【月光の神】ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか (クックダッセ)
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僕と神様

はじめまして、この物語はヘスティア様と出会わず、アルテミス様と出会う物語です。原作通りにたどるつもりもありません。苦手な方はブラウザバックをお願いします。


僕はダンジョンに出会いを求めて、世界で一番熱い街、迷宮都市【オラリオ】に来た。怪物に襲われてる女の子を助けて、恋をしたりなどそんなことを求めてオラリオにやってきた。しかし現実はそんなに甘くない。

 

『ブモオオオオオオオオオオッッッ!!!』

 

「うあああああああああああああッッ!?」

 

ミノタウルスに追いかけられ、絶体絶命のピンチだ。全速力でダンジョンを駆け巡り、角を曲がり、なんとか撒こうとしているがレベル1の僕にはどうしようもない。けれどミノタウルスはもっと下の階層で現れるはずなのにどうしてこんな上層に!?

 

曲がり角を曲がった先は行き止まり。もう逃げる場所がなくなってしまった。ミノタウロス攻撃を避けて逃げ出す?僕が?冒険者になって半月の僕が?逃げられるわけがない。そんな絶対絶望の僕の目の前に現れたのは、これから僕の初恋になる人だった。

 

「ハッッ!」

 

「ブモォォ!?」

 

美しく洗礼された剣技、整った容姿、スタイルも抜群。金髪金眼の女性が絶体絶命の状況を覆し、僕の目の前に降り立った。僕はミノタウロスの臭い血潮を浴びても、変な顔はしなかった。なぜならそこに立っていたのはレベル5、第一級冒険者アイズ・ヴァレンシュタインさんな彼女についた二つ名は【剣姫】僕は生まれて初めて恋をした。

 

******

 

「神様!神様!!」

 

「どうしたベル?そんなにはしゃいで。あ、それとエイナから聞いたぞ、血を浴びて落とさずに、ギルドに来たと。私の唯一の眷属なんだ、私も怒られてしまう」

 

「あ、それはすいません神様」

 

「わかったならいい、なら夕ご飯にしよう今回は豪華だ。バイト先の豊壌の女主人から賄いをもらってきた。これを食べて明日も頑張ってきてくれ、ベル」

 

「はい!わかりました!うあわ美味しそうですね!」

 

「一応私が作ったものもあるんだぞ、是非味わって食べてくれ」

 

「はい!いただきます!............そうじゃなくて聞いてください!神様!」

 

僕が机を叩くと、行儀が悪いなという目で見られてしまった。神様は僕に「話を聞こう」と呟いた。

 

今いる場所は豊壌の女主人の3階。ここに住まわせてもらう代わりに、僕の神様がこの豊壌の女主人で働いているのだ。結構広い場所だし、部屋も2部屋ある。神様の寝室とリビングと僕の寝室でもある、現在夕ご飯を食べているところだ。ステイタス更新もここでやったりする。

 

僕たちのファミリアは僕と神様しかいない二人だけのファミリア。しかもそのファミリアが結成されたのがついこないだの話。そんな僕たちにお金もあるはずなくて、どうしようとなって途方に暮れていたところ、ミアさんに助けてもらった。僕と神様が豊壌の女主人の店主さんに助けてもらって、ここになんとか住まわせてもらえてる。

 

僕の神様、アルテミス様との出会いは僕がオラリオに向かう途中に、偶然空から光が落ちてきて、それがアルテミス様だった。神様が初めて下界に降りてきた瞬間を僕は見てしまったのだ。そして一緒にオラリオに入る時に、僕がアルテミス様の眷属になりたいと願ったのだった。

 

アルテミス様、神様は魚を突っつきながら僕の話を待っていた。

 

「ステイタス更新ですよ!いつしてくれるんですか!」

 

「帰ってきてからすぐは、ステイタス更新はしないと言っただろう。私もバイトの時もある、それに私がバイトがない日だとしてもご飯を用意して待っているんだ。それを食べてからステイタス更新するのが当たり前だろう」

 

ど正論だった。これは完全に僕が悪い。神様は僕のダンジョン帰りを待ってご飯を作ってくれているんだ。暖かいうちに食べないとダメだろうと僕は反省した。

神様はハムハムと小さい口で、ご飯を食べ進めていた。僕も早くステイタス更新をして欲しいので、モグモグと食べ進めた。

 

******

 

「さあ、お待ちかねのステイタス更新だが、なぜそんなにステイタス更新をしたいんだ」

 

僕の下半身に神様は乗っかり、神様の血を僕の背中に落とす。ステイタス更新を受けながら、神様は僕に問いかける。

 

「まあ、色々あったのでダンジョンで」

 

「あぁ、わかったぞミノタウルスから襲われてて、いろいろな経験をしたから、ステイタス更新をしたかったのか」

 

「まあ、そんなところです、アハハハ」

 

「ムッ、何か誤魔化してるなベル」

 

神様は針でチクチク、僕の背中を刺しながら、ステイタス更新は進んでいく。そして終わったのか下半身から体重がなくなり、神様は横にずれる。僕は神様が突き出したステイタス更新の紙を受け取り凝視する。

 

ベル・クラネル

Lv.1

力 : I 82 耐久 : I 20 器用 : 73 敏捷 : H 127 魔力 : I 0

《魔法》

【】

《スキル》

憧憬一途(リアリスフレーゼ)

・早熟する。

懸想(おもい)が続く限り効果持続。

懸想(おもい)の丈により効果向上。

 

「神様!これって!!」

 

「ああ、そうだ。ベルの初めてのスキルだ」

 

「やったッ!!僕にスキルだッ!!」

 

僕がベットでぴょんぴょん飛び跳ねていると神様は立ち上がり、僕も飛び跳ねるのをやめた。なぜなら神様は自分のよく使っている弓を持っていたからだった。しかも矢付きで。

 

「ちょっと!?神様!?何をするつもりですか!?」

 

神様は弓を構えながら、近づいてくる。その顔は笑っているが目が笑ってない。目から光が消えていた。怖い、怖すぎる。神様は何回か怒ったことがある。だから神様は怒ったら、本当に怖い人だと、理解していたはずだった。しかし今回も神様を怒らせてしまったみたいだった。

 

「ベル。私が司ってるものを言ってみろ」

 

「は、はい!貞潔と狩猟です!」

 

その言葉を発した瞬間僕は理解した。このスキルが発現した理由は、アイズ・ヴァレンシュタインさんに恋したからだ。そして僕の神様は貞潔を司る神。男女の恋愛を許すはずもない。

 

「ご、ごめんなさいいいいいいッッッ!!!」

 

「許すか!!」

 

神様はギギギッと弓から音をさせて、矢を放った。僕は今日二度目の死を感じ取った。

 

 

******

 

「聞いてくれヘファイストス!私のベルが!ベルがああ!!」

 

「はいはい、泣かないの。これでも飲んで落ち着きなさい」

 

「ありがとう」

 

アルテミスはヘファイストスとよく飲みに行くお店で待ち合わせをして、訪れていた。アルテミスはヘファイストスからもらったお酒をチビチビ飲み始めた。初めてヘファイストスはアルテミスのことを心配していた。彼女はこの都市に来たばっかりだし、拙いところもあったが、心配はしていなかった。

 

天界の頃からの知り合いで、彼女は一人でなんでもこなしてしまう神だったからだ。まあ、その神があの神(炉の女神)だったら世話を焼いていただろうが。

 

けれど初めてアルテミスから飲みに行きたいと言い、出会った瞬間に涙目で抱きついてきたのだ。これを心配しないわけにもいかないが、内容を聞くと、ヘファイストスは呆れて声も出なかった。

 

「で、そのあなたの唯一の眷属、ベルが取られてどうしようって相談でいいのね?」

 

「う、うん。恥ずかしながらそういった相談だ」

 

「プッ」

 

「な、なぜ笑う!!」

 

ヘファイストスがおかしくて笑うと、アルテミスは立ち上がり顔を真っ赤にして、ヘファイストスに怒鳴った。ヘファイストスはお酒を少し飲んで、口を開いた。

 

「ごめんなさい、アルテミスが恋愛話を持ってくるとは思っていなかったですもの」

 

ヘファイストスは笑いが堪え切れてない口調でアルテミスに伝える。アルテミスはカアアッと顔を赤くして、立ち上がり手で机を叩きながら立ち上がり、ヘファイストスに猛抗議を始めた。

 

「ち、違う!断じて恋とかというものではない!!私の眷属のベルを盗られて、寂しいとか心が痛いとかしか思ってないぞ!!」

 

「それが恋じゃない」

 

「なんだと!?」

 

アルテミスの驚いた顔に、ヘファイストスは机に突っ伏して、笑い出すそれも大笑いだった。アルテミスはそのヘファイストスを見て、ムッと頬を膨らませ、そのまま座る。

 

「それでどうして盗られたと思ったの?」

 

「そ、それは秘密だ」

 

「え?」

 

アルテミスはあのスキルは希少(レア)スキルだということを理解していたからだ。だからそのスキルを公にすればベルに神が群がるかもしれないというアルテミスなりの考慮だった。

 

じゃあなぜベルに伝えたというと、隠し事をしたくなかったからだ。ベルは冒険者いた命を落としてもおかしくない職業。その時にもしかしたらこのスキルの存在を知っていたら、生き残っていたかもしれないという状況が来るかもしれない。だからアルテミスはベルにはスキルを隠さなかったのだ。

 

「ふーん、まあいいわ。私も恋愛っていうのはよくわからないの。私ってそういうのは無縁だから。けど眷属として私の子供達は愛してるわよ。アルテミス、あなたは眷属としてベルを愛してるの?」

 

「ああ、それはもちろんだ。ベルは内気で優柔不断でダンジョンに出会いを求めてやってくるような不純な子だが、やるときはやる子だ。私と初めて出会った時もそうだ、ベルは私がオラリオの壁から落ちたと思い込んだみたいでな、助けに来てくれたんだ」

 

アルテミスは少しお酒を飲んでから、ベルについての心の内を明かす。

 

「その時になんでいい子だろうと思ってしまったんだ。そして一緒に暮らしていくうちにな、ドキドキが止まらなくなり...............」

 

「もういいわ、お腹いっぱい」

 

「なぜだ!ここからがいい話なんだぞ!」

 

「だってベルのことを話すあなた長いのだもん」

 

「うっ、それはごめん」

 

「やっぱり恋なのね」

 

「ち、違うぞ!私はだな!?......」

 

アルテミスとヘファイストスとの言い合いが続いていく、ヘファイストスがからかい、アルテミスが真剣に答える。ヘファイストスはアルテミスの言葉を聞きながら、アルテミスは変わったなと思っていた、一人の男の子せいだけでアルテミスはこんなに表情が変わる。

 

笑ったり、泣いたり、怒ったり。天界いる時だと想像もできなかったとヘファイストスは思う。ヘファイストスは葡萄酒を飲みながら、顔を真っ赤にして、抗議しているアルテミスを見て微笑んでいた。

けれど天界にいた頃も喜怒哀楽が激しいときはあったなとヘファイストスは思う。あの子(炉の女神)と一緒にいるときは、とても仲良さそうにいたと。

 

「ヘファイストス!聞いているのか!?」

 

「えぇ、聞いてるわ」

 

彼女二人のトークはまだ終わらない。

 

 

 




アルテミス様ははベルくんと出会い、恋というものをしています。(まあ、頑なに認めませんが)アルテミス様とヘスティア様とはたどるものが同じではないと思っています、けれど最初のミノタウロスやアイズさんに恋するのは、そのままにしました。ここからどういう展開にしようとかは考えてませんが、作者の気まぐれです。次回も続けていくのでお願いします!


