再び実力至上主義の教室へ (大和)
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再び実力主義の学園へ

俺はバスの椅子に座ると春の陽気に当てられあくびがでてしまう

俺は今日から東京高度育成学校に通うことになる

……眠いなぁ。

そんなことを思いながら俺はバスに揺られている

うとうととそして心地よく瞼が重くなっている

そして暗闇が全てを支配するのには時間が掛からない

俺はいつのまにか眠ってしまっていたらしいが

するとなんだか騒がしくて起きてしまう

 

「ふぁ〜〜〜。」

 

大きくあくびをするとすると全員の目線が俺に集まる

気にせずに俺は周辺を見るとすると女子高校生と困っているお婆さん。そして制服の人が見える

あぁなるほどそういうこと

 

「……あっ。婆さん座りますか?」

「へ?」

「いや、なんかきつそうでしたし。すいません。気づかなくて。」

 

俺は荷物を持ち立ち上がる。

春の心地に委ねながら昼寝をしていたので全く気づかなかった

自分主義

否定することはないが俺は賛成することもできない

 

「あ、ありがとうございます。」

 

すると困っていた少女が俺の方を向かって頭を下げる

 

「別にいいですって。当たり前のことですし。」

 

と俺は席をゆずるとすると視線が俺に集中する。

……あれ?普通のことをしただけだよな

俺はそうするとつり革を掴む

ガタンガタンと揺れる中で俺は揺れる

 

「あっ。さっきはありがとうね。」

 

すると笑顔が明らかに作られた女性がこっちに向かってくる

明るそうに見えるが心に気持ちもこもってない冷たい声に俺は笑顔が曇ってしまう

 

「……お前つまんない嘘つくな。」

 

俺が放った言葉は多分誰よりも冷たい声でそして恐ろしい声が出ていたのだろう

周辺の人が俺の方に視線を集める

さっきまで言い争いをしていた婆さんも、多分同級生になるであろう制服を着た人たちも

女子は何か言いたそうにしていたが少し目線を逸らしたことから事実だったんだろう

俺はため息を吐き外を見る

またやってしまったと後悔し胸が少し傷んだ

 

俺はクラスわけを見るとDクラスに新井康太と書かれている

入学式が終わった後に俺たちは教室へと向かう

入学式での長ったるい挨拶を終えると俺たちは教室に戻ってくる

教室に向かうとすでに騒がしくクラスが騒音に紛れている

俺は教室に入ると雑音が聞こえてくるのだが

騒がしいな。

さっきから暖かなぼかぼかした陽気で眠くなっていたのにさすがにこれだけ騒がしいと眠気がなくなる

 

「……ふぁ〜〜。」

 

わけではなかった。普通に眠い。暖かい日が続いているのが悪い。

自分の席に座ると一番後ろの席であるからか40人の学校だけどほとんどの席が埋まっているのが分かった

 

「……?」

 

俺は国立の中学校出身なのだがこんなに進学校なのに騒がしいのだろうか?

まぁ入学式の後だろうし少しくらいははしゃいでもいいとは思うけど

入学式の態度から見るに明らかにDクラスはレベルが低い

 

「……なんか一筋縄ではいかなそうだな。」

 

俺はポツリと呟く。俺自身中学時代に少し色々あったこともあるので尚更このクラスは何かあると思わざるを得なかった

それに教室にはものすごい数の監視カメラが配置されているしな。

……やっぱりなんか臭うな

隣を見ると綺麗だがどこか気の強そうな女子とそして対照的にメガネであまり目立ちたくないのであろう伊達メガネをつけた女の子がいた。

……話しかけるんならこっちか

俺は少しだけ息を吐く。少し女子に話しかけるのはさすがに緊張するし

そして一息呑み

 

「ちょっといいかな?」

 

俺は眼鏡をかけた女子の方に話しかける

 

「えっ?」

「隣の席だから挨拶しておこうって。新井康太。一年間よろしくな。」

「えっと、その。」

「いいよ。ゆっくりで。隣の席だから挨拶しておこうって思っただけだし、仲良くなれればいいって思っただけだから。」

 

俺は笑顔で返す。多分この子は優しい。彼女は人と接するのが苦手なんだろう。男子が苦手と考えたこともあったが、それなら女子のグループに入れてもおかしくはない。でもなんとか自己紹介をしようとして無理に断るのは失礼に値するだろう。

 

「あ、あの……。さ、佐倉愛里です。」

「うん。よろしくな。」

 

俺は少しだけこの人に興味を持つ。

もう少し話して見たいと思った中で、先生が入ってくる

 

「新入生諸君。私はこのDクラスを受け持つことになった茶柱佐枝だ。担当科目は日本史だ。この学園では卒業までの三年間クラス替えはしない。お前達は私と三年間共に過ごすことになるがよろしく。今から一時間後に入学式が行われるが、その前に当校の特殊なルールについて説明をしたいと思う。まずはこの資料を配布したいので、前の生徒は後ろの生徒に回してくれ」

 

すると説明が始まると基本は入学前の資料と同じことが分かる

 

内容は確かこの高等学校は、全国各地にある高等学校とは異なったルールが敷かれていて、生徒は在学中は学校が用意した寮で寝泊まりしなくてはならず、在学中、特例を除き外部との接触を禁じられている事。また犯罪や施設に関する人も国家が雇っているらしく警察くらいしか外部の人間はいないのであろう。

そして一番の変わったシステムと言われるSシステムについての説明に入る

 

「今から配る学生証カード。このカードにはポイントが振り分けられており、ポイントを消費することによって敷地内にある施設の利用や売られている商品の購入が可能だ。まあ、クレジットカードだと思えばいい。学校の敷地内にあるもので買えないはなく、また学校内でもそれは同様だ。ポイントの使い方は簡単だから迷うことはないだろう。それからポイントは毎月一日に振り込まれる。尚、1ポイント1円の価値があり、新入生のお前たちには10万ポイントが振り込まれているはずだ。無いとは思うが、もし足りなかった場合は申し出るように」

 

すると額の大きさに警戒してしまう。みんなは驚いたようにしているが俺は何か裏がないかと探ってしまう

そして一言だけ聞き逃さなかったことに賞賛を覚えたい

 

「意外か? 最初に言っておくが、当校では実力で生徒を測る。倍率が高い入試をクリアしてみせたお前たちにはそれだけの価値があるということだ。その評価のようなものだと思えばいい。ただし、卒業後には、学校側が全て回収する。どれだけポイントが残っていても現金化は出来ないので注意しろ。ポイントをどう使おうがそれは自由だ。好きに使ってくれ。仮にもし使う必要がないのならば友人に譲る方法もある。だがカツアゲはやめろよ? 学校は苛めに敏感だから、もし発覚したらそいつは退学処分だ。以上解散。」

 

つまり一度そういうことがあったと思って間違いはないだろう

すると茶柱先生は去っていくとクラスがまた雑談でうまる。

今日はガイダンスで終わりなので解散してもいいのだろう

俺はカバンを持ち教室から出ようとすると

 

「皆、ちょっと良いかな?」

 

俺は足を止めると声を出す男子生徒の方に注目が集まる

 

「僕らは今日から三年間共に過ごすことになる。だから自発的に自己紹介を行って、一日も早く友達になれたらと思うんだ。茶柱先生の言葉を信じるなら、入学式までに一時間はある。どうかな?」

 

すると佐倉はビクッと反応しそして震え始める。多分自己紹介とか慣れていない人が数名いるんだろう。

 

「悪いけど、それは全員やらないといけないか?口下手な人だっているだろうし、話すのが苦手だったり注目されるのが嫌な奴だっていると思うんだが。それに名前なんか3年間一緒のクラスなら自然と覚えていくだろうし。生憎俺も口下手なところあるから反対なんだけど。」

 

俺がそう告げると数人から安堵の声が漏れる。別に俺は口下手ではないっていう嘘を分かったのちに話すのが苦手な生徒が安心したのであろう

 

「うん。ごめん。それじゃあ自発的に。」

「自発的って言ってもそれは強制とあまり変わらないと思うが?教室にいるのに自己紹介をしなかったっていう罪悪感とか感じるだろ?」

「……」

「というよりもみんなが仲良くする必要性はないだろ?1人が好きな奴だっているし、他のクラスの友達がいればそれでいいんじゃないのか?」

 

実際話し始めた男子はリーダータイプであるけど多分全員をまとめられるとは思わない

 

「そうね。私も失礼させてもらうわ。」

 

すると隣の女子も俺の意見に賛同したらしく教室からでようとする

そしてそれに続くように1人、又1人と数人が立ち教室から出ていく。その中に佐倉の姿もあり俺もその後に続く。

するとしばらくたっただろうか

 

「あ、あの。」

 

女子の1人が俺に話しかけてくる

 

「あの、ありがとう。私そんなに話すの得意じゃなくて。」

「別にいいさ。苦手なことなんて人それぞれだからな。」

 

こう言った女子は思ったことを素直に話す。元々家が料亭なこともあり聞き手に回ることは慣れている

 

「私。井の頭心っていいます。」

「俺は新井康太。3年間よろしくな。」

 

俺はそうやって笑う。

そうやって俺の学園生活が始まった。



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佐倉愛里とスーパーへ

一旦寮に入り何がないのか確認したのちに俺は買い物に出る

自分の荷ほどきを終えた後にとりあえず外に出る

元々電子機器の持ち込みは禁止なのだがオーブントースターだけはなんとか許可をもらったのでそれを設置した後だった

俺は本格的な料理は作らないのでとりあえずスーパーに向かったのだが

 

「あっ。」

「佐倉か。」

 

俺は偶然に佐倉と出会う

 

「よう。さっきぶり。」

「う、うん。」

 

すると電子機器メーカーの袋を持っているのが分かる。どうやら電気屋の帰り道らしい。

 

「ポイント使ったのか。」

「う、うん。カメラが趣味だから。」

「……カメラか。」

 

一応スマートフォンでもカメラ機能は撮れることから考えると結構本格的な趣味であることが分かる

 

