PhoeniX-DxD (挫梛道)
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貴族ってのは…

 
『黒翼』と『ガルーダ』の筆休め。
此方は原作アンチ、原作主人公勢アンチの人には向かないかも?
 
今度はラブコメ?…だ!!
 


◆◆◆

貴族ってのは…特に男は結局、その【家】を継いで、初めて貴族なんだ。

家継ぎ確定な長男以外…即ち次男三男以降(ごくつぶし)は、成人して家を出たら、そりゃ実家からの支援を貰えるかは別にして、公的な身分は一般人と何ら変わらなくなっちまう。

本家筋に分家を興して貰い、その当代となるのも手だが、それは やり過ぎると、今度は それが【家】の恥になっちまう。

ならば、次男坊三男坊が貴族で有り続けるには、どうすりゃ良いか?

例えば政的、或いは戦働き等で実績を納めて のし上がり、当人一代限りの爵位を得る。

それと もう1つ、嫡男、或いは本当に後継ぎ(こども)の居ない【家】に婿入り養子入りするかだな。

尚、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ってのは、どーせ その財とやらは大抵が所詮は親の金であり、それは分家と変わらないので、わざわざ別にカウントしたりは しない。

…しかし俺には、政の才能は殆ど無い。

ならば戦は?

残念ながら今は一応、平和な御時世って事になっている。

火種が全く無いって訳じゃないが、戦争なんて簡単に起きやしない。

その代わり…って言うのもアレだが、今 貴族の間じゃ、いや一般の民も含めて大人気な戦争的遊戯(ゲーム)で実績を出せば、爵位が得られる仕組みになっている。

…って、ゲームで勝ちゃ爵位ってオマ…

ぶっちゃけ これ、何処かの親馬鹿貴族が自分ん処のボンボンを救済したいが為に、無理矢理に作った措置(システム)だろ?

まぁ、それで爵位を得られる位なら、そいつは ()()()()()()なんだろうし、斯く言う俺も、其に便乗して爵位を獲たりしたした訳だが。

尤も、その時には俺は既に、余所の【家】の令嬢さんとの婚約(婿入り)が決まっていたのだが…やっぱし単に婿養子って、男としてカッコ悪くね?

 

≫≫≫

「せぇいやゃあ!」

「無ぅ~駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァあッ!!」

…で、ゲームで結果を出す為には、やはり それなりに努力・鍛練が必要な訳で有り…

幸いにも俺は その重要性を早い内に…今、現在進行形で組手(なぐりあい)している男に教えられた。

この男とは3年前に初めて会った時、挨拶代わりにと手合わせしてみたのだ。

…が、最初は この男の()()()()()()()()()()()()、ハッキリ言って楽勝だと思っていた。

しかし結果は、俺の"血筋"故の特性での辛勝。

…と同時に俺は戦慄した。

今の儘では数年後には俺は、この【努力マン】に不様に敗れ、その後は一生、この男に勝つ事は無い!…と。

この年下の男に そう感じ、その後は当時の俺を含む、周りの連中の価値観からすれば、変人扱いされる程な鍛練の末、今の実力を身に付ける事が出来た。

結果的にゲームでの勝利を積み重ね、つい先日、漸く俺は爵位を得たのだ。

尚、この男とは今も修行仲間であり、親友(ライバル)な関係とさせて貰っている。

  

「ゼィ…ゼィ…」

「ハァ…ハァ…

テッメー、また強くなりやがって!

この、努力マンが!」

「ははは…俺には、それしか無いですから。」

それは互いに顔面フルボッコで息絶え絶え、地面に大の字で倒れながらも、笑いを交えた会話。

 

「…ん?」

「どした?サイラオーグ?」

そんな時、この黒髪の男…サイラオーグが何かに気付く様な台詞。

それに釣られ、此奴が顔を向けた先を俺も見てみると、

「あ、あの…」

「あ…」

紅い髪の毛の美少女が顔を赤くして、もじもじしながら そこに立っていた。

 

「どうして此処が…って、あー、ユーベルーナか…」

「ん…その、此処だって、聞いたから…」

「あー、そーだったー。

きょうわ ひるから きゃくじんが たずねてきて、その あいてをしなければいけないんだったー。

じゃ、そんなわけで おれ、そろそろ かえりますんでー。

おぃ、クィーシャ。」

「はい、サイラオーグ様。

それではライザー様、リアス様、我々は これで失礼します。後は…ごゆっくりと♪」

「え、ちょ待…!?」

彼女の登場に何かを察したのか、サイラオーグは御付きの女性が展開した転移魔方陣で、この場から姿を消した。

…って、何故に棒読み口調?

 

「…で、何事かな、リアス?」

そして、1人残った少女に何事かを尋ねると、

「あ、あの…おぉお、お弁当、作ってきたので、食べて下さい!」

そう言って、更に顔を赤くして、弁当箱(バスケット)を差し出す美少女さんことリアス。

あー、もう そんな時間帯か。

 

「あぁ、有難うな、リアス。」

「うん…」

よーし、飯だ、飯。

 




 
リアス・グレモリー(15)
グレモリー家長女
同家次期当主候補
 
サイラオーグ・バアル(16)
バアル家長男
同家次期当主候補
リアスの従兄
 
ライザー・フェニックス(19)
フェニックス家三男
リアス・グレモリーの婚約者(婿養子)
 

※各キャラの年齢(差)は、小説オリジナル
 


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貴族でも…

 
ヒロインのターンですね。
女性の心理描写は難い…orz
 


◆◆◆

第一印象?

別に、最悪も最高も無かった。

強いて言えば、ややプラス。

貴族の家の女子として生まれたから、こーゆーのも必然なのは理解していた。

お父様お母様も そうだった筈だし、お兄様が例外過ぎるだけ。

でも、その例外に憧れない訳も無く。

政略結婚。

純血の悪魔の血を絶やさないだけでなく、余所の有力な【家】とのパイプを持つ為の、今回の縁談。

両家での話が有った時点で決定事項であり、余程の事が無い限りは破談なんて有り得ない。

ただ、今迄 会った事もない男の悪魔(ひと)と、いきなり婚約が決まってしまったのには、貴族として理解は出来るけど、納得は少しだけ出来なかった。

相手は…多分、向こうは私の事を顔と名前くらいしか知らないだろうけど、私は彼を、少しだけ知っている。

 

レーティング・ゲーム。

その去年のシーズン開幕戦で、一昨年に勝ち越しした、それなりに強いチーム相手に彼は、【(キング)】としてプロデビューした。

大半の予想は、経験実績の有るチームが、ルーキーにプロの洗礼を与える…だった筈。

私も そう思いながら、テレビで観戦していた。

…が、その予想は覆される。

辛勝ながら、この人はデビュー戦を白星で飾ったのだ。

総合リーグ戦と併行で行われた、その期にデビューした新人だけで行われる【ルーキー杯】は危な気無く優勝。

他のトーナメントなんかでも、優勝は逃すも、上位に食い込んだりしていた。

彼のゲームの勝敗に、気が付けば一喜一憂。

そう…私は、彼のファンに、なっていた…んだと思う。

結果的に彼のチームは、そのシーズンを、勝ち越しで終わらせた。

 

その彼との政略結婚(えんだん)の話が来た時は、一瞬だが浮かれたのは否定しない。

でも、自分も其処迄、ミーハーな心算も無い。

いくら好きなプレイヤーと云っても、結婚相手となると、それは別の話。

私が知っているのは、あくまでも"選手(プレイヤー)"としての彼であり、普段の人物(あくま)としての彼は、全く知らないのだ。

既に出来レースと言っても良い結婚話。

願わくば彼が、私を貴族令嬢としてや、或いは見た目だけで無く、"私"として接してくれる男性で在ってて欲しいと思いつつ、対面の日を迎えた。

自分で言うのも何だが、私は容姿には それなり…いや、かなりな自信が有る。

もしも"彼"が、その見た目だけで良い様な顔をしたなら、場合によっては、彼のファンを止めるかも知れない…という、不安を持ちながら。

恋愛結婚は諦めるとしても、それでも、好きだと思える人と、貴族の娘でなく、本当に"私"自身を好きだと思ってくれる男性と結ばれたいのだ。 

 

≫≫≫

 

カチャ…

 

両親、そして3人の眷属と共に、邸の客室に足を運ぶと、其処に "あの人"が居た。

向こう側は、"彼"と その御両親。

それと もう2人、やはりテレビで知っている顔。

レーティング・ゲームにて、強烈な爆発魔法を駆使して【爆弾女王(ボム・クィーン)】の二つ名を馳せている、彼の右腕(クィーン)と、戦闘(ゲーム)の時は、顔の上側(はんぶん)を銀の仮面で隠している戦車(ルーク)

 

「初めまして、グレモリー卿。

そして、リアス嬢。

ライザー・フェニックスです。」

そして部屋に入ってきた私達に対し、ダークワインレッドのスーツ、ノーネクタイな出で立ちの彼は、軽い笑みを浮かべながら、挨拶した。

 

≫≫≫

「改めて、自己紹介させて貰うぜ、リアス姫。

俺はライザー・フェニックス。

この度、ウチのバカ親父の所業で、キミとの縁談を組まさせて貰った、フェニックス家の三男坊(ごくつぶし)さ。」

「ご…?」

あの後、社交辞令な挨拶を交わし、両親を交え、今後の話し合いをした後、お母様の「続きは当人(わかいもの)同士…で♪」の言葉で私達は部屋から追い出されて(共に、数㍍後に下僕が控えてるけど)2人きりに。

屋敷を出て、庭先を歩いてる時に、彼がフランクな口調で会話を切り出した。

…って、穀潰?

それに、バカ親父ぃ?!

 

「あぁ、聞かされてなかったかい?

今回の結婚話、先日の大公家主催のパーティーで、ウチの馬鹿親父(よっぱらい)がキミの御父上に絡んで…ってのが発端らしい。

いや、その件に関しては、本当に申し訳無い!」

はぃい!?

そ、それで この人、初見(さっき)の挨拶の時も そうだったけど、両親や私に やたらと腰が低い態度だった訳ね?

それにしても、縁談の切っ掛けが、そんな しょーもない理由だったなんて…

 

「…まぁ、家を継げない三男からすれば、有り難い話だったけどね。」

…そう言って自虐的に笑いながら、この後も このライザー・フェニックス…さんは色々と、自分の事を話してくれた。

領地を継ぐのが決まっている上の お兄様や、既に御実家の事業を継いでいる下の お兄様みたいに、自分は政も、商の才能も無い。

だから、レーティング・ゲームで勝利…実績を重ねて、それで何れ爵位を獲て、独立する心算でいた…とか。

 

「…そんな時に転がり込んできたのが、今回の婿入りの話さ。

…俺の事は、こんなもんで良いだろう。

さぁ、リアス姫? 今度はキミが、色々と話す番だぜ?」

「ひゃ…ひゃぃっ! り、リアちゅ・グレみょリーでぃしゅ! 14歳です!

しゅ、趣味は料理と読書、それから…」

うぅ…急に そんな良い笑顔で話を振るのは、勘弁して貰えますか?

一応 私、貴方のファンなんですけど?!

思わずドキッとして、噛んでしまった…

しかも、名前の所で…orz

 

▼▼▼

≫≫≫

翌日。

私は、女王(クィーン)を伴い、フェニックス邸に足を運んでいた。

あの後も色々と話をして、彼の今の趣味が、己の鍛練と聞いたから。

鍛練? 上級の、貴族の、純血の悪魔が?

はっきり言って、そう思った。

しかし、私も成人したら、眷属を率いてゲームに出場する心算だ。

それ故に、それと同時に昨年シーズンを勝ち越しで終えたチームの鍛練というのに、少し興味が湧いたのも事実。

だから それを見てみたいと言ってみたら、

「じゃ、早速 明日にでも、ウチに見学に来てみるかい?」

…って話になったのだ。

 

≫≫≫

「リアス様、此方です。」

出迎えてくれた彼の女王(クィーン)に案内されたのは、城の中庭。

その角の整地された一角で、

「でぇえぃやっ!」

「哈ッ!」

「「無ぅ駄!無う駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無ぅ駄、無っ駄ぁああっ!!!」」

 

どっどどどどどどどどどどどどど…っ

 

「……………………………………。」

それは、4人入り乱れての、バトル・ロワイヤル。

悪魔の戦闘訓練らしからぬ、魔力を一切使わない、純粋な"力"、徒手だけでの格闘…

それを繰り広げているのは、彼と、昨日の戦車(ルーク)

そして やはりテレビで見た事のある、彼の もう1人の戦車(ルーク)

そして、筋骨粒々な、黒髪の男…

…って、

「さ、サイラオーグぅ?!

あ、貴方、何で貴方が此処に居るのよぉお??!」

「「「「???!」」」」

 

ぴた…

 

私の叫び(ツッコミ)に、4人の拳の動きが同時にが止まる。

 

「ん? …リアス…か?

いや、お前こそ、何故 此処に…?」

「やぁ、リアス嬢。よく来たね。」

そして そう、其処には何故か、私の母方の従兄が居たのだ。

 

≫≫≫

「…ま、まさか、サイラオーグとライザー…さんが、修業仲間(しりあい)だったなんて…」

「私はリアス様とライザー様が、婚約されていた事に驚きです。」

「本当に つい最近、急に決まった話なんだけどね。」

サイラオーグの女王(クィーン)と話しながら、再び殴り合い…その内の2人は武器を持っての戦闘を始めた4人を…あの人を見る。

 

「セィッ!」

「おら!」

「ふん!」

「シュ!」

 

どっどどどどどどどどどどどどど…っ

 

「…………………………………………。」

「「「リアス?」

      様?」」

「ハッ…!? な、何でもないわ…」

魔力を使わない、原始的な闘り合い。

欠片程度しか、魔力を持たないサイラオーグが その戦法を取るのは解るけど、残る3人も同様なんて…

でも それも、サイラオーグに合わせているって訳でも無いみたいだし、私の価値観からすれば、それは汗臭く泥臭い、受け入れる事が出来ない それだった筈。

でも…

 

「ちぃ!!?」

「まさか、此程…とゎっ?!」

「はっはっは! どうしたどうした?」

「サイラオーグ様!ディェゴ!

()()()()()()()()

殺ってしまいましょう! 散開、三方から同時に!」

「「応!!」」

「え゙?!」

その組手は4人が互いに敵だった筈が、内3人が示し合わせた様に急遽連携、ライザーさんを集中攻撃。

 

「ちょ…待…オマエラ…?」

「てぃやぁっ!」

「そらっ!」

「ロードローラーだッ!!」

 

ドグオォン!!

 

でもライザーさんは、サイラオーグと2人の戦車(ルーク)、3人に同時攻撃されているのに、決して有効打は許さず、

「そらぁッ!」

 

どん!

 

「ぉわっ?!」

逆に、正面に立っていたサイラオーグにカウンター…と見せ掛けて、フェイントで斜め後方に居た、集中攻撃を呼び掛けた、両手に それぞれ、剣と鞭を携えた戦車(ルーク)に豪快な回し蹴りを放ち、吹き飛ばす。

 

ブッブー!

 

そして このタイミングで、私達見学組の傍らに置いてあった小さな箱からブザーが鳴り、

「「「「ぷっ…ふぁあーぁっ!!」」」」

 

どすん…

 

同時に戦り合っていた4人は動きを止め、大きく息を吐くと、その場に腰を落とす様に座り込んだ。

 

「………………………………………。」

「リア…ス…?」

「…?!! ハッ!…?」

不意に私の女王(クィーン)に声を掛けられ、思わずハッとする。

そして、気付いた…

魔力を使わない原始的な殴り合い。

私の価値観からすれば、その汗臭く泥臭い それは、受け入れられない筈だった。

でも…それでも私は、その汗臭く泥臭い、彼の戦いの様に、魅入っていた。

 

…カッコいい…かも…?…

 

…そう、思いながら。

 

「サイラオーグ様!」

そんな時、サイラオーグの女王(クィーン)のクィーシャが、薬箱を手にして自分の主に駆け寄り、

「はい、じっとして下さいね?」

訓練で正しく、ボコボコの表現が相応しい顔の治療を始めた。

 

「………………………………。」

そして、私達が座っているベンチには、救急箱が もう1つ。

 

「………………。」

迷う事無く私は その箱を持つと、

「…ん? リアス…嬢?」

「あ…あの、よ、宜しければ、傷の手当て、させて下さい!」

べ、別にポイント稼ごうとか そんなので無く、只単に、顔が大変な事になっているのを見ていられなかっただけなんだからね!!

 




 
次回『女王』(仮)
 
①フェニックス家の事業…【(おおとり)製薬】(笑)
 
②…さて今回、ライザーの眷属(小説オリジナル)を2人程 出しましたが、本文からモデルは察せました?(笑)
 


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ごめんなさい

 
ユーベルーナさんに、小説独自設定、入りまーす。
 


 

「あ…あの、よ、宜しければ、傷の手当て、させて下さい!」

「「「「…………。」」」」

 

◆◆◆

…名乗らせて戴きます。

私の名は、ユーベルーナ・フールフール。

昔より、フェニックス家に仕えるフールール家の生まれで、今はライザー・フェニックス様の女王(クィーン)です。

リアス様の「手当てさせて下さい」の御言葉に、サイラオーグ様やクィーシャさんは兎も角、ライザー様に私、戦車(ルーク)のミリアルドとDIOは、一瞬 目が点に。

正直な話、"フェニックス"で有らせられるライザー様には、あの程度の負傷には治療は必要無いのですから。

 

「あぁ、それじゃ、お願いしようかな。」

「…~~~~~~っ!!」

しかしライザー様は、敢えて その一族(フェニックス)特有の自然治癒を止め、リアス様に傷の手当てを頼みます。

(すっご)い優しい微笑みを込めて。

それは正しく、本人無自覚、天然のキラー・スマイル。

それを見て 己の髪の毛の如く、顔を真っ赤にして絶句するリアス様。

微笑ましいですね。初々しいですね。

 

「「フッ…」」

DIOとミリアルドも、口元を少し緩ませています。

 

「ちょっと…リアス…?」

 

ぐぃ…

 

「ほぇ?」

此処でリアス様の女王(クィーン)…確か、姫島さんでしたか?…が、半ば放心状態の彼女の腕を引っ張って、此方に連れてきます。

 

「(ヒソ…)リアス?貴女、何を考えているの?

傷の手当てなんて、した事が無いでしょ?」

「(ヒソ…)ぅ…うっさいわね!

義姉様(グレイフィア)が お兄様にしてるの、何時も見てるから大丈夫よ!」

そして、この会話。

姫島さんからすれば、リアス様が不慣れな手当てで、ライザー様にマイナスイメージを与えるのが心配なのでしょう。

…って、魔王(サーゼクス)様が その女王(グレイフィア)様に何時も傷の手当てって、何が起きたら あの魔王様が、傷の手当てが必要な程の傷を負われるのか…私は そっちが気になるのですが?

 

≫≫≫

 

どぼどぼどぼどぼどぼどぼどぼどぼ…

 

「じゃ、じゃぁ…は、始めます!」

「お…応ぅ…」

結局は姫島さんの制止を振り切り、怪我の治療を始めようとするリアス様。

脱脂綿に溢れんばかりの消毒薬を染み込ませると、其をピンセットで摘まみ、緊張丸出し、ぷるぷると手を震わせながらライザー様の顔に ゆっくりと近付けます。

 

ぽたぽたぽたぽた…

 

「………………。」

脱脂綿から滴り落ちる消毒薬。

これは間違い無く、染みるヤツです。

大絶叫必至のヤツです。

既にライザー様も、リアス様が傷の手当て等は不慣れなのを察してる様子。

若干、顔から血の気が引いて、青くなっています。

しかし、これで「やっぱり良いよ」なんて言わない辺り、ライザー様"漢"です。

 

「「「「…………………。」」」」

その様子を伺っているサイラオーグ様やウチの戦車(ルーク)2人も、笑うのを必死に耐え…いえ、違いますね。

あれは、大爆笑する準備をしている顔ですね。

そして、

 

…ぴと

 

「くぁwせdrftgyふじこlp~っ!??」

 

≫≫≫

「ご…ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい(…中略…)ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなざいい゙ぃ~い!!!!」

「いや、大丈夫。全然、気にしてないから…」

大泣きしながら、必死に謝るリアス様。

それをライザー様は、困り顔で、必死に問題無いと宥めます。

はい。考えてみればライザー様、ああいう()()()()()なんて事は、初めてなのでしょうね。

傷口を消毒された時の あの()()も、生涯初なのでしょう。

予想外に染みたのか、鍛練や戦闘(ゲーム)でも聞いた事が無い様な、 愉快な 壮絶な断末魔(おたけび)を上げていました。

 

「ぁ~あ、泣かした。」

「フッククク…女子(レディ)を泣かすとは、貴族として、そして漢としても、最低だな。」

「喧しいわっ!!」

 

ごんっ!x2

 

「「あゔぇしっ!?」」

大爆笑の制裁として〆られた後、地面に正座している戦車(ルーク)の2人の頭上に、痛烈な拳骨が炸裂。

まるでギャグ漫画みたいな、大きな たんこぶが出来上がりました。

…って言うか、ウチの眷属達って、殆どが忠誠は誓ってるけど、大して尊敬していない(少なくとも表向きは)って感じなのよね。

ライザー様も「完全なイエスマンよりか、そっちのが面白い」って言って、大して気にしてないから良いのだけど…

軍人上がりのミリアルドは、まだ公私のON-OFFで話し方とか変えてるけど、元アウトローのDIOは殆どタメ口だし、他の連中も人間界のハイスクールの先輩後輩みたいな…または同格だけど、一応リーダーを立てる意味で、半歩退いてる、みたいな。

あの双子も完全に兄妹みたいなノリだし、常に まともに下僕らしく話すのは、本当、私くらいですよ!

あ・の・ヤ〇ザ侍と白い謎生き物に至っては、タメ口通り越して、完全に暴言だし!(怒)

 

≫≫≫

「くすん…」

「落ち着いたか?」

「…ん。」

何か、大失敗した子供みたいに泣きじゃくるリアス様を、漸く宥め終えたライザー様。

ハッキリ言って、これは、チャーンス!…ですよ、ライザー様。

察するにリアス様は、今回の縁談には、かーなーり、ノリ気な御様子。

此処で優しく接したら この お姫様、完全に墜ちますよ!

…って、我が【(キング)】は、わざわざ言わなくても、打算無しな無自覚&天然で、それをやってしまうのでしょうけどね(笑)。

 

「「流石は我等が主!

俺達には出来ない事を、平然と やってのける!

其処に痺れるゥ!憧れるゥ!!」」

…お黙りなさい!

似たような声で、ハモるんじゃありません!!

 




ライザー(オリジナル)眷属紹介
 
戦車(ルーク):ミリアルド・ピースクラフト
容姿イメージは【新機動戦記ガンダムW】の同名キャラ。
 
戦車(ルーク):ディェゴ・ブランドー
通称 DIO。
容姿イメージは【ジョジョの奇妙な冒険】のディオ・ブランドー。
 
 
同時執筆の『ガルーダ』も、よろしくです。
 


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春が来た

 
此方も久し振り。
並びに明けまして おめでとう御座います。
 


◆◆◆

 

フフフフ…ハハハハハハハハ…

フハハハハ!我が世の春が、キタァーっ!!

 

…っと、失礼。

自己紹介は初めてだな。

改めて、名乗らせて貰おう。

俺は、ライザー・フェニックス。

ソロモン72柱・序列37番、炎と風を司る、フェニックス家の三男坊(ごくつぶし)だ。

そう…穀潰し。

貴族って云っても、基本、三男には何も残らねぇ。

俺は昔から、色んな意味でチートな2人の兄貴を見ながら、そんな風に考えていた。

だから俺は、成人前にレーティング・ゲームで実績を作り、当人1代限りの爵位を得て独立する事を、当面の目標としていた。

 

≫≫≫

「「「いっえーい!」」」

「「「「URYYYYY!」」」」

「ふ…ん…」

「おめでとう御座います!」

「ヴァカめ!この程度で浮かれるでない!

当然の結果だ!」

そして 先日、アガレス領で開催された、one-Dayトーナメントで俺達は見事 優勝。

この大会の優勝と、昨年からの実績とで併せられ、遂に俺は"準勲爵"の位を頂戴する事になったのだ。

後日、正式に戴爵式が行われるそうだが、兎に角 目出度い。

邸に戻った俺達は早速、魔王様主催のパーティーに出席している両親と上の兄貴以外…下の兄貴や妹、邸内の使用人達も可能な限り参加させ、そして知人友人も招き、夜通しの大祝賀会を開いていた。

 

「あら?此方もパーティー?」

「ライザー、やったそうだな!」

「♭♯‡(@∀@)∝▲◎§☆£~!」

「「「「「!!!??」」」」」

そんな中、この宴の場に顔を出したのは、向こうのパーティーから帰ってきた、母上、上の兄貴、そして父上(よっぱらい)だ。

 

「「っえーぃ!!」」

 

パッチィーン

 

俺の戴爵の事は、既に両親達にもメールで知らせており、とりあえずは上の兄貴…ルヴァル兄とハイタッチ。

 

「ライザー、おめでとう。

そして眷属の皆さんも、ありがとう。」

そして母上が俺に祝いの、そして眷属達にも労いの言葉を。

全くだ。

この爵位は俺だけで無く、眷属(コイツラ)が居たからこそ、獲られた物。

嬉しい。

母上が俺だけでなく、眷属(みな)を評価してくれた事が、凄く嬉しい。

そして、

「うを~し、ラぃZA~!

そんなをまゑに、私からmo、ぷレZenとがあるぞー!」

 

バシィッ!

 

「べこぉっ?!」

「アナタは黙っていなさい!」

「「「お、親父ぃ!?」」」

「お父様あっ?!」

「「「「「だ、旦那様??」」」」」

ダメだ、この父上(ひと)…って思っていた時、母上の羽扇の一閃が、この酔っ払いに炸裂した。

 

≫≫≫

「え、縁談ん~?!」

父上…親父の云う処のプレゼントとは、縁談の話だった。

 

「実は、な…」

「……………………………。」

ルヴァル兄が言うには、向こうのパーティーにて、この親父(よっぱらい)が事も有ろうにグレモリー公爵に絡み付き、その時に彼方の令嬢殿の相手にと、俺を売り込んだらしい。

因みに我がフェニックス家は、公爵より格下の侯爵家だ。

  

「…それでジオテクス殿も、苦笑しながら承諾してくれたのです。」

お、お、お、親父~~いっ!?

あんた一体、何考えてくれてんの?!

そりゃあ縁談話を取り繕いでくれるのは、有り難いよ?

でも、酔っ払った勢いって、それは少し違うだろ?

ルヴァル兄曰く、昨年からのゲームの活躍やらで、公爵夫妻も俺の事は、それなりに知っていたらしい。

それを踏まえて、『俺ならば…』って話となったそうだ。

まあ、貴族の婚約ってな基本 政略結婚、当人同士の意思なんて まるで無視の、両家がパイプを持つのが目的ってな理解出きる。

俺も、貴族の家の者だ。

別に政略結婚を否定する心算は無い。

入り婿についても、独立の手間が省けるから、俺的には寧ろウェルカムだ。

…が、今回は切っ掛けが最低過ぎる!

先方…グレモリー家に、そして何よりも彼方の お嬢さんに失礼過ぎる!!

 

≫≫≫

「ライザー様。此方が、リアス・グレモリー様の御写真になります。」

翌日。ユーベルーナに、早速グレモリー令嬢…リアス殿の顔写真を入手して貰った。

 

「………………………。」

写真を見た時の、第一印象は…まぁ、あれだ…。

 

 

()()()()()()()()

 

「ほほぅ…」

「これは…」

「ふむ…」

「可愛いー。」「綺麗ー。」

「主、良かったではないか。」

「ふむ!ライザーには勿体無いぞ!」

眷属達も写真を見て、良い印象を感じている様だ。

 

「…で、早速に明日、先方に御挨拶…まぁ、対面式だな…に行くから。」

速っ!

親父、段取り良過ぎ!

こりゃ本当に、グレモリー公爵家の方も、満更では無いのか?

 

▼▼▼

そして、更に翌日。

両親、そして女王(クィーン)戦車(ルーク)1人と共に、グレモリー邸入り。

メイドさんに案内された部屋で待機して少しした後、

 

カチャ…

 

扉が開かれ、グレモリー公爵夫妻と、眷属を1人…恐らくは女王(クィーン)を連れて、紅髪の少女が入って来た。

 

「…………………………………。」

「あ…あの…?」

グレモリー家の次期当主候補、リアス・グレモリー(14)。

彼女を直に見た感想は、写真で見たよりも遥かに美少女さんだと云う事。

おっぱいも大きいし。

その容姿に一瞬だが思わず固まってしまい、それを見たリアス嬢が不安気に話し掛けてきた中、()()()()()()()()に繋がるのだった。

いやいや、勿論 心の中で叫んだだけで、実際に声には出していないぞ。

表に出したりしたら、相手さんが どん引きするだろ。

いくらテンション上がりまくりだからって、本人を前にして、マジに声に出して ひゃっはーするヤツなんて、居てたまるかっての。

もし そんなのがリアルに居るってなら、誰かソイツ、俺の前に連れて来い。

その時はカレーーうどんをホースで啜って食べてやるぜ。

 

≫≫≫

 

「ご…ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい(…中略…)ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなざいい゙ぃ~い!!!!」

「いや、大丈夫。全然、気にしてないから…」

そしてそして、更に翌日。

即ち、現在(いま)

現状を簡単に説明すれば、俺の戦闘訓練を見学にと、フェニックス家に訪れていたリアス嬢。

訓練終了後、修業仲間である、実はリアス嬢の従兄だった貴族君を その下僕さんが傷の手当てをしている光景に、何か触発されたのか、ボコボコになった俺の顔の治療をしたいと申し出て…

ん。良ぇ娘やん。

…で、俺的には、不死(フェニックス)の特性が有るから、この程度の負傷は放っていても直ぐに治るのだが、折角だからと お願いしてみれば、この()()()()()()なリアスちゃん(14)、大量に消毒液を染み込ませた脱脂綿を俺の(きず)に強く押し当て、愉快な断末魔を上げさせる事に成功したのでした。

ウチの下僕(バカ)共が大笑いしてる中、流石に申し訳無いと思ったのか、大泣きしながら謝るリアス嬢。

これはフェニックスな俺からしても、()()()()()()だったからこその、大絶叫な訳で。

確かに彼女が不慣れだったとしても、あんなに染みるモンなんて思わなかったし、悪気が有った訳じゃ無いし、ねぇ?

この程度で機嫌を損ねる程、俺は小さくないぞ?

…もし これが男だったら、灰に していただろうが。

 

「う~む。訓練中でも、あんなに苦しそうに叫んだライザー殿は記憶に無いが…

我が従妹ながら、末恐ろしいな。」

「「HAーHAHAHAHAh!!」」

喧しいわ!

この努力マンは兎も角、馬鹿笑いしているウチの戦車(バカ)2人は拳骨で沈めて…

あ、ユーベルーナ?

テメーも「如何にも笑うの我慢していますぅw」って顔してやがるな?

後で、説教だ。

 

「まぁ、誰しも失敗は有るし…な?

聞けばグレモリー家には、怪我の治療のエキスパートが居るそうじゃないか。

その方に色々と、教えて貰えば良いさ。」

「は…はい。」

改めて言うが、フェニックスの俺には、怪我の治療なんかは本当に必要が無い。

…が、それでも『女子力』を向上させる為のスキルを身に付けて貰うに、越した事は無い。

グレモリー家のメイド長にして、リアス嬢の兄、魔王サーゼクス・ルシファー様の女王(クィーン)でもあり、奥方でも あらせられるグレイフィア・ルキフグス様。

あの方が日常から、仕事をさぼりがちなルシファー様をシバいて、毎晩その治療をされているのは、公には なっていないが、一部の間では有名な話だ。

そんな治療の達人である彼女に師事すれば、今後、今みたいな事は無くなるだろう。

ついでに この最強メイド様から、その他の家事も学んでくれたら…な考えも、多少は有る。

 

「まあ、あれだ…。

グレモリーとフェニックス、確かに『家』同士で決まった話とは云え、こうして逢ったのも何かの縁だ。

とりあえず『家』とは関係無く、只のライザーと…そしてリアスとして、仲好くしていこうぜ?」

 

ポンポン…

 

「は…はひ…(//▽//)」

笑いながら、まだ完全に凹みから回復していないリアス嬢の頭を軽く撫でて話すと、髪の毛の如くに顔を赤くして、笑顔で応えてくれた。

良ーし!これは脈アル!

掴みは おけ?

心の中で、プ〇トーン式のガッツポーズ、雄叫びは『エイド〇アーン!!』だぜ!

 

「…クィーシャ、ブラッk

「はい、サイラオーグ様。ブラックコーヒーです。」

「あぁ、すまないな。」

「ごめんなさい、私にも貰えるかしら?」

「私も頼めるか?」

「同じく。」

「はい、どうぞ♪」

「それにしてもライザー様…

ナチュラルに堕としましたね。」

「うむ。天然、恐るべしだな。」 

「リアスも少し、チョロ過ぎと思うが…

それを差し引いても、凄まじい才能と言うべきか…」

喧しいわっ!!

ユーベルーナ!ミリアルド!DIO!

テメー等、説教追加だ!!

 

▼▼▼

…あれから1年と数ヶ月。

リアスと俺は、週1…は無理としても、互いの日程(スケジュール)を調整し合い、月3くらいの割合でデートする間柄となった。

互いの誕生日には、プレゼントを渡したり。

そして大会場でのゲームに参戦する時は、御両親の分も合わせてVIP席のチケットを贈ったりと、当人だけでなく、御家族への気配りも忘れない。

そして、リアスの兄上であり、魔王でもあるサーゼクス・ルシファー様。

所謂"シスコン"で有名な この御方、最初は俺に対して、可愛い可愛い(中略)可愛い、大事な大事な(中略)大事な妹を誑し込んだクソヤローとして、ジャパニーズ・〇ンピラの如くな接し方だったが(その度、グレイフィア様にシバかれてたw)、俺もシスコンには、それなりに覚えが…誰にも負けないという自信が有る。

結果、ルシファー様とは妹・愛の談義で盛り上がり、時には どちらの妹が可愛いかと、割とガチな拳での語り合いに なりそうな事も有ったが(グレイフィア様に纏めてシバかれた)、結果的にはシスコン同士、解り合うのに それ程の時間は必要としなかった。

 

…そんな3月終盤。

 

「さて、ライザー様?

少し、OHANASHIさせて、頂きますよ?」

「…だにゃ!」

「は…はひ…」

4月を目前にした某日の深夜、俺は自室の床に正座させられ、如何にも『私、怒ってます!』な顔をしている下僕2人に睨まれ、縮細っていた。

そう!

Ga〇utに睨み付けられた鬼〇院の様に!

 




 
①ライザー君、殆ど一目惚れでした。
②ライザー君、完全な天然じゃないです。
僅かな打算心は有ります(笑)。
③しかしリーアたん、あっさり陥落。
④小説最強キャラ(暫定)、グレイフィア様。 

感想よろしくです。
 
同時執筆中の『ガルーダ』『黒翼』も よろしくです。
 


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夜の OHANASHI

 
久し振りです。
 


…やぁ、ライザー・フェニックスだ。

4月を目前にした今夜、俺は自室の床に正座させられ、2人の眷属に睨まれている。

 

「…さて、ライザー様?

どうして今から、OHANASHIされるか、理解されてますね?」

いえ、皆目 見当も付きません!

1人は女王(クィーン)のユーベルーナ。

俺が物心付く前から、"乳母"を務めていた女性(おんな)だ。

悪魔の駒(イーヴィル・ピース)を授かった時、真っ先に頼み込んで眷属になって貰った事も有り、(キング)で在りながら、未だ この女には頭が上がらない。

 

「てゆーか、尻に敷かれてるにゃ。」

喧しいわ!

そして もう1人は、僧侶(ビショップ)の黒歌。

元々はナベリウス家に仕えてたが、()()と有ってグレモリー家のメイドに。

その後、また()()と有り、トレードを経て今は俺の下僕になった、猫又の上位妖怪…猫魈からの転生悪魔だ。

因みに彼女の妹は、リアスの戦車(ルーク)だったりする。

…兎に角、この2人が今、俺に対して非常に(おこ)なのだ。

そう!まるで夏〇先生に駄目出しされた時の、〇美男さんの様に!

 

「…今日、リアス様とデートしたそうですが?」

「お…応…」

「4月からリアス様は、人間界に行かれるのは御承知ですよね?」

それは勿論。

リアスは人間界…日本のハイスクールに、領地管理の修行を兼ねて、留学する事になっていた。

それ故に これから先は、余程の事が無い限り、冥界に戻る事は無い。

そして俺も、少なくとも今はホイホイと簡単に、人間界に足を運べる立場では無い。

つまり、今後は そう簡単にデートは愚か、顔を会わせるのも難いのだ。

だからこそ今日は、来月アタマの誕生祝いの前倒しの意味も込めての、俺的には かなり気合い入れたデートだった。

レーティング・ゲームの聖地で有る、アガレス領の浮遊都市のスタジアム。

今日は この場所で、ランキング上位2強の、頂上決戦がマッチメイクされていた。

レーティング・ゲームに興味有りまくりなリアスは、この誘いに飛び付く。

そして やはりランキング上位者としての、半ば力技で入手したチケット…VIP席での観戦に、彼女は大熱狂。

その後は少し買い物に繰り出し、締めは空中都市ならではの、絶景な夜景を見ながらのディナー。

その時に少し早いが、誕生プレゼントも、きちんと渡した。

ゲームのファイトマネー、1年間試合分相応な予算を使った そのプレゼントに、「無駄遣い!」と少し呆れながら怒りながらも、それでも うっすらと涙を浮かべて喜んでくれた。

完璧な段取りだった…筈。

 

「ほう?…で、最後は?」

「いや、きちんとグレモリー城まで送ったぞ?」

「送っただけにゃ?」

「…去り際に、キス…しました。」

いやいや、これも もう、デートの時の、本当に最後の締めの定番だぞ。

グレモリー城の門番も、その時になったら、今では気を効かし、無言で"回れ右"してくれる程に!

 

「そう、それですよ!」

「お嬢とは もう暫く会えないのに、何でキスだけで終わらせるにゃ!」

はい?

