紅魔館の黒一点 (アクト)
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プロローグ

「なあ咲夜、お前のその銀の懐中時計って時を止めてる間止まってるのか?」

 

紅霧異変と呼ばれる異変が博麗の巫女と、今私に話しかけてきている霧雨魔理沙によって解決されたのが数ヶ月前。妹様も長年悩まされた狂気からほとんど解放され、明るさを取り戻してきた時期。

紅魔館の中で十六夜咲夜は、いつも使っている懐中時計について問われた。多分私が時を操る程度の能力で、時を止めている間に生じる時間のズレに疑問が出たのだろう。

 

「少し違うわ。時を止めてる間も動いていて、解除したときに時間がまた合うのよ。」

 

「へぇ。便利だな。ということはパチュリーから貰ったのか?」

 

勝手に時間が合うというとこから、魔法を使えるパチュリーから貰ったものだと思ったのだろう。私は指先で髪を弄りながら答えた。

 

「…それも違うわ。これは、今はどこにいるかも分からないし連絡すらもしない紅魔館の執事長から貰ったのよ。」

 

あまり答えたくない質問にも繋がりそうね。少し濁そうかしら。咲夜は内心そんなことを思いながら無意識のうちに【彼】のことを思い出していた。

 

―――――――――――――――――――――

 

 

「…それも違うわ。これは、本来ここにいるはずだった紅魔館の執事長から貰ったのよ。」

 

「はぁ!?」

 

私の質問に対して妙な間を空けてから咲夜が答えてくれた。おいおい。思わず変な声がでちゃったじゃんか。思いもしなかった新人物?妖怪か?に驚いたが、思考を整理する。まず吸血鬼の館っていうことと、全面真紅な壁や床とか少なくとも正直私はここで働こうとは思わないぞ。そいつは変人か?しかも執事長ってことは男か。自分以外全員異性だなんて想像できないな。普通だったら気を使いすぎておかしくなりそうだ。

 

「そいつはどんなやつだったんだ?」

 

「…人間よ。」

 

えー。そう答えらても困るんだが。この紅魔館で人間というのは珍しいのは理解しているが、種族しか答えないっていうのはどうなんだ?

しかもどこにいるかわからないっていうのも気になるし。何かあったのか、それとも嫌気がさしたのかは知らないが、理由も気になる。

 

「他には?」

 

「…この話はここで終わりにしましょ。紅茶はどう?」

 

あからさまな話題転換だな。けど、態度も変だから今は無理にでも聞くのはやめとくか。

 

「めちゃくちゃ気になるけど、そうだな、やめとくぜ。」

 

私がそう言うと咲夜がほっとしたのがわかった。よっぽど聞かれたくないことか思い出したくないのか?

不安そうにも見えたが…

今こいつには聞かないつもりだけど、ますます興味深くなってきたな。

 

「あれ?咲夜さんと魔理沙さんは彼の話をしてるんですか?」

 

「違うわよ。ちょっと美鈴、あなた仕事はどうしたのかしら?」

ちょうど話が終わりそうで、咲夜が紅茶を入れてこようとした時、門番の紅美鈴が会話に混ざってきた。どうやら美鈴はそいつのことを話すつもりらしい。咲夜には手のひら返しで悪いと思うけど聞かないようにしていた内容に好奇心が勝る。

 

「そうだぜ。その彼?って言うやつのことをききたいんだぜ。」

「はぁ。私は紅茶を入れてくるわ。」

 

咲夜は美鈴が来ると割とあっさり諦めたのか、溜息をついて席を立ったが、紅茶を入れに行ってくれるようだ。まあ時を止めて移動していない様子を見るに、自分がこの場にはあまり居たくないっぽいな。美鈴も同じ考えに至ったのか咲夜の方を見てクスッと笑っている。

さて、じゃあ私は紅魔館の執事長でここにはいないという【彼】の話を聞くとするか。

 

「ではそうですね。まずは名前からですね。

彼の名前は(つごもり) 黒夜(くろや)。咲夜さんと同い年の人間です。どこにいるかは分かりませんが多分幻想郷にはいないとおもってます。」

 

美鈴は、一度深呼吸してから語り始めるのだった。



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紅魔郷後
執事とメイドと能力と


文字数増やすのなかなか大変。他の方の凄さは書いてみてようやく分かる。
目指せ1話4000文字!!
頑張っていきます。





「黒夜、あなたは紅魔館の執事になりなさい。」

 

今日で僕、晦 黒夜は吸血鬼の館に拾われてからちょうど8年になるらしい。紅魔館の主、レミリア・スカーレットの自室に呼ばれていた。

僕の身長は、まだ低い。吸血鬼のレミリアと比べても僕の方が低い。多分あと10センチ伸びてくれれば追いつくと思うんだけどなぁ。さて僕の身長の悩みは置いとこう。同じ人間のあいつより少し高いんだ。なら普通なはず。

次は今の言葉について考えよう。日頃の悪戯がばれて怒られるかと思ったけど、どうやらちがったみたい。執事ということだけど、僕は多分そこらの同年代より優秀だ。これは別に傲慢になってるとかじゃない。図書館でパチュリーさんが色々教えてくれるおかげだと思っている。

 

「執事ってあれだよね。なんか家事をやったりするやつ。妖精メイドもいるしなんで?必要?」

 

「紅魔館に住んでいる皆には、役職があるわ。門番とか庭師とかが美鈴。パチュリーは多分司書。小悪魔も司書かしら?」

 

なんか曖昧だなぁ。美鈴さんは役職が多すぎるし、パチュリーさんは図書館からほとんどでてこないから、小悪魔さんと一緒に司書ってことなのかな。っていうかレミリアも把握してないじゃん。

「で、僕とあいつにも何かやらせようってことなの?」

 

「そうよ。でも今は特に仕事はないわ。今まで通り能力を高めなさい。仕事は美鈴が教えてくれるはずよ。ちなみに咲夜はメイドよ。あとなんで普段私は呼び捨てなのかしら?」

 

やること自体は今とあんまり変わんないのか。

ならいいかな、うん。レミリアを呼び捨てにしてるのは、普段何してるかあまり知らないからなんだよね。特に何か教わった記憶もないし。

 

「普段何を、やってるか知らないからだよ。これからはお嬢様って呼べばいいの?」

 

「そうよ。あと、私が紅魔館の運営をやってるのよ。」

 

へぇ。そうだったんだ。普段から忙しそうだったから知らなかったんだよね。

 

「了解しました。お嬢様。ってこんな感じでいいの?」

 

「それでいいわ。もう話は終わりよ。戻っていいわよ。」

 

「失礼しました。」

 

あぁ、なんか疲れたー。今日から僕は執事で、あいつがメイドかぁー。色々頑張んなくちゃな。まあ今日はもう少ししたら寝ようかな。

紅魔館の中には、僕とあいつの部屋がある。普段からここで寝泊まりしているんだ。ただなんで部屋が共通なのかがわかんないけど。

部屋で、今日パチュリーさんから出された課題や学んだことの復習をしていると、ドアが閉まる音がした。開いた音に気づかなかったのは、多分それだけ集中出来ていたのかな。

顔をあげると、月明かりに照らされて綺麗な銀髪が視界に入る。身長は、僕の方が少し高い。ここ重要。

 

「咲夜か。お前もメイドになったんだよな?」

 

―――――――――――――――――――――

 

「咲夜か。お前もメイドになったんだよな?」

 

「うん。そうだよ。」

 

私はさっきまで、お嬢様の部屋にいた。そこでメイドに任命されていた。黒夜にもほとんど同じ説明をしたと言ってたから、多分執事にでもなったと思うんだけど。

黒夜が課題から顔をあげて目が合う。

こいつの顔の善し悪しは比較対象がそもそもほとんどいないので分かりずらいけど、食料としてみた人間と比べたら、暫定1位。私から見ても悪くない。

艶のある黒い髪で赤い瞳。私の髪は銀髪で瞳は青色だ。なので、美鈴さんが

「2人で並ぶとなんか反対の色っぽいのでお互いの良さ目立ちますね。」と、褒めてくれたのは嬉しかった。美鈴さんの紅い髪も鮮やかで綺麗だと思うけど。妙な空気になったので話題を探す。ちょうど黒夜が、パチュリーさんからの課題をやっていたのでラッキーだ。

 

「あなた、まだ課題やってなかったの?やる時間はあったでしょ。」

 

「やろうと思ったときに、お嬢様から呼ばれたんだよ。」

 

まだ課題を終わらせてないところから話を広げる。

 

「呼ばれる前は、あなた何もしてなかったじゃない。」

 

「うっ。考え事してたんだって。」

 

私達は同じ部屋で暮らしているので黒夜が、何をしていたかは私にも分かるのだ。逆もまた然りだけど。こいつが、呼ばれるまでの間寝る訳でもないのにベッドの上で目を瞑っていたのを、私は覚えている。どうやら考え事をしていたらしい。

 

「何を考えていたのよ?」

 

「…さぁ何考えてたか忘れちゃった。そんなことより明日もまた話があるみたいだけど、今度は2人一緒だよね。しかもパチュリーさんと小悪魔さんもいるときに。」

 

「そうだね。何を話されるかは知らないけど。」

 

そうなのだ。さっきお嬢様から、明日は夕食後に残ってくれと言われたのだ。お嬢様といえばさっきこいつもお嬢様と呼んでたか。なんか違和感あるけど執事になったことで呼び方を変えようとしてるのかな。

