ONE PIECE  ~地球外生命体の転生者~ (仮面ライダーハードエボル)
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ONE PIECE  ~地球外生命体の転生者~

主人公設定

 

 

 

 

 

主人公 エボルト(人間態マカハゼ)

 

 神の暇潰しに転生された日本人。特典として仮面ライダービルドに登場するラスボスのエボルトとしてONE PIECE の世界に生まれ変わる事になった。➕ツッコミポジション(ちなみに原作知識は神によって三巻辺りまで消された)

 

 

特典 ブラッド族の肉体

 

 仮面ライダービルドの設定と同じように明確な肉体を持たないため別の人間に姿を好きに変えられる。

 

エボルドライバー

 

 仮面ライダーエボルに変身できるドライバー。(使用予定はまだ先である)

 

パンドラボックス

 

 パンドラパネルやフルボトルが入っているエボルトの所持品(少しずつボトルの成分を増やしていく)

 

科学知識&科学技術

 

 仮面ライダービルドの桐生戦兎並の知識と技術を持っており、更に知りたいことにはとことん貪欲である。

 

ビルドドライバー

 

 マカハゼがエボルドライバーを模して創ったドライバー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

麦わらの一味

 

 

モンキー・D・ルフィ

 

 ゴムゴムの実を食べゴム人間になった麦わらの一味の船長。マカハゼのことは変身するからカッコいいと思っている。

 

ロロノア・ゾロ

 

 麦わらの一味の戦闘員。元賞金稼ぎで異名は“海賊狩りのゾロ”と呼ばれていた。マカハゼのことは仲の良い飲み仲間。

 

ウソップ

 

 麦わらの一味の狙撃手。パチンコを使えば百発百中は間違いなしの腕を持つ。ルフィ同様マカハゼのことはカッコいいと思っているし、ドライバーにも興味津々。

 

ナミ(協力者)

 

 麦わらの一味の紅一点の航海士だが仲間ではなく協力者。マカハゼのことは少し恐れている。

 

 

 

 マカハゼから見た麦わらの一味の感想。

 

ルフィ→能天気な子供大人。単純な男だが何かデカイ事をやりそう。

 

 

ゾロ→義理堅い戦闘狂。それでもお互い良い酒が飲めそうだが、方向音痴なのがたまに傷。

 

 

ウソップ→嘘つきな童話主人公。嘘をつくと元から長い鼻がさらに長くなりそう。

 

 

ナミ→ドけち守銭奴。金絡みだと面倒くさいが、航海士としての腕は間違いなく一流の域にある。

 

 

 

 

 

ライダー変身候補者

 

 

 

ルフィ→仮面ライダークローズ

 

 “仮面ライダービルド”の万丈龍俄のように単細胞で愚直なところから候補に入っている。

 

 

 

ゾロ→仮面ライダーグリス

 

 

 “仮面ライダービルド”の猿渡一海とは違うが、子分に慕われている所や方向音痴な事から候補になった。

 

 

 

ウソップ→仮面ライダーマッドローグ

 

 

 

 “仮面ライダービルド”の内海成彰と性格はかなり違う。しかし、「変身したら以外にマッチするんじゃねえか?」と完全な偏見で候補に入れた。

 

 

 

 




 設定追加はおいおい入ります。


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東の海編
 出会い


ONE PIECE と仮面ライダービルドのクロスです…楽しんでください。


「俺の財宝か?欲しけりゃくれてやる。探してみろ!この世の全てをそこに置いてきた…❗」

 

 かつて制覇不可能と言われた世界で最も偉大な海、“グランドライン”。その海を制した“海賊王”ゴールド・ロジャーが残した言葉は全世界の人々を海に駆り立てた。

 力こそが正義、弱肉強食を体現するこの時代の名は世に、大海賊時代‼️

 

 

 

 

 

 

“東の海”(イーストブルー)とある無人島

 

 

 この島で一人の男がひっそりと住んでいた。男は自家製のハンモックに揺られながら手の中にある小さなボトルを煽っていた。

 

「あぁ~…」

 

 男の名はマカハゼ。この世界の星に来たときに自分でつけた名である。

種族名はブラッド族…本名をエボルトという知恵を求めるサイエンター(科学者)である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〰️sideマカハゼ〰️

 

 

 

 俺の名は“ブラッド族”のエボルトもとい、マカハゼ。クソッタレな神の暇潰しで生まれ変わった転生者だ。()は「好きにやってみろ」と言い、特典としてエボルトの力を与えて転生させた。

そして俺は“仮面ライダービルド”のエボルトと違う道を生きながら“あのバカ”のせいで故郷“ブラッド星”を失い、この星にやって来た。

 

 あれから三十年…“パンドラボックス”の“フルボトル”の数を増やしつつ、“ビルドドライバー”やアイテムを開発してきた。

 

(この世界が地球じゃないのは確かだ…なら漫画や小説に似た世界かもしれん)

 

「まぁだとしても俺は俺として生きてくだけだがな」

 

 マカハゼはそう言いながらコブラの意匠が彫られている“フルボトル”を天に掲げて笑った…。

 

 

        

          ※※※※

 

 

 

 

〰️side“東の海”(イーストブルー)のある海賊船〰️

 

 

 

 “東の海”(イーストブルー)の海原に揺れて進む船首が羊の帆船の名は“ゴーイング・メリー”号。

その帆船の帆と旗には、髑髏のマークに麦わら帽子が被せられた“ジョリーロジャー”が印されているれっきとした海賊船。

 

 

「あぁ~、暇ですなぁ~…」

 

 

 羊の船首に乗っかっている麦わら帽子を被った少年の名は“モンキー・D・ルフィ”。この海賊船“麦わらの一味”の船長である。

 

 

「ルフィ、暇ならお前も掃除を手伝えよ 」

 

 

 船長ルフィにそう注意したのは元賞金稼ぎにして一味の戦闘員、“海賊狩り”の異名を持つロロノア・ゾロ。

 

 

「そうだぞ!この船は俺たちの家なんだ、何かあったらどうすんだ⁉️」

 

 

 ゾロに便乗して注意したのは一味の異常に鼻が長い狙撃手、ウソップ。

 

 

「だって暇なんだからしょーがねーじゃねぇか」

 

 

 ルフィは不貞腐れながら掃除に参加した。

掃除をして暫くたった後、後片付けをして男三人は『終わった~』と言いながら甲版に雑魚寝をした。

 

 

「ちょっと。掃除終わったところ悪いんだけど、島が見えたわよ」

 

 

「Σ本当か~ナミ~⁉️」✨

 

 

 ルフィ達にそう伝えたのは現在一味の紅一点、オレンジ髪のショートカットの航海士ナミ。

彼女は正式な“麦わらの一味”ではなく、元は海賊専門の泥棒として動いていたが、縁あってルフィ達とは手を組んだ関係である。

 

 

「まぁ島と言っても特に何もないただの無人島なんだけどね」

 

 

「取り敢えず今日はあの島で停泊して明日の朝出発するか?」

 

 

「俺もそれに賛成だ…メリー号の掃除も終わったし探索でもしようぜ!」

 

 

「野郎ドモー、あの無人島に行くぞ~‼️」

 

 

     『了解、船長(キャプテン)‼️』

 

 

 船長ルフィの命令で“麦わらの一味”が無人島に停泊することが決まった。

 

 

 

〰️数十分後〰️

 

 

 

「着いた~‼️」

 

 

「あんまりはしゃがないでよ?この島には一晩停泊するだけなんだから」

 

 

「お~いゾロ~、これを下ろしてくれ~!」

 

 

「わかった!」

 

 

 無人島に着いた“麦わらの一味”は無事無人島に停泊し、宴の準備を進めていた。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「これはここら辺に置けば良いのか?」

 

 

「おう、サンキュー」

 

 

「ルフィ!アンタもさっさと運んじゃってよ!」

 

 

「よしきた!」

 

 

「…おいちょっと待て」

 

 

      「「「「ん?」」」」

 

 

 淡々と作業を進めるなか、ゾロは何か違和感を感じて作業を止めた。

 

 

「何か1人多くねぇか?」

 

 

「他に誰かいるのか?」 

 

 

「Σお前だよ‼️?」

 

 

      「「「Σうぉぉ‼️?」」」

 

 

 ゾロの感じた違和感の正体。

何といつの間にかごく自然に宴の準備を手伝っていた男がいるのだ。

 

 遅れて気付いたメンバー立ちも距離を取るためにすぐに離れた。

 

 

「ぎゃーー、敵ーー‼️」

 

 

「ちょっと!いつの間にこの中に混じってたのよ‼️?」

 

 

「何だお前!ぶっ飛ばすぞ‼️」

 

 

「賞金稼ぎか何かか⁉️」

 

 

「おいおい…ただ親切に手伝っただけでソコまでするかね、普通?」

 

 

 一味が戦闘体制をとっているなか、件の男…マカハゼはごく冷静に吐き捨てながら()()()()()を取り出した。

 

 

「話し合いをしてもいいが…折角だ」

 

「三十年ぶりの実戦の機会…せいぜい楽しませてくれよ、海賊共?」

 

 

「!!」

 

 

 そう言ったマカハゼはボトルを振り、銃にボトルをはめた。

 

カチャカチャ カチン!

 

        《コブラ!》

 

 

「…蒸血」  プシュゥーー

 

 

《ミストマッチ…!》

 

《コ・コブラ…!コブラ…!》

 

《ファイヤー!》

 

      

 マカハゼは腕を振るうと銃から煙が出てそれに体が包まれ、火花を散らしながら出てきた。

その姿は血のように赤黒く、上半身にはパイプが巻かれていて一部は角のようになっている。

 

 顔と胸元にはクリスタルのように輝くコブラの意匠が付いている異形の姿があった。

 

 

「俺の名はマカハゼ…この姿の時は別にあってな」

 

「“ブラッドスターク”…それが俺の名だぁ…」

 

 

 

 海賊と地球外生命体…本来出会うはずのない二つの存在が出会ったことで進むべき物語から大きく逸れていく…その先はどの様に進むか誰にも想像できない。

 

 

 

 

 

〰️END〰️

 

 

 



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コミュニケーション

〜遡る事十数分前〜

 

 

島の見晴らしのいい所でマカハゼは、自分のいるこの島に一隻の船が近付いてくるのが見えた。

その船の帆と旗には髑髏のマークに麦藁帽子が被せてある陽気なものであった。

 

しかし、マカハゼはそのマークに見覚えがあった。前世で世界的人気を誇ったマンガのマークだったからだ。

 

「あのマーク…ここはONE PIECEの世界だったのか」

 

 

マカハゼがこの世界にエボルトとして生まれ変わりはや百年、この星に来て三十年で知った事実。

 

 

「ダメだ…あの船にいる四人しかわからん。あの神、俺の知ってる原作知識まで消してやがったな…!」

 

 

マカハゼは自分を転生させた神に恨み言を吐いたが気持ちを切り替えた。

 

 

「まぁそんな事言っても何にもならんしな。久し振りのコミュニケーションをとるとするか…」

 

 

マカハゼはそう言って彼らが停泊すると思わしき海岸に行き、荷卸を手伝っていたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〰️side無人島〰️

 

「姿が…」

 

 

「変わった…」

 

 

 ソロとナミは驚嘆していた。いつの間にか自然と荷降ろしを手伝っていた男が銃から煙を出したと思ったら異形の姿になって出てきたのだから。

 

 

「スっっゲェ〜〜!!」

 

 

「カッチョイイ〜〜!!」

 

 

「「∑言っとる場合か!!?」」

 

 

しかしルフィとウソップは子供の様に目を輝かせながら見当違いの反応をして、ゾロとナミはツッコミを入れた。

 

 

「おいお前!!」

 

「俺の仲間になれ!海賊の仲間に!!」

 

 

「「∑何サラッと勧誘してんだー!!?」」

 

 

「別に構わんぞ?」

 

 

「「∑お前もサクッと返事すな!!(怒)」」

 

 

マカハゼはまるで大喜利みたいなノリッコミをする“麦わらの一味”を見て笑みを零しながら変身を解いた。

 

 

「あーぁ…折角戦う気満々だったのに何か拍子抜けしちまった」

 

「にしてもお前ら、面白いな…名は何て言うんだ?」

 

 

「モンキー・D・ルフィ!海賊王になる男だ!!」

 

ドン!

 

「俺はロロノア・ゾロ、剣士だ」

 

「私はナミ、航海士よ」

 

「おっ俺は勇敢なる海の戦士!キャプテーンウソップ様だ!」

 

 

“麦わらの一味”もマカハゼが変身を解いた事で武器を納めて、自己紹介をした。

 

 

「さっきも言ったが俺の名はマカハゼ…あの姿は“ブラッドスターク”って言ってな」

 

「この星に来て三十年、お前みたいなのは初めて見たぜ」

 

 

「「「「この星???」」」」

 

 

「あぁ、俺は遥空よりも上…すなわち宇宙から来た地球外生命体でな」

 

「お前らに分かりやすく言えば宇宙人ってヤツだよ」

 

マカハゼはそう言いながら人差し指を上に指しながらそう伝えた。

 

「と言っても、簡単に信じられんだろうな…証拠を見せてやるよ」

 

証拠を見せると言ったマカハゼは身体をスライムのように変化させてゾロの姿に変えた。

肉体の外見はもちろん、服装やゾロの持つ刀三本まで完全に再現されていた。

 

 

「う…ウソでしょ…!?」

 

「ま…マジですか…!?」

 

「俺に…なりやがった…!?」

 

「スっっゲェ〜〜!!」

 

 

“麦わらの一味”の反応に満足したマカハゼは元の姿に戻り、彼等に歩み寄った。

 

 

「さっきはからかって悪かったな…まぁ親切に手伝おうとしてたのは本心だが」

 

「驚かせた詫びだ…俺のアジトに来るといい。そこの2人にとって面白いものが見れるぞ?」

 

 

「「喜っこんで〜〜!!」」

 

「∑ちょっと!もう少し警戒しなさいよ」

 

「諦めろ。こうなったらもうコイツらは止まらん」

 

 

ルフィとウソップは笑いながら肩を組み、ナミはそんな二人に注意をし、ゾロは諦めて2人について行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜sideマカハゼのアジト〜

 

「ようこそ、諸君。この俺のアジ「お邪魔しマース」∑早ぇよ!?」

 

マカハゼは演技かかった動きを見せながら小さな小屋を見せたが、ルフィがスルーして勝手に入ったので台無しになった。

ゾロたちも続いて中に入ると、部屋中の棚にはいろんな色の小さいボトルやメカや武器、テーブルには正方形の箱がぽつんと置いてあった。

 

 

「お〜何か色々あるなぁ〜」

 

 

「ココは開発所も兼ねているからな…色々あるのは当然だよ」

 

 

「スゲぇ、かっけぇ武器まであるぞ!!」

 

「この棚のやつ、お前が使ったのと似てねぇか?」

 

 

「ソレは“フルボトル”っといってな、特殊な成分で作ったものだ」

 

 

「ねぇ、この箱は何なの?」

 

 

「それは“パンドラボックス”だ。迂闊に触るなよ、下手したらこの島が滅ぶからな」

 

「「「「ハァァッ!!?」」」」

 

 

マカハゼの説明に一味一同驚嘆した。島が滅ぶと言われたら驚くのも当然の反応だが…。

 

 

「“パンドラボックス”は俺の種族“ブラッド族”が持つ秘宝であり、力の源でもあるんだ」

 

「このボックスから生成される“ネビュラガス”を使って作った物が“フルボトル”だ」

 

「このボックスを俺以外に使わすことは絶対ない。このボックスは世界そのものを変えるエネルギーがあるし、この“パンドラボックス”を使いこなせるのは俺の種族“ブラッド族”だけだ」

 

「とは言っても“ブラッド族”は後にも先にも俺だけなんだがな」

 

 

「「「「…………」」」」

 

 

マカハゼはなにかを思い出しながらそう呟いた。ルフィ達はそれを見て何も言わなかった。

 

 

「だからお前が誘った時は正直嬉しかったぜ?何せ一人はつまらんからな」

 

「モンキー・D・ルフィ…付き合ってやるよ。お前の海賊の王になる野望の道を!」

 

 

「おう!しししっ」

 

 

〜END〜

 

 



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船出と急患

マカハゼが“麦わらの一味”に入って宴をした翌日、“麦わらの一味”の面々はマカハゼの所持していた荷物をまとめて船に乗せ終わっていた。

 

 

「いや〜悪いな、荷物を手伝ってもらって」

 

 

「仲間になったんだから気にすんな」

 

 

マカハゼがルフィ達に礼を言ったがルフィは気にしてはいなかった。

船に乗ったマカハゼは島に振り返り見つめていた。この星に来て三十年過ごした島に思い入れはある。

 

 

(しかしこの島に居てもつまらん…ならコイツらと一緒に旅に出た方が面白そうだからな)

 

 

「出航準備出来たわよー!」

 

 

「よぅしお前ら〜、出航だ〜!!」

 

 

「「「「「お〜〜!」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして“麦わらの一味”は新たな仲間、“参謀”マカハゼを得て島を後にした。

 

 

マカハゼと“麦わらの一味”の出会いと船出が世界に大きな影響を与えることは、まだ誰も知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜二日後〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドゴォーーン!

 

 

 

「∑すげぇ当たった!!」

 

 

「∑当たった!!1発で!?」

 

 

ルフィとウソップが 大砲の試し打ちでデカい岩を壊し、互いが違う意味で驚嘆していた。

 

 

「どっどうだルフィ、俺の狙撃の腕は!なんなら俺をキャプテンと「お前やっぱ狙撃手で決まりだな」最後まで聞けよ!?」

 

 

「飯の準備出来たぞ〜!」

 

 

こんな一幕のある日常の中、ルフィ達は食事を済まして今後の話し合いを始めた。

 

 

「取りあえず、お前が船長で構わねぇが不甲斐ない所見せたら即!船長交代だからな?」

 

 

「おう!いいぞ!」

 

 

「いやそれで納得するのかい」ビシッ!

 

「まぁそれはそうとして。これだけ良いキッチンがあるのに使うやつがあまりいないんじゃ勿体ないな…」

 

 

「マカハゼの言う通り、これだけ広いならもう1つ役職が欲しいわね」

 

 

「んーやっぱり“偉大なる航路”(グランドライン)に入る前にあと1人仲間が欲しいな!」

 

 

「それについては賛成だ!たまにはいいこと言うじゃねぇか?」

 

 

話し合いの中、あと1人仲間を増やす決定に流れていた。

しかし、船長ルフィの思考はほかのゾロ達とはかけ離れていた。

 

「だろ!?やっぱ海賊には音楽家だよな!」

 

 

「「「∑違うわ!!!」」」

 

 

当然マカハゼを除いたゾロ達からツッコミを船長はもらたうはめになった。

 

 

「珍しく感心したらそういう事か!?」

 

 

「今の話の流れで何で音楽家が出てくるんだよ!!」

 

 

「あんた海賊をなんだと思ってんのよ!?」

 

 

「だって海賊は歌うんだぞ!皆で!」

 

 

「いや音楽家なら“偉大なる航路”(グランドライン)入ってからでもいいだろ… 」

 

 

船長ルフィの持論に仲間たちは呆れる他になかった。真面目に考えていると思っていたら全く違う事を考えていたからだ。

 

 

そんな一味が口論をしている中、二つの影が船に上がり込んで得物を構えて叫んだ。

 

 

出てこーーい!!

 

 

この腐れ海賊共ー!!

 

 

ドカァーーン!!

 

 

「「「「「!!?」」」」」

 

 

二つの怒鳴り声が聞こえたと思えば樽が蹴飛ばされ、階段の手すりが切られていた。

2人組はサングラスを掛け頬に“海”と刺青を入れている男と、黄色いニット帽を被ったポニーテールの少女がそこにいた。

 

 

「オイ!!お前ら何なんだ!?」

 

 

「誰も糞も!」

 

「あるかぁ〜!!」

 

 

ズバッ!!

 

 

「危っ!?」

 

 

問答無用で攻撃を仕掛けてきた二人から前えとび出て丈の長い剣を同時に切りつけたが、ルフィはそれを飛んで交した。

一方部屋の中にいるゾロとマカハゼは寛ぎながらウソップとナミに状況を聞いた。

 

 

「敵は?」

 

 

「ふっ二人だな…」

 

 

「なら船長だけで十分だな」

 

 

二人はそう言って更に寛ぎだしたその時、船に攻めてきた2人組みの少女が壁を突き破りながら飛ばされてきた。

 

 

バキィィ!!

 

 

「「∑ギャーーーー!!?」」

 

 

「∑何自分から船壊してんだあいつは!」ガビーン!

 

 

「ん?コイツは…」

 

 

ゾロが飛ばされてきた少女をよく確認した。かつて自分が賞金稼ぎだった頃、勝手に着いてきた3人の子分の1人だった。

 

 

「お前カッコウじゃねぇか!」

 

 

「え?知り合い?」

 

 

「ぞっゾロの兄ぃ!!?」

 

 

「ゾ…ゾロの兄貴!!?そこに居るんですか!!?」

 

 

「ジョニー!!お前らなんでこんな所に!?」

 

「ヨサクの奴はどうした!一緒じゃねぇのか?」

 

 

「ゾロの兄ぃ、それがヨサクが大変なことに!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜数分後〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「病気!?」

 

 

騒ぎが収まり船で病に伏せているヨサクをメリー号に移して寝転がした。

 

「数日前から突然血を吐いたり古傷が開き出したりして気絶を繰り返す…!」

 

 

「ウチら学なんて無いからどうすればいいか分からなくて…大きな岩陰に休ませてたんだけど!!」

 

 

「いきなり砲撃が来て…周りを見たらこの船が近くにいたからそれで!!!」

 

 

「「∑ハッ!!!!」」

 

 

ガビーン!!!!

 

 

この話を聞いてルフィとウソップは確信した。自分達がゾロの子分たちを追い詰めてしまっていた事を。

ルフィとウソップは謝罪をしたが、ジョニーとカッコウはそれを一蹴した。

 

 

「「ご…ごめんなさい!」」バッ!

 

 

「気にすんな。既に終わったことだ…」

 

 

「それに謝って済むなら海軍はいらないよ!」

 

 

「「グサッ!!!」」

 

 

この状況を見守っていたマカハゼはナミに確認を取ってから台所に向かった。

 

 

「ナミ。確かまだ新鮮な野菜や果物がまだ残ってたと思うが?」

 

 

「えぇ。ライムが大量にあるからそれを取ってきて」

 

 

「リョーかいっ」

 

 

マカハゼはそう返事をしてライムを取りに倉庫に向かった後、ライムを搾ってヨサクに飲ませた。

その間にナミはヨサクの状態をみんなに詳しく説明を始めた。

 

 

「“壊血病”?」

 

「“壊血病”は一昔前までは航海にはよくある絶望の病そのものだったの」

 

「でも原因はただの植物性の栄養の欠乏、昔の船は保存のきく野菜や果物を積んでなかったから…それにしてもあんたよく分かったわね?」

 

 

「俺を触れた人間の状態を感覚でさぐれるからな。それぐらいなら朝飯前だ」

 

 

「お前らすげぇな!!」

 

 

「俺はよ、お前らがやれる奴らだと思ってたよ」ウンウン

 

 

「海賊ならこれくらい知ってろ!!アンタら何時か絶対死ぬわよ!?」

 

 

「と言うかお前ら罪悪感もう無くなったのか? 」

 

 

搾り切ったライムを飲ませきったら直後、ヨサクが飛び起きてその場でジョニーとカッコウと一緒に踊り出した。

 

 

「よっしゃぁ!!治ったぁ!!!」

 

 

「∑そんな早く治るかぁ!!!」

 

 

「以外に回復が早いな 」

 

 

 

 

〜END〜



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目的地決定!海のコックの元へ

「では改めて自己紹介を!」

 

「俺の名はジョニーと言います!」

 

「あっしの名はヨサク!」

 

「ウチはカッコウ!ゾロの兄ぃとウチらは嘗ての賞金稼ぎ仲間!どうぞお見知りおきを!!」

 

「あんたらには何と礼を言えば良いか!流石のあっしも助からねぇって思いましたよ!」

 

「しっかし改めて驚きました。まさか“海賊狩り”のゾロの兄貴がまさか海賊になっていて「ブヘェッ…!!」∑ぬあっ!!相棒〜〜!!?」

 

「∑しっかりしてジョニー!!」

 

「いいからさっさと寝てろ(怒)!!」

 

 

突然血を吐いて倒れたヨサクに驚いたジョニーとカッコウは駆け寄り、ゾロは怒鳴りつつヨサクの身を心配していた。

ナミはそんな3人のやり取りを見た後、ヨサクの青白い顔に目を移して後に深刻な顔で確信した。

 

 

「これは教訓ね…」

 

 

「長い旅には落とし穴は付き物ってか?」

 

 

「やっぱココは栄養バランスを考えれて大量に作れるプロの料理人が必要だな、船長?」

 

 

「よぅし決まりだ!“海のコック”を仲間に入れるぞ!!そしたら美味い飯食い放題だしな!!!」

 

 

「兄貴たち、それでしたらちょうどいい場所があるんですよ!まぁそこのコックが仲間になるかどうかは分かりませんが」

 

 

そう言ったジョニー達はこの先の方向にある場所について語り出した。

 

 

「「「“海上レストラン”!?」」」

 

 

「はい!此処から2、3日行った先にあるんですけど気をつけて下さい。そこはもう“偉大なる航路”(グランドライン)が近いんです」

 

 

「やばい奴がいそうね…賞金首確認しとかなちゃ」

 

 

「ゾロの兄ぃ、良ければウチらが案内しますよ?」

 

「それに彼処には()()()が来たって噂があるんスよ」ボソッ

 

 

「!!?」

 

 

「良かったら案内しますぜ?」

 

 

「よっしゃー頼むぞー!!」

 

 

「……」ニィ

 

 

目的の決まったルフィ達はジョニー達に案内をしてもらうことになった。

一方ゾロはカッコウの囁きに目を見開いて密かに笑を浮かべた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜3日後〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メリー号にある一室…そこでマカハゼはあるアイテムを製作していた。

それは“仮面ライダービルド”に出ていた変身ガジェットである。

 

(これで完成だ…) コトッ…

 

作り終えたマカハゼは作業を中断して一息ついた。

 

 

(これで()()()()()()()()()()()()()()()()…この世界がどんな風に変わっているのか分からん以上、主要キャラ達を強くする必要があるからな…)

 

 

マカハゼが胸に抱いている不安…()()()()()()()()()()()()()()という疑惑から始まった。

そもそも自分という“イレギュラー”が生まれた時点で“仮面ライダービルド”の物語は破錠していたも同然だった。

 

しかし“エボルト”としてこの世界で生きて見れば辿り着いた星には“海”が大半を占めている海賊漫画の世界で、うろ覚えの原作知識とは言え覚えのないキャラが存在しているのだ。

そうなると自分の予想を超えた出来事が起こる可能性が高い。だからこそ、ルフィ達にも“仮面ライダー”にして対抗しようと考えていた。

 

(下準備も終わったし、後は()()()()()()()()()()()()()が上がるのを待つだけ…)

 

 

一休みを終えたマカハゼは作業の続きを再開しようと動き始めた時、砲撃の音と何かが破壊された音が響いてきた。

 

 

ドゥゥーン!!!

 

ドガァァーーン!!!

 

 

「……(汗)」

 

 

砲撃による攻撃の音を聞いたマカハゼは冷や汗を流しながら部屋の外に出てみた。

 

外を見てみれぱ床に倒れているゾロの子分の3人、散らばっている手配書の一枚を凝視しながら握っているナミ、大砲の煙が出ている海軍の船、ファンシーな船の一部が壊れてそれを見て固まっているルフィとゾロとウソップの3人……

 

 

「…何だこの状況はぁぁぁー!?」

 

 

遅れてやって来たマカハゼの口からはただそれだけしか言えなかった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜一時間後〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あいつ大丈夫かしら?」

 

 

騒ぎから数分たったあと、レストランの料理人達にルフィが犯人として連れていかれた。

 

「雑用でもさせられるんじゃねぇか?1~2ヶ月ぐらい」

 

 

「海軍のせいにしちゃえば良かったのに…本当馬鹿正直何だから」ハァー

 

 

「腹ごしらえの次いでだ。ルフィの様子も見ておくか?」

 

 

「お!良いなそれ!!」

 

 

マカハゼの提案で一同は海上レストラン“ バラティエ”で食事をすることにらなり、レストランの中に入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーレストラン内ー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか1年の雑用だとはな…」

 

 

ゾロの舎弟達にメリー号の留守を任し、マカハゼ達はレストランで食事をしていた。

 

つい数分前ここに居た海軍が捕らえていた海賊が暴れた後レストランの料理人に返り討ちにされたたそうだ。

 

 

「流石に1年も待ってられねぇよ」

 

 

「海賊旗でも書き換えるか?」

 

 

「流石に気が早すぎるだろお前ら… 」

 

 

船長が罰として1年間の雑用となったと知り、みんな食事をしながら相談をしていた。

 

 

「∑お前ら俺を差し置いて何うまいもん先に食ってんだよ!!?」

 

 

「おぉ来たか雑用船長!」

 

 

「別に俺らの勝手だろ?」

 

 

ホジホジ「喰らえ」 ポチャン

 

 

「お、おう…」プル(((( ’ω’ ))))プル

 

 

「そ、そうね…」プル(((( ’ω’ ))))プル

 

 

「まぁ…確かにここの飯はうめぇよ」

 

「お前には悪ぃと思っているが…」スゥ

 

「これはお前が飲めぇ!!!」 

 

グイッ!!

 

「∑ウプゥッ!!?」

 

ゴクン!!

 

 

仲間達が自分を差し置いてレストランの料理を堪能しているのを見てウガーッとなり、ゾロの持っていたコップに鼻糞を放り込んだ。

 

そんな場面を見たウソップとナミは笑いをこらえて見ており、ゾロがコップの水を飲むと見せかけてルフィに無理矢理飲み込ませた。

 

 

「な·····なんて事しやがるんだ、お前は!!」

 

 

「∑そりゃコッチのセリフだバカヤロウ!!!」

 

 

「あはははは!!!」バンバンバン

 

 

「は…腹痛てぇ〜!!!」ゲラゲラ

 

 

「……まるでド○○○ーズを見てる気分だ 」ボソッ

 

 

「あぁ海よ!!今日という日の出会いに感謝を!!!」

 

 

バンッ!!!

 

 

「「「「····················」」」」

 

 

ルフィとゾロの大喜利で騒ぎが大きくなった所へ黒スーツを着た金髪グルグル片眉毛の咥えタバコの変人が何かを叫びながら出てきたことで、更に混沌(カオス)が予想された。

 

 

 

 

〜END〜

 

 

 

 




半年ほど離れていました。できる限り何とか早くしたいと思います。


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ラブコック登場!その名はサンジ!

飯を食ってたらなんか変なのがナミをナンパしてきた…字にするとさらに意味が解らん。

 

 

 

「ああ恋よ♥この苦しみに耐えれぬ僕を笑うがいい!」

 

「僕は君となら海賊にでも悪魔にでも成り下がれる覚悟が今できた♥」

 

「しかしなんという悲劇か!!僕らにはあまりに大きな障害が!!」

 

 

 

その男は目をメロメロさせながらナミに甘い言葉を吐いていた。だがこいつのセリフからしてルフィが勧誘したコックなんだろう・・・

 

それにしてはずいぶん癖があるやつが来たな・・・

 

 

 

「障害ってのは俺のことか?」

 

 

 

「げっクソジジイ!!」

 

 

 

「いい機会だ、海賊になっちまえ」

 

「お前はもうこの店には要らねぇよ」

 

 

 

・・・なんか修羅場が起こった?

 

 

コック帽が異様に長いオーナーが言うにはサンジというこの男は副料理長は他のコックにかなり煙たがられてるらしい。

 

まぁ・・・ナミに対する態度からそれは察せられたが・・・。

 

 

 

「海賊にでもなんでもなってさっさと店から出て行きな・・・」

 

 

 

「黙って聞いてりゃ好き勝手言ってんじゃねぇぞ、クソジジイ!!」

 

「他はともかく俺の料理を貶すじゃねぇよ!!」

 

「お前がなんと言おうと俺はここでコックを続ける!文句は言わせねぇ!!」がばっ!!

 

 

 

料理長(オーナー)の胸ぐらを掴むとは何様だ、ボケナス!!」

 

 

ガシャアン!!

 

 

「うわ!!」

 

 

 

「Σ危なっ!」

 

 

 

叱るためとはいえ客のテーブルに投げ飛ばすなよ!まぁ間一髪で飯を死守出来たけど・・・

 

 

 

「てめぇが俺を追い出そうとしても!!」

 

「俺はこの店で一生コックを続けるぞ!!」

 

「てめぇがくたばるまでな!!」

 

 

 

「アホが・・・俺はあと100年は生きる!」

 

 

「口の減らねぇジジイが・・・!!」

 

 

 

「やったな!これで海賊に「Σなるか!!(怒)」」

 

 

・・・まぁとりあえず・・・

 

 

「落ちつきなって!」

 

「ウチの船のコックっていう再就職先があるんだからな!」

 

 

 

「Σサラッと勧誘するな!!」

 

 

 

「(・д・)チッ」

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~数分後~

 

 

 

 

 

 

「先程は失礼致しました」

 

「お詫びにフルーツのマチェドニアを召し上がれ!」

 

「食後酒にはグラン・マリエをどうぞ、お姫様♥」

 

 

 

「わぁっありがとう!」

 

 

副料理長・・・サンジは迷惑をかけた詫びにデザートを出してくれた・・・正確にはナミにだが。

 

 

 

「Σいや俺らには何の詫びもなしかい!?」

 

 

 

「やめとけ。茶を出してる分まだマシだろ?」

 

ズズ・・・

 

 

 

「その通りだ!礼のひとつでも言えたこ野郎!!」

 

 

 

「お!?やんのかコラ、手加減はしねぇぞ!!」

 

「やっちまえゾロ!マカハゼ!」

 

 

 

「「お前でやれアホ・・・」」

 

 

 

ウソップの必殺“ 他人任せ”を呆れながら茶を飲む俺たち・・・ルフィはナミからお零れを貰おうと口を開けていた。

 

 

 

「ところでコックさん?」くいっ

 

 

「はい♥」

 

 

「ここのお料理・・・私には少し高いみたい」

 

 

「もちろん!!無料(ただ)で♥」

 

 

「嬉しい!ありがとう!」ぎゅっ!

 

 

「あー♥」

 

 

ナミはコックのサンジを誘惑しながら自分の料理代をあっさり値切らせた・・・

 

 

「あ、お前らは払えよ!!」

 

 

「Σなぬっ!!」ムスッ!

 

 

まぁ・・・男の俺達にはビタ一文も安くする気はないようだが・・・

 

 

 

魔女(マジョ)か、てめぇは・・・!!」

 

 

 

「と言うより、あの男が女に甘すぎるだけじゃねぇか・・・?」

 

 

 

「アンタらも十分気をつけるのよ♥」ププっ

 

 

 

その直後、コックのサンジは来店した女客にメロメロに接客してルフィを引きづって行った・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side:ゴーイング・メリー号

 

 

 

 

「とっ言う訳で暫くここで滞在することになった!」

 

 

 

 

ルフィの現状を確認してきたマカハゼ達は船に戻ってヨサクたちにそう伝えた。

 

 

 

 

「それじゃルフィの兄貴がそのコックを仲間にするまでここにいるってことですかい?」

 

 

 

「と言っても、あのルフィだぞ?」

 

「仲間になって日の浅い俺でもアイツの不器用さは度が過ぎてるのが分かる・・・」

 

「もって4〜5日が限界だろ?」

 

 

 

「「「あぁ、それは有り得る」」」

 

 

 

一味の皆がルフィの事を理解しているからマカハゼの言葉に納得した。

 

 

 

話し合いが終わった後は、皆それぞれトレーニングをしたり新しい武器を作ったりして過ごしていた・・・

 

 

 

「・・・・・・」

 

 

 

(アイツ、さっきから手配書ずっと見てるが・・・何かあったのか?)

 

 

 

ナミが手配書1つであまり動かなくなったのを疑問に思っていたマカハゼだが、深入りをせずに発明品の調整をしていた・・・。

 

 

 

 

 

 

 

~2日後~

 

 

 

 

 

 

 

何時ものバラティエの日常・・・そこに突如現れた1隻の巨大海賊船で壊された・・・。

 

巨大海賊船の旗はドクロの両脇に敵への脅迫を示す砂時計が描かれているのが見えていた。

 

その船を持つ海賊の名は首領(ドン)・クリーク。店の中の人間はその名を恐れて震えていた。

 

 

 

「おい、やべぇぞ!早く逃げた方が良くねぇか!!?」

 

 

 

「アニキ~船出してくれ~!!」

 

 

「まだ死にたくねぇよ~!!」

 

 

「Σゾロの兄ぃを見習えよ、バカ二人!!」

 

 

 

ウソップとジョニー達(1人除く)も恐れて逃げようと言って騒いでいる。

 

 

 

 

「いちいち騒ぐな」

 

「騒いでどうなる事もねぇだろ?」

 

 

 

「にっしても“ 東の海”の大物海賊って聞いてたが・・・」

 

「船がボロ過ぎじゃねぇか?」

 

 

 

 

マカハゼの見た通り、巨大海賊船がまるで大規模な自然災害に会ったかのような被害を受けていた。

 

 

 

 

 

「あ・・・あんなでけぇ船がボロボロになるって・・・!?」ゾクッ!

 

 

 

「いや・・・よく見たら人為的な傷も結構あるぞ?」

 

 

 

「Σあんなでけぇ船を人間の手でか!!?」

 

 

 

「そんな事ありえるの!?」

 

 

 

「ありえなくはねぇな・・・」

 

「俺もその気になればこれ位は普通に出来るぞ?」

 

「つかっ俺は宇宙から来たって言ったろ?」

 

「俺のような存在がいるんだからこんな事が出来るやつがいても不思議じゃねぇだろ?」

 

 

 

 

((何この説得力・・・))

 

 

 

 

 

 

そのあと、船から二人の男が降りてきてレストラン“ バラティエ”の中に入っていった。

 

そしかし5分後、レストランにいた沢山の客が大慌てで店から逃げて行くのが見えた。

 

 

 

 

「おい!レストランから人が出て行くぞ!?」

 

 

「中に入った奴らが何かおっぱじめたか・・・」

 

「それともルフィが何かをやったか・・・」

 

 

「とりあえず中に入ってみるか?」

 

 

 

話し合いの結果、マカハゼはゾロとウソップと一緒にレストランの中に入ることになった。

 

 

 

「それじゃぁ、留守番頼んだ!」

 

 

 

「行ってらっしゃい!兄ぃたち〜!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このとき・・・俺たちの認識は甘すぎていた・・・まさか()()()がとんでもない事を仕出かすことに・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーENDー




マカハゼ(エボルト)

実際の実力は“偉大なる航路”の新世界で普通に通用する強さ。

ルフィ達に力を合わせているが、強くなるにつれて力を解放していく。


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“ 偉大なる航路”の脅威

「ちょっと待て!海賊王になるのはこの俺だぞ!!」

 

 

 

店の中に入れば海賊“ 首領・クリーク”らしき男が船を空け渡せとか海賊の王になるとか言っていた。

 

そんな男にルフィが海賊王になるのは俺だとタンカを切っていた。

 

 

 

「何か言ったか小僧?」

 

「今なら聞き流しても構わんぞ?」

 

 

 

「別にいいよ」

 

「俺は事実を言っただけだから」

 

 

 

「遊びじゃねぇんだぞ?」ズォ

 

 

 

「当たり前だろ?」ニィ

 

 

 

方や憤怒の顔でルフィを睨み、方や余裕の笑みで“ 首領・クリーク”を見ていた。

 

 

 

そんな中でウソップがビビりながら話しかけて来た。

 

 

 

「なぁ聞いただろ?あのクリークが渡れなかったんだぞ!」

 

「な!悪いことは言わねぇからやめとこうぜ!あんなとこに行くの!」

 

 

 

「うるせェな、お前は黙ってろ」

 

 

 

ウソップを黙らせたゾロは刀を1本肩に掲げてマカハゼとウソップと一緒にテーブルに座っていた。

 

 

 

「ゾロ・ウソップ・マカハゼ!いたのかお前ら」

 

「いいよ、すわってて」

 

 

 

「・・・・・・ハ・・・」

 

「ハッハッハッハッ!!」

 

 

ルフィに声をかけたゾロたち3人を見て、“ 首領・クリーク”は笑い出した・・・。

 

 

 

「はははは!そいつらはお前の仲間か!?」

 

「ずいぶんとささやかなメンバー達だな!!」

 

 

 

「まだあと2人いるぞ!!」ビシッ

 

 

「Σイヤそれ俺を入れただろ!?」ガビーン

 

 

 

まるで漫才をするかのようなルフィとコックのやり取りに憤怒に震える“ 首領・クリーク”が怒鳴った。

 

 

 

「ナメるな小僧!!」

 

「情報がなかったにせよ兵力五千の艦隊が」

 

「たった1週間で壊滅に帰す魔界だぞ!!!」

 

 

 

「!!」

 

 

 

 

「いっ・・・1週間!!?」

 

 

「クリークの艦隊船団がたった1週間で壊滅だと!!?」

 

 

「一体何が・・・・・・」

 

 

 

「きィたかおいっ!!1週間で50隻の船が!!!」

 

 

「面白そうじゃねェか」

 

 

「どうせメチャクチャな天候に適応出来なかったことによる壊滅だろ?」

 

 

 

“ 首領・クリーク”の“偉大なる航路”航海の失敗発言でレストランの人間は混乱した。

 

たった1週間で50隻の艦隊が壊滅なんて普通は有り得ない自体だからな・・・

 

 

 

「無謀と言うにもおこがましい!!俺はそう言う冗談が大嫌いだ!」

 

「それをこのまま言い張るならここで待て!俺がここで殺してやる!!」

 

 

 

ルフィにそう言った“首領・クリーク”はレストランから手に入れた食糧らしき袋を持って自分の船に帰っていった。

 

去り際に店から出て行くこと・料理長の持つ航海日誌を寄こす事を言って去った。

 

 

 

 

 

 

その後、異様な沈黙に包まれたレストランの中から“首領・クリーク”の手下らしき男がサンジに懺悔を始めた。

 

 

 

「すまねぇサンジさん!!まさか・・・こんな事になるなんて・・・!!」

 

 

「お前が謝る事じゃねぇよ下っ端」

 

「どの道こうなるのは分かっていたし各々がこの店を想ってやった事」

 

「ただそれだけの話だ」

 

 

料理長ゼフが下っ端の男・・・ギンに気にしてないと言ったが他の料理人たちはそうはいかなかった。

 

料理人たちは〝首領・クリーク〟に食事を与えたサンジと言う料理人を責め立てたが・・・

 

 

 

「黙らねぇか、ボケナス共ォ!! 」

 

 

 

彼らを止めたのはこの店の持ち主である料理長本人だった・・・

 

 

 

「てめぇらは死ぬほど空腹を味わった事があるのか?」

 

 

「!」

 

 

「広大すぎる海の上で食料と水を失う恐怖ってのがどれほど苦しくて恐ろしい事か知ってるか!!」

 

「済んだことを掘り返す暇があったら、サッサと裏口から早く逃げろ!!」

 

 

「・・・俺は残って戦いますよ」ガシッ!

 

「やられっぱなしじゃあ腹の虫が治まらねえ!」

 

 

「俺もだ。ココは俺が働ける唯一の店だ!」

 

 

「どの道ここしか生きて行けねぇしな」

 

 

料理長ゼフの叱責した後、料理人たちに避難を促したがみんな店に残り、戦うことを決めた。

 

 

「ば・・・バカかアンタらは!?」

 

「〝首領〟の強さを見たハズだろ!?早く逃げねぇとマジで殺されるぞ!!」

 

 

ギンは無謀と言える行動をとる料理人たちを有り得ないという目で見て逃げる様に訴えた。

 

 

「おいギン」

 

 

そんなギンをサンジは店のテーブルの上にあぐらをかいて座り、忠告を始めた。

 

 

「一応言っておくが・・・腹のへった奴にメシを作って食わせるのがコックとしての俺の正義」

 

「だが腹いっぱいになって襲って来るのはただの略奪者・・・」

 

「そんなお前の仲間をブチのめそうがブッ殺そうが誰にも文句は言わせねぇ」

 

「この店乗っ取ろうって言うんなら・・・お前でもブッ殺す」ギッ

 

 

「・・・!!」ゴク!

 

 

サンジの鋭い眼光に睨まれながら忠告を受けたギンは息を飲むことしができなかった・・・。

 

 

「テメェで助けといて世話ねぇヤツだな・・・」

 

 

「ほっとけ、くそコック」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side:マカハゼ

 

 

 

 

 

 

「な!いいだろアイツ?」

 

 

「どうでもいいわ、あんなヤツ!」

 

「それより早くこっから逃げねぇと・・・」

 

 

「何ビビってんだ、相手はボロボロの海賊だろ?」

 

 

「そもそも目をつけられた時点ですでに手遅れだろ?」

 

 

「∑確かにそうだよチクショウ!!」

 

 

ルフィは黒服コックのサンジを評価し、ウソップは怯え、ゾロは慰め、俺は現実を教えた。

 

 

「それにアイツがそんなにスゲェやつなら尚さら戦わねぇとな!」

 

 

「それはともかく・・・お前らは〝偉大なる航路〟に行ってたらしいが・・・」

 

「船があんなになるまで気候がやば過ぎたのか?」

 

「それともお前らより格上の海賊か海軍にやられたのか?」

 

 

俺は気になった事を呆然としているギンとやらに聞いた。実際〝偉大なる航路〟がどの様な場所なのか気になるな・・・。

 

 

「・・・・・・分からねぇのは事実だ」

 

「信じきれねぇんだよ・・・〝偉大なる航路〟に入ったたったの七日目だ・・・」

 

 

ギンは当時の出来事を思い出してか頭を抱えながら震えていた・・・。

 

 

「あの海の出来事が現実なのか・・・夢なのか・・・頭の整理が未だに出来てねぇんだ・・・」

 

「・・・突然、現れた・・・」

 

()()()()()の男に・・・五十の大艦隊が壊滅されたなんて・・・!!!!」

 

 

「え!!?」

 

「んなバカな!!?」

 

 

「たった一人に〝海賊艦隊〟が壊滅!?」

 

 

「へぇ・・・」

 

 

そいつはおもしれぇなぁ・・・

 

 

「俺たちが乗ってた本船だって運良く嵐が来たから助かっただけだ・・・」

 

「ほかの船が無事かなんて全く分からねぇ・・・」

 

「ただ恐ろしくて思い出したくねぇんだよ・・・あの射殺すかのような・・・」

 

()()()()()()()()をした剣士を!!」

 

 

「∑何だと!?」

 

 

なんかゾロが〝鷹の目〟と〝剣士〟のところに反応したな・・・どしたの?

 

 

 

 

ーENDー

 



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裏切り

今年初めての投稿です。

今年もよろしくお願いします。


「なるほど・・・」

 

「お前の言うその男の特徴・・・間違いなく〝鷹の目〟に違いないな・・・」

 

 

〝鷹の目〟・・・この世界で高い実力を持つみたいだが・・・情報が少なすぎる。

 

一体どんな奴だ?

 

 

「た・・・〝鷹の目〟・・・」

 

「て誰だ?」ガボーン

 

 

「知らねぇ・・・誰だろうな?」

 

 

「いや知らねぇなら知ってる雰囲気出すなよ」ビシッ

 

 

「俺が探している男だ・・・」

 

 

「探してるって・・・まさかお前の言ってた〝世界最強の剣士〟か?」

 

 

数日前にゾロから聞いた〝世界最強の一角〟である剣士がいるらしい。

 

ゾロの野望はそいつを倒して自分が世界最強の剣士になる話だった・・・ジョニー曰くその剣士はこのレストランに来てたそうだが・・・

 

 

「〝()()()()()の男〟に自爆死って・・・情報が変わりまくってるぞ(汗)」

 

 

「あのヤロー・・・ガセネタ掴まされたな!?」

 

 

コック達が言うには以前この店に来た客がワインを飲みすぎて目を真っ赤にし、その後に自分に火を引火して自殺したらしい・・・

 

紛らわしい奴だな・・・

 

 

「艦隊を相手にするくらいだ・・・何か怒りを買ったんじゃねえのかよ?」

 

 

()()()()()でもしたとかか?」

 

 

「案外、()()()()で遊ばれたんじゃねぇか?」

 

「俺のクソ兄貴も暇つぶしで国を1つ滅ぼしたくらいだしな・・・」

 

 

「「「∑どんな兄貴だよ!!?」」」

 

 

(正確には()1()()だけどな・・・)

 

 

ブラッド族時代、滅ぼす予定ない星を暇つぶしで殺ったせいで後始末とかが大変だったなぁ・・・

 

 

「そんなフザけた理由で壊滅されたってのか!?」

 

 

「落ち着け、ただの例えだ」

 

「アイツのは知らんが・・・(汗)」

 

 

例えで出た理由にギンはキレ、料理長は俺を呆れた目で見ながら〝偉大なる航路〟は()()()()()だと慰めた。

 

 

「?」

 

 

「何が起こってもおかしくないってことだろ?」

 

 

「クゥー!」

 

「早く行きてぇーなー、〝偉大なる航路〟!!」

 

「やっぱこうでなくちゃよー!!」

 

 

「∑お前は危機感ってやつを覚えろよ!?」

 

 

「お前はもう少し危険を楽しめよ?」

 

 

「∑楽しめるかぁ!!?」

 

 

「何にせよ、俺の目的は〝偉大なる航路〟に絞られたわけだ・・・」

 

「そこに()()()がいるんだ!!!」

 

 

「〝世界最強の剣士〟ねぇ・・・」

 

 

ゾロが勝ちたい〝世界最強の剣士〟・・・正直、俺が戦って見たいが・・・俺は空気を読めるから言わない!

 

 

「・・・バカが、お前ら真っ先に()()()()()だな」

 

 

・・・いたよ、空気の読めない奴。

 

 

「当たってるが・・・バカは余計だ」

 

 

「?」

 

 

「剣士として最強を目指した時から命なんてとうに捨てている」

 

「この俺をバカと呼んでいいのはそれを決めた俺だけだ」

 

 

「俺も俺も!!」

 

 

「勿論、俺も男として当然だ」

 

 

「お前は違うだろ」ゴスッ

 

 

ゾロの言葉には確かな〝意志と覚悟〟がある。それを赤の他人が侮辱する権利はない。

 

ルフィもそれを持っている・・・ウソップは6割ぐらい嘘が入っているが・・・

 

 

()()()()()()()()()()・・・ねぇ?」

 

 

「どうしたマカハゼ?」

 

 

「いや、ただ・・・」

 

「やっぱ俺は・・・あの時から()()()()()()んだと思ってよ・・・」

 

 

「「「??」」」

 

 

ゾロの言葉に反応した俺にルフィが声をかけ、あの日の()()()()()()()()を思い出していた。

 

 

「・・・・・・けっ」

 

「バカバカしい・・・」

 

 

「・・・・・・・・・」ニヤッ

 

 

そんな俺たちを見てサンジは少し苛立ちながら吐き捨てるように言い、料理長は静かに笑っていた。

 

 

「さて!」

 

「そろそろ奴らが飯食い終わって攻めてくる頃だ!」

 

「〝偉大なる航路〟の脱落者とはいえ、この〝東の海〟最悪の海賊団らしいからな・・・」

 

「さっさと終わらせて飯の続きにしようぜ」

 

 

「おう!」

 

 

「やっぱやんのかよ・・・」

 

 

「覚悟決めろ」

 

 

 

 

 

ウオオォォォッッ!!!

 

 

 

 

 

「海賊達の雄叫びだぁ!?」

 

 

「この店を守るんだ!!」

 

 

「「「どけぇ!コック共ォ〜〜〜っ!!!」」」

 

 

飯を食って復活した雑魚たちがこの店を奪うため、攻めてきた・・・。

 

この星に来て初めての戦闘・・・加減しながら楽しませてもらうか・・・

 

・・・そう思っていた時期がありました。

 

 

 

 

 

ズババン!!!

 

 

 

 

「「「え・・・・・・!!!?」」」

 

 

 

「「な!!?」」ガタタッ

 

 

 

「何が起きたぁー!!?」

 

 

 

奴らが攻めてきたと同時に、元からボロだったガレオン船が三等分に切られていた・・・

 

 

 

「ワァーオ♪︎」

 

 

俺はそれを見て思わず笑った・・・まさかこの世界でここまでのものをいきなり見れるとは・・・

 

転生したのは当たりだったかもしれん・・・まぁそう思うのはあの()()()()()()()()()()()出来ないからなぁ・・・

 

 

「∑面白がってる場合か!?」

 

「外にはメリー号があるんだぞ!急がねぇと波に巻き込まれちまうぞ!!」

 

 

「ジョニー達も危ねぇ!!」

 

 

ウソップ達の言う通り、あのままだとメリー号が転覆して作ったアイテムやパンドラボックスが海に流されるかもしれねぇ・・・

 

レストランのコック達も船の転覆を防ぐのに走っているから俺も急いだ。

 

 

 

 

「「「アニキィ/兄ぃ!!!」」」バシャバシャッ

 

 

「ヨサクッ!!ジョニー!!カッコウ!!お前ら無事か!!?」

 

 

外に出てみたらメリー号が見当たらない上、ジョニー達が荒れる海の中にいた・・・

 

 

「お前らなんでこんな状況で海水浴をやってんだ!?(怒)」

 

 

 

「「「∑お前の目は一体何を見てんだよ!!?(怒)」」」ガビーン!

 

 

「あ、やっぱ違うか?」

 

 

「「「タァスゥケェテェ〜〜!!!(泣)」」」

 

 

 

※救出中※

 

 

 

「で?」

 

「お前らメリー号はどうした?」

 

 

「そうだ!」

 

「よく見りゃあナミも見当たらねぇ!!」

 

 

「まさか今の衝撃で船ごと海の藻屑になったのか!?」

 

 

「そっそれが・・・」

 

 

「す・・・スイヤセン兄貴だちぃ!!」

 

 

ヨサクとジョニー、カッコウが泣きながらいきなり土下座してきやがった・・・嫌な予感が・・・(汗)

 

 

「ナミの姐さんは・・・()()()()()()()()()()()()()()()()〜!!!(泣)」

 

 

 

「「「∑何ィ〜〜〜!!?」」」

 

 

ジョニー達が言うにはナミは1つの手配書を見つめていた後、アイツらの所持金丸ごとメリー号に乗せて油断させて船から落とし、別れの伝言を伝えたえて逃走したそうだ・・・

 

 

「クソ!!あの女・・・最近大人しくしてると思ってたら案の定!!」

 

「油断もスキもねぇ!!!」

 

 

「チィ!」

 

「そういえばアイツは海賊じゃなくて()()()だったな・・・!」

 

 

「この非常事態に輪をかけてぇ・・・!!」

 

 

「待て!まだ船が見える!!」

 

 

「ヨシ!急いであの船を追うぞ!!」

 

「あの女・・・舐めたマネをしやがって!」

 

「生まれたことを後悔させた後、血肉や骨を残さずこの世から消滅させてやる・・・!!」

 

 

「∑怖ェーよ!発想が!!?」

 

 

ウソップにツッコまれたが知ったことか・・・アイツは俺の発明品やパンドラボックスまで盗みやがったんだ!徹底的に制裁を下さねぇと腹の虫が収まらん!!

 

 

「ヨサク!ジョニー!カッコウ!お前らの船は!?」

 

 

「このレストランに繋いでるんであります!」

 

 

「ゾロ!ウソップ!マカハゼ!!」

 

 

「あんな泥棒女なんざほっとけ!!」

 

「連れ戻してなんの意味がある!?」

 

 

「∑イヤメリー号は大事だろ!!?」

 

 

「それに裏切ったヤツを許したらまた簡単に裏切るぞ!?」

 

 

「俺は・・・アイツが航海士じゃなきゃ絶対に嫌だ!!!」

 

 

「「「!」」」

 

 

(「アイツじゃなきゃ絶対に嫌だ」・・・か)

 

 

はっきり言ってルフィは現実を見てない理想家・・・何度も同じ目に遭っても死ぬまで変わることは無い子供の性格・・・

 

だが何故か・・・アイツの理想を見届けたいと思っちまう・・・

 

 

「はぁ・・・仕方ねぇ・・・」

 

「あの女の制裁は軽目にしておくか・・・」

 

 

(ナミのヤツ・・・絶対ロクでもねぇ目に遭うな(汗))

 

 

「ルフィ!お前はどうすんだよ?」

 

 

「まだレストランのケリがついてねぇ・・・」

 

「アイツらをぶっ飛ばしてケリをつけてから向かう」

 

 

「わかった!急げ「アイツだァ〜〜〜!!!」!?」

 

 

「アイツです!〝首領・クリーク〟!!」

 

「俺たちを壊滅させた・・・あの男です!!!」

 

 

海賊団の部下が指した方向に目を向ければボートに乗った1人の男がいた・・・

 

 

(まさか・・・ヤツが・・・!?)

 

 

 

 

 

 

 

ーENDー



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〝最強〟の一角

(あれが・・・〝世界最強〟の一角・・・)

 

 

船をぶっ切った正体・・・小さな船に乗った男がゆっくりと近づいてきた・・・

 

その男から出てくる雰囲気はまさに〝強者の風格〟と〝王の威厳〟が出ていた・・・

 

 

「あれが・・・〝鷹の目〟!?」

 

 

「お・・・終わりだ・・・」

 

「こんな・・・〝東の海〟まで!??」

 

「奴が・・・1人で50の艦隊を沈めたってのか!?」

 

 

「じゃあ・・・あの船を破壊したのも・・・!?」

 

 

「だが・・・それらしい武器なんて何処にも・・・?」

 

 

「よく見ろ」

 

「ちゃんと背中に背負ってんだろうが!」

 

 

ゾロが目を見張り、クリーク艦隊の生き残りは恐怖で固まり、コック達は武器は何処だと思考していたら料理長が背に背負っていると指摘した。

 

背に背負ったたった1本の剣・・・それだけで巨大ガレオン船を切ったのかとコック達は戦慄した。

 

 

「やつの異名・・・〝鷹の目〟とは大剣豪の名」

 

「奴は世界中の剣士たちの頂点に立つ最強の男・・・!!」

 

 

 

〘世界最強の剣士〙

 

〝鷹の目のミホーク〟

 

ドン!

 

 

(〝鷹の目のミホーク〟・・・その名にたがわない鷹の如き目か・・・)

 

 

マカハゼはそれを見て納得した・・・〝鷹の目〟から感じる威圧感に風格・・・その全てが〝世界最強〟と呼ぶに相応しいからだ。

 

 

「チ・・・チクショウ・・・!!」

 

「何で俺たちを狙うんだ!?」

 

「俺たちがお前に何したってんだよ!!?」

 

 

クリーク艦隊の下っ端が〝鷹の目〟に直接怒鳴りながら聞いてきた・・・自分たちは恨みを買った覚えがないのに何故、ここまで狙われなきゃ行けないのか・・・

 

 

「・・・・・・」

 

 

〝鷹の目〟から返ってきた返事は単純だった・・・

 

 

「暇つぶし」

 

 

「「!!!」」

 

 

(あ、やっぱり暇つぶし(それ)か・・・)ˉˡˍˉ

 

 

「ふ・・・ふざけんなぁーー!!?」

 

ドンドン!

 

あまりの理不尽に当然怒りをあげた下っ端は銃を2丁、〝鷹の目〟に向けて銃弾を放った。

 

 

「・・・」スゥ

 

フワッ・・・

 

 

「!!?」

 

 

「え・・・はっハズれたぞ!!?」

 

 

〝鷹の目〟は背に背負っていた剣を弾丸の軌道に添えるように剣を向けたと思ったら、弾丸が羽根のように軽く軌道が変わって〝鷹の目〟からハズれた。

 

 

()()()んだよ・・・あと何発撃ち込んでも同じだ」

 

「切っ先でそっと軌道を変えたんだ・・・」

 

「あんな優しい剣は見たことがねェ」

 

 

「∑だっ誰だお前!?」

 

 

いつの間にかクリーク艦隊の所まで来ていたゾロが剣士としての素直な感想を吐き、〝鷹の目〟に問いかけるかのように呟いた・・・

 

 

「〝(じゅう)〟なき剣に強さなどない・・・」

 

 

「その剣でこの船を割ったのかい?」

 

 

「いかにも」

 

 

「成程・・・最強だ」ニィ・・・

 

「俺はお前に会う為に海に出た・・・」

 

 

「何を求める・・・?」

 

 

「最強!」ギュッ

 

 

「暇なんだろ?」

 

「勝負しようぜ」

 

 

「こっこいつ・・・〝海賊狩りのゾロ〟だァ〜〜!!」

 

 

「あの〝海賊狩り〟か・・・!」

 

 

「あいつが・・・!」

 

 

ゾロの賞金稼ぎとしての名は〝東の海〟中に知れ渡っており、〝首領・クリーク〟とサンジも知っていた。

 

 

 

「哀れなり・・・弱き者よ」

 

 

しかし相手は〝世界最強の一角〟・・・〝東の海〟・・・〝西の海(ウエストブルー)〟・・・〝北の海(ノースブルー)〟・・・〝南の海(サウスブルー)〟・・・〝偉大なる航路〟・・・この5つの海にいる全ての剣士たちの頂点に立つ男にとってゾロの実力はたかが知れていた・・・

 

 

「貴様もいっぱしの剣士なら剣を交えるまでもなく・・・俺との差は見抜けよう・・・」

 

「それに貴様はすでに()()()()()()()()はず・・・」

 

「それでもこの俺に噛み付く勇気はおのれの胆力か・・・はたまた若さゆえの無謀か・・・」

 

 

親友(とも)との約束のために・・・そしておのれの野望のために・・・!!」

 

 

〝東の海〟の海賊狩り対〝世界最強〟の剣士・・・周りの者たちは戦いが始まる瞬間をただ見守っていた・・・

 

 

「それがお前の使う武器か・・・?」

 

 

ゾロの見つめる先には首飾りから小さなナイフを取り出した〝鷹の目〟の姿があった。

 

 

「俺は狩りをするのに全力を出す獣ではない」

 

「この海は〝偉大なる航路〟を含め、5つの海の中で〝最弱〟と呼ばれる場所・・・」

 

「生憎この海で使う刃はこれでもの足りるのでな・・・不服か?」

 

 

「いや・・・文句はねぇよ」チラッ

 

 

そう言ったゾロはマカハゼのほうをチラッと見たあと、初めて会った時のことを思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー回想ー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ガハッ!!」ドサッ

 

 

『これが俺の実力の一端だ・・・』

 

 

俺はルフィたちの仲間に入ったあと、ゾロに実力を知りたいと手合わせを申し込まれた。

 

俺はそれを了承し、〝ブラットスターク〟に変身して戦う事にした・・・まぁ結果はご覧の通りだが・・・

 

 

『これで分かったと思うが・・・お前たちじゃ天地がひっくり返っても俺には勝てん』

 

『お前らが向かおうとしてる〝偉大なる航路〟には俺に準ずる強者・・・もしくは俺を超える猛者がいるかもしれん』

 

 

俺はゾロを介抱しているルフィたちを見ながらそう伝えた。

 

 

「でっでもよ!お前が来てくれんなら百人力だぜ!!」

 

 

「そっそうね!頼もしいことこの上ないわ!!」

 

 

『いや言っとくがある程度力はセーブしながら行動するぞ?』

 

 

「「・・・へ??」」

 

 

ウソップとナミがアホみたいな面になったが・・・当たり前だろ?

 

 

『強い俺がそのまま一緒に旅してもお前らの為にならん・・・お前らの成長とともに力を少しづつ力を開放していくつもりだ』

 

()()()もそれでいいだろ?』クルッ

 

 

俺はルフィとゾロの方を向いてそう聞いた・・・

 

 

「おう!」

 

「お前に頼りっぱなしなのじゃあ海賊王にはなれねぇしな!」

 

 

「それにいい機会だ・・・お前と何度も手合わせをすりゃあ強くなれそうだ・・・」

 

 

ルフィはそう言って麦わら帽子を深く被り、ゾロは少し回復してまた俺に挑むことを決めていた・・・

 

 

『ちょうどいい・・・お前らが強くなれるようにある()()()()を授けてやるよ・・・!』

 

 

その後、ルフィたちがマカハゼからある()()()()()のだが・・・それはまだ少し先の話・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーそして現在ー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(あいつの実験で強くなれるかは俺次第だと言っていたが・・・あいつの手合わせで俺は幾分かは強くなれた・・・)

 

(だが・・・それでも届かねぇってのか!?)

 

 

ギィィン!!

 

 

(これが・・・〝世界最強〟の力!!?)

 

 

ゾロが〝鷹の目〟と戦い初めて僅か数十秒・・・お得意の〝三刀流〟で大技を繰り出すゾロに対し、〝鷹の目〟は小さなナイフで全ての斬撃をいなしていた。

 

斜め上からの斬撃を払い、横の斬撃を受け流し、左右上下の斬撃を切っ先で止める。

 

その剣術の腕は正に世界最強にして世界最高峰と呼ぶに相応しかった・・・

 

 

「俺は・・・勝つために・・・・・・!!!」

 

 

ゾロは戦いの中で今までの記憶を見ていた・・・死んでしまった幼馴染みとの約束・・・師との修行の日々・・・賞金稼ぎとしての戦い・・・ジョニー達との出会い・・・ルフィとの誓・・・それらの思い出が流れていた。

 

 

「何を背負う・・・強さの果てに何を望む・・・弱き者よ・・・?」

 

 

「!?」

 

 

「あっ兄貴が弱いだと!?」

 

 

「テメェ思い知らせてやる!!」

 

 

「∑ちょっとやめなよ!!?」

 

 

「やめろ、手ぇ出すなヨサク!!ジョニー!!」

 

 

〝鷹の目〟のもの言いにキレたヨサクとジョニーが斬りかかりに行こうとしたがルフィとカッコウがすぐに取り押さえた・・・

 

 

「ちゃんとガマンしろッ・・・!!!」

 

 

「ゾロの兄ぃに恥かかせる気かッ・・・!!!」

 

 

「ルフィ・・・カッコウ・・・」

 

 

ガキィン!

 

 

「グゥッ・・・!!」

 

 

弾き飛ばされて転んだゾロに対し、〝鷹の目〟は1歩も動いてなかった。ゾロは再び立ち上がり、もう一度技を放った。

 

 

「まずいな・・・」

 

 

「へ?」

 

 

「〝虎・・・狩りィ〟!!!」

 

 

「・・・・・・」

 

 

ズバン!!!

 

 

「「「!」」」

 

 

「「アニキィ〜〜〜!!!?」」

 

 

「兄ぃ〜〜〜!!!(泣)」

 

 

「・・・・・・・・・ッ!!!」

 

 

〝世界最強〟の凶刃が・・・ゾロの胸を指した・・・

 

 

 

 

 

 

 

ーENDー



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決着と誓い

「?」

 

 

ナイフを指した〝鷹の目〟は違和感を感じていた・・・心臓まであと1、2cmのところで止めたにもかかわらず、ゾロは退かずに立ち止まっていたからだ・・・

 

 

「このまま心臓を指しても構わんが・・・なぜ退かん?」

 

 

「さぁな・・・ただ・・・()()を1歩でも退いたら・・・」

 

「何か大事な・・・誓いとか約束とかよ・・・色んなものがヘシ折れて・・・2度と戻って来れそうにねぇんだよ・・・」

 

 

「そう」

 

「それが敗北だ・・・」

 

 

「へへっ・・・だったら尚さら退けねぇな」

 

 

「死んでもか?」

 

 

「死んだ方がマシだ」

 

 

「!」

 

 

ゾロの言葉を聞き、決意の目を見た〝鷹の目〟は何かを感じてゆっくりとナイフを抜いた・・・

 

 

「小僧・・・名をなんと言った?」

 

 

「ロロノア・ゾロ・・・!」

 

 

「覚えておく・・・久しく見ぬ()()()よ」

 

「そして剣士たる礼儀を持って〝最上大業物12工〟の一振・・・黒刀〝夜〟沈めてやろう!」

 

 

「抜いたぞ!」

 

「この船を割った刀剣だ・・・!!!」

 

 

〝世界最強〟が得物を抜いた・・・この場にいる者の誰もが決着が来るのを感じていた・・・

 

 

(これが最後の一撃・・・外せば死ぬ・・・いや!)

 

(ここで・・・勝つ!!)

 

 

そう決意したゾロは最後の一撃を繰り出すために、刀を構えた・・・

 

 

「散れ!!!」

 

 

構えたゾロに〝鷹の目〟は自ら切りにかかった・・・!

 

それを打ち返すかのようにゾロは前に突き出した刀2本を回転させた事により、強い風が起こった。

 

 

「〝三刀流奥義(さんとうりゅうおうぎ)〟!!!」

 

 

「!」

 

 

「〝三・千・世・界(さんぜんせかい)〟!!!!」

 

 

ズバァン!!

 

 

ガキィィン!!

 

 

ゾロの咥えてた刀以外の2本が折れ、〝鷹の目〟の斬撃がゾロの腹を横に切った!

 

 

(敗けた・・・っ!)ガフッ!

 

(敵わなかった・・・)

 

(これが〝世界最強〟の力か・・・!!!)キン・・・

 

 

残った刀をゾロは鞘に戻した・・・その後ろで〝鷹の目〟がトドメを刺す体勢に入った・・・

 

立ち上がったゾロは〝鷹の目〟に振り向いき、収めた刀を片手に持って両腕を広げた。

 

 

「!」

 

「何を・・・?」

 

 

「背中の傷は剣士の恥だ」ニッ

 

 

ゾロは〝鷹の目〟の当然の疑問に当たり前のような顔をして笑った。それを聞いた〝鷹の目〟は満足げに笑い返した・・・

 

 

「見事」

 

 

ズバン!!

 

 

「ゾロォ〜〜〜っ!!!。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side:バラエティ

 

 

(やはり()()ゾロでは手も足も出なかったか・・・)

 

 

ゾロの決闘を見届けたマカハゼは〝鷹の目〟を冷静に分析していた。

 

 

(剣の腕もそうだが・・・それだけがやつの強さじゃないな?)

 

(この世界特有の力・・・その謎が分かれば俺もこいつらもさらに強くなるな・・・)

 

(とは言え、このまま黙ってる訳にはいかんな・・・!)

 

 

そう判断したマカハゼは変身煙銃〝トライスチームガン〟とコブラフルボトを取り出して飛びさそうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side:船の残骸の上

 

 

(生き急ぐな・・・・・・若き力よ・・・!!!)

 

 

ゾロにトドメを刺した〝鷹の目〟は倒れていくゾロを静かに見ていた・・・

 

 

「「アニキィ〜〜/兄ぃ〜〜!!!」」

 

 

ドボォン!!

 

 

「チックショオオーーー!!!」

 

 

ジョニー達はゾロを少しでも早く助けるために海に飛び込み、ルフィは我慢の限界が来てスグに殴り込む体制に入った。

 

 

「これが〝偉大なる航路〟の・・・〝世界最強〟の力・・・・・・!!!」

 

「あの〝海賊狩り〟が・・・全く歯が立たなかったなんて・・・!!!」

 

 

この決闘を偶然にも見届けていたクリーク艦隊の下っ端たちは戦慄していた・・・〝東の海〟限定と言えど海賊たちが恐れる名の知れた〝海賊狩り〟・・・そんなゾロが虫を払うかのように簡単にやられたのだ・・・

 

 

(クソが・・・イカれてやがる!!)

 

 

同じく見届けていたサンジはレストラン内でのゾロの言葉を思い出していた・・・その心情は全く理解が出来なくて苛立っていた・・・

 

 

(相手は本物の世界一の剣士だぞ・・・結果は見えていた!!)

 

(死ぬくらいなら・・・野望を捨てろよ!!)

 

「簡単だろ!!!野望を捨てるくらい!!!」

 

 

ゾロに向けたその罵倒はまるで自分に何かを言い聞かせているようにも見えた・・・

 

 

ビョーーーン!!!

 

 

「!!!」

 

 

「ウォォオーーーーッ!!!」

 

 

「あいつ・・・悪魔の実の能力者だったのか!!」

 

 

「蒸血!」

 

《ミストマッチ・・・!》

 

《コ・コッ・コブラ・・・!コブラ・・・!》

 

《ファイヤー!》

 

 

「なっ・・・!!?」

 

「何だあの姿は!!?」

 

 

マカハゼも〝ブラットスターク〟に変身して〝鷹の目〟を襲いにかかった。

 

 

「若き剣士の仲間か・・・」

 

「お前たちもまた・・・よくぞ見届けた!!!」

 

 

『ナメるなよ最強・・・!』

 

 

《アイススチーム!》

 

 

『オラァ!』

 

 

バシュン!!

 

 

ギィィン!!

 

 

マカハゼの繰り出した凍る斬撃を〝鷹の目〟は黒刀で海に弾かれ、海と残骸を一部凍らせる結果になった。

 

 

「なっ!!」

 

「海が・・・凍った!?」

 

 

しかしこの結果は周りの者たちに大きな衝撃を与えたる事になった・・・本来、()()()()()という事象はありえなりことが起こったのだから・・・

 

 

「まさかこの海にこれほどの()()()がいたとはな・・・強き者よ」

 

 

『流石は〝世界一〟の剣士・・・いまの一撃で見抜くか?』

 

 

「それぐらい出来て当たり前だ・・・」

 

「貴様とここで戦う気はない・・・」

 

「それにあの剣士は生かしている」

 

 

『あ、やっぱり大丈夫だったか?』

 

 

「!」

 

「ゾロ!!」

 

 

〝鷹の目〟の言葉を聞いたルフィは急いでジョニー達の船に引き上げられてるゾロのほうを確認した。派手に血を吐きながらも手当をすれば助かるのが分かる

 

 

「我が名はジュラキュール・ミホーク!!貴様が死ぬにはまだ早い」

 

 

〝鷹の目〟は意識があるか怪しいゾロに自身の名を伝えて宣言を始めた

 

 

「己を知り 世界を知り!!」

 

「強くなれ ロロノア・ゾロ!!」

 

 

その言葉は力強く・・・その姿はまさに絶対の強者に相応しいと言えるものだった・・・

 

「俺は先 幾年月でも・・・この最強の座にて貴様を待つ!!」

 

「猛る己が心力挿して この剣を越えてみよ!!」

 

「この俺を・・・越えてみよ!!ロロノア・ゾロ!!」

 

 

シィィン・・・

 

 

「まさか・・・あの〝鷹の目〟にここまで言わせるとは・・・・・・」

 

 

周りの者たちは何も言えなかった・・・〝世界一の剣士〟が〝東の海〟の一介の剣士にここまで言うとは思わなかったからだ・・・

 

 

「小僧・・・貴様らは何を目指す?」

 

 

「海賊王」

 

 

『俺はクソ兄貴との決着だな・・・』

 

 

「海賊王・・・俺を超えるより険しいぞ?」

 

「それにその兄は貴様よりも強いのか?」

 

 

「知らねぇよ!!これからなるんだよ!!!」

 

 

『まぁな・・・放っといたら世界の滅亡を実行するほどの自滅願望の性格破綻者だからなァ』

 

 

「∑だから何だよ、お前の兄ちゃんは!!?」

 

 

『・・・・・・・・・』

 

 

ルフィのツッコミを無視してマカハゼはジョニー達の船の方向を向いた。

 

そこには弱りながらも仰向けに刀を上に構えているゾロの姿があった・・・

 

 

「あッ兄貴・・・・・・!!?」

 

 

・・・ル・・・フィ・・・・・・聞こ・・・ぇ・・・るか・・・?

 

 

「ああ!!!」

 

 

不安に・・・させちまたかぁ・・・俺が・・・

 

世界一の・・・大剣豪()()()にならねぇと・・・

 

お前が・・・困るんだよな・・・!!!

 

「ガフッ!!」

 

 

「ダメだよ兄ぃ!!これ以上は喋ったらダメ!!!」

 

 

「俺は もう!!」

 

「二度と敗けねェから!!!!」

 

「あいつに勝って・・・大剣豪になるその日まで・・・絶対に もう・・・俺は敗けねェ!!!!」

 

「文句あるか・・・海賊王!!」

 

 

〝鷹の目〟に敗北したゾロは、剣士と名乗る者に勝利し続けるとルフィに誓いの宣言をした。

 

流れを見ていた〝鷹の目〟は満足気な笑みを浮かべ、マカハゼは更に強くなるなと今後の計画を練っていた。

 

 

(予想外な闘いが始まっちまった時はどうなるかと思ったが・・・結果オーライってやつだな)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

ーside:ナミー

 

 

 

時を少し遡り、メリー号をナミに奪われてレストランからしばらく離れた場所でナミは海を眺めている。

 

 

「・・・・・・いい奴らだったなぁ・・・」

 

「今度あったらまた・・・仲間にしてくれるかなぁ・・・」

 

「そんな訳ないか・・・()()()()()()()()()()()ために裏切ったあたしなんで・・・・・・!!」ポロポロッ・・・

 

 

ナミは自分を卑下しながら涙を流していた・・・そして次第に自分を抱きしめながら泣き崩れてしまった。

 

 

「また・・・逢いたいなぁ・・・・・・!!」

 

「・・・・・・・・・はやく自由になりたいよ・・・・・・()()()()()さん!!!」

 

 

その姿はまるで・・・真っ暗な闇に閉じ込められてしまい、必死で救いを求める子どものようだった・・・

 

 

 

 

 

 

ーENDー



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到着!魚人の支配地〝コノミ諸島〟

「この進路・・・これヤバイんじゃねぇか?」

 

 

「うん・・・このまま行くと()()()に向かっちゃうよ」

 

 

「噂の島?」

 

 

ゾロと〝鷹の目〟の決闘が終結したあと、ルフィを除いた俺たちはナミの向かった方角へ進んでいた。

 

 

数時間かけて進んだところで、ジョニーとヨサクとカッコウはナミの目的地に心当たりがあるみたいだった・・・

 

 

「その島は十年くらい前にある海賊団に支配されたの」

 

「その海賊の名は〝ノコギリのアーロン〟!!

 

 

「〝偉大なる航路〟の何処かにある〝魚人島(ぎょじんとう)〟出身の魚人族なんすよ!」

 

 

「魚人って、そんな種族が本当に居んのかよ?」

 

 

「居るから手配書に載ってんだろ?」

 

 

「俺たちの推測が正しいなら急いでルフィの兄貴に伝えねぇと・・・」

 

 

「だが相棒!伝えるにしてもここからだとかなりの距離が「ヨサク!ちょっと良いか?」ヘイ?」

 

 

俺はヨサクを呼んで、一応一つだけ持っていた仮面ライダービルド(あるアイテム)を投げ渡した。

 

 

「念の為、お前に()()を預けておくぞ」ポイツ

 

 

「うぉっ!これ・・・はなんスか??」

 

 

「それは〝ビルドフォン〟といってな。お前らが普段使う電伝虫(でんでんむし)より使いやすいうえに慣れれば手紙代わりにもなる道具だ」

 

 

「∑マジすか!!?」

 

 

俺はヨサクにビルドフォンの使い方をある程度教えて、ヨサク自身を布に包んで肩に担いだ。

 

 

「あの・・・マカハゼの兄貴・・・一体なにを?(汗)」

 

 

「レストランは確かあっちの方角だったな・・・」

 

 

「∑無視しないでくだせェ!!?」

 

 

「後で連絡するから、ルフィの伝言係を頼むぜ」

 

 

力を加減しながらヨサクを死なない程度にレストランの方角に投げ飛ばした。

 

 

「〝人間砲丸(にんげんほうがん)〟!!!」

 

 

「アアアアアアアアアアアアァァァ!!!?(泣)」

 

 

キラァーン

 

 

「∑相棒ォォォ〜〜〜!!!?」

 

 

「∑ヨサクゥ〜〜〜!!?」

 

 

「よし!サッサと向かうぞ?」

 

 

「俺・・・アイツと絶対に敵対したくねぇよ・・・」

 

 

「奇遇だな・・・俺もだ・・・」

 

 

 

 

 

ーさらに数時間後ー

 

 

 

 

 

「着ッ・・・着きました!!」

 

 

「あッ・・・あれが〝アーロンパーク〟!!」

 

「本当にナミがあそこにいるのか!?」

 

 

〝アーロンパーク〟・・・ナミがいるかもしれない島に建っているこの建物は心做しか・・・

 

 

「周りの環境が整ってたらテーマパークに建っていそうな形だな・・・」

 

 

「いやそんな和やかな場所じゃないだろ!!」

 

 

「そんじゃ斬り込むか?」キンッ

 

 

「∑兄ぃは怪我人だから大人しくしてろ!!?」

 

 

無理やり動こうとするゾロを縛った俺とウソップたちはメリー号の無事を双眼鏡で確認した。

 

 

「あったよ!メリー号!!」

 

 

「でもおかしいっすね?何でココヤシ村の港と離れて停泊を?」

 

 

「何か理由があるんだろ?あの港から人影が複数見えたしな・・・」

 

 

「∑まさか魚人の見張りか!?」

 

 

「お前らどう言うつもりだ!!サッサと縄を解け!!!」

 

 

「∑ダメに決まってんでしょ!?兄ぃは死にかけたんだから大人しくしてて!!!」

 

 

「ゥ・・・!!!」

 

 

カッコウに怒鳴り返されたゾロはぐうの音が出なかったが、2人のやり取りは兄を窘める妹のようにも見えた。

 

 

「カッコウのやつ・・・やけにゾロに世話を焼くな?」

 

 

「ああ、カッコウは何年か前に山賊に襲われた時にゾロの兄貴に助けられたんすよ。その時のゾロの兄貴の剣の腕にも惚れて着いてくるようになったんすよ」

 

「それからはゾロの兄貴を実の兄のように慕ってんすよ」

 

 

「ふ〜ん・・・」

 

 

「「?」」

 

 

「それより今の怒鳴り声で気付かれたみたいだぞ?」

 

 

「あそこだ!あの船から声がしたぞ!」

 

 

「怪しいな!捕まえるぞ!!」

 

 

バシャバシャ!!!

 

 

「∑気付かれた!!?」ガボーン!!

 

 

「焦る必要はねぇよ・・・」コキッ!

 

 

 

 

 

※暫くお待ちください※

 

 

 

 

 

「邪魔しなかったら痛い目を見ねぇですむって言ったろ?」

 

 

「グフッ・・・!」

 

 

「ニン・・・ゲンの・・・ぐぜにぃ!!」

 

 

ちーーん

 

 

「よッ容赦ねぇ〜・・・・・・(汗)」

 

 

俺たちに近づいてきた魚人たちに大人の対応をして見せた。それに対しあいつらは高圧的に接してくるは人間だからと見下してくるは挙句の果てに殴って来るからこうなるんだよ!(怒)

 

 

「それよりコイツら縛っとけ!後で尋問して情報を聞き出す!!」

 

 

((殴りかけられた事根に持ってんな・・・(汗)))

 

 

下っ端の魚人達を捕まえた後、俺たちはメリー号に寄せて船を停めた。

 

 

「良かった〜!メリー号は無事みてぇだ!!」

 

 

「アイテムや〝パンドラボックス〟も問題なしだ」

 

 

「テメェら・・・アーロンさんが黙ってねぇぞ!?」

 

 

「ハイハイ。後で色々聞くから静かにしてろ」

 

 

「何なのあんた達・・・!?」

 

 

「「「ん?」」」

 

 

ナミに奪われたメリー号や船内の物資の無事を各自確認をして俺たちの前に派手な入れ墨を入れた女がでてきた。よく見ればこの周りはみかんの木々に囲まれた畑だった。

 

 

「アンタら・・・魚人たちを捕まえて!?」

 

 

「すまねぇな。あんたに迷惑をかけちまったみたいだな?」

 

 

俺たちはノジコと名乗るみかん畑の持ち主の女にある程度の説明をした。海賊だが危害を加える気がないこと、ナミという女に盗られた船を取り返しに来たこと、そして・・・

 

 

「ナミを連れ戻すために来た・・・ねぇ?」

 

 

「あぁ、俺は反対したんだが・・・船長が「あいつじゃなきゃイヤだ」って言ってな」

 

「だから俺はアイツにワサビたっぷりシュークリームを食わせて許すことにしたんだ(笑)」

 

 

「∑やる事が地味だなぁオイ!!?」ビシッ

 

 

「あはは・・・(苦笑)」

 

 

「で?ナミの話が出たら反応したあんたはあの女とどんな関係だ?」

 

 

「・・・あんたの察している通りだよ」

 

「ナミはこの島を支配しているアーロンの一味の幹部の1人でこの島じゃ魔女って呼ばれてんのは有名だよ?」

 

「それともう1つ、なんとこの家はナミの育った家であたしとは義理の姉妹なの!」

 

 

「「「何ィ!!?」」」

 

 

「逆に何で分からなかったんだよ・・・?」

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「それじゃ俺は尋問してくるから」

 

 

そう言ったマカハゼはナミの実家を出て1人メリー号に捕まえてる魚人たちの元に向かった。

 

 

「蒸血」

 

「ミストマッチ!」

 

「コ・コ・コブラ・・・コブラァ!」

 

「ファイヤー!」

 

 

ブラットスタークに変身したマカハゼは魚人たちを閉じ込めておいた部屋に入ったが、入るなり彼らはマカハゼを睨みつけた。

 

 

『そんなに睨んでも何も出ねぇよ。それよりナミについて聞きたいことがあるんだが・・・』

 

 

「その声・・・さっきの人間か!?」

 

 

「ナミを狙ってきたってことか?」

 

 

「言うわけねぇだろ、お前ら人間ごときに!!」

 

 

『・・・状況が分かってないみたいだなァ?』

 

 

ドスッ!

 

 

「がぁッ!!?」

 

 

「∑なっ!!?」

 

 

「テメェ!今何しやがった!!?」

 

 

ブラットスタークの持つ伸縮自在の毒針〝スティングヴァイパー〟の毒を魚人の1人に突き刺した。

 

 

『今のはただの麻痺毒だ・・・だが他にも1突きで確実に死ぬ猛毒があるんだ・・・』

 

『アイツを助けたいなら俺の質問に嘘偽りなく答えな・・・そうすればすぐに解毒してやるよ』

 

 

「くぅ・・・!!!」

 

 

(俺はこの世界の宇宙(そら)にいるブラット族に生まれ・・・多くの星を滅ぼして生きてきた・・・)

 

(もはや俺の手はこいつらと同じ血で薄汚ちまったな・・・)

 

(ならこの手を・・・アイツらの為にもっと汚してやるか)

 

(アイツを・・・()()()()を倒すために・・・!!)

 

 

 

 

ーENDー



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VSアーロン海賊団 始まりの前

side:バラティエ

 

 

 

 

 

「・・・・・・」

 

 

海賊〝首領・クリーク〟を撃退したルフィたちはレストランの食堂で食事をしていた。

 

副料理長のサンジはルフィの勧誘を断ったが育ての親の料理長や同僚たちの三文芝居でルフィの仲間にさせようとしたがルフィがサンジ自身が承諾しなければ意味がないからと断った。

 

外でその話を聞いていたサンジは壁もたれながら呆然と空を眺めていた・・・。

 

 

アアアアアアアアア

 

 

「ん?」

 

 

アアアアアアアアア

 

 

「何だ?」

 

 

見上げていた空から突然悲鳴のような声がひびき始め、サンジは目を細めて確認しようと身を乗り出した。

 

 

アアアアアアアアア!!!

 

 

「はぁ!!?」

 

 

ドゴォォーーン!!!

 

 

空に響いた声の正体はルフィたちと行動を共にしていた下っ端が何故か空から飛んできていたのだ。

 

そのままその下っ端がサンジにぶつかり、そのままレストランの食堂に突っ込んでしまった。

 

 

「∑なっ何だァ!?」

 

 

「大丈夫なのかサンジ!?」

 

 

「イモムシと一緒に突っ込んで来たぞ!!?」

 

 

「イヤ!よく見ると人間だこれ!!」

 

 

「・・・・・・っ!」ピクピクッ

 

 

「くそ・・・!!」

 

 

「∑ヨサク!!!」

 

 

あぁ・・・ルフィの兄貴・・・!!

 

 

「大丈夫か?マカハゼたちは?」

 

 

ルフィはヨサクを介抱しながら事情を聞き始めた。ナミの行き先の心当たり、やばい場所、連絡手段などをヨサクは話した。

 

 

「つー訳であっしは一足早くルフィの兄貴のところに戻ってきました」

 

 

「お前・・・よく生きてたな(汗)」

 

 

ヨサクから事情を聞いたルフィは、マカハゼの無茶ぶりに若干引ていた・・・。

 

 

「それで、マカハゼ達からの連絡は?」

 

 

「いえ今のところ全く・・・」

 

 

この〜まま〜歩き続け〜てる〜♪

 

 

「あ、着信音!」

 

 

※音楽等は前世で覚えているものを自分(マカハゼ自身)で再現したものです※

 

 

「確かこのマークを押すだけだったはず・・・」

 

 

ピ!

 

 

[もしもし?]

 

 

「こちらルフィ!海賊王になる男だ!」

 

 

[うん、取り敢えずその挨拶の仕方は俺たち以外にするなよ?]

 

 

「そうか?」

 

「それよりナミに何があったか分かったか?」

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

side:マカハゼ

 

 

「まず言えることはナミはアーロンという魚人海賊団の幹部だったことが分かった」

 

 

マカハゼは尋問した魚人の下っ端とナミの義理の姉のノジコから聞いた情報をまとめてルフィに連絡することにした。

 

ノジコから事情を聞いてきたウソップ達もマカハゼのいるメリー号に戻っていた・・・その表情は暗く、重苦しかった。

 

 

[?ナミは海賊が嫌いだって言ってぞ?]

 

 

「それは当然だな・・・俺たちがいるナミの故郷〝コノミ諸島〟のココヤシ村は八年前にアーロンの一味に支配された挙句、育ての親を目の前で殺されたらしいからな」

 

 

[!?]

 

 

「しかもナミは親を殺された直後、アーロンに連れて行かれて無理やり仲間にされたそうだ」

 

「皮肉にもナミの航海士や測量士としての才能が見込まれたからだ」

 

 

[・・・・・・]

 

 

「ナミはその時アーロンとの契約で一億払えば村を解放すると交わしたそうだ」

 

 

マカハゼの説明を聞いていたルフィたちは静まり返っていた・・・

 

 

「ここまでがナミの事情だ・・・このことは村の人間全員知ってるそうだし俺たちに関わって欲しくないみたいだ」

 

 

[・・・それで他には?]

 

 

「・・・俺が何か言いたそうなのが分かったか?」

 

 

[勘!]ドン

 

 

「・・・まぁ・・・取り敢えず俺の考えを伝えるぞ?」

 

「結論から言おう・・・アーロンの一味はナミを解放する気は無いだろう」

 

 

[!?]

 

 

「ちょっマカハゼの兄貴!?」

 

 

「それってどういう事なの!!?」

 

 

「・・・俺が仲間になって日が浅いが・・・ナミの航海士の才能は誰の目を見ても見事だ」

 

「もし俺がアーロンだったらそんな才能のある奴をカンタンに手放そうとはしねぇよ」

 

 

[・・・・・・]

 

 

「それにこの島に八年間海軍が1度も助けに来ることは無かったんだ・・・それがどういう意味かもう分かるだろ?」

 

 

[マカハゼの兄貴・・・まさかっ!!?]

 

 

「ああ・・・海軍は()()()()()()()()!」

 

 

「「「!!?」」」

 

 

マカハゼの推測に誰もが驚いた・・・市民を守るべき海軍が海賊の悪事に協力しているのだから・・・。

 

 

「だいたい考えてみろ?海軍ほどの組織が何故海賊に支配された島を八年も放置している?」

 

「連絡があれば直ぐにでも対処するべきだろ?」

 

「それが無いってことは・・・そういうことだよ」

 

 

「で・・・どうする?今の推測が確かならアーロンってのがはナミの金をどうするかは予想がつくぜ?」

 

 

ゾロはそう言ってどうするか聞いてきた。

 

「それを決めるのは俺じゃねぇよ・・・」

 

 

そう言ったマカハゼはスピーカーモードにした〝ビルドフォン〟に目を向けた。

 

 

[お前ら・・・急いでそこに行くから・・・ちょっと待ってろ]

 

 

「最悪の状況になった場合は?」

 

 

[アーロンってやつは・・・俺がぶっ飛ばす!!!]

 

 

「了解!!」

 

 

 

 

 

ピ!

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

〜数時間後〜

 

 

「さて・・・ルフィたちが来るまでもう少しかかるな」

 

 

俺たちはルフィたちが来るのを待ちながら準備を整えつつあった・・・。

 

 

「俺たち・・・このままのんびり待ってていいのか?」

 

 

「俺がルフィに言ったのは確率の高い推測なだけで実際そうなるかどうかは別の話だ」

 

「アーロンってのがナミの約束を守るかもしれないしそうじゃ無いかもしれない・・・」

 

 

「つまり・・・アーロンの嘘が確実にならない限り自分たちはまともに動けないって事っすか?」

 

 

「そゆこと」

 

 

俺たちがむやみに動いて騒ぎを起こしてナミの苦労が無駄になったらそれこそ意味が無い。

 

 

「だからこそ俺たちは待つしかないんだよ・・・アーロンの一味を確実に潰すためにはな!」

 

「それにすぐ動けるためにカッコウに見張りを「大変だよ、みんなァ!!」!」

 

 

「姐さんのみかん畑に海軍の連中が!!!」

 

 

どうやら・・・最悪の事態ってのは当たっちまったみたいだな・・・

 

 

 

 

 


 

 

side:ナミ

 

 

(あいつら・・・来てたんだ・・・)

 

 

ノジコからアイツらがあたしからメリー号を取り返しに来た事と私を連れ戻すために来たと聞いていた。

 

でも私に直接会いに来る事はなかった・・・ノジコがこっちの事情をあいつらに話して関わらないようにしてくれたからだ。

 

8年間お金を貯め続けて今じゃ9300万ベリー貯まって残り700万ベリーになった・・・だから最後のお金稼ぎに行こうとした。

 

これでこの8年間が報われる・・・自由になれる・・・そう思ってたのに!!

 

 

「構わん!やつの盗んだ金をさっさと押収しろ!!」

 

 

海軍の連中が今まで貯めてきた私のお金を奪うために家とみかん畑を荒らし始めた。

 

ふざけるな!あのお金は海軍(あんた)らが簡単に押収していい物じゃないんだ!あのお金は

 

 

「あの娘の金はこの村を救うために貯めてきたものだ!!それで貴様らにその金を奪う権利があるのか!!海軍!!!!」

 

 

「!!」

 

「ゲンさん・・・何で・・・それを!!?」

 

 

「すまないナミ・・・私たちは知ってたんだよ」

 

()()()・・・お前の行動がどうしても信じれなかった私たちはノジコを問い詰めて全てを聞き出したんだ・・・村のもの全員知っている」

 

 

「・・・・・・!?」

 

 

「だが・・・お前がそれを知ったらお前がここを逃げ出したいと思ったとき・・・我々の期待が足を引っ張ってしまうと知らないフリをしていた」

 

 

「そんな・・・!!」

 

 

みんな・・・

 

 

「さっきから何を言っているのかね?」

 

「ようするにこの村の人間全員が泥棒だから捕まえてくれと?」

 

「あんたら海軍や政府が頼りにならないからあたし達が一人一人生きるために戦ってるって言ってんのよ!!!」

「ノジコ・・・!」

 

「あたしらを助ける気がないならアーロンに殺される前にさっさと出て行きな!!」

 

 

「アーロン氏が・・・チチチ!それはどうかね?」

 

 

?どう言う・・・・・・

 

 

「まだ見つからねぇのか!?蟻を探してるんじゃねェんだぞ!!()()()()()だ!!ちゃんと探せ!!!」

 

 

「なっ!!?」

 

 

「貴様!!なぜ金額を知っている!!?」

 

 

「ん?あぁ・・・それくらいは貯めてそうだと思ってな(笑)」

 

 

「まさか・・・!!」

 

 

頭の中でアーロンが高笑いを上げながら見下しているのが見えた・・・!!

 

 

「アーロンの・・・差し金ね!!!」

 

 

「さぁね・・・」

 

「私たちはただ政府の人間として泥棒に対する当然の事をしているだけさ」ニィッ!!

 

 

「!!?・・・何て腐った連中だ!!!」

 

 

「海軍が海賊の手下に成り下がるなんて!!!」

 

 

(アーロン!!!)

 

 

「出ていってもらえ・・・捜索の邪魔だ」

 

 

ガチャチャ・・・!

 

 

「!!」

 

 

「ナミィ!!!」

 

 

 

ドンドドンズドドン!!!

 

 

 

ーENDー



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VSアーロン海賊団 02 降り立つ〝仮面ライダー〟

ドンドドンズドドン!!!

 

 

腐りきった海軍の凶弾がナミたちに向けられ放たれた・・・はずだった。

 

「ぎゃああ!!!」

 

 

「ぐぁあ!!!」

 

 

「い"でぇ"!!!?」

 

 

「「!!?」」

 

 

しかし実際に撃たれたのは銃を構えた海兵たちでその銃砲からは弾丸が撃たれてはいなかった。

 

 

「だっだれだ!!?」

 

 

「いまのは・・・?」

 

 

「まったく・・・ハズれて欲しい推測が当たるのは本当に嫌だねェ・・・」

 

 

「!?」

 

 

「大丈夫か・・・ナミ?」

 

 

声がした方にナミは顔を向けた。そこにいたのはメリー号にいるハズのマカハゼやゾロにウソップ・・・ジョニーとカッコウの五人がいた。

 

 

「あんたたち・・・何で・・・?」

 

 

「1つ目は船を取り返すこと!2つ目はお前を連れ戻すことだ!」

 

「まぁ・・・2つ目は簡単には行かねぇだろうな」

 

 

マカハゼの手には海兵たちに当てた〝トライスチームガン〟を気だるげに持ちながら海軍を見ていた。

 

 

「さて・・・何か言うことがあるかな。海軍諸君?」

 

 

ゾロは刀を・・・ウソップはパチンコを・・・マカハゼは〝トライスチームガン〟を構えて海軍に近づいた。

 

 

「なっ何だ貴様ら!!俺が誰だか分かってんのか!!?俺に手を出せば」

 

 

 

 

 

※数分後※

 

 

 

 

 

「わ"がっでん"の"がぁ"〜〜!??」チーーン

 

 

「まだ言ってんぞオイ(呆)」

 

 

「タフなのかバカなのか・・・」

 

 

「コイツらの自業自得だよ!!(怒)」

 

 

「放っておけ、さっさと行くぞ!」

 

 

「∑おいゾロ!そっちはアーロンパークの方じゃねぇ!!!」

 

 

「ルフィたちが来る前に幹部と雑魚共を片付けに行くぞ。奴らへの()()()もあるんだからな」

 

 

海軍を叩きのめしたマカハゼたちは捕まえていた魚人の下っ端たちを引きづりながらアーロンパークへ向かい始めた。

 

 

「何のつもりなのよ・・・あんたたち!!」

 

 

「ん?」

 

 

「アンタらがどれだけ馬鹿な真似をしたと思ってんの!?マカハゼやゾロがどれだけ強くても本物の〝化け物〟のアーロンたちには勝てない!!」

 

アイツら(アーロン)に殺される前にさっさとこの島から出ていって!!」

 

 

海軍やアーロンの下っ端に手を出したマカハゼたちをナミは怒鳴りあげ、島から出て行くように言った・・・

 

まるでマカハゼたちをここから一刻も早く逃がすために・・・

 

 

「悪いが俺たちはお前の話を聞く気はねぇ・・・」

 

 

「!?」

 

 

「俺たちはルフィの船長命令で動くし仲間の頼みも聞く。だがお前は()()()()・・・お前の言うことを聞く義理はない」

 

「第一!俺はルフィが止めなかったらお前がメリー号を奪って逃げたお前を()()するつもりだった・・・」

 

 

「!!」ゾクッ!!!

 

 

「∑だから物騒すぎるし怖ェーよ!!!」

 

 

マカハゼの指摘した言葉にナミは恐怖した・・・裏切りった者を始末するのは海賊の世界でも当たり前にあることだからだ。

 

 

「だから俺はお前の頼みを聞かねぇ・・・助けを求めるんならルフィにするんだな・・・」

 

 

そう言ったマカハゼは下っ端を引きずりながらゾロたちと共にアーロンパークへ向かった。

 

 

「マカハゼの兄貴・・・言い過ぎだったんじゃ?」

 

 

「俺は仲間になって日が浅い俺が何を言っても変わんねぇよ・・・変わるとしたら1番付き合いの長いあの()()()()だけだ」

 

 

「お前も十分お人好しだろ?」

 

 

「よ〜し!言ってこいお前ら!!」

 

 

「∑ウソップの兄貴もだよ!!?」

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

side:アーロンパーク

 

 

「しっかしアンタもエグいことを考えるなぁアーロンさん・・・チュ♥」

 

 

「ふん・・・ナミほど優れた測量士は世界中どこを探しても見つかるもんじゃあない」

 

 

〘魚人海賊団船長〙

 

 

〝ノコギリのアーロン〟

 

 

「とは言え、俺もそこまで鬼じゃねェ・・・世界中の海の測量を終えたら解放してやるよ!シャーハッハッハ!!」

 

 

「ブワッハハハハ!!!」

 

 

「そりゃ何十年後の話だよ!!?」

 

 

ギャハハハハハハ!!

 

 

ナミの8年の苦労をバカにするように彼ら魚人海賊団は嘲笑っていた・・・彼らにとってこの事は序の口でしかない。

 

アーロンの野望は〝東の海〟を支配し、〝魚人族の帝国〟を作り上げることだった。その為にはどうしてもナミの技術で作った海図が必要だった。

 

その為にアーロンは飼い慣らした海軍を使ってナミの貯めてきたお金を奪わせた。

 

 

ドゴオオォン!!

 

 

ガシャァァン!!

 

 

「なっ!?」

 

 

「どっ同胞たちィ!!?」

 

 

突如アーロンパークの正門が吹き飛び、その上縄に縛られた下っ端たちが酒やグラスが置かれていたテーブルに突っ込んで来た。

 

 

「おーおー派手にやったな!」

 

 

「目立つ為にはこれくらいはやらねぇとな」

 

 

「おっオレは全部譲ってもいいからな?」

 

 

「兄貴たちー!!頑張ってくれー!!」

 

 

「姐さんの分までやっちゃってー!!」

 

 

「∑ってお前らは戦わねぇのかい!!?」ガボーン!!

 

 

破壊された門から入ってきたのバラバラの3つの剣を持った男・・・鼻の長いパチンコを持った男・・・()()()()()を持った男の3人が入って来た。

 

 

「・・・何だお前ら?」ギロッ

 

 

「「「海賊!」」」

 

 

「そうか・・・で?人間の海賊がウチに何の用だ?」

 

 

「ウチの船長命令でな・・・お前らを潰してナミを仲間にするためだよ」

 

 

「!なるほど・・・テメェらナミの差し金か!!」

 

 

侵入してきた敵・・・マカハゼたちの目的を察したアーロンは怒りを耐えながら怒鳴った。

 

 

「シャハハハハ!!たった3人の下等種族に何が出来る!!?」

 

 

「俺たちはただの()()だ・・・」

 

 

「あ?」

 

 

「ウチの船長は今ここにいなくてね・・・急いで向かっている所さ」

 

「俺たちの役目は()()()()()()()()()()()()()()()事だからな」

 

 

「「「「!!?」」」」

 

 

「ニュ〜〜!お前ら何て俺らが相手をするほどじゃねぇよ!!」

 

「出て来い!!巨大なる戦闘員よ!!!」

 

ブッパパブパブパブッパっパ〜♪

 

 

マカハゼの挑発に怒った〝魚人海賊団の幹部 ハチ〟が自身の口をラッパのように鳴らして海から()()を呼び出そうとしていたが・・・

 

 

シィ〜〜〜〜ン・・・

 

 

「・・・ニュ?」

 

 

「・・・何も来ねぇな?」

 

 

「何がしたかったんだ?」

 

 

「あれだけデケェ動作をやって何も無いって・・・(汗)」

 

 

ハチの大きな合図に何も起きない状況にマカハゼたちは首を傾げていた。

 

 

「何で来ねぇんだモーム〜〜ッ!!?」

 

 

「・・・ドンマイ?」

 

 

「∑励ますんじゃねぇ!!」

 

 

たまらず励ましたマカハゼにハチは思わず怒鳴りあげた。

 

 

「何も来ないんならそれでいい・・・」

 

()()()()()使()()()()()()だからな」

 

 

シュルルル ガチャン!

 

 

「∑ベルトになった!?」

 

 

「〝ビルドドライバー〟だ。こいつと2つの〝フルボトル〟を使うんだよ」

 

 

カシャカシャカシャカシャ!

 

カチン!カチン!

 

 

《ラビット!》《タンク!》

 

ベストマッチ

 

 

「見せてやろう・・・俺が1から創った(ビルド)した力を!」

 

 

グルグルグルグル!!

 

 

〝ビルドドライバー〟に着いているレバーを回し、スロットした〝ラビットフルボトル〟と〝タンクフルボトル〟が上下に動きだし半径1mに装置が展開された。

 

 

「なっなんだアレは!!?」

 

 

「何をするつもりだ!!?」

 

 

更にそこから小さなパイプが前後に現れ、2つの〝フルボトル〟から流れる液体がパイプを通り赤と青の人型に変形し始めた。

 

 

《Are You Ready?》

 

 

「変身!!」

 

 

ガシィーン!!

 

 

《鋼のムーンサルト!》

 

 

《ラビットタンク!》

 

 

《イェーイ!!》

 

 

 

「なっ!!?」

 

 

「姿が・・・!?」

 

 

「カッチョイィ〜〜ッ!!✨」

 

 

「また妙な姿に・・・(汗)」

 

 

その姿は赤と青が捻れるように身を包んでいて、上半身は右が赤で左が青に、下半身は左が赤で右が青に、頭部の目の部分は右目が青の戦車の形で左目が赤色の兎の形をしていた。

 

 

「仮面ライダービルド・・・創る・形成するのビルドだ!」

 

「よろしく!」ピッ!

 

 

「さてと・・・仮面ライダービルドの初めての戦闘だ・・・少しは楽しませてくれよ!」

 

 

 

 

 

ーENDー

 

 



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VSアーロン海賊団 03 始まる戦闘

「な・・・」

 

「何だよマカハゼ〜!カッコよすぎるだろコノヤロー!!」

 

 

「∑うるせぇよ!(怒)」

 

 

〝仮面ライダービルド〟に変身したマカハゼに興奮したウソップは歓声を上げていた。

 

マカハゼはそれに手を振りながら準備運動をしていた。

 

 

「ほら・・・さっさと来いよ!!」

 

 

「クッ・・・!」

 

 

マカハゼの挑発に魚人海賊団の下っ端たちは警戒していた・・・しかしそれも少しの間だった。

 

 

「す・・・姿が変わった位でなんだってんだ!!」

 

 

「そうだ!所詮は下等種族!!!」

 

 

「殺っちまえェ!!!」

 

 

ウオォォォォ!!!

 

 

「∑ウォイ!来たぞォ!!!」

 

 

「俺がやる!仮面ライダービルドの力・・・見せてやるよ!!」

 

 

そう叫んだビルド(マカハゼ)は攻めてくる下っ端たちに突っ込み、蹴り飛ばした。

 

下っ端の1人のシャツを掴み背負い投げの容量で投げ、そのまま前に転がり右足の〝タンクローラーシューズ〟のキャタピラを動かして真上に蹴りあげた。

 

 

「オラァ!!」

 

 

後ろから斧を振り上げてきた下っ端を殴り飛ばし、ジャンプしながら踏み付けた。

 

 

「〝ドリルクラッシャー〟!」

 

 

ビルド(マカハゼ)が叫んだら〝ビルドドライバー〟からドリル状の剣が出現し、それを掴んで下っ端に切りつけた。

 

 

「ド・・・ドリルの剣〜〜!」

 

 

「おっ男のロマンだぜ、マカハゼの兄貴ィ!!」

 

 

「・・・」シィ〜〜ン

 

 

「チュ♥何あんな訳の分からんのに振り回されてんだ?」

 

 

ウソップとジョニーが歓喜に声を上げている時に〝魚人海賊団幹部 チュウ〟が攻撃態勢に入った。

 

 

「あぁいうのはサッサと潰せばいいだろうが!」スゥ

 

 

チュウは息を吸い、下っ端たちの戦いに集中しているビルド(マカハゼ)に狙いをつけて得意の技〝水鉄砲〟を放とうとしていた。

 

 

「必殺〝3連火薬星〟!!」

 

 

ボガガガァン!!!