 

「リアス様に、電話越しに泣き付かれました。

婚約者なのに、キスから先は、何も してくれなかった…と!」

「へたれマスターだにゃ!」

「リアスは まだ15だ!!」

来月アタマに16になるが、それでも ()()だ。

 

「…てゆーか、ユーベルーナ。

何でリアスが お前に?」

「何時もデートの後は、色々と伺っております。」

「はぁ~~~~~~~~~~…」

「…ライザー様?」

何となくだが、デートの後、直ぐにガールズトークとらやを花咲かせていたのが鮮明に脳裏に浮かび、「リアスさんや…キミは何を、一番アカン奴等に話しているんだい!?」…と思っていた時、ユーベルーナが慎重な面持ちで話し掛けてきた。

 

「先程も お話した通り、貴方達は もう、暫くは会えないのですよ?

だからこそライザー様?

貴方が今日のデートプラン、相当に気合いを入れていた様に、リアス様も かーなーり、気合いを入れていたのですよ?」

「お嬢は今日、"勝負ぱんつ"を履いてたにゃ!」

「ぶーーーーーーーーーっ?!」

思わず噴いてしまう俺。

勝負パンツって…

いや、気持ちは凄く嬉しいよ?

でも、リアスは 確かに おっぱい大きいけど、 まだ15(数日後に16)だから!

流石に早いから!

大体 俺はフェニックスだぞ!

純血の出生率低々な中、3男1女な子沢山のフェニックス家だぞ!?

事が有れば、絶対に孕ます自信がアリアリなんですけど!

 

「…てゆーかお前等、何時も そーゆー話をしてたのかよ?」

「はい。普段からデートの前日には、何時も どうしたら良いかとか、相談を受けておりました。」

「デートの後も、どーだったとか、報らされていたにゃ。

因みに今日は、()()()()()()()()()()以外は、完璧だったそうだにゃ。」

ん。リアスぅ…やっぱり相手、間違ってるよ、お前。

グレモリーには、グレイフィア様が居るじゃないの?

どうして彼女に相談しない訳?

 

「確かにリアス様にも、『今夜は ずっと一緒に居たい』とかなアプローチを掛けなかった辺り、落ち度は有りましたが…」

「お嬢も地味に、ヘタレだにゃ。」

ん。その理屈も可笑しい。

 

「嗚呼! 小さな頃は何時も何時も、(ヒト)のスカートを捲るわ胸や お尻を触ってくるわ、『僕も一緒に入る~』とか言って真裸(まっぱ)で浴室に突撃していたわな、あのスケベの塊だったライザー様は、一体 何処に行かれてしまわれたのでしょうか?」

「止ーめーれーっ!??」

「そんな事、していたんにゃ…」

「ええ。これはライザー様が11歳の時、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と同時、ライザー様の方が恥ずかしり始めて止まりましたけど。」

「へ~?そんなんにゃ~?www」

すいません、マジに止めろ下さい。

てゆーか君達は、そんなに既成事実を成立させたいのかい?

 

「お嬢も、そーゆーのには興味津々な お年頃にゃ。

大体もう、婚約者同士。

しかも普段からバカップル全開なんだから、今更 問題無いにゃ。」

バカップル言うな。

それに、興味津々…って、リアスは どっちかってと…

 

「2ヶ月前…前のデートの時でしたか?」

「マスター、お嬢を押し倒してスカートの中にアタマを突っ込み、おっぱい思いっきり鷲掴みしたらしいにゃ?」

「ま、待て!? あれは事故なんだ!?」

…そう、そういう事が有ったのは、否定しない。

しかし あれは、マジに事故だったんですけど?…って、それ、どうして お前等が知っている?!

もしかしてリアスから聞いた訳?

 

「はい。その時のリアス様は、本当に嬉しそうに、話してくださいました。」

リ~ア~ス~うっ!?

キミは、何を言ってくれちゃってんの?

大体あの時、キミ、顔を髪の毛以上に真っ赤にして、大泣き直前な顔だったじゃないか?

こりゃヤバイと思って反射的に、月面宙返(ムーン・サルト)り土下座を披露して、何とか事無きを得て…

 

「リ〇・フェニックスだにゃ!」

〇ト・フェニックスって誰だよ?!

…兎に角、そんな事も有ったから尚の事、『この娘には まだ、そんなんはアカン』って結論に至ったのですけど!?

 

「ハァ…オリム〇イザー様は鈍感過ぎます。

女心という物を、全然理解されておりません。

"大事にしていれば其れで善し"…では済まない事だって、世の中には在るのですよ!」

いや…だから、誰?それ?

勝手にヒトの名前、変えないでくれます?

 

≫≫≫

…この後、ユーベルーナと黒歌、2人掛かりで散々と説教され、『とりあえず謝ってこい!』とばかりに、強制転移させられました。

 

▼▼▼

≫≫≫

「「………………………。」」

そして転移先のグレモリー城のリアスの部屋。

ただ丁度その時、彼女は着替えの真っ最中で、身に着けていたのは下に1枚だけ。

何時ぞやの"クマさん"とは うって違い、背伸び感溢れると言うか、黒紫の、一部分 透け透けなアダルティなヤツでして…

成る程、それが、勝負ぱんt

 

「い、ぃぃ…いっやぁあ~~っ!!?」

 

バッチィーン!!

 

「うゎらばっ!?」

はい、片手で胸を隠し、またもや顔を真っ赤にした涙目リアスちゃん(凄く可愛い)の、黒い魔力が込められた手で、思いっきり平手打ちを貰いました。

瞬間、頭を全部消し飛ばされました。

俺がフェニックスじゃなかったら、普通に死んでましたね、こりゃ。

 

≫≫≫

「ご…ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいい~ぃっ!!!!」

その後、寝間着(ネグリジェ)に着替え、ひたすら謝り続けるリアスさん。

 

「いや、あれは仕方無い。

俺が100パー悪いから、気にするな。」

「で…でも…」

「気にするな。」

正確には、ユーベルーナと黒歌が悪い。

アイツ等、後で覚えてろよ。

大体あの2人が、先の都合も考えず、無理矢理に飛ばしたりするから、よりによって着替えのタイミングに…

ん。あの2人には、戻ったら「ありがとう」と礼を言おう。

 

「…すまなかったな。」

「え?」

「ユーベルーナと黒歌に、思いっきり説教されて…な。」

「……………………………。」

そして、この部屋に転移してきた理由を話す。

リアスは それを、黙って聞いていてくれた。

 

「…しかしな、やっぱ そーゆーのは俺は兎も角、子供な お前は、まだ早い。」

「そ…そんな事、無いもん…

私、もう大人だもん…

胸だって ほら、十分に大きいもん…。」

「だーかーら! そんな風に胸の大きさで大人をアピールしてる時点で、まだまだ お子ちゃまなんだよ!」

「ぅうっ?!」

…しかし、"子供"という言葉には少し抵抗が有ったのか反論するが、其処は正論?で黙らせる。

大体その考え方、ソーナ君に失礼だぞ。

 

≫≫≫

「…心配しなくても、俺だって きちんと式を挙げるまで我慢するなんて、そんな心算は無ぇよ。

ただ、せめてリアスが18歳位になるまでは…な。」

「うん…」

そして色々と説得、何とか納得して貰えるのに成功。

僅かばかり、外堀が埋まった気もするが、大丈夫だろう。

 

「じゃ、俺は もう帰るわ。お休み、リアス。」

 

chu…

 

「…!!」

 

ヴィン…

 

「あ、ちょっと待って、ライザー!」

「ん?」

話すべき事を話し、一応は今回の件は終わった?ので、()()()()()()()()()をした後、転移魔方陣を開き、帰ろうとした時に、呼び止める美少女さん。

 

「どした?」

「あの…一応、確認しておきたくて…」

そして、またまた顔を赤くし、もじもじとした様子で、俺に問い掛けてきた。

 

「ゎ、私の裸、見たわよね?

…その、それで、その…可愛かった?綺麗だった?…ですか?」

「そりゃ、勿論…」

その質問に正直に応えると、彼女は今日一番の、赤面を見せてくれた。

 

 

▼▼▼

 

 

そして時は、一気に2年の歳月が過ぎ去る…

 

 




 
次回より、原作時間軸に!
 
感想よろしくです。
 


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オカルト研究部です!

 
原作キャラ、続々登場!
 


◆◆◆

初めましてだな!

俺は兵藤一誠。イッセーと呼んでくれ!

実は俺は、人間じゃあない。

確かに ほんの少し前までは、極々普通の高校生(にんげん)だったのだけど、()()と有って、今は悪魔社会の公爵令嬢、リアス・グレモリー様の下僕な転生悪魔だ。

将来の夢は、ハーレム王だぜ!

 

「イッセー、次は窓拭き、お願いね。」

「はい、部長!」

ゴールデンウィークが間近に迫った今日は放課後に、リアス様…リアス部長に、お客様が訪ねて来られるらしい。

そんな訳で今は部長の眷属総出で、俺達の拠点であるオカルト研究部の部室を、昼休み返上で掃除しているのだ。

 

「あぁ、すまないがキミ、ホウキやモップは、何処に有るんだい?」

「…え? あ、掃除用具は隣の部屋の、ロッカーに有りますよ…」

「ありがとう。」

部室の窓を拭いている途中、オカ研部員では無い…と言うか、多分、学園関係者じゃない、知らない男の人に声を掛けられた。

どう見ても日本人には見えないし、多分、部長が掃除の手伝いに喚んだ悪魔(ヒト)だと思い、道具の有る場所を教えたら、一旦立ち去り、モップを持ってきて、床を掃除し始めた。

 

「いや、今は本来、休憩時間なんだろ?

そんな中、部屋の掃除って、偉いよな。」

「はぁ…どうも。」

作業しながら、話し掛けてくる男の人。

ウチのイケメン野郎とは別ベクトルの、目付きが鋭い悪人面系イケメン…所謂ワルメンな このヒト、何となくだけど良い人な気がする。

 

「キミとは初対面…てゆー事は、もしかしてキミが、リアスが話していた赤龍帝君かい?」

「え…あ、はい。」

え?何だ、このヒト?

俺の事を知ってるみたいだし、何よりも今…

 

「あ、あの…すいませんけd

「ちょっとイッセー、喋ってないで…?

「あ、すいません、部長。」

「……………………………………。」

掃除中、話していた俺に注意してきたリアス部長。

しかし、その部長が こっちを見た途端にフリーズした。

 

「…部長?」

「ら、らららら…」

…ら?

 

「な、何でライザーが、もう来てんのよぉ~?!」

 

≫≫≫

「来るのは放課後って言ってたのに…」

「はっはっは!実家の用事が、予想外に早く片付いたんでね。

そうなれば予定を切り上げ、リアスに早く会いに行きたいと思うのは、当然だろ?」

「ば、ばかっ!?」

「「……………………。」」

結論から言えば、このヒトが、放課後に訪ねてくる予定だったヒトみたいだ。

掃除を中止して、応接に…

こういう時は、お客様を3人掛けソファに座って貰い、部長は対面のシングルに座るのが普通なのだが、今は部長も、3人用ソファに…このヒトの隣に座って、腕を絡ませているんですけど?!

しかも、普段はクール系美女な部長が、一見 怒っている様で、思いっきりデレているんですけど??!

俺の隣に立っている金髪美少女…やはり()()と有って、俺よりも少し後に部長の眷属として転生したアーシアも、目が点になってるよ。

ん。しかし俺だって、鈍感系じゃない心算だ。

部長の事を、()()()と呼び捨てで呼んでいる事からも、只の間柄じゃないって事くらいは察せられる。

 

「おい、木場(イケメン)、あのヒトって…?」

やはり俺達と同じく、部長達より少し離れた場所で、様子を見ていた同級生…悪魔としては先輩の木場に聞いてみると、

「あの御方はライザー・フェニックス様。

冥界の侯爵、フェニックス家の御三男で、リアス部長の婚約者だよ。」

「「こ…んゃっ?!」」

こんな答えが返ってきた。

あの様子からして、もしかして恋人かとは思っていたけど、予想より一段上の答えだった。

これにはアーシア共々に吃驚た。

まあ、部長は冥界の貴族令嬢だから、許嫁とか居ても、不思議じゃないと納得出来たけど、

「ら…ラブラブですよね。」

アーシアが言う通り。

一見、部長が予定より早過ぎる来訪に怒っている様に見えるけど、その実、当人以外の何人をも拒む、ラヴオーラを2人が放出している。

それは決して、単純に両家の親同士が決めただけの関係じゃない事を、見せつけているかの様だった。

 

「…そして、冥界屈指のバカップルです。(…もぐもぐ)

バナナを食べながら説明捕捉してくれたのは、1年生の塔城白音ちゃん。

下級生だけど、やはり悪魔としては俺より先輩で、学園マスコットの愛称で人気者な、小柄な美少女だ。

この、『バカップル』にも納得だ。

 

「…で、何で一緒に掃除してた訳?」

「いや、訪ねてみたら、皆 一生懸命に掃除してたろ?

何となく、手伝った方が良いかな~?…と思ってね。」

ん。このヒト、良い悪魔(ひと)決定だ。

 

≫≫≫

「レーティング・ゲーム?」

「ああ、そうだ。

夏の若手悪魔の会合の時に、正式に魔王様から発表されるだろう。」

俺達平部員も応接の周りに集められ、このライザーさん…じゃない、ライザー様の話を聞く事に。

要約すれば、夏休みに俺達グレモリー眷属は、冥界…部長の里帰りに同行するのだけど、その時に、冥界の中央都市で、部長と同年代…所謂"若手悪魔"と呼ばれる者達と、悪魔社会の偉い方々との顔合わせ的な会合が開かれるらしい。

そして その時、その若手悪魔達による、レーティング・ゲームの大会開催を発表するそうだ。

 

レーティング・ゲーム。

俺も部長から聞かされたが、簡単に言えば、大きな擬似空間を用いて、(キング)の指事で、俺達下僕悪魔が動く、リアル・チェスみたいなゲーム。

部長は将来、このゲームで、結果を出すのが、当面の夢だとか。

今回ライザー様が、人間界の この部室を訪ねてきた理由は、いち早く その情報を得たので、部長に教える為だったとか。

 

「まぁ、単純にリアスに会いたいってのが9割だけどな。」

「ば…ばかぁっ?!

何をバカな事、言ってんのよ?!」

「「「「「………………。」」」」」

「はい、ブラックコーヒーですわ♪」

「ど、どうも…」「戴きます。」

この バカップル 2人が醸し出す、何とも言えない空気が室内を支配しようとした時に、オカ研の副部長である姫島朱乃先輩…部長と並び、"学園二大お姉様"と称される、グラマラスで超美人な先輩だ…が、絶妙なタイミングでブラックコーヒーを差し出してくれた。

 

「…それでだ、リアス。

こう言っちゃアレだが、キミの下僕達は、まだまだ弱い。

特にキミ、赤龍帝君…ヒョードー君だったね?

確かにキミは、伝説のドラゴンをその身に宿し、その潜在能力は計り知れないだろうが、今は悪魔に転生してから まだ日が浅く、何よりも実戦経験が完全に不足…ぶっちゃけ超雑魚だ。

そちらの聖女さんも、同様にね。」

う…確かに その通りかも知れませんけど!

反論は出来ませんけど!

もう少しオブラートに包んだ言い方って、出来ないのですか?

俺、泣きますよ?

 

「はっはっはっは!

orzるな orzるな、ヒョードー君!

だからこその…今日のメインな話は、これからだよ。」

「どういう事?…ライザー?」

散々俺達(…特に俺)をディスりながら、フォローを入れるかな言葉を出すライザー様に、部長が何事かを尋ねる。

 

「この連休に、部活の合宿を行うんだろ?

それに俺達も、コーチとして参加させて貰う。」

「「「「「「「…!!」」」」」」」

このライザー様の言葉に、部長…当然 俺も含めたオカ研メンバー全員が、驚きの表情を見せた。

この4月末~5月の連休に、部活として山での合宿…()()としての、強化訓練をするのは決定事項だった。

それにライザー様…そして「俺()」という事は、このヒトの下僕悪魔さんも、同行する事になる?

 

「そ…それは嬉しい…けど、それって まだ魔王様からの正式発表前に、ズルしたって事には ならないかしら?」

「しかも、プロのチームの指導…って?」

このライザー様の申し出に、リアス部長と朱乃さんは、口元を少し引き痙りながら、不正になったりしないかと話す。

 

「いや、自分の婚約者と、その眷属を鍛えるだけだぞ?

別に変な話じゃないだろ。」

それに対し、心配無用と言うライザー様。

ん~…何となくだけど、部長や朱乃さんの対応からして、ライザー様の手を借りるのでは無く、その指導法に問題が…プロチームって言う位だから、相当な地獄の特訓メニューを課されるのが、嫌だって感じだなぁ。

 

「ひぃいっ?!」

もう1人の1年生部員…一見 金髪美少女、実は男の娘…のギャスパーも、何だか怖がってるし、白音ちゃんと木場も、顔をどんよりさせている。

俺とアーシア以外は過去に何度か、そんな地獄の特訓を受けているからこその、そんな反応だよ。

地獄の特訓…確かに出来る事なら勘弁願いたいが、強くなる為には…それが どれ程の地獄かは知らないけど、絶対に乗り切ってみせるぜ!

 

「…イッセー君。

キミが今、イメージしてるのは、天国だよ?」

イケメン~~~~~ンッ!?

お前は、ヒトの頭の中を読むな!!

 

「俺の同行メンバーは…ま、当日の お楽しみとして…

とりあえず、シルバーを連れて来る事だけは、約束しておこう。」

「……!!

部長!皆さん!頑張りましょう!!」

そしてライザー様の、『シルバーを連れて来る』の言葉に、白音ちゃんが過剰に食い付き、モチベーションを一気に突き上げた。

シルバーさん…一体どんなヒトなのか、これも少し、気になるなぁ。

 




この小説では、ギャー君も既に、封印が解かれているとします。
 
次回『地獄の合宿、始まります!(予定)』
 
感想よろしくです。
  


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地獄の合宿、スタートだぜ!

 
合宿スタート
 


◆◆◆

やあ、ライザー・フェニックスだ。

ジャパンでは4月末~5月初頭は、ゴールデンウィークと呼ばれる、大型連休が有るらしいな。

しかも今年は、土曜日曜が絶妙な位置取りらしく、学生からすれば、1週間連続で学校が休みだそうじゃないか。

リアス率いるオカルト研究部メンバーは、この長期休暇を利用して、某県のグレモリー家所有の山での強化合宿を行う事になっていた。

俺は今回、そのコーチ役を自ら申し出て、一足先に、下僕達と この山頂の別荘でスタンバっていたのだが…

お、見えてきた見えてきた。

 

≫≫≫

「ゼィ…ゼィ…」

「あ…あの…少し持ちましょうか?」

リアスを先頭に、姫島君、木場君、白音君。

そしてヴラディ君にアルジェント君と…最後は兵藤君か。

木場君、白音君、兵藤君は早速トレーニングとばかり、この山登りでも全員分の荷物を担いでの登場か。

ん。感心感心。

既に兵藤君が一杯一杯な気がするが、まぁ、見ない事にしておこう。

 

「アレが、今代の赤龍帝…なのか?」

「フッ、やはり同じドラゴン系の神器(セイクリッド・ギア)を宿す者として、気になるか?ラダマンティスよ。」

「…………………。」

 

◆◆◆

ゼィ…ゼェ…

ィ…イッセー…だ…。

今回のオカ研の合宿。

何時もの旧校舎から転移したのは、見知らぬ山の麓。

この山頂に、合宿中 俺達が寝泊まりする別荘が有るらしいけど、合宿は此処からスタートだった。

俺、白音ちゃん、木場の3人は全員の荷物背負って、山頂を目指す事に。

普通に登山でもキツいのに、この荷物は かなりキツい!

しかし木場は俺の約2倍、白音ちゃんなんて、更に その約3倍の荷物を背負って、平気な顔で進んでいる!

アーシアが「手伝いましょうか?」とか優しく言ってくれてるけど、

「負けられるかよぉおっ!!」

 

ダダダダダッ…!

 

「い、イッセーさん?!」

俺は そんな天使の言葉を跳ね除け、最後の力を振り絞ってのダッシュ!

 

「おぉ~う、兵藤君、お疲れ♪」

「……………………………………。」

誰よりも先に、ライザー様が待機していた山頂に到着したのだった。

 

「お~い? 兵藤君~、大丈夫か?」

「…成る程。

これが所謂、『真っ白』ってヤツか。」

 

≫≫≫

「リアスお義姉様~!」

 

タタタタ…ガシッ

 

「ふふ…久し振りね、レイヴェル。」

そして部長以下、オカ研メンバー全員が別荘前に到着した時、1人の女の子が部長に走り寄り飛び付いてきた。

金髪の、ドリルツインテの美少女だ。

「おねえさま」って言ってけど、妹には見えないし…って、金髪って、もしかして?

 

「イッセーとアーシアは、初めてね。

この娘はレイヴェル。

ライザーの妹、つまり、私の義妹(いもうと)よ。」

「レイヴェル・フェニックスですわ。

以後、お見知り置きを。」

「り、リアス部長の兵士(ポーン)、兵藤イッセーです!」

「あぁあ…アーシア・アルジェントです。

リアス部長の僧侶(ビショップ)でしゅぅ…!」

やっぱりライザー様の関係者(みうち)だった!

山登りでの疲労を忘れ、荷物を背負った儘で直立不動、敬礼して名乗る俺。

そして噛み噛みアーシア。

 

「うふふ♪ 兵藤様にアルジェント様…ですね。

よろしくお願いいたしますわ♡」

 

≫≫≫

別荘に荷物を降ろした後、改めて外の玄関前に集合した俺達。

 

「それじゃあ、早速だが…」

ライザー様の後ろに、眷属らしき人達が控えている。

この人達が、今回の俺達のコーチになる訳か。

皆さん、明らかに強者オーラを纏ってるのが、ぺーぺー悪魔の俺でも判る。

 

「ぅ…ぅう~…」

ギャスパーは その中に、余程 苦手な人物が居るのだろうか、顔を青くして震えっぱなしだ。

 

「リアスと姫島君は、ユーベルーナに任せる。」

「リアス様、姫島さん、よろしくお願いします。」

「「はい!」」

ライザー様の隣に立っていた、長い紫の髪の、如何にも『魔法専門です』な綺麗な女の人が一歩前に出て、部長達に一礼した。

 

「木場君は、ミリアルドから指導を受けて貰う。」

「はい!」

「よろしく頼むぞ、木場祐斗。」

軍系スーツを着た男の人(イケメン!)が木場に一言挨拶すると、2人は早速、山の奥に向かって行った。

 

「白音君は、黒歌に。」

白音(し~ろね)~ぇ!久し振りだにゃ~!♪」

 

ガシッ!

 

「ちょ…?!」

…で、いきなり この黒歌さん?

着物を着崩した格好の猫耳の女の人が、白音ちゃんに抱き付いてきた!

 

「黒歌姉様、止めて下さい!」

「にゃ~?」

そして つい少し前まで、常に無表情だった あの白音ちゃんが顔を赤くして、黒歌さんを振りほどく…って、姉様?

 

「あの黒歌さんは、白音ちゃんの実の お姉さんですぅ。」

そう教えてくれたのは、ギャスパーだ。

あー、言われてみれば猫耳で、気付くべきだった。

…て事は白音ちゃんも、数年後には、あんな感じなダイナマイツな お姉さんになるのかな?

いや、今でも十分に可愛いけど!

 

「アルジェント君は、レイヴェルから魔力の活用法を学んで貰う。」

「は…はぃ!よ、よろしくお願いしゅましゅぅ!」

「改めて、よろしくですわ。」

アーシアに着くのはレイヴェル様。

またテンパったのか、アーシアは噛み噛みになってるけど、まあ、大丈夫だろう。

 

「ヴラディ君は、DIOに」

「フ…ン…久し振りだな。

お手柔らかに頼むぞ、小僧。」

「ひぃぃいっ!??」

ギャスパーを教えるのは、ライザー様と同タイプな、悪人面系イケメン…即ちワルメンの男性だ。

ギャスパーが必要以上に怯えている気もするが、大丈夫だと思いたい。

…てゆーか、俺も他人の心配事をしている余裕なんて無い筈だから…!

 

「最後に兵藤君は、このラダマンティスと…そして この俺が、戦闘の いろはを教えてやる!」

「よろしく頼むぞ、今代の赤龍帝よ。」

なぁ?!

俺、2人掛かりですか?

しかも1人は、ライザー様自ら?

俺は てっきり、1人残った貴族系スーツの人(やっぱりイケメン)が、担当してくれると思っていたのに?

ライザー様は総監督で、全体的に色々と指示指導するポジションだと思っていたのですが?

それか、部長にゲームの戦略云々を教えるとか?

 

「この前も言ったろ?

キミは、超雑魚だと。

…だからこそキミと同じ、ドラゴン系神器(セイクリッド・ギア)を持つラダマンティス、そして俺とで、一気に戦闘力を引き上げる。

それから、リアスの戦略指導等は、夜に行う予定だ。」

…天国の お爺ちゃん、元気にしてますか?

俺の方は どうやら、地獄の始まりが、始まったみたいです。

それと、『超雑魚』は普通に凹むから、止めて下さい。

 

≫≫≫

「ひぃ~?!死ぬ!死ぬるからぁ?!」

「馬鹿者!そうならない為の特訓だ!」

そんな訳で只今、この2人を同時相手の、真剣組手(ガチスパー)の真っ最中です。

いや、最初から、こんな超々ハードな内容じゃなかったんですよ。

午前中は、腕、脚、胸、腹、腰に、合計100㌔近い重りを着け、この鬼教官2人が乗ったリヤカーを引っ張っての、山の登り降り全力ダッシュを5セット。

 

「"鬼"とは失礼だな?」

「我々は、悪魔だぞ?」

……………………………………。

次に魔力上昇を目的とした、精神集中の座禅(弛んでると判断されたら、ラダマンティスさんの無慈悲な入喝(シバキ)付)を挟み、再び重りを装着しての腕立て、腹筋、スクワット、反復横飛び等々なトレーニング。

そして午前の締めは、昼食の"食材狩り"。

捕まえた野鳥や兎は、その場でラダマンティスさんが下ろしてライザー様が()()、3人で頂きました…。

そして昼食の後、漸く重りを外されたと思ったら、この2人相手のバーリ・トゥードな組手が始まったのでした。

 

「ドラゴンの鍛練は、昔から実戦が定番だが、兵藤一誠、お前は その実戦が出来るレベルに至っていない。

だから、午前中は基礎トレーニングで底上げをして、午後から実戦訓練。

1週間、この繰り返しだ。」

木場、確かに あの時、頭に浮かべていたのは天国だったよ…まる

 

≫≫≫

「でやぁっ!」

 

しゅぃいんっ!

 

ドラゴンを象る漆黒の鎧を着たラダマンティスさんが繰り出す拳や蹴りは、実際に触れずとも そのモーションから衝撃波を生み出し、俺を襲う!

これ、避けた後、大木や大岩に ぶつかったら、粉々に砕いてしまう程な凄まじさなんだぜ!

 

「でぇぇえいっ!!」

 

どっごぉん!!

 

そして地面を殴れば、その場にクレーターを作り出し、その際に生じた波動の壁が、土塊や石片を巻き込みながら、(こっち)に向かって来た!

 

「こなくそぉっ!」

俺は それをクロスガードしながら飛び込み突き抜け、反撃のパンチを放とうとするが、

『相棒、逆サイドだ!』

え゙?!

「ほらほら兵藤君!

キミは さっきから、右の拳を打とうとする時、(はんたい)側の、特に下半身のガードが甘くなっているぞ!」

 

ぶぉん!

 

其処に、脚に炎を纏わせたライザー様の、回し蹴りが!

 

「危なっ!」

これも単に、蹴りを避けて終わりじゃない。

脚の炎が、鞭みたいに延びて襲ってくる…寧ろ、(こっち)が本命な技だ!

 

「攻撃は今は まだ、一方向への特化でも構わないが、防御は常に全方向、身体全体を固めてないと、想定外の攻撃で想わぬダメージを貰う事も有る!」

「は…はい!」

「午前中、体内の魔力の通わせ方を教えただろ?

その魔力を単に高めるでなく、防御力に回すイメージだ!」

「はい!」

ライザー様の攻撃は確かに鬼畜だが、このヒトは その都度、『何が悪い』『何処が悪い』『どの様に悪い』『だから こう対処、改善すべき』と、攻撃しながらも、丁寧に教えてくれる。

俺自身、それ等をこの場で全て飲み込める訳じゃないが、このヒトの説明は解り易く、アドバイス通りに動けるだけで、何となくだがレベルアップしている実感が有った。

 

「皇鳳焔!!」

 

ぶゎおぉぉう!

 

「ひぃぃっ!?」

しかし、攻撃は鬼畜マジ鬼畜。

今度はライザー様、正しくThe・フェニックス!…な、巨大な火の鳥を象った火焔弾を撃ち放ってきた!

俺は それを、ギリギリの処で躱す!

 

「おぉ! お見事!」

「…じゃ、ないですよ!?

今のはマジ、死ぬかと思いましたよ!」

「いや、多分 大丈夫…ってレベルで火力を抑えていたから問題無い!」

「た、『多分』って、何?」

「【多分】…①量・程度が大きいこと。沢山。かなり。②恐らく。大抵。…の意。」

(ちっが)ぁーっう! そーゆー意味じゃなぁーい!!」

 

ガシッ!

 

そして、何だか天然?な発言をしながら攻撃してきたラダマンティスさんの拳を、魔力を体内に流しながら、同時に強化させるイメージ…それを実践して受け止める。

 

「はっはっは!

兵藤君! キミは何だかんだで、実は才能は有るのかも知れないな!

どんな手段かは知らんが、神器(セイクリッド・ギア)を覚醒させて、僅か半月足らずで禁手(バランス・ブレイカー)に目覚めたのだからな!」

『う…うわぁああぁぉおぁあん!!』

「ライザー様! それ!禁句ですから!」

…そうなのだ。

実は俺は つい3日前、詳細は端折るが、己の中に眠る神器(セイクリッド・ギア)と呼ばれるキセキな能力(チカラ)…その1歩先の領域である、禁手(バランス・ブレイカー)に至っていたのだ。

今も、真紅のドラゴンの鎧を纏った状態で、戦闘(バト)ってるのである。

…尤も至った時の、その余りにも しょうもないと云うか情けない切っ掛けが原因で、神器(セイクリッド・ギア)赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)に宿るドラゴン…俺の相棒と言える存在のドライグが、精神的に少々病んだりしていた。

 

≫≫≫

「死んだ…100回は死んだ…」

「よし、今日は この辺にしとくか。」

漸く、合宿1日目が終わろうとしていた。

 

「兵藤君は寝た儘で良いから、簡単な反省会と行こう。」

「…………………………。」

しかし、まだ別荘に戻る前に、大の字になった儘、色々と今日の事で駄目出しを貰ってしまう。

 

「ラダマンティスよ、他に何か有るか?」

「うむ。強いて言えば、俺達の方も、準備が足りなかった…と云う部分が有る。」

「ああ。実は俺も、それは感じていた。」

そして それは俺だけで無く、ライザー様ラダマンティスさん自身の反省点へと話が移った。

 

「明日はシルバーに頼み、塩胡椒に醤油、カレー粉や香草等の調味料を用意しておこう。」

「そうだな。流石に鳥も兎も、"素焼き"は味気無かったからな。」

…そっち?

反省すべき点て、調理(それ)

 

≫≫≫

「や…やぁ…イッセー君…」

「お…応…」

「ぅぅう…先輩~ぃ!」

「「……………………。」」

頭陀襤褸になった体に鞭打ち、別荘に戻ると丁度、やっぱり襤褸雑巾の様になった木場も同じタイミングで帰ってきた。

かなりな特訓を積まされた様で、疲労からか、イケメンフェイスも見る影も無く、普段の謎のキラキラエフェクトも、鳴りを潜めていた。

そしてギャスパー。

着ていたジャージは、そう破けたり汚れたりは してないが、兎に角 大泣きだ。

…何が有った?

 

「…とりあえずキミ達、飯の前に汗、流したらどうだ?」

そ、そうさせて頂きます。

 

≫≫≫

ライザー様に言われる儘、俺達オカ研男子は別荘内の浴室へ。

きっちりと男女別になっている大浴場。

 

ガラリ…

 

扉を開けると、湯気の中に人影が1つ。

 

「む? 今日の訓練は、終わったのか。

お疲れ様だな。」

「………!!?」

其処には湯船の側で入念にストレッチをしている、Muscleさんが いらっしゃった!

 




 
次回は浴室場面からスタートだ!
え?女湯??
 
(  ̄ー ̄)ふっふっふっふ…
 
感想よろしくです。
 


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後悔…しないんだな?

【お詫び&御注意】
前回 初登場したライザー眷属の龍飛ですが、作者の我儘で、名前から容姿から、設定変更で書き直しました。
 


 

ちゃぽーん…

 

◆◆◆

ハァ…

 

あ、初めまして…ですね。

私は塔城白音。

リアス・グレモリー様…リアス部長の戦車(ルーク)です。

今回の連休を利用した、グレモリー眷属の強化合宿は、リアス部長の婚約者である、ライザー様のアシストが附く事に。

あの御方、悪気が無い?…のは理解しているのですが、その各々に課す内容は鬼畜その物。

…今日の私の訓練内容は、仙術…仙氣の上手い運用の特訓でした。

 

「白音白音ぇ~、背中、洗ってあげるから、上がってくるにゃ~♪」

「…もう少し、お湯に浸からせて下さい。」

しかも、私を指導したのは黒歌姉様(このヒト)

 

「本当に仲が良いですね~?」

「私には兄しかいませんから、羨ましいですわ。」

そう言っているのは、アーシア先輩とレイヴェル様。

ライザー様的には、気を効かせて下さった心算なのでしょうし、確かに私の仙術修業ではベストな人選です。

仙術の修業って、確かに肉体的には余り疲労は無いのですが、精神的に かなりキテるんですよね。

それも教えるのが実の姉となると、ダブルな意味合いで。

黒歌姉様も、普段はサーゼクス様やライザー様にも負けず劣らずなシスコンですが、修業になると、普通に厳しいです。

尤も、妹だからって甘やかされたら、修業には なりませんから、それは別に問題有りませんが。

ただ、その内容がライザー様監修なのか、鬼畜過ぎるんです。

そのライザー様の組んだ私のプログラムですが、合宿前半は姉様との仙術特訓。

そして後半は、近接格闘戦の特訓だとか。

 

ハァ~…

…て、ゆー事は数日後は また、()()()()が やってくるんですよね…

あのヒト、か弱い美少女相手にも、本当に手加減とか容赦とか無く、悪意無い笑顔で蹴り飛ばしますから…

 

ででーん!白音、タイキック~!

 

…確定ですよ。orz

本当、シルバーさんが この合宿に来てなかったら、とっくに逃亡…いえ、最初から ブッチしてますね。

 

ふぅ…

兎に角 今は、疲れた体を癒しましょう。

そして お風呂の後は…♪

 

ガラ…

 

「…あら、早いわね?」

「あ、部長。」

「先に お風呂、頂いてました。」

やってきたのは、リアス部長と朱乃先輩、そしてユーベルーナさん。

部長達も今日の訓練は、終わったみたいですね。

 

「……………………。」

「白音?」

「あ…いえ、何でも無いです。」

くっ…、黒歌姉様もですが、皆さん本当に、()()()ですね!

 

「うぅ~…(T-T)」

アーシア先輩も部長達の胸を見て、私と同じ感情を抱いてるみたいですが、先輩の ()()は、私から言わせれば贅沢と言う物ですよ。

大丈夫です!まだ、これからです!

 

「あ、そう言えば部長?

部長とライザー様って…

 

 

▼▼▼

◆◆◆

「おっおぉ~!!」

「わぁ♪」

「♪♪♪♡」

 

やあ、ライザー・フェニックスだ。

リアス達オカルト研究部の強化合宿も、初日は無事に終了。

各自、風呂で1日の疲れを流した後は、明日の事を話しながらの夕食だ。

フェニックス家の総料理長兼、俺の兵士(ポーン)であるシルバー・ドゥジムが作った料理の数々を見て、皆が…特に兵藤君、アルジェント君、そして白音君が、目を輝かせている。

 

「これだけが楽しみで、合宿に参加した様な物です。」

そう言っているのは白音君だ。

 

「うっめーっえ!

マジ! パねぇ!マジにウメェーっ!」

兵藤君も涙を流しながら、次々と食べている。

 

「ふっ、シルバーよ、大好評だな。」

「当然だ。

まぁ、あんな風に食べて貰えれば、俺も作り甲斐が有るがな。」

 

「「「…………………orz」」」

…そんな中、何だか どんよりと云うか ずでーんと云うか、兎に角、orzっているのが、リアス、ユーベルーナ、黒歌。

3人共に風呂から上がった後、ずっと あんな感じなのだが…一体、何が有った?

 

「妹に先越された妹に先越された妹に先越された妹に先越された妹に先越された妹に先越された妹に先越された妹に先越された妹に先越された妹に先越された妹に先越された妹に先越された妹に先越された妹に先越された妹に先越された…」

…???

一体、何が有った?

 

≫≫≫

夕食が終わった後は、皆を広間に集めて、実際のレーティングゲームの映像を見ながらのミーティングだ。

これは主に、リアスにプロの(キング)としての指揮を学んで貰う為。

当然、下僕の皆にも、ゲームでの各"駒"の動きを見て、流れってヤツ…各々の役割を理解して貰うのが目的だ。

…は良いけど、

「おい?ちょっと待てユーベルーナ!

このゲームを観せる心算なのか?!」

「内容的に、説明するにはベストだと思いました。」

いや、確かに このゲーム、良い点 悪い点を教えるには、最適かも知れないけど!

 

「凄ぇ…

これが、レーティングゲーム…!」

「懐かしいわね~♪」

よりによって、俺のデビュー戦の画像、用意しなくても良いじゃないか!?

これを見せながら解説する訳?

只でさえ、自分のゲームを自分で解説って恥ずかしいのに、余りにも当時の俺が未熟者過ぎて、凄く恥ずかし過ぎるんですけど?!

