ダンボール戦機 -イクサ- (幻宮 水希)
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事の始まり

まずは挨拶から、

はじめまして、この作品は見たとおり(?)レベルファイブさんの「ダンボール戦機」という作品の要素を使い、自分なりに、こういうのがあったら面

白いかな~。と思いながらダラダラ連載していくお話です。

文字を真ん中に寄せて書かないのは自分の好み……、では無く単なる初心者だからという訳で。


いきなりだが俺、陣我才人の元に、一通の手紙が届いた。

 

「どっから来たんだ?」

 

そう言いながらリビングのコタツ(今は冬だ)に入り、やけに豪華な文字が書いてある手紙の差出人を見てみると。

 

「LBXイクサの会ィ~?」

 

きっちりとした毛筆でそう書かれていた。やけにダサいネーミングセンスの団体だな。と思いながら受取人を見ると。

 

「ちゃんとオレの名前が書かれてる……」

 

もし誰か他の人の名前が書かれていたのなら、今の変なもやもやは無く、すっきりとした気持ちでその他人に押し付けていただろう。

 

「まあ、俺宛てだから内容ぐらいは見てやるか」

 

はあ、とため息をついて、裏面を見る。

 

「うおっ」

 

思わず声を出してしまった。そこには、ほとんど見たことのないLBX(全長15センチのホビー用小型ロボット)達が、一騎当千らしき事をしている写真が三つあった。その三つの写真を見て、思わずカッコイイと思ってしまったから声が出た。

 

今更だが俺もLBXプレイヤーだ。実力もそこそこある……と、思っている。一応大会も優勝した経験がある。

 

そして、かっこいい事が好きである。かっこいい事が、大好きであるっ!(ここ重要)

 

「よし行くか」

 

その写真に写っている三つのLBXがとてもかっこよく見えたから。さっきとは一転(自分で言っていいのか?)、物凄くLBXイクサの会に興味が出てきた。玄関を飛び出し、走り出す。

 

「おっと、危ない」

 

とっさに玄関の鍵を閉めた。防犯はしっかりしていないと、オレのかっこいいコレクション(プラモとか絵とか、そしてLBXも)達が危険な目にあう。

 

 

 

 

 

 

走って三分。

 

 

「さて、ここが手紙に書かれていた場所だな」

 

あまり、というか全然人気の無い廃工場に着いた。

 

「さて……」

 

どうしよう?この手紙にはここまで来いとしか書かれていない。どうすればいい。

 

「誰かー いませんかー」

 

情けなくそう言ってしまった。だって頼るものが無いんだもん。

 

「はい、ここにいます」

 

「うわああっ」

 

いつの間に後ろに居たんだ? という疑問を持ちながら。オレは問う。

 

「この手紙の関係者か」

 

俺が手紙を突き出した先にいる彼女は、可愛い笑みを返し、答えてくれた。

 

「はいそうです。この度才人様のナビゲーションをさせてもらう、長谷 裕香(はせ ゆうか)です。ちなみにこの会の創始者の孫娘です」

 

今エライ事をさらっと口にしたのはあまり突っ込まないでおこう。下手したらこのまま回れ右をして帰らされてしまうかもしれないという恐怖があるから。

 

「では、今から才人さんの軍へご案内しますね」

 

 

それはそうと、LBXイクサの会。ナビゲーションの人をつけてくれるなんてえらく親切じゃないか。

 

「では、この部屋が才人様の率いる軍です。名前はまだ決まっておりませんので、もし決まったのならば、私に言ってください。その軍名で登録がされます。では、私は用事があるのでここで」

 

そうか。と生返事を返すよりも早く彼女は走って長い廊下の向こうへ行ってしまった。大変なんだなあ。と、あの髪の毛の量でよくあそこまで早く走れるな。と思った。

 

「すうううう、はあああああああああ」

 

深呼吸をする。

 

「俺、いきなり将軍か」

 

そう言うと、思わず顔が緩み、にんまりしてしまう。さっきまで彼女が説明してくれたので、ある程度知識があるので説明をしよう。

 

将軍というのはその名の通り、自分の軍を持ち、指揮をする。他のLBXプレイヤーとは違い、十人に一人ぐらいの確率でなれる。というレアなものらしい。

 

オレはその位を入りながらにして持っているので。選ばれた者という事だろう。いや、絶対にそうだ。その緊張のせいで、さっき深呼吸をした。

 

「待っててくれよぅ」

 

うきうきしながら、鏡で今の顔を見たら気持ち悪いと思えるぐらいにやけているだろうオレは、鉄製の引き戸をあける。

 

「オレの家臣たちイイイッ」

 

ドアを開けると、後ろから漫画のようなパンチ発射装置のパンチをくらい、ドアの向こう五十センチぐらいのところに吹っ飛び、思いっきり顔面を強打する。 ちなみに……、家臣って言うのは…………、将軍に従う………………、LBXプレイヤーの事ね…………。

 

 

 

「はっ、ここはどこ、私は才人」

 

気絶してからどれだけ時間が経ったかは知らないが、ちゃんと記憶があるので良かった。そして辺りを見回す。

 

「ここはどこ?」

 

さっきの反射的なボケとは違い、今度はマジだ。なんと、辺りが戦国漫画に出てくるような木々や民家、そして城が建っているのだ。

 

「タイムスリップデモしたのか?」

 

そういい首をかしげ、あごに手を当てると、違和感を感じた。

 

あれ、この体、少しおかしいぞ。

 

そう思い、自分の手を見る。

 

「うわああああああああああああああああああああっ」

 

なんと、自分の手、というか腕全体がロボットになっていた。そして肩、胴体、脚、と順番に見ていく、そして最後に手で顔を触ってみると、明らかに人間じゃない感触がした。

 

「もしかして……、俺、ロボットになっちゃったの!? どうしよう。というか、今ここでどうすればいいんだ!」

 

そう叫んでいると、敵だ!という機械音声が聞こえた。声がする方を見ると、

 

「オバケLBXだ……」

 

なんと、自分と同じ大きさのLBXが三体もいたのだ。しかもそのLBXがこちらにやってきたので、恐怖は倍増。しかも刀を持っている。

 

「このままじゃやばいだろ……」

 

いや、相手だけでなく、こちらもロボットだ、相手がLBXという事から察して、こちらもそうなのだろう。そしてオレはLBXの大会に一回優勝した自信があるし、

 

「こんなところで終わったら格好つかないしな」

 

そう、かっこいい感じに終わらせたい。だからまずは、

 

「かかって来い!」

 

三体のうちの何とかはがす事にする。

 

三体がこちらに来る。それと同時に俺は近くにあった小屋に隠れ、そこから反対側へ移動する。

 

それから、三体のうち二体が先に入ると同時に、後ろを警戒していた三体目に後ろから乗っかり、手に持っていた片手剣を奪い、そのコアパーツど真ん中にブッ刺す。と、爆発せずに青い波紋のような光を出して動きが止まった。

 

「普通にブレイクオーバーされるんだな」

 

あのまま機体が爆発していたらこちらは大変な事になっていただろう。

 

「お」

 

他の二体が音に気付き、オレに向かって走ってくる。しかし、俺はもう武器を持っている。

 

「丁度メイン武器が片手剣一本だったから助かったぜ」

 

敵の一機目が剣でこちらののど元を突こうとするが、首は当たる面積が小さいので横に少し移動するだけで完全にかわし、その腕を手で持ち攻撃を封じる。

その後ろから跳躍し、上から槍で突こうとする二機目に一機目を投げぶつける。と同時にこちらもジャンプし、狙って重ねた首を二つまとめて一薙ぎにする。そして着地。こういう時は爆発して欲しいな。カッコイイから。

 

「まあ、勝てたんだからいいか」

 

さて次は、と思ったところで、いきなり画面が現れる。

 

「おわっ」

 

その画面には裕香が映っている。その彼女がこちらが見ていることに気付くと、深々と頭を下げた。

 

『すみません。回線をつなげるのに時間がかかってしまいました。今はあたりに敵の反応は無いですが、大丈夫ですか?』

 

いきなり変な場所に放り出されて浪花分からなくて大変だ。と思ってたけど。何だ回線トラブルか。と安心した。

 

「ああ、この通り、得物もあるし、ほら」

 

『うわっ。もう三機全て倒したんですか?』

 

「ああ、この通り。って言うか、いきなりなんなんだこれ? 危うく死に掛けそうになったぞ」

 

俺が怒り気味なのを気にせず彼女は喋る。

 

『実はこれ、ちゃんとこのシステムで動くかどうかのテストをしていたんです。…………、回線トラブルって言うのはもっぱらの嘘なんですよね』

 

