隻狼ロール SAO縛りRTA (腹筋崩壊二郎)
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01 初日(1/2)

腹筋崩壊太郎へ追悼の意を込めて初投稿です。



 はーい、よーいスタート。

 男の娘がISをRTAする小説に影響されまくったSAOのRTA、はーじまーるよー。

 

 計測開始のタイミングははじまりの街に降り立ちメニューが開けるようになった瞬間とします。

 

 名前は入力のしやすさからhomoとしたいところですが、NPC以外のプレイヤーと多く鉢合わせるこのゲームでは流石に色々無理でした。今回は隻狼ロールということで名前も安直に《sekiro》としましょう。

 

 続いてアバターの設定です。

 このSAO、なんといってもアバターの設定が自由に執り行えるのが大きな魅力の1つとなっています。

 自分の身長や体格、性別をも自由に組み替えることができ、リアルで身長170cm体重74kgの24歳の女の子も仮想世界では身長161cm体重48kgの超絶美形男の娘になれます。

 加えてこのゲームはVRMMORPG、つまり仮想世界を自分の足で実際に自由に歩き回ることができるのです。仮想世界を自分の理想の身体で歩き回れる、これほど素晴らしい体験はないでしょう。

 

 というわけで私はこのアバターの設定をガン無視して初期設定のまま進めます。

 

 ええ……となっている方もいるかもしれませんが、計測開始前とはいえこればかりはガチで設定する意味、ないです。

 というのも、こ↑こ↓で頑張って作り込んだアバターは初日の夕方に起こるイベントで消去され、初期設定の状態、すなわちナーヴギアが読み取ったプレイヤーのリアルの姿に戻されてしまうのです。

 理想の体型がいい?ならリアルで走るなりなんなりして鍛えなさい。私もこのRTAのために2年以上前から身体鍛えてます。ベストを尽くせば結果は出せる(至言)。

 ちなみに私は今回のために調整して隻狼本人と同じような顔と体格を引き当てました。もうリセットしたくないので失敗は許されない(遠い目)。

 

 余談ですがSAOの2次創作小説のオリ主はリアルの姿のままログインしている人が多いようです(自社調べ)。つまり2次創作のオリ主は全員がRTA走者である可能性が微レ存…?

 

 もう一つ余談なのですが、その初日の夕方に起こるイベント、通称《手鏡イベント》は地味に文字数を食うため、投稿期間が伸びてしまう原因を担っており、駆け出しハーメルン小説作者のスタートダッシュ時のモチベを削ることで有名です。結構重要なシーンなので飛ばす勇気が出ないみたいですね…。

 え?私?飛ばしませんよ。思い切り利用しますけど(ニチャア)。

 

 

 さて最終確認と行きましょう。

 プレイヤーネーム《sekiro》、身長165cm体重60kg。

 初期武器は曲刀カテゴリ《スモールシミター》、防具は上下とも軽量な《レザー》シリーズ。アクセサリーは無しで左手装備も無し。刀は10層に到達しないと取得できないので、それまで曲刀で我慢です。初期資金は1000コル、大事に使いましょう。

 レベルは1で体力は250。筋力敏捷は共に20。スキルスロットは2。ステータスやスキルなど細かな事に関しては後々説明します。

 

 あとこれは個人的にめちゃくちゃ重要な事だと思うのですが、ログインする前に何かしらの原因を作ってそれなりに大きな病院に入院しましょう。

 大半の方がご存知の通り、このSAOはデスゲーム。一度ログインしたら100層クリアするかカヤバーンを(おか)すか死んであの世に行くまで出られなくなる鬼畜仕様です。まあそれは大した問題ではないのですが、重要なのは開始から2週間以内にプレイヤーのリアルの肉体は強制的に入院させられるという点です。

 救急車での搬送の際は当然ながら、一時的にプレイヤーは一切操作できない半ログアウト状態になります。つまり最悪の場合ダンジョンのど真ん中で敵を前に無防備を晒すことになるのです。これは避けたい。

 搬送のタイミングは完全ランダム。大幅なタイムロスを避けるためにも、瞬時に入院できるためにどうすればいいか、そうだ初めから病院でプレイすればいいじゃない。かかりつけの医者を作り、過労なりなんなりして入院しましょう。

 

 さて最終確認も済んだところでいよいよ本番開始です。参考程度に、現在のSAO縛りRTAの100層攻略最速記録は、かの師匠兄貴の残した3年7ヶ月飛んで180時間54分22秒です。RTAってなんだっけ。

 

 

 はじまりの街に降り立ったら即座にメニュー画面を開きます。そして画面設定から表示方式を《プライベート》に切り替えます。これによって私のメニュー画面の内容は他人から視認できなくなります。これ結構忘れてる人多いので気をつけましょう。最悪、ステータスとかが全部バレて殺人プレイヤーのターゲットになってしまうかもしれません。

 ちなみに犯罪者プレイヤーは見つけ次第殺します。世界線によっては我らがキリト様やアスナ嬢、そして本RTAにおいて最重要とも言えるアルゴ氏まで毒牙にかかってしまうからです。奴らを許すな。

 

 続いてプレイヤー→ステータス→スキルスロット→スキル取得の順で画面を開きます。そして表示される《戦闘スキル》《生産スキル》《日常スキル》の3つの項目の中から《戦闘スキル》を選択し、《曲刀》と《疾走》スキルを取得しましょう。

 これで私のスキルスロットは残り0。レベル6になるまで新しいスキルの取得はできませんが、特に問題はありません。ソロで進めていく上で必須とも言われる索敵や隠蔽を今取得しない理由については後々説明するかもです。

 

 取得したスキルの軽い説明をしましょう。曲刀スキルは名前の通り、曲刀のソードスキルを使用できるようになるもので、疾走スキルはプレイヤーの走力を強化することができるものです。

 この2つのスキルは《修行》という熟練度の大幅な上昇方法を取ることができません。常日頃からガンガン使っていかないとマジで一切上達しないのです。RTAにおいて移動速度と攻撃手段は4章の睡眠薬よりも重要ポジです。だから最初に取っておく必要があったんですね。

 

 

 したらば早速、疾走スキルの恩恵にあやかるとしましょう。

 現在の敏捷値は全プレイヤー共通の20。どれだけ全力で走ろうとも限界速度は変わらないのですが、疾走スキルを取得した状態なのでほかのプレイヤーよりも10%ほど速度が上回っています。

 さっさと裏路地に回ってこの街で手に入る最上位の武器を購入しに行きましょう。ここで疾走スキルを取っていないと野武士面のオッサンに追いつかれて呼び止められる可能性があるので気をつけましょう。ここでのタイムロスは開始早々かなりキツいです。

 

 

 裏路地の露店にて《ブロンズシミター》を購入します。この金属光沢が美しいブロンズシミターは初期装備武器のスモールシミターよりも攻撃力が高く、耐久が気持ち低めになっています。ですがやはりステータスに大きな変化を持たせることが困難な序盤では、単純な攻撃力強化はありがたいです。特にダイアウルフに確1を取れるようになるのはかなりデカいです。

 耐久の低さはRTA走者としての技術と本数で補いましょう。初日で1本は絶対に折れるまで戦う必要があるのでね。

 あと盾は買いません。あれば防御が楽になりますが、隻狼は盾を使いません。アレはただの傘です(断定)。本家でも傘はぶっちゃけ無くても攻略できないことはないので、今回は盾は使わない方針でいきます。

 

 ちなみにスキル《軽金属装備》を取得していればここで手軽ながら防御に優れるスモールブロンズプレートを購入できますが、隻狼にはそんなものいらぬ。

 今日ここで購入するのは先程も述べた《ブロンズシミター》×2で800コル、応急ポーションよりレア度と性能が高い回復ポーション5本で100コル、そして1個限定販売の《白麻の襟巻き》50コルのみとしましょう。白麻の襟巻きはいわば《装飾アイテム》で防御性能は皆無ですが、気持ち程度ながらトレードマークとして役立ってくれます。それに隻狼といえばやっぱコレでしょう。

 

 

 残り所持金がちゃんと50コルになっていることを確認したらこの店に用はありません。さっさと退散しないと野武士面とキリッが来てしまいます。

 

 さあここからが大変です。今から私は現在この街で受けることができるクエストのうち、短時間で終えられるものを優先的に、ある規則性に則った形で順に受注していきます。その数、なんと16個。多いなぁ。

 地味に大変なのが、クエストフラグを完全に立てるにはクッソ汚い音madくらい需要がないNPCの話を全部聞かなければならないという所です。

 所要時間、1人につき3分足らず。短いようで長いんだよクソが。

 

 ちなみにこのSAOで同時に受注が可能なクエストの数は10個です。つまり最低でも二往復する必要があります。頑張りましょう。

 

 というわけで疾走スキルを駆使しつつ街中を徘徊し、意気揚々と街を出て行くプレイヤー達が極力くたばらない事を祈りつつクエストを受注し続けましょう。

 48分かかりました。受注したクエストは8つ。採集系のクエストが4つとお使いクエストが2つ、討伐クエストが2つです。いずれも比較的短時間で済ませられるもので、特にお使いクエストは今すぐにでもクリアしようと思えばできますが後回しにします。理由は後で説明するとして、今はとにかくさっさと街の外に向かいましょう。

 

 現在の時刻は13:57。

 今日タイムはどう?

 14:05を回っていたら再走確定だったのでまあ良し。

 

 さて今から私が向かうのは2次創作お馴染みのホルンカの森ではありません。比較的近くのはじまりの街北東の洞窟《リトライト洞窟》です。ここに向かう道中(往復)で討伐クエストのターゲットの《フレンジーボア》20体と《ダイアウルフ》12体の狩猟、そして採取クエストのターゲットの《クラッシュベリー》20個と《薬草》5枚を入手します。

 順に説明して行きましょう。

 

 フレンジーボアはイノシシ型のmobで非アクティブなモンスターです。こちらが攻撃するまで攻撃してこない、某RPGで言うところのスライムポジですが、攻撃力は初期装備に対しては割とバカにならないものなので気をつけましょう。

 疾走スキルによって加速しながら3体ほど湧いたボアの左の個体に狙いをつけます。ボアの対処方法はガチで簡単です。後ろに回り込んでだらしねぇケツにブスリ。絶頂したのか、カチ上がった頭と首の付け根のあたりに単発ソードスキルの《リーバー》をぶち込んで、これをパパッと繰り返して終わり。ね、簡単でしょ。

 ソードスキルにはクールタイムがあるのですが、初期技のリーバーはモーション終了から7秒です。弱点を突けば2発で死ぬので、1体を倒すのに20秒もかからねぇぜ。イノシシ軍団を60秒以内に仕留めれば上出来です。とはいえ2体目以降はタゲを取られた状態でスタートするため、モンスターを中心に反時計回りに移動しつつ落ち着いた立ち回りを心掛けましょう。

 当然ながら、この狩りはあくまでサブ目標です。歩いているついでに狩る程度です。すれ違ったら辻斬りになったつもりでバッサバッサ切り捨てましょう。

 クエストを受注している状態なので通常よりもターゲットのモンスターは湧きやすくなっているのですが、今日は湧きがあまり良くなく、豚野郎は7体しか湧きませんでした。帰り道に期待しましょう。

 

 ダイアウルフは名前からしてめちゃくちゃ強そうな古代の狼を連想しますが、実際はただの犬っころです。とはいえ3〜4匹の群れをなしていることが多く、継続ダメージデバフの《出血》攻撃持ちのアクティブモンスターなので、油断してたら割と危ないモンスターではあります。