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悔しくて

地面を粉砕して、前へ飛び出し腰に刺さっている短刀を抜く。

 

「はああああああッッ!!」

 

コボルトは僕を発見できずに、僕に奇襲されやられていく、いつも経験値を稼ぐために複数の怪物がいる場合、真正面からぶつかって倒したりしているが、三体程度ならアルテミス様から教わった弓で倒したり、今のように奇襲を仕掛けてたりする。

 

モンスターから入手(ドロップ)した魔石を自分自身で拾っていくと、サポーターが欲しいなって思ったりする。けれどウチのファミリアにそんなお金の余裕はないので、早く新しい団員増えないかなっと、呟いたりする。

 

******

 

朝から夜まで稼いだおかげで、結構な額が入った。これで豪華な食事もできる。まあ今日のご飯はシルさんに頼まれて、豊壌の女主人食べることは決定してるんだけど、エイナさんに言われて換金して僕のホームでもある豊壌の女主人に出向いた。

 

「いらっしゃい........って白髪頭じゃニャいかニャ。今日はここで食べていくのかニャ?」

 

「はい、シルさんに是非今日の夜ご飯はここでって言われたもので」

 

「そうだったのニャ、シルー!白髪頭がきたニャ!」

 

するとバタバタ慌しく、シルさんがお客さんに料理を提供してから、こちらに歩み寄ってきた。下にある白いサロンで手を拭きながら、僕に笑みを浮かべて出迎えてくれる。

 

「ベルさん!来てくださったんですね!」

 

「はい、っていうか一応ここは僕の帰る場所でもありますから」

 

シルさんが久しぶりに僕に会ったみたいに接客をするから、ついつい嬉しくなったけど、一応僕のホームここの三階にあるから何回もシルさんと会話してるんだよね。

 

「さあ、こちらに!」

 

「あ、はい」

 

いつも僕が食べてる席に案内されて、そこに座りメニューを眺める。シルさんはミアさんに呼ばれて、「ベルさんにまだお話.......もとい接客してないのに!」と呟いて、忙しそうに厨房に戻って行った。

 

ここの店は美味しいものがたくさんある。けれど値段が高いからそこら辺をしっかり見ないと。ファミリアのために、お金は残しておきたいし。

 

店は大盛況で、僕以外の客が多くいて、一つのテーブル席を残して満席だった。隣を見ると耳がちょこんと可愛らしく尖がっていて、髪を一つにまとめ、可愛らしい顔をしたエルフが一人でご飯を食べていた。

 

その顔に見合わない悲しい顔をしていて、今にも泣き出してしまいそうなそんな表情だった。僕は声をかけようと、口を開こうとするが、蒼色の長髪の女性に声をかけられる。

 

「さぁ、注文は決まったのか?ベル」

 

「うわ!神様!今日は遅くまでバイトだったんですね」

 

「この大盛況しているところで抜けられないだろう、今日も団体客が入っている。団体客が来るまでは残業しているつもりだ、それよりも注文を聞くぞ」

 

「あ、はい、ならこのナポリタンをください」

 

「.............」

 

僕が目についていたナポリタンを頼むと、神様は目を細めてジッと僕のことを見てくる。なんだろう、ナポリタンはダメだった?いや、でも値段も安いし、量もあるからこれでいいと思うんだけど

 

「神様?」

 

「わ・た・し・は、この大盛況を乗り切ったら、バイト終わるつもりだ」

 

「は、はぁ、さっき聞きましたけど.........」

 

「...........はあぁ、ベルは全くほんとに。私もここで食べていくから、私の分も注文しておいてくれ」

 

「あ、なるほど!き、気づかなくてすみません」

 

「まあ、ベルはベルだからな。期待はしていない、ナポリタン二つでいいな?」

 

「あ、はい!お願いします!」

 

そう言って神様はエプロンをなびかせ、厨房に戻っていく。呆れて僕のこと見てたけどあれ僕が悪いのかな。と真剣に考えていると、隣のエルフの女の子と目があった。

 

僕と目があった瞬間、料理へと視線を戻した。何か物珍しそうに僕の顔を見つめていたらしく、不思議そうな、羨ましそうな顔をしていた。僕はそれが気になって声をかけていた。

 

「えっと、何か僕のこと見てたようですけど、何か用でしたか?」

 

「いえ!なんでもありません!気にしないでください」

 

「ご、ごめんなさい」

 

悩んでるようなのに、見知らぬ人の僕が声かけちゃって悪いなと思い、すぐ視線を前に戻すが、やっぱり気になる。おじいちゃんならこういう時悩んでる女の子がいるなら助けてあげなさいって言ってる。

 

「あ、あの!何か悩み事なら僕が聞きます!僕でお力になれるなら手伝いますから!」

 

「え?..........プッ、あははははははははっ!!私そんな真剣な眼差しで、お悩み聞きますなんて言われたの、初めてです!」

 

なぜか初対面の女の子に大笑いされた。真剣に聞いたつもりだったのに、すごく悲しいような。まあでもそのおかげで笑ってくれたなら、結果よかったのかなって思う。

 

「あなたのお名前は?」

 

「ぼ、僕ですか?僕はベル・クラネルです!」

 

「そうですか、私はレフィーヤ。レフィーヤ・ウィリディスです」

 

「えっとそれで何を悩んでたんですか?」

 

「はい、聞いてくれますか?私はラキ........」

 

レフィーヤが言いかけたところで、大きな雑音が入る。店も少しは落ち着いてきたと思った矢先、豊壌の女主人入口が揺れる。そこで入ってきたのは、【ロキ・ファミリア】彼らが現れたからだった。

遠征の帰りにここの場所で打ち上げをするんだろう。団体客というのは彼らのことだった。

 

【ロキ・ファミリア】の主神。ロキ様が乾杯の温度をとった瞬間。店が騒がしくなる。お酒を口に放り込み、出てきた料理を豪快に口の中で運ぶ。その中には、【剣姫】アイズ・ヴァレンシュタインもそこにはいた。実際その人を僕は見つめていた。目が離せなかった。

いけないと、僕は首を横にふり、惚けた顔を直しレフィーヤさんと向き直す。

 

「えっとそれで、ラキの続きを聞いてもいいですか?」

 

「あ、はいそうですね。私は.........」

 

「おい!アイズ!あの話聞かせてやれよ!」

 

次は一人の男の人の声と被り、聞こえて来なかった。あの人は僕でも知っている。【凶狼(ヴァナルガンド)】ベート・ローガさん。第一級冒険者で、【ロキ・ファミリア】の最前線で闘っている、狼人(ウェアウルフ)そんな彼からの言葉で僕は悔しさを握りしめることになる。

 

******

 

「神アルテミス、もう上がっていいよ、悪かったね、ここまで残してしまって」

 

「いいや、困ったときはお互い様だ。私もここに住まわせてもらってる身だ。助かるのは当然だろう」

 

「そう言ってもらうとありがたいよ、ほらあんたの眷族のところに行ってあげな」

 

「ああ」

 

アルテミスはエプロンを脱ぎ、制服を脱いだ。脱衣してる場所は自分たちのホーム、アルテミスの部屋だ。服をかけ、いつもの服に着替える。そのままベルが待っていると思うので下に降り、ベルの元へ向かう。

 

「待たせた.......」

 

「雑魚には釣り合わなねぇんだよ!アイズ・ヴァレンシュタインにはな!」

 

声が聞こえた、すでに団体客の【ロキ・ファミリア】がいて、その周りはよく騒いでいるはずなのに、その声がよく響いた。何か大切なものを踏みにじられてる気がした。

 

「クッッッ!!」

 

「クラネルさん!?」

 

白い髪の男の子が出ていく。それを追うように山吹色のエルフの少女も追いかけていく。アルテミスはあれがベルということを理解した、そしてなぜ出て行ったのかも理解した。それを理解した上で、店の中にある弓を装備し、矢を貶した本人、ベート・ローガに向かって放つ。

 

「ッッ!?」

 

「流石は第一級冒険者というところか、実力はある。だが気品はかけらもないようだな」

 

「あ?なんだテメェ」

 

ベートは放たれた矢を瞬時に掴み取り、アルテミスを睨み付ける。手に力を込め、矢をへし折る。まるでなんのつもりだと言わんばかりの行為で、だがアルテミスはそんなのお構いなく、弓を構えて離さない。

 

「ひとつ言っておこう、今店から出て行った白い髪の男は私の眷属だ。貴様が笑っていた男でもある」

 

「はあ?もしかしてあのトマト野郎なのか?こいつは傑作だな。ああいう雑魚は、自分の弱さを呪って巣穴から出てこないことだな」

 

「ベルが雑魚であろうが、弱虫であろうが、英雄であろうが、彼は私の眷族だ、どんなことがあろうとあの子は私の子供だ。我々神々は【アルカナム】を使うことはできない、できることといえば彼らの背中を押すことだけだろう」

 

アルテミスの身体から光が漏れ出す。神威だ。アルテミスは譲れないものために、彼女は無意識に神威を発動した。その反応に気づき【ロキ・ファミリア】の大半は青ざめる。『やってしまった』と。

 

アルテミスは弓を構えるのをやめ、落ち着いたのかそのまま神威も消えていく。【ロキ・ファミリア】の面々はほっと胸を撫で下ろす。

だがアルテミスの怒りはまだ収まらない。

 

「きっとベルはダンジョンに赴いただろう、助けに行きたい。だが神々である私は助けにはいけない。無事に帰ってくることを願うことばかりだ。これでベルがダンジョンから戻ってこなかったら、貴様らを絶対に許さない!!」

 

神々はなんでも笑って受け流す。それが神の印象だろう。しかし彼らにはアルテミスがどう見える。笑って受け流すことはなく、隠すことなく怒りをあらわにしている。きっと大半は逆鱗に触れてしまったとそう感じるのだろう。だが、少数の上級冒険者は子供想いの神様だと思っていた。

 

愛し、可愛がり、愛おしく、ベルのことを思っていると。逆も然り、敬い、愛おしかったに違いない。そう、【ロキ・ファミリア】はアルテミスに許されないことをしてしまった。

それにいち早く気付いた、小人(パルゥム)はすぐさま動く。

 

「アイズ、リヴェリア。彼をダンジョンから連れ戻せ。早急にだ」

 

「わかった」

「任された」

 

素早くアイズとリヴェリアが店の外に出ていく。街の中を第一級冒険者が駆け抜けていく様は何かあったのだろうか?と騒がしかった街は、少し静かになる。それを見送るフィンは、アルテミスの前に跪く。

 

「神アルテミス、申し訳ない。うちの団員があなたの団員を傷つけてしまいました、ここに【ロキ・ファミリア】団長として謝罪します」

 

アルテミスは表情の一つも変えずに、息を吐いてから目を閉じて口を開く。その言葉を待つように、フィンも身動き一つ取らずに、言葉を待っていた、他の団員もそうだ。

 

「もしこのままベルが帰ってこなければ、私はお前たちを許すことができないだろう。ただ、憎みはしない。約束しよう」

 

アルテミスの言葉で団員は固まっているが、何を感じているのだろか。これこそ神と思っているのだろうか。アルテミスはベルが座っていた、席に座り、ただナポリタンを見つめていた。ベルとアルテミスが一緒に食べるはずのものだったものだ。

 

「無事でいてくれ、ベル」

 

息を吐くように小さい声だったが、この店にいる全ての人に届いていていた。アルテミスも仲良かった豊壌の女主人の店員も全員心を不安にしながら待っていた。

 

******

 

「ちくしょう!ちくしょう!」

 

走る走る。悔しくて、悔しくて、悔しくて!何も言い返せない自分も、こんな弱い自分も!憎い!何もしなくても、何かあるんじゃないかと期待していた自分に!スキルが発現して、調子に乗っていた自分も!

