が見つかると思いますよ。」
「!そ、そうか!悪いな!」
「いえ......箒さんもまた何か奢りますよ....二人のお礼ですから」
「す、すまないな。」
「いえいえ....では」
そして、俺は二人に感謝しながら2組に向かった。
「よし!親に例の物を速達で送って貰ったから.....明日には届くな!」
授業が終わり、生徒会に「先に山田先生との練習があるから」と伝えて山田先生の元へ向かっていた。その時更識会長から
「あら、虚ちゃんを放って山田先生との用事?」
と言って来たので......流石に言ってはいけないことなので真面目に怒らせてもらった。
そして、山田先生に待っていてくれと言われたので、親に連絡をいれて簪さんが好きそうなアレを送って貰った。
「喜ぶかなぁ?」
「あ、お待たせしました。」
山田先生も仕事が一段落したのか自分の所へ来た。
「では、いきますか。」
「よろしくお願いします。」
そうして、練習をしに練習場へ向かって行った。
「はぁ.....なんとか....飛ぶ時に狙いをつけて撃てるようになった。」
「お、お疲れ様です。」
一面には的を外して凸凹になっている地面があった。
「歩きや走りはそこまで苦労はしなかったんですがね.....そういえば、岡本君は銃に慣れていたのですか?」
「え?えぇ、これと同じやつを」
と、杖変わりにしているディバイントランタャーを見ながら。
「最初の頃はまずあの人たちに身体を鍛えられましたからねぇ....身体を鍛える理由の一つがこれなんですがね...」
そう打鉄を装着している山田先生にディバイントランタャーを渡して撃ってもらうと
ドゴンッ!
的に少しかすった。
「~っ....これ....反動が凄いですね」
そう、このディバイントランチャーはもともとビースト専用にしていた大抵のビーストならこれを食らわせれば消滅出来るとあの人たちが言っていた。つまり、性能をそのままにIS用に仕立てあげている。祖父がこれを狙いつけるのはとても大変だったと言っていたのを思い出した。
「自分はもう慣れましたから、立って撃つならまだしも、浮きながら撃つのは初めてで......」
反動も強く、地面ならまだ体勢などで耐えるということが出来るが空中だと軽く後ろ飛ぶことになる。
「.....大変ですね」
「いえ、でも流石山田先生ですね、流石元代表選手です。」
「い、いえ.....え?なぜ知ってるんですか!?」
「?他の先生が言ってましたよ。」
自分の担任の先生も「あの先生は見かけはああだが、代表になるほど実力がある.....舐めてたら駄目よ」と言っていたのだ。
「そ、そうなんですか....は、恥ずかしいです。」
「やはり、山田先生は凄いですよ。」
「いえいえ!岡本君も経験も積めば!」
「......」
経験を積めば......か.....もっと積んでいたらあぁならなったのか.....いや、あれは俺にはどうすることも.....
「...君...岡本君?」
「!は、はい!どうしましたか?」
「あ、いえ、その岡本君の顔色が少し暗くなったので.....もしかして!私何か駄目なことを!?」
「いえ!山田先生は何も関係ないです!ちょっと考え事をしてしまって。でも、大丈夫です!」
心配をかけてしまいとなんとか笑顔で誤魔化しをした。
「あ、では私はこれで!今日はありがとうございました!」
「あ、岡本君....」
心配をかけまいと、すぐに打鉄を解除して更衣室に向かった。
「俺は....」
『た、助けて!!!!!』
「俺は....」
『あ、あああああ!!!!!』
「俺は!!!!!」
「きゃっ!」
「おわっ!」
あの出来事を思い出して、少し鬱のような状態で歩いていると誰かにぶつかってしまっていた。
「す、すみません!大丈夫ですか?」
ぶつかってしまって尻餅をついた相手に手を伸ばした。その人は
「ん?本音か....」
「あ、ゆー君だ!」
ぶつかってしまった相手は本音だった。
「どうしたの?何か顔色が悪いよ?」
「い、いや!大丈夫だ!本音こそだったか?」
「う、うん......ねぇ、ゆー君」
「ん?」
「もしかして、かんちゃんのことで悩んでた?」
「.....?」
突然のことで?が浮かんだが、あぁ、昨日のこともあってかそれで悩んでいると勘違いしたのか.....自分の気分を変えるためにそうしよう....すまない、簪さん!
「そ、そうだな」
「.....口調も前の時に戻ってたから....もしかしてってね!」
「あ」
口調も戻るほど.....焦っていたか....