「デジカメ?それとも本格的な奴?」

「えっと、デジタルカメラです。」

「デジカメか。まぁ本格的な奴は数十万するから当たり前か。食材の買い物だったら荷物持ちくらいはするぞ。」

「……えっ?」

「玄関前までだけどな。ちょうど買い出ししようと思っていたところだし。あっ嫌なら嫌って言えよ。あんまり気を使わせるのは嫌だしな。」

 

俺は前もって忠告する。

 

「えっと、それじゃあよろしくお願いします。」

「あいよ。」

 

と俺は佐倉の横を歩きスーパーへと向かう

そしてそこには多くの学生の姿がいることから結構自炊している人は多いのであろう。

 

「あの、新井くんって自炊できるんですか?」

「中学のころから寮に入っていたのもあって料理は基本得意なんだよ。」

 

実際俺の料理は比較にならないくらいの腕前はあることを自負している

 

「実際ブログで料理のレシピを発信していたんだけど、それができなくなったからなぁ。ここ制限厳しすぎるだろ。」

「えっ?」

「ここ、写真以外挙げるの禁止らしいんだよ。コメントが全面的に禁止だってさ。」

 

実際にSNSを開くとコメントのところが塗り潰されている。

 

「情報規制が完璧に配置しているってわけ。」

「そんな。」

 

すると、珍しく反応する佐倉

 

「もしかしてブログか何かやっていたのか?」

「え、えっと。その。」

「……悪い。踏み込み過ぎたな。ネットリテラシーのこともあるし言わなくていいぞ。」

 

俺は少し反省してしまう。と思った矢先

 

「……ん?」

 

俺はとあるものに気づく

 

「無料?1日5つまで?」

 

そこには人気のない野菜や賞味期限が明日や今日までのものが置かれており、すでに3割近くなくなっている。

 

「…どうしたんですか?」

「ほら。無料製品だとさ。」

 

俺はカートを引きながら少し引っかかることがある

……月始めなのに売れているな。

俺はポツリと呟く。そして先生の会話と監視カメラから一つの推測を出す

多分ポイントの増減があると見て間違いはないだろうな

俺は少し考えそして数点カゴの中に入れる。

卵やホウレン草など少し傷んでいるのだが売っているし5点あれば二食くらいならなんとかなるだろう。

節約しないとなぁ。

俺はため息を吐きながら調味料を取り出す。

デジカメを買ったからだろうか。少しためらっていたが何個かの無料製品を取り出しカゴの中に入れた。

そして軽く話しながら買い物をしているとつい好みの食べ物など自然と会話が続いたのであった

 

 

「それじゃあまた明日な。」

「う、うん。また明日。」

 

と小さく手を振る佐倉とエレベーターで別れ俺は自室に向かう

そして自室に入ると俺はふぅと息を吐く

 

「……はぁ。」

 

俺は少しだけ頰をかくと少し考える

俺のクラスの立ち回り方

そしてどのように動くかで今後のスリルが変わってくるはず。

 

「……どうしよっかな〜。」

 

多分物凄く悪い顔をしているんだと思う。

俺は中学校の時に先生に勧められこの学校に入った

ぶっちゃけ中学時代のころから実力主義の学校だったので俺は理解してしまう

 

「……上等じゃねーか。」

 

優等生を演じてきたあの頃とは違う

将来が確約されている

そんなつまらないことはどうでもいい

スリルが欲しい

争えられる相手が欲しい

俺は制限持ちなので一ヶ月は学校の仕組みについてクラスメイトにも干渉することは禁止されている

 

「はぁ。帰ってきたな。」

 

俺は笑ってしまう。

これからどうなるかも分からないけどとりあえず位置取りだけは成功しないといけない。

今度はどのような戦いになるかは分からないが

やるか

そして中学生の学生証を開くとデータがすぐに同じスマートフォンにデータが映し出される

 

東京都高度育成中等学校 3-A 代表

新井 康太



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日常

争いは好きだ

中学校からあらゆることで戦争をしてきた

力あるものは知力で

知力があるものは力で

両方ある奴は人脈で

全てを蹂躙してきた

もちろん俺1人の力ではない

クラスメイトがいて

信頼できる仲間がいて頂点まで上り詰めた

人は完璧な人間はいない

どこか欠落があり隙がある

俺だってそうだ

完璧超人ではない

弱点は確かに存在しておりそして俺にも確かにできないことは存在している

では何が一番何が大切なのか

そんなものは随分前から決まっている

 

授業はほとんどが始まりはや1週間が経とうとしていた

……本当に酷いなDクラス

俺はノートでメモを取りながらため息を吐く

俺と佐倉、そして最後尾の生徒のほとんどは授業を集中して受けているのだが

 

「いい加減にしてくれ。」

 

もう何度目だろうか。俺がクラスに忠告する

というのもスマホを触ったり雑談をしていたり、Dクラスは授業とは全く別のことに関してだ

茶柱先生は俺の学歴と成績を知っているぶんやっぱりかと呆れたようにする

 

「あんな授業中くらい静かに受けられないのか?さっきから後ろの席だからあまり良く聞こえないし集中できないんだけど。」

 

俺の言葉は正論であり、さすがに何度目にもなる言葉にクラスメイトはさすがにヘイトが溜まっていた。

 

「……あのさ。」

「あんた授業受けに学校来たんじゃないのか?俺学校の成績そんなに良くないから真剣に授業受けないと結構テスト厳しいんだよ。」

 

実際俺の成績は平均70点前後なので正直成績がいいと言った部門に入れるわけではない。

 

「それにお前らがぎゃーぎゃー喋ったりしているせいで他の迷惑とか考えないのか?お前ら義務教育で何やってきたんだよ。」

 

少し中等部と違うシステムとはいえここら辺のことは多分中等部と変わりないだろう

 

「授業を真面目に受けることなんか小学生でもできることだ。お前らは小学生以下なのか?」

「てめぇ。」

 

するとクラスメイト中のがたいのいい奴が立ち上がるが俺は完全に無視をする

 

「須藤くん。」

「事実だろ?俺も言い過ぎだと思うしそれに授業中でも言うことじゃないけど、それでも今のお前らは酷すぎる。いい加減学習しろや。授業中ずっと睡眠とっていいわけないだろうが。」

 

俺は少し呆れたようにしてしまう。すると注目を集めるけどそれでもこれだけ発破をかければ少しはましになるだろうと思っているんだけど

もうこのやり取り4回目なんだよなぁ

俺は呆れたようにしてしまう

 

「新井。」

「分かってます。」

 

俺は軽くイラつきながら茶柱先生の声を遮る。多分これ以上は違反になると判断されたんだろう。

するとチャイムがなると昼食の時間になる

やっと授業が終わると俺はぐったり机に伏せる。

……ふぅ。さすがにヘイト集めすぎたか。

多分今のトップカーストの集団には多分俺はかなりうざい奴だと認識されているのだろう

 

「……はぁ。」

 

さすがに悪目立ちがすぎるよなぁ。このままだと嫌われた一ヶ月が過ぎそうだし。

俺はそうため息を吐く。

マジで酷いな。このクラス

希望にそう伝えたとはいえここまで統率が取れてないと話にならない

 

「……はぁ。」

「ごめんね。新井くんばかりに。」

 

すると大人しい井の頭が申し訳なさそうにみてくる。

 

「別にいい。誰だって苦手なことはあるしな。」

「悪い。俺も本当は注意したいんだけどな。」

 

すると大宮政治こと政治もうんざりしているらしい

俺を中心にグループが形成されつつあるのだった。

井の頭の政治の三人だが、至って勉強が苦手だけど授業を真面目に取り組むと言ったグループだ。

政治は多分普通ならCかBくらいに所属されていてもおかしくはないのだが。曰く昔は少し荒れていたらしく暴力で物事を解決していたらしい。まぁあんまり過去は気にしないしな

 

「二人ともこの後は?」

「俺は佐倉と買い物。」

「俺は野球部。」

「また佐倉さんと?」

「悪いかよ。てか佐倉話すと結構面白いし。案外このグループくらいに居心地いいんだよなぁ。」

 

俺はぐてぇ〜と机にひっつくと2人が笑う

 

「いいなぁ。私も佐倉さんと話してみたいなぁ。」

 

多分本心から興味を持っているんだろう。時々佐倉の話題を俺が振っているしな。

 

「悪いな。一応伝えてはいるんだけどもう少しかかりそうだな。なんというか少し厄介ごと引っかかっているらしくて。」

「そっか。」

 

すると井の頭は残念そうにしているが

 

「てか2人はいいのか?明日の体育水泳だぞ。水着買わないといけないんじゃ。」

「「……あっ。」」

「忘れてたのか……。」

 

俺は少しため息を吐く

 

「てか二人ともポイントどれくらい残っているんだ?」

「俺は8万くらいかな。」

「私は日用品が少し高かったから6万くらい。」

「俺まだ9万ちょい残ってあるから使いすぎてたら貸そうと思ったけど平気そうだな。」

「……康太凄いな。」

「無料製品を集めまくったからな。日用品も休日にショッピングモール巡回したし、それで補えなかったら100円ショップかな。」

 

まぁ結構楽しくてほとんどの日用品はその二つで補っている。

 

「つまり水着を見に行くの?」

「まぁな。あんまり気乗りはしないけど。」

「恥ずかしいんだろ?」

「悪いかよ。デートもまだな俺に女子と2人で水着選びって。」

 

俺は少しため息を吐いてしまう

というのも今日の昼休みに佐倉から呼び出され今日の放課後に水着を選ぶ為に付き合ってほしいって言われたのだった。

俺も水着は持ってないし別にいいって答えたのだが

なんか引っかかるんだよなぁ

 

「まぁ、とりま行ってくる。また明日な。」

「うん。また明日。」

「おつ。」

 

といつものメンバーから離れると俺は少しため息をつく

というのもこのままじゃ来月は確実にポイントは入らないであろう。

幾ら何でも節約しているとはいえ0ポイントじゃ今後の活動に支障をきたすのは明らかだ

 

「……う〜ん。」

 