 

泣きながらバベルに向かう。時には人をぶつかりながら、お構いなしに先は先へ走る。強くなりたくて、もうこんな思いしなくていいように。

走り続けて息を切らしながら、ダンジョンに入っていく、目の前にいるのはゴブリンだ、短刀を抜きみっともなく、八つ当たりするように僕は、怪物を屠る。

 

「ああああああああああッッ!!」

 

もっと奥へ、もっと速く強くなるために!僕は目の前に現れる、ゴブリンを倒して倒して、奥は奥へ進む。

 

******

 

なんなんですか!あのヒューマン。心配でついてきましたけど、動きもまるで素人、ああ!そこで躱せばいいのに危なっかしい!私の魔法で援護を!そうしようと何回思ったことか、けれど援護できない。

 

彼の必死さ、彼の足掻きを見ていると心をがうずく。手を出すなとそう言われてる気がして、見ていろ、これが男だ!と言わんばかりに。なんでこんなに私の心をかき乱すんだろう。こんな気持ち私は知らない。

 

******

 

一体どれほど経ったのだろう。もう太陽が昇り、オラリオに降り注いでいるが、ベルは未だに帰ってこない。このまま帰ってこないと思うと心が張り裂けそうだった。朝日が上り、色々な人が活動している中。彼は未だに帰ってこない。

 

「ベル」

 

「神様」

 

ベルの声が聞こえた。ハッと顔を上げると傷だらけで、山吹色のエルフの少女に肩を借りながらやっとの姿で歩いてきたと思わせた。けれどこの女の子は誰だ?確かベルを追いかけていた子か

 

「【ロキ・ファミリア】はどうした?」

 

私が疑問かけると、ベルは「ロキファミリア?」と言っていたので、ロキファミリアと会っていないんだろう。あの【剣姫】は何やっているんだ。と乗り込みに行こうかと思ったところ、山吹色のエルフが呟いた。

 

「あの、神様。【ロキ・ファミリア】は確かにいたんです。けれど彼の必死の足掻きを見て、手を出せなかったんです、私もそうでした。だから私から【ロキ・ファミリア】に頼んで、帰ってもらったんです。彼は私が連れ戻すからって」

 

「そういうことだったのか」

 

エルフの少女がベルに危機が迫った時、何かしらの援護をしたのかもしれない。怪物を倒す魔法ではなく、支援魔法の類いをかけたのかもしれない。だがここに立っているのは、怪物に打ち勝った、紛れもない勝者。私はベルが勝者になってくれてとてもとても嬉しい。

 

「神様」

 

「なんだ?」

 

「僕もっと強くなりたいです」

 

「ああ、強くなれるさ。ベルならきっと」

 

そのまま、私は目から熱い何かをこぼしながら。ベルを抱きしめた。ベルは安心してそのまま眠ってしまっていた。そして疑問だったのだが、このエルフの少女はどうするのだろうか、それだけが疑問だった。

 

「ここまでベルを連れてきてありがとう」

 

「い、いえそんな、私がしたくてしたことですし!」

 

「それでお前はどうするんだ?これから」

 

私が笑いかけるとその少女は、スカートを小さい手で握り締め、意を決したように、顔を真っ赤に染めながら、彼女は想いを叫んだ。

 

「私をこのファミリアに入れてください!」

 




レフィーヤ・ウィリディス
Lv.2
力 : C 785 耐久 : D 689 器用 : C 768 敏捷 : C 796 魔力 : B 802
《魔法》
【アルクス・レイ】
・単射魔法。
・標準対象を自動追尾。
・詠唱式【解き放つ一条の光、聖木の弓幹。汝、弓の名手なり。狙撃せよ、妖精の射手。穿て、必中の矢】

【バーナス・レーベル】
・身体能力向上
・対象者5人まで付与可能
・自分に付与可能
詠唱式
【我は望む 汝らが燃え尽きぬことを 約束しよう 我の魔法をもって全てを守ろう】

《スキル》
妖精追奏(フェアリー・カノン)
魔法効果超上昇

レフィーヤは【アルテミス・ファミリア】に所属します。ベルのライバルであり、いい同僚になるはずです。次回詳しく書きます。


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いい話が二つ

遅れて申し訳ないです。
少し長めにやってるので、よろしくどうぞ!


「あの子素晴らしいわね」

 

葡萄酒を片手に王座にいるのは、絶世の美女。この姿を見るだけで、男であろうがましてや女であろうが、魅了される絶世の美女である。引き引き締まった体に、出るところは出て、まさに理想の女性。肩まで出ている、銀髪は美しい。

 

この女性は固執する男性はいなく、退屈な日常を過ごしていた。けれど退屈を凌げる白き魂を携えた男の子を見つけた。その女性の名はフレイヤ。美の女神である。

 

「主神はアルテミスね。少々厄介だけど、必ずあの子を私がもらうわ」

 

フレイヤは葡萄酒を一口のみ、全てを魅了する笑みを浮かべた。

 

******

 

「うわああああッッ!!」

 

悪夢でも見ていたような気がして、叫びながら僕は起きる。体は完璧に治っている。少々筋肉痛になっているが、動けない程ではない。

確か僕は豊壌の女主人から抜け出して、悔しくてダンジョンに向かって、それから自暴自棄になって確か。

 

「起きましたか!アルテミス様!起きましたよ!」

 

目の前で笑顔で迎えてくれるのは昨日話したはずの、レフィーヤさんだった。辺りを見回すとやっぱりここは僕たちのホームだった。あの後記憶が曖昧で覚えてないんだよね。確か『ウォーシャドウ』を倒したところまでは。

 

******

 

見た目は影。全身がくまなく真っ黒である。十字の形の顔をしている影である。新米殺しと言われるモンスター。

ベルは短刀を引き抜き、ウォーシャドウと対峙する。怯えを押し殺し一歩足を前に。こんな場所で立ち止まってる場合じゃないと一歩前に。

 

「ああああああああああッッッ!!」

 

突撃する。ウォーシャドウの攻撃は長い腕にある鋭利な鉤爪状の指である。その攻撃にまともに触れれば今のベルでは四肢はバラバラになるだろう。触れたら終了(ゲームオーバー)そんな闘いを挑もうとする。

 

鋭利な敵の腕をしゃがんで避け、短刀で急所を突く。一体ウォーシャドウを倒すことに成功する。だが一体、それだけなのだ今視界に映るだけでも20は超えてる。これを一人で処理するのは流石にきついと苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる。

 

「【バーナス・レーベル】!!」

 

詠唱が鳴り響いた。その瞬間ベルの体は軽くなり力が溢れてくる。まるで自分の体じゃないみたいに。ベルは詠唱の声が聞こえた方に振り向くとそこにはレフィーヤ・ウィリディスがそこにいた。ベルはモンスターに向き直し短刀を構える。

 

「行きなさい!ベル・クラネル!」

 

声が聞こえた、目の前にいるモンスターに勝てと、冒険者という名前に恥じない闘いをしろと。彼女は目に涙を溜めながら叫ぶ。彼の戦いに打ち震えながら彼女は叫ぶ。

 

「はい!」

 

地面を粉砕し、爆速する。

 

******

 

「お願いですから手を出さないでください!」

 

「え?」

 

レフィーヤはベルから目を離さずに後ろにいるアイズとリヴェリアに話しかける。アイズから疑問がこぼれ落ちる。それもそうだ、今の状況はベルが劣勢負ける可能性のほうが高いのだ。ましてや冒険者になって日が浅い駆け出し冒険者、アイズやリヴェリアは分かっていた。

 

「見てわからないんですか!?あのヒューマンは強くなりたくてここまできてるんです。酒場の時の話を聞いて、彼は悔しそうに唇を噛み締めてました」

 

レフィーヤはけれどと付け足した。

 

「彼はあの狼人(ウェアウルフ)の言葉に悔しがってたのもありますが、一番は何もできなかった自分です。弱い自分が許せなくて彼は今ここに立っています」

 

アイズとリヴェリアは見る。男をかけて戦う冒険者を。命を賭して戦う冒険者の姿を。そんな冒険者はそうそういない。危なければ逃げるし、死ぬ可能性があるなら生きる可能性に下がりつく。そんな冒険者が大半だろう。そんな姿をレフィーヤは過去実際に(・・・・・)見てきた。そんな冒険をする人の目的は全てひとつである。

 

【今の自分を超える】

 

すなわち強さ。強くなりたくて、誰かを守りたくて強くなる。強さを手に入れたいから。

 

「なんだかわかる気がするな」

 

アイズがベルの死闘を見ながらそう呟いた。レフィーヤもリヴェリアもその顔を見て驚いたが、リヴェリアだけはふっと笑いベルとレフィーヤに背を向ける。

 

「帰るぞ、アイズ。その男は彼女に任せとけ私達の出る幕ではない」

 

「うん、そうだね。えっと.......」

 

アイズが彼女の名前を呟こうとしたときに、彼女の名前がわからずに戸惑っていたところ、レフィーヤはベルから一向に目を離さずに、こう答えた。

 

「レフィーヤ・ウィリディスです、これから彼のファミリアに入る偉大な一員です」

 

「そっか、じゃあ彼のこと頼んだよ、レフィーヤさん」

 

「はい、任されました。アイズ・ヴァレンシュタインさん」

 

「こんのおおおおおおおおおッッッ!!」

 

アイズとリヴェリアがダンジョンから去るなか、ベルはモンスターを着々と倒し進めた。レフィーヤは彼に支援魔法が切れないように、効果時間(インターバル)を見極めつつ、彼にかけ直す。レフィーヤはただベルに勝ってくれと願うばかりだった。

 

******

 

「ずいぶんと長いお休みだったみたいだな、ベル」

 

「神様」

 

昨日のことを思い出そうと、考えていると神様が部屋から現れた。神様はいつも通りの服装ではなく、ドレスに着替えていた。あの服はいつも神様が奮発して買った服。「どうだ、これでパーティーに呼ばれたときに困るまい!」とキメ顔しながら、ぼくに自慢してきた服だ。

 

「いい報告が二つある」

 

神様は指を二本立てながら、僕に近づいてくる。僕は神様の顔が近くなってくるので、自分の布団からパッと抜け出して、食卓に座る。レフィーヤさんは元々食卓に座っていた。僕が隣に座ってきたことで、顔が赤くなっていた気がするが、気のせいだと思う。それを見てアルテミス様が頬を膨らませて、若干機嫌悪くなった気がする。

アルテミス様は僕の目の前の食卓の椅子に掛ける。

 

「まずひとつ目だが、眷属が一人増えた」

 

「ええッッ!?」

 

衝撃的な発言で、ひっくり返る。レフィーヤさんに「大丈夫ですか?」と心配されるが、そんな場合ではない!一人僕たちのファミリアが一人増えたんだとそう言われた。僕はすぐ椅子を立て直し、嬉しくなり前なりになって話を聞く。

 

「そこのレフィーヤというエルフの女性だ。レフィーヤもファミリアを探していたみたいでな、こちらに入りたいと志願してきてな私も拒む理由はないし、むしろ団員が増えることはいいことだ」

 

僕は仲間になってくれたレフィーヤさんを凝視する。神様が「女性の団員が増えてモヤモヤする」と何か僕に聞こえない声で呟いていたみたいだった。僕は新たに増える団員、レフィーヤさんの手を握る。

 

「レフィーヤさん!これから、このファミリアを大きくしていきましょうね!」

 

「は、はい。あ、あの手が.......」

 

「ご、ごめんなさい!?」

 

慌てて僕が手を離し、火照ってる顔を伏せる。レフィーヤさんがエルフっていうことでも恥ずかしいし、女の子の手ってこんなに柔らかいんだということでも顔を赤面していた理由だった。

 

「おいベル何赤面してるんだ!」

 

「は、はい!すいません!?」

 

「それにレフィーヤまでなんで赤面してるんだ!」

 

「し、してません!してません!?アルテミス様も悔しいからって八つ当たりしないでください!」

 

「く、悔しいって何がだ!私は別にく、悔しくなんて、悔しくなんて!!」

 

レフィーヤさんと神様が大きく言い合いを始める。レフィーヤさんはギュと自分の片手剣を握りながら、強く言い返し。一方神様は、神様らしくなくって、レフィーヤさんに指を指しながら文句を言っていた。

 

「くっ、あはははははッ!!」

 

神様もレフィーヤも言い合いをやめて僕の方を見て首を傾げた。何を笑っているのかとそういう目をしていた。僕はみんなの疑問を晴らすために神様たちに向き直って、言葉を口にする。

 

「僕たちのファミリアも一歩前進したなって思ってすごく嬉しくて、僕と神様だけだとこんな言い合いもできないから、一人増えてこんなに変わるんだってそう思って嬉しくなっちゃったんです」

 

神様は納得したようで、レフィーヤさんは目を伏せ笑顔でうなずいていて、神様は笑顔で僕をしっかり見つめてくれた。その瞳は海原のように透き通っている蒼目をしていて、とても優しい目だった。

 

「ああ、そうだな私たち二人の時は考えられなかったことだ。けれどまたいつか一人一人増えて、前へ前へ進んでいくんだろうな、こうしてファミリアが大きくなっていく」

 

神様は僕の手を握り優しく微笑んでくれる、まるでその姿はまるで聖母のようで、僕の母親のようだった。

 

「きっとこの先も何かにぶつかって苦しいことや逃げ出したくなる時や絶望することだってあるだろう。そんな時は私を思い出してほしい」

 

僕の手を両手で神様は包み込んでいたが、左手を僕から離しレフィーヤを今度は包み込む。レフィーヤさんも手を握られて改めて実感したと思う。僕たちはファミリアなんだと

 

「私はお前たちの帰りを待っている。だから必ず帰ってきて優しい子供達」

 

「「はい!アルテミス様!」」

 

僕たちはこの日本当のファミリアというものに触れることができた気がする。きっとこの先も僕が死ぬまでこの光景を忘れることはないだろう。

 

「そうだ、あと一つの朗報だが」

 

神様は僕たちから手を離し人差し指と薬指を立てる。

 

「ヘファイストスから武器を作ってもらえることになった」

 

「「へ?」」

 

「えええええええええええええッッ!!」

 

僕が大声で騒ぐと、神様は耳に手を当て不快そうにしていて少し罪悪感があったが、そんなことは気にしてられなかった。だってヘファイストス様の武器といえば、超がつくほどの高級品で第一級冒険者が使うような武器のものを僕が手に入れるなんて......