「何か言ったか?」

 

『いいえ何も』

 

「ならいいんだ。で、この状態って、元に戻る事って出来るのか?」

 

そう問うと、彼女は残念そうな、そして真剣な顔をする。え、まさか。

 

「もしかして、元に戻れないってパターン!?」

 

そりゃあないぜ。と思ったところで、彼女が一言。

 

『いえ、簡単に戻れますよ。今映っているウィンドウの左下のメニューボタンを押すと、そこから出てくる一覧の一番下にログアウトボタンがあるのでそれを押してください』

 

「なんだ、良かった」

 

ここでへなへなと座り込みそうになる所だが、このLBXの体は脚の関節が90度までしか曲がらないので、ガシャンという音を立てて尻もちをついた。

 

このままじゃ格好がつかない。ログアウトっと。

 

ボタンを押すと、急に意識が遠のく……

 

 

 

「よし、戻った。ちゃんとオレの体だ」

 

気が付いたら変な機械的な空間に閉じ込められていた。それが急に開くと、椅子が自動で床まで降り、足がつく。

 

そして目の前にいる裕香と目が合う。

 

「テスト、お疲れ様でした。あとこれが、才人様が使っていた、ここの創始者が用意したここ専用のLBXです」

 

そして受け取ったのはLBXショウグン。

 

「ってそのまんまかよッ!!」

 

将軍にショウグン、そしてあの時の漫画風パンチングマシーン。

 

「いい趣味してるね。アンタのじいちゃん」

 

「はい」

 

彼女は自信満々で俺の皮肉を受け取った。ああ、コイツの将来が楽しみだ。

 

「それと、これ、ここの戦いに関するガイドマニュアルですので、明日までにはちゃんと読み終えてください」

 

そう言われ、直径二センチ、幅20センチの巻物を渡される。ホント、良い趣味してやがる。

 

「じゃあ、また」

 

どれだけ時間が経っているのか分からないので、早めに帰ることにする。

 

「はい、あと、ここに関する情報をここの関係者以外に話すと、大変な事になるので注意してください」

 

「へえ、他言禁止ってことか。ちなみにもし他人に話したら?」

 

「強制的にLBXにさせた上での、市中引き回しの上で獄門です」

 

「公事方御定書かよ!」

 

この言葉を笑顔で言う彼女と、そんな事まで昔にする(あと内容がひどい)彼女の爺さんは恐ろしいと思った。




やっと二話が終わりました。ここから挽回していけばいいなと思っているので。期待するかどうかはさておき、この作品をライトに(要するに軽く)読んでください。


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初陣

「では、この部屋が才人様の率いる軍です。名前はまだ決まっておりませんので、もし決まったのならば、私に言ってください。その軍名で登録がされます。では、私は用事があるのでここで」

 

そうか。と生返事を返すよりも早く彼女は走って長い廊下の向こうへ行ってしまった。大変なんだなあ。と、あの髪の毛の量でよくあそこまで早く走れるな。と思った。

 

「すうううう、はあああああああああ」

 

深呼吸をする。

 

「俺、いきなり将軍か」

 

そう言うと、思わず顔が緩み、にんまりしてしまう。さっきまで彼女が説明してくれたので、ある程度知識があるので説明をしよう。

 

将軍というのはその名の通り、自分の軍を持ち、指揮をする。他のLBXプレイヤーとは違い、十人に一人ぐらいの確率でなれる。というレアなものらしい。

 

オレはその位を入りながらにして持っているので。選ばれた者という事だろう。いや、絶対にそうだ。その緊張のせいで、さっき深呼吸をした。

 

「待っててくれよぅ」

 

うきうきしながら、鏡で今の顔を見たら気持ち悪いと思えるぐらいにやけているだろうオレは、鉄製の引き戸をあける。

 

「オレの家臣たちイイイッ」

 

ドアを開けると、後ろから漫画のようなパンチ発射装置のパンチをくらい、ドアの向こう五十センチぐらいのところに吹っ飛び、思いっきり顔面を強打する。 ちなみに……、家臣って言うのは…………、将軍に従う………………、LBXプレイヤーの事ね…………。

 

 

 

「はっ、ここはどこ、私は才人」

 

気絶してからどれだけ時間が経ったかは知らないが、ちゃんと記憶があるので良かった。そして辺りを見回す。

 

「ここはどこ?」

 

さっきの反射的なボケとは違い、今度はマジだ。なんと、辺りが戦国漫画に出てくるような木々や民家、そして城が建っているのだ。

 

「タイムスリップデモしたのか?」

 

そういい首をかしげ、あごに手を当てると、違和感を感じた。

 

あれ、この体、少しおかしいぞ。

 

そう思い、自分の手を見る。

 

「うわああああああああああああああああああああっ」

 

なんと、自分の手、というか腕全体がロボットになっていた。そして肩、胴体、脚、と順番に見ていく、そして最後に手で顔を触ってみると、明らかに人間じゃない感触がした。

 

「もしかして……、俺、ロボットになっちゃったの!? どうしよう。というか、今ここでどうすればいいんだ!」

 

そう叫んでいると、敵だ!という機械音声が聞こえた。声がする方を見ると、

 

「オバケLBXだ……」

 

なんと、自分と同じ大きさのLBXが三体もいたのだ。しかもそのLBXがこちらにやってきたので、恐怖は倍増。しかも刀を持っている。

 

「このままじゃやばいだろ……」

 

いや、相手だけでなく、こちらもロボットだ、相手がLBXという事から察して、こちらもそうなのだろう。そしてオレはLBXの大会に一回優勝した自信があるし、

 

「こんなところで終わったら格好つかないしな」

 

そう、かっこいい感じに終わらせたい。だからまずは、

 

「かかって来い!」

 

三体のうちの何とかはがす事にする。

 

三体がこちらに来る。それと同時に俺は近くにあった小屋に隠れ、そこから反対側へ移動する。

 

それから、三体のうち二体が先に入ると同時に、後ろを警戒していた三体目に後ろから乗っかり、手に持っていた片手剣を奪い、そのコアパーツど真ん中にブッ刺す。と、爆発せずに青い波紋のような光を出して動きが止まった。

 

「普通にブレイクオーバーされるんだな」

 

あのまま機体が爆発していたらこちらは大変な事になっていただろう。

 

「お」

 

他の二体が音に気付き、オレに向かって走ってくる。しかし、俺はもう武器を持っている。

 

「丁度メイン武器が片手剣一本だったから助かったぜ」

 

敵の一機目が剣でこちらののど元を突こうとするが、首は当たる面積が小さいので横に少し移動するだけで完全にかわし、その腕を手で持ち攻撃を封じる。

その後ろから跳躍し、上から槍で突こうとする二機目に一機目を投げぶつける。と同時にこちらもジャンプし、狙って重ねた首を二つまとめて一薙ぎにする。そして着地。こういう時は爆発して欲しいな。カッコイイから。

 

「まあ、勝てたんだからいいか」

 

 

 

 

 

 




まだ途中までしか書いてないので、すみません。


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仲間

これは主人公のこの戦いにおける仲間たちを紹介するようなお話です。


「ああ~、まだ昨日の疲れが取れてないや」

 

昨日のLBXバトルのテスト、実際に経過した時間は30分程だったし、人体とLBXは疲れを共有しないらしいが、精神的疲れと、説明書的巻物を読むのにかなり時間がかかったことによって、朝起きた時には10時になっていた。今日が日曜日だというのが幸いし、体はいつも通りだ。でも、精神的疲れは取れていない。

 

「よし、ここだな」

 

昨日裕香につれて貰った場所に行き、LBXイクサの会のドア(壊れかけたマンションのドアに見えるが、顔認証によって特別な道に通じるシステムがある)を通り、巻物に書かれたとおりの、自分の軍の専用部屋へ入る。

 

「家臣たちよ、俺が将軍だ!」

 

昨日三秒で考え付いたかっこよさそうなセリフを言い中に入ると、目の前からいきなり昨日のパンチが飛び出してきた。

 

「うおうっ」

 

昨日が昨日だったので、今日は難なく避ける事が出来た。

 

「すごいね~その身体能力。今度解剖させてくれないかな~」

 

そのパンチの発射元から、ねばっとした感じの少年の声がした。そのを見てみると、分厚いコートを着ている小4ぐらいの少年が見えた。その目はかなり疲れた感じのたれ目だ。普通たれ目の人を見たときにに感じるやさしさは一切感じない。

 

よいしょっと、とこいつが言うと、パンチが一瞬にしてDキューブみたいな箱にしまわれた。

 

「すごい技術だな。もしかしてお前がここのメカニックなのか」

 