…結局このゲームの解説は、相手チームの老獪な戦術の称賛と、当時ルーキーだった俺のダメ(キング)のダメっ振り…稚拙な指揮のダメ出し説明に終始してしまった。

いや、本当に俺達、如何に不死(フェニックス)で ごり押したとは云え、このチーム相手にデビュー戦、よく勝てたよな?

てゆーか、去年の公式戦では、きっちりリベンジ喰らって完敗したけど…

 

「今だから言えますが、絶対に これ、マグレでしたよね。」

「「「同意。」」」

「私も画像(これ) 初めて観たけど、本当にザル指示だにゃ~!www」

お前等は黙れ。

 

「いえ、ライザー様 凄くカッコいーっすよ!」

ん…兵藤君、ありがとう。

君は良いヤツだよ。

 

≫≫≫

あの後、ラダマンティスやDIO達と、明日以降の特訓メニューの話し合いをした後、就寝しようと この別荘にて宛がわれた部屋(じしつ)に入ったのだが…

 

「……………………………。」

その室内のベッド…シーツが思いっきり、人1人分くらいに膨らんでいた。

 

…ガバッ!

 

何となくオチが見えたが、一応シーツを剥ぎ取ってみれば、

「…………………………………。」

「………………………………………。

あ…あの…そんなにマジマジ視られると、は、恥ずかしい…です…」

「…なら、そんなカッコしてんなし。」

其処には生まれた儘な お姿を、まるでプレゼントの様にピンク色のリボンで巻かれた紅髪の美少女さんが、恥ずかしそうに顔を赤くして、横に なっておられました。

ん。そんな予感は、していた。

…リボンは読めなかったけど。

 

≫≫≫

「…で、何で、あんな真似を?」

「だ、だってぇ…」

とりあえずは着替え等の用意をしていなかった涙目リアスに、俺の予備のワイシャツを着せて、何事かを問う事に。

すると、この裸ワイシャツ(イャッホォゥイッ!)の美少女さんは、

「ライザー…2年前、私が18になったら、()()()()()って、言ったわよね?」

「あ~…」

確かに、言ったよね、俺。

今月初めのリアスの誕生日。

その時は互いの都合が付かなく、夜に電話で、それこそ夜が明ける頃まで話すだけだった。

そして先日、俺が彼女の部室に訪ねた時は、その時は下僕の皆が居るからか、確かに少しばかりデレが増していたが、()()()の話題には触れなかった。

多分、あの時、そーゆー話をした日には、アルジェント君やヴラディ君は顔を赤くして挙動って はわはわして、兵藤君なんて絶対、鼻血ぶしゃーっ!で卒倒してるぞ。

…兎に角 成る程。

この部屋に忍び込んでいたのは、そーゆー理由か。

 

「それにライザー、私の方から こうでもしない限りは、絶対に…って思って…」

「…いや、無理し過ぎてるぞ。」

ん。はっきり言えば、もう この娘の年齢を理由に、躱したりする事は出来ないな。

それに、こんな俺に此処まで想ってくれている良い娘に対し、何時までも それから逃げる程、甲斐性無しな心算でもない。

ましてや俺は、決してヘタレなんかじゃない。

まぁ、確かに頃合いかも知れないよな。

婚約者だし、俺は認めんが、世間では公認バカップルみたいだし。

ついでに言えば、どうせ世間じゃ とっくに…とか思われてるだろうし。

但し、今夜に限っては…

 

「大丈夫なのか?

他の皆も、居るのだが?」

「結界張るから大丈夫!」

…あー、際ですか。

 

「大体、下僕達に先を越されて、凄く悔しいんだもん!

貴方に解る?

見下した様な どや顔で、『フッ! この処女(おこちゃま)部長が! (´艸`)ぷーくすくす!』とか言われた時の、この悔しさが!」

言われたんですね、リアスちゃん。…って、下僕、"()"?

 

「そーよ!朱乃も白音もアーシアも、少し前に皆してイッセーと しちゃってるのよぉおおっ!!」

「まぢ??!」

や、やるなぁ兵藤君!

確かに『将来の夢はハーレム王です!』とか言ってたけど、既に その野望の一歩を踏み歩んでいるじゃないか!

てゆーか、手が早いね!

…とりあえずレイヴェルは、明日 早々に実家に帰そう。

それから晩飯の時に、リアス、ユーベルーナ、黒歌が凹んでいたのは、それが原因か。(特に黒歌)

 

「ハァ…やれやれだな。

リアス…ん!」

「…!? んんん~っ??!

ん~、んんんん~~~!?…プハァッ!

ら、ららら、らいざあ??」

その後は…とりあえずは何時もの様に唇を重ね、そして()()() ()()()()()()()()()()()()()を。

これだけでリアスちゃん、お顔真っ赤っか。

瞳を潤ませて、何が起きたのか理解不明、処理落ちなパニック顔をしてるよ。

ん。凄く可愛い。

 

「リアス、後悔…しないんだな?」

「ん。する訳、無い、もん…!

只、初めてなんだから、優しくしてよね?」

そして、本当に最後の確認。

それに対し、落ち着きを取り戻したリアスの応えで、もう、俺達の間に遮る壁は、一切 無くなった。

只、もう1つ、事に及ぶ前に絶対に確かめておかないと いけない事が有る。

 

「リアス…お前が自発的に 此処まで大胆な行動に出るなんて考えられないし、況してや裸で体にリボンを巻いて、体を隠す様にシートを被せるって、どう考えても1人じゃ出来ないよな?

…協力者は誰だ?誰の、発案だ?」

 

▼▼▼

◆◆◆

イッセーだぜ!

強化合宿2日目。

現在、朝の6時前。

目覚まし時計の轟音に叩き起こされ、俺達オカ研男子3人は、顔を洗いに洗面所へ。

これから朝食前の、軽いトレーニングだ。

 

「「「あ、部長、ライザー様。

おはようございます。」」」

「あら、おはよう、皆♪」

「やぁ、皆、おはよう…」

その途中、反対側の廊下から、凄く艶った上機嫌な笑顔のリアス部長と、何だか搾られた様に、少しだけ窶れている感じなライザー様が歩いてきた。

…部長がライザー様の腕に、がっつりと しがみついて。

まぁ、この2人は婚約者同士だし、昨夜も察し…なんですよね。

俺の方は そんな体力なんか全然 残ってなかったと云うのに、羨ましいっすよ!…流石は上級悪魔!

いや、俺は部活の合宿中に ()()()()、 しようとは思いませんけど!

朱乃さんやアーシアや白音ちゃんだって、同じ考えだろうし!

それにしても この2人が仲好くしてるのを見ると、何だか微笑ましくなってくる。

グレモリーに仕える者として、『絶対に幸せに なって欲しい!』…みたいな?

 

「「(Т_Т)…………………。」」

…尚、何故か それぞれ【もう唆しません】【もう誑しません】と書かれたプレートを首に ぶら下げ、涙目で廊下に正座しているユーベルーナさんと黒歌さんは、何となくだけど、これは見えてない事にした方が良いと思ったので、スルーする事にした。 

 




 
ラダマンティス…ライザーの兵士(ポーン)
前回は"龍飛"の名前で登場したけど、キャラクター変更。
見た目イメージは【聖闘士星矢】に登場する同名キャラで。
 
シルバー・ドゥジム…ラダマンティスと同じく、ライザーの兵士(ポーン)
見た目イメージは堂島銀(食戟のソーマ)。
 
合宿編は今回で終了(予定)。
次回から【エクスカリバー編】に入ります?
 


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教会よりの使者

 
【エクスカリバー編】、入りまーす。


 

「ふざけるな!!」

「「「「「「イッセー!」

          君?」」

          さん!」

          先輩!?」」

 

◆◆◆

やあ、ライザー・フェニックスだ。

あの超・強化合宿から約1ヶ月後、久し振りに地上へ出向ける余裕が出来たので、学園の放課後の時間に合わせ、リアス達の居るオカ研部室に顔を見せたのだが、丁度この日は、余所から客人が来る事になっていた様だ。

やっぱ、アポ無しは芳しく無いな。

結局は その客人…天界所属のエクソシストとの対話に、一緒に立ち会わせて貰った訳だが、その お話しの内容が、色々な意味で酷過ぎた。

要約すれば、『堕天使組織【神の子を見張る者(グリゴリ)】の幹部コカビエルが、天界直属の教会に保管していた聖剣(エクスカリバー)の半数を強奪して駒王町に潜伏中。聖剣は天界(じぶんたち)で奪還するから悪魔(おまえら)は手を出すな』…らしい。

いやいやいやいや、何なの?

その偉っそうな上から態度。

それにコカビエルってーと、聖書にも名を記している、超大物だぜ?

それを高々テメー等、人間の小娘2人で どうにか出来る筈が無いじゃんよ?

当然リアスも、

「そんな、『傍観してたら駒王町が滅びてしまいました』…みたいな要求は受け入れられないわ。

情報提供には、感謝します。

しかし、正直言って、貴女達2人に安心して任せられる案件じゃないわ。

堕天の使幹部が関与しているなら、此方も冥界に報告して、大王様なり魔王様なりの指示に従う事になるでしょう。」

…と、この受け応え。

ま、当然だよな。

相手はメジャーな堕天使幹部。

下級の はぐれ悪魔とは、訳が違うんだ。

あっちのエクソシストは勿論の事、一介の貴族令嬢と その下僕達だけで どうにか出来るレベルな問題じゃない。

変な意地や、正体不明意味不明な自信や使命感で自分達だけで片付けようとせず、上に報連相するのは偉ぃ…いや、領地管理者からすれば、当然な話か?

 

≫≫≫

「ふん!勝手にしろ!但し、此方の邪魔は、絶対にするなよ!」

最終的に この対談は、エクソシストが逆ギレしての台詞で終わり。

はい、お帰りは彼方~♪…で済んだと思えば、同席していたアルジェント君に話し掛け、『魔女が何とか』『断罪が かんとか』と因縁を憑けてきて、終いにゃ聖剣(エクスカリバー)(笑)の切っ先を突き突けてきた。

これに兵藤君がキレて、冒頭の やり取りに至った訳だ。

まあ、兵藤君からしたら恋人(…の1人)が殺られそうになった訳だから、そりゃキレるよな。

全く…要らん真似しないで さっさと帰れば良いのに…

俺は早く、リアスとイチャつきたいんだよ。

 

「落ち着け、兵藤君。」

「し、しかし、ライザー様!」

「気持ちは、解る。」

「……………っ!」

そして そんな気持ちを隠し、怒り狂う兵藤君を宥める俺。

そりゃ、気持ちは理解出来る。

俺だって、大事な存在を傷付けられたなら、絶対にキレる自信は有る。

…でもな、兵藤君?

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…!!

 

「……………!!ぶ、部長…?!」

ほら、大事な下僕をディスられ、もしかしたらキミ以上にキレているかも知れないキミの主が、必死に己を抑えているんだよ?

 

「貴女、私の可愛い下僕を貶め刃を向けた その行為…

それは、グレモリーに対する宣戦布告と受け取って構わないわよね?

いえ、仮に その心算が無くとも、万死に値するわ!

とりあえず、消し飛びなさい!!」

 

ボゥッ!

 

「「??!」」

…前言撤回。

掌の上に極大の滅びの魔弾力を作り、今 正に殺ろうとしてるリーアたん。

ん。魔力量と云い そのコントロールと云い、合宿の成果が出てる…って、言ってる場合じゃないな。

 

「リアス!お前も落ち着け!」

「どいてライザー!そいつ等 滅ぼせない!」

「今この場で殺ったら、それこそ火種だぞ。

ソレニ、ヨワイモノイヂメ、ヨクナイ。」

「う…」

兎に角、リアスを落ち着かせる俺。

 

「お前!ちょっと待て!」

「ヨワイモノイヂメって、何よ?!」

「…………………………。」

しかし、リアスが鎮まったと思えば、元凶であるエクソシスト2人が、今度は俺に噛み付いてきた。

 

「…その儘な意味だが?」

「「はあ??!」」

はぁ…俺は外様だから、彼方さんに絡む心算は無かったのだが…

最初のリアスとの会話からして、どうやら この2人は脳筋な色合いが濃く、まともな話し合いは不可な人種の様だ。

こうなったら仕方無い。

敢えて火にガソリン投入して、大炎上させてやるよ。

…後は、知らん。

 

「俺を含む今の此方のメンバー、非戦闘要員のヴラディ君とアルジェント君を除けば、全員 君達よりも遥かに強いぞ?

仮に戦闘になれば、一方的な蹂躙劇で終わってしまうだろう。

己と相手の力量差を見極める眼は、持っておくべきだ。」

「何ぃ!?」

「何ですって!?」

かなり(おこ)な処 悪いが、本当の話だ。

戦闘要員の中で一番 貧弱、貧弱ぅ!…であろう兵藤君ですら、今なら2人を同時に相手取ったとしても、余程な舐めプしない限りは、普通に圧倒出来るだろう。

ライザー塾、舐めんなよ。

 

「ついでだから言わせて貰うが…

敵対勢力の者に言われたくないだろうが、君達は外交として此の地に来訪したのなら、もう少し礼ってヤツを弁えるべきだ。

天界…教会の上位の人達は、戦いだけで、そういうのを学ばせてないのかな?

敵地(アウェイ)の中、自分達を優位に見せようと強がり意気りたい気持ちは解るが、それでも最低限の礼儀を以て、接するべきだ。

それと君達は最初、悪魔(おれたち)に手は出さないと、神に誓っていたと言っていたが、その割には考え無し、簡単にアルジェント君に刃を向ける辺り、君達の信仰心とやらも、大した事は無さそうだな。」

「「な…何ですって!?」

     だと?!」

「そもそも あの様な行動に出たら、その後、只じゃ済まない事すら、理解出来てないのかい?

もしも この場に俺という()()()()()が居なかったら、間違い無く君達は今頃、リアスと兵藤君によって、この世から細胞の欠片も残さず消えていたぞ?」

「う、五月蝿い!

だったら、そのチカラとやら、見せて貰おうか!表に出ろ!」

「偉そうに!このエクスカリバーで、滅してあげるわ!アァーメンッ!」

「いや…だから君達、俺達に手を出さないと誓ったんじゃなかったの?」

ん。あの程度の煽りで、直ぐにバトルに持ってく辺り、マジに脳筋過ぎるぞ。

…それから『アーメン』は、頭が痛くなるから止めろ下さい。

 

≫≫≫

「…ふん。上手く逃げたな。」

「あ゙?! 何を言ってやがる!

お前等 本気で、ライザー様に勝てると思っているのかよ?

俺達でも、オーバーキルだよ!」

「あ゙っあァん!!?」

さて、リクエスト通りに校舎の外に出て、いざ戦闘開始!…な時に、兵藤君と木場君が、『自分達に戦らせて下さい』と言ってきた。

兵藤君は、解る。

アルジェント君を斬ろうとした、あの蒼髪の女…ゼノビアクァルタに対して、完全にブチキレ、敵意を剥き出しだ。

そして木場君。

彼も…あの2人がオカ研部室に やって来た時から そうだったが、何時ものイケメンフェイスは何処へやら。

やはり敵意…いや、憎悪を露にした輩の様な顔付きだ。

以前、彼は転生する前は、天界の教会施設に居たとリアスから聞いた事が有ったが、それが関係しているのか?

実は兵藤君とは幼馴染みらしい、シドーイリナと対峙する事になった。

 

「どうやら あの2人の得物はエクスカリバー?…らしいから、掠るだけで致命傷だぞ。

木場君はスピードを活かして躱し続け、隙を突いた一撃をくれてやれ。

それから、少し冷静になれ。

怒りを発破にするのは構わないが、逝き過ぎた負の感情は、動きを鈍らせるぞ。

そして兵藤君は、直ぐに禁手化(バランス・ブレイク)だ。

生身の悪魔の肉体なら兎も角、あの鎧はドラゴンの鱗その物だから、悪魔と聖剣との相性は、関係無くなる。

ましてや赤龍帝の鎧だ。

あんなナマクラ、文字通り、刃が断たないさ。

恐らく君の相手は、見るからにパワータイプな大振りの一撃を繰り出してくるだろうから、それを敢えて自ら飛び込んで受け止め、カウンター喰らわせてやれ!」

「「はい!」」

とりあえずは2人にアドバイスして、見せ場を譲る事に。

ゼノビアクァルタの「逃げた」とは、そういう意味なのだが、本当に敵の強さを読めなさ過ぎる。

尤も だからこそ、あのコカビエル相手に自信満々で この町へ やって来たのだろうが…。

 

「さあ! 何処からでも掛かって来い!

それとも、怖じ気付いたか?」

大剣型の聖剣を構え、兵藤君を挑発するゼノビアクァルタ。

はぁ…偶に居るよね?

大層な得物(おもちゃ)与えられて、調子乗ってるヤツ。

悪いが俺の見立てじゃ、お前は最初の攻撃を仕掛けた直後、もう1人…シドーイリナも、3分程度で決着するだろう。

 

「ふん!この破壊の聖剣(エクスカリバー・デストラクション)の錆にしてくれるわ!」

「悪魔なんて、瞬殺なんだから!」

それにしても、()()()()()()()ねぇ…

あんなナマクラな玩具…の元となったらしい剣…をマジに本物の聖剣と思い込んでいるなんて、そう言われて渡された当人もだが、そう信じて疑っていない天界の連中、本当に脳味噌が おめでた過ぎるぜ…

 




 
次回、エクスカリバー編〆の予定?
 


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コカビエル襲来

  
Here We Go!
 


 

「ぐ…はっ…? ば、馬鹿な…?!」

 

◆◆◆

イッセーだぜ!

くだらない やり取りが理由となって始まった、教会の遣いとの戦闘。

俺の相手は、ゼノヴィアとかいう女の子。

美少女だったり、教会支給の戦闘服がボディライン丸分かりでエロっぽかりするのは認めてやるが、アーシアを断罪とか言って殺そうとした時点で、そんなのは もはや、俺にとって どうでも良い。

その罪、マ〇コ・デ〇ッ〇スさんの体重より重いんだよ。

そして結果から云えば、俺の大圧勝。

ライザー様のアドバイス通りに、直ぐ禁手(バランス・ブレイク)

そして これまたライザー様の予想通り、何のフェイントも無いゼノヴィアの脳天狙いの大振りを右腕でガード。

これもライザー様の言った通り、ドラゴンの鎧が強力なのか、相手の聖剣がショボいのか、ダメージも不快感も無い。

そして がら空きとなった土手っ腹に、思いっきり左のボディブローをお見舞してやったぜ!

しかも これは、只のパンチじゃない。

魔力とドラゴンの(オーラ)を融合させたエネルギー…これを合宿中に編み出した、俺流"ドラゴン波"として飛び道具にするのでなく、左拳に纏わせた儘での一撃だ!

よし。これは"ドラゴニック・ファントム"と、命名しよう。

兎に角この新必殺技1発で、ゼノヴィアは戦闘不能に。

 

「ナイスだ、兵藤君。」

「凄いわ、イッセー!」

「当然っス!」

部長とライザー様の言葉に、俺はサムズアップで応える。

そりゃ、誰が俺を鍛えてくれたと思っているんですか?

リアス部長の下僕としても、俺に教えを施してくださったライザー様の為にも、下手な真似は出来ませんよ!

…で、木場とイリナは、どうなっているかな?

 

◆◆◆

リアス・グレモリーよ。

向こうの不尊傲慢な態度が原因で始まった、この模擬戦。

先ずはイッセーが、相手を瞬殺。

本当に凄いわよ、イッセー!

悪魔に転生したばかりの4月の時とは、比べ物にならない位、強くなってるわ!

 

「イッセーさん…!♡」

ほら、アーシアも眼を爛々と輝かせているわよ~?(笑)

 

 

ひゅん…!

 

「こ、このォッ!」

「……………。」

そして、祐斗。

教会から()()の使い手が訪れた時から、学園内の彼のファンの子達には見せられない顔をしていたけど、ライザーのアドバイスで、今は落ち着いているみたいね。

あのエクソシストが操る、新体操のリボンの様な薄く長い聖剣の刃。

その変則的な太刀筋を、完全に見切っているわ。

その刃を祐斗は最小限の動きで躱し、届く事は無い。

余裕を見せる祐斗に対して、相手は焦っているのが丸分かり。

次第に攻撃が大きくなり、尚更、祐斗には当たらない。

 

斬!!

 

「え?…ぅ、嘘…?!」

そして、遂に祐斗が動いた。

騎士(ナイト)ならではの超スピードで一瞬で間合いを詰めると、手にした魔剣で聖剣の束に埋められている、緋色の水晶の様なパーツをピンポイントで破壊!

どうやら それがエクスカリバーの"核"だったらしく、蛇の様に蠢いていた刃は だらりと地に落ち、動かなくなった。

相手が女の子だったから、その身を斬らなかった?

…違うわよね。

あの子は最初から、()()()()()()()()()()()()()()()()…只、それだけよ。

 

ビシッ!

 

「…まだ、続けるかい?」

「……?!」

そして武器を喪い、呆然としているイッセーの幼馴染みの顔前に切っ先を向けての問い質し。

勝負、有ったわね。

 

「2分45秒か…。流石は木場君だな。」

 

≫≫≫

あの後、更に一悶着が。

祐斗が破壊した聖剣の水晶だけど、アレが本当にエクスカリバーの"核"だったらしく、紫藤イリナが所持していた擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)は、二度と再生不可だとか。

その事で、責任とか賠償とか言われてきたけど、そんなの知らないわよ。

 

「事の起こりは、全て貴女達に在るわ。

文句が有るなら、()を通じてからに、して欲しいわね。」

「全くだな。

天界の お宝(笑)を破壊したとなると、俺達下っ端だけの話し合いで終わらせて良い話じゃない。

責任とか賠償とかを持ち出す話なら、尚更だな。」

「「…………っ!」」

ライザーと一緒に言い返すと、この2人は何も言なくなった。

そりゃ、そーよ。

最初にアーシアを斬ろうなんて、切っ掛けを作ったのは其方側。

先に戦闘(ケンカ)を吹っ掛けてきたのも、其方側。

殺されてないだけ感謝して貰わないと、割に合わないわよ。

…って貴女達これ、上に どーゆー風に報告、説明するのかしら?

自分達に都合が悪い部分は隠さず、全部 正直に…って、全部 其方が悪いのよね。(笑)

兎も角、此方は これから忙しいの。

超大物(コカビエル)が この町に潜んでるとなると、情けない話だけど今の私には、どうする事も出来ない。

直ぐに お兄様…魔王様に報告して、指示を仰がないと。

勿論、共同で町の管理をしているソーナにも報せるべきよね。

やるべき事、出来る事は、全て やっていかないと。

だから貴女達、もう、用事は終わってるんでしょ?

だったら さっさと帰りなさい。

私も すべき事は全て終わらせて早く帰って、ライザーとイチャイチャしたいのよ!

げらあうと、はりーあっぷっ!

 

≫≫≫

▼▼▼

◆◆◆

「な、何なのよ…これは?」

「お兄様?」

…私、ライザー・フェニックス様の女王(クィーン)のユーベルーナです。

お昼過ぎ、昨日から駒王町に出向いていた朝帰りライザー様に改めて、本日分の仕事をして貰おうと、ライザー様の お部屋を訪ねてみれば、其処には誰も居らず。

その代わりに机の上に、『ちょっと また駒王町に行ってくる。お仕事よろしく♡』と書かれた紙が1枚。

これにはレイヴェル様共々に唖然です。

詳しくは聞かされてないですが、リアス様が住まう駒王町にて、近い内に かなり大きな厄介事(イベント)が起きるとは申されておりましたが、それを『心配だから』とか口実に、またまたリアス様に会いに行きますか?

 

「ふっ、俺が居なくても、大丈夫だろ?」

「ライザー・フェニックスには、有能な下僕が居るじゃないか。」

「まあ、そーゆー事だ!」

「「??!」」

そんな風に思っている私に、後ろから話し掛けてくる声が。

()()()、ライザー様?…と思い、レイヴェル様と振り向いてみれば、

「「「♪タッタラーッ!♪www」」」

「「……………………。」」

其処には どや顔で【ドッキリ成功!】と書かれたプラカードを持った、DIO、ラダマンティス、そして白い謎生き物が。

そうですか。貴方達は、ライザー様が地上に向かわれるのを知っていて、止めなかった訳ですね。

 

「紛らわしいのよ!」

「巫山戯ないで、くださいます?!」

 

ちゅっどぉ~~~~っん!!!!

 

「「「ギャアーッス!?」」」

何を言っているのですか、此奴等は!?

有能な下僕って、何時も何時も何時も何時も!

逃亡したライザー様の仕事の肩代わりしてるのは、私とミリアルドとカールでしょうが!

この大馬鹿者共に、合体爆焔魔法を炸裂させた私達は、絶対に悪くありません。

そしてライザー様?

帰ってきたら、OHANASHIですよ?

 

▼▼▼

◆◆◆

やあ。昨日 正式に、オカ研の外様部員とさせて貰った、ライザー・フェニックスだ。

そんな俺は今、駒王学園の旧校舎部室…ではなく、本校舎の大会議室に来ている。

その顔触れは、リアス率いるオカ研部員の皆さん。

ソーナ・シトリー君と その眷属である、生徒会役員の皆さん。

そして…

「…さて、皆、よく集まってくれたね。」

「お疲れ様です。」

「おっ疲れ様~☆」

4大魔王様の内の御二方、サーゼクス・ルシファー様と、セラフォルー・レヴィアタン様。

更にはサーゼクス様の女王(クィーン)の、グレイフィア・ルキフグス様だ。

リアスの兄上、つまりは俺にとって義兄殿と、その奥方。

そしてソーナ君の姉君とも云ふ。

昨日の教会からのエクスカリバー(笑)使いの情報…コカビエルが駒王町に潜伏を報せた結果、この シスコン 妹想いな魔王様2人が、自ら現場に やって来られたのだ。

そして今から、コカビエル対策会議。

偶々 学園内に居た俺も、一応は事情を知っているからとの理由で、参加させて貰っている。

 

≫≫≫

「兎に角、情報が少な過ぎる。

エクスカリバーを奪ったコカビエルが、何故、駒王町にやって来たのか?

一体 何を、企んでいるのか?

現在の潜伏先を含めて、それが全く、解らない。」

頭を悩ませるサーゼクス様。

 

「あの…」

「はい、ソーたん!☆」

此処でソーナ君が、何か思い当たる事が有るのか挙手。

セラフォルー様が指名した。

 

「…その呼び方は止めて下さい。

コカビエルが何を企んでいるか…は分かりませんが、この町を選んだのは、もしかしたら私とリアスが居るから…かも知れません。」

「「「「「!!!!?」」」」」

このソーナ君の発言に、何かを察したのか、俺を含む何人かの顔付きが変わった。

 

「そうか…!

コカビエルは、グリゴリでも名うての武闘派!

そんな危険人物がリーアたんやソーナさんが居る駒王町に来たとなれば、シスコンで有名な僕やセラフォルーが この地へと繰り出すのは、容易に予想出来る!」

「つまりコカビエルは、魔王様2人を誘き寄せる為に…って、まさかコカビエルは、停戦状態の三竦みの争いを、この町を起点にして再び起こす心算なのか?」

「教会襲撃後、態々 次の目的地を告げたのも…あの2人が私の元に訪れ、コカビエルの事を知らせたのも、そして それを知った私が魔王様に その事を報告したのも…

全て、コカビエルの計算尽くだったとでも云う訳なの?!」

「…そして、見事に釣られたみたいですね。」

「「「「「「「??!」」」」」」」

グレイフィア様の言葉と同時、周囲の空気が何とも表現し難い違和感に包まれた。

尋常でない その魔力と存在感…

 

「そそそ、外を!?」

ソーナ君の下僕の少年が、ややテンパりながら、窓の外、空を指差す。

 

「「「「「「「!!!?」」」」」」」

その上空には、5対10枚の黒い翼を広げた…俺が言うのもアレだが、凄く悪人顔な男が浮遊静止していた。

 

「コカビエル…!!」

 




 
すいません…
次回こそ、聖剣編、終わらせます…
 


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すごいよ魔王様!

 
エクスカリバー編、終了!
 


◆◆◆

 

「コカビエル…!」

 

イッセーだ!

サーゼクス様が学園の上空で ふんぞり返っている堕天使を見て、一言呟いた。

あれが、今回の騒ぎの大元のコカビエル…

 

ゴアオッ!

 

「「「「「???!!」」」」」

…って、コカビエルも俺達が自分に気付いたのに気付いたのか、凶悪な笑みを此方に向けたと思えば、超巨大な光の槍を校舎に…いや、この会議室を狙って投げてきた!

 

ドッガァアアアアアアッ!!

 

「…皆様、大丈夫ですか?」

「お、お陰様で…」

しかし これは、グレイフィア様が素早く前に出てきて魔法障壁(バリアー)を張り、大事には至らず。

尤も、会議室は滅茶苦茶なりましたが…

 

「と、兎に角 皆、外に出るよっ!★」

生徒会長さん…ソーナ様の お姉さんにして魔王の御1人であるセラフォルー様の言葉に従い、俺達は翼を広げ、破壊された壁から(そと)へ飛び立った。

 

「「こ…校舎が…」」

そして、外から校舎を見た部長とソーナ様が呆然。

さっきの攻撃で、会議室処か、校舎が滅っ茶苦茶になってますけどぉっ?!

 

「コカビエル! 一体、何の心算だ!?」

「グリゴリ幹部の貴方が、魔王である私達に攻撃を仕掛けたとなると、只では済まないわよ?!」

サーゼクス様とセラフォルー様が、コカビエルと同じ高さまで飛翔して、悪人面の堕天使に問い掛ける。

 

「ふん!只では済まない…上等ではないか!」

しかしコカビエルは、寧ろ それを望むかの言い振りだ。

 

「天界所属の教会を襲い、エクスカリバーを強奪!

これでも天界引き籠りのミカエル共が、大した動きを見せないのは、ある程度は読めていた。

予想通り、雑魚を追手として向かわせただけだ。

だが魔王の妹達が住む この町で騒ぎを起こすとなれば、サーゼクス!そしてセラフォルー!

魔王(キサマラ)が飛んでくると思っていた!

計画通りとは、正しく この事だな!

後は貴様等が言う通り、魔王相手に手を出したとならば、少なくとも悪魔(きさまら)は、戦の声を高々と掲げるのは必至。

そうすれば もう、後には退けん!

アザゼルもシェムハザも、重い腰を上げざるを得ないだろう!」

「キミは、本当に戦争を望んでいるの?」

「ああ、そうだとも!

戦争だ!最後には天界も巻き込んで、三竦みの争いを再開させるんだよ!」

あの魔王様2人相手に、堕天使幹部は臆する事無く、力強く言い切った。

 

「ちぃっ…狂ってやがるぜ…!」

俺の隣で、ライザー様も凄く嫌そうな顔で吐き捨てる。

 

「僕とセラフォルーで、コカビエルを相手にする!

グレイフィア! 君は学園の敷地内に結界を!」

「はっ!」

「リアスとソーナさん、その眷属の諸君とライザー君は、彼女のアシストを、頼む!」

「「「「「「はい!」」」」」」

そしてサーゼクス様も衝突は避けられないと判断したのか、俺達に指示を。

 

「行くぞ、リアス!皆!!」

「ええ!」「行きましょう!」

ライザー様の掛け声で、今から始まるであろう、凄まじい戦闘の余波で町が破壊されない様に、地上に降りて、グレイフィア様が張る防御結界の維持のアシストだ。

確かに俺達は戦闘に参加した処で、足手まといにしかならないだろう。

それは、十分に理解している。

それでも…それなら それなりに、今の俺でも出来る事をやるだけだ!

だから魔王様! その戦争狂のフルボッコ、よろしく お願いしますよ!

 

≫≫≫

◆◆◆

「ひゃっはろ~い!

イッセーきゅん、おっ久~♪

元気に ちてまちたか~?www」

「て、テメーっ!クソ神父!!?」

 

ライザー・フェニックスだ。

校庭に降り立ち、グレイフィア様と共に防護結界を張ろうとした時、其処にはコカビエルの手下なのだろう、2人の人間が居た。

聖職者の衣を着た白髪の少年と、頭が少し寂しい老人だ。

どうやら少年の方は、兵藤君と顔見知りらしいが、間違っても友達って訳じゃあなさそうだ。

兵藤君、敵意全開だ。

そして この少年が腰に携えてる3本と、背負っている1本の剣…

僅かに感じさせる不快感からして、どうやら あれが件の、教会から強奪したと云うエクスカリバー(笑)らしいな。

てゆーか、背中の大剣(アレ)、何だか凄く見覚えが有るぞ。

 

「バルパー・ガリレィ…!!」

そして木場君は、老人の方を見て、また昨日みたいな憎悪剥き出しな表情に。

 

「グレイフィア様。あの人間達は、兵藤君と木場君に任せましょう。」

どうやら 其々に因縁が有るみたいだし、放置してると結界を張る邪魔に入るのは、目に見えているからな。

 

「…そうですね。

兵藤さん、木場さん、頼めますか?」

「「任せて下さい!」」

グレイフィア様も それを察したのか、あの2人は この2人に任せる事に。

そして、

「はぁ………………………っ!!」

 

パァアッ…

 

グレイフィア様が学園全体を覆う様な、巨大なドーム型の防護結界を展開させた。

 

「さぁ、私達も!」

「「「「「はい!」」」」」

そして俺達も、其れに自らの魔力を流し、強度を高めていく。

 

ドッガァアアアアアアッ!!

 

…………………………………。

上空では、既に魔王様とコカビエルが、派手に戦り合っている。

…って、攻撃の ぶつかり合いで、いきなり結界に罅が入ったぞ?!

お~い、兵藤君と木場君~!

そっちは さっさと終わらせて、早く こっちの手伝いに来てくれよ~?

 

 

≫≫≫

「ドラゴニック・ファントム!!」

 

バギィッ!

 

「ぎゃぴーっ!?」

俺の心の呟きが聞こえたのか、兵藤君は戦闘開始早々にドラゴンの鎧を纏い、強化された左ストレートを少年神父に ぶちかました。

昨日 彼が編み出したばかりの、魔力と龍氣を帯びた拳で殴り付ける新必殺技だ。

昨日は女相手だったから一応は遠慮したのか、腹へのパンチだったが、今回は普通に顔面への打ち込みだ。

しかも魔力や龍氣は、顔面だけでなく、体全体に浴びせられた。

そして この一撃で、少年神父は吹っ飛ばされ、彼の聖剣…両手に持っていた2本、腰と背中の各1本、合計4本の聖剣全てが粉々に砕け散る。

あれは また、"核"とやらも破壊されているな。

 

「嘘…だろ…?

伝説のエェックスキャァリヴァ~♪…ちゃんだ、ぜ…?

てゆーかイッセーきゅん…この前と比べて、パワーアップ、し過…ぎ…」

「へっ!これが、合宿(じごく)の成果だ!」

 

ガタッ…

 

そして喋ってる途中で、崩れ落ちる少年神父。

勝負有りだ。

兵藤君、昨日の戦闘と云い、何気にワンパン〇ンだな。

 

「馬鹿な…分離しているとは云え、伝説に在るエクスカリバーを簡単に砕いただと?!」

そして それを見て狼狽える、木場君と対峙している高僧風な老人。

昨日のエクソシストも そうだったが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()なんてな…

『知らない』って、本当に幸せだぜ。

 

「どうしたのライザー?

貴方、何だか凄く、『ウゼェーっ!』って顔をしてるわよ?」

…気にしないでくれ。

 

 

斬!

 

「グギャァァアッ!?」

木場君も、老人の方を魔剣で斬り捨てた。

まぁ あっちは戦闘専門じゃない様だったし、当然の結果だ。

そして木場君は足下、地面に落ちていた…最初に話してる最中、老人が懐から取り出し投げ捨てた水晶の欠片?の様な物を拾い取ると、その場で蹲る。

 

パァアッ!

 

その瞬間、木場君の体が、眩い光に包まれた。

いや、木場君の体が、光を放っているのか?

 

「…………………………。」

そして光が収まり、木場君が立ち上がる。

その顔は、先程迄の憎悪の感情が消えた、憑き物が取れた様な、スッキリとした表情だ。

何が有ったかは、本人しか知らない、知る必要の無い事だろうが、兎に角 色々と吹っ切れたみたいだな。

 

≫≫

「「お待たせしました!」」

そして木場君兵藤君も、結界組に合流。

悪名高いニ天龍の一角である兵藤君と、先程の光のイベントで、パワーアップを果たした?木場君が加わった事で、結界の強度は更に増した。

 

「…よし!」

 

ボォオッ!

 

「な…?!」

それを確認したのか、サーゼクス様が、超強力な滅びの魔弾をコカビエル目掛けて撃ち放つ。

これは躱され、魔弾は障壁に激突するが、今度は罅割れする事無く、持ち堪えている。

あの魔弾…先程以上の破壊力なのに、びくとも しないなんて…

兵藤君と木場君が加わっただけで、こんなにも変わってくるのか?

 

「逃がさないぞ☆!」

 

ビュビュオォッ!

 

「ぬおっ!?」

そしてセラフォルー様も、今まで以上に威力が有りそうな氷柱のミサイルを、コカビエルに乱射。

 

「元々コカビエル如き、魔王様が2人も揃えば、大した脅威には成り得ません。

但し、それでもコカビエルを斃す力となると、周囲の被害を考えるなら、それなりに強力な結界が必要でした。」

此処でグレイフィア様が、説明ポジションに。

 

「…(略)…恐らく今回の騒動、グリゴリは関係無く、コカビエルの独断なのでしょう。

その証拠に、彼の下に居たのは、あの人間2人だけ。」 

成る程。確かに言われてみれば、魔王様を巻き込むのを前提にした やらかしにしては、グリゴリの堕天使兵が1人も居ないのは、可笑し過ぎる。

 

「…(略)…ですから、私達も今後の対策を話し合おうとした時、まだ此方も兵の準備をしていない時に、コカビエルが現れたのは、ある意味 幸いでした。」

同意ですね。

実際 今夜のタイミングで、多くの軍勢を引き連られていたら、かなりヤバかった筈。

そもそも1人で、魔王様2人を相手にする心算だったのか?

魔王様の実力、低く見積もり過ぎだぞ。

 

「チィッ!」

 

ドドドォッ!!

