歌女と黄金の王(仮) (破滅竜ファントムブラスター)
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1話

 日が沈み鮮やかな夕焼けが世界を包むとき、人々の悲鳴が響く。

 

  『ノイズだー!』

 

『退いて!早く!!』

『嫌だー死にたくなーい!死にたくなっ!………』

 ライブ会場で起きた悲劇。突如として発生した「認定特異災害ノイズ」

 

 その素性は全くもって不明なものの、突如として現れては人間を襲い触れた者を灰にする人類の敵。出現から一定時間後に自滅する以外を除いての対抗手段が無い。

 

 その存在に周囲の人々は恐怖とパニックをおこし皆が我先にと一ヶ所の出口に群がりまともに避難が出来てない。

 

 そのなか、観客席から一歩も動かない人影が二つ。

 

ひとつは明るい茶髪の少女。明らかに恐怖で動けない事が見てわかるほど目を見開き今の光景を見てる。

 

もうひとつはシックなYシャツを着、金髪朱眼の男。

 

その男は周りの光景に何も感じないのな冷めた目で見ていた。

 

くだらんな…

 

「ノ、ノイズ!えっ、あっ、に、逃げないと」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「Croitzal ronzell Gungnir zizil~」

 

 

 

「Imyuteus amenohabakiri tron~」

 

 

 

 その歌と共に二つの人影がステージ辺りのノイズに向かって走っていく。

 

 

 

 その二人は先程までステージで歌っていたアイドルである。二人のライブ衣装は羽根を模した服だったが今は、どこかライダースーツのような見た目でそれぞれがオレンジと青のカラーリングで、腕や足、腰や耳の部分にプロテクターのようなものをついてる。

 

 その二人はノイズがいるところに入るとノイズだけが・・・・・・炭素化していった。

 

 

 

ほぉ……、随分と面白い玩具よな

 

「スゴい……」

 

 

 

 だが、二人の言葉は強制的に止められた。

 

 二人がいた観客席が崩れ、ステージ下に落とされ男は体勢を崩すこと無く着地し、少女はしりもちつくかたちで落ちてしまった。

 

「きゃっ!」

 

 ただ、落ちた衝撃で少女の声が少し漏れ、それに反応したノイズがこちらに向かって走ってくる。

 

「ひっ」

 

「…………」

 

こちらに向かって走ってくるノイズに恐怖を感じ、後ずさるも周りが瓦礫ばかりで逃げ道がない。

 

「(あたし、ここで死ぬのかな……)」

 

「(………嫌だなぁ……)」

 

少女はこのあとの事を予期し、目をつぶり最後を迎えようとしたその時、

 

 

 

「はぁぁあああ!!」

 

 オレンジのスーツをまとい、自身の身長と同じくらいの大きな槍を持った少女がこちらに向かって来たノイズを切り裂く。

 

「駆け出せ!!」

 

「!、っ!はぁ、はぁ」

 

 ノイズを斬り倒した少女の言葉を聞き、先程まで諦めてた少女はなんとか逃げようと動き出すが、先ほどの崩落で足を挫いたのか引きずるように移動する。

 

 ノイズは何体もこちらに向かって来るが、槍に貫かれたり、切り裂かれたり、時には回転した槍から発した突風に切り刻まれながら吹き飛ばされる。

 

 

 

 

 

 

 

だが、槍を持つ女の動きが急激に悪くなる。

 

 

 

「チッ!!時限式はここまでかよ!」

 

「あんたも早く!!」

 

 だが、後ろにはいまだ動いてない金髪の男がいた。その男が居たために彼女はその場を離れずにいたのだ。

 

「はん、雑種風情がこの(おれ)に命令するでない!」

 

 その男は高慢な態度でそう答えた。

 

「な!そんなこと言ってないでさっさと逃げろ!死にたいのか!」

 

雑種(貴様)には関係無かろう?それにあんなやつらには我は触れられんさ」

 

「はぁあ?!何言ってんだよ!」

 

「こんなことに時間を使っていいのか?あの小娘の足なら逃げきる前にやつらに捕まるのがおちだぞ」

 

 そう言い、男が親指で少女の行ったところをさす。少女が進んだ距離はあまりに短く他のノイズも少女に気付き、そちらに近づこうとしている。

 

「ヤバッ!…たが……っ!」

 

 少女の現状を見、そちらに行こうとするも背後からノイズが攻撃しようとする。

 

「ふん、」

 

 だが、そのノイズは何かが高速で突き抜けたかのように体を上下に別たれ、その後方のノイズを吹き飛ばしクレーターが生まれてた。

 

「(゜ロ゜;(な、何が起きたんだ!??)」

 

「言ったであろ、やつらには我に触れられんと。わかったらさっさと行くがいい」

 

 シッシッとでも言うかのように手を前にだしあっちに行けと動かす。

 

 

 

ムカつくなぁ…、危険だと思ったら逃げろよ!」

 

 そう言い、少女の方に向かう。途中のノイズを槍切り裂きながら…。

 

 

 

「聞こえているのだがな…、まぁいい。さて愚物共この我の身体を地に落としたのだ、それ相応の覚悟は出来ておろうな!」

 

 その言葉と共に男の鉄槌が降り落とされる



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2話

意外と評価が高くてビックリしてます。

皆さんAUO好きですねぇ~
それともシンフォギア好きなのかな?
作者は両方好きです。



『ふはははは!この我(オレ)を呼ぶとは、運を使い果たしたな雑種!』

 

時は少しさかのぼる………。

 

 

 

 

Fateシリーズの最新作である、スマホアプリFateGrandOrder(フェイト・グランド・オーダー)

 現在開催中のイベントとしてギル祭り2019がある。

 イベントを回るのに特効礼装またはアイテムドロップ増加礼装有るのと無いのとでは効率が違う。

 

「……やっぱりガチャ回すべきかなぁ~。でもなぁ~石が……(聖晶石)うーむ…」

ガチャチケが8枚、石も60ちょと…回せば22連分。

「でも、福袋用として有料石残しておきたいし……。課金……あまりしたくないしなぁ~」

 とりあえず…

「11連だけ…」

 

 とりあえず欲しいのは礼装を何枚か

「お願いします!」

 その掛け声と共に開始ボタン押す。最初は何処にでもある星3礼装…そこから画面をタップし、スキップする。(ガチャはスキップ教である)

すると次の画面で起きたのは召喚サークルが金色に光る。

「えっ!?金鯖マジで!?クラスは!!」

クラスは……アーチャー!?

「マジ!?」

出てきた鯖は……褐色白髪の赤コート…

「『おのれぇ!贋作者(フェイカー)!!ギルガメッシュ(我の)ピックアップに何故(貴様が)でる!!』」

………はて?何か別の声が聞こえたような………気のせいか?

 

その結果が終わるとまた光り、三本線の鯖確定。

クラスは…ランサー?誰かいたっけ?

結果は金髪ロン毛の細い男

サケだぁぁーーーー(フィンマックール)!!」

全く関係ない鯖……どう思えば…

「ま、まぁ星4鯖二体は当たりの部類だろう……うん、とりあえず宝具重ねるか……。」

最後に星4のイベント礼装で終了。

「こ、これはこのまま回すべきか…この運を逃すべきでは……」

「なら、単発で引くか」

それなら当たりを引いたら止められるし、現在は単発でも10回分で11連出来るし、ガチャチケ有るし。

「よし、そうと決まれば」

 早速ガチャチケを消費して単発を回す。

 

一回目は…麻婆、二回目は…聖堂、三、四も同様。

五回目…星三イベント礼装!

「へぇーシドゥリさんの礼装なんだぁ」

六回目…宝石剣、七枚目…星三イベ礼装、八枚目…アドゴウラ…九枚目…星四マイヤ…

「なんだこの礼装ガチャ……」

鯖確定の11連とは別とはいえここまで酷いか…

「と、とりあえずもう一回…」

十枚目…ワカメ人形、十一枚目…

「星四以上お願い!あっ!」

サークルは一本、カードの裏は赤!カードは……

「『ダーニックキサマアァァァアア!!!(千年黄金樹)』」

………なんだろうさっきから変な感じがするんだけど?

「こ、これはさすがに……」

11連するには少し足りない………か、課金……

「ええい、ままよ!」

 結果、課金してしまった……。

「こうなったら礼装を全部集めねぇと。なんだったら限凸まで目指すか!」

さぁ!30連目イクゾー。ガチャ画面に行き十一連を押す。

 最初は三本線。星三鯖かなら、スキップで

 

 

 

 

 

 

 

画面をタップすると出てきたカードは金縁のほとんど金のカード…………、!!。

「へっ?」

き、気のせいか?何かスゴいカードが見えた気が…

スキップ後に出たのは星五のイベント礼装、ギルガメッシュの絵柄カッコいいやつ……連続三枚。

終了すると……

 

『ふはははは!この我(オレ)を呼ぶとは、運を使い果たしたな雑種!』

 

 

ギルガメッシュの初召喚ボイス………マジか……。

終了画面の圧倒的ギルガメッシュ率!

す、スゲー

横断歩道が青になったので渡ろうとしたら…

「へっ?」

こちらに猛スピードで車が来て、

ゴッ!!

 俺はそこで意識をなくした………。

 

 

 

 


 

「……ここは?」

 意識を取り戻すと当たり一帯真っ白なとこ。

「たしかあの時、車に……」

はねられた気がするからここは病院かな?

 

『いいや、ここはあの世じゃぞ』

すると人の声が聞こえ、そちらに向くと白い髭を生やしたお爺さん、ザ、仙人みたいな人がこちらに近づいてきた。

 

「あの世?本当に?!」

『あぁ、本当じゃ。お前さんはあの時車に当たってそのあと、地面に頭をぶつけてそのまま。即死じゃったよ』

 

「そ、そんな……」

あの幸運は死ぬ前の最後の幸運だったのか………。

 

 

『本当にすまんかった!』

お爺さんものすごく深く頭を下げてきた。

「ちょ!えっと急にどうしたんですか?!と、とりあえず頭を上げてください!」

 俺はお爺さんが頭を上げるまで同じような言葉を繰り返し続けた。

 

 

 

 

 

「ひとまずえっと……」

『あぁ、お主ら風に言うとわしは神というものじゃな』

 お爺さんの名前がわからなかったので言いよどんでるとお爺さんが自分を神と名乗った。

 

「えっとじゃあ、神様は何で謝ったんですか?」

『うむ、ひとまずお前さんは"言霊"って知っておるか?』

「言霊?たしか言った言葉が本当になるとか、呪いの類いでしたっけ?」

『概ねその通りじゃ。そして詳しく言うと言霊というのは簡単には現世に影響出さないようわしらが調整しておるじゃが……』

そう言うと少し言いよどむ神様

『その…じゃな、今日の当番の奴がドジをしての普段なら言霊の現世の影響率は0.00001%満たないのじゃが十数秒ほど100%にしてしまっての……すぐに戻したんじゃが……』

「もしかしてそのタイミングで?」

『うむ、そうなのじゃ』

 俺の死因ってそれが原因なのか……

「あの…そのドジをした人は?」

『今、反省文一万枚書かせておる』

 い、一万……神様レベルの反省て厳しいのな……

『そこでじゃな、お主を生き返らせようと思う』

「えっ!?生き返ることが出来るの!?」

『あぁ、すまぬ言葉が足りなかったの。現世ではなく別の世界でじゃな』

 別の世界?

「それって最近よくある異世界転生とかアニメの世界みたいな感じの?」

『うむ、その通りじゃ。お主の死があまりに不憫なのでな。で、どうする?』

 そんなこと決まってる。こっちとら最近の若者だ。

「お願いいたします!」

 

 

 

 

 


 

 

『まずはお主が行く世界の話をしよう』

「世界の話?」

『うむ、転生する場合は大半はアニメやラノベの世界またはその世界の過去、未来などじゃな』

「じゃあ、僕が行くのは?」

『お主が行くのは、アニメの世界【戦姫絶唱シンフォギア】じゃあな』

「シンフォギア?…あぁ、結構有名ですね。たしか五期までやってる作品でしたっけ?作品詳しくはわからないですけど」

『そうだな簡単には、女の子が歌いながら戦うと言った感じじゃな』

「歌ですか?結構珍しい作品なんですね」

『他の見方をすれば【モブに厳しい世界】とも言われてるのぉ』

「モブ厳ですか?Fateとに似た世界なんでしょうか?あれも一般人にはかなり厳しい世界観だったと思いますけど?」

『確かにあれもモブに厳しいが…あれはあまり表沙汰にならんじゃろ?こっちの世界では災害として表だって知られておるし大抵は死人がでる』

「……そんな世界に転生とか大丈夫何ですか?なんだかすぐに死にそうなんですけど…。」

『安心するがよい。じゃんと特典もある』

 そう言い、持っていた杖を地面に叩くと神様の隣にそれが(・・・)現れた。

 

 黄金の鎧を身に纏い金髪朱眼の男が腕を組んでたっていた。

「………えっと…、見違えじゃぁなければ英雄王ギルガメッシュに見えるんですけど……」

『お主の言う通り特典は英雄王ギルガメッシュの身体と能力、王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)じゃ』

「いやいやいや!!絶対にダメでしょ!」

『何故じゃ?能力は強力じゃぞ?それともこれ(ギルガメッシュ)が嫌いなのか?』

「嫌いじゃないです!むしろカッコいいと思いますけど!そうじゃなくて!あの英雄王ですよ!絶対に不敬とかで殺されますって!」

『まぁ大丈夫じゃろ。所詮はフィクションじゃし』

「そんなもんですかねぇ………」

 すると俺の周りに光がまとわりついてきた。

『おっと、もう時間か。では、お前さんを世界に送り込むぞ』

 光の輝き強くなり始める。たぶんもう行くのだろう。

「えっと、あ、ありがとうございました」

『うむ、あちらの世界では良き人生をの』

 手を振る神様(爺さん)を最後に俺は意識をとじた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 次に目が覚めると先程とは真逆の真っ黒なところにいた。

 

「……ん、ここは?……もしかして新しい世界なんだろうか?」

 でも、夜よりもさらに暗く自分の身体から少し先しか見えない。

 

 

『誰だ貴様』

 後ろから人の声が聞こえそちらの方に向くと…

「あ、あっあっ」

『この我を前に随分な態度だな雑種』

 真っ黒な世界の中で光り輝く存在が黄金の玉座に座り頬杖をついてこちらを見ていた。

「え、英雄王ギルガメッシュさまぁぁ!」

 俺はすぐさま英雄王の足元に膝まついた。

「すみませんでしたぁぁぁあ!!」

『フム、やはり貴様が俺の身体に入ってきた雑種か』

 転生して一分、もしかしたら転生してないで俺は死ぬのかもしれない。俺の人生…完!

『あぁ、雑種(貴様)の事情も知っておる。まったく奴等(神共)はほとほと害悪よな』

 こ、これはもしかしてワンチャンあるのかな……?

『まぁ、雑種(貴様)の死因に少しだけ我も関わっておるし、何より………』

 何故そこで黙るですかぁぁああ!!怖い、怖いよぉぉ、((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル

『……貴様の死に方面白い!!ふふはははははははは!

『よし、貴様にこの身体を使わせてやろう。光栄に思えよ雑種!!

今日の我は機嫌が良い!貴様の死に方も面白いが、どこぞの雑種が我をよりカッコよくしようと色々手を加えておったしな!』

 開発陣さんありがとうございましたぁ!!

「は、ははぁあ!!ありがとうございます!」

ただし、いくつか条件がある!』

「じょ、条件…ですか?」

 いったいどんなことを言われるのだろう………?

