人類の救済とかマジ無理ゲーなんですけど(絶望) (神崎桃哉)
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江戸時代①
Fateを知って間もない頃、Apoの小説があったんだ。
「なんだよそれ、あったって…その小説はどうしちゃったんだよ?」
うん…残念ながらね…その小説は何故か見れなくなっちゃったんだよ。ハーメルンの小説というのはね、一部だけだけど、少し経ったら見えなくなっちゃうのがあるんだよ。そんなこと、もっと早くに気づいてれば良かったよ。
「そっか。それじゃあしょうがないか。」
しょうがない。本当にしょうがない。
(セミ様を見て)あぁ……本当に……いいうなじだ……
「うん、じゃあ……しょうがないから俺が書いてやるよ」
ん?
「お前さん(過去の投稿者)は読み専だけど、俺(今の投稿者)はまだ福袋引いてないから大丈夫だろ。任せろって。」
「お前さんの夢は……」
そうか……あぁ……安心した。
目覚めたら戦国時代にいたのだが()
唐突で何言ってるのかわからないと思うが、俺も正直わかってない。
わかってることは、会話が日本語でできてるからここは日本ってことくらい。異世界転生じゃなかったぜ(落胆)
「四郎。お前さんは頭がいいなぁ」
そりゃそうやろ。こちとらいっぺん大人やっとるんやぞ。
母親と(勝手に)認識してる人に褒められる。いやでも、褒められるっていいなぁ。大人になって仕事やってる時なんてめったに褒められなかったから新鮮だ。
数日間、家内で過ごして感じたのは、ここが日本の戦国時代、というより江戸時代が正しいか。今は寛永10年らしく、この日の丸の地を治めているのは徳川家ということらしい。江戸時代かぁ。辛い。なんでかって?現代日本の飯が食べられないんだぜ?特に洋食。今の日本になんてほとんど洋食なんてないから、この時代だと一回食べられるかどうかって感じだから辛い。
というよりもだ。俺の名前が問題だ。俺の名前は天草四郎時貞。日本史の教科書には100%乗ってる島原天草の乱の指導者として知られる人物だ。
悲報:俺の残り人生5年。
と、とととりあえず、ここは長崎らしいので、どうにか島原の乱に参戦しないように頑張ってみようと思います。
あと、今後は日記をつけてみようと思う。他の人が見にくいように現代日本の言葉で書けばバレないはず。自分が平成生まれだっていう記録をつけなきゃな。
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寛永10年師走。
どうも、三日坊主の天草四郎時貞です。
日記をつけると言ってはや半年が経ちました。日記とは一体なんなのか。
話が変わりますが、私天草四郎時貞はキリスト教に入信してしまいました。なんでだよぉぉぉぉぉ!!!
いや、言い訳を聞いてくれ。俺の母から父親の話を聞いたら隠れキリシタンの施設に連れてかれてな?
キリスト教の話に適当に相槌打ってたらお腹が鳴ったんよ。そしたらキリシタンの人がご飯出してくれたんよ。ハンバーグ擬き。
めっっちゃ美味かった。食べログで☆1評価もいかないハンバーグだったけど、久しぶりに食ったら惚れるくらい美味かった。例えるなら、長期間海外行って、帰ってきた日に日本食を食べた感じに似てるね。それまでの絶望感半端なかったけど。
そんなわけで、ハンバーグうまうまと食べてたら、何故か母とキリシタンたちが勘違いして、俺がキリスト教に入信したと思ってしまったらしい。
おワタ。もうどうやっても島原の乱参戦が決定してしまった。
もういっそのこと徳川にこの情報渡して1人だけ生き延びるという選択肢が出てきてる。
とりあえず洋食食べられるだけ食べるとしよう。そして飽きたら考えるって感じでいこう。俺クズすぎねぇか。まぁ、いっか。
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寛永11年卯月。
どうも、日記書けない系キリシタンの天草四郎時貞です。
寿命があと4年になりましたが、現代日本の皆様は一体何をなさっているのでしょうか?