 

 

「ブゴバァ!!!」

 

 

ドサァ!

 

 

「そう簡単に殺らせる訳ねぇだろ!!」どーん!

 

 

「ナイス、ウソップ!!」 

 

 

チュウの行動に気付いたウソップは咄嗟に得意の狙撃で当てて阻止した。

 

 

「・・・テメェは俺に殺されたいみたいだな(怒)」ギロッ

 

 

「・・・ごめんなさい(泣)」

 

 

「今すぐぶっ殺してやる!!!」 

 

 

「ウワアァァァァァァァァァァァ!!!」

 

 

ビュゥーン

 

 

「ウソップの兄貴・・・ご武運を!」

 

 

「ウソップの兄貴・・・祈ってるよ!」

 

 

「さて・・・一気に決めさせてもらうぜ!」

 

 

そう言うとマカハゼは〝ビルドドライバー〟に挿していた〝フルボトル〟を抜き、新たな〝フルボトル〟を2つ取り出して振り始めた。

 

 

カシャカシャカシャカシャ!

 

 

カチン!カチン!

 

 

《ゴリラ!》《ダイヤモンド!》

 

 

《ベストマッチ!》

 

 

「今度はゴリラかよ(汗)」

 

 

グルグルグルグル!!

 

 

《Are You Ready?》

 

 

「ビルドアップ!」

 

 

ガシィーン!!

 

 

《輝きのデストロイヤー!》

 

 

《ゴリラモンド!》

 

 

《イェーイ!!》

 

 

最初の形態〝ラビットタンクフォーム〟と同じようになったが、赤と青だった部分が茶色と水色に変わり目の部分もゴリラとダイヤに変わった。

 

 

「また変わりやがった!」

 

 

「何なんだアイツは!?」

 

 

グルグルグルグル!!

 

 

「トドメだ!」

 

 

〝ビルドドライバー〟を回したビルド(マカハゼ)は左手の〝プリズムグローブ〟でアーロンパークの柱に触れてダイヤモンド化した。

 

 

「なッ!?」

 

 

「柱がダイヤモンドに!!?」

 

 

《ボルテック フィニッシュ!》

 

 

「〝ダイヤクラッシュ〟!!」

 

 

ガキキキキキキィーン!!

 

 

「「「ぎゃああああああ!!」」」

 

 

ダイヤモンド化した柱を〝マッスルグローブ〟で叩きつけ、砕けたダイヤモンドの礫の嵐を下っ端たちに浴びせた事で完全に倒れた。

 

 

「これで()()()()は終わった・・・後はお前ら幹部だけだな?」

 

 

下っ端たちを倒したあと、マカハゼは残ったアーロンと幹部たちの方を向いて挑発をした。

 

 

「ニュウ〜〜!まさかたった1人で部下たちが全滅されちまうとは!!」

 

 

「最初っから俺たちでやるべきだったな・・・」

 

 

「・・・・・・・・・」ピキッ

 

 

 

 

 


side:ココヤシ村

 

〜マカハゼたちがアーロンパークに着く少し前〜

 

 

「ゲンさん!海軍(コイツら)がアーロンの手先だったってのは本当なのか!?」

 

 

「ナッちゃんの貯めてきた金を奪おうとしたって聞いたぞ!」

 

 

「クソ!!ふざけやがって、魚人のヤツら!!!」

 

 

ナミの家で起きた騒ぎを駆けつけた村人たちが駐在のゲンゾウに全てを聞いて怒りを顕にしていた。

 

 

「・・・覚悟のあるものは武器を取れ!」

 

「私はもう・・・我慢の限界だ!!!」

 

 

「ウオォォォォ!!!」

 

 

ゲンゾウの強い意志を見た村人たちは覚悟を決め、各自準備を進め始めた。

 

一方のナミはマカハゼたちに縛られた海軍と戦う準備を進める村人たちを呆然と見ていた。

 

 

「ナミ!あんたはこの村から逃げな!」

 

「もうこの村に縛られることは無い!あんただけでも自由になりな!!」

 

 

「・・・・・・ハハッ」

 

 

「ナミ?」

 

 

ナミに逃げろと進言したノジコはナミの小さい反応に眉をひそめた。

 

 

「ハハハハハハハハ!!!」

 

 

「!ナミ!?」「ナミ!?」

 

 

「滑稽ねぇ!ベルメールさんを殺されて、無理やり仲間にされて、1億払えば村を解放するの口約束を信じて生きてた!!!」

 

「全ては・・・村の皆と一緒に自由になるために!!!」

 

 

「ナミ・・・!」

 

 

「その結果がコレ!?アーロンに騙され、海軍にお金を奪われかけられる始末!?」

 

「マカハゼもマカハゼよ!何が〝ルフィに助けを求めろ〟よ!?今更どんな顔して・・・アイツに会えってのよ!!!」ポロポロッ

 

 

「「「・・・・・・・・・」」」

 

 

ナミの心の叫びと涙に村人たちは動きを止めてしまった。8年間も村のために生きてきた彼女の辛さが計り知れなかった。

 

 

「・・・アーロン!」ギロッ

 

 

ナミは左肩に刻まれたアーロンの刺青を睨みつけ、ナイフを静かに手に取った。

 

 

「アーロン!アーロン!」グサッ!グサッ!

 

 

「∑なッ!!?」 「ナミ!!!」

 

 

「やめなさい!ナミ!!!」

 

 

「アーロン!アーロン!」グサッ!グサッ!

 

 

ナミは左肩のアーロンの刺青をナイフを突き立て始めた。

 

ナミの突然の凶行に驚いた村人たちは急いで止めに入るがナミは止まらず、そのまま刺し続けた。

 

 

ああああああああぁぁぁ

 

 

「ん?」 「なにか声が?」

 

 

ああああああああぁぁぁ

 

 

「∑おいアレを見ろ!!」

 

 

「あれは・・・小船か!?」

 

 

ああああああああぁぁぁ!!

 

 

ボゴォォォン!!!

 

 

シュウゥゥ

 

 

「いやぁ〜ハッハッハ!面白かった〜〜!!」

 

 

「∑面白くねぇよ!!死ぬかと思ったわ!!」

 

 

「あのカバに船を引かせたのは良かったけどまさか岩礁にぶつかるとはなぁ」

 

 

「あっし・・・本当によく生きてたなぁ・・・」

 

 

突如、空から降ってきて村の道に落ちてきた船から3人の男ーーールフィたちが出てきた。

 

 

「な・・・何だ君たちは?」

 

 

「あぁ、俺はルフィ!此処ってココヤシ村か?」

 

 

「あッああ・・・」

 

 

「マカハゼたちはもう行ったのかな?」

 

「ん?あれは・・・」

 

 

「アーロン!アーロン!」グサッ!グサッ!

 

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

 

肩を刺しまくるナミを見つけたルフィたちはマカハゼたちが先に向かったことを知った。

 

ルフィたちに気づかず、肩を刺し続けるナミにルフィは近づいて言った。

 

 

「アーロン!アー」ガシッ!「!?」

 

 

「・・・・・・」

 

 

「ルフィ・・・!?」

 

 

突き立てていたナイフを止められたナミは初めてルフィが来たことに気づいた。

 

 

「何よ・・・船を取り返しに来たの?」

 

 

「いや・・・アーロンをぶっ飛ばしに来た」

 

 

「あんたが・・・?アーロンを討てるわけないでしょ!!」

 

「この島の事情を知らないくせに!!」

 

 

「マカハゼから話は聞いた」

 

 

「!!」

 

「だったらアンタらには関係ってわかるでしょ?サッサとマカハゼ(アイツら)を連れ戻してこの島から出ていけ!」

 

 

「・・・・・・」

 

 

「・・・・・・・・・!!」

 

 

何度怒鳴っても反応を返さないルフィにナミは口を押え、1つの決意をした。

 

 

「ルフィ・・・・・・・・・」

 

「助けて・・・」

 

 

「・・・・・・」スッ・・・

 

 

がぼッ!!「!!」

 

 

ナミの声を聞いたルフィは自分の麦わら帽子をナミに被せて少し前に進み息を吸い始めた。

 

 

「当たり前だァ!!!」

 

 

「あ・・・」

 

 

(おれの帽子(たから)に触るな!!)

 

 

「・・・ルフィ・・・」

 

 

ナミはルフィに初めてあった頃に帽子を傷付けられて怒っていた事を思い出していた。

 

そして帽子を預けるのは仲間だけだど言うことを・・・。

 

 

「行くぞ」

 

 

「オオッ!!!」

 

 

「了解っす!!」

 

 

ルフィはそのままサンジとヨサクと共にアーロンパークへ向かいだした。

 

 

 

 

 

 

 

~END〜



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VSアーロン海賊団 4 マカハゼとゾロの実力

side:アーロンパーク

 

 

 

「アーロンさん、あんたは大人しく待っててくれ」

 

 

「ニュ〜!あんたに暴れられたらアーロンパークが持たねぇ!」

 

 

マカハゼ(ビルド)に部下たちを全滅された魚人海賊団の幹部たちはアーロンに動かないように注意してマカハゼたちに向き直った。

 

 

「ウソップが1人持っていったからあと2人・・・」

 

「どっちにする?」

 

 

「なんなら俺一人でいいぜ?」

 

 

「冗談!」

 

 

ガシィーン!!

 

 

《鋼のムーンサルト!》

 

 

《ラビットタンク!》

 

 

《イェーイ!!》

 

 

「今の雑魚共じゃぁ俺も消化不足だ。俺はあの黒道着をやるからお前はタコをやってくれや」

 

 

「フン!まぁいいか・・・」チャキ!

 

 

マカハゼは幹部のクロオビを・・・ゾロは幹部のハチを相手にすることになった。

 

 

「部下たちを倒したくらいで俺たちに勝てると思っているのか?人間風情が!?」

 

 

「ゾロたちは人間だが俺は〝ブラット族〟って種族だ・・・人間じゃねぇよ」

 

 

「何?」

 

「人間じゃないならなぜそいつらの味方をする?」

 

 

「それをお前たちに言う義理はない。俺たちは単純にお前らが気に入らないだけだからな」

 

 

「ならば死ね!」

 

「魚人空手〝百枚瓦正拳〟!!」

 

 

「オォット!!」

 

 

クロオビの持つ魚人族特有の格闘術〝魚人空手〟の攻撃をマカハゼ(ビルド)は既のところで躱した。

 

 

「ソゥラァ!!」ブゥン!

 

 

「ヌン!」ガキィン!

 

 

正拳を躱したマカハゼ(ビルド)はそのままドリルクラッシャーで斬りかかるがクロオビは肘のヒレ部分でガードしが、ドリルの部分はそのまま高速回転を始めてクロオビの肘を弾いた。

 

 

「〝ローラーステップ〟!」

 

キュルルルル!!

 

 

「グゥッ!?」

 

 

マカハゼ(ビルド)は右足の〝タンクローラーシューズ〟のローラーを回転させて叩きつけた。

 

 

「どうした?あんまり大した事ねぇな、魚人の力・・・弱い奴らを虐めてばかりだからそうなるんだよ」

 

 

「おのれ・・・魚人の力を舐めるな!!」

 

 

そう叫んだクロオビはマカハゼ(ビルド)に突進をしかけた。

 

 

「〝ドリルクラッシャー・ガンモード〟!」ドンドン!

 

 

「∑ヌォ!?」

 

 

マカハゼ(ビルド)は〝ドリルクラッシャー〟を銃に変形させて突進を止めた。

 

 

魚人族(お前ら)の真価は海の中でこそ発揮する・・・それを知ってて海に突っ込ませる訳ないだろ?」

 

 

「貴様っ・・・!!」

 

 

魚人族(お前ら)は人間より優れてるんだろ?」

 

「だったらそれをこの陸で証明してみせろよ」

 

 

 

 

 


side:ゾロ

 

 

「ニュ〜!お前を知ってるぞ!ここ数年名を挙げていた〝海賊狩り〟のゾロだなァ!?」

 

 

「ほんの数週間前まではな。今は海賊〝麦わらの一味〟の戦闘員だ」

 

 

「∑〝海賊狩り〟が海賊になるっておかしいだろ!?」

 

 

ゾロと向かい合った幹部のハチはそうツッコミながら6本の剣を構えた。

 

 

「魚人島で1()()を除けば№1の剣士、〝六刀流のハチ〟様が世界の広さってヤツを教えてやるよ!!」

 

 

世界の広さ(そんなモノ)・・・とっくに味わったよ!!」ドン!

 

 

ハチの威嚇にゾロは冷やかに返し、ジョニーとカッコウから預かった2本の剣と元から持っていた刀を咥えて三刀流の構えをとった。

 

 

「それにお前の六刀流の剣がどれほどのモンか知らねぇが・・・」

 

 

「ならば俺の六本腕から繰り出される剣術を喰らえ!!」

 

「〝六刀流・蛸足奇剣(たこあしきけん)〟!!!」うねっ!!

 

 

「〝三刀流〟・・・」スゥ…

 

 

するするする

 

 

「〝刀狼流(とうろうなが)し〟!!!」

 

 

「!?」

 

 

バシュッ・・・!

 

 

「ニュ~〜〜~っ!!?」

 

 

タコ特有の軟体な6本腕から繰り出される斬撃の嵐を紙のように躱し、ハチを切りつけた。

 

 

「∑スゲェ!あの六刀の剣の嵐を捌ききったァ!!」

 

 

「ゾロの兄ぃ、スゴォーイ!!」

 

 

戦いを見ていたジョニーとカッコウは思わず歓声を上げた。

 

 

「おのれェ!マジでキレたぞ俺はァ!!」

 

「本気で殺してやる!普通に考えてみろ?刀を三本しか持てねぇ人間のお前が刀六本を持つ俺に敵うわけねぇだろ!!」

 

 

()()に!?大きな計算違いだな・・・」

 

 

ゾロはハチの言葉にを否定しながら両手に持ったジョニーとカッコウの刀を胸の前に掲げた。

 

 

「三本や六本でもお前と俺の・・・剣の重みは違うんだよ!!!」

 

 

 

 

 


side:マカハゼ

 

 

「やるねェ、ゾロ!」

 

 

「ハァ・・・ハァ・・・!!」

 

 

ゾロの活躍を戦いながら見ていたマカハゼ(ビルド)は賞賛の言葉を出した。

 

方やマカハゼ(ビルド)の相手をしていた幹部のクロオビは大きく肩で息をしていた。

 

 

(なんだコイツは・・・人間の姿をしていたが気配をよく感じれば今まで会ったどの種族とも違う!!)

 

(俺の本能が叫んでいる・・・コイツは危険過ぎる!!)

 

 

「俺の何かを感じたか?」

 

 

「!?」

 

 

「だがもう遅い・・・お前じゃ俺には勝てない」

 

 

「だまれ!」

 

「先程貴様に浴びせたのは〝百枚瓦正拳〟!だが本来の俺の究極奥義は〝千枚瓦正拳〟!」

 

「コレを喰らう貴様の生存確率は・・・ゼロだァ!!」

 

 

「なら俺が先にカタをつければいいだけだ」

 

 

グルグルグルグル!

 

《Ready Go!》

 

 

「チョイっと待ってろよ?」クルッ タタタッ!

 

 

そう言うとマカハゼはクロオビから背を向けて後に走り始めた。

 

 

「∑ちょっ!マカハゼの兄貴!!?」

 

 

「∑何でコッチに!!?」

 

 

「今さら臆したか貴様ァ!!(怒)」

 

 

「ほっ!」

 

 

ズボォンッ!!

 

 

「「∑潜ったァ!!?」」

 

 

ガシィン!

 

 

「∑なっ何だこれは!?」

 

 

マカハゼ(ビルド)が地面に潜り込んだと同時に数式のグラフの形をしたエネルギーがクロオビを拘束した。

 

 

「トオォ!」バッ!

 

 

地面に潜り込んだマカハゼ(ビルド)が勢いよくグラフの上まで飛び出し、蹴りの構えをとった。

 

そのままグラフからクロオビの所まで滑るように勢いを増し、〝ローラーステップ〟の時よりも更に超高速回転させた〝タンクローラーシューズ〟を叩きつけた。

 

 

《ボルテック フィニッシュ!》

 

 

「〝タンクブレイク〟!!」

 

 

ギュルルルル!!

 

 

「ガアァァァァァ!?」

 

 

「オゥラァ!!」

 

 

《イェーイ!》

 

 

ドカァァン!!

 

 

超高速回転させた〝タンクローラーシューズ〟で肉体を削り焦がされながら勢いよくアーロンパークの壁へ吹き飛ばされた。

 

 

「先ずは1人終了っと!」ニカッ!

 

 

〘アーロン一味幹部クロオビVS麦わらの一味〝仮面ライダービルド(マカハゼ)〟〙

 

〘勝者〝仮面ライダービルド〟〙

 

 

 

 

 


side:ゾロ

 

 

「∑ニュ~!クロオビィ~~!!?」

 

「アイツよくもぉ!!(怒)」

 

 

「〝三刀流・虎狩りィ〟!」

 

 

「∑危ねぇ!?」

 

 

「戦っている時に余所見してんじゃねぇよ、タコ野郎・・・」

 

 

同僚のクロオビが仮面ライダービルド(マカハゼ)に敗れたのを見たハチは怒りを見せたが、ゾロに隙をつかれたが何とか避けた。

 

 

「ニュ~!どこまでも舐めやがってぇ・・・!!(怒)」

 

「〝六刀流・『タコツボの構え』〟!!!」

 

ガチィン!

 

「こいつでオメェを潰す!」

 

 

6本の刀を壺のように構えたハチはゾロに見せつけるように前に突き出した。

 

 

「奇遇だな・・・俺も後二撃で終わらせようと思ってたところだ」ハァ・・・ハァ・・・

 

 

「あれ?心做しかゾロの兄貴の息が上がってるような・・・?」

 

 

「もしかして()()()が開いたんじゃ!?」

 

 

「∑だとしたらこれ以上の戦いはやべぇ!!」

 

 

ジョニー達がゾロをよく見れば巻かれていた包帯から血がにじみでていて、身体中が汗だらけになっていた。

 

 

「勝手に死にかけてる奴がイキがってんじゃねぇよ!!(怒)」

 

 

(確かにな・・・だが普通は気絶、最悪は死ぬほどの傷だとしても()()()()()()いけねェし死んでもいけねェ!)

 

 

「この技は100%破れることはねェ!!」

 

「このまま串刺しにしてやる!!」

 

ダダッ!

 

 

(普通じゃない〝鷹の目(あいつ)〟に勝つためにも・・・俺は普通にいるわけにはいかねぇんだ!!)

 

 

新たに野望(ゆめ)を決意したゾロは刀を構え、迎撃の体制に入った。

 

 

「喰らえ!〝(しん)(しゅん)〟・・・」

 

 

「〝三刀流・鬼斬り〟!!!」

 

 

パキィィン!!

 

 

「∑ニ"ュッ・・・!!?」

 

 

「コレで俺の剣の重みが分かったか?」

 

「サッサと退場してもらうぜ、タコ助!!」

 

 

「ならお前が退場しろ!〝タコ焼きパーンチ〟!!」

 

 

剣を失ったハチは苦し紛れに6本腕の拳の連打をゾロに叩きつけようとしたが、既に手遅れだった。

 

 

「〝三刀流・龍巻(たつま)き〟!!!!」

 

ドゴォン!!

 

 

長年剣士として鍛え上げられたら筋力から真上に生み出される斬撃のカマイタチを受けたハチはそのまま空に飛ばされた。

 

 

「何で・・・三刀流ごときに・・・!?」

 

 

「悪いが、お前は眼中に無ぇ・・・そのまま寝てな」キン!

 

 

〘アーロン一味幹部ハチVS麦わらの一味〝海賊狩りのゾロ〟〙

 

 

〘勝者〝海賊狩のゾロ〟〙

 

 

 

 

 

~END~



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VSアーロン海賊団 5 ドーピング

side:アーロンパーク

 

 

「クロオビ・・・ハチ・・・」ギリッ!

 

 

部下に続いて長い付き合いの幹部2人が倒されたのを見てアーロンは静かに怒りを燃やしていた。

 

 

「しょせん種族で優劣をつけたがる雑魚・・・この勝負勝ったも同然だな」

 

 

そう言ったビルド(マカハゼ)は座っていたアーロンに身体を向けた。

 

〝鷹の目〟との傷が開いてきたゾロはジョニーとカッコウの元まで下がり、そのまま寝ていた。

 

 

「俺の大切な同胞たちを次々と・・・少し調子に乗りすぎじゃねぇのか!!?」

 

 

椅子から立ち上がったアーロンはビルド(マカハゼ)と寝ているゾロを睨み付けながら怒りのままに吠えた。

 

 

「ご尤もな怒りだが・・・それでどうするんだ?」

 

「言っとくが俺たちの出番はここまでだ」

 

 

「あ"あ"ッ!!?」

 

 

「〝必殺・卵星〟っ!!」

 

 

「!?」

 

 

パキャ!

 

 

怒っていたアーロンに腐った卵が飛んでいきて、それを弾いたアーロンは飛んできた方向を見た。

 

そこにいたのは幹部のチュウが追いかけていたはずの長鼻の人間と武器を持ったココヤシ村の住民たち、そして村の住民たちの前に立っていた麦わら帽子の男だった。

 

 

「マカハゼ〜!幹部を1人、幹部を1人()ってやったぜェ!!」

 

 

「チュウまで・・・っ!!!」ギロッ!

 

 

「もうお前に勝ち目はねェぞ、アーロン!!」ポツーン

 

 

「「∑離れるの早ッ!!!」」

 

 

アーロンに睨まれてギリギリまで離れたウソップにジョニーとカッコウはツッコミを入れた。

 

 

「嘘だろ・・・あそこに倒れてるの幹部のクロオビとハチじゃないか!?」

 

 

「ここに来る前もあの少年がチュウを倒したのを確かに見たが・・・」

 

 

「ありえん・・・彼等だけでやったというのか!?」

 

 

「すごい・・・もしかして本当に!!」

 

 

アーロンパークの現状を見た村人たちは残ったのがアーロンだけど知り、希望を持ち始めた。

 

そこから麦わら帽子を被った男・・・船長のルフィが出てきてマカハゼの方を見た。

 

 

「か・・・カッチョイィ〜~!!」✨

 

「何だよそれぇ!カッコよすぎるだろコノヤロー!!」✨

 

 

「この姿の時は〝仮面ライダービルド〟って呼んでくれよ!」ピッ!

 

 

「∑興奮してる場合じゃねェだろ、今!!?」

 

 

「っと!そうだった・・・」テクテク

 

 

仲間になったコックのサンジに怒られてルフィはアーロンに向かった。

 

 

「お前がアーロンか?」テクテク

 

 

「そうだが・・・そう言うお前はなんだ?」

 

 

「俺はルフィ・・・海賊だ!」テクテク

 

 

「ほぅ・・・ならお前がコイツらの船長って訳か?」ピキッ!

 

「そしてナミやココヤシ村の連中を唆したのもお前か!?」

 

「この落とし前はキッチリとつけて」

 

 

ドゴォン!!

 

 

ガガァ・・・ン!!!

 

 

叫ぶアーロンにルフィは気にも止めず、そのまま近づいてアーロンを殴り飛ばした。

 

 

「あのアーロンを・・・!!」

 

 

「殴り飛ばした!!?」

 

 

アーロンを端にまで殴り飛ばしたルフィは鼻息を荒らげて睨みながらナミの涙を思い出していた。

 

 

「うちの航海士を・・・泣かすなよ!!!!」

 

 

ドン!!

 

 

ルフィに殴り飛ばされたアーロンは湧き上がっていた怒りがすこし静まり、冷静になっていた。

 

 

「なるほど・・・ナミが狙いで来たってわけか?」

 

 

ガラガラ

 

 

「「∑ルフィの兄貴の打撃が効いてねぇ!?」」

 

 

「・・・・・・」パキパキ!

 

 

静かに立ち上がったアーロンはルフィの前に出た。

 

 

「で?結局なんの用でこのアーロンパークに来た?オレのかわいい同胞たちをこんな目に合わせてまで?」

 

「ナミは俺たちの仲間で優秀な測量士だぜ?それを()()()()()()ったぁ勝手がすぎるぞ」

 

 

「あいつを」

 

 

「ん?」

 

 

「あいつを本当に仲間だと思ってんなら・・・あんな悲しい顔をさせてんじゃねぇよ!!!」

 

 

そう叫んだルフィは腕を後ろに伸ばし、アーロンの鳩尾に拳を叩き込んだ。

 

 

「〝ゴムゴムの銃弾(ブレット)〟っ!!」

 

 

「グゥ!?」ヨロッ

 

 

ルフィの技を受けたアーロンは思いもしなかった威力によろめいたが直ぐに持ち直した。

 

 

(〝悪魔の実〟の能力者かっ・・・!)

 

 

「調子に乗るなよ、下等生物が!!」

 

「〝喰い鮫〟!!」ボゴォン!

 

 

指の間隔をあけた右腕に力を入れ、敵に突き刺す技をルフィに繰り出したがそれを躱されてそのまま地面に刺さった。

 

躱したルフィはアーロンの左頬を殴り、それを耐えたアーロンはその勢いを利用して回し蹴りをカマした。

 

蹴られたルフィは踏ん張ってアーロンの脚を掴み、柱に投げ飛ばした。そのままあとを追い、両腕を後ろに伸ばした。

 

 

「〝ゴムゴムのバズーカァ〟!!」

 

 

ドゴォン!!

 

 

 

 

 


side:村の住人たち

 

 

「あのアーロンと渡り合っている・・・」

 

 

「信じられん・・・これがこの世の戦いなのか?」

 

 

村の住民たちはルフィとアーロンの戦いを呆然として見ていた。自分たちを苦しめていた〝アーロンの一味〟がここまで追い詰められていたのだから。

 

 

「まぁお前らか見たら驚く光景だよなぁ。普通は・・・」

 

 

仮面ライダービルドに変身したままのマカハゼはそう言いながら村人たちに近づいた。

 

 

「どうだ?うちの船長も中々やるだろ?」

 

 

「∑あの少年が君たちの船長!?」

 

 

「それに君たちは何故アーロンたちと戦うんだ?」

 

 

村の代表として駐在のゲンゾウがビルド(マカハゼ)に質問をした。

 

 

「当然の疑問だな・・・一番の理由はうちの船長がアイツらをぶっ飛ばしたいのとナミを連れ戻すためだな」

 

「だが・・・俺は最初ナミが裏切って船を持ち逃げした時に消そうと考えてたがな」

 

 

「「「!!?」」」

 

 

「当然の判断だろ?ナミや俺たちがいるのはそういうのが普通にある世界なんだからな」

 

 

仮面ライダービルド(マカハゼ)は悪びれることも無く、村人たちにそう告げた。

 

 

「だがルフィが〝ナミと船を連れ戻せ〟って船長命令を出した・・・その理由が()()()()()()()()()()()()()っつう子供(ガキ)みてぇなことを行ったんだ(笑)」

 

仮面ライダービルド(マカハゼ)はルフィがそう言った時のことを思い出して笑った。

 

「その目と声は何処までも本気だった・・・だからこそ俺はアイツの夢の果てを見てみたくなったんだよなぁ」

 

 

「〝ゴムゴムのハンマー〟!!」

 

 

ドゴォン!

 

 

「ガアァッ!?」

 

 

戦場の方に振り向けばルフィが両手を握り締めた状態で振り上げ、アーロンに振り下ろして叩きつけた。

 

 

(何故だ・・・何故俺は人間の小僧1人にてこずっている!?)

 

(〝悪魔の実〟の力を手に入れただけの・・・水中で息が出来ない下等種族如きが!!!)

 

「調子に乗るなと言ったはずだぞ・・・〝麦わら〟ァ!!」

 

ゴクン!

 

 

そう叫んだアーロンはズボンのポケットから()()()()()を取りだし、飲み込んだ。

 

 

ドクン!ドクン!ドクン!

 

 

「ウオォォォォォォ!!!」

 

 

「∑うげぇ!何だ何だ!?」

 

 

「何かを飲み込んだと思ったら様子がおかしくなったぞ!?」

 

 

「あの状態・・・恐らく強力なドーピングだな。それも命を削るほどの!」

 

 

アーロンの状態を確認したビルド(マカハゼ)は危険な劇薬を服用したと推測した。

 

 

「シャーッハッハッハ!!」

 

「そうさ!俺が今飲んだのは我が故郷〝魚人街〟で作られた〝E(エネルギー)S(ステロイド)〟という劇薬だ!!」

 

「こいつを服用すれば多少の命を削るが、一時的なパワーアップが出来る!!」

 

「〝魚人空手・海面割り〟!!」

 

ズガァン!!!

 

 

「∑危ねぇ!?」

 

 

「「「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」

 

 

〝E・S〟でパワーアップしたアーロンの技は大地を叩き割るまでになった。その威力は密集していた村人たちを巻き込み、100m先まで続いた。

 

 

「じ・・・地面が板のように割れたァ!?」ガボーン!

 

 

「ただでさえ強くて厄介なのに!!」

 

 

「勝ち目なんてあんのかよ、ルフィの兄貴!!?」

 

 

さらに強くなってしまったアーロンにウソップとジョニーたちは恐怖を抱いた。

 

 

「これ以上人間(おまえ)如きに手こずる訳にはいかねぇ!コレでお前の仲間も皆殺しだァ!!」

 

ビリビリビリ!!!

 

〝E・S〟の影響で昂ったアーロンはルフィを睨み付け、咆哮は空気を震わせていた。

 

 

「スゲェ強くなったなアイツ・・・!」

 

 

バッ!!

 

 

「∑ウォッ!?」

 

 

ガァン!

 

ガシッ! ボコォン!!

 

 

「何だありゃ!?」

 

 

「「デケェのこぎり!!」」

 

 

アーロンはルフィの後ろのアーロンパークに手を突っ込み、壁の内側に飾ってあった専用武器〝キリバチ〟を取りだした。

 

 

バッ! ガキィン!!

 

 

「∑うわっ!?」

 

 

屋根に逃れていたルフィに〝キリバチ〟を叩きつけ、更に上に逃れるルフィを回転しながら〝キリバチ〟を繰り返し叩きつけた。

 

そして遂に、アーロンパークの最上階である5階の1番左の部屋に2人は突っ込んだ。

 

 

「∑部屋の中に逃げ切った!」

 

 

「アーロンも一緒だ!!」

 

 

仮面ライダービルド(マカハゼ)や村人たちからは中に入ってしまった2人が見えなくなった。

 

 

 

 

 


「ハァ・・・ハァ・・・!さらに強くなったな、アイツ!?」

 

「ん?何だこの部屋??」

 

 

最上階の一室に一時逃げたルフィはその部屋の異様な紙の量があることに首を傾げた。

 

その部屋は薄暗く・・・窓は自分が壊した1枚しかなく・・・机と椅子と資料本が置かれている本棚だけの寂しく、冷たい部屋だった。

 

 

 

 

 

〜END〜



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VSアーロン海賊団 6 決着の龍

「ハァ・・・ハァ・・・!」

 

 

「ナミ!」 「ナミちゃん!」

 

 

「姐さん!!」

 

 

「お!来たのか、ナミ・・・」

 

 

「これって・・・!」

 

 

自分で刺した左肩の手当をし、1人遅れてナミがやって来た。そこでアーロンパークの惨状を見渡し、状況をある程度把握した。

 

 

「お前なんで肩を怪我してんだよ?」

 

 

「その声はマカハゼね・・・ルフィは何処に?」

 

 

「アイツならアーロンと一緒に最上階の1番左の部屋に突っ込んだぞ」

 

 

「!あの部屋は・・・」

 

 

ナミはビルド(マカハゼ)が指を指した方に目を向けて思わず息を飲んだ。

 

 

「まさか・・・測量室に?」

 

 

その部屋はナミにとってアーロンに与えられた苦しみの象徴そのものだった。

 

 

 

 

 


side:ルフィ

 

 

「もう邪魔をすんじゃねぇよ・・・麦わら!」

 

 

「何だこの部屋?何でこんなに紙が多いんだ??」

 

 

部屋の中に逃げ込んだルフィはアーロンに詰め寄られながらも部屋の異質さに首を傾げた。

 

 

「ただの紙じゃねぇ・・・これは全部8年かけてナミに描かせた〝東の海〟の海図だ!」

 

「俺ら魚人にとって海のデータを取るのは造作もないが問題は測量技術!これ程の量の海図を描ける者は世界中を探してもどこにもいねぇ!あの女は本物の天才だよ!!」

 

 

「ふーーん・・・」

 

 

アーロンの話を聞きながらルフィは部屋を眺め、机の上にあった1つのペンを手に取った。そのペンの持ち手部分は血が染みこんでいた。

 

 

「このペン・・・血が染み込んでる」

 

 

そんなルフィに気付かずにアーロンは〝キリバチ〟をルフィの首に添えて勝手な持論を語り出した。

 

 

「持ち合わせた才能を無駄にするほど残酷で愚かなことはない!!ここで海図を描くことがあいつの幸せなのさ!俺の野望のためにもな!!」

 

「その海図で世界中の海を俺たち魚人が知り尽くしたその時、俺たちは無敵になり!!魚人の帝国が完成するのさ!!」

 

「その足掛かりがこの島であり、〝東の海〟という訳だ!テメェにあの女を効率よく使えるのかぁ!!?」

 

 

コトッ・・・ガシッ!

 

 

「!?」

 

(何だ・・・〝キリバチ〟がピクとも動かねぇ!!?)

 

 

アーロンの話を聞いたルフィはペンを置き、首に添えられてた〝キリバチ〟の刃を掴んだ。

 

 

()()()?」ギロッ!

 

バキィィン!!!

 

 

「!!!〝キリバチ〟を・・・!!!」

 

 

「お前・・・ナミを何だと思ってんだ?」

 

 

「?下等種族だが優秀な測量士だ・・・他の人間を()()()()()とするならあの女は生意気な猫ってとこか?いずれにせよ可愛いものさ・・・」

 

「これからもアイツにはこの部屋で海図を永遠に描いて貰うさ。メシも与えるし好きな服も買ってやる・・・〝生きる〟のに事欠くことはない・・・ただ俺のために海図を描いていればいい」

 

「俺たちは・・・仲間だからな」ニィッ!

 

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

 

ヒュッ! ドガン!

 

 

「ガッ!?」

 

 

アーロンの真上に最速で移動したルフィはアーロンの頭を掴み、床にたたきつけた。その後すぐ下がり懐からある物を取りだした。

 

 

シュルルル ガチャン!

 

ピィィーー

 

 

ルフィが取りだしたのは仮面ライダービルド(マカハゼ)が使っていたのと同じ〝ビルドドライバー〟を腰に着け、それと一緒に出てきたのは小さい青と金の装飾がされた〝クローズドラゴン〟だった。

 

 

「行くぞ・・・ピー助!」

 

 

ピィィーー!

 

 

ルフィに応えるように〝クローズドラゴン〟改め、ピー助は頭と尻尾を畳んでルフィの左手に収まり、右手からは

ビルド(マカハゼ)から預かった〝ドラゴンフルボトル〟を取りだして振った。

 

 

カシャカシャカシャ!カチン!

 

《WAKE UP!》

 

《CROSS DRAGON!》

 

ガシャァン!

 

 

振った〝ドラゴンフルボトル〟をピー助に嵌め込み、〝ビルドドライバー〟にセットしてレバーを回した。

 

グルグルグルグル!

 

 

そこからは仮面ライダービルド(マカハゼ)と同じようにベルトからパイプが現れて前後に〝ドラゴンフルボトル〟の成分が流れ、左横から翼のようなパーツが形成された。

 

 

《Are You Ready?》

 

「変身!!」

 

ガシィン!

 

 

《WAKE UP DRAGON!》

 

《GET CROSS-Z DRAGON!》

 

《イェーイ!!》

 

 

ビルド(マカハゼ)と同じように前後に形成された鎧が身を包み、左横に形成された翼〝ドラゴンブレイザー〟が上着のように被さり、金色の龍の顔が仮面に張り付いた。

 

 

「テメェ・・・奴と同じように!!?」

 

 

立ち上がったアーロンはビルド(マカハゼ)と似た姿になったルフィにさらに警戒心を抱いた。

 

 

その姿の名は〝仮面ライダークローズ〟・・・ビルド(マカハゼ)が作った〝仮面ライダービルド〟の2号ライダーであり、本人(マカハゼ)の好きな仮面ライダーの一つである。

 

 

「確か・・・〝ビートクローザー〟!」

 

 

クローズ(ルフィ)が叫ぶと〝仮面ライダークローズ〟専用武器、〝ビートクローザー〟が形成されたそれを手に取った。

 

 

ドゴォン!!

 

 

「!!!なっ・・・!?」

 

 

変身したクローズ(ルフィ)は部屋の机を壁ごと外に蹴り出した。

 

ビルド(マカハゼ)の技術により、〝悪魔の実〟の能力を変身したまま使えるクローズ(ルフィ)は続けて本棚を蹴った。

 

 

「何のつもりだ〝麦わらァ〟!!!(怒)」

 

 

 

 

 


その頃外にいたビルド(マカハゼ)たちは立ちすくんでいた。部屋の中に入ったまま何も起きていないからだ。

 

 

ドゴォン!!

 

 

「「∑なっ何だァ!!?」」ビクッ!

 

 

「机・・・?」

 

 

「ビックリしたァ〜・・・」

 

 

「てか・・・何で机が??」

 

 

「あれは・・・」

 

 

突然と吹っ飛んできた机に誰もが疑問を持つなか、机に見覚えのあるナミは息を飲んだ。あの机はナミが8年間も使っていたのだから。

 

 

ドゴォン!ガゴォン!ズガァン!

 

 

そこからは机に続いて本や本棚・・・大量の紙の束が落ちてきた。なかには切れて半端になっている紙も混ざっていた。

 

 

「・・・なんで紙とか家具とかが落ちてくるんだ?」

 

 

「中で一体何が・・・!?」

 

 

「・・・・・・」

 

 

誰もが呆然と見ている中、ナミは落ちてくるそれらを見ながらあの部屋でアーロンに無理矢理海図を描かされていたことを思い出していた。

 

嘘の海図を描けば力でねじ伏せられ、食事を持ってきた下っ端には「食わすメシはない」と投げ捨てられ、何度も心が折れそうになった。

 

その部屋が今・・・ルフィが暴れていることで壊れていくことにナミは口を抑えて涙を流していた。

 

 

(ありがとう・・・!!)

 

 

 

 

 


side:ルフィ

 

 

「止めねぇかァクソゴム!!(怒)」

 

 

暴れるクローズ(ルフィ)をアーロンは止めようとするが、それでも止まらずに暴れ続ける。

 

〝ビートクローザー〟で海図を切り裂き、あるいは蹴り飛ばすことでアーロンがナミに作らせ続けていた海図を台無しにしていく。

 

 

「いい加減にしやがれ!!」

 

 

ガキィン!

 

 

アーロンはクローズ(ルフィ)をなんとか捕まえ、そのまま首筋に噛み付いた。しかし変身したことでアーマーを身にまとったクローズ(ルフィ)に効果はあまりなかった。

 

 

(バカな・・・俺の歯が通らないだと!!?)

 

 

クローズ(ルフィ)は自分の首筋に噛み付いたアーロンの鼻を掴んで力を入れた。

 

 

「お前ら魚人が・・・どう偉いとか・・・海図がどうとか・・・種族がどうとか・・・事情がどうとか!!!」

 

「そんなことよく知らねぇけど・・・やっと・・・あいつを()()()方法がわかったァ!!!」

 

 

ボキッ!!

 

「グァァァァァァ!!?」

 

 

自慢の鼻を無理矢理折られたアーロンは思わずころげ回り、距離をとった。

 

 

「こんな部屋があるからいけねぇんだ!!」

 

「居たくもない居場所なんて・・・俺が全部ぶっ壊してやる!!!」

 

 

グルグルグルグル!

 

《Ready Go!》

 

「〝ゴムゴムのォ〟!!」

 

 

ガゴォン!

 

 

クローズ(ルフィ)は右脚を天井の外にまで蹴り伸ばした。その右脚には青い龍のエネルギー体が巻き付くように纏っていた。

 

 

「図に乗るなと言ったはずだ!!お前ら下等種族に堕とされるほどこのアーロンパークは脆くねぇんだよ!!!(怒)」

 

 

ボキボキ!!

 

 

折られた鼻を無理矢理戻したアーロンはクラウチングスタートの体勢になり、戻した鼻のトゲをクローズ(ルフィ)に向けた。

 

 

「〝(シャーク)ON(オン)DARTS(ダーツ)〟・・・」ググッ

 

 

「!?」

 

 

〝E・S〟の影響がまだ残っているアーロンは両手脚に力を入れ、とんでもない瞬発力でクローズ(ルフィ)に突進した。

 

それを見たルクローズ(ルフィ)は迎え撃つようにとどめの技を繰り出した。

 

 

「〝破壊(ディストラクション)〟!!!」

 

 

《ドラゴニックフィニッシュ!!》

 

「〝龍の戦斧(ドラゴンアックス)〟!!!!」

 

 

ドォン!!

 

 

「ガフッ!!」

 

 

「ああああああああ!!!」

 

 

ドゴォン!ドゴォン!ドゴォン!ドゴォン!

 

 

アーロンの〝鮫・ON・DARTS・破壊〟が届くより先に仮面ライダークローズ(ルフィ)の龍のエネルギー体が纏った〝ゴムゴムの龍の戦斧〟が先に決まり、アーロンを床にたたきつけた。

 

そしてその勢いのままアーロンをアーロンパークの1階の床まで踏み抜いたことでアーロンの鼻は再び折れ、意識を失った。

 

 

「ハァ・・・ハァ・・・ハァ!」ピシッビキビキッ!

 

パラパラッ「ん?・・・・・・あッ!」

 

 

アーロンが気を失ったことを確認したクローズ(ルフィ)は天井から小さな石塊が落ちてきたり部屋に大きなヒビが入り始めたことに気づいた。

 

 

しかし時すでに遅く、クローズ(ルフィ)はアーロンパークの崩壊に巻き込まれた。

 

 

 

ドゴガゴゴゴゴ・・・!!!

 

 

 

 

 

 

〜END〜

 

 

 




追加設定


その1



マカハゼがルフィを仮面ライダークローズにさせると決めた時、変身したまま〝悪魔の実〟の能力を使える様にするために事前に血を採血して解析し、〝ビルドドライバー〟や〝クローズドラゴン〟を改造した。




その2



原作では剣術は一切使えないと断言していましたがある程度扱えるようにしました。


※だって祖父の副官が幼少期にある程度教えていても不思議ではありませんので!


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勧誘

「∑何だありゃ!!?」

 

 

「青い・・・龍・・・?」

 

 

アーロンパークの屋上にあるノコギリザメの石像を破壊し、青い龍が空に舞い上がった。

 

そして龍はアーロンパークに降下し穿いて行った。

 

 

「今のは一体・・・?」

 

 

「なるほど・・・()()()()な?」ニヤッ

 

 

「変身・・・?」

 

 

「∑おい見ろ!今の衝撃でアーロンパークが崩れ始めるぞ!!」

 

 

「急いでここを離れろ!巻き込まれるぞ!!」

 

 

村人の1人がアーロンパークの崩壊を察知して村人たちは急いで離れ始めた。

 

 

「ゾロの兄ぃ早く起きて!!」

 

 

「担いでいくぞ!ヨサクも手伝ってくれ!!」

 

 

「ガッテンだぁ!!」

 

「ほらナミ、お前も下がるぞ」テクテク

 

 

「でも、まだルフィがあの中に!!」

 

 

 

ドゴガゴゴゴゴ!!

 

 

 

「ルフィーーーーーっ!!!!」

 

 

 

アーロンパークが完全に崩壊し、アーロンとルフィを巻き込んで崩れ去った。

 

 

「アーロンパークが・・・崩れた!!!」

 

 

「ルフィの兄貴・・・!!」

 

 

「・・・中で一体何が起きたんだ・・・!?」

 

 

「あいつ大丈夫なのか!?」

 

 

「ルフィ・・・」

 

 

ボコ・・・・・・!!

 

 

アーロンパークの瓦礫の山か一部崩れ去り、そこから人影が現れた。その姿は少しマカハゼの〝仮面ライダービルド〟に似ているが、全身は紺色で上半身には上着のようなアーマーを纏っていた。

 

 

「あ・・・ありゃあ誰だ?」

 

 

「ルフィだよ・・・この戦いで俺と同じ〝仮面ライダー〟に変身出来たみたいだな。名を〝クローズ〟だ」

 

 

「∑あれルフィの兄貴なのかよ!?」

 

 

「イカス!カッコよすぎるぜ!!」

 

 

「・・・・・・・・・」フラフラ・・・

 

 

「おい・・・大丈夫なのかアイツ・・・」

 

 

変身してて分かりにくいがアーロンとの戦いてダメージを蓄積していたクローズ(ルフィ)は気を抜けば直ぐに倒れそうだった。しかし倒れそうな脚でしっかりと踏ん張り、ナミの方を見た。

 

 

「ナミ!!!」

 

 

「・・・・・・?」

 

 

「お前は・・・俺の仲間だ!!!!」

 

 

「・・・うん!」グスッ

 

 

「勝ったな・・・」シュウ・・・

 

 

「「「ヤッタァーーーっ!!!」」」

 

 

グー...パチン!「・・・を?朝か?」ムクッ

 

 

「ゲンさん!!」がしっ!

 

 

「あぁ・・・まさかこんな日が来るなんて!」

 

 

 

「アーロンパークが・・・落ちたァ!!!」

 

 

「俺たちは自由だぁ〜〜!!!」

 

 

アーロンが敗れたことによりココヤシ村の住人たちは歓喜を上げた。あるものは抱き合い・・・ある者は泣き・・・ある者は喜びを分かち合うために他の村に掛けて行った。

 

 

 

〘アーロン一味船長〝ノコギリのアーロン〟VS麦わらの一味船長〝仮面ライダークローズ〟改めモンキー・D・ルフィ〙

 

〘勝者 モンキー・D・ルフィ〙

 

 

 

 

 


〜数十分後〜

 

 

 

「そんじゃお前らのこれからの仕事はこの島の各村の復興の協力とコイツら魚人族の片付け!アーロンパークの金品への手出し厳禁!あれは元々この島の財産だからな」

 

「これらを少しでも破ったらお前らの悪事を世間に流した上で報復に来るからそのつもりでな?終わったらもう帰っていいから」

 

 

「ふぁ・・・ふぁい」チーン

 

 

海賊〝アーロンの一味〟との全ての決着がついた後、マカハゼはぶちのめしていたアーロンと取引していた海軍支部大佐ネズミたちを連れて来て後始末を任せた。

 

なお、アーロンパークの金品に手を出さないように念を押していた。

 

 

「ちくしょう!まさかアーロンが名のない海賊に負けるとは・・・」ボソボソ

 

「船長はあの麦わらの男だったな・・・」チラッ

 

 

ネズミはマカハゼに任された後始末を部下たちとしながらルフィを見た。

 

 

「アイツらのせいで散々だ・・・目にものを見せてやる!!(怒)」ボソボソ

 

 

後にこの男の報告で新たな指名手配書が世間に出回るのだがそれはまた別の話・・・。

 

 

 

「おうマカハゼ!後始末はどうなった?」

 

 

「キッチリあのバ海軍共に押し付けてきた・・・ちゃんと脅したしな」ヘラヘラ

 

 

「いでェ〜〜〜〜!!!」

 

 

「で?まだ治療中なのかあのゾロ(バカ)?」

 

 

「普通全治2年の大怪我だよ!?悪化しないのがおかしいぐらいだよ!」

 

 

「君は優しいなぁ〜カッコウちゃん❤」

 

 

ココヤシ村にある診療所にいるみんなの元へ戻ったマカハゼはゾロの治療の叫びを聞いて呆れていた。内心あの程度でよく済んだなと思っていたからだ。

 

 

「まったく・・・お前らの船には〝船医〟が居らんとは!」

 

 

 

「〝船医〟か・・・でも先に音楽家だな!」

 

 

「何でだよ(汗)」

 

 

「海賊は歌うんだぞ!」

 

 

「それよりルフィ!ちょっと良いか?」

 

 

「うん?」

 

 

 

 

 


side:とある海岸

 

 

ココヤシ村から少し離れた島の海岸・・・そこにナミの育ての親〝ベルメール〟が眠る墓にノジコとゲンゾウ、そしてナミがいた。

 

 

(終わったよベルメールさん!8年かかっちゃったけど・・・自由になれたよ!)

 

「ノジコ!ゲンさん!」

 

「私が海賊になるって言ったら・・・ベルメールさんなんて言ったかな?」

 

 

「そりゃあお前大切な「逆に背中を押すね」∑ノジコ!?」

 

 

「止めたらあんたが言うことを聞くのかい?」

 

 

「ゼッタイ聞かない!!」ベッ

 

 

「・・・ぶはははは!!」

 

 

「どうしたのゲンさん?いきなり笑っちゃって?」

 

 

「そりゃあ笑いたくもなる!!」

 

 

「「??」」

 

 

「お前らはやっぱりベルメールの娘だよ!!」ハハハハ!

 

 

「随分と楽しそうな家族だな」

 

 

「マカハゼ!」

 

 

ナミの意志を聞いてゲンゾウが喜びの笑いを上げていたところにマカハゼが来た。ゲンゾウは少しマカハゼを警戒していた。

 

 

「正直に言って俺はお前が船ごと俺の持ち物を奪って逃げたことを許しちゃいねぇ・・・下手をすれば今よりも最悪の自体になっていたからな」ポイッ

 

 

マカハゼはナミにそう言って持っていた水筒を投げ渡した。

 

 

「あいつらはもう気にしてはいねぇがお前は一度俺たちからの信頼を裏切った・・・それは絶対に覆らない事実だ」

 

 

「・・・ええ」

 

 

「これからの働きでしっかり信頼を取り戻していけ・・・それがお前にできる唯一の償いだ。しっかり俺たちの命を守れよ、〝航海士〟」

 

 

「!!」

 

 

そう言ってマカハゼは来た方向へ戻り、ナミたち三人だけになった。

 

 

「・・・大船に乗ったつもりで任せなさい!!」

 

 

ナミは遠ざかるマカハゼに声を上げて言った・・・もう二度と裏切らない・・・必ず信頼に応えると胸に誓って。

 

 

クピッ「!!?」

 

 

「辛ァ〜〜〜〜〜〜!!!!」

 

 

「「∑ナミ!?」」

 

 

「ギャハハハハ!!引っかかったな、〝タバスコ水筒〟!!」

 

「俺はこれで全部チャラにしてやるよ!!」ビュー!

 

 

「マカハゼェーー!!!(怒)」

 

 

ドッキリに成功したマカハゼは鬼の形相で追いかけてくるナミから全速で村の方に逃げた。

 

 

「まぁ・・・楽しそうだから大丈夫じゃない?」

 

 

「そうだな・・・」ハァ・・・

 

 

 

 

 


 

 

それからその日のうちにコノミ諸島全域で三日三晩の宴が続いた。宴に参加しているものたちはみんな精一杯笑った・・・力の限り笑った・・・まるで笑うために生きできたのだと言わんばかりの勢いで・・・。

 

 

「「「∑あっし等が兄貴たちの海賊団に!?」」」

 

 

「まぁな・・・」

 

 

村から少し離れたところでマカハゼはジョニーとヨサクとカッコウの三人を〝麦わらの一味〟にスカウトしていた。

 

 

「俺たちはもうすぐ〝偉大なる航路〟に入る・・・だが正直に言って戦力がたりなさ過ぎる!このまま入ってもいずれ兵力差で負けるのが目に見えている・・・」

 

「その可能性を少しでも下げるためにお前たちに入って欲しいんだ・・・」

 

 

「話はわかったけど・・・そのタンコブどうしたの?(汗)」

 

 

「気にするな」ゴーン

 

 

結局ナミに追いつかれて仕返しを受けたマカハゼは3つほどのタンコブを作っていた・・・

 

 

「それにしてもあっし等が海賊か・・・」

 

 

「ルフィには既に話を通してある・・・あとはお前らの意思確認だけだ」

 

 

「「「・・・・・・・・・」」」

 

 

勧誘を受けた3人はしばらくの間無言になった・・・その10秒後に沈黙を破ったのはカッコウだった。

 

 

「ウチ・・・海賊になります!」

 

 

「「∑カッコウ!?」」

 

 

「ほう・・・」

 

 

「ウチは元々ゾロの兄ぃに憧れて賞金稼ぎを始めたんだ!兄ぃと別れてからも2人と一緒に海賊を狩ったり修行もした!」

 

「でも兄ぃはそんなウチよりもずっと先に進んでた・・・今のままじゃ一生追いつけない!!」ギリッ!

 

「ウチは・・・兄ぃの隣に立ちたい!!」

 

 

「おっ俺も兄貴たちの海賊団に入るぜ!!」

 

 

「あっしもです!兄貴たちの覇王への道のり・・・一緒に歩ませてくだせぇ!!」

 

 

3人の答えを聞いたマカハゼは満足そうに頷いて歓迎の言葉をかけた。

 

 

「よぅし!今日からお前らも晴れて俺たち〝麦わらの一味〟のメンバーだ!!」

 

「ウソップ達への紹介と歓迎の宴は後日この島を出てからするから今はこの宴を楽しむめ!」

 

 

「「「おぉーー!!!」」」

 

 

マカハゼの号令に返事をした3人は村の宴会場に戻り、宴の続きを楽しみ始めた。

 

 

(これで新たな戦力確保だな・・・こうやって仲間を増やしとかねぇと戦力的に不利な状況が当たり前になっちまうからな)

 

 

ジョニー達3人を勧誘しおわったマカハゼは今後の航海計画を1人で考えていた。

 

 

(あのアーロンはこの星の3大勢力の1つ、〝王下七武海(おうかしちぶかい)〟のジンベエってやつの身内らしいからな・・・いつか〝偉大なる航路〟の何処かで目を付けられるかもしれん)

 

(その時のためにジョニー達を強くさせないとな・・・ルフィも〝仮面ライダークローズ〟になったし残るは〝グリス〟、〝ローグ〟、〝マッドローグ〟の3つ・・・道は長いな)ハァ・・・

 

 

そんなマカハゼの苦労を知らずに仲間たちは歌ったり寝たり、食ったりナンパしたりで楽しんでいるのは完全に余談である。

 

 

 

 

 

 

〜END〜

 

 




追加の仲間


その1・ジョニー 24歳

原作キャラのひとりでゾロの子分の一人。ゾロに会う前はヨサクと2人組で賞金稼ぎをしていた。

〝麦わらの一味〟に入ってキャラ強化する人。


〝麦わらの一味・遊撃隊『八咫烏・中足』〟





その2・ヨサク 23歳

原作キャラのひとりでゾロの子分の一人。ゾロに会う前はジョニーと2人組で賞金稼ぎをしていた。

〝麦わらの一味〟に入ってキャラ強化する人。


〝麦わらの一味・遊撃隊『八咫烏・右足』〟





その3・カッコウ 18歳

今作品のオリキャラでゾロのヒロイン。ポニーテールが良く似合う165cmのIカップで妹属性の女剣士。村で山賊に襲われかけたところを救われて憧れた。

そこからゾロについて行き、時々ゾロに教わりながら我流で剣の腕を上げていて、ゾロと別れてからはジョニーたちと行動を共にしていた。

〝麦わらの一味・遊撃隊『八咫烏・左足』〟





追加設定2


〝海賊狩り〟ロロノア・ゾロ


〝麦わらの一味・遊撃隊『八咫烏・頭』〟


〝麦わらの一味・海賊狩りのゾロ〟が率いる戦闘部隊の1つ。マカハゼがゾロの方向音痴を利用し、敵を錯乱させるために設立した。ゾロ本人は不満に思っているが他のクルー達は納得している。



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泥棒兄弟

side:ココヤシ村の港

 

 

「という事で新たに仲間になったジョニーとヨサクとカッコウの3人だ」

 

 

「「「よろしくお願いします!」」」

 

 

出発の日の朝・・・ゾロたちはマカハゼからジョニーたち3人が新たな仲間になると紹介を受けていた。

 

 

「本当に良かったのか?これでお前らも〝お尋ね者〟確定だぜ?」

 

 

「構いやせん!あっしは兄貴が世界一の大剣豪になるのをこの目で見たいんす!」

 

 

「俺も兄貴たちの覇王への道を見届けてぇんだ!!」

 

 

「ウチも兄ぃの夢の果てを歩いていきたいんだ!」

 

 

「まったく・・・しっかり付いてこいよ?」

 

 

「「「ハイ!」」」

 

 

「カッコウちゃん・・・何であんなマリモなんかと・・・!!」ギリッ!

 

 

「まぁ仲間が増えて良いじゃねぇか!!」

 

 

「ウンウン」

 

 

ルフィとウソップとサンジも3人の乗船を認め、仲間として歓迎した。

 

 

「しっかしナミのやつ遅いな・・・?」

 

 

マカハゼはナミが未だに船に来ないことをきにし、村の方へ目を向けた丁度その時にナミが来た。

 

 

「船を出して!!!」

 

 

「あ、来た」

 

 

「ナァミィすわぁーーん!!❤」

 

 

港から100m離れた所からマカハゼたちにそう叫んだナミは船に向かって全力疾走をした。

 

 

「走り出した・・・何をするつもりだ?」

 

 

「海賊になるから()()()()()()()をするつもりか?」

 

 

「・・・とりあえず船を出しとくか?」

 

 

「「「準備します!!」」」

 

 

ナミの真意が分からないままルフィたちはとりあえず言う通りに船をたすことにした。

 

 

「巫山戯るなナミ!そんな勝手な別れ方は許さんぞ!!」

 

 

「ゲンさん!彼らが船を出し始めました!!!」

 

 

「∑何ィ〜ッ!!」

 

 

見送りに来た村人たちはナミを止めようとするが村人たちの隙間を通り抜けながらメリー号に飛び乗った。

 

 

「ナミ・・・どうして!?」

 

 

「・・・・・・」クイッ! ドサドサドサ!

 

 

「「「「「・・・・・・・・・は??」」」」」

 

 

メリー号に飛び乗ったナミは服の裾を上げるとそこから大量の財布が落ちてきた。それを見た村人たちは急いでポケットを確認するが自身の財布が見つからないことでスられたことをやっと理解した。

 

 

「元気でね、みんな♥」ニコッ!

 

 

「「「「∑ヤりやがったなあのガキィーーーー!!!」」」」ガーーーン!!!

 

 

してやったりと盗った財布のひとつを持っていい顔で別れを告げたナミに村人たちはイラッと腹を立てた。

 

 

「おい・・・変わってねぇぞこいつ」

 

 

「さ・・・さすがナミの姉貴!(汗)」

 

 

「しっかり財布(いのち)守らねぇと・・・!(恐)」

 

 

「またいつ裏切ることやら・・・」ハァ

 

 

「あはは・・・(汗)」

 

 

「ナミさん、グゥーーッ!!」

 

 

「だっはっはっはっは!!!」

 

 

「まぁ・・・それで良いんなら別にいいか?」

 

 

一部始終を見ていたルフィたちも呆れたり頼もしさを感じながら少しづつ港を離れていった。

 

 

「ふざけるなこのクソガキィ!!」

 

 

「金返せぇー!!」「戻ってこーい!!」

 

 

「ありがとよ、お前らァ!!!」

 

 

「この恩は一生忘れねぇからなぁ!!!」

 

 

「元気でいろよォ!!!」

 

 

財布を盗られた村人たちは悪ガキ(ナミ)に罵声を投げるが中には感謝と激励の言葉も混ざっていた。財布を盗られたことに怒りつつもいつも通りのナミに安心したからだ。

 

 

(行ってきます・・・ベルメールさん!!)

 

「じゃあねみんな!!!!行ってくる!!!!」

 

 

ナミは元気いっぱいの笑顔で見送ってくれる村人たちに大手を振り、海の向こうへ仲間たちとともに長い旅に出た。

 

 

「ふぅ・・・・・・」

 

 

「あれ?ゲンさん帽子の風車はどうしたの?」

 

 

「あぁ・・・アレはもう必要は無いだろう」

 

 

ゲンゾウはナミがまだ赤子の頃自分の顔が怖くよく泣かれていた。それでもナミの笑顔が見たかったゲンゾウは苦し紛れに帽子に風車を挿してみた。

 

ベルメールは流石にそれはと言ったがナミが可愛い笑顔で笑った。それ以降ゲンゾウは風車を挿したまま18年過ごしていた。

 

しかしもうナミは道具を使わずとも一緒に心から笑える仲間ができた。風車はみかんと共にベルメールの墓標に備えた。

 

これからはナミの生き方を精一杯応援しようと遠くなっていく船を最後まで見届けた・・・・・・。

 

 

 

 

 


side:メリー号

 

 

「酒の準備が出来たぞ〜!」

 

 

「クソうめえ飯も万全だぜ〜!ナミすわぁん、カッコウちゅわぁん❤❤」

 

 

「アッハイ・・・(汗)」

 

 

「カッコウが引いてるぞアホ眉」

 

 

「あ"あ"ん!?」

 

 

「兄貴たち今ケンカは止めて下さい!!」

 

 

「せっかくの宴なんすから!!」

 

 

ココヤシ村の港が見えなくなったあたりでルフィたちは宴の準備をしていた。途中ケンカが起こりそうになったりしたのは余談である。

 

 

「お前も性格悪いねぇ・・・今まで貯めた金は村にあげて村の連中の財布を代わりに頂くとは」

 

 

「お金集めに必要な技術だったからね・・・これからは自分のために使うわ」

 

 

「・・・ルフィの〝仮面ライダークローズ〟見ただろ?」

 

 

「ええ・・・アンタの技術には本っ当に驚かされるわ」

 

 

「実は〝仮面ライダークローズ〟に変身するにはそれなりに条件があってな・・・それをクリア出来れば何時でも変身できるんだ」

 

 

「?どんな条件よ・・・?」

 

 

「〝誰かを助けたい〟と強く思うこと・・・」ニィ

 

 

「・・・へ?」

 

 

マカハゼが言った〝仮面ライダークローズ〟に変身するのに必要な条件を聞いたナミは思わず間抜けな声を出した。

 

 

アイツ(ルフィ)はそういうのに疎いから分かってねぇが・・・()()()()()()()良かったな!」ハハハハ

 

 

「!!??!?」(;(;(//̀Д/́/););)

 

 

マカハゼから思わぬ攻撃を受けたナミは声にならない声を上げた。

 

 

「どうしたんだアイツ・・・??」

 

 

「さぁな・・・」ヘラヘラ

 

マカハゼに遅れナミも甲板に向かい、全員が揃ったところでマカハゼが乾杯の音頭を買ってでた。

 

 

「え〜それでは諸君、この数日は色々とありましたが・・・ナミが正式に仲間になったこと!ヨサクとジョニーにカッコウの3人が仲間になったこと!」

 

「ゾロを隊長とした〝麦わらの一味・遊撃隊『八咫烏』〟の設立を祝して!」

 

 

「「「「「乾杯ァーい!!!」」」」」

 

 

〖空は快晴・風は軟風〗

 

〖離れる船を押すように風車は回る〗

 

 

 

 

 


side:とある島のビーチ

 

 

ココヤシ村を離れて数日・・・〝麦わらの一味〟はビーチのある島でまったりと過していた。

 

 

「綺麗な青空・・・ほどよい日光・・・美味しぃジュース・・・最高のバカンス日和だわ!」

 

()()が無かったらもっと最高なんだけど・・・」

 

 

「イィヤッホォーーー!!!」

 

ブロロロォォーーーン!!!!

 

 

そう言って目を向けた先には〝仮面ライダークローズ〟に変身して仮面ライダー専用バイク〝マシンビルダー〟を近くの岩礁で走り回っているルフィの姿があった。

 

実はこのビーチに来る数日前にマカハゼが「仮面ライダーになったんならやっぱバイクは必須だろ?」と〝ビルドフォン〟を変形させた〝マシンビルダー〟を譲渡した。

 

勿論乗り方と操作を強制勉強(優しく教えて)あげたのでここに着く頃にはほぼ完全に乗りこなしていた。

 

 

「おいルフィ!俺にもソレやらせろよ!!」

 

 

「俺が貰ったんだから嫌っだねぇ〜ww」

 

 

「ちくしょー!俺も〝仮面ライダー〟に変身してェーー!!」

 

 

マカハゼに貰った〝マシンビルダー〟を乗りこなすクローズ(ルフィ)に嫉妬するウソップ、ナミに日焼け止めオイルを塗るサンジ、それらをしり目に筋トレをするゾロと剣の修行をするジョニーたち『八咫烏』。

 

みんながそれぞれ時間を潰しているなかでマカハゼはメリー号で作業を終えたマカハゼが甲板に出てみんなの様子を見ていた。

 

 

「のんびりし過ぎだろアイツら・・・そんなマヌケな無名な海賊だから簡単に盗める・・・そう思っちまったんだな?」

 

 

そう言ったマカハゼはメリー号の舵がある船室の扉に目を向けた。すると扉が開き、ソコから一人の男がでてきた。

 

 

「1人残ってたのも想定外だが・・・まさか気づかれていたのか?」

 

 

「俺じゃなかったら気づかれなかったかもな・・・で?操縦室(そこ)にいたって事は船を奪うつもりだったな・・・覚悟出来てるんだな?」チャキっ!

 

 

マカハゼは〝トランスチームガン〟を構え、侵入した男を尋問しようとした。

 

 

「ボロード!?」ガタッ!!

 

 

「出てくるなアキース!!」

 

 

マカハゼの〝トランスチームガン〟を見たもう1人のアーキスという子供の仲間が出てきた。

 

ボロードと呼ばれた男はアキースに出るなと大声で忠告した。

 

 

「兄弟愛は構わねぇが・・・ココは海賊の船だって事を忘れるなよ?」

 

 

「分かってる・・・この船を狙ったのはアンタらをある海賊と衝突させるために利用しようとしたんだ!」

 

 

「ある海賊?」

 

 

「人の口に戸は建てられない・・・アンタらだろ?〝東の海〟で大物の海賊たちを討ち取っている麦わらのドクロマークを持つ無名の少数海賊は?」

 

 

「・・・そんな噂があんの?」

 

 

ボロードから聞いた〝麦わらの一味(自分たち)〟の噂聞いたマカハゼは思わず尋ねた。そんなマカハゼを無視し、

ボロードは突然土下座をしてマカハゼに頼み事をした。

 

 

「頼む!()()()()()()()()()()にも海賊団を潰して欲しいんだ!」

 

 

「ボ・・・ボロード?」

 

 

「・・・・・・」

 

 

ボロードの土下座にアキースは目を見開き、マカハゼは少し沈黙した。

 

 

「お前の頼みを聞くかどうかは俺の仲間たちと相談してからだな」ハァ・・・

 

 

「ありがてぇ!!」

 

 

 

 

〜END〜

 

 



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ねじまき島

マカハゼから連絡を受けたルフィたちはメリー号に戻り、ビーチから出航した。

 

 

「それで?手を組むのはウチの船長が許可を出したがお前らの詳しい話と報酬を教えてもらおうか?」

 

 

ルフィたちが来たことで囲まれる形になって自称〝世界一の泥棒兄弟〟のアキースは少しビクついていたがボロードは落ち着いていた。

 

 

「先ず報酬については俺が潰して欲しい〝トランプ海賊団〟が支配するねじまき島にあるダイヤモンドクロックという時計だ」

 

 

「ダイヤモンドクロック??」

 

 

「数年前に作られたその島の象徴とも言えるダイヤモンドを使った時計だ・・・大きさはお前らの想像以上だ」

 

 

「その話のった!!」  

 

 

「誰かその守銭奴を抑えてくんね?」

 

 

つい反応したナミをカッコウに下がらせたマカハゼは再びボロードに目を向けた。

 

 

「・・・他にはヤツら(トランプ海賊団)の財宝があるからお前らが8で俺ら兄弟が2で頼む」

 

 

「報酬はそれでいい・・・それで?お前が持つそいつら(トランプ海賊団)の情報と狙う理由を話してもらおうか??」

 

 

「・・・先ずは俺が得たヤツら(トランプ海賊団)の情報を話す」

 

 

そう言うとボロードは懐から5枚の手配書を出してマカハゼたちに見せた。

 

 

「俺が潰して欲しい〝トランプ海賊団〟はベアキング・ピンジョーカー・ハニークイーン・スカンクワン・ブージャックの〝トランプ5兄弟〟がまとめる海賊団だ」

 

 

マカハゼは貰った〝トランプ海賊団〟の手配書を1枚ずつ確認した。

 

 

「1160万に990万に780万に600万に320万か・・・この〝東の海〟ではかなりの大物たちだな」

 

 

「そのうちベアキングとハニークイーンの2人はカチカチの実とトロトロの実の能力者だ」

 

 

「〝悪魔の実〟か・・・」

 

 

「他にもヤツら(トランプ海賊団)の支配するねじまき島は元々機械技術が発展している島だった。そこを数年前に侵略して住民たちを奴隷にして作らせた兵器を武装している」

 

 

「奴隷ねぇ・・・嫌な響きだわ」

 

 

「更にヤツら(トランプ海賊団)が無理やり作らさせた城までの道のりには多くの罠が設置されている・・・侵入するのも一苦労だ」

 

 

「それなりの武力と実力、そして罠か・・・そこまで分かっていて俺たちに依頼するってことは()()()()()()()()のか?」

 

 

「!まぁな・・・()()()()()()()()()

 

 

マカハゼの質問にボロードは答え、左手の手袋を取った・・・その左手は機械仕掛けでできた義手だった。

 

 

ヤツら(トランプ海賊団)の情報を得た代わりに片手を失っちまったよ」

 

 

「ボロード・・・!」

 

 

ボロードが言うにはある事情でねじまき島のダイヤモンドクロックを盗むために侵入したはいいが〝トランプ海賊団〟にみつかり、逃げる時にベアキングに左手を奪われたそうだ。

 

その時にベアキングたちの恐ろしさを知ったボロードは島の住民たちに同情し、何とか救えないかと考えていた。

 

 

「そんな時アンタら無名の海賊の噂を聞いたんだ。あのアーロン一味を潰して島を救ったヤツらがいるって」

 

 

「それが俺たちだったわけか?」

 

 

「ココヤシ村のこともう広まってるんだ・・・」

 

 

「所詮俺はしがない泥棒・・・俺が払えるものは何も無いがヤツら(トランプ海賊団)は違う!ヤツら(トランプ海賊団)が潰れるなら俺はそれでいい」

 

 

ボロードはそう言ってルフィたちに頭を下げた。マカハゼは彼の誠意に感心し、この話に前向きに検討していた。

 

しかしアキースが待ったをかけた。自分の泥棒の師と言える尊敬する男が名もない海賊に頭を下げている事に我慢ならなかったからだ。

 

 

「やめろよボロード、みっともねぇ!俺たちは世界一の泥棒になるんだろ!?こんなヤツらに頼る必要もねぇ!!」

 

 

「アキース・・・」

 

 

「お前らはボロードの凄さを知らない!今まで色んな海賊から盗んできたし失敗もそんなに無い!航海術だって持ってるし俺をここまで育ててくれたんだ!!」

 

「確かに前は失敗した・・・でも次は上手くいく!俺も武器は使えるようになったしボロードだけにやらせる訳には」

 

 

「よし、手を組もう!」

 

 

「∑いやもう少し聞いてやれよ!?」

 

 

「・・・・・・っ!」

 

 

アーキスの言葉を最後まで聞かずマカハゼは手を組むことを決めた。流石のアキースも突然の承諾に思わず言葉を失った。

 

 

「ただし、俺たちも宝を狙う海賊だ!〝トランプ海賊団〟の潰しは請負うがヤツらの持つ財宝は俺たち海賊とお前ら泥棒の競争だ・・・」

 

「幸いコッチには元海賊専門の泥棒がいる・・・そいつに負けないようにしっかり泥棒するんだな」

 

「それで良いだろ、船長?」

 

 

「おう!それで構わねぇよ」ニシシ

 

 

船長のルフィもそれで了承し、ボロードたち泥棒兄弟と手を組むことになった。

 

 

「て訳だから、その海賊は俺たちがぶっ飛ばすけど財宝は俺たちとの早い者勝ちだからな」

 

 

「・・・それで良いのか?」

 

 

「ウチは自由がモットーだからな・・・お前もそこまで気を負う必要も無いぞ?」

 

 

マカハゼにそう言われたボロードは思わず呆然となったが、やる気を出したアキースにボロードも泥棒としてのやる気を取り戻した。

 

 

「やってやろうよボロード!俺たち泥棒兄弟の実力、コイツらに見せてやろう!!」

 

 

「・・・そうだな、アキース!やってやるぞ!!」

 

 

ボロードはアキースとともに泥棒として覚悟を決め、ルフィたちと一緒にって行くことを決めた。

 

 

「よぉーし!向かう先はねじまき島の〝トランプ海賊団〟のアジトだ!行くぞぉ〜、野郎どもォー!!」

 

 

「「「オォーーウ!!!」」」

 

 

ルフィの船長命令にマカハゼ達は大声で返事をし、〝トランプ海賊団〟のいるねじまき島へ向かった。

 

 

 

 

 


 

 

 

〜数時間後〜

 

 

 

カシャカシャ・カチン!

 

 

スウゥゥ・・・

 

 

「∑メリー号が消えた!?」

 

 

「〝消しゴムフルボトル〟の力だ。一時的だがこうやって対象を見えなくする事が出来るし消去することが出来る」

 

「前のビーチに着いた時にそれを使う装置が完成したんだ」

 

 

「「スンゲェ〜〜〜っ!!!」」

 

 

「なぁ・・・アイツの技術力って軽くこの島の技術力を越えてんだけど、何者なんだ?」

 

 

「そこに関しては何も言わねぇほうが楽だぞ」

 

 

「・・・そうするわ」

 

 

さりげなく見せたマカハゼの技術力の一端に度肝を抜かれたボロードはゾロの忠告どうり、何も言わないことにした。

 

 

「それにしてもこれが島か?こんな状態で安定してんのはもう奇跡だな」

 

 

そう言ったマカハゼは上陸した砂浜から細く伸びた柱のような台地を見上げた。

 

島自体は小さいがその柱のような台地がおよそ1000mほど伸びており、その先はキノコのように拡がっていた。

 

 

「すっげぇなぁ〜。こんな島が本当にあるなんてなぁ!」

 

 

「あの柱の中に階段があるんだが罠が設置されている。〝トランプ海賊団〟が使う専用のエレベーターがあるんだがそこを使うわけにはいかねぇ」

 

 

「つまり、俺たちが使えるのはあそこの階段だけか?」

 

 

「ンギギギ!?」ビヨ〜ン!

 

 

マカハゼは先に突っ走ろうとするルフィの頬を掴みながら確認した。

 

 

「そうだが・・・他に方法があると?」

 

 

「ちょっと待ってな」

 

 

 

〜数分後〜

 

 

 

「これで良し!!」ギュッ!

 

 

マカハゼは全員の腰に紐をまきつけて一括りにした。そして〝ビルドドライバー〟を腰に付けて2つの〝フルボトル〟を取り出して振った。

 

 

カシャカシャカシャカシャ!

 

カチン!カチン!

 

 

《パンダ!》《ロケット!》

 

《ベストマッチ!》

 

 

「「「∑ロケット!!?」」」

 

 

「何でパンダが出てくんのよ?」

 

 

《グルグルグルグル!》

 

《Are You Ready?》

 

「変身!!」

 

 

ガシィーン!!

 

《ぶっ飛びモノトーン!》

 

《ロケットパンダ!》

 

 

《イェーイ!!》

 

 

「∑変身したァ!!?」

 

 

「「「カッチョイイ〜〜!!」」」

 

 

「見ろよウソップ!ロケットだ!ロケットが付いてる!!」

 

 

「爪もカッケェぞ!!」

 

 

「「・・・・・・」」シィーーン

 

 

マカハゼは仮面ライダービルドロケットパンダの姿に変身した。仮面の目の部分は右目がロケットで左目がパンダになっていた。

 

左腕にはロケットパーツの〝ロケットショルダー〟と〝スペースライドアーム〟が装備されていて、右腕には10本の竹をへし折る〝ジャイアントアーム〟と鋼鉄に爪痕を残す〝ジャイアントスクラッチャー〟が装備されている。

 

 

ギュッ!「準備出来たぞ!」

 

 

そんなマカハゼはみんなの反応を無視して、皆を結んだ1つに括った紐をさらに自分の腰に結んだ。それを見た何人かは嫌な予感を感じ始めた。

 

 

「ちょ・・・ちょっと待って!?」

 

 

「この状態でロケットって!?」

 

 

「ヤベェ!死にたくねぇ〜〜!?」

 

 

「マカハゼの兄貴!他に方法があるハズ!?」

 

 

「ナミさんカッコウちゃん!はやく俺の胸に!!」

 

 

「兄ぃ〜〜!!?(恐)」ギュウッ!

 

 

「ブゥ!?(息が・・・!??)」

 

 

「行くぞぉ〜!!」

 

 

ビュゥゥゥゥーーー!!

 

 

「「「「ああァァァァァァ!!!?(泣)」」」」

 

 

ビルド(マカハゼ)は〝ロケットショルダー〟のエンジンを起動させ、空に猛スピードで飛び上がった。

 

そのまま紐に繋がれたルフィたちも悲鳴をあげながら一緒に飛んで行った。

 

 

 

 

 

 

 

〜END〜

 



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ねじまき島 02 開戦!トランプ海賊団

「着いた♪」

 

 

「「「∑着いたじゃねェよ!!!」」」

 

 

「俺・・・どうせなら罠の階段の方がよかったと思う・・・」

 

 

「おッ俺も・・・そう思った・・・!」

 

 

ねじまき島の台地に着いたビルド(マカハゼ)は紐に括った皆を解放し、一息ついた。

 

しかし、まさか高速で空を飛ぶと思わなかったルフィたちは予想外の精神ダメージを負ってしまった。

 

 

「まっまさか・・・こんな方法で侵入するとはな・・・!」ガクガクッ!!

 

 

「生きてるって・・・こんなにも素晴らしかったんだ!」ハァ…ハァ…!

 

 

「さすが泥棒兄弟・・・根性があるな」

 

 

《鋼のムーンサルト!》

 

 

《ラビットタンク!》

 

 

《イェーイ!!》

 

 

「お前らもそこでくたばってないで早く来い!作戦会議をするぞ!!」

 

 

(((誰のせいだと思ってんだ・・・!!(怒))))

 

 

軽く言うビルド(マカハゼ)に内心怒りながらもみんな少しずつ集まった。

 

 

「そんじゃ始めようか!〝トランプ海賊団をぶっ飛ばそう大作戦〟をな?」

 

 

「∑もう少し捻れよ作戦名!!?」

 

 

 

 

 


 

 

ねじまき島の中心にある大きな城。その城には対侵入者用の罠が仕掛けられており、その城の城主もそこに住んでいた。

 

しかし、7年前にトランプ海賊団の侵略の際に城主とその関係者を殺されて以来、その城はトランプ海賊団の私有地になっていた。

 

 

「ほう!もうすぐ完成するのか!?」

 

 

「はい、ベアキング様!後は試し撃ちで少し調整を入れるだけだそうです!」

 

 

その城の玉座に座る熊のような体格と体毛の男がねじまき島を支配する海賊、懸賞金1160万ベリーのベアキングである。

 

 

〘トランプ海賊団船長〙

 

〝ベアキング〟

 

 

彼はこの島を支配して7年、住民たちに無理矢理作らせていた最強の殺戮兵器が完成すると部下から聞き、喜びの表情を浮かべていた。

 

 

「ついに完成したか、〝キング砲〟!!アレがあればもうオレ様に敵はねぇ!〝海賊王〟も夢じゃなくなる!!」

 

 

そう言ってベアキングは高笑いを上げたその時、爆音とともに城の警報がなり始めた。

 

 

ドオォン!!!

 

 

ウゥーーーーー!!!

 

 

「なっ何事だァ!?」

 

 

「今し方連絡が。どうやら侵入者のようでござる」

 

 

「∑何ぃ!!」(  Д ) ⊙ ⊙ナニィ!

 

 

ベアキングにそう報告をした顔に傷のある〝トランプ5兄弟〟の1人、〝ビンジョーカー〟が部屋の窓を見下ろしていた。

 

視線の先には4人の剣士が城の門の外で部下たちを相手に暴れているのが映っていた。ビンジョーカーはその4人の剣士の1人に見覚えがあった。

 

 

「あれは〝海賊狩のゾロ〟・・・っ!」ギリッ!

 

 

「∑〝海賊狩り〟だと!なぜそんなビックネームの賞金稼ぎが!?そもそもどうやってここまで来た!?」

 

 

「さぁ?恐らく我らの首にかかった懸賞金が目当てでござろう」

「しかし〝飛んで火に入る()()()〟。直ぐに片付けてくるでござる」

 

 

「夏の虫だ」

 

 

諺を間違えたビンジョーカーにベアキングは訂正するが聞こえておらず、ビンジョーカーはそのまま騒ぎの元へと向かった。

 

 

 

side:城門の外

 

 

 

ズバッ!

 

 

「ガッ!?」ドサッ!

 

 

「どうでぇ!コノヤロー!!」

 

 

「ちょっとヨサク!まだ敵がいるんだけど!?」

 

 

「兄貴の負担を減らすためにも早く加勢してくれ!!」ギィン!!

 

 

「今行く!!」

 

 

ゾロを隊長とした遊撃隊『八咫烏』が城門の外で〝トランプ海賊団〟の手下たちと戦っていた。ジョニーとヨサクとカッコウも確実に手下たちを倒していって、数を減らしている。

 

 

「〝ハリハリ剣〟!!」

 

ピュピュピュピュ!!

 

 

「「∑危ねぇ!?」」

 

 

背中合わせで戦っていたヨサクとジョニーに針の雨が飛んできて二人はとっさに避けた。2人が飛んできたところ見れば顔にキズのあるレイピアを持った剣士がいた。

 

 

「アイツは〝トランプ5兄弟〟のビンジョーカー!」

 

 

「兄ぃ!!」

 

 

「分かってる」ズバッ!

 

 

「久しぶりでござるな、ロロノア・ゾロ!!貴様に付けられたこの顔のキズ、忘れてはおらんぞ!!」

 

 

「・・・どっかで会ったか???」

 

 

「∑何ぃ!!」

 

 

ビンジョーカー曰く、何年か前にゾロとの戦いで顔に傷をつけられたらしいがゾロ本人は全く覚えていなかった。

 

 

「俺は基本、弱い奴をいちいち覚えちゃいねぇよ」

 

 

「〝口は()()()の元〟!忘れたのなら思い出させてやるでござる!!」

 

 

「「「イヤ、災いだし!」」」ビシ!

 

 

「悪いが()()()()()()()()は今終わったところだ」

 

 

「作戦だと?」

 

 

ブロロロォォーーン!!!!

 

 

「イィヤッホォーーー!!!」

 

 

「お前その掛け声が気に入ったのか!?」

 

 

「とにかく行くぞ!」

 

 

開いた城の門に向かって2台の〝マシンビルダー〟に乗ったビルド(マカハゼ)と、ルフィの後部座席に乗ったサンジが突入した。

 

 

「なッ!!?」

 

 

「ここは頼んだぞ!『八咫烏』!!」

 

 

「貴様ら一体何者でござるかぁ!?」

 

 

「海賊!」ドン!!

 

 

慌てるビンジョーカーにゾロは刀を向けながら簡単に答えた。

 

 

〘『八咫烏・頭』ロロノア・ゾロVS〝トランプ5兄弟〟ビンジョーカー〙

 

 

 

 

 


side:ナミ

 

 

「始まったようね・・・」

 

 

ゾロ率いる『八咫烏』が城に襲撃を仕掛けた頃、ナミとウソップに泥棒兄弟の4人は城から少し離れた街にいた。

 

マカハゼの作戦はゾロの『八咫烏』に賞金稼ぎの襲撃として先攻させ、ヤツら(トランプ海賊団)を油断させる。そして幹部が1人出てきた所で〝マシンビルダー〟に乗った仮面ライダービルド(マカハゼ)とルフィとその後ろに乗ったサンジが城に突入し、残りの幹部の各個撃破と城内の兵器工場の破壊の遂行だった。

 

そして残ったナミたち4人は戦闘の余波による島の崩壊に備えて住民たちの避難誘導とトランプ海賊団の財宝奪取に回された。

 

 

「それにしてもねじまき島が崩壊するかもしれない余波ってどんだけだよ?」

 

 

「あの4人なら本当にやりそうなんだよ!」

 

 

「どの道トランプ海賊団の殺戮兵器ってのを残しておくわけにいかないしね」

 

 

「さっきの奴もそうだったけど・・・あいつら本当にすげぇんだな」

 

 

住民たちを避難させながら4人は語っていたが、特に依頼したボロード本人はそこまでやるとは思っていなかった。

 

 

「・・・本当にやっちまいそうだな、あいつらなら」

 

 

「町のヤツらの避難は終わったぞ!」

 

 

「よし!ならここからが本番よ!!ダイヤモンドクロックは後回し!私たち対泥棒兄弟によるトランプ海賊団の財宝の争奪戦の開幕よ!!」ビュゥ!

 

 

「∑早ェよ!!?」ガボーン!

 

 

「行こうぜボロード!アイツらに負けてられねぇ!!」

 

 

「そうだなアキース!俺たち泥棒兄弟の実力、見せてやろうぜ!!」

 

 

「∑おい、置いていくなぁ〜!!」

 

 

完全に1人出遅れてしまったウソップは慌てて3人を追いかけていった。

 

 

 

 

 


side:サンジ

 

 

ドゴオォォン!!

 

 

「か・・・ッ!?」ドサッ!

 

 

「この程度か、コイツら?」

 

 

城に突入した後、作戦通りに3人は別れて城の中で暴れていた。サンジはルフィに乗せてもらった後、直ぐにでてきたトランプ海賊団の雑兵たちを蹴りシバキ回っていた。

 

 

「ゾナァ〜!!」

 

 

ドオォン!!

 

 

「∑危ねぇ!?」

 

 

一服していたサンジに突然丸い何かが突進してきた。サンジはすんでのところでかわし、丸い何かは壁に激突した。

 

しかし激突した壁は丸い何かと同じ範囲に凹んでいて、当たっていたらタダでは済まなかった。

 

ぶつかった丸い何かはその場で跳ねると豚の防止を被った太った男に変わった。その太った男こそが〝トランプ海賊団〟の〝トランプ5兄弟〟の1人、懸賞金320万ベリーのブージャックだった。

 

 

「ここでなぞなぞゾナ!海賊王になるのは一体誰ゾナ!?」

 

 

「は?いきなり突っ込んで来て何言ってんだ?」

 

 

「ブ〜!時間切れゾナ!!」

 

「正解は我が船長、ベアキング様ゾナ!!」

 

 

「∑それクイズじゃなくてただの願望だろ、お前らの!!?」

 

 

 

〘サンジVS〝トランプ5兄弟〟ブージャック〙

 

 

 

 

 

side:ビルド(マカハゼ)

 

 

 

ボゴォォン!!!

 

 

「ココが兵器工場か?」

 

 

作戦通りに別れたビルド(マカハゼ)は幹部の各個撃破とは別に城内の兵器工場に侵入していた。壁の破壊とともに〝トランプ海賊団〟の雑兵たちが飛んできたことで作業をしていた者達は一瞬動きが止まった。

 

 

「い・・・今すぐここから避難するんだ!!!」

 

 

しかし状況をだいたい把握した作業員の1人が他の作業員たちに呼びかけたことで彼らは急いで工場から避難して行った。

 

 

「さてと・・・」ガャチャン!

 

ドンドンドンドン!!

 

 

「∑きゃぁぁぁ!!?」

 

 

「∑ハニークイーン!!?」

 

 

「うちの船長とはだいぶ違うな・・・それがトロトロの実の能力()か?」

 

 

ビルド(マカハゼ)は〝ドリルクラッシャー・ガンモード〟で撃ったところに目を向ければ、身体の一部が液状になって修復していく女の姿と毛皮のようなスーツで尻の部分に装置をつけている男の姿があった。

 

 

「∑だからっていきなり撃たなくてもいいでしょ!!?」

 

 

「あいつヤバいでガス!あいつの武器はこの島でも見たことの無いタイプでガス!!」

 

 

その2人はビルド(マカハゼ)が担当になった〝トランプ5兄弟〟の懸賞金780万ベリーのハニークイーンと懸賞金600万ベリーのスカンクワンだった。

 

 

「お前ら運が悪かったな」

 

 

「「は?」」

 

 

「お前らの戦闘スタイルに唯一対応が出来るのが俺なんだからなぁ!!」

 

 

 

仮面ライダービルド(マカハゼ)VS〝トランプ5兄弟〟ハニークイーン&スカンクワン〙

 

 

 

 

 


side:ルフィ

 

 

「いやぁ〜いろんな罠がいっぱいあって面白かったァ!!」ニシシシッ!

 

 

サンジと仮面ライダービルド(マカハゼ)の2人と別れたルフィはベアキングと戦うためにひたすら城を走り回っていた。

 

その道中で対侵入者用の罠が何度も作動したがルフィはそれら全てを破壊して城の1番上のフロアまで来た。

 

 

「・・・さっきからオレ様の城で暴れているのはお前か?」

 

 

「ん?」

 

 

声が聞こえたほうに顔を向けるとそこには玉座に座ってイラついているベアキングがいた。

 

 

「お前がここの親玉か?」

 

 

「質問をしているのはこのオレだ!!」ガァン!!

 

 

逆に質問を返された事でベアキングは玉座の肘掛けを破壊した。壊れた玉座から立ち、ベアキングはルフィに近づいていった。

 

 

「小僧ォ・・・お前らは何者だァ?」

 

 

ベアキングはルフィに凄みながら再び質問をしたがそれに臆すること無くルフィは答えた。

 

 

「モンキー・D・ルフィ・・・海賊王になる男だ!!」ドン!!

 

 

 

〘モンキー・D・ルフィVS〝トランプ海賊団船長〟ベアキング〙

 

 

今、それぞれの場所で戦いが始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

〜END〜



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ねじまき島 03 海賊の格

「「海賊王になる」だとぉ〜!?てことはお前らは海賊かァ!!?」

 

 

「うん。この間なったばかりのな」

 

 

ベアキングは自身に向かって海賊王になると吠えた目の前の若造を見た。ベアキングにとって海賊王は自分こそがふさわしいと思っている。

 

そんな自分を前に海賊王になると宣言した上に旗揚げしたばかりの無名の新人(ルーキー)が自身の支配する島でこの暴挙を起こされた事に我慢の限界が来た。

 

 

「名も無い海賊風情が海賊王だとぉ!?このオレ様の島で暴れたことを後悔させてやる!!!(怒)」

 

 

ベアキングはカチカチの実の能力で鋼鉄の肉体となった自身の腕を侵入者のルフィの顔に殴りつけた。

 

 

ビョーーン!

 

 

「∑はァ!?」

 

 

「〝ゴムゴムの鐘〟!!!」ゴオォン!

 

 

しかし、殴ったはずのルフィの頭は首から後ろに伸びていき、ルフィはそのまま頭突きをベアキングに繰り出した。

 

 

「あり?あんまり効いてねぇな?」

 

 

「小僧ォ、お前も能力者か?」

 

 

「うん。ゴムゴムの実のゴム人間だ」ビョーーン!

 

 

「なるほど。だがカチカチの実を食べて鋼鉄の肉体を

手に入れた俺には効かんぞ!」

 

 

「確かに!」コクッ!

 

 

ベアキングの話に自身の攻撃が余り効果がなかったことでルフィは1人納得した。

 

 

「何だ?もう諦めたか?」

 

 

「いや?俺負けねぇもん!!」

 

そう言ってルフィは〝ビルドドライバー〟を取り出して装着し、〝ドラゴンフルボトル〟とピー助を手に取った。

 

「勝負はこっからだ!!」ニィッ!

 

 

 

 

 


side:ゾロ

 

 

「〝海賊狩り〟が海賊だと!?冗談も大概にするでござる!!!」

 

 

「知るか。なっちまったんだがら仕方ねぇだろ?」

 

 

そう言ったゾロは手ぬぐいを頭に巻き、雑兵から奪った2本の剣と自身の最後の刀を咥えて戦闘態勢に入った。

 

 

「お前らはそのままザコ共を片付けろ!」

 

 

「「「ガッテン!!」」」

 

 

「図に乗るな、ロロノア!!」バッ!

 

「〝ハリハリ剣〟!!」ピュピュピュピュ!!

 

 

「!」キンキンキン!!

 

 

自身の首に巻いてある毒付きの羽毛の針を飛ばすがゾロは全てを弾いた。しかしビンジョーカーはすかさずゾロに近づき、レイピアの突きを繰り出した。

 

ゾロはそれを捌きながら自身もビンジョーカーに剣撃を繰り出した。

 

 

「なるほど・・・俺はお前を覚えちゃいねぇが1つ分かったことがある」

 

 

「!?」

 

 

「お前程度じゃあと10年修行しても俺には勝てねぇよ!」ドン!!

 

 

ゾロにそう断言されたビンジョーカーは顔を赤くし、怒りに燃えた。

 

 

「ならば今ここで息の根を止めるだけでござる!!」

 

 

そう言ってビンジョーカーはレイピアを構えてゾロに向かって突進し始めた。

 

しかしゾロはそれを気にとめず、剣を持った両腕を牛の角のように構えて走り出した。

 

 

「〝三刀流・牛針〟!!!」ドドドドッ!!

 

 

「が・・・・・・ッ!!?」ドサッ!

 

 

ゾロの牛のような突進と連続で繰り出される突きをくらい、レイピアも折られたビンジョーカーは倒れた。

 

 

「∑嘘だろ!?ビンジョーカー様がやられたァ!!?」

 

 

「あの人は〝トランプ5兄弟〟のNo.2でベアキング様の右腕だぞ!?」

 

 

幹部のビンジョーカーがゾロに敗北したのを見た雑兵たちは狼狽えた。しかし、それをジョニーたち『八咫烏』が見逃すはずがなかった。

 

 

「余所見してんじゃねぇよ!」

 

 

「俺たちがいる事を忘れんなぁ!!」

 

 

「スキありぃ!!!」

 

 

「「「「ぎゃあああああ!?」」」」

 

 

最後に残った城門の外の雑兵たちも倒れ、残ったのはゾロたち『八咫烏』だけとなった。

 

 

「悪いがお前は眼中に無い。はるか先に待ってくれているアイツ(鷹の目)に勝つためにもな」

 

 

〘『八咫烏・頭』ロロノア・ゾロVS〝トランプ5兄弟〟ビンジョーカー〙

 

〘勝者『八咫烏・頭』ロロノア・ゾロ〙

 

 

「お前らァ!俺たちも城に入ってザコ共を片付けるぞ!!」タタタッ!

 

 

「「了解しやしたァー!!」」

 

 

「∑って兄ぃ城の入口はそっちじゃないよ!!!」

 

 

「∑なっ!!?」キキィ〜〜!!!

 

 

 

 

 


side:サンジ

 

 

「だまれゾナ!此処に侵入してきた敵に言われる筋合いはないゾナ!!」

 

 

サンジに指摘されたブージャックは再び丸まり、サンジに突進するも簡単に躱された。

 

 

「くだらねぇ謎かけしてんじゃねぇよ、くそミートボール」シュボッ!

 

「俺はさっさとお前をぶっ倒してナミさんの元へ行かなきゃならねぇんだよ」フー

 

 

そう言ってサンジは一服した。サンジにとってブージャックは大した相手ではない、しかし住民たちの避難と財宝奪取をやっているナミが心配のサンジは早くそっちに行きたかった。

 

 

「生意気を言いやがるゾナ!」

 

「ならばお望み道理、サッサとあの世に送ってやるゾナ!!」

 

 

ブージャックは棘付きボールを2つカーブを描くように投げ、自身もコートから棘を生やして突進した。

 

 

「お前も殺したあとでそのナミって仲間も殺してやるゾナ!!」

 

 

ブチン!!

 

 

ドガ!!!

 

 

「ゴフゥッ!!?」

 

 

「お前・・・今なんて言った?」

 

 

棘付きボールを蹴り弾いたサンジは転がってくるブージャックも蹴り飛ばした。ブージャックのナミを殺す発言を聞いたサンジの顔は怒りに満ちていた。

 

 

「テメェが・・・いったい誰を殺すって!?」

 

 

ドゴォン!!!

 

 

「ブベッ!!!」

 

 

怒りに満ちたサンジの蹴りはコートの棘を折り、ブージャックを再度蹴り飛ばした。2度の蹴りでズタボロになったブージャックは立ち上がるも、既に虫の息だった。

 

 

「ぶっ飛べ、空の彼方へ!!」

 

 

サンジはブージャックを真上に蹴り上げ、落ちてくるブージャックを蹴り飛ばした。

 

 

 

「〝空軍(アルメッドッレール)・ボールシュート〟!!!」ボゴォォン!!!

 

 

蹴り飛ばされたブージャックは城の壁さえも貫き、声も発することも出来ないままサンジの宣言通り、空の彼方へ飛んで行った。

 

 

「ちったァ懲りたか?クソなぞなぞボールマン!さて・・・・・・」

 

 

「ナミすわぁーん!!貴方の騎士(ナイト)が今、其方に向かいまァーす!!!❤」

 

 

ビュゥーーーッ!!!

 

 

〘サンジVS〝トランプ5兄弟〟ブージャック〙

 

〘勝者 サンジ〙

 

 

 

 

 


side:ビルド(マカハゼ)

 

 

「対処法があるとは言え、物理攻撃が通じなくなるのは本当に面倒くさいな・・・」

 

 

「∑だったらもう止めなさいよ!?痛くはないけど怖いものは怖いのよ!!?」

 

 

「ちょっとした人・・・実験だ。我慢しやがれ」

 

 

「∑今人体実験って言いそうになかった!!?」

 

 

「戦いの最中に人体実験って本当にイカれてるガス!!」

 

 

「屁を武器にしている奴に言われたかないな」

 

 

ビルド(マカハゼ)は〝ドリルクラッシャー〟と〝トランスチームガン〟でハニークイーンに他の物理攻撃が通じないかの実験をしていた。

 

〝ドリルクラッシャー〟で刺したり切ったり、工場ないの部品を投げたりして試したが本当に効いていなかった。

 

その最中にスカンクワンがガス攻撃を仕掛けてきたが〝トランスチームガン〟で牽制して止めた。

 

 

「それにしても〝悪魔の実〟は本当に面白いな!ルフィのようにゴムになればお前のように液状になって姿かたちを変えられるんだからな」

 

 

「だったらサッサと諦めるガスよ!どの道お前たちは我ら〝トランプ海賊団〟には勝てないのだからガス!!」

 

 

スカンクワンがビルド(マカハゼ)に諦めて降伏しろと言うがそれはありえない事だった。

 

 

「バカか?言ったはずだ!対処法があると・・・」

 

 

カシャカシャカシャカシャ!

 

カチン!カチン!

 

 

《ライオン!》《掃除機!》

 

《ベストマッチ!》

 

 

《グルグルグルグル!》

 

 

「ちょ、ちょっと何よコレ!?」

 

 

「何がどうなっているでガス!!?」

 

 

ベルトに何かを差し替えた仮面ライダービルド(マカハゼ)から小さなパイプが生え、そこから液体が流れてビルド(マカハゼ)と同じような形ができてきた。

 

初めて見るそれをハニークイーンとスカンクワンは動くことが出来ず結果、ビルド(マカハゼ)のフォームチェンジを許してしまった。

 

 

《Are You Ready?》

 

 

「ビルドアップ!」

 

 

ガシィーン!!

 

 

《たてがみサイクロン!》

 

《ライオンクリーナー!》

 

 

《イェーイ!!》

 

 

ビルド(マカハゼ)の右肩にはライオンの尻尾を模した〝バトライオショルダー〟があり、右手にはライオンの顔を模した〝ゴルドライオガントレット〟が装備されている。

 

左肩には掃除機のゴミを溜め込む部分の〝トラッシュコンバーター〟に、左手には全てを吸い込む〝ロングレンジクリーナー〟が付いていた。

 

 

「まずはお前だ、トロトロ女。このまま逃げられたら面倒だからな」

 

 

ビルド(マカハゼ)は〝ロングレンジクリーナー〟をハニークイーンに構え、近くにあった樽の蓋を開けた。

 

 

「吸引力の変わらないただ一つの掃除機です 」

 

 

ギュオォォォ!

 

 

「∑なっ何これ!?吸い込まれるッ!!?」

 

 

前世での掃除機の有名なセリフを言ったあと、〝ロングレンジクリーナー〟を起動させた。その吸引力は凄まじく、液状になって逃げようとするハニークイーンを逃すことは無かった。

 

結局ハニークイーンは逃げ切ることが出来ず、吸い込まれながらビルド(マカハゼ)が開けて構えてた樽の中に入れられ、ハニークイーンはそのまま樽の中に閉じ込められた。

 

 

「ちょ、出してぇ〜〜!!」ガタガタ!

 

 

「あとはお前だけだ」クルッ

 

グルグルグルグル!

 

《Ready Go!》

 

 

「ヒッ!!」ビクッ!

 

 

ハニークイーンが簡単に捕まったのを見たスカンクワンは恐れをなして、ガスを放屁しながら飛んで逃げようとした。

 

 

「逃がすか!」ギュオォォォ!

 

 

しかしビルド(マカハゼ)はハニークイーンのように〝ロングレンジクリーナー〟を起動させ、ガスごと吸い込み始めた。

 

 

「あぁ〜〜吸い込まれるでガス〜!!」

 

 

吸い込んだガスは〝トラッシュコンバーター〟で自身の稼働エネルギーに変換され、そのエネルギーは〝ゴルドライオガントレット〟に集まっていった。

 

 

《ボルテニックフニッシュ!》

 

「〝獅子喰(ししぐ)い〟!!」

 

 

〝ゴルドライオガントレット〟から放たれたライオン型のエネルギー波がスカンクワンに喰らいつくように飛び出した。

 

 

ドカァァァン!!

 

 

「アアァァァァァ!!!」

 

 

モロに喰らったスカンクワンは自身の武器のガスで大爆発を起こし、城の外まで吹き飛んだ。

 

 

「結局大した事ねぇのかよ・・・」

 

 

2人の幹部を倒した仮面ライダービルド(マカハゼ)はハニークイーン入りの樽を蹴り転がしたあと、そのまま工場の兵器を破壊を始めることにした。

 

 

仮面ライダービルド(マカハゼ)VS〝トランプ5兄弟〟ハニークイーン&スカンクワン〙

 

 

〘勝者 仮面ライダービルド(マカハゼ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜END〜



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ねじまき島 04 謎

side:ビルド(マカハゼ)

 

 

ドカァァン!!

 

 

「だいたいこんなモノか・・・」

 

 

2人の幹部を倒したビルド(マカハゼ)は兵器工場を破壊していた。

 

途中、工場内で見つけた直径2mの砲身と弾丸があったがそれも使えないようにした。

 

 

「かなりデカい大砲だったが・・・アレもヤツら(トランプ海賊団)殺戮兵器の1つだったのかねぇ?」

 

「だとしたら少しガッカリだな。見た目がありきたり過ぎるぜ」

 

 

ビルド(マカハゼ)は内心落ち込みながら破壊した工場内を歩き回っていた。前世の特撮系の武器が凝っていたため、少し期待していたからだ。

 

 

ドゴォン!!!

 

 

「・・・アイツ(ルフィ)も終わったみたいだな?」

 

 

工場の天井が大きく崩れ、何かが目の前に落ちてきた。落ちてきた場所と規模を考えて仮面ライダークローズに変身したルフィが倒したど理解した。

 

せっかくだからと仮面ライダービルド(マカハゼ)は敵の船長がどんな見た目か人目見ておこうと近づいた。

 

 

「は?一体どういうこった・・・!?」

 

 

しかし、落ちてきたのは図体からしてトランプ海賊団船長のベアキングなのは間違いない。問題なのは()()()だった。

 

 

「何で・・・()()()()()になってんだ!!?」

 

 

スマッシュ・・・前世の特撮〝仮面ライダービルド〟に出てきた怪人で人間を改造した存在。

 

本来スマッシュは〝パンドラボックス〟から生まれる〝ネビュラガス〟によって誕生する存在・・・この世界では〝パンドラボックス〟を持つのは仮面ライダービルド(マカハゼ)ただ1人だけ。

 

それもスマッシュ関連の実験は島の動物で少し試した程度で人間に使ったことは1度もない()()()()()・・・

 

 

 

 

 


 

 

〜遡ること数分前〜

 

 

side:クローズ(マカハゼ)

 

 

「〝ゴムゴムの銃〟!!」

 

 

ドゴォォ!!!

 

 

「グフゥッ!!」

 

 

クローズ(ルフィ)とトランプ海賊団船長ベアキングの戦いは仮面ライダークローズ(ルフィ)が圧倒していた。

 

ベアキングは元々2mを超える体躯にガチガチの実で鋼鉄の肉体を手に入れたことで、〝東の海〟でもトップの海賊になった男だった。

 

しかし、〝仮面ライダークローズ〟に変身したルフィのパンチ力は25toを超え、元々持っていたゴムゴムの実による伸縮自在の肉体が加わった力は鋼鉄をものともしない程に強化されていた。

 

そのため、本来どんな打撃でも効かないガチガチの能力でも〝仮面ライダー〟と悪魔の実の二つの力の前では無意味だった。

 

 

(何だコイツは!?さっきまでなんにも効かなかったのにあの姿(クローズ)になった途端この威力だと!?)

 

 

ベアキングは今まで海賊として挑んできた賞金稼ぎや海軍を蹴散らしてきた。故に、敗北などありえないハズだった。

 

自身の支配した島で無名の海賊に侵入を許しただけでなく、自身もここまで追い込まれるとは夢にも思わなかった。

 

プライドの高いベアキングはこれほどの屈辱を感じたことがない。だからこそ、闇取引で手に入れた()()を使うことに決めた。

 

 

「わかったよ小僧ォ・・・お前は強え・・・」

 

 

そう言ったベアキングは懐からあるものを取り出した。それをはクローズ(ルフィ)ビルド(マカハゼ)の持つ()()()()()と酷似していた。

 

 

「?おう」

 

 

「だからこそ・・・()()()を使ってやるよ!!」

 

 

カシャカシャ カチン!

 

ドス!

 

 

「ウオオォォォ!!!」

 

 

ベアキングがそれを振って蓋を開け、中から白いガスがでてきた瞬間にそれを自身の体に当てた。

 

そのガスがベアキングを覆った瞬間、ベアキングの肉体が何処か機械的であり熊のようにも見える異形の姿に変わった。

 

 

「∑姿が変わったァ!?すっげぇ〜!!!」

 

 

流石のクローズ(ルフィ)も肉体的に変わったベアキングに驚きを隠せなかった。

 

此処にビルド(マカハゼ)がいたらこの存在を〝ベアスマッシュ〟と名付けていたかもしれない。

 

 

「死ねぇ、小僧ォ!!!」

 

「〝ホットボーリング・ベア〟!!」

 

 

カチカチの実の能力で自身の両腕を高熱に発熱させ、熊のようにゴツく変化した両腕の爪のラッシュをクローズ(ルフィ)に振るった。

 

 

「うおっ!?」ガッガッ!!

 

ジュゥッ!!

 

「∑アチィ!!?」

 

 

ベアスマッシュ(ベアキング)の攻撃を熱がりながらもクローズ(ルフィ)は受け止めて躱す。

 

 

「〝ホットボーリング・クロー〟!!」

 

 

ガキィィン!!!