『ひとつ、この我をついぞ楽しませよ!我の身体を貸してやるのだ、飽きさせるなよ?』

「はっ!」

『ふたつ、我の財を使ってよいが他者に渡すこと、売ることは禁ずる!』

「はっ!」

 それは普通だな。というか、英雄王の財宝ってどれも規格外だしな。

『みっつ、我の品を落とすような事はするなよ。もししたと判断したら我の身体から貴様を追い出し滅してくれる!』

「はっ!誓ってそのようなことはしません!」

『ふむ…、嘘は言ってないようだな。ならば以上の事を踏まえて行動せよ』

「わかりました!この□□□□、ギルガメッシュ王を満足させてみせます。」

『ふむ、忠義に努めよ。………そうだ、貴様にひとつ命を与える』

「…なんでしょう?」

『貴様がこれからいく世界には神、神の力などがある。』

 はっ?神様いるの?えっ思ったよりヤバイ場所なの?!

『案ずるな、この我だぞそこらの有象無象(神、神の力)に負けるようなことがあるか!その考え不敬であるぞ!!』

「はっ!すみません!!」

『腰が折れたな。まぁ神などがいたら、我の財を使い奴等を滅せよ!我の庭にあんな汚物を一匹たりとも残すな』

「わかりました。王の力を神共に見せつけてやります」

『なら、疾く行くがよい』

「では、失礼いたします」

 そのまま、転生したときのような脱力感が襲い意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『………おっと、ひとつ言い忘れたがあったな…』

 また、独りだけになった王が呟く。

『"他者の肉体に入ると精神はその肉体に引っ張られる"……まぁよいか』

 その呟きは誰にも聞かれることなく消えていった………。

 

 




作品に感想などありましたらどんどん送ってください。


なお、作品のガチャ結果は作者のリアル結果です。
ギルガメッシュを引いたのでこの作品が頭に浮かびました。

なお、そのあと50連引き、
星四鯖三体星五のイベント礼装一枚限凸、星四限凸、星三限凸一枚プラス二枚。

あと、前回の作品で、不書感想さん、やなしさん誤字報告この場を借りてお礼申し上げます。


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3話

さぁ!ギルガメッシュロールの始まりである!


 

「……ふむ、今度は上手くいったようだな」

 何処かの森だろうか?たくさんの木々に囲まれ空からは気持ちの良い木漏れ日が自身を照らす。

「本当に移ったのだな……」

 目に写るのは黄金の鎧を纏った自身の手、それが思った通りに動くのだ。

「一先ず現状の確認だな」

 この世界の事は大まかには聞いたが見てみないとわからないこともあるだろう。

「…ならこの鎧は少々目立ちすぎるな…」

 どんな世界でも全身黄金の鎧はどうしても目立ってしまう。どうしたものかと考えていると…

「…ん?これは……」

 頭に流れる数多くの情報……これは王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)の情報!

 宝物庫に納めてる武器、鎧、酒etc.それらの情報が頭に流れ、その中に今必要とする物を見つける。

 それを思い浮かべると黄金の鎧は光に溶け、代わりに新たな服装になる。

 白いシャツを着、上下を黒のジャージ、先程まで逆立っていた髪は垂れ下がり金の絹のようなきめ細やかな髪が風にたなびく。(Fate/stay night ギルガメッシュの衣装)

「これなら問題無いか」

 そこから森の中を歩き少し開けた場所にでる。

「ここからならあたりを見渡せるか……」

 昔だったらあり得ないほど遠くの景色をあたかもすぐ近くで見てるかのように見える。

「ふむ、前の世界とは文化レベルにはあまり差はないようだな……」

 眼下に広がる街並み、そこを走る車やバイクには特別な違いはなく、歩行者や道路、建物にも違いはない。

「次は降りてみるか」

 山から降り、程近い街にはいる。森から見たときと同じでいたって普通の街。昼前のため人の姿もまばらだ。

「使ってる通貨も同じ、話してる言葉も理解出来る」

 聞いた話しとあまりにも似ていない平和な現状。

 

 

 

ウウウウウウウウウウウウウウウウウ

 街中に響く音に建物や道すがらにいた人が我先に慌てたようすで何処かへ向かう。

 

「何事だ?………そこの雑種!(お前)これは何だ!」

 近くを走ってる小太りの男を引き止め状況聞こうとするが……

「なにって!ノイズだよ!ノイズ!!(・・・   ・・・)あんちゃんもさっさと地下シェルター(・・・・・・・)に行きな!」

 少し話をしてすぐ走っていった。

この我()に対する態度ではないが………それほどの大事(おおごと)なことか…」

 男が来た方向に(・・・・・)向かって歩く。

「敵の戦力の把握せねばな」

 いくら()の力が強くても使うのは俺だ。だから慢心などはしない。

 

 

 

 

 

 

 

 


 ノイズが出現したのとほぼ同時刻ある場所では多くの人間が慌てて行動していた。

 

 

「ノイズの反応パターンを検知!」

 

「反応絞りこみました!ここより北西!距離30(km)!」

 

「これより本件は二課が預かる!一課に民間人の避難、救助の要請!翼と奏は現場に急行、他のスタッフは住民の避難にあたれ!」

 

「了解!」

「わかりました!」

 

 

 

「!ノイズの反応近くに複数の高エネルギー反応を検知!」

 

 突如として出現した反応に藤尭が声に高々にあげる。

 

「なに!!解析を急げ!!」

 スタッフ総出でかかるも十数秒後

「反応…ロスト……他の反応も同様です。データもとれませんでした……」

 

「い、いったい何が起きたんだ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

『こちら翼、現場に到着しました。本部、応答願います』

「こちら本部。翼!現場はどうだ!?」

『奏と合流して現場につきましたが、現場にはノイズはおらず、残骸の炭しかありません……』

「なにっ!?、まさか自然崩壊か?」

『いえ、それはないかと…。現場には残骸あるの場所はどれもクレーターがあるので………』

「つまり、何者かがノイズを倒したと……。わかった、二人は帰還してくれ。スタッフは現場の調査引き続きおこなってくれ」

『わかりました』

 

 

 


 

「はい、…はい、わかりました。それでは、……ピ」

 本部との通信を切り伝えられたことを相方に伝えるために近く。

「奏、私達は本部帰還するように叔父様(司令)からの命令よ。あと、……」

「なぁ翼…」

「…なに?」

「…これは誰がやったんだろうな………」

 本部に通信で伝えた現場が眼下に広がる。

いや、伝わったと言う点では否であろう。

 ノイズの残骸である炭の塊、その周りはクレーターが幾多にも重なり、大きなクレーターとなっている。

 

「わからない。とりあえずこの事は司令たちにも相談しましょう」

「……あぁ」

 

 

 

 


 時は少しさかのぼる。

 

 

 

 多くの人間が我とは反対方向に走っていく。ほとんどの者は「死にたくない」、「生きたい」いった感情を顔にだし走っていく。少ないがこちらを心配するような者、声をかける者、中には「死にたがり」等と揶揄する者もいる。

 次第に人が居なくなり代わりに黒い塊が道のあちらこちらに増えていき、空気にもそれが混じっていく。

 人が完全に居なくなると視線の先に何かが目に留まる。

「……貴様らがこの騒ぎの原因か?」

 その先には明らかに人では無い存在がいる。

 人の腰ぐらいの大きさのオタマジャクシのようなもの、手を前に出したヒトガタのようなもの、総数約20体。

()の庭に貴様らのような汚物がいるだけでなく、ゴミまで産み出すか…」

 ノイズがこちらに気付き振り向く。だが、こちらは足を止めず近づく。その途中で着ていた服は光の粒子となり、変わりに最初に身に付けていた黄金の鎧へと変わる。

「さて、あやつ(こちらに送り込んだ神)が言っていた貴様らがどの程度の存在なのか我自ら、見極めてやろう」

 その物たち(ノイズ)との距離、約100メートル。自身の背後の空間が揺らぎ、黄金の波紋が生まれる。その数は十門。さらにそこから、剣、槍、(ほこ)、斧の先端が姿をみせる。

「我の庭を汚した罰だ、受けよ!」

 背後の武具が我先にと獲物(ノイズ)に向かって飛んでいき地面に当たった衝撃で砂塵が上がる。

「(とりあえず、C+~Bランクの宝具を選んで撃ち込んだがさてどれ程効くか…?)」

 砂塵が晴れそこあったのは………

「なに?」

 そこにあったのは撃ち出した宝具に貫かれた崩れた黒い塊とクレーターのみ……先程の存在(ノイズ)はどこにもいない。

 

「(まさかあの程度の宝具でやられたのか?しかも半分の数で全滅?)……ダメだ、情報が足りん………ん?」

 撃ち出した宝具を回収し(王の財宝に仕舞い)、鎧を元の服にもどしていると、こちらに向かって高速で接近してくる存在を感知する。

「今宵はここまでにするとするか……」

 

 新たに宝物庫から物を取り出す。

 取り出したのは普通のテンガロンハットに見える。だがこれも宝具である。名をハデスの隠れ蓑。それを被ることによって男の姿は見えなくなった。




誰がライブ会場が初戦闘と言った?


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修正 4話

 現場から姿を消し元の森の中まで移動した後、先程の現場を千里眼を使って確認する。

 

「まだあの警報が鳴ってるなか彼処に行くとは……先程の愚物ノイズに関係があるものか?」

 

 何人も同じ服の人間が辺りを調べており、ノイズの残骸等を回収している。さらにその中には一際異質気配を放つ二人の女子がいる。

 

「あれも黒服の関係者なのか?……まだ子供に見えるのに周りの奴より強い気配があるな…」

 

 あの手の者たちとは関わらないの吉だろう。もしかしたら先程の戦闘音を聞き付けたのかもしれない。

 

「やはり、早く必要最低限の出力を理解するべきだな。

 

……それにしても拠点を用意せねば…」 

 

 現在、ギルガメッシュの体に転生した俺は拠点もなければ金もない状態である。Fateと違い、使い魔サーヴァントとして呼び出されたわけでなく、完全な肉体を持ているのだ。腹もすくし寝床だって必要だ、幸い寝床変りになるものなら宝物庫あるが金は無い。どうしたものか………「ガン」…む?

 考え事をしながら歩いていると足に金属質な物が当たり、音をたてる。その音が鳴った方に目を向ける。

 

 それは森の中では異質な1m程の黒い立方体の箱だった。

 

表面はツルツルとした物で鏡のように周囲を反射していて、繋ぎ目など全く存在しない。調べるために指先で少し触れると箱から光が放たれた。

 

 

 

『あぁ!やっと繋がった!師匠繋がりました!』

 

 映ったのは十代の少年であった。だが、全くもって見覚えなのない少年で、その少年が後ろに手を振り大声をあげ誰かを呼んでいる。すると奥から見覚えのある老人が画面に映り始めた。

 

「む?貴様は……」

 

『ひさしぶり、と言うべきかのぉ。それともはじめましてか?ギルガメッシュ』

 

 この世界に転生させた爺さんだった。

 

「また会うことになるとはな。それで?今さらどうした?」

 

 というか早く通信を切りたいと思ってしまう。以前は思わなかったがこの爺さんとあまり関わりたくない気持ちが顔に出てしまう。

 

……ふむ、意識はあるが感覚は体に依存してるか…ワシからは既に力を与えたが本来、お主に力を授けねばならない奴がやっと時間を作れたのでな最後の受け渡しの為に繋げたのじゃ』

 

「…先程の奴か?」

 

『ひゃ!ひゃい!こ、こ、このたびは僕の不始末で申し訳ごじゃいましぇん!!』

 

 爺さんが画面から退き、最初の少年が前に出て謝ってくる。ものすごく噛んではいるが……。

 

「……あぁ、始末書を書かされてた者か」

 

『うぐっ!……はい、そうです』

 

 始末書のことは思い出したくないのであろう、少年の言葉じりからその感情はありありと伝わる。

 

「それで、貴様は(おれ)にどうしたい?何が出来る?」

 

 この少年がいったい何が出来るのかそこがわからないと受けとることは出来ない。下手をすれば宝物庫でことが済んでしまうかもしれないから。

 

『師匠のように転生などは出来ませんがそちらに物を送ったり、何かを改竄かいざんしたり、ちょっとした加護を与えたりとかですかね』

 

 加護の辺りで体に蕁麻疹が出そうになってしまった。まぁ、神嫌いギルガメッシュの体なのだから神から加護なんて唾棄するべきものなのだろう。

 

 とりあえず、宝具でも出来るだろうが面倒だからこいつらに任せるか…

 

「なら、この世界に我の戸籍を用意しろ、あと幾らかの金銭もだ」

 

うわぁ…さらっと面倒なこと言ってきたよこの人……。えっと、戸籍はいいんですがお金ですか?それなら持ってる宝石とか売ればいいんじゃないですか?』

 

 戸籍は了承させたが金銭の部分で不満を見せてきた。たぶん、本物の英雄王ギルガメッシュと会ったことは知らないのだろう……。王との契約を守る為にここは譲ってはならない、少し圧をかけるか。………あと、聴こえていないと思ってるようだがしっかり耳に届いているからな。

 

「ほぉ…?貴様はこの我の財を出さして経済を壊滅させてやろうと言うのか?なるほど、自分よさのやらかしが今回の事態になっているのにその尻拭いを上司どころかあまつさえ我にやらせようとはな不敬であるぞ雑種!

 

『ひぃ!す、すびばせん!よろこんでやらせていただきます!はい!』

 

 少し口調を強くしただけで半泣きの状態で奥へと走っていく少年。やはり、あの手の圧にはなれていないようだ。すると画面にあの爺さんが映り出した。

 

『……全くあまり圧をかけないでもらいたいのぉ、勢いでポックリ逝ってしまうかと思うたぞ』

 

「ぬかせ、あの程度ではびくともしなかったくせに喰えぬ爺よ。あの小僧はあれでいいのか?」

 

『かまわん、かまわん。これも勉強の内よ。では伝えることも伝えたし終わりとするかの。少しそこにおればお主の要求したものは手にはいるであろうよ』

 

 からからと笑う老人を最後に写し画面は暗転した。

 

数分後、黒箱は光と消えその場にはひとつのアタッシュケースだけが残った。

 

 

 

 

 

【とある不動産屋】

 

 私はそれなりに大きな不動産屋を経営している。

 

 今日その店に若い男がやって来た。金髪で顔が整っており日本人離れした者だった。だが、見た目に反して服装は実に質素だった。とくに汚れなどはないが普通にそこら辺で売っているジャージに身を包んでいる。周りにいる他の従業員に目を配らせるが暇してる者はいないのか目を合わせる者はいない、…私しかいないのか……。

 

「本日はどういったご用件でしょう?」

 

「貴様の持つ一番いい土地を寄越すがよい」

 

 ……あぁ、これめんどくさいタイプだ。

 

「と、言われますと土地のご紹介でしょうか?ご利用内容はどういったもので…」

 

「貴様には関係無かろう」

 

 ああぁーー、誰か変わってくれぇ!この客めんどくさいよぉ!!

 

「いえ、事と次第によっては他のところにも連絡せねばなりませんので…」

 

「……拠点を建てる。他の業者は要らん、こちらでやる」

 

「(拠点?言い方がずいぶん変わっておるな……、外人だからか?)さようですか。では少々お待ちを探して参りますので。」

 

 

 

 

 

「お待たせいたしました」

 

 数分後、数枚の紙を持って青年のもとに持っていく。受け取った青年は無言で数枚めくる。

 

「………貴様、この我をなめているのか…」

 

「いえ、決してお客様のことをないがしろにするようなことは」

 

「ならばなぜ一番いい土地(・・・・・・)を紹介しない」

 

「そ、それがお客様に渡せる最高ランクの…」

 

「奥の棚にある黒金庫の二段目…」

 

「!?な、何故それを……」

 

 その中にはこの店一番の一等地の情報がある。何故このような若造が!

 

「この我を見くびるなよ…、それともこれ・・があれば問題が無いか?」

 

 カウンターの上にひとつのアタッシュケースが置かれた。………こんな大きな物を持っていたか?

