モブになりたくて (冥々)
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プロローグ的なやつ
面白かったら感想くだちぃ。続きを書きますので
二次小説に出ているオリ主は、小説や漫画などに出ている主人公より色々面倒だなと思ってしまう。なぜそう思うのかというと、オリ主って描写されてないところもあるけど、原作キャラ救済や原作に出ている出来事を覚えてなきゃいけない事など、色々と頑張らなきゃならない。
それに比べてモブは楽な部類に入ると思う。だって主人公やヒロインの周りで騒いでりゃ良いだけだし、ただ気をつけないといけないのは、巻き込まれて死んでしまう事だろう。それを回避するには色々頑張る....のではなく原作に関わってない場所などに行けばいい。それはバトルインフレ率MAX系以外のジャンルにも適応する。それは学園ラブコメ系もそうだと思う______いやそうだと思っていた。
___目の前の
会ったのは幼稚園の入園式時だった。親同士が知り合いで仲がいい事からの繋がりで知り会ったというわけだ。でもまぁ会ったとしても、関わらないぜキリッ(フラグ)と思ってたが、まぁその相手の子にマジで身に覚えのないくらいに懐かれた。いや好意っぽいものを持たれた。どうしてだと某柱の男ばりの泣きたくなるぐらいまでになったが、原作が壊れぬよう主人公がいる場所にいればいいなと思ったが、ここでハプニングというか避けれない事にぶち当たった。
それは両親とヒロインの両親にある場所に連れられて来たことだろう。そもそも六歳の子供が抵抗できる訳ない。最悪なことに原作でも最も重要な場面に立ち会うはめになったのだ。しかも、俺もその場面に深く関わることになってしまった。....言い訳して関わらないようにすればよかったなぁと思うのだが、あの時の俺はどこか浮かれてしまったのだろう。滅多にない息抜きができたから。
そして現在俺は中学三年生で皆は高校受験の為、必死こいて勉強しているが、俺は家業を継ぐ為、高校受験は受けずに、修行をしないといけない。で好意を持たれたヒロイン___というよりその友達をどうすればいいかを考えていた。_____だってそいつは変に勘が鋭く、俺と彼女を恋仲にしようと画策しているのだから。
ここまで自分語りをした訳だが、自分のこと言うのならばこう言おう
______
まぁ気がついていただろうけど、俺は転生者であるが、特典持ちではなく、気づいたら転生してた系の人間である。そして転生した漫画はニセコイだ。
中学の三学期は、一、二年生は、もう少しで進級して、三年生は受験がもう間近でラストスパートを掛けている時期だ。俺は家業である懐石料理亭森ノ谷を継ぐために進学せず、卒業してすぐに修行が始まる予定なので、教室でまったりと読書をしていた。
「お気楽そうだな、タケ?」
「ん?まぁ今だけだよ。卒業したら、休む時間が無くなる程に扱かれるしな」
「確か、継ぐ為に修行するんだっけ?」
「まぁ、な」
小学校から付き合いのある古田が話しかけてきた。
「そう言えば、お前んちに田辺さんだっけ?姉弟子がいるから継ぐことはできないんじゃないの?」
古田に言われて、俺は首を傾げて答えた。
「いや、なんと言いますか。父さんは俺が継ぐべきと言ってて、先々代___爺ちゃんは田辺が継ぐべきと言っているから、まだわからないんだよね」
と古田に話した。
ティロ~ン
ポケットの中にあるスマホが鳴った。
「ん?誰からだろ......って、父さんからだ」
父さんから送られてきたメールを開いた。
宮本side
私の友人は恋をしている。その相手は天才でも、顔が整っているのでもない。何処にでも居そうな平凡な人___とまでは行かないものの、それなりに優れた
「.....はぁ~」
友人__小咲はため息を吐きながら、想い人である。
「小咲、ため息ばっか吐いてないで、告ったら?」
「む、無理だよぉ~。るりちゃん!」
顔を朱に染めながら、根性のない事を言う。そんな友人に危機感を煽るように言った。
「そんな調子じゃ、卒業までには付き合うことなんて、夢のまた夢でしょ」
小咲は顔を赤くしながら、真っ直ぐな眼を向けて答えた。
「るりちゃん、私決めたよ。放課後、森谷君に『よっしゃー!』…やっぱり無理だよ~。るりちゃん」
小咲の台詞に被せるように、古田君の大きな声が教室中に響き渡った。
古田side
俺の友人は、地元では有名な老舗の一人息子で、そして俺の悩みの種でもある。___悩みって言っても、俺に関係している事では、ないのだが。その友人に熱い視線を向けている
「声、でっかいわ!」
「あ~、悪い悪い。」
因みに、先程のメールの内容は『お前、進学しろ(意訳)』。もしかすると、来年も一緒に遊べるかもな。
森谷武広side
放課後。何処にも寄らずに帰宅し、昼休みに送られてきたメールの意味を
「父さんと爺ちゃん!急にこんな内容を送ってきたの!」
炬燵でまったりとしている二人はあぁとそう言えば送ったなみたいな顔をして、父さんが話し始めた。
「親父と後継者について、話していたんだが。思い返してみれば、武広と田辺君にこの店の事ばかりで自分の事を放ったらかし状態で、青春らしいことをやれてないのでは?と思ったから、あのメールを送った」
まぁ家の事を考えず、落ち着いて考える時間を貰えた事だし。まずは高校進学の為、勉強や自分に合った高校を探すか……いや担任の先生に聞いてみるか。
小野寺side
はぁ~、どうしよう。森谷君と一緒に学生生活を送れるのも、約一ヶ月半しかない。その内の五割強は自由登校で、告白する前の段階____会って話すことができるのかな?
「それにしても、良かったなぁタケ!俺と同じ所へ行けば、また三年も楽しく過ごせるな!」
「……そうだな」
「おいおい、なんだぁ?その間は」
「いや、ただ父さん達が猶予を与えてきたのが、ちょっと怖くてな」
森谷君と古田君の話を盗み聞きをしていた私の耳に聞き逃せない情報が入ってきた。
「で、結局どこに行くつもりなんだ?」
「俺の偏差値で行ける学校で近い高校の、凡高にしたよ」
「……偶然だな。俺も凡高を受験するんだよ。ちょうどいいな」
「何がちょうど良いんだ?」
「そりゃ、毎年の期末テストを全教科平均41位の天才様に、ご教授をお願いしたいと思いまして」
「……馬鹿にしてる?」
「そんなことありませんぜ、旦那!」
「絶対に馬鹿にしてるだろ」
ど、どどど、どうしよう!?こ、これはるりちゃんに相談しなきゃ!
「るりちゃん!私!凡高を受験します!」
食堂でお菓子を食べている。るりちゃんは、呆れた顔したかと思えば、何かを察したようで、含み笑いしてきた。
「………ふ~ん、なるほどね。いいわ……でも、弱音を吐いたら、怒るわよ」
「うん!わかった!」
これで安心とまでいかないものの、また森谷君と同じ学校に行ける可能性が出てきた。これから、頑張るゾー!
主人公side
合格発表の今日。俺は自分のやれる限りのすべてをやったし、後は祈るしかないね!お願い、神様!俺の受験番号の‘464A’は何処かな~っと、お!有った。よしよし、これで落ち着いて寝れるってもんだな。
「……」
ん、彼処に居るのは、小野寺さんじゃん。顔が青ざめた、足取りがふらついているし、大丈夫か?ちょっと気になるし、追いたい気持ちは山々だけど。こっから先は、
小野寺side
終わった。何もかもが意味がなくなった。るりちゃんに助けて貰ったのに。落ちたとか、向ける顔がないよ。
「小野寺さん、こんな寒い中で何してんの?」
「森谷君、どうして此処に?」
「(質問に質問で返された)……まぁ家に帰る際によく使う道だからかな」
「へぇ~、そうなんだ」
こんな風に話す事が出来るのも、後少しになっちゃったなぁ~
「なぁ、俺から見て右ポケットが揺れてないか?」
言われてポケットに手を入れてみると、携帯がぶぅぶぅと音を出しながら揺れていた。
「あ、揺れてる」
「んじゃあ、俺は帰るけど、小野寺さんはどうすんの?」
「私は、ちょっと考えたいことがあるから、気にしないで」
「そう言われると、気になるんだけど。まぁいいか、体冷やしすぎて、風邪引くなよ。じゃ
「うん、またね」
帰る森谷君の背が見えなくなるまで、見ていた。怖いけど、送られてきたメールを開いてみるとお母さんからの、着信が6件、メールが11件来てた。新しいメールを開くと、繰り上げ合格したことを伝える内容だった。
「やった、合格できたんだ」
思わず呟いてしまったが、合格したという実感が沸かない。お母さんに念のため聞くため、電話した。すると、待ってたかのように、すぐに電話に出て説教されたけど。森谷君と同じ学校に行けると思うと、心がウキウキする。
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本編開始。そして俺のモブへ道が開かれた(多分)
ね?(威圧)
皆は春といえば何を思い浮かべるだろうか?入学式や卒業式?まぁ、出会いと別れの季節だし、俺も
席の隣が
……こほん、少し動揺した。で、話を隣が
桐崎千棘が転校してくる!
落ち着け、俺。原作通りで小野寺さんは、
__翌日
まじで学校行きたくねぇ~、だってさ今日から原作開始するだぜ?巻き込まれるかもしれないしさ。話は変わるけど。まだ納得出来てないんだよな、余ってたからって飼育係にほぼ強制的に入れるとか、マジないわ、本当にない。でも、まぁ飼育係の仕事って言っても朝の餌やりだけだし、放課後の餌やりは主人公がやるから、彼とも交流が、あるとしても彼と担任の呼び出しによるものくらいだろう。…………まだ呼ばれてはないけどね。
朝の餌やりの為、皆より一時間くらい早めに登校しているから、登校中は朝のマラソンをしている爺さんや散歩している婆さんがいるだけで、俺と同じ学生はいないな、いるとしても運動系の人達だろう。
う~ん、やっぱりさ。原作を読んでいた時もおもってたんだけど、動物の種類多くない?よく見ても、多いな。洒落にならない位多すぎて、餌やるのも大変過ぎる。これ以上増やされたら、登校する時間がもっと早く来ないと行けなくなっちゃうだろうな____後は青山ストロンガー大輔(ゴールデンハムスター)にひまわりの種をやれば、終了だな。餌やりの後は、手洗いしとかないとな。一日中臭い手で過ごすのは嫌だからな。………よし。てか、そろそろ早く教室に行かないと、ホームルームが始まりそうだから、小走りで行くとするか。
何とかホームルームが始まる前に教室に着いた。何とかギリギリ間に合ったな。
「今日もギリギリだったなぁ、タケ」
「あぁ、間に合って良かったわ」
息を吐きながら、自分の席に着いた。すると前の扉から、キョーコ先生が入ってきた。
「よし、休みはいないな?今日は目立った予定はないが、転校生が来てるぞ」
“ハイハイ!その転校生は女の子ですか!”
