幻想の果て (セメダイン広住)
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プロローグ

「なんでこんな事に...」

魔女は一人で泣いていた

 

一体なぜ自分はこんな事になっているのか 頭の中で必死に考える

 

「あ..そうか...あの時からか」

過去を探る とても昔の記憶だあの時

自分の友人がふと発した言葉...それが全の始まりだった

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー「幻想郷っていくつ存在するの?」 ーーーーーー

 

 

私、霧雨魔理沙の友人 パチュリー・ノーレッジは呟いた

 

 

 

 

「おいおい、いきなりどうしたんだよ?」

私がいつもの様に本を借りに来ていると 何の予兆もなくそんな言葉が聞こえ私は少し戸惑いながらも答える

 

「そのまんまの意味よ」

友人はそっけなく返す

 

「そのまんまの意味って...幻想郷は一つのしかないだろうよ」

訳のわからない質問に私は素直に返答する

 

「それは違うわね」

友人は私の方に向いて言った

「幻想郷は沢山あるわ、今私達がいる幻想郷もその沢山ある幻想郷のうちの一つ」

その友人は真面目な口調で言った

 

「訳がわからないな、沢山あるって?もし仮に幻想郷が沢山あったとして私達に何の関係があるよ?」

 

「...この幻想郷は平和ね」

...会話のキャッチボールが出来ていない

小難しい話が好きな友人ではあるが はっきり言ってこの話題に関しては めんどくさい 何故ならそんなの誰も証明できないからである

パラレルワールドの証明など出来る筈がない

 

「なぁ今日は一体どうしたんだよ お前こーゆう結論が出ない討論とか好きじゃないだろ?」

私は適当にあしらう

 

「あなたが本を盗って行く事を絶対に黙認しない私がいる世界線もあるわけでしょう」

虚ろな目で私を見る

 

「お、おい 死んだら返すって言ってるだろう」

もしかして怒ってる?少なくとも今日の友人はおかしい...

一刻も早くこの場を去りたい

 

「...」

友人は黙って私を見ている

 

「と、とにかく!この本は借りていくぜ!睡眠不足ならすぐにでも寝ることだな!」

私は図書館の出口へと駆け出す

その時 友人が私にギリギリ聞こえるかぐらいの声量で言った

 

「いかに自分が恵まれてる環境か知ることね」

 

そんな言葉を無視して私は図書館を出た

 

 

これが私の永い々 幻想郷の旅になるとも知らずに...

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「...はぁ一体なんだ今日のあいつは」

私は吸血鬼の館を少し出て独り言を良いながら森の上空を飛んでいた

「沢山の幻想郷って...あほくさ」

あり得ない...とは言えないのかもしれない

だが、私には関係無い それだけは言える

仮に私が魔法使いにならなかった幻想郷があったとしてもそれは私には関係ない 現に私は魔法使いとして異変解決に参加し、今もこうして空を飛べている

 

そんな事を考えながら空を飛んでいると自分の家が見えてきた...

 

「今日は1日魔法の研究して終わりだな」

そして 私はいつもの様に魔法の研究をし、いつもの様に床に着いた...




ぼちぼち続けていこうと思います。


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1つ目の幻想郷
家無き魔女


 

Zzz...

 

チュンチュン

鳥の鳴き声が聞こえる...

 

「ん...あぁ」

朝か 私は体を起こす

まだ眠いが体内時計はもう起きる時間だと言っている

...それにしても 今日はやけに風を感じる朝だ

窓を開けっ放しにしていたのか?

 

 

「ん?...んん!?」

家がない

私は自分の家があったであろう場所に布団だけを残して寝ていた

 

「えぇ...と...はぁ 最悪な朝だ...」

何故か私は落ち着いていた 眠いからね

 

「家が消えてるか...はてさてどうするか」

スキマ妖怪の仕業か昨日の友人の仕業か 心当たりがありすぎる

 

 

ガサガサ

 

 

「...妖怪か」

奥の木々の間から数匹の妖怪が顔を覗かせ私を見ている

まぁ、こんな森の奥に人間が無防備に寝ていたら寄ってくるのも当然か...

 

「私は食っても旨くないぞ~」

すこし茶化してみる 仮にも森の妖怪だ 私の事くらい知っているだろう

魔法の実験と言ってはよくその辺の雑魚妖怪を実験台にしている

 

 

すると一匹の妖怪が言った

「あんたは誰だ?昨日はいなかったよな?こんな森に人間一人で何のようだ」

 

「おいおい、まさかこの 霧雨魔理沙 様を知らないのか?お前たち森の妖怪だろ?」

なんとこの妖怪達は私を知らないらしい...少し寂しいな

すると妖怪達が何やら話し合いを始めた

 

...