「...その....ゆー君とかんちゃんの関係......聞いたよ....」
「.....誰から...」
「かんちゃんから....」
「......そうか....かんざ「私ね!」!」
「お姉ちゃが幸せになって欲しいし、かんちゃんも幸せになって欲しいってずっと思ってたの.....でも、話をきいてたらね.....わかんなくなっちゃってね.....」
「......」
「でも、それを決めるのは本人で、ゆー君もお姉ちゃんが1番好きでしょ?」
「..あぁ、大好きだ....とっても...とっても...自分の命を変えるほど大好きだよ....だから...」
「そうだよね....かんちゃんが前に目を腫らして帰って来たから「どうしたの?」って聞いたら「何でもないよ」って笑顔で答えたの....ゆー君家に行くって聞いたから...悲しくて泣いて帰ってくると思ったら違ったの.....とても....笑顔だったの」
「.....」
「私自身、「あぁ、良い別れかたしたんだな」って思ってたけど....違うんだね.....」
「.....そうだ」
「かんちゃんね.....あの後、いろんなことを取り組んだんだよ....ISや勉強や運動....いろんなね.....私達は凄いやる気だと思ったの....昨日、聞いたらあれはゆー君の気持ちを諦めるためだって.....実際、ゆー君と昨日会うまで耐えて....いた...んだって....」
途中から我慢が出来なかったのか、だんだんと涙を浮かべていった。
「私......かんちゃんの友達.....失格....だよ....」
「そんな...」
「本当だよ!私!かんちゃんの気持ちを良く知ってたと思ってたの!でも....でも....うぅっ....」
「本音......俺は.....簪と同じかもしれない」
「え?」
「俺は訓練して強くなったって言ったな......でも、あの頃と比べ何も変わってないよ.....弱い俺のままだよ」
「ゆー君は変わったでしょ?」
「それは外見とかだろ.....自分も訓練訓練で簪の気持ちを忘れようとしてたのかもしれない.....そして、そんなツケがまわったのか.....あんな....」
自分の拳に血が出るかもしれないほど力で握ってるのが分かる。
「でも、だからこそ......俺や簪は前に進まなくちゃいけないかもしれない」
「......」
「明日、もう一度簪と会うよ.....そして、どんなに叩かれようが何を言われようが.....俺の気持ちは変わらないって伝えるよ....」
「......」
「本音.....お前は友達失格って言ったけど、失格どころか最高に頼もしい人だよ」
「え?」
「あいつが1人だったら多分、俺みたいに......いや、それはないか....でも、諦めれずにいたんだろう....でも、本音や周りの人がいたから簪も耐えれたんだよ.....」
「.....」
「ごめんな....本音.....こんな気持ちさせて....」
「ううん....大丈夫だよ.....」
「......よし!今度、お前と簪に何か奢るよ!」
「ふぇ?良いの?」
「迷惑かけた分だよ.......ほら」
本音にハンカチを渡して涙をふかした。本音も落ち着いたのか、いつもの笑顔に戻っていた。
「ありがとう.....ちゃんと奢ってね。」
「あぁ、何か考えてろよな」
「うん、それじゃあね。」
そして、本音と別れて生徒会に行こうとした......ん?
「....待て、本音さん」
「.....」
「君.....生徒会だよね」
「そうだね」
「仕事はどうした?」
「ゆー君のような勘がいい人はきら....「逃がさん!」やだぁぁぁぁぁ!!!!!」
本音を捕まえて生徒会室に一緒に行った。
夜になり俺は夢を見た.....それは....
