昔々ある所に「アミク」という名の少女がおりました。
その少女は幼いころから類まれなる美貌を持っていました。
彼女は優しい両親に恵まれ、すくすくと元気に育っていました。
両親の名前はミラジェーンとロキ。
ミラジェーンは非常に気立てがよく、清楚な女性でした。
ロキは多少、女性にはだらしないところがありましたが、優しい性格で妻も娘も思いやる良い父親でした。
「ママ!!パパ!!みてみて!!かわいいブロッコリー摘んできたよー!!」
「あらあら、うふふ…」
「しょうがないな、うちのお姫様は」
二人とも、アミクを愛してくれてアミクもそんな彼らを愛し、みんなで幸せな生活を送っておりました。
しかし、そんなある日、悲劇が起こってしまったのです。
「ママ…!」
「なぜだ…なんで…」
ミラジェーンが病死してしまったのです。
大好きな母親が死に、アミクもロキも非常に悲しみました。
しかし、ロキはいつまでも悲しみにくれるわけにはいけない、と再婚をすることにしたのです。
その再婚相手の名はカレン。
さらに、彼女にはエンジェルとシェリーという連れ子がいました。
こうして、アミクには継母と義姉妹ができたのです。
しかし、アミクの更なる不幸はここから始まったのです。
彼女達はとんでもなく性悪で、アミクの美貌に嫉妬したのか、どうなのかはわかりませんが、ロキの見えない所でいつもアミクをいじめておりました。
「アミクぅ、ロキに気に入られているからって調子乗ってんじゃないわよ!!」
「お前の服も、ぬいぐるみも、全部私の物なんだゾ」
「まさにこれが、『愛』なのですわ!!」
シェリーに至ってはよくわかりませんでしたが、全員あの手この手でアミクに嫌がらせをしてきました。
家事をアミクに押し付けたり、頭を叩いてきたり。しかも、ロキに気付かれないように巧妙にやるものですから、性質が悪いです。
アミクもロキに心配を掛けたくなくて、黙っていました。
そんな生活が続いたある日。
ロキまでもが、事故で亡くなってしまったのです。
「パパァ…」
アミクはミラジェーンとロキのお墓の前で声をあげて泣きました。
しかし、そんなアミクには悲しむ暇もありませんでした。
悪辣非道なカレン達はロキがいなくなるや否や、家を乗っ取り、好き放題。アミクを奴隷のように扱き使い始めたのです。
ロキ、という唯一の味方さえ失ったアミクは毎日のようにカレン達に叩かれ、仕事をさせられ、しまいにはアミクの部屋まで奪ってしまいました。
何もかもをカレン達に取られてしまったアミクは屋根裏に押し込まれました。残された服も継ぎ接ぎだらけのものが2着ほど。
屋根裏は蜘蛛の巣だらけで埃っぽく、到底人が暮らせるような場所ではありません。
しかし、文句を言えるはずがありませんでした。
ここには誰一人自分の味方がおらず、カレン達の立場が圧倒的に上だったからです。
「ママ…パパ…辛いよ…」
アミクはいつもボロボロのベットの上で亡き両親を想い、涙を流すのでした。
童話だから簡単だろ~と思いきやそうでもなかった。
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シンデレラ 2
なんじゃこりゃ
しかし、そんなアミクにも友達がいました。
友達と言っても人間ではありません。ネコです。しかも喋ります。
「マーチ!!」
「今日も、相変わらず扱き使われてる、の」
マーチという名のネコは、以前アミクが外に出た時に死にかけていた所を助けて家でこっそり飼っているのです。
「これくらいどうってことないよ。要は楽しめばいいの!」
「前向きなところは尊敬する、の」
アミクはごそごそとスカートのポケットを漁ると、僅かな食糧を取り出しました。
「ごめんね…これだけしか持ってこれなかった…」
「十分、なの」
こっそり飼う以上、餌を与えなければならないのですがそれが大変なのです。
意外にもマーチは人間が食べるものも食べれるらしく、ネコ用の餌を探す手間は省けるのですが、食事を手に入れるのが簡単ではありません。
この家には食糧庫があるのですが、その食糧庫には鍵がかかっており、その鍵はカレンが管理しているのです。