 

 男はこちらに中身が見えるように開け、私はその中の物に驚愕し声がでなくなってしまった。

 

「な、な、え、え!」

 

「疑うのであれば手にとって確認するがいい」

 

 恐る恐るアタッシュケースの中からひとつの束を取り出し、パラパラとめくる。

 

「(み、見せ掛けではなく本物!こ、これ全部!)わ、わかりました、すぐに用意いたします!!」

 

 

 

 

 

「ならばこれを貰おう。金はそこから取るがいい」

 

「か、かしこまりました!これが証文でございます」

 

「ふん、ではな」

 

 男は証文とアタッシュケースを取り店から出ていった。

 

「いったい、どこのおぼっちゃまだよ………はぁ…」

 

 たった、一日の数十分て数日の疲れが出た気分だ……。もうたいした事では驚く気がせんぞ、それくらい濃い客だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後・・・

 

 

 

「ふぁぁぁあああ!!!!」

 

 売り渡した土地に立派な巨大ビルが建っていた。

 

 


 

 

【ギルガメッシュ】

 

 ふむ、これで土地は手にはいった。拠点自体は宝物庫の中に有ったから広大な土地さえ用意出来ればよかったからな……。あと必要なものは……

 

 

 

ウウウウウウウウウウウウウウウウウ

 

 

「……この我の気分を不快にするか…雑種!

 

 買った土地に向かって歩を進めてるとあれノイズが現れたことを知らせる音が街中に響く。

 

 さらには、その存在は目の前の森から現れ出す。

 

「ちょうどよい、貴様らに対する武器の裁定をしようと思っていたのだ」

 

 幸いこの辺りは人通りが少ないのか逃げる人間がいない

 

「精度を下げてやろう…精々、我を楽しませろよ…」

 

 


 同時刻

 

 

 

 

 

「ノイズの反応パターンを検知!」

 

 ここ最近増えつつあるノイズの出現を検知し特機部二(トッキブツ)内で少し騒がしくなる。

 

「現場に翼たちを送れ!我々は近隣住人の避難に当たるぞ!」

 

 

 

「!司令!付近に高エネルギー反応を検知しました!!」

 

 

 

「これは、以前観測した!」

 

〔 UNKNOWN 〕

 画面に表示されるUNKNOWNの字、以前ノイズをシンフォギアとは別の力によって倒したされる者の唯一の手がかりである。

 

同時刻

 

 

 

「前回よりワンランク質を下げたのだ、簡単にはくたばるなよ」

 

 開く砲門は前回と同じ十門で砲門からのぞく短剣、小剣の類い。全てがCランクそこそこ。眼前の敵は5倍の五十、前回は砲門の倍の数はあっさりと倒せたことからそれほど強くない相手にこれならどうなるかと思いつつ武器を放出させる。

 

 

 

「……威力は問題はない、手数もさしずめ問題ないか」

 

 宝剣一本につき2~3は余裕で倒していき目の前の敵は徐々に数を減らしていく。

 

「む?」

 

 あと少しで地上にいたノイズを倒しきる時に異変に気づいた。

 

「ほぉ、空を飛ぶ奴もおるのか……」

 

 空中にはさらにコウモリのような形をしたノイズが十体ほど…、

 

「だが、この我を見下ろす等を万死に値するは!戯けめ!」

 

 今まで地上に向けていた砲門を半分ほど上側にずらし射出する。地上ほど密集している訳ではないので幾つか当たらずに消えるが射出される武器に限りはなく地上を掃討する頃には空中のほうも片がついた。

 

「なかなか有意義な時間であった。フ、ハハ、ハハハハハハハハ!

 

 

 

 ノイズが出た時は不機嫌になったが後々必要になるであろう情報を手に入れることができた事に思わず口が緩み、笑いが漏れる。

 

 

 

 本部からの通信から数分後、現場についた機部二(トッキブツ)のスタッフと翼、奏の奏者二人。

 

「今回も手遅れか…」

 

「そうね。でも幸い被害者はいなさそうね」

 

 昼を過ぎ夕方に差し掛かる現在。もともと街からすこし外れた通り道、ノイズの残骸と思われる炭素のみ。その中には人型のような物はなかった。

 

「だな。それに翼、あれを見てみろよ」

 

「これは以前と同じクレーターね。でも以前より被害が小さい?」

 

「たぶん前回は大技、今回は小技がメインだったんだろうな」

 

「なるほどね。……奏あれ!」

 

 翼が指を指す方向に目をやるとそこには一台の防犯カメラがあった。

 

「カメラか!今回の奴の正体がわかるかもな!」

 

「そうね。叔父様には私から連絡しておくわ。奏は他に前回と違うところ探しておいて」

 

「おう、任しとけ!」

 

 

 

 



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5話

やっと一話(無印Aパート前半)にたどり着きました。

今回、自分でも規約ギリギリな部分が有るきがしてすこし怯えてます。


 王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)について説明しよう。

 これは生前、英雄王ギルガメッシュが集めた宝物を納めたバビロニアの蔵が宝具に昇華したものである。内容はあらゆる神話や英雄譚に登場する道具、武具の原点を納めそれを取り出すことである。さらにその中に王が過去、未来において宝物と認めた物さえも納められている。

 なぜこの説明をしているかと言うと……

「(よもやこれも宝物庫に入っているとは……。さすが規格外の蔵だな)」

 不動産から買い取った土地(道中に問題があったが)に建つ大きなビル。大理石を贅沢に使い、品を落とさずかといって質素にならないレベルの(きん)が使われている。

 それは以前ルルハワ(FGOにでる架空の都市、いわゆるハワイ)にて登場したギルガメッシュが保有するホテルである。

 部屋全てがスイートルームに該当し、防犯は物理的、呪術的に安全を確保されており、普通に考えれば泊まるだけで何十万も飛ぶレベルのホテルである。

 

 さらには従業員として人型オートマタ(仮面ライダーゼロワンにでるヒューマギアの様なもの)が配備されており常に最高品質のサービスが提供されている。

 

「拠点はこれで問題ない。あとはあの雑種(ノイズ)やあの者達についての情報を集めるとしよう」

 とりあえず、ホテルの最上階の1フロアすべてを私室とし、用途によって使い分けるとしよう。周囲からの目に対しては透過と幻術の宝具を使い実際より1階低く見えるようにし、王の許可を持たないものは入れないようにするために呪術の宝具で切り離しておく。

 

 

 

 

 

 

 数日後

 

 パソコン等の契約をすべて済ませ、これまで手にいれた情報を纏める。

 

1、認定特異災害ノイズ

 13年前の国連総会にて認定された特異災害の総称。

 形状に差異が見られ、一部には兵器のような攻撃手段が備わっているが、全てのノイズに見られる特徴として人間だけを襲い、接触した人間を炭素転換する。

 一般的な物理エネルギーの効果を減衰〜無効とする。

 空間からにじみ出るように突如発生する。

 有効な撃退方法はなく、同体積に匹敵する人間を炭素転換し、自身も炭素の塊と崩れ落ちる以外には、 出現から一定時間後に起こる自壊を待つしかない。

 生物のような形態から、過去にコミュニケーションを取る試みも進められたがいずれも失敗。 意思の疎通や制御、支配といったものは不可能であると考えられる。

 

 この存在は認定される以前にも存在自体は確認されていたが情報数が少なく、おおよそ遭遇したものはほとんどが帰らぬ人になったと思われる。

 人間が一生にノイズと遭遇する確率は数十年に1どあるかないかとされてる。

 

「と言うわりにはここ最近頻繁に出ているがな……。

それに肝心のあの者達(黒服)ついての情報はないか…」

 この事でわかるのが世間ではノイズに対して有効な対処法がないのにも関わらず奴等はその場に赴き、さらに情報規制されていること。

 つまり、奴等は政府関係者、あるいは政府に口を挟めるものがバックに存在すると言うことだ。

「まったく面倒な(いぬ)に嗅ぎ回られているものだ……」

 集めた情報を整理し終えたあと、おもむろにテレビをつけるとそこから流れるのはどこぞの局のニュース番組だ。

『本日夕方より開催されるツヴァイウィングのライブ会場にはすでに多くのファンが詰めかけており…………』

 どこかの会場を外から撮した番組で沢山の人間が長蛇の列を作っている。そしてその画面の一部にその会場で歌うアイドルの画像が表示されている。

「む?こやつらは……」

 そこに写るのは赤みがかった髪の少女と青みがかった髪の少女二人組の写真。たぶん、今回のCDのジャケットかなにかの画像だと思われる。

「見間違えでなければ黒服共と一緒にいた奴等だな」

 その二人は前回、森から見た二人に酷似していた。(三話参照)

「よもやこのようなところから情報源が見つかるとはな……。ならば真偽を確かめるために、こやつらのライブを観に行ってやろう。もし、違ったとしても娯楽としては十分な暇潰しになるであろうよ」

 幾ばくかの金と普段のジャージとは異なり紺色のYシャツに白のチノパンに金のアクセサリー(術ギルの水着礼装)を身に付けた姿でライブ会場に赴く。

「今はまだ昼前だ。ならば当日券はまだ買えるだろうよ」

 

 

 

 だが、このときはまだ知るよしもなかった。

この世界ではツヴァイウィングの人気がどれ程だったかと言うことを………。

 

 

 


 どうも!立花 響です!

 今、私はツヴァイウィングのライブ会場に来ています。この前、親友の小日向 未来から一緒に行かないか?と誘われ、私と未来の二人ぶんのチケットを持っているのですが親友の未来が未だに来てません……。

「未来~、今どこ?わたしもういるよ…」

『ごめん響。私はそっちに行けない。佐賀のおばぁちゃんが倒れたらしくてお父さん達と一緒に行かなきゃ行けないの……』

「えーー!わたしライブはじめてなんだよ!今回だって未来が誘ったから来たのに~~」

『ごめんね、今度埋め合わせするから』

 それから2,3話しをして電話をきる。

「……わたしって呪われてるかも~」

 電話をするために列から離れていたために戻ろうとすると、

「あいたっ!ご、ごめんなさい!」

 下を向いていたため前から来る人に気付かずぶつかってしまった。

「(わぁ~、きれいな人だなぁー)」

 外国人だろうか綺麗な金髪で凛々しい顔つきの男性だった。この人とぶつかってしまったんだろう。

「あ、えっと、そーりー!」

 念のため英語(?)で謝りその場をあとにする。

「すこし待て」

「へ?」

 


 

「くっ!これは想定外だ……」

 まだ昼前だと言うのにかなりの人だかり、さらには……

「当日券が既に売り切れだと……」

 売店では既に売り切れの看板が立てられており、あるのは会場内にあるグッズ販売だけである。だが、これしきのことで諦める訳にはいかない!ライブ会場に来てる人からチケットを買えばいいのだから……

 

 

 日が暮れ始めたが結果は……

「よもや誰も売らないとは……」

 全滅だった。声をかける奴すべてが売ることを拒否し、ある程度の金額を見せても全員が首を横に振る。

「手がかりを見つけたのだかな……次を待つしかないのか…」

 帰路につこうと歩き出すと……

「あいたっ!ご、ごめんなさい!」

 一人の少女が腹のあたりにぶつかり、謝ってくる。たが我は少女の手に持つ物に目が行く。

「………あ、えっと、そーりー!」

 少女が走ってその場を離れようとするのを

「すこし待て」

「へ?」

 

 

 

 

 

 

 

「ほう、友が急に来れなくなったと」

「はい……。」

 引き留めた少女から何故二枚もチケットを持っているのかを聞いていたら今までの経緯を聞かされていた。

「それで?貴様はどうするのだ、このまま惨めにひとりで帰るのか?」

「ちょっ、言い方ひどくないですか!?」

「はんっ、我にはどうでもいいことだからな!」

「えー。聞いてきたくせに無責任じゃないですか?

……まぁ、せっかく来たんでんですしライブには参加しますよ。ただ、親友の分のチケットが余っちゃいますけど」

「ならばちょうどよい。我がそのチケットを買い取ってやろう」

「へっ?」

 少女の手からチケットを一枚抜き取り、代わりに札を掴ませる。

「ちょうど欲しておったのだ。そいつはくれてやる好きに使うがよい」

 そのままライブ会場に向かって歩き出した。

「…あ、ちょっ、行っちゃった。………ってえぇぇえええ!」

 あまりの勢いにチケットを取られたことに呆気にとられ、気づいて声をかけるも既にライブ会場まで行っていたので止めようがなく手元のお金に目を向ける。

 そこには一万円札9枚を一枚の一万円札でまとめた計十万円が握らされてた。

 

 

 

 

 

 

 

会場内

「む?なんだ来たのか。……なぜ隣に来る?」

 先程チケットを奪・・・買い取った少女が隣の席に来る。

「このチケットは連番ですもん。隣どうしになるのは当たり前じゃないですか」

「そういうものか……」

「そういうものです。あっ、これやっぱり返します!」

 それは先程渡した金額全てだった。

「いらん、それはもう貴様のものだ。今さら返されても迷惑だ!」

「さんな、でm」

「くどい!…それに、どうやら始まるようだぞ」

 

 


 

「「「「うおおぉぉぉぉお!!!」」」」

 会場から曲のイントロが流れ始めた途端、観客達のボルテージが上がり始め、ステージに2色のライトに照らされた二人の人間が出てきた。

「(やはり、あの場にいた二人だな…)」

「「「「ハイ!、ハイ!、ハイ!、ハイ!、ハイ!、ハイ!」」」」

「イェイ!」

 

「(……というより、こいつら訓練され過ぎでわないか?)」

 二人の登場から振り付けのダンスで観客の声はひとつに揃い、先程まで隣で煩かった者も今ではその雰囲気のまれ一緒に盛り上がっている。

 

『聞こえますか?激情奏でるムジーク』天に

 

『「「「と き は な 

て !」」」』

聞こえますか…?イノチ始まる脈動『愛を』

 

『「「「突 き 上 げ て 」」」』

 

『遥か』彼方

『星が』『音楽となった彼の日』

『風が』髪を

『さらう』瞬間

 

「Wooo、ハイ!Wooo、ハイ!Wooo、ハイ!」

 

『君と僕はコドウを(うた)にした』

そして『夢は』

開くよ

『見た事ない世界の果てへ……』

 サビにはいる瞬間、ドームの天井が開き始めステージの背後に移動し、翼状のオブジェに変わる。

 

『Yes,just believe  神様も知らないヒカリで歴史を創ろう』

逆光のシャワー『未来照らす』

『一緒に飛ばないか?』

『Just feeling 涙で濡れたハネ…重くて羽撃(はばた)けない日は Wish

その右手に添えよう『僕のチカラも』

『二人でなら翼になれる Singin heart』

 

「「「「ファァァァアアア!!!!」」」」

 

 

 


「ほぉ、なかなかやるではないか」

 目的の二人が以前見た者と同一人物である確認もとれたので、素直にライブを観賞した結果まずまずの出来だと心のそこから思えた。

 観客の興奮も収まらない中、吹き抜けた風に違和感を感じた。

 

 

 風の中にここ最近よく見る機会があった黒いなにかが空気に混じっていたのだ。

 

 

 

     『ノイズだー!』

 誰かの叫び声とともに現れだした愚物(ノイズ)人型、おたまじゃくし型の他に、空に飛行型、果てにはライブ会場の地面が爆発し、巨大な芋虫型まででる始末。

 

 

    『退いて!早く!!』  『退きやがれ!!』

 

『嫌だー死にたくなーい!死にたくなっ!………』

 その存在に周囲の人々は恐怖とパニックをおこし皆が我先にと一ヶ所の出口に群がりまともに避難が出来てない。

 そして逃げ遅れた者や転んでしまったものはノイズに触れられ一緒に炭素と化して崩れていく。

 

 

 そのなか、観客席から一歩も動かない人影が二つ。

 それはギルガメッシュと隣いた少女である。

 少女は現状に恐怖を感じて動けず、ギルガメッシュは現場のパニックと愚物(ノイズ)を冷めた目でただ見つめ一言「くだらぬ」と小さく呟くだけだった。

 

