憧れになんてなれなくて (嘘つき魔神)
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第0話:誰かの生い立ち
『そうですね、できるだけ助けたいわ、提督だってそうでしょう?』
画面の彼女の問いを聞いて……俺はそっとブラウザを閉じた。彼女は眩しすぎた。俺のような、薄汚い、自分優先の男には。
『俺は戦うよりも逃げる方が怖いからな。逃げたら、もう俺には戻れない気がするから』
その台詞を見て、そっと小説を閉じた。彼もまた、眩しすぎた。自分のことしか考えられない男には。
俺には、何もかもが眩しかった。仮面ライダーも、戦隊ヒーローも、誰かのために動ける人間が。
俺は、その中でも彼女に強く惹かれて、それでいて彼女が恨めしかった。
俺は、彼に憧れ、それでいて恐怖を感じた。
何故そんなに誰かを思える?何故そこまで守ることにこだわる?俺は、2人にそう問いたかった。返ってくる答えは、何となく分かっていても。
あの2人に憧れたからだろうか?ボールを取ろうと飛び出した少年を庇ったのは。
俺は、死を覚悟して、それでいて僅かな満足を覚えていた。でも、それでも彼女と彼のようにはなれないなと思った。きっとあの2人は、こんな満足のために人を助けるのではないだろうから。
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気がついたら、神を名乗る男に会っていた。でも、今時よくある転生にはさほど興味はなかった。だから、天国でも地獄でもいいから死なせてくれと頼んだ。だが、無理だと言われた。天国も地獄も今は人がいっぱいなのだと。転生を夢見て死ぬものたちが多く、そこで転生と言う形で来る魂を対処しているのだとか。だが、どうでもよかった。普通に死なせてほしかった。まぁ、美味しい話なんてなく、「ちょっとの特典はやるがもう聞かん!さっさと転生しろ!」と言われてしまった。そして、俺は、何もかも忘れた……
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『--なさい、起きなさい!いつまでも寝てるの!』
それが転生してから聞いた第1声だった。気がつけば、俺はベッドに寝ていた。小1ぐらいか。
『お前、--って言うのか、よろしくな!』
『……-だ、よろしく』
あの2人は、元気だろうか?転生してから初めて出来た2人の友達。でも、1人はしばらくしてどこかに行ってしまった。
そして、俺も……
『--さん、IS適正にて結果がSだったため、ぜひ国家代表候補生に!』
そんなことを言われたのは中1ぐらいか。親も、どちらかと言うと母がそれに賛成し、俺は国家代表候補生訓練施設で過ごすことになった。
『またな!』
そう言って俺を送り出したアイツは、今、何をしているか。
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「……9秒38」
俺には、いや私には、やらなきゃいけないことがある。例えガワだけだとしても、見た目も、名前も彼女なのだ。だから、守らなきゃいけない。私が私であるために。
「……もっと、強くならなきゃ」
初霜ふもふ。どこ発祥なんでしょうかね?どっかで「しまった!これははつしもふもふの罠だ!」ってーのを見た気がするんですよねぇ……
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第1話:望むは力
1回、2回と弾けるような音が鳴り、それぞれ灰と紺を纏う少女2人は駆け出す。灰を纏う少女は刀を構え、紺を纏う少女は2門の砲を向ける。先に仕掛けたのは灰……
実は、初霜の狙いは、瞬間加速中の神永ではなく、突っ込んでくる神永で、神永が突っ込んだのに合わせて砲を撃った。それだけだ。
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「……ふぅ……」
「ちぇー、負けちゃった。さっきまでの奴で結構
「1回だけの賭けだったけどね……砲撃が当たらなかったら負けてたわ……」
「勝負運いいよなぁはっちゃんは……」
私たちはついさっきの模擬戦の結果について話していた。はっちゃん、というのは神永が私につけたあだ名。神永は私が国家代表候補生訓練施設に来てから出来た……ライバルだろうか?どっちにしても彼女は強い。何でも、神永の家は、荒川流という剣術を教えているのだとか。だから、荒川家の1人娘の神永は荒川流壱ノ型という習得の難しい技まで覚えている。それをフルに使われるとなかなかキツい。
「単純に突っ込んでくるのを待ってただけよ?神永は待つの苦手だもの」
「……何も言えねぇ……」
神永は待つことがすごく苦手なのが唯一の弱点と言える。そこをつけばなんとかなるけど……それでも当人の技術が高いし、正直じり貧になる……