「それは…自分の眼で確かめるんだな。入っていいぞ
!」
キョーコ先生の呼び声で、入って来たのは桐崎千棘__この
「初めまして!アメリカから日本に転校してきた。桐崎千棘です!これからよろしくお願いします!」
彼女は元気な声で自己紹介をした。そんな彼女にクラスは「可愛い」とか「スタイルがいい」と、彼女を褒め称えていた。
___お前、朝の時に!
後ろの席から馬鹿みたいに大声出す主人公に、反応する
「(遂に始まったか……)」
周りの眼を気にせず、言い合いする主人公とヒロインを見ている俺は、はぁと息を吐いた。
「(……最終的に
_放課後
たまたま、キョーコ先生の近くに居たからって、雑用を任されるとか、付いてないなぁ。……そう言えば、確か主人公の重そうなペンダントを探しているだっけ?ちょっと見てみたい気持ちはあるけど、よくある二次小説で偶然俺が見つけてしまうとか、原作キャラから手伝いを求められるとかありそうだからな。パパっと帰る支度をして、校舎から出ないとな。
あ、森谷君!
フラグ回収はや、一級フラグ建築士かよ、俺。
神様は言っている「ここで、
「何か用か?小野寺さん」
「うん!ちょっとね探し物をしてるから、手伝って欲しいんだ!」
頬を赤らめて、上目遣いをしてくる小野寺。
「(上目遣いやめろ、つい手伝ってしまうだろ。)」
「で、どうかな?手伝ってくれる?」
「(落ち着け、俺。勘違いするな、俺。)…あぁ、悪いんだけど、今日は家の用があるから、じゃあ!」
「…そっか。家の用事じゃ、仕方ないね」
__数日後
おかしい、絶対にとは言わないけど、俺の記憶の中では、多分何らかの反応をしていたはずなのに、それが無いなんて、俺というイレギュラーがいるから?いや、それは無いな。俺は自意識過剰の電波野郎かっての、でもおかしい。何で
__
どうして、主人公に熱い視線やショックを受けた雰囲気を出して無いんだ?もしかして、表に出してないだけで、内心は、めちゃ反応しているのもかもしれないな。そうだな、そうに決まってる。俺が勝手に反応するものだと、勘違いしているだけだな。…………よし、モブっぽく過ごせた気がするぞ!(多分)
宮本side
焦れったいわね。さっさと告ればいいのに何でしないのかしら?………こうなったら、私が舞台を整えて、結ばせようか。……でも、どうしようかしらね。……ううん、そうね。
番外編:手料理
小野寺side
今日は調理実習は、ケーキを作ること。ちなみに、私が好きなケーキはショートケーキ。だから、ショートケーキを作ろうと思う。
「ん?どうしたの?るりちゃん」
此方に来いと、言わんばかりに手招きをしているるりちゃん。その手招きに、応じて行くと。
「小咲は誰にあげるの?」
と言ってきた。私がその言葉の意味を理解するまで、少し時間かかり、その意味に辿り着いた。瞬間、顔が熱くなってきた。
「なな、何を、い、いい、言ってるのかな!?るりちゃん!!」
「何って、クラスの女子たちは、誰かにあげるから。小咲も
私、わかってるわよと言わんばかりの、ドヤ顔を決めているるりちゃん。
「それって、普段お世話になってる人に、あげてもいいんだよね?」
「いいんじゃない?別に。誰かにあげるのを、決めるのは自分自身だしね」
「そ、そうだよね?別に、お母さんでも良いわけだし?でも___」
森谷side
今日は調理実習で、ケーキを作ったけど。何故か、ほぼ全部古田の野郎に食われて、一口しか食べれてなかったからなぁ。……帰りにケーキ屋に寄って、行こうかな。
も、森谷君!!
「うおぉ!びっくりした!」
さすがにあんなに大きな声で、呼ばれたら、びっくりしたって言ってしまうわ。
「あ、ごめんなさい!緊張して、つい」
「そ、そっか」
何をどもってるだ俺、緊張でも移ったか。
「何か用か。小野寺さん」
「あの、その、これあげる!」
卒業証書を受け渡すかのように、両手で小さな箱を渡してきた。
「これは……もしかして」
「そうだよ、今日の調理実習で作ったケーキ。もしよかったら、家で食べてくれるかな?」
「うん。食後のデザートとして食べるね」
「じゃ、私。もう帰るね。また明日!」
「ああ、また明日!」
__帰宅後
う~ん。
………………………っは!食べた記憶が無いんだけど!?どれくらい、意識を飛ばしてたんだ。何時だ、最後に見たのは、午後の8:00くらいだから、今は……午前の5:00だって?9時間も飛んでたのか。やべぇな、今後貰いそうになったら、気をつけないとな。
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転生したからって、頭脳と運動神経は上がらない。
それと視点が前話より、ちょっと多めなので、いつもより読みづらいかも知れませんが、ご了承の程よろしくお願いいたします。
それと、誤字脱字がありましたら、報告をしてください。
今日は学校の事情で朝の餌やりがないから、何時もよりのんびり登校できるから、ちょっと嬉しい。そこで、宮本と遭遇した。
「おはよ、森谷君」
「ん、おはよ。宮本さん」
登校中に彼女と会うと、嫌な予感がするのは気のせいか?でも、まぁ、原作では一条に何かをしてるけど、俺に対しては、何も__
「そう言えば、来週中間テストね」
「…そうだな」
ないと思ってました。ええ、原作では色々と主人公と
「それで、提案なんだけど。今日の放課後、森谷君の家で、勉強会をしたいんだけど、いいかしら?」
「……ん~、いいよ。俺もテスト勉強は、今日からやるつもりだったし」
宮本は、数秒間、俺を睨むように見つめて、何処か呆れたかのような、深いため息を吐いた。
「…そう。では、放課後楽しみにしてるわ」
__昼休み
古田に今朝、誘われた勉強会に来るのか。弁当を食べながら、聞いてみた。
「そう言えばさ。朝の時に、宮本さんから一緒に勉強会しないかって誘われたんだけど、お前も来る?」
「ん~、行こうかな。下手に成績を落とすと、小遣いが減るからな」
古田は軽い口調で答えた。すると後ろから、大きな話し声が聞こえてきた。
“桐崎さんのお弁当、とても豪華だね!”
“え、そう?普通だと思うんだけど”
“いやいや、普通の弁当って、私達の弁当とかだよ”
“そ、そうなんだぁ~。うちのって普通じゃないんだ”
あれ?桐崎さんと話してる人って、田中さんと中野さんだな。小野寺と宮本じゃないんだな。まぁ別にいいけどさ。
__放課後
俺と古田を除く二人は、俺の自宅を見て言葉を失ってる。ちなみに家の前に来て、かれこれ三分経過してる。
『…………』
「そろそろ
このままでは埒が明かないので、家に入るように薦める。
「……ええ、そうね」
「そ、そうだね」
宮本、小野寺の順で返事をしながら、家に入ると、何処かに行く所の田辺さんがいた。
「あら、武広君の友達かしら?」
「ええ、まぁそうですけど、これからお出かけですか?」
「そうよ。これから、ちょっとある場所にね」
「そうですか。気を付けて、行って下さい」
「はい、行って来ます」
先に靴を脱ぎ、すれ違い様に田辺さんが靴を履いた。俺達はそのまま俺の部屋に入った。
「おお、久々だな。お前の部屋」
「へぇ、広い部屋じゃない」
「うん、広いね」
俺の部屋の広さに部屋中を見渡す小野寺と宮本に対して、久しぶりに入った古田は、部屋にある家具や本を物色している。そこへ
コンコン
ドアをノックする音が鳴った。
『武広、入るわよ』
ドアの向こうから、母親が声を掛けたと、同時に部屋に入ってきた。
「ほら、これを友達と一緒に食べな」
そう言いながら、お菓子と飲み物が乗っているお盆を、机に置いて、部屋から出た。
「お菓子をつまみながら、ぼちぼち勉強するか」
「そうだな」
わざわざ俺の家に来て勉強会を開いた訳だし、さっさとテスト対策をしないと、時間がもったいない。
勉強会を始めて、約一時間弱。それぞれ、自分が苦手な所を重点的にやってると。
「ねぇ、るりちゃん」
「どうしたの?小咲」
「ここ、わかる?」
「んー?」
ちらっと、勉強してる俺に視線を向けて、何処か企んだ顔しながら話した。
「ねぇ、森谷君。この問題を小咲に教えて欲しいんだけど」
「どの問題?」
宮本に呼ばれたので、小野寺の近くに寄った。確認してみると、わからない問題は数学の所だったようだ。
「で、小野寺さんに教えればいいんだよね?」
「ええ、そうよ。そのままいい雰囲気に為れば上出来ね」
「モゴモゴ」
そう返事をしている宮本は、小野寺の口を塞いでいた。
いざ、小野寺の隣に座った瞬間、漫画で見たあのシーンだと気付いた。……何で、俺が教えているんだか。まぁ、幸いなところ、俺がわかる問題だし、なんとか説明できるから、まだよかった。もし、俺がわからない問題だったら、恥ずかしい思いをする所だった。
それからしばらく時が経ち、んーっと背伸びをしながら、部屋の時計を見ると、夜の七時をちょっと越していた。
「もう、こんな時間だな。そろそろ終わりにしようか?」
俺の掛け声で、勉強会は解散となった。
___数日後
宮本side
はぁ~とため息を吐く私は、目の前にいる
「落ち込んでても、事は前に進まないでしょ?」
すると、ぽつぽつと小咲は話し始めた。
「やっぱり、無理だよ。」
「……無理って言ってるけど。高校に入ってから、アピールらしいことはしてないじゃない」
「うっ」
「じゃあ、どうするの?このまま諦める?」
問い詰める私は、仕様がないとため息を吐いた。
「…ふぅ、まぁいいわ。なら
「え、何するつもり?ちょっと嫌な予感がするけど!?」
小咲が森谷君の事を好きなのは知ってる。けど、彼が小咲に対してどのような気持ちを抱いているのかは、今の所は把握しきれてない。だから、今回の事で彼を見極めてやる。
主人公side
「プールの壁に手を付けて、バタ足をしてみて。そうそう、その感じを保って。よし、一旦バタ足を止めて____」
何をやっているんだろう。いや、別に自分が何をやっているのかは、わかってるけど。どうして、小野寺に泳ぎ方を教えているんだろ。………今更、気付いたんだけど、モブとしては、めっちゃ目立ってね?いつ頃からだ?どの辺りから、俺のモブ道から逸れ始めたんだ?それは、確か___
「……君、……森谷君!」
「ん、どうした?小野寺さん」
「どうした、じゃないよ。さっきから呼んでいるのに」
「あぁ、ごめん」
どうやら考えこみ過ぎて、ぼーっとしていたようだ。
「次は、ビート板を使って、バタ足で泳いでみようか」
「うん、わかった。やってみるね!」
そう言いながら、プールの壁際に置いてあるビート板を両手に持ち、バタ足で泳ぐ小野寺。そこへ、宮本が話しかけてきた。
「どうかしら?小咲は泳げるようになりそう?」
「まぁ、そこそこ泳げるようになると思うけど。どうして一日で、泳げるようにする必要があるんだ?」
宮本からお願いされた時も、思ったけど。何故に俺が小野寺に泳ぎ方を教えているんだろうか。
「……別に、いいでしょ。泳ぎ方を覚えて、損はしない訳だし」
まぁ、宮本の言う通りなんだが。俺が教える意味を知りたい訳であって、ファンにとって役得なこのシチュを、なんでやらねばならないのか。まったく意味がわからない。
___翌日
ふぅ~、昨日のは、あれは一体何だろうな。それにしても、泳ぎを頑張っている小野寺は、可愛いかったな。しかし、ここ最近、宮本が主人公に対してやってきた
__放課後
宮本side
ううん、どうなのかしらね。彼は小咲に対して、悪い感情は持ってない。むしろ、良く思っている節があった。今の所だけど、小咲に恋心を抱いてないのが、不思議な所ね。……そうね。小咲が戻ってきたら、試しに小咲を焚き付けて、確認してみようかしら。……ちょうど小咲が来たわね。
「ねぇ、小咲。あなたは森谷君のどこが好きなの?」
「え?」
私の質問に、鳩が豆鉄砲を食らったかのように、呆然とした顔になった。
「中学の頃から、あんた達の事を見てきたけど。私にはさっぱりと、まではいかないけど。彼のどこに惚れたのかしら?」
「……それは」
少し考え込んだ表情をした、次の瞬間。
「うーーーん。気が利く所とか、優しい所というか。わかってはいるんだけど、パッと言葉にするのが、難しくて、どうすればいい?」
「私が知るか」
顔を赤らめて、訳のわからない事を言ってきたので、突っ放したような言葉で切った。すると__
ガラッ
と、教室の扉の開く音がして、そっちに視線を向けると、話に上がってた森谷君が入ってくる所を確認した私は
「ん?何か顔、赤くないか?」
「へ?」
そう言いながら教室に入った森谷君は、小咲のおでこに自分の手を当てて、熱を確認した。
「熱はないようだなって、さらに赤くなってないか?」
「そ、それは……」
心配の声を掛けられ、言い淀む小咲に森谷君は__
「念のため、保健室に行こうか。もし無理そうだったら、俺が代わりに、保健室に行って先生を呼んでくるからな」
小咲を心配して、保健室の先生に見せようとしている。そんな森谷君を止めるように、彼の腕を掴んだ。中々良い雰囲気になってきたじゃない。
「お、小野寺さん?」
「…………」
このまま告白しなさい!小咲!