 

「「「「「「「!!?」」」」」」」

そんな風に話していたら、コカビエルは魔王様達だけでなく、地上(した)に居る俺達に向けても攻撃を仕掛けてきた。

魔王様2人相手に次第に圧されてきたので、注意を余所(オレたち)へ向けさせようと、無数の光の槍を、全方向に飛ばしてきたのだ。

 

「「「「「「きゃあっ?!」」」」」」

上空から光の槍が、シャワーの如く降り注ぐ。

これを見たソーナ君の下僕さん達が、思わず悲鳴を上げるが、 

「ふん!」

 

ぼしゅっ!

 

しかし それは、俺が頭上に炎の障壁を張り、凌いでみせた。

如何に堕天使幹部の攻撃と云えど、こんな"質より量"な攻撃なら、俺でも防げる。

そして結果から言えば、この攻撃はコカビエルからすれば、痛恨の選択ミスだった。

 

ボォオッ!!

 

「…がっ??!」

俺の防御(ディフェンス)と同時、サーゼクス様の放った滅びの魔弾が、コカビエルの右脇腹に命中したのだ。

被弾した部分は完全に抉られ、喪われている。

 

「…あんな甘い攻撃で、下に居る皆をどうにか出来るとでも、思っていたのかい?」

「全くだね☆!」

「ぐぅう…サ、サーゼクスゥウ!!」

サーゼクス様は この俺が…とは言わないが、地上(こっち)の誰かが どうにかしてくれると、確信していたのだ。

あの攻撃は、サーゼクス様セラフォルー様の隙を誘うので無く、逆にコカビエル自身の隙を作ってしまったに、他ならない。

 

ボッボォオッォオッ!!

 

「さぁ、終わりに させて貰うよ。」

そして今度は、体全体を消し飛ばさんとばかりな、超特大…例え素人でも凄まじい威力と解る、滅びの魔弾を撃ち放った!

やっぱりサーゼクス様は凄いよ!

流石はリーアたんの お兄さん!! 

 

…どん!

 

そして これが、コカビエルに直撃!

 

「がァああぁッ?!!」

…しかし これはコカビエルも僅かに体を躱し、完全消滅だけは免れる。

但し、右の肩口から斜めに、下半身は消されており、正直な話、全て消し飛ばされた方が楽だったと思わせる無惨さだ。

 

ズドッ…

 

そして右側の5枚の翼を失い、飛行不能…いや、行動不能となった堕天使幹部は、地に堕ちた。

 

…スタッ

 

「…生きて、いるかい?」

「サ、サァ~ゼクスゥ~ゥウっ!!」

それでも流石は、聖書にも名前を記している堕天使だ。

あれだけの負傷でも死んでおらず、地上に降りたサーゼクス様を睨み付ける。

因みに身体を消し飛ばされて出来た傷口は、セラフォルー様が"凍らせて"止血している。

 

「心配しなくても、止めは刺さないよ。」

「アザゼルちゃんにも色々と、聞いたりしないと いけないしね♪★」

そう言いながらコカビエルに詰め寄る、2人の魔王様。

定石だが、堕天使サイドとの交渉材料にする心算だろう。

 

「くっ…巫山戯るな、サーゼクス!

さっさと殺せ!」

そして それを好しとしない、コカビエルだが…

「「「オッサンの『くっ殺』なんて、誰得だよ…?…………………!!?」」」

それを見て、独り言の心算でボソッと吐いた呟きが、見事にハモる。

 

「「「っえーい!」」」

 

パァン!

 

これには思わず苦笑の後、兵藤君、そしてソーナ君の兵士(ポーン)君とハイタッチだ!

 

「「「「「「「(¬_¬)……………………」」」」」」」

そんな俺達に、女性陣が凍てつく様なジト目を浴びせているが、そんなの無視無視(笑)。

 

 

「…お取り込み中に すまないが、少し、良いかな?」

「「「「「「「「「!!?」」」」」」」」」

そんな中、上空から話し掛けてくる声が。

皆が声の出所に目を向けてみると、其処には兵藤君とは色違いな造型の鎧を着ている人物が、光る翼を広げて宙に浮いていた。

 

「…イッセー先輩の、2Pカラー?」

白音君、違うと思うぞ。

あの白い鎧…もしかしなくても、赤龍帝(ひょうどうくん)と対を成す、ニ天龍の一角…白龍皇だな。

 

スタッ…

 

「ふぅ…

本当は、もっと早く、姿を見せたかったのだけどね。

結界が少しばかり、強力過ぎたよ。」

校庭に降り立ち、白龍皇が苦笑混じりに話し出す。

 

「率直に言おう。

コカビエルの身柄、俺に寄越してくれないか?」

そして弩ストレートに、魔王様にコカビエルの引き渡しを要求してきた。

 

≫≫≫

「…まさか、白龍皇が堕天使サイドに属していたとは、ね。」

「本当、びっくりだよ☆」

要約すれば、この白龍皇は、今は堕天使組織グリゴリに籍を置いているらしく、今回は堕天使総督の指示で、好き勝手に暴走したコカビエルの回収に来たらしい。

 

 

「アザゼルに伝えてくれ。

『1つ、貸しだぞ』…ってね。」

「承知した、魔王殿。

それと、子供の使いにならずに済んだ事に、感謝する。」

これに対してサーゼクス様とセラフォルー様は、この白龍皇の申し出を承諾した。

 

ヒョイ…

 

「は、放せ、白龍皇!」

「ふっ、文句はアザゼルに言ってくれ。」

そして白龍皇は首を除いて、全身氷漬けとなったコカビエルを担ぎ上げる。

 

「あー、それから…」

「え? 俺??」

そして翼を広げ、飛び去ろうとする前、此方…正確には兵藤君に視線を向け、

「次に会った時は、派手に殺り合おうぜ、ライバル君。」

「却ーーーーーっ下!!」

 

ひゅん…!

 

一言だけ告げると、夜の空の彼方に消えて行った。

 

「さぁ、次は私達の番だ!」

「エクスカリバーを、返してよ!」

「「「「「「「「………………。」」」」」」」」

そして白龍皇が去った途端、口を出してきたのは、昨日、オカ研を訪ねてきた、天界が聖剣奪還の為に寄越したエクソシストのゼノビアクァルタとシドーイリナ。

そう。実は この2人も、白龍皇と魔王様達がコカビエルの処遇を話している最中に、この場に駆け付けてきていたのだ。

  

「申し訳有りません…

結界を解除するのが、早過ぎました。」

グレイフィア様、どんまいです。

とりあえず この2人、『順番だから』と、白龍達の話が終わるまで、口を出すのを待って貰っていたのだが…

 

「おい!エクスカリバーは、何処だ!?」

…白龍皇が去った後、特に喰い付いてきているのが、恐らくは昨夜から今日の日中に掛けて、あの少年神父(現在 気絶中)に襲撃されて聖剣を奪われたのだろう、昨日 木場君に聖剣を破壊されたシドーイリナ同様に丸腰となっている、ゼノビアクァルタだ。

 

「残りのエクスカリバー(笑)なら、兵藤君が破壊したぞ、全部。」

「"核"とやらも、残ってないわよ、多分。」

「「なぁっ??!」」

俺とリアスの返答に、目を大きく丸くして驚く、エクソシストの2人。

 

「「きゅ~~~~~…」」

 

パタン…

 

そして その現実が余りにもショックだったのか、意識を失って倒れてしまった。

 

「まぁ、この2人は放って置いて、大丈夫でしょ。」

「さぁ、朝までに校舎を直しましょう。」

「今夜は徹夜、ですね。」

「…処で、あのクソ神父と木場が殺った爺さんの死体、どうするんですか?」

   




 
次回より、『会談編』突入?
 


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和平成立!

 
()()()()()が登場!
 


 

「冗談じゃないわ!」

 

◆◆◆

やあ、ライザー・フェニックスだ。

コカビエル騒動から約3週間、久し振りにオカ研部室に顔を出してみたら、

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

 

(」゚o゚L)

リーアたんが、激怒(げきおこ)していました。

 

「ちょ…姫島君、一体、何が有ったんだい?」

「はい、実は…」

 

≫≫≫

「はっはは…

兵藤君も、災難だったなあ。」

「ライザー!笑い事じゃないわよ!」

「おっと、これは失礼。」

要約すると、こうだ。

 

【凶報】先週辺り、兵藤君に出来た新規の顧客が、実は堕天使総督のアザゼルだった件。

 

…曰く、堕天使の総督殿は『最近 日本に引っ越してきた、日本大好きな外国人』として、兵藤君に接触してきたらしい。

連日、テレビゲームの対戦相手だとか、夜釣りの付き添いとかな、悪魔稼業としては かなり楽な依頼に対して それに そぐわない、高価な壷やら絵画を対価として差し出していたそうだ。

そして今夜、ゲームの対戦中に いきなり正体を明かしたとか。

 

「…で、兵藤君は そのアザゼルに、何か されたって訳じゃ、ないのかい?」

実はアザゼルは、神器(セイクリッド・ギア)マニアでも有名だから、その辺りで赤龍帝である兵藤君に興味を持って近付いててきたのは、容易に想像出来る。

木場君情報だが、あの白龍皇の他にも、既に何人もの神器所有者(セイクリッド・ギア・ホルダー)を、組織に取り込んでいるとか。

 

「それが…普通に自己紹介された後、此方は戦々恐々だったのに、『ふはははははは!そんなに鯱張るよ!別に食ったりしねぇよ!』って大笑いしながら背中バンバン叩いてきて、その後また普通に一緒にゲームして、『今夜の対価だ』って、このケーキ貰って…だけでした。」

「「よし、お茶の準備だ。」」

「畏まりました。」

「ライザー! お兄様も!!

グレイフィア!貴女も本当に紅茶を淹れたりしない!」

あ、言い忘れてたが、今 部室には、サーゼクス様とグレイフィア様も、来られている。

リアスから『アザゼルが駒王町に居る』との報告を受け、駆け付けてきたのだ。

 

「大丈夫だよ。アザゼルはコカビエルと違い、余程な事が無い限りは、自分から手を出したりは しないさ。

今回みたいな悪戯は、するだろうけどね。」

それは それで、余計に性格(タチ)が悪い気がします。

とりあえずは、兵藤君が無事で何よりだな。

 

≫≫≫

「それにしても堕天使総督殿は、お早い お着きですね。」

「全くだね。」

「早過ぎるわよ!」

未だに怒りが収まっていないリーアたん。

まあ、堕天使が自分の縄張りに不法侵入した挙げ句、自分の下僕に接触したとなると、ねぇ?

でもな、リアス。

お前も約1週間、その気配に全然 気付かなかったんだろ?

その辺りは、きちんと反省すべきだぞ。

 

「そ…それは、解ってるもん…」

……………………。

そして、アザゼル。

コカビエルの事件の後、グリゴリ側から、この件を含めて悪魔、そして天界に対して色々と話したいと、三竦みのトップ会談を持ち掛けてきて、それが この駒王学園にて、1学期終業の日の夜に執り行われるのが決まったのが、丁度1週間前。

タイミング的に、アザゼルは それが決まったと同時に、駒王町入りした事になる。

 

「その会談の前に…来週の授業参観。

リーアたん、僕も参加させて貰うy

「来ないで下さい。」

「ほう?授業参観ですか、面白い。

ならば俺も、リーアたんの婚約者としt

「嫌っ! 絶っっっ対に来ないで!!」

…………………………orz

 

「いえ、ライザー様?『部長に婚約者が居る』とか知れたら、学園全土がパニックになりますから…」

 

▼▼▼

◆◆◆

イッセーだぜ!

授業参観は、何とか滞りなく終わった。

…授業自体は。

ウチのクラスの授業は英語。

悪魔に転生して、少なくとも地球圏の言葉の壁は超越した俺にとっては、楽な授業だった。

父さん母さんも、俺の英会話のレベルの高さに、驚いていたよ。

ただ、その授業の後…

 

「えー? これが私の正装だよー?☆」

「な、訳が無いでしょう!

あ、兵藤! お前も この御方の説得を手伝っt…って、こら!逃げるな!?」

魔王様が1人、セラフォルー・レヴィアタン様が、魔法少女コスプレの撮影会をしていて、その騒ぎを聞いて駆け付けた生徒会と揉めていたり…

とりあえず匙、俺を巻き込むな。

 

≫≫≫ 

「見て下さい!此処でリーアたんが、先生に指されて答えるのです!」

「ほぉ~♪」

「止ーめーてーっ!!?」

そして帰宅後、何故か我が家で部長やサーゼクス様とグレイフィア様、更にはグレモリー公爵…則ち部長の お父さんを招いての、授業風景の上映会が始まったのだ。

これには部長は勿論、部長の猛反対も有り、結局 授業見学には顔を出さなかった、ライザー様も参加。

サーゼクス様の解説に部長、髪の毛みたいに赤面。

 

 

「…で、この娘さんがアーシアちゃんと云って、ウチのイッセーの彼女なんですよ~。」

そして部長の次は、ウチの父さんが撮った授業風景だけど この人、息子(おれ)を完全無視で、アーシアしか撮っていません。

まあ、俺も恥ずかしいから、別に良いけどね。

 

「ほう? 彼女…ですか?www」

「彼女…ねぇ?www」

…ライザー様?部長?

お願いですから、『正確には"3人の彼女の内の1人"』とかな余計な発言は、場が拗れるから止めろ下さいね?

 

 

▼▼▼

◆◆◆

引き続き、イッセーだ!

今日で、1学期は終わり。

明日から夏休みを迎える この日の夜、悪魔、天使、堕天使…三竦みのトップ会談が始まった。。

元々はコカビエル騒動が発端で、各勢力のトップが色々と話す会談の場に、俺達オカ研メンバーや生徒会の皆さんも、騒動の中に居た者として参加。

ついでに あの騒動の数日後に、新たにリアス部長の眷属となった新メンバー…も、同席しているのだ。

尚、やはり あの場に居合わせていたライザー様は、スケジュールの調整が付かず、今回は欠席だ。

堕天使のトップとして姿を現したアザゼルの御付きには、あの白龍皇が。

鎧を着ていない その容姿は、俺と そう歳が違わなく見える、銀髪のイケメン男だった。

天界からは、熾天使のミカエルが。

アザゼル、コカビエル同様に聖書に名を記し、ゲームなんかでも、大抵は天使のトップの位置に居る、メジャー天使だ。

そして悪魔の代表は、魔王であるサーゼクス様とセラフォルー様。

そしてグレイフィア様が、出席されていた。

参考迄にセラフォルー様は、()()() ()()()()()()()()()

何だ、やれば出来るじゃないですか。

 

≫≫≫

そして会談開始。

最初はコカビエルの件についての、堕天使総督の言い訳と言うか、説明だ。

あの時のグレイフィア様の推測通り、あの騒ぎは堕天使組織とは関係無く、コカビエルの単独(他にもクソ神父とか居たけど)だったらしい。

結局コカビエルは"地獄の最下層(コキュートス)"にて、永久冷凍での投獄が決まったそうだ。

因みに あのクソ神父は、悪魔が管轄する地上施設にて、死ぬまで地下牢の中の生活が確定している。ざまぁ!

そしてコカビエルの話の後、3大勢力の戦争について話したりで…途中、堕天使陣営が多数の神器所有者(セイクリッド・ギア・ホルダー)を組織に組み込んでいる話を挟みながら…各勢力ともに、これ以上の継戦は不毛との考えの元、正式に休戦から停戦…和平が結ばれたのだ!

しかし、最初に『和平』という単語を口にしたのが、あのアザゼルだったのには、皆が驚きを隠せなかった。

そして この堕天使トップの提案に、魔王様と天使長は無言で頷いた。

 

「和平…か…」

いや、俺だって、争い合うよりかは、平和な方が良い。

しかし これから先、俺個人が堕天使や天使達と仲良く出来るかと云えば、疑問しか沸かない。

確かにアザゼル…さんは、俺的には気さくなオッサンってイメージが強い。

しかし堕天使は、俺やアーシアが悪魔に転生した、直接の原因。

俺とアーシアを、一度は死に追いやった存在だ。

確かに現状には不満が無いが、それは あくまでも、結果オーライな話だ。

そして、天界の連中。

コイツ等は堕天使以上に、信用出来ない。

この前のイリナ達みたいに『私様EREEEEE!』と勘違いしてる様な奴等。

世間一般に対して悪魔(こっち)を一方的に"悪"に仕立て上げ、『我々()()が正しい』と謳っていながら、影で それこそ"聖剣計画"みたいな悪魔以上に悪魔な所業を平気で行っている奴等だぜ!

木場は それで、命を落としたんだ。

しかも、その計画を異端とか謂いながら、その成果は『使える』として、その後も継続。

きっちりと、人工の聖剣使いを量産している。

こんな奴等と仲良くなれると思うか?

その点は まだ、色んな意味で正直な、堕天使の方が信用出来る。

…しかし、上が決めたからには、下は従うしかない。

今の俺は、そういう世界で生きているんだ…

 

▼▼▼

◆◆◆

やあ、ライザー・フェニックスだ。

ありのまま 今 起きている事を話すぜ!

魔王様や天使堕天使の会談は、所用で出席出来なかったが それも何とか片付けた。

…で、会談は終わっているとしても、まだ学園に残っているであろう、リアスの顔を見ようと、後れ馳せながら学園へと顔を出してみると、悪魔天使堕天使が仲良く連合して、謎の軍勢?が結界の中、大乱闘を繰り広げていたんだ!

一体、どうなってるんだよ?

其処のヴラディ君とアルジェント君、説明!

 

「「か、斯々然々ですぅ!!」」

…成る程。

要約すれば、魔王様と堕天使総督、そして天使長が3竦みの和平を結んだ その時、それに異議申し立てしてきた輩が出現して、その儘 戦闘に入った…と。

そして【禍の団(カオス・ブリゲード)】と名乗る、世界中の あらゆる勢力の はみ出し者達から構成されている その賊、今回は悪魔…所謂 旧魔王一族と呼ばれる奴等が、『和平を良しとせず』とばかりに、この場に乱入してきらしい。

尤も そのリーダー格の女は、堕天使総督殿が退けたらしいが、その総督と同行していた白龍皇も実は、そのテロ集団のメンバーでした…ってオチが附いていて、

「喰らえ、ヴァーリ!

ドラゴニック・ファントム!!」

 

バガァッ!

 

「ぐぇっ!?」

只今、兵藤君と赤と白の戦闘中だ。

 

「白音ちゃんはなぁ! おっぱいが小さいのを凄く気にしてるんだぞ!

普通に凄く、綺麗で可愛いのに…

気にしたりとか、そんな必要なんて、全然 無いのに…だ!!

解ってるのか?! この、半分フェチが!」

………………………………………。

一体、何が有ったのだ?

 

 

「消し飛びなさい!」

「呑まれなさい!」

「天雷よォッ!」

「てぇいやっ!」

「…ぇぃ。」

「オラァッ!」 

…そして、リアスにソーナ君、その下僕の皆も、テロのメンバー…ありゃ悪魔でなくて、人間の魔法使いだな。…と、戦闘している。

そんな中、最も目立っているのは、

「ミルたん・エア・ハンマー!にょー!」

……………。

コカビエル騒動の数日後、新たにリアスの眷属となった、新入りさんだ。

セラフォルー様が偶に着ておられる、()()()()()()()()と、色違いの それを纏っている彼…女は元々、兵藤君の顧客の1人だったらしい、

…が、その願いと云うのが、『ミルたんを、魔法少女にして欲しいにょおおぉっ♡』であり、それは普通に考えて、色々な意味で無理な話。

しかし、『転生悪魔になれば、魔法が使えますよ』。

この白音君の一言で、あっさりと転生を決意。

魔法が使えるなら、所謂 属性?って奴が、LawでもChaosでも、何でも良かったみたいだ。

そしてリアスも、兵藤君に紹介された彼…女を歓迎。

最初はシルバー、或いはサイラオーグにも劣らないMuscleな巨躯…見るからにパワータイプだったので、戦車(ルーク)にと考えていたらしいが、転生前の"素"で、既に白音君より腕力や防御力、体力が上だった為、それなら更に、スピードを特化させようと、騎士(ナイト)の駒を使用したそうだ。

尚、先程の『エア・ハンマー』。

確かに魔力で圧縮固定された空気弾を放っているから魔法には違い無いが、端からは どう見ても、振り抜いたパンチの拳圧で攻撃してる様にしか見えない。…てゆーかキミ、魔法使わなくても、"素"で それ、出来るだろ? 閑話休題。

 

≫≫≫

 

ボンッ!!

 

「……………………………?」

「嘘?!わ、私の滅螺憎魔が、効いてない?」

「…今、何か、したのか?」

「ひっ…!?」

…そして このテロリスト連中、遂には俺にも攻撃を仕掛けてきやがった。

そこそこ威力の有りそうな、火炎球の魔法(ファイア・ボール)だ。

しかし、残念だったな。

フェニックスである この俺には基本、炎の攻撃は、効かないんだ。

そして このライザー・フェニックスに そんな真似を仕出かしたんだ、それなりの覚悟は、出来ているんだろうな?

俺は敵なら、例え相手が女でも容赦しないぞ。

 

ボォォウゥッ!!

 

「ひぇっ?!」

前に差し出した俺の右手に、紅蓮の炎が燃え上がり、そして それは、次第に巨大な(おおとり)を象ってゆく。

俺の、得意技の1つだ。

 

「ひょえぇえっ!!?」

それを見た、深緑のローブを纏った魔術師の女は腰を抜かす様に尻餅を撞き、

「た、助けて…命だけは…

な、何でも言う事、聞くから…」

更には泣きながら、そして地面を濡らしながら命乞いするが、もう遅い!

恐らく その『何でも言う事 聞く』には、エロい要求も含まれていたやも知れんが、そーゆーのは兵藤君なら兎も角、俺にはリアスが居るから間に合ってるんだよ!

この俺の炎…真の炎を垣間見て逝け!

 

「皇鳳焔!!」

 

ボボボオボボオボボォォオッ!!

 

俺の手から飛び立った炎の鳳は、この女だけでなく、その軌道上に居た魔術師(テロリスト)数名を骨すら残さず燃やし尽くし、夜空の彼方へと消えて行った。

 

 

 

「ド・ラ・ゴ・ン…波ァッ!!」

 

ゴォオオッ!

 

「ぐっはぁっ?!」

そしてアッチ側…兵藤君と白龍皇の戦いも、決着が着いたみたいだな。

他の面々も、請け負っていた敵をそれぞれ撃破して、悪魔側…この場合は、3大勢力側とでも言うべきかな?…の勝利に終わった。

 

パリィン…!

 

…そんな中、新手が。

空の上、学園を覆っていた結界をガラスを割る様に崩し、校庭に降りてきたのは、漢鎧を着た男だ。

 

「カカカ…

こっぴどくヤラレちまった様だなぁ、ヴァーr(バキッ!x3)ぬわすっ?!」

「「「先手必勝だ!

       だよ!」

       だぜ!」

しかし、登場早々に、兵藤君のパンチ、木場君の斬撃、そしてソーナ君の兵士(ポーン)君のケンカキックを喰らい、ノックダウン。

白龍皇共々、テロリストとして拘束されたよ。

これで今度こそ、決着かな。

 

≫≫≫

「明日から…いや、既に今日か。

ナツヤスミってのに、少なくとも今夜は もう、遊ぶ気には なれないな。」

「うん。流石に疲れたわ。

今日は もう、シャワーを浴びて直ぐに寝たいわ。」

「一緒に入るか?…で、一緒に寝るか?」

「お、お馬鹿っ!!…そ、添い寝だけだから、ね!」

「(バカップル。)」

「(バカップルだ。)」

「(バカップルですぅ!)」

「(バカップルですね。)」

「(バカップルだにょ。)」

あの後、俺達が こんな会話をしてる中、トップの方々だけで話し合い、改めて正式に和平が結ばれた。

3大勢力の和平に異を唱え、襲撃してきたテロリスト組織【禍の団(カオス・ブリゲード)】。

皮肉にも共通の敵の存在が明らかになった為、余計に その判断が固まった様だ。

しかし、俺達の世代は兎も角、大昔から互いに殺り合ってた御年輩達が、簡単に納得してくれるかどうか…

多分これ、悪魔だけで無く、各勢力の内輪でも、少しだけ荒れるだろうな。

 




 
【裏設定、或いは原作との相違点】
 
・リアスもですが、アーシアは兵藤家にホームステイしていません。
グレモリー所有のマンションで1人暮らしです。
・紙粘土を使った英会話?
無ーよ、そんなの!(笑)
・イッセーは()()、天界からアスカロンを貰ってないです。
・リアス達は ()()、"神の死"を知りません。
…だって、コカビーさんが それを言う前に、サーゼクスさんに〆られましたから(笑)
・ギャー君は【禍の団(カオス・ブリゲード)】に捕まっていません。
最初から普通に、会談に出席していました。
・ゼノヴィア→OUT ミルたん→IN
・ヴァーリ&美猴、退場?www
 
 
感想、よろしくです。
 


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冥界入りです!

 
夏休み編、突入!
あの男やアイツも登場するぜ!
 


 

「ん…んん……(むにゃむにゃ…)

 

◆◆◆

ん…リアス…よ。

今は…朝の6時半か。

今日の部活は一応9時からだから、もう少しだけ寝…いえ、二度寝の寝過ごしは怖いから、もう仕度をしていこう。

部長が寝坊して遅刻なんて、洒落にならないわ。

 

「Zzzzzzzzz…」

ライザーは…朝食の準備が出来る迄は、寝かしていて大丈夫ね。

…それにしても、昨夜は本当に、へヴィーなイベントだったわ。

3大勢力のトップが集まり、三竦みの和平が成立したと思ったら、それに反対するテロ集団の襲撃が有ったり。

そのオマケとばかり、2天龍バトルが繰り広げられたり。

ハァ…兎に角、疲れた…

あれから帰宅して直ぐにシャワー浴びて、それから やはり直ぐベッドに直行したのに疲れが抜けきってないわ。

 

「Zzzzz…」

………………………………………。

昨日は、()()()()()のに…

ほ、本当よ!

確かに一緒にシャワーした時に、お口と おっぱいで少しだけ『ライザー分』を摂取しただけだし、ベッドでも「お休みなさい」のキスしただけで、2人して直ぐに寝たし!

そ、それにしても…

 

「Zzzzzzzzzzzzz…」

……………………………………………。

ちょもらんま~♡♪…ゴクリ

…っで、無くって!

男の人って皆、朝は こんなに元気なの?

朱乃、白音、アーシアの話だと、イッセーも毎朝、こんなんだそうだし!

 

「ん…んん~?」

…って、ライザーも目を覚ましたみたいね。

 

「ん…よぉ、リアス…」

「あ、おはよう、ライz?!

ん?んん~~~ん~~~!?…プハァッ!

ちょ、ライザー!いきなり、何すんのy

「ん?知らないのか?

これは『おはようのキス』、だが?」

知ってるわよ! お馬鹿!!

…って、ちょ?!

 

「ぁゃん…! 朝一で何処、触ってるのよ?!

私、朝は部活が有るんですけど!?」

「いや、良いだろ?

昨夜は お互い、疲れててデキなかったんだから…

それに、まだ時間は余裕が有るだろ?♪」

「お、お…お馬鹿あぁっ…ぁん!」

もぅ…1回だけだからね!

 

≫≫≫

「…だから、誰も()()なとは、言わないわよ?

でも それで、部活…日常に支障を来すとなれば、話は別よ?

少しは自重自粛して貰わないと!」

「「「「ごもっともです…」」」」

「クックックック…www」

「「「「「…………………。」」」」」

…場所は移り、オカルト研究部の部活。

現在、約1時間遅刻してきた、朱乃、白音、アーシア、イッセーに お説教中。

遅刻の理由は…この子達、昨夜、あれだけ派手に戦闘して疲れてた筈なのに、その後も派手にハッスルしたらしく、それで更に疲れ果てた末に、寝過ごしたらしいのよ。

でも、そんなのは遅刻の言い訳には、ならないわよ!

私だって朝、ライザーと〇回もシタけど、それでも きちんと遅れずに来てるんだから!

 

「因みに俺は1回で終わらせる心算だったのだが、その後も甘えん坊で おねだりさんなリーアたんが…」

しゃあらっぷ!

 

「クックククク…

まあ、もう それくらいに しといてやったら どうだ?リアス嬢。」

「~!」

そして私に、説教の終わりを勧めるのは、堕天使総督のアザゼル…殿。

 

「そうですよ、リアス。

気持ちは察せますが、何時までも そんな風だと、話が先に進めません。」

そしてソーナも、それに同調してきた。

仕方無いわね。

続きは、一通りの話が終わった後よ。

 

「「「「まだ終わりじゃないんだ?」」」」

 

≫≫≫

「それじゃ、改めて挨拶させて貰うぜ。

今日から…正式に辞令が下りるのは、新学期からだが、このオカ研の顧問をする事になった、アザゼルだ。

まあ、アザゼル先生とでも呼んでくれや。」

ソーナの紹介を受けて、私達に挨拶する、堕天使総督殿。

昨夜の和平成立に先駆けて早速、新任教諭の名目で、協力者として駒王学園に入って貰う事になったのだ。

これには、正直に言って、複雑な心境。

現在のオカルト研究部は、"裏"の事情を知らない、極々普通な御年輩の先生に形だけの顧問として就いて頂いているの。

それを私達の内情を知る者に代わって貰うのは、その点だけは寧ろ、歓迎すべきでしょうけど。

…でも、それが堕天使って云うのが、まだ ちょっと…ね。

 

「………………………!」

特に、堕天使と()()()()が有る朱乃が、難しい表情をしているのよね~…

 

≫≫≫

「…よし、話すべきは全て話したな?

それじゃ今日は、解散…って事で。お疲れ!」

「お疲れ様でした。」

「失礼します。」

その後、ソーナ達 生徒会との夏休み~2学期以降の予定についての合同のミーティングも終わり、アザゼル…先生の締めの言葉で解散となった。

 

「それじゃあ、次は25日、夜の10時に駒王駅ね。」

「「「「「「「はい!」」」」」」にょ!」

次に皆と顔を会わせるのは4日後の夜。

部活の合宿という名目で、グレモリー眷属全員で冥界入り。

私にとっては、里帰りになる。

 

「それじゃあリアス、私達も失礼しますわ。」

「部長、お疲れ様でした!」

「待ちなさい! 貴方達は、今から お説教の続きよ!!」

「「「「しっかりと覚えていた!?」」」」

…当然でしょ?

 

▼▼▼

◆◆◆

やあ!イッセーだ!

そんな訳で俺は今、冥界はグレモリー領へ やって来た!

しかし、この場に着くまで つい最近迄は普通の人間だった俺やアーシア、ミルたんからすれば、本当に驚きの連発だったぜ!

先ずは駒王駅の地下に冥界へ繋がる秘密な施設が在ったのに驚き、其処でスタンバってる もろにSFなやデザインの列車に驚き、混沌とした異次元の空間を抜けた後の、冥界の景色に驚き…

いや、悪魔や堕天使の住む世界だから、もっと暗い…荒野、枯れ木、砂地、岩山、マグマの海みたいなのをイメージしていたのに、普通に大自然有り都市有りな光溢れる世界じゃないか!

 

「イッセー君、それって冥界でなくて、どちらかと言えば魔界のイメージだよね?」

イケメン、うっさい。

ついでに どう見ても城です!…な、部長の実家のスケールに驚き、グレモリー夫人…即ち、部長の お母様の若さに驚き!

…どう見ても姉妹です。

 

≫≫≫

「ど…どうっすか…?」

「あら、似合ってるわよ♪」

そして俺達は、グレモリー城に着いた後、駒王の制服からグレモリーの紋章が入ったスーツに着替えた。

俺と木場は上は紅、下は黒の燕尾服だ。

女の子達(ギャー助とミルたん含む)は、同じデザインの色違い。

上下共に白、それに所々 紅の刺繍(ライン)が入った燕尾服。

因みに部長は紅ベースの貴族っぽいドレスです。

 

「どうですか、イッセー君?♡」

はい、凄く似合っています!宝塚です!

…この服は冥界ではオカ研部員で無く、グレモリー眷属として行動するという、自覚を促す為の物だとか。

そうだった。

建て前は兎も角、この冥界入りは部活の合宿で無く、リアス姫の里帰りに、その下僕として同行しているんだよなあ…

観光気分は駄目だ!

 

「因みに この服は、斬突殴射から炎水風地雷等、あらゆる属性の攻撃に高い耐性を持つ、優れた防具でも有るんだよ。」

ん。イケメン、解説ありがとう。

 

≫≫≫

冥界3日目。

この日は、部長と同年代の若手悪魔と魔王様、そして元老院と呼ばれる偉い方々との顔合わせのイベント()()()

何故にや過去形かと言うと、既に それは終わったから。

昨日のグレモリー領視察と云う名目の観光と違って、へヴィーなイベントだったよ。

兎に角、 老害 元老院の皆様が、凄く嫌な奴等ってのが、よ~く分かった。

そして若手悪魔の皆さん…

悪魔にも、色々なヒトが居るんだなって、改めて認識したよ。

支取先輩ことソーナ・シトリー様は まぁ、既に生徒会長のイメージで固められているから今更 認識も何も無いとして…

先ずはサイラオーグ・バアル様。

部長の母方の従兄であり、ライザー様の修業仲間であるサイラオーグ様の事は、合宿の時から色々と聞かされていた。

曰く、大王家の出身にも拘わらず、欠片程度しか魔力を持ち合わせていない、バアル家の落ちこぼれ。

しかし、それを補う屈強な肉体を駆使した戦闘力は、強大脅威。

あのライザー様が、「俺が不死(フェニックス)で無かったら、間違い無く敗れている」と言わししめる人物だ。

その一端は、魔王様達との顔合わせの前の ちょっとした騒動で、垣間見る事が出来た。

正しく『兄貴!』の二つ名が似合いそうな、強く猛い漢でした。

次に、ゼファードル・グラシャラボラス様と、シーグヴァイラ・アガレス様。

この御二方は… 下品なヤンキーの兄ちゃんと高ビーな眼鏡の御嬢様 …ノーコメントな方向で。

そして最後に、ディオドラ・アスタロト様。

顔合わせの会合が終わった後、若手の控え室にて此方に声を掛けてきたと思えば…

以下、回想で。

 

 

◇◇◇

 

ガバッ…

 

「すいませんでしたぁあ~っ!!」

「え?」「えぇっ?!」「にょ!?」

「ちょ…デ、ディオドラ?」

…それは魔王様達との会合が終わり、帰る用意をしていた時の出来事だ。

若手悪魔の1人、ディオドラ・アスタロト様が此方に近付いてきたと思ったら、部長に…いや、アーシアに対して、いきなりの土下座。

いや、一体、何事なんですか?

 

「ディオドラ、だから一体、どうしたのよ?」

 

≫≫≫

「すまなかった、アーシアさん!

本当に申し訳無い!」

「い、ぃぇ、もう全然、気にしていませんから~!」

兎に角、アーシアに対して謝罪しまくりな、ディオドラ様。

要約すれば このディオドラ様こそが、実はアーシアが教会(天界)を追放される事となった元凶だったらしい。

元々は、アーシアが住んでいた教会の警備役だった聖騎士(クルセイダー)の お姉さんを自分の眷属にすべく教会に潜入、接触しようとしたが、それに失敗。

警備の騎士団にボコボコの返り討ちにされ、逃げ隠れていた処を、それを見つけたアーシアが相手が悪魔と知らずに その傷を癒して…

そしてタイミング悪く、その場を教会関係者に見られてしまい、『悪魔すら癒す魔女』の烙印を押されてしまう。

…それが、アーシアの教会追放の真相だったとか。

 

「貴方が聖職者の女性を、好んで下僕にしてるのは知っていたけど…」

「アーシア先輩を狙ってた訳では、無かったのですね…」

「ん。僕は年上属性だから。…って、何を言わせるんだよ?!

それで話を戻すけど、アーシアさんは僕のせいで、教会から追い出されたと同じだからね。

その罪悪感は半端なかったよ。

だから どういう経緯かは知らないけど、【癒しの聖女】がリアスの眷属になったと聞いた時は、本当に安心したよ。

キミなら下僕を無下にする事は無いって、そう思ったからね。」

何なんだ この人、凄く良いヒトじゃん。

本当に悪魔か?

…この際、聖女好きとか年上好みとかな、性癖はスルーだ。

 

≫≫≫

「私なら大丈夫ですから、もう自分を責めるのは止めて下さい。

私、今は幸せですから…」

そして、ディオドラ様を許す…いや、自らを罪人と貶める者を戒める、聖女マジ聖女なアーシア。

 

「ん…ありがとう、アーシアさん…

それならば…えーと、キミ…赤龍帝…君?」

「兵藤一誠です。」

すると憑き物が剥げたかの様に、スッキリした顔のディオドラ様は、今度は俺に話し掛けてきた。

 

「兵藤君、アーシアさんの事を…頼むよ。」

「はい!勿論です!」

正直、この流れからして、こういう会話になるのは何となく読めてたけど、だからこその力強い返事で、俺は応えるのだった。

 

 

◇◇◇

 

≫≫≫

冥界4日目。

 

「うっわ…これは、凄…」

俺達は今、アガレス領に来ている。

大公家の領地は、グレモリー領以上の人、人、人…の賑わいを見せている。

そんな都会の上空に浮かぶ、巨大な島。

今日は この浮遊島に建つ闘技場(スタジアム)にて、ライザー様のレーティング・ゲームの公式戦が、行われるのだ!

 




 
①チョモランマ…凄く高い山
 
②ライザーは夏休み初日のミーティングには顔を出し、その後 単身、一足先に冥界に戻っています。
 
③ディオドラ君は、この小説では男前?の方向で。
別名:白ドラ・アスタロト
そして、またの名を…(笑)
 
次回、レーティング・ゲーム開始!
感想、よろしくです。
 


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因縁の相手だにゃ!

 
黒歌さんのターンです。
 


◆◆◆

やあ、イッセーだぜ!

ライザー様のゲーム観戦で、やって来たぜ!アグレアス・スタジアム!

5月の合宿の時にゲームの動画を見せて貰った時から、1度は生で観戦したいと思っていたけど、冥界入り早々に、その機会が訪れようとは!

部長だけで無く、俺達 眷属全員分のチケットを用意してくださった、ライザー様に感謝です!

  

≫≫≫

「あの~、リアス・グレモリー様ですね?