「そういうはっちゃんは近接苦手だよね、一応両手の砲をトンファーみたいにしてるけど……」
「……近接武器、ないからね」
そう、私のISは、『初霜』の艤装を模して……というかそのまま。だから近接武器はない。一応、砲をトンファーみたいにしてるけど……ダメだ、私は、まだ弱い……もっと強くならなきゃ……
「……はっちゃーん?」
「え、あぁ、ごめん……何でもないわ」
「ふーん、ならいいけど」
ダメね……最近考え事が多い。最近、どうやったら強くなれるかしか考えてない気がする。
「それにしても、なんというか、国家代表候補生訓練施設って言うのに、やってること基本の繰り返しだよねぇ……もっと派手にやりたいよねぇ……」
「でも、基本の繰り返しが強くなる1番の近道でもあるわ」
「知ってるよぉ……あ、そういえば……」
「何?」
「なんかぁ、えーと、そうそう、PC室あるじゃん?あそこのPCに前期国家代表候補生……ぐえっ」
「……教えて、前期国家代表候補生の何かがあるのね?何?何があるの!?」
「お、落ち着いてはっちゃん、えーと、あ、そうそう、何でも前期代表候補生の訓練内容があるんだって!」
「……フフ、ありがとう……ごめんね神永……」
(私は、とんでもないことを教えてしまったかも……)
神永の後悔をよそ目に、初霜はPC室に向かうのだった……地獄の始まりになるとも知らず……
あの後めっちゃ訓練した。第3世代機2機を第2世代1機で倒す超人を作る訓練プログラム……どんなのなんでしょう?
ちなみに、今回の中で1番初霜っぽいしゃべり方があったら教えていただけると嬉しいです。
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第2話:始まりが近づいて
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「ぜぇ……ぜぇ……!」
ここに1人呼吸を整える少女がいる。ご存知転生初霜である。あの後前期代表候補生訓練プログラムを手に入れた(というか聞いたら普通に教えてくれた)初霜は、現在“前期代表候補生用“訓練用第2アリーナにてそのプログラムを実践していたのだが……
(き、キツイ……!どう考えても桁数間違えてる……!)
実に簡単な話、前期代表候補生訓練プログラムは、基本の繰り返しである……桁数が3つ、4つ多いが。
そしてそれをとりあえず試した結果こうなったのだ。
「おーい、はっちゃーん。大丈夫?」
「……大丈夫じゃない……」
それを聞いて神永はやっぱりという顔をする。しかし、その一方で初霜はこれを続ければ確実に強くなれると確信した。
「にしても、おかしいよこの訓練……何さ回避訓練プログラムを10セット……1セットは10回だっけ?回避訓練は1回につき3分だからぁ……」
「計300分……時間にして5時間ね……」
ちなみに、2人は誤解しているが、実は、前期代表候補生訓練プログラムは、1日ぶっ通しでやることを想定している訓練プログラムである。
「でも、いい、私が使えそうなのをピックアップしてやれば、強くなれる……きっと……」
「大丈夫はっちゃん?片言になってきてるよ?」
ちなみに、前期代表候補生は平常時ならこれを全部やってようやく息切れする。
「うーん、はっちゃんに必要そうなのはぁ……近接戦闘訓練プログラムに……射撃訓練プログラム……移動系も入れとく?」
「うん……入れといて……」
どうでもいいがこの2人、どう見てもマネージャーと選手である。
「……こんなもんか」
「えぇ……しかし、模擬戦やった後にやるものじゃなかったわ……」
「基本訓練短いから時間がたっぷりあるのは救いだねぇ……じゃあ、これを適切な時間にしておくね、バイビー」
そう言って、神永は去っていく。その後、初霜は地面に倒れた。
(……強く、なれてる……?いや、まだだめ……もっと、もっと強く……)
そんなことを考えながら、初霜は眠ってしまうのだった……
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「……アイツ、元気かな……」
ある公園、そこのベンチに座りながら遠い誰かに思いを馳せる少年がいた。恋簿などではなく、純粋に友人として心配なのだ。
「……まぁ、昔からタフなとこあったし、大丈夫、かな、さて、受験勉強しなきゃな」
そう言って、少年は家へと戻る。
誰も気づきはしない。原作の始まりが近づいていることを……
死にそう。眠い眼こすって書くもんじゃないね……深夜テンションもあるし……
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第3話:終わりを告げる
タイトルは前回と合わせたらいい感じになるかも?