 どれ程たっただろうか?放心状態から戻った少女が逃げるために移動しようとしたその時、ステージの方からどこか荘厳な歌声が聴こえる。

 

 

「Croitzal ronzell Gungnir zizil~」

 

 

 

「Imyuteus amenohabakiri tron~」

 

 

 その歌と共に二つの人影がステージ辺りのノイズに向かって走っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 その二人は先程までステージで歌っていたアイドルである。二人のライブ衣装は羽根を模した服だったが今は、どこかライダースーツのような見た目でそれぞれがオレンジと青のカラーリングで、腕や足、腰や耳の部分にプロテクターのようなものをついてる。

 

 

 

 その二人はノイズがいるところに入るとノイズだけが(・・・・・・)炭素化していった。

 

 

 

 

 

 

 

「ほぉ……、随分と面白い玩具よな」

 ギルガメッシュは微かにあの二人から神秘の気配を感じ、その理由を探ろうと注視し、

 

 

「スゴい……」

 少女は天災とも言われるノイズを倒す二人の姿に言い様のない興奮を覚えていた。

 

 

 

 

 

 

 だが、二人の言葉は強制的に止められた。

 二人がいた観客席が崩れ、ステージ下に落とされ男は体勢を崩すこと無く着地し、少女はしりもちつくかたちで落ちてしまった。

 

 

 

「きゃっ!」

 

 

 

 ただ、落ちた衝撃で少女の声が少し漏れ、それに反応したノイズがこちらに向かって走ってくる。

 

 

 

「ひっ」

 

 

 

「…………」

 

 

 

 少女はこちらに向かって走ってくるノイズに恐怖を感じ、後ずさるも周りが瓦礫ばかりで逃げ道がない。恐怖に目を閉じてていると……

「はぁぁあああ!!」

 

 

 

 オレンジのスーツをまとい、自身の身長と同じくらいの大きな槍を持った少女がこちらに向かって来たノイズを切り裂く。

 

 

 

「駆け出せ!!」

 

 

 

「!、っ!はぁ、はぁ」

 

 

 

 ノイズを斬り倒した少女の言葉を聞き、先程まで諦めてた少女はなんとか逃げようと動き出すが、先ほどの崩落で足を挫いたのか引きずるように移動する。

 

 

 

 ノイズは何体もこちらに向かって来るが、槍に貫かれたり、切り裂かれたり、時には回転した槍から発した突風に切り刻まれながら吹き飛ばされる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、槍を持つ女の動きが急激に悪くなる。

 

 

 

 

 

 

 

「チッ!!時限式はここまでかよ!」

 

 

 

「あんたも早く!!」

 

 

 

 だが、後ろにはいまだ動いてない金髪の男がいた。その男が居たために彼女はその場を離れずにいたのだ。

 

 

 

「はん、雑種風情がこの我おれに命令するでない!」

 

「な!そんなこと言ってないでさっさと逃げろ!死にたいのか!」

 

 

 

「雑種貴様には関係無かろう?それにあんなやつらには我は触れられんさ」

 

 

 

「はぁあ?!何言ってんだよ!」

 

 

 

「こんなことに時間を使っていいのか?あの小娘の足なら逃げきる前にやつらに捕まるのがおちだぞ」

 

 

 

 そう言い、男が親指で少女の行ったところをさす。少女が進んだ距離はあまりに短く他のノイズも少女に気付き、そちらに近づこうとしている。

 

 

 

「ヤバッ!…たが……っ!」

 

 

 

 少女の現状を見、そちらに行こうとするも背後からノイズが攻撃しようとする。

 

 

 

「ふん、」

 

 だが、そのノイズは何かが高速で突き抜けたかのように体を上下に別たれ、その後方のノイズを吹き飛ばしクレーターが生まれてた。

 

 

 

「!??」

 

 

 

「言ったであろ、やつらには我に触れられんと。わかったらさっさと行くがいい」

 

 

 

 シッシッとでも言うかのように手を前にだしあっちに行けと動かす。

 

ムカつくなぁ…、危険だと思ったら逃げろよ!」

 

 

 

 そう言い、途中のノイズを槍切り裂きながら少女の方に向かう…。

 

 

 

 

 

 

 

聞こえているのだがな…(王に対する態度ではないが)、まぁいい。さて愚物共この我の身体を地に落としたのだ、それ相応の覚悟は出来ておろうな!」



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6話

「(現状、戦況はこちらがやや優勢か……)」

 目に写る愚物(ノイズ)を倒しながら現状を見る。

 こちらは三人、一人は離れたところでノイズの集団を相手に切った張ったやり、もう一人は足を負傷した足を引きずる少女に近づくノイズを倒して守ってる。

 対するノイズは空中に20体ほど、奥に大型の芋虫型が3体、小型の人型やおたまじゃくし型が百体ほど。

 さらに奥の奴は口から液体を吐き出すとそれらが幾つかの小型ノイズに形作られていき、小型が増えていく。

 

 加減などしなければすべてを滅ぼすのは容易いがまだ残っている者や今戦っている者まで一緒に吹き飛ばしてしまうし目立ちすぎてしまう。(※もう手遅れ)

 空中にいたノイズは既に掃討し、自分に向かってくる物、逃げる者を追う物、そして奥にいる大型に財を放つ。

 奥にいる大型のノイズが口から小型を産み出し続けているため元を絶つために射つも産み出された小型がひとつに集まり中型となり財を受け止め消えていき、大型には傷一つつかない。

 宝具の射出は武器を射ちだすため面制圧より一点突破の方が得意である。(※なお、地面に当たった際の爆風にもノイズを倒す力があるが上記の関係上それをしてない)

 

「ならばこれにするとしよう」

 右手に本のような形をした粘土板を取り出し、背後にある砲門から覗く武器をすべてをいろんな杖に変える。

「放て!!」

 杖の先端に灯った炎や光弾が一斉にノイズに向かい爆炎がノイズを呑み込み、光弾が射ちこぼしたノイズを貫き、追尾してさらに撃ち抜く。

 奥にいる一体の大型ノイズへの道が開き、それがまた小型を産み出そうとしていると…

「これ以上、汚物を吐くでないわ!」

 すると大型ノイズの周りに光り輝く古代文字が縛り上げるように張り付く。

「■■■■?!!」

 大きく吐き出す為に首を上に上げ体勢で固まる。それに抗おうとしてるのか鳴くが、体は動かず鳴き声だげが響く。

「疾く失せよ!」

 杖が出てる砲門の一つをBランクの剣の宝具を射ちだす。

 その剣が当たった大型のノイズは体を真っ二つにし、上半身下半身が共に炭素と化していく。その時、

「おい死ぬな!」

 その方向に目を向けると地に濡れた少女とそれを抱き起こす赤髪の女だった。

「目を開けてくれ!」

 今まで、体を張ってノイズを止めていた者がいなくなったのをいいことに進もうとするノイズ………を武器が撃ち抜く。

「まったくこの我の前であのような物を見せ、あまつさえそれに付け入ろうとは…よほど死にたいようだな愚物共!

 その怒りと共に頭によぎるいくつもの光景。

 降りしきる雨、人を抱える()、崩れる人だったもの…、

「(これは…肉体に刻まれた記憶……?…そうかギルガメッシュ()エルキドゥ()の別れと重なって見えるのか……)」

 形や状況は違えど似ているところがある。そこに邪魔しようとするものがいればキレるのも頷ける。

 今や身体だけが勝手に動き、二人に近づこうとするノイズを片っ端から宝具で撃ち抜いていく。

 

「生きるのを諦めるな!!」

 

 その言葉の後、閉じかけてた少女の瞳が微かに開く。

 

「っと…」

 少女の瞳が動くのと同時に今まで動かせなかった身体の感覚が戻った。

 今まで気づかなかったが視線の先は大変な事になっていた。

 二人とノイズの間を引き裂くような裂け目ができており、ノイズに感情があるのかわからないが先ほどの光景を知っているからか、そこより先には進まないでいる。

 

「いつか心と身体空っぽにして思い切り歌いたかったんだよな」

 負傷した少女から離れ、ボロボロの槍を持ちひとり前にでる女。

「今日はたくさんの連中が聞いてくれるんだ……」

 女は槍を上に掲げて、足を止める。

 

「あやつ…何をするきだ?」

 今までの雰囲気と違い、……覚悟を決めた戦士(・・)のような…

「だからあたしも出し惜しみ無しでいく。取って置きのをくれてやる……絶唱」

 

「Gatrandis babel ziggurat edenal Emustolronzen fine el baral zizzl~」

 

 

「いけない奏!!歌ってはだめぇぇ!!」

 

 

「Gatrandis babel ziggurat edenal Emustolronzen fine el zizzl~」

 その歌が終わったの同時に奏の口の端から血を流す。

すると巨大な衝撃波が女を中心に広がる。衝撃波に飲み込まれたノイズはすぐに炭素なり、全てノイズが倒されると奏は倒れた。

 倒れた奏に駆け寄るもうひとりの青毛の女。倒れた奏を抱き起こすが2、3話すと倒れた方は身体が崩れ、塵に変わり風にさらわれていく。そんな彼女を取らせまいと強く抱き締めるがそれにより崩壊を後押ししてしまい奏だったものは跡形もなく消え去った。

 

「己が命を引き換えにした技であったか……」

 今まで撃ち出した宝具を回収し、手元にハデスの隠れ蓑を取り出す。

 

「貴様の生きざま、しかと胸に刻もう。今は眠るがよい。天羽 奏よ」

 ハデスの隠れ蓑を被り、気配を消し会場から離れる。

 

 

 



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7話

久々の投稿

やめて石投げないで!
仕方ないんや!イベントとかやっていたら読む登録していた作品に触発されて遊戯王に復帰して小説書く時間を吸われたんや
ギ「それで許すわけなかろう!王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)
作「アアアア!!」ザシュザシュ


 あのライブから2年、あの時の被害者は2万を超え今世紀最大の災害といわれているが、その最たる原因は人による二次災害として世間に知れ渡っていた。

 あの時、一つの出入口に殺到しすぎてうまく出られず、中で暴行や倒れた人間をそのまま踏みつけたなどで亡くなった等がテレビで放送された。

 人の「生きたい、自分だけでも」と言う感情は多くの人間が持つ欲望であり、悪徳であり美徳と思う。

 結果、最初の一年はその他の有象無象が生き残りをバッシングし、社会的地位を奪い死に追いやられた者などもいた。

 政府はこの事に何も対象せず自然風化するまでこの事は続いた。

 我はこの事には一切介入せずホテルの経営尽力し、今では著名人や海外の有名タレントなどが利用する一大ホテルとして名をあげ、オーナである(ギルガメッシュ)は株の取引で財を稼ぎ【先見の大株主】等と呼ばれてる。

 そして、未だに変わってないのがノイズの被害である。ライブのような大事は起こっていないが発生件数に変化は無く、先日もどこぞで自衛隊がノイズの被害を抑えたとニュースが流れたが、大方あの時の生き残り(風鳴 翼)が倒したのであろう。

 ノイズの駆除などあやつらに任せておけばいいからな。

 我の前で邪魔さえしなければどうでもいい存在だ。

 そして今宵も…

 

「些か、あの音(警報)が五月蝿いが月見酒には充分の日よな」

 

 現在、ヴィマーナに乗り、ヴィマーナに搭載されたステルス機能を使いヴィマーナを含めた全身を消し空中で酒を楽しんでいた。

 そんな事をしていると町のある一角から光の柱が立ち上る。

 

「…ほぉ、なにやら面白そうな事が起こっているようだな。」

 

 ゆっくり空中を航行していたヴィマーナを光が上がった場所にむけて旋回し、進んだ。

 

 

 

 


 

 

 

 

「CD、特典、CD、特典、CD、特典、CD、特典」

 わたし立花 響15歳。私立リディアン音楽院に通う女子高生です。

 今日はトップアイドルであり、学校の先輩である風鳴 翼さんの新しいCDの発売日でそれを買いに放課後、町に来てます。

 

 え?今時CDは古くないかっだって?わかってないな~。特典の充実度違うだよ~。……わたし誰に言ってんだろう?

 そんな事考えながら目当てのショップに向かうための街角を曲がると空気が淀み、黒い塵(・・・)が目につく。隣のコンビニを見れば、窓の向こうには棚に置かれた製品とその近くに炭素の塊。路地裏には人の手の形が残った炭素の塊。これは…

「…ノイズ!」

 

「きゃあぁぁぁあ!」

 

「!!」

 

 聴こえた悲鳴に向かってわたしは走り出した。

 

 

 

 

 

 悲鳴の先にいたのは5歳ぐらいの女の子で、今はその子を背負いノイズから逃げる。

 

「はッはッはッ……シェルターから、離れちゃった……!はッはッはッ……」

 

 力の限り駆ける響であったが、躓いて転んでしまう。荒い息をそのまま整えていたが、迫るノイズに目を見開き、奏の言葉を再び思い出した。

 

『生きるのを、諦めるなッ!』

 

 ばッと立ち上がり、女の子を再び背負って響は再び駆けだした。工場らしき場所に逃げ込み、はしごを登り、そしてどこかの建物の屋上の上に倒れこんだ。

 

「死んじゃうの……?」

 

 響は上体を起こすと、女の子の方に顔を向けて首を振った。

 

「大丈夫、死なせないから……」

 

―だが、現実は無情だった。響がはっとして振り向くと、彼女たちはノイズに取り囲まれていた。

 

「ひっ……!」

 

起き上がり、すがりつく少女を抱きしめて守ろうとする響。

 

(私に出来ることは、出来ることはまだあるはず……!)

 

「生きるのを諦めないで……!」

 

 

 

「Balwisyall Nescell Gungnir tron……」

 

 響の体から眩いオレンジ色の光があふれ出し、光の柱が立ち昇る。

 

 響の身体は先程まで着ていたリディアンの服ではなくオレンジ色のピッチリスーツになっており、体を内側から変えられる衝撃に耐えるために四つん這いになり、その背中から金属やコードが飛び出し、それがまた身体に戻る。それらは明らかに身体に収まる大きさではないがそれを何度か繰り返すと響の身体はピッチリスーツに所々鎧のような金属をつけた姿になる。

 

 

 それは2年前自分を助けた人たちと同じ姿になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、なにこれ~~!!あたしどうなっちゃったの!!」

 

 響は自身におきた現象に戸惑い、叫んぶ。

 

「おねぇちゃん、カッコいい!」

 

 自分と一緒に逃げていた女の子の言葉にわれにかえる。

 

「(とりあえず、今しなきゃいけないことはこの子を守るって事だよね)」

 

「絶対に離さない…この繋いだ手は」

「こんなにほら暖かいだ ヒトの持つ温もりは」

「難しい言葉なんて いらないよ」

「今わかる 共鳴する Brave minds 」

 

 迫られたノイズから逃げるために少しだけ(・・・・)足に力を込めて跳躍すると鉄塔を飛び越え空中に身を投げ出してしまった。

 

「うわわわわわ!」

 

 

 

 

 

 

「何か変化があるかと思えばまたあれか……」

 

 光の柱が出現した工場地帯につくも、下にはノイズがいるだけで大きな変化は見当たらない。

 

「我の庭に蔓延るなど………む?」

 

 ヴィマーナから財宝を撃とうとするとノイズがある方向に向かって移動してるのに気づいた。

 そちらに目を向けるとノイズから逃げるように移動する二人の子供がいた。

 ひとりは5歳にも満たない位の子供がもうひとりに抱えられてる。そしてそのもうひとりが問題だ。

 歳は14~5位の少女で服が普通のではなく所々に鎧のような物をつけたスーツを身に纏っている。

 

「あのスーツを纏いながら逃げるとは…新兵か?それとも政府とは無関係の者か?」

 

 あちらは此方に気づくことなくひたすら前に走っている。

 

「まぁなんにせよ、少しは面白そうだ」

 

 砲門をひとつ開き下に向けて射出した。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 ノイズからずっと逃げ続けてる響たち。最初は自身の急激に上がった身体能力に振り回されていたが、今はノイズから逃げれる程度には慣れていた。それでも現状は刻一刻と厳しくなり、遂に囲まれてしまった。

 

「(どうしよう、囲まれちゃった…)」

 

 右を見ても左を見てもノイズ、更にその包囲網はジリジリ狭まって来ている。

 

もう少し足掻いてみせんか

 

「うえっ!?だ、だれ!」

 突如聴こえたこえに驚き、周りを見渡すが誰もおらず、腕の中の少女は首を傾げている。

 

気にしてる余裕があるのか?ほれ、右から来るぞ

 

 右から人型のノイズが一体此方に向かってくる。

 

「うわっ!!」

 驚いた拍子に腕を振り抜く。その拳はノイズに裏拳のように当たり、ノイズだけが(・・・・・・)炭素化していく。

 

「え?わたしが倒したの?」

 

そうだ。貴様だけならあれ触れても問題はない。…ほれ、左側が空いてるぞ。走ったらどうだ?