少し、よろしいでしょうか?」

入場口で、他の観戦客の人達と一緒に並んでいると、如何にもTV局リポーターみたいな人が、カメラマンと一緒に部長…コホン、冥界ではリアス姫…でしたね。…に、マイクを向けて声を掛けてきた。

 

「姫様に、何の用にょ?」

 

ずずぅん…

 

「「ひぇっ?!」」

そんなリアス姫の前に立ち、リポーターに立ちはだかるのはミルたん。

グレモリー仕様の、白の燕尾服を着た彼女?は、"出来るSP"に見えて、凄く頼もしい。

リポーターの人達、たじろいでるじゃん。

 

「わゎゎ…我々は、冥界通信の者でして…

ライザー・フェニックス選手の婚約者で有らせられる、リアス姫に、コメントを…と…

…っとぉ?! ち、近い!近いですって!?」

顔面弩アップで迫るミルたんの迫力にビビりながら、それでも"仕事"するリポーターさん達。

プロだなぁ。

 

≫≫≫

「…はい。今日のゲームは この大会場ですから、貴族専用のVIPルームで無く、一般のファンの皆さんと一緒になって、ライザーを応援したい…そう思ったんです。」

そして、インタビューに応えるリアス様…

ん。言い辛い。

声に出さない限りは もう、リアス部長で良いよね?

とりあえずは、一般の お客さんと一緒に並んで会場入りしている事について、受け応えしていましたよ。

 

「どうも、ありがとうございました。

あ、それから…」

取材を終えたリポーターの人は、良い画が録れたのか、満足な顔を浮かべて その場を去ろうとして、もう一言。

 

「すいません。客席に着いた後も、分かり易い合図を出しますので、その時はカメラに向けて笑顔を見せて貰えたら、ありがたいのですが…」

 

▼▼▼

◆◆◆

…白音です。

観客席に入り、チケットに指定された席に着いた私達。

部長を中心に、朱乃先輩とイッセー先輩が その両隣を固め、前後は祐斗先輩とミルたんが。

そして その隣に私とギャー君、アーシア先輩…と云った…

 

 

アーシア先輩  ミルたん  ギャー君

イッセー先輩   部長   朱乃先輩

   私     祐斗先輩  【空席】

 

 

…こんな並びです。

部長の斜め前の席は、空席。

誰か もう1人 眷属が居たら、完全に部長を守り囲める事が出来たのですが。

因みにですが、この空席も、私達がチケットで所有しています。

 

≫≫≫

「…つまり、俺の場合は、8以上の数字にならないと駄目って事ですね?」

「ええ。そうよ。」

そして今、会場では、実況と解説の人が、今回のゲームのルール説明の最中。

ダイス・シュートと云う名称の、今回のルール。

悪魔の駒(イーヴィル・ピース)の其々の駒を数値化し、両チームの(キング)が振ったサイコロの目の合計数に沿った眷属が、場に出て戦う。

当然、敗れた者は戦線離脱(リタイア)扱いとなり、それを繰り返し、最終的に、敵の(キング)を撃破したチームの勝利となる。

兵士(ポーン)の駒価値は基本"1"ですが、イッセー先輩の場合は転生に兵士(ポーン)の駒8ヶを消費しているので、サイコロの合計が8以上にならないと、出場が出来ない…そう云う事です。

 

「それで、相手の"ナベリウス"って、強いんですか?」

「ん~、ま、まぁ、弱く…は無いと、思うんだけど、ね…」

「「「???」」」

そしてイッセー先輩の、今回の対戦相手についての質問に、部長は言葉を濁す様な応え。

これには事情を知らない、イッセー先輩アーシア先輩ミルたんが、頭の上に(クエスチョン マーク)を浮かべています。

……………………………。

今日の相手は、ナベリウス家ですか。

黒歌姉様、大丈夫でしょうか?

 

▼▼▼

◆◆◆

「…まあ、そんな訳で、今日は黒歌は、出さない方向で。」

「…………………………………。」

黒歌だにゃ~。

控え室。

部屋に設置されたTVモニターには、お嬢がカメラ目線で笑顔で手を振る映像が流れている。

それを見ながらマスターが、『今日は黒歌(わたし)をゲームに出さない』宣言。

それは、今日の相手であるナベリウス家と私の因縁を考慮しての発言。

これに、仲間の皆も、無言で頷いたにゃ。

以下、回想。

 

 

◇◇◇

 

ナベリウス家。

以前、私が眷属悪魔として、仕えていた家。

元々は母親が下僕悪魔とかでなく、その家の研究スタッフ?として仕えていたのだけど、ある日、その母親が仕事中、父親共々に事故死。

悪魔社会に家族保護の保険とか在る訳も無く、私は幼い白音(いもうと)を養う為に、ナベリウスの眷属となった。

しかし ある日、私の猫魈としての種族特性に目を付けた当時の主が、白音まで自分の眷属にすると言い出してきた!

自分は白音の身を保証する約束で、悪魔に転生したのに、これは完全に契約違反。

その事を主に問い質すが、主は『そんな下級悪魔との約束事なんて知らん』と一蹴。

そして私は白音の体に無理矢理に、悪魔の駒(イーヴィル・ピース)を埋めようとした主をその場で殺害。

そう、純血の貴族を殺害した。

理由は どうであれ、転生悪魔が主を殺したとなれば、それは"はぐれ"認定されるのは必至。

私は この際、どうなっても構わないが、その後、残された白音が どうなるかが分からない。

ただ、何れにしても碌な目に遭わされないのだけは、想像が着く。

良くて、放逐。

それでも その先、白音は路頭に迷う事になる。

だから、私は賭けに出た。

自分は処理されても良いが、白音だけは助かる様にと、妹を連れて、ナベリウス領から逃げ出した。

 

≫≫≫

 

「此処にゃ…」

逃走先は、グレモリー領。

以前、遠征で1度足を運んだ事の有る この地は、転移で移動する事が出来た。

この地を治めるグレモリー公爵は、慈愛に満ちた名主だと聞いていた。

事情を話せば、主殺しの自分は兎も角、白音だけは保護してくれるかも知れない…

それは殆ど御都合主義展開だが、正しく藁に縋る思いでの行動。

 

「黒歌姉様?」

「大丈夫、大丈夫。心配する事は無いにゃ!」

仙術を使った穏行術でグレモリー邸に潜入した私は、恐らくはグレモリー公爵の それと思われる強力な魔力を辿り、自分と旁の白音の気配を消した儘、邸の奥へと進んで行く。

そして その、強大な魔力の持ち主が居ると思われる部屋の扉に立つと、

 

バタンッ…!

 

勢い良く その立派な装飾が施された大扉を開け、

「お願い!妹を、妹を助けて!!」

「「「「「???!」」」」」

…その部屋で御茶会をしていた人物達に、白音の安全を求めたのだった。

 

「な、何なのだね?!キミは いきなり?

一体、どうやって此処まで?」

恐らくはグレモリー公爵…が、驚きを隠さない表情で、私に問い掛ける。

 

「いえ、父上。今は そういう問題では無いですよ。」

「そうですよ、おじ様!☆」

「…………!!」

しかし、確かに そういう問題では無かった。

この、グレモリー公爵と同席していた2人を見て、私は絶望の淵に叩き落とされた気分となった。

この2人の顔は、知っていた。

この2人は魔王。

サーゼクス・ルシファーとセラフォルー・レヴィアタンに違いなかったからだ。

グレモリー公爵を『父上』と呼んでいた処から、魔王ルシファーはグレモリー家の出身という事が分かるが、今更そんな情報は どうでも良い。

まさか、こんな超大物が この場に居合わせていたなんて、完全に想定外だ。

悪魔社会のトップが、主殺しの罪人の嘆願等、聞き入れる筈も無い。

完全に詰んだ…そう思った。

 

「えーと、とりあえず、貴女?」

「キミは今、『"妹"を助けて』と言っていたが…」

その魔王2人が、私に話し掛ける。

 

「「その辺り、kwsk。」」

「へ?」

………へ?

 

≫≫≫

 

「な、何よ、それーっ!?★」

「確かに それは、看過出来ないね。」

「………………………。」

…言われた通り、包み隠さず話してみると、魔王2人は憤慨。

 

「うむ。例え身分の低い者相手だろうと、悪魔にとって契約は絶対。

契約破りは重罪だ。」

「ん~、全く、面倒い事、してくれちゃったよね~?

そして これ、更に凄く面倒い展開になる気がするよ~?」

そして、この2人に呼び出された、残る2人の魔王も難しい顔をしている。

…って、4大魔王が勢揃い?

段々と事が、大きくなってきてるにゃ?!

 

≫≫≫

「…それでサーゼクス、ナベリウス家から、何か連絡は、有ったのか?」

「いや。まだ、無いよ、」

「そうか…本格的な話は、それからだな。

とりあえず この黒歌とやらは、主殺しの容疑で妹と一緒に、その身を拘束しよう。」

「ちょ…?!アジュカちゃん!!?」

「契約違反もだが、主殺しは、それは それで、重罪だ。

セラフォルー、それは お前も、理解出来る筈だぞ?」

「ぅ…★」

「………………………………。」

この緑髪の魔王、アジュカ・ベルゼバブの言葉は正論。

問答無用で処されないだけマシで有り、私と白音は、グレモリー邸の地下牢に閉じ込められた。

 

≫≫≫

…そして、数時間後。

 

「良かったね黒歌ちゃん白音ちゃん☆

見事、無罪放免になったよ♪☆」

「にゃ?!」「??」

結論から言えば、私と白音は、生きて牢から出られる事に。

聞けば、あの後 直ぐにナベリウス家が、これは予想通りと言うべきか…()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()…私をはぐれ悪魔としての捜索と討伐を、政府に依頼してきたとか。

 

「でも、少なくとも僕達には、黒歌君が力に溺れて暴走した様には、見えなかったからね。

それに、君の供述に比べ、ナベリウスの報告は、曖昧な点が多過ぎた。

どちらが本当の事を言ってるかは、直ぐに分かったさ。」

「それで、私達4人で『それって、本当に そうなの~? 先に言っとくけど、魔王への虚偽報告は、死罪だよ~?★』って、軽~く"圧"を掛けてみたら、ナベリウス当主ちゃん、顔を青くして、土下座しながら全部 正直に喋っちゃったの。

それから黒歌ちゃん、『主殺害』って言ってたけど、黒歌ちゃんの主は確かに重傷だけど、別に死んでないからね!☆」

「え?」

「…それで、ファルビウムが後々の処理を面倒臭がってね、契約違反と魔王への虚偽報告と、()()()()()の罪を、その場で無理矢理にチャラにして終わらせたんだ。」

「……………。」

…立場的に被告な私が言うのもアレだけど、魔王様達、力技が過ぎるにゃ!

それと、アバウト過ぎ!(特に、スキンヘッド魔王!)

 

「…よって、黒歌君は無罪。

とりあえずの身柄は魔王側で預かりだけど…

一応 聞くけど、君は もう、あの家に戻る心算は無いんだよね?」

「…………………。(コクン…)」

紅髪魔王の言葉に、無言で頷く私。

 

「そりゃ、今更 戻った処で…ねぇ?

対人関係、グダグダだし?★」

それを見た、黒髪ツインテ魔王が苦笑する。

 

「しかし、問題は まだ、残っているよね。

身柄預かりと言っても、何時までもタダ飯食らいを手元に置いておく訳には往かないし。」

「………………………………。」

確かに。

しかし、私も白音も、既に帰る場所も行く当ても無い。

漸く自由になっても、私は兎も角、妹にひもじい思いをさせる訳には…

 

「ふむ。それは こまったな、さーぜくすよ。

ところで こまったといえば、わが ぐれもりーけは、もうすぐ めいどちょうが"さんきゅう"に はいり、ひとでが すこしばかり たりなくなるのだが?」

「あー、そーいえば そーでしたね、ちちうえ。

かのじょの あなをうめるいみで、だれか、すみこみで はたらいてくれるものがいたら、すごく たすかるのですがねー?」

 

チラッ…x2(¬_¬)(¬_¬)

 

「「あーぁ、だれか うちで、めいどとして はたらいてくれないかなー?」」

「…………………………。」

此処でグレモリー公爵も会話に加わり…って、何故に2人して棒読み??!

う~、分かったにゃ!

此処は、"慈愛のグレモリー"の好意に甘えさせて貰うにゃ!

よろしく お願いします!

 

 

≫≫≫

数年後。

白音はグレモリー家長女であり、同家次期当主候補筆頭のリアスお嬢の眷属として、悪魔に転生した。

…この点は、自分の意志で決めた事だから、特に私からは、何も言わなかった。

更に翌年、お嬢が今の私の(マスター)である、ライザー・フェニックスと婚約。

同時に私は、メイドで無くライザー眷属として、フェニックス家に移籍。

フェニックス家とナベリウス家の間で、正式に()()()()()()が行われ、今現在に至る…。

 

 

回想、終わり。

 

◇◇◇

 

 

「…相手さんは間違い無く、黒歌が出てきたら勝敗関係無しに、潰しに掛かるだろうからな。」

「…………………。」

マスターの言葉に、頷く私。

ナベリウス家は、"あの1件"以来、魔王様の信用信頼を失い、それが影響したのか、当時は中堅貴族だったのだが、今は完全に下の下に落ちぶれている。

グレモリー公爵曰く、御家取り壊しにならなかっただけ、奇跡だとか。

そして、その最たる原因である、この私を目の敵にしている様なのだ。

いや…それって逆怨みだにゃね?

加えて言えば、今回の相手の(キング)は、私の元・主。

そう、嘗て私が、瀕死の重傷を負わせた相手本人だにゃ。

そんな訳で あのバカ主(元)なら本当に、私を目の前にした途端、ゲームぶち壊しで暴走しかねないにゃ~?

…尤も、あのバカ主(元)程度なら、余裕で〆る自信も有るけど、ゲームがgdgdに なるのは私も好まないし、今回は本当に大人しくしていた方が、ベストかにゃ?

ただ今日は、会場には白音が応援に来てるから、そういう意味じゃ、出番が無いのは、少し残念だにゃ…

 

カチャ…

 

「失礼します。

ライザー・フェニックス選手、それそろ時間ですので、選手入場口まで、お願いします。」

…そんな風に考えていたら、ゲーム開始時刻が迫って来たらしく、運営スタッフが私達を呼びに来た。 

 

「…よし、行くぜ!」

「「「応!」」」

「はっ!」

「「承知!」」

「「は~い♪」」

「にゃ!」

「「うむ!」」

「皆、行くヨッ!」

「「フッ…」」

「…ふん!」

そしてマスターの呼び掛けに対し、皆、返事バラバラで応え、控え室を後にするのでした、まる

 

▼▼▼

◆◆◆

再びのイッセーだ。

東西のゲートから、ライザー様と相手チームが同時に入場してきた。

ライザー様のチームには、前回の合宿で お世話になった人から、初めて見る人まで。

…あの小さな女の子2人も、眷属なのかな?

そして、相手チーム。

戦士風から魔術師風まで、色んなタイプで構成されているチームだ。

数人程、正体を隠すかの様に、黒のローブのフードを目深に被ってるのが、何だか気になるなぁ。

この両チームがドーム型の自陣に入った処で、アナウンスの人が、ゲーム開始を宣言。

 

ウォオオオォ~~~~ッ!!

 

沸き上がる歓声の中、両(キング)がダイスを振った!

出た目は⑥-④、合計⑩だ。

此処で、会場上方に設置されていた巨大スクリーンに、両陣営の様子が映し出された。

但し、その画面に映っている人物の口元は全て、魔方陣で隠されている。

 

「今は作戦タイムだからね。

会場内でも、読唇術なんかで出場する選手を予想させない為の仕様さ。」

…成る程。

 

「これが このルールでの、(キング)の力量を測る最初の見せ場よ。

出た数字で、相手チームが誰を出すか予想し、それを踏まえて自分は誰を出すか…

それを互いに読み合う駆け引きも、観る側としては、このルールを楽しむ場面でも有るわ。」

「尤も、何も考えず、単に超強力な選手を送り出し、シンプルな破壊力だけで全てを蹴散らすって事も…

…でも、それも また、戦略なんだ。」

…成る程!

 

ブォン…

 

そんな風に、部長達の解説を聞いていた時、中央の巨大闘技台に異変が。

両陣営みたいに、ドーム状の結界の屋根に包まれ、その内部が荒れ果てた礼拝堂の様な舞台(ステージ)に様変わりした!

 

「ゴラ゙ァアアア゙ァッ!!」

…………!!?

そして現れたのは、巨大な鋼棍を持った、単眼の巨人!

 

「アトラス…。

転生に戦車(ルーク)の駒2ヶを用いた、ナベリウスで1番の…いえ、全ての悪魔の中でも、トップクラスの破壊力の持ち主よ。」

「純粋な破壊力(パワー)だけなら、魔王様級と言われています。」

はい! あの見た目、凄く説得力有りますよ!

…ってゆーか! あんな超巨大な人、あっちのチームに居ましたか?

 

「向こうのチーム、何人かローブを着込んでいた人が、居ましたよね?

あれは身体の大きさを、所謂"標準サイズ"に抑える為の、魔道具なのですわ。」

あー、確かに居ましたね。

あのローブ、そういう意味が、有ったのですね…って、つまり向こうには、そんな巨人サイズの人が、まだ何人か居る訳ですか?

 

「ふん、ライザー殿の読みが、当たったみたいだな。」 

「いきなり最大戦力投下か。

確かに数字が大きかったが…それでも、単純過ぎる。」

「言ってやるな。

レーティング・ゲームには、エンターテイメントの一面も有る。

それを鑑みれば、このオーダーも有りだろう。」

そして あのアトラス登場のインパクトが強過ぎて目立たなかったけど、ライザー様の眷属さんも、この戦いの場に姿を見せていた!

5月の合宿で、散々と俺達を鍛えてくれた、戦車(ルーク)のミリアルドさんと、兵士(ポーン)のラダマンティスさん。

そして やはり合宿にて、俺達に美味しい料理をだしてくれた、兵士(ポーン)のシルバーさんだ。

 

「フッ! 確かにオープニング・ゲームにて、この私の華麗なる強さを観衆に見せ付けるには、丁度良い生け贄であるな!」

………………………………………。

そして、白のシルクハットに白のタキシード(上のみ)を纏った、謎の白い生き物!

 




 
今回 最大の御都合主義…黒歌が助けを求めた先に、権力を持ったシスコンが、2人も居た。(笑)
 
次回はバトル回です!
感想、よろしくです。
 


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伝説の聖剣です?

 
【今回の予習】
 
ミリアルド…ミリアルド(ガンダムW)
ラダマンティス…ラダマンティス(聖闘士星矢)
シルバー…堂島先輩(食戟のソーマ)
アトラス…アトラス(ドラクエ2)
 
…の、イメージで。
 



◆◆◆

イッセーだ!

いきなりだが、ライザー・フェニックス様の下僕の皆さんは、様々な個性(キャラクター)が揃っている。

知っている人だけでも、真面目・堅物タイプから、アバウト・アウトロータイプ。

魔術タイプから、武道タイプまで…だ。

そして、過去の戦績から、ライザー様には勿論、それぞれの人に固定ファンが付いている。

正統派イケメンなミリアルドさん然り、ワイルド系ワルメンのDIOさん、ラダマンティスさん然り、Muscle兄貴なシルバーさん然り。

お姉様系なユーベルーナさん、文字通りな猫系小悪魔キャラな黒歌さんは、言うまでも無く。

しかし、何事にも例外が在ったりする訳でして…

 

ブーブーブーブーブーブー!

 

「ふん! 未だに この私の素晴らしさが、理解出来ていないとはな!

ヴァカめ!!

つまり、何が言いたいかと云えば、ミリアルドさん達と一緒に登場した、あの白い謎の生き物に、会場全体から大ブーイングが浴びせられているのだ。

しかも この謎生き物が、煽る様に噛み付いているから、尚更にヒートアップ。

俺達の周囲の席は、通称『ライザー・シート』と呼ばれていて、ライザー様のチームのファンで固まっているのだが、その皆さんも一緒に、サムズダウンからの、ブーイングの大合唱だよ!

どんだけ嫌われてるんだよ?!

 

「彼は、通称・イクス。

一応は、ユーベルーナに次ぐ、古参眷属なんだけど、ね…」

部長も顔を叛けて、冷めた顔での説明。

ユーベルーナさんに次ぐ古参眷属って割には、ライザー様のゲームの動画でも、全然 見てない様な気がするんですが?

 

「あのヒトの場面は、全部編集(カット)されているんです…。」

白音ちゃんが補則してくれます。

ふ~ん、成る程…って、どんだけ嫌われてるんだよ?!(2回目)

 

≫≫≫

「覇ァアッ!!」

 

バッサァッ!

 

右手に炎の剣、左手に炎の鞭を携えた銀の仮面の男…ミリアルドさんが、悪魔の羽を広げて飛翔、1ツ目巨人のアトラスを攻撃。

 

「「「「きゃーーーーーっ!」」」」

これに、周囲の女性ファンが大歓声。

べ、別に、羨ましいなんて、思ってないんだからね!

俺にはアーシア、白音ちゃん、朱乃さんが居るし!

 

「でぇいやっ!」

 

シュォォオンッ!

 

同時、漆黒のドラゴンの鎧を纏ったラダマンティスさんが、魔力とドラゴンの(オーラ)…と、もう1つ、何かの別要素が有る?なエネルギー波を、重ねた両拳から撃ち放つ。

俺が合宿で喰らってたのとは、桁違いな迫力の一撃だ!

…ラダマンティスさん、本当に俺の時は、手加減してくれてたんですね…。

 

「「「「きゃーーーーっ!!」」」」

そして これに、女性ファンが以下略!

 

「…ふんっ!」

 

ドッゴォッ!

 

更には戦闘開始と同時、ダークブラウンの背広を脱ぎ捨て、真っ裸(まっぱ)(注:上半身のみ)となったシルバーさんが、強力な闘氣弾で追撃!

 

「「「「「きゃあ~~~~~~~~~~~あっ?!♡(〃▽〃)」」」」」

これに やはり女性ファンの皆さんが…先の2人とは やや別のベクトル?の大歓声。…或いは、絶叫。

 

「ヨッ!ハッ!タッ!シッ!」

そしてイクス…さんは、小さな体と騎士(ナイト)の超スピードを活かし、アトラスの周辺、空中を舞う様に小刻みに移動しての撹乱に出た。

 

「ほいさ!何の!どっこい!あらよっと!」

…は良いのだけど、動く度の その掛け声、どうにかならないんですか?

 

「そいや!わっしょい!らっせーら!」

…………………………………………。

う、うぜェ…

 

ブーブーブーブーブー!!

 

これに、館内から凄まじいブーイングが。

ええ、解りますよ。だって、うざいだもん。

何で このヒトが人気無いのが、何となく解りました。

 

「ゴラァアアアァッ!!」

これには俺達と同じ感情なのか、

 

ぶぅぅん、ぶん…!!

 

アトラスがガチキレ気味な怒声と共に、イクスさん目掛けて、手にしていた鋼棍でのフルスイングを連続で放つが、

「ヴァカめ!

そんな感情丸出しな大振りの攻撃が、この私に届くと思っているのか?ヴァカめ!」

「ヴガガガァァアアッ!!」

イクスさんは これを悉く避けまくる。

…って、だから攻撃を躱す毎、煽ったりするのは止めたのが良いと思うのですが…

 

そして当然、アトラスも、単に攻撃を受けているだけな訳じゃない。

 

「オ゙ラ゙ァアアアアッ!」

 

ずどん!

 

散開しての多方面攻撃に、アトラスも反撃。

とりあえずはシルバーさん目掛けて、あの巨大な鋼製の棍棒を振り下ろすが、シルバーさんは難無く回避。

 

『でぇぇえいやっ!!』

そして、その隙を突き、ミリアルドさんラダマンティスさんシルバーさんが、同時攻撃!

掛け声が完全にハモっています。

どう聞いても、1人の声にしか聞こえません!

 

バッシィッ!ズバッ!ドガッ!

 

「ぐぉぇえああぅゎお~?!」

炎の鞭が、鎧のパーツの鉤爪が、闘氣を纏った拳が、アトラスに同時にヒット!

悲痛な呻き声を上げ、倒れこそしないけど、完全に この巨人の動きが止まった!

 

「ふっ! 前座、御苦労!

最後は この私が、華麗にトドメを刺しt

「ガッガァァァアッ!!」

 

どっしゃぁっ!!

 

…………………………………………。

此処でイクスさん…が、軽やかなステップを踏みながら前に出て、手にしたステッキをアトラスに向けての『トドメ宣言』の途中、地面に叩き付ける鋼棍の一撃が、脳天から潰さんとばかりに直撃!

地面には巨大なクレーターが、出来上がった!

 

「…ふん!」

え…?

しかし此処で、会場の誰もがミンチになったと思ったであろう、イクスさんの鼻で笑う様な声が、巨大鋼棍の下から聞こえてきた。

 

パッシィ…

 

「が…?!」

…と、思ったら、アトラスの持っていた鋼棍が、縦真っ二つに割れ…いや斬られた!?

 

「ヴァカめ!

そんな柔い棒如きで、この私を倒せると思っていたのか?! ヴァカめ!」

そして、その棍棒が裂けた間から、姿を見せるイクスさん。

ダメージを負った様子は、まるで無い。

 

チィイッ!!

 

そして場内で、重なり響く舌打ち。

 

「さあ、お遊びは此処までだ!

Here We Go!!」

掛け声と共に、イクスさん…が、両手を広げて宙に浮く。

 

ピカァッ!

 

そして眩い光を放ったかと思えば次の瞬間、その身体を真っ白な刀身の、両刃の剣に姿を変えた?!

 

「あれが…イクスの真の姿。

ライザーが言うには、あれこそが、()()()()()()()()()()()()…らしいわ。」

呆気に捕られている俺に、部長が説明してくれた。

 

「え?…でも、エクスカリバーって…」

「コカビエルの時の()()が、どういう経緯で、天界にエクスカリバーとして渡ったかは知らないけど、実は偽物だそうよ。」

「ライザー様は以前、アイルランドに渡った時に、()()()と、言っておられましたわ。」

拾ったって…

あの剣は、犬か猫ですか?

いや、ってゆーか、聖剣ですよね?!

聖剣が悪魔に転生って、出来たんですか?!

それって、アリなんですか?

そもそも する方も させる方も、色々と疑問に思ったりしなかったんですか??!

…余りにも突拍子な展開に、突っ込みが止まりません!

 

「イッセー先輩、()()は、あーゆー生き物なんです。

ほら、ナゲット1つ あげますから、それで納得して下さい。

はい、あ~ん♡」

あ~ん…モグモグ…ありがとぅって、いやいや、何を冷めて悟った様な顔で言ってんの、白音ちゃんは?

諦めたら其処で、試合終了ですよ?

 

「フッ! 私が この形態(すがた)となったからには、既に勝利は約束されたも同然!

さあ、私を手に取り、勝利の栄光をその手に掴むのだ!」

そして俺が突っ込みしてる時に、

 

スゥ…

 

イクスさん?エクスカリバーさん?…は そう言って、ゆっくりとシルバーさんの目の前に移動。

 

ガシッ…

 

「………………。」

そしてシルバーさんは、その黄金の装飾が為された柄を確と握り締めると、

 

ずんっ!

 

「え゙…?」

聖剣を、無言で地面に深々と突き刺したあ?!

 

「さあ、一気に仕留めるぞ!!」

「「うむ!」」

 

ダダダッ…!

 

そして聖剣は その儘 放置して、また3人で、アトラスに総攻撃を仕掛ける!

 

「ぉ、お~い、キ~ミ達ぃ~?

今の この流れは、私を手にして決めるべき…

そうは思ったりは、しないかな~?」

「「「………………………。」」」

突き刺さった儘のエクスカリバー…さんがシルバーさん達に、求め訴える様に話してるけど、御3方は それを完全に無視。

 

「ふんがーーーーーーーーっ!」

「ちぃっ!」「…ッ!」「ふん!」

得物を失い、剛腕豪拳を振るうアトラスに、集中攻撃です。

一見、多人数による優位な攻めに見えますが、あの拳が直撃したら、一発で普通に死ねますね。

 

「そう。アトラスも、決して弱くは無い。

戦車(ルーク)の硬さに加えて、あの巨体だ。

その生命力は、半端じゃない。

ミリアルドさん達も、決して余裕じゃないんだよ。」

「一発でも貰ったら、それだけでアウトだにょ。」

「皆、地味に必死で避けているよな。」

それは、皆さんの真剣な表情が物語っています。

 

「え~い、情けない!

そんなデカブツに、何を手こずっているのだ、ヴァカめ!

私を使えば、そんな苦労は せずに済むと云う物を!ヴァカめ!」

そんな皆さんにエクスカリバー(もう、こんなの呼び捨てで良いよね!)が、激と云うか、野次。

 

「こうなったら、私、1人でも!」

 

ズボォッ!…ヒュィン!

 

えぇーーーーーーーーーーーっ!?

自ら地面から抜け出すと、剣の形状の儘で戦いの場へ、文字通りの飛び入り参加だ!

 

「む?!」「何!?」「は?!」

そして一瞬、何が起きたか解らない顔をしたミリアルドさん達を通り過ぎ、アトラスへ特攻。

 

「超必殺!エクスカリバーΧ(ばってん)斬り!!」

 

斬々っ!!

 

先程以上に刀身を輝かせ、右肩口から左脇腹へ、間髪入れず、右脇腹から左肩口への斬撃を繰り出した!

 

「ぐゅぉごぇえわああぅゎお…

『ツォネ・ナベリウス選手の戦車(ルーク)戦闘不能(リタイア)です。』

「如何に生命力が有っても、悪魔が聖剣で(クロス)に斬られたら、やっぱり ああなるわよね。」

そして、アトラスの巨体が断末魔と共に その場から消えると同時に、退場がアナウンスが会場に流れる。

 

「「「「「「「「「……………………………………………。」」」」」」」」」

普通さ、こういう決着の瞬間って、会場は大いに盛り上がるじゃん?

…今は、静寂に包まれています。

 

「…(けるなよ…。)

それから少し間を空けて、客席の何処かから、絞り出す様な小さな呟きが。

 

「巫山戯るなよ!」

「最後にだけ出てきて、美味しくしてんじゃねーよ!」

「返して!ミリアルド様の奮闘、返してよ!!」

 

ブーブーブーブーブーブー!

 

その呟きが呼び水となり、場内は またも大ブーイングに包まれ、 

「「「…………………。」」」

これにはミリアルドさん達も、何とも言えない表情を浮かべている。

 

「♪Excalibur~♪Excalibur~♪

♪from United Kingdam.

♪I'm looking for Heaven.

♪I'm going to Californi…」

しかし、剣から元の謎生き物の姿に戻ったイクスは、そんな空気なんて関係無いとばかり、ターンしながら何やら御機嫌そうに歌いながら、ミリアルドさん達と共に、その場から姿を消すのだった。

 

「あの…イッセー?

き、気持ちは、解るけど…」

すいません、部長。

解るなら、とりあえず一言だけ、言わせてください。

さあ、皆さんも一緒に SAY!

 

うぜェーーーーーーーっ!!

 




 
【次回予告!】
「ブヒヒヒフェフェ…」
下卑な笑みを溢し、美少女に襲い掛かる豚獸人(オーク)
果たして、少女の運命は?
 
次回『神殺しの宝具(ゴッド・スレイヤー)です!(仮)』
乞う御期待!
感想よろしくです。
 


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神殺しの宝具です!

 
ナベリウス眷属は基本、ドラクエ系キャラで行きます。
 
作者は新しい『技』を覚えた!(笑)
 


◆◆◆

『ぇ…えーと、で、では、次のバトルに入りたいと思います。

(キング)は、ダイスを振って下さい。』

どうも、白音です。

あの ウゼェクスカリバー イクスさんの お陰で何とも言えない空気となった中、実況解説の人もそれを払拭しようと、次のバトル開始を両チームの王様に促します。

お仕事、お疲れ様です。

そして、出たダイスの目の合計は③。

密林の様なステージに切り替わった闘技場の中、ナベリウス側から、幅広の刀を持った、メタボっぽい獣人型の悪魔が1人。

そして、フード付きのローブを纏い、姿を隠している悪魔が2人。

どうやらナベリウスは、兵士(ポーン)3名を投入してきたみたいですね。

そして、それに対するライザー様サイドは…

 

「「「「「「「きゃぁ~~~~~~~~~~♡」」」」」」」

「ぎ、銀髪の…木場だと…?」

…イッセー先輩、違いますよ。

 

◆◆◆

「あの人は、黒歌姉様と同じくライザー様の僧侶(ビショップ)の1人、カール・キグヌスさんです。」

どうも、イッセーです。

白音ちゃん、説明ありがとう。

そう、ライザー様側から現れたのは、木場を銀髪・長身細身にした感じのイケメン男。

僧侶(ビショップ)のカール・キグヌスさんだ。

イケメンだから、ですか?

この人の登場と同時、女性ファンの皆さんが大歓声です。

この人とは、まだ直接の面識は無い。

合宿の時に観た、レーティング・ゲームの動画で少し知っているだけだ。

凄いレベルの水と氷の魔術の使い手で、彼とライザー様が見せた、水龍と炎の鳥とのコンビネーションは、正しく圧巻だった。

  

バサァッ!x2

 

そんな風に話している時、ナベリウス眷属の2人が、被っていたローブを脱ぎ捨て、その姿を観衆に露にした。

1人は、青い肌に白の軽装鎧を着た、戦士風の男。

髪の毛は、赤く炎の様に燃え盛っているって言ーか、炎その物だ!

そして もう1人は髪の毛だけと言わず、全身が大炎上!

いや、あれは寧ろ、"人の形をした炎"の表現が正しいぞ?

 

資料(パンフレット)によれば、あの おデブ

は だんきち。

白い鎧はモエール、全身炎の人は いっつん…ですか。

…どうやら元は、それぞれ獣人と炎妖と火精の転生悪魔の様ですね。」

「あの3人は、私も知らないですね。

ナベリウス眷属は…特に兵士(ポーン)は入れ替わりが多いですから。」

「彼等のローブは正体を隠すで無く、あの炎を、普段の生活で御する為だったんたろうね?」

ふ~ん?

それにしても、1vs3か…

1人で複数人を相手にする…さっきとは逆のパターンだな。

 

戦闘開始(ゲームスタート)!』

そして審判の人の掛け声で、バトル開始。

 

「「「昇格(プロモーション) 戦車(ルーク)!」

       騎士(ナイト)!」

       僧侶(ビショップ)!」

先ずはナベリウスの兵士(ポーン)3名が、昇格(プロモーション)でのパワーアップ。

…そう言えば、さっきの試合では、ラダマンティスさんとシルバーさん、昇格(プロモーション)してなかったよね?

まだ、余裕だったんだな。

 

ぼっおゎっ! ぶぉぉあ!

 

そして まだ遠い間合い、先制を仕掛けたのは、モエールと いっつん。

モエールが左右の手から、巨大な火の玉を投げ出し、いっつんは口から激しい炎を吐き出した!

 

ぼぉおおおおおおおおおおおぉっ!!

 

この攻撃を、カールさんは容易く回避するが、炎はジャングルなフィールドの木々に燃え移り、瞬く間に周囲は大火事、大炎上だ!

 

「熱ちち!? 大馬鹿野郎共が!

少しは考えて攻めやがれ!!」

 

ぶんっ!

 

これに だんきちが味方に文句を言いながら、カールさん突進して斬り掛かるが、この銀髪なイケメン様は、難無く それを躱す。

 

「…碼・氷・駑!!

 

ひゅぉぉおおっ!

 

「ぐげぇっ!」

そして返しの氷の魔法!

両掌から放たれた吹雪が、黄色い獣人を吹き飛ばし、更には

「きぎゃあぉ?!」

その メタボ 巨体を背後の炎燃える大木に激突させた!

氷と炎の二重のダメージだ!

 

「ちぃい! このクソがぁっ!!」

但し、これも必殺には ならず、だんきちは よろめきながらも立ち上がる。

どうやら戦車(ルーク)昇格(プロモーション)した防御力は、伊達じゃないみたいだ。

 

「けけけ!引っ込んでろ!このデヴ!」

「キョキョギョ!コイツは、俺達が、殺る!」

それを見たモエールと いっつんが、今後は距離を空けての挟み撃ち。

 

「死ねやぁ!」「灰にしてやるぜ!」

 

ぼぼぉおっ!…バサァッ…

 

両者が口から炎を吐き出すが、カールさんは羽を展開させて、空中へと回避。

 

「基本、私は暑いのが苦手なのでな。

一気に決めさせて貰う!…ハァアア…!」

そして魔力を集中させる!

 

「…っせるかよっとぉ!」

 

ボォォゥワッ!

 

これを見たモエールが、口を大きく広げ、超特大の炎の玉を吐き出した!

 

ピシィッ…ずどっ!

 

「は…はぁあ?!!」

しかし その火球は、カールさんに直撃する前に氷の球になり、地面へと落下。

モエールは有り得ないと言いた気な間抜け面だ。

 

「哈ァアッ!」

 

ピキィイッ…!

 

そして、高めていた魔力を解放したカールさん。

その瞬間、フィールド内の全ての炎は消え…いや、その燃える形を留めた儘に、凍り付いた!

灼熱の世界が、一瞬にして吹雪舞うア〇雪の世界だ!

 

『ツォネ・ナベリウス選手の兵士(ポーン)1名、戦線離脱(リタイア)です。』

そして選手退場を告げるアナウンス。

よく見れば、周囲の炎と一緒に、あの()()()()()()()も、完全に体が凍結していて…ステージから消えていった。

 

「クソ! このクソ氷が!」

更に よく見れば、だんきちも、足元を氷に捕らわれ、その場から動けない状況に陥っていた。

 

ガンッ…ガンッ!

 

「クソダラがぁっ!」

幅広の刀で地面を叩き、氷を砕いての脱出を試みているが、その氷は戦車(ルーク)のパワーを以てしても、罅1つ付かない。

 

出よ!"引き裂く者"!!

カールさんは、その だんきちを次の標的(ターゲット)にした様に、呪文を唱え始めた。

すると、周囲に無数の雪の結晶が現れ漂い始め、それは次第に、寄り集まって、動物の形を作り出す。

 

白狼轟吼覇(ヴァィ・エィンティー)ーーーー!!

 

ビッギャァァァァアッ!!

