SJでレンとチームを組んだオリ主がなんやかんやあってリアルのレンとスケベする話 (ナツイロ)
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前編 香蓮、吶喊する

・ガンゲイル・オンライン原作主人公レン(小比類巻香蓮)
北海道から東京の名門女子大に進学した学生で、GGOでは全身ピンクに身を包み相棒のP90と共にスクワッド・ジャムを戦い抜くプレイヤーでもある。
第二回スクワッド・ジャムの少し前、自宅マンションでエムにストーカー紛いに押しかけられた際、咄嗟に助けを求めたのがゴローだった。
実際に駆けつけてくれたことでリアルのゴローを意識し始めた。

・オリジナル主人公、ゴロー(大吾) 年齢24~5ぐらい?
GGOでプレイヤーズショップを営むプレイヤーの一人で、レンとは縁があって第一回スクワッド・ジャムからチームを組む。
プレイヤーとしての力量は中堅の域を出ないが、フィールドや遺跡からのアイテム発掘をメインとしているので、対人戦が大したことがなくても気にしてない。


「まあまあ美味しかったね、ジンギスカン」

「道産子の判定は厳しいな」

「ゴローさんが北海道に来ることがあったら、私自ら案内してしんぜよう」

「ははー、お代官様の仰せの通りに」

「それじゃ私、チョンマゲじゃん」

 

 楽しい時間を過ごせたのか、香蓮はGGO(ガンゲイル・オンライン)内での大吾のアバターネームで彼を呼び、袖が触れる程の距離感で連れだってマンションの廊下を歩いていた。

 そろそろ深夜に差し掛かろうという時間帯で、コツコツと足音だけが二人の会話のBGMを奏でている。

 

 香蓮の頬が薄っすらと朱を帯びているのは、成人を迎えた祝いとばかりにアルコールに挑戦したためか。

 それとも、こんな夜も遅くに年頃の男女が逢引き紛いの二人っきりの時間を過ごした故か。

 酒精混じりのフワフワとした高揚感を楽しみながら、香蓮は大吾との軽妙な会話を続けた。

 

「お酒は思ってたより美味しくなかったなー」

「慣れない内はそうらしい」

「ゴローさんは結構イケる方?」

「酒は全然だめなんだよ。すぐ気持ち悪くなるし」

「へぇー、私にだけ飲ませてイタズラするつもりだと思ってた」

「運転してきてるんだから飲めるわけないだろ。それに俺は紳士なんで」

「ヘタレの間違いじゃ……」

「うっせ、自覚してるわ」

「アハハっ」

 

 酔いが若干残っている香蓮は、大吾の肩をパシパシと叩いて笑っている。

 笑い上戸だったのかと大吾は笑いのツボにはまったらしい彼女をあしらいながら、香蓮の相手を玄関先まで続けた。

 

 部屋の前までたどり着くと、鍵を開けた香蓮は大吾へと振り返り笑顔を浮かべて打ち上げのお礼を告げる。

 

「今日はありがとうございました」

「こちらこそ。俺も楽しかったし、機会があればまたやりたいな」

「うん!」

 

 半歩ほど玄関に入っていた香蓮は、帰宅の途につこうとする大吾の腕を咄嗟に掴む。

 これは一大チャンスであった。自身のコンプレックスから人付き合いが苦手な香蓮が、元々はゲーム内の知り合いだったとはいえプライベートの時間でここまで親密な関係を築けたのは奇跡に近かった。

 しかも第二回スクワッド・ジャムの前にリアルのエムによってストーカー紛い行為をされた際、咄嗟に助けを求め応えてくれたのは大吾であったのだ。

 ゲーム内では第一回スクワッド・ジャムからチームを組み、リアルでも身の危険を感じた時には疑いもせず助けに来てくれた。

 

 そんな大吾をコミュ障気味な香蓮が信頼を寄せ、GGOでの友情がリアルでの親愛の情に変わりつつあったのは無理からぬことである。

 少なくとも、大吾に連絡を取る際に早まる胸の鼓動や、電話を切る時に感じる切なさを、香蓮はそのように結論づけている。

 

 初恋の甘酸っぱさとは異なる大人へと成長した女の情動と、アルコールの回った思考が、香蓮の行動を普段では考えられないほどに大胆にさせた。

 

 大吾は掴まれた腕を怪訝に思い、今一度香蓮へと向き直る。

 何かを決意したような香蓮の表情に視線を移し、酔いのせいで朱に染められた頬、ともすれば美人と評するであろう整った容姿の彼女に見つめられ、若干ドギマギとしながらも平静を装い尋ねた。

 

「ど、どうした? 車に何か忘れ物とか?」

「そーじゃなくて。その……お礼」

「金のことなら気にしなくてもいいんだけど。学生に出させるわけにはいかないしさ」

「大事なことなのっ!」

 

 顔を寄せて捲したてる香蓮に気圧されたのか、大吾は彼女の言葉を遮るようなことはせず続きを待つ。

 

「目を閉じて」

「目を?」

「いいからっ」

 

 香蓮の言葉に素直に従い、大吾は瞼を下ろした。

 大方、今日のために何かしらのお礼の品物を用意してくれたのだろう。

 それを取りに行くのに、部屋の中を見られてしまうのが恥ずかしいのだと当たりをつけた大吾。

 しかし、大吾の前にいる香蓮に動くような様子はなく、より身体を大吾の方へと寄せると彼の顔を両手で包み、こう言った。

 

「私は……こんなこと誰にでもするような女じゃないからね」

 

 ギュッと固く目をつむった香蓮は、自身のそれを大吾の唇へと重ねた。

 突然の口づけに驚いた大吾は目を開け、咄嗟に彼女の身体を押し返そうと両肩に手を添えたが、唇に感じる柔らかな感触と熱、直前に聞いた香蓮の言葉に力を失い、そのまま彼女をを受け入れる選択をする。

 肩に大吾の手が回された香蓮は、拒絶されたのかとビクっと小さく震るが、その大きな手が背中へと回され力強く抱き寄せられた。

 

「あっ」

 

 そんな大吾の行動に、香蓮の固く閉じられていた潤んだ瞳が開かれ、重ねていた唇から吐息が洩れた。

 鼻先がこすれる程に接近した距離で、二人の視線が交錯した。

 心臓の鼓動が爆音を奏で、熱を持った吐息が二人の顔を撫で合う。

 会話はないが、徐々に寄せられていく顔は止められない。

 