 

 先程まで人一人分の隙間もなかった場所にぽっかりと穴があき、黒い塵が積もってる

「……本当だ。さっきまであんなにいたのに―――」

 

ほれ、走れ、走れ。逃げられなくなるぞ

 

「は、はい!」

 それからはその謎の声に導かれるまま時おり来るノイズを倒しつつ走り抜ける。

 

 

 

 

 

「…って!行き止まりじゃないですかぁ!!」

 走り抜けた先にあったのは何かの工場施設で右にも左にも通り道がなく、完全なる袋小路だった。

ふはははは、いいぞいいツッコミだ!ふはははは!

「なんで笑ってるですか!ここまでわたしはあなた(?)を信じてきたのに!」

 

「お姉ちゃん大丈夫?さっきからひとりでしゃべてっるけど?」

 仕舞いには腕の中の少女から心配されてしまった。

年下の子供にまで心配されるとは!待て!笑いすぎて腹がよじれる!ククク!

 先程から聴こえる声はずっと笑っている。その間に先程まで距離を離したノイズが姿が見えるまでに近付いている。

はー、笑った笑った。それに心配することは無い。もうじき来るぞ

「来るって何が……?」

 すると奥のノイズが左右に別れるように宙を舞っていた。(・・・・・・・・)

 ノイズを掻き分けて一台のバイクに乗った女の人が出てきた。

 

 

「Imyuteus amenohabakiri tron~」

 

 歌のようなものを呟くとライダージャケットとヘルメットが消えわたしの身に纏っている物に似た姿へ変わる。その姿は二年前、あのライブ会場で奏さんと一緒に戦っていたもう一人の片翼、風鳴 翼だった。

 翼はバイクから飛び降り響の隣に立つ。(なお、バイクは運転する人がいなくなったため、勢いのまま建物にぶつかり爆発した。)

 

「呆けない、死ぬわよ。貴方はそこでその子を守ってなさい」

 

 それだけを言い残しノイズの集団の中に翼さんは突っ込んでいく。

 

相変わらず物の扱いが酷いな…

「(声の人は翼さんのあれことを知ってるのかな…?)」

そこからは一方的な戦闘だった。

 ノイズに接近すると足のアーマーから武器が飛び出し、刀と化したそれで切り裂いていき、途中から足を上にむけブレイクダンスの要領で回転し、足のアーマーが開き、刃とかしてノイズを切り裂いていく。

 ある程度のノイズを倒すと高く飛び上がりもっていた刀が大型化し蒼いエネルギーの斬撃で残っていたノイズを吹き飛ばした。

「スゴい……」

「あっ!」

 少女が声をあげ、後ろを指差ししていたので振り向くと、

「■■◆◆!」

 雄叫びと共に背後の建物を跨いで巨人型のノイズがこちらを見下ろすように出てきた。

「◆◆■!?」

 だが、それも一瞬のことでそのノイズよりも巨大な剣に貫かれ倒された。その剣の頂点には翼さんがこちらを冷たい目で見下ろしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

「ママァ!」

 あのあと自衛隊の人たちが来て、近くのシェルターにいた母親と子供が再会することが出来た。

「良かった…」

「温かいものどうぞ」

 女性職員が飲み物を持ってきた。

「あ、温かいものどうも…………ほぉっ

 飲み物をもらって飲んで息をつくと体が光だして弾けると最初に着ていたリディアンの制服に戻った。

 ただ、光が弾けた衝撃でよろけ後ろの人にぶつかり支えられた。チンリンリン

「あ、ありがとうございま…」

 受け止めた人を確認すると、受け止めた人は風鳴 翼であった。

ありがとうございます!じ、実は翼さんに助けられるのは二度目なんです!」

「…二度目?」

「えへへ…」

 そんな事があるとあの親子の方に一人の女性職員が近付いていく。

 

「それではこの同意書を確認してサインお願いします。此度の事は内密でお願いします。もし話した場合―――――」

 

 

「あ、ははは。そ、それじゃわたしはこの辺で……」

ザ,ザ

 すると翼さんを中心に左右に黒いスーツとサングラス掛けた男性がずらっと並ぶ。

 

「貴方をこのまま返すわけにはいきません」

 

「ええぇぇ!な、何でですか!?」

 

「特異災害対策機動部二課まで同行してもらいます」

 いつの間にか手にはかなり大きな手錠がつけられていた。

「すみませんね。貴方の身柄を拘束させていただきます」

 そのままあれよあれよのまま車に乗せられ……

「な、なんでぇぇぇええ!!!」

 車は何処かに走り出した。

 

 


 

 先程からあの少女の叫び声が聴こえるなか、小さな宝石が地面に飲み込まれるように消え、隣に男が降り立った。だが、周囲の人間は誰も気づかずまるでその男などいないかのように振る舞っている(・・・・・・・・・・・・・・・)

「暇潰しがここまでのことになるとは都合がよい。このままあやつらの正体を探るとしよう。」

 車の一団がある程度離れると砲門から一台のバイクを取り出し被っていたハットを深く被り直し、後を追うように走り出す。

 

 


 

 車が工場地帯から離れ徐々に見覚えがある場所に近づく。

「な、なんで学院に……」

 だが、車では何も返答がなく気まずい空気が流れる。

 そのまま通うリディアン音楽院に入っていき、流石に不安になって一緒に来ていた翼さんと男性に声をかけた。(その他の男性は中に入らず門の前に並んで門番の様にしている。)

「…あの、ここ先生達がいる中央学院棟ですよね……」

 だが、その質問にも誰も答えることなくエレベーターに乗せられた。

「あのぉ……」

「さ、危ないから捕まって」

「えっ?危ないって…」

エレベーターの四隅に出現した手すりを掴まされると…

 

 

 

 

 

エレベーターは一気に急降下した。

うわぁぁぁあああ!!!

 次第にスピードに慣れていき、周囲は独特な色合いと謎の模様の壁がエレベーターの窓から見える。

「あ、あ、あはははは…」

「愛想は無用よ……。これから向かうところに微笑みは必要ないわ」

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

熱烈☆           

歓迎立花 響さま☆   

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

ようこそ二課へ!!

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

パァン
パァン

パァン

 

「ようこそ!人類守護の砦。特異災害対策機動部二課へ!」

 

「へっ……」

「……はぁ

「……あ、はは」

 

 


 

「ふはははは!今どんな気持ちだ?!『これから向かうところに微笑みは必要ないわ』などキメ顔したのにこの結果は!ふはははは!」

 あのあと、後ろをついていきこやつらが政府の関係者だとわかったがあまりの展開笑いが止まらず、聞こえていないとわかっていながら相手(風鳴 翼)を目の前に大笑いしている。そんななか向こうでは手錠を外し、自己紹介が始まっていた。

 

「俺の名前は風鳴 弦十郎。ここの責任者をしている」

赤毛の大男がニコニコ顔で言い、

「そして私は出来る女と評判の櫻井 了子。よろしくね(^_-)」

茶髪の団子ヘアーの白衣の女はそう言った。

「実は君に協力を要請したいのだ」

「協力…?そうだ!あの力のこと教えてください!」

 弦十郎と名乗った男の言葉にそうかえすと、了子と名乗った女が前に出ていき、

「貴女の質問に答えるために二つほど守ってほしいことがあるの」

「ひとつは今日のことは内緒、もうひとつは……」

 そして了子は響の腰を抱き寄せ

「とりあえず服を脱いでもらいましょうか?」

 

「………だから、なぁんでぇぇ!!

 

 

「これはまたもうひと波乱ありそうだな……」

 静かにその光景を見ていたのであった。



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8話

「あぁ、数日はホテルに戻らん。故に経営は貴様に任せる。………なに、貴様ならそつなくこなせよう。もし、我に見て欲しい書類があるのならメールで寄越せ。それではな」

 携帯の向こうからは何やらまだ喋っているが無視して電話を切る。

 現在、特異災害対策機動部二課本部に侵入してから2時間。小娘()あの女(了子)に連れていかれてから本部内を色々歩き回って見ている。

 姿は消しているため、歩き回っていても誰に咎められるどころか気付かれない。

 本部内の扉は全て自動扉なために下手には近付かず、時折職員に引っ付いて一緒に入ったりして時間をつぶしてる。

 ある程度つぶしたあと先程のパーティー会場に戻る。

 

「検査はこれでおしまい♥️結果は二日後、学校が終わったら来てね♥️」

 

「では、僕が送っていきますね。響さんこちらへ」

「あぁ、慎次頼む」

 

 そして響は翼と一緒に来た緒川 慎次と言う黒服の男に外に連れていかれ会場は片付けが始まる。

 

「まさかガングニールの適合者が見つかるとはな……」

「先ずは検査結果待ちになるでしょうけどこれから荒れるでしょうね…」

 

 弦十郎と了子はそんな話をしながら壁に背を預けてる翼を見ている。

 

 

 

 

後日

 

 

 

 

 

 

 時折くる仕事のメールと小言を確認しつつ、を返信して本部内の散策を繰り返し二日が過ぎた。

 現在はメディカルルームと呼ばれる所に弦十郎、了子、慎次、オペレーターの中で有能な男女、藤尭(ふじたか)と友里、翼と手錠をつけられた若干涙目な響、そして誰にも見えていないギルガメッシュ。

 

「それでは先日のメディカルチェックの結果発表!」

「初体験の負荷は若干残っているものの体に異常はほぼ(・・)みられませんでした」

 

「ほぼ、ですか…」

 手首をさすりながら結果聞いている響が呟く。

「そうねぇ、貴女が聞きたいのはこんなことじゃないわよね」

 

「教えてください。あの力のこと…」

 

 その言葉を聞いた弦十郎は翼に眼をやると、翼は胸元から赤いペンダントを取り出した。

 

「天羽々斬、翼が持つ第1号聖遺物だ」

 

「聖遺物?」

 

「聖遺物とは世界各地の伝承に登場する現代では製造不可能な異端技術の結晶のこと。多くは遺跡などから発掘されるんだけど、経年の劣化が著しくて(かつ)ての力をそのまま残したのは本当に希少なの」

 

「この天羽々斬も刃の欠片、ごく一部にすぎない」

 

「欠片に残ったほんの少しの力解き放つ唯一つの鍵か特定振幅の波動なの」

 

「特定振幅の波動……」

 

「つまりは歌。歌の力によって起動するんだ」

 

「歌…。そうだ、あの時も胸の奥から浮かんできたんです」

 

「………っ!」

 

 響が説明を聞いている間、翼は何か言いたことを我慢するような表情で唇を噛んでいる。

 

「歌の力で活性化した聖遺物を一度エネルギーに変換し、鎧に再構成したのが翼ちゃんや響ちゃんが身に纏うアンチノイズプロテクター、シンフォギアなの」

 

だからとて!どんな歌、誰の歌にも聖遺物を起動させる力があるわけではない!

 

 今まで黙っていた翼が声を荒げる。その言葉には翼の秘めてる感情がひしひしと伝わり、二課の面々は少し沈痛な表情を浮かべる。

 

「………聖遺物を起動させ、シンフォギアを纏える歌を歌えるわずかな人間を適合者と呼んでいる。それが翼であり君であるのだ」

 

「どう貴女に目覚めた力について少しは理解してもらえたかしら?質問はドシドシ受け付けるわよ」

 

 説明を一通り終えたのか了子は響に顔を近付ける。

「あの!」

 そんな了子に響は力強く返事をし、

 

「どうぞ!響ちゃん」

 

「全然わかりません……」

 

「だろうね……」

「だろうとも……」

 

 響の答えを聞いてオペレーターの二人は納得したように呟く。

 

「いきなりは難しすぎちゃいましたね。だとしたら聖遺物からシンフォギアを作り出す唯一の技術、櫻井理論の提唱者がこの(わたくし)であることは覚えてくださいね」

「はぁ…、でもわたしは聖遺物なんてもの持ってません。なのになぜ…」

 

 その言葉を遮るかのようにモニターの画面が写り変わり、ひとつのレントゲン写真が拡大される。

 そのレントゲンには胸部を写した写真で、それには心臓のすぐ近くに何かが写っている。

 

「これが何なのか君にはわかるはずだ」

 

「はい、二年前の怪我です。あそこにわたしも居たんです」

 

 その言葉に興味が無いような翼も本の少し反応する。

 

「心臓付近深く食い込んでるため手術でも摘出不可能な無数の破片。調査の結果、この影はかつて奏ちゃんが身に纏っていた第三号聖遺物、ガングニールの砕けた破片であることが判明しました」

「奏ちゃんの置き土産ね……」

 

 その言葉を聞きあんまりの真実に翼は驚愕の表情を浮かべよろめきながら部屋を出ていった。

 

「…あのぉ、この力のことは誰かに言ってはダメなんでしょうか?」

 

「むぅ…、もし君がシンフォギアの力を持っていることを何者かに知られた場合君の家族や友人が周りに危害がおよびかねない。命に関わる危険性がある」

 

「命に……!」

 

「我々とて機密を守りたい訳ではないんだ。―――」

 

 向こうでそんな会話が広がるなか今まで静かに話を聞いていたギルガメッシュはひとり、考え込んでいた。

「(聖遺物とは云わば我の宝物庫から流出したものということ、しかも、本の少しの欠片というあまりにも管理がずさんであるな)」

「(そして奴等がノイズ(あれら)に触れられのも、我の宝物が元であるからか…)」

 

 視線を上げ、その朱眼に響を写す。

 

「(何処か見覚えがあると思えば、あの時の小娘だったか…。そして、その体にある我が財はあの時の戦士の物とはつくづく因果なものよな……)」

 

 そんなことを考えてから数分、ここ最近聞き慣れた、そして我の庭を汚す不届きものが出た証拠の音源である。

 

 

 


 

 

 

 

 リディアン(本部)から200m離れた場所したノイズを倒し向かった翼、その後を追うように響も出ようとするも弦十郎に引き止められるも、無力な人を助けたいと云う思いを告げ出ていく。

 一方、先に出ていった翼がノイズと高架橋にて対峙していた。

 

「………■◆■◆●!!」

 

 いわゆる小型と言われるノイズが一つに集まり、溶け合い姿を変えた。

 その姿は例えるならウーパールーパー。目などは無く、大きな口だけがある。ノイズ特有の発光器官は腹の部分にあるため良く見えない。そして、ウーパールーパーのエラの部分が葉っぱのようなものがついている。

 

 

「Imyuteus amenohabakiri tron~」

 

 シンフォギアを纏った翼が刀を構えるの同時にノイズも動き始めた。

(はやて)を射る如き刃 麗しきは千の花

宵に煌めいた残月 哀しみよ浄土に還りなさい…永久(とわ)に」

 ノイズの葉っぱのような部分がはずれ回転し、翼に向かう。途中に在った電灯の支柱に当たると、支柱は切り裂かれた。鋭利な刃とかしたそれをジャンプで避けるも、翼を追いかけるように空に向かう、追尾機能もあるようだ。だが、追尾してきたそれらを脚部の装甲から展開した刃に切りさく。