 

 

「うわァ!!」

 

 

ベアスマッシュ(ベアキング)の高熱の爪がクローズ(ルフィ)の胸部に当たり、装甲から火花がちった。

 

攻撃を受けたクローズ(ルフィ)は後ろに吹き飛び、壁に激突した。

 

 

「ハハハ!力が溢れでるぞ・・・これが〝スマッシュ〟の力か!!?」

 

 

「くそ〜!姿が変わったうえに滅茶苦茶熱くなりやがった・・・」

 

 

ベアスマッシュに変身したことで万能感にひたっているベアキングを無視し、クローズ(ルフィ)は愚痴りながら立ち上がった。

 

 

「この俺様の島に浸入し、城の中まであちこち破壊しやがって!!」

 

「いいか!?ここは俺様が支配する島で俺様が王なんだよ!俺様に逆らう奴らは全員死刑だ!!」

 

「お前もお前の部下も捕まえて、〝キング砲〟の実験体にしてやるよ!!」

 

 

「俺はここで死ぬ気もねぇし・・・仲間も死なせる気もねぇ・・・」

 

「俺は・・・海賊王になる男だからな!!」ドン!!

 

 

クローズ(ルフィ)ベアスマッシュ(ベアキング)にそう言って真正面に向かい合った。

 

 

「海賊王になるのは俺様だって言ってんだろうが!!!(怒)」

 

「〝ホットボーリング・プレス〟!!」

 

 

ベアスマッシュ(ベアキング)クローズ(ルフィ)を両腕で挟むようにサンドした。

 

 

ガキィィン!!

 

「ウオゥラァ!!!」ドガ!!!

 

 

「∑なにィ!!!?」

 

 

1度挟まれたクローズ(ルフィ)はそれを弾き、一気に接近してベアスマッシュ(ベアキング)を玉座まで蹴り飛ばした。

 

 

グルグルグルグル!

 

《Ready Go!》

 

「〝ゴムゴムのォ〟!!」

 

 

クローズ(ルフィ)ベアスマッシュ(ベアキング)の真上にジャンプして両腕を後ろに伸ばした。その両腕にアーロンの時と同じ青い龍のエネルギー体がまくように纏った。

 

 

「ちょっ!まて」

 

 

《ドラゴニックフィニッシュ!!》

 

「〝龍の大砲(ドラゴンバズーカ)ァ〟!!!」

 

 

ボゴォォン!!!

 

 

「ガアァァァ!!!」

 

 

ガシャァァァン!!!

 

 

クローズ(ルフィ)〝ゴムゴムの龍の大砲〟を受けたベアスマッシュ(ベアキング)は玉座ごと下の階にあった巨大なネジごと遥か下に落ちていった。

 

 

「ハァ・・・熱かったけど・・・仮面ライダークローズ(この姿)なら何とか触れる!」

 

 

仮面ライダークローズ(ルフィ)VS〝トランプ海賊団船長〟ベアスマッシュ(ベアキング)

 

〘勝者 麦わらの一味船長〝仮面ライダークローズ(ルフィ)〟〙

 

 

 

 

 


 

 

〜現在〜

 

 

side:ビルド(マカハゼ)

 

 

「消えた・・・」

 

 

ビルド(マカハゼ)は何の成分も入っていない〝エンプティボトル〟でスマッシュになったベアキングから成分を回収したが、成分は直ぐに消えてなくなった。

 

 

「お〜い!マカハゼ〜〜!!」

 

 

「ルフィ」

 

 

すると上からクローズ(ルフィ)が降りてきた。マカハゼはクローズ(ルフィ)からベアキングがベアスマッシュに変貌した時の状況を聞いた。

 

 

「なるほど・・・だが一番の問題は何故コイツが〝ネビュラガス〟を持っていたかだな・・・」

 

 

「そうなのか?」

 

 

「・・・まぁ・・・詳しい話はあとでしてやるよ」

 

 

クローズ(ルフィ)の能天気さに頭を抱えながらもあとで説明すると言って問題(ベアスマッシュ)を無視することにした。

 

 

ゴゴゴゴ

 

「・・・ところでさっきから揺れがでかくなり始めてるのは何でだ?」

 

 

「あぁ。アイツをぶっ飛ばす時にデッケェネジもぶっ壊しちまったからな」

 

 

「∑完全にそれが原因じゃねぇか!!!(怒)」

 

「急いでここから離れるぞ!逃げ遅れた島の人間も見つけ次第助けるぞ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

〜END〜



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悪意

side:マカハゼ

 

 

あれからルフィ達は崩壊し始めたねじ巻島から脱出した。城の中にいた技術者達や町の住民達も無事にパラシュートで脱出できた。

 

残ったトランプ海賊団の残党たちも散り散りに逃げ、トランプ海賊団は完全に壊滅した。

 

 

「財宝はウチが6割でお前らが4割・・・結構いい勝負になったな」

 

 

「まぁな!これでも一流の泥棒だからな!!」

 

 

「で?あのチビッ子は本当に良かったのか?」

 

 

「・・・まぁな」

 

 

実はボロードがこのねじ巻島に拘っていた理由は弟分のアキースが7年前に島の住民達がトランプ海賊団から逃がすために海に流した子供だったのだ。

 

ボロードは当時アキースが流れてきた方角や情勢を調査した結果ねじ巻島が浮かんだ。そして今日、脱出した住民達の中いた実の両親がアキースと再会した。

 

 

「世間から見れば俺はただのコソ泥・・・俺のような裏の世界で生きる未来のない人間よりも実の両親と共に表の世界で輝いた方が幸せなんだよ」

 

「ついでに言うとガキのお守りからやっと解放されるってのが本音だな!」ハハハハハハ!

 

 

「・・・そう言う割に顔は嘘をつけないらしいな?」

 

 

マカハゼはそう言ってボロードが泣いていることを指摘した。言葉は悪くても内心弟として育てた相棒との別れが悲しかったのだ。

 

 

「それで?これからどうすんだよ?」

 

 

「泥棒兄弟が1人になっちまったら見栄え悪いだろ?」

 

 

「いいんだ。元々1人で活動してたし、また0から始めればいいだけだ」

 

 

「・・・そうは問屋が卸さないってのはこの事だな」

 

 

「ニシシシッ!」

 

 

「案外詰めが甘いわね?」

 

 

「?どういう「ボロードォ!!」アキース!!?」

 

 

ねじ巻島で実の両親と再会していたはずのアキースがメリー号からボロードの船へと飛び乗ってきた。

 

 

「やいボロード!俺を置いて行こうだなんてそうはいかねぇぞ!!」

 

 

「アキースお前!せっかく家族に会えたのに何で・・・」

 

 

「〝2人で世界一の大泥棒になる〟!それが俺たち兄弟の夢だろ!!」

 

 

「アキース・・・」

 

 

「いい兄弟だな相棒!」グスッ!

 

 

「そうだなジョニー!!」ズビッ!

 

 

「泣きすぎよ、気持ちはわかるけど!」

 

 

「分かったよ・・・ただし!お前が16になるまで年に2回は両親の元に行くことが条件だからな!!」

 

 

「おう!!」

 

 

「良かったなお前ら!」

 

 

「泥棒を続けるのは構わねぇがウチを狙ったら容赦はなしだからな」

 

 

「今さらお前ら恩人を狙う気はねぇよ!」

 

 

「ありがとな〜お前ら〜!!」

 

 

「またな〜〜!!」

 

 

麦わらの一味は泥棒兄弟に大手を振って見送った。付き合いは短かったが共に財宝奪取の競走をしたもの同士気があった。

 

彼らを見送った一味は自分たちの目指す場所〝偉大なる航路〟へと進み出した。

 

 

「おいルフィ!なんだその樽?」

 

 

「おう!あの島から流れて来たのを拾ったんだ。多分酒だ!!」

 

 

「そりゃいい!今飲んじまおうぜ!!」

 

 

気がつけばルフィがねじ巻島から流れてきた樽を味見しようとウソップとゾロが集まった。

 

 

「よぉし、開けるぞ〜!!」ワクワク

 

 

「あ、その樽」ガパッ!

 

 

ビュウッ! スタッ!

 

 

「ハァ・・・ハァ・・・酷い目にあったわッ!」

 

 

「やっぱりお前か・・・」

 

 

「∑きゃぁぁ!?そのベルトはあの時のォ!!?」

 

 

「酒じゃねぇのかよ・・・」‎¯ࡇ¯

 

 

「∑ガッカリしてる場合かい!?アイツ敵だぞ!!」

 

 

樽から出てきたのはマカハゼに閉じ込められてたトランプ5兄弟のハニークイーンだった。

 

 

「あんたの海賊団ならもう壊滅したわよ」

 

 

「∑エェ!?」

 

 

《たてがみサイクロン!》

 

《ライオンクリーナー!》

 

《イェーイ!!》

 

 

「もう一度樽に入れとくか?」スチャッ!

 

 

「「その姿もイカス〜〜!!」」

 

 

「∑だからなんなのよその組み合わせは!?」

 

 

「ヒィィッ!!」ササッ!

 

 

ハニークイーンを再び樽に入れようとマカハゼは仮面ライダービルド〝ライオンクリーナー〟に変身し、〝ロングレンジクリーナー〟を構えた。

 

それを見たハニークイーンは悲鳴をあげながらルフィの背中に隠れた。

 

 

「マカハゼ、テメェ!レディが怖かってんじゃねぇか!!(怒)」

 

 

「いや敵だからなあいつ?」

 

 

「おっお願いします!なんでもしますからこの船に置いてください!トランプ海賊団が壊滅した今、私の居場所がないんです〜!!!(泣)」( ɵ̷̥̥᷄﹏ɵ̷̥̥᷅ )

 

 

「でもお前、あの島のヤツらにひでぇ事してたろ?」

 

 

「反省してます!猛省しています!改心しました!だからこの船に置いてください!!!(泣)」( ɵ̷̥̥᷄﹏ɵ̷̥̥᷅ )

 

 

ハニークイーンはビルド(マカハゼ)の船長であるルフィに必死の命乞いをした。

 

 

「・・・・・・・・・」

 

「おう、反省したんならいいぞ!」

 

 

「「「∑アッサリしすぎだ!?(怒)」」」

 

 

「∑それで良いのかよ、船長!!?」

 

 

「∑あっありがとうございます!!」

 

(アッサリし過ぎて逆に怖い!?この男のお気に入りにならないと消される!!)ビクビクッ!

 

 

ルフィがハニークイーンをアッサリと受け入れたことにゾロ達は怒鳴ったりサンジは喜んだり、流石のビルド(マカハゼ)も驚きを隠せなかった。

 

ルフィに命乞いをしていたハニークイーン自身も恐怖し、全力でルフィに媚びることを決めた。

 

 

「チ!まぁ確かにこいつのトロトロの能力は使えるからな・・・戦力が増えるのはいい事と割り切るか」ハァ・・・

 

 

「∑マカハゼが思考を放棄したァ!!?」ガボーン!

 

 

〘元トランプ海賊団幹部ハニークイーン 懸賞金780万ベリー〙

 

〘麦わらの一味〝戦闘員〟として加入〙

 

 

「ちょうどいい。お前に聞きたいことがあるんだ」シュウ

 

 

「はっはい!」ビクッ!

 

 

マカハゼは変身を解いてハニークイーンにずっと気になっていたことを聞くことにした。

 

 

「お前の船長だったベアキングが妙なガスを使っていたそうだ。それは何処で手に入れたんだ?」

 

 

「あぁそれ!〝ジョーカー〟って言う闇のブローカーから買ったものです!」

 

「と言っても質の悪い安物ですけど・・・」

 

 

「〝ジョーカー〟?」

 

 

「はい!〝偉大なる航路〟で活動する世界最大の犯罪組織のボスの名です!」

 

「この〝東の海〟に来ることは滅多にないから手に入れるのに苦労しましたが・・・」

 

 

「・・・・・・・・・」

 

(裏社会の大物・・・そいつが〝ネビュラガス〟を持っているのか?だとしてもどうやって手に入れた?まさか俺以外にも〝転生者〟が?)

 

 

そんなマカハゼの不安を他所にルフィ達は祝勝とハニークイーンの歓迎の宴の準備を進めていた。

 

 

「マカハゼ〜!早く宴をやろうぜ〜!」

 

 

「切り替えが早すぎるだろ、お前ら(汗)」

 

 

やんわりと言いつつ、マカハゼも準備を手伝いに行った。

 

 

(まぁ今考えても仕方ねぇか。どうせ例の〝ジョーカー〟や〝転生者〟にぶつかるのは〝偉大なる航路〟の何処かだろうしな)

 

(今は少しでも長く、この時間を楽しもう・・・)

 

 

 

 

 


 

 

〝偉大なる航路〟のとある島の地下港

 

 

「これが今回収める〝ネビュラガス〟だ」コトッ

 

 

「べへへへ〜!毎度ご苦労だねぇ〜!!」ズイッ!

 

 

「汚い、近づくな」

 

 

「べへへへ〜!鼻水出たわぁ〜〜!!」

 

 

ある島の薄暗い地下港に2人の男がいた。1人は3mを超える鼻水が垂れた不潔な男。もう1人は175cmほど身長で顔の右目付近に火傷を負った男だった。

 

 

「俺の体から採れる〝ネビュラガス〟は半年に1度が限界だ・・・次にここに来るのはまた半年後だ」

 

 

「べへへへ〜!それでもこれはかなりヤバいよねぇ〜〜!!」

 

「コイツを吸えば能力者のように肉体が異形に変わり、その姿に見合った能力が付加されるし感情によって更に強くなる・・・唯一の欠点は使い過ぎる、若しくは濃いガスを吸えば肉体が消滅しちまうことだけど〜!」

 

 

「それを薄める方法を俺がお前たちに教え、リスクを下げてやった」

 

 

「べへへへ〜!恩義がましいヤツだねぇ〜〜!」ケラケラ!

 

「んね〜んね〜ところで〜!お前の言う〝パンドラボックス〟って箱はまだ見つかんないのォ〜?」

 

 

「アレはそう簡単に見つかるものじゃない。それに〝この世界〟にある可能性は0だ」

 

 

「それは残念〜〜!べへへへ〜!!」

 

 

「次いでた・・・今回の〝SMILE〟引取りは俺が担当だ。さっさと持ってきて船に積め」

 

 

「べへへへ〜!〝百獣のカイドウ〟に宜しく言っといでねぇ〜!!」

 

 

「〝ジョーカー〟にもな。あの人は奴を信頼しているんだからな」

 

 

そう言って火傷の男は鼻水の大男から離れ、自身の船に戻った。

 

火傷の男はポケットから()()()を取りだし、煽り始めた。それは真っ黒に染っており、僅かに戦車の印が見えていた。

 

 

「同じ轍は2度と踏まない・・・あの人と共にこの世界の覇権を手に入れる」

 

 

 

 

 

 

 

〜END〜

 

 

 




追加の仲間

その5 ハニークイーン

トランプ海賊団壊滅後、樽で漂流していたところをルフィに偶然拾われた。行く宛てもなくルフィに命乞いをして仲間にしてもらった。アッサリ認めてもらったルフィや樽に閉じ込めたマカハゼに内心怯えており、全力で媚びている。


〝麦わらの一味〟でキャラ強化する人。



トレーボルを書くのって案外難しいですね・・・


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〝偉大なる航路〟突入篇
手配書


side:メリー号

 

 

「また値上がりしたの?ちょっと高すぎるんじゃない?あんたのとこ」チャリン

 

 

「クゥ〜」

 

 

「配達員ならぬ配達鳥にそんなこと言っても意味ねぇだろ?現に困ってるし(汗)」

 

 

マカハゼは文句を言うクレーマー(ナミ)に頭をかく仕草をする〝ニュースクー〟に同情の目を向けた。

 

代金を受け取ったニュースクーは未だにクレー厶を言い続けるナミから逃げるように飛び立った。

 

 

「マカハゼの言うとうりだぜ?第一金は暫くあるから大丈夫だろ?」

 

 

「だからこそ今度はあたしのために稼ぐの!貧乏海賊なんて嫌よ!!」

 

 

「まぁ船の整備費に装備の維持費に材料費・・・特に食料費はしっかり手に入れねぇとこの先やって行けねぇな」ハァ・・・

 

 

「たしかに。アイツが1番飯を食「さわるなぁ!!!」「うげぇっ!!」」ガシャァン!ビチャッ

 

「ギャァァァァ!!?」

 

 

マカハゼの話に同意しようとしたウソップは突然サンジに蹴り飛ばされたルフィが作業台に激突した上、手に持っていたタバスコが目にかかったことで目から炎がたちあがった。

 

 

「ギャァァァァ!!!!」

 

 

「何だこの地獄絵図?」

 

 

「何だよ!いいじゃねぇか1個ぐらい!!」

 

 

「ダメだ!ここはナミさんのみかん畑!!この俺が指一本も触れさせん。ナミさん!!恋の警備万全です!!」

 

 

「んんっ!ありがとうサンジくん♥」バサッ

 

 

「いずれ遠くない未来・・・女で身を滅ぼすなあいつは」

 

 

「ルフィ船長!ビスケット作ってきました!!」

 

 

「∑良いのかぁ!!」

 

 

「よぅし、お前ら!今日の稽古はここまでだ!」

 

 

「「「ハイ!!」」」

 

 

ねじ巻島から出航して数日、一味は平和な時間を過ごしていた。ゾロ率いる〘八咫烏〙は剣の稽古をしたりサンジはナミに都合よく使われたり、ハニークイーンはルフィにビスケットを作ったりしていた。

 

 

「・・・にしても、世の中荒れてるわね。ヴィラでまたクーデターか」

 

 

「この星は今〝大海賊時代〟って呼ばれてんだろ?今まで見てきた星の中じゃ治安は悪いし技術も低いが強さのレベルはかなり高い」

 

「今の時代だと宇宙船も航空技術もあと数百年はかかりそうだな」

 

 

「宇宙かぁ〜・・・俺も行ってみてぇなぁ〜〜!」

 

 

「私はあの男が宇宙人だって事が今も信じられないんですけど・・・」

 

 

「宇宙に行くのは海賊王になってからにしてよね?」ヒラッ

 

 

「ん?チラシか?」

 

 

壮大になりそうな話を無理やり終わらせたナミは次の面を見ようと新聞をめくった瞬間、3枚の紙が落ちてきた。

 

落ちた3枚の紙を見たナミは一瞬目を見開いて固まった。ナミの反応が気になった面々も2枚の紙を見に集まった。

 

 

「あ・・・」

 

「あ・・・」

 

「あ」

 

「あ」

 

「ん?」

 

「お」

 

「あ」

 

「あ」

 

「あ」

 

「へ?」

 

 

「あぁぁぁぁーー!?」×10

 

 

〖船は今〝偉大なる航路〟へ向かっている〗

 

 

 

 

 


 

 

〖〝偉大なる航路〟マリンフォード〗

 

〖世界政府直下〝海軍本部〟〗

 

 

「──ではもう〝東の海〟の支部で手に負える海賊ではないということか?」

 

 

〘海軍本部元帥(海軍総大将)〙

 

〝仏のセンゴク〟

 

 

「そういうことです。〝東の海〟で別件で取材をしていた世界経済新聞社モルガンズ社長が〝麦わらの一味〟に興味を持ち、独自に調べていたそうです」

 

 

〘海軍本部少佐ブランニュー〙

 

 

センゴク元帥の質問にブランニュー少佐は答え、手に持っていた数枚の手配書を黒板に貼り、他の海軍将校達に説明を始めた。

 

 

「トランプ海賊団船長ベアキング1160万、〝道化のバギー〟1500万、海賊艦隊提督〝首領・クリーク〟1700万、魚人海賊団〝ノコギリのアーロン〟2000万!!」

 

「懸賞金アベレージ300万ベリーの〝東の海〟で1000万を超える大物たちが〝麦わらの一味〟の船長モンキー・D・ルフィによって粉砕されています」

 

 

「──〝ガープ〟の孫か」ボソッ

 

センゴク元帥は自分の同僚の身内が()()犯罪者になったことに頭を抱えた。

 

 

(父親は革命軍のボス・・・義理の兄は〝四皇・白ひげ〟の2番隊隊長・・・ここまで来たらあいつも不順だな)

 

 

〘懸賞金〝麦わらのルフィ〟〙

 

〘懸賞金3500万ベリー〙

 

 

ブランニュー少佐は先程名前が上がったモンキー・D・ルフィの手配書を貼り、新しい手配書の説明を始めた。

 

 

「さらにもう1人、むしろ厄介と言えるのはこの男かもしれません」

 

 

そう言ってブランニュー少佐はもう1枚の手配書を貼った。その手配書を見たセンゴク元帥及び将校達は一瞬固まった。ある者は目を見開き、ある者は驚嘆し、ある者は顔を歪めた。

 

 

〘〝ベストマッチ〟マカハゼ〙

 

〘通称〝仮面ライダービルド〟〙

 

〘懸賞金2700万ベリー〙

 

 

海賊〝麦わらのルフィ〟の手配書の写真は満面の笑みで写っており、対して〝ベストマッチ〟マカハゼの手配書の写真は左右が赤と青の〝仮面ライダービルド〟に変身した状態で写っていた。

 

 

「ブランニュー!この男の手配書はどういう事だ?何故()()()()()()()()姿()をしている!?」

 

 

「は!モルガンズ社長が言うには姿形は似ていますが大きく違うのは()()()と違い複眼の形や色、そして戦闘に合わせてスタイルを変えていることです」

 

 

ブランニュー少佐はモルガンズ社長から入手した〝ベストマッチ〟マカハゼの資料を黒板に貼った。水色と茶色、青緑と黄色などの変わった戦闘スタイルだった。

 

そして〝麦わらのルフィ〟が変身した〝仮面ライダークローズ〟の資料と新たに加わったハニークイーンの手配書も一緒に貼った。

 

 

〘ハニークイーン〙

 

〘懸賞金1110万ベリー〙

 

 

「この様に様々な戦闘スタイルに変わることから()()()と違うことが分かりますが何かしらの関係があると見て間違いないでしょう」

 

「更に〝麦わらの一味〟は壊滅したトランプ海賊団の元幹部のハニークイーンを一味に引き入れているうえ、〝麦わらのルフィ〟自身もこの姿に似た状態に変身しています」

 

「以上の点を踏まえ、まだ若い芽ですがこの〝麦わらの一味〟に対する警戒を強め、速い段階で摘み取ったほうが得策と思われます」

 

 

「むぅ・・・・・・」

 

(〝ベストマッチ〟マカハゼ・・・四皇の幹部とどういう繋がりがあるんだ?そしてガープの孫も似た姿に変身しているだと?)

 

(また世界に厄介な種が舞い込んでしまったか・・・)

 

 

新たな事案に移った将校達をよそに、センゴク元帥は手元に置いてある〝麦わらの一味〟の手配書と別の手配書を見て痛くなる腹を人知れず抑えていた。

 

その別の手配書には〝ベストマッチ〟マカハゼと同じ姿をしていた。マカハゼと大きく違うのは赤と青の2色ではなく黒1色であり、目の部分は戦車を模した複眼で統一していた。

 

 

〘百獣海賊団〝大看板〟〙

 

〘〝兵害(へいがい)〟のメタルビルド〙

 

〘懸賞金11億8500万ベリー〙

 

 

 

 

 


side:メリー号

 

 

「なっはっは!俺たち〝お尋ね者〟になったぞ!!3500万ベリーだってよ!!!」

 

 

「俺は2700万ベリーか・・・強いて言うなら素顔じゃなく〝仮面ライダービルド〟で写っているのが不満だな」(*´-Д-)

 

 

「アンタらぇ・・・喜んでいる場合?これ完全に大物たちが狙ってくるわよ。この額なら〝海軍本部〟の将校達も動き出すかもしれないわ」ガックリ

 

 

「私の額が引き上がってる・・・この一味に入ったのが大きいのかしら?」

 

 

自分たちの手配書が3枚も出たことに船長(ルフィ)は喜び、マカハゼは少し不満げに、ハニークイーンは驚きといった反応を見せた。

 

そんな3人にナミは頭を抱えて自分たちの今後を嘆いた。対して他のクルーたちもそれぞれが能天気だった。

 

 

「見ろよ、世界中に俺の姿が!モテモテかも!!」

 

 

「後頭部じゃねか、自慢になるか」`³´

 

 

「残念だったね、兄ぃ?」

 

 

「海軍の奴らの目が節穴なだけですよ!」

 

 

「次頑張れば絶対に手配書出るの間違いないっスよ!」

 

 

「∑励ますな!余計惨めになるわ!!」

 

 

「・・・これはのんびり〝東の海〟を航海している場合じゃないわね」

 

 

「前のねじ巻島は補給自体出来なかったからな・・・次の島で補給していくか?」

 

 

「ヤロー共ー!張り切って〝偉大なる航路〟に行くぞ〜!!」

 

 

「「「「おぉ〜〜!!」」」」

 

 

「みなさ〜ん!島が見えてきましたよ〜!!」

 

 

自分の手配書から目を離したハニークイーンは島が見えてきたことに気づき、報告をした。

 

 

「見えたか・・・あの島が見えたってことは〝偉大なる航路〟がいよいよ近いってことよ」

 

 

「その言い草だとあの島は結構有名なのか?」

 

 

「あの島にある町の名は〝ローグタウン〟、別名〝終わりと始まりの町〟。かつて海賊王ゴールド・ロジャーが生まれ、処刑された町」

 

 

「海賊王が死んだ町・・・・・・!!」

 

 

「この星の最も重要な場所か・・・?」

 

 

「・・・行ってみる?」

 

 

「行く!!」

 

 

「了解♪」

 

 

 

 

 

 

〜END〜




追加設定3

〝麦わらのルフィ〟懸賞金3500万ベリー

ハニークイーン懸賞金1110万ベリー


今作品ではルフィの初頭金額を500万up、ハニークイーンを320万upさせました。ルフィは元々の実力に加え、〝仮面ライダークローズ〟に変身することでさらに強くなるし、マカハゼという海軍本部の警戒対象がいるからです。

ハニークイーンに関しては〝麦わらの一味〟に入ったことで次いでに懸賞金額を少し上げておこうという海軍の都合にしました。













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新たな刀

side:ローグタウン(始まりと終わりの町)

 

 

「でっけ〜町だな〜!ここから〝大海賊時代〟が始まったのかぁ!?」

 

 

ローグタウンに着いた〝麦わらの一味〟は船番にジョニーたち〘八咫烏〙を残し、ハニークイーンを入れた7人で上陸した。

 

 

「よし、俺は本屋によって歴史や医療系の本を買ってくる。お前らはどうする?」

 

 

「俺は処刑台を見てくる!」

 

 

「俺は面白そうな装備を買ってくる」( * ॑꒳ ॑* )♪

 

 

「俺は食材の調達だな。あといい女♪

 

 

「俺も買いてぇもんがある・・・」

 

 

「貸すわよ?利子3倍でね♥」

 

 

「・・・どんまい?」

 

 

「・・・ちくしょう」

 

 

「私はハニークイーンと服の買い出しに行ってくるわ」

 

 

「───よっよろしくお願いします・・・」

 

 

一味は互いにやることを確認したあと、各自目的のものを入手するために1時解散した。

 

 

 

 

 


side:マカハゼ

 

 

「以外にいい本が買えたな・・・」

 

 

本屋で予想以上にいい買い物が出来たマカハゼは町を散策しながら情報収集をしていた。その中で有益だったのはこの町の海軍大佐の情報だった。

 

 

「モクモクの実の煙人間・・・また〝自然(ロギア)系〟の能力者か。ハニークイーンも〝自然系〟だが海軍だと珍しくないってこ」

 

 

「ボチボチな訳がないでしょ!!!これは〝大業物(おおわざもの)21工〟1本っ!!名刀ですよ!!手に入れようとしたら安くて1000万以上のお金が必要な代物なんですよっ!!!」

 

 

「バラしてんじゃねぇよ、クソ女!!!営業妨害で訴えるぞ畜生がっ!!!(怒)」

 

 

キーン「──なんだよ、うるせぇなぁ?」

 

 

たまたま近くを通った武器屋から突然2つの怒鳴り声が響き、文句を言おうと店に入る事にした。

 

 

「オイうるさいぞ!!外まで響いて──」

 

ヒュン!

 

「∑アブねぇ!!?」Σ(゚ロ゚;)

 

キィン!

 

 

店に入った瞬間、前方から抜き身の刀が回転しながら飛んできたのをマカハゼは間一髪で避けた。

 

 

「∑あぁ!だだっ大丈夫ですかァ!?」

 

 

「∑このアホ女ァ!!お前が変なところで転けるからだろうがァ!!!」

 

 

「──ってマカハゼじゃねぇか!?」

 

 

ハァ…ハァ…「あぁ・・・ゾッチンか?」(;:´°;Д;°`:;)

 

 

「∑ゾッチンって何だよ!?」

 

店の中を見ればレジの所にゾロと店主と思わしき男がいて、レジと出入口の中間あたりに眼鏡をかけた女が床に這いつくばっていた。

 

 

「ビルド姿の俺とルフィの名は既に知られている。海軍がいる町で偽名を使うのが得策だ」コソッ

 

 

「あぁ、そう言うことか?」コソッ

 

 

マカハゼの突然のあだ名呼びに納得したゾロはゾッチンを名乗ることにした。

 

 

「すっすみません!私が転んだばかりに!!」

 

 

「いいよ、わざとじゃねぇんなら・・・・・・」

 

 

マカハゼが詳しく聞けばさっきの怒鳴り声の後、切れた店主に預けていた刀を投げ渡された時に転び、鞘から抜けた刀が飛んだそうだ。

 

 

「まさかココで死のピタゴラスイッチを体験するとは・・・」ボソッ

 

「で?ココにゾッチンがいるってことは今から刀を買うところか?」

 

 

「まぁな。今あの樽の中から選ぶところだ」

 

 

そう言ってゾロは店の隅にある樽の中にある武器を選び始めた。

 

 

「あなた、刀が好きなんですね?刀三本・・・まるで()()()()()()()()みたい」

 

 

そこでゾロが刀を選んでるところに眼鏡の女が話しかけてきた。

 

 

「まぁ・・・趣味みてぇなもんだな」

 

 

「その言い方は賞金稼ぎが嫌いなのか?特に刀三本の?」

 

 

「〝東の海〟知れ渡った〈悪名〉ですよ?刀をお金稼ぎに使うなんて許される事ではないですよ!」

 

 

眼鏡の女はそう言い、悲痛な目をしながら自身の愛刀を握りしめた。

 

 

「どうしてこの時代〈悪〉が強いんでしょう?名のある剣士は海賊や賞金稼ぎばかり・・・世界中の名刀が泣いています!!」

 

 

「刀は所詮人切り包丁・・・剣は凶器で剣術は殺人術、どれだけ綺麗事を並べようが絶対に変わらない事実って物語のキャラが言ってたような・・・・・・」

 

 

「∑お前の言葉じゃないんかい!!?」

 

 

「そっそれでも私は世界中の悪党に渡った名刀を回収します。この命に変えても!!」

 

 

「なら()()()も奪うか?〝和道一文字〟って言ったか?」キンッ!

 

 

「いや挑発すんじゃねぇよ」スパァン!

 

 

女剣士の意気込みに水を差すように挑発するゾロにマカハゼは思わずシバいた。

 

 

「いえ!私は別に刀が欲しい訳ではなくて悪党たちの手に渡るのが嫌なだけなんです!!」

 

「それにその刀は大切なものなんですよね?」

 

 

「あぁ・・・親友の形見だ」

 

 

「──そうですか」

 

 

無粋なことを聞いた眼鏡の女は口を閉ざし、レジの店主も目を逸らした。

 

 

「あ!それは!?」

 

 

「ん?」

 

 

ゾロが樽の中から6本目の刀を手に取って鞘から出したら眼鏡の女がなにかに気づき、本をめくり始めた。

 

 

「やっぱりこれ、〝〈業物〉三代鬼徹〟!!こんな名刀が5万ベリーだなんて!?」

 

 

「・・・だめだ!それは──」

 

 

「ゾッチンこいつは・・・」

 

 

「間違いねぇ・・・妖刀だ」

 

 

「──分かるのか!?」

 

 

「「何となく」」

 

 

妖刀だと気づいた2人に店主のいっぽんマツは〝三代鬼徹〟の恐ろしさを語り始めた。

 

曰くある者は津波に呑まれ、曰く生きたまま焼け死に、曰く海王類の餌になったりと歴代の所有者は悲惨な死を迎えていた。

 

そしてそれは〝〈大業物〉二代鬼徹〟と〝〈最上大業物〉初代鬼徹〟も同じだった。故にこの世に〝鬼徹シリーズ〟の刀を持つ者は一人もいないと言う。

 

 

「俺もさっさと処分してぇけどよぉ・・・呪われそうで怖ぇんだよ」

 

 

「そっそんな恐ろしい刀だったんですか!?」

 

 

「随分なじゃじゃ馬らしいな・・・どうする?」

 

 

「気に入った!こいつを貰う!!」

 

 

「∑ふざけるな!それで死んだら俺の所為みたいじゃねぇか!!!」

 

 

「俺は呪いとか神とか信じねぇ質でね。信じるのは仲間と自分の悪運だけだ」

 

 

「お前も酔狂だなぁゾッチン。神秘的なやつを信じねぇのはいいがそれでこいつらは納得しねぇよ?」

 

 

マカハゼの言うとうりゾロ本人はそれでいいが店主や眼鏡の女は気が気じゃなかった。

 

 

「じゃあこうしよう?俺の運が勝ったら〝三代鬼徹(こいつ)〟俺の物だ!負けたら俺はそこまでの人間だったって事だ」

 

 

「安心しろ。もし負けても新しい腕ぐらい創ってやるよ」

 

 

「その時は頼んだぜ?」ブゥン!

 

 

驚嘆する店主と眼鏡の女をよそにマカハゼと言葉を交わしたゾロは広い場所に移動して〝三代鬼徹〟を抜き、真上に放り投げた。

 

ゾロはそこから少し右にズレ、左腕を〝三代鬼徹〟が落ちる直線上に伸ばした。当たれば腕は即なくなる──その異常な行動に店主と眼鏡の女は止めようと声を上げたがマカハゼが止めた。

 

 

「∑バカヤロォ!?切れ味は本物だぞ!!!」

 

 

「∑いけません!!直ぐに避けて!!!」

 

 

「別になんの心配もいらねぇよ」

 

 

スルッ

 

 

落ちてきた〝三代鬼徹〟はゾロの腕を自ら避けるように通り過ぎ、そのまま床に刺さった。別の視点から見れば〝三代鬼徹〟がゾロに押され負けたようにも見えた。

 

 

「貰ってく」ドン!!!!

 

 

最後まで見届けた店主と眼鏡の女は腰を抜かして倒れた。マカハゼはこうなると分かってたかのように笑っていた。

 

 

「全く無茶をする!とんでもないギャンブラーだよ、お前はwww!!」

 

 

「ほっとけ。おいお前、新しい刀もう一本選んでくれねぇか?」

 

 

「え・・・・・・あっはい・・・・・・・・・!」

 

 

「・・・ちょっちょっと待ってろ!!!」

 

 

そう言って店主は店の奥に走り、暫くして一振の刀を抱えてレジに戻ってきた。刀をレジに置いた店主のいっぽんマツは威厳を込めて刀の紹介をした。

 

 

「造りは黒漆太刀拵。刃は乱刃小丁字。〝〈良業物〉雪走〟!切れ味は保証する!!」

 

「ウチは大した店じゃねぇが・・・・・・これが俺の店の最高の刀だ!!!」

 

 

「へぇ?」

 

 

「いい刀だが残念。それを買う金がねぇ」

 

 

「金はいい、〝鬼徹〟の代金も要らねぇ!貰ってくれ!」

 

「さっきは騙そうとしてすまなかった!久しぶりにいい剣士の目を見た。刀は主人を選ぶと言う!」

 

「それに〝雪走〟と〝三代鬼徹〟もこんなしみったれた店に燻っているよりお前さんのような剣士に使ってもらった方が幸せだろう?」

 

「お前さんの武運を祈る!!!」

 

 

「──そういう事ならありがたく貰っていくぜ?」

 

 

ゾロはそう言って〝雪走〟と〝三代鬼徹〟を受け取り、自身の愛刀〝和道一文字〟と共に腰に収めた。

 

 

「やっぱ三本あると落ち着くな」

 

 

「得をしたなゾッチン。これも未来の大剣豪の偉業ってやつか?」

 

 

「うるせぇ」

 

「世話になったな、おっさん」

 

 

新しい刀を手に入れたゾロは店主に礼をいい、マカハゼと共に店を後にした。

 

 

「そういえばゾッチン」

 

 

「何だ?」

 

 

「お前よくこの武器屋に1人で辿り着けたな?」

 

 

「∑ぶった斬るぞテメェ!!?」

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・」

 

「腰が抜けて・・・全然立てないや」ハハ

 

 

二人の男が武器屋から出て行くのを眼鏡の女は床に座ったまま見届けることしか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

~END〜

 

 



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船長の危機

side:マカハゼ

 

 

ピィーーー!!!

 

 

「ん?」

 

 

ゾロと町の散策をしていたマカハゼは機械の鳴き声に気づいて顔を上げた。

 

 

「あれは確かルフィの・・・」

 

 

「〝クローズドラゴン〟。名前はピー助だ」

 

 

マカハゼとゾロの前に止まったピー助はその場で旋回し、何かを訴えていた。

 

 

「コイツはルフィがクローズに変身するのに不可欠だし基本は離れることは無いんだが・・・」

 

 

「まさかルフィになにかあったのか!?」

 

 

ピィーー!!

 

 

ゾロの問に答えるようにピー助は一声鳴いて首を縦に振ったあと、案内をするように飛んできた道を戻り始めた。

 

 

「くそ!早くルフィのところへ急ぐぞ!!」

 

 

「∑一人で行くなゾロ!!そしてそっちじゃなくてこっちだ!!!」

 

 

 

 

 


 

 

〜ピー助が来る少し前〜

 

 

「うひょー!これが海賊王が見た景色!!そして死んだのかァーー!!」

 

 

『コラ君っ!!!今すぐにその処刑台からから降りなさい!!!』

 

 

海賊王が死んだ処刑台に着いたルフィは勝手に処刑台をのぼり、風景を見て楽しんでいた。町の警官がそんなルフィに降りろと警告していた。

 

 

「何で?」

 

 

『そこは世界政府の管理下にある特別死刑台なのだ!!!早くそこから"ッ!?』ゴンッ!!!

 

 

「そんなケチなこと言うんじゃないよ、おまわりさん?」

 

 

処刑台に登ったルフィに警告をしていた警官が後ろから金棒を持った女に突然殴られて気を失った。

 

 

「随分探したことか・・・会いたかったよ、モンキー・D・ルフィ!!」

 

 

警官を倒した女は嬉しそうにルフィに声をかけた。女の肌は見て分かる程に滑らかで、美しい顔立ちをしていた。

 

周囲の人間はそんな女を見て絶世の美女と騒ぎ、ルフィでさえも美女と認めるほど美しかった。

 

 

「俺はお前みたいな美女知らねぇぞ?誰だ??」

 

 

「あんたが忘れてもあたしは忘れない・・・なぜならあたしを初めて殴った男だからねェ」

 

 

「え?俺が??」

 

 

「アンタのあの激しい拳・・・感じたよ♥」ウットリ

 

 

ドッキーーン♥

 

 

ルフィを見つめる女の恍惚の顔に周囲の人間はハートを射抜かれた。さらに女はルフィを手に入れると宣言し、自身の正体を明かした。

 

 

「あたしは強い男がすきでね!だからあんたをあたしの男にするのさ!!」

 

「この〝金棒のアルビダ〟様のものにね!!!」

 

 

〘海賊〝金棒のアルビダ〟〙

 

〘懸賞金500万ベリー〙

 

 

女海賊〝金棒のアルビダ〟──ルフィが海に出て日も浅い頃、海賊として初めて倒したのが〝金棒のアルビダ〟だったのだが・・・・・・

 

 

「アルビダ?お前が?なんか色々と違うんだけど??」

 

 

ルフィの知る金棒のアルビダ〟はブヨブヨに太った厳ついオバサンという見た目でけっして目の前の美女ではなかった。

 

 

「分からないのも無理はない。あたしは〝悪魔の実〟を食べて変わったのさ!実の名はスベスベの実!!どんな攻撃もあたしの肌を傷つけることは出来ない!!!」

 

 

アルビダはそう言って身にまとっていた外套を脱ぎ捨てた。スベスベの実の副次効果でブヨブヨ肉体がグラマーボディに変貌していた。

 

それを見た周囲は目をハートにして見惚れてたり、鼻血を吹いて倒れたりしていた。

 

 

「残念ながらあたしの美しさは()()()()()()()()()()!強いて変わったいえば・・・〝そばかす〟が消えたこと!!!」

 

 

「そこは大した問題じゃねぇよ」ヾノㅇㅁㅇ;;)イヤイヤ

 

 

そんなルフィの軽いツッコミを無視し、アルビダは言葉を続けた。

 

 

「でもあたしの男になるなら()()()に負けてちゃ話にならない!あんたを探すという同一の目的で手を組んだ()()()にね?」

 

 

「?あい「今じゃあ!!」つヴォッ!!?」ガシッ!ドサッ!!

 

 

「追い討ちをかけろぉ!!!」

 

 

「「合点!!!」」バサッ!

 

 

「なっ何だこの鉄の網!?力がぬけるぅ!?」

 

 

突然足を引っ張られてうつ伏せに倒れたうえ、鉄の網を被せられて動きを封じられた。しかも何故か力が入らないうえに能力も発動できなかった。

 

 

「海軍特製対能力者用捕縛兵器〝監獄弾(かんごくだん)〟!それに捕まった大抵の能力者は何も出来ねぇ!!」

 

 

ルフィを捕らえたアルビダの仲間らしき集団が羽織っていた外套を脱ぎ捨てて正体を表した。

 

 

「お前に()()()()()()()あの日からおれはお前を殺すために、アルビダと共に部下たちの元へ帰還した!!!!!」

 

「笑いあり!涙あり!友情ありの〝小さなバギー大冒険〟!!だけどバギーはってなんの宣伝だバカヤロォ!!(怒)

 

 

「・・・なんだバギーか」

 

 

「∑よぉーし、相変わらずのふざけ具合だなクソゴム!!!」ガボーンッ!!!

 

 

〘海賊〝道化のバギー〟〙

 

〘懸賞金1500万ベリー〙

 

 

海賊〝道化のバギー〟──かつてルフィがゾロとナミの3人で財宝を奪い、吹き飛ばした赤鼻の海賊。この男も〝悪魔の実〟を食し、切っても切れないバラバラ人間の能力者。

 

 

どうやらこの男、ルフィへの復讐を果たす為にアルビダと手を組み、この町までやって来たらしい。

 

 

ピィーーー!? スポン!

 

 

「ん?何だこりゃ?」

 

 

「∑ピー助!」

 

「誰でもいい!誰かここに連れて来てくれ!!」

 

 

ピィーー!!!

 

 

ルフィの懐から出て、〝監獄弾〟をすり抜けたピー助は状況を理解し、マカハゼの元へ向かった。これが事の顛末である。

 

 

 

 

 


 

 

ベチャッ

 

「ア・・・アイス・・・(泣)」

 

 

「∑スっスモーカー大佐!?すみませんウチの娘が!!」

 

 

「・・・・・・・・・」ガシッ!

 

 

「!?」ビクッ!

 

 

「悪いな・・・俺のズボンがお前のアイスを食っちまった。次は5段アイスでも買うといい」チャリン!

 

 

〘海軍本部大佐〙

 

〘〝白猟のスモーカー〟〙

 

 

移動中だったローグタウン海軍駐屯地の長のスモーカー大佐はぶつかった少女に謝り、多めの小銭をあげた。

 

 

「ど・・・どうも本当にすいませんでした」ヘコヘコ

 

 

「ガキのやった事に怒るほど俺はクズじゃねぇよ」

 

 

「‍ありがとぉ٩(*´꒳`*)۶♪」

 

 

少女と父親はスモーカー大佐に礼を言って離れた。その親子と入れ替わりになる形で一人の女性がスモーカー大佐の元へ来た。

 

 

「スモーカーさん!遅くなりましたっ!!」

 

 

「たしぎィ!!てめぇ何処で何してやがったァ!!?」

 

 

「スっすみません!直ぐに準備を!!」

 

 

「たしぎ曹長、ジャケットならこちらに!」

 

 

「あ!ありがとうございます、軍曹さんっ!!」

 

 

〘海軍本部曹長〙

 

〘たしぎ〙

 

 

この女性が武器屋でゾロとマカハゼの2人にあった本人であり、海軍本部のれっきとした実力者である。

 

海軍のマークが入ったジャケットを羽織ったたしぎ曹長はすぐさまスモーカー大佐に謝罪をした。

 

 

「ちょ・・・ちょっと腰が抜けて遅れました」

 

 

「抜けてるのはやる気だけじゃぁ足りねぇのかァ!!?(怒)」

 

 

「ご・・・ごめんなさい」

 

 

「早く来い!海賊共が広場で暴れている!!」

 

 

スモーカー大佐はたしぎ曹長を叱って、急いで広場にある建物に向かった。

 

暫く広場近くの建物に着いたスモーカー大佐は先に待機していた部下に状況を聞いた。

 

 

「状況は?」

 

 

「は!民間人が広場に取り押さえられています!」

 

 

「今確認出来ている賞金首は〝金棒のアルビダ〟、〝道化のバギー〟、〝()()()()()()()〟の3人です」

 

 

報告を受けたスモーカー大佐は1人だけ聞き覚えのない名に眉をひそめた。

 

 

「〝()()()()()()()〟!?聞いた事のねぇ名だな!?」

 

 

「先日手配されたばかりですが・・・額は3500万ベリーの大物です!」

 

「この広場で確認されていませんが・・・〝麦わら〟の手下に〝ベストマッチ〟マカハゼ2700万ベリーに元トランプ5兄弟幹部〝ハニークイーン〟1110万ベリーがいます」

 

 

「3500万に2700万!?そりゃあ久々に骨のありそうな奴らが来たな」

 

 

情報を聞いたスモーカー大佐は少しやる気の顔を見せた。この町へ来る海賊は1000万以下の小物ばかりで退屈していた。

 

なまった体も少しはいい運動になると思い気合を入れていた・・・そんなスモーカー大佐を見て気まずそうに報告をする海兵の話を聞くまでは。

 

 

「いやそれなんですが・・・・・・その男今・・・・・・殺されそうになっています(汗)」

 

 

スモーカー大佐に報告をした海兵が指した方を見れば、処刑台に拘束された麦わら帽子の海賊が赤鼻ピエロの海賊に今にでも殺されそうだった。

 

 

「・・・・・・・・・・・・は??」

 

 

この状況にスモーカー大佐も暫く停止した事は完全に余談である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜END〜



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「死んだ」

side:処刑台前広場

 

 

「あ」

 

 

「あ」

 

 

「あ」

 

 

「あ」

 

 

ウソップと合流したエレファントホンマグロを買ったサンジと服を大量に買い込んだナミとハニークイーンが処刑台前広場でばったりと合流した。

 

 

「で?あと3人か?」

 

 

「ゾロとマカハゼは分からないから置いといて・・・」

 

 

「ルフィ船長は確か処刑台を見るって言ってましたね?」

 

 

「処刑台のある広場ってここじゃねぇか?」

 

 

ピィーーー!

 

 

「だから何でお前はピー助の向かう道の真逆に行こうとするんだよ!?このファンタジスタ!!!(怒)」

 

 

「ウルセェ!!あいつの案内の仕方が悪いだけだろ!!」

 

 

「∑お前の方向音痴をピー助のせいにするな!!(怒)」

 

 

「∑ゾロ!マカハゼ!」

 

 

口喧嘩しながら近づいてくる2人と1匹に気づいた4人は2人の慌てように首を傾げた。

 

 

「どうしたんだよお前ら?そんなに慌てて??」

 

 

「ピー助もルフィと一緒じゃないの?」

 

 

ピィー!ピィーー!

 

 

「ピー助が俺たちの所に飛んで来たんだよ!」

 

 

「ルフィに何かあったかもしれねぇんだ!!」

 

 

「ちょっと待てよ・・・?」

 

 

「ルフィ船長は処刑台を見にここにいるんですよね?」

 

 

「そしてピー助がお前らを連れてここに来た・・・」

 

 

「まさか・・・!?」

 

 

マカハゼたちは嫌な予感を抱えながらゆっくりと処刑台の方に顔を向けた。

 

 

「罪人!!海賊モンキー・D・ルフィは〝つけあがって俺さまを怒らせちまった罪〟によりっ!!!」

 

「『ハデ死刑〜〜〜』に処す!!!」

 

 

「「「「うおぉぉぉぉーー!!!」」」」

 

 

「ふざけんなァーーー!!!」

 

 

処刑台には赤い鼻で有名な〝道化のバギー〟と部下の海賊たちが広場の面前で船長のルフィを公開処刑にしようとしていた。

 

 

(何やっとんじゃアイツはァーーー!!?)ガーーン×6

 

 

 

 

 


 

 

side:海軍

 

 

「成程・・・海賊同士のいざこざか」

 

 

状況を理解したスモーカー大佐は冷静になっていた。海賊同士のいざこざ・・・そこはまだいい。しかし見過ごせない問題が1つだけあった。

 

 

「で?海賊〝道化のバギー〟の一味に海軍(ウチ)の〝監獄弾〟が使われているのはどういう事だ?」ギロッ!

 

 

ビクッ!

「はっ!急いで確認させたところ、盗まれた形跡が発見されました!!」

 

 

「チッ!ことが終わったら警備の見直しか・・・!」

 

 

自身の管理する駐屯地から盗難があったことに頭を抱えたスモーカー大佐は気持ちを切り替え、今の状況に専念する事にした。

 

 

「突撃しますか!?」

 

 

「必要はない。せっかくの海賊(クズ)同士の潰し合いなんだ・・・これを利用しないテはない」

 

 

「しかし万が一民間人に被害がでたら!」

 

 

「俺がこの島から海賊を逃がした事があるのか?」ギロッ!

 

 

ビクッ!

「「いえ!全くありません!!!」」

 

 

「ならいい」

 

 

部下を睨んで無理やり黙らせたスモーカー大佐は再び処刑台の方に顔を向け、指示を出した。

 

 

「いいか?あの麦わらの()()()()()()バギーとアルビダ及びその一味を包囲して捕縛しろ」

 

 

「「「はっ!!!」」」

 

 

 

 

 


 

 

side:処刑台

 

 

「ごめんなさい。許してください」→面倒くさげな顔

 

 

「∑許すわけねぇだろ!!ハデに馬鹿にしやがって!!(怒)」

 

 

ルフィの適当な命乞いに耳を傾けることもなく、バギーはカットラスを持って首をはねる準備を進めた。

 

 

「フン!我々に逆らった当然の結果だ」

 

 

「あたしの見込んだ男もここまでか・・・まぁ〝監獄弾〟に捕まったら仕方ないか」

 

 

バギーの部下の〝曲芸のカバジ〟はこうなるのは当然と言い、アルビダは惚れた男の最後をしっかり目に焼き付けようと見ていた。

 

 

「そうだ、せっかくの処刑だ。何か遺言でも言ってみるか?見物人もこんなにいるんだからな」

 

 

「・・・・・・」

 

 

「まぁいい。どうせ誰も興味は「俺は!!」!?」

 

 

「海賊王になる男だ!!!!」

 

 

ドクンッ!!

 

 

ピリリリッ!!!

 

 

ドサッ!ドサドサッ!ドサッ!!

 

 

ルフィの海賊王になる宣言・・・それと同時に大気が震え広場にいた見物人やバギーの手下、そして隠れていた海兵が次々と倒れていった。

 

 

「∑おっオイどうしたんだ!?」

 

 

「次々と倒れていくぞ!?」

 

 

「あの麦わらの男・・・一体何をしたんだ!?」

 

 

 

 

 


 

 

side:海軍

 

 

「一体どうしたんですか!?」

 

 

「わかりません!!〝麦わら〟が叫んだと同時に数名が意識を失い倒れたもようです!!広場にいる民間人や海賊たちにも同じ被害が!!!」

 

 

「・・・・・・・・・」ギリッ!

 

 

たしぎ曹長が突然倒れた者たちを介抱しながら広場も報告を聞き、指示を出していた。自身も一瞬気を失いそうになったが何とか持ちこたえた。

 

一方のスモーカー大佐は目を見開きながら自身の震える腕を抑え、咥えていたタバコを噛み締めた。

 

 

「今のはまさか・・・〝覇王色(はおうしょく)の覇気〟っ!?」

 

 

スモーカー大佐の呟きは混乱する海兵たちの耳には届くことはなかった・・・。

 

 

 

 

 


 

 

side:マカハゼ

 

 

「何だ今のは・・・まるで大気が揺れたような?」

 

 

「ハニークイーン、しっかりしろ!」

 

 

「ハニークイーンちゃん!!」

 

 

「はっ・・・一瞬・・・意識が遠のいたような?」

 

 

余波はメリー号に戻るナミとウソップペアと別れたマカハゼたち4人の元にも届いた。

 

マカハゼとゾロとサンジの3人は無事だったがハニークイーンが泡を吹いて倒れてしまった。しかし何とか意識を取り戻した。

 

 

「どういうこった?ルフィが叫んだ瞬間ハニークイーンちゃんや広場の連中が何人か倒れたぞ!?」

 

 

(似たような状況を見た事がある・・・俺のクソ兄貴も誰かを威圧する時、必ず周りの奴らは倒れていた!)

 

 

マカハゼは自分がブラット星にいた時、キルバスのの周りがひれ伏すように倒れていく光景を思い出していた。

 

その時と比べてルフィのは規模が小さいがキルバスと同じ力を持っている事に戦慄した。

 

 

「何にせよチャンスだ!処刑台をぶっ壊してあのバカを救うぞ!!」

 

 

「おう!!」×3

 

 

とにかく4人はルフィの救出に専念し、今起こった出来事を頭の隅に片付けた。

 

 

 

 

 


 

 

side:処刑台前広場

 

 

「?なんで倒れてんだ、あいつら??」

 

 

(こいつ・・・〝覇王色の覇気〟を!?)

 

 

自身のやった事に気づかないルフィにバギーは戦慄していた。

 

 

(こいつも・・・()()と同じだってのか!?)

 

 

バギーは自分が見習い時代に乗っていた船の船長を思い出していた。今はまだ眠れる力だが、覚醒すればあの()()と同じとんでもない存在になるかもしれない・・・そう思えて仕方なかった。

 

 

「遺言は以上か?クソゴム!!!」

 

(コイツは今ここで!確実に殺しておくべき男だ!!!)

 

 

バギーはカットラスを上段で構え、ルフィの斬首に入り始めた。

 

 

「その処刑ちょっと待て!!!」×4

 

 

「!!?」

 

 

「ゾロ!マカハゼ!サンジ!ハニークイーン!助けてくれぇ!!」

 

 

「来たか〝麦わらの一味〟!だが一足遅かったな!!」

 

「野郎どもォ!!奴らを足止めしろぉ!!」

 

 

「「「「ウオオォォォ!!!」」」」

 

 

「邪魔だァ!!!」×4

 

 

バギーの指示で手下たちはマカハゼたちの妨害を始め、返り討ちにしながら処刑台に進んだ。

 

 

「とにかくあの処刑台を壊せ!」

 

 

「分かってるよ!!」

 

 

「〝ボトルガントレット〟!」

 

 

カシャカシャ!カチン!

 

《キリン!》

 

「のけっ!横切麟(よこキリン)!!」

 

 

「「「「ギャアァァァ!!?」」」」

 

 

マカハゼは対雑兵用に自作した右手の〝ボトルガントレット〟に〝キリンフルボトル〟を差し、〝キリネックブレーカー〟を展開して横薙ぎに払った。

 

 

ゾロとサンジにハニークイーンも手下たちを切って、蹴って、拘束して倒しながら処刑台に進むが、それを見てバギーはバカにするように笑っていた。

 

 

「間に合うわけねぇーだろーが、ブワァーカ!!お前らの船長の最後を確り見てろォ!!!」ギャハハハハww!!!

 

 

「クソ野郎!!勝負しろォ!!!」

 

(あの処刑台さえ蹴り壊せれば・・・!!!)

 

 

「・・・・・・・・・!!!」ギリッ!

 

(処刑台さえ切り崩せれば・・・!!!)

 

 

「ルフィ船長!!」

 

(私の能力の範囲がもっと広ければ・・・!!!)

 

 

「ルフィ!!!」

 

(最初っからあいつの傍に付いてれば・・・!!!)

 

 

4人は何とか処刑台まで迫ろうとするが未だに届かない。自身の首に近づいてくるカットラスを感じたルフィは仲間の名前を呼んだ。

 

 

「マカハゼ!ゾロ!サンジ!ハニークイーン!」

 

自分を救おうを奮闘する仲間に・・・

 

「ナミ!ウソップ!」

 

出航の準備をするため、急ぎメリー号に戻る仲間に・・・

 

「ヨサク!ジョニー!カッコウ!」

 

メリー号を襲撃して来たバギーの手下たちを人知れず返り討ちにしていた仲間に・・・

 

ルフィは満面の笑みを浮かべて謝罪の言葉をはいた。

 

 

「悪ぃ!オレ死んだ!!」ニィ

 

 

「「∑バッ・・・」」

 

 

「バカ言ってんじゃねぇ!!!!」

 

 

「ダメぇ!!!」

 

 

(笑った!?)

 

 

死を受けいれたルフィが笑ったのを見てスモーカー大佐が目を見開いた瞬間、デカい雷が処刑台に落ちた。

 

 

 

 

ビリビリビリビリッ!!!

 

 

ドドォォン!!!

 

 

 

 

 

その光景はまるで、神が地に落とした怒りのように思えた・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

〜END〜



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フードの男

side:メリー号

 

 

「ハァ・・・ハァ・・・!」

 

 

「紙一重で・・・守りきったぜ・・・!」

 

 

「兄ぃたち・・・大丈夫かな?」

 

 

処刑台前広場で騒ぎが起こっている頃、ジョニーたち『八咫烏』はメリー号を破壊しようと攻めてきたバギーの手下たちを全員倒していた。

 

 

「ルフィの兄貴が処刑されてるとかふざけたことを言いやがって!!!(怒)」

 

 

「あの人は海賊王になる男だぞ!!!」

 

 

「そんでもってウチらは未来の海賊王のクルーで未来の大剣豪の子分だァ!!!」

 

 

ビリビリビリビリ

 

ドドォォン!!!

 

 

ザァァァァ・・・・・・

 

 

「「「・・・・・・・・・」」」

 

 

「このタイミングでこの天候・・・」

 

 

「不吉だぜちくしょう・・・」

 

 

「兄ぃ・・・」

 

 

デカい雷鳴の後に降り始めた雨に不安を感じてしまった『八咫烏』だが、みんなの帰りを信じて待つことを決めていた。

 

 

 

 

 


 

 

side:処刑台前広場

 

 

ザァァァァァァ・・・

 

 

雷が処刑台に落ちて燃え崩れた後、暫くして雨が降り始めた。

 

 

「なははは!やっぱ生きてた!!もうけっ!」

 

 

崩れた処刑台からは雷で黒焦げになって倒れた〝道化のバギー〟と〝監獄弾〟から解放された上、何故か無傷だったルフィが立っていた。

 

 

「・・・()()()()だから雷でも助かったってところか?」

 

 

「∑冷静に分析してる!?」

 

 

「・・・お前らは神ってのはいると思うか??」

 

 

「バカなこと言ってねぇでこの島出るぞ!どうやらもう一波乱ありそうだ」

 

 

「広場を包囲!!海賊共を捕縛しろォ!!!」

 

 

「「「オオオオオ!!!」」」

 

 

ルフィの無事を確認し調子を取り戻した一味を他所に、混乱から復帰した海軍がバギー一味や自分たちを捕まえようと広場に乗り込んできた。

 

 

「本当に忙しないな海軍」

 

 

カシャカシャカシャカシャ!

 

カチン!カチン!

 

 

《トラ!》《UFO!》

 

《ベストマッチ!》

 

 

グルグルグルグル!

 

 

《Are You Ready?》

 

 

「変身!!」

 

 

ガシィーン!!

 

 

《未確認ジャングルハンター!》

 

《トラUFO!》

 

 

《イェーイ!!》

 

 

「〝不明な(アンノウン)運び屋(キャリアー)〟!」

 

 

仮面ライダービルドトラUFOに変身したマカハゼは〝UFOフルボトル〟で作ったデカいUFO型のエネルギー体を創り出し、その上に乗った。

 

 

「∑ユッUFO〜〜!!!」(T ^ T)

 

 

「本っ当に何でもありだなお前は(汗)」

 

 

「此処から一気に離れる!全員乗れ!特にゾロ!!

 

 

「∑名指しで呼んでんじゃねぇよ!?(怒)」( º言º)

 

 

「いいから早く逃げましょう!!」(°o°:)

 

 

ビルド(マカハゼ)〝不明な運び屋〟に乗ったルフィたちは戦闘を始めたバギー一味と海軍を無視してメリー号が停まっている港に飛んで行った。

 

海軍も逃すまいと追いかけて行くが逃げ遅れた市民や暴れるバギー一味を放っておく事が出来ずに段々と距離が開いていった。

 

 

 

 

 


side:海軍

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

潜伏していた建物で海兵たちが慌ただしく動いていた頃、スモーカー大佐は去って行く〝麦わらの一味〟を呆然と見ていた。

 

 

あの男(麦わらのルフィ)・・・自分が助かる事が分かって笑ったのか・・・いや違う!!!)

 

(奴はあの瞬間・・・本気で自分の人生が()()()()だと悟った!!だから〝死〟を受けいれ・・・覚悟して()()()んだ!!)

 

(昔あの処刑台で死んだ・・・()()()()()()()()()!!!)

 

自身がまだ幼い頃にあの処刑台で処刑された()がスモーカー大佐には〝麦わらのルフィ〟と重なって見えた。

 

そんなスモーカー大佐にが指示を受けようと1人の海兵が彼の後ろにたった。

 

 

「大佐!たしぎ曹長が〝麦わらの一味〟を追跡に向かいました!我々もすぐに海賊共の拿捕を」

 

 

「おいお前・・・〝()()()〟って知ってるか?」

 

 

「・・・は・・・はおう・・・・・・?」

 

 

「〝偉大なる航路〟の後半の海〝新世界〟・・・その海で名を轟かせる猛者たちが持つ威圧・・・〝()()()()〟の総称だ」

 

「その威圧()を受けた者たちはまるで王に膝まづくように倒れ、気を失ってしまう・・・」

 

「ちょうど今さっきまで死にかけてた〝麦わら〟が起こした光景の様にな!!!」

 

 

「っ・・・!!」ゴクッ!!

 

 

スモーカー大佐の話を聞いた海兵は思わず息を呑んだ・・・奇跡的に助かったあの麦わら帽子の青年がその猛者たちと肩を並べる程の才を秘めいていると言われた様なものなのだから・・・。

 

 

(そして・・・〝()()()()()()()()()()()()〟もそれを保持していた・・・!!!)

 

 

スモーカー大佐は〝海賊王〟も同じ力を持っていたことを知っていたがそれを口に出すことはしなかった。

 

 

ザァァァァ・・・

 

 

〝麦わらのルフィ〟を拿捕するため、土砂降りとなった外に出ていた。

 

 

「〝麦わらの一味〟は何処へ?」

 

 

「西の港へ向かいました」

 

 

「西の港・・・1等部隊がいるはずだな」

 

 

スモーカー大佐は念のためにいくつかの港の方に各部隊を配備していた。何処へ逃げてもその部隊と挟撃出来る()()()()・・・。

 

 

「いえ・・・それが・・・突然の雨で火薬類が全てやられ・・・今装備のし直しに派出所へ・・・・・・」

 

 

「∑じゃあ今港は素通りか!!?」

 

 

自身の策がいきなり台無しになっていたことに驚嘆したスモーカー大佐は雨の風向きを確認した。

 

 

「風邪は西へ吹いてる・・・ヤツらの船にとっては追い風ってわけか・・・」

 

「処刑台に落ちた雷・・・雨による火薬類の無力化・・・そして船の追い風・・・これは全て偶然なのか?まるで〝天〟があの男を生かそうとしてるみたいじゃねぇか!!?」ギリッ!

 

 

偶然としては出来すぎている運の流れにスモーカー大佐は戦慄した。まるで〝運命の神〟が〝麦わらのルフィ〟を救う為に天候を操った様にも見えて仕方なかった。

 

 

「この〝白猟のスモーカー〟!!!海軍本部大佐の名にかけて・・・〝麦わらのルフィ〟を絶対にこの島から出さねぇぞ!!!」

 

 

今いる海軍の中で〝麦わらのルフィ〟の危険性を誰よりも感じたスモーカー大佐は自身の正義の名のもとに必ず捕らえると決意した。

 

その前に未だに広場で暴れている〝道化のバギー〟と〝金棒のアルビダ〟を拿捕しに向かった。

 

 

 

 

 


 

 

side:ビルド(マカハゼ)

 

 

ワーーー!ワーーー!

 

 

ルフィを連れて広場から離れたビルド(マカハゼ)たちは〝不明な運び屋〟でメリー号を目指しているが、引き離した海軍はしつこく追いかけていた。

 

 

「しつけぇなぁアイツら・・・ぶっ飛ばすか!?」

 

 

「止めとけキリがねぇ!それにナミさんが早く戻って来いって言ってたんだよ」

 

 

「それにこの島には〝自然系〟の能力者もいる。対処法があるとはいえ一々相手をするのが面倒だ」

 

 

海軍と戦おうとするルフィをサンジとビルド(マカハゼ)は抑えていた。

 

すると前方に先回りをしたのか1人の女海兵が自分たちを待ち構えていた。

 

 

「ゾッチン!いえ、ロロノア・ゾロ!!!〝ベストマッチ〟マカハゼ!!!」

 

 

「「「ゾッチン??」」」

 

 

「∑こっち見んな!!!」

 

 

「たしぎ曹長!!」

 

 

「先回りされたか・・・まぁ地の利は海軍(ヤツら)の方が上だからな」

 

 

「あなたたちが〝麦わらの一味〟で海賊だったとは!!私をバカにしてたんですね!!許さない!!!」

 

 

前に現れたのは武器屋であった眼鏡の女剣士だった。後ろの海兵の喜び具合から実力があるらしい。

 

 

「お前こそ海兵だったとはな」

 

 

「咄嗟とはいえ、偽名を使ったのは正解だったか」

 

 

「お前ら彼女に何しやがったァ

!!?」(╬`⊙д๏)

 

 

「お前は黙ってろ。話がややこしくなる」

 

 

女関係で暴走しかけるサンジ(バカ)をハニークイーンに拘束させて黙らせた。

 

「名刀〝和道一文字〟!回収します!!」

 

 

「・・・・・・やれるもんならやってみな」

 

 

ガキィィン!!!

 

 

「先行ってろ」

 

 

「おう」

 

 

「いいか?真っ直ぐだぞ?真っ直ぐ来いよ!!」

 

 

放っておいても追いかけて来そうだった女海兵のたしぎ曹長を個人的にもゾロが受けあい、ルフィたちは先へ進んだ。

 

 

「あのヤロォレディを!!!」(°ㅂ°╬)

 

 

「いいからここはゾロさんに任せましょう!?」

 

 

「は~い!ハニークイーンちゃ〜ん!!」\(♡~♡)/

 

 

「本っ当に面倒くさいなおま」ゾクッ!

 

「!?」バッ!!

 

 

突如強い気配を感じたビルド(マカハゼ)は咄嗟に辺りを見渡したがそれらしい人物は見当たらなかった。

 

 

「どうしたマカハゼ?」

 

 

「いや・・・」

 

(一瞬だが・・・かなり強い気配を感じた・・・この〝東の海〟だと最強だと言っても過言じゃない程の・・・)

 

「・・・もう少し警戒しておくか」ボソッ

 

 

 

 

 


 

 

side:???

 

 

「ふむ・・・中々見所のある者たちを仲間にしたな」

 

 

処刑台前広場から少し離れた所でフードを被った男が一部始終を見ていた。男はいざとなったら〝麦わらのルフィ〟を救う為に動くつもりだった。

 

結局は〝麦わらのルフィ〟の優秀な仲間と強い悪運で窮地を脱したことで動くことはなかった。

 

しかしまだ何かあるかもしれないと男は〝麦わらのルフィ〟の元へ向かう事にした。

 

 

「〝海賊〟か・・・それも悪くはないな」

 

 

雨風で靡くフードから見える男の顔には大きな模様の刺青が入っていた。

 

 

 

 

 

〜END〜



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進水式

〖〝受け継がれる意志〟・・・〝人の夢〟・・・〝時代のうねり〟・・・これらは止めることの出来ないものだ〗

〖──人が『自由』の答えを求める限り・・・それらは決して止まらない〗

〖〝海賊王〟ゴールド・ロジャー〗



side:ゾロ

 

 

ガキィン!!!カランカラン・・・

 

 

「この刀は渡せないんだよ・・・どうあってもな」

 

 

「・・・・・・・・・!」

 

 

「たしぎ曹長が・・・負けた・・・・・・!!!」

 

 

「そんなバカな!!!」

 

 

ゾロとたしぎ曹長の戦いはゾロの圧勝で終わった。戦いを見ていた海兵たちは信じられないという様子で見ていた。

 

いくら〝東の海〟で名の通った元賞金稼ぎとはいえ海軍本部曹長を打ち負かした事に驚きを隠せなかった。

 

 

「じゃぁな。俺は仲間のところに急ぐんでな」

 

 

「・・・・・・・・・!!」ギリッ!

 

 

ゾロは決着が着いたと言わんばかりに刀を納め、仲間の元へ向かおうと動き出したがたしぎ曹長が叫んだことで足を止めた。

 

 

「何故斬らないっ!!!」

 

 

そんなゾロにたしぎ曹長は自身の情けなさを隠すように苛立ちの言葉をぶつけた。

 

 

「私が・・・女だからですか!?」

 

 

ピクッ「!」

 

 

ゾロは彼女の言葉を聞いて自分の持つ〝和道一文字〟の元所有者で、幼い頃に事故で死んだ幼馴染の〝くいな〟というたしぎ曹長に似た少女を思い出していた。

 

生前くいなは子供の頃とはいえゾロが1度も勝つことが出来なかった天才少女だった。しかしくいな自身が女という事にコンプレックスを抱えていた。

 

「どうせなら男に生まれたかった」と言ったくいなにゾロは「そんなの関係ねぇ」と怒鳴り、どちらが〝世界最強の剣豪になるか競走しよう〟と約束した。

 

しかしくいなが事故死した事により、、その約束が果たされることはなかった・・・。

 

 

「女が男より腕力(ちから)がないからって・・・真剣勝負で手を抜かれるのは屈辱です!!」

 

()()()()()()()()()()()()気持ちなんてあなたには分からないでしょうけど・・・私は遊びで刀を持ってる訳じゃない!!!」

 

 

シュン!つー・・・

 

 

「へ?」

 

 

一瞬の出来事にたしぎ曹長は動けなかった。気がつけばゾロは刀を抜き、自身の右頬に()()()()()()()()()・・・。

 

 

「黙って聞いていれば下らねぇ事ばかり言いやがって・・・」

 

 

ゾロはたしぎ曹長を睨みながら刀を突きつけていた。衝動的でやってしまったが死んだ幼馴染と同じ顔の女が()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「2001戦2001敗・・・俺が1()()()()()()()()()()だ」

 

 

「!?」

 

 

「鍛えれば女は男より強くなれる・・・俺はそれをガキの頃から知っている。お前が俺に負けたのはお前が弱かっただけのことだ」

 

「それを()()()()()()()()()()?こっちは()()()()()()()()()()()()()()()()()だけた」

 

「俺の率いる部隊にも女剣士がいるが今のお前よりもずっと強ぇ」

 

 

ゾロは突き付けていた刀を鞘に戻し、皆が進んだ方角へちゃんと向いた。

 

 

「テメェの性別をテメェが弱い言い訳に使うな。そう言うのは本当に弱い奴が使うもんだ」

 

「お前がそんなんじゃこっちも斬る気が出ねぇ。もし今よりもふざけた事を言いやがったら()()()()()()()()()()を付けてやるよ」

 

 

たしぎ曹長に八つ当たり気味に言い放ったゾロは仲間の元へ走って行った。

 

ゾロの剣幕に押されていたたしぎ曹長は再び腰を抜かして座り込んでしまった。

 

 

「曹長!大丈夫ですか!?」

 

 

()()()()()()()()・・・?ふざけるな・・・そんなこと1度も思っていない!!」

 

 

たしぎ曹長は顔を下げたまま悔しげに叫んだ。ゾロに言ったことはただの負け惜しみ・・・内心わかっていた。

 

あの男(ロロノア・ゾロ)は手加減をした・・・それは自分が女だから斬らなかった・・・だがあの男(ロロノア・ゾロ)は自分の顔に傷をつけた・・・。

 

いざとなったらあの男(ロロノア・ゾロ)は女でも確実に斬る・・・たしぎ曹長はその覚悟を感じていた。

 

 

(不甲斐ないっ!!!)

 

 

たしぎ曹長は少しふらつきながらも立ち上がり、ゾロが逃げた先を見つめた。

 

海賊〝 麦わらの一味〟──あの処刑台の出来事で確実に捕まえるべきと思っていたが、その決意が今のでより強くなった。

 

 

「〝麦わらの一味〟を追います!絶対にこの島から出しては行けません!!」

 

 

「「「はっ!!!」」」

 

 

たしぎ曹長は部下たちに指示を出し、自分に言い聞かせるように声を大きくあげた──標的はロロノア・ゾロただ1人。

 

たしぎ曹長はあの男(ロロノア・ゾロ)につけられた傷を拭い、名刀〝和道一文字〟の回収とリベンジを果たすと誓った。

 

 

 

 

 


 

 

side:ビルド(マカハゼ)

 

 

ハッ!「∑しまった!!場の流れでついあいつを1人にしちまった!!!」

 

 

ビルド(マカハゼ)はゾロが方向音痴だった事を忘れしまい、うっかり1人にしてしまった。

 

 

「あ〜・・・そう言えばあいつ迷子になりやすかったな」

 

 

「別にいいだろ、あんなマリモ野郎・・・」

 

 

「・・・まぁあいつもなんやかんやで目的地に着くから大丈夫か」

 

 

(・・・それでいいのかしら?)

 

 

そのうち自力で戻っくるだろうとそのままメリー号に戻ることにしたビルド(マカハゼ)たちにハニークイーンは内心引きながらも黙ってることにした。

 

 

「〝麦わらルフィ〟!!〝ベストマッチ〟マカハゼ!!」

 

ギュルルルル!!!

 

 

「ん?なんだアイツ??」

 

 

「厄介なのが来たか・・・」

 

 

後ろの方から専用マシン〝ビローアバイク〟に乗ったスモーカー大佐がビルド(マカハゼ)たちに追いついてきた。

 

 

「あれは乗車している能力者の能力を動力にして動いているのか?」

 

 

「お前誰だ!!」

 

 

「俺の名はスモーカー──〝海軍本部〟の大佐だ!お前達を海には出さん!!」

 

「〝ホワイト・アウト〟!!」

 

 

「掴まれ!!」

 

 

「「「うわぁぁ!?」」」

 

 

スモーカー大佐の左腕から出された煙を上に上昇することで躱し、ルフィとサンジはUFOに掴まり、ハニークイーンはルフィにしがみついて耐えた。

 

 

「何だアイツ!?体が煙になった!?」

 

 

「〝自然系 モクモクの実〟の煙人間!まともに戦えるのは俺だけだが今はそんな時間はない!」

 

 

「〝麦わら〟!お前の恐ろしさはあの処刑台で既にわかっている!!」

 

「お前だけは確実にここで潰す!!!」

 

 

そう言ったスモーカー大佐はさらに〝ビローアバイク〟の速度をあげようとしたその時、突然現れた外套の男がスモーカー大佐を〝ビローアバイク〟ごと蹴り飛ばした。

 

 

ドゴオォン!!!

 

「グッ!?」

 

「何者だァ!!?」

 

 

倒れた〝ビローアバイク〟から立ち上がったスモーカー大佐は邪魔をした外套の男を見て怒鳴った。

 

 

「──悪いが彼らの邪魔をしないでくれると私も助かるのでね」

 

 

そう言った外套の男のフードが風でなびかれたことで顔が露になり、スモーカー大佐は思わず目を見開いた。

 

 

「お前はっ──!!?」

 

 

なぜならその男は本来この〝東の海〟にいるはずのない()()()()だったのだから。

 

 

ドゴオォン!!!

 

 

「突風!?」

 

 

「うおぉぉぉっ!?」ゴロゴロゴロ

 

 

「お!でっけぇマリモ(ゾロ)が転がって来たぞ」

 

 

「あひゃひゃひゃっ!!」(˵¯̴͒ꇴ¯̴͒˵)

 

 

「「∑笑ってる場合かァ!!!」」

 

 

スモーカー大佐が硬直した瞬間、人が簡単に吹き飛ばせられる程の突風が吹いてきた。

 

それと同時にゾロが突風により飛ばされたせいで転がって来た所を回収し、全員でメリー号に向かった。

 

 

「クソっ!ひでぇ目にあった!!」

 

 

「それにしてもあの男は何だったんだ?」

 

 

「知らね」

 

 

「・・・・・・」

 

(間違いない・・・あの気配の主はあの男だ・・・だが何故俺たちの味方を・・・まぁいい!)

 

「俺たちの敵じゃねぇならありがたく先へ行かせてもらおう!!」

 

 

ビルド(マカハゼ)は外套の男の好意を汲み、ルフィたちとナミたちが待つ西の港へ進んだ。

 

そんな〝麦わらの一味〟に外套の男は上機嫌に見送りの言葉を告げた。

 

 

「フフフ・・・・・・行ってこい!!それがお前のやり方ならばな!!!」

 

 

「なぜお前が〝麦わらの一味〟の味方をする!!〝()()() ()()()()()〟!!!」

 

 

「男の船出を邪魔する理由がどこにある?」

 

 

スモーカー大佐にドラゴンと呼ばれ、警戒されていた外套の男は笑いながら答えた。

 

 

 

 

 


 

 

〜1時間後〜

 

 

side:メリー号

 

 

〝始まりと終わりの町〟ローグタウンから無事逃げ切り、出航した〝麦わらの一味〟は荒れ狂う嵐の海を進んでいた。

 

 

「にしてもひでぇ嵐だ!」

 

 

「あと5分島を出るのが遅かったら完全に閉じ込められてたな!」

 

 

「ナミの天才的な気象センスとジョニーたち『八咫烏』のおかげだな!」

 

 

「「「イヤイヤイヤ〜〜!!!」」」(///∇///)ゞ

 

 

「それよりみんな見て!〝導きの灯〟よ!」

 

 

「〝導きの灯〟?」

 

 

ナミが指を指す方向を見れば、そこにはポツンと一塔の灯台が灯りを照らしていた。その灯台こそが〝偉大なる航路〟の入口が近い証であった。

 

 

「行っちゃう?」

 

 

「いっ行っちゃうってお前!わざわざこんな嵐の中を「よし!〝偉大なる航路〟に船を浮かべる〝進水式〟をするか」∑いや聞けよ!!!」

 

 

怯えながら後日にしようと進言するウソップをスルーして、サンジは大きい酒樽を持ってきて人数分の木槌をみんなに配った。

 

「俺は〝オールブルー〟を見つけるために!」コトッ!

 

 

「俺は海賊王に!!」コトッ!

 

 

「世界一の大剣豪に」コトッ!

 

 

「世界一の大剣豪を支える足になる為!!」コトッ!

 

 

「「同じく!!」」コトコトッ!

 

 

「私だけの世界地図を書くために」コトッ!

 

 

「おっ俺は〝勇敢なる海の戦士〟になる為に!!」コトッ!

 

 

「わっ私はこの〝麦わらの一味〟で成り上がるために!!(そして船長の〝お気に入り〟になる為に!!)」コトッ!

 

 

「俺は俺らしく生きる為に!!」コトッ!

 

 

「行くぞォ!!〝偉大なる航路〟!!!」

 

 

ガコォン!!!

 

 

木槌を持って己の野望を宣言した10人の〝麦わらの一味〟は一斉に酒樽を叩き割り、〝導きの灯〟を通り〝偉大なる航路〟の入り口へと向かった。

 

 

 

 

〜END〜




追加設定4


〝ボトルガントレット〟

マカハゼが作った対雑兵用の武器でボトルを装填すれば仮面ライダービルドに変身した時の専用武器がガントレットに現れる。

因みに作った理由は敵の大物や幹部じゃない雑兵相手にいちいち変身してたらキリがないと思っていたか。



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危険(デンジャラス)

side:メリー号

 

 

「〝偉大なる航路〟の入り口は…〝山〟よ!」

 

 

「・・・すまんナミ、お前がそこまで疲れてたとは思わなかった。あとは俺に任せて少し休んでろ、な?」

 

 

「∑あたしは至って正気よ!!!」(╬^∀^)

 

 

〝偉大なる航路〟の入り口が〝山〟と言ったナミにガチで心配したマカハゼにナミは思わず怒鳴った。

 

 

「私も〝海図〟見てまさかとは思ったんだけど・・・〝導きの灯〟が差してたのは間違いなく世界を縦に遮る大陸・・・〝赤い土の大陸(レッドライン)〟にある〝リヴァース・マウンテン〟」

 

 

ナミは海図をみんなに見せ、説明を始めた。縦に続く大陸〝赤い土の大陸〟と横に長い〝偉大なる航路〟・・・その2つに遮られるように〝東の海〟、〝西の海〟、〝南の海〟、〝北の海〟に分けられているのがこの世界の姿である。

 

そこから4つの海の角が〝偉大なる航路〟に挟まれた〝赤い土の大陸〟の大陸に×のような印がつけられていた。

 

 

「この印・・・まさか運河か?」

 

 

「そう!どうやらこの()()()()()()()()()()()()()()()()()()()みたいなの」

 

 

「「いやいやいやナミの姉貴!?」」

 

 

「うちも流石に信じられない・・・」

 

 

「ジョニーたちの言う通りだ!運河があろうが船が山を登れるわけねぇだろ!!」

 

 

「そう描いてあるんだから仕方ないでしょ」

 

 

「山を登るのか〜・・・〝不思議山〟だな!」

 

 

「でもなんでわざわざ山を?」

 

 

「そもそもあのバギーから奪った海図だろ?信用できるのか?」

 

 

「お前らナミさんを疑ってんのか!?」(°ㅂ°╬)

 

 

()()()()・・・流石にサンジとマカハゼを除いた信用出来ないクルーたちは疑問の嵐だった。

 

 

「第一何でそんな面倒な入り方をする?〝南〟に下って入れば楽だろ?」

 

 

「〝急がば回れ〟・・・〝偉大なる航路〟の入り口である〝リヴァース・マウンテン〟に入るより〝南〟に下る方が危険度が高いと俺は思うが?」

 

 

「マカハゼの言うと「あのー、嵐が止んだんですが・・・?」へ?」

 

 

ナミがマカハゼの言葉に賛同の声を上げかけたところに外を見てたハニークイーンが嵐が止んだことを伝えた。

 

 

「あ、ホントだ。青空満天じゃねぇか」

 

 

「だが向こうはまだでかい嵐・・・対してここは晴天?」

 

 

「風すら吹いてないよ?」

 

 

外に出てみればまるで室内にいるように風がなく、船の真後ろの海は先程と変わらない嵐だった。

 

 

「しまった・・・〝凪の帯(カームベルト)〟に入っちゃった!!」

 

 

「カームベルト?」

 

 

「急いでオールを出して!今すぐ嵐の方に戻るわよ!!」

 

 

「えぇ!?」×7

 

 

唯一現状を把握したナミは顔を引き攣り、直ぐに嵐に戻れと指示を出した。

 

 

「戻るってお前、何でまた嵐の中に!?」

 

 

「それに漕ぐってこれ帆船だぞ?」

 

 

「いいから漕ぐぞ。こんな風のない海、何も無い方がおかしいぜ」

 

 

「マカハゼの言う通りよ!」

 

「いいゾロ?この船はあんたの言う通り〝南〟に下っちゃったのよ!」

 

 

「へぇ・・・じゃぁここは〝偉大なる航路〟か?」

 

 

「こんな簡単に入れたら誰も苦労はしねぇよ」

 

 

「その通り!説明をしてなかったけど〝偉大なる航路〟を挟み込むように2つの海が存在しているの!!!」

 

「それが()()無風の海域、〝凪の帯〟!!!

 

 

(カーム)ねぇ・・・で?この海の何が危険なんだ?」

 

 

「要するにここはッ!?」

 

〝凪の帯〟の棄権を教えようとしたその時、突然凄まじい轟音と共に、船が激しく揺れだした。

 

 

「なっ何だ、地震か!?」

 

 

「ここは海だぞ!海震ならともかくそんなのあるわけねぇだろ!?」

 

 

「・・・下を見てみろよ。理由が分かるぞ」

 

 

しばらく棒立ちになった一同は船の下を覗いていたマカハゼの言う通りに下を見れば軽く100mを超える水棲生物の大群が海から顔を出していた。

 

しかもその一匹の顔の上に乗っており、下手に動けば木っ端微塵になるのは目に見えていた。

 

 

「・・・・・・・・・っ!!!」×8

 

 

「大型海王類の・・・巣なの・・・」(╥﹏╥)

 

 

「こういうのはもっと早く言ってくれ・・・」

 

 

「ごめん・・・」(╥﹏╥)

 

 

流石のルフィたちもこの事態に言葉を飲んだ。幸いなのは船が海王類の鼻先に乗っていることで顔をキョロキョロさせるだけだった。

 

 

「いっ言いな、とにかく!こいつが海に潜った瞬間に全力で漕ぐんだ!!」

 

 

「おっおう!!」

 

 

大型海王類が次々と潜っていき、船が乗った最後の1匹が運悪く盛大にクシャミをしてしまった。

 

 

「・・・ンイッ・・・キシッ!!!」

 

 

「∑えぇ~〜〜っ!!?」×9

 

 

「魚がクシャミするんかい!!!」

 

 

まさかの事態に船は嵐の海まで吹っ飛び、マカハゼもツッコミを入れたが何とか着水して無事に戻ってこれた。

 

 

「・・・これでわかった?なんで入口にしか入っちゃダメなのか?」

 

 

「あぁ・・・わかった・・・」

 

 

「・・・・・・・・・・・・わかった・・・」

 

 

「なるほど、だから山から入る訳か・・・」

 

 

「まだ言ってんのかよお前ら・・・」

 

 

ナミとマカハゼは何故山から入るのか理解し、みんなに説明を始めた。

 

 

「〝海流〟だよ。4つの海のでかい海流が〝リヴァー・マウンテン〟の運河から頂上までかけ登ってぶつかり、そのまま〝偉大なる航路〟へと流れて行く!」

 

「しかも船はその海流に乗っちまったから後は舵次第だ」

 

 

「〝リヴァース・マウンテン〟は()()だからぶつかった海流は深層に潜る。誤って壁にぶつかれば船は大破し、私たちも海の藻屑になる・・・わかった?」

 

 

「よーするに〝不思議山〟か!」どーん

 

 

「あんたはそれでいいわよ・・・」┐('` ;)┌

 

 

「流石ナミさん、すげぇ〜ぜ❤」

 

 

「俺もいますが?」

 

 

女の言葉は絶対のサンジはナミを称賛し、マカハゼをスルーした。

 

頭のいい2人の言葉に一同は納得したがゾロだけは未だに信じきれなかった。

 

 

「俺はどうも信じられねぇよ・・・船が山を越えるなんて」

 

 

「〝「ありえない」なんてことはありえない〟・・・ある物語のキャラの言葉だ」

 

「お前らからすれば〝宇宙人〟が実在することがありえない、俺からすればただの人間が果実1つで能力を得ることなんてありえない」

 

「しかし現実に俺という〝宇宙人〟がここに居て、果実1つで能力を得た人間が2人もいる!」

 

「これから先に起こることは全て現実で、紛れもない事実!!その証拠がもう目の前にあるぜ?」

 

 

マカハゼが船の前を見るように促し、一同は振り返った。

 

 

「〝不思議山〟が見えたぞ!!!」

 

 

「ちょっと待て!その後ろにあるでかい影はなんだ!!!」

 

 

興奮するルフィの横でウソップは巨大ななにかに気づき、声を上げた。

 

それを見た一同は絶句した。左右を見ても果てがなく、上を見れば大陸が雲を突きぬけて見えなくなっていた。

 

 

「あれが〝赤い土の大陸〟!雲でてっぺんが見えねぇ!!!」

 

 

「吸い込まれるぞ!!!しっかり舵を取れぇ!!!」

 

 

「「「ガッテン!!!」」」

 

 

「こんなに大きいなんて・・・!」

 

 

「すごい」

 

 

「ウソだろ・・・本当に海が・・・山を登ってやがる・・・」

 

 

「まさに大自然の力・・・」

 

 

視線の先には河から海に流れるのとは逆に海から河で山を登っていた。その河には10もある立派なもんが設置していた。

 

 

「こりゃ少しでもズレたらお陀仏だな」

 

 

「もう少し右だァ!面舵いっぱ」

 

 

ボキィッ!!

 

 

「・・・〝ボキィ〟?」

 

 

「おいまさか・・・(汗)」

 

 

「ごめんみんな〜〜っ!!」(இДஇ )

 

 

「「舵が折れましたァ〜っ!!」」(ノД`)

 

 

「えぇ~〜〜っ!!」×7

 

 

舵が折れるというまさかの事態が起こり、制御不能となったメリー号は少し左にずれた門の角に直撃のコースへ向かった。

 

 

「やべぇ、このままじゃぶつかる~〜っ!!」

 

 

「ルフィ!!」

 

 

「〝ゴムゴムの〜風船〟っ!!」ボヨン!

 

 

マカハゼの合図で風船状に膨らんだルフィは門とメリー号の間に挟まれることで衝撃を吸収し、ゴムの弾力で門の真ん中まで弾いた。

 

 

「助かったァ〜〜っ!!」×7

 

 

「ナイス弾力!!」グッ!

 

 

「掴まれぇ、ルフィ!!」

 

 

「おう!!!」

 

 

なんとかメリー号の大破を防いだルフィはゾロの手を掴み、メリー号に戻った。

 

 

「入ったァ〜〜〜っ!!!」×10

 

 

最初の難関を突破した一味はそのまま頂上まで登り、5つあるうちの下へ流れる運河へ下って行った。

 

 

「入るぞ〜!〝偉大なる航路〟っ!!!」

 

 

───ブオォォォ!!!!

 

 

「ん?なんだ今の音は?」

 

 

「風じゃない?変わった地形が多いいのよきっと」

 

 

「風にしちゃ随分と太い音だが・・・?」

 

 

「ナミさん山だ!正面にでかい山がある!!」

 

 

「山?ここを抜けたら1面海よ!山なんてあるわけ・・・」

 

 

「いや・・・ありゃぁ山じゃねぇよ」ヒクッ

 

 

「へ?」

 

 

下流先に見えるでかい何かに気づいたマカハゼは顔を引きつらせながら一同にその正体を伝えた。

 

 

「あれは・・・クジラだァ!!!」

 

 

───ブオォォォ!!!!

 

 

「えぇ~〜〜っ!!!」×9

 

 

〝一難去ってまた一難〟・・・〝麦わらの一味〟の受難は始まったばかりであった・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜END〜



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〝声〟

side:メリー号

 

 

山のようにでかいクジラが下流先にそびえ立っている事で出口を塞がれた形になったメリー号はこのままでは海の藻屑になるのは目に見えていた。

 

 

「大型海王類の群れの次は巨大クジラ!?どうなってんだよ〝偉大なる航路〟!!?」

 

 

「どうすんだよ!戦うか!?」

 

 

「無理ですルフィ船長!!大きすぎて倒せません!!!」

 

 

「それに進路を塞がれちまってやす!!このままだと衝突は免れやせん!!!」

 

 

「まず目はどこにあるんだよ!?」

 

 

「∑そうか!大きすぎるからこっちにまだ気づいてないんだ!!」

 

 

「それならやりようはある!」

 

 

カシャカシャカシャカシャ!

 

カチン!カチン!

 

《タカ!》《ロケット!》

 

 

グルグルグルグル!

 

《Are You Ready?》

 

 

「変身!!」

 

 

ガシィーン!!

 

 

ビルド(マカハゼ)はベストマッチ形態じゃない亜種形態〝トライアルフォーム〟のタカロケットに変身したビルド(マカハゼ)はメリー号の船首部分に飛行した。

 

そして船本体に掴まり、タカの飛行能力とロケットの推進力で船の速度を落とそうと試みた。

 

 

「うおぉぉぉ!!!!」

 

 

「お願いマカハゼ!!頑張ってェ!!」

 

 

「踏ん張ってくれぇ〜〜!!」

 

 

「舵が折れてても根元はまだ使えるはず!なんとか隙間から逃げるぞ、お前らも手伝え『八咫烏』!!」

 

 

「「「ガッテン!!!」」」

 

 

ゾロたち『八咫烏』も何とか危機を脱しようと折れた舵を取り舵に変えていた。

 

 

「とまれぇ〜〜っ!!」×5

 

 

「うおぉぉぉ!!!!」×5

 

 

バキッ・・・ゴト・・・ッ!!

 

 

しかしその代償としてメリー号の船首が折れ、甲板まで飛んでいった。

 

 

「∑俺の・・・特等席が・・・っ!!」ガガーン!!

 

 

 

 

 


 

 

side:ビルド(マカハゼ)

 

 

ぶつかりはしたがなんの反応も示さないクジラに難を逃れたとビルド(マカハゼ)は解釈した。

 

 

「被害が船首だけで済んだのは・・・不幸中の幸いか・・・!」

 

 

最悪の事態を防げたビルド(マカハゼ)はすぐみんなの元に戻り、移動するように促した。

 

 

「ボサっとするな!直ぐにオールであの隙間から脱出だ!!」

 

 

「「「全力で漕ぎます!!!」」」

 

 

「何であいつは動かねぇんだ!?ぶつかったことに気づいてねぇのか!?それともトロイのか!?」

 

 

「その議論はあとだ!とにかく今は少しでも遠くに逃げるぞ!!!」

 

 

巨大なクジラが止まっている好きにオールで漕いで脱出を図る〝麦わらの一味〟。しかしまたもクジラの遠吠えが始まった。

 

 

───ブオォォォ!!!

 

 

「ぐおぉぉ耳がァっ!!」

 

 

「今は耐えろ!一刻も早くここから抜けるんだ!!」

 

 

「ちょっと待って!ルフィ船長は何処に!?」

 

 

全員が全力で漕いでる中、ハニークイーンはルフィが漕いでない事に気づいた。

 

 

「おいお前!!」

 

 

気づけばルフィは折れた船首部分におり、クジラの巨大な目を睨みつけていた。

 

 

「お前・・・一体俺の特等席に・・・!!」

 

 

「おいルフィお前まさか・・・っ!!?」

 

 

嫌な予感を感じたビルド(マカハゼ)は止めようと声をかけるが時すでに遅し。

 

 

「何してくれてんだァーーっ!!!」ドゴオォン!!

 

 

「∑お前が何してくれてんだーーっ!!」ガーン!!

 

 

「アホォーーっ!!!」(ꐦ°д°)×8

 

 

ルフィのとち狂った行動に誰もが嘆いたが既にクジラは自分たちを睨んでいた。

 

 

───ギョロッ!!

 

 

「∑こっち見たァーーっ!!」

 

 

「かかって来いコノヤロォ!!!」

 

 

「頼むからもう黙れぇっ!!!」ドガッ!×7

 

 

まだクジラを怒らせようとするバカ(ルフィ)を男たちは蹴飛ばしたが既にクジラは動いており、口を大きく開いて自分たちが乗っている船ごと飲み込み始めた。

 

 

「うわぁぁぁっ!!!」

 

 

「ルフィ!!?」

 

 

クジラの飲み込むことで生じた激流の衝撃でルフィだけ外に投げ出されてしまった。

 

 

「今助けに」ツルッ!「ホボォッ!!」ドシャッ!!

 

 

「えぇ~〜、カッコ悪っ!!!」Σ(゚д゚;)×8

 

 

ビルド(マカハゼ)はルフィを助けに飛ぼうとしたが足を滑らせてしまい、顔から転んでしまった。

 

そのままルフィを除いた〝麦わらの一味〟はクジラの中に吸い込まれていった。

 

 

 

 

 


 

 

side:クジラの(なか)

 

 

「・・・どう思う?」

 

 

「どうって・・・俺たちクジラに飲み込まれたよな?」

 

 

「でもこれ・・・()()()()()ですけど?」

 

 

ゾロが呟き、サンジが経緯を確認し、ハニークイーンが現実を指摘した。

 

飲み込まれた先には満点の青空と鋼鉄の巨大な扉がぽつんと建っていた。その他には小さな一軒家の島が漂っていた。

 

 

「もしかして俺たち死んじまったのか?」

 

 

「バカ!紙一重で生きてるよ!!」

 

 

「これは全部現実だ。事実今汲み上げたこの液体は海水じゃなく胃酸出しな」

 

 

「や〜め〜ろ〜!!!」

 

 

「現実を見せないでぇ〜〜っ!!」

 

 

ビルド(マカハゼ)はバケツで汲んだ液体を確認した事でウソップとナミは泣きわめた。

 

 

───ザバァァン!!!

 

 

すると胃液の中から白い巨体が現れ、メリー号の前に立ち塞がった。

 

 

「「大王イカだァっ!!!」」

 

 

メリー号よりデカい大王イカが自分たちを獲物と捉え、狙いを定めた。

 

それを迎撃しようとゾロとサンジとビルド(マカハゼ)と『八咫烏』が身構えた瞬間、大王イカが後ろから3つの銛で穿かれた。

 

その銛は胃液に浮かぶ島の一軒家の中から出ており、その威力や正確さからかなりの実力者だと分かる程だった。

 

 

「人は居るみたいだな・・・」

 

 

()だといいがな」

 

 

「言ってる場合か?」

 

 

「「「・・・・・・っ」」」ゴクっ!

 

 

「いっ今のうちに大砲で吹っ飛ばすか!?」

 

 

「こっちに何にもしてないのに撃つバカがあるか?」

 

 

「待て!誰か出てきたぞ!!」

 

 

ウソップがはやまる前にビルド(マカハゼ)が宥め、一軒家から誰か出てくる事にサンジが気づいて声を上げた。

 

 

「∑花だ!!」

 

 

「花ァ!?」

 

 

「いや違う!人だ!!」

 

 

「あの爺さんが大王イカを仕留めたのか?」

 

 

「気を付けな。俺ならともかくお前らじゃまだ勝てん・・・あと20年若かったら俺ともいい勝負が出来てたかもな」

 

 

「∑そこまでか!?」

 

 

〝麦わらの一味〟最強の男が賞賛するほどの老人・・・誰もが息をのみその場を動けなかった。

 

しかし老人はそんな〝麦わらの一味〟を見つめながら仕留めた大王イカを引き揚げ、デッキチェアに座りながら新聞を読み始めた。

 

 

「∑なにか言えよてめぇ!?」(°ㅂ°╬)

 

 

なんの反応も示さない老人にサンジは思わず怒鳴った。しかし器がでかいのかのんびり屋なのか老人は落ち着いていた。

 

 

「なっなんか言えコノ野郎!!こっちには大砲があるんだぞ!!!」

 

 

「やめておけ、死人が出るぞ?」ギロっ!

 

 

「・・・その死人ってあんたか?」

 

 

「その通りだ」ドーン

 

 

「∑マジで吹っ飛ばすぞ、クソジジイっ!!」

 

 

ビルド(マカハゼ)の質問にあっさり答えた老人にウソップは思わずキレてしまった。

 

 

「まぁ落ち着いてください!」

 

「おじーさん!あなたは誰でここはクジラの体の中何ですか!?」

 

 

「・・・人の名を聞く時はまず自分からが常識ではないかね?」

 

 

「すっすいません!私は「私の名はクロッカス。〝双子岬〟の灯台守をやっている者だ。歳は71で双子座のAB型だ」あのおじーさん窒息死させていい!?」( `言´ )

 

 

「落ち着け、ハニークイーン(汗)」

 

 

老人──クロッカスのマイペースに殺意を抱いたハニークイーンをビルド(マカハゼ)は落ち着かせた。

 

クロッカスはハニークイーンの質問をちゃんと聞いていたのか素直に答えてくれた。

 

 

「その娘さんが言うようにここはクジラの腹の中だ。こんな危険な場所がリゾートな訳がなかろう?」

 

 

「なるほど・・・ならあの鋼鉄の扉がここから出るための通路があるのか?」

 

 

「そうだ。出たいならそこから通るといい」

 

 

「ありがたくそうさせてもらっ!」ズズゥゥン!

 

 

突然クジラの胃袋が荒れ始め、メリー号や孤島の鉄の船が波に揺れ始めた。

 

 

「始めたか・・・」

 

 

─────っ!!

 

 

ズキッ!「何だ・・・っ!?」

 

 

ビルド(マカハゼ)は突然来た頭痛と共に声のような何かが聞こえた。

 

その声はまるで1人で親の帰りを待つ小さな子供の叫びのようだった。

 

 

「一体今のは・・・?」

 

 

「おい!このクジラが何を始めたってんだ!?」

 

 

「・・・この〝赤い土の大陸〟に()()()()()始めたんだ!!!」

 

 

「∑何ィっ!?」

 

 

ウソップの問にアッサリと答えたクロッカスは胃酸の海へ飛び込んだ。

 

 

「そう言えばあのクジラ・・・頭にすごい傷が沢山あった・・・それに空に向かって吠えてた!」

 

 

「それがどうしたんだよ?」

 

 

「苦しんでるのよ・・・!!」

 

 

「そうか!!!・・・それが狙いか、あのジジイ!!!」

 

 

「なんて惨いやり方を・・・!!!」

 

 

「謎が解けたらさっさとここから出るぞ!長く居たら俺達も消化されちまう!!」

 

 

「他人の捕鯨にとやかく言うつもりはねぇし、クジラを助ける義理もねぇ!脱出しよう!!」

 

 

「・・・・・・・・・」

 

(苦しんでる・・・ねぇ?)

 

 

ナミの考察を聞いていたビルド(マカハゼ)は少し違うと考えていた。

 

ビルド(マカハゼ)から見たクロッカスはわざわざクジラの体の中で待たず、外で待っていればいい。しかしあの様子からして狂気は感じなかった。むしろクジラを気遣うような素振りしか感じなかった。

 

何より気になったのは頭痛と共に聞こえた声だった。恐らくあの声はクジラの声だった可能性は高かった。

 

あの時ビルド(マカハゼ)が聞こえた声は誰かの帰りを待ち望み続ける悲痛な声だった。

 

 

────何処にいるの?早く僕もみんなの所に行きたいよ!!

 

 

 

 

 

 

〜END〜



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ラブーン

side:ビルド(マカハゼ)

 

 

バァーーン!!

 

 

「「「あぁぁぁぁぁぁ!!!」」」

 

 

「!?」×9

 

 

「マズイぞMs.ウェンズデー!下は胃酸の海だ!!」

 

 

「いやァーーーーっ!!」

 

 

「何やってんだルフィ!!」

 

 

「おお!みんな無事だったか!!とりあえず助けてくれ!!!」

 

 

ザブゥゥン!!!

 

 

荒れていく胃酸の海の中、鋼鉄の巨大な扉から何故かルフィと知らない男女が飛んで来て胃酸の海に落ちていった。

 

 

「じいさんも行っちまったし・・・とりあえず全員引き上げておくか?」

 

 

 

〜引き上げ中〜

 

 

 

「クジラの暴走が治まった・・・?」

 

 

「それよりどうすんだよ、コイツら?かなり怪しいぞ」

 

 

クジラの胃酸の海が静まっていき、ルフィを引き上げた〝麦わらの一味〟は何故か一緒に飛んで来た謎の男女に訝しげな目を向けていた。

 

 

(ミッMr.9コイツら海賊よ!?)

 

 

(わっ分かっているMs.ウェンズデー!話せば彼らも理解して)

 

 

「私の目が黒いうちはラブーンに指一本触れさせんぞ!!!」

 

 

「「!?」」

 

 

「戻ってきた・・・」

 

 

「誰だ?あのじいさん??」

 

 

「フフフッ!」

 

 

「残念ながら我らは既にクジラの腹の中だ・・・」

 

 

「「この胃袋に風穴を開けることだって出来るぞ!!!」」ドウン!!

 

 

「ゴロツキがッ!!」

 

 

ボゴォン!!!

 

 

クロッカスは謎の男女が放ったバズーカーの砲弾を自らのからだで受け止め、胃酸の海に落ちていった。

 

 

「あのじいさん自分から砲撃を!?」

 

 

「まさか・・・クジラを守ったの!?」

 

 

「やっぱこのクジラはじいさんの家族か・・・!」

 

 

クロッカスの自己犠牲に驚くウソップとナミをよそにビルド(マカハゼ)は1人納得していた。クロッカスの言動と雰囲気はこのクジラをしているからこそのものだったからだ。

 

 

「オホホホッ!無駄な抵抗はやめなさい!!」

 

 

「このクジラは我らの食料になるのだか」

 

 

ガゴンッ!!

 

ドサッ!

 

 

「何となく殴った!!」どーん!

 

 

「・・・・・・・・・・・・」×10

 

 

状況を全く理解していないルフィが謎の男女をシバキ倒したことで一先ずこの場は治まった・・・。

 

 

 

 

 


 

 

side:孤島の一軒家

 

 

「───このクジラは〝アイランドクジラ〟。本来〝西の海〟にのみ生息する世界一でかいクジラだ名はラブーン」

 

 

謎の男女を縛った〝麦わらの一味〟はクロッカスの家に上陸し、手当をしながらラブーンの話を聞いていた。

 

 

「このゴロツキ共は近くの町の人間でな、食糧捕獲のためにラブーンを狙っている。そりゃあこいつの肉は軽く2、3年分は持つからな。だが私がそれをさせん!!!」

 

 

「随分とクジラ想いだな・・・なら何で〝赤い土の大陸〟に頭突きしたり吠えたりしてんだ?」

 

 

「───〝大海賊時代〟と呼ばれる前の話だ・・・ある日いつもの様に灯台守をしていると気のいい海賊たちが〝リヴァース・マウンテン〟を小さなクジラと共にやって来た・・・その小さなクジラがラブーンだ」

 

 

クロッカスは昨日の事のように語りながら懐かしそうな顔をしていた。

 

 

「彼等は〝西の海〟で群れにはぐれたラブーンと共に航海をしていたらしい。本来〝アイランドクジラ〟は群れで生きる動物だが、ラブーンにとっての群れは海賊たちだった」

 

 

「見ず知らずの迷子犬ならぬ迷子クジラの保護・・・随分とお人好しな連中だったんだな」

 

 

「あぁ・・・嵐の海の中を進んでいた為船はあちこちが傷ついていた。彼等はこの岬で数ヶ月停泊したから私も随分と仲良くなった。そして彼等が旅たつときに私に頼み事をした」

 

 

───2~3年ほどこいつを預かってくれ。俺たちは世界を一周して必ず戻る!!

 

 

「ラブーンもそれを理解し、私たちは今も彼等をここで待ち続けている」

 

 

その話を聞いた〝麦わらの一味〟はラブーンの頭の無数の傷に納得した。あれは〝赤い土の大陸〟の向こうにいるはずの仲間たちに1秒でも早く再会する為にぶつけてできたものだと。

 

 

「だから〝赤い土の大陸〟に向かって吠え続けてたんだ・・・」

 

 

「なるほど・・・だからあんなに哀しそうだったのか」

 

 

()()()()?」

 

 

「どういう訳かラブーン(あいつ)の遠吠えが〝声〟に聞こえたんだよ。〝何処にいるの?〟ってな」

 

 

「はぁ〜そんな事もあるんだなぁ〜・・・」

 

 

「・・・・・・」

 

 

話を聞いたクロッカスはマカハゼを静かに見ていた。その目はまるで()()()()()と言うように・・・

 

 

「だがこの大きさや傷の多さから2~3年じゃすまねぇぞ?軽く数十年は超えてるぜ」

 

 

「あぁ・・・もう・・・5()0()()も昔の話だ・・・」

 

 

「!!?」×9

 

 

〝麦わらの一味〟の面々は驚嘆した・・・待ち続けるにはあまりにも長く、残酷な時間だった・・・。

 

 

 

 

 


 

 

side:双子岬

 

 

 

ザバァーン!!