難しいな。まぁ考えながらとりあえず身近な人の信用を集めていくことを考えるか。

というよりも俺が動けるような場所それも少人数のグループを作ることが大切だ

今のところは傍観を決めていて俺はしばらくはどのような動きをするのか見ておきたい

それに担任の先生がどうも信用できないしな

それが一番の問題点だ

まぁ、いつものグループじゃ素の自分を出せるし気が楽なんだけどな。

そう考えると佐倉も同じグループに入れたいんだけどなぁ

そうしながらショッピングモールに向かうと

するとマスクをしている佐倉の姿がいた

というのもメガネを掛けてそれに帽子とマスクをかけているのだから目立ちたくないんだと思うんだけどそれかなり目立つと思うんだけど

 

「佐倉。」

「ひゃう。」

 

すると佐倉は小さく叫ぶとこっちを見る。可愛いと思ったのは内心にしまっておくが

 

「悪い遅れた。」

「あっ。新井くん。」

「お前目立っているぞ。せめてマスクか帽子外せよ。不審者と間違えられるぞ。」

「うっ。」

 

心当たりはあるようで小さく呟いていた

 

「そうだよね。目立っちゃうよね。」

 

とメガネを掛けてるのでマスクを外すことを選択したらしい

 

「んじゃ行くか。」

 

と俺たちは歩いてショッピングモールに入るとするとそこは賑やかでそれも大勢の人が集まっている

 

「そ、そういえば新井くんはどんな水着を買うの?」

「いや。普通に海パンだろ?男子が変に競技用の奴買ったら引かれるぞ。」

「あっ。」

 

するとすぐに下を向く佐倉に少し苦笑してしまう

少しずつだけど話せるようになってきたな

 

「ご、ごめんなさい。」

「謝らなくていいって男子のことは女子はしらないんだし俺も慣れてないしな。てか逆に俺でいいのか?さすがに場違いだと思うのだけど。」

「……新井くんは目が優しいから。いつもは怖いけど。」

「……褒められているのか貶されているのか分かんねぇな。」

 

俺は苦笑する。

まぁ自分でも教室の俺は怖いって思っているしな

そうしながらも聞き手に回り佐倉の話を聞く

意外っていっちゃ悪いけど案外話の馬が合うのか結構盛り上がることが多いんだよなぁ

主にブログ関係の話で話ながらお互いに買ってその後晩飯の買い物をして帰った



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水泳

昼休みに入り

 

「ふぁ〜眠いな。」

「お前またそれか。」

 

俺があくびをすると政治が呆れたようにしている

 

「悪いか。」

「いや、お前も運動したら?」

「毎朝島を一周しているし腕立てや腹筋、ストレッチは毎日やっているけど?」

「案外力あるからね。新井くん」

「昔空手と柔道やっていたからな。柔道はともかく空手の型は今でも繰り返し朝やっているから。中学時代は生徒会を3年やっていたせいでできなかったけど。一応スポーツだったら中学時代は負けなしだったんだぞ。」

 

井の頭の答えに答えるとへぇ〜って2人は驚く

 

「もしかして体育会型なの?」

「あぁ。てか体育は最高評価しかとったことねぇよ。」

「すごいなぁ。勉強も運動も苦手だから。」

「でも最近は勉強会で少しずつだけど点数は伸びてきているじゃん。」

 

と最近俺の料理をたかりに井の頭と正義は俺の部屋を度々訪れる

最低限度しかないのでそのあとは適当に喋りそして勉強するって感じである

なお、俺の部屋が何もないのは自分の部屋になにかあったらすぐに汚してしまうからであるのだが

 

「そういえば水泳結局井の頭は参加は。」

「私はするよ。でもやっぱり長谷川さんは。」

「……さすがに今回は休んでも文句は言えないだろうな。」

 

というのも俺と政治は参加してないが同じクラスの男子が胸の大きさランキングで賭けをしていたのが問題だった

 

「さすがに引く。てか関わりたくない。」

「同感だな。さすがにあいつらと同じ扱いだけはされたくないな。」

「案外二人とも紳士だよねぇ〜。」

 

と話ながら俺たちは更衣室へ向かっていく

 

「でも2人は巨乳と貧乳どっちが好きなの?」

「俺は性格重視だからどっちでもいい。」

「俺は貧乳だな。」

「およ。意外。」

 

俺は少し政治の答えに驚く

「なんつーかスポーティな女子がいいんだよ。」

「あ〜ショートカットの女子とか日焼け女子とかか。俺はのんびりした感じの人が好きだな。一緒にいると落ち着く人がやっぱり自分にあっていると思う。俺結構トラブルに巻き込まれやすいから。」

「「あ〜。」」

 

すると2人が納得したように頷く

もはやお決まりのことのようにトラブルに巻き込まれるので諦めてはいるのだが

 

「それじゃあ泳ごうぜ。さっさと着替えてこよっと。」

「そうだな。」

「それじゃあまた後で。」

 

といい別れる俺たち。そして更衣室の中で着替える。

昨日買った水着だけどさすがに佐倉はこれじゃあ出てこれないだろう。

こりゃ、来月本当にポイント残らないな

俺は少し考える。一応秘策と言える秘策はいくつかあるのだがあまり使いたくはない

俺の残りポイントは9万ポイントあるとはいえなぁ

一週間で1万ポイント。まぁ調味料や米を買ったからだろうがそれでも週に5000ポイント

急にポイントを必要になる時があるだろうしその分を置いておくと残り自由に使えるのは夏休みまでと考えて1万程度だろう。

すると男子はほぼ出ていてそして女子は少しの生徒は出ている

 

「あっ。新井くん。」

 

するととことこと歩いて俺の方に来る佐倉がいた

 

「佐倉か。お前は参加なんだな。」

「う、うん。山内くんや池くんは怖いけど。新井くんが参加するなら。」

「……あんまり無理するなよ。」

 

と俺は腰を下ろす。佐倉と付き合う時間は結構長いし信頼はある程度気づけているんだろう。

 

「視線怖かったら言えよ。そういえば運動は?」

 

すると首を横に振ることから苦手なのは分かる

 

「まぁ仕方ないか。少しずつ慣れていったほうがいいぞ。この時期に水泳があるってことは今後なにかあるってことだから。」

 

すると首を傾げる佐倉。これくらいのヒントなら大丈夫だろう

すると教師がやってきて点呼を取る。井の頭と政治は俺の方をみてそしてなぜかニヤニヤして遠くの席に座ったのが見えた

後から誤解解かないとな

 

「おーし。全員集合しろー」

 

と体育の先生から集合がかかる

 

「見学者が随分多いみたいだが……まあいい。早速だが、実力をチェックしたいので、準備体操してから泳いでもらうぞ」

「あ、あの、俺あんまり泳げないんですけど……」

「安心しろ。俺が担当するからには、夏までには確実に泳げるようにしてやる」

「で、でも、そんなに必死で泳げるようにならなくても」

「そうはいかない。泳げるようになれば、必ず役に立つ。必ずだ」

 

やっぱりこの時期に水泳をやるってそういうことか

そして軽い体操の後で俺たちは50mを泳ぐ

軽く28秒で泳ぎ周辺をみると佐倉は体力的に厳しいのか分からないが25mくらいしか泳げないようだった

政治は27秒ほどで井の頭はどうやら苦手らしく50秒ほど

俺たちのグループは男子は運動ができるし女子は苦手っていう感じだろう

そして体育の先生がまた俺たちを集める

 

「とりあえず、ほとんどの者は問題なく泳げるようだな。よし、じゃあ競争始めるぞ。50m自由形だ。女子は5人2組、男子は最初に全員泳いだ後、タイムの速かったもの上位5人で決勝を行う」

「え、きょ、競争!?」

「男女別で最もタイムが良かった者には、先生から特別に5000ポイント支給しよう。その代わり、男女ともに最下位のやつは、それぞれ補習を受けてもらうからな」

「えっ。」

 

すると井の頭と佐倉が小さく呟く

この2人運動全くできてないしなぁ

そして佐倉は見学だが泳げるように補習が確定し女子の水泳の結果を見ると明らかだった。水泳部の小野寺が完勝し井の頭が最下位という結果になった

 

「……」

 

しゃーないか

俺は先生にこっそりと近く

 

「先生。俺が一番になったらポイントいらないので佐倉と井の頭の補習取り消しってできませんか?」

「おっ?」

 

すると俺はこっそりと体育の先生面白そうに俺をみる

 

「この学校ではプライベートポイントで何でも買えるんですよね?なので5000ポイントとグループ二連続一位で佐倉と井の頭の補習取り消しの権利を売ってください。」

 

するとニヤリと先生は笑う。

 

「あぁ。別にいいさ。だがこうしよう。お前は誰かに負けたら一万ポイントをそいつに払え。その代わりお前が二試合勝った時は佐倉と井の頭の補習はなしで俺がお前に10000ポイントを払おう。」

 

すると気づいたご褒美的なものだろうか。補習取り消し+金銭ももらえる金額が増えている

 

「別にいいっすけど。書類か何かに契約書書きますか?そっちの方が精密ですし。」

「いいが、俺から男子に伝えよう。一位予告をしたバカがいたって。」

「……それ絶対発破をかけるためですよね。」

 

俺は少し呆れたようにすると先生が苦笑する

 

「お前やっぱり別格だよ。」

「そりゃどうも。」

 

ポイントは自己判断だろうがどちらも利点がある行為を提案してそれが受け入られた。

持たれ持たれつってことか

俺はそういうと1人で軽くアップを始めたのだった

 

 

最初の競争相手が俺のグループになる。

男子からは殺気、女子からは同じ組の平田の応援をしている

 

「よろしくね。新井くん。」

「おう。よろしく。」

 

俺は一言挨拶をした後に集中力を高める

とりあえずウォーミングアップがわりとしては十分だろう

そしてスタートのコールと共に俺は踏み台を蹴るとクロールを8割型の力で泳いでいく

というのもここでは多分敵はいないので軽くでいい

足と水を引っ掛けるように泳いでいくと程よく通る水が気持ちいい

そして誰よりも早く俺はゴールする。

 

「はやっ。」

 

誰かが呟く

 

「すいません。タイムは?」

 

タイムはどれくらいかと思い確認すると

 

「何だと。23秒20だと。」

 