「●●◆■!」

 丸裸となっても今だ戦意を衰えないノイズが吠え、背を向ける翼に向かおうとすると、

「やあぁぁぁぁあああ!」

「!!」

 空から雄叫びと共にちてきた落ちてきた響が横から蹴りを入れノイズをよろめかせる。

「翼さん!」

「っち!」

 響の加勢に舌打ち(・・・)をしつつも好機を逃さずノイズの上を取り、大型化した刃から蒼い斬激を放つ。

「はあぁぁあ!」

【蒼の一閃】

 その斬激をくらいノイズは半分に分かたれ、爆散した。

 

「翼さ~ん、わたし今は足手まといかもしれないけど、一生懸命頑張ります!だからわたしと一緒に戦ってください!」

 少しの沈黙を挟み、

「そうね」

「あは!」

 翼の肯定の言葉に嬉しそうな顔を浮かべる響に…

「貴女と私、戦いましょうか」

 翼は刀を突き付け答える。

「へ?え、うぇ?」

 

 

 

 

 

そして、姿を消していたギルガメッシュもその光景を見ていた。

 

 

 


 

 

 

「貴女と私、戦いましょうか」

 刀を響に突き付け、そう言う翼。

 

「そういう意味じゃありません。わたしは翼さんと力を合わせて―――」

 

「わかっているわ、そんなこと」

 

「だったらどうして……」

 

「私が貴女と戦いたいからよ。私は貴女を受け入れられない。」

「力を合わせ、貴女と共に戦うことなど風鳴 翼が許せるはずもない」

「貴女もアームドギアを構えなさい、それは常在戦場の意思の体現。貴女が何をも貫き通す無双一振りガングニールのシンフォギアを纏うなら胸の覚悟を構えてみせなさい!」

 

 

「(たんに気に食わないだけであろうに、めんどくさい言い回しもあったものだ……)」

 

 そんなこと考えていると翼は天に跳び、響に向け持っていた刀を投げる。それは徐々に大きくなり小型船サイズ位になると柄の部分に蹴りを入れ、脚の鎧と柄から青白い炎が吹き出し地表へ向かって落ちていく。

【天の逆鱗】

 

「(さすがに暇潰しの道具が目の前で潰される訳にはいかんな…)」

 あの巨大な剣を受け止めるのも容易だが、そんなことをすれば隠れてる意味がない。だから剣の横っ腹に宝具を当て、軌道をずらそうと宝物庫を開こうとすると……

 

 

 

 

「うおぉりぃゃ!!!」

 そんな雄叫びと共に一人の男が拳ひとつ(・・・・)で受け止め、吹き飛ばした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(……………………はっ?)」

 

 あまりにも常識はずれな意識が飛び――――

 

「叔父様!?」

 

「はぁぁぁぁああああ!!!!」

 剣が消えると同時にまた雄叫びをあげると、()の足下を中心に路上がめくれ上がり、水道管が破裂し、周りにの電灯も何本か吹き飛んだ。

「(っ!)」

 そのうちの一本に立っていたギルガメッシュも飛んでいた意識を戻し、退避する。

 

「あぁあ~、こんなにしちまって……。なにやってんだお前たちは………」

 漢、いや弦十郎は起きた現状を見て小さくこぼす。

「この靴、高かったんだぞ………」

「ご、ごめんなさい…」

 シンフォギアから元の制服に戻った響は弦十郎の後ろから謝る。

「いったい何本の映画が借りれると思ってんだ……」

 

 

 

 

 

 

 そんな状況から空中にヴィマーナを取り出し、移動したギルガメッシュは―――

 

「(気にするところはそこではなかろう!それに、この現状は貴様のやったことだろうが!!)」

 まだ意識が戻ってないのかツッコミ属性と化していた。

 

「(はっ!……ん、んん!一旦戻るとしよう。今日はいささか疲れた……)」

 そしてギルガメッシュはヴィマーナを動かしこの場を離れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、その空を翼の近くにいた弦十郎は見ていた……

 

 

 


 

 

「はぁ…、今日はもう寝るとしよう。本当に疲れた…」

 拠点であるホテルに戻ったのは地平線から日が昇り始めた頃だった。

 

 

「……お待ちしてました。オーナー」

 部屋に入ろうとした矢先に横から声をかけられる。

「……シドゥリか」

 そこにいたのはスーツを着た女性であった。

「…士道 利奈です。いい加減普通に呼んでください」

「我としてはこの方が呼びやすいのだ。…それで何用だ。今日の我は眠いのだ、急ぎではないなら明日に回せ」

 そう言って部屋に入ると…

 

 ジャラジャラ、バシ…ギャリギャリ………ブランブラン……

 

 足下に鎖が巻き付き天井から頭を下にしてぶら下がっていた。

「………これはどう言うことだ?」

「今回、オーナーに急に抜けられた為仕事が貯まっております。なので私が管理した仕事を当分やってもらいます。……ざっと一月ほど」

「おい待て、仕事はするから取りあえず降ろせ。仕事も明日からす――」

「今日からです(ニッコリ)」

「いや、だから寝か―――」

「きょ う か ら で す (ニッコリ)」

 シドゥリ(士道 利奈)は笑っているが目は笑っておらず、背後にはゴゴゴと音が鳴りそうなオーラがある。

「アッハイ…」

 その後、部屋からペンの書く音と判子を押す音が聴こえたとか聴こえないとか……




ギ「前回のアンケートで我の宝物について解説がほしいと言う雑種がそれなりにいたのでな教えてやろう。……なぜ我がこんなことをする必要があるのか?
シ「前回、オーナーが作者を滅多刺しにしたからです。作者は生きてますが喋るまで回復してないからです」
ギ「まったく貧弱だな。とりあえず解説を始めるか…」
シ「今回解説するのは今作によく登場する【ハデスの隠れ簑】です。」
ギ「あぁ、作者が間違えた我の宝物か…」
シ「それについての作者からの解答はこれです」

「本来、ハデスの隠し兜だったのですがプリヤは見ておらず、そうゆう宝具があるのは知っていて尚且つ何処からハデスの隠れ簑と言う単語見たか聞いたかで頭にありそのまま調べずに使いました。なので効果もがばがばです」

シ「…ということです」
ギ「あやつは本当に…はぁ…。 でだ、宝具の説明だがこれは上記の上位互換と思うがよい」
シ「簡単に説明致しますと、
・身に付けてる者、身に付けてる者が触れているものを視覚的、魔術的に透明化にする。
・自身の発する音のON,OFFの選択
・気配の隠蔽(なお、完全には消せず勘の鋭い者には気付かれるもよう)
の三点になります。」
ギ「故に最後の方は気付かれたりしている訳だ」
シ「では、今回の説明会は以上でごさまいます」
ギ「では、次回を待つがよい」


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9話

久々に書いたらギルガメッシュが全然でない件……


 二課side

 

 

 

 

 翼が響に対して攻撃を仕掛けてから一、弦十郎はモニターでここ1ヶ月の二人の戦闘を確認していた。

 

 響は未だ戦うことが出来ずひたすらに逃げ続けている。

 翼はただひたすらにひとりでノイズを倒し続けてる。

響はなんとか翼に話し掛けようとしても翼はそれを無視して、戦い続ける。

 

「未だに噛み合わんか……」

 

 そんな姪の姿にため息が漏れる。するとモニタールームの扉が開く。

 

「司令、以前言われた二課内部のカメラ映像の調査報告書を持ってきました」

 

 書類を持ったスーツの若い男性、緒川 慎次ともうひとり、

 

「まったく~、このワタシの頭脳をもってしても解析に一月もかかるなんてね~♪」

 

 

 笑みを浮かべながらもどこか疲れた様な表情を浮かべる女性、櫻井了子が部屋に入る。

 

 

「慎次、了子くん。突然こんなことを頼んですまなかったな」

 

 

 慎次から書類を受け取り、二人に礼を言う。

 

 

「いきなり「二課内部に侵入者がいたかも知れん」って言われたときは頭でも打ったのかと思ったけど結果としては弦十郎君の懸念どうりだったんだけどね…」

 

 

「やはりか……」

 

 

「本当に大変だったんだからね!カメラ映像には何もないから施設内の気圧の変化や備品の消費量なんかを調べて僅かな変化をがあった場所のカメラ映像を透過作業してようやく痕跡があったくらいなんだから」

 

 

 了子くんが話している間に書類の中にあった一枚の写真、たぶんカメラ映像を切り取った物であろうが何も写ってない真っ白な写真、その中には僅かに人型に見えなくもないぼんやりした何かが写っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「遅くなりました!すみません!」

 

 

 

 二課の秘密施設、その作戦指令室に入った響は開口一番に謝罪の言葉を叫ぶ。そんな響を弦十郎と了子は笑顔で迎え、翼は顔も上げずに黙って聞き流している。

 

 

 

「では、全員揃ったところで仲良しミーティングを始めましょう♪」

 

 

 

 笑顔でそう言った了子の言葉に響はちらりと隣の翼へ視線を向ける。しかし、翼は素知らぬ顔で紙コップに入れた飲み物を飲んでいる。

 

 

 

 了子はリモコンを操作し、モニターの画面を切り替える。画面には何処かの地図が表示されそこには幾つもの赤い点とそれよりは数が少ない黄色の点が写し出されてる。

 

 

「これを見てどう思う」

 

 弦十郎は静かに響に問い掛ける。

 

 

 

「…いっぱいですね」

 

 

 

「ハッハッハ!まったくその通りだ」

 

 

 そんな響の答えに弦十郎は朗らかに笑い、翼は人知れず眉を顰める。

 

 

 

「これは、ここ一か月のノイズの発生地点だ」

 

 

 

 すぐに真剣な表情に戻った弦十郎は画面を見ながら言う。

 

 

 

「ノイズについて響君が知ってることは?」

 

 

 

「テレビのニュースや学校で教えてもらった程度ですが……」

 

 

 

 言いながらえっと、と記憶を掘り起こすように少し考える響。

 

 

 

「まず無感情で機械的に人間を襲うこと。そして、襲われた人間が炭化してしまうこと。時と場所を選ばずに突然現れて周囲に被害を及ぼす特異災害として認定されていること」

 

 

 

「意外と詳しいな」

 

 

 

「今纏めているレポートの題材なんです」

 

 

 

 感心した様子に言う弦十郎の言葉に響は照れながら答える。

 

「そうね。ノイズの発生が国連での議題に上がったのは13年前だけど、観測そのものはもぉ~っと前からあったわ。それこそ、世界中に太古の昔から」

 

 

 

「世界の各地に残る神話や伝承に登場する数々の異形はノイズ由来のものが多いだろうな」

 

 

 

 響の解説に頷きながら了子が言い、弦十郎も補足するように言う。

 

 

 

「ノイズの発生率はけっして高くないの。この発生件数は誰の目から見ても明らかに異常事態。だとすると……そこに何らかの作意が働いている、と考えるべきでしょうね」

 

 

 

「作意……ってことは誰かの手によるものだというんですか?」

 

 

 

「中心点はここ、私立リディアン音楽院高等科、我々の真上です」

 

 

 

 響の驚きながら訊く言葉に答える様に翼が口を開く。

 

 

 

「サクリストD――『デュランダル』を狙って、何らかの意思がこの地に向けられている証左となります」

 

 

 

「あの……デュランダルって、いったい?」

 

 

 

 翼の言葉を聞きながら、新たに出た自身の知らない単語に響は訊く。

 

 

 

「ここよりもさらに下層、『アビス』と呼ばれる最深部に保管され、日本政府の管理課にて我々が研究しているほぼ完全状態の聖遺物、それが『デュランダル』よ」

 

 

 

「翼さんの『天羽々斬』や響ちゃんの胸の『ガングニール』のような欠片は奏者が歌ってシンフォギアとして再構築しないとその力を発揮できないけれど、完全状態の聖遺物は一度起動した後は100%の力を常時発揮し、さらには、奏者以外も使用できるであろうと研究の結果が出ているんだ」

 

 

 

 響の問いに友里と藤尭が答える。

 

 

 

「それが~、私の提唱した『櫻井理論』!」

 

 

 

 と、そんな二人の解説を聞きながら了子がドヤ顔で響へと振り向く。

 

 

 

「……だけど、完全聖遺物の起動には相応のフォニックゲイン値が必要なのよね~」

 

 

 

「……ん~……ん~……ん~?」

 

 

 

 三人の解説を受けてなお響は首を傾げる。

 

 

 

「あれから二年」

 

 

 

 そんな響を見ながら弦十郎は立ち上がりながら口を開く。

 

 

 

「今の翼の歌であれば、あるいは……」

 

 

 

 そんな弦十郎の言葉に翼は険しい表情でしかし何も言わずに黙って紙コップに口を付ける。

 

 

 

「そもそも、起動実験に必要な日本政府からの許可って下りるんですか?」

 

 

 

 そんな中友里が疑問の声を上げる。

 

 

 

「いや、それ以前の話だよ」

 

 

 

 そんな疑問に藤尭が答える。

 

 

 

「安保を盾にアメリカが再三の『デュランダル』引き渡しを要求してきてるらしいじゃないか。起動実験どころか、扱いに関しては慎重にならざるを得まい。下手うてば国際問題だ」

 

 

 

「まさかこの件、米国政府が糸を引いてる、なんてことは……」

 

 

 

 藤尭の言葉に友里がふと呟く様に言う。

 

 

 

「調査部からの報告によると、ここ数か月の間に数万回に及ぶ本部コンピュータへのハッキングを試みた痕跡が見止められているそうだ。流石にアクセスの出所は不明。それらを短絡的に米国政府の仕業とは断定できないが、もちろん痕跡はたどらせている。本来こういうのこそ、俺たちの本領だからな」

 

 

 

「風鳴司令」

 

 

 

 少し困ったように言う弦十郎の言葉を話すとそれを断ち切るかのようにひとりの男が前に出た。

 

 

 

「おっと、そうか。そろそろか」

 

 

 

「今晩はこれからアルバムの打ち合わせが入っています」

 

 

 

「へ?」

 

 

 

 翼を見ながら言う緒川の言葉に響は首を傾げる。

 

 

 

「表の顔では、アーティスト風鳴翼のマネージャーをやってます」

 

 

 

 黒縁の眼鏡を掛けながら言った緒川は懐から名刺を取り出し響へとにこやかに差し出す。そこには『小滝興産 株式会社 興行部 マネージメント課 マネージャー 緒川慎次』の文字が。

 

 

 

「ふおぉ~!名刺貰うなんて初めてです!これはまた結構なモノをどうも!」

 

 

 

 これまでの人生で起こることの無かった『名刺をもらう』という出来事に興奮した様子で響は嬉しそうにその名刺を受け取って名刺と緒川の顔を交互に見る。

 

 そんな響に見向きもせずに歩き出した翼。そんな翼とともに響達へ会釈した緒川は指令室を後にするのだった。

 

 

「私たちを取り囲む脅威はノイズだけじゃないんですね」

 

 

 

「うむ……」

 

 

 

 そんな二人を見送りながら弦十郎へ響はしみじみと言い、それに弦十郎も頷く。

 

 

 

「どこかの誰かがここを狙っているだなんて、あんまり考えたくありません」

 

 

 

「大丈夫よ」

 

 

 

 心配そうな響とは対照的に了子はにこやかに言う。

 

 

 

「なんてったってここは、テレビや雑誌で有名な天才考古学者、櫻井了子が設計した人類守護の砦よ?先端にして異端のテクノロジーが悪い奴らなんか寄せ付けないんだから♪」

 

 

 

「よろしくお願いします」

 

 

 

 そんな自信満々な了子の様子に響も少し安心したように頷き、了子も満面の笑みで頷くのだった。

 