 先ほどとは異なり、そっと瞼を降ろした香蓮は待ち受けるように小さく唇を突き出した。

 その魅力的に濡れる唇に吸い寄せられ、大吾のそれが押し重ねられる。

 柔らかく甘い熱に浮かされた唇を、喰むように求める大吾。

 先程とは異なるそれに香蓮の身体は徐々に弛緩し、大吾の頬に添えられていた手はダラリと下がりいつの間にか彼のジャケットを力なく握りしめていた。

 大吾の求めに応じるように薄く開かれた香蓮の艷やかな唇の隙間に、チロリと突き出された舌先が差し込まれる。

 

「んんっ」

 

 驚いた香蓮は悩ましく眉を寄せるも、熱くざらついた感触のそれは彼女の唇を丁寧に撫でつけ、小さく突いた。

 ぬるりとした感触が唇を通して香蓮を愛撫する。そんな大吾の舌先に合わせるように、彼女の唇はすぼまり愛おしむように吸い付いた。

 

 唾液混じりの淫猥な水音が、深夜の玄関先で響く。

 香蓮は口内に受け入れた切っ先に合わせるように自身の舌を重ね、絡めていく。

 熱くざらついた大吾のそれが香蓮のものを求めるように蠢き、彼女も負けずとそれに応えていった。

 

「ちゅ、くちゅ……ちゅる」

 

 香蓮が求めれば大吾が、大吾が求めれば香蓮が。繰り返される舌の抽送は、口元から唾液が垂れるのもかまわず続けられた。

 粘つく唾液をこね回すかのごとくお互いに舌をすり合わせ、混じり合った唾液をすすり合う。

 合間に荒く呼吸を挟んでも、我慢できないとばかりに再び求め合う二人。

 そんな理性が痺れるほどの濃厚な口づけが終わったのは、離れた唇の間に唾液の糸ができるまでに混じり合ったあとであった。

 

「んっ……、はぁっ、はぁ」

「ふぅ、ん。……レン」

「んっ、ゴローさん……」

 

 暦の上では春に差し掛かった時期とはいえ、深夜は未だ肌寒さを感じさせる風が二人の熱を奪うように吹き抜ける。

 ひやりとした風にさらされ、我に返る香蓮はようやく自分の行った行為に対して羞恥心を感じ始めた。

 それは大吾も同様で、二人して抱き合ったままの状態で固まっている。

 

「え、えっと」

 

 焦りからかどもりがちに声を出した香蓮は、身体を離すとぽかんとした様子の大吾を尻目に玄関ドアを閉めようとする。

 

「その、それじゃ! また今度!」

「待って、ちょっと待て!」

 

 あと少しで閉じかけた玄関ドアを掴み、大吾は落ち着かない声色でドアの隙間から香蓮を呼ぶ。

 

「このまま放り出すのはやめてくれ」

「だって……恥ずかしい」

 

 隙間を介して顔を突きつけ合う二人だが、香蓮は恥ずかしそうに視線を泳がせる。

 

「俺だってそうだけどさ。このまま別れて次に顔を合わせる時、どんな顔していいか分かんねぇ」

 

 そう言って大吾はドアノブを握ったままの香蓮の手に、そっと自分のそれを重ねた。

 じんわりと熱が伝わり、香蓮はドアを引っ張る力を抜けていくのを感じた。

 

「なあ、さっきのは……その」

「は、恥ずかしいから言わないで」

 

 キッとにらみつける香蓮であったが、大吾からすると真っ赤な顔をして目を吊り上げる姿は、むしろ可愛らしさしか感じさせない。

 

「そっちからキスしてきんじゃないか」

「舌を入れてきたのはそっちでしょっ」

「レンも合わせてきたろうに……」

「ううぅ」

 

 ドアをそっと引いて、大吾は香蓮のそばに近寄った。

 大吾に押されるように、香蓮は玄関の壁に背中を預けた。

 口を真一文字に結び真面目な顔をした大吾は、緊張した様子の香蓮の両肩に手を添えて、ゆっくりと言葉を紡ぎ出す。

 

「さっきのキスは……そういうことでいいんだよな? 今ならまだ、俺が調子に乗って勘違いしてるってことでも――」

「勘違いじゃないっ」

「レン……」

「勘違いじゃ、ないもん」

 

 目尻に涙を浮かべ、香蓮ははっきりと否定する。

 

「俺はそういうレンの気持ちを知っておいて、宙ぶらりんのまま今の関係を続けられるほど器用な人間じゃないんだ」

「うん」

「だから……本気で言うぞ」

 

 言葉を重ねる大吾の真剣な姿に、香蓮も姿勢を正し緊張をごまかすように胸の前で両手をギュッと握った。

 

「レン――いや香蓮」

「はい」

 

 GGOでの呼び名ではなく、リアルの名を口にした大吾。

 それだけで香蓮は、大吾の真剣さが伝わってくるように感じた。

 

「俺と、真剣な交際をしてくれませんか?」

「はいっ、喜んで」

 

 真っ直ぐに見つめてくる大吾の瞳を見返したまま、香蓮は精一杯の笑顔と共に返事を伝えた。

 どちらかといえば半分涙まじりの様相だったが、大吾は受け入れられたのを感じ、ふぅっと大きく息を吐いた。

 

「なんでホッとしてるの?」

「いやぁ、もしかすると断られるかもって」

「私がこれで断るとか、とんだ悪女だよ。ピトさんじゃあるまいし」

 

 思いがけない名前に二人は顔を見合わせ、ププッと吹き出す。

 

「それ、本人には言うなよ」

「やめてよ、殺されちゃうじゃん。――まぁ私も殺すけど」

「これだから砂漠でPKしてた人間は」

「もう。それは辞めたんだってば」

 

 一つ柵が消えた二人。

 腕を背中に回し抱き寄せる大吾に身を任せ、香蓮は一時の会話を楽しんだ。

 時折会話が途切れると、すっと唇重ね合わせ、にへらとだらしない笑みを浮かべる。

 会話より口づけの割合が増えるのは香蓮にもどうしようもなく、身体を抱きしめる大吾の手が優しく背中を撫でつける感触に心地よさを感じながら、彼のジャケットに手を重ねていた。

 

「あっ」

 

 そんな艶めいた声がキスを重ねる香蓮の口からこぼれたのは、大吾の手が背中から彼女の薄手のセーターの裾に滑り込んだ時だった。

 セーターの内側に入り込み、更にシャツを捲り上げた大吾の手のひらが、香蓮の腰から続くなだらかなくびれを伝っていく。

 香蓮のきめ細やかな素肌の感触を楽しむように、大吾は手を滑らせ指先でさする。

 

「嫌だったか?」

「いきなりだったから……」

 

 くすぐったそうに身を捩る香蓮の姿に、嗜虐心が刺激される大吾。

 すっと手を抜き取ると、続いて腰の方へと伸ばしていき、スキニーのデニムを履いている香蓮の臀部に触れた。

 