「……森谷君。私、実はね。今まで、ずっと言えなかったけど」
その調子、調子、ちゃんと彼にあなたの気持ちを伝えなさい!
「私、ずっと森谷君の事______」
ガシャアァァン!!
ちっ!何て間の悪い。まったく空気を読みなさいよ!………はぁ、校門で小咲を待っておこう。でも、今回の事でわかったわ。彼は脈ありだってね。
前書きでは書きませんでしたが、活動報告にて、アンケートを 実施してます。(アンケートの答えで、話が変わるとは、限りません)
四話を書き始めては、いるのですが。fgoの箱イベがあるので、更新がいつもよりだいぶ遅れる可能性あります。
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合宿という学園ラブコメの定番イベント、だがモブ(になる予定)の俺には関係ない。
明日の林間学校、休めないかなぁ。だってさ、肝だめしをやるんだぜ?何で肝だめしが嫌なのか。端的に言えば、俺はビビりなんだ。遊園地にあるお化け屋敷とかも、誰かの袖を掴んでいないと、とてもじゃないが、入れないくらいに駄目なんだ。…………それに、さ。明日のバスの席や
__次の日
遂に、来ちゃったな。あ、古田だ。……よし、席を変わってもらえるか、相談しに行こう。
「お~い、古田。おはよー」
「おう!タケ、おはよう!」
ニヤニヤしながら、古田は挨拶を返した。俺は軽く深呼吸をして、古田に意を決してお願いした。
「お願いなのですが、古田様。席を変わってもらえないでしょうか!」
「………ふむ、小野寺さんは、桐崎さんと鶫さんを抜けば、学年で、一番可愛い女の子だ。だがしかし、俺は敢えてこう言おう____
____だが、断る!
って、一度言ってみたかったんだよね!ま、改めて言わせてもらうけど、嫌だよ。そして、頑張れ」
「お~~い!お前ら、置いてかれるぞ!!さっさとバスに乗れ!」
バスの乗車口からキョーコ先生が、早く乗るように言ってきた。
「あっぶねぇ!バスに入るぞ!」
そう古田が言いながら。急いで、俺達はバスに乗った。
___バスの車内
小野寺の隣の席とか、普通は運は良いが、俺にとってはついてない方なんだよな。あー、マジどうしよ。寝てもいいんだが、そうすると、宮本辺りが、後で煩そうなんだよな。……………、よし。
「あー、小野寺さん。キャンプ場で、確かカレーを作るんだっけ?」
「え。そ、そうだね」
会話、即終了してしまったな。こういう時の話題振りって、苦手なんだよな。どう振ればいいのか、わからないんだけど!そういえば、主人公の席は、どうなっているんだろ。チラッと見てみるか。
『ちょっと、もやし!くっつきすぎよ!』
『そうだぞ、一条楽!お嬢にくっつくな!…それと、私にも、くっつきすぎだ!』
『そう言われましても、無理があんだろ!』
ほぅ、そうなったか。……話は戻してだ。まぁ、一応俺から、話題を振ったし。もうすぐ……うっ!気持ち悪りぃ、吐き気がヤバいと思い、口に手を抑えて、数分くらいで到着するキャンプ場まで、なんとか耐えようと、外の景色を見て気を紛らわそうとしていると。
「森谷君、体調が悪いの?まだ大丈夫?」
酔っている俺に気がついた小野寺は、心配そうな顔をしていた。気分が思ってた以上に悪くて、話すのも厳しい。
とりあえず、体調が悪い事を顔を横に振って、伝えてみる。どうやら伝わったみたいで、キョーコ先生を呼ぼうと、手を真っ直ぐ伸ばして、「先生、先生」と繰り返しながら呼んでくれた。
その事に気づいたキョーコ先生が前の席から、俺と小野寺がいる後ろの席まで来た。
__時は少し遡る
一条side
「はぁ~。小野寺の隣がよかったなぁ」
ため息を吐きながら、なったらいいなと思っていたことを漏らした。
『!』
俺の右隣にいる
「イッテ!何しやがる!お前ら!」
『ふん!』
二人揃って、頬を膨らませ視線を外された。ったく、まだつねられた所が痛むぜ。こんな時、小野寺だったらどんなによかった事か。
「ん?小野寺の隣にいる奴、酔ったのか?」
小野寺は酔ったそいつの背中を擦っていた。二、三秒後ぐらいにキョーコ先生が来て、そいつを先生の席に連れて行った。
前に集の奴が「小野寺さんの事は、諦めた方がいい」って言われたけど、理由を聞いても「見てみれば、わかる」と言ってもな、よくわからなかったな。
キャンプ場に到着してから、十分後くらいにキョーコ先生と、他の先生達が来たので、クラスごとに並び。キョーコ先生がプリントを持ちながら話し始めた。
「お前ら、ちゃんと並んでるな?では、ここのキャンプ場でする事を説明するぞ!って言っても、わかってるか!それぞれ班ごとに別れて、カレー作りだ。じゃ、頑張れよー」
先生は、話が終わると先生達用の所へ戻って行った。
「さて、カレー作り!頑張るわよ!」
妙に張り切っている桐崎を見て、先日のおかゆ事件が脳裏に過る。
「おい!桐崎はあっちにある薪を幾つか。持って来てくれ。もし、わからなかったら、周りの奴に聞け」
「んぅ、まぁいいわ。薪はあっちにあるのね?」
「そうだ」
ふぅ、何とかあいつに料理させずに済んだ。この前みたいな事にならなくて、本当によかった。
「じゃ、俺も自分の役割を果たそうかな。………あれ?小野寺じゃねぇか。」
どこに行くんだ?と小野寺の行く先を見ると、さっきバスで酔った奴の所に向かっていた。
「……何で、あいつに___」
構うんだと言おうとした瞬間、首筋に冷たい感触がした。
「うぁおぅ!何だ!」
「ひひっ、どうしたんだ?楽。誰に熱烈な視線を向けているんだ?」
悪戯をしてきた集の方を向くと、水で濡れた手を軽く首筋に触れていた。
「あぁ?まぁ、その何だ。気になって、ちょっとな」
まさか、あいつに恋なんてしてねぇよな。
__宿泊部屋
主人公side
何とか快復した俺は、割り当てられた部屋に入るところだ。
「おぉ、そこそこ広いな。それに、窓からの景色も良いことだしな」
「そうだね~」
俺の独り言を聞いていたのか、相づちを打つ小野寺。
「じゃ!とりあえず集合時間まで、ババ抜きでもやりたい所だけど、先に準備を済ませてからやろうか」
場の視線を自分に向けるかのように、手をパンっと鳴らして、古田は話した。
「そうだな。ちゃっちゃと準備を済まそうかな」
俺を含めた四人全員の準備が終わり。集合時間までの時間潰しに、皆でババ抜きをやっている時、宮本がボソッと言った。
「次のババ抜きで負けた人は、自分のハツコイを話すってのはどう?」
「うえっ!?」
「えっ?」
「ほう」
宮本の発言に、三者三様の反応を示した。三人の中の誰かの反応に、ふふっと含み笑いをする宮本に、うわっと思いつつも、あー、こんな事も、あったなとため息を漏らしながら頭をポリポリとかいた。その後宮本と古田の舌説により、罰ゲームとして『自身のハツコイについて』を語る事が決定された。その事に見てわかるぐらいに動揺している小野寺が、本人に悪いが、ついニヤついてしまいそうなくらい可愛いかった。
最終的に残ったのは俺と小野寺だった。このような状況になる事は想定していたが、実際になってしまうと、うわって思ってしまう。さっさとババを引いてそれっぽいハツコイ話をして、集合場所に行かないとキョーコ先生に叱られてしまう。
「(え~と、ババはどっちだ?)」
二枚あるトランプの右側の方を触ると、パァと晴れた表情を浮かべる小野寺、反対の左側を触るとズーンとこの世すべてに絶望したかのような表情をした。
「(じゃ、右側を引くか)」
いざ、
「コラッ!!時間過ぎてるぞ!!」
バンっと扉を勢いよく開け、怒鳴り込んできたキョーコ先生に、この場にいる俺達は一瞬ビクッとして、さっさと持って行く物を手に掴んで出ていった。
__宴会場
「んっ~~!!はぁ~、山登り疲れた!」
「うっ!そうだな」
俺と古田は互いに背伸びをしながら、料理が来るまで雑談をしていた。
「そう言えばさ。明日って、二つのメインイベントがあるよな?」
思い出したかのように話しだした古田に、ハテナマークを浮かべながらも、答える俺。
「ん?確か、肝だめしとフォークダンスだったけ?」
「あー、それだわ!」
「それが何だよ」
古田はニヤっと悪巧みを思い付いたような表情を浮かべた。
「肝だめしとフォークダンスは何と、男女ペアで行うのだ!どうだ、ドキドキしてくるだろう?」
「?」
古田の言ってくる事にピンっと来てないので、雑な返しをしてしまった。
___翌日の朝
ワイワイと騒いでいる食堂の中で、古田と一緒に朝食を摂っていた。
「なぁ、メシを食べ終わったら、何すんだっけ?」
バターを塗ったトーストを頬張りながら聞いてきた。
「あ~~。オリエンテーションとテント設営の後にバーベキューをして、夜ご飯を摂って、その後に肝だめしとフォークダンスをするんだったか?」
「おお~。そうだった、そうだったな」
人がせっかく言ったのに、古田は棒読みで返してきた。
__宮本side
私は、今日の夜にある
「ねぇ、小咲。あんた、今日どうすんの?」
「えっ?何が?」