明日のことは私もかなり気になる。メイドのことは今日言われたから、他にも何か重要なことがあるっぽい。パチュリーさんが図書館から動くことから想像出来る。最近色々変なことがあるし。まあ考えても仕方ないか。

いつの間にかもう寝る時間になっていた。今夜は晴れていて、月が綺麗に見える。

 

「まぁ明日もまたやることが沢山あるから早く寝ましょ。」

 

「りょーかい。」

 

黒夜はたまに夜更かしをして何かしているが、女の子には、夜更かしは敵だと美鈴さんから教わったのだ。私は、最近起こる変なことを考えてる内に眠気に襲われ眠りにつくのだった。

 

―――――――――――――――――――――

 

昨日、執事に任命されてから丸1日たった。ん?なんか変な表現だな。まあいいや。

今は夕食後、テーブルに全員集まっている。お嬢様からすれば朝食だけどね。あれ?朝食でいいのか?一応夜なんだけど夜が朝だし。なんて変なことを考えるってことは、僕は緊張しているようだ。

 

「さて、ではそろそろ話し始めましょうか。今日あなた達に集まってもらったのは黒夜と咲夜の能力を知るためよ。」

 

お嬢様が、いうには能力とは、生命に宿ることのある不思議な力のことらしい。

僕と咲夜を拾ったのは、お嬢様の運命を操る程度の能力で僕らが面白い運命を持っているのが見えたからと聞かされた。

それで何か能力の兆候は、ないかということだった。もしあるなら早めに制御できるようにした方がいいらしい。

僕には心当たりがあったが、どうやら咲夜もそうみたい。

僕がちょうど昨日考えていた内容だ。最近変なことがあるのだ。例えば行こうと思った場所に気づいたらもう着いていたりとか。そのときはボーッしてたんだろうって納得したけど、昨日またそれがあったのだ。

 

「能力自体は、霊力と同じような感じで自分の内側に凄く集中すれば見つかると思うわ。」

 

集中。集中。美鈴さんから教わったことに似てるなと思いながら、集中しているとそれらしきことが頭に浮かんだ。咲夜も見つかったらしい。

 

「僕の能力は空間を操る程度の能力です。」

 

「私の能力は時間を操る程度の能力です。」

 

 

 

 




強そうな能力ですが、主人公の強さは弾幕ごっこだと良くて上の下。
タグ通りそこそこってことだね。



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修行と選択

「僕の能力は空間を操る程度の能力です。」

 

「私の能力は時間を操る程度の能力です。」

 

こんな感じで能力を伝えたのが数時間前、僕と咲夜は部屋に戻ってきてくつろいでいた。

あの後のお嬢様やパチュリーさんからの質問攻めが疲れたからだ。どうやら人間が持っているような能力ではないらしい。よっぽど珍しいようだ。結局は考えても結論が出ないから無駄だということになった。能力については、明日からパチュリーさんと色々やっていくことが決定し、解散した。

 

「空間を操る程度の能力か…面白いね。できることがめちゃくちゃ増えそうだ。」

 

「何。また悪戯のこと考えてるの?」

 

「それもあるけど、今考えてたのは戦闘のことだよ。使いこなせれば面白いのは確実じゃん。あとは移動が便利になるなぁってことぐらいだよ。」

 

この能力が面白いことは何となく分かる。僕の感は結構当たるのだ。能力が分かってから、この能力をどういう風に使っていくかとか、使い道が頭の中に溢れてニヤニヤが止まらない。そうやって笑っていたら咲夜がこっちをジト目で見てたから、抑えたけどね。

 

「明日は咲夜と一緒に、午前は美鈴さんと体術の訓練、休憩をしてそこから午後はパチュリーさんと能力について考える時間。一気に忙しくなるけど楽しくなりそうだな。咲夜。」

 

「そうね。なんで私達がこんな能力を、もってるのかは気になるけどあなたがいるしね。生まれなんて気にしないわ。あと悪戯に関しては程々しなさいよ。」

 

「わかったわかった。」

 

「はぁ…私に迷惑かけないでよ。」

 

「りょーかい。」

 

確かに生まれは気になったことはあるけど、似たような境遇の咲夜がいるから捨てられたっていうのを気にしたこともないし。咲夜も同じ感じかな。邪魔になるなら潰す。やっぱ単純でわかりやすい。

ため息つかれちゃったけど悪戯に関しては、無理かな。小悪魔さんと美鈴さんの反応が面白いんだよね。咲夜は驚いたときの反応が可愛いし。つい魔が差してやってしまう。

―――――――――――――――――――――

 

「はぁー。」

 

私は長い息を吐いて目を閉じる。どうやら思った以上に疲れていたようね。

 

「咲夜そんなため息ついてどうした。」

 

こういうときに同じ部屋というのは便利なんだと思う。悩みがお互いにあればすぐ気づいて解消することができる。その本人が悩みの種じゃなければだけどね。私が今ため息をついたのは黒夜のせい。厳密に言えば黒夜がさっきからまたニヤニヤしながら何かを書いてるのが見えたせい。

率直に言おう。あいつは性格が悪い。

例えば私と黒夜がこの前美鈴さんに

「そういえば御二方は好きな物や趣味はないんですか?」って聞かれた時に、あいつは「咲夜。」って答えたのよ。当然私も美鈴さんも固まった。

私がそのときどんな風に感じたかはおいておこう。次に美鈴さんが、私の静止を無視して

「じゃあどんな所が好きなんですか?」って定番の質問をしたのよ。この答えは多分一生忘れないと思う。

あいつは

「勝負で負けが確定してるのに、それにすら気づかずに必死で悩んで足掻くところが面白い。」

この発言を聞いた瞬間私と美鈴さんの内心は一緒だったと思う。

((うわっ。こいつ性格悪すぎ!!。))

だって、私とこいつは、まだ8歳なんだもの。

絶対碌でもない人間になるって思ったわ。

 

あの時から私の中で、こいつのイメージは確定した。そんな人間が新しい【能力】というものを使えるようになって、ニヤニヤ笑ってたら誰も近寄らない。ただの予想だが、あの書き込んでる内容は能力を使った何かのアイディアだろう。

だが、私は部屋が同じなのだ。

あいつは、普段はのんびりしているし、やる時はやるやつでもたまにかなり性格が悪いやつにチェンジするのだ。これが今現在私の頭を悩ます問題である。ホントにどうすればいいのかな……

 

―――――――――――――――――――――

 

能力についての練習を開始してからだいぶ時が流れた。能力の制御は段階的に行われた。

 

第1段階の、空間を繋げることから練習した。

水の入った袋から空の袋へ水を移す練習だ。

袋の中心の水を移すことはできるけど、底の方や袋の周りの水を転移させようとすると、袋をちぎって転移させてしまうのだ。パチュリーさんによれば、これを中の水全て移せるようして空間認識能力を向上させるのが目的らしい。

第1段階の基礎だがめっちゃ難しかった。

 

ちなみに物体の中に物体を転移させたら質量が小さい方が弾き出された。ぐちゃぐちゃにならないで安心した。これは、安心して自分自身の転移ができるってことだからね。

 

第2段階は、視覚外の物体の転移だった。

これは割と簡単で、向上した空間認識能力で物体の位置を頭の中で正確に認識すればできるようになった。これでテレポーテーション習得!!

 

練習中にこれ見よがしに紅茶を飲んでた小悪魔さんのカップに見えない所にあった砂糖を大量に混ぜてあげたりした。液体の中に固体を転移させても弾き出されないらしい。地味に新しい発見だった。

 

最後の第3段階は、新しい空間の創造だった。

パチュリーさんから魔法的な分野からもアドバイスをもらってようやくできるようになった。

これで物の収納に困らないと思うと達成感が凄かった。

 

これでやっと制御できるようになっただろうから、自分で発展させていきなさいという言葉をもらった。

ずっと隣で練習していた咲夜は能力の制御が俺より数週間早く終わっていた。ドヤ顔でこっちを見てきたから少しイラッとした。

この時すでに3年経過し俺と咲夜は11歳だった

 

始まった応用は基礎より簡単で咲夜が時を止めてる間の空間に侵入できるようになった。時と空間は密接な関係にあるっていうのはホントだったんだね。

咲夜は、世界中の時を止めてる訳じゃなくて、空間を指定して止めているみたいだから、その空間の違和感が凄かった。初めて侵入出来た時にドヤ顔で咲夜の方を見てやった。

その日の料理当番だった咲夜に飯を抜かれました。解せぬ…

ちなみに咲夜も空間を少しだけならいじれるようになって、俺も、自分の身体のみ加速と停滞ができるようになった。いずれ停止も頑張ります。

 

能力と並行して行われていた美鈴さんからの、

体術の訓練は厳しかった。最初の方はね、すぐに搦手にはしってしまうせいでよく注意された。基礎がしっかりしてないうちはダメらしい。能力を使いながらの組手もやってみたけど難しい。相手の動きが水の中で別の人が動いたときみたいに、空間の揺らぎで分かるようになった。

分かったとしも速すぎて対応出来なきゃ意味が無いんだけどね。

あとね、この訓練始めてからずっと思ってたんだけど、咲夜お前力おかしくね。俺男なんだけど。この発言を本人に言ったらまた飯を抜かれた。

 