......

..........

 

少し経つと妖怪達は私にこう言ってきた

 

妖怪A「そんな奴は聞いたことがない」

妖怪B「ナイー」

妖怪A「それにお前人間だろう?この森に人間は住んでいない」

妖怪C「人形使いは住んでいるがな」

妖怪B「ガナー」

 

...ん?どういうことだ?

私はこの森に長いこと住んでいる それこそ魔法の森を出て私の名前は幻想郷では結構有名なはずなのだが...

 

「んー...あっ、そうだ じゃあここに家があったよな?今朝起きたら消えてたんだ 何か心当たりはあるか?」

 

妖怪A「家?そんなのあったか?」

妖怪B「ナイー」

妖怪C「無いなこの辺りは昔から木が生えないから妖怪や妖精の溜まり場になっている」

妖怪B「ルー」

 

 

...訳が分からんどういうことだ?

家なんて無かった?話が食い違う...ややこしい この妖怪達が嘘を吐いている?いやでも何でわざわざそんな嘘を...

私が寝起きの頭で必死に考えていると

 

妖怪A「...とにかくここは我々(妖怪&妖精)の場所だ 家だの霧雨だの訳の分からんことを言ってないで去るならサレ」

妖怪B「喰うぞ」

 

「...分かったよ すぐに出てくよ 悪かったな」

この場にとどまっても少なくもと状況は良くならないだろう...

と言っても何処に行くか...

 

妖怪C「...困っているなら博霊の巫女の所にでも行ったらどうだ?」

 

意外だなまさか妖怪が人間にアドバイスをするなんて しかも霊夢の所に行けか...妥当な意見だな

 

「良いアドバイスありがとう しかし、妖怪が目の前の人間(餌)を前にして博霊の巫女の所に行けか...お前本当に妖怪か?」

 

妖怪C「ハハハ、全ての妖怪が人間を喰うなんて思わないことだな」

妖怪A「少なからず我々の様に人語を話せ人間と友好な関係を持つ妖怪もいる」

妖怪B「ニンゲン食べナイノカー?」

妖怪C「...こんなやつ(妖怪B)見たいに馬鹿を装ってる妖怪もいるから気を付けろよ」

 

「フッ」

私は妖怪の意外な一面を見て笑った

まさかこんな雑魚妖怪(偏見)でもこんなに友好的な奴がいたとはな

 

「忠告ありがとうな、まぁいいや とりあえず霊夢の所に行くか」

そうして私はいつもの様に箒に股がり...

 

「箒が無い!?」

どうやら家ごと消えてしまったようだ

別に箒が無くても飛べるには飛べるのだが...

いかんせん華が無い 魔女=箒 なんだがなぁ

「はぁ...本当に朝から最悪だぜ」

とりあえず無いものはしょうがないと私は空を飛び魔法の森を後にした

 

...

 

......

 

.........

 

妖怪A「あいつ飛べたのか」

妖怪C「能力持ちか...尚更手を出さなくて正解だったな」

妖怪B「ニンゲン喰う...そして人間の力モラウ...」

妖怪A「お前...ジ○リでも見たのか?」

 

 

ーーー

 

ーーーーーー

 

ーーーーーーーーーーーー

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

森を出てしばらく飛んでいると見覚えのある神社が目に映る

神社に近づくとお馴染みの紅白の服を着た人物が境内の掃除をしていた

 

そして境内に着地した私はいつもの様にその人物に言った

 

「よう!霊夢!」

そして、私の家が無くなったことを説明しようとしたその時、その人物は私の顔を見て戸惑いながら言った

 

「あんた...だれ?」

 

 

 

 



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白黒魔法使いとは

 

ーーー「あんた...だれ?」ーーー

 

 

...一瞬思考が停止する

目の前の私の古くからの友人、博霊霊夢は確かにそう言った

だがすぐに分かった こいつは嘘を吐いている、そうとてもつまらない冗談だ だから私は返した

 

「おいおい、朝からつまらない冗談はよせ とにかく!私の家が無くなって大変なんだ!」

私は切羽詰まった様に言い放つ

 

「...はぁ?家?て言うか本当に誰よ 初対面なのに馴れ馴れしいんだけど」

 

...まだそのつまらない冗談を続けるのかこの巫女は

 

「...はぁ、分かったよ 怒ってるなら謝るからとにかく私の家に来てくれ 朝起きたら消えてたんだ」

とりあえず強引に話を持っていく こうでもしないとずっと そのつまらない冗談を言ってきそうだ

 

