ー 1から始める鎮守府運営 ーー (になにね)
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ー第1話ー 提督のするべきこと

エピローグ

 

 

2019年○月△△日。

 

ついにきた。いや、志望して入ったこの世界だ。きた

 

と言うより「訪れた」のほうが近いような気がする。

 

ここは「鎮守府」。

 

そう、あの有名な艦これで登場する場所だ。

 

が、この世界では違う。

 

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少しこの世界について話そう。

 

この世界は「深海棲艦」という謎の生物(?)により海

 

上、航空が途絶えた世界だ。一応陸路で繋がってはい

 

るがそれは国の中でしかない。

 

奴らが現れたのは今から5年前。

 

原油を運んでいた10万トンもあるタンカーが謎の攻撃

 

を受けたことから始まった。当時は何かの間違いでは

 

ないかと専門家を始め、世界でいろいろな憶測が飛び

 

交った。

 

が、時が進むにつれ、状況が変化した。

 

深海棲艦はタンカーだけでなく豪華客船を始めとした

 

一般人が乗っている船までをも攻撃し始めた。

各国は対応に追われた。

 

ある日、日本の首相官邸に一通の電文が届いた。

 

「これより我々は日本を始めとする世界各国への攻撃

 

を開始する。これは警告でもなんでもない。

 

これより24時間以内に始める。」

 

と。

 

この時までは、嘘だの冗談だのという風潮がながれて

 

いた。どうせどこかの馬鹿がした下らないことだろう

 

と。

 

が、、、

 

24時間後の午前7時。

 

突然、そういきなりだ。正確にいうと一瞬に近い。

 

東京を始めとする首都圏の空に黒い物体が現れた。

 

人々は空を見上げ、

 

「なんだあれ?」

 

となった。

 

が、数秒後、辺りを爆発が包み込んだ。

 

そう、爆弾が降ってきたのだ。しかも大量に、、、

 

あとは言わなくても分かるだろう。

 

首都圏は壊滅、死傷者は日本の総人口の3/1が出た。

 

が、防衛省は爆撃を受けたものの、建物が倒壊したり

 

はしなかった。首相は行方不明、つまり誰が指揮する

 

のか、この状況をどうするのか。そして誰が日本を導

 

くのか。

 

が、被害はこれだけでは終わらなかった。

 

どう時刻、全国にある海上自衛隊、航空自衛隊の基地

 

まで攻撃されていたのだ。

 

突然の攻撃に自衛隊は不意を突かれた形になった。

 

が、自衛隊である。すぐに指揮系統を復旧し、応戦し

 

始めた。海上自衛隊の護衛艦がCIWS、シースパロ

ー、

各種火器で、航空自衛隊もF-15を始めとする迎撃機を

 

上げ始めた。が、、、

 

攻撃が、一切、当たらないのだ。

 

いや、正確には当たってはいる。

 

が、どれだけ当てても、どれだけ撃っても、全く効かないのだ。

 

「なんだこいつら!?」

 

誰か叫んだ。

 

戦闘中の第一護衛大群の、護衛艦に爆弾が命中し、炎

 

上し始めた。

援護しようとするも次々とひっきりなしに降ってくる

 

爆弾という雨に、護衛艦は徐々に対応できなくなっていった。

 

また一隻、また一隻と、確実に戦力が削られていく。

 

そんな状況の中、護衛艦「しきしま」の艦長が命じた。

 

 

「残存艦艇は直ちに現海域を離脱。座標○○△△△に集合せよ!」

 

が、そのしきしまにも深海棲艦の爆弾が降り注いだ、、、。

 

結果は一目瞭然だった。全国の海上自衛隊、航空自衛

 

隊は壊滅した。

 

陸上自衛隊は、首都圏の復旧作業で全国から集められ

 

ていたため被害は逃れたものの、やはり攻撃を受けた

 

らしく、少なからぬ損害を受けた。

 

この報告を日本から受けた国連は、アメリカを始めと

 

する国連軍の派遣を決定した。

 

がその、国連軍も軽々と壊滅されてしまった。

 

日本中が絶望した。既に、アメリカは壊滅し、世界は

 

海上を封鎖され、通信も強力なジャミングにより不可

 

能となった。

 

経験のない状況。未知の敵「深海棲艦」。

 

誰もが諦めたその時。

 

ひとつの希望が訪れた。

 

それが「艦娘」

 

前世の軍艦の記憶を引き継いだ乙女たちだった。不思

 

議なことに彼女らの攻撃は深海棲艦に有効だった。そ

 

して、更に不思議なことは全員が太平洋戦争で散って

 

いった帝国海軍の艦艇の名前をしていたことだろう。

 

駆逐艦、軽巡洋艦、重巡洋艦、戦艦、空母、更に潜水

 