 対処方法は至ってシンプル。遠吠えが聞こえたら問答無用で辺りの木を探します。初期ステのジャンプ力で飛び乗るのは少し厳しいですが、疾走による加速を活かして木によじ登ります。

 木の上から獲物を見定めるその目はさながら野獣の眼光。オス3匹メス1匹の群れだったので、早速群れのリーダーと思わしき大きめなメス個体に狙いをつけます。

 群れを形成しているダイアウルフはリーダー個体を真っ先に仕留めると動きが緩慢になる特徴があるので、こうやって敵の射程外からリーダーを狙うのが得策です。少し時間はかかってしまいますが、レベル1の状態でレベル2の敵の群れに平地で囲まれるよりはマシです。

 ここぞという時を見計らってジャンプ。落下の速度を上乗せされたリーバーを脳天に突き刺すと、リーダー個体は一撃で沈みます。ちなみにリーダーの経験値は他のやつの4倍です。リーダーを失ったオスが狼狽えていますね、狼だけに(激うまギャグ)。

 続け様にチンタラ走ってる狼を2体ヤります。1体逃してしまいましたが追いつけないのでこればかりは諦めましょう。多分これが1番早いと思います。

 こんな感じで狼は9体狩れました。リーダー個体を3匹も狩れたのはラッキーです。

 

 道中の林では一定間隔で小さな《ベリーの木》が生えています。ひときわ深い緑の葉っぱとポツポツ見える赤いベリーが目印なので、走りながらでも割と簡単に見つけられます。

 ベリーの木を斬りつけることでもアイテムを1〜3個入手できます。正規の手順(ベリーの木にタップして《採取する》を選択)を取れば最大5個ベリーを確率で入手できますが、斬ったほうが時間的に効率が良いです。

 しかもクラッシュベリーの入手確率は10%弱。(物欲)センサーがビンビンでいらっしゃる、咥えて差し上げろ。

 ですので1回毎の個数よりもとにかく試行回数が大事です。精神的にそちらの方が安定します。ベリーの木は見つけ次第、少し遠かろうが剣で刈り取りましょう。

 稀に入手できる《レアフラワーベリー》は第1層で入手できる食材の中で最高級のd級食材です。売れば他のベリーの10倍の150コルゲットできるので、味もお金も美味しいです(激うまギャグ)。手間もかからないので初心者は狼に気をつけつつこの林の中でベリーを集めるのが良いでしょう。

 クラッシュベリーは16個、レアフラワーベリーは3個ゲットできました。やったぜ。

 

 薬草の入手は至ってシンプル。ベリーの木と同様、地面に生えているアロエのような植物を斬ればオッケーです。1枚ずつしか入手できない上結構レアなので、最悪この往復で5枚集められない可能性が高いです。その時は1度街に戻り、街の中でクリアできるお使いクエストを2つ終わらせた上で残りのクエストを受注し、そちらの方と一緒に探します。

 

 薬草以外のクエストはこの往復の中で確実に終わらせましょう。

 

 

 さて、リトライト洞窟につきました。この洞窟は隠しログアウトエリアと呼ばれるようになるものとは別の洞窟で、モンスターのポップは少ないです。

 ここで湧くモンスターは《モスゴーレム》レベル3のみ。非アクティブなので採取の邪魔にはなりません。ただし攻撃力と防御力が見た目通り非常に高いため、襲ってこないからと調子に乗って斬りかかると簡単に死にます。地面から飛び出す岩に尻子玉潰されて終わりです。

 ここの洞窟での目標は、採取クエストの残り2つの《ライトマッシュルーム》14本の採取と、《疾走》スキルを1度外して熟練度をリセットし、《採掘》スキルを取得した上で《苔生した粗雑な鉄》10個の採掘のみとするのがセオリーです。

 

 それぞれ群生地および採掘ポイントは定められています。ライトマッシュルームは照明代わりに洞窟内部を照らすキノコで、採取し尽くしてしまうと真っ暗闇になってしまうので気をつけましょう。

 1つの採取ポイントにつき2本だけ取得し、必ず1本残して次の採取ポイントへと向かいます。SAOの暗闇は《暗視》抜きではどうしようもありません。RTA走者でも普通に迷えます。

 師匠兄貴はライトマッシュルームを全て採取した上で、暗闇の中ゴーレム4体同時に討伐するという変態ムーブをかましましたが私はできないのでやりません。多少探す手間が増えるものの、誤差の範囲と言えるでしょう。

 

 ひと段落したところでタイムを見てみましょう。うーん、これは…………よし(決意)。

 

 

 先程ゴーレムには手を出さないと言ったな。あれは嘘だ。

 《苔生した粗雑な鉄》の収集は時間のかかる採掘よりもゴーレムからのドロップが1番手っ取り早いです。いちいち採掘スキルを取るために疾走スキルを外したりするのは、熟練度がもったいないですからね。それにキノコやイノシシを探すのに少々手間取ってしまったので、ここで挽回しましょう。

 

 現在洞窟内に湧いているゴーレムは3体。いずれも距離が離れているため1体ずつ処理すればなんとかなります。

 ゴーレムの倒し方はこうです。

 まず、ゴーレムの後ろに回り込んで後頭部の岩と岩の隙間の弱点を狙い少しダメージを与えます。ソードスキルを当てるのが理想的です。縦に振りかぶるリーバーでは少し当たりにくいので、上段突進ソードスキルの《スパークルチャージ》を放ちましょう。

 やっべ外れた。ぎゃああ手が痺れるゥゥゥ。

 

 とにかくこれでタゲを取りました。この時他の2体のゴーレムにもタゲを取られていないか、しっかりと確認だけしましょう。目が赤く光っていればタゲを取っているサインです。

 のっそのっそと振り返るゴーレム。その隙に上半身に対して貧弱すぎる下半身の膝裏を数回斬りつけます。

 未だにHPは1割も削れていません。ちょっと硬すぎじゃないですかねぇ。

 さて正面から相対した今、やることはただ一つ。脚を使いましょう。とにかく止まらずに走り続けます。ゴーレムはアホみたいに硬く攻撃も強いですが、欠点はそのノロマな動き。

 レベル1のプレイヤー程度なら致命傷間違いなしの、地面からのケツ突き上げ岩柱攻撃も疾走ダッシュで止まらねえ限りはギリギリ当たりません。

 5回攻撃を躱したら接近して膝裏斬り、また離脱して走りながら膝裏。とにかく執拗に膝裏を狙いましょう。ヒットアンドアウェイが基本です。命はひとつだけ、大切にね(天使の微笑み)

 

 繰り返すこと約3分。未だにゴーレムのHPは2割ほどしか削れていません。が、漸く変化が。

 貧弱なゴーレムの脚がついに折れました。やったぜ。岩の鎧が薄い膝裏を執拗に斬りつけていたのはこのためだったんですね。

 脚を破壊されたゴーレムはそのままガラガラと崩れ落ち、弱点である岩の石目(通称:へし)をM字開脚で晒し出します。あとは切り倒した脚を拾ってハンマー代わりにして急所を砕きましょう。

 へしが割れてゴーレムは粉砕しました。8割残っていたHPも一瞬で玉砕しました。大喝采です。多分これが1番早いと思います。

 

 

 さて、そんなこんなで追加で沸いたゴーレムも含めて20分ほど狩り続け、無事《採掘》スキルを取得せずに《苔生した粗雑な鉄》を必要数集めることができました。ゴーレムの素材と経験値は最序盤では高めなレートを誇るのでかなり有意義な狩りでした。

 現在のクエスト進行状況は、フレンジーボア残り13体とダイアウルフ残り6体、クラッシュベリー残り4個と薬草残り4枚、ライトマッシュルームはクリアで苔生した粗雑な鉄もクリア。

 よし(適当)

 

 薬草以外のクエストはなんとか達成できそうです。ゴーレムを討伐するという少々リスクの高い道を選んだおかげで経験値もだいぶ溜まっています。

 というわけで来た道を帰りつつ、残りのアイテム収集及びモンスター討伐と行きましょう。

 

 

 見所さんがなかったのでカットしましたが、無事街に帰り着いたところで今回はここまでです。閲覧ありがとうございました。

 

 

 

《現在のステータス》

 

sekiro Lv.01

 

所持金 930コル

HP. 250

筋力 20

敏捷 20

 

[取得スキル]

《曲刀》 熟練度 3

《疾走》 熟練度 3

 




今日の一言

語尾に括弧つけてる奴だいたいホモ(名推理)


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02 初日(2/2)

カレー作ったら水が多すぎてスープカレーになってしまったので初投稿です。



 2次創作の失踪確率が異常に高い小説のRTA、もう始まってる!

 

 さて、前回はクエスト8つのうち薬草クエとお使いクエを除く5つのクエストのクリア条件を街に持ち帰った状態で終わったのでその続きから再開です。

 

 街にたどり着いた時刻は15:07。移動の時間も考慮すると割とクリアラインギリギリのところですね。それもこれも全部フレンジーボアが湧かないのが悪い。

 初日なので、はじまりの街から出てすぐのところでプレイヤー達がイノシシを狩りまくっているのが原因でしょう。SAOのモンスターには所謂湧き上限があり、1日にどのモンスターがどれくらい湧くか、といった上限があるんですよね。

 今回の時間軸はどうやら好戦的なプレイヤーが多いらしく、皆が皆フレンジーボアを狩りまくっているようです。だからアインクラッド全体でのモンスターの湧きがはじまりの平原に偏っているのかもしれません。初日のこのパターンは後々殺人プレイヤーが多くなる傾向があるので留意しておく必要がありそうですね。

 

 また、モンスター数と同様に取得金額にも上限があり、プレイヤーだけではなく露店のNPCにも所持金額の限度があります。よって私が丹精込めて集めた素材アイテムも、最悪の場合売り捌くことができずにポーチを圧迫するだけの置物と化してしまうのです。

 だから多くのプレイヤーが市場で金を使った後に素材を売る、つまり最序盤のスタートダッシュが肝心だったんですね。

 

 取り敢えず今はクエストクリアの報告巡りかつ新たなクエスト受注に勤しみます。効率を考えて、素材売却はまだしません。

 

 あ^ぁ〜、クエストクリアのこの瞬間がたまらんのじゃあ。どんどんNPCに達成報告をしてチャリンチャリン金を貰い、報酬アイテムを貰い、経験値をもらえるこの瞬間、まるででっかい耳垢が取れた瞬間のような爽快感がありますねぇ。

 

 ついでに放置していたお使いクエストは今このはじまりの街を徘徊している間に2つともクリアしてしまいましょう。

 手紙をどこどこに届けてくれ、この木の実を〇〇に渡してくれ、といった地味に手間と時間のかかるクエストを効率よくこなせるように、クエストに関わるNPCの位置が極力動線上に入るように受注するクエストを調整しておいたんです。すごいでしょ、最高でしょ、天才でしょ。

 

 さて、これでクエストは7つクリアしました。クエストクリアの経験値はかなり美味しく、レベルも2に到達しました。ゴーレムを狩らない判断をしていたり、メス狼の湧きが悪いと最悪レベル2に届かないので今回は順調であると言っていいでしょう。

 

 レベルが上がるとステータスが上昇する他、筋力値と敏捷値に割り振ることができるポイントが3だけ入手できます。今回は筋力2敏捷1に振りましょう。移動を考えると敏捷を優先すべきではあるのですが、チャートにちゃーんと理由が書いてあるので後々説明します。

 

