でろーんと行く、米花町お散歩の旅 (ひまるま)
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プロローグ

序盤なのでお堅い表現が続きます。


「今日も1日疲れたな……」

 

 

 

時刻は夜中2時を回った、虫すらも眠りに付く丑三つ時の頃。辺りは暗闇に包まれており、あるのはぼんやり光輝く古びた街灯のみ。そんな寂れた住宅街に接する道路を、とあるサラリーマンがぼんやりと歩き続けていた。

 

今のサラリーマンの姿を一言で表すと"亡霊"といったところだろうか。長年切っていないのか、男の割には異様に長い黒髪を前にだらりとたらし、疲れているのか腰を前に傾けてのしのしと歩いている。

 

普通の人が見れば十人中六人は幽霊と答え、残りの四人はゾンビとでも言うかもしれない。

 

ともかく、彼は普通の生活をしていたらなることのない姿をしていることには間違いない。もしかしたら、趣味という可能性もあるかも知れないがそんなことはまずないだろう。

 

そんな中、ふとサラリーマンはある一つの壁に描かれた落書きに目線を向ける。落書きなんて、今世じゃどこでも見かけるあるのが当たり前のような存在である。幼い子供であれば派手な落書きを見かければ気にするかもしれないが、こんな世界を27年間も生きている彼にとってはごく当たり前の風景であった。いつもの彼ならそんなもの見向きもしなかったであろう。

 

しかし、その時の彼は身体的にも精神的にも大きな疲労を負っていた。会社では毎日上司の怒鳴り声を聞き、仕事ではいつもミスを起こす。そんな生活を過ごしてはや五年間、彼は既に限界を越えようとしていた。

 

そんな彼だからいつもはしないことをこの時はしたのであろう。

 

――これをしたら何か起きるのではないかという期待を胸に秘めて。

 

しかし、そんな彼の期待も虚しく、落書きは至って普通のものであった。様々な色のスプレーで描かれており、どこにでもあるヤンチャな青年が描いたものであろう。

 

正直、何か起きるのではないかと少なからず思っていたために落胆は大きく、分かりやすく首を項垂れ、目線を下の方へと向ける。

 

そうすると、落書きの丁度下の方に一枚の紙きれが落ちているのが目に入る。

 

サラリーマンはレシートかと疑問に思いながらも、落書きがある壁際まで寄り、古びた紙きれを拾い上げる。

 

紙きれはどうやらノートなどから切り取ったものであり、端の方が少しギザギザとしている。そして、その紙の裏側を見てみると、とある文章が書かれていた。

 

『そのまま道沿いを歩き続けろ』

 

その文字は慌てて書いたのか少し歪んでいて、気のせいかもしれないが少しに滲んでいるようにも思える。

 

電話をしている時に走り書きでメモでもとったのかとサラリーマンは思い、その紙きれをくしゃくしゃに丸めてポケットの中に雑に突っ込む。

 

そして、サラリーマンは大通りに再び戻り、道沿いにひたすら歩き続ける。

 

疲れた、と足が悲鳴をあげている。酸素が欲しい、と自身の肺が脳に訴えかけている。だが、サラリーマンは歩くのを辞めなかった。

 

正直にいって何をやっているのだろうと自身も呆れている。そんな戯れ言を、サラリーマンは心の中で自身を皮肉るようにボソッと呟く。

 

あるわけないのはわかっている。しかし、やってみないと満足しないのが人間という生き物である。紙きれに書かれた一つの文字にもしかしたらと希望を抱き、彼はあるはずのない楽園へと足を進めた。

 

サラリーマンが歩き始めてから数分後、辺りは少しずつ活動をしだす生物が増え始め、朝が近いのが肌で感じ取れる。

 

今日は会社があるんだけどな……、と吐息同然の一人言を呟き、前の方に視線を移す。

 

すると、コンクリート造りの歩道に落ちている一枚の紙きれが視線の隅にとまる。

 