「や、やだぁ。お尻なんてだめ……んんっ」

 

 咄嗟に大吾の腕を掴んではみたが、不思議と嫌悪感の類を感じることはなく、撫で回され揉まれるがままの香蓮はゾクゾクとした疼きを覚えていた。

 

「ジーンズのせいか、硬い感じがする」

「喧嘩売ってんの? それに若者はデニムって言うんだよ」

「何が違うんだ」

「オシャレ度、かな?」

 

 大吾の物言いにイラッとしたのか、香蓮は未だに尻を堪能する大吾の手をつねりあげる。

 わざとらしく痛がる大吾の両手を身体の前に持ってくると、これ以上イタズラさせないとばかりに指を絡め合わせるように手を握り、だらんと垂らした。

 額をこすり合わせるほどに顔を寄せる。

 息遣いが互いの頬を撫でていく。

 

「ファッションは得意じゃないな」

「これからはそっちにも気を使ってもらうからね」

「香蓮が見繕ってくれるなら、まぁ」

「じゃあ今度のお休みにでも」

「気が早いんじゃないか」

「大吾さんがデートに着ていく服を選ばなきゃだし」

「それはデートって言わない?」

「そっちはデートの計画をたてるデートをしてから」

「本番まで何回あるんだよ」

「ふふっ、たくさん」

 

 打てば響くような会話の応酬。

 GGOでなら鉛玉が飛び交う鉄火場が似合う二人だが、ここはリアルの香蓮の住む部屋の玄関口。

 遮蔽物はいつの間にか閉じていた玄関ドア、交わされる鉛玉はねっとりと熱を帯びる舌先で、銃口を彩るマズルフラッシュは天井に設置されたオレンジ色の電球である。

 

 ニンマリと笑顔を浮かべる香蓮につられて、大吾も笑みを見せる。

 勝利条件のない濃密な口づけの応酬が終わったのは、大吾の手が再び香蓮の服の内側に侵入し、誰にも触れさせてこなかった艶やかな素肌を堪能していた時だった。

 

「は、ぁん……ちゅ、んんっ。ちょ、んぁ、ま、まって。タンマっ」

「あ……、すまん。流石に調子に乗り過ぎた」

「ううん。それは、いいんだけど」

 

 背中にそっと添えられた大吾の手のひらから伝わる甘いタッチに身を委ね、彼の首に腕を絡めて接吻を重ねていた香蓮は、自身のブラジャーに触れた大吾の指先がホックを弄ろうとしたのを感じ、焦ったように制止の言葉を伝えた。

 その香蓮の戸惑った声色に大吾も冷や水を浴びせられたかのようになり、さっと手を彼女のセーターから引き抜いた。

 

 罪悪感からか、しょぼくれた表情の大吾。

 そんな大吾の仕草に香蓮の母性がくすぐられ、両手で彼の頬を包み込むと、優しく唇を重ねていく。

 長く、そっと触れるだけの口づけ。

 しばらくして顔を離した香蓮は、安心させるように告げた。

 

「別に嫌じゃなかったよ?」

「さすがに先走りが過ぎたよ」

「そりゃあ驚いたけど……。大吾さんはシタイでしょ? ……私は、いいよ」

 

 モジモジと恥ずかしそうに、耳まで真っ赤に染まった香蓮の申し出に、大吾は目を丸くして彼女を見つめた。

 

「香蓮?」

「だって、さっきからほら……当たってるし」

 

 言葉が先細りしていく香蓮の視線の先は、正面から身体を重ねた二人のちょうど真下辺り。

 形の良い柔らかな双丘がその二人の圧力に押しつぶされ、密着した腹部のその先で。

 スラックスに包まれた大吾の下半身に鎮座する男の象徴が、猛々しくいきり立ってテントを形作り、香蓮の下腹部へと突き立てられていた。

 香蓮のデニム越しでも感じる男の本能的な欲求は、いくつもの障壁に遮られているにも関わらず、彼女の理性をゴリゴリと削り情欲を滾らせる。

 

「あ、ごめん……これは生理現象ってやつで」

「私の身体をいやらしく触って欲情しちゃった?」

 

 フフンとしたり顔でからかう香蓮。

 

「ああ、欲情したね」

「えっ」

「今すぐ押し倒して裸にしてしまいたいぐらいには」

 

 予期せぬ大吾の反撃に、むしろ香蓮の方がしどろもどろになって羞恥心に顔を染める。

 

「い、今のはズルいっ!」

「男はズルいんだ」

「まったくだよ……」

 

 香蓮はぷくっと顔を膨らませ拗ねる様子を見せるが、大吾に気にした素振りもなく彼女を抱きすくめたままだ。

 

「で、どうする?」

「どうするって?」

「つまり……セックス」

「ううぅ」

 

 改めて言葉にされると、途端に恥ずかしさが勝り言葉がしぼんでいく。

 それにどうも大吾は、香蓮に決めさせたがっている節がある。

 

「――そうやって予防線張って、私に断らせようとするの。大吾さんの悪い癖だから」

「そ、そうかな。気をつけてみる」

 

 大吾をドキリとさせる流し目を差し向ける香蓮は、ふぅっと一息ついて気持ちを整えると、閉じただけだった玄関ドアにおもむろに手を伸ばす。

 

「だから、これでもう後はないからね」

 

 妖艶とも小悪魔的ともいえそうな笑みを浮かべて、香蓮はカチャンと鍵をかけた。

 大吾にとってはまるで退路が完全に絶たれた兵士のような気分に陥ったが、迫る敵の魔の手が香蓮なら、このまま彼女の手に堕ちるのも悪くはなかった。

 

 

 




後編へ続く


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後編 香蓮、色を知る

 そこから先は、二人に言葉はいらなかった。

 廊下を進み香蓮の寝室に向かう途中、遠慮なくむしゃぶりつくような口づけを交わしながら、身に纏った衣服を一つ一つ脱ぎ散らかしていく。

 大学生には不釣り合いなほど豪華なテレビとホームシアターセットのあるリビングを抜けた頃には、二人とも靴下まで脱ぎ捨てており、ベッドに腰掛け相対した時は、すでに遮るものはお互いの下着だけという状態だった。

 

「は、恥ずかしいからあんまりジロジロ見ちゃだめ」

「すごく、綺麗だよ香蓮。ずっと見ていたいくらいだ」

 