だから、アミクが食べる分を分け与えなくてはなりません。しかし、アミクの分の食事の量が日に日に少なくなっているのです。間違いなくカレン達のいやがらせでしょう。
なので、その僅かな量をマーチに与えることもしばしばです。
「アミク、また痩せた、の?」
「そ、そうなの!最近ダイエットしてて―――」
薄々、マーチもそのことに気付いていました。
マーチはこのままではアミクが衰弱死してしまう、と心配し今度からは自分で食事を調達しようと考えました。
「アミク、もう自分でエサ探すから無理しなくていい、の」
「え、でも…」
とはいえ、外はネコにとっては危険です。天敵も多くマーチではやられてしまう事もあるでしょう。
「心配ない、の。あーしは『ジャングルの女帝』とも呼ばれるほどのネコ、なの」
「なんでジャングル!!?」
そんなわけで、マーチは夜な夜な一人で外に出ては食べ物を持ってくる、という生活を始めました。
アミクもある程度食事をとれるようになりましたが…カレン達の嫌がらせは留まる事を知りません。
「アミク、今日私は出掛けてくるから、お前のへそくり全部寄こせなんだゾ」
「え、なんでその事を…」
「お前は私達の管理下にあるんだゾ。お前の持ってるお金くらい把握しているゾ」
「そんな…」
「いいからさっさと寄こせ!お前の物は私の物だ!!」
エンジェルにコツコツ貯めていたへそくりを奪われ。
「あらあら、アミクさん。醜い顔してますわねぇ」
「痛い!痛い!!やめて!!」
「大分マシになりましたわ。まぁ、どうせ貴方なんて誰も愛さないんでしょうけど」
シェリーには顔を刃物で切り付けられ。
「いつまで掃除やってんの、このクズ!!」
「ああぁ!!」
「お前みたいな性悪女はこの家には必要ない!!出ていきなさい!!」
「お母様、ごめんなさい…」
カレンには痣ができるほどぶたれて、寒い日に一晩中外に閉め出されたりされました。
そんな環境にいても、アミクの傍にはマーチがいました。
彼女が、アミクの心の支えとなっておりました。
だから、苦しくても毎日頑張っているのです。
「無理しないで、なの…」
「ありがとう、マーチ」
アミクが辛い目に遭ってるときには、マーチが抜け穴を使って食糧庫から食べ物を取って来たり、毛布を取って来たりしてアミクを慰めていました。
二人は良き親友となったのです。
もちろん、ナツ達も出ます。
何の役にしようか…。
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シンデレラ3
猿蟹合戦もやりたいし、白雪姫、眠り姫…童話って多いね!
そんなある日のこと。
この国の城で舞踏会が開かれることになりました。
アミク達の家にもその招待状が届きました。
早速継母達は舞踏会に行くための準備をします。
綺麗なドレスを仕立て、化粧品も高価なものを取り寄せました。
「エンジェル、シェリー!可愛くなったじゃない!ま、私の方が綺麗だけどね!!」
「あはははは!!これはいいドレスなんだゾ」
「この化粧品は有名ブランド物ですわね!!」
彼女達は大盛り上がり。キラキラと星が散っているように見えて、アミクには眩しく感じました。
じっと見て来るアミクの存在に気付いたのか、継母達は意地悪そうにこちらを見ます。
「あら、アミクもドレスを着たいの?」
「そんな羨ましそうな顔して」
「え、えっと…私も、舞踏会に行きたいです…」
どうせダメだろうな、と思いながらも頼んで見ると、カレン達は小馬鹿にしたように鼻で笑いました。
「貴方のような薄汚い女に着せるドレスなんてなくってよ」
「化粧品を買うお金ももったいないゾ」
「それに、貴方が舞踏会に行ったって誰も見向きなんてしてくれないわよ!」
アミクの耳に「アハハハハハ!!」と高笑いするカレン達の声が響き渡りました。
その様子を憤怒の表情で陰から見ていたマーチ。
「薄汚いのはお前らの方だっつーの!!」
思わず飛び出してその顔を引っ掻いてやろうかとも思いましたが、そうなって後に酷い目に遭うのはアミクなのでグッと我慢しました。
部屋に戻ってきたアミクはボーッと窓を眺めていました。
「アミク…元気出してなの。あんな奴らの言うことなんて気にしなくていいの」