仮面ライダーのキャラやセリフを出そうと思うけど、なかなか機会得られない。申し訳ないです。
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9話
それは....自分の過去だった。そうあの時、俺は訓練が終わりTLTの特殊戦略任務班の隊長....貴虎隊長に親が向かえに来る場所まで連れて行ってもらい降ろしてもらった。
「では、気を付けてな。親御さんに迷惑かけるなよ。」
「はい!ありがとうございました!貴虎さん!」
そして、車が去って行き俺は親が来るまで待っていた。だが、待つが場所が毎回同じで帰り道も真っ直ぐで見慣れてるから俺は
「.....見たい本があるし、探検気分で歩くか.....どうせ一本道だし親と鉢合わせするか。」
そう考えて歩き出した。この考えが最悪な方向へと行くなんて知らなかった。
「へ~、自分の所も木とは生えてるけどやっぱり森は凄いなぁ.....ダムが基地だからか川もあるし....ひぇ!た、高い!....おし、森側を歩こう!」
呑気に自分は車でしか見れていなかった景色を満喫していた。すると、
「~♪.....ん?車が止まってるのか?何かあったのかなぁ?....すみませ~ん!」
自分の目の先に1台の車が止まっていた。事故でもエンストとか起こったのかなぁ?と心配になり車に近づいた。だが、
「.....誰も居ない.....」
車には誰1人乗っていなかった。しかも、その車は全部のドアが開いていて、何かヌメヌメした液体が所々あり、財布や携帯も運転手の物なのか前に置かれていた。
「....物騒だな、ここから近いコンビニでも数十分以上はかかるのに......」
自分は何回かTLTで「ビースト」についての映像やそれと戦った「ウルトラマン」の映像や写真を見せて貰ったり話を聞いたことがあった。今はビーストは既に居ないし、居たとしてもすぐに貴虎さんたちが駆けつけるからと考えていた。嫌な予感がして、俺はすぐに貴虎さんに連絡をいれようとしたのだが
「あ、くっそ!圏外か!」
山の中もあってか圏外によって連絡が出来なかった。だから、親を待ってコンビニで貴虎さんに連絡をしようと車の所で待っていようとした......その時だった
『うぁぁぁぁぁぁ!!!!!』
「!?」
森から男の悲鳴が聞こえて来た。
「...っ!」
最初は「早く誰か来てくれ!」と思ったが、訓練して強くなったと考えた俺は.....森の中に入って行った。自分の少し後ろに少女が居たのを気付かずに....
森に入り駆け足で声がした方向をへ行くとそこは.....
「た、助k」
「わぁぁぁぁ!!!!!」
軟体の生物....いや、ビースト「ペドレオン」が人間を食べていた。
「...あ....あ....」
それに出くわした俺は.....動けなかった。恐怖で足が震え、一歩も踏み出せなかった。そして、ペドレオンの近くにいたもう1人の男性も動けなかった。そして、ペドレオンの触手がその男性に巻き付いた。
「うわぁぁぁぁぁ!!!!!嫌だ!た、助けて!!!!!」
男性は俺に手を伸ばしたが、俺は
ドサッ
「はぁ.....はぁ.....はぁ.....」
恐怖で腰が抜けてしまい、手を伸ばせれなかった。そして、男性はペドレオンに食われてしまった。男性が食われて次の標的は俺だった。逃げようにも腰が抜け動けず、自分の腰に触手が巻き付いた。そして、ペドレオンの元に引き付けられ.....そして
「キシャァァァァァァ!!!!!」
「わぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」
目が覚めると、自分の体を確認して触手が巻き付いていないことを確認した。
「はぁ!.....はぁ!.....」
あの時に起こったことが忘れられずに今はたまに見るくらいだが、前はずっと見るくらいで、学校を休むほどだった。
「......うっ!」
あの光景をもう一度思いだし、吐き気がしてトイレに駆け込んで夜食べた物を全て吐き出してしまった。
「.........くそったれ....」
自分が恐怖に負けたことと変わったとある意味嘘をついたことに悪態をつきながら、口を洗った。
「.......喉......渇いたな....」
就寝時間はとっくに過ぎていたが、吐き出したせいで喉も渇いてしまったのでこっそり部屋を脱げたして、自動販売機まで目指した。
「.....ぷはぁ.....はぁ.....」
誰にも見つからずに自動販売機までたどり着き、小さいペットボトルの水を購入してそれを一気に飲み干した。
「......絶対....あんな姿を見たら俺を幻滅するだろうなぁ......何が....変わっただ!....結局....弱い俺のままじゃねぇか.....」
ペットボトルを握り潰しながら自分に対して先ほど以上に悪態をつき俯いていると
「.....勇介君?」
確かに見つかっていないはずだったのに、突然の声にびっくりしてしまい、自動販売機の後ろに隠れてしまった。
「あ、先生じゃないよ。私だよ。」
「......虚ちゃん」
その声は虚ちゃんであった。
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10話
あ、今さらなのですが、ISの小説1巻買いました。
「はい」
「ありがとう」
虚ちゃんに自動販売機の水を買って渡して、一緒に座ったが......沈黙であった。
「......」
「.......」
こちらも何を話せば良いか、分からないし......虚ちゃんの普段着も可愛い......って、駄目だ駄目だ.....