 少し開いたブルーのカーテンの隙間から、月明かりが差し込んで香蓮の身体を幻想的に照らしていた。

 目をそらして薄紅色の唇を小さく尖らせる香蓮、首筋から鎖骨の魅惑的なラインに薄っすらと上気した素肌。

 隠すように両腕で胸元を遮っても見える、乳房を包み込む淡い紫のブラジャーには小さなフリルがあしらわれており、香蓮の魅力を十二分に引き立たせている。

 腰のくびれは大吾を目をいくら引きつけてもやまないし、腹部には薄っすらと縦のラインが見え、中央には可愛らしくへその窪みが鎮座している。

 形の整ったヒップを包むブラとセットの淡い紫のショーツ、そこからしなやかに伸びる曲線美は世の女性達からのやっかみが生まれるほどに美しかった。

 

「本当に綺麗だ」

「……ありがと」

 

 飾り立てない率直な言葉に褒められて、香蓮はだらしなくはにかんだ。

 昔から長身の我が身がコンプレックスの対象だった香蓮だが、ここまでの好印象を大吾に持たれるのならば、それも悪くない。そんな気がしていた。

 

「香蓮、おいで」

「うん」

 

 手招く大吾の誘いに乗り、差し出された手に自身のそれを重ねる。

 香蓮は優しく引き寄せられるように大吾の隣へとずり寄り、彼の肩に手を添えた。

 しなやかな筋繊維が、大吾の身体を構成しているのが触っただけでも分かった。

 

「結構、鍛えてる?」

「仕事が農家だから。基本、力仕事が多いんだ」

「そうなんだ」

「香蓮だって女性にしては」

 

 大吾はそう言って、彼女の薄く割れたお腹に手を伸ばす。

 腹筋もそうだが、香蓮の肢体は実にしなやかで無駄がなかった。

 

「ひゃっ、くすぐったいよ」

「ごめんごめん。でもほら、なんかヨガとかやってそうな感じに見える」

「ヨガはともかく、運動は得意な方かな」

 

 顔を寄せて会話を楽しむ大吾は、香蓮の少し汗ばんだ素肌を撫でつけた。

 艷やかできめ細かな感触が手のひらを通して伝わっていく様に、大吾は官能的な快美感すら覚える。

 

「外していいかな?」

「待って……恥ずかしいから自分でやる」

 

 すぅっと指を滑らせていく大吾は、香蓮のブラジャーの縁に指先を這わせる。

 ツンとつつき反応を楽しむ大吾の手を制止した香蓮は、見ちゃだめだからねと告げて大吾の視線から背を向けた。

 後ろ手にフックを外しタラリと下がる淡い紫のそれ、肩紐がなだらかな肩をすり抜けていく様に、大吾のなけなしの我慢は擦り切れ欲望に突き動かされるように、香蓮の透き通るような白い身体を抱きすくめた。

 

「あ、まだ、だめって……」

「我慢できないよ」

 

 互いの鼓動が激しく動悸しているのが、遮るものがなくなった二人には手にとるように分かった。

 大吾の手が伸び、香蓮の乳房と腕に挟まれるだけになっていたブラジャーを取り払う。

 月明かりに照らされた香蓮の双丘に、大吾の視線は引き寄せられた。

 鷲掴みにしてもはみ出しそうな豊かなそれ、頂にはポツンと小さな桜色に染まる乳頭。

 薄く浮かび上がる青い静脈が、より白さを際立たせ、大吾を悩ませる。

 大吾は言葉なく、下から押し上げるように乳房に両手を宛てがい揉み始めた。

 

「ん、ぅぅンっ……、はぁっ」

 

 ゆったりとした手付きで、しかし滾る劣情をぶつけるように、大吾の手は香蓮の乳房を揉みしだく。

 せつなそうなか細い声を喉から洩らす香蓮は、大吾の荒い息遣いを耳元に感じながら自身の腕を彼の頭へと絡め、引き寄せる。

 眉尻を下げ熱に浮かされた潤んだ瞳を向けられた大吾は、香蓮の乳房を蹂躙するのも止めず、顔を寄せていき大きく開けて舌を差し出した。

 応えるように香蓮も舌を伸ばし、合わせ、絡めて、しゃぶり、吸い付いた。

 甘い蜜のような味を感じさせる香蓮の唾液が大吾の口内へと押し込まれ、嚥下する。

 ふっくらとした香蓮の唇を押し広げ、大吾の舌は彼女の口内を蹂躙していく。

 つるりとした白い歯列を舌が滑り、温かくぬめった粘膜をなぞりあげる。

 香蓮もまた大吾のそれに合わせるように、熱心に舌を動かし絡みつく。

 

「んぁ、ぁむ……じゅる、ちゅ」

 

 口元から垂れた混じり合った唾液が、香蓮の顎先を伝って身体に降りかかる。

 細かい泡混じりの粘液を大吾の指先が掬い上げ、香蓮の口元へと運んだ。

 

「あむ、ちゅ、ちゅぱ……ちゅる」

 

 薄紅色の唇に触れた大吾の指を、抵抗もなく香蓮は口に含んだ。

 二人のじっとりとした汗と唾液にまみれた指先を、香蓮の舌が丹念にねぶっていく。

 香蓮は悩ましく眉を寄せ、静かに瞼を下ろし、大吾の指にのめり込む。

 少しばかり塩気を感じるそれに吸い付き、甘噛し、舌で転がした。

 大吾は指先から感じる快美感に浸りながらも、反対の手は香蓮の弾力感のある悩ましい膨らみに添えられていた。

 桜桃色の乳首に人差し指を這わせると、ゆったりとした手付きで乳輪をなぞっていく。

 自身の乳房を襲う新たな刺激に薄く目を開いた香蓮は、ちらりと大吾へと視線を向けるが、指をしゃぶるのを止めることはせず、大吾にされるがままに身を任せた。

 

 乳房を揉みしだく荒々しさとは打って変わって、大吾の指先は優しくソフトなタッチで愛撫していく。

 桜色の乳頭は小さく張り詰めるように自己主張し始め、大吾の指先でこね回され、親指と人差指で転がすようにつままれる。

 

「ぁああッ」

 

 香蓮は自分でも驚くほどに色香に塗れた、甘く切ない喘ぎ声が口から飛び出た。

 

「悪い、痛かった?」

「違うの……なんだかビリッとして」

 

 恥ずかしそうに目を伏せる香蓮を、大吾は何も言わず見守った。

 熱っぽく潤んだ瞳、甘くとろけるような吐息、頬は薄紅色に染まり、首筋や胸元は朱が指したように上気している。

 大粒の汗が額に前髪を張り付かせ、力を抜いた身体を安心しきった様子で大吾へと預け、しなだれかかっていた。

 

「続けるよ」

「うん……」

 

 一度小さく口づけを交わした大吾は、彼女の腕の下に頭を差し込むと、左の乳房を揉みしだいたまま彼女の右の乳房へと舌を這わせた。

 甘露にも似た味わいを幻視させる香蓮の汗を舌に感じつつ、かぶりつくように柔らかくも弾力のある乳房を口に含む。

 