「うん…でも、行ってみたかったな…舞踏会」
彼女にも欲らしい欲はあったようです。
マーチはそのことに安心しながらも、それを叶えられない自分にもどかしい思いをしていました。
「ドレスが、ない…あ!!」
アミクは何かを思いついたのか、目を輝かせました。
「ドレスがないなら、自分で作ればいいじゃない!!」
「おおう、そういう理論になるか、なの」
「自分でドレスとか用意すれば、お母様達もきっと行かせてくれるはずだよ!」
存外ポジティブな行動にマーチは驚かされる思いでした。
「早速お母様達からいらない服とか毛糸を貰っちゃおう!!」
意気揚々と出て行くアミク。
数十分後。
アザと血だらけになったアミクが帰ってきました。
「無事に貰ってきたよ!!」
「全然無事じゃないの!!」
聞くところによるとカレンは「貴方にあげるものなんてないわ!!」と空になった化粧瓶を投げ付けてきて、割れた破片が刺さってしまったそうです。
次にエンジェルの方に行くと「私って優しいから恵んでやるゾ」と謎の鈍器のようなものと共に古布を投げつけてくれたそうです。
最後に、シェリーの方に向かうと「この泥棒猫!!」と理不尽にヒールの踵で殴られたと言うのです。いらない布や毛糸もなんとか恵んでもらえました。
「立派なDVなの!!訴えられるの!!慰謝料ふんだくるの!!」
「マーチ、ここは日本じゃないよ…よし、始めよっか!!」
●
アミクは寝る間も惜しんでせっせと服作りをしました。
マーチもそれを手伝います。
日課をこなしながらも暇さえあれば服を縫います。
「でも、糸が足りないの」
そう、どう見ても毛糸が足りないのです。
「だから、皆にも協力して欲しいの!」
マーチは目の前にいる猫三匹に頼み込みました。
「いいよー!オイラもアミクには世話になってるから!」
青い猫、ハッピー。
「しょうがないわね」
白い猫、シャルル。
「うむ、そういうことならば任せておけ」
腕を組んで頷く黒い猫、リリー。
皆、マーチの猫仲間であり、アミクの友達です。
彼らは食料で困っている所を、マーチに連れられてアミクに食料を恵んで貰ったのです。
そんなことがあって彼らとアミクは友好関係になり、マーチのように住み込んでいるわけではないですが頻繁に遊びに来ます。
「ありがとうなの!」
「勘違いしないでよね。アンタの為じゃなくてアミクに恩を返す為なんだから」
「ツンデレ乙なの」
「なんですって!」
マーチ達は相談して毛糸の入手方法を模索します。
「毛糸、本当に残ってないの?幾ら何でも一個もないなんておかしいよ」
「そうだな。あの家には高価そうな毛糸などいくらでもありそうなものだが」
ハッピーとリリーが聞くと、マーチは歯ぎしりをして答えます。
「あのクソババァ共、何を勘付いたのか毛糸を隠しやがったの」
「うわ、エグいことするね…」
「…だったら、私達でその毛糸を見つけちゃえばいいんじゃないかしら?」
シャルルの提案にマーチ達は「それだ!!」と声を上げました。
アミクは日課もあるし、毛糸を探している暇がありません。それに、目立ちます。
ならば、狭い場所にも潜り込める自分達ならば目立たず、毛糸を探してくることができるはずです」
「よし、『喋るネコネコ隊』の初任務だ!」
「え、何それ」
「絶妙にダサいの…」
「どうでもいいわよ。それより、なんとしても毛糸を探し出すのよ!」
『おおーーー!!』
ネコ達がアミクの為に密かに動き出しました。
ちょっとディ◯ニーのストーリーに似た感じになりました。
ナツ達はまだ出ません。というか、誰がどの配役やるかも決めきれてない状態…
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シンデレラ4
マーチ達『喋るネコネコ隊』は皆が寝静まった家の中を探索していました。
「どこにあるんだろう?」
「倉庫にもなかったしな」
「あのクソババァ共ならもっと陰湿な場所に隠すと思うの」
「…とすると、継母達しか知らない場所が怪しいわね」
「でも、アミクが知らない場所なんてあるの…?」
彼らは色々相談しながら毛糸を探していました。しかし、よほど巧妙に隠したのか、中々見つかりません。
「隠し金庫とかにでも入ってるのかな?」