 

 

「でも……」

 

 

 

 それでも不安が消えない様子で俯きながら響は呟く様に疑問を口にする。

 

 

 

「どうして私たちはノイズだけでなく、人間同士でも争っちゃうんだろう」

 

 

 

『……………』

 

 

 

「どうして世界から争いが無くならないんでしょうね?」

 

 

 

 響の、純真な、悪く言えば青臭い疑問にその場の全員が押し黙る。

 

 

 

「それはきっと……」

 

 

 

 そんな中、すっと響のそばにより、響の耳元に唇を寄せた了子は

 

 

 

「人類が呪われているからじゃないかしら?」

 

 

 

 そう言ってハムッと響の耳を唇で甘噛みする。

 

 

 

「ひぇぇぇぇぇぇぇ!?」

 

 

 

 耳に感じた感覚に思わず飛び退きながら甲高い悲鳴を上げる響を見ながら了子は楽しそうに笑う。

 

 

 

「あぁら、オボコいわね~♡誰かのモノになる前に私のモノにしちゃいたいかも♡」

 

 

 

 そう言ってペロッと舌なめずりをしながら妖艶な笑みを浮かべる了子に響は羞恥で頬を染め、友里と藤尭は苦笑いを浮かべ

 

 

 

「了子君……」

 

 

 

「あぁら、ごめんなさぁい。冗談よ♪」

 

 

 

 ため息をつきながらやれやれと言った様子で頭を抱える弦十郎の様子に了子は元の人懐っこい笑みに戻って笑うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 数日後の夕方

 

 

 

「――ごめん……急な用事が入っちゃった。今晩の流れ星、一緒に見られないかも……」

 

 

 

 少女――立花響は電話口の親友へと言う。その声には何か強い感情を押し殺して、努めて普段通りの『立花響』で話そうとしている様子がうかがえた。

 

 電話の向こう側の親友――小日向未来はそんな響の様子の違いと楽しみにしていた約束とを思い、それ等を噛みしめ飲み込むように深呼吸し

 

 

 

『……また、大事な用なの?』

 

 

 

「うん……」

 

 

 

『わかった………なら仕方ないよ。部屋の鍵開けておくから、あまり遅くならないで』

 

 

 

「ありがとう……ごめんね」

 

 

 

 そのまま電話を切り、数秒ほど手の中の携帯を見つめる響。

 

 そのままキッと背後の地下鉄への入り口へと続く階段を睨みつける。そこには何十体と言うノイズがひしめいていた。

 

 

 

「――Balwisyall Nescell Gungnir tron……」

 

 

 

 響が力の籠った歌を口ずさんだ途端、彼女の体を光が包み機械的な鎧を身に纏う。

 

 そのまま構えた響は力強い歌を叫びながら駆け出し、階下へと跳びながらノイズを殴り、蹴り、向かってくるノイズを蹴散らす。響の攻撃を受けたノイズたちは次から次へと炭へと変わっていく。

 

 

 

『中に一回り大きな反応が見られる。まもなく翼も到着するから、それまで持ちこたえるんだ。くれぐれも無茶はするな』

 

 

 

「わかってます!」

 

 

 

 通信機の向こうから聞こえる弦十郎の言葉に大きく頷きながら答えた響は駅の中に駆け込みさらに待ち構えていたノイズたちを蹴散らす。と、響の正面に他のノイズとは異質な一体がいた。

 

 それはまるで体にブドウの実の様にたくさんのサッカーボール大のモノをくっつけたノイズだった。

 

 その異様な立ち姿から響はそいつが先ほど弦十郎の言っていた個体だろうとあたりを付ける。

 

 

 

「私は!私にできることをするだけです!」

 

 

 

 そう叫ぶと同時に響は改札を飛び越え群がるノイズを蹴散らしブドウノイズへと一直線に向かって行く。

 

 そんな響にブドウノイズは自身の身体のそれを飛ばす。と、それが地面を跳ねて爆発する。

 

 

 

「っ!」

 

 

 

 爆発で落ちて来たがれきの下敷きになる響。そのままブドウノイズは一目散に逃げていく。

 

 

 

「……見たかった」

 

 

 

 と、瓦礫の下から声がする。途端に瓦礫が爆ぜるように飛び、舞い上がる土煙から響が飛び出す。

 

 

 

「流れ星見たかったぁぁぁぁ!!」

 

 

 

 そのまま周りを取り囲んでいたノイズを蹴散らす。

 

 

 

「未来と一緒に!見たかったぁぁぁぁ!!」

 

 

 

 その様子はまるで親友との果たせなかった約束の、その言いようのない感情をぶつけるような荒々しい様子だった。

 

 

 

「うおあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

 

 雄叫びを上げブドウノイズを追う響。

 

 ブドウノイズは先ほど飛ばした実を再生させていたが響が近づいてくるのを感じ再び駆け出す。

 

 そんなノイズを追う響は

 

 

 

「あんたたちが……」

 

 

 

 俯き握りこんだ拳を壁に叩きつける。と、その壁がひび割れ粉砕される。

 

 

 

「誰かの約束を犯し!」

 

 

 

 逃げるノイズはそんな響に向けて身体の実を落として行く。その実の一つひとつがノイズへと姿を変える。

 

 

 

「嘘のない言葉を……争いのない世界を……なんでもない日常を……!」

 

 

 

 響がつぶやく。と、そんな響にノイズが飛びかかる。それを響は払いのける様に叩き炭へと変える。

 

 

 

「剥奪すると!言うのなら!!」

 

 

 

 そこからは戦いではなく、ただの破壊だった。

 

 怒りに満ちたその瞳でノイズへと向かって行き、殴り、蹴り砕き、引き裂き、馬乗りになって引き千切り、踏み付け、まるで獣の様に暴れまわる響。

 

 そんな響に追撃として飛んでくるブドウノイズの実が爆発する。

 

 咄嗟に顔の前で腕を交差して防いだ響は、その爆発のおかげか幾分か落ち着きを取り戻したようで

 

 

 

「っ!待ちなさい!」

 

 

 

 逃げるノイズを追いかけて線路へと飛び込む。

 

 が、ブドウノイズは今度は天井へと実を投げつける。その爆発で振ってきた瓦礫に響が怯んだすきにブドウノイズは地上へと空いた穴から逃げていく。

 

 それを悔し気に睨んだ響だったが――

 

 

 

「流れ…星……?」

 

 

 

 夜空に流れる一筋の光が目に留まる。

 

 その光は流れ落ちながら青い光を放ち、斬撃を放つ。

 

 その斬撃は逃げていたノイズを一太刀のうちに切り裂き炭へと変え、直後に爆発する。

 

 地上へと出た響が都内の自然公園の真ん中のそこで見上げる先で夜空から先ほどの斬撃を放った流れ星――翼が降り立つ。

 

 翼の元へ駆け寄った響は

 

 

 

「……………」

 

 

 

 少しの逡巡の後

 

 

 

「私だって、守りたいものがあるんです!」

 

 

 

 その胸のうちの思いを言葉にする。

 

 

 

「だから!」

 

 

 

「……………」

 

 

 

 しかし、そんな響には一切視線を向けない翼。その顔はまるで一切の興味もない、無感情な表情。そのまま翼はその手の大剣状にしたアームドギアを構える。

 

 

 

「っ!」

 

 

 

 自分へ一切視線を向けぬまま、しかし、痛いほど感じる翼の拒絶に響はたじろぎ息を飲む。

 

 そのままどちらも言葉を発さぬまま冷ややかな雰囲気がその場を満たす。

 

 それを一変させたのは

 

 

 

「だからぁ?で、どうすんだよぉ!?」

 

 

 

 茶化すように響き渡った第三者の声だった。

 

 

 

「っ!?」

 

 

 

「へ?は?」

 

 

 

 緊張の面持ちで声の聞こえた方へ視線を向ける翼と、突然のことに呆けた表情で同じく声の方に視線を向ける響。

 

 二人の視線の先、並び立つ木々の中からその人物は現れた。

 

 

 

「っ!」

 

 

 

 月明かりによって照らされたその人物の姿に翼は息を飲む。

 

 その人物は恐らく女性。身長や先ほどの声の様子から、少女と言うべき年齢だろうその人物はその身に白銀の鎧を身に纏い、肩から伸びるピンクの刺々しい装飾、顔はバイザーで隠れていてわからない。

 

 

 

「『ネフシュタンの…鎧』……!?」



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10話

「『ネフシュタンの…鎧』……!?」

 

 

 

「へぇ?てことはアンタ、この鎧の出自を知ってんだ?」

 

 

 

 翼の言葉に鎧の少女は感心したように言う。

 

 

 

「忘れるものか……」

 

 

 

 そんな少女へ翼は冷たく口を開く。

 

 

 

「二年前、私の不始末で奪われたものを忘れるものか。なにより!私の不手際で奪われた命を忘れるものか!」

 

 

 

 翼は剣を構える。

 

 鎧の少女もそれに応戦するように口元に笑みを浮かべながら身構える。その右手には変わった形の杖のようなものが握られている。

 

 数秒睨み合う二人、そんな中――

 

 

 

「やめてください翼さん!」

 

 

 

 翼にしがみ付き止めに入る響。

 

 

 

「相手は同じ人間です!」

 

 

 

「「戦場で何を馬鹿なことを!!」」

 

 

 

 そんな響の言葉に翼と鎧の少女が同時に叫ぶ。そして同時に声の揃ったことに驚き顔を見合わせ、互いにフッと笑みを浮かべる。

 

 

 

「むしろ、あなたと気が合いそうね」

 

 

 

「だったら仲良くじゃれ合う――かい!?」

 

 

 

 翼の言葉に鎧の少女が答えながら肩の装飾から伸びるピンクのそれを鞭のように振るう。

 

 

 

「っ!」

 

 

 

 響を突き飛ばしながらその攻撃を避けた翼はそのまま鎧の少女へと『蒼ノ一閃』を放つ。しかしその攻撃を少女は鞭の一振りで弾く。弾かれた斬撃は離れたところで爆ぜる。

 

 そのことに一瞬驚きの顔をしたものの、そのまま翼は少女へと切りかかる。しかし、その度の攻撃も少女は難なく避け、鞭で受け止める。余裕の少女に対し、翼の表情は困惑と焦りが見え始める。と――

 

  

 

「がっ!?」

 

 

 

 守り続けていた少女が突如蹴りを放ち、それをお腹に受けた翼は大きく弾かれる。

 

 聖遺物の一部のみで戦う自分と完全聖遺物での少女との力の差に歯噛みする翼。

 

 

 

「『ネフシュタン』の力だと思わないでくれよなぁ?あたしの頂点(てっぺん)はまだまだこんなもんじゃねぇぞぉ!」

 

 

 

 なんとか踏ん張った翼だったが攻撃に転じた少女の振るう自在に伸びる鞭の攻撃に翻弄され、逃げるばかりだ。

 

 

 

「翼さん!」

 

 

 

 翼の劣勢に響は叫ぶ。

 

 彼女の視線の先に余裕の笑みを浮かべる少女は

 

 

 

「お呼びではねぇんだよ!こいつらの相手でもしてな!」

 

 

 

 と、持っていた杖から光を弾丸のよう放つ。その光が地面に着弾すると同時にその光の中から四体のノイズが姿を現す。

 

 

 

「っ!?ノイズが、操られてる!?」

 

 

 

 困惑する響の目の前で鳥のような嘴を持った見上げるような体長のそのノイズたちは体のわりに短い脚を動かし響を追う。

 

 と、その嘴から響に向けて粘性の液体をぶちまける。

 

 

 

「うわぁ!?わぁっ!?そんな!?嘘!?」

 

 

 

 身動き取れず顔を顰める響。響へと歩み寄ろうとした少女だったが

 

 

 

「その子にかまけて私を忘れたか!?」

 

 

 

 少女へと冗談からの一太刀を浴びせる翼。それを少女はなんなく受け止める。が――

 

 

 

「っ!」

 

 

 

 上に気を取られた少女は翼の足払いに体勢を崩される。

 

 そのまま放たれた斬撃を寸でのところで躱した少女。そんな少女に翼は回し蹴りを放つ。が――

 

 

 

「お高くとまってんな!」

 

 

 

 その蹴りを腕で受け止め、そのまま翼を地面に叩きつけ投げる少女。

 

 地面を転げた翼を少女が足で踏み付ける。翼の顔を踏み付けながら少女は口元に笑みを浮かべる。

 

 

 

「のぼせあがるな人気者!誰も彼もがお前に構ってくれるなどと思ってんじゃねぇ!」

 

 

 

「くっ!」

 

 

 

「この場の主役と勘違いしてるなら教えてやる。狙いははっなからこいつを掻っ攫うことだ」

 

 

 

 少女はニヤニヤと笑いながら響を指さして言う。

 

 

 

「え……?」

 

 

 

 突然のことに意味が分からず困惑する響。

 

 

 

「鎧も仲間も、あんたには過ぎてんじゃねぇのか!?」

 

 

 

「繰り返すものかと、私は誓った!」

 

 

 

 少女の言葉に踏まれながらなお強い視線で睨みつけた翼は剣を天へ掲げる。と、それに呼応するように雨のごとく剣が降り注ぐ。

 

 それらの剣――『千ノ落涙』を飛び退いて避けた少女に翼は再び切りかかる。が、少女は難なくそれらの攻撃を受け流し逆に翼を追い詰めていく。

 

 鎧の力に振るわれているのではなく、純粋にその力をものにしている少女の能力に翼が内心で歯噛みする。

 

 

 

「ここでふんわり考え事たぁどしがてぇ!?」

 

 

 

 少女の振るう鞭を寸でのところで避けて距離を取る翼。そんな翼に少女は杖から先ほどと同じく光弾を放つ。

 

 それらの光からノイズが溢れ出し翼を襲う。それらのノイズを蹴散らしそのまま少女へ攻撃を放つが少女はやはり余裕で受け流す。

 

 

 

「っ!」

 

 

 

 翼は小型のナイフ状の小刀を投げつけるが

 

 

 

「ちょっせぇ!」

 

 

 

 それを弾き上空へと跳び上がった少女は振るった鞭の先に輝く光弾を発生させる。人の丈ほどの球状のその攻撃を翼は剣で受け止める。が――

 

 

 

「ぐっ!?」

 

 

 

 受けきれず大爆発を起こす。

 

 爆発に弾かれ地面に倒れ伏す翼を見下ろし笑みを浮かべる。

 

 

 

「フンッ!まるで出来損ない!」

 

 

 

「……確かに、私は出来損ないだ……」

 

 

 

「あぁ?」

 

 

 

 少女の嘲るような言葉に翼は呟く様に言う。

 

 

 

「この身を一振りの剣と鍛えてきたはずなのに……あの日、無様に生き残ってしまった……!出来損ないの剣として、恥を曝して来た……!だが、それも今日までのこと!」

 

 

 

 言いながら翼は剣を杖の様にして体を支えながらフラフラと立ち上がる。

 

 

 

「奪われた『ネフシュタン』を回収することでこの身の汚名を晴らさせてもらう!」

 

 

 

「……そぉかい。脱がせるものなら脱がして――何っ!?」

 

 

 

 これまで余裕の表情を浮かべていた少女の顔に初めて困惑が浮かんだ。

 

 少女が慌てて振り返ると自身の陰に先ほど弾いた小刀の一本が突き刺さっていた。

 

 

    『影縫い』

 

 それのせいか、少女は上手く身動きが取れない。

 

 

 

「くっ!こんなものであたしの動きを――ッ!まさか…おまえっ!?」

 

 

 

 翼へ向き直る少女だったが、翼の顔を見てある可能性に気付く。

 

 

 

「月が覗いているうちに、決着を付けましょう……」

 

 

 

「歌うのか?絶唱を!?」

 

 翼の言葉に少女の顔に焦りの色が浮かぶ。

 

 

 

「翼さん!」

 