そう言うと、コイツはノンノンと気取ったように否定し、訂正する。

 

「僕はここの実験実行係、通称奇跡の科学者、の道、数有(みち かずあり)通称カズさ。メカニックはどちらかといえば副業のはずなんだけど、この軍は僕以外に着たい調整が上手いやつはいないからね。全部僕に一任さ」

 

他の同年代と比べ自信に満ち溢れ、狂ったような感じがするのが気味悪い。と思った。

 

「へえ、凄いんだな」

 

まあ、ここで嫌な顔して軍の連携が乱れたら困るな。と思ってほめた。

 

「ああすごいさ!」

 

ほめるとはしゃぐ。ここらへんの反応は年相応だな。と思った。

 

「じゃあ皆。どんどん自己紹介してって!」

 

カズが勝手に指揮しているが、ここは放っておこう。

 

「じゃあまずは私から」

 

奥で腕組みをしながら仏頂面で座っていたかなりモデル体形だが背が俺より低いので可愛さが残る少女(オレとたいして年は変わらないだろう)は、オレの近くまで来て、仁王立ちをした。

 

「ふうんっ」

 

ガツッとオレの鼻に頭突きをしてきた。

 

「痛いじゃないか!」

 

俺がそう論撃すると、彼女は俺のむなぐらを掴み、鋭い目で睨む。

 

「貴様がここの将軍になったことをよく思わない者がいるということもよく覚えておけ!」

 

そうまくし立てたあと、フン。と言い振り返る。と、彼女のポニーテールがバシンと当たる。かなり痛い。そして彼女は個人部屋兼LBXの操縦部屋へ入り、鍵を閉めた。

 

「まあ、気にしないでくれ才人。彼女、ちなみに名前は剣崎 直刃(けんざき すぐは)、はここの元リーダーだったんだ」

 

そう言い立ち上がったのは、

 

「勇気!」

 

オレの知り合い。というか勝手に俺が突っかかっていくだけだった存在。 高峰 勇気(たかみね ゆうき)だ。学校一のかっこいい奴だ。

 

「知り合いだったんだ」

 

カズが意外そうに俺達を見ている。

 

「ああ。といっても、コイツが勝手にこっちに突っかかってるだけなんだけどな」

 

「ありゃ。そうだったの」

 

「でも今日からはちゃんとした仲間だ。よろしく」

 

「ああ」

 

いま、ここに新たな友情が芽生えた。なんだかカッコイイシーンだよな。

 

「あと、椅子に座って紅茶飲んでいる金髪天パロングヘヤーの貴族風の奴がサヴァン、エリタック。通称貴公子で、もう一人、お前の後ろにいるいかにも亡霊っぽいのがのが三木 健二(みき けんじ)だ。

 

うわっ。と驚く。のは勇気の方だ。俺が彼の存在に気付いていたからだろう。

 

「じゃあまず、君のLBXを僕に預けてくれないかな~」

 

いきなりのセリフだが。メカニックだから当然か。と思い。ああいいぜ。と軽く了承し、ショウグンを渡す。と同時にカズはオレのLBXを高々と上げ他の家臣達に見せる。

 

「見てくれよ! 将軍がショウグン持ってきてやってきたぞ!」

 

そういうや否や、俺のショウグンを持ったまま床に倒れ。なぁ――っはっはっは。と大笑いする。

 

「マジかよ。これは傑作だ」

 

と勇気は腹を抱え、

 

「ぷくく……」

 

と健二はこらえ。

 

「ズズズ……」

 

貴公子は優雅に紅茶を飲んでいた。揺るがない精神ってやつか。

 

「なあ、直刃さんも、気になるんだったらこっちに来たらどう?」

 

そうオレが言うと、ドアを少しあけこちらを気にしていた彼女は、フン。と言いドアを閉めた。

 

ただし、ゆっくりと。

 

静かになり、勇気がピッキングをして彼女を部屋から引きずり出したあと、俺は貴公子から紅茶を貰い(彼なりの仲間の儀式らしい)、席に着く。

 

「それにしても、皆こんな感じの軍なのか? 特に人数」

 

そうオレが言うと。皆はだんまりする。どんな感じかと言うと、勇気はあはは、と作り笑いをし、カズは自分の部屋へ行き、(オレのLBXが!)貴公子は紅茶をじっと見る。健二は部屋の隅へ行き、直刃は奥歯をギリッと食いしばる。

 

「まあ、お前が初心者だからこういうのは教えておかないといけないよな」

 

言いかよく聞け。と勇気に言われたので、やばい事を言ってしまったと直感で分かった。

 

「この軍、武装神、いや、今は名無しだが、とにかくこの軍は、全部で9つある群のうち、一番小規模で少人数の軍なんだ…………、あと一番戦力が無い」

 

そうか、そりゃ軍の事を言われたらこうなるな。

 

「ごめんな。なんか」

 

「そんなの気に……」

 

といったところで直刃が勇気を睨んだので、だんまりする。この状況で、何かしたのか、とは言えない。勇気が何かの一撃を食らうだろう。

 

「だいじょうぶさ」

 

「「「え?」」」

 

「だから、この軍は大丈夫だって言ってるだろ。安心しろ。俺がこの状況をドバーンと変えてやるから」

 

そう、カッコイイ事が好きだから、絶対にかっこ悪く負ける事はさせない。

 

  パシーンッ

 

「そのような楽観的な事は二度と言うな!」

 

左頬をぶたれたのだが、最初は音にしか気付かなかった。彼女はそれからそっぽを向き、自分の部屋へ走り出した。

 

その頬に涙が流れているのを俺は確かに見た。




三話目はこれで終わりです、次はやっと軍での戦いなので、活目するかどうかはさておき、気には留めておいてください。あとできれば質問、感想をください、答えたり、悪いところを直したりするので。お願いします。


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特攻

 ビーッ、ビーッ

 

「何だ!」

 

「皆、出撃だ」

 

勇気がそう言うや否、俺を除く全員が自分の部屋へ入り、準備する。

 

「なあ、一体なんなんだ今の警笛」

 

その質問に答えてくれたのは、意外な事に直刃だった。

 

「この警笛は敵が出撃した事を知らせるものだ。ぼうとしているとこの軍が消えるぞ! ……何故貴様などがこの軍の将軍になったのだ」

 

彼女はそう言い残して自分の部屋、いや、LBXの操縦室へと入っていく。

 

「といっても、あの巻物形説明書には書いてなかったんだよな」

 

穴が開くほど読んだので間違いなく書いてなかった。

 

「それより今は出撃するか」

 

軍の家臣が出ているのに将軍が出なかったら面子が丸つぶれだ。俺は自分の部屋へと入り、LBXを……、

 

「しまった! オレのショウグン、まだカズの部屋だった」

 

 

 

「遅いぞ! だから貴様など……」

 

「いや、今回は僕の責任だから。ごめんねリーダー」

 

「いや、いいんだ、あとリーダーはこそばゆいから、才人でいいよ」

 

「分かったよ才人」

 

戦場に、その中の自陣に来るまでに直刃が周りにいた全ての敵を殲滅してしまったらしく、今はあたりに歩兵(軍に一つ在る専用のコンピュータで一気に動かす兵、クノイチ、ムシャ、ウォーリアー、デクーの四タイプあるが、この軍はそんなに数が無いため、修理しやすいデクータイプを使っている)を配置させている事意外あまり警戒をしていない。

 

「そういえば……」

 

俺は直刃、勇気、カズ、健二、そして貴公子の順にLBXの体をまじまじと見る。直刃は、破廉恥だぞ、と言いオレに襲い掛かりそうになったが、貴公子が華麗にそれを止めた。

 

「みんなのLBXって、全部カッコイイオリジナルの物ばっかりじゃないか!」

 

俺のショウグンもカッコイイけど、皆のLBXを見ているとかすんで見えてくる。何だこの悲しい現実は。

 

「なあ、皆って最初からそんなにカッコイイLBXだったのか?」

 

俺は半泣き(といってもLBXに涙を流す機能は無い)状態で皆に問いかける。

 

「いや、俺らは元々ちがうLBXだったぜ、それこそクノイチとかウォーリアーとか」

 

そのことばに皆は頷く。そうだったんだ。

 

「もしLBXを変更したいなら、敵の将軍、もしくは家臣のLBXを倒すと、ソイツが仲間になるか機体の中にあるLBXや武器の設計図を手に入れるか選択できるんだ。俺たちの大半がそうして機体をてにいれたんだ。まあ、貴公子はこの時代風の機体が似合わないっていう理由でフルスクラッチで機体を作ってきたんだけどな」

 