「ふぁ、んんぁっ、そんな、吸ったら……だめぇ」

 

 みずみずしい白い塊に顔を押し付け、むせ返るような甘い淫香を吸い込み、欲望の赴くままにしゃぶりつく。

 すっぽりと乳首に吸い付いたかと思うと、口の中に含み舌先で固くしこった乳頭を転がし弾く。

 その度に、香蓮の喉から鮮烈な反応が返ってくるのだ。

 それがまた、大吾の動物的とも言える情動を強かに刺激する。

 もはや初な少女に対する罪悪感など、欠片も残っていなかった。

 

 大吾の右手が、さわさわと香蓮の下腹部へと伸びていく。

 その行動に、官能的な快楽の刺激に悩ましく反応していた香蓮が気づき、白くスラリと伸びる下肢を固く閉じようとする。

 

「はぁンっ、ま、まって――」

 

 しかし、大吾の手は気にした様子もなく、汗ばんだ香蓮の太腿を撫で回し、鼠径部へと指先を差し入れていった。

 

「ほら、力を抜いて」

「だ、だってぇ」

 

 香蓮の乳房への愛撫を一旦止めた大吾は、安心させるように彼女の耳元で囁く。

 すでに大吾の両手は香蓮の下肢を丁寧に撫で付け、そのすべすべとした触感を楽しんでいた。

 耳たぶを甘噛する大吾に負けたのか、両膝に添えられた彼の手に合わせるように、香蓮は力の抜けた下肢を割り開いていった。

 白く悩ましい下肢の付け根には、ショーツ一枚に遮られた女の秘所が曝け出された。

 

 淡い紫色のショーツのクロッチには、すでにじっとりとしたシミが出来上がっていた。

 直接目にせずとも分かるほどに濡れた感触。

 顔から火が出そうなほどに羞恥心に包まれた香蓮は、必死に股を閉じようとするが、その意志が自身の両足に伝わる様子はなく、優しい手付きで内腿を擦る大吾の手を受け入れるだけだった。

 

 香蓮の膝小僧を指先でなぞり、手のひら全体で程よい肉付きのある内腿の柔らかな触感を感じ、鼠径部を揉み込むように優しく擦る。

 何度も何度も繰り返されるそれは、香蓮の身体を芯から火照らせ、淫猥な欲求を熱く滾らせていく。

 ショーツの内側では、誰にも見せたことも触れさせたこともない淫裂から、熱くぬめった蜜液が下腹部に感じる疼きに呼応するようににじみ続けており、薄皮に包まれた秘芯はショーツ越しでさえその存在感を主張する程に充血し始めていた。

 

 大吾の手がショーツの縁に触れた。

 指先が可愛らしくあしらわれた刺繍をなぞり、濡れそぼったクロッチ部に現れた淫裂に沿うように指腹を滑らせる。

 

 ビクンと腰が跳ねそうになる香蓮は、下唇を噛みしめるように必死に堪える。

 気を抜けば、あられもない嬌声を上げてしまいそうだった。

 

 必死に我慢する香蓮を横目に、大吾の指は更に蠢く。

 そっと筋をなぞるだけだった右手に加え、左手を持ち出してきた。

 右の指でぷにぷにとした陰唇を丹念に揉み始め、左の指で小さく浮きでた肉芽にそっとあてがった。

 

「ふあああぁッ!?」

 

 反応は激烈だった。

 一際大きな嬌声を上げたかと思うと、電撃を受けたかのように腰を突き上げ、大腿がわななくように痙攣し、上体をのけ反らせた。

 腰が打ち砕かれ背筋に紫電が駆け抜けるような快美感に圧倒された香蓮は、思考が快楽によって真っ白に上書きされた。

 身を溶かすような快美感覚に酔いしれ、ショーツに隠れてひくつく膣口からはおびただしい愛液が湧出し、シーツにまでその証を広げていく。

 

 大吾は四肢を激しく震わせる香蓮の身体を抱きすくめていた。

 自失気味の香蓮を、そっとベッドに横たえる。

 だらしなく割り開かれたままの下肢、恥部からシーツにまで広がる甘い蜜、珠の汗を浮かべる熟れた桃にも似た上気した肌、薄く開かれた艷やかな唇からもれる甘ったるい吐息、とろけきった表情に潤んだ瞳。

 香蓮のすべてが、大吾の理性を強かに打ち砕いていく。

 

 香蓮の下肢側に回った大吾は、ベッドから一旦降りると床に膝をついた。

 そして彼女の腰元に手を回し、グイッと引き寄せる。

 香蓮の力なく広がった下肢に、大吾の上半身を割り込ませた形だ。

 

 大吾の手がショーツにかかった。

 親指を引っ掛けてずり降ろそうとする大吾に、まどろんだ意識の中の香蓮は抵抗する様子もなく、膝を揃えて引き抜かれるままに従った。

 ピッタリと秘肉に張り付いていたクロッチが、淫らに光る粘液の糸を伴って剥がされていく。

 役目を失った布切れを脇に置き、大吾は香蓮の両膝に手を添えると、ゆっくりと割り開いてその秘奥に顔を寄せた。

 眼前に曝け出された、香蓮の悩ましくも美しい恥部。

 恥丘に薄く繁る若草のような陰毛に、薄皮が完全に向かれて露出したクリトリス。鮮やかな朱の入り混じったピンク色に濡れ光る淫裂、熱く愛液で潤う柔肉の中心でひくつく膣口の隙間から、呼吸するように蠢く膣襞が見て取れた。

 

 むせ返るほどに立ち上る女の淫香に、無意識のうちに大吾は生唾を飲み込んだ。

 ちらりと視線を香蓮の顔に向けると、真っ直ぐ見返す姿があった。

 それを了承と捉えたのか、太腿をガッチリと抱え込むと、大吾の顔は香蓮の下肢の中心部へと沈み込み、会陰から陰核まで一気に舌を這わせた。

 

「あ、あっ、ァンっ」

 

 香蓮はこらえるように唇を甘噛しても、下半身から寄せてくる電気刺激にも似た快楽に喘ぎ、恍惚の表情を止められなかった。

 大吾の愛撫に身体を小さく震わせ、より強い快美感を求めるように彼の短く整えられた髪に指を通し、頭を掴んで自身の恥部へと押し付けた。

 

「あぁ、いぃッ、もっと……強く、吸って……そぉ、そこっ」

 

 香蓮の求めが聞こえたのかは定かではないが、大吾の舌の愛撫は激しさと執拗さを増し、指で大きく広げた陰唇の内側、柔らかな粘膜に舌を這わせ肉壷から溢れてくる蜜にしゃぶりつく。