 

 

「∑うばっぶ!!なっ何だ!!?」

 

 

「∑いっ胃酸の海!!?」

 

 

「いや普通にただの海水だよ」

 

 

若い頃に船医をやっていたクロッカスの手で少し改造したラブーンの体内を渡って外に出た〝麦わらの一味〟は捕まえていた怪しい男女を海に投げ捨てた。

 

 

「ほっ本当にただの海水だ・・・!」

 

 

「どうやらあの海賊たちにノされてたみたいね、Mr.9・・・!!」

 

 

「で?結局お前らなんだったんだよ?」

 

 

「俺には見た目通りのアホとしか分からんかったわ」

 

 

「∑アンタらには関係ないわよ!!!」ヽ(`Д´)ノ

 

 

マカハゼにアホと言われた怪しい男女のMs.ウェンズデーは思わず怒鳴ったがMr.9は冷静に諌めた。

 

 

「待てMs.ウェンズデー!こいつらが海賊である限り関係大ありだぜ!!」

 

 

「それもそうねMr.9、()()()にとっては大ありね。覚悟なさい!!!」

 

 

「必ず思い知らせてやるぜェー!!!」

 

 

「「バイバイベイビー!!」」

 

 

バシャバシャバシャバシャ!!

 

 

「・・・結局ただのアホだったな(汗)」

 

 

怪しい男女が捨て台詞を吐いて泳いでいくのを見届けた〝麦わらの一味〟はメリー号を停泊させ、クロッカスから話の続きを始めた。

 

 

───ブオォォォォォ!!!

 

 

「それにしても50年か・・・その海賊たちとの絆はそれだけ深かったのか」

 

 

「だがよ・・・そんだけ待っても来ねぇって事は・・・」

 

 

「俺も紙一重でそう思っちまったぜ・・・」

 

 

「言い淀むなヨサク、ジョニー・・・もう既に答えは出てんだ」

 

「死んでんだよ・・・この〝偉大なる航路〟で50年も帰ってこないって事はそういう事だ・・・!!」

 

 

言い淀んだヨサクとジョニーの代わりにサンジが事実を突きつけた。ウソップはそれを咎め、別の可能性を指摘したがクロッカスは否定して現実を教えた。

 

 

「なんで夢のない事を言うんだお前は!?まだ生きてるかも知れねぇだろうが!!泣ける話だろうが・・・仲間を信じて50年も待ち続けるクジラなんて」

 

 

「だが事実は想像より残酷なものだ」

 

 

「へ?」

 

 

「彼らは逃げ出したのだ・・・この〝偉大なる航路〟から・・・確かな筋の情報で既に確認済みだ」

 

 

「!!?」×9

 

 

「なっなにィ!?」

 

 

「にっ逃げたってあの〝凪の帯〟から!?このクジラを見捨てて!!?」

 

 

「そうとも・・・・・・故に生死すら不明。だがたとえ生きていたとしても二度とここに戻ってこない」

 

「季節・天候・海流・風向きの全てがデタラメに巡るこの海には一切の常識は通用しない」

 

「〝偉大なる航路〟の恐怖は弱者の心を支配する」

 

 

「──そして弱い心に支配されたそいつらは約束の落とし前をつけずにこの海からとっととズラかったって訳か」

 

 

クロッカスから事実を聞いたサンジは気分が悪そうに顔を顰めながらタバコの火を消した。

 

 

「見捨てたのこのクジラを!50年も信じて待ってたのに!?」

 

 

「だったら教えてやれよ爺さん。人の言葉が理解できない訳じゃないんだろ?」

 

 

「話したさ・・・包み隠さずに全てな・・・」

 

 

クロッカスは全てを話していた・・・2~3年すぎても来なかった時に・・・船医として情報を集め終えた時に全て。

 

しかしラブーンは理解するどころか拒絶するように吠えて暴れていたと言う。

 

 

「───それ以来だ・・・〝リヴァース・マウンテン〟に吠え始めたのも・・・〝赤い土の大陸〟に頭をぶつけ始めたのも・・・」

 

 

「なるほど・・・()()()()が無くなるから始めたのか・・・」

 

 

「〝()()()()〟?」

 

 

「〝待つ〟って事は理由があるから意味がある。サンジの飯ができるのを待つのは美味いから、新聞が来るのを待つのは新しい情報が載っているから、病院で入院している恋人を待つのは絶対に治って戻って来ると信じているから・・・そういった理由があるから〝待つ〟事に意味があるんだ」

 

「だがラブーンの待つ海賊たちはもうここに来ることはない・・・ラブーンにとっての群れは海賊たちで故郷の〝西の海〟にはもう帰れない・・・何より事実を受け入れたら最後、〝待つ意味〟は完全に無くなり〝待つ〟事で保ってきた希望が消えて心が壊れるとラブーンは本能で理解してるんだ」

 

 

「───お前の言うとうりだ・・・あの頭の無数の傷を見ろ。このまま〝赤い土の大陸〟にぶつけ続ければ間違いなく死ぬ」

 

「妙なつき合いだが50年も一緒にいれば情も湧くし、わたしも弟のように思っている。今更見殺しには出来るか!」

 

 

「・・・・・・・・・・・・」×8

 

 

クロッカスの話とマカハゼの考察を聞いた〝麦わらの一味〟は裏切られて尚50年も帰りを待ち続けるラブーンに同情していたが言葉に出来なかった。

 

だからこそみんな気付くことに遅れてしまった・・・〝麦わらの一味1のバカ〟が既に行動に移していたことに・・・。

 

 

「うおぉぉ〜〜〜〜!!!」

 

 

〝麦わらの一味1のバカ〟ことモンキー・D・ルフィが大きなものを抱えながラブーンを駆け上がっていた。

 

 

「は!?」

 

 

「!」

 

 

「あいつはまた何やってんだ?」

 

 

「目を離した隙に・・・」

 

 

「それよりアレはメリー号のマストじゃねぇか?」

 

 

「そう。俺たちの船のメインマストっ∑て船壊してんじゃねぇよ!!!?

 

 

みんなが気づいた時には既にルフィはラブーンの新しい傷がある頭のてっぺんに登りきり、へし折ったメインマストを高く伸ばした。

 

 

「〝ゴムゴムの〜〜生け花ァ〟!!!」

 

 

ブスゥ!!!

 

 

───・・・・・・・・・!!!

 

ブオォォォォォ!!!

 

 

 

「何やっとんじゃお前はァ〜〜〜〜!!!!!」(╬ ゚Д゚)×10

 

 

「・・・・・・この世界転職サイトとかあったっけ?」ボソッ

 

 

バカ(ルフィ)のせいでラブーンが暴れた事でクロッカスを含めた〝麦わらの一味〟は怒鳴り上げ、マカハゼ思わず現実逃避をしてしまったのは仕方ないことであった・・・。

 

 

 

 

 

 

〜END〜

 

 



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記録指針(ログポース)

side:双子岬

 

 

「うぁぁぁ〜〜ぶつかるぅ〜〜!!!」

 

 

ドゴオォン!!!

 

 

「∑おい小僧ォっ!!!」

 

 

「危ないおじーさん!!ルフィ船長は潰れても死なないから大丈夫よ!!!」

 

 

ルフィにへし折ったメインマストをまだ新しい傷に刺されたラブーンは怒りのまま岬の岩礁に頭突きを食らわせた。

 

 

───ブオォォォォォ!!?

 

 

「へへへっばーか!」

 

 

しかしまだ新しい傷が広がったままの攻撃でラブーン自身もダメージを負ってしまい、ルフィにバカにされてしまった。

 

ルフィにカチンときたラブーンは頭を振ってルフィを吹き飛ばしたが体勢を立て直され、自信の目に攻撃を受けてしまった。

 

 

「何のつもりだあのバカ・・・?」

 

 

「クローズに変身もせずに・・・圧殺されないとはいえ限界が来るぞ!」

 

 

その後も4、5回程攻撃と反撃が繰り返された事でルフィはボロボロなり、ラブーンもダメージが蓄積されていたがそれでも攻撃を繰り出そうとした。

 

 

「引き分けだ!!!!」

 

 

───!!? ピタッ!!

 

 

しかしルフィは突然引き分けと宣言し、ラブーンを止めた。

 

 

「俺は強いだろうが!!!!」

 

 

───?

 

 

「俺とお前の勝負はまだ着いてないから・・・また戦わなきゃならない!!!()()()()()()()()()()()・・・俺はお前のライバルだ!!!」

 

 

「(あぁそういう・・・)粋なことをしやがる・・・」

 

 

マカハゼはルフィの一連の奇行の答が自分がラブーンの生きる理由なる為だと言うことに気付いた。

 

 

「俺たちが〝偉大なる航路〟を一周したらまたお前に会いに来るから・・・その時はまた喧嘩しよう!!!」

 

 

──────ポロッ!!!

 

 

50年の長い時間で心に余裕が無くなって来ているラブーンにとってこれ程心に響く言葉はない・・・ラブーンは新たに生きる希望(理由)を手に入れた。

 

 

───ブオォォォォォ!!!

 

 

ルフィに応えるように吠えたラブーンの咆哮はマカハゼ以外の者たちの耳にも歓びの様に聞こえていた・・・。

 

 

 

 

 


 

 

side:メリー号

 

 

トントンカンカンカントンカントンカン♪

 

 

「にしてもルフィの奴、ラブーンの為とはいえ船をバキボキ壊しやがって!!マカハゼはともかく俺は船大工じゃないんだぞ!!!」

 

 

「言っとくが俺も武器作りは出来るが船大工は専門外だからな?」

 

 

「「追加の資材を持ってきましたー!!」」

 

 

ラブーンのの件が決着した〝麦わらの一味〟はそれぞれの時間を過ごしていた。ルフィはラブーンの頭に誓のマークを描き、ハニークイーンはその手伝いを、サンジは食事の準備を、ナミは今後の航海の計画を立てていた。

 

マカハゼとウソップはヨサクとジョニーに手伝ってもらいながらルフィがへし折ったメリー号のマストの修理をしていた。

 

ちなみにゾロはカッコウに膝枕をしてもらいながら熟睡していた。

 

 

「戦闘員に航海士に料理人に狙撃手に参謀・・・結構な人材がこの一味にいるがはっきり言ってまだ足りねぇな」

 

 

「まだ足りねぇのか?」

 

 

「〝船医〟と〝船大工〟だよ。このまま〝偉大なる航路〟を航海してたら病にかかった時に俺たちじゃ処方が出来ないし船の管理も俺だけじゃ見きれ「あーーーーーーっ!!!」∑うるせぇよ!?」

 

 

ナミの悲鳴の様な絶頂を聞いたマカハゼはウソップの説明を切り上げ、ナミがいる灯台の外の机の所へ向かった。

 

 

「なっ何事なの!?」

 

 

「うるせぇーなぁ〜、いきなりどうしたんだお前?」

 

 

「何事っすかナミさん!?お食事の用意なら出来ました❤」

 

 

「「飯だァ〜!!!」」

 

 

「何かを壊しちまったのか?」

 

 

「こ・・・羅針儀(コンパス)が壊れちゃった・・・!!!方角を示さない!!!」

 

 

ナミの持っていた羅針儀を見れば確かに指針が狂ったようにグルグル回るだけで確かな方角を全く示さなくなっていた。

 

 

「いや・・・壊れたって言うより・・・まるで羅針儀の周りに沢山の磁石が置いてあるような感じで回っているな?」

 

 

「お前たちは()()()()()()ここへ来たのか・・・随分と命知らずだな」

 

「言ったはずだ、この海に一切の常識は通用しないと!」

 

 

〝麦わらの一味〟の様子を見ていたクロッカスは呆れた様子で羅針儀の現象を教えてやることにした。

 

〝偉大なる航路〟にある島々が多くの鉱物を含めている為、航路全域に磁気異常が常に発生している上に〝偉大なる航路〟の海流や風には恒常性が一切ない。

 

何も知らずに〝偉大なる航路〟に来た者は観るべき方角や乗るべき海流を見失い、確実に死ぬらしい。

 

 

「し・・・・・・知らなかった」

 

 

「∑知らなかったってそりゃマズイだろ!?」

 

 

「知らないナミさんも素敵だ!!!」

 

 

「ドンマイ」

 

 

「∑ソコうっさい!!!」( º言º)

 

 

「以上の点から〝偉大なる航路〟を航海するには〝記録指針(ログポース)〟という()()()()する特殊な羅針儀が必要だ」

 

 

「そんな物があるの!?」

 

 

「変な羅針儀なのか?」モグモクッ

 

 

「まぁ形は特殊だな」

 

 

「それってこんなのか?」モグモクッ

 

 

「そうそれだ」コクッ

 

 

話を聞きながら食べていたルフィが出した手の中には球状方のガラスが付いた腕輪で、中には糸にぶらさがった指針が入っていた。

 

 

「その〝記録指針〟が無ければこの海の航海は不可能だ。まぁこの〝偉大なる航路〟の外で入手は困難だがな」

 

 

「なるほど」

 

 

「でもちょっと待って」

 

 

「「何でお前/あんたがそれを持ってんだよ!!?」」

 

 

バコン!!!

 

 

「∑へぶぅ!!!」

 

 

何故か〝記録指針〟を持っていたルフィにマカハゼとナミは思わずどついてしまった。

 

 

「これはあの二人が落としてったんだよ」

 

 

「そうなのか?」

 

 

「何で殴ったんだよ?」

 

 

「「ノリよ/だ」」

 

 

「ノリか?」

 

 

「∑いや軽い!!!」

 

 

 

〜取り付け中〜

 

 

 

「これが〝記録指針〟・・・なんの地盤も無い・・・」

 

 

「〝偉大なる航路〟に点在する島々はある法則にしたがって磁気を帯びていることが分かっている」

 

 

「なるほど・・・つまり島と島を繋ぐ磁気に〝記録指針(こいつ)〟で記録させれば次の島に行けるしこの海じゃこいつの指針だけが唯一の頼みって訳か?」

 

 

「そうだ。初めは()()()から出る7つの磁気から1つ選べるがその磁気はたとえどの島からスタートしてもやがて1つの航路に引き合い、()()()()にたどり着く・・・」

 

 

()()()()?」

 

 

「〝ラフテル〟・・・〝偉大なる航路〟の最終地点であり歴史的にもその島を確認したのは海賊王の1団だけの伝説の島だ」

 

 

海賊王の1団だけが確認した島・・・それを聞いた面々は息をのみながら顔をワクワクとさせた。

 

 

(〝ラフテル〟・・・直訳で()()()・・・何でそんな名前が付いたんだ?)

 

 

「じゃ・・・そこにあんのか!?〝ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)〟は!!!」

 

 

マカハゼが伝説の島の名前に疑問を感じているのを他所に、ウソップは興奮しながらクロッカスに聞いたが返事は素っ気なかった。

 

 

「さぁな・・・その説が最も有力だが誰もそこに辿り着けずにいるのが現状だ」

 

 

「そんなもん、行って見りゃわかるさ!!!」

 

 

魚の骨を噛み砕きながら不敵に答えるルフィにクロッカスは満足そうに笑って見せた。

 

 

「フゥ〜!飯も食ったしそろそろ行くか?」

 

 

「「ご馳走様でした〜〜!!!」」

 

 

「∑お前ら全部食ったのか!?」

 

 

「∑よく見たら骨までねぇぞ!!!」

 

 

いつの間にかルフィとヨサクとジョニーに出した料理を全部平らげていた事にサンジとウソップが驚いた。

 

 

「〝記録指針〟か・・・・・・!!大切にしないと・・・これが航海の命運を握るんだわ」

 

 

「・・・何かわからんが今ので嫌なフラグが立ったような・・・」

 

 

「おのれクソゴム共!!俺はナミさんとカッコウちゃんとハニークイーンちゃんにもっと!!3人にもっと食って欲しかったんだぞコラァ!!」ドゴゴゴッ!!!

 

 

「うお!!!」

 

 

「「ぶへぇっ!!!」」

 

 

女性陣に自身の料理を食べて貰えなかったサンジは怒りのままに3人を蹴飛ばした。その中の一人のルフィはナミが腕に付けていた〝記録指針〟に当たり、パリンと割れてしまった。

 

 

「───は?」

 

 

「・・・おいサンジ」

 

 

「あん?」

 

 

「少し・・・反省して来ぉーーいっ!!!!」(゚皿゚#)

 

 

ドカァーーン!!!

 

 

「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!」ザバァァン!!!

 

 

せっかく手に入れた〝記録指針〟がサンジ(バカ)のせいで壊れた事でナミは呆然とし、マカハゼはサンジ(バカ)を海まで殴り飛ばした。

 

 

「ってオイ!そいつはスゲェ大事なモンじゃねぇのか!?」

 

 

「案ずるな、私のをやる。ラブーンの礼の件もあるしな」

 

 

「本当!!!」

 

 

「それはもういいとして・・・サンジのやつ余計なモンを拾ってきたなぞ」

 

 

「「?」」

 

 

マカハゼがそう言って指をさしたほうを見れば海から戻ってきたサンジが何処かへ行ったはずの男女と共に戻って来たからだ。

 

 

 

 

 


 

 

「ウイスキーピーク?」

 

 

「はい、それが私たちの町の名前です」

 

 

サンジが拾ってきた男女──Mr.9とMs.ウェンズデーは〝記録指針〟を無くした事で町に帰れず、自分たち海賊に頼りに来たらしかった。

 

 

「随分虫のいい話ね、Mr.9?クジラを殺そうとしといてさ」

 

 

「お前ら何者なんだ?」

 

 

「王様です」

 

 

「嘘つけ」( ꐦ◜ω◝ )

 

 

「「すいません!!!」」

 

 

Mr.9の軽い冗談にナミはキレ気味に怒り、2人は即座に謝罪した。そして恥も外聞も捨てて土下座をしだした。

 

 

「言えません!!しかし!!!町に帰りたいんです!!!受けた恩は必ず返します!!」

 

 

「私達だってこんなコソコソと仕事をしたくないんです!!しかし我が社は〝謎〟がモットー。何も喋る訳には行かないんです。あなた方のお人柄を見込んでお願い申し上げます」

 

 

「「〝謎〟がモットー」と言ってる時点で信用出来ないって理解してるか?」

 

 

「「ヴッ!!!」」ギクッ!!!

 

 

マカハゼの最もな言葉にMr.9とMs.ウェンズデーは言葉を詰まらせたが───

 

 

「良いぞ、乗っても」どーん

 

 

「「ありがとうございます!!!」」

 

 

「やっぱこうなったか・・・」(´Д`)ハァ…

 

 

結局は船長のルフィが許可したことで最初の島が〝ウイスキーピーク〟になった。

 

 

 

 

〜記録中〜

 

 

 

 

「・・・そろそろ〝記録(ログ)〟が溜まったはずだ。海図通りの場所を示したか?」

 

 

「うん、大丈夫!!ちゃんとウイスキーピークを指してるわ」

 

 

「本当に良かったのか、小僧?最初に島を選べるのは此処だけなんだぞ」

 

 

ナミに〝記録〟の確認をしたクロッカスはルフィに最後の警告をした。

 

 

「別にいいよ。気に入らなかったらまた一周したら良いだけだし!」しししっ!

 

 

「・・・・・・・・・そうか」

 

 

能天気でありながら壮大なスケールを笑いながら簡単に言うルフィにクロッカスは微笑ましげに笑った。

 

過ごした時間はほんの少しだが気持ちの良さはかつてのラブーンの仲間の海賊たちと同じようにクロッカスは感じていた。

 

 

「じゃあな、花のおっさん」

 

 

「〝記録指針〟ありがとう!!!」

 

 

「あんたの話は良い参考になったよ!」

 

 

「また会いましょう!!」

 

 

「行ってこい」

 

 

クロッカスの激昂を受けたルフィは笑みを浮かべ、もう1人の友にも別れの挨拶を交わした。

 

 

「行ってくるぞクジラァ!!!」

 

 

───ブオォォォォォ!!!

 

 

ラブーンもまた、新しい友達との再会を願い咆哮を上げた。

 

ラブーンの声が唯一聞こえたマカハゼは笑いながら見えなくなるまで手を振り続けた。

 

 

「あいつらは・・・我々が待ち望んだ海賊たちだろうか・・・何とも不思議な空気を持つ男だ。なぁ・・・ロジャーよ」

 

 

 

 

 


 

 

〜〝偉大なる航路〟とある海域〜

 

 

───ヨホホホーィ、ヨーホホーホーィ♪

 

───ヨホホホーィ、ヨーホホーホーィ♪

 

───ヨホホホーィ、ヨーホホーホーィ♪

 

───ヨホホホーィ、ヨーホホーホーィ♪

 

─異様に霧の深いこの海域は毎年100を超える船が行方不明になっている

 

─その海に50年以上の劣化が見える巨大な幽霊船が彷徨っていた

 

 

───ビンクスの酒を届けに行くよ♪

 

 

─その幽霊船には1人の人物が陽気な歌を歌っていた。それだけなら遭難者が避難して気分をあげようと歌っていただけだろう───()()()()()()()()

 

 

───海風〜気まかせ〜波まかせ〜♪

 

 

─その人物の目につく特徴はボリューム感のあるアフロヘアー、そして肉体的な特徴のあるはずの体は何も無く、まさに白骨死体そのものだった。

 

 

───潮の向こうで夕日も騒ぐ♪

 

 

─その目のない暗い瞳には何が映り、何を思っているのかは動く白骨死体にしかわからない。

 

 

───空にゃ♪輪をかく鳥の唄♪

 

 

 

 

 

〜END〜



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〝乗っ取りの陰謀〟編(ウイスキーピーク〜リトルガーデン)
〝偉大なる航路〟の洗礼


〖──船はゆく。今日の天候は冬──時々春〗

 

 

静かに降り注ぐ冬の中、メリー号はゆっくりと進んでいた。そんな降り積もった船の上をルフィとウソップはしゃいでいた。

 

 

「出来たァ!!空から降って来た男、〝雪だるさん〟だァ!!!」

 

 

「はっはっはっは・・・・・・全く低次元な雪遊びだなお前のは!!!」

 

 

「何ぃっ!?」

 

 

「見よ!俺様の魂の雪の芸術っ!!〝スノウクイーン〟!!!」

 

 

「∑おおスゲェ!!よし、〝雪だるさんパンチ〟!!」バスッ!!!

 

 

「∑俺の〝スノウクイーン〟!?」

 

「何してくれとるんじゃおのれェー!!!」ボフッ!!!

 

 

「∑がーーーーッ!!!〝雪だるさーーん〟ッ!!!」

 

 

「何でこの雪の中を元気にはしゃげるのよ・・・?」

 

 

互いに最高傑作を壊された2人はそのまま雪合戦に突入したのを見て、中で毛布にくるまってたナミは呆れていた。

 

 

「ナミさん!恋の雪かきはいかほどに!?」

 

 

「雪が降やむまで続けて❤」

 

 

「イエッサ〜〜ッ❤」

 

「ヨサク、ジョニー!!お前らも確りやれよ!!!」

 

 

「「へーい!!」」

 

 

サンジはナミにいい様にこき使われながらヨサクとジョニーと共に雪かきを続けていた。

 

 

「おい君、この船に暖房設備は無いのかね?」

 

 

「寒いわ」

 

 

「∑うっさいわねあんた達!!客じゃないんだから雪かきでも何でも手伝いなさいよッ!!!」( º言º)

 

 

カチカチ・カチン

 

ブオォ───

 

 

「〝ドライヤーフルボトル〟の力で動くドライヤー型温風機だ。これで船の中は暖かいぞ」

 

 

「おお!これは暖かいな!」

 

 

「最高ね!」

 

 

「暖か〜い・・・」

 

 

「ウチも癒される〜・・・」

 

 

「∑何快適な空間にしてんのよ!?暖かいけど!!!」

 

 

マカハゼの作った温風機で船内が暖かくなり、中にいたもの達は皆暖を取り始めた。

 

 

ピシャッ!!!ゴロゴロゴロッ!!!

 

 

すると外からは雷の轟音も鳴り響た事でナミは戦慄した。

 

 

「今度は雷!?一体どうなってんのよここの天候は!!?さっきまでは暑いくらいポカポカだったのに!!!」

 

 

「確かに無茶苦茶だなこの海は。リヴァース・マウンテンの7つの磁場が天候を狂わせているとは言え限度があるだろ普通・・・」

 

 

クロッカスからだいたい聞いていたとは言え、実際体験してみればとんでもない海であった。これが〝海賊の墓場〟と呼ばれる所以と言うのも納得である。

 

そこでMs.ウェンズデーがナミに船が〝記録指針〟を見てない事に忠告をした。

 

 

「ところであなた、さっきから〝記録指針〟を見ていないけどこの船はちゃんと進んでいるの?」

 

 

「?何言ってんのよ?ついさっき方角は確認して・・・」

 

 

Ms.ウェンズデーに指摘されたナミは一応の意味で自身の〝記録指針〟を確認をした。

 

 

「あーーーーーーーーッ!!!」

 

 

そしてMs.ウェンズデーが忠告した理由をようやく理解し、慌てて外に出た。

 

 

「みんな!!急いで船を180度旋回して!!!」

 

 

「180度!?引き返すのか!!!」

 

 

「忘れもんでもしたのか?」

 

 

「オイ、まさか・・・」

 

 

「そのまさかよ!!船がいつの間にか反転して進路から()()し始めてる!!!」

 

「ほんのちょっと〝記録指針〟から目を離しただけなのに!!?」

 

 

本来優秀の航海士であるナミなら絶対にありえないミスに慌ててナミは指示を出した。

 

 

「波に遊ばれたな」

 

 

「あんた本当に航海士?」

 

 

「・・・ッ!!」(ꐦ ˙-˙ )

 

 

「落ち着け・・・(汗)」

 

 

信用出来ない2人組の男女にバカにされてイラッとしてナミをマカハゼは落ち着かせた。

 

 

「ここはこういう海よ。風も波も空も雲も何一つ信用してはならない。唯一不変なのは〝記録指針〟の指針のみ!!おわかり?」

 

 

「だったらお前らも手伝えよ」ドゲシッ

 

 

「「あうッ!!!」」

 

 

温風機の前で全く動こうとしない2人をマカハゼは外に蹴飛ばし、自身も温風機を切ってカッコウとハニークイーンを連れて外に出た。

 

 

「ブレイスヤード右舷から風受けて!左へ180度旋回する!!!ウソップは三角帆(うしろ)を!!サンジくんは舵を!!他のみんなは荒波や障害に注意して!!!」

 

 

「任せろナミさん❤」

 

 

「人使いがあらい女だ」

 

 

「うるさい!!!」

 

 

急な指示に文句は出ながら船員たちは作業をこなしていく。しかし自身の命にも関わることなのでみんな真剣に取り組んでいた。

 

 

「おい待て、風が変わったぞ!?」

 

 

「うそっ」

 

 

「「「春一番だ」」」

 

 

「∑何で!?」

 

 

「兄ぃ起きて!!緊急事態だよ!!!」

 

 

「グガーー」

 

 

「兄貴が熟睡につき動けません!!」

 

 

「邪魔になるから船内にぶち込んどけェ!!!」

 

 

「イエッサー!!!」

 

 

このデタラメな異常気象にまともな作業が行えない。その上約1名戦力にならず誰もが慌てた。

 

 

「おい向こうでイルカが跳ねたぞ。行ってみようぜ」

 

 

「ルフィ船長、今それどころじゃないです!!!」

 

 

「波が高くなってきたぞ!」

 

 

「ナミさん、霧も深くなってきやがった!!」

 

 

「十時の方向に氷山あり!」

 

 

「何なのよこの海はァーーーー!!!」

 

 

初っ端から〝偉大なる航路〟の洗礼を受けた〝麦わらの一味〟は慌ただしく船の上を走り回る。

 

 

 

 

 


 

 

〜数時間後〜

 

 

ガチャッ

 

「ん〜〜〜〜・・・・・・よく寝た・・・ん?」

 

 

熟睡したまま船室に投げ込まれていたが目を覚ましたゾロは外に出たら自分以外の全員がグテーと伸びていた。

 

そんなみんなを訝しげに見つめながら呆れてため息をついた。

 

 

「おいおい・・・いくら気候がいいからって流石にダラケ過ぎだぞ?ちゃんと進路はとれてるのか?」

 

 

(お前・・・!!!)(((‘A`)))×10

 

 

全く役に立たなかったゾロの言い草に全員が殺意を抱いた。しかし溜まった疲労によって何も言えなかった。

 

 

「・・・何でコイツらがこの船に居るんだ?」

 

 

「遅ぉーーーーッ!!!」

 

 

「今そいつらの町に届けてるところなんだ」

 

 

「コイツらの?なんの義理もねぇだろ?」

 

 

「うん!無ぇよ!!」

 

 

ラブーンの腹の中で見た2人が何故か船にいるのに疑問を感じたが、ルフィが疑問に答えた。

 

ますます疑惑が増したゾロは2人の前に座りながら尋問を開始した。

 

 

「おーおー悪い事考えてる顔だ・・・。名前・・・なんて言ったっけ?」

 

 

「ミ・・・Mr.9です・・・」

 

 

「Ms.ウェンズデーよ・・・・・・」

 

 

「そう・・・どうもその名を初めて聞いた時から引っかかってたんだよ、俺は・・・」

 

 

「「!!?」」

 

 

「何処かで聞いたことあるような・・・ないような・・・まぁ何れにしろッ!!!」ゴンッ!!!×2

 

 

ニヤニヤと核心を突くような嫌な笑みで2人を問い詰めていくゾロの後頭部に衝撃が来た。

 

 

「・・・あんた今までのんびりと寝てたわね!起こしても起こしてもグーグーと・・・!!」

 

 

「ちょっと反省してくんない、兄ぃ・・・?」

 

 

「あァ!?」

 

 

 

〜説教中〜

 

 

 

チーーン「????」

 

 

ナミとカッコウにしこたま殴られたゾロは痛みに俯いていた。自業自得である。

 

 

「気を抜かないでみんな!!まだまだ何が起こるかわからない!!!」

 

 

ゾロをシバいたことで少し気分が晴れたナミは未だに疲労が残る船員たちに激を飛ばした。

 

 

「今やっとこの海の怖さが認識できた。〝偉大なる航路〟と呼ばれる理由が理解できた!!この私の航海術が一切通用しないんだから間違いないわ!!!」

 

 

「・・・あの〜・・・そんなことを自信満々に言われても安心できないんですけど・・・」

 

 

「右に同じ・・・」

 

 

ハニークイーンとウソップの最もな指摘を受けながらもナミは不敵な笑みを見せた。

 

 

「大丈夫よ!!それでもきっと何とかなる!!その証拠に・・・ホラ!!1本目の航路が終わった」

 

 

ナミが見つめる先にはサボテンのように丸っこい形をした大きな山の影。まだ1時間ほどかかる距離だが確かにみんなの目にも見えていた。

 

 

「島だァ!!!」

 

 

「サボテン見てぇな山だぞ!!?」

 

 

「ここがウイスキーピーク!!!」

 

 

「良かった!!無事に着いた!!!」

 

 

無事にたどり着いたことに安堵したMr.9とMs.ウェンズデーの2人は船の欄干の上に立ち、ルフィたちに不敵な笑みを見せた。

 

 

「それでは俺たちはこれで!!」

 

 

「送ってくれてありがとう、ハニーたち!!縁があったならまたいづれ!!!」

 

 

「「バイバイベイビー♪」」

 

 

そう言って船から飛び降り、島の方へ泳いで行った・・・・・・。

 

 

「行っちゃった・・・」

 

 

「結局なんだったんだあいつら?」

 

 

「ほっとけ!!上陸だァーー!!!」

 

 

最後まで謎のままだった2人を無視してみんな島に入る準備に取り掛かった。

 

 

「・・・・・・」

 

 

しかしマカハゼは望遠鏡を覗きながらサボテンの岩を見つめていた。

 

 

(こりゃぁ・・・油断は出来ないようだな・・・・・・)

 

 

その望遠鏡に映るサボテンの山には棘の部分の一つ一つがMr.やMs.と書かれた無数の墓標だったのだから・・・。

 

 

 

 

 

〜END〜

 



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偽りの歓迎

「ようこそ!!歓迎の町ウイスキーピークへ!!!」

 

 

「わが町へようこそ!!!」

 

 

「海の勇者たちに万歳!!!」

 

 

 

「・・・どーなってんのこれ?」

 

 

最初の島ウイスキーピークの港に着く前にナミから〝記録指針〟の〝記録〟が貯まるまで数時間から数日かかる島があると忠告がされた。

 

故に、例え逃げ出したくなる()()()()でも〝記録〟が貯まるまで島を出ることは出来ない。

 

だからこそ全員が逃げ回る準備と戦う準備をしていた・・・しかしいざ船をつけてみれば町の全ての住民が海賊である自分達を大歓迎していた。

 

 

「化け物どころか・・・おれ達歓迎されてるぞ?」

 

 

「かっかわいい子もいっぱいいるぜ❤」

 

 

「海賊ってやっぱヒーローだったんすかね!!」

 

 

「そうに違ぇねぇぜ、相棒!!」

 

 

「うおぉぉーーーーい!!!」

 

 

ウソップやサンジにルフィは自分たちを歓迎してくれている町の人達に手を振り返しながらそんな会話をしていた。

 

 

「どう思う・・・」

 

 

「怪しさ全開だろ、どう見ても・・・」

 

 

そんな中でもマカハゼとゾロは警戒を緩めずにいた。

 

 

〜上陸中〜

 

 

「いら"ッ・・・!!ゴホンッ!!!マーマーマーマーマ〜〜♪いらっしゃい、私の名はイガラッポイ。驚かれたことでしょうがここは酒造と音楽の盛んな町ウイスキーピークもてなしはわが町の誇りです。」

 

 

〘ウイスキーピーク町長〙

 

〝イガラッポイ〟

 

 

ラッパを持った筒状の特殊な髪型の町長がルフィたちの前に立って挨拶をし、歓迎の意志を見せた。そんな姿を見たルフィ達は直ぐに警戒を解いた。

 

「自慢の酒なら海の様に沢山あります。あなた方の冒険の話を肴に宴の席を設けさせては頂けま"せゴホン!!マーマーマ〜♪頂けませんか?」

 

 

「喜んでェ〜〜ッ!!!」×3

 

 

(3バカ・・・)

 

 

(何でアレで強いのよ・・・)

 

 

イガラッポイの誘いに簡単に乗ったルフィとウソップとサンジにナミとハニークイーンは呆れていた。

 

 

「なぁ町長さんよ。この島の〝記録〟はどのくらいで貯まるんだ?」

 

 

皆が少しづつ町の雰囲気にのまれていく中、マカハゼは〝記録〟が貯まる期間を町長に聞いた。

 

 

「〝記録〟?そんな堅苦しいことは抜きにして旅の疲れを癒してください!!」

 

 

「いや、勿論そのつもりだが・・・」

 

 

「さァみんな宴の準備を!!冒険者たちにもてなしの歌を!!」

 

 

「話を聞く気無いだろ、オッサン!!」

 

 

マカハゼの講義も虚しく、一味みんな宴の準備が出来ている建物の中に誘導されて行った。

 

 

「さァ・・・楽しい宴の時を!!」

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

そう言ったイガラッポイの妖しく笑った目をマカハゼは見逃さなかった。

 

 

 

 

 


 

 

 

〜数時間後〜

 

 

 

宴を開いてもった〝麦わらの一味〟は飲んだり食ったり口説いたり自慢したりと各々が楽しみ、眠りについていた。

 

 

「騒ぎ疲れて・・・眠ったか・・・よい夢を・・・冒険者達よ・・・」

 

 

そして同じ時間に外にいた町長のイガラッポイは海賊たちが寝静まったのを確認し、月を見上げていた。

 

 

「今宵も・・・・・・月光に踊るサボテン岩が美しい・・・」

 

 

「詩人だねぇ、Mr.8()・・・・・・!!」

 

 

「!」

 

「君たちか・・・」

 

 

そんなイガラッポイの後ろから複数の声と足音が聞こえてきた。

 

そこにいたのはメリー号から一足先に町に戻っていたMr.9とMs.ウェンズデーがいて、イガラッポイをMr.8()と呼んだ。

 

 

「奴らは?」

 

 

「堕ちたよ・・・・・・()()()な・・・」

 

 

〘イガラッポイもといMr.8(ミスターエイト)

 

 

「ああ神よ・・・うっぷ!よく食うよく飲む奴らだ・・・こっちは泡立て麦茶で競ってたってのに!!」

 

 

「Ms.マンデー」

 

 

更に建物からシスターの格好をしたゴツイ女が衣装を脱ぎ、普通の服に戻って出てきた。

 

 

〘シスターもといMs.マンデー〙

 

 

「しかしわざわざ〝歓迎〟する必要があったのかねぇ?あんな弱そうな10人程度の連中にだよ・・・!?」

 

 

だがMs.マンデーは海賊たちを〝歓迎〟で招いたことを不満を感じていた。

 

 

「港でたたんじまえば良かったんだ。ただでさえこの町は食料不足で困ってんだからさ・・・どうせクジラの肉も期待してなかったけどね」

 

 

「そういう言い方ってないじゃないのよ!!」

 

 

「そうだぞ!!我々だって頑張ったんだぞ!!!」

 

 

Ms.マンデーの含みのある言い方にMr.9とMs.ウェンズデーは反論したがMr.8は3人を落ち着かせた。

 

 

「落ち着けお前たち。奴らのことはちゃんと調べておいた」

 

 

そう言ってMr.8は3枚の手配書を見せた。その手配書に記されていた金額に3人は驚嘆した。

 

 

「な・・・何ぃ!!!3500万ベリー!!?」

 

 

「他にも2700万に1100万!!?」

 

 

「海賊どもの力量を見かけで判断するとは愚かだなMs.バン"・・・ベ、マ〜〜マ〜〜〜♪Ms.マンデー」

 

 

「・・・・・・あいつらが・・・!?」

 

 

「め・・・面目ない・・・・・・!!」

 

 

さすがに驚いた3人は互いに顔を見合わせて息を飲んだ。しかしMr.8はそんな3人を安心させるように心配ないと言った。

 

 

「だがまぁ・・・既に片はついた・・・・・・社長(ボス)にもいい報告が出来そうだ。さっそく船の金品を押収して奴らを縛りあげろ!!!」

 

 

「じゃないと直ぐに反撃されちまうからな〜〜」

 

 

「お前らも寝てて良いんだぞ?昼の航海で疲れてんだから」

 

 

「∑そういう訳には行かねぇッスよ!!」

 

 

「兄貴の手を煩わせる訳にはいきやせんから!!」

 

 

「むしろウチらの肩慣らしにちょうどいいからさ」

 

 

「「「「!!?」」」」

 

 

突然聞こえた複数の声にMr.8達はギョッと目を見開いて上を見上げた。海賊〝麦わらの一味〟が眠りこけている酒場の屋上に刀を持った4人の男女と昼間にMr.8に質問をしてきた男がいた。

 

 

「ミ・・・Mr.8!!Ms.マンデー!!いつの間にか数人部屋から逃げ出して!!!」

 

 

「貴様ら・・・!!確かに酔いつぶれていたはずじゃ・・・!!!」

 

 

「剣士たるもの、いかなる時でも酒に吞まれる様なバカはやらねぇよ」

 

 

「ウチらそこら辺も兄ぃに鍛えられてたから」

 

 

「「右に同じ!!!」」

 

 

「こんな怪しさ丸出しの町に酔いつぶれる方が無理だろ?て言うか、サボテンの岩に墓標が多く建てられてる時点で既にクロだったわ」

 

 

騒ぎを聞き、次々と武器を持って集まってくる町人たちを見てマカハゼは間違ってなかったと確信した。

 

 

「なるほど・・・ここは〝賞金稼ぎの巣〟で意気揚々と〝偉大なる航路〟にやって来たバカな海賊を〝歓迎〟という甘い餌でカモにしてたって訳か?」

 

「小さい子供から見た目弱そうな老人まで・・・随分と統率されているな・・・・・・賞金稼ぎをまとめる組織ってのがあるのか?」

 

 

「そんな大層なモンじゃねぇよ・・・そうだろ?〝()()()()()()()()〟」

 

 

統率力のある賞金稼ぎの集団に疑問を持っていたマカハゼにゾロはケロッと教えた。

 

 

「!!!?」ギクッ!!!

 

 

「き・・・貴様!!何故我が社の名を!?」

 

 

マカハゼ達を警戒していた賞金稼ぎ達はゾロが口にした自分たちの組織名に驚きを隠せなかった。

 

組織の絶対の規則である〝秘密〟。それが〝偉大なる航路〟に入ったばかりの海賊にいきなり侵されてしまったのだ。

 

 

「何だ、知ってたのか?」

 

 

「昔俺も似たことやってた時にこいつらの会社から勧誘されたことがあったんだ。当然ケったけどな」

 

 

船の上で2人の名を聞いた時には既に当たりをつけていたが、ゾロは真正面から潰すためにあえて泳がせていたのだ。

 

マカハゼやジョニー達にも密かに話し、準備を進めていた。

 

 

「だいたいわかってきたぜ・・・社員たちは本名を語らずコードネームで呼び合う秘密結社」

 

「もちろん社長(ボス)の正体や居場所も社員にすら謎。下された指令をただ忠実に実行する犯罪組織、それが〝バロックワークス〟って訳か・・・」

 

 

「へへ・・・・・・それも秘密だったか?」

 

 

〝バロックワークス〟を知らなかったマカハゼに言い当てられ、最初っから知っていたゾロの不敵の笑みを見て〝バロックワークス〟の社員たちの腹は決まった。

 

 

「・・・・・・・・・!!こりゃ驚いた・・・!!!我々の秘密を知っているのなら消すしかあるまい・・・また5つ・・・サボテン岩の墓標が増えるな!!!」

 

 

多くの海賊たちを罠にかけてきた自分たちが初めて罠にかけられたことで静かに怒りを燃やす〝バロックワークス〟。しかしそんな彼らにマカハゼは侮辱とも取れる言葉を吐いた。

 

 

「勘違いするな。お前ら程度に俺とゾロは()らねェよ」

 

 

「お前らの相手はうちの『八咫烏・三本足』だけで十分だ」

 

 

「そうそうっ∑て兄貴たち!?

 

 

「あっしらだけでやるんすか!?」

 

 

「聞いてない!ウチら聞いてない!!」

 

 

予定にないマカハゼとゾロの無茶ぶりに当然ジョニーたちは慌て出す。しかしそんな3人にゾロは真剣な目で「やれ」と言った。

 

 

「この先の海の戦いは俺がいない状態が必ず起こる・・・そんな時でもお前らはその場にいない俺たちに縋るのか?」

 

 

「それにお前たちが耐えてきた実験の成果を見せる時だ・・・期待してるぜ」

 

 

「「「!!!」」」

 

 

「や・・・やってやるぜ兄貴ぃ!!」

 

 

「俺たちは天下の『八咫烏』だァ!!」

 

 

「ここで引いたら女がスたるよ!!!」

 

 

ゾロのもっともな話とマカハゼの期待・・・それを聞いた以上、3人は覚悟を決めて戦闘態勢に入った。

 

 

「〝部下だけで十分〟・・・我らも甘く見られたものだ・・・!!!」

 

 

更に怒りを燃やした〝バロックワークス〟の社員たちは武器を構えて何時でも討ち取る体勢に入った。

 

 

「殺せっ!!!!」

 

 

「ん!!?いっいない!!?」

 

 

Mr.8の合図で銃を撃とうとしたが5人の姿は既に消えていた。

 

 

「バカな!!いったい何処に!?」

 

 

「「「ここじゃあ〜〜!!!」」」

 

 

慌てて探そうとした社員たちのど真ん中でジョニーとヨサクとカッコウが現れて一気に数人斬り飛ばした。

 

 

「俺たち〝麦わらの一味『八咫烏』〟の力!!見せてやるぜ!!!」

 

 

今ここで〝偉大なる航路〟によるジョニーたち3人だけの戦闘が開始した瞬間だった。

 

 

 

 

〜END〜

 



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『八咫烏・三本足』

side:マカハゼ

 

 

───ワアァァァァ!!!───

 

 

「いやぁ〜いい感じに騒いでるねぇ〜!」グビッ!

 

 

「ああ、酒が進むぜ!」グビグビッ!

 

 

ジョニー達と〝バロックワークス〟が戦い始めた場所から少し離れた所でマカハゼとゾロは酒盛りをやっていた。

 

 

「それで?お前から見てアイツらだけでちゃんと出来るか?」

 

 

「まぁ〝東の海〟の頃だったら確かに不安だったが・・・・・・今のアイツらなら長くて15分で終わらせれるな」

 

 

ゾロはマカハゼの質問に答えながら更に酒とツマミを口にしていた。

 

マカハゼはそれを聞いて「そうか」と短く返して自身も酒をあおった。

 

 

(まぁアイツらなら問題は無いだろ・・・なんせ()()()()を耐えたんだからな)

 

 

そう確信と信頼をしていたマカハゼはまた酒をあおりながら騒ぎの中心を眺めていた。

 

 

 

 

 


 

 

side:町の広場

 

 

その頃町の広場ではジョニー達に襲いかかっていた〝バロックワークス〟の社員達は次々と倒れて行った。

 

そんな社員達を見てウイスキーピークの町長をやっていたリーダーのMr.8は苛立っていた。

 

 

「何をやっている!?相手はたったの3人だぞ!?」

 

 

しかしゾロに直接鍛えられた3人の速さや太刀筋に着いてこれずに社員達は翻弄されていた。

 

 

「さっきから気になってたんだが・・・」

 

 

「アンタは()らなくていいんですかい?」

 

 

「!?」

 

 

いつの間にか後ろに回っていたジョニーとヨサクがMr.8の髪に剣を挿した状態で現れた。

 

 

「「そこかァ!!!」」ガチャガチャッ!!

 

 

Mr.8の後ろに現れた2人をに気づいた社員達は周囲を囲み、自分達のリーダーごと殺ろうと銃を構えた。

 

 

「∑ば・・・バカ待て!!俺ごと撃つなぁ!!!」

 

 

しかし静止を無視して撃とうとしたのを見てMr.8は自身のの持つ楽器のサックスをくわえて息を吹き込んだ。

 

 

「〝イガラッパ〟!!!」

 

ブパパパパパ!!!

 

 

「「うわあぁぁぁぁ!!!」」

 

 

吹いたサックスから散弾が飛び出し、囲んでいた社員達はそれにやられた。

 

しかしジョニーとヨサクは既に避けて姿を消していたうえに、カッコウも何処かへと消えていた。

 

 

「Mr.8・・・これは我々といえど・・・・・・」

 

 

「ああ・・・心してかかる必要がありそうだ・・・・・・!!!」

 

 

手配書に載っていない雑兵・・・彼らはそれぐらいの認識で見ていなかったが蓋を開けてみればかなりの強さだった。

 

事態を重く見た幹部クラスのMr.8達4人も本腰を入れてジョニー達を討ち取ろうとしていた。

 

 

 

 

 


 

 

side:ジョニー

 

 

「あ・・・危ねぇ〜〜ッ!!!」

 

 

「あんな巫山戯た武器ありかよッ!!!」

 

 

「まだ7割くらい残ってるよ!!」

 

 

広場から離れて建物の陰に隠れた3人はひとまず戦況の整理をすることにした。

 

 

「まだ探してやがる・・・このまま見つかるのも時間の問題だぜ・・・」

 

 

「こっから3手に別れていいかも知れねぇな」

 

 

「確かに。このまま同じ場所で戦っても数で押されて終わりだしね」

 

 

「それに俺達にはマカハゼの()()()()()()()()()がある!」

 

 

「よし!なら早速「ヒャハ!!!見つけたぜ・・・!!!」∑よし散れェ!!!」

 

 

見つかったジョニー達は敵の銃撃を合図に3方向に散った。ヨサクは建物の隙間を、カッコウは屋上へ、ジョニーは外の通り道へとそれぞれ離れた。

 

 

 

「逃がすかァ!!!」

 

 

建物の隙間に逃げたヨサクを追って社員達は追いかけるが狭くて大人数では入れず、それを逆手にとったヨサクは壁をけって社員達の上に飛んで踏み台にして表に出た。

 

 

「そぅらあッ!!!」

 

 

その勢いのまま表に出たヨサクは愛刀を振り上げ、社員達の頭上から剣を叩きつけた。

 

 

 

場所は変わり建物の屋上へ上がったカッコウは持ち前の身軽さで屋上から屋上へ移り、社員達を翻弄していた。

 

途中屋上に上がろうとしていた社員達が使っていたハシゴを破壊して落としたりした。

 

 

「ウチを甘く見んな!!!」

 

 

ハシゴから落ちた社員達にそう捨て台詞を吐いたカッコウは再び移動した。

 

 

 

「たぁ〜〜!!」

 

 

キィン

「やっぱガキもかよ・・・」

 

 

「∑ヒィッ!!」ビクッ

 

 

「あぁ!どうか神のご加護を!!神のご加護を!!」

 

 

「・・・・・・」

 

 

通り道で社員達を蹴散らしていたジョニーは突っ込んで来た子供の社員が持っていたナイフを弾いたら恐怖してしり込み、そこをシスターの社員が庇いに出てきた。

 

 

「〝神のご加護潰し〟!!」プシューッ!

 

 

しかしそれも罠でシスターの社員は自身の十字架から催涙ガスを発射させて子供の社員と一緒にジョニーを討ち取ろうとした。

 

 

「前の俺だったら此処でやられてたな」

 

 

「「!?」」ギクッ!!

 

 

しかし成長していたジョニーは既に2人の後ろに移動していた。シスターと子供を気絶させたジョニーはすぐに移動したが、すぐ近くでMs.マンデーがハシゴを振り下ろした。

 

 

バゴ!!!

 

 

「あっぶねェ!!」

 

 

ジョニーは紙一重でしゃがんで躱したがMs.マンデーはすかさずジョニーを仰向けにして跨り、メリケンサックを右手に装着した。

 

 

「カ・イ・リ・キ!!」

 

 

「いっ!!!」カシャカシャカシャ!カチン!

 

 

捕まって動けなくなったジョニーは僅かに動く左手にマカハゼから()()()()()()を振って蓋を開けて自分の腰に当てた。

 

 

「メリケン!!!」

 

 

ドゴォォン!!!

 

 

「これであどふだッ・・・ゴホン!!マーマーっ〜〜♪これであと2人か・・・」

 

 

ジョニーが相方のMs.マンデーに殺られたのを見たMr.8はやっと1人片付いたとそう確信してしまった。

 

 

ボゴォォン!!

 

 

「!?」

 

「ミ・・・Ms.マンデー!?」

 

 

しかし突如、Ms.マンデーが吹き飛ばされてしまい戦闘不能になった。

 

 

『あっぶね〜、()()しなかったら確実にやられてたぜ!!!』

 

 

Mr.8や他の社員達が驚く中、Ms.マンデーが吹き飛んで来た所から殺られたはずの(ジョニー)の声が聞こえて振り向いた。

 

しかしそこに居たのはサングラスに左頬に〝海〟の刺青が入った人間の姿ではなく、まるで赤い城が人の姿に変形したような異形だった。

 

 

『それにしてもマカハゼの兄貴がくれたこの力は本当にすげぇぜ』

 

 

〘キャッスルハードスマッシュ〙

 

ドン!!

 

 

「すっ姿が変わった!?」

 

 

「〝悪魔の実〟の能力者か!?」

 

 

(能力・・・いや違う!!あの姿・・・まさかここ数年出回っている兵器の力か!!)

 

 

〝キャッスルハードスマッシュ〟に姿が変わったジョニーを見て動揺する〝バロックワークス〟の社員達。

 

それをジョニー(キャッスル)は無視して動揺して動けなかった他の社員達に猛追突した。

 

 

『固まってる暇はねェぞーーッ!!!』ドゴォォン!!!

 

 

「「うわあぁぁぁ!!!」」

 

 

「ジョニーのやつアレを使ったな?」

 

 

「だったらウチらも使っていいよね!」

 

 

カシャカシャカシャ!カチン!×2

 

 

〝キャッスルハードスマッシュ〟に変身したジョニーを見てそう言ったヨサクとカッコウはそれぞれのボトルを振って自身の体に当てた。

 

するとボトルを当てた箇所から黄色の煙と青い煙がカッコウとヨサクを覆い、異形の姿へと変身した。

 

 

〘スタッグハードスマッシュ〙

 

 

〘オウルハードスマッシュ〙

 

 

ドドン!

 

 

〝スタッグハードスマッシュ〟に変身したヨサクは頭の目の部分にハサミが角の様に付いていて、両手には専用武器である2本の刀『ラプチャーシザース』持っており、分厚い甲冑を纏ったクワガタの異形に。

 

〝オウルハードスマッシュ〟に変身したカッコウは顔はフクロウで上半身が黄色くて丸い装甲を身にまとい、両手の部分には丸い装置『フォレストシーカー』を装備していた。

 

 

「ほっ他の奴らまで変わりやがった・・・!!?」

 

 

『驚いて固まるのは!!!』

 

 

『悪手だよ!!!』

 

 

「「「ぎゃあぁぁぁぁ!!!」」」

 

 

〝ハードスマッシュ〟に変身したヨサク(スタッグ)カッコウ(オウル)は社員達の隙をついて斬り掛かった。

 

いきなり姿が変わった3人に社員達は瞬く間に倒されて行き、残ったのはMr.8とMr.9・Ms.ウェンズデーの3人だけだった。

 

 

『後は・・・』

 

 

『3人だけ・・・』

 

 

『一気にやろっか!』

 

 

「・・・・・・こりゃあ我々といえど・・・!!」

 

 

「心してかかる必要があるな・・・!!!」

 

 

「・・・・・・ッ!!!」

 

 

 

 

〜END〜



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〝オフサーエージェント〟

side:町の広場

 

 

「何たる醜態・・・賞金首ですらない雑兵如きにここまでやられるとは・・・・・・」

 

「このままでは社長(ボス)にこの町を任された我々の責任問題だ・・・!!」

 

 

途中から異形の姿になったとはいえ、たった3人でMs.マンデーと150の社員たちが倒されたてしまったことでMr.8達の焦りは募るばかりだった。

 

 

『残るはあと3人か・・・』

 

 

『サッサと倒して兄貴たちと合流するぜ』

 

 

『でも油断は禁物だよ!』

 

 

ジョニー(キャッスル)達の話を聞いていたMr.8はその余裕の態度に腹を立てながらサックスを構え始めた。

 

 

「異形の力を得ているとはいえ、そう簡単に我らを倒せると思ったか?」パクッ

 

「〝イガラッパ〟ッ!!!」ブパパパパパ!!!

 

 

『散れ!』

 

 

ジョニー(キャッスル)の合図で3人は別々に散弾の雨を避けた。対するMr.9とMs.ウェンズデーもヨサク(スタッグ)カッコウ(オウル)の元へ向かった。

 

 

「各個撃破で行くぞ!Ms.ウェンズデー!!!」

 

 

「えぇMr.9!」

 

「来なさいカルー!!!」ピィィィ

 

 

「クエェェェ!!!」サッ

 

 

「∑〝お手〟じゃなくコッチに来なさい!!」

 

 

機動力を得るために相棒である人間サイズの鳥類である超カルガモのカルーを呼び出して騎乗した。

 

 

「豹をしのぐあなたの脚力を見せてあげなさい!!!」

 

 

「クエェェェ!!!」スタン

 

 

「∑お座りでもないわよ!!!」

 

 

(結構残念な子なのね・・・(汗))

 

 

天然なのかワザとなのか分からない行動をとる相棒のカルーにMs.ウェンズデーは手こずりながらも何とかカッコウ(オウル)に向かって行った。

 

 

ビー

「〝孔雀(クジャッキー)スラッシャー〟!!」

 

 

『∑何処から武器出してんのよ!!?』

 

 

その際にMs.ウェンズデーが()()()()()()からアクセサリーの様な刃物を引っ張り出した事にカッコウ(オウル)は思わずツッコミを入れた。

 

そんなアホみたいな攻撃を避けたカッコウ(オウル)は低空飛行で距離をとった。

 

 

「上手く避けたわね!!でも距離をとっても意味は無いわよ」

 

ビー

「〝孔雀一連(クジャッキーストリング)スラッシャー〟!!!」

 

 

今度は()()()()()()から紐のように繋がった刃物を鞭のように伸ばしてきた。

 

しかしカッコウ(オウル)は再び低空飛行でこれを躱す。そんなカッコウ(オウル)をカルーで追って〝孔雀一連スラッシャー〟を繰り返すがカッコウ(オウル)の飛行能力で簡単に躱されてしまう。

 

 

「ちょこまかと・・・!!」

 

 

『あなたの相棒の走力も中々だけど・・・ウチの飛行速度の方が上だよ!!!』

 

 

そう言ってカッコウ(オウル)はMs.ウェンズデーとカルーの前に移動し、突進して行きながら回転を加えた。

 

『〝回転(スピン)オウル〟!!!』

 

 

「きゃあああああ!!!」

 

 

「クエェェェェェ!!!」

 

 

回転弾(ライフル)の様な威力の突進を受けたMs.ウェンズデーとカルーは空高く吹っ飛び、そのまま地面に落ちて気絶した。

 

 

『ウチより年下っぽいけど・・・それで敗けてあげる理由にはならないよ』

 

 

 

カッコウ(オウルハードスマッシュ)VS Ms.ウェンズデー〙

 

〘勝者カッコウ(オウルハードスマッシュ)

 

 

 

 


 

side:ヨサク(スタッグ)

 

 

「〝熱血ナイン根性バット〟!!!」

 

 

『∑うおっ!!』ガキィン

 

 

Mr.9は自身が持つ2振りの金属バットをヨサク(スタッグ)に放つがヨサク(スタッグ)は〝ラプチャーシザース〟で受け止めた。

 

受け止められたMr.9は即座にバク転で下がり、金属バットを構え直した。

 

「たとえ異形の化け物になったとしてもこの俺の金属バットに勝てるかな!?」

 

 

ガッ!!キィン!!キキィン!!

 

 

『このッ!』

 

 

ヨサク(スタッグ)はMr.9の軽やかな金属バットの猛攻を捌きながら前へ進んでいた。

 

 

『どうした!お前が攻めてんのに下がってるじゃねぇか!?』

 

 

「このっ化け物が!!」

 

「〝カッ飛ばせ仕込みバット〟!!!」バシュッ

 

 

『∑ムォ!?』ガシィッ!!!

 

 

Mr.9の金属バットの先端がヨサク(スタッグ)の右腕に鉄線絡み付いた。

 

 

「ハッハァ!!腕1本封じたぜェ!!!」

 

「これでお得意の2刀流は使えまい!!!」

 

 

『いや・・・そういうあんたもこの状態じゃバットが振りにくいでしょう?(汗)』

 

 

「∑アッ」

 

 

ヨサク(スタッグ)の的確なツッコミに呆然となったMr.9を余所にヨサク(スタッグ)は目に止まらぬ速さで仕込みバットの鉄線をMr.9に巻き付けて行った。

 

 

「しまっ」

 

 

『〝シザースラッシュ〟!!!』

 

 

「ぐあぁぁぁぁ!!!」

 

 

Mr.9を巻き付けたヨサク(スタッグ)は〝ラプチャーシザース〟をハサミの様に構え、剪み切る様に斜めに切り裂いた。

 

 

『これ・・・ゾロの兄貴だったら面倒くさがってまともに相手にしなかったスね』

 

 

 

ヨサク(スタッグハードスマッシュ)VS Mr.9〙

 

〘勝者ヨサク(スタッグハードスマッシュ)

 

 

 

 

 


 

side:ジョニー(キャッスル)

 

 

「Mr.9とMs.ウェンズデーもヤられたか・・・!」

 

 

『下っ端共も俺たちに向かって来る事もねぇぜ』

 

 

離れた所でジョニー(キャッスル)と対峙していたMr.8はMr.9とMs.ウェンズデーさえも敗北した事に驚きを隠せなかった。

 

 

(チィ・・・一刻も早く始末せねば!!)

 

「〝イガラッパ〟!!」ブパパパパ!!!

 

 

キキキキィン

 

『この姿になった今、そんなチンケな攻撃が効くか!!!』

 

 

ジョニー(キャッスル)は散弾を真正面から受けながらMr.8に突っ込んで行き、対するMr.8は距離を取りつつ〝イガラッパ〟を撃ち続けた。

 

 

「〝イガラスモーク〟!!!」プシューー

 

 

『煙幕ッ!!?』

 

 

Mr.8は散弾銃になっていたサックスから煙幕を出した。マトモに食らったジョニー(キャッスル)は何とか煙幕を払ったが、Mr.8は姿を消していた。

 

 

『何処に行きやがったんだ・・・?』

 

 

「砲撃用〜〜〜意!!!」

 

フィンガーフィンガー♪

 

ウィーンガココン!!!

 

「準備完了!!!」

 

 

『∑カラクリ人形かお前はァ!!?』

 

 

煙幕で姿を消していたMr.8は少し離れた所の建物の屋上に移動しており、クルクルとカールした髪型からバズーカを6門出してきた。

 

バズーカ砲6門全て出し終えたMr.8はそのままジョニー(キャッスル)に狙いを定め、襟元の蝶結びの紐を引っ張って砲弾を発射した。

 

 

「死ねェ!!〝イガラッパッパ〟!!!」グィ!ズボボボボン!!!

 

 

『ヤベッ!!!』

 

ドゴゴゴォォォン!!!

 

 

6の砲門から放たれた砲弾をジョニー(キャッスル)はマトモに食らい、爆煙に包まれた。しかし砲撃は1度で終わることはなく、砲弾全てが弾切れになるまで続いた。

 

 

シュウゥゥゥゥゥ

 

 

「・・・流石にやり過ぎたか?」

 

 

全弾撃ち果たしたMr.8はやり過ぎたと思いつつ、気を張りながら倒したハズのジョニー(キャッスル)を注意深く見ていた。

 

やがて爆煙は晴れていき、その中から出てきたのは無傷のジョニー(キャッスル)だった。

 

 

「∑何ィ!!!?」

 

 

『どうやら紙一重で撃ち尽くしたようだな』

 

 

ジョニー(キャッスル)の両肩に装着されていた〝グランドランパート〟が全面に移動し、大盾のように構えることで砲弾全てを防いでいた。

 

 

『今度はこっちの番だ!!!』

 

 

そう言ってジョニー(キャッスル)は頭部の〝カタプルタキャノン〟にエネルギーをチャージし始め、Mr.8に撃ち込んだ。

 

 

『〝キャッスルキャノン〟!!!』

 

ドゴオォォン!!!!!

 

 

「カ・・・・・・ッ!!!」ドサッ

 

 

〝キャッスルキャノン〟を受けたMr.8は黒焦げになり、自身が立っていた民家も瓦礫となって崩れ落ちた。

 

 

『・・・へへッ』

 

『終わったァァーー!!!』

 

 

ジョニー(キャッスルハードスマッシュ)VS Mr.8〙

 

〘勝者ジョニー(キャッスルハードスマッシュ)

 

 

 

 

 


 

 

side:???

 

 

「どうやら全員ヤられたようだな・・・」

 

 

「キャハハハッ!10人もいない名無しの海賊団相手に情けないわね!!」

 

 

ウイスキーピークの港で 町の人間では無い2人の男女が語り合っていた。

 

クールに語る男の方はワカメの様なチリ毛のボンバーヘッドで顔にはサングラス、羽織ってるコートの左側には数字の5が方や胸に裾の部分に刻まれていた。

 

少女のように笑う女の方はレモンをイメージした帽子やイヤリング、丈の短いワンピースに日傘を指していた。

 

そんな2人の足元には『八咫烏』から逃げようと港まで逃げていたハズの〝バロックワークス〟の社員たちがボロボロになって倒れていた。

 

 

「まぁ所詮古典的な騙しで雑魚海賊を狩ってきた連中だ・・・負けて当然と言えば当然か?」

 

 

「どうせなら()()()()()()()()()()もこれで無くなったらいいのにね?」

 

 

「それならそれで構わねぇがどの道()()()()()()をするべきだろ?」

 

 

「キャハハハッ!!それもそうね!!」

 

 

そう言って2人は騒ぎのあった町の広場へと歩き始めた。

 

 

「サッサとこんなつまらん任務終わらせるぞ、M()s().()()()()()()()!」

 

〘〝バロックワークス・オフィサーエージェント〟〙

 

〘Mr.5〙

 

 

「えぇ、M()r().()5()!」

 

〘〝バロックワークス・オフィサーエージェント〟〙

 

〘Ms.バレンタイン〙

 

 

〖〝偉大なる航路〟最初の島〝偽りの歓迎の町ウイスキーピーク〟〗

 

 

〖悪意渦巻く夜はまだ終わらない・・・・・・〗

 

 

 

 

 

 

 

〜END〜



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恩賞

side:マカハゼ

 

「チッキリ15分・・・時間通りに勝てたな」

 

 

「良くやったなお前ら・・・」

 

 

「「「いやぁ〜〜」」」(〃∇〃)

 

 

町にいた〝バロックワークス〟の社員全てを倒した〝八咫烏〟の3人はマカハゼとゾロの元に戻って褒められていた。

 

ゾロとの鍛錬とマカハゼの実験を受け、尚且つ今回の戦闘の勝利で3人は確実に自信を持つことが出来た。

 

 

「いやぁ確かに兄貴たちのおかげで俺たちは強くなれました!!」

 

 

「〝東の海〟にいた頃は何時も小物の相手しか出来なかったっスから!!」ゥゥッ

 

 

「うん!でも・・・一つだけ不満が・・・・・・!!」

 

 

「ん?」

 

 

「──ウチは剣士なのに・・・剣とは全く関係ない飛行で勝っちゃった・・・・・・!!」ズゥーン

 

 

それぞれ喜びを顕にしている3人だったが、カッコウが不満と不安が混ざった顔でそう言った。

 

 

「──それを言ったらよカッコウ・・・俺なんて1番剣と関係ないキャノンだぞ・・・・・・」ズゥーン

 

 

「なんか・・・・・・ごめんなさい」

 

 

カッコウに続いてジョニーまでも落ち込んでしまったこの状況に流石のマカハゼも本気で謝った。

 

 

「なぁに気にすんな」

 

「〝ハードスマッシュ〟ッてのに変身しても剣が使えるように鍛錬をすりゃいいだけだろ?」

 

「何なら俺の鍛錬にも丁度いいしな・・・」ニィッ

 

 

「「あ・・・・・・兄貴/兄ぃ〜〜〜〜!!!(泣)」」

 

 

「何か・・・あっしだけ場違い感が半端無いんですけど・・・・・・」

 

 

「本っ当にごめんなさい・・・・・・」

 

 

そんなやんわりとした空気が暫く続き、突然の爆音が町に響いた。

 

 

ドゴオォォン!!!

 

 

「!?」×5

 

 

「何今の爆音!?」

 

 

「まさかあの町長の奴が!?」

 

 

「いや、俺が受けた爆音にしては威力が違いすぎるぜ?」

 

 

1度Mr.8と戦ったジョニーは違うと判断した。そこでマカハゼは爆音の原因を推測を始めた。

 

 

「気配の感じからして町にいたヤツらとは別だな・・・」

 

「今回『八咫烏』にヤられたか失態とは別にいた組織の裏切り者の始末みたいだな・・・」

 

 

「∑そこまで分かるんスか!?」

 

 

「ああ。ラブーンの声を聞いた時から気配が読めるようになったんだよ」

 

「何でだろ?」

 

 

「何にせよ身内同士の争いだろ?なら放っておけばいい」

 

「向かってくるなら潰せばいいだけだしな」

 

 

ゾロの言葉に納得し、未だに続く騒音を無視して今後の話をしようと集まった。

 

 

「あっ」

 

 

しかしマカハゼが新しい気配を感じ、ゾロはそれに嫌な予感を感じた。

 

 

「──一応聞くが・・・その「あっ」てのはなんだ?」

 

 

「・・・・・・新しい気配の方にナミとルフィが出てきた」

 

 

「それで?」

 

 

「ナミが倒した町長に金銭交渉を初めてルフィが新しい気配のヤツらと戦い始めた・・・」

 

 

それを聞いたゾロは思わず頭を抱え、ジョニーたち3人は顔を引きつらせた。

 

そんな状況でも新たに始まった戦闘音はなり止むことはなかった・・・・・・。

 

 

 


 

side:町の広場

 

 

 

 

──時は『八咫烏』がマカハゼたちの元へ向かって暫くたった後まで遡る

 

 

「ゔゔッ」ガラガラ・・・

 

 

ジョニー(キャッスル)にヤられたMr.8は何とか意識を取り戻し、瓦礫の山から這い出てきた。

 

近くにはMr.8と同じく意識を取り戻したMs.ウェンズデーとカルーがいた。

 

 

「大丈夫?Mr.8」

 

 

「クエェ!」

 

 

「Ms.ウェンズデー・・・」

 

「Mr.9とMs.マンデーはどうした・・・?」

 

 

「2人ともまだ気を失っているわ・・・恐らく目を覚ますまで丸1日は掛かりそう」

 

 

「そうか・・・」

 

 

賞金が懸かっていない雑兵3人にヤられたか自分たちには恐らく社長(ボス)からの手酷い処分は確定している。

 

しかし問題はそこではない・・・このまま処分されれば()()()()()()()()()使()()()()()()()()()()()()()()

 

 

(一刻も早くこの島から離れなければ・・・!!!)

 

 

「何だ?まだ生きてるじゃねぇか?」

 

 

「キャハハハッ!あなた達悪運だけはあるわね?」

 

 

「「「!!?」」」

 

 

Mr.8とMs.ウェンズデーから10m離れたところから2人を嘲笑うように2つの影が現れた。

 

 

「あなた達は・・・!?」

 

 

「Mr.5・・・Ms.バレンタイン・・・!!!」

 

 

そこに居たのは自分達よりも立場や地位が上の〝オフィサーエージェント〟の〝Mr.5ペア〟だった。

 

 

「なぜ貴様らが此処に・・・我らを態々嘲笑いに来たのか!?」

 

 

「それもあるな」

 

 

「キャハハハッ!当然任務に決まってるでしょ?」

 

 

「そう・・・ならアイツらを潰すのを手伝って「つまんねぇギャグをぶっ込むな」!!」

 

 

()()()()()()()()()で・・・しかもこのタイミングで来るわけないでしょ?キャハハハッ!」

 

 

(まさかコイツら・・・!!!)

 

 

「なら一体・・・!!」

 

 

Mr.8とMs.ウェンズデーは〝バロックワークス〟でも上位の幹部である〝オフィサーエージェント〟がここにいる理由を察した。

 

それも自分達が考えうる最悪で絶望的なタイミングで・・・。

 

 

「我が社の社訓は〝謎〟」

 

「社内の誰の素性であれ、秘密を決して探ってはならない」

 

 

「無論私たちも社員の誰かの素性を探ったことは1度もないわ」

 

「そんな事をすれば私たちより強く、上の地位の奴らに消されるもの!」

 

 

「そんな俺たちが社長(ボス)から受けた司令はこうだ」

 

 

──俺の秘密を知ったスパイ(バカ)を消せ

 

 

「まさかよりによって社長(ボス)の正体を探っていた社員がいたとは思わなかったぜ?」

 

 

「それで私たちなりに調べて見れば()()()()()()()が我が社に潜入していた事が分かったのよ!」

 

 

「・・・・・・!!」

 

 

(最早ここまで・・・!!!)

 

 

「ここまで言えばもう分かっただろ?罪人共の名は──」

 

 

「死ねェ!!〝イガラッパッパ〟!!!」

 

 

ドゴオォォン!!

 

 

()()()()!!!」

 

 

「お逃げ下さい()()()!!!!!」

 

 

Mr.5が全てを言い終わる前にMr.8が砲弾を放ち、Ms.ウェンズデーを本当の名で逃げろと叫んだ。

 

 

「話は最後まで聞け」ピン

 

ドゴオォォン!!!

 

 

「ヵ・・・!!」ドサッ

 

 

「イガラム!!」

 

 

「余所見してる場合?」パキンッ!

 

 

「あっ!!!」

 

「このォ!!!」ブゥン

 

 

「キャハハハッ!」フワッ

 

 

Mr.8──イガラムからバズーカを浴びたMr.5は逆に強力な爆撃をイガラムに当て、Ms.バレンタインはMs.ウェンズデー──ビビの髪飾りを破壊して軽やかにMr.5の元へ戻った。

 

 

「罪人の名はアラバスタ王国護衛隊長イガラムそして──」

 

「アラバスタ王国〝王女〟ネフェルタル・ビビ・・・・・・お前ら2人だ・・・!!」

 

 

「化け物め・・・」ギリッ

 

 

スパイとして潜入した王女とその護衛の抹殺──それこそが〝オフィサーエージェント〟たるMr.5ペアがここに来た理由だった。

 

 

「何なら例の海賊共がお前らを殺しといてくれれば()()()()だけで済んだんだがな・・・」ホージホージ

 

 

「抵抗しなきゃ楽に死ねるわよ?キャハハハッ!」

 

 

そう言ってMr.5は()()()()()、Ms.バレンタインはジャンプの体制をとった。2人は〝悪魔の実〟を食している為、その動作こそが能力を発動する意味をしていた。

 

 

「ビビ様・・・逃げ・・・て・・・・・・!!」

 

 

「貴方を置いて行けるわけないでしょ!!!」

 

 

死にかけている護衛隊長イガラムはそれでも王女ビビを逃ろと言うが本来優しい王女ビビに見捨てる事は出来なかった。

 

 

「おーおー美しい信頼関係なこって・・・そのつまらん茶番やりながら死にな」

 

 

冷たく言い放ったMr.5はほじくり出した鼻糞を纏め、その玉を親指に乗せて中指を丸めてデコピンの構えをとり、鼻糞を放った。

 

 

「〝鼻空想砲(ノーズファンシーキャノン)〟ッ!!!」ピンッ

 

 

「ビビ様ァ!!!!!」

 

 

「ッ!!!」ギュッ

 

 

イガラムは叫ぶが既に遅く、鼻糞の砲弾がビビに迫っていた。

 

 

スパァンッ!

 

ドゴオォォン!!!

 

 

「・・・え?」

 

 

しかし鼻糞の砲弾は突然の乱入者に真っ二つに斬られ、左右に逸れて着弾した。

 

呆然とするビビの目に映ったのは自分達を倒した『八咫烏』と言う部隊のを持つ麦わら帽子の海賊の船長だった。

 

彼の右手には機械のような剣が握られていた。恐らくそれで斬ったのだろう。

 

 

「鼻糞斬っちまったァ〜〜!!バッチい!!!!!」

 

 

「あなたは・・・何で・・・・・・?」

 

 

「ナイスタイミングよ、ルフィ!!」

 

 

さらに別の場所から航海士の女性──ナミが出て来てビビとイガラムの所まで来た。

 

 

「話は聞いてたわ」

 

「私たちと取り引きをしない?」

 

 

「とっ・・・取り引き・・・・・・!?」

 

 

突然現れて自分達に取り引きを持ち掛けてきたナミにビビとイガラムはたじろいだ。しかしそんな2人にお構い無しにナミは言葉を続けた。

 

 

「あなた達・・・特に王女様を助けてあげるわ」

 

「その代わり()()()()()1()0()()()()()寄越しなさいよ?」

 

 

今ここにマカハゼがいたらこう言っていただろう・・・・・・。

 

 

悪魔よりも悪魔らしいな──と

 

 

 

 

 

 

〜END〜

 



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〝バロックワークス〟

side:町の広場

 

 

「じゅ・・・・・・10億!?」

 

 

いきなり現れて助ける代わりに法外な恩賞を要求してきたナミに王女ビビと護衛のイガラムは困惑した。

 

 

「ちょっと!?貴女いきなり何を」

 

 

「あら?私たちが助けなかったらあなた死んでたわよ」

 

「それとも一国の王女の命がそれ以下の価値っていうのかしら、護衛隊長さん?」

 

 

「!!!・・・・・・・・・!!!」

 

 

「だ・せ❤」

 

 

((きょ・・・脅迫・・・・・・!!?))

 

 

もしこの2人が自分達を見捨てれば直ぐに殺される状況・・・ナミの天使のような悪魔の笑みに王女ビビと護衛隊長イガラムは恐怖に震えていた。

 

 

「やっぱ怖ぇなーあいつ・・・・・・」ドンビキ

 

 

Mr.5ペアと対峙しながらナミの金銭交渉を見ていたルフィはドン引きしていた。

 

 

「俺たちの仕事の邪魔しといて無視とは・・・巫山戯てんのか?」

 

 

任務の邪魔をされたうえに無視して勝手に色々と盛りあがっている王女たちを見てMr.5はイラついていた。

 

 

「Mr.5、あの麦わらの男さっきまで暴れていたヤツらの船長よ」

 

「額は確か3500万ベリーの大物よ」

 

 

「〝最弱の東の海〟出の海賊にしちゃあ結構な額だな」

 

「どの道ここまで好き勝手されたんだ・・・生かす道理はねぇな」

 

 

Mr.5ペアは任務の邪魔者の排除を含めた報復のために戦闘態勢に入った。

 

 

「取り敢えずお前らをぶっ飛ばせばいいんだな」

 

 

対するルフィも専用武器〝ビートクローザー〟を構えた事で一触即発の空気になった。

 

 

「俺はボムボムの実を食った爆弾人間。俺の髪の毛から鼻糞の全てが強力な爆弾だ」

 

「俺はこの能力で遂行できなかった任務はない」

 

 

自身の能力と実力を語りながらMr.5は服の両袖をめくり始め、腕をクロスさせて爆破を起こした。

 

 

ドゴオォォン!!

 

 

「話の続きはアイツらを倒した後でじっくりと!!」

 

「とにかく今はここから離れるわよ!!!」

 

 

「はっはい!」

 

 

爆発を合図にナミは交渉を1時中断し、瀕死のイガラムを王女ビビと共に担いで離れた。

 

すると爆煙の中からMs.バレンタインが100m程まで高く飛び上がった。

 

 

「キャハハハッ!私はキロキロの実を食べて1キロから1万キロまで自在に操れる体重(ウエイト)人間!爆風でここまで飛んだ私の今の体重は1キロ!!」

 

「更に貴方に向けて体重(ウエイト)を増やして落ちればその威力は砲弾に匹敵するわ!!!」

 

 

「・・・・・・」

 

 

そう言ったMs.バレンタインは少しづつ体重を増やしてルフィに目掛けて落ちていった。

 

しかし落ちてくるMs.バレンタインを見ていたルフィは腕をMs.バレンタインに向かって伸ばし、彼女の目の前まで来た。

 

 

「なッ!」

 

 

「じゃあ落ちたまま下に向かって攻撃したらどうなるんだ?」ニシシッ!ビヨ〜〜ン

 

 

「え?」サァー

 

 

「〝ゴムゴムの突っ張り〟!!!」

 

 

「きゃあああああああ!!!」

 

 

ズシャアァァン!!!

 

ルフィに真上から攻撃を受け、自身の増えたままの体重が加算された勢いで地面深くまでめり込んでしまった。

 

 

「∑Ms.バレンタイン!?」

 

「テメェ!!〝鼻空想砲(ノーズファンシーキャノン)〟!!!」ピンッ

 

 

「そんなん効くか!!」スパンッ!

 

 

ルフィはMr.5の鼻糞砲弾を再び斬り躱し、地面に着地した。だがMr.5は既に行動を起こし、袖を捲った腕をルフィに当てに行った。

 

 

「図に乗るなよ〝麦わら〟ァ!!!」

 

 

「〝ボムラリアット〟!!!」

 

 

バゴオォン!!!

 

 

Mr.5の技を正面から受けたルフィは爆音と爆煙に包まれながら吹っ飛んだ。

 

 

「ふん!」

 

 

しかしルフィは空中で体勢を直して専用武器〝ビートクローザー〟に〝ドラゴンフルボトル〟を装填し、柄の〝グリップエンドスターター〟を引っ張った。

 

 

《ヒッパーレー!》

 

《スマッシュヒット!!》

 

 

すると〝ビートクローザー〟の刀身が蒼炎に包まれ、ルフィはMr.5に向かって走って斬撃を繰り出した。

 

 

「〝スマッシュスラッシュ〟!!!」

 

 

ズバァン!!!

 

 

「グアァァァ!!!」

 

 

蒼炎を纏った〝ビートクローザー〟に叩き斬られたMr.5は蒼炎に包まれながら建物まで吹き飛んだ。

 

 

「ウソでしょ・・・〝バロックワークス〟の〝オフィサーエージェント〟が瞬殺!!!」

 

 

「し・・・信じられん・・・・・・!!!」

 

 

「あの程度の連中はアイツらの敵じゃないわよ」

 

 

()()()()?」

 

 

王女ビビと護衛隊長イガラムは〝バロックワークス〟でも高位の幹部〝オフィサーエージェント〟のMr.5ペアを一瞬で倒したことに目を離せなかった。

 

 

「おいナミ、もう終わったのかよ?」

 

 

「早いに越したことはねぇだろ?」

 

「まぁ面倒事が増えたのは確かだが・・・」

 

 

「あら?あんた達もやっと来たのね」

 

 

ナミに声を掛けてきたのは気配を感じて急いでやって来たマカハゼ達だった。

 

 

「あなた達は・・・!?」

 

 

「今お前らとヤる気は無いから安心しなMs.ウェンズデー・・・いや・・・王女様と呼んだ方がいいのか?」

 

 

「・・・ただのビビでいいわ」

 

 

戦って敗けたばかりだからか警戒はしているが船長であるルフィに助けられた事もあって少し柔らかい対応になっていた。

 

 

「つうかナミ、お前酔い潰れてたんじゃなかったのか?」

 

 

「あのね、海賊を歓迎するこんな怪しい町で酔い潰れるわけないでしょ?」

 

「演技よ演技❤まだまだイケるわよ!」

 

 

「かなりの酒豪だなお前(汗)」

 

 

「まぁナミの姐さんはともかくルフィの兄貴は飯食い過ぎて完全に寝てたんじゃ無かったんスか?」

 

 

「ナミに叩き起された」

 

 

「カッコウたちが取り逃したやつがいるかもしれないのに1人で動くわけないでしょ?」

 

「私の護衛兼荷物持ちで起きてもらったの❤」

 

 

「そ・・・そうスか(汗)」

 

 

ナミの元海賊専門泥棒としての執念に質問したヨサクはもちろん、マカハゼやゾロたち『八咫烏』や王女ビビと護衛隊長イガラムも全員が呆れていた。

 

 

「取り敢えずそれは置いといて・・・〝バロックワークス〟や王族のあんたが潜入していた理由を聞いてもいいか?」

 

 

「ええ・・・(汗)」

 

 

 

 

 


 

 

side:マカハゼ

 

 

〝秘密犯罪会社バロックワークス〟──社長(ボス)の秘書以外の社員全員が社長(ボス)の正体を知らない秘密結社。

 

社員たちの主な仕事は諜報・暗殺・盗み・賞金稼ぎ──その全てが社長(ボス)の司令1つでで動いている。

 

 

「そんな謎だらけの社長(ボス)に何で従うのよ?」

 

 

「全ては社長(ボス)の最終目的である〝理想国家の建国〟のためです」

 

 

「なる程ねぇ・・・今この会社で手柄を上げれば後に社長(ボス)が造る〝理想国家〟の要人の地位が約束される」

 

「そしてお前らの使っていた数字のコードネームは要人としての地位であり、Mr.6ペアやルフィが倒したMr.5ペアから数字が小さいエージェントの地位がより高くより強いって訳か?」

 

 

「マカハゼ殿の言う通りです。社長(ボス)のコードネームは〝Mr.0〟!!」

 

「特にMr.6以上のエージェントの強さは異常──だったのですが・・・・・・」チラッ

 

 

「クソ・・・麦わら・・・めェ・・・・・・」プスプス

 

 

「私たち・・・〝オフィサーエージェント〟を・・・よくも・・・・・・!!」ボロッ

 

 

イガラムの目線の先にはルフィに敗北し、ジョニー達に拘束されたMr.5とMs.バレンタインがゾロの監視の元に睨んでいた。

 

ルフィにズタボロにやられて尚も睨み続けるのは流石は殺しのプロである。

 

 

「まさかMr.5ペアを1人で倒すとは思いませんでした(汗)」

 

 

「何せウチの船長は海賊王になる男だからな。この程度のヤツらは倒せて当然だ」

 

 

「はァ・・・・・・」

 

 

ドヤ顔で当然と語るマカハゼにイガラムはそれ以上は何も言わなかった。

 

 

「それじゃあ次の本題に入るか・・・何故王女とその護衛が〝バロックワークス〟のスパイとしていたのか・・・」

 

 

「そして恩賞の10億ベリーもね❤」

 

 

「お前はホントいい加減に自重しろよナミ」( º言º)

 

 

(悪い人たちじゃないんだろうけど・・・(汗))

 

 

 

 

 


 

 

side:???

 

 

「ふふ。Mr.5ペアはヤられたようね・・・」

 

 

ウイスキーピークから少し離れた海に亀が引く船に1人の美女がいた。

 

 

「さて・・・王女様たちは生きていられるのかしら?」

 

「私たち〝バロックワークス〟の追ってから?」

 

 

また1つ・・・新しい悪意の影がルフィ達に近付いて来ていた・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

〜END〜



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夕焼け

side:マカハゼ

 

 

「先に断っておくけど10億(それ)はムリ!でも助けてくれた事にはお礼を言うわ、ありがとう」

 

 

「何で?王女何でしょ!?10億くらい──」

 

 

「執拗いぞ・・・」( º言º)

 

 

「──なんでも御座いません!」

 

 

ハッキリと無理と断ったビビに尚もごねるナミだったが本気でキレかけてたマカハゼに恐怖してルフィの後ろに逃げた。

 

 

王女ビビの一族──ネフェルタリ家が治めるアラバスタ王国は〝偉大なる航路〟でも有数な文明大国で平和な街だったらしい。

 

しかし数年前から民衆の間には革命の動きが現れ始め事で民衆は暴動を起こし、国は今乱れているらしい。

 

 

「だけどある日私の耳にある組織の名が入ってきたの、それが〝バロックワークス〟!」

 

 

「成程・・・その〝バロックワークス〟がアラバスタの国民を唆した事で革命が始まったって訳か」

 

「その上その社長(ボス)の目的は〝理想国家の建国〟!1から国を作るより元からある国で王家への不満による革命で王家を滅ぼして民衆を導けば国を手に入れ更に王になるのは簡単な話だ」

 

 

「ええ。だから私は護衛のイガラムに頼んで一緒に潜入してこの真実を知ったの」

 

「だから早く国に帰ってこの真実を伝えて暴動を抑えないと社長(ボス)の思うツボになっちゃう!!!」

 

 

〝犯罪会社バロックワークス〟による〝アラバスタ王国乗っ取り計画〟にそれを阻止しようとするアラバスタ王国王女ビビ・・・〝偉大なる航路〟に入ってそうそうヤバい事件に関わった事にマカハゼは頭を抱え、ルフィとゾロは若干ワクワクし、ナミは恩賞の10億が払えないという事に納得した。

 

 

「これでやっと納得した・・・内乱中ならお金も無いか・・・・・・」ε-(´-`*)

 

 

するとそんなとんでもない悪事を実行している社長(ボス)の正体にルフィは当然興味を持ち、ビビに質問をした。

 

 

「なぁ、その社長(ボス)ってのは一体誰なんだよ?」

 

 

Σ(・_・;)

「そっそれは知らない方がいいわ!!絶対にそれだけは言えない!!!」

 

 

「∑ビビ様の言う通りです!こちらの都合で君たちに迷惑を掛けたというのに社長(ボス)の正体を知ったら君たちまで命を狙われるぞ!!!」

 

 

「テメェ王女!!言うんじゃねぇぞ!!絶対に言うんじゃねぇぞ!!!」

 

 

「タダでさえ任務をしくじってヤバいのにこの状況で正体を知ったら私たちまで消されちゃうじゃない!!!」

 

 

王女と護衛隊長の動揺・・・任務失敗したエージェント2人の大慌て・・・その様子だけで社長(ボス)のヤバ差が伺えると言えるだろう。

 

それを見たナミは顔を引き攣らせながら無理に聞くことはないと言い、マカハゼはビビとイガラムなりの好意に甘える事にした。

 

 

「あはは・・・それはゴメンだわ。なんたって1国を乗っ取ろうとするヤバい奴だもん!」

 

 

「確かに・・・無理に知る必要も無いしそれでも襲ってくるなら返り討ちにすればいいだけだ」

 

 

「そんな簡単な相手じゃないから言っているのよ!!!」

 

「たとえあなた達がどれだけ強くても奴には絶対に勝てない!!!」

 

()()()()()()()()1()()()()()()()()()()()()には絶対に!!!!!」

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」×11

 

 

「∑しっかり言ってんじゃねェか!!!!!」( º言º)×6

 

 

「∑ビビ様ァ〜〜〜〜!!!」

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!」

 

 

必死の忠告で起きた社長(ボス)の正体を明かすという最悪のウッカリ・・・それも〝鷹の目〟と同じ〝王下七武海〟の1人ということにナミや『八咫烏』の3人、そして〝バロックワークス〟エージェントのMr.5ペアは王女ビビに怒鳴り声を上げ、イガラムは頭を抱えて叫び、喋った本人はやっちまったの顔をしながら口を両手で覆って固まった。

 

 

「「・・・・・・・・・」」

 

 

そしてそんな皆を屋根の上からゴーグルを付けたラッコとコンドルがジーッと見つめていた。

 

それに気づいた皆は全員そのラッコとコンドルを見つめた。そしてラッコとコンドルは互いの顔を見合わせた後、静かに空に飛びたった。

 

全員が呆然とする中、マカハゼは取り敢えずイガラムにラッコとコンドルの事を聞いた。

 

 

「おい護衛隊長・・・あのラッコとコンドルは何なんだ?」

 

 

「彼らは社長(ボス)の連絡係も受け持つ仕置人〝13日の金曜日(アンラッキーズ)〟です・・・」

 

それを聞いたナミは恐ろしい形相でビビの胸ぐらを掴んで責め立てた。

 

 

「ちょっとそれってあんたが喋った事を報告に行ったって事よね!!?(泣)」

 

 

「ごめんなさいごめんなさい(泣)」

 

「とっ止めようと思ってつい口が滑っちゃってッ」

 

 

「〝つい〟で済む問題か!!その一言で私たちが何で道連れにされなきゃいけないのよ!!!」

 

 

「ちくしょう・・・ただでさえ抹殺任務をしくじってヤバいのに・・・・・・!!!」ズゥーン

 

 

「せっかく〝オフィサーエージェント〟まで成り上がったのに・・・・・・!!!」ズゥーン

 

 

「思わぬ流れ弾が犠牲者を作ったぞ・・・(汗)」

 

 

「流石に同情しますよ俺らも・・・・・・(汗)」

 

 

「「ウンウン」」

 

 

「そりゃ七武海の1人に命を狙われるのよ!!たまったもんじゃないわよ!!!」

 

 

「・・・・・・・・・・・・(汗)」プイツ

 

 

流石に不純なMr.5ペアにマカハゼたちは同情し、原因のビビは思わず顔を背けた。

 

そんな中、ナミは1人ウイスキーピークの港にある船に向かって歩き出した。

 

 

「何処に行くんだ?」

 

 

「逃げるに決まってんでしょ!今なら顔もバレて「もう手遅れだぞ」へ?」

 

 

マカハゼが指を指した方向には戻って来て自分達1()0()()()()()()()を描いて見せた〝13日の金曜日(アンラッキーズ)〟が再び空へ飛びたった。

 

 

「これで逃げる事も出来ないって訳ね!?」

 

 

「そもそも何処に行くつもりだったんだよ?(汗)」

 

 

「面白いなァ〜〜あいつ」

 

 

「まぁどんな実力者か気にはなるな・・・」

 

 

「兄ぃたちならそう言うと思ってたよ・・・」

 

 

「・・・・・・・・・」チーーン

 

 

「あの・・・私の貯金の50万ベリーくらいなら・・・・・・」

 

 

「ご安心なされいっ!!!」

 

 

落ち込むナミを慰めるビビに途中いなくなっていたイガラムがビビの女装の姿で9つの人形を持って出てきた。

 

 

ダイッ・・・ゴホン!!マ〜ママ〜♪大丈夫!!!私に策があります!!!」

 

 

「∑イガラム・・・・・・その格好は!!?」

 

 

「おっさんウケるぞ、それw!!」

 

 

「誰にだよ?(汗)」

 

 

「良いですか?よく聞いてください!!」

 

 

「〝バロックワークス・ネットワーク〟にかかれば今すぐにでも追ってはやって来ます!!〝特にMr.5ペアの没落〟となれば尚更!!!」

 

「〝バロックワークス〟の社長(ボス)、サー・クロコダイルがかつて懸けられていた賞金額は8000万ベリー!!」

 

「しかしそれは七武海に就任した事で懸賞金は解除されていますが今の実力は間違いなく〝億超〟であると断言できます!!!」

 

「ところでビビ様を送ってくれる件は・・・・・・」

 

 

「おう!別にいいぞ」

 

 

「∑アーロンの4倍か10倍以上!?断りなさいよ、バカ!!!」

 

 

「諦めろナミ。元々お前から関わった事だろ?」

 

 

「うぅ・・・」

 

 

アッサリと引き受けたルフィにナミは怒鳴ったがマカハゼに論されたナミは諦めてイガラムの話を黙って聞くことにした。

 

イガラムの策は自身がビビに成りすまし9人分のダミー人形と共に一直線でアラバスタへ舵を取る。

 

その間にビビを乗せた〝麦わらの一味〟は通常航路で2・3の島を通りアラバスタへ向かう。

 

 

「ではビビ様、アラバスタへの〝永久指針(ログポース)〟を私に・・・」

 

 

「〝()()()()〟?〝記録指針〟とは違うのか?」

 

 

「そうか、あなた方は〝偉大なる航路〟に入ったばかりでしたな」

 

「〝記録指針〟が常に島から島への磁気を記録し進むのに対し〝永久指針〟は1つの島の磁気を文字通り()()()()()()()()のです」

 

 

「成程・・・一刻も早く国に帰りたいと思っている人間の心理を逆手にとった策か?」

 

 

「その通り!」

 

「そうする事であなた方は安全にビビ様を護衛出来ます!しかしそれは私が囮として時間が稼げている間だけ・・・なるべく長い時間追手を引き付けてみせます!」

 

 

「そうか・・・」

 

 

イガラムの覚悟を聞いた皆は彼の意思を尊重し、彼の策に乗ることにした。

 

 

「ところで兄貴たち、この2人どうするんスか?」

 

 

「アッ」×5

 

 

「「・・・・・・」」ズゥーン

 

 

ビビのウッカリで抹殺リストに加わってしまったMr.5ペアは未だに落ち込んでいた。

 

 

「オイどうするんだ?」

 

 

「捕まったのは自業自得とはいえ俺たちと抹殺リストに加わったのは完全に王女の落ち度だしな」

 

 

「∑うぐッ!!」グサッ

 

 

「放っておくのもアレだし・・・・・・最後まで巻き込むか?」

 

 

「異議なしッ!!!」×4

 

 

(鬼だ・・・)

 

 

(鬼ッスね・・・)

 

 

(鬼だね・・・)

 

 

「・・・・・・(汗)」

 

 

「やるべき事が決まったんならさっさと行動しようぜ」

 

「俺はジョニー達とオマケ2人と一緒にメリー号に戻って出航準備進めておくからイガラムを見送ってサンジたちを叩き起してこい」

 

 

「おう!」

 

 

 

 

 


 

 

side:メリー号

 

 

「マカハゼの兄貴ィ!出航準備が終わりやしたァ!!」

 

 

「後は錨を上げるだけです!!」

 

 

「ご苦労さん」

 

 

メリー号に戻ったマカハゼたちは出航の準備を終わらせていた。

 

 

「さてと・・・」チラッ

 

 

マカハゼは巻き込まれた憐れなMr.5ペアに目を向けた。未だに拘束されたまま落ち込んでいるがどうにか逃げ出そうと画策していた。

 

 

(なかなか度胸があるなコイツら・・・それに能力も悪くない)

 

 

Mr.5ペアに目を付けたマカハゼは彼らと話をしようと近づいたその時、ルフィ達がいる港からでかい爆発音が響いた。

 

 

ドオォォォォン

 

 

「!!?」×6

 

 

その港の方角からは赤く輝く炎の光が夕焼けのように広がっていた・・・・・・。

 

 

 

 

 

〜END〜



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Ms.オールサンデー

〜時は少し遡る〜

 

 

「行っちまった・・・・・・最後までオモロいおっさんだったなァ〜〜」

 

 

「あれで結構頼りになるのよ」

 

 

マカハゼたちと一時別れたルフィたちは港で囮を勝手でたイガラムを見送っていた。

 

幼き頃から何度も助けられていたビビはそんなイガラムを心から信頼し、祖国でまた会えると確信していた。

 

 

──ビビ王女・・・!!きっと貴女の手で王国を救うのです!!!

 

 

出航前にイガラムの最後の言葉を思い出し、ビビはルフィたちとメリー号に向かい始めた。

 

 

ドオォォォォン

 

 

「!!?」×4

 

 

メリー号に向かい始めて数秒・・・遠く離れたイガラムの船が突如大爆発を起こし、夕焼けのように燃え広がった。

 

 

「・・・・・・!!!」

 

 

「そんな・・・!!」

 

 

「バカな・・・!!もう追っ手が・・・!!?」

 

 

大爆発による炎上で全員が呆然となっていた。暫くしてルフィが声をあげた事で皆動き出した。

 

 

「・・・・・・立派だった!!!」

 

 

「マカハゼたちが船にいるんならログが溜まったって事だよなナミ!?」

 

 

「うん!別れる前にちゃんと確認したから!!」

 

 

「ならそいつを連れて先に船に行け!!」

 

「ルフィは俺と残り3人を起こして来る!!!」

 

 

「おう!!」

 

 

そう言って2人はウソップとサンジとハニークイーンたちを起こしに宴会会場に向かい、ナミは呆然とするビビを連れて行こうとした。

 

 

「ビビ!!貴女が見つかったら全て水の泡ッ!!?」

 

 

「・・・・・・!!!」ツー·····

 

 

連れて行こうとしたナミが見たのは下唇を血が出るまで噛み締めて耐えていたビビの姿だった。

 

 

(この子強い・・・!!)

 

「大丈夫!!!あんたをちゃんと・・・アラバスタまで送ってあげる!!!」

 

 

「!」

 

 

「アイツらたった8人でね・・・〝東の海〟を救ったの!!〝七武海〟何て目じゃないわ!!!」

 

 

ビビの覚悟をその目に焼き付けたナミは必ず送り届けると強く決意した。

 

 

 

 

 


 

side:メリー号

 

 

「本当に此処に来たのはお前らだけなんだな!?」

 

 

「この状況で今さら嘘を言えるか!!」

 

 

「そうよこの三下!!!」

 

 

「このッ・・・!!」

 

 

「やめろジョニー」

 

「そいつ等の言葉に嘘はない・・・どうやらより上位のエージェントが来てたみたいだ」

 

(気配は1人・・・かなりの手練みたいだな)

 

 

焦るジョニーを落ち着かせて気配を再び察知したマカハゼはルフィたちが来るのを待った。

 

爆音が響いて数分経ち最初は王女の相棒のカルーが、その次にウソップの鼻を持って連れてきたゾロが、サンジの左足を掴みハニークイーンを俵のように担いできたルフィが、最後にナミとビビがやって来た。

 

因みに雑な運び方をされたウソップとサンジは既に瀕死で、ビビは相棒のカルーが呼んでも来ないから戻ろうとしたが先に乗っていた事に思わず怒鳴った。

 

 

「舵を川上へ!!少し上るけど支流があるから早く航路に出れるわ!!!」

 

 

「よし!行くわよ!!」

 

 

錨を上げたメリー号はビビの指示通りに川上へ向かい始めた。

 

 

「おいマカハゼ!追っ手は来てんのか!?」

 

 

「・・・・・・」

 

「よく探ってみれば・・・どうやら()()()()()()()()()()()()()みたいだなァ?」

 

 

「はぁ!?」

 

 

マカハゼの突然の問いかけに顔を顰めたゾロだがその意味がすぐに分かった。

 

 

「あら?私がこの船に乗ってるってよく分かったわね?」

 

 

「!!!??」×12

 

 

マカハゼの問いかけに答えた〝麦わらの一味〟や王女ビビにMr.5ペアの誰でもない女の声が響き、(ウソップとサンジとハニークイーンは状況がまだ把握出来ていない)振り返ってみれば欄干に1人の美女が座っていた。

 

 

「だっ誰だ!?」

 

 

「Mr.8・・・あなた達と一緒に行動していれば無事でいたのにね・・・・・・Ms.ウェンズデー?」

 

 

「まさか・・・あんたがイガラムを・・・・・・!!」

 

 

「ウソだろ・・・!!」

 

 

「何で・・・こんな〝偉大なる航路〟の果てにッ!!!」

 

 

「どうでもいいけど何で俺たちの船に乗ってんだよ!?」

 

 

「何で、あんたがこんな所にいるの!?〝Ms.オールサンデー〟!!!」

 

 

〘〝バロックワークス〟副社長(最高司令官)〙

 

〘Ms.オールサンデー〙

 

 

「成程・・・指図めMr.0──社長(ボス)の右腕って立場の女か?」

 

 

「そういう事❤」

 

 

〝バロックワークス〟の実質のナンバー2──Ms.オールサンデーが何故かメリー号に乗っていた。

 

 

「Ms.オールサンデー・・・実際に社長(ボス)の正体を知る唯一の人物だったアイツを尾行することで私たちは社長(ボス)の正体を知ることが出来た!!!」

 

 

「正確には()()()()()()()()だけどね」

 

 

「「∑はぁ!!?」」

 

 

自分達の上司のMs.オールサンデーのカミングアウトにMr.5とMs.バレンタインは驚嘆の声を上げた。

 

 

「何だ、良い奴じゃん」

 

 

「そんな事知ってたわよ!!!そして私たちが正体を知った事を社長(ボス)に告げたのも貴女でしょ!!?」

 

 

「何だ、悪ィ奴じゃん!!!」

 

 

「お前は少し黙れ」スパァン

 

 

クルリと態度が変わるルフィにマカハゼはつい頭を叩いた。

 

 

「どういう事だ、Ms.オールサンデー!!」

 

 

「それって我が社に対する最大の裏切りじゃない!!!」

 

 

ビビ達が社長(ボス)の正体を知ったまさかの真相にMr.5ペアは上司(Ms.オールサンデー)に講義した。

 

 

「そうね・・・彼女達が真剣だったからつい協力しちゃったのよ・・・・・・」

 

「本気で〝バロックワークス〟を敵に回そうとして国を救おうとしている王女様が・・・バカバカしくてね」クスッ

 

 

「・・・・・・!!!」ギリッ

 

 

「でもあなた達が任務を失敗した上に捕まって社長(ボス)の正体を知っちゃったのは想定外よ」

 

 

「「!?」」ゾクッ!

 

 

Mr.5ペアを嘲笑うような目で見つめたMs.オールサンデーに2人は得体の知れない恐怖を感じた。

 

そしてそのタイミングでMs.オールサンデーが座っている欄干から左右にウソップとサンジが、ハニークイーンが銃を構えた。

 

そのタイミングを合わせるかのようにその下にいたナミや『八咫烏』達も自身の得物を持って構えていた。

 

 

「・・・・・・!」

 

 

「サンジ・・・お前意味が分かっててやってんのか・・・・・・!?」

 

 

「いや・・・何となく・・・愛しのMs.ウェンズデーの身の危険かと・・・!」

 

 

「そんな事言ってる場合じゃないでしょ!!」

 

 

「・・・・・・そんな物騒な物・・・私に向けないでくれる?」

 

 

──フワッ

 

 

「え!!?」

 

 

「わ!!!」

 

 

「きゃあ!!!」

 

 

Ms.オールサンデーの一言で3人の体が空中に浮き、甲板に投げ捨てられた。

 

 

「何だ!?ウソップ達が投げられたのか!!?」

 

 

「〝悪魔の実〟の力か・・・」

 

 

「ああ・・・次いでに・・・・・・」

 

 

グイッ

 

 

「「へ?」」

 

 

ポイッ

 

 

そしてMs.オールサンデーがMr.5ペアに目を向けた途端、2人の体が浮かんでメリー号から放り出された。

 

 

「なっ!?」

 

 

「Mr.5!!Ms.バレンタイン!!」

 

 

ビュウン!!ガシッ!!!

 

 

「あっ・・・ぶねェ・・・・・・!!!」

 

 

「ナイス、ルフィ!!!」

 

 

しかしすんでのところで腕を伸ばして捕まえた事で海に落ちることはなかった。

 

 

「穏やかじゃねえなァ・・・不慮の事故で秘密を知ったとはいえ、やり過ぎじゃねぇのか?」

 

 

「あら、これは私なりの優しさよ?」

 

()()()()()()()()()ならあと1度だけチャンスはあったわ。でも捕虜になった上に秘密を知った事でその道は閉ざされた・・・」

 

「なら後日上位のエージェントに無惨に殺されるくらいなら海の中に沈んだほうがマシでしょ?」

 

 

「成程、一理あるな・・・」

 

 

「∑納得すんなァ!!?」

 

 

Ms.オールサンデーの言い分に納得したマカハゼにナミがツッコミを入れた。

 

Ms.オールサンデーはそんなやり取りを無視してMr.5ペアを引き上げたルフィの麦わら帽子を能力で自身の元へ飛ばし、自分の頭に被せた。

 

 

「∑あ!!」

 

 

「貴方が麦わらの船長ね?モンキー・D・ルフィ・・・」

 

 

「お前帽子返せ!!喧嘩売ってんじゃねェぞコノヤロー!!!」

 

 

「俺はお前を敵と見切ったぞ!!今すぐ出て行けコラァ!!!」

 

 

「なら隠れるなよ(汗)」

 

 

「∑ウォイ!!よく見りゃきれいなお姉さんじゃねぇか!!!❤」

 

 

「サンジの兄貴、今それどころでじゃありやせん!!」

 

 

「不運ね・・・〝バロックワークス〟に命を狙われる王女を拾ったあなた達も・・・王女の失態で組織を追われる元エージェントも・・・この少数海賊に護衛される王女も・・・」

 

 

Ms.オールサンデーはそう言って船の皆に同情の目を向け、ルフィの麦わら帽子を被った。

 

 

「でも何よりの不幸はあなた達の〝記録指針〟が示す航路・・・その先にある次の島の名は〝リトルガーデン〟!!」

 

「あなた達はおそらく私たちが手を下すまでもなくアラバスタにたどり着けない・・・そしてクロコダイルに会うこともなく全滅するわ」

 

 

Ms.オールサンデーはそう確信を持ってルフィたちに吐き捨てた。

 

 

「するか、コノヤローッ!!!」

 

 

「随分な自信だな・・・それとも俺たちを甘く見てるのか?」

 

 

「遠吠えは結構!虚勢は誰でも言えるわ・・・」

 

「困難を知ってて突っ込んで行くのも馬鹿な話」ピッ

 

 

そう言ったMs.オールサンデーはルフィに麦わら帽子を返すのと同時にビビに〝永遠指針〟を投げ渡した。

 

 

「〝永久指針〟・・・・・・!!!」

 

 

「その指針が指す島はアラバスタ王国1歩手前の〝何もない島〟。うちの社員も知らない航路だから追手も来ない」

 

「それで困難を飛び超えれるわ」

 

 

それを聞いたビビや〝麦わらの一味〟は困惑した。敵のNO.2である女が自分たちを助けるような行動を撮ったことに驚きを隠せなかった。

 

 

「何?あいついい奴なの・・・!?」

 

 

「何でこんな物を・・・!?」

 

 

「どうせ罠だろ・・・」

 

 

「どうかしら・・・・・・」クスッ

 

 

「副社長・・・一体何を・・・・・・??」

 

 

(敵意がない・・・本当に何のつもりだ・・・・・・?)