 

「ぎゃぐゎあああああぁっ??!」

魔力によって創り出された白い狼の群が、だんきちを襲う。

その冷たい牙と爪は獣人の身体全体を引き裂き、

『ツォネ・ナベリウス選手の兵士(ポーン)1名、戦線離脱(リタイア)です。』

いっつんに続いて、またもナベリウス側から退場者が出た。

これで残るはモエール1人。

 

汝 深闇の魂にて我を浄めたもう

嗚呼 極寒の女王よ、至高なる者の猛き集いの果て 死の凍嵐を我は身に纏いけり…

そしてカールさんは いよいよ()()に入ったのか、如何にも破壊力が有りそうな呪文の詠唱を始めた。

 

…今 新たなる契りにより、永久氷土の力、此処に束n

「ひぇっ?! ちょっと待て、タンマ、ストップストップ!

ギ、ギブアップだ!」

しかし これの途中、1人残されたモエールも勝ち目が無いと判断したのか降参宣言(ギブアップ)

 

『ツォネ・ナベリウス選手の兵士(ポーン)戦線離脱(リタイア)です。』

これが受け入れられ、モエールもフィールドから姿を消した。

1stバトルに続き、2ndバトルも、ライザー・チームの完全勝利だ。

 

「「「「「「「きゃぁ~~~~~~~~~~♡」」」」」」」

そして また、女性ファンの黄色い声援の大合唱が、場内に響き渡る。

 

≫≫≫

絶対零度刄(テスタマィンテ)!!

…尚、一度唱え始めた魔法は途中キャンセルが利かないらしく、その後、カールさんは敵が居ないフィールドにて、超弩派手な冷凍波をぶっ放したのは、余談だ。

 

▼▼▼

◆◆◆

引き続いての、イッセーだ!

大歓声の中(ん、やっぱり決着の後は、どちらが勝ったとしても、こうでなくちゃね!)、次に出たダイスの目は、両(キング)、共に①。

つまりは、合計②だ。

 

うぉおおおぉお~~~~!!

 

その目が出たと同時、場内から更なる大歓声。

今度は、男性客が中心になっている。

 

「最小の目だから、次に出られるのは兵士(ポーン)に限られている。

だからこそ、会場の皆も、誰が出てくるのか、既に予想が付いているのよ。

…そしてライザーもプロよ。

この空気が分からない程、そしてファンの期待を無視する程、不粋じゃ無いわ。」

…成る程。

俺も、ライザー様側から次に誰が出るか、何とな~く、予想が付きましたよ。

 

うぉおおおぉお~~~~!!

ドンドンドンドンドン!!

 

そして お花畑なフィールドに登場したライザー様の兵士(ポーン)2名に、会場内にて大歓声と同時、"地鳴りの様な足踏み(ララパルーザ)"が沸き起こった。

姿を見せたのは、白い無地のTシャツにスパッツな服装の、可愛い女の子が2人。

 

「「「「「イっルちゃーん!」」」」」

「「「「「ネルっちゃーん!」」」」」

しかも双子だ!

ん、予想通り!

ただし、気になった点が1つ。

見た目は白音ちゃんよりも少し下に見える…中学生か下手すりゃ小学生な女の子…しかも2人を、ライザー様が眷属にしてるって点だ。

まあ、ライザー様が〇リコンじゃないのは、合宿の夜の、ミリアルドさんやラダマンティスさんとも一緒に()()()()()()()()()で分かっている。(ライザー様は、巨乳属性でした。)

故にポリスメン案件とかで無く、純粋にあの2人が見た目以上の相当な実力の持ち主だからこそ、眷属にしたんだろうけど。

…しかし、相手がアカン!

 

「「ブヒヒヒヒヒ…」」

ナベリウス側の選手が、豚と猪がベースの獣人…則ちオーク!

美少女とオークのマッチメイクって、絶対に やっちゃアカン組み合わせじゃないか!?

Rー18的に!

 

「豚がビッグで、猪の方がイノップ…ですね。」

いや、呑気に説明してる場合ですか?!

  

≫≫≫

 

『ツォネ・ナベリウス選手の兵士(ポーン)1名、戦闘不能(リタイア)です。』

……………………………………。

【凶報】美少女…否、美幼女とオークの組み合わせが、実はRー18で無くて、CEROーZだった件。

…戦闘開始直後、ナベリウス眷属のオーク2人(2匹?)は戦車(ルーク)に、そしてライザー様側のイルちゃんネルちゃんは騎士(ナイト)昇格(プロモーション)した。

いや、それは別に良いんだよ。

しかし この双子さん、トゲトゲな鉄球を振り回しながら、鼻息を荒げて迫る豚男に対し、手にしたスポーツバッグから取り出したのは、

 

ドッドッドッドッドッドッ…

 

何とチェンソー!

これで2人掛かりで、ズバアッ!…って、鉄の鎧毎、オークの体を斬り裂いた!

ええ、瞬殺でしたよ!

スプラッターですよ!

お花畑でチェンソーぶん回して敵を惨殺、血塗れになっている双子美少女…

 

「う、うぅ~ん…」

「ギャ、ギゃスパー君!?」

うわっ?!ギゃスパーが余りにも凄惨なシーンで、失神寸前だ!?

 

「「バラバラバラバラ♪」」

「ぶひぃっ?!」

そして この双子様、大量に浴びた返り血を気にする事無く、もう1人の猪マンに高速回転する刃を振り回しながら、それも無邪気100㌫な笑顔で迫る!

 

「あの2人のチェンソーは、只の市販品なんかじゃ無いの。

神器(セイクリッド・ギア)神滅具(ロンギヌス)とは別の、神殺具(ゴッド・スレイヤー)と呼ばれる、宝具の1つなのよ。」

何ですか、それ? 恐ろし過ぎますよ! 

 

斬っ!x2

 

「ぷぎゃぉわぉあっ!?」

『ツォネ・ナベリウス選手の兵士(ポーン)1名、戦闘不能(リタイア)です。』

そして部長がチェンソーについての説明をしてる最中に、イルちゃんネルちゃんは残りの敵も斬り裂き、またしてもスプラッターで決着!

  

「「殺っちまったぜ♡」」

いやいやいやいや!

可愛い顔して、そーゆー台詞、言うもんじゃありません!

せめて、血を拭ってから言って頂戴!

 

うぉおおおぉお~~~~!!

ドンドンドンドンドン!!

 

そして再び沸き起こる、大歓声とララパルーザ。

いやいや、アナタ達…

贔屓な子が勝って嬉しいのは分かるけど、あのスプラッター見て、ドン引きしたりしない訳?

 

 




 
カール・キグヌス…カル=ス(BASTARD!!)
だんきち…ダンビラムーチョ(ドラクエ7)
モエール…炎の戦士(ドラクエ4)
いっつん…フレイム(ドラクエ2)
ビッグ…オークマン(ドラクエ6)
イノップ…イノブタマン(ドラクエ7)
 
…の、イメージで。
 
感想よろしくです。
 


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不死鳥眷属(フェニックス)無双!

 
今のレーティング・ゲーム編は、謂わばライザー眷属の御披露目シリーズです。
 



◆◆◆

「「ただいま~♪」」

やぁ、ライザー・フェニックスだ。

バトルを終え、双子(イル&ネル)が戻ってきた。

 

「勝ちましたよ~♪」

「誉めて撫でて~♪」

「おう、お疲れさん。よく やったな。」

 

撫で撫で撫で撫で…

 

「「え~へ~へ~♪」」

労いと御褒美の意味を込めて頭を撫で撫でしてやると、某・嵐を呼ぶ幼稚園児みたいに顔を弛ませる双子さん。

 

『さあて、ライザーチームが無傷の快進撃!

ナベリウスチーム、これからの巻き返し、為るか?

それではライザー・フェニックス選手、ツォネ・ナベリウス選手、次のダイスをお願いします!』

アナウンスに従い、俺が振ったダイスの目は④。

 

▼▼▼

◆◆◆

は、初めまして!

ぼ、僕はリアス部長の僧侶(ビショップ)の1人、ギャスパー・ヴラディです。

次のバトルは、夜の廃墟の様なステージ。

其処に姿を見せたのは、全身真っ赤な鎧を着て、大きな斧を持った人と、魔術師風な おじさんです。

手元のパンフレットによりますと、ナベリウス眷属、騎士(ナイト)のザザヴさんと、僧侶(ビショップ)のミラルゴさん、ですか。

それに対してライザー様が送り出したのは…

「URRRYYYYYYYY!」

る…戦車(ルーク)のDIOさんこと、ティエゴ・ブランドーさんです。

 

戦闘開始(ゲーム・スタート)!』

 

Pi…バシュゥッ!

 

「何…だと…?!…グfっ!」

『な、ツォネ・ナベリウスの騎士(ナイト)戦闘不能(リタイア)…です。』

審判の人の合図と共に、DIOさんが攻撃!

あっと言う間に、ザザヴさんはリタイアしてしまいましたぁ!

 

「な、何なんだよ、今の!?

目からビームみたいの、出したぞ?!」

イッセー先輩、あれは、ビームなんかじゃないんです。

体内の血液や体液を超圧縮して、それを瞳から超スピードで放っているらしいのです。

曰く、視線が その儘 射線になっているから、絶対に外さないとか。

眼球から放つ際に、一時的に眼を負傷するそうですが、それも瞬時に回復(なお)すから、問題は無いとか。

…DIOさんは元々、19世紀末頃に生きていた英国貴族らしいですが、諸々の事情で、古代メキシコ…アステカ文明に伝わる秘宝(秘法?)を使って、その身を吸血鬼と化したらしく。

謂わば、"転生吸血鬼"とでも云うのでしょうか?

兎に角どんな負傷も、脳さえ生きていれば大丈夫だという、不老不死の肉体を得たそうです。

そして その後も幾多の事情を経て、最終的に現在はライザー様の眷属となったそうです。

ついでに言えば、悪魔となった事で、吸血鬼としての弱点だった お日様の光も、『少しだけ、苦手』なレベルにまで、克服したとか。閑話休題。

 

「喰らえぃ!」

 

ボォゥワッ!

 

バトルの方は、ミラルゴさんが閃熱系の魔法を放ちますが、DIOさんは それを、余裕で躱していきます。

 

「くっ!………………っ!!」

悔し気な表情を浮かべたミラルゴさんが、眼から怪しそうな紫色の光を放つ!

 

「ん~~~んん?

今、何か、したのか??」

「な…??!」

しかし それもDIOさんには効きません。

僕も、"邪眼"系の神器(セイクリッド・ギア)を持っているから分かりましたが、今のは麻痺系の効果を齎す眼光ですね。

 

「悪いが、俺に麻痺や眠りの類いは、一切 効かん。」

「な…にぃ?!」

しかし その発言に、驚きの表情を見せるミラルゴさん。

 

ぶん!…ガシィッ!

  

「!!?」

咄嗟に手に持っていた杖を振り翳し、攻撃しますが、DIOさんは それを、難無くキャッチ。

 

バキィっ!

 

「ぶぇっ?!」

そして その儘その杖を奪い、顔面を狙ったフルスイング!

 

「が…がが…!?」

「貧弱、貧弱ぅうっ!!」

夥しく出血する鼻を押さえ、蹲るミラルゴさんに、DIOさんは杖を投げ捨て、じわじわと歩み寄ります。

そして、

 

ぐぃ…

 

頭を掴み、無理矢理に立たせると、

無ぅ~駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無っ駄ぁ~あっ!!!!

 

ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…!!!!

 

「ぐぺぺぺぺぺぺぺぺぺ…!?」

体全体に、凄まじい左右の拳の連打!

 

「いや、あれって、喰らい過ぎじゃないか?

DIOさんの あのパンチ、言っちゃアレだが、結構 隙が有るぞ?」

「それはDIOさんが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()んですぅ。」

「はい?」

…そう。

DIOさんの最大能力は瞬間的だけど、『敵の時間を停める』事。

5月の合宿の時、『時間停止の能力』を持った神器(セイクリッド・ギア)の所有者で有る僕に、あの人が付いてくれたのは、その為。

DIOさんの能力は神器(セイクリッド・ギア)じゃ無いけど、()()()()()()()()と云う点では僕と同じで、その技法や制御は通ずる物が有ったので、それで あの人が、僕のコーチ役として付いてくれたのでした。

うう…思い出したら、泣きたくなってきましたよ…

 

「防御のタイミングを、ずらす?

そんな事しなくても、停めて動けない相手をその儘タコ殴りすりゃ、良いんじゃないか?」

「そう上手くは、往かないんですぅ。」

…そう、時間停止は、麻痺や金縛りなんかとは違う。

時間停止状態の者(物)は、その間は完全に硬化しており、外部からの あらゆる干渉を受け付けないのだ。

つまり、イッセー先輩が時間が停まった女の子に洋服崩壊(ドレス・ブレイク)を仕掛けても効果は無いのです。

それ処か、スカートを捲ったり、髪を掻き分けたりも、出来ません。

 

「ちょ…? 例えで俺を、しかも そんな持ち出し方したりするの、止めてくれない?!

それじゃ まるで、俺が普段から女の子の衣服を破りまくったり、セクハラ行為全開な、性犯罪者じゃないか!?

大体()()は、本当に偶然に修得出来ただけで、実際に使う訳無いだろ!?

俺自身や主である部長にも、イメージ悪過ぎるわ!!

永久封印だよ!」

「あらあらあらあら?

私は全然、大丈夫ですわ?

寧ろ、偶には〇イプの様に乱暴に、()()()()()()ですわぁ?♡」

「同じく。」

「わ、私だって、全然 構いません!」

「…………………………………。

つ、つまり、普通なら避けられる攻撃も、停められた相手からすれば その間の攻撃の動きは、見えていない訳だから…」

「再び時間が動き出した時には、いきなり回避不可な位置まで、拳が迫っているにょ?」

「無視かーい?!

…って、朱乃さん白音ちゃんアーシアも!

どさまぎで何、言っちゃってんの?!」

…と、そんな風に話している内に、 

 

『ツォネ・ナベリウスの僧侶(ビショップ)戦闘不能(リタイア)です。』

決着、着いちゃいました。

 

▼▼▼

◆◆◆

「ナベリウスは もう後が無い。

次は確実に、勝ちに来るだろう。」

「うむ。既に駒にして、戦車(ルーク)を2つ、騎士(ナイト)僧侶(ビショップ)を1つずつ、兵士(ポーン)を5つ失っているからな。」

やあ。再びの、ライザーだ。

DIOが戻ってきて、次のバトル。 

出たダイスの合計は⑨だった。

 

「絶対に女王(クィーン)が、出てくるヨ!」

「あぁ。私も、そう思うな。」

現在、誰を出すかの作戦会議。

此方は全員が、向こうからは女王(クィーン)を出してくると予想。

ならば、此方は…

 

『それではライザー様、行って参ります。』

此方も女王(クィーン)で、応戦だ。

頼むぞ、ユーベルーナ!

 

≫≫≫

◆◆◆

ユーベルーナです。

大きな舞台と、広い馬蹄型の客席。

まるで大劇場の様な、戦闘フィールドですね。

そして今、私と対峙しているのは、道化師の格好をした長身の男。

 

「…くっくっくっく…

きひゃっ! くははっ!! あはははははははははははははっ!! ひゃーはっはっはっはぁ!!」

不気味な嗤い声を飛ばす この男はナベリウスの女王(クィーン)、ドルマゲス!

此方の予想通りです!

 

戦闘開始(ゲームスタート)!』

 

ドッカァァァアアアンっ!!

 

撃破(ティク)!!」

「…はっはぁ…?!…って、え? も、もう、終わr…そんな、そんなの、悲しい、悲し過g…」

お黙りなさい!

貴様の ()()()()での その下品な笑い声は、非常に不愉快なんですよ!

 

『つ…ツォネ・ナベリウス選手の女王(クィーン)戦闘不能(リタイア)です…』

 

≫≫≫

「ライザー様、戻りました。」

「お…応…御苦労さん…」

「「「「「………………。」」」」」

自陣に戻れば、ライザー様を基、皆さん何だか どん引いていますが、何か有ったのですか?

何ですか?

その、『コイツだけは、絶対に怒らせない様にしよう…(汗)』って顔は?

 

「な、ナイスファイトだったにゃ~♪

流石は"爆弾女王(ボム・クィーン)"。

爆裂魔法1発で瞬殺だにゃ。」

有り難う御座います。

でも、その二つ名は、余り好きでは有りませんので、控えて欲しいですね。

 

「マスターマスター、これは もう、御褒美あげるしか、ないにゃ!

折角お嬢公認の"側室"なんだから、いい加減に〇〇〇(バキューン!)とかXXX(ずどーん!)とか※※※※※※※※(ドッカァァァアアアアアアンっ!)とか、してあげるにゃ!

そうでなくてもユーベルーナ、先週に目出度く処女(ヴァージン)の儘、三十(みそ)J…ふに゙ゃあぁあ゙っ?!」

くーろーかーさーん~?

何か勘違いしていないかしら?

()() ()()2()9()()()1()2()()()()()()

「ふぎに゙ゃぁ…ぎょ、ぎょふゅぇんらざひぃ… ちぃ、何て往生際の悪い女だにゃ?!

む? 何か言いましたか?この猫娘は?

大体アナタも この前、白音さんに、『ぷーくすくすw え? 黒歌姉様、()()()()()()()()のですか? 処女(コドモ)ですか? ぷーくすくす、ぷーくすくす!www…フッ!(どやぁ)』…って、弄られてたじゃないですか?

とりあえずは もう少し その頬、左右に むに~んと広げ、上下に ぐぐぐって、大きく引っ張ってみますか?

 

「ぶに゙ゃぁらわあ~っ?!」

只、私も〇〇〇(バキューン!)とかXXX(ずどーん!)とか※※※※※※※※(ドッカァァァアアアアアアンっ!)とかは、大歓迎ですよ、ラ・イ・ザー…様?

 

「…さてと、ダイス、振るか…。」

誤魔化さないで下さい!

 




 

ザザヴ…死神の騎士(ドラクエ1)
ミラルゴ…ミラルゴ(ドラクエ6)
ドルマゲス…ドルマゲス(ドラクエ8)
 
…のイメージで。
 
②因みにドルマゲス、最初はライザー眷属の予定でした(笑)
 
③ユーベルーナさんは、美人ですよ!

 
 
次回予告
『触手プレイな趣味は無いにゃ!(仮)』
乞う、ご期待!
感想よろしくです。
 


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お姉ちゃんの良い(とこ)、見せてやるにゃ!

 
ライザー眷属、全員登場。
 


 

「あのM字っパゲは、俺が殺る。

お前等は、残りで勝手に遊んでいろ。」

「はぁ?! ちょっとオッサン、何 勝手に仕切ってんねん?」

「止めとけ。コイツには、言うだけ無駄だ。」

「良いから早く しろよ、と。」

 

◆◆◆

よっ、イッセーだぜ!

西部劇っぽい荒野みたいなフィールドに、ライザー様のサイドから姿を見せたのは、えーっと…

 

「黒鎧の銀髪の人が、騎士(ナイト)のガイ・ブラック。

白黒のトランプ衣装がノー・ネーム=ジョーカー。

黒スーツを着崩してる赤髪はレノ。

そして、あのギザギザ頭の黒装束、眼帯の男の人が、更木剣八よ。

この3人は兵士(ポーン)ね。」

部長、説明的な台詞、ありがとうございます!

対するナベリウスからは、両腕が蛇!の覆面の男。

頭が牛、所謂ミノタウラスっぽい大男。

そして、青基調の騎士風な礼装の男の3人が。

えーと、パンフレットによれば、蛇手男がオピュクス。

牛男がバリクナジャ。

騎士がマルチェロ…ですか。

どうやらマルチェロ氏が、この中では一番の手練れらしく、如何にも戦闘狂な風貌の(失言!)更木さんが、彼との一騎打ち(タイマン)を望んでいる様で、仲間内で少し揉めてる感じだ。

 

戦闘開始(ゲーム・スタート)!』

そんな中、バトルが始まった!

 

▼▼▼

◆◆◆

く、黒歌だにゃ~…

うぅ…頬っぺたが痛ひ…ひりひりするにゃ…

あの 年増処女 ユーベルーナ、容赦無さ過ぎだにゃ!

 

「くーろーかーさーん~?

今 何か、言いましたか~?(ニッコリ)」

い、いえ! (なーん)にも言ってないし、思ってもいません!…にゃ!

…さて、戦闘。

 

「ふはははは!

逝くぞ!Mっぱげ!」

「だ、誰が、Mっぱげだ!?」

剣八がナベリウス屈指の嫌味男マルチェロに、刃零れだらけの太刀で、攻撃を仕掛ける。

…に、してもMっぱげって…ぷぷぷ…

上手い! 座布団1枚にゃ!

 

どっ!www

 

これには観客席も、大爆笑だにゃ!www

 

「ほなレノさん、自分達も行きますか!」

「あ~ら よ、…っと!」

「……!?」

ノー・ネームとレノは、蛇手の男に攻撃。

 

「…殺す!」

「ぐぉっ?!」

そしてガイは、牛男に攻撃。

こっちの2人は、私も知らない奴等。

多分、私がナベリウスから逃げた後に、眷属入りした連中みたいだにゃ?

 

≫≫≫

「…殺す。…疾風魔狼剣!」

 

斬!

 

「ずもももぉ~!?」

『ツォネ・ナベリウス選手の兵士(ポーン)1名、戦線離脱(リタイア)です。』

戦闘開始から約5分。先ずはガイが、牛男を撃破。

 

「此方も終わりにするぞ、と!」

「はいさ!」

 

バキッ!x2

 

「シャシャーっ?!」

『ツォネ・ナベリウス選手の兵士(ポーン)1名、戦線離脱(リタイア)です。』

そして、その後。

レノとノー・ネームが、蛇手男を、ロッドと戟で撃破。

共に殆んど被ダメ無しの、完勝だにゃ!

 

「ふははははは!

おら!死ねや! Mっぱげがぁ!!」

 

ぶぅん!

 

「ちぃっ! 失礼な上に品性の欠片も無い、何て野蛮な男だ?!」

そして剣八が、Mっぱげwww…マルチェロを攻め立てる。

 

タタッ…

 

顔をしかめるマルチェロが、素早くバックステップで距離を空け、

「私は断じて、禿げては いない!…喰らえっ!」

 

シュンシュン…ドォオッ!

 

細剣を十字の軌跡に振い、それで生じた、魔力を帯びた真空刃が、剣八を襲う!

 

ドッドォォン!

 

「…その、程度か?」

「な、何…だと…?!」

その真空の十字架は剣八に直撃したのだけど、それでも剣八は倒れない。

確かに少しは…いや、悪魔的に、十字の形に魔力での攻撃を受けたのだから、大ダメージを負ってる筈だけど、あのバトル・ジャンキー、そんなのは全然 気にしてないみたいにゃ。

 

「ば、馬鹿な!? 私の"血の十字架(ブラッディ・グランド・クルス)"をまともに受けて、立っていられるだと?!」

「ふん! 今までは余程 弱い奴としか、戦ってなかったみたいだな!

…呑まれやがれ!」

 

ダッ…!………!

 

そして剣八が、マルチェロに突進。

その途中、手にしていたボロボロの太刀が、鈍い光を放つ鋭い刃の大鉈に形を変える。

 

「ふはははははははは!

終いだ!Mっぱげえぇっ!!」

「…………………!!?」

鬼気迫る、野獣の如くな殺気に完全に呑まれ、棒立ちとなるマルチェロ。

その脳天目掛け、鉈は振り降ろされた。

 

『ツォネ・ナベリウス選手の騎士(ナイト)戦闘不能(リタイア)です。』

よく殺ったにゃ!剣八!(*^ー゚)b

 

▼▼▼

◆◆◆

白音です。

先ずは一言。

マルチェロ…ざまあwww

あの嫌味男、ナベリウス家に居た頃は、顔を会わせる度に、嫌味を言ってきましたからね。

てゆーか、あの男との会話って、嫌味言われた事しか記憶に有りません。

ナイスです!更木さん♡!(*^ー゚)b

…さて、次の戦闘ですが、出たサイコロの合計は③。

フィールドは、直径1㍍、高さ20㍍くらいでしょうか?…な石柱が、やはり同じくらいの幅に等間隔で並んでいるステージ。

その地面には、鋭い刺が沢山 生えている…偶に格闘漫画なんかで出てくる、所謂『落ちたら死ぬ!』…な、そんなステージです。

…って、悪魔(わたしたち)って飛べますから、これ、余り意味無いですよね。

そしてナベリウス側から出てきたのは、両手に怪物(モンスター)の人形を持った、忍者みたいな格好の人物。

僧侶(ビショップ)のヨシキィさんです。

あの人、まだナベリウス眷属だったんですね。

とっくにトレードに出されたり、消えてしまったとばかり思っていました。

  

「いや、あれは"黒子"って言うんだよ、白音ちゃん。」

祐斗先輩、うっさいです。

そして、ライザー様サイドからも、選手登場。

 

わーわーわーわーわーわーわー!

 

小さな子供達が中心となった歓声の中 現れたのは、正しく"筋肉の鎧"と形容するに相応しい褐色の肉体に、タンクトップとトランクスを着こみ、二の腕から拳、脛から足の甲までテーピングを施した、爽やかな笑顔のな男の人。

 

「アパパパパ!

やあ皆!アパチャイだヨ!」

「「「「「アパチャイー!」」」」」

チビッ子に大人気、兵士(ポーン)のアパチャイ・ホパチャイさんです。

 

「つ、遂に出たよ、あの人…」

「あははは…」

アパチャイさんを見たイッセー先輩 祐斗先輩が、渇いた笑みを浮かべ、口元を引き攣らせています。

多分 今、私も同じ様な顔をしてるでしょう。

…あの5月の合宿、後半から、私達3人の近接戦闘のコーチとして やってきたアパチャイさん。

その時 私達は、慈悲、或いは手加減という単語を解ってないのか知らないのかな、彼が繰り出す痛烈なアッパーブローやハイキックで、何度も何度も青空の彼方、お星様きらーん☆となったのでした。

つまり、何が言いたいかと云うと、 

 

『ツォネ・ナベリウス選手の僧侶(ビショップ)戦線離脱(リタイア)です。』

…まぁ、そう云う事です。

やっぱり…な、瞬殺でした。

 

「僕、あの人が出た瞬間に、相手に同情したからね…」

「奇遇だなイケメン、俺もだよ…」

ででーん!ヨシキィ、チャイキックー!

 

▼▼▼

◆◆◆

「マスターマスター、次は、私が出るにゃ!」

黒歌、再び!…だにゃ!

アパチャイも快勝して あちら側、残るはバカ主(元)と、兵士(ポーン)が1人のみ!

そして次に出たダイスの合計は⑤。

つまり次のバトル、駒価値⑩に設定されているバカ主(元)は出る事が出来ず、必然的に兵士(ポーン)1人だけが、フィールドに出る事になる。

今回のゲーム、私とナベリウス家の因縁を踏まえ、私は お休みな予定だったけど、此処迄 有利な展開になったら、もう関係無ゃいにゃ!

兵士(ポーン)1人相手なら、流石に圧勝だにゃ!

何よりも、折角 白音も応援に来てくれているのだから、やっぱり お姉ちゃんの格好良い処、見せたいにゃ!

 

「やれやれだな…分かったよ。

よし、行ってこい!黒歌!

…但し、ヤバイと思ったら、(オレ)の権限で、直ぐに強制辞退(リタイア)させるからな。」

 

≫≫≫

舞台は夜の砂漠。

そして、敵さんも既に姿を見せている。

鉄の鎧に鉄兜。

鉄の盾に鉄の銛。

見掛けは、鉄の装備で身を固めた、如何にも"兵士"って格好だにゃ。

 

「ケケケケケケケケ…!」

そう、()()()だけは!

下半身は、はっきり言って()()だにゃ!

八本の蛸足が、キモく蠢いてるにゃ!

 

戦闘開始(ゲーム・スタート)!』

審判のコールにより、戦闘開始。

 

「けけけ…昇格(プロモーション) 女王(クィーン)!」

 

ひゅん…!

 

まだ遠い間合いから、数本の蛸足を伸ばして攻撃してくる、ナベリウスの兵士(ポーン)のリー。

尤も それ等は、全部 躱してるけど。

それでも手数(足数?)だけは多く、自分(こっち)の間合いに入らせてくれないにゃ!

女王(クィーン)への昇格(プロモーション)は、伊達じゃ無いにゃ!

 

≫≫≫

 

ひゅぅん…ひゅん!

 

戦況は、互いに羽を広げての空中戦に突入。

刺突か、はたまた捕縛狙いか…

迫りくる8本の蛸足を掻い潜り、漸く懐に入ると、

「にゃーっ!」

 

斬!

 

「ぎゃっ?!」

猫の爪を伸ばし、更には それに、仙氣をコーティングさせての斬撃!

一瞬にして前側の蛸足4本を斬り落としたけど、

 

にゅいんっ!

 

コイツ、一瞬にして再生しやがったにゃ?!

 

しゅぃんっ!

 

「…………?!」

そして その足でまた、直線的な鋭い突きや、大きく弧を描いての、背後からの攻撃を繰り出してくる。

 

「けけけ! 俺達ゃボスから、お前さんと当たった時は、存分に嬲った上で 犯れ 殺れって言われてるんでな!」

はあ!? こ、コイツ、今 何て言おうとしたにゃ?!

わ、わわわ…私は触手プレイなんて趣味は、持って無いにゃ!!

しかも、()()()() ()()だなんて、絶対に御断りだにゃ!!

 

「………………………。」

こうなったら 仕方無い。

奥の手兼、最終奥義だにゃ。

只でさえ『あの技』に似ていて、仲間からはネタ技www…とか言われて弄られ、現在 絶賛封印中だけど、この儘じゃマスターにより強制辞退(リタイア)されかねないし、そんな事 言ってる場合じゃ無い。

赤龍帝ちんも同じ様な技、使うらしいし、良いにゃ!

公式の場では、本邦初公開だにゃ!

 

◆◆◆

白音です。

黒歌姉様、もしかして貞操のピーンチ!…ですか~?

そう云えば、日本の『春画』に、()()()()()が有りましたよね?

海女さんが大蛸に捕まり、〇〇〇(バキューン!)されてるヤツ。

全く…姉様も既に(本人非公認ながら)ファンクラブが在り、ダンディな おぢ様から同年代のイケメン、美少年なショタ君まで、選り取り見取りじゃないですか?

さっさとファンに手を出していれば良い物を、変に体裁やイメージとかに拘るから、何時までも処女ってるんですよ。

…って?

 

「…何だ? 黒歌さんの動きが、変わった?」

イッセー先輩も、気が付きましたか。

その通り。

端から見れば、変化は無い様に見えますが、あれは身体中に、仙氣を過剰に通い巡らせていますね。

"氣"に精通している者でないと、判らない程の変化。

イッセー先輩は、ラダマンティスさん指導の『龍氣』の鍛練も受けていたので、分かったのでしょう。

 

「にゃあぁぁぁ…っ!」

そして高速飛行で距離を置き、練っていた仙氣を更に増大させる黒歌姉様。

左手で右手首を掴み、正面、触手責めを狙ってくるタコ男に右掌を前方へ突き出し…って、あの構え、もしかして…?

 

「喰らえ! にゃんにゃん波ァッ!!

 

弩っ轟々々々々々々々々々々々々っ!!

 

やっぱりです!

姉様(このヒト)、右手から仙氣功(ビーム)、出しちゃいました!

 

「ド、ドラゴン波…だと…?」

これには似た様な技(元はマンガの技)を使う、イッセー先輩も驚き。

兎に角この にゃんにゃん波?は、迫る8本の触手諸共に、ナベリウスの兵士(ポーン)を吹き飛ばしたのでした。

 

『ツォネ・ナベリウス選手の兵士(ポーン)戦線離脱(リタイア)です。』

 

▼▼▼

◆◆◆

『くっ…

ら、ライザー・フェニックス!

一騎打ちだ!』

どうも。リアスよ。

黒歌も勝って、残るは自分1人。

いよいよ以て、後が無くなったツォネ・ナベリウス。

マイクを取り出し、ライザーとの一騎打ちをアピールしたけど、

 

ブーブーブーブーブー!!

 

これに対して、スタジアム全体から、ブーイングの嵐が。

 

「そりゃ、当然でしょ。

今まで あんだけボロ負けしといて一騎打ちって、虫が良過ぎますよね?」

よねー?

ナベリウスからすれば、余計な疲弊は避けて、(ライザー)と戦りたいのでしょうけど、あの発言は せめて、互いに一度は、下僕全員をバトルに出して、それで互角の展開だった時に言う台詞よね。

確かに両者、下僕は全員出したけど、ライザー側の完全勝利だったじゃない。

 

『ふっ…』

ライザーも、それに返事をする如く、マイクを持って不敵な笑みを浮かべた。

 

『おいおい?

寝言 言ってんじゃねーぞ?

そんなに俺とバトりたきゃ、"⑫"出すか、(こっち)の下僕の皆さん、全て片付けてからにしてくれ。』

そして一騎打ちには、応じない姿勢を見せる。

 

「まあ、『良ろしい、ならば一騎打ちだ!』なら、最初から それ、すべきですよね?

圧倒的不利な中、まだ勝つ気でいる事は、良い事なんだろうけどさ?」

「諦めたら其処で、試合終了だにょ。」

一騎打ちが為されない場合、ルールでは両者がダイスを振り、例えば その合計が⑦だった場合、自分1人のツォネ・ナベリウスは、無条件で戦闘に出るけど、ライザー側は駒価値⑦の下僕…例えば騎士(ナイト)僧侶(ビショップ)兵士(ポーン)1人ずつの組み合わせを出したりする事になる。

ライザーが戦闘に出るには、ダイスの合計が彼の駒価値である⑫になるか、ライザー側も、残りが彼1人だけになった時。

 

『…しかし、だ。』

…でも此処で、ライザーは更に悪そうな笑みを浮かべ、言葉を続け出した。

 

『確かに普通なら、そんな馬鹿げた訴えに応じる事は無い!

しかし、今回は…

はい、中継カメラさん、西側客席の真ん中をアァーップ!』

…え゙?

 

「「「「「「お、おぉおおおぉ~~~~~!!」」」」」」

ライザーの一言で、スタジアムの巨大スクリーンに、西側客席の中央…即ち私達ってゆーか、私の姿が映し出された!

余りの不意打ちに、一瞬 何が起きたのか解らず、間抜け顔しているのが弩アップに!?

は、恥ずかしい~~!!

いや、良いから!大歓声拍手喝采なんて、要らないから!!

 

『…見ての通り、今日は この俺の、可愛い可愛い婚約者も、観戦に来てくれているんだ。

そうなると、やっぱし良い処、見せたくね?』

 

うおおぉおぉぉお~~!!

ヒューヒューヒューヒューヒュー♪

 

この発言に、大歓声と囃し煽るような口笛の大乱舞。

…って、お、お馬鹿ぁっ!

何、大観衆の前で恥ずかしい事を言ってんのよぉお?!

 

「あ~らあらあらあら♪

流石は冥界屈指の、バカップルですわね♡」

「バカップルですね。」

「バカップルです。」

「バカップルだ。」

「バカップルですぅ。」

「バカップル。」

「バカップルだにょ。」

しゃ…しゃあらっぷ!

 




 

ガイ・ブラック…黒木凱(シュラト)
ノー・ネーム=ジョーカー…ジョーカー(烈火の炎)
レノ…レノ(FFⅦ)
更木剣八…更木剣八(BLEACH)
アパチャイ・ホパチャイ…アパチャイ(ケンイチ)
 
マルチェロ…マルチェロ(ドラクエ8)
バリクナジャ…バリクナジャ(ドラクエ7)
オピュクス…蛇手男(ドラクエ5)
ヨシキィ…パペット小僧(ドラクエ8)
リー…オクトセントリー(ドラクエ6)
 
…の、イメージで。
 
②剣八さんは3話、アパチャイは8話の時点で、眷属入りは決定でした。
 
③次回で、レーティング・ゲーム編、締めます。
 
 
感想よろしくです。
 


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炸裂!究極の必殺技!!

 
改めて、ライザー眷属の紹介。
( )(かっこ)内は、モデルと その登場作品。
 
(キング)
ライザー・フェニックス
 
女王(クィーン)
ユーベルーナ・フールフール
 
戦車(ルーク)
ミリアルド(ミリアルド・ピースクラフト:ガンダムW)
DIO(ディオ・ブランドー:ジョジョ)
 
騎士(ナイト)
イクス(エクスカリバー:ソウルイーター )
ガイ・ブラック(黒木凱:シュラト)
 
僧侶(ビショップ)
黒歌
カール・キグヌス(カル=ス:BASTARD!!)
 
兵士(ポーン)
イル・アップシーダ
ネル・アップシーダ
ラダマンティス・バゥ(ラダマンティス:聖闘士星矢)
シルバー(堂島銀:ソーマ)
更木剣八(更木剣八:BLEACH)
レノ・ダークウォーカー(レノ:FFⅦ)
ノー・ネーム=ジョーカー(ジョーカー:烈火の炎)
アパチャイ(アパチャイ:ケンイチ)
 
う~む、約43㌫か。
 
※ユーベルーナ、イルネルの姓は、小説オリジナル。
   
【今回の予習】
ツォネ・ナベリウス…ザムザ(ダイの大冒険)
…のイメージで
 


 

ら・い・ざっ!!

ら・い・ざっ!!

 

◆◆◆

イッセーだ!

ローマの格闘場(コロッセオ)みたいなフィールドにライザー様が登場と同時、俺達が座っている『ライザー・シート』だけでなく、スタジアム全体から、凄まじいライザー・コールが鳴り響く。

"地響きが起きる程の足踏み(ララパルーザ)"、再び。

改めてライザー様、凄い人気だな。

相手のツォネ・ナベリウスさん、完全にアウェイだよ。(笑)

誰でも良いから、1人でも…一言で良いからさ、『なっべりうす!なっべりうす!』とか言ってやれよ。

…え?俺?

いやいやいやいや、俺がライザー様を差し置いて、相手側を応援する訳には、往かないでしょ?

 

試合開始(ゲーム・スタート)!』

ノー・ネクタイでダークワインレッドのスーツ、見掛けは何処のホストですか?…なライザー様と、貴族仕様な魔術師系ローブ姿のツォネ・ナベリウス。(今回は敵側なので、呼び捨てさせて頂きます。)

審判の試合開始の合図と共に、両者は距離を空けた儘、その場で魔力を練り、

「ハァっ!」

ナベリウスが左掌から、特大サイズの魔弾を放つ!