 

「レフィーヤ私のファミリアに急に入ってきたから、用意できなかったすまない」

 

「気にしないでください、突然入ってきたんですから用意されてなくて当然です。私にも立派な武器がありますから」

 

レフィーヤさんはそう言って自分の左の腰に下げている剣の鞘を触る。レフィーヤさんのその剣は前から持っていて、大切なものということが改めてわかった気がする。

 

「ヘファイストスが武器を用意して待っている。ヘファイストスのところに行くぞベル、レフィーヤ」

 

「「あ、はい!」」

 

僕と声がさなった方を見る。レフィーヤさんも僕の方を見ていた。そうだった【アルテミス・ファミリア】には団員一人ではなくて、僕は家族が一人増えたことを改めて実感して、レフィーヤさんと目があってしまって僕もレフィーヤさんも吹き出してしまっていた。

 

******

 

「ふーんこれがアルテミスの眷属ね〜」

 

「あ、はい!ベル・クラネルと言います!あ、あの僕のために武器を作ってくれてありがとうございます!」

 

「あぁ〜それはもういいのよ、アルテミスから何度もお願いされたからね」

 

「ヘファイストス!あまりそのことを思い出せないでくれ!」

 

僕たちはヘファイストスの工房に向かい、今現在ヘファイストス様が出迎えてくれている状態だった。工房は鍛冶屋独特の鉄の匂いがして、部屋にはヘファイストス様が作ったのであろうか剣やら防具などが飾ってある。薄暗い部屋であったがここで作業する部屋ではないと感じた、鍛冶に必要な竃がなかった。

 

「それで肝心の武器なんだけどね」

 

僕が期待を膨らませ、ごくりと喉を鳴らすとヘファイストスは後ろ机に置いてある紫色の袋を持ち上げる。その袋の大きさから見て剣だろうかはたまた違う武器だったり、とそんな考察しているとヘファイストス様が僕に手渡ししてくれる。ずっしりとした重みで僕はどんな武器なんだろうと期待がもっと膨らんだ。

 

「見てごらんなさい」

 

「はい」

 

僕は紫の包みを床に置き、僕は正座して開封する。紫の包みを凝視しながら包みを開ける。そこに入っていたのは刃から柄まで漆黒の剣だった。よく見ると刃の方に色々な筋が入って僕は不思議に思った。

 

「その剣はね、あなたと共に成長する武器なの」

 

「僕と一緒に成長.......」

 

「そう、あなたが強くなればなるほど、その武器も強くなるの。まあ鍛冶師からしたら邪道だけどね」

 

ヘファイストス様が僕に視線を向けていたのを外し、チラッともう一人の眷族レフィーヤさんのことを見つめる。レフィーヤさんはヘファイストス様と目があって少し緊張していて、その姿を見て少し微笑んでしまった。

 

「ふーん、もう一人眷族できたのね、アルテミス」

 

「ああ、私の二人目の眷属レフィーヤ・ウィリディスだ」

 

「ってちょっと待って!その武器見せて!」

 

「え、あ、はい」

 

ヘファイストス様が慌てた様子でレフィーヤさんの剣を抜刀して、隅から隅まで見る。その武器は美しい銀色に輝いていて、柄の部分は金色で装飾されており貴族が使うような武器で、僕の武器よりは軽装な剣だった。

 

「これすごい業物ね、誰が使ったの?」

 

「誰っていうのは私にはわからないんですけど、これ義父のものなんです。オラリオに行くなら持って行けって代々から受け継がれているようなんですけど私がそんなものもらっていいんだろうかって思ってるんですけどね」

 

レフィーヤさんは苦笑いで誤魔化していたが、少し表情が悲しそうだった。ヘファイストス様はレフィーヤさんに剣を返してレフィーヤさんは、剣を鞘に収めた。

 

「ベル、その武器の名前なんだけどね」

 

「あ、はい!」

 

「『黒幻(こくげん)』それがその武器の名前よ」

 

「『黒幻』」

 

「まあ、うちの某鍛冶師が呟いた名前を改名した名前なんだけどね、最初に名前聞いた時は黒ピョンとか言ってて、驚いたけどね」

 

ヘファイストス様は思い出し笑いしたみたいに、クスクス笑っていた。でも流石にこの武器が黒ピョンって名前だったらすごく残念であんまり愛着持たなかったかもしれない.......

 

「帰ったらアルテミスの恩恵刻みなさい。そうしたらその武器はあなたと共に成長していく武器になるわ」

 

******

 

「ベル、まだダンジョンから帰ってきて、まだ恩恵を刻んでなかったな帰ったら武器と一緒に刻もうか」

 

「はい!お願いします!」

 

僕と神様とレフィーヤさんでヘファイストス様の工房を抜け、ホームに戻っていた、僕の背中には『黒幻』があり、落とさないように肩に紐でぶら下げていた。僕はホームに帰ったらレフィーヤさんに聞きたいことがあることを思い出していた。

 

豊壌の女主人について、皆さんははエプロンをして忙しそうにしていた、夜に向けての開店準備もあるのだろう、神様も夜からバイトに入るらしい。ホームに着いて僕はレフィーヤさんに問う。

 

「レフィーヤさん」

 

「はい?何でしょう?」

 

「前に豊壌の女主人で聞きそびれたことなんですけど、相談って何だったんですか?」

 

「ああ、そのことですか、いい神様を知らないかっていう話でした」

 

「でもラキ.....とか言っててその続きが妙に引っ掛かったので本当にそれだけでした?」

 

「そうですね、聞いてくれますか?」

 

レフィーヤさんが真剣な眼差しで食卓に座ると、僕と神様もレフィーヤさんの対面の食卓に座った。

 

「私はラキアにいたんです」




ベル・クラネル
Lv.1
力 : I 82→G 212 耐久 : I 20→H 184 器用 : 73→G 207 敏捷 : H 127→F 342 魔力 : I 0
《魔法》
【】
《スキル》
【憧憬一途リアリスフレーゼ】
・早熟する。
・懸想おもいが続く限り効果持続。
・懸想おもいの丈により効果向上。

原作よりも多くの敵を倒したので、経験値が多めです。そしていよいよ怪物祭ですね。
次回はレフィーヤの過去と怪物祭です
レフィーヤの過去はそんな大層なことは考えてません、次回は怪物祭がメインの話になります。
ちょっとしたことを考えているので、2話構成になる予定です。
次回もいつになるかわかりませんが、よろしくお願いします。



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レフィーヤ・ウィリディス

長い期間が空いてしまいました。理由としては筆が進まなかったのと、単純に忙しかったからです。すいませんでした。
そして次はモンスターフィリアのお話と書いたんですけど、レフィーヤの過去を書いていたら筆が止まりませんでした。原作とのレフィーヤとは全く過去が違います。絶対こんな人生歩んでません。とりあえず見て貰えばわかると思います。では本編へどうぞ。


村が燃えていた。ゴゥゴゥと音を立てて燃えていた。どこを観ても赤色の景色で、綺麗な緑で囲まれていた村は形もあらず、まっかにそまっていた。匂いも木が燃える匂いだけではなく、人が燃えている匂いもした。はじめての匂いに嗚咽する。今まで隣を歩いていた友達やよく遊びに行くときに果物をくれていたおじさんが燃えていた。私は観てることしかできなかった。

 

レフィーヤが生を受けてから、8年がたった村の外れの場所に遊びに行った時に、炎龍が現れた。そう炎龍は別に強いモンスターではない。オラリオにいる冒険者ならばレベル3程度の冒険者ならば、一人でも倒すことができる。けれど神の恩恵は私たちにはない、大抵のモンスターなら出てきてもこの村の連携力ならば奇襲されたとしても、全て撃退することもできる。

 

けど炎龍は違かった。一瞬だった。連携する前に木の上で見張りが声を荒げる前に、燃やされ絶命した。絶命した人を見て叫び声さえも、叫声に変わった。連携がないエルフなど一瞬だった。燃やされ、爪で引き裂かれたものもいた。私は村はずれから帰ってくると、世界が変わっていた。全て私の視界が赤に変わった。現実を受け入れられなかった。

 

「は、ははははははっっ」

 

乾いた笑いが出た、こんな状況なのに笑っていた。なんで私は膝を落として、笑っているのだろう。なんで体は動かないのだろう。そんな笑っている自分が気持ち悪かった。喜んでいるのだろうか?感情がぐちゃぐちゃでわからなかった。そして何故か口元はしょっぱかった。

 

私のもとには希望ではなく絶望が現れた。炎龍だった。まだ死んでいない獲物がいるとこちらに向かってきた。死んだほうが楽なのだろうか、そんなことを心の中のどこかで思っていたからこそ、体は動かないし、心は言うこと聞いてくれない。

 

『ゴオオオオオオオオオオッッ!!』

 

「レフィーヤ!!!!」

 

「え?」

 

炎龍が飛びかかる前に、誰かが私を押した。体が跳ねて炎龍が私の体を通り抜ける。けれどグシャッと誰かの体が吹き飛ばされる音が聞こえた。そして、血だらけで宙に舞っていた同胞が落ちてくる。。誰だろうと朧げの目で見つめる。

 

父だった。私の一番身近にいた人だった。いつだって仕事に帰ると私の頭をゴツゴツの手で撫でてくれていた父だった。レフィーヤがもし結婚するときは、絶対私に紹介してくれと言ってくれていた父だった。孫の顔が見たいとぼやいていた父だった。

 

「お父さんッッッッッ!!!!」

 

「レフィーヤ!!走りなさい!!」

 

私が父の元へかけようとすると、聞き覚えのある声だった、母だった。私は「どこへ?」と尋ねると母は険しい顔で私に告げた。

 

「外に馬を止めてあるわ!それに乗ってラキアに向かいなさい!私の知り合いがいるの、きっと彼ならあなたを引き受けてくれるわ」

 

「なら、お母さんも早く。お父さんを背負って馬に乗ろうよ」

 

お母さんは私の顔を見て、唇をかみしめた。血が出るほど、噛み締めていた。お母さんはそのあと険しい顔をやめ、ゆっくり微笑んだ。

 

「レフィーヤ、前にも言ったでしょう。父さんと母さんはここで一生暮らしていくって、だから母さんはいけないよ」

 

「私一人で行くってこと?」

 

「ええ、レフィーヤはいい子でしょ?なんでも私のお願いを聞いてくれた。これが私の最後のお願い、生きて」

 

「いやだよ........」

 

「レフィーヤ......」

 

「いや.........」

 

「レフィーヤ......」

 

「そんなお願い」

 

「お母さんの最後のお願いなのよ、レフィーヤ」

 

「................それが最後のお願いなんだね、お母さん」

 

「ええ」

 

「うん、わかった」

 

「いい子ね、レフィーヤは」

 

私は何も持たずに駆け出した。なんでこんなお願い聞いたんだろうと今でもわからない。けれど逃げ出したかったんだと思う。きっと私は弱くて、お母さんの最後まで見てしまったらきっと私の心は立ち直れないから、私は生きる理由を与えてもらった。

 

ならば、ならば、私は生きなければ。

 

それで、ラキアに行ってそこで少し成長するの、それでオラリオに行くのもいいなぁ。冒険者になって強くなってまた村に戻ってくるの。それでこれだけ強くなったよって、村のみんなに自慢してチヤホヤしてもらうの。それでいい人がいたら、お父さん真っ先に紹介して、お母さんは「あらあら」とか言いながら、まじまじ見るんだと思う。