彼は、重い鉛のような足を動かし、見覚えのある古びた紙きれを拾い上げる。

 

表はいつも通り何も書いておらず、ただ土埃で汚れているだけだった。そして、彼はそんなもの無視するかのように裏の方を素早く見つめた。

 

裏には彼の予想通り文字が書かれており、さっきよりも丁寧に書かれたと思われる文章であった。

 

 

『横にある公園のベンチに座れ』

 

 

紙きれはにはそうしっかりとした文字で刻まれていた。

 

そして、その文章を見たサラリーマンはまるで操り人形のように辺りを見回し、右隣にあった古びた公園の中に迷うことなく歩みを進める。

 

公園の中には相当お金をかけて作られたのか数多くの遊具が設置されていた。

 

公園は街灯の電球が切れているのか明かりが一つもなく、あるのは夜空から降り注ぐ月の光だけだった。

 

サラリーマンは、そんな少し錆びている遊具の間を通り抜けながら公園の中央に寂しく置かれているベンチへ向かって歩き始める。

 

そんなベンチの隣には淡い光を放ちながら、未だに稼働し続けている自動販売機があるのが目に留まった。

 

そして、サラリーマンはベンチの側に着くと、左のポケットを漁り、乱雑に古びた財布を取り出す。

 

財布を取り出すと再び彼は自動販売機のぼんやりと見つめながら何を買おうかと模索する。

 

コーヒーにしようか紅茶にしようか、と彼がそんなことを考えている中、背後から細々とした少女の声で自身に問いかけてくる。

 

 

 

「おじさん、もしかして迷子?」

 

 

 

彼が振り向くと、そこにいたのは小学生位の少女であった。髪は後ろで一まとまりに結んでおり、夏にしては厚着だなと思わせる暑苦しい洋服を着た少女であった。

 

 

「君こそ、こんな時間に出歩いたらダメだろう?」

 

「話、無視しないでよ、おじさん」

 

 

 

彼は少女に帰るように促したが少女は帰る気がないらしく、逆に自身の質問が無視されたと怒り始める始末だ。

 

彼はとりあえずこのめんどくさそうな少女を、帰らせる為にどう答えたら良いのか顎に手をかけて少しの間考える。

 

 

 

「そうだな、私は人生の迷子かな……」

 

 

 

そう、彼は自身を皮肉るような発言を少女に向かって口から吐き出す。

 

すると、少女はニッコリとした笑顔で彼の右手を握ってくる。

 

 

 

「じゃあ、私が連れていってあげる!」

 

 

 

少女はそういうと彼を近くにあるベンチへと座らせ、少女自身も少し高いベンチの上にちょっこり座り込む。

 

 

 

「おじさんはどういう世界に行きたい?」

 

 

不意に少女はそう彼に語りかけてくる。彼は一瞬苦笑をしたが、冗談混じりにうーん、と呟きながら少女に答えを告げる。

 

 

「まあ、やっぱり自分の生きたいように生きられる楽しい世界かな」

 

 

 

そう彼は冗談半分に告げると、少女は再び彼の右手に手を乗せながら笑顔で彼に口を開く。

 

 

 

「じゃあ、私がその世界におじさんを連れていってあげる」

 

 

少女が無邪気そうにそう告げると、サラリーマンの意識どんどんボーッとしていく。

 

 

 

 

「おじさんはゆっくりと休みな……。起きたら そこは素晴らしい世界だから」

 

 

 

 

朦朧とした意識の中で聞いた少女の声は今まで以上に暖かな声で、儚い声であった。そして、彼はまぶたが更に重くなるのを感じながら、ゆっくりと意識を落としていった。

 

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

チュンチュン

 

 

朝ということを知らせてくれるスズメの声を聞き私は大きなあくびを一回する。

 

そして腕を大きく伸ばして眠気を飛ばしたあと、私がいるのは公園の中であることに気づく。

 

 

「そういえばなんか小学生位の女の子にあったんだっけ」

 

 

 