「....大丈夫?」
「......何が?」
「その.....顔色も悪いですしその.....汗も凄く出てますよ」
.....そういえば、あのままの状態で来ていたことを忘れていた。
「.....ごめん、俺は大丈夫だk「嘘」っ!」
「嘘が.....下手だよ勇介君....私ってそんなに頼りないかな?」
「........全然頼りなくないよ......君のおかげで俺はまだここで立ててるんだよ....」
「え?」
俺はあの夢のこと.....つまり、あの時のことを話した。
「......そうなんだ.....」
「...でもさ、あの時.....虚ちゃんとの約束を思い出したんだよ.....だから、あの時踏ん張れたんだ....」
「あの約束を?」
「キシャアアアア!!!!!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
死ぬ!!って思った時、
『また貴方と会える日まで!自分をもっと!鍛えて!今まで以上になったら!あ、貴方とょお!恋人になっちょくれますか!!!!』
あの約束を思い出した......だから、
ガシッ!!
引きずられ、すぐ近くの木の根子に思いっきり掴んで食われるのを止めた。
「キシャアアアア!!!!!」
「くそったれぇぇぇぇぇ!!!!!」
ビーストと人間の力の差は知れている。でも、虚ちゃんと会うまで....
「諦めてたまるかぁぁぁぁぁ!!!!!」
恐怖で抜けていた力を取り戻し、踏ん張っていると
ドゴォン!!
「キシャアアアア!!!!!」
「うぉっ!!.....ごふぅ!」
突然、強風が巻き起こり続いてビーストの鳴き声が響き渡り、俺は強風の影響で身体が吹っ飛ばされ背中を大木にぶつけた。
「....つつ.......」
背中の痛みに耐えながら立ち上がり、ビーストの触手を除けて、ビーストが居た方向を見た.......そこには、先ほどいたビーストは巨大な手によって潰されていた。
「巨大な.....手?」
「うん.....あれは....忘れもしないよ....」
手から上を見ると、そこには
「銀色の巨人.......いや、あれは.......」
ビーストと共にこの地球に降り立ち、デュナミストと呼ばれる人たちが変身をし、時にはTLTの人たちに身体を調べられ殲滅対象とされながらも、自分の罪に蝕まれても、自分の命が短くなろうとも戦い、人々に光と絆を思い出させた銀色の巨人.......その名も....
「....ウルトラマン....」
「ウルトラマン?.....って!あの!?」
「うん......間違いないよ」
TLTに内密にされていたが、だんだんと認知されていき、最後には人々に光を取り戻させた英雄.....今ではそれを題材にした小説なども沢山出されている。
「.......あの後、ウルトラマンも消えてTLTの部隊のナイトレダーの人たちに救助されたんだ.......情けないだろ?」
「え?情けなくないよ!」
「だってさ、目の前の人を救えなくてさ....俺も恐怖に負けたんだよ.....幻滅しても仕方がないさ......」
「......」
事実、俺は目の前の人たちを救えなく、少し鬱のような状態になってしまったが虚ちゃんと話せたことや周りの人たちに支えられたからこそ今の状態に至ってる。
「俺は.....変わってないんだよ.....ごめんね、嘘.....ついちゃって....」
「.........私もね.....勇介君ほどじゃないけど、自分が情けないと思っちゃう時があるの。」
「え?」
私は更識家に代々仕える家柄だった。私と本音は小さい頃からいろんなことを教えられた。でも、それでも不安なことが沢山ある。
「お嬢様は学園最強で妹様は代表候補生.....本来は私が守らないと駄目なのに.......逆に守られてるって思っちゃうことがあってね......でも、それでも自分に出来ることがあるんだって....いつも思ってるの」
「自分が......出来ること....」
「そう.....事実、お嬢様はあの通りイタズラが好きで妹様に対して不器用になったり......だから、お嬢様が苦手なことは私が支えよう.....そう思うの」
「......」
「.....こっちに来て」
私は勇介君を私のそばまで寄せて、抱きしめた。
「っ!」
「皆が皆、不安が沢山あるの。勇介君だけじゃないよ。.....でも、どうしても不安に負けて辛い時があるかもしれない......どうするかって?.....人と触れ合い話し合うの....私も勇介君と話せて頑張ることが出来たんだもの.....勇介君もここまで頑張れたでしょ?恐怖に負けたって良い.......辛い時は立ち竦んでも良い......だって、私たちの周りに支えてくれる人が必ずいるから!前に進めれる力があるから!......だから、大丈夫.....」
「.....うっ.....あああああ!!」
彼の頭を優しく撫でながら、彼を受け入れた。
「大丈夫?」
「....あぁ、えっと、大丈夫......です。」
辛かったとはいえ、流石に思いっきり抱き付いて、泣いたのは恥ずかしい......