執事とメイドの家事についてはこれもまた美鈴さんから教わった。頭が上がらないね。

幸いこれに関しては、2人とも便利な能力があったので1番楽だった。

調理時間?加速させればいいじゃん。

洗濯物?転移させて干したよ。

買い物?転移で行ってくるわ。

とか、このための能力だったのか!!って感じで咲夜と2人でテンションがおかしくなるほど喜んだ。執事とメイドは俺と咲夜にとって天職だったんだよ。

 

そんなこんなで能力の制御が終わって応用に入ってからも、楽しい日々が続きあっという間に時が流れた。相変わらず俺の方が少し身長が高い。

そして俺が紅魔館に拾ってもらってからちょうど15年目になる日、またお嬢様の部屋で話があるらしい。

わざわざこの日ということは、よっぽど重要な話なんだろう、と思いながら話を聞く。

そこで俺はお嬢様から告げられたのだった。

 

「黒夜。貴方はもう15歳よ。あと数年経てば肉体の老化が始まるわ。

ただ貴方たち2人には肉体の老化を止める能力がある。

選択しなさい。

人間として死ぬか、私達と同じ人外の時を生きるか。

貴方達には選択する権利がある。

能力をもつものとして選択しなければならない義務がある。

咲夜にも同じことを拾ってから15年目の日に伝えたわ。貴方達は、いつまでも、2人一緒だったけれど今回は自分で決めなさい。一応相談は自由よ。酷なことかもしれないけれど、これが貴方達の能力を持つものとして生まれた運命なのよ。どちらを選んでも私達からは、何もいわないわ。期限は今日から3年間。たっぷり悩みなさい。後悔がしないように。」

 

 

 

 

 

 

 



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決断

こういう場面は、文章力が試されるからキツかった。
少しずつ文字数も、増えてきてるから努力あるのみ。

感想で意見貰えると嬉しいです。


「黒夜。貴方はもう15歳よ。あと数年経てば肉体の老化が始まるわ。

ただ貴方たち2人には肉体の老化を止める能力がある。

選択しなさい。

人間として死ぬか、私達と同じ人外の時を生きるか。

貴方達には選択する権利がある。

能力をもつものとして選択しなければならない義務がある。

咲夜にも同じことを拾ってから15年目の日に伝えたわ。貴方達は、いつまでも、2人一緒だったけれど今回は自分で決めなさい。一応相談は自由よ。酷なことかもしれないけれど、これが貴方達の能力を持つものとして生まれた運命なのよ。どちらを選んでも私達からは、何もいわないわ。期限は今日から3年間。たっぷり悩みなさい。後悔がしないように。」

 

お嬢様からの話が終わって数分後。

自室に戻ってきてからどうするかを考えようと思い、ベットの上で目を瞑っていた。

 

人として死ぬか、

 

能力を使用して永い時を生きるか。

 

正直今日まで1度も考えなかった訳ではない。

お嬢様に言われなくてもいずれ選択しなければならない事だと偶に考えてはいたことだ。それをまた今度考えればいいと先延ばしにし続けてきて、それで今日お嬢様がきっかけをくれた。そういうことなのだろう。

 

自分がどうしたいか、か。

正直なところ俺は今能力を使って寿命を延ばして生きたいと思っている。これは間違いない。

紅魔館の皆でワイワイと騒いでいつまでも暮らしていける。

ただそうすると何時までも俺はこの選択が正しかったのかという疑問を抱き続けるだろう。そうならないためにもやはり人間というものを1度詳しく知る必要がある。

この案を実行に移せばいいのだと、自分の中では答えが出てる。だけどそれを決める最後の自信が持てないってのが俺の問題か。

 

「黒夜、あなたも今日お嬢様から寿命の話を聞いたのよね。あなたはどうするの?」

 

咲夜から質問がくる。今まで一緒に育ってきた人生で初めて俺と違う道を行くことになるかもしれない選択だ。何せこの選択は人生に大きな影響を及ぼすだろう選択だ。

こいつも相当悩んでるのだろう。

 

「今はまだ考え中。まだ判断できる材料が揃ってない。ここで過ごしてきた日常が永い間続けられる可能性ってのは、魅力的だ。

 

ただ、旅に出て、人間をもっと知ってみるのもいいなとは思ってる。お誂え向きな能力も持ってるんだし。」

 

「そう。寂しくなるわね。」

 

寂しくなる...か。どうやら咲夜は俺が旅に出るだろうと思ってるらしい。実際に、今の会話中で、自分の中で整理ができた。だから俺は旅に出るだろう。咲夜には見透かされてたわけか。

女の勘っていうのは怖いな。

そして更に俺が旅に出て寂しくなるってことは咲夜はここに残るつもり...か。寂しいと思ってくれるのは嬉しいけど。

 

「咲夜は強いな。後悔しないのか?」

 

「私はここで あなたの帰りを待ってるわ。後悔はするかもしれないけど、そもそも正解がないじゃない。なら自分の選択を間違ってるなんて思わないわ。

あなたが選ぶ道と私が選ぶ道、どっちも本人が信じきれれば正解よ。」

 

ありがたい言葉だ。

一緒に成長してきたのに、背中を押されちゃったな。なら、俺は行動に移すべきだ。

咲夜も知ってるだろうが俺の決意はどうせすぐに揺らぐ。気分屋なのが俺の性分だ。

今までもそうだった。

ここで日常を過ごしていたらここから離れたくなくなっちまう。

ならすぐにでも行動に移すべきだろう。

お嬢様は、俺の運命を見たのかは分からないが3年間時間があるというのはそういうことなのかもしれない。咲夜はすぐに決めれたから、俺のための時間なのかもな。

 

「サンキューな。ちょっとお嬢様と話してくるわ。おやすみ。」

 

そう言ってドアを閉める。咲夜には悪いが多分これから3年間ぐらい会わないだろう。

 

俺らは、お互い以外の人間を知らなさすぎる。

会わない間に咲夜にも友達が出来ればいいな。

まあどこかで天然がバレれば友人はすぐにできるだろ。

3年間成長中の咲夜を見れないのは少し勿体ないが、小悪魔にでも頼んで写真を撮っといてもらおうか、

などと思いながらお嬢様の部屋の前まで転移するのだった。

 

―――――――――――――――――――――

 

 

「3年間暇が欲しい、ねぇ。随分急いだ決断ね。まあいいわ。路銀はあげる。自分の目で人間をじっくり見てきなさい。あともう行くつもりなら咲夜に手紙でも書いときなさいよ。」

 

「わかりました。ありがとうございます。お嬢様。」

 

「楽しみなさいよ。そして、成長した姿を見せなさい。また会いましょう。」

 

「失礼しました。」

 

黒夜はそう言って部屋を出て言った。執事になった時と比べて成長を感じるわ。人間という種族はホントに成長速度が早い。私達妖怪からすると、その人生すらあっという間だ。だからこそ黒夜は、実際に人間の生き様を見てみたかったのだと思う。咲夜以外の人間を知らない分余計にね。

 

「はぁ…3年間か。」

 

昔からチラチラ運命に見えていた紅魔館に黒夜がいない時期はこの期間のことかしらね。そしてここには咲夜がいたから咲夜はここに残る、と。

容姿も選択も反対なのにお互いに必要としている。たまたま別の日に拾った赤子が互いに影響を及ぼす能力を持っているなんて、やっぱり面白い運命ね。

 

この3年間という時間は黒夜の人生において大事な時間にはずだ。

私達が育てパチュリーの教育を受けた聡い子だ。心配しなくても3年後黒夜なりの選択を聞かせてくれるだろう。それまでの辛抱だ。

·····目先の問題としては咲夜のケアをしなくちゃならないわね。

手紙を書くとは思うけど、ここまで急いだってことは決めてからすぐに来たのかもしれない。決意が鈍らないうちに。

性格と今までのパターンからすると咲夜には知らせてなさそうだ。咲夜も聡い子だから納得はするだろうし今まで一緒に育ってきた分気持ちもわかるはず。

でもそれとこれは別なのよね。

流石にたった一日の内にどこかへ行ってしまうとは思わないもしないだろう。

黒夜のやつ割と面倒臭い問題を残していったな、などと考えながら窓の外の月を眺めるのだった。

 

「今夜も、月が、みえないわね。あの日と同じだわ。」

 

―――――――――――――――――――――

 

重い瞼を開く。冬の冷えた空気が顔にあたる。ベッドの毛布の中が心地よく、だいぶ昔の黒夜と一緒に寝ていた時を思い出してしまい頭から追い出す。あの時は起きたら互いに抱き合っていて恥ずかしかったのだ。

ちなみに私はメイドになってからは毎日決まった時間に起きるようにしている。

まだ寝惚けた頭で、久しぶりに黒夜の寝顔でも見てから起こそうと思っていたのだけれども、

黒夜が居ない。というかベッドすらない。

もう行ってしまったのかという疑惑が脳裏をよぎる。

急いで意識を覚醒させ、慌てて周りを見ると私の机の上に、手紙と1つの箱が置いてある。

黒夜の筆跡だ。丸っこい女子みたいな字が相変わらず特徴的だ。

この箱は、包装から黒夜からのプレゼントだろうと思い手紙に視線を落とす。

そこには、

 

〖 咲夜へ

 

簡単に書くと暫くの間旅に出る。

俺は咲夜以外の人間をあまり知らないから3年間人間を見てくる。お嬢様からの許可は貰った。

 

咲夜と紅魔館で楽しく過ごしていると、どんどん決意が鈍りそうだから夜の間に出る。俺のいない間家事を頼むな。

 