 

 

(どうしよう・・・こんなものアイツから受け取りたくないけど・・・この船に乗せてもらう以上安全な航路を取った方が・・・・・・)

 

 

「どうでもいい!!」ガシッ

 

 

「えッ?」

 

 

バキバキッ

 

 

突然ルフィがビビから〝永久指針〟を奪い、即座に握りつぶした。

 

 

「「アホかお前ェ〜〜!!!」」みしぃっ

 

 

「へぶッ」

 

 

すぐに我に返ったマカハゼとナミの飛び蹴りをくらい、ルフィは吹っ飛んだ。

 

 

「せっかく楽に行ける航路教えて貰ったのに壊してどーすんのよ!?いい奴だったらどーすんのよ!!?」

 

 

「それより貴重な〝永久指針〟を壊してんじゃねぇよ!!」

 

 

マカハゼとナミに猛抗議を受けたルフィだが全て聞き流し、Ms.オールサンデーを睨んだ。

 

 

「この船の進路をお前が決めるなよ!!!!」

 

 

「・・・・・・・・・!!!」

 

 

「そう・・・残念・・・・・・」

 

 

その強い意志を見たビビは息を飲み、Ms.オールサンデーは少し残念そうに笑った。

 

 

「もう!!!」

 

 

「あいつ竹輪のおっさん爆破したからキライだ!!」

 

 

「まぁお前らしいと言えばお前らしいけどよ・・・」

 

 

「私は威勢のいい奴は嫌いじゃないわ・・・生きていればまた会いましょう」

 

 

「イヤだ!!」(゜ϖ ´)ベー

 

 

そう言ったMs.オールサンデーはメリー号から飛び降り、〝バロックワークスオフィサーエージェント専用水陸両用送迎ガメ〟バンチに乗って去っていった。

 

 

「帰るわよ、バンチ」

 

 

「ウィ」

 

 

「うおお亀だ!!!デっけーな〜!!!」

 

 

亀に興奮するルフィを置いて唯一の同郷だったイガラムを殺され、更に味方をするような事をしたMs.オールサンデーの行動にわけが分からなくなったビビは膝をついた。

 

 

「あの女・・・何を考えているのかさっぱり分からない・・・・・・!!!」

 

 

「だったら考えるだけ無駄ね」

 

 

()()()()()ならこの一味に何人もいるからな」

 

 

「オイ状況を説明しろよ!?」

 

 

「マカハゼ!!Ms.ウェンズデーとこちらのレディが仲間になるのか!?」

 

 

「あんまり無神経に近づくな。こいつら結構傷心してるから」

 

 

「Mr.5・・・私たちどうなるのかしら・・・・・・?」

 

 

「少なくともいい予感はねぇよ・・・・・・」

 

 

「クエェ!!」

 

 

「∑ちょっと何、この大きいダチョウ!!?」

 

 

「・・・・・・私、本当にこの船に乗って良かったのかしら・・・?」

 

「皆に迷惑を・・・・・・」

 

 

「なーに言ってんの?」

 

 

自身のせいで無関係の人のいい〝麦わらの一味〟やMr.5ペアを巻き込んでしまった事に罪悪感を持ったビビはそう零すがナミはそれを一蹴した。

 

 

「あんたのせいでこっちは顔を割れてんのよ!?迷惑かけたくなかったら最初っからそうしなさい!!!」どすっ!

 

 

「∑うっ・・・・・・ごめんなさい」

 

 

「そうでしょ、ルフィ?」

 

 

「腹減ったァ〜〜!!!サンジ、朝メシィ〜〜!!!」

 

 

「・・・・・・どうでもいいのかしら?(汗)」

 

 

「それがウチの船長なんでね」ポン

 

「それよりまだ寝てたアホ3人に状況を説明してくれ」

 

 

少し不安になってきたビビに肩を叩いてサンジ達への説明を頼んだマカハゼはMr.5ペアの元へ向かった。

 

 

(それにしてもよく分からん女だったな・・・)

 

(あの護衛隊長を殺したんなら何故俺たちに対して敵意が感じなかったんだ・・・・・・?)

 

 

マカハゼはMs.オールサンデーに感じた違和感に疑念を抱いていたが、今は目の前のことに集中する事にした。

 

 

 

 

 

 

〜END〜



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〝3〟と〝6〟

side:メリー号

 

 

「はァ・・・それは惜しいことをしたが・・・まだ俺にも活躍の─場は残ってるわけだ・・・」

 

「大丈夫!!この眠れる騎士が目覚めたからには君の安全は保証するさ」

 

 

「はぁ〜〜〜〜寝ててよかったァ〜〜〜〜ッ!!!」

 

 

「王下七武海・・・ルフィ船長がやれって言うんならやるけど・・・・・・」

 

 

ビビから事情を聞いた3人はカッコつけたり安堵したり怯えたりしていたが彼女をアラバスタ王国まで送ることに反論はなかった。

 

一方でマカハゼは組織に完全に切られたMr.5とMs.バレンタインと話をしていた。

 

 

「──つーわけで不運にも俺たちと同じ追われる身になった事だが・・・副社長に殺されかけたお前らはそれでもビビを狙うか?」

 

 

既に拘束を解いてもらったMr.5とMs.バレンタインは互いに顔を見合わせてからマカハゼの問に答えた。

 

 

「いやァ・・・正直憂さを晴らしたいって気持ちはあるが・・・・・・」

 

 

「今更そんな事やっても返り討ちにあうのがオチだし・・・」

 

 

そう言ってMs.バレンタインは船の周りを見渡した。ウイスキーピークで100人の賞金稼ぎを倒した3人、その3人を強くさせた刀3本の剣士、自分達を瞬殺した麦わらの船長、そして得体の知れない目の前の男。

 

他にも未知数の実力者がいるかもしれない中で王女ビビに手を出せばどうなるかは言うまでもなかった。

 

 

「賢明な判断で何よりだ」

 

「そこで俺からの提案だが・・・俺たちと一時的な仲間にならねぇか?」

 

 

「「・・・・・・ハァッ!?」」

 

 

マカハゼの突然の提案にMr.5ペアは驚き、他のみんなも驚きを隠せなかった。

 

 

「考えてもみろよ、組織から切られた事でなんの後ろ盾もないこいつらがこの先生きていくのは難しい」

 

「唯一生き残る術は俺らと一緒にビビをアラバスタへ送り、尚且つ共に〝バロックワークス〟を潰す事が最善だと思うぜ」

 

 

「成程・・・確かにその2人が生き残るには組織の刺客から逃げ続けるよりも俺たちと立ち向かった方が吉だな・・・・・・」

 

 

話を聞いていたサンジも理解し、2人が仲間になるのに異論はなかった。

 

 

「まぁ〝バロックワークス〟を潰した後はビビを護衛した恩赦で何処かで平穏に暮らせばいいしな」

 

「お前さんもそれで納得出来るか?」

 

 

マカハゼは1度命を狙われたビビに顔を向け、確認をとった。

 

 

「私は構わないわ・・・ちょっと複雑だけど」

 

 

「お前らいいな?」

 

 

「「・・・・・・」」

 

 

「まぁ・・・それしか道がねぇからな・・・・・・」

 

 

「キャハハハ、やるしかないわね!」

 

 

「よし!契約成立だ!!」

 

「ルフィもそれでいいだろ!?」

 

 

「おう、いいぞ」コクッ

 

 

「∑だから軽いわッ!!!」×5

 

 

こうして王女ビビに加え、Mr.5改めジェムとMs.バレンタイン改めミキータが共に行動する仲間になった。

 

そして船は〝記録指針〟が示す次の島、リトルガーデンへ向けて進み出した。

 

祖国(アラバスタ)を救うために・・・組織から生き延びるために・・・七武海という壁を乗り越えるために・・・それぞれの目的を胸に波に揺れて行く。

 

 

 

 

 


 

 

side:〝偉大なる航路〟何処かの島

 

 

「おい見なよ!社長(ボス)から新しい指令が届いたよ!!」

 

 

「あ"?」

 

 

〝偉大なる航路〟にある無人島の海岸で1隻の海賊船が煙を上げながら1組の男女が寛いでいた。

 

男は30代の金髪ロングヘアーでロックバンド風の格好、女は20代ショートカットで番長の格好をした男勝りな美女だった。

 

その2人こそ〝バロックワークス・オフィサーエージェント〟の一角、Mr.6とMs.マザーズデーであった。

 

 

「・・・Mr.5ペアがしくじった上に裏切った?」

 

〘〝バロックワークス・オフィサーエージェント〟〙

 

〘Mr.6〙

 

 

「ああ、何でも相手は我が社に潜入してたアラバスタ王国の王女でそいつを偶然守った新参の海賊にヤられたそうだよ」

 

〘〝バロックワークス・オフィサーエージェント〟〙

 

〘Ms.マザーズデー〙

 

 

「負けたからと言って裏切るもんかね?」

 

 

「それがよぉ、しくじった時に王女が知った社長(ボス)の何かの秘密を聞かされちまったから処分が決まったそうなんだよ」

 

 

それを聞いたMr.6は呆れたようにため息を吐き、再び指令書に目を通した。

 

 

「まぁ俺たちより上の〝オフィサーエージェント〟が消えてくれるんなら有難いことだ・・・問題はこの指令書の通りならM()r().()3()()()にもこの仕事が振られているって事だな」

 

 

「∑え、アイツらも一緒に殺るのか!?」

 

 

指令書(これ)全部読んでたんじゃねェのかよ(汗)」

 

 

Ms.マザーズデーのガサツさに少し呆れながらもMr.6は社長(ボス)からの指令に従う意志を示していた。

 

 

「例の王女とMr.5ペアが新参の海賊の船に乗ってるなら・・・〝記録指針〟通りに進めば次はリトルガーデンか・・・・・・」

 

 

「リトルガーデン・・・ならあたしらが出るまでもなく野垂れ死ぬんじゃないのか?」

 

 

「この〝偉大なる航路〟は不確定要素が盛り沢山だからな・・・〝アラバスタ乗っ取り〟の為に排除しておきたいのが社長(ボス)の考えだろ」

 

 

そう言うとMr.6は暇潰しに潰した海賊船から島に降り、別の場所に停泊させた自分たちの船に向かった。

 

 

「Mr.5のボムボムの実の能力(ちから)にMs.バレンタインのキロキロの実の能力(ちから)・・・確かに強力な能力(ちから)だったが所詮は能力頼みの力技!」

 

「教えてやろぜ・・・悪魔の実の能力を使いこなした能力者の恐怖をMr.5ペア・・・そして王女(小娘)と海賊共に教えてやるよ・・・・・・!!」

 

「楽しみだね・・・Mr.5ペアを潰した海賊がどれ程のもんか・・・楽しみだよ!!!」

 

 

そう言いながらMs.マザーズデーの肉体がメキメキと音を立て、人とかけ離れた何かに変貌した。

 

巨大な影になって唸り声を上げるMs.マザーズデーをよそに、Mr.6は無視して歩いて行った。

 

 

 

 

 


 

 

side:〝偉大なる航路〟キューカ島

 

 

〝偉大なる航路〟にあるリゾート地〝キューカ島〟・・・そこには多くの人々がこの島で休暇を楽しんで過ごしていた。

 

 

「ねぇM()r().()3()!」

 

 

「何カネ、待ちたまえよ」

 

 

ズズッ・・・

「ん〜〜・・・やはり紅茶はアールグレイに限るガネ」

 

 

そんなリゾート地に怪しい2人組の男女も優雅にくつろいでいた──否──ハッキリ言って怪しいのは男の方だけであった。

 

 

「ヒマだわ、Mr.3」

 

 

「ヒマって君基本働くの嫌いだろうガネ・・・」

 

 

「うん」

 

 

「ならば任務のない今・・・この幸せな時間を少しは楽しんだらどうカネ?こうやって休暇を楽しめるのも我ら〝オフィサーエージェント〟の特権なのだガネ!!!」

 

「それと・・・このような公の場で軽々しくコードネームを呼ぶんじゃない・・・・・・」

 

「私がMr.3だと・・・バレてしまうガネっ!!!」

 

〘〝バロックワークス・オフィサーエージェント〟〙

 

〘Mr.3〙

 

 

「そぉ?」

 

《〝バロックワークス・オフィサーエージェント〟》

 

〘Ms.ゴールデンウィーク〙

 

 

紅茶を楽しむ男──Mr.3は何処にでも居そうなインテリ風のサラリーマンだが彼の髪型が何故か自身のコードネームである3を意識していた。

 

そしてパートナーである少女──Ms.ゴールデンウィークは冒険家のような帽子をかぶっており、どこか気だるけな様子で紙切れを持っていた。

 

 

「ところで・・・君はここ数日ず〜〜っとその紙切れを眺めているが・・・一体何カネ・・・?」

 

 

社長(ボス)からの指令」

 

 

「∑はよ言わんかァっ!!!(汗)」

 

 

組織のボスからの直接の指令書をパートナーのMr.3(自分)に何も言わずにただじっと眺めていたMs.ゴールデンウィークに思わずツッコミを入れてしまった。

 

そしてパートナーから指令書を受け取ったMr.3は紅茶を飲みながら読み始めた。

 

 

「Mr.5ペアがヤられた上に何かの秘密を知った王女側に付いた。よってMr.6ペアと始末しろか・・・どうせなら〝Mr.2〟がヤられてくれた方が良かったガネ」

 

 

「そしたら昇格出来るのにね」

 

 

「フン・・・所詮あの男は自分の地位を過信した〝能力バカ〟に過ぎんのだ」

 

「しかも敗北した上に社長(ボス)の秘密を知ってしまったからと言って簡単に裏切るのもいただけんガネ」ゴクッ!

 

 

組織を裏切ったMr.5ペアを吐き捨てながら手に持っていたティーカップの紅茶を飲み干した。

 

 

「どれだけ優れた悪魔の能力(ちから)を手に入れてもそれを使いこなすことの出来ない能力者ほどムダな存在はいない」

 

「優れた犯罪者は優れた頭脳で目的を遂行するものだガネ」

 

「わたしが()()()()に教えてやろうではないカネ、『犯罪組織』を敵に回す事の恐ろしさを・・・!!!」

 

 

「ねぇMr.3」

 

 

「ん?」

 

 

「明日の朝ご飯食べてから行きましょ」

 

 

「∑直ぐ出発に決まっとろうガネ!!指令書(これ)数日前から出とるのだから急ぐのだガネ!!!」

 

 

Ms.ゴールデンウィークのマイペースな性格に振り回されながらも裏切り者と邪魔者の排除に動き出した・・・。

 

 

(まぁ・・・もしもの時はこれを使えばいいだけだガネ)

 

 

自身のズボンのポケットに小さなボトルを忍ばせていたMr.3はそう考えながら王女たちの目的地──リトルガーデンへと向かった。

 

 

 

 

 


 

side:メリー号

 

 

ウィスキーピークを出航して数日──追っ手の気配がないまま、メリー号はゆったりと進んでいた。

 

 

「それにしても・・・アイツらよく打ち解けたなぁ(汗)」

 

 

マカハゼの前にはジェムがウソップと火薬の調合やウソップ特製武器の作成の手伝いをしたり、ミキータは自身の能力を活かしてゾロ率いる『八咫烏』たちの筋トレの重り役になる事で親睦を深めていた。

 

2人なりに一味からの信頼を得ようと努力した結果であった。

 

 

「ホント単純よね、アイツら・・・」

 

「あなたはちょっと複雑な気分でしょ、ビビ?」

 

 

マカハゼに同意したナミは2人に命を狙われていたビビにそう問いかけた。

 

 

「えぇ」

 

「でも正直・・・罪悪感の方が勝ってて・・・・・・」ズゥーン

 

 

「「イヤまだ引きずってたんかい」」Σヽ(゚∀゚;)

 

 

未だに引きずっていたビビにマカハゼとナミはツッコミを入れ、そこまで気に病むことはないと励ました。

 

 

「過ぎた事は何時まで引きずっても仕方ねぇよ」

 

「寧ろ味方が増えた事をプラスに考えた方が気が楽だぞ」

 

 

「分かってる・・・分かってはいるけど・・・・・・」

 

 

「まぁジェムから聞けた〝オフィサーエージェント〟はMr.3ペアとMr.4ペア、そしてMr.6ペアの三組の特徴と能力を知ることが出来た」

 

「だがそれより上のMr.1ペアと1()()()()()()()()()()()()()Mr.2だけが分からなかった。」

 

 

「その情報をまとめた紙を私たちに1枚ずつ渡して頭に叩き込めってことね」

 

「丁度私たちの次の目的地の島に着いたしね」

 

 

そう言ってナミが見つめる方向に遠くからでも分かるほど、巨大な穴のあいた山がある島が見えた。

 

それを見たマカハゼは声を上げルフィ達を呼んだ。

 

 

「お前らァ!!島が見えたぞぉ!!!」

 

 

その言葉を合図に自由に過ごしていた船員たちが集まり、ルフィがワクワクの目で島を見つめていた。

 

 

「アレが・・・〝偉大なる航路〟2つ目の島・・・・・・!!!」

 

 

 

 

 


 

 

side:???

 

 

「来たか・・・・・・」

 

 

 

 

〜END〜



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〝幻の液体〟

side:メリー号

 

 

「あれが2つ目の島・・・リトルガーデン」

 

 

ついに2本目の〝指針〟の先に辿り着いた〝麦わらの一味〟はワクワクや不安を感じながら島を見つめていた。

 

 

「──・・・気をつけなくちゃ・・・・・・Ms.オールサンデーが言っていた事が気になるわ」

 

 

「か・・・!!か・・・!!怪物でも出るってのか!?」

 

 

「さァ、分からない」

 

 

「ジェム!ミキータ!お前らは何か知らねぇか?」

 

 

ゾロは〝偉大なる航路〟で暗躍していた元エージェントの2人に聞いてみた。

 

 

「俺たちは元々破壊工作や邪魔な要人の抹殺を主にやってたからそこまでは・・・」

 

 

「でも噂じゃここは普通の人間が生きられる環境じゃないって聞いてるわ」

 

 

「普通の人間が生きていけないって・・・・・・!!!」ゴクッ!

 

 

それを聞いたウソップやナミは少し恐れて息を飲んだ・・・しかしマカハゼはそれを一蹴した。

 

 

「なら大丈夫だな」

 

 

「∑何だとテメェ!!!」

 

 

「∑少しは身の危険って奴を感じなさいよ!!!」

 

 

「いや、お前らやビビは兎も角・・・()()()()()がこの船に居ると思うか?」

 

 

そう言われてウソップとナミは自分たちの周りを見渡した。

 

──宇宙から来た一味の参謀異星人の〝仮面ライダー〟

 

──強化実験を受けた4人の剣士

 

──強化実験を受けた足技中心の料理人

 

──悪の組織の元エージェント

 

──〝自然系〟を食べたセクシー美女

 

──強化実験を受けた船長にして〝仮面ライダー〟

 

 

「普通の人間・・・いるか?」

 

 

「「いません(汗)」」ブンブンッ

 

 

マカハゼの2度目の質問にウソップとナミは普通の人間が自分たちとビビの3人だけだと気づき、冷や汗を流して肯定した。

 

 

「第一普通の人間が生きられない環境でも上陸しない訳にもいかんだろ?」

 

 

「それにそろそろ食糧を調達しないとな・・・前の町じゃ蓄えることも出来なかったからな」

 

 

「そうは言っても・・・これは・・・」

 

 

もっともな事を言うマカハゼとサンジの言葉にハニークイーンが島の内部を見て難色を示した。

 

島の河口の水路から入った所から奥まで広がっているのは巨大な木々が生い茂る程の大自然だった。

 

 

「まるで秘境の地・・・生い茂るジャングルよ・・・・・・」

 

 

草木が囁く音や正体不明の生き物の鳴き声が響き渡るその地を若者サイドたちは息を飲んだ。

 

少しでも目を離せば未知の脅威が襲って来るかもしれないほどの不気味ささえ感じていた。

 

 

「ここが〝リトルガーデン〟・・・・・・!!!」

 

 

「──そんなかわいらしい名前の土地には見えやせんぜ?一体どこら辺がリトルなのか・・・」

 

 

「だいたい見てよ!!こんな植物・・・図鑑でも見た事ないわ・・・・・・」

 

 

「或いは()()()()()()()()()()()()()かだな・・・」

 

 

()()()()()()・・・・・・?」

 

 

マカハゼの推測にナミが質問をしようとしたその時、突如葉が擦れる音と共に獣の咆哮が聞こえた事でナミの意識はそちらに回った。

 

 

「きゃあ!!何!!?今の!!!」

 

 

「・・・・・・ナ・・・ナミさんったらカワイイ 大丈夫さ、今のはただの鳥だよ」

 

「そしてここはただの密林(ジャングル)、心配ねェよ」

 

 

「・・・ただの鳥に牙や鉤爪があるか?」

 

 

「ありゃトカゲじゃねぇのか・・・・・・?」

 

 

ルフィとマカハゼが見つめる先にはサンジが鳥だと言った生き物の姿があった──ただし頭が爬虫類で翼に鉤爪が無ければ完璧に鳥と言えていたが・・・。

 

そしてでかい爆音と共に島が揺れるような衝撃が船を襲った。衝撃は一瞬であったため、被害はなかったがウソップたちは気が気ではなかった。

 

 

「これが・・・ジャングルから聞えていい音なの!!?」

 

 

「まっ・・・まるで火山が噴火したような音だったぞ!?」

 

 

驚くウソップたちが次に目撃したのは川岸にまで出てきた大型の虎が血まみれになってズシィンと倒れる姿だった。

 

 

「〝密林(ジャングル)の王者〟の虎が・・・血まみれに・・・・・・!!!」

 

 

「こ・・・この島には上陸しない事に決定!!!」

 

 

「この船の上で待機して・・・〝記録指針〟が貯まるのを待つ!!安全にアラバスタへ向かうためにね!!!」

 

 

「それだけが理由じゃなさそうだが・・・確かにお前の言うこともなんだけど・・・・・・」

 

「既に上陸する気満々な奴らがいるぞ?」

 

 

「ほらよ、〝海賊弁当〟」

 

 

「サンキュー!!」

 

 

「足元に気をつけてね、ビビ」

 

 

「ええ!カルーもいるから大丈夫よ、ねぇカルー!!」

 

 

「・・・・・・!!!・・・・・・!!!」

 

 

カルー(本人)言葉にならないくらいびびってるんだが?」

 

 

マカハゼが指を指した方を見ればルフィがサンジから4人分の〝海賊弁当〟を受け取り、ハニークイーンとビビは談笑し、ジェムは上陸する事にまだ怯えているカルーを見ながら上陸の準備をしていた。

 

 

「∑ちょっとあんたら!!一体どこへ行くつもりよ!!?」

 

 

「冒険。ししし!!!一緒に行くか?」

 

 

「∑いや行くかァ!!?」

 

 

(ダメだ止まらない!!イキイキしすぎ!!!)

 

「て言うかビビ!!王女のあんたまで何で行こうとしてんのよ!!?」

 

 

「じっとしてたら色々考えそうで・・・〝記録〟が貯まるまで気晴らしに!!!」

 

 

いい笑顔でルフィについて行くことを宣言したビビにナミとウソップは唖然とした。

 

 

「カルーやハニーさん、Mr.5もいるんだから問題ないわよ」

 

 

「ルフィ船長の付き人としてついて行かないといけないのよ」

 

「大丈夫!ビビはしっかり守るわ!!」

 

 

「俺は率先して少しでも信頼を得ないといけないしな」

 

 

それぞれの意見を聞いたウソップとナミはもう何も言えず、4人と1匹はジャングルの中へ入っていった。

 

 

「度胸あるな、Ms.ウェンズデー・・・」

 

 

「13の若さで悪の組織に潜入する程だからな・・・」

 

 

「というよりここ最近ハニークイーンが自分で迷いなくルフィの付き添いを引き受けるわね・・・」

 

 

「このままだとルフィを取られちまうかもよ?」

 

 

「どういう意味でこっち見ながら言ってんのよ?」(ꐦ ˙-˙ )

 

 

ナミを見ながら意味深なことを言うマカハゼに若干イラッとした。そんな3人を尻目にゾロたち『八咫烏』も下船の準備をしていた。

 

 

「じゃ俺たちも暇だし行くか・・・散歩に」コキッコキッ

 

 

「∑散歩!?」

 

 

「俺たちは兄貴のお目付けで行きやす!」

 

 

「こんなジャングルを一人で行かせたら兄ぃは間違いなく迷子だからね」

 

 

「ウンウン」

 

 

「∑ぶった斬るぞテメェらァ!!!」

 

 

散々迷子癖を弄られながらもゾロは3人と一緒に下船し、ジャングルに入ろうとしたがサンジが待ったをかけた。

 

 

「おい、ちょっと待ってくれ!!」

 

 

「「「「ん?」」」」

 

 

「食糧が足りねェんだ。何でもいいから食えそうな獣を見つけたら狩っといてくれ」

 

 

「「畏まりやした!!」」

 

 

「了解」

 

 

「お前じゃ到底狩れないようなヤツ狩ってきてやるよ」

 

 

「「「∑ちょっと兄貴/兄ぃ!!!」」」

 

 

「∑待てコラァ!!!」

 

 

しかし案の定と言うべきか、ゾロの何気ない挑発にサンジが反応してしまった。

 

 

「あァ!?」

 

 

「聞き捨てならねェ・・・お前が俺よりデケェ獲物を狩れるだと・・・!!?」

 

 

「当然だろ!?」

 

 

「狩り勝負だ!!!」

 

 

結果互いへの対抗心から狩り勝負が始まり、サンジも船から降りることになった。

 

 

「いいか!?〝肉何キロ取れたか勝負〟だ!!」

 

 

「何トンの間違いだろ・・・望むところだ!!」

 

 

「ウチが兄ぃについて行くから2人はサンジの兄貴の方へ」

 

 

「「合点」」

 

 

ちなみに審査役はジョニーとヨサクとカッコウの3人が行う事になり、カッコウがゾロに、ジョニーとヨサクがサンジについて行った。

 

 

「アイツらも行っちまった・・・」

 

 

「賭けようぜ、俺は引き分けに5000ベリー」

 

 

「∑呑気か!?サンジくんに1万ベリー!!!」

 

 

「∑いや賭けるんかい!!!」

 

 

「そんじゃ俺も行くわ」

 

 

「「∑何ィ!!?」」

 

 

ナミに賭けを持ちかけたマカハゼは自分も上陸すると行って船を降りた。

 

 

「お前まで行くのかよ!?」

 

 

「俺も実験で使えそうな素材を探しに行くだけだ」

 

「あぁそれと・・・この島には俺たち以外にも6人いるみたいだから気をつけろよ」

 

 

そう言ってマカハゼもジャングルの奥へと消えていった。残された2人は()()()()が船から降りた事実に呆然とした後、メソメソと泣きはじめた。

 

 

「・・・どいつもこいつも何であんなに自由なのよ・・・しかも私たち以外に6人もいるなんて・・・!!!」(╥﹏╥)

 

 

「その気持ち分かるぞナミ・・・泣くな・・・俺はお前の味方だよ・・・」(╥﹏╥)

 

 

「あら?船に残ったのあなた達だけなの?」

 

 

2人が声のした方を見ればミキータが残りの食材でデザートを作って持ってきていた。(ちなみに彼女が昔目指していた職業はパティシエだった)

 

 

「「∑は」」

 

 

ミキータの姿を発見した2人はすぐさま駆け寄り必死の懇願を始めた。

 

 

「お願いだからあなたは残って!!もうあなただけが頼りなのよ!!!」

 

 

「え、何?」

 

 

「俺の狙撃で援護するからしっかり守ってくれ!!」

 

 

「え・・・え??」

 

 

泣きながら懇願する2人の姿にデザートを持ったままのミキータはただただ困惑していた。

 

 

 

 

 


 

 

side:マカハゼ

 

 

「結局忠告はナミとウソップにしか出来なかったな・・・」

 

 

2人に忠告を残してジャングルに入ったマカハゼはしばらく探索を続けていた。

 

 

(感じる6つの気配の内4つの気配が俺たちに対して殺意を持っているな・・・後の2つは元からの住民っぽいな)

 

 

素材の探索をしながら気配を探っているマカハゼはさらにジャングルの中に向かっていた。途中この星に実在した生物や植物を幾つか見つけていた。

 

 

(アンモナイトにアンキロサウルスにステゴサウルスにフクロオオカミにオーロックス・・・この島は絶滅した生き物が生きている環境なんだな・・・)

 

 

島の生態系に関心しながら進んで行くと煙が出ている水場があった。

 

 

「温泉・・・にしてはこの感じ・・・まさか・・・」

 

 

マカハゼは持っていた機材を取りだし、直ぐに分析を始めた。そして分析を終えた結果、マカハゼ自身がありえないと思っていたものだった。

 

 

「〝ネビュラガス〟よりも更に高濃度の液体──〝ファントムリキッド〟」

 

(これはビルド本編後のグリスで出てきた世界融合の影響でできた液体・・・何でこの世界に湧き出てるんだ・・・?)

 

「そういえば10数年前に〝パンドラボックス〟が妙な反応をしたことがあったな・・・それと何か関係が?」

 

 

この星へ来てまだ10数年だった頃に〝パンドラボックス〟が突然光った事があり、数日警戒していたが何も起きなかったのでその事実も忘れかけていた。

 

 

「まぁそれを今考えても仕方ねェわな」

 

「こいつを大量に回収しておけばあいつらの強化に使えるし今後こいつが湧き出ているか調査もできるしな♪」

 

 

そう言ってマカハゼは〝ファントムリキッド〟を上機嫌に回収し始めた。

 

 

 

 

 


 

side:メリー号

 

 

「・・・・・・・・・!!」

 

 

「・・・・・・・・・!!?」

 

 

「ウソでしょ・・・・・・!?」

 

 

〝リトルガーデン〟──その島の名に聞き覚えのあったナミはそれを調べる為に女子部屋の本棚を漁っていた。

 

そこから目当ての本を見つけて内容を確認したナミはその事実をウソップとミキータに伝えようとしたが時は既に遅く、島に1()0()0()()()()()()()()()()()()()()()1()()に見つかっていた。

 

その衝撃でナミが落とした本の最後のページには作者の言葉が掲載されていた。

 

 

──()()()()()にとって・・・まるでこの島は〝小さい庭〟のようだ

 

──()()()〝リトルガーデン〟──この土地をそう呼ぶことにしよう

 

──冒険家ルイ・アーノート

 

 

「別に危害を加える気はねェよ」

 

「ただ酒を少し分けて欲しいだけだ」

 

 

〘巨人族 ブロギー〙

 

 

「す・・・少しなら・・・!!」((*゜Д゜)ゞ”

 

 

「そうかそうか!!ガバババババ!!!」

 

「俺の名はブロギー!!エルバフ最強の戦士だ!!!」

 

「この島で採れた新鮮な恐竜の肉もある!!持て成すぞ、客人よ!!!」

 

 

酒があると知り、上機嫌に3人を持て成す事を決めたブロギーに3人はただ呆然としていた。

 

 

 

 

 

〜END〜



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デっケェ

side:ルフィ

 

 

「いやァ〜〜いい眺めだなァ〜〜っ!!!」

 

 

冒険をしていたルフィは島の高い所から眺めがいのある景色を見ていた───ただし()()()()()()()()()()()()で・・・。

 

 

「火山やボコボコ穴の空いたデケェ山もあるし!!」

 

「弁当はここで食うか!!!」

 

 

「∑イヤ食えるかァ!!?」

 

 

「ルフィ船長!!早く降りてください!!!」

 

 

「そうよ危険よ!!大人しくても恐竜なのよ!!?」

 

 

「・・・・・・・・・!!!」ピクピク!

 

 

「大丈夫だよ!!こいつさっきから草ばっか食ってるし俺の事気づいてねぇぞきっと!!!」

 

 

ブラキオサウルスの頭の上で呑気に弁当を食べようとするルフィにビビ達は必死で止めようと叫んでいたが大丈夫だと聞く耳を持たなかった。(ちなみにカルーは気絶している)

 

 

「おい麦わらァ!!そんな事言ってないで早く降りねぇとエラい目に───」

 

 

──ポーーン!!──

 

 

「ん?」

 

 

──バクンッゴクン!!!──

 

 

「あ(汗)」

 

 

「∑言わんこっちゃねェ〜〜っ!!!」

 

 

「∑食べられてんじゃないのよ〜〜っ!!!」

 

 

「∑ルフィ船長ォ〜〜っ!!!」

 

 

早くルフィを降りさせようとジェムが声をかけるがブラキオサウルスが頭を上に振り上げてルフィを飛ばし、落ちてくる所をバクっと食べてしまった。

 

それを見てしまった3人は思わず絶叫し、もうダメだと諦めかけてしまった。しかしその時、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

──ズバン!!──

 

 

「「「!!?」」」

 

 

──スポン──

 

 

「うお?」ボトッ…

 

 

「ゲギャギャギャギャ!!!首長の上に乗るとは中々活きのいい人間じゃねぇか!?」

 

「久しぶりの客人だ!!!」

 

 

〘巨人族 ドリー〙

 

 

切り飛ばされた首の中から落ちてきたルフィを受け止めたのはブラキオサウルスと同じくらいデカい種族──鉄兜を被った巨人だった。

 

 

「でっけェーなァ〜〜っ!!!人間か!!?」

 

 

「ゲギャギャギャ!!我こそが巨人族〝エルバフ〟の戦士、ドリーだ!!!」

 

 

「きょ・・・巨人・・・!!!」

 

 

「じ・・・実在したの・・・!?」

 

 

ルフィを助けた巨人族の戦士を目の当たりにした事で見上げながら腰を抜かしていたが、流石は元エージェントあったジェムは立っていた。

 

 

「は・・・初めて見た・・・噂には聞いていたけど・・・!!」

 

 

()()()!ウチに招待しようっ!!!」

 

 

「∑ヴッ!?」

 

 

「見つかってた・・・っ!!」

 

 

「こりゃついて行くしかないな・・・・・・(汗)」

 

 

 

 

 


 

 

side:巨人ブロギーの家

 

 

「ガバババババ!!!」

 

「さぁ恐竜の肉が焼けたぞ、食え!!」

 

 

「いただきます・・・」

 

 

「「しょ・・・食欲がありません・・・・・・」」

 

 

(おい見ろ・・・人骨の山だ・・・)

 

 

(わっ・・・分かってるわよ・・・)

 

 

「遠慮などするな!!美味いぞ、恐竜の肉は!!!」

 

 

「「食べたくありません・・・(泣)」」

 

 

「あなた達が何を勘違いしてるかだいたい予想がつくけどかなり失礼だからね・・・」ŧ‹”ŧ‹”

 

 

ナミとウソップの様子を人骨の山を見て察したミキータは恐竜肉を食べながら2人に言った。

 

 

「巨人族も私たちと何も変わらない食事をするのよ?あそこに転がっている人骨の山は彼に喧嘩を売ったか恐竜の餌になったかでしょ?」ŧ‹”ŧ‹”

 

 

「ガバババババ!!!その嬢ちゃんの言うとうりだ!!!」

 

 

ブロギーは焼いた恐竜肉を食べながらミキータの推測を認めた。

 

 

「ある者は恐竜の餌に・・・ある者は暑さと飢えに・・・ある者は()()()に攻撃をした為に・・・そうしてこの島に来た人間たちは死んで行った・・・」

 

「お前ら人間にとってこの島の〝記録〟が溜まる時間があまりにも長すぎるのさ・・・」

 

 

(時間が長い・・・?)

 

 

ブロギーの説明の中にあった〝記録〟に関する部分に疑問に感じたナミは質問をする事にした・・・嫌な予感を覚えながら・・・。

 

 

「あの〜・・・」

 

 

「ん?どうした、娘?」

 

 

「この島の〝記録〟はどれ程で貯まるのでしょうか・・・?」

 

 

「1年だ」ドーン

 

 

「・・・・・・ッ!!!」チーン×3

 

 

ブロギーから特大の爆弾を告げられたナミとウソップは倒れ、ミキータは恐竜肉を落としてしまった。す

 

 

「まァゆっくりしてけ!!!ガバババババ!!!」

 

 

 

 

 


 

side:巨人ドリーの家

 

 

「この恐竜の肉うめェじゃねェか!!」

 

 

「ゲギャギャギャ!!!ちと足りねェがお前の海賊弁当とやらもイけるじゃねェか!!!」

 

 

「当たり前だろ。不味いなんて言ったらぶっ飛ばすぞ!!!」

 

 

「ギャギャギャ!!!チビの癖に面白ぇヤツだ!!!」

 

 

「馴染むの早ぇー・・・(汗)」

 

 

「めちゃくちゃ馴染んでる・・・(汗)」

 

 

「流石としか言えないわね・・・(汗)」

 

 

「クエェェー・・・」

 

 

巨人ドリーの家に招待されたルフィ達は恐竜の肉をご馳走になっていたが食べいるのはルフィ1人だった。

 

そのルフィは自分の海賊弁当をお礼に渡し、巨人のドリーと楽しそうに食べながら会話をしていた。

 

 

「ところでおっさんは何でこんな島に住んでんだ!?村とかねェのか?」

 

 

「それならこの〝偉大なる航路〟の何処かに〝エルバフ〟という村があるぞ・・・だが村には掟もある」

 

「例えば村で争いを、初めて互いに後に引けない場合・・・俺たちはエルバフの神の審判を受ける」

 

「エルバフの神は常に正しき者に加護を与え、正しい奴を生き残らせるんだ。そして俺はこの島で同郷のある男と決闘をしている最中何だが・・・かれこれ100年!!てんで決着(ケリ)がつかねェ!!!」

 

 

「「「「∑100年!!!?」」」」

 

 

ゲギャギャギャと豪快に笑うドリーを他所にルフィ達は驚嘆の声を上げた。人間でも決闘をするが長くて数ヶ月で終わるのが普通で100年も続くのは流石に異常だった。

 

 

「ッてちょっと待て!!100年前の巨人族いえば世界を震撼させた()()()()()が消えた時期と同じじゃねェか!!?」

 

 

「昔の話だ・・・この俺もかつては〝青鬼(あおおに)のドリー〟と呼ばれてた時はあったがな・・・」

 

 

「あっ〝青鬼ィ〟!?という事はもう1人ってのは〝赤鬼のブロギー〟なのか!!?」

 

 

「お前よく知ってるな」

 

 

「巨兵・・・て何だ??」

 

 

ドリーとジェムのやり取りについていけなくなって来たルフィやビビとハニークイーンはパッと来ないのか首を傾げた。

 

 

「知らねェのも無理はねェ・・・〝巨兵海賊団〟は100年にいた昔の巨人だけの海賊団で当時の世界を暴れ回った最強の海賊団だったからな・・・」

 

 

「∑最強の海賊団!!?」(☆ω☆)

 

 

「その海賊団を率いていたのが〝赤鬼〟と〝青鬼〟と呼ばれていた2人の船長・・・その片割れの〝青鬼のドリー〟がこの巨人って訳だが・・・何故かその2人の船長がいなくなって自然消滅したってのが歴史に残ってんだ・・・」

 

 

「察しの通り俺はその片割れと決闘してんのさ」

 

「こんだけ続けていられるのもお前ら人間の3倍の寿命を持ってるからな!!」

 

 

ゲギャギャギャと笑うドリーにビビは当たり前の疑問を問いかけた。

 

 

「いくら人間の3倍の寿命を持っているとしても100年もすれば喧嘩の眠も覚めるはずよ!?まだ戦い続ける理由があるの!!?殺し合いでしょ!!!」

 

 

ドオォォォン!!

 

 

「∑ウオっ!?でっけぇ〜山の噴火だ!!!」

 

 

「さて・・・じゃぁ行くかね・・・!!!」

 

 

ビビの怒声と同時に山が噴火し、それを見たドリーは武器をとって支度を始めた。ルフィは何を思ったのかその様子をただ見つめていた。

 

 

「・・・・・・」

 

 

「〝真ん中山〟の噴火は決闘の合図・・・いつしかお決まりになっちまった俺たちのルールだ」

 

 

「・・・・・・そんな・・・・・・!!!100年も殺し合いを続けるほど憎しみなんて!!」

 

 

「流石におかしいわよあんたら「やめろお前ら!!そんなんじゃねェよ」ッ!!?」

 

 

「麦わら!?」

 

 

ビビの剣幕にハニークイーンも賛同の声を上げたがルフィが止めさせた。ルフィが止めた事にジェムは驚いていたがそんな4人を見ながら進み、ビビの疑問に答えた。

 

 

「そう・・・誇りだ」

 

 

「オオオオオオオ!!!」

 

 

住処から少し離れた広い決闘場に着いたドリーはそう言って武器を構えた。そしてその向かいの方からドリーと同じ巨体の巨人、〝赤鬼のブロギー〟が声を上げて突進しながら現れた。

 

 

ガキィィン!!!

 

 

「「理由など・・・とうに忘れた!!!!」」

 

 

「・・・・・・」

 

──ばたっ──

 

 

「え?」

 

 

「あの・・・船長・・・・・・?」

 

 

「どうしたんだ・・・?」

 

 

「まいった・・・デっケェ」

 

 

2人の巨人の強さ・・・覚悟・・・誇り・・・その全てに圧倒されて倒れたルフィはただそれしか言えなかった・・・・・・。

 

 

 

 

 


 

 

side:??

 

 

「2匹の鬼が今日も始めたか・・・」

 

 

『〝巨兵海賊団〟の2大船長・・・合わせて2億の首も〝麦わらの一味〟と共に終わりだガネ』

 

 

ドリーとブロギーが戦っている決闘場とドリーの住処に近い場所からロックバンド風のMr.6が電伝虫でMr.3と連絡をとっていた。

 

 

「しっかしアンタもエグい事を考える・・・まぁ()()に仕掛けをした俺が言えた義理じゃないけどな」

 

 

『ふん・・・元々この作戦は()()()()()()()のMr.5ペアのせいで始まった事のだガネ』

 

『まぁボスがお前達を一緒に同行させてくれたから実現したのだガネ・・・』

 

 

「あたしはそういう細かいのは無理だからね・・・まぁこの島にいるのが例の王女と3500万程度の海賊だったらアンタらの手を借りる必要もなかったんだけど」

 

 

「オマケに100年前とは言え現役バリバリの海賊並の巨人2体もいるからな・・・俺たちの邪魔をしてきたらまず勝ち目がない!!」

 

 

『だからこそ我々は〝能力〟と〝知恵〟を生かさなくてはならない』

 

『たったそれだけでいかなる強者も我々の掌の上で踊り狂うのだガネ』

 

 

密かに上陸していた2組の〝バロックワークス・オフィサーエージェント〟・・・彼らの魔の手が徐々に迫ってきていた・・・・・・。

 

 

『Mr.3、お茶おかわり』

 

 

『∑君はもう少し紅茶を味わう事を学びたまえ、Ms.ゴールデンウィーク!!!』

 

 

 

「「・・・・・・・・・」」

 

 

 

 

〜END〜



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(トラップ)

ドゴォン!!!

 

 

「互いにそろそろ故郷が恋しいな、ドリー!!」ゼェ・・・ゼェ・・・

 

 

「だから俺がお前をブチのめしてエルバフへ帰るんだよ!!!ブロギーよ!!!」ハァ・・・ハァ・・・

 

 

ドリーがその言葉を交わした直後に長剣の刺突を放ったがブロギーはそれを飛んでかわし、その勢いのまま戦斧をドリーに振りかざした。

 

ドリーの頭に当たったのを見てナミとミキータは思わず声を出して目を瞑った。しかしドリーは戦斧を自身の兜でギリギリ受け止めて跳ね返した。

 

 

ボギィッ!!

 

 

「「あっ!」」

 

 

「ンあァ!!!」ガン!!

 

 

「カ・・・カ・・・!!兜で()()()()!?あと数cm受け違えたら1発即死だぞ!!!」ゾゾゾ〜〜ッ!!

 

「な・・・なんちゅう戦いだ・・・!!お互いの全攻撃が急所狙いの一撃必殺・・・・・・!!!」

 

 

「こ・・・こんな殺し合いを100年も・・・!!?」

 

 

「尋常じゃない・・・異常よ・・・・・・!!!」

 

 

一連の流れを見ていた3人はは背筋が凍り、未だに続く決闘を呆然と眺めていた。

 

 

「でもよかった・・・!今のうちに逃げれる!!!」

 

 

「確かにここにいるよりはマシね!!ほら長鼻!早く行くわよ!!!」

 

 

「・・・・・・すげェ・・・・・・!」

 

「∑ちょっと!!?」

 

 

ウソップはブロギーが決闘の理由を忘れたと豪快に笑ったのを思い出し、震えていた。

 

 

「理由もねェのに・・・こんな戦いを・・・!!!」

 

 

「傍迷惑なケンカよね・・・」

 

 

「バカ野郎!!これが男の真の戦いってもんなんだよ!!!」

 

 

「?何よそれ??」

 

 

ウソップの言っている意味がわからないナミとミキータは眉をひそめたがウソップはそれに見向きもせずに語り出した。

 

 

「例えるならあの2人は・・・自分の胸に〝戦士〟という1本の旗をかがげている・・・それは命よりも大切な旗なんだ!!それを決して折られたくねェ・・・・・・!!!だからその旗を守る為に今まで100年間も戦い続けてきたんだ」

 

「分かるか!!?これは紛れもなく〝戦士達〟の・・・〝誇り高き決闘〟なんだよ!!!」

 

 

「いや、戦士じゃない私達にそんな事言われても・・・(汗)」

 

 

「ミキータの言う通りよ・・・ホラ!早く逃げるわよ!」

 

 

「俺はもう少し見てる!!」

 

「正にこれなんだ!!!俺のなりたい〝勇敢なる海の戦士〟ってのは!!!」

 

「俺は・・・こういう誇り高い男になりてェ!!!」

 

 

「「・・・・・・」」

 

「ふーん・・・あんた巨人になりたいの?」

 

 

「キャハハハ。男って本当に分からないわね」

 

 

「∑お前達は何を聞いてたんだよ!!!」だんだんっ!

 

 

呆れながら座るナミとミキータにウソップはキレながら地団駄を踏んだ。少し落ち着いたウソップは2人の決闘を見守り始めた。

 

 

「・・・こんな戦士達が暮らす村があるんなら・・・俺はいつか行ってみてェなァ・・・!!!」

 

 

 

 

 


side:ルフィ

 

 

「100年間・・・ただ誇りのために戦う・・・俺には理解出来ねェ生き方だ」

 

 

「ある意味これが人間と巨人族の差って言うのかしら・・・?」

 

 

突如始まった2人の巨人の決闘を見ていたジェムとハニークイーンは思わずそう呟いた。特にハニークイーンはルフィと同じ〝東の海〟から来た故にその驚きは当然だった。

 

 

「でも何の意味も無い殺し合いを続けるのは「余計な事を言うなよ、ビビ」ルフィさん・・・?」

 

 

ビビは2人の決闘を止めさせるべきだと意見を上げたがルフィがそれを遮った。

 

倒れていたルフィは起き上がって真剣な顔で2人の決闘を見届け始めた。

 

 

「これは巨人のおっさん達の決闘(たたかい)だ!俺達が邪魔していい訳ねェだろ」

 

 

「!」

 

(よそ者の私達が止めるのは筋違い・・・そういうことなの・・・?)

 

 

ルフィの最もな正論にビビも黙り、ルフィ達と一緒に2人の決闘を見守ることにした。

 

 

 

 

 


side:第三者視点

 

 

ガヒュッ!

 

「ヌウッ!!」
「クウッ!!」

 

ザザッ!!!

 

 

2人の巨人が決闘を始めて約5分・・・互いの攻撃を紙一重でかわし、同時に倒れてしまった。

 

 

「このォ!!!」

 

 

「まだまだァ!!!」

 

 

カチン!

 

 

しかし2人はもう一度立ち上がろうとして手を着いた。その直後、ドリーの手を着いた地面が突然スイッチのように陥没して左腕が沈み、ブロギーも同じく地面がスイッチのように1部凹んだと同時にブロギーの真下からデカい石柱が飛び出してその巨体をひっくり返した。

 

 

「ウオォッ!?」

 

 

「ゴガァッ!?」

 

 

「!!!?」×7

 

 

思わぬ出来事に決闘を見ていたルフィ達やナミ達は目を見開き、ドリーは左腕が沈んだことで困惑し、ブロギーは衝撃で仰向けに倒れてしまった。

 

 

「なっ!?」

 

 

「どういう事!?なんで地面からあんなでかい石柱が!!?」

 

 

「ドリーさんの方は地面に腕が沈んじゃったわ!!」

 

 

「ブロギー師匠!!!」

 

 

「ちょっとどう言うことなの!?何であんなデカい石柱が地面か・・・あっ!!」

 

 

──この島には俺たち以外にも6()()いるみたいだから気を付けろよ

 

 

それぞれが疑問を口にする中、ナミはマカハゼが別れる前に忠告をしていた事を思い出した。

 

 

「そ・・・そう言えばマカハゼがこの島に6人いるって言ってたような・・・」

 

 

「∑たっ確かに言ってた!!!」ガボーン!!

 

 

リトルガーデンにいる6人・・・そのうち2人はドリーとブロギーというのは分かっているがナミ達は2人のインパクトがデカすぎて残りの4人をすっかり忘れていた。

 

そんな中ミキータはブロギーの真下から出てきた石柱を見て何かを思い出していた。

 

 

「あの石柱・・・あんなタイミングで・・・まさか・・・っ!!!」

 

 

そう呟いたミキータは突然ブロギー達のいる決闘へ走り出した。ミキータの行動に呆気に取られたナミとウソップも数瞬して後に続いた。

 

 

「ちょっとミキータ!!どこ行くのよ!!?」

 

 

「オオイ、置いて行くなァ〜〜っ!!!」

 

 

「追っ手が来てるのよ!!それも厄介なオフィサーエージェントが!!!」

 

 

「「∑エェ〜〜っ!!!」」

 

 

 

 

 


side:決闘場

 

「プッフハハハハハハハっ!!!」

 

「いやぁ申し訳ないガネ・・・私たちの任務のついでに君達の()()()()()の邪魔をしてしまって・・・!!!」

 

 

謎の事象で倒れたドリーとブロギーのいる決闘場にMr.3が2人を嘲笑いながらMs.ゴールデンウィークと悠々と現れた。

 

それを見た2人の巨人は原因がこの2人にあると確信し、鬼の形相で睨みつけた。

 

 

「貴様らの仕業か・・・何者だァ!!?」ギロッ!!

 

 

「我らの決闘を汚すとは・・・万死に値するぞ!!!」ギロッ!!

 

 

100年続けてきた神聖な決闘・・・それをこんな形で邪魔され、あまつさえ侮辱された2人は目の前の元凶を潰そうと立ち上がろうとしたがMr.3は落ち着いていた。

 

なぜならドリーとブロギーは既にMr.3の術中に嵌ってしまっていた。

 

 

「おぉ怖い怖いッ!申し遅れたが私はMr.3・・・コードネームで失礼・・・私はただの〝造形美術家〟だガネ」

 

「そしてこちらは私の助手を務める〝写実画家〟、Ms.ゴールデンウィークだ」

 

「なお・・・君たちは既に私に捕らえられている・・・!!!」

 

 

ガチッ

 

 

「「!!?」」

 

 

気づけばドリーは嵌った穴から溢れ出てきた白い流動体に残りの手足を、ブロギーは四肢と同時に腰と両肩を拘束されてしまった。

 

いきなり拘束された事により動けなくなったドリーとブロギーは怒りに震えながらMr.3ペアを睨みつけることしか出来なく、Mr.3はそれを愉快そうに眺めていた。

 

 

「悪魔の実の能力・・・!!!」

 

 

「貴様・・・何が目的だッ!!!」

 

 

「んん?言っただろ?私は〝造形美術家〟・・・」

 

 

「芸術作品を作る事が仕事だガネ・・・」

 

 

 

 

 


side:ルフィ

 

 

ガンっ!!!

 

 

「!」×3

 

 

「フゥー・・・フゥー・・・!!!」

 

 

「ル・・・ルフィさん・・・?」

 

 

2人の巨人の決闘中に突然起こった謎の現象に一瞬思考が停止し、暫くして復活したビビ達はまだ混乱していたが突如ルフィが巨大な岩山を叩きつけた。

 

 

「・・・おっさん達の所へ行くぞ」

 

 

「船長・・・?」

 

 

「この島・・・俺たち以外にも誰かいるぞ!!」

 

 

「まさか・・・バロックワークスの追っ手がもう!?」

 

 

「あの石柱・・・まさか奴らが!!」

 

 

「ちょっと待って!!あのカルガモが何処にもいないんだけど!!?」

 

 

「え!?」

 

 

ハニークイーンがカルーの不在に気付き、ビビは指笛を鳴らしたりして何度も呼んだが一向に来る気配がなかった。

 

 

「カルー!!」ピィーッ

 

 

「クソっ!あの鳥〝赤鬼〟達の激突に怯えてどっかに「その通りだ」ッ!?」

 

 

Mr.5のセリフを遮るようにMr.6ペアがボコボコにしたカルーを引きずってやって来た。

 

Mr.6は引きずって来たカルーをビビの元へ投げ飛ばし、侮辱する様にジェムを嘲笑っていた。

「最も裏切り者であるお前らもこの鳥と同じようになるんだがな」

 

 

「カルーっ!!!」

 

 

「ク・・・クェェ・・・」ピクピクッ

 

 

「全く・・・アンタらがどんな秘密を知ったのかは知らないけど、組織を裏切った代償は高くつくぜ?」

 

 

「やはりお前らだったか・・・Mr.6!!Ms.マザーズデー!!」

 

 

ジェムは出て来た2人を警戒しながらハニークイーンと共にビビの前に出た。

 

 

「オイオイ・・・任務をしくじったとはいえ殺しのターゲットを守るなんて何考えてんだ?」

 

 

「ボスの何かの秘密を知りさえしなきゃあもう一度チャンスがあったかもしれないのにねぇ?」

 

 

元エージェントのジェムにMr.6とMs.マザーズデーが挑発する様に言うがそれを無視してビビが抗議した。

 

 

「何故あんた達が・・・カルーには関係ないじゃない!!!」

 

 

「確かにこいつは関係ないが・・・慌てて俺たちの方に逃げて来たこいつの運が悪かっただけだ」

 

 

「でも丁度良かったからそいつを使って王女(あんた)を呼んでもらおうとしてたんだけど全く呼ぼうとしなかったのよ」

 

 

「任務の成功率をなるべく上げたかったんだがこうなった以上仕方ないからここまで連れて来たんだよ」

 

「まぁ元々王女(おまえ)愛鳥使わなくても連れ去るくらいわけねぇんだけどな」

 

 

「!!!」ギリッ!

 

 

Mr.6の言い草に堪忍袋の緒が切れそうになったビビだがルフィがそれよりも早く前に出た。

 

 

「おい」

 

 

「ん?」

 

 

「Ms.マザーズデー、こいつは裏切り者たちを匿っている海賊〝麦わらの一味〟の船長で懸賞金3500万ベリーの首だ」

 

 

「あぁ、あいつが例の?」

 

 

「お前らがおっさん達の決闘を邪魔したんだな?」コキッ

 

 

ルフィはMr.6ペアを見ながら手の指を鳴らし、何時でも突っ込む状態でいた。Mr.6はルフィの問にそうだと返すとルフィは駆け出したが、ジェムは慌ててルフィを静止しようとした。

 

 

「だとしたら何だ?」

 

 

「ぶっ飛ばす!!!」

 

 

「待て麦わらァ!そいつら・・・特にMr.6には迂闊に手を出すなァ!!!」

 

 

しかしジェムの制止は間に合わずルフィは拳を振り下ろしたがMr.6とMs.マザーズデーは躱した。

 

 

「猪突猛進・・・正に獣のような奴だな・・・」

 

「俺が最も殺りやすいタイプだ・・・」

 

 

カチンッ!

 

ガブッ!

 

 

「∑イっ・・・テェ〜〜ッ!!!」

 

 

「∑船長!!?」

「∑ルフィさんッ!!?」

 

 

Mr.6が避けた地面にルフィの拳が当たった瞬間、スイッチを押した様な音が響いたと同時にトラバサミがその拳に噛み付いた。

 

 

「おっと気をつけろよ?お前の足元にも仕掛けてあるからな」

 

 

カチンッ!

 

バクンッ!

 

 

「ウベェッ!!?」

 

 

「〝ケロパックン〟・・・頭と首以外の肉体を拘束する(トラップ)だ・・・」

 

 

ルフィの足元から再びスイッチの音が響き、蛙のような大口の顔の石象が現れてルフィの首から下を喰わえて拘束した。

 

 

「どういう事!?あそこは私達も通ったけど何も起きなかったわよ!!?」

 

 

「そりゃそうだ・・・アレは奴が()()()()()なんだからな・・・!」

 

 

「へ・・・今作ったって・・・?」

 

 

「Mr.5の言った通りよ・・・Mr.6はどれだけ敵の有利な場所であろうと必ず不利になる罠を作れる能力者・・・ワナワナの実の〝(トラップ)人間〟!」

 

「接近戦で戦ったら勝つのは難しいけど遠距離で対処すれば勝てるわ!!」

 

 

「それを補うた為にあたしがペアになってんだよ」

 

 

「「!?」」

 

 

Mr.6の能力をざっと語ったビビは懐にしまっていた銃を取り出して応戦しようと構えたがMr.6と同時に攻撃を躱していたMs.マザーズデーが自身の姿を変えながらビビとハニークイーンの頭上から襲ってきた。

 

 

「ボケっとするな!!!」ドカッ!!!

 

 

「「キャアッ!!?」」

 

 

「〝コングダンク〟!!!」ドゴォン!!!

 

 

「が・・・ッ」メキッ

 

 

「Mr.5!!」

「ジェム!!」

 

 

Ms.マザーズデーの奇襲に気づいたジェムは咄嗟に2人を蹴飛ばす形で逃がした事で攻撃を変わりに受けてしまい、地面にめり込んでしまった。

 

そのジェムを潰したMs.マザーズデーの姿は完全に3m近い巨体のゴリラの姿だった。

 

 

「何だありゃァ!デケェゴリラ!!?」

 

 

「あたしは動物(ゾオン)系・ゴリゴリの実を食べた〝ゴリラ人間〟!動物(ゾオン)系特有の野生のパワーで獲物を追い詰め、(トラップ)に嵌めるのがあたしの役目さ」

 

「しっかしまさかMr.5が王女の身代わりになるとわねェ・・・まぁ元々殺す予定だったし結果オーライか」ペッ ( 'з' )

 

 

「ッ!!!」

 

「それ以上Mr.5を侮辱するんじゃないわよ!!!」

 

 

そう言ってMs.マザーズデーは倒したジェムに唾を吐き捨てたのを見たビビはカルーの時と同じ怒りを覚えていた。

 

 

「何キレてんだい?て言うかコイツもあんたを殺そうとしてたのに随分仲が良くなったみたいだね?」

 

 

「私のせいでMr.5達が追われる事になったのよ!!情くらい湧くわ!!!」

 

 

「待ってビビ!迂闊に近づいちゃアイツらの思うつぼに」カチンッ!

 

ズボッ

「∑キャァァァァァッ!!!」

 

 

「ハニーさん!!?」

 

 

「あーあー落とし穴に引っかかったな・・・それも底が深いタイプの」

 

 

「舐めるなァ!!」

 

「〝孔雀(クジャッキー)スラッシャー〟!!!」

 

 

1人になってしまったビビは専用武器の〝孔雀スラッシャー〟を取りだしMr.6に突っ込んで行ったが獣型になったMs.マザーズデーに捕まってしまった。

 

 

「まぁ落ちつきなよ」ガシッ

 

 

「ゔッ!!」

 

 

「俺達はお前を()()殺さねェよ・・・!!たださらいに来ただけだ・・・Mr.3に頼まれてな」

 

 

「Mr.3・・・!!〝ドルドルの実〟の男・・・あいつまでこの島に!!!」

 

 

「そうだ・・・奴は体から()()を絞り出して操ることの出来る蝋燭(キャンドル)人間・・・今はあの巨人共を蝋人形に変える為の準備中だ」

 

 

「!!?」

 

 

Mr.6の話を聞いたルフィは顔が怒りに染まりMr.6ペアを殴り飛ばそうと〝ケロパックン〟から抜け出そうと足掻き出した。

 

 

「巫山戯るなァーーッ!!!」

 

「フギギギギギッ!!!」ビキッビキキッ!!!

 

 

「∑なッ!!!?」(⊙⊙)!!

 

 

ルフィが足掻き始めたことで石像に罅が入った事で流石のMr.6も冷や汗を流し始めた。

 

「オイオイ・・・頭以外を拘束されてんのになんてパワーしてんだよ・・・ッ!!3500万の実力はダテじゃないってわけか・・・」

 

 

ルフィの実力の一端を垣間見たMr.6は茂みまで下がり、持って来ていたバズーカ砲をルフィに標準を合わせた。

 

 

「念の為こいつを持ってきて正解だったな・・・」ガチャッ

 

 

「ウガァァァァァッ!!!」

 

 

「くたばれ・・・」

 

 

ドカァァン!!

 

ドゴォン!!ボガァン!!

 

 

「ルフィさァんッ!!!」

 

 

「・・・・・・・・・」カクッ・・・

 

 

Mr.6の砲撃を動けない状態で顔面からまともに受けてしまったルフィは気を失ってしまった。

 

 

「危なかった・・・あのガキ、マジで〝ケロパックン〟をぶっ壊す勢いだったぞ・・・!!」

 

 

「何気に強そうな奴だったな・・・あたしが潰してやりたかったよ」

 

 

「そんなのは時間の無駄だ・・・緑髪の剣士にポニーテールの女も捕まえてんだからさっさと連れて行くぞ」

 

 

「!」

 

(Mr.ブシドーとカッコウさんまで・・・!!)

 

「Mr.5・・・!!ハニーさん・・・!!カルー・・・!!ルフィさん・・・ッ!!!」

 

 

獣型のままのMs.マザーズデー握られたまま抵抗できないビビは悲痛の顔をして倒れたルフィ達を見る事しか出来なかった・・・。

 

 

「・・・・・・・・・!!!」フイッ

 

 

 

 

 


side:ドリーの家

 

 

「・・・・・・・・・」ピクッ

 

 

Mr.6ペアがビビを連行して数分・・・Mr.6の〝ケロパックン〟に拘束されて気を失っていたルフィが目を覚ました。

 

 

()()()・・・・・・」

 

 

ピクッ

「・・・ぁぁ・・・?」

 

 

ルフィが自分につけたあだ名に反応したジェムは地面にめり込んだまま何とか反応した。

 

 

「動けるか・・・?」

 

 

「埋まっちまってるが・・・問題ねェ・・・!!」

 

 

ジェムが返事をした後、ハニークイーンが落ちた落とし穴からピンクの液体が勢いよく飛び出した。その液体はハニークイーンが変化した姿であり、すぐに元の人型に戻った。

 

 

「ハァ・・・ハァ・・・あの落とし穴・・・深すぎよ・・・!!!」

 

 

「ハニークイーン・・・」

 

 

「∑あ、船長!!!」

 

 

「あいつら・・・許せるか?」

 

 

「全く許せないわよ!!!」

 

 

「右に・・・同じだ・・・!!!」

 

 

ハニークイーンとジェムはルフィのといに即答した。ハニークイーンは仲良くなった女友達を拐われたが故に・・・ジェムは元エージェントとしてのプライド故に・・・ルフィは知り合ったばかりとはいえ友人の男の決闘を邪魔した事と仲間を拐われた事に怒り心頭だった。

 

そんな3人から少し離れていたカルーも目を覚まし、地面に埋まったジェムをクチバシで掘り出した。

 

 

ザクっ!ザクっ!ザクっ!

 

 

「お前・・・悔しいのか・・・!!!」

 

 

「クエェェェっ!!!」

 

 

「いいのか・・・俺は元々お前の主を殺そうとしてた男だぞ・・・?」

 

 

「あなたはさっき私達を庇ってくれたでしょ?それが薄らと見えてたんでしょ」

 

 

「クエェェェ!!」

 

 

「そうか・・・」

 

 

「私もやるわ。一緒にやった方が早いし」

 

 

ハニークイーンはジェムを掘り出すカルーを見て手伝いだした。それを見ていたルフィは自信を拘束している〝ケロパックン〟を無理矢理破壊して脱出した。

 

 

「ウガアァァァァァっ!!!」

 

 

バガアァァァンッ!!!

 

 

「よし・・・!!じゃあ4人で行くかっ!!!あいつらを叩き潰しに・・・・・・!!!」

 

 

ルフィが拘束から抜け出したタイミングでジェムも掘り出され、カルーを含めた3人はルフィの後ろにたった。

 

ルフィ達の目には強い光が宿り、その顔は不屈の闘志に満ちていた。

 

 

 

 

 

〜END〜



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〝まだ動ける〟

side:ナミ

 

 

Ms.バレンタイン改め、ミキータが急に走り出した事でナミとウソップも慌てて追いかけだした。その道中に2人はミキータからMr.6ペアの特徴と能力も聞いていた。

 

ミキータは元同僚の厄介さから・・・ウソップは尊敬し始めた2人の巨人の誇りを汚された怒りから・・・ナミはビビの身が心配からそれぞれが覚悟を決めてMr.6ペアがいるかもしれない決闘場へと向かっていた。

 

しかしそんなナミとウソップの心はすり減り始めていた。何故なら──

 

 

カチンッ!ブシューーッ

「∑冷気ーー!!!」ガクブルッ

 

 

カチンッ!ドシュッ!

「∑いやぁ〜!竹槍ィ〜〜!!?」

 

 

カチンッ!ドカァン!!

「タライッ!?」

 

 

カチンッ!ベチャッ!

「クリームパイ・・・」

 

 

カチンッ!ザクンッ!

「「どうなってんだ/のよ、このジャングルわァ〜〜ッ!!!」」

 

 

「だから覚悟しなさいって言ったでしょうがァ

ッ!!!」

 

 

──Mr.6が作り上げた罠たっぷりの道──〝罠だらけの街道(トラップ・ハイウェイ)〟──による精神的に追い詰められていた。

 

冷気や竹槍、タライにクリームパイやデカい斧といった攻撃性の高い物や地味にギャグ性の高い嫌らしい物まであった。

 

 

「Mr.6はこうやって罠を通り道に設置する事でターゲットの戦意を減らすのが十八番なのよ!!」

 

 

「∑だからってこれはやり過ぎだろうがァッ!!!(怒)」

 

 

「もう嫌、こんなジャングル〜〜!!!(泣)」

 

 

「泣き言を言ったって(トラップ)は止まないわよ!!今は走ることだけを考え──」カチンッ!

 

 

「「「あ───」」」

 

 

ドカァンッ!!!

 

 

ナミとウソップに喝入れるように後ろを見ながら走っていたミキータは不覚にも(トラップ)を踏んでしまい、全員かでかい爆発に巻き込まれてしまった。

 

 

 

 

 


side:決闘場

 

 

ドカァンッ!!!

 

 

「この爆発・・・〝罠だらけの街道(トラップ・ハイウェイ)〟にかかったか?」

 

 

「はははっ!可哀想な奴らだったな‪w!!」

 

 

「ナミさん・・・ウソップさん・・・Ms.バレンタイン・・・」

 

 

ビビを捕らえて決闘場に到着したMr.6ペアはまだ捕らえていない海賊の残りが〝罠だらけの街道(トラップ・ハイウェイ)〟にかかったのを爆音で確認した。

 

それを聞いたMs.マザーズデーは嘲笑い、ビビは自分よりナミたちの心配をしていた。

 

 

「やっと来たカネ・・・こっちは既に準備が整っている。さっさと男女の剣士を連れてくるのだガネ」

 

 

「わ〜ってるよ」

 

 

Mr.3に指示されたMr.6はまたジャングルに戻り、少ししてから蝋で両手足を拘束されたゾロとカッコウをポイッと投げ捨てられた。

 

 

「!!」

 

 

「いたっ!!」

 

 

投げ捨てられた2人は周りを見ると蝋でうつ伏せに拘束されている巨人達と自分達を拘束した妙な2人組、そしてでかいゴリラ(Ms.マザーズデー)に捕まっているビビ、最後に蝋で出来たハロウィンのカボチャに似た巨大なオブジェがあった。

 

 

「うわっ何あれ?」

 

 

「おいビビ、お前ルフィ達と一緒にいたんじゃねぇのか?」

 

 

「Mr.ブシドー!カッコウさん!それが・・・」

 

 

「あんたらの船長なら裏切り者のMr.5と一緒に始末しといたよ」

 

 

「∑ゴリラが喋った!?」

 

 

「・・・・・・お前らが・・・・・・!?・・・ハッ・・・」

 

 

大方の事情を察したゾロはルフィ達を倒したと言ったこゴリラ(Ms.マザーズデー)を鼻で笑った。それを見たMs.マザーズデーは若干イラッとしながらも虚勢と思い無視した。

 

そしてMs.マザーズデーはMr.3の指示の元、ビビとゾロとカッコウを〝特大サービスセット〟に設置するように立たせた。

 

 

「ようこそ君達!!私の〝サービスセット〟へッ!!!」

 

 

巨大なオブジェの土台の上、カボチャの真下にゾロ達はいた。そして、カボチャの顔がゆっくりと周りだした。よく見ればカボチャの頭の上にある蝋燭も燃えていた。

 

 

「何か上で回ってるよ、兄ぃ・・・」

 

 

「ケーキの蝋燭ってこんな気持ちなんだな・・・」

 

 

「・・・」

 

 

「何か動けないし・・・足・・・」ガチッ・・・

 

 

「そりゃ動ける様にしてくれる訳なねぇだろ。なんたって敵だぜ」

 

 

「何か降ってきた!!?」

 

 

一緒に拘束されたビビが回転しているカボチャから白い液体の霧が降っていることに気づいた。そしてそれは自分達だけでなく、倒れているドリーとブロギーにもかかっていた。

 

次々と降ってくる白い霧に不安になってくるビビとカッコウ。そんな満足気にみながらMr.3は可笑しそうに笑った。

 

 

「フハハハハ!!味わうがいい!!〝キャンドルサービス〟!!!君らの頭上から降る〝蝋〟の霧はやがて君ら自身を〝〟蝋人形に変える!!!私の造形技術持ってしても到達出来ない完全なる〝人〟の造形!!まさに魂を込めた〝蝋人形〟だガネ!!〝美術〟の名のもとに死んでくれたまえ!!!」

 

 

「∑いや何キモイ事言ってんのよ!!〝蝋人形〟!?そんなのお断りに決まってんでしょッ!!!」

 

「ちょっとそこの巨人の人達〜!!寝てないで暴れて下さーい!!!あなた達もこのままじゃあのヘンテコ頭の思い通りになっちゃいますよ〜〜ッ!!!」

 

 

「∑ヘンテコは余計だガネッ!!!」( º言º)

 

 

「しかしデカい人間がいたもんだなァ・・・」

 

 

何とか〝サービスセット〟から脱出しようと他に拘束されているドリーとブロギーに声をかけた。しかしMr.3は得意気に無駄だと言い出した。

 

 

「フハハハハハハハハっ!!!そいつらには何を言っても無駄だガネ!!!Mr.6の(トラップ)に気付かずあっさり引っかかる間抜けさ!!!更に私の〝キャンドルジャケット〟による拘束でガッチリ動けなくなっているのだガネ!!!」

 

「故にコイツらのプライドは既にズタボロ!!我ら〝バロックワークス〟にかかれば100年の決闘など無に帰すのだガネ!!!」

 

「しかし腐っても元〝巨兵海賊団頭領〟・・・念には念を入れねばなるまい・・・」

 

 

そう言ってMr.3は最後の一手間というようにドルドルの能力を発動し、巨人族が使うような巨大な剣を作ってドリーとブロギーの両手足に刺した。

 

 

「〝ドルドル彫刻(アーツ)〟!!!『剣』!!!」

 

 

ザクっ!!

 

 

「ッ!!!」

 

 

「ブロギーッ!!!」

 

 

「・・・・・・!!!」

 

 

「フハハハハッ!!!動けば手足が無くなるぞォ!!!」

 

 

ザクっ!!

 

 

「ぬぅッ!!」

 

 

「フハハハハッハッハッハッハッハッハッ!!!」

 

 

Mr.3はドリーとブロギーの両手足を刺して完全に拘束した事で今度こそ満足気に高笑いを上げた。Mr.3の非道を見ていたビビは悔しそうに睨むことしか出来なかった。

 

 

「なんて非道な真似を・・・!!!」

 

 

「さぁ加速しろ〝キャンドルサービス〟!!サッサとコイツらを〝蝋人形〟に変えてしまえ!!!」

 

 

Mr.3の声と共に〝サービスセット〟の回転速度が上がり、カボチャ部分の火も強くなった事で〝蝋の霧〟も更に濃くなった。

 

その濃くなった〝蝋の霧〟を吸い込んでしまったカッコウやビビは咳き込み、それを見ていたMr.3は愉快そうに嘲笑った。

 

 

「ゲホッ!何か・・・胸が苦しい・・・!!」

 

 

「〝蝋の霧〟が肺に入ったんだわ!このままだと体の中から〝蝋人形〟に・・・!!!」

 

 

「フハハハハハッハッハッハ!!そうだそうだ、出来るだけ長く苦しんでくれたまえよ!!!」

 

「苦しみに訴える苦悶の表情!!それこそが私の求める〝芸術〟なのだガネ!!!恐怖のままに固まるがいい!!!」

 

 

「∑何が〝芸術〟よ、この悪趣味チョンマゲ!!ウチらはともかく無関係の巨人族まで巻き込んじゃって!!あんた達絶対痛い目見るからな!!!」

 

 

「フハハハハ!!好きなだけ喚くがいいガネ!!!」

 

 

「兄ぃも黙ってないでなんか喋ってよ!!!(怒)」

 

 

「「・・・・・・・・・!!!」」

 

 

一方でドリーとブロギーは手足の激痛に堪えながら黙り込んでいた。その目にはこれ迄の人生が走馬灯のように流れていた。

 

 

(100年・・・・・・!!!来る日も来る日も、戦って戦って・・・・・・!!!戦って戦って・・・戦士の村〝エルバフ〟に生まれた〝誇り〟のみで決闘を続けてきた)

 

 

(なのに・・・・・・これが・・・これが我らの〝結末〟なのか・・・!?)

 

 

2人の脳裏には海賊として生きてきたこれ迄の思い出やこの島で始まり今日まで続けてきた決闘の日々が映像のように流れていた。

 

理由も忘れてしまった決闘・・・しかしその決闘そのものが自分達の生きる理由になっていた。親友との全力の戦い続ける事が、何よりも幸福だった。しかし、その幸福に満ちた決闘を何処ぞの馬の骨に邪魔されただけでなく〝誇り〟そのものを汚されてしまった。

 

 

(我らが神〝エルバフ〟よ・・・これが我らの結末と言うのなら・・・あんまりではないか・・・!!!)

 

 

(決着の付かない100年の決闘・・・・・・それに呆れたとしても・・・何故戦いで死なせてくれない・・・!!!)

 

 

自分達が信じる神に訴えるも、その答えは帰ってくる事は無い。神聖な決闘を汚された怒り・・・〝誇り〟を踏みにじられた屈辱・・・神〝エルバフ〟への申し訳なさが2人の心を苦しめていた。

 

 

「フヒハハハッハッハッハ!!!何という表情(つら)カネ!!!いいぞその『悲痛』ッ!!!『嘆き』!!『苦闘』!!お前達は本当に素晴らしい芸術作品だガネ!!!フハハハハ!!!」

 

「アハハハハハ!!!」

 

 

無念に涙を流す2人の表情がツボに入ったのか、Mr.3とMs.マザーズデーが爆笑する。殴り飛ばしたいほと腹ただしいのにそれが出来る者は今ここにはいなかった。

 

 

「∑ヤバ!いつの間にか体の動きが鈍くなり始めてるし!!!」

 

 

「もう体が固まってきた・・・!!!」

 

 

近づいて来ている明確な死にビビとカッコウは恐怖でガタガタと体を震わせる。

白い蝋が体にまとまり始め、体が震える様はまるで氷河に取り残された様にも見える。そんな時に、今まで黙っていたゾロが声を発した。

 

 

「なァおっさん達・・・・・・()()()()()()()?」

 

 

「「!」」

 

 

「兄ぃ・・・?」

 

 

そんなゾロをドリーとブロギーは訝しげに・・・カッコウは嫌な予感を感じながら見ていた。

 

 

「その両手足ブッちぎれりゃあ・・・死人よりも役に立つはずだ。俺も動ける・・・この足を斬り落としゃあな・・・一緒に、コイツら潰そうぜ

 

 

「「!?」」

 

 

「やっぱり〜〜ッ!!!」

 

 

そう言いきったゾロは動きが鈍くなりながらも刀を取りだして笑い、カッコウは悪い予感が当たったと鈍い動きで頭を抱え、ドリーとブロギーは目を見開いた。

 

 

「お前はどうする?」

 

 

「どうするじゃないよ!!?仮にこいつら倒せたとしても足が無くなったらこの先どうするのさ!!?」

 

 

「マカハゼに義足でも何でも造らせりゃいい」

 

 

「そういう話じゃないわ、Mr.ブシドー!!()()から抜け出したとしても、今の私たちじゃすぐに捕まるわ!!!」

 

 

必死でゾロの自殺行為を辞めるように説得するビビだがゾロはそれを意に介さず、2本目を取りだした。

 

 

「そんなもんやってみないで分かるかよ。ここにいたらどうせ死ぬんだ・・・なら見苦しく、最後まで足掻いてやろうじゃねェか・・・!!!」

 

「こんなカス相手に潔く死んでやるつもりもねェ・・・そうだろう?」

 

 

「「!・・・・・・!!!」」

 

 

「はぁ〜〜・・・兄ぃの無茶振りは今に始まったことじゃないけど・・・何処までもついて行くって決めた自分を殴りたい」

 

 

そう愚痴を吐いたカッコウは自身もゾロに習ってうまく動かない体を動かし、自身の足に切っ先を向けた。

 

 

「カッコウさん!!!あなたまで何を考えているの!!?」

 

 

「ビビ・・・ウチだって怖いよ。でもね、ウチは兄ぃの妹分なの・・・そのウチが兄ぃだけ傷つくのはゴメンよ。」

 

 

「ここで動かなかったら・・・ウチは一生自分を許さない・・・・・・!!!」

 

 

「っ!!!」

 

 

カッコウの覚悟を決めた笑顔を見たビビは思わず息を飲んだ。そんな2人を見ていたドリーとブロギにやーも薄れていた闘志を再び燃え上がらせた。

 

 

「ガババババババ!!!見たかドリー!!随分と生意気な小僧共だ!!!」

 

 

「ゲギャギャギャギャギャ!!!それに比べて情けねェ!!いつの間にか『戦意』すら失ってたぜ!!!」

 

 

2人は体の半分が蝋で固まりながらも、再び戦士の心を取り戻していた。

 

 

「その心意気!!!」

 

 

「我らもつき合おう!!!」

 

 

「ほ・・・本気でやるの?両足を失って・・・どうやって勝つつもりなの!?」

 

 

「さぁな」

 

 

刀を構え、ゾロは不敵に笑う。覚悟を決めたカッコウ、〝エルバフの戦士〟ドリーとブロギーも四肢に力を入れ始め、元凶の悪党達を睨みつけた。

 

 

「勝つつもりだ」

 

 

痛みを、死を恐れていないような口振りでそう告げるゾロ達にMr.3達は思わず後ずさり、息を飲んだ。

 

 

「何なんだ・・・こいつら・・・!!!」

 

 

「イカれてやがる・・・・・・!!!」

 

 

Mr.3達は社長(ボス)の指令の元、あらゆる任務をこなし、ターゲットを始末して来た。しかし今目の前にいる者達──特に緑髪の剣士──は今までのターゲットと比べても異常だった。

 

Mr.3がそう感じたのはゾロの言葉で戦意喪失していた巨人達や喚いていた女剣士の心を再び燃え上がらせた所だった。それらを鑑みたMr.3は、この男だけは今ここで殺すべきだと判断した。

 

Mr.3と同じくMr.6もゾロに最大限の警戒心を抱いていた。それというのも、Mr.6は〝ケロパックン〟を破壊する勢いだった〝麦わらのルフィ〟を見ていたからだ。

 

Mr.6が〝麦わらのルフィ〟に最初に抱いた印象は間抜けそうな男だった。しかし〝麦わらのルフィ〟の怒りから感じた得体の知れない何かを感じていた。

 

そして誰かの下につく事を拒みそうな男が入っている事も警戒する要因になっていた。そんな2人を意に介さず、Ms.マザーズデーは笑みを浮かべながらウズウズしていた。

 

 

(おもしれぇ・・・あたしはこういうのを待ってたんだよ・・・!!)

 

 

「「行くぞォ!!!!」」

 

 

「何ができるものか殺してやるガネ!!!」

 

 

ドリーとブロギーが一気に力を入れた事で血が吹き出し、ゾロとカッコウも自らの足に剣を向けた。ビビが溢れ出る鮮血を覚悟して見届けようとしていたその時だった。

 

 

「おりゃあああああああ!!!」×3

 

 

突如、蝋のオブジェの前の森が蹴破られ、4つの影が勢いよく飛んできた。

 

怒りのまま飛んで来たその影はMr.3達を飛び越え、叫びながら地面に激突していった。

 

 

「行くぞ、ハニークイーン!!!ワカメ!!!鳥ィ!!!」

 

 

「えぇ!!!」

 

 

「当たり前だ!!!」

 

 

「クェェ!!!」

 

 

しばらくして地面に激突した影だった3人と1匹・・・ルフィ達が仕切り直しだと言わんばかりの勢いで勇ましく吠えた。

 

 

「ルフィの兄貴ィ〜〜!!!ハニークイ〜〜ン!!!」

 

 

「カルー!!!Mr.5!!!」

 

 

カッコウがホッとした表情で、ビビが相棒とジェムが無事であった事に安堵し、喜びの声をかける。

 

突然の乱入者達に虚をつかれたMr.3は何とか平常心を持ち直し、ルフィを鼻で笑う。

 

 

「君カネ・・・〝東の海〟で名を上げた最高金額の賞金首とは。海軍本部の目も落ちたものだ」

 

 

そう言ってルフィを見下すMr.3。何人もの猛者を仕留めてきた彼にとってはルフィが王女達の希望を背負うにたる人物には見えなかった。

 

しかし──

 

 

「うーーーわ、変な頭」アチャー…

 

 

「∑やかましいガネ!!!」

 

 

「〝3〟じゃん。〝3〟燃えてるし」

 

 

「黙れ!!!」( ๑º言º)

 

 

──当の本人であるルフィはそんな評価を気にすることなく、Mr.3の3の数字で燃えている奇抜な髪型に注目していた。

 

 

「それよりルフィさん!この柱を壊して!!私達、今〝蝋人形〟になり掛けているの!!!」

 

 

余計な事に気が向いているルフィに焦ったビビは急いで自分たちの危機を懸命に伝える。実際、自分達の体はもうガチガチに固まり出していた。

 

 

「何だ、ヤバかったのか?」

 

 

「いや、問題なかった」

 

 

「ウチも」

 

 

「問題ないって・・・あなた達足からすごい血が!!!」

 

 

「ああ・・・半分くらいイッたな・・・・・・はは」

 

 

「唾でもつければ治るよ・・・(泣)」:(ºωº`;):

 

 

「∑泣いてるじゃない!!!」

 

 

脱出する為とはいえ、ルフィ達が来なければゾロ達は迷いなく自身の体を切り取っていた事実にビビはゾッとしていた。

 

カッコウもゾロと同じ様に片足を半分まで斬っていたが、痛覚までは誤魔化すことは出来なかったようだった。それを尻目にゾロはルフィ立ちに全てを託した。

 

 

「とりあえずルフィ・・・この柱ブッ壊してくれるか?あとは任せる」

 

 

「よしきた!」ドン!!

 

 

「ふん・・・そうはさせんガネ」ドン!!

 

 

 

 

 

 

〜END〜



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2対2

ゾロ達に意志を託されたルフィは不敵に笑い、バロックワークスのエージェント達を睨んでいた。

 

 

「なんだか知らねェけど・・・壊すぞ()()!!」

 

 

「分かったわ、ルフィ船長!!!」

 

 

「クェェッ!!!」

 

 

()()はそう簡単には壊れねェ・・・俺が何とか壊してやる!!」

 

 

ゾロ達に意思を託されたルフィは拳を構え、ハニークイーンはカルーに騎乗し、ジェムは鼻をほじって戦闘態勢に入った。

 

それを見たゾロは〝和道一文字〟を掲げてポーズをとった。ゾロの突然の奇行にカッコウは冷めた目で見ていた。

 

 

「何やってんの、兄ぃ・・・?」

 

 

「固まるんならこのポーズがいい」

 

 

「うん、ウチは絶対やんないッ!」

 

 

「そんな、ふざけている場合じゃ・・・・・・!!」

 

 

「第一、ルフィの兄貴達が来てるのに気づいてたでしょ!?」

 

 

「さぁな・・・」

 

 

「∑絶対気づいてたよこの人!!しかもそれをわかってた上で足斬るってバカなの!?そして足を斬ったウチも大バカだよ!!!」

 

 

「うるせぇな・・・」

 

 

「・・・・・・」

 

 

ルフィ達が来てから調子を取り戻したカッコウは足を斬ったゾロを怒鳴りながら同じ事をした自分にツッコミを入れた。

 

そして命の危機だというのに未だにバカ話をしているゾロ達を見ながらMs.ゴールデンウィークはせんべえを齧りながらお茶をすすっていた。

 

 

「Mr.3、あの人達緊張感がないわ」パリッ

 

 

「君にだけは言われたくないと思うぞ、Ms.ゴールデンウィーク(汗)」

 

 

全くやる気を感じない相棒に冷汗をかきながらMr.3は不愉快な顔をしていた。

 

あの麦わら帽子の登場でせっかく恐怖に染まっていた者が希望に満ちた顔をし始めたからだ。その上、組織を裏切った元同僚までもが自分の芸術の邪魔を手助けをする始末。

 

Mr.3にとってこれ以上不愉快なことは無かった。

 

 

「どうやら我らはナメきられているようだガネ、実に不愉快だ。その上君まで私を愚弄するか、()、Mr.5?」

 

 

「はっ・・・そもそも俺がこいつらといるのはそこの姫さんのせいでもあるがな」

 

 

「うっ!」グサッ

 

 

「それにあんたに比べたらこいつらの方が恐ろしい分頼もしいぜ」

 

 

「ふん、そこまで頼もしい男にはとうてい見えんガネ」

 

 

「どきな、Mr.3・・・」

 

 

そう言って人型から獣型になったゴリラ(Ms.マザーズデー)Mr.3を押しのけて前に出た。

 

 

「あたしがやるよ・・・正直戦いたくてうずうずしてたんだよねェ」

 

 

「油断するなよ、Ms.マザーズデー」

 

 

「ふん・・・」

 

 

Mr.6に忠告を受けたゴリラ(Ms.マザーズデー)は余裕の態度で進み、ルフィの前に立った。

 

 

「〝麦わらのルフィ〟・・・あんたが〝東の海〟で名のあげた海賊でも関係ないよ。あたしは任務と趣味でターゲットを潰すだけだ」

 

 

「・・・・・・」

 

 

「だから頼むからよ・・・簡単に倒れないでよね!!!」

 

 

そう語ったゴリラ(Ms.マザーズデー)は右腕を振りかぶり、ルフィに殴りつけた。しかしルフィも右腕を振りかぶり、ゴリラ(Ms.マザーズデー)に殴り返した。

 

 

「!!」

 

(こいつ・・・!?)

 

 

「ラァッ!!!」

 

 

ドゴォンッ!!!

 

 

衝突して1時拮抗した互いの拳はルフィが押し勝ち、ゴリラ(Ms.マザーズデー)はMr.3達の後ろまで吹き飛ばされた。

 

 

「邪魔」ドン!!!

 

 

「なッ!!?」

 

 

一連の流れを見ていたMr.3はゴリラ(Ms.マザーズデー)が飛ばされたのを見て、流石に顔色を変えた。

 

それを合図にジェムは〝キャンドルサービス〟に〝鼻空想砲〟を浴びせ初め、ハニークイーンはカルーと共にMr.6とMs.ゴールデンウィークの周りを警戒しながら走り出した。

 

 

「いいか!!さっきも言ったがMr.6の(トラップ)とMs.ゴールデンウィークの()()()にも気をつけろ!!!」

 

 

「言われなくても!!」

 

 

「クェェ!!!」

 

 

「おのれ、裏切り者がァ!!〝キャンドルロック〟!!!」

 

 

自分たちの能力を喋ったらしい元同僚のジェムが〝キャンドルサービス〟を壊し始めたのを見て怒ったMr.3がジェムを拘束しようと蝋を繰り出した。

 

しかしそれより早くルフィが腕を伸ばして庇った事で蝋の拘束はルフィの右手を固めた。それを見たルフィは悪い顔をしてMr.3を見た。

 

 

「しっしっしっし!!()()もーらい!!!」

 

 

「!?」

 

 

「〝ゴムゴムのォ〟!!」

 

 

「∑しまった・・・〝キャンドル(ウォール)〟!!!」

 

 

ルフィの悪い顔の後の行動を見て意味を察したMr.3は、急いで即席の防御癖を作った。

 

 

「〝トンカチ〟ィ!!!」ガキィン!!!

 

 

間一髪で間に合ったMr.3は思わず胸を撫で下ろした。しかし、ルフィのゴムの弾性力とMr.3の鉄の硬度の蝋が合わさった破壊力により〝キャンドル壁〟が壊れ、顕になったルフィの拳で吹っ飛ばされた。

 

 

ビキビキビキ・・・

 

 

ドッカァン!!!

 

 

「・・・・・・・・・・・・!!!」

 

 

「∑Mr.3!!?」

 

(バカな・・・Ms.マザーズデーに続いてMr.3まで殴り飛ばされただと!?)

 

 

「スキあり!!〝トロ鞭〟!!!」

 

 

「ウオっ!?このアマァ!!!」

 

 

ハニークイーンは油断していたMr.6を狙い、トロトロの鞭を振るった。しかしMr.6はそれを避けて持っていた銃を彼女に撃った。

 

しかし銃弾は彼女をすり抜けるだけで全くダメージを受けた様子はなかった。

 

 

「そんな攻撃、通じないわよ!!!」

 

 

自然(ロギア)系の能力者か!メンドくせェ・・・!!」

 

(あの女が落し穴から出てこれたのも能力のおかげか!!近づいてくれればスグに片がつくのに・・・!!!)

 

 

(近過ぎず遠過ぎずの範囲攻撃・・・マカハゼに教えてもらった通りにやれば最悪、負けはしない!!)

 

(それにしてもMs.ゴールデンウィーク・・・だっけ、全く動く気配がない?まさかもう()()()()使()()()()?)

 

 

ハニークイーンはMr.6に牽制攻撃をしながら未だに動かないMs.ゴールデンウィークを警戒していた。

 

そしてMr.3の〝キャンドルサービス〟のカボチャ部分を破壊することに成功し、〝蝋の霧〟の散布が止まった。

 

しかし、〝鼻空想砲〟を連続で撃ち続けるために鼻をほじりすぎた事で、鼻血が両穴から大量に出て来てしまった。

 

 

「〝蝋の霧〟が・・・止まった・・・・・・!」

 

 

「でも・・・もう体がピクリとも動かないわ」

 

 

「だから言ったろ?ポーズとっとけって」

 

 

「絶対とらない!」

 

 

「余裕かあいつら・・・〝麦わら〟!あとは土台をぶっ壊すだけだ!!手を貸せぇ!!!」

 

 

まだ流れ出て来る鼻血を右手で押えながらジェムはルフィに呼びかけた。しかし、ルフィからの答えは信じ難いものだった。

 

 

「いやだ」

 

 

「∑はァッ!!!」

 

 

まさかの拒絶。しかし、ルフィ本人は何故か困惑と焦燥の顔をしていた。その様子にジェムとビビはすぐにMs.ゴールデンウィークの仕業だと理解した。

 

 

「おいルフィ!!バカやってる場合じゃないんだぞ!!!」

 

 

「ルフィさん、お願い!!!」

 

 

「どうしよう、俺、お前ら助けたくねェ・・・」

 

 

「まさか・・・!!」

 

 

「〝カラーズトラップ〟『裏切りの黒』」パリッ

 

「駄目じゃない。Ms.マザーズデーを殴ったりMr.3の〝キャンドルサービス〟を壊しちゃったり」

 

 

「くそ!!もう仕掛けてやがったか・・・!!!」

 

 

「あなたの仕業ね!!Mr.ゴールデンウィーク!!!」

 

 

ルフィの異常にジェムとビビはすぐ気付き、よく分かってないゾロとカッコウは困惑した。

 

 

「どういう事!!一体何が起きたの!?」

 

 

「彼女は感情の色さえも現実(リアル)に作り出す『写実画家』。彼女の洗練された色彩のイメージは人のここを伝って、暗示をかける」

 

 

「暗示だと!?そりゃまずい・・・・・・!!暗示だの催眠だのって類の力はあの単純バカには必要以上に効いちまうんだ!!!」

 

 

ゾロの解説を聞いたジェムはルフィを解放すべく、急いで拳を地面に叩きつけた。

 

 

「ちゃんと説明しただろうが、〝麦わらァ〟!!」

 

「〝爆掌拳(ばくしょうけん)〟!!!」

 

 

自身のパンチとボムボムの能力による威力で周囲の地面を割させ、ルフィの足下のマークを破壊した。

 

 

「はっ?な・・・なんか俺今変だった・・・!!よし、お前ら今助けるぞ!!!」

 

「ぶわっはっはっはっはっはっは!!()()()()()()笑っとくか!!!あっはっはっはっはっはっは!!!」

 

 

「∑あらァァァァァッ!!?」ズザァァッ!!!

 

 

「「「今度はなんだァ!!!」」」Σ(゚ロ゚;)

 

 

やっと開放されたと思ったら今度はバカ笑いをし始めた事でジェムは大きく滑り、ゾロ達は今度は何事かと叫んだ。

 

爆笑して転げるルフィをよく見れば、その背中にさっきの黒とは違う黄色のマークが描かれていた。

 

 

「〝カラーズトラップ〟『笑いの黄色』。せっかくのマークを壊しちゃダメじゃない」

 

 

「邪魔をするな、Ms.ゴールデンウィーク!!!」

 

 

「邪魔をしてるのはあなたでしょ、Mr.5。Mr.3が直しに戻ってくるまで大人しくしてて貰うわね」

 

 

そう言ってMs.ゴールデンウィークは新たな絵の具を使ってジェムを黙らせようと作成していた。

 

故にMs.ゴールデンウィークは全く気付けなかった。後ろから迫り来る赤黒い蛇に・・・。

 

 

チョンチョン

「戻ったの、Mr.3?」クル

 

 

『お〜ま〜え〜がァ〜〜!!!』

 

 

「∑キャァァァァァァァァ!!!!!!」

 

 

ドサッ

 

 

『後ろから脅かした位で気絶か・・・肝がちいせぇガキだな』

 

 

「マカハゼェ!!!」

 

 

「∑え、マカハゼさん!?」

 

 

「∑えっ!あれマカハゼの兄貴なの!?」

 

 

Ms.ゴールデンウィークを気絶させたのは〝ブラットスターク〟に変身したマカハゼだった。それを知らないビビとカッコウは驚いていた。

 

そして来たばかりのマカハゼはとりあえず笑いっぱなしのルフィを黙らせる為に1発入れた。

 

 

「あっはっはっはっはっは『いやうるせぇよ』ハブッ!!!」

 

 

「∑はっ!おっおい、〝ベストマッチ〟!!〝麦わら〟はその服のマークのせいでおかしくなってんだ!!早くその服のマークを破り捨てろォ!!!」

 

 

「あぁ、そういうこと?」

 

 

それを聞いたマカハゼは即座にルフィの服のマーク部分だけを破った。それと同時に絵の具の呪縛から開放されたルフィは笑いすぎて乱れた呼吸を整えてブラットスターク(マカハゼ)の方を向いた。

 

 

「ハァ・・・ハァ・・・俺、またおかしくなってた・・・!!わりィマカハゼ、助かった!!!」

 

 

『いいってことよ』

 

 

「それより〝ベストマッチ〟。よく此処が分かったな?」

 

 

『あれだけ爆音が響きまくれば誰でも気づくわ。それに〝()〟がだいぶ集中していたからな』

 

 

「〝声〟?」

 

 

一方でハニークイーンと戦っていたMr.6はMs.ゴールデンウィークもやられた事で更に焦りだした。それを見逃さなかったハニークイーンは即座に能力で捕らえた。

 

 

(クソ、Ms.ゴールデンウィークまでやられたのか・・・!!)チラッ

 

 

「〝ダブルトロ鞭〟!!!」ベチャッ!

 

 

「ぬおッ!!?」

 

 

「コレで銃もお得意の(トラップ)も使えないでしょ!!?」

 

 

「く・・・クソォ・・・!!!」

 

 

Mr.6は何とか抜け出そうと足掻くがトロトロが隙間まで 埋まっている為、どうにもならなかった。

 

それをハニークイーンは能力で空高く持ち上げ、ルフィの所に投げ飛ばした。

 

「〝搗ち上げ〟!!」

 

 

「ウオォォォッ!!!?」

 

 

「ルフィ船長!!お願いします!!!」

 

 

「おう!!!」

 

 

「そーれっ!!!」

 

 

「あぁぁァァァァァァッ!!!」

 

 

「〝ゴムゴムのォ〟!!」

 

 

(ちくしょう・・・このまま終わってたまるか・・・!!!)

 

 

「〝銃弾(ブレット)ォ〟ッ!!!」ドゴォン!!!

 

 

「が・・・ッ!!!」

 

 

ルフィの技の1つ〝ゴムゴムの銃弾〟が鳩尾に炸裂し、Mr.6は息を吐いた。しかし──

 

 

カチンッ!ドスドスドスドスドスッ!!!

 

 

──スイッチの音と共にMr.6の身体から5発の長さ5cm・直径3cmの短い槍が射出され、ルフィに肩や足や腹に突き刺さった。

 

 

「∑イッ!!!?」

 

 

『ルフィ!!?』

「〝麦わらァ〟!!!」

 

 

突然の出来事にマカハゼも焦り、ルフィの元へ走った。一方その事態を起こしたMr.6は〝キャンドルサービス〟の台まで吹き飛び、座り込んでいた。

 

ルフィの近くにいたブラットスターク(マカハゼ)とジェムはすぐに駆け寄り、ハニークイーンは顔を青ざめて口を抑え、ゾロ達は動けない体を更に硬直させた。

 

その状況を作った本人であるMr.6はルフィに〝キャンドルサービス〟の土台に殴り飛ばされながらも、自身の能力の説明を始めた。

 

 

「〝カウンター・・・(トラップ)〟・・・!俺が受けた・・・ダメージを・・・()()()()()()()()・・・事で・・・発動する・・・能力・・・!!」

 

 

Mr.6はルフィから受けたダメージが大きく、頭から血を流しながら息も絶え絶えだった。しかし、その顔はしてやったりと嘲笑っていた。

 

 

「それと・・・もう1つ・・・!〝カウンター(トラップ)〟は・・・受けたダメージによって・・・威力と種類が・・・ランダムに・・・変わる・・・()()()()・・・()()()()()()()()()・・・?」

 

 

「まさか・・・「離れろ、お前らァ!!!」∑ルフィ!!?」

 

 

Mr.6の言い方に何かを察したブラットスターク(マカハゼ)とジェムをルフィが突き飛ばしたと同時に、ルフィに刺さっていた槍が爆発した。

 

槍の爆発の威力自体はだいぶ小さなものだったが、刺さった状態からの爆発はルフィに重症を与えるには十分な威力だった。

 

 

「へへ・・・ざまぁ・・・・・・みろ・・・」カクッ

 

 

最後にそう吐き捨てたMr.6はとうとう気絶した。一方動けるブラットスターク(マカハゼ)達は急いで気絶したルフィに駆け寄った。

 

槍が爆破した箇所は大きな穴の様な傷が出来ていたが幸いにも、同時に肉体が焼けた事で出血はしていなかったが。しかし、直ぐに手当をすべき傷である事には変わらなかった。

 

 

『クソ、やられた!!まさか道連れ覚悟の能力(ちから)を持ってたとは・・・!!!』

 

 

「ルフィ船長!!しっかりして!!!」

 

 

「クェェ!!!」

 

 

「おいお前ら!!ルフィもそうだが早く俺達も助けろ!!!俺が担いで船まで連れて行く!!!」

 

 

「そうだ!早く姫さん達も助けねぇと・・・!!」

 

 

みんなが慌てる中、ゾロが動揺を隠しながら蝋からの解放をブラットスターク(マカハゼ)に頼む。

 

〝蝋の霧〟が止んでいるとはいえ体の一部が長い間、蝋のままでいるとどんな影響が出るか分かったものではない。

 

ブラットスターク(マカハゼ)もそれは分かっていたから、直ぐに変身を解いて()()()()()()()を取り出した。

 

しかし、剣を取り出した所でジャングルの方に顔を向けた。

 

 

「悪いなゾロ・・・もう少し掛かりそうだ」

 

 

「何・・・!?」

 

 

「いやァ驚いた・・・まさかあたしのパンチごと殴り飛ばされるなんて思ってなかったよ」

 

 

「たかが3500万の賞金首と侮った。しかし・・・これ程の屈辱はないガネッ!!」

 

 

ジャングルから出てきたのはルフィに殴り飛ばされて退場していたMr.3とMs.マザーズデーだった。

 

ルフィにやられた影響で少しボロボロになっていたが、2人の目には必ず討ち取るという執念が漂っていた。

 

 

「1人増えてるねェ・・・あいつも標的だね」

 

 

「Mr.6とMs.ゴールデンウィークもやられたカネ・・・しかし、厄介な〝麦わら〟はもう戦闘は不可能だガネ!!!」

 

「Mr.6の残したこの好機・・・逃す手はない!!!」

 

「私の()()()()で更なる〝絶望〟を味あわせてやる!!!Ms.マザーズデー、前へ!!!」

 

 

「よし来た!」

 

 

Ms.マザーズデーはMr.3の指示に応じ手前に出て、獣型と人型の中間である人獣型(じんじゅうがた)に変身した。そこから更にMr.3が自身の蝋をゴリラ(Ms.マザーズデー)をコーティングした。

 

マカハゼから見てその姿はまるで前世の一昔のアニメに出ていた悪のロボット兵器だった。

 

 

「出撃!!〝キャンドル・コングチャンピオン〟!!!」

 

 

「ウホォォ〜〜〜〜!!!」

 

 

「あれは・・・かつて4200万の賞金首を仕留めたというMr.3の最高美術!!!」

 

 

「なるほど・・・それを自分より自力のあるゴリラの能力者に施す事で勝率を上げたわけか」

 

 

「それだけでは終わらんガネ!!!」カシャカシャ!カチンッ!ドス!

 

 

Ms.マザーズデーを強化したMr.3は懐からボトルを取り出し、それを振って蓋を開けて自分に当てた。

 

ボトルから出た霧がMr.3を覆い、その肉体を変貌させた。左腕は肘から先が棒型の蝋燭の様になり、胴体と足は蝋燭の台のような装飾の肉体に変わった。

 

頭部は錨型の蝋燭になり、顔の中心には大きな1つ目があり瞳は火のように光っていて、芯の部分は変身前の〝3〟が施されていた。

 

肩の部分には棒型が棘のように出ていて、背中から生えたマントは溶けた蝋の様に波打っていた。

 

 

「さしずめ〝キャンドルスマッシュ〟・・・と言った所か」

 

 

「私の〝究極美術〟によって強化されたMs.マザーズデー!!〝ボトル〟によって悪魔の実とは違う異形、〝スマッシュ〟の力を持ったこの私、Mr.3!!」

 

「鉄の硬度の〝ドルドルの蝋〟で包まれた〝キャンドル・コングチャンピオン〟に〝スマッシュ〟となった我らにもはや死角はない!!!」

 

 

「あんたらはここで完全に潰す・・・覚悟しな!!!」

 

 

変身して叫んだ2人はマカハゼ達を睨んだ。マカハゼもビルドドライバーを腰に装備して変身の準備に入った。

 

 

「マカハゼ・・・」

 

 

「ルフィ船長!!動いたらダメ!!!」

 

 

「ルフィ!?大丈夫か、お前!!!」

 

 

ルフィがハニークイーンの静止を無視し、フラフラしながらマカハゼの横に立ってビルドドライバーを装着した。

 

 

「あぁ・・・まだ・・・やれる・・・!!」

 

 

「だが・・・いや、これ以上は無粋だな」

 

 

ルフィの意志を組んだマカハゼはそれ以上何も言わず、互いに自分のボトルを振った。

 

 

カシャカシャカシャカシャ!

 

カチン!

 

《ラビット!》《タンク!》

 

ベストマッチ

 

 

カシャカシャカシャ!カチン!

 

《WAKE UP !》

 

《CROSS DRAGON!》

 

グルグルグルグル!×2

 

《Are You Ready?》×2

 

「「変身!!!」」

 

 

ガシィン!×2

 

 

《鋼のムーンサルト》

 

《ラビットタンク!》

 

 

《WAKE UP DRAGON!》

 

《GET CROSS-Z DRAGON!》

 

 

《イェーイ!!》×2

 

 

マカハゼは〝仮面ライダービルド〟に・・・ルフィは〝仮面ライダークローズ〟に変身してMr.3とMs.マザーズデーの前に立ち塞がった。

 

 

「さぁ・・・第2ラウンドだ!!!」

 

 

 

 

 

 

〜END〜



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仮面ライダー

side:ビルド(マカハゼ)

 

 

「行くぞ、マカハゼェ!!!」

 

 

「アイサー、船長(キャプテン)!!!」

 

 

互いの拳を合わせたルフィとマカハゼ──〝仮面ライダークローズ〟と〝仮面ライダービルド〟に変身した2人はそれぞれMs.マザーズデーとキャンドル(Mr.3)の元へ走り出した。

 

向かって来た2人を迎え撃つべくMs.マザーズデーはクローズ(ルフィ)を、キャンドル(Mr.3)ビルド(マカハゼ)に襲いかかった。

 

 

「〝ベストマッチ〟!貴様らも〝ボトル〟を使う者だったのか!?」

 

 

「はァ?意味の分からん事言ってんじゃねェよ!!!」

 

 

そう言ってビルド(マカハゼ)は振り下ろされたキャンドル(Mr.3)の左腕──〝キャンドルアーム〟を受け止め、ガラ空きになった胴にパンチと蹴りを1発ずつ入れた。

 

それをモロに受けたキャンドル(Mr.3)は思わず後ずさったが直ぐに持ち直し、右手から5mの蝋製の斧を精製して攻撃を繰り出した。

 

 

「そもそも何で俺が創った〝ボトル〟やスマッシュの技術が外に漏れてんだよ、コノヤロー!!!(怒)」

 

 

「∑私が知るか!?この力は裏ルートで入手しただけだガネ!!!」

 

「〝ドルドル彫刻(アーツ)・『斧』〟!!!」

 

 

「こんなん、効くかァ!!」

 

 

ビルド(マカハゼ)は〝ドリルスラッシャー〟でキャンドル(Mr.3)の斧の乱撃をいなしながら接近して斬りつけた。

 

斬りつけられた衝撃で火花を出したキャンドル(Mr.3)は怯みながらもビルド(マカハゼ)に斧を投げ捨て、〝キャンドルアーム〟から蝋製の鮫を召喚した。

 

 

「ならばこれはどうカネ!?」

 

「〝ドルドル彫刻(アーツ)・『鮫』〟!!!」

 

 

〝キャンドルアーム〟から生成された人間サイズの複数の鮫──蝋鮫はビルド(マカハゼ)に襲いかかった。しかし〝《声》〟が聞こえるビルド(マカハゼ)は蝋鮫が何処に来るか分かる為、簡単に避けていた。

 

全て避けたビルド(マカハゼ)は反撃に出ようとしたが直ぐに動きを止め、体を左斜めに倒した。すると蝋鮫が避けた所に飛び抜いた。

 

他にも避けた蝋鮫が再び襲って来るのを避けるビルド(マカハゼ)。しかし蝋鮫の力にジェムとビビは有り得ないという顔をしていた。

 

 

「そんな軽い攻撃が──!!」バクッ!!!

 

 

「よく避けたな!!だがまだまだ続くぞォ!!!」

 

「それそれそれェ〜〜!!!」

 

 

バクン!バクン!バクン!

