俺は雑用係から卒業できない...........。 (さよなら)
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1 どうやら俺は雑用係を卒業できないようだ
「雑用係」。それはいろいろな仕事を押し付けられることだ。俺こと神崎隆二も小学校から中学校までの9年間雑用係をやらされていた。雑用係の内容はクラスメイトや同級生や先輩などの宿題や係の仕事などを押し付けられるそれを全うすることだ。時には宿題や係の仕事だけではなくパシリや喧嘩の仲裁などもやらされた。
雑用係はハッキリ言ってとても辛かった。宿題は人の倍以上やることになるし特に長期休暇の時なんかは地獄だった。1番地獄だった宿題は読書感想文だ。全員が同じ内容だとバレてしまうので俺は人数分の本を揃えそれを全て読破し感想を作文用紙に書いた。これは読書感想文だけではなく宿題全体で気をつけるところだが字もその本人に似せないといけない。もし書体が俺だとバレだらその時点に俺に宿題を押し付けられた奴らは教師に呼び出され説教だろう。
俺は1度わざと自分の書体で書いて提出しようかと考えたが教師に説教を受けたヤツらが一斉に俺をリンチするのが目に見えているためそんなことはしなかった。勿論教師にもチクっていない。チクったら俺の学校生活は終わりを告げるだろう。
更に宿題以外で辛かったことはあと2つある。
1つ目はパシリだ。もうパシリという時点で雑用係では無くなっているが反抗すると面倒臭いので素直に言われたものは買ってきて買ったものをすぐにパシらせた奴に渡す。このパシリで1番大変だったことは商品が必ずしも近くのコンビニやスーパーにあるかどうかだ。もし無かったから遠くのコンビニやスーパーまで買いに行くか、何か似ている物で代用するかだ。因みに金は全て俺の自腹だ。
そして2つ目は喧嘩の仲裁だ。何故か知らないが俺はよく喧嘩の仲裁も頼まれていた。カップルの喧嘩やヤンキー同士の喧嘩の仲裁など止めるに一苦労かかるものばかりだった。喧嘩を止める最中には何故か俺が巻き添えをくい殴らけ蹴られし毎回のように怪我を負ってしまう。最初のうちは大人しく手を出さずにいたが回数が重なるにつれイライラが溜まり俺も手を出してしまうことが多くなった。俺は以外に喧嘩が強いみたいぜヤンキーから喧嘩の助っ人まで頼まれ事もあった。
俺は高校に進学するのを機会に今現在住んでいる新潟から離れた東京の高校に進学することにした。東京まで行けばさすがに奴らは来ないだろう。そうすれば俺の雑用係人生も終了するのだ。俺はそう思いながら卒業までの1ヶ月間何も言わずに黙々と雑用をこなして行った。
そして1ヶ月後俺は中学を卒業した。
「ここが、東京か」
そして今は俺は東京にいる。あぁ〜、これで俺は遂に雑用係を卒業出来るのか・・・・・・。するとスマホがなった。俺はスマホを見ると母さんからの電話だった。俺は取り敢えず母さんの電話に出ることにした。
『もしもし、どうした?』
『いや、大したことじゃないんだけど、前私が応募して、採用されたアルバイトのことを説明してなかったから今説明しようかなぁーって思って電話したの』
母さんの電話の内容はアルバイトのことだった。まぁアルバイトと言っても勝手に母さんが調べて勝手に応募して勝手に受かったアルバイトだ。そう俺はアルバイトの内容をほぼ知らないのだ。唯一知っていることとすれば給料がとても高いという事だ。
『そう言えば、そうだったな、どんなバイトなんだ?』
『アイドルの雑用係』
ん?今なんって言った?アイドルの雑用係?聞いたことも無いアルバイトだ。俺はまた変な冗談を言ってると思い母さんに聞き返した。
『なぁ、母さん。変な冗談入らないから、ホントのバイト教えて』
『いや、だからアイドルの雑用係』
『マジ?』
『マジ』
どうやらホントのようだ。なんで母さんはバイトでも雑用係なんか選んだのだろう。ってかアイドルの雑用係ってなんだよ!!アイドルに雑用係なんか必要性ないだろう!!
『ねぇ、そのアルバイトってキャンセル出来る?』
『出来るわけないじゃん』
『だよねーーー』
『アルバイトは明日からだから、明日の午前中に○○市にある美城プロダクションに向かって、遅刻は厳禁だから気をつけね〜』
俺はキャンセルをできるか聞いてみたがやはり出来ないみたいだ。まぁアルバイトをキャンセルなんか聞いたことも無いしな。母さんはアルバイトの時間と場所を俺に伝え電話を切ってしまった。
俺はスマホをベットの上に投げ捨て窓を開けこう叫んだ。
「母さんのバカヤロー!!」
どうやら俺は雑用係からは卒業できないようだ。
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