次にその箱の中身については俺からのプレゼントだ。パチュリーに協力してもらって創った懐中時計だ。いらなかったら捨ててくれも構わないけど使ってくれると嬉しい。

 

3年間時間があるんだ。大丈夫だと思うがしっかりやれよ。結構天然なんだから。俺は、この3年間を上手く使うつもりだ。修行もするし飯も食う。だからあまり心配するな。

3年後にもっと綺麗になった姿を見せてくれ。じゃあまたな。

黒夜より〗

 

と綴られていた。流石に寝ている間に、出発するとは思いもしなかった。

この黒夜らしい自分勝手な文章に言いたい事が、沢山あるんだけどもう居ないらしい。

 

寂しくなるな、とか私より綺麗な人と会わないでほしいなとか思いながら、黒夜が空間に収納したんだと思うスペースを見渡す。

枕が替わると寝れないタイプなのは知っていたけど、流石にベッドごと持っていくとは思わなかった。それ紅魔館の私物よ。帰ってきたら説教ね。

 

―――――――――――――――――――――

 

『現在』

 

私がゆっくり紅茶を入れてから戻るとだいたい美鈴が黒夜のことを話終わったところだったようだ。 2人の会話が聞こえてくる。

 

「じゃあその黒夜っていうやつは今旅に出てるのか?ここに居ないってことは、まだ3年経ってないってことだろ?他には、帰って来れない状態ってのもあるけどそいつはそこそこ強いんだろ?」

 

「そうですね。あれは2年前の事でしたからそろそろ帰ってくると思うんですけど、幻想郷に来れるんでしょうか?

彼は否定してますけど咲夜さんと同じくらい天然ですし...」

 

「2人とも、紅茶入れてきたわよ。」

 

「あっ、咲夜お前から見て黒夜っていうやつをどう思ってるんだ?」

 

魔理沙が私に答えにくい質問をしてくる。

黒夜がそろそろ帰ってくるということは、私も選択の日が近いということに気づいて、それに気を使った質問なのかしら。それにしてもね...

私にとって黒夜はあの日まで隣にいてくれるのが当たり前の存在だったのだ。覚悟はしてたけど私に直接何も言わずに出ていっちゃって...

 

「美鈴の言う通り天然なやつよ。帰ってきたら無断で持ち出した紅魔館のベッドを返してもらわなくちゃ。」

 

「恋愛感情はあるのか?」

 

「随分突っ込んだ質をしてくるわね。

...正直分からないわ。少なくとも私が好きだったのは、昔の黒夜で、この3年で黒夜も変わってるはずだから。」

 

「好きだったのは認めるのか。」

 

「ええ」

 

私は黒夜のことが好きだった。これは事実だから認めよう。しかし今はまだ分からないのだ。3年間どう変わったのかを見定めなければ分からない。私の黒夜に対する感情は3年前のものなのだから。

 

「多分、私から見てもそういうだったと思います。しかも2人とも。」

 

「えっ!?」

 

たった今美鈴から割と驚きの情報が出てきた。

あの時は私だけだったと思ってたのに黒夜も!?

 

「あれ、咲夜さん気づいてなかったんですか。多分黒夜くんは咲夜さんの気持ちに薄ら気づいてましたよ。」

 

えぇー。あのときは実は両想いでしかも、私だけ気づいてなかったって...。

ん?そうなるとあいつ私の気持ちに気づいていながら旅に出て連絡すら寄越さないのか。

今は幻想郷だから仕方ないかもしれないけど、

こっちにくるまでは能力を使えば出来たはずよね。

 

ふーん、そう...。

 

 

 

 



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黒夜の3年間

安定して4000文字突破!!
そしてお気に入り登録ありがとうございます。

数日間投稿の間隔が、空くかもしれません。
ストックつくってきます。


日本のとある山奥、幻想郷を覆う博麗大結界と呼ばれる常識の結界の外側に1人の男がいた。

身長は175cmぐらい。黒髪で、赤というか緋色の瞳、服装は黒いフード付きのパーカーが特徴的だ。そして山奥であるにも関わらず、荷物を一切持っている様子はない。

 

そんな彼の前の空間に奇妙な裂け目が出現する。切れ目の両端にはリボンで縛られており、中の空間には多数の目がみえた。

その中から現れた長い金髪の美女は、口元を扇子で隠しながら、胡散臭く、それでいて妖艶な笑みを浮かべこういうのだった。

 

 

「幻想郷へようこそ。晦 黒夜。あなたの主、

レミリア・スカーレットから話は聞いてはいたわ。」

 

 

―――――――――――――――――――――

 

『3年前』

 

紅魔館の自室に、咲夜への手紙とプレゼントを置き、お嬢様から路銀を貰って紅魔館を出たのが数時間前、

現在は朝日が昇って店が開く時間だ。

 

俺は普段買い物をする店で、食糧を大量に購入しながら、他の街の情報を貰っていた。

普通は迷惑だが、大量購入のサービスということで大目に見てもらえるだろうという打算である。ちなみに買ったものは、別空間に保存してある。能力万歳!!

で、まず当面の目的としては、しばらく持つぐらい食糧を買えたので次は金策である。

これも能力を使えばいい。

貰えた情報の中にカジノがある街があったのでとりあえずそこまでの移動だ。

 

店主にお礼をいい、街から出てから人がいないところまで転移する。

ただ転移は見た事のある場所かで位置もある程度想像する必要があるので視界内の転移の繰り返しだ。

上空に転移してから進む方角に向かってひたすら前へ前へと転移をし続ける。これの方が普通に飛ぶより速いし、その場にいるのは一瞬だから人にも見られず効率がいい。

 

これを続けると結構疲れるが、

ほら、もう街へ着いた。人気のない修行に使えそうな森とかを、覚えといたので場所にも困らなさそうだ。まあ、これは今考えることじゃない。思考を切り替えなくちゃ。

 

―――――――――――――――――――――

 

ふぅ。この街もそろそろでなくちゃな。

稼ぎすぎて目をつけられたのがダメだったらしい。尾行されることが増えてきた。

こういう嫉妬とかが人間の面倒臭いところだよな。覚えとこう。

さて、この数日間で金は手に入れることが出来たから次は修行かな。トランプを閉まってから別のを取り出せるような便利な能力だし、鍛えるほど使い道が多くなるだろう。あと寝る時気づいたんだけど、持ってきたベッド紅魔館の私物じゃん。帰ったら何か言われるかな。

食糧➡︎金➡︎修行➡︎人間を観るってプランで問題なさそうだな。じゃあ次は武器を色々買ってから修行と行きますか。最終目標としてかかげるのは能力の多重展開。これができるようになるまでは修行かな。

 

―――――――――――――――――――――

 

「あー疲れたーー。」

 

たった今能力の多重展開の修行が終了した。

疲労感がやばい。多重展開は、体力というよりも頭の処理能力を大きく使うため精神的に辛い修行だった。ちなみに自分の身体のみ停止はできるようになった。加速と停滞は自身から3mまで距離が伸びた。3mって、咲夜の足元にも及ばない。

 

っていうかなんか久しぶりに声を出した気がする。やばいな。人と関わって無さすぎる。

能力の修行は、あまり動かないからこの修行で身体を動かしてた。

 

剣は、ひたすら振ったけど師匠が居ないから打ち合いすら出来ないし、鞭はそもそも何をすればいいのかよくわかんなかった。

だけど鎌に関しては割と使い易くて驚いた。

指先の力と手首の力、そして遠心力と能力の加速が、上手く組み合わさった時の鎌の先端の速度がおかしいと思う。音速超えちゃったよ...

 

まあ瞬間移動を繰り返しながら闘えるようになるまでは、使い道があるか分からない武器のことは置いておこう。

普通だと近づけないし、これについては実戦で慣れるしかない。

 

体術に、関しては微妙だった。組手が出来ないからね。ひたすらトレーニングを続けるだけだった。

 

というかあれなんだよな。能力が万能すぎて命が危険に晒されることがあんまりないんだよね。思い出してみて欲しい。能力の制御の時だ。あのときは袋の中の水だけを転移させることが出来ずに袋の1部ごと転移させてしまっていた。あれを相手にやれば終わりじゃん。

 

バラバラにしても再生する相手や、早すぎて空間の揺らぎを感じてからでは間に合わない相手には通じないかもしれないけど。あと相手を傷つけずに闘うときにも使えないか。

まあでも俺は最強になりたい訳じゃない。

 

そんなこんなで全ての修行を終えた。じゃあ次はもう少し金を貯めて、世界を旅するか。転移できる場所を増やしながら、人間を観るのを目的にしよう。

 

ふと空間から時計を出して見ると紅魔館を出てからここまでで約1年。今はまだ冬だから残り2年か。

1年かけてようやく俺は人間を知るために動き出すのだった。飛行機乗れば世界回れるかな。

 

因みにこの時計は咲夜にあげたものと同じで、自分用に創ったお揃いのものだ。外装は黒。

俺の好きな色は紅と黒だけど懐中時計に紅はなんかいやだったからね。

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

修行を終えて本格的に目的の為に動き出した日からすでにだいぶ時が流れて俺は今山奥に行くために山中を歩いていた。能力を使わないのはただの気分だ。

 

あの日以来人間のことをよく知りたいと思い、様々な場所を巡り、能力までフル活用して行動してきたつもりだ。。

 