キョトンとした表情をする
「肝だめしとフォークダンスの事よ。森谷君とペアを組みたいんでしょ?」
顔を赤く染めて俯いた小咲は、消えそうな声で言った。
「……う、うん」
そんな小咲に、抑え込んだため息が出てしまった。
「はぁ、私も協力はするわ」
「あ、ありがとう!るりちゃん!」
小咲は歓喜極まって、若干涙目になり、そのままの勢いで私の両手を掴んで喜んでいる。
___キャンプ場
夜ご飯を食べ終えて、キャンプ場に来た私達は、先生の話を聞き終わり。まずは、肝だめしから始めるそうなので、男女ペアで行う肝だめしは、男女別れて番号が書かれたクジを引くとの事。
「小咲、もし私が彼の番号引いたら、交換してあげる。これなら、少しは確率だけ上がるでしょ?」
「……るりちゃん」
私の言葉に、じーんと感動している小咲。念の為、釘を指すかのごとく言った。
「もしペアになれたら、暗闇に紛れこみ。彼を押し倒しちゃえばいい!」
私はグッと親指を立てながら、クジの列に向かった。
「るりちゃん!」
その後ろから、小咲は私の名前を大きな声で叫んだ。その後、私の後を追ってそのまま列に加わった。
だんだんと前の人が進み、私がクジ箱からクジを引くと、そこに書いてあった番号は。
「22番ねぇ」
引いたクジを手に持ち、列から離れて小咲がクジを引いてくるのを待っている。
「さて、どうなるのかしら。運が良ければいいのだけれど」
ボソッと周りの人達に聞こえないぐらいの声で呟いた。
「あ、るりちゃん!何番だった?」
クジを引いてきた小咲は、列から離れている私の所へ小走りでやって来た。
「私は22番よ。小咲はどうなの?」
「えっと、私は7番だったよ」
「あら、縁起が良さそうな番号ね」
小咲と他愛ない話していると、男子の列から聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「タケは、7番か!」
『ちょっと、お前声がデカイ!』
聞こえてきた声に私は思わずフッと笑みを溢しながら小咲に声を掛けた。
「彼とペアになれたようでよかったじゃない」
「うん!」
小咲は興奮と気合いが籠った返事をした。
「なら、さっさと彼の所へ行ってきなさい。この肝だめしで名前を呼ぶ仲くらいにはなってきなさい!」
そう言いながら、私は小咲の肩を叩いた。
主人公side
藁にもすがる思いで、親友である古田に頼むという感じで両手を合わせながらお願いをしていた。
「お願い!俺のクジとお前のクジを交換してくれ!」
「やだ」
「そこをなんとか!」
「無理」
「諭吉さん十人あげるから!」
「……………断る」
「今、ちょっと揺れた?」
「……ノーコメントで」
古田と言い合っている内に、小野寺が俺達がいる所に来てしまった。
「じゃ、俺はここで」
小野寺が来たのを見て、俺がいる所から同級生の男子がいるところへ行ってしまった。
「あの、森谷君。クジの番号は何だった?」
俺の方に見えるようにクジを両手で持って見せてきた。特別に緊張する事でもないのでさっと番号を見せながら言った。
「7番だけど?」
「え!本当に!っは、ごほん。同じペアだね!」
小野寺は喜びのあまり本音をぽろっと溢してしまったが、直ぐに失言をした事に気がつき冷静を装って答えた。
『7番のペアの男女!早くこっちに来てください!』
「あ、呼ばれたな。さぁ行くぞ」
俺はそう言いながら自然に小野寺の手を掴み、そのまま肝だめしのスタート地点に向かった。
「えっ?……ええっ!?」
小野寺は俺が手を繋いだことに少し遅れて理解したのか。驚いた声を出していた。
肝だめしのコースに入って5分程して、さすがに無言で進むのはビビリの俺としてはきついので小野寺に話を振ってみた。
「なぁ、確か俺と小野寺の付き合いは幼稚園から続いているよな?」
「そういえばそうだね」
「………」
「………」
俺から振った話題が一分と経たずに終わってしまった。
「(会話が途切れたな。話題になりそうなものってあったけ?)」
「(うわぁ、やっちゃったよ私!ここで『長く一緒にいるのに苗字呼びだね。試しに名前呼びしよう!』とか言えばよかった!)」
また無言で進む羽目になってしまい、どうこの場の空気を変えるかを考えていると、頬を染めながら小野寺は緊張しているかのように話し始めた。
「あ、ああ、あの!森谷君!名前を呼んでください!」
「え?」
言われた意味を理解してない俺に対して、小野寺は自分が言った言葉に動揺していた。
「(私ったら何をいってるのぉ~~~~~!!)」
またもや無言で歩く事、2分が経過した。俺は小野寺が名前を呼んでと言われて、『小咲』と呼ぶべきか悩んでいた。
「(ここは幼馴染として、名前で呼んでも良いのかどうかだけど、う~んここは試しに呼んでみるか)」
俺は意を決して小野寺のことを名前で呼んでみた。
「小咲って呼んでいいのか?」
「っ!?!?」
見たことない程に真っ赤に染まった小野寺は、言葉を詰まらせながら答えた。
「い、いいい、いいよ!わた、私も森谷君を武広君って言うから!!い、いいかな?」
「いいよ」
別に断る理由もないので了承した。そしてなんやかんや小野寺と話していたら、肝だめしのゴール地点の近くまで来ていた。
次の日からまだ呼び慣れない名前呼びを意識しながら、小咲と話すのは緊張した。
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千葉県のYさんという有名なファンを持つ橘万里花さんが出ますよ!
林間学校から数日が経ち、その間に宮本や古田に名前呼びに関して少し冷やかしてきたくらいで、二人とも変に突っ込んでは来なかった。今朝十年前のあの時俺は約束をした地『
「はぁ~」
学校登校中に軽くため息を吐いた。今日彼女が転校してくるとは思わないけど主人公達の動きを見る限り、近々うちの学校に転校してくる彼女の事が不安に思う。何故そう思うかと言えば、原作では数少ない十年前の事を覚えている人物の一人であるからあちらから接触してきて、なんやかんやで主人公グループに組み込まれてしまうのでは?と思っている。
何時も通り、朝担当の飼育係としての仕事である餌をやりに来た。一昨日辺りにまた動物を何匹か拾ってきやがって、恐らくここの飼育小屋にいる動物は目測で数えた限りではこれで200匹を超えたと思う。あいつ、朝に餌をやっている俺に相談せずに増やしていくからな、今度増やしやがったら、あいつん家で引き取って貰おうか。
「ん?」
背後にジャリっと足音がしたのでそちらに顔を向けて見ると如何にも清楚な御令嬢な少女が立っていた。
「久しぶりですわね、森谷さん?」
というか
橘から場所を変えようと言ってきたので断る理由がないというか、どう断ればいいか思いつなかった為彼女の提案を受け入れた。それと餌やりは終わっていたので断る理由にはしづらかった。
案内されたのは学校外の道路に止まっている外車でどうやら車内で話すらしい。話は少し逸れるけど車の扉に立っているのって本田さんだよね?漫画で見た時も美人だなと思ったけど生で見るとすんげぇ美人さんだなと思った。
「どこまで覚えてますの?」
車内に入り座席に座ってから少し間を開けてから、先に橘が発したのは1時間程前に懸念していた橘が接触してきた際に聞かれるだろうと思った事を聞いてきた。その事に対して俺はこう答えた。
「覚えているって何が?」
覚えているって言ったら後々面倒なので取りあえず惚けてみた。
「どこまで覚えてますの?」
橘は語調を強めて改めて聞いてきた。俺はもう一度惚けたら駄目だと、俺の第六感的なものから囁かれたので、折れて正直に言う事にした。
「そこそこ覚えているけど細かくは覚えてない」
「.....まぁ、いいでしょう。この事は楽様には勿論ですがこの事に関する人には他言無用ですよ?」
俺の答えに満足したのかニコニコと笑顔を浮かべ釘を刺された。その後橘から解放され、さっさと自分の教室に戻った。
そして橘を転校生として紹介されるホームルームの時間が来てしまった。変に目を付けられない様に机に伏せ寝たふりでその場を過ごすことにした。
__休み時間
一限目が終わり、転校してきた橘万里花の話題でクラスどころか学年中の話題になっている。
『橘さんはどこから来たの?』
『それは秘密ですわ』
『一条の奴のどこに惚れたんだ?』
『楽様のすべてにですわ』
話題の中心である彼女は男女共々から質問をされている。
「.......人気だな。橘さん」
「.......そうだな」
とぽつぽつと俺と古田は言葉を漏らしながら、沢山の人に囲まれている橘を離れた所から見ていた。
_数日後
屋上に俺、主人公、桐崎、小咲、橘と十年前の天駒高原にいた人達が集結していた。
「(俺は、無力だ……… )」
何故ここにいるのか。簡潔に言えば厚が凄い笑顔の橘が「来てくれますね?」と言って来たからである。決して断ったら後々怖いからじゃないからな。ホントダヨ?
「この場にいる人達は、十年前のあの場所で会ったことがある人達なんです。」
『えっ!?