 小さく跳ねる香蓮の魅惑的な腰を押さえ込みながら、愛液を絡めた中指を膣口に宛てがい揉み始めた。

 キュッとすぼまる入り口を丹念に揉み込みながら、クリトリスに舌を這わせ吸い付く。

 柔肉が指先を包み込むように蠢き、第一、第二関節と埋没させていくと妖しく律動する膣襞が大吾の指を締め付ける。

 グリンと手首を返し、上向きに指を押し曲げる。

 すると香蓮の甘ったるい喘ぎ声の質が変わった。

 

 目尻に涙を溜め潤んだ瞳で、何かを期待するような視線を香蓮は大吾へと向けた。

 大吾はそんなのはお構いなしとばかりに陰核に吸い付いたまま、挿し入れていた指をクンと曲げ、彼女のざらついた肉の天井に指腹を押し付けた。

 嬌声が寝室の壁を打つ。

 しかし大吾の蹂躙にも似た愛撫は止まらず、肉芽を舌先で転がし、Gスポットを刺激し続けた。

 

 香蓮は、寄せては返す波のような快感が臨界点を越えつつあるのを感じ、より刺激を求め腰を揺すり始めた。

 指に絡まる愛液が、白く濁りはじめ、ぱっくりと広げられた陰唇を妖しく濡らしていく。

 そして、グチュグチュに濡れそぼった膣内に突き入れていた中指を跳ねるようにピンッと引き抜いた瞬間、香蓮は声にならない嬌声をあげた。

 

「ぁあああアアッ!?」

 

 ビュッとサラサラした液体が大吾の首当たりに掛かったかと思うと、香蓮の肢体が強張り、弓反りに上体はのけ反って、腰はわななくように突き上げられた。

 薄皮に包まれた筋肉が痙攣するように小刻みに震え、香蓮の両手はシーツに深い皺を形作る程に握り締められた。

 

 身がとろけるような幸福感と、始めて男の手によって果てた快楽の余韻に浸る香蓮。

 グッタリとした様子でベッドに横たわり、あられもない淫靡な姿を大吾に差し出したまま、酸素を求めて胸を上下させていた。

 

 ふらふらと焦点の定まらない視線が空をよぎり大吾へと向けられると、香蓮はへにゃりとはにかんだ笑顔浮かべて、求めるように手を伸ばした。

 大吾は差し出された彼女の柔らかな手のひらをそっと握りしめ、身体を香蓮の隣へと寄せていき、火照った彼女の頬に手を添えた。

 汗に塗れ張り付いた前髪をすぅっと払ってやり、香蓮の潤んだ瞳を真っ直ぐに見つめる。

 

「大丈夫か?」

「はぁ、はぁ……うん。すごかった」

「確かに色っぽい声だったよ」

「自分でするより、何倍も気持ちよかった。なんかキュウってなって、そしたら一気に電気が流れたみたいになって……今もふわふわした感じ」

 

 へその下辺りを愛おしそうにそっと手を当てた香蓮は、ぽつりぽつりと感想を洩らした。

 

「いつもはどうしてるんだ?」

「指でクリをいじったり……枕を挟んでみたり」

 

 普段なら絶対答えないような質問も、香蓮は戸惑うことなく返した。

 パジャマに身を包んだ香蓮がベッドの上で声を殺して静かに果てる様を想像した大吾は、そのあまりにも淫らな妄想にゴクリと喉を鳴らした。

 

「膣内に指を入れたりとか?」

「なんか怖くて……したことない」

「じゃあ、さっきのは怖かった?」

「ううん……私に気を遣ってるの、何となく分かったし」

 

 それに気持ちよかった。

 か細い声で紡いだ言葉を、大吾は聞き逃さなかった。

 すると、大吾は眼前の女性がとても愛おしく感じられ、胸が一杯になる。

 大吾がそっと顔を寄せると、香蓮も彼の首に腕を絡めて身体を寄せ、甘く優しいキスを交わした。

 ベッドの上で身体を寄せ合い、下肢は絡み合うように交錯した。

 

 ひとしきり口づけを堪能した二人は、身体を起こし正面から向かい合う。

 香蓮の視線は、ずっと気になっていた大吾のボクサーパンツの内側で自己主張するそれに向けられた。

 

「ねぇ、それって……痛く、ないの?」

「痛いっていうより、もう我慢の限界」

「そ、そうなんだ」

 

 そう言うと、大吾はおもむろにパンツを脱ぎ去った。

 

「えっ、うそ。え、こんなに――」

 

 香蓮自身の身長に匹敵する体格と、先程までテントを張っていた大きさから、少なくとも可愛らしいそれではないことは察していたが、眼前に曝け出され跳ね上がって反り立つ男根は、香蓮の想像の五割増し以上に凶悪だった。

 突き上げる切っ先からは漏れ出たぬるりとした粘性液体が、カリ首と竿を伝い妖しくテカらせていた。

 赤黒く逞しい肉棒には血管が浮き出て、脈動するように小さく震えていた。

 

「太い……てか、大きくない? え、こんなのが私のに入っちゃうわけ? ヤバくない?」

「はい」

(口調がおかしいのだけど……)

 

 香蓮の肩に手を添えて彼女の唇を塞いだ大吾は、そのまま体重を傾け香蓮をベッドへと押し倒した。

 そして貪るように口内を蹂躙したまま、ベッドにあった枕の三つのうち一つを手繰り寄せると、香蓮の腰をわずかに浮かせて差し込んだ。

 体勢を変え、大吾は香蓮の膝の間へと強引に身体を差し入れる。

 香蓮は割り開かれていく下肢をどうすることもせず、大吾の手が膝に触れ大きく股を開かれるがままに従う。

 

 大吾の熱くたぎり限界まで張り詰めたような肉杭が、香蓮の下腹へと押し当てるように乗せられた。

 ぬるりとした触感と、焼きごてに触れたような熱が伝わってくる。

 大吾はそのまま上体を香蓮へと傾け、ベッドに両手をついて身体を支えると、吐息が顔を撫でる距離まで近寄った。

 

「ここまでしておいてなんだけどさ」

「う、うん」

「ゴムは……ないよな?」

 

 突然の言葉にポカンとした表情を見せる香蓮であったが、今更ながらに勢いに任せてここまできたのを自覚する。

 ついさっき玄関先で行った告白ですら、出かける際には考えてもいなかったのだ。

 そのまま家に連れ込んで処女を散らすところまで進むなんて、香蓮の考慮の埒外である。

 

「き、今日はだいじょーぶな日だし。なくても全然問題ない……多分?」

 