いきなりの大技だ!

 

「皇鳳焔!」

それに対してライザー様も負けず、代名詞代わりな鳳凰を象った火焔弾を、右手から撃ち出した!

 

業っ!!

 

この2つのパワーは互角。

衝突した2つのエネルギーは、両者の中心で拮抗し、燻り合っている。

これ、少しでもパワーバランスが乱れたら、弱まった方に全部エネルギーが襲い掛かるパターンのヤツだ!

 

「ふっ…!」

「…………!?」

しかし 此処でライザー様が左手から、()()()を撃ち放った!

 

ボボボォボ…ボォボボッ!

 

2匹目の火の鳥は、先に放たれた最初の火の鳥と融合し、1匹の巨大な炎の鳥となる。

そしてナベリウスの放った魔弾を呑み込むと、その儘 前へと翔び立つ。

 

轟々々々々々々々々々々っ!

 

「ぎゃっ?!」

『超・皇鳳焔』とでも言うべきか、この巨大炎鳥はナベリウスに直撃。

 

「ぐぐ…」

それでも其処は、上級悪魔貴族。

かなりのダメージは受けたみたいだけど、まだ致命傷には ならなかった様で、顔を歪めながらも立ち上がり、一度 体勢を整えようとしたのか、空中へと回避。

 

「覇ァッ!」

 

バサァッ!

 

それを見たライザー様、今度はフェニックス特有の炎の翼を広げ、それで自身の体を包み込んでの突撃。

炎の弾丸と化した身体での体当たりだ!

 

「ちぃっ!」

 

パババッ!

 

ナベリウスは咄嗟に幾重もの魔方陣障壁(シールド)を張るが、ライザー様は それをお構い無し、薄紙を破るかの様に、悉く燃やしながらの前進。

 

究極煌皇不死鳥爆焔撃(アルティメット・フェニックス)!!

 

ドッガァアッ!

 

「ぐわあああーーっ!!?」

そして直撃!吹き飛ばされるナベリウス。

それでも審判からの、退場(リタイア)のコールは無い。

 

「ぐ…グゾ、がぁ…!」

あの魔方陣障壁(シールド)が、あれでも多少は効果が有ったのか、必殺には至らなかったみたいだ。

 

「それにしてもライザー様、ノリノリですね。」

「そりゃあ、婚約者(ぶちょう)が観ているから、ね。」

「パワーofラヴだにょ。」

「お馬鹿な事、言ってんじゃないの!」

 

◆◆◆

ライザーだ。

このツォネ・ナベリウス、前評判通り、防御と云うか、タフさだけは、ランキング上位に数えても遜色無いな。

…しかし、それだけだ。

最初の攻防から、火力は大した事が無いのは、はっきりした。

余程な奇策を仕掛けられたりとか、此方が舐めプしない限りは勝てる!

…てゆーか此処で俺がコケたら、下僕達(アイツラ)が…特に、剣八、DIO、そしてイクス!

奴等が何を言ってくるか、分かったモンじゃないからな。

そしてそして何よりも、リーアたんが応援してる中、無様を晒せるかって話だよ!

 

≫≫≫

「ちぃっ!」

 

シュババババァッ…ボゥワッ!

 

ナベリウスが魔弾を連発で放つ。

しかし それは、戦闘開始直後に出した、特大の それでも無く、かと言って、高濃度の魔力を圧縮した訳でも無い。

単に、手数で攻めているだけだ。

そんな()()攻撃は、爆炎の障壁で十分に対処出来る。

 

≫≫≫

「どうしたどうした? そんな生半可な攻撃では、俺は倒せんぞ?…哈ァッ!」

地上での接近戦に持ち込み、挑発しながら閻熱拳(ヒート・ナックル)を打ち込むが、ツォネ・ナベリウスは巧みにブロック。

クリーンヒットは許してくれない。

 

「だ…黙れぇ、ライザー・フェニックス!

貴様は…貴様だけは…

我がナベリウス家はなぁ、貴様の処の下僕のせいで…!!」

ん~ん? それって もしかしなくても、黒歌の事だよな?

 

「あのクソ猫のせいで、ナベリウス家は魔王様からの信用を失い、それに伴い、今まで関係を持っていた商人達とも、次々と支援を断ち切r

「いや、だから それって全部、黒歌でなくて、()()()のせいだろ?」

「喧しいわ!!」

いや、マジに全部、お前が原因だろ?

お前が黒歌との契約、破ろうとしたのが、全ての始まりだろ? 

ついでに その事でナベリウス家当主が、魔王様達に『黒歌が魔力暴走させて逃亡したので処して下さい』…とか嘘吐いて それが即バレ(笑)したからだよな?

そりゃ、信用無くしても仕方無いぜ。…っとぉ??!

 

◆◆◆

イッセーだ!

何やら会話しながら、ライザー様が燃える拳(滅っ茶苦茶 (いた)いヤツ)を放つが、ナベリウスは これを防御。

そして次は、ナベリウスの攻撃?

ライザー様の足下に、巨大な魔方陣が浮かび上がった!

 

ぱっくん…

 

え…?!

…と、思っていたら、其処から出てきたのは、巨大な"蝿捕り草?"…みたいな植物!

一瞬にして、ライザー様を食べちゃった?!

 

「ぎゃーっははははははは!

ど、どーだ、見たか!フェニックス!」

大逆転勝利を確信したのか、どや顔で高笑いするナベリウス。

 

「これは、爆散ですわね。」

「苦しんで吐き出すパターンです。」

「違いますよ。

派手にボワッて燃え上がって、灰すら残らないヤツですよ。」

「そうね。そして其処から、何事も無かった様にカッコ良く♡姿を見せるのよ。」

しかし俺達は、(だーれ)も心配なんて、していない。

これで終わりだなんて、全然 思っていない。

次の展開を予想し合っていたら、

 

ボッボボゥ…!

 

巨大蝿捕り草は いきなり大炎上、大きな火柱となり、

『アンギャォオ~!?』

 

バッサァッ…!

 

「ななな、何とぉ~~~~~~~?!」

断末魔を上げるべく、大きく開いた口の中から、翼を広げたライザー様が、勢い良く翔び出した!

直後、蝿捕り草は、完全に焼滅だ。

 

「キャーッ!♡

だ・か・ら・言ったじゃないの!

キャーッ!キャーッ!♡」

完全に目が『(はぁと)』になって、はしゃぐ部長。

 

「ば…馬鹿なぁ!?」

そして、間抜け面で驚くナベリウス。

いやいや、植物って、炎の使い手のライザー様とは、相性悪いでしょ?

 

「ふっ…

どうせなら もう少し、強力なヤツを喚ぶべきだったな!」

「な、何おぉ?

ウチの研究機関が造った、超強力品種だぞ?!

最強なヤツだぞ!?」

「…成程。

つまりはツォネ・ナベリウス!

貴様の手札は打ち止めと云う事だな!

ならば、そろそろ終わらせるとしよう!」

 

ボッボボボッボボゥゥワッ!

 

ライザー様の身体全身から、膨大な炎が溢れ出る。

その炎をライザー様は身体全体に纏い、それは正しく不死鳥(フェニックス)

眩く燃える巨大な翼を広げる鳳に…己自身を得意技である、『皇鳳焔』と化すが如くに姿を変えた。

 

「ひぇっ?!」

それを見たナベリウスは、空中へと逃げ出すが、

 

ボォッワサッ!

 

巨大皇鳳焔(ライザーさま)は、それを逃す心算は無いとばかり、高速飛翔しての追撃。

逃げるナベリウスに対して、獲物を狙う猛禽の様に、標準を確と合わせての突撃だ!

かっけーっ!

 

真・究極煌皇不死鳥爆焔撃(アルティメット・フェニックス)ーーーッ!!

 

弩っ轟々々々々々々々々々々々吽!!

 

「ぬわーーーーーーーーーーーっ!?」

そして燃える嘴が、翼が、鉤爪が、ツォネ・ナベリウスの体を貫き、斬り裂き、引き千切った。

 

『ツォネ・ナベリウス選手、戦闘不能(リタイア)です。

(キング)であるツォネ・ナベリウス選手が戦線離脱(リタイア)した事により、このゲーム、ライザー・フェニックス選手の勝利とします!!』

実況席から、ライザー様の勝利が告げられる。

 

うおおおおおおおお~っ!!

ら・い・ざっ!!

ら・い・ざっ!!

 

ドドドドドドドドドドドド…

 

客席からは、大歓声とライザーコール、そしてララパルーザが止まらない。

 

「…うっとり♡(♡∀♡)」

そして部長も、完全に婚約者様の勇姿に心酔しているよ。

 

≫≫≫

『…さて、ライザー・フェニックス選手。

今日の勝利、おめでとうございます!』

『あぁ、ありがとう。

そして応援してくれた会場の皆、あ~りがとぉお~!』

そして戦闘フィールドが、極々普通の闘技台に戻り、ライザー様への勝利者インタビューが始まった。

 

▼▼▼

◆◆◆

「ら、ライザーの、お馬鹿~っ!!

大勢の前で、いきなり何を言い出すのよ~!?」

「はっはっは…ノリ?」

黒歌だにゃ♪

現在、控え室にてマスターと お嬢が また、夫婦漫才をしているにゃ。

何が原因かと言えば、マスターがバカ主(元)をやっつけた後のインタビューの途中、リポーターが客席の お嬢に触れた時に この男 調子ぶっこいて、その お嬢に向けて『リ~ィアスゥ~! 愛してるぞぉ~っ!!』とかマイクパフォーマンスしちゃったのだ。

その後は御約束と云うか、会場全体から やんややんやの声援や ひゅーひゅーな口笛が、このバカップルに浴びせられ、お嬢赤面…な訳にゃ。

 

「あれって、大丈夫なんですか?」

赤龍帝ちんが少し心配そうにしてるけど、問題無ゃいにゃ。

お嬢はチョロいから、何時も最後はマスターが甘い言葉を掛けて轟沈、それで終わってるにゃ~www

 

「お…お馬鹿ぁ…」

ほら、終わった。

てゆーか、はい、お嬢、墜ちたにゃ。

そして ()()()()()() ()()()() ()()()()から、皆の分のブラックコーヒー、用意しとくにゃ~♪

 




 
【次回予告!】
「ふん…頼むから、死ぬなよ?小僧?」
「い、いやぁあああ~ぁっ?!!」
 
次回『地獄(がっしゅく)、再びです?!』
乞う御期待!
 
感想よろしくです。
 


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ライザー・ブート・キャンプです!

 
久し振りのアップです。
 


▼▼▼

やぁ、イッセーだ!

ライザー様の試合の3日後。

俺達は今、フェニックス城を訪れている。

目的は8月末に行われる若手悪魔同士のゲームに備えての、合宿に来たのだ。

因みに対戦相手はサーゼクス様曰く、「その日になっての お楽しみだよ♪」…だとか。

個人的には生徒会長さん…失礼!ソーナ・シトリー様のチームと戦いたいって気持ちは有る。

シトリー眷属の匙は、同じ1年で同じ兵士(ポーン)、そして同じドラゴン系神器(セイクリッド・ギア)を持つ者として、思いっきり戦り合ってみたい。

尤も どういうマッチメイクになるか、当日までは分からないからな~?

(‐人‐)…とりあえずサイラオーグ様とだけは、絶対に当たりませんように…南無南無…っグギャァァッ!?

し、しまった…ついつい祈ってしまい、頭が…

 

≫≫≫

「よっ、皆、よく来たな。お疲れさん。」

城内のロビーで待機していると、ライザー様が使用人さん?を何人か引き連れて やってきた。

 

「とりあえずは彼等に、君達が寝泊まりする部屋を案内させるから。

…で、荷物を置いたら直ぐに着替えて、中庭に集合だ。」

 

▼▼▼

はい、引き続いてのイッセーです。

訓練着…グレモリー家から支給された、超丈夫なジャージですけどね…に着替え、中庭に出向くと、ライザー様と眷属の皆さんが何人か…それから、初めて見るヒトが何人か、既にスタンバっておられました。

 

「…それじゃ、早速だが今回の、最初の割り振りを言うぞ。」

ライザー・ブート・キャンプは基本、マンツーマン。

場合によっては、1人に2人以上が付き添っての訓練となる。

5月の時は、最初は俺にライザー様と もう1人、ラダマンティスさんが付いたんだよな…って、あら…? 何だか思い出しただけで、涙が出てきました。

 

≫≫≫

「それじゃ よろしく、頼むぅ~ぅよ?」

「は、はい!よろしく お願いします!」

今回のアーシアの指導役は、道化師っぽい衣装のヒト…ロズワールさんだ。

この人は来年の話だが、レイヴェル様が悪魔の駒(イーヴィル・ピース)を授かった時、彼女の僧侶(ビショップ)になるのが決まっているとか。

 

「それでは行くぞ、小娘。」

「よろしく お願いします。」

白音ちゃんを教えるのは、漢さんと云う猫系妖怪?だ。

白音ちゃんや黒歌さんと違い、見た目は喋る以外は普通に猫100㌫な漢さん。

和っぽい名前だけどエジプトの生まれで、やはりレイヴェル様の眷属候補だとか。

 

「それじゃ、ガンガンいかせて貰うでありんすよ?」

「は…はい!」

そしてギャスパーの相手は、シャルティアさんという美少女!

ロズワールさん漢さん同様、レイヴェル様の眷属候補だ。

因みにギャスパー君、相手が天敵(DIOさん)じゃないからか、凄く嬉しそうに、元気に返事してました。

リアス部長にはユーベルーナさん、朱乃さんにはカールさんが、木場にはガイさん、ミルたんにはアパチャイさんが、それぞれ付く事に。

そして俺に修業を付けてくれるのは…

「頼むから死ぬなよ…小僧ぉ?」

「この私から教えを受けるのを、至極光栄に思うが良い!

ん?…何をしているのだ?

早く膝を着き、感謝の意を示すが良い!

へいへいHey!ハリー!」

「…………………………。」

い、いやぁ~~~~~~っ!(」゚O゚L)

…&、ウゼェ…!(=Д=)

先日のゲームで鬼っぷりを見せて下さった更木剣八さんと、 ウゼェクスカリバー イクスさんでした。

 

▼▼▼

「むきゃーっ!?

死ぬ! マジに死ぬる!!」

「だから死ぬなと言ってるだろーが!

逃げてばかりだと、逃げ足しか鍛えられねえぞ!!」

…はい、まだまだイッセーです。

 

斬!…どっすぅん!

 

森の中、大鉈みたいな刀で木々を伐採、思いっきり自然破壊をしながら迫る更木さんから逃げる俺。

いや、あんな凶悪殺人犯みたいな笑顔で迫られたら、普通は逃げますよね?

 

「何をしている!

さぁ、早く私の動きを見切るのだ!

見事 私を掴む事が出来たら、更木に対抗し得る剣として、お前に力を貸してやろうではないか!

この誉れ名高き伝説の聖剣!

エェックスキャァリヴァ~♪がなぁ!」

 

ウゼェエっ!!!!(=Д=)

 

そして この白い謎生き物が、聖剣形態でソード・ファン〇ルみたいに高速飛行で追い掛けてくる!

…一応 今回の修業、今は所謂ウォームアップ。

俺が剣を手にしてからが、本当の修業らしいけど、冗談じゃない!色んな意味で!!

 

「…!」

そんな風に考えていると、まだ森の中だけど木の生えてない、広い場所に出た。

 

「ふははは! 死ねやぁ!小僧ォッ!!」

「さぁ、観念するが良い!」

…多分だけど、どうやら俺は この場所に誘導されていたみたいだ。

広場の中央、後ろからは更木さん、前からは回り込んだ糞聖剣が、迫ってくる。

タイミング的に、エクスカリバー(呼び捨てですが、何か?)の方が近く、そして早い!

…成る程。

そういう事ですか。

はいはい、解りましたよ!

 

ガシィッ…ガィィンッ…!

 

「ぐっ…!」

「ほ…ぅ…?」

突進してくるウザイ剣を最小限の動きで躱し、その柄を握り締める。

そして振り向くと同時、一刀両断してきた更木さんの斬撃を、この剣で受け止める!

凄く重い一撃だ!

これ、模擬戦とか手合わせのレベルじゃないですよ?!

 

「くっくくく…

やるじゃねぇかガキ…

だが、これからが本番だ!

さあ、構えろ!」

殺る気満々だった一撃(…恐らくだけど間違い無い)を受け止められたが、それを逆に、嬉しそうに笑う更木さん。

大鉈の切っ先を俺に向け、剣を構える様に指示。

 

「あ、はい…

でも、少しだけ待って貰えますか?」

「あ゙?!」

俺の「ちょっと待って」に不機嫌そうに、ヤ〇ザ顔が更にヤク〇゙顔になる更木さんだが それはスルー。

 

ずん…ずずずず…

 

「…はい?」

とりあえずは この剣を真っ直ぐ地面に突き刺し、刀身の根元まで埋める。

 

「をぉを~ぃぃ…君は一体、何をしているのかぁ~ぁな?」

クソカリバーが何だかロズワールさんみたいな口調で聞いてくるが、そんなの無視だぁ~ぁよ!

 

ズシィッ!

 

地面に残った柄尻に踵を真っ直ぐ落とし、完全に この聖剣を地中に埋めてやった!

 

「…アスカロン!」

 

シャキィッ!

 

そして取り出したのは、赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)に収納されている聖剣アスカロン。

三大勢力の会談にて和平が結ばれた後、その一貫として天界のミカエル様から譲り受けた剣だ。

 

「グッククク…

ギャーッハッハッハッハッ!!

面白え!最高だぜ、お前!!」

それを見た更木さん、不機嫌から一転の大笑い。

心の底から面白がっていのは分かりますが、顔が更に怖くなっています。

 

「ククク…小僧、名前は?」

そして俺の名前を聞いてくる更木さん。

 

「兵藤…兵藤一誠です。」

「ほぉ~う? 一誠…一誠か。

…なかなか、良い名だな。」

「そ、そうですか?」

「応よ。俺の知ってる限りじゃ、"一〇(イチなんとか)"って名前の奴ぁ、大抵 出来る奴なんだよ。」

「そ…そうなんですか…」

えぇーと…もしかして、誉められてます?

 

「…で、兵藤一誠。

その剣、腕に組っ付けてないで、取り外しは出来ないのか?」

「は…はい、可能ですけど…」

更木さんに言われ、所謂ドラ〇ンキラー状態のアスカロンを籠手から外し、普通の剣の様に構えてみせる。

 

「よーし、それじゃ この俺がイッセー!

お前に教えてやるよ、"剣道"って奴をなぁ!!」

「………………………………………。」

更木さんが今日 最恐 最高な笑顔で言ってきました。

どうやらアスカロンを出したのは、悪手だったみたいです。

 

「おぉ~い君達~?

先に この私をどうにかしてくれたら、凄く嬉しいんだけどな~?」

(∩゚д゚)アー、キコエナイキコエナーイ

  

▼▼▼

「ぅぅ…怖かっだ…怖かっだよ~…」

「はいはい、イッセー先輩よく頑張りましたね。」

「イッセーさん、もう大丈夫です。

怖くないですよ?」

「あらあらあら♪」

どうも、白音です。

日も暮れて、お城に戻ってきたイッセー先輩。

私達を見た瞬間、いきなり朱乃先輩に泣きながらのダイビング・ハグ。

そして今は私に膝枕。

余っ程な修業だったのでしょう、完全に幼児後退しています。

朱乃先輩とアーシア先輩、3人で頭撫で撫で あやしていますが…とりあえず剣八さん、殺り過ぎです。

 

「ぅぅう~…シャルティアさん、凄く怖いですう~…!」

ついでにギャー君も あの女の人にトラウマを植えられたみたいですが、大丈夫ですかね?

 

≫≫≫

「皆さん、お疲れ様でーす。」

「夕食の用意が出来たから、食堂に集合だってさー!」

とりあえずイッセー先輩やギャー君も落ち着きを取り戻した後、1度 解散して お風呂で汗を流した後、広間に集合。

部長を除く皆で今日のハードさを互いに語り合っていたら、イルちゃんネルちゃんが食事が出来たと、呼びに来ました。

 

いよっしゃあぁーーぁっ!

 

待っていました!シルバーさんの料理!

今回の合宿、これだけを心の支えに挑んでいるのです!

 

▼▼▼

「…今回の若手の中で最も厄介なのは、やはりサイラオーグだ。」

はい、何とか復活したイッセーです。

食事の後は、ライザー様の戦術指南と今回のゲームの対策です。

ライザー様が最も要注意としてるのは やはり、若手悪魔最強の呼び声高いサイラオーグ・バアル様でした。

はい、正直な話、今の俺達じゃ勝てるイメージが浮かびません。

  

「それから今回、ソーナ・シトリーには、堕天使総督のアザゼル殿が監督に就いたそうだ。

かなりな強敵に仕上がってるだろうな。」

「「「え?」」」

「「何ですって?!」」

あ、アザゼル先生が?

ちょ…あのヒト、オカ研の顧問ですよね?

どうして生徒会側に付くんですか?

 

「レヴィアタン様からの要請らしい。

…で、総督殿が言うには、リアスには俺が付いてるってのも有るが、『面白そうだから』…が、一番の理由らしいぞ?」

あ~、そうですか…。

『面白そう』ですか、納得しました。

あの先生、正体隠していた時から、そーゆーキャラでしたからねー。

 

◇◇◇

 

~その頃のシトリー城~

 

「や、止めろぉっ!?

ちょ、マジに止めましょうよ?!…って、聞いてます?」

「くっくくく…大丈夫だ、直ぐに終わる。」

 

飾り気の無い石製の床と壁の暗い地下室で、クリーム色の髪の少年がベッドに拘束され、それを前髪が金色、横と後ろは黒髪の男が邪悪な笑みを浮かべて見ていた。

 

「先ずは左目…だな♡」

「い、いやぁ~~~~~~っ?!!」

 

◇◇◇

▼▼▼

はい、イッセーです。

合宿2日目の朝ですが…

 

「ん…んん~…」

「すやすや…」

「むにゃむにゃ…いっしぇーせんぱいの〇〇ぽ、おいひぃれしゅう…」

うおをぉぃ!? 白音ちゃんは どんな夢を見ているの?

そう、ベッドの上には朱乃さんアーシア白音ちゃんが居るのだ!

いや、昨日、この部屋に案内された時…皆 個室だったんだけど…ベッドが無駄に大きいとは思っていたんだよ!

風呂に入った時、木場達に然り気に聞いてみたら、自分達は普通の大きさって言ってたし!

これ絶対、ライザー様の仕込みでしょ!

因みに女の子達、普通にパジャマとか寝間着、着てますよ?

あんな超ハードな修業の後、夜に また大暴れ出来る様な体力なんて、残ってる訳が無いですから!

ナニ事も無かったよ!

単なる添い寝ですからね!

 

「すいませんイッセーさん…

私の神器(セイクリッド・ギア)は、体力の回復は出来ないんです…」

アーシアは何を言ってるの?

 

「私の房中術も、アレは体力の回復でなくて分け与えですから…

黒歌姉様が居たら良かったのですが、姉様は昨日から仕事で外出中らしいですから…」

白音ちゃんも!

 

≫≫≫

「あら皆、おはよう。」

「ゃぁ…ぉはょぅ…」

「皆様、おはようございます。」

「「「「お、おはようございます…」」」」

尚、朝食前、廊下で部長、ライザー様、ユーベルーナさんと顔を会わせたのだけど、ライザー様の顔が搾られた様に窶れていたのは、見なかった事にしておきました。

 

「ついでに部長とユーベルーナさんの顔が艶々っていたのも、同様ですわ♡」

 

◇◇◇

 

1週間後…

 

▼▼▼

「よし、今日から合宿後半に入るが…」

やぁ、ライザー・フェニックスだ。

リアス達の合宿も後半に突入。

来週の若手ゲームに備え、一部コーチ役をチェンジしての最終調整だ。

とりあえず、白音君には黒歌に付いて貰って、兵藤君はレイヴェルの女王(クィーン)(予定)の()に任せるか。

それから…

 

≫≫≫

「ららら、ライザー様!お願いです!

チェンジ!チェンジを要求します!」

「なかなか失礼な小僧だな?

我輩の顔を見た途端、泣きながら交替を願うとは…」

あらら…兵藤君にレイヴェルの女王(クィーン)(予定)のネウロを紹介すると、必死な顔でチェンジ懇願してきたよ。

ん、何となく気持ちは解るが、大丈夫だ兵藤君!

相手のヤヴァさが判るのも、強さの1つだ!

 

「そーゆーレベルの問題じゃないでしょ、このヒト!

俺の第8感(エイト・センシズ)が、脳内で最大レベルの警戒感(アラーム)を鳴らしているんですよ!」

大丈夫だ!

この男の修業に耐えきれたら、サイラオーグにも勝てるぞ!…多分。

 

「い、いやぁぁぁあ~~~!!!!」

 




 
ロズワール…ロズワール・L・メイザース(Re:ゼロ)
漢…漢(鬼灯の冷徹)
ネウロ…腦噛ネウロ(魔人探偵腦噛ネウロ)
シャルティア…シャルティア・ブラッドフォールン(OVER LORD)
 
…のイメージで。
 
次回より若手悪魔によるレーティングゲーム、スタート!
 


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若手レーティングゲーム、スタートよ!

 
サブタイの通りです。
今回は やや短め。
 


▼▼▼

「2人揃ってフルボッコだなwww」

「「ほっといてくれ。」

       下さい!」

やあ。ライザー・フェニックスだ。

リアス達の凶化合宿も無事に?終了。

8月の終盤、若手悪魔6人によるレーティングゲームが、いよいよ開催された。

いや、正確には既に昨日からスタート。

1日1ゲーム、これを3日連続で行われる運びなのだ。

初日(きのう)はサイラオーグとディオドラ・アスタロトのカードだった。

ディオドラの策略を、脳筋(サイラオーグ)が正面打開出来るかが勝負の鍵と思っていたが、サイラオーグの女王(クィーン)が見事な軍師っ振りを発揮。

墜とし墜とされな互角な展開の末、最後は(キング)同士の凄絶な殴り合いでの決着だった。

そして その翌日…則ちゲーム2日目の今日、ゲーム運営が用意した若手控え室に下僕数人を引き連れて顔を出してみると、顔中に絆創膏やら包帯やらな2人が居た訳だ。

 

「それでライザー様は、どうして此方に?」

「向こうのVIPルームは、偉そうな貴族様(笑)ばかりで居心地悪くてね…

特に今日は、な…」

「「「「「「「あー…」」」」」」」

ソーナの兵士(ポーン)君の質問に応えると、それに何か察したのか、その場の皆がハモらせる。

…説明が遅れたが、今回のゲームは一般公開されず、旧王都ルシファードの城に出場選手や今回のゲームを企画された魔王様や運営等の関係者、招待された貴族が集まり、其々 用意された部屋で観戦…なスタイルだ。

俺も招待客としてルシファード入りしていたが、今日のゲームは間違い無く、貴族側の部屋に居ると 老害 余所の貴族達が逐一ゲームが動く度に俺に話し掛けてくると予想。

それがウザいから、若手の部屋に避難してきたのだ。

 

≫≫≫

AM11:45。

 

ヴォン…

 

今日のゲーム開始予定時刻の15分前、室内の巨大モニターに自動で電源が入った。

 

「む? そろそろ…ですかな?」

その2分割された画面に今日のゲームを戦う両陣営が映し出されたのを見て、シーグヴァイラの下僕の執事風な男が呟く。

画面には今日のゲームを戦うゼファードル・グラシャラボラス、そして我等がリーアたんが、下僕と何やら話しているかな画が映っていた。

因みに今日のゲームを大まかに説明すると…

 

・フィールドは核戦争後の…某世紀末救世主伝説の舞台の様な、荒れ果てた廃墟の様な街並み。

その西側にリアス、東側にゼファードルが本陣を構えている。

・両チーム、ゲーム開始までは自陣エリアを出る事は出来ない。

その代わり、自陣内の探索や(トラップ)の設置はフリー。

・東西のエリアは、巨大な城壁が分断。

敵エリアに進むには、城壁中央に建っている砦を突破しないといけない。(上空を飛んで城壁を越えるのは不可能仕様。当然、ゲーム開始前に砦の侵入も不可)

尚、この砦の最下層には、万能薬『フェニックスの涙』が1つ置かれている。

・勝利条件は敵(キング)降服(リザイン)、または戦線離脱(リタイア)

・ゲーム開始と同時、両チーム、本陣より出発、行動開始。

ゲームスタート時に本陣に不在の場合、その者は即戦線離脱(リタイア)、失格となる。

もし これが(キング)だった場合、その時点でゲーム終了となる。

 

…まあ、こんな感じだ。

勝利条件に"敵拠点制圧"が無い分、互いに本陣は放棄、攻めに重点を置ける戦略を組み込めるって処かな?

それと、中央砦のフェニックスの涙をどちらのチームが入手するか…それも今回のポイントだな(今回は事前支給は無っしング)。

 

▼▼▼

「いよいよ…ね…」

「「「「「「「はい!」」」」」」にょ!」

リアスよ。

そう、いよいよ始まる。

…私の夢。

レーティングゲームに出場して、結果を積み上げる。

今日は その第1歩、デビュー戦だ。

ゲーム開始の1時間前に本陣に転移した後、自陣エリアの地形確認や(トラップ)の設置を終わらせた後、今は改めて作戦会議中。

 

「ミリアルドさん仕込みの軍式トラップを仕掛けてきました。

但し、敵味方の識別は不可ですので、此方エリアには入らないで下さい。」

祐斗が地図に指を指しながら説明。

 

「ぼ、僕も、DIOさん直伝の罠を仕込んできました!

このエリアは危険ですから、絶対に行っちゃ駄目ですぅ!」

そしてギャスパーも続けて自分の仕掛けた罠についての説明。

…ってギャスパー?

その(トラップ)…(滝汗)

 

「あ…ありがとう…

それじゃ、今回の作戦を言うわ。

先ずは皆で この本陣を出た後…

 

≫≫≫

 

ゴォォオオオオン…!!

 

そしてPM12:00ジャスト。

ゲームスタートを報せる鐘の音が響いた。

 

「さあ、行くわよ!」

「「「「「「「はい、部長!」」」」」」」

本陣から西エリア中央付近に建つ、恐らくはエリア内で最も高い廃ビルに移動。

此処で私、朱乃、アーシアが待機して、他の皆はフィールド中央の砦へと進むのだった。

 

▼▼▼

「何々…【この砦内は、レーティングゲームのフィールド作成と同じ技術で、内部は外観よりも広い作りになっています。尚、運営側が仕掛けた罠も多数 用意していますので、注意して進んで下さい。】…?」

白音です。

砦に到着した私達。

その入口に立て付けられた看板には、そう書かれていました。

 

「また このパターンかよ…」

「あはは…そんな気もしていたけどね…」

これに、イッセー先輩や祐斗先輩が、呆れた様に話す。

()()と云うのは、昨日のサイラオーグ様とディオドラ様のゲームでも、運営サイドが仕掛けた(トラップ)が次々と炸裂。

あの温厚そうなディオドラ様が、

「糞運営が~~~~っ!!」

…ってキレた程です。

 

「まあ、注意して進まないといけないのは分かった。

とりあえず行こうか。」

「…だな。それじゃミルたん、此処は任せたぜ!」

「任されたにょ。」

此処でミルたんは、砦に入らずに待機。

反対側から砦侵入したゼファードル眷属が、此方に入り込んだ時の迎撃役です。

とりあえずはイッセー先輩と祐斗先輩は どんどん先へと進み、私とギャー君は砦最下層に有ると云う、フェニックスの涙を入手する。

これが、リアス部長の考えた作戦の第1段階です。

 

≫≫≫

「うわ…マジに広ぇ…」

「お城みたいですぅ…」

そして砦に入った私達。

その内側は看板に書かれていた通りな、広い空間。

ギャー君の言ってる通りな お城のエントランスみたいな空間です。

 

ヴォン…

 

「「「「!!?」」」」

そう思っていたら、床に魔方陣が展開されました。

 

「ひぇえっ?!」

「早速かよ!?」

其処から現れたのは、身の丈約5㍍程の巨人が1体。

しかし、只の巨人じゃありません。

鎧兜に剣と盾、漆黒の装備に身を包んでいるのは白骨ならぬ黒骨の骸骨の騎士!

ゼファードル眷属で無く、ゲーム運営サイドが用意した罠怪物(トラップモンスター)ですね。

 

ドガァッ!

 

「…っ!」

この骸骨騎士が大剣を振り下ろす。

狙われたイッセー先輩は、バックステップで回避。

重装備な巨体に似合わない、俊敏な動きです。

剣を叩き付けられ、固そうな石の床が割れて周囲に破片を飛び散らす。

 

『………………………。』

そして この怪物は、今度は私の方に顔を向けた。

どうやら次の標的は、私を選んだみたいs…

 

ひゅん…!

 

は、速い?!

さっきのイッセー先輩への攻撃以上の超スピードで距離を詰め、斬撃でなく足を大きく上げての踏み潰しを仕掛けてきた!

…まっず! これは躱せない!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……………………………………………。

 

 

「大丈夫かい、白音ちゃん?」

「祐斗…先輩…?」

視界が急に変わりました。

あの不死の騎士(アンデッドナイト)の足の裏で視界が真っ黒に被われていた筈なのに、それが いきなり祐斗先輩の顔に切り替わってました。

 

「だ…大丈夫? 白音ちゃん?」

「ギャー君…」

あー、そーゆー事ですか。

巨人に踏み付けられる直前、ギャー君が()()()()()()()()、その攻撃を無効化。

そして祐斗先輩が私を回収、安全圏まで避難した訳ですね。

 

ガィン!

 

「うぉっ?!」

そして敵は またイッセー先輩に攻撃していました。

大剣のフルスィングをドラゴンの鎧を纏っての、両腕でのガード。

ダメージは少ないみたいですが、体重差でしょうか?

 

「あ痛たたた…」

思いきり吹き飛ばされ、派手に壁に激突です。

その衝撃で石壁にクレーターが。

 

「「「イッセー君!」

       先輩!」」

「あぁ、大丈夫だ!」

慌てて先輩の元に駆け寄りますが、イッセー先輩は心配無用とサムズアップ。

 

「あの化け物、確かにパワーとスピードは凄いが(テク)とかは てんでザルだ。

ついでに魔法や吐息(ブレス)とかの広範囲攻撃も持ってないだろう。

頭も余り良くないっぽいし…

散開して距離を取り、3方から遠距離攻撃すれば どうにかなる!…多分!」

そして自己なりの分析。

…少し自信無さ気で最後が締まりませんでしたが、この戦闘の攻撃方針が決まりました。

 

「よし、行こう!」

「応!」「「はい!」」

さぁ、反撃開始です!

 




  
【次回予告】
 
「チェンジ!」
「ざけんな!」
 
次回『漆黒の首無し騎士!(予定)』
乞う御期待!
感想よろしくです。
 


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運営の罠!

 
さぁ、バトル開始だ。
 


▼▼▼

 

『ゼファードル・グラシャラボラス様の兵士(ポーン)1名、戦線離脱(リタイア)です。』

「「「「!!?」」」」

どうも、初めまして…ですね。

僕は木場祐斗。

リアス・グレモリー様の騎士(ナイト)です。

ゲーム運営からの罠怪物(トラップモンスター)との戦闘中、突然のアナウンス。

 

「どうやら相手さんも砦に入った早々、骸骨騎士(コイツ)に襲われてるみたいだな!」

「…の、様ですね。」

ん。それで向こうは1人、あのモンスターに殺られたんだね。…っ!!

 

ドガァッ!

 

そんな風に考えてると、この怪物は僕に対して攻撃。

それを躱して距離を空けると、今度は

「ひぇっ?!」

「………!!」

ギャスパー君と白音ちゃんに向かって突撃。

…! そうか! 多分だけど あのモンスターは()()()()()()()()()を攻撃対象にしている様だ?

 

「イッセー君!」

「応! こっちだよ!バァーッカ!!」

 

ダダダッ…

 

イッセー君も それに気付いたのか、僕の呼び掛けに応じ、2人で あの怪物に距離を詰めると

 

ドォン!

 

「危なぃっ!」

やはり推測は当たったかな?

今度は また、僕に体を向け直して攻撃してきた。

 

「ド・ラ・ゴ・ン…波ぁっ!」

 

どぉぉん!

 

此処でイッセ君ーが遠距離からの攻撃!

そして其方の方向を見た瞬間、

「ふぉ、停止世界の邪眼(フォービデドゥン・バロール・ビュー)!!」

 

ぴた…

 

「ナイスだ、ギャー助!」

ギャスパー君が自身の神器(セイクリッド・ギア)を発動させ、怪物の時間(うごき)を停めた!

 

散ッ…!

 

その隙に僕達は散開して、敵の背面と左右に位置を取り、

 

聖魔刃の羽根(フェザー・エッジ)!!」

「にゃんにゃん波っ!!」

「超・ドラゴン波ぁっ!!」

 

ゴォォォォオッ…!!

 

その3方向からの同時攻撃だ!

 

「…解除!」

そして回避不可のタイミングで、ギャスパー君が時間停止を解除。

 

ドッゴォォン…ッ!!…ずっしぃん…

 

結果、この攻撃は まともにヒットして、デスナイトは倒れ、姿を消した。

 

スゥ…

 

「「「「…!!?」」」」

そして それと同時、出現したのは所謂"宝箱"。

 

「あの怪物を倒した、ボーナスでしょうか?」

「ま、まさか、これも罠なんて事は…」

「いや、これも罠だったりしたら、マジに どんだけクソゲーだよ?!