俺はひたすらに勉強してます。江戸という世界で生きていくためには、現代との文化のギャップを埋めなきゃならんと思ってひたすらにやってるけど、幸い今の俺は中高生並みの脳らしいからスポンジのように覚えるから、勉強が楽しい。
いやぁ、ホントこれを平成の中高生の時に知りたかった。後悔という字は本当にいい字を使ってると思う。後に悔やむという素晴らしい(嫌味な)言葉だと思う。
さて、話はこっからだ。
昨日のことだ。ふと夜目が覚めて、水を飲みたくなって布団を出てうろついていた時だ。
気づいたら目の前に変な格好をしたお兄さんが現れていたんだ。
月が雲にかかってて誰だかわかんなかったから、「誰?」って丁寧っぽく聞いてみたら、無言で刀を振り回してきたんよ。元大名の息子として多少の体術は学んでるつもりだったから回避しようと思ったけど、思った以上に鋭い剣筋だったからギリギリになっちゃって服が破れて上裸になりました。恥ずかしい(適当)
そして、再度雲が月から退くと、そこにいたのは白髪褐色のいいお兄さん。
あれ、この人見たことあるぞ。
そして、私は気付きました。
ここ型月時空やないかぁ……(絶望)
こうして、天草四郎時貞(転生体)の絶望が始まるのであった。
「貴方はさ、どんな鯖が欲しいの?」
僕はね……セミ様を…引きたいんだ……。
引けば出るという噂を聞いて久しぶりに投稿します。
これでセミ様が出たらこの話を完結するまで書き続けることをお約束します。天草が出たら?わかんねぇ。それはそん時に考えるとするか。では、皆々様。また後日。セミ様が出たら戻ってきます。戻ってこなかったら……察してください。
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江戸時代①裏の巻
てなわけで投稿します。
短刀と刀が合わさり、摩擦の熱が空気を覆う。その音は漆黒に満ちた夜の中に高らかに響く。それはまるでどこかの演舞のような、一種の見世物。それを奏でるのは二人の男。一人は肌黒い白髪の二刀使い。長身の身をこの時代に見合わぬ薄い黒い衣服を纏い、激しい動きでもう一人の男に襲いかかる。
その刀撃を受け流すのは黒髪の男。この時代、江戸時代初期に相応しい和服を纏った美少年。彼の名を天草四郎時貞。江戸初期に起こった島原の乱の首謀者の一人ともされている少年である。成人にも満たない少年が時代を動かすほどの事件を導いたというのだ。
では、何故彼が襲われているのか。今の年代は寛永11年。島原の乱が起こったのは寛永15年であるためあと4年ほど期間がある。
その理由。それはこの天草四郎時貞の身に別の魂が入ったことであった。平成・令和に生きている者であるならば、「転生」「逆行」のどちらかの言葉は聞いたことがあるだろう。ないのであれば、「タイムスリップ」が発生すると同時に、別の人間の体になっていたということだ。
これが天草四郎時貞の身に起こった。日本史上に重大な点を残した人物になったということは、彼にとって絶望になってしまったのだ。
天草四郎時貞は島原の乱で死ぬ。
これは覆そうにない歴史上の確定事項なのだ。この島原の乱が発生しなければ、徳川幕府によるキリシタン討伐が江戸中期までに伸びていたのかもしれない。また、キリシタンたちは何度かに分けて一揆を継続的に行っただろう。
即ち、何が言いたいか。歴史的にみて、島原の乱は発生しなくてはならない事象であったのだ。
天草四郎時貞はこの島原の乱を回避しようと、まずはキリシタンになることを回避しようとした。だが、母である、よねをはじめとする隠れキリシタンたちによってキリシタンにされてしまった。(これには洋食でつられたという彼にとって恥ずべきことなのかもしれないが)
島原の乱をあと4年に控えた寛永11年。この年に何が起こるか。それは、島原の乱の計画始動の年なのだ。その場に天草四郎時貞がいなければ、島原の乱は歴史的な良い結果が出なかっただろう。
さて、話を戻そう。
天草四郎時貞に対する謎の男。彼はアラヤが派遣した存在。世界の抑止力。またの名をエミヤ。