 自身のあの日の日付を思い返し、指折り数える香蓮。

 とりあえず、危険日とされる日付とは三日ほど間隔は離れている。

 

(それに、東京で万が一があったときに備えて、アフターピルは用意してるし)

 

 大吾には伝えなかったが、少なくとも彼の懸念に至るような事態にはならないだろう。

 

「そっか……、次からはちゃんと用意しておくよ」

「私も危ない日は前もって言うから」

「うん」

 

 小さく唇を重ねた大吾は、上体を起こして再度香蓮の下肢を押し広げていく。

 自身の逸物に手を添えて、濡れ光る裏筋を香蓮の蜜液に塗れる淫裂に擦り付ける。

 ビクンと肩が震える香蓮は、心臓が怒涛の早鐘を打ち鳴らすの収めるように手を自分の胸に重ねるが、汗でじっとりとした感触が手のひらを濡らしただけだった。

 

 はちきれんばかりに張り詰めた亀頭にたっぷりと愛液を絡みつけるように、陰核から陰唇へと切っ先をあてがい滑らせる。

 小さく開いた膣口は、そんな男の象徴を待ち受けるかのように収縮を繰り返した。

 

「香蓮、挿れるぞ」

「ゆ、ゆっくりね?」

「頑張る」

(その返事はなんかおかしい)

 

 どこかずれた返事に心のなかでツッコんで、香蓮は迫りくるだろう痛みに耐えるように身体を強張らせた。

 欲望の先端が艶やかなピンク色に濡れる柔肉の入り口にあてがわれ、誰にも許さなかった聖域を押し広げていく。

 幾重にも重なる肉襞が怒張の剣先に絡みつき蠢くが、同じくらい押し返さんとばかりに膣道が締め付けてくる。

 

「いっ、いったぃッ」

 

 それでも強引に体重をかけ腰を沈めていく大吾に、香蓮の小さく紡がれた悲鳴が届く。

 ピタリと沈降が止まり、涙目になっている香蓮へと顔を向けた。

 

「痛かったか?」

「処女なんだから痛いに決まってるでしょッ」

「そ、そうか。ごめん」

「なに? 経験済みとでも思ってたの?」

 

 痛みのせいか少し捲したてるような香蓮に押され、大吾は返事に窮する。

 

「いや……前の男がいるのかとか聞けねーから。カッコ悪すぎて」

「いないよっ、そんな男! キスだって廊下でしたのがはじめ……て」

(あれ? リアルのピトさんに会いに行った時のが……いやいや、あんなのはノーカンだし、違うし)

 

 悶々と、あれはノーカンだと自分に言い聞かせる香蓮。

 そんな心境を知ってか知らずか、大吾は語りかけた。

 

「香蓮」

「なに?」

「痛いだろうけど我慢してくれよ」

「……もう半分ぐらいは入ったよね?」

「いや、カリが隠れてほんのちょっと」

「うそでしょ!?」

 

 確かに大吾の言葉通り、香蓮が後ろ手について上体を起こし視線を向けた先には、自身の割れ目が男根の三分の一程度を咥え込む姿だった。

 焼け付くような熱を感じさせる肉棒は、中途半端に挿入されただけだ。

 

「ここでやめる、なんてのは」

「生殺しか。勘弁してくれ」

「だ、だよね」

 

 痛いのは嫌だが、ここで終わるのはもっと嫌だ。

 香蓮は腹をくくったのか、大吾の首に抱きつくように腕を絡めた。

 

「我慢するから、途中で止めないでね」

「分かった」

 

 そのまま香蓮を押し倒すように身体を重ね、大吾は最大限ゆったりとした動きで腰を沈めていく。

 香蓮の処女膜が切り裂かれ破れていく度に、ギュッと固く閉じた瞼から涙が滲み、噛み締めた歯列の間から痛みに耐える悲鳴が溢れる。

 

「あ、ぐ……んんッ! いっ……ぎィッ」

 

 大吾の屹立した肉槍が、香蓮の肉襞に纏わりつかれながらも膣洞を押し通り、先端が最奥をコツンとノックした。

 香蓮は灼けるような熱い器官となった灼熱の怒張に貫かれ、大吾の背中に指を突き立てるように力を込め、スラリと伸びる白い足は彼の身体を離さんとばかりに抱え込む。

 矛盾しているような身体の反応だったが、痛みに耐え涙を流す香蓮には、こうして全身を強張らせて耐え忍ぶしかなかった。

 

 大吾はというと、香蓮の嗚咽を耳元で聞きながら、彼女の痛みが和らぐのを待っていた。

 欲情に身を任せ、思うがままの劣情を香蓮の肉体に思い切りぶつけたいという衝動は無くはなかったのだが、まるで幼子のように痛みに耐えながら嗚咽する彼女にそんなことはしたくなかった。

 背中に感じる痛みは無視して、大吾は小さく身じろぎすると、手を伸ばし香蓮の髪をそっと撫でた。

 何度も、彼女の気が済むまで、何度も。

 

 嗚咽が収まったころ、鼻をスンスンと鳴らして香蓮は涙を拭う。

 大吾はその間もずっと、彼女の頭を撫で付けていた。

 

「ん……もう、大丈夫」

「痛みは収まった?」

「大分マシになった気がする……その、ありがとう」

「うん?」

「ずっと撫でてくれたから」

 

 香蓮は大吾の顔を引き寄せて、その唇に自身のそれを重ねた。

 繰り返される口づけの合間に、大吾の腰は小さくゆったりと香蓮の恥部へと押し当て始めた。

 香蓮は小さく律動し始めた大吾の男根を、しっかりと感じ取っていた。

 脈打つ肉竿の先端がズンと子宮口付近を押し付ける度に、柔肉がねっとりとまとわりつき男の吐精を求めんと締めあげる。

 

 痛みが無くなったわけではなかったが、ヒリヒリする程度の疼きに収まっており、不快感よりも大吾に求められていることによる心地良さの方が勝っていた。

 唇を離れ、香蓮の顎から首筋にかけてキスを降らせる大吾の頭を、抱きかかえるように腕を回す香蓮。

 

「はぁ……ンっ、んふぅ、ァはあ」

 

 押し付けられる結合部の隙間から、処女を散らした鮮血混じりの愛液が溢れる。

 その度に香蓮の身体は小さくしかし力強く揺すられ、甘えたような喘ぎ声ともつかない声を洩らし身をくねらせる。

 

 香蓮の官能的な声色を感じ取った大吾は、次第に腰の動きを早めていった。

 グチュグチュとした淫らな伴奏が、肉同士を打ち付ける湿り気を帯びた原始の音楽に変わるのはそう時間はかからなかった。

 グッと手足に力を込め、大吾は欲望の限り腰を打ち揺すり激しく抽送を繰り返す。

 