「そこまでする?でもやりそうね…」
「…地下ならどうだ?」
『それだ!』
リリーの言葉により、家の地下に入り込めそうな場所を探していると、とうとう床に小さな穴を見つけました。
「臭うの!ものすごく臭うの!」
「怪しすぎるね」
「この穴、継母達が掘ったのかしら…」
小さい身体を利用して中に入ってみると。
案の定、あるわあるわ高級そうな毛糸の山。
「うわーこれ全部毛糸!?」
「これ全部嫌がらせのために集めたのか…」
「こんなことに労力を使う奴らの気が知れないわ…」
アミクを虐めるためだけに全力を尽くすヤバイ奴らであります。
「とにかく、これらがあればアミクもドレスを縫えるの!』
「任務成功だな」
●
「みんな…!」
アミクは感動していました。
なんと、アミクの友達の猫達がこんなに高価そうな糸を沢山持ってきてくれたのです。
「ありがとう!これだけあれば、ドレスを完成させることができるよ!」
「大したことはしていない」
「恩を返しただけよ」
リリーとシャルルが言います。
「ほら、お礼のお魚!」
「魚ー!!」
ハッピーはアミクの差し出したお魚に飛び付きました。
「よーし、早速やるぞー!」
ハッピー達がお魚を食べている間、アミクは針と糸を用意し、ドレス作りを再開します。
「…いたっ」
どうやら針が刺さってしまったようです。指を口に入れて舐めるアミクの周囲に猫達が集まりました。
「手伝う?」
「いや、そこまでしてもらうわけにはいかないよ。頑張る!」
アミクは健気に糸を縫ってドレスを作っていきました。
「…ねぇ、例えドレスができたとして、あの継母達が素直に連れて行ってくれると思う?」
シャルルが猫達を集め、コソコソと言います。
「それはあーしもずっと思ってたの。絶対に何か理由をつけて行かせないつもりだと思うの」
「確かにそうだな。ドレスの事だって、何て言うか分からん」
「んーお魚あげればなんとかなるんじゃないかな?」
「それでなんとかなるのはハッピーだけだと思うの」
猫達は漠然とした不安を感じていました。しかし、かと言ってアミクにそのことを伝えても人の良い彼女は取り合わないでしょう。
マーチ達にはどうすることもできません。ただ、アミクが傷つくことがないように願うばかりです。
そしてその不安は的中してしまうのです。
ぶっちゃけシンデレラは主人公ルーシィでもよかったかも。
今年最後の小説投稿になります。皆さん、2019年からこのサイトで小説投稿を始めたのですが、今までずっと僕の作品を見てくださった皆様に感謝の言葉を送ります。
ありがとうございました!2020年もよろしくお願いします!
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シンデレラ 5
「こんなの…こんなの酷いよっ!!」
アミクはボロボロになったドレスを抱えてシクシクと悲しげに泣いていました。
それを痛ましそうに見守るマーチ達。
話は少し前に遡ります。
急ピッチながらも丁寧に縫ってようやく完成したドレスが完成しました。
アミクは喜び勇んで継母達に見せに行きました。これで自分も舞踏会にいける────そう、期待しながら。
しかし。
彼女達の反応は無慈悲でした。
「あら…あらあら、こんなドレスいつの間に作っていたというの?そんな時間があったのならもっと仕事しなさいよ!」
「ホント、無駄な時間なんだゾ」
「というか糸なんてどこにありましたの?まさか…盗んだっていうんですの!?なんて浅ましい女なんでしょう!」
「そんな女にこんなドレスは似合わないゾ」
「一丁前にドレスなんか作っちゃって、生意気なのよ!!」
あることないことで詰られ、暴言を吐かれ、挙げ句の果てには頑張って作ったドレスを無残に引き裂いてしまったのでした。
ビリビリ、ビリビリ、と。
「ああ!!なんてことを…!!」
「あはははは!!アンタには舞踏会に行く資格なんてないわ!!一生そのボロ雑巾がお似合いだわ!!」
そうして悲しみに耽るアミクを嘲りながら、継母達は舞踏会へと向かってしまいました。
その場に残ったのは無残なドレスだった布切れとアミクだけでした。
「あのクソ
