フローズン・スノーデン外伝 [秘闘録] (塩唐少尉)
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第1話「雪夜の出会い」
それは、クリスマスを一週間後に控え、皆が浮かれ騒ぎになっていた頃。エンはフォースネストのバルコニーで一人黄昏ていた。
「隊長、いったいどうしたっすか?冬が来たから訳もなく悲しくなっているんすか?」
一人のダイバーがエンの元へ来た。
「ああ、リーブか。冬が来ると訳もなく悲しくなるのはな…お金がまるで冬の北風に乗ったかのように何処かへいってしまうからなんだよ!…じゃなくて!ちょっと昔の思い出に耽っていてな…。」
「昔の思い出?」
「おっと、まだ語ってなかったか… 。 それじゃ語ろうか!"あの日の思い出"を!」
あれは、俺がフォースに入る前、雪が降る日の夜のことだった…。
「まいったな、どこが出口かわからない…。とりあえずまっすぐ行くか。」
気分転換で散歩をしていた途中、不覚にも森の中で迷ってしまった俺は、この森から抜け出すためにとにかくまっすぐへ進んでいた。
「よし、やっと出れたか…。」
まっすぐ進んだことが功を奏したか、俺は森から脱出することができた。その時、俺の目に留まったのは雪が積もった白い丘で一人の少女が満月の光に照らされながら雪だるまを作る光景だった…
(かっ、かわいい…!でもその格好、寒くないのかな…?)
俺は心配になりながら機体を降りると、すぐ少女の元へ駆け寄った。
「こんばんは。その格好、寒くないの?」
少女は俺が突然現れたことに少し驚いたが、すぐ落ち着きを取り戻した。
「平気よ。それよりあなたは誰?私はシオン。」
「シオンちゃんか…俺はエン。どこにでもいる普通の少年さ。」
「そう…。いい名前ね。」
(い、いい名前だって!?なんかめっちゃ嬉しい…!)
俺はこんなに嬉しいことはないとすっかり顔が赤くなってしまった。
「そういえば一人で雪だるま作ってたけど、寂しくないのかい?」
「…。」
シオンちゃんは少しそっぽを向いた。やっぱり寂しかったらしい。
「そうか…。それじゃあ二人で雪遊びでもしようか?」
「!」
こうして、俺とシオンちゃんは雪合戦をしたり、雪だるまを作ったりして楽しんだ。
「一緒に遊んでくれてありがとう。お礼かどうかはわからないけど…。私と…!」
「分かってるよ。これからもよろしくね!シオンちゃん!」
こうして、俺とシオンちゃんは友達になった。
「以上だ。長話に付き合ってすまなかったな。」
「いいっすよ。ところで、そのシオンちゃんって今どうしているんすかね…。」
「それはよくわからないけど…きっと元気にしているよ。」
エンは空を見上げ、友に思いを馳せるのだった…。
(また、会えるといいな…。)
[次回を待て!]
[次回予告]
ロビンに助けられ、恩返しとしてフォース[フローズン・スノーデン]の一員となったエン。彼を待っていたのは白髪の美しき女王だった。
次回「女王に仕えし侠(おとこ)」
第1話、いかがでしたか。今後は本編(sideE)と連動するエピソードなども執筆する予定です!
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第2話「女王に仕えし侠(おとこ)」
クリスマスが過ぎ、エン小隊の皆は新年を迎える準備をしていた。といっても、さすがに皆がGBNで新年を迎えるわけではない。あくまでもフォースネストをお正月ムードにしたり、新年会を行ったりするからである。
「隊長、新年会用に色々買い出しに行ってきていいっすか?」
「あぁ頼む。」
「隊長、私ちょっとミッションに行ってきます。」
「そうか。無理はしないでくれよ。」
エン小隊の二人はそれぞれの目的のために出かけていった。
「さて…少し休もうか。」
エンが休憩しようとすると、フィクルが隣に座ってきた。
「そういえばさぁ、エンってフォースに入った頃はどんな感じだったの?」
「ん?そういえばあの頃フィクルはフォースに入ってなかったな…。まぁ、今日は特別に昔の俺がどれ程青かったかを教えよう。」
「あれは去年の事だった…。ロビンと一緒にマスダイバーのガンプラを撃墜した後、そのままロビンについてくる形でフローズン・スノーデンに加入したんだ。フィクルと同じだな。」
「えっ、エンも私と同じようにそのままフォースに入ったってこと?」
フォース加入の経緯が自分と似ていることにフィクルは驚いた。
「まぁそうだな。でも、あの頃はまだ俺達の部隊はまだロビンの部隊の一部で独立もしていなかった。それにフローレス様も、今よりちょっと厳しかったなぁ…。」
「へぇー…昔は色々違っていたんだ。ところでいつ頃から独立したの?」
「それはミカ子達と初めて戦う前だったな…。まさか隊長に任命されて最初の戦いがアレだったとは…。」
エンは自身にとって苦い思い出であるミカ子達との最初の戦いの事を思い出した。エンはあの戦いで、自分のプライドやフォースの誇りを傷つけた彼女達、特にエスに恨みを持つようになったのだ。
その後再戦した時に、エスへのリベンジはできたのだが、実はあの戦いで彼女達に恨まれたのではと内心考えるようになったのだ。
「それに、昔はフローレス様の露払いをする時に良く『機体には傷一つつけないように』と言われてたのも今となっちゃあ懐かしいなぁ…。」
「フローレス、昔から完璧主義だったもんね…。」
「だけど、フォースの一員として戦っている内に感じたんだ。フローレス様の"優しさ"と"母性"にな。」
「ぼっ、母性!?」
エンの爆弾発言にフィクルは驚愕した。まさかフローレスに母性なんて…!