最初に言葉を発したのは橘からだった。そんな橘の発言にほぼ同時に主人公と桐崎はお互いの顔を見合って驚いていた。
少し間を置いて、落ち着いた
「二人は、その…なんだ、どこまで覚えているんだ?」
一条は俺達に当然とも言える疑問をぶつけてきた。
「悪いけど、全く覚えてない」
「わ、私も、お、同じく覚えてないよ」
まぁ、ここは惚けるしかないよな。だって朝に橘に釘を刺されたから言える訳がない。
「…そっか」
主人公はがっかりとしたそんなオーラを出しながら答えた。
この後の展開は原作通りに展開は進み、主人公が橘とキスした事について桐崎に詰問をされ、チャイムが鳴り。解散となった。
___終業式
あの出来事から三週間後の今日は、一学期最後の登校日で終業式が終われば、学生達が待ち望んでいる夏休みに入る。
だが、みんなが浮かれている最中に俺は夏休み中にわざわざ朝に学校に行って動物達に餌をやらねばならない事に、若干絶望している所だ。
「おっす、タケ!終業式が終われば夏休みだな!」
「ソウデスネ」
思わずカタコトで返答してしまう程に、夏休み中に餌をやる事に絶望している自分がいるのが分かる。
「めっちゃ棒読みだな。なんか良いことでもあったのかい?」
「某物語の〇野〇メみたいな事言うな」
「すまん、すまん。だけど、タケの機嫌が少し悪いからどうしたもんかなって」
古田に軽くからかわれてたものの、心配してくれて嬉しかった。
「まぁ、悪くなった原因は、毎週の月曜の朝に飼育係の仕事をしないといけないからだな。その事でちょっと機嫌が悪くなったかな」
理由を古田に話していると、後ろから声を掛けられた。
「あ、あの武広君!ちょっといいかな!?」
「ん?」
閑話休題
小野寺side
どうしよう。なんで終業式の時「うちにバイトに来ない?」って言ったんだろ。嫌って訳じゃないんだけど、なんか恥ずかしいしそれに顔のニヤニヤが止まらないよ~
「小咲、何時まで髪を弄っているの?そろそろ武広君来ちゃうわよ!」
店の方からお母さんの声が掛けてきたので私は返事を返した。
「うん、わかった。今行くから」
そう言いながら洗面所にある鏡を見ながら変なところがないかを最終チェックし、お店の方へと向かった。
店の方に入ると丁度武広君が店に入ってきた。
「久しぶりです!菜月さん」
「ああ。久しぶりだね、武広君。ほら小咲も挨拶しな」
「あ、うん。一週間ぶりだね。武広君」
私が武広君って名前呼びすると、お母さんは何かを察して私と武広君を交互にニヤニヤと何回か見た後、武広君に体を向けて今日やる内容について説明し始めた。
「さてと武広君にやってもらう仕事は、何種類かの和菓子作りと小咲が変なことをしないかを監視すること」
「ええっ!?最後の何なの!お母さん!!私は変な事しないよ!」
呆れた顔しながらやれやれと体を左右に揺らして答えた。
「ま、冗談なんだけどね。半分だけね」
私とお母さんのやり取りを見ていた武広君は苦笑していた。その後、お母さんは町内会の用事とかで店を出る準備をしそのまま家を出た。
お母さんが出掛けてから、私は武広君と和菓子を作っていた。
「(うん!流石、武広君。料亭生まれだから手際がいい!それに)」
チラッと隣を見ると和菓子屋おのでらの仕事着を着ている武広君が真剣に和菓子を作っている姿をあった。
「(武広君、カッコいいなぁ~って何考えているの私!)」
ニヤついている顔を誤魔化すように両頬っぺをぐにぐにしていると。私の動作がおかしく見えたのか、私を困ったかのような顔で見ていた。
「(さっきから挙動不審だけど大丈夫なのか?)」
店に出す分の和菓子が出来たので、商品ケースに品を入れて店を開けた。
「おぉ、おはよう。小咲ちゃん……っと森谷さんちの子かの?」
「ええ、そうです」
店を開けてから数十分後に常連の萩原のお爺さんがやってきた。
「ふぅむ。では、これを二つ貰うとしよう」
「はい、豆大福ですね。お会計は480円になります」
私が萩原のお爺さんの対応している間に武広君は商品を袋詰めしてくれた。
「500円でお願いしよう」
「はい、500円お預かりします。お返しの20円になります」
「ありがとうね。小咲ちゃん」
「.....お客様、商品をお受け取りください」
「おお。そうじゃった、そうじゃった。すまんのぉ。では、また来る」
萩原のお爺さんはそう言って店を出て行った。
開店してから約五時間経ち。店の電話が鳴り、私が電話に出ると相手はお母さんだった。
「はい、こちら〝おのでら〟です」
『あ、小咲?今、外は大雨で強風だから、お母さんは知り合いの家に泊まるんだけど、武広君をうちに泊めちゃいなさい』
「ええ!なんで!!家近いから帰れると思うんだけど」
『はぁ、折角のチャンスなんだから、この機会に彼に意識を向けさせなさい。既に武広君の親御さん達にはうちに泊まる事を伝えてあるから、頑張ってね!』
私の言葉を無視してお母さんは電話を切った。
「お母さん!無理だ………切られちゃった。今日、どうしよう」
これから起こる物事に、私は顔が赤くなり、自分の鼓動の音が聞こえてきそうだった。
長文になりそうだからここで区切りました。次話はお泊りと夏祭り回です。
それとアンケートがあるのでお答えお願いします。
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Q:夏休みは誰と過ごしましたか?家族以外で。A:同級生の小野寺さんです。
それと年内更新はこの話で最後です。
次はロミジュリ編を出します。
夏休み。それは学生達の楽園とも言える夏の長期休暇期間のことである。そんな長期休暇期間中の学生達は其々花火や旅行、海水浴などの夏の思い出を作る事だろう。
そして、俺は終業式の際に約束した『小咲の両親が営んでいる和菓子屋〝おのでら〟の手伝い』をしに来てから、五時間程が経過した。おのでらの手伝いも一段落して落ち着いた。その時、店の電話が鳴り響いた。その電話に小咲が出た。
「あ、私が出てくるね」
「わかった。小咲の分まで頑張っとく」
その間俺は一人で店番を続けていると電話から帰って来た小野寺は顔を朱に染めながら話し始めた。
「さっきお母さんが武広君を泊めてって言ってて、武広君の両親から許可取ってあるらしいんだけど……どうする?」
………………what?余りの事に理解が出来れてなかったが、
「い、嫌なら、その悪いんだけど………」
おっと、一人で考えに耽ってしまい、小咲を放ってしまった。ちゃんと返事を返さないといけないな。
「別に嫌って訳じゃない。少し驚いてしまっただけだから、大丈夫だ問題ない」
誰が聞いても不安を感じる返答だった。
「はぁ~よかった!……ってそういう意味じゃないから!!」
俺の返事に安堵の息を吐いたかと思いきや、数瞬の間を空けてよくわからない事を言ってきた。〝そういう意味〟ってどういう意味なんだろ?
あの後。俺達は店仕舞いと明日の仕込みの準備をして、俺は今日寝る部屋へ案内された。
「うっあぁ、足の裏が地味に痛てぇ。とりあえず、先に布団敷いとくか」
襖に入っている敷布団を出す為によっこらせと立ち上がって、襖を開けて中に入っている敷布団を出している間、俺はこの後の事を考えながら布団を敷いているとある重大な事に気づいてしまった。それは、
小咲の手料理が出てくる可能性がある事だ!
何故その可能性に辿りついたのかは、この後の流れを考えているとまず出てくるのが〝風呂〟そして〝料理〟だった。風呂に関しては気を付けていれば、
と言う訳で布団を敷いた俺は、小咲の私室の前に来たんだが、ノックをせずに入った場合はラキスケになる可能性が多分にあるだろうから、しっかりとノックをするとしよう。
「小咲、部屋に入っていいか?ちょっと話があるんだが」
そう言いながらノックをした。
「………」
「返事がないな。風呂にでも入ってるのか?」
そう判断した俺は勝手ながら小咲宅のキッチンへ向かった。
キッチンに着いた俺は菜月さんにキッチンを借りる事を伝える為に電話をした。
『はい、もしもしって武広君じゃない。どうしたの?もしかして………夕飯の事?』
「はい、まさにその事に関して聞きたくて、電話したんです。」
『いいわよ。別に好きに使っても、但し条件として……』
「条件として?」
『何品かの作り置きをよろしく!タッパーは右上の棚に入っているから。じゃ、また今度ね!』
「あ、ありがとうございます!………ふぅ、ちょっと緊張したぁ~」
そう呟き俺は冷蔵庫の中にある食材を見ていたら、キッチンの近くにある扉から、部屋に入って来た小咲は風呂から上がって来たのか頬が赤く若干湯気が出ていた。
「ふぅ~気持ちよかった~って、あれ?武広君がなんでキッチンにいるの?」
カクカクシカジカとなんで俺が小咲に料理をさせたくなかったという本音を伏せながら、どうしてキッチンにいるのかを所々誤魔化しながら説明をした。
「なるほど、そういう事なんだね!」
「ああ、そういう事だ」
うっし、なんとか乗り越え___
「私も手伝うよ!武広君!」
てないだと…!?……これはもう諦めて料理する以外の手伝いをして危機を乗り越えるしかあるまい。
「あぁ~………じゃあ、皿や箸とかの食器を出してくれないか?」
「うん!わかったよ!」
うん。危機は去ったな。
あれから三時間弱経過し料理も少しの所で終わるんだが、包丁や菜箸などで腕を使いすぎて攣りそうなくらい痛い。菜月さんに幾つか作ってっと頼まれたしもう一頑張りだな。
「ね、ねぇ、武広君!」
小咲がどこか照れた様子でカウンター越しに話しかけてきた。
「ん?どうした。小咲」
「来週にある神社の夏祭りにさ。私と、い、一緒に行かない?」
あーそんな
翌日、俺と小咲は来週の夏祭りはどこで待ち合わせをするかを電話で話し合いながら決めた。小咲の家の方が若干神社に近いので、小咲の家を当日の集合地点として、小咲と話し合っていた際にせっかく夏祭りに行くのだから、お互い浴衣を着て行こうとなった。
「はぁ、着て行くの面倒だなぁ。でも、決まっちゃったしなぁ~」
小咲との話し合いが終わった直後から、俺はだらだらと愚痴を当日まで吐いていた。
「いい加減に覚悟を決めたら?武広君。あんな可愛い子に夏祭りデートに誘われるなんて滅多にないと思うよ私は」
その時、玄関付近でうじうじしている俺に田辺さんが渇を入れてくれたおかげで、腹を括りなんとか頑張って行こうという気持ちになった。
小咲side
「おかしい所は…ない…よね?」
スタンドミラーの前で私は昨日買ったばかりの浴衣を着て、おかしな所がないか確認している所だ。そこに___
バン!
扉を強めに開けた先には片手を腰に当てて、ため息を吐きながら私の部屋にお母さんが入ってきた。
「武広君、家の前に来ているから、さっさと行きなさい!」
「う、うん。わかった!」
私は必要最低限入った荷物袋を手に持って、武広君の所へ向かった。
家の前に出てみると、お母さんが言ってた通りに武広君が居たんだけど……
「お、来たか。小咲」
か、かか、かっこいい~、何時もと違って新鮮な感じがする!そ、それに___
「…………」
浴衣の首元の間から見える鎖骨に何故か視線が向いた。
「おーい、小咲?ぼーっとしているな。何でぼーっといるんだ?てか、ここで時間を潰している場合じゃねぇな。強引だが、手を握って行くか」
そう武広君は言って、私の手を掴んで神社へ引っ張って行った。私は神社に着くまでの間、手を繋いでいる事に頭が理解できないでいた。
十分程歩いて神社に着くと、武広君は繋いだ手を離して入口近くにある屋台へ向かって行ったので私も付いて行った。
「小咲。ほら、たこ焼き一ついるか?」
屋台でたこ焼きを買った武広君は私に一つ向けて聞いてきた。
「うん、一つ貰う……ね!」
差し出されたたこ焼きを食べようとする時、私は気づいてしまった。恋人同士がやる『あーん』という事に!
「…………」
湯を被ったが如く顔が熱く真っ赤に染まった事がわかる程になってしまった。
「ふぅ~」
とりあえず軽く深呼吸をして意を決して食べた。
「んっ~~~!熱いけどおいしいよ!あ、ありがとう!」
「あ、ああ。どういたしまして(やっべ、冷ますの忘れてた)」
それから私たちは神社の奥へと進んで行った。そのまま拝殿の近くに来ると社務所の周囲を埋め尽くすような人が並んでいた。
「ん?めっちゃ人が並んでいるな。何を買いに来たんだろう」
そう呟く武広君に私は軽く微笑みながら教えた。
「ふふっ、あれはきっと恋愛成就のお守りを買いに来た人達なんじゃないかな?」
「へぇ、そんなお守りがあるんだな。ってここに居たら人混みに流されそうだ。ちょっと離れようか」
「そ、そうだね」
ああ!今日一日ずっと心臓がドキドキしっぱなしだよ~!
主人公side
今日の俺ってば、マジで何やってんのかな!さっきから歯が浮きそうな程の臭い事を言ったり、行動しているんだよ!頭、大丈夫か!俺!
「ふぅ、ここまで来れば大丈夫だろ」
とりあえず人混みに呑まれないように人気が少なそうな所に来たけど、何処だここ?と思い、周囲を見渡すと看板が立っていたので読んだ俺は苦笑するしかなかった。
「?どうしたの武…弘……君!」
苦笑している俺を不思議に思ったのか俺の名前を言いながら、視線を看板に向けた瞬間、一気に顔が真っ赤に染まり、動揺した様子で俺の方へと顔を向けた。
「あぁ、あわわわ~」
ちなみにその内容を簡潔に言えば『夏の夜、男女二人っきりで此処に来ると将来結婚するよ』といった内容で、これを見た瞬間に俺は手を離した。
「……」
「……」
まぁ、あんな看板を見りゃ、そういう気が無くても意識してしまうよな。俺もよくわからんが顔が熱くて仕方がない。
………で、この後俺は場の空気を変える為、小咲に今日はもう帰宅しないかという事を伝え、お互い顔を赤くして帰路を歩いて行った。
一応、気になったのでアンケート
追記:アンケートの回答してくれた方々、ありがとうございます。結果を反映させていただきます。
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シスコンなあの子が......