そういえばと思い、辺りを見回すがそれらしき少女はもう既にこの公園からいなくなっていた。

 

もう帰ったんかなあ、と軽く思いながらのんびりとしていると、妙に下半身がスースーするのに違和感を感じ始める。

 

なんやろと思い、私は自身の下半身に目線を移す。

 

 

 

「は?」

 

 

 

私はは呆気にとられ、普段は出さないような声を口から漏れ出す。そして、自身の姿を改めて確認しようと公園に設置されたトイレへと駆け込む。

 

ぜぇ、ぜぇ、と過呼吸になる肺を落ち着かせながら、俺は目の前にある鏡に目線を向ける。

少し黄色みがかった鏡に写っていたのはいつもの私ではなく、見覚えのある綺麗な銀髪をもつ背の高いクール系の少女であった。

 

鏡に写る少女はその長い髪を大きなリボンを使い後ろで一つにまとめており、その小さな顔につけられた紫の瞳はビックリしたかのように丸くしている。服装はブレザーの制服を着ており、ミニスカートから出る綺麗な足は白のハイソックスに包まれている。

 

男だった少女はそんな自身の姿を見てゆっくりと口を開く。

 

 

 

「あれ、もしかしてやけど私、でろーんに憑依しちゃった感じ?」

 

 

少女は呆気にとられながら、そんなことをボッソリと呟く。

 

そしてここから、でろーんこと樋口 楓の米花町での受難は始まるのであった。

 

 

 




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※一応憑依後は主人公の人格とでろーんの人格が混ざったような状態になります。


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第1話

少し雑なお話となりました。


でろーでろーんこんでろーん、どうも樋口 楓でーす。今、私はどうやら憑依というものをしてしまったみたいです。

 

 

……なんか虚しいからやめとこ。

 

 

 

私がでろーんに憑依したことに気づいてから数分後、このまま公園にいても埒があかないと感じた私は何かこの世界に対して何か情報が書かれたメモ用紙などかないかと自身のポケットを漁っていた。

 

そうすると、内ポケットの中に白色のスマホが入っていることに気づいて、ポケットからスマホをゆっくりと取り出す。

 

そして、再びベンチに腰をかけ、スマホの電源を付けて中に何かないかどうか探してみることにした。

 

幸いながらも、このスマホにはロックが掛かっておらず、簡単に入ることが出来て安心した……まぁ内心防犯対策ゼロかよ、と苦笑したが。

 

ぼんやりと光るスマホの画面を見つめていると、ホームにメモアプリがあるのが目に留まる。

 

メモアプリなんてあんま使う機会なんてないと思うんやけどな、と思いながらアプリを起動すると、そこにはこの世界の自身の個人情報らしきことが記されていた。

 

 

[名前]樋口 楓

 

[性別]女

 

[年齢]17歳

 

[身長]167センチ

 

[血液型]A型

 

[住所]米花町二丁目……。

 

 

 

「一応これが私のスペックていう感じやな」

 

 

そして、私はスマホをベンチに置いて大きな伸びを一回すると、スッとベンチから立ち上がりやる気のない声でボソッと呟く。

 

 

 

「まっ、とりあえず家にでも帰りますかね」

 

 

 

そう呟き、私はまだ見ぬ自宅へと足を動かすのであった。

 

 

 

「あれ、ここら辺にあるってかいてあるんやけどな……」

 

 

 

 

公園から出てはや二時間、私ことでろーんは絶賛迷子中であった。いくら歩いても目的には着かず、挙げ句の果てには雨に降られるという始末だ。

 

 

 

「私はどこにいってもドジは治らんっちゅうことかな」

 

 

 

自身を皮肉るように呟くと、自身の口が無意識に薄笑いしていること気がつく。

そんなことに気付き、はぁ、と一回ため息をつき、再びスマホの画面の方へと目線を傾けたその時だった。

 

 

 

「キャァー!」

 

 

 