 

 

「Mr.3の蝋人形が・・・まるで生物の様に・・・・・・!?」

 

 

「バカな・・・Mr.3にここまでの力があったのか!?」

 

 

「フハハハハ!!確かにさっきまでの私ならここまでの力は無かった。しかし、〝ボトル〟でスマッシュになった事で私のドルドルの能力(ちから)も強化されたのだ!!!」

 

「故に、私の蝋人形は生物の様に繊細なコントロールを可能にしたのだガネ!!!」

 

 

「ちィ!まさか悪魔の実の力さえ強化させてたとは・・・!!!」

 

 

「〝蝋鮫の舞踏曲(シャーク・ワルツ)〟!!!」

 

 

「〝ドリルスラッシュ〟!!!」

 

 

複数の蝋鮫はビルド(マカハゼ)の周りを高速で旋回し、上下から噛み付きに行ったが、〝ドリルクラッシャー〟で全てを斬り捨てた。

 

そのタイミングを待ってたキャンドル(Mr.3)は右手でクロスボウを精製してビルド(マカハゼ)に蝋の矢を発射したが《声》で聴こえていた分かっていた為、簡単に防いた。

 

 

「〝ドルドル彫刻(アーツ)・『クロスボウ』〟!!」

 

「〝蝋矢(ろうや)〟!!!」

 

 

ガキィン!!

「中々面倒な奴だな・・・」

 

 

そう呟くビルド(マカハゼ)は聴こえる《声》を使いながら戦う事に内心楽しみ、Mr.3を称賛していた。

 

 

(にしてもこのままだと埒があかねェ・・・やっぱ蝋なら()()()()()()()()も有効だな)

 

 

 

 

 


 

side:クローズ(ルフィ)

 

 

「オラ行くぞ、〝麦わらァ〟!!!」

 

「〝ゴリラッシュ〟!!!」

 

 

「〝ゴムゴムの銃乱打(ガトリング)ゥ〟!!!」

 

 

〝キャンドル・コングチャンピオン〟を着たMs.マザーズデーはクローズ(ルフィ)に拳の嵐を叩き込み、クローズ(ルフィ)はそれを〝ゴムゴムの銃乱打〟で打ち返していた。

 

しかしMr.6から受けたダメージがデカく、徐々に押されていた。

 

 

「どうした、〝麦わらのルフィ〟!!あたしを吹っ飛ばした元気はどこいったんだい!?」

 

 

「うるせェ!!〝ゴムゴムの銃弾(ブレット)〟!!!

 

 

「〝ゴリ(ナックル)〟!!!」

 

 

ゴオォン!!!

 

 

Ms.マザーズデーの挑発を聞きながらクローズ(ルフィ)は〝銃弾(ブレット)〟を放った。対してMs.マザーズデーは〝ゴリ拳〟で相殺したが、それでも銃弾(ブレット)の強力な一撃は巨体を後ずらせるには十分だった。

 

だが、ダメージが強く残っている今のクローズ(ルフィ)は思わず膝に手を付き、荒らげる呼吸を整えていた。

 

 

「ハァ・・・ハァ・・・!!」

 

 

「おいおい、もう息が上がってんのかい!?Mr.6の〝カウンター(トラップ)〟が効いている証拠だね!!!」

 

 

「そんなモン・・・唾つけたら・・・治った・・・!!」

 

 

「∑どんな民間療法だい!?そんなんで治る訳あるかァ!!!」

 

 

Ms.マザーズデーのツッコミの後も殴打の応酬が続き、どちらも1歩も譲らなかった。しかし、クローズ(ルフィ)にダメージが蓄積しているのが分かっているMs.マザーズデーは揺さぶりを掛けた。

 

 

「全く・・・あんたには同情するよ〝麦わらのルフィ〟!!」

 

 

「あぁ!?」

 

 

「我が社の秘密を知った王女と間抜けなエージェント!そいつらを始末するあたしらオフィサーエージェント!一緒にいたせいで追われる始末!!」

 

「この先を生き残れば大物になれたかもしれないその実力!!仮にあたしらに勝っても必ずあたしらより強いエージェントが殺しに来る!!更に策略にハマり無様な姿を晒すクルー達!!!」

 

 

「∑あぁッ!!!」( º言º)

 

 

「落ち着いて、兄ぃ!!!」

 

 

「そういったマヌケは切り捨てるべきだった!!だからあんたはそんな重症になっちまうんだよ!!!」

 

「本っ当にバカ生き方をしたもんだ!!そんなバカはさっさと潰れて消えな!!!」ドガァン!!!

 

 

「・・・・・・っ!!!」

 

 

そう言いきったMs.マザーズデーはクローズ(ルフィ)が怒りで一瞬気が逸れた所を狙い、両手でハエを叩くように挟んだ。

 

元からの能力による巨体と〝キャンドル・コングチャンピオン〟が合わさった事でより強く、より大きくなった手で挟んだ事でクローズ(ルフィ)は完全に見えなくなった。

 

 

「ルフィさん!!!」

「ルフィ船長!!!」

 

 

「・・・っ!!!」

「ルフィの兄貴・・・!!」

 

 

「〝麦わら〟・・・!!」

 

 

「ふふ・・・・・・ん?」

 

 

未だに拘束されているビビ達と下手に加勢できないジェムとハニークイーンはただ見ている事しか出来なかった。しかし、Ms.マザーズデーは今自分が挟んでいる両手に違和感を覚えた。

 

結果、彼女の違和感は当たっていた。何故ならクローズ(ルフィ)がMs.マザーズデーの両手を押しのけて出て来たからだ。

 

 

(こいつ、ドンだけタフなんだよ・・・!?)

 

 

「まず1つ・・・俺は仲間を見捨てねェ・・・!!」ドカッ!!

 

 

「ホガァッ!!?」

 

 

「2つ!!お前は()()()()()を分かってねェ!!!」バキッ!!

 

 

「ゴガァッ!!」

 

 

「3つ!!俺はゴムだから潰れねェ!!!」ドゴォン!!!

 

 

「ブベェェッ!!!」

 

 

手を払い除けたクローズ(ルフィ)は言いたい事を言いながらMs.マザーズデーの右肩に1発、鳩尾に1発、顔面に1発ずつ入れた。

 

それをマトモに受けたMs.マザーズデーは簡単に吹っ飛び、仰向けに倒れた。

 

 

「お前らの秘密とか追っ手とか・・・そんなモン関係ねェ。俺達の冒険を邪魔するならぶっ飛ばすだけだ」

 

「海賊としてな」

 

 

「テメェ・・・・・・!!!」

 

 

起き上がるMs.マザーズデーから見るクローズ(ルフィ)は仮面で分からないが、笑っている様に見えていた。そして、どこか王者の様な風格を感じていた。

 

 

(認識が甘かった・・・こいつはヤバい!!今ここで確実に始末しないと・・・我が社が潰されかねない!!!)

 

「そんなに死にてぇなら・・・望み通り殺してやるよ!!!」

 

 

クローズ(ルフィ)に対する警戒と恐怖を高めたMs.マザーズデーはルフィを確実に殺すと決め、真正面から突進して行った。

 

そのせいで視野の狭くなっていたMs.マザーズデーは気付かなかった。()()()()()()()()()()()()・・・。

 

 

「〝必殺・1トン流星(りゅうせい)〟!!!」

 

ドガアァン!!!

 

 

「ゴ・・・ッ!!?」バガァァン!!!

 

 

「!!!」×6

 

 

Ms.マザーズデーの背中から何かが重い衝撃が当たり、その威力は〝キャンドル・コングチャンピオン〟を粉々にする程だった。

 

その物体は地面に落ちるとモゾモゾと動き、立ち上がった。

 

 

「イったァ〜〜!!!」(>︿<。)

 

 

「∑Ms.バレンタイン!!」

 

 

「ツーことは・・・!!!」

 

 

物体の正体がミキータと知った一同は飛んできた方向を見た。そこからボロボロの格好になったウソップとナミがはしゃいで出て来た。

 

 

「やったー!当たったーー!!」

 

 

「どうだァー!!新兵器〝クワガタ〟による1トンの弾丸の威力は強烈だろー!!!」

 

 

「ウソップの兄貴!ナミの姐さん!」

 

 

「無事だったのね!良かった・・・!!」

 

 

「たく、遅かったな」

 

 

この場にいなかったウソップ達が無事だった事も分かり、ゾロ達とブロギーは安心した。

 

しかし、強烈な不意打ちを受けて鎧も無くしたMs.マザーズデーは面白い訳ななく、怒りの矛をウソップ達に向けた。

 

 

「雑魚が・・・先に死にたいならお前らを先に「おい」!!?」

 

 

「俺の仲間に手ェだすな」コキコキッ

 

 

「いつの間に!!?」

 

 

「〝ゴムゴムの火山〟!!」ドッカァン!!!

 

 

「ガ・・・」

 

 

Ms.マザーズデーの真下まで移動したクローズ(ルフィ)は火山の様に蹴りあげた。そしてレバーを回し、必殺技を放つ体制に入った。

 

 

グルグルグルグル!

 

《Ready Go!》

 

 

「ハァァ───ハァァァッ!!!」

 

 

すると青い龍のエネルギー体がクローズ(ルフィ)の周りを旋回し、クローズ(ルフィ)がMs.マザーズデーに向かってジャンプしたと同時に青い龍も飛んで行った。

 

 

《ドラゴニックフィニッシュ!!》

 

「〝ドラゴンブレイク〟!!!」

 

ボゴオォン!!!

 

 

クローズ(ルフィ)が飛び蹴りの姿勢になり、それに合わせて青い龍が青い火炎を吐いた。その蒼炎はクローズ(ルフィ)の右脚に纏わり、蒼炎の力が加わった事で標的へ向かうスピードが上がり、その蹴りはMs.マザーズデーに届いた。

 

〝ドラゴンブレイク〟を受けたMs.マザーズデーは蒼炎に包まれ、更に空高く打ち上がった。

 

暫くしてリトルガーデンの端の海岸までMs.マザーズデーは白目を向いて仰向けで倒れていた。そして人獣型から元の人型に戻り、黒焦げになりながら完全に気を失ってた。

 

 

BW(バロックワークス)OE(オフィサーエージェント)Ms.マザーズデーVS麦わらの一味船長〝仮面ライダークローズ(モンキー・D・ルフィ)〟〙

 

〘勝者〝仮面ライダークローズ〟〙

 

 

 

 

 


 

side:ビルド(マカハゼ)

 

 

(あのMs.マザーズデーが何も出来ずに・・・!!?)

 

 

「後はお前だけだな、キャンドルスマッシュ?」

 

 

「クゥ・・・!」

 

 

Ms.マザーズデーがやられ、残るは自分1人になったキャンドル(Mr.3)はとうとうビルド(マカハゼ)を前に平静を崩し始めた。

 

 

(さっきから此方が一方的に攻撃している・・・それはいい。問題はその攻撃が全く奴にカスリもしていない事!!)

 

(まるで此方の一手が最初っからわかっているように・・・!!!)

 

 

「まぁ焦るわな・・・お前の一手一手が丸わかりなんだから」

 

 

「!!」

 

「図に乗るなよ、2700万風情がァァッ!!!」

 

 

「〝ドルドル彫刻(アーツ)・『メイス』〟!!!」

 

 

キャンドル(Mr.3)は怒りのままに生成したメイスを無闇に振り回した。まるで心を見透かされている恐怖を隠す様に・・・。

 

しかしただ振り回すだけのメイスは当たることはなく、ビルド(マカハゼ)は僅かに体をズラすだけで躱してキャンドル(Mr.3)の元まで歩き出した。

 

 

「何故だ!?何故攻撃が当たらんのだガネ」

 

 

「もう大振りで躱す必要もねぇな・・・」

 

 

そう言ったビルド(マカハゼ)は躱しながら漫画のコマの様なマークの〝ボトル〟と、手裏剣のマークの〝ボトル〟を取り出して振った。

 

 

カシャカシャカシャカシャ!

 

カチン!カチン!

 

《忍者!》《コミック!》

 

《ベストマッチ!》

 

グルグルグルグル!

 

《Are You Ready?》

 

「ビルドアップ!!」

 

ガシィーン!!

 

《忍びのエンターテイナー!》

 

《ニンニンコミック!》

 

《イェーイ!!》

 

 

ビルド(マカハゼ)は〝ラビットタンクフォーム〟から忍者と漫画の特性を持った〝ニンニンコミックフォーム〟にチェンジし、迫り来る蝋製のメイスを忍者──またはコミック形態専用武器〝4コマ忍法刀〟で薙ぎ払っていた。

 

 

「ニンニン・・・∑忍者!!?」

 

 

「忍者なのか!!!」

 

 

「え、どうしたの?(汗)」

 

 

変身音を聞いていたクローズ(ルフィ)とウソップはキランと反応し、ゾロとジェムも声に出さなかったが2人と同じ反応をした。

 

ビルド(マカハゼ)はそれを無視し、絵が描かれた剣──〝4コマ忍法刀〟の剣先のペン──〝リアライズペンエッジ〟をかざして大きな手裏剣を描いて掴み、それをキャンドル(Mr.3)に投げつけた。

 

 

〝手描き手裏剣〟!!

 

 

スパァン!ガキィン!!

 

 

「グオォッ!!?」

 

 

「手裏剣!手裏剣だぁ!!」

 

 

「忍者でござるゥ!!!」

 

 

「おのれェ!〝ドルドル(ミスト)〟!!!」

 

 

蝋製のメイスを切り裂き、そのまま己に当たったキャンドル(Mr.3)は怯み、頭の〝キャンドルヘッド〟から自身を中心に周囲に蝋の霧を発生させた。

 

 

(この霧・・・そのままにして置くべきじゃないな)

 

 

ビルド(マカハゼ)は〝4コマ忍法刀〟のボルテックトリガーを3回引いた。それを合図に〝4コマ忍法刀〟から3段目のコマが光り、竜巻が発生した。

 

 

カチンッカチンッカチン!

 

《風遁の術・竜巻切り!》

 

「ハァァッ!!!」

 

 

竜巻で周囲を覆っていた蝋の霧を薙ぎ払った事で霧は四散していき、霧に隠れていたキャンドル(Mr.3)の姿が顕になっていく。

 

 

「〝キャンドル(ミスト)〟を四散させたか・・・正しい判断だ。そうしなければここにいる者全員が完全な蝋人形となっていたガネ」

 

 

蝋の霧が完全に晴れたそこには20人のキャンドル(Mr.3)がゆっくりと動き回っていた。本体も入れたその20体は今までの〝ドルドル彫刻〟と違い、全てに色が入っていた。

 

 

「ようこそ、〝ドルドルの館〟へ」

 

 

「∑ゲェ!増えてるぅ!?」

 

 

「私とMs.ゴールデンウィークはバロックワークスきっての頭脳派チーム。例え君がどれだけ攻撃を避けれたとしてもどれが本物か分からなければ意味がなかろう?」

 

「私はMr.3・・・与えられた任務は必ず遂行する!さァ、早く足を踏み入れた前よ!!()()背を向けつ瞬間、直ぐに串刺しにしてやる!!!フハハハハハハ!!!

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

ビルド(マカハゼ)はゆっくりとキャンドル(Mr.3)たちの中へ踏み込んだ。そして1体のキャンドル(Mr.3)の前に止まり、〝4コマ忍法刀〟で叩き切った。

 

 

「フン!」ガキィィン!!

 

 

「∑グハァァァ!!!」

 

 

「∑そんなアッサリと!!?」ガーンッ!!!

 

 

ビルド(マカハゼ)はあっさり本体を見つけて斬った事で他の偽物はドロリと溶けて消えた。戦いを見て流石にヤバイと思っていた一味は余計なお世話だったと理解した。

 

 

「お前の能力は確かに厄介だった・・・だが、決定的な欠点があった」

 

 

「欠点・・・だと!?」

 

 

「お前は蝋製の武器を創って動き回ってたが・・・蝋製の生物を使ってた時は完全に動きが止まっていた。それは自分の分身を創った時もだ」

 

「蝋人形を生物の様に動かす事に神経使うからお前自身動く事は出来ない・・・違うか?」

 

 

「く・・・!!!」

 

 

「後は《声》でお前の居場所が丸分かりだった」

 

 

ビルド(マカハゼ)の冷静な分析による指摘にキャンドル(Mr.3)はグゥの音も出なかった。ビルド(マカハゼ)は話は終わった言うようにボルテックトリガーを1回引いた。

 

 

「それともう1つ、分身ってのはこうやるんだよ」

 

カチン!

 

《分身の術!》

 

 

〝4コマ忍法刀〟の音声と共にビルド(マカハゼ)の分身が3人出てきて、実質ビルド(マカハゼ)は4人になった。

 

それを見ていた一味の男性陣は興奮して目がキラキラとなる事態が発生し、ゾロは反応しなかったがウズウズしていた。

 

 

「ぶ・・・分身の術ゥ〜〜〜!!!?」.。.:*・'(*°∇°*)'・*:.。.×3

 

 

「・・・・・・」ウズウズッ

 

 

「・・・・・・・・・」シーーン

 

 

対して女性陣は反応は悪く、完全に無表情だった。4人になったビルド(マカハゼ)はそれをお構い無しという感じでキャンドル(Mr.3)に斬りかかった。

 

四方から斬りかかられたキャンドル(Mr.3)は成すすべもなく〝キャンドルサービス〟の土台に蹴飛ばされた。

 

 

「がァ・・・っ!!」

 

 

「これでトドメだ!!!」×4

 

「お前らも熱いから少し我慢しろよォ!!!」×4

 

 

「「「「「は?」」」」」

 

 

カチンッカチン!×2

 

カチンッカチンッカチン!×2

 

《火遁の術・火炎切り!》×2

 

《風遁の術・竜巻切り!》×2

 

 

「〝忍法・火炎旋風斬(かえんせんぷうざん)〟!!!」×4

 

 

分身した事で使える〝風遁の術・竜巻切り〟〝火遁の術・火炎切り〟による合体技〝忍法・火炎旋風斬〟キャンドル(Mr.3)は炎の竜巻に飲み込まれた──〝キャンドルサービス〟に拘束された3人と巨人2人も一緒に。

 

 

「∑ってウォイ!!ゾロ達まで巻添えになってんじゃねェか!!!」

 

 

「いやァーー!!カッコウーー!!ビビーー!!!(泣)」

 

 

「おい大丈夫なのか!?これ本当に大丈夫なのか!!?」

 

 

「問題ねェよ。何せ──」

 

 

ビルド(マカハゼ)が何か言い出そうとした瞬間、クローズ(ルフィ)が燃え盛る竜巻に飛び込み、ゾロとビビとカッコウを救出し、ビルド(マカハゼ)の分身達が巨人2人の炎を消し飛ばした。

 

そして暫く燃え続けていた炎の竜巻消え去り、そこに残っていたのは真っ黒焦げになって気絶しているMr.3だけだった。

 

 

「俺達〝仮面ライダー〟がいるからな」

 

 

BW(バロックワークス)OE(オフィサーエージェント)Mr.3VS麦わらの一味参謀〝仮面ライダービルド(マカハゼ)〟〙

 

〘勝者 〝仮面ライダービルド〟〙

 

 

 

 

 


 

side:ジャングルのとある場所

 

 

プルプルプル!プルプルプガチャ!!

 

 

「ヘイまいど、こちらクソレストラン!・・・・・・ご予約で?」

 

 

[ふざけてんじゃねェバカヤロウ。テメェ、報告が遅すぎやしねぇか・・・・・・?]

 

 

「・・・・・・報告・・・あ〜〜・・・・・・そちら・・・どちらさんで?」

 

 

[俺だ。〝Mr.0〟だ・・・・・・]

 

 

 

 

 

 

 

 

〜END〜




追加設定5


〝クワガタ〟

原作ではスリラーバーク篇で登場した兵器。今作ではウソップがマカハゼに協力して貰いながら作製した。ミキータが弾丸になる事で強力な巨大パチンコになる。


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side:サンジ

 

 

〜電伝虫が鳴る少し前〜

 

 

 

ゾロと狩勝負をしてたサンジとそれに付いて行ったヨサクとジョニーは大きな恐竜の獲物を持って1度メリー号に帰還していた。

 

しかし残っていたハズのナミとウソップとミキータは居らず、先に船を降りたルフィ達やゾロ達が何時まで経っても戻って来ることは無かった。

 

流石に不審に思ったサンジはヨサクとジョニーを船番に残し、仲間(主に女性陣)を探しに行った。そこでサンジはジャングルに不向きな蝋で出来た珍妙な建物を見つけた。

 

そこでサンジは中を調べてみる事にした。しかし、妙にインテリに凝った寛ぎ空間にサンジは暫く紅茶を楽しんでいた。

 

紅茶を飲んで本来の目的を思い出したサンジは慌てて外に出る瞬間、鳴り響いたため出てみればまさかの敵対組織のボスだった。

 

 

 

〜そして現在〜

 

 

「Mr.・・・・・・0・・・?」

 

(それって確か敵の社長(ボス)のコードネームだったはず・・・?という事はこの電伝虫の向こうにいる奴は・・・〝王下七武海(おうかしちぶかい)〟の1人・・・!!!?)

 

 

受話器を取って悪ふざけで出てみれば相手はまさかの大物。その大物は未だに返答が返ってこない事に少しイラつき、もう1度質問をした。

 

 

[俺が指令を出してから随分日が経つぞ?一体どうなっている、Mr.3]

 

 

(Mr.3・・・それがこの電伝虫の持ち主か?)

 

 

サンジはこのやり取りで大体の状況を理解した。この島には既に追っ手が来ており、他の仲間たちを襲っている最中である事。しかし前から出されていた指令は何故か今日まで実行されてなかった事。そして今自分がいる此処はその追っ手のアジトである事。

 

 

(クソ!本当に狩りをしてる場合じゃなかった・・・・・・!!無事何だろうな、アイツら・・・!!!)

 

 

サンジは舌打ちをしたかったが相手がラスボスである手前、そうする事はなかった。しかし、サンジの焦りを知らない社長(ボス)はもう1度質問をした。

 

 

[何を黙り込んでいる?俺は質問をしているんだ。王女ビビと元Mr.5ペアに〝麦わらの一味〟・・・特に〝ベストマッチ〟は()()()()()()()?]

 

 

(マカハゼを・・・?)

 

「・・・・・・ええ、任務は完了しましたよ。あんたの秘密を知っちまった野郎どもは始末しました」

 

「だから追っ手はもう必要ありません」

 

 

何故かマカハゼを警戒しているのが気になったが、それを無視して嘘の報告をした。

 

幸い、秘密主義ゆえの弊害で相手がMr.3本人の声を知らなかった事で何とか嘘を信じ込ませる事が出来た。

 

 

[・・・そうか、ご苦労・・・]

 

 

「しかし・・・〝ベストマッチ〟の方は我々の策から唯一脱出しまして・・・・・・」

 

 

[逃げられた・・・・・・という事か?]

 

 

「申し訳ありません、始末した〝麦わらの一味〟の中でも強さが異常でして・・・奴が何者か知ってるんですか?」

 

 

サンジは取り敢えず社長(ボス)が知るマカハゼに関する情報を探る為に1人だけ逃げられた事にした。

 

 

[(・・・まぁ念の為、知っておいた方がいいか)お前、()()は知ってるな?]

 

 

「四皇・・・確かこの〝偉大なる航路〟の後半の海を縄張りにしている4人の皇帝でしたよね?」

 

 

[そうだ。その内の1人、〝百獣のカイドウ〟率いる〝百獣海賊団〟に5年前から入った幹部に〝ベストマッチ〟と同じ姿をした男がいる]

 

 

「〝ベストマッチ〟と似た姿・・・!!?」

 

(どういう事だ!?マカハゼのあの姿と似たのが四皇の幹部に!!)

 

 

[その幹部の名は〝メタルビルド〟。〝火災のキング〟、〝疫災のクイーン〟、〝旱害のジャック〟と同じく〝災害〟に例えられ、〝兵害〟と呼ばれる懸賞金11億を超える海賊だ]

 

 

「∑11っ!!!?」

 

 

サンジはまさかマカハゼと似た姿の存在が11億を超えると聞いて仰天した。自分のいた〝東の海〟デモ聞いた事のない額だった。

 

 

「じゃあまさか!!あの〝ベストマッチ〟は四皇〝百獣のカイドウ〟の部下!!?」

 

 

[いや、だとしたら〝東の海〟にいた理由と〝麦わら〟という雑魚海賊の元にいたのかがわからん。本当に四皇の幹部と繋がりがあるならこの〝偉大なる航路〟の前半にいた方がまだ納得出来る。だが、そいつが報復に来る事もありうる]

 

[・・・・・・まぁとは言え、過ぎた事はしょうがねぇ。今そっちに向かっている〝アンラッキーズ〟から届け物を受け取ったら、Ms.ゴールデンウィークとMr.6ペアと共にアラバスタへ迎え。時機が来た・・・俺達にとって最も重要な作戦へ着手する]

 

[詳細はアラバスタへ着いてからの指示を待て]

 

 

「(アンラッキーズ・・・届け物・・・)・・・ん?」

 

 

社長(ボス)の指示を聞いていたら窓の部分から気配を感じて見てみれば、そこにはサングラスを掛けたラッコとハゲタカ──〝13日の金曜日(アンラッキーズ)〟がサンジをジッと見ていた。

 

 

「・・・・・・なんだコイツら?」

 

 

[オイ・・・どうした・・・・・・]

 

 

「いや・・・!!何でも・・・・・・」

 

 

サンジが何でもないと言おうとした瞬間、ハゲタカ──Ms.フライデーが銃弾を打ち込んできた。それを避けた所にラッコ──Mr.13が貝殻型の武器を突き刺しに来た。

 

 

「俺を殺ろうってか!?上等だぜ、この・・・メガネザルがっ!!!」ガンッ!!!

 

 

ジャキン・・・!ドドドドッ!!!

 

 

「だから、テメェは・・・やめろってんだよ・・・この巨大ニワトリ!!!」グルッ・・・!!!ごき!!!

 

 

[何事だ]

 

 

突然の襲撃を返り討ちにしたのはいいモノの、流石に不審に思われては元も子も無いのでサンジは直ぐに返答をした。

 

 

「いやァすいません、この島の猛獣が思いの外凶暴でして。まぁそれらは全部殺していますが・・・」

 

 

[・・・まァいい、とにかく貴様はそこから一直線にアラバスタを目指せ。なぉ・・・電波を使った連絡はこれっきりだ。海軍に嗅ぎつけられては面倒だからな。以後、伝達は全て指令状により行う・・・以上だ。幸運を・・・Mr.3]ガチャ!

 

 

「──ハァッ!!!」

 

 

社長(ボス)からの連絡が完全に終わったことを確認した思いっきり息を吐き、深呼吸をした。

 

相手は〝王下七武海〟の一角を担う強者の1人。そんな人物を相手に騙せきったのは今回のMVPと言っても過言ではなかった。

 

 

「しかし・・・こいつらは何だったんだ?」

 

「ん・・・・・・?」

 

 

襲ってきた〝13日の金曜日(アンラッキーズ)〟を何者か分からないまま倒したサンジは倒れているMs.フライデーの鞄から〝記録指針〟似た道具が落ちているのを拾った。

 

 

「これは・・・・・・」

 

 

 

 

 


 

side:スモーカー

 

 

〜〝偉大なる航路〟のとある海〜

 

 

「スモーカー大佐!!先程、〝黒電伝虫〟が興味深い電波を捉えました!!!」

 

 

「何!?」

 

 

ルフィを捕まえるため、ローグタウンから独断で追って来た海軍本部大佐〝白猟のスモーカー〟は部下から盗聴用の黒電伝虫からある電波を傍受したと報告を受けた。

 

その電波を聴いたスモーカー大佐は自分の右腕であるたしぎ曹長を呼びつけた。

 

 

「もう1度再生してみろ」

 

 

「ハイ、大佐」

 

 

「オイ、たしぎ!!お前もこっちに来てコレを・・・ってアイツどこだ?」

 

 

「たしぎ曹長でしたら先程捕えた男の刀をウットリと見つめながら部屋に入りました」

 

 

ブチッ!

 

「たしぎィ!!テメェ眼鏡割られたくなかったらサッサとこっち来い、この刀バカっ!!!」

 

 

「∑すっすいません!!スモーカーさん!!!コーヒーですか!!?」

 

 

「∑違うわァ!!!」(#`皿´)

 

 

名刀の事になると周りが見えなくなるたしぎ曹長の天然のボケで場は少し緩んでしまったが、スモーカー大佐が少しシバいた事で元の空気に戻った。

 

たしぎ曹長が来た事を確認したスモーカー大佐は黒電伝虫を持つ海兵に再び録音を流させた。

 

 

「よく聞いてろ、2人の男の会話だ」

 

 

「先程捉えた電波です。いいですか、曹長?」

 

 

「は・・・はい、お願いします!」ヒリヒリ…

 

 

2人の上司の準備を確認した海兵は黒電伝虫の録音の再生を始めた。電波自体が遠かったせいか、音声は途切れ途切れだったが重要なキーワードは所々出てきた。

 

 

[ガガ・・・・・・ザー・・・・・・王女ビビと・・・・・・〝()()()()()()〟・・・ガガ・・・たのか?・・・・・・えぇ・・・任務は・・・完了・・・ガガ・・・・・・〝()()()()()()〟の・・・方は・・・・・・ガガ・・・奴が何者・・・・・・ガガ・・・・・・〝のカイドウ〟・・・の幹部・・・・・・ガガ・・・〝兵害〟と呼ばれ・・・・・・11億を・・・超える・・・]

 

 

「麦わら・・・!!∑〝麦わらの一味〟!!!」

 

 

「そうだ・・・電波は遠いがこの2人の男の会話によって得たキーワードは6つ!『王女ビビ』、『麦わらの一味』、『Mr.0』、『指令状』、『百獣のカイドウ』、『兵害』」

 

 

スモーカー大佐から6つのキーワードを聞いたたしぎ曹長は、先日捕らえた不審な剣士〝Mr.11〟に指を差した。

 

 

「『Mr.0』とはもしかして・・・先日ルネスで捕らえた剣士〝Mr.11〟と何か関係が!?」

 

 

「まァ・・・そうだな。数字が暗号名(コードネーム)だとすると・・・『指令状』によって任務を遂行する犯罪組織〝バロックワークス〟が濃厚だな」

 

 

するとマストに括りつけられながらも話を盗み聞きしていたのか、自分は違うと否定してきた。

 

 

「フフッ・・・Mr.0!?犯罪組織〝バロックワークス〟!?知らんな。当てずっぽうでものを言うな!!」

 

 

〘バロックワークス・フロンティアエージェント〙

 

〘Mr.11〙

 

 

しかし、彼が着る貴族風の派手な服に顔に入っている11の刺青が〝Mr.11〟であると主張していた。

 

スモーカー大佐はそれを面倒くさそうに見ながら葉巻をふかし、1つの質問をなげかけた。

 

 

「ならばお前の内ポケットにあった()()()は何だ!?」

 

 

ギクッ!

(な・・・!?し・・・指令状はちゃんと・・・燃やしたはず)

 

「え!?あ・・・()()()その・・・」

 

 

()()()・・・!?てめェのポケットにゃ何も無かったよ」《b》

 

 

《b》「・・・・・・!!!」

 

 

スモーカー大佐の誘導尋問にあっさり引っかかったMr.11はやっちまった感の顔をして項垂れた。

 

その後、甲板に用意された椅子に座ったスモーカー大佐は新しい葉巻に火をつけ、得たキーワードの整理を始めた。

 

 

「『ビビ王女』・・・これは確かアラバスタ王国の行方不明になっている王女の名だ」

 

 

「アラバスタ王国といえば今流行りの暴動(クーデター)の真っ最中。・・・まさかそのバロックワークスと〝麦わらの一味〟が絡んでいると!?」

 

 

「・・・わからん。だが暴動(クーデター)が起こった時期と王女が行方不明になった時期、そしてバロックワークスが大きくなった時期が妙に一致してやがる・・・関係ないとは言い切れねェ」

 

 

実際、アラバスタ王国の王女がもし反乱に黒幕がいると推測したのならバロックワークスに潜入しようとしても不思議はない。

 

仮に〝麦わらの一味〟がバロックワークスと関係があったとしても、恐らくビビ王女が〝麦わらの一味〟と偶然であって共に行動する事になった確率が高い。しかし、問題は残った2つのキーワードだった。

 

 

「だが、他にも問題はあるぞ」

 

 

「・・・〝四皇・百獣のカイドウ〟ですね」

 

 

〝四皇・百獣のカイドウ〟──〝偉大なる航路〟後半の海、〝新世界〟。その海に皇帝のように君臨する4人の海賊の1人にして〝最強の生物〟と呼ばれる人物。

 

カイドウ率いる〝百獣海賊団〟の規模は軽く1万超えており、特にその強さを示すのはカイドウ直属の大幹部──大看板と呼ばれる者達は僅か3人だけである。

 

その3人異名は災害に例えられており、1人は通った島が火の海になり、1人は通った島が様々な疫病にかかり、1人は通った島が干ばつ様に干からびる等の多大な被害を出していた。

 

そして5年前、その災害に新たなる災厄が加わった事で〝百獣海賊団〟は新たな力を得ることになった。

 

 

「そいつが通った島は毒ガスや生き地獄を味あわせる対人兵器に一瞬で島を汚染する大量破壊兵器に溢れかえり、生物の住めない環境に変える災厄・・・故に、そいつに兵器の災害──〝兵害〟の異名がつけられた。そしてそいつの名が・・・」

 

 

「〝仮面ライダーメタルビルド〟・・・〝ベストマッチ〟マカハゼと同じ姿と名を持つ海賊・・・!!」

 

 

スモーカー大佐とたしぎ曹長は〝新世界〟に名を轟かす存在の情報に険しい顔をしながらマカハゼとの関係を考えていた。

 

 

「〝偉大なる航路〟に入ってから本部て得た情報・・・本部自体も〝兵害〟と〝ベストマッチ〟の関係を全く掴めていない」

 

「それどころか奴らの情報は名を挙げた時点でしか出回ることは無かった。〝兵害〟の強さは既に知れ渡っているが〝ベストマッチ〟自身の強さと科学力は全くの未知数!!」

 

「この2人の男も恐らく〝ベストマッチ〟を警戒する為の会話だろう」

 

 

実際、スモーカー大佐や部下の海兵達も自分達が追っていた海賊の1人が海の皇帝と関わりを持っているかもしれない可能性に恐れを抱いていた。

 

もし〝四皇・百獣のカイドウ〟が関わっていたらこの前半の海は地獄に成り果てるのは目に見えていた。

 

 

「だがそれは可能性の話だ。それに俺のカンだが〝ベストマッチ〟は〝兵害〟とは関係ないだろう」

 

「それより今は〝麦わらの一味〟だ!!幸い、奴らに関わる手掛かりは入手出来た」

 

 

「じゃあこれから・・・・・・」

 

 

「・・・・・・あぁ。本部と連絡をとって〝永久指針(エターナルポース)〟を手に入れろ」

 

 

「はい」

 

 

「行ってみようじゃねェか・・・アラバスタ王国へ」

 

 

スモーカー大佐は手に入れた〝麦わらの一味〟の唯一の情報を頼りにアラバスタ王国へ進路を向けて進み始めた。

 

 

 

 

 


side:アラバスタ王国の港

 

 

暴動(クーデター)が起こっている中で戦火から離れた港で1隻の船が停泊していた。その船は船首が白鳥になってい、マストには〝おかま(ウェイ)〟とデカく書かれている。

 

その船のすぐ近くに〝B・W〟の刺青を持つ男たちがいた。その男達は整列して自分達の上司を待っていた。

 

そして待っていた上司がとうとう自分達の前に姿を現した。

 

 

「〝Mr.2・ボン・クレー〟様!!スワンダ号の御用意が出来ました」

 

 

「わーかった、わーかったわよーう!!うるっっっさいわねェーいっ!!!」

 

 

〘〝バロックワークス・オフィサーエージェント〟〙

 

〘Mr.2・ボン・クレー〙

 

 

おかま口調で現れた上司──Mr.2・ボン・クレーと呼ばれた男の格好は肩の部分2匹の白鳥が装備され顔は、濃いメイク、靴はバレリーナ用のトウシューズ、ピンクの上着の背にはマストと同じく〝おかま(ウェイ)〟と書かれている事から正真正銘のオカマであるのがわかる。

 

 

「まっったく、なんでこのあちしがァ!?Mr.3くらい、あんた達で殺しなさーーいよう!!!」

 

 

Mr.2・ボン・クレーは社長(ボス)直々の指令でMr.3を始末する為に出航しようとしていたが、本人は面倒くさそうに部下達だけでやれと言い出した。

 

しかし、それに慌てた部下達は流石に実力差があり過ぎて無理だと頭を下げた。

 

 

「と・・・とんでもないっ!!我々が束になってかかっても無理です!!!」

 

 

「ど・・・どうかひとつ・・・!!社長(ボス)からの指令ですので・・・!!」

 

 

そんな情けなくもかわいい部下達の必死の懇願を見たMr.2・ボン・クレーは仕方ないというふうにスワンダ号に乗り込んだ。

 

 

「ぷうっ、世話のやける0()()()()ねぃ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜END〜



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偉大なる槍

side:ドリーの家

 

 

「ガババババ!!お前達には助けられてしまったな。何か礼をしたいが・・・」

 

 

「ゲギャギャギャギャ!!己の首に懸かった賞金の事などすっかり忘れてたわ!!!」

 

 

バロックワークスの襲撃を退けたルフィ達は全員ドリーの家に集まり、それぞれ怪我の手当をしていた。

 

そこでマカハゼは今現在の自分達の状況とドリー達が狙われた理由を正直に伝えた。偶然とはいえ、彼らを巻き込んでしまったのは事実だから。

 

 

「いや、元々あんたらが狙われるきっかけは俺達のせいだからな。だからせめてもの詫びで船の酒を全部置いていくよ・・・少ねぇだろうけど」

 

 

「おお!それはありがたい!!」

 

 

「それなら遠慮なくいただこう!!!」

 

 

マカハゼからの詫びで酒を全部貰えることになったドリーとブロギーは上機嫌に笑ったが、ゾロは少し不貞腐れていた。

 

そんなゾロをカッコウが窘めたり、1番重症を負ったルフィにハニークイーンが包帯を巻いたり、ウソップ達はMs.ゴールデンウィークからかっぱらった煎餅を食べたりとそれぞれ寛いでいた。

 

しかしそんな中、ビビだけはその中に交じる事なく暗い顔を下に向けていた。

 

マカハゼの言った通り狙われたのは自分達・・・特に自分自身が原因だった。無関係だった人達を次々に巻き込んでしまった罪悪感が今のビビに満ちていた。

 

 

「ちょっとどうしたの、ビビ?そんな暗い顔をして?」

 

 

「少し・・・不安になってきたの。マカハゼさんの言った通り本を辿れば全部私の「そんなこと言わないの!!」∑痛いッ!!!」

 

 

自責の念をこぼし始めたビビにナミは頬を抓る事で辞めさせた。

 

 

「そうだぞ、ビビ!!何をそんなにしょげてんだ?」バリッ

 

 

「俺達は海賊だ。そんな所まで気をまわす必要はないぞ」バリッ

 

 

「ルフィ船長とマカハゼの言う通りよ」バリッ

 

 

「巻き込んだってのも今更だしな」バリッ

 

 

「全くよ」バリッ

 

 

「案外美味ぇな、煎餅」バリッ

 

 

「だね」バリッ

 

 

「クェッ!」バリッ

 

 

「∑せめて煎餅を食い終わってから言えやッ!!!」ガボーン!!!

 

 

「「・・・・・・(汗)」」

 

「・・・1人でも誰か貴女を恨んでる?」

 

 

煎餅を食べながら気にするなと言うルフィ達にツッコミを入れるウソップ。そんな彼らを呆れながらナミは誰も恨んでないと言った。

 

全ては偶然が重なった起こった事。誰かを恨むなんて見当違いだと言ってくれるみんなにビビの心は少し救われていた。

 

そして騒ぐ彼らをよそにナミ達から〝記録指針〟のことを聞いてたゾロが険しい顔で呟く。

 

 

「しかし・・・次の島のログが1年ってのが深刻だな」

 

 

「そうよ!笑い事じゃないのよ、本当に」

 

 

「それを何とかしてくれよ、おっさん達」

 

 

「バカを言え。ログばかりは我らでもどうにも出来ん」

 

 

「じゃあマカハゼ!お前の科学でパパっと・・・」

 

 

「無理だ。いくら俺の科学でも地理や海図、気象情報に航空写真と言ったデータがない以上、どうすることも出来ん」

 

 

「さりげなく聞いた事の無い単語も出てきたわね・・・(汗)」

 

 

「せめて〝永久指針〟があればなぁ・・・」

 

 

リトルガーデンで1年の足止め。このまま1年ログが溜まるのを待ち続けたらアラバスタ王国は無事ではすまない。

 

そんな頭を抱えて困り果てる一同に、場の空気を読まない陽気な声が響いてきた。

 

 

「っは──────っ!!!ナミさ〜〜ん!!カッコウちゃ〜〜ん!!ハニークイーンちゃ〜〜ん!!ビビちゃ〜〜ん!!ミキータちゃ〜〜ん!!!あとオマケども!!無事だったんだねェ〜〜〜〜っ❤❤よかった〜〜〜〜」

 

 

いつも通りのバカ高いテンションで出てきたサンジに一味から「あ」の声が上がる。たった数時間だが色々とあった為、存在自体を忘れかけていた。

 

 

「よー、サンジ〜!!」

 

 

「あの野郎、助けにも来ないで今頃現れやがった」

 

 

呑気にやって来るサンジに安堵する者や怒り心頭の者が半々に別れていた。そんな一同の元に駆け寄ったサンジは巨大な岩に凭れ掛かるドリーとブロギーを見て目を開かせた。

 

 

「∑ンなんじゃこりゃァ!!!お前らがMr.3とMr.6かァ!!?」どきっ!

 

 

「ちょっとサンジ君!何でMr.3とMr.6の事を?」

 

 

「うほうっ❤ナミさんにミキータちゃん、君たちはなんて刺激的なんだっ❤」

 

 

声を掛けてきたナミに目を向ければ、ミキータはMr.6の罠の地雷の爆破で服が所々焦げて肌がかなり露出していた。

 

 

そんなナミとミキータにサンジは自分の上着とシャツを被せ、 先程までの自分の行動を説明した。

 

 

「じゃあさっきまで・・・Mr.0(ボス)と会話をしていたの・・・・・・!?」

 

 

「まァねェ・・・俺を完全にMr.3と思い込んでたし・・・そのお陰で俺達の今後に関わる情報も聞けたし・・・まぁコレは後で話すよ」チラッ

 

 

「?」

 

 

サンジはマカハゼをチラ見してはぐらかした。マカハゼは少し気になったて聞こうとしたが、それより早くビビがサンジに確認した。

 

 

「じゃあ私達はもう死んだ事になってるの!?」

 

 

「あぁ・・・!そう言っといた」

 

 

「これでせっかく追っ手が来ないのに肝心な俺らが此処を動けねェなんて!!!」

 

 

「本っ当にこれだけはどうも出来ねぇよ・・・」

 

 

「動けねェ?まだこの島に何か用があるのか?せっかくこういうモンを手に入れたんだが・・・」

 

 

この島から出れないと嘆く一味を不思議そうに見ながらサンジは〝永久指針〟を取り出した──それも〖アラバスタ〗と書かれている物だった。

 

いきなり希望の光が舞い込んだ事でそれを見たサンジ以外(ヨサクとジョニーも除く)一味全員がぎょっとした顔で見つめた。

 

 

「!!!?」×9

 

 

「・・・・・・・・・え!?なに?(汗)」

 

 

「「「アラバスタへの〝永久指針だァーー!!!〟」」」

 

 

「やったァーー!!!」

 

 

「これで出航できるわァーー!!!」

 

 

呆然となるサンジを置き去りに一味は喜びの歓喜をあげで騒ぎ始める。

ビビは感激のあまり人目を忘れ、サンジに抱きついて礼を言うほどだった。

 

 

「ありがとうサンジさん!!1時はどうなるかと・・・!!!」

 

 

「❤いや・・・いや・・・どういたしまし・・・てへ❤そんなに喜んでもらえるとは・・・❤」

 

 

「よっしゃー!!煎餅パーティーだァー!!!」

 

 

「あと3枚だからパーティーは出来ねぇぞ」

 

 

「そんな事やってる場合じゃないでしょ、急ぐわよ船長!!」

 

 

喜びの余りそのまま宴に移行しようとしたルフィにナミが待ったをかけた。移動の手段が見つかった以上、長居は無用だ。

 

一味は立ち上がり直ぐに船に向かう準備を始め、ルフィ達はドリーとブロギーに別れの挨拶をしたりしていた。

 

 

「じゃあ丸いおっさんに巨人のおっさん!!俺達行くよっ!!!」

 

 

「そうか・・・まァ・・・急ぎの様子だ」

 

 

「残念だが止めやしねェ・・・!!国が無事だといいな」

 

 

「ええ、ありがとう」

 

 

過ごした時間は半日にも満たない。しかし、100年ぶりに濃い体験を過ごせた彼らは満足気にビビに励ましの言葉を送った。

 

見た目は恐ろしいがお人好しな、この世で身も心が最も大きい海賊達にルフィ達も感謝の言葉を述べる。

 

 

「じゃあな〜〜!!!」

 

 

「師匠っ!!俺はいつか!!エルバフへ行くぜ!!!」

 

 

「願わくば次この島に来る時もそのまま決闘を続けてくれよ」

 

 

すっかり巨人に憧れ、すっかり師匠呼びしているウソップは何度も振り返って別れを告げ、マカハゼはまた会いたいと思ってその言葉をかけた。

 

最後にゾロとサンジは狩勝負の話をしながら去って行き、彼らの声が聞こえなくなった所でドリーとブロギーは決意の目を海に向けた。

 

 

「・・・・・・友の船出だ」

 

 

「あぁ・・・放ってはおけん。東の海には魔物がいる」

 

 

ゆっくりと立ち上がった巨人達は自分達の武器を手に取る。

 

100年間使い続けた事で刃こぼれし、錆び、何時壊れても可笑しくない相棒達を持って、恩人達の向かう先を見た。

 

 

「この戦斧(おの)とこの剣も寿命か・・・」

 

 

「未練でも?」

 

 

「未練ならあるさ。共に100年戦い続けた戦斧(相棒)だ・・・だが、あいつらのためなら惜しくはない!!!」

 

 

「決まりだな」

 

 

そう言って巨人達は互いに不敵な笑みを浮かべ、ルフィ達の出る海岸へ向かった。

 

 

 

 

 


 

side:ゴーイングメリー号

 

 

「え〜、ウチら3人で厳選に審査した結果・・・」

 

 

「「この狩勝負は紙一重で引き分けです!!!」」

 

 

「「∑納得出来るかぁっ!!!」」

 

 

マカハゼ達はメリー号で船番をしていたヨサク達と合流し、出航の準備をしていた。

 

その途中、恐竜の獲物を持ってきたゾロとサンジは『八咫烏』に審査をしてもらった結果、引き分けになった。

 

その結果にゾロとサンジは不満を爆発させるが、厳選に審査した『八咫烏』の意見は曲がらない。

 

 

「いや兄貴達、そんな事言っても結果は結果ッスよ」

 

 

「いいやダメだ!勝負に引き分けはねェっ!!!」

 

 

「その通りだ!!この勝負は俺の勝ちのハズ!!!(怒)」

 

 

「ああ!?俺に決まってんだろ!!!(怒)」

 

 

「いいじゃねェか。どっちも美味そうだ」

 

 

「「∑テメェは黙ってろっ!!!」」

 

 

(マンモスとかはいなかったのか・・・・・・?)

 

 

肉が食えればそれでいい船長の元も子も無い言い分にゾロとサンジはツッコミを入れ、マカハゼはどうせならマンモスがよかったと心の中で呟いた。

 

 

「あんたら何時までやってんの・・・どうせ全部は載せきらないんだから必要な分だけ切り出して、船を出すわよ!!」

 

 

「はーい、ナミさん❤」

 

 

「なぁカッコウ」

 

 

「もう終わった事だから」

 

 

「さっさと準備しろ」

 

 

「・・・・・・」

 

 

カッコウに言われ、マカハゼの出航の手伝いの催促を促されたゾロはやっと準備に取り掛かった。

 

他の者達も錨を上げ、帆を張ったり等の準備も進め、メリー号は出口の海岸へ向かった。

 

 

「このまままっすぐ進めば、島の東に出れるんだって」

 

 

「おい、もっと肉載せれなかったのか?」

 

 

「バカ、無理だ。これ以上は保存しきれねェ」

 

 

「船を沈める気か」

 

 

「・・・・・・」

 

 

出航した後にそんなバカ発言をする船長に何人かツッコミを入れる中、マカハゼは東の方向を難しい顔をしながら見ていた。

 

 

「どうしたの、マカハゼ?」

 

 

「あの巨人達の気配が海岸に感じる・・・それはいい。問題は・・・何かラブーンと似たデカイ《声》を感じるんだよなぁ」

 

 

「・・・いやいやいやいや。流石にラブーンと同じデカいのがそう簡単にいるわけねぇだろ?」

 

 

「そっそうよ!流石にそんな大物が島の近くにいるわけないわよ!!」

 

 

マカハゼの聞いた《声》の報告を受けたウソップとナミはラブーンサイズがそう簡単にいてたまるかと否定した。

 

そんな会話をしていたら何時の間にか島の出口の海岸に立つ2つの巨影が見えた。

 

 

「あ!あれおっさん達だ!!」

 

 

「マカハゼの言う通り見送りに来てくれたんだ!!」

 

 

最後まで気のいい奴らだとルフィ達は笑みを浮かべるが何処か覚悟を決めた雰囲気に疑問を浮かべる。

 

マカハゼはそんな彼らを見て何かがあると察し、成り行きを見守る事にした。

 

 

「この島に来たチビ人間達が・・・」

 

 

「次の島へ辿り着けぬ最大の理由がこの先にある」

 

 

「お前らは決死で我らの誇りを守ってくれた」

 

 

「ならば我らとていかなる敵が来ようとも」

 

 

「友の海賊旗(誇り)は決して折らせぬ!!!」

 

 

「我らを信じてまっすぐ進め!!!たとえ何が起ころうともまっすぐに!!!」

 

 

2人の発する闘気に誰もが息を飲み、マカハゼは確信する。やはりこの先に何かがいる、それを彼らが取り払うつもりでいる事を。

 

 

「・・・・・・・・・わかった!!まっすぐ進む!!!」

 

 

「お別れだ」

 

 

「何時かまた会おう」

 

 

「必ず」

 

 

彼らの気迫にルフィは汗は流しながら頷く。彼らを信じてただ前に船を進め、海原へ出る。

 

暫く進んだその時、メリー号の進む先の海が突如盛り上がり、そこに巨大な2つの光が〝麦わらの一味〟の乗るメリー号を睨む。

 

 

「∑ちょっとォ!!何なのよあれェ!!?(泣)」

 

 

「マジでなんかいたァ!!!(泣)」

 

 

突如現れた存在に恐れる者が出る中、ドリーとブロギーは互いの得物をゆっくりと構えだした。

 

 

「出たな、〝島食い〟!!!」

 

 

「道は開けてもらうぞ、エルバフの名にかけて!!!」

 

 

盛り上がる水が完全に落ち、顕になったのは大口を開ける飛び出た大きな目が特徴の赤い魚。マカハゼもその姿に見覚えがあるが、それは小さい鉢の中での話だった。

 

 

「なんじゃありゃあ〜〜!!!」

 

 

「かっ海王類!!?」

 

 

「デカいにも程があるだろーが!!ラブーンといいこの星の生態系はどうなってんだァ!!!」

 

 

〝偉大なる航路〟の双子岬で会ったラブーンと引けを取らないデカさにマカハゼは思わず疑問をぶつけ、他のクルーもパニックになり始めた。

 

 

「舵きって!!急いで!!食べられちゃう!!!」

 

 

「何だ、こいつは・・・巨大な・・・!!金魚か・・・!?ん?巨大金魚・・・!?どっかで聞いたような・・・!!?」

 

 

「オイ長鼻!!止まってないで早く動け!!!」

 

 

「ジェムの言う通りよ!!ウソップ、あんたも早く「だめだ!!!」はァ!?」

 

 

「まっすぐ進む!!!そ・・・そうだろ、ルフィ!!!」

 

 

「うん、もちろん」

 

 

皆が逃げようと動くなか、ウソップとルフィが前に進む意思に女性陣は有り得ないという顔をしていた。

 

 

「バカ言わないで!!今回はラブーンとは違うのよ!!?」

 

 

「そうよ、ルフィ船長!!このままじゃ飲み込まれて終わりよ!!!」

 

 

「わかってるよ、騒ぐなよ。最後の煎餅やるから」

 

 

「∑いるかァ!!!」

 

 

「早く船を動かさないと私達」

 

 

「お前ら・・・諦めろ」

 

 

ナミとハニークイーンが必死でルフィを説得しようとしている中、ゾロが腕を組みながら寛ぎながらそう言った。

 

 

「ウソップはともかく、こうなった以上俺らの船長は意見を曲げねェだろ」

 

 

続いてマカハゼも既に静観のモードに入ってるのを見て女性陣や『八咫烏』達も観念した。

 

ナミとハニークイーンはルフィから残りの煎餅を受け取り、涙を流しながら噛じる。何故か固いハズの煎餅が柔らかく、しょっぱく感じるのは気のせいではないかもしれない。

 

 

「おいルフィ!巨人達(あいつら)は信頼出来るんだろうな!!?」

 

 

「うん」

 

 

「マジか〝麦わら〟!!普通ここは逃げるべきだろ!?」

 

 

「マジ」

 

 

「正気!?本当にあの怪物に突っ込むの!!?」

 

 

「ダメ・・・もう間に合わないっ!!!」

 

 

「「「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ッ!!!(泣)」」」

 

 

悲鳴をあげる一味を乗せたメリー号はまっすぐ怪物の口の中へ進んで行く。

 

そんな怪物の口の中へ自ら進む船を見つめながら2人の巨人は懐かしそうに小さく笑っていた。

 

 

「育ちも育ったり〝島食い〟。この怪物金魚め」

 

 

「驚くのはこいつのデカさだけじゃない・・・その辺の島を食い潰して出す、こいつのフンのデカさと長さよ」

 

 

「・・・・・・確か・・・〝何も無い島〟という名の巨大なフン・・・」

 

 

「ゲギャギャギャギャギャ・・・昔、大陸と間違えて上陸しちまった事を覚えている・・・!!」

 

 

昔話を語り合いながら武器を持ち上げて構える。いつか見た光景、過ぎ去った日々、100年続けた命懸けの決闘で色褪せていた日々が今になって脳裏に駆け巡っていく。その理由は間違いなく彼らのせいだ。

 

 

「懐かしい冒険の日よ」

 

 

「奴らを見ていると、どうも思い出す・・・!!」

 

 

武器を構えて力を入れる彼らの傷口から軽く血が溢れ出す。彼らが繰り出すのは若き海賊〝麦わらの一味〟への救いであり、これからの苦難を迎える後輩達へ贈る手向けであった。

 

 

「我らに突き通せぬものは〝血に染まらぬ蛇〟のみよ」

 

 

「エルバフに伝わる巨人族最強の〝槍〟を見よ・・・!!!」

 

 

グゴゴゴ・・・

 

 

巨人達が見据える先でメリー号が〝島食い〟の口の中へ消える。

 

しかし、周囲が闇に包まれてもウソップは恐怖に震えながらもまっすぐと叫び続ける。

 

 

「まっすぐ!!!まっすぐ!!!」

 

 

「何言ってんの!?もう食べられちゃったわよ!!!」

 

 

「まっすぐ!!!まっすぐ!!!」

 

 

「まっすぐまっすぐ♪」

 

 

「∑そこォ!!リズムに乗るなァ」

 

 

巨大金魚の奥へ進みながらもルフィもまっすぐと叫び、マカハゼも明るく行こうとリズムに合わせて言う。

 

そして次の瞬間、メリー号は暗闇の世界から光の世界へと飛び出していた。

 

 

「「〝覇国〟!!!!」」

 

ドゴォォン!!!

 

 

〝麦わらの一味〟を飲み込んだ巨大金魚の体に大きな穴が開き、メリー号を傷つける事無く外の世界に開放される。

 

 

「うーーっほーーっ!!!」

 

 

「振り返るなよ!!!行くぞ、まっすぐ〜!!!」

 

 

「フォーーーーっ!!!」

 

 

キラキラと海の飛沫が空を舞うメリー号を照らすその光景はまるで1つの芸術のように映っていた。

 

 

「でけェ・・・・・・!!!なんてでっけェんだ!!!!」

 

 

「海ごと・・・斬った・・・これが・・・エルバフの・・・うう・・・戦士の力・・・!!!スゲェ!!!」

 

 

「おいゾロ!!この技を修得してらよ・・・もっとスゲェ事出来そうじゃねェか!!?」

 

 

「ああ・・・確かに面白そうだ・・・・・・!!!」

 

 

人間の常識では測れない威力にルフィは奮え、ウソップは感動の涙を流し、ゾロとマカハゼはこの大技を必ず手にすると誓った。

 

100年連れ添い、役目を果たして散った武器(相棒)を掲げたこの世で最も偉大なる海賊達は、若き海賊達を豪快に笑いながら送り出した。

 

 

「「さァ行けェ!!!!」」

 

 

「ゲギャギャギャギャギャギャ!!!」

 

 

「ガババババババババ!!!」

 

 

〖その昔──巨兵海賊団という暴れ者共が海にいた〗

 

〖それを率いる二人の海賊頭──〝赤鬼のブロギー〟と〝青鬼のドリー〟の力は特に凄まじく〗

 

〖もはや普通の人間の力では太刀打ち出来ぬと半ば野放しにされたこの海賊団の進撃に〗

 

〖終止符を打ったのはなんと・・・たった1人の小さな女の子であったという──〗

 

 

──今日の頭達の狩りは本当に凄かったな!!!

 

 

──おう!!目に焼き付いて忘れられねぇよな

 

──あのバカデケェ海王類を1()()1()()()()仕留めちまうんだからな!!!

 

 

──我らエルバフの巨人族といえどそんな事が出来るのは頭達だけだァ!!!

 

 

──ガババ!確かにあれは俺達の生涯の中でも

 

 

──ああ!!1番の大物だった

 

 

──・・・・・・

 

──それはどっちが大きかったの?

 

 

──どっ・・・

 

 

──ちが?

 

 

 

〜数日後〜

 

 

 

──見ろ!!ブロギーよ!!!俺の方が少しばかりでかいようだな!!!

 

 

──ぬかせ!!俺の方が3cmでかいわ!!!

 

 

──何をォ!?

 

 

──何だァ!!!

 

 

──お頭達、やめてくれェ〜〜!!

 

 

 

〜そして現在〜

 

 

 

「全てあれから始まったんだよな・・・」

 

 

「狩勝負・・・すっかり忘れてたわ」

 

 

ゾロとサンジの狩勝負の話を聞いた2人は自分達の決闘の理由を思い出した。

 

今にして思えばなんとも下らい理由──しかし、それでも譲れないものだった。

 

 

「ところでブロギーよ・・・どうしても1つ思い出せない事がある」

 

 

「いや、実を言うと俺もだ・・・(汗)」

 

 

2人がもう1つ何かを忘れている事に気づいて必死に思い出そうとする中、〝真ん中山〟が噴火した事で2人は直ぐに決闘を始めた。

 

 

「あ、〝真ん中山〟・・・」

 

 

「まぁよい!!とにかく決着をつけるぞ!!!」

 

 

「おお!!考えるのはそれからだ!!!」

 

 

バキッ!!!

 

 

〖──それは遠い昔の出来事〗

 

 

 

 

 

 

 

 

〜END〜



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科学が起こす奇跡の桜編
医者探しへ


side:メリー号

 

 

リトルガーデンを抜け、〝麦わらの一味〟はアラバスタ王国へ向かう。

 

思いもよらない出逢いを果たしたウソップとルフィは、肩を組んで騒いでいた。

 

 

「みんな!!いつか俺は行くぞ!!エルバフへ!!戦士の村へ行くぞ!!!」

 

 

「よしウソップ!!必ず行こう!!いつか巨人のおっさん達の故郷へ!!!」

 

 

「エ〜〜ル〜〜バフバフ〜♪エ〜〜ル〜〜バフバフ〜♪みんな〜デカいぞ♪巨人だし〜♪」

 

 

「どんな歌だよ」

 

 

「元気ね、あいつら・・・今日は本当に色々あったから疲れた・・・少し休みたいから指針見てもらっていい?」

 

 

「まぁ仕方ないさ。指針を見て進むくらいなら任せて少し休め」

 

 

「ありがと・・・」

 

 

興奮で騒ぐルフィ達を呆れつつ、マカハゼに指針を任せたナミは少し怠そうに思案顔になっているビビを見た。

 

 

「これでやっと・・・アラバスタ(故郷)へ帰れるわね」

 

 

ナミがビビに微笑むと、彼女は同意するように頷く。

 

偶然が重なった事で想像より早く先へ進む航路が見えた。あとはただまっすぐ先へ進むだけ。

 

 

「ま、もっともアラバスタへの航海が無事に済めばの話だけど」

 

 

「ええ・・・私は、きっと帰らなきゃ・・・だって今、国を救う方法は・・・」

 

 

そう答えかけたビビの表情は悲痛に歪む。

 

彼女が思い出すのは潜入する切っ掛けとなった護衛隊長イガラムとの会話。

 

何があっても必ず生きてアラバスタ王国に戻る。たとえ何があっても、どこの誰が死のうと、たった1人になっても、そして真実を伝える。それだけが国を救う唯一の手段。

 

 

「必ず生きて、アラバスタへ・・・・・・!!!」

 

 

「そこまでお前が力む事はないだろ」

 

 

「キャハハハ!!全くその通りよ」

 

 

するとそこへジェムとミキータが近寄ってビビにそう告げた。

 

 

「Mr.5・・・Ms.バレンタイン・・・」

 

 

「お前はたった13でバロックワークスに乗り込んだバカだろ?」

 

 

「そんなあなたがここまで来たんならもう最後まで進むしかないでしょ?」

 

 

「国盗りの片棒を組んだ俺達の言えた事じゃねェが・・・お前の命を守るのが俺らの仕事だ」

 

 

「あなたは気楽に構えてればいいのよ」

 

 

ビビの天然に巻き込まれでここにいる2人はビビに気遣うようにそう伝えた。

 

「その2人の言う通りさ、ビビちゃん。更に俺がいる!!本日のリラックスおやつ、プチフールなどいかがでしょう。お飲み物はコーヒー、紅茶どちらでも・・・」

 

 

「サンジさん・・・」

 

 

ジェムとミキータに同意するようにサンジも近づき、女性陣に茶菓子を差し出す。いつも通りの気安さを見せるサンジに、ビビはそれを受け取って笑った。

 

しかし、差し出された茶菓子を至近距離から見つめるルフィとウソップに困り顔で固まった。

 

 

「「うまほー!」」

 

 

「!」

 

 

「ルフィ船長ー、ウソップー、あなた達の分はこっちよ!!」

 

 

「「うおおおっ!!!」」

 

 

ハニークイーンの呼び掛けに走っていく2人にナミ達は思わずため息を吐く。

 

方針が決まった事で各々が思う様に時間を過ごしていた。サンジもMr.0(ボス)から得た情報の共有の為に船首付近まで行ったマカハゼの元へ向かおうと歩いた。

 

 

(この情報はあいつにも伝えねぇとな・・・)

 

 

しかし、後ろから人が倒れる音とビビとミキータとジェムの叫びが響いた。

 

 

「ナミさん!?」

 

 

「ちょっと!!どうしたのよ!!?」

 

 

「誰か来てくれェ!!航海士が倒れたァ!!!」

 

 

振り向けばこの船の麗しい美女、航海士のナミが苦しそうに息をしながら真っ赤な顔で倒れていた。

 

 

 

 

 


side:船室

 

 

「ナビざん死ぬのがなァ!!!?なぁビビぢゃん!!マガバゼェ!!!」

 

 

「まだ分かんねぇから静かにしろ。病態に響く」

 

 

マカハゼは泣き喚くサンジを窘めながら自作のパソコンにデータを入力し、ビビやミキータ、ハニークイーンがナミを看病していた。

 

 

「恐らく──気候のせい・・・。〝偉大なる航路〟に入った船乗りが必ずぶつかるという壁の1つが、異常気象による発病・・・・・・!!!どこかの海で名を上げた屈強な海賊でも、これによって突然死亡するなんて事はざらにある話」

 

 

乏しいビビの知識ではナミの症状に該当する病気はわからず、その対処法もとれずに唇を噛む。

 

それならと一同はゾロ達『八咫烏』に進路を任せ、パソコンを弄るマカハゼに目を向けた。

 

 

「マカハゼさんは医学をかじってるの?」

 

 

「残念だが全くの専門外だ。俺はこのパソコンに〝東の海〟で仕入れた医学に関するデータを入力している。ナミの症状に関するデータを検索する為に少しでもお前ら女性陣に触診させてんだ」

 

 

「科学スゲェ・・・」

 

 

「分かった。もう少し調べてみる」

 

 

マカハゼと女性陣が調べている間、後ろの男達は肉食えば治るとか腐りかけは男達に食わせてるとか馬鹿な会話をしていた。

 

 

「にしても病気ってそんなに辛いのか?」

 

 

「「「いやそれはかかった事ないし」」」

 

 

「∑あなた達何者なのよ!?」

 

 

「頑丈が取り柄のバカだろ?」

 

 

バカは風邪をひかないを地で行く男達を無視し、マカハゼは検索を続けた。

 

 

「辛いに決まってるじゃない・・・!!40度の高熱なんて・・・そうそう出るもんじゃないわ!!もしかしたら命に関わる病気かもしれないわ!!!」

 

 

「「「∑ぎゃぁぁぁぁぁ!!!!?」」」

 

 

「だから静かにしてって言ってるでしょ!!!(怒)」

 

 

「∑俺は騒いでねェ〜〜!!!」

 

 

キレたハニークイーンが騒がしい男達を黙らせる為にトロトロの能力で拘束して黙らせた。その直後、ミキータがナミの脇腹から痣を見つけた。

 

 

「〝ベストマッチ〟!航海士のお腹に痣みたいなのがあったわ」

 

 

「よし、それだけでも十分な手掛かりだ。どの道このまま後悔するのは危険だし、何処か近くの島を探して医者に見せ「・・・・・・だめよ」るん?」

 

 

マカハゼが今後の方針の提案をしいるマカハゼに待ったをかけたのは、寝ていなければいけないハズのナミだった。

 

ムクリと起き上がったナミはしんどそうな目を向けながらデスクに指をさす。

 

 

「え・・・!?」

 

 

「おっおい、ナミ!?」

 

 

「おーーっ、治ったーーっ!!!」

 

 

「∑いや、治るかっっ!!!」バシンッ

 

 

「ハニークイーン・・・私のデスクの中に新聞が・・・それをビビに・・・」

 

 

「わかった!」

 

 

ハニークイーンはデスクから新聞を取り出してビビに渡した。最初は訝しげに見ていたビビの顔は見る見るうちに青ざめていく。

 

 

「そんな・・・!!!」

 

 

「おい何だ、どうした??」

 

 

「アラバスタの事か!?ビビちゃん!!」

 

 

「そんなバカな・・・!!」

 

 

新聞に書かれていたのはアラバスタ王国の国王軍60万のうち、30万が反乱軍40万へ寝返ったというものだった。

 

元々は国王軍60万、反乱軍40万の鎮圧戦だったのがこの一件で一気に形成が変わり、このままでは状況は更に悪化する。

 

 

「これで暴動は本格化するな。にしてもこの日付は・・・・・・」

 

 

「3日前の新聞よ、それ・・・ごめん。ビビに見せたら余計な不安を与えると思って」

 

「・・・・・・分かった、ルフィ?」

 

 

「・・・・・・!大変そうな印象を受けた」

 

 

「そうよ。思った以上に伝わってよかったわ」

 

 

能天気なルフィでさえもそういう印象を与えたこの事件に他の者達も息を飲んだ。

 

しかしルフィは、未だにフラフラの状態のナミをジッと見ていた。

 

 

「でも、お前医者に見てもらわないと」

 

 

「平気。その体温計壊れてんのね・・・40度なんて人の体温じゃないもん、きっと日射病かなんかよ。医者になんてかかんなくても勝手に治るわ・・・・・・とにかく今は予定通りに・・・・・・」

 

 

「無理をするな、アホ。病人はしっかり寝てろ」

 

 

明らかに無理をして外に出ようとしているナミを寝かせ、マカハゼはパソコンを持って外に出た。

 

甲板には船の進路を主にゾロに任せた筈なのに〝永久指針〟を持っているのはカッコウで、肝心のゾロはヨサクとジョニーに稽古をつけていた。

 

 

「一応聞いておくが・・・俺はゾロに頼んだよな?」

 

 

「あー、それが──」

 

 

カッコウ曰く、最初はゾロが指針を見ていたがよく見ればゾロは指針ではなく、船の前に浮いている大きい雲を見ていた。

 

カッコウ達は指摘したがゾロ本人は雲を見てれば問題ないと謎理論を言うだけなので仕方なく無理やり変わったとの事だ。

 

 

「──という訳です」

 

 

「迷子は何をさせても迷子になるのか」

 

 

ゾロの謎感覚に呆れたマカハゼは取り敢えず周囲には何にも問題か確認していたら、結局ナミは外に出てきた。

 

そして、その肝心のナミはフラつきながらもメリー号の進行方向をじっと見つめていた。

 

 

「!寝てろって言った筈「空気が・・・・・・変わった・・・」は?」

 

 

「空気って・・・何も変わらない晴天だけど?」

 

 

何も変わらない晴天に奇妙な事を言うナミ。疑問を浮かべるマカハゼとカッコウの視線を無視し、船を動かせと指示を出した。

 

 

「本当に変わったのか?」

 

 

「いいから・・・みんなを呼んで」

 

 

苦しそうでありながらも何かを貫く様な真剣な目にカッコウは息をのみ、マカハゼはすぐに指示を出した。

 

 

「おいお前らァ、仕事だ!!出て来い!!!」

 

 

「何だ?野郎の指示じゃやる気出ねぇよ」

 

 

「黙って動け!シートについて風を右舷から受けろ、ナミの指示だ」

 

 

「「うぃーっ」」

 

 

マカハゼの号令を聞いた男衆は即座にメリー号の進路を変える。何も起きてないのに進路を変える急なナミの指示にサンジが質問する。

 

 

「何事だいナミさん、波も静かで気持ちのいい天気だぜ?」

 

 

「嵐」

 

 

「!」

 

 

「真正面から・・・大きな嵐がやって来る。・・・・・・多分ね」

 

 

どこか確信めいた物言いをするナミに一同は?を浮かべる。そこでルフィがナミの額に手を置いた。

 

 

「・・・・・・」ピタッ

 

 

「何?」

 

 

ジューーっ

 

 

「∑アチィっ!!!」

 

 

「「∑そこまで!!?」」

 

 

ナミの額に触れてルフィの手が余りの熱さに少し火傷し、それを見ていたサンジとウソップは驚嘆の声を上げた。

 

 

「熱いぞお前!!やっぱ船泊めて医者に行こう!!!」

 

 

「余計な事しないで!!これが私の平熱よ!!!」

 

 

「わかった、わかったから!!頼むからお前は本っ当に静かにしてろ!!!」

 

 

マカハゼがナミを抑えている間にメリー号は進路を大きく右に逸れて進む。

 

そこへ船室で新聞を見てどうするか悩んでいたビビが真剣な顔で一味の前に出て来た。

 

 

「みんなにお願いがあるの」

 

 

真剣な声にルフィ達は動きを止めてビビを見る。ビビは僅かに迷いを見せながらも、先程決断した想いを告げた。

 

 

「船に乗せてもらっといて・・・こんな事言うのもなんだけど今、私の国は大変な事態に陥っていて、とにかく先を急ぎたい。一刻の猶予も許されない!!だから、これからこの船を〝最高速度〟でアラバスタへ進めて欲しいの!!!」

 

 

ビビの決意に誰もがなんとも言えない顔になるがただ1人、ナミだけはニッコリと笑った。

 

 

「・・・・・・当然よ!約束したじゃない!!」

 

 

「・・・だったら、すくに医者のいる島へ行きましょう」

 

 

しかし次に出てきたビビの言葉に全員が目を見開き、にやりと笑った。

 

ナミの意図とは随分外れているが、一味が何よりも聞きたかった言葉だった。

 

 

「一刻も早くナミさんの病気を治して、そしてアラバスタへ!!それが、この船の〝()()()()〟でしょ!!?」

 

 

「そおーーさっ!!それ以上スピードは出ねぇ!!」

 

 

「いいのかビビ?お前は王女として国民100万民の心配をしないといけないんだろ?」

 

 

「そうよ!!だから早くナミさんの病気を治さないと」

 

 

「よく言った、ビビちゃん!!惚れ直したぜ俺ァ!!!」

 

 

「いい度胸だ・・・」

 

 

「「ビビのお嬢・・・!!」」( ̄^ ̄゜)グスッ

 

 

「適わねぇなァ・・・」

 

 

「キャハハハっ!!」

 

 

「ビビ・・・!!」

 

 

「私も頑張るわ!」

 

 

「いい決断だ・・・!!!」

 

 

一味が全員がビビの決断に異議を唱える事はなく、即座に医者探しの為に舵を取った。

 

 

「そうと決まれば・・・このままの方角──南へ進もう。微かだが、《声》を感じた」

 

 

「本当に便利だな、その力」

 

 

〝双子岬〟でラブーンの《声》を聞いて以来、周囲に感じる気配を人一倍強く察知出来るようになったり、相手の動きや思考の先読みする事が出来るよになった。

 

その力が何なのか今は分からないが、今後の海賊人生で必要不可欠になるのは間違いない。

 

実際マカハゼの《声》を聞く力を見ている者達はその言葉を信じ、マカハゼの指示した方角へ船を進める。

 

 

「気を使わせてごめんなさい、ナミさん・・・・・・。だからもうムリはしないで・・・・・・!」

 

 

「悪い・・・ビビ・・・・・・・やっぱ私・・・・・・ちょっとヤバいみたい・・・」

 

 

ナミはそれだけ口にすると緊張の糸が切れ、ビビの腕の中に倒れた。

 

倒れるナミを抱きとめたビビは急いで寝室に連れて行こうとしたその時、周囲を見ていたルフィが叫び声を上げた。

 

 

「∑オオ!!何だありゃあああ!!!!?」

 

 

ルフィの叫びを聞いた一同が振り向いたら、今まで見た事のない光景が映った。

 

黒々とした小さな島1つを包み込める程の巨大な竜巻が、メリー号の後ろにそびえ立っていた。まるで世界の終焉を現している様な光景は正に悪夢そのものだった。

 

 

「アレは・・・〝サイクロン〟!!?」

 

 

「でけェーーっ!!!」

 

 

雷が轟き、まるで全てを吸い込むブラックホールの様に風や海水を巻き上げる光景に悲鳴が上がる。

 

ビビとマカハゼもその光景に目を奪われていたが、すぐにある事実に気づく。

 

 

「ちょ・・・ちょっと待って、あの方角は・・・」

 

 

「この船が進んでいた方角じゃねェか!!?」

 

「あのまま進んでたらこの船もあっしらもお陀仏ッスよ!!」

 

 

「ギリギリセーフだな、本当に!!!」

 

 

危機的状況を奇跡的に躱せたと安堵する中、ビビは自分に持たれるナミを信じられないという顔で、マカハゼはマジかという顔で見ていた。

 

 

(すごい・・・〝偉大なる航路〟のサイクロンは前兆のない風だと言われているのに・・・!!)

 

 

(科学で理論的に転向を予測するのは前世の世界じゃ常識だった・・・だがナミはそれだけじゃない!!体感と直感で直接天候を知る事が出来る天性の才能!!!)

 

 

「(俺だけならあのサイクロンの中でも生き残れるが・・・)こいつが敵だったら心底恐ろしかったぜ」

 

 

「こんな航海士見た事ない・・・」

 

 

マカハゼはナミが味方である事を心から安堵し、ビビはナミの才能の一端に冷めない興奮が沸きあがるのを感じていた。

 

 

「よっしゃ、それじゃ急ごうか!!」

 

 

「このまま南へ!!医者探しに行くぞォ!!!」

 

 

「うおおおおおおっ!!!」×12

 

 

(いい流れだ・・・正直、ビビの決断はありがたかった。()()5()()・・・・・・必ず医者を見つけねェとな)

 

 

皆が仲間の窮地を救おうと一致団結を決める中、マカハゼはパソコンを強く握りしめた。

 

船室を出る前にパソコンで検索したナミの症状に関するデータを検索した結果を見ていたからだ。

 

 

──病名:5日病

 

──100年前に絶滅した有毒のダニ〝ケスチア〟に刺される事で起こる病気。

 

──5日間の潜伏期間で人を苦しめ続けた後、死に至る。

 

 

〖タイムリミットまであと5日〗

 

 

 

 

 

 

 

 

〜END〜



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誠意

side:マカハゼ

 

 

「あと・・・5日だと!!?」

 

 

「事実だ」

 

 

アラバスタへの航海を一旦無視して病に倒れたナミを救う為に医者探しへ船を進める中、マカハゼはゾロとサンジとビビの3人を呼んで判明した病名を伝えた。

 

病名とその危険度を知ったサンジは目を見開き、ゾロは腕を組んで壁にもたれ、ビビは手で口を塞いだ。

 

 

「あと5日以内に島と医者を見つけないとナミは助からん」

 

 

「この船に何かないの!?抗体とかの材料とか!?」

 

 

「そんな物はない。そもそも5日病の原因のケスチアっつーダニは100年前に絶滅しているから抗体もその時期に無くなったんだろう」

 

「俺達に出来る事は、今向かっている島に医者が100年前の抗体持っている可能性に賭けるのと、ナミの病状がこれ以上悪化しないように看病する事だけだ。」

 

 

マカハゼのハッキリとした断言にサンジ達は暗い顔を下に向けた。そこでゾロがマカハゼに何故自分達を呼んだのかを聞いた。

 

 

「覚悟の話ならわかった。だが、何故それを俺達3人だけに伝えた?」

 

 

「理由は2つある。1つはこの船の中でお前らは仲間内でも口の堅いにんげんだから。2つはナミの看病の為の役割の話をする為だ」

 

「あと、他の奴らに言ったら無駄に騒ぐだけうるさいし、ナミに知れたら余計な心労をかけて病状が悪化しかねん」

 

 

「たしかに・・・口の堅い俺達が呼ばれたのはわかった。ナミさんを救う為にも、俺達は俺達に出来る事をやろう」

 

 

それからの役割分担はスムーズに進んだ。ゾロは『八咫烏』と周辺の警戒を、サンジは病人食の徹底管理を、ビビは女性陣による看病を、マカハゼはナミのいる部屋の環境が少しでも良いように加湿器等の機械を整備する事となった。

 

それからの動きは慌ただしく、大きな波に揺られたり、ルフィ(バカ)が水をぶっかければ熱が下がらないかと言ったり、ナミなしの夜の航海の危険で停泊したりと忙しかった。

 

そうこうしているナミが発病してから3日目の朝を迎えた。

 

 

 

 

 


 

side:メリー号

 

 

「うぅ・・・寒ッ!」

 

 

ジョニーが朝から交代でマストの見張り台から周囲の警戒をしていた。しかし、マカハゼの指示通りに進んでからは妙に寒さが目立ち始めた。

 

 

「相棒!サンジの兄貴から朝飯貰ったぞ!」

 

 

「すまねェ、ありがたく貰うぜ!」

 

 

ヨサクから温かい朝食を貰ったジョニーはいきなり寒くなった〝偉大なる航路〟の気候の愚痴を吐いた。

 

 

「にしても・・・マカハゼの兄貴の指示通りに進んでるとは言え、ここまで寒くなるか?」

 

 

「〝偉大なる航路〟の気候は滅茶苦茶だからなぁ。その内、急に暑くなるんじゃないか?」

 

 

「それはないな」

 

 

愚痴り合う2人の会話に入ったのは厚手のコートを着たジェムだった。

 

 

「これだけ寒さが安定してんのは〝冬島(ふゆじま)〟が近い証拠だな」

 

 

「冬島?」

 

 

「気象学的に〝偉大なる航路〟の島々は『春島(はるじま)』『夏島(なつじま)』『秋島(あきじま)』『冬島』の4種類に分類されてんだ。そしてそれぞれの島には()()()()()()〟が存在している」

 

 

「「・・・・・・つまり??」」

 

 

「この〝偉大なる航路〟を航海するには、最低でも『夏島』の〝夏〟から『冬島』の〝冬〟までの16段階の季節を克服しないといけねェ」

 

「まぁ、例外や未知の天候だってあるがな」

 

 

ジェムの解説を聞いたジョニーとヨサクは〝偉大なる航路〟最初の航路の滅茶苦茶な気候の恐ろしさを思い出し、ナミが予測した怪物級のサイクロンを躱した航海士としての才に尊敬の念を持った。

 

 

「なるほど・・・島がそうやって織り重なって〝海〟は尋常な気候じゃいられねェのか」

 

 

「そんな〝偉大なる航路〟のサイクロンを予測したナミの姉貴ってやっぱ・・・!!」

 

 

「そんな荒れ狂う〝偉大なる航路〟の気候が安定したのは島が近い証拠なんだよ」

 

 

ジェムの話を聞いていたジョニーは双眼鏡を覗いて前方を確認して、目を見開いた。

 

 

「・・・確かに・・・・・・見えた!!!」

 

 

「兄貴たちィ〜〜っ!!!島が見えやしたァ〜〜!!!」

 

 

やがて全員の目に見える距離に、島が見えた事で報せを聞いた皆が歓喜の声を上げた。

 

見えた島は円い筒の様な山々に白い層が重なっているのがわかる。それだけで冬島だという事の証明であった。

 

 

「白いな!雪だろ!!雪島か!!!」

 

 

「おいルフィ!!言っとくがな、今度は冒険をしている暇はないんだ。医者を探しに寄るだけだ。ナミさんを診てもらったら直ぐ出航だからな」

 

 

「雪はイイよな〜〜・・・」

 

 

「全然聞いてないぞ、コイツ・・・(汗)」

 

 

「・・・ちょっと待てよ、大丈夫か!?雪って事は雪の化け物とかいるんじゃねェのかァ!?そもそも人がいるのかどうかが大問題だ!!まずいっ!!〝島に入ってはいけない病〟が「そんなアホな病はねェよ」∑ウッ!!!」

 

 

故郷の村でもあまり見ない雪景色に心奪われて当初の目的を忘れかけているルフィに呆れたり、まだ見ない未知に恐れてアホな仮病を使うウソップにツッコミを入れながら上陸の準備をする一味。

 

暫く海から進んで海岸から川へ入れば更に突き刺さる様な寒さが防寒した一味を襲う一方、当の船長は普段着のままで雪景色に感動の涙を流していた。

 

 

「ふーーーっ、こりゃすげぇな!!何だあの山は・・・!!!」

 

 

「この島は・・・」

 

 

「ジェムもそう思う?」

 

 

「こんなに雪が・・・幸せだ!!!」

 

 

「それよりルフィ船長。寒くないの、そんな格好で?」

 

 

「マイナス10℃。熊が冬眠の準備を始める温度よ」

 

 

真っ白な雪景色に涙を流しながら喜ぶのは、未だに見てるだけで寒くなってくる薄着をしているルフィを心配そうに見ているハニークイーン。

 

問われたルフィはしばらく黙り込むと、やっと現実の寒気に気付いて凍え出した。

 

 

「え?ああ・・・ん?∑寒ブッ!!!

 

 

「∑イヤ遅せぇよ!!!」×5

 

 

今頃寒がってコートを取りに行ったルフィを無視し、一味は陸から川へ流れ出る雪解け水が流れる滝の近くで停泊した。

 

 

「雪解けの滝だわ。そこへ停泊しましょう」

 

 

「で?この島に何か心当たりがあるのか?」

 

 

メリー号を停泊させた後、マカハゼは何か知っているらしいジェムとミキータに話を聞く事にした。

 

 

「俺達の記憶が正しければ此処は間違いなく〝ドラム王国〟だ」

 

 

「ドラム?バンドが盛んなのか?」

 

 

「いやそっちのドラムじゃねェよ(汗)」

 

 

ジェムが言うにはドラム王国は20年前から医学に特化した医療大国であり、世界でも有数な医者〝イッシー20(トェンティ)〟と呼ばれる者達もいるらしい。

 

 

「そいつはいい事を聞いたな。ナミが治る確率が高くなったし、運が良ければ医者を仲間に出来るかもしれん」

 

 

ジェムの話で希望を持った一味は誰が上陸し、誰が船番をするかの相談を始めた。しかし、そんな彼らに忍び寄る影がいた。

 

 

「取り敢えず行くか、医者探しへ」

 

 

「俺行くぞ!」

 

 

「俺も行く!!」

 

 

「・・・・・・囲まれてるな」

 

 

「へ?」×11

 

 

「そこまでだ、海賊共!!!」

 

 

ナミの事で頭がいっぱいだったマカハゼは自分達を取り巻く気配に気づくのに遅れた。

 

既に周囲には100人近い私服警備の人間が無数の銃口を向けているのを見ながらマカハゼは思案していた。

 

 

(多少の訓練は受けてるみたいだが・・・あの男以外全員がただの国民だな)

 

 

「おっ、人が出てきたぞ」

 

 

「・・・でもヤバそうな雰囲気だな・・・」

 

 

海賊である自分達を警戒し、追い出そうとするのは分かる。しかし、いくら自分達が海賊だからと言っても彼らの反応は過剰にも程があった。

 

そんな住人達の中で唯一話が出来そうだったのは、マカハゼが警戒していた男だった。

 

 

「速やかにここから、立ち去りたまえ」

 

 

大剣を背に背負った巨漢の男はルフィ達に静かに論するように行った。そんな彼にルフィとビビは縋る思いで懇願した。

 

 

「俺達医者を探しに来たんだ!!」

 

 

「病人がいるんです!!」

 

 

「そんな手には乗らねェぞ!!!ウス汚ぇ海賊め!!」

 

 

「ここは我々の国だ!!海賊などに上陸させてたまるか!!!」

 

 

「さァ、すぐに錨を上げて出てゆけ!!さもなくば船ごと吹き飛ばすぞ!!!」

 

 

しかしルフィとビビの叫びは今の住人達に届くことは無く、一貫して排除する姿勢を見せるだけだった。

 

 

「おーおー・・・えらい嫌われようだな・・・来たばかりだってのに」

 

 

「これが普通だろ」

 

 

当たり前の反応をこうも露骨に出されて少しゲンナリするサンジに返事をするマカハゼ。

 

そんな2人の態度にイラついた警備の1人が足元に警告の弾丸を放った。

 

 

「口答えするなァ!!!」ドンドンドン!!!

 

 

「∑うわっ!!!」

「よっ」

 

 

2人が避けた弾丸はメリー号の甲板に穴を開けた。いきなりの銃撃にウソップは驚きの声を上げ、サンジは怒りで目を吊り上げる。

 

 

「撃った・・・・・・!!!」

 

 

「・・・・・・・・・やりやがったな・・・」ギロッ

 

 

「・・・先に仕掛けたのはお前らだ」

 

 

「ヒッ!?」

 

 

「待って2人ともっ!!早まっちゃダメよ!!!」

 

 

ドゥン!!!

 

もはや交渉の余地はないと察し、力尽くの上陸を覚悟するゾロ達。特にサンジは頭に血が上り、マカハゼは冷たい声でやり返すと決めていた。

 

ビビは冷静じゃないそんな2人を止めようと何とか抑えていた。しかし撃った本人はサンジとマカハゼの威圧に恐れた様子で再び弾丸を放った。

 

しかし、その弾丸はサンジたちに当たる事はなかった。

 

 

「・・・・・・!」

 

 

「ルフィ〜〜っ!!!?」

 

 

「〝麦わら〟ァ!!!」

 

 

「オイ!!誰が当てていいと言った!!?」

 

 

「しっしかし・・・!」

 

 

恐怖で怯んだせいで銃の標準が狂ってルフィに当たり、一味は固まる。

 

リーダー格の男も脅すだけのつもりだったのか、撃った警備を叱咤した。

 

 

「・・・・・・・・・」スっ

 

 

しかし、撃たれたルフィ本人は仰け反っただけで直ぐに上半身を起こした。

 

それを見た住人達はルフィが撃たれたのに倒れない事に恐怖し、後ずさった。

 

ルフィはそんな彼等を無視し、甲板に正座して頭を下げ───土下座をした。

 

 

「∑ルフィ!?」

 

 

「!!?」

 

 

「──医者を・・・呼んでください」

 

「仲間を・・・助けてください!!!」

 

 

「・・・何をやってんだ、ルフィ・・・・・・?」

 

 

ルフィは住人達に土下座をして医者を呼んでもらうように懇願をし始めた。そんなルフィの姿を見たマカハゼは理解できないという顔をしていた。

 

 

「コイツらの態度を見ただろ・・・コイツらはマトモに話し合う気は無い、俺達が海賊だからだ!!もし俺達の願いを聞き入れたとしても騙し討ちにするのが関の山だ!!そんな奴らにお前が頭を下げる必要は無い!!!」

 

 

「それで俺達が戦えばナミは助かるのか?」

 

 

「!」

 

 

「俺達じゃナミを救えねェ・・・俺達はこの島に賭けるしかないんだ」

 

 

「お前・・・気付いて・・・・・・」

 

 

ルフィがナミに後がない事に気付いてた事に驚きを隠せなかった。そして、湧き上がっていた怒りが下がっていくのを感じたマカハゼも冷静になり、自身も土下座をした。

 

 

「お願いします・・・医者を呼んでください」

 

 

「マカハゼ・・・」

 

 

「・・・・・・」

 

 

土下座をするルフィとマカハゼを見たサンジやゾロ達も2人に続いて土下座をした。

 

住人達は海賊達全員が見せた精一杯の誠意を目にした事で次第に迷いの顔を見せ始める中、リーダー格の男は意を決した顔でルフィ達を見た。

 

 

「村へ・・・案内しよう。着いて来たまえ」

 

 

「ドルトンさん!?」

 

 

「本当にいいのか!!海賊だぞ!!!」

 

 

リーダー格の男───ドルトンの決断に他の者達が待ったをかける。いくら土下座をしても海賊である以上、そこまで信じる事は出来なかった。

 

しかし、そんな住人達の抗議を聞きながらもドルトンは彼らを説得し始める。

 

 

「彼らに敵意はない。私の長年の感を信じてくれ」

 

「それに彼らが本当に医者を求めているなら見捨てる事は出来ん。そんな事をすれば()()()()()になってしまう」

 

 

「っ!!」

 

 

「・・・アンタが言うなら・・・・・・」

 

 

(奴ら・・・?)

 

 

「ありがとう・・・!」

 

 

気になるワードがあったが、願いが通じた事にホッとする一味。ルフィの見せた情けなくとも頼もしい船長としての器にマカハゼ達は感服した。

 

 

「2つ・・・忠告しておくが・・・1つはこの国の医者は魔女が1人だけだという事・・・もう1つはこの国はドラムの名を捨てた。故に、この国に名は無い」

 

 

「・・・・・・は?」

 

 

 

 

 


side:メリー号

 

 

「おしっ、治った!!!な?」パンパン

 

 

「∑治ったじゃないよ、バカ兄ぃ!!!(怒)」

 

 

「落ち着け、カッコウっ!!!」

 

 

「お前もゾロの兄貴の様に大怪我してんだぞ!!!」

 

 

「お前ら船番くらい静かに出来ないのか?」

 

 

「クエェ」

 

 

何とか上陸が出来るようになって、一味はナミを医者へ連れて行くルフィチームと船番をするマカハゼチームの二手に別れた。

 

マカハゼと共にゾロ率いる『八咫烏』もゾロとカッコウの怪我の療養の為に残る事となった。

 

マカハゼは銃弾を受けた甲板や荒波の傷を受けた箇所の修理をしながら、リトルガーデンで自分達で斬った足の具合を見ていたゾロ達に注意していた。

 

 

「これでやっとマトモな訓練が出来そうだ」

 

 

「いや、それでも十分訓練になってやしたよ?」

 

 

「バカヤロー。怪我を庇いながらやる筋トレはあんまり効果がないんだよ」

 

「加減した筋トレも飽きてきたし、ただ船番をするだけのも暇だ」

 

 

そう言ったゾロは来ていた上着とシャツを脱ぎ捨て、深呼吸しながら海に飛び込む準備を始めた。

 

 

「心頭滅却寒中水泳でも・・・やろうかね」フゥー

 

 

「∑出来るかァァっ!!!(怒)」×3

 

 

「大人しく筋トレでもしてろォ!!!(怒)」

 

 

ゾロの真面目なのかバカなのか分からないやる気ある提案にジョニー達からツッコミが入り、マカハゼは煩い4人に怒鳴りながら修理を続行した。

 

 

「それにしても医者が魔女1人だの国の名を捨てただのって・・・一体どうなってんだこの島は?」

 

 

医療大国なのに医者が1人な事と、国の名を捨てただのよく分からない事が起きてるこの島に一抹の不安を抱きながら、ナミの無事を祈る事しか今のマカハゼ達は出来なかった。。

 

 

 

 

〜END〜



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唯一の医者

あけましておめでとうございます。

新年開けての初投稿です。


side:ルフィ

 

 

「先程はすまなかった」

 

 

「ああ、気にすんな。海賊だもん、仕方ねぇよ」

 

 

「そうか・・・」

 

 

警備のリーダーであるドルトンは自分達の手荒い歓迎を謝罪し、ルフィはそれを許した。

 

先程の土下座や今のアッサリとした許しにドルトンはルフィの船長としての器に関心を示した。

 

 

「所で・・・銃弾が君に当たった様に見えたのだが?」

 

 

「あぁ、俺には効かねぇよ」

 

 

「コイツはゴムゴムの実を食べたゴム人間だからな」

 

 

「あの時は正直、ヒヤッとしたわ」

 

 

「心臓に悪いったらありゃしねぇ」

 

 

「ウンウン」×6

 

 

ハニークイーンとウソップの呟きにルフィを除いた上陸チームの全員が頷く。それを見てたルフィを撃った警備の男は気まずそうに顔を背けた。

 

 

「そうか・・・君も悪魔の実を・・・だが!それで悪魔の力を手に入れたとしても、決して本当の悪魔に成ってはならない・・・!!!」ギリッ

 

 

「?」

 

 

ルフィが悪魔の実の能力者だと知ったドルトンは他の者達に聞こえるように言った。しかしビビが見た彼の顔は、何かを憎んでいる様に見えた。

 

ビビの訝しそうな顔を見て、自分の失言に気づいたドルトンはすぐに謝罪した。

 

 

「すまない、別に君達に言った言葉じゃないんだ。この島は──」

 

 

「っぎゃああああ!!!熊だあああっ!!!みんな死んだふりをしろォおお!!!」

 

 

突然ウソップが前から杖をついて歩いてくる大きなクマを恐れて死んだふりを始めた。しかしドルトンや警備の住人達は慌てることなく、挨拶をするように注意した。

 

 

「ハイキングベアーだ、危険はない。登山マナーの〝一礼〟は忘れるな」ペコっ

 

 

「・・・・・・え?」

 

 

死んだふりをするウソップを無視してドルトン達に倣って、ルフィ達もハイキングベアーに一礼を返した。

 

それからは特に何のトラブルもなく、寒空の中でも活気のあるいい雰囲気の村へ着いた。

 

 

「ここが・・・我々の村だ」

 

 

「変な動物が歩いてんな」

 

 

「さすが雪国だ」

 

 

「ナミさん!!人のいる村へ着いたぜ!!村だ!!!」

 

 

「じゃあ、みんなご苦労さん。あとは私に任せて見張り以外は仕事に戻ってくれ」

 

 

「気をつけてくれよ、ドルトンさん」

 

 

「心配ない。その時はその時だ」

 

 

医者は居ないがようやく休める場所に着いた事に一味は安堵する中、ドルトンは一部付き添ってきた住人達に解散を告げた。

 

その親しげな様子に、ビビ達は納得した様子で息を吐いた。

 

 

「・・・国の守備隊じゃなかったんですね」

 

 

「道理で素人の動きだったわけだ・・・」

 

 

「みんな自分から協力してくれている民間人だ。一先ず私の家に来たまえ」

 

 

そう言ってドルトンは自分の家に招き、ルフィ達も疑う事なく付いて行く。

 

その道中で老人が気になるワードを言いながらドルトンに話しかけた。

 

 

「やぁドルトン君。2日後の選挙は楽しみだな。みんな君に投票すると言ってたぞ!」

 

 

「と・・・とんでもないっ!!私などっ!!私は罪深い男です・・・!!!」

 

 

(選挙・・・?)

 

 

(それに何で国の名が無いの・・・?)

 

 

「・・・・・・そこのベットを使ってくれ。今、部屋を暖める・・・」

 

 

老人との会話を詳しく話す事無く、ドルトンは家の扉を開いてルフィ立ちを中へ入れる。中に入って暖炉に火をつけたドルトンは改めて自己紹介をした。

 

 

「申し遅れたが・・・私の名はドルトン、この島の護衛をしている」

 

 

〘ドラム島 民間護衛団団長〙

 

ドルトン

 

 

「ところで1つ・・・気になっている事があるのだが・・・・・・」

 

 

「え?」

 

 

「どうも私は君をどこかで見た事がある気がする・・・」

 

 

ドルトンはそう言いながらビビの顔をじっと見つめた。それにギクッとなったビビは〝魔女〟の話を聞く事で誤魔化した。

 

 

ギクッ!

「き・・・気の所為ですよきっと・・・それより〝魔女〟について教えて下さい・・・」

 

 

ナミをベットに寝かしたビビ達は今までの経緯を省きながら説明した。太古の島で絶滅したダニに刺された事。3日前から上がり続ける熱が42度まで上がった事。そして、タイムリミットが近づいている事を・・・。

 

 

「〝5日病〟だと・・・!?」

 

 

「ええ・・・このままあと2日過ぎればナミさんは・・・・・・!!」

 

 

「ちょっと!なんでそんな大事なことを黙ってたのよ!?」

 

 

「落ち着いてくれハニーちゃん!!ナミさんに余計な心労を与える訳にはいかなかったんだ!!!」

 

 

ナミの病気を黙ってた事に詰め寄ろうとするハニークイーンをサンジが抑え、ジェムがドルトンに医者を早く呼ぶように伝えた。

 

 

「海岸じゃ国の名を捨てたとか言ってたが此処は医療大国なんだろ?なら〝イッシー20〟もいるはずだし〝5日病〟の抗体を持ってる医者がいるはずだ!!」

 

 

「100年前の病の抗体・・・確かにそれを持っている可能性のある医者に心当たりはあるが・・・」

 

 

「あなたが言ってた例の〝魔女〟でしょ!?その〝魔女〟は何処にいるのよ!?」

 

 

ジェムとミキータの必死の叫びにドルトンはチラリと窓の外に目を向けた。

 

 

「〝魔女〟か・・・・・・窓の外に・・・山が見えるだろう・・・!?」

 

 

「ああ・・・あのやけに高い・・・」

 

 

海から見ても目立った煙突のような山を思い出し、ジェムは窓の外を見た。が、窓の外には異様にデカい雪だるまと怪獣の雪像だった。

 

 

「〝ハイパー雪だるさん〟だ!!!」

 

 

「雪の怪物〝シロラー〟だ!!!」

 

 

「「へいへいヘーーイ!!!」」

 

 

「∑てめェらブッ飛ばすぞ!!!」×4

 

 

「・・・・・・・・・・・・(汗)」

 

 

雪に心奪われて遊ぶ緊張感のない2人をどつき、邪魔な雪像を破壊して視界を確保する4人。

 

ルフィとウソップ(アホ2人)を退かした事でやっと山を見る事が出来た。

 

 

「あの山々の名はドラムロッキー。真ん中の高い山の頂上に城が見えるな?今や・・・()()()()()()だ」

 

 

「!(王のいない・・・・・・?)」

 

 

「あの城がどうしたんだ?」

 

 

「今あの城に住んでいるのが人々が〝魔女〟と呼ぶこの国唯一の医者、〝Dr.くれは〟がそこにいる・・・」

 

 

「何!?」

 

 

標高が高く、雲と雪で視界がボヤけて見えにくいが、確かに城の形が見えた。

 

ドルトンが言うにはそこに住む魔女──Dr.くれは確かに居るが通信手段がなく、気まぐれに山を降りては患者を探して処置を施し、報酬にその家の欲しいものを片っ端から奪っていくタチの悪い婆さんらしい。

 

 

「おいおい、そりゃタチの悪いババアだな」

 

 

「俺達よりも海賊っぽいぞ(汗)」

 

 

お茶を飲んで静かに話を聞いていたルフィとウソップも医者とは思えないその所業に引いていた。

 

 

「あとそうだな・・・年齢は140近かったはず・・・・・・」

 

 

「∑ひゃ・・・140!!?そっちが大丈夫かよ!?」

 

 

「でも、そんなお婆さんがどうやって山を降りているの?」

 

 

「これは妙な噂だが・・・月夜の夜に彼女がソリに乗って山を降りて来る所を数名が目撃したという話だ・・・魔女と呼ばれるゆえんだ」

 

 

ドルトン自身も不審に思っている噂に、昔から知っている魔女を思い出して難しい顔をしている。

 

その雰囲気にウソップだけでなく、ビビとハニークイーンもゴクリと息を飲んだ。

 

 

「・・・それに・・・見た事ない奇妙な生き物と一緒にいたという噂もある」

 

 

「ぐあっ!!やっぱりか!!!出た!!ほら見ろ、雪男だ!!!雪山だもんなー!!!いると思ったんだ、魔女に雪男だと!!?どうか出くわしませんように!!!」

 

 

「その魔女に会わねぇと行けないんだろ、バカっ鼻」

 

 

「∑そうだったァっ!!!」

 

 

「確かに唯一の医者ではあるが・・・余り関わりたくない婆さんだ・・・次に山を降りて来るのを待つしかないが・・・・・・」

 

 

「∑じゃああと数日か1ヶ月は降りて来ないの!?」

 

 

「オイオイ、今のナミさんにそんな時間はねぇぞ!!だいたいこの島は医療大国なんだろ!?なのに何で医者がたった1人何だよ!!?」

 

 

「一体この島で何が起こったんだ!!!?」

 

 

唯一の医者と簡単に会う事が出来ず、ただただ降りて来るしかない状況に一味は騒ぎだす。

 

そんな中、お茶を飲み終えたルフィは寝ているナミの元まで行き、頬をペチペチしながら起こした。

 

 

「おい、ナミ!!ナミ!!聞こえるか?」ペチペチ

 

 

「∑でお前は何をやってんだーーっ!!!」×6

 

 

ギョッと振り向く仲間をよそに、ルフィは朦朧と目を開けるナミに危険な提案をした。

 

 

「あのな、山登んねェと医者いねェんだ。山登るぞ」

 

 

ルフィの船長としての決断に誰もが言葉を失う。ナミに時間はなく、来ないのであれば自分から行くのは確かに筋が通っているが、それでも今のナミには無茶な提案である事に変わりはなく、全員が待ったをかけた。

 

 

「無茶言うな、お前ナミさんに何さす気だァ!!!」

 

 

「いいよ、おぶって行くから」

 

 

「それでも悪化するわよ!!!」

 

 

「何だよ、早く医者に診せた方がいいだろ?」

 

 

「それはそうだけど無理よっ!!あの絶壁の高度を見て!!!」

 

 

「行けるだろ」

 

 

「お前が行けても航海士の負担がデカいぞ!!!」

 

 

「でもほら・・・下は雪が積もってるし」

 

 

「あの高さなら例え健康状態でも即死よ!!!」

 

 

「ならマカハゼを呼ぼう」

 

 

「∑もっと負担がデカいわァっ!!!」

 

 

「常人の6度も熱が上がった重病者だぞ!?分かってんのかお前!!!」

 

 

「・・・・・・・・・・・・ふふっ(早く治さなきゃ)」

 

 

「ナミさん!?」

 

 

みんなが口でルフィの蛮行を止めようとするが、妙な所で頑固なルフィは全く止める気配がない。

 

こうなれば力づくで止めようかと思った一同の耳にナミの笑った声が聞こえた。

 

 

「・・・よろしくっ」

 

 

「そうこなきゃな!任しとけ!!」

 

 

ぱしんっ!!!