 現在の時刻は15:58だいぶ巻きで行ったおかげでなんとか時間内に全ての作業を終えることができました。

 あと今更なんですが、SAOのクエストというものは普通1つずつ受注してクリアして、新しく受注してといった流れが基本です。私のように一気に多数のクエストを受注するのは、移動距離の計算やアイテム所持量などを考慮しない限り、かえって効率が落ちてしまいます。SAOを知り尽くしていないと厳しいので、初見さんはそこんところ注意しといてください。

 

 

 今から私が向かうのは当然ながらクエストなのですが、予定通りならば多分そろそろ例のイベントが発生するはずですね。

 

 お、きたきた。

 あの木の裏からこちらの様子を窺っているのが、蝶のように舞いGのように忍び込むことでお馴染みの我らが情報屋のアルゴ氏ですね。鼻声気味の語尾がかわいいことで有名なこの方には今回の縛りにおいてかなり重要な役割を担って貰います。

 

 ちなみにアルゴ氏は私と同じく、街の中の散策を行なっていたようです。情報屋として、βテスト時のアインクラッドと現在のアインクラッドのクエスト発生条件などを調べて回っていたようですね。

 大半のプレイヤーが後先考えず街から飛び出しているのを見るに、彼女のプロ意識の高さが窺えます。あとオネーサンぶるところがかわいい。

 

 ここでのアルゴ氏との会話で気をつけることは特にありません。『いくつかクエストを受けてきた』という事をそれとなく伝えましょう。ここで大切なのが、アルゴ氏にクエストクリア条件を絶対に漏らさない事です。このお方口が非常に上手く、さらっと情報を抜かれてしまいかねないからです。情報には必ず金を絡めないと、対等な立場と信用は得られません。世知辛い世の中じゃあ。

 なんやかんやで会話が上手く進むとフレンド登録をしておこうという話になるので快諾しましょう。彼女には今後ブラック企業も真っ青なペースで仕事をこなしてもらいます。

 

 それ即ち、原作よりも早い攻略本の出版です。原作ではデスゲーム開始から12日で出版され多くのプレイヤー達の命を助けてきたこの本ですが、今回は私が全力でこの作業をアシストする事でその出版を半分以下の5日にしてもらいます。原作よりも1週間も早い出版、RTAでは基本ですね。

 といっても今するのはフレンド登録と軽い談笑だけで結構です。コミュ力が試されますが安心してください。私のコミュ力は5です。100分の。それでもクリアできるので多分誰でも問題ないです。

 

 

 さて、アルゴ氏との1回目の会話が終わったところで、今から受注しているクエストをとにかく全力で巡ります。そのほとんどが討伐クエストです。どんなに運が良くても、全てのクエストをクリアした状態で17:30の手鏡イベント発生までにこの街に帰りつくことは不可能です。

 ですがご乱心。自分の足で帰る必要なんてないです。勘のいい方なら察しているかもしれませんが、今はまだそのことについては伏せておきます。

 ではここからは倍速垂れ流しでの戦闘シーンダイジェストといきましょう。現在全プレイヤーの中で1番レベルが高い(2)私の強さを見せてやろう。

 

 《グラスワーム》10匹の討伐、3分でクリア。地面潜行攻撃はTDN遅延行為なので予備動作を見たら全力で阻止しましょう。

 

 《ラージ・ブラッドボア》の討伐、2分でクリア。所詮でかいだけの瓜坊よ。

 

 フィールドボス《アーマーコボルト・スラッシャー》の討伐、9分でクリア。割と耐久が強く第1関門ですが、首の弱点を正確に撃ち抜けばゴリゴリ削れるので、とにかく被弾を極力避けつつ慎重に立ち回りましょう。

 

 《薬草の採取》移動中に残りの2枚を発見。やったぜ。

 

 《アーミー・グレイアント》30匹の討伐、4分でクリア。ワンパン祭りのボーナスタイムみたいなもんです。

 

 納品クエストアイテム《蟻酸》の入手も同時に条件達成。

 

 ここで一度ポーション使用。ガードの上からの削りダメージが蓄積しているので、体力を最大値の400まで回復しておきます。

 

 フィールドボス《ロックラックゴーレム》の討伐、17分でクリア。ぶっちゃけこいつが初日の最終関門です。食らえば死亡でオワタ式のガチでやべーやつなので、とにかく走り回って加速をつけながら弱点を執拗に攻撃しましょう。弱点以外には絶対に攻撃しないように。

 

 《ウィンドワスプ》20匹の討伐、6分でクリア。いくら追いかけても飛んでいる敵に剣は届かないので、寸前で躱してカウンターで倒しましょう。

 

 納品クエストアイテム《ワスプの毒針》の条件も同時に達成。

 

 

 

 ……ん?

 

 

 なんか最後の蜂を倒した瞬間に私の動きが極端に鈍くなってしまいました。蜂によるスタンではなく、麻痺毒に侵されているわけではないですが……どうしてでしょうか。

 まさかと思って確認してみたところ、なんとモンスター討伐によって入手した素材アイテムが持ちきれず、重量オーバーによる鈍足ペナルティが発生してしまいました。

 

 しかしこれも計算の内です。今更の説明になってしまいましたが、SAOのプレイヤーのアイテム所持容量には当然ながら上限があり、その数値はプレイヤーの筋力ステータスに依存しています。これを超過したアイテムを持った状態では、今のように移動速度に大幅な制限がかかってしまうのです。

 迷宮区の真ん中やモンスターの群れの中でこれをやらかすとぶっちゃけ……ご愁傷様です。逃げられる敵から逃げることも敵わず、囲まれて集団レ○プされて終わりです。

 先程レベルアップした時に筋力にステータスを多めに振っていたのは、こうなるのを少しでも遅らせたかったからです。

 

 所持品を確認してみたところ、納品クエストの達成条件も満たしており、それどころか余分なアイテムが溢れかえっている状況でした。ドロップ品の量は運なので、足りないよりも過剰なくらいが丁度いいです、特に今日は初日なので。

 

 

 さて、そろそろ来るかな。

 

 お、来ましたね。身体が青い光に包まれて徐々に身体が透けていく、これが例の強制転移です。今現在アインクラッドにログインしている全てのプレイヤーが始まりの街に集められ、例のチュートリアルが始まります。

 2次創作の大半の主人公はそこでなんか決意したり、お前マイクロ波がどうとか普通の中学生が知ってるわけねぇだろというツッコミも虚しく、天才的な推理力を発揮してカヤバーンの発言が本当だと理解したりします。

 

 現在時刻は17:30。ラグなどを考慮して今からだいたい1分後にカヤバーンが出てきます。

 

 

 ……さて、早速作業に取り掛かりましょう。

 メニュー画面を開きます。画面右上にリュックサックのマークが赤く点灯していますが、これが先ほど述べた「重量オーバー」状態です。鈍足デバフが付いているので、本来ならあそこから街に帰るまでに相当時間がかかるところでしたが、強制転移のお陰で何の問題もなく街に帰り着く事が出来ています。

 

 しかし今は荷物がいっぱいの状態。アイテム画面を開くと《アイテムを捨ててください》とやかましく警告をしてくるので、お使いクエスト報酬の《シンプルクロス》という風呂敷を実体化しましょう。

 このシンプルクロスはストレージに入れるだけでは何の効果もないものですが、実体化させた状態ではアイテムなどを一定量包む事ができる特別なアイテムです。しかも包み込んだアイテムの重量を10%減量してくれるお得な機能も付いています。

 しかし問題点として、アイテムを包んだ状態ではストレージに収納することができません。背中にぶら下げる必要があり、それに包む事ができるアイテムも1つしかありません。とてもじゃないですが、これを抱えて戦うのは流石に無理です。

 

 とはいうものの、現在位置は安全圏である街中。ここでならアイテムを包んで運ぶのは容易です。ロックラックゴーレムのドロップ品の、1層時点で最強のメイスがクッソ重かったのでそいつを包むことにしましょう。

 

 鈍足デバフが解除されました。ドロップ品が多すぎるとデバフが解除されずここで素材を捨てる必要があり、少なすぎても問題はありませんが資金不足の原因になるので、今回のように1つのアイテムを実体化してシンプルクロスに包む事でデバフが解消される、というのが1番理想的な状態です。

 

 さて、満を持して登場したカヤバーンの話を集会の校長先生の話のようにガン無視しながら、所持している素材アイテムの並びを整理します。

 

 

『プレイヤーの諸君、私の世界へようこそ。私の名前は茅場晶彦。今やこの世界をコントロールできる唯一の人間だ』

 

 

 先程の狩りで入手したアイテムの内、今後一切使う予定のないアイテム、例えば余分な素材や使用しないドロップ品の武器防具は全て売っちゃいます。ですので強化素材として使えるワスプの素材やゴーレムのドロップ鉄などはストレージの下の方に、売りさばくアイテムはストレージ上方に移しましょう。

 

 

『ーーーーこれはゲームの不具合ではない。繰り返す、これは不具合ではなく、《ソードアート・オンライン》本来の仕様である』

 

 

 さて、「本来の仕様である」のタイミングでアイテム整理が終われば丁度いいくらいです。続いてメニュー画面トップに戻り、《クエスト》→《受注済みクエスト》→《クエストペーパー作成》の順に画面を進めましょう。

 

 

『ーーーー諸君は今後、この城の頂を極めるまでーーーー』

 

 

 クエストペーパーとは、簡単に言えばそのクエストを受注できる場所、達成条件、報酬アイテムやヒントなどを記載したカンニングペーパーみたいなものです。フレンド同士でクエスト達成条件の確認をする際に非常に便利です。

 SAOでは同じクエストは1回クリアしてしまうと2度と受注することができないので、これは完全に自分のためではなく他人のために作っていることになります。

 

 

『ーーーーまた、外部の人間の手によるナーヴギアの停止或いは解除もありえないーーーー』

 

 

 クエストペーパーは達成したクエストならば好きなだけ作成できますが、1回作成するのに100コルもするので、序盤でこれを量産するのはなかなか厳しいです。幸い私は最高効率でクエを達成したりモンスターを討伐したりしたので、金に問題はないです。

 達成報告に行っていないクエストのクエストペーパーは作成できないので、最初に報告に行った7つのクエストのペーパーをここで作成してしまいましょう。

 

 

『ーーーー諸君の脳を破壊し、生命活動を停止させるーーーー』

 

 

 ペーパー作成中は一切移動ができません。街中でやる分には何の問題もないですが、ペーパー作成において1つ気をつけなければいけないのが、周りのプレイヤーに画面を見られてはいけないということです。

 予め画面をプライベート表示にしておいたのも、今後も含めてペーパー作成中にクエストの達成条件を他人に見られないようにするためです。

 

 

『ーーーー残念ながら既に213名のプレイヤーが、アインクラッド及び現実世界からも永久退場している』

 

 

 クエストペーパー作成には少々時間がかかり、1枚作成するのに1分ほどかかる上1枚ずつしか作れません。しかしなんとカヤバーンの演説は10分ほどかかります。7枚ならば時間内に作成できます。

 

 

『ーーーー同時に、諸君らの脳は、ナーヴギアによって破壊されるーーーー』

 

 

 どうでもいい話なんですが、カヤバーンはよくこんな大勢の前であんな長ゼリフを噛まずに淡々と喋る事ができますよね。一体リハーサル何回したんでしょうか。カンペとかどこにあるんだろうか。もしかしたらあのクソデカフードの黒い部分に、アイアンマンのディスプレイみたいな画面があってカンペがびっしり書かれてたりするのかな。

 

 

『ーーーーそれでは、最後に、諸君にとってこの世界が唯一の現実であるという証拠を見せよう。諸君のアイテムストレージに、私からのプレゼントが用意してある。確認してくれ給えーーーー』

 

 

 あ、アイテムストレージになんか入ってきましたね。これが例の《手鏡》で、効果は何もありません。ただ単に自分の顔がリアルに戻ったということを確認するだけのアイテムです。

 しかし我々2次創作の主人公(RTA走者)はリアル顔なので、このアイテム、ガチでいらないです。読者の皆様はもはや『手鏡を使っても顔が変わらない主人公』なんて何度も見た光景でしょう。

 

 しかも手鏡入ったせいでまた所持容量が限界に達しました。

 表面張力というものを知っているかね?バービーくん。グラスいっぱいに注がれた酒の表面が溢れそうで溢れない力のことだ。

 この場合は酒がアイテム、グラスがストレージ。今私のグラスは酒でいっぱいです。これ以上余分な酒は入りません。

 

 つーわけでいらないアイテム(手鏡)はどんどん(ゴミ箱へ)しまっちゃうからねぇ〜。他人からのプレゼントを受け取った流れのままゴミ箱に放り込むその姿、まごうことなきクソ野郎。

 

 

『ーーーー諸君は、今、なぜと思っているだろうーーーー』

 

 

 てか話なっげえなオイ。さっき『最後に』って言ってたでしょうが。話無駄に長いクセにオチが弱くて中途半端なまま会話を終えるめんどくさい奴かお前は。やめろその言葉は私に効く(自爆)

 

 あ、そうだ(唐突)

 ちなみにこの茅場のセリフ、文字に起こすと1000字を超えます。マジかよと思う反面、ああこれ字数稼ぎにピッタリじゃねぇかと思いました(小並感)。

 新人小説家の殆どがこのクッソ長い文章を文字に起こしているのを見ても、やっぱガチで長いよなぁと再認識しました(小並感)

 

 

 で  す  の  で  ぇ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 メイドインヘブン!!