次回はクリスマス回です。原作とは乖離してしまいますが、オリ主と小咲がイチャイチャする(予定)です。
後、文章中に可笑しい所がありますが、気にしないでください。
夏休みが明けてから、一週間程経った。今朝のHR時に、黒板前にはクラスのムードメーカーとも言える舞子集が二週間ちょい先にある文化祭で行う出し物の劇で、『ロミオとジュリエット』の役決めの進行役として、場を回していた。
「さぁ、さぁ!まずは主役のロミオをやりたい人は手を上げて!」
まぁ、誰が好き好んで目立つ役をやると思うのかね?でも、まぁやる奴といったら、主人公なんじゃねぇの?
「誰か、本当にやりたい男子いないの?……はぁ、此処で時間を潰してもあれだから、こいつにロミオをやって欲しい人はいるー?」
そう舞子が言うと二人の女子___宮本と橘が手を上げた。
「んじゃあ、まずは宮本さんからどうぞ!」
サッと宮本が席から立ち上がり、さらっと(俺にとって)爆弾発言をした。
「私は森谷君がいいと思いまーす」
宮本の発言に何処か納得した舞子は、意味有り気に俺の方へと視線を一瞬向け、そのまま橘へと向けた。
「ほほう?……で、橘さんは誰がいいのかな?まぁ予想は付いてるけど」
名前を呼ばれた橘さんはスッと立ち上がり、軽く深呼吸した瞬間____
「
「………ロミオ役候補は二人だけなんだけど、他に『この人にやって欲しい』って人いるー?」
橘の発言をガン無視した舞子は、他のクラスメイトに意見を求めた。
『…………』
「うん!いないね。じゃ次は、ジュリエット役をやりたい女子!自薦他薦でもいいから手を上げて!」
俺と主人公以外に名乗りをあげる男子がいないのを確認した舞子は次の役の事へと話を進めた。
「はい!私しか楽様の相手はいませんわ!」
「橘さん、まだロミオ役決めてないからね?で、他にはいるー?」
舞子の奴、橘さんに恨みでもあるのかって位に、態度が冷たいな。ま、俺には関係ないけど。
「はい」
「お!また上げたね?宮本さん。もしかして自薦かな?」
ニヤニヤしながら舞子は宮本を指した。
「いえ、私はやらないわ。ただ、小咲を
そう言い切った宮本は席に座ると小咲に向けて、グッと親指を立てていた。そんな事は、今の俺にとってはどうでもいい事だった。一刻も早く
結論を言うなら、ロミオ役をやるはめになった。これが原因で原作崩壊するかもしれないと、俺の心の内としてはその事で頭の中がいっぱいだった。何故此処まで、慌てているか?それはあの後、くじ引きでどっちがロミオか代役かを決める事になり、せめて代役になれるように必死に心の中で願っていたのだが、思いっきり当たりの印が入っている紙を引いてしまった。
此処で頼みの綱は橘になるのだが、宮本が一言、二言くらい橘と話したら、渋々といった態度で舞子にこう言った。
「私はジュリエットの代役で構いませんわ」
うん。此処はさすがに諦め……っ!そうだ!確か原作だと本番直前で小咲が足を捻って、代役で桐崎がジュリエットをやる展開があったな。だから、練習だけ頑張って、本番の時に主人公が桐崎を連れて来たらロミオ役を変わってやるとしよう。
__文化祭、当日
俺のクラスの劇は午後一時に行うのでそれまで、俺は他のクラスの出し物を一人で回る予定だったのだが、俺の隣に小咲の妹で、原作では恐らく出てなかったであろう小野寺春と一緒に回る事になってしまった。
どういう経緯でこうなったかは、簡潔に言えば小野寺妹から誘ってきたとしか言えない。そもそも小野寺妹って大のシスコンじゃなかったけ?
__小野寺春side
今日は学校の何かの記念日とかで休みになった。昨日、お母さんからお姉ちゃんが通っている高校が文化祭をやる事や、劇に出る事を聞いた私は自分が通っている中学よりちょっと遠いけど、三年ぶり?くらいにお姉ちゃんと森谷さんにも会えるから、頑張ってやってきた。
いざ、お姉ちゃん達が通う高校についたはいいけど、初めて来た場所なので、何処に何があるのかが分からずキョロキョロと辺りを見渡しながら校内を回っていると、見知った人の背が見えてきたので駆け足で寄って行った。
「久しぶりですね!森谷さん!」
そう後ろから声を掛けると私の方へと少し驚いた顔を向けてきた。
「ん?おぉ、春ちゃんじゃないか!」
「こんにちは、森谷さん」
森谷さんは頭を片手で掻きながら聞いてきた。
「どうして此処にいるんだ?確か全寮制の学校だったと思うんだけど?」
「ああ、それは今日、うちの学校はなんかの記念日とかで、休みなんですよ」
「へぇ~、そうなんだ」
私は森谷さんに劇について訊ねてみた。
「そういえば、お母さんから聞いたのですけど、劇に出るそうですね。森谷さんとお姉ちゃんは何の役なんですか?」
そう聞くとピシッと森谷さんの顔が固くなった。
「あ、あぁ。どうしても知りたい?」
「はい、どうして知りたいです」
?役を聞いただけなのに、この反応.....まさか!?
「あ〜、俺と小咲は
「えっ!?本当ですか!?」
あれ、なんか胸の辺りがチクッとした気がしたけど、それよりも!
「二人とも、主役をやるなんて驚きました!」
お姉ちゃんなんて特に、こういう目立つ事なんてやりたがらないのに!
「まぁ、俺と小咲は自ら名乗りを上げた訳じゃないんだけどね.......」
あぁ、なるほど宮本さんの仕業だな。二人をくっ付ける為に何かしらやったんだろうな。.......?なんだろうこの感じは.....気にしても仕方ない。
「森谷さん、一緒に回りませんか?」
「あ、あぁ、いいよ」
最終的に森谷さんとお姉ちゃんがくっ付けば、うちの店は安泰だしね!
あの後、森谷さんは劇の準備があるので、その場でお別れとなった。私は森谷さんから、貰った学内マップ(文化祭用)を見ながら、様々な出し物を見て回った。
腕時計をチラッと見てみると、お姉ちゃん達の劇まで三十分を切っていた。
「やっば、もうこんな時間!!急がないと、お姉ちゃん達の勇姿を見逃しちゃう!」
そう呟きながら、私は駆け足で劇が行われる体育館へ向かった。____すると、
ガッシャーン!!
体育館の中から何かが崩れた音が聞こえてきた。
「何があったんだろう?」
そう思い、体育館に入ってみると私と同じく崩れた音に戸惑っている人達がいるだけで、崩れた物は影も形も無かった。
さっきの事が気になりつつも、私は舞台になるべく近い席に座った。
十五分程待っていると、ブーと音が鳴り響き。その音に合わせて、舞台カーテンが引いた。そこにいたのは森谷さんではなく____
「.....誰?この人」
もやしみたいな男の人が森谷さんの代わりに出ているだけではなく、お姉ちゃんの役も別のハーフ?の女の人に代わっていた。
「お姉ちゃん達に、何かあったのかな?」
お姉ちゃん達のクラスの劇が見終わった私は、お姉ちゃん達がいるクラスへ向かった。
学内マップを見ながら、お姉ちゃん達のクラスに着いた。私は、廊下側にある窓からお姉ちゃん達に何故出てなかったのかを聞く為に覗いた。
「あれ?お姉ちゃん達がいない?....あ」
教室内を見ていたら、宮本さんと目が合ったと思ったら、ずんずんと私がいるところに宮本さんがやってきてこう言った。
「小咲達なら、屋上にいるわよ。嫌な予感がするけど、まぁいいわよね」
「あ、ありがとうございます!では、また」
宮本さんが小声で何か言ってた気がするけど、気のせい....だよね。
屋上の扉までたどり着いた私は、ゆっくりと扉を開けると二人の声が聞こえてきた。
『___________』
『____』
『_______』
『_________』
何か話している?.....いや、これは恐らくロミオとジュリエットのあの名シーン、扉越しなので微かにしか聞こえないがそうだと思う。......っ、さっきから何だろう。このモヤモヤしたような、胸焼けしたかのような、この
...........■■しいな、お姉ちゃん。
次の更新は、4月になるかもしれません。
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男女二人っきりで、何かしているって、それはもう........
遅れた原因は、難産だったのと現実の方が忙しかったからです。
では、どうぞ。
十二月といえば何を思い浮かべるだろうか。社会人ならば、恐らく仕事納めで頑張って働いている事だろう。幼稚園児は、サンタさんからのプレゼントに何を貰えるのか期待しているだろう。カップル達はクリスマスに合体しまくってるだろう(偏見)。
そんで学生である俺は舞子集プレゼンツである『クリスマスパーティー』で〝プレゼント交換会〟が行われるのだが、自由参加制と舞子はそう言ってはいるけれど、参加しないと『え、お前(プレセントを)持ってきてないのかよ』という目で見られてしまう未来が頭に過るのは、
話は〝プレゼント交換会〟の事になるけれど、そこでクリボッチ族だった弊害が出てしまった。.....それは『プレゼントを何を買えばいいの?』問題だ。よくある....ていうか、漫画とかアニメで見る出来事だが、なんとなく予想できるパターンとして、『トンチンカンな物を持って来て、白目で見られる』パターンと『高い物買って来て、白目で見られる』パターン......どっちにしても、プレゼント選びに失敗したら白目で見られてしまう未来が待っている。その打開策として『俺と古田でプレゼントを買いに行く』という
その代わり.....というか、棚から牡丹餅と思っていいのか。まぁ、要するに、古田とは別の相手が出来てしまった。その一緒に行く相手が、ここ最近一緒に行動することが多い小咲だった。
普通は行く日をそれぞれ別にすれば問題なしと思うじゃん?宮本はそうは思ってないらしく、古田と約束を握りつぶされてしまい。結局は『クリスマスパーティー』開催する前の週の休日に、
閑話休題
俺は待ち合わせ場所である
「(このカフェラテ、マジおいしいな)」
そう内心で呟きつつ、小咲の姿が見えないか窓ガラスの方へ視線を向けていた。すると、急いできたのか若干息を乱した小咲が見えた。俺は小咲に声を掛ける代わりに手を振ろうと身体を、小咲の方へ向けると窓ガラスを鏡代わりに髪の毛を整えている姿を見てしまった。
「(何、この可愛い生き物は.....)」
そして、ある程度髪を整えた小咲は、窓ガラス越しに俺を捉えて、つい先程の自身の行動を思い返して顔を赤らめながら店に入店した。
「......で、.....では早速。クリスマス会用のプレゼントについてだけど」
「(....先程の事は、無視して欲しいんだな)」
小咲は店の席に着いた瞬間、机に顔を伏せながら本題へと入った。
「ん~、まぁ取りあえずはどういう物を買うつもりか、言い合うとするか」
「そうだね。....私から言ってもいい?」
「いいよ」
「私は、無難にマフラーや靴下とかの身につける系がいいなと思ったんだ。武広君は、どう?」
「うん。俺も似たようなの考えてたよ。(.....魔法のカードでいいやと思ってました!)」
話し合った結果、身につける系の物を買う事に決まったので、そういった物が売っている店に向かった。
まず、向かった店である『ウニクロ』で、冬物がある商品棚でお互い別々で見回ることにした。
「(買う物の色は、灰色っぽいのとか、青っぽいのがいいよな。男女どちらに当たっても問題はないと思うし)」
そう考えながら、見て回っていると急に背筋に悪寒が走った。
閑話休題
宮本るりside
カフェテリアから小咲達を
「ちょっとあいつらをいやらしい雰囲気にでもしようかしら」
「はい!ちょっと落ち着こうか」
小咲達がいる方へ行こうとした私を、古田君が肩を掴んで静止した。
「......離してくれないかしら?古田君」
「いや、宮本さん。このやり取りさ.....二回目なんだけど、落ち着いて見守る事出来ないの?」
古田君に掴まれている肩を離すように言うと、正論を切り返してきた。
「どうして、そんなに落ち着いていられるのかしら。
「いいや、別に」
「.......はぁ、じゃあ
私は古田君に
「....それよりも、追わなくてもいいの?」
「何を言っ____ちっ」
古田君が話を逸らしてとある方向を指した。私は文句を言いつつ、指された方向へと向けると、先程までいた二人が何処かへ姿を消していたのを見て、思わず舌打ちをした。
閑話休題
___クリスマス当日
先週の
「あ、宮本さん。聞いた?」
私が、これからの事にほくそ笑んでいた時、同級生である中野さんに声を掛けられた。
「何をかしら?」
「小野寺さんが風邪で寝込んでいるって」
「......っ!?」
思わない所からの事に、思わず息を呑んでしまった。
「(何をやってんの、小咲!!)」
小野寺小咲side
「(はぁ、何をやってんだろう、私。)」
今日の朝、妙に体が重かったから、念の為に熱を計ったら〝37.4℃〟だった。その後、病院で診て貰って、薬を飲んで、つい先程まで寝ていた。
コンコン
今に至るまでの事を考えていると、ノックした後にお母さんが扉越しに話しかけてきた。
「小咲、起きているかしら?」
「起きてるよー」
「そう、よかった。小咲にお見舞い客が来ているわよ。部屋に入れてもいいかしら?」
「別にいいよー(るりちゃんかな?風邪を引いたって、伝えられなかったけど、クラスの人に教えて貰ったのかな)」
「じゃ、私は店の方に戻るからふふっ」
そう言い終わったお母さんが店の方へと戻る足音ともに、聞き覚えのある声とともに私の部屋に入って来た。
「小咲、体調は少しは良くなったか?」
「た、武広君!?どうして」
クリスマスパーティーに行っている筈なのに!