私がそう言うと目の前の巫女は真面目な口調で言った

「その前に私の質問に答えて頂戴 本当に誰?ぜんっぜん記憶にないんだけど」

 

「ッ...私だよ!魔理沙!霧雨魔理沙!昔からの友人だろ!?」

私は声を荒げた 別に怒っていた訳じゃない いつまでもつまらない冗談を言い続ける目の前の巫女に苛々しただけだ

 

私が声を荒げると目の前の巫女は少し困った表情で少し間を置いて言った

「霧雨?...霧雨...あ、あー人里の霧雨道具店の!ってあれ?あの店主に娘さんなんて居たかしら?」

 

 

...キレた 流石の私も頭に来た

冗談にも程がある タブーである私の父親の事をこんなつまらない冗談の為に出してくるなんて

私と父親との間であったことを霊夢も少なからず知っている筈なのだ

 

「いい加減にしろよ霊夢」

私は巫女の胸ぐらに掴みかかる

完全に頭に血が上っている

 

「...放して」

その巫女の声は冷たかった それはそれは氷の様に

 

「...悪かった 放すよ」

仕方なく私は胸ぐらから手を離す

 

「本当に...私の事が分からないのか?」

私の声は少し震えていた

久しぶりに霊夢のあんな冷たい声を聞いた

あの声は霊夢が相手を自分より下に視たときに出す声だ

 

「知らないわよ」

冷たい声

もしかしてこの巫女は嘘を吐いていないのではないか...だとしたら...

 

 

ーーー「幻想郷っていくつ存在するの?」ーーー

 

...昨日友人に言われたことを思い出す

沢山の幻想郷...

 

ーーー「いかに自分が恵まれてる環境か知ることね」ーーー

...まさか、な

 

 

「なぁ、家の事はもういい...その代わり私の話を聞いてくれないか?」

もし本当に私の事を知らないのだとしたらこの幻想郷は私が存在しない幻想郷...

信じたくは無いが霊夢の反応が本気(マジ)だ

 

 

「...良いわよ」

相変わらず霊夢の声は冷たかった

 

ーー

 

ーーー

 

ーーーーーー

 

「ってな訳だ...」

私はあらかた説明した

自分が別の幻想郷から来た可能性があること

これまで霊夢と様々な異変を解決した事等々...

霊夢は黙って聞いていた

 

 

「...信じてくれるか?」

私はすっかり落ち込んでいた

目の前の霊夢は私の知っている霊夢では無い...

それ以前にこの幻想郷では私は存在していないようだ

 

少し間を置いて霊夢は言った

「私を馬鹿にしてるの?」

その声は冷たいままだった

 

「...信じてくれないか」

予想外の返答では無かった 私が今の霊夢の立場だったら 面白そう と悪のりして信じていたかもしれない

 

「信じられる訳ないでしょ?別の幻想郷?私の好敵手?妄想も大概にしなさい」

冷たくあしらわれる

 

「......なぁ、最後の異変は何だった?」

信じてくれないならそれで良い まずは情報が欲しい

私はこの現実を受け入れようと思った

もしこれが悪い夢ならそれでいいが現実ならば一刻でも早くもといた幻想郷に帰りたい

 

「最後の異変...たしか去年に春が盗まれたわね」

 

これには度肝を抜かれた

 

私が最後に霊夢と協力して解決した異変は 動物霊と地獄の異変 だ ハニワやら鶏やらの妖怪を退治した

春を盗まれた...と言うことはこの幻想郷は時系列も私がいた幻想郷と違うのか

 

「...邪魔したな」

私はそういうと帽子を深くかぶり霊夢に背を向ける

霊夢は何も言わなかった

 

そして私は神社を後にした

 

 

 

 

 

「...何だったのかしら」

 

 

 

ーーー

 

ーーーーーー

 

ーーーーーーーーー

 

私は薄暗い森の中を途方もなく歩いていた

「...永夜異変の前か」

あの後 私は紅魔館に行った しかし館の奴等の反応は 霊夢と同じだった

私を見て「誰?」と 無理やり図書館に行ってパチュリーにも会ったが私の事は知らぬ存ぜぬの様子...

そしてつまみ出された

 

次にアリスの家に行った...案の定

「どちら様?道に迷ったの?」と言われた

 

 

そして今に至る

 

「為す術なし...か」

私は立ち止まりその場に座り込む

 

頬を涙が伝う...

家も失くなり 昔からの友人は私の事を知らないし そもそも違う幻想郷に来てるし...