すると周辺の男子も女子も時が止まる。暫定一位。まぁこれくらいか。

俺はプールから上がるとざわざわとした声が上がる

少し目立ち過ぎたか

 

「お前すげぇな。」

 

政治が驚いたように俺を見る

 

「スポーツは得意なんだよ。部活に入らないのは得意不得意が激し過ぎる点と得意なのは注目を集めてしまってワンマンチームになってしまいがちになるんだよ。そんなのはつまんないし。」

 

実際野球やサッカーは昔やっていたことがあるのだがすぐにスタメンを言われ天才天才と言われ続けた結果やめてしまうことになった。

 

「お前って結構嫌な奴だな。」

「生憎このクラスのほとんどがそう思っているさ。」

 

すると第二レースが始まる。すると須藤が明らかにスピードを出し泳ぎ始めた

 

「計画通りだな。」

「ん?」

「いや、須藤を今のうちに少し体力を消耗させているんだよ。多分24秒台くらいだけど一本目を本気で泳ぐと2本目は大分タイムが違うからな。」

「性格悪いなぁ。」

「褒め言葉だな。」

 

と俺は言うと第三レースが始まる。すると思った以上に高円寺が早く俺と同じくらいのペースだ。

 

「……こりゃ一騎討ちになりそうだな。ついでにお前俺たちのグループと同じだっただろ?」

「俺は2位だぞ。24秒98。」

「お前も十分早いじゃねーか。」

 

と話す余裕さえある。高円寺も確かに早いことは認める。本気で泳いでないこともわかっている

それでもあいつが本気でも俺のほうが早い

そして決勝に全員並ぶと高円寺や須藤の姿も見える

俺は集中力を高めていく。

音も遮断しスタートの音だけに集中する

 

「やべぇ。超楽しい。」

 

俺の呟きに誰かがぎょっとしたように俺のほうを見る

コンディションは最高そして先生の掛け声が聞こえそして俺はスタートを切る

飛び込んだ感触はよくその勢いのまま加速していく

誰よりも速くその先へ

そして勢いよくスピードを乗せ泳ぎきる

するとタッチをした後に高円寺が俺の隣で泳ぎきる姿が見えた

 

「しゃ。」

 

水面を叩くと俺は勝ったと言う実感と軽くプレッシャーから解放される

さすがにこれで一位とれないと恥ずかしいしな。

すると先生の方を見ると固まっている

 

「22秒50だと。」

 

どちらかのタイムといえば明らかだった

 

「ふぅ。」

 

俺は少しため息を吐き。

 

「先生約束の件お願いしますね。」

「あ、あぁ。新井お前水泳部に入らないか?お前なら。」

「生憎、部活動は勘弁してください。先生たちなら俺の過去を知っているはずですよね?」

「そ、それは。」

 

俺の過去にもしっかりとトラウマに残っている。その事件を先生は知らないはずがない。

だって俺のせいで壊れた人もいるのだから

 

「それじゃあ約束の件お願いしますね。」

「あ、あぁ。」

 

俺は水から上がるとすると視線を感じる

さすがに目立ち過ぎたな

少し目立たない日陰に座っていた佐倉を見つけ軽く笑う。

まぁ、楽しかったからいっか

そう思えるプールだった



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ようこそ実力至上主義の学校へ

月末の放課後に入るととあることを思い出す

 

「そういや政治。この前のラス前の問題分かったか?」

「いや。分からなかった。」

 

というのも三日前の3時間目小テストが急に行われてそしてその答えを探っていた

 

「っていうよりもラス前もそうだったけどあれ証明の特殊解を使わないと解けない奴だろ?ラストの問題はどちらかというとなぞなぞに近かったけど。」

「なぞなぞ?」

 

というのもラストの問題は考え方一つ変われば簡単に解ける問題でラス前とその前の問題は解けなかったけどこの問題はちゃんと解けた

 

「体心立方格子構造が肝になっていてこれほとんど計算いらなかったんだよ。」

 

と俺は答えを書いていく。

というのもこれは昔漫画でも書かれてあって実際調べてみるとかなり難しいが中学生でも解ける問題だったのだ。全く同じ問題が出るとは思わなかったけど

 

「つまり、原子一個あたりの縄張りの体積は、aの三乗を2で割ってやれば。」

「「へぇ〜。」」

 

と答えあわせが終わると2人が納得したようにしていた

 

「なるほど、そうやって解くのね。」

 

すると隣の席の女子も気になっていたらしく俺の回答を覘きこむ

 

「普通ならこの回答は領域を具体的に特定して、その体積を計算する解法を選択しがちなんだけど別の見方をすれば簡単に解けることができるんだよ。視野が広くて少し知識があれば中学生でもできるなぞなぞだよ。」

それよりも問題はこの小テストの範囲がおかしいって点だよなぁ

「自己採点何点?」

「俺は80。」

「私もそれくらいだと。思っていたよりも簡単だったから。」

「そりゃ中学生の問題だったしなぁ。それも簡単な問題だし。問題はラスト3問の数学だよなぁ。俺は一応90は取れたと思うけど。」

 

実際はこれくらいだろうな

 

「……てか明日から5月だろ?……はぁ、やっと俺の規制の時間が終わる。」

「規制?」

「なんかトラブルでも起こしたのか?」

「いや。逆。俺東京育中出身だから。規制かけられているんだよ。」

「「「えっ?」」」

 

すると三人が固まる

 

「本当?あなたあの名門の。」

「あぁ。一応推薦でここにきているな。」

 

東京育中。これは俺が通っていた中学校の略で全国で数少ない国立の中学校である

そしてここと同じく実力主義を抱え脱落者も少なくはない

なのでここの卒業生ってだけで一種のステータスになる

 

「元々あの中学校はここをモデルにして作られたからな。似たり寄ったりのところは多々あるんだよ。」

「へぇ〜でも、ここみたいに結構緩いところなのね。」

「違う。完全実力主義を抱える学校らしく、かなり厳しい学校だぞ?卒業率は俺らの代50%もなかったし。」

「「「えっ?」」」

 

すると全員が俺の方を見る

 

「赤点一つで違う学校に転入される学校だぞ。多分ここも赤点=即退学だと思っていい。それに緩い学校っていってもここも大概ひどい学校だと思うぞ。本来の一ヶ月。されど一ヶ月もあったんだ。あんだけヒントを与えたのに気づいた人は少数だったしな。」

「それってどういうこと?」

「明日になれば嫌ってほど分かるさ。残酷で自業自得の実力主義をな。」

 

俺はそういうと隣の女子は不安を隠せないようにする

悪いけど自業自得だからな

そう誰にも聞こえない声で呟いた

 

 

 

そして翌日、俺の通帳には前日と同じ95020の文字がうつったままだった。

 

翌日俺が教室に入ると教室はざわざわと騒いでいた

多分プライベートポイントが振り込まれなかった分だろうがそりゃ当たり前だ。

俺は気にせずにあくびをすると眠気が誘ってくる

 

「……あっ。」

 

すると佐倉が俺の方を見ると近づいてくる

 

「お、おはよう。」

「おはよう。佐倉。」

 

と挨拶をする佐倉にすると教室がざわめき始める

すると珍しく担任の先生がHR前に入ってくる。

 

「先生俺から説明した方がいいですかね?」

 

俺はそういうとクラス中の注目を集める

 

「やはり、お前は気がついていたか。」

「相変わらず中学校から実力主義の学校にいると感情よりもまずは警戒って頭の中に記憶してますしね。それに先生の発言をよく聞いていればちゃんと気づけたので。」

「どういう事だい?」

 

平田は俺に聞いてくる

 

「この先は私から。……その前に多分新井も思っていることを私の口から言おう。」

 

多分俺も思っていることは多分一致している自信がある

 

「……本当に愚かだな、お前らは。」

 

俺も呆れながらにため息を吐く

本当に呆れてしまう

 

「お、愚か……?え、さ、佐枝ちゃんせんせー?」

「当たり前だ。日頃の態度でこうなったってことだよ。紛れもなく他のクラスももちろん俺のクラスも振り込まれてるはずだ。」

「はは、分かったよマグロボーイ。私は理解出来たよ、この謎解きがね。そして君たちはマグロボーイに謝罪をしないといけない。君たちのせいでマグロボーイは被害を受けることになったのだから。」

 

足を机にあげながら、高円寺が笑って言った。

……てかマグロボーイって俺は少し呆れると

 

「要は、今月私たちに振り込まれたポイントはゼロポイントだった。そういうことだろう?」

「は?何言ってんだよ。毎月10万ポイント振り込まれるって言ってただろ?」

「私はそんな説明を受けた覚えはないね。そうだろう?」

「ふむ。態度には問題ありだが、その通りだ高円寺。全く、これだけのヒントをやっておきながら、気づいたのが数人とはな」

 

まぁ確かになぁ。

 

「……あの、先生。質問いいでしょうか。腑に落ちない点があります。」

「ポイントが振り込まれてないわけか?そんなの決まっているだろ。当たり前のことをお前らは。特に平田と須藤のグループはできてなかった。それだけの話だ。」

 

俺の発言に問題となった生徒は俺を睨むが

 

「俺は注意してたよな?授業中の発言や携帯電話の使用、遅刻欠席。この学校もそうだけど実力で生徒を測る。そのことさえ頭の中に入っていたのならいくら規則を積まれたって注意ぐらいはしたくなるさ。この1ヶ月間のDクラスの厳正な査定を行なった結果、俺らに対する評価は、『0』になっただけだろ?」

「ですが先生、僕らはそんな説明は……」

「言っとくけど言う必要がないってことだからな。これは当たり前のことを当たり前にこなしていたらこんな結果にならなかった。それだけだ。」

「言っとくが新井に当たるのも筋違いだぞ。こいつは中学校のころから実力主義の学校で生活してきた。それも学年主席や生徒会長を務めながらな。国からすでに優等生と認められている。だからこのシステムも簡単に見抜かれるだろうと予想し制限を掛けていたからな。」

「制限ですか?」

 

すると平田が改めて聞き直す

 