 

 

無茶な提案に乗ったナミは手を掲げ、ルフィはそれに応えるように笑いながらハイタッチした。

 

 

無理に笑顔を見せるナミに、ルフィを疑う様子は全くなかった。

 

 

「・・・あっきれたぜ。船長も船長なら航海士も航海士だ!!」

 

 

「自分の体調分かってんのか!?ナミさんっ!!!」

 

 

「俺達って・・・本っ当にやばい奴らに喧嘩売ったんだな・・・・・・」

 

 

「大丈夫かしら、バロックワークス・・・・・・?」

 

 

「おっさん、肉をくれ!」

 

 

「・・・・・・肉?」

 

 

「ナミさん、本当に大丈夫!?何時間もかかる道よ」

 

 

「無理したら本当に死ぬのよ!!?」

 

 

提案する方も方なら応える者も同じだと納得し、2人のやり取りに肩の力を抜いた。

 

そんなナミの覚悟に応える為にも、サンジ達も覚悟を決めた。

 

 

「よし、俺も行く!!!」

 

 

「私も行くわ!!!」

 

 

重病でありながら、Dr.くれはの元へ行く事を決めたナミの護衛の為に、サンジとハニークイーンが名乗りを上げた。

 

ナミを連れてDr.くれはの所へ向かうのはナミを背負うルフィとそれを護るサンジとハニークイーンの3人で、残りはドルトンの家で待機する事になった。

 

 

「いいかルフィ!!お前が1度でも転んだりしたらナミの命はないと思え!!!」

 

 

「え!!!1度でもか!?」

 

 

「待って・・・じっとしてて・・・・・・!!ちゃんと縛っておかなきゃ・・・」

 

 

ウソップから注意を受けている間にビビはルフィの背中にしっかりとナミを縛り付ける。

 

ナミに負担がないように縛り付けたビビは心配そうに3人を見る。

 

 

「これでいいわ。私はここで待たせてもらうから!かえって足を引っ張っちゃうし」

 

 

「俺もだっ!!!」

 

 

「俺も行くべきなんだろうが能力の関係上、行く訳には行かないからな」

 

 

「私もここで待つわ」

 

 

何故か堂々とするウソップや能力による二次災害の危険性で行けないジェム達に見送られ、ルフィ達は準備を終える。

 

そんな彼らにドルトンは念の為にと忠告をしてくれた。

 

 

「・・・本気なら・・・止める気は無いがせめて反対側の山から登るといい・・・ここからのコースには〝ラパーン〟がいる・・・!!凶暴な肉食のうさぎだ・・・集団に出くわしたら命はないぞ!!」

 

 

「うさぎ?でも急いでんだ・・・大丈夫だろ?なァ」

 

 

「あぁっ、蹴る!!!」

 

 

「可哀想だからやめなさい」

 

 

ドルトンの忠告を聞き流したルフィ達3人は、遥か高い山頂を目指して走り出す。

 

 

「じゃ、行くか!!サンジ!!!ハニークイーン!!!ナミが死ぬ前にっ!!!」

 

 

「∑縁起でもない事を言うなっ!!!」×2

 

 

割とシャレにならない事を口にするルフィ(バカ)にツッコミを入れ、医者のいる山へ走っていく3人。

 

その背中が吹雪にかき消されていってから、ドルトンは不安な様子でつぶやく。

 

 

「本当に大丈夫かね・・・」

 

 

「まぁ・・・()()()()は心配ねぇが」

 

 

「ナミさんの体力が持つかどうか・・・!!」

 

 

「あとはアイツら次第だな」

 

 

「確かに・・・」

 

 

ルフィ達が見えなくなってもその場から動く気配がないビビ達。ドルトンが玄関の扉を開けても中へ入ってくる事は無かった。

 

 

「・・・どうした君達。中へ入りたまえ・・・外は寒い・・・」

 

 

「・・・いいです・・・私は・・・外にいたいから・・・!!」

 

 

「俺も」

 

 

「俺もここでいい」

 

 

「同じく」

 

 

遠慮するビビと同じように鼻をすすりながらウソップも同意し、ジェムとミキータもついでにも留まった。

 

そんな固い意思を持つ彼らに感心したドルトンは自分も此処にいようと座り込んだ。

 

 

「・・・・・・・・・そうか・・・では・・・私も付き合おう・・・」

 

 

ドルトンが座り込んで約1分・・・遠い目をしながら物憂げに語りだした。

 

 

「・・・昔はね・・・そこの彼が言った通りちゃんといたんだよ」

 

 

「え?」

 

 

「医者だよ・・・理由あって、全員いなくなってしまったんだ・・・」

 

 

「・・・・・・イッシー20だろ、何故いなくなった?」

 

 

島に入った時にドルトンが言った言葉に違和感を感じていたジェムが質問をした。

 

問われたドルトンは、眉間のシワを寄せながら無念そうに語り出した。

 

 

「1年にも満たない数ヶ月前に・・・この国は・・・1度、滅びているんだ・・・海賊の手によって・・・!!!」

 

 

「え・・・」

 

 

「国が・・・・・・!!??」

 

 

「それで俺達に過剰な対応だったのか・・・!」

 

 

「そうだ・・・みんな海賊という言葉にはどうもね」

 

 

その時の惨劇を思い出したのか、ドルトンは守れなかった後悔と例の海賊達への怒りで満ちていた。

 

 

「・・・たった5人の海賊団だった・・・船長は〝黒ひげ〟と名乗り・・・我らにとって絶望的な力で瞬く間にこの国を滅ぼした・・・」

 

 

「・・・たった5人の海賊に・・・!!?ウソでしょ・・・・・・!!?」

 

 

「く・・・〝黒ひげェ〟!?」

 

 

「たった5人って・・・少なくとも七武海並の実力者かよ・・・・・・!!!」

 

 

聞いた事のない海賊だが、10人にも満たない構成で一国の軍を凌ぐ何てにわかには信じる事は出来なかったが、実際被害にあった者からの体験談は真実味が違った。

 

しかし、ドルトンが次に放った言葉はどこか吹っ切れていて、吐き捨てていた。

 

 

「・・・だが・・・この国にとってそれで良かったと言う者もいる・・・!!」

 

 

「国が潰れて・・・いいわけないじゃない!!」

 

 

「そうだ・・・そんなバカな話があるか・・・・・・!!!」

 

 

「・・・おいミキータ。まさかあの噂・・・・・・」

 

 

「彼の様子から見たら多分・・・」

 

 

「?あの噂って何だよ・・・」

 

 

「・・・・・・」

 

 

ジェムとミキータが互いに顔を見合わせてドルトンを見た後、ビビとウソップに教える事にした。

ドルトンの反応からその噂の内容が真実であったと理解したからだ。

 

 

「・・・この国はイッシー20以外の医者を全員国外追放していた・・・・・・いわゆる〝医者狩り〟をしていたって噂があった」

 

 

「医者を・・・・・・追放・・・?」

 

 

「なんでそんなバカな事を・・・・・・!!?」

 

 

「それがこの国の王にとって必要な〝王政〟だったからだっ!!!」

 

 

ビビとウソップの疑問を失望と怒りの混ざった叫びでドルトンは〝医者狩り〟の黒幕の名を応えた。

 

 

「〝医者狩り〟の主犯の名は〝国王ワポル〟!!・・・・奴は〝王政〟という大義名分の名の元に配下以外の医者全てを排除して国中の患者を人質にとった・・・最低最悪の犯罪者だっ!!!」

 

 

「ワポル・・・・・・あの男だ!!!」

 

 

 

 

 


side:メリー号

 

 

「何だ・・・?」

 

 

メリー号の各所の修繕をしていたマカハゼは自分たちの見張りに残っていた者達が少し騒いだ後、慌てて何処かへ行くのを見た。

 

彼らの焦りに疑問を覚えたマカハゼは《声》を聞く力を発動し、状況を確認した。

 

 

「ああ・・・()()()()()か・・・」

 

 

《声》で全てを理解したマカハゼは寒中水泳を止められて筋トレと素振りをしているゾロに声をかけた。

 

 

「おいゾロ!!」

 

 

「ん?」

 

 

「筋トレに飽きてきたんなら急いで着替えろ!!もうすぐ戦闘が始まるぞ!!!」

 

 

「へぇ・・・」ニヤッ

 

 

それを聞いたゾロはジョニー達に着替えを持ってこさせた。ゾロを待つ間にマカハゼは今いる海岸から離れている別の海岸に目を向けた。

 

それから数秒後、海から巨大な丸い物体が浮かび上がった。そしてその丸い物体は少しづつ花のように開いていき、さらに海からカバのような像が船首のように出てきた事でその正体を表した。

 

丸い物体の正体は巨大潜水艦で、浮上した後に変形した船の中から少し小さい船がぞろぞろと出てきた。

 

 

「(あの中から聞こえる《声》で強い気配は4人・・・俺達にとっては大した事は無いが・・・・・・)能力的に面倒そうなのがいそうだな」

 

 

 

 

 


side:巨大潜水艦

 

 

「マーーッハッハッハッ!!!着いたぜ、あんちゃん!!我らが故郷〝ドラム王国〟だ!!!」

 

 

「20年ぶりとはいえ、相変わらずの雪景色だぜ!!ムーーッシュッシュッシュッシュッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

〜END〜



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最悪の砲撃

side:ビックホーン村

 

 

「君は・・・ワポルを知っているのか・・・・・・!!!」

 

 

「ええ・・・小さい頃に会った事があるの!!私、父に連れられて行った王達の会「「シャーラップ!!!」」ぎィっ!!??」

 

 

危うく秘密の情報を喋ろうとしたビビをジェムとミキータがどついた事で強制的に黙らせた。しかし、ドルトンの耳にはしっかり届いていた。

 

 

()()()()()・・・!?君は一体・・・」

 

 

「あーーなんでもねェなんでもねェ!!!」

 

 

「そっそれより!!そのワポルって野郎が〝医者狩り〟をやった挙句、〝黒ひげ〟に配下の軍隊やイッシー20まで皆殺しにされたからこの島に医者が魔女だけだったんだな!!?」

 

 

ドルトンがビビに向ける疑惑の目をウソップが誤魔化し、ジェムがこの国に起こった悲劇の内容をまとめた。

 

確かにその王政のせいで医者がいなくなった上に、その配下のイッシー20まで殺されたのはドルトン達や自分達にとっても最悪の結末でしかなかった。

 

しかし、ジェムがまとめた話にビビたちが納得していく中、ドルトンは即座に否定した。

 

 

()()()・・・!?違う!!!あの時国王(ワポル)の軍勢は・・・()()()()()()()()()()()・・・!!!」

 

 

「え」

 

 

ドルトンの爆弾発言にビビ達4人は目を見開いた。

 

理解が追いつかず思考停止した彼らに対し、ワポルに対する怒りと悔しさを隠しきれない様子で苦々しく語った。

 

 

「こともあろうに・・・海賊達の強さを知った途端に・・・あっさりと国を捨て!!誰よりも早く国王(ワポル)は海へ逃げ出した!!!」

 

 

国王ワポルが見せた王として──人として有り得ない行動にビビ達は絶句した。

 

国のトップが、国民を守り導くべき立場の人間が躊躇いもなく国を捨てるなどあってはならない事だった。

 

 

「あれには国中が失望した・・・!!これが一国の・・・」

 

 

「それが一国の王がやる事なの!!?」

 

 

ドルトンが口にしようとした言葉を、怒りを隠しきれなかったビビが叫ぶ。

 

同じ王族の立場の人間として・・・国を守る者として・・・ワポルの行動にビビは憤怒を目にしたウソップやジェムとミキータは何も言えなかった。

 

 

「ビビ・・・」

 

 

「酷すぎる!!!そんなの・・・王が国民を見捨てるなんて」

 

 

「その通りだ・・・・・・たが、とにかくワポルの悪政が終わった。この島は、もう残った国民達のものだ・・・!!町村の復興も順調に終わっているし、今団結して新しい国を作ろうとしている」

 

 

つい安心そうな顔をするが、ドルトンには一抹の不安が残っていた。

 

国から逃げ出したワポルがこの国に戻ってまた王の座に帰って来てしまうかもしれない恐怖が国民達の心によぎっている事だった。

 

 

「だから我らが1番恐れている事はワポルの帰還、王政の復活だ。人々が不安定な今、それだけは避けねばならん!!この島に新しく平和な国を、築く為に・・・・・・!!!」

 

 

そう語ったドルトンの目は強い決意に満ちており、それを見たビビ達は思わず息を飲んだ。

 

しかし彼らはまだ気付かない・・・その恐怖が再び迫って来ている事を・・・・・・。

 

 

 

 

 


side:ビルド(マカハゼ)

 

 

ズバァン!!

 

 

「へ・・・!!」

 

 

マカハゼに連れられて巨大潜水艦型帆船に来たゾロは警備をしていた住人達を襲っていた雑兵達と戦っていた。

 

突然の奇襲を受けた雑兵──嘗てのドラム王国の軍隊──達は接近戦ではフリと悟り、銃撃による遠距離で対処しようとした。

 

 

「コノヤローがァっ!!!」ガチャっ!!!

 

 

「上空による銃撃にご注意下さ〜い!!!」

 

 

「「「「「!?」」」」」

 

 

ドルルルルルルッ!!!

 

 

「「「「「ギャアアアアアッ!!?」」」」」

 

 

ゾロを狙おうとした銃撃隊を仮面ライダービルドホークガトリングフォームに変身したビルド(マカハゼ)の専用武器〝ホークガトリンガー〟の集中砲火の餌食になった。

 

 

(にしてもこいつらの装備・・・海賊にしては整いすぎてるな・・・)

 

 

ビルド(マカハゼ)は飛行攻撃を行いながら襲撃してきた雑兵達を観察していた。

 

この国の事情を知らないマカハぜは彼らがこの国の元軍隊である事は知る由もないが、彼らのせいでナミの治療に支障を出す訳には行かない。

 

故に、既に上陸し終えた者達は後に回して残った雑兵を先に片ずける事にした──それはゾロも同じ考えだった。

 

 

「〝三刀流・・・駒廻(こままわ)し〟!!」

 

 

刀を右横の縦3列に構え、右回転に回って駒のように動き回る事でバラバラに離れた敵に当たって弾いていく。

 

殲滅し終えて回転を止めたゾロは上に飛び上がり、他の船に乗り込むと同時に叩き斬った。

 

 

「〝三刀流・・・虎狩り〟!!」

 

 

「「「「うわぁあああッ!!?」」」」

 

 

「なっ何なんだ、あいつらは・・・ッ!!?」

 

 

「バカヤロォ、余所見をするな!!空にもいるんだ!!撃て撃てぇ!!!」

 

 

空を飛んで自分達をバカにするように旋回するビルド(マカハゼ)を撃ち続けるが、自分達が翻弄されるだけで当てる事は出来ない。

 

飛びながら〝ドリルクラッシャー〟を取り出したビルド(マカハゼ)は〝ドリルクラッシャー〟のドリルを回転させ、自身も回転しながら船に突進した。

 

 

「〝突貫(とっかん)回転(スピン)ドリル〟!!!」

 

 

回転の加わった突進の威力は強く、雑兵達の船を一気に3隻も貫いて沈めた。

 

その後すぐに他の船2隻を囲いながら〝ホークガトリンガー〟の〝リボルマガジン〟回転させた。

 

 

《Ten!Twenty!Thirty!Forty!Fifty!Sixty!Seventy!Eighty!Ninety!》

 

 

その回転数は10回。

 

 

《One Hundred !FULL BURST!》

 

 

ホークガトリンガー〟が最大弾数に貯まり、球体上のエネルギーを出現させて、船2隻を閉じ込めた。

 

 

「〝荒れ狂う鷹(レイジング・ホーク)〟!!!」

 

 

ホークガトリンガー〟から鷹の叫びが鳴り響いた直後、全ての弾丸が鷹のように船2隻を襲い、縦横無尽に蹂躙する。

 

 

「ヒッ・・・・・・!!」

 

 

それを見ていた他の船の雑兵達は恐れて急いでいげようと舵を取ろうと動いた瞬間、ゾロが飛び乗ってすぐに沈められた。

 

 

「〝三刀流・・・竜巻〟!!!」

 

 

斬撃から生まれた斬れる竜巻に沈められた後もビルド(マカハゼ)達の猛攻は止まる事は無かった。

 

ビルド(マカハゼ)達の戦いを見ていた警備の住人達は唖然としていた。

 

 

「あの海賊達、強ェ・・・」

 

 

「もしあのまま事を起こしていたら俺達は・・・」

 

 

「おい!」

 

 

「「∑ヒィッ!?」」

 

 

いつの間にか海岸に移動していたゾロが急に声を掛けてきた事にビビりながらも顔を向けた。

 

 

「大丈夫か、お前ら?」

 

 

「あっああ、すまねぇ!あんたらのおかげで助かった!!」

 

 

「へっ・・・」

 

 

それからもビルド(マカハゼ)とゾロの殲滅が続く中、それを陸の茂みから除くピエロの様な格好の男ががいた。

 

 

「何者だ、あいつら・・・・・・?」

 

 

〘元ドラム王国悪参謀〙

 

〝チェス〟

 

 

その男は嘗て元国王ワポルの下について、甘い汁を啜ってきた側近の1人だった。

 

 

「随分な事をしやがる・・・・・・だが、まあいい。どうせワポル様に手も足も出まい」

 

 

2人の戦いを見ていながらも自分の主の方が強いと余裕の態度で見下し、その場を去った。

 

 

「それに我らには強力な味方がいる・・・ワポル様の兄君、ムッシュール様がな・・・!!!」

 

 

海岸にいた全ての敵を倒し終えたビルド(マカハゼ)が陸に着地して変身を解いた。

 

 

「それにしても良い船だな・・・・・・後で構造を調べさせて貰うか・・・・・・ん?」

 

 

「おい、なんだそりゃ・・・?」

 

 

暫くしてゾロと無事だった警備の住人達もマカハゼの元に合流したが、肝心のマカハゼは四輪の乗り物を弄っていた。

 

 

「ああ・・・ちょっとしたドライブをしようと思ってな」

 

 

 

 

 


side:雪の山道

 

 

マカハゼとゾロが雑兵達を殲滅していた頃、その上司と部下達が列をなして進んでいた。

 

その先頭部分で毛の生えたカバ〝ホワイトウォーキー〟ロブソンの背に背の高い男と〝ホワイトウォーキー〟の毛皮を羽織っている太った男が乗っていた。

 

太っているはナイフに刺した肉を食っていたが、次第に肉をナイフの刃ごと喰らい、しまいには柄まで口に入れて完全に食した。

 

その異様な光景を見せた太った男こそ、この国の国民と患者達を食い物にし、更には身の安全の為に捨てた最低の国王ワポルだった。

 

 

「は〜美味かった!」(* ̄△ ̄)ゲ(* ̄3 ̄)プッ

 

 

〘元ドラム王国悪国王〙

 

〝ワポル〟

 

 

そんなワポルに後ろの席から声をかける背の高い男は理由あって長年この国から追放されていたワポルの実の兄だった。

 

 

「ムーーッシュッシュッシュッ!!相変わらず物騒な物食ってんな、おい!!!」

 

 

〘元ドラム王国国王の兄〙

 

〝ムッシュール〟

 

 

「そう言うなよ、あんちゃん」

 

 

「このカパ野郎ォ!!お兄たまと呼べってんだ、おい」

 

 

「ごめんよ、あんちゃん!!でもさァ」

 

 

「なんでぇ?」

 

 

「あんちゃん助け出したは良いけど、あの〝黒ひげ〟に勝てんのかね?」

 

 

「ムーーッシュッシュッ!!カパな事言ってんじゃねェぜ、おい。この俺様を誰だと思ってやがんだ!!」

 

 

「流石あんちゃん!!マーーッハッハッハッ!!!」

 

 

ワポルが元ドラム王国に戻って来るのに数ヶ月かかったのは、自分が食べたあらゆる物を食する事が出来る悪魔の実〝バクバクの実〟の能力を使う様に、同じ悪魔の実の能力〝ノコノコの実〟の能力者である兄ムッシュールを対〝黒ひげ〟にぶつける為に探していたからであった。

 

しかし帰ってきて見れば、支配していた国民が警備の真似事をして自分達を上陸させないようにした上、肝心の〝黒ひげ〟はとっくの昔に島からいなくなっていた。

 

それを知ったムッシュールはやる気が削がれ、退屈そうにしていた。

 

 

「しっかし何だ・・・〝黒ひげ〟ってのが居ないのは拍子抜けだったぜ」

 

 

(俺様はそれで良かったがな・・・)

 

 

「ワポル様ァーー!!!」

 

 

「ん?どうした、クロマーリモ?」

 

 

後ろから四輪のマシンを走らせてやって来たのは、チェスと同じくワポルに使える側近の1人、クロマーリモだった。

 

 

「至急、お耳に入れて頂きたい事が!!」

 

 

〘元ドラム王国悪代官〙

 

〝クロマーリモ〟

 

 

「何だ?」

 

 

「はっ!!チェスからの連絡で、ブリキング号が海賊〝麦わらの一味〟に襲撃された事と、その船長〝麦わらのルフィ〟が我が城ドラム城に向かっているとの事!!!」

 

 

「∑何ィっ!?海賊がまたこの島に!!!?」

 

 

「ほぉ・・・?」

 

 

またしても海賊による襲撃・・・しかもドラム城へ向かっている事を知ったワポルは思わず叫び、ムッシュールは興味深かそうに報告を聞いていた。

 

 

「おのれェ!!〝黒ひげ〟がいなくなったと思ったらまた海賊に襲撃されるとは・・・っ!!!」

 

 

「それで?その〝麦わらの一味〟って奴らの情報は?」

 

 

「はっ!!船長〝麦わらのルフィ〟は3500万の賞金が懸かっており、ブリキング号を襲った〝ベストマッチ〟マカハゼは2700万の賞金首です!!!」

 

 

「ほぉ・・・3500万に2700万とは中々の額じゃねェか。ムーーッシュッシュッシュッ!!!」

 

 

「∑笑い事じゃねェよ、あんちゃん!!!」

 

 

意外と大物らしい海賊に戦いたい気持ちを高めるムッシュールにツッコミを入れたワポルは、何故海賊の船長が城に向かっているのかをクロマーリモに聞いた。

 

 

「で!?何故海賊が我がドラム城に向かってんだ!!?」

 

 

「はっ!!それが恐れ多くもあの賊医者、Dr.くれはがドラム城に住み着いたとの事!!!」

 

 

「∑なァにをォォ!!?あの反国ババァが俺の城にィ!!!?」

 

 

それを聞いたワポルは顔を怒りに歪ませ、歯切りをおこす。

 

ただでさえ〝黒ひげ〟にのせいで国を捨てるハメになったのに、別の海賊が攻めてきた上に元から自分に逆らっていた賊医者Dr.くれはが勝手に王城に住み着いている事実が信じられなかった。

 

 

「どこまで俺をコケにするのだ、あの反国ババァめっ!!!」

 

 

「ムッシュッシュッ!!だったらよ、景気づけに大砲をぶち込むってのはどうだ?」

 

 

そう言ってムッシュールは兵士達が持ってきた大砲に指をさした。それを見たクロマーリモは流石に距離があると進言した。

 

 

「お待ちください!!流石に城に撃つまでには距離が「流石あんちゃん!!」∑ワポル様!?」

 

 

しかし、クロマーリモの進言をワポルが遮り、ムッシュールの案を採用した。

 

 

「海賊や賊医者より先に国民共に俺様の恐怖を再び植え付けるのは確かに必要な事だ!!構わねェ、派手にぶちかませェ!!!」

 

 

「ははぁッ!!!」

 

 

「このカパ野郎ォ!!!」

 

 

「は?」

 

 

ワポルの号令の直後にムッシュールが突然怒鳴り出した。誰もが何事かと注目する中、ムッシュールは次の言葉を放った。

 

 

 

「お兄たまと呼べってんだ、おい!!!」ヾ(╬`Д´ )ノ

 

 

──今頃になってワポルのあんちゃん呼びにムッシュールがツッコミを入れただけだった。流石のワポルも今言うの?という顔をして見ていた。

 

 

・・・・・・今頃ォ〜〜?ごめんよ、あんちゃん!!

 

 

「分かれば良し・・・・・・ムーーッシュッシュッシュッシュッ!!!」

 

 

「マーーッハッハッハッハッハッ!!!」

 

 

「・・・・・・はァ」

 

 

マイペースな2人の主にクロマーリモは思わずため息を吐き、命令通りに砲撃の準備を進めた。

 

 

 

 

 


side:ルフィ

 

 

ナミを連れてDr.くれはのいる城へ向かっているルフィとサンジとハニークイーンの3人。その3人は今──

 

 

「何時まで付いて来るんだよ、この白熊達!!?」

 

 

「いいから早く走れ!!ナミさんを背負ったお前がやられたら元も子もないんだよ!!!」

 

 

「∑いや元の原因は貴方があの子ウサギを蹴飛ばしたからでしょうがッ!!!」

 

 

──怒れるラパーンの群れに追われていた。

 

 

事の発端は僅か数十分前の事だった。

 

ルフィ達3人が登山しながら冬に関する噂話を語っていたら小さい子ラパーンが襲ってきた。しかし、ルフィ達はそれを無視しながら避けていた。

 

それでも子ラパーンは諦める事無く何度も襲いかかるが、何度も避けられてしまう。

 

その繰り返しに怒りが頂点に達した子ラパーンが本気で噛みつきに行った。が、同じく痺れを切らしたサンジにボールの様に蹴飛ばされた。

 

それからは暫く何事もなく登山していたルフィ達だったが、サンジが蹴飛ばした子ラパーンを肩に乗せた顔に傷のあるリーダー格らしき大人のラパーンが群れを率いて襲いだした。

 

それからはナミを背負っているルフィに代わってサンジとハニークイーンが撃退しながらラパーンの群れから逃げて、今に至る。

 

 

「クソっ!こいつらとやり合っている時間は無いんだぞ!!!」

 

 

「とりあえず今は逃げる事しか出来ないわ!!!」

 

 

ドォン!!ドドォン!!ドォン!!

 

 

「∑何だ・・・・・・!!?」

 

 

「砲撃・・・・・・!!?」

 

 

突然の砲撃の轟音にルフィ達はもちろん、追いかけていたラパーン達さえも止まった。

 

砲撃の轟音が響いてからわずか数秒・・・数発の砲弾がルフィ達から約500m上に離れている雪山に着弾したそのその時、最悪の事態が起こった。

 

着弾後から雪山に亀裂が走り、積もっていた雪が少しづつ波の様に動き出した。

 

 

「ウソでしょ・・・・・・!?」((゚Д゚ll))ガタガタ

 

 

「何処の誰だよ、チクショォ・・・!!?」<(.;゚;:Д:;゚;.)>

 

 

「どっとうした、お前ら!?」

 

 

最悪の事態の発生にラパーンの群れは即座に逃げ出し、涙目になったサンジとハニークイーンは状況がまだ分かっていないルフィを急かして逃げ出した。

 

 

「・・・早く逃げるぞ、ルフィ!!」

 

 

「逃げるって何処へ!??」

 

 

「何処でもいいからとにかく遠くへよ!!!」

 

 

「「雪崩(なだれ)が来るぞォ!!!!」」

 

 

知らないうちに元国王ワポルの策略に巻き込まれたルフィ達は襲い来る雪崩を前に、ただただ逃げる事しか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

~END~



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なカバ(仲間)

side:ビックホーン村

 

 

 

──砲撃による雪崩が発生する少し前──

 

 

 

「大丈夫かねェ・・・・・・・・・彼らは・・・ラパーンに遭遇しなければいいんだが」

 

 

不意にルフィ達の動向が心配になって来たドルトンがそんな事を言い出した。それを聞いたウソップ達は大丈夫だと反論した。

 

 

「でも肉食っつってもうさぎだろ!?」

 

 

「なら何の問題もたいだろ?」

 

 

「そう・・・うさぎの機敏さに熊の体格を兼ね備えた集団だという事を除けばね」

 

 

「え・・・・・・熊!!?」

 

 

「何でそれを早く言わないのよッ!!!(怒)」

 

 

ドルトンの一言にウソップが驚き、ミキータが怒鳴る。勝手に想像していたうさぎのイメージとは完全にかけ離れた生態にビビは思わず後ずさる。

 

 

「だ・・・大丈夫かしら、そんなに大きいの」

 

 

「あのトロ女はともかく、〝麦わら〟とコックがいるから無事だと思うが・・・・・・」

 

 

ドルトンのたった一言から徐々に不安が増していくビビ達一行の耳に、突然恐怖と焦りが混ざった叫びが響いた。

 

 

「大変だァーー!!みんな、逃げろォォォっ!!!」

 

 

「「「「「!?」」」」」

 

 

声のした方へ目を向ければ銃を背負った若い男が恐怖に顔を歪ませながら村中に逃げろと言い出した。

 

その男はドルトンと共に海岸の警備をしていた若者だった。その男が持ち場を離れて村に危機を伝えに走って来た。

 

 

「あいつが・・・あいつが帰って来た!!今この村に向かっている!!!早く逃げるんだァーー!!!」

 

 

「あいつって・・・・・・!?」

 

 

「まさか・・・っ!!!」

 

 

彼の必死の警告を聞いた村人達は誰が来たのかを直ぐに理解した。それは国中の国民達が実現して欲しくなかった事態だった。

 

 

「ワポルだァーー!!!みんな、逃げろォォォっ!!!」

 

 

「ワポル・・・・・・っ!!!」ギリッ

 

 

それを聞いたドルトンは即座に立ち上がり、背の大剣を手にかけてワポルの元へ向かおうとしたその時、砲撃の音が響いた。

 

 

ドォン!!ドドォン!!ドォン!!

 

 

「∑なっ何だァッ!!?」

 

 

「砲撃!?」

 

 

「血迷ったか、ワポル・・・!!」

 

 

それから暫くして砲弾は村に当たることなく、村とドラムロッキーの間に着弾した。

 

 

「砲撃が外れた・・・・・・?」

 

 

「目標を見誤ったんだ!!ザマァ見ろっ!!!」

 

 

「オイちょっと待て・・・砲弾が落ちた場所って雪山だよな・・・・・・?」

 

 

砲撃が全くの的外れな場所に当たったのを見ていたビビ達はワポル達が何をしたいのかイマイチ理解できなかった。

 

しかし、爆発物のスペシャリストであるジェムは砲撃が当たった場所を見て、嫌な予感を感じていた。やがてその予感は現実のものとなる。

 

 

砲撃が雪山に落ちて数秒後、ゴゴゴと空気と大地を震わせる轟音が響き出したと同時に遠く離れているはずの村からでも分かる様に、雪山の雪が雪崩になって村へ向かっていた。

 

 

「∑雪崩だァーーッ!!!」ガボーン!!!

 

 

「全員今すぐここから逃げろォ!!!」

 

 

遠目でも分かる雪崩にウソップが叫び、ドルトンは村にいる全ての人間に避難を告げた。

 

事態を見ていた村人達も直ぐに避難を始めたのを見て、ビビ達も動き出した。

 

 

「クソっ!砲撃の目的は雪崩(これ)だったか!!!」

 

 

「仮にも自分の国でこんな事する、普通!!?」

 

 

「ワポル・・・なんて奴なの・・・・・・っ!!」

 

 

「つーかルフィ達が向かった所から来てるぞ!!大丈夫なのか、あいつら!!?(泣)」

 

 

ビビはワポルの王としてありえない所業に怒りを抱き、ウソップはルフィ達の身を安否を口にしながら必死に逃げていた。

 

そして時間にして約30秒後──雪崩は村の端から端までを呑み込んだ所で止まった。

 

その一部始終をワポル達は村から離れた所で、まるで舞台を見る観客の様に笑いながら見ていた。

 

 

「マーーッハッハッハッ!!絶景絶景!!!野郎ども、ビックホーン村へ向かうぞっ!!!」

 

 

雪崩が完全に止まったのを確認したワポル達は村へ進軍を開始した。自分という王の存在を思い出した国民達の顔を早く拝むために・・・・・・。

 

 

 

 


side:ルフィ

 

 

「イーーヤーーッ!!!!(泣)」

 

 

「畜生ォ!!何処の誰かは知らんが、絶対に許さねェ!!!」

 

 

「どうしたらいい!?どうしたらいいんだ、サンジ!!?」

 

 

突然の意図的な災害に見舞われたルフィ達は全速力で雪山を下るが、雪崩が追いつくのは時間の問題だった。

 

 

「知るかァ!!とにかく1にナミさん2にハニーちゃん!!3にナミさん4にハニーちゃん!!5にナミさんだ、わかったか!!」

 

 

「わかった!!!」

 

 

「∑イヤ、極端にも程があるわよ!!って言いたいけど今はそれに大賛成!!!」

 

 

マカハゼが聞いたらぺこぱ?と呟くセリフを吐いたが、本人(ハニークイーン)は至って真面目だった。

 

 

「∑あれだ!!あの崖!!!」

 

 

「がけ!?」

 

 

「急いで!!少しでも高い場所に行くのよ!!!」

 

 

この状況ではナミの安全だけを考えている場合ではない。

 

怒涛の勢いで迫って来る雪崩から逃げる為にサンジが見つけた突き出ている岩肌へ方向を変えて走っていった。

 

 

「来たァ!!!」

 

 

「ぎゃああああッ!!!」

 

 

「いやァァァァァァァっ!!!」

 

 

唯一の避難場所へがむしゃらに走るルフィ達。真横から迫って来る雪崩に恐怖しながらも何とか崖まで逃げ延びた。

 

「よし!!間に合っ・・・・・・・・・!!!」

 

 

「駄目よ、高さが足りないっ!!!!」

 

 

「のまれるーーーっ!!!あ、そうだ」

 

 

高さが足りずに結局雪崩の勢いに宙に投げ出された3人。サンジとハニークイーンがのみ込まれる中、妙案を思いついたルフィがすぐに助け出した。

 

 

「掴まれ、2人ともッ!!!」

 

 

「おうっ!!助かった!!!」

 

 

「ルフィ船長ーーッ!!!(泣)」

 

 

「うん、でもな・・・・・・」

 

 

雪崩でなぎ倒れた木をルフィはスキー板代わりにする事でのみ込まれる事無く、サンジとハニークイーンの救出に成功した。しかし───

 

 

「雪には沈まねェけど・・・・・・・・・!!!このままじゃ一直線に山を降りちまうんだ!!!」

 

 

───雪崩の波に乗った木を止める術がないルフィ達はそのまま下山してしまい、振り出しになってしまうかもしれない状況だった。

 

 

「・・・・・・・・・!!冗談じゃねェよ・・・・・・!!せっかくあの〝()()()()()〟の麓まであと一歩だったんだぞ!!!」

 

 

「何とか止まらないのォ!!?」

 

 

「無茶言うなァ!!沈まない様にすんのがやっとだよッ!!!」

 

 

どうする事も出来ずに滑り落ちていく中、さらなる事態がルフィ達を襲う。

 

 

「∑ちょっと2人とも!!前見て!!!前ッ!!!」

 

 

ハニークイーンが指を差す前方にはいくつかの木が折れて凶器になった岩崖があった。このままのスピードで滑っていけばハニークイーンを除いたみんなはただでは済まない。

 

 

「∑うおっ、岩ァ!?」

 

 

「ぶつかるっ!!!」

 

 

「バカ、お前はぶつかったらダメだろ!!ナミさん背負ってんだぞ!!!」

 

 

そう叫んだサンジはルフィとハニークイーンを宙に投げ出した。

 

 

「「え?」」

 

 

「レディはソフトに扱うもんだぜ」ニカッ

 

 

ガァン!!!

 

 

「「サンジィ!!!」」

 

 

そのまま岩崖に衝突したサンジは血を流しながら雪崩の波にのみ込まれていった。

 

サンジに投げ出されたルフィとハニークイーンは何とか岩崖に着地し、ルフィはサンジに手を伸ばした。

 

 

「バカお前っ!!!そういう勝手な事をすんじゃねェ!!!」

 

 

そしてルフィとハニークイーン達は雪崩による純白の煙にかき消されていった。

 

 

 

 

 


side:雪の山道

 

 

広範囲にわたる雪崩で村だけでなく海岸までの道がある山道にまで被害が広がっていた。

 

その山道が雪崩にのみ込まれてから数秒後───雪の中から1台のマシンが飛び出てきて、2人の人間が投げ出された。

をを

 

「あ〜・・・ひでェ目にあった・・・・・・!!」

 

 

「∑それはこっちのセリフだ!!!」

 

 

海岸でワポルの雑兵を制圧したはずのマカハゼとゾロが何故か雪崩にのみ込まれていた。

 

 

「メリー号へ帰りながらのドライブなのに、何で山に進むんだよ!?」

 

 

「・・・アッチだろ?メリー号」

 

 

「∑思いっきり間違ってる上に雪崩に突っ込んでたじゃねェか!!!」(°ㅂ°╬)

 

 

マカハゼが手に入れた四輪のマシンでメリー号へ帰還していたが、運転手がゾロだったのが悪かった。

 

案の定、道を間違えてた上に雪崩が起きてもそのまま突っ込んで行ったせいでのまれてしまった。

 

 

「滅茶苦茶に走らせやがって・・・すっかり方向を見失ったぞ!!」

 

 

「チッ!とにかくルフィ達が向かった村へ行こう。そこから辿った方が早いぜ」

 

 

「そうだな・・・運転は俺がやるから後ろに乗れ」

 

 

結局ルフィ達がいる村へ行く事になった2人はマシンを起こしてすぐさま行動した。

 

 

 

 

 


side:ルフィ

 

 

「ガルルル!!ガルルル!!」

 

 

雪崩が収まって数分後───唯一雪崩から逃れた子ラパーンが埋もれてしまった親ラパーンを助けようとがむしゃらに掘っていた。

 

その近くに自分達が襲ってた人間───ナミを背負ったルフィとサンジを背負ったハニークイーンが迫っていた。

 

それに気づいた子ラパーンは威嚇をしたが、直ぐに親ラパーンの救出に戻った。

 

そんな子ラパーンの元まで来たルフィは突き出ていた親ラパーンの手を持ち上げて救い出し、近くにいた他のラパーンはハニークイーンの能力で雪を掘って助けた。

 

 

「ガル・・・・・・」

 

 

親ラパーンは泣きなが抱きついて来た子ラパーンを抱きしめ、自分達を助けてそのままドラムロッキーへ向かうルフィ達をじっと見つめ続けた。

 

 

「必ず連れて行くからな・・・・・・・・・!! 」

 

 

「死なないでよ・・・・・・2人共・・・!!!」

 

 

背中でぐったりと動かない2人にルフィとハニークイーンが励ましの言葉をかける。

 

そんな事を繰り返しながら猛吹雪の中を進む事数十分───遂に2人はドラムロッキーの麓にたどり着いたが、その頃には息は切れ始めていた。

 

 

「はァ・・・はァ・・・てっぺんが見えねぇや」

 

 

「これ・・・登るしかないわよね・・・船長・・・・・・?」

 

 

「当たり前だ」

 

 

ドラムロッキーは縦に垂直な断崖絶壁の山。そんな山を前にルフィはナミと自分を縛っている紐を更にギュッと締めた。そんなルフィにハニークイーンは待ったをかけた。

 

 

「ちょっと待ってて!」

 

 

「?」

 

 

ハニークイーンは背負ってたサンジをルフィの前に縛り、自信を液状化してナミとサンジを背負ったルフィに纏わりついた。

 

 

「私は船長の様に人1人を抱えて登る事は出来ない・・・・・・だからこうやってサポートする事で皆を支えるわ・・・・・・力不足でごめんなさい・・・」

 

 

「いや・・・コレで落とす心配が無くなった!!!」

 

 

そう断言したルフィは手袋や草鞋を脱いで素の手足になったルフィは断崖絶壁の壁を登り始めた。

 

登っていくにつれて、人1人が簡単に吹き飛びそうな猛吹雪が更に強くなっていく。それと同時にルフィの素の手と足が徐々に感覚が減っていた。

 

更に液状化したハニークイーンも徐々に凍っていき、少しづつダメージが蓄積していった。

 

ルフィも素の手足で崖を登っている事で爪が割れ、血塗れになっていた。

 

そんな状態になりながらもルフィは背負っている3人の重みと苦痛に、ハニークイーンは凍った液状(からだ)で意識が朦朧としながらも身代わりになったサンジや今も自分達を背負って登っているルフィを見て心を震わせて意識を保った。

 

それから、どれ程の時間が経っただろうか。

 

ただただ仲間を救いたい一心で意識を保ち、ルフィ達は遂にドラムロッキーの頂上を登りきった。

 

登りきったルフィは淵に座り、能力を解除したハニークイーンもルフィの様に所々が凍傷になりかけていた。

 

 

「やっと・・・・・・ついた・・・・・・・・・」

 

 

「綺麗な・・・・・・お城・・・・・・」

 

 

頂上に辿り着いた2人が見た光景は雪がしんしんと降り積もる幻想の様に真っ白な城を見て2人は呟き、見惚れていた。

 

 

「・・・医者・・・・・・」

 

 

「・・・早く・・・・・・」

 

 

既に限界を迎えていた2人は力尽きて倒れ、意識を失った。その倒れた衝撃で地面の雪がボコっと音を立てて崩れ、ルフィ達ごと地上にまで落下しそうになる。

 

 

ガシッ

 

 

しかしその直前、落ちそうになる2人の腕を掴んで助けたる人影がいた。2人を無言で助けたのは雪男の様な毛むくじゃらの生物だった。

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

2人を無言で引き上げた生物はそのまま城の中へ運び、自身の姿を雪男から愛らしくて小さい鹿のマスコットの様な姿へ変えた。

 

ちょうどそこへ、グラサンをかけた半袖のヘソ出しシャツを着こなした1人のファンシーな老婆が降りてきた。

 

 

「何だい、チョッパー。そいつらは?」

 

 

「こいつら素手でこの山を登って来たみたいなんだよ、ドクトリーヌ」

 

 

鹿の様なマスコット───チョッパーと呼ばれた生物がルフィ達を様子を見て、自身の予測を告げた。そして、チョッパーがドクトリーヌと呼んだ老婆こそがルフィ達が会いに来たドラム島唯一の医者、Dr.くれはその人だった。

 

 

 

「∑登って来たァ!?標高5000mあるこのドラムロッキーを!!?」

 

 

〘マスターオブ医者〙

 

Dr.くれは

(本名ドクトリーヌ 139歳)

 

 

あまりの常識外れな事を聞いたDr.くれはは、目を見開いて驚いた。

 

そして直ぐにルフィ達の診察に動き、次々と診察と治療内容を決めていった。

 

 

「この麦わらの小僧は凍傷にはなってないが手足の状態が酷いね・・・こっちのポニーテールの娘は厚着なのに全身凍傷になりかけてるね・・・湯を沸かしてぶち込みな!!」

 

 

「こっちは出血が酷いんだ。アバラ6本と背骨にヒビ・・・俺が手術(オペ)していい?」

 

 

「好きにしな。それよりヤバいのはこの娘だね・・・」

 

 

Dr.くれはは最後にナミを少し抱き上げ、ぐったりとしている状態を診た。その時、ナミの上着のポケットに紙が1枚入っているのに気づき、それを取り出して開いた。

 

それを見たDr.くれはは険しい顔をし、直ぐにチョッパーに抗体の用意をする様に指示した。

 

 

「チョッパー!フェニコールと強心剤、それにチアルシリンを用意しな!!それと同時にケスチアの抗生剤の用意もね!!!」

 

 

「感染してるの?」

 

 

「ああ・・・この島の病原体じゃないよ」

 

 

ガシッ!!

 

 

「「!」」

 

 

そう言ってテキパキと4人を直ぐに治療する為に動き出したその時、いつの間にか意識を取り戻してルフィが寒さに振るえながらDr.くれはの腕を掴んだ。

 

 

「・・・・・・ガチガチガチ・・・・・・・・・・・・うう・・・・・・!!!」

 

 

「(その状態で意識を取り戻すとわねェ・・・)安心しな、あの血まみれのガキや死にかけの小娘共もちゃんと治してやるから安心しな」

 

 

Dr.くれはは震えながらも腕をしっかり掴むルフィを論するように伝えた。

 

 

「・・・・・・なカバ(仲間)・・・ダンだよ・・・・・・・・・!!!」

 

 

寒さで歯が震え過ぎて言葉をちゃんと発せていないが、何を言いたいのかはしっかりとDr.くれはに伝わり、チョッパーは心に妙に響いた様に感じた。

 

 

「!」

 

 

「分かった、助けるよ・・・。チョッパー!!治療だ!!!」

 

 

「う・・・!!うん」

 

 

ルフィにそう誓ったDr.くれははチョッパーを伴ってルフィ達を治療室へ運び込んだ。

 

 

 

 

 


side:ビックホーン村

 

 

雪崩が村をのみ込んで数分後───村では救助活動や行方不明者の捜索をしている人々が目立っていた。

 

そこに帰還して来たワポルの軍勢がやって来て、村の建物を燃やしてワポルがバクバクの能力で食して行った。

 

 

「ッぷは!!デリィーーシャァーース!!!この村の〝焼き家〟は本っ当に美味いぜ!!!」

 

 

「はァ~~~・・・・・・つまんねッ!!!

 

 

「ん?どした、あんちゃん?」

 

 

「ッ~~このカパ野郎!!お兄たまと呼べってんだ、オイ!!!」

 

 

「ゴメンよ~、もう呼ばねェよ~」

 

 

漫才の様なやり取りを終えたワポルは村に来てからつまらなそうにしているムッシュールの元へ寄った。

 

 

「大砲ぶっ放せば面白い事になると思ってたのに・・・村1つ飲み込まれただけッて・・・!!」

 

 

「ならさ、お兄たま・・・()()を使うのはどうだ?

 

 

ムッシュールの不満を聞いたワポルは邪悪な笑みを浮かべながら怪しい話を始めた。

 

 

「アレ・・・?」

 

 

「ほら、本来〝黒ひげ〟に喰らわせる筈だった()()を国民共に撃つんだよ!」

 

「よく見ろ、国民共が俺に向けるあの反抗的な目!!そんな奴らなんざこの国から居なくなった方がいい」

 

 

そうムッシュールに話すワポルが見る先には、自分達を親の仇を見る国民達がいた。

 

元々弟の意見にイエスマンだったムッシュールはワポルの目的を察し、自身の腹をさすった。

 

 

「ムッシュッシュッシュッ!確かに2()0()()()()()()()()()()!!()()を撃つにはもってこいだぜ!!!」

 

「だが大砲はどうすんだ?持って来たアレじゃ大した威力はでねェぞ」

 

 

そう言ってムッシュールは自分達が持って来た大砲を指した。飛距離は出ても威力自体が無ければ意味がない。

 

 

「それは・・・そうだ、城に巨大キャノン砲がある!!あの城には反国ババアや海賊がいるし、始末するのにちょうどいい!!!」

 

 

「そりゃぁいいな!!ムーッシュッシュッシュッ!!!」

 

 

「よし行くぞ、野郎どもォーーッ!!!」

 

 

目的が定まった悪政兄弟は兵士達に号令をかけ、直ぐにドラム城に向かって行軍を始めた。

 

 

「・・・みんな・・・・・・覚悟はいいか・・・?」

 

 

「・・・・・・」“((。。*)コクッ×19

 

 

その行軍の中に混じっている毛カバが引く馬車の中に、ワポル達の計画を聞いていた者達が覚悟を決めた目をしていた。

 

 

 

 

 

 

〜END~



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青っ鼻のトナカイ

side:ビビ

 

 

「いやー助かったぜ、ビビ。危うく永眠する所だったぜ」

 

 

「よかった、生きてて」

 

 

人為的に起こされた雪崩から逃げ続けてたビビは達は雪崩にのまれて村からだいぶ流され、散り散りになってしまった。

 

ビビは一緒に流されてきたウソップを発見したが、その時には雪崩の衝撃と寒さで気を失って三途の川を渡りそうになっていた。

 

そんなウソップを助ける為にビビは何度も叩き起す事でウソップの意識を取り戻す事に成功した。

 

 

「しかし心なしか・・・俺の顔、腫れてないか?」ガボーン

 

 

「し・・・しもやけよしもやけ!!雪国は大変っ・・・そ・・・それより早くこの居場所と現状を把握しなきゃ」ドキドキッ

 

 

その代償にウソップの顔はボールの様に2倍以上に膨らむ事になり、ビビはバレないかヒヤヒヤしながら先へ進んだ。

 

そこへ、ワポル軍から奪った雪上車に乗ったマカハゼとゾロが後ろからやって来た。

 

更に左右から雪崩に巻き込まれた子供を抱えたドルトンが、ミキータを背負ったジェムが集まって来た。

 

 

「よう、お前ら!!」

 

 

「無事だったか!!」

 

 

「ゾロ!!マカハゼ!!」

 

 

「あ〜・・・ひでェ目にあったぜ・・・・・・」

 

 

「Mr.5!!Ms.バレンタイン!!」

 

 

「みんな無事で何よりだ」

 

 

「「ドルトンさん!!」」

 

 

仲間や知り合いの無事にビビとウソップはホッとするが、5人は顔が腫れすぎて別人の様な顔になったウソップが分からずにいた。

 

 

「「「「「君/あんた/お前は・・・・・・?」」」」」じー( ⚭-⚭)

 

 

「?」

 

 

「「「「「・・・・・・・・・・・・」」」」」じー( ⚭-⚭)

 

 

「?」→唯一変わっていない長い鼻

 

 

「「「「「ああ、ウソップ/君/長鼻か・・・」」」」」

 

 

「∑って何だよ、その反応はよォ!!?」ガボーン!!

 

 

「・・・・・・・・・・・・(汗)」

 

 

それからウソップの喜劇を終えた一行はそのままビッグホーン村へと戻っていた。

 

 

「しっかしなかなか面白い絵面だったな‪w」

 

 

「∑うるせーよッ!!!」

 

 

「見えたぞ、村だ!」

 

 

一行がやっと辿り着いた村は雪崩で倒壊してたり、何故か燃えたりしてる痕跡があったりしていたが、村人達の多くは無事の様子だった。

 

 

「「ママ~~!!」」

 

 

「ユーリ!!ノザリオ!!」

 

 

ドルトンが助けた子供達が母親の元へ走り、無事を喜び合う微笑ましい姿を見た後、ビビ達は何故か集団になって争っている村人達の元へ向かった。

 

 

「一体なんの騒ぎだ?」

 

 

「〝イッシー20〟の奴らが現れたんだ!!」

 

 

「「〝イッシー20〟??」」

 

 

何も知らないマカハゼとゾロは首を傾げるが、ドルトンや話を聞いていたビビ達は理解していた。

 

 

「ワポルの権力に屈した医者達だ。しかし、何故彼等がここに・・・・・・?」

 

 

ワポルの配下の医者達が何故か全員村にいる上に、何かを必死で伝えようとしていた。

 

 

「頼む!!話を聞いてくれ!!!」

 

 

「俺達は大事な事を伝えに来たんだ!!!」

 

 

〖ワポル配下の医者達〗

 

イッシー20(トエンティー)

 

 

「ふざけるなッ!!今更お前らの言葉を信じられる訳ないだろ!!!」

 

 

「そうだそうだ!!大人しくワポルの元へ帰れ!!!」

 

 

ワポルの権力に屈して甘い汁を啜ってきた者達を村人達は快く思うわけがなく、強い拒絶の姿勢を示していた。

 

しかしイッシー20達も譲れないものがあるのか、強い意志で反論した。

 

 

「我々に帰る場所は無い!!脱走したんだ、決死の思いで!!!!」

 

 

「!!?」

 

 

「俺達だって医者なんだ・・・」

 

 

「奴らの権力と力にねじ伏せられようとも・・・医療の発展は常に、この島の患者達の為に進めてきた!!!」

 

 

イッシー20達はマスクやグラサンを外し、強い意志の宿った目を周囲に向けた。そこでイッシー20の1人である老人が後悔の色を見せながら語った。

 

 

「とある()()()()に・・・「諦めるな」と教えられたからだ!!もう失ってはならないんだ・・・そういう・・・バカな男を!!!!」

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

(ヤブ医者・・・?)

 

 

老人のヤブ医者に心当たりのあるドルトンや村人達は神妙な顔になって黙り込んだのを見て、イッシー20達は重大な事を話した。

 

 

「みんな、落ち着いて聞いてくれ!ワポルは今、ムッシュールの胞子爆弾を城から国民に撃ち込もうとしているんだ!!!」

 

 

「何ッ!?」

 

 

「ムッシュールだと!?」

 

 

「奴まで帰って来たのか!!?」

 

 

ワポルの目的とムッシュールの帰還を知った村人達は顔を青ざめ、ビビ達も焦りだした。

 

 

「猛毒!?」

 

 

「やべぇ!!ルフィ達が危ねェ!!!」

 

 

「「いや俺/私達も危ねェよ!!」」

 

 

「∑そうだった!!どっどうすれば・・・ッ!!!」

 

 

「逃げるしかねェよ!もうこんな島は御免だ!!!」

 

 

「いや!!」

 

 

ウソップの焦りに村人の1人がそう叫んだ。ワポルの悪政に海賊〝黒ひげ〟の襲撃、しまいにはムッシュールの胞子爆弾という最悪の連続が続けば心は折れて当然だった。

 

しかしドルトンは覚悟を決めた顔で最後まで足掻くと宣言した。

 

 

「阻止するんだ!!命を懸けて!!!」

 

 

「ドルトンさん・・・!!」

 

 

「しかしそうしようにも城へのロープウェーがない!!一体どうやって城まで・・・」

 

 

阻止しようとしても城へ繋がるロープウェーがない以上、手も足も出ない状態だった。そこへ2台の雪上車に乗ったワポルの兵士達が現れた。

 

 

「何をしている・・・イッシー20?」

 

 

「裏切ったな、貴様ら!!」

 

 

ワポルの兵の襲撃に村人達は一斉に逃げたがウソップ達はラッキーという目で見ていた。

 

 

「おい・・・アレってマカハゼとゾロが乗ってるやつじゃねェか?」

 

 

「アレを使えば城まで行けますか?」

 

 

「ああ・・・!!」

 

 

「あの2台と〝ベストマッチ〟とロロノアが乗ってるやつを合わせて3台・・・丁度全員乗れるな」

 

 

「キャハハハ・・・・・・!!」

 

 

「「「「「「・・・・・・へ? 」」」」」」

 

 

「〝必殺・火薬星〟ッ!!!」

 

 

「〝鼻空想二連砲(ノーズファンシーダブルキャノン)ッ〟!!!」

 

 

「〝孔雀(クジャッキー)スラッシャー〟ッ!!!」

 

 

「〝1万キロプレス〟ッ!!!」

 

 

「ぬぅんッ!!!」

 

 

「「「「「「ぎゃああああああああッ!!!!」」」」」」

 

 

「容赦ねェな・・・・・・(汗)」

 

 

「おぉ・・・・・・(汗)」

 

 

ビビ達が兵士達を一蹴して雪上車2台を手に入れ、城へ向かおうとしたらイッシー20達がカバンを持ってきた。

 

 

「よし、すぐに向かうぞ!!」

 

 

「ドルトン君、待ってくれェッ!!!」

 

 

「?」

 

 

「これを持って行ってくれ。この中にはムッシュールの毒胞子の解毒剤が入っている・・・!!」

 

 

「ムッシュールの・・・!?」

 

 

「そうだ!この島にはない薬品を使っているから量は少ないが、俺たちの研究の成果だ・・・必ず役に立つはずだ!!」

 

 

「ありがとう・・・!!」

 

 

ドルトンはイッシー20達の覚悟と思いが詰まった解毒剤入のカバンを受け取り雪上車に乗ってビビ達と共に城へ向かった。

 

 

「(あの時感じた強い気配・・・その1つがムッシュールってのに間違いないな)毒か・・・面倒な奴がいたもんだな」

 

「ところでドルドン、1つ聞きたい事があるんだが・・・」

 

 

「何だ?」

 

 

「あのイッシー20ってのが言ってた〝とあるヤブ医者〟ってのは誰なんだ?」

 

 

マカハゼはイッシー20が語ったヤブ医者の存在が気になり、ドルトンに尋ねた。

 

ドルトンは口を紡ぎながらも、やがてヤブ医者について語り出した。

 

 

「・・・約6年前まで・・・Dr.くれは以外にも医者狩りから逃れていた者がいた・・・・・・彼の名は〝ドクターヒルルク〟・・・大した医療知識はなく、ただの風邪で済んだ患者の容態を悪化させたり金持ちから金を盗んだりした男だ」

 

 

(マジのヤブ医者かよ・・・・・・(汗))×6

 

 

「そして誰よりも・・・最後まで国と患者の身を案じ続けた優しい医者だった・・・・・・」

 

 

 

 

 


 

side:ナミ

 

 

「ここは・・・・・・?」

 

 

高熱の苦しみが和らいだナミは薄らと目を開け、自分の状況の確認を始めた。

 

周りはいくつかの本棚があり、机には薬品やその調合用の道具なども置いてあった。自分が寝ているベットとは別のベットに、ハニークイーンが寝ていた。

 

 

「ヒーーッヒッヒッヒッヒッヒッ!!熱は多少引いた様だね、小娘!!ハッピーかい!?」

 

 

「!」

 

 

ピトッ

「38度2分・・・んん・・・まずまずだね」

 

 

「・・・・・・?あなたは・・・?」

 

 

突然洗われて自分の額を人差し指出当てただけで熱を測った妙に若々しい老婆に名を尋ねるナミ。

 

 

「あたしの名はDr.くれは、医者さ。『ドクトリーヌ』と呼びな、ヒーーッヒッヒッヒ!」

 

 

「・・・医者・・・じゃあここは・・・」

 

 

「若さの秘訣かい!?」

 

 

「ううん、聞いてない」

 

 

「お前の察しの通り、ここは城の頂上にある城さ」

 

 

自分が今いる場所を聞いたナミは寝ているハニークイーンを見て、ルフィとサンジの所在を聞いた。

 

 

「・・・だったら私とこの娘以外にもあと2人いたでしょ!?」

 

 

「ああ、隣の部屋でぐっすりと寝てるよ。随分とタフな奴らだよ」グビッ

 

 

ルフィとサンジが無事だと聞いたナミはホッと息を吐いた。そんな彼女を無視してDr.くれははナミのシャツを少し捲り、腹部を見せた。

 

 

「こいつを見な」グイッ

 

 

「え、何コレ?アザ・・・!?」

 

 

「〝ケスチア〟ってダニにやられたのさ。普段は密林に住んでいて、刺されたら傷口から細菌が入ると5()()()体の中に潜伏して人を苦しめ続ける」

 

「40度以下には下がらない高熱・重感染・心筋炎・動脈炎・脳炎!!刺し口から見て今日から感染は3日目ってとこだね」

 

「波の苦しみじゃなかった筈だが、放っといても5日経てば楽になれた・・・ヒッヒッヒ・・・」

 

 

「・・・・・・?」

 

 

「あと2日たってたら・・・お前は死んでいたからさ」

 

 

「・・・・・・・・・え!!?」

 

 

Dr.くれはのハッキリとした診断を聞いたナミは目を見開いて驚いた。

 

Dr.くれはの説明で自分がどれだけ危機的な状況だったのかと知り、ナミは顔を青くした。

 

 

「〝5日病〟と言ってね・・・・・・ケスチアは100年前に絶滅したと聞いてたが・・・・・・まさか()()()()()()()()歩いてたのかい?ヒッヒッヒ、まさかそんな事は・・・・・・」

 

 

「・・・・・・・・・・・・あ(汗)」

 

 

Dr.くれはの分析を聞いていたナミはリトルガーデンで服がボロボロの状態で腹が出ていた事を思い出した。

 

 

「心当たりがあんのかいっ!?呆れた小娘だ」

 

 

ナミの迂闊さに本心で呆れたDr.くれはは、上半身を起こしていたナミをまた寝かせた。

 

 

「とにかく寝てな!まだ完璧に治療は終わってないんだ」

 

 

ばふっ

「うっ」

 

 

Dr.くれはに軽く額を突かれ、再び布団に寝転んだナミはDr.くれはに礼を言う。

 

 

「どうもありがとう、熱さえ下がればもういいわ。後は勝手に治るんでしょ?」

 

 

「全く・・・・・・病気をナメてるよ、お前は!!本来は治療を初めて完治まで約10日間はかかる病気だよ。またあの苦しみを繰り返して死にたいんなら話は別だがね」

 

「あたしの薬でもあと2日は大人しくしててもらうよ」

 

 

「2日も!?とんでもない、私達先を急いで・・・」がばっ

 

 

Dr.くれはからそう断言されたナミは慌ててベットから出ようと体を起こしたが、Dr.くれはにメスを突き付けられて組み伏せられた。

 

 

「!!?」

 

 

「あたしの前から患者が消える時はね・・・ヒッヒッヒ!!()()()!!()()()()!!!逃がしゃしないよ」

 

 

「・・・・・・そんな!!!」

 

 

「それにね、あたしの薬でも()()4()()()()()()治療が2日で済むのはお前の仲間達のおかげ何だよ?」

 

 

「え?」

 

 

「お前の上着に紙が入っていてね・・・その紙に5日病の事や容態、必要な抗生剤の材料まで細かく記載されてたよ」

 

 

Dr.くれははナミの上着から出てきた紙をナミに渡し、内容のが見事に当たっていたと伝えた。

 

 

「それを書いた奴は中々の博識だよ・・・そいつが中心になってお前の看病をしてたんだね・・・。だからお前の検査は簡単だったし、抗生剤の用意も直ぐに出来たんだ」

 

「だからあと2日は此処で安静にするのは安いもんだよ」

 

 

「・・・・・・」

 

 

それを聞いたナミは口が塞がらなかった。仲間達が自分を救う為に奔走し、死にかけてまで城に連れて来てくれた皆に感謝しかなかった。

 

ナミがそんな心境になっていたその時、ドカンッ!!と盛大な音と共に大声を出して逃げ惑う鹿の様な青鼻のマスコット生物──チョッパーと、それを捕食者の目で追いかける目覚めたルフィとサンジが部屋に飛び込んできた。

 

 

「ギャ─────!!!助けてェっ!!!」

 

 

「待て、肉っ!!!」

 

 

「待て待てルフィ、こいつは俺が調理する。どうせなら美味く食うべきだ!」

 

 

包帯で体を所々巻かれていても、チョッパーを捕まえようと走り回る2人の姿を見たDr.くれはは素直に驚いていた。

 

 

「こいつは驚いたね・・・あいつらもう動けるのかい・・・・・・」

 

 

「ルフィ、サンジ・・・・・・それと・・・何なの?あの鼻が青い・・・喋るぬいぐるみは?」

 

 

「もう・・・何の騒ぎなのよ・・・・・・?」(o_ _)o…ムクリ

 

 

「あ、ハニークイーン」

 

 

チョッパーを追いかけて部屋を駆け回る騒音でハニークイーンが目を覚まし、Dr.くれははルフィとサンジを冷めた目で見ながらナミの質問に答えた。

 

 

「あいつが何かって?名前はチョッパー、ただの青っ鼻のトナカイさ・・・ただし───」

 

 

「この・・・・・・!!」モコモコ・・・

 

 

「!」

 

 

Dr.くれはがチョッパーの説明を始めたと同時に、ルフィとサンジに追われてたチョッパーの肉体が変化を始めたのを見て、ナミは目を見開いた。

 

チョッパーは可愛らしい鹿のフォルムから毛深い大男になり、剛腕となった腕でルフィとサンジを天井に殴りつけた。

 

 

「──ただし、〝ヒトヒトの実〟を食べて〝人の能力〟を持っちまっただけさ」

 

 

「俺は食い物じゃないぞォ!!!!」ドゴォン!!!

 

 

《Dr.くれはの愛トナカイ兼一番弟子》

 

《トニートニー・チョッパー》

 

 

「あいつにゃあたしの〝医術〟の全てを叩き込んであるんだよ」

 

 

「え!?何コレ!?えっ!?」

 

 

「大きく・・・なった・・・・・・ッ!!!」

 

 

「・・・・・・・・・ッ!!」

 

 

天井にめり込み、床に落ちたルフィとサンジから元のサイズに戻って部屋から逃げていった。

 

暫くして落ちたルフィとサンジは、這いずりながら先程自分殴り飛ばした存在を確認しあった。

 

 

「おい・・・見たかルフィ・・・?」

 

 

「ああ・・・青っ鼻で・・・小っこくて・・・」

 

 

「トナカイで・・・喋っれて・・・デカくなって・・・!!」

 

 

「バケモンで・・・強くて・・・スっげぇーーッ!!!」

 

 

互いが確認し合う内に、2人はチョッパーの事が魅力的に見え始め、次第にルフィは目をキラキラしだした。

 

そんな2人を前に、包丁を両手に構えたDr.くれはが静かに怒気を孕んだ声で立ち塞がった。

 

 

「このガキ共・・・あたしの部屋を滅茶苦茶にする気かい?」

 

 

「「・・・・・・婆さん?」」

 

 

ルフィとサンジは目の前に立つDr.くれはに誰もが最初に思い浮かぶ言葉を呟く。しかし、それはDr.くれはの前で1番言ってはいけないNGワードだった。

 

 

「・・・・・・・・・ああッ?」

 

 

「「・・・・・・ゑっ?」」

 

 

2人は自分達をさの失言に気付いたが時はすでに遅く、顔を般若の様に歪ませていくDr.くれはから走って逃げた。

 

その2人をDr.くれはは追いかけながら包丁を投げては取り出して投げる地獄の鬼ごっこを始めた。

 

その姿は正に山姥の如し。

 

 

「ぎゃああああああああッ!!!」

 

 

「待ちな、糞ガキ共!!あたしゃまだ艶々の130代だよっ!!!!」

 

 

山姥と化したDr.くれはから逃げるルフィとサンジが部屋を出て、残されたのはナミと状況について行けていないハニークイーンだけだった。

 

 

「ナミ・・・今ってどういう状況なの・・・・・・?」

 

 

「・・・さ〜ね!!」(﹡ˆ_ˆ﹡)

 

自分の為に死にかけた仲間達の元気な姿を見たナミは、ハニークイーンに眩しい笑顔を見せながらそう答えた。

 

 

 

 

 


side:ルフィ

 

 

「逃がしゃしないよ!!クソガキ共ッ!!!」

 

 

「クソっまだ追いかけて来るぞ、あのババア!!」

 

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

 

ナミ達のいる部屋を出ても、般若の形相で未だに追いかけて来るDr.くれはにサンジは参っていた。

 

しかしルフィはサンジの横で黙ったまま、並走していた。そして、ルフィは笑いながらサンジにある事を伝えた。

 

 

「サンジ・・・俺は決めたぞ・・・・・・っ!!!!」

 

 

「ああ!?何をだよ!!?」

 

 

「あのトナカイ・・・気に入った・・・!!俺はあいつを・・・・・・仲間にする・・・!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 



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アミウダケ

side:ワポル

 

 

雪崩を起こしたワポルは兵士達を率いて自身が住んでいた元ドラム城へ向かって進軍していた。

 

そんな中、ワポルの側近であるチェスがワポルの元まで来て不安を口にした。

 

 

「ワポル様」

 

 

「何だ、チェス?」

 

 

「本当に〝胞子爆弾(フェイタルボム)〟を使ってよろしいのですか?ムッシュール様のノコノコの実は・・・・・・」

 

 

「分かってねェな、お前・・・・・・」

 

 

長年ワポルに仕えてきたチェスはムッシュールの能力の危険度も知っていた事で、ワポルの身を心配して進言した。

 

しかしワポルはそんなチェスの心配を無用と返した。

 

 

「何の為に兄貴を態々助け出したと思ってんだ?」

 

 

「〝黒ひげ〟に対抗する為では?」

 

 

「それもあるが・・・・・・我が国において〝恐怖政治〟こそが基本の政策。それを復活させるのに兄貴は・・・うってつけだからな」

 

 

そう言ってワポルは別の毛カバに乗って着いて来ているムッシュールを見下した目で見た。

 

そのムッシュールは丁度、遅く進む毛カバにイラついて横っ腹を蹴った。すると普段は怠けて畳んで隠していた足を出して走り出した。

 

 

「もっと早く走れんのか、このカパァ!!!」ゲシッ

 

 

「モフゥ〜〜ッ!!!」ドカドカドカドカドカッ!!!!

 

 

「よ〜〜し、行け行けェっ!!ムーッシュッシュッシュ!!!」

 

 

本気モードとなった毛カバと共に城へ走って行く(ムッシュール)をワポルは呆れながら嗤った。

 

 

「バカ兄貴が・・・俺の思い通りに動いて助かるぜ・・・・・・マーーッハッハッハッハ!!!」

 

 

 

 

 


side:ナミ

 

 

「・・・・・・」チョロチョロッ

 

 

ルフィとサンジから逃げていたチョッパーはナミとハニークイーンがいる部屋へ戻っていた。

 

そして寝ている2人を起こさない様にゆっくりと部屋の中へ入り、ソロリソロリと歩いたら寝ている筈の2人から自信を呼ぶ声がした。

 

 

「「チョッ・パー?」」

 

 

「∑ウヒャァアっ!!?」

 

 

驚いたチョッパーはすぐに部屋の外に逃げ、ゆっくりと扉の影から体をゆっくりと出してナミとハニークイーンを見る・・・・・・()()()()()()()()の状態で。

 

ナミとハニークイーンはそんなチョッパーに隠れ方が逆になっている事を指摘した。

 

 

「逆・・・何じゃない・・・・・・(汗)」

 

 

「∑ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙っ!!?」サッ

 

 

「∑いや遅い!!隠れ切れていないしっ!!!」

 

 

「う・・・・・・うるせェ人間!!それとお前ら、もう大丈夫か?」

 

 

2人に指摘された事を言い返しながら、チョッパーはナミ達の容態の確認をした。

 

 

「えっええ、もう熱はだいぶ下がったみたい・・・・・・」

 

 

「私ももう大丈夫だし・・・」

 

 

「寝てろよ、ちゃんと!!」

 

 

「「!」」

 

 

そう言ってチョッパーは扉を締めながら2人の体の状態の説明をした。

 

 

「ドクトリーヌの薬はよく効くんだ。熱はすぐ下がっても、ケスチアの菌はまだ体の中に残ってるんだ。ちゃんと、抗生剤打って安静にしてなきゃ、また熱が高くなるぞ」

 

「お前も今は大丈夫だけど、ここに来た時は体の芯から冷えて全身凍傷になりかけてたんだ。もう少し横になってた方が「「ありがとう」」ん?」

 

 

「貴方が私達を看病してくれたんでしょ?」

 

 

「そのおかげでナミも私達も助かったわ」

 

 

口で厳しい事を言いながらテキパキと一流の医者らしく振る舞い、看病の準備を進めるチョッパー。

 

そんな一流の医者らしい姿を見せるチョッパーの姿に、ナミとハニークイーンは感謝の言葉を贈った。

 

 

「う・・・・・・!!うるせェなっ!!!」

 

 

しかしチョッパーはその感謝に拒絶の態度で返した。Dr.くれはを除く人間に嫌な事があったのか、一転してナミ達に強い態度で詰め寄った。

 

しかし次の瞬間、拒絶の言葉とは裏腹に表情と体の動きは喜びを表現していた。

 

 

「に・・・人間なんかにお礼を言われる筋合はねェ!!ふざけんな!!コノヤローが!!!」ウキウキニコニコ

 

 

「感情が隠せないタイプなのね・・・・・・(汗)」

 

 

(カワイイ・・・・・・)( ´͈ ᵕ `͈ )♡

 

 

セリフと動きが全く噛み合わないチョッパーの姿にナミは呆れ、ハニークイーンはキュンっとした顔で見ていた。

 

しばらくして我に返ったチョッパーは自分を食べようとした海賊の青年達がナミ達と仲間だった事を思い出し、恐る恐る近づいた。

 

 

「・・・お前ら・・・・・・海賊なのか・・・・・・・・・・・・!!」

 

 

「ええ」

 

 

「そうよ?」

 

 

「ほ・・・・・・本物か・・・・・・!!」

 

 

「本物よ」

 

 

「ド・・・髑髏の旗を持ってるのか・・・・・・!!」

 

 

「船にあるわ」

 

 

ソロリソロリとナミの手を蹄の先で触るチョッパーの姿は、長年憧れていた存在に出会い、未だ目の前が夢なのかと疑って興奮する子供の様に見えた。

 

そんなチョッパーを2人は微笑ましく見め、ナミは思い切って尋ねてみる事にした。

 

 

「海賊に興味あるの?」

 

 

「∑ねェよバカ!!ねェよ!!!バカ!!!」

 

 

「わかったわかった、ごめんごめん」

 

 

「そこまで引かなくても・・・・・・(汗)」

 

 

勢いよく後ずさって本棚に激突したチョッパーに2人は呆れたが、ナミは突然チョッパーを勧誘した。

 

 

「・・・でも、・・・じゃあ、あんたも来る?」

 

 

「∑お!!?」

 

 

「海よ!!一緒に来ない?」

 

 

「あ、それイイわね!!ウチは船医がいないから、あなたが仲間になってくれたら心強いわ」

 

 

ナミの提案とそれに乗り気なハニークイーンにチョッパーは驚嘆の顔で見た。

 

チョッパーには意外な提案だが、ナミ達にとってまたとない機会を逃すつもりは無かった。

 

 

「私達先を急いでいるの。2日も時間を無駄にする訳には──」

 

 

「バ・・・・・・バ・・・バカ言え!!!俺はトナカイだぞ!!人間なんかと一緒にいられるか!!!」

 

 

しかし人間と一緒にいる事に抵抗があるのか、チョッパーは首を縦に振る事は無かった。

 

それでも、チョッパーの目には海や海賊に対する憧れや期待が篭っていたが、何かに対する不安も混じっている。

 

 

「・・・・・・・・・大体お前ら・・・俺を見て・・・怖くないのか・・・・・・・・・!?俺は・・・トナカイなのに2本足で立ってるし、喋るし・・・」

 

 

「いや、そんな事言ったらウチの船にはあなたより怖いのがいるし」

 

 

「何、あんた私達を怖がらせたいわけ?」

 

 

「・・・・・・・・・・・・青っ鼻だし・・・」

 

 

色々と理由を言われては否定を繰り返すナミとハニークイーンは勧誘する事を止めない。

 

しかし、最後に呟いた言葉の意味が分からず、2人は首を傾げる。

 

そこへ、Dr.くれはから逃げ回って城を1周して来たルフィとサンジが勢いよく飛んで来た。

 

 

「「そこにいたか、トナカイ〜〜!!!」」

 

 

「∑ギャーーーーッ!!!」

 

 

「「待てェ!!!」」

 

 

目的が捕食から勧誘に変わったルフィ達の勢いに脅えたチョッパーは逃げ出し、あっという間に部屋からいなくなった。

 

 

「・・・・・・少しは・・・・・・静かにしてて欲しいわ・・・」‎( ꒪⌓꒪Ⅲ)

 

 

「・・・・・・それを求めるのは無理じゃない・・・?」

 

 

「・・・・・・言わないでよ・・・」(−_−;)

 

 

ルフィとサンジが無事だった事はいいが、少しは静かにしてて欲しいと願うナミとハニークイーンだった。

 

そんな2人の元にルフィ達を追いかけ回した事で、若干疲れたDr.くれはが戻って来た。

 

 

「感心しないねェ小娘共・・・あたしのいない間に許可なくトナカイを誘惑かい?」

 

 

「・・・あら?男を口説くのに、許可がいるのかしら?」

 

 

「いい女はいい男に目が無いものよ?」

 

 

「・・・・・・言うねェ・・・ww」

 

「ヒーーッヒッヒッヒッヒッ!!・・・いーや、いらないさ!!持って行きたきゃ持って行きな!!」

 

 

2人の好戦的な言い返しに、虚を突かれた顔をして愉快そうに笑うが、Dr.くれはの目は笑っていなかった。

 

 

「・・・・・・だがね、一筋縄じゃ行かないよ!あいつは心に傷を持っている・・・・・・・・・医者(あたし)でも治せない大きな傷さ・・・」

 

 

「「?」」

 

 

椅子に座ったDr.くれはは笑ったまま、重い雰囲気を出してナミ達にかたりだした。

 

共に城に住み、医術を叩き込んだ1匹のトナカイの辛い昔話を。

 

 

「チョッパーは・・・この世に生まれた瞬間に・・・()()()に気味が悪いと見離された」

 

 

「え・・・・・・!!?」

 

 

「〝青っ鼻〟だったからさ・・・!!!あいつは何時でも群れの最後尾を1人寂しく離れて歩いてた。生まれたての子供がだよ!!」

 

 

「・・・・・・・・・ひどい・・・!!」

 

 

「そしてある日───悪魔の実を食っちまった奴は、いよいよバケモノ扱い。トナカイ達は激しくあいつを追い立てた─もう完全に普通のトナカイじゃなくなってたのさ」

 

 

たった1つだけ皆と違う──ただそれだけの事で捨てられ、1人孤独に生きて来たトナカイ。

 

自分達が予想していなかったチョッパーの過去にナミとハニークイーンは息を飲む。

 

しかし、この話はそれだけで終わらなかった・・・・・・。

 

 

「・・・それでも仲間が欲しかったんだね・・・今度は人として・・・人里に降りた。──だがその姿も完全な人型じゃない。どういう訳か〝青っ鼻〟は変わらない」

 

 

─・・・・・・青っ鼻だし・・・─

 

 

「もしかして・・・・・・」

 

 

「察しの通り・・・人里の奴らはチョッパーを雪男と恐れ・・・迫害した・・・」

 

 

「・・・・・・ッ!!」

 

 

ただのトナカイの頃から迫害される理由だった青い鼻、それがある限り自分は一生誰にも受け入れられないのだと、全てを諦めていたのかもしれない。

 

 

「何が悪いのか分からない。何を恨めばいいのか分からない。ただ仲間が欲しかっただけなのにバケモノと呼ばれる。トナカイでもない・・・人間でもない・・・あいつはね、そうやって・・・・・・・・・()()()1()()()生きてきたんだ・・・」

 

「お前達に・・・あいつの心を癒せるかい?」

 

 

ナミとハニークイーンはDr.くれはの問いに即答する事が出来なかった。

 

ただ優れた医術を持つ念願の医者を仲間に誘いたかっただけで、その過去さえも背負おうとまで、気負ってはいなかった。

 

 

「・・・1人いたんだがね。・・・あいつが心を開いたただ1人の男が・・・昔ね」

 

 

「え・・・・・・」

 

 

Dr.くれはは不意に遠くを見つめ、今度は別の過去を語る。

 

その顔は懐かしそうで、それでいて寂しそうな、そんな複雑な感情が、Dr.くれはの横顔から伺えた。

 

 

「・・・ドラム王国に生きた男の名はDr.ヒルルク・・・チョッパーに名を与え、息子と呼んだ・・・ヤブ医者だ」

 

 

Dr.ヒルルク──かつて〝西の海〟で大泥棒として活動し、不治の病にかかって絶望していた頃、1面桜の絶景を目撃し、奇跡の復活を遂げた男。

 

その奇跡を経験したDr.ヒルルクはそれを立派な医学だ確信し、故郷であるドラム島に戻って医者として活動を始めた。

 

しかし、Dr.ヒルルクの独学の医術はいい腕ではなく、トカゲの目玉やネズミの肝臓等といったゲテモノを思い付きで薬にして患者に打つため、容態が悪くなったりしていた。

 

そのため、患者の家族から恨まれたり、金持ちから金を奪って警備隊に追われたりしながら生計を立てていた。

 

そんなDr.ヒルルクは常日頃から医学で国を救うと、研究に明け暮れる事もあった。Dr.くれはから見ればそれは医学ではなく、完全に科学だった。

 

そんなある日──国中で雪男と騒がれ、血塗れで倒れていた人型のチョッパーと出会った。

 

そんなチョッパーを見たDr.ヒルルクは助けようと荷物を開けたが護身用の麻酔銃が落ち、それを見たチョッパーはDr.ヒルルクを敵と勘違いし、攻撃した。

 

Dr.ヒルルクを殴り倒したチョッパーは逃げる様にその場を離れようと動いたが、怪我の影響と人間への恐怖で震えていた。

 

人間に植え付けられた恐怖が・・・自分を攻撃した時の人間の優越感に満ちた顔が・・・チョッパーの正常な思考を奪っていた。

 

そんなチョッパーに殴り倒されたDr.ヒルルクは立ち上がり、自身の服や身につけている物全てを脱ぎ捨て、自分は無害だと宣言した。

 

 

──俺は決して・・・お前を撃たねぇ!!!!

 

 

その出会いが、チョッパーの灰色だった心に色が染まり始めた瞬間だった。

 

Dr.ヒルルクが敵じゃないと分かったチョッパーは意識を失って倒れ、保護されて治療を受けた。

 

チョッパーはDr.ヒルルクに自分の身の上話を話し、Dr.ヒルルクはチョッパーを受け入れた。

 

Dr.ヒルルクと共に行動する様になったチョッパーは今までとは違う刺激的な日々を過ごした。

 

Dr.ヒルルクについて行き、患者の治療をすれば逆に重症になった患者の家族に追い回され、金持ちの夫婦から金を奪えば追い回され、最後には国の守備兵達に追い回される1日。

 

更に隠れ家に帰れば、部屋の物が飛び交うほどの大喧嘩をし、最後には仲直り───そんな初めてだらけの経験がチョッパーは楽しくて仕方なかった。

 

そんな日々の中、Dr.ヒルルクは医学の研究をしながらチョッパーにこの国が病んでいると教え、恨むなと言う。

 

Dr.ヒルルクはチョッパーに嘗て不治の病に冒されたある人物が山いっぱいの桜の景色を見た事で生き長らえた事を語り、部屋に飾っていた髑髏の旗に桜吹雪が描かれた海賊旗を見せた。

 

 

──コイツはな!!不可能をものともしねェ〝信念〟の象徴だ!!!これを掲げ、海賊の様に俺は戦う!!!

 

 

Dr.ヒルルクから海賊旗や海賊の話を聞いたチョッパーはその時から海賊への憧れを持つようになった。

 

それからの日々もチョッパーはDr.ヒルルクと時に笑い合い、時に怒り合い、時に喜び合う。その姿は相棒であり、友人であり、親子のようであった。

 

 

「素敵な話ね・・・」

 

 

「目に・・・ゴミが・・・・・・!!」( ̄^ ̄゜)グスッ

 

 

チョッパーの過去を聞いたナミはロマンを感じ、ハニークイーンは感動の涙を流した。

 

しかし、Dr.くれはは哀感を漂わせながら続きを語った。

 

 

「それで済んだら・・・どれだけ良かったか・・・・・・」

 

 

「「?」」

 

 

チョッパーとDr.ヒルルクの出会いから丸1年───チョッパーの治療が完全に終わったその日、終わりは突然訪れた。

 

 

───じゃあ・・・達者でな・・・退院おめでとう

 

 

そう言ってDr.ヒルルクはチョッパーを隠れ家から無理やり追い出した。

 

突然の事態に困惑したチョッパーは何とか中に入れてもらおうとDr.ヒルルクに懇願するが、Dr.ヒルルクは聞く耳を持たなかった。

 

しかし諦められないチョッパーは木にぶつかり、ワザと怪我をしてもう一度気を引こうとした。

 

そんなチョッパーにDr.ヒルルクは1発の銃弾で拒絶した。

 

Dr.ヒルルクのハッキリとした拒絶にチョッパーは泣き叫びながら走り去り、それを見送ったDr.ヒルルクは罪悪感に押し潰されながら涙を流した。

 

 

───許せ、チョッパー・・・・・・・・・・・・!!!

 

 

その後、Dr.ヒルルクの行動に納得のいかなかったチョッパーは何処かへ出掛ける彼の後を追い、真実を知った。

 

Dr.ヒルルクはかつて患っていた不治の病が再発していたのだった。

 

それを知ったチョッパーは急いでDr.ヒルルクの隠れ家に侵入して書物を漁って薬の手掛かりを探し、書物に書かれていた〝アミウダケ〟を求めて旅に出た。。

 

ハイキングベアーと挨拶を返したり、崖を飛び越えたり、自身を追い出した群れと衝突をし、ボロボロになりながらも遂に〝アミウダケ〟を入手した。

 

それを持ち、Dr.くれはから延命手術を受けて最後の医療研究に明け暮れていたDr.ヒルルクの元に戻り、〝アミウダケ〟を掲げて告げた。

 

 

──生ぎててドクター・・・・・・・・・!!!!・・・ドクター、俺医者になりたいんだよ・・・!!!

 

──医者のなり方・・・教えてくれよ・・・!!!トナカイでも・・・なれるかな?

 

 

角が折れ、目は瞼が腫れ、血まみれの姿で足を引きずりながらも、命を懸けて大好きなDr.ヒルルクの為に〝アミウダケ〟を採ってきたチョッパー。

 

そんなチョッパーの覚悟と優しさに触れたDr.ヒルルクは涙を流し、抱き締めた。

 

──やれるさチョッパー。お前はこんなに優しいじゃねェか・・・!!!

 

 

それからは傷ついたチョッパーを手当し、〝アミウダケ〟のスープを飲んで一息ついていた。

 

それと同時に、机に置いていた装置が特殊な反応を見せた。その反応こそ、Dr.ヒルルクが30年間求めていたものであり、ドラム王国に桜を咲かせる万能薬であった。

 

Dr.ヒルルクはチョッパーを寝かせ、完成した研究成果を持って出かけるが、その前にチョッパーに一言声をかけた。

 

 

──お前はいい医者になれるぜ!!!俺が保証する!!!

 

 

それを聞いたチョッパーは少し照れながらも嬉しそうに笑い、帰って来たDr.ヒルルクに医者を習う事を楽しみにベットに寝転んだ──それが最後の会話になると知らずに・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

〜END〜



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──よかった

side:ナミ

 

 

「最後の会話って・・・どういう事?」

 

 

「もしかして・・・そのDr.ヒルルクさんに何かが・・・・・・!!?」

 

 

「・・・・・・」グビッ

 

 

チョッパーの過去を聞いていたナミとハニークイーンはDr.くれはが語った()()()()()に疑問を持ち、問いただした。

 

それに対し、Dr.くれはは部屋に置いていた酒瓶の酒を1度煽り、悲しい目をしながら語りだした。

 

 

「ヤブ医者が〝アミウダケ〟を飲んだその日・・・1度あたしの家に来てね・・・・・・その時期は国中ある騒ぎになってたけどあたしには知った事じゃなかった・・・」

 

「家に来たあいつは30年の研究成果を持ってあたしに()()()()()からと、ソレの量産とチョッパーの世話を土下座して頼み出したのさ」

 

「いくら短い命とは言え、延命治療を施した事で()()2()()()()()()()。そんな厚かましい態度にあたしも最初はイラついて追い出したさ」

 

「それから暫く冷静になったあたしはあのヤブ医者の行動に嫌な予感を覚えて、あいつの隠れ家に向かったよ・・・・・・」

 

 

そこまで語ったDr.くれはは椅子から立ち上がり、本棚まで歩いて1冊の図鑑を取り出した。

 

 

「向かった隠れ家にはヤブ医者は不在で、いうーんたのはチョッパーだけだった・・・」

 

「そこであたしはチョッパーがこれで治ったと〝アミウダケ〟をあたしに見せた事で全てを悟ったよ・・・・・・」

 

 

そう言ってDr.くれはは取り出した図鑑をパラパラと捲り、あるページを2人に見せた。

 

そのページを見たナミとハニークイーンは目を見開き、残酷な真実を知った。

 

 

「〝アミウダケ〟は・・・毒キノコ・・・・・・!!?」

 

 

「じゃあDr.ヒルルクは・・・・・・!!!」

 

 

「・・・チョッパーがヤブ医者に教わった事の1つは()()()()()()()()()()()()()()・・・・・・!!だからあいつは図鑑の髑髏が猛毒の印と気づかなかったのさ・・・!!!」

 

 

知識も経験もない善意の行動・・・チョッパーは自分の無知よって、大好きな人を逆に死へ追い込んでしまった。

 

 

「でっでも・・・Dr.ヒルルクは医者だったんでしょ!?なら〝アミウダケ〟が猛毒だった事も知ってたはず・・・・・・!!!」

 

 

「チョッパーの優しさが嬉しかったのさ・・・死にかけてまで自分を救おうとしてくれた奴にそれは毒だから食えないって・・・お前らは言えるのかい!?」

 

 

「「・・・・・・っ!!!」」

 

 

もし自分達がDr.ヒルルクの立場で相手が死にかけてまで薬を持って来てくれたら・・・拒否は出来なかった。

 

それを理解した2人はそれ以上は何も言わず、俯いたのを見たDr.くれはは再び悲しそうに語った。

 

 

「当時のあたしは怒りに任せてしこたま殴ったよ・・・いい加減な知識でヤブ医者を追い詰めたチョッパーに・・・何より・・・友人の想いを足蹴にした自分自信にね・・・・・・!!」

 

 

「Dr.くれは・・・」

 

 

「・・・・・・っ!!!」( ̄^ ̄゜)グスッ

 

 

チョッパーに起きた悲しい悲劇・・・それを知った2人はそれ以上は何も言えず、暗い顔で俯いた。

 

 

「だけどね、ヤブ医者はチョッパーの毒で死んだんじゃない・・・・・・別の理由で死んだんだよ」

 

 

「別の・・・理由・・・?」

 

 

「ちょうどその頃、医者狩りから逃げ続けるヤブ医者を確実に仕留める為に最悪の罠を仕掛けたのさ」

 

「〝全てのイッシー20が病に倒れた〟って報道を国中に流してね」

 

 

「えッ!?」

 

 

「ちょっと!!そんな事したら国中大パニックじゃない!!!」

 

 

「それがワポルの狙いさ。ヤブ医者はどんな状況でも必ず患者の元へやって来て傍迷惑な治療をする・・・そんなヤブ医者(バカ)の習性を利用して城にまで誘き寄せる!!それがワポルの罠なのさ」

 

 

それを聞いたナミとハニークイーンはワポルの卑劣な策に怒りを見せるが、Dr.くれはは既に知っていると言う顔で答えた。

 

 

「ヤブ医者の性格上、患者は絶対に見過ごせない。奴は毒に侵されながらも城へ向かい、罠に嵌った・・・」

 

 

「じゃあ・・・Dr.ヒルルクは・・・」

 

 

「ここからはワポルが出て行った少し前にドルトンから聞いた話になるよ・・・」

 

 

当時のドラム城に乗り込んだDr.ヒルルクは門前の前で待ち構えていたワポルやドルトン達兵士、健康なイッシー20達が並んでいた。

 

それを見て困惑するDr.ヒルルクにワポルが嘲笑いなが種を明かし、射殺を進めようと兵士達に指示を出そうとしたその時、Dr.ヒルルクが安堵の表情で膝を着いた。

 

 

──よかった・・・病人はいねェのか・・・

 

 

それを見た当時のドルトンやイッシー20達はDr.ヒルルクの危機的な状況でありながらも、患者を想う姿に動揺が走った。

 

しかし、そんな彼らを気にする事の無いワポルはドルトン達を無視して射殺を命じるが、Dr.ヒルルクはそれを無駄だと止め、ある言葉を放った。

 

 

──人は・・・()()死ぬと思う?

 

──心臓を(ピストル)で撃ち抜かれた時・・・・・・違う。不治の病に冒された時・・・・・・違う。猛毒キノコのスープを飲んだ時・・・・・・違う!!!

 

──・・・人に、忘れられた時さ・・・!!!

 

 

その言葉を聞いたドルトンは自分の心に深く刺さり、涙を流した。

 

ドルトンは先代国王の代からこの国に使える忠臣の守備隊長で、その先代国王からワポルの後見を託されていた。

 

責任感が強く、国民の幸せをいつも願い、ワポルの医者狩りと恐怖政治を快く思っていなかった。

 

それでもドルトンは耐え続け、なんとか政治を良くしようと、政府に留まって働いていた。

 

そのドルトンは泣きながらも、常日頃から考えてた事をDr.ヒルルクに尋ねた。

 

 

──国も・・・・・・同じだろうか・・・・・・?

 

 

──〝受け継ぐ者〟が・・・いりゃァな・・・

 

 

血筋の事じゃない。国が死ぬ時、それは国に住まう民がいなくなる時。無いものとして蔑ろにした時。

 

しかし、そんな心情で涙を流すドルトンをワポルは愉快そうに笑った。

 

ワポルにとっては医者狩りも、憲法も、政治も、全てが遊びで、本気ではなかった。

 

Dr.ヒルルクは海賊の様に何の信念もないブリキの王を哀れな目で見ながら、カバンからフラスコに入れたアルコールを愛用の盃にそそいだ。

 

そして此処に自分のバケモノ(息子)──チョッパーが来る事を・・・手を出すなと伝え、お前の毒じゃ俺は死なねェと心で語った。

 

 

──まったく!!!!いい人生だった!!!!

 

 

盃を天に掲げて高らかに宣言したDr.ヒルルクは、最後の杯をあおった直後、大爆発が起きて、ドラム城は爆煙に包まれた。

 

 

「──そうして・・・ヤブ医者は死んだのさ・・・・・・」

 

 

そう言って、Dr.くれはは全てを語り終えた。

 

話を聞いていたナミとハニークイーンはDr.ヒルルクの壮絶な最後に息を呑んだ。

 

人は死ぬ。善人も悪人も。たとえ人を救う医者であっても。

 

 

「その後すぐ、ロープウェーのケーブルを駆け登って来たチョッパーはヤブ医者の死を知った。そして怒りに我を忘れてワポルに襲いかかろうとした」

 

「だがドルトンがチョッパーを抑え、何とか思い留まらさて逃がしてくれたよ」

 

 

「残ったドルトンさんは・・・?」

 

 

「残ったドルトンは完全にワポルに愛想を尽かし、反抗したけど返り討ちにあって、1年近く牢にぶち込まれてたそうだよ」

 

 

「あのドルトンさんが?あんなに強そうなのに・・・」

 

 

「そりゃあ単純にワポルの方が強かった・・・だから負けたのさ」

 

「この国でワポルがやった医者狩りや恐怖政治は、ワポルの個人的な〝力〟に依存していたのさ・・・」

 

 

Dr.くれはがそう言った時、ルフィ達から逃げ回っていたチョッパーが血相を変えて部屋に飛び込んで来た。

 

 

「大変だ、ドクトリーヌ!!!」

 

「あいつが・・・・・・ワポルが帰って来た!!!」

 

 

「・・・・・・・・・そうかい」

 

 

チョッパーからの知らせを受けたDr.くれはは、ついに帰って来たかと静かに笑った。

 

 

 

 

 


 

side:マカハゼ

 

 

ドラム城に向かったワポル達を追って、ドラムロックへ向かうマカハゼ達。その道中でマカハゼはドルトンに気になっていた事を聞いてみた。

 

 

「そう言えばドルトン、村の連中はムッシュールってのにえらく怯えていたが・・・そいつは何をしたんだ?」

 

 

「・・・今から20年前・・・・・・ムッシュールがまだワポルと王子で当時の〝世界会議(レヴェリー)〟に先代国王が出席していた頃に起こった事件だ・・・」

 

ドルトンは雪上車を走らせながらムッシュールが起こした事件を語り始めた。

 

 

「ムッシュールはノコノコの実を食べたキノコの能力者で、その能力(ちから)を試したい誘惑に負けた奴は自身の能力で10年かけて育てた〝胞子爆弾(フェイタルボム)〟を1つの村で爆発させたんだ」

 

 

「え・・・?」

 

 

「村1つを・・・!?」

 

 

「その結果、村は毒胞子で壊滅し、その土地は毒の影響で10年も死の土地になってたんだ・・・っ!!!」

 

 

「ヒドイ・・・っ!!!」

 

 

それを聞いた一同・・・特にビビは、同じ王族が守るべき民を面白半分で手に欠けた事を信じられない顔で口を抑えた。

 

 

「当時は風の影響もあって毒胞子が国を覆う最悪の事態は避けられた。そして帰って来た先代国王が国民に詫び、ムッシュールを追放した」

 

「それからだ。ドラム王国が医療大国と名を馳せたのは・・・」

 

 

「ほぉ〜・・・そのムッシュールをワポルが連れて戻って来たって訳か・・・・・・」チラッ

 

 

ムッシュールの悪事に未だにショックが抜けないビビの様子をチラ見したマカハゼは、ムッシュールの能力を考察していた。

 

 

「・・・話を聞く限りムッシュールの〝胞子爆弾(フェイタルボム)〟は毒胞子を貯める時間が長い程が高くなるとして・・・もしそれが20年も使わずいて、威力が2倍になっていたら・・・」

 

 

「∑ウォイ!!もしそんなのがまた発射されたら・・・っ!!!」

 

 

「今度は村1つじゃ済まなそうだな・・・っ!!」

 

 

「私達も無事じゃいられないわねっ!!!」

 

 

マカハゼの考察にウソップは絶叫し、ゾロは笑いながら冷や汗を流し、ミキータは恐怖に顔を引き攣らせた。

 

 

「じゃっ弱点とかは無いのかッ!?」

 

 

「それなら1度、先代国王にムッシュールを何処に追放したかを聞いた事がある」

 

「先代国王曰く、他国に迷惑をかける訳にはいかないからと、胞子の力が半減する火の国キラウエアの王に頼み、火山洞窟に幽閉してもらったそうだ」

 

 

「なら安心だな。俺は火を扱う事が出来るフォームがあるから対処が出来るぜ」

 

(問題はムッシュールってのが()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()を感じた事だな・・・)

 

 

「・・・・・・」

 

 

「おいビビ・・・?」

 

 

マカハゼが《声》を聞いてた時に他の者達とは違う力を感じ、慎重になっているのを他所に、俯きながら震えているビビにウソップが声を掛けた。

 

 

「・・・国民を守る立場である王族が遊び半分で命を奪い・・・医者を独占して病人達を人質にとる政策・・・政治を・・・命を・・・国民を・・・国を何だと思っているのよ・・・・・・ッ!!!!」

 

 

同じ王族として・・・陰謀によって国が危機に瀕している状況を救おうとしている彼女にとって、ワポル達の悪業は許し難いものだった。

 

そんなビビの様子をドルトンやマカハゼ達は静かに見守る事しか出来なかった。

 

 

 

 

 


 

side:元ドラム城

 

 

「まーーはっはっはっはっはっはっ!!!見ろ、懐かしき我がドラム城を!!何もかもが元のままだ!!!さァ、ドラム王国の復活だァ!!!」

 

 

ビックホーン村からドラムロックを登って来たワポルは懐かしい自分の城を目にして、喜びの声を上げた。

 

その後ろからはムッシュールやチェスにクロマーリモ、兵士達が続々と続いて来た。

 

そんな中、チェスが城の頂点の国旗がある所に何かを見つけ、ワポルに報告した。

 

 

「ワポル様!!城のてっぺんに妙な旗が!!!」

 

 

「ん?」

 

 

ワポルがチェスの指差す方を見れば、本来ドラム王国の国旗がある場所に髑髏のマークに桜吹雪が描かれた海賊旗が掲げられていた。

 

 

「何だあの髑髏(ドクロ)の旗は・・・?ドラム王国の国旗はどうした!?」

 

 

「ヒーーーッヒッヒッヒッヒッヒ!!燃やしちまったよ、そんなモンは」

 

 

「「「「「!!!?」」」」」

 

 

ワポルの疑問に答えたのはドラム城から人型になったチョッパーと共に出てきたDr.くれはだった。

 

 

「ぬ!!!出ェたなDr.くれは!!!〝医者狩り〟最後の生き残り!!!この死に損ないめがっ!!!よくも俺の留守中に住み着きやがって!!!」

 

 

「留守中!?お前は国を捨て、海へ逃げただけだろ!!!それにこの城はね・・・ヒルルクの墓にしたんだ。お前らの様な腐った奴らが来る所じゃないよ」

 

「出て行きな、この国から!!お前達の居場所はもう何処にも無いよ!!!」

 

 

堂々とした立ち振舞でDr.くれははワポル達に言い放った。

 

 

「墓!?あの()()()()の墓だと!!?まっはっはっは!!!笑わせるな!!!!」

 

「チェス!!クロマーリモ!!あの死に損ないを始末しろ!!!」

 

 

「「御意!!!」」

 

 

「させるかァ!!!」

 

 

ワポルの指示を受けたチェスとクロマーリモは即座に動き出し、チョッパーもそれを向かい撃とうと前に出た。

 

しかし、クロマーリモはチョッパーに目もくれずにグローブから出したアフロをDr.くれはに飛ばした。

 

 

「先ずはお前からだ、Dr.くれは!!静電気(エレキ)マーリモ〟!!!」モコッ

 

 

「∑ドクトリーヌ!!!」

 

 

タンッ…!!

「ヘイヘイヘイアフロマン!!テメェ・・・レディに向かってアフロ飛ばすとはどんなブラザー(ソウル)だよ」

 

 

「ほっ」

 

 

しかし、ルフィの船長命令でチョッパーを仲間に勧誘しようと城内を走り回っていたサンジが外の騒ぎを聞き付け、間一髪の所でアフロを足で受け止めた。

 

 

「ヒッヒッヒッヒッヒ・・・やっと分かってきたかい?」

 

 

「ぬッ!?」

 

 

「何者だ、貴様ッ!?」

 

 

「ただの海賊さ・・・ん?」

 

 

大体の事情を把握したサンジが臨戦態勢に入ろうと足の爪先を軽く蹴った瞬間、違和感を感じて足下を見ればさっきのアフロがくっついていた。

 

 

「取れねェっ!!何だ、このアフロっ!!〝静電気〟か!!!」

 

 

「ムハハハハ、その通り!!まだまだ出るぞ!!〝静電気(エレキ)マ〜〜リモ〟!!!」

 

 

ふににっ!!!

「うわっ!!!」

 

 

「∑金髪ッ!!!」

 

 

クロマーリモの追撃のアフロを受けたサンジは、体が更にモコモコになり、チョッパーに助けを求めた。

 

 

「おいトナカイっ!!見てねェで助けろ!!!これ地味な癖に気持ち悪ィ!!!」

 

 

「よ・・・よしッ!!!」

 

ふにっ

「あああああ、俺にくっついた!!返す!!!」

 

 

「∑返すなッ!!1個ぐらい持ってろ!!!」

 

 

「何やってんだい、お前ら・・・・・・・・・!!!」(--;)

 

 

取ろうとしたアフロがチョッパーにくっつき、それをサンジに返し、更にチョッパーに返すの繰り返しコントを始めた2人にDr.くれはは呆れた。

 

そんなサンジ達の様子をチェスは嘲笑いながら火のついた矢を構えた。

 

 

「チームワークってのがねェな。言っとくがその〝静電気(エレキ)マーリモ〟・・・地味な割には良く燃えるんだぜ!!!」ギリリ…

 

 

「∑やべェ!アフロを燃やす気だ!!!」

 

 

「囮作戦だっ!!!」

 

 

「なるほど囮・・・∑って俺が囮かァ!!!」

 

 

「チェックメート!!!」ボウッ!!!

 

 

「∑熱イッ!!!雪っ雪っ!!!」

 

 

チェスの火の矢がくっ付いたアフロに盛大に発火し、サンジはそれを消そうと雪の上を転がった。

 

そのサンジを更に狙おうと油断したチェスに回り込んだチョッパーが拳を叩き付けようと飛び出た。

 

 

「この国から出て行けェ!!!」

 

 

「∑何っ!!!?」

 

 

「どけ、チェス!!!」ガバッ!!!

 

 

「!!!」

 

 

「ワポル様!!」

 

 

しかし、大口を開けたワポルがチェスを突き飛ばして前に出た事でチョッパーが食われてしまった。

 

 

「チョッパー!!!」

 

 

「しまった!!!」

 

 

「おいサンジー!!何かあったのかァー!?」

 

 

「ルフィ!!!」

 

 

そこへ騒ぎを聞き付けて駆け付けたルフィが出て来て、それを見たサンジはルフィに叫んだ。

 

 

「ルフィ!!!そこから俺の足を掴めるか!?」

 

 

「足ィ!?こうか!!?」ガシッ!!!

 

 

「よォし!!その手を離すなよっ!!!」

 

 

「〝空軍(アルメ・ド・レール)〟」グググッ

 

「〝ゴムシュート〟!!!!」ドシュン!!!

 

 

「∑んぬわァあぬいィ!!!」

 

 

「回転も加えてやる!!!」ギュルルル

 

 

ボゴォン!!!

 

 

「ブふゥッ!!!!」スポ〜〜ン

 

 

サンジの脚力の砲撃に回転を加えた弾丸(ルフィ)の突撃によって1度食べたチョッパーを吐き出し、ワポルは真後ろに吹き飛んで行った。

 

しかし、丁度吹き飛んで行った方向にワポルの毛カバのロブソンにぶつかり、そのままロブソンが代わりに吹き飛んで行った。

 

 

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!!」」

 

 

「フゥ・・・まずまズゥっ!!!?ビキッ!!!

 

 

「イッたか、背骨・・・・・・まぁ当然だね」( ¯ᯅ¯ )

 

 

空軍(アルメ・ド・レール)〟の影響で治療したばかりの背骨が再び悪化した事でサンジがダウンし、それを見たDr.くれはが呆れながら足で押さえ付けながらドクターストップした。

 

一方でチョッパーはルフィとサンジに礼を言い、ルフィは吹っ飛ばした相手がしぶとく残っている事に少し感心していた。

 

 

「あ・・・ありがとう。結構すげェんだな、お前達・・・」

 

 

「あいつまだ生きてるぞ!しぶてェなァ〜!!」

 

 

来たばかりのルフィは吹っ飛ばした相手──ワポルの元に手下らしき者達が駆け寄って行くのを見て敵だとすぐに理解した。

 

それと同時にワポルの一歩後ろの所で長身の男──ムッシュールが険しい顔で見ている事に気付いた。

 

 

「ワポル様ァ〜〜!!!」

 

 

「お気を確かに〜〜!!!」

 

 

「やってくれるじゃねェか・・・・・・3500万は伊逹じゃねェって訳か・・・・・・!!!」ギロッ

 

 

「?何か妙なのがいんぞ?」

 

 

「ん?」

 

 

「ワポル・・・手ェ貸そうか?」

 

 

「ペッ・・・いや。あんなガキ共、あんちゃんの手を借りるまでもねェ・・・・・・!!!」

 

 

ゆっくりと立ち上がりながら、ムッシュールの手助けを断ったワポルは怒りに満ちた顔でルフィ達を睨む。

 

 

「見せてやる・・・バグバクの実の真の力を・・・・・・!!!」

 

 

「何かするつもりだ・・・!!」

 

 

「油断しないこったね・・・」

 

 

「え?」

 

 

「 あいつらが本当に弱かったら医者の追放なんて馬鹿な真似・・・国民全員で止めてた筈さ・・・!!それにあの男・・・ワポルの兄ムッシュール!!!ノコノコの実の能力者だよ」

 

 

「ノコノコ・・・・・・キノコ!!!」

 

 

ワポル率いる元ドラム王国軍VS〝麦わらの一味〟&トニートニー・チョッパーの戦いが始まろうとしていた・・・・・・。

 

 

 

 

 

〜END〜



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〝信念の象徴〟

side:ドラム城

 

 

「チェス・・・!!今朝からの俺様の献立を言ってみろ・・・」

 

 

「はっ!!・・・え〜〜〝大砲のバターソテー〟1門に〝生大砲〟1門、〝砲弾と火薬のサラダ〟に村で〝焼きハウス〟1軒分となっておりますが」

 

 

「いや何食ってんだよ、お前」=͟͟͞͞(꒪⌓꒪;)引。

 

 

「そう言ってられるのも今のうちだ・・・!!!」ニィッ

 

 

チェスが答えたワポルのありえない献立に流石のルフィもドン引きし、ワポルは笑みを浮かべながら能力を発動した。

 

 

食物はやがて血となり肉となる・・・!!!〝バクバク(ショック)〟!!!!『ワポルハウス』!!!」

 

 

「∑家!!?スゲーーーーっ!!!」

 

 

「∑スンゲェーーー!!!」

 

 

能力を発動したワポルの肉体が徐々に変化していき、両腕は大砲に、体全体は家のフォルムに変化していく。

 

ワポルはバクバクの実の雑食人間。その能力(ちから)は動物から無機物といったこの世のあらゆる物質を食す事ができ、その食べた物質の特性を肉体に反映する事が出来る。

 

その能力(ちから)でワポルは自分の肉体を家の形に、両腕を大砲に変える事で強力な力にする事が出来る。

 

それを見たルフィと初めて見た兄のムッシュールは驚きと興奮で声を上げた。

 

そんな様子を見たワポルは悦に浸りながら、自信が定めた憲法を語った。

 

 

「ドラム王国憲法第1条『王様の思い通りにならん奴は死ね』!!──これがこの国の全てだ!!!」

 

「なぜならこの国は俺の国で・・・この城は俺の城だからだ!!」

 

 

ワポルは自分で勝手に変えたと分かる身勝手で理不尽な憲法を語り、大砲に変えた右手をDr.ヒルルクの海賊旗に向けた。

 

 

「それをよりによって、あんなヘボ医者の旗なんぞかがげるんじゃねェよ!!!」

 

「城が腐っちまうぜ!!!」ドゥン!!!

 

 

ゴゥン!!!

 

 

「え!?」

 

 

「海賊旗・・・」

 

 

ワポルがDr.ヒルルクの形見である海賊旗をポールごと撃ち落とされ、爆煙の中に消えていく様をチョッパーは顔を蒼白させた。

 

一方で城の海賊旗に初めて気付いたルフィはその存在に不思議と思い、隣にいるチョッパーを見た。

 

 

「おいトナカイ、あの旗・・・」

 

 

「Dr.・・・」

 

 

「・・・・・・」

 

 

それを見たルフィは何も言わず、その場から消えた。

 

 

「まーっはっはっは!!ざまァねェな!!!」

 

 

一方で海賊旗を撃ち抜いたワポルは、愉快で堪らないといった様子で腹を抱えた。

 

そんなワポルにチョッパーは怒りの声を上げた。

 

 

「何してんだ、お前!!Dr.の髑髏に!!!」

 

 

「はァ?なんだそりゃ・・・・・・まははははは!!!」

 

 

そう言ってワポルは嗤った。ヒルルクのというヤブ医者を、ヒルルクという人間を、ヒルルクという信念を嗤い飛ばした。

 

ワポルにとって人の記憶は簡単に消せるもの。人は思い出す切っ掛けを奪えば、簡単に忘れる生き物。

 

何も催眠術といった技を使わなくても、人間は殺せる。()()()()()()()()

 

5年前、自分の手で殺し損ねた忌々しいヤブ医者のヒルルクを、ワポルはここで殺して見せた。

 

 

「おい、カバ口!!」

 

 

「ん!?」

 

 

自分を妙なあだ名で叫ぶ声に、ワポルはムッとなって声の主を探した。

 

その声の主──ルフィは城の上にいた。

 

 

「〝麦わら〟!?」

 

 

「お前・・・・・・この旗を撃った意味、分かってんだろうな?」

 

 

ルフィは1度は撃ち落とされた旗を持ち、ポールをもう一度塔の上に突き立てた。

 

Dr.ヒルルクの信念──〝髑髏の桜〟の海賊旗は、再びドラムの空に翻った。

 

 

「あいつ・・・」

 

 

チョッパーは撃ち落とされたDr.の形見を掲げた、患者を連れて来ただけの麦わらの海賊を仰いだ。

 

 

「その()()()()だと・・・・・・まっはっはっは!!知るか、流れ者のカバ海賊がァ!!!」

 

「そんなアホな海賊の飾りに、意味なんぞあるか!!」

 

 

「ならお前はとんだヘナチョコだな!!!」

 

 

カッチーン!!

「∑あァ!?海賊が王である俺様にふざけた事を言いやがって・・・!!!」

 

「貴様が一々立て直したその目障りな旗ごと──」ガツーン!

 

 

「お前なんかに・・・・・・」

 

 

「何度でもブチ折ってやるぞ、間抜けがァ!!!」ドゥン!!!

 

 

「お前なんかに折れるもんか!髑髏のマークは──」

 

 

「避けろ、お前ェ!!!」

 

 

「──〝信念〟の象徴なんだぞォ!!!!」

 

 

ドゴォォン!!!