「.....そう」
「.......ありがとう。ちょっと.....決心出来たよ....」
「決心?」
「うん.......まあ、これは俺とあの子の問題だから......大丈夫!虚ちゃんのお陰で何か大切な物を見失ってたものがまた見えた気がするよ!」
「......頑張ってね。」
「うん!.......虚ちゃん」
「どうしま....んっ!」
俺は虚ちゃんに近付き、キスをした。
「......これでもっと力が出r...ごぶっ!」
キスが終わり虚ちゃんに感謝しようとしたらペットボトルが俺の顔にクリーンヒットした。
「........突然は.....卑怯です」
と、走って戻って行った。
「あたたた.......でも、本当にありがとう虚ちゃん......よし!明日は頑張りますか!!」
明日は.....簪と会ってちゃんと話をしないとな.....部屋に戻ろう.....そう思ったが
「おい」
「はい?」
バシンッ!
「!?」
突然、何者かが俺の頭に硬い物をクリーンヒットさせた。
「つぅ!.....だ、誰......お、織斑せ、先生.....」
「.....」
後ろにいたのは織斑先生であった。あぁ.....ヤベェ.....見られたか?さっきの....
「.....何があったかは聞かん.....消灯時間も過ぎている。早く部屋に戻れ。」
「は、はい。すみませんでした。」
俺はさっさと部屋に戻って行った。てか、絶対見てたな!あの人!少し赤かったもの!
「人よ願え! お前たちに不可能は無い。 何故ならば!…俺がいる」
FGOのナポレオンの宝具セリフより
このセリフが心に残っているので載せました。今回にピッタリかと思いまして。
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11話
FGOの周回が....周回が......
まぁ、これは置いといて......どうぞ楽しんでください。
あれから部屋に戻りシャワーを浴び寝たが、先ほどの悪夢を見なかった。そして、朝になり朝食を食べ、授業を受け.......ついに、放課後
「........」
「.....ゆー君.....大丈夫?」
俺と本音はある所の前にいた。
「あぁ.....覚悟は決めてきた。」
深夜にあれほど虚ちゃんに元気を貰ったんだ.......行かないと駄目だ.....
「.......そうなんだ」
「....本音....ありがとうな。簪と会う約束取り付けてもらって。」
「ううん良いよ.......やっぱり.....かんちゃんのこと........」
「.....そうだよ。」
「......」
本音が何か言いそうだったが、思い止まったのか言わなかった。
「さて.....いきますか....」
本音に岡本君と会ってちゃんと話そうってことで、整備室で待機してるけど.......
「......絶対......あのことだよね......」
あの時、本音に泣き付いて自分の気持ちを全部吐いてしまって、彼の気持ちも知られてしまった。
「......酷いよね......彼は何も悪くないのに....ビンタして......」
はぁーとため息をついていると、
「.......よぅ....」
「っ!」
彼が現れた。
「あー.....ごめん、驚かしたな。」
「う、ううん......大丈夫......」
「「.......」」
彼も黙ってしまってった。何を言えば良いか分からなくなってくる。でも、先に口を開いたのは彼だったら。
「.....その、簪.....さん」
「......はい」
「.......やっぱり、俺は.....君の気持ちに答えることは.....出来ない....」
「......」
あぁ.....やっぱり、彼も変わってなかったんだ。分かっていた....分かっていたことだった。彼が虚さんのために努力をしていたことを.....彼が虚さんと会っている時の笑顔を見たから.....分かっていたのに......一抹の希望を抱いてしまっていた。
「.....そう....だよね....」
「.....君の罵倒などは受け入れるよ.....俺は君に最低なことをしてるんだから......」
「.....やっぱり.....優しいね......岡本君は凄いよ....私なんか......」
「.....俺は凄くなんかないよ....弱いよ.....」
「え?」
彼が弱い?どいうことだろうと思っていると、彼は今までのことを語った。
「.......だからさ、君が思ってるほど俺は凄くないし、弱いんだよ。」
「.......」
やっぱり衝撃すぎるよな......怪物に襲われて恐怖に負けたなんて.....でも
「簪さんこそ.....凄いじゃないか。」
「え?」
「だって、聞いたぞ本音に。代表候補にまで登りつめたんだろ?俺なんかより立派じゃないか。」
「それは....」
簪さんは下を向いてしまった。.......多分、
「それって、俺を忘れるために頑張ったから?」
「......本音に聞いたんだ....」
本音の言うとおりだった。それでも....