「あぁ、それはだな。菜月さん....小咲のお母さんから『小咲が風邪引いちゃったのよ。でも、店番しないと行けないから、面倒みてくれるかしら?』って、頼まれたんだけど」
「そうなんだ。(お母さん。余計....じゃないけど、余計な事を....)」
恨むべきか、感謝すべきかの瀬戸際に悩んでいる私に、武広君が持っていたバッグから包装された物を出してきた。
「クリスマスパーティーには風邪で行けなくなっちゃったけどさ。せめて、パーティーでやる筈だったプレゼント交換でもしない?」
「.......うん!」
この後、私と武広君の二人でプレゼントを交換した。
_____翌日の二人
「(風邪の熱で舞い上がっていたけど、あれって傍から見たら、もう////)」
「(昨日は、やらかしたなぁ。歯が浮きそうな臭い事を言ってしまった.....)」
1.内容はほぼ完全オリジナルになるので、今年中の更新は絶対出来ない
2.比較的に書きやすいので夏までには、更新できるはず。
アンケートの結果と作者のやる気しだいでは、更新は早くなるかもしれません。
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学園ラブコメ系は最初に出る女性がだいたいメインヒロイン説。
年が明けて、数日経った頃のホームルームにて、キョーコ先生がポツリと呟いた。
「席替え、やるわよー」
教室中に面倒だとか、楽しみとかの声が飛び交う中、キョーコ先生は気にも留めずに話を進めた。
「いやぁー、私としたことが二学期の時にやり忘れててねー。この際、ささっとやっちゃお~」
くじを作ってね~っと生徒に軽いノリで頼んでいるキョーコ先生を横目に俺はぼーっと考え事をしていた。
「(
「くじが出来たから、出席番号順に引きに来て~」
席替えか。入学してから全くなかったし、席替え自体がないのでは?っと思ってたけどあるんだな。
「.....森谷君は誰と隣の席になりたいの?小咲とかしら?」
「いや、特に誰と隣になりたいとか、なりたくないとかの希望ないな」
列に並んでいると、俺の前にいる宮本に話しかけられて来たので無難な返事を返した。因みにうちのクラスには「む」「め」から始まる人がいない。
「ほら、ささっと引け」
「はい」
引く順番が来たので、適当にくじを取って自分の席へと戻った。
「(さっき、宮本にはああ言ったが、希望してる席はある。クラスの中で最も人気の席であろう窓際の一番後ろがいいな)」
手元のにあるくじを開くと『E6』とあり、場所は......おぉ。ちょうど俺が希望してた席のくじを引いた。だが、原作通りだと五回以上のやり直しが行われるから、手放しで喜べないだよな。
〝えぇ~、この席ヤだ~〟
〝後ろの席がいい~〟
〝周り男子ばっかで、ヤなんだけど~〟
〝やり直したいんだけど~〟
「ふふっ、皆さん....文句言っても無駄ですよ。席替えは一度だけ、やり直しなんて.....」
「いいよ~」
ドヤ顔で文句を言うクラスメイトに諭すように言う橘に、ぼけ~っとした表情を浮かべたキョーコ先生がOKサインを出したので、再度席替えのくじ引きが行われて......そこに、橘や桐崎、鶫のやり直しの申し出とキョーコ先生のOKサインが出る事.....12回目。
「よくわからん理由でやり直しが行っている為、これが正真正銘ラスト一回!その後の異論や文句は受けつけ~ん!!」
流石に色々と寛容なキョーコ先生も痺れを切らしたのか。これで最後のくじを引く事になった。並んでいる男子は女子と隣になりたいのか、天に祈りを捧げるように両手を合わせている傍ら....女子は〝やっと終わる〟っと肩の力が抜けたようなダラっとした感じで並んでいる。
「お、ここか」
「あ!」
くじに書かれている席に着くと隣から聞き馴染みのある声が聞こえた。
「え!?武広君!!」
「おぉ、小咲か」
席替えの席は最終的にまた小咲と隣になった。それと、主人公は桐崎と鶫の間の席になったっぽい。
席替えから約一か月後、全男子学生の嫉妬と羨望の視線が渦巻く
「おはようございます!森谷さん!」
「あ、あぁ....おはよう。春ちゃん」
挨拶を交わした小野寺春は、肩に担いでいるバッグから包装された箱を両手に持って俺へ差し出した。
「森谷さん!これ!どうぞ!お返し待ってます!では!」
「え!?あ、ありがとう....?」
怒涛の勢いに困惑している俺を、気にも留めず箱を渡してその場から立ち去って行った。受け取った(?)箱をバッグに詰めて、学校の飼育場へ向かった。
「......それにしても、すごい勢いだったなぁ。春ちゃん」
動物達に餌を与えながら、先程の小野寺春の事を思い返していた。恐らく受け取った箱にはチョコとかのお菓子が入っていると思う。気になるのはどうして今年だけ俺に渡したのか?ご近所付き合いならば春ちゃんが通う学校から遠い所からわざわざ渡しに来たのは......俺に好意があるのか?
「......好かれる切欠って、あったか?」
「ん?誰に好かれたのタケ」
「うおっ!びっくりした!急に耳元で囁くな。気持ち悪い」
「気持ち悪いとは心外だなぁ。ぼーっと立ってるタケを心配で来てやったのに」
「あ、ああ。悪い」
驚いてマジで心臓がびくってなったわ......今、何時だ?八時二十三分。ホームルームまで、七分前。やべ、本当にぼーっとし過ぎてた!
「急いで教室に戻るぞ!古田!」
「そうだな」
駆け足で古田と一緒に教室の方へと向かって走った。
何とかホームルームには間に合った。キョーコ先生の出席確認や連絡事項を話し終え、教室から出て行くのを確認した瞬間体から力が一気に抜けたように呟いた。
「はぁ~、焦った。遅刻扱いされずに済んだ」
「ふふっ、間に合ってよかったね。武広君」
「本当によかったわ」
「......」
「......」
一言二言話して、無言状態になって気まずい空気になったとは思わないが、小咲はそう思ったらしく小さく「あぅ」とか「ぇっと」等呟いてる。優しい優しい小咲の事だから、気を利かしてるのだろう。
〝あ、楽様!〟
〝橘!?何だ!その.....それは!〟
〝これは私の楽様への気持ちですわ!!〟
「(おお、流石橘って所か?色々とすげぇな)」
小野寺小咲side
う~ん、中々渡せないなぁ。折角美味しいチョコを作る事が出来たし!渡すタイミングで.....タイ....ミングで,
やっぱり緊張するよ。
「で?何時渡すの?今日中にじゃないと意味がないのよ。小咲」
「.....えっ!?るりちゃん。驚かさないでよ」
近くにいたるりちゃんに気づかないぐらい考え込んでみたい。
「るりちゃんの言ってる事はわかってるけど、どうしても萎縮しちゃうんだよ」
「知らないわよ。変に思い詰めるより....いっそのこと、気楽に渡しちゃいなよ」
「......出来たら、苦労しないよ」
そんな私にるりちゃんは深いため息を吐いた後、私の耳に囁いた。
「森谷君。如何やらチョコ......貰ったらしいわ。誰かは知らないけど」
「!?」
そ、そんな素振りなかった.....と思うんだけど!いつの間に武広君に渡したのだろう。飼育係の仕事をやってる時にかな?教室に入ってきた時には、チョコが入ってそうな箱とか紙袋を持ってなかったから違うよね?だれなんだろう......ん?
「るりちゃん。何で武広君が貰ったのを知ってるの?」
「さっき、森谷君と古田君が話しているのを聞いたからよ」
「そうなんだ」
「ちょうど森谷君、一人になったようね。行ってきな、小咲」
「う、うん。行ってくるね。.......やっぱり、無理だよぉ」
呆れた表情を浮かべたるりちゃんは頭を抑えた。
_放課後
タイミングは何回もあったのに、その都度ヘタレて渡せずに放課後になってしまった......!!私はいつもこういう時、ズルズルと先延ばしてしまう。るりちゃんが何度も背中を押してくれてるのに、何て情けないんだろう。小中三年間、渡したいのに結局渡せずに自分で処理する羽目になったけど!!放課後まで引き伸ばしたけど、渡しに行くぞ!頑張れ、私!
「あ、あの!待って、武広君!」
正門へ向かっている武広君に待つよう声を掛けた。
「どうした?小咲」
「こっ、これ!!受け取ってくれないかな?」
両手にチョコを乗せて渡した。
「俺にくれるのか?」
「うん。本当はもっと早く渡したかったけど」
「今、ここで食べてもいい?」
「是非!美味しく作れたから」
「......では、いただきます」
大丈夫だよね?何度も味見だってしたし、レシピ通りに作れたと思う。美味しく出来たよね?......よね?