「学校生活における生活のシステムを公言しないようにな。そうじゃなければ先月にクラスに伝えているっつーの。」

「ついでにお前はいつ気づいた?」

「確信に変わったのは初日スーパーで無料製品が結構売れていたところですね。月始めなのに無料の製品が結構売れている。それも入学式終わりのスーパーですよ。すぐにポイントの増減があると確信しました。」

 

すると佐倉があっとしたように俺を見る。佐倉も無料の製品を結構買ったこともあり3万ポイントは残ってあることは確認済みだ

 

「これが優等生と愚か者の差だ。10万ポイントという甘い蜜に吸わずただ冷静に話を聞き答えをだす。そして遠回しながらも忠告し、水泳時のプライベートポイントの活用方についても確認する。お前ほど優れた生徒私は4年見てきたが貴様くらいしかいなかったな。」

「生憎そこまでできた人間じゃないと思いますが。」

「まぁ、さすがにお前が関わった奴にはちゃんとポイントを毎日確認させて無駄遣いを抑えるよう発言してなくてもポイントをあまり使わないように誘導していたからな。」

「悪いですか?助けるべき人と痛い目を見た方がいい人くらいの認識はちゃんと取っていると思いますが。」

 

かなり辛辣だろうがそれでも事実だ

 

「ほう真面目に受けていた平田は救済処置を施してもよかったのではないか?」

「なんでですか?当たり前のことを当たり前にできない。そのことを注意しない。注意できなくても謝りの一言を入れない。そんな奴を救済する奴がどこにいるんですか?実際井の頭と、佐倉、政治はちゃんと注意できないことを俺に謝りにきたことがあったし、それなら信頼できると判断しただけですけど。」

 

事実俺と平田は多分全くの別のタイプだと思う

 

「それに高校1年に上がったばかりの俺たちが、毎月10万も使わせてもらえると本気で思っていたのか?優秀な人材教育を目的とするこの学校で?ありえないだろ、常識で考えて。なぜ疑問を疑問のまま放置しておくんだよ。報告、連絡、相談。報連相をきっちりしておけば、しっかり分かる話だ。」

「本当にお前は高校生なのか?」

「いや、常識ですよね。月に10万もらえるって普通に考えてありえないですから。」

 

対する平田を見ると悔しそうな姿を見せるが、すぐに先生の目を見た。


 

「せめてポイントの増減の詳細を教えてください……」

「それはできない相談だ。詳細な査定の内容は、教えられないことになっている。しかし、そうだな……。一つだけいいことを教えてやろう」
そう言うと、先生はクラスを見渡した。
「遅刻や授業態度を改め、今月マイナスを0に抑えたとしても、ポイントは減らないが増えることもない。つまり来月も支給されるポイントは0ということだ。裏を返せば、どれだけ遅刻や欠席をしても関係ない、という話。どうだ、覚えておいて損はないぞ?」

 

あぁ。こりゃ多分潰しにかかっているな。

 

「どうやら無駄話が過ぎたようだ。本題に移るぞ」


 

先生はそう言って手にしていた筒から白い大きめの紙を取り出し、黒板に張り付けた。そこには、AからDクラスの名前とその横に、数字が書かれていた。

Dクラスは0。Cクラスが490。Bクラスが650。Aクラスは940だった。さすがにAクラスの高さには驚きを隠せないが


 

「お前らは入学してから昨日まで、贅沢三昧をした。もちろん、それを糾弾する気も否定する気もない。ただの自己責任だからな。事実、学校側はポイントの使い道に関しては制限をかけなかっただろう」

「そ、そんなのあんまりっすよ!こんなんじゃ生活できませんって!」

「バカが、よく見てみろ。お前ら以外のクラスには1ヶ月生活するには十分すぎるほどのポイントが支給されているだろう。言っておくが、一切不正は行われていない。査定は全クラス同じ基準で、厳正に行われた」

 

まぁ不正が行われたとなれば大変な騒ぎだからな

 

「どうして僕たちだけ、こんなにも歴然とした差になっているんですか?」

「……多分だけどここは問題児の塊なんじゃないか?」

 

すると政治がそう呟く

 

「俺も中学校の時に暴力事件を起こしたことがある。ついカッとなって野球部の推薦を取り消しになるほどの事件をな。」

「……ほう。」

「だから素行に問題があるとかそういった生徒が集まった結果こうなった。つまり優等生ほど上位のクラスに配属されるってことだよな。」

「政治。正解。やっぱお前BかAに配属されててもおかしくはないな。」

 

俺は素直に感心してしまう。実際暴力事件のことは聞いてはいたのだがちゃんと反省はしているのだろう。

 

「この学校では、優秀な生徒たちとそうでない生徒たちのクラスを順に分けて編成することになっている。優秀な人間はA、ダメな人間はD、とな。つまりお前らはこの学校では最下位。最悪の『不良品』というわけだ」

 

すると茶柱先生が事実を突き立てる

 

「私は逆に感心しているんだ。歴代Dクラスでも、1ヶ月で全てのポイントを吐き出したのはお前らが初めてだ。立派だよ」

 

再び皮肉のこもった言い方で、今度はぱちぱちと拍手まで加えてきた。随分と不名誉なもんだろうけどな

 

「このポイントが0である限り、僕らはずっと0ポイントということですか?」

「そうだ。だが安心しろ。お前らはこの敷地内で、無料のものを幾度となく目にしているだろう?ポイントがなくても死にはしない」

 

事実俺は結構お世話になっているからな

 

「……俺たちは卒業までずっとバカにされ続けるってことか」

 

須藤が机を蹴飛ばす。すると隣の佐倉はひゃうといい少し怖がっていた

 

「なんだ、お前にも人の評価を気にする気があったんだな。なら、上のクラスに上がれるように頑張ることだな」

「あ?」

「クラスのポイントは、個人の支給ポイントを示すだけではない。クラスのランクに反映される。つまり現時点でお前らが490より上のポイントを保有していたら、お前らはCクラスに昇格していたということだ」

 

上のクラスに上がる。それはDクラスにとって、文字通りゼロからのスタートだ。至難の道であることは火を見るより明らかだった。

特にAクラスに上がるのは。さすがに絶望的だろう

 

「さて、もう1つお前らにお知らせがある」

 

そう言うと、先生はもう一枚の大きな紙を再び黒板に張り出した。

 

「いくら馬鹿でも、これが何のことかくらいわかるだろう」

 

俺は その紙には、Dクラス全員の氏名、そしてその右には先ほどと同じく数字が書かれていた。

一位の欄に俺の92点。その後に堀北や高円寺、幸村などが続いている

 

「先日行った小テストの結果だ。不良品にふさわしい結果だな。お前たちは一体中学で何を勉強してきたんだ?」

「……」

 

俺が一位ってことに戦慄を覚える。あれ、めちゃくちゃ簡単なテストで最後の3問以外は誰にでも解けると思っていたのだが、平均は多分50点にも及ばないだろう。

 

「これが本番でなくてよかったな。もし本番だったら、下位6人はすぐに退学になっていたところだ」

「は!?た、退学!?」

「この学校は、赤点を取ったら即退学だ。説明してなかったか?」

「お、おいふざけろよ!退学なんて冗談じゃねえよ!」

「私に喚かれてもどうしようもない。これは学校の制度だ」

 

事実中学校のころからこの制度は変わらないしな。

 

「ふっ、ティーチャーの言うように、このクラスには愚か者が多いようだね」

 

相変わらず机に脚を乗っけたまま、上から目線で言う高円寺。

 

「は!?お前もどうせアホみたいな点数なんだろ!見栄張るなよ」

「やれやれ、どこに目が付いているのか、甚だ疑問だねえ」

 

言われて、高円寺の名前を探して見る。

下から上へと視線が動いていき、高円寺六助の名前があったのは、上位中の上位。点数は90点だ。つまり、あの三問のうち少なくとも1問を解き明かしたことになる。

 

「そんな、須藤と同じくらい馬鹿だと思ってたのに……」

 

そんな声が聞こえてくるが

 

「アホか。高円寺は性格は少し問題があるが授業は真剣にうけていて学生の本分を忘れていなかった。」

「そういうことだ。マグロボーイの言い方に少し棘があるが。」

「事実だろ。お前の性格さえなくせばAクラスだろうし。」

 

俺は少しため息を吐く

 

「それともう1つ。この学校は高い進学率と就職率を誇っているが、その恩恵にあやかることが出来るのは上位のクラスだけだ。お前らは全員がこの特権の対象だと思っていたかもしれないが、お前らみたいな低レベルの人間が、自由に好きな大学、好きな就職先に行けるなんて上手い話が世の中で通るわけがないだろう」

「つまりその特権を得るためには、Cクラス以上に上がらないといけないということですか?」

「いや、少し違うな。CクラスでもBクラスでもだめだ。この特権を手にできるのは、卒業時にAクラスに所属していた生徒のみだ」

「え、Aクラスに!?」

「ああ。それ以外の生徒については、学校側は一切の保証をしないだろう。新井を除いてはな。」

 

すると俺に注目が集まるが

 

「俺は東京高度育成中学校出身だからな。それもAクラス代表、生徒会長としてクラスを引っ張った功績がある。」

「そうだ。こいつは実力で他のクラスを蹴散らした。それも過去類をみないほどの圧倒的な差を見せつけてな。それでちゃんと国家から優等生扱いをされたってことだ。」

「「「……」」」

 

すると他の生徒は黙り混んでしまう。

東京育中の一言はそれほど効果的なんだろう

 

「どうやら、自分たちがいかに愚かで、悲惨な状況に立たされているかは理解が及んだようだな。中間テストまで残り3週間。精々頑張って退学を回避してくれ。私はお前ら全員が赤点を回避して、退学を免れる方法があると確信している。それまでじっくり考えて、出来ることなら、実力者にふさわしい振る舞いを持って挑むことを期待している」

 

すると茶柱先生はヒントを残して去っていった。



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友達

クラスが騒然とした雰囲気に包まれているのだが

 

「やっぱり自業自得だよなぁ。」

 

すると政治が呆れたようにクラス中を見る

 

「……まぁ、よく考えたら私たちのせいだもんね。」

「……自己評価がちゃんとできていたならお前らは大丈夫だと思うけどな。」

 