そんな雄叫びにも似たよう叫び声を聞き、パッと後ろの方を振り返ると、「じゃあまだぁ!」と人混みを避けながらナイフを振り回してこちらに走ってくる中年の男が目に留まる。

 

 

 

「っ!? そこのお姉さん、その男ひったくりだよ!」

 

 

 

どこからともなく、少年のような声で自身に注意を促す声が聞こえてくる。しかし、私はその声を聞きながし、そのひったくり犯が走ってくるであろう所に足を突き立てる。

 

そしてひったくり犯は焦っていたのか、前方をあまり見ておらずそのまま自身の足に引っ掛かりズドンと前方へと倒れこむ。男がうごめいている内に私はそのままひったくり犯の上に座り、ナイフを取り上げる。

 

犯人はしばらくの間必死に抵抗していたが、やがて誰かが通報したのか警察官がゾロゾロとこちらに近づいてきて、もう逃げるのは不可能だと感じたのか徐々に抵抗しなくなっていった。

 

その後の出来事は早かった。警察はすぐさま男を連行し、パトカーの中に連れられていった。私も事情聴取をされたがたくさんの野次馬の証言があり、数分で終わった。その後にひったくりにあった、被害者から泣きながら「ありがとう、ありがとう!」といわれてしまった。感謝の言葉を言われるのはうれしいが、泣きながら言われてしまうとなにか罪悪感のようなものを感じてしまう。私はその被害者に「泣かないでくださいよ」とハンカチを渡すと、泣くのをやめ、再度感謝を深々く告げると商店街の人混みの中へと消えていった。

 

 

 

「ひったくりなんて初めてみたな……」

 

 

 

そんなことをしみじみと感じながら呟くと、自分のすぐ近くから少年のような声で話しかけられる。

 

 

 

「ねぇ、お姉さん。なんでお姉さんはひったくり犯が来ても逃げなかったの?」

 

 

 

ふと、声のする方向を向くと、そこには賢そうな少年が一人立ち尽くしていた。

 

その少年はこの時代には珍しい蝶ネクタイをつけ、小さな少年には似合わない大きなメガネをかけている不思議な少年であった。

そんな小学一年生であろう少年がこちらを純粋な瞳で見つめてきている。

 

私はあんま子供は好きじゃないんやけどな、と思いながら、それらの気持ちを誤魔化すように少年の髪の毛をぐしゃりとかき混ぜる。

 

 

「そうやな、私は困っている人を見捨てられん性分やからね。まぁ、今回もそういうことやよ」

 

 

 

そう少年に向かって語りかけると、少年は暫くの間唖然していると、急に笑顔で話かけてきた。

 

 

 

「あれ、お姉さん服濡れてるよ? 良ければうちでお風呂とかでも入らない? すぐ近くだからさ」

 

 

 

少年はにこやかな顔でそう告げてくる。確かに雨で濡れてしまった体を暖めたいという気持ちはあるがそれ以前に人の家の風呂を使うのは失礼だと思い、断ろうとすると、少年は大丈夫だからと手を引っ張り始める。それから数分後、結局私は、服と体が濡れていることの違和感と少年のぐいぐいとした行動に耐えられず、少年の後を付いていくことにしたのであった。

 

それから数分後、私は少年に連れられるがままに歩いていくと、とある建物の前へとたどり着く。

 

その建物は二階建てあり、一回には喫茶店があり、ポアロという名前のようであった。そして二階には毛利探偵事務所というどうやら探偵事業をやっている事務所があるようだ。

 

そんなごくありふれた光景見て、私はそんな建物をみて、私は徐々に鳥肌が立つのが感じられる。

 

嫌な予感がしなくもないが、同性というだけかもしれないという希望的観測を抱き、改めてみるとどこかでみたことがあるようなメガネの少年へと話しかける。

 

 

 

「なぁ、もしかして毛利ってあの眠りの小五郎っていう探偵のことやの?」

 

 

「よく知ってるね、お姉さん!」

 

 

 