「最初は厳格なリーダーとしか思ってなかったのに…いつの間にかそばにいて守ってあげたいと思うようになったんだよ。」
「そうだったんだ…。あーびっくりした…。」
エンがフローレスに母性を感じたのは、彼女本来の優しさから来るものであったことにフィクルは一安心した。
「さて、昔話はこの辺にして…俺達も準備に取り掛かるか!」
こうして、エンやフィクルも新年を迎える準備を始めるのだった。そしてエンは心の中であることを誓うのだった。
(フローレス様、新年もまた貴女をお守りします…!)
[次回を待て]
[次回予告]
リバーシブルガンダムフローレスワルツの新技、[エンドレス・ワルツ・ウィズ・フローズン・ドール]に深手を負いながらも命からがら帰還したペルセポネは、シャテンに新たな機体を受領するのであった。
次回「ペルセポネ・リターン」
今回は今まで書きたかったことを思いきり書くことが出来ました…(^_^;)実は今回のお話のラストのセリフはsideF第31~32話に繋かるかも。そして、ついに最新作ガンダムビルドダイバーズRE:RISEが始まりました!今後もsideEと私の親友であるエンこと、シラサキ・エンをよろしくお願いします。(RE:RISE連動エピソードも執筆予定です!)
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第3話「ペルセポネ・リターン」
と、ゆーわけで今回のエピソードは私がオトカの次に遊んでるガンダムトライエイジに私の好きな機体、カオスガンダムが参戦し、現在コナミが開発中の最新ゲーム、ソロモンプログラムにオトカドールからプリッドとウエステが参戦する記念として執筆することになったよ~!今回のお話はsideF第35話の後、フローレスに機体をめちゃめちゃにされたペルセポネがいかにシャテンの元に帰ってきたかを描き、そして今後の展開の繋がるお話になるよ。お楽しみに~!
ここはGBNのどこかにあるというフォース[innocence]のフォースネスト。現在はシャテン率いるシャドゥ・ルーツがここを現拠点としていた。
「危なかった…まさかフローレスがあれほどまでに強くなっていたなんて…!」
王座に座っていたシャテンの前に現れたのは、先の戦いでアイシクルバーストを発動させたリバーシブルガンダムフローレスワルツの新必殺技、[エンドレス・ワルツ・ウィズ・フローズン・ドール]によって倒されたはずのペルセポネだった。
「どうしたペルセポネ、一体何があったというのだ?」
「見ての通り、フローレスに私のディナイアルを台無しにされたのよ…まぁ、破壊される前になんとか脱出できて良かったわ…。」
ペルセポネの後ろにあるフォースネストの広場には、かろうじて胴体と脚部の一部が残されたディナイアルガンダムの残骸があった。
「そうか…しかし、予備の機体はいくつか用意してある。そいつも後で修復してやろう。」
「ありがとうございます、シャテン様。」
「フン。しかし、あの氷の女王がペルセポネの機体を倒すとはな…前はこうもいかなかったというのに…!」
ペルセポネはシャテンが用意した予備の機体であるカオスガンダムに乗り込み、フォースネストから出撃した。
「へぇ、その人って結構強いんだね?くすす…ちょっと会ってみたくなったよ…。」
突然、シャテンの背後から少年の声が聞こえた。
「貴様では敵わぬ相手かもしれんぞ?"ジェイド"…。」
一方、[ロイヤルクイーンズ]のフォースネストでは、リーダーのウエステが[アンリミッター]のリーダーであり彼女の親友であるラクリアと会議を行っていた。実は[アンリミッター]のフォースネストがヌルに破壊された後、ウエステは自分達のフォースネストを貸し与えていたのだ。
「それで、そのヌルという敵がラクリア達のフォースネストを破壊し、貴女もそれに倒されかけたと…。」
「えぇ、それにフローレスは私の目の前で倒されたのよ…たった一撃で…!」
ラクリアはあの時の出来事を悪夢のように思い出していた。自分でも敵わぬ敵に敗れ、フローレスまでもが倒されてしまったあの日を…。
「フローレスが!?あの彼女を倒すなんて…。これは、対策を考えないといけませんわね…!」
「それよりも、貴女のフォースネスト周辺をパトロールしたらどうかしら。」
「そ、それもいいですわね。それでは、行ってきますわ。」