 

 

 時は加速するッ!!

 

 

 

 

 

 

 苦行をフェイントで躱したところで、ようやくカヤバーンの話が終わります。

 クエストペーパーは7枚全て作成済みです。アイテム整理を終え、シンプルクロスのおかげで減量に成功したメイスを背負い、鈍足デバフも表面張力のレベルでギリギリかかっていません。

 

 人混みを掻き分けて出入り口の3m手前に陣取ります。そしてカヤバーンの話が終わる0.9秒前に走り出しましょう。1.0秒前に走ってしまうと出入り口の障壁がギリギリ解除される寸前で顔面から激突してしまうので、ここは気持ち遅めにスタートしてもいいでしょう。てか顔面から激突するのはガチでダサい上かなりのロスなので妥協してでも確実にスタートダッシュを決めましょう。

 

 無人の市街地を駆け抜け、ケーキの材料屋さんおっと失礼アイテムショップで溜め込んだ素材アイテムを売りさばきましょう。

 

 この時注意することは、1つの店で全てを売らないことです。

 先述の通りNPCの所持金にも限度があるので、1つの店で全てを売りさばく行為は他プレイヤーに迷惑がかかるのでやめましょう(建前)。

 それに素材によって売るべき場所で売れば高く買い取ってますしね(本音)。

 武器屋では武器防具を、食料屋では食料アイテムをちゃんと仕分けた通りに売りましょう。

 

 必要のない全てのアイテムを売り捌いたところで、続いてクエストの達成報告巡りです。ここでまた報酬アイテムと金、経験値をもらえます。

 さらっと流していましたがフィールドボスを2体討伐しているので、ここの経験値でレベルが3に到達します。割り振りポイントは全て敏捷に振りましょう。

 レベルアップ早くない?と思う人もいるかもしれませんが、そもそもロックラックゴーレムなんかは適正レベルが4以上、しかも1パーティで討伐に10分以上かかるモンスターです。参考程度に、この第1層のフロアボスの攻略適正は5以上です。つまりフロアボス一歩手前の強さのボスだったのです。

 そんなフィールドボスを2体も、しかもソロで倒した上経験値を独り占めしているので、このレベルアップは別に何ら不思議なことはないでしょう。

 

 キリトさんは3桁単位でリトルネペントを狩ってレベル3だったのですが、アレは武器狙いのついででやっていたのでレベリングの面だけ見れば最高効率ではありません。しかしあの効率重視の心掛けは素晴らしい。惜しむべくはチャートを組んでおらず行き当たりばったりの行動が多い所ですね。是非彼も走者になってほしいところ。

 

 ちなみにそのロックラックゴーレムとの戦闘の際ブロンズシミターが少し予定より早くご臨終を迎えたので、今腰に吊るしているのは2代目です。ワスプ戦まで保たせたかったのですが、いつぞやのモスゴーレムの際急所を外したのが響いてしまったようです。悲しいなぁ。

 

 さて、クエスト達成報告を終えたところで、現在時刻は18:20。ドロップ品が表面張力レベルでギリギリあったので売却に少し時間がかかってしまいましたが、なんとか間に合いそうです。

 

 ここではじまりの街の出入り口へ向かいましょう。数人のプレイヤーが外へ駆け出しています。どうせ自分だけでも生き残れればいいとかいう考えを持った輩なので無視だ無視。呼び止めたところで時間の無駄だし、死ぬ奴は死ぬ。助からない命だってあるんです。世の中世知辛いんじゃあ。

 

 しかし3000人以上生存という超鬼畜な縛りを設けている以上、何もしないわけにはいきません。3000人以上生存という点がどこまで鬼畜かというと、参考程度に私が一切介入していない状態で100層攻略クリアをすると、なんと生存者が1500人を切る上、クリアするのに最低でも4年以上かかってしまいます。

 95層突破で安全圏が消滅するクソ仕様のせいで、はじまりの街のインドアヒッキー総勢1000人がお亡くなりになってしまうのを皮切りに、強力なボスの出現とリーダー格の人物を失った攻略組が壊滅的打撃を受けてしまう、安全圏消滅によって攻略組と中層プレイヤーやヒッキー共の仲が最悪になるなど様々な要因が重なってしまう結果です。

 

 今私が為すべきこと、それは1層で受けられるクエストを受けられるだけ受けて、アルゴ氏にその情報を売ることです。ベータ時代に無いクエストも沢山追加されているので、それも含めてとにかく情報を売りましょう。

 そのためのクエストペーパーです。

 

 ふらふらと覚束ない足取りで街の外へと向かおうとしているアルゴ氏を見かけたら、すぐさま呼び止めます。そして非常にレアな虚ろ目な彼女を必死に呼び止め、その旨を伝えてクエストペーパーを1枚10コルで売ります。断られても全力で押し付けます。

 ここで説得に成功することで、例の攻略本の出版を早めて本来なら死んでいた人々を900人ほど救うことができます。1週間早く出版できても、やはり1000人は死んでしまうのです。こればかりは避けられません。

 

 

 さて、アルゴ氏の説得が終わり2人体制で攻略本の出版を約束したところで、今日はこのままさっさと就寝します。19時就寝なんていくらなんでも早すぎるとかバカジャネーノとか思われるかもしれませんが、これもちゃんと理由があります。

 

 それは単純明快、初日の夜は徹夜するプレイヤーがとにかく多いからです。人気タイトルのゲームが発売されたその日なら、多くの自称熟練プレイヤー達は余裕で徹夜します。

 特に今日のような日は誰も安らかに眠るなんて不可能です。恐怖を紛らわせようと狩りに出かけるプレイヤー、信じられるかと錯乱しながら飛び降りるプレイヤーなど、沢山いることでしょう。だから今日の夜に動くのは非効率的であるといえます。

 最低でも湧き上限リセットが入る朝6:00までは動かないのが賢明です。ですのでアルゴ氏には全力でケアをしてなんとか立ち直ってもらい、明日から全力で仕事をしてもらいます。

 

 三徹くらいできるでしょ。俺もやるんだからさ(同調圧力)。

 

 

 今回はここまでです。閲覧ありがとうございました。

 

 

 

《現在のステータス》

 

sekiro Lv.03

 

所持金 3950コル

HP. 550

筋力 22

敏捷 24

 

[取得スキル]

《曲刀》 熟練度 7

《疾走》 熟練度 8




急遽カレーうどんに変更したら超美味かった。


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おま○け その①

   ______
  / /三三二ニ\
`/ // /ヽ ヘ\
/ ///∠/ ヽイ \>)
 // / >=< || >=<
`// /u((~・)-||(~・)
// イu  >+<` || >+イ
/イ⌒| u   _〉u |
||6)|u /⌒ー―-⌒ヘ|
||( | / | | ||∥
|ヽ |/L/ ̄ ̄ ̄ ̄フ∥
V| |L/    ∠ィ∥
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 | ハヽ「\___ノノ/
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ヽ|| \  ̄ ̄ ̄/ ヽ
 ||    ̄ ̄ ̄


2日目にいきなりこの小説が伸び出して、最終的に日間ランキング2位のお気に入り登録者様が2000人を突破評価バー人生初の真っ赤っかを達成した筆者の顔


ーーーーーーーーーーーーーーー

 時は令和四年。一人の天才によって仮想現実技術は画期的な進化を遂げ、その勢いは日の本全てを包み込んでいた。熱狂の渦は勢い衰えず、天才の全ての技術を結集した一つの作品が世に出回ることとなる。

 しかしそれは、やがて仮想現実空間に降り立つ人々に強大な試練として降りかかる、誠に恐ろしき厄災の種だったのだ……(語り手:菅生 隆之)

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 鼠のアルゴ。それはβテストプレイヤーならば一度は聞いた事がある名だった。

 使用する武器は超マイナー武器のクロー、ステータスは敏捷極振りの、一見初心者かと見間違うかのような馬鹿らしいビルド。しかし彼女はそのふざけたような構成で名を上げていったのだ。

 剣士としてではなく、情報屋として。

 

 情報屋の仕事においてなによりも大切なのは、虚偽のない正しい情報を素早く仕入れることだ。正式版がリリースされた当日も、アルゴはβテスト時代の情報のみを過信することはない。

 βテスト時代に話したNPCとの会話、クエスト発生条件、その他イベントがどれだけ正式版に引き継がれているか、その確認で初日を終えようと計画していた。

 

 必要とあらば他人との会話の中でも必要な情報を抜き取る。誰が言ったか、「アルゴと五分雑談すると100コル分のネタを奪われる」。

 しかしそれで上手く情報を得ることができていたあたり、彼女は口が上手いだけでなく、人を見る目にも才能があったのだろう。

 こと情報戦において、アルゴを上回る者は開発者を除いていない。アルゴ自身もそれだけ自分の仕事に自信を持っていた。

 

 そんな彼女が目をつけた人物がいた。それは正式版アインクラッドで新たに得た情報をまとめ、一息ついていた時のこと。

 

 その男は、SAOにログインしている男性の中では比較的小柄な体格だった。160cm半ばといったところだろうか。

 少し伸ばされた白髪混じりの髪は後ろで纏められ、ある程度切り揃えられている。

 そして一際目を惹く首に巻かれている白い布は、この街の限定販売の《白麻の襟巻き》だったはずだ。加えて腰に吊るしてある武器は《ブロンズシミター》。玄人向きの、はじまりの街で手に入る武器の中で攻撃力が最も高いカテゴリーのものだ。

 

 

 

 和。

 

 それが彼の第一印象だった。

 老け顔ともいえる渋い顔は女性だけでなく男性にも人気がありそうな顔だ。身長なども含めてかなり手の込んだアバターだ。古い時代の日本人の平均身長は今よりも少し低かったと聞く。

 

 

 しばらくアルゴは彼を観察した結果、彼がβテストプレイヤーだと確信した。アバター作成はかなり複雑な技術を要求される上、彼の装備は初心者では見つけるのが困難な代物ばかりだ。