「うむ、武器を用意した方がいいだろうな。このままだと勝ち目がない」
「戦う気満々ー!?」
憤るマーチ達を冷静なシャルルの声が落ち着かせます。
「そんなことしたってどうにもならないでしょ。ドレスはズタズタ。今から直しても舞踏会には間に合わない。
もう…私たちにできることはないわ」
「…」
マーチ達は押し黙ってしまいました。アミクは相変わらず悲しそうに鼻を啜り上げています。
そう、一番悲しくて悔しいのはアミクのはずです。あんなに頑張ったのに結局悪意に踏み潰されてしまった彼女が一番辛いはずなのです。
しかし…。
「…洗濯、しなくちゃ」
アミクは涙を拭くと気丈に立ち上がりました。しかし、足が震えていてまだ無理していることが分かります。
しかし、悲しんでも仕方ないと、いつものことだと考えて心を守ろうとしたのです。
それでも、堪え切れない涙が一粒落ちた────その時です。
『話は聞かせて貰ったわよ!』
ピカーッとアミク達の近くで大きな光が現れました。
「わぁ!?な、なに――――!?」
急な超常現象にアミク達もビックリです。光を見ながら固まっていると、段々と光が収まってきました。
そしてそこに出てきたのは。
「じゃーん!貴方の願いを叶えに来たわ!」
金髪の美少女がキメ顔で現れたのです。とんがり帽子を被ってまるで魔女のような服装ですが、正直コスプレのようにしか見えません。
「あ、貴方は…!?」
「あたしはルーシィ!色んな魔法が使える魔女よ!!」
ルーシィと名乗った少女は大きな胸を張って自慢げにしています。
「何か変な人が来たよ」
「現実と妄想の区別が付いてないのね」
「なるほど…あれがそうなのか」
「なんて可哀想な人なの…」
しかし、それに対する外野の反応は芳しくありません。
「失礼なネコちゃん達ねー!?…ってネコが喋ったぁぁぁ!!?」
自称、魔女のルーシィがマーチ達を見てビックリしました。
魔女だと言う割には喋るネコは初めて見るようです。
「ネコだって喋る時くらいあるの」
「世界は広いからね~」
「そ、そういうものかしら…オホン!とにかく、あたしはその子の願いを叶えに来たのよ!」
気を取り直したルーシィはビシッとアミクを指差しました。
「私の願い…?」
「そう。舞踏会に行きたいんでしょ?あたしが行かせてあげる!」
彼女は勇ましく告げました。マーチが疑わしそうに聞きます。
「どうやって?」
「もちろん魔法でよ!あたしの魔法ならお茶の子さいさいなんだから!」
「まーだ痛い事言ってるの」
「魔法とか魔女とか非現実的なものあるわけないわ」
「アンタらに言われたくないわ!!」
※一般的に喋るネコもいません。
「喋るネコがいるんだから、魔法だって魔女だってあったっていいでしょ!!」
「むう…そうかもしれないが」
「もう!論より証拠!!実際に見せてあげる!」
ルーシィは胸の谷間から杖を取り出して振り始めます。
すると、杖の先にキラキラと光りが集まっていきました。
「おお…?おおお!?」
「いくわよー、ビビデバビデ────」
「はいダメー!はいダメ―――!!」
その呪文は色んな危険です。
「まぁ、本当は呪文なんていらないんだけどね」
「いらないんかーい!」
アミクは思わず脱力しました。この魔女、ボケもツッコミも中々キレがあるようです。
「はいはい今度こそいくわよ、えい!」
「わっ」
ルーシィが杖を振ると、キラキラとした光がアミクに向かって彼女を包み込みました。
直後、アミクの姿はいつものみすぼらしいものではなく、綺麗なドレス姿へと大変身していました。
装飾は控えめながらも一つ一つが強烈な輝きを伴い、アミク自身の魅力を全力で引き立てるドレスです。
「すごい…」
「マジの魔法だった!」
「信じられん…」
マーチ達はまさかの出来事に口をあんぐり開け、アミクは感動と驚きでいっぱいでした。
これでルーシィの魔法が本物だと証明されました。
「ふふん、こんなのまだ序の口よ!」
調子に乗ったルーシィは更に杖を振り上げました。次はどんな魔法を見せてくれるのでしょうか。
シンデレラだけで長いな…白雪姫とかもやりたいっす
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