都会で生活するどこか常に忙しない人。

すでに家庭を持ち幸せに暮らしている人。

田舎ながらに地元の皆で助け合って生きる人。

日々真理を求めて研究を続ける人。

国の行方をその身に背負い頭を下げる人。

そんな幸せの傍らで、

生活の為に盗みを繰り返す人。

復讐心から、人を殺してしまった人。

自身の快楽の為に犯罪を自ら起こす人。

ただただ日常を繰り返してるだけな人。

生きるのが辛く自らの命を絶ってしまった人。戦争で人を殺す人。

 

本当に多くの人を見た。

良い人もいたし悪い人もいた。

そんな彼らから直接話を聞く機会もあった。

だが、一般の倫理観を得る前に多くの知識を得てしまった俺からすると、社会全体の一般常識が酷く歪んでいて、気持ちの悪いものに思えてしまった。

良くも悪くも、紅魔館には人は俺と咲夜しかいなかったから気づいてなかったが、俺は人を殺すのに躊躇いはない。なんの理由もなく殺したりはしないが、逆に言えば理由があれば躊躇せず殺せるのだ。これがどれだけ異常なのか。

 

そんなことに気づいたのが残り1年ぐらいになろうかという時期だった。華々しいとは思っていなかったが人間というものに酷く幻滅してた時期でもあった。そんな時だった。

 

突然紅魔館の反応が一斉になくなったのだ。

紅魔館には、咲夜に渡した懐中時計や俺の私物がある。それらの位置の反応が消えたのだ。

物凄く焦った俺は紅魔館に転移しようとしたが何かに阻まれてできず、紅魔館のすぐ側に転移した。そこで目に映ったのは、紅魔館があった土地である。そこには綺麗さっぱり何もかもなくなっていた。

暫く立ち尽くし、この有様が俺の転移と似ていると気づいたのが数十分後、俺の旅はどこかに消えてしまった紅魔館を探す目的に変化したのだった。

 

紅魔館を探す旅は難航を極めた。この現代社会で、あの規模の館が突然出現したら話題になるはず。それがないということはどこかの人気のない山奥か、森の中。海の中や、砂漠なんてところも考えたがお嬢様は吸血鬼だ。流水や日光のある所にはしないはず。

ということで山奥や森の中を中心に探し回っていた。そんなある日、森の中に住んでいた妖怪から忘れ去られた者達の楽園の存在を聞くことが出来た。幻想郷というらしく、日本の山奥にあるらしい。

 

「幻想郷か....」

 

なんとなくだがそこにいるのではないかという予感があった。これだけ探したのだから、そこが違っていたらもう見つけらないような気もしてきた。残り2ヶ月。幻想郷を最後の望みとして、とりあえず辺りに ()()()()()()()()()の場から動き出した。

 

―――――――――――――――――――――

 

 

「幻想郷へようこそ。晦 黒夜。あなたの主、

レミリア・スカーレットから話は聞いてはいたわ。」

 

どうやら俺の勘は当たっていたらしい。残すところ数週間というときに幻想郷を発見できた。

結界に囲まれているらしいと聞いていたので空間に違和感か生じるまで、ひたすら各地を移動し続けたのが良かったらしい。

そしてお嬢様の名前が出て、分かることがあった。

 

「初めまして、だな。あとここ数年間、偶に俺のことを見ていなかったか?」

 

「ふふふ、やっぱ気づいていたのね。」

 

嘘つけ。あんたが気づかせようとしてたんだろと言いたくなるのを堪える。こいつが、本気で隠れていたら俺は気づけなかっただろう。

 

「それで、俺は合格か?」

 

「えぇ、合格よ。観てたことは怒らないでくださると嬉しいわ。幻想郷は全てを受け入れるのよ。ただ、ここは幻想郷の外。それだけよ。」

 

なるほど。つまり幻想郷の外のことも監視していて、幻想郷に害を成すと判断された場合は外で始末されるってことか。

 

「では私、八雲紫から幻想郷について説明してあげましょう。」

 

そこから俺は幻想郷のルールについて聞かされた。

幻想郷内での揉め事や紛争を解決するための手段として、スペルカードルールというものが使われているらしい。弾幕ごっことも呼ばれていて、弾幕を相手に当てる。単純にするとこれだけだが美しさを競い相手に魅せる弾幕を張ることが重要。弾幕ごっこといっているが弾でなくてもいいらしくナイフや泥などでもいいらしい。美しいのか?それ。ただ相手を殺そうとしてはいけないらしくそれが厄介だ。死者がでることは結構あるようだが。偶然ならいいのか?

そんなこんなで説明が終わった。

 

「さて、ではそろそろ行きましょう。」

 

八雲がそう言った瞬間すでに、場所が移動していた。これ、常に警戒していない限り避けれないな。少なくとも頭の片隅においておかないと能力の発動速度で負ける。八雲が能力を発動している時点で向こうには行先のイメージがあり、警戒していない限り俺にはイメージがないからだ。こいつには多分俺では、敵わないだろうな。

 

八雲紫の転移による思考から抜け出し辺りを見渡す。

窓のほとんどない紅い壁、紅い床、

そして、メイド服を着ている目の前の女性。

俺は全てを察した。

うわっ超気まずい。

内心焦りながら一先ず声をかけることにした。

 

「...久しぶりだな。咲夜。」

 

そして、俺の放った挨拶はスルーされるのだった。ヤバっ勝手に出てったこと怒ってんのか!?

 

 

 

 

 



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選択の時

もう少しで5000文字!!

んーー難しい。他の方の戦闘描写読んで勉強してきます。



俺が紅魔館に帰ってきてから数日たった。

どうやら俺がいなかった間に、お嬢様が起こした紅霧異変というものがあり、ついに妹様が外に出れるようになったらしい。俺は直接関わってはいないが、パチュリーと、妹様が外に出ないように色々対策をしていたから喜ばしいことだとは思うが少し気まずいという状況だ。

ただ妹様は明るく、活発的な方だと感じたのでもう少し時間が経てば自然に打ち解けられそうだ。

ちなみに俺がお嬢様と妹様以外を呼び捨てで呼ぶのはそう頼まれたからだ。どうやら自分達より背が高い相手に敬語を使われることに違和感があるらしい。まだ偶にさんづけで呼んでしまうこともある。小さい頃から育ててくれた相手に呼び捨てというのはなかなか慣れない。

 

帰ってきてからは、俺は執事としての仕事以外に皆と弾幕ごっこの練習をしていた。本当に皆強すぎ。何より俺には美しさというのがよく分からないから、咲夜に見てもらって何度も改善をしていた。実力は、まあこれだけあれば一応大丈夫とだろうという強さらしい。咲夜のナイフが美しいのかは未だに謎だが。あと、皆強いのに、これに対して勝ったという博麗の巫女ともう1人の人間ってのは、凄いと思う。

 

さて、前置きはこのくらいにしとこう。

結局帰ってきてから咲夜とあの話はしていない。怒っていると思っていたが、どうやらそれはそこまでではなくて、今はお互いの選択に影響が出ないように、お互いが避けあってるという感じだ。俺も咲夜も能力があるので互いに避け合えばほとんど会うことがない。これを知った皆から呆れたような顔をされたのを覚えている。

こんな感じで過ごしている内に、今日が咲夜が拾われてから18年目、咲夜の選択の日になった。俺から咲夜に言うことは特にない。咲夜が選んだなら間違いはないと、勝手に信じているからだ。あいつは、やるときは完璧にやる。だから俺が心配しなくても大丈夫なはずだ。俺はいつも通りでいればいい。

 

そうして咲夜はお嬢様のお部屋に呼ばれて、少しすると戻ってきた。どうやらすっきりした顔をしているから咲夜なりに考えて、結論を出せたらしい。咲夜に、どっちを選んだかはまだ俺に言わなくていいと言って俺は自分の部屋に戻った。この3年の内に、咲夜は俺と部屋を分けていた。3年前までの部屋をそのまま真ん中にして、その左右にそれぞれの部屋がある。

昔2人で使っていた部屋は、憩いの場というか休憩室みたいになっている。

 

咲夜は選択をした。なら次は俺の番だ。俺はこの選択を後悔することはない。偶にもう片方の選択肢を選んでいたらと、考えることはあるだろうが俺が選ぶことだ。俺はそれが自分の意思で選んだことなら否定はしない。

君がそれでいいならそれでいいってやつだな。

 

 

―――――――――――――――――――――

 

「黒夜、あれから丁度3年。貴方は、外でたくさんの人間に会い、話し、学んできたはずだわ。それを踏まえた上でもう一度尋ねましょう。

貴方は人間として、普通に死ぬ道か、

化け物として長い間を生きる道か、

どちらを選ぶのかしら。」

 

咲夜が、選択をした日から数週間後、今度は俺が拾われてから18年目、つまり俺が選択をする日だ。今考えると俺はやっぱり物凄く恵まれた環境で育ってきたことが分かる。昔は当たり前の事だと思っていたが、何十億という人間の中で、妖怪に拾われて育てて貰った人間なんてほとんどいないだろう。俺が観てきた人間は、普通親がいなければ、すぐに死ぬか、スラムで貧しい暮らしをしていた。今生きてることの珍しさというか有難みが分かるというのは、外を実際に観てきたことのおかげだ。

 

そして俺はお嬢様の部屋にいて問われている。

視界に映るのは、お嬢様と、新しい真紅の調度品。これは、前の異変で壊れてしまったから買い換えたのだろう。相変わらずの色にいったい何処から仕入れているのかは気になるが、まあいい。1度深呼吸してから、気持ちを切り替える。別に緊張している訳でもないが、気分は高揚している。重要な選択と分かっているからか。

人の道か、能力を使って延命する言わば人外の化け物としての道か、

散々遠回りして、迷った。

外の人を観て気づいたことの中に、夢中で何かを追い求める人の方が幸せだっていうことがある。何かに全力を注いで、同じ志の仲間と語って、競って、笑い合う。そうやって生きてる人は、皆幸せそうにしていた。

では俺の求めるもの、願望は何か?