ウエステは百式に乗り、フォースネストがいつ襲われるかとヒヤヒヤしながら周辺を警戒していた。
その時、近くの森で爆発が起きた。ウエステはまさかと思い向かったが、そこにはウイングガンダムとカオスガンダムが激闘を繰り広げていた。
「これでどう!?」
ウイングガンダムはマシンキャノンを乱射したが、それでも当たらなかった。
「その程度!」
一方、ウエステはウイングガンダムを使うダイバーの声に聴き覚えがあった、そう、彼女は…。
「プリッド!?どうしてここに!?」
ウエステは驚きながらも、状況の説明を求めた。
「簡単に説明すると、ペルセポネとかいう奴が他のフォースを襲撃してたのよ!それで…」
「わかっていますわ。それにしても…敵討ちをしようなんてあなたも優しくなったのね。」
「そ、そんなワケないじゃん!とにかく今はペルセポネを倒すのが先決!」
こうして、プリッドとウエステは協力してペルセポネを倒すことになった。
ウエステの百式がバインダーガンで、プリッドのウイングがビームサーベルでそれぞれ切りつけようとしたが、ペルセポネの駆るカオスはこれを簡単にかわし、お返しにミサイルを一斉発射した。
「くっ!」
ウエステは回避行動をとったが、ミサイルのいくつかが機体に当たり、ダメージを追ってしまった。
「よくも!」
プリッドのウイングはカオス目掛けてビームサーベルを連続突きした。しかし、あまりに直線的かつ単純だったからペルセポネはいともたやすく避けに避けた。
「あなたの実力、この程度かしら?」
「何ですってー!?」
一方、ウエステは…。
「このダメージでは…!こうなったら…プリッド、一旦下がって!」
「え?は、はい!」
ウエステの指示通り、プリッドは一旦後退した。
「いったい何をする気なの?」
「これは避けられるかしら?"グローリーストライク"!」
ペルセポネの言葉に答える形で、ウエステは必殺技を放った。
「まさか…!」
次の瞬間、大爆発が起きた。必殺技の威力が少し強すぎたのだろう。
「なんとか、倒した…あら?」
「ふう…また同じ目に遭うかと思ったわ。とにかくここは一時退くとしましょう。」
ペルセポネは捨て台詞とも取れる言葉を言い、撤退した。戦いは、ひとまず二人の勝利に終わった。だが、ウエステの百式は先ほどの攻撃でダメージを受け、ボロボロになっていた
「あのカオスガンダムを使っていたのがペルセポネ…もし彼女が[Shatten]の仲間ならば…"あのガンプラ"を持ち出さないといけませんわね…!」
ウエステは、かつて自身の傑作として作り上げたガンプラ――フェネクスの事を想うのだった。
To be continue…
エン
「エンと!」
フィクル
「フィクルの!」
二人
「playback to the episode!」
エン
「というわけで、なんとこの外伝でも出張版としてこの[playback to the episode!]をやることになりました!」
フィクル
「正直、びっくりしちゃった…まさかここでもやっちゃうなんて~。」
エン
「まぁ今回のエピソードは俺の出番があんまりなかったからな。そういえば、シャテン達の中で一番強い奴っていったい誰だ?やっぱりシャテンか?」
フィクル
「シャテン達の強さは普通じゃないのはわかってるけど…やっぱり一番はシャテンで二番はフローレスとラクリアを倒したヌルかな?」
エン
「そもそもあいつらの能力は俺達でも真似できねぇよ…武器をコピーしたり俺達のガンプラを動けなくしたり…。」
フィクル
「ホント、彼女達って一体何者なんだろ?さて、次回のお話は…なになに、"ガンダムS91"っていうガンプラが登場するんだって。次回をお楽しみに!」
エン
「それ俺のセリフっ!」
~作者の部屋~
どうも、作者でぇ~す。今回のエピソードはね、sideF第35話を読んでからいつか書こうと思ってたのよ。ホントよ?でもなかなか書ける時間が無くて~~で、やっとトライエイジにカオスが出るって知ったから嬉しくなってその気になってしまったのだ~!それより、これを読んでる人は『どーして口調なんか変えたの?』て思うじゃん?だって敬語ばっかじゃ堅っ苦し~いイメージがついちゃうから、こーしてフランクな話し方をしている方が分かりやすいというか。これでも21世紀初頭生まれの身分だからね。さて、次回のお話は10月にガンダムベースに行ってガンプラを撮ってた時に思い付いたお話です。お楽しみにっ!