 何より、彼のその一切迷いのない動きを見れば、彼がこの街について知り尽くしているという事がすぐに分かった。

 

 多くのプレイヤーが街の外へと繰り出している中で、彼は迷わず街中を散策している。もしかすると彼も自分と同じようにこの街で情報を集めているのかもしれない。

 情報屋としての対抗心からか、はたまた単純な彼に対する興味からか。アルゴは彼の後を尾ける事にした。

 

 

 結論から言えば、アルゴの推測は全て正しかったといえるだろう。男が巡っていた建物には、βテスト時代はその全てにクエストを受注できるNPCが配置されていた。

 すなわち彼は元βテストプレイヤーで、この正式版で情報を集めるため、NPCの配置などの確認を行っていたのだろう。

 恐らく同じ稼業のプレイヤーの、しかもあの様子からかなりの手練れだ。アルゴの心を占めていたのは僅かな焦燥感とーーーー大きな感心だった。

 

 クエスト受注と達成報告、そしてそのルート構築など、彼の動きには一切の無駄がない。恐らくβテストが終了してからも、どこでどのように動けば最短ルートで行動することができるか、綿密な計算が行われていたのだろう。

 実際にプレイできない期間にそのルートを練り上げたと考えるに、彼のこのゲームに対する真摯な態度が見て取れた。

 

 これは自分も負けていられないな。アルゴがそう意気込んだ時。

 

 

「………………おい」

 

 その底冷えするような男の低い声が自分に向けられていると知った時、アルゴは思わず震え上がった。

 眉間に皺を寄せた男の瞳は、確かにアルゴをまっすぐと見据えていたのだ。

 

 どうすべきか。アルゴはしばし考え、ここで逃げて変な噂を立てられては堪ったもんじゃないと、潔く木の陰から彼の前に姿を現した。

 

 

「………………尾けていたのか」

「ゴメンゴメン。別に悪気があった訳じゃないんダ。ただ単にオニーサンの動きが偶然目に止まっちまってサ」

「………………」

「いやほんとすみませんでしたマジで謝るから怒らないでください」

 

 思わず素の声で謝ってしまうほど、彼の剣幕は恐ろしいものだった。眉間にはこれでもかと皺が寄せられており、その渋い顔も相まって彼の背後に巨大な龍が見えた。

 

「………………何故、俺の後を尾けていた」

「……俺っち、情報屋なんだヨ。ベータ版の情報と正式版を照らし合わせようとしてたのサ。そのルート上にオニーサンがいてね。かなり慣れてるような動きが少し気になって後を尾けてたんダ」

「………………そうか」

 

 剣気が緩まった。許されたようだ。

 

「………………すまぬ。少し、気を張りすぎた」

「こっちこそゴメンナ。一言かけるべきだったヨ」

「………………」

「………………」

「………………」

「えっと……俺っちは情報屋。鼠のアルゴだヨ。オニーサンの名前は?」

「………………言えぬ」

 

 いやなんでだよ。アルゴは思い切りツッコミたかった。だがまあ、確かに状況を見ればストーカー紛いのプレイヤーに名乗りを上げないのは普通かと考え、一先ずは彼の名を聞き出すのは諦めることにした。

 あと彼の容姿と言葉遣いが相まって、いよいよ目の前にいる男が戦国時代に生きる侍のように見えてきた。

 

「………………」

「………………」

「………………」

「………………」

 

 何とも言えぬ沈黙が2人を包む。なんか言えよと思う矢先、口を開いたのは男の方だった。

 

「………………其方は」

「ン?」

「…………鼠殿は、この街で何をしていた」

「え?」

「…………何か、俺を尾ける以外に、していた事はないのか」

 

 なんでストーカー相手に今そんなことを聞くのだろう。アルゴは彼の突然の話題の切り替えにやや困惑し、しかし彼のほんの少し申し訳なさそうな顔を見てなんとなく察した。

 彼は別に怒ってなどいない。さっさと立ち去れば済むところを、今もこうして中途半端な空気を和ませようと、話題を振ってくれたのだ。

 

 仮想世界ではリアルの話はNGという暗黙の了解があるが、彼はあまりリアルでも人と話さないのかもしれない。だから人との距離を測りかねて、自分の事を何故か尾けてくるプレイヤーに対しても怒りや苛立ちより不安が大きかったのだろう。

 要するに根は悪い人ではないのだ。口下手なだけで。コミュ障なだけで。

 

 アルゴは彼の問いに答えることにした。

 

「うーん、さっき言ったこと以外だと……お使いクエストをいくつか終わらせてきたゾ。と言っても簡単なやつだけどナ」

「………………」

「オニーサンもさっきいくつかクエスト、終わらせてたダロ?あれとは別のやつサ」

「!そ、そうか…………」

 

 何故だか、クエストの話題を振ったその瞬間だけ彼の眉間の皺が取れた気がした。

 

「ん?……あ、そ、そうだ。勝手に尾けてたお詫びに、クエストペーパーやるヨ。受け取ってクレ」

「…………要らぬ」

「そうカ?別にコルを取ったりはしないゾ?」

「…………要らぬ」

「そ、そうカ」

「………………」

「………………」

「………………」

「………………」

「………………」

「………………」

 

 

 

 

 

 

 会  話  が  続  か  ね  ぇ  。

 

 

 だが、途切れ途切れの会話の途中で僅かに彼の眉間の皺が取れる場面があった。押し付けとはいえ親切に対して「要らぬ」という言葉選びは正直どうかとは思ったが、別段悪気があってその言葉を選んでいるようには見えなかった。

 何というか、かわいいヤツだと思った。ただ人と話すのが少し苦手なだけの、愛想を振りまくのが苦手の不器用な男だと思った。

 

 自然とアルゴは頬を緩めた。

 

「ぷっ……にゃははは!」

「………………どうした?」

「にゃははは……いや、オニーサン結構面白いね」

「………………顔に何か、付いていたか」

「違う違う。雰囲気っていうかなんていうか……とにかくオニーサンのこと、気に入ったヨ」

 

 正式版のリリース初日。

 単純作業のみで終わらせる予定だったこの日、アルゴは不思議な人物との出会いを果たした。

 

「フレンド登録、しないカ?俺っちも情報屋だから、お互い連絡とか取れた方が便利だロ?」

「!そう、だな」

 

 また目を見開いた。ついでに皺も取れた。たまに来るこの変な反応が面白い人物だなぁとアルゴは感じた。

 この出会いはなんというか、変な出会いだ。熟練の動きを見せる男をストーカー紛いの尾行で後を尾け、バレたと思ったらその男がものすごいコミュ障で。なんとか会話を繋げたら彼の不器用さが滑稽に見えて。

 だが彼のそれは決して人を不愉快にさせるようなものではなかった。

 

「セキロ?変な名前だナ」

「………………隻腕の隻に、狼と書く」

「ふーん…………」

「………………好きなように呼べ」

「じゃあオオカミで」

「!あ、ああ。それでいい」

 

 初日からこの出会いがあったのは運が良かったかもしれない。これはSAO正式版、非常に面白い出会いがたくさんありそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 だと信じていたのに。

 

 

 

 

 

 

 

 

『......以上で《ソードアート・オンライン》正式サービスのチュートリアルを終了する。プレイヤー諸君の健闘を祈る』

 

 こんなことに、なるなんて。

 

 

 

 初めは信じられなかった。

 何を言っているのだ。

 何が起こっているのだ。

 何故急にこんな場所に呼び出されたのか。

 何故茅場はあんな事を急に言い出したのか。

 なんでログアウトできないの。

 なんで帰れないの。

 なんでこんな場所に閉じ込められないといけないの。

 私が何をしたの。

 どうして私達なの。

 私は早く帰りたいの。

 

 茅場から告げられた残酷な真実を信じられない一方で、どこか酷く冷静に茅場の言葉を呑み込んでいる自分がいた。

 物理学者を親に持つアルゴならば知っている。マイクロ波は分子振動を拡大するものであり、高出力によって生み出される熱エネルギーは一瞬で眼球を白濁させるほどに強烈だと。

 それが人1人の脳味噌を焼き切るくらい容易であるということに。

 

 誰一人、この世界で生き返っていないという事に。

 

 

 

 はじまりの街には黒鉄宮という建物がある。そこにβテスト時代にはなかった《生命の碑》があった。

 生命の碑にはアインクラッドにいる全てのプレイヤーの名前が刻まれていた。

 

 そして、斜線で掻き消されたプレイヤーの数は、茅場が先程言っていた永久退場のプレイヤー数と一致した。

 

 これが偶然と言えるだろうか。

 茅場が悪ふざけでプレイヤーのログアウトボタンを消去しただけのドッキリだと断言できるだろうか。

 わからない。わからない。わからない。

 

 人は抱える希望が大きい程、絶望に陥った時の落差が大きくなる。不思議な出会いを果たして気分が良かったアルゴは、その瞬間に絶望の底に叩き落とされた。

 

 

「……確かめないと」

 

 そうだ。私は情報屋なのだから。早くプレイヤーのみんなに安心を与えてあげないと。

 こんなの茅場の悪質な悪戯に決まっている。

 だってこんな事をする必要がない。

 したところで何の意味もない。

 そうだ。ログアウトすればちゃんと、茅場の言っていることが嘘だと証明できる。

 

 ログアウトができない。だったらーーー。

 

「はじまりの街を出た南西には……展望台が……」

 

 アインクラッドの外を一望できる展望台。手摺は低かった。

 アルゴの脚は自然と動いていた。

 虚ろな瞳のままふらふらと覚束ない足取りで、それでもその脚は迷うことなく真っ直ぐと展望台へとーーーー

 

 

 

 

 

 

「待て」

 

 その肩を掴む手があった。

 

「……え?」

「待てと言っている」

 

 その顔に見覚えがあった。

 

「なんで…………顔……変わってないの?それに、私……全然違うのに……?」

「どうでもいい」

 

 有無を言わせぬ彼のその言葉には、出会った時のような確かな力があった。

 よく見れば彼はかなり息が上がっているようで、システムで設定されているスタミナゲージをほぼ全て使い切っている状態だった。

 茅場の話のあと、ずっと走り回っていたのだろうか。だとしたら何のために走って……?