俺には何も思い浮かばなかった。

パチュリーさんは知識、小悪魔さんは、快楽というようにここにいる人達には多分何か求めているものがある。お嬢様も妹様も咲夜もパチュリーさんも小悪魔さんも美鈴さんも。

だから俺は今に目を向けた。

そこには、紅魔館での日常があった。

ありのままの自分を受け入れてくれた人達がいた。俺は強欲だから、弱いから、今を手放すことはきっとできない。

なら、俺が選ぶ道はこちらだろう。本当に3年間で、多くのことを学んだ。

 

「俺はここでたくさんの事を学んだ。育ててもらって、知識をもらって、生きていく術を得た。

だからこそ、その全てをここで活かしていきたい。俺はやっぱりここでの日々を望みます。

そして、その道を選ぶなら、力が必要です。

理不尽に打ち勝てるだけの能力、それを活かすための知識。この道を突き進むためには、人間の寿命では短すぎる。ならば、普通に生きて死ぬ権利など自ら捨てましょう。」

 

「…わかったわ。貴方も咲夜も自ら考えて選択した。過程は違えどまた2人とも同じ道よ。

それならば私達は育て親として歓迎するわ。

ようこそ。私達の世界へ。」

 

あ~かなり疲れた。そして咲夜もこっちを選んだか。理由は何となくしか分からないが良かった。文字通り同じ時を過ごすことができる存在が何れ居なくなるのは寂しいからな。

 

「では、お嬢様。またこれからもよろしくお願いします。失礼します。」

 

扉をそっと閉めてから、自分の部屋のベッドの上に寝転がるようにして転移する。

 

視界に映るのは、3年前より伸びた銀髪をおろした姿。

 

「...行儀が悪いわよ。」

 

...それっきり沈黙が訪れる。どうやらお互い気を使いすぎて変な感じになっているようだ。

こいつがこの時間にここに居るのは俺の選択が気になるからだろう。まともに会ってなくても、俺は咲夜の態度や様子からどちらの選択をするか予想出来ていたし、さっきお嬢様から聞いた。さて、空気を戻す為には俺から話しかけるべきだろう。

 

「咲夜、俺がどっちを選んだか気になる?」

 

「えぇ。この数週間この話を互いにしなかったし、気になるわ。」

 

「咲夜と同じ選択だ。俺も能力で自分の寿命を延ばせるようになった。咲夜と同じだ。」

 

「そうなのね。」

 

「あっあともう一つ今日の内に言いたいことがあったんだ。」

 

「何?まだ何かあるの?」

 

「俺は咲夜のことが好き。昔からだけど咲夜はこの3年でもっと綺麗に成長したし、更に誰にも渡したくない気持ちが強くなった。だから初めてだけどもう一回言う。俺は咲夜のことが好きだ。」

 

俺が咲夜の後ろに座り直して、ベッドに腰掛けている咲夜に向かって話しているからここからは顔は見えない。

 

「どこがっていうのは一つ一つあげるとキリがないから細かくは言わないけど咲夜の全てが好きだ。3年ぶりにまともに話して何言ってんだって思うかもしれない。確かに3年間で少しは変わった自覚はあるがこの気持ちは変わらないどころか前より強くなった。俺は咲夜の事をもっと知りたい。俺と付き合ってくれ。」

 

言いきった。めっちゃ恥ずかしかったけど達成感が半端ない。この気持ちは全部事実だし、本心だ。今日を選んだ理由は俺にとって大切な日だからっていう理由だ。

下を向いている咲夜の反応がないから、咲夜の顔をゆっくり覗き込む。顔が見えないから怖い。3年ぶりに何言ってんだと怒られるか、断られるか、もしかしたら成功してくれているのか。そして顔が真っ赤なのは確認した。これは怒ってるのか、恥ずかしがっているのか。優しい声色を意識してもう一度いう。

 

「咲夜?俺と付き合ってくれるか?」

 

「はい…。」

 

何この可愛い生物。

答えは咲夜でした。

咲夜が彼女とか幸せすぎて死にそう。

 

「咲夜、本当にいいの?」

 

「2回も言わせないでちょうだい。」

 

「おっと復活した。じゃあ3年間でお互い変わったところもあるだろうけどこれからもよろしくね。お互い時間はたくさんあるんだから。」

 

―――――――――――――――――――――

 

私は久しぶりに紅魔館を訪れていた。今日なら前回聞いた黒夜っていうやつがもう帰ってきていてるだろうと思ったからだ。

 

「美鈴。遊びに来たんだぜ!!」

 

珍しく起きていた美鈴に普通に門を通してもらい中に入る。そしてその瞬間にいつも通り目の前に気づいたらいる咲夜に話しかける。

 

「今日は黒夜っていうやつに会いに来たんだけどいるのか?」

 

「黒夜は今買い物よ。ついでに幻想郷の地理をだいたい見てくるっていってたけど、そろそろ帰ってくるはずよ。」

 

買い物に行ってるのか。ならそろそろ帰ってくるらしいし待つとするか。咲夜にそれを伝えると中に通され紅茶を飲んで話す。流石咲夜のだな。やっぱり美味しい。それにしても、

 

「咲夜嬉しそうだな。」

 

「そう見える?」

 

「あぁ。」

 

黒夜っていうやつが帰ってきて、咲夜に影響を与えたらしい。なんか咲夜の雰囲気が柔らかくなったというか、表情が豊かになった気がする。

 

「いきなりぶっ込むけどどうなんだ?付き合ったのか?」

 

「ええ、そうよ。」

 

「好きなのか?」

 

「多分。他の人に渡したくないってくらいには。」

 

前は好きかどうか分からないって言っていたのにな。なんか今は幸せそうで、こっちが恥ずかしくなってくる。これは揶揄う気が失せる。

「流石に、自分のいない所で自分の話をされるのは恥ずかしいかな。君は咲夜の友達かい?知ってるかもしれないけど初めまして。俺は晦 黒夜だ。」

 

「私は霧雨 魔理沙。普通の魔法使いだぜ。よろしくな。黒夜。」

 

へぇ。これが咲夜の彼氏の黒夜か。咲夜はなかなかの顔って言ってたが普通にイケメンだ。

じゃあ早速幻想郷なりの挨拶としますか。

 

「黒夜、弾幕ごっこしようぜ!!」

 

―――――――――――――――――――――

 

咲夜と、付き合うことになってから1週間ぐらいたった。職場内恋愛ってことで一応お嬢様に報告したが全然OKらしい。残りの人にも報告したんだけど、妹様以外やっと付き合ったのかっていう風に言われて恥ずかしかった。妹様は、素直におめでとうって言ってくれたので、仲良く慣れた。

そして今日買い物に行って、転移できるように位置を覚えようと大雑把に幻想郷の地理を覚えてから帰宅する。空間把握能力をだいぶ使ったから精神的に少し疲れた。

 

紅魔館に、転移したらどうやら俺に会いに咲夜の友達が来ていると、美鈴が教えてくれた。

挨拶をして、名前を聞くと霧雨 魔理沙というそうだ。あれっじゃあ紅霧異変の解決に関わった内の1人か。そして何故か始まる弾幕ごっこ。どうやら挨拶のような感じらしい。一応死者が出ることもあるって聞いてるんだけどなぁ。

挨拶って、死人が出る可能性があるけど挨拶って。活発で、元気な人みたいだし死の危険はなさそうだ。

なら身内以外での初めての弾幕ごっこ、

胸を借りるつもりで頑張ろう。



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弾幕ごっこ VS霧雨魔理沙

ここから幼少期の閑話を少しやってそこから妖々夢に入ります。
ちなみに弾幕ごっこは難易度Lunatic


「黒夜弾幕ごっこしようぜ!!」

 

「制限は?」

 

「スペルカードは3枚、被弾は3回までだ。」

 

「了解。」

 

挨拶のようにスムーズに始まる弾幕ごっこ。

相手は咲夜の友達の霧雨魔理沙で彼女は異変解決に関わった人間だ。胸を借りるつもりで頑張ろう。

 

「じゃあいくんだぜ。」

 

そう言って霧雨は箒に乗って飛び上がる。空中戦ってことか、苦手だな。空中戦は、自分の下にも空間があるわけだから注意しなければならない場所が増える。だから嫌なんだけどなあ。

しかし相手がこちらよりも高い場所にいるならこちらも行かなくてはならない。頭上の有利を取られたくないからだ。

俺は飛んでから空中で足元の空間を固定して普通に立った。これなら真下からの攻撃は防げるし、地上みたいな感覚で動ける。

 

「へえ。空間を固定したのか?便利な能力だな。」

 

どうやら霧雨は、俺の能力を知っていたらしい。咲夜とかから聞いていたのか。まあ自分が知っているということを教えてくれたのはありがたい。

 

「待たせて悪い。始めようか。」

 

「まずは小手調べだぜ。

恋符『 スターライトタイフーン』!!」

 