 

 

「防人の生き様!覚悟を見せてあげる!」

 

 

 

 言いながら響へ翼は剣を向ける。

 

 

 

「あなたの胸に焼き付けなさい!」

 

 

 

「やらせるかよ!好きに!勝手に!」

 

 

 

 なんとか抜け出そうともがく少女だったが、そんな彼女を尻目に翼はその剣を天へ掲げ、大きく息を吸いこみ――

 

 

「Gatrandis babel ziggurat edenal Emustolronzen fine el zizzl~」

 

 

 歌いながら少しずつ鎧の少女に近づいていき、最後には少女に抱き付くようにして歌い終える。すると強烈な光と衝撃波が翼から発生し周囲のノイズを吹き飛ばす。

 

 

「ぐぁぁあああ!!!」

 

 

 その衝撃をすぐ側で受けた少女の鎧はヒビが入り、苦悶の声をあげる。次第に地面に刺さっていた短剣が抜け、今までそれによって固定されていた少女は吹き飛ばされる。

 

 

 残ったのは月明かりに照らされた翼とそれを地べたに座り込んだ響のみ、すると車が何台か側に止まり、その内一台の車のドアが勢いよく開く。

 

 

「無事か!二人とも!」

 

 

 車から出たのは二課の司令、風鳴弦十郎だった。

 弦十郎は響が交戦してる場所に翼を向かわせてから同じ場所にノイズの反応が何度も出ることに異常を感じ緒川と何人かの部下と共に車を走らせてきたのだ。

 

 

「私とて…人類守護の務めを果たす防人…です。こんな所で…折れる、剣…じゃ…ありま…せん…」

 

 

 

 翼がそう答える。全身のあらゆる場所から血を流して今にも倒れそうなのに、その顔はあらゆる場所から血を流しながらも笑っていた。

 

 そして糸の切れた人形の様に翼が倒れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな状況を上から見ていた者がいた。

 

 

「あれが2年前に無くなった完全聖遺物『ネフシュタンの鎧』か」

 

 

 ギルガメッシュはヴィマーナの上で以前手に入れた二課の聖遺物の資料に目をとうしながら先の戦闘を見ていたのだ。

 

 

「そして、最後に使われたのはシンフォギアの最終兵装『絶唱』……」

 

 増幅したエネルギーを解き放つ、シンフォギアの最大攻撃。その威力は絶大であるが、発動者へのバックファイアも大きい。

 

 

「二年前のあやつが死んだのは正規の装者ではないこと、そして本来なら投薬しなければならないのにしなかったこと……」

 

 

「今回のあれは正規であるからすぐに死ぬことは無かろう」

 

 

 

「取りあえず情報収集はこの辺りだな」

 下には黒い車が止まり、赤い服を着た偉丈夫が出てくるところだった。奴は以前、姿を消していた筈の我と目が合った。念のため警戒しておくべきだ。

 

 



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11話

久しぶりの更新です

この時期は花粉と風邪と仕事で死んでおりました。

なんだか久し振りに書いたせいかこれじゃない感がひどいです


 響side

 

 

 あの後駆け付けてきた師匠達に翼さんは回収されなんとか一命をとりとめた。

 そして今回の自分の無力さ痛感し、シンフォギアの一撃を素手で防いだ師匠……風鳴弦十郎さんに弟子入りした。

 

 

「ふへ~~。朝からハードすぎますよ~~」

 

 朝の走り込みが終わり、本部のソファーにてバタンキュ~していた。

 

「頼んだぞ、明日のチャンピオン!」

 

 わたしと同じ距離を走ったのにまったく息を乱さずスポーツドリンクを片手に師匠はそんなことを言っている。そんな中―

 

「はい、ご苦労様」

 倒れていたわたしにあおいさんが飲み物の差し入れをしてくれた。

 

「あっ!すいません――――ぷはぁ。……あの自分でやると決めたくせに申し訳ないですけど、なにもうら若き女子高生に頼まなくてもノイズと戦える武器って他に無いんですか?外国とか」

 

 今までずっと気になっていたことを思いきって師匠に聞いてみると…

 

「公式には無いな。日本だってシンフォギアは最重要機密事項として完全非公開だからな」

 

「わたし結構派手にやっちゃてますけど……」

 

「隠蔽や情報操作は二課の十八番(おはこ)だから気にしないで」

 

「まぁ、それをするのに上に無茶を通すこともあるから俺たちのことを影で特機部二(とっきぶつ)なんて呼ばれてるけどな…」

 

 あおいさんからその辺りは大丈夫と言われたが一緒にいた藤高さんが二課の現状も教えてくれる。

 

「………まぁ、我々以外にもノイズを倒せる奴はいるようだがな……」

 

「へ?さっきは無いって言ってませんでしたか?」

 

 師匠の呟いた言葉に疑問を浮かべる。

 

「あぁ、持っているのは国ではなく個人だ。藤高、あれを」

 

「はい」

 

 藤高さんが返事をすると少ししてモニターが切り替わりそこには幾つかの写真と以前の地図が表示された。

 

「これってこの前の……」

 

「あぁ、以前見てもらったが赤い点はノイズの発生地点。ならこの黄色い点はなんだと思う?」

 

「えっと、赤い点の方は翼さんが解決したんですよね。それじゃあ――」

 

「そう、この人物がノイズを倒した地点を指している」

 

 腕を組ながら、響の答えに弦十郎がうなずく。

 

「なら、その人と協力すれば被害を減らせますね!」

 

「……我々もそうしたいのがやまやまなのだがこの者とは会ったことがないのだ」

 

「彼の行動理由は不明、今までのや出現地点にも共通点はなく、僕らが行く頃には戦闘跡のみで他には何もないから探すことも出来なくてね……。とりあえずの呼称としてUNKNOWN(アンノウン)と僕らは呼んでるよ」

 

 わたしの言葉に対する解答はあまりいいものはなかった。

 

「彼の戦闘方法も不思議なんですよね。ノイズには近づくことなく倒してるようなんですよね」

 

 モニターに映るのは彼の戦闘シーン。それはノイズに囲まれた男が民族衣装の様な服装に腰には動物の毛皮(たぶん鳥?)を腰に着け、背後には金色に揺らめく円から何かが飛び出しノイズを倒していく。ただその映像は――

 

「……何だか遠くないですか?」

 

 響は浮かんだ疑問を口に出す。

 

「これでも彼の戦闘の一部始終が写っている中で一番見やすいものなんだ」

 

「彼は意図的にカメラを避けてるのか付近のカメラには姿が一切写らず、離れたカメラに小さく写るのが精々でな」

 

「とりあえず、響君も彼に会うことがあれば意志疎通出来るか試してほしい」

 

「わかりました!」

 

 師匠の言葉に答え、この話は終わりにした。

 

「そう言えば、こういうのに詳しそうな了子さんはどこに行ったんですか?」

 

 いつもなら、解説などを挟んでくる了子さんが居ないことに気付く。

 

「あぁ、了子君は今、永田町さ」

 

 

 

 

 

 

 そんな話から数時間後、了子さんが会う広木防衛大臣が"殺された"と言う情報が流れてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おっ待たせしました~!」

 小型のアタッシュケースを掲げた了子さんが本部に入ってきた。

 

 

「了子さん!よかった無事だったんですね」

 

 わたしは元気そうな了子さんの姿に安堵し、飛び付いてしまった。

 

「わっ!、もうそんなに心配してくれたの~?」

 

「無事でよかった了子くん。実は広木防衛大臣が殺された」

 

「えっ!?そんな!」

 

 師匠の説明を聞き驚いた了子さんがモニター前まで進む。

 

 

「それに、了子さんと連絡がとれないから皆、心配してたんですよ」

 

「ん?…………壊れてるみたいね~~」

 

 

 自身の端末を取り出した了子さんはそれを何度か触ると困ったような笑顔で答えた。

 

「そんな~」

 

 そんな答えに皆が苦笑を浮かべ、了子さんは持っていたアタッシュケースを開く、そこにはアタッシュケースのサイズに合わないUSBがひとつだけ入っていた。

 

 

「でも大丈夫。広木大臣の意思はここにあるわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「付近一体の交通網は規制した。一気に駆け抜けるぞ!」

 師匠からの通信を聞き、気合いを入れ直す。現在、デュランダルの移送計画としてわたしと了子さんの乗る乗用車、それを護衛するように四方向に黒い車が走る名付けて『天下の往来独り占め作戦』を行っている。

 大臣の暗殺にはこのデュランダルが関係している可能性があるとして上空にはヘリで師匠も同行するという徹底ぶりだ。これなら大丈夫だと思っていたら、道路が突如崩れ左側の車が落ちていった。

 

「襲撃だ!気を付けろ!」

 師匠の言葉と共に今度は前方の車が打ち上げられ後方の車とぶつかり大破してしまった。

 

「地下だ!地下から来ているぞ!」

 どうやら地下の排水溝からノイズが来ているらしく先程の車の打ち上げも、マンホールを打ち上げられた時に車も一緒に吹き飛ばされたようだ。

 

「響ちゃん、しっかり捕まっていてね。私のドラテクは狂暴よぉ

 了子さんはそう言うとスピードを上げ、ノイズや橋の崩落を次々にかわしていく。ついてきていた残りの一台もとうとう破壊され遂に私たちだけになってしまった。

 

「どうするの弦十郎君!?このままだとジリ貧よ!」

 通信機で師匠と話しながら了子さんは運転でノイズをかわし続ける。

 

「工場だ!薬品工場内に逃げ込め!」

 

「そんな所に逃げたら戦闘が起きたとき引火の危険があるわよ!」

 

「だからこそだ!奴等の動きも抑制できる!」

 

「チッ!成功する可能性は!」

 橋の崩落箇所をすんでのところでかわすなか、了子さんが師匠に問い掛けると

 

「思い付きを数字で語れるものかよ!!」

 

 

 

 そしてわたしたちは薬品工場の敷地内に入ると襲撃を受け、車がひっくり返ってしました。

 

 車の窓は完全に砕けており、そこから了子さんが這い出てわたしも出る。

 

「了子さん、これ凄く重いんですけど!」

 車からなんとかデュランダルの入ったケースを取り出したがかなり重い。

 

「なら、置いてって私達は逃げちゃいましょうか♪」

 

「そんなのダメですよ!!」

 

「そりゃそうだ」

 

 了子さんの冗談にすぐに返す。するといつの間にか周りにはノイズがたくさんおり、ノイズがこちらに攻撃をしてきた。

 すると了子さんが私の前に立ち、障壁の様なものでノイズの攻撃を防ぐ。

 

「しょうがないわね。貴女のやりたいことを、やりたいようにやりなさい!」

 

 わたしはその言葉に背中を押され、立ち上がった。

 

「私、歌います!Balwisyall Nescell Gungnir tron……

 

 シンフォギアを纏い、ノイズに向かおうとするも地面に張り巡らされたパイプに足を捕られこけてしまった。

 

「(ヒールが邪魔だ!)」

 

 立ち上がってすぐにヒールの部分を地面に叩きつけ、踏み砕いた。

 そこからは師匠と共に鍛練した武術でノイズを炭化させ続けた。

 

 

「こいつ、戦える様になってやがるのか……!」

 

 それを鉄塔の上で見ていたネフシュタンの鎧の少女はたった数ヶ月で戦える様になった響に驚愕してると、バキンと音が鳴り、そちらに目を向けると古びた剣が宙に浮いていて、更には黄金に光っていた。

 

「こいつがデュランダル!」

 それ気づいた鎧の少女は一息に宙に浮かぶデュランダルに手を伸ばし掴むその時…

「渡すものかぁぁあ!!」

 響の体当たりが背後から決まり、鎧の少女は体勢を崩しデュランダルから離されていく。代わりに響がデュランダルに手を…

 

 

 

 

 

 

「ぐぁ!!?」

 触れる前に上空からの攻撃に地に叩き伏せられてしまった。

 

 

 

誰の許しを得てそれに触ろうとしてる?

 

 凛としながらも芯のある強い声音が上から聞こえる。

見上げるとそこには民族衣装の様な服装に、肌には刺青の様な模様、頭にはターバンの様なものを巻き角飾りで留めた金髪の青年が宙に浮くデュランダルの隣に(・・)腕を組みながら立っていた。

 

「何者だてめぇ!あたしの邪魔をすんじゃねぇ!!」

 響に体勢崩されただけだった為、すぐに立ち上がった鎧の少女が青年に向かって吼える。

 

ふん、随分と躾のなってない犬だな。飼い主の顔が見てみたいものだ

 だが、青年はまったく気にした様子もなく、それどころか何処か鬱陶しそうな表情で此方を見下ろしてた。

 

「あたしを……あたしを見下ろしてんじゃねぇ!!

 そんな態度に腹を立てた鎧の少女は鎧に付いているピンク鞭の尖端に白黒のエネルギーが集まり、球体とかしたそれを青年に投げつけた。

 

【NIRVANA GEDON】

 

噛み付く相手は見極めろよ雑種

 すると男の後ろの空が揺らぎ、波紋の中から先端が丸まった杖が出てきて、杖の先から煌々と輝く光弾がそれを迎撃し、二人の間に爆炎が広がった。

 

 すると広がった黒煙からそきほどの光弾が何発も降り注ぎ鎧の少女はそれを避けていく。

 2発…4発…7発目を避けた時、

 

「?!!、しまっ!」

 少女の退避ルートにはいつの間にか男の後ろにあった空間の揺らぎと先程の杖とは別の形をした杖があり、その先端は既に光輝いており、何時でも放てるようになっていた。

 

「っぐあ!」

 杖の攻撃を防ぐことができずに地を二、三回転がった後滑るようにして止まった。

 いつの間にか晴れた黒煙の先には一切体勢を変えず無傷の男の姿が有り、唯一変わっていたのは背後の杖が一本から四本に増えていたのだ。

 

誘導されているのにも気づかぬとはとんだ期待外れよ

 

ところで、貴様はいつまで寝た振りを続けるつもりだ?

 

 こっちに目を向け男は問い掛けてきた。

 

 師匠と一緒に観た映画でも相手の一撃を食らった後、倒れたままにして相手の油断を誘ったり、体力を回復させたりするのがあったがわたしのはどうやらばれてしまったらしい。

 

「ど、どうしてこんなことをするんですか、UNKNOWN(アンノウン)さん」

 

それは我の呼び名か?まったく随分と安直な……

 

「だったらあなたの名前と目的を教えてください!」

 

貴様等に教えてやる義理はないが…

 

 すると男は組んでいた腕をほどき、鎧に包まれた右手をあげ、パチン と指を鳴らした。

 

 男の隣に浮いていたデュランダルが更に強烈な光を放ち、古びた剣が徐々に形を変え黄金の西洋の両手剣に変わった。

 

これを持ってきた褒美だ。特別に答えてやろう

 

我はあらゆる財を納め、あらゆる魔杖の支配者。クラス名はCASTER(キャスター)覚えておくがよい

 

「キャスターさん?」

 

我の目的は至極単純、我の所有物を回収するだけよ。此度は貴様等がこれを運ぶと言うから回収に来たのだ

 

「それはわたし達の物で……」

 デュランダルは二課が保管している物だと伝えようとするも

 

戯け!!これは元より我の物!我の蔵より紛失したものをまた納めているだけだ。断じて貴様等の物ではない!

 

 先程までとは雰囲気が変わり此方を押さえつける程の存在感を放ってくる。

 

気が変わった。ここで格の違いを見せてやろう。貴様等がいったい誰に対して口を利いてたか教えてやる。

 

 そう言うと、隣に浮いていたデュランダルが波紋の中に沈んでいく。

 すると工場の上に先程の黄金の波紋が生まれるがその大きさが今までのより遥かに大きかった。

 そこから顔を見せる杖はおよそ百本。

 

これに耐えられたのなら少しは認めてやろう……精々足掻くがよい

 

 

 そして空が光った。

 

 



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