「うん、美味しいよ。小咲」
「本当!?本当に!?よかった.....だって、これは」
「これは?(やべ、聞き返しちゃった)」
「.........特別な、義理だから」
「えっ」
「じゃ、じゃあまた明日ね!」
...........やった!
何か久しぶりに書いて、思ったのですが.......小咲の心情の書き方、ワンパターンな気がする。
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恋は乙女を変えるらしい
(エイプリルフールネタは)ないです。
早朝投稿だから許して、許して
目の前にこれ以上ない程のフラグが立ちそうな場に遭遇した事がある人おる?.....まぁ、俺なんだけどね!
詳しく話すと、如何にも〝自分不良です!〟そんな集団が凡矢理高の女子生徒をナンパをしている場に遭遇してしまった....此処で、さっと助けると変にフラグを立ててしまいそうなので、スルー....したいが、後々さらに面倒なフラグが立ちそうだから、此処は普通に助ける事にした。
「お嬢ちゃん。かわい~ね~、高校生?」
「学校なんていいから、俺達と遊ばない?」
「(あわわわわ~、せっかくあの人がいる高校に来たのに...!)」
「お巡りさん!こっちです!あそこに悪い人たちが!」
不良集団の後ろから大きな叫び声を上げた。〝お巡りさん〟に反応した不良集団は、その場から脱兎の如く走り去って行った。
「ふぅ、なんとか追い払えたな」
先程の言った事は、ただのハッタリでそれっぽく演技してみたら、意外と上手くいったのでホッと息を漏らした。絡まれていた女子生徒の方へ視線を向けると、そこには気を失った小野寺春が倒れていた。
このまま放置するのも人として問題があるので仕方がなく背負って、自分のと小野寺春のバッグを両手に持って学校の保健室へと足を進めた。
無事に?小野寺春を保健室へと連れて行き、面倒を保険医さんに頼んで教室に向かう道中に茶髪の三つ編み女子生徒とすれ違った瞬間、その女子生徒に既視感を覚え考え込みながらも、何とかホームルームには間に合った。
「二年生になっても、ギリギリだな!タケ」
「まぁ.....進級早々に面倒事に巻き込まれたからだな」
「ほう?ナンパされてた女の子でも助けたのかい?」
「エスパーかよ。正にその通りだよ」
そんな事を古田と話してたら、チャイムと同時にキョーコ先生が入ってきたので席へと戻った。
何気なしに廊下をぶらぶらと歩いていたら後ろから話し掛けられた。振り向くと両手に大量のプリントを抱え込んでいる小野寺春がいた。
「森谷先輩!」
「ん?.....春ちゃんか。どうした?」
「見かけたので声を掛けてみました。では、このプリントを職員室まで持っていかないとならないので」
「半分持とうか?」
流石にこの量のプリントを持っている女の子を放っておけないしな。
「え!いいんですか!お願いします!!」
「あ、あぁ」
ない
食い気味に来たのには驚いたけど、手助けするのは抵抗はない......にしても、小野寺春のクラスメイトの誰かしらは手助けしようとかしなかったのだろうか?
「一年生時に楽しかった行事って、何です?」
「え?.....強いて言えば、林間ぐらいかな?」
職員室に向かう間、春ちゃんから話題を振られたので思った事をそのまま返した。
「へぇ、そうなんですか。林間では、どんな事があったのですか?」
「山登り、カレー作り?それと......肝試しだったかな。春ちゃんはホラーって苦手だっけ?」
「そうですね。......あまり得意ではありませんね」
「話してたら、職員室に着いたな」
「ですね」
話を中断して本来の目的であるプリントを職員室に届ける為に中へと入った。小野寺春の担任の先生に無事に渡す事が出来た。上級生の男子である俺が付いてたのには驚きつつも褒めてくれた。
『失礼しました!』
「あれ?武広君と.....春?どうして二人が一緒に?」
俺と小野寺春が職員室を退室している所を小咲に見られたようだ。目撃した小咲はどことなく困惑とした表情を浮かべていた。
「あぁ、それは__」
「森谷先輩にプリントを運ぶのを手伝って貰ってたからね?」
「っ......そうなんだ~、ありがとうね?武広君」
「ま、まぁ....ね」
俺の発言に被せるように話しながら腕に抱きついてきた。...........え?何?急に抱き着いて来たの?
〝あれって.......?〟
〝え?......修羅場?〟
〝可愛い女の子達囲まれて、羨ましい!!〟
好奇の視線を向けられるんだって!周囲にいる人達に噂をされてモブになるという目標が遠のいてしまうのだが?これ以上、場に留まるのも更に悪化し兼ねないので二人を人気のない屋上の入り口まで引っ張って行った。
_屋上入り口前
如何にかあの場から離れる事には成功したものの、二人の様子がどことなく可笑しい。......ていうか、二人を何処かへ連れて行くのは拙いのでは?いや!あの場の空気はヤバかったし、この判断は間違って...ない....と思う。
「急に引っ張って、ごめん!ただあの場にいるのもマズいと思ったから」
「.....う、うん。大丈夫だよ」
「それはよかった。教室に戻ろっか?」
「だね!」
小咲も異変に気付いたのか......己の妹の変化に。俺が感じ取ったのは、屋上の入り口に辿り着いた瞬間だ。
「春ちゃんも戻ろう?」
「..........そうですね!!私も自分の教室に戻ります」
今まで見た事ない無表情だった小野寺春が、取り繕ったような笑顔を浮かべて自分の教室へと戻って行った。ぶっちゃけて言うと、幼い頃から小野寺家と関わりを持っていた俺と身内である小咲も俺と同じように不気味さを感じざるを得ない。俺達の知らない所で、彼女を大きく変える何かがあった事は分かった。学校のチャイムが鳴り響く音がはっきり聞こえる。
「..........お姉ちゃんには負けない」
終わり方が前回と同じだって?
仕方がないだろう!思いつかなかっただから!!(素直)
次話今すぐ上げれるかは分からん。
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送るプレゼントの意味を考えた事でもあんのか!
小野寺春side
今日は森谷さんとお出掛けする日。隣を歩いても恥じない様な服装にする為に、タンスからお気に入りの服を何着か引っ張り出した。その中から選りすぐりの服を決めるのを悩む事かれこれ約二時間半が経過した。
「......子供っぽい。......微妙。......露出が多い。」
「はぁ、そんなに悩んでたら、待ち惚けをくらうよ?武広君」
「わかっているけど~......いまいち決まらないの!」
「......小咲のプレゼント選びにそんなガチガチに行くと引かれるよ?」
「わかってるって!これにするから、お母さん部屋から出てってよ!!」
私の部屋から
「じゃあ、私出掛けて来るからね!」
「ん、いってらっしゃーい」
待ち合わせ場所は
「すいませーん!お待たせして」
「いや、俺の方が待ち合わせ時間よりも早く来てたからね」
待たせてしまったのにも関わらず、広い心で受け入れてくれる森谷さんに感心してしまった。ぼーっと顔を見つめていると目線を合わせて話始めた。
「今日は俺の用事に付き合わせてごめんね?」
「いえいえ、勉強する事以外は暇でしたので全然大丈夫です」
「それはよかった。女の子にプレゼント選ぶのが初めてだから、同性で小咲の事をよく知っている人って言ったら春ちゃんしかいないなと思って声を掛けたんだよね」
森谷さんの口から直接お姉ちゃんの名前呼びを聞くとモヤモヤする。でも、まだ二人は付き合っている訳じゃないし、二人の距離感的にも幼稚園からの付き合いがあったのに、高校に入ってやっと名前呼びになったからまだ結ばれる可能性だってある筈だ。
「それでどんな物を送るのかって決めてたりします?」
「うーーん。まぁ、貰って腐らないような物をにしようかなと考えてはいるけど」
「具体的に何かをプレゼントにする物は決まってない.....でいいですよね?」
これはチャンスかもしれない。恐らく森谷さんは異性に送るプレゼントの意味を理解しているようには見えない。ネックレス、財布.....ましてや指輪なんて送ったらお姉ちゃんの事だ。飛び跳ねるように喜ぶのは目に見えている。
「私としてはミサンガなんてどうでしょう?」
ここで森谷さんに〝ミサンガ〟を勧める理由はミサンガの異性に送った際の意味の中に〝陰ながら支えています〟〝応援しています〟といった事が込められており、遠回しに恋仲になる気はないと伝えるプレゼントを受け取ったお姉ちゃんの森谷さんに対する行動力を落とす狙いがある。
「じゃあ春ちゃんの言ったミサンガにしよう」
お姉ちゃんのプレゼントが決まり、目的のミサンガが売っているアクセサリーショップで赤とピンクのミサンガを梱包した後はフードコートで昼食を取り、森谷さんと手を繋いでデパート内にあるお店を見て回り、お家近くで別れて解散となった。
森谷武広side
『はぁ』
小咲のプレゼント選びから返って来て早々田辺さんと顔を向き合った状態でお互いに深いため息を吐いては視線を合わせるの繰り返しを五分程前から行っている。事の発端は、帰宅して直ぐに父さんと母さんに呼び出された俺と田辺さんは、何事だと緊張と不安に苛まれていた。
「........実はだな」
重い口を開けて話し始めた父さんの言葉に耳を傾けた。
「突然ですまないが、お前達は婚約関係になった。一体どういう訳なんだと思うのは当たり前.....なんだが、俺と華も要領をいまいち理解できてないんだ」
「.....ええ。実は黙っていたけど、お母さんは元々叉焼会ていうチャイニーズマフィアの一人娘でね?」
そこから長々と話している母さんには申し訳ないだけど、致命的に説明が下手すぎて中々頭に入らない。話している内容はとても大事な事だと分かるが、いまいち理解出来ていない俺は隣に座っている田辺さんは母さんが何を言っているのかと思いチラッと視線を向ける。
「......?」
如何やら田辺さんも俺と同じく分かっていない様子だった。話している内容をかいつまんでまとめると.....『母さんは叉焼会のボスの姉で、田辺さんはその護衛との事。何年か前にボスが亡くなり、後継者争いしている一部の幹部陣が何をトチ狂ったのか、ボスの姉の息子である俺と護衛の田辺さんとの間に出来た子供を後継者するという意見が上がり、婚約関係に至った』というのが事を説明してたっぽい。
「....はぁ、武広君。どうする?」
「....どうするも何も俺と田辺さんじゃ、どうしようもなくないですか?」
「ですよね」
叉焼会のお偉いさん達に今すぐ婚約関係を解消しろって文句を言っても、取り付く島もなく拒否される事だろう。そこで俺は一旦茶を濁す為に思い付いた案を田辺さんに話す。
「でも、そういう立ち振る舞いをしろとは強制されてないですし、今の所は気にせずに過ごしてみませんか?」
「.....確かにそうですね。現状はその考えで行きましょうか」
「もうすぐ中間があるので、失礼します」
「そうなの?頑張ってね!......部屋、出ましたか」
俺がリビングから立ち去ったのを確認した田辺さんは懐から携帯電話を取り出し何処かへ電話を掛けた。
『もしもし?どうだったかな。たっ......武広君の様子は?』
「最初は動揺していましたが、最終的に落ち着いてました」
『うーん。.....そっか、あの時から十年経ってるし、精神的に成長してるか』
「.....あの、本当に武広君と婚約関係にはありませんよね?」
『当たり前でしょ?彼は私の王子様だもん。こっちの騒動が治まったら行くからね?ありがとうね...バイバイ』
「はい。......武広君も大変な人に想われているなんてね」
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