 

「其方を探していた」

「え……?」

 

 彼はそう言って、おもむろにメニュー画面を開いた。そして出会った時のような迷いのない素早い手捌きで紙のようなアイテムを7枚、実体化してみせた。

 

「それは……クエストペーパー?」

「7枚しかないが、買え。1枚10コルでいい」

「え、でも、え、なんで?」

「其方は情報屋なのだろう」

 

 だからだ、そう言って彼は有無を言わせぬと言った態度でアルゴにクエストペーパーを押し付けた。

 

「なんで、私に、でも、茅場が、ログアウトが、え?」

「気を確かに持て」

「わかんないよ。だって私、こんな事になるなんて、なんで、どうして、なんで!?」

 

 両肩を掴まれ、正面からその鋭い目を向けられる。

 そこから目を背けることができなかった。

 

「あの男…………まやかしを言っているとは思えぬ」

「」

「碑に刻まれた斜線の数が、死者の数と一致していた」

 

 知っている。そんなこと、既に確かめた。

 

「この城から出ることは叶わぬ」

「……うん」

「あの男の言うことが真であるやもしれぬ」

「……うん」

「ならばそれが虚偽であると分からぬ限り、誰も死んではならん」

「…………うん」

 

 そうだ。確かに茅場が言ったことが本当であるという確証はないが、『嘘である』という確証が何一つない。寧ろ、アルゴは何も知らない他のプレイヤーよりも確実に、茅場の言葉が真実だと見抜いていた。だというのに、取ろうとした手段はーーーーーー

 

「其方は絶対に死んではならん」

 

 その言葉が、アルゴの、私の心に深く突き刺さった。

 

 

「俺の、この紙を買え。其方がこれを他の者に広めるのだ。死ぬべきでない者を、死なせてはならん。あの狂人の言葉が虚偽であると証明されるその日まで、其方は死んではならぬ」

「……そう、だよ、ナ。死んでる暇なんて、まだ無いよナ」

 

 気がつけば、不自然な震えは止まっていた。虚ろだった瞳に微かな光が灯っていた。

 

「俺は情報屋ではない。ツテも何もない。だが其方という巨大なツテがある」

「俺っちが、これをプレイヤーに広めれば……誰も死なずに済むのカ?」

「死ぬ」

 

 その言葉は確かな重みがあった。

 

「其方が、俺がいくら呼び止めたとて、助からぬ命はある」

「…………」

「だが、其方と俺が動けば、助かる命がある」

 

 そうだ。全てを救うのは不可能だ。それは人間のなせる技ではない。しかし救うことができる命がある。放っておけば死んでしまう命がある。

 

 だからこそ。為せる事に限界がある人間だからこそ。

 

 

「為すべき事を、為すのです」

 

 

 為すべきことがある。

 

 

 

 

 

 

 

 狼の提案で、鼠はその日は早めに休息をとる事にした。そして宿屋にて、2人はある契りを交わした。

 

 2人で協力してアインクラッド内に囚われとなったプレイヤー達の救済となる本を出版すること。

 その際、狼は極力立場を考えずに自由に動くことができる協力者として活動するために、その名前は伏せておくこと。

 情報の売買は必ず公平に執り行うこと。

 個人の感情に囚われて人を命の危険に曝さないこと。

 そのためにも。

 

「為すべきことを為す。今はやるしか、ナイよな」

 

 死んでなんかやるものか。

 

 

 鼠と狼の戦いは、今始まったばかりなのだから。




え、えっと。
さ、最近トマトが不味いやつが多くて残念だなぁ(震え声)
な、なんでだろうなぁ。

とにかく、名が前に比べて売れるようになってしまった以上、これからも失踪しないように頑張ります。週一の仮面ライダーみたいな感じでのんびりペースなので気長にお付き合いください。


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03 地獄の4日間(1/2)


待たせたな!(ダンボール蛇)
02を少しだけ修正しました。特に内容に大きな変化はないです。

今回は説明多めの作業回なので初投稿です。気がつけばお気に入り登録者様6000人達成しかも日間1位って、なんかもう、ありがとう(語彙力)。
あとゼロワンのイズちゃんかわいい。



 

 6000人のホモ達の温かい声援に支えられながらSAORTA、はーじまーるよー。6000人のホモってなんだこの地獄絵図。

 

 さて、前回アルゴ氏に精一杯のメンタルケアを施したところから再開です。翌日の朝になるとアルゴ氏は普段通りのお調子者的な振る舞いを見せてきました。これなら大丈夫ですね(暗黒微笑)。

 前回寄せられた感想の多くは「目が虚ろなアルゴ……ええやん」というようなコメントで溢れかえってました。てめえらの血は何色だーーッ!!

 

 

 

 

 ……

 

 

 

 

 …………

 

 

 

 

 ………………

 

 

 

 

 わかる(本音)。これでもかと精神をズタボロにされた結果依存してしまうヒロインっていいよね。まあアルゴ氏はそこまで簡単に落ちるような人ではないので大丈夫でしょう。

 思いつきで隻狼ロールをしてみた以外に特に変更点もないので、基本的に前回と同じように動けてますしね。会話とかは寧ろスムーズに行けてるレベルです。

 

 さて。ともかく今日から宣言通り、三徹する勢いで全力で攻略本作成に取り掛かります。と言っても流石に4日間ずっと戦い続けるわけではありません。アルゴ氏と役割分担をした上で、負担がある程度分散されるようなチャートを組んでるのでなんとかなります。

 

 勘違いされがちですが、私は人間です(断言)。いくらRTAといえど、効率重視の立ち回りをするにしても人間には限界があり、当然ながら徹夜にも限界はあります。

 そもそも人間という生物は1日6時間以上は睡眠を取らなければ割と簡単に死にます。「せや、ずっと寝ずに迷宮区こもってレベリングしたろ!」という阿呆もいたのですが、大概そういう阿呆は失踪します。

 え?動画投稿から失踪したのかって?ええ、(あの世へ)失踪しただけですよ。

 

 4日。これが私が寝ずに意識を保てるギリギリのラインです。

 この4日間で私達がすべきこと、それはクエスト受注マップ埋めmob湧きチェックなどなど、とにかく山ほどあります。

 

 とにかく今回は代わり映えのない地味な絵面が続いてしまうので、特に重要ではない場面はダイジェスト形式でどんどん進めます。

 

 

 

 ここで1つ余談。システム的な話になるのですが、実はSAOのゲームバランスはリアルタイムでとあるプログラムによって調整されているのです。その名も「カーディナル」。このクソ素晴らしいシステムの特徴はなんといっても、人の手を介さずにゲームバランスを調整することができるという点です。○ね

 

 RTAと言えば壁抜けバグや電子の海を泳いだり凍らせた敵を踏んで大ジャンプと言った、人の手でギリギリできる変態行動が醍醐味ともいえますが、このクソシステムのせいでシステムの穴をついた行動は一切と言っていいほどできません。湧き調整や物価やNPCの所持金、プレイヤーのレベルに応じた取得経験値の減衰などを調節してるのもコレです。○ね。

 このウンチシステムのせいで、これまで以下のような惨劇が繰り広げられてきました。

 

 

走者K①「そうだ!本に載ってない効率のいいレベリングスポットを独占するナリ!」

カーディナル「はい経験値調整」

走者K①「あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!! 」

 

走者M「あっそうだ(唐突)効率が悪くても草原でイノシシ狩りをすればお金も素材も溜まるゾ」

カーディナル「はい湧き上限」

走者M「あ、そっかぁ……」

 

走者K②「じゃ、(金だけでも欲しいからアイテムを市場に)流しますね」

カーディナル「それめっちゃ出回ってるから2コルね」

走者K②「やめてくれよ……」

 

走者S①「まずお前さカーディナルさぁ、さっき湧き」

カーディナル「女の子に発言権はない」

走者S①「ファッ!?」

 

 

 散って行った様々なホモ達の検証により、カーディナルシステムにはほとんどガバがないということがわかりました。茅場のゲームの完成度もあり、更に星の数ほどのホモ達が壁抜けなどを利用して上層まで登ったりエンディング召喚を試みましたが、残念ながらその全てのルートでカヤバーンに亡き者にされてしまいました。

 これ言っちゃなんですが、オーバーアシスト状態のカヤバーンは絶対に倒せません。ですのでやはりカヤバーンを倒すには不死属性を解除してもらう、つまり正規の手段を通るしかありません。不死斬りなんてないんや……

 

 

走者K③「(1層でカヤバーンを)やっちゃいますか?」

走者B「やっちゃいましょうよ(救世主の微笑み)」

走者S②「そのための、右手」

カヤバーン「ムゥゥゥテェェェキィィィィ!!」

KBS「ンンッ…マ゜ッ!ア゛ッ↑!」

 

 

 このRTAで大切なのはカーディナルとハイパームテキに怪しまれない程度のムーブをかますことです。

 ついでにあまりにも超人ムーブをかましすぎると我らがキリト様に「その動き、お前茅場だな(キリッ)」と盛大な勘違いをされて、最悪三方向から同時に責められます。3人に勝てるわけないだろ!

 

 要するにちゃんとシステムに則った動きをしましょうということです。もう少しバグとかがあってもいいと思うんですよね、見栄え的にも。

 余談もこれくらいにして早速地獄の4日間のスタートです。

 

 

 

 1日目

 

 午前7時から活動開始。

 この日ははじまりの街にまだプレイヤーが多くいる上、十分すぎるほどに休息したので私もアルゴ氏も体力がばっちりの状態です。

 パーティを組んだ状態で疾走スキルを取得しているアルゴ氏と共に、第1層を隈なく走り回りましょう。要するに第1層のマッピングですね。

 

 レベリングをしなくていいのかと問われるかもしれませんが問題ありません。SAOの経験値の取得方法には当然ながらいくつか道が用意されています。モンスター討伐、クエスト報酬、日常スキルや生産スキルの熟練度上昇ボーナス。そして「未踏破エリアのマッピング」です。

 1番効率がいいのは難易度の高いモンスターの討伐クエストです。マッピングの経験値効率はぶっちゃけないよりマシ程度です。しかし御察しの通りデスゲーム開始直後なので、特にはじまりの街周辺の敵モブは狩り尽くされています。

 既に湧き上限リセットが入った後ですが、今日もプレイヤー達が全力で非効率な狩りをしているせいで、昨日の私のように簡単なクエストですらクリアに時間がかかってしまう状況です。

 

 ですので討伐クエストは後回しにします。今はとにかく、他のプレイヤーにリソースを奪われる心配のないマッピングによって微量ながら経験値を稼ぎましょう。

 

 アインクラッド 第1層の広さは直径10km。それを2人で手分けしてマッピングします。アルゴ氏のレベルは未だ1で、敏捷値的に私の方が上なのでマッピングは私の方が早いです。

 パーティを組んでいるため、経験値は均等に分けられます。ですので取得する経験値量は同じです。早めに彼女にレベルアップしてもらわないと、やはり足が遅いままでは色々とこちらも不便ですからね。

 

 フィールドギミックやダンジョン内部、敵とのエンカウントは極力避けるようにしているので、このまま順調に進めば17時にはフィールドの全体的なマッピングは完了します。ざっと10時間のランニング、普通だな。

 

 

 さて、マッピングが完了しました。合流ポイントに移動すると、既にアルゴ氏のレベルは上がっていました。私のレベルはまだ上がりそうにないですが、先述の通りマッピング経験値はそれほど美味しくないからね、しょうがないね。

 

 ですので現在、私のレベルは3、アルゴ氏のレベルは2です。ここで2人が持ち帰ったマップを組み合わせて、第1層のダンジョンを除く全体像を再確認しましょう。ぶっちゃけアルゴ氏はβテストプレイヤーで、私もRTA走者の端くれなので知らない場所はないです。

 しかしβテストのマップが正式版で少し修正が入るなんてことはザラにあります。私はその点まで知り尽くしていますが、アルゴ氏はそんな事知る手段がありません。自分の手でマップを埋めるしかないのです。

 

 情報屋であるアルゴ氏にとって大切なのは正確な情報を手に入れる事です。彼女に協力する以上、ここは妥協してはいけません。そこ、イライラポイントとか言わない。

 それにこの旅も無駄ではありません。それなりの速さで進めている上、経験値もリソースの取り合いになる狩りではなく、他人のレベリングの邪魔もしないため結果的にアインクラッド全体に悪影響を一切与えることがありません。

 

 

 ちなみに、マッピングついでに例のカーディナルシステムによってモンスターの湧きに偏りが出ている現状、想定外の出来事が起こった場合迅速に対応できるよう、モンスターの出現状況などを確認しておきました。アルゴ氏にも収集してもらったマップデータとモンスターの湧き状況を元に、今後のアインクラッドの様子をある程度シミュレーションしてみましょう。

 

 えぇ……(ドン引き)

 ひどいですね、これはひどい。数多くの走者が走ってきたアインクラッドの中でも今回のやつはかなりひどいです。ギリ及第点というところですがとにかく最悪といってもいい乱数を引き当ててしまいました……

 

 何がひどいかって、アホが多い。クッソ効率が悪い低レベルイノシシ狩りを行なっているプレイヤーがとにかく多いようです。湧きが少なくなっています。

 こうなった場合、プレイヤー同士での獲物の取り合いが高い頻度で起こってしまいます。しかもそのせいでいざこざが多く起こり、過激なプレイヤーが一割増しで増えます。

 

 前回も述べた通り、今回の時間軸は殺人プレイヤーの出現がかなり早いかもしれません。定期的に処理しないと後々厄介なことに……

 いやー、修羅ルート突入はタイムロスだしマジで御免だぞ……

 

 

 

 さて現在時刻は午後16:40。得られた収穫は第1層のフィールドマップとモンスターの湧き確認。思ってたより早かったんとちゃう?