俺は少し呆気に取られながらいつも通りの2人と話していた

 

「…どうした?」

「いや。結構ボロクソに言ったし正直恨まれても仕方ないことを言ったはずなんだけど。」

「それは俺の方だと思うんだけど。俺暴力事件起こしたことクラスメイトに話したしな。」

 

そういえばそうだったな、

 

「私は何もできなかったから。言えることではないのだけど、それでも2人は友達だから。新井くんがトラブルを作るのはいつものことだし。それに本当のことだと思うから。」

「……トラブルメイカーとか不名誉すぎるだろ。否定はできないところがまた辛いな。」

 

すると少し笑顔が溢れる。というのも多分だけど本心からバカにしていないことが分かったのだろう

 

「でもお前すげぇな。育中で生徒会長って。」

「いや。大したことではないからな。最終的にそうなっただけだし。俺も一年の最初はこの学校でいうCクラスだったしな。まぁそれでも上位の奴らとは100ポイントも差がなかったし。システム的にもかなりこっちの方が厳しい。」

 

特に情報規制をかけられているところがきついんだよなぁ

 

「そういえば育中でもこういったことがあったの?」

「育中はプライベートポイントではなくてクラスによって待遇が違うんだよ。俺は3組と1組に在籍していたけどAクラスは授業をリクライニングシートやタブレット端末の支給に最新鋭の教育設備。寮もお手伝いさんがいるほどの学校だったからな。4組も普通の生活をしていたことを考えるとこっちの方が厳しいと思う。」

「すげぇなそれ、」

 

呆気にとられたようにしているけど

 

「それが実力主義ってこと。まぁ俺は優等生扱いだったけど結構争うことが好きだったから無茶言ってこの学校の最底辺クラスに配属されるようにしたんだけど。それがこんなに悲惨だとは思わないだろ?」

「辛辣だね。」

「ここは学力や運動だけを求めるだけじゃないからな。元々社会に適合できるような生徒を育成する学校なんだ。勉強や運動だけができたって意味がないってこと。」

「「へぇ〜」」

 

俺の説明に2人が頷く

 

「まぁ、一月に結局信頼できる人は3人しかできなかったけどな。」

 

少し苦笑してしまう

 

「うん。でもこれクラス内で分裂するよね?」

「おそらくな。まぁあんまり関係ないんじゃないの?生憎俺結構キレているからな。」

「お前に限ったら完全被害者だもんな。」

 

と俺たちは話合う

 

「まぁ俺も井の頭も今月は大丈夫だ。」

 

多分ポイントのことを言っていることは分かるけどな

 

「どうせ俺の家で飯を食うんだろ?ついでに弁当は?」

「さすがに悪いよ。私も料理は少しはできるから。」

「そうだな。俺は料理はさっぱりだけどおにぎりかなんかで済ませるさ。」

「……軽いおかずくらいは作ってやる。」

 

俺はため息を吐く。

でもこういった会話が多分気分を楽にさせてくれるんだと思った

 

 

 

 

「そういや、今日2人の放課後は?」

「いつも通り。」

「以下同文。」

「二人ともやっぱり平田くんの話合いには参加しないんだね。」

 

井の頭がそういうと

 

「当たり前だ。てか集ってくるやつがうざい。」

「山内なんか俺に22000でゲームを買ってくれって頼んだんだぞ。綾小路には20000だったのにな。」

「図々しいにもほどがあるだろ。」

「私も軽井沢さんに2000ポイント徴収されちゃったから。」

 

軽井沢あいつかなり威張っているよな。

 

「……はぁ。俺余裕あるから井の頭の生徒番号教えてくれ。俺が立て替える。」

「えっ?」

 

すると驚いたように井の頭は俺を見る。

 

「俺も使い道ないし2000ポイントくらいなら出せるぜ。お前佐倉にもどうせ聞くんだろ?」

「あいつデジカメ買っていたからな。まぁそれでも3万ほどは残っているはずだけど。」

「それならここは俺が払う。お前ばっかり甘えさせるわけにはいかないからな。」

「ちょっと2人とも。」

「いいから女子は俺たちより金かかるだろ。それに俺は部活動でポイントを稼げるチャンスがあるからな。」

「ん?お前もしかしてベンチ入りできそうなのか?」

「あぁ。春季大会からベンチ入りできたぜ。さすがにもう監督は殴ったりしないけどな。」

 

少し苦笑している政治に俺は少し笑ってしまう

というのも俺はブログで政治が起こした暴行事件の全容を知っていた

後輩の体罰を発見しこいつは監督に暴力を振るってしまったのだ

その結果監督は解雇。そして政治は停学1週間という事件だが一応暴力事件は暴力事件。こいつは推薦取り消しになったらしい

普通にいいやつ。それが俺が政治に持っている印象だ

こいつ事件後も後輩や同級生からはかなりの信頼を得れていたらしいからな

ブログ記事にも笑顔の政治を見かけているのでまず間違いないだろう

 

「俺も国家試験受けようかな。クラスポイントはともかくプライベートポイント欲しいし。俺将来的にとらなくちゃいけない奴いくつかあるし。」

「私も少し勉強頑張ろうかな。」

 

すると俺たちの方針ができていく。

 

「とりあえず赤点だけは絶対禁止夕飯は俺が作ってやるから基本無料のスーパーから食材をもらってきてくれ。」

「分かった。」

「うん。私も手伝うね。」

「それと夕飯終わったら勉強会を開こうぜ。毎日2時間くらいか。俺も成績がいいってことはないけど。」

「でも92点取れているよね。」

「最後の問題と部分点が取れただけだ。あとは簡単な問題だったし日頃の勉強をおろそかにしてなければ最後の3問以外は満点が取れる。」

「……それをしっかり答えることができるのが凄いんだけどな。」

 

絶句する政治に俺は苦笑してしまう

 

「てかいいのか?お前もうそろそろ部活じゃ。」

「やば。それじゃあ行ってくる。」

 

すると部活動のカバンを持ち

 

「おう。また後で。」

「また後でな。」

 

そして手を振る。

 

「俺も今日は帰ろう。井の頭は?」

「私はここに残ろうと思う。」

「ん?参加するのか?」

「何があったのか聞いておこうって思って。」

「ん〜了解。それじゃあまた後で。」

「うん。」

 

多分大丈夫だ。

俺が言わなくても成長の兆しを見つけ始めている

俺は少し笑いそして教室を出るのだった。



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問題

あれから一週間が経とうとしていた。

今や授業中は誰も話すことなく授業をノートに文字を写していく

これが当たり前の光景なんだけど。

まぁ佐倉の隣で未だに寝ている奴はほっといて俺たちは授業を真剣に取り組んで

 

「たうわ!?」

 

左から声が聞こえ俺、いやクラス全員がそっちを向く

すると手元でコンパスを持っていた堀北という少女が隣の綾小路をコンパスで刺したのであろう

 

「……こえぇ。」

 

小さく呟くと俺は少しノートをまたとっていく

そしてチャイムが鳴り終わると俺は立ち上がろうとした矢先

 

「みんな!先生の言っていた中間テストが近づいてる。赤点を取れば、即退学だということは全員理解していると思う。そこでなんだけど、参加者を募って勉強会を開こうと思うんだ」

 

すると平田がそんなことを言い出す。普通なら参加していたと思うが俺は今回は違いパスだ。

というのも俺は小テストで奇跡的に点数がクラストップという成績を起こした為教える立場になることと元から勉強会を毎日行っていたからだった。

 

「それにしてもみんな必死だね。」

「サボっていた分のツケが回ってきたことが原因だろうな。」

 

俺が少しため息を吐く。

まぁ自業自得なわけなんだが

 

「そういや佐倉さんは?」

「あいつは多分すぐに帰って撮影するんじゃないのか?連絡先は交換しているし今でも普通に買い物したりしているんだけど。未だに人付き合いは苦手らしい。」

「そっか。」

「俺と遊ぶ時でも無意識的にだと思うんだけど他の人が通りすぎるとき少し俺を盾にするようにするからな。」

「私よりも人付き合い苦手なのかな?」

「苦手だろうな。」

 

俺はキッパリと言い切る。

 

「事実あいつ俺以外は完全に関係を遮断しているからなぁ。まぁでも面白いし趣味は合うしな。」

 

撮影の話は結構もりあがるし撮影技術については俺よりも詳しいしな。

 

「……ってそうだった。今日佐倉と勉強会するからパス。」

「えっ?佐倉さんと?」

「あぁ。一応俺の部屋でな。」

「……二人で?」

「……先に忠告しておくけど、勉強会するだけでなんにもないからな。」

 

俺はジト目で見る

 

「それは分かっているさ。ただ懐いているんだなって思ってな。」

「懐くってポ○モンや犬じゃないんだし。というよりも俺から佐倉に話しかけることの方が多いしな。」

「それでもだよ。」

 

井の頭は少しため息を吐く

 

「佐倉さんってどこのグループにも入ってないし、櫛田さんもあまり仲良くないみたい。」

「櫛田?そんな奴このクラスにいたか?」

「「……」」

 

俺は首を傾げる

 

「……そういえば、櫛田さんと康太が話しているとこ見たことないな。」

「というよりもこのクラスでも最低限の人としか話したことがないんだけどな。小さく深くがモットーだし。」

「そう考えると友達付き合いが多い櫛田ちゃんとは真逆なんだね。」

「ってよりもみんなと仲良くっていうのが嫌なんだよ。人間絶対に嫌な人間だっている。ぶっちゃけ俺のことが嫌いでもいいし俺だって嫌いな人物くらいいる。」

「あ〜。それは分かるな。誰とでも仲良くって結構ストレス溜まるもんなぁ。」

 

政治も頷く。

 

「そうなのかな?」

「……そうだな。俺も野球部の先輩でも苦手な人がいるしな。」

「俺も一時期、とあるバカのせいで一個上の先輩とバトって学年でおよそ4分の1以上退学扱いになったしなぁ。」

 

元々俺らの代はそこからおかしくなったとも過言ではない

俺たちの代。それはもう……地獄の代と呼ばれている

 