「それでもさ......凄いよ....違うな.....言葉に現せれないほど立派だと思うよ.....」
「........」
また下を向いてしまった。母親から聞いたがやはり恋というものは厄介だな....
「.....これね」
「何?」
突然、簪が待機しているISの近くに寄っていった。
「私の専用機なの。」
「簪さんの?でも....」
参考書で読んだが、代表候補に選ばれた人などには専用機が渡されると知っていたのたが、そこにはケーブルなどが繋がれていた。
「.....1人目の男子が動かしたから、そっちのほうの専用機が優先になっちゃってね......最初は私だけで完成させようとしたの....」
「1人で?」
「うん.....お姉ちゃんが1人で完成したって聞いたけど.....私には無理だった......でも、岡本君もこんなので諦めてるわけがないって思って沢山の人に協力して....もう少しで完成するの.....でも....」
完成するほどの技術があるのか.......やはり、簪さんは凄いなぁ.....
「でもね、ある意味それも忘れるためにやったことだと思ってしまうの........最低だよね....私の恋を忘れるために皆を操った感じで......」
「......そんなことないよ....」
「......」
「君が.....どんなことがあってもそれは君の......君たちの努力の結晶だよ!!」
「っ!でも....」
つい声を荒げててしまった。それでも、やはり簪さんは後ろめたい感情があるようだった。
「.....簪さん、何で俺がまた立てるようになったか分かる?」
「........虚さんに励まされたから?」
「あぁ!それもあるよ!でもさ!それ以上に周りの人が居てくれたからなんだ!!」
周りの人が俺を奮い立たせてくれた。周りの人から恐怖に負けたら駄目だと励ましてくれた。そして.....
「父さんたちの言葉もあるけど.....ある人からの言葉で立ち直れたんだ....」
「.....言葉?」
「あぁ!んっ!」
俺は簪さんの目の前でサムズアップをした。
「?それが.......どうしたの?」
「あぁ、これはね俺と同じ名前の『雄介』さんという人から教えてもらったことなんだけど.....」
『俺もさ君より下の時にさ父親が亡くなって悲しんでた時にある先生に励まされたんだ......これ.....そうサムズアップ!これさ....
古代ローマで満足、納得できる行動をした者にだけ与えられる仕草なんだってさ!そしてね、
お前もこれに相応しい男になれ。
お父さんが亡くなって、確かに悲しいだろう。
でもそんな時こそ、お母さんや妹の笑顔のために
頑張れる男になれ。
いつでも誰かの笑顔にために頑張れるって
凄く素敵な事だと思わないか。って。
君が色んなことをしてるってみのりに聞いたよ。真面目で人を助けるんだって.......だから......君もさこんな人になろうと頑張ろ!!』
「......ってね!俺はローマ皇帝みたいに偉くないし、君の努力を評価をしたら駄目なんだろうけど......それでも、俺はどんなことがあっても君にサムズアップする!」
「......」
「俺はまだたまに恐怖に負ける時もあるけどそれでも立ち上がってやる!恐怖で足が止まってもね!綺麗事だと思うかもしれないけど.......簪さんには良い人が見つかる!俺なんかより君の努力を認めれる人が現れる!」
「.....」
簪さんは驚いていた。多分、俺がこんな大きな声を出したことがなっかったからだと思う。そして、簪さんは....
「......もし」
「ん?」
「もし、この子が完成したら.......私と戦ってくれる?......そうすれば.....私も.....立ち直れると思うんだ.......」
「っ!あぁ!喜んで!!」
そう答えると、簪さんが俺の近くに寄って来て
「.....最後に」
「え?」
簪さんは自分の最高だと思う笑顔で俺にサムズアップしてくれた。
「私も勇介君がしてきたこと凄いと思うよ......だから...」
「....あぁ、ありがとう!」
二人でその場で笑いあってると....
「.....もう.....大丈夫?」
本音が顔を少し出していた。
「うん....大丈夫だよ。本音もありがとう!」
簪さんが俺にやったように本音にもサムズアップしていた。
「え?あ、うん!かんちゃんの笑顔久しぶりに見たよ!!」
本音は照れくさそうに笑っていた。
今回で一件落着です。
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