艦まで。

 

また、彼女らは、世界のために協力したいと言ってき

 

た。防衛省は彼女らを快く受け入れ、補給、整備など

 

支援を始めた。が、彼女らには協力する条件として1

 

つ求めてきた。

 

「私たちの基地をつくってほしい。」

 

そこで防衛省は、労働力を総動員して、巨大な基地を

 

建造した。それが鎮守府だった。

 

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前置きが長くなってすまなかった。話を戻そう。

 

さっきも言っていたが今日から俺は鎮守府に配属され

 

た。つまり、「提督」だ。

 

どんな子達がいるのか、俺に指揮できるのかという期

 

待と不安が混ざった気持ちで一歩踏み出した。

 

衛兵に、証明書を見せ門をくぐる。

 

まず、印象的だったのはその広さ。

 

どんだけだよというくらいに広い。

 

そして所狭しと建物が建っている。倉庫のような建物

 

や港で見かけるクレーン。更には工場のような場所ま

 

で。そして一番目についたのは執務室などがある建物

 

だった。

 

そこへ一歩踏み入れ、二階へ上がり執務室へ入る。そ

 

こには一人の女性、、、もとい少女が立っていた。

 

「貴方が新しい司令官?特型駆逐艦の曙よ。」

 

「、、、え、誰?」と思わず吹いてしまった。

 

「何よ、艦娘よ。文句ある?」

 

いや、文句というよりその容子に見とれてしまってい

 

た。

 

身長は140あるかぐらい。中学生が着ていそうな制服

 

を身につけ、長い髪を左側にまとめて流している。

 

よく見ると右の頭の上でかんざしで留めていた。

 

どれだけ時間がたっただろうか。

 

「、、、いつまでじろじろ見てんの?てか、こっち

 

見んな。このクソ提督!!」

 

この怒声ではっ、となった。よほと長く見とれてい

 

たらしい。恥ずかしい限りだ。

 

が、曙と名乗る少女が言った。

 

「あんた、今日からここの提督になるんだからもっ

 

とシャキッとしなさい!全く、、、。」

 

会ってすぐの人にこれだけ言えるのは凄いなぁと、

 

感心しながら、とりあえず服装をチェックし、異常

 

がないことを確認したあと、用意されている専用の

 

机と椅子に向かい、座る。

 

「、、、なにしてるの?」

 

曙から聞かれた。

 

「何って、、、だってすることないだろ?」

 

と言うと、

 

「はぁー!?あんた馬鹿じゃないの!?今日はあん

 

たの着任日でしょ!?皆に顔あわせないでどうすん

 

のよ!?」

 

また、怒られた、、、

 

しぶしぶ「すまない」と口にする。 曙は「ふん!」

 

と顔をそっぽに向けてしまった。あー、嫌われた?

 

などと思いつつ、

 

「とりあえずみんなに会いに行くか、、、曙ついて

 

きてくれる?」

 

と聞いてみた。

 

「はぁ?あんたまさか一人一人会いに行くわけ?」

 

「無論そうだg」

 

「ばっかじゃないの!?時間がどれだけあっても足

 

りないわよ!!」

 

「ですよねー。」

 

「はぁ、なんでこんな無能をおくってきたのかし

 

ら、、、いいから早く準備する!!」

 

「どこ行くの、、、?」

 

「食堂!!」

 

「分かったけどなんで?」

 

「全員がいるからでしょうが!!」

 

全員、全員、全員、、、

 

「一応聞くけど何人いるの?ここ」

 

「76人よ。」

 

「な、76、、、?」

 

バタッ。いきなり目の前が真っ暗になった。

 

「ちょっ!?なんで倒れてんのよ!?しっかりしな

 

さい!!」

 

誰かが側でそう叫んだが、やがて意識を失った。

 

どれくらいたったのだろう。

 

目を開けるとそこには白い天井。

 

時刻は夕方らしく、すこしまぶしい。

 

「あ、目が覚められましたか?」

 

突然声をかけられ、戸惑いながらも状況を確認するる。

 

「あ、あれ ここは?」

 

「医務室ですよ。艦娘の数を聞いただけで倒れる

 

提督は初めてですよ。」

 

ニヤニヤしながらこちらを見る軍医を少し睨んで

 

「私が寝てからどれくらいたちました?」

 

「んー、三時間くらいですね。」

 

以外と短い時間なんだなぁーと考えていると

 

バタン!