星型大、星型小、レーザーが動いてる何かから放たれる。

霧雨から放たれた弾幕を観察して規則性や抜け道を探す。後ろからの弾幕は無し、斜め下からの弾幕注意、星型大に紛れて見えずらい小さいのに注意、そしてレーザーは見てから動いてからは間に合わない。

空間把握能力をフルで使いながら、思考を回す。まずレーザーの、回転速度と途切れるタイミングの感覚を掴む。あとは小さいのに当たらないように注意する。そしたら後はなんとなくの感覚に身体を任せる。続くこと数十秒。弾幕が途切れる。

回避に専念してこちらから弾幕を放っていなかったが、相手の小手調べをパーフェクトとで避けれた。これで小手調べかよ。パチュリーの弾幕と似ている部分があったから、少し楽だったけど、それでもこれか。頭が痛いな。もっと思考ではなくて勘で避けなければもたないかもしれない。

 

「まじか。小手調べとはいえ全部避けられるとは思わなかったんだぜ。」

 

俺は今のでだいぶ疲れたのに霧雨は本当に小手調べだったらしい。今までは能力で適当に空間ごとちぎって殺してたから頭を使うのに慣れてないのが俺の弱みか。ただまだ終わっていないから気づかれるわけにはいかない。

 

「じゃあ俺からも。界符『 鏡の裏の世界』」

 

俺はこの弾幕ごっこ初の弾幕を宣言して放つ。俺の弾幕は大抵初見殺しだぜ。

このスペルカードは俺が左右に区切った弾幕を放ち、真ん中の空間の境目にきたら逆になるという弾幕だ。斜めの弾幕\が真ん中にきたらくの形に、変化する。わざわざ弾速を少し遅めに設定して軌道を頭の中で思い描いたところで変化する弾。1度頭で考えて予測してしまった分だけ修正が難しくなるというわけだ。中途半端に賢いと余計にきついぞ。パチュリーには全部避けられたが。引きこもりの魔女には通用しなかったというだけの話だ。

 

この弾幕は俺がかなり気に入っている弾幕で、

能力も楽な使用方法のため頭への負担が少ない。他の奴らはどうやってあれだけ沢山の弾幕を制御しているのか気になる。

 

スペルカードの終わり際で更に数を増した弾幕に霧雨が被弾。俺がリードしたな。ただ素人の弾幕に被弾した霧雨が、本気を出しそうで怖いんだがな。

 

「うっ。当たっちまったぜ。ならどんどん上げてくぜ。黒魔符『 イベントホライズン』」

 

さっきよりも数がかなり増した弾幕が放たれる。回転する何かから内側に大量に放たれる弾幕。やばいな。後ろも既に弾幕でいっぱいで囲まれた。後ろにあっても能力の影響で位置は分かるのだが分かってしまうだけ圧迫感がある。

 

圧迫感に押されて前へ飛び出す。すると待ち構えていたかのように弾幕が螺旋を描いて変化しだす。性格が悪いというか予測されていたような気がしてイラついてしまう。この弾幕は頭で理解できない。経験が足りなさすぎる。ならその場で動くしかないか。

 

前へ移動してしまったせいで弾幕に挟まれてしまった訳だが能力を乱用してどうにかしようとする。背中を直撃しそうな弾をまずは上に飛んで回避する。上にある弾幕に当たらないように上の空間を固定して、空中で宙返りして蹴る。空中で自由に動けないのはきつい。上の空間を蹴ったせいで下に向かって移動する。そこへ飛んでくる次の弾幕。避けなければ腹に命中する。今の状態は足が固定した空間に触れておらず、自分で飛んでもいない落下状態。まともにやったら動けないが自分の傍の空間ごと上下をひっくり返す。この空間内は重力が逆に働くのでさっきまで下だった地面から空に落ちるように上へ引っ張られる。慣性はそのままだったので、スレスレだったし、身体も疲れたがようやく半分ぐらい。

 

今みたいに次を考えずに当たりそうな弾を考えて回避するのは、頭を使うというよりも精神的に疲れる。多分今からもう一度やると当たる。

なら勘に任せるしかないか。

俺は勘の良さには、自覚があるがそれは周りの情報をある程度頭で理解した上で、次の思考をせずになんとなくの行動に移せるということだ。全く情報がない状態でやるもんじゃないし、頭が疲れて集中しづらい。そんなことを考えてる内にもう迫ってきている弾幕。

 

もうやだーとか何このハードな遊びとか疲れたとかの思考をどっかに追いやる。

取り敢えず、能力を使って空間把握をする。

ただ最初みたく、移動速度や大きさ、形まで把握するんじゃなくて薄く大雑把に。頭の中に、ぼんやりとほんとになんとなくな感じで。

本当にこんなに少ない情報で勘によって予測できるのかは不安だがやってみるしかない。

わざわざ動き回ると認識しなければならない弾の数が増えるで、最低限の動きで回避する。

頭の中の思考も先程と違って考えてから動くのではなく、動いた後に思考がついてくる。

右前に移動…そして後ろにバック…左に躱して…上へ飛んで…

なんか避けれてるなとか思ったが、余計な思考が混ざったその瞬間に被弾。

思ったより痛くて痛みを想像してない身体が硬直する。人間の筋肉は意識するだけで多少硬くなるが、さっきは何を考えていたか今は分からないほど集中していた。そこへ直撃した一撃。

 

そうして痛みによって集中が途切れて動きが鈍ったからまた被弾。やっぱり痛いんだけど。

そしてやっと終わる弾幕。

次を放たれたら確実に負けるので、こちらも悪あがきのスペルカードを使う。

 

「…夢符『 夜中の白昼夢』」

 

このスペルカードは、『 鏡の中の世界』よりももっと能力を使う疲れる攻撃だ。けどここで当てないと、多分次で負けるから機会がないから使ってしまおう。

 

こちらはどんどん様々な形の弾幕を放ち続け、霧雨はそれを躱し続ける。だんだん数が増えていき、躱す数が増えてきたところで気づいたようだ。

この弾幕は、霧雨が躱した弾幕を転移させて空間に固定する。今では、霧雨の周りは今まで俺が放った形の弾幕が、固定されていて行動を阻害している。それを躱し続けている霧雨から思いついたこともあるが今は関係ない。そろそろこの技の締め時だ。

 

霧雨の周りに固定してある形がすべて霧雨に向かって交差するように動きだす。今まで躱してきた形を全て平面上に重ねて見ると簡単に抜けれるスペルカードだが、ここは3D、紙の上のような平面上じゃない。

 

またもや被弾する霧雨。これで2対2。次当てた方が勝ちなのだが、こっちはもう疲れて避けれる気がしない。

 

「これで決めるぜ!!

『 ファイナルマスタースパーク』!!」

 

細くないか?とレーザーを見て思った次の瞬間に俺の身体は、極太のレーザーに呑み込まれたのだった。

 

―――――――――――――――――――――

 

「ッぅ」

 

眼を覚ますとようやく見慣れてきた新しい俺の部屋。身体を起こそうとすると鈍い痛みに顔を思わず歪める。あの最後の瞬間油断したな。

いつも使っているノートとペンを空間から取り出して、うつ伏せの状態で書き込み始める。

今回の反省点と目指すべき場所、霧雨の弾幕の特徴と、それを見て思いついたこと、そして自分が使ったスペルカードの感想を書き込んでいると、ノックの音が聞こえた。

ドアを音もなく開けて、入ってきたのは咲夜。

咲夜から伝えられたのは、霧雨は、今日はもう帰ったこと。また遊ぼうと言っていたことぐらいだった。咲夜からは安静にしていてくれと言われた。

そして音もなく閉まるドア。そんなことまで気にするようになったのか。

 

そしてまた霧雨との弾幕ごっこを思い出す。

今ノートに書いた反省点は、回避の意識の割き方。

軌道と規則性を見出して丁寧に避けるパターンと、土壇場でやった3割ぐらいしか意識せずに残りは身体に任せるパターンの使い分け。

これは、その日の調子や弾幕のわかりやすさで決めればいい。回避の仕方自体はその内慣れるだろうし、明日からの訓練だ。

 

目指すべき場所というか目標は、最後の霧雨の

『 ファイナルマスタースパーク』のようなものとは思わないが、切り札のようなスペルカードを作ること。そして単純な瞬間火力不足。

まあ目標については、今は後回しで回避が優先だろう。

 

回避で思いついたのは、空間内の相手の動作を完璧に把握すること。能力を本気で使えば1度に大量の情報が送られてきて相手の回避を知ることができる。なら、回避に無駄な動きが少ない知り合いの動きを真似よう。なら美鈴か。

明日からは美鈴とひたすら弾幕ごっこをするとしよう。

 

取り敢えず痛みが引いたら咲夜の手伝いをしてこようか。負けてごめんなさいってしてこないと。

 

 

 

 



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閑話

 

「久しぶりですねー黒夜くんと組手をするのは。」

 

俺は霧雨に負けてしまい、回避を見直そうと思って美鈴に組手を頼んだのが、今の状況なのだ

が、化け物か?美鈴は喋りながら動いているのに呼吸に、乱れはない。妖怪と人間の体力の差か。お互いそこまで速い攻撃はせずに、防御と回避を重視してやっている。

 

こちらは能力を使って美鈴の動きを予測して動く。同じ水に入っている相手の動きが波によって伝わるように美鈴の動きが頭に入ってくる。

相手の拳の勢いを少しの力で逸らす。正面からではなく勢いをそのままに誘導されて相手に届かない。布を殴ったようで手応えがない。

小細工を使いたくなるが、今は別の修行なので我慢する。

 