 

 てかなんでこんな早いんですかね。予定ならもう少しかかると思ってたんですが……恐らくアルゴ氏のレベルアップが少し早かったからでしょう。

 はじまりの街付近に多くのプレイヤーが集まっているせいでマッピングしているプレイヤーが少なく、少数派だった私達に一割増しで多く経験値が入ったようです。カーディナル様愛してる。

 

 さて、現在位置はアインクラッド最北端の街、ローフラッグです。私とアルゴ氏を除いて、プレイヤーは誰1人としていないです。

 当然でしょう。敏捷極振りのアルゴ氏と現状最高レベルの私がベータ時代の情報を元に、全ての敵をガン無視して走り回っていたんですから。真っ直ぐこの街に向かいでもしない限りは追いつけません。

 

 ここでアルゴ氏と一旦二手に分かれます。といってもこの街からは出ません。βテスト時代にもあったこの街で受注できるクエストを大量に受注しましょう。作戦会議を既に経ているため、彼女もしっかりと効率のいいルートを理解しています。

 ですのでここから半日かけてクエストを終わらせましょう。

 

 この街で受注できるクエストは大半が討伐クエストです。というのも、ここローフラッグの街は迷宮区の裏側に位置しているため、到達するのが大変な事もあってかなりレベル帯が高いです。

 そういった街で受けられるクエストの大半は難易度の高い討伐クエストです。ですのでかなりの効率で経験値を稼ぐことができます。

 

 何をするにしても、私もアルゴ氏もレベルが足りません。他人の邪魔をしない場所で他人に邪魔されずにレベリングするには少々難易度が高かろうが、高難度のクエストを回る必要があります。

 

 さて、あとはひたすらクエストを回りましょう。

 クエスト周回を背景に、前回ちらっとお見せしたフィールドボスについて詳しく

 

 

 

 お話しします……

 

 

 

 みんな……

 

 

 

 フィールドボスって……

 

 

 

 知ってるかな?

 

 

 

 フィールドボスというのはね……

 

 

 

 それぞれの層にね……

 

 

 

 5体だけ配置されている……

 

 

 

 強い敵のことを……

 

 

 

 「フィールドボス」というんだ。

 

 

 

 その強さはね……

 

 

 

 今いる層の3つ上の層にいる……

 

 

 

 普通のモンスターとね……

 

 

 

 同じくらいの強さなんだって。

 

 

 

 慣れれば普通に倒せる負けイベボス……

 

 

 

 そんな感じだね。

 

 

 

 経験値が美味しいんだけど……

 

 

 

 3日に1回しか倒せないんだって。

 

 

 

 イヤだよねぇ。

 

 

 

 今……

 

 

 

 フィールドボスを……

 

 

 

 倒そうとしている子は……

 

 

 

 (強くてソロではまず勝てないから)やめようね!

 

 

 

 そして……

 

 

 

 みんなを大好きになって(大胆な二股宣言)

 

 

 

 生きようね!

 

 

 

 だいたいこんな感じの認識でいいです。RTAでない時にソロで戦うのはぶっちゃけおすすめしません。せめて挑むならパーティを組み、うまく連携を取りながら戦いましょう。

 3000人生存縛りを設けていない場合はここの街で受注できるフィールドボスの討伐をこなしてもいいのですが、今はそんなことをしているヒマはありません。

 後々この街にやってくるであろうパーティに攻略は任せるとしましょう。ちなみにフィールドボスはフロアボスと違って3日後に再度出現するので、私が倒した2体も後々誰かの経験値になるでしょう。やっぱフィールドボスを……最高やな!

 

 ついでにこの街で装備を新調しましょう。第1層の中でもレベル帯の高い街であることから、モンスタードロップには及ばないもののかなり質のいい品が揃っています。

 ここで敏捷にボーナスがかかるヘンプシリーズ一式を購入しましょう。しかしヘンプシリーズは皮装備よりも軽量であるが故に防御が低く、強敵相手だとオワタ式なので要注意です。

 武器も《ブロンズシミター》から《ブラスシミター》に変更しましょう。ブラスシミターは少し重い剣で、攻撃力も高く耐久も高い水準に留まっている剣です。これ1本でギリ2層まで通用しますが、流石に効率が落ちる上武器は特別縛っていないため、いずれすぐにモンスタードロップに変更します。まあ仕方ないね。

 

 さて、これにて三徹1日目終了。終了といってもクエスト進行中なんですけどね。

 

 

 

 2日目

 

 現在の時刻は深夜2時。10時間に及ぶ激闘の末、ようやく最北端のここローフラッグの街で受注できるクエストは一通り終えました。専用スキルが必要なやつは除外してあるので、これでもまだいくつかクエが余っています。おそロシア。

 

 さて、まだまだイケるぜといったご様子のアルゴ氏。初日のあの素の状態は何処へやら、今の彼女は筋金入りのゲーマーです。徹夜も何のその、ピンピンしています。

 

 とはいうもののやはり疲労はかなり溜まっているようで、時折フラついています。彼女に倒れられたら元も子もないので、しっかり気配りをしましょう。

 

 とりあえず今日はこのままこの街に設置されている転移門を利用してはじまりの街へ転移で戻ります。

 ちなみにアルゴ氏のレベルは3、私のレベルは4まで上昇しました。アルゴ氏は当然のように敏捷極振り、もう既に私よりも足が速くなってます。この人つおい(小並感)

 

 2日目にすることは単純明解。今日はデスゲーム開始から3日目の明朝、つまり若さと勢いに任せて初日に徹夜していたプレイヤーが寝静まった明朝を狙い、はじまりの街内部でクエストを巡ります。

 初日に私とアルゴ氏は既にいくつかクエストを終えている上、今の我々のレベルはかなり高いといってもいいでしょう。

 加えて敏捷極振りのアルゴ氏が素晴らしいムーブをかましてくれるお陰で、最速で残りのクエストを回ることができます。これは高効率で巡れる予感がします。

 

 

 

 

 5時間後(デデドン)。

 

 5時間ぶっ続けでクエマラソンをした結果、ようやくはじまりの街で受注できるクエストを全てクリアできました。やはり人が少ないとはいえ日中のアホ共による乱獲が響いてきましたね。

 

 それはともかく、クエスト報酬で経験値がウハウハ手に入ってくる上、ぶっ通しで走り回ってきたお陰で疾走スキルの熟練度がもんの凄い勢いで上昇しています。やったぜ。

 レベルはギリ5手前でストップしてやがります。アルゴ氏は私よりも遅いスタートにもかかわらずもう間も無くレベルが4に到達しそうです。というのも、レベル3〜4まで上昇するのに必要な経験値と4〜5まで上昇するのに必要な経験値は当然ながら後者が多いからです。RTA以前にRPGでは常識ですね。

 

 タイムの方はなんとかクリアラインに乗っかっています。これならばまだいけます。

 

 現在時刻は午前7:30。阿鼻叫喚で満ちていたはじまりの街は奇妙な静けさを取り戻していました。プレイヤー達ももう既に2回夜を越したため、これがただのイタズラではないのだと徐々に察し始めた頃合いですね。

 

 まあ知ったこっちゃありません。3000人救うこと自体が目的なので話聞かないようなモブ人間なんて、重要人物以外知ったこっちゃありません(ゲス顔)。

 その辺はエロい人に任せときましょう。間違えた、偉い人だ。

 

 

 さて、はじまりの街で今からする事はクエストペーパーの作成とアイテムの売却です。

 

 私はともかく、敏捷極振りのアルゴ氏も頑張ってアイテム整理をしていたようですが、流石に2人とも所持容量がパンパンです。

 この付近の街では手に入らないアイテムは当然ながら出回っていないため、物価がかなり良いです。加えて他プレイヤー達がそういったレアなアイテムをこぞって欲しがるため、ここはNPCに売るのではなく交易所に売りましょう。

 

 交易所とはカーディナルが管理していないプレイヤーの取引所です。アイテムの金額を自分で設定することができる上取引相手はプレイヤーなので、金が手に入らないなんてことは一切ないです。

 少し色を付けて売りたい気持ちをぐっと抑えましょう。資金不足を理由に売れなかったら元も子もないですからね。

 

 とはいえアイテム売却とクエストペーパー作成、これらは地味な上割と時間がかかります。

 

 

 

 

 

 で  す  の  で  え   

 

 

 

 

 

 

 

 

 START UP!!

 

 

 

×1000倍速▶︎▶︎▶︎▶︎

 

 

 

 THREE

 

 TWO

 

 ONE

 

 TIME OUT

 

 怒涛の倍速編集です。いいよねファイズ。最近でもかなり優遇されてるし。クロックアップよりもアクセルフォーム派です。異論は認める。

 

 3時間で用事を済ませた後、アルゴ氏との相談もとい確定イベントが発生します。

 ここでの選択肢は2つ、街に残って少し休憩するか、アルゴ氏と一旦分かれて私は先に他の街へと進むか。

 

 ぶっちゃけ丸1日戦い続けた私の精神力はもう既にズタボロです。加えて先程のクッソ長い地味な作業でSAN値がゴリゴリ削れてしまっています。SAN値ってなんだろう(無知)。まあ要するにSAN値的なサムシングが削れたせいでぶっちゃけ発狂寸前です。

 

 しかし記録を狙う以上、ここで休むなんてありえません。馬鹿野郎お前俺は(疲労に)勝つぞお前!