 

そんな想像をしながら、村の外へ向かっていく、後ろをふと振り向くと、夜空に炎龍が何か手足のようなものを口からはみ出しながら、去っていくのが見えた。

 

「あれは確か、お母さんのブレスレットだっけ?」

 

大きくなったらくれると、私に言ってくれてたものだった。それも炎龍にとられてしまった。私は無表情のまま、村の外に止めてあった馬に乗る。4回目くらいの騎乗だが、難なく走ることができた。少し走ったあと、喉が渇いたので私は泉に止めて、喉を潤そうと泉に近づく。

水面に移ったのは、目が腐った女の子のエルフだった。

 

「気持ち悪い」

 

私はそう言って足元に落ちていた、石ころをそのエルフが映る水面に投げ捨てる。そのエルフは消えることなく、ただ水面が波紋を立てるだけだった。しばらくするともとに戻った汚いエルフの完成。

 

「ねえ、そこにいるエルフさん。なんであなたは逃げてきたの?お母さんとお父さんと村の人を置いて逃げてきたの?..........ねえ?............ねえ?.............答えてよ!!!」

 

そのまま、崩れ落ちた、声を荒げながら泣いた。

 

******

 

「そうか、彼女が生きろと言われたからここにきたのか」

 

コクリとレフィーヤはうなずく。お母さんの知り合いとはエルフの男性だった。彼は一人暮らしをしていて、鍛治職人だった。ラキアの中心部に位置する彼の家は、外観も立派の家で、すごい家なんだろうとレフィーヤは感づいていた。そして、お母さんに言われた通りにラキアの人に彼の名前を言って、ふらふら彷徨いながらラキアについてから、2時間ほどで彼に出会った。

 

「そうか、大変だったな。私がこれから面倒を見ることになるがそれでもいいか?」

 

「はい、こんな私ですけど、よろしくお願いします」

 

彼はレフィーヤを最初はかわいそうだと思った。けれどレフィーヤの話を聞いて、彼は生きてほしいと思った。彼女は1日で家族と故郷を失った。そして母親に生きてほしいと願われたから、その願いを果たそうと動いている。こんな小さな子なのによく絶望せずに、ここまで来れたとむしろ称賛している。

 

「私はね、レフィーヤ。君に生きる目的を持ってほしい」

 

「私は、お母さんに生きてと言われたから私は生きるんです」

 

「違うよ、それは君の意思ではない。答えを与えてもらった事に過ぎない、ただの過程なんだよ」

 

「過程、ですか?」

 

「ああ、君のお母さんは君に生きる目的をくれる過程に過ぎない。だからこれから探していくんだ。ゆっくりでいい。足掻いて、苦しんで、悩め。きっと君の心のどこかに、まだ生きる理由が眠っている。そうでなくては、体は、心は動かない」

 

彼はレフィーヤの手を握った。まるでレフィーヤの心に熱を灯すように。レフィーヤは目に少しだけ光が生まれた。まだ私には私が残っていると、肯定してくれた人がいたからだ。まだレフィーヤは生きていると教えくれたからだ。

 

「冒険者になるでもいい、私の鍛治師としての技術を受け継ぐでもいい、どこかの王子様と結婚するでもなんでもいい。見つけるんだ、いや探せレフィーヤ。その答えは君の心の中にある」

 

そして彼はゆっくり彼女を抱きしめる。腐った目をして、絶望に悶え苦しんでいる彼女を。

 

「今は泣いてもいい、だって君は女の子なんだから」

 

彼は耳元で囁いた。そしてレフィーヤもギュッと彼の大きい背中に手を回して、力を込めた。

 

「私、私逃げちゃったんです!!お母さんとお父さんと村の人を置いて!私だけ助かった、なんで私だけなの?なんで......なんで!!」

 

彼はうんうんと相槌をしながら、泣きじゃくる彼女を壊れないように抱きしめる。

 

そして泣き止んだレフィーヤを抱きしめるのをやめて、彼は顔をゆっくりと見る。そしてにっこり笑い、洗面台にある手鏡を持って、彼女に見せる。写っていたのは、少しだけ目に光を宿した女の子だった。もう完全に腐ってはいなかった。

 

*******

 

レフィーヤはラキアを納めている主神に恩恵を刻んでもらい、剣の稽古始めた。彼が鍛治師であることもあるが、彼は昔オラリオで冒険者をしていた。けれど自分には剣の才能がないからと、やめてしまったのだと言う。そしてレフィーヤには才能があった。それを見て彼は君ならいい剣士になれると言われて、レフィーヤは訓練を始めた。

 

剣を振っていくうちに何か掴める気がしたから、彼女は剣を振り続けた。もちろん故郷で習っていた魔法も忘れずに。そして4年目でレフィーヤは念願のランクアップを果たした。さらに3年がたったある日、レフィーヤは義父にあることを伝えた。

 

「お義父さん、お話があるんです」

 

レフィーヤは朝ごはんの準備をしている、彼に話しかけた。レフィーヤは食卓に座り、真剣な眼差しで彼に話しかける。

 

「うん?なんだい?可愛いレフィーヤのためならなんでもしちゃうぞ!何がほしいんだい?お菓子かい?それとも玩具かい?なんでも買ってあげちゃうぞ!」

 

「お義父さん、私を好きなのはわかりましたから!!ちょっと落ち着いてください!!」

 

レフィーヤは顔を赤く染めながら、叫んだ。彼は振り返って、レフィーヤの真剣な顔を見て、彼はゆっくり食卓に座った。

 

「それで?話ってなんだい?」

 

「はい、お義父さんは私の生きる理由を見つけてほしいと言ってくれました」

 

「うん、確かに言ったね」

 

「はい、それで決めました。私はオラリオに行きます」

 

彼はちっとも驚かなかった。初めて彼女の生きる目的を知ったのに、まるで知っていたかのように、彼はうんとうなずいた。

 

「それがレフィーヤの答えかい?」

 

「はい、私は冒険者になります。お義父さんと剣の訓練をしました。それを生かして冒険者になってきます」

 

彼はクスッと笑い、レフィーヤの目を見た。彼は笑顔だった。

 

「それがオラリオに行く理由かい?」

 

レフィーヤはふるふると首を横に振る。目を瞑り深呼吸してから言葉を紡ぐ。

 

「あの炎龍はわたしの亡き故郷で移住していると聞きました。あのモンスターを一人で倒すことがわたしの生きる理由です」

 

「そうか、君の生きる理由を聞けて満足だよ」

 

彼は立ち上がり、奥の工房へ入っていく。そしてとても大きな古い木箱を持ってきた。それを下に置き、ちょいちょいとレフィーヤを手招きする。レフィーヤも従うように、食卓から離れて彼の真正面に座る。

 

「これは?」

 

「わたしの家に代々伝わる、代物だよ」

 

古い木箱を開けると、白銀の剣が出てくる。古い木箱から、そんなものが出てくると思っていなかったレフィーヤは驚いた顔をする。金色の装飾をされた剣の柄に、窓から差し込む太陽にキラキラ白く反射する宝石のような、白銀の刃。

 

「これを持って行きなさい」

 

「え!?これはだって代々お義父さんから伝わるものだって、大事なものなんですよね?」

 

「ああわたしの命よりも大事なものだ、毎日これだけは風邪になっても、腕が骨折しようとも毎日手入れはしていたさ」

 

「だったらなおさら!?」

 

「けどねレフィーヤ君は一つ勘違いしてる」

 

レフィーヤはその言葉の意味がわからなかったので彼の顔を見る。彼は優しい笑みでレフィーヤにこう言った。

 

 

「命よりも大事なものがもう一つ増えたんだよ?」

 

 

「おと、う、さん」

 

レフィーヤは涙を目にためていた、声も上ずり、うまく言葉を出せなかった。けれど彼には伝わっている、レフィーヤの気持ちが。

 

「レフィーヤ、行ってきなさい。そして炎龍を倒したあと、私に聞かせてくれ、次君が何をやりたいのかを」

 

彼の目が光ってるようにレフィーヤには見えた。けれどこれは自分が流している大粒の涙のせいかもしれないと思っていた。レフィーヤはその差し出された剣を受け取り、彼に深々と頭を下げる。

 

*******

 

「忘れ物してないかい?」

 

「うん!大丈夫です!このレフィーヤ・ウィリディスに限って忘れ物なんてありませんから!」

 

「うんうん、レフィーヤはそうでなくっちゃ!」

 

「..........お義父さん今までありがとうございました」

 

「違うよ、そんな言葉は許さないよ」

 

「え?」

 

「またね、レフィーヤ」

 

「ッ!!!........またね!お義父さん!!」

 

「あっ、ちょっと待った、レフィーヤ」

 

「え?なんですか?忘れ物でもありました?」

 

「うん、ほらこれ」

 

彼が持ってきたのは7年前の手鏡だった。それして手鏡に映し出されていたのは、レフィーヤだった。そして7年前見た顔は酷く淀んでいて、今にも死にそうな顔をしていた。けれどそこにいたのは、綺麗で山吹色の髪を一つに束ね、決意に満ちた綺麗な目をしていたエルフだった。

 

「いい顔になった」

 

そしてレフィーヤはオラリオに向けて一歩歩き出した。もうあの頃絶望していたレフィーヤはいない。昔のように理由を与えられて生きていたレフィーヤではない。これが彼女。正真正銘のレフィーヤ・ウィリディスが誕生した。




これが彼女の過去です。少し重いでしょうか?家族は殺され、復讐者とならなかったのは彼女の根っこにある優しさだと思います。けれどモンスターによる恨みは絶対にどこかにあると思っています。だからこそ敵討ちという選択肢が出ました。そしてベルと出会います。彼女はベルという少年に出会って何か変わるでしょうか、きっと変わると断言していいですね。
そして今作のレフィーヤは原作とのレフィーヤとは性格が違います。根っこはおなんじですが、臆病な性格はなく、ぐいぐい強気で行ける女の子です。そんな彼女は僕は見てみたいと思い、こんなお話にしてみました。
そして次回はちゃんとモンスター・フィリアに行きます。前半後半にわかるでしょう。多分更新日は未定です。お待ちいただいたら幸いです。ではまた会いましょう。


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怪物祭(モンスターフィリア)

書きたいものが多すぎて、辛いとはこのこと。
モンスターフィリアを長くするわけにはいかないので前編後半で締めさせていただきます。ベルとアルテミスとレフィーヤのイチャイチャは外伝として出します。いつかはわかりませんが。

とりあえず前編です!どうぞ!


レフィーヤさんの過去を聞いた。僕は泣いていた。きっとレフィーヤさんは悩んで、足掻いて、そして決断した。僕なんかよりもずっと大人でなによりも残酷な世界をこの目で、いや体でわかっていると思う。

 

「レフィーヤさん.........」

 

「すいません、なんか辛気臭い話しちゃって......」

 

レフィーヤさんが宝石のように光っていた瞳を指でぬぐい、元気に振る舞う。多分レフィーヤさんは炎龍を倒すまで、いやこの過去をずっと忘れることはできない。けれど........