 

 

「!!!」

 

 

「ルフィ!!!」

 

 

「直撃したよ・・・!!」

 

 

ルフィの叫びと同時にワポルの砲弾が直撃し、海賊旗ごと爆煙に包まれ、それを見たチョッパー達は悲痛の声を上げた。

 

 

「まっはっはっは!!吹き飛んだか、カバめ!!!まっはっはっはっは、ワポちゃんぺ!!!」

 

 

一方で目障りな海賊をヤブ医者の海賊旗ごと吹き飛ばしたワポルは大満足の笑みを浮かべ、その配下や兵士達にムッシュールも完全に死んだと確信して笑っていた。

 

しかし、次第に晴れていく爆煙からボロボロになりながらもDr.ヒルルクの信念──〝桜吹雪の海賊旗〟を確り掲げていた。

 

 

「むっ?」

 

 

「「∑なッ!!!?」」

 

 

「───っは・・・・・・∑ははァっ!!!??」

 

 

「ほらな・・・・・・折れねェ」

 

 

「馬鹿な・・・・・・!!!」

 

 

「イカれてやがる!!!」

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

Dr.ヒルルクの海賊旗(信念)を持って断言するルフィにチェスとクロマーリモは怯み、ワポルは満面の笑みから驚嘆の顔に、ムッシュールは静かにルフィを見据えた。

 

ムッシュールから見てもルフィが同じ能力者なのは分かり、今の砲撃を躱すのは簡単な事だった。

 

しかしルフィは避ける事をせず、海賊旗を守る為に敢えて砲撃を受けた。

 

 

「これが一体何処の誰の海賊旗かは知らねぇけどな・・・・・・」

 

「これは()()()()旗だから・・・冗談で立ってる訳じゃねェんだぞ!!!」ギロッ

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

「お前なんかが・・・へらへら笑ってへし折っていい旗じゃないんだぞ!!!!」ドン!!!

 

 

ドクンッ!!!

 

 

ドサッドサドサッドサ・・・・・・

 

 

ルフィの怒りの咆哮を真正面から受けたワポルやムッシュール、チェスとクロマーリモを除く全ての兵士達が泡を吹いて次々と倒れていった。

 

 

「ウオォォ・・・・・・!??」

 

 

「兵士達が全滅・・・・・・!!?」グラッ

 

 

「何を勝手に気絶しとんだ、カバ共ォ!!!(怒)」

 

 

「あの小僧・・・・・・!」

 

 

自分の軍隊が突然の全滅で困惑するワポル達と同じ様に、1度同じ現象を見てたサンジやDr.くれはも困惑していた。

 

 

「まただ・・・ローグタウンの時と同じ・・・・・・!!?」

 

 

「あの若造・・・〝覇王色(はおうしょく)〟を・・・・・・!!」

 

 

「?()()()・・・・・・?」

 

 

サンジはDr.くれはが呟いた〝覇王色〟という言葉を聞き、首を傾げ、彼女を見る。

 

しかし、周囲が慌てふためく中でチョッパーだけはルフィから目を離す事はなかった。

 

 

(これが海賊・・・・・・!!!)ゾクッ

 

 

チョッパーがこれまでに見てきた海賊は、圧倒的な力でドラム王国を滅ぼした〝黒ひげ海賊団〟の1つだけ。

 

そしてもう1つ。ワポルの攻撃で折られかけた海賊旗を庇い、ワポル達に叫びだけで器と格の違いを見せつけた〝麦わら帽子の男〟。

 

その男こそが、かつて大好きだったDr.ヒルルクの言っていた〝信念〟をその胸に抱く海賊だと心から理解した。

 

 

(すげェ・・・・・・!!!)

 

 

一方でルフィの怒りの咆哮でチェスとクロマーリモを除いた全ての兵士達が使えなくなったワポルはイラつきながら、残った2人に命令を出した。

 

 

「チェス!!クロマーリモ!!サッサと奴を始末しろ!!!」

 

 

「「はっ・・・ははァッ!!!」」

 

 

「まぁ待て、ワポル・・・」

 

 

「ん?」

 

 

ワポルの命令に待ったをかけたのはルフィの怒りの咆哮──〝覇王色〟を見てじっとしていたムッシュールだった。

 

 

「お前は先に城に入って()()をしてろ。俺は〝麦わら〟と遊んでくる・・・」シュンッ

 

 

ワポルにそう言ったムッシュールは一瞬でルフィが落ちかけた海賊旗を刺し直した塔に移動して攻撃した。

 

 

「〝スピンドリル〟!!!」

 

 

「!?」

 

 

突然の奇襲を避けるルフィを逃す事無く、ムッシュールは茸傘の頭から菌糸の弾丸を浴びせた。

 

 

「〝傘乱舞(シェードダンス)〟!!!」

 

ドシュシュシュシュッ!!!

 

 

「うわぁぁぁッ!!!」ドシャァン!!!

 

 

「∑〝麦わら帽子〟!!?」

 

 

ムッシュールの追撃で塔から叩き落とされたルフィを心配するチョッパーだが、当の本人は無傷で立ち上がった。

 

 

「俺は平気さ・・・()()だから」(*`∀´*)ニカッ

 

 

「ご・・・ゴム?」

 

 

「あぁ・・・要するに・・・・・・バケモノさ!」

 

 

「バケモノ・・・・・・?」

 

 

Dr.くれはに抑えられたサンジが自分の仲間を笑いながらバケモノと呼び、それを否定しないルフィを戸惑いながら見ていた。

 

しかしそんな隙をムッシュールは見逃さなかった。

 

 

「隙アリィッ!!!」

 

 

「危ないッ!!!」

 

 

「!!」

 

 

Dr.くれはの警告で攻撃を間一髪で避けたルフィはすぐに距離をとった。

 

 

「ムーッシュッシュッシュ!!よく避けたな!!!3500万は伊達じゃないってか!!!」

 

「だが!!避けてばかりじゃ俺には勝てんぞォ!!?」

 

 

「ニャロっ!!!」ダッ!!!

 

 

ムッシュールの挑発にルフィはイラッとしながらも駆け出して拳を繰り出し、対するムッシュールも自身の拳をぶつけた。

 

数秒ほど互いの拳をぶつけたその直後、2人の蹴りと拳の応酬が始まった。

 

しかし、互いの実力はムッシュールの方に軍配が上がっていた。

 

 

「オイオイ!!まさかこの程度か!?」ドゴッ!!

 

 

ググッ

「打撃なんざァ・・・効くかァ!!!」

 

 

「みたいだな」

 

「なら・・・これならどうだ!!!」バキィッ!!!

 

 

「!!?」

 

 

そう言ってムッシュールは拳を再びルフィの顔面に当てた。当たる寸前ルフィはゴムだからと絶対の自信で受け止めた。

 

しかし、結果は全くの逆だった。

 

 

「痛ッ・・・・・・テェ〜〜〜!!!!」

 

「何でだ!?俺ゴムなのにッ!!??」

 

 

実際に拳を受けた本人(ルフィ)は5mほど吹っ飛んだあと、殴られた顔を抑えながら狼狽えていた。

 

ムッシュールはそんなルフィの隙を逃す事なく、殴打と蹴撃の雨をルフィに浴びせた。

 

その打撃の雨はゴム人間のルフィに着実に傷を増やしていた。

 

それを見ていたサンジもルフィが打撃で傷を付け始めた事に驚きを隠せなかった。

 

 

「嘘だろ!?ルフィはゴム人間だぞ!?ゴム人間に打撃が通じる訳が・・・・・・」

 

 

「ムッシュールの奴、〝()()〟を使えるみたいだね・・・」

 

 

「〝()()〟!?何か知ってんのか、婆さん!!?」

 

 

メキッ!!!

 

 

「〝覇気〟ってのは人間なら誰でも持っている秘められた力の事さ・・・但し、大半の人間は〝覇気(それ)〟を使う事無く一生を終えるけどね」

 

 

「・・・・・・・・・・・・!!!」チーーン

 

 

「ドクトリーヌ、そいつ聞こえてねェ」(⚭-⚭ს)

 

 

サンジの婆さん呼びを聞いて一瞬で〆たDr.くれはは再び〝覇気〟の説明に入った。

 

 

「〝覇気〟を使える利点は相手の動きが読めたり《声》が聞こえたり、能力者に攻撃を当てる事が出来る事だよ」

 

 

「《声》って・・・・・・」

 

 

Dr.くれはの説明を聞いたサンジは自分が見て、仲間達に聞いていたマカハゼの開花した妙な力を思い出していた。

 

クジラのラブーンの《声》を聞いたり、賞金稼ぎ達の位置を把握したり、追っ手のエージェントの攻撃を少しもカスリもせずに避けれる事が出来た。

 

 

マカハゼ(あいつ)の妙な力はその〝覇気〟ってやつなのか・・・)

 

「じゃあルフィに打撃が効いてるのも・・・!」

 

 

「あぁ、〝覇気〟の一種だよ。それを使えばああやって能力者に有効打を与える事が出来るんだよ」

 

 

そう言ってDr.くれははルフィとムッシュールの戦いに目を向けた。

 

〝覇気〟を使うムッシュールにルフィは苦戦を強いられ、思うように攻撃が出来ないでいた。

 

 

「そして基本的な〝覇気〟とは違うもう1つの〝覇気〟・・・〝覇王色(はおうしょく)の覇気〟があってね。それを持つ人間は数百万人に1人しか居ない王の素質だ」

 

「それを受けた者はまるで王にひれ伏す様に気絶しちまうのが特徴でね・・・ちょうどワポルの兵士達がああなっているのがそれさね」

 

 

「〝覇王色の覇気〟・・・・・・」

 

 

Dr.くれはの説明を聞いたサンジは今目の前で戦っている〝王の素質〟を持つ自身の船長ルフィとゴム人間(ルフィ)に傷を与える事が出来るムッシュールを凝視していた。

 

その2人は未だに目の前で戦闘を繰り広げていた。

 

 

「〝大増殖(ロット・ステイフィン)〟!!!」

 

 

ドガガガガガッ!!!

 

 

「クッ・・・!〝ゴムゴムの銃乱打(ガトリング)〟!!!」

 

 

ムッシュールは菌糸を使って分身を生み出し、ルフィタコ殴りにした。しかしルフィは殴られながらも拳の連打を浴びせ、分身を一掃して本体に襲いかかった。

 

しかしその本体と思っていた人型も菌糸の分身だった。

 

 

「〝ゴムゴムの銃弾(ブレット)〟!!!」

 

 

バフンッ!!!

 

 

「残念!!〝スピンドリル〟!!!」ドシュッ!!!

 

 

「∑うわぁッ!!!」

 

 

背後からの奇襲で10m以上も転ばされたルフィは直ぐに立ち上がろうとする。

 

 

「クソ・・・何であいつの攻撃が痛ェんだ!?俺ゴムなのに!!?」

 

 

「ムッシュッシュッシュ!!〝覇王色〟を持っている事に驚きはしたが、目覚め始めたばかりの力など恐れる事は無い!!走菌糸(ラン・ハイファー)!!!」

 

ボファァンッ!!!

 

 

「うわぁぁぁッ!!!」ガチィン!!!

 

 

「「うおっしゃァァァッ!!!」」

 

 

ルフィがムッシュールの特製茸に閉じ込められたのを見たチェスとクロマーリモはチャンスとみて襲いかかった。

 

しかし、その軽率な判断が自分達の命を落とす結果に変わった。

 

 

「〝雪胞子(スノウ・スポール)〟!!!」

 

 

「「え?」」

 

 

ズオォォォォッ!!!

 

 

自身の体から紫色の胞子を放出したムッシュールは拘束したルフィとその範囲に入った2人に向けて浴びせた。

 

その胞子を浴びたチェスとクロマーリモは喉を押さえて苦しみながら膝をつき、倒れた。

 

そんな2人にムッシュールは驚きながらも冷めた目で吐き捨てた。

 

 

「馬鹿共が・・・俺の()()()を自分から当たりに来やがって・・・」

 

 

「∑毒胞子!!?」

 

 

「嘘だろ・・・!!ルフィ〜〜〜!!!」

 

 

拘束されたまま毒胞子を浴びてしまったルフィに叫ぶサンジ。しかしルフィはサンジの叫びに反応すること無くグッたりとしていた。

 

 

「ムッシュッシュッシュ!!お前が俺様と戦うにはまだ時期が早かったな・・・・・・ん?」

 

 

「ウオォォォォッ!!!」

 

 

「チョッパーーッ!!!」

 

 

「ムーーッシュッシュッシュッシュ!!!」

 

 

ルフィがやられたのを見たチョッパは人型となり、ムッシュールに挑みに向かった。

 

ムッシュールはそんなチョッパーを嘲笑いながら迎え撃つ構えをとった。

 

 

 

 

 


 

side:城内

 

 

「全く、バカ兄貴め・・・!!」

 

 

一方でムッシュールに砲撃の準備を頼まれたワポルは全員が兄ムッシュールと〝麦わら〟の戦闘に集中している隙にドラム城に侵入していた。

 

 

「〝胞子爆弾(フェイタルボム)〟を撃ち込めば1発でケリがつくッてのに・・・・・・!!」

 

 

ワポルは〝麦わら〟と戦いを楽しんでいる兄ムッシュールにブツブツと文句を吐き捨てながら、特性の大砲へ繋がる階段へ進んでいた。

 

すると2階の扉の一つが開き、見覚えのない2人の女が出て来た。

 

 

「うるさいわね・・・何の騒ぎかしら?」

 

 

「出ちゃダメよナミ!貴女はまだ安静にしてなきゃダメなんだから!!」

 

 

部屋から出てきたのは安静にしているはずのナミと回復して看病に回っていたハニークイーンの2人だった。

 

外の騒ぎが気になったナミが確認しようとし、ハニークイーンはそれを止めようとした所を目撃したワポルは2人が〝麦わらの一味〟だと察した。

 

 

「おい貴様らァ!!」

 

 

「「ん?」」

 

 

「この国の国王である俺様の城を無断で使用するとは・・・さては〝麦わらのルフィ〟の部下だな!!?」

 

 

「ううん全っ然、違うわよ?何の事だかさっぱり分からない!!ね、ハニークイーン」

 

 

「そうそう!!私達はただの患者ですよ!!」

 

 

((あれは間違いなく悪党の顔!!!))

 

 

ワポルの悪人面を見た2人は即座に否定して必死に誤魔化した。

 

 

「何っ?そうなのか?」

 

 

「そうそう!私は旅人の航海士よ!!」

 

 

「私は彼女の旅仲間よ!!」

 

 

「そりゃ悪かったな、じゃ!」ꉂ(ˊᗜˋ*)ヶラヶラ

 

 

「「バイバイ」」

 

 

サヨナラを言ってやり過ごそうとしたナミとハニークイーン。しかしワポルは無言で柱をよじ登って2階へと上がってきた。

 

 

「嘘つけェッ!!!」( ๑º言º)

 

 

「「イヤァァァァッ!!!」」

 

 

ワポルに怒涛の勢いでナミとハニークイーンを追い掛けた事で、城内の鬼ごっこが始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

〜END〜



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崩れる王国

side:城の門前

 

 

「たくよォ・・・大した実力もない癖にかかって来やがって・・・・・・」

 

 

ルフィを毒胞子で封殺したムッシュールは自信に向かって来たチョッパーをブチのめし、圧勝した。

 

 

「それににしても・・・何なんだ、この生き物は?」

 

 

初めて見る生き物であるチョッパーをやっと起き始めた兵士達に聞いた。

 

 

「5、6年ほど前にこの国を騒がせた化け物です・・・・・・」

 

 

「ほぅ・・・・・・化け物ねェ?おかしな生き物がいたもんだ・・・俺も似た様なもんだからなァ・・・同情するぜ!親からも疎まれ、1人孤独で哀れな人生を送って来たんだろう・・・」

 

 

そう言ってムッシュールはチョッパーに同情の言葉をかけつつ、軽蔑の目を向けた。

 

その直後、倒れていたチョッパーがゆっくりと立ち上がり、血に染った雪を握り締めた。

 

 

「ううっ・・・・・・」

 

 

「オイオイ、まだやるつもりか・・・?たった1人で・・・何が出来るってんだ、オイ・・・」

 

未だに立ち上がるチョッパーにムッシュールは呆れた様に吐き捨てる。

 

そんなムッシュールをチョッパーは満身創痍で弱りつつ睨みつける。

 

 

「ドクターの旗に誓い・・・俺は医者として・・・この国を救う!仲間なんかいなくったって・・・俺は「仲間ならいるさ・・・」!!?」

 

 

チョッパーがそう言い切る前に力強い声が上がった。声の主はムッシュールの〝走菌糸(ラン・ハイファー)〟の拘束から抜け出したルフィだった。

 

 

「俺が、仲間だァ!!!」

 

 

「お前・・・・・・」

 

 

ムッシュールの毒胞子で虫の息になりながらもチョッパーと共に戦う覚悟を見せるルフィ。

 

化け物と呼ばれ、人間とは違う存在である自分を仲間だと言い張るこの男。

 

チョッパーはそんなルフィを見て、心の何処かである種の感動に振るえていた。

 

 

「ムッシュッシュッシュッシュ・・・・・・俺の毒胞子をくらってまだ生きてられるとは・・・流石は〝覇王色〟の保持者。だが俺の毒胞子は見せかけじゃねェ・・・立っているだけで精一杯のハズ」

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

キノコの檻を破ったものの、ルフィの顔は青ざめ、みるみる精気を失っていく。

 

それでもルフィの目は戦意が消えず、心も折れていなかった。それを察したムッシュールはルフィを完全に消し去ると心に決め、構えをとった。

 

 

「仕方ない・・・そのしぶとさに敬意を表し、とどめを刺してやる!」

 

 

「やめろォ・・・!!」

 

 

「くたばれェ!」

 

 

「〝火炎星(かえんぼし)〟!!」

 

 

ボシュッ!!!

 

 

「∑アッッツウゥゥゥッ!!!?」

 

 

ルフィに攻撃をしようとしたムッシュールは完全に死角の後ろからの奇襲で火達磨になり、雪の上を転がり回っていた。

 

一部始終を見ていたサンジが火種が飛んできた方向を見たら、そこにはパチンコを構えたウソップとビビ達がいた。

 

 

「∑ウオォォっ!!!ビビちゅわぁぁん!!ミキータちゅわぁぁん!!」

 

 

「「「∑イヤ俺達を無視すなァ!!!」」」

 

 

そんなやり取りに反応しなかったマカハゼは解毒剤を持ってルフィの元へ、ドルトンは兵士達の元へかけて行った。

 

 

「ルフィ!解毒剤だ、飲め!!」

 

 

「∑ウゴゴゴッ!!?」ゴクンッ!

 

 

マカハゼはルフィの口を無理矢理こじ開けて解毒剤を飲み込ませた。

 

一方でワポルの兵士達は突然現れた海賊達に銃の標準を向けたが、ドルトンが立ち塞がった。

 

 

「待てェ!!!」

 

 

「ドルトン!!」

 

 

「ドルトンさん・・・!?」

 

 

「まだ分からないのか、お前達!!この国にとって今一体何をすべきなのかを!!!嘗てこの国を思い、此処で1人死んだ男がいた!!お前達もそれを見ただろ!!?」

 

 

「「「・・・・・・・・・」」」

 

 

「力で捻じ伏せられる時代はもう終わった!!ワポル達はこの国にいてはいけないのだ!!!」

 

 

「「「・・・・・・・・・」」」

 

 

ドルトンの心からの叫びを聞き、かつて自分達の前で死んだヤブ医者の優しさと覚悟を思い出し、兵士達は持っていた武器を投げ捨てた。

 

しかしそこで火達磨になっていたムッシュールが火を消して立ち上がった。

 

 

「クソっ!!雪のおかげで助かったぜ・・・このカバ野郎共がァ!!!」

 

 

《Are You Ready?》

 

 

「んんッ!!?」

 

 

「変身ッ!!」

 

 

ガシィン!

 

 

《WAKE UP DRAGON!》

 

《GET CROSS-Z DRAGON!》

 

 

《イェーイ!!》

 

 

「さァ・・・続きをやろうぜ・・・・・・!!」

 

 

マカハゼから解毒剤を飲ませて貰ったルフィは仮面ライダークローズに変身し、ムッシュールの前に立ち上がった。

 

そしてビルドドライバーを回し、強力な一撃を浴びせた。

 

 

グルグルグルグル!

 

《Ready Go!》

 

 

《ドラゴニックフィニッシュ!!》

 

「〝ゴムゴムの龍の銃(ドラゴンピストル)〟!!!」

 

 

ドゴォォォン!!!

 

 

「∑ホグゴォッ!!?」

 

 

クローズ(ルフィ)〝ゴムゴムの龍の銃(ドラゴンピストル)を受けたムッシュールは城壁まで吹き飛ばされた。

 

 

「クソっ・・・何なんだ、今のは・・・!!」

 

 

吹き飛ばされたムッシュールは何が起こったのか訳が分からず、姿を変えたクローズ(ルフィ)を見た。

 

まるで男心を揺さぶる様な姿に変身したクローズ(ルフィ)が〝覇気〟を使う自分を簡単にのした事が信じられなかった。

 

ムッシュールは知らないが仮面ライダーになった事で唯でさえ常人離れしたルフィの力が上昇され、パンチ力やキック力は軽く50tを超えていた。

 

それに仮面ライダーとゴムゴムの実が加わった必殺技は更なる威力が発揮し、ムッシュール程度の〝覇気〟では防ぎきれない。

 

ルフィは勿論、ムッシュールもそんな事は分かっていない。ただ倒したと思った相手が更なる力を持って復活した。

 

そんな理不尽な〝強さ〟が現実として、自分を倒す敵として立ちはだかった。

 

 

「〝傘乱舞(シェードダンス)〟!!」

 

 

《ドラゴニックフィニッシュ!!》

 

「〝龍の鞭(ドラゴンウェイプ)〟!!」

 

 

「∑何ィッ!!?」(  Д ) ⊙ ⊙ナニィ!

 

 

ムッシュールが放った無数の弾丸はクローズ(ルフィ)龍の鞭(ドラゴンウェイプ)によって木の葉の様に散った。

 

しかし、蹴散らして着地したクローズ(ルフィ)は毒胞子が僅かに残っているのか、体が少しよろけた。

 

 

「うおっ!?」

 

 

「そうとも!!まだ毒が残っているハズ!!!」

 

 

そう言ってムッシュールは拳を向けて飛び掛り、対するクローズ(ルフィ)も拳をぶつけて応戦。

 

そこからは正に拳と蹴りの激しい応酬だった。

 

ワポルと同じくらい強く、恐ろしいムッシュールと互角にやり合っている海賊。それを見ていた兵士達も次第にクローズ(ルフィ)に声援を上げ始めた。

 

 

「や・・・やっちまえェ、〝麦わら〟ァ!!」

 

 

「ムッシュールをぶっ倒せェ!!!」

 

 

「「キャアアアアアアッ!!!」」

 

 

「∑悲鳴ッ!?」

 

 

「∑ナミさん!!ハニー《ゴキッ!》∑ぢゃあぁッ!!?」

 

 

「城の中から・・・しまった!!ワポルがいない!!!」

 

 

城内から2人の悲鳴が聞こえた事でワポルがいない事に気づいたチョッパーは急いで城内へ入り、ウソップ達も後に続いた。

 

城内の吹き抜けのホールの2階の廊下にいたナミとハニークイーンを見つけ、ウソップ達はほっとした。

 

 

「おーーい!!ナミ〜〜!!ハニークイーン!!」

 

 

「あ、みんなァ〜〜!!」

 

 

「良かった!治ったのね!!」

 

 

ナミが元気よく声を掛ける姿を見て、ビビとミキータは少し安堵し、チョッパーはワポルを見なかったかを聞いた。

 

 

「なぁオイ!!ワポルが何処に行ったか知らないか!?」

 

 

「ワポル・・・あぁ!さっきの変な奴!!」

 

 

「それなら上階の方へ行ったわ。大砲が何とかって・・・」

 

 

「大砲・・・一体何を始めようってんだ?」

 

 

「大砲・・・まさか!!」

 

 

半年間この城に住んでいたDr.くれはとチョッパーは大砲に心当たりがあるのか、少し青ざめていた。

 

 

 

 

 


side:クローズ(ルフィ)

 

 

「〝スピンドリル〟ッ!!」

 

 

「〝ゴムゴムの回転弾(ライフル)〟!!」

 

 

ドガァァン!!!

 

 

「「オラァァァァァァッ!!!」」

 

 

ドガガガガガガガッ!!!

 

 

ワポルを追って城内へ向かったチョッパー達をよそに、クローズ(ルフィ)とムッシュールの戦いは続いていた。

 

〝覇気〟を使うムッシュールに苦戦しつつ、変身したクローズ(ルフィ)は確実に追い詰めていた。

 

 

(クソ!!何なんだ、コイツは!?)

 

 

ムッシュールは姿を変えて自分とやり合っている目の前の海賊(ルフィ)にイラついていた。

 

ドラム王国を追放されて20年間、ムッシュールは自信が弱る火の国で生き続け、〝覇気〟を使える様になるまでになった。

 

弟のワポルが迎えに来て、故郷に戻る道中で遭遇した海賊を簡単に潰せた。

 

なのに目の前の男は1度自分の毒で死にかけたのに、鎧の様な姿に変えて自分とやり合っている。

 

 

「オゥラァァッ!!!」ボゴォン!!

 

 

「∑ガァァッ!?」

 

 

グルグルグルグル!

 

 

《Ready Go!》

 

 

「〝ゴムゴムのォ〟!!」

 

《ドラゴニックフィニッシュ!!》

 

龍の大砲(ドラゴンバズーカ)!!!」

 

 

バゴォォォォン!!

 

 

「・・・・・・・・・・・・!!!」

 

 

クローズ(ルフィ)〝ゴムゴムの龍の大砲(ドラゴンバズーカ)をくらったムッシュールは城にある塔の最上階まで吹き飛んだ。

 

 

「∑あっ兄貴!?」

 

 

その塔の最上階にはムッシュールの胞子爆弾を発射する為の大砲の準備をしていたワポルがいた。

 

 

「嘘だろ、兄貴がヤられちまった!!?もう大砲の準備が出来てんのに・・・・・・!!」ニヤァ

 

 

ムッシュールが負けた事で慌て始めたワポル。しかし大砲とムッシュールを交互に見て何かを思いつき、邪悪な笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 


side:チョッパー

 

 

「あの部屋だ!!」

 

 

チョッパー達がワポルを追って塔の最上階に辿り着いた時、待っていたのは高笑いする未曾有の敵だった。

 

 

「「見よ!これぞ三位一体の究極合体!!」」

 

「「ムッシュール・ワポル大砲(キャノン)!!!」」

 

 

「だと思った!!」

 

 

チョッパー達の目の前にいたのはワポルの能力で大砲と実の兄であるムッシュールを喰らい、人間兵器と化したワポルの姿だった。

 

 

「オイオイ、実の兄貴を食っちまったってのか!?」

 

 

「「その通り!!コレで20年前と同様・・・いや、それ以上の威力を持った〝胞子爆弾(フェイタルボム)〟を撃ち込むのさ!!」」

 

 

「バカなマネはよさないかい!!そんな事をすればどうなるか・・・!!」

 

 

「「そう!全国民を殺し、浄化するのさ!!!」」

 

 

「何ですって・・・!?」

 

 

「「国民の選別なんてまどろっこしい真似はやめだ!!この国が俺の物であればいいんだ!!!」」

 

 

自分が王である為に全ての国民を殺す───あまりにも身勝手で子供の様な癇癪を平然と言い放つワポルに誰もが空いた口が塞がらなかった。

 

 

「ふざけるんじゃないわよ・・・!!」

 

 

そんな中、ビビが前に出ながら静かに呟いた。

 

 

「全ては自分が王である為・・・その為なら国民を殺しても良い・・・?そんなの王のする事じゃない・・・!!!」

 

 

「「あぁん?」」

 

 

「あんたの様な人間のクズは、王になる資格なんて最初っからないわよ!!!!」

 

 

「ビビ・・・」

 

 

治める国は違えど、同じ王族の人間として、ワポルの最悪な行為にビビは我慢の限界だった。

 

一方でビビの怒りに気圧されながらも、ワポルは逆ギレを起こし、ビビを始末しようとした。

 

 

「「ならばお前から先に消してやるわァ!!!」」

 

 

「させるかァ!!〝ランブル〟!!」カリッ

 

「〝重力強化(ヘビーポイント)〟!!」

 

 

丸薬を食べたチョッパーが人型の姿でワポルの腕を掴み、起動をずらした。

 

 

「〝脚力強化(ウォークポイント)〟!!」

 

 

そして本来の姿である獣型に変わり、ワポルの周りを駆け回る事で翻弄する。

 

 

「〝飛力強化(ジャンピングポイント)〟!!」

 

 

「「は!?」」

 

 

そしてチョッパーはワポルが見た事の無い姿になった事に虚をつかれ、チョッパーを完全に見失ってしまった。

 

本来動物(ゾオン)系の能力は人型・獣型・人獣型の3つの変形を持っており、それ以外の変形はありえない。

 

しかしチョッパーはDr.くれはの元で医術を学び、独自の研究を進めた事で4つの変形点をみつけ、7段変形を編み出す事に成功した。

 

 

「〝腕力強化(アームポイント)〟・・・!!」

 

 

「「なっ・・・」」

 

 

「〝刻蹄・(ロゼオ)〟!!!」ベコォォン!!

 

 

「「ホガァァッ!!!」」

 

 

桜のように割れた蹄の強力な一撃を貰ったワポルは天井高く打ち上げられ、そのまま屋根を突破った。

 

その一撃はワポルの意識を刈り取ったものの、カチリという不気味な音が響き、轟音が鳴り響いた。

 

 

「あれがそうか・・・」

 

 

しかしそれを城の屋根から確認していたマカハゼが〝消防車フルボトル〟を挿した〝ボトルガントレット〟を構え、〝マルチデリュージュガン〟を展開した。

 

 

「汚物は消毒じゃァーーッ!!」

 

 

そう言ってマカハゼは可燃性の液体を飛んできた〝胞子爆弾(フェイタルボム)〟にかけて火炎放射を起こし、跡形もなく燃やし尽くした。

 

 

「やった!」

 

 

「よぅし!!俺様の指示通りだ!!」

 

 

「∑えぇぇッ!!」

 

 

「「「「嘘つけ」」」」

 

 

塔の窓から見ていたチョッパーが感性を挙げ、それをウソップが自分の手柄だと嘘をつき、サンジ達にツッコまれる。

 

 

「「う・・・・・・うぅン・・・・・・ヒィッ!!?」」

 

 

暫く気を失っていたワポルが目にしてのは自分が撃ち消そうとしたDr.ヒルルクの髑髏のマークだった。

 

それを見たワポルは逃げようと身じろぐが屋根に完全にハマったせいで動く事は出来ない。そこへクローズ(ルフィ)がよじ登ってやって来た。

 

 

「何の覚悟も無い奴が・・・」

 

 

「「∑むっ〝麦わら〟!?」」

 

 

「人の髑髏に手ェ出すな!!」

 

 

 

グルグルグルグル!

 

 

《Ready Go!》

 

 

「〝ゴムゴムのォ〟・・・・・・」

 

 

「「ままま、待て!!ドラム王国は世界政府の加盟国だ!!これは世界的な大犯罪・・・・・・!!」」

 

 

「〝ゴムゴムのォ〟・・・・・・」

 

 

「「おい、ちょっと待て!!お前に地位をやろう!勲章もやろう!!」」

 

 

青い龍のエネルギーを纏ったクローズ(ルフィ)の両腕がドンドン後ろに伸びていく様を見て、ワポルは王の威厳を捨てて必死に媚びを売る。

 

しかしワポルは理解していなかった。海で遊ぶ事をは知っていても、海で生きる事を知らない者は王であろうと、神であろうと、偉くなかろうと、そんな事は海賊に関係ない。

 

これはクローズ(ルフィ)信念(はた)を掛けた喧嘩なのだから。

 

 

「〝ゴムゴムの〟ォォォォォォッ!!!」

 

 

「「じゃあ福王様の座ァァァァァァァァァァッ!!!」」<(.;゚;:Д:;゚;.)>

 

 

「〝龍の大砲(ドラゴンバズーカ)ァ〟ッ!!!!」

 

 

龍の閃光が憐れな王を吹き飛ばす。ワポルの姿はたちまち吹き飛び、遥か彼方、雪塵よりも小さくなって見えなくなる。

 

ドラム王国は、この時、遂に崩れ落ちた。

 

 

「ドクトリーヌ・・・ドラム王国が・・・・・・」

 

 

「ヒッヒッヒ・・・・・・この国は、髑髏の旗に敗れたのさ・・・」

 

 

〘ドラム王国国王ワポル(ムッシュールと大砲の合体時)VS麦わらの一味船長〝仮面ライダークローズ(モンキー・D・ルフィ)〟〙

 

〘勝者〝仮面ライダークローズ〟〙

 

 

 

 

 

 

 

〜END〜



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うるせェっ!!!

side:城内

 

 

ワポルとムッシュールによる国民の大量殺戮を防げたクローズ(ルフィ)は変身を解き、チョッパーを勧誘する為に追いかけ始めた。

 

それを切っ掛けにワポル達の時期から完全に離れた兵士達はドルトンの指示に従い、マカハゼ達を場内に案内した後で今後どの様に動くかの確認をしていた。

 

そして──────

 

 

「うげアガガラガバババ!!!あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!」

 

 

──────先程の戦闘で背骨を損傷したサンジはDr.くれは治療の為に連行され、ガキン!ゴギン!といった決して出しては行けない音を響かせながら悲鳴を上げるサンジを容赦なく治療(?)をしていた。

 

 

「ヒッヒッヒ・・・やっぱり悪化してたよ。無理するからさ」

 

 

(本当に無事なのか、サンジの奴・・・(汗))

 

 

そう言ってサンジの治療を終えたDr.くれははラム酒をラッパ呑みしながらナミやマカハゼ達のいる部屋にやって来た。

 

 

「さて・・・下の方でも随分怪我人が出たようだが?」

 

 

「麓にはイッシー20って連中がいる。アンタが行く必要はねェぞ」

 

 

「おや?そりゃ残念だねェ」

 

 

自身にとって商売敵であるイッシー20達が活動している事を知ったDr.くれはは残念そうに肩を落とす。そんなのんびりとした姿を見たナミは退院させてくれと懇願する。

 

 

「それより私達を退院させてよ!此処でじっとしている訳には行かないのよ!!」

 

 

しかし、ナミの頼みはあっさりと拒否された。

 

 

「そりゃ無理な頼みだ。お前は後2日は安静にしててもらうよ」

 

「その治療代として船の積荷と有り金全部払って貰うからね」

 

 

「∑流石にぼったくり過ぎでしょ、それは!!」

 

 

「治そうよナミさん!療代はともかくちゃんと安静にしてなきゃ・・・」

 

 

「平気よ。だって死ぬ気がしないもん♪」

 

 

「∑それは根拠にならないわよっ」‎( ꒪⌓꒪Ⅲ)

 

 

そう言って騒ぐ女性陣を無視して部屋から出て行こうとするDr.くれはの前にマカハゼが立ち、鞄と紙束を突き出した。

 

 

「何だいそれは・・・?」

 

 

「こっちの鞄は〝胞子爆弾(フェイタルボム)〟の解毒剤が入っている・・・手元に置いといて損は無いだろ?」

 

 

「・・・・・・」

 

 

「それとこの紙束に写した内容を確認してみてくれ」

 

 

マカハゼに手渡された2つの内の1つである紙束を受け取り、パラパラとめくり読んでいると次第に目を驚嘆の色に染めた。

 

 

「これは・・・!?」

 

 

「あんたの知らない最先端の医学だ。それに必要な医療機械の設計図や薬の調合も載ってるぜ」

 

 

ムッシュールの毒胞子の解毒剤だけでも価値があるのに、この最先端の医学が書かれた紙束が公表されれば医学界は混乱するのは目に見えていた。

 

 

「一体どこでこんな物を・・・?」

 

 

「俺の行った事のある(場所)だと当たり前に存在する医術さ。それに未知の知識を探究するのは医学も科学も同じだろ?」

 

 

「・・・・・・」

 

 

マカハゼのはぐらかしに納得のいかない顔をしているDr.くれはだが、暫くして解毒剤入りの鞄も受けとって部屋にいる全員に聞こえるように呟いた。

 

 

「いいかい、あたしはこれから少し用事がある。隣の部屋にあたしのコートが入ったタンスがあるし背骨の若造の治療は既に終わっているが・・・決して逃げ出すんじゃないよ!!!」バタン!

 

 

「・・・・・・・・・」×5

 

 

「コート着てサンジ連れて今のうちに逃げ出せってさ・・・( ー́∀ー̀ )」

 

 

「私にも・・・そう聞こえた」

 

 

「同じく・・・」

 

 

「私も・・・」

 

 

マカハゼから紙束と解毒剤を受け取りナミ達に逃げるなと言いつつ、逃げれるように指示をしたDr.くれは女性陣4人は呆然と見ていた。

 

しかし、唯一交渉していたマカハゼはDr.くれは何かしらの企みを察し、動く事にした。

 

 

「まぁ何にせよ、逃がしてくれるなら話は早い。俺はサンジの所に行くからお前らも早く準備を済ませておけよ」

 

 

そう言ったマカハゼはそそくさと部屋から退出し、治療(という名の拷問)を受けたサンジの元へ向かった。

 

 

 

 

 


 

side:ルフィ

 

 

─マカハゼ達がDr.くれはと交渉していた頃─

 

 

「お〜〜い!トナカイ〜〜!!」

 

 

(あいつ・・・まだ探してる・・・・・・)( ´•_•。) 

 

 

ルフィのしつこい勧誘から逃げ続けていたチョッパーはドラム城の屋根の部分に隠れていた。

 

 

「一緒に海賊やろう〜〜っ!!!」

 

 

「もういい加減に諦めろよ、ルフィ!こんだけ探しても出て来ねェんだ」

 

 

「海賊になんかなりたくねェんだよ、あいつは・・・」

 

 

一向に出てくる気配のないチョッパーの心情をウソップとゾロがそう代弁する中、ルフィは違うと否定する。

 

 

「おい、そりゃ違うぞ!!俺はあいつを連れて行きてェんだ!!!」

 

 

「「∑だからそれはお前の都合だろッ!!!」」( º言º)

 

 

(こいつら・・・こんな感じであいつの船員(クルー)になったのか?)=͟͟͞͞(꒪⌓꒪;)引。

 

 

あまりにも自分勝手な言い分のルフィに怒鳴るゾロとウソップを見て、ジェムは若干引いていた。

 

一方で未だに自分を勧誘するルフィに少し心が揺れている自分にチョッパーは戸惑っていた。

 

 

「トナカイ〜〜っ!!」

 

 

(行きたくない訳じゃない・・・だけど行けない・・・・・・!!俺は行けないんだ!!)

 

 

しかし根負けしたのか、チョッパーは意を決してルフィ達の前に出てきた。

 

そんなチョッパーにルフィはやっと見つけたと笑い、ゾロとウソップとジェムはどう返事をするか注目する。

 

 

「おい、トナカイ!!一緒に海賊やろう!!!」

 

 

「(ダメだ!!!俺はあいつらとは違うんだ・・・!!)・・・無理だよ・・・」

 

 

「無理じゃねェよっ!!!楽しいのにっ!!!」

 

 

「いや意味わかんねェから(汗)」

 

 

「説明になもってねェし(汗)」

 

 

「俺は・・・お前達に感謝しているんだ!!」

 

 

「・・・・・・チョッパー・・・・・・」

 

 

「だって・・・俺はトナカイだ!!!角だって・・・蹄だってあるし・・・!!青っ鼻だし・・・・・・!!!」

 

 

意味不明な力説をしながらも懸命に誘うルフィにチョッパーは乗れずにいた。

 

また拒絶されるかもしれない、また敵意を向けられるかもしれない。そんな恐怖がチョッパーの心を締め付けていた。

 

この世に生まれて長く孤独な時間を過ごしてきたチョッパーにとって存在を否定される事は何よりも恐ろしかった。

 

 

「そりゃ・・・海賊にはなりたいけどさ・・・!!俺は〝人間〟の仲間でもないんだぞ!!化け物だし・・・!!!俺なんかお前らの仲間になれねェよ!!!・・・だから・・・お礼を言いに来たんだ!!!」

 

 

城内から出てきてチョッパーの叫びを聞いていたマカハゼ達もルフィ達と同じように静かにしていた。

 

特にナミはチョッパーの抱える怯えを心の中で理解していた。故郷を救う為とはいえ、1度は一味を裏切った。

 

故郷が救われてから皆の元に戻ったナミは、裏切った時の自分をひたすらに卑しめていた。もしまた会えたとしても、絶対に許してはくれないと。

 

そしてチョッパーはゆっくりと、感謝の言葉と同時に別れの言葉を吐き出した。

 

 

「誘ってくれて、ありがとう・・・俺はここに残るけど、何時かまたさ・・・気が向いたら此処へ」

 

 

「うるせェ!!!行こう!!!!」

 

 

自分が他の者達と違う故の恐怖・・・嘗て島の住人達から迫害された事による恐怖・・・そして自分を誘ってくれたルフィ達が何時かそうなってしまうんじゃないかという恐怖。

 

そんなチョッパーの抱える闇がルフィたった一言の叫びで、弾け飛んだ。

 

どんなしがらみもぶっ壊し、広い世界へ連れ出してくれるその言葉にチョッパーは大粒の涙を流した。

 

 

「うるせェって勧誘があるかよ・・・」(´・Д・`)

 

 

「まぁ・・・これがルフィって感じがするなw」

 

 

「キャハハッ!!これがこの一味の船長の魅力ってやつなのかしら?」

 

 

「お"お"・・・お"お"お"ォ"ォ"ォ"〜〜ッ!!!」

 

 

 

 

 


 

side:マカハゼ

 

 

()()()()()()()()だァ?ゴムなのに?」

 

 

「うん!」“((。。*)コクッ

 

 

迷いの全てを吹き飛ばすルフィの誘い文句を受ける事にしたチョッパーはDr.くれはに報告と別れを告げる為にドラム城に入っていった。

 

そんなチョッパーを待っている間に一味は雪だるまを作ったり、雑談を交わしたりしていた。

 

勿論マカハゼもルフィが戦っていた時の状況を聞き、頭を捻らせた。

 

 

「そりゃ確かなのか?拳に小さい棘や刃を仕込んでたんじゃねェのか?」

 

 

「そんなのどこにも無かったぞ!それにあの殴られた感じ・・・ジィちゃんに殴られた時と同じ感覚だった」

 

 

「お前のジィちゃん?」

 

 

「おう。俺のジィちゃん海兵やっててさ、ガキの頃から殴られてんだ!ゴムゴムの実を食ってからも痛かったんだよ!!」

 

 

(能力者の弱点を突かずに有効打を当てる事が出来る・・・有り得るのか・・・いや、もう既にルフィが確認してるんだ。有り得て当然だな・・・)

 

「全く・・・面白くなってくるねェ、この(世界)は・・・・・・!」

 

 

ルフィの話を聞いていたマカハゼはまだ見ぬ猛者や彼等の使う未知の技術の予感に震え、ルフィに改めて向き直った。

 

 

「ルフィ・・・どうやらこの星は俺達の知らない技術()があるのは確実みたいだ。もしかしたら俺より強い奴もいる可能性もある・・・」

 

「だが、それは俺達もその高みへ駆け上がる事が出来るという事!!お前の持つあの妙な力もその一端で間違いない!!」

 

「俺は手に入れるぞ・・・未知の力を・・・お前もそのつもりだろ、ルフィ?」

 

 

「まァな」(*`∀´*)ニカッ

 

 

そう聞いてきたマカハゼにルフィは不敵な笑みを見せた。そして2人の会話を少し離れて聞いていたゾロも人知れず怖い笑顔をしていた。

 

するとその時、ドラム城から阿鼻叫喚と表現できる悲鳴が響き出した。

 

 

「何だ、城の中が騒がしいぞ・・・?」

 

 

「全くヤボなんだから・・・人の別れの夜に何で静かにしてられないのかしら」

 

 

ギャーギャーと喧しくなる兵士達にナミは呆れるが、〝声〟で城内の状況を探っていたマカハゼが顔を引き攣らせている。

 

 

「おいお前ら・・・もうすぐあのトナカイがソリを引いて出て来るから・・・急いで飛び乗るぞ」

 

 

「へ?」×8

 

 

顔を引き攣らてそう言ったマカハゼに皆、怪訝な視線を向ける。するとその時、門の向こうからチョッパーが物凄い勢いでそりを引いて来た・・・・・・般若の形相で大量の包丁を投げて追ってくるDr.くれはと共に・・・・・・。

 

 

「みんなソリに乗って!!!山を降りるぞォ!!!」

 

 

「待ちなァ!!!」(╬`⊙д๏)

 

 

「んな、何ィ~~~~~っ!!!?」×8

 

 

「やっぱあんた山姥の類いだろォっ!!?」Σ(゚д゚;)

 

 

明らかに殺す気しかしない老婆(妖怪)の恐ろしい顔の前にルフィ達は一目散に、マカハゼは捨てセリフを吐きながらソリに飛び乗って下山して行った。

 

そんな彼らをさっきまで追いかけていたDr.くれはは何処か寂しそうな雰囲気を漂わせながら見つめていた。

 

 

 

 

 


side:ドラムロック麓

 

 

その日、ビックホーンの村で雪崩に被災した村人達は満月に照らされながら空を駈ける魔女のソリを見た。

 

ただ──そのソリはいつもと違い、複数の人影が見えていた。

 

 

「うはーーーっ!!!いい〜〜〜気持ちだったァ!!おい!!もっかいやってくれ!!!」

 

 

「バカっ!!もう出発するのよもう!!!」

 

 

「し!!し・・・死ぬかと思った・・・」ガクガク(ㅇㅁㅇ;;)ブルブル

 

 

「あのババァ・・・巫山戯やがって・・・!!!」

 

 

「∑っぬお!!!ん!?ここは何処だ!!?」

 

 

「あ、サンジさん気がついた!?」

 

 

「うるせェから眠らせとけ」

 

 

「∑‪あ”あ”!!?」(╬ ಠ 益ಠ)アァン??

 

 

「∑こんな狭い所で喧嘩するなァ!!!」

 

 

ドラム城からDr.くれはの元隠れ家にまで繋がらていたロープウェーで麓にまで駆け下りた頃には、全員いつもの調子に戻って騒いでいた。

 

しかしマカハゼは神妙な顔で遠ざかっていくドラム城を見つめていた。

 

 

「どうしたの、マカハゼ?」

 

 

「いや・・・我の強い奴はどうしてこうも不器用なのかねと・・・思っただけさ・・・」

 

 

 

 

 

 

〜END〜



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行っといで・・・

side:ドラム城

 

 

「あんな別れ方で・・・よかったので?」

 

 

「ヒーッヒッヒッ・・・預かっていたペットが1匹貰われていくだけさね!!」

 

「湿っぽいのは・・・嫌いでね」グスッ・・・

 

 

〝麦わらの一味〟が勧誘していたのを城から見ていたDr.くれははチョッパーが海に出る事を予想していた。

 

だからこそDr.くれははチョッパーが自分の所へ宣言しに来た時にわざと怒り、追い回して〝麦わらの一味〟と共に船へ向かうように誘導した。

 

もし死んだヤブ医者()の息子であり、自分の医学の全てを叩き込んだ一番弟子のチョッパーの船出を見送ろうとしていたら涙を流さない自信はなかった。

 

ドルトンはそんな老婆を見て、思わず苦笑を見せた。

 

 

「来な!!船出ってのは派手でなきゃいけないよ!!!」

 

 

「派手って・・・?」

 

 

Dr.くれははドルトンを連れ、兵士達に武器庫から運び出させた大砲を並べた所へ来た。そしてDr.くれはが同時に用意していた特殊な砲弾。

 

その砲弾こそがDr.ヒルルクがDr.くれはに託した研究の全てだった。

 

 

(使うならこのタイミング・・・お前でもそうしただろ?ヤブ医者・・・)

 

 

「用意はいいかい、若僧共!!!」

 

 

「「「「「へいっ!!!」」」」」

 

 

「撃ちなァ!!!」

 

 

ドゥン!!!ドゥン!!ドドドゥン!!ドドゥン!!ドゥン!!!

 

 

「Dr.くれは、一体何を・・・」

 

 

「黙って見てな」

 

 

Dr.くれはの号令で兵士達は次々と大砲を空へ向かって発射されていく。

 

次々と打ち上がる大砲の光を前に、同じく手伝わされていたドルトンは戸惑いの目をDr.くれはに向ける。

 

しかし、Dr.くれははそれを意に介す事なく打ち上がっていくヤブ医者()の研究の全てを打ち終わるまで見上げた。

 

そして全て打ち終わった報告を聞いたDr.くれはは空気中に散った中身を光に当てさせた。

 

 

「Dr.くれは!!全弾打ち上げました!!!」

 

 

「ライトアップ!!!」

 

 

そして、その光が撮した光景を見たドルトンや兵士達に島の人々は言葉を失い、ただただ見惚れていた・・・・・・。

 

 

 

 

 


side:チョッパー

 

 

──そんなに出て行きたきゃあたしを踏み倒して行きな!!!

 

 

(ドクトリーヌ・・・!!!)

 

 

ルフィの勧誘に折れて仲間になる事を決心し、Dr.くれはにそれを報告に行った。しかし、Dr.くれはの反応は否定的だった。

 

海賊なんてろくなモノじゃない、屍になるのがオチだ、ただのトナカイが海に出るなんて聞いた事ないと言われたチョッパーはめげる事なく自身の覚悟を告げた。

 

しかしそれがDr.くれはの怒りに触れたのか、大量の包丁を投げつけて追って来た。

 

いきなりの事にチョッパーは逃げ回り、咄嗟に持ち出したソリにルフィ達を乗せて逃げる様に飛び出した。

 

 

──お前なんかが海へ出て一体何が出来るっていうんだい!!!あのヤブ医者の様に幻想に生きるのかい!?

 

 

しかし、最後に聞いた敬愛する師の言葉がチョッパーの不安を更に掻き立てていた。

 

 

──これだ・・・!!!この反応を待っていた!!!30年間・・・待ち続けていた・・・・・・!!!

 

 

(ドクター!!幻想じゃないよね、あの時・・・ドクターの研究は完成してたんだろ?それとも・・・あれもウソだったの!?)

 

 

──やったぞチョッパー!!!俺の研究は成功した!!!

 

 

(そう言わないまま死んだら・・・俺が悲しむから・・・!?髑髏の旗を掲げた男に不可能はない!!!・・・もう一度言ってよドクター!!!)

 

 

ドゥン!!!ドゥン!!ドドゥン!!ドドドゥン!!!

 

 

チョッパーが今は亡き父であるDr.ヒルルクに思いを馳せる中、ドラム城の方から大砲の砲撃音が聞こえて来た。

 

 

「何だ!?」

 

 

「砲撃!?」

 

 

ペットを奪われた飼い主が激情して大砲を乱発しているのかとルフィ達は動揺した。しかし、いつまで経っても砲弾は自分達に届く事はなく、メリー号まで後50mの所で城から強烈なサーチライトが照らされ、輝く光景にルフィ達は息を飲んだ。

 

 

あるヤブ医者が遺した信念の光に・・・。

 

 

「ウオオオオオオオ!!ウオオオオオオオ!!」

 

 

「すげェ・・・」

 

 

「あぁ・・・」

 

 

「綺麗・・・・・・」

 

 

「ハハハッ!!!まさに絶景・・・これが本当のベストマッチか!!!!」

 

 

「(ドクター・・・・・・ドクトリーヌ・・・・・・)ウオオオオオオオ!!ウオオオオオオオ!!!」

 

 

──これが俺の30年をかけて出した答えさ!!!

 

 

チョッパーが滂沱の涙を流して歓喜の声を上げて叫んでいた頃、美しい光景を生み出したドラム城にいるドルトンもその美しさに見とれていた。

 

 

「なんという幻想的な・・・」

 

 

「ヒッヒッヒッヒッ・・・バカの考える事は理解できないよ・・・」

 

 

───いいか・・・!!この赤い塵はな、ただの塵じゃねェ!!───こいつはな、大気中の白い雪に付着して・・・そりゃあもう鮮やかなピンク色の雪を降らせるのさ!!!

 

 

Dr.くれはが受け継いで量産し、大砲で空にばら蒔いた赤い塵がライトアップの光で夜空いっぱいに輝くピンク色の雪がドラム城から鮮やかに吹雪いていた。

 

そのピンク色に輝く雪とドラム城のあるドラムロックが桜の様にマッチしていた。

 

この日・・・雪しか降る事しかなかった真冬の島に1人のヤブ医者が残した医学が〝奇跡の桜〟を咲かした。

 

 

「さァ・・・行っといで。バカ息子・・・」

 

 

大きな一歩を歩みだした家族を押し出すようにDr.くれはは呟き、桜は見送る様に堂々と咲き誇る。

 

 

〖後に───語り継がれる〝ヒルルクの桜〟はまだ名の無きその国の自由を告げる声となって夜を舞う〗

 

〖ちょうどこの国でおかしな国旗を掲げる国が誕生するのはもう少し後の話───〗

 

 

 

 

 


side:メリー号

 

 

様々なトラブルに巻き込まれながらも新たな仲間、『〝船医〟トニートニー・チョッパー』を迎えた〝麦わらの一味〟は今───

 

 

「アッハッハッハッハッハ!!!」

 

 

「めでてーめでてーッ!!!月が出てるし桜が咲いたぞ!!!」

 

 

───ドタバタと騒がしい宴に興じていた。

 

 

「チョッパーコノヤロー!!何時までそこでボーッとしてんだ!!飲め!!こっち来て飲め!!!」

 

 

「準備出来たか、相棒!?」

 

 

「こっちはOKだ、ジョニー!!」

 

 

「「せーのっクゥーーンッ!!!」」

 

 

「「「ギャハハハハハッ!!!」」」

 

 

「いや、しかしいい夜桜だったぜ!!まさかこんな雪国で見れちまうとはな!!!」

 

 

「全くだ、こんな時に飲まねェ飲んで嘘だな!!」

 

 

「オラァー!!酒の追加じゃァーーッ!!!」

 

 

島を出る際に見た、美しすぎる光景を肴にして仲の悪いゾロとサンジが酒を注ぎ合い、ジョニーとヨサクは鼻割り箸を披露して笑わせ、ミキータは赤い顔をしながら酒の追加を持って来たりとどんどん騒がしくなっていた。

 

 

「・・・お前の恩人って凄い奴だったんだな、チョッパー」

 

 

そこでマカハゼは名残惜しそうに島の方を見つめて黄昏れるチョッパーの元に腰をかけ、声をかけた。

 

 

「医者としては凡人以下だったみてェだが・・・科学者としてはトライ&エラーの精神(ハート)を持った最高のドクターだった・・・1度でもいいから会って話したかったよ」

 

「あの〝桜〟をキッカケにお前の恩人は歴史に名を残すのは確実だ・・・今後あの島でDr.ヒルルクの存在は心に残り続けるぜ」

 

 

今まで誰も見た事のない、〝冬に咲く桜〟という素晴らしい景色を生み出した偉大なるヤブ医者。

 

知識や技術がない0の状態から経験や失敗を繰り返しながら学び、それに加え誰かの為になりたいという諦めない根性。

 

自身を含め、Dr.ヒルルクの様な志を持った科学者が世界中に一体どれだけいるだろうか?それを考えれば世界は惜しい人物を失ったと言えるのは確かだ。

 

マカハゼの心からの賞賛を聞いたチョッパーは恩人が讃えられた事が自分が褒められた事以上に嬉しかったのか、少しくすぐったい様に笑った。

 

しかし、チョッパーは何がに気づいたようにハッとした顔になって慌てた。

 

 

「∑あ・・・・・・しまった!!俺慌てて飛び出して来たから医療道具を忘れてきたッ!!!」

 

 

「・・・・・・じゃこれは?ソリに乗ってたけど・・・」

 

 

医療道具を忘れたと慌てるチョッパーにナミが?を浮かべながら帽子と同じマークが入ったリュックを見せた。

 

 

「俺のリュック!!何で・・・!?」

 

 

「何でって・・・あなたが自分で旅の支度をしてたんじゃないの?」

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

ルフィの勧誘の後、Dr.くれはに直接決意を伝えに行ったチョッパーは旅の支度なんて全くしていなかった。

 

それが目の前にある事に戸惑いつつ、唯一の心当たりにチョッパーやナミとハニークイーンは思い至った。

 

 

「・・・・・・・・・ドクトリーヌか・・・結局あんたの事全部見透かされちゃってた訳だ」

 

 

「素敵な人ね・・・」

 

 

「“親思う心に勝る親心”・・・愛されてるな、お前・・・・・・」

 

 

「・・・・・・」ジ~~ン

 

 

最後の最後まで面倒を見てくれた恩師の優しさに、チョッパーは胸の奥が熱くなってくるのを感じた。

 

ナミとハニークイーンも見えない所で深い愛を見せたDr.くれはを思い浮かべて微笑み、マカハゼは親の愛を示すことわざを口にしつつ、羨ましそうに眺めた。

 

そんなしんみりとした空気が少し周りに流れていたが、それを台無しにする騒がしい声が響き出した。

 

 

「アッハッハッハッハッハッ!!!」×3

 

 

うぃヒョッハー、おええおやうあ!!(おいチョッパー、お前もやるか)

 

 

「|ひょうやひょうや、ふぉまへふぉひゃれッふぃんひぃり《そうだそうだ、お前もやれッ新入り》!!!」

 

 

ひゃのしぃぞ、こんひゃろー(楽しいぞ、コンニャロー)!!!」

 

 

「「∑うっさい、お前ら!!!」」(   º⊿º ) 

 

 

鼻割り箸芸を披露していたジョニーとヨサクにルフィが加わり、ザルを持ちながらドタバタと走り回ってチョッパーを誘うバカ3人にナミとハニークイーンが怒鳴り、マカハゼも思わず呆れる。

 

 

「全く・・・少しくらい空気を読んでやるのが───∑イヤやるんかい!!?ガビーンッ!!!

 

 

あまりの空気の読まなさにマカハゼはチョッパーに申し訳なさそうに目を向けるも、本人はルフィ達を真似て鼻に割り箸を挟み出したのを見て、マカハゼは思わずツッコミを入れた。

 

 

ピリリリ〜〜ッ!!!

「よーーし、てめェらみんな注目ーーっ!!!」

 

 

そうやって宴がさらにヒートアップしたその時、ウソップが笛を鳴らして視線を集めた。

 

ほぼ全員が酒でよっている事で聞いてないも同然だったが、盛り上げ役を進んで受けたウソップは構わず続けた。

 

 

「えー、ここで俺達の新しい仲間〝船医〟トニートニ・ーチョッパーの乗船を祝し───」

 

 

「カルー、あなた飲みすぎよ!!」

 

 

「クエェーーッ!!」

 

 

「おい、クソコック。もっとツマミを持ってこい」

 

 

「おォ!!?てめェ今何つった!?俺をアゴで使うとはいい度胸だ!!」

 

 

「∑いちいちケンカすなァっ!!!」

 

 

「ほらほら〜、どんどん飲みなさいよ〜〜ッ」ヒック

 

 

「お前酔いすぎだぞ、ミキータ!!?」

 

 

「サンジ、恐竜の肉もうねェのかッ!!?いっぱい積んだだ!?ろ」

 

 

「∑あんたが全部食べちゃったんでしょうが!!!」

 

 

「ルフィの兄貴ィ!!俺達の肉も食ったでしょ!?」

 

 

「チクショーやられたァーーッ!!!」

 

 

「ルフィを前に油断したお前らが悪いww」

 

 

「あ───改めて乾杯をしたいと思う!!」

 

 

ワイワイドンチャンドンチャンギャーギャーと、小さい海賊船は船員達の笑いや歓喜、更に騒音が愉快なリズムになって周囲に響いていた。

 

生まれた時から親に捨てられ、群れに捨てられ、化け物と呼ばれ、孤独に生きてきたトナカイ。そんなトナカイにとって、見た事も感じた事も無い感覚だった。

 

 

「俺さ・・・・・・」

 

 

「?」

 

 

「こんなに楽しいの、初めてだ!!」

 

 

一人ぼっちで生きてきた化け物は───自分を受け入れてくれた仲間達と共に、満面の笑顔で喜んだ。

 

 

「新しい仲間に!!乾杯だァア!!!」

 

 

「カンパーーーーイ!!!!」×15

 

 

ガシャァアン!!!

 

 

〖船は今───最高速度で砂の王国アラバスタを目指している。〗

 

 

 

 

 


side:とある島

 

 

「時は・・・近い・・・」

 

 

真夜中の島の森の中にある〝海軍道場〟と呼ばれる場所で玉座の様な椅子に腰掛ける褐色の男がいた。

 

その男は背中に背負っていた長剣を抜いて掲げた。その掲げられた長剣の刀身に今日な紋様が描かれており、その紋様は薄緑色に光っていた。

 

その薄緑色の光が長剣の持ち主である男の目にも宿り、その様子はまるでホラーを思わせる程だった。

 

褐色の男は暫く掲げていた長剣を鞘に収め、懐から古い短刀を取り出した。その短刀の柄の部分には〝ZORO〟と彫られていた。

 

 

「俺達の再会も遠くないだろう・・・お前もそう思うだろ、ゾロ?」

 

 

 

 

 

~END~

 

 



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〝呪われた聖剣〟対〝燃やす心火〟編
ゾロの離脱?


side:アスカ島

 

 

「聖剣伝説?何だそりゃ?」

 

 

ドラム島を出て数日──〝麦わらの一味〟は最後の食料調達の為に夏島に立ち寄っていた。

 

立ち寄った一味は食料調達チームにルフィとサンジとナミとビビとカルーとチョッパーとマカハゼが行い、買い終えた一同は飲食店で休んでいた。

 

そこでナミは食料調達のついでに調べたこの島に伝わる聖剣伝説の話を皆に聞かせていた。

 

 

「そう!この島に伝わる〝偉大なる航路〟で最も美しいとされる伝説の剣よ!!で、その伝説の剣があるって噂があるのがこのアスカ島って訳よ!!」

 

 

「ふぅーん・・・」×4

 

 

しかし、その話を聞いたルフィとマカハゼとサンジとチョッパーの4人の反応はイマイチだった。

 

 

「ちょっと、何よその反応は!?並のお宝じゃないのよ!!〝偉大なる航路〟1のお宝よ!!!」

 

 

「「噂だろどうせ?」」

 

「∑何ですってェ!?」

 

 

ナミは必死にルフィ達に訴えるも、どうせただの噂だと一蹴され、マカハゼからは諭される始末だった。。

 

 

「あのなナミ・・・お前の言いたい事も分かるぞ。でもな、俺達はこの島には食料調達に来ただけだしその上、アラバスタ王国にも急がないといけないんだぞ」

 

「今の俺達に宝探しをする余裕はない!残念ながらな・・・」

 

 

「・・・・・・」(*´・・)シュン。。。

 

 

マカハゼから正論を言われて消沈するナミ。自分が病に倒れて到着が遅れている事に罪悪感を持っているナミ自身もそんな余裕はないと理解していた。

 

 

「〝七星剣の伝説〟・・・一度気になって調べた事があるわ」

 

 

「ん?」×5

 

 

そこで1人静かに聞いていたビビが気まずい空気を変えようと自分で調べた事のある伝説を語り始めた。

 

 

「太古の昔から、この島の人々は100年に1度訪れる〝赤い月〟を災害や異変を招く〝不吉な月〟と恐れてきたの」

 

 

「〝赤い月〟?」

 

 

「そこで〝アスカ七星〟の神々は災から人々を守る為にアスカの王に盾として3つの宝玉を・・・矛として無敵の剣〝七星剣〟を与えたとされてるわ」

 

 

「神様が与えた美しくも無敵の剣、オマケに宝玉まで!!もう、ワクワクしちゃう!!!」((๑✧ꈊ✧๑))

 

 

「だから行かねェからな」

 

 

ビビから〝七星剣の伝説〟を改めて聞いたナミの目はベリーのマークになり、直ぐに取りに行くかもしれない程の勢いだったのでマカハゼがやんわりとツッコミを入れた。

 

 

「というか、何かしらの伝説が残っている遺物には大抵ろくな記録が残ってるのが定石だ。そう何だろ、ビビ?」

 

 

「マカハゼさんの言う通り・・・〝七星剣〟は後に、皮肉な運命を辿る事になるの・・・・・・」

 

 

「へ?」

 

 

「その伝説の中に、予言めいたものがあるの」

 

 

───赤い月が盈ちる時、大いなる力宿る。〝七星〟これに敗れたれば、闇の支配する夜の始まりたらん。

 

 

「闇の・・・支配する・・・?」

 

 

「怖ェ~・・・!!」

 

 

「闇が支配・・・ねェ・・・」フゥー

 

 

「・・・・・・」モグモグ

 

 

「やっぱろくでもない伝説だったか・・・」

 

 

ビビの語った〝七星剣の伝説〟を聞いた者達の反応は胡散臭そうだったり、ゾッとする程度の恐怖を感じるのがほとんどだった。

 

 

(まァこの島に来た時から妙な気配はしてっからなァ・・・関わらない方が得策だな)

 

 

マカハゼがアスカ島に着いた時から時折感じる奇妙な気配に顔を顰めながら、面倒くさそうな感じでもりのなかをみつめていた。

 

───この時、さっさと潰しておけばよかったと後悔する事になるとは マカハゼは思いもしなかった・・・・・・。

 

 

 

 

 


side:メリー号

 

 

トンテンカンテン♪コンカンコン♪

 

 

「フィー、だいたいこんなもんか・・・」

 

 

今回この島で船番をしているのはゾロと『三羽烏』、ハニークイーンとジェムとミキータに船の整備を終えたウソップの8人だった。

 

ゾロがいつもの様に爆睡している横で『三羽烏』が剣の鍛錬をし、ハニークイーンとミキータは2人だけの女子会を、ジェムはウソップの手伝いをして過ごしていた。

 

 

「にしてもこの船、最初見た時は結構ボロい感じだったが・・・日に日に新品みたいに綺麗になってねぇか?」

 

 

ジェムの言うようにマカハゼが〝麦わらの一味〟に入る前から、メリー号はそれなりに年季の入った船だった。

 

マカハゼが入った頃も暫くは問題なかった。しかし、〝偉大なる航路〟に入った後のラブーンの追突事故や洗礼により結構なダメージを蓄積していた。

 

その状態をリトルガーデンに辿り着く前から調べていたマカハゼは何とかしようと試行錯誤を繰り返し、メリー号のリフォームをウソップと共に少しづつ進めていた。

 

その結果、メリー号の深い船室の部分から徐々に修繕され、綺麗な状態になった。

 

 

「まぁ・・・マカハゼにとっちゃこれでも付け焼き刃にしからならいらしいぞ」

 

 

「これで付け焼き刃なのか・・・?」

 

 

しかし、マカハゼに言わせればただの付け焼き刃でしかなく、自身の本職は科学者で技術者であり、船を専門とする船大工の腕には到底及ばない。

 

だからこそマカハゼは船大工の仲間を手に入れたがっていた。

 

 

「俺もマカハゼと同じ早く船大工を仲間にしてぇな・・・そしたらメリー号をもっと強くて頑丈に出来る」

 

「メリー号だって俺達と一緒に冒険している仲間なんだ。だからメリー号にはもっと元気でいて欲しい、それが俺の願いだな・・・」

 

 

そう言ってウソップはメリー号のマストに手を置き、愛おしそうに撫でた。

 

メリー号はウソップの故郷にいる友達のお嬢様から貰い受けた船。そんな経緯で手に入れたメリー号はウソップにとって仲間そのものの存在だった。

 

 

「船が仲間か・・・そんな考え方の奴は初めて見たぜ」

 

 

「なんとでも言え!俺はマカハゼの技術(ちから)を借りてメリー号を守ると決めた!!この命に変えても───」チッ

 

 

カアァンッ!!

 

 

「ん・・・・・・」

 

 

「・・・・・・・・・」×7

 

 

ドサッ

「コノシマコワイコノシマコワイッ」

 

 

「∑長っ鼻ァァーーッ!?」

 

 

意気込みを語っていたウソップの鼻先に何かが掠り、それは寝ているゾロまで飛んでいくも、寝たまま危機を察知したゾロは首を横に動かして躱した。

 

 

「∑!?(これはッ!!!)」

 

 

躱したゾロの横に刺さったのは古い短刀だった。目を覚ましたゾロはその短刀を目にした瞬間、柄に刻まれていた〝ZORO〟の4文字に驚嘆を顕にし、飛んできた方向に視線を向ける。

 

しかし、周りは倒れたウソップの周りに集まった事でゾロの様子に気が付かなかった。

 

 

「コノシマコワイコノシマコワイッ」

 

 

「しっかりしろ長っ鼻ァ!!少し鼻を掠めただけだ!!」

 

 

「起きて下さい、ウソップの兄貴ィ!!」

 

 

「まさか〝バロックワークス〟の追手!?」

 

 

「んな馬鹿な!?サンジの兄貴がボスを騙して追手は無くなったんじゃ!!?」

 

 

「だとしたらマズイわ!!急いでこの島から出ないと!!」

 

 

「俺は〝ビルドフォン〟で兄貴達に連絡を!!」

 

 

「ゾロの兄ぃも起きて!!追手が───て・・・あれ?」

 

 

皆が慌ただしく動き回る中、カッコウが寝ているであろうゾロに怒鳴りながら振り向く。しかしそこにゾロはいなかった───飛んで来た筈の短刀と共に・・・・・・。

 

 

 

 

 


side:山中

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

自分の顔面に向かって飛んで来た〝ZORO〟と刻まれた 短刀を持ち、船に残ってた皆に黙ってゾロは山の道を歩いていた。

 

時折短刀を見つめては険しい様な、それでいて懐かしそうな顔でギュッと握り締めた。

 

それからしばらく歩き続けると、3つの人影が見え始めた。その3つの人影の内、小柄の少年にらしき人物は海軍の帽子をかぶっていた。

 

 

(海軍か・・・?)

 

 

「お前が〝東の海〟で名を上げた元賞金稼ぎのロロノア・ゾロだな?」

 

〘海軍道場3高弟〙

 

〘鋼鉄の騎士・ビスマルク〙

 

 

「ギャハハハハッ!!待ってたぜ・・・」

 

〘海軍道場3高弟〙

 

〘金棒のブーコング〙

 

 

「どうぞご一緒に・・・()()師範もお待ちしております」

 

〘海軍道場3高弟〙

 

〘光速の剣士・トウマ〙

 

 

「つ!」ピクッ

 

(サガ・・・・・・!!)

 

 

海軍の帽子の少年が語ったサガという名にゾロは反応を示した。

 

彼らの口ぶりから自分に短刀を投げて来たのはこの3人で間違いない。背を向け、山道を進む3人を追うようにゾロも後に続いた。

 

彼らがしと仰ぐ〝サガ師範〟と呼ばれる人物───もう1人の幼馴染に会うために。

 

 

 

 

 


side:メリー号

 

 

“〝バロックワークス〟の追手”───〝ビルドフォン〟にから発せられた船番組からの緊急連絡を受けたマカハゼ達は急ぎメリー号戻り、対策の準備を始めた。

 

 

「撃って撃って、撃ちまくれぇーー!」

 

 

ドゥン!!ドゥン!!

 

 

しかし島の住人による通報か、偶然の遭遇か、運悪く海軍の軍艦3隻が迫っている事が分かり、島を巻き込む訳にもいかない事から島を一時出航する羽目になった。

 

そして案の定海軍の軍艦に見つかり、砲撃されながらも島の周辺を逃げ回っていた。

 

 

「しつけぇなァ、海軍!!」

 

 

「まぁあっちは海賊(オレら)を捕まえるのが仕事だからな!執拗いのも当然だッ!!」

 

 

「てかっ、何でソロがいなくなってんだよ!?お前ら一緒に船番してたんじゃなかったのかよ!!」

 

 

海軍に追われながらも、特等席である船首に座っているルフィは麦わら帽子を押さえながら船番チームの面々に聞いた。

 

 

「だからさっきから言ってるじゃねぇですか!!あの短刀が飛んで来て掠めたウソップの兄貴が倒れて混乱してた時に消えたって!!!」

 

 

「しかも兄貴だけじゃなく、短刀そのものも一緒に消えたんですよ!!」

 

 

「もしかして兄ぃ1人で追っ手と戦いに行ったんじゃ・・・きゃあッ!!」

 

 

至近弾が大きく船を揺らし、カッコウは思わずよろけて転けた。

 

 

「もぉ・・・・・・しつこい!!」

 

 

「私も何か・・・!!」

 

 

「ビビはまだ部屋にいて!!今海軍に見つかったら余計ややこしくなっちゃう!!!」

 

 

デッキハウスで巨漢となったチョッパーと共に舵棒を操っているビビは買い出しから戻った時に現れた海軍から姿を隠す為にデッキハウスに押し込まれた。

 

 

「よぉーし!!ゾロを探すついでに、追っ手もぶっ飛ばすぞォ!!!」

 

 

船首から主甲板に飛び移ったルフィは皆にそう叫んだが、それはナミの指示に遮られた。

 

 

「皆、あそこの小島に逃げ込むわよ!」

 

 

「へっ?」

 

 

ナミが指さした場所はアスカ島の沖合いに小さな島々が密集した海域があった。ナミは座標の棄権を覚悟でそこへ逃げ込み、操船技術で振り切るつもりであった。

 

しかし、ナミの意見にルフィは反論する。

 

「ナミ!勝手に決めるな!船の行き先を決めるのは船長の俺だ!!」

 

 

「航海士の私よ!!」

 

 

「ゾロを探して追っ手をぶっ飛ばす!!港に戻れ!!」

 

 

「∑んな事できるかーっ!あんた、すぐそこにいる海軍が見えないのっ!?」

 

 

「#言い争ってる場合か、己らァっ!!!」がぼーーんっ

 

 

呑気に喧嘩を始めたルフィとナミに思わずウソップが怒鳴るが、海軍は攻撃の手を緩める事なく砲撃を続ける。

 

そこへマカハゼが〝ドリルクラッシャー・ガンモード〟を撃ち込んで阻止した。

 

 

「言い争いぐらい別に構わねェが・・・前からも来てるぞ?」

 

 

「∑やべェ、挟み撃ちかよッ!?」

 

 

マカハゼの言うように前からも目に見える所まで軍艦が2隻現れ、後ろの3隻と共に自分達を一網打尽にしようとしていた。

 

 

「ウソップ、これ使え」

 

 

「∑うおっ、カッケェバズーカ!?」

 

 

途中いなくなっていたマカハゼは自作していた手持ち用のバズーカ砲を持ち出し、ウソップに渡した。

 

 

「そのバズーカもそうだが、砲弾も俺特性だ。それを前の軍艦2隻の間に撃ち込め」

 

 

「え、なんで真ん中?」

 

 

「やればわかる」

 

 

「そっそうか・・・・・・」

 

 

マカハゼの圧に根負けしたウソップは言う通りにバズーカを構え、標準を定めてトリガーを引いた。

 

発射された砲弾はバズーカ砲の性能とウソップの射撃の腕がマッチした事で狙い通りに軍艦2隻の間に吸い込まれる様に飛んだ。

 

そして2隻の間に入った砲弾は真っ二つに割れると同時に超強力な音波が発生し、それをモロに喰らった軍艦2隻は一瞬でバラバラに破壊された。

 

それを見ていたルフィ達は勿論、メリー号から離れた所にいた軍艦3隻の指揮官に海兵、撃った張本人のウソップでさえ青い顔で唖然としていた。

 

ただ1人、恐ろしい現象を引き起こした原因であるマカハゼは満足そうな顔で首を縦に振った。

 

 

「流石は俺特製砲弾〝音壊(おんかい)弾〟!結構な威力だな!」

 

 

「∑いや何恐ろしい物使わせとんじゃーーッ!!?」

 

 

「今ので後ろの軍艦も怯んだわ!今のうちに行くわよ!!」

 

 

あまりの威力に流石のウソップもビビり涙でマカハゼの胸ぐらを掴んで怒鳴った。

 

ウソップに続いて正気に戻ったナミがまだ呆然としている者達に指示を出し、メリー号を動かさせた。

 

 

「ルフィ!海軍から逃げ切ったらゾロを探して追っ手をぶっ飛ばしに行く・・・・・・それでいいわね!!」

 

 

「おうっ!!!」

 

 

衝撃から立ち直ったルフィは、麦わら帽子をかぶり直すとナミに答えた。

 

 

(本当に追っ手かどうか・・・一体何が出てくるのかねぇ?)

 

 

海軍から逃げつつ、マカハゼはこの先どうなるか考えながら作業に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

〜END〜



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海軍道場の襲撃

side:海軍道場

 

 

「ここか・・・」

 

 

ゾロが〝3高弟〟達に案内されて着いた場所はアスカ島の密林の中にある〘海軍道場〙の看板が掲げられた寺院の様な建物だった。

 

 

「ゾロさんをお招きしました、師範」

 

 

敷地内の中央にある円堂に上がると、トウマが声を上げた。中には数十人の海兵達が向かい合い、人垣の廊下を作った。

 

そしてその人垣の奥にある〘正義〙と記された額の下の台座にいる長剣を背負った男の姿が、高窓から射す光の中にあった。

 

ゾロがその姿を認識したその直後、左右の海兵達が床を踵で強く踏み込んで抜刀した。

 

抜刀した海兵達は剣を掲げて向かい合った相手と交差させ、刃音を鳴らして刃のアーチを作り、海軍式の帯剣儀礼のポーズをとった。

 

ゾロは3500万ベリーの海賊〝麦わらのルフィ〟の船員の1人。海軍にとって討ち取るべき海賊の自分に歓待の儀礼をされる事に疑問を抱かずにはいられない。

 

しかしゾロは刀を抜くこと無く前に進み、正面の儃に座る男の前に立ち止まり、師範と呼ばれた男───サガもゾロの元まで降りてきた。

 

 

「・・・・・・サガ・・・・・・」

 

 

ゾロはサガの名を呼び、右手に持っていた〝ZORO〟と彫られた短刀をサガに差し出した。

 

 

「この命、お前に預ける」

 

 

そう語ったゾロからサガは短刀を左手で受け取り、それを進み出たトウマに手渡した。

 

 

「これが、ゾロさんの少年時代の愛刀かァ・・・」

 

 

「・・・・・・」

 

「そして師範との友情の証・・・・・・ですよね?えへへ」

 

 

受け取った短刀を見つめながら少年らしい笑顔をゾロに向けた。その言葉にサガはふっと唇を緩め、それを見たゾロも緊張を崩した。

 

 

「しっかし・・・場違いもいい所だな。言って見りゃ、俺は海軍の敵なんだからな」

 

 

「俺も驚いたぞ・・・〝海賊狩り〟が〝海賊〟に転職してたとはな」

 

 

「ガキの頃から『正義』の剣を目指していたお前にとっちゃあ、俺は許せねぇ相手って訳だ」

 

 

ゾロはそう言いながら額に飾られた『正義』の文字を仰いだ。

 

 

「なァに・・・・・・海賊など、辞めれば済むことだ。幸い、お前に賞金は懸かってないからな」

 

 

皮肉を言うゾロにサガは海賊を辞めるように薦めた。確かにサガの言うようにゾロに懸賞金はまだ懸かっていない。今辞めればただの賞金稼ぎに戻れる。

 

しかし、そんなサガの薦めを笑いながら無理だと断った。

 

 

「簡単に言うな・・・俺にも色々と事情があるし、今〝海賊〟を抜ける訳には───」

 

 

「ぐっ───」

 

 

ゾロが言いかけた時、サガが急に苦しそうに呻き声を出してうずくまった。

 

 

「サガ・・・・・・!?」

 

 

「師範ッ!!」

 

 

「さわるなっ!!!」

 

 

サガの突然の異変にゾロと高弟のトウマが取り乱して駆け寄るが、サガに一喝されて立ち止まった。

 

 

「どうしたんだ・・・・・・どこか悪いのか?」

 

 

「ゾロ!お前に・・・頼みたい事がある」

 

 

サガは胸を押えていた左腕をゾロの胸倉を掴み、強く引き寄せた。

 

 

「力を・・・貸してくれるな、ゾロ!」

 

 

海軍師範は強い思いを込めた、懇願するような目で訴え、その目を見たゾロは何かを感じとり、静かに答えた。

 

 

「話を聞こう───」

 

 

 

 

 


side:マカハゼ

 

 

海軍の追跡から逃げ切って約数十分、アスカ島のジャングルの湖に接岸接岸したメリー号には───

 

 

「あ〜〜〜・・・・・・暇だ」

 

 

───1人寂しく船番を託されたマカハゼが寝っ転がっていた。

 

 

「たく・・・これも全部ゾロのせいだぞ」

 

 

海軍から逃げ切ってジャングルの川を遡上しながらゾロの捜索をしていた一味は川の上流である湖に辿り着いた。

 

その湖の向こう側には古い祭壇の様な遺跡があり、そこで祈りをしていた娘を見つける。

 

しかし曽野娘は海賊船であるゴーイング・メリー号を見て血相を変えて逃げだした。

 

ルフィは何故逃げる少しキレるが、海賊船を見て逃げるのは当たり前の反応だとウソップが窘める。

 

しかしルフィはゾロが何処にいるのか聞き出す為に追いかけようと持ち前のゴムの能力で両腕を伸ばし、ジャングルへ飛び移った───止めようとしがみついたウソップとビビを巻き込んで。

 

それを見て残った者達は呆然となったがすぐに復活し、急いで逃げた娘と先走ったルフィ(バカ)(巻き込まれ2人)を追う為に接岸した。

 

しかし、〝バロックワークス〟の追っ手がいる可能性がある以上、船を留守にする訳にはいかない。

 

そこでナミの提案で一味の誰よりも強いマカハゼが船番し、残り全員で追い掛ける事に決まった。

 

 

「まぁ・・・何かあれば〝ビルドフォン〟で連絡が来るからいいか」

 

 

そう言ってマカハゼは立ち上がり、新しい道具の設計図の作成を行う為に自身の部屋へ向かった。

 

 

「それにしてもあの娘・・・遠くからだったがあいつに少し似ていたな・・・」

 

「お前もそう思うだろ・・・・・・()()()()()()

 

 

 

 

 


side:ナミ

 

「───ちょっと!あの3人何処に行ったのよ!?」

 

 

遅れて湖岸に上陸したナミ達はルフィとウソップとビビの姿を完全に見失っていた。

 

 

「くそッ!ただでさえ短刀を投げて来た奴がいるってのに・・・!!」

 

 

「ルフィの兄貴とウソップの兄貴は兎も角、ビビの姐さんまでいなくなったら髪一重でまずいでしょ!?」

 

 

「行方不明者3名追加ね!!世話がやけるわね・・・ッ!!」

 

 

「かわい娘ちゃん、何処かなァ〜❤」

 

 

「∑あんたは(それ)しか見えてないんかい!?」

 

 

皆が完全に見失ったルフィ達を心配する一方、サンジは逃げた娘を探すのに夢中になっていた。

 

そこでトナカイのチョッパーは持ち前の聴力と嗅覚で娘の姿を見つけた。

 

 

「いた!あそこだよ!!」

 

 

「あ〜、いたいた〜❤」

 

「怖がらなくていいの〜❤僕達は怪しい者じゃないから!」

 

 

「∑お前がこの中で1番怪しいわッ!!!」( º言º)×6

 

 

目をハートにして娘を追い掛ける姿は今のサンジはまさに変質者のそれだった。

 

そんなやり取りをしている間に、娘は森の向こうへと消えてしまった。

 

 

「もぉ・・・また見失った!」

 

 

娘を見失ったナミ達9人は少しの間、道無き森の中を走りゆく。暫くすると視界が開け、川沿いの緩やかな谷に出た。

 

 

「かわい娘ちゃん❤お名前教えて〜❤」

 

 

「いい加減やめたら?」=͟͟͞͞(꒪⌓꒪;)引。

 

 

「それで出てくる女はいないわよ」=͟͟͞͞(꒪⌓꒪;)引。

 

 

「そんな事言わないでよ〜❤ハニーちゃん❤ミキータちゃん❤」

 

 

サンジの余りのしつこさに若干引き始めたハニークイーンとミキータの2人に少し冷や汗を流しながら許しを乞うた。

 

 

「それにしてもあの娘何処に行ったのかしら・・・?」

 

 

「村があるぞ!」

 

 

サンジを無視して当たりを探るナミに、村が見えたとジェムが叫ぶ。

 

そこには高台に築かれた村があり、ちょうどそこから見える村に続く階段に探していた娘が駆け上がる姿が見えた。

 

 

「あ!いたいた❤」

 

 

「いい加減それやめなよ」=͟͟͞͞(꒪⌓꒪;)引。

 

 

 

 

 


side:村

 

 

この日、荷を運ぶ男達や祭壇の像に祈りを捧げる女達がいるいつもの日常があった。

 

しかし、その日常は慌てて村に戻ってきた1人の娘の発言で崩れた。

 

 

「みんなァーーッ!!」

 

 

「マヤ様?」

 

 

「マヤ様だ」

 

 

「海賊が、海賊がァーーッ!!」

 

 

〘村の巫女・マヤ〙

 

 

戻ってきた娘───巫女のマヤがそう叫んだ事で村中が騒ぎ始める。

 

 

「海賊が!?」

 

 

「ウソだろ、また来たのかよッ!!」

 

 

「おのれ・・・・・・間の悪い時に!!!」

 

 

〘村の自衛団長・ラコス〙

 

 

マヤの叫びを聞いたラコスは忌々しげに呟くき、広場にいた男達に叫んだ。

 

 

「皆、海賊が来るぞ!!男達は武器を取れ!!村を守るんだ!!!」

 

 

「「「「オオオッ!!!」」」」

 

 

「マヤ様は、婆様を頼みます!!」

 

 

「うん!!」

 

 

男達を連れて武器庫へと向かうラコスと言葉を交わしたマヤは、村の祭壇にいる祖母の元へ向かう。

 

───彼女の抱える風呂敷の隙間から輝く3つの宝玉を覗かせながら。

 

それから約2分。祭壇に辿り着いたマヤは供物と祈りを捧げていた女達に海賊襲来を聞き、震え上がった。

 

 

「もう海賊は現れないと思っていたのに・・・・・・」

 

 

「なんてこと・・・・・・!!」

 

 

「取り乱すでない」

 

 

〘村の相談役・イザヤ〙

 

 

「婆様!」

 

 

祭壇の階段で酷く腰の曲がった老婆───イザヤが女達を宥め、場を沈めた。

 

 

「とにかく、お前達は子供を連れて森に隠れるのじゃ」

 

 

「「「はい」」」

 

 

海賊との戦いに備え村は騒然となり、マヤは祖母と逃げるように促す。

 

 

「お婆様も・・・早く、隠れましょう!」

 

 

「んにゃ、ワシはここを守る」

 

 

しかし祖母は、マヤの言う事でも頑として祭壇の前から動こうとしなかった。

 

 

「お婆様・・・でも」

 

 

「こんちは〜❤」

 

 

「「ッ!!」」

 

 

そこに間の抜けた挨拶が投じられた。

 

 

「海賊・・・・・・ッ!!まさか、もう・・・!!」

 

 

マヤは胸の宝玉を隠し、祖母を背に隠して、身じろいだ。

 

祭壇前の広場に現れたのは黒スーツで目つきのイヤらしい男とサングラスの男、刀を携えた3人の男女、危険な匂いを漂わせる3人の女、そして大きな鳥と鹿のような生き物───〝麦わらの一味〟だった。

 

そこへ海賊の侵入に気付いたラコスが仲間を数人引き連れ、武器を構えて現れた。

 

 

「マヤ様!早くお逃げ下さい!!」

 

 

「ヘェ・・・マヤちゃんっていうんだ❤いい名前だなァ〜・・・・・・って、あれれ?どっちの名前が?」

 

 

「いや、そこはどうでもいいでしょ?」ビシッ

 

 

若い娘と老婆を見比べて迷うサンジに、ジョニーがツッコミを入れる。

 

そこに左手に盾を、右手に山刀を構えたラコスがサンジ達に怒鳴った。

 

 

「あっしら、エラい嫌われようですぜ」

 

 

「招かれざる客って訳ね・・・でも男全員が武装してる時点で、この村も普通じゃなさそうだけど?」

 

 

「マカハゼの兄貴が興味持ちそうなのも色々とあるね」

 

 

そう言ったナミは1歩前に出て、カッコウが大木の根の張った下にある移籍に目を向けた。

 

 

「私達は海賊に屈指ない!決して!!」

 

 

「なんて凛々しい〜❤」

 

 

「なんか・・・やばい雰囲気だよ」( ̄▽ ̄;)

 

 

〝麦わらの一味〟に入ったばかりのチョッパーは、すっかり恋の虜になったバカ(サンジ)を無視し、今にも襲って来そうな村人達が気が気ではなかった。

 

しかしサンジは軟派な態度をを直ぐに治し、ラコスに近づいた。

 

 

「よォ!ここはお互いに穏便にいかねぇか?」

 

 

「穏便だと・・・?」

 

 

「あぁ・・・実は危ねぇ奴らが俺達を追って来てるみたいでな、仲間の1人がそいつらと戦う為に1人先走ったようなんだ」

 

「だがそいつは極度の方向音痴でな。迷子になってるかもしれなくて探してただけなんだ」

 

「だから仲間を見かけたかどうかだけ教えてくれればそれで良い。俺達の事情にあんたらを巻き込むつもりは毛頭ねぇからさ」

 

 

「・・・・・・」

 

 

そう言って申し訳なさそうに苦笑いを浮かべるサンジを見て毒気を抜かれたラコスは構えていた山刀を少し下げる。

 

海賊達をよく見れば確かに数人武器を持っているが、彼ら全員殺意や狂気などは感じ取れなかった。

 

ラコスは警戒心を少し下げて彼らの言い分を聞こうとしたその時、他を警備していた村の男が血相を変えてやって来た。

 

 

「ラコス!大変だ!!」

 

 

「どうした?」

 

 

「海軍道場の奴らが・・・来やがった!!!」

 

 

「しまった!!婆様!マヤ様!お2人は直ぐにお隠れ下さい!!!」

 

 

そう言ってラコスは他の男達を連れて海軍道場がやって来た方へ向かう。

 

 

「・・・・・・は?海軍??」

 

 

一方のサンジ達は自体の急変に置いて行かれ、呆然としていた。

 

 

 

 

 


side:村の広場

 

 

海軍道場の剣士達が刀を抜き、突然村になだれ込んで来た。それに対して村の男達も応戦する。

 

しかし、海賊と戦う為に訓練している戦闘のプロである海兵と、農業の傍らに剣を振るう民兵では全てに雲泥の差があった。

 

 

「刃向かう者は蹴散らせ!我らの力を見せ付けるのだ!!」

 

 

そこへ海兵達の後で〝3高弟〟、〘鋼鉄の騎士・ビスマルク〙と〘金棒のブーコング〙が圧倒的な力で村の男達を蹴散らす。

 

 

「1歩も引くな!!これ以上海軍道場の好きにさせるなァ!!!」

 

 

「「「「「おうッ!!!」」」」」

 

 

しかし村の男達を率いて先頭に立つラコスは、怯む仲間達を勇気付ける。

 

男達もラコスの鼓舞に気合を入れるが、そこへビスマルク率いる海軍剣士達が殺到する。

 

 

「打ちのめしてやる・・・海軍に弓引く犯罪者共め!!」

 

 

「ぬぉぉぉおおおおっ!!!」

 

 

ラコスの山刀の左の手甲で、ビスマルクの斬撃を左の盾で互いに防いだ事で力比べの体制になり、2人を中心に大乱戦になった。

 

 

「犯罪者って・・・・・・この村の人達、悪い奴らなのか?ヨサク、ジョニー」

 

 

一方で祭壇から戦いの様子を見ていたチョッパーは、ヨサクとジョニーに尋ねた。

 

 

「∑え"っ・・・いやァ・・・・・・」

 

 

「海軍が言うなら、そうじゃねェんですかい?」

 

 

「違う!私達は───えっ?」

 

 

マヤがヨサクとジョニーを睨んで叫ぼうとしたその時、頭上から大きな影が現れ、地震の様な衝撃と共に祭壇の像が破壊された。

 

 

「ギャハハハハ・・・・・・!」

 

 

「な・・・・・・何よアイツ?」

 

 

息を呑むハニークイーンが見つめる土煙の中で、現れたのは〘金棒のブーコング〙だった。

 

目の前で祭壇の像を破壊されたマヤと祖母は、目の前の光景にみるみる落胆していった。

 

 

「ギャハハ・・・お前が持ってるそれ、な〜んだ?」

 

 

「っ!」

 

 

ブーコングのニヤけた視線が、マヤの胸元の包みに狙いをつけ、〝麦わらの一味〟にとって信じ難い事を言い放った。

 

 

()()、来〜〜〜〜い!!!」

 

 

「はっ?」×9

 

 

ブーコングが顔を向けて叫んだ方に視線を向けると、村の入口から激しい乱戦の中を、見覚えのある3本刀の剣士が悠然と歩いて来た。

 

 

「───えっ?」

 

 

「何で・・・!?」

 

 

現れた3本刀の剣士は乱戦の中で斬りかかった村の男2人を叩き伏せ、祭壇の残骸に立つブーコングの元まで来た。

 

 

「ちょっと・・・一体何やってんですか!!()()()()()ィっ!!!」

 

 

そこにいたのは少し前に自分達の前から姿を消した仲間───ゾロが海軍の仲間の様な形で現れた。

 

 

 

 

 

〜END〜



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奪われた宝玉

side:村の祭壇跡

 

 

「あ・・・・・あんた、何やってんの?何で海軍の味方なんか・・・・・?」

 

 

村を襲って来た海軍の助っ人として何故か現れたゾロに、ナミは全く訳が分からないままゾロに言い放つ。

 

チョッパーやカルー、ハニークイーンも不安な顔でゾロを見つめる。

 

ゾロはそんな仲間達の視線を無視し、マヤの抱えている包を見据えた。

 

 

「それが宝玉か・・・・・」

 

 

「マヤ」

 

 

「ハイ、お婆様」

 

 

祖母とマヤはゾロから逃げる為に村の奥の森へと走り出した。ゾロは無言でそれを追う。

 

 

「「「ここは我らが!!」」」

 

 

村の男3人が逃げる2人を守る為にゾロに立ちはだかるが、それを意に介す事なく三刀流で叩き潰す。

 

 

「〝三刀流・鬼斬り〟!!」

 

 

「「「ぐぁぁああッ!!」」」

 

 

村の男3人を叩き潰したゾロは彼らを一瞥すること無く、マヤ達を追い掛ける。

 

 

「ヨサク!カッコウ!兄貴を止めるぞッ!!」

 

 

「合点だ、相棒!!」

 

 

「了解!!」

 

 

「サンジ君、追って!ジェムとミキータも!!」

 

 

「あの野郎、まさか・・・・・!!」

 

 

「あの短刀も海軍が・・・・・!?」

 

 

「とにかく行くわよ!取り返しが付かなくなる前に!!」

 

 

ゾロの奇行を止める為にヨサク達『八咫烏』やサンジ、ジェムとミキータが走り出した。

 

 

 

 

 


 

side:村の奥の森

 

 

加工された巨石の上に根を張り、木々が森となった場所の断崖の上をマヤと祖母は駆けていた。

 

しかし、祖母を連れていてはゾロの追跡を振り切る事は出来ず、遂には先回りをされてしまった。

 

 

「あっ・・・・・!」

 

 

「・・・・・・・・・・」

 

 

無言の威圧で3本の刀を構えて迫るゾロを前に、マヤは膝をつく。抱えた包を守ろうとうずくまるが、それでは宝玉を守れないと自覚していた。

 

 

「やめてください、兄貴!!」

 

 

そこへ追いついたジョニー達がゾロと2人の間に割って入り、剣を構えてゾロを睨む。

 

それに遅れてサンジが後ろに、ジェムとミキータが左右に位置取り、ゾロを囲んだ。

 

 

「てめェ・・・・・正気か、ゾロ!」

 

 

「ああ、至ってな」

 

 

「あの時、あの短刀を投げて来たのは〝バロックワークス〟じゃなく、海軍だったのか?」

 

 

「まぁな」

 

 

チッ!

「上等だァ!!レディに刃を向ける奴は例えお前でも・・・・・容赦はしねェ!!!」

 

 

サンジとジェムの問い掛けに淡々と答えるゾロに痺れを切らしたサンジが蹴りかかった。

 

ゾロはそれを難なく躱すが、その一撃を皮切りに囲んでいた全員が攻撃を仕掛けた。

 

正面からの『八咫烏』達の刃、後ろからの蹴り、左右から繰り出される攻撃を受け、弾き、流しながら全て躱して上に飛んで斬撃を繰り出す。

 

それを見たジョニーとヨサクは互いの剣をクロスさせてゾロの剣を防ぎ、その隙を突いてジェムとサンジが挟むような蹴りを入れる。

 

しかしゾロはジョニーとヨサクに当てた剣を弾き、両手の剣の峰で防ぐ。

 

そこで少し離れた所でカッコウが剣に乗ったミキータをゾロの真上に投げ飛ばし、持ち前のキロキロの実の能力(ちから)でダイブする。

 

 

「〝5千キロプレス〟っ!!」

 

 

「!!」

 

 

しかしゾロはそれも既のところで躱し、また6人との攻防に戻る。

 

 

「ゾロ!みんな!!」

 

 

「ちょっと・・・・・やめなさいよ、あんた達!!」

 

 

「何で・・・・・何でこうなるのよッ!?」

 

 

「クエェェッ!!!」

 

 

遅れてきたチョッパー、ナミ、ハニークイーン、カルーが7人の戦いに驚いて声を上げる。

 

何時もならナミの一括で収まるイザコザも今回は収まらない。

 

 

「〝鼻空想(ノーズフェンシー)〟・・・・・!!」

 

 

「!」

 

 

「やあァっ!!」

 

 

乱戦から離れたジェムが〝鼻くそ爆弾〟を飛ばそうとしているのに気づいたゾロは、蹴りを放ってきたミキータの足を掴み、ジェムに投げつける。

 

 

「あうッ!!」

 

 

「∑ゴハァッ!!!」

 

 

ドゴオォォンッ!!!

 

 

「∑ジェム!!ミキータちゃんッ!!」

 

 

2人がやられた事でゾロへの意識を一瞬外し、大きな隙を作ってしまった。

 

 

「サンジ・・・・・剣士と戦う時に気を抜くな・・・・・隙を見せた時は」

 

 

「ッ!?(しまっ───)」

 

 

「既に死んだも同然だ」

 

「〝三刀流・大文字(だいもんじ)〟!!!」

 

 

「がはッ!!!」

 

 

「「サンジ君ッ!!?」」

 

 

「「「はァァァっ!!」」」

 

 

サンジはゾロに吹っ飛ばされ、深手を負った肩を抑えながら呻くなか、『八咫烏』が左右と正面から斬り掛かる。

 

しかし、それもゾロは簡単に受け止め、『八咫烏』3人を睨む。

 

 

「気を抜かずに斬り掛かる・・・・・悪くは無いが・・・威力が足りねぇ・・・・・!!」

 

 

「「「っ!!」」」

 

 

「〝龍巻〟ッ!!!」

 

 

「「「うわぁアアアっ!!!」」」

 

 

ゾロの〝龍巻〟によりジョニー達は吹っ飛ばされ、気を失ってしまった。

 

 

「ジョニー!!ヨサク!!カッコウ!!」

 

 

「クエェェッ!!」

 

 

ゾロの奇行を止めようとした6人はいとも簡単にやられ、マヤを守る者はいなくなった。

 

 

「どうして・・・どうしてこんな事をするのよ!!!」

 

 

「仲間を傷つけるなんて・・・・・何考えてんだよ!!?」

 

 

ナミは怒りを顕にし、チョッパーはサンジ達の容態を見ながら、仲間を傷つけたゾロを睨んだ。

 

ゾロは倒した6人を黙って見すえたが、直ぐにマヤと祖母に視線を戻した。

 

 

「宝玉は・・・渡さんぞ!!」

 

 

祖母はマヤを守る為に前に出た。しかし、ゾロはそれを気にもとめずにマヤを斬りつける。

 

 

「ゾロッ!!?」

 

 

「ひっ・・・・・!!」

 

 

「ッ・・・・・・・・・・!?」コロコロ…

 

 

誰もがゾロが斬ったと声を上げたが、マヤ自身はなんともなかった。しかし、抱えていた布が斬られた事で中にあった3つの宝玉が転がり出た。

 

 

「こいつは貰っていく・・・」

 

 

「ギャハハハハ・・・・・!!」

 

 

「首尾よく行った様だな・・・・・」

 

 

ゾロが宝玉を回収した所に村をあらかた制圧したブーコングとビスマルクがやって来た。

 

3つの宝玉を手にしたゾロは腹巻に入れて村から去ろうと踵を返したが、マヤが待ったをかける。

 

 

「返して!それはとても大切な物なの・・・!!」

 

 

「俺にとってもだ」

 

 

「よし・・・・・目的は達成した!ここまでだ!!」

 

 

宝玉の回収を確認したビスマルクは海兵達に剣を収めさせ、村の者達に向かって宣告した。

 

 

「聞けェ!!このアスカ島は、我が海軍道場の統治下にある!!我らの許可無く儀式、集会を行う事が禁じられている事は、お前達もよく知っているはず!!」

 

 

「つまりだ・・・・・!お前達がやろうとしている事は海軍に対する反逆行為になるという事だ!!俺達に逆らうと、み〜〜〜んな死ぬ事になるぜ・・・・・ギャハハハハ!!」

 

 

ブーコングはそう言いながら血に濡れた金棒担ぎ、ビスマルクは海兵達を集合させてゾロと共に村を去った。

 

残されたのは倒れた村の男達と、怯える女子供と、破壊された祭壇、そして〝麦わらの一味〟だけだった。

 

 

「どうしちまったんだよ・・・・・ゾロ!なんでこんな事を・・・・・なんでだよ、ナミ!!ハニークイーン!!」

 

 

「そんなの・・・こっちが聞きたいわよ!」

 

 

「サンジ、しっかりして!!」

 

 

「くっ・・・・・」

 

 

〝麦わらの一味〟に入って少ししか経っていないチョッパーだが、船員(クルー)達の気の良さは理解しているつもりだった。

 

なのに仲間の1人が海軍と動き、仲間を傷つけて去った事に悲しみと憤りの涙をためてナミ達に叫んだ。

 

しかし、ナミとハニークイーンも困惑で訳が分からず、倒れたサンジ達を助けるのに動いている。

 

 

「すみません、マヤ様・・・・・婆様・・・・・我々の力が足らないばかりに・・・・・」

 

 

ビスマルクにやられ、倒れていたラコスが涙を流しながら2人に詫びた。マヤはただ、優しくラコスの肩に手を置くことしかできない。

 

 

「これで・・・・・〝七星剣〟の復活を防ぐ手だては、無くなった・・・」

 

 

「七星剣・・・・・?」

 

 

「復活・・・・・?」

 

 

老婆が無念そうに語った言葉に、ナミとハニークイーンは思案げに瞳を伏せた。

 

 

 

 

 


side:ルフィ

 

 

「オーーイ・・・・・ここ何処だ?」

 

 

「「∑それはこっちのセリフだァっ!!!」」( º言º)

 

 

消えたゾロ行方を聞こうと独断専行したルフィと、それを止めようとして巻き添えになったウソップとビビはアスカ島の密林の中をさまよっていた。

 

 

「どうすんだよ、ホントによ〜〜!これ間違いなく俺達も行方不明者になってんぞォ・・・・・」

 

 

「ナミさん達・・・大丈夫かしら・・・・・?」

 

 

「ナミ達より俺達の身の心配しろよォ〜〜。〝バロック・ワークス〟の追手もいるかもしれねぇんだぞォ・・・・・」(´TωT`)

 

 

太陽はとっくに西に傾き、空は段々と暗い夕映えに染まっていく。密林にはどんな危険があるか分からない上、〝バロック・ワークス〟の刺客がいる可能性が高い。

 

 

「ん?」

 

 

しかし、前を歩いていたルフィが突然立ち止まった。後から追いついたウソップとビビも歩き疲れた顔でポカンと眼前を仰いだ。

 

 

「何だ、ここは?」

 

 

「デッケェ建物だなァ」

 

 

「海軍・・・道場・・・・・?」

 

 

ルフィとウソップは声を上げ、ビビは眉をひそめた。

 

密林が突然開けたかと思えば、3人の前には高い門が遠くまで続いており、門の表札には〝海軍道場〟と書かれていた。

 

 

「って事は誰かいるんだな!ゾロの事訊いてみようぜっ」

 

 

「∑いやちょっとルフィさん!?ここ海軍の施設みたいなんだけど!?」

 

 

「そうだぞ、ルフィ!!海賊の俺達がここに入るのは「お邪魔しまーす!!」∑って話を最後まで聞けよ!!」( º言º)

 

 

ウソップとビビの静止を聞かず、ルフィはサッサと門の中に入って行った。

 

ウソップとビビも慌てて中に入れば、数十人の海兵達が寺院の様な円堂の中で形稽古に励んでおり、その動作に一糸乱れる事はなかった。

 

その様子はまるで一定の動きを決められた機械の様で、入って来たルフィ達に意識を向ける事は一切無かった。

 

 

「ヘェ〜」

 

 

「感心してる場合じゃないわ、ルフィさん!!」

 

 

「ビビの言う通りだ!俺達がここにいるのは本当にヤバい・・・・・てっ?」

 

 

海兵達の稽古に感心しているルフィにビビがたしなめ、ウソップも言おうとしたところで壁に貼られた〘麦わらのルフィ・懸賞金3500万ベリー〙を見つけ、慌てて破りさった。

 

 

「これじゃ飛んで火に入る何とやらだぞ、俺達っ!!」グシャグシャッ!!

 

 

「こんな所にいたらマズイわ!早くここから移動しないと「なァ、ゾロ見なかったか?」∑いやちょっと!?」

 

 

ルフィは今の自分の現状に理解してないのか、海兵達に物怖じする事なくゾロについて尋ねていた。

 

しかし海兵達は、ルフィを無視して一心不乱に稽古を続ける。ルフィは振り下ろされる刀を危なっかしく避けながら、訊いて回った。

 

 

「ゾロだよ・・・・・∑アブねっ!!ゾロだ!!ゾロ〜〜〜!!!」

 

 

「や、やめろって!ルフィ!!」

 

 

「そっそうよ!!早くここから移動を・・・・・」

 

 

「〝麦わらのルフィ〟・・・・・!」

 

 

「「∑バレた!!」」

 

 

後ろから聞こえた第三者の声にウソップとビビは驚いて飛び上がった。

 

後ろにいたのは破れた海軍帽子をかぶったそばかすの少年剣士──〝3高弟・光速のトマウ〟が呆気に取られたようにルフィを見ていた。

 

正規の海軍制服ではない派手な上着を着ていたが、海軍帽子と背中の海軍マークで海兵だとわかるが、ルフィはそれを気にすること無くトウマに尋ねる。

 

 

「なァ、ゾロって奴を知らねぇか?」

 

 

「ゾロさんならそろそろ帰ってくる頃かと・・・・・」

 

 

「そっか!良かったな、2人とも!!ゾロが見つかったぞ!!」

 

 

「な・・・・・何でゾロが海軍の道場に?」

 

 

「どうでもいいじゃねぇか、ゾロが帰ってくるれば・・・な!」

 

 

「ルフィさん、全然どうでも良くないわよ・・・・・」(^_^;)

 

 

能天気に笑うルフィに軽いツッコミを入れるビビやウソップを見たトウマは少年らしく笑ってからサッと手を挙げた。

 

トウマの{やめ}合図を見た海兵達が稽古を中断して整列する。刀を後ろ手に構え、左右に別れて人垣の廊下を形作る。

 

 

「ふん。こんな小僧が3500万の賞金首か・・・・・」

 

 

人垣の向こうに座っていた男がルフィを見て訝しげに呟いた。ルフィはその男に気後れすること無く、言返す。

 

 

「お前誰だ?」

 

 

「あの人はわが海軍道場のサガ師範です。それと同時に、ゾロさんの幼馴染みなんです」

 

 

「∑ゾロの幼馴染み!?」

 

 

「・・・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

〜END〜

 

 



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