 

「天罰か」

日頃の行いが悪かったから天罰でも当たったのか

いや、パチュリーからへの天誅か

 

もうすぐ夜だ 夜の森は昼異常に妖怪が跋扈する

この私でも このままここにいては流石に危ない

ふと足下に目を移す すると一輪の花が目にはいる

 

「この花は確か...」

 

 

???「スカビオサだな こんな森に珍しい 花言葉は確か...(私は全てを失った)だな」ーーー

 

不意に後ろから声がかかる その声の主を見て私は驚愕した

 

「お前は確か朝の...」

 

妖怪C「ん?あぁ、空飛ぶ人間か どうした巫女の所に行ったのでは無かったのか?」

 

 

 

 

 

 



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とある占い師

ーーー「どうした、こんな処で」ーーー

 

...驚いた

まさかこんな所で今朝の雑魚妖怪に会うとは

 

「もうすぐ日が暮れる、そのうち人喰い妖怪が出てくr...ってなんだお前泣いているのか」

 

泣いているのを見られてた!

...そんな事はもはやどうでもいいか

ここは私の知らない幻想郷 私の事なんて誰も知らないんだ

 

「......」

 

「...黙っていては分からないではないか、全く...しょうがない私の家に来い そこで話を聞いてやろう」

 

驚いた 家に来いだって?妖怪が人間を家に誘うなんて聞いたことがない

 

「...自分の家でゆっくり私を喰うつもりか?」

茶化す 必死の余裕アピールだ

 

「俺の話を聞いていたのか!?話を聞いてやると言ったのだ!俺は妖怪だが人間は喰わん!」

目の前の妖怪はそう言うと私の手を引っ張り歩きだした

 

「お、おい!私はまだ行くなんて...!」

 

「家がないのだろう いいから来い!」

...私は黙って妖怪の後を付いていった

 

 

ーーー

 

ーーーーーー

 

ーーーーーーーーー

 

 

結局私は妖怪に案内されるまま家まで来てしまった

...家と言っても洞穴だが

地面には少しカビの生えた蓙が敷いてある

私と妖怪は向かい合うように座っていた

 

「では、話をしてもらおう 何故あんな処でうずくまって泣いていた 巫女の所には行かなかったのか?」

 

 

「......」

私は黙っていた

どうせこいつに言っても信じてはくれないだろう

霊夢に館の門番にメイド、使い魔、本の虫

皆に説明したが嘘つき呼ばわり 確かに私は嘘ばっかり吐いてたかもしれないが...

 

「......グスッ」

また涙が出てきた

いっその事 目の前の妖怪が私の事を喰ってでもくれれば...

 

「...ハァ」

妖怪は自分の頭を掻きながらため息をついた

 

「どうしたものか...そうだな自己紹介がまだだったか

まずは互いの素性を教えてから話そう」

 

自己紹介だ?...やけに人間臭い 妖怪だな

 

「ふむ では私から...私の名前...あー...妖怪になってからは無いか」

ん?(妖怪になってから)?

 

「まぁ、私の事は「易者」と呼んでくれ 一応「元」人間だ」

 

...易...者...易者?...易者!?

 

「易者だとぉ!?」

 

「うおっ!?なんだ急に大声を出して...そうだ易者だ 訳あって妖怪になった元人間だ」

 

易者...私はこいつを知っている

外の世界を見て幻想郷の生活に嫌気が差して妖怪になった

たしか小鈴を利用して一度死んでから妖怪として復活したんだっけ?そしてすぐに霊夢に退治された...

 

しかし、その事件があったのは 逆様異変 があってから暫く経ってからだ...

霊夢(この幻想郷)の話では最後の異変は 春雪異変 だ

この時代にこいつ(易者)がいるのは時系列的にもおかしい...

 

「な、なんでお前がいるんだ!?時系列の事は別と考えてもなんで霊夢に退治されてないんだ!?」

 

「なんだ、俺の事を知っているのか」

私がやっと喋った事が嬉しいのかニヤニヤしている

 

「いいから 私の質問に答えてくれ!なんで霊夢に退治されていない!?そもそもなんでこの時代にお前が存在しているんだ!?」

どうやら私は早合点していた様だ

「この幻想郷」は私がいた幻想郷とは 私の存在 以外にも大きく違う所がある

 

「...ふむ 前者の質問には答えてられるが 後者の...時代云々については答えられないな」

 

「...分かった とにかく教えてくれ なんでお前は退治されてないんだ?」

 

そう言うと易者は薄気味悪く笑いながら言った

 

 

「簡単だ 博霊の巫女が「妖怪巫女」だからだよ」

 

 

 



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