「「えっ?」」

「2学年と1学年のクラスの対抗戦があったんだよ。俺たちのクラスは一人もかけなかったけどそれでも他のクラスは大惨敗で数十人単位で退学になった。」

「うわっ。えげつねぇ。」

「その代わり勝てたらかなり報酬は良かったぞ?確か夏休みアメリカに研修旅行だっけ?」

「……それはすげぇな。」

「まぁ俺は行けなかったんだけどな。俺は夏休み中に料亭に入らないといけなかったし。」

「そっか。ここほど秘密主義ではないんだったよね。」

 

事実育中の制度は実力主義を公言しており、さらに俺らの代はここよりも規則は恐らく厳しい

でも、それだからこそ人気があった学校なのだ

と二人と話している。そしてこの日から

俺たちの暮らしが一気に変わることになる

 

 

 

カリカリというペンの音が自分の部屋に響く

 

「……」

 

無言だけど真剣にノートに回答を書いていくと

 

「あの、ここは。」

「そこは」

 

俺は簡単に説明しながら答えを

佐倉との勉強会は順調に進んでいる

いつものメンバーとやるのもいいんだけど、それでもこういった静かに勉強するのも悪くはないだろう

 

「……ふぅ。一旦休憩しようぜ。もうそろそろ晩飯どきだろ。何か適当に作るけど。嫌いなものあるか?」

「えっ?ううん。ないけど。」

「飯食いながら聞かせてくれないか?相談したいことがあるんだろ?」

 

俺がいうとすると佐倉は頷く。

元々勉強会は建前でちゃんと佐倉の成績について知っておきたかったからだ。本題はこっちである

帰り道にニラと卵。もやしと冷凍してある豚肉そして人参があるので卵スープと中華風に炒めたものでいいだろう。

そういいながら料理をてきぱきと進めると

 

「あ、あの。何か手伝うことはありますか?」

「ん?」

「何もしないのも悪いので。」

 

まぁそうか

 

「それじゃあ火見てくれないか?俺炒めもの作るから。」

「は、はい。」

 

俺はそういうとすぐに料理を作っていく。

 

「…そういや、ブログ見ました。レシピもわかりやすかったです。」

「ん〜まぁ簡単なものばっかりだしなぁ。元々安価なものをつくるのはこの学校の仕組みせいでもあるけど。」

 

実際メモ料理のレシピ書いたものを写真にとってあげることは違反ではないことは生徒会で確認済みだしな

 

「そういやそっちは?ブログは続けているんだろ?」

「……うん。続けているんだけど。」

「身バレしたのか?」

 

すると俺は軽く靄がかかったのを見過ごさなかった

ブロガーにとって身バレほど怖いものはない。特に自分と名前を隠している場合は特にだ

そして佐倉はそれに当たる

しばらく黙りこんでその後夕飯を食べる

多分的はほぼあっているはずだ。

そして食べ終わり一息入れると

 

「……これを見てほしいの。」

 

スマホを渡されると一枚のブログの写真を見る

……やっぱりメガネはプラグだったか

そこにはメガネを外した佐倉が写っている

それも俺といる時とは違い明るく雰囲気が出ている

その全ての原因は見せ方だろう

でもこの写真が問題ではないことが分かっている

……おそらく問題は

SNSの恐怖やブログの恐怖では結構あるのだが

それはコメントの一つを見ると軽く舌打ちする

 

『運命って信じる? 僕は信じるよ。これからはずっと一緒だね』

 

他のコメント欄を見ると

 

『いつもきみを近くに感じるよ』

『今日は一段と可愛かったね』

『目が合ったことに気付いた? 僕は気付いたよ』

『今日なんで隣に男が居たんだい? ねえ、どうして? もしかして彼氏だったりするのかな? 教えてよ』

 

「……ストーカー。または嫌がらせ行為か。」

 

すると頷く佐倉。

さすがにこれは酷いとしか言いようがない

歴とした犯罪行為をずっと学生以外の人間から受けていたのだ

 

「最初はただの行き過ぎた妄想だと思ったんだけど。これまでにも何件かこういった機会には遭遇したから。」

「けれど同じような内容の文面はそれから毎日送られてきて、エスカレートしていったんだな。てか俺と一緒にいたのも結構見られてるぽいな。」

 

俺についての書き込みも多くしてあり、その始めは水着を買いに行った時だろう

多分俺に話しかけざるを得なかったのは俺ももう危険だと思ったからだろう

実際俺はそのことに気づいていた

ストーカー行為についても身バレがあったと考えれば予想はつく

ただその理由が分からなかったから動けなかった

でも雫というネットの名前を聞いたところ俺は気づかざるを得なかった

今目の前にいる少女はグラビアアイドルなんだと

 

……まぁそれはどうでもいいんだけど

 

「……警察には?」

「ううん。まだだけど。」

「……」

 

つまりこの限りでは2通りの解決法があるってことか

 

「それでどうするんだ?このまま泣き寝入りってわけにはいかないだろ?」

「……うん。あのね。」

「あっ。悪いけど関わらないっていうのはなしだぞ。そうしたらまずいい気になるのはその犯人の方だ。佐倉に危険が及ぶ可能性が高い。」

「……でも。」

「…あんな、正直こんなことを知って見過ごせるはずないだろうが。ぶっちゃけ結構深くまで関わったし。生憎トラブルになるのはいつものことだからな。」

 

ぶっちゃけもう慣れたものである

 

「それにダチが困っていて助けないって訳にはいかないだろ?」

「……えっ?」

 

すると驚いたように俺の方を見る佐倉に少し慌ててしまう

 

「あれ?違った?結構気を許していたんだけど。」

「い、いえ。えっと。友達ってできたことがなくて。」

「……さらっと虚しいこというなよ。」

 

さすがに苦笑してしまう。自己評価が低いっていうよりも卑屈なんだよなぁ

 

「……あの、本当にいいの?」

「…逆に俺の方が問題児なんだけど。」

「ううん。大丈夫だよ。私のことを変に見ないし。」

 

……まぁそういうやつもいるよな

 

「とりあえずなるべく放課後は一緒にいるようにするしかないだろ。できればもう数人一緒に集まった方がいいな。……協力煽ることになるけど井の頭呼んでいいか?」

「えっ?」

「最悪警察の厄介を受ける可能性があるし、そうした場合周辺の説明とか含めた女子の方がやりやすいと思うし多分俺との二人っきりなのが問題のところもあると思う。実際彼氏かって聞かれている訳だし、それなら本当は政治も巻込みたいんだけど。さすがに無茶だと思うしな」

 

というよりも、今までにここまで一人で解決しようと思っていることが結構まずい事態を起こした一因でもある

 

「まだ向こう側からSNS以外に書き込みは?」

「ううん。今の所は。」

「あっ。そうそう。出来るだけ証拠を集めたいから嫌だと思うけどブロックにはしない方がいい。というよりも俺たちのことを見られていることはほぼ確定だから凍結した瞬間接触を測って来る可能性もあるしな。」

 

とりあえず注意事項を一通り話す。基本は明確な証拠がない以上警察は動く可能性は少ないだろうし、簡単なことだけど

 

「……んとまぁ、こんなところか。」

「……」

「どうした?」

「ううん。新井くんって頼りになるって思って。」

 

少し安心したように笑う佐倉に俺は軽く頰を掻いてしまう

なんというか素直に褒められるって結構照れくさいものがあるな

そうしながらも今後の展開をどうするかという話し合いをした後10時を少し過ぎたあたりで解散する

……これから少し忙しくなりそうだと思いながら



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カリスマ

「…という訳で佐倉も勉強会に参加することになったから。」

「「……」」

「よ、よろしくお願いします。」

 

翌日、俺の部屋にもう集まるってことが決まっているので少し大きいテーブルを買ったあといつもの晩飯時に協力を頼もうと思ったところ政治にも話してもいいという佐倉からのこともあり伝えることになったんだが

 

「うんよろしくね。」

「よろしく」

「とりま政治はともかく井の頭は結構頼ることが多いと思う。一応職員室や警察に行ったんだけどあんまり反応は良くないし。動いてくれるかはあっち次第っぽい。」

「……なんか手慣れてない?」

「俺もブログやっているからな。身バレしたこともあるし。」

 

実際ブロガーとは身バレと間近にあるからな

 

「特に男子だと嫌がらせ行為とか全く聞き入れてくれないからな。マジでこえぇぞ。40歳くらいのおばさんが家の住所特定してくるんだぞ。」

「「「うわぁ。」」」

「まぁ実際俺は料亭の息子って立場を利用して納めたんだけど。やっぱり難しいんだよなぁ。こういう嫌がらせ。特にストーカーは。」

 

実際のところ解決に時間が掛かるっていうのが事実だろう

 

「実際に接触や手紙はないから証拠を出せないっていうのがネックだな。まぁどっちにしろ社会的に潰すの

に手間が掛かるだけだしな。」

「……今さらっと怖いこと言ったよね?」

「どっちにしろ逮捕をするしかないだろ。だからこそ最悪警備員に捉えさせればいいだろうな。どっちも国家範疇だし。まぁとりあえず佐倉と自分の身第一にすればいい。」

 

実際二次災害が起こったら大変だしな。

 

「……なんというか。」

「お前いつもとは全然違うな。」

「あんな。相手犯罪者だぞ。……容赦したら最悪俺らも巻き込まれるんぞ。」

 

俺はそういうと全員がぎょっとしたようにする

 

「警察と学校がバックにいない以上、一応俺たちで解決する方が都合がいい。まぁ、俺たちの個人情報は学校も知っているはずだ。それなのに動かなかったということは?」

「舐められているかどうでもいいと思っているかだな。」

 

政治に頷く。

 

「……って言ってもしばらくは一人で行動しないこと。それでなるべく俺はついてやるけど中間テストの攻略法をやらないといけないし。」

「中間テストの攻略法?」

「……あぁ。おそらく中間考査は去年と問題は同じはずだ。だから過去問を先輩から買えばいい。」

「……過去問ですか?でもなんで。」

「これは小テストが鍵だよ。最後の三問は普通の生徒なら絶対に解けないようになっていた。特に最後の問題は正答は俺一人でクラスメイトの綾小路とAクラスの坂柳しか解けなかったらしいんだよ。」