フルスクラッチ! と驚いた後、カズや直刃ににさっきの事は本当か聞く。と、二人とも頷いた。

 

「………………………………」

 

「どうしたんだ?」

 

「よぉぉぉぉっしゃああああああああ!!!」

 

「どうしたんだ、急に」

 

「手に入れてやるぜ、カッコイイ機体」

 

俺はウィンドウの索敵機能を使い、ここから一番近い軍を探し、走る」

 

「おおおおおおおおおっ!」

 

 

 

走り去っていく才人を追いかけようとしたが、直刃が止める。

 

「勇気、別に行く事自体は構わないが、絶対に手助けはするな」

 

「え、なん……」

 

「分かったか!」

 

「はい……」

 

こういうのに抵抗したら即退場だから、気をつけたい。

 

「ここは私たちに任せておけ」

 

「おう」

 

そう言い残してから俺は才人の後を追いかけた。

 

 

 

「将軍、家臣、はいねがぁぁぁあああああ!」

 

なまはげ語になっているのに気付かず、俺は軍〈戦国RANSER〉の入り口に入り、歩兵を片っ端から切り倒し、殴り倒しながら進み、その途中で俺を倒そうと寄ってくる家臣たちを必殺ファンクションで一薙ぎにする。この将軍だけのオリジナル技、〈斬場の一閃〉である。ゲージを5も消費するくせに超技ではない。しかし一帯を地面ごと切り伏せることができるので、便利だと思っている。

 

「よっしゃああ! 武器データ3つゲットォォオオ!」

 

と、勢いに乗ったところで屈強な家臣が出てくる。

 

「家臣、豪三郎、参る」

 

LBX、ZX3二号機を改良した機体、ベンケイを駆使してくる家臣だという情報は、ナビである裕香から今聞いた。

 

「ふうんっ」

 

相手がとてつもない速さで三椏の槍を振り回したが、間合いから離れ、槍が向こうを向いた隙に接近し、武器の中間を切り、得物がなくなった相手の腹に一発お見舞いしようとしたとたん。ベンケイの豪腕がオレの機体を掴み、ギリギリと締め上げる。

 

「皆の物、我ごとこやつを撃て!」

 

彼がそう言うと、回りの歩兵が一斉にこちらに撃って来る。が、残念だったな。俺は彼を軸にして180度回転し、攻撃が多い方を食らわせる。少ない方は食らっても装甲が少し傷つくだけなので大丈夫だ。

 

「ぬおおおおおおっ」

 

彼は銃撃を耐え抜いたのだが、ダメージはでかい。

 

「ライフだけ削ってやるから安心しろ」

 

俺は相手の装甲を上手い事急所を外して切り裂き、ライフを0にさせる。

 

「よおおおおおおおおし、機体データだああああああ!」

 

その調子で場外へと出る。そこに家臣の反応があったからだ。

 

「この森の中にいるんだよな」

 

姿は見えない。しかし、第六感で感じる。

 

「ありゃりゃ、こんなとこにたんどくでくるなんて、とんだおばかさんだね」

 

「そこかッ!」

 

ザクッ、と剣が刺したのは木だ。声のした場所には誰もいない。

 

「そんなこうどう、みえみえだよ」

 

相手が後ろからいきなり現れ、クナイ形の武器でオレの背中を切り裂こうとした。しかし、こんなのでやられてはカッコイイ気体が手に入らない。と反射的に思った俺は、クナイをジャンプで回避し、剣を木から抜き取り、その木を蹴って相手に飛びつく。

 

「だりゃあ!」

 

「おっと」

 

相手は攻撃を軽業師のようなバック転でよけ、、ささっと逃げる。

 

「待ちやがれぇぇぇっ」

 

俺は相手が逃げた方向へ駆けると、開けた土地になる、その周りを、クノイチタイプの歩兵が8体と、リーダー機い一体が、全員マシンガンを構え、今にも撃とうとしていた。

 

「きみはやばんだから、こうするのもかんたんだよ。えっときみは………………、! …………へえ、あのじゃくしょうぐんのしんりーだーか」

 

相手がウィンドウでオレの事を調べると同時に、俺は脳からの命令でウィンドウを開く。あいつは、三番目に大規模な軍の家臣、その中でも上の方にいるやつか。名前は公表されないが、その代わり顔写真が出てくるのでそれを確認する。

 

「幼女か」

 

うちのカズより年下だな。

 

「ねえ」

 

「んん」

 

相手はオレの事を見上げるように(人間ならば上目遣いだろう)して言う。

 

「とりひきをしない? そのないようはね、あなたがわたしにぐんのすべてのしきけんをわたしてくれたらみのがして、わたしのいちばんのけらいにしてあげる」

 

「もし断ったら蜂の巣なんだろうな」

 

そう言うと彼女は嬉しそうに跳ねる。

 

「せーいかーい。おにいさん、かしこいんだね」

 

「それはどうも」

 

「で、こうしょうは、のむ?」

 

「そんなの決まってるだろう」

 

俺がそう言うと、彼女は期待するような感じで(しかしLBXなので分かりづらいと思いがちだが、相手はわくわく、と何回も声に出していっているから)答えを聞き入る。

 

「断る! さあ蜂の巣にでもして見せろ!」

 

そう言うと、彼女の期待は目に分かるほど壊れたようで、これもまた目で見て分かるような怒りのオーラが沸き立ち、あたりが震撼する。

 

「もうおにいさんのことなんてしらない! はちのすだー!」

 

彼女がマシンガンを撃つのと合わせて、他の機体も銃を撃つ。がしかし!俺はそれを剣を使い、勘を頼りに弾きながらクノイチタイプを片っ端から切り伏せ、相手の機体だけを残し、その首筋に剣を突きつける。

 

「降参してくれ、到底君を傷つけようとは思えない」

 

その言葉を聞くと、最初はうわああああ、という壊れた気合が、うわああああ、という泣き声に変わった。

 

「どうぞすきにしてください」

 

そう言うと、彼女はメニューの降参ボタンを押し、そこのイエスを選択する。

 

「そうだな、じゃあ、君の方を貰おう」

 

この子、というか今はLBXだが、そいつを見ると、何故だかデータを奪う気が失せた。

 

彼女は、ぱああ、と明るい感じになった。そして機体の接続が切れる。

 

「もしかして、追放されたのか?」

 

そういえば新しい軍に入る前、どうやって変わるのかは気になってはいたけど、まさかこんな感じだったなんて。

 

俺は彼女の機体を抱えると、自陣へと走った。

 

 

 

「はじめまして、みやの るり(宮野 瑠璃)です。これからよろしくおねがいします」

 

元の体に戻り、オレの軍のリビングで彼女を向迎え入れた。

 

「という訳で新しく仲間になったから、この子の事をよろしく」

 

勇気をはじめ、ほとんどの団員が歓迎してくれた。人員が増えたからだろう。

 

「で、カズ、機体や武器のデータ、復元お願い」

 

あいよ。と了承し、カズは部屋に入った。

 

「一人ながらも、よくやったな」

 

お、珍しく直刃が俺を良い方向で見た。そして表情がやさしい。さらに可愛い!

 

「む」

 

瑠璃が直刃を見る。

 

「なんだ」

 

直刃が睨む。

 

オレの目には彼女達の間で火花が散った幻覚が見えた。

 

 

 




一日一話って結構疲れますね。文は簡単な気がするけど。



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技術

 

 

「今日はどうするんだ?」

 

先日仲間を手に入れた俺達だが、それは元々の予定上一切無かったことで。というか俺が勝手に暴れただけであって……。

 

「今日は宿題でもやったらどうだ?」

 

勇気がそういうが、

 

「今日の奴はもう一週間も前に終わってるから、暇なんだよ。明日はプリントだし」

 

「えっ。それはすごい……」

 

勇気は何かぶつぶつ言ってるが、余計な事は気にしない。

 

辺りを見まわすと、貴公子は買い物(お気に入りの紅茶が切れたらしい)に行ったからいない。カズはオレの新しい機体を作っているためこもっており、直刃はそばにいるが、いつもどおりつんけんしているのでこちらから近づく事はまず無い。

 

「あ、おにいちゃん」

 

ドアを開けて現れたのは、唯一暇そうな小学三年生の少女、瑠璃だ。最初に会ったときはお兄さんと呼ばれていたが、仲間に入ってからはいきなりそう呼ばれた。その時のみんなの生易しい目は記憶に新しい。

 

「なあ、皆忙しいみたいだから、どうにか襲撃までに暇をつぶせないかな?」

 

そうオレが言うと、彼女は喜んで答える。

 

「じゃあ、抱っこして!」

 