 

 こんなところで躓いてられるか!俺は先に進ませてもらう!!俺このRTAが終わったらずっと前から夢に見てたハーレムルートやるんだ。アスナのパインサラダ(意味深)心待ちにしてるぜ。

 

 

 今回はここまでです。閲覧ありがとうございました。

 

 

《現在のステータス》

 

sekiro Lv.04

 

所持金 47308コル

HP. 700

筋力 23

敏捷 26

 

[取得スキル]

《曲刀》 熟練度 18

《疾走》 熟練度 37

 

 

 

Argo Lv.03

 

所持金 ヒミツ♡

HP.550

筋力 20

敏捷 26

 

[取得スキル]

《クロー》 熟練度 12

《疾走》 熟練度 42

 

 

 

 





某IS走者兄貴の前書きに私のこと書いてあって心臓発作起こしかけたゾ。予めハートキャッチ物理グシャしておいたお陰でなんとか助かったゾ……


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04 地獄の4日間(2/2)


 バイト行ったり新大陸行ったり餃子作ったり新大陸行ったりしていたので初投稿です。

 (遅れてしまって)すいません許してくださいなんでもしますから。

 無垢系ヒロインに「なんでもするから」と言われてすぐ脳内でエロい事に結びつけて「そういうのは俺以外の人に言っちゃダメだよ(キメ顔)」っていう展開、嫌いじゃないけど現実的に考えるとそうやってすぐエロい事に結びつけて考える時点でお前ど変態糞土方じゃねぇかとか、そんなムーブ決め込んだら女子ドン引きすると思うんですけどそこんところどうなんですか鈍感系主人公さん及びチョロインさん(早口)





《だいぶ期間が空いてしまったのであらすじ》

 

 山荘で静かな生活を送っていた元特殊部隊のリーダー、ジョォンメイトリクスはかつての部下であるベネットに娘のジェニーを攫われてしまう。

 

「ファッ!?ベネット、死んだはずじゃ!?」

「残念だったな。トリックだよ」

サッーーーー(迫真)

「クゥ-ン……」

 

 娘の命と引き換えに南米の国バルベルデの大統領の暗殺を強要され、見張りをつけられ飛行機へと搭乗するメイトリクス。

 

「お手荷物は……」

「いや、コレ(見張り)だけだ」

「……今度余計な事を言うと口を縫い合わすぞ(憤怒)」

「(完全なる無視)」

 

 しかし隙をついて見張りをマッスル暗殺し、離陸直後の飛行機から生身で飛び降りたメイトリクスは娘を救うため、敵の情報を知るサリーを追い詰める。

 

 

「前回、週一のペースでのんびり投稿すると言ったな」

「そ、そうだぜ大佐、た、助けてくれ…」

「あれは嘘だ」

「ウワァァァァァァァァァァァァ!!!!」

 

 

 そしてついにメイトリクスは敵の本拠地へと乗り込むのだった……

 

※あらすじは本編と一切関係ありません。

 

 

 

 

 

 今のところコミュ力くらいしか再現度がないSEKIRO SAO RTA、略してSSR、もう始まってる!ちなみにこの省略、とあるコメント欄で拾ってきました。考案者の方、気に入ったので使わせて♡

 

 さて今回は前回明らかに地獄の4日間の後半をハイペースにダイジェスト形式で進めていきましょう。

 べ、別に余りにも見所さんがなさすぎたとか大量のマップ名をいちいち考えてられないとか、門下生特有のガバが思いつかなかったとか、そんなんじゃないんだからね!

 

 

 さて地獄の4日間の2日目、この日は『デマ情報発信地点』を片っ端から潰して回りました。これについては少し詳しく説明します。

 

 デマ情報、それはその名の通り、情報屋などによって正しく裏取りをされていなかった、嘘っぱちの情報です。

 デマ情報と聞いてピンと来た方も多いでしょう。そう、例の『隠しログアウトスポット』というウンコ情報。あれもネズミの名義を誰かが勝手に使って流した、プレイヤーを死に追いやる最悪のデマ情報でした。

 ちなみにその隠しログアウトスポットの正体は、暗闇のせいで視界の悪いゴブリン洞窟です。要するにこの洞窟に入ったプレイヤーは2度と出てくることがなかった=ログアウトできたというガバ方程式が拡散された結果、こういったデマ情報が流されてしまったというわけです。

 

あ ほ く さ。

 

 ガバ方程式が許されるのは○○野獣先輩説だけだってそれ1番言われてるから。不祥事起こした人物が軒並み野獣先輩に結びつけられる風潮、結構好きよ。

 

 話を戻すと、要するに私が2日目に行ったのは後にそういったデマ情報が広がる原因となるダンジョンの裏取り。予めそういったややこしいマップのデータをアルゴ氏に渡しておくことで、デマ情報流させない作戦です。当然ながら複数箇所あるので回れるだけ回りましょう。

 これをする事によって、後にデマ情報によって起こる悲劇をかなり大幅に減らすことができます。3000人生存縛りでは必須と言ってもいいでしょう。

 また、仮に3000人生存縛りを設けていなかったとしても、デマ潰しをすればここで全プレイヤーにアルゴ氏の情報収集能力の高さを誇示する事ができます。これによって全プレイヤーの間で彼女の名は上がり、結果的に攻略がよりスムーズに行われるようになります。

 やってて損はないよ、デマ潰し。ただしやろうと思う人は覚悟の準備をしておいてください。近いうちに後悔します。

 

 え?何故かって?デマ情報の出る場所と流れるタイミングが完全ランダムだからですよ。要するに可能性のある場所は全部潰さないといけないってことです、休みなしで。

 このご時世24時間働けますかなんて甘い。96時間働けますかだよ(社畜)

 

 どうでもいい話ですが私の最長勤務時間は夏祭りバイトの18時間が最長です。朝3時に起きて帰った時には23時でした。それを3日間続けました。残業代が高くてすんごい儲かりましたよ。学生の間は多少は無茶できるので、そういった経験も大切だと思いますよ。

 しかしこれが社会に出るとサービス残業となり……おっと、ここから先はみなさんには未来の話でしたね(逃れられぬカルマ)

 

 

 てかこれなんの小説だっけ(今更)

 

 

 

 閑話休題、デマ潰しに費やす時間はざっと19時間。私のバイト最長記録を超えやがりました。翌日の午前3時くらいに終わっていればクリアラインに乗っています。

 とはいうものの、流石に私も二徹のせいで疲労がアホみたいに溜まっていたため、ブラスシミターを粉微塵にしてしまうというガバをやらかしました。

 ホルンカの森の最北端には『ラージネペント』という中型の植物系モンスターが湧くのですが、こやつが使いおる攻撃の中には『腐蝕ブレス』、通称ドバー液があります。

 ラージネペント自体はレベルがあれば普通に倒せる上、経験値効率もかなり良いモンスターなのですが、このドバー液だけは話が別です。

 このドバー液、何が厄介かというと、腐蝕Lv1のバッドステータスが付いている点です。腐蝕とは名前の通り、プレイヤー装備を腐蝕させ耐久値を大幅に削る効果があります。

 

 

 おにゃのこプレイヤーの防具も問答無用で溶かします\ガタッ/

 

しかしそこはカヤバーンクオリティ、誠に遺憾ながら防具の下の服は耐久がゼロになっても消えません。ぺっ。

 

 このドバー液攻撃の対処方法は1つ。避ければいいんです。例えるなら七面武者のドバーブレスみたいな感じですね。当たらなければどうということはない。間違っても剣でパリィなんてしてはいけません。

 しかし先述の通り、疲れ果てていた私は何を血迷ったのか、ドヤ顔でドバー液を3連続パリィしてしまいました……

 その結果ブラスシミターは予定よりもかなり早くにその天寿を全うなされました。試走の段階でも何度かやらかしていたミスだったのですが、本番でもやらかしてしまうとは……情けない。やはり三徹の集中力減衰をもっと考慮すべきでしたね。

 

 次また走る機会があれば、このホルンカの森マップは早めに来るようにチャートを書き換える事にしましょう。やはり集中力がいるところは体力が残っているうちにするべきでしたね……(後悔)

 

 そんなこんなで2日目もとにかく走り回った結果、レベルも無事5に乗りました。次のレベル6でスキルスロットの上限が1つ増える事もあって、レベル5から6に上がるのに必要な経験値量はかなり跳ね上がってしまいます。

 そのためここからレベルを上げるためには、レベリングそのものに専念しなければなりません。それはこの4日間を乗り切ってからですね。

 

 割り振りポイントは筋力に2、敏捷に1振りましょう。疾走スキルのお陰で既に十分速いので、今以上にスピードを必要とする場面は暫く来ません。今まではスタートダッシュが肝心だったのですが、ここから少しの間優先すべきはパリィに使う筋力ですね。フロアボスの攻撃を打ち返せるラインまでは引き上げましょう。

 

 また、疾走スキルの熟練度が50を超えたため、派生スキル(mod)をカスタマイズできるようになりました。派生スキルは熟練度50毎に設定できる、スキルスロットではなくスキルそのものにセットする特別なスキルのことです。

 例えば隠蔽スキルの派生には《嗅覚遮断》や《聞き耳》、索敵スキルの派生には《鑑識》や《索敵数ボーナス》などがあります。

 《疾走》スキルの派生は単純な速度強化やスタミナ上昇、《疾走》と《軽業》スキルの2つを取得していることで《壁走り》などが選択できるようになります。

 今回はスタミナの上限を伸ばしておきましょう。

 

 

 さて、武器を再度ブロンズシミターに持ち替えた状態で3日目。武器ガバ以外順調に進んでいたお陰で、予定通り攻略本作成に着手できます。

 攻略本作成には私とアルゴ氏2人がかりでも丸1日以上かかります。当然ですよね、本を作るためにもそれ専用のクエストを受けて大量の紙とペンを集めないといけないんですから。少なく見積もって9000人のプレイヤー全てに本を配るためには相応の素材と金が要るわけで。

 2日目に私の裏でアルゴ氏が必要素材の大半を掻き集めてくれたのですが、それでも足りない分をこの日に集め、いざ執筆開始。

 

 記念すべき1冊目のこの本に掲載する情報は、まずこのSAOの戦闘の基本、このアインクラッド第1層のマップデータ、私とアルゴ氏で回ったはじまりの街のクエスト情報、近場のモンスターの攻略方法といった単純なものです。

 1冊目ということであくまで《基本編》といったところです。

 兎に角今は早めに出版することが大切です。デスゲーム開始から1週間を過ぎると、最初は動けていなかったノウハウを理解していない引きこもりプレイヤー達が、いよいよパニックに駆られて一斉に街を飛び出してしまいます。それまでに1冊は仕上げないといけません。

 

 そんなこんなで本が仕上がった時には、既に4日目の午前10時を回っていました。ほぼ休みなしで進めていた結果、クリアラインよりも30分以上早く終えることができました。

 早くなぁい?早くない(断言)。別に何かを忘れたりガバったわけではありません。今回はアルゴ氏の頑張りが非常に目立っています。

 

 (アルゴの攻略本のお陰で)みんな助かるし、タカキも頑張ってたし!!俺も頑張らないと!!

 

 

 さて、ともかく攻略本は作成できました。三徹達成おめでとう。

 

 もう十分だ、もう十分だろう(眠い)……

 いえお客様、まだまだこれからですよ(無慈悲)

 この野郎醤油瓶……(憤怒)

 

 さあて最期(誤字)の追い込みです。

 完成した本を各地の街の道具屋に並べに行きましょう。え?どうやってかって?んなもん走りに決まってるでしょうが。

 

 

 

 この男、三徹である。この女、ちょっと休んでたけどそれでもほぼ三徹である。今からまた走るのである。

 参考程度に直径10kmの円形マップの広さを計算してみたところ、その広さはざっと78.5平方キロメートル。わかりやすく置き換えると、京都市と同じくらいの広さです。もっとわかりやすく例えると、某神ゲーゼ○ダの伝説のbotwの全体マップの広さと同じくらいです。

 

 

 

 三徹しました。

 

 

 

 全てもう既に行った場所です。

 

 

 

 なんなら試走も含めて数百回見た風景です。

 

 

 

 三日間ずっと走り回ってました。

 

 

 

 

 

 

 

 スゥゥゥゥゥ(深呼吸)…………フゥゥゥゥゥ…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああもうヤダァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァやめてぇぇぇぇぇぇぇぇいやァァァァァァァァァウァァオレモウイッチャウゥゥゥウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥウウウウウウウウイィィイィィィイイイィイイイイイイイイイイイイ!!

 

 

 

 

 閲覧、ありがとうございました。

 

 

《現在のステータス》

sekiro Lv.05

 

所持金 114514コル(偶然)

HP. 1000

筋力 30

敏捷 32

 

[取得スキル]

《曲刀》 熟練度 39

《疾走》 熟練度 72

    mod《疾走距離延長Lv1》




あらすじは勢いで作った。

ぎょぎょぎょぎょいのままに……


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