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「……3秒37……」
あれからしばらくして、この訓練施設はさほど変わりないが、外の方ではいわゆる受験というものが学生を苦しめる時期。そんな中、初霜はこっちも依然変わりなく訓練を行っていた。以前よりもタイムが縮んだり、神永との模擬戦の結果もいいものになってきており、初霜はちょっとの満足を覚えるも、すぐにまだだめだと気を引き締める。そんな時だった。
「おーい、はっちゃーん!ちょ、てれ、テレビ!てかこっち!」
「え、ちょ、いきなり何!?」
突如走ってきた神永に初霜は誘拐されてしまった……なんとか説得してISだけは置いてきた。さて、そんなこんなで食堂でテレビを見させられる初霜。その内容は……
『なんということでしょう、今まで女性しか動かせないと言われていたISですが、今日この日、あの
「……へ……?」
「すごいよねぇ……やっぱ、
「……何があったの一夏君……」
「へ?」
「何でもない、けど、間違いなく世界は荒れるでしょうね」
「あぁー……確かに……」
2人がどうしてこう言うのか?それは、ISの特異性にある。皆も簡単に復習しよう。ここからはメタになるゾ。
インフィニット・ストラトス。通称、IS。制作者、篠ノ之束。元々は、篠ノ之束が宇宙開発用に作ったいわゆるロボットスーツと言うものである。しかし、IS発表後に起こった白騎士事件によって、宇宙開発用ではなく、現行兵器を凌駕する兵器として見られるようになった。しかし、ISは女性にしか動かせないため、女尊男卑という風潮を作り上げた……
とまぁ、そんなこんなな訳だが、世の中には、「IS乗れんの?ふーん」で済ます人もいるだろうが、「ISは女性の特権!死ね!」という人もいるだろうし、「なんで乗れるか知りたいから解剖させて?」という人もいるだろう。
どっちにしても、一夏の人生は波乱万丈なものになるだろう。
「……まぁ、私らには関係ないさね、そうでしょはっちゃん?」
「……そうね」
だが、初霜たちには関係がないことだ。そも、訓練中の代表候補生は、基本外に出ることはなく、そして、将来は国家代表に、ならなくても、基本は予備戦力として訓練施設に拘留されることになる。だから、国がどうこう言わない限りは、基本関係ないのだ。
「あ、はっちゃん、ご飯食べよ、ご飯!」
「……えぇ……」
そうして、2人はテレビから離れていった……
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「来てくれたか、品川初霜国家代表候補生……そして、荒川神永国家代表候補生」
「「は、はい」」
数日後、国家代表候補生訓練施設長室に呼び出された2人。そして、2人に与えられた任務は……
「知っての通り、数日前、織斑一夏とか言う若造がISを動かした。それで、近年立てられたIS学園に編入されることになった……そして、IS学園は腕の立つ護衛をお望みだ、故に、君たち2人にIS学園に向かってもらう、これは決定事項だ、いかなる異論も認められない」
「……了解」
「ちょ、はっちゃんは分かります、でも、なんで私が!?」
「品川国家代表候補生も顔見知りが1人もいないだろうところに向かいたくはないだろう、だから、国家代表候補生の中でもとりわけ仲のいい君に行ってもらうことにした」
「……は、はい……」
こうして、2人はIS学園に送られることになったのだった……余談だが、代表候補生の多くと関わりのあった2人は、IS学園編入までの間、いろいろあったとかなかったとか。
初霜は、改二前のイメージで書いてます。
神永は……うーん、みなさまのご想像にお任せします。
どうでもいいけど、専用機持ち2人増えるんだよね……銀の福音どうしよ。
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