 

「レフィーヤさん!」

 

「はい?なんでしょう?」

 

「僕はレフィーヤさんが炎龍を倒すところをこの目で見てみたいです」

 

レフィーヤさんは驚いた顔で僕を見つめる。僕はこの言葉だけを伝えればよかったのに、僕の口は止まらなかった。

 

「だから.........僕と一緒に強くなりませんか?............って何言ってるんだ僕!当たり前のことですよね!?ごめんなさい!変なこと言って!」

 

レフィーヤさんは僕の慌てる姿を見て、一呼吸おいて笑い出した。僕はその姿を見て呆気に取られて慌てるのをやめていた。

 

「ンンッ!...........そんなこと言ってくれる人がいて嬉しいです。ラキアにもそんな人いなかったので」

 

「そ、そうなんですか」

 

ラキアという国では結構大きいとさっきレフィーヤさんの話で察したが、そのくらい大きい国ならば強くなろうとする人がいるのでは?と疑問に思ってしまった。

 

「だからあなたみたいな人と出会えてよかったです」

 

眩しいくらいの笑顔で呟いた。目が腐っていたと言っていたレフィーヤさんがいたらしいが、そのレフィーヤさんがどこに行ったのか教えて欲しいくらいだ。レフィーヤさんの目標は炎龍を倒すこと、倒したあとはどうするんだろうか、ラキアに帰ってしまうのかな。なんて僕は考えてしまう。

レフィーヤさんは「それと」と付け加え、口を開く。

 

「同じファミリアなんですから、レフィーヤでいいですよ、私もこれからベルって呼びますから敬語もいらないですからね」

 

レフィーヤさんに笑顔でそう言われた、ギュッと自分のズボンを握って、僕は勇気を持って言葉を口にする。

 

「わかったよ、レフィーヤ」

 

「はい、よろしくおねがいします。ベル」

 

******

 

ダンジョン探索もある程度進んできた。レフィーヤがいることで少し手こずるモンスターも軽々倒せるようになってきたし、何よりレフィーヤの戦い方は見ていて勉強になることがわかった。

 

「剣の振り方はこういう動きの方がいいです。ああ、違いますベル!こうですもっと脇を閉めて、そうそうそんな感じです」

 

僕が『黒幻』を抜いてウォーシャドウと戦っている時、レフィーヤは後ろから指導をしてくれていた。

レフィーヤは魔法も使えるのに主に戦っているのは、魔法ではなく剣術。僕はそれを見ていてすごいと思っていた。レフィーヤは魔法が二つある。よく使ってくれる、援護魔法。そしてもう一つが。

 

「『アルクス・レイ』!」

 

眩い光と共にウォーシャドウを焼き消した。彼女の唯一有してる攻撃魔法がこの魔法だった。モンスターが多少いる時や僕が前線を張ってくれてる時に使ってくれる魔法。並行詠唱は今練習中らしい。

 

「ふう、そろそろ切り上げてアルテミス様のところに戻りましょうか。お腹も空きましたし」

 

「うん、そうしようか」

 

地上では日も落ち始めているので、僕たちはダンジョン7階層をから地上へ向かう。地上へと抜け出す道はいつもこの時間は人は混んでいて、多くの人がダンジョン探索をやめ地上へと帰還する。

 

そして僕とレフィーヤが見たのは檻に入れられたモンスターだった。それも何体もモンスターの入った檻達があり、それがガタガタと動いていた。レフィーヤは「ヒッ!?」と声に出して驚き、僕は少しギョッとしてしまった。

 

「レフィーヤあれ何かわかる?」

 

「し、知りませんよ。ベルの方が長くオラリオにいるんですから私が聞く会話(セリフ)でしょう!」

 

「うっ、それを言われると....」

 

僕とレフィーヤは檻に入ったモンスターを気味がりながら地上へと帰還する。僕は帰ったら神様に何が起きるのか聞いてみることにした。

 

******

 

神様はシフト終わったので、お風呂に入り、その間僕たちはホームで夕飯を済ませていた。それで僕はシフト終わる寸前に僕は神様に先ほど見たものを聞いていた。

 

「あれは、怪物祭(モンスターフィリア)というものだ」

 

「「怪物祭(モンスターフィリア)?」」

 

神様は頭をタオルで髪が痛まないように優しく拭いていた。神様は寝巻きに着替えていて、いつもの神様の服やバイトの服よりも肌の露出が増えていて、やっぱり何度見ても慣れない。しかもお風呂入ったばっかりだから少し色っぽく......って!神様に何考えてるんだ僕は!?

 

「【ガネーシャ・ファミリア】主催のお祭りだ。モンスターを調教する姿を見せる催しだ」

 

「モンスターを調教......なるほど。そのためにモンスター檻の中に入れて地上まで運んでたんですね?」

 

レフィーヤが顎に手をやり少し考えた後、レフィーヤはポンと手を打って納得のいった顔をしていた。

 

「私も下界に降りたばかりの身でな、あまり詳しくは知らない。けれど屋台とかを出したりするそうだぞ」

 

「屋台ですか!僕オラリオに来てからお祭りって初めてなので楽しみです!」

 

「もういく気満々なんですかベルは......まあ私も楽しみにしてないと言ったら嘘になります」

 

レフィーヤはそのあとモジモジしだし頬を赤く染めていた。僕に言いたそうな顔で視線を下にして、恥ずかしそうにしていた。そんな姿を見ると僕も恥ずかしくなるからやめて!?

 

「ベルが誘ってくれるなら、ベルと一緒に回るのもやぶさかではないというかなんというか........」

 

こ、これは正式なお誘いなのだろうか!エルフの女の子と二人きりで回るなんてこれはお祖父ちゃんがいう『でーと』というやつなんだろうか。いけ、ベル・クラネル!勇気を持つんだ!

 

「え、えっと.......なら僕と一緒に回ってくれませんか?」

 

多分僕の顔は真っ赤になってることだろう。その顔を隠すために、僕は下を向いて返事を待つ。こんな誘い方でいいんだろうか......

 

「しょ、しょうがないですね。断る理由もないですし!」

 

レフィーヤは軽く唇をとんがらせながら、僕の誘いに乗ってくれた。すると神様は僕たちが座っている食卓に座り僕と神様は向かい合うように座った。しかもドカリと効果音付きで。

 

「あー私もその日は暇でなー、うむ、暇だな。バイトも休みだし暇で死んでしまうかもしれない。どうするかな。暇だしな!」

 

チラッチラッと僕の方を気にしながら大きな声で独り言をしていた。多分独り言だよね?僕にほうたまに見てるのは僕に話しかけてるわけじゃないよね?

 

「えーっと、なら神様も一緒に行きますか?」

 

「なら?ならだと」

 

「うわ、めんどくさ、この人」

 

僕と問いに不満があったそうで、神様は僕にちゃんと誘えと言ってるようで、最後にレフィーヤの本音が神様に届いた。神様の隣にいるレフィーヤの頬を、横に大きくつねっていた。

 

「レフィーヤが言うな!大体いつ名前で呼ぶようになったんだ!」

 

「おふあびふあひりあなんふぇふからほうふぇんふぁふぇふは」

(同じファミリアなんですから、当然じゃないですか)

 

レフィーヤは神様に手をあげるわけにはいかないので、神様の手を掴んでこれ以上引っ張れないように抵抗していた。なんとかこの場を収めようと僕は神様に手を出して、正式に誘いを出すことにした。

 

「神様、僕と一緒にお祭り回ってくれませんか?」

 

神様はレフィーヤの頬を引っ張るのをやめ、その間にレフィーヤが逃げ出し、赤くなった頬をさすっていた。神様はクスッと笑ったあと僕の手を取ってくれた。

 

「ああ、一緒に回ろう」

 

神様は太陽のような笑顔で僕に微笑みかけてくれた。そのとき僕はドキッとしてしまった。やっぱり神様はやっぱり魅力的な人だ。怒ると怖いけど、こんなに可愛らしい笑顔ができるんだ。

 

「だがな、ベル」

 

僕の手を離し、ダンッと食卓を叩き食器が跳ねた。ピキリと空気が変わる。

 

「まず主神である私を誘うのが当然ではないのか?なぜ二人だけで回ろうとしていた」

 

「ヒッ!?ごめんなさいぃ!?」

 

目も顔も笑顔ではなかった。単純に怒っていた。た、確かに僕が悪いけどそんなに怒ることですか!?

そのあとすぐに落ち込んだ表情で唇をとんがらされた。

 

「私が勝手に除外されているのは、寂しいぞベル」

 

「か、神様」

 

そういえばまだ住んで1ヶ月も経ってないけど、少しは神様のことをわかった気がする。いつもカッコいい神様の反面、女の子の反面もある神様だった。神様は甘いものも好きだし、可愛いものも好きだったりする。今もこうやって拗ねたりしているのだから。

 

「ごめんなさい神様。決して誘いたくないから言わなかったわけじゃないんです。神様いつも忙しそうだから、何か予定がまだ詰まってるのかなって思ってしまって、それで少し誘いずらかったんです」

 

「それでも強引に誘ってくれたらすごく嬉しいと私は思う........特にベルにならな」

 

「か、神様......」

 

「ベル.........」

 

「ちょっと!二人だけの世界に入らないでください!!私も怪物祭(モンスターフィリア)行くんですからね!?」

 

レフィーヤが食卓を先ほどの神様みたいに叩く。僕は無意識のうちに神様と見つめ合っていたみたいで神様の顔が近かったので慌てて退く。神様も「すまない!」なんて慌てて後ろは引いて行ってしまった。少し僕と神様は気まずい雰囲気になり、この空間に沈黙が訪れ、無理やり僕が会話を繋げてなんとか気まずさから脱出した。

 

******

 

都市が騒いでいた。比喩ではない。実際に大通り(メインストリート)には出店がたくさん並び、この祭りの時はダンジョンに行く人すらほぼほぼいなく、祭りを楽しむ。出店に並ぶ美味しいものを買ったり、今が売り時だといってジャガ丸くんを売り出す武神。などなどこの怪物祭(モンスターフィリア)に乗じて皆が皆祭りを楽しむ。ガネーシャが保有する、闘技場ではモンスターの調教などを行なっている。それがこの祭りの主食(メイン)。やはり毎年満席恒例。このオラリオの一つの大きな行事だ。

 

そしてベルはこの祭りの温度に圧倒されていた。ベルは山奥の田舎で住んでいたためこんなに人が集まってるため圧倒され、アルテミスはむしろ圧倒というか興奮の方が近い、天界に降りてきた愛する下界の最初の祭り、アルテミスは現在「あれはなんだ!!この料理はなんだ!!」と騒ぎ立てながら出店を見ている。レフィーヤはというとラキアの祭りを何度も経験してきたので、それほど驚いてはいなかった。きっと故郷で暮らしていれば、ベルのように圧倒されたに違いないが。

 

「ベル!!レフィーヤ!!早く回ろう!せっかく私が休みをもらったのにお店の前で立ちすくんでいたらもったいない!早く行こう!」

 

「うわわわわっっ!?か、神様引っ張らないでくださいぃ!?」

 

「あ、待ってください二人とも!!」

 

興奮気味のアルテミスに手を引かれて、慌てるベルと置いてかれるレフィーヤを豊穣の女主人から眺めている人物がいた。手を腰におき、苦笑いしながら見つめている。ミアと羨ましそうに指を加えるシルとなんの表情もしないリューが見つめていた。

 

「あの神は働いている時はすごい威厳が高いんだけど、こういう祭り行事には弱いのかね、この先もオラリオには祭り行事あるから働いてもらわないと困るんだが」

 

「ミア母さん。あれはきっと興奮してるんですよ、ベルさんと一緒にいるから多分とっても興奮してるんです。私も同じ立場ならはしゃいじゃいますよ」

 

「ならばシルも休みをとっていけばよかったではないですか。クラネルさんなら歓迎してくれるでしょう」

 

「バカ言ってんじゃないよ!これ以上あんたらが減ったらだれが料理を届けるっていうんだい!あの神のかわりにお前たちには倍働いてもらうよ!いいね!!」

 

それだけ言うとミアは厨房の中へと戻って行った。シルさんは「はあっ」とため息をつき皿洗いに戻る。リューもシルと一緒に皿洗いの手伝いをしに行く。そして猫二人は「横暴ニャ!?絶対あのポンコツ神帰ってきたら、指弾き(デコピン)してやるニャ!!」「やることがしょぼいニャ、なんだったらあのリュー2号が皿を割った枚数を客に教えてやるニャ」「「ニャハハハハハ!!」」

と笑っているとそのあとすぐミアが現れて、タンコブをつけて接客することになる。

 

******

 

「神様、食べ過ぎじゃないですか?」

 

「祭りなんだ、別にいいだろう。それに神は不変の存在だどれだけ食べても太ることはない。構わないだろう?」

 

「ほんと、神様って羨ましいです.......」

 

ベルたちは屋台でたくさん食べ物を買ったので、(主にアルテミス)人がいない場所で座りながらご飯を食べていた。

ベルが食べ過ぎのアルテミスを少し心配そうに注意し、アルテミスはイカ焼きとかクレープとかジャガ丸くんなどなどを食べ、レフィーヤはアルテミスからもらったクレープをハマっと頬張りぼやいた。