人理に刻まれた英雄たち。それらをサーヴァントとして使役して行う、後にこの日本で行われる聖杯戦争。その使役される存在がサーヴァントである。その存在を抑止力とし、アラヤは天草四郎時貞の討伐を行おうとエミヤを向かわせた。
サーヴァントは常人を遥かに超える、まさに超人とも言うべき存在。超人と真っ当に戦える人間など、この世に数えることができるのかすら怪しい。
では、何故天草四郎時貞は超人であるサーヴァント、エミヤに対抗できているのか。
それは、天草四郎時貞が起こした奇跡によるものだ。後の世では、天草四郎時貞は水の上を走ったことや、傷を癒した等、様々な奇跡がある。その内の一つ、その奇跡が今発現しており、超人に張り合えるほどの力を出している。
「はぁ、はぁ、はぁ……。」
「…………。」
(なんなのだ。この人間は。)
エミヤがアラヤから依頼されたのは、天草四郎時貞を倒せとの依頼。若しくは島原の乱の発生を促すこと。天草四郎時貞を倒すことにより、暗殺未遂として天草四郎時貞周辺のキリシタンが徳川幕府に反逆心を持つ。よって、島原の乱の発生を促すことができるためだ。
サーヴァントの身であるエミヤにとって、この依頼は容易なものであった。容易だったはずなのだ。だが、目の前のこの男は片膝をついているが、まだ地に立っている。
エミヤの脳裏に思い浮かんだのは、かつての自分の姿。聖杯戦争にて
(では、この男は一体何者なのだ?)
サーヴァントであるエミヤが繰り出す短刀は、干将・莫耶。これは投影した宝具だが、その宝具と打ち合えるほどの彼の持つ刀は業物なのか?否。そうではない。先程述べたように、これが奇跡なのだ。だが、それをエミヤは知らない。
(何かが彼を補助しているのか。では、第2プランといくか)
エミヤは彼から一度距離を取り、屋敷の屋上に立つと、自身の扱う魔術を使い、様々な宝具を投影し、天草四郎時貞の周囲に放つ。
天草四郎時貞は奇跡が扱えるとはいえど、空に飛ぶことは至難の業である。その上、戦闘中で一度でそれをやれと言われても難しい。
追うことができなかったため、エミヤの大量射撃を見るだけに終わってしまったが、キリシタンとはいえど、彼は一人の武士でもある。何本もの投影された剣を受け流そうとする。
「I am the bone of my sword. 」
エミヤが何かを紡ぐと、途端に幾本の剣が爆発した。
天草四郎時貞は瞬時にエミヤが襲撃してくることを予測し、爆発によって吹き飛ばされている時でも警戒を怠らなかった。だが、その時は自らの体が地に転がるまでには来なかった。
警戒しつつも体を起こす時には、爆発による砂塵も消えかけていた。周囲を見てみると、先ほどまでの襲撃者の姿はどこにもなかった。
一体今のは何だったのか。と思う天草四郎時貞だったが、その理由はすぐに気がついた。
「四郎!何があったこれは!?」
天草四郎時貞の父である益田好次をはじめとするキリシタンたちが天草四郎時貞の元へと集まっていったのであった。
「くそっ、これも徳川の策略か!」
「好次殿の御子息まで狙うとは。皆の者、徳川にキリシタンの力を見せつけてやるぞ!」
「「「おぉぉぉっ!!!」」」
世界の抑止力、アラヤの策略は成功した。だが、それも半分のみである。
アラヤは「天草四郎時貞によって指揮された島原の乱によって天草四郎時貞が死ぬ」ことが目的なのである。天草四郎時貞が参戦すること=天草四郎時貞が死ぬということであるため、後は天草四郎時貞が島原の乱に参戦することだけになったのだ。
誰にも見つからない、周りにいないところで、アラヤはほくそ笑んだ。そう、誰かからは見えたような気がしたのであった。
とりあえず、福袋回せるだけの課金石は準備した。
後は祈るだけだ……
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間章①
なお、今回の話を書いて、江戸時代編とApo編のヒロインは別にしました。
寛永12年、神無月。
あれから大体半年が経った。え?その間何があったって?