 そんな大吾の身体の下で、男の劣情を一身に受け止める香蓮は、汗が吹き出すのも構わず必死に歯を食いしばっている大吾の表情を、黒く潤んだ瞳で愛おしそうに見つめていた。

 無意識のうちに手を伸ばし、大吾の厚い胸板に触れると、珠となった汗が腕をつたい香蓮の身体に降りかかる。

 手のひらから大吾の火照った身体の熱が移動するような感覚を覚え、ずっと手を添えたままその感覚に浸っていた。

 

 腰をぶつけて剛直を出し入れしていた大吾は、予想を上回る強烈な快感に腰の奥がじわじわと疼き始めるのを感じ、丹田に力を込めなんとか堪らえようと歯を食いしばっていた。

 香蓮の淫らに収縮する肉壷を穿つ度に、彼女の膣粘膜が男の肉棒を心地よく摩擦して、肉襞が蠢き絡みつく。

 嬌声のリズムに合わせるかのように、ねっとりとした熱い柔肉に締め上げられ、肉茎全体がこすり回されるような激烈な愉悦。

 もはや吐精を待つだけとなった男の欲望が、急激に陰嚢から駆け抜けようとするのを大吾は止められなかった。

 一際強く、そして激しく抽送を繰り出したかと思うと、大吾は獣のような唸り声を上げた。

 

「出るッ」

 

 一気に上体を引き起こし、突き立てていた剛直を跳ね上げるように引き抜いた。

 砕け散ったかと思うほどに激烈な快感が大吾の腰と大腿を激しく震わせ、限界まで膨らんだ亀頭の先端から煮えたぎる熱い欲望の塊が迸った。

 一度で吐き出しきれないそれは、二度三度と脈打つように濃厚な白濁液で香蓮の身体を汚していく。

 全身を突き抜ける激しい射精感に、大吾は倒れまいとグッと耐えていた。

 

 

 

 

 大吾の肉槍が引き抜かれ白濁した劣情が溢れ出た瞬間、鈴口から自身に飛びかかる様を、香蓮はまるでスローモーション映像を見ているかのように感じた。

 始めは熱を伴った精液が胸元まで飛来し一筋のラインを作り、そこから続く噴出で汗が浮かぶ腹部が白濁液で染まっていく。

 

(すごっ……男の人ってこんなに出ちゃうんだ)

 

 射精した余韻に陶酔しきった顔をする大吾を他所に、香蓮の指は興味深そうにそっと精液に触れた。

 

(まだ熱い……出たばっかりだからかな? それにすごくヌルヌルして、エッチな匂い)

 

 香蓮は指先についたザーメンを確認するように指腹でこすり合わせ、鼻先へと寄せた。

 好奇心からチロリと舌を出し、香蓮は指先についたそれを舐め取ってみた。

 

(にがっ、それに何か生臭いし……。フェラチオすると、これ飲んだりしちゃうんだよね)

 

 眉をひそめ考え込む香蓮にようやく気づいたのか、大吾が身体をずり寄らせ、声をかける。

 

「何も口にしなくても」

「だって、気になったし」

「で、感想は?」

「……ちょっと勇気がいる味だった」

「まあ、そうだよな」

「大吾さんは……して欲しい? 口で」

「興味はあるけど。無理やりにはしてほしくないなぁ」

「そこは私の勇気が貯まるまで待ってもらうしか……。ま、そのうちね」

 

 いたずらっぽく笑顔を浮かべた香蓮は、一度身体を起こすとヘッドボード備え付けのティッシュ箱に手を伸ばし、身体に付着した大吾の体液を拭った。

 

「いつもこんなに出ちゃうの?」

「香蓮を前にしたら、今日は特に」

「私の身体、そんなに良かったの?」

「香蓮に溺れそうになるくらいには」

「すぐそうやって調子のいいこと言っちゃうんだから」

 

 香蓮は悪態をついてみせるが、その顔はだらしなくにやけており説得力はゼロだった。

 二人して互いの身体をティッシュで拭っていき、簡単に身ぎれいにした後は、ベッドの縁に並んで腰掛けた。

 大吾はそっと手を彼女の腰に回して引き寄せると、香蓮も合わせるようにもたれかかった。

 

「すっごい匂いがするね」

「やることヤッちゃったからな」

「シーツも洗濯しなきゃ。汗とか色んなのでベッタベタのヌルヌルだし。あと、血もついちゃった。GGOなら気にならないのにねー」

「それはもう、すまんとしか言えないわ」

「ううん。私は大吾さんが『ハジメテ』をもらってくれて嬉しいよ? それに」

「それに?」

「大吾さん以外の人となんて、ありえないから」

「そっか」

 

 香蓮の率直な物言いに、大吾は照れた様子で視線を泳がせた。

 そんな大吾をからかうように、グイグイと身体を押し付ける香蓮。

 押し合いへし合いを繰り返し、大吾を強引に押し倒した香蓮は、彼の胸元に顔を埋めながら火照った身体をピタリと重ね合わせた。

 

「ねぇー」

「うん」

「シャワー浴びて、洗濯機にシーツと下着ツッコんで、もう休む?」

「んー」

「それとも――第二ラウンド、いっちゃう?」

 

 上目遣いに大吾に視線を向け、香蓮はフフンと鼻を鳴らして、面白がってますよと言わんばかりに笑みを浮かべた。

 

「――香蓮は、どっちがいいんだ?」

「もちろん」

 

 よいしょっと身体を起こし、大吾のお腹に跨がり腰を下ろした香蓮。

 上体をかがめて、ニンマリとした笑顔で顔を大吾へと近寄らせていく。

 

「大吾さんがヤりたいほう、だよ?」

 

 妖艶ともとれる声色を発して大吾の頬をそっと包み込み、香蓮の唇が大きく開かれダラリと垂れた唾液に塗れる舌を、彼の唇へと差し込んでいくのだった。

 

 

 

 

 

 後に香蓮より、このときの二人の馴れ初めをノロケ混じりに聞かされた、香蓮の親友ことフカ次郎あらため篠原美優はこう語る。

 

「告ったその場でベロチューかまして、自分の部屋に連れ込んだ挙げ句、クンニされて潮吹かして、生ハメセックス&ブッカケもあるよ!? しただぁ? お前あったまおかしいんじゃねーの!? 頭ピンク野郎かよっ!?」

「解せぬ」

 

 

 




レンのの口調はGGOでは友人感覚に近い、リアルの小比類巻香蓮は基本同年代と年下以外は丁寧語。
大吾とは初めGGOで知り合ったこともあり、それにつられてリアルでもアバターネームで呼び合う気安い感じになった。
続きは未定なので期待できない。


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