ディオの奇妙な冒険 (daith)
しおりを挟む

プロローグ

やぁ、読者の皆様、こんにちは。

 

私の名前はディオ・ブランドー。

現在、5歳である。

 

勘のよい皆様はお気づきかもしれないが、所謂転生者というやつさ。

(いや、この場合は憑依か?)

 

ある日、気が付いたら自分がディオであることを自覚したという感じ。

その時、およそ生後6ヶ月程度だったと思われる。

 

前世でどうして死んだのかとかは覚えてない。

というか、所謂「エピソード記憶」というやつは、ごっそり抜けている。

あるのは前世で「知識記憶」として蓄積されたものと「ジョジョの奇妙な冒険」の1部から8部までの知識のみである。

幸いなのは時期的に「私」という自我が芽生えたのは、本来自我が芽生える時期(個人差あるが、およそ2~3歳程度)より大分早かったことで本来の「ディオ」を殺さず済んだことだろうか。

流石にそんな年端もいかない子供を殺したとなっては、罪悪感がヤバかっただろう。

 

あと、おそらくであるが私は「ジョジョの奇妙な冒険」を読んではいなかったものと思われる。

何故分かるかっていうと、これについての記憶は、他の知識に比べどうにも新鮮すぎるのだ。

おそらく、憑依する際にそれについてだけ何者かによって、新たに植え付けられたものと思われる。

それが何者かは、この際一度置いておこう。

 

解決すべきは今のこの現状である。

 

「・・・・・・」

 

我が父にして我が家の大黒柱、ダリオ・ブランドーの病気についてだ。

 

原作では我が父は私が毒殺したことになっているが、どうやらそれ以前から病気持ちだったようだ。

症状としては、下痢、血便そして腹水であったようだが、先日遂に喀血して倒れた。

幸いなことに日雇い仕事中であったため、すぐに発見、応急処置されて大分症状は落ち着いた。

だが、原因は不明で、どこの医者にも匙を投げられた。

それもそのはず、私の予想が当たっているなら、この症状はイギリスをはじめとするヨーロッパ諸国ではほとんど見られない病気のものである。さらに言えば、この病気はこの時代において不治の病である。

 

「なぁ、親父殿。あんた前にアジアとかそこら辺りに行ったことないか?」

 

「あぁ?一体何だよ、急に?」

 

「いいから、答えてくれよ」

 

「・・・・・・そういや昔貿易船の乗組員してた時に何度か補給のために寄ったことがあったな」

 

・・・・・・確定である。

 

ついでに他の話も色々聞いて、彼が若いころは海上貿易船の乗組員であり、その時罹った病気が長引いたため退職したらしい等ということも聞けた。

 

「はぁ~」

 

この時の私には最早嘆くことしかできなかった。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。