 

と、勢いよく扉が開いた。

 

開けたのは巫女のような服を着た女性だった。

 

「テートクー!」

 

突然のことに驚きながらも冷静に対処する。

 

「、、、誰?」

 

「テートクー!大丈夫デスカ!?」

 

「あのー、どちらさま?」

 

「おーっと、自己紹介がまだデシタネー!金剛型一番

 

艦の金剛デース!」

 

「金剛?、、、あの金剛!?」

 

「オウー!私を知っているのデスカ?」

 

「知ってるもなにも有名じゃないですか!!へー、金

 

剛の艦娘もいるんですねー!」

 

感心していると、「当たり前ネー!」

 

と言われた。俺は笑いながら、

 

「凄いですね。ここ」

 

ニコニコしながら聞いていると、金剛の顔が陰っ

 

た、、、。

 

「どうか、されました?」

 

ふと疑問になって聞いてみた。

 

「テートクーが、テートクーが優しそうな、人

で、、、良かったデース、、、。」

 

と言うと、ポロポロ泣き始めた。

 

「え!?あの、え!?」

 

キョドりながら、意味不明な言葉を繰り返す。提督としてどうすればいいのだろう。

 

とりあえず導きだした答えを口にしてみる。

 

「こ、金剛さん、おおお落ち着いてください。」

 

いや、落ち着くのはどっちだよ、と言わんばかりの視

 

線を軍医から感じた。

 

「とりあえず私は席を外します。」

 

と、軍医が席を立った。

 

「すいません、、、」

 

軍医に感謝しながら、金剛に泣いた訳を聞いた。

 

「そのー、どうして泣いたの?」

 

「、、、、、、」

 

泣いてすぐだからな、、、と思いながら、なんとか聞

 

いてみようと試みようとした時、

 

「話せば長くなりマース、、、。」

 

先ほどの抱きついてきた感じから日常がテンション高

 

めの娘であることは間違いない。その娘が、声を押さ

 

えている、、、。何かあったな、と、俺の脳内が直接

 

感じとった。

 

「ほんとに大丈夫か、、、?」

 

「、、、ハイ。」

 

「そうか、わかった。聞こう。」

 

優しい声で言った。金剛は目を上げてまた、涙を貯めた。

 

「実は、、、」

 

俺は話を聞くほどに怒りが渦巻いてきた。

 

金剛の話によると、俺が来る前までは別の提督がいたらしい。

 

その提督は、ブラックだったらしいのだ。

 

損傷しても、ドックに入れてもらえず、補給を頼めば

 

無視され、休みたいと言えば、殴られたそうだ。

 

金剛もよくみると顔にアザがところどころあった。

 

こんなに、綺麗な娘の、しかも守ってもらいながら、、、。

 

俺は無意識のうちに土下座していた。

 

「!テートクーどうして!?」

 

「すまない、、、本当にすまなかった、、、」

 

気づいたら俺も涙がでていた。金剛は突然のことにビックリしているらしく、息を飲んでいる感じだ。

 

「守ってもらいながら、君たちのような綺麗な娘を傷つけていた輩がいた。本当にすまない!!」

 

これは、金剛の話を聞いていた俺の本心だ。

 

「、、、顔をあげてくだサーイ。」

 

顔を上げる。

 

金剛も泣いていた。

 

「話をきいてくれてありがとうございマース。新しい提督が着任するときいて、、、夜も眠れなくて、、」

 

ギュッ、、、

 

気づいたら俺は金剛を守るように抱き締めていた。

 

「テ、テートクー!?」

 

「すまない。しばらくこうさせてくれ、、、。」

 

金剛は、おそるおそる手を俺の背中に回した。

 

しばらくして離れる。時間は一分くらいだったが、一時間のように感じた。

 

そして、離れた。金剛も離れてくれた。

 

俺はふと疑問に思い金剛に尋ねた。

 

「さっきの話だがこの鎮守府全員に当てはまるよな?

 

「そうデスネー。ほとんど当てはまりマース。」

 

「ほとんどってことは対象じゃない艦娘もいるのか?

 

思わず尋ねてしまった。しまった。と思ったがいってしまった。

 

「、、、そうデース、、、」

 

やはりか、、、。資料でみた練度が高い艦娘がそうなのだろう、、、。

 

「その他の娘たちは、、、」

 

やめろ。脳内でそう信号が発光する。

 

「部屋にいたり、食堂にいマース、、、。」

 

そうか、、、

 

そういったきり二人とも黙りこんでしまった。

 

「まぁ、そうだよな、、、」

 

思わず口にでていた。金剛は聞きとめたらしく、

 

「そんなことないデース!!テートクーは前の奴に比べたら優しいデース!!」

 

と声をはって言っていた。

 

頭をつい撫でてしまった。

 

「さて、頑張るか、、、。鎮守府運営、、、。」

 

「まずは、、、だな。」

 

そう、艦娘との信頼を取り戻すこと、、、。

 

提督業に暗い影が差し込んだ、、、。



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