一瞬思考が止まった。そして、ああ、小学生だからかな? と変な感じで自分を納得させ。彼女を胡坐を書いたオレの上に座らせる。

 

「不埒な奴だな」

 

直刃が文句を言ったが、何故そうなるのか……、ああ、この年の差だからか。

 

まあ、されてる本人がまんざらでもないからどかせるのは気が引ける。

 

「……………………………………」

 

ああ、あったかい、そして丁度良い重さだ。結構くつろげるぞ、この子。

 

    ビーッ ビーッ

 

「あ、進入されたか」

 

勇気が準備をする。

 

「俺はどうしよっかな」

 

「このままがいい!」

 

じゃあそうしよっかな。と言おうとする前に、直刃がどっからか持ってきた木刀でオレの頬をズンと突く。

 

「将軍が出なくてどうする!」

 

呆れたように彼女は言う。

 

「しょうがない。行くぞ」 「はーい」

 

重い腰(瑠璃を抱きながらだから)を上げ、オレは自分のLBX(まだショウグン)をセットし、戦場に出る。

 

「で、今回の敵は?」

 

直刃は答え無い。勇気が替わりに答える。

 

「相手は技術国、グレートシュナイダー。俺たちは他のいろんな国から目をつけられているからな」

 

その理由はメンバーにあるらしい。直刃、貴公子、カズ、いつもは描写しない健二もそうらしいし、勇気までもが超が付くほど強いらしい。俺はそれをまとめる人として、色々いやな目を向けられている。

 

「まあいい。じゃあ敵は……」

 

グギャアアアアアアアッ!

 

辺りが竜のような機体の尾で一掃される。

 

「なんじゃありゃあ!」

 

LBXにしてはでかすぎるぞ。化け物かよこれは!

 

「それはキラードロイド。タイプY BARNだ。ゲーセンとかでたまにイベントとして出てるだろう」

 

あー。思い出した。でもちょっとディティールが細かいな。

 

グロオオオオオオオオッ!

 

翼で辺りヲ切り裂いたかと思いきや、それを飛ばしてブーメランのようにする。

 

「ぐおおおお」 「はああああ」

 

二人とも飛んできた刃をそれぞれ止めようとする。

 

すると、相手の機体が、顔と上腕、胴体と前後の脚と武器を持っていたアーム、脚としっぽの三つに分裂する。それがそれぞれLBXとなり。

武器が元々持っていた二丁ライフルと、二丁バズーカ、そしてしっぽに使っていた二本の剣に分かれる。

上、下体の軽そうなのがバズーカを一個づつ持ち、中体のでかい奴が四本のアーム(ドロイドになってたときの剣持ってたの二本とライフル持ってた時の二本)で二丁バズーカを一気に持ち、俺に一斉砲撃をする。

 

「やばい! 勇気! 剣をオレに飛ばせ」

 

俺は勇気が何も言わず飛ばした剣を素手で振り落とし、地面に突き刺し固定する。

 

「これで防げる」

 

その剣は盾の替わりとなり、銃弾をことごとく防ぐ。

 

「勇気!」

 

「あいよ!」

 

その隙に勇気は相手の横から回りこみ、機体を狙うが、二機目が背中に有る補助アームを立てのように使い守る。そしてその腕を利用し勇気を弾き飛ばす。

 

「すまん、戻るのに三分は……ザザッ」

 

勇気が通信範囲外まですっ飛んでいった。

 

「たあっ」

 

直刃がやっと剣を落とし、加勢する。その機体のスピードは見とれるほどだ。

 

そして繰り出した攻撃は、相手の後ろ足とかを形成していたあの機体が、ドロイド本体を支えていた脚力で駆け、一直線にぶつかり、勇気のように直刃の機体が吹っ飛ばされる。

 

「クソッ あとは…… 、ザザッ」

 

また通信範囲外か。そろそろオレの番かな。と思ったところで、相手の機体から声だけ通信が入る。

 

「君がかっこいい物好きで有名な才人君だね?」

 

「え、才人は才人だけど、何でオレの事を?」

 

「君の先日の家臣連続撃破とその動機はこの世界中の有名な話さ」

 

このオッサン以外にも色々知っている人がいるって事か。

 

「さて、君に見てもらいたいものがある。これが私の最高傑作、合体だぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああ!」

 

オッサンの声と同時に、三対が上中下それぞれのフォーメーションを取り、合体シークエンスへと移行する。

 

「三体、こだわり、合体。見よ! これが私の、カッコイイ、だぁぁぁああああああああ!」

 

合体シークエンス、ワン。と言う機械音声と同時に上の機体の状態が上あご、両腕が下あご、腰が首元となり、脚が二の腕カバーとなる。それにバズーカが付く。

 

ツー。と言うと、中の機体が両腕で二丁ライフルを持ち、背中のアームが巨大な剣(ハンマーと剣が合体したもの)を二本握り、脚が合体時の太ももになる。

 

スリー。と言うと、下の機体の両腕が前に回り、しっぽの根元となり、しっぽの先端の剣を持つ。とそれらしくなる。下半身の脚は脚がスライド式で下がって、細い太ももと太いふくらはぎを作る。

 

フォー。と言うと、三体が合体し、ドロイド形態になる。

 

「これが私のロマンだ――――――――ッ!」

 

そして、さらに変形する。

 

二足歩行へと替わり、武器を全て落とす。剣を持っていた、中の機体の長いアーム元の腕ごと90度回転し腕となり、その上から上の機体の脚が細長い二の腕を守る。前に来た腕はそのまま前の鎧になり、固定される。

しっぽを構成していた下の機体の腕が横へ回り、腰の周りを補強する。

上の機体が構成している顔が、竜から微妙に変わり人に近いものへ、

その変形のすさまじさは、例えるならば、そう、街がクウォーターに変形するような圧倒的感動が有る。

そしてシルエットは、今にも暴走しそうな紫の機体のアレにそっくりである。

 

「これが私の……、ロマンだ」

 

さっきと同じセリフを言い、彼は満足そうになる。

 

「もしかして……、コレを見せるためだけに俺を?」

 

そう言うと、彼の機体は腕組みをしながら頷く。

 

「いかにも、だって、君しかフルで合体モーション見てくれないでしょ?」

 

確かに。だから二人を吹っ飛ばして俺だけを残したのか。

 

「アンタはすごいな。今は戦わないけど、今度生身で会った時に色々話し合おうぜ」

 

「ああ、もともと君と戦うつもりは無かったからね。」

 

今度の土曜、オレの通ってる学校の校門前で待ち合わせという約束をして、手を握り合った。

 

「才人! 大丈夫か」 「この化け物め、許さん!」

 

「じゃあ、また今度」

 

「ああ」

 

そういって分かれた。あの合体機の脚力は、恐ろしかった。それでもグレートシュタインは三位の軍なので、一体何故、二位や一位の軍は勝てるのかが知りたかった。

 

 

 

 



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友情

 

 

そして約束の日、俺はオッサンを待たせては悪いと重い、時間の余裕もあったので、二時間前だが待ち合わせ場所に行く事にする。

そして校門へ行くと。

 

「お~い。才人君。」

 

なんと彼の方が先だった。

 

「で、どうします? 今八時だからどこの店も開いてないですよ」

 

そう言うと、彼はしまった。という感じになってから。元の表情へ戻る。

 

「そういえば、僕のオススメの店があるんだ」

 

 

そして店の中。

 

「へえー。外から見た感じ、居酒屋にしか見えなかったけど、朝は喫茶店も営業しているのか」

 

朝夜で切り替えているらしい。

 

「ああ、ここはお気に入りでね。僕は会社が終わった後や、自分の休みの日はずっとここに来ているんだ。だから僕はここの常連さん  さ」

 

だから開店前に空けてもらえたらしい。

 

「孝一さん、今日はお知り合いの人と来たのですか?」

 

水を配りにきた彼女は、どうやら彼の知り合いらしい。オッサンは彼女に照れながら、はい。と答える。彼女がそれを笑顔で返すと、彼の顔が赤くなる。

 

「おっさん、名前、孝一って言うんだな」

 

あと、彼女の事が好きなんだな。

 

と考えていると、おっさんは急に真面目な顔になる。

 

「ところで才人君。アレは持ってきたのかね?」

 

ああ、その話か。と思い俺は自分のLBX、ショウグンを手渡す。

 

それを受け取ったおっさんは、じっと見たり、少しばらしてみたり、色んな方法でオレのショウグンをじっくり見ていく。

 

「これは……」

 

彼のめがねが光ると同時に、席を立つ。後ろには炎のエフェクトが見える。

 