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第4話「黒き乱入者~The encounter~」
リゼットとリュータが狛炎流に入門して以来、エンは二人と特訓することが多くなった。今日は土曜日だが、リュータはバイトで忙しくGBNに来れないのでエンはリゼットと共にとあるハードコアディメンションに赴いていた。
「なかなかやるなリゼット!さすか俺が見込んだだけある!」
「それはどうも!」
その時だった。突如二人の間に何者かが投げたランスが割って刺さった。しかし、乱入上等のハードコアディメンションではこのようなことは珍しくない。むしろ、日常茶飯事といったところだろうか。
二人は、地面に突き刺さったランスを引き抜いたガンプラを警戒した。
「あれは…黒いガンダムM91!?」
「何故私達を狙って?…まさか!」
「どうやら、俺達が戦っているスキを突いて漁夫の利を狙おうとしているようだ。聞いた話だが、そうやってポイントを稼ごうとするダイバーもいるらしい。」
その時、乱入した謎の女性ダイバーから通信が入った。
「違うわ。貴方達が戦っている様子を見て私も戦いたくなっただけよ。確か勝負をする時は手袋を相手に投げるのよね?」
エンは確かにそうではあるが、それは決闘の合図だと思った。とはいえ、ランスを手袋の代わりに使うとはなかなか大胆な発想である。
「なるほど、そう来たか…面白い!その勝負、俺達が買おう!」
「私も勝負を売られたからには戦わないと…!」
二人は身構え、戦闘態勢に入った。
「いいわ。この私、セリアと私の相棒…ガンダム"S91"が相手よ!」
黒いガンダムM91の使い手…セリアが駆るガンダムS91はいきなり二人に突進した。
「させるか!」
エンはS91の一撃をシールドで受け止めると、そのまま一歩後退した。
「次は私の番よ!」
今度はリゼットのノーベルガンダムがビームライフルを手元から一旦離し、S91目掛けてキックを放った。か、S91はそれをランスでいともたやすく防いだ。
「その程度…!」
S91はノーベルを押し出した後、左腕のストレートを放った。リゼットはあまりにも直線的で動きが読めたのかあっさりとかわしたが、セリアはそれさえも読んでいたのかS91の左腕を曲げ、もう一撃を加えようとした。
ブースターガントレットの加速が付いたパンチが目の前に迫る!
「うわっ!」
しかし、リゼットのノーベルは思いっきり飛び上がり、華麗にムーンサルトを決めながら着地した。これはノーベルガンダムがMFである故に機動力に優れていたからである。もしもリゼットのガンプラがドムやグスタフ・カールのような鈍重な機体であったら一撃で吹っ飛ばされていたことであろう。
「そこだっ!」
エンはリゼットと交代する形で上からの奇襲を仕掛けた。セリアはそれを防ごうとしたが、突然の攻撃だったからかS91は右側から地に叩きつけられた。
エンが一歩引くとS91は立ち上がったが、何やら右腕の様子がおかしかった。
「ん?もしかして…!」
リゼットが何か予想したのか、S91の右肩を目掛けてヒールキックを放った。すると、まるで予想が的中したかのように右腕がピクリとも動かなくなった。ランスを保持出来る力は残っていたが、それ以外は機能停止したようだ。どうやら、攻撃と防御を右腕に集中していたことでそこに負担がかかり、更に先程の奇襲で右側から叩きつけられたショックによるものらしい。
「右腕が…!?くっ、今日のところはこのくらいにしておくわ。また会いましょ。」
「あっ、待って!」
セリアの捨て台詞と共に、ガンダムS91は撤退した。
「何だったの?あのガンプラは…。」
「さあな。でも、また奴とはたたかうことになるかもしれないな…。」
エンとリゼットは、撤退するS91を追撃せず、ただ見つめるしかなかった…。
To be continud…
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