此処はゲーム製作者としての、常識と良心を信じようぜ!」

 

パカッ…

 

そんな遣り取りの中、宝箱を開けてみると、其処には3つのタブレット端末が入っていた。

 

≫≫≫

…あの後、僕達は3手に別れた。

最初の作戦通り、僕とイッセー君は砦を抜け、東エリアを目指すべく進軍。

白音ちゃんとギャスパー君は、砦最下層に有ると云う、フェニックスの涙を入手に動く。

この砦内は本当に外からは想像が出来ない程に…迷路みたいに入り組んでいて、多数の分かれ道と部屋から構成されていた。

そして あのタブレットは、謂わば砦内部の地図。

砦内を進めば、その部分が書き足されるオートマッピング機能が備わっていた。

ついでに言えば3つの端末は連動していて、僕、イッセー君、白音ちゃん達がそれぞれ進んだ道が随時、端末に追加表示されていく仕組みだ。

 

「クルル…」

「…………!!?」

…………………………………………。

そして細い通路の角を曲がった時、僕の目の前に現れたのは人蛙(ワーフロッグ)

運営が仕込んだ罠怪物(トラップモンスター)じゃない。

あの黄色の肌と牛乳瓶底(ぐるぐる)眼鏡は見覚えが有る。

確か、夏の若手悪魔の会合の時に居た…ゼファードル眷属だ。

 

ザッ…

 

僕を見て戦闘の構えを取る黄色いカエル男。

まぁ、戦場で敵と遭遇すれば、それは当たり前なんだけどね…

それに対して僕も聖魔剣を構える。

それじゃ このゲームの戦闘(ファーストバトル)、始めようか。

罠怪物(さっきの)は数には入れない!

 

≫≫≫

 

斬っ!

 

「ク~ルルルルル~っ??!」

 

『ゼファードル・グラシャラボラス様の兵士(ポーン)1名、戦線離脱(リタイア)です。』

 

…ふぅ、思っていた以上に簡単に撃破出来た。

やっぱり さっきの怪物(トラップ)はイレギュラー過ぎるよ。

ついでに言えば、これも地獄の合宿の成果かな?

兎に角、先に進もう。

 

カチッ…

 

え?かち?

………………………………………。

何だか他と踏み応えが違う石煉瓦を踏んだと同時、何だか凄く不吉(フラグ)っぽい音が。

…と、思えば、

 

ヴォン…

 

足下に青く光る魔方陣が現れて

「うっゎわっ…?!」

 

 

……………………………………………。

気が付けば まだ砦の内側には違いないですが、全く別のフロアに転移(とば)されてしまいました、まる

 

≫≫≫

ハァ、ハァ…

あれからは最悪だった。

恐らくは砦最上階まで転移させられ、兎に角 先へと進もうとしたけど、その途中に何度 運営が仕込んだであろうトラップに襲われたか!?

いきなり壁から沢山の槍が突き出るわ刺付きの天井が落ちてくるわ金たらい(水入り)が落ちてくるわ床が突然 超強力粘着シートになるわ!

落とし穴は結果的に近道(ショートカット)出来たから大歓迎だったけど…

 

ドドドドドド…

 

そして現在は下り坂、猛スピードで転がる巨大な鉄球に追い掛けられています!

…とりあえず、僕も一言 言っても良いかな?

いや、駄目だと言われても言わせて貰うよ?

 

「クソ運営ぇ~~~ぃ!!」

 

≫≫≫

 

「ほ~う…? よく、此処まで辿り着いた。

だが、此処で終わりだ。」

「…………!!」

あの後、何だかんだで漸く砦反対側の出入口に到着。

外に出てみると、其処には あれは僧侶(ビショップ)ですね?

黒いローブの魔術師風な男が1人。

 

「私はゼファードル・グラシャラボラス様の僧侶(ビショップ)、ニグン・グリッド・ルーイン!

グレモリーの眷属よ、お前は此処で退場だ!」

成る程。

彼は此方のミルたんと同じく、砦を抜けた者の迎撃役として、此処に待機していたみたいだね。

よし、名乗られたからには僕も名乗ろう…騎士として!

 

「僕はリアス・グレモリー様の騎士(ナイト)、木b

「ふん! 消え行く者の名前に、興味は無いわ!!」

…ひ、酷くない?

 

▼▼▼

やぁ、イッセーだぜ!

あの骸骨の騎士を倒した後、俺達は3手に別れたんだけど、クッソー!、見事に転移の罠に引っ掛かっちまったよ!

タブレットの お陰で、自分の位置は把握出来てるから まだ何とかなってるけど…?!

この先、何者かの気配を感じるぞ?

この先は まだマップ表示されてないから、味方じゃない。

敵確定です。

尤も逃げる訳には往かないし、進むしかない!

木場か白音ちゃんが既に敵を倒してるみたいだし、俺も やってやるよ!

 

≫≫≫

「き、貴様!赤龍帝か!?」

「…!!」

走り込んだ先は、広い部屋だった。

その中央でバカデカい剣を背負い、漆黒の全身鎧を着た大男が立っていた。

どうやら向こうも俺の気配を感じ取り、戦い易い この空間で待ち構えていた様だ。

 

「な…何故、貴様なのだ…?」

「はい?」

そして この鎧の男は俺を見た瞬間、まるで怒った様に全身をわなわなと震わせ、拳を握り締める。

見た目からして騎士だし、多分、木場との騎士(ナイト)同士の戦いを望んでいたか?

いや、兵士(オレ)でゴメンね!

でも、もう そんな事 言ってる場合じゃないぞ!

さぁ、さっさと始めようぜ!

 

「ぐ、グレモリーは…」

「…?」

しかし俺が戦闘の構えを取っても、この男は悔しそうに話し出した。

 

「リアス・グレモリーの下僕は、美少女が沢山だと聞いていた!

だからこそ、今日のゲームを楽しみにしていたのだが…それなのに赤龍帝!

何故、貴様が現れるんだ!?

チェンジだ!チェンジを要求する!!」

「ざけんな!」

 

▼▼▼

 

タンタンタンタンッ…

 

ギャスパーです!

僕と白音ちゃんは今、最下層を目指して螺旋階段を降りているんですが、

 

ダンダンダンダンッ…

 

う、上の方から、誰かが階段を降りてくる音が!

 

「足音からして2人ですか。

やはり目当ては、フェニックスの涙でしょうね。

ギャー君、急ぎましょう。」

あ、待ってよぉ、白音ちゃ~ん!?

 

≫≫≫

「「こ、これは…」」

はい、やっと1番下?まで到着しました。

階段を降りた先は広い空間に。

そして この先に続くのだろう扉には、

 

【この先 戦闘経験の無い者、進む事 叶わず】

 

…と書かれたプレートが貼られていて、鍵が掛かって開きません。

 

「これは そのまんまの意味でしょうね。

丁度良いです。

今、階段を降りてきている人達を倒しましょう。

扉を開く条件はクリア出来るし敵は減らせる。

一石二鳥です。」

そう言って、足音が響く階段に目を向け、臨戦態勢を取る白音ちゃん。

 

「良いですね、ギャー君。

敵が見えたら、とりあえず直ぐに()()()下さい。」

「う…うん!」

 

≫≫≫

『ゼファードル・グラシャラボラス様の兵士(ポーン)1名、戦線離脱(リタイア)です。』

「やりましたギャー君、コンビネーションの勝利です♪」

「う、うん…!」

さっきの骸骨さんの時と同じく、相手の時間を停めて死角に回り込み、其処で停止解除からの攻撃。

これで先ずは1人撃破。

そして もう1人は、白音ちゃんが正面からの格闘戦で撃破。

 

ギギィ~…

 

これで条件が満たされたみたいで、扉が開きました!

そして部屋に入ると、奥側に1段高くなってる壇上に宝の箱が。

しかし、その前にはそれを守っているかの様な、兵士さんが居ました!

 

「あれって、ゼファードル様の眷属じゃないよね…」

「…てゆーか、あの鎧のマーク、"神の子を見張る者(グリゴリ)"の紋章?」

色々と疑問に思いながら、

「あ、あの~…?」

兵士さんに近付き話し掛けると、

「もし この先の宝が欲しいなら、この私を倒して行くが良い。」

 

ババァン!

 

「「えぇ~っ??!」」

いきなり兵士さんが変身!

2本角の兜の奥に、1ツ目の様な赤い光が。

右手に片刃の剣を、左手に刺付きの鉄棍。

そして尻尾にはボウガンが。

球型の下半身に足は無く、多分 魔法の力で宙に浮いているロボット?が、僕達に襲い掛かって来ましたぁっ!!?

 

▼▼▼

 

バタンッ!

 

「…っにょ!?」

ミルたんだにょ!

ミルたんはリアス様の作戦で、砦から出てきたゼファードル眷属を迎撃する為に待ち構えていたんだけど、

「やはりリアスも、同じ事を考えていたか?」

…………………!!

遂に扉が開き、敵が出てきたと思ったら、1、2、3…10人の集団だったにょ!

しかも敵のボス、ゼファードル・グラシャラボラスも居るにょ!

 

「ふん、こんな雑魚に時間を使う必要も無いだろう…

ギム! お前が相手をしてやれ!」

「ふっ…承知!」

 

ザザッ…

 

前に出てきたのは、長い蒼髪をモジャモジャパーマにした、和装っぽい服の男。

よくみれば頭の上、小さく ちょんまげにしてるにょ。

 

「俺達は先に行ってるぞ!

さっさと片付けてこい!!」

 

ドドドド…

 

刀を構える男に敵の王様は そう言って、残りの眷属達と走り去っていったけど、そっちは危ないにょ!

 

「貴様は敵との戦闘の中、余所見をしてる余裕が有るのか!?」

 

パサァァ…ッ…

 

「…参る!」

そして その様子を見ていたミルたんに、蒼髪モジャモジャ男が突然、背中から蝶の羽みたいな光を出して突然してきたにょ!

この男、妖精さんだったにょ?

 




 
次で決着…出来たら良いな~?(笑)
 
感想よろしくです。
 


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最高位の天使です!

 
お久し振りです。
 
【今回の注意とゆーか、お願い】
複数ヶ数同時バトルの表現は難い…
そんな訳で、今回は視点が替わる度に若干 時間が巻き戻った感じで読んで貰えたら…と思います。
m(_ _)m
 



▼▼▼

やあ、ライザー・フェニックスだ。

リアスとゼファードル・グラシャラボラスとのゲームも、そろそろ中盤戦に差し掛かってきたって感じだな。

殆ど同じタイミング、4ヶ所でリアス眷属とゼファードル眷属の戦闘が始まった。

いや…内1ヶ所は、vs運営か。

 

『『きゃぁぁあっ?!』』

そして4分割された画面の左上からは、その運営が用意した、機械兵器の猛攻を必死に避けている2人の少女の画が。

…失礼。少女と男の娘でした。

 

それにしても、あのメカ…

2本角の兜の奥に赤く光る1つ目(モノアイ)

左右の手には剣と棍棒を持ち、「あんなの飾りです!偉い人には(以下略)」と言わんばかりな脚の無い球型の下半身にボウガンが備われた尻尾。

恐らくは魔法力で浮游しての高速移動する鈍色の機体。

どう見ても悪魔の技術じゃ あんなの造れないよな。

多分、堕天使サイドからの寄贈品だな?

 

▼▼▼

白音です。

リアス部長の指示で私は、ギャー君と一緒に中央砦下層に置かれたとされる万能薬フェニックスの涙を取りにきたのですが、其処に待っていたのは守護者(ガーディアン)なロボットでした。

 

ガンッ!

 

棘付きの棍棒を振り下ろし、私を潰さんとばかりに床に叩き付けると、その石床は簡単に砕かれてクレーターみたいになってしまいます。

 

「ギャー君! 兎に角コイツを停めて下さい!」

「さ、さっきから やってるけど、そのロボットさんには効かないよ~!?」

ギャー君にロボットの時間を停めて貰う様に頼みましたが、それは既に試みているとの事。

でもレベル差が有り過ぎて、ギャー君の神器(セイクリッド・ギア)は通用しないみたいです。

 

「…役立たずヴァンパイア。」

「うわゎあぁぁ~ん!」

泣き出すギャー君は無視。

直撃を貰えば猫ミンチ必至な攻撃を躱しながら、懐に入り込んでの一撃。

見るからに硬そうなボディなので、当然 拳は仙術で練った氣をコーティング。

拳を保護&攻撃力強化させての、

「必殺!猫パンチ!!」

 

カンッ…

 

………………………………………痛い。

な、何なのですか、このロボットは!?

硬いと云っても限度が有るでしょう!

あの黒歌姉様とアパチャイさんによる、地獄の特訓。

自分で言うのもアレですが、それを経て、かなり強くなった筈ですよ、私?

このロボットは、そんな『俺、色々 経験して結構強くなった』な自信を簡単に粉砕してトラウマくれる程な強さです。

…それなら!

 

「ギャー君!」

ギャー君の元に駆け寄ると、

 

ガバッ!

 

「え?し、白音ちゃん??」

ギャー君を脇に抱えて

 

タタタタタッ…!

 

「…撤退です!」

「え?ぇぇえっ?!」

いえ、仕方無いじゃないですか!

無理!あんなの絶対に無理!

敵との戦闘で脱落なら兎も角、こんな回復アイテム取りに行って退場(リタイア)なんて、情けなさ過ぎます。

不本意ですが、フェニックスの涙は諦めましょう。

その途中で敵2人をやっつけているので、それで善しって事にして貰いましょう。

…白音達は逃げ出した!

 

▼▼▼

「きぇぇぇいっ!!」

 

ズガァンッ!

 

「うぉっ?!」

イッセーだぜ!

現在、敵の(多分)騎士(ナイト)と交戦中。

大剣の重い一撃を、龍討聖剣(アスカロン)で凌いでいる。

剣八さんから習った『剣道』が、付け焼き刃レベルだけど役に立っている!

 

「くっそ!」

 

ぶん!

 

「甘いわ!」

 

カィン!

 

しかし此方の剣も、()()には通用しない。

所詮は付け焼き刃、俺の剣なんて簡単に弾かれてしまう。

本当は距離を開けて、"飛び道具系"をぶっ放したいのだけど、この漆黒の鎧の男は、それを許してくれない。

重そうな鎧を着たデカい体からは想像出来ない位な素早い動きで、常に自分の間合いをキープしているのだ。

 

「ほら!」

 

どん!

 

「ぐぇっ?!」

そしてコイツ、剣だけじゃない。

大剣を受け止めたと思えば、蹴りを放ってきやがった!

禁手(バランス・ブレイカー)の鎧の お陰で大したダメージは無いが、体重差で飛ばされてしまう。

 

「小僧! 男の身で有りながら、美少女との戦闘を期待していた このベルディア様の前に現れた不運を呪うが良いわ!」

「知るかっての!」

そして更には剣を振りながらの この一言。

…って、コイツは最初も そうだったけど、何を考えてゲームに出てるんだよ!

アレか?

美少女との戦闘に託つけて、〇〇〇〇な展開に持っていこうとか考えてるのか?

レーティング・ゲームに対して真摯に取り組んでいる、部長やライザー様の前で そんな発言したら、マジに殺されてるぞ?!

大体ウチの美少女って、部長には婚約者(ライザー様)が居るし、朱乃さん白音ちゃんアーシアも皆、売約済(オレのモノ)ですから!

 

 

…殺れ!兵藤君!殺って殺れ!!

 

 

…ん? 何だか今、ライザー様の声が聞こえた様な気が?

確かに こんなのに敗けた日にゃ、クソカリバーはウゼェし、剣八さんは必死に土下座すれば半殺しで勘弁して貰えるだろうけど、ネウロさんは うだうだネチネチじわじわと、それこそ「くっ殺ーっ!」と言いたくなる様な拷問してくるに違いない!

嫌だ!それだけは絶対に嫌だ!!

  

≫≫≫

 

斬!

 

「ぉ…」

…何度も攻撃を避けていたから気付いた事だが、このベルディア?…の大剣両手持ちのスタイルは、確かに その振りの鋭さは脅威だけど、その剣の大きさ故か、振るった直後、体勢を整える迄に僅かにだけど隙が生じていた。

其処を突いての斬撃だ!

そして俺のアスカロンは見事、ベルディアの首筋を捕らえ、その儘 首ちょんぱ…って、えぇっ?!

これ、マジに死んじゃいないよね!?

 

「くはははは!

見事だ小僧! 普通なら今ので終わっていたぞ!…普通ならな!」

…………………………………………。

とりあえず、ベルディアが死んでないのは良かった。

しかし、俺のアスカロンがベルディアの首を跳ねた訳では無かった。

あれはヤツ自ら、頭と身体を分離させただけだったのだ。

実際、斬った時に手応えは無かったし。

 

「ふっ、驚いて声も出ないか。

そうよ、俺は悪魔に転生する前は

首無し騎士(デュラハン)!」

「お、オメー、俺が名乗る前に言ってんじゃねーよ!」

宙に浮かぶ首から、突っ込みを貰いました。

しかし、これは ある意味チャンスだ。

確かに敵の身体は未だ近距離だけど、本体とでも言うべきか、頭部は離れた場所に居る。

 

「分かってるよな?…ドライグ!」

『当然だ、相棒。…Boost!Boost!Boost!Boost!』

それは、俺の好みの間合い。

左腕に宿る相棒(ドライグ)倍化(パワーアップ)を頼み、魔力と龍氣を倍増させる。

 

カィン!

 

「ちぃっ!逃げ足だけは!」

そして大剣の一撃を躱した後、それによって出来る隙を狙い、

「ドラゴニック・ファントム!」

 

ドゴォッ!

 

先ずは鎧ボディを左ストレート(魔力龍氣込み)を胸元に叩き込んで吹き飛ばし、そして!

 

「超・ドラコン波ぁっ!!」

 

ぶぉおおおぉっ!!

 

「な、何だとぉっ…??!」

本命は こっちの技。

何度も倍化を繰り返し、限界まで攻撃力を高めた破壊のエネルギー砲だ!

これが上空は安全圏と思っていたか、暢気に ぷかぷかと浮いていた(ベルディア)に直撃した。

 

『ゼファードル・グラシャラボラス様の騎士(ナイト)1名、戦線離脱(リタイア)です。』

よし、勝利!

とりあえずは敵撃破を、部長に報告だぜ!

 

▼▼▼

どうも、木場です。

中央砦を抜けた先に待ち構えていたゼファードル眷属。

 

「ふはははははは!

死ねぃ! グレモリーの騎士(ナイト)よ!」

現在、このニグンナントカが操る天使型怪物(モンスター)の集団と交戦中です。

天使って言っても、翼は生物っぽいけど、本体は全身装甲の無機質なイメージだ。

これ等が戦棍(メイス)を振りかざして襲ってくるけど、

 

斬々々々々!

 

…ん。悪いけど、そんなスピードじゃ僕の相手は務まらないよ?

打撃だけで無く、聖光(ビーム)とか射たれていたら危なかったかも知れないけど。

余裕で(油断してる訳じゃ無いよ!)天使を斬っていく僕。

 

「お、おのれぇ!…ならば!」

そして それを見て、忌々しそうに僕を睨むニグン。

 

ヴォン…

 

「殺れ!」

手にした神器(セイクリッド・ギア)と思われる紫色の水晶…天使創造(エンゼル・ファクトリー)とでも言うのかな?…に魔力を注いで再度、今度は先程以上の、大量の天使の群れを召還する。

…って、その神器(セイクリッド・ギア)、悪魔的に どうなのだろうか?

確かに属性的に、弱点を突ける点ではアリかも知れないけど。

 

斬!

 

「悪いけど このレベルの敵じゃ、僕には通用しない!」

「ふん! それは既に承知よ!

その下級天使共は、只の時間稼ぎだ!」

そしてニグンは天使を斬っていく僕に、邪悪っぽい笑みを浮かべながら、魔力を集中させていく。

 

 

「出よ最高位天使、威光の主天使(ドミニオン・オーソリティー)!」

 

カッ!

 

雑魚天使を全て斬り斃したと同時、眩い光の柱が起き立ち、その中で新たな天使が召還された。

今迄の人型に翼が生えていたタイプと違って、頭と脚は無く、無数の翼の集合体に腕が生えて巨大戦棍(メイス)を両手持ちしている…そんな正しく怪物(モンスター)と言える、異形な外見だ。

 

ドォッ!ドドドドドォッ!

 

このドミニオン・オーソリティーとやらが戦棍(メイス)の先端を此方に向け構えると、無数の光弾(ビーム)を連続で撃ってきた!

 

光喰い・改(ネオ・ホーリー・イレイザー)!」

 

斬!

 

…しかし それも、僕からすればスロー過ぎる攻撃だ。

簡単に間合いに入らせて貰い、聖魔剣の黒刃の一撃で この天使を撃破。

 

「いや!ありえん!ありえん!ありえん!」

切り札をあっさりと やられたからか、面白い位に分かり易く狼狽えるニグン。

 

「それじゃ、終わらせるよ。」

「ヒェっ?! ちょ、ちょっと待て、いや、待って下さい!」

 

斬!

 

『ゼファードル・グラシャラボラス様の僧侶(ビショップ)1名、戦線離脱(リタイア)です。』

そして切っ先を向けると、何やら命乞いを始めたニグンを斬り、終わらせt…

あ、結局は名乗れなかった…

 

▼▼▼

ライザーだ。

さっきも話したが、現在は4ヶ所で戦闘が行われており、白音君とヴラディ君がグリゴリ製の機械兵器と、兵藤君がゼファードルの騎士(ナイト)、木場君が僧侶(ビショップ)と戦っている。

そして、

 

「にょー!」

「ふははははははははははは!」

ミルたんは、戦車(ルーク)の男…ん?何だい?ソーナ君?…ああ、分かった、ありがとう。

ミルたんは今、ゼファードル・グラシャラボラスの戦車(ルーク)、ギム・ギンガナムと交戦中だ。

魔力で作った蝶の様な羽での高速飛行で攻め立てるギンガナム。

 

「ミルたん・エア・ハンマー!にょー!」

「シャイニング・フィンガーである!!」

 

ドガッ!

 

「「……!?」」

ミルたんの魔力で作った空圧弾と、ギンガナムの魔力を纏った貫手が衝突。

その余波で、両者が吹き飛ばされる。

()戦車(ルーク)並みのパワーを持つ騎士(ナイト)と、騎士(ナイト)級のスピードで動ける戦車(ルーク)の攻防は、互角に見えた。

 

≫≫≫

 

斬!

 

「ふはははは!どうした、魔法少女!」

しかし、その均衡も徐々に崩れ始める。

互いにダメージを負いながらも、実戦経験の差からか、あの蒼髪のマッチョ侍の方が優勢に戦闘を運ぶ様になったのだ。

 

「…に…ょ…」

ギンガナムの斬撃が、ミルたんに まともに直撃(ヒット)

辛うじて戦線離脱(リタイア)は免れたが、それは余程の事が起きない限り、逆転は難しい大ダメージだ。

 

カッ…!

 

そして その時、追い打ちを掛ける様に?何処からか飛んできた碧色の閃光(ビーム)が、ミルたんの身体に直撃した。

 




 
ベルディア…ベルディア(このすば!)
ニグン…ニグン・グリッド・ルーイン(オーバーロード)
ギム・ギンガナム…御大将(∀ガンダム)
運営メカ…キラーマジンガ様(ドラクエⅥ)
 
…のイメージで。
 
次回こそ!次回こそは決着させます!

感想よろしくです。
 


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恐るべき罠!

 
お久し振りで御座います。
前回の内容を覚えてない人は、前話から読み直してみてください。
 


▼▼▼

ライザーだ。

ゼファードル眷属、ギム・ギンガナムの一撃をまともに受けたミルたん。

それに追い撃ちする様に、後方から碧の光線がミルたんに直撃した。

そう。遥か後方、からだ。

しかし それは、既にリアス側陣地に進んだゼファードル達の攻撃じゃない。

もっと奥側、そして もっと高い位置から放たれた光だ。

…そう思っていると、中継モニターの画面が3分割から4分割に切り替わった。

この辺りに関しては、流石はゲーム運営、仕事が早い。

プレイヤーに対して嫌がらせな様な、クソみたいな仕様を施しているだけじゃない。

新しく映し出された画面は、廃れた室内。

窓から見える景色からして、それなりに高いフロアだ。

そして その部屋にはリアス、姫島君、アルジェント君の3人が。

中継カメラの存在に気付いたリアスが、アルジェント君に何やら話し掛け、その前に押し出す。

するとアルジェント君は少しだけ照れ臭そうな顔で拳銃を撃つかの様なポーズを見せると、

『癒しビーム…です♡』

この画面を…ゲームを観ているであろう皆さんに、笑顔でアピールだ。

そう。ミルたんに直撃した光線は、攻撃で無く、アルジェント君の神器(セイクリッド・ギア)より放たれた、回復の光だったのだ。

 

ずっきゅーーーーーーうん!!

 

そして この時、そんな効果音が聴こえたのは、気のせいか?

 

「可憐だ…」

「何て愛らしいんだ…」

「アーシアさん可愛いよ、アーシアさん。」

……………………………………。

いや、ディオドラ、それとサイラオーグと その眷属の皆さん、並びにシークヴァイラ嬢の眷属の皆さんが、今の画で彼女のファンになったみたいだ。

あ、ディオドラは最初からか。

これは もしかして、別室で観戦している貴族の皆さんも同じ感じか?

確かにアルジェント君は かなりな美少女だからな。

実際 俺も、もっと美少女な婚約者(リーアたん♡)が居なかったら、堕ちていた自信が有るぜ。

 

『力のパワーが滾るにょー!』

『ちぃいっ!』

そして戦闘の方は、回復したミルたんがギンガナムを圧し始めた。

想定外(まさか)援護(かいふく)で、一瞬 思考が止まったギンガナムに対し、ミルたんが放った左フックがクリティカルで決まったのだ。

形勢逆転。

 

『ミルたん・ウインド・カッターにょー!』

 

ガキンッ!

 

『ぐゎ…!なぬ…だと?!』

そしてミルたんは魔法の真空刃を作り出し、それを飛ばすで無く己の手刀に纏わせての斬撃。

これをギンガナムは太刀で受けようとするが、その太刀をへし折られ、その儘 疾風の刃の一撃をまともに浴びてしまう。

 

『ミルたん・エア・ハンマーにょー!』

 

ボゴォッ!

 

『がほっ…?』

続けて同じく、本来ならば飛び道具…空圧弾の魔法を、拳にチャージしてボディアッパーを放つミルたん。

この一撃でギンガナムは天高く飛ばされ、

『にょにょっ!』

ミルたんも これを追い掛けんと、羽を広げて飛翔。

 

『これで決めるにょ!』

 

グワシィッ!

 

空中で相手の背中を捕らえると、見た事も無い技に…

 

『う…動けん…だと?!』

両腕を確と両手で掴むと同時に両脚で左右の肩をガッチリと固定。

更に両足を両脇に抱える事で、身体を完全にロック…からの、急降下!

 

『ミルたん・メイプルリーフ・クラッチーっ!にょーッ!!』

 

ガガァンッ!!!

 

『が…ご…ほ…?!』

ミルたんの素のパワーが凄まじいのは勿論だが、身体全体を極めた上で地面に叩き付ける、この技の破壊力は尋常で無く。

 

『ゼファードル・グラシャラボラス様の戦車(ルーク)1名、戦線離脱(リタイア)です。』

「何と凄まじい技だ…!」

サイラオーグが感心と関心の目で見る中の この戦闘、最後はミルたんの逆転勝利に終わった。

…にしても、魔法少女(自称)の決め技が、魔法で無くて肉体言語(Muscle技)なのは、此れ如何に?

魔法、何処行った?!

 

『ゼファードル・グラシャラボラス様の僧侶(ビショップ)1名、戦線離脱(リタイア)です。』

『ゼファードル・グラシャラボラス様の騎士(ナイト)1名、戦線離脱(リタイア)です。』

そして ほぼ同じタイミングで木場君と兵藤君も、各々 戦っていた敵を撃破。

どうでも良いが同時に戦闘(バト)られると、分割された画面の どれに注目すれば良いのか分からなくなり、目が疲れるぞ。

 

≫≫≫

その後テレビ画面は切り替わり、ゼファードル達が映る画面が拡大される。

約10人、リアス陣地を進むゼファードル眷属。

目指しているは、このエリアで最も高いと思われる廃ビルだ。

先程のアルジェント君の癒しビームの光は、ゼファードルも見ていた。

現在 この男は その光が放たれたビルにリアス達がいると睨み、進んでいるみたいだが、確かに それは正解…しかし、不正解。

リアス達も それで自分の居場所がバレたのは承知で、既に別の場所に移動を終えている。

 

ビカァッ…どん!

 

『ぎゃんっ!?』

そして そのゼファードルの下僕の1人の頭上に、雷の一閃。

 

『ゼファードル・グラシャラボラス様の僧侶(ビショップ)1名、戦線離脱(リタイア)です。』

それは、姫島君の雷撃。

 

『あらあらあらあら…

ゼファードル様を狙ったのですが、勘の良いヒトですわぁ♡』

画面には艶かしく艶っぽい表情を見せる姫島君がアップされる。

最初の建物から2つ隣のビル、最上階からの狙い撃ちだ。

姫島君はゼファードルを狙ってた様だが、下僕が それを庇い、身代わりになった形だ。

てゆうか姫島君? その顔、少し怖いよ?

 

『チィイッ!』

吐き捨て、その場から一時後退するゼファードル。

悔しいのは解るが、これは完全に作戦ミスだ。

今回の勝敗条件に、拠点陥落は無い。

だからこそ彼は守りを考える事無く、自ら大将首を獲るべく攻勢に出ていたのだろうが、それはリアスも想定の1つと考えていた。

あの癒しビームも単なる味方のアシストだけじゃなく、自分の位置を敢えて晒す、()()の意味も兼ねていたのだろう。

そして見晴らしの良い場所での待機は、仲間を援護(アシスト)するだけが目的じゃない。

寧ろ近寄る敵の迎撃がメイン。

リアス達からすれば、ゼファードルは既に敵じゃない。

只の、()だった。

 

ダダダダダダダッ!

 

『クソがぁッ!』

そしてゼファードル達が退いた先で待っていたのは、重火器の弾幕。

 

『ゼファードル・グラシャラボラス様の兵士(ポーン)2名、戦線離脱(リタイア)です。』

木場君が仕掛けていた、ミリアルド直伝の軍式(トラップ)だ。

道に張っていたピアノ線と機関銃を連動させた初歩的、簡単な罠だが、冷静さを欠いた(キング)が、見事に それに足を引っ掛けてしまう。

 

ドッゴォーッン!

 

更に それを避けた先は、やはり木場君特製地雷地帯。

 

『ゼファードル・グラシャラボラス様の騎士(ナイト)1名、戦線離脱(リタイア)です。』

これにより、またゼファードル眷属が1人脱落。

 

『クッソがぁっ!

リアスーっ!出てきやがれ!

タイマンで勝負しろぉっ!!』

そして半ば自棄(ヤケ)になったか?

一発逆転を賭けて、リアスに一騎討ちの要請を叫ぶゼファードル。

いや、序盤から中盤に互角な展開だったなら兎も角、此処まで一方的なゲームで そんなのに応じる王様なんて居ないだろ?

 

「俺は『婚約者の前でカッコ良い所を見せたい』っていう しょうもない理由で、そういうのを承諾した男を知っているが?」

「あ、僕も それ、知ってる。」

黙れ、脳筋と糸目。

…って、リアスが また動き出した?

まさか本当に、一騎討ちに応じる…なんて事は無いよな?

 

「まさか あのコも、『婚約者が観てるから』…なんて考えているとか?」

「流石は冥界屈指のバカップルですね。」

黙れ、メガネ1号2号。

しかし、その可能性を否定出来ないのが辛い!

 

≫≫≫

高い廃ビルに囲まれた狭い道を進むゼファードル達。

此処に来る迄に、またも(トラップ)の餌食となった下僕がリタイアして、今は もう、女王(クィーン)戦車(ルーク)の2人しか連れていない。

 

『……………………………。』

『見つけたぞ!リアス!!』

その先、リアスが姿を見せた…と思ったら、彼女は自分が見つかったのを確信すると、廃ビルの陰に身を隠した。

 

『逃がすかよっ!!』

それを見たゼファードルは追い掛けるが、少しは怪しめよ?

 

ゴゴゴゴゴゴ…ッ!!!

 

『『『なぁあっ??!』』』

ほら?だから言ったろ?

普通は罠を疑うもんだぜ?

…ってか、今まで散々と引っ掛かってきただろうが!

そして ()()は、狭い道の上空から勢い良く降ってきた。

しかも同時、道の前後には魔法障壁を発動させ、逃げ道を塞ぐ周到さだ。

ゼファードルに迫り落ちるのはアレだよ ほら、人間界の道路工事で、アスファルトを圧し固める作業用重機…

 

『ロードローラーだ!…とおぉっ?!』

 

グシャァッ!!

 

『『『おんぎゃぁあ~~~っ!?』』』

逃げ場を奪われたゼファードルに、このロードローラーがモロに直撃。

下僕諸共 完全に下敷き、潰されてしまう。

 

『ぜ…ゼファードル・グラシャラボラス様、戦線離脱(リタイア)、です…。

き…(キング)のリタイアにより、この度のゲーム、リアス・グレモリー様の勝利とします…。』

そして それが決め手となり、ゼファードルは退場、リアスの勝ちに…って、誰だよ?こんなエグい(トラップ)なんか教えたヤツは?!

…まぁ、こんなのDIOしか居ないよな。

それと、(キング)(トラップ)でヤラれて退場なんて、初めて見たぞ?!

はっきり言って、情けなさ過ぎる!

アナウンスも声が震えてるぞ?

 

『……………………………………。』

そしてリアスも画面の中で、「え?本当に?」って顔をしてる。

彼女からすれば、相手の数を減らすと同時、ゼファードルの消耗が目的だったのだろう。

そして今回の為に修得したという、新必殺魔法で決めてやろうとか考えていたのだろう。

…が、まさかアレで決着するなんて、思ってもみなかったろうな。

 

▼▼▼

「皆、とりあえずは勝利、おめでとう。」

「やったわね、リアス!」

イッセーだ!

やったぜ!デビュー戦勝利だぜ!

俺も敵を1人撃破したし、此方は誰もリタイアしていない完全勝利だ。

そんな俺達の控え室に、ライザー様とサイラオーグ様に支取先輩…失礼、ソーナ様が、お祝いの挨拶に来てくださった。

ありがとうございます!

 

≫≫≫

「確か、ミルたん…だったな?」

「にょ?」

ミルたんに話し掛けるのは、サイラオーグ様。

 

「お前とは小細工無用な、熱いバトルが楽しめそうだ!」

「望む処だにょ!」

 

コン…

 

サイラオーグ様が突き出した拳に、ミルたんも拳を重ねて応える。

うゎ…確かに この2人の戦いなら、ドームのメインでも通用しそうだ。

俺なら最前列チケット買うぜ!

 

▼▼▼

「さて、それじゃ反省会だな。」

引き続きイッセーだ。

そして その日の夜、フェニックス城にて今日のゲームの反省会の時間が やってきた。

 

「先に言っておくが、俺的には、今回はデビュー戦だと考えたら、其処まで酷い内容じゃなかった。

余りキツく言う事は無いから、安心してくれ。」

ライザー様の この言葉で始まり、録画映像を見ながらの反省会。

 

「ギャハハハハハ!」

「にゃははははは!!」

「ちょ…イッセー君、笑い過ぎだよ…」

いや、これは仕方無いだろ?

画面に映っているのは、砦内のトラップに四苦八苦する木場(イケメン)の図。

特に金タライ落下からの脳天直撃は、わざと笑いを取りに行ったとしか思えない!

アーシアや白音ちゃんも、笑うのを必死に堪えているぞ?

因みに黒歌さんも、容赦無く爆笑だ。

 

「まあ これは、クソ運営の仕様だから。木場君どんまい。」

そう言って、イケメンを労うライザー様。

ライザー様的には、これは仕方無いらしい。

 

≫≫≫

「次は、兵藤君と この騎士(ナイト)とのバトルだが…」

その後も、各戦闘を観ながらの良い点 悪い点の検証。

俺の戦闘も可も無く 不可も無くな、ギリギリの及第点を貰えた。

 

「ん、これも、クソ運営だから仕方無いな。」

「はぃい…」

「そう言って貰えたら、嬉しいです…。」

次に映されたのは、白音ちゃん&ギャスパーと、運営側が用意したロボットとの戦闘場面。

このロボットが、凄く強い!

少なくとも、俺が戦ったデュラハンより遥かに強いのが分かる。

コイツがフェニックスの涙を守っていたらしいが、結果から言えば、2人は勝てないと判断して逃走。

ライザー様も、それに あれこれ言う心算は無く、寧ろ『逃げる』を選択した事を評価。

曰く、「クソ運営の巫山戯たイベントに付き合う必要は無い」だとか。

そして最後は、

「まあ、これは、相手が悪かったって事で…だな。」

ギャスパーが仕込んだ、DIOさん特製の(ロードローラー)で、相手の王様が退場した件について。

 

「こんな形での決着は、前代未聞らしくてな。

魔王様や老害(エライさん)達からの、ゼファードル・グラシャラボラスの評価はダダ下がりだよ。」

でしょうねー。

このライザー様の「相手が悪かった」は、敵が強過ぎたで無く、マヌケ過ぎたの意味。

お陰で部長も、「私、何もしてない…」ってゲームの後、控え室で地味に凹んでいたし。

大体 最初の予定では、部長自らが囮となって、あの(ロードローラー)で敵戦力を削った上で、前線から戻ってきた俺達と挟み撃ちでフクロにする手筈だったんだ。

でも その前に全滅だからなぁ…

そして この(トラップ)

相手の王様を仕留めた事自体は、それは それで大きく評価され、今回のMVPは、ギャスパーに決まったそうだ。

やったな、ギャスパー!

但し当人は、「うえぇ?!ほ、本当に僕なんかで良いんですかぁ?」って、困惑していたけど。

  

「まあ、今回は こんな感じだな。

それじゃ、お疲れさん。」

そして無事に、反省会は終了。

既に夜も遅くなっており、今夜は もう寝ようと俺専用の客室に戻り、

 

カチャ…

 

「む?漸く帰ってきたか、ヴァカめ!」

「吾輩達も、ゲームの動画を観てみたが…」

「俺達は(ライザー)と違い、甘くは無ぇぞ?」

「…………………………………。」

扉を開けてみると、其処には今回のゲームに際し、俺に修行をしてくれたネウロさんに剣八さん、そしてクッソウゼェクスカリバーが。

 

「「「さあ、反省会を始めるるぞ。」」」

「………………………………………。」

 

カチャ…ダダダダ…ッ!

 

俺は部屋に入る事無く無言で扉を閉めると、この場から逃走した!

 




 
…しかし、直ぐに捕まった模様。
 
 
 
感想よろしくです。
 


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