「この機体の駆動部などの性能美、コアパーツ配置やフォルムの機能美、そして戦い方! 君の情熱をこのLBXから垣間見た気がする よ」

 

そういわれるとこちらも作りがいがある。

 

「ありがとな。オッサン。このLBX、うちの軍じゃあほとんどの奴がほめてくれないんだよ」

 

貴公子だと、見せたこちらのガ空しく感じるだけだから見せてないし、直刃は無視だし、勇気はそこら辺分からないみたいだし、カズは対抗心燃やしてくるし、健二は…………、唯一ほめてくれる。

 

「じゃあ」

 

「ああ、わかった」

 

オッサンはあの時のLBXを三体、鞄から取り出した。

 

今から楽しい雑談タイムだ。

 

 

 

「へぇ~あの銃撃にそんな意味があったなんてな」

 

「君ってあの大会の優勝者だったのか、通りで」

 

俺とオッサンは、モーニングセットなどを食べながら話をする。全額二千円というお高いものになったが、なんと彼が全額払うらしい。

 

「おっと」

 

彼は時計を見る。気付けばもう十二時だ。

 

「では、そろそろ家で新作の開発を使用と思うんだが、一緒に来るかい?」

 

「はい!」

 

オッサンが不審者だったら俺は叩きのめすが、そうじゃないと分かっているのでついていく事にする。

 

 

 

「うわっ、なんじゃこりゃ」

 

彼の部屋は機材や道具がたくさん揃っている。しかも全部整頓されてある。

 

「これが僕の部屋さ。ここにいると落ち着くんだ」

 

製作する人としては本当に落ち着く空間だろう。そしてこの人は何の仕事をしているんだろう。

 

それから二時間したところで

 

「今度は俺のうちに来てよ。もてなすから」

 

「わかった!」

 

 

 

そしてオレの家。

 

「へえ、君の部屋って案外すっきりしているね」

 

制作室もかねているが、基本勉強用なのでそこまで道具は無い。

 

「でもね」

 

俺は改造トランクを机の上に置き、スイッチを押すと、ガシャガシャと変形し、製作道具や発電機、材料までもが揃っている夢の製作ツールへと早変りする。

 

「すごい!これ、いくらで売ってくれる?」

 

彼は子供のようにはしゃぎ、財布を取り出す。

 

「いや、お金はいらない、でもその代わり、親友になってくれ」

 

彼は、え?と言う。

 

「もう親友じゃなっかのかい」

 

彼はがっくりしそうになる。

 

「ああ、めんどくさいな。その……、ただでくれてやるってことだよ。俺のはもう一個作ればいいってだけだし」

 

あー、恥ずかしい。目を伏せた。

 

「本当!やったあ!」

 

彼はとても嬉しがってトランクを持った。

 

そして五時になる。

 

「じゃあ、次は戦場で会おう」

 

「分かった」

 

 

 

~グレートシュナイダーにて~

 

「ええ! 僕が彼をおびき出して、それを全歩兵で打つ!?」

 

「ああ、お前があの軍の将軍と仲良くなっているのを見てしまったからな」

 

「でも、僕は……」

 

「この軍の整備室を私の権限で使用不可にさせ、この組合から貴様を出させる事も出来るんだぞ」

 

「ぐ……、私の部屋の荷物も処分ですか」

 

「そうだ」

 

「………………分かりました」

 

 

 

今回はいつものメンバーに加えて塾通いの健二やいつも手伝ってない瑠璃までもが出陣した。

 

そして、

 

「やあ、ついさっき」

 

ここはグレートシュナイダーの場内だ。だからオッサンがいる。しかもLBXはもう合体状態の二立歩行モードだ。

 

「「こいつ、この前の……」」

 

「待て勇気、そして直刃。おっさんは敵じゃない」

 

そう言い二人を抑える。オレに刃向かったら負けるからだろう。

その後に俺はオッサンに同意を求める。 

「だろ? おっさ……」

 

「わあああああああああッ!」

 

彼の機体腕が、オレの機体を吹っ飛ばす。

 

「何でだ?」

 

一撃で物凄いダメージを食らったショウグンを立たせ、剣を構える。

 

「やはり(やっぱり)敵か!」

 

二人が飛び出す。

 

「待て! 敵じゃないんだ」

 

そう言うと、画面に怒り顔の直刃が出てくる。

 

「あれのどこがだ! 貴様はだまされているのか!」

 

そう言い、彼女の気がそれた瞬間。

 

オッサンの機体が直刃の機体に頭突きをかまし、深手を負わせる。

 

瑠璃と勇気と貴公子とカズと健二が一斉に飛び掛ると、オッサンの機体は一秒もかからずにドロイドモードに変形し、翼のような剣で全員を一薙ぎにしてからライフルやバズーカをかます。

 

「「「「「「まけるものか!」」」」」」

 

六人が連携を取ろうとした瞬間。

 

「全員突撃ぃ――――――っ!」

 

オッサンがありえない数の歩兵を出してきて、それで他の五人を抑え、本体はオレのところに来る。

 

「すまない」

 

オッサンは、ショウグンを握ると、そのままモーターの力を挙げ、つぶそうとする。オレの機体はかなりダメージを受けたのでまともに動いていない。

 

そのまま締め上げられ、ショウグンのコアパーツまでもがやばい状況になった時、ふと聞こえた。

 

「うっ、ううっ」

 

もしかして、泣いている? 

 

「ううっ」

 

「ああ、この調子だ、いいぞ」

 

上を見ると、グレートシュナイダーの将軍である沙汰気シュナイダーがいる。そして彼になしゃべっている。

 

「そのまま殺れ――――――ッッ!」

 

彼の機体は歩兵にもみくちゃにされながら銃で狙うオレの味方からダメージを受けている。シュナイダーがそのセリフを言った時。その攻撃の一発が頭部に辺り、そのショックで眼から液体が漏れる。

 

そのしずくが落ちた瞬間。

 

「うわあああああああああああああああ―――――――――――ッ」

 

彼の機体は、彼にとって味方である辺りの歩兵を一発でなぎ払っていた。

 

「もう親友を傷つけたくない。ここまで来てやっと分かった。僕はお前から貰った道具なんて要らない。だからお前に縛られない。

  だからお前を倒す!」

 

彼の機体は、シュナイダーのLBX へ跳び、突撃する。

 

「ぐわッ」

 

そしてお互いが宙に浮くと、

 

「これがお前にも見せ無かった僕の必殺ファンクション

 

  〈ジ、エンドオブ、アンノウン〉!!」

 

 

彼の機体から無数の闇がまとわりつき、それを特に集中させた右手でシュナイダーの機体を握りつぶした。

 

「そんな、バカなッ」

 

それが彼の断末魔だった。

 

 

 

「じゃあ、僕はこれでおさらばするよ」

 

オッサンが自分の機体に自分でトドメを刺さうとしている。

 

 ガキンッ

 

「な……」

 

オッサンはブレイクオーバーになった。しかし、オレの手によって。

 

「オッサンはオレの軍に残れ。あと、シュナイダーがいるからっていう理由でここに来たくないのなら、好きな時に来れば良い」

 

そしてオッサンは、この軍の臨時(予備ともいう)メカニックとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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人物

これは人物紹介兼自分の作ったキャラの名前確認兼設定の作りこみのページです。

大半の人はすっ飛ばしても問題ないです。


 

 

(主役)

陣我 才人(じんがさいと)

 いわずもがな主役。一回大会に優勝したと言っていたが。その大会の出場者の中に風魔という苗字の人と、森山という苗字の人がいたのは知らないらしい。

 

 戦闘能力は、本人はまあまあと言っていたが、描写を見る限りかなり強い。

 

長谷 裕香(はせゆうか)

 最初の予定は謎のヒロインだったが、どうやって出せばいいのかが分からないから、出番の少ない人となっている。

 

剣崎 直刃(けんざきすぐは)

 ヒロイン、この人が一番ヒロイン感ある。

 

 武道の達人らしいが、学校の中では意外と皆となじめている。

 

 

宮部 方人(みやべほうと)

 

 漢字を見たら防人と書いてあるのは気にしないほうが良い。

 性格もそれに近いのは気にしないほうが良い。

 ソードビットを千の落雷 ビックバン(コスモ)スラッシュを青き一閃と叫びながら撃って 来るのは気にしないほうが良い。

 昔使用していた機体はヘッド クノイチ(青)

           アームLR クノイチ(ノーマル)

           ボディ ロビンH (青)

           レッグ ODN2(ノーマル)

           武器 霊剣アロンダイト+5無

              謎の二丁拳銃(Cゲージ貯め)            

              必ファンは剣ビット3

                   コスモ 

                   ビックバン(慣れないなら月華) 