次の瞬間アルテミスは短剣を構える。その方向はダイダロス通りにつながる細路地。ベルとレフィーヤはギョッとし細路地を見つめる。しかし何もいなく暗がりの路地が続いてるだけだった。

 

「ベル、レフィーヤ。この先にモンスターがいるぞ」

 

「「ッ!?」」

 

アルテミスは短剣を収めると、ベルとレフィーヤの顔を見る。ベルとレフィーヤはアルテミスの口から思いもよらない言葉が出てきてギョッとしている。

 

「ほ、本当にモンスターだったんですか?」

 

レフィーヤが恐る恐る尋ねると、アルテミスはコクンとうなずきベルとレフィーヤはゾッとする。この先にはダイダロス通りといわれる民家が広がっている。けれどダイダロス通りは広大な上に道が入り組みすぎている。まるでダンジョンを彷彿とさせるような場所であった。

 

「この先は民家がある。大通り(メインストリート)の人は相変わらず祭りを楽しんでいる。つまり混乱(パニック)に陥ってないそれが幸いではあるが、冒険者をギルドが秘密裏に動かしているか、それともギルドさえも気付いてないのか。全くガネーシャは何をしている」

 

アルテミスは今見たものの考察を落としていく、アルテミスの言うとうり混乱(パニック)に陥ってないのは幸いだろう。もし混乱(パニック)に陥っていれば人は入り乱れ、良きもしないところで怪我をするかもしれない。

 

「ベル、レフィーヤ。お前たちは戦える者たちだ。ならばお前たちは市民を守ることができる。ならばお前たちはどうする?」

 

「「当然やります!」」

 

「それでこそ私の眷属だ」

 

ベルとレフィーヤの強い意志を聞いて、アルテミスはにっこりと笑い細路地に向き合う。アルテミスが先頭で先は進んでいく。

 

******

 

「随分と進みましたね」

 

「モンスターと合わないってすごく不思議じゃないですか?」

 

ベルたちは先へと進み、ダイダロス通りにもう入っていた。アルテミスが先頭で歩きその後ろを護衛としてベル、レフィーヤが守っている。いまだモンスターの気配はない。

だが広場にでるとそれはいた。

 

『アァァーーーーーーーーーーー!!」

 

「..............」

 

「モンスターが共食い!?」

 

「ウッ..........!」

 

緑の木のようにレンガでできている地面を突き破り、下から上まで大きさ(サイズ)はざっと7メートル。黄緑色の長軀の食人花がそこにはいた。そして食人花は白い体毛をしたモンスター【シルバー・バック】を食していた。モンスターがモンスターを食べる共食いはベルたちには聞いたことも見たこともなかった。

 

「ベル!レフィーヤ!来るぞ!!」

 

「神様!?」

「アルテミス様!?」

 

新たな獲物を発見した食人花は左右から出ている触手を繰り出す。アルテミスはその行動をベル達に知らせると短剣を抜いて構えた。全知全能の神だが下界では(アルカナム)を封印されてるため身体能力はただの一般人となんら変わらない。その神が戦おうとしているのだベルとレフィーヤが声を荒げるのも不思議でもない。

 

「こんのおおおおおおおおおおおッッ!!」

 

「「ベル!!」」

 

ベルは黒幻を構え、アルテミスを狙う触手を横からステイタスを込めて全力で斬りつける。だが硬すぎた故に、傷さえも負わせることも出来なかった。なんとかアルテミスにぶつけないように触手の攻撃を横に晒すことができたが、反動がデカい。手が痺れ後ろへ戻される。

だがベルはそのままおかまないなしに、食人花に突っ込んでいく。

 

「【我は望む 汝らが燃え尽きぬことを 約束しよう 我の魔法をもって全てを守ろう】」

 

『!!』

 

レフィーヤはこのままだとまずいと思い、詠唱する。ベルを狙っていた触手がレフィーヤに反応をしめした。まるで魔法に釣られるように。

 

「レフィーヤ!!魔法を解け!!」

 

「!?」

 

レフィーヤは言われるがまま、魔法を解く。すると触手は反応を示していたレフィーヤよりも接近してくるベルに触手を戻す。ベルはなんとか後ろに後退して、なんとか難を逃れる。

 

「あいつは魔法に反応を示す!!前衛職(ウォール)がいない今では、魔法は禁止だ!」

 

「そ、そんな!?こんなモンスター相手私たちじゃどうすることも!..........ッッ!!弱音を吐くなレフィーヤ・ウィリディス!!ベルは諦めてないんです!私も!」

 

レフィーヤは自分の頬を叩いて気合を入れたあと、レフィーヤはベルについていくように、前へかけていく。だが戦力は歴然。Lv.1のベル、Lv.2のレフィーヤ。しかもベルに至っては神に恩恵をもらったばっかりの半人前。レフィーヤでさえも、モンスターとの経験不足。そのため懐に入ることすら許されない。触手の攻撃も見切ることも出来ない。ベルは攻撃がかすっただけで吹っ飛び、足に力を入れないと立つことさえも出来ない。勝てない、このままでは蹂躙される。

 

アルテミスは焦った。いざとなれば(アルカナム)を使うことも考えているがそれは最後の最後の手段。細路地でアルテミスが見たのはシルバー・バックだった。それならば彼、彼女らで難なく仕留めることができた。しかし待ち構えていたのは推定Lv.4。彼らが協力したところで勝ち目がない。

 

だからこそ今アルテミスは決断を迫られている。アルテミスが(アルカナム)を使ったとしても天界に戻るだけ、上からベル達のことを見守ることはできる。けれどそれでいいのか?と心が訴えかけている。愛すべき眷属を見つけこれから面白おかしく暮らせるかもしれない環境が整った今。アルテミスは顔を顰めて決断を迫られていた。

 

さあ、今こそ決断を、さあ!決断を!

 

ーーーーー私は.........私は!!ーーーーーー

 

「どりあああああああッッ!!」

 

「「「!?」」」

 

瞬間食人花が吹き飛んだ。横から咆哮に似た声と共に横にしなる。その正体が【ロキ・ファミリア】所属。【大切断(アマゾン)】ティオナ・ヒリュテが拳で吹き飛ばした。なんの装備もしていない拳で吹き飛ばしたのだ。

 

「かっったああああああッ!?何これ!?」

 

ティオナは瞳に涙を浮かべて、手をぶらぶらさせていた。アルテミスたちは呆然として、言葉を失っていた。

 

「ティオナ!先に突っ込むんじゃないわよ!!」

 

「.........でも無事でよかった」

 

そのあと家を超えて、天高く着地したのは【怒蛇(ヨルムガンド)】ティオネ・ヒリュテ。そして【剣姫】アイズ・ヴァレンシュタイン。【ロキ・ファミリア】幹部三人が彼らの前に集結した。

 



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アルテミスの秘策

これで怪物祭終わりです!


「君たち大丈夫?」

 

ティオナ・ヒリュテさんが僕に手を伸ばす。僕の体はすごくガタガタで、身体中は傷だらけなのだが、僕の体だけではなく、レフィーヤの体は僕よりは流石にひどくないが、生々しい傷が現れていた。

 

「あ、すみません。あ、ありがとうございます」

 

「いいよ!でも君すごいね!」

 

「へ?」

 

僕はこんなにボロボロになっている僕をすごいと言ってくれるのはなぜなのだろうと思考を巡らせていると、ティオナさんが僕の顔を見てにっこりと笑った。

 

「だって君冒険者になってまだ全然時間経ってないでしょ?あんなモンスター私見たことないけど、あれ相当強いと思うよ」

 

ティオナさんは僕の肩をポンポンと叩いて、ティオナさんは僕の前に立ちモンスターと接敵した。

 

「だから、生き残ってるのがすごく、すごいってこと!」

 

ティオナさんはアイズさんとティオネさんの元へ駆けて行き、モンスターを屠りに行った。僕は少し顔を赤くしながら、動けずにいると神様とレフィーヤが僕のことを介抱するように、近寄ってきてくれた。ティオナさんが駆けに行ったあと、食人花は魔石だけ残し屠られた。

 

「まあ、こんなもんかしらね」

 

「うん、みんな無事でよかった....」

 

ティオネさんがゆっくり落下しながらやれやれと呟いた。アイズさんは剣を一振りしてから鞘に収める。そして僕たちの方を見ながらゆっくりと近づいてくる。

 

「あの、私君に謝りたいことがあって」

 

アイズさんは僕たちの方に近寄ってきて、レフィーヤでも神様の方でもなく、僕の方へと目を向けた。

 

「私あの時ひどい.......「アイズ!!」......え?」

 

「うげぇ!嘘でしょ!?」

 

アイズさんを叫んで呼んだのはティオネ・ヒリュテさんだった。ティオナさんもティオネさんの叫んだ理由がわかったようで、ティオナさんは驚いていた。

僕もアイズさんも神様もレフィーヤも釣られるようにティオネさん達が見てる方を見ると先ほどの食人花が10匹ほど存在していた。

 

「あんたら!神を連れて逃げなさい!この数は流石にあんたらを守りながら戦えない!死ぬわよ!」

 

ティオネさんの叫び声を聞いたあと僕は自分の弱さに痛感した。もし僕もあの人たちのように強ければきっと一緒に戦うことができたはずだ。けれど言われた。またあの時のように弱いと。

決してティオネさんはそんなつもりは一切ないのは知っているけど........けど、やっぱり悔しい!!

レフィーヤも下唇を噛み、悔しそうにモンスターを見つめていた。やっぱりレフィーヤも同じ気持ちなんだ。けど神様を死なせるわけにはいかない何がなんでも守り抜くと、神様と家族(ファミリア)になった時そう誓ったから!!

 

僕はボロボロの体の足に力を込めて立ち上がる。神様の手を引き、逃げるように戦場から駆け出す。ギルドに行けばエイナさんがいる!ダイダロス通りに凶悪なモンスターがいると言えば対応してくれるはずだ!

僕は広場から離れて、通路に抜け出せるところで見たことない緑色の壁が広がっていた。まるで僕たちを逃さないように。

 

「レフィーヤ!!他の通路は!?」

 

「ダメです!ベル!アルテミス様!上を見てください!」

 

「「ッッ!?」

 

広がっていたのは円型(ドーム)のような形で広場を丸々覆っていた。緑壁が僕たちを逃さないように。確かにこのモンスターが出てからおかしいところは思い返せばあった。みんなの顔が暗くなったり、影がなかったりなど、思い返せば確かにあった。あれは日が落ちたんじゃなく、日が隠れた。確かに日は傾きじめている時間帯だけど、まだ日没ではない。僕達はこのモンスターに捕まったのだった。

僕とレフィーヤは弱い冒険者。やることもなく、むしろこの空間にいれば邪魔をすることは歴然だった。【ロキ・ファミリア】の方達は多分僕たちを送り出したあと気づいたと思う。けれど余裕がないの現れではないのだろうかと僕は思った。今も食人花の猛攻になす術なく、受け流すだけ。きっと僕たちがいるから攻めきれない。

 

「ロキの子供達!時間を稼げるか!」

 

僕が考えあぐねていた時に神様は声を荒げた。【ロキ・ファミリア】の面々も答える余裕がないのか、答えはなかった。それを察したのか神様は一呼吸おいた。

 

「5分だ、5分稼げばどうにかできるかもしれない。だから私たちを守ってくれ」

 

「「「了解」」」

 

【ロキ・ファミリア】の方達は神様の言うことを信じて、僕たちの方へと絶対に攻撃をこさせないように攻撃を受け始める。

 

「ベル、今ここでステイタス更新する」

 

神様の言ってることが理解できなかった。

 

******

 

「ベル、お前ならやれる。あのモンスターは今いる冒険者の中ではベルしか倒せない」

 

言われるがままに、ベルとアルテミスはしゃがみ、ベルのステイタス更新をしていた。

アルテミスはベルにしか倒せないとそう断言した。アルテミスはステイタス更新する時、確信していたのだ。ある魔法が発言することを。その理由はただ直感したから。強いて言うならある魔法はアルテミスの半身でもあるからだ。

 

「で、でも僕はまだ弱くて!あの【ロキ・ファミリア】の皆さんでもでも攻めあぐねてるのに僕なんかじゃ!」

 

ベルはそのアルテミス発言を否定した。ただの冒険者のなりたての子どもがどうにかできる相手ではない。ベルのスキルを活用して、短期間で強くなったとしても、半年ほど経ってから通用する相手だ。