 

逆に俺は最後の三問は一問は解けたけどな

 

「綾小路?頭のいい奴にそんなやつだったか。」

「綾小路は小テスト50点だったしな。」

「50点ですか?」

「……あぁ最後の三問を完全に正解しての50点なんだよ。」

 

すると全員は驚く

 

「お前なんでそんなことを知っているんだ。」

「Bクラスの担任からテストの結果を一万で買った。どうやら俺たちの担任はどうも信用できないと思ってな。まぁ実力を隠したいんだろうな。これは全員伏せろよ。多分あいつかなりの曲者で敵に回したら面倒臭い。それなら味方につけてどれくらいの実力だか確かめたいしな。だから少し接触を図ろうかな。」

「「「……」」」

「どうした?」

 

俺は全員の方を見る

 

「いや。楽しそうだなって。」

「当たり前だろ。俺はこういうことが好きでこの学校に来たんだよ。」

「こういうことって?」

 

争いが好きで。俺を信用してくれる奴がいて、何より

 

「……こうやって純粋にみんなで集まって何かをするってことが好きなんだよ。」

 

みんなで楽しむってことが何よりも好きなんだよ。

こうやって駄弁って。戦って、考えて。

時に頼られて。時に頼ったりして、

そんな戦友がいるからこそこの学校を選んだ。

一人だったら俺は何もできやしない。

でもこいつらがいるならば、俺はどこまででも戦ってやる

難関な試験だろうがどんだけ妨害をしてこようが構わない

こいつらを傷つけたり、邪魔をするやつはたとえクラスメイトであっても潰す

 

「……こりゃ、すげぇ。」

「うん。確かにこれはついて来たくなるよね。」

「何の話だよ。」

「ううん。ただすげぇ差があるなって思ってな。」

 

政治の言葉に首を傾げ井の頭と佐倉は顔を真っ赤にしている

 

「……まぁ、中間テストの過去問題は俺の方で何とかするよ。だから佐倉の方をついてやってくれ」

「ん?いいのか?」

「さすがに頼りになりすぎているしな。俺も少しは何かしてぇ。」

「私も家庭部の人に聞いてみる。」

「できれば上級生DかCにこっそり聞いてくれると助かる。ついでに他のクラスにその小テスト売るから。」

「「「えっ?」」」

「いや。純粋に同盟相手。当分は同盟相手を見つけることにするよ。まぁAかな。どうやら派閥ができてるしそれを逆手に取ろうと思っている。当分はこっちはこっちで忙しくなりそうだし。他のクラスと争っている時間はないんだよ。」

 

もちろん組む相手は決まっている

 

「……とりあえず当分は佐倉のことに専念するから。」

「うん。迷惑かけてごめんね。」

「迷惑なんて思ってないから大丈夫。それに」

 

俺は笑って

 

「せっかくだから前哨戦と行こうか。」

 

俺はニヤリと笑い策略を練る

 

「……俺絶対康太だけは敵に回さないでおこう。」

「私も。」

 

二人が失礼なことを言っていたのはその後の晩飯でしっかりとお仕置きした。




氏名 新井康太
所属 1年D組
学歴番号 S01T004718
部活動 無所属
誕生日 2月1日

評価

学力  B+
知性 A
判断力 A+
身体能力 A+
協調性 B+

面接官からのコメント

全ての面で平均以上の基準を持ち、特に知性 判断力 身体能力は学年トップレベルである。
小さなグループであるが弱い立場にあった同級生を押し上げ上のクラスでも通用するような人材を1ヶ月で二人作り上げた
本来ならAクラスであるが、自己評価の低さと本人の希望によりDクラス所属とする


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交渉

「……さすがにこれはないだろ。」

 

俺は少し溜息を吐く。

 

翌日三年の野球部の先輩から借りてきた政治と家庭部から借りてきた二年の井の頭の問題用紙を見ると

同じだった。

同じだったことは別にいいのだが

 

「テスト範囲から5〜6ページずれてんじゃねーか。」

 

俺は小さく溜息を吐く

 

「どうするの?」

「どうしようもねぇだろ。とりあえず同じ問題がほとんど確定的に出ることは分かったんだ。とりあえず過去問付近を徹底的にやるしかないだろ。」

 

となると省かれるところが結構あるな。

 

「答案丸暗記じゃなくてか?」

「答案丸暗記してもいいんだけど保険をとっておきたいんだよ。ちゃんと理解をしていたらこんな問題なんていらないしな。それに丸暗記なんて俺はぶっちゃけあんまり好きじゃない。元々理解をしておけばちゃんと解ける問題だ。」

「……真面目だな。」

「勉強くらいはちゃんとした攻略法を取りたいしな。」

 

実際これに限っては自分の役に立つことが多い。それで答えを丸写ししたところで高得点を取ったとしても何も役に立つことはない。

 

「……はぁ。じゃあ何でこれを取ったんだ?」

「佐倉の件で事情が変わったんだよ。他のクラスへの牽制を加えざるを得なくなったんだ。」

 

実際どうしようもないままだし。佐倉の件どうすればいいのか分かっていなかったしな。

 

「でも、それじゃあ他のクラスが有利になるんじゃないんですか?」

「う〜ん。まぁそうだろうな。そうだけど、大した問題じゃない。」

 

俺はきっぱり言い切る

 

「どうせすぐに気づくはずだ。多分テスト範囲の変更は早くて一週間前。遅くても3日前には通告を受けると思う。でも、何で増えたのかっていうのが問題なんだよ。だから攻略法があるってすぐに気づくはずだ。……まぁもうそろそろ俺も動き出すか。美味しい情報が握れたことだしな。クラス交渉といきますか。」

 

 

 

「すいません。坂柳さんはいらっしゃっいますか。」

 

と俺が放課後Aクラスに乗り込んでいた。

 

「……あら?あなたは。」

「Dクラス所属の新井康太だ。Aクラスの代表の坂柳さんと取引をしにきたんだけど。」

「「「「なっ!!」」」

するとざわめき始めるとするとこつ、コツっと音を立てながら

 

「……あら。私はまだこのクラスのリーダーではありませんけど。」

「謙遜するな。このクラスの派閥については理解しているしそっちにも俺たちのクラスのこと耳に入っているんだろ?」

「えぇ。新井派と、平田派の派閥争いのことですね。」

「あぁ。まぁ派閥を作ったわけじゃないしリーダーを名乗り出たわけじゃないんだけどな。ただ平田のやり方が気に入らないだけだし。」

「やり方が気にくわないとは?」

「こっちでいう葛城みたいな奴かなぁ。俺目線クラスの平和に執着しすぎているんだよ。面は一ノ瀬。裏は劣化版の坂柳みたいな奴かな。まぁ同じ土俵に立てないくらいには遠いけど。」

 

俺は軽く肩を竦める

すると軽く睨んでくる坂柳に俺は取引の話になる

 

「……それで何の取引をしにきたんですか?」

「いや。個人的な話だけど俺のグループと坂柳の派閥を一年間の協力関係を結びたいんだよ。とりあえずこれからの情報をお互いに共有し合うっていう感じだな。まぁ、おそらく一週間のうちに起こるであろう出来事について教える。協力関係を結べるなら、中間テストの攻略法と葛城の面白い情報を売ってやるっていえば?」

「……売るですか?」

「ポイントを渡すことによって条約が発生する。裏切れないしこういった取引は売るにした方がいい。口約束なんて信用ならないしな。最悪100ポイントでもいい。もし裏切ったようならば詐欺になるからな。」

「なるほど。詐欺として退学をするようにするのですね。」

「あぁ。……んでどうする?」

 

俺はそういうと坂柳はすこし考えたようにしている

 

「あなたは何で中間テストの攻略法を調べることにしたんですか?」

「あぁ。元々は担任が信用できないことばっかりだったからな。俺は星之宮先生に情報を渡してもらっていたんだよ。無料で教えてもいい情報を。」

「担任が信用できないとは。」

「あの先生は欲を持っている。先生曰く綾小路を堀北が来ることを予想して呼び出していたらしい。それは綾小路の異常性に気づいていると言っても過言ではないんだよ。」

「……綾小路くんが異常ですか?」

「当たり前だ。最後の問題は俺とお前綾小路しか解答できてないしお前らしか最後の問題は解答していない。この学校の個人情報は大体買うことができるし元々ブログやSNS、元々の学校のホームページを見れば少しくらいは個人情報を集めるくらいのできるんだよ。でも綾小路には全く情報がない。まるで本当に隠されていたようにな。」

 

俺が言い切るとすると坂柳は少し目を開く。

どうやら心当りあるらしい。

 

「……まぁそんな話はどうでもいい。それで取引に応じてくれるかどうかって話だ。」

「……攻略法ですか。えぇ。お受けします。葛城くんの件も合わせて。」

 

俺はそういうと坂柳にスマートフォンを見せる

そして坂柳はそれを見て俺は過去問の二枚目と三枚目そして葛城と一ノ瀬が生徒会から落ちたことも伝える。

 

「どうだ?」

「……このデータは。」

「坂柳のメアドにデータに送る。一応中間の方はもしかしたら変わる可能性があるから確実ではないけど、過去の傾向からいうと今年もこの問題であることが高いだろうな。」

「……えぇ。有意義な情報ですね。私からは10万ポイント払いたいと思います。」

「……高すぎねぇか?」

 

多分この二つで3万あればいい方だと思ったんだが

 

「いえ。今までの会話に面白いところと学校の仕組みを理解して既に結構情報を集めていることが分かりました。もしかしたら私たちの情報を握っている可能性だってありますから。」

「あぁ。……まぁ裏切るような真似はしないし。バラすような真似はしないけどな。こっちは当分忙しいからな。とりあえず連絡先を渡しておくから後からメアドに打ちこんでおいてくれ。」

「……はぁ。情報を持っていることに否定はしないんですね。」

「そっちの方がいいだろうからな。まぁ時間があればチェスでもしようぜ。チェスも相手がいた方が為になるしな。」

 

そう言って俺は教室から出る

……予定が狂ったな。

俺はため息を吐きながら仲間の元に戻った



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