                   ストム剣 

 

                    これで君もSAKIM……してみたい人はどうぞ。

 

道 数有(みちかずあり)

 

 即興ネーム。青島の人とは何も関係は持たない。メカニックの腕はすごいよ。

 

高峰 勇気(たかみねゆうき)

 

 高峰も勇気もクラスの知り合いからとった。リーダーになるのは元々この人だったのだが、 直刃さんの剣幕に押され無言でリーダー候補から降りたのは辛い過去だ。

 

 

宮野 瑠璃(みやのるり)

 即興ネームその2

 もともとの設定には無かった分動かしやすそう。と思いきや出番について裕香と真剣な会議 をするほど出番に困ってしまった人。

 

 

シュナイダーさん 

 この人は一話キリの登場じゃすまなさそうな気がする。

 

オッサン (佐藤 孝一)

 

 お話を見たほうが早い。年齢は四十歳ちょっきし。

 

 

イクサの会の会長 

  今まで出番なし、はたして出番はあるのか。

 

 

  

ここから下は見苦しいと思います。

出来れば下は見ないでください・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

実はもういっさく考えているお話があるんですけど、こっちの方を優先しておきたいです。でも、もう一つの方はネタが出来ているのに対してこっちはほとんどアウェーなので、むずかしいところです。ちなみに他にもネタがあるので、このお話は中途半端なところで終わりそうな気がしますが、ちゃんとした最後は、責任を持って書きます。どうかご心配なく。といっても、このお話を心配する人はいるのでしょうか?



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会敵

やっと敵の登場。
この敵の影響ででタグを一つ増やす事を考え始めた。


 

 

瑠璃が仲間になり一ヵ月後、順調に陣地を広げて言った俺達の軍、名前は直刃の頃からの引継ぎの〈武装神〉は、そろそろ一番の軍である〈剣〉(読み方はつるぎ)についての対策をとることにした。

 

「その軍は、将軍以外は歩兵を含めて仲間を誰一人持たないのに一番強いってとこだよな。という事は、その………誰だったっけ?」

 

「宮部 方人(みやべ ほうと)。通称BUSHIDO」

 

「そうそう。ありがと勇気。その方人って奴、完全にチートキャラだろ。たった一人が最強の軍って」

 

「わたしが持っている個人データからは、最速で致命撃で戦国人としか書いてありません。多分言うまでも無く最強かと」

 

創始者の孫娘ですら詳しくは無いのか。つかみ所が無い。

 

戦っている途中に変な事を言うらしいのと、相手の得物が片手剣一本だという事。それと、彼が直刃が通っている剣道場の無敗の先輩だということが分かっている。はっきり言って、現実でも無敵っていうのはこちらにとってかなりきつい。

 

「そのために、僕が新しい機体を完成させたんだけどね」

 

そう、オレの機体がついに完成した。 

 

「アクセルバスター!」

 

俺は機体を高々と掲げ、それを眺める。この言い尽くせないかっこよさ。ついに俺専用の機体ができたんだなぁって感じ。戦国っぽさは皆無だけど。

 

「操縦者が持つスピードに、機体のパワーを加えた、最高の機動機に仕上げたよ。中身のコアスケルトンはちゃんと移植しておいたから、前の機体のデータもしっかり残ってるし」

 

カズが自信満々に言ったところで、警笛が鳴る。

 

「じゃあ、出撃としますか」

 

 

 

「今回の相手は、先ほど話の上がっていた宮部 方人です。気をつけないと、即、やられますよ」

 

その警告を心の中にとどめたところで、〈剣〉の本拠地である城へ着く。

 

「皆、くれぐれも慎重にな。っておい! 直刃!」

 

この軍の中で一番の機動力を持つ彼女の機体は、城の壁を駆け上がり、天守へ行ってしまう。

 

「アイツ、先輩に挑むってことなのか。でも、」

 

データであった通り、彼が無敵ならば、彼女は……。

 

俺達は直刃の後を追いかけるため、階段を上る事にした。

 

 

 

「直刃か……」

 

「そうだ。貴様に幾度も惨敗した過去を消すため、今ここで勝つ!」

 

そう、勝たなければ、自分が剣道と同じぐらいこの玩具に注ぎ込んだこの気持ちを無駄にする事になる。

 

「おもしろい……」

 

先輩は剣を両手で構え、疾風さえも射るような速さでこちらに突進してくる。

 

「ぐぅっ」

 

その一撃はまさに、最速なる風のよう。そこからの連撃は怒涛に迫る炎のごとく、近づくものを消しつくす。

 

「しかし」

 

わたしがその対策を怠った日は一度も無い。

 

―――――『本当に俺なんかが相手になるのか?』

 

   『ああ、だから、全力できてくれ、あの人に勝つためにも』

 

   『わかった。じゃあ、いくぞ!』―――――

 

そう、才人の攻撃は、あの人とは違う所があるが、十分な速さを持っている。だから。

 

「その攻撃は、見切れる!」

 

一撃一撃を剣でいなし、その流れの中で一番間隔が空く時を狙い、一撃を決める。一撃の決め方は、健二の忍者風の攻撃方法から盗んだ。

 

「だああああっ!」

 

届く!

 

「おお!」 

 

ガシンッ、という音に気付く。

 

「なんだと……」

 

私の全てをかけて繰り出した一撃を、剣の持ち手で防いでいたのか……。

 

「この剣(つるぎ)が折れる事は無いからな」

 

先輩は流し見るような目でこちらを見据える。

 

「しかし、わたしが戸惑ったのは久しぶりだ」

 

この対応の速さで、戸惑っていただと……。と、驚くのもつかの間、先輩は剣の切っ先をわたしに向け、睨む。

 

「だが、もう二度と迷う事は無い。せめて緋色の塵と果てよ!」

 

そう言ったのと同時に、わたしの目では先輩を捉えることが出来なくなる。その速さは、先輩の機体、ウィンドブレイカー(通称であり、正しい名前はまだ分からない)の本領である突出した反射神経を最速で伝達するという機能がなせる業だ。

 

「はあっ!」

 

後ろから放たれたただの斬撃は、雷鳴が轟くような強さと速さ、そして美しさを持っていた。

 

「負けるのか。こんなにあっさりと……」

 

目を閉じる。もう何も見たくない。

 

 絶望、この一撃は、そう呼ぶにふさわしかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あきらめるなッ!」

 

「はっ」

 

目を開けると、彼の機体が、その一撃を切り飛ばしていた。

 

「才人……」

 

彼が、守ってくれたのだ。最初は忌み嫌っていた彼が、仇を恩で返すように。彼は動きを止められた先輩に向かい、堂々と言う。

 

「アンタが〈剣〉のリーダーか。悪いが、こいつをそう簡単にうちから出させるわけには行かないんでね。戦うならオレと戦ってもらおうか」

 

そんな、

 

「無茶だ。いくら機体の強さや技術の凄さがあっても、先輩には超えられ無い差が……」

 

「大丈夫だ」

 

彼はそう言う。何故、と問うと。

 

「こういう時に守りたい奴を守れないと、かっこつけた甲斐が無いだろ」

 

とはにかんで答えた。ちゃんと答えていないが、これが彼なりの言い方なんだろう。

 

「だからせめて、俺が負けた時のために、今は全力で逃げてくれ」

 

彼の目は、今は機械だが、その中に込められた意志の強さは、確かに感じ取った。

 

「で、アンタさんはいいんだろ?」

 

彼が振り向かずに先輩に問う。

 

「ああ、もう興味はない。去れ」

 

「それはひどいんじゃないのか」

 

先輩の冷たい視線が見えるような気がした。私はその視線と、才人の熱さで中和された感覚を起こし、天守から降りた。

 

 

 

 

「さて、作戦上俺も退散したほうがいいんだが、あんたは許さないんだろう?」

 

「ああ、私の一撃を受けなかったとなると、私と似た常住戦陣の心得が出来ていると考えたのでな」

 

「意味不明って言うのはこういうことか。でも、俺もかっこつけちゃったから引けないんだよね」

 

そしてお互いに構える。

 

「さてと」「いざ」

 

「「参る!」」

 

いきなり相手は高速移動をする。その速さは俺以上だと感じたが、

 

「だあっ」

 

その軌道上に素早く剣を出せば、当たる。

 

「でも、簡単にはいかないか」

 

その一撃は相手が早ければ早いほど強いのだが、相手は機動をずらして回避する。

 

流石に一筋縄じゃいかないってことか。なら

 

「相手の軌道上に剣ではなく自分を行かせ、そして避けようとした私を撃つ。か?」

 