今現状では、アルテミスの発言のおかげかベルの方角には一撃の攻撃も来ていなかった。理由としては、アイズが魔法をたまに使いながら、ベルのステイタス更新を邪魔させないようにし、ティオネやティオナはベルに飛んでくる攻撃を防いだりしていた。

 

「これを見ろ、ベル」

 

「これは!?」

 

ベルが受け取ったステイタスの紙におどろきを隠せなかった。

 

ベル・クラネル

Lv.1

力 : F 347→E 417 耐久 : G 284→F 352 器用 : F 315→F 396 敏捷 : E 473→D 532 魔力 : I 0

《魔法》

【ガウス・オリオン】

・破邪の一撃。

・誓いによって威力上昇。

・誓いによって消費魔力上昇。

詠唱式

【悠久の空 恵みの大地 大いなる森 純潔の月 いかなる権能をも弾く聖なる領域 聖なる貞潔 あらゆる権能をも貫く至高の矢 至高の鏃 我が名はオリオン 天上の射手 月は弓 星は弦 誓いは矢 来たれ破邪の一撃】

《スキル》

一途憧憬(リアリスフレーゼ)

・早熟する。

・懸想おもいが続く限り効果持続。

・懸想おもいの丈により効果向上。

 

「これが初めての僕の魔法.......」

 

「私はこの魔法を知っている、私はこの矢を知っている」

 

アルテミスはベルの背中に体を預けて呟く。ベルの背中には女の子独特の柔らかさと、暖かさを感じているだろう。ベルはその感触を感じると顔が熱くなった。

 

「この矢は全てを貫く。ベルの誓いが強ければ強いほど、どんな敵でも打ち滅ぼすことができる」

 

「か....み...さま?」

 

ベルは戸惑っていた。この魔法を知っていることに、本来魔法は神でさえも子供達に発現した魔法はおおよその見解はできる、だが全てわかるわけじゃない。けれどアルテミスはそれを見たことあるかのようにベルに話しかけていた。

 

「ベル。誓いはなんでもいいんだ。誰かを守りたいとか勝ちたい人がいるとかどんな誓いでもいい」

 

「ベル。お前はあのモンスターを倒したいか?」

 

「倒したいです!こんな弱い僕でもあのモンスターを倒したい!」

 

この言葉をベルはすぐ口にすることができた。ベルは立ち上がり、アルテミスの方を見て叫ぶ。勝ちたいとそう叫んだ。

 

「なら、なぜ倒したいと思ったんだ」

 

「..........助けたい人がいるからです」

 

ベルはアルテミス様の顔を直視しながら、答えた。アルテミスも真剣な眼差しでベルのことを見る。自分の子どもの答えを聞かなくてはいけない。

 

「レフィーヤも必死で戦ってる。それに【ロキ・ファミリア】のみんなだって戦ってくれてる。......助けたい。僕はあの人たちを助けたいんです!」

 

ベルは誓いをアルテミスに向けてぶつける。高揚して息が荒くなる。息を少し整えてからベルはまだ助けたい人がいると呟いた。

 

「そして、何より......神様を助けたいんです!!」

 

ベルは顔を赤くしながら最も助けたい人をアルテミスに告げた。今の今までベルと一緒にいた女の子を。ベルが困ったときは時に厳しく、時に優しく導いてくれた神様を。ベルはなによりも助けたいとそう告げた。

 

「ああ、嬉しい。これほど幸せなことはない。ベルが私を想ってくれていることを知って、こんなにも嬉しくなるものなんだな」

 

アルテミスは破顔した笑顔で、立ち上がりベルの両肩に手を置き、顔を近づけて微笑みながらベルに告げる。

 

「その誓いをわすれるな。さあその誓いを叫べ!ベル!」

 

「はいっ!!」

 

ベルはモンスター達と向き直して、決意に満ちた表情をしている。そして目を閉じ、右手を前に突き出し、今の今まで出来なかったことをする。

 

「【悠久の空 恵みの大地 大いなる森 純潔の月】」

 

詠唱だ。ベルは今の今まで詠唱なんて縁がないもので、みるだけのものだった。けれど今のベルならできる。

 

「【いかなる権能をも弾く聖なる領域 聖なる貞潔】」

 

突き出した右手に光が宿る。キラキラと光る蒼い星の粒のようなものが何かを作ろうと無象無象に動く。

モンスター達は魔法を使ってる彼女(アイズ)以外の一人の存在に気付いた。モンスター達はベルの方へと標的を変えようとする。

 

「ッッ!?ロキファミリアの皆さん!あのモンスターをベルの方へ近づけさせないでください!!」

 

レフィーヤがモンスター達を見て、ロキファミリアに叫ぶ。モンスターがベルの方へと向かおうとした時、二つの同時衝撃によって押し戻される。

 

「言われなくてもッ!」

 

「わかってるんだよそんなことッッッ!!!」

 

ティオナが詠唱を聞いて笑顔で、ティオネはモンスターに激情しながら行動した。

レフィーヤに言われる前に、足が動いたのはベルを守る以外にも一つあった。この魔法が全てを変えることができるかもしれないという第一級冒険者の直感だった。

 

「【あらゆる権能をも貫く至高の矢 至高の鏃】」

 

(ロキファミリアの皆さんが僕を守ってくれている。これほど安心するものなんだ)

 

ベルは魔法が初めてのため、集中するため目を瞑って詠唱しているが、きっと眼前ではロキファミリアのみんなが守ってくれていると確信していた。

 

「【我が名はオリオン】」

 

ベルは目を開ける。そこには醜悪なモンスター達と戦う冒険者の姿がそこにあった。殴りすぎて、拳が潰れてきてるアマゾネス姉妹。剣で押し返すが触手により傷だらけになりながらも戦う剣姫。三人の補助を魔法でしながら、冒険者の端くれとして少しでも役に立とうとするエルフ。

 

今ベルの右手にはみんなを守るための誓いが宿っていた。

 

(あれは鉄槍?けどなんか神聖なものの感じがする。ただの鉄槍じゃない!)

 

レフィーヤがベルの魔法の姿を見た。その姿はただの鉄でできたような鉄槍だった。しかしその鉄槍は眩い蒼い光の(ライン)が刻まれていた。正体は

神聖文字(ヒエログリフ)

けれど一つレフィーヤの思うところに間違っているところがある。あれは槍ではない。正確には矢。あれはオリオンの矢であり、誓いの矢。

 

ベルがアルテミスを想う心があり、アルテミスもベルを想っているから発言した魔法。そしてアルテミス眷属であるからこそ発現した魔法。断言できる。この魔法は、この世の中で一番神秘的な魔法。アルテミスとベルだからこそなせる魔法。

 

「【天上の射手 月は弓 星は弦 誓いは矢 来たれ破邪の一撃】」

 

ベルは光の粒から具現したオリオンの矢をしっかり握りしめる。

 

そして疾走する。

 

「いけ、ベル。いつになるかはわからないが私のベル・クラネルはきっと誰にも負けないすごい冒険者になり、みんなが羨む英雄にだってなる」

 

アルテミスが自分の眷属が英雄へ一歩近づいた瞬間を忘れないように目に焼き付ける。

ベルが疾走する道を【ロキ・ファミリア】が道を作る。横からベルを狙う触手達をティオナが拳で弾き、頭上から迫る触手達を蹴りで弾き返すティオネ、そして目の前から迫る触手達を自前の剣で斬り伏せる。ベルは一切足を止めずに、疾走した。

 

「やっちゃえ!冒険者君ッッ!!」

 

「これで倒せなかったら恨むからね!」

 

「......頑張って!」

 

「ベル!お願い!!」

 

傷だらけで拳を突き上げて叫ぶアマゾネスの妹と、ヘタリと座り込むアマゾネスの姉と、はにかみながら応援する憧憬がいた。そしてこれまでベルを支えてきた同じ眷属の仲間が叫んでいた。

 

ベルは槍を持ち替え、槍を投げる態勢に入った。そしてアルテミスから授かったステイタスの全力を持って、誓いの矢を放つ。

アルテミスはこの光景を目に焼き付けながら、さっきの言葉の続きを呟いた。

 

「だから、これが初めてベルが胸を張って自慢できる英雄譚(おはなし)だ」

 

「【ガウス・オリオン】ッッッッ!!!」

 

ベルの叫びと同時に矢が放たれる。矢は眩い蒼い光に包まれる。放った矢は風を切り裂き、周辺に凄まじい風圧を起こす。その矢は吸い込まれるようにモンスター達に直撃した。

 

『ーーーーーーーー』

 

一瞬だった。凄まじい威力と共にモンスター達が断末魔を吐く前に消滅した。緑壁はモンスターが消滅したと同時に消滅した。あたり周辺はその矢の被害のため、大きな砂煙と周辺にあった家などは吹き飛ばし、地面は矢が放った放物線上にクレーターが続いていた。これを見る限りLv.1の冒険者から放たれた威力ではない。

 

砂煙が終わると、矢は消えていて残っているのは矢が放った被害だけだった。あれだけの数だ。このまま戦闘が続けば応援は来ただろうが、ベル達は、いやもしかしたら【ロキ・ファミリア】のアイズ達もモンスター達に蹂躙されていたかもしれない。

新種のモンスターが大量に出てきて、下級冒険者がいる中でこうして生きているのは奇跡に等しい。

 

「すまない!遅くなった!.......って何が起こった!?」

 

遅れて到着したのは、【ロキ・ファミリア】の副団長リヴェリア・リヨス・アールヴだった。戦闘態勢に入っていたリヴェリアだがあたり周辺の被害やモンスター達がいないことがわかって、リヴェリアは戦闘がすでに終わったことを察した。

 

「うーんとね。新種の気持ち悪いモンスターがたくさん出てきて、私たちが引きつけて〜、この子が全部倒しちゃった!」

 

「は?」

 

ティオナの漠然とした説明にリヴェリアは懸念そうな顔をした。ティオナが指を刺した方を見ると、力を使い果たし主神に膝枕をされている白髪の少年がいた。

 

「あれはどう見ても、冒険者になってまもない少年じゃないか、その子が新種のモンスターを全部倒せるわけないだろ。お前達でも攻めあぐねていただろう」

 

リヴェリアはティオナのバレバレの嘘に突っ込む。並大抵のモンスターの集団が襲ってこようと、アイズ、ティオナ、ティオネならば無傷で切り抜けられるはずだが、この三人がボロボロになっているのだから相当強かった新種のモンスター達なのだろうとわかった。

 

なのに、あの日から悔しさのあまり酒場から飛び出してから、2週間も経っていない少年が第一級冒険者の助けになるわけないとそう思っているリヴェリアだった。

 

「あー.......リヴェリア。そこにいるバカの言う通りよ」

 

「は?」

 

「うん、あの子のおかげで全部倒せた」

 

「は?......................本当か?」

 

「「「本気(マジ)」」」

 

リヴェリアは度肝を抜かれ言葉を失う。頭が痛いのか頭に右手を添えながら。

 

「で、あのすごい魔法何!?冒険者くん...........って!?いない!?」

 

「ほんと、いつの間にかいないわね」

 

「え?.......本当だ。あのエルフの子....ウィリディスさんもいない」

 

ティオナが興味津々の顔で、さっきまでいたはずの冒険者に話しかけようとしたがいなくなっていることに気づくと驚いていて、ティオネはいなくなってることを知ったが疲れでそれどころではなく、アイズはレフィーヤまでもいないと報告した。

 

「私たちが会話してる隙にいなくなったんだろう。少し話を聞きたかったところだが.....疲れてるようだし仕方ない。とりあえず回復薬(ポーション)を体にかけとけ、ギルドに報告した後、フィンに報告に行くぞ」

 

リヴェリアは白いマントを翻し、颯爽と歩いていく。そしてベルの勇姿を見ていた第一級冒険者の三人はまたあの子に会いたいと願うのだった。




ヘスティアはどう登場させるかは決めたんですけど、あることが決まらないと出せない状態です。もうちょい先になりそうです........。
リリは次出そうかなと、いろいろオリジナル展開決めてるのでリリもどんな状態で会おうかとか、どうやってベルくんを好きにさせようかといろいろ悩んでる所存です。ナイフじゃないから奪えないし。どうすっかなぁ〜


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