あぁ終わった。メガネの少年の言葉を聞いて、一気に身体中力が抜けるのが感じ取れる。お姉さん大丈夫?、と問いかける声が聞こえてくる。あぁ、そうだった。一応この少年の名前も聞いてみるか。……まぁ知ってるけど。

 

 

 

「……なぁ坊や、失礼やけど名前はなんていうんか?」

 

 

 

「僕の名前は江戸川 コナン! お姉さんの名前は?」

 

 

 

「……樋口 楓」

 

 

 

「楓お姉さんっていうんだね!」

 

 

 

――あぁ、コナンくんと知り合ってしまった。もしかしてだけど、私死なないよね……。

 

 

そんな下らないことを考えていると、目の前にあるポアロの扉から二人の女子高生が出てくる。

 

 

 

「あれ、コナンくんじゃない! どこ行ってたの?」

 

 

 

「おっ、ガキンチョじゃない!」

 

 

 

そう呟きながら、出てくる女子高生二人に楓は見覚えがあった。あの二人は確か、この名探偵コナンの作品のヒロインである毛利蘭と鈴木園子という人であったはず。毛利蘭は空手の都大会で優秀な成績を持つ女性であり、方の鈴木園子はあの鈴木財閥のご令嬢とのこと。

 

ハイスペックすぎやろ、と心の中でツッコミをいれていると、どうやら二人が私に気づいたのかこちらへ向かって歩いてくる。

 

 

「あれ、コナンくん。この女の人は誰なの?」

 

 

 

「えっとね、このお姉さんは僕がひったくり犯に襲われそうだった所を助けてくれたの。それでね、このお姉さん雨に降られたみたいだからシャワーを貸してあげようと思って」

 

 

 

そんな少しでたらめなことをコナンくんが話すと、毛利さんがこちらの方へ近づいてきて話しかけてくる。

 

 

 

「コナンくんを助けてくれてありがとうございます! シャワー位ならぜひ使って下さい!」

 

 

 

そう話すと毛利さんはついてきてくださいと、こちらへ話しかけ、私はつられるがままについていくことしかできなかった。

 

そして、私が毛利家から手厚く歓迎され、シャワー以外にも制服を洗濯してもらったり、夕食をごちそうさせてもらい、あのJK組と密かに仲良くなったのは別のお話。

 

 

 

「今日はありがとうございました」

 

 

時刻は夜の八時頃、あの後毛利家に手厚く歓迎された私だが時間の都合上帰らなくてはならない時間がきてしまった。まだいたいという気持ちが本音だが、なにせコナンくんがたまに怖い目で見てくるの怖くて仕方がない。これは早々と撤収した方が良いだろう。

 

私がそう蘭ちゃんに感謝の言葉をいうと蘭ちゃんは慌てた様子でふるふると首をふる。

 

 

 

「全然大丈夫だよ! こっちはコナンくんを助けてもらった訳だし。今度はプライベートで遊びに来てよ!」

 

 

「じゃあ、ほな、また来るわ」

 

 

蘭ちゃんの言葉に無意識に文章を返す。

 

 

 

そして、私はバイバイとふる蘭ちゃん&コナンくんに手を振りながら毛利探偵事務所を後にした。

 

 

 

※※※※※※※※

 

 

暗闇に包まれた大通り。いつもはたくさんの人で賑わっているが夜は別である。夜になると途端に静かになり、どことなく不気味な雰囲気を、醸し出している。

 

そんな大通りを樋口 楓という一人の少女が歩いていた。

 

 

 

「一時は、どうなるかと思ったけど、なんとかなったな」

 

 

 

そんな独り言を呟き、少女は月を見上げながら歩き続ける。

 

少女は昨日と同じような、既視感を感じたが、その考えを否定するように首を横に振り、薄い笑みを浮かべながら一人で考える。

 

 

――だって、私はもう一人じゃないからな。

 

 

 

少女はまだ見ぬ親友の姿に胸を馳せながら再び道を歩き続ける。



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