「なっ」

 

読まれてる。これじゃあ実行できない。

 

「ならば」

 

剣を瞬時の判断で相手の前の壁に刺す。それを相手が上に避けると同時に。

 

「爆破!」

 

剣の刃が無い方の、コンバットナイフのような凹みのあるところから、弾丸が発射される。

 

「ぐうっ」

 

その予測できなかった攻撃により、相手は一瞬隙を見せる。オレにそれを見逃すほどの心の余裕は無い。相手に高機動機お自慢のダッシュで駆け、剣を掴むと同時に相手を上に蹴飛ばし

 

「必殺ファンクション」

 

〈斬場の一閃、改〉

 

相手から見れば、一面をエネルギーで覆っている様に見えるほどの大きなエネルギー刃が狙う。

 

空中ならこれほど当たり判定のある強力技を避ける事は出来ないはずだ。

 

しかし、

 

〈必殺ファンクション、ビックバンスラッシュ〉

 

エネルギーの刃を相手も出し、相殺(読みはそうさい)される。

 

「でも、まだオレの策は尽きていない」

 

そして俺自身も空中へ跳ぶ。そこから直に攻撃を当てれば、

 

「必殺ファンクション――――、ソードビット」

 

何!と思う間も無く、エネルギー製の剣が何本も現れる。それは全て俺を狙うため作り出されたもの。空中ではこっちもあまり動けない。

 

「空中対策もしっかりしているなんてな。用意周到な奴だ」

 

最強のはずなのにここまで先の対策がしっかりしているなんて。驚きものだ。

 

しかし、ここであきらめるのはらしくない。かっこよく終わるためにも。かっこよく終わらせるためにも。

 

「だから、俺も利用させてもらうか」

 

この場所で見つけ、気付いた一つの野望。

 

「ダブルマインドシステム、最大出力で機動!」

 

ここは実験施設なのだ。この二人分頭を使わせる事が出来るシステムの。

 

「超展開だぜ。ヒャッホウ!」

 

この前他のメンバーの部屋を覗かせてもれったけど、俺が使っているような椅子のようなものは使われていなかった。

 

その後裕香に問い詰めると白状して、色々教えてくれた。

 

俺もあんまり詳しい事はわかんなかったけど、このシステムっていうのは、自分の人格コピーを自分の脳内に新しく作って、時間になるとそれを使わせて戦う。いわば戦闘マシーン作りってとこだけは分かった。

 

「戦闘マシーンなら戦野郎も倒せるかも知れねえっていう寸法だ」

 

俺は剣を使い、自分を狙うビットだけを綺麗に二枚おろしにした。

 

 

 

 




前の話との間がぶっ飛んでると思ったらすいません。 

その前の話は書くつもりがあります。


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決着

はい、名前通り最終回です。しかし、間話投稿したり、番外編を書いたりするかもしれません。


 

「ほお、それがここが作られた目的と言うものか!」

 

方人と俺は、お互いに地面に着く寸前にブースターを全開させ、相手に向かって突撃する。

 

「「はああああああっ!」」

 

互いの剣先がぶつかり、重点的にかけた推進力によりひしゃげる。

 

「「剣が無くても!」」

 

機体の脚部モーターの負荷を通常の八倍にしてダッシュ。脚が壊れない程度で、お互いの顔面に向かってクロスカウンターを決める。

 

が、オレの機体の頭部は流線型なので、ギリギリメインカメラが壊れる(完全に見えないわけではない)程度で済んだが、相手は全て吹っ飛ぶ。

 

何も見えていないであろう相手に機体を蹴り飛ばし、背中にあった(ブラスライザー風の)バックパックを外し、並刃の大剣へと変える。それを走る勢いと共に相手に振りかざし、止めを刺す。

 

 

 

ガキンッ。

 

「なにっ」

 

この攻撃が、見えない何かによって弾かれた。俺は所々ぼやけているカメラで、彼の機体が立ち上がったと同時に、見えなかった物体を見ることができた。

 

その外見は〇Nアー〇ズとミー〇ィアと、〇ーライ〇ーが無理矢理それぞれの一部分を合体させた後に、何か工夫をしているような感じである。ちなみに機体にATLANTIS BABELと書いてある。

 

「まさか私が奥の手を使うとはな」

 

そう言い、立ち上がると機体名と謎の英語を、似合っているボーイソプラノで歌のように詠唱し、浮遊する。

 

「エクス〇ライブモード」

 

エクストリームモードじゃないのか? と思ったがそこは違うのだろう。

 

相手の機体は飛行機のような物体に包まれ、分解し、合体する事によって新たな機体へと姿を変える。

 

「さあ、これを乗り越えて見せろ」

 

てっきり、これで終わりだ、と言うと思ったけど、違ったな。と思う前に相手の機体は姿を消す。

 

そして、俺も気付かぬ間に空中コンボを何十回も決められる。

 

今度は俺がぼろぼろになり、相手がトドメをさせる番となっていた。

 

「残念だ」

 

彼が武器である大振りの件を振り下ろす。

 

ああ、負けたか。

 

と思ったのに、その攻撃は、オレのバックパックでもある剣で受け止められていた。もしや、俺が勝手にやったのか? と思ったけれど、それは違った。

 

「ありがとう、直刃」

 

そう、(きっとオレの事を気にしてくれた。と俺は思っている)彼女が戻ってきたのだ。

 

「まさか貴様を助ける破目になるとはな」

 

そう言い、オレの機体を担ぎ、相手との距離をとる。

 

「一対一戦いに水を差しに来たのか」

 

そう言い、剣先を向ける方人(コイツも一瞬だけ一対一にはしていなかったよな)を、直刃は否定した。

 

「いや、一対一になる」

 

「それはどういう……」

 

疑問を投げかけた俺を、直視しないで直刃は答える。

 

そういえば、彼女の機体は一部が違っている。そうか、オレの機体から剥がれた装甲をつけているのか。と同時に、俺は理解した

 

「私に、半分任せてくれと言っているんだ。…………だから、その機体を貸してもらうぞ」

 

「ああ、分かった」 

 

俺が了承するや否、自分の機体のコアパーツのハッチが開き、中のコアパーツが彼女の機体の中へ吸い込まれる。そして、オレの機体のカメラが自分の機体を映す。これは直刃の機体のカメラだと直に分かった。

 

機体の装甲が無理矢理といってもいい感じに引っ付き、それが少し変形する事によって、元からそうなっていたかのような完成された装甲へと変わる。

 

「カズの野郎、粋な事してくれるよ」

 

元々、俺の機体と直刃の機体は、そうなるように設計されていたのだろう。こんな奥の手は、流石に俺でもわからなかった。

 

組み合わさった二人はその剣の切っ先を相手に向け、声高らかに宣言する。

 

「「今の俺(私)達は一心同体、力は百倍! さあ、倒させてもらうぜ(ぞ)」

 

力は百倍って……、と直刃が恥ずかしそうにしているが、今は真剣勝負の時だ。

 

「「いくぞおおおお」」

 

走る  

 

    ぶつかる

   

         斬り、飛び、撃ち、弾を斬り、ジャンプ、翼で受け、殴り、壊し、頭突きし、

                             

                            落とされ、突撃し、反撃し、離れ、

                               

                                                         斬った。 

「ぐっ」

 

斬ったのは、俺たちの方だ。

 

「ここで終わり。か……」

 

方人は、何故か納得し、満足して、倒れさった。振り返り、その亡骸を見ると、何故だかさびしく感じた。

 

 

 

 

そして、俺は聞いた。あいつは無類の防人系中二病(実力はある)だと。そして、交通事故にアイもう死んでいると言う事を。

 

方人の墓に俺と直刃の二人で行った。俺はその帰り、遺書として一つの封筒を受け取った。

 

その手紙を読んだあと、俺は急いでイクサの会へ走ることになる。

 

その手紙の内容は、

 

「私はここに入る前から命を落としていた。そして、あのLBXと共に生きる事となった。もちろんこれは実験として利用されている事を知っての事だ。その後、私はここの秘密を知り、無き命を懸けて、我より強き命あるもの。つまり君へこの事実を伝えようと決めていた。それを今明かす。あの施設は第二の世界神威を創る実験として、この月の月が満ちる時、全員を仮想の戦国に捕らえようとしている。どうかそれを阻止、それが無理ならば救ってやって欲しい。それが私が戦ってきた意味だ」

 

畜生、何てことになってるんだッ。

 

 

 

 

 




続きそうなのは、この次に書くものを書き終わったら河口と思って書き残しておきました。

次に書くときは、自分の文章力が上がっている事に機体をし、一端幕を下ろしたいと思います。

では、


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