具体的に言えば、福袋で被りが出そうって思いながら回したら象さんがやってきて絶望に浸りながらラスベガスにいましたが……
ん?なんだ?変なものが紛れてたぞ。
まぁ、いっか。いや、よくない。某弓兵の登場によって、俺こと天草四郎時貞へのガードが固くなった。というより、俺のプライベートがないに等しいものとなった。
朝は日が出るくらいに起床。そこから剣術を習って気づけば朝食を食べる。昼過ぎまでは勉強をひたすらこなし、再度剣術を行う。まぁ、その間にキリスト教関係のイベントがちょくちょく入ってくるんだけど。
そんなわけで、俺のプライベートは塵芥へと化した。
それと、俺の近くに女性が1人付くこととなった。名前を、しづ。一応俺の家臣ってことらしいんだが、なんとこのしづさん、くノ一なのだという。ロマン。
「なぁ、しづ。」
「は。こちらに用意しております。」
自分の欲しいものを何故か俺の欲してるものを既に用意しているのだ。まじプロですわ。
「……しづ。」
「なんでございましょうか。四郎様。」
しづの外見は、身長150cmくらいの小柄なスレンダー。FGOの加藤段蔵とか、対◯忍の某シノビに近い感じ。スレンダーな身体に、紫色の髪を肩にかからない程度で、俺の屋敷にいる時は黒の和服を着ているんだが……美人っていいね!なんか心が和む。今の俺の身長が160ちょいすぎたくらいだから中高生の恋愛に近いものがあるんだよなぁ。歳も近いし。
机に向かって筆を執っている俺と、その傍に正座をして俺のことを見つめている。いわゆる見張りなのかもしれんが。
「お前は……キリスト教をどう思う?」
「どう…とは?」
「しづがキリシタンではないことは知っている。」
そう。しづはキリシタンではない。
俺の治めている地域にいるため、俺に仕えている、ただのシノビ。俺は地位だったりなんだったりで半端諦めてるのはあるが、しづは敢えて反政府勢力に付く必要はないのだ。
「お前は、俺の元にいなくても良い。くノ一として別の主君に付くでも良い。くノ一という自分を捨てるというのも良いかも知れん。」
「いえ、私は貴方様の元で仕えさせていただきたく思います。」
「…………いいのか?」
再度確認する。
「はい。私の家は元々好次様に仕えておりました。そのため、私の父も母も、キリシタンでございました。ですが、私はキリスト教についてはわかりませぬ。同じく仏に関しても同じにございます。神は果たして存在するのか、私は疑問に思っておりました。この日の本では仏を信じる、家族はキリストを信じる。このような世界で、私という己を表せるところなど存在しませんでした。」
「…………。」
「ですが、四郎様。貴方様だけは本来の私を見せることができました。仏もキリストも信じていない。好次様たちが行うキリシタンの反乱の主導者にもなられる貴方様が実はキリシタンではないなど……。ですが、私は、そんか貴方様を好いております。」
な、なんだってぇぇぇ〜〜!!
いやいやいや、マジですか!?Fateの天草の過去なんてほとんどピックアップされてないから全然知らんけど……。てかそれより、APPめっちゃ上の美人さんから好かれるなんて普通じゃありえないことだぞ!しかも江戸時代なんて大奥があったから美人さんは強制的に江戸に持ってかれるってイメージしてたから、こんな美人から好かれるなんてありえないと思ってたわ。
「しづ……それは……。」
「いいのです、四郎様。私はくノ一。貴方様に仕えるくノ一です。きっと、きっと貴方様には四郎様に相応しい女と夫婦になるのでしょう。」
「しづ。」
俺は筆を側に置き、しづを抱きしめる。しづは抱きかかえられた瞬間、一瞬だけビクンと身体が跳ねたような気がした。
「し、四郎様っ!?」
「しづ。お前は良い女だ。確かに俺はキリシタンではない。それと同時に仏も信仰していない。神に仕えていない異端の俺を好いてくれるなど、ありがたいことだ。」
「いえ、私も同じでございます。」
抱きしめた身体を離し、俺はしづと見つめ合う。
「俺に仕えるということは、即ち死を意味するものだと思っていて欲しい。徳川との戦いは負ける。おそらくではない。確実にだ。それでも……俺を愛してくれるのか?」
「…………はい。」
俺としづは再度抱き合った。日の沈む頃、日の本の頂点である徳川に反するという絶望があるにも関わらず、彼らは愛を誓ったのであった。
マジ無理ぃ。
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