これを何度も繰り返して、美鈴の回避の動作を学びながら、能力による空間認識の精度を下げていく。弾幕ごっこのときにしたように、頭で全て把握するのではなく、感覚に身体を任せ始める。この組手で練習してから数日間。最初は回避できずに文字通りボコボコにされたが、ようやく感覚を掴めるようになってきた。

3年間組手は相手がいなかったので、練習出来なかったのだ。

 

「ここまでにしましょう。」

 

美鈴に終了を告げられて、日陰に移動してから身体と頭を休める。相変わらず綺麗な庭園だ。

回避の修行は集中が途切れて、思うように動けず終わってしまった。

突然能力の割合を切り替えようとすると頭がついていかないってとこか。

回避はこの方向性で伸ばしていけばいいか。

 

 

「なあ美鈴。必殺技的なやつってどうやったらできると思う?」

 

「はい?黒夜くんって今そういうお年頃でしたっけ?」

 

「そうじゃなくて、霧雨のあれみたいなドーン!!って感じのやつ。」

 

もう片方の瞬間火力の方だが、思い詰まっていた。霧雨のあれを見たせいで自分なりのスペルカードを作りづらいのだ。

 

「単純に黒夜くんにあるものを使えばいいと思いますよ。極太のレーザーが撃てなくても勝てますって。」

 

俺にあるものか。色んなことに手を出してきたけど、弾幕ごっこにどう使えばいいのか。

 

「2人とも、いつまで休憩してるのよ。」

 

どうやら、相談している内に仕事の時間になっていたらしい。咲夜も俺も移動時間がほとんどないから時間にルーズになってしまっていた。咲夜は3年間の内に治したらしいが、俺は1人で旅をしていたので悪化している。

 

「咲夜さん、黒夜くんと切り札について話してたんですけど咲夜さんはどう思います?」

 

「切り札?よく分からないけど私は黒夜なら物量で押せばいいと思うわ。私と黒夜の共通の弱点だけど、能力が通じない場合攻撃の手段が一気に減ってしまうもの。」

 

美鈴が俺の悩みについては咲夜に話す。

うーん…やっぱり咲夜もみたいだが火力不足だよな。それで物量で押すっていう案か。

それで咲夜が使っているのがナイフらしい。てっきり趣味だと思っていたんだけどと聞いてみると趣味でもあったらしい。ナイフの話は置いといて物量で圧倒する、ね。

 

――――――――――――――――――――――――

 

後日、また休憩時間中に今度はパチュリーの所へ訪れていた。幸い俺が欲しかった物は、パチュリーにとっては、すぐに作れる物らしく後日また取りに来てくれとのことだった。

今は、見渡す限り本で囲まれているまるで本の森のようなこの図書館で読書中。時折本のページを捲る音が聞こえるぐらい静かだが、温かみを感じて心地良い。

 

読書は、小さい頃からの趣味だ。当時紅魔館の中だけで世界が完結していた俺にとっては、文字通り別の世界に連れて行ってくれる存在だった。そこで新しい知識や閃きを得てパチュリーにこれって作れるの?などの質問をよくしていた。その質問に出来ないと答えるのが嫌だったらしくパチュリーが、作ってくれた物は、おもちゃとしてよく遊んでいた。少々危険な物も混ざってはいるけど。

最近は、あまり来ていなかったがまた思いついたことがあったので今日訪れたという訳だ。この魔女は、ここから殆ど出ないからね。

 

「黒夜くんがこんな所に来るのはかなり久しぶりですね。」

 

どうやら、小悪魔も俺と同じことを思っていたらしい。

 

「別にここに来るのが嫌だった訳じゃないよ。ドタバタしてる日が続いてたから。ほら、本を読む日は、一日中のんびり過ごしていたいと思わない?パチュリーなら分かると思うんだけど。」

 

やっぱりその日をどう過ごすかは一貫性を持たせたいというかなんというか。頑張る日は頑張る日、のんびりする日はのんびりする日というように俺は一日の行動に、一貫性を持たせている。一日の内に、色んなことをやると忙しなく生きてるように思えて、心の余裕が無くなっていく気がするんだよね。

丁度今読んでる本にキリがついたらしいパチュリーに同意を求める。

 

「言いたい事は分かるけど私はそもそも他の事をしないわ。あとこあ、こんな所ってどういう意味よ。黒夜も否定しなさい。」

 

パチュリーの返答に思わず苦笑してしまう。どうやら常に本を読んでいるという言葉がぴったりの魔女には、あまり関係が無かったようだ。

うっかり失言をしてしまった小悪魔に図書館の素晴らしさを語り始めたパチュリーの口撃が、こちらに飛んでこない内になだめておく。

 

図書館の素晴らしさとやらは、小さい頃から理解しているつもりだ。壁中にある教科書と聞けば大抵のことを答えてくれるこの場所は俺にとって、図書館であり学校であったのだ。と伝えると、パチュリーは分かってるならいいのよ。とやめてくれた。

助かったというばかりにこちらを見てくる小悪魔には、「貸1つ。」という言葉を笑顔とともに送り付けといた。「誰だ、こんな風に育てたのは?」と騒ぎ始めた小悪魔に対して俺とパチュリーの視線が突き刺さる。

少なくとも俺は性格ごとに効く嫌がらせや、恩を売る方法などは小悪魔に教えてもらった記憶があるがパチュリーも同じだったようだ。

 

「うぅ。昔はもっと可愛かったのに。」

 

「そうね。あのときは微笑ましかったわ。」

 

昔はこうだった、ああだったなどといい始めた2人に対して口を挟めなくなり縮こまる。

昔のことを持ち出すのはやめて欲しい。

あの頃は、咲夜が苦手だったし余裕がなかったのだ。

 

――――――――――――――――――――――――

 

僕には物心ついた時から常に一緒なやつがいる。名前は十六夜咲夜。僕より2週間ぐらい前にこの紅魔館の住民に拾われたらしい。

そんなことは置いといて僕はこいつが苦手だ。理由は多々あるのだが1番はこいつが僕より優秀なこと。

パチュリーさんから教えてもらっている勉強や美鈴さんから教えてもらっている体術は互角なのだが、2人しか居ないため互いの差が浮き出てしまう。今は僕があいつに隠れて努力しているから互角なだけなのだ。それでようやく互角なのだから、嫌でもお互いの才能の差について考えてしまう。

 

そして勝ち越せないのは才能の差だから仕方ないと納得してしまいそうな自分が、何よりも情けなくて、悔しくてどうしようもない。

あいつと対等に成れれば視点が変わるだろうと努力をし続けているけど、それでもようやく互角。

 

自分でも分かってはいるが僕は極度の負けず嫌いだ。だからあらゆることに勝ちたくて、沢山の分野に手をつけて負けることがないように努力している。知らなかった、初めてだったなどというのは全て戯言なんだ。それは知ろうとしていない、やろうとしていない自分が悪いだけでなんの言い訳にもならない。

相手の苦手な分野で勝つのは当たり前で、あらゆることで勝っていたいと思う。

 

だからよく僕は図書館で本を読んでいる。まずは知識から。知識がなければ何も出来ないとは思わないが、今まで生きてきた人達の知識の集合体が本なのだ。中には僕達よりもよっぽど賢い天才達が書いた本もある。そういった昔の人達が遺した知識は大いに役立つだろうとパチュリーさんに教えてもらい始めた時に教わった。

 

だから僕は知識を求め、力を求め、それを活かす頭脳を求める。そして、そのための努力をしているのに勝ち越せない咲夜が苦手だ。

 

あと最近館の皆が微笑ましそうに笑ってるのが気になる。

 

――――――――――――――――――――――

 

私には俗に幼馴染というやつがいる。名前は晦 黒夜。私は彼のことが苦手だ。

 

彼は一言で表すと万能だ。この館には私と彼しか人間がいないからよく分からないが、彼ほど万能なやつはあまり居ないはずだ。

人間が2人しか居ない分様々な面で互いの能力が分かる。紅魔館では、望むなら様々なものが与えてもらえる。代表的なのはパチュリーさんからの知識、美鈴さんからは体術だ。

 

私と彼は様々なことでよく競う。私と彼は負けず嫌いなのでどんな事でも全力だ。

私は負けたくないので彼にバレないように努力を続けている。なんでも出来る万能な彼に負けないように私はあらゆる面で完璧になろうと多くの分野に手をだした。料理や家事の練習だってしたし、美鈴さんからは体術を残って教えてもらった事もある。

 

私は少なくとも努力に手を抜いたつもりはない。それでも彼に勝ち続けることができずにいるのが現状だ。

 

だいたい彼が万能過ぎるのがおかしいと思う。あいつは男のはずだ。

私があいつの前でさりげなく美鈴さんから教わった家事をしているとあいつもさりげなく手伝い申し出てきて私が教えてあげようとすると、当たり前のように私と同レベルの家事をしだしたときはなんとも言えない気持ちだった。

体術も今は互角だが、最近本で学んだことによると成長期がくると女の私は男のはずの彼に勝ちづらくなってしまうらしい。体格の差というやつだ。

 

だからこそ私は努力してあらゆる面で彼に勝ちたいと思っている訳だが彼に勝ち続けることが出来ないのが現状だ。大抵の場合は引き分けか時間切れで終わってしまう。

 

あと最近紅魔館の皆が微笑ましそうに笑っているのが気になる。なんでだろう。

 

 

 

 



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